〜PROGRESSIVE ROCK CD REVIEW 2020 by 緑川 とうせい

★2020年に聴いたプログレ(フォーク/トラッド・その他含む)CDレビュー
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11/27
冬の始まりはフォークでトラッド(402)


Gabriel Et Marie Yacoub 「Pierre de Grenoble」
フランスのトラッドフォークバンド、Malicorneのヤコブ夫妻によるフォークデュオ。1973年作
アコースティックギターに艶やかなヴァイオリン、フランス語の男女ヴォーカルを乗せた土着的なサウンド。
ブズーキやボンバルデ(ピッフェロ)、ヴィエル・ウ・ルー(ハーディ・ガーディ)など古楽器の素朴な音色と
フランス語のコーラスが合わさって、異国的な情緒をかもしだし、神秘的なトラッドとしても楽しめる。
美しい女性声とやや武骨な男性ヴォーカル、中世音楽的な優雅さと、フォーキーな素朴さに包まれた好作。
アコースティック度・・9 トラッ度・・9 フレンチ度・・8 総合・・7.5
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Beatrix Players 「Magnified」
イギリスのネオフォーク、ベアトリックス・プレイヤーズの2017年作
女性によるトリオ編成のユニットで、やわらかなピアノに美しい女性ヴォーカルを乗せて、
物悲しいチェロの音色を加えてしっとりと聴かせる、クラシカル・アンビエントというサウンド。
ケイト・ブッシュにも通じる優雅な幻想性とほどよくキャッチーな感触もあって、薄暗くとも
マイナー過ぎない聴き心地で楽しめる。反面、全体的にも優雅な上品さに包まれていて、
エキセントリックな新鮮味はやや薄く、楽曲自体も3〜4分前後を主体にわりとシンプルなので、
耳心地の良いクラシカルサウンドにとどまっている印象。もう少しディープな味わいが欲しいか。
優雅度・・9 幻想度・・7 女性Vo度・・7 総合・・7.5
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ISAMBARDE 「TELLING TALES」
イギリスのフォークバンド、イサンバルデの2010年作
女性フィドル、女性オーボエ&Voを含む4人編成で、アコースティックギターやマンドリンのつまびきに、
艶やかなフィドルの音色が重なり、男女ヴォーカルの歌声とともに牧歌的な英国フォークを聴かせる。
初期のFairport ConventionSTEELEYE SPANなど、70年代英国ルーツの空気感を継承する作風で、
やわらかなオーボエやリコーダーの音色など、優雅な土着性に包まれた聴き心地で楽しめる。
伝統的なトラッドをアレンジした素朴な味わいで、古き良き英国フォークを甦らせる好作品です。
アコースティック度・・9 素朴で優雅度・・9 英国度・・9 総合・・7.5
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FAUN 「MIDGARD」
ドイツの古楽ネオフォーク、フォウンの2016年作
2001年にデビュー。9作目となる本作は、タイトルのように北欧神話をテーマにした作品で、
素朴なリュートのつまびきにやわらかなフルート、ドイツ語による美しい女性ヴォーカルを乗せて、
優美でメディーヴァルなサウンドが広がってゆく。ほどよくキャッチーなビート感を含んだアレンジに
ニッケルハルパ、ハーディ・ガーディ、ブズーキ、ガイタ、といった古楽器の音色も織り込んで、
モダンなスタイリッシュ性とアコーステッィクなトラッドを巧みに融合させたサウンドは円熟の域だ。
物悲しいチェロや繊細なハープの音色、素朴なマンドリン、男女ヴォーカルで描かれる幻想トラッドの逸品。
中世トラッド度・・8 幻想度・・8 女性Vo度・・8 総合・・8 過去作のレビューはこちら
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FAIRYTALE 「Forest of Summer」
ドイツのネオフォーク、フェアリーテールの2015年作
女性Vo、女性ヴァイオリン、女性チェロ、男性ギターという編成で、アコースティックギターのつまびきに、
コケティッシュな女性ヴォーカルを乗せ、艶やかなストリングスの響きとともに、優雅なフォークロックを聴かせる。
ドラムを加えてのほどよくキャッチーなノリと、ときに女性のツインヴォーカルとなっての、ディープ過ぎない感触は、
Blackmore's Night
などが好きな方にも楽しめるだろう。わりとポップなカントリー風味のナンバーなどもあって、
幻想的な薄暗さがないので、深みのある世界観という点では物足りないが、魅力的な女性声にウットリしつつ、
ときにシンセアレンジも加えた、コンテンポラリーなケルティックロックとしてゆったりと楽しめる好作品です。
アコースティック度・・8 優雅度・・8 女性Vo度・・8 総合・・8 過去作のレビューはこちら
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ANNWN 「Enaid」
ドイツのトラッド/ネオフォーク、アンウンの2016年作
物悲しいチェロやヴァイオリンの音色に、美しい女性ヴォーカルの歌声を乗せ、ハープやフルートなどの
アコースティック楽器を重ね、バウロンのリズムとともに、幻想的なケルティック/トラッドを聴かせる。
中近東やケルトなどを融合させた民族色と表現豊かな歌声は、ロリーナ・マッケニットなどにも通じる雰囲気があり、
ホイッスルやイーリアンパイプ、サズ、ニッケルハルパなどの、多彩な民族楽器による優雅なサウンドは、
本格派の説得力に包まれている。魅力的な女性ヴォーカルで、しっとりとしたケルティック・トラッドが味わえる。
アコースティック度・・9 ケルティック度・・8 女性Vo度・・8 総合・・8
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SAVA 「LABYRINTH」
ドイツのネオフォーク、サヴァの2012年作
2004年にデビュー、本作は3作目。ヴァイオリンに女性フルート&バグパイプ奏者、女性ハープ奏者を含む編成で、
優美なハープの音色にヴァイオリンやバグパイプが重なり、ドラムのリズムとともに、典雅なフォークロックを聴かせる。
素朴なフルートの音色に、フランス語や英語によるやわらかな女性ヴォーカルを乗せて、しっとりとした叙情を描きつつ
バウロンのリズムも鳴り響くケルティックな土着性に、曲によってはバルカン、中近東風味の感触も覗かせる。
インスト曲メインなので、女性声の活躍がもっとあればと思うが、アコースティックによる優雅なサウンドが楽しめる。
アコースティック度・・9 優雅度・・9 女性Vo度・・7 総合・・8
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POETA MAGICA 「edda vol.1」
ドイツのトラッド・ネオフォーク、ポエタ・マジカの2006年作
スウェーデン在住のフンケ夫妻を中心にしたユニットで、本作は北欧神話の歌謡集「エッダ」をコンセプトにした作品。
多数のニッケルハルパ奏者をはじめ多くのメンバーが参加していて、うっすらとしたシンセに素朴なニッケルハルパの音色を乗せ、
ときにモダンでエレクトロなアレンジを含んだ、ラジカルトラッド的でもあるサウンドを聴かせる。語りのような男性声に、
スウェーデン語による女性ヴォーカルも加わって妖しくも幻想的な世界観を描いてゆく。低音から高音まで重ねたニッケルハルパは、
ときにオーケストラルな味わいで、涼やかな北欧の空気感を表現している。曲によってはギターにドラムも加えたロック感触もあり、
神秘的なトラッドロック風にも楽しめる。メディーヴァルな幻想性に包まれた北欧トラッドを、独自の解釈で構築したという逸品です。
アコースティック度・・8 北欧トラッ度・・8 幻想度・・8 総合・・8
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Omnia「World Of Omnia」
オランダのネオフォーク、オムニアの2009年作
アコースティックギターにバウロンのリズム、男女ヴォーカルの歌声を乗せて、やわらかなハープや
ハーディガーディ、ブズーキなどの素朴な音色とともに、土着的なトラッドフォークを聴かせる。
優美にピアノにヴァイオリンを重ねた繊細な叙情性や、ゲストによるヴァイオリンやニッケルハルパ
鳴り響くホイッスルなど、アコスースティックをメインにした躍動的なアンサンブルは、
ときにFLAIRCKなどにも通じる感触もあり、北欧やアイルランドなどのトラッド曲も含めて、
神秘的な土着性をコンテンポラリーに解釈したという、異国的なサウンドが味わえる。
個人的には、やはり女性声がメインのナンバーがよろしいですな。
アコースティック度・・9 トラッ度・・8 幻想度・・7 総合・・7.5
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Ljom 「Seterkauk」
ノルウェーのフォークロック、リオンの2014年作
エレキギターを使った適度なロック風味に、やわらかなピアノに母国語の女性ヴォーカルを乗せ、
コンテンポラリーなフォークロックを聴かせる。シンセを使ったプログレ寄りの感触もあって、
クラリネットやリコーダー、チェロの音色とともに、チェンバーロック的な優雅な味わいも感じさせる。
北欧トラッドルーツの土着性も覗かせながら、スタイリッシュにアレンジするモダンなセンスは、
GARMARNAあたりにも通じるかもしれない。ジャズタッチのピアノなどボーダーレスの優美さに
フォーク、トラッドの素朴な空気を自然に同居させるあたりも心憎い。
優雅度・・8 北欧トラッド・・8 女性Vo度・・8 総合・・8
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CORDE OBLIQUE 「BACK THROUGH THE LIQUID MIRROR」
イタリアのクラシカル・フォーク、コーデ・オブリケの2018年作
LupercaliaのギタリストRiccardo Prencipe率いるバンドで2005年にデビュー、本作は7作目。
ヴァイオリン、ピアノを含む編成で、アコースティックギターのつまびきに美しい女性ヴォーカルを乗せ、
艶やかなヴァイオリンの音色とともに、優雅でクラシカルなアコースティックサウンドを聴かせる。
ドラムも加わる適度なロック色も覗かせて、ゴシックというよりは地中海的な優美な叙情に包まれる。
シンセがいないぶん幻想的な空気は希薄だが、巧みなアコギをバックに女性声の美しさが味わえる。
アコースティック度・・8 優雅度・・8 女性Vo度・・8 総合・・8
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MESZECSINKA 「ALLJ BELE A MELYBE STAND INTO THE DEEP」
ハンガリーのゴシック・トラッド、メスゼクシンカの2019年作
FOKATELEPの女性シンガー、アナマリア嬢をフロントにしたバンドで、アコースティックを含むギターに
サイケなシンセアレンジ、母国語の美しい女性ヴォーカルを乗せた、神秘的なトラッドロックを聴かせる。
わりとロック寄りのアンサンブルに、異国的な歌声や妖しいスキャット、土着的なバルカンなトラッドに
耽美なゴシック風味が合わさったような世界観である。しっとりとした女性声の優美なナンバーにウットリとなりつつ、
10分を超えるナンバーでは、トリップ感のあるビートに狂気をはらんだエキセントリックなヴォーカルを乗せた、
ほどよくアヴァンギャルドなセンスも覗かせる。耽美で幻想的なラジカルトラッドとしても楽しめる異色作だ。
トラッ度・・8 エキセントリック度・・8 女性Vo度・・7 総合・・7.5
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Kristia Di Gregorio 「The Whiplash Curve」
アメリカの女性シンガー、クリスティア・ディ・グレゴリオの2014年作
アコースティックギターのつまびきに、ヴァイオリンやヴィオラの音色、しっとりとした女性ヴォーカルを乗せた
コンテンポラリーなフォークサウンドを聴かせる。ドラムとベースによるゆったりとしたアンサンブルに、
ジャズやシャンソンなどの雰囲気も感じさせながら、彼女の歌声は大人の表現力と情感を含んで、
けだるげな哀愁描いてゆく。やわらかなピアノにストリングス、アコーディオンの音色などとともに、
サロン系チェンバーという感じもあって、味わいのある女性ヴォーカルで優雅に楽しめる逸品。
アコースティック度・・8 哀愁度・・8 女性Vo度・・8 総合・・7.5
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Louisa John-Krol 「Apple Pentacle」
オーストラリアの女性アーティスト、ルイサ・ジョン-クロルの2005年作
1996年にデビュー、本作は5作目で、コケティッシュな女性ヴォーカルに、アコースティックギター、
やわらかなシンセアレンジを重ね、夢見心地の優美な幻想系ネオフォークを聴かせる。
エレクトロなモダンさを含ませたシンフォニックな感触と、ケイト・ブッシュのようなキュートで
エキセントリックな世界観に、マンドリンやハープなどの素朴なアコースティック性も含んだ
ケルティックな味わいも同居させた優雅なサウンドが楽しめる。初期の作品に比べて
雰囲気モノとしての強度が備わったことで、最後まで夢見心地に浸れる好作品です。
優雅度・・9 幻想度・・8 女性Vo度・・8 総合・・8 過去作のレビューはこちら
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Louisa John-Krol 「Djinn」
オーストラリアの女性アーティスト、ルイサ・ジョン-クロルの2009年作
1996年にデビュー、6作目の本作は、ジャケのイメージのように妖精の猫をテーマにしたコンセプト作。
アコースティックギターにハープシコードの優雅な音色、いくぶんエレクトロなシンセアレンジに
女性ヴォーカルを乗せた、モダンなネオフォークサウンド。キャッチーなポップ性も含ませつつ、
ときにシンフォニックなシンセの重ねや艶やかなヴァイオリンとともに、マジカルで幻想的な世界観を描いてゆく。
どこか童話的なイメージもある雰囲気とコケテッィシュな歌声は、KATE BUSHなどのセンスにも通じるだろう。
小曲を織り込んだ流れのある楽曲の連なりで、じっくりと優雅な幻想フォークを楽しめる。
ドラマティック度・・8 幻想度・・8 女性Vo度・・8 総合・・8
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11/13
イギリス、アメリカ、ドイツのプログレ(387)


ASIA 「RESONANCE - The Omega Tour 2010」
フログレハードのベテラン、エイジアのライブ作品。2012年作
ジョン・ウェットン、スティーブ・ハウ、カール・パーマー、ジェフ・ダウンズというオリジナルメンバーで、
2010年作「Omega」のツアーからの、スイス、バーゼルでの公演を収録。初回盤は2CD+DVD。
きらびやかにシンセに、スティーブ・ハウの独特のギターと、ジョン・ウェットの味わい深いヴォーカルで、
往年のナンバーもたっぷり含めた全18曲を演奏。ドラマティックな味わいの近年のナンバーと、
キャッチーなポップ性の初期のナンバーが違和感なく連なって、バランスのよい流れになっている。
1stからの「時へのロマン」、「孤独のサヴァイヴァー」、そしてアンコールでの「ヒート・オブ・ザ・モーメント」などは
ファンには感涙ものだろう。DVDの映像は多数のカメラを使っていて、どことなくなつかしさを感じさせつつ、
年季を経たメンバーたちのオッサンぶりが哀愁をかもしだしている。故ウェットンの姿が見られるだけで嬉しい。
ライブ演奏・・8 ライブ映像・・7 往年のエイジア度・・8 総合・・8 過去作のレビューはこちら
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YES「Like It Is: Yes Live at Mesa Arts Center」
イエスのライブ作品。2015年作/邦題「゛危機”&“こわれもの”完全再現ライヴ?ライヴ・イン・アリゾナ 2014」
スティーヴ・ハウ、アラン・ホワイト、ジェフ・ダウンズ、クリス・スクワイア、ジョン・デイヴィソンという編成で、
名作「危機」&「こわれもの」を完全再現した、2014年アメリカでの公演を収録。初回盤は2CD+DVD。
アルバム版に比べると、「危機」イントロからして落ち着いた大人の雰囲気で、スリリングな部分はやや希薄ながら、
当時のメンバーはハウとスクワイアだけなので、完全なセルフカヴァーというわけではないのは仕方なし。
ただ、GLASS HAMMERでも活躍したジョン・デイヴィソンの歌声は、往年のジョン・アンダーソンにもひけをとらないし、
全体的にも優雅な大人の演奏でゆったりと楽しめる。「こわれもの」の方は、「ランドアバウト」をはじめ、キャッチーなナンバーは、
このメンバーにもマッチしていてよい感じですね。ちなみに、故クリス・スクワイアの最後の公式ライブ映像作品でもある。涙
ライブ演奏・・7 完全再現度・・8 往年のイエス度・・7 総合・・8 過去作のレビューはこちら
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IQ 「Resistance」
イギリスのプログレバンド、アイキューの2019年作
1983年にデビュー、いまや英国シンフォニックロックを代表するバンドの、5年ぶりとなるCD2枚組のアルバム。
Disc1はコンセプト作となっていて、ハード寄りのギターにシンセを重ね、ピーター・ニコルズのシアトリカルなヴォーカルで、
シリアスなダークさに包まれたサウンドを構築する。前作から加入のニール・デュラントの優美なシンセワークが、
サウンドに壮麗なスケール感を与えていて、雰囲気としては、ARENAにも接近したような重厚なドラマ性を感じさせつつ、
ラストの15分の大曲では、泣きのギターフレーズとともにじわじわと盛り上げる。Disc2は、20分前後の大曲2曲を中心に、
緩急ある展開力で、これぞアイキューという甘美なシンフォニックロックを聴かせる。CD2枚で110分に及ぶ大作だ。
ドラマティック度・・8 叙情度・・9 壮大度・・9 総合・・8.5 過去作のレビューはこちら
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DRIFTING SUN 「Singled Out」
イギリスのシンフォニックロック、ドリフティング・サンの2019年作
1997年にデビュー、1999年作を最後に消えるも、2014年になって、15年ぶりに復活、以後コンスタントに作品を発表。
本作はアルバム未収録、2015〜18年のシングル音源や未発曲を収録した作品。美しいピアノにマイルドなヴォーカルを乗せた
しっとりとした優美なナンバーから、メロウな泣きのギターと美麗なシンセを重ねた、インストによるシンフォニック曲、
キャッチーなプログレハード風まで、小曲主体ながら、バンドの繊細な美意識が詰め込まれた聴き心地で味わえる。
10分を超える大曲では、モダンなアレンジのスタイリッシュなサウンドを構築、現在形の英国シンフォとしても楽しめる内容だ。
ドラマティック度・・7 プログレ度・・7 優美度・・9 総合・・8 過去作のレビューはこちら
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DRIFTING SUN「Planet Junkie」
イギリスのシンフォニックロック、ドリフティング・サンの2019年作
2014年の復活後から数えて4作目となる作品。今作では、ゲストに3人のヴォーカルを招いて、それぞれがリードをとり、
叙情的なギターに美しいシンセ、マイルドなヴォーカルで、プログレハード風のキャッチーなサウンドを聴かせる。
ゲストによるサックスやオルガン奏者、ときにストリングスなども加えた、なかなかゴージャスなアレンジに、
優しい大人の哀愁が漂う、80年代風の雰囲気も感じさせて、どことなくなつかしい聴き心地で楽しめる。
一方では、これまで通りの、ゆったりとした優美なシンフォニックロック風味のナンバーも耳心地よく、
8分、10分という大曲では、繊細なピアノに美麗なシンセ、メロウなギターフレーズでじわじわと盛り上げる。
ドラマティック度・・8 プログレ度・・7 優美度・・9 総合・・8
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Kaprekar's Constant 「Dept of Field」
イギリスのプログレバンド、カプリカーズ・コンスタントの2019年作
2017年にデビュー、これが2作目となる。VDGGのデヴィッド・ジャクソン、CARAVANのマーク・ウォーカーが参加、
美麗なシンセアレンジにマイルドな男性ヴォーカル、美しい女性ヴォーカルにホイッスルやフルートも加わって、
英国らしい優美な叙情に包まれたサウンドを描く。やわらかなエレピやサックス、メロウなギターの旋律も覗かせ、
カンタベリー的でもある優雅な味わいとともに、10分前後の大曲をゆったりと構築する、大人のシンフォニックロックという作風。
23分の大曲では、マンドリンやホイッスルなどのアコースティックな牧歌性とシンフォニックな壮麗さが合わさってウットリ。
英国的な優雅な美意識に包まれた、優しいシンフォニックプログレが楽しめる逸品です。
ドラマティック度・・8 プログレ度・・8 優雅度・・9 総合・・8
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GREY LADY DOWN 「THE CRIME」
イギリスのプログレハード、グレイ・レディ・ダウンの1994年作
きらびやかなシンセにほどよくハードなギターを重ね、伸びやかなヴォーカルを乗せた、
初期のPALLASなど、80年代ポンプロックルーツのプログレハードを聴かせる。
リズムチェンジを含んだ展開力にキャッチーなメロディアス性で、90年代でいえば、
ARENASHADOWLANDなどにも通じる、ネオシンフォニック路線に近いだろう。
情感的なヴォーカルとともに、10分を超える大曲をじっくりと構築する力量もあって、
ジャケは地味だが、内容はキャッチーなシンフォニックハードが楽しめる好作品です。
ドラマティック度・・8 プログレハー度・・8 英国シンフォ度・・8 総合・・7.5
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25 Yard Screamer 「Natural Satellite」
イギリスのプログレバンド、トウェンティファイヴ・ヤード・スクリーマーの2019年作
2004年にデビュー、本作は6作目。適度にハードなギターにうっすらとしたシンセ、マイルドなヴォーカルを乗せ、
翳りを帯びたアンニュイな叙情に包まれたサウンドを聴かせる。オルタナ風のハードなパートもありつつ
随所に物悲しいメロディを覗かせながら、15分前後の大曲もじっくりと構築してゆく。
歌もの風のモダンな薄暗系プログレハードという作風であるが、美しいシンセアレンジや
ときに女性ヴォーカルなども加わった、優雅な空気感はなかなか魅力的ではある。
全体的には、楽曲ごとの魅力的な展開や、プログレらしい盛り上がりがもう少し欲しい気はする。
ドラマティック度・・8 プログレ度・・7 薄暗度・・8 総合・・7
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KINETIC ELEMENT 「The Face Of Life」
アメリカのプログレバンド、キネティック・エレメントの2019年作
2009年にデビュー、本作は3作目で、オルガンやメロトロンの音色を含むシンセに、優美なピアノ、
ヘタウマ感のあるヴォーカルで、アメリカらしいキャッチーなシンフォプログレを聴かせる。
GLASS HAMMERあたりに比べると、演奏力や楽曲アレンジでのほどよいマイナー感触と
どこかオヤジ臭い垢抜けなさがあって、良い意味でマニア好み。15分、19分という大曲では、
TRANSATLANTICばりの起伏のある展開力で、ドラマティックで壮麗なサウンドを構築する。
いかにもお約束のオールドスタイルのシンフォであるが、これを嫌いになれないのも事実。
ドラマテイック度・・8 プログレ度・・7 オヤジ系シンフォ度・・8 総合・・7.5 過去作のレビューはこちら
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THE WINTER TREE 「MR.SUN」
アメリカのシンフォニックロック、ウインター・ツリーの2017年作
Andrew Laitres氏による個人プロジェクトで、2011年にデビュー、本作は5作目となる。
やわらかなシンセにメロウなギター、マイルドなヴォーカルを乗せて、繊細な叙情に包まれたサウンドを描く。
曲によっては、女性ヴォーカルによる、しっとりとした優美な味わいで、ポストプログレ的でもある感触に
シンフォニックロックの優雅さが合わさったという耳心地。楽曲は3〜5分前後とわりとシンプルで、
翳りを帯びたほどよくモダンな味わいと、キャッチーなスタイリッシュ性が同居していて、普通に聴きやすい。
反面、ドラマティックな展開や盛り上がりはさほどなく、淡々としたところが物足りないといえなくもない。
ドラマティック度・・7 プログレ度・・7 スタイリッシュ度・・8 総合・・7.5
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Wrekmeister Harmonies 「The Alone Rush」
アメリカのエクスペリメンタルロック、レックマイスター・ハーモニーズの2018年作
J.R.ロビンソンによる個人プロジェクトで、本作は6作目となる。やわらかなシンセにジェントルな歌声を乗せ、
ギターやストリングス、ときに女性声がしっとりと絡む、アンビエントな空間性に包まれたサウンドから、
歪んだギターにドラムが加わると、轟音系ポストロックの感触になる。オルガンなどを含むシンセアレンジは
わりとプログレ寄りで、スペイシーなスケール感とともに、ミステリアスな妖しさも感じさせる。
14分という大曲も、いくぶんこもり気味の音質とともに、God Speed You! Black Emperorにも通じる
じわじわとくる不穏な迫力と、インプロヴィゼーション気味のサウンドスケープ感で感覚的に楽しめる。
ドラマティック度・・7 ポストロック度・・8 空間度・・8 総合・・7.5 過去作のレビューはこちら
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Space Needle 「Moray Eels Eat the Space Needle」
アメリカのアヴァン・ポストロック、スペース・ニードルの1997年作
ロジャー・ディーンによるジャケからして期待してしまうが、サウンドの方は、わりとラウドなギターを乗せた
フリーキーなガレージロック風味の大曲から始まりつつ、シガー・ロスのようなゆったりとしたアンビエントなナンバー、
キャッチーな歌ものから、アヴァンギャルドなサウンドスケープ風と、とらえどころのない作風で、
あまりシンセが入らないので、プログレというよりは、やはりポストロックというべきサウンドだ。
延々とリフレインされる11分のアンビエント曲など、全66分、とりとめがないまま終わるという、ある種の異色作。
ドラマティック度・・5 プログレ度・・6 アヴァンギャル度・・7 総合・・6
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ELOY 「The Vision, the Sword and The Pyre Part2」
ドイツのプログレバンド、エロイの2019年作
1971年のデビューの大ベテラン。HR/HMのプロデューサーでもある、フランク・ボーネマン率いるバンドで、
本作は、おそらく19作目くらいだろう。ジャンヌ・ダルクをテーマに、百年戦争を舞台にしたコンセプト作の続編で、
シンセをバックに美しい女性声によるイントロから、壮麗なクワイアが加わり、シンフォニックなスケール感に包まれつつ、
オルガンを含むシンセにジェントルなヴォーカルで、サイケ気味の浮遊感を残したオールドなサウンドを聴かせる。
ほどよいヴィンテージ感と、ユルめのドラマ性が合わさった聴き心地で、テーマがテーマだけに、
もう少し楽曲ごとの盛り上がりが欲しい気もするものの、この中庸感こそがエロイとも言えるか。
ドラマティック度・・7 プログレ度・・7 古き良き度・・8 総合・・7.5 過去作のレビューはこちら
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PANZERBALLETT「X-MASS DEATH JAZZ」
ドイツのテクニカルジャズロック、パンツァーバレットの2017年作
2006年にデビュー、ギタリストのヤン・ゼーレフェルトを中心に、メタルとジャズをハイブリッドに融合し、
モダンなテクニカルサウンドを追及するバンド。本作は、クリスマスソングをアレンジした作品で、
メタリックなギターを含んだ硬質感と優雅なテクニカル性で、アヴァンギャルドなプログレ・ジャズメタルを展開。
FREAK KITCHENのMattias Eklundh、EVANESCENCEのJen Majura、OBUSCURAのSteffen Kummererらが参加し、
それぞれにヴォーカルを乗せることで、変態的なインストパートとのキャッチーな対比が生まれている。
随所におなじみのクリスマスなメロディーも覗かせつつ、全体的には完全にアヴァン・メタルの仕上がりで、
変則リズムの欧州に、怪しい掛け声、サックスも鳴り響き、ヘンタイ過ぎるプログレ好きさんも満足の内容です。
メロディアス度・・7 テクニカル度・・8 アヴァンギャル度・・8 総合・・8
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IRMLER/OESTERHELT 「FORMEN.」
ドイツのチェンバーロック、イルムラー/オースターヘルトの2015年作
FAUSTのシンセ奏者、ハンス・ヨアヒム・イルムラーととMERRICKSやTHE JOHNSONSで活動するシンセ奏者、
カール・フレドリック・オースターヘルトによるユニットで、オルガンやピアノを含むシンセに、クラリネットやサックス
ヴァイオリンやチェロなどのストリングスを加えて、優雅でスリリングなチェンバーロックを展開。
アナログシンセによるノイジーな音響や、ストリングスの不協和音が不穏な空気をかもしだし、
ときにTangerine Dream的でもあるスペイシーな雰囲気に、クラシカルな味わいが同居したサウンドを描く。
ドラムが入る曲では、わりとロック感触もあるので、さほど難解な印象もなく、エクスペリメンタルに楽しめます。
チェンバー度・・8 優雅度・・8 スリリング度・・8 総合・・8
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10/30
カルファゲン&ロストワールドは必聴級!(372)


Karfagen 「Messages from Afar: First Contact」
ウクライナのシンフォニックロック、カルファゲンの2017年作
Sunchildでも活躍するアントニー・カルギンのプロジェクトで、2006年のデビュー作からすでに9作目となる。
スペイシーなシンセにメロウなギターを重ね、エフェクトの効いたコーラスを含むキャッチーなサウンドで、
わりとモダンなプログレハード感触もありつつ、泣きの旋律を奏でるギターにときにサックスも重なって、
ゆったりとした優美な叙情を描いてゆく。ほぼオールインストであるが、随所にリズムチェンジを含む展開力で、
軽妙な味わいも覗かせつつ、ラストは15分という大曲で、クラシカルなイントロから、美麗なシンセにギターが重なり、
優雅でファンタジックなシンフォプログレを構築する。お約束の耳心地であるが、文句のない完成度の逸品です。
ドラマティック度・・8 プログレ度・・8 優雅度・・9 総合・・8 過去作のレビューはこちら
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Karfagen 「Echoes From Within Dragon Island」
ウクライナのシンフォニックロック、カルファゲンの2019年作
10作目の本作は「ドラゴン・アイランド組曲」という、3部構成で、それぞれが17分、18分、16分という大曲。
ヴァイオリンなどのストリングスにシンセが重なる、優美なクラシカル性に包まれたサウンドで、
マイルドなヴォーカルに女性声も加えて、オールドなロック感触も同居した起伏のある展開力で聴かせる。
メロウなギターの旋律は、ロイネ・ストルトあたりを思わせ、随所にフラキン的な雰囲気も現れるが、
ピアノやフルートによる繊細な叙情などには、クラシックの素養をシンフォニックロックに溶け込ませたという、
優雅でアカデミックな説得力を感じさせる。まさにアントニー・カルギンの集大成的な傑作である。
クラシカル度・・8 プログレ度・・8 優雅度・・9 総合・・8.5
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Karfagen 「Birds of Passage」
ウクライナのシンフォニックロック、カルファゲンの2020年作
見事な傑作となった前作から早くも新作が登場。アントニー・カルギン氏の創作意欲にはすさまじいものがある。
本作は22分、21分という大曲2曲をメインにした構成で、美麗なシンセにギターを重ね、キャッチーなヴォーカルメロディとともに、
やわらかな叙情美に包まれたシンフォニックロックを展開。ほどよくヴィンテージなシンセの音色に、ときに女性ヴォーカルも加わり、
フルートやヴァイオリンなど、クラシカルな優雅さとともに、ファンタジックな世界観を描いてゆく。軽やかなアンサンブルと展開力、
きらびやかなシンフォニック性が合わさって、GENESISルーツのロマンティシズムをまぶしたような、まさにシンフォプログレの理想郷。
繊細な泣きの美学と優美な幻想性に包まれたサウンドにウットリ。THE FLOWER KINGSのファンなども必聴の出来です。
ドラマティック度・・8 プログレ度・・8 優雅度・・9 総合・・8
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LOST WORLD BAND「Spheres Aligned」
ロシアのプログレバンド、ロスト・ワールド・バンドの2019年作
2003年にデビュー、いまやロシアを代表するバンドの6作目。女性シンセ奏者を含む5人編成で、
艶やかなヴァイオリンにギターが重なり、躍動的なアンサンブルとともに、優美なフルートが鳴り響く、
クラシカルなシンフォプログレを展開。軽妙なテクニカル性は日本のKENSOを思わせる部分もあり、
きらびやかなシンセワークに技巧的なギターもセンス抜群。同郷のLITTLE TRAGEDIESを思わせる、
濃密なシンフォニック性と、高度な演奏力による知的な展開美が合わさった、優雅なサウンドに聴き惚れる。
ヴォーカル入りのキャッチーなパートも含めて、クラシックとロックをスタイリッシュに融合させる卓越したセンスが光る。
最高傑作であった3rd「Sound Source」を超えようかという完成度。これは新たな傑作の誕生である。必聴級。
ドラマティック度・・8 プログレ度・・9 優雅度・・9 総合・・8.5 過去作のレビューはこちら
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IAMTHEMORNING 「Ocean Sounds」
ロシアのシンフォニックロック、アイアムザモーニングの2018年作
ピアノ&シンセ奏者と女性Voによる二人組ユニットで、本作はスタジオでのセッションライブを収録した作品。
ヴァイオリン、チェロ、ベース、ドラムを加えての編成で、やわらかなピアノのつまびきに美しい女性ヴォーカルを乗せて、
艶やかなストリングスとともに優雅なクラシカル性に包まれる。リズムセクションを加えてのジャズタッチのアンサンブルや、
キュートな歌声をメインにしたしっとりとしたナンバーもじつに優美です。楽曲は3〜4分前後とわりとシンプルであるが、
ジャケも含めてのアーティスティックなセンスや、コケティッシュな優雅さはケイト・ブッシュなどにも通じる雰囲気もあるだろう。
Blu-rayには、スタジオセッションの映像を収録していて、雰囲気あるスタジオセットの中でのライブ演奏が楽しめる。
クラシカル度・・8 優雅度・・9 女性Vo度・・8 総合・・8 過去作のレビューはこちら
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IAMTHEMORNING 「The Bell」
ロシアのシンフォニックロック、アイアムザモーニングの2019年作
2012年にデビューし、本作は5作目となる。やわらかなピアノにハープの音色、うっすらとしたシンセを重ね、
コケティッシュな女性ヴォーカルの歌声で、しっとりと優美なサウンドを聴かせる。艶やかなヴァイオリンにサックスも鳴り響き、
ドラムも加えた躍動的なアンサンブルも覗かせつつ、アコースティックギターやアコーディオン、マリンバなどの素朴な叙情と
シンフォニックロックとしての優雅な音の重ねが同居していて、これまでの作品以上にダイナミックな味わい。
3〜4分前後の小曲がメインなので、プログレ的な展開や派手さはあまりないものの、繊細な美意識の中に、
翳りを帯びた幻想性やケイト・ブッシュ的な優雅なポップ性も感じさせ、優しくまどろめるような耳心地よい作品だ。
プログレ度・・7 優雅度・・9 女性Vo度・・8 総合・・8
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Yesternight 「The False Awakening」
ポーランドのプログレバンド、イエスタナイトの2017年作
ART OF ILLUSIONのメンバーを含むバンドで、メロウなギターの旋律にうっすらとしたシンセを重ね、
マイルドなヴォーカルとともに、モダンなハードさと翳りを帯びた叙情が同居したサウンドを聴かせる。
ほどよいヘヴィさと知的な構築力で、Riversideあたりにも通じるハードプログレとしても楽しめ、
泣きのギターと美しいシンセによる、薄暗系シンフォニックロックの叙情美も随所に覗かせる。
全体的にスリリングな展開というのはさほどないが、ラストの11分の大曲では、キャッチーな歌メロに
流麗なギターワークとシンセでじわじわと盛り上げる。ポーランドらしいモダンシンフォの逸品です。
ドラマティック度・・7 プログレ度・・7 薄暗度・・8 総合・・8
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THE RYSZARD KRAMARSKI PROJECT 「Sounds From The Past」
ポーランドのミュージシャン、リシャルト・クラマルスキによるプロジェクト。2018年作
MILLENIUMのシンセ奏者である彼が、それ以前に活動した、FRAMAUROの1998年作「ETERMEDIA」をリメイクした作品。
MOONRISEのギタリストによるメロウなギターにやわらかなシンセと女性ヴォーカルの歌声を乗せた、
ゆったりとしたシンフォニックロックサウンドで、PINK FLOYDルーツの翳りを帯びた空気に包まれる。
オルガンを使ったシンセなど、ときにオールドなロック感も含んだキャッチーなノリも現れつつ、
ポーランドらしい薄暗く繊細な美意識とともに、派手さはないが大人の叙情プログレを描いてゆく。
ドラマティック度・・7 プログレ度・・7 叙情度・・8 総合・・8
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RPWL 「Tales From Outer Space」
ドイツのモダンプログレ、RPWLの2019年作
2000年にデビュー、SYLVANとともに、PINK FLOYDルーツの叙情派ポストプログレを聴かせるこのバンド、
8作目となる本作は、ジャケのようにSFコミック風のコンセプト作で、うっすらとしたシンセに適度にハードなギター、
マイルドなヴォーカルで、スペイシーなスケール感に包まれた、モダンなシンフォニックロックを聴かせる。
メロトロンなどのシンセの美しいや、メロウなギターの旋律が随所に泣きの叙情を描いていて、
エモーショナルなヴォーカルとともに、コンセプト的なドラマ性を感じさせるサウンドメイキングが見事。
ときおりフロイド風のオールドロック感触も覗かせつつ、キャッチーなプログレハード風味もあったりと、
ほどよくカラフルなイメージで、歌ものとしての説得力もぐっと増している。さすがの完成度である。
ドラマティック度・・8 スペイシー度・・8 叙情度・・8 総合・・8 過去作のレビューはこちら
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FREQUENCY DRIFT 「LETTERS TO MARO」
ドイツのプログレバンド、フリクエンシー・ドリフトの2018年作
2008年にデビュー、本作は7作目となる。女性Vo、女性ハープ&シンセ奏者を含む編成で、
美しいシンセアレンジにメロウなギター、やわらかな女性ヴォーカルの歌声を重ね、
アンニュイな叙情に包まれた、しっとりと優美なサウンドを聴かせる。全体的に歌もの感が前に出ていて、
ポストプログレ的でもあるモダンなスタイリッシュ性に包まれながらも、あくまで繊細で優雅な味わい。
派手な盛り上がりというのはないのだが、じわじわとした耳心地の良さでゆったりと楽しめるところは、
やはりPaatosなどにも通じるだろう。日本で撮影されたジャケやブックレットのフォトなども印象的だ。
アンニュイ度・・8 プログレ度・・7 女性Vo度・・8 総合・・8 過去作のレビューはこちら
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Golden Caves 「Dysergy」
オランダのプログレバンド、ゴールデン・ケイヴスの2020年作
女性Vo、女性シンセ奏者を含む5人編成で、本作が2作目となる。ほどよくハードなギターに
うっすらとしたシンセアレンジ、伸びやかな女性ヴォーカルで聴かせるスタイリッシュなサウンド。
メランコリックな翳りを帯びた叙情性は、The Gatheringあたりに通じる雰囲気もあり、
Romy嬢の歌声は、アネク・ヴァン・ガースバーゲンを思わせるような豊かな表現力が魅力的。
曲によってはエレクトロなアレンジがモダンな味わいになっていて、キャッチーな浮遊感と、
ゴシック風味の薄暗さが同居したという聴き心地。スタイリッシュな女性声シンフォとしては、
FREQUENCY DRIFTなどのファンにもお薦めできる、優雅なセンスも素敵な逸品です。
アンニュイ度・・8 プログレ度・・7 女性Vo度・・9 総合・・8 過去作のレビューはこちら
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KING OF AGOGIK 「MORNING STAR」
ドイツのハードプログレ、キング・オブ・アゴジックの2017年作
TRAUMHAUSのメンバーでもあるミュージシャン、ハンス・ヨルグ・シュミッツによるプロジェクト。
プログレらしいきらびやかなシンセに適度にハードなギターを重ね、ときにProgMetal的でもある、
テクニカルなアンサンブルと、繊細な叙情美が同居した展開力のあるインストサウンドを構築。
10分を超える大曲を緩急ある構成で構築してゆくセンスはさすがで、アコースティックギターにヴァイオリン、
フルートなどの優雅な音色に、メロウなギターの旋律とともにゆったりとした耳心地の良さにも包まれる。
優美なシンフォニックロックと、テクニカルなハードプログレが同居して、後半には20分の大曲も含む、
全70分という力作。WILLOWGLASS、THE SAMURAI OF PROGのメンバーなどがゲスト参加している。
ドラマティック度・・8 プログレ度・・8 叙情度・・8 総合・・8
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Neronia 「Nerotica」
ドイツのプログレハード、ネロニアの2003年
Ulysses(オランダとは別バンド)のメンバー含むバンドで、名前は1993年の唯一作品「Neronia」からとったのだろう。
適度にハードなギターにエモーショナルなヴォーカルを乗せて、うっすらとしたシンセも加えた
プログレハードロックというサウンド。6〜8分の長めの楽曲でも、これという派手な展開はないのだが、
叙情的なギターフレーズと歌い上げるヴォーカルが、なんとなく90年代風のロマンを感じさせて、
ゆったりとした聴き心地で楽しめる。ラストは10分を超える大曲で、女性コーラスも加えてそこそこ盛り上がる。
ドラマティック度・・7 プログレ度・・6 叙情度・・8 総合・・7.5
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CHANDELIER 「PURE」
ドイツのシンフォニックロック、シャンデリアの1990/2018年作
90年代のポンプロック系のバンドとしては、質の高さでひとつ抜けた存在であったこのバンド。
Disc1には、1990年のデビュー作を、Disc2には、1988年デビュー前のカセット音源を収録した2枚組仕様。
美麗なシンセに適度にハードで叙情的なギター、ややクセのあるヴォーカルを乗せたサウンドは、
いかにもFish期のMARILLIONIQあたりを手本にしたスタイルながら、軽快なアンサンブルによる
優雅なプログレハード風味も含めてなかなか出来が良い。Disc2のカセット音源も音質は良好で、
GENESISルーツの優美なシンフォプログレという点では、むしろデビュー作以上に楽しめる。
ドラマティック度・・8 プログレ度・・7 ポンプ度・・9 総合・・8
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ODYSSICE 「SECRET SHOWCASE」
オランダのプログレバンド、オディッセスのライブ。2013年作
1996年デビュー、本作は2006年アムステルダムでのステージを、CD+DVDに収録。
美しいシンセワークに叙情的なギターを重ねた、オールインストのシンフォニックロックはライブでもそのまま。
2000年作「IMPRESSION」、2010年作「Silence」からのナンバーを主体に、TRIONでも活躍するドラムの
安定したリズムに、きらびやかなシンセとメロウなギターフレーズで、大人のアンサンブルを聴かせる。
スリリングな展開はないのだが、ゆったりと落ち着いた味わいで、優雅な叙情美を再現したという好ライブ。
DVDの方は、何故かCDより短い40分ほど。複数のカメラで撮られた映像で、けっこう楽しめます。
ドラマティック度・・7 ライブ演奏・・8 叙情度・・8 総合・・7.5 過去作のレビューはこちら
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10/16
アメリカとイギリスのプログレ(357)


KANSAS 「Absence Of Presence」
アメリカのプログレハード、カンサスの2020年作
2016年の復活作「暗黙の序曲」に続く、4年ぶりとなる通算16作目。新たにシンセ奏者にトム・ブリスリンを迎え、
美しいシンセにヴァイオリン、マイルドなヴォーカルを乗せて、シンフォニックで叙情豊かなサウンドを聴かせる。
オルガンやピアノを含む優美なシンセワークに、ツインギターを重ねたほどよくハードな音の厚みに、
前作から加入のロニー・プラットの歌声も楽曲によく馴染んでいる。随所にアコースティックパートなどの、
初期に通じる素朴な雰囲気も覗かせつつ、艶やかなヴァイオリンの音色が優雅に包み込む。
古き良きプログレハードらしいキャッチーな感触に、大人の哀愁を感じさせるゆったりとしたメロディで、
楽曲自体に新鮮味は少ないものの、往年のカンサスらしさを再現したというような聴き心地だ。
メロディック度・・8 プログレ度・・7 優雅度・・8 総合・・8 過去作のレビューはこちら
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FERNANDO PERDOMO 「Out to Sea 3 - The Storm」
アメリカのミュージシャン、フェルナンド・ペルドモの2020年作
元DREAMING IN STEREOのギタリストで、Dave Kerznerなどの作品にも参加したミュージャン。
ギターインストシリーズの第三弾で、アコースティックギターのつまびきで典雅に始まり、
うっすらとしたシンセにフルート、甘美なエレキギターのフレーズを重ねた優美な叙情に包まれる。
前作がラティマー風なら、今作はハケット風かと思いきや、ヤン・アッカーマン的な味わいも混ざって、
とにかく優雅でメロウなギタープレイに聴き惚れる。楽曲はは3〜4分前後ながら、ほどよい展開力と
フックのあるメロディックな旋律で、叙情ギターがたっぷりと堪能できる、耳心地の良い逸品です。
メロディック度・・9 プログレ度・・7 優雅度・・9 総合・・8.5 過去作のレビューはこちら
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FLYING COLORS 「THIRD DEGREE」
ニール・モーズ、スティーヴ・モーズ、マイク・ポートノイらによるスーパーバンド、フライング・カラーズの2019年作
3作目となる本作は、適度にハードなギターにオルガンを含むヴィンテージなシンセを重ね、
ケイシー・マクファーソンの味わいのあるヴォーカルを乗せた、オールドなロック風味のナンバーで始まって、
これまで以上にアダルトな聴き心地。しかしながら、ギターにしろドラムにしろ名人級のメンバーであるから、
肩の力が抜けた長尺のインストパートでも、スリリングなアンサンブルを随所に聴かせてくれるのはさすが。
メロウなギターと美麗なシンセ、ストリングスも加えた、TRANSATLANTIC風のキャッチーなシンフォニック性もあって、
プログレリスナーもひと安心。10分を超える大曲でのドラマティックな構築性は、お約束ながらも感動的だ。
ドラマティック度・・8 プログレ度・・7 大人の叙情度・・8 総合・・8 過去作のレビューはこちら
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Pattern-Seeking Animals
アメリカのプログレバンド、パターン・シーキング・アニマルズの2019年作
Spock's Beard、マルチミュージシャンのジョン・ボーグホールドを中心に、テッド・レオナルドをはじめ、現メンバーも参加、
オルガンやメロトロンを含む優美なシンセアレンジに、叙情的なギターとマイルドなヴォーカルを乗せた正統派のサウンド。
テッド・レオナルドの歌うキャッチーなヴォーカルメロディとともに、オールドなプログレ感覚をモダンに表現するところは、
やはりスポビ的な聴き心地で、安定したリズムセクションを主体に、確かな演奏力で、10分前後の大曲を構築する技量も十分。
ストリングスによる壮麗なアレンジや、随所に聴かせる泣きのギターフレーズもよろしく、お約束のシンフォプログレではあるが、
歌唱も演奏もレベルが高いので安心して楽しめる。新鮮味はさほどないが、キャッチーな叙情性でスポビ好きは必聴の出来。
メロディック度・・8 プログレ度・・7 スポビ度・・8 総合・・8
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Pattern-Seeking Animals「Prehensile Tales」
アメリカのプログレバンド、パターン・シーキング・アニマルズの2020年作
2作目の本作は、いくぶんスタイリッシュな歌もの風に始まりつつ、やわらかなシンセアレンジとメロウなギターによる、
シンフォニックな叙情性と、うるさすぎないリズムチェンジと展開力で、優雅な大人のプログレサウンドを聴かせる。
テッド・レオナルドの繊細なヴォーカルとともに、今作では、よりキャッチーなプログレハード風味も感じさせつつ、
ときにヴァイオリン、フルートなどが優美な音色を加えて、しっとりとした味わいに包まれる。アルバム後半は、
17分、12分という大曲となっていて、前半が歌ものメインだった分、プログレらしい展開美をたっぷり楽しめる。
スポビの延長風だった前作から、独自のスタイルの優雅なシンフォプログレ路線が見え始めた逸品です。
キャッチー度・・8 プログレ度・・7 優雅度・・9 総合・・8
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The Dear Hunter 「The Color Spectrum」
アメリカのプログレロックバンド、ディア・ハンターの2011年作
6部構成のコンセプト作の合間に発表された4作目で、今作は「色」をテーマにしたアルバム。
それぞれの色のイメージで作られた、3〜4分前後の楽曲は、モダンなシンセアレンジとともに、
キャッチーな歌ものロックという印象で、プログレ感はほとんどない。オールドなロックナンバーや
ポップやカントリー調の味わいなど、曲によって異なる作風で、これというインパクトはないものの、
気楽に楽しめるサウンドである。いわばコンセプトシリーズの息抜き的な小曲集という感じか。
ドラマティック度・・7 プログレ度・・6 キャッチー度・・8 総合・・7.5 過去作のレビューはこちら
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Haken 「Virus」
イギリスのモダンプログレ(メタル)、ヘイケンの2020年作
2010年にデビュー、6作目の本作はタイトルからして、まさにコロナ禍である年を思わせるが、
のっけから硬質なギターリフを乗せた、モダンなテクニカルメタルの感触を強めたような聴き心地。
エレクトロなシンセアレンジにマイルドなヴォーカルで聴かせる、ハードなポストプログレという感触や、
Djent風のリズムチェンジなど、ボーダーレスの味わいは、単なるProgMetalという以上のセンスを感じさせ、
ダークで不穏な雰囲気から、ほどよくメロディックなギターも切り込んでくるという、絶妙のバランスも見事である。
5パートに分かれた19分の大曲では、エモーショナルな叙情性も覗かせつつ、起伏に富んだテクニカルな展開力で、
スケールの大きなスタイリッシュなハードプログレを構築する。ヘヴィ過ぎずエモ過ぎない、クールでハイセンスな作品。
ドラマティック度・・8 プログレ度・・8 スタイリッシュ度・・9 総合・・8 過去作のレビューはこちら
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Lonely Robot 「Feelings Are Good」
イギリスのモダンプログレ、ロンリー・ロボットの2020年作
IT BITESなどで活躍するジョン・ミッチェルによるプロジェクト。4作目の本作も、FROST*のクライグ・ブランデルがドラムで参加、
うっすらとしたシンセにキャッチーな歌メロで聴かせるスタイリッシュなサウンドで、ポストプログレ的な繊細な叙情に、
翳りを帯びたモダンな質感も含んだ作風。IT BITESFROST*MARILLIONを合わせたようなイメージで
味わいのある歌声で聴かせる優美なバラードナンバーなど、エモーショナルな歌もの感触も耳心地よい。
全体的に派手さや新鮮味は希薄だが、ゆったりとしたナンバーを主体に、随所に聴かせる泣きのギターや
美麗なシンセアレンジはさすがのセンスで、大人の優雅さに包まれた英国モダンシンフォの逸品です。
キャッチー度・・8 プログレ度・・7 スタイリッシュ度・・8 総合・・8 過去作のレビューはこちら
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I AM THE MANIC WHALE 「NEW FORMS OF LIFE」
イギリスのプログレバンド、アイ・アム・ザ・マニック・ホエールのライブ。2019年作
2015年にデビュー、IT BITESBIG BIG TRAINクラスのクオリティを持つバンドとして注目の存在。
本作は2018年のステージで、2nd「Gathering The Waters」全曲に、1stからのナンバーも演奏。
オルガンやムーグの音色を含むシンセにほどよくハードなギターを重ね、キャッチーなヴォーカルメロディで、
古き良き味わいのプログレ感覚に、確かな演奏力と軽妙な構築センスで、躍動的なサウンドを描く。
楽曲は、6〜8分前後を主体に、10分を超える大曲も、力み過ぎない優雅な味わいで、大人のプログレらしい
軽やかな聴き心地に包まれる。濃密になり過ぎない、ほどよく詰まった全74分の軽快なライブです。
ライブ演奏・・8 プログレ度・・8 優雅でキャッチー度・・9 総合・・8 過去作のレビューはこちら
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TIGER MOTH TALES 「Story Tellers Part Two」
アメリカのシンフォニックロック、タイガー・モス・テイルズの2018年作
全盲のマルチ・ミュージシャンPeter Johnによる個人プロジェクトで、2015年作の続編となる3作目。
やわらかなシンセアレンジに叙情的なギター、マイルドなヴォーカルを乗せた優美なサウンドで、
きらびやかなシンフォニック性と、ファンタジックなストーリー性が合わさった聴き心地。
ゲストによる女性ヴォーカルも加わって、しっとりとした繊細な叙情美に包まれながら、
コミカルなポップ性も含んだ流れのある作風で楽しめる。楽曲自体にスリリングな部分は少ないので、
プログレ的な展開力という点では物足りなさもあるが、ミュージカルのように優雅に鑑賞できる好作品です。
ドラマティック度・・7 プログレ度・・7 優雅度・・9 総合・・8 過去作のレビューはこちら
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MAGENTA 「HOME 2019 Limited Edition」
イギリスのプログレバンド、マジェンタの2019年作
2001年にデビュー、いまや現在系の英国プログレを代表するバンド。本作は2006年の3作目を
新たにリミックスして手直しを加えたもので、やわらかなピアノに美しい女性ヴォーカルでしっとりと幕を開け、
メロウなギターも加えつつ、優雅な歌もの感をメインにしたアダルトなシンフォニックロックを構築する。
リミックスによりサウンドのダイナミズムが増したこことで、よりメリハリのついたドラマティックな味わいになり、
繊細なパートでも歌や楽器ごとの存在感が増した印象。倦怠を帯びた大人の叙情美を体現した全70分の逸品。
2枚組に拡大された2010年バージョンともまた違った出来なので、それぞれ聴き比べて楽しむのもよいだろう。
ドラマティック度・・8 プログレ度・・7 優雅度・・9 総合・・8
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MAGENTA 「Masters of Illusion」
イギリスのプログレバンド、マジェンタの2020年作
8作目となる本作は、1950〜60年代の怪奇/ホラー映画の名優たちを各楽曲ごとにテーマにした作品で、
ストリングスを含むオーケストラルなイントロから、メロディックなギターの旋律にシンセを重ね、
クリスティーナ・ブースのコケティッシュなヴォーカルを乗せて、優雅なシンフォニックロックを聴かせる。
いつもながら、きらびやかなシンセアレンジにキャッチーなメロディアス性のバランスも良く、
表現力を増したクリスティーナ歌声に、クリス・フライのギターワークも大人の叙情美をぐっと増している。
派手な展開や新鮮味は薄いものの、10分を超える大曲を構築する、優美で軽妙なセンスはすでに円熟の域。
アルバム後半には、ケルティックな旋律を乗せたIONAばりのパートもあり、ウェールズ出身の感性も覗かせる。
ドラマティック度・・8 プログレ度・・7 優雅度・・9 総合・・8 過去作のレビューはこちら
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KARNATAKA 「SECRETS OF ANGELS LIVE IN CONCERT」
ウェールズ出身のシンフォニックロック、カルナタカのライブ。2018年作
2016年ロンドンでのライブを2CDに収録。2015年作「天使の秘密」全曲に、過去作のナンバーも演奏。
美麗なシンセにほどよくハードなギター、そしてフェミニンな女性ヴォーカルの歌声を乗せた、
同作でのハードシンフォ路線から、しっとりとした叙情ナンバーまで、優美な耳心地で楽しめる
随所にメロウなギターの旋律もサウンドを彩っていて、紅一点、ヘイリー・グリフィス嬢のヴォーカルも
美しいソプラノからいくぶん力んだ歌唱まで、アルバム以上にエモーショナルに歌い上げる。ハイライトの20分のタイトル曲は、
ケルティックな旋律も盛り込みながら、伸びやかな歌声とギターとシンセを重ねて壮麗に盛り上げる。本ライブのDVD盤もあり。
ライブ演奏・・8 優美度・・9 女性Vo度・・8 総合・・8 過去作のレビューはこちら
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Heather Findlay 「The Phoenix Suite」
イギリスの女性シンガー、ヘザー・フィンドレイの2011年作
Mostly Autumnのシンガーとして知られる彼女の、バンド脱退後の5曲入りミニアルバムで、
ギターに(元Mostly Autum、PARADE)のクリス・ジョンソン、Roger Waters BANDのデイブ・キルミンスターが参加、
オールドなロック風味に女性ヴォーカルを乗せたストレートなナンバーから、しっとりとした味わいのウェットな叙情で、
Mostly Autumnにも通じる優雅で牧歌的な部分も覗かせる。シンセが入らないのでシンフォニックな要素はないのだが、
艶めいた彼女の歌声はやはり魅力的で、この後のソロ活動や、新たなバンドMantra VegaへとつながるEPとも言えるだろう。
ドラマティック度・・7 プログレ度・・6 女性Vo度・・7 総合・・7
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Porcupine Tree 「Coma Divine」
イギリスのモダンプログレ、ポーキュパイン・トゥリーのライブ作。2005年作
1989年にデビュー、いまやモダンプログレの代表格となったバンドの、1997年イタリアでのステージを2CDに収録。
1994年作「The Sky Moves Sideways」、1997年作「Signify」からのナンバーを中心にしたセットで、
ハード寄りのギターにシンセを重ね、変則リズム入りのテクニカル性をまぶした、ProgMetal風味から、
スティーブン・ウィルソンの歌声とともに、薄暗い叙情に包まれた現代プログレの味わいが同居している。
Disc2後半、13分という大曲は聴きごたえがあり、バンドの今後のイメージに重なるような構築力と、
スケールの大きな世界観で楽しめる。バンド初期の姿を映し出すライブとして、意義のある内容である。
ライブ演奏・・8 プログレ度・・7 わりとハー度・・8 総合・・7.5 過去作のレビューはこちら
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Twelfth Night 「Fact and Fiction」
イギリスのシンフォニックロック、トゥウェルフス・ナイトの1982年作
1980年にデビュー、IQPALLASPENDRAGONと並ぶ、ポンプロック黎明期のバンドで、本作は3作目。
きらびやかなシンセに適度にハードなギター、クセのあるシアトリカルなヴォーカルを乗せて、
いかにもGENESISルーツの優雅なポンプロックを聴かせる。10分を超える大曲では、緩急ある展開に、
メロウなギターに美麗なシンセワークで、初期MARILLIONなどにも通じるドラマティックな味わいが楽しめる。
CD再発盤にはボーナスにシングルや未発曲を7曲追加収録。わりとポップなナンバーもいかにも80年代らしい。
ドラマティック度・・8 プログレ度・・7 ポンプロック度・・8 総合・・7.5
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10/2
イタリア&フランスのプログレ(341)


Syndone 「Mysoginia」
イタリアのプログレバンド、シンドーネの2018年作
1992年にデビュー、CalliopeIl Castello di Atlanteとともにイタリアン・ネオプログレの旗手して登場し、
現在では、イタリアを代表するプログレバンドのひとつとなった。7作目の本作は、やわらかなピアノの旋律から、
壮麗なオーケストラやヴィヴラフォンの優雅な音色に、オルガンやエレピなどが重なって、軽妙なリズムチェンジとともに、
優雅なアンサンブルを構築する。イタリア語によるエモーショナルなヴォーカルで聴かせる、アダルトな雰囲気から、
プログレらしいムーグシンセとオルガンを弾き鳴らし、オーボエやクラリネット、ストリングスなど、オーケストラルなアレンジが
さりげなく現れる、細やかなアレンジ力もさすが。ゲスト参加、NEW TROLLSのヴィットリオ・デ・スカルッツィによるフルートや、
ARTIのジジ・ヴェネゴーニの流麗なギター、女性ヴォーカルを乗せた艶めいたナンバーなども魅力的だ。全44分ながら、
感動的なラスト曲まで、クラシカルな美意識と、オールドなプログレらしさが自然体で融合する、まさに円熟の完成度である。
クラシカル度・・9 プログレ度・・8 優雅度・・9 総合・・8.5 過去作のレビューはこちら
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A Lifelong Journey
イタリアのプログレバンド、ライフロング・ジャーニーの2019年作
2人のマルチミュージシャンによるユニットで、きらびやかなシンセにメロウなギター
マイルドなヴォーカルを乗せて、軽やかなアンサンブルで聴かせる優雅でスタイリッシュなサウンド。
歌詞は英語なので、BIG BIG TRAINなど英米のバンドに通じる感触でキャッチーなメロディアス性と知的な構築力で、
流れのある優美なシンフォプログレを展開する。オルガンやメロトロンを含むシンセにはヴィンテージな味わいもあるが、
MOON SAFARIのような繊細なメロディアス性に包まれていて、軽やかに展開しつつもうるさすぎないところが素晴らしい。
派手な大曲こそないものの、濃密すぎない優雅さに包まれたサウンドが楽しめる高品質な作品です。
メロディック度・・8 プログレ度・・8 優雅度・・9 総合・・8
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Sezione Frenante 「Nuove Dimensioni」
イタリアのプログレバンド、セツィオーネ・フレナンテの2019年作
5年ぶりとなる2作目で、ムーグを含むきらびやかなシンセにメロウなギターを重ねた、
キャッチーで軽快なノリのナンバーから始まりつつ、オルガンが鳴り響き、イタリア語によるヴォーカルを乗せた
ヴィンテージな感触のイタリアンプログレを展開。ゲストによるフルートやチェロを加えた優美な叙情性とともに、
いくぶん枯れた味わいの、大人の哀愁を含んだ世界観で、10分を超える大曲もじっくりと聴かせる。
ややオヤジ臭い歌声は好みを分けるところだが、濃密に歌い上げるところなどは、いかにもイタリアらしく、
いくぶん野暮ったい演奏も含めてわりと味になっている。オヤジ系イタリアンシンフォの好作品です。
ドラマティック度・・7 プログレ度・・7 イタリア度・・9 総合・・7.5 過去作のレビューはこちら
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Astrolabio 「I Paralumi Della Ragione」
イタリアプログレバンド、アストロラビオの2017年作
前作はクリムゾン風味の力作であったが、2作目となる本作はアコースティックなイントロ曲で幕を開け、
ほどよくハードなギターにヴィンテージなシンセを重ね、ややクセのあるイタリア語のヴォーカルとともに、
オールドスタイルのイタリアンプログレを聴かせる。随所にやわらかなフルートの音色も加わって、
繊細なピアノの旋律など優雅な叙情性と、ときに軽妙かつ偏屈な展開力も覗かせつつ、
情感を込めたシアトリカルな歌声とともに、イタリアらしい濃密なドラマ性も感じさせる。
アレンジは前作よりやや粗めの印象だが、ほどよい紆余曲折感でつかみどころのない魅力がある。
ドラマティック度・・8 プログレ度・・8 イタリア度・・9 総合・・8 過去作のレビューはこちら
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Dante Roberto 「The Circle」
イタリアのシンセ奏者、ダンテ・ロベルトの2017年作
クラシカルなピアノのイントロから、ネオクラシカルなギターを加えて、きらびやかなサウンドを聴かせる。
優美なシンセにアコースティックを重ねたパートから、疾走する様式美メタル風味も覗かせつつ、
アラン・ホールズワース風のギターを乗せたジャズロック風のナンバーなど、幅広い作風で楽しめる。
10分を超える大曲では、オルガンを弾きならし、流麗なギターをまじえて優雅なインストサウンドを構築。
シンセのみならず優れたテクニックのギタリストのプレイも聴きどころで、メロディックな心地よさに包まれた好作品。
ドラマティック度・・7 プログレ度・・7 優雅度・・8 総合・・8
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Gnu Quartet 「Alfonso Vidales En La Perspectiva De」
イタリアの管弦楽カルテット、グヌ・カルテットの2015年
メキシコのCASTにも参加するヴァイオリン奏者Roberto Izzoを中心にした、ヴィオラ、チェロ、フルートによる4人編成で、
CASTのシンセ奏者、アルフォンソ・ヴィダルズの1990〜98年のソロ作品の楽曲を管弦楽カルテットで演奏。
艶やかなストリングスにの重なりにフルートの音色が絡む、クラシカルな優美さに包まれたサウンドで、
ロック色は皆無であるが、チェンバー系というよりはあくまで優雅な叙情美に包まれた聴き心地。
女性奏者の奏でるフルートの典雅な音色にウットリとなりつつ、ヴァイオリン、チェロの響きもゆったりと味わえる逸品です。
クラシカル度・・8 ロック度・・1 優雅度・・9 総合・・7.5

Goblin 「Tembre」
ダリオ・アルジェント監督作品「シャドー」のサントラで、バンド名の使用権をめぐる問題により、
Simonetti Pignatelli Moranteの名義で発表された作品。1982年作
ビート感のあるリズムに、デジタルな感触を含んだシンセを重ねた、80年代的なサウンドであるが、
シモネッティのシンセのメロディには耽美な味わいがあって、しっかりとゴブリンらしさも感じられる。
随所にギターも加わって、ほどよくキャッチーな聴きやすさで、わりと初心者にも楽しめるだろう。
後半にはフィルムバージョンを収録。いかにもサントラらしい短いものもあるが、映画の世界観をイメージしながら鑑賞できる。
ドラマティック度・・7 プログレ度・・7 シンセ度・・8 総合・・7.5 過去作のレビューはこちら
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Stefano Testa 「Una Vita Una Balena Bianca E Altre Cose」
イタリアのカンタウトーレ、ステファノ・テスタの1977年作
アコースティックギターのつまびきにやわらかなフルート、イタリア語によるジェントルな歌声で聴かせる、
素朴な味わいのサウンドで、ドラムにシンセも加わった、シンフォニックロック寄りのテイストもある。
1曲目の16分の大曲は緩急ある構成で、ストリングスも加えた叙情性とともに、プログレとしても十分に出来が良い。
クラシカルなピアノをバックに、表現力あるやわらかな歌声で聴かせる小曲なども魅力的で、
ストリングスを使った劇的なアレンジはさすがイタリアらしい。おそらく70年代では彼の唯一の作品。
ドラマティック度・・8 プログレ度・・7 叙情度・・8 総合・・7.5
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Odessa 「The Final Day」
イタリアのプログレバンド、オデッサの2009年作
1999年にデビュー、本作は10年ぶりの2作目で、ほどよくハードなギターにオルガンを含むシンセを乗せ、
英語による伸びやかなヴォーカルで聴かせる、キャッチーなサウンド。オールドスタイルのロック感触に、
軽妙でテクニカルなアンサンブルには、スタイリッシュな感触も覗かせる。楽曲は4〜5分前後で、
比較的シンプルな味わいながら、あまりプログレプログレしすぎないセンスの良さを感じさせる。
軽やかなピアノを乗せた優雅なインストナンバーから、ゆったりとした歌ものバラードなども魅力的だ。
ドラマティック度・・7 プログレ度・・7 イタリア度・・7 総合・・7.5
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ANGE 「HEUREUX!」
フランスのプログレバンド、アンジュの2018年作
フレンチプログレ、テアトリカルロックを代表する大御所。前作が「エミール・ジャコティのお伽噺」のリメイクだったので、
オリジナルとしては2012年作以来となる。クリスチャン・デカンの味わいのあるフランス語の歌声に、
息子であるトリスタンのきらびやかなシンセワークで、厚みのあるシンフォニックロックサウンドを構築。
アコースティックギターにメロトロンが重なる優美な叙情や、オルガンなどのヴィンテージ感もよい感じで、
随所に泣きのギターの旋律も織り込んで、優雅でドラマティックな世界観を描くのは唯一無二である。
トリスタンのシンセ奏者としての成熟と、クリスチャン御大の絶対的な存在感が、より強固に結びついていて、
濃密な説得力となって聴き手を包み込む。17分の感動的な大曲も含めて、アンジュらしさ全開の壮麗傑作です。
ドラマティック度・・9 プログレ度・・8 優雅度・・9 総合・・8.5 過去作のレビューはこちら
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Magnesis 「Pres En Bulles」
フランスのプログレバンド、マグネシスの2017年作
1992年にデビュー、ANGEのフォロワー的な存在ながら地道に活動を続け、本作はすでに9作目。
21分、27分という大曲2曲の構成で、美麗なシンセワークに叙情的なギターフレーズを重ね、
フレンチらしい優美な幻想性に包まれた、オールインストのシンフォプログレを構築する。
後半の大曲はシンセによる長々としたイントロから、普通のロックアンサンブルが続き、
12分過ぎからようやくシンフォプログレらしくなる。ドラマティックな盛り上がりはさほどなく、
なかなか展開しないという長尺感はあるのだが、気が長いシンフォ好きの方はいかが。
ドラマティック度・・7 プログレ度・・7 優雅度・・8 総合・・7.5 過去作のレビューはこちら
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MAGNESIS 「Alice au pays des delires」
フランスのプログレバンド、マグネシスの2018年作
本作は「不思議の国のアリス」をモチーフにしたCD2枚組の大作で、メロウなギターのイントロ曲から、
フランス語のヴォーカルに適度にハードなギターとオルガンの音色で、ダークなプログレサウンドを展開。
叙情的なギターとシンセが重なる優美な小曲も挟みつつ、シアトリカルなヴォーカルの歌声とともに、
ときにハードにときにメンラコリックな味わいで、ドラマティックに構築してゆく。全体的に盛り上がりそうで
盛り上がり切らないところは、マイナー臭さを残したテアトリカルロックという、フランスらしい作風ではある。
Disc2には全42分という大曲を収録。このくぐもったような幻想性はPULSARなどにも通じるだろう。
ドラマティック度・・8 プログレ度・・7 幻想度・・8 総合・・7.5
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Mediavolo 「A Secret Sound」
フランスのメランコリックロック、メディアヴォロの2006年作
うっすらとしたシンセにアコースティックを含むギター、キュートな女性ヴォーカルの歌声を乗せ、
All About Eveなどにも通じる、翳りを帯びた叙情に包まれたキャッチーなメロウロックを聴かせる。
物悲しくはかなげな空気感は、Paatosあたりを思わせる部分もあるが、こちらはもう少しポップで、
コケティッシュなイメージ。楽曲は3〜4分前後でわりとシンプルであるが、ときにエレクトロなアレンジも覗かせつつ、
全体的にふわりとした浮遊感が耳心地よく、うるさすぎないバックが女性声の魅力を引き立てている。
メロディック度・・8 コケティッシュ度・・8 女性Vo度・・8 総合・・8
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Unisphere 「Le Voyage De L'enfant Lune」
カナダ、ケベックのプログレバンド、ユニスフィアの2005年作
うっすらとしたシンセに叙情的なギター、フランス語によるヴォーカルを乗せた
優雅な味わいのシンフォニックロック。随所にヴァイオリンやピアノのクラシカルな響きも加え、
美しいシンセやメロウなギターとともにに、派手さはないがゆったりとした叙情性に包まれる。
フランス語の歌声は、ときにANGEなどにも通じるヨーロピアンな雰囲気も感じさせ、
10分を超える大曲をメインにじっくりと構築する優美なセンスも光っている。ケベック叙情シンフォの好作だ。
ドラマティック度・・8 プログレ度・・7 優雅度・・9 総合・・7.5

SONIC PULSAR 「OUT OF PLACE」
ポルトガルのプログレバンド、ソニック・パルサーの2005年作
適度にハードなギターときらびやかなシンセワーク、マイルドなヴォーカルを乗せて、
ARENA以降のスタイリッシュな味わいのハード・シンフォニックロックを聴かせる。
アルバム後半は、44分におよぶ長大な組曲になっていて、ProgMetal的でもある構築力と、
コンセプト的なドラマ性を感じさせるスケール感に包まれて、叙情的なギターの旋律や
優美なシンセアレンジとともに、じっくりと壮大なシンフォニックロックを描いてゆく。
抜けの良いメロディが希薄なので、長尺に思えるパートもあるが、全69分という力作ではある。
ドラマティック度・・8 プログレ度・・7 壮大度・・8 総合・・7.5
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9/18
アメリカのプログレ、ジャズにサイケも(326)


District 97 「Screens」
アメリカのハードプログレバンド、ディストリクト97の2019年作
2010年にデビューし、本作は4作目となる。テクニカルなドラムにメタリックなギターを乗せ、
優美なシンセと伸びやかな女性ヴォーカルで聴かせる、スタイリッシュなハードプログレサウンド。
いわばProgMetal的なスリリングなハードさに、カンタベリー風の優雅さが同居したような感触で、
メランコリックな翳りに、キャッチーなシンフォニック性も含んだ、ボーダーレスなバランス感覚が見事。
紅一点、レスリー・ハント嬢の歌唱の表現力もぐっと上がっていて、軽妙なテクニカル性のナンバーから、
しっとりとしたパートまで、ときにパワフルにときに優しく歌い上げる。起伏に富んだラストの10分の大曲まで、
ハードさの中にもしっかりとプログレ感触を残した構築性と、素晴らしい女性声で楽しめる、巧みな傑作である。
ドラマティック度・・8 プログレ度・・8 スタイリッシュ度・・9 総合・・8 過去作のレビューはこちら
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FERNANDO PERDOMO 「Out To Sea 2」
アメリカのミュージシャン、フェルナンド・ペルドモの2019年作
本作は、2〜4分前後の小曲を主体にしたギターインストアルバムの第二弾。
アンディ・ラティマーばりのメロウなギターフレーズに美しいシンセを重ねて、
CAMELやセバスチャン・ハーディのような優雅なインストサウンドを聴かせる。
プログレ的な展開力はさほどないが、耳心地の良い叙情的なギターの旋律とともに、
メロディックにゆったりと楽しめる。実に優美なインスト作品ですな。第三弾にも期待。
メロディック度・・8 プログレ度・・7 優美度・・9 総合・・8
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FERNANDO PERDOMO 「ZEBRA CROSSING」
アメリカのミュージシャン、フェルナンド・ペルドモの2018年作
DREAMING IN STEREOのギタリストで、Dave Kerznerなどの作品にも参加したミュージャン。
美しいシンセアレンジに、アコースティックを含むギターと、自身のジェントルなヴォーカルを乗せた、
キャッチーな歌ものサウンドを聴かせる。やわらかなオルガンに、艶やかなヴァイオリンが重なる
クラシカルな優美さと、The Beatlesなど英国ロックルーツのポップな感触が合わさった、どこかなつかしい味わいで、
そのビートルズのカヴァーもハマっています。Dave Kerznerや、IONA、CELESTIAL FIREのDave Bainbridgなどがゲスト参加。
メロディック度・・8 プログレ度・・7 優美度・・9 総合・・8
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CENTRIC JONES 「The Antikythera Method」
アメリカのプログレバンド、セントリック・ジョーンズの2011年作
アコースティックを含むギターにうっすらとしたシンセを重ね、女性ヴォーカルを乗せてスペイシーなサウンドを描く。
軽妙なアンサンブルに、メロウなギターと優美なシンセで聴かせるシンフォニックロックとしての感触と、
美しい女性声による幻想的な雰囲気が同居して、いわばシンフォプログレ寄りのサイケロック的な味わいも。
一方では、ハード寄りのギターにオルガンを重ねたヴィンテージな味わいと、適度にテクニカルなリズムで、
プログレらしさもしっかりあって、優雅なジャズ感触も覗かせたりと、ほどよくスリリングな聴き心地も楽しめる。
サイケな浮遊感とたゆたうような女性ヴォーカル、シンフォニックなシンセで構築される、耳心地の良い好作品です。
ドラマティック度・・7 プログレ度・・8 優雅度・・8 総合・・7.5
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HALF PAST FOUR 「Rabbit in the Vestibule」
アメリカのプログレバンド、ハーフ・パスト・フォーの2008年作
変則リズムを含む軽妙なアンサンブルに、キュートな女性ヴォーカルを乗せた、テクニカルなプログレサウンド。
オルガンやエレピを含むシンセに流麗なギターフレーズで、カンタベリー系ジャズロックを思わせる優雅な味わいに、
表現力ある女性ヴォーカルに男性声も絡んで、コケティッシュな遊び心とアヴァンギャルドな展開力もなかなか楽しい。
MAGENTAのようなキャッチーなシンフォ系ナンバーもありつつ、とぼけたようなジャズ風のナンバーなども、
BENT KNEEあたりにも通じるセンスの良さで、美しい女性声によるキュートなアヴァンプログレが楽しめる逸品だ。
優雅度・・9 プログレ度・・8 女性Vo度・・8 総合・・8 過去作のレビューはこちら
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Oz Knozz「10,000 Days & Nights」
アメリカのプログレハード、オズ・クノッズの2008年作
1975年に1作残して消えたバンドの、33年ぶりとなる2作目。ほどよくハードなギターにシンセを重ね、
ジェントルなヴォーカルで聴かせる、JOURNEYなどにも通じる80年代ルーツのキャッチーなサウンド。
いわゆる産業ロックのリバイバルのような聴き心地で、楽曲自体にこれという新鮮味はないのだが、
きらびやかなシンセアレンジや随所にメロディックなギターフレーズなどは、なかなかツボをついている。
次作「True Believer」はさらに王道のプログレハードに回帰した傑作となるので、チェックすべし。
メロディック度・・8 プログレ度・・6 80年代風度・・8 総合・・7.5
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Steve Walsh「Shadowman」
アメリカのミュージシャン、スティーヴ・ウォルシュの2005年作
KANSASのフロントマンとして知られる彼の、ソロとしては3作目。のっけからヘヴィなギターで幕を開けつつ、
モダンなシンセアレンジとともに、独特の味わいのヴォーカルを乗せた、オルタナ風の翳りを含んだサウンドを描く。
キャッチーなロック感触に、オーケストラルなアレンジや、ほどよいヘヴィネスも加えたボーダーレスの聴き心地ながら、
結果としてアメリカンロックをルーツにしたメジャー感が現れてくるのは、ウォルシュ自身のルーツというべきなのだろう。
ゲストのマイケル・ロメオ(Symphony X)によるギターや、デヴィッド・ラグスデールのヴァイオリンなどもアクセントになっていて、
10分近い大曲では、緩急ある展開力とともに、KANSASとはまた違う、プログレメタル的な味わいも楽しめる。
ドラマティック度・・7 プログレ度・・6 わりとハー度・・8 総合・・7.5
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Sigmund Snopek III 「First Band on the Moon」
アメリカのプログレアーティスト、シグムンド・スノペック三世の1980年作
1972年にデビュー、本作は5作目で、SNOPEK名義でのバンド編成となったアルバム。
適度にハードなギターにオルガンを含むシンセを重ね、ややシアトリカルなヴォーカルを乗せた、
キャッチーなプログレハード風のサウンド。とぼけた味わいのわりとユルめのポップ感とともに、
プログレというよりはヘンテコなAORというような聴き心地で、のんびりと楽しむのがよいかと。
どことなく、DAVID BOWIEQUEEN風のストレンジなポップロックナンバーもなかなか面白い。
次作「Roy Rogers Meets Albert Einstein」は最高傑作というべき出来なので、まずそちらをチェック。
ドラマティック度・・7 プログレ度・・7 わりとポップ度・・8 総合・・7.5 過去作のレビューはこちら
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Starcastle 「Citadel」
アメリカのプログレハード、スターキャッスルの1977年作
1976年にデビューし、本作で3作目。きらびやかなシンセにキャッチーなヴォーカルハーモニーで、
YESルーツのプログレハードを聴かせる。いくぶんマイナー臭かった1作目から比べると、
産業ロック路線のスタイリッシュなポップ感に包まれていて、それでいてプログレらしさは残しているという、
わりと絶妙のサウンドに。オルガンを含むシンセに、メロディアスなギタープレイも含めて演奏力もしっかりとしていて、
単なるイエスフォロワーという以上に楽しめる。シンフォニックロック的な優雅さをキャッチーに昇華させたスタイルで、
ジャケの美しさも含めて、再評価すべき好作品です。リマスター盤では音質もぐっと向上している。
メロディック度・・8 プログレ度・・7 キャッチー度・・9 総合・・8 過去作のレビューはこちら
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HERMANN SZOBEL 「SZOBEL」
アメリカで活動したオーストリア出身のピアニスト、ヘルマン・ゾーベルの1976年作
これが唯一の作品で、優美なピアノの旋律にサックスやヴィブラフォンの音色が重なり、
手数の多いドラムとベースが加わって、軽妙なテクニカル性を含んだジャズロックを展開する。
ほどよくアヴァンギャルドで優雅なひねくれ方は、ザッパ風のセンスで、かなりプログレ寄りの作風だろう。
12分という大曲では、フリーキーなサックスが鳴り響き、緊張感ある静かなアンサンブルの中に、
スリリングにピアノが切り込んで、ヴィブラフォンの響きとともに、チェンバーロック風味の味わいもある。
軽やかなドラムやサックス奏者の実力も見事。当時17歳というヘルマン少年の才能が詰まった一枚です。
ジャズ度・・8 プログレ度・・8 優雅度・・9 総合・・8
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Henry Kaiser & Wadada Leo Smith 「Yo Miles! Sky Garden」
アメリカのギタリスト、ヘンリー・カイザーと、トランペッター、ワダダ・レオ・スミスによるユニット。2004年作
フリージャズ系のアーティストながら、「CUNEIFORM」からの配給ということで、プログレ寄りなのかもと購入。
SACDの2枚組という豪勢なフォーマットで、サウンドの方は、フリーキーなトランペットにギターが絡む、
モダンなジャズセッション風の聴き心地。マイルス・デイヴィスへのオマージュ的なナンバーを主体に、
キーボードを含む編成での、いわゆるエレクトリック・ジャスのアプローチで、軽やかなドラムにサックスも鳴り響く、
テクニカルな部分はジャズロック的に楽しめる。Disc1、78分、Disc2、75分という大作で、
フリージャズが苦手な方には長尺かもしれないが、SACDによる臨場感ある音質は良いですね。
プログレ度・・6 ロック度・・5 ジャズ度・・9 総合・・7.5
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THINKING PLAGUE 「IN EXTREMIS」
アメリカのチェンバーロック、シンキング・プレイグの1998年作
1984年にデビュー、9年ぶりとなる4作目。Henry CowArt Bearsを受け継ぐ、アメリカきってのレコメン系バンド。
クラリネットやフルートの優雅な音色にギターとシンセが重なり、女性ヴォーカルの歌声を変則リズムに乗せた、
エキセントリックな浮遊感に包まれたサウンド。スリリングなアンサンブルの上をジャズやクラシカルな優雅さが交差し、
ドラムとベースの生み出すグルーヴィなリズムがロックサイドの攻撃性を生み出していて、ピアノやヴァイオリン、サックス
ときにメロトロンも使い、クリムゾンのような感触も加わった、まさにプログレ・チェンバーロックの理想形という聴き心地。
アヴァンギャルドな部分でもさほど難解にならず、7人編成という厚みのあるサウンドが、サウンドの迫力を生み出している。
チェンバー度・・8 プログレ度・・8 優雅度・・8 総合・・8 過去作のレビューはこちら
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Volare 「Uncertainty Principle」
アメリカのプログレ・ジャズロック、ヴォラーレの1997年作
わりとロック寄りのギターにエレピを含むシンセが絡み、優雅なアンサンブルで聴かせる
Hatfield and the Northを思わせる、いかにもカンタベリー風味のジャズロック。
メロトロンやミニムーグを使ったシンセワークはいかにもアメリカのプログレ愛好家らしい感じで、
ほどよく叙情的なフレーズをこなすギターなどは、むしろジャズ色をさほど感じないのが面白い。
楽曲もいきなりクリムゾン風になったりと節操がなく、テクニカルなプログレとしても濃密に楽しめる。
本作は、イエスやクリムゾンが好きな連中が、カンタベリー系のジャズロックをプログレ的に再現しようという
確信犯的な試みであったのかもしれない。バンドは本作の後、1999年に未発音源集「Memoirs...」を発表している。
ドラマティック度・・7 プログレ度・・8 カンタベ度・・8 総合・・8
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Yahowha 13 「GOD AND HAIR」
アメリカのカルト教団、ヤホワ13のボックスセット。2005年作
ファーザー・ヨッドを中心にした、スピリチュアルなサイケ音楽を、CD13枚に収録した木箱入りの豪華仕様。
Disc1〜4までは、ファーザー・ヨッド&スピリット・オヴ'76の名義で、1973〜74年までの音源を収録。
詠唱めいたファーザーの歌声に、ユルめのギターとオルガン、女性コーラスも加わり、いかもアングラなサイケを展開。
Disc4だけは、男女ヴォーカルの牧歌的なフォーク風作品で、伸びやかな女性声メインのナンバーなども楽しめる。
Disc5〜9は、ヤホワ13としての1974〜75年の音源を収録。バンド編成でのサイケロック色を強めた作風で、
代表作はやはり、Disc7「宇宙貫通:宝瓶宮時代のシンフォニー」、Disc8「貴方を連れていきたい」あたりだろう。
Disc10には、1977年の全60分のサイケロック大作を、Disc11は、年代不明のユル系サイケ「宇宙船ヨッド・シップ号」を収録。
Disc12は信者でミュージシャンのスカイ・サンライト・サクソンによる音源集で、わりと普通のロック。Disc13は、1977年の未発音源を収録。
まさにカルトな音楽教団による怪しすぎるCDボックス。まともな人は決して手を出さぬブツだろうが、スピリチュアルなアナタはどうぞ。
スピリチュアル度・・9 カルト度・・9 サイケ度・・8 総合・・8 過去作のレビューはこちら
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Yahowha 13 「Magnificence in the Memory」
アメリカのカルト教団、ヤホワ13の2009年作
宗教活動のみならず音楽活動にも熱心であった教団で、本作はボックス未収録の1973〜74年の未発音源集。
ヨレ気味のギターと囁くような歌声をドラムに乗せて、妖しすぎる密教的なサイケロックを繰り広げる。
打ちならされるベースドラムに、ときに狂ったような雄たけびを上げるファーザー・ヨッドの歌声や、
ギターをバックにリズミカルに「南無妙法蓮華経」の念仏を唱えたり、ファーザーの口笛ナンバーなど、
斬新な(?)宗教サイケが広がってゆく。音質はややこもり気味であるが、よく聴くとバックの演奏には、
けっこうロック的な素養を覗かせており、スピリチュアルなカルト色と自然に融合されているのが凄い。
スピリチュアル度・・8 ロック度・・6 サイケ度・・8 総合・・7
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ARCHITECTURAL METAPHOR 「CREATURE OF THE VELVET VOID」
アメリカのサイケロック、アーキテクチュアル・メタファーの1997年作
1994年にデビューし、2作目。フリーキーなギターにオルガンやムーグなどのシンセを重ね、
女性ヴォーカルの歌声とともに、妖しい浮遊感に包まれたサイケロックを聴かせる。
かつてのAmon Duulなどにも通じる混沌としたサウンドであるが、ドラッギーというよりは
スペイシーなユルさが前に出ていて、長めの大曲でもさほど展開はない淡々とした感触。
アナログ感たっぷりのドラムも含めて、即興的な演奏で、70年代スタイルの、正統派(?)サイケが楽しめる好作品。
ドラマティック度・・7 プログレ度・・7 サイケ度・・9 総合・・7.5
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HOLY RIVER FAMILY BAND 「EARTHQUAKE COUNTRY」
スウェーデンのサイケロック、ホーリー・リヴァー・ファミリー・バンドの2001年作
1996年にデビュー、本作は3作目。アコースティックギターにうっすらとしたシンセを重ね、
ジェントルなヴォーカルを乗せて、涼やかな土着性を含んだ北欧サイケロックを聴かせる。
ときに北欧フォークを思わせる素朴な味わいとともに、のちのDUNGENにもつながる、
繊細な叙情とロハスなユルさが同居していて、ゆったりとまどろむように鑑賞できる。
女性声を加えた妖しいアシッドフォーク風のナンバーから、パーカッションが鳴り響き、
東洋的なギターの旋律を乗せた、いかにもサイケらしい神秘的な大曲まで、全76分の力作です。
サイケ度・・7 プログレ度・・6 牧歌的度・・8 総合・・8 過去作のレビューはこちら
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THE ROOTS OF ECHO「NOTHING BETWEEN YOU AND THE SUN」
スウェーデンのサイケロック、ルーツ・オブ・エコーの1997年作
1993年にデビュー、本作は3作目。シンセを含む5人編成で、ジャケからしてサイケ以外の何物でもないが、
初期PINK FLOYDをルーツに、ユルめのギターにジェントルなヴォーカルを乗せたスペイシーなサウンド。
オルガンを含むシンセに、ときにアコーステックギターや、女性コーラスなども加えて、
適度なプログレ感とともに、涼やかな叙情を含んだ幻想的なサイケロックが楽しめる。
随所に聴かせるメロウな泣きのギターの旋律も、フロイド感があって良いですね。
サイケ度・・8 プログレ度・・6 ユル度・・8 総合・・7.5
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9/11
9月の北欧プログレ(308)


The Flower Kings 「Waiting For Miracles」
スウェーデンのプログレバンド、フラワー・キングスの2019年作
1995年にデビューし、本作は6年ぶりとなる13作目。長年シンセを務めてきたトマス・ホディーンが脱退し
ドラマーも交代して、バンドもリニューアル。やわらかなピアノとシンセに、ロイネ・ストルトのギターを重ね、
ハッセ・フレベリの味わいのあるヴォーカルを乗せて、ゆったりとした大人の叙情に包まれたサウンドを描く。
ロイネの豊饒なギターメロディにハッセの歌声があれば、そこはいつものフラキンの味わいになるので、
優美でキャッチーな安心の聴き心地。ストリングスアレンジを含んだシンフォニックなインストパートなど、
サントラのようなゆるやかなスケール感を含んだナンバーから優雅な歌ものまで、バランスのとれた作風で、
随所に名人ロイネの絶品のギターフレーズに聴き惚れる。2CDで合計84分。派手さはないが、大人の力作です。
ドラマティック度・・8 プログレ度・・7 優雅度・・9 総合・・8 過去作のレビューはこちら
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ISILDURS BANE & STEVE HOGARTH「COLOURS NOT FOUND IN NATURE」
スウェーデンのプログレバンド、イシルドゥルス・バーネとスティーブ・ホガースのコラボ作。2017年作
80年代から活動する北欧きっての知性派プログレバンドが、MARILLIONのシンガーを迎えてのアルバムを制作。
ホガースの表現豊かな歌声を、軽妙なアンサンブルに乗せたサウンドは、まさにイシルドゥルスとマリリオンの融合。
優雅なヴァイオリンにブラスサウンドも加わり、チェンバー系シンフォのスリリングな味わいと、繊細な歌もの感が同居して、
バンドとしての個性とヴォーカルの魅力も活かす、奇跡的な均衡をなしているのは、卓越した音楽センスというべきだろう。
ぱっと聴きにはキャッチーながら、各パートの緻密なアレンジに感心するという、玄人好みの味わいでも楽しめる。
クラシカルなピアノとストリングスをバックにホガースの歌声が響き渡る。歌ものチェンバー・シンフォというべき傑作だ。
ドラマティック度・・8 プログレ度・・8 優雅度・・9 総合・・8.5 過去作のレビューはこちら
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Windom End 「Perspective Views」
スウェーデンのプログレバンド、ウィンダム・エンドの2020年作
元MOON SAFARIのドラマー率いるバンドで、オルガンやメロトロンを含むやわらかなシンセに
メロディックなギター、ジェントルなヴォーカルを乗せた、優美でキャッチーなサウンドを聴かせる。
THE FLOWER KINGSあたりにも通じる構築性と、MOON SAFARIを彷彿とさせるコーラスハーモニー、
適度にテクニカルなインストパートも含みつつ、10分を超える大曲をじっくりと優雅に描いてゆく。
ほどよくハードな味わいとメロウな叙情が同居して、楽曲展開に新鮮味はさほどないものの、ラストの大曲では、
まさにムーン・サファリばりの優美なシンフォプログレが炸裂。日本盤ボーナスCDには、3曲入り、25分のEPを収録。
ドラマティック度・・8 プログレ度・・8 優雅度・・8 総合・・8
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Moron Police 「A Boat on the Sea」
ノルウェーのプログレバンド、モーロン・ポリスの2019年作
2012年にデビューし、3作目となる。初期はメタル寄りのスタイルだったようだが、本作はきらびやかなシンセに、
マイルドなヴォーカルを乗せた、MOON SAFARIのような優雅でキャッチーなサウンドで、
ほどよくテクニカルな構築性が加わった聴き心地。サックスやヴァイオリンなどを加えた軽妙な味わいや、
プログレハード的なポップ感、日本のゲームミュージックにも影響を受けたというファンタジックな雰囲気も覗かせる。
楽曲は3〜5分前後がメインで、わりとシンプルな爽快さで楽しめるが、とぼけたような唐突な展開や、
突然のメタル感触も現れたりと、いかにも若手らしいボーダーレスの詰め込み方にもニヤりとなる。
キャッチーなメロディアス性と適度にテクニカルなところは、A.C.T.あたりのファンにもアピールするだろう。
メロディック度・・8 プログレ度・・7 優雅度・・8 総合・・8
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Taskaha
ノルウェーのハードプログレ、タスカハの2020年作
適度にハードなギターにマイルドなヴォーカルを乗せ、翳りを帯びた叙情に包まれたスタイリッシュな作風。
エモーショナルな歌声にメロウなギターフレーズで聴かせる、モダンなプログレハードロックという雰囲気ながら、
シンセが入らないのでプログレ的な部分はやや薄め。安定したリズムやテクニックのあるギターなど、
ヴォーカルの表現力も含めて演奏力はあるので、メランコリックな叙情ロックとしてはなかなか高品質で、
ボーダーレスの味わいは、Riversideのように、ProgMetal的なイージで楽しんだ方がよいかもしれない。
ラストは13分の大曲で、起伏のある展開力に、センスのあるギタープレイと伸びやかなヴォーカルを重ねて、
ドラマティックに盛り上げる。個人的には、ぜひともシンセを入れて叙情性を強めていってもらいたい。
ドラマティック度・・7 プログレ度・・7 スタイリッシュ度・・8 総合・・7.5
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Montgolfiere 「The Fall」
スウェーデンのプログレバンド、モントゴルフィエーレの2017年作
ジャケからしてブラックメタルかなにかかと思いきや、実際は女性Vo入りのサイケなプログレロックであった。
アナログ感あるギターにうっすらとシンセが重なり、70年代ルーツのブルージーなアンサンブルを聴かせつつ、
2曲目からはけだるげな女性ヴォーカルが加わって、男女Voにオルガンやメロトロンの音色を重ねた、
北欧らしい涼やかなヴィンテージプログレの感触になる。派手な盛り上がりはなく、わりと淡々とした印象で、
11分の大曲も、エレピを含む優雅なやわらかさと、オールドロックの味わいが合わさった、のんびりとした聴き心地。
個人的には、女性声のパートを増やすか、さらにシンセの重ねなどを強化してもらいたい。
ドラマティック度・・7 プログレ度・・7 ヴィンテージ度・・8 総合・・7.5
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ANNOT RHUL 「LEVIATHAN」
ノルウェーのプログレバンド、アンノット・ルールの2014年作
のっけから14分におよぶ大曲で、ミステリアスなイントロから、メロトロンやオルガンを含むシンセに
メロウなギター、マイルドな男性ヴォーカルに女性ヴォーカルを加えた、幻想的なサウンドを聴かせる。
北欧らしい涼やかな叙情性とサイケ的でもある浮遊感が同居したサウンドは、ゆったりとした味わいながら、
ほどよい展開力とヴィンテージな空気感を含んでいて、同郷のD'accord あたりにも近い感触で楽しめる。
スペイシーなシンセとギターによるインストパートを中心に、随所に歌を乗せたユルめの叙情とともに、
まったりと鑑賞でき、ラストの12分の大曲では、女性コーラスやストリングスを加えた優美な叙情に浸りつつ、
うっすらとしたメロトロンにいくぶんハード寄りのギターが重なって、プログレらしいスリリングな展開も覗かせる。
ドラマティック度・・8 プログレ度・・7 ヴィンテージ度・・8 総合・・8
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Contemporary Dead Finnish Music Ensemble 「Dark Matters」
フィンランドのプログレユニット、コンテンポラリー・デッド・フィニッシュ・アンサンブルの2014年作
2004年にデビュー、本作は5年ぶりとなる3作目。ギター&シンセのアンティ・ぺソネンを中心に、
男女4人のVoにサックス、ウォーギターなどを含む編成で、ジェントルな男性声に艶めいた女性ヴォーカル、
適度にハードなギターに美麗なシンセを重ねた、ドラマティックなシンフォニックロックを聴かせる。
10分を超える大曲を主体に、女性声によるオペラティックな優雅さを含んだ起伏のある展開力に、
メロウな叙情を奏でるギターに、メロトロンなどを含む優美なシンセアレンジも随所に魅力的だ。
翳りを帯びた北欧らしいシンフォニックロックから、エキセントリックなジャズロック風の大曲も素敵です。
ドラマティック度・・8 プログレ度・・8 女性Vo度・・8 総合・・8
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GRAND STAND 「Tricks of Time」
スウェーデンのプログレバンド、グランド・スタンドの2002年作
1998年デビューで、本作は2作目。VA「Kalevala」に参加していたことで知ったバンドであるが、
これがなかなか出来がいい。のっけから11分の大曲で、叙情的な泣きのギターにシンセを重ね、
北欧らしい涼やかな空気に包まれたシンフォニックロックを聴かせる。ヴォーカルはいくぶん野暮ったいが、
素朴な味わいを残したオールドスタイルの北欧シンフォという点では、DICEKERRS PINKにも通じるだろう。
とりたてて派手なところはないが、美しいシンセワークとメロウなギターによる耳心地の良さは素晴らしく、
ラストの16分の大曲は、GENESISの「CINEMA SHOW」のような優美な展開力で楽しめる。
このジャケでなければ、北欧プログレの逸品として、もっと知られていて良い作品ですな。
ドラマティック度・・7 プログレ度・・7 北欧度・・9 総合・・8
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ANJA 「Leaving The Alley Of The Dead Trees」
スウェーデンの女性SSW、アンジャの2007年作
アコースティックギターのつまびきに、いくぶんハスキーな女性ヴォーカルを乗せ、
随所にドラムにシンセも加えた、涼やかな味わいのフォークロックを聴かせる。
パル・リンダーが参加していて、メロトロンやオルガンなどを使ったプログレ寄りの感触もあり、
翳りを帯びた北欧らしい叙情性も味わえる。ANJA嬢の歌声は、しっとりと落ち着いた感じで
華やかさはないが、素朴な土着性を感じさせる。楽曲は3〜4分前後とわりとシンプルで、
牧歌的なフォークと北欧風味が合わさった、ユルめのアシッド・フォークロックとしても楽しめる。
北欧度・・8 プログレ度・・7 女性Vo度・・7 総合・・7.5
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Erik Wollo 「Blue Radiance」
ノルウェーのミュージシャン、エリク・ウォーロの2015年作
1983年にデビュー、北欧ニューエイジ系を代表するアーティスト。本作もシーケンサーを含むシンセの重ねで、
Tangerine DreamKlaus Schulzeなどにも通じる、幻想的でスペイシーなサウンドを描き出す。
シンセを主体にしたアンビエントな作風なのでロック感触は薄いものの、ギターを加えたナンバーもあり、
うっすらとしたシンセや優美なピアノの音色とともに、涼やかで物悲しい叙情に包まれる。
単なるニューエイジよりは楽しめるが、もう少しダークな空気や、奥行きのある世界観が欲しい気も。
シンセ度・・8 ロック度・・1 幻想度・・8 総合・・7.5 過去作のレビューはこちら
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STEVE ROACH/ERIK WOLLO「Stream of Thought」
アメリカとノルウェーのミュージシャン、スティーブ・ローチとエリク・ウォーロのユニット。2009年作
シーケンサーを含むエレクトロでスペイシーなシンセに、繊細なギターのつまびきが重なり、
涼やかな叙情性に包まれた、静謐感のある空間的なインストサウンドを描いてゆく。
これという展開はなく、シンセの重ねによるサウンドスケープ的な音響が連なってゆく感じなので、
気の短い方には向かないが、Klaus Schulzeなどの世界観が好きなら、それなりに楽しめる。
シンセによる曲がメインなので、もう少し、エリク・ウォーロのギターを活かしたパートがあれば嬉しかった。
ドラマティック度・・6 プログレ度・・7 空間度・・8 総合・・7
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Decameron - Ten Days in 100 Novellas - Part II
フィンランドのプログレファンジン「COLOSSUS」による企画プロジェクト。ボッカチオの「デカメロン」をテーマにした2作目。2014年作
EnglandのRobert Webb、Willowglass、Karda Estra、イタリアからTHE ROME PRO(G)JECT、CAMELIAS GARDEN、NARROW PASS、
スペインのSENOGUL、オランダのTRION、北欧からTHE SAMRAI OF PROG、Rhy Marsh、D'ACCORD、オーストラリアのUNITOPIA、
カナダのTHE REBEL WHEEL、南米からは、NEXUS、Jinetes Negros、Jaime Rosasなどが参加したCD4枚組。
Disc1では、オルガンにフルート、メロウなギターにメロトロンが鳴り響く、ヴィンテージなシンフォプログレを聴かせるWILLOWGLASS
Disc2は、やわらかなピアノにフルート、ヴァイオリンも美しい優雅なArs Ephemera、コテコテシンフォのTHE ROME PRO(G)JECT
テクニカルプログレのKing of Agogikあたりも楽しめた。Disc3では、軽妙なセンスのSenogul、優美なCAMELIAS GARDEN
Narrow Pass、キャッチーなLa Bocca Della Verita、オルガンにイタリア語のジェントルな歌声で哀愁の叙情を描くFaveravola
Disc4では、20分を超えるドラマティックな大曲のUnitopia、優雅な屈折感のTHE REBEL WHEEL、ラストのRobert Webbは、
女性ヴォーカルが美しい。CD4枚、合計270分におよぶ、ロマン派プログレ祭りでお腹いっぱい、饗宴はさらにPart IIIへと続くのであった。
ドラマティック度・・8 プログレ度・・8 優美度・・9 総合・・8 オムニバスアルバム特集はこちら
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Kalevala - A Finnish Progressive Rock Epic
北欧フィンランドの民族叙事詩「カレワラ」をコンセプトに世界各国のバンドが集った、CD3枚組オムニバス。2003年作
ベテランのHAIKARAをはじめ、OVERHEAD、SIMON SAYS、SINKADUS、GROOVECTOR、VIIMAといった北欧勢に、
MOONGARDEN、IL CASTELLO DI ATLANTE、SUBMARINE SILENCE、MUSEO ROSENBACH、GREENWALL、
MALIBRAN、Leviathan、SOFIA BACCINIなどのイタリア勢、イギリスのMAGENTA、フランスのCLEARLIGHTも参加。
女性ヴォーカル入りの11分のスリリングな大曲のハイカラ、優雅なシンフォプログレを聴かせるOVERHEAD
ほとんどGENESISのようなSIMON SAYS、いかにも北欧プログレらしい翳りを帯びた叙情のSINKADUS
美しい女性声シンフォのマジェンタ、きらびやかな王道シンフォのSUBMARINE SILENCEなど、Disc1は充実の内容。
Disc2は、女性ヴォーカルとストリングスが優美なGreenWall、ミステリアスな叙情のMUSEO ROSENBACH
ドラマティックな大曲のLeviathan、妖しい女性声のSOFIA BACCINIなど、むしろイタリア的な雰囲気に包まれる。
Disc3では、アヴァンギャルドなQADESH、北欧らしいシンフォのGrand Stand、あたりも嬉しい発見だった。
CD3枚で合計230分以上。幻想的な叙情プログレがたっぷりと楽しめる、なかなか質の高いオムニバス作品だ。
ドラマティック度・・8 プログレ度・・8 叙情度・・9 総合・・8
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9/4
エニドでウェイクマンで英国プログレ(294)


The Enid 「U」
イギリスのシンフォニックロック、エニドの2020年作
一旦は引退を表明したロバード・ジョン・ゴドフリーが、ギターのジェイソン・ダッカーと組んで、新生エニドとして復活。
ゆったりとしたメロウなギターフレージングに、美麗なシンセを重ねた、オーケストラルな優雅さは本作も健在。
むしろ初期の頃に回帰したような、クラシカルなシンフォニーロックっぷりで、なにより色気のあるダッカーのギターは
その素晴らしさが際立っていて、ときにかつてのステフアン・スチュアートを凌駕するかというほどである。
前作「RESURGENCY」のモダンな進化の続きも見てみたかったが、原点回帰した今作こそ多くのファンが求めるものだろう。
美麗にして壮麗、ゴドフリーが追い求めた37年間のロマンの軌跡を描くような、これぞエニドというべき傑作である。
クラシカル度・・9 壮麗度・・9 エニ度・・10 総合・・8.5 過去作のレビューはこちら
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The Enid 「Live in Tokyo 2016」
イギリスのシンフォニックロック、エニドのライブ作品。2017年作
2016年の奇跡の東京公演の2日間を、4枚のSHM-CDに完全収録した、ファン必携の来日記念ボックス。
引退を表明していた、ロバート・ジョン・ゴドフリー最後のステージという触れ込みで、筆者も2日目に足を運んだ。
Disc1、2には、1976年作「In the Region of the Summer Stars(夏星の国)」を中心にした1日目のステージを収録。
美麗なシンセにクラシカルにピアノ、扇情的なギターの旋律が重なって、優雅で壮麗なシンフォニーロックが再現される。
ジェイソン・ダッカーのほどよくロックなギタープレイも見事で、「INVICTA」や「DUST」など近年のアルバムからのナンバーでは、
裏声を使い分けるジョー・ペインの表現豊かなヴォーカルも素晴らしい。そして御大による繊細なピアノの旋律にもうっとり。
Disc3、4には、1977年作「Aerie Faerie Nonsense」からの楽曲をメインに、色気のあるギタートーンとシンセの重ねに、
やわらかなフルートの音色、ここぞとティンパニが鳴り響く、典雅でクラシカルなダイナミズムに聴き入りつつ、
組曲「ファンド」の大盛り上がりでクライマックスを迎える。まさにエニドファンは必聴、感涙のライブ4枚組である。
クラシカル度・・9 壮麗度・・10 ライブ演奏・・9 総合・・9
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RICK WAKEMAN 「アーサー王と円卓の騎士たち 2016」
イギリスのシンセ奏者、リック・ウェイクマンの2020年作
ご存知、Yesのシンセ奏者。本作は1975年のソロ作を、2016年にリレコーディング、CD2枚組に拡張させた完全版。
壮麗なオーケストラとバンドサウンドが見事に融合した、ファンタジックな世界観はかつてのイメージのまま、
ウェイクマンの華麗なキーボードメロディが名作の香りを蘇らせる。アシュリー・ホルトのジェントルな歌声に、
「地底探検」再録版にも参加した女性シンガー、ハーレイ・サンダーソンの歌声も楽曲を華やかに彩り、
随所に混声合唱を加えた壮大なシンフォニックサウンドを描き出す。Disc1、41分、Disc2、42分という構成で
新たに書き下ろされた楽曲も流れの中に違和感なく溶け込んでいる。エッジが立ちすぎない音質もちょうどよい感じで、
オリジナル版と聴き比べるなどしても楽しめるだろう。ロジャー・ディーンによる新たなジャケも美しい。
シンフォニック度・・9 壮麗度・・9 名作度・・9 総合・・8.5 過去作のレビューはこちら
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GRYPHON「Reinvention」
イギリスの古楽プログレ、グリフォンの2018年作/邦題「再確立」
古楽とロックを優雅に融合させたスタイルで、1973〜77年までに5枚のアルバムを残したバンドが、
じつに40年ぶりに復活を遂げた。やわらかなリコーダーにクルムホルンの音色に、アコースティックギターと
マンドリンの典雅なつまびきを重ね、クラリネットやサックス、ヴァイオリン、バスーンなどが彩りを添える。
中世古楽とフォーク色をたっぷりと聴かせつつ、ドラムにシンセ、エレキギターも加えたロック感触も覗かせる。
ジェントルな歌声を乗せた牧歌的な味わいは、AMAZING BLONDELなどにも通じる雰囲気もあり、
全体的には、あくまで古楽の優美さをメインにした作風で、かつての1stと2ndの中間という感じだろうか。
もう少しプログレ色が強いと嬉しかったが、ともかく個性派バンドの意義深い復活作と言えるだろう。
古楽度・・8 プログレ度・・7 優雅度・・8 総合・・8 過去作のレビューはこちら
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CAPTAIN BEYOND 「LOST & FOUND 1972-1973」
イギリスのハードロック、キャプテン・ピヨンドの2017年作
ロッド・エヴァンス、ボビー・コールドウェル、ラリー・ライノ、リー・ドーマンというオリジナルメンバーによる
1972〜73年にかけての、スタジオで録音されたデモ音源。名作として名高い、1stアルバム収録曲を中心に
幻の未発曲も収録。ライノのギターの生々しさ、巧みなコールドウェルのドラム、そしてロッドの歌声と、
名手たちによる巧みな演奏が楽しめて、単なるデモ以上に完成度は高い。録音状態は曲によって
ややバラつきもあるが、おおむね良好で、現代のマスタリング技術の恩恵を感じさせる。
全29分という短さながら、バンドのファンにはたまらない貴重な発掘音源だろう。
演奏度・・8 音質・・7 貴重音源度・・9 総合・・7.5 過去作のレビューはこちら
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EDISON'S CHILDREN 「Disturbance Fields」
イギリスのプログレバンド、エジソンズ・チルドレン2019年作
MARILLIONのピート・トレワヴァス率いるバンドで、2011年にデビューし、本作は4作目となる。
アルバムトータルで組曲構成になっていて、アコースティックギターにマイルドなヴォーカルを乗せ
ゆったりとメロウに聴かせつつ、ときに美麗なシンセを加えたシンフォニックな感触も覗かせる。
随所に叙情的なギターワークも耳心地よく、大仰すぎない優雅な味わいで、流れのある構成とともに
じっくりと世界観を描いてゆく。派手な盛り上がりはないが、大人の叙情美に包まれた好作品。
ドラマティック度・・7 プログレ度・・7 大人の叙情度・・8 総合・・7.5 過去作のレビューはこちら
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Mark Rowen 「Raindance」
イギリスのミュージシャン、マーク・ローウェンの2018年作
BREATHING SPACEのギタリストで、美麗なシンセにほどよくハードギターを重ね、
ハスキーな女性ヴォーカルで聴かせる、キャッチーなプログレハード風味のサウンド。
随所にメロウな叙情を奏でるギターとともに、爽快なメロディアス性やポップな味わいもあって、
アコースティックギターをバックにしっとりとした女性声で聴かせるナンバーなども耳心地よい。
プログレ感はあまりないのだが、オルガンなどを含むシンセワークは良い感じで、10分を超える大曲では、
ゲストヴォーカルも加えて女性3人の歌声が美しく重なる。キャッチーな女性声メロディックロックの逸品です。
メロディック度・・8 プログレ度・・7 女性Vo度・・8 総合・・8
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THIS WINTER MACHINE 「THE MAN WHO NEVER WAS」
イギリスのプログレバンド、ディス・ウインター・マシンの2017年作
やわらかなシンセにマイルドなヴォーカル、叙情的なギターを重ねた、スタイリッシュなシンフォプログレ。
のっけから16分という大曲で、ゆるやかな展開力と英国らしいウェットな空気感に包まれて、じっくりと聴かせる。
適度にハードなギターも覗かせつつ、エモーショナルな歌声を乗せて、ジャケのイメージのような冬を感じさせる
繊細でメランコリックな叙情はポストプログレ風でもあるが、泣きのギターにシンセが重なるところは、
優美なシンフォニックロックとしても楽しめる。ラストの10分の大曲は、キャッチーなプログレらしさから、
薄暗い叙情性へと展開しつつ、メロウなギターのフレーズと美しいシンセでじわじわと盛り上げる。
ドラマティック度・・8 プログレ度・・7 叙情度・・8 総合・・8
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Phi Yaan Zek with Marco Minnemann 「Dance With the Anima」
イギリスのギタリスト、ファイ・ヤーン・ゼクとマルコ・ミンネマンのユニット。2010年作
ジョン・バリーとフランク・ザッパのコラボをイメージして作られたという作品で、シンセにラレ・ラーションが参加。
1〜3分前後の小曲を連ねた全22曲という構成で、ミンネマンの軽やかなドラムに奔放なギター、
ピアノを含むシンセを重ねた、優雅でテクニカル、アヴァンギャルドなジャズロックを聴かせる。
ジャジーかつ叙情的なフレーズもこなすギターのセンスも見事であるが、手数の多いドラムとともに
クラシカルで優美なシンセワークもすばらしく、軽妙でフリーキー、スリリングなインストが楽しめる。
ときにトランペットやハーモニカの音色も加わって、華やかな聴き心地にもなる。全50分の優雅な傑作。
ドラマティック度・・7 テクニカル度・・8 優雅度・・8 総合・・8
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O.R.K. 「Ramagehead」
イギリス、アメリカ、イタリア混成のポストプログレ、ORKの2019年作
PORCUPINE TREEのコリン・エドウィン、KING CRIMSONのパット・マステロット、OBAKEのVoらによるユニットで、
軽やかなドラムと存在感のあるベースに、適度にハードなギターとエモーショナルなヴォーカルを乗せた、
翳りを帯びたモダンな味わいのサウンドで、随所に美しいシンセやアコースティックギターによる叙情も含んだ
優雅な感触も覗かせる。楽曲は4〜5分前後で、わりとシンプルなため、これというインパクトは少ない。
曲によっては、クリムゾンやポーキュパイン的な雰囲気も多少はあるが、全体的にはプログレ感はさほどなく、
実力あるメンバーによるスタイリッシュな歌ものロックとして聴くのがよいだろう。
ドラマティック度・・6 プログレ度・・7 叙情度・・7 総合・・7.5
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Twelfth Night 「Live and Let Live」
イギリスのシンフォニックロック、トウェルフス・ナイトの1984年作
80年代初頭から活動する、英国ポンプの元祖というべきバンドのひとつ。
本作は1983年英国でのライブを収録。きらびやかなシンセに適度にハードなギターを重ね、
PALLASなどにも通じる、いかにも英国らしいキャッチーでメロディックなサウンドを聴かせる。
リズムチェンジを含む展開力にシアトリカルに歌い上げるヴォーカルとともに、10分を超える大曲では、
初期MARILLIONIQのような、GENESISルーツのドラマティックなポンプロックの味わいで楽しめる。
このバンドの正規アルバムはなかなか手に入らないので、本作で知るにも良いでしょう。全76分の濃密なライブ作です。
ドラマティック度・・8 ライブ演奏・・8 英国ポンプ度・・9 総合・・7.5 
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FUTURE KINGS OF ENGLAND 「The Viewing Point」
イギリスのプログレバンド、フューチャー・キングス・オブ・イングランドの2009年作
叙情的なギターワークにうっすらとしたシンセを重ね、PINK FLOYDルーツのゆるやかなサイケ感触に
ポストロック的なスケール感が合わさった聴き心地。メロトロンが鳴り響く涼やかな叙情美に、
70年代ルーツのブルージーなギターがヴィンテージな味わいをかもしだす。ゆったりとしたインストをメインに、
12分、13分という大曲では、優美なメロトロンとギターが重なるシンフォニックなパートも含んだ、
緩急ある展開力とドラマティックな構築性が楽しめる。壮大さとユルさがほどよくブレンドした傑作だ。
ドラマティック度・・8 プログレ度・・7 壮大度・・8 総合・・8
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Manning 「Anser's Tree」
イギリスのシンフォニックロック、マニングの2006年作
The TangentやオーストラリアのUPFなどにも参加するミュージシャン、ガイ・マニング率いるバンドで、
きらびやかなシンセワークにやわらかなフルート、艶やかなフィドルの音色も加わって、
ジェントルなヴォーカルとともに、英国らしい牧歌的な叙情に包まれたサウンドを聴かせる。
曲ごとに歴史上の人物をテーマにしていて、Jethro Tullなどにも通じる優雅な土着性と、
メディーヴァルな雰囲気も感じさせる。サックスも鳴り響く軽妙な味わいは、The Tangentに通じるところもあるが、
12分という大曲もテクニカルというよりはあくまで牧歌的な感触で、ヴォーカルも含めて悪くいえばイモ臭い。
ドラマティック度・・7 プログレ度・・7 牧歌的度・・8 総合・・7.5
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Signs of Life - A Tribute To Pink Floyd
Angularレコード主催のオムニバス、ピンク・フロイドのトリビュート。2000年作
参加バンドは、Sylvan、RPWL、Solar Projectといったドイツ勢から、イギリスのPendragonや、
カナダのMystery、さらにはTiamat、Vanising Point、Angel Dust…といったメタル系バンドも参加。
SYLVANRPWLなどは、さすがにルーツというべきリスペクトとともに叙情的にカヴァーしていて素晴らしい。
同じくドイツのZIFFの男女ヴォーカルを乗せたシンフォニックな「Wish You Were Here」もなかなか魅力的だし、
Ground Crossの「Shine On You Crazy Diamond」や、Solar Projectの「Pigs」も、ダイナミックなプログレ感がよい。
PENDRAGONは安定のシンフォニック印で、一方では、Das Zeichenのゴシック風や、Vanising Pointのメロハー風、
TIAMATのヴィンテージロックなカヴァーや、女性ヴォーカルの妖しさが際立つ、Megaceのアレンジなども面白い
それぞれのバンドのカラーが現れた、プログレ、メタル両方から楽しめる個性的なトリビュート作品です。
プログレ度・・7 フロイ度・・8 アレンジ度・・8 総合・・8
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RIVER OF CONSTANT CHANGE - A TRIBUTE TO GENESIS
イタリアMellowレコード主催のオムニバス、ジェネシスのトリビュート。1995年作
Moongarden、Finisterre、Men of Lake、Submarine Silence、The Ancient Veil、といったイタリア勢から、
Final Conflict、Galahad、Legend、といったイギリスのシンフォ系バンドなど、全27アーティストが参加した2CD。
Notturno Concertanteによる優美な「The Carpet Crawlers」、Legendは女性ヴォーカルで聴かせる「The Day The Light Went Out」、
Germinaleはオルガンを使ったオールドな味わいの「The Knife」、Dracmaによるスペインなまりの「The Light Dies Down On Broadway」
Seconds Outはヴォーカルのガブリエル感も含めて「Watcher Of The Skies」ほぼ完コピで、どれもなかなか面白かった。
全体的に落ち着いた味わいのナンバーが多く、さほど意外性はないが、ゆったりと楽しめるトリビュート作品ですな。
プログレ度・・7 叙情度・・8 アレンジ度・・7 総合・・7.5
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8/21
フレンチ・プログレの夏(279)


Alco Frisbass 「Le Bateleur」
フランスのプログレバンド、アルコ・フリスバスの2018年作/邦題「魔術師」
前作は、優雅なチェンバー・ジャズロックの逸品だったが、2作目となる本作は、ヘヴィなベースとギターに、
メロトロンやムーグの音色を含むシンセを重ね、クリムゾンを思わせるスリリングなアンサンブルで幕を開ける。
今作もMINIMUM VITALのメンバー3人がゲスト参加して、クラシカルなピアノやコルネットの音色を加えた、
チェンバーロック的なミステリアスな空気から、叙情的なギターにシンセを重ねたシンフォニックな感触も覗かせる。
全5曲のオールインストであるが、どの曲もほどよい屈折感とスリリングな構築美に包まれた濃密な味わいで、
カンタベリー系からチェンバーロック、ANEKDOTENなどのファンなどにも薦められる見事な傑作となった。
ドラマティック度・・8 プログレ度・・9 優雅度・・9 総合・・8.5 過去作のレビューはこちら
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Poil 「Sus」
フランスのアヴァンロック、ポアルの2019年作
2008年にデビュー、本作は4作目となる。前作「Brossaklitt」は、アヴァンギャルドの極致というべき傑作だったが、
本作は歪ませたベースを乗せたヘヴィなサウンドで始まりつつ、エレピを含むシンセに、架空の言語である、
オクシタン語のヴォーカルで、さっそくとぼけた味わいをかもしだす。変則リズムを叩き出すドラムとフリーキーなシンセ、
ヘヴィなベースが混沌とした音の塊となって聴き手を不安にさせる。軽やかなアンサンブルは、優雅というよりは、
むしろヘンタイな香りもただよわせ、先の読めないスリリングな感触で、MATS/MORGANあたりに通じるところも。
ラストの14分の大曲は、中近東サイケ的な旋律のリフレインにとぼけたコーラスが重なる。ヘヴィでトリップ感のある異色作。
アヴァンギャル度・・8 プログレ度・・8 優雅なヘンタイ度・・9 総合・・8 過去作のレビューはこちら
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WILDMIMI 「La Revolte Des Couverts」
フランスのミュージシャン、ワイルドミミの2019年作
LA SACRE DU TYMPANのサックス&フルート奏者のソロで、サックス、トロンボーンが鳴り響き、
スペイシーなシンセに、ピアノ、ジェントルなヴォーカルを乗せた、叙情的なサイケ・ジャズロックという趣。
哀愁を感じさせるブラスの響きに、知的な屈折感と優雅なスケール感が同居したような作風で、
レトロな味わいの歌ものかと思わせつつ、シアトリカルな歌声とともに軽妙な展開を垣間見せる。
ミステリアスな世界観であるが、音自体に難解なところはなく、ピアノやフルート、サックス、クラリネットなどが
やわらかなき聴き心地となっていて、ジャズやクラシックの要素を含ませながら、それを優雅な歌で包み込む。
天才肌のアーティストが奔放に作り上げた、チャンバー・サイケ・ジャズ・ロックとでもいうような異色の力作だ。
ドラマティック度・・8 プログレ度・・8 優雅度・・9 総合・・8
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Camembert 「Negative Toe」
フランスのプログレバンド、カマンベールの2017年作
6年ぶりとなる2作目で、「ギャラクシー・チーズ」をテーマに、コミカルなSF的ストーリーに基づいた作品で、
トランペット、トロンボーンにハードなギターを重ね、ヴィブラフォンやシロフォン、ハープなどの音色を含んだ、
軽妙なジャズロックに、ザッパ的なとぼけたセンスをまぶして、大仰に仕立て上げたというサウンド。
緩急あるダイナミックな展開力で、10分を超える大曲を構築してゆくところは、オールインストながらも
前作以上のスケール感で楽しめる。演奏のキレという点でも、リズム面での強化が音の説得力になっていて、
ブラスを含む管楽器の活かし方も見事。ときにMAGMA的な男女コーラスも現れたりしてニヤリ。優雅な傑作です。
ドラマティック度・・8 プログレジャズロック度・・9 優雅度・・9 総合・・8 過去作のレビューはこちら
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Xing-Sa 「Creation de L’Universe」
フランスのプログレバンド、ズィング・サの2015年作/邦題「宇宙の創造」
SETNAのメンバーによる別動隊といってよいユニットで、シンセによるミステリアスなイントロから、
軽やかなドラムに存在感あるベースも加わり、優雅でテクニカルなアンサンブルが広がってゆく。
ギターレスなので主旋律はシンセがメインで、MAGMAに通じる壮大で神秘的なジャズロックながら、
重くはならずに優雅で軽妙なのが特徴的。火、地、金、水、木と5パートに分かれたそれぞれの大曲は、
スペイシーなシンセによる静寂パートや、エレピを乗せたカンタベリー風味、うっすらとしたメロトロンが包み込み、
女性声も加わった叙情パートなど、全体的にやわらかな聴き心地。いわば幻想美ジャズロックというべき逸品だ。
プログレ度・・7 ジャズロック度・・8 優雅度・・8 総合・・8
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SHUB-NIGGURATH 「INTRODUCTION」
フランスのチェンバーロック、シュブ・ニグラスの2009年作
1982年に録音されたデモテープをCD化したもので、クラシカルなピアノにトロンボーンが鳴り響き、
妖しい女性スキャットとともに、ART ZOYDにも通じるミステリアスなチェンバーロックを展開。
ノイズやSE、ギターが入り混じった、混沌とした闇を描くような耽美な作風は、すでに確立していて、
1986年の傑作「死せる暗黒の騎士」へとつながる、そのプロトタイプといえるだろう。一方では、
軽やかなドラムによるジャズロック的なナンバーは、MAGMAをルーツにした、いわゆるZEUHL系サウンドで、
巧みなアンサンブルと演奏力の高さも覗かせる。15分の大曲もチェンバー化したマグマのようだ。
暗黒度・・8 チェンバー度・・8 ミステリアス度・・9 総合・・8 過去作のレビューはこちら
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UNIT WAIL 「BEYOND SPACE EDGES」
フランスのアヴァンプログレ、ユニット・ウェイルの2015年作
SHUB-NIGGURATHのギターを中心に、2012年にデビュー、本作は3作目となる。
軽妙なドラムに、スペイシーなシンセとハードエッジなギターを絡めて、テクニカルなアンサンブルとともに
ミステリアスなインストサウンドを描く。ART ZOYDの空間性と、MAGMAのようなスリリングな演奏が合わさり
ダークで神秘的なチェンバー風ジャズロックという点では、これぞZEUHL系の王道というべきか。
愛想がないようでいて、リズムチェンジなどの展開力など、わりとしっかりとプログレしていて、
楽曲も3〜5分前後とコンパクトにまとまっており、チェンバー初心者でも案外楽しめるかも。
プログレ度・・8 チェンバー度・・7 ミステリアス度・・8 総合・・8
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Reve General 「Howl」
フランスのチェンバーロック、レーヴ・ジェネラルの2015年作
ETRON FOU LELOUBLANKのギグー・シュヌヴィエ率いるVOLAPUKと、チェコのMETAMORPHOSISが合体したユニット。
2014年フランスでのライブ音源で、ギター、ヴァイオリンとチェロを2人ずつ含む編成で、4人が奏でる艶やかなストリングスに、
エレキギターを重ね、妖しい男女ヴォーカルを乗せた、クラシカルなチェンバーロックを聴かせる。ギグーの巧みなドラムを加えての
スリリングなアンサンブルはライブらしい躍動感で、一方で、ドラムが入らないナンバーは室内楽そのものという感じながら、
わりとハードなギターがアクセントになっていて、優雅なだけではない攻撃性も覗かせる。After Dinnerでも活躍する
女性Vln奏者、福島匠さんは、ヴァイオリンだけでなく日本語による歌声も披露。ストリングス主体のチェンバーが好きなら是非。
クラシカル度・・8 チェンバー度・・9 優雅度・・8 総合・・8
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Spectrale 「▲」
フランスのプログレ・ポストロック、スペクトラレの2017年作
アコースティックを含む優美なギターの重ねに、物悲しいチェロの音色、うっすらとしたシンセによる
幻想的な叙情に包まれたインストサウンド。しっとりとしたアンビエント性に包まれながら、
随所にドラムやエレキギターも加えたロック感触もいくぶん覗かせ、アコースティックギターの旋律と
ときにサウンドスケープ的にシンセが重なり、スペイシーで神秘的な世界観に包まれる。
インストがメインながら、マイルドな男性コーラスのハーモニーや、クラシカルなピアノの優雅なナンバーなど
曲によっても異なる雰囲気で楽しめ、ドラムが入るとプログレ的な味わいも。ラスト曲はアヴァンギャルドという。
ドラマティック度・・7 プログレ度・・7 優美度・・8 総合・・7.5
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PENTACLE 「La Clef Des Songes」
フランスのプログレバンド、パンタクルの1974年作
叙情的なギターに美しいシンセを重ね、フランス語の歌声で聴かせる優美なシンフォニックロック。
ANGEのクリスチャン・デカンがプロデュース、フレンチロックらしい翳りを帯びたドラマ性と、
初期のGENESISのような幻想的な世界観に包まれる。アコースティックパートによる
繊細な叙情とともに、くぐもったような空気感と、ヨーロピアンなロマンティシズムも感じさせ、
10分を超えるラスト曲では、しっとりとした導入部から、起伏に富んだ展開力でドラマティックに構築する。
ジャケはいかにもB級臭いが、内容は叙情派フレンチ・シンフォニックの逸品といえる。
ドラマティック度・・8 プログレ度・・7 叙情度・・8 総合・8
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Shylock 「Ile De Fievre」
フランスのプログレバンド、シャイロックの1978年作/邦題「熱情の島」
初期クリムゾンの叙情を優美にしたような前作に続き、2作目となる本作も、リリカルなシンセのイントロから、
叙情的なギターの旋律が加わって、CAMELANYONE'S DAUGHTERかという優美なサウンドが広がる。
メロトロンやムーグを含むシンセワークとともに、シンフォニックロックとしての優雅な味わいと、
変則リズムを含む軽妙な展開力とともに、随所にKING CRIMSON的なスリリングな空気も覗かせる。
ラストの、10分を超える大曲は、いかにもクリムゾン風味のアンサンブルで、前作に劣らぬ内容です。
ドラマティック度・・7 プログレ度・・8 叙情度・・8 総合・・8 過去作のレビューはこちら
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Orion 「La Nature Vit, L'homme Lui Critique...」
フランスのプログレバンド、オリオンの1979年作
ムーグシンセやピアノを含むキーボード、メロウなギターを乗せた軽やかなアンサンブルに、
フランス語のヴォーカルを乗せて、シアトリカルな叙情性に包まれたサウンドを聴かせる。
リズムチェンジを含む優雅な展開力と、ほどよいマイナーな味わいが同居した感触で、
ATOLLを小粒にしたような雰囲気や、クセのあるところはANGEを思わせるところも。
やわらかなフルートにシンセが重なる繊細な叙情美などはよい感じで、派手なインパクトはないが、
マイナー系フレンチシンフォの好作。バンドは本作を残して消えるが、2013年に、34年ぶりに復活する。
ドラマティック度・・8 プログレ度・・8 フレンチ度・・8 総合・・7.5
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Richard Pinhas 「dww」
フランスのミュージシャン、リシャール・ピナスの1992年作
HELDONで知られるミュージャン。ソロとしては10年ぶりとなる6作目で、エレクトロなシンセに打ち込みのリズム、
ディレイのかかったギターのトーンを乗せて、モダンな空間性を描くようなサウンドは、かつての作品の延長上のもの。
シーケンサーとシンセをメインにしたところは、Klaus Schulzeのような涼やかな空気感であるが、
キャッチーなフレーズのリフレインなどは、ある意味ポップでもある。ジャケも含めて近未来的なサイバーな世界観と、
デジタルやテクノ要素を内包しながら、どこか人間的な暖かみと内省的な叙情を感じさせるのは、ピナスならでは。
クラシカルな優雅さに包まれたシンフォニックなナンバーもあり、オールインストながらもスケールを感じさせる逸品だ。
ドラマティック度・・7 プログレ度・・7 エレクトロ度・・8 総合・・8 過去作のレビューはこちら
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Weend'o「TIME OF AWAKENING」
フランスのハードプログレ、ウィーンドの2018年作
うっすらとしたシンセに適度にハードなギター、美しい女性ヴォーカルを乗せて、
アンニュイな翳りを帯びた、モダンでスタイリッシュなハード・プログレサウンドを聴かせる。
ほどよくテクニカルなリズムや、ときにプログレらしいきらびやかなシンセワークも覗かせつつ、
繊細なピアノによるしっとりとした叙情パートから、ProgMetal的な硬質なハードさまで、
緩急ある知的な展開力で描いてゆく。叙情的なフレーズを奏でるギターのセンスもなかなかで、
魅力的な女性声も含めて、Frequency Driftなどに通じるところもある。元PALLASのアラン・リードがゲスト参加。
ドラマティック度・・7 プログレ度・・7 スタイリッシュ度・・9 総合・・8
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ELORA 「CRASH」
フランスのハードプログレ、エロラの2013年作
適度にハードなギターに男女ヴォーカルのフランス語の歌声を乗せ、いくぶん翳りを帯びた、
ゴシックロック色もあるサウンドを聴かせる。優美なシンセを加えたシンフォニックな感触とともに、
女性声がメインのナンバーではアンニュイな叙情に包まれた、Frequency Driftなどにも通じる
薄暗系のハードシンフォとしても楽しめる。派手な展開力や盛り上がりは薄いものの、
スタイリッシュでモダンな優雅さと、翳りを含んだ浮遊感が同居した好作品です。
ドラマティック度・・7 プログレ度・・7 モダンな翳り度・・8 総合・・7.5
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La Soupe aux Trolls 「Lai lai lai oi」
フランスのプログレ・フォークロック、ラ・ソープ・オ・トロルスの2010年作
アコーディオンやフルートの音色に男女ヴォーカルのフランス語の歌声を乗せた、
優雅で牧歌的なフォークロックサウンド。ロック的なギターとドラムが入るので、
わりとフォークメタル的な感触もあって、ジャケのイメージよりもずっと聴きやすい。
一方では、とぼけた味わいのサイケフォーク的なユルさも混在しているが、
フルートなどのケルティックな旋律も、わりとしっかりしていて、アコースティックの演奏力もちゃんとある。
キャッチーなノリの良さとフレンチらしい優雅さが合わさった、フォークロックの好作品。
ドラマティック度・・7 プログレ度・・6 優雅度・・8 総合・・7.5



7/31
梅雨明けのプログレ(263)


LES PENNING with ROBERT REED 「RETURN TO PENRHOS」
イギリスのミュージシャン、レス・ペニングのプロジェクト。2019年作
Mike Oldfieldの名作「オマドーン」に参加したリコーダー奏者と、MAGENTAのロバート・リードによるコラボ作。
やわらかなリコーダーの音色にうっすらとしたシンセを重ね、英国らしい牧歌的な叙情に包まれたサウンド。
AMAZING BLONDELあたりに通じる、中世音楽ルーツの優雅な旋律に、フォークやトラッドの素朴な味わいが混ざり、
優しいリコーダーに繊細なギターが絡みつつ、メディーヴァルな世界観を描いてゆく。ときにエレキギターが加わると、
マイク・オールドフィールド的な雰囲気にもなって、英国プログレのファンにも十分楽しめるだろう。
3〜4分前後の小曲を主体に、ゆったりと鑑賞できる逸品です。DVDにはPVやライブ映像を収録。
牧歌的度・・9 プログレ度・・7 優雅度・・9 総合・8
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Peter Gee 「The Spiritual World」
イギリスのミュージシャン、ピーター・ギーの2008年作
PENDRAGONのベーシストでもあり、ソロ作としては1997年以来の作品となる。
本作では、ギター、ベース、シンセをこなしていて、ヴォーカルにSteve Thorneが参加。
アコースティックを含む繊細なギターにやわらかなシンセ、マイルドなヴォーカルを乗せた、
叙情的な歌ものから、シンフォニックなアレンジの教会音楽的な厳かなサウンドも聴かせる。
楽曲は3〜4分前後で、プログレ的な展開はあまりないが、メロウなギターに美しいシンセ、
そして味わいのあるヴォーカルで、しっとりとした優美な空気に包まれた好作品です。
ドラマティック度・・7 プログレ度・・7 優美度・・8 総合・・7.5 過去作のレビューはこちら
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Peter Gee 「The Bible」
イギリスのミュージシャン、ピーター・ギーの2018年作
敬虔なクリスチャンらしく、本作は聖書をテーマにしたコンセプト作で、優美なシンセにギターを重ね、
マイルドなヴォーカルに女性コーラスも加えた、正統派シンフォニックロックの感触で聴かせる。
1〜3分前後の小曲を連ねた構成で、随所に語りを含んだストーリー性を含ませて、
雄大な叙情に包まれたサウンドを描いてゆく。楽曲ごとに派手な展開と言うのはないが、
聖書における人物や場面をそれぞれに表現する、ドラマティックな聴き心地が楽しめる。
クリスチャン系のシンフォプログレという点では、Neal Morseなどが好きな方もどうぞ。
ドラマティック度・・8 プログレ度・・7 叙情度・・8 総合・・8
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THE CURATOR 「Where the Stars Will Give Way to the Morning」
イギリスのミュージシャン、アリスター・マーフィによるソロプロジェクト、キュレイターの2018年作
NO-MANJudy Dybleとの共演で知られるミュージシャン。パット・マステロットがドラムで参加、
ベースにはJudy Dyble作品に参加したマーク・フレッチャーを迎えて、アコースティックを含むギターに
ジェントルなヴォーカルを乗せ、ヴァイオリンやサックスを加えた英国らしい優雅なサウンドを聴かせる。
フォークロック的な牧歌的な味わいや、シンセを加えたほどよいプログレ感触が同居していて、
どことなくフィル・コリンズを思わせるアリスターの歌声とともに、ゆったりとした味わいで楽しめる
艶やかなヴァイオリンにオルガン、メロウなギターで聴かせるラスト曲もじつ良いですね。
ドラマティック度・・7 プログレ度・・7 優雅度・・8 総合・・7.5 過去作のレビューはこちら
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Magna Carta 「Backroads」
イギリスのフォークロック、マグナ・カルタの2006年作
1969年デビューのベテラン。ライブや未発音源を主体にしたアルバムで、アコースティックギターに
ピアノやドラムを加え、男女ヴォーカルを乗せた、牧歌的なフォークサウンドを聴かせる。
女性ヴォーカルがメインのナンバーは、英国フォークらしい優美な味わいで楽しめるが、
アコギと歌のみによる弾き語り的なライブナンバーも多く、カントリー調の曲など、
音質的にもややバラつきがあって、熱心なファン向けのアイテムかもしれない。
アコースティック度・・8 英国度・・8 素朴度・・8 総合・・7 過去作のレビューはこちら
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Magna Carta 「In Tomorrow」
イギリスのフォークロック、マグナ・カルタの2005年作
スタジオアルバムにライブCD、DVDも付いた3枚組。クリス&リンダのシンプソン夫妻を中心に、
アコースティックギターに男女ヴォーカル、ときおりドラムも入って、ハーモニカも鳴り響く、
カントリー調の牧歌的なフォークロック。ピアノをバックに、しっとりとした女性ヴォーカルで聴かせる
優美なナンバーはカーペンターズのような感触で、アダルトなジャズタッチのナンバーなども含めて
年季を経た枯れた魅力を感じさせる。ライブの方は、夫妻によるシンプルなデュオのスタイルで、
二人のアコギと歌声でゆったりと聴かせる。あとどうでもいいけど、奥さん、ジャケでチクビ透けてますよ!
アコースティック度・・8 英国度・・8 素朴度・・8 総合・・7
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T 「Solipsystemology」
ドイツのプログレユニット、ティーの2019年作
SCYTHEのThomas Thielenによるソロユニットで、本作は7作目。2015年作から続く、コンセプト作の続編で
3部作の最終章。うっすらとしたシンセにギターを重ね、マイルドなヴォーカルとともに、翳りを帯びた叙情を描く
ポストプログレ風のシンフォニックロックを聴かせる。泣きのギターフレーズとともにじわりと盛り上げるところは
MARILLIONにも通じる感触で、エモーショナルなヴォーカルの表現力もぐっと上がっている。
今作は10分を超える大曲も多く、過去作以上にダイナミックな展開力も光っていて、優美な繊細さと、
泣きの叙情を引き立てている。Sylvanあたりが好きな方にも楽しめるだろう。全72分の力作です。
ドラマティック度・・8 プログレ度・・7 叙情度・・8 総合・・8 過去作のレビューはこちら
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NINE STONES CLOSE 「LEAVES」
オランダのプログレユニット、ナイン・ストーン・クロースの2016年作
2008年にデビューし、4作目となる。シンセにCHRISこと、Christiaan Bruinが参加、
美しいシンセアレンジに適度にハードなギター、パワフルなヴォーカルを乗せて、
翳りを帯びたダークなドラマ性を感じさせる、モダンなハードプログレを聴かせる。
叙情的なギターフレーズにマイルドな歌声で、ゆったりと聴かせるパートも含めて
10分を超える大曲を主体に、ポストプログレ的な薄暗さとともにじっくりと構築してゆく。
ドラマティック度・・8 プログレ度・・7 叙情度・・7 総合・・7.5 過去作のレビューはこちら
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EELA CRAIG 「ONE NITER」
オーストリアのプログレバンド、イーラ・クレイグの2作目。1976年作
1971年にデビューし、2作目。1995年に、3rd「HATS OF GLASS」とのカップリング盤「Symphonic Rock」が出ていたが、
単体作品として2010年にCD化された。13分、11分という2つの組曲をメインにした構成で、美しいシンセの重ねに
やわらかなフルートの音色を乗せて、優美で幻想的なサウンドが広がってゆく。ヨーロピアンなロマンティシズムは、
NAOVALISなども思わせるが、こちらはより繊細な味わいで、ギターやドラムが加わってのロックなアンサンブルは
ややローカルな感触であるが、そのマイナー感こそが魅力と言えるだろう。全体的にはインストパートを中心にしつつ、
ときに優しいヴォーカルを加え、泣きのギターを乗せた叙情美は、ANYONE'S DAUGHTERなどにも通じるところもある。
リマスターでの音質向上と、やはり単体作品で鑑賞するのは違いますな。優美なるシンフォニックロックの逸品です。
ドラマティック度・・7 プログレ度・・7 優美度・・9 総合・・8 過去作のレビューはこちら
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Introitus 「Shadows」
スウェーデンのシンフォニックロック、イントロイタスの2019年作
ベンダー夫妻と息子を含む、いわばファミリー型プログレバンド。2007年にデビューし、本作は4作目となる。
きらびやかなシンセワークにメロウなギターを重ね、女性ヴォーカルで聴かせる優美なシンフォニックロック。
今作はジャケのイメージのように薄暗い叙情性も感じさせつつ、オルガンを含むヴィンテージな味わいに、
優雅でキャッチーな展開力とともに、MAGENTAMOSTLY AUTUMNなどにも通じる感触で楽しめる。
10分を超える大曲も、美しいピアノやフルートによる繊細な叙情パートなど、しっとりとウェットな感触も覗かせて
じっくりと構築してゆく。新鮮味はさほどないが、女性声の正統派シンフォプログレが好きな方はぜひ。
ドラマティック度・・8 プログレ度・・7 優美度・・8 総合・・8 過去作のレビューはこちら
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Jordsjo 「Nattfiolen」
ノルウェーのプログレバンド、ヨルドシオの2019年作
2015年にデビューし、4作目となる。メロトロンやオルガン、クラヴィネットなどヴィンテージなシンセに
やわらかなフルート、アコースティックを含むギターに母国語によるマイルドなヴォーカルを乗せ、
北欧らしい翳りを帯びた、叙情的なサウンドを描く。涼やかな幻想性に包まれた空気感と、
緩急ある展開力は、Anglagardにも通じる感触で、これぞ北欧プログレという聴き心地。
ギター奏でる土着的な旋律にオルガンが重なり、鳴り響くフルートの音色も含め、アナログ感ある音作りも
じつに確信犯的である。インストパートがメインで、濃密な盛り上がりはさほどないが、北欧プログレ好きはマスト。
ドラマティック度・・8 プログレ度・・8 北欧度・・9 総合・・8 過去作のレビューはこちら
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PROGELAND 「Harmony Of The Universe」
フィンランドのプログレバンド、プロゲランドの2018年作
2014年作に続く2作目で、やわらかなシンセにオールドなテイストのギターを重ね、
ジェントルなヴォーカルを乗せた、ゆるやかな叙情のシンフォニックロックを聴かせる。
メロウなギターの旋律にフルートの音色が、北欧らしい涼やかな空気を描き出しつつ、
オルガンが鳴り響く、70年代風味のヴィンテージロックの味わいにも包まれる。
マイルドなヴォーカルは、どことなく、Vintersorgにも通じる雰囲気があって、
ほどよくハードな感触ともに、哀愁を含んだ北欧らしい叙情に浸れる逸品です。
ドラマティック度・・7 ヴィンテージ度・・8 北欧度・・8 総合・・8
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RMP 「For The Light」
ロシアのプログレバンド、RMPの2017年作
叙情的なギターに美しいシンセを重ね、東欧らしい翳りとミステリアスな空気感も含んだ
インストメインの優雅なサウンドを聴かせる。、2〜4分前後の小曲を主体にした軽妙なアンサンブルと、
やわらかなクラリネットの音色などには、チェンバーロック的でもある繊細なクラシカル性に包まれる。
プログレ的な展開のあまりない、うっすらとしたシンセとギターによるアンビエントなナンバーなど、
わりと雰囲気モノに近い感じもあるが、ラストは10分の大曲で薄暗系のシンフォニック的な味わい。
ドラマティック度・・7 プログレ度・・7 優雅度・・8 総合・・7.5
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Pinkroom 「Psychosolstice」
ポーランドのハードプログレ、ピンクルームの2009年作
叙情的なギターにうっすらとしたシンセ、マイルドなヴォーカルを乗せた、繊細でメランコリックなサウンド。
PINK FLOYDルーツの浮遊感という点では、RPWLあたりを思わせるが、メタリックなギターが加わった
ProgMetal的な感触も覗かせつつ、スタイリッシュな構築センスは、Riversideなどにも通じるだろう。
翳りを帯びた優美なポストプログレ風味と、モダンなテクニカルメタル感触がほどよく同居していて、
ストリングスを取り入れた優雅なナンバーや、ポリッシュらしい薄暗いシンフォニック性も含んだ、
一筋縄ではいかない振り幅の大きさがある。派手な展開はないが、ハードなポストプログレというべき力作だ。
ドラマティック度・・7 スタイリッシュ度・・8 構築度・・8 総合・・7.5
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Nosound 「Sol29」
イタリアのポストプログレ、ノーサウンドの2005/2010年作
2005年のデビュー作のリマスター&DVD付きの再発盤。
うっすらとしたシンセにマイルドなヴォーカルをドラムに乗せた、やわらかな叙情サウンドで、
美しいピアノにメロウなギターも加わって、シンフォニックロック的な優雅さも感じさせる。
後の作品に比べると、バンドとしてのロックなアンサンブルもしっかりとあるので、
翳りを帯びたメロディックロックとして、MARILLIONのようなイメージでも楽しめる。
10分前後の大曲もあくまでしっとりと、泣きのギターや美麗なシンセが包み込む。
ドラマティック度・・7 叙情度・・8 繊細度・・9 総合・・8 過去作のレビューはこちら
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7/24
プログレで頑張れ!アメリカとブラジル(248)


Ancient Vision
アメリカのプログレバンド、エンシェント・ヴィジョンの1991年作
優美なシンセにいくぶんハードなギターを乗せ、マイナーな翳りに包まれたシンフォニックロック。
ややドタドタとしたドラムとわりと唐突な展開、力みがちのヴォーカルなど、いかにもB級な味わいではあるが、
緩急のあるドラマ性と日本人好みの幻想的な空気感には、往年のシンフォプログレへの憧憬を感じ取れる。
ラストは17分におよぶ大曲で、ゆるやかな叙情美とともにじわじわ盛り上げる。
バンドは、1993年に2作目を残して消えるが、2008年になって15年ぶりに復活を果たす。
ドラマティック度・・8 B級シンフォ度・・8 叙情度・・8 総合・・7.5

Tony Spada 「Balance of Power」
アメリカのミュージシャン、トニー・スパダの1993年作
Holding Patternのギタリストのソロ1作目。かつてはCDなのにLPサイズの無駄にデカい仕様で出ていたが、
2007年にめでたく通常CDジャケサイズで再発された。やわらかなシンセに叙情的なギターの旋律を乗せた、
優美なインストサウンド。フュージョンがかった軽妙な味わいや、曲によってはハードなギター感触も含みつつ、
ジャケのイメージとはやや異なる、ゆったりと優雅なサウンドを描いてゆく。ハケットとまではいかないが、
メロウな泣きのフレーズもなかなか魅力的だ。ラストは11分の大曲で、ここではヴォーカルも加わって
ウェットな叙情に包まれたシンフォニックロックを聴かせる。派手さはないが、じっくりと楽しめる好作品。
ドラマティック度・・7 プログレ度・・7 優雅度・・8 総合・・7.5
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Red Sand 「FoRsAkEn」
カナダのプログレバンド、レッド・サンドの2019年作
2004年にデビュー、自主制作を含めてすでに8作目となる。プログレらしいシンセワークにメロディックなギター、
エモーショナルなヴォーカルを乗せて、大人の叙情に包まれた王道のシンフォニックロックを聴かせる。
演奏力は普通程度なので、スタイリッシュになり切れないマイナーバンド的な粗削りな感じも残しているが、
10分を超える大曲などは適度に展開力もあり、美しいシンセをバックにリフレインされる泣きのギターフレーズは耳心地よい。
90年代英国シンフォルーツのロマンティシズムとともに、じっくりとドラマを描くように構築してゆくという点では、
野暮ったさも魅力というところだろう。派手な盛り上がりはさほどないが、大人の叙情美に包まれた逸品です。
ドラマティック度・・8 プログレ度・・7 叙情度・・8 総合・・7.5 過去作のレビューはこちら
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ELEPHANTS OF SCOTLAND 「Perfect Map」
アメリカのプログレバンド、エレファンツ・オブ・スコットランドの2016年作
2013年デビュー、本作は3作目となる。メロディックなギターにシンセを重ね、マイルドなヴォーカルを乗せて
優雅で軽妙な展開力で聴かせる、キャッチーなプログレサウンド。EcholynSpock's Beardにも通じる
やや屈折感のあるメロディアス性にほどよくハードな感触も加わって、アメリカらしい抜けの良さと
プログレとしてのテクニカルな構築力が同居している。女性ヴォーカルが歌うナンバーでは、
ヴァイオリンの音色とともにキャッチーな優雅さに包まれる。派手さはないが玄人好みの作風で、
意味不明なジャケからは想像できない、アメリカンプログレらしい高品質なアルバムです。
メロディック度・・8 プログレ度・・8 優雅で偏屈度・・8 総合・・8
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The Tea Club 「Grappling」
アメリカのプログレバンド、ティー・クラブの2015年作
2008年にデビュー、本作は4作目となる。叙情的なギターとオルガンやムーグを含むやわらかなシンセ、
ジェントルなヴォーカルを乗せた、軽妙なアンサンブルで聴かせる、Echolynあたりに通じるサウンド。
いくぶん偏屈な展開力と知的なテクニカル性を、キャッチーに包み込んだという作風で、
ユルめなのだがスリリングといったあんばい。6〜9分という長めの楽曲を巧みなインストパートで、
優雅な味わいで楽しませてくれる。ヴィンテージなテクニカルプログレとしても一級品の出来ながら、
存在感あるベースが生み出す低音とともに、スタイリッシュなグルーブとメロディアスな構築力も見事。
ドラマティック度・・7 プログレ度・・8 優雅で軽妙度・・9 総合・・8 過去作のレビューはこちら
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Steam Theory 「Asunder」
アメリカのプログレ・フュージョンロック、スチーム・セオリーの2015年作
マルチプレイヤー、Jason Denkevitzによるソロユニットで、本作は3作目。CD2枚組という大作で、
流麗なギタープレイに美麗なシンセを重ね、軽妙なリズムで聴かせる、インストプログレサウンド。
シンセワークはわりとプログレ寄りで、ときにクラシカルでシンフォニック。変拍子を含む展開力も含めて、
オールインストながらも起伏に富んだ聴き心地で楽しめ、メロディアスなギターのセンスも抜群だ。
10分前後の大曲では、シンセをメインにしたシンフォニックなパートとともに、優雅に構築してゆく。
巧みにギターメロディも素晴らしいが、シンセのアレンジも絶妙。歌ごころあるプログレ・フュージョンの傑作。
メロディアス度・・8 テクニカル度・・8 優雅度・・9 総合・・8 過去作のレビューはこちら
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PROUD PEASANT「FLIGHT」
アメリカのプログレバンド、プラウド・パーサントの2014年作
12分、19分、13分という大曲のみによるアルバム構成で、叙情的なギターにシンセを重ね、
軽妙なアンサンブルで聴かせる優雅なインストサウンド。やわらかなフルートにクラリネット、
ときにトランペットも鳴り響き、アコースティックギターにマンドリンなどの素朴な感触も覗かせつつ、
プログレらしいシンセワークが包み込む。一方ではハードでキャッチーな疾走パートも現れたり、
オペラティックな女性ヴォーカルも入ってきたりと、わりと唐突でとぼけたセンスも垣間見せる。
ヴァイオリンやチェロなどのストリングスも美しい、クラシカルなアヴァン・シンフォというべきヘンテコな一枚。
ドラマティック度・・7 プログレ度・・7 優雅度・・8 総合・・7.5
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AMPLEDEED 「A Is for Ampledeed」
アメリカのプログレバンド、アンプレディードの2013年作
2016年の2作目「BYOB」は、優雅な女性声アヴァンプログレの傑作であったが、こちらの1作目もなかなかのもの。
軽妙なリズムにエレピを含むシンセとギターを乗せて、唐突なリズムチェンジなどの偏屈な展開力とともに、
ジャズロック的な優雅さと、オルガンやムーグの音色を使ったオールドなプログレ感触も融合させたサウンド。
ハードめのギターに男性ヴォーカルを乗せたクリムゾン風のパートから、ジャズタッチのゆったりとしたナンバーなど、
小曲をはさみながら、わりと振り幅のある個性的な作風で楽しめる。ハイセンスなアヴァンプログレという点では、
MATS/MORGANにも通じるところも。女性声メインの次作はよりキャッチーな作風で、そちらも捨てがたい魅力がある。
ドラマティック度・・7 プログレ度・・8 優雅度・・9 総合・・8
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HELMET OF GNATS 「HIGH STREET」
アメリカのプログレバンド、ヘルメット・オブ・ナッツの2010年作
1996年にデビュー、本作は6年ぶりとなる3作目。オルガンを含むシンセにギターを重ね、
変拍子を含む軽妙なリズムアンサンブルで聴かせる、インストによるテクニカルなプログレサウンド。
流麗なギターフレーズにエレピを乗せた、ジャズ、フュージョンタッチの優雅さと、ほどよい偏屈さ、
そして知的な構築センスは、HAPPY THE MANDIXIE DREGSあたりにも通じるだろう。
10分超の大曲3曲からの、後半は30分の組曲という構成で、オールインストながらも起伏のある展開力で
ミステリアスでコンセプト的なドラマ性も感じさせる。優雅なフュージョン・プログレが好きな方もぜひ。
ドラマティック度・・8 テクニカル度・・8 優雅度・・9 総合・・8
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CARAVELA ESCARLATE
ブラジルのプログレバンド、カラヴェラ・エスカレートの2019年作
シンセ、ドラム、ベース&ギター&Voというトリオ編成で、2016年にデビューし、本作が2作目。
オルガンやムーグといったヴィンテージなシンセをかき鳴らし、マイルドなヴォーカルを乗せた、
優美なシンフォプログレを聴かせる。ポルトガル語の歌声が南米らしい叙情をかもしだし、
エレピを含むシンセによるやわらかなメロディとともに、キャッチーな優雅さに包まれる。
インスト曲もまじえて、コテコテになり過ぎない繊細な味わいで、音自体はヴィンテージながら、
わりとスタイリッシュなポップ性も感じさせる。ラストは11分の大曲でプログレらしさ全開。
メロディック度・・8 プログレ度・・8 ヴィンテージ度・・8 総合・・8
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ANIMA 「SINGULARITIES」
ブラジルのプログレバンド、アニマの1996年作
美麗なシンセワークに叙情的なギターを重ね、Quaterna Requiemなどにも通じる
南米らしい優美で壮大なシンフォニックロックを聴かせる。序盤はインストをメインに
ギターとシンセによる泣きの叙情に包まれたゆったりとした作風で、ときに女性スキャットや、
ジェントルな男性ヴォーカルも加わって、15分、11分という大曲を優雅に描いてゆく。
全体的にスリリングな部分は希薄なので、やや長尺な感じもあるが、南米らしいシンフォが好きな方はいかが。
シンフォニック度・・8 プログレ度・・7 優美度・・8 総合・・7.5

Apocalypse 「Live in Rio」
ブラジルのプログレバンド、アポカリプスのライブ。2006年作
1991年デビューと、わりとキャリアのあるバンドで、本作は地元ブラジルでのライブを収録。
きらびやかなシンセにギターを重ね、英語のヴォーカルを乗せた、濃密なシンフォニックロックを聴かせる。
手数の多いドラムを主体にしたほどよくハードなアンサンブルで、随所にリズムチェンジを含む緩急のある展開と、
南米らしい情熱的な歌声で、厚みのあるサウンドを展開。カラフルなシンセワークにときに優雅なフルートの音色も加わり、
いくぶんマイナー臭さも漂わせつつも、キャッチーなクサメロを含んだ、日本人好みのシンフォプログレを描いてゆく。
とにかく濃い目に、華やかに、そして叙情的に聴かせる、全72分こってり満腹の、力作ライブです。
ライブ演奏・・8 プログレ度・・8 濃密度・・9 総合・・8 過去作のレビューはこちら
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AUTUMN MOONLIGHT 「The Sky Over Your Shoulders」
アルゼンチンのシンフォニックロック、オータム・ムーンライトの2010年作
トレモロを含むメロウなギターの旋律にうっすらとしたシンセを重ね、
ポストプログレ風味の繊細な叙情に包まれたインストサウンドを聴かせる。
美麗なシンセによるシンフォニックなテイストと、むしろヨーロピアンな翳りを帯びた空気、
ポストロック的でもあるスタイリッシュな感触が合わさった作風。プログレ的な展開は薄いが、
ときにハードさも含んだ泣きまくりのギターの旋律とともに、優美なサウンドにはうっとりとなる。
ドラマティック度・・7 プログレ度・・7 優美度・・9 総合・・8
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Hamacas Al Rio 「Al Final, El Parque」
アルゼンチンのフォークロック、ハマカス・アル・リオの2010年作
2004年にデビューし、本作は3作目。アコースティックを含むギターにオルガンやエレピ、
そしてしっとりとした女性ヴォーカルのスペイン語の歌声を乗せた、優美なサウンド。
ウェットでやわらかな聴き心地ながら、南米らしいおおらかな味わいに包まれていて、
爽やかなシンフォニックポップ的にも楽しめる。楽曲は3〜4分前後と比較的シンプルだが、
アコースティカルな素朴さから、ストリングスによる優雅なアレンジまでセンスが良く、
美しい女性声とともに、ほのぼのとしたドリーミーな叙情に浸れる逸品です。
プログレ度・・7 優美度・・8 女性Vo度・・8 総合・・8 過去作のレビューはこちら
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Hyacintus 「Fantasia en Concerto」
アルゼンチンのシンフォニックロック、ヒヤシンスの2003年作
マルチプレイヤーのJacinto Miguel Corralによるプロジェクトで、2002年にデビュー、本作が2作目。
オーケストラルなシンセワークにギターを重ね、南米らしい哀愁を帯びた叙情性に包まれた、
インスト主体のシンフォニックロックを聴かせる。小曲を挟んだ流れのある構成とともに
ロックというよりはむしろシンフォニーを鑑賞しているような気品に包まれた世界観。
軽めのドラムも含めて、ダイナミックさの点ではやや物足りなさはあるが、
南米版エニドというような優美でクラシカルなサウンドが楽しめる好作品だ。
クラシカル度・・8 プログレ度・・7 優美度・・8 総合・・7.5 過去作のレビューはこちら
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Lito Vitale Cuarteto 「la Cruz del Sur」
アルゼンチンのミュージシャン、リト・ヴィターレの1995年作
MIAのシンセ奏者としても知られるミュージシャンで、美麗なシンセワークにギター重ね、
サックスやフルートが鳴り響く、クラシカルなインストのシンフォニックロックを聴かせる。
パンパイプを含むやわらかな笛の音色や、繊細なギターの旋律にシンセを重ねて、
南米らしいフォルクローレ風味の叙情性に包まれた、じつに優しい耳心地のサウンド
プログレ色はさほどないが、ジャズやクラシックの優雅さをシンフォニックな味わいで取り入れ
10分を超える大曲も、あくまでしっとりとした優美な叙情に包まれる。
クラシカル度・・8 プログレ度・・7 優美度・・9 総合・・8
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7/17
ロカンダの貴重映像!(232)


RICHARD HENSHALL 「THE COCOON」
イギリスのミュージシャン、リチャード・ヘンシェルの2019年作
HAKENのギタリストでシンセ奏者、過去にはプログレメタルのTo-Meraにも参加していたマルチプレイヤー。
本作にはそのHAKENのベースや、NOVA COLLECTIVEのドラムが参加、変則リズムによるテクニカル性と
マイルドなヴォーカルやシンセによる叙情が同居した、Djent要素もあるモダンなハードプログレを聴かせる。
硬質なギターリフにシュレッド的な流麗なプレイを織り込みつつ、鳴り響くサックスやきらびやかなシンセなどを、
巧みにまぶしたカラフルで軽妙な味わいは、まさに新時代のテクニカルなモダンプログレという聴き心地である。
DREAM THEATERのジョダン・ルーデス、ICEFISHのマルコ・スフォーリ、BENT KNEEのメンバーなどがゲスト参加。
ドラマティック度・・7 テクニカル度・・8 スタイリッシュ度・・9 総合・・8
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Citizen Cain 「Somewhere But Yesterday」
イギリスのシンフォニックロック、シチズン・ケインの1994年作
1992年にデビュー、本作は2作目となる。プログレらしいきらびやかなシンセワークに、
フィッシュを思わせる味のあるヴォーカルを乗せ、PENDRAGONなどに通じるポンプロック寄りのサウンド。
10分を超える大曲を中心に、キャッチーなメロディアス性と緩急ある展開力は、よりシンフォプログレらしくなり、
同時期のIQなどにも引けを取らない。やわらかなフルートに、P.ガブリエルばりの歌声で聴かせるところは、
初期のGENESISを思わせる叙情に包まれて、25分という大曲も濃密なシンフォ感触と優美なパートが同居した、
ドラマティックな構築力が光る。ポンプ系のシンフォニックロックとして、初期MARILLIONを正統進化させたような力作だ。
ドラマティック度・・8 プログレ度・・8 ポンプ系シンフォ度・・9 総合・・8 過去作のレビューはこちら
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LAST FLIGHT TO PLUTO 「A DROP IN THE OCEAN」
イギリスのプログレバンド、ラスト・フライト・トゥ・プルートゥの2019年作
優美なシンセアレンジに適度にハードなギター、ハスキーな女性ヴォーカルを乗せて、
キャッチーな味わいのメロディックロックを聴かせる。ツインギターによる叙情性とともに
ほどよくメランコリックな雰囲気は、PANIC ROOMあたりに通じるところもあって、
紅一点、Alice嬢のキュートな歌声も魅力的だ。全6曲ながら、楽曲は7〜9分と長めで、
コケティッシュなフィメール・メランコリックロックがじっくり楽しめる。期待の新鋭です。
メロディック度・・7 プログレ度・・7 女性Vo度・・8 総合・・7.5
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Mothertongue 「Unsongs」
イギリスのアヴァンロックバンド、マザータンの2016年作
ノリのよいストレートなロックアンサンブルに、トランペットやサックスが鳴り響き、
キャッチーなコーラスなども加えて、エモーショナルなマスロックというサウンドを聴かせる。
曲によってはシンセアレンジを加えて、いくぶんプログレらしい展開力も覗かせつつ、
ブラス入りのアヴァンロックから、ヴァイオリンが入ったり、ジャズタッチや何故か日本語歌詞、
クラブノリのビート感など、一筋縄ではいかない面白さがある。ヘンテコだけどロックしている。
ドラマティック度・・7 プログレ度・・7 アヴァンギャル度・・7 総合・・7.5
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Tom Slatter 「Happy People」
イギリスのミュージシャン、トム・スラッターの2017年作
2013年にデビュー、本作は3作目。適度にハードなギターにシンセを重ね、
マイルドなヴォーカルを乗せて、モダンでキャッチーなサウンドを聴かせる。
メロディックなギターフレーズとともにシンセの重ねによるシンフォニック性と、
スタイリッシュな硬質感で、薄暗系のハードプログレとしても楽しめる。
楽曲そのものに、もう少しフックある展開や盛り上がりが欲しい気もするが、
ジャケのイメージほどサイバーな雰囲気もないので、わりと聴きやすい。
ドラマティック度・・7 プログレ度・・7 楽曲・・7 総合・・7
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Locanda Delle Fate 「Lucciole Per Sempre」
イタリアのプログレバンド、ロカンダ・デッレ・ファーテの2018年作
1977年作「妖精」は、繊細な叙情に包まれた名作として名高いが、本作は当時の発掘音源を含むCD+DVD。
7インチサイズの豪華仕様で、大型ブックレット付属。CDには、現メンバーによる新曲2曲を筆頭に、
1977年イタリア国営放送用のスタジオライブ音源、さらにはバンドのデビュー前、1974年の音源を収録。
新曲の方は、枯れた味わいのヴォーカルに優美なシンセと泣きのギターで、大人の叙情に包まれた聴き心地。
バンドのファンにもっとも嬉しいのが、77年のライブ音源だろう。名作「妖精」のナンバーを全盛期の演奏で楽しめる。
1974年の音源は、Gentle GiantPFMFormula Treのカヴァーで、原曲を尊重しつつもより優美な仕上がりで楽しめる。
DVDには、国営放送用ライブと新曲のPVを収録。映像は白黒ながら、バンドの当時の映像を見られるだけでもファン必携です。
叙情度・・9 貴重音源度・・9 貴重映像度・・10 総合・・8 過去作のレビューはこちら
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Ancient Veil 「I Am Changing」
イタリアのプログレバンド、エンシェント・ヴェイルの2017年作
ERIS PLUVIAのメンバーを中心にしたバンドで、本作は1995年以来、22年ぶりの復活作。
ムーグやオルガンなどヴィンテージなシンセにやわらかなフルートの音色、アコースティックを含むギターとともに、
ゆったりとした叙情美を描くシンフォニッロック。ゲストによるオーボエやヴァイオリン、クラシカルなピアノなどが
優雅にサウンドを彩り、アコースティックギターにマイルドなヴォーカルを乗せた繊細な味わいに包まれる。
女性ヴォーカルにストリングスを加えたナンバーなど、3〜5分前後の小曲主体で、あくまで優美な聴き心地。
濃密な派手さはないが、クラシカルでアコースティカル、中世古楽風の牧歌的なシンフォニックロックが耳に優しい。
クラシカル度・・8 プログレ度・・7 優雅度・・9 総合・・8
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Zuffanti 「In/Out」
イタリアのミュージシャン、ファビオ・ズファンティの2019年作
FINISTERRE、HOSTSONATEN、LA MASCHERA DI CERAなど、多くのバンドで活躍するイタプロ界の重鎮。
モダンなシンセの重ねに、イタリア語のジェントルなヴォーカルを乗せ、ポストプログレ寄りの薄暗さに
ギターを加えたロック感触に、ときにヴァイオリンも鳴り響く、スタイリッシュな優雅さに包まれたサウンド。
ROXY MUSICのようなポップなビート感とともに、いわばエレクトロとヴィンテージの同居した感触で、
アコースティックな小曲から、浮遊感あるモダンな歌ものまで、絶妙のセンスで聴かせる好作品。
ドラマティック度・・7 プログレ度・・7 スタイリッシュ度・・8 総合・・8 過去作のレビューはこちら
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THE LAST DETAIL 「At Last... The Tale and Other Stories」
オランダのプログレバンド、ラスト・ディティールの2019年作
元YWISのメンバーを中心に、1988年〜92年まで活動していたバンドの過去作を集めた2枚組作品。
Disc1には、1990年作「AT LAST... THE TALE」、1991年EP「THE WRONG CEMTURY」や、リレーコーディング音源を収録。
美麗なシンセにハード寄りのギター、伸びやかなヴォーカルを乗せた、ポンプロックルーツのシンフォニックロックで、
PALLASKAYAKなどにも通じるキャッチーな優雅さに包まれる。楽曲的に派手なインパクトはないが安心して楽しめる。
Disc2、1988年の自主デビュー作「THE SHILHOUETTE」、1989年作「WATERFORD」のオリジナルテープ音源を収録。
こちらは、いかにも80年代的なデジタルなビート感と、ポンプロック感触で、年代を感じさせるサウンドだ。
2CDで、合計150分という大ボリューム。知られざる幻のバンドの集大成ではあるが、さすがに聴くのが大変です。
メロディック度・・8 プログレ度・・7 優美度・・8 総合・・7.5
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Cromwell 「Black Chapter Red」
ドイツのプログレバンド、クロムウェルの2016年作
1997年以来となる、19年ぶりの復活作で、美しいシンセアレンジにハード寄りのギターを重ね、
マイルドなヴォーカルとともに、翳りを帯びた叙情性に包まれたシンフォニックロックを聴かせる。
ときにPENDRAGONばりの泣きのギターフレーズも覗かせつつ、TENのゲイリー・ヒューズを思わせる
味わいのあるヴォーカルとともに、ウェットな味わいのコンセプト的な大人のドラマ性を描いてゆく。
これという派手さはないが、メロウな美学を感じさせるスタイリッシュなハードシンフォが楽しめる力作です。
ドラマティック度・・8 プログレ度・・7 大人の叙情度・・8 総合・・7.5
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Malady 「Toinen Toista」
フィンランドのプログレバンド、マラディの2018年作
2015年にデビュー、本作は2作目。メロトロンやオルガンなどヴィンテージなシンセに叙情的なギターの旋律、
母国語によるジェントルなヴォーカルを乗せて、北欧らしい涼やかな土着性に包まれたサウンドを聴かせる。
ときにヴァイオリンなどのストリングスや、やわらかなフルートの音色も加わった優雅な耳心地で
濃密すぎない素朴さを含んだ、Kerrs Pinkあたりにも通じる幻想的なシンフォニックロックが楽しめる。
後半は23分におよぶ大曲で、メロウなギターにエレピやハモンドなどを乗せて、ゆったりと構築する。
派手さはあまりないが、優しい味わいの北欧プログレが好きな方にはお薦めの逸品です。
ドラマティック度・・8 プログレ度・・8 北欧度・・9 総合・・8
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Kathinka
ノルウェーのメロウロック、カティンカの2018年作
サイケロック的な浮遊感あるアンサンブルに、けだるげな女性ヴォーカルの歌声を乗せ、
北欧らしい涼やかな空気感に包まれた、メランコリックなサウンドを聴かせる。
ガレージロック的でもあるアナログ感に、うっすらとしたシンセアレンジが加わると、
プログレリスナーにも楽しめるドリーミーな味わいで、のんびりと鑑賞できる。
アシッドフォーク的な雰囲気もある、ゆったりキャッチーな女性声北欧ロックの逸品です。
夢見度・・8 プログレ度・・7 女性Vo度・・7 総合・・7.5
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The Guardian's Office
ノルウェーのプログレバンド、ガーディアンズ・オフィスの2002年作
いくぶんハード寄りのギターで、ブルージーな味わいのヴィンテージサウンドを描きつつ、
ピアノやオルガン、メロトロンを含むシンセに、随所にメロウなギターフレーズも覗かせて、
マイルドなヴォーカルとともに、北欧らしい涼やかでくぐもったような空気感に包まれる。
派手な展開というものはないので、いささか地味な感触ながら、ヴィンテージなシンセが耳心地よく、
まるで70年代北欧プログレの生き残りのような聴き心地で、ゆったりと牧歌的に楽しめる。
ドラマティック度・・7 プログレ度・・7 ヴィンテージ度・・8 総合・・7.5
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ProgAtom 「Spiral」
ノルウェーのプログレバンド、プログアトムの2018年作
2015年にデビュー、本作は2作目となる。アコースティックギターとフルートの音色によるイントロから、
母国語によるヴォーカルにメロウなギターを重ねた、涼やかなシンフォニックロックを展開。
ときに女性ヴォーカルも加わり、エレピやメロトロンを含む優美なシンセに叙情的なギターフレーズで
北欧らしい幻想的な空気を描き出す。一方では、キャッチーなヴィンテージロック的な味わいもあり、
かと思いきや、しっかりとプログレらしいシンセワークが現れるという、ツボの付き方も心憎い。
10分を超える大曲も優雅な構築力が光る。CDR仕様なのが惜しいが、北欧プログレ期待の逸材です。
ドラマティック度・・8 プログレ度・・8 北欧度・・9 総合・・8
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YNGVE GUDDAL & ROGER T. MATTE 「GENESIS FOR TWO GRAND PIANOS」
ノルウェーのピアニスト二人による、ジェネシスのカヴァー作品。2000年作
二台のグランドピアノで、GENESISの楽曲を演奏するというプロジェクト。
各曲の歌メロや主旋律も忠実にピアノで再現していて、「サルマシスの泉」や
「Can-Utility and the Coastliners」など、もともとの楽曲における優美なメロディもあって、
なんら違和感がない仕上がり。「静寂の嵐」収録の大曲「One For The Vine」など、
アレンジにはこれという意外性はないが、クラシカルで優雅なピアノ演奏が楽しめる。
クラシカル度・・8 プログレ度・・5 優美度・・8 総合・・7.5
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聴き逃していた過去作もレビュー (217)


LIFE IN DIGITAL 「Signs To The Far Side」
イギリスのプログレハード、ライフ・イン・デジタルの2019年作
Simon Collins、David Cross、David Jacksonらと共演、新たにGLASS HAMMERのシンガーとなったJohn Beagleyと、
BLUE SHIFTのRobin Schellのユニット。打ち込みを含んだきらびやかなシンセアレンジに
ハイトーンヴォーカルを乗せた、80年代のYESなどを思わせる、キャッチーなプログレハードサウンド。
のっけから22分という大曲であるが、なんとなく付け足したような長さなので、これはやりすぎか。
デジタルなポップ感に包まれながら、シンフォプログレ寄りのシンセアレンジも含めて、
確信犯的な80年代風味という点では、DOWNES BRAIDE ASSOCIATIONにも通じるだろう。
楽曲そのものにもっと爽快な抜けの良さが欲しい気もするが、あえてマイナー感を残しているような気も。
メロディック度・・8 プログレ度・・7 80年代風度・・8 総合・・8
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ABEL GANZ
イギリスのシンフォニックロック、アベル・ガンズの2014年作
1984年にデビュー、かつてはPALLASのアラン・リードが在籍したバンドとしても知られる。
2008年に15年ぶりの新作で復活し、本作はそれに続く6年ぶりのアルバム。
ストリングスにシンセを重ねたクラシカルなイントロ曲から、マイルドなヴォーカルを乗せ、
アコースティックギターにフルートなどの繊細な叙情とともに、英国らしい牧歌的な味わいと
ここぞと泣きのギターにオルガンを含むシンセで盛り上げつつ、23分という組曲を描いてゆく。
アルバム中盤は、女性声を乗せたアンビエントなナンバーやアコーディオを乗せたカントリー風から、
14分の大曲では、ブラスやピアノを加えた優雅なジャズタッチも覗かせる。全72分の大人の力作です。
ドラマティック度・・7 プログレ度・・7 優美度・・8 総合・・7.5 過去作のレビューはこちら
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AMERICAN TEARS 「WHITE FLAGS」
アメリカのプログレハード、アメリカン・ティアーズの2019年作
1974年にデビュー、1977年までに3作を残して消えるも、2018年になって、じつに41年ぶりとなる復活作を発表。
復活2作目となる本作も、シンセ、ベース、ドラムを一人でこなすマーク・マンゴールードのソロ的な作品となっている。
ムーグやオルガンを含むきらびやかなシンセに、自身のヴォーカルを乗せた、キャッチーなプログレハードで、
適度なノリの良さとともにヴィンテージロックの味わいでも楽しめる。ギターは使っていないことがハードさを抑えていて、
味わいのあるジェントルな歌声と、優美なシンセワークを引き立てている。9分の大曲などもオールドなロック感触で
80年代に回帰したような聴き心地。プログレというよりは、シンセ主体のヴィンテージロックというべき好作品。
メロディック度・・8 プログレ度・・7 ヴィンテージ度・・8 総合・・8 過去作のレビューはこちら
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Neal Morse 「Jesus Christ the Exorcist」
アメリカのミュージシャン、ニール・モーズの2019年作
敬虔なクリスチャンである彼らしい、キリストの人生を描いた、CD2枚組のロックオペラ。
テッド・レオナルド(Spock's Beard)、ニック・デヴァージリオ(Big Big Train)、ジェイク・リヴグレン(PROTO-KAW)、
マット・スミス(THEOCRACY)、ランディ・ジョージを含む、Neal Morseバンドの面々など、多数のゲストが参加、
美麗なシンセアレンジに配役ごとのヴォーカルを乗せ、いつものようにテクニカルかつ緩急ある展開力とともに
しっかりとプログレらしいサウンドを展開。ポートノイは不参加だが、エリック・ジレットはドラムも上手かったのね。
伸びやかな女性ヴォーカルを含む、各ヴォーカリストの表現力ある歌声に、混声コーラスなどが壮麗に華を添えつつ、
ときにTRANSATLANTICばりに壮大に盛り上げてゆく。クリスチャンでなくても十分楽しめるさすがの力作です。
ドラマティック度・・9 プログレ度・・8 壮大度・・9 総合・・8 過去作のレビューはこちら
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NAVIGATOR 「PHANTOM SHIPS」
アメリカのプログレバンド、ナヴィゲーターの2014年作
2002年にデビュー、本作は8年ぶりとなる3作目。のっけから17分という大曲で、
ほどよくハードなギターにオルガンやムーグを含シンセを重ね、ジェントルなヴォーカルを乗せて、
KANSASなどにも通じるキャッチーなプログレサウンドを聴かせる。メロディックなギターフレーズに
哀愁を含んだヴォーカルの歌声で雄大な叙情を描くところは、NEAL MORSEなどを思わせる雰囲気もあり、
全体的にスリリングな展開は希薄ながら、ゆったりとしたドラマ性とともにじわじわと盛り上げる。
GENESIS
ルーツの優美なナンバーも含め、プログレらしいロマンに包まれた全65分の力作です。
ドラマティック度・・8 プログレ度・・8 叙情度・・8 総合・・8
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MACHINES DREAM 「Revisionist History」
カナダのプログレバンド、マシンズ・ドリームの2018年作
2013年のテビュー作と、2014年作「Immunity」を、2CDに収録したカップリング再発盤。
Disc1「Immunity」は、のっけから25分という大曲で、美しいシンセアレンジにマイルドなヴォーカルを乗せ、
メロウな泣きのギターフレーズとともに、翳りを帯びた涼やかなシンフォニックロックを聴かせる。
随所にハードなギターがいくぶんメタリックな重厚さを感じさせるが、全体的には美麗なシンセが耳心地よい
ゆったりとした歌もの的な味わいで、派手な展開はさほどないが、じっくりとした味わいのドラマ性に包まれる。
Disc2のデビュー作も基本的には同路線。薄暗系のシンフォという点では、MARILLIONあたりのファンにも楽しめるかと。
ドラマティック度・・8 プログレ度・・7 薄暗叙情度・・8 総合・・7.5
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Amon Duul II 「Lemmingmania」
ドイツのサイケロック、アモン・デュール2の1975年作
1970〜72年のシングル曲8曲に、1972年作「Wolf City」からの2曲を加えたコンピアルバム。
シングルということで、3〜4分前後の小曲が主体で、アルバムに比べるとキャッチーなナンバーが多く、
サイケ初心者にも聴きやすいだろう。わりとロック寄りのギターに鳴り響くシンセ、牧歌的な歌声を乗せた
英国ロックをルーツにした素朴な叙情性や、レナーテ・クナウプの歌うナンバーでは、女性らしい妖しい雰囲気に包まれて
英国アシッドフォーク寄りの優美な味わいも覗かせる。サイケ感は控えめなので、物足りなさはあるが、これはこれで。
再発盤では1973年作「恍惚万歳」からの4曲が加わっていて、ポップなアレンジの楽曲は違和感なく溶け込んでいる。
ドラマティック度・・8 キャッチー度・・8 サイケ度・・7 総合・・7.5 過去作のレビューはこちら
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ELOY 「FLOATING」
ドイツのプログレバンド、エロイの1974年作
ジャーマンメタルのプロデューサーとしても知られるフランク・ボーネマン率いるバンドの3作目。
オルガンが鳴り響き、ツインギターに手数の多いドラムとともに、躍動的なアンサンブルで、
URIAH HEEPなど、ブリティッシュロックをルーツにしたサイケハード的なサウンドを聴かせる。
叙情的なギターフレーズに、やわらかなオルガンとマイルドなヴォーカルが浮遊感を描きつつ、
14分という大曲をじっくりと構築する。英国ルーツのオルガンロックとしても楽しめる、初期の傑作というべき一枚。
ドラマティック度・・8 プログレ度・・8 オルガン度・・8 総合・・8 過去作のレビューはこちら
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ELOY「VISIONARY」
ドイツのプログレバンド、エロイの2009年作
1971年のデビューのベテランで、本作は1998年以来11年ぶりとなる、通算17作目。
やわらかなギタートーンにうっすらとしたシンセ、マイルドなヴォーカルを乗せた
スペイシーな味わいのサウンドは、PINK FLOYDにも通じる叙情と浮遊感に包まれる。
わりとヴィンテージ寄りのシンセワークが、しっかりとプログレ感触を描いていて、
70年代ルーツの牧歌的な空気感を残しながら、それをシンフォニックに仕上げたという聴き心地。
女性コーラスを加えた優美さも覗かせて、ベテランらしい落ち着いた味わいと、コンセプト的でもある
スケール感に包まれて、じっくりと楽しめます。派手さはないものの、いかにもらしい復活作。
ドラマティック度・・7 プログレ度・・7 スケール度・・8 総合・・7.5
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Rousseau 「Flower in Asphalt」
ドイツのプログレバンド、ルソーの1980年作
美しいシンセにやわらかなフルートの音色が重なり、叙情的なギターとともに聴かせる、
繊細なシンフォニックロック。CAMEL風のサウンドながら、湿り気を帯びた幻想性と
ほどよくマイナーな香りに包まれたところが、良い意味での魅力となっている。
オールインストで、濃密になり過ぎない、盛り上がり過ぎないというのが、
耳心地のよさにもなっていて、優美なフルートの音色にはしばしばうっとりとなる。
ロマン派シンフォニックの好作品。バンドは1988年までに3作を残して解散、その後2002年に復活する。
シンフォニック度・・7 プログレ度・・7 優美度・・9 総合・・7.5
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SFF 「LIVE 1975」
ドイツのプログレバンド、SFFのライブ音源。2002年作
1976〜78年までに3作を残したバンドの、デビュー前の貴重なライブ音源がCD化された。
ドラム、シンセ、ベース&ギターで、全員がシンセを使えるという変則的なトリオ編成。
叙情的なギターにメロトロンやムーグを含むシンセを重ね、優雅で軽妙なインストサンドを聴かせる。
随所にツインシンセによるシンフォニックな耳心地で、トリオとは思えぬ厚みのあるサウンドで、
音質はややラウドながら、ライブらしい臨場感のあるダイナミックな演奏が楽しめる。
1st収録の曲名違いのナンバーを中心に、メロトロンがミステリアスに重なる未発曲なども魅力的。
ハイライトは27分におよぶ、のちの「Pictures」の原型となる大曲で、スリリングな構築力にしびれます。
ドイツ屈指のプログレバンドの巧みな演奏が満喫できる、ファンは必聴の音源であろう。
ライブ演奏・・8 プログレ度・・8 音質・・7 総合・・8 過去作のレビューはこちら
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Fuhrs & Frohling 「Ammerland」
ドイツのプログレバンド、フュアース・アンド・フローリングの1978年作
SFFのメンバー2人によるユニットで、やわらかなギターのつまびきにシンセを重ねた優美なサウンド。
ギターはアコースティックがメイン、ドラムレスなのでロック色はあまりないが、ムーグやメロトロンを含む
美麗なシンセワークはさすがのセンスで、しっとりとした牧歌性とクラシカルな味わいが楽しめる。
前半は小曲主体ながら、後半は14分近い大曲もあり、アコースティックな素朴さとプログレ的なシンセによる
心地よいコントラストで、優雅な叙情性に包まれる。フォークプログレ風にも楽しめる好作品である。
シンフォニック度・・7 プログレ度・・7 優雅度・・8 総合・・8
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RACHEL'S BIRTHDAY 「An Invitation To」
ドイツのプログレバンド、レイチェルズ・バースデイの1996年作
プログレとは思えないジャケやバンド名だが、サウンドはわりと本格派のシンフォニックロック。
オルガンを含むシンセに伸びやかなヴォーカルを乗せ、ポンプロックをルーツにしたキャッチーなサウンドは
シアトリカルな歌声も含めて、初期のMARILLIONIQあたりに通じる濃密な雰囲気もある。
25分におよぶ組曲では、随所に泣きのギターを乗せて、優雅な叙情性と演劇的なヴォーカルで、
ドラマティックな世界観を描いてゆく。ラストの大曲はポップなイントロから、優美なシンフォへと早変わり。
同じくドイツのCHANDELIERなどとともに、90年代シンフォプログレの隠れた逸品といえるだろう。
ドラマティック・・8 プログレ度・・7 ポンプ度・・9 総合・・7.5
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MARATHON 「FIRST RUN」
オランダのシンフォニックロック、マラソンの1994年作
美麗なシンセにメロディックなギターを重ね、典型的なポンプロックルーツのシンフォニックロックを聴かせる。
PENDRAGONのニック・バレットを思わせるヴォーカルに、泣きのギター、ほどよいハードさとキャッチーな抜けの良さ、
90年代的な爽快な叙情性に包まれており、雰囲気としてはPALLASあたりに近いものがある。
曲調はわりとストレートなので、プログレというには展開力はないのだが、とにかくメロウなギターフレーズと
やわらかなシンセが重なる耳心地の良さで、お約束の音ながら、これを嫌いなシンフォリスナーはいないだろう。
メロディック度・・8 プログレ度・・7 爽快度・・8 総合・・8
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ELEMENTS 「MONUMENT」
オランダのプログレバンド、エレメンツの2015年作
わりとハード寄りのギターにマイルドなヴォーカルを、うっすらとしたシンセが包み込む、
いくぶん翳りを帯びたシンフォニックロックを聴かせる。メロウなフレーズを奏でるギターと、
美麗なシンセワークは、PENDRAGONなど英国のシンフォ系バンドに通じる優美な感触で
これという意外性はないものの、じっくりと鑑賞できる。リズム面を含むバックの演奏は
やや平坦なので、楽曲そのものにもう少しドラマティックな展開力が欲しいか。
ドラマティック度・・7 プログレ度・・7 優美度・・8 総合・・7.5
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Jeremy 「Celestial City」
アメリカのミュージシャン、Jeremy Morrisによるソロユニット、1997年作
ギター、ペース、シンセ、ドラムを一人でこなす、80年代から活動するマルチミュージシシャン。
美麗なシンセにメロディックなギターフレーズを乗せた、優美なシンフォニックロックで、
メロウな叙情を奏でるギターのトーンは、GANDALFや、ときにSteve Hackettを思わせる。
ほぼ、インストがメインであるが、シンフォニックな音の広がりや、アコースティックパートを含む
繊細な耳心地で、10分、15分という大曲も幻想的な空気とともに、じっくりと聴き入れる。
全体的にスリリングな部分は少ないが、優雅な叙情美に溢れる全73分という力作です。
シンフォニック度・・8 プログレ度・・7 優美度・・9 総合・・8
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JEREMY 「KINGDOM COME」
アメリカのミュージシャン、Jeremy Morrisによる2002年作
すべてのパートを一人でこなす、まさにマルチミュージシャンで、アコースティックを含む
ギターワークに美しいシンセアレンジを重ね、やはりGANDALFにも通じるような、
ユートピア的な世界観に包まれた優雅なインストサウンドを描き出す。叙情的なギターの旋律に
シンフォニックなシンセがかぶさり、ゆったりとスペイシーな空間美が広がってゆくところは、
スピリチュアルなスケールの大きさも感じさせる。35分という大曲は、これという盛り上がりは薄く、
やや長尺感はあるのだが、アコギとシンセを重ねたラストナンバーなどは、ウットリとなる優美さだ。
シンフォニック度・・8 プログレ度・・7 優美度・・9 総合・・7.5
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6/19
梅雨のイタリアンプログレ(200)


ARTI & MESTIERI 「MURALES」
イタリアのジャズロック、アルティ・エ・メスティエリの2000年作
15年ぶりとなる復活作で、フリオ・キリコを筆頭に、ベッペ・クロヴェッラ、ジジ・ヴェネゴーニらオリジナルメンバーが集結。
ツインキーボードを含む編成で、ヴァイオリンが鳴り響き、軽妙なアンサンブルで叙情的なジャズロックを聴かせる。
大人の哀愁を含んだツインギターも流麗な味わいで、かつてのサウンドをそのままアダルトにしたような感触だ。
ヴァイオリンがメインのナンバーではクラシカルな優雅さが前に出てきて、アコースティックギターによる繊細な叙情に、
オルガンやエレピを含むシンセ、そして当然ながら、フリオ・キリコの軽快なドラムも相変わらず素晴らしい。
初期のころのような超絶な技巧は控えめながら、確かな演奏力で大人のジャズロックを描く。まさに充実の復活作だ。
テクニカル度・・7 優雅度・・9 大人の叙情度・・8 総合・・8 過去作のレビューはこちら
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ARTI & MESTIERI 「The Best of Italian Rock Vol.2」
イタリアのプログレジャズロック、アルティ・エ・メスティエリのライブ作。2015年作
2015年の来日公演のステージを2CDに収録。フリオ・キリコ、ジジ・ヴェネゴーニ、ペッペ・クロヴェッラ、
アルトゥーロ・ヴィターレの4人のオリジナルメンバーに、新規メンバーを加えた9人編成のステージで、
日本語によるフリオ・キリコの挨拶に続き、「ティルト」の全曲演奏を披露。ヴァイオリン、サックス、シンセが重なり、
手数の多いドラムにギターを乗せて、かつての名作が厚みのある演奏で蘇る。イアーノ・ニコロの味わいのある歌声に
ペッペの優美なシンセワーク、艶かなヴァイオリンが重なる叙情は、まさに往年のイタリアンロックの空気を描いている。
Disc2では、メル・コリンズも加わって、KING CRIMSON「Starless」のカヴァーを披露。イタリア語の味わいも良いですね。
その後は「明日へのワルツ」からのナンバーもたっぷり演奏。大人のアルティというべき優雅なアンサンブルが楽しめます。
ライブ演奏・・8 技巧度・・8 大人のアルティ度・・9 総合・・8
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MAD FELLAZ 「III」
イタリアのプログレバンド、マッド・フェラズの2019年作
2013年にデビュー、本作が3作目。オルガン、メロトロンを含むシンセにハード寄りのギターを重ね、
ヴィンテージなプログレ感触と、モダンなヘヴィネスが同居した、ハイブリッドなサウンドを聴かせる。
ヴォーカルは英語歌詞なので、イタリア臭さはあまりなく、叙情的なギターにピアノ、フルートなどを乗せた
ジャズロック的でもある優雅なアンサンブルは、The Tangentあたりに通じる部分もあるだろう。
アラン・ホールズワース的な流麗なギターととともに、カンタベリー風の軽妙な味わいも耳心地よく、
アコースティックな小曲から、オルガン鳴り響く70年代ハードロック風まで、多彩な引き出しとセンスに、
ひと筋縄ではいかない偏屈な知性も垣間見えて、これはなかなか玄人好みの逸品ですな。
ドラマティック度・・7 プログレ度・・8 優雅度・・9 総合・・8
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EVELINE'S DUST 「The Painkeeper」
イタリアのプログレバンド、エヴェリンズ・ダストの2016年作
2013年にデビュー、本作は2作目となる。若手の4人組で、オルガンを含むシンセにわりとハードなギターを重ね、
変則リズム入りの軽妙なアンサンブルと優雅なメロディアス性が同居した、スタイリッシュなサウンドを聴かせる。
英語によるジェントルなヴォーカルや、やわらかなエレピ、流麗なギターフレーズなど、キャッチーな抜けの良さと
緩急ある知的な構築力は、The Tangentなど英国系のスタイルに近い。ほどよいテクニカル性もありつ、
ゲストによる女性コーラスやサックスが鳴り響き、繊細なシンセワークとともにあくまでも優雅な耳心地で
派手なインパクトこそないが、全体としての完成度の高さが光る。今後に期待の新鋭バンドでしょう。
ドラマティック度・・7 プログレ度・・8 優雅度・・9 総合・・8
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EVELINE'S DUST 「k.」
イタリアのプログレバンド、エヴェリンズ・ダストの2019年作
3作目の本作は、オリジナルストーリーに基づいたコンセプト作品で、ほどよいハードさと軽妙なアンサンブルで、
スタイリッシュなプログレを聴かせるところは前作同様。エレピやムーグ、オルガンなどのヴィンテージなシンセと
随所にメロディックなギターを乗せて、カンタベリー的でもある優雅さに包まれた、シンフォニックロックが楽しめる。
ヴォーカルパートでのシリアスな味わいが強まったことで、ストーリー性のあるドラマティックな流れとともに、
テクニカルなインストパートの対比で、サウンドの奥行きがぐっと増した印象だ。女性ヴォーカルによる小曲も、
アルバムの中でアクセントになっており、若手らしい演奏力の高さと、泣きに走り過ぎないクールなセンスも絶妙だ。
ドラマティック度・・8 プログレ度・・8 優雅度・・9 総合・・8
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CANTINASOCIALE 「CAOSFERA」
イタリアのプログレバンド、カンティナソシアーレの2017年作
2001年にデビュー、本作は8年ぶりとなる3作目。アコースティックギターによる優美なイントロから、
どっしりとしたベースにハード寄りのツインギターとシンセを重ねた、わりとヘヴィなサウンドを展開。
ジャズロック的でもある優雅なインストのアンサンブルと、ハードシンフォニックが合わさったという感触で、
手数の多いドラムも含めて技巧的でスリリングな演奏が味わえる。ツインギターの叙情的なフレーズに
プログレらしいシンセも含みつつ、その辺のヴィンテージ系とは一線を画す本格派の硬質感に包まれていて、
シンフォ寄りであっても硬派な印象だ。オールインストで、媚びのないハードプログレの力作である。
ドラマティック度・・7 プログレ度・・8 イタリア度・・7 総合・・8
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MARYGOLD 「ONE LIGHT YEAR」
イタリアのプログレバンド、マリーゴールドの2017年作
メロディックなギターにオルガンを含むシンセ、ジェントルな味わいのヴォーカルで聴かせる、優雅なシンフォニックロック。
やわらかなピアノにゲストによる女性ヴォーカルも加わった繊細な叙情美とともに、濃密すぎない味わいでゆったりと構築してゆく。
英語歌詞なのでイタリア色はあまり強くなく、むしろ、BIG BIG TRAINなど近年の英国系バンドのようなキャッチーな優雅さに包まれ
メロウなギターの泣きの旋律にシンセが重なると、古き良きシンフォプログレの感触で、10分を超える大曲もゆったりと楽しめる。
バリトン寄りの野太いヴォーカルの声質はやや好みを分けるところだが、GENESISルーツの繊細な叙情美が楽しめる好作品です。
ドラマティック度・・7 プログレ度・・8 優美度・・9 総合・・8
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IL BACIO DELLA MEDUSA 「LIVE」
イタリアのハードプログレバンド、バシオ・デッラ・メデューサのライブ。2016年作
2008年にデビュー、女性フルート&サックス奏者を含む5人編成で、本作は2015年のライブを収録。
ブルージーなギターに、イタリア語によるパワフルなヴォーカル、ツーバスのドラムで聴かせる、
ハードロック寄りのアンサンブルに、優美なフルートにシンセが加わると、とたんにプログレらしくなる。
ドカドカと手数の多いドラムを中心にした勢いのある演奏で、ライブらしい生々しさとともに、
鳴り響くサックスにギターが重なり、厚みのあるサウンドは迫力十分。シンセはドラムが兼任していて、
左手でドラムを叩きながら右手でシンセを奏でるという離れ業も垣間見せる。これでもかとフルート鳴りまくりの、
イタリアらしい妖しいナンバーも魅力的。過去3作からまんべんなく12曲を披露した、全79分の濃密なライブだ。
ライブ演奏・・8 プログレ度・・7 濃密度・・8 総合・・8 過去作のレビューはこちら
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IL BALLO DELLE CASTAGNE 「Soundtrack for an Unreleased Herzog Movie」
イタリアのプログレユニット、バッロ・デッレ・カスターニュの2015年作
2009年にデビュー、本作は4作目。ドイツの映画監督ヴェルナー・ヘルツォークの未公開作のサントラをテーマにした作品で、
優雅なハープシコードの響きに女性コーラスを乗せ、曲名のようにPopol Vuhにも通じる妖しい1曲目から、
シタールやクラシックギターのつまびきに、スペイシーなムーグシンセを重ねた、異国的なサウンドが広がる。
曲によってはドラムやギターも入ったロック色もあり、イタリア語のヴォーカルに女性スキャットを重ねながら、
神秘的な世界観を描いてゆく。プログレ的な味わいも残しつつ、架空のサントラを描き出す幻想的な逸品です。
ドラマティック度・・7 プログレ度・・7 神秘的度・・8 総合・・7.5 過去作のレビューはこちら
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PROPHEXY 「Alconauta」
イタリアのプログレバンド、プロフェクシーの2008年作
変拍子たっぷりのリズムにメタル寄りのギターとシンセを重ね、イタリア語のヴォーカルを乗せた、
テクニカルなハードプログレを聴かせる。ときにフルートの音色やシアトリカルな歌声とともに、
イタリアらしい混沌とした雰囲気をかもしだし、ときにAREAのような濃密な味わいも感じさせる。
メロディックな感触は薄めながら、ときにフルートやアコースティックによる叙情性も覗かせつつ
アッパーにたたみかけるメタル・ジャズロックに、知的な屈折感のプログレが合わさったというべき力作である。
ドラマティック度・・7 プログレ度・・8 イタリア度・・8 総合・・8
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The RedZen 「Void」
イタリアのプログレバンド、レッドゼンの2011年作
THE WATCHの関連メンバーを中心にしたバンドで、きらびやかなシンセにギターを重ね
フュージョンがかった軽妙なアンサンブルで、叙情的かつテクニカルなサウンドを聴かせる。
ムーグやオルガンを使ったプログレらしいシンセワークに、メロディックなギターのセンスも良く、
ほぼオールインストであるが、ほどよくヴィンテージで優雅なフュージョン・プログレが楽しめる。
ゲストによるヴォーカルの入ったナンバーでは、わりとハード寄りのProgMetal的な感触も覗かせつつ、
個人的には、フュージョン路線よりも、アルバム後半のクラシカルなシンフォプログレ寄りのナンバーが気に入った。
ドラマティック度・・7 テクニカル度・・8 イタリア度・・7 総合・・7.5
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CHIAVE DI VOLTA 「Ritratto Libero」
イタリアのプログレバンド、キアヴ・ディ・ヴォルタの2004年作
やわらかなシンセワークにメロウなギターとイタリア語のマイルドなヴォーカルを乗せて、
しっとりと叙情豊かな、シンフォニックロックを聴かせる。リズムチェンジによる展開力も覗かせつつ、
あくまで優雅な繊細さに包まれたサウンドは、マイナーな翳りとともに日本人好みの幻想性を感じさせる。
ムーグを含むヴィンテージなシンセゆクラシカルなピアノ、ときにやわらかなフルートの音色も加えて、
10分を超える大曲も、ほどよくスリリングな空気感とともに、じっくりと優美に構築してゆく。
濃密さの点ではやや実の足りなさもあるが、優雅な叙情美に包まれたイタリアンシンフォの逸品です。
ドラマティック度・・8 プログレ度・・8 イタリア度・・9 総合・・7.5
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PROG EXHIBITION - 40 ANNI DI MUSICA IMMAGINIFICA
2010年にローマで開催された、イタリアンロック・フェスの模様を、7CD+4DVDに収録した、11枚組ボックス。2011年作
PFMBANCOOSANNAをはじめ、THE TRIP、Aldo Tagliapietra(LE ORME)、RACCOMANDATA RICEVUTA DI RITORNO
さらには、SINESTESIALA MASCHERA DI CERAPERIFERIA DEL MONDOなどの新鋭を含む全10バンドが参加。
Disc1は、シネステシアのダイナミックなプログレメタルから、トリップは、美麗なシンセとフリオ・キリコの巧みなドラムが素晴らしい。
Disc2は、ファビオ・ズッファンティ擁するマスケッラ・ディ・チェッラの見事なまでの懐古プログレっぷりにニンマリしつつ、
アルド・タグリアピエトラのバンドは、オルメのナンバーを主体に、デイヴィッド・クロスを迎えてKING CRIMSONのカヴァーも披露。
Disc3&4は、PFMのステージをたっぷりCD2枚に収録。イアン・アンダーソンを迎えてのJETHRO TULLのナンバーも含め、
大御所らしい優雅なアンサンブルでかつての名曲を再現してゆく。「LIVE IN ROMA」のタイトルで単体でも出ています。
Disc5は、ペリフェリア・デル・モンドのヴィンテージな濃密さに、RRRはクラウディオ・シモネッティがシンセを奏でるGOBLINメドレーや
タイス・ファン・レアーを迎えてFOCUSのナンバーも演奏。Disc6、ABASHは、女性ヴォーカルに美麗なシンセのハードプログレで、
オザンナはVDGGのデビッド・ジャクソンを迎えての編成で、ジャンニ・レオーネによる、IL BALLETTO DI BRONZOのナンバーも含め濃密なステージを展開。
Disc7は、故フランチェスコ・ジャコモの伸びやかな歌声で、バンコのステージをたっぷり。まさにイタリアンプログレ祭りというにふさわしいボックスである。
濃密ライブ度・・9 イタプロ祭り度・・10 DVDも必見度・・9 総合・・9
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PROG EXHIBITION 2 - IL FESTIVAL DELLA MUSICA IMMAGINIFICA
2011年に開催された、イタリアンロック・フェスの模様を2CDに収録。2012年作
ARTI & MESTIERIBALLETTO DI BRONZOUT NEW TROLLSGARIBALDIBIGLIETTO PER L'INFERNO
NEW GOBLINなど、11バンドのライブを2CDに収録。Disc1…OAKは、元JETHRO TULLのマーティン・アルコックを迎えて
叙情的なギターでフォーキーな味わいのハードプログレ。SAINT JUST AGAINは、ジェニー・ソレンティの美しい歌声にうっとりしつつ、
兄のアラン・ソレンティも加わり、プログレ寄りの妖しいフォークロックが素晴らしい。UT・ニュー・トロルスは優美なシンセと情熱的な歌声、
バレット・ディ・ブロンゾは、リチャード・シンクレアを迎え、CARAVANのナンバーも披露。アルティ・エ・メスティエリは、メル・コリンズを迎えて、
優雅で技巧的なジャズロックを聴かせる。Disc2…IL BACIO DELLA MEDUSAは、フルート鳴り響く牧歌的なイタリアンロックナンバー。
Vic Vegeat BANDは、大人のジャズロックで、メル・コリンズのサックスが鳴り響く。ガリバルディは、オルンガンとギターで渋めの哀愁に包まれ、
ビリエット・ペル・リンフェルノは、女性ヴォーカルをフロントにしたナンバーから、JETHRO TULLのマーティン・ヴァレを加えて「Aqualung」を披露。
ニユー・ゴブリンは、美麗なシンセによる「サスペリア2」から、スティーブ・ハケットが参加して、GENESISの名曲「Watcher of the Skies」で締めくくる。
今回はDVDはなしの2枚組ということで、各バンド数曲ずつと、フェスのダイジェスト的な内容になっているが、イタプロファンはぜひ。
濃密ライブ度・・8 イタプロ祭り度・・9 つまみ食い度・・8 総合・・8
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6/12
梅雨の英国プログレ(186)


David Cross 「Exiles」
イギリスのミュージシャン、デヴィッド・クロスの1997年作
KING CRIMSONに参加したヴァイオリン奏者として知られるミュージシャン、ソロとしての4作目。
ロバート・フリップ、ジョン・ウェットン、ピーター・ハミル、ポール・クラークなどのメンバーが参加、
モダンなシンセアレンジにロックなギターを重ね、艶やかなヴァイオリンが鳴り響くサウンドは、
キャッチーなスタイリッシュ性と、かつてのクリムゾン的な雰囲気が同居したという作風。
随所にメロディックなギターなど、自身のヴァイオリンのみではなく、楽曲性を重視した作風で、
いかにもクリムゾン風のナンバーをはさみながら、ファンの求めるスタイルで仕上げられた力作だ。
ドラマティック度・・7 プログレ度・・7 クリムゾン度・・8 総合・・8 過去作のレビューはこちら
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DAVID CROSS 「CROSSING THE TRACKS」
イギリスのミュージシャン、デヴィッド・クロスの2018年作
故Ofra Hazaをはじめ。元INVISIBLE LIMITSのMarion Kuchenmeister、ONE-EYED DOLLのKimberly Freeman、
PERSEFONEのSonja Kraushofer、元SKELETAL FAMILYのAnne-Marie Hurstといった女性シンガーを迎えての作品で、
アラビックな旋律を含む異国的なサウンドに、ヴァイオリンが鳴り響き、女性ヴォーカルを乗せて、ゆったりと優雅に聴かせる。
インスト曲と歌入りナンバーを交互に配していて、女性声の優美な歌声に、ヴァイオリンの旋律もじっくりと味わえて、
プログレ感触はあまりないものの、ときにゴシック風味も感じさせる耽美で幻想的な世界観がよいですね。
ドラマティック度・・7 プログレ度・・7 ヴァイオリン&女性声度・・8 総合・・7.5
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SEVENTH WAVE 「PSI-FI」
イギリスのプログレバンド、セヴンス・ウェイヴの1975年作
SECOND HANDのケン・エリオットとキーラン・オコナーによるユニットで、本作は2作目。
前作のキャッチーなシンフォニックロックから、よりスタイリッシュでポップな作風へと深化、
シンブルなリズムに、カラフルなシンセとキャッチーなヴォーカルメロディを乗せたサウンドで、
どこか確信犯的な色モノ感がある点では、ROXY MUSICあたりにも通じる感触がある。
よく聴けば、オルガンやムーグを使ったシンセアレンジにはプログレ感もしっかり残していて、
シンフォニックな音の重ねや、やわらかなビアノの旋律などにはクラシカルな美意識も感じられる。
いわばQUEENのような優雅なポップ性と、隠れプログレ要素が見え隠れするハイセンスな逸品。
メロディック度・・8 プログレ度・・7 優雅度・・9 総合・・8 過去作のレビューはこちら
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Rick Wakeman and The New English Rock Ensemble 「Out There」
イギリスのシンセ奏者、リック・ウェイクマンの2003年作
ヴォーカルはダミアン・ウィルソン、ベースにリー・ポメロイ、ドラムにトニー・フェルナンデスが参加しての、
バンド編成による作品で、きらびやかなシンセワークに適度にハードなギターを重ね、
スペイシーなスケール感に包まれたシンフォニックロックを聴かせる。組曲方式の1曲目の大曲から、
かつての「地底探検」などに通じる壮麗な作風が戻ってきていて、伸びやかなヴォーカルとともに、
ドラマティックに盛り上げる。歌入りパートではわりとキャッチーなプログレハード風の感触であるが、
オルガンやピアノを含む、ウェイクマン先生のほどよくヴィンテージなシンセがたっぷりと楽しめる。
シンフォニック度・・8 プログレ度・・7 壮大度・・9 総合・・8 過去作のレビューはこちら
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JADIS 「More Than Meets the Eye 25」
イギリスのシンフォニックロック、ジャディスの2017年作
デビュー作にして傑作と名高い、1992年作を25周年記念として新規リミックス、ボーナスDiscを付けたスペシャルエディション。
ゲイリー・チャンドラーの奏でる流麗なギターメロディに、元IQのマーティン・オーフォードの美麗なシンセ重ね、
キャッチーで抜けの良い爽快なシンフォニックロックを聴かせる。Steve Hackettをよりきらびやかにしたという感じもあり、
ややクドいながらもメロウなギターフレーズは、ポンプロック以降の濃密な味わいで、シンフォ好きにはたまらないだろう。
よりクリアになった音質で、今聴いても古臭さは感じさせない。優雅でメロディックなギター主導の英国シンフォの逸品である。
ボーナスDiscには、アコースティックバージョン、1993年のライブ音源、未発曲、デモなど貴重音源8曲を収録。
メロディック度・・8 プログレ度・・7 優美度・・9 総合・・8 過去作のレビューはこちら
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THE BLACKHEART ORCHESTRA「MESMERANTO」
イギリスの男女ユニット、ブラックハート・オーケストラの2019年作
男女2人組のユニットで、2017年にデビュー。本作は2作目で、コケティッシュな女性ヴォーカルの歌声に、
ピアノやシンセによるアレンジで、しっとりと優雅に聴かせる、アンビエントなポップサウンド。
いくぶん舌足らずの、チリシー嬢の歌声は可憐に美しく、女性声フリークは萌えキュン必至。
80年代風味のデジタルなビート感覚や、KATE BUSHなどにも通じるエキセントリックな幻想性も
確信犯的に取り入れつつ、ほのかにプログレ寄りのセンスも覗かせるところは心憎い。
キュートな歌声にウットリしつつ、英国らしさも感じさせるストレンジな女性声ポップの好作品。
ドラマティック度・・7 プログレ度・・5 女性Vo度・・9 総合・・8
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BLACKFIELD「V」
イギリスのポストプログレ、ブラックフィールドの2017年作
Porcupine Treeのスティーブン・ウイルソンとイスラエル出身のミュージシャン、アビブ・ゲフィンによるユニット。
ストリングスによる優美なイントロ曲から、うるさすぎないギターとシンセにマイルドなヴォーカルを乗せた、
MARILLIONにも通じる翳りを帯びた叙情サウンドを聴かせる。楽曲は3〜4分前後でシンプルながら、
美しいシンセアレンジにメロウなギターの旋律とともに、ほどよくキャッチーなメロディのフックも覗かせて、
単なる歌ものという以上にシンフォニックロックとしての味わいでも楽しめる。ときに女性ヴォーカルも加わって
優美な雰囲気に包まれながら、ゆったりとした繊細さとモダンなスタイリッシュ性が同居した好作品だ。
メロディック度・・8 プログレ度・・7 叙情度・・9 総合・・8 過去作のレビューはこちら
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PLENTY 「IT COULD BE HOME」
イギリスのポストプログレ、プレンティの2018年作
NO-MAN、HENRY FOOLなどで活動する、ティム・ボウネスが80年代に在籍していたバンド、
1990年のカセットEP以来となる復活作。打ち込みとシーケンサーによるリズムにうっすらとしたシンセ、
マイルドなヴォーカルを乗せたやわらかなサウンドで、どこか80年代的なデジタル感がなつかしい。
シンプルなリズムにクリアなギターとシンセを重ねた、キャッチーなノリのポップ感触とともに、
繊細な叙情が合わさった耳心地の良さに包まれる。これという新鮮味はないのだが、
ROXY MUSICがポストプログレ寄りになったような感じもある、マイルドなポップ性が楽しめます。
キャッチー度・・8 プログレ度・・6 繊細度・・8 総合・・7.5
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IAIN JENNINGS 「My Dark Surprise」
イギリスのミュージシャン、イアン・ジェニングスの2013年作
Breathing Space、Mostly Autumnのシンセ奏者でもある。美麗なシンセワークにマイルドなヴォーカル、
ほどよくハードなギターを重ねて、翳りを帯びた叙情のモダンなシンフォニックロックを聴かせる。
コンセプト的なドラマ性で流れのある構成になっていて、歌ものナンバーを主体にしつつ、
きらびやかなシンセにポップなビート感が同居し、サックスが鳴り響く大人の優雅さも覗かせる。
全体的にこれというインパクトは薄いのだが、しっとりとした繊細なポストプログレ風味も含んだ好作品。
ドラマティック度・・7 プログレ度・・7 スタイリッシュ度・・8 総合・・7.5
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The Curator 「Inside The Whale」
イギリスのミュージシャン、アリスター・マーフィによるソロプロジェクト、キュレイターの2013年作
NO-MANやJudy Dybleとの共演で知られるミュージシャン。2009年作「SOMETIME SOON」は素晴らしい出来だったが、
それに続く今作は、ドラムにパット・マステロット、ベースにマーク・フレッチャー(Judy Dyble)が参加、
のっけから20分という組曲で幕を開ける。ストリングス隊による壮麗なバックに、マイルドなヴォーカルを乗せて、
ギターやシンセ、クラシカルなピアノとともに、シンフォニックなポストプログレという、優美なサウンドを構築する。
ほどよくプログレ感のあるシンセアレンジや、女性ヴォーカルをメインにした艶めいたナンバーなども魅力的で
どくとなく初期のクリムゾンにも通じる、英国フォークルーツの叙情性も感じさせる。優雅で繊細なる逸品です。
シンフォニック度・・8 プログレ度・・7 優美度・・9 総合・・8
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HATS OFF GENTLEMEN IT'S ADEQUATE 「When the Kill Code Fails」
イギリスのポストプログレ、ハッツ・オフ・ジェントルマン・イッツ・アデカートの2015年作
マルチプレイヤーのマルコム・ギャロウェイを中心に、2012年にデビュー、本作は2作目となる。
人工知能をテーマにしたコンセプトアルバムで、うっすらとしたシンセにギターを重ね、
マイルドなヴォーカルとともに、翳りを帯びたモダンなメロディックロックを聴かせる。
エレクトロなシンセアレンジも覗かせつつ、フルートが鳴り響くヴィンテージな味わいもあったりと、
派手さはないものの、じっくりと世界観を構築している。あとはもう少しドラマティックな展開があれば。
ドラマティック度・・7 プログレ度・・7 モダン度・・8 総合・・7.5
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CHRIS LEA 「Dr Syn & the Scarecrow」
イギリスのミュージシャン、クリス・リーの2015年作
ラッセル・ソーンダイクの小説「かかし(まぼろし密輸団)」をコンセプトにした、CD2枚組のフォークロックオペラ。
アコースティックギターやマンドリン、バンジョーの牧歌的な音色に、男女ヴォーカルの歌声を乗せ、
やわらかなフルートも加わった、英国らしいフォークロックサウンド。随所に物語を語るナレーションも入りつつ、
うっすらとしたシンセアレンジにピアノ、ドラムも入ったロック色があるので、プログレリスナーにも普通に聴きやすく、
女性声がメインのナンバーは、優美な叙情性でしっとりと味わえる。CD2枚、120分におよぶ大作なので、
フォークが苦手な方にはさすがに長尺感はあるが、牧歌的な英国サウンドが演劇仕立てで鑑賞できる力作だ。
ドラマティック度・・8 プログレ度・・7 英国度・・8 総合・・7.5
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Magna Carta 「The Fields of Eden」
イギリスのフォークロック、マグナ・カルタの2015年作
1969年デビューのベテラン。スタジオ作としては9年ぶりとなる。アコースティックギターにマンドリン、
バンジョーなどの素朴なつまびきに、ヴァイオリンの音色が鳴り、枯れた味わいのヴォーカルを乗せた
カントリー風のフォークロックを聴かせる。16分という大曲では、繊細なピアノにヴァイオリンを重ねた優雅さと、
アコースティックギターに語りのようなジェントルな歌声で、ジャケのイメージのような英国の古き良き田園風景を
じっくりと描き出すかのようだ。派手さは皆無だが牧歌的な大人の味わいに包まれた、素朴なフォークサウンドです。
アコースティック度・・8 英国度・・8 素朴度・・8 総合・・7
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Magna Carta 「Las Tierras Del Viento」
イギリスのフォークロック、マグナ・カルタの1995年作
1983年作「Sweet Deceiver」と、1988年作「One To One(Northlands)」をカップリングした2CD。
1969年デビューのベテラン。初期の頃は英国らしい牧歌的なフォークロックサウンドであったが、
80年代の作品は、ギターとシンセを乗せたロック的なビートに、マイルドなヴォーカルで聴かせる、
キャッチーなポップ性に包まれた聴き心地。繊細なピアノの音色や、女性ヴォーカルを加えての
優雅な叙情も覗かせつつ、牧歌的なアコースティックナンバーでは英国フォークルーツの名残も感じさせる。
1988年作は、女性ヴォーカルがフロントをとる曲が増えて、男女Voにアコースティックギター、シンセを加えた
やわらかなフォークロック色と、ほどよいポップな味わいで、ゆったりと楽しめます。
アコースティック度・・7 英国フォーク度・・7 叙情度・・8 総合・・7.5

Crippled Black Phoenix 「Night Raider」
イギリスのプログレ・ドゥームロック、クリップルド・ブラック・フェニックスの2011年作
2007年にデビュー、本作は2009年に2枚組で発表された作品を、単体としてリマスター再発したもの。
語りによるSEではじまり、アナログ感あるアンサンブルにうっすらとしたシンセを重ね、薄暗い翳りに包まれた
ドゥーム感触のヴィンテージロックを聴かせる。ブルージーなギターにプログレ寄りのシンセワークで、
サイケな浮遊感をかもしだしつつ、じわじわと盛り上げてゆく様は、ダークなポストロックというところもある。
オルガンやメロトロン、ムーグシンセのオールドな味わいとともに、サイケなプログレドゥームに浸れます。
ドラマティック度・・7 プログレ度・・7 サイケドゥーム度・・8 総合・・7.5 過去作のレビューはこちら
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HAZE 「30TH ANNIVERSARY SHOWS」
イギリスのプログレバンド、ヘイズのライブ。2008年作
80年代から活動するバンドで、2004年に結成20周年のライブで復活、本作は30周年記念のライブを2CDに収録。
女性フルート奏者を含む5人編成のステージで、いくぶんハードなギターを乗せたオールドなロック感触に、
ときにRUSHECHOLYNなどにも通じるような、キャッチーで軽快なアンサンブルを聴かせる。
フルートの音色に叙情的なギターの旋律を重ねた、シンフォニックなテイストも随所に覗かせつつ、
どこか煮え切らないマイナー臭さに包まれているのも、かれらがPLLASのようにはなれなかった所以だろう。
Disc2では、Jethro Tullを思わせるような土着的なメロディも出てきたりして、わりととりとめがない。
嫌いではないのだが、2CDでトータル130分以上という長丁場で、さすがに途中で聴くのに疲れてきます。
ライブ演奏・・7 プログレ度・・7 楽曲・・7 総合・・7



5/29
涼やかなる北欧の風(170)
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Varttina 「Viena」
フィンランドのトラッドポップバンド、ヴァルティナの2015年作
1987年にデビュー、6作目「KOKKO」以降は、トラッドとキャッチーなポップ性を切妙に融合させたスタイルで、
北欧トラッドの域を超えた素晴らしい作品を作り続けている。本作は12作目で、アコースティックギターのつまびきに、
3人の女性ヴォーカルが母国語の歌声を重ね、カンテレやアコーディオンも加わって、叙情的なサウンドを聴かせる。
艶やかなフィドルを乗せた愉快でキャッチーなナンバーや、マンドリン、ブズーキの素朴な音色で聴かせる、
哀愁を感じさせるスローナンバーなども味わい深い。以前に比べると落ち着いた曲調で、さほど派手さはないが、
涼やかな北欧トラッドを楽し気に聴かせるサウンドはそのままで、有機的な3人の声の重なりはこれぞヴァルティナである。
アコースティック度・・9 北欧トラッ度・・9 女性Vo度・・8 総合・・8 過去作のレビューはこちら
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Triakel
スウェーデンのトラッドバンド、トリアケルの1998年作
Garmarnaのエマ・ハルデリンを擁するトリオバンドで、艶やかなフィドルの響きに
ハーモニウム(リードオルガン)が絡み、母国語の美しい女性ヴォーカルで涼やかなサウンドを描く。
フィドルの奏でる北欧らしい土着的メロディに、ハーモニウムが素朴な優雅さをかもしだし、
エマ嬢の伸びやかな歌声がやわらかに重なる。トリオによるシンプルな音数ながらも、
すべてが素朴な北欧の空気をかもしだしていて、ゆったりと味わい深く聴き入れる。
表現力ある素晴らしいヴォーカルとともに、涼し気な北欧の風が感じられる逸品です。
アコースティック度・・9 北欧トラッ度・・9 女性Vo度・・8 総合・・8
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Triakel 「Sanger Fran 63゜ N」
スウェーデンのトラッドバンド、トリアケルの2004年作
3作目となる本作は、フィドルが鳴り響き、母国語の女性ヴォーカルを乗せたシンプルなスタイルで、
北欧らしさを残しつつも、コンテンポラリーにソフィスティケートされたようなスタイリッシュな味わい。
涼やかな土着性も含みつつ、今作は暖かみのある牧歌的なナンバーが多いので、聴きやすい反面、
濃密な北欧トラッド感はやや薄まったか。エマさんの歌声にもどこか母性的なおおらかさを感じます。
アコースティック度・・9 北欧トラッ度・・8 女性Vo度・・8 総合・・7.5
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GROUPA 「Lavalek」
スウェーデンのトラッドバンド、グルーパの1999年作
80年代から活動するバンドで、艶やかなヴァイオリンの音色にパーカッションのリズム、
やわらかなフルートの音色を重ねた、優雅なトラッドサウンド。インスト曲を主体にしつつ、
ソロとしても活躍する、ソフィア・カールソンの歌声も加わると、素朴な土着性の中に、
キャッチーな部分が同居する。アルバム後半では、ピアノやオルガンなどの
シンセも加わった、ラジカルトラッド的な味わいも覗かせ、先鋭的なアレンジセンスも楽しめる。
アコースティック度・・9 北欧トラッ度・・8 女性Vo度・・7 総合・・7.5
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GROUPA 「fjalar」
スウェーデンのトラッドバンド、グルーパの2002年作
フルートとヴァイオリンにピアノが絡み、母国語の女性ヴォーカルを乗せた優雅なアンサンブルで
軽妙なトラッドサウンドを聴かせる。技巧的なインストパートは、Vasenなどにも通じる感触もあって、
ときにジャズタッチのピアノパートなども含め、土着的になりすぎない、軽やかな耳心地が特徴だろう。
個人的には、女性声入りの曲がもっとあればと思うが、パーカッションのリズムに乗るヴァイオリンも、
確かな演奏力で説得力は十分。アーティスティックなコンテンポラリー・トラッドの好作です。
アコースティック度・・9 北欧トラッ度・・8 女性Vo度・・7 総合・・7.5
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Vilvla 「Boot」
スウェーデンのトラッドユニット、ヴィルヴラの1999年作
HEDNINGARNA、SWAPのメンバーを含むユニット、3人のダンサーを含む編成で
パーカッションのリズムにヴィオラ・ダ・モーレの艶やかな音色と、マンドーラの旋律を重ねた、
躍動的なアンサンブルで、伝統的な北欧トラッドのポルスカを舞踏曲に仕立てている。
低音の効いたパーカッションの迫力あるリズムが、シリアスなビート感を作り出し、
ブズーキやヴィオラの旋律が土着的に奏でられる。トリオによるシンプルな音数ながら、
ヘドニンガルナのような革新的な力強さに包まれた、北欧トラッドの新たな息吹を感じる。
アコースティック度・・9 北欧トラッ度・・8 躍動度・・9 総合・・8
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Cecilia Osterholm & Kerstin Andersson
「Zeke」
スウェーデンのトラッドユニット、セシリア&シェスティンの2000年作
2人の女性ニッケルハルパ奏者のユニットで、フィドルとはまた違った素朴な味わいの
ニッケルハルパ(鍵盤付きヴァイオリン)の音色を重ねた、シンプルなトラッドを演奏する。
カタカタという鍵盤をタッチする音までも収録されているのが、アナログ的な味わいになっていて、
艶やかな音色とともに聴いているうちに、このスウェーデンの伝統楽器にゆったりと親しめる。
個人的には、ここに女性ヴォーカルを入れてくれた方がさらに聴き心地はよいと思うのだが、
ニッケルハルパにこだわるスタイルは、女性アーティストながら硬派な真面目さを感じさせる。
アコースティック度・・9 北欧トラッ度・・9 素朴度・・9 総合・・7.5
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Carola Haggkvist 「Sov Pa Min Arm」
スウェーデンの女性シンガー、キャローラ・ヘグクヴィストの2001年作
アコースティックギターのつまびきに、チェロやヴィオラの物悲しい旋律、
母国語による美しい女性ヴォーカルを乗せた、しっとりとしたサウンド。
北欧トラッドの感触をベースに、ピアノやシンセによるアレンジを加えた、
コンテンポラリーなスタイルで、「ブラームスの子守歌」を取り上げるなど、
ほどよくキャッチーな心地よさとともに、彼女の類まれな美声が楽しめる。
曲によってはポップ寄りではあるが、北欧らしい涼やかさも残した聴き心地だ。
アコースティック度・・7 北欧トラッ度・・7 女性Vo度・・9 総合・・7.5
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Ancient Bear Cult 「Sounds from the Past」
フィンランドのトラッドバンド、エンシェント・ビアー・カルトの2008年作
TARUJEN SAARIのメンバーを含むバンドで、シタールやリュート、ムーン・ギターの素朴な音色に、
やわらかなフルートやホイッスル、母国語の女性ヴォーカルとともに、素朴なトラッド・フォークを聴かせる。
ブズーキやカンテレ、ハーディ・ガーディなどの古楽器に、優美なハープも鳴り響く、優しい神秘性は
いにしえの北欧の大地を思わせるような雰囲気だ。インストによるシンプルな音数の曲も悪くないが、
アルバム後半、男女ヴォーカルを乗せた8分の大曲では、妖しげな土着性に包まれたディープな味わいで楽しめる。
アコースティック度・・9 北欧トラッ度・・8 神秘度・・8 総合・・7.5
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Ancient Bear Cult 「Lullamoinen」
フィンランドのトラッドバンド、エンシェント・ビアー・カルトの2011年作
2作目の本作も、ハーディ・ガーディやブルーキの素朴な音色に、土着的なパーカッション、
フルート、ホイッスルの音色を乗せた、アコースティックなトラッドサウンドを聴かせる。
母国語による美しい女性ヴォーカルが加わると、メディーヴァルな幻想性に包まれるが、
一方では、シタールとパーカッションによるインスト曲などにはサイケなユルさもあったりと、
派手さはないのになかなか面白い。涼やかな北欧の土着的な空気が楽しめる異色作。
アコースティック度・・9 北欧トラッ度・・8 神秘度・・8 総合・・7.5
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Teija Niku 「Finsko Pajdusko」
フィンランドのアコーディオン奏者、テイア・ニクの2011年作
やわらかなアコーディオンの音色を、コントラバスのリズムに乗せ、
アコースティックギターにヴァイオリンも加えた、軽やかなアンサンブルを聴かせる。
艶やかなヴァイオリンが鳴り響くポルカ調から、素朴なマンドリンによるカントリー風、
北欧トラッド的な涼やかなナンバーや、ときにフォルクローレ的な哀愁の旋律も覗かせつつ、
あくまで優雅な感触でアコーディオンの魅力がたっぷり味わえる。女性Vo入りのラスト曲もよいですね。
アコースティック度・・9 北欧度・・7 アコーディオン度・・8 総合・・7.5
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Wimme 「Gierran」
フィンランドのミュージシャン、ウィメ・サーリの1997年作
ヨイクの歌い手であり、伝統的なトラッドを新たな解釈で表現するアーティスト。
シーケンサー的なデジタルなシンセの重ねに、ラップのようなリズムでヨイクの歌声を乗せ、
エレクトロに仕立てた異色の北欧トラッドを聴かせる。デジタルで表現されたパーカッションや
ホイッスルの音色なども違和感なく融合していて、まさに伝統を革新的に表現したという作風だ。
土着的な歌声とモダンなシンセがミスマッチな怪しさとアヴァンギャルドな雰囲気に包まれる。
これもまたひとつの、進化した北欧ラジカルトラッドの、その新たな形というべきだろう。
アコースティック度・・3 デジタル度・・8 北欧トラッ度・・7 総合・・7
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EIVOR PALSDOTTIR「MANNABARN/Human Child」
フェロー諸島出身の女性シンガー、アイヴォール・ポルスドッティルの2007年作
2000年にデビュー、フェロー諸島の伝統的なトラッドを現代的に蘇らせるシンガーで、本作は4作目となる。
ギターやドラムの入ったバンド編成のサウンドで、彼女の伸びやかな母国語の歌声を乗せた、
トラディショナルとポップ性を融合したサウンド。ヴァイオリンやブズーキ、フルートにアコースティックギターなど
トラッド的な素朴な土着性を含ませつつ、それをコンテンホラリーに仕上げという作風で、ポップ過ぎないところがよい。
ときにハスキーに、そして情感的に歌い上げるヴォーカルの表現力も際立っていて、マイナーな辺境性は感じさせない。
北欧の涼やかな空気に実力ある歌声を乗せて、スタイリッュなサウンドに仕上げたという好作品です。
ドラマティック度・・7 トラッ度・・7 女性Vo度・・8 総合・・8 過去作のレビューはこちら
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Sinikka 「Har Du Lyttet Til Elvene Om Natta?」
ノルウェーの女性シンガー/カンテレ奏者、シニカ・ランゲランドの1995年作
繊細なカンテレの音色に、母国語による美しい女性ヴォーカル、アコースティックギターにサックスなどを加えた、
優雅でコンテンポラリーなトラッドサウンドを聴かせる。ハープのように美しいカンテレのつまびきと、
ヴォーカリストとしても巧みな表現力で、シンプルな音数ながら、しっとりとした優美な耳心地に浸れる。
コントラバスによるジャズタッチのグルーブ感や、素朴なリコーダーなどのフォーク要素も含みながら、
カンテレの音色が優しい透明感を描いてゆく。魅力的な女性声とカンテレの響きが楽しめる逸品です。
アコースティック度・・9 優美度・・8 女性Vo度・・8 総合・・8
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Sinikka「Lille Rosa」
ノルウェーの女性シンガー/カンテレ奏者、シニカ・ランゲランドの2000年作
4作目のソロアルバムで、ハープのように優美なカンテレの音色に、やわらかな女性ヴォーカルで、
しっとりとしたアコースティックサウンドを聴かせる。陽だまりのような母性を感じる優しい歌声には、
涼やかな北欧の空気と土着性も感じさせ、歌のみのパートでも、その表現豊かな歌唱に聴き入れる。
曲によっては美しいカンテレの響きが物悲しい叙情にもなり、情感的なヴォーカルとともに聴き手に突き刺さる。
ほぼ歌とカンテレのみのミニマムな音数ながら、直接的に心の内に響いてくるような傑作です。
アコースティック度・・9 優美度・・8 女性Vo度・・9 総合・・8
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Sinikka Langeland 「Starflowers」
ノルウェーのシンガー/カンテレ奏者、シニカ・ランゲランドの2007年作
本作は、トランペット、サックス、ウッドベース、パーカッション奏者を迎えての作品。
素朴なカンテレの音色に、サックス、トランペットが重なり、ベースとパーカッションとともに
ジャズとトラッドの融合したような優雅なアンサンブルを形成。シニカの美しい歌声が、
北欧の涼やかな空気を描き出しつつ、ときにフリーキーな管楽器の響きやドラムとともに、
チェンバーロック的なスリリングな部分も覗かせる。女性声の出番が減ったのは痛し痒しだが、
カンテレ入りのトラッド・ジャズというべき新たな方向性を生み出した、全71分という力作だ。
アコースティック度・・9 スリリング度・・8 女性Vo度・・8 総合・・8
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Unni Boksasp「Songar Fra Havdal」
ノルウェーの女性シンガー、ウーニ・ボクサスプの2007年作
艶やかなフィドルの音色をコントラバスに乗せ、母国語の女性ヴォーカルで聴かせる、
素朴な北欧トラッド。二本のフィドルの旋律を重なると、涼やかな土着性に包まれて、
母性的な歌声とともに、北欧の大自然を思わせるような世界観が広がってゆく。
ツィター、ライアーなどの弦楽器による素朴な味わいも含めて、シンプルなアレンジで
伝統的な北欧トラッドを再構築している。派手さはないが、じっくりと浸れる好作品。
アコースティック度・・9 北欧トラッ度・・8 女性Vo度・・8 総合・・7.5
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5/16
北欧と南米と(153)


All Traps On Earth 「A Drop Of Light」
スウェーデンのプログレバンド、オール・トラップス・オン・アースの2018年作
ANGLAGARDのメンバーを中心にしたバンドで、メロトロンやムーグ、オルガンといったヴィンテージなシンセに
やわらかなフルートの音色、妖しい女性ヴォーカルを乗せて、北欧らしい翳りを帯びたプログレサウンドを展開。
ハードなギターにサックスやトランペットが鳴り響き、クリムゾンを思わせるスリリングなアンサンブルとともに、
ときにチェンバーロック的なシリアスなクラシカル性も感じさせる。10分を超える大曲4曲を中心にした構成で、
優美なピアノやフルートなどの涼やかな叙情美を内包した、静と動の緩急ある展開力も素晴らしい。
まさに、かつてのアングラガルドを神秘的に深化させたような作品だ。あらたな傑作の誕生である。
ドラマティック度・・9 プログレ度・・8 アングラガル度・・9 総合・・8.5
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In These Murky Waters
スウェーデンのプログレユニット、イン・ズイーズ・マーキー・ウォータースの2019年作
ANGLAGARDNecromonkeyなどで活躍するマティアス・オルソンと女性シンガーによるユニットで、
うっすらとメロトロンが鳴り響き、女性ヴォーカルのアンニュイな歌声を乗せた、浮遊感に包まれたサウンド。
テープのノイズなどを含んだアナログ的な懐古主義が、はかなくも懐かしいような世界観を描いていて、
曲調はわりとシンプルなので難解さはまったくない。曲によってはポップな感触やジャズタッチのアレンジ、
エレクトロな要素なども覗かせつつ、あくまでドリーミーで物憂げな空気感で、繊細な音の重ねにゆったりと浸れる。
薄暗系のコケティッシッュな歌ものポストプログレとしても楽しめる逸品です。
ドラマティック度・・7 プログレ度・・7 儚げ度・・8 総合・・7.5
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ALWANZATAR 「Helsfyr Terminal Ekspress」
ノルウェーのエレクトロ・プログレ、アルワンザターの2019年作
TUSMORKEのKristoffer Momrakによるソロプロジェクトの3作目で、エレクトロなシンセをメインに、
スペイシーで妖しげなインストサウンドを描く。今作では随所にフルートが鳴り響いて、
サイケな浮遊感の中にも、北欧らしい涼やかな叙情性を覗かせる。ロック要素は薄いものの、
シーケーサー的なリフレインによるデジタルトなトリップ感と、アナログなフルートの音色が、
よいあんばいでコントラストになっていて、ゆったりと耳心地よく鑑賞できる。
ドラマティック度・・7 プログレ度・・7 浮遊感・・8 総合・・7.5 過去作のレビューはこちら
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Telepath 「Mental Mutations」
ノルウェーのプログレユニット、テレパストの2019年作
White WillowThe Opium Cartelなどで活動するミュージシャン、Jacob Holm-Lupoによるプロジェクトで、
ヴィンテージなシンセの音色にメタル寄りのギターを重ねた、インストをメインにしたハードプログレサウンド。
いくぶん様式美テイストのギターフレーズを乗せて疾走する部分などは、メタル系ギタリストのソロ作のようだが、
リズムは打ち込みなので、エレクトロなシンセアレンジと相まって、確信犯的なローカルなレトロさも匂わせる。
シンセをメインにした小曲や、オルガンやムーグが鳴り響く妖しげなドゥームロック風のナンバーなど、
なかなか濃密な味わいで、曲によってはGOBLINのようなホラーサントラ的な世界観もある。
ドラマティック度・・7 プログレ度・・7 妖しげ度・・8 総合・・7.5
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Ruphus 「Let Your Light Shine」
ノルウェーのプログレバンド、ルーファスの1976年作
わりと貴重だったこのバンドの諸作が、2019年にリマスター再発された。1973年にデビュー、本作は3作目で、
エレピを含むシンセにギターを重ねた優雅なアンサンブルに、ハスキーな女性ヴォーカルを乗せたサウンド。
オルガン鳴り響くハードなサイケシンフォという趣の1作目に比べると、ジャジーな軽やかさに包まれているが、
どこかくぐもったような北欧らしい涼やかな味わいも残している。シンセとピアノによる叙情的な小曲や、
フュージョン風の優美なナンバーなど、ぐっとスタイリッシュな味わいで、メロウなギターの旋律も耳心地よい。
8〜9分の大曲もうるさすぎない優雅さで、派手さはないが女性声入りの繊細なジャズロックとしても楽しめる好作品。
ドラマティック度・・7 優雅度・・8 北欧度・・8 総合・・7.5
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TIRILL 「Nine And Fifty Swans」
ノルウェーの女性アーティスト、ティリルの2011年作
Whilte Willowの1作目に参加していたヴァイオリニストでシンガー、本作は8年ぶりの2作目。
アコースティックギターに艶やかなヴァイオリン、フルートの音色、しっとりとした女性ヴォーカルを乗せた、
幻想的なネオフォークを聴かせる。北欧らしい涼やかで薄暗い叙情は、White Willowの1stにも通じる感触で、
ゆったりとまどろむように鑑賞できる。2〜4分前後の小曲中心なので、プログレとして聴くには展開はさほどないが、
繊細なアコースティックパートをメインにしたトラッド/フォークに、ときにピアノやシンセも加わった優美な耳心地にうっとり。
幻想度・・8 プログレ度・・6 北欧度・・8 総合・・7.5 過去作のレビューはこちら
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HIIDENSOINTI
フィンランドのプログレバンド、ヒデンソインティの2010年作
オルガンを含むシンセにメロウなギターを重ね、女性ヴォーカルの歌声を乗せた、
北欧らしい牧歌的な土着性を感じさせる、軽妙で優雅なサウンドを聴かせる。
母国語の女性Voがトラッド的な空気もかもしだしつつ、あくまで軽やかなアンサンブルは
ときにジャズロック的でもあり、オルガンやメロトロン、フルートなどの、ヴィンテージなアナログ感に、
ブルージーなギターのフレーズなどもなかなか魅力的。アコースティックなパートも含んだやわらかな土着メロディは、
素朴でありながら幻想的な聴き心地だ。いかにも北欧らしい空気に浸れる優雅な逸品です。
ドラマティック度・・7 プログレ度・・8 北欧度・・9 総合・・8

HIIDENSOINTI 「Ovia Ja Aikoja」
フィンランドのプログレバンド、ヒデンソインティの2013年作
2作目の本作は、わりとハードなギターにオルガンやフィドルの音色を重ねた、厚みのあるアンサンブルに、
フィンランド語の女性ヴォーカルを乗せたサウンドで、プログレらしい展開力とミステリアスな空気感も覗かせる。
楽曲は3〜5分前後とコンパクトで、全体的にも前作に比べていくぶんスタイリッシュになった感じはあるが、
ジャズロック的でもある優雅な感触とともに、ギターの奏でる土着的な旋律などは随所に残している。
幻想的なまでの北欧感は薄まったが、コケティッシュな女性声プログレとして楽しめる好作品。
ドラマティック度・・7 プログレ度・・7 北欧度・・8 総合・・8
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CUPRUM 「Brahma Visnu Siva」
チェコのプログレバンド、カプラムの2014年作
2011年にデビューし、本作が2作目となる。フルートが鳴り響きブルージーなギターに、
母国語のヴォーカルを乗せた、Jethro Tullなどに通じる牧歌的なサウンドを聴かせる。
オルガンやメロトロンを含むヴィンテージなシンセと、いかにも70年代風のツインギターの旋律、
そしてやわらかなフルートの音色で、ときにFOCUSのような雰囲気もあったりして、
耳心地よくのんびりと楽しめる。全38分というのもアナログ時代のようで、
ジャケは派手なのに、内容はいい意味で地味というギャップも面白い。
ドラマティック度・・7 プログレ度・・7 ヴィンテージ度・・9 総合・・7.5
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SINAGOGA ZEN
ブラジルのプログレバンド、シナゴーガ・ゼンの2014年作
女性Voにシンセを含む5人編成で、適度にハードなギターにオルガンを含むシンセ、
ポルトガル語の女性ヴォーカルを乗せた、叙情的なシンフォニックロックを聴かせる。
のっけから20分を超える大曲で、クラシカルなピアノやヴァイオリンが鳴り響く繊細な優雅さとともに、
プログレらしいメリハリある展開力で、チェンバーロック的でもあるスリリングな構築力で描いてゆく。
ヴォーカル嬢のなよやかな歌声は、初期のQUIDAMあたりを思わせ、アコースティックパートなどを含む
南米らしいやわらかな叙情美も良いですね。しっとりとした優美さに包まれた、女性声プログレの逸品です。
優美度・・8 プログレ度・・8 女性Vo度・・8 総合・・8
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JUAN CARLOS BAGLIETTO/LITO VITALE 「MAS DE LO MISMO」
アルゼンチンのミュージシャン、ファン・カルロス・バグリエットとリト・ヴィターレのライブ作品。2011年作
MIAのシンセ奏者として知られる、リト・ヴィターレの優美なピアノ、キーボードに、
ベテランSSW、バグリエットによる伸びやかな歌声で聴かせる、クラシカルな歌ものサウンド。
スペイン語による情熱的な歌声は、その豊かな表現力とともに、じわじわと感動的に盛り上げる。
後半は、ギター、ベース、ドラムを加えてのバンド編成で、優雅なアンサンブルを描きつつ、
ヴィターレのシンセワークもときにクラシカルにときにシンフォニックにと、じつに美しい。
素晴らしい歌い手とともに、南米らしい叙情的なサウンドが満喫できるライブ作品です。
クラシカル度・・8 プログレ度・・7 優美度・・9 総合・・8
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Kharmina Buranna「El Arte de Seguir Vivos」
ペルーのプログレバンド、カルミナ・ブラーナの2008年作
美麗なシンセに叙情的なギター、スペイン語のマイルドなヴォーカルを乗せた牧歌的なシンフォニックロック。
南米らしいやわらかなメロディアス性と、フルートの音色などの素朴な叙情性も覗かせつつ、
ときにプログレらしい偏屈な展開力も盛り込んで、10分を超える大曲をじっくりと描いてゆく。
ゆったりとしたユルめのナンバーも挟みつつ、メキシコのCASTのような濃密なプログレ感から、
フルートにヴァイオリンが鳴り響くたおやかな優雅さへと戻ってくる、メリハリのある構築力もなかなかのもの。
オルガンやムーグなどのヴィンテージなシンセにピアノが重なる、シンフォプログレとしての魅力もたっぷりの力作です。
ドラマティック度・・8 プログレ度・・8 南米度・・8 総合・・8
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LOS JAIVAS
チリの民俗ロックバンド、ロス・ハイヴィスの1975年作
1971年デビュー、チリを代表するバンドのひとつで、牧歌的なケーナの音色にピアノを含むシンセ、
ロック的なギターが加わって、スペイン語のヴォーカルを乗せた、フォルクローレなロックを聴かせる。
にぎやかで躍動的なアンサンブルの民俗ロックという感触であるが、パーカッションのリズムに
オルガンやピアノが鳴り響き、朗々と歌い上げるヴォーカルとともに、トライバルで濃密な感触が、
プログレ寄りの味わいになっている。クラシカルなピアノやアコースティックギターの優美な旋律など、
南米らしい叙情性も含ませつつ、13分という大曲では優雅でダイナミックな緩急ある構築力で、
クラシカルなシンフォニックロックとして楽しめる。ジャケのイメージも含めて初期を代表する作品だろう。
民俗&クラシカル度・・8 プログレ度・・7 南米度・・9 総合・・8
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LOS JAIVAS 「Mamalluca - Obras Sinfonicas」
ロス・ハイヴィスの1999年作
本作はオーケストラに混声合唱隊を迎えての、壮大なロックオペラ的な作品で、
クラシカルなオーケストラをバックに朗々としたスペイン語の歌声を重ねた、
シンフォニックで壮麗なスケール感に包まれる。一方では、ケーナの音色などの
フォルクローレな民族性と、ムーグシンセにギターが重なるプログレ感触も残していて、
優雅なクラシカル性とキャッチーなロックを自然に融合させている。ラストは15分を超える大曲で、
叙情的なギターにオーケストラと混声コーラスで、これぞ民族フォルクローレロックという盛り上がりを見せる。
シンフォニック度・・8 プログレ度・・7 南米度・・9 総合・・8
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LOS JAIVAS 「Grandes Exitos」
チリの民族ロック、ロス・ハイヴィスの2004年作
1975年作「Los Jaivas」、1977年作「Cancion del Sur」からの楽曲に、シングル曲を加えた全12曲入り。
牧歌的なケーナの音色にギターとシンセを重ね、スペイン語の歌声を乗せた濃密な民族ロック。
パーカッションにアコースティックギター、朗々とした歌声で聴かせるフォルクローレ風のナンバーや、
1st収録の13分の大曲は、クラシカルなピアノパートを含むプログレ的な展開力で、
シンフォニックロックとしても非常に出来がよい。素朴なマンドリンのつまびきにムーグシンセを重ねた、
いかにも民族プログレというようなナンバーも含めて、南米らしい叙情美に包まれたサウンドである。
リマスターされているようで音質も良好。バンドの70年代の初期ベストとしても楽しめる。
民俗&クラシカル度・・8 プログレ度・・7 南米度・・9 総合・・8
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5/1
GWもおうちでプログレ(138)


EPITAPH 「LONG AGO TOMORROW」
ドイツのハードロック、エピタフの2019年作
英国出身のメンバーを中心に、1971〜82年までに6枚のアルバムを残して消えるも、2007年に復活。
本作は復活4作目。オルガンを含むシンセにブルージーなギター、味わいのあるヴォーカルを乗せて、
70年代ブリティッシュロックをルーツにした、大人のハードロックサウンドを聴かせる。
ツインギターによる哀愁を感じさせる旋律にオルガンが重なり、アコースティックギターや
ときにヴァイオリンなどを加えた叙情的なアレンジには、プログレ受けする部分も残している。
枯れた味わいとともに、プログレ風味のヴィンテージロックとしても楽しめる逸品です。
ドラマティック度・・8 プログレ度・・7 大人の哀愁度・・9 総合・・8 過去作のレビューはこちら
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PROJECT:PATCHWORK「Re|Flection」
ドイツのハードプログレ、プロジェクト・パッチワークの2018年作
Groovefabrikのグレッド・アルバースを中心に、SEVEN STEP TO THE GREEN DOOR、FLAMING ROWなどのメンバーが参加。
ハード寄りのギターにきらびやかなシンセを重ね、ドラマティックな展開力で聴かせるシンフォニックロック。
ゲストによる男女ヴォーカルの歌声に、アコースティックギターやフルートなどの、繊細な叙情パートも含んだ
起伏のある構築力で、ときにProgMeta的な構築力とともにコンセプト的なスケール感を描き出す。
オルガンやピアノなどのシンセの重ねにマイルドなヴォーカルを乗せた、優美なシンフォニック性に
FREQUENCY DRIFTのメラニー嬢が参加し、その美しい歌声と叙情的なギターで聴かせるナンバーなど、
最後まで聴きどころの多い全72分の力作です。ARENA/KINOのジョン・ミッチェル他、多数のゲストが参加。
ドラマティック度・・8 プログレ度・・7 壮大度・・8 総合・・8
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CHILDREN IN PARADISE 「MORRIGAN」
フランスのシンフォニックロック、チルドレン・イン・パラダイスの2016年作
2011年にデビュー、本作は2作目となる。うっすらとしたシンセに女性ヴォーカルの歌声を乗せ、
Paatosあたりにも通じるアンニュイな翳りと浮遊感に包まれたサウンドを聴かせる。
適度にハード寄りのギターとともに、ゴシック寄りのメランコリックな空気感を描きつつ、
シンフォプログレの優雅さも含んでいて、コケティッシュな女性声もなかなか魅力的。
曲によってはホイッスルやイーリアンパイプなどのケルティックなテイストやアコースティックパートや、
ヘヴィなギターのゴシックメタル的な感触もあり、The Gatheringあたりのファンにも楽しめそう。
ドラマティック度・・7 プログレ度・・7 メランコリック度・・8 総合・・8
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FAINT SIGNAL「FORMULA」
アメリカのプログレバンド、フェイント・シグナルの2019年作
2013年にデビュー、本作は2作目。美しいシンセに叙情的なギター、男女ヴォーカルの歌声で、
GLASS HAMMERにも通じる、キャッチーでメロディックな正統派シンフォプログレを聴かせる。
流麗なギターの旋律にきらびやかなシンセが重なり、アメリカのバンドらしい爽快な抜けの良さと、
ヴァイオリンなども加わったウェットな叙情美が同居したインストパートもなかなか魅力的だ。
女性Voはゲストらしく、数曲の参加なので、ぜひとも正規メンバーに加えて欲しい。
このバンドならではの個性はあまり感じられないが、全65分のシンフォニックロックの力作です。
メロディック度・・8 プログレ度・・8 叙情度・・8 総合・・8
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MOTH VELLUM
アメリカのプログレバンド、モス・ヴェラムの2008年作
ムーグやメロトロン、エレピを含む美しいシンセワークにメロウで繊細なギターを重ね、
マイルドなヴォーカルとともに、GENESISルーツの優雅な叙情に包まれたサウンドを描く。
10分前後の大曲を中心に、全体的にゆったりとした聴き心地で、スリリングな展開はあまりないが、
オランダのTRIONあたりにも通じる、ヴィンテージ寄りの優美なシンフォプログレが楽しめる。
やわらかなギタートーンにメロトロンが重なるところは、いかにもGENESISライクでにんまり。
ジャケはなんだかモダンな感じだが、内容はオールドな味わいの優雅な逸品です。
メロディック度・・8 プログレ度・・7 優美な叙情度・・9 総合・・8
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UNITED PROGRESSIVE FRATERNITY 「PLANETARY OVERLOAD Part:1LOSS」
オーストラリアのプログレバンド、UPF(ユナイテッド・プログレッシブ・フラテルニティ)の2019年作
Unitopiaを前身とするバンドで、5年ぶりとなる2作目。環境破壊と地球をコンセプトにした作品で、
3部構成の全12パートに分かれた全74分という長大な組曲形式。美しいシンセワークに男女ヴォーカル、
ヴァイオリンやフルートなどを重ねた、優美なシンフォニックロックを展開。SAGRADOにも通じるような雄大さや、
キャッチーなオールドロック感触、ときに翳りを帯びた叙情も覗かせつつ、じっくりとした構築力で聴かせる。
フックのあるメロディがもう少しあればとは思うが、大変な力作なのは間違いない。Disc2には別バージョンなどを収録。
スティーブ・ハケット、ニック・マグナス、YESのジョン・デイヴィソン、THE FLOWER KINGSのハッセ・フレベリ、
ミッシェル・ヤング、PORCUINE TREEのコリン・エドウィン他、多数のミュージシャンがゲスト参加。
ドラマティック度・・8 プログレ度・・7 壮大度・・9 総合・・8 過去作のレビューはこちら
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BEN CRAVEN 「LAST CHANCE TO HEAR」
オーストラリアのミュージシヤン、ベン・クラヴェンの2016年作
ギター、シンセ、ヴォーカル、ドラム、ベースと全パートを一人で手掛けたという大作で、
オルガンを含むシンセにジェントルなヴォーカルで、PINK FLOYDをルーツにした叙情性とともに、
キャッチーなメロディックロックを聴かせる。コンセプチュアルなイメージを感じさせるスリリングな気配と、
クラシカルで優美な感触が合わさったインストパートには、シンフォニックロックとしての味わいもある。
プログレ的な展開力というのはさほどないが、アコーステッィクを含むメロウなギタートーンや、
繊細なピアノにオルガンが絡む、大人の叙情美に包まれた好作品だ。DVDにはメイキングやPVなどを収録。
ドラマティック度・・7 プログレ度・・7 叙情度・・8 総合・・7.5
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BABY GRANDMOTHERS 「MERKURIUS」
スウェーデンのサイケロック、ベイビー・グランドマザーズの2018年作
Kebnekajseのメンバー3人によるバンドで、1968年のEP以来、じつに50年ぶりとなる作品。
わりとハードなギターを乗せたロック感触に、サイケな浮遊感とヴィンテージな味わいで、
アナログ感たっぷりのアンサンブルを聴かせる。ときおり覗く北欧らしい土着的な雰囲気は
やはりケブネカイゼに通じるような感触もあり、随所にオルガンなどのシンセを加えた、
フリーキーなユルさに包まれた聴き心地は、Dungenなどのファンにも楽しめるだろう。
これという展開もなく、全35分のスタジオセッション的な内容ですが、これぞサイケです。
サイケ度・・8 プログレ度・・7 北欧度・・8 総合・・7.5
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Lars Hollmer 「Viandra」
スウェーデンのミュージシャン、ラーシュ・ホルメルの2007年作
Samla Mammas Mannaのアコーディオン奏者として知られるミュージシャンで、
やわらかなアコーディオンの音色にシンセを重ねた、心安らぐような優しいインストサウンド。
哀愁を感じさせる大人の叙情や、ときにサムラを思わせるユーモラスなノリも含ませつつ
クラシカルなピアノやヴァイオリンも加わった優雅なナンバーや、チェンバーロック的な感触など
1〜4分前後の小曲を主体に、飽きずに楽しめるのは、アレンジとメロディのセンスの賜物だろう。
あくまでアコーディオンをメインにしながら、涼やかで優美な空気を作り出す、才人の音楽である。
アコーディオン度・・9 プログレ度・・6 哀愁の叙情度・・8 総合・・7.5
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SOLSTICE「PATHWAYS」
イギリスのシンフォニックロック、ソルスティスの1998年作
1993年作「NEW LIFE」、1984年作「Silent Dance」全曲と、未発曲やデモなど12曲を加えて2CDに収録。
うっすらとしたシンセに叙情的なギター、女性ヴォーカルの歌声に艶やかなヴァイオリンが鳴り響く、
クラシカルな優雅さと英国フォークルーツの牧歌性が合わさった、じつに優美な聴き心地で、
いわば、RENAISSANCECURVED AIRを足したようなサウンドが楽しめる。
未発音源や初期のデモ、ライブ音源なども聴きごたえがあり、初期の2作をまとめて聴けるというお得盤です。
クラシカル度・・8 プログレ度・・7 優美度・・9 総合・・8 過去作のレビューはこちら
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Mystery 「At the Dawn of a New Millennium」
カナダのプログレバンド、ミステリーの1998年作
1992年デビューEP「MYSTERY」、'96年作「THEATRE OF THE MIND」、'98年作「DESTINY?」から選ばれた初期ベストで、
美しいシンセにほどよくハードなギター、伸びやかなヴォーカルを乗せた、キャッチーなプログレハードサウンド。
YESに参加するベノワ・ディヴィッドが加入する2007年作以降に比べても、すでにサウンドは完成されていて、
メロウなギターにシンセを重ねた、YES+GENESISというような優美な叙情ナンバーなども魅力だ。
アコースティックギターやフルートの音色など、繊細さも覗かせつつ、80年代以降のスタイリッシュなプログレハード色を
自然体で融合させるセンスはさすが。ラストは「DESTINY?」収録の15分の大曲で、シンフォプログレファンも満足だ。
メロディック度・・8 キヤッチー度・・8 優美度・・8 総合・・8 過去作のレビューはこちら
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NOVALIS「BUMERANG」
ドイツのプログレバンド、ノヴァリスの1984年作
1973年にデビュー、本作は10作目となる。1曲目から、ポップなビートにうっすらとしたシンセと
サックスの音色、ドイツ語によるマイルドなヴォーカルで、大人の哀愁を感じさせるサウンドを聴かせる。
3〜4分前後の楽曲はシンプルで、もはやプログレらしいさを感じるのはシンセくらいであるが
ポップな中にも、キャッチーなメロディのフックは魅力的で、ゆったりとした叙情ナンバーなどでは、
フルートの音色やメロウなギタートーンとともに、かつてのシンフォニックロックの優美さも窺わせる。
ドイツ語のAOR、あるいはプログレハードとして聴けば、これはなかなかの好作であります。
メロディック度・・8 プログレ度・・6 優美度・・8 総合・・7.5 過去作のレビューはこちら
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Lake 「Lake II」
ドイツのプログレハード、レイクの1978年作
1976年にデビュー、本作は2作目となる。ツインギターにエレピやオルガンを含むシンセ、
ハイトーンのヴォーカルで聴かせる、TOTOのようなキャッチーなメロディックロック。
アメリカの出身のメンバーらしい爽やかなサウンドであるが、3作目以降に比べると、
ポップ過ぎないロック感触が残っていて、プログレハードらしい優美な味わいが楽しめる。
随所に叙情的なギターの旋律や、オルガンやピアノなどのアレンジもセンス良く、完成度としては本作が一番だろう。
メロディック度・・8 プログレ度・・7 優美度・・8 総合・・8
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Lake 「OUCH!」
ドイツのプログレハード、レイクの1980年作
1976年にデビュー、本作は4作目。ツインギターにシンセを含む6人編成で、
ハイトーンのヴォーカルにキャッチーなコーラスハーモニーを含んだ、TOTOにも通じる雰囲気の
ポップなメロディックロック。巧みなギタープレイに、オルガンを含む優美なシンセアレンジなど、
アメリカ的な抜けの良さと、欧州の繊細な感触がほどよくブレンドしていて、なかなか出来がいい。
楽曲は3〜4分前後とシンプルであるが、単なるポップロックという以上の耳心地の良さで、
80年代初頭のプログレハードとしては隠れた逸品といえるだろう。
メロディック度・・8 プログレ度・・6 優美度・・8 総合・・7.5
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FLAIRCK「De Gouden Eeuw」
オランダのアコースティカル・プログレ、フレアークの1996年作/邦題「黄金時代」
1978年にデビュー、アコースティック編成ながら、その超絶な技巧でプログレファンからも評価が高い。
本作は大航海時代をテーマに、男女コーラスにヴァイオリンとフルートの音色が美しいイントロから、
これまでになくシリアスなスケール感に包まれている。クラシカルでシンフォニックな音の重ねと、
オランダ語による女性ヴォーカル、アコースティックギターにヴァイオリン、マリンバやフルートの優雅な音色が
メディーヴァルな民族フォーク色を描き出す、結果として非常にプログレッシブなサウンドになっている。
軽妙な技巧も随所に覗かせながら、世界観の構築に重きが置かれている点では、異色の傑作といえる。
ドラマティック度・・8 プログレ度・・8 優雅度・・9 総合・・8 過去作のレビューはこちら
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MACHIAVEL 「Virtual Sun」
ベルギーのプログレバンド、マキャベルの1998年作
1976年にデビュー、3作目まではスタイリッシュなプログレ作品として評価が高いが、80年代に入ってポップ化、
その後解散するも復活する。本作は11年ぶりとなる8作目で、適度にハードなギターにシンセを重ね、
マイルドなヴォーカルで聴かせる、90年代らしいモダンな味わいのハードプログレサウンド。
いわゆるオルタナシンフォ的な翳りを帯びた空気は、ポーランド系のバンドのような味わいもあり、
うっすらとしたシンセをバックにブルージーな哀愁をかもしだす、オールドなギターの旋律も魅力的だ。
ときにシアトリカルに歌い上げるヴォーカルとともに、コンセプチュアルなドラマ性に包まれた逸品です。
ドラマティック度・・8 プログレ度・・7 薄暗度・・8 総合・・8 過去作のレビューはこちら
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GALADRIEL 「MINDSCAPERS」
スペインのプログレバンド、ガラドリエルの1997年作
1988年にデビューし、本作が3作目となる。過去2作は素朴な味わいのシンフォプログレだったと記憶しているが、
今作はジャケからしてモダンな印象。美しいシンセに流麗なギター、繊細に歌い上げるヴォーカルを乗せ
サウンドはぐっとスタイリッシュなイメージに包まれている。ピアノを含むやわらかなシンセアレンジが
優美なクラシカル性を描き、メロウなギターの旋律とともに、しっとりとした大人の叙情を構築してゆく。
16分という大曲も、美麗なシンセと情感的なヴォーカルとともに、PENDRAGONなどにも通じる、
90年代的なロマンの香りを残した、これぞシンフォニックロックという聴き心地で楽しめる。
ドラマティック度・・8 プログレ度・・7 優美度・・8 総合・・8 
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4/17
おうちでプログレ(120)


Evership 「II」
アメリカのプログレバンド、エヴァーシップの2019年作
前作はKANSAS+MOON SAFARIというようなキャッチーな力作だったが、2作目となる本作は、
いくぶんダークな雰囲気に包まれている。オルガンを含むシンセに適度にハードなギター、
マイルドなヴォーカルを乗せ、翳りを帯びた叙情とともにシリアスなシンフォフログレを展開。
スタイリッシュな展開力が増した一方、ゆったりとしたパートでの繊細なメロディアス性は残していて、
MOON SAFARI的な味わいも含んだ緩急ある流れで、シンフォニックロックとしてのダイナミズムを描いてゆく。
後半は28分という組曲で、アコースティックギターとピアノでしっとりと聴かせつつ、ヴィンテージロック調になったり
中盤からじわじわと盛り上げてゆき、ラストはどことなくDREAM THEATER風のドラマティックな大団円となる。
ドラマティック度・・8 プログレ度・・7 叙情度・・8 総合・・8 過去作のレビューはこちら
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The Tangent 「Proxy」
イギリスのプログレバンド、タンジェントの2018年作
マルチプレイヤーのアンディ・ティリソンを中心にして、2003年にデビュー、本作は10作目となる
ギターはルーク・マシン、ベースはヨナス・レインゴールド、ドラムにはスティーブ・ロバーツ、
サックス&フルートに、セオ・トラヴィス、そしてヴォーカルとしてヨラン・エドマンがゲスト参加。
オールドなハモンドオルガンの音色にワウの効いたギターを乗せた軽やかなアンサンブルで、
フルートにサックスも鳴り響く、70年代カンタベリー風の優雅さに包まれたプログレ・ジャズロック。
セッション風のおおらかな演奏は、これまでの作品以上にヴィンテージなアナログ感を描いていて、
16分におよぶ組曲も肩の力の抜けた大人の聴き心地。80年代風なアレンジのナンバーも面白い。
ドラマティック度・・7 ジャズロック度・・8 優雅度・・9 総合・・8 過去作のレビューはこちら
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COSMOGRAF「MIND OVER DEPTH」
イギリスのシンフォニックロック、コスモグラフの2019年作
マルチミュージシャン、Robin Armstrongのソロプロジェクトで、自主制作を含めて7作目となる。
人間の内面世界の探求をテーマに、ハードなギターによるモダンな硬質感に美麗なシンセアレンジ、
マイルドなヴォーカルを乗せた、スタイリッシュなサウンドを聴かせる。ヴィンテージなオルガンや
叙情的なギターも覗かせつつ、ProgMetal的でもある構築感とほの暗い翳りを帯びた世界観は、
Riversideなどにも接近した印象だ。全体的にはメロディックなフックがあまりないので、
シンフォニックロックとしての爽快さという点では、今作はやや物足りないかもしれない。
ドラマティック度・・7 プログレ度・・7 薄暗度・・8 総合・・7.5 過去作のレビューはこちら
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Carl Palmer' ELP Legacy「LIVE」
EL&Pのカール・パーマーによるトリビュートライブ作品。2018年作
CDには2014年アメリカ、ニューヨークでのライブ音源を収録。ギターには若手のポール・ビーラトウィッツが、
ベースにはCelestial Fireのサイモン・フィッツパトリックが参加。ジャン-フィリップ・ラモーやワーグナー、バッハなど
クラシック曲のカヴァーで始まり、ホルストの「木星」に続いて、KING CRIMSON「21世紀の精神異常者」、
そして、EL&P「Tarkus」や、THE NICE「America」などを披露。シンセのフレーズを再現するギターの技術は見事で、
ドカドカと手数の多いパーマーのドラムもとてもパワフル。DVDには2016年フロリダでのキース・エマーソン追悼コンサートを収録。
Vanilla Fudge
のマーク・スタインをオルガン&ヴォーカルに迎えての「Karn Evil 9」、女性コーラス隊を加えての「聖地エルサレム」、
トリオで再現する「展覧会の絵」、スティーブ・ハケットがゲスト参加した「庶民のファンファーレ」と、見どころも多い内容です。
ライブ演奏・・8 ELP度・・7 パーマーのドラム度・・9 総合・・8
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Colin Bass 「At Wild End」
イギリスのミュージシャン、コリン・バスの2015年作
CAMELのベーシストでもある、ソロとしては12年ぶりとなる3作目。1作目「An Outcast Of The Islands」での
素晴らしい叙情美が記憶に残っているが、本作はジャケのイメーバのようにリラックスした牧歌的な作風で、
アコースティックギターにジェントルな歌声を乗せた素朴なサウンドを聴かせる。CAMELのアンドリュー・ラティマーや、
ドラムのデイブ・スチュワートなどもゲスト参加、女性ヴォーカルを加えてのしっとりとした優美なナンバーや、
エレキギターやオルガンを加えてのロック色のあるナンバーなども、落ち着いた大人の味わいで楽しめる。
全体的にはプログレ的な要素はあまりないが、ゆったりとした自然体の叙情が詰まった好作品。
ドラマティック度・・7 プログレ度・・7 大人の叙情度・・8 総合・・7.5 過去作のレビューはこちら
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Mostly Autumn 「Music Inspired By The Lord Of The Rings」
イギリスのシンフォニックロック、モストリー・オータムの2001年作
本作はトールキンの「指輪物語」をテーマにしたコンセプト作品で、ツインギターにシンセを重ねたイントロ曲から、
アコースティックギターに、ヘザー嬢の美しいヴォーカルでしっとりと聴かせる優美なナンバーへとつながり、
物語的な流れとともに進んでゆく。やわらかなフルートやヴァイオリン、チェロなどの優雅な音色も加えつつ
ときにハードなギターが重厚なメリハリをつける、これまで以上にダイナミックな構築性が味わえる。
フォーク、ケルト的な素朴な味わいと、PINK FLOYDルーツのメロウなギターの叙情性も覗かせながら
映画サントラ的なイメージに包まれた、幻想的なシンフォニックロックが描かれる好作品です。
ドラマティック度・・8 プログレ度・・7 優雅度・・8 総合・・8 過去作のレビューはこちら
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Luna Rossa 「Secrets & Lies」
イギリスのネオフォーク、ルナ・ロサの2014年作
PANIC ROOMMOSTLY AUTUMNのアン・マリー・ヘルダーとジョナサン・エドワーズによるユニットで、
アコースティックギターにピアノやハープ、女性ヴォーカルの歌声を乗せて、しっとりとした優美なサウンドを聴かせる。
アコギとピアノをバックにした素朴なフォークナンバーでは、アン・マリー嬢の艶やかな歌声が引き立っていて、
大人の哀愁と倦怠を含んだ聴き心地である。アコースティックがメインなので、ロック色はほぼ皆無であるが、
随所にうっすらとシンセやオルガンも加わって、ヴァイオリンなどのストリングスも優雅に彩をそえる。
アコースティック度・・8 しっとり優美度・・8 女性Vo度・・8 総合・・8
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CHANDELIER 「TIMECODE」
ドイツのシンフォニックロック、シャンデリアの1997/2019年作
1990年にデビュー、本作は3作目。これまで希少だった作品が、2019年にリマスター再発された。
美麗なシンセに適度にハードなギター、MARILLIONのフィッシュを思わせるヴォーカルを乗せた
ポンプロック的なシンフォニックロックを聴かせる。ときに女性ヴォーカルを加えた優美な味わいや、
随所にメロウなギターフレーズも覗かせつつ、IQや初期のMARILLIONを受け継ぐような、
GENESISルーツの幻想的なドラマ性を描いてゆく。演奏力の高さも含めて、単なるポンプロックという以上に
スタイリッシュで、10分を超える大曲を構築する力量がある。再評価すべきクオリティの、全73分の力作だ。
ボーナスDiscには、未発曲のニューリミックスや過去曲の別バージョン、デモ、リハ音源などを収録。
ドラマティック度・・8 プログレ度・・7 ポンプ度・・8 総合・・8
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GALLEON 「Beyond Dreams」
スウェーデンのプログレバンド、ギャレオンの2000年作
1992年にデビュー、本作は6作目。初期作はZEROレーベルから日本盤も出ていたのでご存知の方もいるだろう。
美しいシンセに叙情的なギターを重ね、マイルドなヴォーカルで聴かせる優美なシンフォニックロック。
北欧らしい涼やかな透明感と、ポンプロックルーツのキャッチーなメロディアス性に包まれていて、
繊細な美意識と適度にハードな質感が同居したところは、ドイツのEVERONあたりにも通じるだろう。
派手な展開やスリリングな部分はないが、うっすらとしたシンセが幻想的な味わいを生み出していて
メロウなギターフレーズが加わると、じつに耳心地がよい泣きの叙情がじわじわと広がってゆく。
まさに90年代の正統派シンフォニックロックを受け継ぐスタイルで、本作がバンドの最高作だろう。
シンフォニック度・・8 プログレ度・・7 優美度・・9 総合・・8 過去作のレビューはこちら
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VOTCHI 「UNICORN」
チェコのプログレ・ハードロック、ヴォッチの2005年作
2002年にデビューし本作は2作目となる。叙情的なギターにシンセとフルートが重なる優美なイントロから、
本作はずいぶんプログレ寄りのサウンドになっている。アナログ感あるギターにオルガンが鳴り響き、
英語歌詞のヴォーカルとともに、70年代のブリティッシュハードを蘇らせたような作風で、
フルートの活躍ぶりはJethro Tullを思わせる。ときにリズムチェンジを含む展開力とともに、
キャッチーなメロディのフックもなかなか魅力的で、オールドな辺境ハードロックだった前作から、
ヴィンテージなハードプログレというべき進化をしている。サイケ的でもある妖しげな部分も残していて、
ほどよいマイナーな辺境感も含んだ、フルート入りのプログレ・ハードロックが楽しめる。
ドラマティック度・・7 プログレ度・・7 ヴィンテージ度・・8 総合・・8
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EDUARD ARTEMIEV(EDWARD ARTEMIEV) 「ODYSSEY」
ロシアの音楽家、エドゥアルド・アルテミエフの1998年作
フランシス・コッポラ監督、ホメロスの叙事詩を映画化した「オデュッセイア」のサウンドトラック。
美しいシンセの重ねに、壮麗なオーケストラアレンジや民俗的なメロディを含ませたシンフォニックな作風で、
戦いを描くような勇壮な曲調から、クラシカルで優美な曲調まで、場面ごとのビジョンをイメージさせる、
壮大なスケール感のあるサウンドが楽しめる。女性スキャットの入った妖艶なナンバーや、
Tangerine Dreamのようなスペイシーなシンセ曲など、プログレ的な要素もそこそこあって、
単なるサントラという以上に魅力的なサウンドである。アルテミエフのファンはぜひチェックすべし。
シンフォニック度・・8 プログレ度・・7 壮大度・・9 総合・・8 過去作のレビューはこちら
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TILES「Pretending 2 Run」
カナダのプログレバンド、タイルズの2016年作
1994年にデビュー、本作は8作目。CD2枚組のコンセプトアルバムで、ほどよくハードなギターに
オルガンを含むシンセと伸びやかなヴォーカルを乗せ、テクニカルで軽妙なアンサンブルと、
いくぶん翳りを帯びた叙情とともに、RUSHをルーツにしたハードプログレを聴かせる。
随所にProgMetal的でもある知的な構築力を覗かせつつ、牧歌的なアコースティックパートや、
ときにヴァイオリンなどのストリングスも加わった優雅な叙情性、繊細なポストプログレ風味も現れる。
全体的に派手さはないものの、肩の力の抜けた大人の味わいで、じっくりと楽しめる好作品だ。
マイク・ポートノイやイアン・アンダーソン、マイク・スターン、アダム・ホルツマンなどがゲスト参加。
ドラマティック度・・7 テクニカル度・・8 構築度・・8 総合・・7.5
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Maelstrom
カナダのプログレバンド、メイルストロムの1997年作
1973年に録音された発掘音源で、優美なピアノにオルガン、マリンバの音色にギターを重ね
優しいヴォーカルを乗せた軽やかなアンサンブルで、ケベックのバンドらしい優雅なサウンドを聴かせる。
サックスが鳴り響くジャズロック的でもある軽妙な演奏力で、緩急のあるインストパートを描くところは
非常にセンスを感じさせ、一方ではメロトロンによる涼やかな叙情性に、ヴォーカル入りのナンバーでの
キャッチーなシンフォニック性も素晴らしい。音質も良好で、未発音源とは思えないクオリティの高さ。
70年代に発表されていたら、OPUS 5ManeigeEt Ceteraなどに比肩する存在となっていたかもしれない。
メロディック度・・8 プログレ度・・8 優美度・・8 総合・・8
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WYZARDS「The Final Catastrophe」
アメリカのプログレバンド、ウィザーズの1997年作
GLASS HAMMERでも活躍する、スティーブ・ボブを中心にしたバンド。RUSHを思わせるトリオ編成で、
軽妙なアンサンブルにきらびやかなシンセと適度にハードにギターを乗せたハードプログレサウンド。
存在感あるベースのプレイに、アレックス・ライフソンに影響を受けたと思えるギターのトーンなど、
RUSHファンならにやりとなるだろうし、15分、18分という大曲などを構築するセンスもなかなかのもの。
ほどよくキャッチーでテクニカル、スタイリッシュでアンサンブリーな演奏が楽しめる逸品です。
メロディック度・・8 プログレ度・・8 ラッシュ風味度・・8 総合・・8
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STEVE COCHRANE 「The Purest Of Designs」
アメリカのミュージシャン、スティーヴ・コックラーンの1998年作
1990年にデビュー、本作は3作目となる。ギター、ベース、シンセ、ヴォーカルをこなすマルチミュージシャンで、
美しいシンセアレンジにメロディックなギターを乗せた、優美なシンフォニックロックを聴かせる。
ジェントルなヴォーカルに、ゲストによる女性ヴォーカルも加わって、キャッチーなプログレハード風味から
繊細な叙情とシアトリカルなドラマ性を含んだ、Genesisにも通じる感触とともに、27分という組曲を構築してゆく。
インストパートがメインなので、濃密な盛り上がりと言うのはないのだが、優雅なギターの旋律とともに、
シンフォニックなフュージョンプログレ的にも楽しめる。ラストの15分の大曲も、じつに優美な心地よさだ。
メロディック度・・8 プログレ度・・7 優美度・・8 総合・・7.5
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4/3
ネオフォーク&ゴシックアンビエント(105)


The Moon and the Nightspirit 「Metanoia」
ハンガリーのゴシック・フォーク、ザ・ムーン・アンド・ナイトスピリットの2017年作
男女2人組ユニットで、2005年にデビュー、本作は6作目となる。アコースティックギターのつまびきに、
パーカッションのリズム、艶やかなヴァイオリンの音色を重ね、女性ヴォーカルがはかなげな歌を乗せる、
しっとりと優美なゴシックフォークサウンド。クラシカルなピアノに繊細なフルート、ハープなどが優雅に奏でられ、
バンド名のような幻想的な夜の空気をまとった、もの寂しくも神秘的な世界観にじっくりと浸れます。
女性ヴォーカルの美しさも素晴らしく、なよやかな歌声は、この幻想世界を強固に彩っている。
クラシカル度・・8 幻想度・・9 女性Vo度・・8 総合・・8 過去作のレビューはこちら
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CAPRICE 「KYWITT ! KYWITT !」
ロシアのゴシックフォーク、キャプライスの2008年作
1996年にデビュー、本作は7作目。エレクトロなシンセアレンジに母国語の女性ヴォーカルを乗せ、
凶暴にエレキギターが加わってきて、トラッドとポップ、ロックとクラシカルの要素が混在したサウンド。
やわらかなフルートにヴァイオリンが重なる優雅さと、KATE BUSHのようなキュートな歌声で
ストレンジな幻想性に包まれた世界観は、単なるトラッドフォークという以上にプログレリスナー向けである。
本作はゴシック的な薄暗さは希薄で、むしろポップな可愛らしさに包まれているので、普通に聴きやすく
エキセントリックなアレンジセンスも含めて、ディープなリスナーにも楽しめる深みのある内容といえる。
しっとりとしたナンバーでのヴォーカルの美しさも特筆もので、女性声クラシカルフォーク好きは必聴。
クラシカル度・・8 優雅度・・9 女性Vo度・・9 総合・・8 過去作のレビューはこちら
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Sunset Wings 「Shining Thro' the Veil of Night」
ロシアのネオフォーク、サンセット・ウイングスの2013年作
2009年にデビュー、本作は3作目となる。アコースティックギターにヴァイオリン、チェロの音色、
ジェントルな男性ヴォーカルと美しい女性ヴォーカルで、クラシカルなネオフォークを聴かせる。
シンセはあまり使わずにアコースティックがメインなので、わりと素朴な聴き心地であるが、
やわらかなフルートやホイッスルに、クラシックギターのつまびきが重なり、物悲しい叙情に包まれて、
しっとりした優雅なサウンドに浸れる。個人的には男性声よりも女性Voメインの曲の方が嬉しいのだが、
男性ヴォーカルメインの曲も、艶やかなヴァイオリンやリコーターなどがサウンドを彩る。優美で繊細な好作品です。
クラシカル度・・7 優美度・・8 幻想度・・8 総合・・8
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Kari Rueslatten 「Silence Is The Only Sound」
ノルウェーの女性シンガー、カリ・ルースラッテンの2017年作
The 3rd and The Mortalのシンガーで、ソロ転向後はアンビエントなトラッド作品を作っている。
本作も、伸びやかな彼女の歌声をメインにしたしっとりとしたトラッドやケルトサウンドに、
エレキギターにシンセ、ドラムも加えたほどよいロック感触とともに、涼やかな空気を描き出す。
これまでの作品以上に彼女の美声が際立つ楽曲は、優美でいてほどよくキャッチーな聴き心地。
土着的なトラッド感触が薄まった分、北欧の女性声メランコリック・ロックとしても普通に楽しめる。
曲によってはゴシック寄りの耽美な空気も感じさせ、その魅力的な歌声にウットリと浸れます。
トラッ度・・7 北欧度・・8 女性Vo度・・9 総合・・8 過去作のレビューはこちら
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Elane 「Arcane」
ドイツのネオフォーク、エラーネの2011年作
2001年にデビュー、本作は5作目となる。カイ・マイヤーのファンタジー小説をテーマにした作品で、
アコースティックギターのつまびきに女性ヴォーカルを乗せ、うっすらとしたシンセとともに
幻想的なゴシック・ネオフォークを聴かせる。ホイッスルやヴァイオリン、優美なハープの音色など、
ケルティックなテイストも含ませつつ、紅一点、ヨラン・エラーネ嬢の歌声がサウンドを妖しく包み込む。
ときにエレキギターも加えたロック色も加えつつ、チェロやヴァイオリンの物悲しい音色にシンセが重なる、
シンフォニックな音の厚みで、幻想的な世界観を描きだすサウンドの強度もある。
ドラマティック度・・8 ゴシック度・・8 幻想度・・9 総合・・8 過去作のレビューはこちら
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Elane 「Legends of Andor」
ドイツのネオフォーク、エラーネの2019年作
ボードゲーム「アンドールの伝説」のサントラとして作られた作品で、うっすらとしたシンセアレンジに
ヴァイオリン、ヴィオラ、ホイッスルの音色、スキャットのような女性声とともに幻想的なサウンドを描く。
2〜5分前後の小曲を主体に、わりと起伏のないリフレインの曲も多いのだが、それもサントラゆえか。
普段のアルバムに比べると、女性ヴォーカルがコーラス的に歌うので、霧のかかったようなイメージで、
楽曲ごとのメリハリはさほどないのだが、ゆったりとファンタジーの世界に浸れる全16曲。
ドラマティック度・・7 幻想度・・8 女性Vo度・・7 総合・・7.5
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Arrowwood 「Beautiful Grave」
ドイツのアシッドフォーク、アローウッドの2012年作
スキャットめいた妖しい女性ヴォーカルに、土着的なパーカッションやウインドチャイムが鳴り響く
曲というよりは、プリミティブな空気感を描くようなサウンドで、いわば雰囲気モノアシッドフォーク。
楽曲は3分前後と、わりあいシンプルであっさりしているので、深みにハマる前に我に返る感じで、
アコースティックギターにフルートを乗せた曲らしいナンバーは、やっと安心して聴けたりする。
夢見がちの女性声はなかなかキュートで、歌入りの曲はしっとりとコケティッシュな雰囲気で悪くないが、
全体的には、どことなく物足りなさも。もう少し楽曲を通した世界観の深みが加わればと思う。
アコースティック度・・8 妖しさ度・・8 女性Vo度・・7 総合・・7
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Hexperos 「The Veil of Queen Mab」
イタリアのゴシックアンビエント、ヘックスペロスの2010年作
ヴァイオリン、ハープの優美な音色に、しっとりとした美しい女性ヴォーカルの歌声を乗せ、
クラシカルな優雅さに包まれた、耽美なゴシックサウンドを聴かせる。物悲しいチェロの響きに、
やわらかなフルートにバスーンの旋律、随所にシンセを重ねたシンフォニックな味わいとともに、
ソプラノ女性ヴォーカルの崇高な歌声が、翳りを帯びたヨーロピアンな幻想美を描き出す。
楽曲は3〜4分前後と比較的シンプルであるが、優雅なフルートとケルティックハープに、
美しい女性声で聴かせる静謐なナンバーなども含め、耽美で幻想的な世界観に浸れます。
クラシカル度・・8 耽美度・・9 女性Vo度・・8 総合・・8
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Vittorio Vandelli 「A Day of Warm Rain in Heaven」
イタリアのミュージシャン、ヴィットリオ・ヴァンデッリの2004年作
ゴシックユニット、Ataraxiaのギタリストのソロで、美麗なシンセの重ねによるオーケストラルなアレンジに、
Ataraxiaのフランチェスカ・リコリ嬢の妖しい歌声を乗せた、耽美なゴシック・シンフォニックロック。
アコースティックなフォーク要素も含みつつ、ときに打ち込みによるデジタルなアレンジも取り入れつつ、
美しい女性ヴォーカルとともに幻想的な空気を描きだす。サントラ的な小曲なども含め、中世を思わせる幻想性で、
メロディーヴァルな素朴さと土着的な神秘性に包まれた、優雅なゴシックミュージックが楽しめる逸品です。
ドラマティック度・・7 耽美度・・8 女性Vo度・・8 総合・・7.5
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DARK AWAKE「MESEONAS」
ギリシャのゴシックアンビエント、ダーク・アウェイクの2008年作
クラシカルなピアノにシンセによるオーケトレーション、語りのような女性ヴォーカルも加わって
耽美でミステリアスな空気を描いてゆく。打ち込みによりインダストリアルなビート感覚と
クラシカルな優雅さを同居させたサウンドは、これという展開力はないのだが、
淡々としたトリップ感に包まれる。妖しい女性スキャットに男性声が絡み、美しいシンセと
ギターのつまびきが重なるしっとりとした聴き心地と、雰囲気モノらしいシンセによるインスト曲も良いですね。
クラシカル度・・7 耽美度・・8 ミステリアス度・・8 総合・・7.5

DARK AWAKE 「Soil,Blood ...And The Reaping Of Light」
ギリシャのゴシックアンビエント、ダーク・アウェイクの2013年作
3作目となる本作は、シンセの重ねにノイズを含んだ不穏なイントロから、ダークな気配を感じさせ、
語りを含んだ女性声を乗せて、妖しく耽美な世界観を描き出す。打ち込みによるアレンジも加えて、
シンセをメインにしたホラーサントラ風のナンバーなどは、聴き手の想像力を掻き立てる。
クラシカルなピアノによる小曲など、全体的に小粒な印象ではあるが、優雅な耽美性は堪能できる。
クラシカル度・・7 耽美度・・8 ミステリアス度・・8 総合・・7.5

DARK AWAKE 「ANUNNAKI」
ギリシャのゴシックアンビエント、ダーク・アウェイクの2016年作
4作目となる本作も、シンセの重ねをメインにした、ダークなゴシックアンビエントを聴かせる。
インダストリアルなSEなどを含んだアヴァンギャルドな感触と、オーケストラルなアレンジで、
チェンバーロック的な味わいも覗かせる。荘厳なチャーチオルガンに妖しい女性声を乗せたり、
シンセをバックにノイジーなギターが鳴り響いたりと、よりアーティスティックなサウンドになっていて、
楽曲性は薄れたが雰囲気モノとしての強度は強まっている。プログレファンにも受けそうな内容です。
クラシカル度・・8 耽美度・・8 ミステリアス度・・8 総合・・7.5
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THE TRIPLE TREE 「GHOSTS」
イギリスのゴシック・エクスペリメンタル、トリプル・ツリーの2008年作
歴史学者、M.R.ジェイムスの文献をモチーフにした作品で、女性ヴォーカルにストリングスが絡むイントロから、
アコースティックギターにシンセを重ね、朗々とした男性ヴォーカルの語りを含んだ歌声を乗せ、
幻想文学を描くような妖しいサウンドが広がってゆく。それぞれは楽曲というにはさほど展開はなく、
SEや語りなどの入った雰囲気モノという印象で、ノルウェーのWHENあたりに通じるところもある。
アルバム後半には、シンセとメロディカをバックに妖しいパーカッション、フルートに女性声が重なる、
混沌としたアヴァンギャルドサウンドが展開される。女性ヴォーカルパートがもっとあると嬉しかった。
ドラマティック度・・7 耽美度・・7 アヴァンギャル度・・8 総合・・7
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COLLECTION D'ARNELL ANDREA 「Un Automne A Loroy」
フランスのクラシカル・ゴシックユニット、コレクション・ド・アルネル・アンドレアの1989年作
打ち込みリズムに美しいシンセアレンジとフランス語の女性ヴォーカルを乗せて、
優美でシンフォニックなゴシックサウンドを聴かせる。チェロの音色などのクラシカルな感触と
なよやかな女性声の美しさで、ゆったりとした味わいながら、ドラムが入っているので、
静謐すぎるアンビエントが苦手という初心者にもわりと聴きやすいだろう。
クラシカル度・・7 優美度・・8 女性Vo度・・8 総合・・7.5 過去作のレビューはこちら
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THE CHANGELINGS 「TERRA FIRMA」
アメリカのゴシックアンビエント、チェンジリングスの1997年
クラシカルなピアノにシンセを重ね、しっとりとした女性ヴォーカルを乗せた優美なサウンドで、
艶やかなヴァイオリンの音色も美しく、ドラムやギターも加わったほどよいロック感触もある。
アコースティックギターにシンセを重ねた素朴なナンバーや、パーカッション鳴り響く民族的な雰囲気など、
エスニックな部分は、Rajnaなどのファンにも楽しめるだろう。一方ではジャズタッチのアレンジなど、
楽曲ごとに異なる空気感を描くところは、バンドとしての技量の高さだろう。幻想的な逸品です。
クラシカル度・・7 優美度・・8 女性Vo度・・7 総合・・7.5
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3/22
フォルツァ!Prog イタリアーノ!(90)


Banco Del Mutuo Soccorso 「Transiberiana」
イタリアのプログレバンド、バンコ・デル・ムトゥオ・ソッコルソの2019年作
スタジオアルバムとしては1994年以来となる。フランチェスコ・ジャコモの死後、はじめてのアルバムで
オリジナルメンバーはシンセのヴィットリオ・ノチェンツィのみとなったが、美しいシンセワークは健在で、
新加入のトニー・ダレッシオの伸びやかなヴォーカルを乗せ、優雅な叙情美に包まれたサウンドを聴かせる。
オルガンに変拍子リズムという、往年のプログレ感触をしっかりと残しながら、キャッチーなスタイリッシュ性も含んだ
現在形バンコの味わいになっている。随所にメロウなギターの旋律や味わいのある歌声が、大人の哀愁を感じさせる。
派手さはないものの、シベリア鉄道横断を人生の旅路に重ねたという、深みのあるコンセプトアルバムに仕上がっている。
ドラマティック度・・8 プログレ度・・8 イタリア度・・8 総合・・8 過去作のレビューはこちら
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GARYBALDI 「Storia Di Un'Altra Citta'」
イタリアのプログレバンド、ガリバルディの2016年作
「イタリアのジミ・ヘンドリックス」の異名を持つギタリスト、バンビ・フォッサーティを中心に活動し、
1972年、73年に2作を残したバンドの復活作。ドラム以外はメンバーが替わっているようだが、
オルガンにメロトロンが鳴り響き、適度なハードなギターとイタリア語のヴォーカルを乗せた、
大人の叙情性とブルージーなロック感触が同居したサウンド。70年代ルーツのハードプログレであるが、
メロウなギターフレーズや艶やかなヴァイオリン、フルートの音色など、優雅な味わいも含んだ逸品です。
2014年に死去した、故バンビ・フォッサーティや、元VDGG〜OSANNAのデヴィッド・ジャクソンがゲスト参加。
ドラマティック度・・8 プログレ度・・7 イタリア度・・8 総合・・8
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UNO
イタリアのプログレバンド、ウーノの1974年作
OSANNAの4th「人生の風景」発表後、ダニーロ・ルスティーチ(Vo&G)とエリオ・ダンナ(Sax)はバンドを脱退し、本バンドを結成。
やわらかなフルートにアコースティックギターが絡むイントロから、優美なシンセに英語のヴォーカルが加わって、
サックスの音色とともに叙情豊かなサウンドが広がってゆく。ファンキーなノリやジャズロック的な軽妙さも覗かせつつ
イタリア語を乗せたナンバーやドカドカとしたドラムも含めて、イタリアらしい濃密な味わいもしっかりと残している。
10分を超える大曲でも、叙情性と勢いのあるノリが同居した緩急ある構築力で、演奏力の高さも見せつける。
ラスト曲では、PINK FLOYDの傑作「狂気」に参加していた女性シンガーがゲスト参加しているのも話題となった。
バンドは本作のみで終わるが、よりスタイリッシュなサウンドを目指したスタイルのNOVAへとつながってゆく。
ドラマティック度・・7 プログレ度・・8 イタリア度・・8 総合・・8
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Citta' Frontale
イタリアのプログレバンド、チッタ・フロンターレの1975年作/邦題「雷神」
OSANNAの分裂後、リーノ・ヴァイレッティとマッシモ・グァリーノを中心に結成されたバンドで唯一の作品。
やわらかなフルートの音色にアコースティックギターで牧歌的に始まり、鳴り響くサックスに
エレピを含むシンセを乗せて、ジャズロック的な優雅なアンサンブルを聴かせる。
オザンナの「人生の風景」をより軽妙にスタイリッシュにしたようなサウンドながら、
イタリア語によるマイルドなヴォーカルには、古き良きイタリアンロックの空気を感じさせ、
流麗なギターフレーズに女性コーラスも加わって、技巧的でありながら優美な繊細さを内包した作風だ。
アコースティックの素朴な叙情や、フルートにメロトロンが重なる幻想的な美しさも含んだ逸品です。
ドラマティック度・・8 プログレ度・・8 イタリア度・・9 総合・・8
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OSANNA 「Suddance」
イタリアのプログレバンド、オザンナの1978年作/邦題「南の踊り」
前作からバンドはいったん解散していたが、チッタ・フロンターレを母体にして、新生オザンナとして再結成したのが本作。
エレピを含むシンセにメロウなギター、イタリア語のヴォーカルを乗せ、フュージョン風味のジャズロックを聴かせる。
リノ・ヴァイレッティのジェントルな味わいの歌声や、ダニーロ・ルスティチの流麗なギターワークも魅力的で、
初期のオザンナとはすでに別物ながら、繊細で優美なイタリアらしい叙情美はしっかりと感じられる。
確かな演奏力とともに優雅に楽しめる好作品である。本作を最後にバンドは解散、2001年の復活を待つことになる。
ドラマティック度・・7 プログレ度・・7 優雅度・・9 総合・・8 過去作のレビューはこちら
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OSANNA 「Live - Uomini E Miti」
イタリアのプログレバンド、オザンナのライブ作品。2003年作
バンド30周年記念のライブを収録したCD+DVDで、CDには、2001年の復活作「TAKA BOOM」に収録されていた、
70年代のリメイクナンバーを演奏。リノ・ヴァイレッティの歌声にダニーロ・ルスティチの巧みなギターを乗せ、
優美なピアノとシンセに鳴り響くサックスとともに、大人のオザンナというべきサウンドを聴かせる。
CD後半はスタジオ新緑で、アコースティカルな叙情美からモダンな現在系のアレンジまで、4曲を収録。
DVDには、ヴィットリオ・デ・シャルツィ、フランチェスコ・ジャコモ、ジャンニ・レオーニナ、パトリツィオ・ファリセッリ、
ジェニー・ソレンティなど、多くのゲストが参加して、NEW TROLLSやBANCO、AREA、Il Balletto Di Bronzoなど、
往年のナンバーを披露。映像的には、TV用という感じでやや粗いが、イタリアンプログレ好きには必見である。
ライブ演奏・・8 ライブ映像・・7 イタリア度・・9 総合・・8
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Gan Eden - Il Giardino delle delizie 「Goodbye」
イタリアのプロクレバンド、ガン・エデン(イル・ジャルディーノ・デッレ・デリージ)の2018年作
2007年にデビュー、本作は9年ぶりとなる3作目で、クラシカルなピアノや美麗なシンセと、
メロウなギター、イタリア語の歌声とともに、優美なシンフォニックロックを聴かせる。
ピアノを主体にした小曲や牧歌的な歌もの曲など、ジャケの水彩画のイメージのような素朴な味わいに
オルガンやムーグなどのヴィンテージなプログレ感触が同居した作風で、随所にチェンバーロック的でもある
クラシカルな美意識とスリリングな優雅さも覗かせる。濃密なシンフォ色はないものの、全69分という力作である。
クラシカル度・・8 プログレ度・・7 優雅度・・8 総合・・8 過去作のレビューはこちら
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Il Segno Del Comando 「L'Incanto Dello Zero」
イタリアのプログレバンド、イル・セーニョ・デル・コマンドの2018年作
1997年にデビュー、本作は5年ぶりとなる4作目。オルガンを含むシンセに、ジェントルなヴォーカルを乗せ、
イル・バレの「Ys」にも通じる耽美な世界観に包まれた、イタリアらしいハードプログレを聴かせる。
ときにツインキーボードやツインギターにもなる厚みのあるバックに朗々としたイタリア語の歌声で、
70年代ハードロックルーツのアナログ感と、ダークな翳りを含んだ濃密な世界観を描いてゆく。
女性ヴォーカルを加えたナンバーは、ヴィンテージな魔女系ロックの味わいでも楽しめる。
ドラマティック度・・8 プログレ度・・7 イタリア度・・9 総合・・8 過去作のレビューはこちら
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IL TEMPIO DELLE CLESSIDRE 「LIVE IN SEOUL」
イタリアのプログレバンド、イル・テンピオ・デッレ・クレシドレのライブDVD。2014年作
女性シンセ奏者のエリサ・モンタルドを中心に、2010年にデビュー、往年のイタリアンプログレを蘇らせる期待のバンド。
Disc1には、2011年韓国でのライブを、Disc2には2009〜2012年のイタリアでのライブ、アメリカNEARfestでの映像も収録。
ムゼオ・ローゼンバッハのステファノ・ガリフィが参加して、名作「ツァラトゥストラ組曲(ZARATHUSTRA)」の完全再現を披露。、
さすがに本家に比べると演奏の重厚さには欠ける感じではあるが、ガリフィ氏の歌声と存在感はさすがで、
耽美なゴスメイクのエリサ嬢が、オルガンなどのオールドな鍵盤を華麗にかき鳴らす姿は、ある意味必見である
後半は1stアルバムのナンバーを全曲演奏。イタリアのバンドらしい妖しくも優美なプログレサウンドが楽しめる。
Disc2の方は、映像、音質ともにオフィシャルブートという程度なので、あくまでオマケながら、TV出演の映像などは興味深い。
ライブ映像・・7 ライブ演奏・・8 イタリア度・・8 総合・・7.5 過去作のレビューはこちら
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Aelementi 「Una Questione Di Principio」
イタリアのプログレバンド、アエレメンティの2017年作
オルガンを含むシンセに適度にハードなギター、女性ヴォーカルのイタリア語の歌声を乗せた、
大人の哀愁を感じさせるプログレハード。リズムチェンジを含む展開力に、叙情的なギターフレーズ
表現力ある伸びやかな歌声とともに、キャッチーな叙情性に包まれた優雅なサウンドを聴かせてくれる。
曲によってはメロハー的な感触もありつつ、オルガンやピアノが美しいやわらかな叙情パートや、
ときにシンフォニックな音の厚みとともに、案外メリハリのある構築力が光っている。
女性声プログレ、女性声シンフォが好きな方も楽しめる優美でキャッチーな好作品。
メロディアス度・・8 プログレ度・・7 女性Vo度・・8 総合・・7.5
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Karmamoi 「Day Is Done」
イタリアのプログレユニット、カルマモイの2018年作
2011年にデビュー、本作は4作目で、美しいピアノとシンセ、メロウなギターのトーンに
しっとりとした女性ヴォーカルを乗せて繊細な叙情を描く、ポストプログレ風のサウンド。
静寂感のあるスペイシーなポストロック的な味わいの中に、ロック寄りのドラムとギター、
やわらかなフルートの音色も加わると、イタリアらしい優雅なプログレ色に包まれる。
一方では、叙情的なギターにシンセを重ねた、涼やかなシンフォニックロックとしても楽しめ、
翳りを帯びたアンニュイな倦怠をまとわせるところは、PAATOSなどに通じる部分もある。
ドラマティック度・・7 プログレ度・・7 叙情度・・8 総合・・7.5
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Eyesberg 「Masquerade」
ドイツのプログレバンド、アイズベルグの2016年作
70年代〜80年代初頭にかけて活動しながら、アルバムを残さずに消えたバンドで、2014年の復活作に続く2作目。
ハード寄りのギターにオルガンやメロトロンを含むシンセを重ね、マイルドなヴォーカルを乗せて、
70〜80年代ルーツの古き良き感触のハードプログレを聴かせる。メロディックなギターフレーズに
やわらかなフルートやうるさすぎないシンセとともに、ゆったりとした耳心地よいサウンドを描くところは、
ベテランらしい枯れた味わいを感じさせる。シンフォプログレとして抜けの良い叙情性も随所に覗かせつつ、
ラストは18分の大曲で、優雅なアンサンブルにシンセとギターを重ねた厚みのあるシンフォニックロックを構築する。
ドラマティック度・・8 プログレ度・・7 叙情度・・8 総合・・7.5
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Marquette 「Human Reparation」
ドイツのプログレバンド、マーケットの2015年作
適度にハードなギターにオルガンを含むシンセを重ね、軽妙なアンサンブルで聴かせる、
スタイリッシュなハードプログレ。マイルドなヴォーカルが加わると、翳りを帯びた叙情とともに、
RiversideARENAなどにも通じる、モダンな薄暗系シンフォニックロックが楽しめる。
軽やかなインストパートは、ほどよくテクニカルな感触もあって、メロウなギターフレーズにシンセが重なると
優雅な叙情性に包まれる。18分という大曲では、オールドなロック色とやや屈折感のある展開力に
歌もの的なドラマ性が同居した大人のプログレハードを描く。派手さはないが、全78分という力作です。
ドラマティック度・・7 プログレ度・・7 スタイリッシュ度・・8 総合・・7.5
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EPIDAURUS 「...Endangered」
ドイツのシンフォニックロック、エピダウルスの1994年作
1977年に作品を残したバンドの、17年ぶりとなる2作目。1作目は素晴らしい出来であったが、
本作も、美しいシンセにメロウなギター、優しい女性ヴォーカルの歌声を乗せた、清涼なシンフォニックロックを聴かせる。
以前の作品に比べるとキャッチーなポップ性がやや増しているが、優美な雰囲気はそのままで、
女性声のポンプロックとしても楽しめる。クラシカルなピアノに美しい女性ヴォーカルが乗るところは、
RENAISSANCEなどにも通じる優雅な聴き心地。プログレ的な展開はあまりないが、ゆったりと楽しめる逸品です。
ドラマティック度・・7 プログレ度・・7 優美度・・8 総合・・7.5
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Epidermis 「Feel Me」
ドイツのプログレバンド、エピデルミスの1991年作
1977年にデビュー、本作は1982年作に続く3作目となる。やわらかなオーボエの音色にシンセを重ね、
ドイツ語によるヴォーカルを乗せた、ゆったりとしたした牧歌的な叙情に包まれたサウンド。
22分の大曲では、ヴァイオリンやフルート、ヴィブラフォンなども加わった、優雅なアンサンブルに
アコースティックな素朴さと、ジェントルなヴォーカルを同居させた軽やかなプログレを展開する。
ほどよい屈折感を覗かせつつ、スリリングな感触よりは、大人の叙情というような聴き心地で楽しめる。
ドラマティック度・・7 プログレ度・・7 優雅度・・8 総合・・7.5




2/21
そろそろ春のプログレの足音(76)


Jon lord「Gemini Suite」
イギリスのミュージシャン、ジョン・ロードの1971年作/邦題「ジェミニ組曲」
DEEP PURPLEのオルガン奏者として知られる彼の、70年代のソロ三部作が紙ジャケで再発された。
本作はロンドン・シンフォニーオーケストラとの共演作で、ロジャー・グローヴァーとイアン・ペイスが参加、
曲ごとに、ギター、ピアノ、ドラム、ヴォーカル、ベース、オルガンがソリストとして加わるという構成で、
壮麗なオーケストラにアルバート・リーのロックギターが重なる1曲目から、ピアノとドラムを加えた2、3曲目、
男女ヴォーカルを乗せた4曲目、ベースを乗せた5曲目、そしてお待ちかねのオルガン入りのラスト曲と、
それぞれに異なる味わいで、ロックとクラシックを大胆に融合している。全体的にも優雅な聴き心地で、
ロック度はさほど強くない分、シンフォニーロックとして、プログレファンにこそ楽しめる内容である。
クラシカル度・・9 ロック度・・5 壮麗度・・8 総合・8
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Jon lord「Windows」
イギリスのミュージシャン、ジョン・ロードの1974年作/邦題「バッハ未完成フーガ」
ドイツの作曲家、エバーハルト・シューナーとの共作で、1974年ドイツでのオーケストラとの共演ライブを収録。
前半は、バッハ「未完成フーガ」をモチーフに、オルガンやギターを含むロックアレンジとオーケストラが合わさった、
クラシカルなシンフォニーロックを展開。ヴァイオリンが鳴り響き、ホーンセクションも加わるなどゴージャスな味わいで、
レイ・フェンウィックのギターとピート・ヨークのドラムも随所に活躍している。後半は32分を超える「ウインドウ組曲」で、
オルガンをたっぷり使いながら、女性ヴォーカルが加わり、DEEP PURPLEのデヴィッド・カヴァデール、グレン・ヒューズが参加し、
その歌声で楽曲に彩りを加えている。中盤に「ジェミニ組曲」の一部を盛り込みながら、よりロックとの自然体の融合がなされている。
クラシカル度・・9 ロック度・・7 壮麗度・・8 総合・8
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Jon lord「Lord Sarabande」
イギリスのミュージシャン、ジョン・ロードの1976年作/邦題「スペインの哀愁」
本作はバロックの舞踏曲をテーマに、フィルハーモニー・フンガリカを迎えて録音された作品。
壮麗なオーケストラによる序曲から、ドラムとベース、ピアノによる優雅なアンサンブルにギターがかぶさり、
そこにオーケストラが加わると、シンフォニックな華やかさに包まれる。本作ではシンセを使っていることもあり、
過去2作に比べるとさらにプログレ的なアプローチがなされていて、優美なピアノによるクラシカルな小曲をはさみつつ
11分の大曲では、オルガンも加わって、華麗なオケとロック色をわりとキャッチーに融合させたスタイルで、
典雅なシンフォニーロックが楽しめる。70年代のソロ三部作では、もっとも完成度の高い傑作といえるだろう。
シンフォニック度・・9 ロック度・・7 壮麗度・・9 総合・・8
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The Aristocrats「You Know What...?」
ガスリー・ゴーヴァン、ブライアン・ベラー、マルコ・ミンネマンによるロックバンド、アリストクラッツの2019年作
2011年のデビュー作から数えて4作目となる。グルーヴィなリズムに、フリーキーなギターが鳴り響く1曲目は、
オールドな雰囲気のファンクロック風で、肩の力の抜けたメンバーの楽し気な演奏姿が目に浮かぶ。
その後もミンネマンの巧みなドラムに、骨太かつテクニカルなガスリー・ゴーヴァンのギターを主導に、
ジャズやフュージョン的な優雅さや、ラウドなハードロック風であったり、カントリーな要素なども含んだ、
変幻自在の奔放なインストサウンドを聴かせる。各メンバーの引き出しの多さによって、結果として玄人好みの、
プログレ的なボーダーレス感覚で楽しめるという。楽曲はほとんど6分以上で、名人たちの演奏がたっぷり65分。
ドラマティック度・・6 テクニカル度・・8 奔放度・・9 総合・・8
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LEGEND 「Cardinal Points」
イギリスのシンフォニックロック、レジェンドの2011年作
90年代に3作を残して消えたバンドだが、メンバーチェンジをへて15年ぶりの復活作を完成させた
オリジナルメンバーはシンセ奏者のみとなったが、新たな女性ヴォーカルをフロントにして、
13分、14分、13分、17分という4つの大曲で、地、風、火、水というエレメントを描く大作である。
オルガンを含むシンセにやわらかなフルートの音色、ほどよくハードなギターに、いくぶん魔女めいた
ケリー嬢の歌声を乗せて、CURVED AIRなどにも通じる古き良き英国らしいサウンドを聴かせる。
ほどよく煮え切らないマイナーな感触はかつてのままで、わりと長尺感はあるのだが、ラストの大曲では、
アコースティックパートを含む優美な幻想性とともに、ゆるやかにシンフォニックに盛り上げる。
ドラマティック度・・8 プログレ度・・7 女性Vo度・・8 総合・・7.5 過去作のレビューはこちら
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MOSTLY AUTUMN 「White Rainbow」
イギリスのシンフォニックロック、モストリー・オータムの2019年作
1998年にデビュー、本作は13枚目のアルバムで、うっすらとしたシンセにリコーダーやバグパイプの音色を乗せた
ケルティックなイントロ曲で幕を開け、アコースティックを含む叙情的なギターにブライアン・ジョシュのジェントルな歌声、
そしてオリヴィア嬢の美しいヴォーカルが重なって、シンフォニッな壮麗さと牧歌的な味わいが同居したサウンドを描く。
わりとストレートなナンバーは、初期の作風にも立ち返った聴き心地で、フォーキーな土着感も匂わせつつ、
イアイン・ジェニングスによる壮麗なシンセアレンジと、デイブ・ギルモアばりのメロウなギターも随所に耳に心地よい。
19分という大曲では、哀愁を含んだ英国的な香りと、オルガンが鳴り響くハードエッジなロック感触が合わさって
どっしりとドラマティックに構築する。ラストの泣きの叙情ナンバーまで、ベテランらしい説得力に包まれた全78分の力作です。
ドラマティック度・・8 プログレ度・・7 優美度・・8 総合・・8 過去作のレビューはこちら
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FOCUS 「GOLDEN OLDIES」
オランダのプログレバンド、フォーカスの2014年作
1970年デビュー、1978年に解散するが、2003年に復活。本作は過去のナンバーのセルフカヴァーしたした作品で、
往年のメンバーは、タイス・ファン・レアーとドラムのピエール・ファン・デル・リンデンのみだが、のっけから「Hocus Pocus」での、
タイスのオルガン&ヨーデルの健在に、オールドなファンは感涙だろう。2010年に加入したメンノ・ホーチェスのギターは
アッカーマンに比べるとややハードな感触ながら、テクニックは十分で、メロウなフレージングでもしっかりと楽曲の魅力を描いている。
デビュー作からのナンバーや、名曲「Sylvia」、「Focus 3 & 2」のメドレーなども嬉しいところ。ヤン・アッカーマン不在であっても、。
バンドとしての楽曲の良さを改めて再確認できる。後半には新しいところから「FOCUS 8」や「9」からのナンバーも披露。
メロディック度・・8 叙情度・・8 往年のフォーカス度・・8 総合・・8 過去作のレビューはこちら
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FOCUS「LIVE IN ENGLAND」
オランダのプログレバンド、フォーカスのライブ作品。2016年作
本作は2009年に行われたイギリスでのライブを、2CD+DVDに収録。「Sylvia」をはじめ往年のナンバーから、
復活後のナンバーもとりまぜてのステージで、落ち着いた大人のアンサンブルで、じっくりと演奏を聴かせる。
ギターは2006年から加入した、ニルス・ファン・デル・ステーンホフェンで、そのルックスは地味ながら
叙情的な泣きのフレーズも含め、巧みなフレージングはなかなかのもの。ピエール・ファン・デル・リンデンのドラムに
オルガンを弾き軽やかにフルートを吹きこなす、タイス・ファン・レアーの健在ぶりもファンには嬉しいだろう。
18分を超えるプログレらしい大曲「Eruption」、優美な叙情の「FOCUS 3 & 2」、そしてラストの「Hocus Pocus」まで、
150分におよぶライブがたっぷり楽しめる。DVDの映像も良好で、ずいぶんお腹の出たタイスの姿に哀愁を感じる。
ライブ演奏度・・8 叙情度・・8 大人のフォーカス度・・8 総合・・8
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FOCUS 「FOCUS11」
オランダのプログレバンド、フォーカスの2018年作
オリジナルアルバムとしては、6年ぶりとなる通算11作目。前作に続きロジャー・ディーンによるジャケで、
やわらかなオルガンにメロウなギターが重なる1曲目から、往年のフォーカスの香りを残した
優雅なサウンドが広がってゆく。ピエール・ファン・デル・リンデンの軽妙なドラムを軸にした大人のアンサンブルに、
メンノ・ホーチェスのギターは適度にハードな感触と、ジャジーな軽妙さを併せ持っていて、楽曲によく馴染んでいる。
肩の力の抜けたほどよくユルいキャッチーな味わいに、繊細なフルートやピアノによる叙情ナンバーも耳心地よい。
スリリングな部分は少ないが、ラストナンバー「FOCUS 11」まで、ゆったりとした大人の味わいで楽しめる好作品。
ドラマティック度・・7 プログレ度・・7 優美度・・8 総合・・8
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DILEMMA 「Random Acts of Liberation」
オランダのプログレバンド、ディレンマの2018年作
1995年に唯一のアルバムを残して解散、本作は23年ぶりとなる復活作。オリジナルメンバーのシンセ奏者を中心に、
AFFECTORやNeal Morse Bandに参加するドラムのCollin Leijenaar、元 FROST*のDec Burkeらが参加、
ハードエッジのギターに美しいシンセが重なる、スタイリッシュなハードプログレ・サウンドを聴かせる。
マイルドなヴォーカルを乗せた優美でキャッチーな感触と、モダンなヘヴィネスが同居した作風は、
やはりFROST*HAKENなどにも通じるだろう。曲によってはツーバスのドラムなどもわりと激しめで、
ProgMetal好きのリスナーにもアピールするかもしれない。4〜5分前後の楽曲を中心にしつつ、12分という大曲は、
NEAL MORSE
を思わせるようなドラマティックな展開力で楽しめる。全72分の見事な力作です。
メロディック度・・8 ハードプログレ度・・8 スタイリッシュ度・・9 総合・・8
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Kerygmatic Project 「Now And Again」
イタリアのプログレバンド、ケリグマティック・プロジェクトの2015年作
2011年にデビューし、本作は4作目。きらびやかなシンセにかすれた味わいのヴォーカルを乗せ、
プログレハード風のキャッチーな感触に包まれた、わりと王道のシンフォニックロックサウンド。
オルガンやムーグを含むプログレらしいシンセワークを中心に、英語歌詞のヴォーカルとともに、
ゆったりとした叙情を聴かせる作風で、「Love and Destiny (遼と香の歌)」と題された、
アニメ「シティ・ハンター」をテーマした優美なナンバーなど、日本人ならにやりとなるだろう。
全体的には、ASIAにも通じる、80〜90年代風のシンフォニックなプログレハードといった趣で、
これという新鮮さはないものの、優美なサウンドを安心して楽しめる好作品だ。
メロディック度・・8 プログレ度・・7 叙情度・・8 総合・・7.5
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GARDEN WALL 「ASSURDO」
イタリアのアヴァン・プログレ(メタル)、ガーデン・ウォールの2011年作
1993年にデビュー、8作目となる本作は、のっけからデジタルなリズムにがなり声ヴォーカルを乗せた、
エレクトロなアヴァンロックが広がってゆく。ヴァイオリンが鳴り響く妖しいチェンバーロック風味に
エスノビートやジャズ風味の優雅なアンサンブルも覗かせて、つかみどころのないキワモノ的センスに包まれる。
ときおり凶暴なギターが加わると、メタリックな激しさも匂わせるが、曲によってはゆったりとした叙情パートも多く、
しっとりとした女性声やオルガン、フルートを使ったオールドロック風味など、全体的には、むしろプログレ寄りの作風。
なにをやりたいのかよくわからないという、得体の知れない聴き心地が、67分も続くのがある意味凄い。
ドラマティック度・・7 プログレ度・・7 アヴァンギャル度・・8 総合・・7.5
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Lizard 「Noc Noc Zywych Jasxczurow」
ポーランドのプログレバンド、リザードのライブ。1999年作
1996〜1997年に行われたポーランドでのライブを収録。のっけからKING CRIMSON「21世紀の精神異常者」で、
クリムゾンフリークぶりを暴露。確かな演奏力とともに、ヴァイオリンを加えた優雅なカヴァーで楽しめる。
その後は、1stアルバムからの曲をまじえつつ、再びクリムゾンの「ムーンチャイルド」を演奏し、さらには
「The Court of The Crimson King」を披露、はては、U.K.の「In The Dead of Night」までやってしまうという、
半分がカヴァー曲というのが微笑ましいが、12分の大曲などオリジナルナンバーの構築力も見事で、
次作以降のプログレバンドとしての深化を思えば、まさに実力派バンドの面目躍如というところだろう。
ライブ演奏・・8 プログレ度・・8 カヴァー度・・8 総合・・8 過去作のレビューはこちら
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KAMPAI 「Land Of The Free」
ドイツのプログレバンド、カンパイの1993年作
うっすらとしたシンセアレンジに叙情的なギター、マイルドなヴォーカルを乗せたシンフォニックロック。
適度にハードなギターにシンセを重ねたキャッチーなノリは、PALLASなどに通じる感触で、
80年代ポンプロックルーツの叙情的なプログレハードとしても楽しめる。
これという個性はさほどないのだが、全体的にきらびやかでメロディックな聴き心地で、
適度にハードでキャッチーな、90年代のシンフォニックロックの隠れた好作品といえるだろう。
メロディック度・・8 プログレ度・・7 優美度・・8 総合・・7.5

Days Between Stations
アメリカのプログレユニット、デイズ・ビトウィーン・ステーションズの2007年作
シンセ奏者とギタリストによる二人組のユニットで、のっけから13分という大曲で、
オーケストラルで美しいイントロが続き、7分くらいからリズムも加わってようやくプログレらしくなる。
メロウな叙情を奏でるギターとシンセの重ねによる、ゆったりとしたインストパートをメインにしつつ、
ゲストによる女性ヴォーカルがソウルフルな歌声を乗せたり、サックスやトロンボーンが鳴り響いたりと、
わりと意外性もあって楽しめる。ラストは22分の大曲で、美しいシンセと泣きのギターで、もの悲しい叙情に包まれた
繊細なシンフォニックロックを展開。ジャケはB級アメコミ風ながら、内容は優美な世界観の好作品です。
ドラマティック度・・7 プログレ度・・7 優美度・・8 総合・・7.5
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Raimundo Rodulfo 「Dreams」
ヴェネズエラのミュージシャン、レイムンド・ロドゥルフォの2000年作
自主制作によるデビューアルバムで、アコースティックギターのつまびきから、やわらかなシンセにフルートの音色、
CAMELかセバスチャン・ハーデイかという優雅なギターの旋律で、繊細な叙情に包まれたサウンドを聴かせる。
軽妙なリズム展開とクラシックを基本にした美意識を同居させて、ネイチャーな雄大さを描くところは、
日本のASTURIASMIKE OLDFIELDにも通じるだろう。艶やかなヴァイオリンにギターが絡むあたりはウットリで、
ラストは7パートに分かれた21分の組曲で、アコースティックな民族要素と繊細なシンフォニックロックが合わさった聴き心地。
クラシカル度・・8 プログレ度・・8 繊細で優美度・・9 総合・・8 過去作のレビューはこちら



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コロナウイルスにも負けぬプログレ!(60)


ABSOLUTE ELSEWHERE 「In Search of Ancient Gods」
イギリスのプログレユニット、アブソリュート・エルスウェアの1976年作/邦題「古代宇宙人の謎」
シンセ奏者のポール・フィッシュマンによるプロジェクトで、本作は唯一のアルバム。
宇宙考古学者、Erich Von Danikenの著作を元にしたコンセプト作となっていて、
ドラムにはビル(ウィリアム)・ブラフォードが参加している。メロトロンやピアノを含むシンセワークに
やわらかなフルートの音色が重なり、随所にギターも加えたほどよいロック感触で優美なサウンドを描く。
オールインストで、初期Tangerine Dreamのようなスペイシーな世界観であるが、
5パートに分かれた11分の大曲は、メロトロンの美しさも含めてクリムゾン風の叙情も感じさせる。
ドラマティック度・・7 プログレ度・・7 スペイシー度・・8 総合・・8
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The Far Meadow 「Foreign Land」
イギリスのシンフォニックロック、ファー・メドウの2019年作
2021年にデビュー、本作は3作目。前作も優美な好作品だったが、本作はのっけから18分という大曲で幕を開け、
美しいシンセワークに女性ヴォーカルの歌声を乗せて、MAGENTAにも通じる優雅なサウンドを描いてゆく。
オルガンやムーグなどを含むプログレ感のあるシンセに、随所に泣きのギターフレーズが叙情を加え、
ややハスキーなマルゲリータ嬢の伸びやかな歌声が楽曲を彩る。シンフォニックロックとしての壮麗さの一方で、
プログレらしい引っ掛かりのある展開力は、YESをはじめとする往年の英国バンドからの影響も匂わせる。
ラストも11分の大曲で、堂々たる構築力にはバンドとしての自信が感じられる。英国女性声シンフォプログレの逸材です。
ドラマティック度・・8 プログレ度・・8 女性Vo度・・8 総合・・8
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Gandalf's Fist 「The Clockwork Prologue」
イギリスのプログレバンド、ガンダルフズ・フィストの2019年作
2011年にデビュー、本作は3枚組だった2016年作のコンセプトストーリーの続編で、2枚組の大作。
セリフや語り、SEを含んだロックオペラ的な構成で、配役ごとの男女ヴォーカルやコーラスを配置して、
ストーリーを描いてゆくのは、AYREONにも通じるところ。楽曲自体は、わりと普通のプログレハードで、
ややハスキーな女性ヴォーカルを乗せたナンバーは、LANDMARQあたりにも通じる雰囲気もあったり、
オルガンが鳴り響くノリのよいナンバーもあったりと、なかなか楽しめる。頻繁にセリフや語りが入るので、
音楽のみを楽しむ方には少々うっとおしいかもしれないが、Disc2では10分を超える大曲もあって、
ドラマティックなシンフォニックロックが味わえる。あとはもう少し、楽曲ごとの明確な盛り上がりがあれば。
ドラマティック度・・8 プログレ度・・7 壮大度・・8 総合・・7.5 過去作のレビューはこちら
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BLURRED TURTLE
イギリスのミュージシャン、Tim Brownのプロジェクト、ブルーレッド・タートルの2018年作
ギター、ベース、シンセなどすべてをこなすマルチミュージシヤンで、壮麗なシンセにギターが重なるイントロから、
打ち込みのドラムにオルガンを含むシンセとハード寄りのギターを乗せ、インストのシンフォニックロックを展開。
オールインストであるが、きらびやかなシンセを中心とした優雅な耳心地のよさに包まれる。
楽曲は3分前後と短めで、全体的にも、これという盛り上がりがないので、もう少しドラマ性が欲しい。
ドラマティック度・・6 プログレ度・・7 楽曲・・6 総合・・7

Nodens Ictus 「The Cozmic Key」
イギリスのサイケロック、ノーデンス・イクタスの2017年作
OZRIC TENTACLESのEd Wynneによるソロプロジェクトで、エレクトロなシンセアレンジに
フリーキーなギターを重ねた、アッパーなサイケロックはオズテンの延長線にあるサウンド。
後半は15分、25分という大曲で、桃源境的なユートピア感に包まれたやわらかな聴き心地から、
ややアヴァンギャルドなエレクトロなサイケ感触まで、ある意味スペイシーなスケール感が味わえる。
GONGをルーツとしたドリーミィなサイケの進化系で、オズテンのファンなら普通に楽しめるかと思います。
ドラマティック度・・7 サイケ度・・8 オズテン度・・8 総合・・7.5
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Vespero 「Hollow Moon」
ロシアのサイケプログレ、ヴェスペロの2018年作
本作は宇宙と月をテーマにしているようで、美しいシンセの重ねによるイントロ曲から
ドラムが加わった2曲目は、勢いのあるアンサンブルでアッパーにたたみかける。
フリーキーなギターにヴァイオリン、サックスが鳴り響き、スペイシーなシンセが重なって、
優雅で濃密、きらびやかなサイケプログレを展開する。リズム面を含めて演奏力も高いので、
ときにジャズロック的な軽妙な味わいもあって、サックスやヴァイオリンが活躍するところも多い。
叙情的なギターに美麗なシンセが重なると、わりとシンフォニックな感触も前に出てきて、
11分の大曲は、アヴァンギャルドなプログレらしさも覗かせる圧巻の出来。全64分の力作です。
ドラマティック度・・8 プログレ度・・8 優雅でサイケ度・・8 総合・・8 過去作のレビューはこちら
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Alan Simon 「Excalibur - The Ladies Of The Lake」
フランスのミュージシャン、アラン・サイモンのケルティックオペラ、エクスカリヴァーの2018年作
本作は「Excalibur」シリーズや、「Tristan & Yseult」から、女性ヴォーカルのナンバーを集めた作品。
美しいシンセにやわらかなフルート、ハープの音色、優美なオーケストラアレンジにしっとりとした女性ヴォーカルを乗せ、
ときにギターなどを加えたほどよいロック感触も含んだ、シンフォニックなケルティックサウンドを聴かせる。
モイヤ・ブレナン、マディ・プライア、カラン・ケイシー、ソーニャ・クリスティーナ、シボーン・オーウェン、コハンなど、
魅力的な女性シンガーがそれぞれの楽曲で豊かな歌声を響かせる。わりとモダンにアレンジされたナンバーから、
アコースティックメインのナンバーまで、美しい女性声とともにアーサー王伝説をモチーフにしたケルトサウンドに浸れます。
壮麗度・・8 優美度・・9 女性Vo度・・9 総合・・8 過去作のレビューはこちら
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Alan Simon 「Big Bang」
フランスのミュージシャン、アラン・サイモンの2018年作
ケルティック・ロックオペラ「Excalibur」などで知られるアーティストで、本作は大宇宙をテーマした作品。
オーケストラルなアレンジにシンセを重ね、適度にモダンな感触とシンフォニックな美しさが同居したサウンド。
サックスやフルート、クラリネットがやわらかに鳴り響き、パーカッションや優美なハープの音色など、
ケルティックな味わいも随所に覗かせる。エレキギターやドラムが加わると、ほどよくロック色が加わるが
繊細なピアノにサックスが絡むジャズタッチのナンバーなどもあって、派手さはないが大人の味わいである。
曲によってはヴォーカルも入るが基本はインストが中心。大御所、アラン・スティーヴェルが参加しているのも興味深い。
シンフォニック度・・7 プログレ度・・7 優美度・・8 総合・・7.5
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Alan Simon 「Chouans」
フランスのミュージシャン、アラン・サイモンの2019年作
フランス革命230周年を記念した作品で、18世紀フランス西部の戦乱を描いたCD2枚組のロックオペラ。
ANGEのクリスチャン・デカン、息子のフランシス&トリスタン兄弟をはじめ、多数のゲストが参加。
ストリングスを含むオーケストラルなアレンジに、オルガンを含むシンセとロック寄りのギターを乗せ、
フランス語によるヴォーカルとともに、シアトリカルで壮麗なシンフォニックロックが広がってゆく。
楽曲ごとに歴史上の人物に扮した歌い手が物語を語るような歌声を乗せ、Disc1は男性声のみだが、
Disc2では、Kohannなど女性ヴォーカルのナンバーも出てきてほっとする。歴史的なコンセプトだから仕方ないが、
個人的にはもっと女性声が多い方が嬉しいのであった。ともあれ、2CDで合計84分という大作です。
シンフォニック度・・8 プログレ度・・6 フレンチ度・・9 総合・・7.5
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EX-VAGUS「Dream Object 5」
フランスのプログレバンド、イーエックス・ヴァグスの2009年作
2002年にデビュー、本作は3作目で、きらびやかなシンセに適度にハードなギター、表現力あるヴォーカルを乗せた
ANGEを思わせる濃密な味わいのシンフォニックロック。過去2作に比べて、いくぶんハードさが増した感触で、
今作では歌詞が英語になった分、わりと一般向けの雰囲気になった。また、10分を超える大曲も多く、
叙情的なギターフレーズを美麗なシンセが包み込み、シアトリカルな歌声とともに、フレンチらしいドラマ性を感じさせる。
フィッシュ時代のMARILLIONなどにも通じる濃密な味わいの、壮麗なシンフォニックロック作品です。
ドラマティック度・・8 プログレ度・・8 フレンチ度・・8 総合・・8 過去作のレビューはこちら
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THE SAVAGE ROSE 「HOMELESS」
デンマークのブルースロック、サヴェージ・ローズの2017年作
デビューは1968年という大ベテランで、アルバムは優に20枚を超える。
トロンボーンやトランペットの音色に、オルガンやピアノ、メロトロンを含むシンセ、
そしてソウルフルな女性ヴォーカルを乗せた、味わいのあるプログレ・ブルースロック。
アニセッテ姐さんのかすれ気味のハスキーヴォイスは、往年に比べるとやや魔女めいてきてはいるが、
魂の叫びにも似た歌声のパワーは健在だ。アコースティックギターにアコーディオンの音色が響く、
哀愁に包まれたナンバーなどもいい感じで、アニセッテの歌の迫力に圧倒される。ベテラン健在の逸品です。
ドラマティック度・・7 プログレ度・・7 アニセッテ姐さんの歌声・・9 総合・・8 過去作のレビューはこちら
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Stencil Forest 「Opening Act」
アメリカのプログレバンド、ステンシル・フォレストの2004年作
1984年に録音されながら日の目を見ることのなかった未発音源集のCD化作品で、
ほどよくハードなギターに、オルガンやピアノ、ムーグを含むシンセと伸びやかなヴォーカルを乗せ、
80年代Yesなどを思わせる、キャッチーなプログレハードを聴かせる。ツインギターによる流麗なメロディや
堂々たるヴォーカルの表現力など、演奏力もしっかりとしていて、マイナー臭さはさほど感じさせない。
初期のSTYXSTARCASTLEなどにも通じる感触は、当時のYES影響下バンドの中でも質の高い部類だろう。
未発音源ながら録音状態は良好。バンドは2005年に復活の新作を発表している。
メロディアス度・・8 キャッチー度・・8 プログレハー度・・8 総合・・8
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Saqqara Mastabas 「Libras」
アメリカのアヴァンロック、サッカラ・マスタバスの2016年作
The Fiery Furnacesのマシュー・フリードバーガーとSEBADOHのボブ・ダミコのユニットで、
古代エジプトをテーマにした、ファンタジックなエレクトロサウンドが詰まっている。
ややチープなシンセ音の重ねを生々しいドラムと融合し、ポップでありながらミステリアスな
アヴァンロックを聴かせる。どこかゲームミュージック風でありながら、先の読めないフリーキーな味わいと
エレクトロなシンセ感触は、プログレリスナーにも対応。ストレンジなセンスに包まれたオールインストの全30分。
ドラマティック度・・6 プログレ度・・7 アヴァンギャル度・・8 総合・・7.5
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Robert Marcel Lepage 「La plante humaine」
カナダのミュージシャン、ロベール・マルセル・ルパージュの1997年作/邦題「植物人界」
80年代から活動するアーティストで、本作は6作目。艶やかなヴァイオリン、チェロの音色による
優雅な室内楽サウンドに、ロックなドラムとギターが唐突に加わるという、アヴァンギャルドなスタイル。
1〜3分前後の小曲が連なり、不穏に鳴り響くストリングスにコントラバス、エレキギターも加わって、
スリリングなチェンバーロックを展開する。一方では哀愁を含んだアコーディオンにヴァイオリンを重ねた
優雅な味わいも覗かせつつ、唐突なロック感触やインプロ的なフリーキーさも含んだつかみどころのない異色作。
チェンバー度・・7 ロック度・・6 アヴァンギャル度・・8 総合・・7.5
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Ravana 「Common Daze」
ノルウェーのプログレバンド、ラヴァナの1996年作
物悲しいチェロの音色に、うっすらとシンセが絡み、ややヘタウマなヴォーカルを乗せ
メランコリックな雰囲気に包まれた、ポストロック的でもある味わいのサウンドを聴かせる。
やわらかなフルートやメロトロンが加わると、北欧プログレらしい涼やかな聴き心地になるが、
ギターはわりとハード寄りだったり、一方ではエレピを乗せたジャズロック風味もあったりと、ややとりとめがない。
これという展開力がないので、薄暗系の叙情ロックというか、全体的な方向性も微妙なところ。
ラストの9分の大曲は、オルタナ系ポストプログレという雰囲気もある。バンドは本作のみで消えたらしい。
ドラマティック度・・7 プログレ度・・7 北欧度・・7 総合・・7
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いよいよフラキン来日!(45)
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ESP Project「Three」
イギリスのプログレユニット、ESPプロジェクトの2019年作
BRAM STORKERのトニー・ロウを中心にしたプロジェクトの3作目で、うっすらとした美しいシンセに、
トニー・ロウのマイルドなヴォーカルを乗せた、モダンでスタイリッシュなサウンドを聴かせる。
叙情的なギターフレーズにシンセを重ねたシンフォニックロック的な優美な味わいもあって、
派手さはないものの、MARILLIONなどにも通じる繊細な叙情とともにゆったりと楽しめる。
全4曲30分というEPで、CD-R仕様ということもあって、今後のフルアルバムにも期待したい。
ドラマティック度・・7 プログレ度・・7 叙情度・・8 総合・・8 過去作のレビューはこちら
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Riversea 「The Tide」
イギリスのシンフォニックロック、リヴァーシーの2018年作
2012年にデビュー、本作は2作目となる。前作は泣きの叙情美にあふれた素晴らしい傑作であったが、
今作も美しいシンセアレンジにマイルドなヴォーカルを乗せ、しっとりとしたシンフォニックロックが広がってゆく。
MOSTLY AUTUMNのオリヴィア嬢が参加した曲では、優美な歌声とともに繊細な幻想性に包まれる。
MARILLIONのような翳りを帯びた叙情性と、ポストプログレ的なスタイリッシュな感触もありつつ、
甘美な泣きのギターフレーズや、アコースティックギターにメロトロンが重なるところなどにはうっとりとなる。
リー・アブラハム(元GALAHAD)、トニー・パターソン、ポール・カシック、サイモン・ゴドフレイ(Tinyfish)などがゲスト参加。
ドラマティック度・・8 プログレ度・・7 叙情度・・9 総合・・8 過去作のレビューはこちら
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Luciano Basso「Voci」
イタリアのミュージシャン、ルチアーノ・バッソの1976年作
クラシカルなピアノの旋律にヴァイオリンが絡み、メロウなギターにメロトロンが加わると、
インストによる優美なシンフォニックロックの趣になる。オルガンを乗せて変拍子リズムを含んだ
プログレらしい感触もありつつ、クラシックを基盤にした優雅なピアノがサウンドを包み込む。
10分前後の大曲も、美しいピアノとギターにヴァイオリンを重ねて繊細な美意識を描く、
いわば現代クラシックをロック化したようなサウンドが楽しめる。メロトロンやオルガンなどの
ヴィンテージな味わいと、チェンバー系シンフォとうべき優雅さが融合した逸品です。
クラシカル度・・8 プログレ度・・7 優雅度・・9 総合・・8
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Baba Yoga 「L'uomo Progressivo」
イタリアのプログレバンド、ババ・ヨガの2019年作
作曲家、ジャンフランコ・サルヴァトーレとGOBLIN REBIRTHのシンセ奏者ダニーロ・チェルニを中心にしたユニット。
イタリアの漫画家、グイド・クレパックスの作品から名をとったバンド名で、優美なシンセやピアノの音色に、
Racomandata Ricevuta Ritornoのルシアノ・レゴーリの渋いヴォーカルを乗せ、フルートやリコーダーの音色に、
ときにエレクトロなアレンジやアコースティックな民族色も覗かせつつ、女性ヴォーカルの歌声にメロウなギターが鳴り響く、
ミクスチャー感覚に包まれたサウンド。アヴァンギャルドなごった煮感をイタリアンロックに落とし込んだという、
一筋縄ではいかないセンスで、濃密でいてとぼけたような優雅さで楽しめる。GOBLIN REBIRTHのファビオ・ビナッテーリ、
BANCOのヴィットリオ・ノセンズィ、JUMBOのアルヴァロ・フェッラ、OSANNAのリノ・ヴァイレッティらがゲスト参加。
ドラマティック度・・7 アヴァンギャル度・・8 イタリア度・・8 総合・・8
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CAP & Alvaro 'Jumbo' Fella「Coraggio E Mistero」
イタリアのプログレバンド、Consorzio Acqua Potabileと元JUMBOのアルヴァロ・フェッラによる2016年作
1993年にデビューし、2003年までに3作のアルバムを発表、CAPとしては14年ぶりとなるアルバムで、
やわらかなシンセにフルートの音色、ロック的なギターにイタリア語のパワフルなヴォーカルを乗せた、
ヴィンテージなイタリアンロックサウンド。12弦ギターの優雅な響きや、オルガンやピアノを含むシンセを
アルヴァロ・フェッラの歌声が濃密に包み込んで、牧歌的な叙情性とアッパーなノリの良さが同居した聴き心地。
21分の大曲では、ツインシンセによるプログレ的な展開力と、70年代ルーツのオールドなロック感触が合わさって
イタリア語のアクの強いヴォーカルとともにコッテリ濃厚に聴かせてくれる。全72分という力作です。
ドラマティック度・・8 プログレ度・・7 イタリア度・・9 総合・・8 過去作のレビューはこちら
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Neal Morse 「Morsefest 2015 Sola Scriptural And ? Live」
アメリカのプログレアーティスト、ニール・モーズのライブ。2017年作
2015年に行われた、その名も「モーズ・フェスト」の2日間のライブステージを、4CD+2DVDに収録。
盟友マイク・ポートノイとベースのランディー・ジョージに、2012年から加わった、シンセのビル・ヒューバウアー、
ギターのエリック・ジレットの5人編成で、2015年作「The Grand Experiment」からのナンバーで幕を開け、
軽妙なアンサンブルにキャッチーなコーラスハーモニーを乗せた爽快なサウンドが広がってゆく。
若きギタリスト、エリック・ジレットの腕前も相当なもので、ベテランのリズム隊にも負けない存在感。
ときにフルートやヴァイオリン、チェロ奏者、ブラスにコーラス隊が加わり、初期のソロ作からの大曲から、2005年作「?」と、
2007年作「Sola Scripture」の完全再現に、ドラムにニック・ディヴァージリオを迎えてのSPOCK'S BEARDのナンバー、
アンコールのTRANSATLANTIC「旋風」メドレーまで、全5時間近くにおよぶ、まさにお腹いっぱいのニールモーズ祭り。
ライブ演奏・・8 ライブ映像・・8 濃密度・・9 総合・・8 過去作のレビューはこちら
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PHIDEAUX 「INFERNAL」
アメリカのシンフォニックロック、フィドーの2018年作
マルチミュージシャン、Phideaux Xavierによるプロジェクトで、1992年にデビュー。
本作は、2006年作「The Great Leap」、2007年作「Doomsday Afternoon」から続く、SFホラー的なコンセプト、
3部作のラストとなるCD2枚組。女性ヴォーカルの歌声に男性声が絡み美しいシンセにサックスの音色や、
艶やかなストリングスも加えて、クラシカルな優雅さと重厚さが同居したシンフォニックロックを描き出す。
全体的に、ゆったりとした歌もの感が前に出ているので、楽曲ごとのインパクトはさほどないが、
メロウなギターフレーズにうっすらとしたシンセと女性声を乗せた、優美なパートにはウットリとなるし、
Disc2では、アコースティックを含んだ繊細な叙情や、14分の大曲ではプログレ的な展開力も見せつける。
ドラマティック度・・8 プログレ度・・7 優美度・・8 総合・・8 過去作のレビューはこちら
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Bent Knee 「Shiny Eyed Babies」
アメリカのプログレバンド、ベント・ニーの2014年作
2011年にデビューし、本作は2作目。表現豊かな伸びやかな女性ヴォーカルに、ときにハードなギター、
オルガンを含むプログレ的なシンセとともに、キャッチーでありながらアヴァンギャルドな妖しさに包まれる。
シンセも兼ねるコートニー嬢の歌声は、ときにKATE BUSHが狂ったようなエキセントリックな雰囲気で、
独自の世界観を濃密に作り上げ、サックスやヴァイオリンも鳴り響く、チェンバーロック的なスリリングな味わい。
演奏力、楽曲アレンジの質も含めてものちのアルバムの完成度にも引けを取らない出来で、本作の時点ですでに
バンドの方向性が見事に確立している。濃密でいて優雅でエキセントリック。まさしく女性声アヴァン・プログレの傑作です。
プログレ度・・8 エキセントリック度・・9 女性Vo度・・9 総合・・8 過去作のレビューはこちら
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TNNE 「Wonderland」
ルクセンブルクのシンフォニックロック、THE NO NAME EXPERIENCEの2017年作
前作はBIG BIG TRAINばりのメロディックな高品質作であったが、2作目となる本作は
やわらかなシンセにサックスが鳴り響き、マイルドなヴォーカルにメロウなギターで聴かせる、
繊細な叙情性に包まれた、いくぶんモダンなシンフォニックロック。プログレらしいシンセワークと
ほどよくハードなギターで、翳りを帯びた空気を描くところは、ARENAあたりにも通じるだろう。
かつてのポンプロックやネオプログレをルーツにした、きらびやかでキャッチーな部分も残していて、
IQPALLASなどが好きな方にも楽しめるかもしれない。前作よりもウェットな感触が増しているが、
随所に聴かせるギターの泣きのメロディなど、聴きどころも多い。ドラマティックなハードシンフォ作品だ。
ドラマティック度・・8 プログレ度・・7 叙情度・・8 総合・・8 過去作のレビューはこちら
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Fervent Mind 「Tranquilize」
ノルウェーのプログレ・ポストロック、フェルヴェント・マインドの2019年作
ドラム、ベース、ギターのシンプルなバックにうっすらとしたシンセ、美しい女性ヴォーカルを乗せた
翳りを帯びた北欧らしい涼やかなサウンドを聴かせる。ゴシックメタル的な雰囲気もいくぶんありつつ、
型にはまらないエクスペリメンタルな空間性に包まれた、しっとりとした雰囲気でも楽しめ、
一方では、オルガンを含むシンセとともに、プログレ寄りの感触もあるので、あなどれない。
キャッチーな味わいの叙情ナンバーや、クリムゾン風のスリリングなインスト、トレモロのギターのポストロックと
幅広い曲調でボーダーレスの味わい。女性声の美しさを活かしたシンフォニックな曲もいいですね。
ドラマティック度・・7 プログレ度・・7 女性Vo度・・8 総合・・7.5
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Swifan Eohl & The Mudra Choir「The Key」
スウェーデンのプログレバンド、スウィファン・エオール&ザ・マドラ・クワイヤの2019年作
メロトロンを含むシンセに軽やかなギターと男女ヴォーカルの歌声を乗せ、軽妙なアンサンブルで聴かせる
キャッチーで牧歌的な味わいのサウンド。随所にテクニカルなリズムを盛り込んだスタイリッシュなセンスと、
いくぶんサイケ気味の浮遊感も覗かせつつ、北欧らしい涼やかで叙情的な聴き心地に包まれる。
オルガンやメロトロンなどのヴィンテージな味わいと、ほどよくユルめなギターの旋律を楽しみつつ、
曲によっては屈折した展開力もあったりして、なかなかあなどれない。優雅でメロウなサウンドながら、
曲調が良い意味でカッチリしていない分、底の知れない実力も感じさせる。今後の深化が楽しみなバンドである。
ドラマティック度・・7 プログレ度・・7 ユル叙情度・・8 総合・・7.5
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Panzerpappa 「Summarisk Suite」
ノルウェーのアヴァンプログレ、パンザーパッパの2019年作
メロトロン、ムーグを含むシンセにギターを重ね、サックスが優雅に鳴り響く、叙情的なジャズロック風味に、
緊張感ある展開力でミステリアスな空気を描き出す。クリムゾンなどが好きな方にも楽しめそうなサウンド。
一方では、サムラのようなトボけた味わいもあって、肩の力が抜けたユルめのアヴァンプログレというべきか。
オールインストなので、明確な盛り上がりというのはないが、軽やかなアンサンブルをシンセが涼やかに包み込み、
曲によっては北欧らしいメロウな叙情性も含んだ作風で、チェンバー、アヴァンロック問わずゆったりと鑑賞できる好作品。
ドラマティック度・・7 アヴァンギャル度・・7 北欧度・・8 総合・・8 過去作のレビューはこちら
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HOLON 「The Time Is Always Now」
ノルウェーのミュージシャン、ロニー・ペデルソンによるソロプロジェクト、ホロンの2016年作
涼やかなシンセアレンジにギターリフを重ね、北欧らしい物悲しい叙情を描く、優美なサウンドで、
随所にマイルドなヴォーカルも加わる。Rhys Marshが全面参加する他、Wobblerのシンセ、Vo、フルート奏者、
女性シンガーのSilje Leirvikなどが参加。やわらかな男女ヴォーカルを乗せたポストプログレ的な繊細さと、
メロウなギターにメロトロンが重なる、White Willowなどにも通じる北欧シンフォ系の味わいも覗かせる。
10分前後の大曲も多く、全体的にゆったりとした味わいながら、北欧らしい涼やかな空気感に包まれて、
曲によってはプログレらしい展開力も現れる。ギタリストとしての自身のセンスも遺憾なく発揮された力作だ。
ドラマティック度・・8 優美度・・8 北欧度・・9 総合・・8
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Qoph 「Freaks」
スウェーデンのサイケ・ハードロック、クォフの2012年作
1998年にデビュー、本作は2004年以来、8年ぶりの3作目。ハードなギターを乗せたアナログ感あるアンサンブルで
LED ZEPPELINなどを思わせる、70年代ルーツのヴィンテージなロックサウンドを聴かせる。
ストーナーロック的なハードさとサイケな浮遊感が同居した感触で、シンセもさほど入らないので、
プログレ的な要素はさほどないがどことなく翳りを帯びた妖しい感じは、やはり北欧のバンドらしい。
個人的には、ラスト曲での牧歌的なユルさが、北欧サイケロックらしくてとてもよいと思うのだが。
ドラマティック度・・7 プログレ度・・6 ヴィンテージ度・・8 総合・・7.5
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Mugstar 「Axis」
イギリスのサイケ・ポストロック、マグスターの2012年作
2005年にデビュー、本作は5作目となる。適度にハードなツインギターを乗せた、
アナログ感あるアンサンブルで、ミステリアスな空気に包まれたインストサウンドを聴かせる。
2曲目からはオルガンを含むシンセも加わって、プログレ的なサイケロックという感触にもなったり、
わりとノリのよいストレートなナンバーもあったりと、オールインストながらサウンドの空間性を感じさせる。
耳を引くような展開はないのだが、オールドなロック感を残したサイケなポストロックが楽しめる。
ドラマティック度・・7 サイケ度・・7 壮大度・・7 総合・・7.5
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1/17
ジャパニーズプログレ!(30)


Ain Soph 「Seven Colours」
日本のプログレ・ジャズロック、アイン・ソフの2018年作
スタジオ作品として1993年以来、じつに25年ぶりとなる新作で、流麗なギタートーンに
オルガンやエレピを含むやわらかなシンセを重ね、軽やかなアンサンブルで聴かせる、
カンタベリー的な優雅なジャズロックサウンドは健在。繊細なフルートの音色とともに、
しっとりと聴かせる叙情性や、技巧的すぎない落ち着いた大人の味わいはじつに耳心地よく、
とくに山本要三氏の円熟のギターは見事という他にない。アルバム後半は10分を超える大曲2曲で、
メロウなギターにシンセを重ねた優美な感触にも包まれる。まさに円熟の叙情プログレジャズロック。
ドラマティック度・・7 軽やか度・・8 優雅度・・9 総合・・8 過去作のレビューはこちら
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SCHEHERAZADE 「once more」
日本のプログレハードロック、シェラザードの2017年作
ノヴェラの前身バンドとして1977年に結成、NOVELA解散後の1992年に1stアルバムを出すも沈黙、
2010年になって、18年ぶりとなる復活作を発表。本作はそれに続く7年ぶりのアルバムで、
五十嵐久勝、平山照継、永川敏郎、大久保寿太郎、堀江睦男と、前作からの不動のメンバー。
美麗なシンセに味わいのあるギターを乗せたイントロから始まり、大人のシェラザードを感じさせつつ、
10分を超える大曲では、アンジーの歌声も含めて、かつてのNOVELAを思わせるロマンティシズムに包まれる。
軽快なナンバーは少ないものの、永川氏のプログレらしいシンフォニックなシンセや平山氏の叙情的なギターなど、
年季をへたメンバーによる表現力ある演奏とともに、古き良きロマンを感じさせるサウンドが楽しめる。
ドラマティック度・・8 ロマン度・・8 シェラザー度・・9 総合・・8 過去作のレビューはこちら
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SCHEHERAZADE「LIVE GAIA」
日本のプログレハードロック、シェラザードのライブ作。2018年作
アルバム「once more」発表後、2017年の東京でのライブを2CDに収録。永川敏郎氏のきらびやかなシンセワークに、
大久保寿太郎氏のベースと平山照継氏のギター、そして五十嵐(アンジー)久勝のハイトーンヴォイスを乗せて、
シンフォニックなハードロックサウンドが広がってゆく。堀江&大久保のSTARLESS組のリズム隊はさすがの存在感で、
楽曲の屋台骨をしっかりと支えている。「once more」からのナンバーを中心に、かつてのNOVELAのナンバーも披露。
「魅惑劇」「時の崖」あたりはファンには嬉しいだろう。会場の音を閉じ込めたような音質もライブらしい躍動感が感じられる。
ラストでのイントロ〜「ドント・ストップ」という流れは、往年の名ライブ「フロム・ザ・ミスティックワールド」を思い起こさせる。
限定盤のDVDには大阪公演のステージを収録。体調が心配されるテルさんの姿を含めて、メンバーの健在ぶりが嬉しい。
ライブ演奏・・8 音質・・8 シェラザー度・・9 総合・・8
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Electric Asturias 「Trinity」
日本のプログレバンド、エレクトリック アストゥーリアスの2019年作
エレアス名義としては3作目となる。艶やかなヴァイオリンの音色にシンセを重ね、
わりとハードなギターとともに、優雅でシンフォニックなインストのプログレを展開。
オルガンやエレピを含む美しいシンセワークや、どっしりとしたベースを含むリズム面での
技巧的なアンサンブルもさすがで、KBBあたりに比べるとよりクラシカルな優雅さを感じさせる。
「Brilliant Streams」にも収録された大山氏が作曲したPCゲーム「獣神ローガス」の再アレンジ曲や
美少女ゲーム「神獄塔メアリスケルター」に使用された躍動感あふれるナンバーも魅力的だ。
アルバム後半は3パートに分かれた22分におよぶ組曲で、プログレらしい展開と叙情美で構築される。
ドラマティック度・・7 プログレ度・・8 優雅度・・9 総合・・8 過去作のレビューはこちら
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LU7 「3395」
日本のプログレ・フュージョンロック、エルユー・セヴンの2019年作
キーボードの梅垣ルナとギターの栗原務によるユニットで、2002年作から数えて本作は5作目となる。
エレピを含む美しいシンセにメロディックなギターフレーズを乗せ、軽やかなアンサンプルで聴かせる
優雅なフュージョン・ジャズロック。PRISMで知られる岡田治郎の存在感あるグルーヴィなベースと、
嶋村一徳による本格派ジャズタッチの繊細なドラムも、サウンドに玄人好みの彩りを加えている。
随所にプログレ的なきらびやかなシンセワークや、スリリングなテクニカル性も覗かせつつ、
あくまで優雅な大人のアンサンブルに包まれる。今回は大曲がなく、全39分とわりとあっさりしている印象も。
テクニカル度・・8 プログレ度・・7 優雅度・・9 総合・・8 過去作のレビューはこちら
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MIDAS 「雲来末/Eternal Voyage」
日本のプログレバンド、ミダスの2017年作
1988年にデビュー、スタジオアルバムとしては6作目となる本作は、激しいドラムと重たいベース、
そして艶やかなヴァイオリン鳴り響く、軽快なアンサンブルのインストナンバーで幕を開ける。
ベテランらしい安定した演奏力と魅力的なヴァイオリンの音色は、いくぶんKBBなどにも通じるが、
こちらはやはりシンフォニックロックとしての優美な叙情性を感じさせる、ロマンティックな聴き心地。
ヴァイオリをこなしながら歌う、右遠氏の味のあるヴォーカルも、すでにバンドの個性となっていて、
とくに日本語歌詞のナンバーでの郷愁を感じさせる優しいメッセージ性は変わらず魅力的だ。
メロディック度・・8 プログレ度・・8 叙情度・・8 総合・・8 過去作のレビューはこちら
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HACO「RISKA」
日本の女性アーティスト、ハコのソロ作品。2007年作
After Dinnerのヴォーカルとして知られる彼女の、HACO名義では12年ぶりとなるソロ作品。
マリンバやヴィブラフォンの響きに、日本語歌詞の歌を乗せた、どこかなつかしい味わいで、
ベースとシンセをバックに、シャンソン的なけだるげなヴォーカルで聴かせるナンバーや、
チェロやトランペットなどを使って、エレクトロなアレンジと融合させたチェンバー風味や、
重厚なコントラバスの低音と、心なごむような歌声とのコントラストが映えるナンバーなど、
シンプルな音数の中にも、独自のアイデアとセンスが詰まっている。SEや効果音を多用した
サントラ的でもある、10分を超える異色のナンバーなども、聴き手の想像力を掻き立てる。
プログレ度・・7 日本度・・8 アヴァンギャル度・・8 総合・・8 過去作のレビューはこちら
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HACO 「Qoosui」
日本の女性アーティスト、ハコのソロ作品。2017年作
本作は広島のアンビエント系ユニットstabiloGallery Six、チェコのエクスペリメンタル系ユニットTarnovskiが参加、
デジタルなエレクトロに水のせせらぎや鳥の鳴き声などの自然音を融合、そこに彼女の囁くような歌声を乗せた、
ネイチャーなエレクトロ・アンビエントというべき聴き心地。Tangerine Dreamなど、かつてのジャーマンミュージック的な
シンセの重ねによるスペイシーな空間性と、美しい女性スキャットが織りなす、幻想的なサウンドにウットリとなります。
日本語を織り交ぜた和の情緒も含んだ、しっとりドリーミィな癒しのアンビエント・エレクトロニカ作品。
プログレ度・・6 アンビエント度・・8 幻想度・・8 総合・・8
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eden
難波弘之によるプロジェクト、エデンの2008年作
センス・オブ・ワンターや野獣王国など、フュージョン、プログレ的なサウンドを得意とする難波氏が、
本作では、なんとモダンなアンビエントミュージックに挑戦。打ち込みのリズムの上にうっすらとシンセを重ね。
ゆったりとした聴き心地のエレクトロなサウンドが楽しめる。女性スキャットを乗せた幻想的なナンバーや、
ゲストの上野洋子が参加してのヴォーカルナンバーなどもあり、わりとキャッチーな感触で聴きやすい。
プログレ的な部分はあまりないが、ブライアン・イーノのようにのんびりと楽しめる耳心地の良い作品です。
メロディック度・・8 プログレ度・・6 シンセ度・・7 総合・・7.5
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SF 「Process」
日本のロックバンド、SFの1980/1998年作
元ファーイースト・ファミリー・バンドの宮下フミオがアメリカに渡り、中島茂雄らとともに1980年に録音した音源で、
ムーグを含むスペイシーなシンセに東洋的な旋律を奏でるギター、詠唱のようなヴォーカルを乗せた
スケール感のあるサイケロックサウンド。随所に叙情的なフレーズを聴かせるギターのセンスもなかなかで、
しっかりと録音された音質の良さもあって、たんなる幻のバンドの未発曲集という以上に完成された感じがある。
美しいシンセに英語歌詞のヴォーカルを乗せたナンバーは、KING CRIMSONの「EPITAPH」思わせたり、
スペイシーなシンセを重ねたTangerine Dream風味もあったりと、今後の深化が見てみたかったと思わせる内容だ。
ドラマティック度・・8 プログレ度・・7 スペイシー度・・8 総合・・7.5
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Azoth 「The Awkward Age's End」
日本のプログレバンド、アゾートの2003年作
元シンデレラ・サーチの女性シンセ&ヴァイオリン奏者が参加していて、
美しいシンセにヴァイオリンの音色、メロディックなギターを乗せ、テクニカルな展開力とともに聴かせる、
シンフォニックなハードプログレ・サウンド。インストナンバーでのジャズ/フュージョン的な優雅さと、
日本語のヴォーカルを乗せた古き良きジャパニーズプログレの感触が同居していて、MIDASなどが好きな方にも楽しめる。
ギターやシンセのセンスもなかなかのもので、ときにシンフォニックで、ときにテクニカルという
メリハリある聴き心地で、自主制作としてはクオリティが高い。9分、12分の大曲を含む、全69分という力作です。
メロディック度・・8 プログレ度・・8 ジャパグレ度・・8 総合・・8
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Elga 「elgarhythm 1 憧憬」
日本の女性アーティスト、エルガの2008年作
ガットギターのつまびきに、伸びやかな日本語の女性ヴォーカルを乗せて、
しっとりと翳りを帯びた日本的な情緒に包まれた空気感を描き出す。
いわゆる弾き語りのスタイルであるが、ギターの音色も歌声にも、
表現豊かな実力があって、シンプルな音数ながら、独自の世界観を作り上げている。
いくぶん薄暗いゴシック的な感性も匂わせるところも、わりとマニア好みかもしれない。
アコースティック度・・8 薄暗情緒度・8 女性Vo度・・8 総合・・7

渚にて「On The Love Beach」
日本のアシッドフォークロック、なぎさにての1995年作
竹田雅子と柴山伸二による二人ユニットで、素朴なアコースティックギターに牧歌的な歌声を乗せた
郷愁に包まれた70年代のようなどこかなつかしいサウンド。いきなりエレキギターが轟音で入ってくるなど、
ロック的なアレンジも覗かせて、情念を描くような昭和風の歌詞は、J.A.シーザーなどにも通じるところも。
完成しきれていない音楽性も含めて、どこか未成熟な青さを感じさせるところも、魅力なのかもしれない。
本作の時点では全曲が男性ヴォーカルなので、のちの作品の印象とはやや異なるのも興味深い。
ロック度・・6 素朴度・・8 昭和度・・9 総合・・7.5
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渚にて 「本当の世界」
日本のアシッドフォークロック、なぎさにての1999年作
2作目の本作はCD2枚組の大作で、アコースティックギターに男女ヴォーカルの歌声を乗せ、
ときにエレキギターの轟音が入ってくるという、独自のフォークロック路線に加えて、
女性ヴォーカルによる可愛らしさが感じれるようになった。古めかしい昭和感がいくぶん薄まり、
少し舌足らずの竹田雅子さんの歌声が、キュートなポップ性とエキセントリックな味わいになって
男性ヴォーカル曲との不思議なコントラストになっている。Disc2には14分という大曲もあり、
ときにシンセも加えたプログレ寄りの雰囲気も。コケティッシュなアヴァンロックとしても楽しめる力作です。
ロック度・・7 素朴度・・8 昭和度・・8 総合・・8
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渚にて「こんな感じ」
なぎさにての2001年
3作目となる本作は、ギターにオルガンを含むシンセを加えたやわらかな叙情と、
男女ヴォーカルの歌声で、詩的な素朴さに包まれたフォークロックを聴かせる。
過去作に比べると、スローミュージック的なほのぼのした雰囲気が前に出ていて、
牧歌的な感触でのんびりと楽しめる。エキセントリックな味わいが薄まった分、
アヴァンロックというよりは、ゆったりとしたお花畑フォークというような味わいです。
ロック度・・6 素朴度・・9 昭和度・・8 総合・・8
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1/4
本年もプログレでよろしくお願いいたします♪(15)
2019年プログレベスト10はこちら


Bent Knee 「You Know What They Mean」
アメリカのプログレバンド、ベント・ニーの2019年作
2011年にデビュー。前作「Land Animal」は女性声アヴァン・プログレの大傑作であったが、5作目となる本作は、
いきなり歪んだギターの轟音に圧倒されつつ、エキセントリックな女性ヴォーカルが奔放な歌声を乗せ、
変則リズムを含む極端なアレンジとともに、ヘヴィさとアヴァンキャルドな音の濃度が増している。
前作までのポップな感触も随所に覗かせつつ、今作ではモダンなビート感とヘヴィさに包まれた聴き心地で、
オルタナ・ガレージ・プログレロックというような不思議な味わいである。とにもかくにも、シンセ&Voのコートニー嬢の
妖しいまでの歌の表現力は素晴らしく、ヘヴィなギターに歪んだヴァイオリが重なり、迫力あるアヴァンロックを描く傑作である。
メロディック度・・7 プログレ度・・8 エキセントリック度・・9 総合・・8 過去作のレビューはこちら
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BUBU 「El Eco Del Sol」
アルゼンチンのプログレバンド、ブブの2018年作/邦題「太陽の共鳴」
1978年に1作のみを残したバンドの、じつに40年ぶりとなる復活作。オリジナルメンバーは、
作曲を手掛けるダニエル・アンドレオニのみとなったが、混声コーラスから幕を開け、
やわらかなフルートにサックスが鳴り響き、クリムゾン的なスリリングなアンサンブルで聴かせる
スケール感のあるサウンドはかつてのまま。艶やかなヴァイオリンの音色にサックスが重なり、
スペイン語によるマイルドなヴォーカルも加えて、南米らしい優美な叙情も覗かせる。
ほどよくハードなギターにオルガンを含むシンセがヴィンテージな味わいをかもしだしつつ
随所にクラシカルな優雅さをまぶした構築力もさすが。40年の月日を感じさせない見事な復活作だ。
ドラマティック度・・8 プログレ度・・8 優美度・・8 総合・・8 過去作のレビューはこちら
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EPHEMERAL SUN 「Lord Of Hounds」
アメリカのプログレバンド、エフェメラル・サンの2017年作
2004年にデビュー、前作から8年ぶりとなる3作目で、ハードなギターにシンセを重ねた重厚な味わいと
ミステリアスなスケール感に包まれた、インストによるヘヴィ・シンフォニックロックを展開する。
ムーグやオルガンなどのプログレらしいシンセを含みつつ、叙情的なギターによるメロウなパートから、
ヘヴィなダイナミクスが現れるメリハリある構築力で、ポーランドのINDUKTIなどにも通じる迫力に圧倒される。
PORCUPINE TREERIVERSIDE以降のボーダーレスなスタイリッシュ性が、ヴィンテージなプログレと絶妙に融合、
オールインストながらグルーヴィなアンサンブルと厚みのあるサウンドで、スリリングな緊張感と叙情性を巧みに描き出す。
単なるクリムゾンルーツのヘヴィプログレという以上のセンスを感じる。落書きのようなジャケからは想像もつかない圧巻の傑作。
ドラマティック度・・8 プログレ度・・8 重厚度・・8 総合・・8.5 過去作のレビューはこちら
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AZURETH 「THE PROMETHEAN SYNDROME」
アメリカのプログレバンド、アズレスの2007年作
2005年作に続く2作目で、前作はいかにもB級のシンフォプログレ作品であったが、
本作は一聴してシンフォニックなアレンジに磨きがかかり、ギターを加えた音の厚みと、
マイルドなヴォーカルを乗せ、優美な叙情性に包まれた本格派のシンフォニックロックが楽しめる。
オルガンやムーグを含むきらびやかなシンセワークにメロウなギターのフレーズによる、
古き良きプログレの感触と、YESGLASS HAMMERにも通じるキャッチーな聴き心地で、
いくぶんの野暮ったさはあるが、ラストの15分を超える大曲を含む全67分という力作です。
ドラマティック度・・8 プログレ度・・8 叙情度・・7 総合・・7.5
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KARCIUS 「Sphere」
カナダのプログレジャズロック、カルシウスの2006年作
自主制作による2003年デビュー作の再発盤で、やわらかなエレピにギターを重ね、
優雅なアンサンブルで聴かせる、オールインストのプログレ・フュージョンロック。
ギターはメタリックなハードさも含みつつ、ときにアコースティックギターも加え、
ジャズタッチのピアノを含む優美なシンセとの絡みで、ほどよくテクニカルな味わい。
音質がややラウドなのと、のちの作品に比べるとまだアレンジ面での粗さがあるが、
3パートに分かれた18分を超える組曲など、プログレ寄りのジャズロックが楽しめる。
メロディック度・・7 テクニカル度・・7 優雅度・・8 総合・・7
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OSMOSAIC「UN」
カナダ、ケベックのプログレフォーク、オスモザイクの2004年作
男女2人組のユニットで、アコースティックギターにシンセを重ね、美しい女性ヴォーカルを乗せた、
シンフォニックな味わいの幻想的なフォークサウンド。マイルドな男性ヴォーカルも加わって、
SEGUNなどをルーツにした牧歌的な味わいで、フランス語による男女声とともに優雅な空気に包まれる。
デジタルなアレンジを加えたモダンなナンバーもありつつ、やはり女性ヴォーカルメインの美しさに惹かれます。
楽曲は3〜5分前後でわりとあっさりしているので、もう少しプログレ寄りのアレンジがあってもよいような。
ドラマティック度・・7 牧歌的度・・8 優雅度・・9 総合・・7.5
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DAYMOON 「Cruz Quebrada」
ポトルガルのプログレバンド、デイムーンの2016年作
2010年にデビュー、本作が3作目で、美しいシンセアレンジに適度にハードで叙情的なギター、
やわらかなフルートやクラリネットの音色に、サックスなどのブラスを加えたサウンドを聴かせる。
マイルドなヴォーカルが加わると、コンセプト的な流れを感じさせるドラマ性に包まれて、
適度にモダンで翳りを帯びた作風は、ポストプログレやポーランド系バンドの雰囲気にも通じる。
後半は25分という組曲になっていて、アコーディオンやピアノ、フルート、トランペットなどの軽妙で優雅な味わいと
語りなどを含んだシアトリカルな世界観で、小曲を連ねる構成とともに大人の味わいのサウンドを描いてゆく。
ドラマティック度・・8 プログレ度・・7 薄暗度・・8 総合・・7.5
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BEDUINOS A GASOLEO
ポルトガルのプログレバンド、ベドゥイノス・ア・ガソレオの2007年作
のっけから26分の大曲で、美しいシンセにサックスやトロンボーンの音色を乗せ、
メロウなギターにポルトガル語の女性ヴォーカルの歌声で、しっとりとしたサウンド聴かせる。
随所に男性ヴォーカルや、やわらかなフルートの音色も加わって、AMAROKあたりにも通じる
トラッドロック的な優雅なさも感じさせる。その後も、11分、18分という大曲で、いくぶんジャズロック風でもある
軽妙なアンサンブルとともに全体的に濃密すぎない味わいで、のんびりと鑑賞できる反面、さすがに長尺感もある。
ドラマティック度・・7 プログレ度・・7 優雅度・・8 総合・・7.5
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Banda Do Sol 「Tempo」
ブラジルのプログレバンド、バンダ・ド・ソルの2010年作
1982年に一作を残して消えたバンドの復活作で、適度にハードなギターにうっすらとしたシンセ、
ポルトガル語によるヴォーカルを乗せた、メロディックな叙情に包まれたシンフォニックロック。
大人の哀愁を感じさせる泣きのギターのフレーズもなかなか心地よく、ドラムやベースを含む、
確かな演奏もあって、マイナー臭さはほとんど感じさせない。南米らしいやわらかな歌メロとともに、
じっくりと聴かせるナンバーなど、シンフォニックなプログレハードという雰囲気でも楽しめる。
曲によっては70年代ルーツのブルージーなロック感触も覗かせつつ、10分を超える大曲では、
ロイネ・ストルトばりのギターとともに、TRANSATLANTICにも通じるシンフォニックロックが展開される。
ドラマティック度・・8 プログレ度・・7 叙情度・・8 総合・・8
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Flor de Loto
ペルーのプログレバンド、フロー・デ・ロトの2005年作
やわらかなパンフルートの音色に、適度にハードなギターを重ねた、フォルクローレ風の優雅なサウンド。
シンセ奏者がいないので、プログレ的な要素はさほどないのでが、フルートをメインにした叙情パートと、
ギター入りのハードなノリとのメリハリある構成で、オールインストながらもなかなか楽しめる。
のちの作品に比べると、濃密さの点ではまだ物足りないが、フォルクローレとロックの融合という意味では、
本作の時点でも十分個性は垣間見える。広げると大きなイラストが現れるジャケも素敵です。
ドラマティック度・・7 プログレ度・・7 南米度・・8 総合・・7.5 過去作のレビューはこちら
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LA BANDA DEL GNOMO 「DESPUES DEL ROCK」
チリのプログレハードロック、ラ・バンダ・デル・ノモの2010年
1984年に1作を残して消えたバンドの26年ぶりとなる復活作。前作にいた女性Voは不参加で、
男性ヴォーカルのスペイン語の歌声に、オルガンが鳴り響く、ヴィンテージなロックを聴かせる。
楽曲は2〜5分前後でわりとシンプル。オルガンの音色以外はプログレ的な要素はあまりなく、
楽し気に演奏するオヤジたちの顔が目に浮かぶような、肩の力の抜けた大人のロック。
アコースティックギターを使った、南米らしい哀愁を感じさせるナンバーはなかなかよい感じです。
ドラマティック度・・7 プログレ度・・6 ヴィンテージ度・・8 総合・・7

MAHESH 「Procesos」
チリのハードプログレバンド、マヘッシュの2008年作
スペイン語による女性ヴォーカルを乗せたしっとりとしたイントロから、ハードなギターを加え、
テクニカルなアンサンブルで聴かせる、メタルフュージョン的なサウンドが広がってゆく。
ツーバスのドラムや存在感のあるベース、流麗に弾きまくるギターと、インストパートでのヘヴィネスは
ほぼテクニカルメタルという聴き心地で、美しい女性ヴォーカルとのコントラストになっている。
アルバム後半は男性ヴォーカル曲やインストナンバーもあるが、やはり女性声入りの曲が魅力的。
演奏自体にメロディックな優雅さが薄いので、そこに女性ヴォーカルを乗せたアイデアは買いたい。
今後は、よりプログレ的な魅力的な展開力を増やすか、いっそさらにテクニカルにしてもらいたい。
メロディック度・・7 テクニカル度・・8 女性Vo度・・8 総合・・7.5
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VLAD V 「A Espada E O Dragao」
ブラジルのプログレバンド、ヴラドVの1996年作
ハード寄りのギターにオルガンを含むシンセとハイトーンヴォーカルを乗せた、
ヴィンテージな味わいのハードプログレ。ときにシャウトするヴォーカルやツーバスのドラムは
ハードロック寄りの感触で、ブルージーなギターも含めて、70年代英国ロックルーツの味わいながら、
ときにフルートが鳴り響き、ポルトガル語による歌声がやわらかな叙情をかもしだす。
アコーディオンにフルート、アコースティックギターによる民族的なナンバーもあったりと、
楽曲の振り幅の大きさもメンバーの力量があるからこそだろう。ハードさと叙情が同居する好作だ。
ドラマティック度・・7 ハードプログレ度・・8 叙情度・・8 総合・・8
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Alfonso Vidales 「Shepperd」
メキシコのミュージシャン、アルフォンソ・ヴィダレスの1988年作
メキシコ最高のプログレバンド、CASTのシンセ奏者のソロで、美しいシンセワークを主体に
クラシカルな優雅さに包まれたシンフォニックロック。リズムなどは打ち込みで、ギターなどは入らないので、
ロック色はさほどないが、クラシカルなアンビエントナンバーから、ヴォーカル入りのキャッチーな曲もあり、
わりとバラエティに富んだサウンドが楽しめる。ヴォーカルは英語なのであまりメキシコらしさは感じないが、
シンセを主体にした優美な味わいは、フランスのWAPASSOUあたりが好きな方には楽しめるのではないかと思う。
シンフォニック度・・7 プログレ度・・7 優美度・・8 総合・・7.5

Arbatel 「Gamadion」
メキシコのプログレバンド、アルバテルの2004年作
オルガンやムーグを含むきらびやかなシンセに艶やかなヴァイオリンが絡み、
軽妙なドラムを軸にした優雅なアンサンブルで濃密なインストサウンドを聴かせる。
随所に泣きのギターフレーズも覗かせて、メキシコらしいやわらかな叙情性包まれつつ、
弾きまくりのキーボードが華やかに彩るところは、チリのENTRANCEあたりにも通じるか。
一方では、10分を超える大曲では、ジャズタッチのパートもあったりと、演奏力の高さでメリハリある展開が楽しめる。
ドラマティック度・・7 プログレ度・・8 優雅で濃密度・・8 総合・・7.5


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