プログレ/イタリア
〜PROGRESSIVE ROCK / ITALY
            by Tosei Midorikawa

掲載バンドはABC順になっています

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■CDの評価に関しては、個人的嗜好が反映されることもあり、納得のいかない評価もあるかと思いますが、どうかご了承ください。

音楽ページTOP   *イタリアンシンフォニックロック特集



ABIOGENESI「Le Notti Di Salem」
イタリアのプログレハードロック、アビオジェネシの2000年作
フルートが鳴り響く妖しいイントロから始まるが、基本はギター、ドラム、ベースのトリオ編成による
シンプルなロックスタイルを基本に、イタリア語のヴォーカルにオルガンが鳴り響く、
70年代的なアナログ感たっぷりのサウンド。プログレ的な雰囲気もいくぶんあるのだが、
ハードロックなのかどっちつかずという印象で、むしろ牧歌的なユルめの曲が魅力的だったりする。
レーベルがBlack Widowということで、この煮えきらない方向性もなんとなく納得するのだが。笑
メロディック度・・8 プログレ度・・7 イタリア度・・8 総合・・7
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Abiogenesi 「Io Sono Il Vampiro」
イタリアのプログレバンド、アビオジェネシの2005年作
「I AM A VAMPIRE 」という映画にインスパイアされたコンセプト作で
メロウなギターにうっすらとしたシンセアレンジで、薄暗い世界観を描き出しながら、
オルガンが鳴り響く70年代風味のヴィンテージ感もかもしだすサウンド。
映画がコンセプトということで、やはりインストパートを主体にした作風で、
アコースティックな叙情性やブルージーなギタープレイも含んだ聴き心地だ。
プログレとして聴くには、もっと極端におどろおどろしくても良いと思うが、
フルートが妖しく鳴り響くラスト曲などは、イタリアらしい雰囲気でよろしい。
ドラマティック度・・8 プログレ度・・7 イタリア度・・8 総合・・7.5
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Accordo dei Contrari 「AdC」
イタリアのプログレバンド、アッコルド・ディ・コントラリの2014年作
2006年にデビューしてから本作が3作目となる。ムーグシンセが鳴り響き、ジャズロック風味の軽やかなアンサンブルと
変則リズムを使った屈折感で聴かせるテクニカルプログレ。優雅なエレピの音色などはカンタベリー風であるが、
適度にハードなギターがアッパーなアクセントになっていて、軽妙であるのに濃密という聴き心地が面白い。
曲によってはヴァイオリンやチェロを含んだチェンバーロックの質感もあるが、それはあくまで味付け程度。
オールインストであるが、変拍子入りのテクニカルプログレ、ジャズロックが好きな方なら問答無用で楽しめるだろう。
ドラマティック度・・7 テクニカル度・・9 イタリア度・・7 総合・・8
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Accordo Dei Contrari 「Violato Intatto」
イタリアのプログレバンド、アッコルド・デイ・コントラリの2017年作
本作は4作目で、テクニカルなプログレジャズロックであった前作の流れを受け、オルガンやムーグを含むシンセに
サックスが絡み、変拍子たっぷりの技巧的なアンサンブルで、濃密なインストサウンドを描き出す。
アッパーにたたみかけつつ、静寂パートではやわらかなエレピが鳴り響き、緊張感ある空間性に包まれる。
ダイナミックな緩急は前作以上で、重たいベースとドラムによる重厚な感触でどっしりと聴かせる。
このスリリングなプログレ・ジャズロックサウンドは、例えるなら、KING CRIMSON+DEUS EX MACHINAといったところか。
ときにヴァイオリンも加わったクラシカルな恰好良さや、メロトロンが鳴り響く、優美な叙情性も覗かせる。
わりとロック質感が強いので、ジャズロックが苦手な方にでも十分楽しめるだろう。全73分。圧巻の傑作。
ジャズロック度・・7 プログレ度・・9 重厚な技巧度・・9 総合・・8.5 
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Acqua Fragile
イタリアのプログレバンド、アクア・フラジーレの1973年作
後にPFMに加入する、ベルナルド・ランゼッティのマイルドなヴォーカルに、
やわらかなシンセとメロディックなギターで、繊細な叙情に包まれたサウンドを聴かせる。
Yesにも通じる優雅なアンサンブルとキャッチーなコーラスワークに、歌詞も英語なので、
イタリアンロックが苦手な方でも楽しめるだろう。全体的に派手さはないが、
アコースティックなパートも含め、牧歌的で爽やかな耳心地の良さが魅力。
メロディアス度・・8 プログレ度・・8 イタリア度・・7 総合・・7.5
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Acqua Fragile「Mass Media Stars」
イタリアのプログレバンド、アクア・フラジーレの2nd。1974作
後にPFMのVoとなるベルナルド・ランゼッティが在籍していたバンドとしても知られる。
サウンドの方はPFMほどテクニック志向でなく、キャッチーな歌メロにコーラスワークで聴かせる
メロディアスなイタリアンロック。ギターにしろシンセにしろ派手さはないのだが、じつにまとまっていて
この時期のイタリアンプログレの中では音にまったく暗いところがなく、爽やかな雰囲気なのも特徴か。
Voの歌唱にはややGENESIS風の歌い回しもあって、イタリアものが苦手な方も普通に楽しめるだろう。
メロディアス度・・8 爽やか度・・8 イタリア度・・7 総合・・7.5
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ACQUA FRAGILE 「A NEW CHANT」
イタリアのプログレバンド、アクア・フラジーレの2017年作
ドラム、ベース、ヴォーカルのオリジナルメンバーを中心にした、1974年以来、じつに43年ぶりとなる復活作。
アコースティックギターによるイントロから、ピアノやストリングスによる優美なアレンジを重ね、
PFMにも参加したベルナルド・ランゼッティの枯れた味わいのヴォーカルを乗せた、繊細な叙情に包まれる。
キャッチーなコーラスワークとともに、あの頃のサウンドをそのまま大人の味わいにした聴き心地で、
これという派手さはないのだが、メロウなギターやうっすらとしたシンセなどで、じっくりと味わえる優雅な作風。
大人の歌もの感触と古き良きプログレらしさのバランスがとれた、これはファンには歓喜の復活作でしょう。
叙情度・・9 プログレ度・・7 イタリア度・・8 総合・・8 
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ACTIVE HEED 「Visions from Realities」
イタリアのプログレバンド、アクティブ・ヒードの2013年作
アコースティカルな繊細さとキャッチーな爽快感に包まれたシンフォニックロックで、
英語によるマイルドなヴォーカルを乗せた作風はイタリアというよりは英米のバンドを思わせる。
楽曲は2〜5分台とわりとシンプルで、プログレ的な濃密さやイタリアらしさが希薄なので、
聴き心地は悪くないものの、なんとなく物足りなさも感じてしまう。やわらかな叙情性はよいのだが、
ヴォーカル自体にもさほど魅力があるわけでもないので、やはり楽曲にもっとフックが欲しい。
…と思っていたら、後半にはけっこう盛り上がるドラマティックなナンバーもあったりして。
メロディック度・・8 プログレ度・・7 イタリア度・・6 総合・・7.5
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Aelementi 「Una Questione Di Principio」
イタリアのプログレバンド、アエレメンティの2017年作
オルガンを含むシンセに適度にハードなギター、女性ヴォーカルのイタリア語の歌声を乗せた、
大人の哀愁を感じさせるプログレハード。リズムチェンジを含む展開力に、叙情的なギターフレーズ
表現力ある伸びやかな歌声とともに、キャッチーな叙情性に包まれた優雅なサウンドを聴かせてくれる。
曲によってはメロハー的な感触もありつつ、オルガンやピアノが美しいやわらかな叙情パートや、
ときにシンフォニックな音の厚みとともに、案外メリハリのある構築力が光っている。
女性声プログレ、女性声シンフォが好きな方も楽しめる優美でキャッチーな好作品。
メロディアス度・・8 プログレ度・・7 女性Vo度・・8 総合・・7.5
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Aerostation
イタリアのプログレバンド、エアロステーションの2018年作
ほどよくハードなギターにモダンなシンセアレンジ、マイルドなヴォーカルで聴かせる、
スタイリッシュなハードプログレサウンド。楽曲は4〜5分前後とわりとシンプルで、
随所にプログレらしい展開力も覗かせつつ、ポストプログレ的な翳りを帯びた叙情や
エレクロトなアレンジなどとともに、きらびやかであるが硬質でモダンな感触に包まれる。
ヴォーカルは英語なのでイタリアらしさはさほどなく、ストレートなリズムのナンバーは、
普通のメロディックロックという感じで、ヴィンテージ系が好きな方にはやや物足りないかも。
ドラマティック度・・7 プログレ度・・7 スタイリッシュ度・・8 総合・・7.5
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Ainur「From Ancient Times」
イタリアのシンフォニックロックト、アイヌルの2006年作
トールキンの「指輪物語」シルマリリオンの物語をコンセプトにした作品でG、Key、Drの3人組みをメインメンバーに、
男女5人のヴォーカル隊、ヴァイオリン、チェロ、フルートなどの管弦楽もゲストに加わった大がかりなシンフォニックロックオペラ。
アコースティカルなやわらかさと美しい女性ヴォーカルの歌声、そこにフルートの音色が加わると、じつに優美な叙情に包まれる。
オペラティックな男性バリトンヴォーカルもいい味を出しており、曲間には物語的なSEも挿入されて、ファンタジックな世界観を描き出す。
いわゆるプログレ的なスリリングな展開というのはあまりないが、男女の歌唱をメインにゆったりと優雅に物語を描くようなパートと、
適度にハードなギターも加わったインストパートなど、メリハリのある構成とともに、スケール感のあるシンフォニックロックが楽しめる。
シンフォニック度・・8 プログレ度・・7 優雅な叙情度・・9 総合・・8
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Ainur「Children of Hurin」
イタリアのシンフォニックロックバンド、アイヌルの2nd。2008年作
2作目の本作も、トールキンの物語をモチーフにした美麗なコンセプト作で、たおやかなピアノから幕を開け、
レトロなハモンド、ムーグなどのシンセを中心に艶やかな音色のストリングスとハープ、フルート、クラリネットなどが
クラシカルに楽曲を彩りつつ、女性ヴォーカルの歌声がそこに重なってゆく。優雅でファンタジックなイメージで
ゆったりと聴かせる作風で、繊細なピアノパートなども含め、ロック的なダイナミズはやや抑えめで、
ゆるやかに紡がれる物語を描くような作風だ。オペラティックな男性ヴォーカルなども加わり、
大人数による濃密なシンフォニックオペラ作である。限定盤のDVDにはライブ映像やドキュメンタリーなどを収録。
クラシカル度・・8 プログレ度・・7 ファンタジック度・・9 総合・・8
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AinurLay of Leithian」
イタリアのシンフォニックロックバンド、アイヌルの2010年作
4人のソプラノヴォーカルに、ヴァイオリン、チェロ、ハープ、フルート、フレンチホルン奏者、
さらにはオーケストラも加えた、大人数によるシンフォニックロックプロジェクトの3作目で、
本作は指輪物語の「レイシアンの歌」をテーマにしたCD2枚組のコンセプト大作である。
物語的な語りなども挿入しつつ、映画のような構成で聴かせる幻想的な世界観で、クラシカルな叙情と
やや粗めのハードプログレ要素が合わさった大仰な作風。起伏のある楽曲展開に男女の歌声が重なると、
AYREONのような壮大さで、イタリアらしい妖しげな感触もありつつ濃密なサウンドを描いている。
楽曲やメロディそのものにもう少しインパクトがあればとも思うが、このような大作を仕上げた心意気は天晴れだ。
シンフォニック度・・8 壮大度・・8 ファンタジック度・・9 総合・・8
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Ainur 「The Lost Tales」
イタリアのシンフォニックロック、アイヌルの2013年作
男女ヴォーカルに、ヴァイオリンやチェロ、フルートなど、総勢17名のメンバーを擁するバンド、
4作目となる本作は、「指輪物語」をテーマにした過去曲のアコースティックアレンジ作品。
美しいピアノやハープの音色に、男性、女性ヴォーカルがやわらかに歌を乗せる、
しっとりとした聴き心地のサウンド。中世を思わせるファンタジックな世界観に包まれて、
Blackmore's Nightのような優雅さと、イタリア的な馥郁たるロマンの香りが合わさった感触で、
随所に艶やかなストリングスやフルートの音色も美しい。アイヌルの番外編として楽しめる好作品。
ドラマティック度・・8 プログレ度・・7 優雅度・・9 総合・・8
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Alan Sorrenti 「Aria」
イタリアを代表するカンタゥトーレ、アラン・ソレンティの1972年作
20分におよぶタイトル組曲で幕を開け、アコースティックギターにやわらかなフルート、
イタリア語によるエモーショナルな歌声を乗せて、素朴にして神秘的なサウンドを描きだす。
ときに狂気をもはらんだ伸びやかな歌唱はインパクト充分で、艶やかなヴァイオリンが鳴り響き
ピアノやオルガンなども加わると、OPUS AVANTRAのようなアヴァンギャルドなプログレの味わいになる。
初期の2作は、とくにプログレファンから愛される傑作で、カップリングのリマスター2CD盤がお薦めです。
アーティスティック度・8 プログレ度・8 イタリア度・9 総合・8
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Alan Sorrenti 「Come Un Vecchio Incensiere All'Alba Di Un Villaggio Deserto」
イタリアを代表するカンタゥトーレ、アラン・ソレンティの1973年作
2作目となる本作は、優美なピアノの旋律にやわらかなヴォーカルでしっとりと始まりつつ、
異国的なパーカッションの響きに、アコースティックギターやフルートの音色も加わり、
牧歌的なフォークロックという味わい。ファルセットも含む表現力ある歌声はさすがで、
単なる歌ものという以上の芸術性を感じさせるところは、ピーター・ハミルなどにも通じる世界観だろう。
ラストは23分を超えるタイトル曲で、民族的なアヴァンギャルド性に包まれて、アーティスティックなセンスが炸裂する。
アーティスティック度・8 プログレ度・7 イタリア度・9 総合・8
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Alberto Radius 「Carta Straccia」
イタリアのミュージシャン、アルベルト・ラディウスの1977年作/邦題「ちぎれた紙屑 」
FOLMURA 3、IL VOLOのギタリストのソロ3作目で、アコースティックギターのつまびきにイタリア語のヴォーカル、
エレキギターやシンセも加えたほどよいロック感触に、サックスが鳴り響くアダルトな味わいのサウンドを聴かせる。
全体的には、キャッチーでホップ寄りの仕上がりであるが、随所にプログレ的なシンセアレンジも加えて、
叙情的なギターの旋律とともに、IL VOLOにも通じるような優美な泣きが味わえるナンバーもある。
哀愁を感じさせるヴォーカルの表現力と、味わい深いギタープレイで、大人のイタリアンロックが楽しめる。
ドラマティック度・・7 プログレ度・・7 優美度・・8 総合・・7.5
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Aldo Tagliapietra 「L'angelo Rinchiuso」
イタリアのミュージシャン、アルド・タグリアピエトラの2013年作
オルメのメンバーでもあるベース奏者&ヴォーカリストで、The Former Lifeのメンバーを迎えた本作は
イタリア語によるマイルドなヴォーカルに、メロウなギタートーン、そしてオルガンやムーグを含むシンセとともに、
古き良きプログレ感触に包まれた優しいサウンドある。アコースティカルな繊細さはハケット的な雰囲気もあり、
じっくりと味わえる大人の叙情性が心地よい。3〜5分の小曲中心で、全36分と、濃密さの点では少し物足りないのだが、
じつにイタリアらしい世界観と、やはりオルメに通じるようなやわらかな聴き心地の好作品だ。
ドラマティック度・・7 プログレ度・・8 イタリアの叙情度・・9 総合・・7.5
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ALESSANDRO CORVAGLIA 「OUT OF THE GATE」
イタリアのミュージシャン、アレッサントドロ・コルヴァグリアの2021年作
La Maschera Di Cera、DELIRIUM、HOSTSONATENなどで活躍するシンガーで、シンセやギター、ベースもこなすマルチプレイヤー。
本作は、自身がバンド活動の傍らで、15年間書き貯めたという楽曲を収録した初のソロアルバム。DELIRIUMのサックス奏者や、
HOSTSONATENのギター、ベース、ドラム、IL GIARDINO ONIRICOのメンバーなどが参加、優美なシンセワークに
英語歌詞による味わいのあるヴォーカルを乗せ、オールドな感触のシンフォニックロックを聴かせる。
古き良きイタリアンロックのロマンの香りに、キャッチーなメロディアス性と哀愁の叙情が合わさって、
これぞシンフォプログレというラストの11分の大曲まで、耳心地の良いサウンドが楽しめる好作品。
メロディック度・8 プログレ度・7 優雅で哀愁度・8 総合・8
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Alessandro Farinella「MOMO」
イタリアのシンセ奏者、アレッサンドロ・ファリネーラのソロ作。2007作
かつてTale Cueなどで活躍したKey奏者で、しっとりとしたシンセワークと繊細なピアノ、
メロウなギターワークに英詞によるヴォーカルが乗る、やわらかなメロディックロックサウンド。
3〜5分台とコンパクトな曲で、キャッチーなポップ性も含ませつつ、ゆったりとしたイタリアンな叙情を聴かせる。
ギリシア神話をテーマにしたコンセプト作らしいが、サウンドにはむしろ牧歌的な素朴さが感じられる。
やや素人臭いヴォーカルがマイナー臭くしているのが惜しいが、ゆったりのんびりと聴ける作品だ。
メロディアス度・・7 プログレ度・・7 ゆったり素朴度・・8 総合・・7
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Alessandro Farinella 「Road to Damascus」
イタリアのシンセ奏者、アレッサンドロ・ファリネーラのソロ作。2012年作
かつてTale Cueなどで活躍したミュージシャンで、本作は十字軍遠征をテーマにしたコンセプトアルバム。
メロディックなギターワークにピアノなどを含んだ優雅なシンセとオーケストラルなアレンジで、
やわらかな叙情性と起伏に富んだ展開で、ドラマティックに描かれるシンフォニックロックサウンド。
自身によるヴォーカルはやや素人臭いのだが、インストパートのメロディセンスと展開力は、
ときにRick Wakemanあたりを思わせる。ムーグシンセが鳴り響く古き良きプログレらしさもよろしい。
ドラムにはPFMのツアーメンバーでもある、Roberto Gualdiが参加している。
シンフォニック度・・8 プログレ度・・8 優美な叙情度・・8 総合・・7.5
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Alex Carpani「Waterline」
イタリアのシンセ奏者、アレックス・カルパーニの2007年作
美麗なシンセを中心にゆるやかな叙情で聴かせるシンフォニックロックサウンド。
インストメインの曲は4、5分台が中心で、クラシカルな優雅さを含めてメロディアスな聴き心地。
全体的にはスリリングな部分は少ないが、メロウなギターや、美しいフルート、サックスなども入りつつ、
ゆったりと楽しめる作風だ。LE ORMEのVo、Gや、HOLDING PATTERNのGなどがゲスト参加している。
シンフォニック度・・7 プログレ度・・7 楽曲・・7 総合・・7.5



ALICE(Visconti)「La Mia Poca Grande Eta'」
イタリアの女性シンガー、アリーチェ・ヴィスコンティの1st。1975年作
イタリアの女性歌手の中でも特にプログレファンに人気なのが彼女。そのデビュー作がついに再発された。
邦題「夢の中の少女」と題されたこの作品は、美しいジャケの通りにサウンドも素晴らしく
クラシカルなピアノの音色に、瑞々しい彼女の歌声…そしてイタリア語の響きもじつに美しい。
I POOHの協力もあったということで、バックのストリングスの優雅な響きに包まれて
絶品のメロディと幻想的な雰囲気が合わさった、シンフォニック性も有した傑作だ。
感動的な5曲目あたりの歌メロにぐっとこない日本人はいまい。女性Voファンは必聴。
彼女はこのデビュー当時21歳。内ジャケ写真のあまりの美女ぶりにもうっとりです。
メロディアス度・・8 クラシカル度・・8 女性Vo度・・9 総合・・8
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ALICE「COSA RESTA...UN FIORE」
イタリアの女性シンガー、アリーチェの2nd。1978作
絶品の傑作だったデビュー作「夢の中の少女」に続く今作は、前作の幻想的な作風からするとややポップになり、
現実の歌手としての側面をアピールするような雰囲気となっている。彼女の美しい歌声にはなんら変わりはなく、
自身の弾くピアノ、ゆるやかなオーケストレーションをバックに、少し大人になった歌唱を聴かせる。
プログレ/イタリアンロックとしては前作に譲るが、歌ものという点では引けをとらないし
なによりアリーチェという一人の歌手を知る上では、本作も重要な一枚だろう。
メロディアス度・・8 プログレ度・・6 女性Vo度・・8 総合・・7.5
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Gli ALLUMINOGENI 「Scolopendra」
イタリアンロックバンド、アルミノジェニの1972年作
ドタドタとしたドラムにピアノやオルガンが鳴り響き、イタリア語の歌声を乗せた、
古き良きなアートロックという感触のサウンド。オルガンを主体にしたサイケロック的な浮遊感に、
随所にハルモニウムやストリングスなども加わったクラシカルな優雅さもある。
やや荒削りながら、おおらかな牧歌性とイタリアらしい混沌とした味わいを融合した好作品だ。
本作のみでバンドは消滅するが、1993年に20年ぶりとなる復活作を発表する。
ドラマティック度・・7 プログレ度・・7 イタリア度・・8 総合・・7.5
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ALLUMINOGENI 「Geni Mutanti」
イタリアンロックバンド、アルミノジェニの1993年作
1972年に唯一のアルバム「SCOLOPONDRA」を発表後、長く沈黙していたバンドの復活作。
オルガンを含むシンセにハードなギター、イタリア語によるパワフルなヴォーカルで聴かせる、
古き良きイタリアン・ハードというサウンドである。クラシカルな旋律を含んだ濃密な味わいは
シンフォニックと言ってもよく、いい意味での暑苦しさがとてもイタリアらしい。なかなかの力作です。
シンフォニック度・・8 濃密度・・8 イタリア度・・9 総合・・7.5
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ALLUMINOGENI 「Metafisico」
イタリアのプログレバンド、アルミノジェニの2019年作
1972年にデビュー、1993年に20年ぶりに復活作を出し、本作はさらにそれから26年ぶりとなる作品。
やわらかなオルガンが鳴り響き、イタリア語のジェントルなヴォーカルで、牧歌的なオールドロックを聴かせる。
ギターで参加するのは若手メンバーで、随所に叙情的なフレーズを奏で、オルガンがメインのサウンドに
ほどよいアクセントをつけている。ドラムは基本ゆったりで、スリリングな展開はほとんどないが、
大人のヴィンテージロックとしてはこれで充分。オルガンはもちろん優美なピアノにも味がある。
活動48年でたった3作という、まさに寡作バンドの極みであるが、これがラスト作にならないことを。願
ドラマティック度・・7 プログレ度・・7 イタリア度・・8 総合・・7.5 
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ALPHATAURUSAttosecondO」
イタリアのプログレバンド、アルファタウラスの2012年作
1973年に一作のみを残したバンドのじつに40年ぶりとなる復活作。
美しいシンセワークと熱いイタリア語の歌声で、まるで70年代の続編というべき、
あの当時のイタリアン・ヘヴィプログレの感触をこれでもかと濃密に聴かせるサウンド。
オルガンやムーグが鳴り、やわらかなフルートやピアノの響きが叙情豊かな彩りをそえながら、
適度にヘヴィなギターとともに、イタリアンロックとしての荒々しいハードさもしっかり残している。
10分以上の大曲2曲を含む全5曲で、まさにコテコテのイタリアの音が味わえる。ファンは必聴です。
シンフォニック度・・8 プログレ度・・8 イタリア度・・9 総合・・8
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ALPHATAURUS 「LIVE IN BLOOM」
イタリアのプログレバンド、アルファタウラスのライブ作品。2012年作
70年代に1作のみを残して消えたバンドが復活、2010年イタリアで行われたフェスティバル「Progvention」のステージを収録。
1973年作から全曲と、1992年にCD化された「Dietro L'Uragano」と、復活作「AttosecondO」にも収録された2曲を含む楽曲で、
オルガン鳴り響くシンセに適度にハードなギター、そしてイタリア語の歌声で、かつてと変わらぬ濃密なアンサンブルを描いてゆく。
音質や演奏の面でも、復活と呼ぶにふさわしいパワーがあり、まさに70年代のサウンドを甦らせた見事なライブ作品である。
ドラマティック度・・8 プログレ度・・8 ライブ演奏・・8 総合・・8
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Alphataurus 「Prime Numbers」
イタリアのプログレバンド、アルファタウラスのライブ作品。2014年作
2010年イタリアで行われた「Progvention」のステージを収録、「LIVE IN BLOOM」として先にCD化されていたもののDVD映像に、
未発のライブ音源入りのCDが付属した2枚組。日本盤には1973年の未発音源集「Dietro L'Uragano」のリマスターCDが付属。
1973年作の全曲を演奏したライブステージは、メンバーはみないいオッサンながらも、確かな演奏力と大人のアンサンブルで
オルガンが鳴り響く古き良きイタリアンプログレを展開する。かつてのような荒削りの勢いはないが、むしろじっくりと楽しめる好ライブだ。
CDの方には2011年、2011年のライブ音源とラジオエディット曲を収録。日本盤ボーナスCDの1973年の未発音源集は録音はややラフなものの、
ノリのよいサウンドで10分を超える2曲の大曲を含めて、このバンドらしい濃密な味わいが楽しめる。ファンには嬉しいオマケですな。
往年のサウン度・・9 ライブ演奏・・8 イタリア度・・9 総合・・8
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Altare Thotemico
イタリアのプログレバンド、アルタレ・ソテミコの2009年作
美しいフルートの音色で聴かせるPFMのようなイタリアらしい叙情性で始まり、
かつてのロカンダ・デッレ・ファーテのような野太い男性ヴォーカルの歌声とともに、
メロウでありつつも、どこかミステリアスな雰囲気のサウンドを描いている。
先の読めないエキセントリックな展開と、ブルージーなギターやオルガンの音色で
ビリエットやセミラミスなど、あの頃の70年代イタリアン・ヘヴィプログレの妖しさと
濃密さを受け継ぐような聴き心地が楽しめる。イタリアンロック好はチェック!
叙情度・・8 プログレ度・・8 イタリア度・・9 総合・・8
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Altare ThotemicoSogno Errando
イタリアのプログレバンド、アルタレ・ソテミコの2013年作
前作も古き良きヘヴィプログレという力作であったが、本作はいきなり12分の大曲から幕を開け、
サックスが鳴り響き、ジャズタッチのピアノにしゃがれたイタリア語のヴォーカルで描かれる、
70年代イタリアンプログレを受け継ぐ濃密な世界観が広がってゆく。16分の大曲もそうだが、
前作よりもジャズ寄りの優雅さが前に出ていて、一聴してプログレファンにはとっつきが悪いかもしれないが、
アヴァンギャルドな妖しさを含んだ、チェンバージャズロックという感触もあって、ミステリアスな緊張感に包まれている。
どちらにしてもイタリアからしか出てこないサウンド。なんだかんだで傑作であります。
ドラマティック度・・8 プログレ度・・8 イタリア度・・9 総合・・8
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ALTARE THOTEMICO「SELFIE ERGO SUM」
イタリアのプログレバンド、アルターレ・トーテミコの2020年作
2009年にデビュー、本作は7年ぶりとなる3作目で、いくぶんダークなイントロから、
イタリア語による野太いヴォーカルと、ハードなギターにシンセを重ねた重厚なサウンドを描く。
女性ヴォーカルも加わった妖しく耽美な雰囲気に、ときに優雅なサックスも鳴り響きつつ、
ヴィンテージなハードロック感触と、ゆったりとした浮遊感が現れる、振り幅の大きな作風だ。
9分の大曲では、プログレらしい展開力も覗かせる。異色のイタリアン・ハードプログレです。
ドラマティック度・7 プログレ度・7 耽美でハード度・8 総合・8 
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AltaVia 「Girt Dog」
イタリアのプログレバンド、アルタヴィアの2010年作
やわらかなシンセにほどよくハードで叙情的なギター、マイルドなヴォーカルを乗せた
大人の叙情に包まれたシンフォプログレを聴かせる。ヴォーカルが英語のこともあって、
曲によってはアメリカのバンドのようなキャッチーな感触もあり、わりと耳心地よく楽しめる。
8分を超える大曲も多く、ピアノを含む優美なシンセに女性コーラスも加えての、
優雅でドラマティックな構築力には、TRANSATLANTICなどに通じるような雰囲気も覗かせる。
全体的には、派手に盛り上がるようなところはないので、ゆったりとしたシンフォプログレとして楽しめる。
ドラマティック度・・8 プログレ度・・7 優雅度・・8 総合・・7.5
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AltaVia 「KREOSOTE」
イタリアのプログレバンド、アルタヴィアの2016年作
2010年にデビューし、2作目となる。Materyaにも参加していたシンセ奏者、ドラムを含む編成で、
アコースティックを含む叙情的なギターに、やわらかなシンセ、英語歌詞のヴォーカルを乗せた
優美なサウンドを聴かせる。プログレらしいシンセワークにメロウなギターフレーズ、
ほどよくテクニカルな軽やかなアンサンブルも覗かせて、10分を超える大曲を構築する。
曲によってはキャッチーな抜けの良さと、Materyaにも参加した女性ヴォーカルも加わって
男女Voを乗せた優雅な感触には、CONQUERORなどにも通じる雰囲気も感じさせる。
個人的にはももっと女性声をメインにしたナンバーを増やして欲しいが、総じて出来は悪くない。
メロディック度・・8 プログレ度・・7 優雅度・・8 総合・・7.5
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ALTHEA 「The Art Of Trees」
イタリアのプログレバンド、アルテアの2019年作
2017年にデビューし、2作目となる。適度にメタリックなギターにうっすらとしたシンセアレンジに、
マイルドなヴォーカルを乗せて、テクニカルな構築性とキャッチーなメロディアス性が同居した
スタイリッシュなサウンドを聴かせる。ほどよくモダンな硬質感とともに、ときにポストプログレ的な
やわらかな歌もの感も覗かせて、優美なシンセアレンジとともにシンフォニックロックとしての味わいもある。
ProgMetal的でもある展開美とともに、9分の大曲なども壮麗な叙情性とモダンな優雅さで、
メロディックなドラマ性を描いてゆく。新世代のハードプログレ/シンフォとして期待の新鋭です。
メロディック度・・8 プログレ度・・7 スタイリッシュ度・・8 総合・・8
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Altrock Chamber Quartet 「Sonata Islands Goes RIO」
イタリアのチェンバーロックユニット、アルトロック・チェンバー・カルテットの2012年作
YUGENのクラリネット奏者など含むユニットで、本作は、Fred Frith、UNIVERS ZERO、Stefano Zorzanello、
Massimo Giuntoliなどのアーティストの楽曲を独自にカヴァーした作品。奔放なクラリネットの音色にも
ヴァイオリン、チェロ、フルートなどが優雅に絡み、ときに激しく、ときに繊細な演奏を繰り広げる。
ギターやドラムが入らないのでロック色は薄いが、各楽器の輪郭がはっきりとしたスリリングなアンサンブルで
プログレというよりはむしろ、アヴァン・クラシックというべき感触が楽しめる作品だ。
ドラマティック度・・7 クラシカル度・・9 ロック度・・2 総合・・7.5
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ALUSA FALLAX「Intorno alla mia cattiva educazione」
イタリアンロックバンド、アルーザ・ファラックスの1974年作/邦題「私の奇妙な教育法について」
アルバム一枚のみを残して消えたこのバンド、本作は、プログレ的な変拍子リズムをたっぷり使いつつ、
13の小曲をつなげたストーリー性のある流れで、メロトロンを含むシンセにたおやかなフルートの音色、
繊細なピアノなど、クラシカルなシンフォニック性と語りを含んだシアトリカルな展開力が合わさって、
リリカルでありながら、イタリアらしい混沌とした妖しさも覗かせる。ヴォーカルの歌声は野太い声でやや好みを分けるが、
クラシカルで優雅な演奏は大変素晴らしく、メリハリある構築力とともにコンセプチュアルなドラマ性を描いてゆく傑作だ。
メロディアス度・・8 プログレ度・・8 うっとりフルート度・・9 総合・・8
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AMBIGRAM
イタリアのプログレバンド、アンビグラムの2021年作
叙情的なギターに優美なピアノとシンセ、英語によるマイルドなヴォーカルを乗せて、
キャッチーなプログレハードを聴かせる。イタリアらしいシアトリカルな世界観の中にも、
わりとコミカルな雰囲気もあったり、いくぶんハードなギターにオルガンを重ねたヴィンテージな味わいなど
オールドなロック感触の向こうに優雅な屈折感が見え隠れするという点で、一筋縄ではいかない。
奔放なギターフレーズが鳴り響くナンバーや、70年代的な歌ものハードロック風のナンバーなど、
プログレとして聴くには物足りなさもあるが、ヘンテコなヴィンテージロックとして楽しむのが良いだろう。
ドラマティック度・7 プログレ度・7 イタリア度・7 総合・7.5
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ANALOGY
イタリアのサイケロック、アナロジーの1972年作
ジャケと内ジャケのメンバーのヌードショットがインパクト大だが、サウンドはオルガンなり響き、
けだるげな女性ヴォーカルの歌声で聴かせる、妖しげなサイケロックでじつによいのです。
牧歌的なおおらかなユルさとイタリア的なアンダークラウンド臭さが、嫌みなくブレンドされていて、
この年代にして魔女系ロックとしての雰囲気がすでに完成されている。バンドはのちに、EARTHBOUNDと改名し英国へ渡り、
90年代になると再びANALOGY名義で復活するという。その行き当たりばったり的な活動も含めて、異色のバンドといえる。
ドラマティック度・・7 サイケ度・・8 妖しさ度・・7 総合・・7.5
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ANALOGY 「The Suite」
イタリアのサイケロック、アナロジーの1980年作

AB面に分かれた28分弱の組曲という作品で、前作で聴かれたサイケ要素は薄れ、
フォークロック的な素朴な叙情と、女性ヴォーカルの歌声でゆったりと聴かせる、
どことなくCURVED AIRあたりにも接近したようなサウンドになっている。
優雅なピアノやフルートなど、クラシカルな美しさも含みつつ、やはりどこかアンダーグラウンドな
マイナー臭さを漂わせるのが特徴か。プログレ的にはむしろ楽しめる内容かもしれない。
ドラマティック度・・7 プログレ度・・8 サイケ度・・7 総合・・7.5
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Analogy 「Konzert」
イタリアのサイケプログレ、アナロジーのライブ作品。2013年作
70年代に活動していたバンドが2010年に復活、本作は2012年のイタリア公演のステージを収録。
オルガンを含むプログレ的なシンセアレンジに、けだるげな女性ヴォーカルの歌声、
叙情的なギターフレーズを含ませながら、ゆったりとした浮遊感を感じさせるサウンド。
フォークロック的なおおらかな牧歌性と、中世風味の妖しげな幻想性に包まれた世界観は
13分の組曲なども含め、プログレとしても女性声サイケロックとしてもなかなか楽しめる。
ドラマティック度・・8 プログレ度・・7 ライブ演奏・・8 総合・・7.5
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Ancestry 「Discendenze
イタリアのシンフォニックロック、アンセストリーの2003年作
美麗なシンセアレンジとともに、90年代以降のネオプログレを受け継ぐサウンド。
インストパートでは適度にテクニカルなリズムを含んだ構築力を聴かせるが、
イタリア語のヴォーカルが加わると、ぐっとやわらかな情感が前に出てくる。
いくぶんヘタウマな歌声がB級シンフォ臭さをかもしだすが、全体的にメロウでやわらかな作風で統一されているので、
17分、12分という大曲でも聴き疲れはしない。シンフォニックなシンセが心地よい好作です。
ドラマティック度・・8 プログレ度・・8 イタリア度・・8 総合・・7.5


Ancient Veil 「I Am Changing」
イタリアのプログレバンド、エンシェント・ヴェイルの2017年作
ERIS PLUVIAのメンバーを中心にしたバンドで、本作は1995年以来、22年ぶりの復活作。
ムーグやオルガンなどヴィンテージなシンセにやわらかなフルートの音色、アコースティックを含むギターとともに、
ゆったりとした叙情美を描くシンフォニッロック。ゲストによるオーボエやヴァイオリン、クラシカルなピアノなどが
優雅にサウンドを彩り、アコースティックギターにマイルドなヴォーカルを乗せた繊細な味わいに包まれる。
女性ヴォーカルにストリングスを加えたナンバーなど、3〜5分前後の小曲主体で、あくまで優美な聴き心地。
濃密な派手さはないが、クラシカルでアコースティカル、中世古楽風の牧歌的なシンフォニックロックが耳に優しい。
クラシカル度・・8 プログレ度・・7 優雅度・・9 総合・・8
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Andrea Orlando 「Dalla Vita Autentica」
イタリアのミュージシャン、アンドレア・オルランドの2017年作
HOSTSONATENLA COSCIENZA DI ZENOCURVA DI LESMOなどにも参加するドラマーのソロ作品で、
LA MASCHERA DI CERRAFINISTERREARIESDAALUBI MINORCURVA DI LESMOなどのメンバーが参加、、
美麗なシンセにメロディックなギター、イタリア語のヴォーカルを乗せた、王道のシンフォニックロックを聴かせる。
マスケーラ・ディ・チェラのアレッサンドロの歌声は、ヴィンテージな暑苦しさをかもしだしているが、
サウンド自体はスタイリッシュで優雅な聴き心地。ドラマーでありつつも、自身で奏でるオルガンやメロトロンによる
古き良きシンフォプログレのテイストもよろしく、ARIESのシモーネ嬢の歌うやわらか叙情ナンバーなども魅力的だ。
シンフォニック度・・8 プログレ度・・7 イタリア度・・8 総合・・8
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Angelo BranduardiAlla Fiera Dell Est
イタリアのシンガー、アンジェロ・ブランドゥアルディの1976年作
Franco Battiatoと並ぶカンタゥトーレの重鎮の一人で本作は70年代の名作とされる。
アコースティカルな牧歌性と、イタリア語によるやわらかな歌声で聴かせるサウンドは、
アコースティックギターにマンドリンの音色にフルート、オーボエ、ヴァイオリンなど
クラシカルな優雅さも含んでいて、PFMなどにも通じる地中海の風を感じさせる。
素朴な叙情と繊細でありなが表現豊かな歌声が素晴らしい傑作だ。
アコースティカル度・・8 素朴な叙情度・・9 イタリア度・・9 総合・・8
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Angelo Branduardi「Chominciamento Di Gioia-Futuro Antico」
イタリアのトラッド系アーティスト、アンジェロ・ブランドゥアルディの1996年作
本作はアコースティックをベースに中世音楽を蘇らせるというコンセプトのようで、
連作でシリーズとなっているようだ。ヴァイオリンや笛の音が鳴り響き
イタリア語による牧歌的な歌唱でゆるやかに聴かせるサウンドは、
まさに中世のイタリアを思わせる世界観。スカボロ・フェアーのカヴァーもあり、
素朴でありながらもバロック的な中世トラッドが全編にわたって楽しめる。
アコースティカル度・・8 トラッ度・・8 イタリア度・・8 総合・・7.5
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Anna OxaLive Con I New Trolls」
イタリアの女性シンガー、アンナ・オクサのNEW TROLLSとの共演ライブアルバム。1990/2010年作
もともとはポップス系のシンガーであるが、1989年のアルバム「Tutti brividi del mondo」において、
NEW TROLLSのメンバーが全面的に参加し、本作はその直後のコンサートを収録したもの。
1曲めこそポップなスタジオナンバーであるが、Vittorio、AldoのScalzi兄弟を中心にした演奏陣は
イタリアンロックの実力者であるから、伸びやかなオクサの歌唱とともにサウンドをしっかりと構築。
Disc2ではニュー・トロルスのナンバーもまじえた、よりシンフォニックなサウンドが楽しめる。
シンフォニック度・・7 イタリア度・・8 女性Vo度・・8 総合・・8
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Annie Barbazza & Max Repetti 「Moonchild」
イタリアの女性シンガー、アンニ・バルバッツァと鍵盤奏者、レペッティによる2018年作
故グレッグ・レイクの楽曲のトリビュート作品で、クラシカルなピアノをバックにしっとりとした女性ヴォーカルを乗せ、
KING CRIMSONEL&Pなどの楽曲を優美に聴かせる。「クリムゾンキングの宮殿」〜「21世紀の精神異常者」
「トリロジー」「ムーンチャイルド」「石を取れ」「セ・ラ・ヴィ」「エピタフ」「悪の教典#9」「将校と紳士の回顧録」
「ポセイドンの目覚め」「ラッキー・マン」「キエフの大門」など、クリムゾンやEL&Pのファンには馴染みの名曲も多数。
バックはシンプルなピアノのみなので、まるでジャズやシャンソンのようだが、表現豊かなヴォーカルが、
ときに優美に、ときにエモーショナルにプログレナンバーを歌い上げるところは、なかなか感動的である。
もともとがクラシカルなEL&Pのナンバーは、女性Vo&ピアノという優雅なアレンジがよくマッチしている。
優雅度・・9 プログレ度・・7 女性Vo度・・8 総合・・8
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ANTONIO MORESCO & FABIO ZUFFANTI 「Camminare Da Solo, Di Notte 」
イタリアのアーティスト、アントニオ・モレスコとファビオ・ズッファンティのユニット。2019年作
Finisterre、Hostsonaten、 La Maschera Di Ceraなど多くのバンドで活躍する、F.ズッファンティが
作家であるモレスコの脚本にそって制作した、全1曲43分というアンビエントミュージックで、
うつすらとしたシンセの重ねをメインに、イタリア語による語りを乗せたという独自のサウンド。
打ち込みによるリズムも加えた幻想的なエレクトロミュージックは、Kraus Schulzeあたりにも通じるが、
ナレーションが延々と続くところでは、イタリア語の意味が分からないと少々退屈かもしれない。
ロック度・・0 プログレ度・・5 エレクトロ度・・8 総合・・7
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Antonius Rex 「Zora」
イタリアンロックバンド、アントニウス・レックスの1977年作
JACULAのAntonio Bartoccettiによるユニットで、ギター、ドラム、女性鍵盤奏者というトリオ編成で、
オルガンやムーグシンセ、チェンバロなどの鍵盤に、軽めのドラムとギター、ヘタウマな男性ヴォーカルを乗せた、
いくぶんB級気味のカルトロック。JACULAほどの妖しさはないものの、シアトリカルな感触と、ときにGOBLINなどに通じる
ホラー風味の感触も含んだ、じつにイタリアらしいサウンドを聴かせる。パイプオルガンが鳴り響き、女性スキッャトを乗せた
まさにJACULAでしょ…という10分を超えるナンバーもありつつ、構築的すぎない即興感覚と適度なユルさも含めて、
70年代カルトバンドのマイナーな空気感を伝えてくれる。とりあえず、ヤクラのファンはチェックして損はないでしょう。
ドラマティック度・・7 プログレ度・・7 妖しげ度・・8 総合・・7.5
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ANTONIUS REX 「NEQUE SEMPER ARCUM TENDIT REX」
イタリアのカルトプログレ、アントニウス・レックスの1974/2002年作
JACULAを率いるアントニオ・バルトチェッティによるプロジェクトで、本作は1974年の名作「サバトの宴」直後に発表された作品。
チャーチオルガンが妖しく鳴り響き、イタリア語による語りを乗せた黒魔術的な世界観は、まさにヤクラそのもの。
ドラムにギターが加わるとロック的な感触もいくぶん増すのだが、これという展開はあまりないので、
やはり雰囲気モノとしての色合いが強く、オルガンやチェンバロの音色を耽美に楽しめる人向けです。
SE入りのホラーサントラ的なナンバーもいかにもという雰囲気だが、個人的には女性声が入らないのが残念。
ドラマティック度・・6 プログレ度・・6 妖しげ度・・8 総合・・7  
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ANTONIUS REX 「Anno Demoni」
イタリアのカルトプログレ、アントニウス・レックスの1979/2001年作
JACULAを率いるアントニオ・バルトチェッティによるプロジェクト、本作は1974〜78年に録音されたマテリアルを収録。
ヤクラの2作目として作られた楽曲ということで、クラシカルなピアノにオルガンが鳴り響き、
妖しくも優雅な世界観を描いてゆくのだが、美しい女性ヴォーカルを乗せた小曲や、ギターにドラムの入った
ロック寄りのナンバーなどもあり、名作「サバトの宴」の暗黒美に比べると、もう少し聴きやすい作風。
ボーナストラックには、1972年、ヤクラのプロトタイプというべき音源を収録。こちらは、チャーチオルガンに
フルートが鳴り響き、妖しい女性声の詠唱のような歌声で、まさに「サバトの宴」につながる世界観です。
ドラマティック度・・7 妖しげ度・・8 ヤクラ度・・8 総合・・7
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Antonius Rex 「Hystero Demonopathy」
JACULAのアントニオ・バルトチェッリィによる個人ユニット、アントニウス・レックスの2013年作
打ち込みによるオーケストレーションとハードロック的なギター、男女ヴォーカルで聴かせる
ゴシック的な耽美さを含んだハード・シンフォサウンド。歌というよりはスキャットや悲鳴がメインの女性声や
随所にシアトリカルなSEなどを挿入するなど、カルトなドラマ性はJACLAにも通じる感触はあるが、
こちらはよりメタル的なアプローチで、またB級ホラー映画的な雰囲気も漂わせている。
どうせならもっと徹底的に濃密かつ妖しくして欲しいが、幻想的なロマンに包まれた好作ではある。
ドラマティック度・・8 プログレ度・・6 カルト度・・8 総合・・7
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Aparecidos 「Palito Bomobon Helado」
イタリアのチェンバーロック、アパラチドスの2013年作
アルゼンチン出身の兄弟ギタリストを中心に結成されたバンドで、二本のクラシックギターが絡み
グロッケンシュピール(鉄琴)のきらきらとした響きを乗せた、優雅なチェンバーロックサウンド。
哀愁を感じさせるラテンのフォークロアのテイストを、軽妙なアンサンブルに溶け込ませ、
適度な屈折感を盛り込みながら、ジャズやボサノヴァ要素も含んだ自然体の聴き心地。
アコースティック主体ながらも、随所にエレキギターも加わって、技巧的なドラムとともに、
うるさすぎないロック感触を描いて、ヴァイオリンやアコーディオンなども優雅なアクセントだ。
ダークでもサロン系でもない、いわばラテン系チェンバーという、とても優しいサウンドである。
ドラマティック度・・7 チェンバー度・・7 優雅なラテン度・・9 総合・・8
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APOTEOSI
イタリアのプログレバンド、アポテオジの1975作
自主制作による唯一のアルバムで、昔からイタリアンロック好事家の間ではレアアイテム扱いされていた。
クラシカルなピアノ、キーボードに艶やかな女性Voと、なかなか雰囲気が良いサウンドで、
押しの強さよりは、ゆるやかなイタリアらしい叙情としっとりとしたマイナーっぽさが魅力。
軽快なリズムのアンサンブルから、シンフォニックな静寂パートへの切り換えが大胆で
15分の組曲もあったりと、インストパートの充実もなかなか。この1枚だけで消えたのが惜しまれる。
シンォニック度・・7 クラシカル度・・8 楽曲・・8 総合・・7.5
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Arcadelt 「Enjoypan」
イタリアのプログレバンド、アルカデルトのミニアルバム。2009作
フランドル楽派の作曲家アルカデルトからバンド名をとったのかは不明だが、
バンドは1996年に「Enjoy」という作品を出していったん活動休止、その後2009年に再結成。
本作はその「Enjoy」からチョイスされた楽曲を、新たにレコーディングした音源ということである。
ギター、ベース、ドラム、ヴォーカルという4人編成で、優雅で美しいシンセワークと、
メロディアスなギター、マイルドなヴォーカルで聴かせる優しいシンフォニックロックサウンド。
タイプとしてはGENESIS系だろうか。これといって際立った部分はないが、演奏も安定していて
どこをとってもメロディアスで繊細なプログレが楽しめる。バンドのサイトはこちら
メロディアス度・・8 繊細度・・8 イタリア度・・7 総合・・7.5
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ARCHANGEL 「Tales of Love and Blood」
イタリアのプログレハード系バンド、アークエンジェルの2013年作
UBI MAIORのメンバーを中心にしたバンドで、本作は吸血鬼をテーマにしたコンセプト作。
適度にハードなギターとオルガンやピアノを含んだシンセアレンジに、マイルドなヴォーカルで聴かせる
ドラマティックなハードプログレサウンド。古き良きプログレ的な感触も随所に残しつつ、
14分の大曲なども含めて幻想的な空気感に包まれた叙情性でゆったりと楽しめる。
BLUE OYSTER CULT“Nosferatu”のカヴァーなどもアルバムの中で自然にハマっている。
THRESHOLDのダミアン・ウィルソンがヴォーカルで参加。ボーナスにはBLACK SABBATHのカヴァーも収録。
ドラマティック度・・8 プログレ度・・7 幻想度・・8 総合・・7.5
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ARCHENSIEL 「PIOVA」
イタリアのフォーク・プログレ、アーケンシエルの1989年作
アコースティックギターにマンドリンのつまびき、艶やかなヴァイオリンの音色に、
清涼な女性ヴォーカルのイタリア語の歌声を乗せた、しっとりと優美なフォークロックサウンド。
うっすらとしたシンセによる味付けやエレキギターも随所に加わって、ほどよいロック色とともに、
初期QUIDAMのような女性声シンフォニックロックとしても楽しめる。繊細なアコースティックパートと
美しい女性ヴォーカルにウットリしつつ、キャッチーなノリのナンバーも魅力的で、たおやかにして優雅な聴き心地。
3〜4分前後のわりとシンプルな楽曲の中にも、牧歌的な優雅さが溢れている。女性ヴォーカル好きは必聴の逸品です。
優美度・・9 プログレ度・・7 女性Vo度・・9 総合・・8
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AREA「Arbeit Macht Frei」
イタリアのジャズロックバンド、アレアの1st。1973作
イタリアのみならず世界的に見ても、70年代でもっとも個性あるバンドのひとつであり、
そのサウンドは地中海とアラビックな土着性の融合ともいうべきもので、
ひとことで言うならば、民俗的なジャズロックということなのだろうが、
躍動するリズムにはプログレとしての複雑さと、ロックとしてのダイナミズムも備わっている。
巧みな演奏力とアンサンブル、そこに乗るデメトリオ・ストラトスの力強い歌声もインパクト充分で、
このバンドの大きな個性となっている。また楽曲にはイタリアらしい混沌とした芸術性も感じられ
妖しげなフルートの響き、シンセの使い方などはプログレそのものである。濃密な傑作だ。
メロディアス度・・7 プログレ度・・8 躍動する演奏度・・9 総合・・8.5
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AREA「Caution Radiation Area」
イタリアのジャズロックバンド、アレアの2nd。「汚染地帯」1974年作
地中海とアラビックの融合というべき個性的な作風は、ディメトリオ・ストラトスの濃密な歌声とともに、
本作ではさらにどろどろとした土着性とミステリアスな器の大きさを垣間見せている。
攻撃的でありながら軽やかなアンサンブルは、オルガンなどを含んだプログレとしての聴き心地も含みつつ、
いっそうテクニカルに圧倒するような迫力に包まれている。一方ではアヴァンギャルドな怪しさをもって
構築とは逆のベクトルで聴き手を不安にさせる。得体の知れないパワーを感じさせる作品だ。
メロディアス度・・7 プログレ度・・8 濃密な迫力度・・9 総合・・8.5
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AREA「CRAC!」
イタリアのジャズロックバンド、アレアの3rd。1975年作
デメトリオ・ストラトスの個性的なヴォーカルと軽妙かつテクニカルなジャズロックに、
バルカン、アラブ系民俗音楽の要素が溶け込んだ、エキゾチックなサウンドを聴かせる。
よくよく聴けば、変拍子まくりの複雑なリズムに翻弄されるのだが、難解さよりもノリの良さが上回り
アラビックな愉快さに聴き手も乗せられてしまう。テクニカルプログレジャズロックとしてはARTIと双璧。
メロディアス度・・7 プログレ度・・8 アラビック度・・8 総合・・8.5
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AREA 「Are(A)zione」
イタリアのジャズロックバンド、アレアのライブアルバム。1975年作
存在感抜群のデメトリオ・ストラトスのパワフルな歌声に、バックの演奏もテクニカルで素晴らしい。
ジャズロックを基本としながら、シンセによるプログレ的な側面もしっかりあって、
ハイテンションな即興を交えてのアンサンブルはまさに怒濤の迫力だ。
PFM、ARTIと並ぶ、イタリアの熱き躍動が詰まった傑作ライブアルバムである。
メロディアス度・・7 プログレ度・・8 ライブ演奏・・9 総合・・8.5
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AREAMaledetti
アレアの4th。1977年作/邦題は「呪われた人々」
ライブをはさんでの4作目で、前作までのアラビックな色はやや薄れて、
ムーグシンセをにぎやかに鳴らせるプログレ・ジャズロックから始まりつつ
語りのようなヴォーカルとパーカッションによる民俗的な感じの曲もあったりと、
一筋縄ではいかない。アヴァンギャルドなセンスにMAGMAのようなスケール感も感じられ、
単なるジャズロックの範疇を超えた革新性に富んだ作品だ。なんだかんだでこれも傑作!
メロディアス度・・7 プログレ度・・9 民俗度・・7 総合・・8.5
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AREA「1978」
イタリアのジャズロックバンド、アレアの5th。1978年作
ブルガリアントラッド的に跳ねるリズムの上に、デメトリオ・ストラトスの強力な歌声を乗せ、
のっけからたたみかけるジャズロックサウンドは、まったくもってインパクト充分。
アコースティック楽器が主体であるのに、このパワーには圧倒させられるばかり。
変拍子入りのテクニカルなキメをさらりとこなし、それでいてまとまりのある聴き心地があるのは、
ある意味で驚異的であるし、中近東やバルカンテイストを巧みに取り入れつつ、イタリア的な情緒を
そこに重ね合わせるセンスというのは、ちょっと他のバンドには真似のできない芸当であろう。
本作発表の翌年、デメトリオ・ストラトスの病死により、バンドは方向性を見失い、アルバム1枚を作るも、その後解散に至る。
それだけにこの作品の躍動ときらめきは、語り継がれる伝説となり、今なお輝き続けている。
メロディアス度・・7 ジャズロック度・・8 躍動する演奏度・・9 総合・・8.5
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AREA 「Tic & Tac」
イタリアのジャズロック、アレアの1980年作
デメトリオ・ストラトスの死去後に作られた6作目となるアルバムで、バンドとしてのラスト作。
かつての民俗的な怒涛のジャズロック作風から、デジタルなシンセアレンジを乗せたフュージョン寄りのサウンドになっていて、
オールインストであることもあり、プログレとしてのアレアからはずいぶん変化してしまったが、手数の多いドラムをはじめ、
高い演奏力とともに軽妙なアンサンブルでたたみかけるところは、さすがのノリの良さ。きらびやかなシンセとともに、
メロディックな聴き心地の厚みのあるサウンドが楽しめる。一方では、サックスやトランペットが鳴り響き、優雅なピアノが絡む、
欧米的なジャズロック感触もある。過去の5作が大傑作であるなら、本作も十分に傑作と言えるくらいの出来である。
メロディック度・・8 プログレ度・・7 優雅度・・8 総合・・8
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VA/1979 Il Concerto
AREAのデメトリオ・ストラトスを追悼して行われた1979年のライブを収録した2CD。全17曲を収録。
アレア、ヴェネゴーニ&カンパニー、バンコ、アンジェロ・ブランドゥアルディ、カルナシャリアなど、多数のアーティストが参加、
白血病に苦しむデメトリオのための救援コンサートのはずが、前日にデメトリオが急死してしまい追悼のコンサートとなったという。
プログレ系とは異なるノリのいいロックバンドから始まってやや面食らうが、2曲目はAREAのフュージョン・ジャズロックでほっとひと安心。
その後は、シンプルなブルース系のアーティストなどもいて、プログレを期待するとやや退屈な内容であるのだが、
Venegoni & Co.の優雅なジャズロック、Angelo Branduardiの素朴な中世風サウンド、マウロ・パガーニ擁するCarnascialiaの
躍動感あふれるトラッドロックはとても楽しめる。Disc2では、ガエタノ・リグオーリのピアノをフィーチャーしたスリリングなジャズナンバー、
ジャコモの伸びやかな歌声を聴かせるバンコの叙情ナンバーが白眉。そしてラストはAREAによる熱い演奏で締めくくる。
ライブ演奏・・8 プログレ度・・7 イタリア度・・9 総合・・7.5
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Areknames
イタリアのプログレバンド、アレクナムスの2004年作
オルガンやメロトロンを使ったヴィンテージなシンセに、マイルドなヴォーカルを乗せた
薄暗く繊細な叙情を聴かせる、70年代懐古タイプのサウンド。同郷の先輩であるSTANDARTEなどに通じる
くぐもったような空気感に、うっすらとしたメロトロンが鳴り響くと、ANEKDOTENあたりを思わせる
北欧プログレ的な雰囲気にもなる。ギターがヘヴィすぎないこともあって、幻想的な霧に包まれたような聴き心地で、
ヴォーカルが英語なこともあってイタリアらしさはさほどなく、むしろ70年代英国に北欧風味が加わったというべきか。
いくぶんサイケ寄りの浮遊感もありつつ、オルガン、メロトロンが好きな方にはたまらないヴィンテージサウンドだ。
ドラマティック度・・7 ヴィンテージ度・・8 イタリア度・・7 総合・・8
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Areknames 「Love Hate Round Trip」
イタリアのプログレバンド、アレクナムスの2006年作
2作目となる本作は、よりヘヴィなギターにメロトロンやオルガンによるシンセを重ね、
70年代懐古主義のスタイルをハードな感触で包み込んだというヴィンテージなサウンド。
ヴォーカルは英語なので、イタリアというよりはむしろブリティッシュ・ハードロックの質感で、
ANEKDOTENをヘヴィに、ブルージーにしたという聴き心地で、ときにBLACK SABBATH的な雰囲気も。
10分を超える大曲も、メリハリある構築力でミステリアスな空気を邪悪に描き出す、濃密なサウンドを展開。
優雅なピアノにジェントルなヴォーカルで聴かせるところは、VDGGのようでもある。全78分の力作。
ドラマティック度・・8 プログレ度・・8 ヴィンテージ度・・9 総合・・8 
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AREKNAMES 「Live at Burg Herzberg Festival 2007」
イタリアのプログレバンド、アレクナムスのライブ。2007年作
SRANDARTEANEKDOTENを思わせるヴィンテージなスタイルで、マニア好みのバンド。
2007年ドイツでのライブステージを収録。やわらかなオルガンが鳴り響き、マイルドなヴォーカルを乗せた
70年代ルーツの古き良きサウンドを聴かせる。17分、13分という大曲もわりとユルめの展開力と、
まったりとしたアンサンブルで描きつつ、即興的な演奏も覗かせるところは、70年代英国のサイケや
アートロックの香りも感じさせる。プログレとしてはスリリングな部分はさほどないが、
アナログ感のあるオルガンロックが好きな方なら、わりと楽しめるかと。
ドラマティック度・・7 ライブ演奏・・7 イタリア度・・7 総合・・7.5
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Areknames「In Case of Loss...」
イタリアのプログレバンド、アレクナムスの2011年作
オルガンやメロトロンが鳴り響き、メロウなギターが絡む古き良き感触のサウンドで、
ANEKDOTENあたりを思わせるダークめの叙情を含んだヘヴィプログレという趣。
英語歌詞のやわらかなヴォーカルは、むしろポストプログレ的な浮遊感もかもしだしていて
モダンとレトロの融合というような聴き心地が面白い。20分を超えるラストの大曲では、
ヴァイオリンやサックスなども顔を出し、ミステリアスな雰囲気に包まれて、クリムゾン風味の
スケール感ある薄暗い叙情を描いてゆく。ある意味、北欧プログレ的ともいえる力作だ。
ドラマティック度・・8 プログレ度・・8 イタリア度・・7 総合・・8
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ARIES
イタリアの女性Voシンフォニックロックバンド、アリエスの2004年作
たおやかなピアノ、キーボードに美しい女性ヴォーカルのシンフォサウンド。
この女性声がまた素敵で、はかなげで繊細なその歌声にはフィメールものが好きであればうっとりすること請け合い。
しっとりとしたピアノの音色も良いが、キーボードをバックにメロウに鳴るギターもなかなかで、
静かなパートとシンフォロックパートとのメリハリもしっかりついている。時折ゴシック的な雰囲気も垣間見せるなど、
世界観としての奥深さもあるのが素晴らしい。WHITE WILLOWQUIDAMあたりに通じる部分もある、優美な逸品です。
メロディアス度・・8 シンフォニック度・・8 女性Vo度・・8 総合・・8
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Aries 「Double Reign」
イタリアのシンフォニックロック、アリエスの2010年作
La Maschera Di Cera, Hostsonaten, Finisterreなどで活躍するファビオ・ズッファンティと
女性Voのユニットバンドで、美麗なシンセアとストリングスを含んだアレンジに
女性ヴォーカルの歌声で聴かせる、しっとりとしたシンフォニックロック・サウンド。
プログレ色はあまりなく、女性声のアンビエントロックという趣なので、
前作に比べるといくぶん物足りなさもあるが、優しい聴き心地の好作です。
メロディック度・・7 プログレ度・・7 女性Vo度・・8 総合・・7.5




Armonite 「And the Stars Above」
イタリアのチェンバー・プログレ、アルモニテの2018年作
艶やかなヴァイオリンにピアノが絡み、美しい女性ヴォーカルを乗せた優雅なイントロから、
ドラムとベースを加えた、クラシカルなフュージョンロックというサウンドが広がってゆく。
きらびやかなシンセアレンジと変拍子を含んだリズムで、ほどよくキャッチーなやわらかさと、
偏屈なチェンバー風味が同居したスタイルに、イタリアらしい優美な叙情性も覗かせる。
楽曲は3分前後で、インストがメインでも難解というほどではなく、ヴァイオリンをたっぷりと使った
クラシカルな感触に包まれ、キュートな女性ヴォーカルを乗せたナンバーもアクセントになっている。
クラシカル度・・8 プログレ度・・7 優雅度・・8 総合・・8
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ARPIA 「Racconto D'inverno」
イタリアのプログレ・フォークロック、アルピアの2009年作
アコースティックギターの上に、イタリア語のマイルドな男性ヴォーカルと美しい女性ヴォーカルを乗せ、
ゴシック・フォーク的な薄暗い叙情に包まれたサウンド。ほとんどが1〜3分前後の小曲で、
エレキギターは入らないので、プログレ的ではないかといえば決してそうでもなく、
ベースとドラムの生み出すアンサンブルやリズムチェンジを含む感触は十分イタリアンロック的だし、
シンセの加わったシンフォニックなナンバーもある。う少し女性声をメインにした曲が多いと嬉しいのだが。
ともかくアコースティックを主体にした、プログレ寄りのイタリアン・フォークロック好作品です。
ドラマティック度・・7 プログレ度・・7 イタリア度・・8 総合・・7.5
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ARTI + MESTIERI「Tilt」
イタリアのプログレ・ジャズロックバンド、アルティ・エ・メスティエリの1st。1974年作
本作はイタリアンプログレ、そして美しいジャズロックとしての最高傑作である。
フリオ・キリコの手数の多いドラムと、艶やかなヴァイオリンの音色、鳴り響くサックス、
プログレ的なシンセとともに、優雅でメロディックな聴き心地と、たたみかける勢いに満ちた
圧倒的なアンサンブルに引き込まれる。一方ではイタリア語の歌唱で聴かせる叙情性もあって、
プログレ性と技巧的なジャズロックのバランスのとれたサウンドである。2nd「明日へのワルツ」も必聴。
メロディアス度・・8 ジャズロック度・・8 構築度・・9 総合・・9 ◆プログレ名作選入り
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ARTI+MESTIERI「GIRO DI VALZER PER DOMANI」
「芸術家と職人」を意味するバンド名をもつジャズロックバンド、アルティ・エ・メスティエリの2nd。1975作。
イタリアンプログレ最高の名盤の1つ、「TILT」はまさに技巧の極地で驚異の出来であったが、
続く2ndではジャズ色を増し、歌も入って、楽曲的には多少落ち着きの出たものとなっている。
ただし。強烈無比のテクニックは健在で、特に伝説のドラマー、フリオ・キリコの手数の多さは変わらず、
ゆったりテンポの曲においても無駄とも思えるもの凄い手数で、やかましいほどに凄い。
メロディアスで緻密なアンサンブルは、切れ味鋭く聴くものの口をあんぐりとさせる。
もはやジャズロックというジャンルを超えた、幅広く全てのプログレファンが聴くべきクオリティ。
イタリアンロックの素晴らしさを知る入門用としては、PFMと並んでこのバンドが最適であろう。
メロディアス度・・8 技巧派ジャズロック度・・9 テクニカル度・・9 総合・・9 ◆プログレ名作選入り
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ARTI & MESTIERI 「MURALES」
イタリアのジャズロック、アルティ・エ・メスティエリの2000年作
15年ぶりとなる復活作で、フリオ・キリコを筆頭に、ベッペ・クロヴェッラ、ジジ・ヴェネゴーニらオリジナルメンバーが集結。
ツインキーボードを含む編成で、ヴァイオリンが鳴り響き、軽妙なアンサンブルで叙情的なジャズロックを聴かせる。
大人の哀愁を含んだツインギターも流麗な味わいで、かつてのサウンドをそのままアダルトにしたような感触だ。
ヴァイオリンがメインのナンバーではクラシカルな優雅さが前に出てきて、アコースティックギターによる繊細な叙情に、
オルガンやエレピを含むシンセ、そして当然ながら、フリオ・キリコの軽快なドラムも相変わらず素晴らしい。
初期のころのような超絶な技巧は控えめながら、確かな演奏力で大人のジャズロックを描く。まさに充実の復活作だ。
テクニカル度・・7 優雅度・・9 大人の叙情度・・8 総合・・8 
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arti & mestieriLive 1974-2000
イタリアのプログレ・ジャズロックバンド、アルティ・エ・メスティエリのライブ作品。2003年作
Disc1には、1999、2000年のライブを収録、復活作となった2000年のアルバム「Murales」からの曲を中心に演奏
フリオ・キリコの叩き出す軽快なリズムの上に、ギターとヴァイオリンが絡み、オルガンの音色がさりげなく色をそえる。
たたみかける勢いと優雅さが同居した見事なアンサンブルは、ベテランバンドとしての実力健在ぶりを示している。
Disc2には、かつて出ていた1974年のライブを収録した「LIVE」のリマスターにボーナスを追加したもの。
ややこもり気味の音質が70年代を感じさせるが、若き日のキリコの勢いあるドラムを含めて、切れ味のある演奏が聴ける。
1st「TILT」の曲を中心にしていて往年のファンにも嬉しい。テクニカルでありつつイタリアらしい叙情があるのも魅力的だ。
テクニカル度・・8 プログレ度・・8 ライブ演奏・・9 総合・・8
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Arti & Mestieri 「Live 1974」
イタリアのプログレ・ジャズロック、アルティ・エ・メスティエリの2021年作
2003年リリース「Live/1974-2000」Disc2の音源に、1975年の未発ライブ5曲をボーナス収録した再発盤。
1974年のデビュー作「Tilt」からのナンバーを主体にしたステージで、卓越したフリオ・キリコのドラムに、
オルガン含むシンセ、サックスも加わって、テクニカルなアンサンブルの優雅なジャズロックを聴かせる。
メンバーの演奏力の高さは言うまでもなく、手数の多いキリコのドラムは圧巻で、サウンドの核をになっていて、
ベッペ・クロヴェラの繊細なシンセワークにジジ・ヴェネゴーニのギター、ときにヴァイオンリンも鳴り響く叙情性は、
単なるジャズロック以上の優雅さに包まれる。ボートラの音源は音質はやや落ちるが、バンド全盛期の記録ということで。
プログレ度・8 ライブ演奏・9 音質・7 総合・8 
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Arti & Mestieri 「Prog Day」
イタリアのプログレ・ジャズロック、アルティ・エ・メスティエリの2021年作
スタジオライブ4曲を収録した、2003年リリースのEPに、同時期の未発ライブ音源をボーナス収録した再発盤。
90年代に再結成したアルティは、ドラムのフリオ・キリコとシンセのベッペ・クロヴェラを中心に、ライブなども旺盛にこなす。
2003年、アメリカの「プログ・デイ」に招待されたことを機に録音されたという本作は、キリコのテクニカルなドラムに、
美しいシンセワークとメロウなギター、艶やかなヴァイオリを重ね、優雅で巧みなシンフォ・ジャズロックを聴かせる。
1st収録の大曲のリメイクも含め、生き生きとした躍動感はさすがである。ボーナスのライブ音源、「ティルト組曲」、
「明日へのワルツ組曲」は、ややラウドな音質ながらも、第二の全盛期というような勢い溢れる演奏が味わえる。
プログレ度・8 ライブ演奏・9 優雅度・8 総合・8
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Arti & Mestieri「Estrazioni」
イタリアのプログレ・ジャズロックバンド、アルティ・エ・メスティエリの2005作
本作は、1975年の2nd「明日へのワルツ」の頃の未発音源を現メンバーの手で蘇らせたもの。
かつての勢いあるテクニカルなサウンドよりも、大人になったジャズロックという雰囲気であるが、
外見的にも一人だけ若いムキムキのフリオ・キリコのドラムはさすがのキレと手数の多さ。
ピアノやハモンドメロトロンのやわらかな鍵盤の音色と、ヴァイオリン、サックスが重なると
叙情味豊かなイタリアンロックの感触になり、優雅な味わいで楽しめる。
メロディアス度・・8 プログレ度・・7 ジャズロック度・・8 総合・・7.5
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ARTI & MESTIERI「First Live in Japan」
イタリアの伝説のプログレ・ジャズロックバンド、アルティ・エ・メスティエリのライプ作。2006作
2005年、川崎クラブチッタでの来日公演を収録。イタリアンプログレ名作中の名作である
1st「ティルト」、2nd「明日へのワルツ」からの曲をメインに、オリジナルメンバーである、
ベッペ・クロヴェッラとフリオ・キリコを中心とした白熱の演奏をたっぷりと聴かせてくれる。
年を経ても衰え知らずなフリオ・キリコの超絶なドラムはやはり素晴らしく、
適度な緊張感の漂うリズムの上に、美しいピアノとヴァイオリン、サックスが鳴り響く。
テクニカルなだけではなく、メロディにはイタリアらしい叙情美があるのも彼らならではで、
PFMBANCOと並んで日本のイタリアンプログレファンに支持されるのもうなずける。
このバンドを知らない方は、まずは70年代の1st、2ndから聴くことを勧めるが、
この素晴らしいライブアルバムから聴き初めても、充分に彼らの魅力は伝わるだろう。
メロディアス度・・8 テクニカル度・・8 ライブ演奏・・9 総合・・8.5
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ARTI E MESTIERI 「THE LIVE」
イタリアのプログレ・ジャズロック、アルティ・エ・メスティエリのライブ作品。2013年作
CDには、オリジナルメンバーであるジジ・ヴェネゴーニを含む、2011年川崎でのライブを収録。
70年代の名作「ティルト」「明日へのワルツ」からのナンバーを含むセットリストで、
フリオ・キリコの衰え知らずの強力なドラムを軸に、優美なシンセワークに叙情的なギターが絡む、
ベテランらしい表現力で技巧的なアンサンブルを披露。ツインギター編成での迫力ある演奏が楽しめる。
音質も良好で、日本語を含むMCも収録。ライブに行けなかった方にも、臨場感が伝わる内容だ。
DVDには、メル・コリンズとデヴィッド・クロスがサックスとヴァイオリンで参加した、2011年イタリアでのライヴを収録。
こちらは音質はややラウドだが、地元ということで勢いのあるステージ映像が楽しめ、ファンは嬉しいだろう。
ライブ演奏・・9 プログレ度・・8 叙情と技巧度・・9 総合・・8 
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ARTI E MESTIERI 「Universi Paralleli」
イタリアのプログレジャズロック、アルティ・エ・メスティエリの2015年作
スタジオ作としては2004年以来となる作品で、フリオ・キリコの叩き出す軽妙なリズムに、
エレピを含むシンセに艶やかなヴァイオリン音色を重ね、優美で叙情的なジャズロックを聴かせる。
軽やかなサックスの音色やメロディックで流麗なギタープレイも随所にアクセントになっていて、
ヴォーカル入りのナンバーでは、ゆったりとしたイタリアらしい繊細な叙情に包まれる。
アコースティックギターを使ったナンバーや、美しいヴァイオリンの響きにうっとりとなる小曲など
全体的にも技巧的すぎない優雅な聴き心地で楽しめる。まさに大人のプログレ・ジャズロック。
KING CRIMSONのメル・コリンズや、OSANNAのリノ・ヴァイレッティなどがゲスト参加。
メロディック度・・8 テクニカル度・・7 優雅度・・9 総合・・8 
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ARTI & MESTIERI 「The Best of Italian Rock Vol.2」
イタリアのプログレジャズロック、アルティ・エ・メスティエリのライブ作。2015年作
2015年の来日公演のステージを2CDに収録。フリオ・キリコ、ジジ・ヴェネゴーニ、ペッペ・クロヴェッラ、
アルトゥーロ・ヴィターレの4人のオリジナルメンバーに、新規メンバーを加えた9人編成のステージで、
日本語によるフリオ・キリコの挨拶に続き、「ティルト」の全曲演奏を披露。ヴァイオリン、サックス、シンセが重なり、
手数の多いドラムにギターを乗せて、かつての名作が厚みのある演奏で蘇る。イアーノ・ニコロの味わいのある歌声に
ペッペの優美なシンセワーク、艶かなヴァイオリンが重なる叙情は、まさに往年のイタリアンロックの空気を描いている。
Disc2では、メル・コリンズも加わって、KING CRIMSON「Starless」のカヴァーを披露。イタリア語の味わいも良いですね。
その後は「明日へのワルツ」からのナンバーもたっぷり演奏。大人のアルティというべき優雅なアンサンブルが楽しめます。
ライブ演奏・・8 技巧度・・8 大人のアルティ度・・9 総合・・8
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ARTURO STALTERI 「Racconti Brevi /...E Il Pavone Parlo Alla Luna 」
Pierro Lunairのシンセ奏者、アルトゥーロ・スタルテッリのソロ。1994年作
1977〜81年に録音されたマテリアルのCD化作品で、アコースティックギターのつまびきに
やわらかなシンセワークが重なる牧歌的な感触と、エレクトロな多重シンセによる小曲など、
ときにPopol Vuhあたりを思わせる、アンビエントでエキセントリックなセンスも感じさせる。
シンセを中心にした内省的で繊細な世界観は、Mike Oldfieldなどにも通じる部分もあるが、
エレクトロでアンビエントな部分や、ときにOpus Avantraのようなエキセントリックなクラシカル性も垣間見せる。
17分の大曲では、東洋的な神秘性を感じさせる雰囲気に、優雅にピアノが鳴り響く不思議な聴き心地が楽しめる。
ドラマティック度・・7 プログレ度・・7 シンセ度・・8 総合・・7.5
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ASGARD 「Gotterdammerung」
イタリアのプログレバンド、アスガードの1991年作
90年代イタリアン・ネオプログレの先駆け的存在といってもよいバンドだろう。
おごそかなグレゴリアン・チャント風の始まりから、やわらかなシンセワークと
英語による朗々としたヴォーカルを乗せて、リズムチェンジや起伏のある展開力で
叙情的なサウンドを描いてゆく。フルートなどによる繊細な美意識と、キャッチーなプログレハード的な質感もあり、
メロウな泣きのギターが入ってくるところなどは、イタリアというよりはむしろドイツあたりのバンドに通じる雰囲気だ。
シアトリカルなドラマ性とヨーロピアンな湿り気、幻想的なロマンを感じさせる、叙情派シンフォの好作品。
ドラマティック度・・8 プログレ度・・8 幻想度・・8 総合・・7.5

ASGARD 「ARKANA」
イタリアのプログレバンド、アスガードの1992年作
幻想的なイントロから、メロディックなギターと美麗なシンセアレンジが加わり、
湿り気を含んだシンフォニックロックは前作以上にダイナミックな聴き心地である。
13分、17分という大曲を繊細かつドラマティックに構築するセンスもなかなかで、
技巧やモダンとは無縁の幻想美を追及する姿勢が個人的には好みである。
シアトリカルに歌うヴォーカルがやや好みを分けるかもしれないが、
Genesisルーツのネオプログレが好きな方には、とても楽しめる出来だと思う。
ドラマティック度・・8 プログレ度・・8 幻想度・・8 総合・・7.5

ASGARD 「Imago Mundi」
イタリアのプログレバンド、アスガードの1993年作
過去2作はGenesisルーツの好作であったが、本作ではよりハードなギターが前に出て来て、
ドラムもツーバスを使用するなど、シンフォニックハード的でもあるモダンな作風となっている。
たまに声が裏返るハイトーンヴォーカルは、ハードな曲調にはいくぶんミスマッチに思えるのだが、
きらびやかなシンセアレンジとともに、曲によってはPallasやMagellanあたりを思わせるドラマティックな
シンフォニックハードが楽しめる。一方ではやわらかなフルートの音色などの繊細な叙情も残していて、
全体的にもメリハリに富んだ作風だ。おそらく方向性に迷っていたのだろうが、レーベルの倒産なども重なって、
本作を最後にバンドはいったん沈黙、2000年になって復活作を出すことになる。
ドラマティック度・・8 プログレ度・・7 わりとハー度・・8 総合・・7.5
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Asgard 「Ragnarokkr」
イタリアのフォークメタル、アスガルドの2020年作
イタリア、ドイツ混成のプログレバンドとして、1991〜2000年までに5作を残して消えたバンドの20年ぶりとなる復活作。
オリジナルメンバーはキーボードだけのようで、サウンドの方もがらっとメタリックな感触が強まっていて、
オルガンなどのシンセにメタリックなギターを重ね、フルートなどが鳴り響くフォークメタルになっている。
北欧神話をテーマにしたフォークメタルという点では、バンド名にぴったりだが、まさかここまで変わるとは。
優美なシンセワークは随所にプログレ的な優雅さがあって、11分の大曲ではシンフォプログレ的な展開力も覗かせる。
ドラマティック度・8 フォーキー度・7 優美度・8 総合・7.5 
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ASTROLABIO 「L'isolamento Dei Numeri Pari」
イタリアのプログレバンド、アストロラビオの2014年作
フルートが鳴り響き、ムーグなどを含むシンセにイタリア語による粗野なヴォーカルを乗せて、
70年代を思わせる混沌としたプログレサウンドを展開。ハードめのギターにはねるリズムで、
KING CRIMSONがイタリア化したという感じもあったりと、往年のヘヴィプログレの質感を、
そのまま濃密にアップデートしたというサウンドが楽しめる。曲間に小曲をはさんだり、
あえて空白トラックを入れた構成にもこだわりが感じられ、流れのあるドラマ性を構築している。
後半には10分を超える大曲もあり、ゆったりとした叙情を描くところも大人の余裕を感じさせる。力作。
ドラマティック度・・8 プログレ度・・8 イタリア度・・9 総合・・8
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Astrolabio 「I Paralumi Della Ragione」
イタリアプログレバンド、アストロラビオの2017年作
前作はクリムゾン風味の力作であったが、2作目となる本作はアコースティックなイントロ曲で幕を開け、
ほどよくハードなギターにヴィンテージなシンセを重ね、ややクセのあるイタリア語のヴォーカルとともに、
オールドスタイルのイタリアンプログレを聴かせる。随所にやわらかなフルートの音色も加わって、
繊細なピアノの旋律など優雅な叙情性と、ときに軽妙かつ偏屈な展開力も覗かせつつ、
情感を込めたシアトリカルな歌声とともに、イタリアらしい濃密なドラマ性も感じさせる。
アレンジは前作よりやや粗めの印象だが、ほどよい紆余曲折感でつかみどころのない魅力がある。
ドラマティック度・・8 プログレ度・・8 イタリア度・・9 総合・・8 
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Aufklarung 「De La Tempesta ....L'oscuro」
イタリアのプログレバンド、アウフクララングの1995年作
10分を超える大曲ばかりの全4曲という構成で、うっすらとしたシンセアレンジにシアトリカルなヴォーカルを乗せ、
リズムチェンジを含むドラマティックな展開力で聴かせる、本格派のシンフォニックロック。
ヴォーカルは英語なので、イタリアというよりは初期MARILLIONのようなポンプロックルーツの雰囲気から、、
やわらかなフルートが鳴り響く、アコースティックな叙情性は、GENESISのような優美な感触に包まれる。
なにせ曲が長いので、どうしても長尺感はあるのだが、じっくりとドラマを味わうように鑑賞できる力作です。
ドラマティック度・・8 プログレ度・・7 叙情度・・8 総合・・7.5
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AURORA LUNARE
イタリアのプログレバンド、オーロラ・ルナレの2013年作
結成は70年代と古く、80年代まで活動して密かに消えたバンドが復活して作品を発表。
ヴィンテージなシンセが鳴り響き、枯れた味わいのイタリア語のヴォーカルで聴かせる、
古き良きイタリアン・シンフォの香りを引き継いだサウンド。7〜9分の大曲を中心に、
ややもったりとしたキレのなさというのは、まさにマイナー系バンド特有の聴き心地で思わずにんまり。
クラシカルなピアノにやわらかなフルートの音色も加え、ロカンデ・デッレ・ファーテにも通じる、
繊細で優美な叙情性もよいですね。インパクトはないが、のんびり楽しめる優雅系シンフォニックロックの好作。
ドラマティック度・・8 プログレ度・・8 イタリア度・・9 総合・・8
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Aurora Lunare 「Translunaggio ...Nove Tributi Al Rock Progressivo」
イタリアのプログレバンド、オーロラ・ルナーレの2018年作
2013年作は優雅な好作であったが、本作はメンバーが影響を受けたバンドのカヴァーを収録した作品。
PROCOL HARUM「青い影」は、優美なシンセにフルートで、キャッチーなシンフォプログレ寄りのアレンジ。
俳優としても活躍したクラウディオ・シモネッティの父である、故エンリコ・シモネッティのナンバーは、
女性スキャットを加えた優雅な味わい。BANCO「最後の晩餐」収録のシングル曲もなかなかハマっていて、
AREA「1978」収録の軽妙なナンバーや、YES「トーマト」収録曲は、男女ヴォーカルでキャッチーに聴かせる。
GOBLINは「エイリアンドローム」からのマニアックな選曲で、MARILLIONは「Holidays in Eden」から、
THE FLOWER KINGSは「The Sum of no Evil」からと、わりと新しめのナンバー。マニア好みのカヴァー集です。
ドラマティック度・7 プログマニア度・8 アレンジセンス・8 総合・7.5
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Il Babau & I Maledetti Cretini 「La Maschera Della MorteRossa」
イタリアのプログレバンド、イル・ババウ・アンド・マレデッティ・クレティニの2013年作
エドガー・アラン・ポーの「赤死病の仮面」テーマにした作品で、適度にヘヴィなギターに牧歌的な叙情と、
イタリア語による語りなどを含んだ演劇的な雰囲気で、ダークでミステリアスな世界観を描いてゆく。
ムーグやオルガンなどのシンセなども入ってくるが、全体的には楽曲としての構築というよりは
雰囲気もののSEという要素が強く、プログレとして楽しむにはやや物足りないか。
25分弱というミニアルバムなので、今後はより壮大なフルアルバムを期待したい。
ドラマティック度・・7 プログレ度・・7 イタリア度・・7 総合・・7
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IL BABAU E I MALEDETTI CRETINI 「Il Cuore Rivelatore」
イタリアのプログレバンド、イル・ババウ・アンド・マレデッティ・クレティニの2016年作
エドガー・アラン・ポー「THE TELL-TALE HEART(告げ口心臓)」をコンセプトにした作品で、
イタリア語の語りを乗せたイントロ曲から、シアトリカルなドラマ性に包まれた空気感で、
その後も、セリフのような演劇的な歌声を乗せた、一種のサントラ的なサウンドが続く。
プログレというよりは、聴く小説というような作風なので、イタリア語が分からないと少しつらいのだが、
スリリングな世界観は伝わってくる。2〜4分前後の小曲を連ねた、全29分という短めの作品です。
ドラマティック度・・7 フログレ度・・7 イタリア度・・8 総合・・7
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Baba Yoga 「L'uomo Progressivo」
イタリアのプログレバンド、ババ・ヨガの2019年作
作曲家、ジャンフランコ・サルヴァトーレとGOBLIN REBIRTHのシンセ奏者ダニーロ・チェルニを中心にしたユニット。
イタリアの漫画家、グイド・クレパックスの作品から名をとったバンド名で、優美なシンセやピアノの音色に、
Racomandata Ricevuta Ritornoのルシアノ・レゴーリの渋いヴォーカルを乗せ、フルートやリコーダーの音色に、
ときにエレクトロなアレンジやアコースティックな民族色も覗かせつつ、女性ヴォーカルの歌声にメロウなギターが鳴り響く、
ミクスチャー感覚に包まれたサウンド。アヴァンギャルドなごった煮感をイタリアンロックに落とし込んだという、
一筋縄ではいかないセンスで、濃密でいてとぼけたような優雅さで楽しめる。GOBLIN REBIRTHのファビオ・ビナッテーリ、
BANCOのヴィットリオ・ノセンズィ、JUMBOのアルヴァロ・フェッラ、OSANNAのリノ・ヴァイレッティらがゲスト参加。
ドラマティック度・・7 アヴァンギャル度・・8 イタリア度・・8 総合・・8
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Il Bacio Della Medusa
イタリアのプログレバンド、バシオ・デッラ・メデューサの2004年作
女性フルート奏者を含む5人編成で、70年代ハードロック風味のギターに
イタリア語のヴォーカルを乗せた、古き良きアナログ感を漂わせたサウンド。
ロック的な躍動感の中に、ときにアコースティカルな叙情も含ませながら、
アダルトな渋みのあるハードプログレを聴かせる。12分、14分という大曲では、
フルートやサックスが妖しく鳴り響き、シアトリカルなスケール感をともなった
イタリアらしい混沌とした、じつに濃密な世界観が楽しめる。
メロディック度・・7 濃密度・・8 イタリア度・・8 総合・・7.5


Il Bacio Della Medusa 「Discesa Agl'inferi D'un Giovane amante」
イタリアのプログレバンド、バシオ・デッラ・メデューサの2008年作
女性フルート奏者などを含む6人編成で、美しいピアノやヴァイオリンの音色にイタリア語の歌声で、
クラシカルな優雅さを含んだ叙情性と、イタリアらしいシアトリカルな濃密さが合わさったサウンド。
オルガンが鳴り響く70年代ヘヴィプログレ的な躍動感と、いきなりフルートが牧歌的に響きだす、
やや唐突な展開も含めて混沌たるドラマ性ににんまりする。アナログ感たっぷりのアンサンブルは
音だけ聴けば現在の作品とは思えないだろう。古き良きイタリアンプログレ好きの方はぜひ。
ドラマティック度・・8 プログレ度・・8 イタリア度・・9 総合・・8
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Il Bacio Della Medusa「DEUS LO VULT」
イタリアのプログレバンド、バシオ・デッラ・メデューサの2012年作
女性フルート奏者を含む5人編成で、本作は十字軍をテーマにしたコンセプト作となっている。
メロトロンやオルガンを含むシンセにやわらかなフルートの音色、イタリア語のヴォーカルで
しっとりと聴かせる叙情的な雰囲気から、サックスが鳴り響き、激しいドラムにギターがかぶさると、
けっこうなヘヴィプログレ風味になる。古き良きイタリアンプログレのシアトリカルな妖しさと、
ハードロック的な要素までも併せ持ったスタイルで、いくぶんとりとめがないのだが、総じてクオリティは高い。
全34分弱と短めの作品ながら、これぞイタリアの音楽という濃密かつハイテンションなサウンドが楽しめる。
ドラマティック度・・8 プログレ度・・8 イタリア度・・9 総合・・7.5


IL BACIO DELLA MEDUSA 「LIVE」
イタリアのハードプログレバンド、バシオ・デッラ・メデューサのライブ。2016年作
2008年にデビュー、女性フルート&サックス奏者を含む5人編成で、本作は2015年のライブを収録。
ブルージーなギターに、イタリア語によるパワフルなヴォーカル、ツーバスのドラムで聴かせる、
ハードロック寄りのアンサンブルに、優美なフルートにシンセが加わると、とたんにプログレらしくなる。
ドカドカと手数の多いドラムを中心にした勢いのある演奏で、ライブらしい生々しさとともに、
鳴り響くサックスにギターが重なり、厚みのあるサウンドは迫力十分。シンセはドラムが兼任していて、
左手でドラムを叩きながら右手でシンセを奏でるという離れ業も垣間見せる。これでもかとフルート鳴りまくりの、
イタリアらしい妖しいナンバーも魅力的。過去3作からまんべんなく12曲を披露した、全79分の濃密なライブだ。
ライブ演奏・・8 プログレ度・・7 濃密度・・8 総合・・8 
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IL BACIO DELLA MEDUSA「Seme」
イタリアのプログレバンド、イル・バシオ・デッラ・メデューサの2018年作
2008年にデビュー、本作は4作目となる。女性フルート&サックス奏者を含む6人編成で、
メロトロンを含むシンセにほどよくハードなギター、サックスが鳴り響くアナログ感あるアンサンブルに
イタリア語による荒々しいヴォーカルを乗せた、ヴィンテージなヘヴィプログレを聴かせる。
曲によってはジャズロック的な軽妙な演奏や、イタリアらしい哀愁をまとった叙情も覗かせつつ、
シアトリカルな歌声の表現力や、泣きの旋律を奏でるギターワークも含めて、すべてが濃密だ。
一方では優雅なサックスの音色とアコースティックギターよるアダルトな歌ものナンバーなど、
全体的なメリハリとバランスのとれた流れで、完成度という点でも過去最高の出来だろう。
ドラマティック度・・8 プログレ度・・8 イタリア度・・9 総合・・8 
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IL BACIO DELLA MEDUSA「ANIMACUSTICA」
イタリアのプログレバンド、バシオ・デッレ・メデューサの2020年作
2008年にデビュー、本作は、2019年イタリアでのアコースティックライブを収録。
女性フルート奏者を含む6人編成で、優美なピアノとシンセにアコースティックギターのつまびき、
やわらかなフルートが鳴り響き、イタリア語のヴォーカルを乗せて、繊細な叙情美を描いてゆく。
ピアノの旋律にサックスも加わった、軽やかなアンサンブルのジャズタッチのナンバーも含め、
バンドとしての演奏力の高さを聴かせてくれる。11分という大曲では、クラシカルな美意識も覗かせ
アコースティックであるが、繊細なシンフォニックロックとしても楽しめる、全78分の好ライブ作品。
ライブ演奏・8 プログレ度・7 優雅度・9 総合・8 
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The Badge 「Le Relazioni Pericolose」
イタリアのプログレバンド、バッジの2015年作
17分を超える組曲から始まり、時代的なオルガンの音色にムーグシンセ、どこかまったりとしたドラム、
イタリア語のマイルドなヴォーカルを乗せて、キャッチーな牧歌性を描く、古き良き感触のサウンド。
演奏も歌もヘタウマ感たっぷりで、ギターはテクニックとは無縁のクサいメロディを弾いたりして、
90年代ネオプログレの黎明期にこういうバンドがいろいろ出てきたなあと思い出すような聴き心地で、
有名クラシックの引用フレーズを恥ずかしげもなく奏でてしまうシンセも含めて、確信犯的なレトロ主義。
もう微笑ましいとしか言えないのだが、このロマンあふれる雰囲気には心惹かれるものがあるのです。
ドラマティック度・・7 ヘタウマ度・・8 あふれるロマン度・・9 総合・・7.5
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IL BALLETTO DI BRONZO「Ys」
イタリアのプログレバンド、バレット・ディ・ブロンゾの2nd。1972年作
イタリアンロックの中でもシンセをメインにしたヘヴィプログレとしては筆頭の名作。
妖しい女性スキャットとクラシカルなオルガンの音色からして、すでに引き込まれるが
5つの楽章に分かれた組曲方式で展開される緻密な楽曲は、E&LPなどとはまた違った
イタリア独自の濃密な薄暗さに包まれていて、神秘的なまでに妖しく、そして美しい。
ジャンニ・レオーネのシンセプレイは日本のARSNOVAなどにも大きな影響を与えている。
ドラマティック度・・8 キーボー度・・8 イタリア度・・9 総合・・8.5
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Balletto di bronzo「On the Road to Ys ...and Beyond」
イタリアンロックバンド、バレット・ディ・プロンゾの未発音源集。2012年作
「Ys」発表前、1971年の貴重なデモ音源と、2005〜2007年のライブを収録した音源集。
オルガンが妖しく鳴り響き、サイケデリックな浮遊感とクラシカルな美しさが交差するサウンドは
歌詞は英語ながらも、むしろ正規アルバム以上にイタリアらしい混沌と耽美を感じさせる。
ライブ音源の方は往年の妖しさはやや薄まっているが、音質も良好で、バンドの未発ライブとして
ファンならば十分楽しめるだろう。本作はGianni Leone自身がリマスターしている。
デモ音源・・8 ライブ音源・・7 イタリア度・・9 総合・・7.5
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Il Balletto Di Bronzo 「Cuma 2016 DC」
イタリアのプログレバンド、イル・バレット・ディ・ブロンゾの2016年作
オリジナルメンバーのマルコ・セシオーニとリノ・アジェロによる、もうひとつのイルバレというべき復活作。
どっしりとしたリズムにオールドな味わいのギターとイタリア語のヴォーカルを乗せた、
初期のイルバレを継承するロックサウンドで、ほどよい叙情を含んだ濃密な聴き心地。
楽曲は3〜4分前後とわりとシンプルで、プログレというよりはハードロック寄りの作風であるが、
随所にシンセによる味付けや女性コーラスも加えた優雅なアレンジも覗かせ、モダンな演奏力で
オールドなイタリアンロックを再現したという作風である。ジャンニ・レオーネがゲスト参加。
ドラマティック度・・7 プログレ度・・7 イタリア度・・8 総合・・7.5 
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Ballo Delle Castagne 「Kalachakra」
イタリアのプログレユニット、バッロ・デッレ・カスターニュの2011年作
オルガンを含んだシンセに、70年代的なギターのヴィンテージ感覚と
男女ヴォーカルの歌声で聴かせる、JACULAのような呪術的な妖しさを含んだ世界観。
こもり気味の音質も怪しげで、サイケ気味のユルさと浮遊感に加えて、
ときにMUESO ROSEMBACHのような濃密な空気感もまとった独特のサウンドだ。
異国的でオリエンタルな雰囲気が夢の中の幻影のように溶け込んだ、怪しげな異色作。
ドラマティック度・・7 プログレ度・・7 怪しげ度・・9 総合・・7.5



Ballo Delle Castagne 「Surpassing All Other Kings」
イタリアのプログレバンド、バッロ・デッレ・カスターニュの2012年作
前作もJACULAのような呪術性を感じさせる作風であったが、本作もオルガンが鳴り響くヴィンテージなサウンドに、
男女ヴォーカルの歌声が妖しく乗せられる、その濃密かつシアトリカルな雰囲気にいっそう磨きがかかっている。
イルバレの名作「Ys」をよりヘヴィにしたという感じもあり、いわゆるBlack Widow系の世界観はとてもマニア好み。
楽曲自体は3、4分前後なのだが、大仰なこけおどし感にエキセントリックなセンスが合わさったような力作に仕上がっている。
ドラマティック度・・8 プログレ度・・8 妖しさ度・・9 総合・・8
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IL BALLO DELLE CASTAGNE 「Soundtrack for an Unreleased Herzog Movie」
イタリアのプログレユニット、バッロ・デッレ・カスターニュの2015年作
2009年にデビュー、本作は4作目。ドイツの映画監督ヴェルナー・ヘルツォークの未公開作のサントラをテーマにした作品で、
優雅なハープシコードの響きに女性コーラスを乗せ、曲名のようにPopol Vuhにも通じる妖しい1曲目から、
シタールやクラシックギターのつまびきに、スペイシーなムーグシンセを重ねた、異国的なサウンドが広がる。
曲によってはドラムやギターも入ったロック色もあり、イタリア語のヴォーカルに女性スキャットを重ねながら、
神秘的な世界観を描いてゆく。プログレ的な味わいも残しつつ、架空のサントラを描き出す幻想的な逸品です。
ドラマティック度・・7 プログレ度・・7 神秘的度・・8 総合・・7.5 
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BANCO DEL MUTUO SOCCORSO
バンコ・デル・ムトゥオ・ソッコルソの1st。通称「バンコの壺」1972年作
イタリアの1971〜1973年あたりは数多くの「名作」が生まれた数年間だが、このアルバムもそのひとつ。
キーボードをメインにしたプログレという点では、EL&Pなどとともに後のバンド達に多くの影響を与えた。
炸裂するクラシカルなキーボードに、70年代なのに妙に熱いギター、そして一転、リリカルパートでは
たおやかなフルートに、素敵なジャコモさんのオペラティックなヴォーカルでしっとりと聴かせる。
次作「DARWIN」とともにバンコの代表アルバムというべき傑作だ。LPでは壺型のジャケでも話題になった。
クラシカル度・・8 プログレ度・・8 イタリア度・・10 総合・・8
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BANCO DEL MUTUO SOCCORSO「Darwin!」
イタリアのプログレバンド、バンコ・デル・ムトゥオ・ソッコルソの2nd。1972年作
PFMとともにイタリアを代表するこのバンド、1st〜3rdはどれも甲乙つけがたい出来なのだが
もっともイタリア的な濃密さで聴かせるのが本作。個人的にもバンコの最高作だと思う。
クラシカルなピアノの響きにイタリア語の歌声。いかにもイタリア然とした混沌とした空気と
ジャコモ氏の存在感ある歌唱が合わさって、唯一無二の世界観を描き出している。
イタリア臭さの点では、OSANNAの名作「PALEPOLI」と双璧。これぞイタリアンロック!
クラシカル度・・8 プログレ度・・8 イタリア度・・10 総合・・8.5
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BANCO DEL MUTUO SOCCORSO「io sono nato libero」
イタリアのプログレバンド、バンコ・デル・ムトゥオ・ソッコルソの3rd。1973作
クラシカルで情熱的なサウンドを聴かせる、PFMとともにイタリアンロックを代表するバンド。
本作「自由の扉」は、アコースティカルで叙情的なメロディと、激しめの展開を含んだ、
15分の大曲で幕を開ける。全体的には、1st、2ndよりはやや落ち着いたサウンドで、
演奏にはバンドとしての余裕のようなものが感じられる。もちろんクラシカルなピアノに、
美しいシンセワーク、そしてジャコモ氏の見事なヴォーカルが映えるナンバーもあり、
バンドの代表作の1つというに足る内容だ。イタリア臭く濃密な2nd「DARWIN!」もぜひ。
メロディアス度・・8 プログレ度・・8 イタリア度・・8 総合・・8
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BANCO「BANCO」
バンコの1975年作/邦題は「イタリアの輝き〜バンコ登場」
PFMに続き世界進出を狙った英語版アルバムで、新曲と過去の曲のリメイクからなっている。
バンコの場合、イタリア特有の癖の強さが魅力であるとも思うが、この英語盤では、それがやや薄れており、
いい意味で聴きやすい音になっている。この曲調に英語歌詞が合うかどうかはともかく、
リメイク曲もよりシンフォニックになっていて音のきらめきが心地よく伝わってくるという点で、素晴らしい作品だと思う。
時期的には3rd「自由への扉」の後のアルバムで、キャッチーさとプログレ度のバランスも良く
また従来よりもギターが活躍しており、ロックとしてのダイナミズムもUPしているように感じられる。
ラスト曲のキーボードなど、まるでJAP'sプログレのようにロマンティックな味わいだ。バンコ入門用にもぜひ。
シンフォニック度・・8 クラシカル度・・8 イタリア度・・7 総合・・8.5 ◆プログレ名作選入り
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BANCO DEL MUTUO SOCCORSO「COME IN UN'ULTIMA CENA」
バンコ・デル・ムトゥオ・ソッコルソの6th。1976作
「最後の晩餐」のタイトルで、日本でもバンコの最高作として名高いこのアルバム。
1st、2ndの頃のようなコテコテの攻撃的プログレからはやや落ち着いた、
たおやかでしっとりとした質感が美しい。クラシカルなピアノにキーボード、
そこに乗るジャコモのオペラティックで優しいヴォーカルはやはりこのバンドの顔だ。
全体的にとても聴きやすく、整合感のあるメロディアスさがきらりと光るアルバム。
かつては「こんなおとなしいバンコいやだ!」と思っていたが、今聴くといいですね♪
クラシカル度・・8 プログレ度・・7 ゆったり叙情度・・8 総合・・8
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BANCO「...di terra」
イタリアのプログレバンド、バンコの7th。1978作
本作はオーケストラとの共演作で全編インストという、彼らの作品の中では異色作になる。
イタリアらしい熱情に溢れたこのバンドのサウンドを想像すると肩すかしをくうが、
オーケストラをバックに、クラシカルなピアノやスペイシーなシンセを乗せつつ、
ギターにサックス、フルートなども加わって、しっかりとプログレ的な質感も感じられる。
バンドの代名詞であるジャコモさんの歌声が聴けないのは寂しい気もするが
クラシカルで格調に富んだサウンドからは、演奏陣の素養の高さが伺える。
オーケストラ入りロックとして聴けば、むしろ非常に出来のいいアルバムだと思う。
クラシカル度・・8 プログレ度・・7 イタリア度・・7 総合・・8
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BANCO「canto di primavera」
イタリアのプログレバンド、バンコの8th。1979作
「春の歌」というタイトル通り、これまでよりも爽やかでキャッチーなサウンドの作品。
4〜6分ほどの比較的コンパクトな楽曲の中に、伸びやかなジャコモの歌声と、
美しいシンセの重ねで聴かせる、きらびやかで明るめの雰囲気が耳に優しい。
初期のような濃密なイタリア臭さよりも、よりポップな大衆感覚を取り入れている。
プログレとして聴くよりは、メロディアスなイタリアンロックとして楽しめるアルバムだ。
メロディアス度・8 プログレ度・・7 イタリア度・・8 総合・・8
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BANCO DEL MUTUO SOCCORSOB.M.S./Darwin
バンコ・デル・ムトゥオ・ソッコルソのリレコーディング盤。1991年作
傑作として名高い1972年の1st、そして2nd「ダーウィン」を完全に新録したCD2枚組。
もともとがシンセをたっぷり使ったクラシカルなイタリアンプログレの傑作だったものが、
さらなるダイナミズムで再現される。クリアになったギターやシンセの音色のおかげて、
いくぶんやぼったかったサウンドがスタイリッシュな聴き心地になっている。
クラシカルなピアノ、優雅なシンセワークとジャコモ氏の伸びやかな歌声、これぞバンコである。
クラシカル度・・8 プログレ度・・8 イタリア度・・9 総合・・8.5
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Banco Del Mutuo Soccorso 「Nudo」
イタリアのプログレバンド、バン・デル・ムトゥオ・ソッコルソの1997年作
70年代の楽曲をアンプラグドで演奏したアコースティックアルバムで、端正なピアノの音色に
アコースティックギター、そしてフランチェスコ・ジャコモの伸びやかな歌声を乗せたサウンドは、
まぎれもなくバンコの音である。エレキやドラムが入らない分、クラシカルな優雅さが際立っていて、
アンサンブルとしての演奏技術の高さも含めて、プログレファンなら十分に楽しめる内容である。
傑作「ダーウィン」収録の“75万年前の愛”、“革命”といったナンバーも繊細な仕上がりでじつに美しい。
アルバム後半はライブ音源となっていて、こちらはシンセ入りでよりシンフォニックな味わいになっている。
クラシカル度・・8 プログレ度・・7 バンコ度・・8 総合・・7.5
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Banco Del Mutuo Soccorso 「En Concierto Mexico City」
イタリアのプログレバンド、バンコ・デル・ムトゥオ・ソッコルソのライブ。2000年作
PFMとともに、イタリアンプログレを代表するバンド、1999年メキシコでのステージを2CDに収録。
1994年作「13」収録曲でゆったりと始まり、フランチェスコ・ジャコモの伸びやかな歌声とともに、
優雅な大人のサウンドを聴かせる。1976年作「最後の晩餐」収録曲や、デビュー作から「R.I.P.」、
1972年作「ダーウィン」収録「征服者」など、往年の代表曲も取り入れていて、ファンには嬉しい限り。
Disc2では、1979年作「春の歌」収録の2曲で、しっとりと優雅に聴かせつつ、「ダーウィン」収録「革命」の
スリリングなプログレ感はいかにもバンコらしい。1983年作「Banco」からも2曲を披露するなど、
70〜90年代のナンバーをまんべんなく取り入れたセットで、濃密なライブ演奏が楽しめる。
ライブ演奏・8 プログレ度・7 音質・8 総合・8 
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BANCO DEL MUTUO SOCCORSO「Seguendo le Tracce」
イタリアの名バンド、バンコ(デル・ムトゥオ・ソッコルソ)のライブアルバム。2004作
1975年の全盛期のイタリアでのライブ音源を収録。当時の発掘音源にしては音質が抜群で、
@の“R.I.P”での熱い演奏からして、当時のバンドの勢いが音に感じられる。
たたみかけるキーボードに美しいピアノ、そして情感溢れるジャコモの熱唱と、
ライブでの演奏力と表現力も見事で、彼らのバンドとしての水準の高さが改めて知れる。
曲は1stから3rd、そして75年に発表された英語盤から選ばれた、全盛期のベストセット。
70年代イタリアを代表するプログレバンドの、まさに輝けるライブ作と言っていい。
全盛期バンコ度・・10 ライブ演奏・・9 ライブ音質・・8 総合・・8.5
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BANCO DEL MUTUO SOCCORSO「NO PALCO」
バンコ・デル・ムトゥオ・ソッコルソのライブアルバム。2003年作
2002年ローマで行われたデビュー30周年を飾るライブステージの音源。
70年代のアルバムからも多くとりあげられていて、それらが現在的なアレンジで美しく甦っている。
もちろんとジャコモ氏のオペラティックVoも健在で、軽やかなタッチのピアノに畳みかけるキーボードと、
クラシカルなバンコ節も全開。ゲストにマウロ・バガーニも迎え、艶やかなヴァイオリンの音色も美しい。
クラシカル度・・8 イタリア度・・9 バンコ度・・9 総合・・8
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Banco Del Mutuo Soccorso 「Transiberiana」
イタリアのプログレバンド、バンコ・デル・ムトゥオ・ソッコルソの2019年作
スタジオアルバムとしては1994年以来となる。フランチェスコ・ジャコモの死後、はじめてのアルバムで
オリジナルメンバーはシンセのヴィットリオ・ノチェンツィのみとなったが、美しいシンセワークは健在で、
新加入のトニー・ダレッシオの伸びやかなヴォーカルを乗せ、優雅な叙情美に包まれたサウンドを聴かせる。
オルガンに変拍子リズムという、往年のプログレ感触をしっかりと残しながら、キャッチーなスタイリッシュ性も含んだ
現在形バンコの味わいになっている。随所にメロウなギターの旋律や味わいのある歌声が、大人の哀愁を感じさせる。
派手さはないものの、シベリア鉄道横断を人生の旅路に重ねたという、深みのあるコンセプトアルバムに仕上がっている。
ドラマティック度・・8 プログレ度・・8 イタリア度・・8 総合・・8 
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Banco del Mutuo Soccorso 「Orlando: Le Forme dell'Amore」
イタリアのプログレバンド、バンコ・デル・ムトゥオ・ソッコルソの2022年作
フランチェスコ・ジャコモの死を乗り越えて、新生バンコとしての2作目となる。
アコースティックを含む叙情的なギターにクラシカルなピアノを重ね、前作から加入のトニー・ダレッシオのイタリア語のエモーショナルなヴォーカルを乗せて、大人の味わいに包まれた優雅なサウンドを描きつつ、プログレらしいスリリングな展開力も覗かせる。
オルガンを使ったオールドな味わいと、ほどよくスタイリッシュなモダンさも同居させた作風は、ただのベテランではない、バンドとしての深化を感じさせる。
ピアノやストリングスによるクラシカルなアレンジとともに、巧みな演奏力と繊細な叙情が同居したサウンドは、時代が変わってもやはりバンコである。11分の優美な大曲も含めて、全76分の見事な傑作だ。
ドラマティック度・8 プログレ度・8 優雅度・9 総合・8.5 
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Banda Belzoni
イタリアのプログレバンド、バンダ・ベルゾーニの2019年作
シンセ奏者のサンドロ・ベルゥとARTI E MESTIERIのジジ・ヴェゴーニを中心にしたバンドで、
OSANNAのリノ・ヴィレッティ、FINNISTERREのファビオ・ズファンティがヴォーカルで参加している。
エジプト遺跡の発掘で知られるイタリアの探検家、ジョバンニ・バティスタ・ベルゾーニをテーマに、
優美なシンセワークに叙情的なギターを重ね、イタリア語のジェントルなヴォーカルとともに、
大人の哀愁に包まれたシンフォプログレを聴かせる。アコースティックギターによる優雅な牧歌性や、
オルガンなどのヴィンテージな感触も含んだ作風で、全体的にもゆったりとしたサウンドなので、
スリリングな部分はあまりないが、イタリアンな叙情美をじっくりと鑑賞できる逸品です。
ドラマティック度・7 プログレ度・7 イタリア度・9 総合・8
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BARBARA RUBIN 「UNDER THE ICE」
イタリアの女性シンガー、バーバラ・ラビンの2010年作
Arcansielなどに参加する、女性シンガー&鍵盤奏者で、優美なピアノやシンセの重ねに、ハスキーな女性ヴォーカルを乗せた
シンフォニックな歌ものサウンドを聴かせる。楽曲は1〜4分前後と小曲メインで、プログレ的な展開などはさほどないが、
自身の奏でるヴァイオリンやチェロやフルートなどのクラシカルな優雅さに、ドラムが加わるロック感触も同居していて
オルガンやムーグシンセなどのプログレ風味も覗かせるなど、女性声のシンフォプログレとして楽しめる部分も多い。
全33分というのがやや物足りないが、単なる歌ものという以上のクラシカルな美意識に包まれた好作品。
ドラマティック度・7 プログレ度・7 女性Vo度・8 総合・7.5
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Barock Project「Misteriosevoci」
イタリアのシンフォニックロックバンド、バロック・プロジェクトの2007作/邦題「神秘なる声」
シンセ奏者を中心とした若手の4人組で、クラシカルなテイストのキーボードロックをやっている。
ムーグシンセの音色やキャッチーなメロディに乗せるイタリア語の歌唱には、
どことなくPFMなどを思わせる軽快さもあるが、こちらはあくまでキーボードが主体。
音の軽さの点で物足りなさはあるが、クラシカルなシンフォが好きなら楽しめるだろう。
メロディアス度・・8 プログレ度・・8 イタリア度・・8 総合・・7.5
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BAROCK PROJECT
「Rebus」
イタリアのプログレバンド、バロック・プロジェクトの2009年作
1stは軽めのクラシカルシンフォという感じであったが、本作は楽曲のダイナミズムがぐっと増し、
それとともに、きらびやかなシンセワークとキャッチーなメロディとのバランスで聴かせる
絶品の高品質プログレへと変身した。イタリア語のヴォーカルとともに、濃密かつ爽やかな耳心地に
モダンなお洒落さも加わった作風は、さしずめ「イタリア版MOON SAFARI」というような感触もある。
音質のラウドさがやや惜しいが、10分を超える大曲も含めて、文句なくイタリアンシンフォの力作といえる。
メロディック度・・8 プログレ度・・8 イタリア度・・8 総合・・8
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Barock Project「Caffee in Neukolln」
イタリアのシンフォニックロックバンド、バロック・プロジェクトの2012年作
3作目となる本作は、意外にもキャッチーな爽やかさに包まれたポップな感触と
クラシカルなシンフォニックプログレが融合したというような聴き心地のアルバム。
メロディックなギターときらびやかなシンセアレンジ、壮麗なオーケストレーションも加わりつつ
あくまで爽やかにメロディアス。ヴォーカルは英語なのでイタリア臭さはさほど感じない。
IT BITESMOON SAFARIなどのファンにもにもオススメできるほどのキャッチーな感触に、
ENIDのような繊細かつバロック的なクラシカルさが盛り込まれ、優雅に仕上げられた傑作である。
メロディック度・・8 プログレ度・・8 クラシカル度・・8 総合・・8
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Barock Project 「Skyline」
イタリアのプログレバンド、バロックプロジェクトの2015年作
シンセにベース、コーラスもこなすルカ・ザビーニを中心にしたバンドで、本作が4作目となる。
キャッチーなヴォーカルメロディで聴かせるMoon Safariなどにも通じる爽やかな作風で、
やわらかなオルガンにエレピが鳴り響き、古き良きプログレ感触と適度にモダンさをミックスさせている。
重厚な迫力というのはあまりないのだが、曲によってはストリングスアレンジを含んだクラシカルな魅力もあり、
歌もの曲でのシンプルなメロディアス性とのバランスが絶妙だ。ヴォーカルが英語なのでイタリア臭さはほとんどなく、
全体的にも温かみのある陽性の雰囲気で、より幅の広い層に受けるクオリティを備えている。
10分前後の大曲も3曲あり、アルバムとしてのボリュームも十分。もう一皮向ければ、素晴らしいド傑作を作りそう。
メロディック度・・8 プログレ度・・8 イタリア度・・7 総合・・8
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BAROCK PROJECT 「Vivo」
イタリアのプログレバンド、バロックプロジェクトのライブ作品。2016年作
シンセにベース、コーラスもこなすルカ・ザビーニを中心にしたバンドで、現在までに4作のアルバムを発表。
本作は2015年ミラノでのライブを2CDに収録。きらびやかなシンセアレンジと、マイルドなヴォーカルを乗せた
キャッチーで軽妙なサウンドは、ライブにおいてもしっかりとした演奏力とともに、優美でメロディックな聴き心地。
ルカ氏の巧みなシンセワークを中心に、テクニカルなインストパートを含んだ、タイトなアンサンブルもさすが。
反面、深みのあるプログレが好きに方には、音が優雅に綺麗すぎて、なんとなく物足りないかもしれないが、
現在進行形のメロディック系イタリアンプログレの代表格ととして、その名に恥じないクオリティのライブ作品です。
メロディック度・・8 ライブ演奏・・8 優雅度・・8 総合・・8 
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Barock Project 「Detachment」
イタリアのプログレバンド、バロックプロジェクトの2017年作
2007年のデビューから10年、いまやイタリアのみならずプログレ界の旗手のひとつとなるまでに成長したバンド。
若き天才の呼び声高いシンセ奏者、ルカ・ザッビーニを中心に、クラシカルな優雅さとキャッチーなメロディアス性を
高次元で融合させたサウンドは、5作目となる本作でいっそう磨きがかかっている。技量のあるリズムアンサンブルに、
伸びやかな英語のヴォーカルを乗せ、美しいシンセアレンジとともに適度にモダンな感触を含んだサウンドは、
英国のHAKENのように新時代のミクスチャー感覚と、It Bitesのようなプログレハードの爽快さを有していて、
ハード寄りのギターを乗せたテクニカルなパートはプログレメタル的でもあり、ふっと現れる叙情パートとのコントラストとなっている。
殻を突き抜けたようなダイナミックな展開力にはマイナー臭さは皆無で、自信にあふれたサウンドのパワーに引き込まれる。
ストリングスも加わった厚みのあるアレンジで随所にクラシカルな美学を覗かせる。まさに新時代の叙情プログレの傑作である。
ドラマティック度・・9 プログレ度・・8 爽快度・・9 総合・・8.5
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Barock Project 「Seven Seas」
イタリアのプログレバンド、バロックプロジェクトの2019年作
若き天才の呼び声高いシンセ奏者、ルカ・ザッビーニを中心にしたバンドで、2007年にデビュー、本作は6作目となる。
スタイリッシュなアンサンブルとキャッチーなヴォーカルメロディで聴かせる、コンパクトな曲はプログレというよりは、
一聴して普通のメロディックロックなのだが、クラシカルなピアノやきらびやかなキーボードに叙情的なギターを重ねた、
シンフォニックロックの顔もしっかりと覗かせて、ほどよいハードさも加えたスタイリッシュなサウンドを描き出す。
10分前後大曲も、クラシカルなパートを盛り込んだ優雅な聴き心地で、テクニカルな部分でもコテコテ過ぎない、
クールなアレンジセンスも見事。前作の完成度に比べると、曲ごとにややバラつきはあるのだが、さすがの力作です。
ドラマティック度・・8 プログレ度・・7 優雅度・・9 総合・・8 
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BARO PROG-JETS 「Lucillo & Giada / Topic Wurlenio」
イタリアのプログレユニット、バロ・プログ・ジェッツの2019年作
MARYGOLDで活躍した、Alberto “Baro” Molesiniを中心にしたプロジェクトで、本作は、70〜80年代に活動していた、
LA SINTESIというバンドのマテリアルを元にしたコンセプト作をDisc1に、1983年のソロ作を元にした音源をDisc2に収録。
「Lucillo & Giada」は、美麗なシンセワークにメロウなギター、イタリア語のジェントルなヴォーカルを乗せた、
シンフォニックロックを聴かせる。プログレらしい軽快な展開力に、ときにアコースティックパートを含む
優美な叙情性に包まれた、4パートに分かれた流れのあるドラマティックなシンフォプログレが楽しめる。
Disc2は、よりキャッチーな作風で、優雅なアンサンブルとともに大人の叙情プログレとして鑑賞できる。
ドラマティック度・8 プログレ度・8 優美度・9 総合・8
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Barrock 「oxian」
イタリアのシンフォニックバンド、バッロックの2nd。1994作
確か1stは「錬金術師」というタイトルで日本盤が出ていたと思ったが、今作はジャケがぐっとファンタジックです。
クラシカルなシンセワークにフルートが絡むイントロからしてなにやら引き込まれる。
イタリア語の女性ヴォーカルも加わってオペラティックに歌いあげ、ストーリー的に
世界観を構築してゆく。録音、演奏のレベルはアマチュアに毛が生えた程度だが、
マイナーなシンフォニック特有の純粋な音楽への愛情が感じられるのがよろしい。
シンフォニック度・・8 スリリング度・・5 イタリア度・・8 総合・・7.5
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BARROCK「LA STREGA」
イタリアのシンフォニックバンド、バッロックの3rd。1999作
クラシカルな叙情キーボードとメロウなギターをメインにした王道のシンフォニックロックで、
10数年前に出た1stからなんら変わることがないコテコテのサウンド。繊細かつ多少古めかしいという、
いかにも80年代シンフォの音だが、緊張感は薄く、曲全体としてもう少し明確なビジョンが欲しい気がする。
歌入りは2曲だけで(しかも歌というよりはスキャット)、メンバーのほぼ全員が家族らしく、Voはきっと主婦業に忙しかったのだと思われる。
ある意味同人誌的な、「好きなことがずっとできる」という喜びが伝わってくるような微笑ましい好作ではある。
シンフォニック度・・9 スリリング度・・4 新鮮度・・3 総合・・7
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LA BATTERIA 
イタリアのプログレバンド、ラ・バッテリーアの2015年作
優雅なマンドリンのつまびきにアコースティックギター、オルガン、メロトロンが鳴り響き、
薄暗いく繊細な叙情を描き出す。エレキギターが加わると妖しげなオルガンとともに、
ダークなプログレ色が強まって、Balletto di Bronzoあたりに通じる聴き心地にもなる。
オールインストであるが、ヘヴィプログレとしての迫力と演奏の説得力があるので、
スリリングな緊張感に包まれた楽曲の世界に浸ることができる。
中盤はいかにもサントラ的なやや単調なナンバーもあるのだが、
GOBLINなどにも通じる、ミステリアスなサントラ風味のイタリアンロックが楽しめる。
ドラマティック度・・7 プログレ度・・7 ミステリアス度・・8 総合・・8
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LA BATTERIA 「Tossico Amore」
イタリアのプログレバンド、ラ・バッテリーアの2016年作
クラウディオ・カッリガーリ監督の映画作品「Tossico Amore」1983年作へのトリビュートして作られた作品で、
映画の内容については分からないのだが、やわらかなオルガンの音色にムーグシンセ、メロトロン、
そして叙情的なエレキギターが加わった、古き良きプログレ的な味わいを含んだインストサウンド。
この手のイタリアン・サントラプログレのようにホラー色はあまり感じず、ミステリアスな雰囲気はありつつも、
比較的メロディラインのはっきりした聴きやすさがあるので、インストであってもむしろキャッチーな感触だ。
全21分というミニアルバムなので、前作に比べて聴きごたえの点では物足りなさはあるが。
ドラマティック度・・7 プログレ度・・7 ミステリアス度・・8 総合・・7.5
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LA BATTERIA 「II」
イタリアのプログレバンド、ラ・バテリアの2019年作
2015年にデビューし、2作目となる。オルガンやムーグ、メロトロンなどのヴィンテージなシンセに
適度にハードで叙情的なギターを重ね、Goblinのようなミステリアスなインストサウンドを聴かせる。
アコースティックギターにやわらかなフルートが重なる、しっとりと優美なナンバーから、
ファンキーでキャッチーなナンバーまで幅広く、メロウなギターの旋律にオルガンも重なり、
3〜4分前後の小曲を連ねた流れで、一本の映画を構築するような味わいで楽しめる。
インストなので濃密な盛り上がりは薄いが、ゴブリン系のサントラ風プログレが好きな方はいかが。
ドラマティック度・7 プログレ度・7 サントラ風度・8 総合・7.5 
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BERNARDO LANZETTI 「HORIZONTAL RAIN」
イタリアのミュージシャン、ベルナルド・ランゼッティの2021年作
Acqua FragileやPFMで活躍したシンガーで、本作にはデイヴィッド・クロス、テヴィッド・ジャクソン、トニー・フランクリン、トニー・レヴィン、デレク・シェリニアンなどがゲスト参加。
叙情的なギターにうっすらとしたシンセを重ね、エモーショナルなヴォーカルを乗せて、オールドな味わいのプログレハード的サウンドを聴かせる。
サックスが鳴り響く大人のジャズロック風味やサイケなポップ性も覗かせつつ、シアトリカルな歌声が楽曲を濃密にしていて、歌詞は英語のはずなのに、やはりイタリア的な雰囲気になる。
全体的にはプログレな要素はさほどないのだが、シンセやストリングスのアレンジなど、曲の振り幅の大きさでわりと楽しめる歌もの好作。
ドラマティック度・7 プログレ度・7 イタリア度・8 総合・7.5
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Biglietto Per L'inferno
イタリアのプログレバンド、ビリエット・ペル・リンフェルノの1974年作
MUSEO ROSENBACHSEMIRAMISとともに、イタリアンヘヴィプログレの隠れた傑作とされる1枚。
二人のシンセ奏者によるオルガンとムーグを中心に、牧歌的なフルートが叙情を添えつつ、
イタリア語の歌声とともに濃厚に聴かせる作風。静と動のメリハリのある曲調はI Gigantiなどにも通じる。
70年代ブリティッシュロック的な荒々しいハードさとブルージーな雰囲気もありながら、
随所にピアノやアコギなどによる美しさも交えているのがいかにもイタリアのバンドらしい。
ドラマティック度・・8 プログレ度・・7 イタリア度・・8 総合・・8
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Biglietto per l'Inferno 「Il Tempo Della Semina」
イタリアンロックバンド、ビリエット・ペル・リンフェルノの1975/1992年作
1975年に2ndとして録音されたもののお蔵入りとなり、1992年にCD化されて日の目を見た音源で、
「種まきの時」と題された10分を超えるタイトル曲は、オルガン鳴り響き、怪しげなイタリア語のヴォーカルを乗せ、
リズムチェンジを含む展開力とともに、メロトロンやフルートにメロウなギターの叙情性を覗かせながら、
イタリアらしい濃密なプログレを聴かせる。やわらかなピアノにムーグシンセ、オルガンによる優雅な小曲など、
前作に比べてメロディックな感触が前に出ている印象で、発掘音源ということて録音が少し軽めなので
サウンドの迫力はさほどないが、1作目が気に入っている方ならチェックして損はないだろう。
メロディック度・・8 プログレ度・・8 イタリア度・・8 総合・・7.5
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Biglietto Per L'Inferno.folkTra L'assurdo E La Ragione」
イタリアのプログレバンド、ビリエット・ペル・リンフェルノの2009年作
1974年に1作を残して消えたこのバンドが、何故かフォーク色を付加して復活した。
女性ヴォーカルに、アコーディオン、マンドリン、フルート、パイプなどを含んだ編成で、
ハードロック的なギターにアコーディオンやパイプの音色が重なる、いわばフォークメタル的なサウンドで、
しっとりとしたピアノやフルート、そしてイタリア語による女性ヴォーカルの歌声が叙情性をかもしだす。
かつてのビリエットとはほぼ別物であるが、ケルティックな味わいとともに、これはこれで楽しめる好作品だ。
メロディック度・・8 フォークメタル風度・・8 イタリア度・・7 総合・・8
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Biglietto Per L'Inferno 「Vivi.Lotta.Pensa」
イタリアのプログレバンド、ビリエット・ペル・リンフェルノの2015年作
2009年の復活作は、女性声入りのフォークロックという作風であったが、本作もやわらかなフルートの音色に
バグパイプ、アコーディオンなどを含むフォーク風味と、女性ヴォーカルのイタリア語の歌声を乗せた、
キャッチーなサウンドが広がってゆく。マンドリンやアコースティックギターなどの素朴な牧歌性に、
クラシカルなピアノ、ヴァイオリンも加わると、PFMにも通じる優雅な感触で、地中海的な繊細な叙情に包まれる。
一方で、10分を超えるナンバーでは、適度にエキセントリックな展開も含めて、随所にハードな部分も覗かせた
メリハリのある聴き心地で楽しめる。70年代の作風とはほぼ別物であるが、この方向性では着実に深化を遂げた力作だ。
ドラマティック度・・7 プログレ度・・7 優雅な叙情度・・8 総合・・8 
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Bill in the Tea「Big Tree」
イタリアのプログレバンド、ビル・イン・ザ・ティーの2014年作
シンセ奏者を含む5人編成で、アコースティックギターにピアノ、ヴァイオリンの音色が重なり、
PFMを思わせる繊細な叙情性とクラシカルなで聴かせる、優美なシンフォニックロックサウンド。
ヴォーカルは英語なのだが、いくぶん野太い声質がやはりイタリアのバンドらしく、
ムーグシンセの音色など、古き良きプログレの感触と牧歌的な雰囲気に包まれている。
楽曲には適度にハードな展開もあったりと、ゆったりとしながらも案外メリハリがあって飽きさせない。
全体的に派手さはないのだが、70年代のオールドなロック感触とサイケがかった浮遊感も含んだ好作品。
ドラマティック度・・7 プログレ度・・8 イタリア度・・8 総合・・8
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Blacksmith Tales 「The Dark Presence」
イタリアのプログレバンド、ブラックスミス・テールズの2021年作
美麗なシンセ、ピアノを叙情的なギターに重ね、マイルドなヴォーカルを乗せた、シンフォニックロックで、
オルガンなどのヴィンテージな味わいと、わりと唐突なリズムチェンジを含むハードな展開力も覗かせる。
コンセプト的な楽曲の流れとともに、ドラマティックな世界観を描いてゆき、変拍子などのプログレらしさと
ときにスペイシーなスケール感にも包まれる。後半には、17分の大曲もあり、優美なシンセワークに包まれて、
KaledonTemperanceでも活躍するミケーレ・グアイトーリのエモーショナルな歌声に、Moonlight Hazeでも活躍する、
マルコ・ファランガのギターも随所に流麗なメロディを奏でつつ、じっくりと構築してゆく。全76分の力作です。
ドラマティック度・8 プログレ度・8 優美度・8 総合・8
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Blocco Mentale 「Poa」
イタリアのプログレバンド、ブロッコ・メンターレの1973年作
バンドの唯一の作品で、自然への回帰をテーマにしたスピリチュアルなコンセプト作で、
サックスやフルートが鳴り響き、ピアノやオルガン、メロトロンにイタリア語のヴォーカルを乗せて、
ゆったりとした叙情性とほどよく偏屈でプログレ的な展開も含んだサウンドを聴かせる。
優雅でありながらもどこか混沌とした空気感は、いかにもイタリアのバンドらしく、
メロトロンがストリングス的に鳴り響く、I PoohMAXOPHONEあたりにも通じる
優美なナンバーや、アコースティックなパートを含む繊細な叙情も魅力的だ。
ドラマティック度・・8 プログレ度・・8 イタリア度・・9 総合・・8
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La Bocca Della Verita 「Avenoth」
イタリアのプログレバンド、ボッカ・デッラ・ヴァーティアの2016年作
2人の鍵盤奏者を含む6人編成で、コンセプト的なイントロから、オルガンやメロトロンを含むシンセに
メロウなギターにイタリア語のヴォーカルを乗せ、優美な叙情に包まれたシンフォニックロックを展開する。
アコースティカルな繊細さとオルガンなどのオールドなプログレ感に、GENESISルーツの幻想的な味わいをまぶし
ツインキーボードによる厚みのあるシンフォニック性と、イタリアンプログレの混沌とした香りが合わさった作風だ。
18分におよぶ組曲も、ゆったりとした耳心地の良さから、インストパートではいくぶん屈折感のある展開も覗かせる。
アルバム後半も10分前後の大曲多数で、少々長すぎる気もするが、ともかく全79分のシンフォプログレ大作です。
シンフォニック度・・8 優美度・・8 イタリア度・・8 総合・・8
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La Bottega Del Tempo a Vapore「Il Guerriero Errante」
イタリアのプログレバンド、ボッテガ、デル・テンポ・ア・ヴァポーレの2016年作
壮麗なイントロから、適度にハードなギターにイタリア語のヴォーカルを乗せ、
プログレらしいシンセアレンジを重ねた、濃密な味わいのサウンドが広がる。
往年のイタリアンプログレの混沌とした空気感も感じさせつつ、ときに重厚に、
ときに優雅な叙情とともに、緩急のあるドラマティックなサウンドを構築してゆく。
メタリックなハードさと展開力で、ときにProgMetal的にも楽しめるところもあり、
いわば古さと新しさを同居させたという、イタリアン・ハードプログレの力作です。
ドラマティック度・・8 プログレ度・・8 イタリア度・・9 総合・・8
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La Bottega Del Tempo a Vapore 「Viaggi in Versi」
ボッテガ・デル・テンポ・ア・ヴァポーレの2018年作
歌詞&ストーリー担当メンバーを含む6人編成で、2作目となる本作も、ドラマ性を感じさせるイントロから、
メタル寄りの激しいドラムとギターにきらびやかなシンセを乗せ、イタリア語のヴォーカルとともに、
展開力のあるハードプログレを構築する。オルガンを含むヴィンテージなプログレ感触と、
メタリックな重厚さに包まれながら、緩急ある流れでイタリアらしい濃密な世界観を描きだす。
25分という大曲では、ゆったりとした叙情パートから、ProgMetal的なアンサンブルでたたみかけ、
美麗なシンセとメロウなギター、伸びやかなヴォーカルを乗せ、物語をつむぐように盛り上げてゆく。
ドラマティック度・・8 プログレ度・・8 イタリア度・・9 総合・・8
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Breznev Fun Club 「Il Misantropo Felice」
イタリアのチェンバーロック、ブレジネフ・ファン・クラブの2015年作
ギタリストのRocco Lomonacoを中心に、フルート、オーボエ、クラリネット、サックス、バスーン、ホルン、
トランペット、トロンボーン、チューバ、ヴァイオリン、チェロなど、総勢19名が参加した大がかりな室内楽ユニット。
フランク・ザッパ的なアヴァンギャルドなセンスとチェンバーロックの優雅さを合わせたような感触で、
ストリングスと管楽器が重なるオーケストラルな美しさに、軽やかなマリンバの音色、ジャズ的なサックス、
さらには女性声のスキャットなども加わったじつに豊穣な聴き心地。バンドは80年代から活動していたらしく、
近年のYUGENのブレイクに刺激を受けたのかどうかはともかく、素晴らしい内容の傑作に仕上がっている。
クラシカル度・・9 優雅度・・9 アヴァンギャル度・・8 総合・・8.5
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Il Buco Del Baco 「Sotto Il Segno Della Lampreda」
イタリアのプログレバンド、イル・ブコ・デル・バコの2021年作
巨大な猛獣「Great Lampreda」との戦いを描くコンセプト作で、ムーグやオルガンなどのヴィンテージな鍵盤に、イタリア語によるヴォーカルを乗せ、古き良き感触の優雅なシンフォニックロックを聴かせる。
派手すぎず盛り上がり過ぎないサウンドは、いかにも70年代ルーツのイタリアンロックの趣で、優美なフルートの音色や情感的な表現力ある歌声とともに、繊細にして幻想的な味わいだ。

全32分という短さも、まるで70年代のアルバムのようだ
ドラマティック度・8 プログレ度・7 優雅度・8 総合・8
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i Califfi 「Fiore di Metallo」
イタリアンロックバンド、カリッフィの1973年作「鋼鉄の花」
元々はビートバンドとしてデビューし、いったんは解散するものの、1972年に復活、プログレブームに乗って本作を発表する。
オルガンが鳴り響くプログレ風味と、イタリア語によるキャッチーなヴォーカルで聴かせるポップな味わいが同居した、
耳心地のいいサウンドだ。楽曲は3〜5分と、当時のプログレにしては短めであるが、ビートロック的な勢いと
ゆったりとした叙情性のメリハリのついた作風は、しっかりした演奏力も含めて、実力のあるバンドとしての質の高さがうかがえる。
かつてのヒットポップ的な曲もあって、プログレになり切れないもどかしさも残っているのが惜しいといえば惜しい。
メロディック度・・8 プログレ度・・7 イタリア度・・8 総合・・7.5
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Calliope 「La Terra Dei Grandi Occhi」
イタリアのプログレバンド、カリオペの1992年作/邦題「大地の目」
のっけからきらびやかにムーグシンセが鳴り響き、元気よくたたみかける陽性のシンフォニックロック。
バックにはしっかりとメロトロンも鳴っていて、イタリア語の歌声を乗せた濃密な味わいは、まさにコテコテ系。
少々疲れるテンションですが、叙情的な部分もちゃんとあって、美麗系シンフォ好きにはたまらない。
SYNDONEとともに、90年代イタリアン・ネオプログレの復権を告げた一枚というべき作品なのです。
メロディック度・・8 プログレ度・・8 イタリア度・・9 総合・・7.5
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Calliope 「Citta Di Frontiera」
イタリアのプログレバンド、カリオペの1993年作/邦題「国境の街」
鳴り響くオルガンにムーグシンセ、濃密なイタリア語の歌声で聴かせる、いかにもコテコテ系のサウンドで
70年代イタリアン・プログレへの愛情に満ち溢れている。7〜9分の長めの楽曲を、いくぶん唐突な展開も含んで
きらびやかに構築する強引な情熱こそが魅力となっている。じっくりと聴かせる叙情性も含んでいるので、
濃密ながらも案外耳心地はよい。これぞイタリアという、90年代プログレ愛に包まれた力作です。
メロディック度・・8 プログレ度・・8 イタリア度・・9 総合・・7.5
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Calliope 「Il Madrigale Del Venta」
イタリアのプログレバンド、カリオペの1995年作
Il Castello Di Atlanteなどとともに、VINYL MAGICレーベルの90年代イタリアネオプログレの旗手であった。
2ndまではコテコテの濃密なシンフォだったのだが、本作では美しいシンセワークを中心に
軽やかに聴かせるメロディックな質感と、やわらかな女性ヴォーカルの歌声が合わさって
なかなか爽やかな聴き心地である。もちろんジャケのように“ひなびたB級風味”も
そこはかとなく漂わせているが、そのユルさがむしろ心地よい。繊細な美しさの好作です。
メロディック度・・8 プログレ度・・7 イタリア度・・8 総合・・7.5
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Calomito 「Cane Di Schiena」
イタリアのチェンバー・ジャズロック、カロミトの2011年作/邦題「背中の犬」
2005年にデビューし、2作目となる。ヴァイオリン、トロンボーン奏者を含む編成で、変拍子を含む軽やかなリズムに
艶やかなヴァイオリンとトロンボーンが重なり、ジャズロック寄りの優雅なチェンバーロックを聴かせる。
ドラムやギター、エレキベースを使っているのでロック色がある分、アンサンブルとしてもわりと聴きやすく、
トロンボーンにサックスなどのブラスやシンセも加わった音の厚みもある。アヴァンギャルド過ぎず、コミカル過ぎず、
ほどよくスリリングなインストサウンドは、これといって突出した展開はない分、チェンバー初心者にも鑑賞可能だろう。
チェンバー度・8 ロック度・6 アヴァンギャル度・7 総合・8
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I Camaleonti「Che Aereo Stupendo」
イタリアンロックバンド、イ・カマレオンティの1976年作
イタリアン・ラブロックを代表するバンドのひとつで、本作はプログレ寄りの傑作とされる。
やわらかなイタリア語の歌声にうっすらとしたシンセアレンジも含んだ、素朴な叙情を繊細に描いてゆく。
歌もの中心ながら、PFMの“Celebration”やKING CRIMSONの“Epitaph”のフレーズを挿入するなど、
プログレ的に楽しめる部分もしばしばで、オーケストラ入りの曲はI Poohなどを思わせる美しさもある。
イタリアンロックの繊細さとポップな側面がバランスよく合わさったなかなかの好作です。
ドラマティック度・・7 プログレ度・・7 イタリア度・・9 総合・・7.5
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Camelias Garden「You Have a Chance」
イタリアのプログレバンド、カメリアズ・ガーデンの2013年作
若手三人組による新鋭バンドで、アコースティックギターにやわらかなピアノ、
チェロやヴァイオリンに優美なフルートの音色が彩る、繊細なシンフォニックロック。
ムーグシンセが鳴り響き、PFMの“Celabration”のようなキャッチーなメロディアス性と
男性ヴォーカルの甘い歌声を乗せ、Moon Safariなどにも通じる爽やかな聴き心地で、
コンパクトなアレンジと、メロトロンなどの古き良きプログレらしさを自然に融合させている。
若手バンドらしいモダンでスタイリッシュな感触と、リリカルな優雅さが同居した傑作です。
メロディアス度・・8 プログレ度・・7 優美度・・9 総合・・8
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CAMERA ASTRALIS 「I SUPPLICANTI」
イタリアのプログレバンド、カメラ・アストラリスの1998年作
アコースティックギターのつまびきにイタリア語のヴォーカルを乗せ、やわらかなシンセやピアノとともに
しっとりとした叙情に包まれたシンフォニックロックを聴かせる。ハケットばりのメロウなギターも加わって
かつてのGENESISを思わせる優雅なサウンドを展開。メトロンを含む優美なシンセワークも含めて、
耳心地の良いジェネシス系シンフォという点では、SUBMARINE SILENCEなどが好きな方にも薦められる。
全体的にスリリングな展開はさほどなく、繊細で牧歌的な耳心地ながら、優しい叙情美に浸れる好作品。
ドラマティック度・8 プログレ度・7 優美度・9 総合・8


Campo Di Marte
イタリアのプログレバンド、カンポ・ディ・マルテの1973年作
ジャケは怪しげなのだが、サウンドの方はアコースティックギターのつまびきにやわらかなフルートの音色を乗せた、
牧歌的な叙情性と、メロトロンやオルガン、ピアノなどの鍵盤も美しい。一方では、イタリアらしいミステリアスで
どこか混沌とした世界観も垣間見せ、楽曲はインストメインながら、静と動のメリハリある展開力も見事だ。
イタリア語によるヴォーカルもときおり入ってくるが、さほど存在感がないので、やはり楽曲の流れを中心に楽しむ作品なのだろう。
クラシカルな優雅さやシンフォニックロックとしての味わいに、巧みなギタープレイを含めて軽妙なアンサンブルもレベルが高い。
70年代イタリアンプログレの裏傑作である。再発盤では、バンドが意図する曲順に変更されていて、全体の流れがくっきりとなった。
ドラマティック度・・8 プログレ度・・8 イタリア度・・8 総合・・8
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Campo Di Marte 「Concerto Zero」
イタリアのプログレバンド、カンポ・ディ・マルテのライブ音源。2004年作
1973年に唯一の作品を出したバンドの、デビュー前の1972年のライブに、2003年の再編後のライブ音源を収録。
72年の音源はさすがに音質が古臭いものの、いくぶんハードなギターとイタリア語の歌声に、
ホルンやフルートなども加わった叙情とともに、じつにイタリアらしいハードプログレを聴かせてくれる。
2003年の音源は、当然ながら音質もぐっと良好で、ブルージーな味わいのギターワークがじつに素晴らしい。
オルガンが鳴り響き、フルートが鳴り響く、古き良きイタリアンプログレの雰囲気を見事に再現している。
ビリエットやセミラミスなどにも引けを取らない、ヘヴィプログレサウンドが楽しめるライブ作品です。
ドラマティック度・・8 ライブ演奏・・8 イタリア度・・9 総合・・8
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Cantina Sociale「Balene」
イタリアのプログレバンド、カンティナ・ソチャーレの2001年作/邦題「海神挽歌」
のちにARTIに加入するイアーノ・ニコロが参加、プロデュースはペッペ・クロヴェッラという、アルティ関連バンドのデビュー作が、
ボーナストラックを追加して2022年に日本盤で再発された。クジラの化石にインスピレーションを得たというコンセプト作で、
うっすらとしたシンセにイタリア語によるシアトリカルなヴォーカル、優雅なサックスやヴァイオリンも鳴り響き、
幻想的な浮遊感に包まれたシンフォプログレを聴かせる。オルガンやメロトロンなどを使ったオールドなイタリアンロックの空気と
ほどよくモダンなアレンジが同居し、ときにエキセントリックな展開も含んだ独自のサウンドは、1作目にして完成度が高い。
ドラマティック度・8 プログレ度・8 イタリア度・8 総合・8
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Cantina Sociale「Cum Lux」
イタリアのプログレバンド、カンティナ・ソチャーレの2009年作
2作目となる本作は、やわらかなシンセにマイルドなヴォーカル、サックスの音色とともに、ゆったりと大人の叙情に包まれる。
2曲目からは、オルガンを含むヴィンテージな味わいに、叙情的なギターの旋律も織り交ぜ、表現力あるイアーノ・ニコロの歌声で、
往年のイタリアンプログレの妖しさを匂わせながら、緩急ある流れのドラマティックなシンフォプログレを聴かせる。
中盤の11分の大曲では優美な導入から、美しいシンセにサックスも鳴り響き、クリムゾン的なスリリングなインストパートを構築、
メロウなギターとピアノによる繊細なパートもよい味わいだ。タイトル曲でもある20分の大曲は、浮遊感のあるリズム展開に
イタリア語のエモーショナルな歌声が映え、濃密な叙情と怪しさが幻想的に交差する。これぞイタリアンロックという傑作だ。
ドラマティック度・8 プログレ度・8 イタリア度・9 総合・8
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CANTINASOCIALE 「CAOSFERA」
イタリアのプログレバンド、カンティナソシアーレの2017年作
2001年にデビュー、本作は8年ぶりとなる3作目。アコースティックギターによる優美なイントロから、
どっしりとしたベースにハード寄りのツインギターとシンセを重ねた、わりとヘヴィなサウンドを展開。
ジャズロック的でもある優雅なインストのアンサンブルと、ハードシンフォニックが合わさったという感触で、
手数の多いドラムも含めて技巧的でスリリングな演奏が味わえる。ツインギターの叙情的なフレーズに
プログレらしいシンセも含みつつ、その辺のヴィンテージ系とは一線を画す本格派の硬質感に包まれていて、
シンフォ寄りであっても硬派な印象だ。オールインストで、媚びのないハードプログレの力作である。
ドラマティック度・・7 プログレ度・・8 イタリア度・・7 総合・・8
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CAP 「NEI GORGHI DEL TEMPO」
イタリアのシンフォニックロックバンド、CAPこと、コンソルジオ・アクア・ポタビレの1st。1993年作
ローカルな幻想性をかもしだすジャケもいい感じだが、サウンドの方も、よい意味でうすぼんやりとした叙情性を感じさせる、
いくぶんつたなくメロウなシンフォニックロック。10分以上の大曲も大仰な盛り上がりを見せることなく、
どこかB級気味の優しさが耳心地良い。インスト中心でたまにヴォーカルが入るというのも、濃密すぎないポイントか。
BANCOをぐっとやわらかくしたような、おおらかなイタリアンプログレが楽しめる好作品です。
メロディック度・・8 プログレ度・・8 イタリア度・・8 総合・・7.5

CAP (Consorzio Acqua Potabile)「ROBIN DELLE STELLE」
イタリアのシンフォニックロックバンド、CAPこと、コンソルジオ・アクア・ポタビレの2nd。1998年作
今作もロマンあふれるジャケのイメージ通り、古き良きイタリアン・シンフォの感触を甦らせたという作風で、
オルガンやムーグシンセが鳴り響き、マイルドなイタリア語のヴォーカルやフルートの音色とともに、
やわらかな叙情を描き出す。10分を超える大曲を中心に、濃密かつメリハリのある構成で、
ときに女性コーラスが加わったり、随所に聴かせる泣きのギターフレーズもいい感じだ。
やや長尺ながら、ドラマティックでロマンの香りに満ちたイタリアン・シンフォが聴きたい方にはオススメだ。
メロディック度・・8 プログレ度・・8 イタリア度・・8 総合・・7.5
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CAP(Consorzio Acqua Potabile) 「Il Bianco Regno di Dooah」
イタリアのシンフォニックロックバンド、CAPこと、コンソルジオ・アクア・ポタビレの3rd。2003作
イタリアンプログレのマイナーな部分を集約したようなシンフォサウンドは今作もまったく変わらず
良く言えば、やららかみのある叙情性がたっぷりで、悪く言えばインパクトに欠ける弱さを体現している。
レトロなシンセワークとイタリア語のヴォーカルは、イタリアンシンフォマニアにはたまらないだろうが、
正直、アレンジの部分でのクオリティが弱いので、サウンド的にすべての面で物足りなさが残る。
音は繊細なのだが、メロディ面での煽情力にも欠け、結果としてB級シンフォの王道となっている。
メロディアス度・・7 プログレ度・・7 イタリア度・・8 総合・・7.5
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CAP & Alvaro 'Jumbo' Fella「Coraggio E Mistero」
イタリアのプログレバンド、Consorzio Acqua Potabileと元JUMBOのアルヴァロ・フェッラによる2016年作
1993年にデビューし、2003年までに3作のアルバムを発表、CAPとしては14年ぶりとなるアルバムで、
やわらかなシンセにフルートの音色、ロック的なギターにイタリア語のパワフルなヴォーカルを乗せた、
ヴィンテージなイタリアンロックサウンド。12弦ギターの優雅な響きや、オルガンやピアノを含むシンセを
アルヴァロ・フェッラの歌声が濃密に包み込んで、牧歌的な叙情性とアッパーなノリの良さが同居した聴き心地。
21分の大曲では、ツインシンセによるプログレ的な展開力と、70年代ルーツのオールドなロック感触が合わさって
イタリア語のアクの強いヴォーカルとともにコッテリ濃厚に聴かせてくれる。全72分という力作です。
ドラマティック度・・8 プログレ度・・7 イタリア度・・9 総合・・8 
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Capsicum Red 「Appunti Per Un'idea Fissa」
イタリアのプログレバンド、カプシカム・レッドの1972年作
やわらかなオルガンが鳴り響き、メロウなギターフレーズとともに、クラシカルな優雅さを描くサウンドで、
オランダのTRACEのバロックなクラシック性に、やや強引なロック解釈を合わせたような聴き心地。
冒頭の14分の大曲では、クラシックの有名フレーズをそのまま盛り込んだりと微笑ましさもあるものの、
シンプルにクラシックとロックを融合させる分かりやすい美意識はしっかり感じ取れる。
随所にアーティスティックでエキセントリックな展開も含んだ、プログレらしさも散りばめられていて、
録音も含めていくぶん粗め聴き心地ながら、クラシカル・プログレの好作といえるだろう。
クラシカル度・・8 プログレ度・・8 優雅度・・8 総合・・7.5
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IL CASTELLO DI ATLANTE「L'Ippogrifo」
イタリアのシンフォニックロックバンド、カステッロ・ディ・アトランテの2nd。1996年作
1992年に「Sono Io Il Signore Delle Terre A Nord」(我こそは北の大地を支配するものなり)という大仰なタイトルでデビュー、
CalliopeやSYNDONEなどとともにイタリアのネオプログレシーンを牽引する存在となった。
ヴァイオリン奏者を含む編成で、古き良きプログレらしいシンセワーク、イタリア語のヴォーカルとともに
やわらかな叙情を描いてゆくサウンドは大時代的なロマンに溢れていて、ゆったりとした聴き心地で楽しめる。
スリリングなダイナミズムは希薄ながら、ある種の微笑ましい美意識に包まれた好作である。
メロディアス度・・8 叙情度・・8 イタリア度・・8 総合・・7.5
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IL CASTELLO DI ATLANTE「...COME IL SEGUITARE DELLE STAGIONI」
イタリアのシンフォニックロックバンド、カステッロ・ディ・アトランテの3rd。2001年作
優美なシンセにヴァイオリンが鳴り響き、キャッチーできらびやかな王道のシンフォニックロックを聴かせる。
ハードさや緊張感とは無縁のひたすら爽快な叙情路線で、イタリアらしいクラシカルなエッセンスもたっぷり。
1stから比べると10分前後の大曲をじっくりと構築する力量も備わってきていて、イタリア語のヴォーカルが入った
優雅な叙情と、ヴァイオリンに絡むピアノの音色などにうっとりしつつ、のんびりとワインでも飲みたくなる。
スリリングな展開はさほどないが、どこを切っても優美な味わいに包まれた、シンフォプログレの逸品です
メロディアス度・・8 叙情度・・8 イタリア度・・8 総合・・8
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IL CASTELLO DI ATLANTE「QUINTESSENZA」
イタリアのシンフォニックロックバンド、カステッロ・ディ・アトランテの4tn。2004年作
サウンドの方は相変わらず、プログレらしいキーボードサウンドにヴァイオリン入りのシンフォニックロックで、
演奏力、楽曲ともに傑出したものはないのだが、なんとなく愉快に聴けてしまうという、イル・カステッロ節(?)は健在。
10分台の大曲をやっても緊張感があまりないのは、このバンドならではというべきか。
いいオヤジになったプログレ好きの連中が、変わらず頑張っているだけでも微笑ましい。
シンフォニック度・・7 叙情度・・8 イタリア度・・8 総合・・7.5
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Il Castello Di Atlante 「Concerto Acustico」
イタリアのプログレバンド、カステッロ・ディ・アトランテの2006年作
過去作からの楽曲をアコースティックアレンジで演奏したライブ音源なのだが、これがなかなかよい。
やわらかなピアノのつまびきにヴァイオリンが絡み、アコースティックギターとともに優雅で牧歌的、
それでいて、しっかりとイタリア的なプログレを感じさせるアンサンブルににやりとなる
ドラムを含めて演奏力はやはり並程度だが、90年代初頭のネオプログレムーブからデビューしたバンドが、
長年のキャリアをへてひとつ大人の表現力を身に着けたというような作品である。
メロディック度・・8 ちゃんとプログレ度・・8 優雅度・・8 総合・・7.5
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Il Castello Di Atlante 「Tra La Antiche Mura」
イタリアのプログレバンド、カステッロ・ディ・アトランテの2009年作
キャリアは長いが傑作というものはなし。輝けるB級プログレ道を歩き続けるこのバンド。
本作もなにやら大仰なイントロからすでに、中世風味のロマンあふれる世界が広がってゆく。
鳴り響くチャーチオルガンにムーグシンセを含む、イタリアのパル・リンダーかというシンセワークと、
随所にクラシカルなヴァイオリンの音色も加わり、これまでの作品以上にダイナミックなサウンドで、
幻想的なシンフォニックロックを展開する。10分を超える大曲を中心に、緩急の付いた構築美とともに
優雅でありながら濃密な聴き心地が楽しめる。これはバンドの最高作と言ってよい出来だろう。
ドラマティック度・・8 プログレ度・・8 ロマン度・・9 総合・・8
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Il Castello De Atrante 「Capitolo 8: Live」
イタリアのプログレバンド、カステッロ・ディ・アトランテのライブ。2014年作
1992年にデビュー、イタリアのネオプログレを牽引してきたバンドの2012年のライブをCD+DVDに収録。
美しいシンセにヴァイオリンの音色と、メロウなギターによる優美なシンフォニックロックで、
イタリア語によるヘタウマのヴォーカルも含めて、幻想のロマンを感じさせるやわらかな叙情性と
ゆったりとしたほどよいB級の味わいもこのバンドの魅力。ほとんどが10分前後の大曲なので、
この手の優雅系シンフォが苦手な方には向かないが、90年代ルーツのイタリアンシンフォ好きはにんまりです。
ライブ演奏・・7 プログレ度・・7 イタリア度・・9 総合・・7.5 
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Il Castello Di Atlante 「Arx Atlantis」
イタリアのプログレバンド、カステッロ・ディ・アトランテの2016年作
1992年にデビュー、CalliopeSYNDONEらとともにイタリアのネオプログレシーンを牽引する存在として登場し、
キャリア25年をへた今も地道に活動を続けている。初期の作品はB級シンフォのイメージが強かったが、
前作から7年ぶりとなる本作は、最高作となった前作の内容を受け継ぎ、艶やかなヴァイオリンが鳴り響き、
オルガンやムーグを含むシンセとメロウなギターフレーズに、イタリア語の伸びやかなヴォーカルを乗せて、
ドラマティックなサウンドを描いてゆく。シンフォニックロックとしての叙情性とイタリアらしい濃密さとロマンの香りは、
かつてのままで、それをキャリアとともにレベルアップさせてきたバンドの力量が発揮された力作と言える。
ラストは16分の大曲で、じっくりと大人の哀愁と泣きの叙情で盛り上げつつ、軽妙な展開も含んだ構築力はさすが。
ドラマティック度・・8 プログレ度・・8 イタリア度・・9 総合・・8 
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Il Castello Di Atlante「Siamo Noi I Signori Delle Terre A Nord - 25th Anniversary Edition」
イタリアのプログレバンド、イル・カステッロ・ディ・アトランテの2018年作
1993年のデビュー作「我こそは北の大地を支配するものなり」を、25周年記念でリメイクした作品で、
優美なシンセとメロウなギターを乗せた軽やかなアンサンブルに、イタリア語のヴォーカルを乗せ、
やわらかなピアノにヴァイオリンも鳴り響く、優雅でキャッチーなシンフォニックロックが楽しめる。
年を経たことでヴォーカルにも味わいが出ていて、いくぶん軽めのB級シンフォだったオリジナルに比べ、
哀愁を含んだ繊細な叙情美が際立ってきている。聴き比べるもよし、新作としても普通に楽しめる出来ですね。
ドラマティック度・8 プログレ度・8 優雅度・9 総合・8 
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CATAFALCHI DEL CYBER 「BENEDIKTUS UND VOBIS QUOQUE CATAFALCUS EST TU」
イタリアのプログレバンド、カタファルキ・デル・シーベルの2011年作
MOONGARDEN、SUBMARINE SILENCEなどで活躍するCristiano Roversiが参加していて、
メロトロンが鳴り響き、クリムゾンの緊張感にジェネシスの叙情性をまぶしたという濃密な聴き心地で、
アヴァンギャルドで先の読めない展開も面白い。「カタファルキ卿の皮肉と冒涜の世界」というタイトルや、
ジャケのイメージのようなシュールな夢を見ているような感じもあるのだが、メロトロンがたっぷり鳴ると、
案外普通のシンフォニックロックとしても楽しめる。ヴォーカルのヘタウマ感がB級のイメージをかもしだしていて、
そこが良いのか悪いのか…歌詞がほとんど英語なので、イタリアらしさという点でもやや中途半端な気もするが
往年のプログレらしさとシュールなセンスを同居させた力作であるのは確かだろう。
ドラマティック度・・7 プログレ度・・8 イタリア度・・7 総合・・7.5
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Caterina Caselli「Casco D'oro/Diamoci Del Tu」
イタリアの女性シンガー、カテリーナ・カセッリの1966/1967年作
プログレファンの間では、名作「Primavera/組曲・春」が有名だが、初期の作品もなかなか悪くない。
ストリングスアレンジをバックに、彼女の瑞々しい歌声が響きわたる1stは、
イタリア語の響きが艶かしくもあり、のちの彼女のブレイクを予感させる出来だ。
1967年の2ndはよりポップな作風になっていて、プログレファンにはややつらいか。
60年代の作品なので音質は古めかしいが、イタリアンロック、カンタウトリーチェ好きはチェック。
メロディック度・・8 イタリア度・・8 女性Vo度・・8 総合・・7.5
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Caterina Caselli 「Primavera」
イタリアの女性シンガー、カテリーナ・カセッリの1974年作
イタリアを代表するカンタウトリーチェとして知られる存在で、60年代の作品はポップな作風であったのが
「組曲・春」と題された本作は、壮麗なオーケストラをバックにしたシンフォニックかつ優美なアレンジで、
プログレファンから人気の高いアルバムとなっている。美しいストリングスをバックに優しく響き渡る、
イタリア語による彼女の歌声には何度聴いてもうっとりである。優雅なクラシカル性に包まれた気品と、
艶めいた表現力の女性ヴォーカルが合わさった、絶品のオーケストラ・シンフォニックロックが味わえる。
シンフォニック度・・9 クラシカル度・・8 女性Vo度・・9 総合・・8
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Caterina Caselli
「Original Album Series」

イタリアの女性シンガー、カテリーナ・カセッリの1966〜1974年までの5作を収録したCD5枚組ボックス。2010年作
イタリアを代表するカンタウトリーチェ。60年代の作品は、2〜3分前後の比較的シンプルな歌ものという作風だが、
彼女の艶やかな歌声とともに、随所にオーケストラ入りのアレンジも含んでいて古き良きイタリアンポップスが楽しめる。
70年、72年作になると、しっとりとした作風が強まり、ストリングスやオルガンなども入ったサウンドは、
充分にイタリアンロックファン向けだ。そして、1974年の名作「Primavera(組曲「春」)」の美しさにはやはりうっとり。
プログレ度・・6 イタリア度・・10 女性Vo度・・9 総合・・8
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CAVALLI COCCHI, LAMZETTI & ROVERSI
イタリアのプログレミュージシャンによるユニット、CCLRの2011年作
元ACQUA FRAGILE、P.F.M、MANGALA VALLISのベルナルド・ランゼッティ、MOONGARDEN、SUBMARINE SILENCEのクリスティアーノ・ロベルシ、
MANGALA VALLISのジジ・カヴッァリ・コッチというトリオ編成で、優美なピアノにアコースティックギター、ジェントルなヴォーカルで
しっとりとした大人のアンビエントロックを聴かせる。やわらかなメロトロンが加わると、繊細なシンフォニックロックの感触も現れ、
英語歌詞によるベルナルド・ランゼッティの情感ある歌声とともに、優しい耳心地に包まれる。曲によっては、GENESISを思わせる部分もあったり、
アコースティックギターやピアノとメロトロンをバックにした、ゆったりと大人の歌ものシンフォとしても楽しめる。
ドラマティック度・7 プログレ度・7 大人の優雅度・8 総合・7.5
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CELESTE
イタリアンロックバンド、チェレステの1976作
イタリアンプログレのバンドには1作のみを残して消えるというバンドも多いのだが、
このバンドもこれが唯一のアルバム。美しいメロトロンと牧歌的な歌唱、
アコースティックギターにフルート、サックスが絡み、初期クリムゾンの叙情を抽出したような感触もある。
クラシカルなピアノの響きにもうっとり。素朴だが、じつに繊細なサウンドだ。
シンフォニック度・・7 プログレ度・・7 繊細度・・10 総合・・7.5
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CELESTE 「FLASHES FROM ARCHIVES OF OBLIVION」
イタリアのプログレバンド、チェレステの2020年作
70年代の未発音源集で、1972〜73年のデビュー前の音源12曲に、1st発表後の音源7曲、新曲1曲を収録。
アコースティックギターにたおやかなフルート、美しい女性ヴォーカルの歌声で聴かせる初期の音源は、
ロック色はほとんどない優美なフォークサウンドで、RENAISSANCEなどにも通じる優雅で繊細な味わい。
2〜3分前後の小曲が多く、前半はプログレというよりはフォーク寄りの牧歌的な作風であるが、ときにシンセを加えた
シンフォニックな雰囲気もあり、ファンであればウットリと楽しめる。中盤にはエレピにサックスを乗せたジャズロック感触や
1976〜77年「CELESTE II」期の音源では、アコースティックギターやフルートの優雅さに、軽快なドラムも加えたアンサンブルで、
ヴァイオリンの音色とともにプログレらしいサウンドが聴ける。全体的に音質はややぼやけ気味だが、大変貴重な音源集である。
ドラマティック度・7 プログレ度・7 優美で繊細度・9 総合・8
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CELLAR NOISE 「NAUTILUS」
イタリアのプログレバンド、セラー・ノイズの2019年作
2017年にデビューし、2作目となる。硬質なギターワークとオルガンやメロトロンを含むプログレらしいシンセ、
マイルドな味わいのヴォーカルをテクニカルなドラムに乗せた、モダンでスタイリッシュなハードプログレサウンド。
ポストプログレ的な優雅な歌もの感と、メタル寄りのハードな部分、ヴィンテージなシンセによるプログレ要素が同居した
まさに新世代のボーダーレスな聴き心地で、HAKENRIVESIDEあたりが好きな若いリスナーにも楽しめるだろう。
泣きのギターによる優美な叙情を描くナンバーから、後半の12分の大曲では、シンフォニックな華麗さと
メタリックなハードさが交差して、表現力あるヴォーカルがじっくりと歌い上げてゆく。モダン派プログレの好作品。
ドラマティック度・・7 テクニカル度・・8 スタイリッシュ度・・8 総合・・8
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Il Cerchio d'Oro 「Il Viaggio Di Colombo」
イタリアのプログレバンド、チェルキオ・ドーロの2008年作
大時代的なジャケもいい感じだが、本作はコロンブスの新大陸発見の航海をテーマにした作品で、
オルガンやミニムーグの音色を含んだシンセに、メロウな泣きのギターが合わさった叙情的なサウンド。
イタリア語による落ち着いた男性ヴォールの歌声とともに、大人の哀愁を感じさせる雰囲気は、
さすが結成は70年代という、なにげにベテランのバンドである。曲によっては牧歌的なやわらかさもあり、
随所に美しいピアノの旋律も心地よく響く。メリハリのあるドラマテイックな構成で描かれる力作です。
ドラマティック度・・8 プログレ度・・8 イタリア度・・9 総合・・8
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Il Cerchio D'oro「Dedalo E Icaro」
イタリアのプログレバンド、チェルキオ・ドーロの2013年作
結成は70年というバンドで、メロトロンやオルガン、ムーグなどレトロなシンセが鳴る、
70年代スタイルのイタリアン・プログレスタイル。イタリア語のヴォーカルの歌声も、
どこか古き良きイタリアの牧歌性を感じさせる。変即リズムを含んだ構築力もありつつ、
押しだけではなくフルートやピアノの精細な叙情性も含んだ、メリハリのあるアレンジも見事。
最近ではPANDORAや、Il Tempio Delle Clessidreなどにも通じる、イタリアンプログレ好きはマストでしょう。
ドラマティック度・・8 プログレ度・・8 イタリア度・・9 総合・・8
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Il Cerchio D'Oro 「Il Fuoco Sotto La Cenere」
イタリアのプログレバンド、チェルキオ・ドーロの2017年作
結成は70年というバンドで、1999年のデビュー作から本作で5作目となる。
オルガンやピアノ、ムーグを含むシンセにメロウなギター、イタリア語のヴォーカルで聴かせる、
70年代ルーツのイタリアンプログレで、繊細な叙情と適度にハード寄りの感触が同居したサウンド。
過去作に比べると、牧歌的なやわらかさが増していて、ジェントルな歌声と優雅なアンサンブルで、
古き良き空気感のイタリアンプログレが楽しめる。一方ではオルガンとブルージーなギターによる
オールドなロック感触も含んだ枯れた味わいも魅力的だ。大人の哀愁に包まれた好作品。
ドラマティック度・・7 プログレ度・・7 古き良き度・・8 総合・・7.5 
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IL CERCHIO MEDIANICO 「Un'Opera Prop Di Stefano Agnini」
イタリアのシンフォニックロック、イル・セルチオ・メディアニコの2017年作
LA COSCIENZA DI ZENOのシンセ奏者に、HOSTOSONATENなどで活躍するファビオ・ズッファンティを中心にした
CURVA DI LESMOに続くプロジェクトで、MUSEO ROSEMBACHのステファノ・ガルフィをはじめ、
DERILIUMのマーティン・グライス、HOSTOSONATENやズッファンティ関連のメンバーが多数参加。
優美なシンセワークにイタリア語のマイルドな歌声、フルートの音色や物悲しいチェロの響きも加えて、
往年のイタリアンプログレを思わせるやわらかな叙情を描いてゆく。ときに美しい女性ヴォーカルも加わった、
男女Voによるオペラティックな優雅さにも包まれる。ジャケは妖しげながら、優美なサウンドに浸れる逸品です。
ドラマティック度・・8 優美度・・9 イタリア度・・9 総合・・8
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CERVELLO「Melos」
イタリアンロックの名作、チェルヴェッロの1973年作
OSANNAの「パレポリ」と並ぶ、イタリアン・ヘヴィプログレの傑作。
のっけから神秘的なスキャットコーラスとアコースティックギターの調べで、不思議な幻想世界へといざなわれる。
キーボードがいないというのが信じられないほど、バンドの音には広がりがあり
アコースティックギターに絡む、エフェクトされたサックス、フルート、ヴィヴラフォンなどが
ときにやわらかく、ときに刺激的に鳴らされ、ときに爆発し、独自のサウンドを形成しています。
神秘的で呪術的…神話をモチーフにした歌詞も文学的で、ある種、崇高さと毒気を併せ持っています。
絶品の演奏力と情景描写力をもったこの作品は、イタリアンロックに生まれた芸術とさえ言えるでしょう。
メロディアス度・・7 イタリア度・・9 神秘性度・・10 総合・・9
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CHERRY FIVE
イタリアのプログレバンド、チェリー・ファイヴの1976年作/邦題「白鳥の殺意」
GOBLINの前身としても知られるバンドの唯一のアルバム。ジャズロック的なアンサンブルに、
メロトロンやオルガンを重ね、英語によるヴォーカルで聴かせる、軽妙なプログレサウンド。
当時のイタリアンロックの中では、スタイリッシュな部類の作風で、演奏力の高さも含めて、
PFMなどにも引けを取らないレベルである。優雅な叙情に包まれた「ドリアン・グレイの肖像」や
2パートに分かれた「白鳥の殺意」など、キャッチーなメロディアス性とテクニカルな展開力が合わさった、
シンフォニック・ジャズロックというべきサウンドが楽しめる。若きクラウディオ・シモネッティの才能が輝く傑作である。
メロディック度・・8 プログレ度・・8 優雅度・・9 総合・・8.5
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CHERRY FIVE 「Il Pozzo Dei Giganti」
イタリアのプログレバンド、チェリー・ファイヴの2015年作
GOBLINの前身バンドとしても知られ、1975年に唯一のアルバムを残したバンドが、40年ぶりに復活。
かつてのアルバムは英手歌詞のヴォーカルを乗せた、軽快なプログレ・ジャズロック風味のサウンドであったが、
本作はのっけから24分の大曲で、オルガンにムーグを含むヴィンテージなシンセに、イタリア語のヴォーカルを乗せた、
ミステリアスなシンフォニックロックという聴き心地。メロディックなギターに、きらびやかなシンセワークを乗せ、
リズムチェンジを含んだ展開力で、METAMORFOSIなどにも通じる往年のイタリアンプログレの濃密な味わいだ。
かつてのような優雅で軽妙なアンサンブルも覗かせつつ、オールドなプログレ感触に包まれた力作に仕上がっている。
ドラマティック度・・8 プログレ度・・8 イタリア度・・9 総合・・8
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CHIAVE DI VOLTA 「Ritratto Libero」
イタリアのプログレバンド、キアヴ・ディ・ヴォルタの2004年作
やわらかなシンセワークにメロウなギターとイタリア語のマイルドなヴォーカルを乗せて、
しっとりと叙情豊かな、シンフォニックロックを聴かせる。リズムチェンジによる展開力も覗かせつつ、
あくまで優雅な繊細さに包まれたサウンドは、マイナーな翳りとともに日本人好みの幻想性を感じさせる。
ムーグを含むヴィンテージなシンセゆクラシカルなピアノ、ときにやわらかなフルートの音色も加えて、
10分を超える大曲も、ほどよくスリリングな空気感とともに、じっくりと優美に構築してゆく。
濃密さの点ではやや実の足りなさもあるが、優雅な叙情美に包まれたイタリアンシンフォの逸品です。
ドラマティック度・・8 プログレ度・・8 イタリア度・・9 総合・・7.5
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Choruscant 「A Christmas Carol」
イタリアのプログレバンド、コーラスカントの2020年作
「クリスマス・キャロル」をコンセプトにした、CDR仕様の2枚組作品。1曲目からクリスマスキャロルのメロディを盛り込みつつ、
ハード寄りのギターにシンセやピアノ、艶やかなヴァイオリンを重ねた、ゴージャスなシンフォプログレを展開。
変則リズムにエモーショナルなヴォーカルを乗せ、メタリックなギターも加えたスリリングな展開力には、
ProgMetal的な感触もありつつ、22分という大曲では、優雅な叙情性に女性ヴォーカルも加わって、
シンフォプログレらしい展開力を見せる。Disc2では、MOON SAFARIばりのキャッチーなナンバーから、
メタル寄りのナンバーまで、ドラムを含めた確かな演奏力もあって、カラフルなハードプログレが楽しめる。
ジャケはチープだが、ドラマ性に包まれたサウンドは濃密な味わい。マイナー系シンフォプログの力作です。
ドラマティック度・8 プログレ度・8 イタリア度・7 総合・7.5
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CHRISTADORO
イタリアのプログレバンド、クリスタドーロの2017年作
THE CARNIVAL OF FOOLSなどに参加した、マッシミラノ“MOX”クリスタドーロを中心に、
HOSTSONATEN、LA MASCHERA DI CERAなどでおなじみ、ファビオ・ズッファンティ、
YUGENのスケ・ボッタらも参加。フランコ・バッティアート、アントネッロ・ヴィンディッティ、
クラウディオ・バリョーニ、ルシオ・デッラといったイタリア系アーティストのカヴァー集で、
オルガンを含むシンセに適度にハードなギターと、イタリア語によるジェントルなヴォーカルを乗せた、
味わいのある歌ものロックを聴かせる。プログレ的なところはシンセくらいであるが、
フランコ・ムッシーダがゲスト参加するなど、ディープなイタリアンロック好きならチェックです。
ドラマティック度・・7 プログレ度・・7 イタリア度・・9 総合・・7.5
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CICO 「Notte」
元フォルムラ・トレのトニー・チコのソロ。1974年作/邦題は「夜の闇の中で」
FORMULA 3の解散後にソロ活動としての最初の作品で、イタリア語によるチッコの甘いヴォーカルを中心に
プーやニュー・トロルスなどにも通じる叙情性と、軽快でキャッチーなポップ性を含んだサウンド。
随所にストリングスのアレンジも入り、タイトルのように夜を思わせるしっとりとした美しさも感じさせる。
プログレ的な部分も多少は残しているが、基本的にはキャッチーな歌もの作品なので、
幻想的なジャケやブックレットのイラストを見つめながら、優しいチコの歌声に聴き入りましょう。
ドラマティック度・・7 プログレ度・・7 イタリア度・・8 総合・・7.5
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Citta' Frontale
イタリアのプログレバンド、チッタ・フロンターレの1975年作/邦題「雷神」
OSANNAの分裂後、リーノ・ヴァイレッティとマッシモ・グァリーノを中心に結成されたバンドで唯一の作品。
やわらかなフルートの音色にアコースティックギターで牧歌的に始まり、鳴り響くサックスに
エレピを含むシンセを乗せて、ジャズロック的な優雅なアンサンブルを聴かせる。
オザンナの「人生の風景」をより軽妙にスタイリッシュにしたようなサウンドながら、
イタリア語によるマイルドなヴォーカルには、古き良きイタリアンロックの空気を感じさせ、
流麗なギターフレーズに女性コーラスも加わって、技巧的でありながら優美な繊細さを内包した作風だ。
アコースティックの素朴な叙情や、フルートにメロトロンが重なる幻想的な美しさも含んだ逸品です。
ドラマティック度・・8 プログレ度・・7 イタリア度・・9 総合・・8
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CIVICO 23 「Siero Progressivo」
イタリアのプログレバンド、シヴィコ23の2013年作
ツインギターにシンセを含む6人編成で、やわらかなピアノにオルガンが鳴り響き、
適度にハードなギターとイタリア語の歌声で聴かせる、叙情的なプログレサウンド。
古き良きイタリアンロックの妖しげな香りを残しつつ、ハードなモダンさを融合させたという作風は
いかにも若手らしいセンスで、曲間にイタリア語の語りを盛り込むなど、コンセプト的な流れも見事。
ハードロック、メタル系のリスナーにも楽しめるだろう、イタリアン・ハードプログレの力作です。
ドラマティック度・・8 プログレ度・・8 イタリア度・・9 総合・・7.5
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Circus 2000 「An Escape from a Box
イタリアンロックバンド、サーカス2000の2nd。1972年作
女性ヴォーカルの美しい歌声で聴かせる、やわらかなサイケロックで、
アコースティカルな叙情とやアシッド・フォーク的な感触も含んだサウンド。
歌詞は英語なのでイタリア臭さはあまりなく、サイケな妖しさを適度に含みつつも
全体的にはとても聴きやすい作風だ。女性声ロック好きは要チェックです。
メロディック度・・8 プログレ度・・7 女性Vo度・・8 総合・・8
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CLARION「CLARION」
イタリアのシンフォニックロック、クラリオンの1992作
ZAUBERのキーボーディストが中心となったバンドで、非常に繊細な印象のシンフォニック作品だ。
優しくクラシカルなキーボードと、たゆたうようなメロディを奏でるフルートを中心にゆったりと曲が進む。
リズム的な展開や起伏はほぼ皆無なので、ときどき退屈になるが、夢見心地でぼんやりと聴く分にはうってつけの音楽。
したがって演奏力や曲の完成度を求める向きにはまったく向かない。
シンフォニック度・・8 ゆったり優美度・・9 楽曲・・7 総合・・7

CLARION「BOURREE」
イタリアのシンフォニックロック、クラリオンの1995年作
プログレ系バンドのカヴァー集で、PFM、BANCO、FOCUS、GENTLE GIANT、STEEVE HACKETT等の曲を
シンセ、フルート、オーボエなどで美しく再現している。繊細かつ叙情味あふれるカヴァーで、ゆったりと楽しめるが、
どうせならもっと名曲クラス(FOCUSなら「SYLVIA」とか)を選んで欲しかった気もする。
ともかく、イタリアらしい繊細なシンフォニック叙情美を満喫できる一作ではある。
シンフォニック度・・8 繊細度・・9 叙情・・8 総合・・7.5
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Claudio Baglioni 「Acustico - Sogno Di Una Notte Di Note」
イタリアのシンガー、クラウディオ・バリオーニのライブ。2000年作
イタリアを代表する、カンタゥトーレの一人、2000年のイタリアツアーからの音源を2CDに収録、
ベース、ギター、シンセによるシンプルな演奏をバックに、渋みのあるイタリア語の歌声を乗せて
ゆったりと聴かせるサウンドで、アコースティックな素朴さとともに、大人の哀愁を感じさせる。
イタリアらしいクラシカルな優雅さや、軽やかなAOR風味からジャズ的な味わいなどもあり、
ときに情感的に歌い上げるところは、さすが一流のベテラン・カンタゥトーレというところ。
派手さはないがじわじわと楽しめる作風で、2CDで合計152分にも及ぶライブ作品です。
ライブ演奏・・8 プログレ度・・5 イタリア度・・8 総合・・7.5
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Colossus ProjectEmpire And The Rebellion
TILIONのメンバーが中心となったシンフォニックロック・ユニット、コロッサス・プロジェクトの2008年作
たおやかなピアノの音色に、ムーグやメロトロンなどヴィンテージのシンセが鳴り響く
キーボード主体のシンフォニックサウンド。コンセプトにはSF的なストーリーがあるのか、
シンセの音にはスペイシーな世界観を描こうとする意図が感じられる。
後半にはサックスなども加わってジャズタッチになったりと、意外と多様なサウンドを聴かせる。
全体的にはやや散漫な印象もあるがなかなかの力作。ゲストにはARS NOVAの熊谷桂子も参加。
シンフォニック度・・8 プログレ度・・8 キーボー度・・8 総合・7.5
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CONQUEROR「ISTINTO」
イタリアのシンフォニックロックバンド、コンカラーの2003作
キーボード奏者も兼ねる女性Voを中心にした四人組。サウンドはしごく王道のシンフォといった感じで、
メロウなギターに重なるキーボード、イタリア的なクラシカルなピアノが美しく、
垢抜けない感じの女性Voのイタリア語の歌声がなかなか可愛らしい。
ただ、全体的には雰囲気は悪くないのだが、どうもやぼったいというか、
アレンジの面でもう少し印象的な展開などを増やして欲しい気がする。
シンフォニック度・・8 女性Vo度・・7 楽曲・・7 総合・・7
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CONQUEROR「Storie Fuori Dal Tempo」
イタリアのシンフォニックロックバンド、コンカラーの2nd。2005年作
キーボードも兼ねる女性Voを中心に、しっとりとしたイタリアらしいシンフォニックロックをやっている。
1stの時点ではかなりマイナー臭かったサウンドは、相変わらずのマニアックな雰囲気で
イタリア語の女性ヴォーカルの歌唱と、女性奏者の吹くフルートのやわらかな音色もなんともよろしい。
ギターは時折サイケな雰囲気もかもしだし、ほどよいユルさとうすぼやけたような輪郭のなさが、
マイナーで幻想的な味わいになっている。ラストに30分の大曲で、かっちりとした完成度はないが、なかなかの力作だ。
シンフォニック度・・7 イタリア度・・8 女性Vo度・・7 総合・・7.5
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Conqueror 「74 Giorni」
イタリアのシンフォニックロック、コンカラーの2007年作
3作目となる本作も、美しい女性ヴォーカルのイタリア語の歌唱に繊細なピアノ、シンセアレンジで
しっとりと聴かせる優美なサウンド。いくぶんB級臭さを残していた前2作に比べて、
メロディのフックがより明快になり、スタイリッシュな完成度が高まったという印象だ。
やわらかなフルートの音色にサックスなども加わった優雅な耳心地で、随所にメロウなギターもよい感じだ。
おそらく海をテーマにした作品なのだろう、SEなども含んだ流れでゆったりとドラマ性を描いている。
インストパートでの軽さは相変わらずなのだが、次作あたりでさらに成長が期待できるバンドなった。
メロディック度・・8 イタリア度・・8 女性Vo度・・8 総合・・7.5
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CONQUEROR「Madame Zelle」
イタリアのシンフォニックロックバンド、コンカラーの2010年作

女性ヴォーカル入りのイタリアンシンフォとして、過去3作もなかなかの好作であったが、4作目となる本作は、
第一次世界大戦時に女スパイとして捕らわれた踊り子、マタ・ハリことマルガレッタ・G・ツェレをテーマとしたコンセプト作。
クラシカルで繊細なピアノに、美しいシンセワーク、そしてイタリア語による瑞々しい女性Voの歌声で聴かせる、
優しい叙情性にうっとりとである。また、コンセプト作ということでのドラマティックな構成も光っていて、
インスト部分で世界観やストーリーをイメージさせるだけの説得力も備わってきている。やわらかなフルートも美しい。
シンフォニック度・・8 プログレ度・・7 女性Vo度・・8 総合・・8
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Conqueror「Stems」
イタリアのプログレバンド、コンカラーの2014年作
マタ・ハリをテーマにした前作はバンドの最高傑作となったが、5作目となる本作では
ぐっとアダルトな聴き心地となっていて、渋みのあるギターにオルガンを含んだシンセアレンジ、
そしてシモーナ嬢のイタリア語の歌声とともに、アンニュイな叙情に包まれたサウンドを描いている。
この薄暗い情感は、Paatosあたりにも通じる雰囲気で、そこにイタリアらしい妖しさが加わっている。
クラシカルなシンセワークはかつてのイルバレを思わせる部分もあり、ヴィンテージなプログレ好きにも楽しめる。
いわばオールドなロック色と女性ヴォーカル、イタリア的な芸術性が合わさったような好作品です。
ドラマティック度・・7 プログレ度・・8 女性Vo度・・7 総合・・8
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Conqueror 「Un'altra Verita」
イタリアのプログレバンド、コンカラーのライブ。2015年作
2014年イタリア公演のライブを収録したCD+DVD。女性Key&Voを含む4人編成で、
軽妙なアンサンブルにイタリア語による女性ヴォーカルを乗せた、優雅なシンフォニックロックを聴かせる。
程よくハードなギターに美しいシンセを重ねたインストパートは、随所に泣きの叙情も垣間見せつつ、
優美な女性声パートにつながってゆく。2014年作「Stems」からのナンバーを中心に、
メロウなギターにオルガンの音色を含んだ古き良きプログレ感触も覗かせながら、
やはり若手バンドらしいスタイリッシュなセンスを感じさせるのもこのバンドの魅力だろう。
ライブ演奏・・8 プログレ度・・7 イタリア度・・8 総合・・7.5 
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CONQUEROR「In Orbita」
イタリアのプログレバンド、コンカラーの2019年作
2003年にデビュー、本作は5年ぶりの6作目となる。やわらかなシンセにイタリア語の女性ヴォーカル、
フルートやサックスが鳴り響き、軽やかなアンサンブルとともに優雅な女性声プログレを聴かせる。
ヴォーカルも務めるシモーナ嬢のシンセワークは、オルガンやムーグなども含むヴィンテージな味わいで、
ときにクラシカナルなヴァイオリンの響きも加わって、優しい耳心地のシンフォプログレを展開してゆく。
やわらかなエレピにサックスが鳴り響く、カンタベリー的な軽妙なジャズロック風のパートから、
繊細なフルートが美しいしっとりとした叙情美まで、緩急のあるアレンジセンスも見事で、
メロウな泣きのギターも随処に光っている。10分を超える大曲もあくまで優雅に構築する逸品です。
ドラマティック度・・8 プログレ度・・8 優雅度・・9 総合・・8 
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Contrappunto「Subsidea」
イタリアのプログレバンド、コントラプントの1998年作
ムーグやオルガンを含むきらびやかなシンセワークにメロディックなギターと
キュートな女性ヴォーカルの歌声で聴かせる、叙情系シンフォニックロックサウンド。
歌詞が英語なのでイタリア臭さはあまりなく、ヘタウマな女性ヴォーカルの歌声と
ときおり唐突に展開する楽曲には、いくぶんマイナーがかったB級感をただよわせる。
ふんわりとした幻想的な雰囲気に、曲によってはハードな質感もあったり、案外振り幅が広いのだが、
それぞれの楽曲自体にもう少し魅力的なフックが欲しい気がする。B級女性声プログレの佳作です。
メロディック度・・8 プログレ度・・7 女性Vo度・・7 総合・・7

Contrappunto「Lilith」
イタリアのプログレバンド、コントラプントの2001年作
本作では女性ヴォーカルが交代していて、しっとりとした感触が強まっている。
ほんのりと薄暗い叙情にメロウなギターもよろしく、美しいシンセアレンジとともに、
どことなくポーランドのパンドのような翳りを感じさせる、アダルトな作風になってます。
繊細なピアノを含んだ軽妙なアンサンブルも垣間見せ、なかなか優雅でやわらかな耳心地。
美しい女性ヴォーカルの魅力という点でも前作よりもずっと良いですね。女性声シンフォ好きはチェック。
メロディック度・・8 プログレ度・・7 女性Vo度・・8 総合・・7.5
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CORAL CAVES 「MITOPOIESI」
イタリアのプログレバンド、コーラル・ケイヴスの2008年作
ムーグやオルガンなどのヴィンテージなシンセに、イタリア語による野太いヴォーカルを乗せ、叙情的なギターとともに聴かせるシンフォプログレサウンド。
70年代ルーツの牧歌的な素朴さは、LOCANDA DELLE FATEあたりを思わせるところもあるが、そこまで感動的ではなく、あくまでマイナー系シンフォの香りに包まれている。
曲によってはフルートも加え、泣きのギターとともに繊細な叙情美を描いていて、ジャケはいかにもB級臭いのだが、シンフォ好きにはなかなか楽しめるのである。
ドラマティック度・8 叙情度・8 イタリア度・8 総合・7.5
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CORPO 「III」
イタリアのプログレバンド、コルポの2020年作
70年代に活動していたバンドの復活作で、1979年に録音された「I & II」に続き、本作は完全新作となる。
優美なピアノにシンセ、トロンボーンが鳴り響く、優雅なクラシカル性と、軽やかなマリンバの音色に、
ロックギターが重なってゆく、エキセントリックな味わいのチェンバーロック寄りのサウンドを聴かせる。
オペラティックなソプラノ女性ヴォーカルが加わると、OPUS AVANTRAのような雰囲気にもなったり、
ほどよいアヴァンギャルド性や、ジャズロック的な軽妙なパートなどもあり、先の読めない面白さがある。
2〜4分前後のインストナンバーを主体に、全33分。ボリューム的に物足りなさはあるが、不思議な味わいの好作品。
クラシカル度・・8 プログレ度・・8 優雅度・・8 総合・・7.5
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CORPORESANO
イタリアのプログレバンド、コルポレサノの2019年作
やわらかなシンセにメロウなギター、イタリア語による優しいヴォーカルを乗せて、
ジャケのイメージ通りの幻想的な叙情美に包まれたシンフォプログレを聴かせる。
全体的にもゆったりとした味わいで、スリリングな展開は希薄であるが、
繊細なギターのトーンとうっすらとしたシンセにより、どこを切っても優美で叙情的で、
耳心地の良いサウンドであるが、気の短い方には、全74分の長さはちと退屈かもしれぬ。
90年代シンフォのもっさりとした煮え切らなさを継承したような、Mellowレーベルらしい好作。
繊細シンフォ度・8 プログレ度・7 イタリア度・8 総合・7.5
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LA COSCIENZA DI ZENO
イタリアのプログレバンド、ラ・コシェンツァ・ディ・ゼノの2011年作
のっけからムーグシンセが鳴り響き、軽快なリズムの上をメロディックなギターフレーズが加わる、
このイントロ部分だけで往年のプログレファンをにんまりとさせるだろう。イタリア語による女性ヴォーカルの語りから
メロトロンも加わったツインシンセとともに、70年代的なロマンと妖しさに包まれたイタリアンプログレが広がってゆく。
楽曲はほとんどが7分以上で、13分の組曲もあったりとデビュー作にして気合十分。シンフォ系のメロディアス性と
イタリアらしいねっとりとした濃密さという点では、バンコ+イルバレというような言い方もできるか。
若手らしいしっかりとした知的な構築美も備えているのがなお素晴らしい。優雅にして濃密な傑作だ。
2014年の紙ジャケ再発盤には、さらに9分前後の大曲が2曲追加されている。
メロディック度・・8 プログレ度・・8 イタリア度・・9 総合・・8
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LA COSCIENZA DI ZENO 「Sensitivita」
イタリアのプログレバンド、ラ・コシェンツァ・ディ・ゼノの2013年作
前作もデビュー作にして見事な力作であったが、2作目となる本作もムーグシンセやメロトロンが鳴り響き、
イタリア語の歌声と叙情的なギターワークで描かれる、古き良きロマンの香りを含んだイタリアンシンフォが楽しめる。
味わいのあるヴォーカルの魅力は前作以上で、その表現力にはぐっと深みと説得力が備わった。
ギターの奏でる泣きのメロディも随所に素晴らしく、翳りと湿り気、哀愁を含んだ空気感が素晴らしい。
前作に比べると、全体的に秋を感じさせるような落ち着いた叙情性に包まれているが、
そういう点ではHOSTSONATENに通じる幻想性と作品としての完成度の高さを持っている。
やわらかなフルートやヴァイオリンも美しいラスト曲の構築美も見事。イタリアン・シンフォ好きは必聴です。
ドラマティック度・・8 プログレ度・・8 イタリア度・・9 総合・・8
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LA COSCIENZA DI ZENO 「La Notte Anche Di Giorno」
イタリアのプログレバンド、ラ・コシェンツァ・ディ・ゼノの2015年作
過去2作もじつにイタリアらしい濃密な傑作であったが、本作は20分を超える組曲2曲という構成。
オルガンにムーグシンセが鳴り響き、ややアクの強いイタリア語のヴォーカルで、
古き良きイタリアンプログレの叙情美を描き出す。哀愁の香りが強かった前作に比べて、
今作ではむしろキャッチーな抜けの良さも含んでいて、メリハリのある楽曲展開とともに
随所にヴァイオリンの音色や泣きのギターメロディが盛り上げる。しっとりと繊細な美意識とともに、
ドラマティックな味わいもぐっと強まっている。イタリアンプログレ好きは必聴の傑作でしょう。
ドラマティック度・・8 プログレ度・・8 イタリア度・・9 総合・・8
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La Coscienza Di Zeno 「Il Giro Del Cappio」
イタリアのプログレバンド、ラ・コシェンツァ・ディ・ゼノのライブ。2018年作
2016年オランダでのライブを収録。リリカルなピアノの旋律にオルガンを含むシンセとギターを重ね、
スタジオ盤以上に躍動感のあるアンサンブルで、優雅でヴィンテージなプログレサウンドを聴かせる。
2011年のデビュー作、2013年作「Sensitivita」からのナンバーに、2015年作「La Notte Anche Di Giorno」から
20分を超える組曲も披露。ときにエモーショナルに歌い上げるヴォーカルとともに、ドラマティックな展開力で
プログレらしい緩急ある大曲を描いてゆく。イタリアン・シンフォプログレ好きには至福の全72分のライブです。
ライブ演奏・・8 プログレ度・・8 優美度・・9 総合・・8
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La Coscienza Di Zeno 「Una Vita Migliore」
イタリアのプログレバンド、ラ・コシェンツァ・ディ・ゼノの2018年作
2011年にデビューし、本作が4作目となる。アコースティックギターのつまびきに優雅なピアノが重なり
艶やかなヴァイオリンとシンセを加えて、繊細な美しさに包まれたシンフォニックロックが広がってゆく。
やわらかなフルートにオルガンやムーグを含むシンセが、往年のイタリアンプログレの幻想的な香りを放ち、
メロウなギターが重なると、その優美な叙情にウットリとなる。イタリア語によるヴォーカルが加わると、
物語的なドラマ性を描くようなロマンティシズムに包まれ、ときにクラリネットやヴァイオリンによる
古楽的でもあるクラシカルな旋律も覗かせながら、プログレ的なアンサンブルで構築するセンスも素晴らしい。
12分の大曲も軽やかな展開力と叙情美が同居する。イタリアらしいシンフォプログレを求める方には必聴の傑作だ。
ドラマティック度・・8 イタリア度・・9 優美度・・10 総合・・8.5 
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Cristiano Filippini 「The First Crusade」
イタリアのシンセ奏者、クリスティアーノ・フィリッピーニの2011年作
ローマ帝国を舞台に十字軍遠征に参加した騎士の生涯を描くコンセプト作品。
壮麗なオーケストレーションに、ピアノシンセを中心にした優美なサウンドで、
ロック色の薄いサントラ的な作りは、プログレとしてのスリリングさには欠けるものの、
クラシカルなシンフォニー風の優雅な聴き心地である。ヨーロピアンなロマンを感じさせる作品。
シンフォニック度・・8 プログレ度・・7 壮麗度・・8 総合・・7.5





Cristiano Roversi 「Antiqua」
イタリアのミュージシャン、クリスティアノ・ロベルシの2012年作
MOONGARDENMangala Vallisにも参加したシンセ奏者で、ファンタジックなジャケに目を惹かれるが、
サウンドの方も、12弦ギターのやわらかなつまびきにピアノが優美な絡むイントロからしてじつに繊細である。
スティーヴ・ハケットを思わせるメロウなギター、そしてたっぷりと鳴り響くメロトロンにうっとりとなり、
13分の大曲では、ヴォーカルも加わって、GENESISルーツのロマンティックなシンフォニックロックが描かれる。
オルガンやムーグなど、古き良きプログレ感をかもしだすシンセも含めて、鍵盤シンフォ好きにはたまらないだろう。
打ち込みをバックに優しい叙情を描くところは、GANDALFあたりにも通じるか。優雅で幻想的な好作品だ。
ドラマティック度・・8 優美度・・9 叙情度・・9 総合・・8
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Crystal phoenix
イタリアのプログレハード、クリスタル・フェニックスの1989年作
軽めのギターとあか抜けない女性ヴォーカルの歌声で聴かせる、マイナー臭いプログレ・ハードロック。
1曲目などは80年代のNWOBHM的なカルトメタル風味もあるが、ギターのヨレっぷりはかなり微笑ましい。
フルートやピアノが優しく響く、アコースティカルな牧歌性もあったりと、ファンタジックな世界観はよい感じで、
うっすらとしたシンセワークとともに、むしろユルめの女性声アシッド・サイケシンフォとして楽しめたりもする。
ギターがアレなので、ハードな曲に難ありという…笑。2012年にオリジナルジャケで再発されている。
メロディアス度・・7 プログレ度・・7 女性Vo度・・7 総合・・7
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CRYSTAL PHOENIX「THE LEGEND OF THE TWO STONEDRAGON」
イタリアのプログレハード、クリスタル・フェニックスの2003年作
結成は80年代で、1989年にアルバムを出し後にしばらく解散していたのか、ここにきていきなり復活したらしい。
女性ヴォーカルで、ギターも女性、フルートも入り、ケルト・トラッド色もある…こう書くととても良さそうだが…いやはや、
ひどく微妙…というかえらくマイナー臭い。まず、ハードロックなのかプログレなのかあやふやで、ギターは時折メタリックなのだが
疾走したりヘヴィになるわけではなく、むしろピアノやフルートの入ったしっとり部分に魅力がある。
女性Voの声質はどうも素人くさく、あやうい音程の上、低血圧タイプ。中世っぽいイメージとトラッドな部分には好感がもてるが。
メロディアス度・・7 女性Vo度・・7 マイナー臭さ度・・9 総合・・7
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LA CURVA DI LESMO
イタリアのプログレユニット、カーヴァ・ディ・レスモの2015年作
LA COSCIENZA DI ZENOのステファノ・アグニーニ、FINISTERREHOSTSONATENのファビオ・ズファンティを中心に
IL TEMPIO DELLE CLESSIDREのギターやERIS PLUVIAのフルート、さらにはSAINT JUSTのジェニー・ソレンティ、ANALOGYのユッタ・ニーンハウス、
新鋭女性シンガーのBeatrice Antoliniといったディープなメンバーが参加、メロトロン、オルガンが鳴り響き、男女ヴォーカルの歌声を乗せ、
古き良きイタリアンロックの叙情性と、アンニュイでしっとりとした空気感に包まれたサウンド。17分、26分という大曲を含む全3曲という構成で、
「イタリア版Paatos」というような薄暗いヴィンテージ感と、フルートやストリングスが加わったクラシカルな優雅さはOPUS AVANTRAを思わせる。
往年のイタリアらしい妖しいかぎろいと混沌たる濃密な美しさというのを、ここまで表現できるメンバーたちの実力の高さに敬服する傑作である。
ドラマティック度・・8 プログレ度・・8 イタリア度・・9 総合・・8
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Daal 「Destruktive Actions Affect」
イタリアのプログレユニット、ダールの2011年作
TILION、COLOSSUS PROJECTのシンセ奏者と、NUOVA ERA、TAPROBANのドラマーの2人組。
SF映画を思わせるSEのイントロから、曲が始まると手数の多いドラムにメロトロンやムーグを含むシンセを乗せ、、
イタリアらしいホラーサントラ的でもあるダークでミステリアスなインストサウンドを展開する。
プログレ的な濃密さよりは、ストーリほにそって描かれるサントラ風味の作風なので、物足りなさはあるが、
16分の大曲では、ヴァイオリンが鳴り響きやわらかなピアノを含んだクラシカルな優雅さが前に出てくる。
ゴブリンやモルト・マカブルなど、ホラーサントラ系のプログレが好きな方なら、わりと楽しめるだろう。
ドラマティック度・・7 プログレ度・・7 イタリア度・・8 総合・・7.5
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Daal 「Dodecahedron 」
イタリアのプログレユニット、ダールの2012年作
TILION、COLOSSUS PROJECTに参加するシンセ奏者と、NUOVA ERA、TAPROBANなどに参加するドラマーの2人組。
オルガンやムーグ、メロトロンなどを含むシンセを中心に、薄暗くミステリアスな雰囲気をかもしだすサウンドで、
前作にも合ったホラーサントラ的なダークな世界観を描いてゆく。ANEKDOTENなどの北欧ブログレに通じるような涼やさと
随所に入るメロウなギターの旋律もよろしく、ゲストによるチェロやヴァイオリンが物悲しい音色を奏でる。
オールインストであるが、ギター入りで適度に重厚な感触と、古き良き音色のシンセワークが合わさった濃密な力作だ。
ドラマティック度・・8 プログレ度・・8 薄暗度・・8 総合・・8
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DAEMONIA「DARIO ARGENTO TIBUTE」
ダリオ・アルジェント作品のトリビュートバンド、デモニアの2000年作
アルジェントの作品といえば、「サスペリア」などホラー映画でおなじみだが、
このアルバムはそれらのセルフカヴァーを含む、サントラ曲をバンドで録音したもので、
GOBLINクラウディオ・シモネッティのシンセを中心にした、ダイナミックでハードな作風。
サントラうんぬんを別にしても、「ハードめのキーボードプログレ」として鑑賞に足る出来だ。
荘厳な女性スキャットや、ホラー的なゴシック調のメロディなど、ダークでありながらロックとしての躍動感がある。
メロディアス度・・8 ロック度・・8 キーボー度・・8 総合・・8
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DAEMONIA 「LIVE...OR DEAD」
クラウディオ・シモネッティ率いるデモニアのライブアルバム。2001年作
本作ではサスぺリア、シャドー、インフェルノ、フェノメナなどの映画用の楽曲をリアレンジし、
ライブならではの躍動感で、よりアグレッシブな演奏を聴かせる。
オペラティックな女性Voや壮大なオーケストラも入り、元曲を知らなくとも、
キーボードメインのシンフォニックハードプログレとして充分楽しめる。
ボーナスとしてスタジオバージョンの“HALLOWEEN”や“TUBULAR BELLS”も収録。
シンフォニック度・・8 プログレ度・・7 ライブ演奏・・8 総合・・8
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DAEMONIA 「ZOMBI of the DAWN DEAD」
クラウディオ・シモネッティ率いる、ダリオ・アルジェント・トリビュートバンド、デモニアによる、
GOBLINの名作として知られる「ゾンビ」のリメイクアルバム。2013年作
かつて「LIVE IN LOS ANGELES」のタイトルで出ていたボーナスDiscの単体再発盤。
シモネッティのシンセワークを中心に、ヘヴィなベースとドラム、ギターも加わった重厚なサウンドは、
かつてのサントラ作品からパワーアップした躍動感で、ヘヴィプログレとしての傑作に生まれ変わっている。
楽曲そのものの雰囲気は忠実に再現しているのも、かつてのゴブリンのファンにも嬉しいだろう。
ドラマティック度・・8 ヘヴィプログレ度・・8 重厚度・・8 総合・・8
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DALTON「Riflessioni: Idea D'infinito」
イタリアのプログレバンド、ダルトンの1973年作/邦題は「無限の概念への省察」
フルートが鳴り響き、アナログシンセの音色にややハード寄りのギターを乗せたアンサンブルで、
哀愁を感じさせるイタリア語のヴォーカルで聴かせるサウンド。フルートが鳴り響く牧歌性は、
Jethro Tullにも通じるブルージーで土着的な雰囲気もある。楽曲は4分前後とわりと短めながら
メリハリのある展開で濃密な味わいで、優雅なピアノやストリングスシンセによるシンフォニックなナンバーもいい感じだ。
ボーナストラックを除けば30分弱という短さなのだが、クラシカルな叙情と哀愁にハードなロック感触が同居した、
個性的なイタリアンプログレの逸品といえる。盤起こしなので、リマスター盤であっても音質的にいまひとつなのが残念。
ドラマティック度・・8 プログレ度・・8 イタリア度・・8 総合・・7.5
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DALTON 「EDEN」
イタリアのプログレバンド、ダルトンの2019年作
1973年のデビュー作「無限の概念への省察」は日本盤も出たのでご存知の方も多いだろう。1975年作を最後に消えたバンドの、
じつに44年ぶりとなる復活作。バグパイプの鳴り響くイントロから、やわらかなピアノに女性ヴォーカルのイタリア語の歌声を乗せ、
美しいストリングスシンセにフルート、男性ヴォーカルも加えて、往年のイタリアンロックを思わせる優美なサウンドが広がってゆく。
アコースティックギターによる牧歌的な味わいと、優しい男女ヴォーカルを乗せた、アシッドフォーク的な聴き心地もあり、
楽曲は3〜4分前後とわりとシンプルながら、オルガンやムーグシンセなどヴィンテージなプログレ感触も同居している。
70年代の作風とはやや異なるものの、シンフォニックなアレンジと素朴な牧歌性で楽しめる、耳心地の良い好作品です。
ドラマティック度・・7 プログレ度・・7 イタリア度・・9 総合・・8
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Dante Roberto 「The Circle」
イタリアのシンセ奏者、ダンテ・ロベルトの2017年作
クラシカルなピアノのイントロから、ネオクラシカルなギターを加えて、きらびやかなサウンドを聴かせる。
優美なシンセにアコースティックを重ねたパートから、疾走する様式美メタル風味も覗かせつつ、
アラン・ホールズワース風のギターを乗せたジャズロック風のナンバーなど、幅広い作風で楽しめる。
10分を超える大曲では、オルガンを弾きならし、流麗なギターをまじえて優雅なインストサウンドを構築。
シンセのみならず優れたテクニックのギタリストのプレイも聴きどころで、メロディックな心地よさに包まれた好作品。
ドラマティック度・・7 プログレ度・・7 優雅度・・8 総合・・8
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DE DE LIND 「Io Non So Da Dove Vegno...」
イタリアのプログレバンド、デ・デ・リンドの1972年作
仰々しいティンパニの響きで始まり、ツインギターによるブルージーな味わいを乗せた、
ハードロック寄りのサウンドに、朗々としたイタリア語のヴォーカルが重なる。
フルートやオルガンの音色が加わると、イタリアンロックらしい牧歌的な叙情性とともに
一方ではミステリアスで混沌とした空気感に包まれる。OSANNAあたりに比べると、
濃密さの点ではやや弱いものの、70年代イタリアの奥深さを表すような一枚といえるだろう。
ドラマティック度・・8 プログレ度・・7 イタリア度・・8 総合・・7.5
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DELIRIUM 「Dolce Acqua」
イタリアのプログレバンド、デリリウムの1971年作
アコースティックギターにイタリア語のヴォーカルを乗せた牧歌的な味わいで始まりつつ、
ピアノにフルートの音色を乗せたジャズロック的な軽やかなアンサンブルで
プログレ黎明期の濃密なアートロックを描いてゆく。ときにストリングスによるシンフォニックなテイストや
サイケ的な浮遊感に、素朴さとクラシカルな優雅さが同居した、イタリアらしい混沌とした味わいもあって、
クラシカルなピアノに奔放なフルートが鳴り響くナンバーなど、年代を考えればなかなか個性的なサウンドである。
次作以降もこの雑多な感じが続いてゆくのだが、新鮮さという点ではむしろ本作が一番かもしれない。
ドラマティック度・・7 プログレ度・・7 イタリア度・・8 総合・・7.5
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DELIRIUM 「Lo Scemo E Il Villaggio」
イタリアのプログレバンド、デリリウムの1972年作
クラシカルなピアノに、フルートが鳴り響き、アコースティックギターにメロトロンが加わって、
いかにもイタリアらしい濃密な味わいのサウンドを描き出す。一方ではアコースティカルな素朴さや
サックスが吹き鳴らされるジャズ風味の優雅でキャッチーな軽妙さも垣間見せる。
前作からジャズロック色が強まった感はあるが、次作につながるようなシンフォニックな叙情ナンバーや、
サイケやアートロックの感触も残していて、やはりイタリアらしいごった煮感に包まれた好作品だ。
ドラマティック度・・7 プログレ度・・7 イタリア度・・8 総合・・7.5
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DELIRIUM「V」
イタリアのプログレバンド、デリリウムの3rd。1974年作
邦題「同世代の群島への旅」。アコースティックギターにやわらかなフルートが絡み、
随所にオーケストラなどを効果的に使ったシンフォニックな美しさを強めている。
イタリア語によるいくぶん粗野なヴォーカルが耳につくが、繊細なフルートの音色や
メロトロンが鳴り響く叙情性に包まれて、ゆったりとした優しい素朴さに浸りつつ、
ブルージーで混沌としたイタリアンロックのテイストもしっかり残している。
ドラマティック度・・7 プログレ度・・7 イタリア度・・8 総合・・7.5
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DE ROSSI E BORDINI
イタリアのプログレユニット、デ・ロッシ・ボルディーニの2022年作
Taprobanのシンセ奏者、ジャンルカ・デ・ロッシと、CHERRY FIVEのドラム、カルロ・ボルディーニによるユニットで、
2007年の結成から、15年をかけて満を持して発表されたデビュー作。のっけから19分という大曲で、
イタリア語の語りで幕を開け、オルガンやムーグなどのヴィンテージなシンセが鳴り響き、生々しいドラムとともに
インストを主体にした濃密なキーボードプログレを聴かせる。2曲目も18分の大曲で、Taprobanの楽曲のリメイク。
曲が長いので部分的にダレるところもあるのだが、Le Ormeにも通じる古き良きイタリアらしい鍵盤プログレが味わえる。
後半2曲のボーナスはライブ音源になっていて、ルスティッケリ&ボルディーニのリメイクなど、往年のファンには嬉しいだろう。
ドラマティック度・7 キーボー度・8 イタリア度・8 総合・7.5
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DEUS EX MACHINA「DE REPUBLICA」
イタリアのプログレバンド、デウス・エクス・マキナの3rd。1994年作
2作目あたりを聴いたときには、技巧的であるあまりにメロディアスさがなく、やや荒っぽい印象だったのだが、、
この3rdは良い意味で聴きやすくまとめられている。もちろんイタリア独特の濃密さと、アヴァンギャルドな感性はそのままだが
ヴァイオリンやアコースティックギターによる叙情的な雰囲気もあり、変態的なジャズロック風味とメロディアスなプログレが
上手く組み合わさっている。テクニカルなシンフォとしても聴け、同時に変態プログレ好きも満足させられる内容だ。
メロディアス度・・7 プログレ度・・8 変態度・・8 総合・・8 ◆プログレ名作選入り
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DEUS EX MACHINA「EQUILIBRISMO DA INSOFFERENZA」
イタリアのテクニカルプログレバンド、デウス・エクス・マキーナの4th。1998年作/邦題「偏狭な曲芸」
たたみかけるような変拍子リズムに、うねりのあるベースと、エレピを含むシンセにサックスやトロンボーンが鳴り響く、
テクニカルなアヴァンジヤズロックで、アクの強いヴォーカルが乗ると、AREAのような濃密な聴き心地になる。
奔放に弾きまくるギターなど、フリーキーな演奏に圧倒されつつ、オルガンなどのシンセにブラスが重なり、
厚みのあるゴージャスなサウンドは、ピッキオ・ダル・ポッツォなどに比べると、わりと分かりやすい。
10分超えの大曲も多数あり、全72分という、ヘトヘトになる濃厚なアヴァン・ジャズロックの強力作。
テクニカル度・・8 プログレ度・・8 偏屈度・・9 総合・・8
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DEUS EX MACHINA「ciNque」
イタリアのテクニカルプログレバンド、デウス・エクス・マキーナの5th。2002年作
好事家の間では「これぞイタリア!」といった感じの変態的でテクニカルな演奏が愛されているこのバンド。
演奏には今や堂々たる大人の余裕が感じられ、そんな中にも偏屈かつひねくれたリズム、曲展開などには
相変わらずのユーモアがあり、聴いていてなかなか楽しい。フリーキーな突進力がやや抑え気味目なこともあり
前作に比べると、わりと聴きやすくなっている。プログレ的なシンセに、ヴァイオリン、そしてイタリア語の熱い歌唱と、
とても濃いのであるが、ときおりふっとやわらぐ部分で感じる哀愁もまたイタリア的かもしれない。
メロディアス度・・7 テクニカル度・・8 イタリア度・・9 総合・・8 
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Deus Ex Machina 「Imparis」
イタリアのプログレバンド、デウス・エクス・マキーナの2008年作
本作はCD+DVDの2枚組で、CDにはスタジオ録音された新録曲を、DVDには2006年フランス、パリでのライブ音源を収録。
ヴァイオリンにシンセ奏者を含む6人編成で、どっしりとしたベースが支えるアンサンブルにオルガンやエレピが鳴り響き、
イタリア語の歌声を乗せた、AREAを思わせるジャズロック風味を含んだスリリングなテクニカル性で構築されるサウンド。
優雅なヴァイオリンの音色もどこか地中海的で、おおらかな叙情性を感じさせ、変拍子たっぷりのリズムに乗るギターは
大人の渋さとオールドなロック感触を漂わせる。このバンドらしいアヴァンギャルドなセンスも随所に覗かせて、
一筋縄ではいかない偏屈な展開というのは、やはり玄人好みのサウンドと言えるだろう。とっつきはよろしくないが、
抜群の演奏力で描かれる独特のアヴァンプログレが味わえる。DVDのライブ映像もファンには必見といえるだろう。
ドラマティック度・・7 プログレ度・・8 イタリア度・・9 総合・・8
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Deus Ex Machina 「Devoto」
イタリアのプログレバンド、デウス・エクス・マキーナの2016年作
1991年デビューのベテランで、イタリアらしいテクニカル性とアヴァンギャルドなセンスを併せ持ったスタイルで、
これまでに6枚のアルバムを発表。本作は2008年作以来となる7作目で、わりとハードなギターにヴァイオリンが鳴り、
オルガンなどを含むシンセアレンジにイタリア語による濃密なヴォーカルを乗せたサウンドで、
変則リズムを含んだ偏屈な感触に大人の渋さが加わったという、独特の聴き心地は健在だ。
とくにギターのソロなどはブルージーなロック色を感じさせるフレーズで、ジャズロック的なアンサンブルとの
面白いコントラストを作っている。オルガンが鳴り響くノリのよいナンバーなど、わりとシンプルな聴き心地で
過去の作品に比べるとアヴァンギャルド性が薄まった分、いくぶん分かりやすいかもしれない。
ドラマティック度・・7 プログレ度・・8 イタリア度・・8 総合・・8 
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D.F.A. 「Lavori in Corso」
イタリアのプログレバンド、DFAの1996年作
軽妙なリズムにオルガンを含むシンセ、巧みななギターを重ね、イタリア語のヴォーカルとともに
GENTLE GIANTにも通じる屈折感のある優雅なテクニカル・プログレを聴かせる。
やわらかなメロトロンなどシンフォニックな叙情性も含ませつつ、とぼけたセンスと
先の読めない展開はなかなか楽しく、ラストの16分の大曲も緩急ある構築力が圧巻だ。
メロディアス度・・8 プログレ度・・8 テクニカル度・・8 総合・・8

DFA 「Duty Free Area」
イタリアのプログレバンド、DFAの1999年作
1996年にデビュー、本作は2作目で、アルバムタイトルがバンド名にとながっているのかは定かではないが、
軽やかなドラムにやわらかなシンセとメロウなギターを重ね、HAPPY THE MANなどにも通じる
テクニカルなプログレ・ジャズロックを聴かせる。イタリア語によるヴォーカルが加わるナンバーでは、
イタリアンロックとカンタベリーの融合したような優雅味わいで楽しめ、ときにAREAからの影響もいくぶん覗かせる。
10分前後の大曲を主体に、基本はインストをメインにした軽妙なサウンドで、しっかりとプログレらしさもある。
ラストの女性ヴォーカル入りのナンバーは、しっとりとしたシンフォプログレとしても鑑賞できる。
ドラマティック度・7 プログレ度・8 優雅度・8 総合・8 
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D.F.A.「4TH」
イタリアのプログレバンド、DFAの2008年作
1stの頃から、優雅でテクニカルなセンスが炸裂していたが、3作めとなる本作では見事な傑作を作り上げた。
軽やかなフュージョン的な質感を聴かせつつ、たおやかなフルートやプログレ的なハモンドなどのシンセが鳴り響き、
テクニカルなギターに絡むと、日本のKENSOなどを思わせる雰囲気もある。10分以上の大曲が3曲もあるが、
単なるテクニック大会に終わらず、しっかりとした構成力とメロディアスさが備わっているので聴き疲れしない。
ラスト曲は女性ヴォーカル入りで、シンフォニックなトラッド風味がしっとり耳に優しい。
テクニカルなプログレ風味とジャズロック風味のバランスがとれた見事な傑作だ。
メロディアス度・・8 プログレ度・・8 テクニカル度・・9 総合・・8.5
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I DIK DIK「suite per una donna assolutamente relativa」
イタリアンロックバンド、ディクディクの1972作/邦題「ある女性に捧げる愛の形」、通称「洗濯女」
ポップグループだった彼らが、プログレ的な壮大なキーボードワークを取り入れた異色の作品。
基本はゆったりとした牧歌的な歌ものアルバムであるが、メロトロンやムーグによる大盛り上がりの
バック演奏は、やや古くさい部分があるが、I POOHあたりに通じるものがある。
イタリアの歌もの系が好きな人には聴いて損はない作品。ジャケのインパクトはやっぱり凄いね(笑)。
メロディアス度・・7 プログレ度・・5 壮大度・・7 総合・・7
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DISTILLERIE DI MALTO 「Suono !」
イタリアのプログレバンド、ディスティレリー・ディ・マルトの2013年作
結成は80年代というバンドで、2001年にアルバムを発表してから、12年ぶりとなる2作目で、
イタリア語のヴォーカルとピアノを含むクラシカルなシンセに、フルートの音色が加わった、
かつてのBANCOあたりにも通じるような、いかにもイタリアらしいプログレサウンド。
優雅な軽妙さと古き良きイタリアンロックの感触が合わさった聴き心地で、
これという新鮮味はないのだが、クラシカルなメロディアス性とともに心地よく楽しめる。
歌もの的な濃密さやギターが入ってのヘヴィプログレ風味などもあってよい感じの好作です。
メロディック度・・8 プログレ度・・8 イタリア度・・9 総合・・8
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DIVAE「DETERMINAZIONE」
イタリアのプログレバンド、ディヴァエの1995年作
ツインキーボードをメインにした優雅なサウンドで、美麗なシンセにメロウなギターが重なり、
イタリアらしい叙情とクラシカルなメロディが楽しめる。スリリングなインストパートは、
バンコやイルバレにも通じる濃密な感触もあって、緩急ある展開力もなかなかのもの。
イタリア語によるヴォーカルが加わると、一気に古き良きイタリアンロックのロマンの香りに包まれる。
12分という大曲を構築する力量も含め、90年代以降のイタリア系シンフォの中でも出来がいい部類に入ると思う。
BALLETTO DI BRONZO
のジャンニ・レオーネ、OSANNAのリノ・ヴァイレッティがゲスト参加。ジャケはオレンジと緑の2種類ある。
メロディアス度・・8 プログレ度・・8 イタリア度・・9 総合・・8


DONELLA DEL MONACO「FRAGMENTS 1975-2002」
イタリアンロックの芸術、オパス・アヴァントラのヴォーカリスト、ドネラ・デル・モナコ
ドネラがバンド時代から歌った未発表曲集や幻のシングル曲等を集めたコンピレーション作品。
アヴァンギャルドでクラシカルなイタリアンロックを標榜していたOPUS AVANTRA
そのなかでも彼女の崇高にして妖艶な歌は、バンドの核であり聴くものになにごとかを訴えかけるエネルギーがあった。
今回のアルバムでは室内楽的な静謐な楽曲がメインだが、その中でもオペラ歌手でもあるドネラの歌声は
20数年の時を経てなお瑞々しく素晴らしい。期待していたシングル曲の「FLOWERS ON PRIDE」
残念ながらLPの盤起こしで音質が今ひとつ。この叙情的でタイトル通りに妖艶な花のような狂おしい美を備えた楽曲は
OPUS AVANTRAの2nd「LORD CROMWELL」にLPバージョンが収録されている。かつてはじめて聴いたとき身震いし、
戦慄さえ覚えたオパスアヴァントラの音楽。これを機にイタリアンロック奇跡の2枚、1st「INTROSPEZIONE」
2nd「LORD CROMWELL」が再評価され、多くの芸術を解するリスナーに聴かれることを望んでやまない。
クラシカル度・・8 崇高度・・9 女性Vo度・・9 総合・・8
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DONELLA DEL MONACO「SCHONBERG KABARETT」
イタリアの芸術的プログレバンド、OPUS AVANTRAのヴォーカル、
そしてオペラ歌手でもある、ドネラ・デル・モナコのソロ作。1979作
オーストリアの作曲家、アルノルト・シェーンベルクの楽曲にインスパイアされ、
ピアノをバックにドネラがドイツ語で歌う小曲集といった趣の作品。
若き頃の彼女の瑞々しい歌唱と、クラシカルな雰囲気がOPUS AVANTRAに通じるが、
プログレッシブで先進的な美しさではなく、あくまでクラシック的な音である。
クラシカル度・・8 プログレ度・・3 女性Vo度・8 総合・・7.5
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Doracor 「Segni Premonitori」
イタリアのシンフォニックロック、ドラコールの2nd。1998年作
シンフォニック大好き(らしい)コラド氏の一人プロジェクトで、1997年にデビューし、2作目となる。
きらびやかなシンセを中心に、ときにギターシンセのような旋律も加えた、インストサウンドで、
8分以上の曲がほとんどながら、どこを切っても優美でメロディアスな叙情に包まれている。
幻想的なシンセワークとともに、リズムチェンジによるほどよくスリリングな展開力もあり、
イタリアらしいロマンに溢れたサウンドが楽しめる。ラスト2曲は歌入りで、ドラマティックなキーボードシンフォが楽しめる。
シンフォニック度・・8 プログレ度・・7 キーボー度・・8 総合・・7.5
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DORACOR「TRANSIZIONE」
イタリアのシンフォニックロック、ドラコールの4th。2001年作
今作は9人ものメンバーによる大組曲をやっている。やわらかなシンセをメインに
ギター、ヴァイオリン、フルート、女性Voが長大な楽曲をゆるやかに盛り上げてゆく。
イタリアものにしては引きのパートの叙情が秀逸。26分、7分、17分の全3曲で、
ブックレットの中世の城のCGなどから、ファンタジックなトータルストーリーがあるものと思われる。
この手のマイナー系の中でもメロディの質は高く、甘い声質の男Voもこの音楽によくマッチしている。
ジャケの美しさもよいのだが、プロダクション的に低音(ドラム関係)が弱く、サウンドの迫力が半減しているのが惜しまれる。
シンフォニック度・・9 楽曲・・8 サウン度・・6 総合・・7.5
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DORACOR「EVANESCENCE」
イタリアのシンフォニックロック、ドラコールの5th。2005年作
相変わらずいかにもシンフォ愛好家を喜ばせる美しいシンセを中心に、今作では
5人のギタリストが参加していて、それぞれに味のあるギターワークを聴かせてくれる。
歌入りの曲もあるが、基本的には短めのインスト曲をメインにつなげた作品なので、
曲単位には物足りなさが残るが、ともかくも耳に心地よいシンフォサウンドではある。
シンフォニック度・・8 プログレ度・・7 ゆるやか叙情度・・8 総合・・7.5
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DORACOR「ONIRIKA」
イタリアのシンフォニックロック、ドラコールの6th。2007年作
以前に4作目を聴いたとき、いかにも個人プロジェクト的な印象だったのだが
今作では、ギターにヴァイオリン、サックス奏者も加わって、わりとバンドっぽくなった。
音の方は、ロマンティシズムにあふれた緩やかなシンフォニックロックで、
この手の叙情シンフォが好きなマニアならにんまりするに違いない。
相変わらず、全体的にはどことなくマイナーな安っぽさも漂っていて、
これといって突き抜けるようなドラマティックさはないのであるが、
泣きのギターに重なる美麗なシンセというお約束は耳に心地よいものです。
メロディアス度・・8 プログレ度・・7 ゆったりシンフォ度・・8 総合・・7.5
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Doracor 「Lady Roma」
イタリアのシンフォニックロック、ドラコールの2008年作
シンセ奏者のコラド・サルデラによるプロジェクトで、1997年にデビューし、本作は7作目となる。
イタリア語の語りによるイントロから、叙情的なギターの旋律に華やかなシンセを重ね、
軽やかなリズムにイタリア語のヴォーカルを乗せて、優美なシンフォプログレを聴かせる。
ときに優雅なサックスの音色も加わり、哀愁ある大人の叙情とともに、メロウな泣きのギターが響き渡る。
ムーグなどを含むいかにもプログレらしいシンセワークをメインに、リズム面での演奏力や緩急ある展開で、
前作までにあったマイナー臭さは払拭され、イタリアらしい優雅なシンフォニックロックが堪能できる逸品だ。
ドラマティック度・8 プログレ度・8 優美度・8 総合・8 

Doracor 「La Vita che cade」
イタリアのシンフォニックロツク、ドラコールの2011年作
キーボード奏者Corrado Sardellaを中心にしたユニットで、本作はすでに8作目となる。
グレゴリアンチャント風のイントロから始まる1曲めは12分の大曲で、メロウなギターと美しいシンセが重なり、
清涼感のあるシンフォニックロックサウンドが広がってゆく。イタリア語による叙情的なヴォーカル曲や
ヴァイオリンやサックスなども含んで、楽曲はあくまで優雅で繊細、ロマン溢れる世界観に浸れます。
シンフォニック度・・8 ロマン度・・8 イタリア度・・8 総合・・8
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Doracor 「Passioni Postmoderne Di Un Musicista Errante…」
イタリアのシンフォニックロック、ドラコールの2016年作
シンセ奏者のコラドセ・サルデラを中心としたプロジェクトで、1997年にデビュー、本作は5年ぶりとなる9作目。
アメリカの医学博士、ロバート・ランザの理論、世界の全ては人間の意識の産物であるという提唱をもとにした
2枚組のコンセプト作で、シネマティックなSEのイントロから、艶やかなヴァイオリンが鳴り響き、
きらびやかなシンセワークにイタリア語のヴォーカルを乗せて、優雅なシンフォプログレを展開する。
ときにオーケストラアレンジや、やわらかにサックスが鳴り響き、泣きの叙情ギターが甘美に奏でられる。
Disc2のラストは14分の大曲で、軽やかなアンサンブルとシンフォプログレの優美さが同居した聴き心地。
La Maschera Di Ceraのアレサンドロ・コルヴァグリア、Labyrinthのロベルト・ティランティなどがゲスト参加。
ドラマティック度・8 プログレ度・7 優美度・8 総合・8 
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La Dottrina Degli Opposti 「Arrivederci Sogni」
イタリアのシンフォニックロック、ラ・ドットリーナ・デッリ・オポスティ の2018年作
LA COSCIENZA DI ZENOのシンセ奏者によるプロジェクト、繊細なピアノにヴァイオリンが絡み、
クラシカルな優雅さに包まれたサウンドで、ジェントルなイタリア語のヴォーカルとともに、
古き良きイタリアンロックの牧歌的な叙情を描き出す。優美なピアノとシンセにストリングスが加わると、
PFMやスティッキエリ & ボルディーニなどを思わせる泣きの叙情が現れる。やわらかなフルートや
ムーグシンセによるヴィンテージな味わいも含めて、ゆったりとイタリアらしいシンフォニックロックを味わえる。
ジャケは小学生のお絵書きみたいだが、内容は繊細な美に溢れるクラシカルな逸品です。
クラシカル度・・8 プログレ度・・7 優美度・・9 総合・・8
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DROPSHARD 「Anywhere But Home」
イタリアのプログレハードロック、ドロップシャードの2011年作
シンセを含む5人編成で、適度にモダンでハードなギターとエモーショナルなヴォーカルで聴かせる、
キャッチーなポスト・プログレ・ハードロックというべきサウンド。裏声を使ったヴォーカルなどの繊細な叙情性は
ドイツのSylvanあたりにも通じる感触で、ピアノやオルガンを含んだ美しいシンセワークも随所に効いている。
ギターがリフを刻むところはメタルな聴き心地になるが、バックのシンセやマイルドなヴォーカルはあくまでやわらかく、
こうしたミクスチャーなボーダーレス感覚は、RiversideやPorcupine Treeなどのリスナーなどにも楽しめるだろう。
あとは、よりドラマティックな展開力や楽曲アレンジを向上してゆけば、さらによいバンドになると思われる。
ドラマティック度・・7 モダンプログレ度・・8 叙情度・・7 総合・・7.5
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DUNWICH「SUL MONTE IL TUONO」
イタリアのクラシカルゴシック、ダンウィッチの1994年作
ORDO EQUITUM SOLISといい、この時期のイタリアではこの手のゴシックサウンドがトレンドだったのだろうか?
うっすらとしたシンセをバックにに夢見がちな女性ヴォーカルがたゆたうような声をのせるサウンドで、
打ち込みのドラムやギターが入ってくると、いくぶんゴシックメタル的な感触にもなる。
2nd以降ではより大仰な世界観を描き始めるが、本作の時点では静謐パートが多く、
クラシカルな優雅さに包まれた聴き心地で、ゆったりとまどろむように楽しめます。
シンフォニック度・・7 クラシカルゴシック度・・7 女性Vo度・・7 総合・・7.5
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DUNWICH「IL CHIARORE SORGE DUE VOLTE」
イタリアの女性Vo入りクラシカルゴシック、ダンウィッチの2nd。1995年作
この2ndではヴァイオリン等の多数のゲストを迎えて、よりクラシカルな優雅さを増している。
前作からの静謐パートにゴシックメタル的な大仰さが加わって、楽曲はより濃密な雰囲気になった。
またときおりトラディショナルなメロディを配すなど、女性ヴォーカルの歌声を活かした部分もも増えている。
全体としては陰鬱さを残しつつも、どことなくさわやかなものも感じるという、不思議な世界観の作品だ。
シンフォニック度・・8 クラシカルゴシック度・・8 女性Vo度・・7 総合・・7.5
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DUNWICH「ETERNAL ECLIPSE OF FROST」
イタリアのゴシックバンド、ダンウィッチの3rd。1999年作
シンセ奏者と女性Voの二人を中心に、美しいシンセアレンジにメタリックなギターも加わって、
ゴシックメタル的な要素が増している。ゲストには、ヴァイオリン、チェロなどのストリングス隊やハープ、
ハーディ・ガーディなども参加、シンフォニックかつ優雅な音を聴かせてくれる。
たゆたうような女性ヴォーカルの歌声に、オペラティックな男性コーラスなどが加わり
牧歌的だった以前のアルバムよりもドラマティックな雰囲気が増してきている。
シンフォニック度・・8 ゴシック度・・8 メタル度・・6 総合・・8
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Dunwich「Heilagmanoth」
イタリアのゴシックプログレバンド、ダンウィッチの4th。2007年作
8年ぶりとなるアルバム。前作からぐっとメタリックな質感を増していたが、今作でもクラシカルなシンセにギターが絡み、
そこに女性ヴォーカルの歌声が乗ると、ほぼゴシックメタル的な雰囲気のサウンドである。
オーケストレイテッドなアレンジに混声コーラスが重なり、フルートやブズーキなどの管弦楽器も加わって、
オペラティックな雰囲気にはHaggardあたりに通じる質感もある。同郷のPRESENCEというバンドも思い出した。
適度な民族色もいいあんばいで、イタリアらし大仰さと、妖しく耽美な美しさで聴かせるアルバムだ。
シンフォニック度・・8 ゴシック度・・8 オペラティック度・・8 総合・・8
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E.A. Poe「Storia di Sempre」
イタリアのプログレバンド、エドガー・アラン・ポーの1974年作
ミステリー作家の名からとったバンド名に、怪しげな猿のジャケと、
イタリアンロック好きの間では幻のレアアイテムでもあった作品。
不穏な気配を漂わせるイタリア語のヴォーカルに、緊張感を含んだピアノ、
いくぶんハードでブルージーな感触のギターとともに聴かせるサウンド。
オルガンの使い方などはどこかブリティッシュロック的でもあり、
たとえばMARSUPILAMI あたりに通じるような、シアトリカルな雰囲気もある。
バンド名のようにミステリアスな世界観に、イタリアらしい叙情性も含んだ好作品。
ドラマティック度・・8 プログレ度・・8 イタリア度・・8 総合・・8
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EDERASettings for a Drama
イタリアのシンフォニックロック、エデラの2002年作
美しいピアノ、シンセアレンジに、英語なのにどうもクセのあるヴォーカルで
いくぶんシアトリカルな感触もあるサウンドは、ポーランドのABRAXASあたりにも通じる。
泣き泣きのギターがクサメロを奏で、その演歌ばりの情感過多の雰囲気に思わずニヤニヤ。
緩急のついた楽曲は、こけおどし的なアレンジがいかにもイタリアらしいロマンに溢れている。
クドいシンフォが嫌いな方には向かないが、個人的にはこの濃厚な感じは嫌いではありません。
シンフォニック度・・8 シアトリカル度・・8 やっぱりイタリア度・・8 総合・・7.5
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EGOBAND 「Tales From The Time」
イタリアのプログレバンド、エゴバンドの2016年作
1991年にデビュー、本作は2000年以来、16年ぶりとなる作品で、美しいシンセと叙情的なギターに
英語歌詞のヴォーカルを乗せた、キャッチーなプログレハード寄りのサウンドを聴かせる。
オルガンを含むシンセやブルージーな味わいのギターなど、ヴィンテージな感触も覗かせつつ
8〜10分前後の大曲を主体に、歌もの的なゆったりとした叙情パートから、プログレらしい展開力の
スケール感のあるインストパートをじっくりと構築する。アコースティックギターが響く繊細な味わいから、
ゆるやかな叙情の大人のシンフォプログレを聴かせるラスト曲まで、さほど新鮮さはないが優美な好作品。
ドラマティック度・7 プログレ度・7 大人の叙情度・8 総合・7.5
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Egonon 「Risveglio」
イタリアのプログレバンド、エゴノンの2011年作
アコースティカル要素を含んだ素朴さとモダンなヘヴィさを含んだサウンドは、
サックスやヴァイオリンなどの叙情性もあり、スタイリッシュなアレンジがとても現代的。
イタリア語の歌声にうっすらとメロトロンが鳴り響き、地中海的な哀愁を感じさせる雰囲気は、
IL VOLOの現代版という感触もある。一方ではAREAのようにバルカン的な躍動感も感じさせ、
なかなか個性的。じわじわとくる耳心地の良さがありつつもけっして古くさくないセンスは
新たなイタリアンプログレの形を描き出している。なにげに傑作というべき出来だ。
ドラマティック度・・8 モダンプログレ度・・8 イタリア度・・8 総合・・8
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ELETTROSMOG 「MONOLOCANDO」
イタリアのプログレバンド、エレトロスモッグの2006年作
ASTROLABIOの改名前のバンドで、ほどよくハードなギターにオルガンを含むシンセを重ね、
イタリア語による味わいのあるヴォーカルで、軽快なノリのあるキャッチーなサウンドを聴かせる。
古き良きイタリアンプログレの混沌とした部分を感じさせつつ、ピアノによる優美な感触など、
メリハリある構築力とともに、わりとスタイリッシュに仕上げているのがセンスの良さだろう。
テクニカルな部分とロックとしてのシンプルなキャッチーさ、フルートが鳴り響く牧歌的な味わいも覗かせつつ、
偏屈でとぼけたセンスとイタリアらしい濃密さが、バランス良く同居した高品質な作品です。
ドラマティック度・・8 プログレ度・・8 イタリア度・・8 総合・・8

Elisa Montaldo 「Fistful Of Planets Part I」
Il Tempio Delle Clessidreの女性シンセ奏者、エリサ・モンタルドのソロ。2015年作
古き良きイタリアンプログレの世界観を描く、イル・テンピオ〜に比べて、こちらはジャケの雰囲気からも窺えるように
いくぶんゴシックテイストの雰囲気に包まれたアンビエントな作品。ネオフォーク的な優美な味わいに、
エリサ嬢の繊細なタッチのピアノにやわらかなシンセが、しっとりと幻想的な世界観を描いてゆく。
ロック色は薄いのでプログレとして聴くには退屈かもしれないが、彼女の美しい歌声を乗せたナンバーも含め、
ゆったりとした優美なサウンドが楽しめる。マティアス・オルソンがドラムやメロトロンでゲスト参加している。
ドラマティック度・・7 プログレ度・・6 しっとり度・・8 総合・・7.5
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ELISA MONTALDO 「FISTFUL OF PLANETS PART II」
イタリアの女性シンセ奏者、エリサ・モンタルドのソロ。2021年作
Il Tempio Delle Clessidreのシンセ奏者で、2015年のソロに続く2作目。
ラジオから聴こえるようなシャンソン的なイントロ曲で幕を開け、優美なピアノとシンセの重なりに
英語による自身の美しい歌声を乗せて、幻想的なサウンドを描く。やわらかなフルートの音色に
クラシカルなピアノ、ストリングスやハープが絡み、メロトロンなどのシンセが加わった、優雅な耳心地にうっとりとなる。
日本のSSW、富山優子の詠む俳句から始まる美麗なナンバーや、12分の組曲では、しっとりと繊細かつコケティッシュな幻想性から、
エキセントリックな世界観も覗かせるなど、前作以上にアーティスティックな魅力に溢れている。Mandalabandのホセ・マヌエル・メディナ、
Anglagard、White Willowのマティアス・オルソン、スペイン人ギタリスト、ラファエル・パシャなどがゲスト参加。
クラシカル度・8 プログレ度・7 優美度・9 総合・8 


Ellesmere 「Les Chateaux De La Loire」
イタリアのシンフォニックロック、エレスメーレの2015年作
TAPROBANRoberto Vitelliによるプロジェクトで、フランスのロワール渓谷周辺の古城をテーマにしたコンセプト作。
美しいシンセにアコースティックギター、やわらかなフルートの音色で、しっとりと聴かせる牧歌的なサウンド。
優美でシンフォニックなアレンジと、アコースティックで素朴な味わいが合わさったインストを中心にした楽曲は、
涼やかな風やあたたかな日差しを感じさせ、中世の空気感を描くような幻想的な味わいも楽しめる。
ドラムやエレキギターが入らないので、プログレ、ロック色は薄いものの、Anthony Phillipsなどに通じる、
繊細な美意識にうっとりと浸れる。ゲストにはそのアンソニー・フィリップスに、ジョン・ハケット、
Racomandata Ricevuta Ritornoのルシアノ・レゴーリ、RanestRaneのダニエレ・ポモが参加している。
ドラマティック度・・7 プログレ度・・7 優美度・・9 総合・・7.5
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Ellesmere 「II: From Sea and Beyond」
イタリアのシンフォニックロック、エレスメーレの2018年作
TAPROBANのロベルト・ヴィテッリによる プロジェクトバンドで、本作は2015年作に続く2作目。
TAPROBANのシンセ奏者とRANESTRANEのドラムをメンバーに、プログレらしいきらびやかなシンワセワークに
変拍子を含んだアンサンブルで、インストをメインにした優雅なシンフォニックプログレを構築する。
10分を超える大曲のインストも、叙情的なギターフレーズとシンセを重ねた優美な聴き心地で、
ロバー・ベリーが参加しての歌ものナンバーも、アルバムの中でアクセントになっている。
優雅な叙情に包まれた好作品です。トレイ・ガン(元KING CRIMSON)、デヴィッド・ジャクソン(元VDGG)、
キース・ムーア(元ARENA)、ダヴィー・オーリスト(元THE NICE)などがゲスト参加。
シンフォニック度・・8 プログレ度・・8 優美度・・9 総合・・8 過去作のレビューはこちら
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EMILIO LOCURCIO 「L'Eliogabalo」
イタリアのアーティスト、エミリオ・ルクレチオの1977年作
アヴァンギャルドなジャケのインパクトが印象深いが、サウンドの方もなかなか個性的である。
イタリア語による語りのような歌声に、美しいシンセアレンジと、ときにハードなギターが絡み、
万華鏡のように展開してゆく濃密なプログレ・ロックオペラ。小曲を主体に連ねた作風ながら、
ピエロ・リュネールのメンバーが参加していることもあって、アコースティックなパートを含む、
緩急のある楽曲構成とともに、随所に妖しく芸術的なセンスが炸裂している。
ときに早口になったりとシアトリカルなヴォーカルのインパクトもかなりのもので、
配役によって女性ヴォーカルも加わって、演劇的な雰囲気に包まれた空気感が楽しめる。
ドラマティック度・・8 プログレ度・・8 イタリア度・・9 総合・・8
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EMPIRE「BACK TO KNOWLEDGE」
イタリアのプログレユニット、エンパイアの1994年作
キーボード、ドラム、女性ヴォーカルという3人組みで、基本はELPスタイルのサウンド。
軽快なリズムの上をキーボードが弾きまくる、好き者にはたまらない雰囲気だが、
女性VoはハスキーなアメリカンAOR的で、これを面白いととるかミスマッチととるか微妙なところ。
アンサンブルの軽さも、プログレ的なキーボードに比してややモダンすぎる気もする。
“TOCCATA”のパロディのような曲や、“はげ山の一夜”をアレンジした曲もあるが、やはり軽い(笑)
メロディアス度・・8 キーボー度・・8 女性Vo度・・7 総合・・7.5
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Empty Days
イタリアのプログレバンド、エンプティー・デイズの2013年作
YUGENのギタリスト、フランチェスコ・ザゴとシンセ奏者のスケ・ボッタを中心にしたバンドで、
本作はやわらかなシンセアレンジに男女ヴォーカルの歌声で聴かせる繊細なシンフォニックロック。
たおやかなピアノの音色にうっすらとしたメロトロンが重なり、幻想的な美しさに包まれつつも、
曲によってはダークなチェンバーロック色も覗かせる。楽曲の節々にはクラシカルな優雅さを垣間見せ
物悲しいチェロの音色をバックにしたヴォーカル曲やオペラティックな女性ソプラノのナンバーなど、
YUGENともNot a Good Signともやや異なる方向性で、こちらはよりアトモスフェリックな作風と言えるだろう。
POPOL VUHHENRY COWなどにも通じるようなナンバーもあり、妖しい世界観に浸れる異色作である。
ドラマティック度・・7 クラシカル度・・8 繊細度・・8 総合・・8
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Enima 「Inconsapevole Viaggio」
イタリアのプログレバンド、エニマの2012年作
シンセを含む5人編成で、女性ヴォーカルによるイタリア語の歌声と、
美しいシンセアレンジ、随所にアコースティカルな叙情も含んだやわらかなサウンド。
全体的に派手な展開というのはないものの、フルートの音色なども含めて、
繊細な美意識に包まれた作風をゆったりと楽しめる。5分前後の楽曲が中心ながら、
ラストは10分を超える大曲でなかなか聴き応えあり。可愛らしいイタリアンシンフォという趣の好作品。
ドラマティック度・・7 叙情度・・8 イタリア度・・8 総合・・7.5
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Entity 「Il Falso Centro」
イタリアのプログレバンド、エンティティの2013年作
やわらかなピアノによるイントロ曲から、テクニカルなリズムに、ムーグやオルガンを含むシンセワークと、
メロディックなギター、イタリア語によるマイルドなヴォーカルを加えたサウンドで、古き良きプログレ感触と、
優美なシンフォニック性を同居させた作風。16分の大曲などは、わりともったりとした展開なのがB級シンフォらしく、
叙情的で耳心地はよいのだが、長尺ぎみのアレンジがときおり退屈に聴こえてしまうのが惜しい。
曲によっては適度にハードな質感もあったしてり、テクニカルなシンフォハードとしても楽しめるところも。
クラシカルなピアノや美麗なシンセアにはセンスを感じるので、楽曲とアレンジの質を高めてゆけばいいバンドになりそう。
ドラマティック度・・8 プログレ度・・7 優雅な叙情度・・8 総合・・7.5
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Equipe84 「ID」
イタリアンロックバンド、エキペ84の1970年作
60年代にビートポップバンドとして人気を博したバンドが、時代の流れのプログレ志向で制作したアルバムで、
怪しげなハーカッションとフルートの響きから始まりつつ、楽曲そのものはポッブなキャッチーさがあり、
オルガンやメロトロンをバックにして、ビートルズなどを思わせる牧歌的な歌メロで聴かせるサウンド。
優雅なチェンバロの響きはフォークロック的でもあり、イタリア語による優しいヴォーカルも耳心地良い。
プログレ黎明期のアートロック、あるいはProcol Harumのイタリア版という感じもする好作品だ。
PFMのフランツ・ディ・チョチョがドラムで参加しているという点も見逃せない。
キャッチー度・・8 プログレ度・・7 イタリア度・・8 総合・・7.5
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ERIS PLUVIA「Rings of Earthly Lights」
イタリアのシンフォニックロックバンド、エリス・プルヴィアの1991年作
指輪物語をコンセプトにした繊細な作品で、美しいフルートの音色にサックスが合わさり
メロウなギターに、しっとりとしたピアノ、シンセなどでゆったりと聴かせるサウンドは、まさに夢見心地。
美しいジャケのセンスも素晴らしいが、優しい音作りでこれだけ世界観を表現できるというのもまた素晴らしい。
GANDALFなどを思わせる自然派のヒーリング感覚と、アコースティカルな美意識にもうっとりだ。
やわらかシンフォ度・・9 繊細度・・9 イタリア度・・7 総合・・8
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Eris Pluvia 「Third Eye Light」
イタリアのシンフォニックロック、エリス・プルヴィアの2010年作
1991年に1枚のアルバムを残して消えたバンドの、19年ぶりとなる復活作。
美麗なシンセアレンジにメロウなギターを乗せて繊細な叙情を描くシンフォニックロックで、
マイルドな男性ヴォーカルをメインに、ときにゲストによる女性ヴォーカルの歌声も加わると、
その優美な聴き心地にうっとりとなる。イタリア的な濃密さやスリリングなプログレ性は薄いが、
ストリングスも加わったクラシカルなアレンジなども含め、しっとり優しい耳心地の好作品です。
シンフォニック度・・8 プログレ度・・7 優美度・・9 総合・・7.5
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ERIS PLUVIA 「Tales From Another Time」
イタリアのプログレバンド、エリス・プルーヴィアの2019年作
1991年に1作を残して消えたバンドが、2010年になって復活、本作は復活後3作目となる。
ジャケの雰囲気はいかにもB級シンフォのようだが、やわらかなピアノにフルートの音色、メロウなギターの旋律も加わって、
優美なシンフォニックロックを聴かせる。繊細なシンセワークとともに英語歌詞のヴォーカルが加わると、イタリアというよりは、
Genesisルーツの感触で優しい幻想美に包まれる。女性声も加えて、しっとりと聴かせる17分の大曲も、総じてやわらかな耳心地で
ゆったりとした叙情美を楽しめる。もう少しドラマティックな展開が欲しい気もするが、優美な繊細系シンフォプログレの逸品です。
ドラマティック度・・7 プログレ度・・7 優美度・・9 総合・・8 



ERRATA CORRIGE 「SIEGFRIED, IL DRAGO E ALTRE STORIE」
イタリアのプログレバンド、エッラータ・コッリジェの1976年作/邦題「ジークフリート、ドラゴンとその他の物語」
アコースティックギターに優美なフルート、ピアノの音色、イタリア語による優しいヴォーカルを乗せた牧歌的なサウンドで、
10分に及ぶ組曲「騎士たちの城塞とルカノールの森のドラゴン」では、ムーグを含む美しいシンセワークとともに、
幻想的なシンフォニックロックを展開する。アコースティックによるパートも多いので、派手な盛り上がりはないのだが、
やわらかなフルートの音色など、チェレステなどにも通じる繊細な美意識に包まれた世界観に、しっとりと浸ることができる。
2015年には本作をリメイクした作品も発表していて、こちらもじつに素晴らしい出来である。
ドラマティック度・8 プログレ度・7 優美度・9 総合・8
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ERRATA CORRIGE 「Mappamondo」
エッラータ・コッリジェの1992年作/邦題「世界地図」
1976年以来、16年ぶりとなる2作目で、1975年に録音していたマテリアルをもとに作られたコンセプト作品。
1st発表後、シンセ奏者のマルコ・チミーノはアルティ・エ・メスティエリに参加、さらにはエザーゴノを結成して活躍、
本作には、それら関連メンバーも参加。フルートやアコーディオンを使ったイントロから、アコースティックを含むギターにシンセを重ね、
シンフォニックなジャズロックという優雅なインストを展開。アルバム後半では、アルティのアルトゥーロ・ヴィターレがヴォーカル&サックス、
ヴェネゴーニ&Coのベース、エザーゴノのドラムが参加して、よりジャズロック色の濃いサウンドを聴かせる。
ドラマティック度・7 ジャズロ度・8 優美度・8 総合・8
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ERRATA CORRIGE 「Siegfried Il Drago E Altre Storie」
イタリアのプログレバンド、エラータ・コリージの2015年作
オリジナルメンバーが集結し、1976年作をリメイクした作品で、アコースティックギターにやわらかなフルート、
サックスが鳴り響き、イタリア語による優しい歌声を乗せた、繊細な叙情美に包まれたサウンド。
メロトロンを含むシンセにクラシカルなピアノ、メロウなギターによるリリカルな美しさとともに、
古き良きイタリアンロックの素朴さを残しつつも、よりシンフォニックな優雅さが際立っている。
ジャケの美しさも含めて、幻想的な味わいをそのまま新鮮に蘇らせたという点でも、素晴らしい作品となった。
DVDには、本作のスタジオライブを収録。往年のイタリアンロックファンには歓喜のリメイクだろう。
ドラマティック度・・8 優美な叙情度・・10 イタリア度・・9 総合・・8.5
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ESAGONO 「Vocolo」
イタリアのジャズロック、エサゴノの1976年作
ARTI E MESTIERIのベース、マルコ・ガレージらによバンドで、フルート、サックスが鳴り響き、
オルガンやピアノを含むやわらかな鍵盤を乗せたアンサンブルで、大人のジャズロックを聴かせる。
楽曲にはアルティほどの超絶な派手さはないのだが、ときにヴァイオリンも加わったり、
ムーグンセも鳴り響くプログレ的なアプローチも垣間見せる。ドラムはフリオ・キリコの弟子らしく、
手数も多くパワフルなプレイでバンドの屋台骨を支えている。全体的にも演奏のレベルは高く、
カンタベリー風の優雅さもあったり、玄人好みのジャズロックといえる。ARTI のジシ・ヴェネゴーニもゲスト参加。
ジャズロック度・・8 プログレ度・・7 イタリア度・・7 総合・・8
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Esagono 「2」
エサゴノの2007年作
1作を残して消えた、アルティ関連のジャズロックバンドの未発曲とライブ音源を収録したアルバム。
2曲のスタジオ音源は1979年の録音、テクニカルなドラムに、サックスなどのブラスとキーボード、
ギターが重なって厚みのあるサウンドで、アルティに通じる優雅なジャズロックを聴かせる。
ライブは1977年の音源で、フリーキーなサックスが鳴り響き、巧みなギターにエレピが絡んで、
躍動感のあるアンサンブルを描いている。音質的にはいかにも発掘音源的なラフな感触だが、
アルティの裏に隠れたマイナーバンドであっても、そのレベルの高さをしっかりと再認識させられる。
ジャズロック度・・9 イタリア度・・8 音質・・7 総合・・7.5
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ESAGONO 「Apocalypso」
エサゴノの2008年作
1作を残して消えた、アルティ関連のジャズロックバンドのじつに32年ぶりとなる2作目。
優雅に鳴り響くサックスにフルートの音色を乗せ、落ち着いた味わいの大人のジャズロックを聴かせる。
確かなテクニックのドラムをはじめ、軽妙なアンサンブルによる演奏は、派手さはないものの
洗練されたジャズテイストをロック寄りのダイナミクスで構築していて、とても耳心地がよい。
曲によっては、サックスからクラリネットに持ち替えて、優美なやわらかさで繊細な叙情も描いていて、
シンセの入った曲ではプログレ的な感触も含んで、オールインストながらなかなか楽しめる好作品だ。
ジャズロック度・・8 プログレ度・・7 大人の演奏度・・9 総合・・8
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L'ESTATE DI SAN MARTINO 「ALDER」
イタリアのプログレバンド、エスターテ・ディ・サン・マルティノの2006年作
1978年にシングルを1枚出して消えたバンドで、本作は1983年の未発ライブ音源を収録。
12弦ギターのつまびきにやわらかなフルートの音色、シンセにイタリア語のヴォーカルも加えた、
ウェットな叙情に包まれたサウンド。ギターが二人いるので、エレキと12弦アコースティックが同居して
シンセも加えた厚みのあるアンサンブルで、ヴォーカル以外はマイナーなB級感はあまりない。なにより、
80年代のライブなのに、70年代の生き残りのようなロマンを感じさせるプログレを演奏しているのも好感が持てる。
本作の後、バンドは2007年に復活のスタジオアルバム「Febo」を発表。そちらもたおやか系シンフォの逸品です。
ライブ演奏・・8 プログレ度・・7 イタリア度・・8 総合・・8 
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L'ESTATE di san MARTINO 「febo」
イタリアのシンフォニックロックバンド、エスターテ・ディ・サン・マルティノの2007年作
たおやかなピアノの音色にイタリア語の叙情的なヴォーカル、それをうっすらとしたシンセが包み込む、
じつに繊細なシンフォニックサウンド。イタリア的なメロディにこだわりながらも、音には押しつけがましいところはなく、
時間の流れを忘れるようなゆるやかな幻想美にはうっとりとなる。アコースティカルな風味もあり、
美しいピアノ、フルートなどに耳を傾けつつ10曲目には女性ヴォーカルもでてきて、しっとりと聴かせてくれる。
シンフォニック度・・8 たおやか度・・9 イタリア度・・9 総合・・8
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L'Estate Di San Martino 「Esm #40」
イタリアのシンフォニックロックバンド、エスターテ・ディ・サン・マルティノの2015年作
70年代に活動しアルバムを残さぬまま消滅したバンドが、2007年に復活、本作は復活後3作目となるアルバム。
やわらかなフルートが鳴り響き、ピアノのつまびきに12弦ギターの響き、サックスなども加わった、
アコースティックなアンサンブルで聴かせる優雅なサウンド。シアトリカルなイタリア語の語りや、
ときに女性ヴォーカルの歌声も加わった優美な聴き心地にうっとりとなる。全体的には、12弦ギターやピアノ
サックスやフルートなどによる繊細なインストパートがメインなので、プログレ的な高揚感は薄いのだが、
アコースティックな優しさに包まれたサウンドが耳に優しい。のんびりとやわらかな叙情に浸れる好作品です。
ドラマティック度・・7 プログレ度・・7 繊細度・・9 総合・・8
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ETNA「ETNA」
イタリアのプログレ・ジャズロックバンド、エトナの1975年作
イタリアといえば、超絶技巧ジャズロックバンドARTI+MESTIERIがまず有名だが、
このバンドは派手さではアルティに譲るものの、クオリティの面では充分互角に立ち合える。
非常に作りこまれた緻密な楽曲は、テクニカルで硬質な印象とともに緊張感に満ち、
4人のメンバーの完璧なアンサンブルが一体となって凄まじい音のテンションを形作ってゆく。
ギターが奏でるメロディの質感には時にハードロック色もあり、テクニカルハードのリスナーすらも
唸らせることうけあい。硬質系のイタリアンジャズロックとしては屈指の完成度の傑作です。
メロディアス度・・7 ジャズロック度・・9 テクニカル度・・9 総合・・9◆プログレ名作選入り
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EUTHYMIA 「L'ultima Illusione」
イタリアのプログレバンド、ユーセイミアの2010年作
イタリア語の語りによるコンセプト的なイントロから、オルガンなどを含むきらびやかなシンセと
クラシカルなピアノを乗せた軽やかなアンサンブルで、優雅なシンフォプログレを展開する。
コケティッシュな女性ヴォーカルが加わると、NARROW PASSのような優雅な味わいになり、
しっとりとした叙情性とともに、ときに語りによる小曲を挟みつつ、物語的な流れで進行してゆく。
中盤は語りや小曲が多く、楽曲自体の方に、もう少し明快なフックが欲しいと思いつつ、
ラスト3曲の流れはなかなかドラマティックで、これぞシンフォプログレという展開で盛り上げる。
ドラマティック度・8 プログレ度・7 優雅な叙情度・8 総合・7.5
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EVELINE'S DUST 「The Painkeeper」
イタリアのプログレバンド、エヴェリンズ・ダストの2016年作
2013年にデビュー、本作は2作目となる。若手の4人組で、オルガンを含むシンセにわりとハードなギターを重ね、
変則リズム入りの軽妙なアンサンブルと優雅なメロディアス性が同居した、スタイリッシュなサウンドを聴かせる。
英語によるジェントルなヴォーカルや、やわらかなエレピ、流麗なギターフレーズなど、キャッチーな抜けの良さと
緩急ある知的な構築力は、The Tangentなど英国系のスタイルに近い。ほどよいテクニカル性もありつ、
ゲストによる女性コーラスやサックスが鳴り響き、繊細なシンセワークとともにあくまでも優雅な耳心地で
派手なインパクトこそないが、全体としての完成度の高さが光る。今後に期待の新鋭バンドでしょう。
ドラマティック度・・7 プログレ度・・8 優雅度・・9 総合・・8
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EVELINE'S DUST 「k.」
イタリアのプログレバンド、エヴェリンズ・ダストの2019年作
3作目の本作は、オリジナルストーリーに基づいたコンセプト作品で、ほどよいハードさと軽妙なアンサンブルで、
スタイリッシュなプログレを聴かせるところは前作同様。エレピやムーグ、オルガンなどのヴィンテージなシンセと
随所にメロディックなギターを乗せて、カンタベリー的でもある優雅さに包まれた、シンフォニックロックが楽しめる。
ヴォーカルパートでのシリアスな味わいが強まったことで、ストーリー性のあるドラマティックな流れとともに、
テクニカルなインストパートの対比で、サウンドの奥行きがぐっと増した印象だ。女性ヴォーカルによる小曲も、
アルバムの中でアクセントになっており、若手らしい演奏力の高さと、泣きに走り過ぎないクールなセンスも絶妙だ。
ドラマティック度・・8 プログレ度・・8 優雅度・・9 総合・・8
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EZRA WINSTON「ANCIENT AFTERNOOMS」
イタリアのプログレバンド、エズラ・ウインストンの1990年作
1990年という非常な微妙な時期に1枚のアルバムを残して消えたバンド。
しかし本作のクオリティたるやハンパではなく、当時LPのみで出ていたものが近年ついにCD化された。
このバンドのサウンドはPFM的なイタリアの叙情を南米シンフォにも通じる熱情で再現したものといっていい。
吹き鳴らされるフルート、躍動するリズムに乗る美しいシンセとメロディアスなギター、
インストパートでのダイナミズムとイタリア語の歌声で聴かせる叙情溢れる要素が合わさり、
70年代のイタリアンロックを理想的な形で昇華させたというべきサウンド。素晴らしい傑作である。
シンフォニック度・・8 プログレ度・・8 イタリア度・・8 総合・・9
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La Fabbrica Dell'Assoluto 「1984:L'Ultimo Uomo D'Europa」
イタリアのプログレバンド、ラ・ファブリカ・デル・アソルトの2015年作
ジョージ・オーウェルの小説「1984」をテーマにしたコンセプト作で、オルガンやムーグシンセが鳴り響き、
わりとハード寄りのギターとともに、70年代イタリアンプログレの混沌とした濃密さを蘇らせたようなサウンド。
かき鳴らされるハモンドのくぐもった音色にミニムーグ、メロトロンと、ヴィンテージなこだわりを感じさせる鍵盤に、
伸びやかなイタリア語の歌声が重なり、かつてのイルバレばりの聴き心地に思わずニヤニヤとしてしまう。
組曲のように小曲が次々に連なってゆく構成なので、一曲ごとの味わいはやや物足りないところもあるのだが、
後半には12分を超える大曲では、じっくりと聴かせる叙情パートも含んだ、ドラマティックな仕上がりとなっている。
ドラマティック度・・8 プログレ度・・8 イタリア度・・9 総合・・8
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Fabio Ranghiero「Water」
イタリアのミュージシャン、ファビオ・ラングヒエロの2014年作
やわらかなシンセワークを主体に、優美なピアノにフルート、ときにマイルドなヴォーカルを乗せ、
ヴァイオリンやチェロなども加えたクラシカルな優雅さに包まれる、繊細なシンフォニックロック。
アコースティックギターにシンセとストリングスを重ね、ゆったりとした叙情美を描くところは、
MIKE OLDFIELDあたりにも通じる、自然派の優しい耳心地で、優しいフルートの音色にもウットリ。
一方では、エレクトロなアレンジのROXY MUSIC風のナンバーも、うっすらとしたシンセが包み込む
あくまで美麗なサウンドを描いてゆく。ラストはクラシカルなピアノの旋律で、しっとりと幕を閉じる。
クラシカル度・・8 プログレ度・・7 優雅で繊細度・・9 総合・・8
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Fabio Zuffanti

イタリアのミュージシャン、ファビオ・ズッファンティのソロ。2009年作
FINISTERRE、HOSTSONATEN、LA MASCHERA DI CERA、など多くのバンドで活躍するミュージシャンで、
本作はうっすらとしたメロトロンの響きとともに、しっとりと聴かせる繊細でアンビエントな作風。
デジタルなアレンジも入ったモダンなサウンドは、Nosoundなどにも通じる、いわゆる薄暗系ポストプログレの雰囲気で、
とても耳に優しい。プログレらしいプログレは他のバンドでやっているので、ソロではこういう路線もやりたいのでしょう。
シンフォニック度・・7 プログレ度・・7 しっとり度・・8 総合・・7.5
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Fabio Zuffanti 「Ruggine, 1992-2011」
イタリアのミュージシャン、ファビオ・ズファンティのレアトラックス集。
FINISTERRE、HOSTSONATEN、LA MASCHERA DI CERAなど、多くのプロジェクトで活躍するミュージシャン、
本作は1992〜2011年までに作られたデモや未発音源など14曲を収録したCDR仕様で、世界100枚の限定盤。
ソロの未発曲をメインに、HOSTSONATENのデモや、ロックオペラ、MERLINの日本盤収録ボーナスの大曲、
さらには女性Voシンフォ、Ariesの音源なども収録。メロウなギターにメロトロンなどの優美なシンセ、サックスやフルートなどを加えての
室内楽色なども含みつつ、モダンなポストプログレ風味やアンビエントなナンバーなど、ミュージシャンとしての懐の深さが窺える内容だ。
ドラマティック度・7 プログレ度・7 優美度・8 総合・8 

Zuffanti 「La Quarta Vittima」
イタリアのプログレアーティスト、ファビオ・ズッファンティの2014年作
本作はドイツの作家、ミヒャエル・エンデの小説「鏡の中の私」にインスパイアされたという作品。タイトルは「四人目の犠牲者」
イタリア語の語りによるイントロから、オルガンやフルートが鳴り響く、マスケーラ・ディ・セラなどを思わせる、
ミステリアスな雰囲気に包まれたサウンドが展開される。うっすらとしたメロトロンの薄暗い叙情美と、
ムーグシンセなどのヴィンテージな感触に、エキセントリックなドラマ性を感じさせる空気感がじつにイタリアらしく、
ホラー系のサントラにも通じる確信犯的な聴き心地。サックスやピアノによる優雅なジャズ色も随所に含んだ大人の味わいは、
おそらくファビオ自身のキャリアの成熟も表しているのだろう。メロトロンにかぶさるメロウなギターフレーズなど、
シンフォニックな要素もしっかりと織り込まれていて、落ち着いて鑑賞できるイタリアン・シンフォの逸品に仕上がっている。
ドラマティック度・・8 プログレ度・・8 イタリア度・・9 総合・・8
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Zuffanti & ZBAND 「Il Mondo Che Era Mio」
イタリアのプログレアーティスト、ファビオ・ズッファンティのライブ。2015年作
LA MASCHERA DI CERA、HOSTSONATEN、FINISTERREなどで活躍するイタリア・ネオプログレ界の旗手、
本作は2014年のスタジオライブの音源を収録。シンセにフルート&サックス奏者を含む5人編成で、ファビオはベースを担当。
2014年のソロ作「4人目の犠牲者」からのナンバーをはじめ、フィニステッレやホトスソナテンのナンバーも演奏している。
やわらかなフルートが鳴り響き、叙情的なギターフレーズと美しいシンセを乗せた軽やかなアンサンブルで、
躍動感と優雅さを兼ねそろえた巧みなライブ演奏を聴かせてくれる。カンタベリー/ジャズロック的な軽妙さと、
シンフォプログレとしての美意識を感じさせる繊細な楽曲アレンジも見事というほかない。泣きまくりのギターと
メロトロンの音色を含むキーボードのセンスも素晴らしい。プレイヤーとしても一流であることを見せつけるライブ作品だ。
ライブ演奏・・9 プログレ度・・8 優雅な叙情度・・9 総合・・8.5
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Zuffanti 「In/Out」
イタリアのミュージシャン、ファビオ・ズファンティの2019年作
FINISTERRE、HOSTSONATEN、LA MASCHERA DI CERAなど、多くのバンドで活躍するイタプロ界の重鎮。
モダンなシンセの重ねに、イタリア語のジェントルなヴォーカルを乗せ、ポストプログレ寄りの薄暗さに
ギターを加えたロック感触に、ときにヴァイオリンも鳴り響く、スタイリッシュな優雅さに包まれたサウンド。
ROXY MUSICのようなポップなビート感とともに、いわばエレクトロとヴィンテージの同居した感触で、
アコースティックな小曲から、浮遊感あるモダンな歌ものまで、絶妙のセンスで聴かせる好作品。
ドラマティック度・・7 プログレ度・・7 スタイリッシュ度・・8 総合・・8
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FABRIZIO DE ANDRE 「IN CONCERTO vol.1/vol.2」
イタリアのカンタウトーレシンガー、ファブリツィオ・デ・アンドレのライブアルバム。1979作
1と2をまとめて。基本的には歌ものですが、バックの演奏はPFMの面々なので、地味ながらも演奏のキレは抜群。
ファブリツィオのヴォーカルは、低めの落ち着いた声質で、イタリア特有の土着性を感じさせる歌い回しとともに、
枯れた味わいがあります。プログレというよりは、もっと素朴で牧歌的なイタリアンサウンドが楽しめます。
メロディアス度・・7 プログレ度・・7 イタリア度・・10 総合・・7.5
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FALENA 「UNA SECONDA STRANA SENSAZIONE」
イタリアのプログレバンド、ファレナの2019年作
叙情的なギターにエレピやオルガンを含むシンセを乗せ、イタリア語によるヴォーカルで聴かせる、
ほどよいハードさとヴィンテージ感に包まれたサウンド。イタリアらしいシアトリカルな妖しさとともに
随所にSEなどを含んだ小曲を織り込んで、じっくりとドラマ性を描いてゆく。アコースティックギターや
やわらかなフルートなどの優美な叙情性も覗かせつつ、ヴィンテージなハードさとつかみどころのない
エキセントリックな感触が見え隠れするところはなかなか個性的だ。明確な盛り上がりはさほどなく、
爽快なメロディアス性も希薄なので、とっつきはよくないが、わりとマニア好みの力作といえるだろう。
ドラマティック度・・8 プログレ度・・7 イタリア度・・8 総合・・7
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Fancyfluid 「King's Journey」
イタリアのプログレバンド、ファンシィフライドの1992年作
うっすらとしたシンセにアコースティックな要素も含んだ、繊細なやわらかさに包まれたサウンド。
ヴォーカルは英語なのでイタリア的な濃密さはあまり感じさせず、ERIS PLUVIAあたりに通じる
優しい聴き心地がなかなか魅力的。Genesisルーツのメロウなギターワークもセンスがよく、
ゲストによるサックスやフルート、ホイッスルなども楽曲を美しく彩っている。全体的に派手さはないが、
ラストはケルト色も含んだ13分の大曲。90年代のおおらかな時代を感じさせる叙情派シンフォの好作品である。
メロディック度・・8 繊細度・・9 イタリア度・・7 総合・・7.5
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Fancyfluid 「The Sheltering Sea」
イタリアのプログレバンド、ファンシィフライドの1995年作
前作はおおらかな叙情シンフォの好作であったが、3作目となる本作も美しいシンセにメロウなギター、
英語歌詞のヴォーカルを乗せた、繊細な叙情性に包まれた王道のシンフォニックロックを聴かせる。
いくぶん野暮ったい声質のヴォーカルも含めて、本作ではIQなどにも通じる英国ポンプロックルーツの
キャッチーな感触も前に出ていて、9分、11分という大曲もメロディックな爽快さで楽しめて難解さはない。
反面、これだというインパクトやスリリングなパートは薄く、イタリア的な雰囲気もさほど感じないので、
あくまで90年代シンフォ特有ののユルめの幻想性というものが楽しめるリスナー向けだろう。
ドラマティック度・・7 プログレ度・・7 叙情度・・8 総合・・7.5
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IL FAUNO DI MARMO 「Canti, Racconti e Battaglie」
イタリアのプログレバンド、イル・ファウノ・ディ・マルモの2013年作
オルガンやメロトロンが鳴り響き、アナログ感たっぷりのギターに、イタリア語の男女ヴォーカルを乗せた、いかにも70年代初頭の古めかしさをかもしだすサウンド。
オールドロックのブルージーな味わいと、女性コーラスやヴァイオリン、ピアノなどが絡むクラシカルな優雅さも合わさり、とてもイタリアらしい濃密かつ混沌とした空気感に包まれている。
ジャズタッチのピアノの旋律に、牧歌的なフルートが吹き鳴らされオルガンが重なるという、怪しいごった煮間も含めて、往年のイタリアンロックの自由さを再現したような力作だ。
ドラマティック度・・7 プログレ度・・8 イタリア度・・10 総合・・8
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Il Fauno Di Marmo 「The Rebus Years 2001-2012」
イタリアのプログレバンド、イル・ファウノ・ディ・マルモの2014年作
2013年作「Canti, Racconti E Battaglie」はヴィンテージなイタリアンロックの好作であったが、
本作は前身バンドである、REBUS時代の音源を収録したCD2枚組。Disc1は2002年の録音。
フルートにオルガンが鳴り響く、いかにもオールドなスタイルで、イタリア語のヴォーカルとともに
濃密な空気感が味わえる。コテコテの70'sイタプロ好きにはたまらない聴き心地だろう。
Disc2は「ACROTERIUS」というタイトルの2005年の音源で、フルートにアコースティックギターの叙情と、
シンセとギターによる厚みのあるサウンドはよりダイナミックになり、正規アルバムとしても十分なクオリティ。
ドラマティック度・・7 プログレ度・・8 ヴィンテージ度・・9 総合・・8
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FAVERAVOLA「La conta dei cento castagni」
イタリアのシンフォニックロックバンド、ファヴェラヴォーラの2006作
このいかにもなジャケのイメージ通りの、ファンタジー風のコンセプト作で。
たおやかなフルートやヴァィオリン、70年代の香りただようシンセワークとイタリア語の歌唱…
全体的にイタリアのマイナー系らしい繊細な幻想美につつまれていて、
この手が好きな人間にはたまらず、ダメな人間にはただ退屈というサウンドだろう。
マニアックなところだと、BLACK JESTERASGARDといったバンドのメンバーも参加していて
かつてのLE ORMEあたりに通じる、幻想的な音が好きなら、きっと心地よく聴けるだろう。
シンフォニック度・・8 ファンタジック度・・9 繊細度・・9 総合・・7.5
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FeM 「Sulla Bolla Di Sapone」
イタリアのプログレバンド、FeMこと、フォルツァ・エレットロ・モトリーチェの2014年作
オルガンやムニムーグ、メロトロンといったヴィンテージなシンセをかき鳴らし、
キャッチーなメロディアス性と変拍子を盛り込んだアンサンブルを合わせたサウンド。
若手らしい爽快な抜けの良さはBarock Projectにも通じるが、こちらはイタリア語のヴォーカルとともに、
より古き良きプログレの感触を残している。2〜3分前後のインスト曲も、きらびやかなシンセと
往年のPFMばりのテクニカルかつ軽妙な演奏で、濃密に聴かせるだけのセンスがある。
しっかりとした構築力の一方で、フルートやピアノがやわらかに響く叙情性もあって、
アルバムとしてメリハリに富んだ聴きごたえが見事。これぞイタリアンプログレという傑作だ。
メロディック度・・9 プログレ度・・9 イタリア度・・8 総合・・8.5
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FEM (FORZA ELETTRO MOTRICE) 「MUTAZIONE」
イタリアのプログレバンド、フォルツァ・エレットリオ・モトリーチェの2019年作/邦題「突然変異」
2012年にデビュー、前作「Sulla Bolla Di Sapone」は、現在版PFMというような傑作であったが
続く本作は、トロンボーン奏者を加えた6人編成となり、オルガンやムーグを含むシンセに
伸びやかなイタリア語のヴォーカルと、トロンボーンの音色を重ね、クラシカルな味わいに包まれた
優雅なシンフォニックロックを聴かせる。スタイリッシュなアンサンブルは適度にモダンな感触ながら、
かつてのPFMをはじめとする、イタリアンロックの伝統美を受け継いだ繊細な叙情性には、
オールドなファンも満足だろう。ラストは10分の大曲で、緩急ある展開力で優美に構築される。
優美度・・9 プログレ度・・8 イタリア度・・9 総合・・8.5 
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FESTA MOBILE「DIARIO DI VIAGGIO DELLA FESTA MOBILE」
イタリアのプログレバンド、フェスタ・モビーレの1973年作
バンドというよりはセッションミュージシャンの作ったアルバムということで、楽曲性というよりはむしろ
演奏とアンサンブルに重きを置いた作風で、1曲目から高速かつ正確無比のピアノが乱舞する。
歌もの曲もあるが、とにかくテクニックと繊細さを併せ持ったピアノが見事で、かっちりとしたリズム隊と
そこにからむロック的なギターをねじふせるだけの説得力がある。もう少しメロディアスなフックがあればと思うが、
この硬派な聴き心地は玄人好みであろう。当時のイタリアンプログレの熱が生み出した鍵盤プログレの傑作といえる。
メロディアス度・・8 テクニカル度・・8 鍵盤度・・8 総合・・8
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Fiaba 「XII L'Appiccato」
イタリアのプログレバンド、フィアバの1992年作
ほどよくハードなツインギターにイタリア語のシアトリカルなヴォーカルを乗せて、
どことなくヘンテコな怪しさに包まれたサウンドを聴かせる。シンセを使っていないので、
シンフォプログレ的な優雅さはなく、ギターをメインにしたわりとハードロック寄りの感触で、
インストパートにはこれといってメロディもなく、クセのあるヴォーカルによる歌ものロックという感じで、
正直あまり面白くないのだが、後半は14分という大曲で、アコースティックパートを含む叙情性と
演劇的なヴォーカルによる、ドラマティックなシアトリカルロックという趣で多少は楽しめます。
ドラマティック度・7 プログレ度・7 イタリア度・8 総合・6.5
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FINISTERRE
イタリアのプログレバンド、フィニステッレの1st。1994年作
90年代以降に現れたイタリアのネオプログレシーンの中でも重要なバンドの1つである。
たおやかなピアノの音色に、メロウなギターのトーン、そしてリリカルなフルートが舞い、イタリアらしい叙情を聴かせる。
いかにも70年代リバイバル的なキーボードとともに古典的シンフォニックロック復活を告げるようなサウンドだ。
モダンな要素はほとんどなく、曲もアレンジもどことなく古くさいが、このもんやりとした感触が好きな人にはたまらない。
メンバーのファビオ・ズッファンティとステファノ・マレリはHOSTSONATENなどでも活動しており、
イタリアの叙情シンフォニックロックを支える人脈たちと言ってもよいだろう。その原点というべき好作品。
メロディアス度・・8 イタリア度・・8 レトロ度・・9 総合・・8
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FINISTERRE 「In Limine」
イタリアのプログレバンド、フィニステッレの2nd。1996年作
前作にもあったアーティスティックな軽妙さがさらに強まって、起伏にとんだ知的なアンサンブルに
優雅な情感と美意識がセンスよく、あふれ出るようなサウンドを聴かせてくれる。
女性奏者の奏でるやわらかなフルートの音色とメロウなギターに、ピアノやオルガン、
メロトロンなどを使い分けるシンセワークも、90年代プログレの真価を見せつけるセンスの良さである。
シンフォとしての明快さよりも、イタリアンプログレの芸術性を繊細に構築したという傑作であると思う。
メロディアス度・・7 プログレ度・・8 繊細度・・9 総合・・8
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FINISTERRE PROJECT「HOSTSONATEN」
イタリアのシンフォニックロックバンド、フィニステッレ・プロジェクトの1996年作
FINISTERREのファビオ・ズッファンティを中心にしたプロジェクトユニットで、
ジャケットのギュスターブ・モローの絵画が示す通り、ヨーロピアンなほの暗い情緒をかもしだす
しっとり系のシンフォニックロック。たおやかなフルート、ピアノ、メロトロンなどのレトロな感触は
メロウなギターフレーズとも相まって、耳にしっとりとやさしく響く。ただ古めかしいだけでなく、
メロデイそのものに魅力があるので、41分の組曲を含め、幻想的な叙情美を満喫できる作品となっている。
シンフォニック度・・8 テクニカル度・・3 たおやか情緒度・・9 総合・・8
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FINISTERRE 「Live...Ai Margini Della Terra Fertile...」
イタリアのプログレバンド、フィニステッレのライブ。1998年作
90年代以降のイタリアンプログレを代表するバンドのひとつで、本作は1997年のライブを収録。
「In Limine」からのナンバーを中心に、1stからのナンバーも演奏。ピアノを含む優美なシンセワークに
やわらかなフルートが鳴り響き、うるさすぎないギターとともに優雅なアンサンブルを聴かせる。
翳りを帯びた叙情にクラシックやジャズを取り込んだ軽妙な展開力で、甘美なシンフォプログレを描いてゆく。
15分を超える大曲でも、派手さよりもあくまで繊細な叙情が包み込み、イタリア語によるヴォーカルとともに、演劇的なドラマ性と
ヨーロピアンなロマンの香りを感じさせる。ラスト曲ではKING CRIMSONGENESISのフレーズも盛り込んでプログレ愛が炸裂。
ライブ演奏・・8 優雅度・・9 叙情度・・8 総合・・8 
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Finisterre「In Ogni Luogo」
イタリアのプログレバンド、フィニステッレの3rd、1998年作
センス抜群の傑作であった前作に続き、本作でも軽妙なアンサンブルと美しいシンセアレンジが冴える、
じつに聴き心地のよいサウンドを描いている。メロウなギターフレーズにクラシカルな優雅さを含んだメロディに包まれ、
それでいてどこかクールな知性を感じさせる聴き心地はやはり素晴らしい。アルバム後半には
女性ヴォーカルを乗せたアンニュイな叙情曲もあったりと、全体的にも非常にセンスの光る一枚だ。
メロディアス度・・8 プログレ度・・8 軽妙度・・9 総合・・8
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FINISTERRE 「Live at ProgDay '97/Storybook」
イタリアのプログレバンド、フィニステッレのライブアルバム。2000作
ベースのファビオ・ズッファンティはHOSTSONATEN他、多くのバンドに関わるシンフォ職人であるが、
彼の本業(?)がこのバンド。時期としては2nd「In Limine」の後の1997年のプログレデイでのライブ音源。
美しいシンセワークにメロウなギター、リリカルなフルートを中心とした演奏は、たおやか系イタリアンシンフォの本道
とでもいった感じで耳に心地よい。ただアルバムでのサウンドに比べると、ライブ演奏という点で幻想的な美しさは薄まり、
あくまで楽曲の再現に終始している感もある。「Storybook」のタイトルでジャケも変えて再発されている。
シンフォニック度・・7 リリカル度・・8 ライブ演奏・・7 総合・・7.5
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Finisterre「La Meccanica Naturale」
イタリアのプログレバンド、フィニステッレの4th。2004作
サイドプロジェクトのHOSTSONATENの方は、より焦点を絞ったシンフォニックとして印象に残っているのだが、
PFMのディチョチョプロデュースということもあってか、今作は肩の力が抜けた自然体の音作りで
イタリアらしい叙情性と、ほどよいレトロな質感に現代風のアレンジを加えたバランス感が冴えている。
コテコテのシンフォにはならない薄味の中に、イタリア語の歌唱とゆるやかなメロディが活きていて派手さはないものの
じっくりと楽しめる繊細な作品となっている。もちろんメロトロンやメロウなギターによるお約束の質感もあり、聴き終えての満足度も高い。
メロディアス度・・8 ゆったり薄味度・・8 イタリア度・・9 総合・・8
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Finisterre 「Memoirs」
イタリアのプログレバンド、フィニステッレの2014年作
1994年にデビューした、イタリアン・ネオプログレを代表するバンドの、過去の未発音源である
スタジオライブを収録した企画アルバム。1991〜96年というバンド初期の録音で、
メロウな叙情ギターに美しいシンセ、イタリア語のヴォーカルを乗せたシンフォニックロックは
独特の翳りとロマンを含んだ世界観を感じさせる。10分を超えるナンバーや20分の大曲なども含めて、
やわらかなフルートの音色が美しい繊細な叙情美から、ヘヴィプログレ的な躍動感まで、
メリハリのある展開力と構築性をバンド黎明期のこの時点ですでに有しているのが分かる。
音質はややこもり気味であるが、むしろ水彩画のようなぼやけた味わいで、耳心地よく楽しめます。
ドラマティック度・・8 音質・・7 イタリア度・・9 総合・・7.5
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Finisterre 「XXV」
イタリアのプログレバンド、フィニステッレの2019年作
1995年にデビュー、いまやイタリアン・ネオプログレを代表するバンドで、本作はバンドの25周年を記念して
そのデビュー作を再録した作品。優美なピアノにやわらかなフルートの音色を乗せた軽やかなアンサンブルに、
叙情的なギターとヴィンテージなシンセを重ねた優雅なサウンドで、クラシカルなピアノの旋律を挿入するなど、
16分の大曲などもメリハリある構築力とともに、イタリアらしい芸術的な展開美でじっくりと楽しめる。
うっすらとしたメロトロンをバックにフルートが鳴り響く叙情などには、往年のプログレファンもニンマリだろう。
古き良きイタリアンプログレの繊細な叙情美と翳りを詰め込んだ、香り立つような味わいの逸品に仕上がっている。
クラシカル度・・8 プログレ度・・8 優雅度・・9 総合・・8 
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Fiorella Mannoia「Gli Album Originali」
イタリアの女性シンガー、フィオレラ・マノイアの6CDボックス。
1985〜1994年までの6作品を収録したボックスセットで、80年代の作品はポップなテイストと
イタリア語による彼女のアダルトな歌声で聴かせる正統派のイタリアンポップサウンド。
楽曲によっては情感たっぷりに盛り上げる、いかにもイタリアらしい雰囲気もあり、
1988年作などはシンフォニックなアレンジとともにしっとりと楽しめるナンバーが多い。
1994年作になると、よりキャッチーなポップロック風味になっていて、爽やかなアレンジ。
全体的にプログレ色は希薄であるが、イタリア語の女性声ポップとしてはけっこう楽しめる。
メロディアス度・・5 イタリア度・・8 女性Vo度・・8 総合・・7.5
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FLEA 「Topi O Uomini」
イタリアのプログレバンド、フレアの1972年作
ETNAの前身で、のちにGOBLINにも参加するマロンゴロ兄弟を含むバンドの唯一のアルバム。
のっけから20分という大曲で、手数の多いドラムにほどよくハードなギター、イタリア語のヴォーカルを乗せて、
軽妙であるがどっしりとした、いわばヘヴィ・ジャズロックというようなサウンドを聴かせる。
70年代初頭らしいブルージーなギタープレイも随所に覗かせつつ、フリオ・キリコばりのテクニックがある
ドラムの巧みなプレイとともに、プログレらしい緩急ある展開力も見せつける。後半は3曲の小曲で、
いくぶんアヴァンギャルドなテクニカル性から、アコースティックな叙情も含め、メンバーの技量も見事。
ドラマティック度・・7 プログレ度・・8 テクニカル度・・8 総合・・8
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Fluido Rosa 「Le Vie Dei Sogni」
イタリアのプログレバンド、フライド・ローザの2016年作
オルガンを含むシンセに男女ヴォーカルの歌声で聴かせる、キャッチーで牧歌的なサウンド。
ときに叙情的な泣きのギターや優美なピアノの旋律、女性奏者によるサックスも加わり、
イタリア語の男女ヴォーカルとともに、ゆったりとした優雅な聴き心地に包まれる。
楽曲は4〜6分前後と、わりとコンパクトでプログレ的な派手な展開はさほどないものの、
メロディックロックとしての叙情性という点では、I Poohを受け継ぐような雰囲気もある。
個人的には、女性声をメインにしたシンフォニックなナンバーがとても良かった。
ドラマティック度・・7 プログレ度・・7 優美度・・8 総合・・7.5
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THE FORMER LIFE「Electric Stillness」
イタリアのプログレバンド、フォーマー・ライフの2012年作
シンセとギターの2人によるユニットバンドで、やわらかなピアノの旋律にマイルドなヴォーカルで聴かせる、
繊細なポストプログレ風味のサウンド。メロウなギターのフレージングやときににオルガンなどを含んだ
プログレ的なシンセも顔を覗かせ、古き良きプログレへの敬意も感じられるところがよい。
やわらかでキャッチーな聴き心地は、SylvanMoon Safariなどが好きな方にもアピールするだろう。
繊細な叙情とともに、ゆるやかに盛り上げるドラマ性もしっかりと含んだ、新世代プログレの好作品
メロディック度・・8 プログレ度・・7 繊細度・・9 総合・・8
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FORMULA 3「sognando e risognando
イタリアのプログレバンド、フォルムラ・トレの3rd。1972作。邦題は「夢のまた夢」
10分台の大曲が3曲もあることから、音にはバンドとしての絶頂期を感じさせ、
特にアルベルト・ラディウスの官能的なギターワークが見事。
また、アコースティカルな部分での叙情的なヴォーカルにも味がある。
シンフォニックという点では続く4thの「神秘なる館」の方が上だと思うが、
本作はイタリアらしい濃密さのあるヘヴィプログレサウンドが楽しめるアルバムだ。
メロディアス度・・7 プログレ度・・7 イタリア度・・9 総合・・7.5
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FORMULA 3「LA GRANDE CASA」
イタリアンロックの名作、フォルムラ・トレの4th。1973年作/邦題「神秘なる館」
知名度としては前作「夢のまた夢」だが、個人的にはこのアルバムが最高傑作だと思う。
アコースティカルなギターの響きと、そこに絡むキーボードが美しい、しっとりと優美なイントロは、
シンフォニックロック的な神秘さを感じさせる。イタリアらしい情緒豊かなヴォーカルが加わる曲では、
彼らの持ち味である歌ものとしての魅力が存分に発揮される。繊細にして詩情を感じさせる逸品だ。
メロディアス度・・8 アコースティックな美度・・9 イタリア度・・9 総合・・8
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FP Emsemble「Ayexit」
イタリアのプログレ・ジャズロック、FPアンサンブルの2015年作
Syndoneに参加するヴィブラフォン奏者、フランチェスコ・ピネッティを中心としたバンドで
マルコ・ミンネマンがドラムで全面参加、軽やかなリズムにフルートやサックスが鳴り響き、
やわらかなシンセにヴィヴラフォンの優雅な響きを重ねた、プログレジャズロックを聴かせる。
アンサンブルの核となるミンネマンの巧みなドラムプレイも素晴らしく、ボトムの効いたベースと
随所に存在感のあるギターとともに、ジャズとロックが融合したスリリングなダイナミズムを加えている。
変拍子を使いながらも、テクニカルというよりは軽妙な味わいで、サックスやフルートのゆったりとしたメロディと
ヴィブラフォンの音色を楽しめるので、難解さはそれほど感じない。肩の力を抜いて鑑賞できるインスト作だ。
ジャズロック度・・8 プログレ度・・7 優雅で軽妙度・・9 総合・・8
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Franco Battiato「Fetus」
イタリアの音楽家、フランコ・バティアートの1st。1972年作
国際的にも著名な芸術家であるバティアートであるが、とくに初期の音楽作品は
プログレッシブな色が強く、1st、2ndはイタリアンロックの名作としても名高い。
子供の話し声から始まる本作は、歌ものとしてのメロディアスな側面と、
前衛的でアーティスティックな感性が混在した、不思議な味わいのある逸品だ。
牧歌的な素朴さを感じさせつつも、シンセの使用法などはどこか前衛的でもあり、
いくぶんほの暗い世界観を感じさせるのが個性的。イタリアの美と芸術を味わえる1枚。
メロディアス度・・7 前衛プログレ度・・8 イタリア度・・9 総合・・8
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Franco Battiato「Pollution」
イタリアの音楽家、フランコ・バティアートの2nd。1972年作
艶やかなストリングスが鳴る、晩餐会のワルツと語りから始まる本作は、
前作以上にアヴァンギャルドな風味を増した、前衛プログレの芸術作である。
ノイジーなギターに重なるオルガンと爆発音のSE、さらにムーグシンセの響きは、
どこか不気味なものも内包していて、浮遊感のある女性スキャットなどとともに
ダークな美しさを描いている。イタリアらしいクラシカルな美意識を含ませながら、
組曲構成となったラストの12分の大曲では、予測のつかない展開に息をのむ。
メロディアス度・・7 前衛プログレ度・・9 イタリア度・・8 総合・・8
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FRANZ DI CIOCCIO & FRANCO MUSSIDA「ATTILA」
イタリアのプログレバンド、PFMのフランツ・ディ・チョチョとフランコ・ムッシーダによる1983年作
フン族の王、アッティラにまつわる、1982年作のコメディ史劇映画のサントラであるが、
生演奏による軽やかなアンサンブルで、わりとポップな感触ながらも、ときにサックスやヴァイオリン、
女性ヴォーカルも加わって、PFMにも通じる優雅なフュージョン・ジャズロック風のナンバーや、
ロック調のナンバーもあったりして、これがなかなか楽しめる。後半はフィルムバージョンを収録。
マウロ・パガーニ、ルシオ・ファビッリといったPFMのメンバーもゲスト参加している。
ドラマティック度・・7 プログレ度・・7 PFM度・・7 総合・・7.5
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Fufluns 「Spaventapasseri」
イタリアのプログレバンド、フフルンスの2016年作
IL BACIO DELLA MEDUSA、DAAL/PROWLERS、LA BOCCA DELLA VERITA/TAPROBANなどのメンバーにより結成。
オルガンやムーグを含むきらびやかなシンセアレンジにメロウなギター、イタリア語のヴォーカルを乗せて、
牧歌的な叙情に包まれたシンフォニックロックを聴かせる。やわらかなフルートの音色にピアノが絡む、
繊細な美しさと、表現力あるヴォーカルの歌声で、コンセプト的でもあるゆるやかなドラマ性を描いてゆく。
70年代イタリアンロックをルーツにしたヴィンテージな味わいに、シンフォプログレの泣きを加えたという聴き心地で、
派手さはないが、RANDONEあたりにも通じる、イタリアらしいおおらかで繊細な美意識に包まれた好作品です。
ドラマティック度・・7 イタリア度・・9 優美な叙情度・・9 総合・・8
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FUFLUNS 「REFUSES」
イタリアのプログレバンド、フフルンズの2021年作
Il Bacio della Medusaのシンガー、The Watchのベース、元La Maschera Di Ceraのドラム、Daalのシンセらによるバンドで、
5年ぶりとなる2作目。本作は、17体の彫像にインスパイアされたという作品で、クラシカルなピアノによるイントロから、
ムーグシンセやメロトロン、オルガンなどヴィンテージなキーボードに、イタリア語によるアクの強いヴォーカルを乗せ、
70年代の古き良きイタリアンロックを蘇らせるようなサウンドを聴かせる。曲調自体は、わりと牧歌的だったりするのだが、
シアトリカルな歌声がサウンドを濃密にしていて、哀愁の叙情と往年のイタリアンプログレの妖しさが同居した好作である。
ドラマティック度・8 プログレ度・7 イタリア度・9 総合・8 
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Furio Chirico 「Furiosamente」
イタリアのミュージシャン、フリオ・キリコの2004年作
ARTI E MESTIERIのドラマーで、本作にはペッペ・クロヴェッラ、ジジ・ヴェネゴーニ、マルコ・クリミノ、マルコ・ガレッシ、
といったアルティのメンバーも参加して、フリオの軽妙なドラムをたっぷりと楽しめる優雅なジャズロックを聴かせる。
サックスが鳴り響き、優美なシンセを手数の多いドラムに乗せながら、アルティよりはもっと肩の力の抜けたサウンドで、
やわらかなエレピやサックスの音色を乗せた、ゆったりとした大人のジャズ風味のナンバーなども味わいがある。
フリオ・キリコの巧みなドラムはちろんのこと、マルコ・ガレッシのベースも随所に存在感を覗かせていて、
ゲストによるクラシカルなピアノや艶やかなヴァイオリンの音色も加えた、優雅なナンバーにも聴き惚れる。
ジャズ度・8 ロック度・6 優雅度・8 総合・8
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Garden Wall 「Path Of Dreams」
イタリアのハードプログレ、ガーデン・ウォールの1994年作
1993年にデビューし、2作目となる。クラシカルなピアノによるイントロから、変拍子リズムの上に、
ほどよくハードなギターとシンセを乗せ、シアトリカルなヴォーカルとともに、独自のハードプログレを展開する。
歌詞は英語なのだが、独特の混沌としたセンスと、クラシカルな優雅さが同居した面白さがあって、
90年代イタリアのマイナー系バンドの奥深さを感じさせる。オルガン鳴り響く古き良きプログレハード風味から、
メロウなギターにシンセを重ねた美麗なシンフォニックロック風味も覗かせつつ、ダークで不穏な空気もまとわせる、
なかなか一筋縄ではいかないサウンドだ。8〜9分という大曲も多く、後半は濃密さでお腹いっぱいに。
ドラマティック度・・8 プログレ度・・8 優雅な混沌度・・9 総合・・8
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GARDEN WALL「The Seduction of Madness」
イタリアのプログレメタル、ガーデンウォールの1996年作
3作目となる本作は、イタリア的な混沌とした感触と、知的なプログレ感覚をDREAM THEATER以後のプログレメタルに
混ぜ込んたというサウンドで、同郷のEVIL WINGSELDRITCHなどにも通じる、ひねくれた構築センスが面白い。
楽曲は4〜6分台が中心で、そこまで複雑ではないのだが、ヘヴィさとアヴァンギャルドの同居した、
先の読めない唐突な展開や、シアトリカルなヴォーカル、プログレ的なシンセアレンジなど、
パーツごとのインパクトも強い。この濃密な迷宮感覚が楽しめる方には刺激的な作品となるだろう。
ドラマティック度・・8 プログレ度・・8 アヴァンギャル度・・8 総合・・8
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GARDEN WALL 「ASSURDO」
イタリアのアヴァン・プログレ(メタル)、ガーデン・ウォールの2011年作
1993年にデビュー、8作目となる本作は、のっけからデジタルなリズムにがなり声ヴォーカルを乗せた、
エレクトロなアヴァンロックが広がってゆく。ヴァイオリンが鳴り響く妖しいチェンバーロック風味に
エスノビートやジャズ風味の優雅なアンサンブルも覗かせて、つかみどころのないキワモノ的センスに包まれる。
ときおり凶暴なギターが加わると、メタリックな激しさも匂わせるが、曲によってはゆったりとした叙情パートも多く、
しっとりとした女性声やオルガン、フルートを使ったオールドロック風味など、全体的には、むしろプログレ寄りの作風。
なにをやりたいのかよくわからないという、得体の知れない聴き心地が、67分も続くのがある意味凄い。
ドラマティック度・・7 プログレ度・・7 アヴァンギャル度・・8 総合・・7.5
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GARYBALDI 「Storia Di Un'Altra Citta'」
イタリアのプログレバンド、ガリバルディの2016年作
「イタリアのジミ・ヘンドリックス」の異名を持つギタリスト、バンビ・フォッサーティを中心に活動し、
1972年、73年に2作を残したバンドの復活作。ドラム以外はメンバーが替わっているようだが、
オルガンにメロトロンが鳴り響き、適度なハードなギターとイタリア語のヴォーカルを乗せた、
大人の叙情性とブルージーなロック感触が同居したサウンド。70年代ルーツのハードプログレであるが、
メロウなギターフレーズや艶やかなヴァイオリン、フルートの音色など、優雅な味わいも含んだ逸品です。
2014年に死去した、故バンビ・フォッサーティや、元VDGG〜OSANNAのデヴィッド・ジャクソンがゲスト参加。
ドラマティック度・・8 プログレ度・・7 イタリア度・・8 総合・・8
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Gatto Marte「Gioco Del Mago」
イタリアのチェンバーロック、ガトー・マルテの2000年作
1997年にデビュー、本作は2作目で、ヴァイオリン、バスーン、ピアノ、ダブルベースという4人編成で、
クラシカルなピアノの旋律にヴァイオリンが絡み、やわらかなバスーンの音色とともに、
優雅なチェンバーサウンドを聴かせる。ダークとはいかないが、ほどよく偏屈な味わいも含んだ、
軽やかなアンサンブルで、ほぼインスト中心ながら、歌入りの曲もあってアクセントになっている。
アコースティックによる室内楽なので、ロック感触はほとんどないのだが、ヴァイオリンやピアノ、
バスーンの音色がじっくり味わえるという意味では、玄人好みのサウンドといえるだろう。
クラシカル度・・8 ロック度・・1 優雅度・・8 総合・・7.5
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Gatto Marte「Leolombrico」
イタリアのチェンバーロック、ガトー・マルテの2003年作
本作も、ヴァイオリン、バスーン、ピアノ、ダブルベースという4人編成で、優雅で少しコミカルな
室内楽サウンドを聴かせる。今作では随処にドラムも加わってのアンサンブルで、
10分を超える大曲や組曲形式のナンバーなど、プログレらしい味わいも感じさせる。
演奏の隙間を含めて、チェンバーロックとしてのスリリングな部分が増したことで、
より自由度のあるサウンドが繰り広げられていて、エキセントリックな楽しさも含めた、
優雅なクラシカル性も耳に心地よい。典雅な品の良さを感じさせるチェンバーロック作品です。
クラシカル度・・8 ロック度・・4 優雅度・・8 総合・・8
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Gatto Marte 「COLOMBO TUTTO TONDO」
イタリアのプログレバンド、ガトー・マルテの2009年作
ヴァイオリン、ピアノ、バスーン、ダブルベースという編成で、今作はコロンブスの航海をテーマにした作品。
1〜3分という小曲を主体にした優雅でクラシカルなチェンバーロックで、艶やかなヴァイオリンにコミカルなバスーンが絡み、
オペラティックな男女ヴォーカルの歌声が重なると、シアトリカルなミュージカル風味という感じにもなる。
1980年代から活動しているベテランだが、よい意味での垢抜けなさと、アマチュア臭い親しみやすさが感じられて、
硬質なチェンバーロックとは真逆のラテンの空気感と言っていい。CDRでのリリースというのもいかにも自主制作っぽい。
プログレというよりは、演劇的なヴォーカルを乗せた小曲を連ねた、紙芝居風のクラシカルチェンバーというべきか。
クラシカル度・・8 プログレ度・・7 オペラティック度・・8 総合・・7.5
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Gecko's Tear 「Contradiction」
イタリアのプログレバンド、ゲッコーズ・ティアーの2005年作
テクニカルなアンサンブルと、キャッチーでありつつひねくれたメロディ展開で、
GENTLE GIANTタイプのプログレサウンドを聴かせる。ヴォーカルは英語なので
イタリア臭さはあまりなく、起伏に富んだアレンジにはモダンなセンスを感じさせる。
リズム面での切れ味のよさとメロディ感覚のバランスは、ECHOLYNなどを思わせるが、
こちらは随所にProgMetal的ともいえるようなテクニカルな構築力を感じさせる。
先の読めない混沌とした味わいはやはりイタリアらしく、じつに濃密な聴き心地だ。
メロディック度・・8 プログレ度・・8 面白度・・9 総合・・8


Gecko's Tear 「Primati」
イタリアのプログレバンド、ゲッコーズ・ティアの2016年作
2005年作はテクニカルかつひねくれたメロディ展開で聴かせる、GENTLE GIANTタイプの好作であったが、
10年ぶりとなる本作も、イタリア語のマイルドなヴォーカルを乗せた優雅で軽やかなアンサンブルで、
キャッチーで叙情的でありながら、どこか偏屈な聴き心地のサウンド。ホーンセクションなどを含んだアレンジや、
とぼけた味わいのメロディアス性も含めて、やはりGGやEcholynなどに通じる玄人好みのセンスとなっていて、
適度にスリリングな味わいをかもしだしている。楽曲自体は3〜5分とわりと短いので、あるいはプログレを聴かない方にも、
風変わりなメロディックロックとして楽しめるかもしれない。「イタリアのジェントル・ジャイアント」と呼ばれる日も来るかも。
メロディック度・・8 プログレ度・・8 とぼけたセンス度・・8 総合・・8
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GERMINALE「scogli di sabbia」
イタリアのプログレバンド、ジェルミナーレの2005作
アルマタデマの美しい絵画をジャケにした本作は、ライブ音源や、カヴァー曲などを合わせた企画ものアルバムらしい。
サウンドは比較的正統的なシンフォニックロックで、爽やかな曲調の中にもかすかにイタリアらしい癖を感じさせる。
たおやかなピアノやフルートも美しく、多くはインストメインの楽曲であるが
女性Voが2曲で歌うなどして、メロディ重視のスタイルなのでとても聴きやすい。
カヴァーはGENESIS、KING CRIMSON、JETHRO TULLなど、どれもバンドなりのアレンジでまとめられ、
ライブ音源の方では軽やかなアンサンブルで、アコースティカルに聴かせる違う一面も覗かせる。
メロディアス度・・8 プログレ度・・7 爽やかしっとり度・・8 総合・・7.5
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GIARDINI D'AUTUNNO「FRAMMENTI DI IDEE PERDUTE」
イタリアのプログレバンド、ジャルディーニ・ド・アウトゥーノの2003作
詳細は不明だが、G、B、Keyを操るマルチプレイヤーを中心に、Dr、Vo(ゲスト?)の3人組。
メロトロンやハモンドなどのくぐもったシンセサウンドで、中期クリムゾンあたりを思わせる
薄暗さをともなったインストを聴かせる。リズムが入ってのかっちりとした部分もあるが、
むしろシンセミュージック的なもやっとした空間的表現が彼らの特徴だろう。
メロディや展開にはっきりした聴き所がないので、ぱっと聴きにはとっつきが悪いかもしれないが、
ジャケの抽象風景画がよく音を表しているように、ゆったりとした芸術系シンフォとしても聴ける。
メロディアス度・・7 プログレ度・・7 静かな芸術度・・8 総合・・7


IL GIARDINO DEI SEMPLICE
イタリアンロックバンド、ジャルディーノ・デイ・センプリーチの1st。1975年作
美しいストリングスとピアノの響きに、イタリア語による甘い歌声、女性コーラなどスも含んだ優雅さと
哀愁を漂わせたサウンドはI Poohなどと並ぶ、イタリアンラブロックの傑作といえるだろう。
キャッチーであるがロックとしてのダイナミズムもしっかりとあり、やわらかな叙情性に聞き入れる。
オルガンを含んだシンセやストリングスのアレンジも見事だ。ロマン溢れるサウンドが好きな方へ。
メロディック度・・8 プログレ度・・7 叙情度・・8 総合・・8
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Il Giardino delle Delizie (GAN EDEN) 「Lavori In Corso
イタリアのシンフォニックロックバンド、イル・ジャルディーノ・デッレ・デリージの2007年作
美しいシンセワークとイタリア語によるヴォーカルを中心にした叙情的なサウンドで、
ハモンドなどの70年代風のレトロさと、現代的なシンフォニックが融合した雰囲気。
6〜8分台の長めの楽曲はドラマティックに展開、美しいピアノに絡むプログレ的なシンセワークも聴きどころ。
B級バンドの多い最近のイタリアのシンフォシーンの中ではなかなかの力作といってよいだろう。
シンフォニック度・・8 イタリア度・・8 古き良き度・・8 総合・・8
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Il Giardino delle delizie(Gan Eden)「Ritratto di Ballerina」
イタリアのシンフォニックロックバンド、イル・ジャルディーノ・デッレ・デリージの2009年作
前作同様、美しいシンセワークとイタリア語によるヴォーカルで聴かせる叙情的なサウンドで、
ムーグやオルガンの音色などを含めて、70年代風のレトロさが魅力的。美しいピアノの旋律や
クラシカルな優雅さはいかにもイタリア的で、10分以上の大曲を中心に、あくまで叙情的に、
そしてプログレらしいプログレが楽しめる好作品だ。イタリアンプログレ愛好者の方はぜひ。
シンフォニック度・・8 イタリア度・・8 古き良き度・・8 総合・・8

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Gan Eden - Il Giardino delle delizie 「Goodbye」
イタリアのプロクレバンド、ガン・エデン(イル・ジャルディーノ・デッレ・デリージ)の2018年作
2007年にデビュー、本作は9年ぶりとなる3作目で、クラシカルなピアノや美麗なシンセと、
メロウなギター、イタリア語の歌声とともに、優美なシンフォニックロックを聴かせる。
ピアノを主体にした小曲や牧歌的な歌もの曲など、ジャケの水彩画のイメージのような素朴な味わいに
オルガンやムーグなどのヴィンテージなプログレ感触が同居した作風で、随所にチェンバーロック的でもある
クラシカルな美意識とスリリングな優雅さも覗かせる。濃密なシンフォ色はないものの、全69分という力作である。
クラシカル度・・8 プログレ度・・7 優雅度・・8 総合・・8
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Giancarlo Erra「Ends」
イタリアのミュージシャン、ジャンカルロ・エラの2019年作
NOSOUNDのリーダーでもあるミュージシャンで、ソロとしては初めての作品となる。
美しいシンセアレンジにヴァイオリンなどのストリングスが重なる優美なサウンドで
エレクトロなデジタル感覚に包まれながら、繊細な味わいでしっとりとした聴き心地。
基本はシンセとピアノ、ストリングスで、ギターなどは入らないのでロック色はほとんどないが、
曲によっては打ち込みのリズムも加わって、オールインストであるが単なるBGMでもない。
メランコリックな叙情とともに、美しい情景が目に浮かぶようなアンビエントな癒し系作品です。
ドラマティック度・・7 ロック度・・3 優美度・・9 総合・・8
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Il Giardino Onirico「Complesso K」
イタリアのプログレバンド、イル・ジアルディノ・オンリコの2013年作
5パートに分かれた40分弱の組曲作品で、2010年に作られた作品をベースに新録やアレンジを加えた完成版。
イタリア語入りの語りから始まり、スペイシーなシンセとともに壮大なSFストーリーを描くような世界観。
適度なハードさを含んだサイケロック的な浮遊感に、シンフォニックな要素を加えた聴き心地で、
大仰な雰囲気に包まれたメタリックなスペースサイケが広がってゆく。インストパート主体なので、
メロディのフックやプログレ的な引っ掛かりがあまりなく、ついつい聴き流してしまうのだが、力作であるのは間違いない。
ドラマティック度・・7 プログレ度・・7 スペイシー度・・8 総合・・7.5
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IL GIARDINO ONIRICO 「Apofenia」
イタリアのプログレバンド、イル・ジャルディーノ・オニリコの2019年作
2012年にデビューし、3作目となる。のっけから12分の大曲で、スペイシーなシンセワークに
適度にハードなギターを重ね、スケール感のあるインストのシンフォニックロックを描いてゆく。
La Maschera Di Ceraのアレッサンドロ・コルヴァグリアが参加した優雅でクラシカルなナンバーや、
SAINT JUSTのジェニー・ソレンティが妖しく美しい歌声を響かせる、しっとりとした叙情ナンバーなども、
随所にメロウなギターフレーズーを織り込みながら、ゆったりと叙情豊かに聴かせてくれる。
10分を超える大曲を中心に、プログレらしい緩急ある展開美も含んだ、全77分という力作です。
ドラマティック度・・8 プログレ度・・8 優雅度・・8 総合・・8 
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i GiGanti「Terra in Bocca」
イタリアンロックバンド、ジガンティの1971年作
「犯罪の歌」という日本タイトルもインパクトが大きかったが、本作はもともとビートポップバンドであった彼らが
突如プログレッシブな一大組曲を作り上げたということで、イタリアンロック好きにも評価の高い1枚。
アコースティックギターやピアノ、フルートの響きに、哀愁漂うイタリア語のヴォーカル、
キャッチーなコーラスハーモニーとメロトロンなどが重なり、ときにシンフォニックな美しさと
緊張感をともなったダイナミックな展開がじつに見事だ。クラシカルな濃密さと牧歌的な叙情、
そして爽やかさの中にほのかに漂う翳り…これはまさにイタリアからしか出て来ない音ですな。
ちなみに、VINYL MAGIC盤はデモテイクをCD化したもので、そののちに出た、AKARMAの紙ジャケ盤で
ようやくオリジナル音源を聴け、その素晴らしさに改めて感激したという次第。キングの旧国内盤もオリジナル音源です。
メロディアス度・・8 プログレ度・・7 イタリア度・・9 総合・・8
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I GIGANTI「The Collection」
イタリアンロックバンド、ジガンティのベスト。2008年作
プログレリスナーには1971年の「犯罪の唄(Terra In Bocca)」の印象が強いだろうが、
本作は60年代の彼らがポップグループであった時代の音源を中心にしたCD2枚組。
楽曲はキャッチーなポップ性が強く、プログレとして聴くにはややつらいものの、
イタリア語の歌声と、オルガンを含んだアンサンプルで聴かせるサウンドは、
随所に叙情的な哀愁も含んで、時代的なイタリアンポップとしてはなかなか楽しめる。
キャッチー度・・8 プログレ度・・5 イタリア度・・8 総合・・7.5


Giorgio Fico Piazza 「Autumn Shades」
イタリアのミュージシャン、ジョルジオ・フィック・ピアッツァの2019年作
PFMの前身バンド、QUELLI〜初期のPFMに在籍したベーシストで、本作はそのPFMの傑作、
「STORIA DI UN MINUTO/幻想物語」、「PER UN AMICO/友よ」全曲をセルフカヴァーしたライブ。
美しいシンセと叙情的なギター、マイルドなイタリア語のヴォーカルで、かつての名曲が甦る。
70年代を意識したような暖かみのある演奏で、変にモダン化せずに往年の空気感までも再現していて、
丁寧なサウンドにファンには感動ものである。2台のシンセを使い、フルートやヴァイオリンのパートも
なかなか忠実に演奏している。女性ヴォーカルによる「9月の情景」もエモーショナルで良いですね。
初期PFMのファンは必聴であるし、そうでない方にもこれら素晴らしい名曲を味わって欲しい。
演奏度・・8 叙情度・・9 名曲度・・9 総合・・8.5
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Gnu Quartet 「Alfonso Vidales En La Perspectiva De」
イタリアの管弦楽カルテット、グヌ・カルテットの2015年
メキシコのCASTにも参加するヴァイオリン奏者Roberto Izzoを中心にした、ヴィオラ、チェロ、フルートによる4人編成で、
CASTのシンセ奏者、アルフォンソ・ヴィダルズの1990〜98年のソロ作品の楽曲を管弦楽カルテットで演奏。
艶やかなストリングスにの重なりにフルートの音色が絡む、クラシカルな優美さに包まれたサウンドで、
ロック色は皆無であるが、チェンバー系というよりはあくまで優雅な叙情美に包まれた聴き心地。
女性奏者の奏でるフルートの典雅な音色にウットリとなりつつ、ヴァイオリン、チェロの響きもゆったりと味わえる逸品です。
クラシカル度・・8 ロック度・・1 優雅度・・9 総合・・7.5


GOAD 「THE SILENT MOONCHILD」
イタリアンロックバンド、ゴードの2015年作
結成は70年代というベテランバンドで、オルガンが鳴り響き、フルートにサックスが絡み、
シアトリカルな英語のヴォーカルを乗せた、魔女めいた妖しさに包まれた濃密なサウンド。
いかにもBlack Widowレーベルらしい作風であるが、美しいシンセによるシンフォニックロック性も覗かせつつ、
コンセプト的なストーリーの流れとともにじっくりと味わえる。楽曲ごとの展開力という点ではやや物足りないが、
ゲストによる女性声も加わったり、ヴァイオリンも鳴り響き、厚みのあるサウンドとともに、
幻想的な世界観を生み出す濃密なドラマ性というのは、やはりイタリアのバンドらしい。
ドラマティック度・・8 プログレ度・・7 イタリア度・・8 総合・・7.5
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Goblin 「Profondo Rosso」
イタリアンロックバンド、ゴブリンの1975年作
ダリオ・アルジェント監督の映画音楽を手掛けるバンドでもあり、本作は「サスペリア2」のサントラ作品。
Disc1はオリジナル音源を、Disc2には、映画本編で仕様された音源を収録した2015年デラックスバージョン。
オリジナル音源は29分と短いが、クラウディオ・シモネッティのピアノやオルガンを含むシンセワークを中心に、
クラシカルな優雅さと湿り気を帯びたダークな空気感が素晴らしい。バンドとしてはもっとも古い音源であるが、
切れの良いリズム隊とアンサンブルはさすがで、サントラではあるが、それぞれが楽曲として十分楽しめる。
Disc2の映画用音源は、1、2分前後の小曲主体なのだが、全29トラックを映画のような流れで鑑賞出来て、
よりホラーサントラとしての空気感が味わえる。ゴブリンファンなら必聴の2枚組バージョンです。
ドラマティック度・・7 プログレ度・・7 サントラ度・・8 総合・・8 
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GoblinIl Fantastico Viaggio del Bagarozzo Mark
イタリアンロックバンド、ゴブリンの1978年作/邦題「マークの幻想の旅」
本作は、ゴブリンの作品中でも、最もシンフォニックで、プログレとしても一番好きなアルバムだ。
美しい色彩のジャケのイメージ通り、幻想的なコンセプト作となっていて、ムーグシンセの音色に
メロディアスなギターが重なり、物語を歌いあげるかのようなヴォーカルとともに、叙情たっぷりに聴かせる。
「サスペリア」や「ゾンビ」といったサントラ作品が有名なこのバンドだが、インスト曲を作る方法論も本作中に活かされており、
ヴォーカル曲の合間に小曲をはさむことで、物語的な世界観を演出している。リマスター盤のボーナスにライブ映像やインタビューを収録。
メロディアス度・・8 幻想度・・9 イタリア度・・9 総合・・8
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Goblin 「Zombi」
イタリアンロックバンド、ゴブリンの1978年作
ホラー映画「ゾンビ」のサントラとして有名な傑作。
クラウディオ・シモネッティのシンセワークを中心にしたサウンドは、単なるサントラという以上に
プログレ的な音楽作品としても楽しめる。不穏なメロディが奏でられるミステリアスな雰囲気を漂わせつつも
パーカッションなどのアレンジもや、コミカルな小曲やギター入りのロックな曲など、
なかなか多彩な楽曲が楽しめる。再発盤にはボーナスを含め17曲を収録。
ドラマティック度・・7 プログレ度・・7 イタリア度・・7 総合・・7.5
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Goblin 「Tembre」
ダリオ・アルジェント監督作品「シャドー」のサントラで、バンド名の使用権をめぐる問題により、
Simonetti Pignatelli Moranteの名義で発表された作品。1982年作
ビート感のあるリズムに、デジタルな感触を含んだシンセを重ねた、80年代的なサウンドであるが、
シモネッティのシンセのメロディには耽美な味わいがあって、しっかりとゴブリンらしさも感じられる。
随所にギターも加わって、ほどよくキャッチーな聴きやすさで、わりと初心者にも楽しめるだろう。
後半にはフィルムバージョンを収録。いかにもサントラらしい短いものもあるが、映画の世界観をイメージしながら鑑賞できる。
ドラマティック度・・7 プログレ度・・7 シンセ度・・8 総合・・7.5 過去作のレビューはこちら
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Goblin 「Phenomena」
イタリアンロックハンド、ゴブリンの1984年作
ダイリ・アルジェント監督作品「フェノミナ」のサントラ作品で、未発曲や別バージョンなどを加えた再発盤。
クラウディオ・シモネッティが復帰していて、きらびやかなシンセに女性スキャットが重なるテーマ曲から始まり、
その後は、インストによるサントラらしいナンバーが続く。リズムが打ち込みなので、ロック的な感触はあまりなく
プログレとしては、シモネッティのデジタルなシンセワークくらいしか聴きどころはないかもしれないが、
イタリアならではのシアトリカルな雰囲気のサントラミュージックという点では、十分楽しめる内容だ。
ドラマティック度・・7 プログレ度・・6 シンセ度・・8 総合・・7
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Goblin 「Four of a Kind」
イタリアンロックバンド、ゴブリンの2015年作
GOBLIN REBIRTH、CLAUDIO SIMONETTI'S GOBLINなど、分派バンドもあるが、こちらは、本家によるオリジナルアルバム。
黄金期のギター、ベース、ドラムに加え、New Goblinにも参加した、マウリツィオ・グアリーニをシンセに迎えた編成で、
ほどよくハードにして叙情的なギターと、雰囲気のあるシンセワークを中心に、往年のゴブリンを受け継ぐ、
ミステリアスなシネマ性のあるインストサウンドを展開。ときにサックスも鳴り響き、やわらかなピアノとシンセに、
マッシモ・モランテのメロウなギターワークがじつに良いのです。全体的にゆったりと優雅に楽しめつつ、
古き良きプログレ感触もしっかりと残しているのが素晴らしい。シモネッティなしでもここまでの作品が作れるとは。
ドラマティック度・8 プログレ度・8 ゴブリン度・8 総合・8 
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Goblin 「Austinato」
イタリアンロックバンド、ゴブリンのライブ。2016年作
2014年の活動40周年ツアーから、アメリカのライブを2CDに収録。TITANのスティーヴ・ムーアをサポートシンセに迎えた5人編成で、
きらびやかなツインキーボードを適度にハードなギターに重ねて、ゴブリンらしいスリリングなインストサウンドを聴かせる。
2005年作「BACK TO THE GOBLIN」から、「サスペリア2」、「ローラー」、「マークの幻想の旅」など、往年の作品のナンバーも披露、
スタイリッシュにアレンジしすぎることなく、70年代の香りを残した空気感を再現していて、オールドなファンにも嬉しい耳心地だ。
Disc2では、「ローラー」からの大曲「ゴブリン」や、「ゾンビ」からのナンバーも聴かせてくれ、バンドのキャリアを総括するような好ライブです。
ライブ演奏度・8 プログレ度・8 ゴブリン度・9 総合・8
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NEW GOBLIN 「LIVE IN ROMA」
イタリアンロックバンド、ゴブリンのライブ。2012年作
2011年イタリアでのライブを2CDに収録。クラウディテオ・シモネッティを含むツインシンセの5人編成で、
Disc1は、「ローラー」からのナンバーを主体に、「サスペリア2」、「マークの幻想の旅」、といった
往年の名作からのナンバーに、「沈黙」、「Back to the Goblin」など近年の作品からも披露。
オルガンやムーグを含むシンセワークに、マッシモ・モランテの適度にハードなギターを加えて、
勢いのある演奏を聴かせてくれる。Disc2は、「ローラー」からの大曲で始まり、「ゾンビ」、
「サスペリア」、「シャドー」、「フェノメナ」と、ホラーサントラ系のナンバーをたっぷり聴かせる。
ライブらしい臨場感あるアンサンブルで、オールドなゴブリンファンも楽しめる2枚組ライブです。
ライブ演奏・・8 プログレ度・・7 ゴブリン度・・8 総合・・8 
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Goblin Rebirth
イタリアのプログレバンド、ゴブリン・リバースの2015年作
Goblinの黄金期のメンバーであった、ベース、ドラムを中心にしたゴブリンの分派バンドで、
かつてのゴブリンのホラーサントラ作品をイメージさせる、薄暗い雰囲気に包まれた感触で、
ピアノやオルガンなどのシンセに、適度にハードなギターが重なる厚みのあるサウンドを聴かせる。
架空の映画をイメージしたという疑似サントラ的な作りなので、オールインストではあるが、
スリリングでドラマティックな空気感に包まれている。技量のあるリズムセクションはさすがで、
ときにシンフォニックなシンセの重ねや、叙情的なフレーズをかぶせるギターのセンスもかなりのもの。
巧みな演奏力と音質の良さも手伝って、往年のゴブリンファンも満足させるレベルの内容であろう。
ドラマティック度・・8 プログレ度・・8 ゴブリン度・・9 総合・・8
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GOBLIN REBIRTH 「ALIVE」
イタリアのプログレバンド、ゴブリン・リバースのライブ。2016年作
本家GOBLINのベース、ドラムを中心に結成された別働バンドによる、2011年イタリアでのライブで、
ゴブリンの黄金期の作品中心にセレクトされたナンバーを、2CDに全18曲収録。同タイトルのDVDも出ている。
軽やかなドラムと存在感のあるベースに、オルガンやエレピを含むツインキーボードとギターを乗せ、
Disc1は、2000年作「スリープレス」や、往年の代表作である「ローラー」、「サスペリア2」、「シャドー」、
さらには「BUIO OMEGA」などからのレアなナンバーも披露。Disc2は、「ローラー」収録の大曲「Goblin」から
おなじみ「ゾンビ」、プログレの傑作「マークの幻想の旅」、日本未公開作「CONTAMINATION」からのナンバーも披露。
シモネッティのゴブリンとはやや異なる感触ながら、ファンにとっては往年の楽曲がたっぷり味わえるライブ作品である。
ライブ演奏・8 プログレ度・7 ゴブリン度・8 総合・8
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Gran Torino 「GrantorinoProg」
イタリアのプログレバンド、グラン・トリノの2011年作
ギター、ベース、ドラム、シンセの4人編成で、インストによるテクニカルなプログレ。
軽妙なハードフュージョン風味もありつつ、オルガンやムーグなどのシンセの音色は
古き良きプログレの感触で、レトロなテイストとモダンな構築力が融合したような感触だ。
適度なヘヴィさもありつつ、たとえば日本のKENSOのような優雅なメロディアスさも魅力的。
メロディック度・・8 プログレ度・・8 イタリア度・・7 総合・・7.5
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Gran Torino 「Fate of a Thousand Worlds」
イタリアのプログレバンド、グラン・トリノの2013年作
ギター、ベース、ドラム、シンセという四人編成で、ハードフュージョン的な感触であった前作に続き、
本作もテクニカルなアンサンブルと、軽妙なプログレらしさを同居させたインストサウンドを聴かせる。
スペイシーなシンセアレンジに適度にハードなギターを変則リズムに乗せ、ProgMetal的でもある展開力で
ときに日本のGERARDやARS NOVAにも通じるような、アグレッシブなハードプログレが楽しめる。
オールインストなので、ドラマティックな盛り上がりというのはないのだが、シンセ奏者のシンフォ寄りのセンスや
安定した演奏力があるので、テクニカルプログレでありながら、ハードなインスト・シンフォニックロックとしても聴ける作品だ。
メロディック度・・7 テクニカル度・・8 イタリア度・・7 総合・・7.5
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GRAN TORINO 「THE DELPHIC PROPHECY」
イタリアのプログレバンド、グラン・トリノの2020年作
2011年にデビュー、本作は7年ぶりとなる3作目。オルガンやメロトロンなどのシンセにメロウな叙情ギターを重ね、
ゆったりとしたインストによる大人のシンフォプログレを聴かせる。派手さはないが巧みなドラムを中心とした
優雅なアンサンブルと、シンセの重ねによる幻想的な雰囲気が、なかなか日本人好みのサウンドとなっている。
前作に比べるとテクニカルな部分は減退し、叙情性を強めた作風で、ギターのメロディをじっくりと聴かせる部分など
よりシンフォニックロックに接近した聴き心地。全体的には盛り上がりはさほどないのだが、優雅なインストシンフォです。
ドラマティック度・7 プログレ度・7 叙情度・8 総合・7.5 
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Greenwall「From the Treasure Box」
イタリアのプログレバンド、グリーンウォールの2005年作
女性ヴォーカルにツインキーボードを含む6人編成で、しっとりとした美しいシンフォニックロック。
うっすらとしたシンセをバックに、幻想的な浮遊感とイタリア語の歌唱で聴かせるサウンドで、
アレンジの中にモダンなポップさを取り入れ、プログレプロパーにならないセンスの良さが光る。
3曲目の間奏部にはPFMの“甦る世界”のフレーズも聴けたりして思わずにやり。
かと思うと、26分を超えるインストメインの大曲もあったり、バンドとしての器の大きさも感じさせる。
ジャケも含めてブックレットの童話的なイラストも美しい。女性声入りシンフォの大穴的傑作です。
シンフォニック度・・7 叙情度・・8 女性Vo度・・7 総合・・8
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Greenwall 「Zappa Zippa Zuppa Zeppa!」
イタリアのプログレバンド、グリーンウォールの2014年作
2005年作「From The Treasure Box」は、女性声を乗せた軽妙なシンフォニックロック作であったが、
9年ぶりとなる本作も、美しい女性ヴォーカルのイタリア語の歌声に美麗なシンセアレンジとともに、
しっとりと聴かせる繊細なサウンドだ。やわらかなピアノやアコースティックギターなどの素朴な叙情性に
ストリングスなどのアレンジも入った、クラシカルな美しさも覗かせる。一方では、ジャズロック&フュージョン的な、
軽やかなナンバーもあったりと、スタイルにとらわれないセンスと確かな演奏力を感じさせる。
ラストは16分の大曲で、メロディアスで優美なシンフォニックロックで締めくくる。優雅な好作品です。
ドラマティック度・・7 プログレ度・・7 軽妙度・・9 総合・・8
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Gruppo 2001「L'alba Di Domani」
イタリアンロックバンド、グルッポ2001の1972年作
「新世代の夜明け」という邦題で日本盤も出ていたが、イタリアンロックの中では比較的マイナーな存在。
フルートが鳴り響き、アコースティックを含む軽やかなギターの旋律を巧みなアンサンブルに乗せて、
詩情を感じさせるイタリア語のヴォーカルとともに、IL VOLOなどにも通じる叙情豊かなサウンドを描く。
アコースティックをメインにしたフォーク寄りの感触とともに、全体的にも牧歌的な繊細さに包まれていて、
プログレ的な展開はさほどないのだが、ときにミステリアスな空気をかもしだし、メロトロンをバックにした
優美な叙情性にはウットリとなる。確かな演奏力も含め、本作のみ残して消えるには惜しい存在であった。
ドラマティック度・7 プログレ度・7 叙情度・8 総合・7.5
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H2O「UNOPUNTOSEI」
イタリアのシンフォニックロックバンド、H2Oの1997年作
先に2nd「due」を聴いていたのだが、この1stの方は1曲目からたたみかけるキーボードと
ハケット風のギターが重なり、これだけでもうシンフォ好きの耳を奪に充分の心地よいサウンド。
広がりのあるキーボードがなにより素晴らしく、時折BANCOあたりの70年代テイストを
感じさせるが、決して古くさくはならず懐古主義でもない現代形のシンフォ音像である。
2ndは英語だったがここでははまだイタリア語で歌っていて、よりイタリアンロック的に聴こえる。
あまり知名度はないようだが、クオリティとしては間違いなく新世代シンフォの代表作品。
メロディアス度・・8 シンフォニック度・・8 音センス・・9 総合・・8

H2O「DUE」
イタリアのシンフォニックバンド、H2Oの2001年作
キーボード主導のシンフォサウンドで、軽快な躍動感があり、リズム面もなかなかタイトな演奏を聴かせる。
ヴォーカルの声質にはいくぶんGENESIS的…というかガブリエル風味を感じさせるが、
叙情的なメロディにはむしろ、初期PFMのようなキャッチーで優雅なものを匂わせている。
全4曲という大作主義だが、心地よいメロディとこなれたアレンジのセンスでだれることなく聴き通せる。
やわらかなキーボードの音色、メロディが実によろしい。叙情派プログレとしてはなかなかの傑作です。
シンフォニック度・・8 軽快度・・8 キーボー度・・8 総合・・8
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Heatwave Drum
「Following The Traced Line」
イタリアの女性Voメロディックロック、ハートウェイブ・ドラムの2012年作
清涼感ある女性ヴォーカルの歌声を中心に、メロウなギターやプログレ的なシンセアレンジも含んだサウンド。
英語やイタリア語、ロシア語、ルーマニア語など、多彩な言語を使った歌声は異国的な情緒を漂わせていて
アコースティカルな素朴さも含んだ楽曲とともに、爽やかな自然体の聴き心地をかもし出している。
初期のQUIDAMあたりに通じる優雅さに、女性Voのいくぶんの素人臭さも魅力といえば魅力。
いかにも自主制作らしい素直な情感に包まれた、優しくおおらかな好作品です。
メロディック度・・8 プログレ度・・7 女性Vo度・・7 総合・・7.5


HOMUNCULUS RES 「Limiti All'Eguaglianza Della Parte Con Il Tutto」
イタリアのプログレバンド、ホムンクルス・レスの2013年作
マルチ・ミュージシャンのDario D’Alessandroを中心にしたバンドで、ミニムーグやオルガン、メロトロンといったシンセが鳴り響き
コロコロとした可愛らしさと、アヴァンギャルドな感性をたっぷり含んだ、チェンバー風味のジャズロックというようなサウンド。
アコースティックギターやフルートによるやわらかな優雅さと、プログレ的なムーグシンセ、先の読めない変則リズムが楽しく、
ピッキオ・ダル・ポッツォあたりを思わせる部分もあるが、こちらの方がむしろ耳心地の良い、メロディアス性があるのがポイントで、
ヴォーカル入りのパートはキャッチーですらある。テクニカルではあるが硬質感はなく、MATS/MORGANがガンタベリーをやったらこうなる、
というのが分かりやすいかも。繊細な表現力を有するアヴァン・ジャズロック。YUGENのPaolo"Ske"Bottaがゲスト参加している。
メロディック度・・8 プログレ度・・8 優雅なエキセントリック度・・9 総合・・8
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HOMUNCULUS RES 「Come Si Diventa Cio' Che Si Era」
イタリアのプログレ・ジャズロック、ホムンクルス・レスの2015年作
前作はカンタベリー+アヴァンギャルドな力作であったが、邦題「変拍子の王国」と題されたこの2作目も、
やわらかなシンセに、サックスやフルート、クラリネットなどを加えた、カンタベリー風味の優雅なサウンドを描く。
変則リズムを多用した手技なアヴァンギャルド性と、牧歌的なヴォーカルが入ったキャッチーな感触が同居し、
メロディアスな聴きやすさの中に、ふとスリリングな展開を覗かせるという、絶妙のバランス感が心憎い。
オルガンやメロトロンのも音色も含んだシンセワークもなにげに効いていて、往年のプログレ感触を残しているのもよろしい。
1、2分前後の小曲を織り込みつつ、17分という大曲もあくまで軽やかでとぼけた味わい。肩の力を抜いて楽しめる傑作だ。
優雅度・・9 プログレ度・・8 カンタベ度・・8 総合・・8
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Homunculus Res 「Della Stessa Sostanza Dei Sogni」
イタリアのプログレバンド、ホムンクルス・レスの2018年作/邦題「夢の迷宮」
2013年にデビュー、本作は3作目となる。軽やかな変拍子を含んだリズムにサックスとギターが交わり、
マイルドなヴォーカルを乗せた、カンタベリー的な優雅さに包まれたプログレ・ジャズロックサウンド。
サロン的でキャッチーな上品さと知的な屈折感が同居したという、不思議な聴き心地で、
2〜4分前後の小曲主体の構成ながら、演奏力の高さもあって非常に濃厚に楽しめる。
ときに女性ヴォーカルも加えた、やわらかな歌もの的なナンバーにも味わいがあって、
フルートや鉄琴、クラリネットの優雅な響きなど、優しいソフトな雰囲気も魅力的だ。
ドラマティック度・・7 プログレ度・・8 優雅で軽妙度・・9 総合・・8
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HOMUNCULUS RES「Andiamo In Giro Di Notte E Ci Consumiamo Nel Fuoco」
イタリアのプログレバンド、ホムンクルス・レスの2020年作
2013年にデビュー、4作目となる本作は、牧歌的なイタリア語のヴォーカルにサックスを重ねて、
ゆったりと始まりつつ、シンセも加わって、とぼけた味わいの優雅なジャズロックサウンドを展開。
変則リズムによる屈折感と、軽妙なキャッチーさが合わさった、独自のスタイルはよりマイルドに深化、
エレピやオルガンを含むシンセと叙情的なフレーズを奏でるギター、ジェントルなヴォーカルとともに、
ソフトなアヴァン・ジャズロックが楽しめる。3〜4分前後の小曲も多く、プログレ的なフックは希薄で
あくまで軽やかなアンサンブルでライトに聴かせる。濃密すぎない、おとぼけ系プログ・ジャズロックです。
ジャズロック度・8 プログレ度・7 優雅度・8 総合・8 
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HOSTSONATEN「MIRRORGAMES」
イタリアのシンフォニックロック、ホストソナテンの1st。1998年作
前身のFINISTERRE PROJECT同様、優雅でたおやか系のシンフォニックで、
大時代的古典派ロマンサウンドが炸裂する。しかしそれが非常に出来が良いときている。
フルート、サックス、メロトロン、ハモンドなどの古めかしい楽器を優雅に弾き鳴らし
ゆるやかに盛り上ってゆく長大な楽曲は、ほのかな薄暗さをも感じさせつつ魅力充分。
たおやかでメロディアスでシンフォニック。耳にやさしくしっとりと。夢うつつに聴きましょう。
フルートで眠りましょう。メロトロンで泣きましょう。2010年の再発盤ではジャケが変更されている。
シンフォニック度・・9 イタリア度・・8 たおやか情緒度・・10 総合・・8.5
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HOSTSONATEN「SPRINGSONG」
イタリアのシンフォニックロック、ホストソナテンの2002年作
本作は、まず冒頭から繊細なフルートとヴァイオリンの音色にうっとりと引き込まれる。
アコースティックの合間にはキャメルばりのメロディアスなギターフレーズが顔を出す。
全体としてロックというよりはむしろ、シンフォニックトラッド寄りのサウンドで、
「春の歌」という通り、たおやかできらきらとした叙情美が詰め込まれている。
ヴァイオリンやフルート入りの繊細系シンフォが好きならまず聴くべきクオリティの傑作だ。
2009年には紙ジャケリマスター盤で、ジャケも変えてリマスター再発されている。
メロディアス度・・9 シンフォニック度・・8 アコースティカル度・・8 総合・・8.5
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HOSTSONATEN「springtides」
イタリアのシンフォニックロック、ホストソナテンの未発曲集。2004作
FINISTERREをはじめ、今やイタリアンシンフォ界のワーカホリックたる活躍で知られる
ファビオ・ズッファンティ率いるバンドの1992年〜2002年の間のデモや未発曲を集めたもの。
たおやかなピアノにフルートの音色で聴かせる、アコースティカルなサウンドは
正規音源でないとはいえ、このバンドの繊細な叙情美をじっくりと楽しめる。
1997年時のデモでは、打ち込みリズムを含めてファビオが一人で作った音源が微笑ましい。
これが1999年以降の音源になると、バンド形態となっていてより音に説得力が増している。
音質等も含めて完璧な作品ではないが、ゆるやかなサウンドにうっとりとできる1枚だ。
シンフォニック度・・7 しっとり叙情美度・・9 音質・・7 総合・・7.5

HOSTSONATEN「Winterthrough」
イタリアのシンフォニックロック、ホストソナテンの2008作
アルバムとしては3作目となり、前作「Springsong」の続編となる今作は冬をテーマにした作品で、
美しいピアノにサックスが絡み、たおやかなアコースティックギターの音色などでしっとりと聴かせる作風。
もちろん、メロトロン、ハモンドなどのヴィンテージシンセも使用され、ばっと聴きはやや地味ながらも、
じわじわとした叙情で盛り上げてゆく。初めとラストを10分超の大曲、その間を1〜3分の小曲を連続させるという手法も、
濃すぎる味付けにならない絶妙の構成で、ゆったりと鑑賞していると6曲目後半でぐっときて、
ラストの大曲でジーンとなる…という具合。叙情派を好むシンフォファンは必聴。
シンフォニック度・・8 しっとり叙情美度・・9 イタリア度・・7 総合・・8
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HOSTSONATEN 「Autumnsymphony」
イタリアのシンフォニックロック、ホストソナテンの2009年作
ファビオ・ズッファンティを中心としたバンドの、四部からなる大作“SeasonCycle Suite”の第二部で
タイトル通り秋をテーマにしたアルバム。美しいフルートにピアノの音色、そして哀愁を感じさせる
優美なアコースティック・ギターはAnthony Phillipsを思わせ、秋らしい情緒を感じさせる繊細なサウンドが広がる。
泣きのギターをたっぷりと含んだ部分はCAMEL的でもあり、フルートに絡む艶やかなヴァイオリンにうっとりとなる。
オールインストながら、メロディの流れと展開美のセンスにおいて、聴き手を飽きさせることなく
優雅なシンフォニックロックの手法で、うつろう季節の情緒を感じさせるところはまことに素晴らしい。
シンフォニック度・・8 繊細度・・9 イタリア度・・8 総合・・8
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HOSTSONATEN 「Summereve」
イタリアのシンフォニックロック、ホストソナテンの2011年作
季節をテーマにした四部作の最終章。壮大な組曲の最後の序章ともいうべき10分の大曲から始まり、
いつもながらの繊細かつメロウな聴き心地で、泣きのギターに艶やかなヴァイオリン、そしてフルートが絡み、
これ以上ない叙情美を描いてゆく。夏の夕暮れをイメージしたようなドラマティックな躍動感を含みつつ、
シンフォニックのロックとしての美意識をふんだんに散りばめたメロディックな盛り上がりがまた素晴らしい。
感動的なラスト曲の泣きと、季節はめぐりまた一回りするというような終わり方も心憎い。傑作でしょう!
シンフォニック度・・8 繊細度・・9 イタリア度・・8 総合・・8.5
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HOSTSONATEN「The Rime of The Ancient Mariner - Chapter One」
イタリアのシンフォニックロック、ホストソナテンの2012年作
イタリアンシンフォの重鎮、ファビオ・ズッファンティのプロジェクト、「四季」の四部作に続く本作もストーリー的なコンセプトに基づいた作品で
10分以上の大曲を3曲含む優美なシンフォニックロック。美しいシンセワークに繊細なフルートの調べ、優雅なヴァイオリンが鳴り響く、
うっとりとするような聴き心地。一方では、勢いあるギターのフレーズとともにドラマティックに盛り上げる部分もあって、
メリハリの効いた展開が楽しめる。ヴォーカルが入ると、これがとたんにGENESISっぽくもなるが、
ヨーロピアンなテイストのシンフォが好きな方にはたまらないだろう。ラスト曲には女性Voも登場し、
冒険の旅を思わせるフォルクローレ風味とともに次作への期待も広がる。ロマンにあふれた傑作です。
ドラマティック度・・8 優美度・・9 イタリア度・・9 総合・・8.5
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HOSTSONATEN「Alive in Theatre」
イタリアのシンフォニックロック、ホストソナテンのライブ。2013年作
ファビオ・ズッファンティ率いるバンドで、本作は2012年作「老水夫の歌」(The Rime of the Ancient Mariner)を
劇場用オペラとして公演したステージをCD+DVDに収録。元アルバムもロマンにあふれた素晴らしい傑作であったが、
ライブにおいても、やわらかなフルートに美麗なシンセワーク、叙情的なギターを重ねた、優美なシンフォニックロックを再現。
シアトリカルに歌い上げる英語のヴォーカルとともに、演劇的なドラマ性に包まれた濃密な空気感が広がってゆく。
艶やかなヴァイオリンにピアノも美しく、ラスト曲では「海鳥」役の女性ヴォーカルも加わって、壮麗なシンフォニックオペラを完成させる。
派手な衣装に身を包んだアクターたちが、生バンドをバックに前衛的な踊りや演技を繰り広げるDVDの映像も必見です。
ドラマティック度・・9 ライブ映像・・8 ライブ演奏・・8 総合・・8
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HOSTSONATEN 「Symphony N.1 - Cupid & Psyche」
イタリアのシンフォニックロック、ホストソナテンの2016年作
FINISTERRE、元LA MASCHERA DI CERのファビオ・ズッファンティが率いるメインユニットで、
1998年の1作目から始まり、壮大な四季の四部作や「老水夫の歌」など、シンフォニックロックの傑作を作り続けてきた。
本作はギリシャ神話の「エロス(クピド)とプシュケ」をテーマに、クラシカルなシンフォニーを表現したアルバム。
バレエ音楽的なイメージに沿って制作されたというサウンドは、クラシックの手法にシンフォニックロックをはめ込んだという感触で、
オルガンやムーグなどのシンセアレンジにフルートが鳴り響き、ストリングスやホーンセクションが楽曲に壮麗な厚みを加えながら
あくまで優雅な感触で構築されてゆく。いうなれば、英国のThe Enidにも通じるシンフォニーロックをイタリア的な濃密さで構築していて、
プログレらしいコテコテのシンフォ感もいくぶん残しつつ、優美な交響曲を鑑賞するようにも楽しめる傑作だ。
シンフォニック度・・8 プログレ度・・8 優雅度・・9 総合・・8 
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Humana Prog 「Fiori Frutti Farfalle」
イタリアのプログレユニット、ヒューマナ・プログの2014年作
マクソフォーネに楽曲提供したミュージシャンとしても知られる、Paolo Farinaを中心にしたユニットで、
そのMAXOPHONEのSergio Lattuadaなどが参加。のっけから20分の大曲で、アコースティックギターのつまびきに
やわらかなフルート、ヴァイオリンの音色が重なり、イタリア語のヴォーカルを乗せた、優美な叙情が広がってゆく。
美しいシンセアレンジに、タブラのリズムなども含んだ民族色が合わさった、牧歌的なシンフォニックロックが楽しめる。
2曲目以降は、3〜4分前後のシンプルなフォークロックで、プログレとして聴くには少し物足りなさもあるのだが、
地中海的な優雅なアコースティックサウンドが好きな方には心地よいサウンドだろう。
ドラマティック度・・7 優美な叙情度・・8 イタリア度・・8 総合・・8
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HUNKA MUNKA 「dedicato a Giovanna G.」
イタリアンロックバンド、フンカ・ムンカの1972作
I DIK DIKともつながりのあるバンドで、音楽的にもやはりどこか通じるものがある。
このアルバム、邦題「ジョバンナに捧ぐ」は唯一のアルバムで、プログレ色が濃い名作。
クラシカルで壮大なオルガンの響きに乗せる甘い歌声、ときおり意外と激しいドラムは
この時期のイタリア特有のロックの熱さを感じさせる。美しいピアノにストリングスが重なり、
叙情性もたっぷりで、情熱的に歌いあげるヴォーカルはオペラティックですらある。
尚、リマスター再発盤は、ジャケの便器のふた(笑)がパカッと開くLP盤を再現している。
クラシカル度・・8プログレ度・・7 イタリアの情熱度・・9 総合・・7.5
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Hunka Munka 「Foreste Interstellari」
イタリアのプログレバンド、フンカ・ムンカの2021年作
1972年に便座のジャケでおなじみの唯一のアルバムを出して以来、じつに39年ぶりとなる新作で、
Vo&Keyのロベルト・カルロットを中心に、ヴィンテージなオルガンにわりとハードなギターとドラムで、
厚みのあるシンフォプログレを構築する。枯れた味わいのイタリア語のヴォーカルが加わると、
とたんに70年代の香りが甦り、軽やかなアンサンブルとキャッチーな叙情のバランスもよく、
随所に女性コーラスも彩りを添える。11分の大曲では優雅な叙情性と、ドラマティックな構築力が光る。
ドラマティック度・8 プログレ度・7 イタリア度・8 総合・8 
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I

IBIS「SUN SUPREME」
イタリアのプログレバンド、イビスの1st。1974作
NEW TROLLSのメンバーが分裂してできたバンドなので、そのサウンドには
初期のニュートロルスにあったクラシカルさと繊細な部分が色濃く出ている。
演奏は、見事な実力を持ったドラムとイタリア的なきらびやかなキーボードが素晴らしく
テクニカルで重厚でありながら、歌心もあって全体としてどこか素朴で、やさしさが感じられる。
このあと2ndを出したあと、メンバーは再びニュートロルスに合体することになる。
メロディアス度・・8 ニュートロルス度・・8 演奏・・9 総合・・7.5
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IfsoundsApeirophobia」
イタリアのシンフォニックロックバンド、イフサウンズの2010年作
なにやら奇妙なジャケだが、サウンドの方もどことなくB級臭い浮遊感とヘタウマの女性ヴォーカルの歌声に男コーラスが絡み、
プログレ的なムーグシンセにロック風のギターが合わさった、濃密で叙情的、かつシアトリカルな面白い作風。
ゲストによるストリングスも美しい。一方では、なんとなくごちゃごちゃとしたつかみ所のなさもあるが、
ラストの27分を超える大曲はアヴァンギャルドな展開からドラマティックに盛り上がる、山あり谷ありの圧巻のプログレ曲だ。
ディープなイタリアンプログレマニアの方なら充分楽しめるだろう。結成は1993年と案外に古いらしい。
シンフォニック度・・7 濃厚プログレ度・・8 女性Vo度・・7 総合・・7.5
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IMAGIN'ARIA 「Progetto T.I.'A.」
イタリアのプログレバンド、イマジン・エリアの2006年作
90年代から活動する中堅バンドで、ツインギターにうっすらとしたシンセと、イタリア語のヴォーカルを乗せた、
ハードプログレを聴かせる。シンフォニックな要素は希薄ながら、二本のギターによる重厚なハードさとともに、
翳りを帯びたコンセプトアルバム風のシアトリカル性と、イタリアらしい混沌とした空気感を描いてゆく。
全体的にギターが主導なので、シンフォニックに盛り上がるような部分はあまりないのだが、
随所にツインギターの重ねによる叙情的なフレーズも覗かせる。一方ではエレクトロなナンバーや
モダンな硬質感も含んで、悪く言えばとりとめのない、良く言えばミステリアスな味わいの作品だ。
ドラマティック度・・7 プログレ度・・7 イタリア度・・8 総合・・7
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I MODIUM 「L'ANNO DEL CONTATTO」
イタリアのプログレバンド、アイ・モディウムの2019年作
オルガンなどを含むヴィンテージなシンセを軽快なリズムに乗せ、イタリア語のマイルドなヴォーカルとともに
優雅でキャッチーなサウンドを描く。叙情的なギターの旋律にやわらかなシンセを重ねたシンフォプログレ感触と
ポップ寄りの歌もの感が同居した、じつにやわらかな聴き心地。カンタウトゥーレのような表現力ある歌声と、
牧歌的な哀愁も含んだ味わいで、ゆったりと楽しめる。楽曲は3〜5分前後と比較的コンパクト、
プログレ的な派手さは控えめながら、ジェントルなヴォーカルにシンセとギターのバランスも見事。
ドラマティック度・・7 プログレ度・・7 イタリア度・・8 総合・・8
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L'IMPERO DELLE OMBRE
イタリアのドゥームプログレ、インペロ・デッレ・オンブレの2005年作
オルガンが妖しく鳴り響き、適度にヘヴィなギターとイタリア語のマイルドなヴォーカルを乗せた
薄暗い叙情を聴かせる作風。BLACK SABBATHルーツの魔術めいたおどろおどろしい世界観を、
イタリアらしい濃密なドラマ性で仕立て上げたというサウンドは、プログレとドゥームロックの境界といった雰囲気。
ギターワークはハードな感触であるが、70年代風味のアナログ感に包まれたヴィンテージロックとしても楽しめる。
8分、9分という大曲はいくぶん長尺で、プログレ的な展開力には乏しいので、やはりドゥームロックリスナー向けだろう。
ドラマティック度・・7 妖しげ度・・8 イタリア度・・9 総合・・7.5
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L'Impero Delle Ombre 「I Compagni Di Baal」
イタリアのドゥームプログレ、インペロ・デッレ・オンブレの2011年作
ジャケの雰囲気とBlack Widowレーベルという点からもう想像はつくのだが、オルガンが鳴り響き、
ヘヴィなギターとイタリア語のヴォーカルを乗せた、いかにも妖しげなサウンドににんまり。
サバスルーツのドゥームロックスタイルであるが、そこにイタリア的な濃密な空気がまとわりつく感じが
シアトリカルな聴き心地になっていてとても楽しめる。ボーナスにBLACK SABBATH“Snowblind”のカヴァーを収録。
ドラマティック度・・8 妖しさ度・・8 イタリア度・・8 総合・・8
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Indaco 「Due Mondi」
イタリアのエスノ・ジャズロック、インダコの2022年作
BANCOの故ロドルフォ・マルテーゼを中心に結成し、1997年にデビュー、本作は17年ぶりとなる5作目。
サックスに女性ハープ奏者を含む6人編成で、ドラムとパーカッションのリズムにシタールやブズーキのつまびきを乗せ、
美しい女性ヴォーカルの歌声とともに、地中海〜中近東的でもある優雅なエスニックサウンドを描く。
随所にドラムとエレキギターも使っているので、わりとロック感触もあり、サックスが鳴り響くジャズロック風味に、
アコーディオンやハープの音色も加わりると、素朴な民族色に包まれる。渋い男性ヴォーカルのナンバーもあるが
基本的には女性声がメインで、しっとりと優美な耳心地。プログレ感は薄めですが、哀愁の民族系エスノロックという好作品。
ロック度・6 エスノ度・8 優雅度・8 総合・7.5
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INFINITY 「Planetarium」
イタリアのプログレバンド、インフィニティーの1971年作
オルガンが鳴り響く中、荘厳なコーラスが響くイントロ曲から、やわらかなフルートにアコースティックギターが絡み
ピアノとパーカッションによるジャズタッチのアンサンブルなど、牧歌的な感触に優雅なクラシカル性も含んだ聴き心地。
メロトロンにメロウなギターが鳴り響く、シンフォニックロックの質感も現れて、オールインストながらも「世界」を描くという
壮大なコンセプトを感じさせる。たおやかなピアノにメロトロンがかぶさる美しさには、多くのシンフォファンがうっとりだろう。
本作が唯一の作品というのが惜しまれる、メンバーも謎という異色の力作だ。
ドラマティック度・・8 プログレ度・・8 イタリア度・・7 総合・・8
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INGRANAGGI DELLA VALLE 「In Hoc Signo」
イタリアのプログレバンド、イングラナッジ・デラ・ヴァッレの2013年作
ヴァイオリンが鳴り響き、オルガンやムーグ、メロトロンを含むシンセにいくぶんハードめのギター、
イタリア語のヴォーカルを乗せ、ジャズロック的な軽快なアンサンブルとともに聴かせるサウンド。
メリハリのあるドラマテイックな雰囲気とスケール感という点では、英国のMARSUPILAMIあたりを思わせ、
そこにPFMなどにも通じるイタリアンロックとしての叙情性が加わったという感触である。
いくぶん唐突な展開を含む、エキセントリックでとぼけた味わいには、優雅で知的なセンスもうかがわせ、
濃密になりそうなところをさらりとすり抜けてゆくのが若手らしい感性というべきか。個性的な強力作。
ドラマティック度・・8 プログレ度・・8 イタリア度・・9 総合・・8
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Ingranaggi Della Valle 「Warm Spaced Blue」
イタリアのプログレバンド、イングラナッジ・デラ・ヴァッレの2016年作
十字軍遠征をテーマにした個性的な力作であったデビュー作に続く2作目で、本作では「クトゥルー神話」をテーマにしている。
メロトロンやオルガンといったヴィンテージなシンセにフルートの音色、随所に艶やかなヴァイオリンが加わって、
チェンバープログレ的でもあるミステリアスな雰囲気が広がってゆく。メロトロンやピアノをバックに薄暗い叙情を描くところは、
AnekdotenやAnglagardなどの北欧プログレの空気感にも通じるが、タイトで軽妙なドラムを中心にしたアンサンブルには
Arti & Mestieriのようなジャズロック的な優雅さも感じさせる。そして今作では、イタリア語ではなく英語歌詞であるので、
北欧的な翳りと優雅な英国カンタベリー風味、そしてイタリアらしい濃密さが混在したような絶妙なサウンドとなっている。
10分前後の大曲を、緩急自在の展開でスリリングに聴かせるアレンジセンスと、それを支える確かな演奏力も素晴らしい。
メロトロンとヴァイオリンが鳴り響く叙情性に、ヘヴィプログレの濃密さとテクニカルな構築性が融合した見事な傑作である。
ドラマティック度・・8 プログレ度・・9 構築センス・・9 総合・・8.5
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Insomnia 「Brainshock」
イタリアのプログレバンド、インソムニアの2019年作
優美なシンセに叙情的なギターの旋律、マイルドなヴォーカルとともに、GENESISルーツのシンフォプログレを聴かせる。
90年代ルーツのMUSEAレーベルなどマイナー系シンフォのような翳りを帯びた空気感とともに、8〜9分前後の大曲をじっくりと構築する。
やわらかなフルートの音色に扇情的な泣きのギターがかぶさるあたりは、この手のシンフォ好きにはニンマリである。
PALLASなどを思わせる、軽快なポンプロック調のナンバーや、ゆったりとした叙情のシンフォニックロックまで、どこを切っても優雅なメロディアス性に包まれている。
イタリアというよりは、PENDRAGONなどの英国シンフォが好きな方にお薦め。これぞ王道のシンフォニックロックいう逸品です。
ドラマティック度・8 プログレ度・7 叙情度・9 総合・8
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JK

JACULA「Tardo Pede in Magiam Versus
イタリアの暗黒プログレバンド、ヤクラの1973年作
荘厳なチャーチオルガンの音色から始まり、典雅なチェンバロの響きに艶めいた女性ヴォーカルの歌声。
ロック色はほぼ皆無で、全編にわたって秘教的な妖しさを漂わせた異色のサウンド。
呪文を唱えるかのような女性のスキャットに身震いするか、あるいは笑うかで
この闇の幻想音楽を楽しめるかどうかが決まるだろう。フルートの音色に乗る女性声の美しさは
あのOPUS AVANTRAなどに匹敵するほど。まさにイタリアンロック異端の名作である。
2007年リマスター盤には、ボーナスとしてビデオクリップを収録。
荘厳度・・8 ロック度・・1 妖しさ度・・10 総合・・9
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JACULA「 In Cauda Semper Stat Venenum」
イタリアのカルトプログレバンド、ヤクラの未発音源集。2004年作
1973年の傑作「Tardo Pede in Magiam Versus(サバトの宴)」が有名であるが、
本作は1966〜69年に録音されていたという音源で、チャーチオルガンが妖しく鳴り響く、
おどろおどろしくも耽美な世界観を描き出すヤクラサウンドはすでに確立されている。
ときに邪悪なギターが加わって、男性声による語りなどのシアトリカルな雰囲気はむしろDEVIL DOLL風でもある。
後半のナンバーには美しいピアノに女性スキャットも加わって、ダークで湿り気を帯びた空気にどっぷりと浸ることができる。
60年代の録音にしては音質も良好。異色の音楽が好きな方、闇の美学に惹かれる方はぜひ。
オルガン度・・8 暗黒度・・9 イタリア度・・9 総合・・8 
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JACULA「Pre Viam」
イタリアの暗黒プログレバンド、ヤクラの2011年作
1972年に異色の傑作「サバトの宴」を発表、本作はなんと39年ぶりとなる新作である。
実質的には、アントニオ・バルトチェッティ氏のソロ作品のような感じだが、チャンバロやピアノチャーチオルガンが響きわたる
妖しげな感触は、たしかにかつてのヤクラの世界観で、ややハードめのギターが掻き鳴らされると、
とたんにB級オカルト・ドゥームロック風の感触になるのだが、これはこれで悪くない。
大仰なこけおどし感も効いていて、インストパートがメインであるが、随所に女性声による妖しい語りも入ったりと
耽美でダークな雰囲気はとてもいい感じだ。かつての名作ほどの強烈なインパクトはないが、ヤクラの続編として楽しめる。
耽美度・・8 プログレ度・・7 暗黒度・・7 総合・・8
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J.E.T「FEDE SPERANZA CARITA」
イタリアのプログレバンド、ジェットの1972作/邦題は「消えゆく希望の灯」
後にMUSEO ROSENBACHのメンバーと合体しマティア・バザールを結成することでも知られ、
本作はいわゆるハード系のプログレとしても語られるアルバムで、
ジャジーでハードなギター
と手数の多いギターに、美しいキーボードが絡むサウンド。
バックの演奏は「聖杯伝説」をテーマとしているせいか英国的な雰囲気もあり、
イタリア語の歌唱における叙情性と、荒々しいハードな部分とのメリハリがついている。
とくにCの“王に捧げるシンフォニア”の美しさは白眉。紙ジャケで聖杯くり抜きジャケを再現。
メロディアス度・・7 プログレ度・・7 ハードプログレ度・・8 総合・・7.5
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JETLAG「DELUSIONE OTTICA」
イタリアのテクニカルシンフォバンド、ジェット・ラグの2001年作
バンド名からしてPFMを思い出すが、音の方はそのPFMのテクニカルな部分を全面的に押し出し、
フルートを吹きまくったという印象。たたみかける変拍子たっぷりの見事なアンサンブルに
イタリア的な乗りの良さが加わり、メロディセンスと展開力も備わっていて新人とは到底思えない。
ジャズロック的な押しの部分と、時折引きのパートでの叙情性も見事でキーボードもハイセンス。
DFAあたりよりもずっと聴きやすく、演奏面でもまったくひけをとっていない。PFM+BANCO+AREAのような…イタリア恐るべし。
メロディアス度・・8 テクニカル度・・9 楽曲・・9 総合・・8.5◆プログレ名作選入り
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Jumbo
イタリアのプログレバンド、ジャンボの1972年作
プログレというよりは、枯れた雰囲気に包まれたブルージーなロックで
いくぶん荒々しいヴォーカルに、イタリア的な叙情的なコーラスが重なり、
英国ハードロック的なギターに、ハーモニカの音色が響きわたる。
オルガンやフルートも含んだ部分はいくぶんプログレらしさもあり、
初期のJethro Tullをイタリア化したようなサウンドを描いている
ドラマティック度・・7 プログレ度・・7 イタリア度・・8 総合・・7.5
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JumboVietato Ai Minori Di 18 Anni
イタリアのプログレバンド、ジャンボの1973年作/邦題「18歳未満禁止」
本作は、3作目にしてラスト作でありバンドの代表作となる。
美しいフルートの音色に、オルガンを含んだシンセとイタリア語による濃密な歌声、
いくぶんブルージーな情感と、どこかけだるげな叙情で聴かせるサウンドは、
じつにイタリアンロックらしいシアトリカルな怪しさに包まれている。
混沌としたダイナミックな展開力と独特のスケール感を感じさせる力作である。
ドラマティック度・・8 プログレ度・・8 イタリア度・・9 総合・・8
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Karmamoi 「Day Is Done」
イタリアのプログレユニット、カルマモイの2018年作
2011年にデビュー、本作は4作目で、美しいピアノとシンセ、メロウなギターのトーンに
しっとりとした女性ヴォーカルを乗せて繊細な叙情を描く、ポストプログレ風のサウンド。
静寂感のあるスペイシーなポストロック的な味わいの中に、ロック寄りのドラムとギター、
やわらかなフルートの音色も加わると、イタリアらしい優雅なプログレ色に包まれる。
一方では、叙情的なギターにシンセを重ねた、涼やかなシンフォニックロックとしても楽しめ、
翳りを帯びたアンニュイな倦怠をまとわせるところは、PAATOSなどに通じる部分もある。
ドラマティック度・・7 プログレ度・・7 叙情度・・8 総合・・7.5
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KERYGMATIC PROJECT 「By Sheer Chance」
イタリアのプログレバンド、ケリグマティック・プロジェクトの2013年作
きらびやかなシンセを中心にしたキャッチーな爽快さで聴かせる、正統派のシンフォニックロック。
ヴォーカルは英語なのでイタリア臭さはあまりなく、むしろアメリカのバンドのような抜けの良さで、メロディアスな感触が楽しめる。
4〜5分前後の楽曲は難解なところはなく、むしろASIAのようなシンプルなプログレハード的な味わいもある。
全体的にライトな感触なので、ドラマティックなシンフォを好む方には向かないが、ムーグやオルガンを含むシンセも耳心地よく、
イタリアのバンドということを度外視すれば、肩の力を抜いて楽しめる好作です。
メロディック度・・8 プログレ度・・7 イタリア度・・7 総合・・7.5
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Kerygmatic Project 「Now And Again」
イタリアのプログレバンド、ケリグマティック・プロジェクトの2015年作
2011年にデビューし、本作は4作目。きらびやかなシンセにかすれた味わいのヴォーカルを乗せ、
プログレハード風のキャッチーな感触に包まれた、わりと王道のシンフォニックロックサウンド。
オルガンやムーグを含むプログレらしいシンセワークを中心に、英語歌詞のヴォーカルとともに、
ゆったりとした叙情を聴かせる作風で、「Love and Destiny (遼と香の歌)」と題された、
アニメ「シティ・ハンター」をテーマした優美なナンバーなど、日本人ならにやりとなるだろう。
全体的には、ASIAにも通じる、80〜90年代風のシンフォニックなプログレハードといった趣で、
これという新鮮さはないものの、優美なサウンドを安心して楽しめる好作品だ。
メロディック度・・8 プログレ度・・7 叙情度・・8 総合・・7.5
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KERYGMATIC PROJECT 「Chronicles From Imaginary Places」
イタリアのプログレバンド、ケリーグマティック・プロジェクトの2018年作
2011年にデビューし、5作目となる。のっけから12分におよぶ大曲で、オルガンやムーグを含むシンセに
かすれた味わいのヴォーカルを乗せて、ASIAなどにも通じるキャッチーなシンフォプログレを聴かせる。
歌詞が英語なのでイタリアっぽさはあまりなく、きらびやかなシンフォニック性と優雅な展開力で、
YESを思わせる雰囲気のナンバーもある。どことなく煮え切らなかったこれまでの作品に比べて、
吹っ切れたような爽快な聴き心地。ラストは16分という、シンフォプログレらしい大曲がまた見事。
メロディック度・・8 プログレ度・・8 優雅度・・8 総合・・8 
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Kundalini Shakti Devi
イタリアのプログレバンド、カンダリニ・シャクティ・デヴィの1974年作
1974年に録音されながらも、未発のまま終わったバンドの音源が、2013年にCD化。
19分、14分、13分という大曲3曲という構成で、やわらかなフルートが鳴り響き、
イタリア語のヴォーカルを乗せた、湿り気のある叙情性を含んだサウンド。
ギターはわりと控えめながら、ときにブルージーなフレーズを聴かせ、
軽やかなアンサンブルを生み出すドラムにオルガンが重なり、ときにサックスも鳴り響く
ジャズロック的な軽妙さと、おおらかなメロディアス性が合わさったという感触だ。
これというインパクトはないのだが、当時のイタリアンロックの奥深さが窺える好作品。
ドラマティック度・・7 プログレ度・・7 軽妙で繊細度・・8 総合・・7.5
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Lamanaif 「L'Uomo Infinito」
イタリアのハードプログレ、ラマナイフの2012年作
DVDのようなトールケース仕様なのだが、れっきとしたCD作品です。
ヴォーカル、ギター、ベース、ドラムの4人編成で、シンセがいないというのが珍しい。
ハード寄りのギターとイタリア語の濃密なヴォーカルで聴かせるサウンドは、
メタリックな激しさも含みつつ、いかにもイタリア的なシアトリカルな雰囲気に包まれている。
こうした演劇性はOSANNAなどにも通じるものがあるだろう。シンセがないのが寂しいのだが、
ハードロック風味の骨太さをイタリアンロックのドラマ性と融合させたというような力作だ。
ドラマティック度・・8 プログレ度・・7 イタリア度・・9 総合・・7.5
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Lanzetti / Roversi 「Quasi English」
NANGALA VALLIS、MOONGARDEN、THE WATCHなどに参加したシンセ奏者、クリスティアーノ・ロベルシと、
ACQUA FLAGILE、PFMなどに参加したヴォーカリスト、ベルナルド・ランゼッティのユニット。2015年作
MOON GARDENやROSENKREUZなどのメンバーがゲスト参加。サウンドは枯れた味わいのヴォーカルを乗せた、
キャッチーな聴き心地で、中期GENESISあたりに通じるポップ性と、アダルトなロック色が合わさったという雰囲気。
シンプルな歌ものかと思いきや、オルガンやメロトロンが鳴り響き、メロウなギターが加わった往年のGENESISばりの
シンフォニックなナンバーや、大人の哀愁を感じさせる叙情曲など、なかなか多彩な聴き心地で楽しめる。
GENTLE GIANTのカヴァーもマニア好みの選曲。世代を超えたユニットによる、イタリアシーンの面白さを伝える一枚だ。
メロディック度・・8 プログレ度・・7 イタリア度・・7 総合・・7.5
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LATTE E MIELEPassio Secundum Mattheum
イタリアのプログレバンド、ラッテ・エ・ミエーレの1st。1972作
キリストの受難劇をテーマにした壮大なコンセプト作で、
たおやかなピアノにアコースティックギター、物語を語るようなヴォーカル、
そこに混声合唱団が加わって、時代的な荘厳な雰囲気に包まれる。
キーボードプログレとしては次作「パピヨン」の方が完成度は高いと思うが
この大仰なまでの演劇性は、今聴くと音質的にはややチープな部分があるものの、
イタリアからしか出て来ない音であるという点でやはり鑑賞に値する傑作だろう。
クラシカル度・・8 荘厳度・・8 イタリア度・・9 総合・・8
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LATTE E MIELE「PAPILLON」
イタリアのプログレバンド、ラッテ・エ・ミエーレの2nd。1973作
ラッテといえば、荘厳な雰囲気のトータル作「受難劇」が有名であるが
ノンフィクション小説をテーマにした7部構成の“組曲:パピヨン”を含む本作は、
トータル的な完成度ではむしろ上をゆく。ELPばりに鳴り響くオルガンの音色に
イタリアらしいやわらかでクラシカルなメロディが合わさって、
映画的な語りやアコースティカルなパートを含めて、ドラマティックに楽曲は展開してゆく。
むしろ「受難劇」よりも、このバンド本来のやわらかな繊細さが味わえる傑作だ。
メロディアス度・・8 ドラマティック度・・9 繊細叙情度・・9 総合・・8.5
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LATTE MIELE「AQUILE E SCOIATTOLI」
イタリアのプログレバンド、ラッテ・ミエーレの3rd。1976作。邦題は「鷲と栗鼠」
ラッテエミエーレといえば、キリストの生誕をモチーフにした偏執狂的な大作、1st「受難劇」
歌劇を思わせるメロディアスな2nd「パピヨン」が代表作とされているが、この3rdもなかなかの出来だ。
ポップさを増した歌ものの曲もあるが、20分を超える組曲では従来のシンフォニック節が炸裂、
イタリアらしい叙情美あふれるメロディアスサウンドが楽しめる。
メロディアス度・・8 シンフォニック度・・8 イタリア度・・8 総合・・8
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Latte Miele「Live Tasting」
イタリアのプログレバンド、ラッテ・ミエーレのライブアルバム。2008作
「ミルクと蜂蜜」という名を持つこのバンドは、1972〜76年の間に素晴らしい3枚のアルバムを残し、
とくに1st「受難劇」、2nd「パピヨン」はイタリアンロックの名作として今もなお愛され続けている。
これはなんと、30数年の時をへてそれらの曲をライブで演奏した、まさにファン感涙の作品である。
このライブで聴ける「受難劇」の組曲は、オリジナル以上にシンフォニックロックとしての壮麗さと
モダンさが前に出ていて、たおやかなピアノの響きやオペラティックな歌声とともに、
やわらかな美しさが際立っている。「パピヨン」からは数曲の抜粋のみなのが残念だが、
3rd「鷲と栗鼠」収録の20分を超える大曲“Pavana”が新たなアレンジで聴けるのは嬉しい。
優しいメロディのプログレという点では、イタリアでも屈指のバンドだったのだとあらためて知らされる。
シンフォニック度・・8 メロディアス度・・8 ライブ演奏・・8 総合・・8
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Latte Miele「Marco Polo(sogni e viaggi)」
イタリアのプログレバンド、ラッテ・ミエーレの復活作。2009作
1972年にキリストの「受難劇」をテーマにした荘厳なコンセプト作でデビュー、その後も「パピヨン」「鷲と栗鼠」という名作で、
メロディアス派のイタリアンロックファンから愛されてきたラッテ・エ・ミエーレがここに復活。
本作は「東方見聞録」で知られる冒険家、マルコ・ポーロをテーマにしたコンセプト作で、
全13曲が彼の冒険を描いた各場面を音楽で表現した、じつに素晴らしい内容となっている。
のっけから壮大なオーケストレーションで幕を開け、華麗なシンセとメロウなギターが交差し
とてつもなくドラマティックなその音に一気に引き込まれる。やわらかなハモンドにフルートの音色、
オーケストラによるシンフォニックな音の厚みと、このバンドならではのやわらかなメロディが耳に優しい。
繊細なヴァイオリンが艶やかに奏でられ、優雅にしてクラシカルな、まさにイタリアの音である。
イタリア語の歌唱も含めて、どこかなつかしいような70年代の香りを、現代のダイナミズムで再構築したような
感触の感動的なサウンド。ラッテのファンは当然、イタリアンロック愛好家は全員必聴の歓喜の復活作だ。
シンフォニック度・・8 クラシカル度・・8 イタリア度・・10 総合・・8.5
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LATTE e MIELEPassio Secundum Mattheum
イタリアのプログレバンド、ラッテ・ミエーレの2014年作
前作「マルコ・ポーロ」も素晴らしかったが、本作はなんと1972年のデビュー作「受難劇」を完全版として再録した作品。
19パートに拡大された楽曲は、荘厳なコーラスや美しいストリングスパートも含んで、より優美に、ダイナミックに再現されてゆく。
語りを含んだコンセプト要素に、マイルドなイタリア語のヴォーカル、泣きの叙情ギターを包み込むストリングス、
繊細な美意識とイタリアらしい演劇性が合わさったかつての名作が、再び生き生きと躍動してゆくようだ。
男女混成コーラスの歌声は厳かで、キリストの受難劇をテーマにしたオペラを鑑賞するように楽しめる。
バンドのファンはもちろん、初めてこのバンドを知る方にもぜひ聴いていただきたい壮麗な傑作に仕上がっている。
NEW TROLLS、OSANNA、PICCHIO DAL POZZO、JUMBO、CIRCUS 2000などのメンバーがゲスト参加している。
クラシカル度・・9 壮大度・・9 イタリア度・・9 総合・・8.5
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LAVIANTICA 「Clessidra」
イタリアのプログレバンド、ラヴィアンティカの2013年作
やわらかなシンセにほどよくハードで叙情的なギター、イタリア語のジェントルなヴォーカルで、
優美なシンフォプログレを聴かせる。ピアノやオルガンなどのシンセワークも耳心地よく、
随所に変拍子を含む軽やかなアンサンブルも覗かせつつ、ゆったりと大人の叙情を描いてゆく。
ギターのフレージングのセンスが良いので、ロックな質感を残しつつ、泣きのメロディも織り込ませ、
優美なシンセが絡むインストパートはなかなか魅力的。ラストは11分の大曲で、ヴァイオリンが鳴り響き、
繊細なピアノやオルガンも重なって、メロウなギターとともに優雅なシンフォニックロックが味わえる。
ドラマティック度・7 プログレ度・7 優雅な叙情度・8 総合・8
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Laviantica 「The Experience」
イタリアのプログレバンド、ラヴィアンティカの2018年作
2013年にデビューし、2作目となる。2人のシンセ奏者にフルートも擁する5人編成で、
メロティックなギターの旋律にエレピを含むシンセを重ね、やわらかなフルートのも音色も加えて
優美なインストサウンドを聴かせる。8分、11分という、インストにしては長めの大曲も、
泣きのギターフレーズと細やかなシンセアレンジで、大味にならない繊細な叙情美に包まれる。
歌がないので、ドラマティックな盛り上がりは薄めであるが、耳心地の良いインストシンフォが楽しめる。
ドラマティック度・7 プログレ度・7 優雅度・8 総合・7.5
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LAYRA 「CRONO」
イタリアのシンフォニックロック、ライラの2011年作
シンセを含む5人組で、シンフォニックな美しさと適度にメタル的なギターワーク、
マイルドなヴォーカルとともに、ProgMetal的な構築力も含んだサウンドを聴かせる。
美しいシンセワークに乗るイタリア語のヴォーカルが叙情的で、全体的にはしっとりとした聴き心地ながら、
イメージとしてはメタル系バンドに近いセンスを感じる。ラストは14分の大曲で、なかなかドラマティックな好作品。
シンフォニック度・・8 プログレ度・・7 イタリア度・・8 総合・・7.5


Lethe 「Nymphae」
イタリアのプログレバンド、レゼの1994年作
これが唯一の作品で、美しいジャケのイメージ通り、優美なシンセワークにフルートが鳴り響く
幻想的なシンフォニックロックで、イタリア語によるヴォーカルがいくぶん粗野なマイナー臭さをかもしだす。
10分前後の大曲を緩急ある展開で構築する、ドラマティックな雰囲気は、おおらかな長尺感も含めて、
いかにも90年代シンフォらしい味わいだ。アコースティックギターとフルート、ピアノによる繊細な叙情美も覗かせつつ、
ポンプロック寄りのキャッチーな側面も同居する。ラストは17分の大曲で、なかなか長いのだが、これぞシンフォということで。
ドラマティック度・8 プログレ度・7 優美度・8 総合・7.5


LEVIATHAN「BEE YOURSELF」
イタリアのシンフォニックロックバンド、リヴァイアサンの1990年作
BEE(蜂)をかけたつまらないシャレのタイトルと、いかにもB級的なジャケはひどいが、
サウンドの方は、意外にも繊細なメロディが美しいシンフォニックハードプログレで、
やぼったいリズムの上に乗るギターのフレーズもわりとメロウでとても心地がよい。
雰囲気としては、英国のPALLASなどに通じるものがあり、とても聴きやすい作品だ。
ラストの19分の大曲もなかなかにドラマティックですぞ。
メロディアス度・・8 シンフォニック度・・7 プログレ度・・7 総合・・7


Libra「Musica & Parole」
イタリアのプログレバンド、リブラの1975年作
アコースティカルにしっとりと始まりつつ、イタリア語の歌声にギターとシンセが絡み、
キャッチーなメロディとともに、ジャズロック的なテクニカルな演奏が繰り広げられる。
ベースのハネる感じがファンキーなノリをかもしだし、それがイタリアンロックの濃密さと上手く融合されている。
音質も大変良好で、年代を考えれば非常に厚みのあるサウンドだろう。
一方では繊細な叙情美もあり、ピアノに乗せたしっとりとした歌を聴かせるシンフォ曲もGood。
楽曲のメリハリのつけ方はとても洗練されていて、素晴らしい演奏力とセンスが合わさった
非常に質の高い作品だ。これはイタリアンロックの隠れた傑作といってもいいだろう。
メロディアス度・・8 プログレ度・・8 ファンク風ジャズロック度・・8 総合・・8
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A Lifelong Journey
イタリアのプログレバンド、ライフロング・ジャーニーの2019年作
2人のマルチミュージシャンによるユニットで、きらびやかなシンセにメロウなギター
マイルドなヴォーカルを乗せて、軽やかなアンサンブルで聴かせる優雅でスタイリッシュなサウンド。
歌詞は英語なので、BIG BIG TRAINなど英米のバンドに通じる感触でキャッチーなメロディアス性と知的な構築力で、
流れのある優美なシンフォプログレを展開する。オルガンやメロトロンを含むシンセにはヴィンテージな味わいもあるが、
MOON SAFARIのような繊細なメロディアス性に包まれていて、軽やかに展開しつつもうるさすぎないところが素晴らしい。
派手な大曲こそないものの、濃密すぎない優雅さに包まれたサウンドが楽しめる高品質な作品です。
メロディック度・・8 プログレ度・・8 優雅度・・9 総合・・8
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Living Stilts 「Shipwreck」
イタリアのプログレバンド、リヴィング・スティルツの2014年作
シンセ奏者のルカ・マヴィリアを中心にしたプロジェクトで、艶やかなヴァイオリンとオーケストラルなイントロから、
叙情的なギターにマイルドなヴォーカルを乗せ、ゆったりとした牧歌的なシンフォニックロックを聴かせる。
SEや語りを含む小曲なども織り込んで、コンセプト的なドラマを描きながら、アコースティックギターやストリングス、
随所に女性ヴォーカルも加わり、男女Voでの優雅な味わいに包まれる。楽曲ごとの盛り上がりはさほどないので、
全体的に淡々とした印象はぬぐえず、もう少しプログレらしい展開やキャッチーなフックがあればと思う。
ドラマティック度・・7 プログレ度・・7 優雅度・・8 総合・・7
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LOCANDA DELLE FATE「Forse Le Lucciole」
イタリアのプログレバンド、ロカンダ・デッレ・ファーテの1977作
この美しいジャケのイメージ通り、ロマン溢れだすような、美麗なメロディが満載の名作。
美しいピアノに導かれて、メロウなギターと繊細なシンセワークに、しっとりとしたフルートが加わると、
やわらかな情感に包まれた極上のシンフォニックロックとなる。まさに妖精のような優しいサウンドだ。
また、アンサンブル的にも優れた展開力で、リズミカルな軽やかさがキャッチーな聴き心地となっている。
これぞイタリアが生み出した美の結集。ヴォーカルの太めの歌声が粗暴に思われるほどだ。
メロディアス度・・9 美麗度・・9 イタリア度・・8 総合・・8.5
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LOCANDA DELLE FATE「Homo Homini Lupus」
イタリアのプログレバンド、ロカンダ・デッレ・ファーテの1998年作
素晴らしい1作を残して消えたこのバンドが、なんと20年ぶりとなるスタジオ新作を出した。
かつてのきらびやかなサウンドではなく、イタリア語のヴォーカルを中心に聴かせる、
かれた味わいの大人の叙情ロックという雰囲気であるが、それでいて、メロウなギターワークに、
うっすらとしたシンセアレンジはなかなか美しく、随所にこのバンドらしい繊細なセンスも感じられる。
「妖精の帰還」という日本盤タイトルをイメージして聴くと、やや肩すかしかもしれないが、
たとえばPFMの近作などのように、大人の味わいの落ち着いたイタリアンロックとして楽しめる。
メロディック度・・8 ロカンダ度・・7 大人の哀愁度・・8 総合・・8
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Locanda Delle Fate「The Missing Fireflies」
イタリアのプログレバンド、ロカンダ・デッレ・ファーテの2012年作
1977年に名作「Forse le lucciole non si amano piu」で、叙情派リスナーの心を
鷲掴みにしたこのバンド、1999年に「Homo Homini Lupus」で復活を果たしたが、
本作はそれ以来13年ぶりとなる作品。過去のマテリアルの再録と1977年のライブ音源という
いくぶん中途半端な構成であるが、美しいシンセアレンジと、かつてを思わせる叙情美には
やはりうっとりである。ライブ音源も年代を考えればまずまずの音質だ。今後の完全新作を期待したい。
メロディック度・・8 ロカンダ度・・8 フルアルバム希望度・・10 総合・・7.5
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Locanda Delle Fate 「Bloom Live」
イタリアのプログレバンド、ロカンダ・デッレ・ファーテのライブ作品。2013年作
2010年イタリアのロックフェスティバルでのライブ音源を収録したCD+DVD。
2012年に復活作「The Missing Fireflies」を発表したバンドの復活の契機となったライブで、
1977年の名作からの楽曲を中心にしたステージが楽しめる。美しいシンセワークとイタリア語の歌声、
フルートの音色も含んだやわらかな叙情と繊細な美意識にあふれたサウンドは、時を超えてその美しさに感動する。
演奏面での躍動感、緩急のついた楽曲を再現する力量もさすが。野太いヴォーカルの歌声もかつてのままだ。
バンドのファンはもちろん必聴だが、初めてこのバンドに触れる若いリスナーにも入門用にお薦めできる。
メロディック度・・8 ライブ演奏・・8 イタリア度・・9 総合・・8
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Locanda Delle Fate 「Lucciole Per Sempre」
イタリアのプログレバンド、ロカンダ・デッレ・ファーテの2018年作
1977年作「妖精」は、繊細な叙情に包まれた名作として名高いが、本作は当時の発掘音源を含むCD+DVD。
7インチサイズの豪華仕様で、大型ブックレット付属。CDには、現メンバーによる新曲2曲を筆頭に、
1977年イタリア国営放送用のスタジオライブ音源、さらにはバンドのデビュー前、1974年の音源を収録。
新曲の方は、枯れた味わいのヴォーカルに優美なシンセと泣きのギターで、大人の叙情に包まれた聴き心地。
バンドのファンにもっとも嬉しいのが、77年のライブ音源だろう。名作「妖精」のナンバーを全盛期の演奏で楽しめる。
1974年の音源は、Gentle Giant、PFM、Formula Treのカヴァーで、原曲を尊重しつつもより優美な仕上がりで楽しめる。
DVDには、国営放送用ライブと新曲のPVを収録。映像は白黒ながら、バンドの当時の映像を見られるだけでもファン必携です。
叙情度・・9 貴重音源度・・9 貴重映像度・・10 総合・・8 
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Logos 「L'enigma Della Vita」
イタリアのプログレバンド、ロゴスの2014年作
結成は90年代というバンドで、これが十数年ぶりの復活作ということらしい。
ツインキーボード編成によるシンフォニックなアレンジとメロウなギターフレーズを乗せた、
スタイリッシュなサウンドを聴かせる。ヴォーカルはイタリア語であるが、随処にGENESISルーツの叙情や
軽妙なアンサンブルとフックのあるメロディラインを覗かせる。いわばモダンなシンフォニックロックと、
イタリアンプログレらしさをバランス良く融合させている。ピアノにオルガン、ムーグ、メロトロンなど、
多彩なシンセワークも光っていて、インストパートの比重の高さをセンス良く担っているのだが、
10分前後の大曲も多いので、やや長尺感がつきまとうのが惜しい。作り込まれた力作ではあります。
メロディック度・・8 プログレ度・・8 イタリア度・・8 総合・・8
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LOGOS 「Sadako E Lemille Gru Di Carta」
イタリアのプログレバンド、ロゴスの2020年作
90年代から活動するバンドで、本作は「原爆の子の像」や「千羽鶴」で知られる佐々木禎子を題材としたコンセプト作。
きらびやかなシンセを乗せたイントロ曲から、すでにドラマティックなプログレ感触に包まれているが、
変拍子を含むスリリングなアンサンブルに、イタリア語によるマイルドなヴォーカルを乗せて、
ときにサックスの音色も加えた優雅な味わいとともに、10分を超える大曲を構築してゆく。
オルガンやムーグなどのヴィンテージなシンセワークをメインに、ラストは21分という大曲で、
ゆったりとした叙情パートから、優美なシンセとギターを重ね、これぞシンフォプログレという叙情美を描く。
ドラマティック度・8 プログレ度・8 優美度・9 総合・8 
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LUCA ZABBINI 「ONE」
イタリアのミュージシャン、ルカ・ザッビーニの2021年作
Barock Projectを率いるシンセ奏者で、本作は初のソロ作品。ギター、ベース、ドラム、ヴォーカルを一人でこなし、
クラシカルなピアノとシンセに、自身のマイルドなヴォーカルを乗せて、優雅なシンフォニックロックを聴かせる。
アコースティックギターによる素朴な味わいや、ピアノとオルガンをバックにした、QUEENのような歌ものナンバーなど、
プログレというよりはキャッチーなオールドロックという感じで楽しめる。作風は異なるが、クラシックを基盤に優雅なセンスで
楽曲を構築するところは、ROBBY VALENTINEにも通じるかもしれない。クラシカルなピアノナンバーもさすがの説得力。
シンセ奏者のソロではあるが、全体的には優しい歌もの系ロックという感じで、個人的にはもう少しマニアックな側面も聴きたかった。
ドラマティック度・7 プログレ度・6 優雅度・8 総合・7.5
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Luciano Basso「Voci」
イタリアのミュージシャン、ルチアーノ・バッソの1976年作
クラシカルなピアノの旋律にヴァイオリンが絡み、メロウなギターにメロトロンが加わると、
インストによる優美なシンフォニックロックの趣になる。オルガンを乗せて変拍子リズムを含んだ
プログレらしい感触もありつつ、クラシックを基盤にした優雅なピアノがサウンドを包み込む。
10分前後の大曲も、美しいピアノとギターにヴァイオリンを重ねて繊細な美意識を描く、
いわば現代クラシックをロック化したようなサウンドが楽しめる。メロトロンやオルガンなどの
ヴィンテージな味わいと、チェンバー系シンフォというべき優雅さが融合した逸品です。
クラシカル度・・8 プログレ度・・7 優雅度・・9 総合・・8
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LUNA
イタリアンロックバンド、ルーナの1981年作
元OSANNAのギタリスト、ダニロ・ルスティッチのバンド。邦題は「火の鳥」
サウンドはやわらかなシンセとイタリア語の甘いヴォーカルを中心にした、
ポップなメロディックロックという趣。ピアノやストリングスのアレンジも美しく
イタリアンロックとしての叙情性はしっかり残っていて、とても耳触りのよい作風だ。
プログレ的なスリリングさはないが、優雅で繊細なイタリアン・ポップロックの好作品。
メロディック度・・8 プログレ度・・7 イタリア度・・8 総合・・7.5
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MacroMarco 「Il Pianeta Degli Uomini Liberi」
イタリアのシンフォニックロック、マクロマルコの2009年作
Marco Grieco氏によるソロユニットで、アコースティックを含む叙情的なギターに優美なシンセを重ね、
イタリア語のヴォーカルに女性ヴォーカルも加わって、大人の味わいのシンフォプログレを聴かせる。
イタリアらしい哀愁を含んだやわらかな歌もの感触には、I POOHなどにも通じる牧歌的な優雅さがあったり、
4〜6分前後の楽曲をメインに、1曲ごとはわりとシンプルな味わいで、シンフォ・メロディックロック的にも楽しめる。
ドラマティック度・7 プログレ度・7 叙情度・8 総合・7.5
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MacroScreaM 「SISYPHUS」
イタリアのプログレバンド、マクロスクリームの2012年作
艶やかなヴァイオリンの音色に、オルガン、ムーグ、メロトロンを含むシンセ、
そして英語によるヴォーカルで、クラシカルかつキャッチーに聴かせるサウンド。
のっけから25分を超える組曲で、緩急をつけた展開に、優雅な叙情を含ませて
シアトリカルな世界観を描いてゆく。随所にオルガンなどもいい味わいを出しているが、
それ以上に、ヴォーカルの個性と効果的に鳴り響くヴァイオリンと印象に残る。
いくぶんごちゃごちゃとしたB級臭さもあるが、それもイタリアらしい濃密な味わいか。
ドラマティック度・・8 プログレ度・・8 イタリア度・・8 総合・・7.5

MACROSCREAM
イタリアのプログレバンド、マクロスクリームの2016年作
本作は2作目で、オルガン、ムーグシンセ、ヴァイオリンの音色が絡み、イタリア語のヴォーカルを乗せ
テクニカルな変拍子を含んだ軽妙なアンサンブルで聴かせる、叙情的なプログレサウンド。
前作はいくぶんごちゃごちゃとした作風だったが、各楽器が邪魔をしないアレンジの良さと
音を詰め込みすぎないスタイリッシュな感触が強まっていて、じつに知的で優雅な聴き心地である。
軽やかなピアノを乗せたジャズロック的な感触や、先の読めないエキセントリックな展開力が同居して、
結果として非常にプログレッシブ。ムーグシンセとヴァイオリンの絡みなどはPFMのようである。なかなかの傑作。
メロディック度・・8 プログレ度・・8 優雅度・・9 総合・・8
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Mad Crayon 「Preda」
イタリアのプログレバンド、マッド・クラヨンの2011年作
90年代初頭から活動するバンドで、本作が3作目となる。イタリア語のヴォーカルに、オルガンやメロトロン、
ときにジャズタッチのピアノを含んだ軽妙なアンサンブルに、混沌としたエキセントリックなセンスを加えた、
じつにイタリアらしいサウンド。ときにハードにときにサイケ気味に、そして随所にメロディックに奏でられる、
ギターのセンスなかなかで、濃密でありながらどこかトボけた味わいというのは、このバンドならではだろう。
パックマンのようなジャケからは想像がつかない、豊潤な味わいの大人のプログレが楽しめる。
ドラマティック度・・7 プログレ度・・8 イタリア度・・8 総合・・7.5
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MAD FELLAZ 「III」
イタリアのプログレバンド、マッド・フェラズの2019年作
2013年にデビュー、本作が3作目。オルガン、メロトロンを含むシンセにハード寄りのギターを重ね、
ヴィンテージなプログレ感触と、モダンなヘヴィネスが同居した、ハイブリッドなサウンドを聴かせる。
ヴォーカルは英語歌詞なので、イタリア臭さはあまりなく、叙情的なギターにピアノ、フルートなどを乗せた
ジャズロック的でもある優雅なアンサンブルは、The Tangentあたりに通じる部分もあるだろう。
アラン・ホールズワース的な流麗なギターととともに、カンタベリー風の軽妙な味わいも耳心地よく、
アコースティックな小曲から、オルガン鳴り響く70年代ハードロック風まで、多彩な引き出しとセンスに、
ひと筋縄ではいかない偏屈な知性も垣間見えて、これはなかなか玄人好みの逸品ですな。
ドラマティック度・・7 プログレ度・・8 優雅度・・9 総合・・8
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Magni Animi Viri「Heroes Temporis」
イタリアのシンフォニックユニット、マグニ・アニミ・ヴィリの2006年作
壮麗なオーケストレーションを配した、ロックオペラ的なシンフォニック作品で、
イタリア語による映画のような語りから、オペラティックなヴォーカルの歌声と
オケによるクラシカルなアレンジで、壮大なサウンドが繰り広げられる。
美しい女性ヴォーカルも加わって、男女ヴォーカルの掛け合いとともに、
ハードロック的な重厚さも含んだ、いわば「シンフォニックなミートローフ」というべき、
シアトリカルな世界観が堪能できる。プログレ的な軽妙な展開は希薄なので、
コテコテ系のシンフォニックハードが好きな方でないと中盤で飽きてしまうかもしれない。
シンフォニック度・・9 プログレ度・・7 壮大度・・9 総合・・7.5
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Magnolia 「LA ZONA D'OMBRA」
イタリアのプログレバンド、マグノリアの2012年作
北欧にも同名のバンドがいたが、こちらは女性Voに女性シンセ奏者を擁するイタリアのバンド。
しっとりとした女性ヴォーカルのイタリア語の歌声とアコースティック風味を含んだ大人の叙情性と
SEなども含んだ流れでじっくりと聴かせるコンセプト作品。メロウなギターにうっすらとしたシンセが
メランコリックな物悲しさを描きつつ、イタリアのバンドらしい優美な感触を溶け込ませている。
全体的にはどこか淡々としていて、スリリングな展開はないのだが、やわらかな耳心地の好作品です。
ドラマティック度・・8 プログレ度・・7 イタリア度・・8 総合・・7.5


MALAAVIA 「DANZE D'INCENSO」
イタリアのシンフォバンド、マラーヴィアの2003年作
いかにもプログレ的なキーボードが鳴り響き、たおやかなフルートに、美しい女性ヴォーカルの歌唱と、
この手のシンフォが好きな方にはじつに美味しい要素が揃っている。曲は組曲形式で進行してゆき、
舞台演劇的な物語性も感じさせながら、全体的にはイタリアらしい陽気な雰囲気で、
時にサックスやラテン乗りのパーカッションが鳴り響く。女性ヴォーカルのシンフォとしても普通に聴け、
スリリングな展開というのはあまりないが、爽やかで楽しげなアルバムである。
クラシカルなキーボードが前に出てくる場面は「これぞイタリアシンフォ!」という感じでよいですな。
シンフォニック度・・8 プログレ度・・7 愉快爽快度・・8 総合・・7.5
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MALAAVIA 「VIBRAZIONI LIQUIDE」
イタリアのプログレバンド、マラーヴィアの2008年作
前作は女性声シンフォの好作であったが、2作目となる本作はアコースティックギターにフルート、サックスが鳴り響く、
地中海的なトラッドプログレ的な優雅で素朴な耳心地。一方ではメロウなエレキギターにムーグシンセが加わって、
イタリア語の男女ヴォーカルを乗せた、古き良きプログレ質感もあって、とらえどころのなさも案外味わいになっている。
ゆるやかなインストパートから、美しい女性声を乗せた叙情パート、曲によってはチェンバーロック風味もあったりと、
不思議なユルさが面白い。ラストは13分の大曲で、適度な展開力もあるマイナー臭いシンフォニックロックとしても楽しめる。
ドラマティック度・・7 プログレ度・・8 イタリア度・・9 総合・・7.5
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MALAAVIA 「Frammenti Compiuti」
イタリアのシンフォニックロック、マラーヴィアの2014年作
本作は3作目であるが、どことなくB級シンフォ臭をただよわせるジャケからしてよい感じだが、
サウンドの方も、ピアノやメロトロン、ムーグなどのやわらかなシンセアレンジにフルートの音色と
メロウなギターで聴かせる、繊細なシンフォニックロック。ややヘタウマな男性ヴォーカルの歌声は
イタリア語の響きとともに哀愁の叙情を感じさせ、アコースティックな民族色も覗かせるサウンドにマッチしている。
ときに女性ヴォーカルも加わった優美な聴き心地にうっとり。楽曲は4〜5分台が中心でわりとコンパクトで、
プログレ的な展開というよりは、やわらかな叙情美とシンセによる美しさが前に出ていてゆったりと鑑賞できる。
シンフォニック度・・8 プログレ度・・7 繊細な叙情度・・9 総合・・8
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Malibran 「The Wood of Tales」
イタリアのプログレバンド、マリブランの1990年作
2016年までに6作を出している、イタリアンシンフォの中堅バンドで、本作はデビュー作。
メロウなギターにシンセ、やわらかなフルートが鳴り響く、リリカルなシンフォニックロック。
英語歌詞によるヴォーカルは、いかにも90年代のマイナーシンフォらしいシアトリカルな雰囲気で
繊細な叙情性とともにイタリアらしい幻想的な翳りに包まれたサウンドはなかなか魅力的。
アコースティックギターとフルートによる優雅な小曲をはさんで、後半は10分を超える大曲2曲で、
ゆったりとした叙情を描きつつ、ハードなギターの旋律でじわりと盛り上がりも見せる。
ドラマティック度・・8 プログレ度・・7 叙情度・・8 総合・・7.5
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MALIBRAN 「Le Porte Del Silenzio」
イタリアのプログレバンド、マリブランの1993年作
結成は80年代というキャリアのあるバンド、シンセにフルート奏者を含む6人編成で、美しいシンセワークに
フルートが鳴り響き、しっとりとした叙情性と適度に軽快さもあるメリハリのあるアンサンブルで聴かせる、
90年代らしい王道のシンフォニックロック。イタリア語のヴォーカルが加わると、やはりB級っぽさが現れて、
長めの楽曲もときおり退屈になったりするのだが、ロマンの香りを含んだ幻想性というのはこのバンドの持ち味で、
後半の27分におよぶ長大な組曲も含めて、マイナー系叙情シンフォとしての捨てがたい魅力がある。
2016年リミックス再発盤のボーナスには1991〜93年までのライブ音源を収録。
ドラマティック度・・8 B級シンフォ度・・8 イタリア度・・8 総合・・7.5
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MALIBRAN「OLTRE L'IGNOTO」
イタリアのシンフォニックロックバンド、マリブランの4th。2001年作
一聴して、初期のB級っぽさはは影をひそめ、堂々たるシンフォニックロックのサウンドになった。
繊細なフルートの音色、きらびやかなキーボード、イそしてタリア語による歌唱と、
GENESISタイプを基本としつつも、ジャケのイメージ通り、イタリアという国を強く感じる音である。
曲にはそれなりにメリハリがあり、ダイナミズムもでてきたので、あとはメロディのインパクトと
曲構成におけるアレンジ力のアップが今後の課題になるだろう。繊細な叙情美の好作品。
シンフォニック度・・8 繊細度・・8 楽曲・・7 総合・・7.5

MALIBRAN「Trasparenze」
イタリアのシンフォニックロックバンド、マリブランの2009年作
デビューは1990年なので、すでにベテランといっていいだろう。 本作は5作目で、
ヴォーカル、ギター、ベース、シンセ、フルートを一人でこなすジュゼッペ・スカラヴィーリを中心にした、
ほぼ個人バンドとなっている。前作まではよくも悪くもマイナー臭さの残るサウンドであったのだが、
今作では、持ち味であった中世的なロマンあふれる世界観が、強い幻想美をともなって説得力を増している。
美麗なシンセワークとたおやかなフルートの音色、そしてイタリア語の歌声でしっとりと聴かせる楽曲は、
聴き手をロマンの世界に誘うような心地がする。随所にアコースティカルな叙情を織り込むなど、
軽やかなアレンジにもベテランらしい余裕が感じられ、濃密すぎない耳心地のいい作風である。
シンフォニック度・・8 ロマン度・・9 イタリア度・・9 総合・・7.5

Malibran 「Straniero / Rare & Unreleased」
イタリアのプログレバンド、マリブランの2016年作
デビューは1990年というキャリアのあるバンドで、本作は2001年〜2011年までの未発音源やカヴァーを収録。
やわらかなシンセにフルート、メロウなギターを乗せた13分の大曲から、アコースティックなナンバーまで、
正規アルバムでのマイナー臭さがよい意味での牧歌性となっていて、イタリアンな叙情がたっぷりである。
Banco、King Crimson「風に語りて」、Genesis、Jethro Tull、Peter、Hamill、Traffic などのカヴァーも、
アコースティック主体のやわらかな仕上がりで、原曲の雰囲気を残しつつしっとりと聴かせる。全15曲77分。
ドラマティック度・・7 プログレ度・・7 優美度・・8 総合・・8 
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MALIBRAN 「Live Anthology」
イタリアのプログレバンド、マリブランのライブ作。2018年作
1994〜2001年までのライブテイクを集めた、バンドのアンソロジー的なライブ作品集。
やわらかなフルートが鳴り響き、うっすらとしたシンセに叙情的なギターを乗せ、
リズムチェンジを含む緩急ある展開力で、マイナーな翳りを帯びたサウンドを構築する。
いくぶん粗野なヴォーカルが好みを分けるところだが、メロウなギターの旋律とシンセによる
GENESISルーツの優雅な叙情とともに、10分を超える大曲をじっくりと聴かせる。
ラストの1994年の音源は、25分という大曲で、優美なシンフォプログレぶりが良いですね。
ライブ演奏・・7 プログレ度・・7 叙情度・・8 総合・・7.5 
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Mama Non Piangere 「N.3」
イタリアのアヴァンプログレ、ママ・ノン・ピアンジェーレの2016年作
STORMY SIXとも関係の深いバンドで、1979年、80年に2作を残して以来、じつに36年ぶりとなる3作目。
女性Vo、サックス、クラリネット、女性チェロ奏者を含む7人編成で、チェロやチューバの低音に、サックス、
クラリネット、ギターが絡み、イタリア語のキュートな女性ヴォーカルを乗せた、軽妙な味わいのサウンド。
いわゆるRIO、レコメン系のスタイルながら、イタリアらしいどこかシアトリカルな空気感も含んだ聴き心地で、
ダグマー・クラウゼを思わせるような女性声のオペラティックな魅力とともに、エキセントリックなポップ性と、
スリリングなアヴァンギャルド性が巧みに同居している。キャッチーな部分が難解さを薄めているので、
わりと気楽に楽しめる。らくがきのようなジャケに騙されず、女性声アヴァン・プログレ好きはぜひチェックすべし。
アヴァンギャル度・・8 軽妙度・・8 女性Vo度・・8 総合・・8
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Mamo Belleno - Armanda De Scalzi  「Canzoni Per Il Cielo」
New Trollsのメンバーを親に持つというイタリアの男女デュオ作品。2010年作
シンフォニックなアレンジと、マイルドな男性ヴォーカルにキュートな女性ヴォーカルのイタリア語の歌声が重なる、
耳心地の良いサウンドで、ときにムーグシンセやオルガン、メロウなギターが加わり、ほのかなプログレ風味も感じさせる。
全体としてはあくまで歌ものなので、演奏面での展開はあまりないのだが、アモーレな情感を含んだ男女声による
やわらかな叙情性をゆったりと楽しめる。オーケストレーションを含んだアレンジは、ニュートロルス的でもあり、
古き良きイタリアンポップにシンフォニックな要素が加わったような好作品だ。
ドラマティック度・・7 プログレ度・・7 優美度・・9 総合・・7.5
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MANGALA VALLIS「THE BOOK OF DREAMS」
イタリアのシンフォニックロックバンド、マンガラ・ヴァリスの2001年作
Dr、Key、G & Bの3人組で、一聴した感じだとTRANSATLANTICあたりに似たサウンド。
ハモンド、ムーグ、メロトロン等のヴィンテージキーボードを使用した懐古主義的な音像に、
いっそうのGENESIS風味を付加したマニア好みの楽曲で演奏レベルも高い。
歌詞も英語なのでイタリア臭さはなく、軽快な部分はとても耳に心地よい。
個性は薄いかもしれないが、トランスアトラン・ジェネシスというべき傑作だ(笑)
シンフォニック度・・8 プログレ度・8 GENESIS度・・8 総合・・8
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MANGALA VALLIS「LYCANTHOPE
イタリアのシンフォニックロックバンド、マンガラ・ヴァリスの2nd。2005作
シンフォファンを狂喜させた1stに続き、待望の2ndが完成。
もうのっけから「あ、GENESIS…」という雰囲気のイントロにニンマリである。
やはりイタリアというよりはかつての英国ポンプに通じるサウンドで、
壮大に鳴り響くメロトロンとメロディアスかつシンフォニックな爽やかさが耳に心地よい。
今回は10分クラスの大曲が多く、前作の分かりやすいドラマティックさよりは
ややゆるやかに盛り上がる系の曲が多く、そういう点でもGENESIS度が増している。
シンフォニック度・・8 プログレ度・・7 GENESIS度・・8 総合・・8
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Mangala Vallis「Microsolco」
イタリアのシンフォニックロックバンド、マンガラ・ヴァリスの2012年作
過去2作もGENESISルーツの高品質なシンフォニックロック作品であったが、
本作もいくぶんのレトロな味わいとともに、キャッチーな抜けの良さで聴かせる好作。
英語によるマイルドなヴォーカルと(LabyrinthのRoberto Tiranti)、ロイネ・ストルトばりのメロウなギターワークで、
繊細な叙情美に包まれたサウンドは、インパクトはさほどないものの、じわじわと耳に心地よい。
イタリアらしいやわらかな情感も随所に織り込みながら、あくまでメロディックに仕上げられた好作。
メロディック度・・8 プログレ度・・8 イタリア度・・7 総合・・8
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Mangala Vallis 「Voices」
イタリアのプログレバンド、マンガラ・ヴァリスの2020年作
2002年にデビュー、本作は8年ぶりとなる4作目。ほどよくハードなギターにオルガンなどのシンセ、
英語歌詞のヴォーカルを乗せた、オールドスタイルのキャッチーなシンフォプログレを聴かせる。
初期に比べると、ブルージーなギターや、ニール・モーズ風のヴォーカルなど、枯れた味わいが強まっているが、
プログレらしいきらびやかなシンセワークを随所に織り込んで、優雅に構築するセンスはさすが。
楽曲は4〜7分前後と、シンフォ系にしてはわりとシンプルで、新鮮味のある展開はさほどないのだが、
キャリアをへたバンドらしいロックとしての力強さを感じさせる。大人の哀愁シンフォというべき作品だ。
メロディック度・8 プログレ度・7 哀愁度・8 総合・8 
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Marathon 「Impossible Is Possible」
イタリアのプログレバンド、マラソンの1993年作
イギリスやオランダにも同名バンドがいるが、こちらはイタリアのバンド。ジャケはいかにもB級だが、
サウンドの方は、わりとテクニカルなリズムに優美なシンセと適度にハードなギターを重ね、
ハイトーンのヴォーカルで聴かせる、GENESISルーツの優雅なシンフォニックプログレ。
メロウなギターの旋律とやわらかなシンセアレンジが耳心地よく、いくぶん弱めのヴォーカルも、
サウンドにほどよくマッチしている。リズムチェンジを含む展開力には、90年代以降のネオプログレらしい
構築センスも覗かせていて、マイナーな翳りには包まれているが、優雅な叙情性が味わえる好作だ。
ドラマティック度・8 プログレ度・8 叙情度・8 総合・7.5
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MARBLE HOUSE 「Embers」
イタリアのプログレバンド、マーブル・ハウスの2018年作
適度にハードなギターにオルガンを含むシンセを重ね、躍動的なアンサンブルとともに、
ほどよくテクニカルで叙情的なサウンドを描く、スタイリッシュなプログレサウンド。
ヴォーカルは英語であるが、屈折感のある混沌とした味わいにはイタリアらしさは感じさせ、
演奏力のあるインストパートが、緩急ある構築力とともにミステリアスな緊張感を描き出す。
メロディックなギターを乗せたキャッチーなナンバーもあって、地味なジャケからは想像もつかない出来。
ラストは24分という大曲で、ゆったりとしたアコースティックな叙情から、スリリングなシンフォプログレに展開。
ドラマティック度・・8 プログレ度・・8 スタイリッシュ度・・8 総合・・8
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Marcella BellaOriginal Album Series」
イタリアの女性シンガー、マルセラ・ベッラの5枚組ボックス。
1972年のデビュー作「TU NON HAI LA PIU PALLIDA IDEA DELL’AMORE」
73年作「MI...TI...AMO...」、74年作「METAMORFOSI」、76年作「BELLA」、77年作「FEMMINA」という
70年代の5枚のアルバムを収録したボックス。1作目めにおける美しいストリングスアレンジや、
フルートなども入ったいくぶんプログレ的な叙情は、さすがIL VOLO人脈による演奏である。
そして彼女の清涼な歌声がイタリア語の情感とともに瑞々しく響きわたると、ただうっとりである。
74年作あたりは、メロディアスな聴き心地とシンセを含んだサウンドが上手く融合された傑作であるし、
76年作もなかなかいい。77年作はややポップになっているが、むしろその歌声は初期に比べて艶めいて、
女性ヴォーカル好きにはたまらないだろう。とてもお得な紙ジャケCD5枚ボックスである。
メロディアス度・・8 イタリア度・・9 女性Vo度・・9 総合・・8
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Marcella Bella
「TU NON HAI LA PIU PALLIDA IDEA DELL’AMORE/ L'Anima Dei Matti」
イタリアの女性シンガー、マルセラ・ベッラの1972/1975年作
イタリアを代表するシンガーである彼女の1972年のデビュー作と、1975年のライブ音源のカップリング2in1。
艶やかなヴォーカルとオーケストラアレンジされた曲調でシンフォニックに聴かせるサウンドは、
IL VOLOのメンバーが参加していることもあって、イタリアンロック好きならば充分楽しめる内容。
ライブの方はおそらく初CD化で、こちらにもIL VOLOが参加しており、ファンキーなナンバーから
しっとりと聴かせる曲まで彼女の魅力的な歌声が楽しめる。
シンフォニック度・・8 イタリア度・・9 女性Vo度・・9 総合・・8
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Marcello Capra 「Fili Del Tempo」
PROCESSIONのメンバーでもあった、マルセロ・カプラのソロ。2011年作
Artiのシンセ奏者、ベッペ・クロヴェッラに、Circus 2000の女性Voが参加している。
アコースティックギターと美しいシンセワーク、女性ヴォーカルで聴かせる牧歌的なサウンド。
シルヴァナ嬢の歌声は大人の艶を感じさせ、アダルトな味わいのアシッドフォークという趣もあり、
中世を思わせるドリーミーな情感を感じることができる。ドラムは入らないのでロック的な要素は薄いが
オルガンを含んだベッペの鍵盤はさすがのセンスで、ときにサウンドをプログレ的に彩っている。
牧歌的度・・8 プログレ度・・7 女性Vo度・・7 総合・・7.5




Marco Lo Muscio-John Hackett-Carlo MatteuciPlaying The History
イタリアのミュージシャン、マルコ・ロ・ムシオ、カルロ・マテウシ、ジョン・ハケットによるユニット。2013年作
往年のプログレ曲を再現するトリビュート作品で、のっけからEL&Pの“聖地エルサレム”でファンはにやり、
パイプオルガンにかぶさるやわらかなフルートの音色にうっとりだ。RICK WAKEMANGENESISKING CRIMSOM
Steve Hackettなどのナンバーを優雅にアレンジ。シンセとフルートを中心にしたロック色は薄めのカヴァーなので、
ゆったりとした牧歌性に包まれた聴き心地である。スティーヴ・ハケット、デヴィッド・ジャクソン(元VdGG)、
ジョルジオ・ガブリエル(The Watch)がゲスト参加。ハケット兄弟が共演したGENESIS“After The Ordeal”などはじつに美しく、
パイプオルガンとフルートによるKING CRIMSON“風に語りて”なども、雄大な叙情性が楽しめる。優美な好カヴァー作品。
ドラマティック度・・7 プログレ度・・7 優雅度・・9 総合・・8
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Mario Panseri「Adolescenza」
イタリアン・カンタウトーレ、マリオ・パンセーリの1973作
アルベルト・モラヴィアの小説「アゴスティーノ」をテーマにしたコンセプト作であるが、
サウンドの方は美しいピアノ、シンセとクラシカルなストリングスアレンジで
たおやかに聴かせる優雅な歌もの。曲自体はどちらかというとコンパクトで短めなので、
プログレというよりは、シンフォニックなイタリアンロックというべきものだろうが、
耳心地のいいマイルドなヴォーカルと、イタリアらしいやわらかな叙情がじつに素晴らしい。
繊細なフルートの音色に、アコースティックギターによる哀愁も聴き手を惹きつける。
シンフォニック度・・8 プログレ度・・7 イタリア度・・9 総合・・8
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MARYGOLD 「ONE LIGHT YEAR」
イタリアのプログレバンド、マリーゴールドの2017年作
メロディックなギターにオルガンを含むシンセ、ジェントルな味わいのヴォーカルで聴かせる、優雅なシンフォニックロック。
やわらかなピアノにゲストによる女性ヴォーカルも加わった繊細な叙情美とともに、濃密すぎない味わいでゆったりと構築してゆく。
英語歌詞なのでイタリア色はあまり強くなく、むしろ、BIG BIG TRAINなど近年の英国系バンドのようなキャッチーな優雅さに包まれ
メロウなギターの泣きの旋律にシンセが重なると、古き良きシンフォプログレの感触で、10分を超える大曲もゆったりと楽しめる。
バリトン寄りの野太いヴォーカルの声質はやや好みを分けるところだが、GENESISルーツの繊細な叙情美が楽しめる好作品です。
ドラマティック度・・7 プログレ度・・8 優美度・・9 総合・・8
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LA MASCHERA DI CERA
イタリアのプログレバンド、マスケーラ・ディ・チェラの1st。2002年作
FINISTERREのメンバーを中心に、70'sイタリアンヘヴィプログレの再現を目指して
結成されたバンドで、音の方も最初の1曲で“あの頃”のレトロな空気が蘇るかのようだ。
薄暗いメロトロンをバックに、叙情的なフルートの音色にイタリア語の歌唱。
ムゼオ、オザンナ、オルメ、といったバンド名が脳裏に思い浮かぶようなサウンドに
鳴り響くオルガン、ムーグの音にはおじさんプログレファンは感涙だろう。
あまりに確信犯すぎるものの、曲としても充分よく出来ているため、
ほとんど本当に70年代の未発掘バンドの音源かとも錯覚したくなるほどだ(笑)
メロディアス度・・8 イタリア度・・9 黄金の70's度・・10 総合・・8
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LA MASCHERA DI CERA「IL GRANDE LABIRINTO」
イタリアのシンフォニックロックバンド、マスケーラ・ディ・チェラの2nd。2003年作
今作も古き良きイタリアンロックの質感をベースにしながら、ミステリアスな音世界を作り上げている。
艶やかなピアノ、吹き鳴らされるフルート、そして郷愁漂うようなイタリア語の歌唱。
メロトロンの響きをバックにしつつ、美しさとともにどこか翳りを含んだような音像は、
ジャケ通りの雰囲気の妖しさを内包しながら、絡みつくように空気感で紡がれてゆく。
13分、9分、12分、22分という大曲を聴かせる世界観には、イタリアらしい深い闇と狂気、
そして芸術とが垣間見える。往年のイタリアンヘヴィシンフォも真っ青の1枚である。傑作。
シンフォニック度・・8 プログレ度・・8 70'sイタリア度・・9 総合・・8.5
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La Maschera di Cera 「In Concerto」
マスケッラ・ディ・チェラのライブアルバム。2005年作
70年代プログレのアナログ感を完璧に受け継ぐこのバンド、ライブにおいても
メロトロンやオルガンの音色に、妖しくフルートが鳴り響く、レトロな世界観を再現。
10分を超える大曲も多く、シンフォニックロックとしての盛り上がりも随所に含ませて
濃密な聴き心地のステージである。ファビオ・ズッファンティ氏のベースも存在感たっぷり。
ただ音質面でのラウドさも含めて、全体としてはやや間延びしたところもあるのが残念か。
ライブ演奏・・8 イタリア度・・8 ヴィンテージ度・・9 総合・・7.5



LA MASCHERA DI CERA「LuxAde」
イタリアのシンフォニックロックバンド、マスケーラ・ディ・チェラの3rd。2006年作
今作もいかにもレトロな雰囲気をぷんぷん漂わせた高品質作となっている。
鳴り響くメロトロンにハモンド、ムーグのレトロな音色、イタリア語で歌い上げるヴォーカル、
たおやかなフルート、そしてやや薄暗い叙情は、かつてのOSANNAあたりを思わせる。
全体的に雰囲気作りの余裕が感じられるようになり、自然な感触で70'sイタリアの風を再現している。
圧巻は24分を超える大曲で、単なる懐古主義にとどまらない表現力を聴かせる。
イタリアンプログレファン、とくにMUSEO ROSENBACHなどが好きな方にはぜひ聴いて欲しい。
メロディアス度・・7 70's度・・9 イタリア度・・9 総合・・8
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La Maschera Di CeraPetali Di Fuoco」
イタリアのプログレバンド、マスケーラ・ディ・チェラの4th。2009年作
本作もオルガンやメロトロン、ムーグシンセというヴィンテージーなギーボードが鳴り響く、
古き良きスタイルのイタリアンプログレを聴かせる。情感的なイタリア語の歌声に優美なフルートの響きは、
どこかなつかしい哀愁を漂わせていて、そこにいくぶんのスタイリッシュなシンフォニック質感を加味している。
濃密さは以前の作品ほどではないが、これぞイタリアというハードシンフォニック作である。
シンフォニック度・・8 古き良き度・・8 イタリア度・・9 総合・・8
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La Maschera Di Cera 「The Gates Of Tomorrow」
イタリアのプログレバンド、マスチェラ・ディ・チェッラの2013年作
オルメの名作として知られる「フェローナとソローナの伝説」の続編というコンセプトで作られた作品の英語盤。
70年代の別バンドの作品をモチーフにした独自の続編を作るというのは、なかなか珍しいことだと思うが、
元々がこのバンドが古き良きイタリアンロックの再現を標榜しているので、これもまた自然なことなのかもしれない。
オルガンやムーグシンセをたっぷりと使いながら、どこか翳りを帯びた叙情とともに、幻想的なサウンドを描き出す、
まさに70年代イタリアンプログレの濃密な香りをまとわせた聴き心地で、そのクオリティの高さはさすがという他はない。
フルートの音色とともに随所にアコースティックな繊細さも含んだアレンジセンスも見事で、
かつてのオルメに比べて演奏力も高いので、むしろ初期のPFMのように思える部分もあったりする。
ドラマティック度・・8 プログレ度・・8 イタリア度・・8 総合・・8 
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La Maschera Di Cera 「Le Porte Del Domani」
マスチェラ・ディ・チェッラの2013年作
オルメの名作「フェローナとソローナの伝説」の続編というコンセプトで作られた作品のイタリア語盤。
オルガンにムーグシンセ、フルートがやわらかに鳴り響き、かつてのオルメの幻想的な世界観を再現、
アコースティカルな叙情性に、やはりイタリア語のヴォーカルがこのサウンドには似合う。
かつての「フェローナ〜」も国内向けのイタリア語版、英米向けの英語版が作られていたが、
90年代以降イタリアンプログレが広く認知され、いまではむしろイタリア語の響きが愛されている。
英語版のスタイリッシュなイメージにくらべて、当然ながらよりイタリアらしい風情が感じられるのですな。
古き良きイタリアンプログレの空気を蘇らせた見事な作品だ。先にこれを聴いてからオルメを聴いてもよし。
ドラマティック度・・8 プログレ度・・8 イタリア度・・9 総合・・8
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La Maschera di Cera「S.E.I.」
イタリアのプログレバンド、ラ・マスケッラ・ディチェッラの2020年作
2002年にデビュー、古き良きイタリアンプログレのマインドを現代に蘇らせるこのバンド、
本作は、2012年以来となる6作目。のっけから21分という大曲で、オルガンが妖しく鳴り響き、
メロトロン、ムーグというヴィンテージなシンセにフルートが絡む、いかにもオールドスタイルのサウンドで、
イタリア語による味のあるヴォーカルとともに、あっという間に鈍色の幻想の世界観に包まれる。
2曲目も10分近い美麗なシンフォプログレナンバー、ときにサックスも加えた、緩急あるリズム展開も含め、
スリリングなドラマ性もたっぷり味わえる。ラストは13分の大曲で、やわらかなフルートに優美なシンセ
サックスも重なり、軽妙な展開からヴォーカルも加わえて、繊細な叙情に包まれながら幕を閉じる。
全3曲、香り立つようなヴィンテージプログとは、まさに本作のことだろう。ロマン派イタリアンプログレの傑作だ。
ドラマティック度・8 プログレ度・8 イタリア度・9 総合・8 
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Mass Media 「Opacita Scura」
イタリアのジャズロックバンド、マス・メディアのライブ作品。
公式のスタジオ音源はなく、1978年の発掘ライブ音源をCD化したという、まさに幻のバンド。
ツインギターにシンセを含む5人編成で、グルーヴィかつ非常に勢いある演奏を聴かせる。
奔放に弾き鳴らされるギターはハードロック的な感触もあり、エレピやオルガン、ムーグも含んだ
シンセとともに厚みのあるアンサンブルを形成。随所に叙情的なフレーズも覗かせるギタリストのセンスは
なかなかのものだし、ドラムは、フリオ・キリコばりに激しく、手数も多い。音質はラウドなのだが
この熱い演奏は一聴の価値あり。これは素晴らしいプログレ・ジャズロックのライブである。
ライブ演奏度・・9 プログレ度・・7 音質・・7 総合・・8
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MATELDA 「LEGGENDE」
イタリアのフォークロック、マテルダの2016年作
アコースティックギターのつまびきにイタリア語の美しい女性ヴォーカルを乗せて、
ヴァイオリンやヴィオラが艶やかに鳴り響く、優雅で牧歌的なサウンドを聴かせる。
アコースティック主体なのでロック色はあまりないが、パーカッションのリズムや
ドラムが加わるナンバーもあって、プログレ寄りのフォークロックという感じで楽しめる。
女性声のキュートな魅力とともに、ゆったりとした優美なサウンドに癒される逸品です。
アコースティック度・・9 ロック度・・2 女性Vo度・・9 総合・・8
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Mater a Clivis Imperat 「Atrox Locus」
イタリアのプログレ・ゴシック、マター・ア・クリヴィス・インペラットの2022年作
ブラックメタルバンド、Evolのメンバー、サマエル・フォン・マーティンを中心にしたユニットで、
チャーチオルガンによるイントロから、女性シンガーの妖しい歌声を乗せて、JACULAにも通じるような
ゴシックホラー的な世界観を描いてゆく。オルガンにムーグシンセも鳴り響く、プログレらしいインストから、
ピアノと女性スキャットだけのロック色の薄いナンバーなどもあり、わりととらえどころがないのだが、
ギターが加わると音に厚みが出て、チャーチオルガンと女性声によるこけおどし感はよい感じです。
ドラマティック度・7 プログレ度・7 妖しさ度・8 総合・7.5
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Materya 「Case」
イタリアのシンフォニックロック、マテリアの2012年作
やわらかなピアノの音色に女性ヴォーカルの歌声がやさしく重なり、
Renaissanceを思わせるような優雅で繊細な叙情美に包まれる。
アコースティックな素朴なフォークロック風味はMostly Autumn的でもあるが、
イタリア語の曲になると、とたんに哀愁が加わって、個人的には英語よりも好み。
派手な盛り上がりというのはあまりないのだが、繊細な美意識でゆったりと聴かせる好作品です。
メロディック度・・8 プログレ度・・7 女性Vo度・・8 総合・・8
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MAURIZIO DI TOLLO 「L'uomo Trasparente」
HOSTSONATEN、LA MASCHERA DI CERAのドラマーでありシンセ奏者、マウリツィオ・ディ・トロの2012年作
ファビオ・ズッファンティをはじめ、ホストソナテン、マスケラ・ディ・チェッラ関連のメンバーが参加、
オルガンやメロトロンなどを含んだ浮遊感あるシンセワークと、Steve Hackett的なメロウなギター、
美しいフルートにイタリア語のヴォーカルで聴かせる、マイルドなシンフォニックロックサウンド。
上記バンドの音に比べて、スタイリッシュでいくぶんモダンなアプローチを感じさせつつ、
ゆるやかな作風ながらドラマティックな広がりを繊細に描いてゆくセンスは素晴らしい。
ドラマティック度・・8 ゆるやか度・・9 イタリア度・・8 総合・・8
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Maurizio di Tollo 「Memorie Di Uno Sparring Partner」
イタリアのミュージシャン、マウリツィオ・ディ・トロの2015年作
HOSTSONATEN、LA MASCHERA DI CERAのドラマーでありシンセ奏者としても活躍するミュージシャン。
イタリア語による渋い歌声を乗せた歌ものロックを基本にしつつ、センスのよいシンセアレンジに
サックスなども加わったアダルトな雰囲気や、うっすらとメロトロンが響くプログレ風味も覗かせる。
いくぶんハードなギターも含んだ、薄暗くダークなナンバーもあったりと、アーティスティックなセンスが
シンプルに発揮された世界観で、プログレとしてはやや物足りない感じもするのだが、
ラスト曲などは繊細な叙情のシンフォニックナンバーが楽しめる。イタリアらしい一枚である。
ドラマティック度・・7 プログレ度・・7 イタリア度・・8 総合・・7.5
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MAURIZIO GUARINI 「A GOBLIN'S CHAMBER」
イタリアのミュージシャン、マウリツィオ・グアリーニの2019年作
GOBLINのシンセ奏者で、本作はストリングスカルテットを迎えて、「ゾンビ」や「サスペリア」など、ゴブリンの代表曲に
自身のソロ楽曲を室内楽アレンジでリメイク。優美なピアノの旋律に艶やかなヴァイオリン、ヴィオラ、チェロが絡む、
クラシックのような優雅なサウンド。ロック感触は薄めなので、ゴブリンの曲と言われなければ気づかないものもあるが、
曲によってはドラムも入って、とくに「ゾンビ」あたりは艶やかなストリングスがスリリングな味わいになっている。
ダークなイメージの楽曲も多いので、わりとチェンバーロック的にも鑑賞できて、これはこれで楽しめますな。
クラシカル度・9 ロック度・2 ゴブリン度・7 総合・7.5
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MAURO PAGANI「地中海の伝説」
PFMのヴァイオリニストとして活躍した、マウロ・パガーニのソロ作。1978年作
PFMを脱退したパガーニが己の音楽の原点を見つめ返すべく地中海音楽に取り組んだ作品。
自身の弾くヴァイオリンを軸に、ときにAREAのメンバーをまじえてジャズロック風に聴かせたり、
土着的な女性ヴォーカルや、アコースティックギター、ピアノなども入って、異国情緒たっぷりに仕上げた
アコースティカルなアルバム。PFMのようなプログレとして聴くと拍子抜けするだろうが、
クラシカルな要素もあり、なによりマウロの艶やかなヴァイオリンの音色が美しい。
地中海の風を感じ取れるような、芸術的感性に満ちた作品だ。
プログレ度・・7 民族度・・8 地中海度・・10 総合・・8
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MAURO PAGANI「sogno di una notte d'estate」
PFMのヴァイオリニスト、マウロ・パガーニのソロ作。1983作
シェイクスピアの『真夏の夜の夢』の舞台劇用に作曲された作品集。
なので「地中海の伝説」のような叙情を想像すると肩すかしをくう。
序盤はダミ声ヴォーカルの入った普通のロック。PFMでのような美しいヴァイオリンや
フルートの音色は聴かれず、ファンキーな乗りの2〜3分台の曲がほとんど。
B面である6曲目からはやや雰囲気が変わり、プログレっぽいシリアスさが出てきて少しだけ安心。
ただ、パガーニ自身もこの作品は正式なソロ作とは認めていないらしく、
どちらかというとサントラ用の小曲集として聴いた方が良いだろう。
メロディアス度・・7 プログレ度・・5 イタリア度・・7 総合・・7
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Maury E I Pronomi 「Eccitazioni Neoclassiche」
イタリアのプログレバンド、マウリィ・E・I・プロノミの2005年作
繊細なピアノにイタリア語のヴォーカル、ややハードめのギターを乗せて、やわらかな叙情を聴かせる。
こもり気味の音質や、演奏力の弱さも含めて、適度なB級感は、かつてのLe Ormeにも通じるだろう。
フルートの音色なども含んだ、70年代を思わせるくぐもったような空気感と幻想性に包まれたサウンドは、
つたないながらもなかなか味があって、初期のCAPあたりが好きな方にも楽しめるだろう。
ドラマティック度・・7 幻想度・・8 イタリア度・・9 総合・・7
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MAXOPHONE
イタリアンロックの名作の1枚、マクソフォーネの1975年作
かつてプログレをかじり始めの頃、友人に借りて聴いたのだが、改めて聴き返すと、その完成度の高さにはやはり唸らされる。
イタリアらしい叙情性を保ちながらも躍動感に溢れる演奏力の高さはPFMにも通じ、美しいコーラスメロディや
リリカルなフルートなどもバランスよく曲を彩っている。対位法の使われ方なども非常に巧みで、バランスが自然であるので
音にはまったく嫌味がない。聴きやすいが奥も深い。イタリアンプログレ入門用としてはマストアイテムの一枚である。
メロディアス度・・9 イタリア度・・7 楽曲・・9 総合・・9
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MAXOPHONE 「from cocoon to butterfly」
イタリアのプログレバンド、マクソフォーネの未発音源CD+ライブ映像DVD
イタリアンプログレの永遠の傑作である1枚「生命の故郷」を残して消えたこのバンド、
まさかこのようなお宝が発掘されようとは。CDの方はスタジオデモや未発曲などで、
アルバムよりも力の抜けたジャズタッチの雰囲気もあるが、さすがに演奏の質は高く
サックスやトランペット、フルート、ピアノなどを含めたイタリアらしい叙情美が光る。
ただ、あくまで寄せ集めの企画ものなので、曲によっては音質の悪いものもあるので注意。
DVDには76年のTV出演時の映像4曲と、2005年の再結成時の映像が1曲、
そしてメンバーのインタビューなどを収録。まさにマニア歓喜のレアアイテムだろう。
メロディアス度・・8 未発音源度・・8 ライブ映像度・・7 総合・・8
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MAXOPHONE生命の故郷2013
イタリアのプログレバンド、マクソフォーネのライブ音源。2013年作
PFMやBANCOに続き、日本でも人気の高いこのバンド、2013年の来日公演の音源を収録。
1975年の「生命の故郷」は叙情美溢れる傑作であったが、ここではほぼ全曲演奏していて、
キャッチーなメロディを適度なテクニカル性に包み込んだ楽曲は、イタリアらしい優雅な聴き心地である。
往年のようなきらめきは薄まったが、枯れた味わいのヴォーカルやギターには年をへた渋さが感じられる。
音質面でのラフさが惜しいが、イタリアンプログレのファンならば充分楽しめるだろう。
メロディック度・・8 プログレ度・・7 ライブ演奏・・7 総合・・7.5
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MELTING CLOCK 「Destinazioni」
イタリアのプログレバンド、メルテイング・クロックの2020年作
女性Vo含む6人編成で、結成は2001年というから、20年ごしのデビュー作ということになる。
叙情的なギターの旋律に、やわらかなシンセ、イタリア語の女性ヴォーカルを乗せた、
優美なサウンドを聴かせる。緩急ある構築力には知的なセンスも覗かせていて、
デビュー作とは思えない作り込まれた楽曲はなかなかのもの。クラシカルなピアノや
メロウな泣きのギターも耳心地よく、紅一点、Emanuela嬢のエモーショナルな歌声も含めて
優雅なシンフォニックロックに浸ることができる。中盤まではゆったりとしたナンバーが続くが、
ラストは15分におよぶ大曲で、ドラマティックに展開するシンフォプログレっぷりが圧巻だ。
ドラマティック度・・8 プログレ度・・8 女性Vo度・・8 総合・・8
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MELLOMTA TAUTA
イタリアのプログレバンド、メロンタ・タウタの1993年作
エドガー・アラン・ポーの作品から名前をとり、正規アルバムを残さずに消えたバンドで、
本作は70〜80年代の未発音源とメンバーが80年代に活動していたカヴァーバンドの音源を収録。
1曲目から、Steve Hackettのカヴァーのライブ音源で、ジェネシス愛に包まれつつ、2曲目以降は、
1978、80年録音のオリジナル音源で、やわらかなシンセに12弦ギターを含む繊細なギターワークで、
ゆったりとした叙情に包まれた素朴なシンフォニックロックを聴かせる。ラストはGENESIS「I Know What I Like」
「The Lamb Lies Down On Broadway」のカヴァーのライブ音源で、最後までジェネシス愛に包まれる。
ドラマティック度・・7 プログレ度・・7 叙情度・・8 総合・・7

MEN OF LAKE 「Out of The Water」
イタリアのプログレバンド、メン・オブ・レイクの1994年作
本作は2作目で、オルガンが鳴り響き、70年代英国ルーツのブルージーなギターを乗せたサウンド。
古き良きオルガンロックの感触に、英語によるヴォーカルで、イタリアらしさというものはあまり感じさせない。
楽曲は6〜7分前後を中心に、大仰になり過ぎないスタイリッシュな構築性と、適度にサイケがかった浮遊感や
シンフォニックなテイストも随所に覗かせながら、懐古主義とネオプログレの狭間をゆく味わいあるセンスは、
ある意味でとても90年代らしいスタイルともいえる。ゆったりとした叙情ナンバーも耳心地よい好作品。
ドラマティック度・・8 プログレ度・・7 古き良き度・・8 総合・・7.5
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MEN OF LAKEMusic from the Land of Mountains,Lake and Wine
イタリアのプログレバンド、メン・オブ・レイクの4th。1998年作
本作は自主っぽいジャケがB級臭いが、内容は懐の深さを感じさせる叙情的なイタリアンロック。
ロック的なギターに、ハモンド、軽やかなサックスなどが絡まり、ムーグにシンセの音に
かつてのPFMを思わせるようなフルートが合わさるといかにもプログレ的なのだが、
それでいてヴォーカルの声質は渋めで、曲にはアコースティカルでジャジーな質感もある。
リズムがややもったりとしているのが残念だが、テクニックよりもアンサンブル重視の
メロディックロックという雰囲気で、のんびりと楽しめるアルバムだ。
メロディアス度・・7 プログレ度・・7 イタリア度・・8 総合・・7.5
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MERLIN 「The Rock Opera」
ファビオ・ズッファンティによるロック・オペラ・プロジェクト、メルリンの2000/2012年作
アーサー王をテーマにしたミュージカル「ザ・ロック・オペラ」の音楽として作られたものを、2012年にリミックスした新装再発盤。
トータル90分におよぶ本編の2CDに加え、40分の組曲を収録したボーナスCD付きの3枚組仕様。かつてオリジナル版を聴いたときには
いくぶん粗いイメージがあったのだが、再発に当たってメロトロンなどシンセパートが追加され、シンフォニックな音の厚みが増している。
男女8人のヴォーカルにコーラス隊も加わった、シアトリカルなドラマ性と、イタリアらしい繊細な叙情にあふれた幻想的な雰囲気が楽しめる。
ミュージカル的な歌もの曲はプログレとして聴くにはややダレるところもあるが、しっとりした女性Vo曲などはとても耳心地良い。
ボーナスDiscは本編を40分に凝縮したバージョンで、流れるような聴き心地で物語的なストーリーアルバムを再鑑賞できる。
ドラマティック度・・9 プログレ度・・8 イタリア度・・9 総合・・8
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Merry Go Round
イタリアのハードプログレ、メリー・ゴー・ラウンドの2015年作
STANDARTEのメンバーを含むバンドで、オルガンやムーグが鳴り響く70年代風味のサウンドで、
ハスキーな女性ヴォーカルの歌声を乗せた、イタリアらしいなかなか濃密な聴き心地。
Uriah Heepのような古き良きハードロック感触に、曲によってはゆったりとした叙情性や
キャッチーなメロディアス性もあって、案外オーソドックスなプログレハードとして楽しめる。
反面、もう少しミステリアスな大仰さが欲しい気もするが、オルガンやメロトロンがたっぷりと鳴らされる、
これが嫌いな人はいないだろう。ラスト曲では、いかにもオールドロックなレトロサウンドが炸裂する。
ドラマティック度・・7 プログレ度・・7 古き良き度・・8 総合・・7.5
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METADRIVE 「OVER REALITY」
イタリアのモダンプログレ、メタドライブの2016年作
ギターレスのトリオ編成で、スペイシーなシンセの重ねにエモーショナルなヴォーカルを重ね、
エレクトロなアレンジで聴かせる、ポストプログレ風味のサウンド。グルーブ感のあるドラムが
程よいロック風味を作り出し、美しいシンセワークが、ある種シンフォニックな味わいとなっている。
薄暗く繊細な空気感は、ドイツのSYLVANなどに通じる感触もあり、2〜5分前後のコンパクトな楽曲の中に、
メロディのフックと泣きの叙情を溶け込ませるアレンジセンスも素晴らしい。ギターを使わなくても、
シンセの重ねが空間的な音の厚みを作り出し、物足りなさは感じない。美麗で繊細な傑作だ。
メロディック度・・8 プログレ度・・7 繊細な叙情度・・9 総合・・8
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Metamorfosi 「… E Fu Il Sesto Giorno」
イタリアのプログレバンド、メタモルフォシの1972年作
一般的には2nd「Inferno」の方が有名だが、本作はまだキーボードトリオになる以前の、ギタリストがいる編成で、
やわらかなフルートにオルガンが鳴り響き、サイケがかったギターにイタリア語の朗々とした歌声を乗せた、
プログレ以前のアートロック的なおおらかさと、美しいピアノやハープシコードを含んだクラシカルなテイストが魅力的だ。
ジャケが地味なのが惜しいが、内容的にはむしろ次作よりもロックとしての味わいがダイレクトに楽しめる。
クラシカル度・・8 プログレ度・・7 オルガン度・・8 総合・・7.5
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METAMORFOSI「INFERNO」
イタリアのキーボードプログレバンド、メタモルフォシの2nd。1973年作
ダンテの「神曲・地獄編」をコンセプトにしたアルバムで、イタリアン・キーボードロックの名作とされる。
現在のデジタルシンセよりもぐっと暖かみのある、ムーグシンセやオルガンなどの古き良きシンセ群が鳴り響き、
オペラティックな男性ヴォーカルはやや暑苦しいながらも、サウンドに重々しい世界観を付加している。
バンコやバレット・ディ・ブロンゾにも通じる、イタリアらしい濃密なキーボードロックが味わえる好作品。
クラシカル度・・8 プログレ度・・8 キーボー度・・9 総合・・8
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METAMORFOSI「PARADISO」
70年代に2枚のアルバムを残したイタリアン・プログレバンド、メタモルフォシの2004年
キーボードプログレの傑作アルバムとされた「INFERNO」から30年余、ダンテの「神曲」をテーマにした続編「天国編」が完成。
VoとKeyはかつてのメンバーでイタリアらしい熱情をともなった歌声は充分瑞々しく、かつてよりもオペラティックでさえある。
他のメンバーは変わっても、キーボードのこのクラシカルなセンスは、やはりメタモルフォシである。
シンセの音色がやや現代的になった分、クラシカルシンフォとしてのサウンドがよりくっきりとなった。
たおやかなピアノパートやアコギなどの音色も美しく、贔屓目を抜きにしてもクラシカル系イタリアンシンフォの傑作である。
シンフォニック度・・8 クラシカル度・・8 イタリア度・・9 総合・・8◆プログレ名作選入り
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Metamorfosi 「Purgatorio」
イタリアのプログレバンド、メタモルフォシの2016年作
1974年作「INFERNO」、2004年作「PARADISO」に続く、ダンテの「神曲」をテーマにした3部作の完結編で、
イタリア語の語りによる導入から、オルガンにムーグシンセが鳴り響き、ジェントルなヴォーカルを乗せたサウンドは、
往年のイタリアンロックの濃密さと、クラシカルな大仰さをしっかり残していて、その世界観に引き込まれる。
イタリア語特有の、まるでオペラのような伸びやかな歌声も素晴らしく、キーボードを中心にしてたたみかける荒々しさと
クラシカルな優雅さを同居させたメリハリのある展開力も健在だ。小曲をはさみながら、コンセプト的な流れに沿って展開する、
まさにイタリアン・シンフォプログレの力作だ。40年もの年月をかけて、三部作を完結させたバンドの底力には敬意を表したい。
ドラマティック度・・9 プログレ度・・8 イタリア度・・9 総合・・8.5 
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MIA MARTINI 「Oltre La Collina...」
イタリアの女性ヴォーカル、ミア・マルティーニの1971年作
もともとはミミ・ベルテという名前でポップな音楽をやっていた彼女が改名して、
まるでキーフのジャケのような本作で再デビュー。サウンドは美しいストリングスに、
しっとりとしたピアノ、アコースティックギターに、イタリア語のヴォーカルで聴かせる、
シンフォニックなラブロック。ハスキーな歌声は魅力充分で、なかなか情熱的である。
ギターに重なる艶やかなストリングスアレンジはときにNEW TROLLSのようで、
イタリアンロック好きなら間違いなく楽しめる。女性ヴォーカルファンもぜひ。
シンフォニック度・・8 イタリア度・・9 女性Vo度・・9 総合・・8
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MIA MARTINIIl Giorno Dopo
イタリアの女性ヴォーカル、ミア・マルティーニの1977年作
1971年作 「Oltre La Collina...」は実に美しい傑作だったが、本作もまた、
イタリア語による彼女の絶品の歌声と、ストリングスによるクラシカルなアレンジで
しっとりと聴かせてくれる。オルガンなども入ったサウンドはプログレリスナーにも楽しめる。
シンフォニック度・・8 イタリア度・・9 女性Vo度・・9 総合・・8
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Michele Conta 「Endless Nights」
イタリアのミュージシャン、ミケーレ・コンタの2019年作
Locanda Delle Fateのシンセ奏者によるソロで、2021年に日本盤の紙ジャケで発売された。
優美できらびやかなシンセワークをメインに、ギャビン・ハリソン(King Crimson)らがドラムで参加し、
巧みで軽やかなリズムとともに、インストをメインにした優雅なシンフォニックロックを展開する。
クラシカルなピアノにストリングスが絡み、ゲストによるメロウなギターも加わると、ロカンダ・デッレファーテのような
優しい泣きの叙情に包まれる。マイルドなヴォーカルを乗せたキャッチーな優しさは、MOON SAFARIなどを思わせ、
壮麗にして甘美なシンセにはどこを切ってもウットリとなる。まさに繊細にして優美なる傑作です。
クラシカル度・8 プログレ度・8 優美度・9 総合・8.5
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MINA 「amanti di valore」
イタリアの女性シンガー、ミーナ・マッツィーニの1973/2001年作
1960年から活動するイタリアを代表するカンタゥトリーチェの一人、
アコースティックギターのつまびきにやわらかなオルガンの音色、
イタリア語による彼女の艶めいた歌声で聴かせる落ち着いたサウンド。
70年代らしいおおらかな叙情性とともに、どこかなつかしいような聴き心地の好作品。
メロディアス度・・8 イタリア度・・8 女性Vo度・・8 総合・・7.5
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MINDANCE 「COSMICALLY NOTHING」
イタリアのプログレバンド、マインダンスの2020年作
わりとハードなギターにシンセを乗せ、英語歌詞のヴォーカルとともに、独特の浮遊感に包まれたサウンドを描く。
オールドロック寄りのギターとオルガンの音色によるヴィンテージな味わいと、モダンなエレクトロ感が同居し、
スペイシーなサイケ風味や、牧歌的なユルさ、メロウな叙情も覗かせて、なかなかつかみどころがない。
9分の大曲でも、あくまでゆったりとした、PINK FLOYD的な味わいに、ヴィンテージ感を漂わせていて、
ラストの12分という大曲は、フリーキーにギターが鳴り響く不穏な雰囲気から、ほどよい叙情をまとわせつつ、
シンフォプログレになりそうで、そうでもないという、やはりつかみどころのなさが個性といえなくない。
ドラマティック度・7 プログレ度・7 イタリア度・7 総合・7.5
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Mindflower 「Purelake」
イタリアのプログレバンド、マインドフラワーの1995年作
やわらかなギターにシンセ、美しい女性ヴォーカルの歌声で聴かせる、叙情派のシンフォニックロック。
いくぶんつたない英語歌詞の歌声がなかなかキュートで初々しく、男性ヴォーカルが絡みつつ
フォークロック的な牧歌性も耳に優しい。やや武骨な男声ヴォーカル曲やあっさりとした小曲などは
アルバムの中で不要にも思えるが、7分、10分という大曲では、プログレッシブなリズムと展開力を発揮していてなかなか楽しめる。
女性声の繊細系シンフォが好きな方はいかが。バンドはこの後、活動休止をはさみつつ、2001年、2009年と作品を発表する。
ドラマティック度・・7 プログレ度・・7 女性Vo度・・7 総合・・7.5
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Mindflower 「Mindfloater」
イタリアのプログレバンド、マインドフラワーの2001年作
1995年の1作目は女性Vo入りの精細なシンフォであったが、本作ではいくぶんモダンな感触となり、
マイルドな男性ヴォーカルの歌声をメインにした、薄暗い叙情性に包まれたサウンドになっている。
曲によっては、しっとりとした女性ヴォーカルも入って来て、繊細なシンフォニック性を聴かせてくれ、
オルガンやムーグの音色などには、古き良きプログレ感触も残している。やわらかなアコースティックパートや
シンセを中心にした小曲などもあって、適度なモダンさと繊細な叙情の同居したシンフォ作品になっている。
ドラマティック度・・7 プログレ度・・7 叙情度・・8 総合・・7.5
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mindflowerLittle Enchanted Void
イタリアのシンフォニックロックバンド、マインドフラワーの2008年作
妖精世界の創造から終末までをテーマにしたコンセプト作ということだが、
細かく分けされた25のパートで、まるでクラシックの組曲を聴くような味わいだ。
つややかなピアノの音色に導かれて、優雅なストリングスの響きが加わり、
クラシカルで繊細なシンフォニックサウンドを描き出す。ときおり入る男性ヴォーカルは
静かに物語を語るようで、派手な盛り上がりはさほどないが、じっくりと楽しめる逸品です。
クラシカル度・・9 プログレ度・・7 イタリア度・・7 総合・・8
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MINSTREL「FAUST」
イタリアのシンフォニックロックバンド、ミンストレルの2000作
のっけから演劇的なナレーションで幕を上げる、ゲーテの『ファウスト』をモチーフにしたアルバム。
基本はギター、ベース、ドラム、キーボードの四人編成で、そこにクラリネットが加わったり、
配役によってセリフが入るといった、まさにロックオペラ的手法も取り入れている。
ギターにはややメタル色もあり、部分的にはプログレハード的な質感も感じるので、
案外HRリスナーなどにも聴きやすいかもしれない。演奏力は並み程度だが、
美しいシンセにメロウなギターが重なると、なかなかドラマティックな音になる。
シンフォニック度・・7 ドラマテイック度・・8 演奏・・7 総合・・7

MINSTREL 「AHAB」
イタリアのシンフォニックロック、ミンストレルの2009年作
「エイハブ」というタイトルのように「白鯨」をテーマにしたコンセプト作で、
イタリア語によるオペラティックなヴォーカルと、けっこうメタリックなギターが合わさった濃密なサウンド。
以前にもゲーテの「ファウスト」をモチーフにした作品もやっていたり、こういうのがよほど好きなのだろう。
感情過多の歌声とダイナミックではあるがやや唐突な展開が、いくぶん白々しい感じもしてしまうのだが、
安っぽい舞台劇を見ている感じが面白いといえば面白い。ロマンに満ちたB級感を理解できる方ならけっこう楽しめるだろう。
泣きのギターメロディも随所に効いていて、シアトリカルなドラマ性で聴かせる濃密なハードシンフォニック作品だ。
ドラマティック度・・8 濃密度・・9 イタリア度・・8 総合・・7.5
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MOGADOR 「Absinthe Tales Of Romantic Visions」
イタリアのプログレバンド、モガドールの2012年作
2009年にデビューしてから3作目となるアルバムで、以前の作品は未聴なのだが、
しっとりとしたピアノの音色と美しいシンセワーク、適度にハードなギターと起伏ある展開力、
そしてクラシカルな優雅さとともに、どこかミステリアスな雰囲気も感じさせるサウンドだ。
ヴォーカルは英語なのでさほどイタリア臭さは感じない。フルートやヴァイオリンの音色も含め
アコースティカルで繊細な叙情や、女性ヴォーカルも入った優しい耳心地もなかなか魅力的。
物語を感じさせるような幻想的な世界観で、タイトルのようにロマンの香りに包まれた好作品である。
ドラマティック度・・8 イタリア度・・7 繊細度・・8 総合・・7.5
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MONTEFELTRO「Il Tempo Di Far La Fantasia」
イタリアのシンフォニックプログレバンド、モンテフェルトロの1st。1992年作
まずはこの美しいジャケに心惹かれるが、内容もイメージ通りの繊細なシンフォニックロック。
のっけから22分の組曲で始まるが、まったく押しつけがましいところがなく、軽やかなリズムに
優美なシンセとメロウなギターを乗せ、初期GENESISを思わせる幻想性でしっとりと聴かせる。
リズムチェンジを含む軽妙な展開力もあって、センスのあるキーボードをメインにした演奏面での充実も
単なるマイナーシンフォの域を超えいている。繊細なヴォーカルの存在感の薄さもむしろマッチしている。
優美なる幻想シンフォニックロックにウットリと浸れるなかなかの逸品です。
シンフォニック度・・8 ドラマティック度・・7 夢見度・・9 総合・・8
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MONTEFELTRO「IL PESCE ROSSO,」
イタリアのシンフォニックプログレバンド、モンテフェルトロの2nd。2001作
1stは繊細で夢見心地な叙情シンフォニックだったが、続くこの2ndでもその方向性は変わらず。
GENESISの繊細な部分を抽出したような、やわらかくふんわりとしたサウンドだ。
バックで常に鳴っているキーボードが幽玄さを演出し、あまり力まない歌声がそこに乗る。
この手としては出来はかなりな部類だが、「これだ」という決定的な盛り上がりがないのが
物足りないといえば物足りない。しかしそれがまたこのバンドの魅力でもあるのかも。
シンフォニック度・・8 ドラマティック度・・7 夢見度・・9 総合・・7.5


MOONGARDEN「THE GATES OF OMEGA」
イタリアのシンフォニックロックバンド、ムーンガーデンの3rd。2001年作
CD2枚組の大作で、うっすらとしたシンセに、P.ガブリエルを思わせるヴォーカルを乗せ、
メロウなギターとともに、GENESISをルーツにした優美なシンフォニックロックを聴かせる。
前作までにあった強引さ、ややあざといまでの展開は、壮大な大作になったことで
薄暗くゆるやかな叙情を強めた、よりマイルドな作風へと変化を遂げている。
静けさの中にも空間美を感じさせるしっとりとしたキーボードの使用法などを含めて
改めてこのバンドのセンスの良さが分かる。20分を超える大曲など、気が短い人には向かないが、
ゆったりとした繊細な美意識に包まれた、シンフォニックロックが楽しめる。
シンフォニック度・・8 プログレ度・・7 優美な叙情度・・9 総合・・8
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Moongarden 「Round Midnight」
イタリアのプログレバンド、ムーンガーデンの2003年作
日本かどこかのターミナルのようなジャケも印象的だが、サウンドの方も優美なシンフォ路線から
モダンな翳りを含んだ、今でいうポストプログレ的な感触になっている。英語によるマイルドなヴォーカルに、
うっすらとしたシンセアレンジ、むしろ英国やポーランド系バンドのような薄暗い叙情性に包まれていて、
一聴してプログレ感は薄いのだが、随所にメロトロンやムーグ、オルガンなどのシンセも加わって、
GENESISルーツの泣きのギターも覗かせつつ、うるさすぎないセンスの良さでじっくりと鑑賞できる。
ドラマティック度・・7 プログレ度・・7 モダンで薄暗度・・8 総合・・8
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MOONGARDEN「Songs From the Lighthouse」
イタリアのシンフォニックロックバンド、ムーンガーデンの5th。2008作
聴くのは2001年の3作目以来になるが、雰囲気的にはずいぶんモダンなシンフォニックロックになった。
もちろんGENESIS系をベースにした叙情メロディや、鳴り響くメロトロンはそのままだが、
ファンタジックな中にも大人の哀愁を漂わせ、しっとりとした薄暗さを聴かせながら、じわじわと盛り上げてゆく。
かすれた声質のヴォーカルが英語で歌い上げるさまは、イタリアというよりもむしろ英国のバンドのような雰囲気。
メロトロンをバックにした泣きのギターにうっとり。ドラマティックなハードシンフォの力作だ。
シンフォニック度・・8 ドラマティック度・・9 イタリア度・・7 総合・・8
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Moongarden「A Vulgar Display of Prog」
イタリアのプログレバンド、ムーンガーデンの6th。2009年作
前作はなかなかの力作だったが、本作はスタイリッシュな感触を増したサウンドになっていて、
メロトロンを含むシンセとデジタルなアレンジが同居して、わりとハード寄りのギターを重ねた
モダンな硬質感に包まれたシンフォニックロックを聴かせる。ややクセのある英語歌詞のヴォーカルに、
繊細なピアノなどの優美な叙情も覗かせつつ、ドラマティックな構築力で描かれるサウンドは、
新世代のハードシンフォニックという雰囲気で、若いプログレファンにも楽しめるだろう。
シンフォニック度・・8 重厚度・・8 イタリア度・・7 総合・・8
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Moongarden 「Voyeur」
イタリアのプログレバンド、ムーンガーデンの2014年作
90年代にデビュー、Genesisルーツのシンフォニックロックから、2003年の4th以降はスタイリッシュなセンスをまとわせ、
7作目となる本作も、ジャケのイメージのようなモダンな雰囲気に、ハード寄りのギターとうっすらとしたシンセに、
かすれた味のあるヴォーカルを乗せ、Marillionなどにも通じる、ほの暗い翳りをまとわせたサウンドを描いている。
いわば英国のポストプログレ的な作風ともいえるのだが、そこにメロトロンなどの王道のシンフォ要素を融合させているのが、
このバンドの柔軟なセンスだろう。キャッチーな感触の歌ものパートや、メロウなギターがゆったりと鳴り響く叙情性など、
押しつけがましさのない繊細な美意識を感じさせる。ジェネシスを原点に、ここまでモダンに進化するに至ったという意欲作である。
ドラマティック度・・7 モダンプログレ度・・8 むしろ英国的度・・8 総合・・8
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Moongarden 「Align Myself to The Universe」
イタリアのプログレバンド、ムーンガーデンの2018年作
1994年にデビュー、Genesisルーツのシンフォニックロックからしだいにモダンな作風へと深化をとげ、
8作目となる本作では、美麗なシンセとメロディックなギターを軽快なリズムに乗せて、
ヴァイオリンも鳴り響く、優雅でスタイリッシュなシンフォニック・ハードプログレで幕を開ける。
英語歌詞のヴォーカルを乗せたキャッチーな感触に、メロトロンが鳴り響き、メロウなギターとともに
泣きの叙情に包まれる。一方では、デジタルなアレンジを取り入れたモダンなナンバーなどもあり、
イタリアというよりは英国のバンドに近い聴き心地だ。12分の組曲は、叙情的な歌パートを含む、
王道のシンフォニックロックで、PENDRAGONあたりにも近い甘美なメロディアス性が心地よい。
メロディック度・・8 スタイリッシュ度・・9 叙情度・・9 総合・・8.5 
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Morreale 「Appunti Di Viaggio」
イタリアのシンセ奏者、マッシミリアーノ・モレアーレのソロプロジェクト。2020年作
オルガンを含むシンセにわりとハードなギター、イタリア語によるシアトリカルなヴォーカルとともに、
オールドな味わいのハードプログレを聴かせる。どこか狂気を含んだエキセントリックな世界観は
オザンナやチェルベッロなどを現代的にしたような雰囲気もあり、濃密なイタリアらしさ全開である。
中盤には、22分という大曲もあり、スペイシーなシンセパートやアコースティックな叙情性などを含んだ
スケール感のあるインストサウンドを展開、メロウな泣きのギターとともにじわじわと盛り上げる。
妖しくフルートが鳴り響き、サックスも加えたアダルトな味わいのナンバーなどもよい感じです。
ドラマティック度・7 プログレ度・8 イタリア度・8 総合・7.5
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The Mugshots 「Something Weird」
イタリアのプログレ・ハードロック、マグショッツの2016年作
シンセを含む5人編成で、本作はアリス・クーパーのギタリストとして知られるディック・ワグナーがプロデュース、
Death SSのフレッディ・デリリオがマスタリングを手掛けている。きらびやかなシンセにハード寄りのギターを乗せ、
キャッチーで爽快なロックのノリとプログレ的な構築性を合せたというサウンド。ヴォーカルは英語であるが、
イタリアらしいシアトリカルな濃密さを感じさせ、サーカスのような楽しげな狂気と遊び心に包まれたセンスが光っている。
ニューウェイブ的なポップ性やパンク、メタル的な要素を大胆に取り入れつつ、ときにオルガンが鳴り響く古き良きロックや、
プログレとしての味わいもしっかり残しながら、曲によってはブラックメタル的でもあるダークさも垣間見せるという。
楽曲は4〜5分前後とわりとコンパクトで、ミクスチャーされた音のわりには難解さはなく、全体的にもメロディック性が強いので、
イタリアンロック好きはもちろん、多くのハードロック/メタル系のリスナーにも楽しめるのではないだろうか。
濃密なシアトリカル・ロック作品である。Deliriumのフルート、サックス奏者のマーティン・グライスをはじめ、多数のゲストが参加。
ドラマティック度・・8 プログレ度・・7 シアトリカル度・・8 総合・・8
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Murple 「Il Viaggio」
イタリアのプログレバンド、マープルの2014年作
1974年に1作を残して消えたバンドが2008年に復活、本作は復活後の2作目となる。
アコースティックな素朴さを含んだ叙情に男女ヴォーカルのイタリア語の歌声を乗せた、
やわらかなシンフォニックロック。オルガンやムーグなどの古き良きシンセワークをメインに、
ときにメロウなギターフレーズも覗かせつつ、3〜5分台の小曲を中心にゆったりと聴かせてくれる。
テクニック面でスリリングなパートや重厚な雰囲気というのはさほどないものの、
シンプルにイタリアンプログレらしさを描いていて好感が持てる内容だ。
メロディック度・・8 プログレ度・・7 イタリア度・・8 総合・・7.5
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MUSEO ROSENBACH「ZARATHUSTRA」
イタリアのプログレバンド、ムゼオ・ローゼンバッハの1973年作/邦題「ツァラトゥストラ組曲」
70年代に彼らが残したこの唯一のアルバムは、イタリアンヘヴィプログレの名盤として語られている。
ニーチェの「ツァラトゥストラはかく語りき」をテーマにした、哲学的かつ壮大な内容で、
メロトロンとギターによる重厚なサウンドは、プログレ好きのメタラーなどにも聴きやすいだろう。
かく言う筆者も、この作品とオザンナ「パレポリ」によってイタリアンロックの深みにどっぷりとハマったのである。
タイトル組曲の完成度はもちろんのこと、音自体に内包されたミステリアスな雰囲気が素晴らしい。
プログレを聴く人間であれば、PFMの「友よ」と、オザンナの「パレポリ」、そして本作はチェックすべきだろう。
シンフォニック度・・8 重厚度・・8 完成度・・9 総合・・8.5
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MUSEO ROSENBACH「EXIT」
イタリアの70年代に「ZARATHUSTRAZ」という1枚のアルバムを残して消えた、
ムゼオ・ローゼンバッハが2000年になってなんと復活作を出した。。

イタリアンヘヴィプログレの傑作といわれた「ツァラトゥストラ組曲」の音を想像すると、
そこまでの緊張感はないが、かといってポップになったわけでもなく、全体として
古き良きイタリアンロックのテイストを残しているのでそうガッカリする出来でもない。
オリジナルメンバーはBとDrのみだが、それなりにかつての雰囲気はある。
メロディアス度・・7 プログレ度・・7 ムゼオ度・・7 総合・・7
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MUSEO ROSENBACH「“ZARATHUSTRA" LIVE IN STUDIO」
イタリアのプログレバンド、ムゼオ・ローゼンバッハのライブ音源。2012年作
1973年に「ツァラトゥストラ組曲」という名作をを残し消滅、2000年に「Exit」という復活作を出すも再び沈黙、
本作はそれ以来となる作品で、なんと39年前のその名作を完全再現したスタジオライブ作品となる。
往年のメンバー3人を含むメンバーによる、かつてのミステリアスで壮大なヘヴィプログレが甦る。
情感的なイタリア語の歌声に、鳴り響くオルガン、ややハードなギターワークとともに、
往年の彼らの世界観がドラマティックに再現されてゆく。イタリアンロックファンは必聴であろう。
ドラマティック度・・8 ムゼオ度・・9 ツァラトゥストラ度・・9 総合・・8
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Museo Rosenbach 「Barbarica」
イタリアのプログレバンド、ムゼオ・ローゼンバッハの2013年作
先に「ツァラトゥストラ組曲」を再現したライブ音源を出していたが、スタジオ作としては2000年の「EXIT」以来となる作品である。
サウンドは当然ながら往年のイタリアン・プログレを継承する作風で、
イタリア語の歌声に絡みつくオルガンの音色でもう、その世界に入ってゆける。
メロウなギターフレーズとともに、哀愁を漂わせた叙情美とミステリアスな気配に包まれて
構築されてゆく大曲は、まさしく、1973年の名作「ZARATHUSTRA」を受け継ぐような雰囲気だ。
ドラマティック度・・8 プログレ度・・8 イタリア度・・9 総合・・8



MUSEO ROSENBACH 「Live in Tokyo」
イタリアのプログレバンド、ムゼオ・ローゼンバッハのライブ作品。2014年作
2013年の来日公演の音源をCD2枚に収録。Disc1では1973年の傑作「ツァラトゥストラ組曲」を完全再現。
ツインキーボード、ツインギター編成で、ジャンカルロ・ゴルツィの手数の多いドラムを軸にした重厚なアンサンブルと、
ステファノ・ガリフィの味わい深いイタリア語のヴォーカルにより、かつての名作がダイナミックに再現される様は圧巻。
25分を超える組曲をドラマティックに構築するバンドの力量は、単なるベテラン復活という以上のパワーを感じさせる。
Disc2では2013年作「Barbarica」からの楽曲を演奏、こちらは渋みのある大人の雰囲気で楽しめる。
ドラマティック度・・8 プログレ度・・8 ライブ演奏・・9 総合・・8
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NARROW PASS「A Room of Fairy Queen's」
イタリアのシンフォニックロック、ナロウ・パスの2006年作
ERIS PLUVIAに参加していた、Mauro Montobbioというマルチプレイヤーを中心に
LA MASCHERA DI CERAのメンバーなども参加。美しいシンセワークにメロウなギター、
たおやかなフルート、そして優しい女性ヴォーカルと、シンフォニック好きにはたまらないサウンド。
ゆったりとした優しいメロディと繊細な感触は、HOSTSONATENあたりにも通じるもので、
すべての面で予定調和ながら、この優美なる叙情性はとても日本人好みであり、
女性ヴォーカル入りの癒し系シンフォとしてのんびりと鑑賞できる逸品です。
シンフォニック度・・8 プログレ度・・7 しっとりたおやか度・・9 総合・・8
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Narrow Pass「In This World And Beyond」
イタリアのシンフォニックロックバンド、ナロウ・パスの2008年作
前作は女性ヴォーカルの歌声で聴かせる繊細なシンフォニック作で大いに気に入ったが、
本作もまたアコースティカルな美しさとやわらかな女性ヴォーカルが絶品の好作品だ。
たおやかなフルートの音色にシンセが重なり、メロウなギターフレーズが心地よく響くと、
初期GENESISやスティーブ・ハケットのような優しいシンフォニックロックとなる。
曲はほとんどが7分以上で、ゆったりのんびりと癒されるような繊細系の逸品。
シンフォニック度・・7 しっとり繊細度・・9 女性Vo度・・8 総合・・8
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Narrow Pass 「A New Day」
イタリアのシンフォニックロックユニット、ナロウ・パスの2014年作
ERIS PLUVIAに参加していた、Mauro Montobbioを中心にしたバンドの3作目。
やわらかなリコーダーの音色にうっすらとしたシンセとメロウなギターが絡み、
序盤は軽快なインストパートをメインにした作風で、繊細な叙情を描いてゆく。
3曲目からはお待ちかねの女性ヴォーカルが加わり、しっとりとした優美な空気に包まれる。
その後も、6〜8分の楽曲を中心に、男性ヴォーカルがリードをとる曲もありつつ、
本作はむしろERIS PLUVIAのように、歌に頼らない叙情派シンフォの好作となっている。
ドラマティック度・・7 プログレ度・・7 女性Vo度・・7 総合・・8
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Nathan 「Era」
イタリアのプログレバンド、ネイサンの2018年作
GENESISのトリビュートバンドを前身に、2016年にデビューし、2作目となる。オルガンやメロトロンを含むシンセに
叙情的なギターの旋律を重ね、枯れた味わいのヴォーカルとともに、優美なシンフォプログレを聴かせる。
ヴォーカルはいくぶん野暮ったいのだが、メロウな泣きのギターとプログレらしいヴィンテージなシンセが心地よく、
GENESIS+CAMELというような優雅な叙情美に浸ることができる。スリリングな展開などはさほどないのだが、
イタリア語の歌声とオールドなプログレ感がよくマッチしていて、オヤジシンフォ的な哀愁にも包まれた好作品。
ドラマティック度・7 プログレ度・8 叙情度・9 総合・8
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Nathan 「Uomini Di Sabbia」
イタリアのプログレバンド、ネイサンの2022年作
2016年にデビューし、3作目。ほどよくハードエッジなギターにオルガンなどのシンセ、イタリア語のヴォーカルを乗せて
軽やかなリズムと優雅な叙情が同居したシンフォプログレを聴かせる。随所にメロウなギターの旋律と
優美なシンセワークがサウンドをカラフルに彩り、枯れた味わいのヴォーカルがオールドな雰囲気をかもしだし、
中盤の9分という大曲では、いかにもプログレらしい展開の緩急あるインストパートが味わえる。
後半は7パートに分かれた15分におよぶ組曲で、軽妙な流れからの叙情的な盛り上がりが白眉です。
ドラマティック度・7 プログレ度・8 優雅度・8 総合・8
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The Natural Mystic 「Mother Nature,The Trees and The Magic of Seasons」
イタリアのプログレバンド、ナチュラル・ミスティックの2006年作
春夏秋冬の4パートに分かれた組曲形式のアルバムで、ムーグシンセに優雅なピアノ、
ときにフルートも鳴り響き、ジェントルな英語のヴォーカルを乗せたサウンドで、
イタリアというよりはむしろ英国的な牧歌的な味わいだ。Jethro Tullにも通じる土臭い渋さと、
プログレらしい展開力も同居させ、キャッチーで軽快なアンサンブルを描くバンドとしての技量とセンスも十分。
随所にストーリー的なSEを挿入させるなど、ドラマティックな演出と、ときにサイケ的でもある即興的な浮遊感に、
手数の多いドラムをはじめとするハードエッジな音の厚み、メリハリのある濃密さで聴かせる力作である。
ドラマティック度・・8 プログレ度・・8 むしろ英国風味度・・8 総合・・7.5
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NEW TROLLS 「Senza Orario Senza Bandiera」
イタリアンロックバンド、ニュートロルスの1968年作
のちに、イタリアンプログレの代表格とまで成長するバンドのデビュー作。
2〜3分台の楽曲が中心であるが、ホーンセクションなども加わり、イタリア語のヴォーカルをメインに
随所にオーケストレーションを含ませたアレンジは、のちの「Concerto Grosso」への萌芽も感じられる。
オルガンが加わったアートロック風味も含んで、哀愁を感じさせる情感的なヴォーカルもよいですな。
全体的にはポップでキャッチーな素朴な味わいながらも、叙情豊かなイタリアンロックとしても楽しめる好作。
ドラマティック度・・7 プログレ度・・7 イタリア度・・8 総合・・7.5
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NEW TROLLS
イタリアンロックバンド、ニュートロルスの1970年作
今作では1曲目からオーケストレーション入りのアレンジで、より情感豊かな聴き心地で始まる。
ビートロック的な感触もあるが、オルガンが加わったアートロック的な要素とポップ性が混ざり合って
結果としてイタリアンロック的に楽しめるという。ロックとしての躍動感は前作以上で、
のちの「UT」あたりで聴けるバンドの本質はここにあるのだなと感じられる。
やはり小曲主体ながら、叙情的な美しさも散りばめられた好作品です。
ドラマティック度・・7 プログレ度・・7 イタリア度・・8 総合・・7.5
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NEW TROLLS「CONCERTO GROSSO PER T」
イタリアンロックバンド、ニュー トロルスの1971年作
オーケストラのチューニング音から始まるこの作品は、クラシックとロックが華麗に融合した奇跡の一枚である。
とにかく、この美しすぎるストリングの音色!この泣きの旋律の前には言葉を失う。
バンドの演奏パートが無骨に思えてしまうほどに美しい…映画用のサントラとして作られたとはいえ、
この作品がバンドの名をイタリアンロックを語る上で一段引き上げたことは確かだろう。
バロックとロックの合体。これを聴かずしてクラシカルロックを語るなかれ。
昔は、旧B面にあたるヘヴィなインプロ曲がどうも好きになれなかったが、
今聴き返すと、これはこれでしっかりプログレしているので案外悪くない。
現在では「コンチェルト・グロッソ2」とのカップリング盤がお得です。
クラシカル度・・9 美麗ストリングス度・・10 後半ヘヴィ度・・8 総合・・8◆プログレ名作選入り
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NEW TROLLS「ATOMIC SYSTEM」
イタリアンロックバンド、ニュートロルスの1973作
バンドの最高傑作にも挙げられるアルバムで、たたみかけるような演奏と、クラシカルな要素が合わさったサウンドは、
繊細な「CONCERTO GROSSO」に比べればずっとロック寄りで、むしろ荒々しい躍動感に溢れている。
叙情的なイタリア語の歌唱や、フルート、女性コーラスなど、サウンド的にもメリハリがあり、
ムソグルスキーの「はげ山の一夜」のカヴァーも含めて、聴き所の多い作品だ。
メロディアス度・・8 プログレ度・・7 イタリア度・・8 総合・・8
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NEW TROLLS「Tempi Dispari」
イタリアンロックバンド、ニュー・トロルスの1974年作
16分、15分という大曲2曲の構成によるライブ作品で、1曲目は変則リズムを含んだドラムに
即興的なギターが乗り、サックスが鳴り響くという、ジャズロック的なサウンド。
クリムゾン的なフリーキーな緊張感をただよわせつつ、オルガンやシンセによる味付けで
優雅な美しさも感じさせる。2曲目は、しっとりとしたシンフォ寄りの雰囲気で始まり、
「コンチェルト・グロッソ」のフレーズがギターで奏でられる叙情豊かな雰囲気から、後半になると、
ジャズロック気味の即興性も現れる。クラシカルな作品が好きな方にはいくぶんとっつきづらい作品かもしれない。
メロディック度・・7 ジャズロック度・・8 フリーキー度・・8 総合・・7.5
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NEW TROLLS 「LIVE」
イタリアンロックバンド、ニュー・トロルスのライブ作品。1976年作
分裂していたヴィットリオ・デ・スカルツィとニコ・ディ・パーロが和解し、「コンチェルト・グロッソ2」で再結成、
その同時期の1976年のライブ音源を収録。以前ジャケ違いで「L.I.V.E.N.T.」として発売されていたものの紙ジャケ再発盤。
アコースティカルな叙情も含んだ、中期のニュートロルスの優雅なサウンドがじっくりと楽しめる好ライブで、
マイルドなヴォーカルハーモニーに美しいシンセアレンジ、ツインギターによる叙情的な演奏が素晴らしい。
シンフォニックなダイナミズムで展開される「ディスコ組曲」から、ムソグルスキーの名曲「はげ山の一夜」の
スリリングな演奏は中盤のハイライト。そして後半は「コンチェルト・グロッソ」からのナンバーで、オーケストラは入らずとも、
シンセとギターの重ねによる美しさとともに、アルバム以上の躍動感あるアンサンブルで再現される。
シンフォニック度・・8 ライブ演奏・・8 ライブ音質・・7 総合・・8
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NEW TROLLS「ALDEBARAN」
イタリアの名バンド、ニュートロルスの1978年作
この「アルデバラン」は、プログレに斜陽の差し始めた78年という時期の作品で、バンドとしてはワーナーからのメジャーデビュー作。
年代的にもプログレというよりはポップなメロディックロックという趣で、曲名からして“ディスコ組曲”、“あのすばらしき夜”、“愛のハーモニー”と
いった感じで非常にキャッチーなサウンドだが、バックのキーボードやストリングスの美しさはやはり彼らならではで、
イタリア語のヴォーカルハーモニーも美しく、キャッチーなシンフォニックロックとしての完成度は高い。
メロディアス度・・9 プログレ度・・6 ポップ度・・8 総合・・8◆プログレ名作選入り
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NEW TROLLS
イタリアのプログレ・ロックバンド、ニュートロルスの9th。1979年作
トロルスといえば「Concerto Grosso」のクラシカルさや、プログレ色の強い「UT」「Atomic System」あたりを思い浮かべるが、
70年代後期のポップな作風もまた素晴らしいのである。前作「ALDEBARAN」もキャッチーな味わいの高品質な傑作であったが、
今作もその流れで、イタリア語の叙情的な歌唱を軸にしたプログレ・ポップロックが楽しめる。
ポップといっても、Poohなどと同様、美しいコーラスハーモニーで繊細なメロディを聴かせてくれ、
イタリアからしか出て来ない優美な感触が実に耳に心地よい。うっとりと楽しめる作品だ。
メロディアス度・・9 プログレ度・・7 イタリア度・・9 総合・・8
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NEW TROLLS「FS」
イタリアンロックバンド、ニュートロルスの1981作
イタリア鉄道をテーマにした作品で、のっけから汽車の音で始まって郷愁を感じさせつつ、
ドラムとギターのメロディが入るとPFMを思わせるようなダイナミックなサウンドになる。
キャッチーなコーラスなどに前2作のポップな感触を残しつつも、意外とハードめのギターとともに、
哀愁のメロディを聴かせる作風で、イタリアンロックとしての味わいが存分に楽しめる作品だ。
メロディアス度・・8 プログレ度・・7 イタリア度・・8 総合・・8
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VITTORIO DE SCALZI LA STORIA DEI NEW TROLLS「CONCERTO GROSSO」
イタリアのプログレバンド、ニュー・トロルスのライブ作。2001年作
イタリアンロックが好きな方なら知らずに通れない名作「コンチェルトグロッソ」から30年、
大がかりなオーケストラとの競演により、ダイナミックにライブによる完全再現で蘇った。
ヴィットリオ・スカルツィを中心にしたバンドとオケのコンビネーションもよく、クラシカルかつ重厚に
かつての楽曲が再現されてゆく。原曲を知っていればいっそう感慨もひとしおだが、
知らない方でも純粋にオケ入りシンフォの逸品として鑑賞可能だろう。じつに素晴らしい。
クラシカル度・・9 シンフォニック度・・8 オーケストラ度・・8 総合・・8
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NEW TROLLS「Concerto Grosso The Seven Seasons」
イタリアのプログレバンド、ニュートロルスの2007年作
イタリアンロックのクラシカルサイドにおける頂点を極めた 往年の名作「コンチェルトグロッソ」の続編。
これは興奮しないわけれにはいかない。聴いてみての印象は、オーケストラとパンドとの融合が見事なまでに
自然になされている点。かつてのパート1では、バンドサウンドの部分ではやや粗さがあったのだが、
今作においてはすべての音が完璧に楽曲にそった調和の中に存在していて、
実にスムーズに音に浸れるのだ。また、思いの他ギターが活躍しているのもポイントで、
ロックとしての躍動感がしっかりとあるのが素晴らしい。過去のグロッソ1、2を知らない方でも、
この素晴らしきクラシカルロックには感銘を受けずにはおかないだろう。
シンフォニック度・・9 プログレ度・・7 クラシカル度・・10 総合・・9
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NEW TROLLS「Concerto Grosso Live」
イタリアのプログレバンド、ニュー・トロルスのライブDVD。2007作
30年ぶりとなる「Concerto Grosso」の続編を完成させ、来日も果たしたことは記憶に新しいが、
本作はコンチェルトグロッソ1〜3を完全再現したイタリアでの凱旋ライブのDVDである。
美しいミラノの町並みの中の野外ステージで、オーケストラをともなったバンドが演奏をはじめ、
あのかつての名曲が、本物のストリングスの音色とともに再現されてゆく様はとても感動的だ。
見た目は白髪の老人だが、ヴィットリオのやわらかなピアノ/シンセワークは今なお素晴らしく、
ときおりギターを手にし情感を込めて歌い上げる姿は、まさにクラシカルロック最高のアーティストだ。
一時は袂を分かつこともあった盟友ニコも、ヴィットリオをサポートするかのようにシンセを奏でる。
薄暗い叙情のグロッソ1、明るくキャッチーな2、そしてグロッソ3はクラシカルなエッセンスと
プログレ/ロックとしてのダイナミズムが見事に融合された楽曲が素晴らしい。
壮麗なオーケストラに泣きのギターが絡み、盛り上がってゆくサウンドはゆるやかな感涙を呼ぶ。
かつての「Concerto Grosso」ファンはもちろん、全てのクラシカルロック/プログレファンに
勧めたいライブ作品だ。なお、DVDに加えCD2枚がついた限定版もあるので、ぜひそちらを買うべし。
クラシカル度・・9 ライブ映像・・8 ライブ演奏・・9総合・・9

NEW TROLLS 「Concerto Grosso N 3」
イタリアンロックバンド、ニュー・トロルスの2013年作
2007年に出た「The Seven Seasons」は、ヴィットリオ・スカルツィによるソロ的な作品であったが、
本作は、ヴィットリオ、ニコ、G・ジャンニ、ジョルジョの4人が揃った、まさしくNEW TROLLSとして作られた
「コンチェルト・グロッソ」の正式な続編というべき作品ある。フルートが鳴り響き、クラシカルなオーケストラが
バンドサウンドと一体となってゆく様は、まさにかつてのコンチェルト・グロッソを彷彿とさせる。
歌メロのポップさも含めて、70年代に感じた泣きの叙情は薄れてはいるものの、華麗なクラシカルロック、
オーケストラ・ロックとしての美しさは健在で、むしろ肩の力を抜いて楽しめる爽快な好作というべき内容だ。
シンフォニック度・・8 プログレ度・・7 壮麗度・・8 総合・・8


IL MITO NEW TROLLS 「TR3 - Special Live Conecrto Grosso」
イタリアンのプログレバンド、イル・ミト・ニュー・トロルスのライブ作品。2007年作
UT NEW TROLLS、LA LEGGENDA NEW TROLLS、NICO DI PALO/GIANNI BELLENO OF NEW TROLLSと、いくつも分派があってややこしいが、
本作は、Nico De Palo、Ricky Belloni、Gianni Bellen、Giorgio Usaiという歴代メンバーによる編成で、名作「Concerto Grosso」 1と2を完全再現した
2004年のライブをCD+DVDに収録。CDには、バンドによる新曲を前半に収録していて、わりとキャッチーなポップ感に包まれつつ
イタリア語によるヴォーカルが哀愁の情感を描いている。「コンチェルト・グロッソ」再現ライブは、壮麗なストリングをバックに
叙情的なギターが鳴り響き、マイルドなヴォーカルとともに、クラシカルなシンフォニーとバンドが一体となったサウンドに聴き惚れる。
DVDの映像では、ツインキーボード編成のバンドとストリングス隊によるゴージャスなステージが視覚的にも味わえる。
ライブ演奏・8 クラシカル度・8 優美度・9 総合・8
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UT New Trolls 「Live in Milano」
ユーティー・ニュー・トロルスのライブ作品。2012年作
70年代黄金期のメンバーであった、マウリツィオ・サルヴィとジャンニ・ベッレーノによるバンドで、
かつての傑作「UT」のサウンドを再現するというコンセプト。その「UT」からの楽曲を中心に、
Nico, Gianni, Frank, Maurizio名義による1973年「子供たちの唄、大人たちの唄」からの楽曲も披露、
オルガンを含むシンセワークとハードめのギターに、力強いイタリア語のヴォーカルを乗せて
クラシカルサイドのNTとはまた違った、躍動感にあふれたアンサンブルを聴かせる。
70'aハードロック的な感触とともに、往年のイタリアンロックらしい繊細な叙情性も残していて、
ハードで荒々しくもオールドな枯れた味わいが魅力となっている。これぞイタリアンロックの美学。
メロディック度・・7 ライブ演奏・・8 イタリア度・・9 総合・・8
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UT New Trolls 「Do Ut Des」
マウリツィオ・サルヴィとジャンニ・ベッレーノによる、ユーティー・ニュー・トロルスの2013年作
2012年のライブ作に続き、スタジオアルバムも完成させるとは、このプロジェクトはどうやら本気らしい。
オルガンが鳴り響く古き良きイタリアンロックサウンドに、適度なハードさとクラシカルなエッセンスを盛り込んだ
絶妙の路線は本作でも健在。ときに70年代のPFMばりのキャッチーなメロディとコーラスハーモニーも含みつつ、
イタリアらしい繊細な叙情美とオールドスタイルのプログレ風味に思わずにんまりである。
一方では、かつての「コンチェルト・グロッソ」を思わせるクラシカルで優雅なナンバーもあって、
ニュートロルスのファンはもちろん、イタリアンロック好きには必聴級の出来ですよ。
メロディック度・・8 プログレ度・・8 イタリア度・・9 総合・・8
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Nico Di Palo/Gianni Belleno of NEW TROLLS 「LIVE 50.0」
イタリアンロックバンド、ニュー・トロルスの往年のメンバー、ニコ・ディ・パーロ、ジャンニ・ベッレーノを中心にしたライブ。2018年作
活動50周年を記念してイタリアで行われたライブを収録。トリプルシンセを含む7人編成のステージで、「UT」をはじめ
「コンチェルト・グロッソ2」、「アルデバラン」、「FS」、など、かつての傑作アルバムから選曲された全15曲を披露。
美しいシンセの重ねにメロウなギター、朗々としたイタリア語のヴォーカルを乗せて、シンフォニックな音の厚みとともに、
古き良きイタリアンロックの優美な叙情を再現。キャッチーなナンバーも、味わい深い大人の哀愁を感じさせ、
グルーヴィなジャンニのドラムも含めて、50年をへてきたバンドとしてのキャリアを描くような聴き心地である。
全77分、たっぷりとイタリアンロックの巨人たる芳醇な叙情美が味わえる、見事な記念ライブです。
ライブ演奏・・8 トロルス度・・8 イタリア度・・9 総合・・8
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The Night Watch「Twilight」
イタリアのプログレバンド、ナイト・ウォッチの1997年作
The Watchの改名前のバンドで、叙情的なギターに美麗なシンセワーク、P.ガブリエル似のヴォーカルを乗せた
いかにもGENESISなサウンドは、本作の時点ですでに固まっている。というか、歌も演奏もほとんどジェネシス。
ハケットばりのメロウなギターにピアノやメロトロンを含むやわらかなシンセとともに、8〜9分の大曲を主体に、
じつに優雅なサウンドを聴かせる。ここまでくると、バンドの個性云々というよりは、GENESIS愛の詰まった作風に
ニンマリとなってしまう。それと同時に、プログレらしさを臆面もなく匂わせるアレンジのセンスもすでに充分高かった。
ドラマティック度・・8 プログレ度・・8 GENESIS度・・9 総合・・8 The Watchのレビューはこちら
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Nosound 「Sol29」
イタリアのポストプログレ、ノーサウンドの2005/2010年作
2005年のデビュー作のリマスター&DVD付きの再発盤。
うっすらとしたシンセにマイルドなヴォーカルをドラムに乗せた、やわらかな叙情サウンドで、
美しいピアノにメロウなギターも加わって、シンフォニックロック的な優雅さも感じさせる。
後の作品に比べると、バンドとしてのロックなアンサンブルもしっかりとあるので、
翳りを帯びたメロディックロックとして、MARILLIONのようなイメージでも楽しめる。
10分前後の大曲もあくまでしっとりと、泣きのギターや美麗なシンセが包み込む。
ドラマティック度・・7 叙情度・・8 繊細度・・9 総合・・8 
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NosoundLightdark
イタリアのアンビエント・プログレロック、ノーサウンドの2009年作
Giancarlo Erra氏による一人プロジェクト的なバンドで、本作がおそらく2作目。
うっすらと包み込むようなシンセとマイルドなヴォーカルで聴かせるアンビエントなサウンド。
メロトロンのような音色も含んだシンセアレンジが美しく、随所にはギターも入ってくるので、
やわらかでメロウなプログレとしてもちゃんと楽しめる。静かでもの悲しい叙情の中にも、
人間的な温かみがあって、タイトルのように薄暗さの向こうに光を感じ取れるような世界観だ。
ドラマティック度・・7 プログレ度・・7 繊細度・・9 総合・・8
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Nosound 「The Northern Religion Of Things」
イタリアのポストプログレ、ノーサウンドの2011年作
ジャンカルロ・エラ氏の一人ユニットというべきスタイルで、イギリスのNO-MANと同じく
しっとりとしたアンビエントなサウンドを聴かせる。うっすらと包み込むようなシンセと、
アコースティックギター、ピアノのつまびきに、マイルドなヴォーカルで描かれる、
優しく繊細な作風は本作でも同様。広がりのある空間的な音の重なりと寂しげな叙情性、
静寂感の中にある暖かな人間味が交差する、ゆったりなごめるような美しい作品です。
ドラマティック度・・7 プログレ度・・7 繊細度・・9 総合・・8
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Nosound 「Afterthoughts」
イタリアのポストプログレ、ノーサウンドの2013年作
これまでのしっとりとした繊細系サウンドはそのままに、本作ではバンド編成での録音になっていて
ドラムが入っている分ぐっとロック色が濃くなっている。ゆるやかなシンセに物悲しいチェロの音色、
やわらかなヴォーカルとともに描かれる世界観は、薄暗いだけでなく暖かな希望を感じさせる。
随所にメロウなギターフレーズもよい感じで、これまで以上にメリハリのあるドラマテイックな聴き心地だ。
最近のANATHEMAあたりに通じるスタイルになってきたが、この方向性は大歓迎である。傑作。
ドラマティック度・・8 プログレ度・・7 繊細度・・9 総合・・8
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Notabene
イタリアのプログレバンド、ノタベネの2005年作
ヴァイオリン奏者を含む6人編成で、イタリア語の歌声とともに牧歌的な叙情を描くサウンド。
ムーグシンセの音色も含めて、古き良きイタリアンプログレを思わせる雰囲気で、
あまり技巧的ではないヴァイオリンが鳴り響き、初期のカステッロ・ディ・アトランテにも通じる感触。
やわらかなピアノにトロンボーンやフルートが絡んだり、曲によってはいくぶんハードなギターも入ったりと、
90年代以降のネオプログレの多様性を含んだイタリアらしい好作品。ラストは何故かジャズロック風の大曲です。
ドラマティック度・・7 叙情度・・8 イタリア度・・8 総合・・7
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Not a Good Sign
イタリアのプログレバンド、ノット・アグッド・サインの2013年作
YUGENのギター、フランチェスコ・ザゴとシンセ奏者のスケ・ボッタを中心としたバンドで、
適度にテクニカルなアンサンブルにオルガンやムーグを含む美しいシンセアレンジ、ハードエッジなギターとともに、
ミステリアスなヘヴィプログレとして楽しめるサウンド。2曲目からはマイルドな男性ヴォーカルも加わった、
じっくりと聴かせる部分もある。ヴォーカルは英語なのでイタリアらしさはそれほどないのだが、
インスト主体のクラシカル・チェンバーであったYUGENに比べると、とっつき安いかもしれない。
女性ヴォーカルのしっとりと美しいナンバーなど、シンフォニックプログレ寄りの感触もある
ドラマティック度・・8 プログレ度・・8 イタリア度・・7 総合・・8
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Not a Good Sign「From a Distance」
イタリアのプログレバンド、ノット・アグッド・サインの2015年作
オルガンやムーグを含むシンセ、ハードエッジなギターを乗せたテクニカルなアンサンブルで聴かせる
ヘヴィプログレサウンドは前作のまま、本作ではよりアンサンブルが強固になり、それとともに引きの叙情パートでの
説得力もぐんと増している。やはりヴォーカルが英語のためイタリアらしさは薄めなのだが、そこも含めて、
多くのプログレ好きリスナーが楽しめクオリティを有している。メロウな繊細さと技巧的な構築性とのバランスもよく、
スリリングな展開も含んだ演奏力はさすが。前作から着実にクオリティアップしたという力作に仕上がっている。
ドラマティック度・・8 プログレ度・・8 イタリア度・・7 総合・・8
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Notturno Concertante 「The Hiding Place」
イタリアのプログレバンド、ノットゥルノ・コンセルタンテの1990年作
80年代から活動するバンド、シンセにフルート奏者を含む6人編成で、本作がレーベルデビュー作。
きらびやかなシンセワークに叙情的なギター、ジェントルなヴォーカルで聴かせる、王道のシンフォプログレ。
ヘタウマ感のあるヴォーカルは英語なので、イタリア臭さはあまりなく、優美なシンセとメロウなギターで
耳心地の良いサウンドを構築する。アコースティックギターを用いた繊細な小曲も味わいがあり、
泣きのギターや美しいシンセ、フルートの音色とともに、GENESISや初期MARILLIONを受け継ぐような、
叙情豊かなシンフォプログレが楽しめる。90年代初頭のシンフォ系作品としてはかなり出来が良い作品だ。
ドラマティック度・8 プログレ度・8 優美度・9 総合・8

Notturno Concertante 「News From Nowhere」
イタリアのプログレバンド、ノットゥルノ・コンセルタンテの1993年作
1990年にデビュー、本作は3作目で、アコースティックギターとピアノによる優美なイントロから、
メロウなギターの旋律に優美なシンセ、英語によるマイルドなヴォーカルで、繊細なシンフォプログレを聴かせる。
GENESISルーツの叙情性にマイナーな翳りを感じさせる点では、90年代のイタリアンシンフォらしい味わいで、
クラシックギターによる優雅なアコースティックなナンバーなどは、ANTHONY PHILLIPSを思わせたりする。
ヴォーカルのヘタウマ感も含めて、抜けきらないくぐもったような叙情が楽しめたら、立派なマイナーシンフォ好きです。
ドラマティック度・7 プログレ度・7 優美度・8 総合・7.5 
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NOVA「Vimana」
OSANNAのエリオ・ダンナと、元CERVELLOのコッラード・ルスティーチを中心としたジャズロック・バンド、
ノヴァの2nd。1976年作。NEW TROLLSのレナート・ロセット、GENESISのフィル・コリンズも参加。
イギリスに渡ったイタリア人たちと、実力のあるメンバーたちによる演奏はさすがに見事で、
エリオのたおやかなフルート、サックスの音色に、コッラードのセンス溢れるギターワーク、
そこに軽快なリズムセクションが同居して、イタリアンロックとブリティッシュの不思議な融合がなされている。
上品でスタイリッシュなモダンさを有しつつも、メロディにはどこかイタリア特有の叙情が残っていて、
プログレッシブ系のジャズロック作としては希有なほどの上質なアルバムといえる。
メロディアス度・・8 ジャズロック度・・8 されどイタリア度・・8 総合・・8
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NOVA「Wings of Love」
OSANNAのエリオ・ダンナと、元CERVELLOのコッラード・ルスティーチを中心としたノヴァの3rd。1977年作
イタリア出身ながらイギリスに渡って制作された前作「Vimana」は、イタリアの叙情とイギリスのスタイリッシュさが
上手く融合された傑作であったが、続く本作ではそこにさらにアメリカ的なポップさが加わってきている。
フュージョン的な軽快なリズムの上に鳴り響くサックスと、キャッチーなヴォーカルメロディには
モダンで洒落た味わいがあり、シンセによる味付けもアメリカのプログレハード風な感じがする。
ファンキーな陽気さの中にも、フルートの音色やメロディの中には、イタリアらしい叙情が残っていて、
そのクロスオーヴァー具合が不思議な味わいをかもしだしている。多国籍なフュージョンロックの好作。
メロディアス度・・8 フュージョンジャズロック度・・8 イタリア度・・7 総合・・8
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Nova Mala Strana
イタリアのプログレバンド、ノヴァ・マラ・ストラナの1994年作
エキセントリックな女性ヴォーカルの歌声と、オルガンが鳴り響く、妖しげなハードプログレ。
ドタドタとしたドラムに、ハード気味なのにどうもユルいギター、女性声のヘタウマな感じも含めて
Crystal Phoenixあたりに通じるローカルなつたなさが、いかにもB級の感触をかもし出している。
哀愁を含んだ叙情性は悪くないのだが、サウンドの安っぽさがアマチュア臭さにつながっている。
ドラマテイック度・・7 プログレ度・・7 女性Vo度・・7 総合・・7
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LA NUOVA CREAZIONE 「Harleking」
イタリアのプログレバンド、ヌオヴァ・クリエツィオーネの2014年作
70年代に活動しながらアルバム未発表に終わった、1977年の作品をリレコーディングした復活作。
アコースティックギターに艶やかなヴァイオリン、アコーディオンの音色を乗せ、イタリア語の歌声とともに、
楽しげで愉快なノリと牧歌的な叙情で聴かせるサウンド。哀愁を奏でるサックスやトロンボーンに
繊細なフルートの音色に絡むピアノ、そしてアコースティックギターのつまびきが繊細な空気を描く。
3〜5分の小曲主体なので、プログレ的な展開やドラマティックな派手さはあまりないのだが、
ジェントルな男性ヴォーカルに女性声が加わった大人のラブロック風味や、女性ヴォーカルをメインにした
ストリングスが美しいナンバーなど、イタリアらしい味わいのある歌ものサウンドが楽しめる。
ドラマティック度・・6 プログレ度・・7 イタリア度・・8 総合・・7.5
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La Nuova Era
イタリアのシンフォニックロック、ラ・ヌオヴァ・エラの1984年作
シンフォプログレバンドのNuova Eraとは同名別バンドで、本作は唯一のアルバムのようだ。
やわらかなシンセにアコースティックギター、ピアノやフルートも加えた、しっとりと繊細なサウンド。
シンセとアコギをメインにした、GANDALFにも通じる優雅で幻想的なインストを描きつつ、
ネオフォーク寄りの神秘的な雰囲気もあって、ゆったりと鑑賞できる。楽曲は2〜4分前後で、全32分。
ロック感触はほとんどないので、プログレとしては物足りなさはあるが、マイナー系シンフォ好きはチェック。
ドラマティック度・7 プログレ度・5 優美度・8 総合・7.5


Nuova Era 「L'Ultimo Viaggio」
イタリアのプログレバンド、ヌオヴァ・エラの1988年作
イタリアのネオプログレの先駆け的バンドで、クラシカルなピアノやオルガンなどの優美なシンセに、
イタリア語による伸びやかなヴォーカルを乗せ、軽やかなシンフォプログレを展開する。
70年代風味のヴィンテージな味わいと、90年代シンフォへ受け継がれるロマンの香りとともに、
リズムチェンジを含む緩急ある展開で、12分を超える大曲を構築するセンスなどはなかなかのもの。
ドラマティック度・8 プログレ度・8 イタリア度・9 総合・7.5
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Nuova Era 「Dopo L'Infinito」
イタリアのプログレバンド、ヌオヴァ・エラの1989年作/邦題「新世紀」
キングから日本盤も出ていたので、マイナーバンドながらもマニアには知られた存在、本作は2作目となる。
20分を超える組曲2曲という構成で、優美なシンセにギターが絡み、イタリア語のジェントルなヴォーカルを乗せて、
緩急あるドラマティックなシンフォプログレを構築する。メロトロンが鳴り響く幻想的な叙情性に包まれながら
軽やかなリズムとともに優雅に展開する、いかにも往年のイタリアンプログレらしい味わいにはニンマリである。
叙情的なギターの旋律にオルガンなどのヴィンテージなシンセで、70年代の幻想のロマンを受け継ぐサウンドが楽しめる。
ドラマティック度・8 プログレ度・8 イタリア度・9 総合・7.5
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NUOVA ERA「Io e il Tempo」
イタリアのプログレバンド・ヌオヴァ・エラの1992年作
1988年にデビュー、イタリアン・ネオプログレの先駆けというべきバンドのひとつで、本作は3作目となる。
語りの入ったイントロから、オルガンやムーグを含むヴィンテージなシンセにフルートが鳴り響き、
メロディックなギターとイタリア語によるマイルドなヴォーカルを乗せた、シンフォニックロックを描きだす。
18分、24分という組曲を、緩急ある展開とイタリアらしい濃密な味わいで、いくぶんの野暮ったさとともに
大時代的なロマンに溢れるサウンドを構築してゆく。90年代イタリア・シンフォプログレの中では魅力的な力作だ。
ドラマティック度・・8 ロマン度・・9 イタリア度・・9 総合・・8
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Nuova Era「Il Passo Del Soldato
イタリアのプログレバンド、ヌオヴァ・エラの1994年作
4作目となる本作も、鳴り響くオルガンにメロトロン、ムーグシンセに、イタリア語による歌声で聴かせる
70年代懐古スタイルのシンフォニックプログレ。いくぶん唐突な曲展開なども含めて、
いかにもイタリアらしい濃密な聴き心地で、思わずにやにや。この手が好きな方にはたまらないだろう。
のちのLa Torre Dell' Alchimistaなどにつながるような、コテコテの感じがじつにステキですな。
90年代のネオプログレブームに乗って活気を取り戻したイタリアのシーンを象徴するような作品。
メロディック度・・8 プログレ度・・8 イタリア度・・9 総合・・7.5
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Nuova Era 「Return To The Castle」
イタリアのプログレバンド、ヌオヴァ・エラの2016年作
オリジナルアルバムとしては、1994年作以来、22年ぶりとなる復活作。メロトロンにオルガン、フルートが鳴り響く、
ジャケのイメージ通りの、変わらぬ懐古主義を貫く、ロマン溢れるイタリアン・シンフォニックロックを聴かせる。
渋みのあるギターフレーズは、むしろ英国のバンドのようで、70年代プログレをルーツにしたヴィンテージな感触と、
イタリアンロック特有のくぐもったような野暮ったさも、もはや味わいとなっていて、おもわずニンマリとしてしまう。
今作はインスト曲が多いので、全74分は少し長尺であるが、古き良きロマン派のシンフォプログレ好きはチェック。
ドラマティック度・・7 イタリア度・・9 古き良き度・・9 総合・・8
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Nuova Idea 「In The Biginning」
イタリアンロックバンド、ヌオヴァ・イデアの1971年作
イタリアンプログレ最初期のバンドながら、案外知名度が低い存在で、そのサウンドはオルガンが鳴り響く、
70年代初頭の英国アートロック、サイケ風味の雰囲気であるが、のっけから20分の大曲という気合の入りよう。
ややあら削りのハードめのギターが入り、イタリア語によるヴォーカルも加わりつつ、とにかくオルガンがこれでもかと鳴り響き、
ときにNICEあたりを思わせるクラシカルなテイストも感じさせる。濃密な聴き心地でありつつ随所にイタリアのバンドらしい
牧歌的な叙情性も含ませるなど、年代を考えればなかなかの構築センスである。スタイリッシュな優雅さとは無縁な作風であるが
この混沌とした味わいこそがイタリアンロックのひとつの側面である、と理解する方にはオススメの逸品です。
ドラマティック度・・8 プログレ度・・8 イタリア度・・9 総合・・8
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NUOVA IDEA 「Mr. E. Jones」
イタリアンロックバンド、ヌオヴァ・イデアの1972年作
混沌としたアートロックという前作に対し、2作目となる本作は、コンセプトアルバム的な、
メロディックなドラマ性が強まっている。メロトロンやムーグ、オルガンを含むシンセに、
適度にハードなギター、マイルドなヴォーカルを乗せ、わりとキャッチーな聴き心地で、
じっくりと楽しめる作風だ。イタリア語の歌声とともにやわらかな叙情性も覗かせつつ、
前作のような、たたみかけるような混沌とした濃密な味わいも残している。
年代を考えれば、演奏力も含めて、クオリティの高いコンセプトアルバムである。
ドラマティック度・・8 プログレ度・・8 イタリア度・・8 総合・・8
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Nuova Idea 「Clowns」
イタリアンロックバンド、ヌオヴァ・イデアの1973年作
3作目となる本作は、彼らのアルバム中でも最もプログレらしい力作となっている。
やわらかなオルガンが鳴り響く、イタリアらしい濃密さでたたみかけるナンバーから、
メロウなギターとともに叙情的に聴かせるシンフォニックロック的なナンバーまで、
いくぶんかすれたシアトリカルなヴォーカルとともに、じっくりと構築されてゆく。
どこかとぼけた展開が楽しい10分を超えるタイトル曲を含めて、じつにイタリアらしいサウンドだ。
ドラマティック度・・8 プログレ度・・8 イタリア度・・9 総合・・8
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Oderigi Lusi「NOTES FROM A LOGBOOK」
イタリアのシンフォ系アーティスト、オデリギ・ルシの2007作
再々編OSANNAをはじめMALAAVIAなどのプロジェクトで活躍するシンセ奏者。
今作は、世界中を旅するというコンセプトによるアコースティカルなアルバムで、
PFMを思わせるような軽やかなフルートに美しいピアノ、ヴァイオリンなどの音色が合わさり、
さらには民族的なパーカッションなども入って、地中海音楽的な質感をたっぷり聴かせる。
女性ヴォーカルの歌声とともに、ジャズロック風味やシンフォニック・チェンバー的にも楽しめ、
語りなども入ってくると、やはりMALAAVIAにも通じるシアトリカルな雰囲気も覗かせる。
シンフォニック度・・7 アコースティカル度・・8 民族度・・7 総合・・7.5


Odessa 「The Final Day」
イタリアのプログレバンド、オデッサの2009年作
1999年にデビュー、本作は10年ぶりの2作目で、ほどよくハードなギターにオルガンを含むシンセを乗せ、
英語による伸びやかなヴォーカルで聴かせる、キャッチーなサウンド。オールドスタイルのロック感触に、
軽妙でテクニカルなアンサンブルには、スタイリッシュな感触も覗かせる。楽曲は4〜5分前後で、
比較的シンプルな味わいながら、あまりプログレプログレしすぎないセンスの良さを感じさせる。
軽やかなピアノを乗せた優雅なインストナンバーから、ゆったりとした歌ものバラードなども魅力的だ。
ドラマティック度・・7 プログレ度・・7 イタリア度・・7 総合・・7.5
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Odissea
イタリアのプログレバンド、オディッセアの1973年作/邦題「詩情」
ムーグやメロトロンなどの美しいシンセにアコーステックギターの素朴な叙情、
かすれ気味のヴォーカルのイタリア語を乗せた、牧歌的な味わいのサウンド。
イタリアのバンドらしい繊細さと、ほどよい展開力を含んだ聴き心地で、
濃密さや混沌とした部分がない分、プログレとしての物足りなさはあるのだが、美しさが前に出ている分
イタリアンロックの初心者でもとっつき安いだろう。シンフォニックロックとしても味わえる好作品だ。
ドラマティック度・・7 プログレ度・・7 イタリア度・・8 総合・・7.5
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OFFICINA MECCANICA 「La Follia Del Mino Di Fuoco」
イタリアのプログレバンド、オフィシナ・メカニカの2007年作
70年代に活動しながら、アルバムを残さずに終わったバンドで、1973年の未発音源にライブ音源などを合わせてCD化された。
アコースティックギターにムーグやメロトロンなどのシンセ、イタリア語によるヴォーカルを乗せた優美な叙情と、
トランペットやサックスの音色を含んだファンキーなテイストが同居した、なかなか個性的なサウンドを聴かせる。
シアトリカルな表現力ある歌声に、ジャズロック的でもある軽やかなインストパートが合わさり、10分を超える大曲では
それらが混在したアヴァンギャルドな展開を覗かせる。音質はややこもり気味だが、イタリアらしい牧歌性と芸術性が感じられる面白い作品。
ドラマティック度・7 プログレ度・8 イタリア度・9 総合・7.5
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OLD ROCK CITY ORCHESTRA 「Back to Earth」
イタリアのプログレバンド、オールド・ロック・シティ・オーケストラの2015年作
コケティッシュな女性ヴォーカルの歌声を乗せ、ほどよくサイケな浮遊感を漂わせたサウンドで、
ヴァイオリンが鳴り響くクラシカルな優雅さと、レトロなヴィンテージロックが合わさったという聴き心地。
2〜4分前後の小曲を主体にした、わりとシンプル作風で、歌詞は英語なのでイタリアらしさは希薄ながら、
オルガンを含むシンセや70年代感触たっぷりのギターも含めて、ユルめの女性声サイケロックとしても楽しめる。
プログレとして聴くには物足りなさもあるが、ラストは9分の大曲で、しっとりと優美なシンフォニック性も覗かせる。
ドラマティック度・・7 プログレ度・・7 ヴィンテージ度・・8 総合・・7.5
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L'Ombra Della Sera
イタリアのプログレユニット、オンブラ・デッラ・セラの2012年作
HOSTSONATENなどで活躍する、Agostino Macor、Fabio Zuffanti、MoongardenのMaurizio Di Tolloによるバンドで
50〜60年代イタリアのサスペンス/ホラー系映画の劇伴音楽のカヴァーを収録したというオマージュ作品。
といっても、しっかりとバンド編成のサウンドなので、メロトロンやオルガン、ムーグなどを使ったシンセを中心に
ほの暗い感触のインストプログレとして楽しめます。同路線であった北欧のMorte Macabreほどには暗さはなく、
妖しくフルートが鳴り響き、やはりどこを切ってもイタリアらしい聴き心地。歌もの曲も1曲あります。
そしてラストの17分の大曲も圧巻。Goblinなどが好きな方ならお勧めしたい雰囲気ものの好作。
ドラマティック度・・7 プログレ度・・7 イタリア度・・8 総合・・7.5
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The ONEIRA 「Natural Prestige」
イタリアのプログレバンド、オネイラの2011年作
美しいシンセにクラシカルなピアノのイントロから、曲に入ると適度にハードめのギターがかぶさり、
英語によるヴォーカルとともに、キャッチーかつメロウな叙情に溢れたサウンドが広がってゆく。
楽曲ごとはプログレハード的なやわらかな聴き心地であるが、美意識を感じさせる世界観と
コンセプト的なドラマ性に包まれていて、ドイツのSylvanなどにも通じる繊細な作風が楽しめる。
プログレ的な意外性やイタリア臭さはあまりなく、抜けが良い分だけ物足りなさもいくぶんあるが。
ドラマティック度・・8 叙情度・・8 イタリア度・・7 総合・・7.5
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THE ONEIRA 「INJECTION」
イタリアのプログレバンド、オネイラの2020年作
2011年にデビューし、3作目となる。きらびやかなシンセにギターを重ね、マイルドなヴォーカルとともに
適度にハードでモダンな感触を含んだ、キャッチーなプログレハード的なサウンドを描く。
きらきらとしたシンセワークと叙情的なギターで聴かせる、壮麗なインストのナンバーや
優雅な歌メロでじわりと盛り上げるシンフォプログレらしいナンバーなど、なかなか楽しめる。
サウンドの雰囲気は良いのだが、全体的には、メロディのフックや展開がもうひとつ欲しいというところ。
ドラマティック度・7 プログレ度・7 優雅度・8 総合・7.5
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OPUS AVANTRA 「Introspezione」
イタリアンロックの輝ける芸術、オパス・アヴァントラの1st。1974年作
アヴァンギャルドな感性とクラシックの気高さ、繊細かつ張りつめたような美意識に包まれ、
ピアノの一音さえもが空気を描きだすような意志をもっている、そんな孤高の傑作。
そして、歌姫、ドネラ・デル・モナコのオペラティックで崇高な歌声が胸を打つ。
クラシックを基盤にしつつ、ここまで革新的な音楽をいったい誰が創造できるだろう。
この時代、そしてこの国からでしか決して生まれえなかった音楽である。
プログレッシブロックを芸術とするのなら、本作こそまさにそれを体現した作品だ。
続く2nd「Lord Cromwell」とともに、イタリアの奇跡ともいうべき名作である。
クラシカル度・・9 アヴァンギャル度・・9 芸術度・・10 総合・・9
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OPUS AVANTRA 「Lord CromwellPlays Suite for Seven Vices
イタリアンロックの輝ける芸術、オパス・アヴァントラの2nd。1975年作
至高の芸術作品と名高き1st「内省」に続き、本作もクラシカルな優雅さで聴かせる絶品の傑作。
とにかく、荘厳なティンパニの響きから始まる1曲目“Flowers on Pride”の素晴らしさは筆舌に尽くしがたい。
たおやかに鳴らされるフルートと繊細なピアノの音色で、しっとりとゆるやかに盛り上がり、
妖艶なドネラの歌声とオペラティックな男女コーラスが重なってゆく。1stに比べてヴォーカル曲が減っているが、
むしろクラシカルな構築性は増していて、最後まで優雅な気分で鑑賞できるのが本作と言えるだろう。
バンドはこの作品のあと活動休止状態となるが、1989年になって3rd「Strata」を発表する。
クラシカル度・・9 アヴァンギャル度・・8 芸術度・・10 総合・・9
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Opus Avantra 「Strata」
イタリアのプログレバンド、オパス・アヴァントラの1989年作
1974年、75年に素晴らしい2作品を残したのちバンドは沈黙、14年ぶりとなる3作目である。
ドネラ・デル・モナコの美しいソプラノヴォーカルで幕を開け、クラシカルなピアノとともに、
かつての名作「Introspezione」を再現するような、妖しく幻想的な気配に包まれる。
ヴァイオリンやフルートが鳴り響く、チェンバーロック的な緊張感と、オペラティックなドネラの歌声が合わさり、
アヴァンギャルドな芸術性を優雅なクラシックの手法で表現する、独自の世界観が楽しめる。
70年代の奇跡的な2作に比べれば、ややその輝きは薄れたが、十分に鑑賞にたる作品である。
クラシカル度・・9 アヴァンギャル度・・8 芸術度・・9 総合・・8
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OPUS AVANTRA 「Lyrics」
オパス・アヴァントラの1995年作
1989年作「Strata」以来となる4作目で、ストリングスの音色を含むオーケストラルな優雅さと、
チェーンバーロック的なスリリングな感触が合わさり、ドネラ・デル・モナコのオペラティックな歌声が美しい。
アルフレッド・ティソッコのエキセントリックでクラシカルなピアノとフルート、ヴァイオリンで聴かせる、
日本をテーマにした15分の組曲も味わい深い。かつての作品のような、妖しく幻想的な芸術性はやや薄れたが、
90年代的な視点からのクラシック要素の再構築という点では、これはこれで悪くない。個人的にはドネラの歌をもっと聴きたかったが。
クラシカル度・・9 アヴァンギャル度・・7 イタリア度・・8 総合・・8
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OPUS AVANTRA Ensemble /Donella Del Monaco & Paolo Troncon「Venetia Et Anima」
イタリアのプログレバンド、オパス・アヴァントラの2003年作
ドネラ・デル・モナコとピアニスト、パオロ・トロンコンによるアンサンブル・ユニット名義で、
アルフレッド・ティソッコは不参加ながら、サウンドはオパス・アヴァントラを受け継ぐもので、
ピアノやストリングスによるクラシカルな崇高さと、ドネラの表現力豊かなオペラティックな歌声で
しっとりと優雅に聴かせる。かつてのアヴァンギャルドな毒気は薄まっているが、
独自の芸術性とともに、随所にシアトリカルな美意識を感じさせる。なかなかの力作だ。
クラシカル度・・8 プログレ度・・7 女性Vo度・・8 総合・・8
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OPUS AVANTRA「Live Concerts Excerpts」
イタリアのプログレバンド、オパス・アヴァントラのライブ作。2007作
イタリアンロック史上の奇跡の名作ともいうべき2作を残し、バンドはいったん活動を停止、
その後、1989年に3rd「Strata」を発表、本作は1989年当時のライブ音源を中心に構成されている。
内容は、プログレというよりは前衛的なクラシックともいうべき曲もあり、音質的にも良質とは言い難いが、
当時のバンドの音楽性を生々しく伝えてくれる。歌入りの曲ではアルバム以上に声量豊かなドネラの歌唱と
ティソッコの奏でるピアノの響きにうっとりと耳を傾けられる。1977年の音源はティソッコが前衛音楽に傾倒していた時期ということで、
ピアノを主体にしたミニマムな室内楽的演奏ながら楽曲はとてもアヴァンギャルド。一般リスナーはまず1st、2ndをチェックしてから聴いて欲しい。
クラシカル度・・9 前衛度・・9 音質・・7 総合・・7.5
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OPUS AVANTRA 「LIVE IN TOKYO 2008.12.04」
イタリアンロックの至宝、オパス・アヴァントラのライブDVD
2008年4月12日、クラブチッタ川崎での来日公演を収録。この日、会場に足を運んだ自分にとっては、
まさしく奇跡の瞬間を目の当たりにした思いだった。会場のアナウンスから始まるこのDVDであらためて感動の余韻にひたる。
イタリアンロックの芸術ともいえる、1stアルバム、すなわち「Introspezione/内省」が24年の歳月をへて、こうして日本で再現されるとは、
いったい誰が考えられただろう。クラシックに裏打ちされたその楽曲は、アルフレッド・ティソッコの弾くピアノと、たおやかなフルート、
そして4人の美女たちによるストリングルカルテットを中心に優雅に形成されてゆく。そこにに乗るドネラ・デル・モナコの圧倒的なまでのヴォーカル、
そのオペラティックな響きは、かつてと同じに瑞々しく、また艶やかだ。正直、カメラワークも含めて映像的にはそう金のかけられたものではないが、
この日のステージを完全収録してくれただけでも充分に価値はある。シアトリカルな芸術性、仮面をつけた語り手、
狂ったように踊りだすストリングス隊の美女たち、少女のように叫び歌うドネラ…先鋭的なミニマムミュージックであり、アヴァンギャルドなプログレ、
異端のクラシックともいうべき、唯一無二の音楽にどっぷりと浸れる。2nd「Lord Cromwell」、3rd「Strata」、4th「Lyrics」からの楽曲も披露され、
ラストのアンコール、2度目の“Il Pavone”まで、すべてが一夜の奇跡というべきステージであった。
ライブ映像・・7 ライブ演奏・・9 奇跡の芸術度・・10 総合・・8.5
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OPUS AVANTRA ENSEMBLE 「Rosa Rosae」
ドネラ・デル・モナコとピアニストのパオロ・トロンコンによる、オパス・アヴァントラ・アンサンブルの2019年作
OPUS AVANTRAの名を冠したスタジオ作としては、2003年以来となる。クラシカルなピアノの旋律に、
ドネラのオペラティックなヴォーカルを乗せ、ヴァイオリンやフルートの音色を重ねた優雅なサウンドは、
70年代の名作「内省」蘇らせるような雰囲気もあり、クラシックをルーツにした優雅さに包まれながら、
随所にドラムの入ったロック感触を加えた、プログレッシブで芸術的なチェンバーロックというべき聴き心地。
ドネラの歌声も表現豊かに、ときに優美に、艶めいて響き渡る。楽曲自体は4分前後で、全39分程度ながら、
かつてのイタリアンロックの妖しい芸術性に肉薄した世界観で、もっと長く聴いていたいとファンなら思うだろう。
ゲストにフォルムラ・トレのアルベルト・ラディウス、オザンナのリーノ・ヴァイレッティ、サン・ジュストのジェニー・ソレンティが参加。
クラシカル度・・9 プログレ度・・8 芸術度・・9 総合・・8.5
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ORDO EQUITUM SOLIS「ANIMI AEGRITUDO」
イタリアのゴシックユニット、オルド・エクイタム・ソリスの2nd。1991年作
まず、ジャケからして「もうゴシック!!」と言っているようなもので、それだけでゴシック好きは買い(笑)。
リズムなしのシンセやアコギの上をたゆたうような女性ヴォーカルがはかなげな歌声を乗せるサウンドで、
静謐さと中世的クラシカルな雰囲気が全編にただよい、うっとりと夢見ごこちにさせてくれる。
ロック色はほとんどないので途中で眠くなることもあるが、この世界観はそれでいいのだろう。
怪しげな女性声の語りなどはJACULAを思わせる呪術性も感じる。幻想ゴシックファンへ。
ゴシック度・・8 女性Vo度・・7 静謐度・・9 総合・・7.5
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Ordo Equitum Solis「Paraskenia」
イタリアのゴシックユニット、オルド・エクイタム・ソリスの3rd。1994年
美しい女性ヴォーカルの歌声に、アコースティックギター、たおやかなフルートにパーカッションのリズム、
クラシカルなピアノやシンセも入った耽美な世界観に、いくぶんプログレ風味も感じさせるサウンド。
レイサナ嬢のヴォーカルは、魔女的な妖しさを感じさせつつも、声質は綺麗なのでしっとりと聴けて、
楽曲的にも大仰すぎない素朴なアコースティック風味が、やわらかな味わいとなっている。
なお、本作は野外で録音された音源とのこと。木々に囲まれて妖しげに演奏するメンバーの姿が目に浮かぶ。
ゴシック度・・8 女性Vo度・・7 静謐度・・8 総合・・7.5
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ORDO EQUITUM SOLIS「HECATE」
イタリアのゴシックユニット、オルド・エクイタム・ソリスの4th。1995年作
たゆたうようなシンセをバックに、艶のある女性ヴォーカルがしっとりと歌い上げる。
静寂クラシカル系ゴシックサウンドとでもいうべきか、魅力的な女性Voの歌唱は、妖しく、そして崇高、
この格調高さと静謐さはアヴァンギャルドさを抜いたOPUS AVANTRAとも言えるかもしれない。
リズムを刻む楽器がないので、ロックっぽさはまるでなく、フランスのWAPASSOUにも通じるものがある。
浮遊する女性スキャットに絡まるヴァイオリン、アコースティックギターが美しい。じわりとくるダークな傑作。
クラシカル度・・8 女性Vo度・・8 静謐度・・9 総合・・8
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ORDO EQUITUM SOLIS「PLANETES」
イタリアのゴシックユニット、オルド・イクイタム・ソリスの1998年作
1990年デビュー、本作は5作目で、アコースティックギターにうっすらとしたシンセ、
美しい女性ヴォーカルの歌声で聴かせる、妖しく幻想的なダークアンビエント。
美麗なシンセにフルートの音色が重なるプログレ寄りの感触も覗かせつつ、
クラシカルな優雅さと魔女めいた世界観が合わさったサウンドが楽しめる。
ときに男性声によるイタリア語の語りなども加えたシアトリカルな雰囲気もあり、
派手な盛り上がりなどはないものの、ゆったりと耽美な空気に浸れる。
クラシカル度・・7 耽美度・・8 幻想度・・8 総合・・7.5
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Ordo Equitum Solis 「Solstitii Temporis Sensus」
イタリアのゴシックユニット、オルド・エクイタム・ソリスの5th。1999年作
今作はのっけから10分を超える大曲で始まる。うっすらとしたシンセをバックに呪文のような声が乗り
いかにも妖しさ満点の雰囲気である。きっと一般のリスナーなら、この1曲だけで寝てしまうだろう。
その後も、ゴシックというよりは、シューゲイサー的なシンセをメインにしたシンプルな曲が多く、
良くも悪くもダークアンビエントの自己満足的な側面に包まれている。雰囲気もの作品としては深化と言えるのかもしれないが、
幻想的な妖しさはいくぶん薄まった。女性ヴォーカルをメインにした曲は相変わらずしっとりと美しい。
ゴシック度・・7 女性Vo度・・7 静謐度・・8 総合・・7
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ORDO EQUITUM SOLIS「METAMORPHOSIS」
オルド・イクイタム・ソリスの2000年作
シンセと詠唱、語りを含んだ、9分におよぶ序曲からして、すでに妖しげな香りがぷんぷん。
アコースティックギターにパーカッションのリズム、しっとりとした女性ヴォーカルの歌声に、
トランペットなども加えた、ゴシックチェンバー的な雰囲気や、シンセをメインにしたシンフォニックなナンバーなど、
とにかく耽美な世界を描くという点では、Lacrimosaあたりの精神性に通じるものがあるかもしれない。
一方では、大仰になり過ぎない、ダークになり過ぎないという、煮え切らないもどかしさも残るのだが。
オルガンを使ったプログレ寄りのナンバーなどもよい感じで、優雅な聴きやすさで楽しめる。
クラシカル度・・7 耽美度・・8 幻想度・・8 総合・・7.5
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ORDO EQUITUM SOLIS 「Killing Time Killing Love」
イタリアのゴシックユニット、オルド・イクイタム・ソリスの2013年作
13年ぶりとなる7作目で、これまでの男女ユニットにベーシストが加わった3人編成となっている。
アコースティックギターのつまびきに、たゆたうような女性ヴォーカルとうっすらとしたシンセアレンジ、
ベースとドラムによるリズムによって、いくぶんロック寄りの感触が強まったという印象。
ときにシンフォニックなシンセの重ねやピアノのつまびきで、耽美でクラシカルなサウンドを描く、
幻想的なゴシック世界は不変。Leithana嬢の艶めいたヘタウマな歌声も、もはや魅力のひとつだろう。
相変わらず派手な大仰さというのはないのだが、この中庸なダークウェーブに浸れる方はどうぞ。
クラシカル度・・7 耽美度・・8 幻想度・・8 総合・・7.5
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Le Orme 「1967-69 Le Origini」
イタリアのプログレバンド、レ・オルメの1969年/1970年作
1作目「Ad Gloriam」、2作目「L'Aurora」をリマスター、2CDに収録したカップリング盤。
デビュー作は、オルガンを含むシンセにイタリア語のヴォーカルを乗せた牧歌的なサウンドで、
まだプログレというよりは、60年代の香りを残したおおらかなサイケロックという趣だ。
2作目になると、叙情的なギターにオルガンやピアノ、ストリングスによるアレンジも加わって、
いくぶんシンフォプログレ的な味わいが増している。楽曲は3分前後とシンプルであるが、
THE NICEにも通じるクラシックのカヴァーもあったりと、素朴さと優美な叙情が同居した好作だ。
ドラマティック度・7 プログレ度・7 イタリア度・8 総合・7.5 
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Le Orme「 Uomo Di Pezza」
イタリアンロックバンド、オルメの4th。1972作
バンドの結成は古く、1967年、初期はおおらかなサイケロック風であったが、
3rd「Collage」からクラシカルな要素を取り入れ、イタリアを代表する叙情派のキーボードプログレバンドとなる。
本作は「包帯の男」の邦題で知られる、次作「フェローナとソローナ」と並ぶ人気作。
クラシカルなパイプオルガンの響きから始まり、しっとりとしたピアノを交えた
繊細な美しさとヴォーカルの入った牧歌的な素朴さが同居したサウンドが楽しめる。
一方ではELPを思わせるたたみかける激しさあるが、垢抜けないマイナー臭さが微笑ましい。
クラシカル度・・8 繊細度・・9 イタリア度・・9 総合・・7.5
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LE ORME「FELONA E SORONA」
オルメの5th。1973作
「フェローナとソローナの伝説」というタイトルと、美しいジャケで知られるオルメの代表作。
同じイタリアのPFMBANCOなどに比べると、正直なところ演奏力はずいぶん落ちるのだが、
リマスターによる音質向上で、以前に聴いたときよりも野暮ったさは感じなくなった。
ゆったりとしたシンセがメロディをつむぎ、やわらかなヴォーカルの歌声とともに
ジャケのような幻想的なイメージでしっとりと聴かせるサウンドは不思議に魅力的。
くぐもったような薄暗い叙情と粗削りの構成も、このバンドに関しては味わいになっている。
幻想度・・9 繊細度・9 イタリア度・・9 総合・・8
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Le OrmeContrappunti
イタリアのプログレバンド、オルメの6th。1974年作/邦題は「夜想曲」
本作はのっけからドカドカとハードなドラムで聴かせるインスト曲で始まり、
全体的にも以前の作品よりも楽曲としてのメリハリがついてきているように思う。
相変わらずのくぐもったオルガンとメロトロンの音色などはいかにも幻想的で、
クラシカルなピアノとともにプログレ的な…というかEL&P的なアンサンブルを聴かせる。
一方では牧歌的な歌もの曲なども、いかにもイタリアらしい繊細な美に溢れている。
クラシカル度・・8 繊細度・・8 幻想度・・8 総合・・8
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LE ORME 「LIVE ORME」
イタリアのプログレバンド、レ・オルメのライブ。1986年作
1975〜77年に録音されたイタリアツアーの音源で、1993年にキングからの日本盤で聴いた時は、音質がラウドで
いまひとつだと思っていたが、2009年の再発盤で聴いてみると、リマスターによる音の迫力が増していてなかなか楽しめる。
スタジオ盤以上に激しいドラムと、オルガンやムーグなどのシンセも華やかで、EL&Pを思わせる部分もしばしば。
そこに独特の翳りを帯びた幻想性が加わるのがオルメで、けっして上手くはないがイタリア語によるヴォーカルにも味がある。
1974年作「夜想曲」、1971年作「コラージュ」といった初期作からのナンバーも多数演奏していて、ファンには嬉しいところ。
Disc2では「フェローナとソローナの伝説」組曲も披露。即興パートもまじえた演奏は、粗削りだがアルバム以上に生々しい。
ライブ演奏・8 プログレ度・8 音質・7 総合・8 
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le Orme 「il fiume」
イタリアのプログレバンド、オルメの1996年作
90年代になって復活した新生オルメのアルバムで、繊細なピアノとシンセワークに
メロウなギターとイタリア語のヴォーカルが加わり、叙情豊かなサウンドを描いてゆく。
90年代らしいタイトなアンサンブルと、キャッチーなメロディをまとった作風は
大人の渋みとベテランらしい優しい味わいに包まれている。楽曲は3〜4分前後とコンパクトながら
作品としての流れを感じさせる作りも見事。現在へとつながる新たなオルメの好作品です。
メロディック度・・8 プログレ度・・7 繊細度・・8 総合・・8
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LE ORME「ELEMENTI」
イタリアを代表するプログレバンド、オルメの2001年作
本作はのっけから爽快でダイナミックなイントロに耳を奪われる。ギターの音色をキーボードによって出しているということだが、
それらツインキーボードがカラフルに奏で合い、見事なシンフォニック空間を彩っている。
タイトル通り「元素」をテーマにしたコンセプト作で、短めの曲が連なってアルバム全体を構築してゆく。
ときに優雅なヴァイオリンも顔を出し、やわらかなヴォーカルとともにナイーブな「静」を演出、
そしてダイナミズム溢れるパートへと移行してゆく流れは見事という他にない。
たとえかつてのオルメを知らずとも楽しめる、叙情派シンフォニックロックの逸品である。
メロディアス度・・9 シンフォニック度・・8 繊細度・・9 総合・・8.5◆プログレ名作選入り
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LE ORMEL' Infinito
イタリアのプログレバンド、レ・オルメの2004作
復活後の2作目となるが、今回はさらに優雅でクラシカル、そして壮大なサウンドになってます。
短い曲をつなげてゆく組曲風の作りは前作同様で、繊細な楽曲に乗るイタリア語の響きも心地よく、
随所で聴かせる美しいヴァイオリンやギターシュミレーターによるギター音色も効果的。
往年のくぐもったような暗さはなくなっていますが、完成度では間違いなく近年の方が上かと思う。
前作に引き続き、間違いなく傑作といえるだけのシンフォニックロツク作品です。
シンフォニック度・・8 クラシカル度・・9 イタリア度・・8 総合・・8
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Le OrmeLA VIA DELLA SETA
イタリアのプログレバンド、レ・オルメの2011年作
2004年のL' Infinito以来、7年ぶりとなるスタジオアルバムで、シルクロード〜東方への旅をコンセプトにした作品。
2〜4分の小曲を連ねてゆく前々作からの作風で、メロウなギターワークにクラシカルなピアノなどを含む
美しいシンセによるインストを中心に、イタリア語による歌曲もまじえながら、ゆるやかにシルクロードのロマンを描き出してゆく。
ベテランらしい落ち着いた味わいが耳に優しい。まさに繊細系シンフォニックロックの傑作だ。
シンフォニック度・・8 叙情度・・9 イタリア度・・8 総合・・8
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Le Orme 「Felona E/and Sorona 2016」
イタリアのプログレバンド、レ・オルメの2016年作
代表作として知られる1973年作「フェローナとソローナの伝説」をイタリア語と英語でリレコーディングした2CD。
オルガンを含むキーボードが美しい鳴り響き、優雅で幻想的なシンフォニックロックが広がってゆく。
オリジナルのメンバーはドラムだけであるが、キーボードトリオの編成で、クラシカルなピアノに
たたみかけるムーグシンセ、オールドなプログレ感触も残しつつ、アンサンブル的に演奏力も上がり、
音質も向上したことで、むしろ聴きやすくなったとも言える。かつてのような薄暗い空気感はいくぶん薄らいではるが、
オルメらしさはしっかり残している。なにより、40数年をへて過去のアルバムを再現できるバンドの熱意は素晴らしい。
ドラマティック度・・8 リメイク度・・8 イタリア度・・9 総合・・8 
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LE ORME 「Classic Orme」
イタリアのプログレバンド、レ・オルメの2017年作
1969年デビュー、イタリアンロックを代表とするバンドのひとつ。本作はバンドの過去曲をクラシックアレンジした作品。
ヴァイオリン、ビオラ、チェロ、コントラバスの弦楽器にたおやかなピアノを加えた、しっとりと優美なサウンドで、
オペラティックな男女ヴォーカルの歌声を乗せた、じつに優雅な聴き心地。曲によってはシンセやドラムも加わる。
「包帯の男」をはじめ、70年代からのナンバーを中心に、再結成後の2000年以降のアルバムからも選ばれていて、
どの曲もクラシックなシンフォニーとして違和感ない仕上がり。ストリングスをメインにトロンボーンやフルートなども加えた、
優雅なインストパートと、美しいソプラノ女性ヴォーカルと男性声が絡む、オペラのアリアのような華麗さが同居して、
ロック色は薄いもののドラマティックな高揚感がある。SAGRADOのマルクス・ヴィアナがヴァイオリンでゲスト参加。
クラシカル度・・10 プログレ度・・7 優雅度・・10 総合・・8 
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Le Orme 「Live in Rome」
イタリアのプログレバンド、レ・オルメのライブ。2018年作
2010年イタリアでのライブを収録した、オフィシャルブートレグとして発表されたものの正規再発盤。
Metamorfosiのジミー・スピタレーリをヴォーカルに迎え、ツインシンセを含む6人編成のステージで、
やわらかなオルガンが鳴り響き、ジェントルなイタリア語のヴォーカルを乗せた優美なサウンドを聴かせる。
90年代以降の復活作からのナンバーから、1971年作「コラージュ」、1974年作「夜想曲」からの優美な大曲に、
EL&Pの「ロンド」も披露。オルガンに絡む端正なピアノや、うるさすぎないギターワークもサウンドに厚みを付加していて、
単なるヴィンテージなキーボードロックという以上のダイナミックな演奏が楽しめる。音質もまず良好です。
ライブ演奏・・8 イタプロ度・・9 オルガン度・・9 総合・・8 
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LE ORME 「SULLE ALI DI UN SOGNO」
イタリアのプログレバンド、レ・オルメの2019年作
本作は、過去曲のセルフカヴァーに2曲の新曲を追加した企画アルバムで、アコースティックギターのつまびきに
ゲスト参加のデヴィッド・クロスによるヴァイオリンの音色が絡み、ゆったりとした優美なサウンドを描く。
女性ヴォーカルを乗せたナンバーや、「クラシックオルメ」にも参加したオペラティックなテノールが映えるナンバーなど、
アコースティックやクラシカルなアレンジとともに、70年代の楽曲を再構築。楽曲は、3〜4分前後が主体で、
プログレ感はさほどないが、オルガン入りのキャッチーなロック感触もあったりと、肩の力を抜いて楽しめる。
オリジナルメンバーは、ドラムのミッキ・デイ・ロッシのみであるが、バンドの今後の活動に期待したい。
クラシカル度・・8 プログレ度・・7 優雅度・・8 総合・・7.5
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Ornithos 「La Trasfigurazione」
イタリアのプログレバンド、オルニソスの2012年作
女性フルート&サックス奏者を含む6人編成で、メロトロンやオルガンを含むシンセに
やわらかなフルートが鳴り響く、いかにも古き良き感触のイタリアン・プログレサウンド。
哀愁を帯びたサックスの響きに、男女ヴォーカルの歌声、そしてイタリアらしい濃密な空気感で
70年代のヘヴィプログレの感触を甦らせるような聴き心地である。美しいフルートの音色に
女性ヴォーカルの歌声が重なるところなどはとても美しい。これぞイタリアのプログレだ。
ドラマティック度・・8 プログレ度・・8 イタリア度・・9 総合・・8
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OSANNAL'uomo
イタリアンロックバンド、オザンナの1st。1971年作
OSANNAといえば、最高作である3rd「PALEPOLI」がまず思い浮かぶが、
本作もフルートが鳴り響き、アコースティカルな情緒とイタリア語の歌声とともに、
混沌とした情熱をまじえた、やはりイタリアからしか出て来ないサウンドである。
いくぶん荒々しいギターにサックスの音色、ハードロック色やファンキーな部分もありつつ
やわらかなフルートが美しい、静と動の鮮やかなコントラストはなかなか魅力的。
「パレポリ」ほどの完成度はなくとも、イタリアンロックファンには充分に楽しめる好作だ。
ドラマティック度・・8 プログレ度・・7 イタリア度・・9 総合・・7.5
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OSANNA「Milano Calibro 9」
イタリアンロックバンド、オザンナの2nd。1972年作
映画のサントラとして作られた作品で、NEW TROLLSの「コンチェルト・グロッソ」を思わせる
美しいオーケストレーションで幕を明け、ムーグシンセとフルートが加わって
イタリアらしい情熱的な躍動感と、クラシカルな優雅さが合わさったサウンドを描き出す。
基本的にインストメインの小曲集なので、「パレポリ」に比べると濃密さの点ではやや薄めなのだが、
スリリングな演奏はさすがだし、土着的な部分が苦手な方にはむしろ聴き安い作品かもしれない。
クラシカル度・・8 プログレ度・・8 イタリア度・・7 総合・・8
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OSANNA「PALEPOLI」
イタリアのプログレバンド、オザンナの3rd。1973作
70年代イタリアン・ヘヴィプログレの中でも、CERVELLOの「MELOS」と並んで、もっとも幻想的であり、
そして完成度の高いアルバムがこれだ。妖しい鈴の音とともに太古の儀式を思わせるような雰囲気から、
フルートが鳴りだし、うねるようなギターとメロトロンが合わさって、祝祭めいたサウンドが作られると
やがて幻想都市パレアポリスが目に浮かぶ。アコースティックギターやイタリア語の歌声による叙情性を含んだ、
メリハリある展開力とともに、濃密な空気がかもしだす特有の迫力は、このバンドならではのものだろう。
吹き鳴らされるフルート、荒々しいギター、フェリーニの映画のような混沌と呪術的な幻想性…
すべてにおいてイタリアからしか出て来得ない奇跡的な傑作である。
ドラマティック度・・8 濃密度・・9 イタリア度・・10 総合・・8.5
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OSANNALandscape of Life
イタリアンロックバンド、オザンナの4th。1974年作/邦題「人生の風景」
傑作「PALEPOLI」に続くアルバムであるが、前作での濃密で混沌とした土着性は薄れて、
サックスの音色とともに、ジャズロック的でもある軽快なアンサンブルが強まっている。
それでも、うっすらとしたメロトロンの音色やイタリア語の歌声による叙情性は残っていて、
アコースティカルな部分とたたみかける勢いとのコントラストで聴かせるオザンナ節は健在。
プログレとしてのテクニカルさと軽快なジャズロック色に、イタリアの叙情が合わさった傑作です。
ドラマティック度・・7 プログレ度・・8 イタリア度・・8 総合・・8
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OSANNA 「Suddance」
イタリアのプログレバンド、オザンナの1978年作/邦題「南の踊り」
前作からバンドはいったん解散していたが、チッタ・フロンターレを母体にして、新生オザンナとして再結成したのが本作。
エレピを含むシンセにメロウなギター、イタリア語のヴォーカルを乗せ、フュージョン風味のジャズロックを聴かせる。
リノ・ヴァイレッティのジェントルな味わいの歌声や、ダニーロ・ルスティチの流麗なギターワークも魅力的で、
初期のオザンナとはすでに別物ながら、繊細で優美なイタリアらしい叙情美はしっかりと感じられる。
確かな演奏力とともに優雅に楽しめる好作品である。本作を最後にバンドは解散、2001年の復活を待つことになる。
ドラマティック度・・7 プログレ度・・7 優雅度・・9 総合・・8 
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OSANNA「TAKA BOOM」
イタリアのプログレバンド、オザンナの復活作。2002年作
「PALEPOLI」はイタリアンヘヴィ・プログレの傑作として今なお語り継がれるが、こうして復活作を出すとは驚きだ。
過去の曲のリメイクを中心とした作品であるが、のっけから“L'Uomo”のダンスビートバージョンで面食らう。
全体的にかつてのおどろおどろしさはなく、モダンなアレンジをほどこされた楽曲は、ある意味分かりやすくキャッチーだ。
基本的にはサックス入りの歌ものという雰囲気で、プログレとして聴くにはやや物足りないが、
「PALEPOLI」からの曲を含む3曲めなど、随所にかつての叙情を感じとれる。
メロディアス度・・7 プログレ度・・7 オザンナ度・・8 総合・・7.5
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OSANNA 「Live - Uomini E Miti」
イタリアのプログレバンド、オザンナのライブ作品。2003年作
バンド30周年記念のライブを収録したCD+DVDで、CDには、2001年の復活作「TAKA BOOM」に収録されていた、
70年代のリメイクナンバーを演奏。リノ・ヴァイレッティの歌声にダニーロ・ルスティチの巧みなギターを乗せ、
優美なピアノとシンセに鳴り響くサックスとともに、大人のオザンナというべきサウンドを聴かせる。
CD後半はスタジオ新緑で、アコースティカルな叙情美からモダンな現在系のアレンジまで、4曲を収録。
DVDには、ヴィットリオ・デ・シャルツィ、フランチェスコ・ジャコモ、ジャンニ・レオーニナ、パトリツィオ・ファリセッリ、
ジェニー・ソレンティなど、多くのゲストが参加して、NEW TROLLSやBANCO、AREA、Il Balletto Di Bronzoなど、
往年のナンバーを披露。映像的には、TV用という感じでやや粗いが、イタリアンプログレ好きには必見である。
ライブ演奏・・8 ライブ映像・・7 イタリア度・・9 総合・・8
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Osanna & David Jackson「Prog Family」
イタリアンロックバンド、オザンナの2009年作/邦題「邂逅の瞬間」
元Van Der Graaf Generatorのデビッド・ジャクソンを迎え、スタジオライブ形式で録音された作品。
デヴィッド・クロス(元KING CRIMSON)、ジャンニ・レオーネ(Il Balletto Di Bronzo)といった豪華なゲスト陣もまじえ、
「ミラノ・カリブロ9」や「パレポリ」といった、かつてのアルバムからの楽曲たちを大胆にアレンジ、
現代的な作風で甦ったそのサウンドに思わず感動である。リノ・ヴァイレッティのイタリア語の力強い歌声に、
ギターとサックスが絡み、いわばファンキーに仕上げた雰囲気であるが、そこには70年代イタリアの叙情を
しっかりと残していて、まぎれもなく「今の」オザンナの音になっている。フルートも美しい。往年のファンもぜひ。
ドラマティック度・・8 オザンナ度・・9 イタリア度・・9 総合・・8.5
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OSANNA 「Rossorock」
イタリアのプログレバンド、オザンナのライブ作品。2012年作
2011年の来日公演の音源を収録。1972年の傑作「ミラノ・カリブロ9」を再現したステージで、
艶やかなストリングスアレンジとバンドサウンドが融合した、まさにかつてのアルバムの世界観を
忠実に再現した演奏が楽しめる。作品自体がインスト中心の映画サントラ作品であったのだが、
そこにイタリアンロックとしての躍動感と濃密な妖しさ、そして優雅な叙情を盛り込んだ楽曲は
年月を超えてもなお輝ける魅力を放っている。ムーグシンセやギターの音色も70年代的な味わいで、
Linoのヴォーカルも含めて、すべてが当時の空気を描くような見事にサウンドに仕上がっている。
ドラマティック度・・8 ライブ演奏・・8 イタリア度・・9 総合・・8


OSANNA 「PALEPOLITANA」
イタリアのプログレバンド、オザンナの2015年作
1972年の名作「パレポリ」の続編として作られたアルバムで、スタジオアルバムとしては2009年以来の作品。
やわらかなピアノにオルガン、ヴァイオリンの音色に、リノ・ヴァイレッティのジェントルなイタリア語の歌声を乗せ、
フルートが鳴り響く幻想的な叙情性とともに、かつてを思わせる妖しくも優雅なサウンドを展開。
元VDGGのデヴィッド・ジャクソンが参加して、サックスとフルートを奏で、ジャズロック的な香りも覗かせつつ、
PRESENCEのソフィア・バッチーニを加えての、男女ヴォーカルによる華やいだ空気感も魅力的だ。
Disc2には1972年作の再録バージョンを収録。アレンジを変えた新鮮な味わいでかつての名作が楽しめます。
ドラマティック度・・8 プログレ度・・8 イタリア度・・9 総合・・8
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OSANNA 「The Best of Italian Rock Vol.1」
イタリアのプログレバンド、オザンナのライブ。2015年作
2015年の来日公演のステージを2CDに収録。「ファーストアルバム」「ミラノ・カリブロ9」「パレポリ」「人生の風景」といった
70年代のアルバムからの楽曲を中心に、オルガン、ピアノを含むツインシンセに、デヴィッド・ジャクソンによるサックス&フルート、
リノ・ヴァイレッティの味わい深い歌声を乗せて、かつてのナンバーを再現してゆく。ジェニー・ソレンティ(Saint Just)が加わって、
美しい歌声でサン・ジュストのナンバーを披露したり、ジャンニ・レオーニ(Il Balletto Di Bronzo)を迎えてのイル・バレット・ディ・ブロンゾ、
さらにはコッラード・ルスティチ(Cervello)が参加して、チェルヴェッロのナンバーも披露。ラストはVDGGのナンバーで締めくくり、
アンコールには故フランチェスコ・ジャコモを偲んでバンコから、全員集合的なメドレーと、まさにイタリアンロック祭り状態の濃密ライブです。
ライブ演奏・・8 イタプロ度・・9 濃密度・・9 総合・・8
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OSANNA 「Pape Satan Aleppe」
イタリアのプログレバンド、オザンナのライブ作品。2016年作
混沌たるイタリアらしさを体現する伝説のバンドの、2016年のイタリア公演を収録。
2015年作「PALEPOLITANA」からのナンバーを中心に、初期作からのナンバーも披露。
ドネラ・デル・モナコ(OPUS AVANTRA)なども参加、イタリア語の男女ヴォーカルに、ヴァイオリン、フルートが鳴り響き、
メロトロンやオルガンを含む厚みのあるシンセを重ねて祝祭的なノリとともにわりとキャッチーなサウンドを展開。
後半は、BANCO、PFM、AREAのイタリアンプログレのメドレーに、ジェ二ー・ソレンティ(SAINT JUST)が歌う、
兄Alan Sorrenti のカヴァーもよいですね。ラスト2曲フランチェス・グッチーニ、ピノ・ダニエレのカヴァーは、イタリア人向けか。
ライブ演奏・・8 プログレ度・・7 イタリア度・・9 総合・・8 
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OAK (Oscillazioni Alchemico Kreative) 「Giordano Bruno」
イタリアのシンフォニックロック、オシラツィオーニ・アルケミコ・クリエイティヴの2018年
マルチミュージシャン、ジェリー・カテッロによるプロジェクトで、美麗なシンセに繊細なピアノ、フルートの音色に
イタリア語によるヴォーカルを乗せ、牧歌的なシンフォニックロックを展開する。デヴィッド・ジャクソンが参加して
優雅にサックスも鳴り響き、アコースティックギターにホイッスルなど、ケルティックなテイストも含ませつつ、
ソーニャー・クリスティーナが、しっとりとした歌声を聴かせるナンバーや、シンセにわる優美なインストパートなど、
物語的な流れで楽曲を構築してゆく。シンフォニックな盛り上がりがもう少しあればと思うが、全71分の力作です
ドラマティック度・7 プログレ度・7 優雅度・8 総合・7.5
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OTEME 「Il Giardino Disincantato」
イタリアのチェンバー・プログレ、オテメの2013年作
変則リズムの上にフルートが鳴り響く、クラリネット、オーボエ、ホルンといった楽器が次々に重なり、
ミステリアスな緊張感に包まれた演奏を聴かせる。クラシカルな優雅さの中に、アヴァンギャルドで
アーティスティックなセンスを覗かせるところは最近ではYugenなどにも通じるだろう。
一方ではアコースティックギターにイタリア語のヴォーカルを乗せた叙情的な要素もあって、
ときに女性声も加わったり、やわらかなハープの音色なども耳に優しい。アルバム中盤以降は
ゆったりとした曲が続くので、いくぶん地味にも感じるのだが、むしろ濃密すぎないので聴き疲れない。
チェンバー度・・8 アヴァンギャル度・・7 イタリア度・・8 総合・・7.5
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VIII STRADA(Ottavo Strada)「La Leggenda Della Grande Porta」
イタリアのハードプログレバンド、オッターヴァ・ストラーダの2008年作
哀愁を漂わせるギターのフレーズに、クラシカルで美しいシンセ、
そしてイタリア語による情感たっぷりのヴォーカルで聴かせるサウンドで、
7〜11分という大曲を叙情的に、ドラマティックに構築してゆく。
音にはいくぶんプログレメタリックな質感もあり、そうしたモダンな感触は
若いリスナーにも対応していて、ハードプログレとして楽しむことができる。
イタリア語による濃密さが前に出ているので、少々耳疲れする部分もあるが、
ゆるやかな叙情パートを上手く配していて、楽曲にメリハリをつけている。
シンフォニック度・・8 ドラマティック度・・8 イタリア度・・8 総合・・7.5
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VIII STRADA「Babylon」
イタリアのプログレバンド、オッターヴァ・ストラーダの2015年作
7年ぶりとなる2作目で、前作はいくぶんメタリックな感触も含んだハードプログレであったが、
本作は泣きのギターにクラシカルなピアノが重なり、イタリア語の歌声を乗せた叙情豊かなサウンドに変化した。
変則リズムを含んだ切り返しは、いくぶんアヴァンギャルドであるが、イタリアらしい美意識を感じさせる空気感に、
ツーバスを使用したドラムやときおりハードエッジなるギターなど、プログレメタル的に楽しめる部分もある。
タイトル曲である10分の大曲も、エキセントリックなセンスを含んだスリリングな展開力に、美しいピアノの旋律が合わさって、
古き良きイタリアンロックの混沌とモダンなシンフォニック性が交差する。新時代のイタリアン・ハードプログレというべき力作だ。
ドラマティック度・・8 プログレ度・・8 イタリア度・・8 総合・・8
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OXHUITZA
イタリアのプログレバンド、オックスヒュイッザの2013年作
オルガンやメロトロン、ムーグといったヴィンテージなシンセとわりとハード寄りのギターが合わさった、
ヘヴィプログレのアンサンブルを、わりと軽快に現代的に構築したというスタイルで、
基本はインストサウンドであるが、やわらかのピアノの音色のしっとりとしたパートから、
キャッチーなノリの良さまであって、なかなか起伏に富んだ聴き心地。
フルートが鳴り響く、妖しい雰囲気はいかにもイタリアのバンドらしいのだが、
やはり歌がない分、濃密さの点では少し物足りないか。インストもが好きな方はどうぞ。
ドラマティック度・・7 プログレ度・・8 イタリア度・・8 総合・・7.5
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Il Paese Dei Balocch
イタリアのプログレバンド、イル・パエーゼ・デイ・バロッキの1972年作/邦題「子供達の国」
「ピノキオ」のおもちゃの国から名をとったバンドで、ハードなギターにオルガンを重ねたイントロから、
唐突なストリングスが切り込んで来て、「コンチェルト・グロッソ」のようなクラシカルな優雅さに包まれる。
寂しげな静寂感と叙情性、たたみかけるヘヴィプログレが同居したダイナミックな展開力で、
インストパートを主体にスリリングなサウンドを描き出すセンスは、本作の最大の魅力だろう。
全体的に派手さはないが、翳りを帯びたミステリアスな空気をゆったりと味わえる逸品です。
ドラマティック度・・8 プログレ度・・8 イタリア度・・8 総合・・8
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PANDORA「Dramma di un Poeta Ubriaco」
イタリアのプログレバンド、パンドラの2008年作
ツインシンセとギターによる厚みのあるハードシンフォニックサウンドで、
オールドテイストなオルガンとムーグの音色がいかにもイタリア的。
ヴォーカルも当然イタリア語で歌いあげ、ハードめのギターが加わると
ムゼオ・ローゼンパッハあたりを思わせるヘヴィプログレの質感になるが、
11分、13分という大曲では、引きの叙情も含めたメリハリのある展開美を聴かせる。
楽曲アレンジにはいくぶんの唐突さもあるが、ドラマティックな作風は魅力的だ。
シンフォニック度・・7 ドラマティック度・・8 イタリア度・・8 総合・・8
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PANDORA「Sempre e ovunque oltre il sogno」
イタリアのプログレバンド、パンドラの2010年作
前作はムゼオ・ローゼンパッハあたりを思わせるなかなかの力作であったが、
本作はのっけから壮麗なオーケストレーションとともにドラマティックに幕を開ける。
古き良きプログレを思わせるシンセワークとともに濃密に聴かせる作風は前作同様だが、
押しの迫力が増したことでサウンドのスケール感が強まっている。たたみかけるドラムに
イタリア語のヴォーカル、混沌とした妖しさを含んだ空気は、どこを切ってもイタリア的だ。
ラストは23分の大曲で、クラシカルな叙情と山あり谷ありの盛り上がりにお腹いっぱい。
シンフォニック度・・8 ドラマティック度・・8 濃密度・・9 総合・・8
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PANDORA 「Alibi Filosofico」
イタリアのプログレバンド、パンドラの2013年作
2008年にデビュー、過去2作も往年のイタリアンプログレの雰囲気を描いた力作であったが、
3作目となる本作も、オルガンやムーグを含むヴィンテージなシンセにハードなギターワークとともに、
イタリアらしい混沌とした濃密さを描くようなサウンドが楽しめる。今作では、男女ヴォーカルの歌声を乗せた
コンセプトストーリー的なドラマ性を強めていて、10分前後の大曲を中心にした力作に仕上がっている。
また、手数の多いドラムの暴れっぷりも際立っていて、楽曲にスリリングな迫力を付加している。
妖しくフルートが鳴り響き、ときにクラシカルな叙情も垣間見せつつ、アッパーにたたみかけるヘヴィプログレの力作!
AYREONのアルイエン・ルカッセン、元VdGGのデヴィッド・ジャクソンらがゲスト参加。
ドラマティック度・・8 プログレ度・・8 濃密イタリアン度・・9 総合・・8.5 
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PANDORA 「TEN YEARS LIKE IN A MAGIC DREAM」
イタリアのプログレバンド、パンドラの2016年作
2008年にデビュー、過去3作も濃密なイタリアンプログレを描く傑作だったが、4作目となる本作は、
バンドの結成から10年を総括するような内容で、ムーグシンセにメロトロンが鳴り響き、
適度にハードなギターも加わった、美麗なシンフォニック性と重厚さを同居させたサウンドを展開。
イタリア語のジェントルな男性ヴォーカルにときに女性ヴォーカルも絡んで、やわらかなピアノに
ゲストによるヴァイオリンやフルート、きらびやかなシンセワークが合わさって、いつも以上に優雅な聴き心地である。
アルバム後半には、Banco、Genesis、Marillion、Yes、EL&Pのカヴァーを収録。女性声のマリリオン、ELPもよいですね。
Bancoのビットリオ・ノチェンツィ、元VdGGのデヴィッド・ジャクソンらがゲスト参加。プログレ愛に満ちた全76分です。
ドラマティック度・・8 プログレ度・・8 イタリア度・・8 総合・・8 
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Panna Fredda 「UNO」
イタリアンロックバンド、パンナ・フレッダの1971年作
これがバンド唯一のアルバムで、洗濯物ジャケも意味不明なセンスだが、
サイケロック的な怪しげな浮遊感をただよわせたサウンドで、オルガンが鳴り響き、
ハードなギターとイタリア語の歌声で聴かせるスタイル。プログレというよりは、ブルージーな要素もあるサイケという、
いわばアートロック時期の作風であるが、部分的には゛レット・ディ・ブロンゾなどにも通じるクラシカルな雰囲気も覗かせるなど、
一筋縄ではいかない面白さがある。ドラマーは後にCAPSICUM REDに、ベースはRUSTICHELLI/BORDINIに参加することになる。
ドラマティック度・・7 プログレ度・・7 イタリア度・・8 総合・・7.5
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Paolo Bianchi 「Nero su Bianco」
イタリアのミュージシャン、パオロ・ビアンキの1996年作
RDMのシンセ奏者Tony Carnevaleが参加した本作は、打ち込みのリズムに、
クラシカルなピアノとシンセで聴かせる優美なインストのシンフォニックロック。
ときにロック的なギターも入ってくるが、楽曲はあくまで優雅で軽やか。
そう言う点では、やはりTony Carnevaleの作品にも通じる質感がある。
クラシックの教育を受けた鍵盤弾きらしい、繊細にして優雅なピアノはさすがである。
クラシカル度・・8 プログレ度・・7 優雅なイタリア度・・8 総合・・7.5
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Paolo Nannetti 「Cronache Dalla Zona Est」
イタリアのミュージシャン、バオロ・ナンネッティの2019年作
SITHONIAのシンセ奏者として活躍したミュージシャンで、本作はアコースティックギターのつまびきから
美しいシンセワークにイタリア語によるマイルドなヴォーカルを乗せて、しっとりとした優美なサウンドを描く。
ときにやわらかなピアノやフルート、ヴァイオリンなども加わった繊細なアレンジに、メロウなギターの旋律で
耳心地よいシンフォニックロックが楽しめる。キャッチーなビート感のナンバーもありつつ、全体的にはシンセをメインに
ゆったりと聴かせる作風で、SITHONIAのようなプログレ的なフックはないが、のんびりと楽しめる好作品です。
ドラマティック度・7 プログレ度・7 優美度・8 総合・7.5
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PAOLO RUSTICHELLI-CARLO BORDINI「OPERA PRIMA」
イタリアのシンフォニックロックユニット、ルスティッキエリ & ボルディーニの1973作
当時16歳の鍵盤奏者ルスティッキエリと、ドラマーのボルディーニによるデュオでのっけから壮大なメロトロン、
アープシンセによる分厚いキーボードサウンドが度肝を抜く。つづいて美しいメロトロンをバックに端正なピアノが美しいスローパートにうっとり。
1曲目はイタリアンロックにおいて最高のメロトロン曲といってもいいだろう。2曲目以降は歌入りで、KEYの歌うダミ声まじりの絶叫が耳につくので、
これでもし専任Voが歌っていたら比類なき名作として語られたであろうに。まあ欠点のVoを差し引いても必聴クラスのアルバムであるには違いない。
とにかく絶品のピアノ&メロトロンは素晴らしいのひと言。リマスターにより、臨場感も増した。
シンフォニック度・・9 メロトロン度・・9 Vo声質・・2 総合・・8.5
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Paolo Siani & Friends
「Castles, Wings, Stories & Dreams」
イタリアンロックバンド、NUOVA IDEAのオリジナルドラマー、パオロ・シアニの2010年作
NUOVA IDEA人脈に加え、LabyrinthやMangala Vallisで活躍する、ロベルト・ティランティ、
さらには元PFMのマウロ・パガーニなど、多数のゲストが参加。オルガンやフルートが鳴り響き、
男女ヴォーカルのイタリア語の歌声とともに、古き良き感触のヘヴィプログレが展開される。
70年代的なおどし感のある大仰さも含めて、あの頃のイタリアンロックを甦らせたような作風だ。
メロディック度・・7 プログレ度・・8 イタリア度・・9 総合・・7.5
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PAOLO SIANI & FT. NUOVA IDEA「Faces With No Traces」
NUOVA IDEAのオリジナルメンバーであり、マルチミュージシャンのパオロ・シアーニの2016年作
この名義では2011年作「CASTLES, WINGS, STORIES & DREAMS」以来となる2作目で、
アコースティックで素朴なイントロ曲から、オルガンが鳴り響く、哀愁ただよう大人のヴォーカルナンバーや
LABYRINTHのロベルト・ティランティが参加した叙情的なヴォーカル曲など、今作は派手さよりもじっくりと聴かせる作風。
元MATIA BAZARのカルロ・マッラーレがギターで参加し、メロトロンに合唱隊も取り入れたキャッチーなシンフォ曲から、
いかにも70年代的な古き良きロック感触の曲、さらには英国70'sの名バンド、Quatermassのカヴァーまで、幅広い楽曲が楽しめる。
いわば、パオロ・シアーニというアーティストの音楽的素養が、アダルトな渋さと繊細さで表現されたという好作品だ。
IL MITO NEW TROLLSのリッキー・ベッローニ、ジョルジオ・ウザイも、それぞれギターとオルガンで1曲ずつ参加している。
ドラマティック度・・7 プログレ度・・7 イタリア度・・7 総合・・7.5
*Black Widowレーベルのサイトはこちら


IL PARADISO DEGLI ORCHI  「Il Corponauta」
イタリアのプログレバンド、パラディソ・デグリ・オルチの2016年作
ファビオ・ズッファンティがプロデュース、メロトロンを含むシンセにハード寄りのギターと
イタリア語のヴォーカルを乗せ、レトロとモダンが同居したスタイリッシュなサウンドを聴かせる。
適度にハードエッジな躍動感あるアンサンブルに、美しいフルートやサックスの音色とともに、
アコースティックな叙情性も織り込んだ、繊細で知的な構築力も覗かせる。
アレンジはデジタル世代のセンスなのだが、暖かみのあるアナログ音色を残した聴き心地で、
古き良き新しさとでもいうような絶妙の路線。まさに現在形のイタリアンプログレというべき好作品だ。
メロディック度・・8 プログレ度・・8 イタリア度・・8 総合・・8
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Il Paradiso Degli Orchi 「Samir」
イタリアのプログレバンド、イル・パラディソ・デグリ・オルチの2020年作
2016年にデビューし、2作目となる。前作はレトロとモダンが同居したスタイリッシュな作風であったが、
本作は、のっけからフルートが鳴り響き、ヴィンテージな妖しさに包まれる。叙情的なギターに
メロトロンも鳴り響き、緩急あるインストパートから、イタリア語のヴォーカルを乗せて、
混沌とした味わいのプログレサウンドを展開する。中盤には、10分の大曲が2曲続き、
シアトリカルな歌声とともに怪しさっぷりの雰囲気で、吹き鳴らされるフルートも効果的。
往年のヘヴィプログレの空気をかもしだしつつ、カッチリしすぎないユルさもあるのが面白い。
ドラマティック度・8 プログレ度・8 イタリア度・8 総合・8 
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PASSOVER 「Sacrifice」
イタリアのプログレバンド、パソヴァーの2010年作
イタリアとボストン出身のユダヤ系メンバーによるバンドで、聖書をテーマにした作品。
やわらかなピアノを含む美しいシンセワークに、ユダヤ民謡を取り入れた土着的なメロディと
どこかシアトリカルでもある女性ヴォーカルの歌声とともに、ときにエキセントリックな展開も見せる
なかなか個性的なシンフォニックロック。異国的な雰囲気とともにいくぶんの野暮ったさも、
むしろ辺境的な魅力になっている。哀愁を含んだ叙情性とドラマ性を感じさせる好作品です。
ドラマティック度・・8 プログレ度・・8 異国情緒度・・8 総合・・7.5



Patrizio Fariselli 「100 Ghosts」
イタリアのミュージシャン、パトリツィオ・ファリセッリの2018年作
AREAのシンセ奏者でもあるミュージシャンで、本作は再編AREAのメンバーを含む、AREA OPEN PROJECTとして制作、
日本の民間伝承「百鬼夜行」をテーマに、ピアノを含むシンセに、シーケンサー的なデジタルでインダストリアルなアレンジを重ねた、
アヴァンギャルドなサウンドを展開。ヴォーカルを加えたナンバーでは、エスノ風の優雅で牧歌的な味わいも覗かせる。
民族音楽とジャズ要素の融合という点では、AREAに通じる世界観でもあり、トライバルなエレクトロサウンドでもある。
クラシカルなピアノに女性声を乗せた妖しいナンバーは、OPUS AVANTRAに通じる雰囲気もあったりして、なかなか面白い。
エスノジャズ度・8 ロック度・3 優雅でアヴァンギャル度・8 総合・7.5
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PERIFERIA DEL MONDO 「In Ogni Luogo, in Ogni Tempo」
イタリアのプログレバンド、ペリフェリア・デル・モンドの2000年作
ムーグシンセにオルガンが鳴り響く往年のプログレ風味に、サックスの音色が加わった軽妙な出だしから、
フルートの音色に女性スキャットも入った、妖しげな叙情性に包まれたゆったりしたパートへと展開、
BANCOのフランチェスコ・ジャコモに、ロドルフォ・マルテーゼが参加して、伸びやかな歌声とメロウなギターを響かせる。
2曲目以降は、肩の力の抜けたやわらかな叙情を描くナンバーや、アダルトなジャズロック調、
サイケ風の浮遊感なども垣間見せ、10分超えるナンバーもわりとゆったりとした聴き心地で楽しめる。
ドラマティック度・・7 プログレ度・・8 イタリア度・・9 総合・・7.5
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PERIFERIA DEL MONDO「Un Milione Di Voci
イタリアのプログレバンド、ペリフェリア・デル・モンドの2002年作
シンセにヴァイオリンを含む6人編成で、本作は2作目となる。サウンドは前作からの流れで、
70年代的なムーグシンセの音色にサックスが鳴る、ジャズロック的な軽やかさを含んだプログレで、
古き良きオルガンの音色にギターが重なり、イタリア語のヴォーカルが入るとなかなか濃密な作風にある。
艶やかなヴァイオリンやフルートなどの叙情性もあって、RANDONEあたりと同様に、
オールドスタイルのバンドの中では、わりと質の高いイタリアンプログレ作品と言えるだろう。
シンフォニック度・・7 濃密度・・8 イタリア度・・10 総合・・7.5
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PERIFERIA DEL MONDO
イタリアのプログレバンド、ペリフェリア・デル・モンドの2006年作
アルバムとしては3作目。サウンドは、これぞコテコテのイタリアンプログレというもので、
鳴り響くフルートに泣きのギター、そこにサックスも入り、ジャズロック的なアンサンブルも聴かせながら、
少し粗野なイタリア語のヴォーカルが濃厚に歌い上げる。押しのパートの迫力から一転、
ゆるやかな叙情パートが唐突にやってきて、そこも含めていかにもイタリア的な構成である。
雰囲気は嫌いではないし、非常にプログレファン受けするサウンドではあるが、
楽曲の細かなアレンジなどにもう少し気を配ってもらえると、さらに素晴らしくなると思う。
ドラマティック度・・8 コテコテ度・・8 イタリア度・・9 総合・・7.5
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Periferia Del Mondo 「Nel Regno Dei Ciechi」
イタリアのプログレバンド、ペリフェリア・デル・モンドの2013年作
前作から7年ぶりとなる4作目で、コテコテのイタリアンプログレという前作の雰囲気よりも、
ぐっと肩の力の抜けた大人の雰囲気になっていて、オルガンなどを含むシンセアレンジに
サックスが鳴り響き、イタリア語によるヴォーカルとともに、キャッチーなサウンドが広がる。
ヘヴィなギターには古き良き70年代英国ハードロック風の感触もありつつ、ときにイタリアらしい
混沌とした濃密さも覗かせる。12分の大曲も含めて、アダルトな味わいの伊ハードプログレ好作だ。
ドラマティック度・・7 プログレ度・・7 イタリア度・・8 総合・・7.5
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Periplo 「Diario Di Un Malessere Passeggero」
イタリアのシンフォニックロック、ペリプロの2015年作
LA COSCIENZA DI ZENO、FINISTERRE、HOSTSONATENなどで活躍する、シンセ奏者、ルカ・スケラーニと
シンガーのファウスト・シドリによるプロジェクト。優美なピアノの旋律にイタリア語のマイルドなヴォーカルを乗せ、
ヴァイオリンやチェロ、フルートを加えた優雅でクラシカルなサウンド。ギターなどは入らないものの、
ドラムを加えてのロック感触とともに、艶かなストリングスにピアノを重ねたシンフォニックな味わいに、
ほどよくキャッチーなナンバーなど、格調高すぎないところも良い。ラストのKANSASのカヴァーも美しい。
魅力的な甘い歌声とともに、優雅でシンフォニックな室内楽というサウンドが楽しめる逸品です。
クラシカル度・・9 ロック度・・5 優雅度・・10 総合・・8
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PFM「Storia di un Minuto」
イタリアのプログレバンド、PFMことプレミアータ・フォルネリア・マルコーニの1972年作
PFMの記念すべきデビュー作であり、のちの作品のように洗練されきれていない素朴さが魅力。
イントロに続く2曲めの“9月の情景”は、後に“甦る世界”としてリメイクされる名曲で、
イタリア語の叙情美とシンセによる印象的なメロディがじつに耳心地良い。
3曲めの“E' Festa”は、“Celebration”として「Photos of Ghosts」に収録される彼らの代表曲。
間奏部のフルートを含めて、より祝祭の情景が感じられるこちらのイタリア語版が好み。
クラシカルな美しさの“Dove...Quando...”イタリアらしい混沌とした雰囲気の“ハンスの馬車”、
どれもがイタリアからしか出て来ないプログレサウンドという点で、非常に個性的なアルバムです。
叙情度・・9 プログレ度・・8 イタリア度・・10 総合・・8.5
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PFM「Per Un Amico」
イタリアのプログレバンド、PFMことプレミアータ・フォルネリア・マルコーニの1972年作
「友よ」のタイトルで知られるPFMの2作目にして初期の最高傑作。ともかく1曲め“Appena Un Po'”の美しさ。
のちに“River of Life”としてリメイクされるのだが、原曲のこちらの方がイタリア語の情感とともに、
はるかに叙情的に迫ってくる。繊細なフルートの音色、艶やかなヴァイオリン、アコースティカルでありつつ
ダイナミックな広がりも備えたPFM最高の名曲のひとつだ。テクニカルなリズムの上にピアノとヴァイオリンが鳴る
“生誕”は“MR. 9 `TIL 5”として「Photos of Ghosts」にてリメイクされる佳曲。間奏部のフルートが楽しい。
しっとりと叙情的な“友よ”、牧歌的でありながら展開に富んだ“晩餐会”、ラストの“ゼラニウム”まで全5曲35分弱であるが、
クラシカルな楽曲の美しさ、卓越した演奏力、どこをとっても質が高く、まさしく「甦る世界」と並ぶ彼らの代表作である。
叙情度・・10 プログレ度・・8 イタリア度・・10 総合・・9◆プログレ名作選入り
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PFM「Photos of Ghosts」
PFMことプレミアータ・フォルネリア・マルコーニの1973年作
イタリアンロックを代表するバンドであり、日本人にも最も人気のプログレバンドのひとつ、
これはその3作目であり、英語による世界デビュー盤。個人的にも一番最初に耳にしたイタリアの作品で、
美しい点描のジャケと、「幻の映像」という日本タイトルにはひどく胸をときめかせたものだ。
今回は2010年の最新リマスターによる再発で、ボーナストラックも多数収録したまさに必携盤。
まずはなんといっても、1曲目の“River of Life”が素晴らしい。やわらかなフルートとシンセが合わさり
ゆるやかに盛り上がってゆくこの美しさは筆舌に尽くしがたい。続く2曲目の“Celebration”のコミカルなキャッチーさ、
たおやかなピアノで始まる“Old Rain”の優しい情緒、マウロ・パガーニのヴァイオリンにアコースティカルな素朴さと
クラシカルな感触で聴かせる大曲“Il Banchetto”、テクニカルな演奏が見事な“Mr.9'til5”など、
あらためて鑑賞しても、リマスターによる音質向上もあって、どの曲もじつに味わい深く楽しめる。
ボーナストラックには“River of Life”の初期ミックスなど6曲を追加収録。
叙情度・・9 プログレ度・・9 イタリア度・・9 総合・・9◆プログレ名作選入り
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PFM「L'ISOLA DI NIENTE」
プレミアータ・フォルネリア・マルコーニ、通称PFMの4th、邦題「甦る世界」のイタリア語盤。1974作
PFMの初期5作+ライブアルバムはプログレを聴く人間としては外せないアルバムだと思うので、
未聴の方はぜひリマスター盤が出たことを機に買うのがよいでしょう。
最初の混声コーラスパートからして臨場感が違うしドラムの音も低音がしっかりしていてとても力強い。
そして本作はPFMのアルバムの中でも最も大曲に力を入れた作品でもあり、
男女コーラス隊の入った一曲目の荘厳さにはやはり圧倒される。
名曲中の名曲“LA LUNA NUOVA”のイントロのヴァイオリンは何度聴いてもワクワクする。
キャッチーかつテクニカルで叙情的、と私にとってプログレ名曲10選に入る一曲なのだ。
メロディアス度・・8 プログレ度・・9 イタリア度・・9 総合・・9◆プログレ名作選入り
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PFM「The World Became The World」
プレミアータ・フォルネリア・マルコーニの1974年作
「甦る世界」のタイトルで知られる本作は、まさにPFM絶頂期の傑作だ。
まぎらわしいが緑色のジャケがイタリア語盤で、この青ジャケは英語盤である。
PFMの作品では自分は基本的にイタリア語のものが好きなのだが、本作に関してはこの英語版もお気に入り。
壮大な混声コーラスで幕を開ける“The Mountain”のダイナミズムにまず感動。リマスターによる音も素晴らしく、
ドラマティックに展開する楽曲にぐいぐいと惹きつけられる。イタリア語盤未収録のタイトル曲は美しいメロディに泣きまくり、
そして、本作ハイライト“Four Holes in the Ground”は、躍動する5拍子のリズムとメロディが合わさった名曲中の名曲
イタリアらしさはやや薄れたが、素晴らしい演奏テクニックとダイナミズム、そして叙情が同居した、まさに歴史的な名盤である。
ボーナストラックには“ハンスの馬車”のシングルバージョンなど3曲を追加収録。
ドラマティック度・・9 プログレ度・・9 イタリア度・・8 総合・・9
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PFM「CHOCOLATE KINGS」
プレミアータ・フォルネリア・マルコーニの1975年作
「甦る世界」までの初期の4枚に比べ、本作は人気がいまひとつであるようだが内容的にはまったく劣らない。
そればかりか、彼らの作品中で最もテクニカルな一枚といってもいいだろう。
かつてのUK盤ジャケが太ったマリリン・モンローであったように、巨大化するアメリカを揶揄した作品で、
1曲目の“FROM UNDER”から、その見事な演奏に引き込まれる。ダイナミックなアンサンブルに
マウロ・パガーニのたおやかなフルートとヴァイオリンが加わって、これまで以上に音の厚みと
静と動のメリハリがついたサウンドは、バンドとしてのひとつの頂点というべき輝きに満ちている。
もちろん、テクニックだけでなく、メロディにはしっかりイタリアの情緒と地中海的な優しさが残っていて、
その歌ごころを忘れない楽曲作りには、改めて敬服するばかりである。リマスターによる音質向上も嬉しい。
テクニカルさとメロディアスさと、アコースティックなやわらかみのバランスがとれた傑作アルバムだ。
2010年再発盤ボーナスDiscには1976年イギリス、ノッティンガムでのライブ音源を7曲収録。当然ながら素晴らしい演奏に悶絶。
メロディアス度・・8 プログレ度・・9 イタリア度・・7 総合・・9
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PFM「COOK」
イタリアンプログレの大御所、PFMのライブアルバム。1975年作
1974年のアメリカライブの模様を録音した1枚ものであったのが、今回はなんと同年のセントラルパークの音源を収録した
CD2枚を加えての3枚組となってのリリース。1曲目の“Four Holes in the Ground”からもう彼らの超絶な演奏が炸裂、
美しいシンセとフルート、ヴァイオリンの叙情、そして緻密なテクニックが融合したサウンドにあらためて感嘆する。
Disc1のハイライトとなるのは“Celebration”から“Mr.Nine till Five”で、アルバム盤以上の怒濤の演奏に口あんぐり。
今回発出のDisc2、3も音質はなかなか良好で、名曲“River of Life”をはじめ、往年のPFMのライブ演奏が楽しめる。
メロディアス度・・8 イタリアの叙情度・・9 ライブ演奏・・9 総合・・8.5
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PFM「LIVE IN LINDON 1976」
イタリアの大御所プログレバンド、PFMのライブブートCD。
1976年の「Chocolate Kings」ツアーからイギリス、ロンドンでの録音。
PFMのブートも数多くあるが、これは中でも音質、演奏ともに抜群の部類で、
マウロ・パガーニ在籍時の彼らの全盛期の演奏が楽しめる。“Four Holes In The Ground”から始まり、
“Dove...Quando...”“Alta Loma Nine Till Five”“La Carrozza Di Hans”まで、
即興を交えた勢いあるライブ演奏は、あの「Cook」にも勝るとも劣らない。
若干のノイズはあるが、おそらくライン録音なので、その辺のブートよりは音質も良い。
プログレ度・・9 ライブ演奏・・9 音質・・7 総合・・8

PFM「JET LAG」
PFMの6thアルバム。1977年作
マウロ・パガーニ脱退後のアルバムということもあり、失われたプログレ性からも
以前は好きになれなかったアルバムであるが、リマスターを機に改めて聴いてみると、これが案外楽しめる。
全盛期のたたみかけるような濃密な演奏はないが、イタリアンロックとしての叙情性はまだなお健在。
キーボード、ヴァイオリンがゆるやかに旋律を奏で、アンサンブル的にも安定したテクニックを聴かせる、
優雅な大人の作風にはなかなか味わい深いものがある。玄人向けの好作品といえるだろう。
叙情度・・8 プログレ度・・7 アンサンブル度・・8 総合・・8
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PFM 「Passpartu」
イタリアのプログレバンド、ブレミアータ・フォルネリア・マルコーニの1978年作
7作目となる本作は、ジャケの感じからしてこれまでとは異質だが、バンドとしての原点というべき、
地中海音楽へ回帰した作品となっている。アコースティックギターの重なりに、やわらかなピアノ、
イタリア語のヴォーカルを乗せた、牧歌的な聴き心地。楽曲は4〜5分前後とシンプルであるが、
優しい叙情性に包まれた、PFMらしい優雅なアンサンブルは健在。ほどよくロック色も残っているので、
前作からの流れで案外すんなりと楽しめるはず。うっすらとしたシンセにサックスを乗せた大人の哀愁を描くナンバーや
ややポップ寄りのナンバーもありつつ、高い演奏力で耳心地の良いサウンドを描くのはさすが。再評価すべき好作品です。
叙情度・・8 プログレ度・・7 イタリア度・・9 総合・・8
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PFM「Suonare Suonare」
イタリアンロックの大御所Premiata Forneria Marconiの1980年作
「Jetlag」以降の中期のアルバムは地味な印象が強いのだが、本作もジャケの感じそのままに、
のっけから力の抜けた牧歌的な雰囲気で、初期からのファンはやや面食らうだろうが、
プレモリのたおやかなシンセワークや、味のあるムッシーダのギターはやはり彼らならでは。
まとまった演奏の中でも、ヴォーカルもとるようになったディ・チョチョの色が前に出てきていて、
全体的には歌もの感が増しているが、大人のプログレファンにはこれくらいのゆるさもたまにはよい。
メロディアス度・・8 プログレ度・・6 イタリア度・・8 総合・・7.5
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PFM 「Miss Baker」
ブレミアータ・フォルネリア・マルコーニの1987年作
ポップ化が進んだ時期の作品で、のっけからブラスセクションを取り入れたファンキーなナンバーで幕を開ける。
厚みのあるきらびやかな音作りはいかにも80年代的であるが、フランツ・ディ・チョッチョのイタリア語のヴォーカルには
枯れた味わいの大人の哀愁も漂わせる。ゲストによるヴァイオリンが加わると、かつてのプログレらしさもいくぶん匂わせる。
以前は好きになれなかったアルバムであるが、改めて聴くと、ポップなだけではないイタリアンロックとしての魅力も残した好作品だ。
メロディアス度・・8 プログレ度・・6 イタリア度・・8 総合・・7.5
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PFM「ULISSE」
プリミアータ・ファルネリア・マルコーニの1997年作
本作を発表後、つきものが落ちたかのように過去の名曲を多く取り入れたライブを行い、
2002年には来日も果たしてファンを狂喜させた。したがって、本作はその契機となった復活作というべきか。
音の方はさすがにプログレというよりは、良質なメロディックロックなのであるが
豊穣なメロディに溢れるサウンドは、年季を経て輝きを取り戻したような感がある。
とくにプレモリのキーボードワークが素晴らしく、繊細なピアノから、美しいシンセ、ハモンドまで
かつてのPFMを思わせる瑞々しい演奏を随所に見せてくれている。
メロディアス度・・8 プログレ度・・6 豊穣度・・8 総合・・8
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PFM「10ANNI LIVE 71/81」
イタリアンプログレの伝説。PFMのライブ。1971〜1981年までのライブ演奏の記録をCD4枚に収録。
言うまでもなく演奏は超絶技巧。一糸乱れぬアンサンブルで、なおかつ叙情的という。
アルバムではどちらかというと整然として格調高いまとまった音作りの彼らですが、
ライブとなると、さすがイタリアの血。血湧き肉踊る切れまくり怒涛の演奏を繰り広げております。
曲の素晴らしさももちろんですが、演奏力だけで聴いていて唖然となりますな。
特に74年までは、楽曲と演奏の切れがピークに達した神がかり的な音樂が創造されています。
2014年には、「Live History 1971-1981」としてリマスター再発されている。
メロディアス度・・9 プログレ度・・10 演奏力・・10 総合・・9.5
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PFM「www.pfmpfm.it」
イタリアの大御所、PFMの1998年のライブアルバム。CD2枚組。
90年代になって復活を遂げたこのバンド、往年のクラシカルで情熱的なテクニカルプログレは
このライブアルバムでも健在。70年代の名曲をまじえ、なかなかに素晴らしい演奏をやっている。
最近曲はアレンジもシンプルで、「大人のロック」的なノリだが、その演奏テクニックはやはり見事。
マウロ・パガーニが不参加なのが残念だが、ゲストによるヴァイオリン、フルートなどで音はブ厚い。
そしてPFM最高の名曲のひとつ「FOUR HOLES IN THE GROUND」では往年の熱さがよみがえる。
メロディアス度・・8 プログレ度・・6 演奏・・9 総合・・8
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PFM:serendipity
イタリアンロックの大御所バンド、PFMの2000作
今作は一聴してモダンなアレンジが耳につき、曲はすべて3分〜5分というコンパクトなもので、
歌メロのポップさには、もはやプログレのプの字も感じられない。もちろん演奏力は抜群なので、
どんな曲をやってもそれなりにサマになってしまうのだが、プログレバンドとしてのPFMを求める方には
許せないかもしれない。ただ、モダンでキャッチーな中にも、美しいストリングアレンジや、
イタリアらしいアコースティカルな叙情も聴かれ、質の高いイタリアンポップと思えばさすがの出来。
メロディアス度・・8 プログレ度・・5 イタリア度・・7 総合・・7.5
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PFM「LIVE IN JAPAN 2002」
PFM(プレミアータ・フォルネリア・マルコーニ)の2002年の来日時のライブアルバム。CD2枚組。
90年代に復活して以来、前回は「www.pfmpfm.it」という同じく2枚組のライブアルバムを出した彼らだが、
今回は日本用のセットリストということで、嬉しいことに半分以上が1stから4枚目までの曲になっている。
のっけから“ハンスの馬車“で始まり、“人生は川のようなもの”、“幻の映像”とたたみかけてくる(涙)。
さらに“PROMENADE THE PUZZLE”、“DOVE...QUANDO”、“晩餐会の三人の客”という往年の曲が続き、
CD2では“MR.9 TIL5”、“9月の情景”、“CELEBRATION”そしてラストの“FOUR HOLES IN THE GROUND”と、
かつての名曲をたっぷり。演奏もより70年代のアルバムアレンジに近く、それを現代の機材で甦らせたというサウンドで、
メンバーはみないいおっさんのはずに、テクニックはそのままなのがある意味凄い。
ムッシーダのギター、ディ・チョチョのドラム&ヴォーカルはもちろん、プレモリのピアノ、ヴァイオリンもじつに美しい。
聴いていて、「こんなことなら、ライブに行くのだった・・」などとつい思ったりしてしまう(笑)。
70年代PFMファンはもちろんのこと、これから彼らを知る若い方々の入門用にもうってつけ。買うべし。
メロディアス度・・9 プログレ度・・8 70'sPFM度・・9 総合・・9
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PFM+PAGANI「PIAZZA DEL CAMPO」
なんと、マウロ・パガーニ参加のPFMのライブ音源だ!2005作
「一番好きなプログレは?」と訊かれたら、少し考えてから私は「あの頃のGENESIS…かあの頃のPFM」と答えるだろう。
そんな「あの頃のPFM」が甦った!ついに久々に実現した夢の共演である。パガーニのフルートが鳴った瞬間、それは戻ってきた。
“RIVER OF LIFE”〜“PHOTO OF GHOSTS”〜“ハンスの馬車”と、絶頂期の彼らの名曲がまさに完全再現されてゆく。
メンバーたちの演奏力は時代をへてもまったく衰えておらず、良質の機材のおかげもありムッシーダのギターの音色も、
プレモリのキーボードもとても素晴らしい。相変わらずダイナミックなデイチョチョのドラムも歳を感じさせないほどだし、
そして何より時代を超えて響く、パガーニの優雅なヴァイオリンの響きにうっとりだ。
名曲中の名曲“LA LUNA NUOVA”ではストリングス隊も現れ、感動的なサウンドに華を添える。
ラストは大観衆を煽っての“CELEBRATION”(E' FESTA)で幕を閉じる。往年のPFMファンにとっては必携のライブアルバム。
メロディアス度・・9 ライブ演奏・・9 あの頃のPFM度・・10 総合・・9
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PFM「DRACULA OPERA ROCK」
イタリアの大御所、PFMの2005作
タイトル通りロックオペラ「ドラキュラ」のサントラという形の作品だが、全編PFMによる演奏で、プログレッシブ・オペラともいうべき内容。
オーケストラや合唱入りで、いつになく壮大な作りだが、そんな中にもメロディアスさとたおやかな叙情は健在で
ムッシーダのギターはややハードめな音色でメロウなフレーズを奏で、そこに乗るイタリア語の歌唱も
オペラティックでドラマティックだ。全体的にロック度が高めで、往年のPFMサウンドからすると別物だが、
内容としては密度も濃く、クラシカルなロックオペラアルバムとして楽しめる。
メロディアス度・・8 ドラマティック度・・8 プログレ度・・7 総合・・8
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PFM「Stati Di Immaginazione」
イタリアンプログレの大御所、Premiata Forneria Marconiの2007作
今作はオールインストで、DVD付きの2枚組仕様という力作。映像と一緒に聴くことで初めて完成されるという、
サントラに近い方法論で作られているが、音楽だけを聴いても充分にダイナミックなプログレが楽しめる。
プレモリの脱退により事実上、ディ・チョチョとムッシーダの双頭バンドとなった感があるが、
美しいヴァイオリンやシンセもふんだんに使われ、ときにシンフォニックに、ときにアコースティカル
そしてジャジーに紡がれる演奏はじつに流麗で、まさにベテランバンドならではの貫祿がある。
年齢を感じさせないムッシーダのギターワークも素晴らしく、バンドのサウンドに緩急をつけているし、
プログレ的なシンセワークの一方では、たおやかでクラシカルなピアノもしっとりと美しい。
むしろ歌がない分、彼らの素晴らしい演奏を最後まで楽しめる、あるいはお得な一枚とも言える。
映像の方は、環境ドキュメンタリー風のものや、レトロな無声映画風、ダヴィンチやアルキメデスなど、
偉人をテーマにしたもの、CGを使った映画風のものまで多岐にわたり、それぞれに興味深く、
楽曲のテーマが視覚的にダイレクトに伝わってきて、音楽の楽しさが2倍、3倍にも増すのが不思議だ。
メロディアス度・・8 叙情度・・8 映像度・・10 総合・・8.5
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PFM「River of Life: Manticore Years Anthology 1973-1977」
マンティコアレーベル時代の曲を集めた、PFMの2枚組アンソロジーアルバム。2010年作
1973年〜77年というバンドの絶頂期である音源をCD2枚に20曲を収録したお得なベスト盤。
定番の名曲“River of Life”は、いつ聴いてもうっとりだし、“The Mountain”、“The World Became the World”など、
「甦る世界」からの曲の完成度は本当に素晴らしい。名曲“Four Holes in the Ground”のライブ音源に悶絶し、すでにもう
お腹いっぱいであるが、ようやくDisc1終了。Disc2はいきなり“Is My Face On Straight”の16分におよぶライブ音源で
このバンドの即興的な演奏力のすごさ、その一端が味わえる。「Chocolate King」からの名曲“From Under”や、
“Dove Quando”、“Celebration”などのライブ音源もいい感じだ。初心者のためのPFM入門用にも最適であるが、
本作でしか聴けない未発音源や貴重なライブテイクも多数収録しており、コアなファンでも買わざるを得ない。
メロディアス度・・8 濃密度・・9 これぞPFM度・・10 総合・・8.5
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PFM 「A.D.2010-La Buona Novella 」
イタリアのプログレバンド、ブレミエータ・フォルネリア・マルコーニの2010年作
デビュー40周年となるアルバムで、本作はFABRIZIO DE ANDREの70年作「LA BUONA NOVELLA」
からの楽曲をカヴァーした内容となっている。イタリア語で歌われる叙情的なヴォーカル曲を中心に
ゆるやかなヴァイオリンやアコースティックギターなどによる、大人の味わいのサウンドである。
プログレ要素は薄いのだが、耳心地のよい素朴な味わいと、高い演奏力でじっくりと楽しめる作品だ。
メロディアス度・・8 プログレ度・・7 イタリア度・・9 総合・・8
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PFM 「Celebration」
イタリアのプログレバンド、PFMの1st、2ndにライブ音源を加えた3枚組ボックス。2012年作
1st「STORIA DI UN MINUTO」1972年、2nd「PER UN AMICO」1972年作は新規リマスターで、
その素晴らしさはいまさら言うに及ばないが、イタリア語の情感にあふれる“9月の情景”、キャッチーな“E' Festa”、
クラシカルな“Dove...Quando...”と、1stにしてすでに完成された音楽性はあらためて聴いても素晴らしい。
2ndの方は、リマスターの音質向上がはっきりと分かり、バンドの最高傑作というべきサウンドに酔いしれる。
Disc3には、1985年〜2010年までのライブ音源を収録。おそらく初出のレア音源で、
Jethro Tullのイアン・アンダーソンがフルートで参加した2010年の音源などを含め、
躍動感あふれる演奏で名曲たちが楽しめる。豪華ブックレットも入ったトールサイズのデジブック仕様。
叙情度・・9 プログレ度・・8 イタリア度・・9 総合・・9

PFM 「IN CLASSIC: A MOZART A CELEBRATION」
イタリアのプログレバンド、PFMの2013年作
「モーツアルトからの祭典」と題されたオーケストラとの共演作で、Disc1は、そのモーツアルトをはじめ、
サン・サーンス、ドヴォルザーク、マーラー、プロコフィエフ、ヴェルディなど、クラシックの楽曲を再現、
優雅なオーケストラにバンドサウンドが合わさった、これぞクラシカルロックという聴き心地が楽しめる。
Disc2ではバンドの代表曲をオケ入りでアレンジ、繊細なダイナミズムとともに、“La Luna Nuova”をはじめ、
“Dove...Quando”、“Impressioni Di Settembre”など、プログレとしてのかれらの名曲が優美に甦る。
軽妙な演奏とメロディアスなフック、イタリア語の歌声も入った叙情にあふれた豊穣なサウンドにうっとりである。
AREAの故デメトリオ・ストラトスに捧げた曲や、“Celebration”を盛り込んだクラシックアレンジの組曲も素晴らしい。
ボーナストラックには“ウィリアムテル序曲”のライブ音源を収録。オーケストラとバンドとの見事なコラボ作品だ。
クラシカル度・・9 プログレ度・・7 優雅度・・9 総合・・8.5
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PFM 「Paper Charms」
イタリアのプログレバンド、プレミアータ・フォルネリア・マルコーニのライブ音源集。2014年作
1974〜1976年のBBC放送用のライブ音源にテレビ出演時のライブ映像を収めた2CD+DVD。
Disc1には1975年の音源を収録。音質もまず良好で、“Cerebration”、“Four Holes in the Ground”、
“Dove...Quando”、“Mr.Nine 'til Five”、“La Carrozza Di Hans”といった名曲が往年のバンドの見事な演奏で楽しめる。
Disc2には1976年の音源を収録。“Paper Charms”、“Chocolate Kings”を含め、まさにバンドとしての絶頂期というべき
見事なアンサンブルでスタジオ盤以上のダイナミックな聴き心地。DVDには発出となる1974〜76年のライブ映像4曲を収録。
時間は短いが、全盛期のバンドの姿を視覚的に確かめられる、じつに貴重な映像である。
以前出ていた4枚組の「10 Anni Live 1971-81」とともにファンは必携のライブ作品であろう。
ライブ演奏・・9 音質・・8 DVD映像・・9 総合・・8.5
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PFM 「Live Collection - 25 November 1980」
イタリアのプログレバンド、プレミアータ・フォルネリア・マルコーニのライブ作品。2015年作
「SUONARE SUONARE」リリース後、1980年にテレビ放送用に収録されたスタジオライヴ音源のCDと、同DVDの2枚組。
ポップロックへの過渡期とされる時期なので、プログレファンからはさほど評価されない時代の音源ではあるが、
新加入のルキオ・ファブリのシンセ&ヴァイオリンにツインドラムの編成で、“LA LUNA NUOVA”や“IL BANCHETTO”、
“CELEBRATION”といった初期のナンバーも演奏。往年のような圧倒的な鋭さはないが、ドラムにヴォーカルに、
大忙しのフランツ・ディ・チョチョのはっちゃけっぷりもなかなか楽しく、テクニックのあるイタリアンロックという趣で、
キャッチーなポップさをたたえた、おおらかな空気感で楽しめる。音質はややもったりとしているがまずまず良好。
全7曲53分と、ライブとしてはやや物足りない長さであるが、ブートレグでしか見られなかった貴重な映像が
正規にDVDされたというだけでも、ファンには一見の価値ありだろう。80年代のイタリアの時代性がよく伝わってくる。
ライブ演奏・・8 ライブ映像・・8 貴重度・・9 総合・・8 
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PFM 「Il Suono del Tempo」
イタリアのプログレバンド、プレミアータ・フォルネリア・マルコーニのライブ作品。2015年作
2014年に行われた、2日間のジャパンツアーを完全収録したCD5枚組ボックスで、イタリア語アルバム「幻想物語/Un Minuto 」、
友よ/Un Amico」、「甦る世界/Un' isola」、英語アルバム「幻の映像/A Ghost」、「甦る世界/The World」を完全再現。
往年のメンバーである、フランコ・ムッシーダ、フランツ・ディ・チョチョ、パトリック・ジヴァスの3人を中心に、
若手のシンセ奏者と、キャリアのあるヴァイオリニスト、ルチオ・ファブリを加えた編成で、かつての名曲を再現してゆく。
たたみかけるような演奏の迫力はないものの、大人の味わいを増した、マイルドなアンサンブルは耳心地が良い。
個人的にはやはり2nd「友よ」、3rd「幻の映像」の完全再現が嬉しい。名曲“人生は川のようなもの”の叙情美は
いつ聴いてもうっとりです。会場の音響のせいか、英語版の作品の方がより音が繊細でダイナミックな感じがする。
なんにしても、往年の4作品が40年後に完全再現でライブ演奏が聴けるという、この奇跡的な内容に涙すべし。
輸入盤では、「Un Minuto」、「Un Amico」、「Un' isola」「A Ghost」「The World」それぞれを単体で購入可能。
ライブ演奏・・8 名作再現度・・9 大人のPFM度・・9 総合・・8.5
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PFM [Emotional Tattoos」
イタリアのプログレバンド、ブレミアータ・フォルネリア・マルコーニの2017年作
FABRIZIO DE ANDREのカヴァーやオーケストラとの共演作を挟み、オリジナルアルバムとしては2007年以来となる作品で、
フランコ・ムッシーダが抜けて、フランツ・ディ・チョッチョ、パトリック・ジヴァスを中心に若手メンバーを含む7人編成となった。
やわらかなシンセにメロウなギター、ディ・チョッチョの枯れた味わいのヴォーカルを乗せた、ゆったりと叙情的なサウンドで
しっかりとプログレ的な味わいも残した聴き心地。ヴァイオリンやオーケストラルなアレンジを加えた優美なシンフォニック性と
大人の哀愁を感じさせるベテランらしいテイストがバランスよく合わさり、すんなりと自然な耳心地で楽しめる。
存在感のあるジヴァスのベースや、随所にメロディックなフレーズを奏でるギターなど、演奏面でのレベルの高さもさすがで、
かつての“Calebration”を思わせる軽快なナンバーにもニヤリ。ムッシーダ不在を感じさせない好作品だ。
英語とイタリア語それぞれを収録した2枚組仕様で、やはりイタリア語による響きが似合いますね。
メロディック度・・8 プログレ度・・7 優雅度・・9 総合・・8 
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PFM 「CELEBRATION - LIVE IN NOTTINGHAM 1976」
イタリアのプログレバンド、ブレミアータ・フォルネリア・マルコーニのライブ音源。2019年作
1976年のイギリス、ノッティンガムでの音源で、「CHOCOLATE KINGS」2010年再発盤のDisc2に収録されていたものを
2CDに全10曲収録した完全版。当時のMCから始まる臨場感とともに、技巧的なアンサンブルにヴァイオリンも乗せた、
優雅な叙情が一体となった見事な演奏が楽しめる。「甦る世界」収録の名曲「Four Holes In The Ground」や
アコースティックギターによる優雅なソロも聴かせつつ、マウロ・パガーニのフルートとヴァイオリンが鳴り響く、
「Mr.9 'Till 5」、「Celebration」といったノリのよい代表曲も、バンドの全盛期らしい勢いある演奏が素晴らしい。
ドラムソロを含めて14分に拡大された「ハンスの馬車」、ラストの「ウイリアムテル序曲」まで、躍動感あふれるライブが味わえる。
ライブ演奏・9 プグレ度・8 音質・8 総合・8 
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PFM 「I DREAMED OF ELECTRIC SHEEP」
イタリアのプログレバンド、プレミアータ・フォルネリア・マルコーニの2021年作
1972年デビュー、名実ともにイタリアンプログレを代表するバンドで、本作は映画「ブレードランナー」の原作として知られるSF小説
「アンドロイドは電気羊の夢を見るか?」にインスパイアされたという作品。いつになくモダンなビート感にオーケストラルなアレンジ、
オルガンやピアノなどのシンセにわりとハードなギターを重ね、いくぶんProgMetal的なテクニカル性も覗かせつつ、
フランツ・ディ・チョチョの枯れた味わいのヴォーカルが加わると、一転して大人の叙情に包まれる。軽やかなアンサンブルと
PFMらしいキャッチーなメロディアス性も随処に現れ、近未来的なコンセプト性で、ドラマティックなサウンドを描いてゆく。
英語版、イタリア語版の2枚組仕様で、やはりイタリア語の方が味わい深い。イアン・アンダーソン、スティーブ・ハケットがゲスト参加。
ドラマティック度・8 プログレ度・8 大人の叙情度・9 総合・8 
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Phaedra「Ptah」
イタリアのプログレバンド、フェードラの2010年作
二人のヴァイオリン奏者、フルート奏者を含む7人編成で、90年代から活動しているらしい。
優雅なチェンバロの旋律にたおやかなフルート、艶やかなヴァイオリンも加わって、
クラシカルな美意識に包まれた、アコースティカルなプログレが展開される。
リリカルなピアノの音色にアコースティックギター、イタリア語による歌声も牧歌的で、
ときにかつてのPFMを思わせるようなうっとりとする叙情美が楽しめる繊細系クラシカルプログレ作品。
エジブトの創造神“Ptah”をテーマに、組曲方式に紡がれたロックオペラ的な構成も見事。
クラシカル度・・9 叙情度・・9 イタリア度・・9 総合・・8
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PHAEDRA 「Beyond the Storm」
イタリアのプログレバンド、フェードラの2012年作
2010年作「Ptah」はクラシカルな叙情プログレの傑作であったが、本作は1997〜98年に録音されていた初期音源集。
12弦ギターのつまびきに美しいシンセワーク、マイルドなヴォーカルを乗せた、繊細なシンフォニックロックで、
のちの作風のようなクラシカルな作風というよりは、Genesisルーツの90年代B級シンフォのマイナー臭さに包まれている。
演奏力は並程度で楽曲自体もスタイリッシュな構築性は薄いのだが、優美なシンセアレンジにはセンスを感じさせる。
しかしやはり、自主制作らしい音質の弱さも含めて、バンドの熱心なファン向けのアイテムといってよいだろう。
シンフォニック度・・7 プログレ度・・7 イタリア度・・7 総合・・7
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Pholas Dactylus 「Hieros Gamos」
イタリアのプログレバンド、フォラス・ダクティルスの2019年作
1972年に唯一の作品を残して消えたバンドの、じつに47年ぶりとなる復活作。
のっけから21分という大曲で、クラシカルなピアノとギターを乗せた軽やかなアンサンブルで、
イタリア語の語りによるシアトリカルなドラマ性とともに、優雅なシンフォプログレを聴かせる。
ヴォーカルはほぼナレーションなので、ロックとしての濃密さはあまりなく、ピアノをメインにしたジャズ風味に、
随処をにギターの旋律も加えて、緩急に富んだ構築力とアーティスティックでミステリアスな空気に包まれる。
後半は、7部構成の組曲で、アコースティックギターによる素朴な味わいから、クラシカルなピアノの小曲など
ロック色はほぼ皆無ながら、女性声の語りも加わった優美な聴き心地で楽しめる。
クラシカル度・・8 プログレ度・・7 優雅度・・9 総合・・7.5
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Picchio dal Pozzo
イタリアのプログレバンド、ピッキオ・ダル・ポッツォの1976年作
イタリアのバンドにおいては珍しいカンタベリーからの影響を受けたジャズロックで、
メロディックなギターのトーンにサックスやフルートが絡むやわらすなサウンドは、
HATFIELD AND THE NORTHあたりに通じる質感だが、シンセの奏でる叙情性は
やはりイタリアならではのもの。1980年の2ndではより難解な作風になるが、
本作でも随所にアヴァンギャルドな感性が見え隠れする。楽しい1枚だ。
メロディアス度・・8 ジャズロック度・・8 イタリア度・・7 総合・・8
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Picchio dal Pozzo「Abbiamo Tutti I Suoi Problemi」
イタリアのプログレバンド、ピッキオ・ダル・ポッツォの1980年作
2作目の本作は前作のカンタベリー的な雰囲気から、HENRY COWにも通じるチェンバーロック色を強めている。
サックスやクラリネットがフリーキーに吹き鳴らされ、変則リズムによるスリリングな優雅さに包まれる。
イタリア語によるとぼけた味わいのヴォーカル曲もあるが、基本はブラスを主体にしたインストによるナンバーで、
随所にフルートやヴィヴラフォンの音色も加わって、やわらかな偏屈さというべきサウンドが展開される。
15分を超える大曲では、メロディアスなギターやアコースティックも含んだ繊細な叙情にカンタベリー風味も感じさせる。
初心者の頃は楽しめなかったが、改めて聴くとソフトなチェンバーロックとして飽きの来ない逸品であると思える。
チェンバー度・・8 プログレ度・・7 優雅な偏屈度・・9 総合・・8 
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PICTURES 「PAINTING THE BLUE」
イタリアのプログレバンド、ピクチャーズの1997年作
優美なシンセアレンジに叙情的なギター、マイルドなヴォーカルを乗せて、
キャッチーなメロディアス性と、泣きの叙情が同居したサウンドを聴かせる。
きらびやかなシンセとメロディックなギターフレーズ、随処に女性コーラスなども加えた
爽快なプログレハード風味に、シンフォニックな優雅さが加わったという作風で、
イタリアというよりは、むしろ英国のポンプロックをルーツにしたような聴き心地。
10分を超える大曲はいくぶん長尺感はあるものの、サウンド自体にマイナー臭さはなく、
全編キャッチーな叙情性で楽しめる。1作のみで消えるには惜しいバンドであった。
メロディック度・・8 プログレ度・・7 優美度・・8 総合・・8
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Pierpaolo Bibbo 「Genemesi」
イタリアのミュージシャン、ピエルパオロ・ビボの2012年作
80年代から活動するカンタゥトーレであるが、本作は神や宗教をテーマにしたコンセプト作。
打ち込みによるリズムに、ハードめのギターとシンセを乗せ、イタリア語のヴォーカルで聴かせるサウンド。
キャッチーな聴き心地のハードロック風味と、ムーグを含むプログレ的なシンセアレンジが合わさり、
メロウなギターの旋律に、随所にヴァイオリンも入ってきて、ドラマティックな濃密さはいかにもイタリアらしい。
詩情豊かな歌ものでありつつ、オペラティックなドラマ性を持ったイタリア的プログレハードとして楽しめる。
ドラマティック度・・8 プログレハー度・・8 イタリア度・・8 総合・・7.5




Pierrot Lunaire
イタリアンロックバンド、ピエロ・リュネールの1st。1974年作
以前に2nd「グドルン」の耽美で前衛的なイメージに比べ本作はやわらかなピアノやクラシックギター、
マンドリン、フルートなの素朴な音色に、やわらかなイタリア語のヴォーカルで聴かせる、牧歌的な味わいがある。
クラシカルな優雅さの中にも、ひっそりとたたずむような静寂と、あやうい均衡のようなものが
見え隠れするのも魅力。こうした静かな狂気というべき感性は次作で全面に出てくることになる。
クラシカル度・・7 プログレ度・・7 イタリア度・・9 総合・・7.5
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Pierrot Lunaire「GUDRUN」
イタリアンロックバンド、ピエロ・リュネールの1977年作
北欧神話をテーマにした本作は、前作の素朴な作風から一転、優美なチェンバロにフルートの音色
そしてOPUS AVANTRAを思わせるようなオペラティックな女性ヴォーカルの歌声を乗せ、
クラシカルかつアヴァンギャルドな世界観を描きだす。優美だがどこか狂気をはらんだピアノの旋律、
ややチープなシンセを含めて演奏的にはつたなくとも、幻想的な空気をたたえた作風という点では、
Le Ormeをより耽美にしたという雰囲気でもあるかもしれない。妖しい魔力がかかった異色の力作だ。
クラシカル度・・7 プログレ度・・8 イタリア度・・9 総合・・8
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I Pooh「Opera Prima」
イタリアンロックバンド、プーの4th。1971作
プログレというよりはポップロックとして人気を得ている彼らだが、本作は壮大なオーケストラで
クラシカルに聴かせる異色のアルバム。イタリア語のヴォーカルをメインにしたキャッチーなメロディに、
ストリングスやチェンバロなどによるバロック的な荘厳さが加わって、LATTE E MIELEの1st同様、
これぞイタリアンロックという雰囲気が楽しめる。マスターテープが古いのせいか、音質的にはやや粗いさがあるが、
次作「ミラノの映像」とともに、初期のI Poohを代表する傑作である。
メロディアス度・・8 クラシカル度・・8 イタリア度・・9 総合・・8
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I POOH「Alessandra」
イタリアンロックバンド、プーの5th。 1972作
「ミラノの映像」の邦題で知られる本作は、間違いなく初期の最高傑作である。
艶やかなストリングスに導かれて、ゆるやかな叙情が舞い降りる。
繊細でありながらも情熱的なイタリア語の歌声が響きわたり、壮麗かつ雄大なオーケストレーションが一体となって、
哀愁のロマンが波のように押し寄せて、涙腺を刺激する。イタリアからしか出て来ない泣きの叙情美に胸震わせろ。
オーケストラ度・・9 泣きの叙情度・・10 イタリア度・・10 総合・・9
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I Pooh「Parsifal」
イタリアンロックバンド、プーの6th。1973作
ジャケやメンバー写真の中世風味とともに、この「パルシファル」はファンにも人気が高い。
サウンドの方は、しっとりとした歌メロを聴かせる繊細な叙情美と、
オーケストラによる壮大な雰囲気が素晴らしい。中盤はやや中庸の曲もあるが、
ラストの2パートに分かれた10分におよぶタイトル曲はクラシカルな優美さが素晴らしい。
「ミラノの映像」「ロマン組曲」に次ぐ、70年代の彼らの代表作のひとつといえるだろう。
クラシカル度・・8 しっとり叙情度・・9 イタリア度・・9 総合・・8.5
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I POOH「Un Po'del Nostro Tempo Migliore」
イタリアのポップロックバンド、プーの7th。1975年作
その叙情味あふれるサウンドで多くのプログレファンからも愛されるこのバンド、初期の代表作となるのが
4作目の「ミラノの映像」、そしてこの「ロマン組曲」だ。ゆるやかなオーケストラに導かれて…
聴き手は、ジャケットのイメージのようなロマンとノスタルジーの世界へと引き込まれてゆく。
キャッチーですらある歌メロに艶やかなストリングスアレンジが加わり、
ドラマティックかつ優美に盛り上げてゆく、優雅なサウンド構成が素晴らしい。
あくまで歌心を中心にした楽曲には難解さはなく、プログレ、ラブロックうんぬんを抜きにして、
純粋に音楽として耳に優しく、心地よいのだ。ラストの10分を超える大曲の雄大さも聴きどころ。
メロディアス度・・9 しっとり優美度・・10 イタリア度・・10 総合・・9
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I POOH「FORSE ANCORA POESIA」
プーの8th。 邦題は「ミラノの騎士」
傑作「ロマン組曲」に続くアルバムとしては、ややコンパクトな印象の作品。
アコースティカルな質感とともに、曲によってはオーケストラも導入しながら
曲調にはややポップな大衆性への転換期が感じられるアルバムだが、
しっとりとした詩情たっぷりの優雅さと、やわらかな叙情美はさすがである。
叙情度・・9 ポップ度・・8 イタリア度・・9 総合・・8
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Pooh 「BOOMERANG」
イタリアのポップロックバンド、プーの10th。1978作
基本的に彼らの魅力はラブロック風の甘くポップなメロディにあるわけで、
その点からすると、このアルバムも充分に楽しめる好作ということができる。
全体的に、曲は3〜4分台のまとまりのよいメロディアスロックという雰囲気ながら、
哀愁漂うイタリア語の歌唱はやはり彼らならでは。ポップの中のドラマティックさにうるうる。
彼らの膨大なディスコグラフィーについてはこのページが詳しい。
メロディアス度・・8 プログレ度・・6 ポップ度・・8 総合・・8
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PoohUn Posto Felice
イタリアのポップロックバンド、プーの1999年作
60年代から活動を続けるイタリアンロックの大ベテラン。70年代のアルバムはプログレファンからも評価が高いが、
その後ポップ化したことで聴かなくなった方も多いかと思う。しかしながら彼らの本質はポップで人間的な
暖かいメロディーにあり、その大衆性こそが母国で国民的な人気を誇る理由なのだ。
今作もリズム面では単調なポップロックであるが、ときに聴かせる泣きのギターや美しいシンセアレンジ、
そして叙情味豊かなヴォーカルメロディは実に耳に心地よい。なかなかの好作です。
メロディアス度・・8 ポップ度・・8 プログレ度・・5 総合・・7.5
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Pooh「Cento Di Queste Vite
イタリアのポップロックバンド、プーの2000年作
ロック的なギターに絡むシンセアレンジは相変わらず絶妙で、
キャッチーさとポップ性の中にも、一本筋の通った強さを感じさせる。
ポップロックとしての路線を進みながら、イタリア的な叙情性をしっかりと残し、
ドラマティックな盛り上がりも多い、前作以上に聴き入れる作品だ。
メロディアス度・・8 ポップ度・・8 プログレ度・・6 総合・・8
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Pooh「ASCOLTA」
イタリアのポップロックバンド、プーの2004作
デビューは1966年、すでにキャリア40年の大ベテラン。
本作はのっけから重厚なストリングスをバックにしたシンフォニックなサウンドで、
メロウなギターとともにイタリア語の歌唱がかぶさると、キャッチーな哀愁に満ちた
「これぞイ・プー!」というメロディアスなイタリアンポップ・ロックサウンドになる。
音のダイナミックさは現代風ながら、時代を超えた美しいメロディを聴かせるという点で
商業音楽の渦中にある日本にいながら、彼らの純粋な音楽に心洗われる思いがする。
メロディアス度・・9 シンフォニック度・・8 キャッチー度・・8 総合・・8
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I Pooh 「Dove Comincia Il Sole」
イタリアンロックバンド、イ・プーの2010年作
デビューは1966年という、まさにイタリアンロックの大御所中の大御所で、アルバムは優に30作以上。
本作は見開きジャケの豪華な仕様にもバンドとしての気合が感じられるが、サウンドの方も素晴らしい。
彼らにしてはわりとハード寄りのギターにオーケストレーションを重ねたシンフォニックに感触で、
ジェントルなイタリア語のヴォーカルとともに、壮麗な叙情に包まれたサウンドが広がってゆく。
キャッチーなコーラスに泣きのギターメロディ、優美なピアノとやわらかなシンセアレンジで、
大人のシンフォニックロックとしても鑑賞できる。もちろんキャッチーなイ・プーらしさも残していて、
優雅なアコースティックナンバーなどもアクセントになっている。歌もの系イタリアンロックの最高峰。
シンフォニック度・8 プログレ度・7 優美度・9 総合・8 
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Pooh 「Opera Seconda」
イタリアンロックのベテラン、プーの2012年作
本作はオーケストラとの共演によるセルフカヴァーアルバムで、70年代後半から80年代のナンバーを中心にリアレンジ、
優雅なオーケストラをバックに、メロウなギターとイタリア語のジェントルな歌声を乗せ、キャッチーでありながら
壮麗でシンフォニックなサウンドを聴かせる。演奏にしろ歌唱にしろ、ベテランらしい情熱的な表現力が素晴らしく、
オーケストラとともに優美な高揚感を描き出す。プログレ的な味わいは薄いものの、心地よいメロディアス性と
これぞイタリアという盛り上がりに包まれた、「歌ものシンフォニーロック」としての素晴らしさが詰まった傑作だ。
シンフォニック度・・9 メロディック度・・9 イタリア度・・9 総合・・8.5 
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Le Porte Non Aperte「Golem」
イタリアのプログレバンド、レ・ポルテ・ノナペルテの2013年作
フルート奏者を含む5人編成で、オルガンを鳴り響かせ、イタリア語の歌声とともにたたみかける
古き良きイタリアン・ヘヴィプログレのねっとりした妖しさを描き出すようなサウンド。
かつてのOSANNAのようなシアトリカルな雰囲気で、フルートの音色もどこか妖しい。
アルバム後半には9分以上の大曲も多く、ドラマティックな構築センスも新人離れしている。
濃密な熱さと叙情を同居させて煮詰めた、現代版イタリアン・ヘヴィプログレの力作です。
ドラマティック度・・8 プログレ度・・8 イタリア度・・9 総合・・8
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POSTO BLOCCO 19 「Motivi Di Sempre」
イタリアのプログレバンド、ポスト・ブロッコ19の2014年作
結成は70年代というバンドで、本作は30年ぶりに復活しての初のアルバムとなる。
オルガンやムーグを含んだきらびやかなシンセークに、ブルージーな哀愁を感じさせるギター、
イタリア語の歌声を乗せた、70年代を思わせる古き良き感触のイタリアンプログレを聴かせる。
女性ヴォーカルにフルートも鳴り響く、やわらかな叙情性のシンフォニックロックナンバーなど、
イタリアらしい繊細な美しさも魅力的で、元ACQUA FRAGILE、MANGALA VALISのベルナルド・ランゼッティを
ヴォーカルに迎えてのボーナストラックも聴きどころ。全35分というのがやや物足りないが、なかなかの好作です。
ドラマティック度・・8 古き良き度・・9 イタリア度・・9 総合・・7.5
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Presence「The Sleeper Awakes」
イタリアのハードプログレ、プレゼンスの1995年作
女性ヴォーカルをフロントにした、プログレ・ハードロックで、美しいシンセアレンジに
適度にハードなギターと、ときにProgMetal的な展開力で聴かせるサウンド。
レーベルがBlack Widowということからも分かるように、どこか妖しげで
ゴシック風味もある雰囲気が特徴的。盛り上がりきらない楽曲の煮え切らなさも
マイナーな匂いをかもし出しているのだが、いわば魔女系ハードプログレとして楽しめるイタリアらしい好作品。
ドラマティック度・・7 プログレ度・・7 妖しげ度・・8 総合・・7.5
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Presence 「Black Opera」
イタリアのハードプログレ、プレゼンスの1996年作
1992年にデビューし本作が3作目となる。ピアノやオルガンを含むクラシカルなシンセに適度にハードなギター、
艶めいた女性ヴォーカルの歌声で聴かせる、シアトリカルな妖しさに包まれたハードプログレサウンド。
ゴシック寄りの耽美性と、オペラティックな優雅さが同居した世界観で、紅一点、ソフィア・バッチーニの歌声は
ときにケイト・ブッシュを思わせるようなキュートさと、魔女めいたエキセントリックな雰囲気をかもしだす。
18分を超える組曲「ジュゼッペ・ヴェルディに捧ぐ」はアルバムのハイライトで、クラシックのアリアをロック化したような、
オペラティックな女性ヴォーカルが素晴らしい。クラシカルなシンフォニックロックが好きな方にもお薦めだ。
クラシカル度・・8 プログレ度・・7 女性Vo度・・8 総合・・8
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Presence「Gold」
イタリアのハードプログレバンド、プレゼンスの2003年作
前作「Black Opera」はクラシカルな雰囲気とゴシック風味が合わさった好作品だったが、
4作目の本作も基本はその延長上。シンセとギターを中心にしたイタリアのヘヴィブログレ的でもある
いかにも妖しげな曲調に女性ヴォーカルの歌声が乗るスタイル。ドラムが打ち込みなのが惜しいが、
8分、13分という大曲もありクラシカルでオペラティック、そして耽美な質感を味わえる。
クラシカル度・・8 プログレ度・・7 女性Vo度・・7 総合・・7.5


PRESENCE 「Evil Rose」
イタリアのプログレ・ハードロック、プレゼンスの2008年作
シンフォニックなアレンジとゴシック的な耽美な世界観に、女性ヴォーカルの歌声を乗せたサウンド。
10分、18分という大曲も、イタリアらしい妖しさを覗かせたゆるやかな展開と、
オルガンの入った古き良き雰囲気や、ピアノ入りのクラシカルな感触に、
ときにオペラティックな美しさも覗かせる。全体的にはいまひとつ盛り上がりきらない
その煮え切らなさが惜しいのだが、そこも含めてこのバンドらしいというべきか。
シンフォニック度・・7 プログレ度・・7 女性Vo度・・7 総合・・7.5
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Presence 「Masters & Following」
イタリアのプログレ・ハードロック、プレゼンスの2016年作
デビューは1992年、3作目の「Black Opera」は日本盤も出ていたので、ご存知の方もいるのではないだろうか。
本作は、前作「Evil Rose」から8年ぶりとなる7作目。クラシカルなピアノやチャーチオルガンなど、
シンフォニックなシンセアレンジと適度にハードなギターが重なり、女性ヴォーカルの歌声が妖しく響き渡る。
JACULAなどにも通じる耽美なダークさを感じさせる世界観に、メタリックな激しさも含んだメリハリのある構成で、
ソロとしても活躍する、ソフィア・バッチーニの歌声は、楽曲にオペラ的な優雅さとシアトリカルな演劇性を付加している。
一方では、プログレ的なメロディアスな叙情ナンバーも配されていて、バンド創成期から参加するエンリコ・イーリョの
シンセワークが優美に映えている。Judas Priest“Freewheel Burning”のカヴァーも、シンフォニックかつ妖しい雰囲気で面白い。
イタリアらしい濃密な空気感とドラマ性、クラシカルな美しさとシンフォニックな華麗さが合わさったハードプログレッシブ作品である。
DIsc2には、ライブ音源を収録。初期の楽曲やオーケストラを含んだ編成の貴重なライブサウンドが楽しめる。
ドラマティック度・・8 プログレ度・・7 濃密度・・8 総合・・8
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Procession「Fiaba」
イタリアのプログレバンド、プロセッションの2nd。1974作
サックス/フルート奏者を含む5人組で専任Keyはなしという珍しい編成。
いかにも70'sロック風味のギターを中心に、ややブルージーに聴かせつつ
リリカルなフルートが出てきたと思ったら、せわしなくサックスが吹き鳴らされる。
ヴォーカルが意外と繊細な歌声なので、ただの粗削りのサウンドにはならず、
アコースティカルな曲においてはしっとりとした叙情美が楽しめる。
ゲストでDELIRIUMのシンセ奏者が数曲参加。マニア好みのイタリアンロック作だ。
メロディアス度・・7 プログレ度・・7 イタリア度・・8 総合・・7.5
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Procession 「Esplorare」
イタリアのプログレバンド、プロセッションの2007年作
70年代に2作を残して消えたバンドの、じつに33年ぶりとなる作品で、
72年作「FRONTIERA」の全曲と、74年作「FIABA」からのセルフリメイクが中心。
やわらかなフルートにサックスが鳴り響き、マイルドなイタリア語の歌声に、
ベテランらしい味わいのギターワークで、かつての牧歌的なサウンドが甦る。
イタリアンプログレの叙情性にブルージーな要素も含んだ、70年代テイストの聴き心地を
クリアにアップデートしたという好作品に仕上がっている。オリジナルの復活作も期待したくなる。
メロディック度・・8 プログレ度・・7 イタリア度・・8 総合・・8
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Profusion 「Rewotower」
イタリアのハードプログレ(メタル)、プロフュージョンの2012年作
シンセを含む5人編成で、適度なヘヴィさと軽妙なテクニカルさにキャッチーなメロディを含んだ、
ハードプログレ(メタル)サウンド。プログレ的な美しいシンセワークとともにセンスのよいアレンジで
SPOCK'S BEARDIT BITES、あるいはACTあたりにも通じるような聴き心地がある。
ヴォーカルの繊細な歌声に、やわらかなピアノの音色など、叙情的な美しさも光っており、
随所に効かせるギターの流麗でテクニカルなフレージングもよい感じだ。ジャケは地味ながら、
メロディセンスに溢れた高品質な作品です。キャッチーなProgMetalとしても楽しめる。
メロディック度・・8 テクニカル度・・8 楽曲センス・・8 総合・・8
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Profusion 「Phersu」
イタリアのプログレメタル、プロフュージョンの2015年作
本作はタイトルなどから古代イタリアのエトルリア人をテーマにした作品のようだが、サウンドの方は
ハード寄りのギターときらびやかなシンセをテクニカルなアンサンブルに乗せた、モダンでキャッチーな作風。
前作よりもヘヴィな部分をスタイリッシュにを強めた感触で、HAKENFROST*あたりにも通じるような、
優雅な構築センスが光る。一方では、エモーショナルなヴォーカルと美しいシンセによる叙情性は、
イタリアのバンドらしい繊細さを感じさせ、メリハリのあるドラマ性とスケール感を描くのも素晴らしい。
プログレ的な展開美とやわらかなメロディを同居させ、モダンなセンスで仕上げたという傑作です。
ドラマティック度・・8 プログレ度・・8 構築度・・9 総合・・8.5
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Progenesi「Ulisse L'alfiere Nero」
イタリアのプログレバンド、プロジェネシの2012年作
チェロ、ヴァイオリン奏者を含む6人編成で、オルガン、ムーグを含むプログレらしいキーボードと
メロディアスなギターフレーズを乗せ、インストながらもキャッチーな感触を前に出したサウンド。
テクニカルな展開を織り交ぜた知的な構築センスに、やわらかなビアノやチェロ、ヴァイオリンの響きが
クラシカルな優雅さをかもしだし、10分を超える大曲もなかなかメリハリに富んだ構成で楽しめる。
シンセはもちろん、ギターやヴァイオリンが奏でる泣きの叙情美と歌心に溢れたメロディセンスが素晴らしく、
オールインストではあるが、クラシカルプログレの醍醐味がぎゅっと詰まった逸品に仕上がっている。
メロディック度・・9 プログレ度・・8 イタリア度・・8 総合・・8.5
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PROMENADE 「Noi Al Dir Di Noi」
イタリアのプログレ・ジャズロック、プロムナードの2016年作
若手の4人組で、軽やかなピアノにサックスが鳴り響き、変則リズムのテクニカルなアンサンブルで、
華麗なジャズロックサウンドを展開する。技巧的にたたみかけるせわしない曲調ながらも、
優雅なメロディアス性が前に出ているので、決して難解ではなく、イタリアらしい陽性のノリに包まれている。
一方では、イタリア語のヴォーカルを乗せ、ストリングスなども加えた繊細な叙情性はPFMのようでもあり、
やわらかなエレピにサックス、ヴァイオリンを加えたカンタベリー的でもある優美なサウンドを描いてゆく。
1曲目のテクニカルなテンションに圧倒されるが、全体的にはじっくりと味わえる叙情的なジャズロック作品である。
メロディック度・・8 テクニカル度・・9 優雅なジャズロ度・・9 総合・・8
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PROPHEXY 「Alconauta」
イタリアのプログレバンド、プロフェクシーの2008年作
変拍子たっぷりのリズムにメタル寄りのギターとシンセを重ね、イタリア語のヴォーカルを乗せた、
テクニカルなハードプログレを聴かせる。ときにフルートの音色やシアトリカルな歌声とともに、
イタリアらしい混沌とした雰囲気をかもしだし、ときにAREAのような濃密な味わいも感じさせる。
メロディックな感触は薄めながら、ときにフルートやアコースティックによる叙情性も覗かせつつ
アッパーにたたみかけるメタル・ジャズロックに、知的な屈折感のプログレが合わさったというべき力作である。
ドラマティック度・・7 プログレ度・・8 イタリア度・・8 総合・・8
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PropheXy「Improvviso」
イタリアのプログレバンド、プロフェクシーの2013年作
シンセを含む5人編成で、変拍子入りのアンサンブルに、イタリア語のヴォーカルを乗せたスタイルで、
やわらかなフルートの音色が鳴り響く叙情性と、イタリアらしい混沌とした妖しさに包まれたサウンド。
本作は2012年のライブ音源で、ややこもり気味の音質も含めて、むしろ70年代感を強く感じさせる。
現代版AREADEUS EX MACHINAかというようなアクの強さとテクニカル性に加えて、
アコースティカルな優雅さも含んだ楽曲には、往年のプログレファンもにやりとするだろう。
ジャズロック度・・8 プログレ度・・8 イタリア度・・9 総合・・8
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Psycho Praxis 「Echoes from the Deep」
イタリアのハードプログレバンド、サイコ・プラクシスの2012年作
オルガンが鳴り響き、アナログ感たっぷりのギターと枯れた味わいのヴォーカルで聴かせる、
古き良きヘヴィプログレサウンド。歌詞が英語なので、むしろ70's英国ハードロック的な感触もが前に出ていて
初期Uriah HeepやBlack Bonzoあたりが好きな方にも楽しめるだろう。7〜9分の楽曲を中心に、
ときにサイケロック的な浮遊感もまとわせつつ、フルートが鳴り響く叙情性などは、やはりイタリアのバンドらしい。
プログレ的なギミックはあまりないが、ヴィンテージ感にあふれたアンサンブルが楽しめる力作だ。
ドラマティック度・・7 プログレ度・・7 古き良き度・・9 総合・・8
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QIRSH 「ASPERA TEMPORA Parte 1」
イタリアのプログレバンド、キルシュの2020年作
2013年にデビューし、2作目となる。ツインギター、ツインドラムという7人編成で、優美なシンセに
イタリア語によるジェントルなヴォーカルを乗せて、のっけから17分の大曲を構築する。
インストパートにやや長尺感はあるのだが、オルガンなどのヴィンテージなシンセに、
コンセプト的なロマンを感じさせる世界観で、ドラマティックなシンフォプログレが味わえる。
演奏力は並程度でリズム面なども意外性が少ないので、スリリングな展開はさほどないが、
優美なシンセワークは、ときにLE ORMEのようなイメージで、幻想的なサウンドを描いている。
ラストは詠唱めいたチャントを乗せた曲で、やや意味不明だが、センスの面白さは感じさせる。
ドラマティック度・8 プログレ度・7 イタリア度・8 総合・7.5
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QUANAH PARKER 「Suite Degli Animali Fantastici」
イタリアのプログレバンド、クアナ・パーカーの2015年作
結成は80年代ながら作品を残さないまま解散、2005年になって復活したというバンド。
やわらかなシンセアレンジに、しっとりとした女性ヴォーカルの歌声を乗せた叙情的なサウンド。
流麗なギターを乗せたインストパートとクラシカルな繊細さも感じさせる軽妙なアンサンブルで、
紅一点、エリザベータ嬢の歌声は、イタリア語による語りから、コケティッシュなスキャットまでこなし、
サウンドにシアトリカルな空気感も加えている。楽曲的には濃密に盛り上がる部分はさほどないので、
案外さらりと聴けてしまうのだが、優雅なジャズロック風味のシンフォとしてもそれなりに楽しめる。
ドラマティック度・・7 プログレ度・・7 優雅度・・8 総合・・7.5
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QUASAR LUX SYMPHONIAE 「Enlightening March Of The Argonauts」
イタリアのプログレバンド、クエーサー・ラックス・シンフォニアの1997年作
前身であるQUASARの結成は、70年代にまでさかのぼるが、QLSとしてのデビューは1994年で、本作は2作目となる。
やわらかなシンセにメロウなギター、エモーショナルなヴォーカルを乗せた、優美なシンフォニックロックを聴かせる。
90年代特有のくぐもったような空気感に、クラシカルなピアノの響きなどにロマンの香りをまとわせて、
ほどよくマイナーな味わいも含めて、これぞシンフォプログレである。クセのある歌声がやや好みを分けるが、
美しい女性ヴォーカルが加わったナンバーなどは、オペラティックな優雅さに包まれてウットリとなる。
アルバム後半には10分を超える大曲もあり、きらびやかなシンセワークから繊細なピアノパートなど、
メリハリある展開力で構築力する。まさに90年代イタリア系シンフォの底力を感じさせるような力作です。
シンフォニック度・・8 プログレ度・・7 優美度・・8 総合・・8
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QUASAR LUX SYMPHONIAE「MIT」
イタリアのシンフォニックロックバンド、クェーサー・ラックス・シンフォニアの2000年作
ケースが2枚組み仕様なのに、中身は1枚組みという、どうにも謎な作りであるが、
それはともかく、内容は男女ヴォーカルのクラシカルな雰囲気のしっとり系シンフォプログレ。
ゆるやかなシンセにアコギが絡んだり、ピアノやヴァイオリンが美しかったりと、
全体的に静謐感を漂わせた、たおやかで繊細なサウンド。イタリアものにしては珍しく、
さほど濃くはないタイプなので、案外のんびりと聴ける。いくぶん長尺感はあるのだが、
イタリア語による女性ヴォーカルの歌唱がしっとりと耳に響くナンバーにはウットリです。
シンフォニック度・・7 クラシカル度・・8 しっとり度・・8 総合・・7.5

Quasar Lux Symphoniae「Synopsis」
イタリアのシンフォニックロックバンド、クエーサー・ラックス・シンフォニアの2008年作
クラシカルかつ美麗なシンセワークと、泣きの叙情たっぷりのギターに、ストリングスの響き、
これはまるでNEW TROLLSのコンチェルトグロッソか?…というくらいの優雅なサウンドである。
一方では繊細なアコースティカル風味もあって、そこがまたじつにイタリア的なのである。
カンタウトーレ的な男ヴォーカルに、伸びやかな女性ヴォーカルが美しい歌唱を乗せ、
メロウなギターに繊細なピアノがかぷさり、バックではストリングスが鳴り響く。
ラストの14分の大曲まで、美麗なクラシカルシンフォが堪能できる力作です。
シンフォニック度・・8 クラシカル度・・8 イタリア度・・9 総合・・8.5
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Quel Che Disse Il Tuono 「Il Velo Dei Riflessi」
イタリアのプログレバンド、クエル・チェ・ディッセ・イル・トゥオノの2020年作
Unreal Cityのギターを中心としたバンドで、メロトロンやオルガン、ムーグを含むシンセにメロウなギターの旋律、
イタリア語のヴォーカルとともに、ヴィンテージな味わいの幻想的なシンフォプログレを聴かせる。
やわらかなフルートの音色や優美なピアノによる、しっとりとした叙情を描くパートも覗かせつつ、
10分前後の大曲を主体に、往年のイタリアンプログレを受け継いだ、翳りを帯びた幻想性が味わえる。
鳴り響くメロトロンに、ほどよくハードなギターを加えた緩急ある展開力も魅力的。これぞイタプロという逸品だ。
ドラマティック度・8 プログレ度・8 イタリア度・9 総合・8
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QUELLA VECCHIA LOCANDA
イタリアンロックバンド、クエラ・ヴェッキア・ロカンダの1st。1972作
このペン画と水彩による美しいジャケが見開きで見られるようになったのが嬉しい。
のっけから艶やかなヴァイオリンが鳴り出し、ピアノのとの荒々しい掛け合いが印象的。
たおやかで叙情的な2ndとはやや趣を異にし、ロックとしての躍動感に満ちた1曲目は
シンセの使い方もかなりプログレ的で、ヴォーカル曲としての魅力もある。
吹き鳴らされるフルートには、PFMなどを思わせる雰囲気もあり、
それでいてヴァイオリンの音色にはクラシカルな格調高さも感じられる。
クラシカル度・・8 イタリア度・・9 ヴァイオリンよりむしろフルート度・・8 総合・・8
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QUELLA VECCHIA LOCANDAIl Tempo Della Gio
イタリアンロックバンド、クエラ・ヴェッキア・ロカンダの2nd。1974年作。
「歓喜の時」の邦題で知られる本作は、昔から「泣きのストリングスを聴くにはこの作品ね」
と言われてきたほどの名作だ。イントロのクラシカルなピアノからして美しいのだが、
続いて入って来るアコースティックギターと泣きのヴァイオリンの絡みはまさに絶品。
そして盛り上がりでのストリングスによる大叙情にはただもううっとりだ。
ここまで泣きの叙情を聴かせてくれるヴァイオリン入りロックはそうあるものではない。
やや粗削りだった1stに比べて音自体が洗練されたことで、バンドとしてのアンサンブルも向上している。
ラストのヘヴィな大曲2曲も聴きどころ。NEW TROLLSの「コンチェルト・グロッソ」に匹敵する名作である。
クラシカル度・・9 イタリア度・・8 泣きのヴァイオリン度・・10 総合・・8.5
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RACCOMANDATA RICEVUTA RITORNO「Per... Un Mondo Di Cristallo」
イタリアのプログレバンド、ラコマンダータ・リチェヴータ・リトルノの1972年作
「水晶の世界」と題された本作は70年代に発表されたバンド唯一の作品。
神秘的なオルガンが鳴り響き、しっとりとしたフルートとアコースティックギターによる繊細さと
OSANNAにも通じるような妖しい祝祭を思わせる世界観、ぐっと耳を惹きつける。
いかにもイタリア然とした芸術性と、頽廃と混沌、そして幻想的な叙情美…
奇跡的な一枚という点では、CERVELLOの「MELOS」と並ぶ傑作である。
ちなみに、バンド名の意味は「到着返信書留郵便」
だそう。
ドラマティック度・・8 プログレ度・・8 イタリア度・・9 総合・・8.5
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RACCOMANDATA RICEVUTA RITORNO「Il Pittore Volante」
イタリアのプログレバンド、ラコマンダータ・リチェヴェータ・リトルノの2010年作
1972年に「水晶の世界」というアルバムを唯一残して解散したが、これはなんと38年ぶりとなる復活作。
中心メンバーであるヴォーカル/ギターのルチアーノ・レゴーリは画家や彫刻家であったり、
プログレメタルバンドDGMに参加したりと、非常に多才な人物で、本作には長年交友のあった
GOBLINのクロウディオ・シモネッティをはじめとして、OSANNAのリーノ・ヴァイレッティや、
DGMのシンセ奏者なども参加している。クラシカルなピアノにいくぶんダークな風味で描かれる
楽曲は往年のイタリアンプログレの質感で、イタリア語によるルチアーノの歌唱も素晴らしい。
先の読めないスリリングな展開と、クラシカルで芸術的な香りを漂わせた豊穣なサウンドは、
イタリアンロックのファンであればうっとりだろう。美しい女性ヴォーカル曲も絶品。
ドラマティック度・・8 プログレ度・・8 イタリア度・・9 総合・・8.5
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La Nuova Raccomandata Con Ricevuta Di Ritorno 「Live in Elba」
イタリアのプログレバンド、ヌオーヴァ・ラコマンダータ・コン・リチヴィータ・デ・リトルノのライブ。2015年作
オリジナルメンバー、ルチアーノ・レゴーリを中心に2010年に復活したバンドの、2013年のイタリア公演を収録したライブCD。
サックス&フルート奏者に、女性Voを含んだ7人編成でのステージで、ハード寄りのギターに美しいシンセ、
レゴーリのイタリア語の歌声を乗せた重厚なサウンドを聴かせる。随所に女性ヴォーカルも加わった優美な感触と
やわらかなフルートの音色などアコースティックな大人の叙情性を含む、シンフォニックロックとしての味わいも覗かせる。
2010年復活作「空飛ぶ画家」からのナンバーに、1972年の名作「水晶の世界」からも披露。何故かLed Zeppelinのカヴァーも。
往年のファンはもちろん、イタリアンロックを聴き始めた若いリスナーにもお薦めできる素晴らしいライブ作品です。
ライブ演奏・・8 プログレ度・・7 イタリア度・・9 総合・・8 
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RANDONE「...ricordo」
イタリアのプログレバンド、ランドーネの2004年作
現代のカンタゥトーレと評価されるヴォーカリストにしてシンセ奏者、ニコラ・ランドーネ率いるバンドの3作目で、
イタリア語の伸びやかな歌声で聴かせる、たおやか系のシンフォニックロックサウンド
いきなり21分の大曲で始まり、ゆるやかなハモンドやメロトロンに、ややハードかつメロウなギターが重なって、
そこにゲストの女性Voの歌唱も加わると、スケールの大きさが感じられて、なかなか聴き応えがある。
楽曲にこれだという押しの強さがないので、インパクトの点ではやや弱いが、GENESIS系といってもよい
王道のシンフォニック路線なので、この手のファンなら安心して手を出せるアルバムだろう。
シンフォニック度・・8 プログレ度・・7 イタリア度・・8 総合・・7.5
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RANDONE 「Hybla ActT」
イタリアのシンフォニックロックバンド、ランドーネの4th。2005作
前作2ndはたおやかなGENESIS系のサウンドで、ややインパクト不足だったが、今作はとっても濃密なアルバムです。
イタリア語による情感たつぷりの歌唱に鳴り響くメロトロン、ときおり出てくる土着的で暑苦しいメロディと
コーラスにいくぶん苦笑しつつ、サックスにヴァイオリンも入ってゆるやかなアコースティカル要素あり、
かと思えばオペラティックな男性バリトンに女性ヴォーカルが絡んだりと、とにかく無駄なまでに濃密、
そしてコテコテに作られた作品。好き者にはたまらないだろうが、いくぶんイモ臭さもあって胃もたれも必至か(笑)
ちなみに神話をもとにしたコンセプト作らしく、曲間の小曲を含めて全25曲という力作だ。
シンフォニック度・・7 コテコテ度・・9 イタリア度・・10 総合・・7.5
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RANDONE 「Linea Di Confine」
イタリアのプログレバンド、ランドーネの2009年作
現代のカンタゥトーレと評価されるヴォーカリストにしてシンセ奏者、ニコラ・ランドーネ率いるバンドで、
2002年にデビューしてから本作は5作目となる。今作は一聴してコンセプトアルバム的な空気感に包まれていて、
メロトロン、オルガン、ムーグといったヴィンテージなシンセをたっぷりと使いながら、叙情的なギターワークに
イタリア語による伸びやかなヴォーカルを乗せた、やわらかなシンフォニックロックを聴かせてくれる。
ゆったりとした牧歌的な味わいは、やはりカンタゥトーレを基本にした叙情性で、スリリングな部分は薄いが、
ときにストリングスアレンジなども加わって、プログレらしい展開力を含んだ耳心地の良いサウンドが味わえる。
アルバム中盤以降の盛り上がりも繊細さと濃密さが同居していて、ラスト曲はいったん終わったと見せかけての大叙情。
今作は、より多くのシンフォニックロックファンにアピールする傑作と言うべき出来だろう。
ドラマティック度・・8 プログレ度・・8 イタリア度・・9 総合・・8 
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RANDONE 「ULTREIA」
イタリアのプログレバンド、ランドーネの2014年作
現代のカンタゥトーレと評価されるヴォーカル&シンセ奏者、ニコラ・ランドーネ率いるバンドで、本作は6作目となる。
キリスト教の聖地である、スペインのサンティアゴ・デ・コンポステーラ大聖堂を目指す旅を描いたコンセプト作で、
オルガンやメロトロンを含む美麗なシンセにメロウなギターが重なり、表現豊かなイタリア語のヴォーカルを乗せた
叙情的なシンフォニックロックを展開。最高作となった前作「Linea Di Confine」の流れをくむドラマティックな流れと
ときに女性ヴォーカルも加わって、優美にして繊細なアレンジが同居した濃密な歌ものシンフォニックロックが楽しめる。
これぞイタリアンシンフォという全70分の傑作。ベッペ・クロヴェッラ(元Arti & Mestieri)がゲストでヴィンテージシンセを担当。
ドラマティック度・・9 プログレ度・・7 イタリア度・・9 総合・・8 
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RanestRane 「Nosferatu Il Vampiro」
イタリアのプログレバンド、ラネストラーネの2009年作
ヴェルナー・ヘルツォークの名作「ノスフェラトゥ」をコンセプトにしたCD2枚組の大作。
オルガンやムーグ、ピアノなどの美しいシンセにメロウなギターを乗せ、イタリア語のヴォーカルを加えた、
叙情的なシンフォニックロックサウンド。2〜5分の小曲を主体に、随所にSEや語りなどの映画的な演出も含んだ、
シアトリカルな空気感とともに、楽曲を連ねた流れの中でドラマティックな味わいを描いてゆく。
古き良きプログレの感触と、ミステリアスなドラマ性が融合した、シンフォニック・ロックオペラの力作である。
ドラマティック度・・8 プログレ度・・7 イタリア度・・9 総合・・8
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RanestRane「Shining」
イタリアのシンフォニックロックオペラ、ラネストラーネの2011年作
スタンリー・キューブリック監督の映画「シャイニング」(1980年)をコンセプトにした2枚組で、
随所に映画的なセリフを導入した、ロックオペラ的な作風。メロウなギタートーンにオルガンが響き、
イタリア語による情感とともに、じっくりとドラマを描き出すような聴き心地が楽しめる。
ハードシンフォニック的な感触とイタリアらしい繊細さがミックスしたサウンドで、楽曲ごとのインパクトはさほどないものの、
全体としての流れで鑑賞するべき作品だろう。イタリア語によるセリフが理解できればより楽しめると思う。
ドラマティック度・・8 プログレ度・・7 イタリア度・・9 総合・・8
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RanestRane
「A Space Odyssey Part One-Monolith」
イタリアのシンフォニックロックオペラ、ラネストラーネの2013年作
過去2作も「吸血鬼ノスフェラトゥ」、「シャイニング」といった映画をテーマにした大作であったが、
本作もまた、スタンリー・キューブリックの「2001年宇宙の旅」をコンセプトにした内容になっている。
1曲目の18分を超える大曲は、宇宙を感じさせる神秘的なスケール感を漂わせて始まり、
やわらかなピアノとスペイシーなシンセワーク、マイルドなヴォーカル、メロウなギターとともに、
PINK FLOYD的な浮遊感も含んだ雄大なシンフォニック、プログレサウンドが楽しめる。
薄暗い叙情という点では、Marillionなどにも通じる雰囲気もありつつ、随所にゆるやかな盛り上がりを見せる
ドラマティックな流れに浸ることができる。Marillionのスティーブ・ホガース、スティーブ・ロザリーがゲスト参加。
ドラマティック度・・8 プログレ度・・8 イタリア度・・7 総合・・8
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RANESTRANE 「MONOLITH IN ROME - A Space Odyssey Live」
イタリアのシンフォニックロック、ラネストラーネのライブ。2015年作
2014年ローマで行われた、「A Space Odyssey Part One-Monolith」の完全再現ライブを収録。
やわらかなシンセアレンジにイタリア語によるマイルドヴォーカルを乗せ、叙情的なギターとともに、
スペイシーな広がりを描くようなシンフォニックロックを演奏。MARILLIONのスティーブ・ロザリーがゲスト参加して、
流麗なギタープレイと深みのある歌声で楽曲を彩る。ライブ映像では、リードヴォーカルをとるドラムを中心とした
優雅なアンサンブルが視覚的にも楽しめる。ラストには、MARILLIONのナンバー「Cinderella Search」を披露。
ドラマティック度・・8 ライブ演奏度・・8 壮大度・・8 総合・・8
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RanestRane 「A Space Odyssey - Part Two H.A.L.」
イタリアのシンフォニックロック、ラネストラーネの2015年作
スタンリー・キューブリックの「2001年宇宙の旅」をコンセプトにした前作の続編となるアルバムで、
スペイシーなシンセに導かれつつ、イタリア語のマイルドなヴォーカルが加わるとぐっとキャッチーな聴き心地になり、
途中に交信のSEなどを挟みつつ、クラシカルなピアノなどのやわらかな優美さと、ムーグシンセのプログレ感触が交差する。
繊細な叙情性とSF的なミステリアスな空気感が同居したサウンドは、前作で感じられたPINK FLOYD風味に比べると
よりシンフォ感が強まった印象である。コンセプト的なトータルな流れと、楽曲ごとの細やかなアレンジが合わさった、
見事なシンフォニック・プログレ作品だ。前作に続きMarillionのスティーブ・ロザリーがゲスト参加している。
ドラマティック度・・8 プログレ度・・7 スペイシー度・・8 総合・・8
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RANESTRANE 「A Space Odyssey Part. 3: Starchild」
イタリアのシンフォニックロック、ラネストラーネの2018年作
スタンリー・キューブリックの「2001年宇宙の旅」をコンセプトにした、3部作の完結編。
スペイシーなシンセアレンジにメロウなギターと、イタリア語のヴォーカルを乗せ、
ゆったりとした叙情を描きながら、随所に物語的なSEや語りを含んだドラマ性とともに、
壮大なスケール感に包まれたサウンドを展開。MARILLIONのスティーブ・ロザリーが参加して、
流麗なギターを聴かせるナンバーから、アコースティックパートを含む繊細さとダイナミズムが同居した14分の大曲、
そして、スティーブ・ホガースが参加してのエンディング曲。あらためて3部作まとめて聴き返したくなる力作です。
ドラマティック度・・8 プログレ度・・7 壮大度・・8 総合・・8 
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Ranestrane 「Apocalypse Now」
イタリアのプログレバンド、ラネストラーネの2022年作
2009年にデビュー、「ノスフェラトゥ」や「シャイニング」、「2001年宇宙の旅」など、映画作品をコンセプトにアルバムを作ってきたバンド、
本作は「地獄の黙示録」をテーマにしていて、オールドな味わいのシンセに叙情的なギターワーク、イタリア語の歌声を乗せ、
繊細なピアノなど、クラシカルな優雅さと、翳りを帯びたドラマ性が同居した、幻想的なシンフォプログレを聴かせる。
英語による語りを挿入したシネマティックな流れの中に、オールドロック的な哀愁も覗かせ、中盤の20分の大曲もじっくりと構築。
後半の16分の大曲では、優美な叙情性を織り込んで、じわじわと盛り上げてゆく。まさに映画的イタリアン・プログレの力作です。
ドラマティック度・8 プログレ度・7 叙情度・8 総合・8 
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RAVEN SAD 「THE LEAF THE WING」
イタリアのポストプログレ、レイヴン・サッドの2021年作
2008年にデビューし、4作目となる。叙情的なギターの旋律にオルガンやエレピなどの優美なシンセを重ね、
ジェントルなヴォーカルとともに、ゆったりとした繊細なシンフォニックロックを聴かせる。
10分前後の大曲をメインに、ポストプログレ的なしっとりと優雅な歌もの感に包まれつつ、
インストパートでは泣きのギターや軽妙なリズムを含んだプログレらしさもしっかりある。
エモーショナルのヴォーカルの表現力は、ときにMARILLION時代のフィッシュを思わせ、
むしろ英国的なシンフォプログレとして楽しめる。ラストまで泣きのギターに浸れる逸品です。
ドラマティック度・8 プログレ度・7 優雅な叙情度・9 総合・8
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REALE ACCADEMIA DI MUSICA
イタリアのプログレバンド、レアーレ・アカデミア・ディ・ムジカの1972作
アコースティックギター、ピアノなどによる非常に繊細な音楽で、しっとりと聴けます。
もちろんエレキやメロトロンもここぞというときにはしっかり活躍しており、
ただ静かなだけの音楽ではなく、プログレとしてなかなかの好作。
派手な部分やインパクトは薄いものの、端正なピアノと歌声にはうっとりできます。
メロディアス度・・8 イタリア度・・7 しっとり繊細度・・8 総合・・7


The RedZen 「Void」
イタリアのプログレバンド、レッドゼンの2011年作
THE WATCHの関連メンバーを中心にしたバンドで、きらびやかなシンセにギターを重ね
フュージョンがかった軽妙なアンサンブルで、叙情的かつテクニカルなサウンドを聴かせる。
ムーグやオルガンを使ったプログレらしいシンセワークに、メロディックなギターのセンスも良く、
ほぼオールインストであるが、ほどよくヴィンテージで優雅なフュージョン・プログレが楽しめる。
ゲストによるヴォーカルの入ったナンバーでは、わりとハード寄りのProgMetal的な感触も覗かせつつ、
個人的には、フュージョン路線よりも、アルバム後半のクラシカルなシンフォプログレ寄りのナンバーが気に入った。
ドラマティック度・・7 テクニカル度・・8 イタリア度・・7 総合・・7.5
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Reverie 「Shakespeare La Donna Il Sogno」
イタリアのプログレフォーク、レヴェリーの2008年作
The Watchのギタリストを中心に立ち上げたバンドで、サウンドはやわらかなフルートが鳴り響き、
マンドリンの素朴なつまびきにチェロの音色、そして女性ヴォーカルの優しげな歌声で聴かせる、
中世を思わせる古楽的なフォークサウンド。2〜4分の小曲が主体であるが、オルガンなどを含む
うっすらとしたシンセアレンジも入ってきて、素朴なシンフォニックロックとしても楽しめる。
女性ヴォーカルが上手すぎないところも、かえってマイナーな可愛らしさが感じられてよいですな。
優雅な耳心地良さが素敵な味わいで、古楽的な女性声のフォーク風プログレという逸品だ。
優雅度・・8 プログレ度・・7 女性Vo度・・7 総合・・7.5
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Reverie 「Revado」
イタリアのプログレフォークロック、レヴェリーの2011年作
今作は「ESPERANTO」、「ITALIANO」とテーマ別に分けられたCD2枚組で、
Disc1では、アコースティック楽器を主体にした、バルカン、中近東風味の異国的な作風。
おそらくエスペラント語とイタリア語による女性ヴォーカルの歌声と、クラシックギターにマンドリン
やわらかなフルートやクラリネットなどの音色も含んだ、民族色豊かなサウンドを描いてゆく。
ヴォーカル嬢の表現力もぐっと増していて、ときにアニー・ハズラムを思わせる歌声がいいですね。
Disc2の方は、よりイタリア的な叙情性を感じさせ、美しい女性声とともにうっとりとなる。
民族度・・8 プログレ度・・7 女性Vo度・・8 総合・・8
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Reverie 「Gnos Furlanis」
イタリアのプログレフォーク、レヴェリーの2015年作
うっすらとしたシンセに包まれて、クラリネットの音色にマンドリンの素朴な響き、
優美なフルートに女性ヴォーカルの歌声を乗せた、シンフォニックなフォークロック。
小曲を連ねたコンセプト的な作風で、美しい女性声を乗せたクラシカルな優雅さと
ときにキャッチーでやわらかな聴き心地は、Renaissanceあたりに通じる感触もある。
イタリア語の響きも牧歌的な美しさによくマッチしていて、随所に叙情的なギターも加わって、
幻想的でシンフォニックなプログレとしても楽しめる。繊細な美意識に彩られた好作品だ。
ドラマティック度・・8 優雅度・・9 女性Vo度・・8 総合・・8 
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Riccardo Cocciante 「Mu」
イタリアのアーティスト、リカルド・コッチャンテの1972作
カンタウトーレのシンガーとして知られるが、このデビュー作はプログレ色が高い傑作として名高い。
ピアノやオルガン、ムーグ、メロトロンといったシンセをたっぷりと使って
歌ものとしての牧歌性にプログレ的な濃密さを加味したサウンドを聴かせる。
カンタウトーレ的なアコースティカルな叙情にときに美しいコーラスワークもまじり、
情熱的なコッチャンテの歌声にメロトロンの音色がかぶさると、なかなか感動的だ。
参加メンバーにはPaolo Rustichelliの名もあり、さすがのシンセワークを響かせている。
メロディアス度・・8 プログレ度・・7 イタリア度・・9 総合・・8
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Riccardo Cocciante 「Anima」
イタリアのカンタウトーレ、リカルド・コッチャンテの1974年作
1972年のデビュー作「Mu」はプログレッシブな香りに包まれた傑作であったが、
本作もジャケこそポップな雰囲気だが、アコースティックギターに美しシンセが重なり、
味わいのあるイタリア語のヴォーカルを乗せた、叙情的なサウンドが楽しめる。
ストリングスによるシンフォニックな味わいと、熱情のこもった歌声はときにガナり声にまでなって、
いかにもイタリアらしい濃厚な雰囲気をかもしだす。基本は素朴な牧歌性の歌ものアルバムで、
プログレとしては前作ほどの魅力はないが、情熱的なイタリアン・カンタウトーレの力作である。
シンフォニック度・・7 プログレ度・・7 イタリア度・・9 総合・・7.5
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Riccardo Cocciante 「Concerto Per Margherita」
イタリアのカンタウトーレ、リカルド・コッチャンテの1976年作
印象的な美しいジャケに包まれた本作は、サウンドの方も優美なシンセにピアノが重なり、
イタリア語の歌声を乗せた繊細な聴き心地。クラシカルでシンフォニックな質感に、
ドラマティックな盛り上がりも含めてプログレファンにも十分楽しめる出来である。
情熱的な歌声も前作ほど力みすぎず、あくまで大人の叙情性が前に出ていて、
全体的にもじっくりと鑑賞できる。ストリングスやシンセによる壮麗なアレンジも素晴らしい。
シンフォニック度・・8 プログレ度・・7 イタリア度・・9 総合・・8
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Riccardo Cocciante 「Cervo a Peimavera」
イタリアのカンタウトーレ、リカルド・コッチャンテの1980年作
今作はジャケからして普通というか自然体なのだが、サウンドの方はアコースティックギターに
シンセによるアレンジやドラムなどを加えた、80年代らしいモダンなポップ性も覗かせた作風。
自然体の歌ものという感じではあるが、随所にストリングスによるアレンジもあって、
ポップ過ぎない叙情性も残している。プログレとして楽しめる部分はあまりないが、
イタリアを代表するカンタウトーレの80年代の好作品と言ってよいとは思う。
キャッチー度・・8 プログレ度・・6 イタリア度・・8 総合・・7.5
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RICCARDO ROMANO LAND 「B612」
イタリアのミュージシャン、リカルド・ロマノによるプロジェクト。の2018年作
RANESTRANESteve Rothery BANDなどで活躍するシンセ奏者のソロで、
フランス文学の名作「The Little Prince(星の王子さま)」をコンセプトにしたロックオペラ作品。
MARILLIONのスティーブ・ロザリーや、スティーブ・ホガースをはじめ、RANESTRANEのメンバーも参加。
美しいシンセにピアノ、フランス語の語りによるイントロから、マイルドなヴォーカルを乗せて繊細な叙情を描く。
メロウなギターの旋律にシンセを重ね、マリリオンにも通じるやわらかな聴き心地に、ときに女性ヴォーカルも含んだ
配役ごとの5人のVoの歌声で、ストーリーをつむぐようにゆるやかに盛り上がる。優美なシンフォニックロックが楽しめる逸品です。
ドラマティック度・・8  プログレ度・・7 優美度・・9 総合・・8
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RICCARDO ROMANO LAND 「SPECTRUM」
イタリアのミュージシャン、リカルド・ロマノによるプロジェクト。2022年作
RANESTRANEのシンセ奏者でもあるミュージシャンで、ソロとしては2017年作に続く2作目となる。
芸術家の人生を描くようなコンセプト作で、優美なシンセワークにマイルドな歌声を乗せて、しっとりとした叙情に包まれた
繊細なシンフォニックロックを展開。MARILLIONのスティーブ・ロザリーがゲスト参加、随所にメロウな泣きのギターフレーズや、
エモーショナルのヴォーカルの表現力も見事で、シンフォニックなシンセとともにじわじわと楽曲を盛り上げてゆところは、
マリリオンなどのファンにも楽しめるだろう。流れるような組曲方式で、繊細なドラマ性を描くように楽曲を連ねてゆく。
ドラマティック度・8 プログレ度・7 優美度・9 総合・8.5 
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Risonanza Magnetica 「Andante」
イタリアのジャズロック、リゾナンツァ・マグネティカの2009年作
軽やかなピアノにサックスが絡み、コケティッシュな女性ヴォーカルを乗せた優雅なジャズロック。
ギターなどは入らないので、全体的にロック感触は薄めで、大人のジャズ寄りの作風であるが、
英語やイタリア語、フランス語を使い分けるキュートな女性声は魅力的で、軽妙なアンサンブルに
ピアノにオルガンなども加えた、肩の力を抜いてワインでも片手にして楽しめるようなサウンドだ。
プログレ的な部分はあまりないが、美しい女性ヴォーカルとともにしっとりと聴かせる好作品。
ジャズ度・8 ロック度・5 女性Vo度・8 総合・7.5
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Rohmer
イタリアのシンフォニックユニット、ロメールの2008年作
Finisteree、Hostsonatenなどで活躍する、ファビオ・ズッファンティによるユニットで、
しっとりとしたピアノとシンセに包まれて、やわらかなフルートの音色、
デジタル風味のアレンジも含ませつつ、あくまでやわらかで繊細な叙情美…
ときにヴィオラの響きも絡ませつつ、フュージョン的なギターのメロディアスさも加わって
じつに美しい、うっとりとするようなサウンドを描いている。大人の癒し系シンフォニック作品。
22分におよぶラスト曲では、シリアスな空間美で聴かせるチェンバー風味も覗かせる。
シンフォニック度・・8 プログレ度・・7 しっとり繊細度・・9 総合・・8
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The Rome Pro(g)ject
イタリアのシンフォニックロック、ロ−マ・プログジェクトの2012年作
シンセ奏者、Vincenzo Riccaを中心にしたプロジェクトで、ローマ帝国の興亡をテーマにした作品。
イタリア語の語りを挟みつつ、ムーグシンセやオルガンを含んだやわらかなキーボードアレンジに
メロウな叙情ギターが重なる、GENESISルーツのロマンティックなシンフォニックロック。
12弦ギターの優雅な感触にヴァイオリンやフルートの音色も心地よく、インストを主体にした耳心地の良いサウンドである。
BANCOのフランシス・ジャコモをはじめ、スティーヴ・ハケット、ジョン・ハケット兄弟、元CARAVANのリチャード・シンクレア、
ニック・マグナス、元KING CRIMSONのデヴィッド・クロス、元V.D.G.G.のデヴィッド・ジャクソンなど豪華ゲストが参加。
シンフォニック度・・8 優雅度・・9 イタリア度・・8 総合・・8
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The Rome Pro(G)Ject 「Of Fate And Glory」
イタリアのシンフォニックロック、ローマ・プログジェクトの2016年作
本作は2作目で、古代ローマをテーマにしたアルバム。シンセ奏者のヴィンセンツォ・リッカを中心に、スティーブ・ハケット、
デヴィッド・ジャクソン、ビリー・シャーウッドらが参加。美しいシンセとメロウなギター、女性声の語りによるイントロ曲から
ロマンの香りに包まれ、ムーグを含むきらびやかなシンセと叙情的なギターの旋律を重ねたシンフォプログレを展開。
13分という大曲も、メロトロンなどの優美なシンセをメインに、ゆったりと優雅な聴き心地で、サックスやフルートが鳴り響く
軽妙なアンサンブルのナンバーはいかにも往年のイタリアンロック的である。泣きとギター&美麗シンセのシンフォプログレです。
ドラマティック度・8 プログレ度・8 優美度・9 総合・8 
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The Rome Pro(g)ject 「Exegi Monumentum Aere Perennius」
イタリアのシンフォニックロック、ローマ・プロ(グ)ジェクトの2017年作
シンセ奏者、ヴィンセンツォ・リカを中心にしたプロジェクトで、ニック・マグナスによるたおやかなピアノのイントロから、
スティーブ・ハケットのメロウなギターにジョン・ハケットのやわらかなフルートが重なる、繊細で優美なサウンドを聴かせる。
メロトロンやムーグの音色を含む美しいシンセとともに、ロマンの香りに包まれた優雅な味わいで、
オールインストによるシンフォニックロックを展開。デビッド・ジャクソン(元VDGG)、デヴィッド・クロスらもゲスト参加、
ヴァイオリンが美しい故ジョン・ウェットンに捧げたナンバーや、キース・エマーソンに捧げるナンバーもあり、
ボーナストラックには、故フランチェスコ・ディ・ジャコモ(BABCO)に捧げるナンバーを、本人の語りとともに収録。涙
シンフォニック度・・8 プログレ度・・7 優美度・・9 総合・・8
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The Rome Pro(G)Ject 「IV Beaten Paths Different Ways」
イタリアのシンフォニックロック、ローマ・プロ・グ・ジェクトの2020年作
シンセ奏者のヴィンセンツォ・リッカによる古代ローマをテーマにしたプロジェクトで、2012年にデビュー、本作は4作目となる。
スティーブ・ハケット、ニック・マグナス、デヴィッド・ジャクソン、ビリー・シャーウッド、リチャード・シンクレアなどがゲスト参加、
メロウなギターにオルガンやムーグなどのきらびやかなシンセワークを重ねた、美麗なシンフォプログレを展開する。
ベルナルド・ランツェッティ(Acqua Fragile)の渋い歌声を乗せたナンバーや、故フランチェスコ・ジャコモ(Banco)のイタリア語の語りなどは、
イタプロファンには嬉しいし、リチャード・シンクレアが参加したナンバーはやわらかなフルートの音色など、どことなくカンタベリー風だったり、
デヴッィド・クロスのヴァイオリンが艶やかなナンバーなど、未発曲と、過去曲のリアンジが主体であるが、充実の内容である。
ドラマティック度・7 プログレ度・8 優美度・9 総合・8 
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ROSENKREUTZ 「Back to the Stars」
イタリアのプログレバンド、ローゼンクロイツの2014年作
美麗なシンセアレンジに適度にハードなギターと、知的でテクニカルな構築美で聴かせる、
クオリティの高いハードプログレサウンド。ヴォーカルは英語なので、さほどイタリア臭さはなく
むしろかつてのU.K.やIt Bitesなどを思わせるような、メジャー感を漂わせた堂々たる作風である。
オルガンやムーグを含んだシンセワークなどはいかにも往年のプログレらしいのであるが、
キャッチーなコーラスワークなど、しっかりとしたメロディアス性と骨太のロック感触が巧みに融合していて
プログレになじみのないメロハー系のリスナーや、ASIAやU.K.などメジャーなバンドしか聴かないという方でも
ちゃんと楽しめるだろう。ラストは17分の大曲で、ダイナミックな展開力が素晴らしい。これぞ新時代プログレの傑作。
メロティック度・・8 プログレ度・・8 楽曲センス・・9 総合・・8.5
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Rosenkreutz 「Divide Et Impera」
イタリアのプログレバンド、ローゼンクロイツの2020年作
2014年にデビューし、2作目となる。女性ヴィオラ奏者を加えた6人編成となり、美麗なシンセにギターを重ねた導入から、
きらびやかなシンフォニックロックの感触が広がり、英語によるマイルドなヴォーカルとともに優雅なサウンドを展開。
キャッチーなメロディアス性と軽快なアンサンブル、随所にストリングスアレンジを加えたクラシカルな美意識に、
オルガンなどのヴィンテージな感触や、ほどよくエッジの効いたギターワークにもセンスを感じさせる。曲によっては
エレクトロなアレンジやアコースティックパートも覗かせ、プログレハード的なナンバーや、ラストの15分の大曲も圧巻だ。
現在形のシンフォプログレとしては、BAROCK PROJECTなどにもひけをとらない、じつに高品質な作品です。
メロディック度・8 プログレ度・8 優雅度・9 総合・8.5 
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IL ROVESCIO DELLA MEDAGLIA「IO COME IO」
イタリアのハードプログレバンドRDMこと、ロヴェッショ・デッラ・メダーリャの2nd。1972作/邦題は「我思う故に」。
RDMといえば、まずは次作の「汚染された世界」の華麗なクラシカルサウンドが思い出されるが、
基本的には彼らはハードロック寄りのバンドであって、この2ndにしても次作のシンフォニックな要素はなく、
比較的シンプルなバンドサウンドとなっている。プログレというよりはやはりハードロック的な感触で、
当時にしてはヘヴィめのギターが、ときにブルージーに鳴り響く。演奏もけっこうラフな感じなので、
3rdのイメージで聴くと肩すかしをくらう。再現されたメダル入りのジャケは見事だが。
メロディアス度・・7 プログレ度・・6 ハードロック度・・8 総合・・7

IL ROVESCIO DELLA MEDAGLIA 「Contaminazione」
イタリアのプログレバンド、RDMことロベッショ・デッラ・メダーリャの1973作
「汚染された世界」と題された本作は、このバンドのキャリアの中でも異色ともいうべき壮麗なクラシカル作品となっている。
ルイス・エンリケス・バカロフをプロデューサーに迎えバッハの曲をモチーフに、オーケストラを大胆に取り入れたサウンドは華麗にして濃厚。
きらびやかなシンセに典雅に鳴り響くチェンバロ、躍動するリズムと泣きのストリングス、そこにイタリア語の歌唱が濃密に合わさり、
感動的に盛り上げてゆく。まさにイタリアからしか出て来ないバロックな美学を貫いた傑作である。
クラシカル度・・9 プログレ度・・8 イタリア度・・9 総合・・9
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RDM 「Contamination」
イタリアのプログレバンド、RDMことロベッショ・デッラ・メダーリャの1975年作
名作「Contaminazione」の英語盤で、オーケストラルな壮麗さとイタリアらしい躍動感あふれるサウンドが融合した
ダイナミックなクラシカルプログレが楽しめる。イタリア語の濃密さに比べると、英語の歌声は、いくぶんスタイリッシュで
人によってはこちらの方が聴きやすいかもしれない。艶やかなストリングスの美しさは、ニュートロルスの「コンチェルト・グロッソ」ばりだ。
クラシカル度・・9 プログレ度・・8 イタリア度・・8 総合・・8.5
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Il Rovescio Della Medaglia 「Microstorie」
イタリアンロックバンド、ロベッショ・デッラ・メダーリャの2011年作
RDMといえば、1973年の傑作「汚染された世界」が名高いが、むしろあれは異色作であって、
彼らの本質はブルージーな色合いのロックなのである。本作は1993年の復活から8年ぶりとなる作品で
新たにロベルト・ティランティ(NEW TROLLS〜Labyrinth)をヴォーカルに迎え、イタリア語の伸びやかな歌声とともに、
キャッチーな質感も含んだ大人の叙情ロックを聴かせてくれる。ファンキーなポップさやしっとりとした歌ものなど、
美しいシンセアレンジとセンスあるギターワークも含めて、アダルトな味わいのある好作品に仕上がっています。
メロディック度・・8 プログレ度・・7 イタリア度・・8 総合・・7.5



Il Rovescio Della Medaglia 「汚染された世界2013〜ライヴ・アット・クラブ・チッタ」
イタリアのプログレバンド、ロベッショ・デッラ・メダーリャのライブ。2013年作
2013年の来日公演を収録したオフィシャル・ブートレッグ。5人のメンバーを基本に、日本人のストリングス隊を加え、
1973年の名作「汚染された世界」を完全再現したステージを披露。適度にハードなギターにオルガン、ムーグを含むシンセ、
艶やかなヴァイオリンが鳴り響くクラシカルな優雅さとともに、かつてのイタリアンロックの壮麗なダイナミズムが広がる。
ヴォーカルのマイクがいくぶんこもり気味であるが、むしろ手を加えないライブ音源ならではの臨場感に包まれている。
細かな部分での粗さは置いておき、40年の時を経て日本の地で名作が再現されたという感動を閉じ込めた1枚であろう。
ライブ演奏・・8 音質・・7 名作再現度・・8 総合・・8 
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Il Rovescio Della Medaglia 「Tribal Domestic」
イタリアンロックバンド、ロヴェッショ・デッラ・メダーリャの2016年作
1971年にデビュー、2011年の復活作以来、5年ぶりの作品で、のっけから15分という組曲で幕を開ける。
艶やかなストリングスに流麗なギターが絡み、クラシカルな優雅さとヴィンテージなロックが融合、
オリジナルギタリストであるエンツォ・ヴィタのギタープレイをたっぷり盛り込んだ、ハード・シンフォニックロックを展開。
オルガンやメロトロンなどのシンセに、ピノ・ヴァラリーニによるイタリア語の伸びやかなヴォーカルも加わり、
クラシカルなオーケストラパートを含むダイナミックな構築力が素晴らしい。2曲目からは、初期のRDMを受け継いだ
70年代ハードロック風味の作風ながら、巧みなギターにオルガンを重ねたベテランらしい濃密なイタリアンロックである。
クラシカル度・8 プログレ度・7 イタリア度・8 総合・8 
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Rovescio Della Medaglia 「Contaminazione 2.0」
イタリアのプログレバンド、ロヴェッショ・デッラ・メダーリャの2020年作
RDMによる、1973年の傑作、3rd「汚染された世界」を完全再現した2018年シエーナでのライブを収録。
オリジナルメンバーはギターのエンツォ・ヴィータのみであるが、ツインギター、ツインキーボードの編成に
ストリングスカルテットも加え、クラシカルなシンフォニックロックをさらにダイナミックに甦らせている。
優美なピアノにエモーショナルなイタリア語のヴォーカル、オルガンなどのシンセにギターを重ね、
軽やかなアンサンブルとともに、バッハの楽曲をモチーフにした優雅なシンフォプログレを聴かせる。
艶やかなストリングスにウットリとなりつつ、フルートも鳴り響くイタリアンプログレらしさも含んだ、
見事な再現ライブが味わえる。ボーナスに、1st「La Bibbia」からの3曲を収録しているのもファンには嬉しい。
ライブ演奏・8 プログレ度・8 クラシカル度・8 総合・8 
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Rovescio Della Medaglia 「La Bibbia: 50th Anniversary」
イタリアンロックバンド、RDMこと、ロヴェッショ・デッラ・メダーリャの2021年作
1971年のデビュー作を、50周年記念でリメイク。オルガンやムーグシンセにハードなギターを重ね、
イタリア語による朗々としたヴォーカルを乗せた、ブルージーなイタリアンロックを聴かせる。
「CONTAMINAZIONE 2.0」のメンバーを中心に、オリジナルメンバーはギターのエンツォ・ヴィータのみであるが、
往年の雰囲気をしっかりと描きつつ、シンセアレンジを加えた分、オリジナルよりもプログレらしい味わいで楽しめる。
クラシカルなピアノパートを含むラスト曲も美しい。ボーナストラックに英語バージョンの3曲を収録。
ドラマティック度・7 プログレ度・7 イタリア度・8 総合・8 
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Il Rumore Bianco 「Antropocene」
イタリアのプログレバンド、イル・ルモーレ・ビアンコの2016年作
いくぶんハードなギターに、ピアノやオルガン、イタリア語のヴォーカルを乗せて、
モダンなスタイリッシュ性と古き良きイタリアンロックを融合させたというサウンド。
タイトなアンサンブルの中にも、イタリアらしい混沌としたミステリアスな味わいも残していて、
優雅なピアノにサックスが重なるジャズロック風味や、しっとりとした叙情を描くパートもあったり、
楽曲ごとのアレンジセンスもなかなかのもの。まさに新世代のイタリアンプログレというべき好作品。
メロディック度・・7 プログレ度・・8 イタリア度・・8 総合・・8
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Runaway Totem 「Andromeda」
イタリアのハードプログレ、ランナウェイ・トーテムの1999年作
80年代から活動するキャリアのあるバンドながら、知名度は皆無という、まさにマニア向けバンド。
スペイシーなシンセが鳴り響き、ややメタル的なギターに男性ヴォーカルがイタリア語の歌を乗せる
なんとも怪しげなサイケ・ハードという趣のサウンド。随所にオルガンを鳴り響かせつつ、
10分前後の大曲をメインに、カルトでアンダーグラウンドな世界観を描いてゆく、異色のスタイルである。
不気味な重厚さが味わえる力作だが、個人的にはここに女性声が入って来て欲しいのが正直なところ。
ドラマティック度・・7 重厚度・・8 怪しげ度・・8 総合・・7.5
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Runaway Totem 「Tep Zepi」
イタリアのハードプログレ、ランナウェイ・トーテムの2002年作
80年代から活動するキャリアのあるバンドで、うっすらとしたシンセに朗々としたヴォーカルを乗せ
秘術的な妖しい気配を漂わせたカルトな世界観。ハードめのギターにオルガンなどのシンセと
イタリア語によるオペラティックな男性ヴォーカルの歌声が重なるなかなか濃密な味わいで、
イタリアらしい大仰なサウンドが楽しめる。インストパートではプログレらしい展開力も覗かせ、
11分の大曲や3パートに分かれた17分の組曲など、本作はよりドラマティックな仕上がりである。
妖しく耽美な世界観に包まれた、いわば「ハードになったJACULA」という雰囲気の力作だ。
ドラマティック度・・8 プログレ度・・7 カルトで大仰度・・9 総合・・7.5
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RUNAWAY TOTEM 「Ai Cancelli Dell'Ombra」
イタリアのハードプログレ、ランナウェイ・トーテムのライブ作品。2010年作
80年代から活動する、知る人ぞ知るカルトバンドの1994年のライブ音源を収録、
JACULAを思わせるイタリア語の怪しげな語りから、ノイジーなギターが響き渡り、
女性ヴォーカルの魔女めいた歌声が乗る、異色のハードプログレが展開される。
同郷のPresenceあたりにも通じる雰囲気であるが、よりエキセントリックな香りが漂っていて、
音質の悪さも手伝ってか、秘教的なカルト感がぷんぷんである。ラストは17分の大曲で、
オペラティックな女性声パートなどを含めて、アヴァンギャルドな展開がなかなか楽しい。
ドラマティック度・・7 音質・・6 妖しさ度・・8 総合・・7.5
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SAINT JUSTSaint Just
イタリアのプログレ・フォークバンド、サン・ジュストの1st。1973作
クラシカルなピアノ、アコースティックギターなどの素朴なカンタウトーレ風味と
前衛的な鋭さが同居したサウンドに、アラン・ソレンティの妹であるジェニーの美声が響く。
ジャケの雰囲気も合わさって、OPUS AVANTRAにも通じる芸術性があり、
ジェニーの歌声も時にエキセントリックな狂気を垣間見せるが、
楽曲自体にはどこか牧歌的な聴きやすさがあり、決して難解ではない。
ミステリアスなRENAISSANCEという雰囲気もあり、繊細で素朴な音色を堪能できる。
イタリアの女性Voものとしては指折りの作品であると言えるだろう。
メロディアス度・・7 プログレ度・・7 女性Vo度・・8 総合・・8
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SAINT JUST「la casa del lago」
イタリアのプログレ・フォークバンド、サン・ジュストの2nd。1974年作。邦題は「湖畔の家」
前作よりもバンドとしての音になり、フォーク的な聴きやすさが増している。
アニー・ハズラム+ケイト・ブッシュといった声質のジェーン・ソレンティの歌声を中心に、
ヴァイオリンにアコギ、サックス、それにプログレ的なシンセが加わったサウンドは、
幻想的なイタリアンロックとしての側面と、素朴なアシッドフォークの質感を併せ持っている。
ミステリアスな静けさと狂気では前作だが、全体としてのまとまりの良さでは本作をとりたい。
メロディアス度・・8 プログレ度・・7 女性Vo度・・8 総合・・8
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Sailor Free 「Spiritual Revolution」
イタリアのプログレバンド、セイラー・フリーの2012年作
1994年作以来となる18年ぶりのアルバムで、トールキンの「シルマリルの物語」をコンセプトにした作品。
メロトロンやムーグを含むシンセにピアノ、適度にハードなギターを乗せたオールドロックの感触に、
フルートやフィドルの音色を含む、素朴なトラッド風味も感じさせる。ヴォーカルは英語なので
イタリア的な雰囲気は薄めで、楽曲自体はわりとシンプルなのでプログレ的な展開力というよりは、、
むしろサイケハードというようなノリと浮遊感もある。全体的には盛り上がりどころの少なさや、
楽曲そのもののインパクトの弱さから、どうに中途半端な印象なのが惜しい。
ドラマティック度・・7 プログレ度・・7 楽曲・・7 総合・・7
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SAMADHI
イタリアのプログレバンド、サマディの1974年作
1972年に1作のみを残して消えたRACCOMANDATA RICEVUTA RITORNOを母体にしたバンドで、
アコースティックギターにオルガンが鳴り響き、マイルドなイタリア語のヴォーカルを乗せた牧歌的なサウンド。
RRRの混沌としたイタリアらしさに比べて、こちらは優雅な叙情性を前に出した聴き心地で、
クラシカルなハープシコードにピアノ、そしてストリングスによるアレンジを含んだクラシカルな感触は、
NEW TROLLSを思わせるところもある。随所にメロウなギターも乗せた、シンフォニックロック的な味わいに
曲によってはサックスなどブラスパートを取り入れたアレンジセンスも見事。イタリアンロックの隠れた好作品だ。
メロディック度・・8 イタリア度・・9 優雅な叙情度・・9 総合・・8
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SANGIULIANO 「TAKE OFF」
イタリアのキーボーディスト、アントニオ・サンジュリアーノの1978作
繊細なピアノとスペイシーなキーボードによるシンフォサウンド。
ロック的な要素は希薄で、ジャーマンエレクトロ系バンドにも通じる印象があるが、
こちらはよりイタリアらしくメロディや雰囲気がもっとクラシカル。
おそらく当時の最先端をゆく多重録音は、広がりのある音空間を作り出しており、
女性スキャットやティンパニなども効果的に使われていて、キーボードプログレが苦手でも最後まで聴ける。
ただいくらLP時代とはいえ全3曲32分という短さは少し物足りないか。
シンフォニック度・・8 ロック度・・2 キーボー度・・9 総合・・7
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Sarastro Blake
「New Progmantics」
イタリアのプログレバンド、サラストロ・ブレイクの2013年作
MOGADORのメンバーを中心にしたバンドで、オルガンなどを含んだ美しいシンセにピアノ、
叙情的なギターメロディにやわらかなフルートも鳴り響く、繊細な美意識に包まれたサウンド。
キャッチーなヴォーカルメロディも耳心地が良く、歌詞は英語なのでイタリアらしさはさほど感じない。
10分を超える大曲もあれば、アコースティックな小曲もあって、ジェネシスやアンソニー・フィリップスのように、
リリカルな幻想美を描くような聴き心地は、タイトルのようにプログレへの愛とロマンに溢れている。
ラファエル前派の画家、レイトンのジャケや、裏ジャケにはウォーターハウスという趣味もいいですね。
リック・ウェイクマン、ニック・マグナス、リチャード・シンクレア、ビリー・シャーウッドなどがゲスト参加。
メロディック度・・8 プログレ度・・8 ロマンと美意識度・・9 総合・・8
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Scherani「Everybody's Waiting」
HOSTSONATENのシンセ奏者、ルカ・スケラーニのソロ。2012年作
美麗なシンセワークに、繊細なピアノやフルートの音色、艶やかなストリングスも加わった
じつに優雅なサウンド。女性ヴォーカルによるイタリア語の歌声も美しく、
クラシカルな美意識に包まれた楽曲には、うっとりとなって聴き入れる。
一方では、プログレとしての芸術性もしっかりと感じさせる構築センスも見事ですな。傑作。
シンフォニック度・・8 クラシカル度・・8 繊細度・・9 総合・・8
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Secret Tales 「L'Antico Regno」
イタリアのシンフォニックロック、シークレット・テイルズの2014年作
メロウなギターと美しいシンセアレンジ、そしてやわらかな女性ヴォーカルの歌声で聴かせる
幻想的な雰囲気に包まれたサウンド。ファンタジックなストーリーに基づいた作品のようで、
1、2分の小曲を挿入し、ときにアコースティックな牧歌性に包まれたフォーク風味もありつつ
ときにツーバスのドラムとハードなギターが入ってくるなど、案外に振り幅の広い作風となっている。
いかにもBlack Widowレーベルらしい垢抜けなさも、マイナー好きにはたまらないかもしれない。
ときに語りやスキャットなどを含んだイタリア語の女性ヴォーカルも、そのヘタウマ感が魅力ですな。
ドラマティック度・・8 プログレ度・・7 幻想度・・8 総合・・7.5
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IL SEGNO DEL COMANDO 「Der Golem」
イタリアのプログレバンド、イル・セーニョ・デル・コマンドの2004年作
レーベルがBlack Widowということもあって、ゴシック的な香りのダークな世界観と
シアトリカルな妖しさをぷんぷん漂わせたサウンド。バリトンオペラ調のヴォーカルは、
日本のOUTER LIMITSなども思わせ、美しいシンセワークとハードなギターも含めた
怪しいヘヴィシンフォニックを展開する。クラシカルなシンセが前に出るところは、
IL BALLETTO DI BRONZOにも通じるような雰囲気で、ときにギターも叙情的なメロディを奏でつつ、
ツーバスのドラムとともにまとわりつくような濃密な味わいだ。怪しげヘヴィシンフォの力作。
ドラマティック度・・8 濃密度・・8 イタリア度・・9 総合・・7.5
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Il Segno Del Comando 「Il Volto Verde」
イタリアのプログレバンド、イル・セーニョ・デル・コマンドの2013年作
90年代から活動するバンドで、本作は9年ぶりとなる3作目となる。オルガンが鳴り響き、
70年代的なファズギターに、妖しげな女性ヴォーカルの歌声を乗せたサウンドは、
いかにもBlack Widowレーベルらしいシアトリカルかつホラーな世界観を感じさせる。
ややこもり気味の音質も怪しい空気感でよいですな。サイケ要素も含んだ魔女系プログレの力作。
GOBLIN/DAEMONIAのクラウディオ・シモネッティ、IL BALETTO DI BRONZOのジャンニ・レオーネ
さらにはPRESENCEのソフィア・バッチーニなどがゲスト参加。
ドラマティック度・・8 妖しげ度・・9 イタリア度・・9 総合・・8
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Il Segno Del Comando 「L'Incanto Dello Zero」
イタリアのプログレバンド、イル・セーニョ・デル・コマンドの2018年作
1997年にデビュー、本作は5年ぶりとなる4作目。オルガンを含むシンセに、ジェントルなヴォーカルを乗せ、
イル・バレの「Ys」にも通じる耽美な世界観に包まれた、イタリアらしいハードプログレを聴かせる。
ときにツインキーボードやツインギターにもなる厚みのあるバックに朗々としたイタリア語の歌声で、
70年代ハードロックルーツのアナログ感と、ダークな翳りを含んだ濃密な世界観を描いてゆく。
女性ヴォーカルを加えたナンバーは、ヴィンテージな魔女系ロックの味わいでも楽しめる。
ドラマティック度・・8 プログレ度・・7 イタリア度・・9 総合・・8 
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SEMIRAMIS「Dedicato a Frazz」
イタリアのプログレバンド、セミラミスの1973年作
古代バビロニアの女王の名を冠したバンド名とこのインパクトあるジャケで、
ムゼオやビリエットなどと並んでディープなイタリアンロックファンから人気の作品。
オルガンやメロトロンを含んだ美しいシンセワークと、イタリア語による歌声にギターが重なり、
OSANNAなどにも通じる妖しく神秘的な世界観のプログレサウンドを聴かせる。
楽曲は5分前後と当時のイタリアンロックにしてはまとまっていて、案外聴きやすい。
哀愁を感じさせるギターのメロディも随所に効いていて、イメージよりもずっと叙情派の傑作です。
ドラマティック度・・8 プログレ度・・8 イタリア度・・9 総合・・8
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Semiramis 「Frazz Live」
イタリアのプログレバンド、セミラミスのライブ作品。2017年作
1973年作「DEDICATO A FRAZZ」を完全再現した、2017年にジェノヴァで行われたライブをCD+DVDに収録。
かつてのオリジナルメンバー3人を含む、ツインキーボードの6人編成で、やわらかなシンセに叙情的なギター、
イタリア語の味わいのあるヴォーカルとともに、「フラッツに捧ぐ」の翳りを帯びたサウンドと世界観が再現される。
新加入のヴィト・アルディトの歌声も非常にマッチしていて、厚みのあるインストパートとの緩急ある展開で、
妖しくシアトリカルな古き良きイタリアンプログレを構築する。往年以上の躍動感のある演奏が素晴らしい。
ライブは70分ほどで、CDのボーナストラックにスタジオライブの新曲を収録。DVDにはインタビューが収録されている。
なお本作公演後、シンセのマウリツィオ・ザッリーロが急逝したことから、本作が最後のステージ映像となった。
ライブ演奏・・8 フラッツ再現度・・8 イタリアンプログ度・・9 総合・・8 
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SENSITIVA IMMAGINE「E TUTTO COMINCIO COSI...」
イタリアのシンフォニックプログレ、センシティーヴァ・イッマージネの1980年作
元は自主制作カセット作品を、「創世伝説」というタイトルで日本のエジソンとマーキーが合同でCD化。
ジャケットからして特殊紙ジャケの豪華仕様。かつてはは中古でも\3000以上の値がついていた。
こうした幻の発掘作品をCD化させていた当時のマニアックなプログレ熱がうかがえる。
肝心のサウンドの方は、GENESIS系のシンフォニックロックで、ムーグを含む美麗なシンセワークに、
繊細なタッチのギタートーンが重なる、ロマンティックな叙情美に包まれている。インストパートをメインにしつつ
マイルドなイタリア語のヴォーカルも加わって、新鮮なインパクトこそないが優美な味わいに浸れます。
1作のみで消えたのが惜しまれる、まさに幻のイタリアンプログレ作品である。
シンフォニック度・・7 繊細度・・8 イタリア度・・8 総合・・7.5
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Senza Nome
イタリアのプログレバンド、センツァ・ノーメの2008年作
シンセを含む若手の5人組で、叙情的なギタートンーンと美しいシンセワークに、
アコースティカルなやわらかさとイタリア語の優しげなヴォーカルを乗せたサウンド。
ムーグシンセなどの古き良きイタリアンプログレのテイストも含ませながら、
ときに新鋭らしいハードエッジな展開力も垣間見せつつ、12分の組曲を描いてゆく。
BANCOを思わせるクラシカルな濃密さとゆるやかな繊細さが同居していて、
ダイナミックな構築センスはなかなかのもの。切れ味と勢いのある期待の新鋭です。
メロディック度・・8 プログレ度・・8 イタリア度・・8 総合・・8
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SEZIONE FRENANTE 「Metafora Di Un Viaggio」
イタリアのプログレバント、セジオネ・フレナンテの2014年作
70年代に結成されながら、アルバムを残さずに消えたバンドが数十年を経て復活、
「神曲」で知られる詩人、ダンテをテーマにしたコンセプトアルバムで、適度にハードなギターに
オルガンを含むシンセが絡み、イタリア語のヴォーカルを乗せた、古き良き味わいのプログレサウンド。
いくぶんもったりとしたアンサンブルやテクニック的には正直、B級臭さはあるのだが、
叙情的なギターフレーズやリリカルなピアノなど、泣きのメロディアス性はよい感じで、
哀愁を帯びたロマンティシズムと、イタリアらしいやわらかな牧歌性に包まれた好作です。
メロディック度・・8 プログレ度・・8 イタリア度・・8 総合・・7.5
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Sezione Frenante 「Nuove Dimensioni」
イタリアのプログレバンド、セツィオーネ・フレナンテの2019年作
5年ぶりとなる2作目で、ムーグを含むきらびやかなシンセにメロウなギターを重ねた、
キャッチーで軽快なノリのナンバーから始まりつつ、オルガンが鳴り響き、イタリア語によるヴォーカルを乗せた
ヴィンテージな感触のイタリアンプログレを展開。ゲストによるフルートやチェロを加えた優美な叙情性とともに、
いくぶん枯れた味わいの、大人の哀愁を含んだ世界観で、10分を超える大曲もじっくりと聴かせる。
ややオヤジ臭い歌声は好みを分けるところだが、濃密に歌い上げるところなどは、いかにもイタリアらしく、
いくぶん野暮ったい演奏も含めてわりと味になっている。オヤジ系イタリアンシンフォの好作品です。
ドラマティック度・・7 プログレ度・・7 イタリア度・・9 総合・・7.5 
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Silver Key 「In the Land of Dreams」
イタリアのシンフォニックロック、シルヴァー・キーの2012年作
イタリアのバンドにしては珍しい英国ポンプロックルーツのシンフォニックロックで、
きらびやかなシンセと英語によるマイルドなヴォーカルで、キャッチーなサウンドを聴かせる。
IQARENA、クライブ・ノーラン関連の作風などを思わせる、ドラマティックかつ爽快な感触で、
ムーグ風のシンセの音色も含めて、いかにもお約束というようなシンフォプログレスタイル。
8パートに分かれた26分におよぶ組曲なども含めて、ファンタシックな世界観を構築するセンスもある。
楽曲自体にはこれという新鮮味はないのだが、90年代ルーツのシンフォ好きのツボをくすぐる力作です。
メロディック度・・8 プログレ度・・7 シンフォ/ポンプ度・・8 総合・・8
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SILVER KEY 「The Screams Empire」
イタリアのシンフォニックロック、シルヴァー・キーの2015年作
前作はARENAあたりを思わせる英国ポンプロックルーツのシンフォニックロックであったが、
今作はジャケからしてSFファンタジー的なコンセプト作なのだろうか。適度にハードな感触のギターに、
美しいシンセとマイルドなヴォーカルを乗せた、メロディックなプログレハード風味のサウンド。
随所にメロウなギターフレーズやプログレらしいシンセワークも覗かせて、やわらかな叙情とともに
シンフォニックロックとしての魅力もしっかりと感じさせる。ヴォーカルの声質も含めてIQあたりに通じる雰囲気もあり、
モダンでスタイリッシュなアレンジは、イタリアというよりはやはり英国のバンドに近いだろう。
全体的にはもう少し盛り上がりが欲しい気もするが、PENDRAGON、ARENA、IQなどが好きな方はぜひ。
メロディック度・・8 プログレ度・・7 叙情度・・8 総合・・8
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Silver Key 「Third」
イタリアのシンフォニックロック、シルヴァー・キーの2019年作
2012年にデビューし、3作目となる。英国的なモダンさに包まれたシンフォニックロックは本作も同様で、
適度にハードなギターとスタイリッシュなシンセに、キャッチーなヴォーカルパートを乗せ、
ときにデジタルなアレンジやポストプログレ的な薄暗い叙情性を含んだサウンドを描く。
翳りを帯びた歌パートは、Marillionにも通じる雰囲気があり、全体的にもシンフォニックというよりは
大人の叙情ロックという趣で、派手な展開はさほどないが、アルバム後半は組曲的な構成になっていて、
ハードエッジなギターによる硬質感とシアトリカルな歌声を乗せ、ストーリー的な流れで構築される。
ドラマティック度・・8 プログレ度・・7 モダン度・・8 総合・・7.5 
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Sinestesia
イタリアのプログレメタルバンド、シネステシアの2007年作
シンセ奏者を含む5人組みで、基本はDREAM THEATERタイプの正統派ProgMetal。
薄暗い叙情性と、ドラマティックな世界観でじっくりと聴かせるサウンドは、
ときおりイタリアらしい軽やかなプログレ感覚を覗かせ、なかなか多彩である。
やわらかな美しさで聴かせる部分なども、効果的に盛り込まれ、適度なテクニカルさと
メロディとのバランスの取り方も新人にしてはなかなかのもの。これはいいバンドだ。
メロディアス度・・8 テクニカル度・・7 楽曲センス・・8 総合・・8
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SINESTESIA 「Day After Flower」
イタリアのプログレメタル、シネステシアの2009年作
シンセを含む5人編成で、きらびやかなシンセによるシンフォニック性と、テクニカルな展開力で聴かせる、
正統派のProgMetalスタイル。全体的にキャッチーなメロディアス性が前に出ているので難解さはなく、
メロトロンやムーグなどを含むシンセアレンジなどはプログレ寄りの感触で、やわらかな耳心地で楽しめる。
ヴォーカルの弱さがいくぶん惜しいが、その突き抜けきらないマイナーっぽさを気に入る方もいるかもしれない。
8分、10分という大曲では、DREAM THEATERを思わせるドラマティックなフックと展開美もあるが、
むしろ3〜5分の小曲におけるシンセ主導のキャッチーなプログレ性にこそ魅力があるような気がする。
メロディック度・・8 テクニカル度・・7 楽曲度・・7 総合・・7.5
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SINTESI DEL VIAGGIO DI ES
「Il Sole Alle Spalle」
イタリアのプログレバンド、シンテシ・デル・ヴィアジオ・ディ・エスの2018年作
SITHONIAのメンバーを中心にしたバンドで、アコースティックギターのつまびきで始まり、
うっすらとしたシンセにイタリア語によるジェントルなヴォーカルを乗せた優雅なサウンドが広がる。
叙情的なギターフレーズや、やわらかなオルガンにフルートの音色など、イタリアンプログレとしての
優美な繊細さに包まれていて、派手な展開はないが、ゆったりとした歌ものシンフォが味わえる。
ラストは15分を超える大曲で、オルガンやムーグなどのシンセにメロウなギターとフルート、
そしてマイルドな歌声で、叙情豊かなシンフォニックロックを描き出す。優しい美意識に浸れる逸品です。
ドラマティック・・7 優美度・・9 イタリア度・・8 総合・・8
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Sintonia Distorta 「A Piedi Nudi Sull Arcobaleno」
イタリアのプログレバンド、シントニア・ディストリアの2020年作
2015年にデビューし、2作目となる。ファビオ・ズファンティがプロデュース。ピアノやオルガンなどのシンセに
やわらかなフルートの音色、イタリア語のヴォーカルを乗せた、叙情的なシンフォニックロックを聴かせる。
楽曲は7〜9分前後をメインに、ほどよくハードなギターにテクニカルな展開も覗かせるなど、
かつてのBlack Jeaterにも通じる、ProgMetal寄りの味わいもある。全体的にはマイナー寄りの
いくぶんの野暮ったさも感じさせ、もう少し盛り上がりが欲しい気もするが、フルートが活躍するパートも多く
優美な幻想性はいかにもイタリアらしい。ラストはなんと、Black Jeaterのカヴァー。やっぱりですか!
ドラマティック度・7 プログレ度・7 優美度・8 総合・7.5
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Sithonia 「Spettacolo Annullato」
イタリアのプログレバンド、シトニアの1992年作
のっけから22分という組曲で、やわらかなシンセにイタリア語による歌声を乗せ、
メロウなギターとともに、繊細な叙情美に包まれたシンフォプログレを聴かせる。
初期のBANCOなどを思わせるクラシカルな優雅さと、70年代のイタリアの空気を蘇らせたような
くぐもったような叙情とマイナーな翳りがたまらない。オルガンやムーグを含むシンセを鳴らし、
哀愁の叙情美に包まれながらも、コテコテになり過ぎないところが、スタイリッシュなセンスの良さで、
90年代前半のイタリアのシンフォ系プログレの中では屈指の出来といってよいだろう。
ドラマティック度・・7 プログレ度・・8 イタリア度・・9 総合・・8
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Sithonia 「Folla Di Passaggio」
イタリアのプログレバンド、シトニアのライブ。1994年作
1989年にデビュー、2nd「Spettacolo Annullato」は、90年代イタリアシンフォの傑作として名高いが、
本作は1993年のライブ音源を収録。クラシカルなピアノやシンセにイタリア語のヴォーカルを乗せ、
偏屈なリズムチェンジを含む知的な展開力で、独自のセンスのテクニカルプログレを聴かせる。
叙情的なギターの旋律に優美なシンセワークが繊細な叙情美を描きつつ、インストパートでの巧みな構築性は、
90年代のバンドでは屈指だったろう。録音的にはややダイナミックさに欠けるが、貴重な1stからのナンバーも披露して、
通好みのイタリアンプログレを聴かせるバンドの記録として、コアなファンには聴いていただきたいライブである。
ライブ演奏・8 プログレ度・8 音質・7 総合・8
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SITHONIA 「CONFINE」
イタリアのプログレバンド、シトニアの1995年作
1989年にデビュー、本作は3作目。アコースティックギターとイタリア語のヴォーカル、クラシカルなチェンバロとともに
優雅に始まりつつ、エレキギターが加わって、厚みのあるシンフォプログレとしての叙情性に加えて、
随所にとぼけた味わいと屈折感のある展開力も覗かせる。メロウなギターの旋律にプログレらしいシンセで
90年代らしい優美な聴き心地と、先の読めない構築センスが同居した、わりと玄人好みのシンフォである。
変拍子を抜くむリズムの遊びも含めた、演奏力の確かさという点でも、90年代としては抜群の出来といえる。
ドラマティック度・8 プログレ度・8 イタリア度・8 総合・8 
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Sithonia 「Hotel Brun」
イタリアのプログレバンド、シトニアの1998年作
90年代イタリアン・ネオプログレシーンの中でもレベルの高いバンドのひとつ。
4作目の本作は、メロトロンやオルガン、ムーグなどを含む美しいシンセに、
イタリア語によるやや野暮ったいヴォーカルを乗せ、牧歌的な叙情を描く繊細なサウンド。
どこかとぼけたような味わいが知的なセンスを感じさせ、単なるB級シンフォニックロックではない聴き心地。
録音レベルのせいもあってか音圧がないので、ややインパク不足にも思えるのだが、
20分を超えるタイトル曲はプログレらしい軽妙なインストパートが味わえる。
ドラマティック度・・7 プログレ度・・8 イタリア度・・8 総合・・7.5
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Sithonia 「La Soluzione Semplice」
イタリアのプログレバンド、シトニアの2011年作
90年代から活動するバンドで、本作は1998年作以来、じつに13年ぶりとなるアルバム。
繊細なピアノにかぶさる激しいドラムから始まり、美しいシンセとイタリア語によるヴォーカルを乗せ、
適度に屈折感のある展開を含んだ、独自のセンスのシンフォニックロックを描いてゆく。
ムーグシンセやオルガンが鳴り響く、古き良きプログレ感をしっかり残しつつ、
あの頃のイタリアンロックの翳りあるロマンを再現するかのような聴き心地がよいですな。
22分という大曲もスタイリッシュになりすぎることなく、叙情的で濃厚な味わいが楽しめる。
いくぶんアクの強いヴォーカルもいかにもイタリアのバンドらしい。ベテラン健在の力作です。
ドラマティック度・・8 プログレ度・・8 イタリア度・・9 総合・・8
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SKE「1000 AUTUNNI」
YUGENCICCADAで活躍するシンセ奏者、Paolo"SKE"Bottaのソロ。2011年作
オルガンを含むシンセに、ギター、フルート、ヴァイオリン、サックス、クラリネットなどが交わる
クラシカルなジャズロック、あるいは軽快なチェンバーロック風味のサウンド。
コミカルな雰囲気の中にテクニカルな軽妙さが光っていて、その高度な演奏力は
日本のKENSOなどを思わせる部分もある。随所にミステリアスなチェンバー色を垣間見せつつ
コロコロと主旋律の楽器が変化し、リズムチェンジやブレイクなど、エキセントリックなセンスが
緊張感を生み出している。やわらかなフルートの音色、テルミンの響き、ときに女性スキャットも加わって、
優雅な聴き心地の中に不思議なスケール感を漂わせている。YUGENも素晴らしかったが本作も良いです。
メロディック度・・8 テクニカル度・・8 チェンバー度・・8 総合・・8
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Ske 「Insolubilia」
イタリアのミュージシャン、スケ・ボッタの2021年作/邦題「解決困難な命題」
YUGEN、Not A Good Signのシンセ奏者で、ソロとしては傑作となった「1000 Autunni」以来、10年ぶりとなる作品。
TUSMORKE、PRESENT、GOBLIN、STORMY SIX、CICCADA、RATIONAL DIET、YUGEN、CAMEMBERT、FEMといった
多くのバンドから多数のゲストが参加し、オルガンやメロトロンなどの優美なシンセに、ピアノ、美しい女性声による
シンフォニックな優雅さと、フルートやヴァイオリン、クラリネット、トロンボーンなどによるチェンバーロックの感触が合わさり、
軽妙にしていくぶん偏屈なサウンドを描いてゆく。5パートに分けられたタイトル曲を主体に、メロウなギターの旋律や
アコースティックな叙情も含んだ優しい耳心地に、後半ではYUGENを思わせるスリリングなアンサンブルも素晴らしい。
クラシカル度・8 プログレ度・8 優雅度・9 総合・8
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SLIVOVITZ「Hubris」
イタリアのトラッド・ジャズロック、スリボヴィッツの2009年作
サックス、ヴァイオリン、ハーモニカ奏者を含む編成で、軽妙なアンサンブルにサックスが鳴り響き、
女性スキッャトを乗せた、民族色もあるジャズロックを展開。変則リズムを含む屈折した即興性と
唐突感のあるアヴァンギャルド性を覗かせつつ、スリリングな演奏を繰り広げている。
テクニカルなアンサンブルの中に、フォルクローレ的でもある叙情も垣間見せ、
地中海、バルカン、スパニッシュなどのトラッド感触とジプシー的な無国籍感を漂わせた作風だ。
ヴァイオリン弾きまくりの軽快なトラッドナンバーから正統派のジャズロックまで、
確かな演奏力と優雅で知的なセンスで楽しませてくれる、玄人好みの力作だ。
プログレ度・・8 ジャズロック度・・8 トラッ度・・7 総合・・8
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SLIVOVITZ「Bani Ahead
イタリアのジャズロックバンド、スリボヴィッツの2011年作
2作目となる本作ではトランペット奏者が加わり、サックスと合わせたブラスサウンドが強化、
とぼけた味わいのジャズロックサウンドに、いくぶんチェンバー寄りの質感が増している。
屈折感のあるひねくれたアンサンブルにも磨きがかかり、前作でのトラッド要素はやや薄まった分、
アヴァンギャルドなチェンバー・ジャズロックとしての音の強度が強まった印象だ。
管弦楽がゆったりと鳴り響く、不穏な空気感をにじませたナンバーなども含めて、
ダークなチェンバー風味を感じさせる一方で、優雅なジャズロック色も随所に覗かせる。
プログレ度・・8 ジャズロック度・・8 チェンバー度・・8 総合・・8
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IL SOGNO DI RUBIK 「TENTACLES AND MIRACLES」
イタリアのプログレバンド、イル・ソグノ・ディ・ルビクの2020年作
メロトロンなどの優美なシンセにトロンボーンなどのブラスが鳴り響き、英語歌詞のヴォーカルを乗せ、エキセントリックな雰囲気に包まれたシンフォニックロックを聴かせる。
サイケデリックでヘンテコな展開とアコースティック含む叙情が交差し、ときにヘヴィなギターを加えた重厚な味わいで、アヴァンギャルドなハードプログレを描いてゆく。
9分を超える大曲では、語り上げるようなシアトリカルな歌声とともに濃密なドラマ性を構築。かなりヘンテコという点では、かつてのGARDEN WALLなどに通じる部分も感じる。
ラスト曲は、普通に優雅で軽妙なインストパートから、語りが加わって、混沌とした展開の中にも、爽やかな叙情を覗かせる。このごった煮センスはある意味すごい。
ドラマティック度・8 プログレ度・8 ヘンテコ度・8 総合・8
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Sophya Baccini 「Aradia」
イタリアの女性シンガー、ソフィア・バッチーニの2009年作
ゴシック系ハードプログレバンド、Presenceのシンガーでもあり、その魔女めいた風貌通り、
本作は、魔女が崇める女神「アラディア」の名が付けられたアルバムとなっている。
美しいシンセにピアノ、ヴァイオリンなども入ったクラシカルな質感と薄暗く幻想的な世界観に、
彼女のヴォーカルが妖しく響き渡る。ゆったりとしたゴシックアンビエント的な聴き心地でもある
オーケストラルなアレンジによるシンフォニックな音の厚みや、曲によってはギターも入ってくるなど、
いくぶんロック色もあり、Presence以上に世界観の強度が楽しめる。この幻想性は気に入りました。
クラシカル度・・8 幻想度・・9 女性Vo度・・8 総合・・7.5
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Sophya baccini's Aradia 「Big Red Dragon」
イタリアの女性シンガー、ソフィア・バッチーニの2013年作
ゴシック系ハードプログレバンド、Presenceのシンガーでもあり、魔女が崇める女神「アラディア」の名が付けられたプロジェクト。
オルガンやピアノを含むシンセに、ヴァイオリンなどのクラシカルな優雅さに、魔女めいた彼女の歌声が響き渡り、
JACULAにも通じるこけおどし感たっぷりの世界観が広がってゆく。ソーニャ・クリスティーナやクリスチャン・デカンをはじめ
ゲストによる男女ヴォーカルも加わり、いくぶんハードめのギターも入ると、プレゼンスに通じるところもある。
耽美な妖しさに包まれたサウンドは、クラシカルなゴシック/ダークアンビエント的にも楽しめるだろう。
魔女系ゴシックプログレというべき、イタリアらしい優雅で濃密な味わいの好作品だ。
ドラマティック度・・8 プログレ度・・7 耽美度・・9 総合・・8
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Sophya Baccini's Aradia  「Runnin With The Wolves」
イタリアの女性シンガー、ソフィア・バッチーニのプロジェクト、アラディアの2023年作
今作は、ヴァイオリンを含む、女性6人のバンド編成で、うっすらとしたシンセに艶めいた女性ヴォーカルを乗せ、ヴァイオリンも鳴り響く、クラシカルなシンフォニックロックを聴かせる。
アラディアの名のように、魔女めいた妖しさと、ヴァイオリンが鳴り響く優雅さの同居は、初期のCurved Airにも通じる雰囲気で、ソフィアさんの歌声もどことなくソーニャ・クリスティーナっぽかったりする。
優美なピアノや、サックスが鳴り響くアダルトな雰囲気とともに、ヴィンテージな女性声ものとしてもしっとりと楽しめる好作品です。
クラシカル度・8 プログレ度・7 妖しさ度・8 総合・7.5
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SOULENGINE 「Mind Colors」
イタリアのプログレバンド、ソウルエンジンの2012年作
元The Watchのギターとシンセを中心としたバンドで、メロウなギターフレーズにムーグシンセ、オルガン
ときにメロトロンも加わった、インスト主体のシンフォニックロック。GENESIS+CAMELというような感触もありつつ、
ゆったりとした繊細な叙情を聴かせるナンバーなど、全体的にやわらかな耳心地のサウンドである。
歌入りのナンバーではキャッチーな爽やかさも感じさせ、歌詞が英語なこともありイタリア的な雰囲気は薄め。
ドラムを含むリズム面でのタイトさにやや迫力が欠けるのが惜しいが、ラストの10分の大曲はインストながらも、
泣きの叙情に包まれたドラマティックな構成とともに、しっとりとしたシンフォニックロックが味わえる。
メロディアス度・・8 プログレ度・・7 イタリア度・・7 総合・・7.5
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SPETTRI 「2973 La Nemica Dei Ricordi」
イタリアのプログレバンド、スペテッリの2015年作
結成は60年代というバンドで、本作は40数年ぶりとなる復活作。ハード寄りのギターにオルガンが重なる、
古き良きイタリアン・ヘヴィプログレを継承するスタイルで、イタリア語のヴォーカルを乗せて
シアトリカルで妖しい世界観を描くような濃密なサウンド。鳴り響くサックスをオルガンが包み込み、
ダーティなヴォーカルを乗せたハードロック寄りの荒々しさも覗かせつつ、イタリアらしい混沌とした感触と
幻想ホラー的な空気感をかもしだす。メロウなギターにフルート、ピアノによる叙情性も随所にあって、
メリハリのある展開力もさすがベテランの味わいだ。IL TEMPIO DELLE CLESSIDREのElisa Montaldoがゲスト参加した
女性声入りのしっとりとしたナンバーも良いアクセントになっている。これぞイタリアという濃密な力作である。
ドラマティック度・・8 プログレ度・・7 イタリア度・・9 総合・・8
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STANDARTE
イタリアンロックバンド、スタンダルテの1996年作
メロトロンやオルガンが盛大に鳴り響き、枯れた味わいのヴォーカルを乗せて
ゆったりとした湿り気ある叙情聴かせる、本格的な70年代懐古主義的サウンド。
ギターもまるでアナログ録音のような歪み方なので、70年代英国ロックの未発音源だと言われれば
信じてしまいそう。ブルージーなギターにオルガンが絡むところはヴァーティゴ系サウンドの雰囲気である。
レーベルがBlack Widowなのもハマりすぎ。つまりそういう作風です。やりすぎなまでに強力なレトロロック!
ドラマティック度・・7 プログレ度・・7 ヴィンテージ度・・10 総合・・8
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STANDARTE「Curses and Invocations」
イタリアのプログレバンド、スタンダルテの2nd。1996年作
1stの時点から、70年代ブリティッシュロックへのオマージュ的なことをやっていたバンドだが、
今作ではギターをほとんど使わず、その分メロトロンの使用頻度が上がったことで
シンフォニックな質感が増した。相変わらずやりすぎなほどにレトロさにこだわったサウンドは、
鳴り響くハモンドオルガンとメロトロン、ハープシコードまで加わって、その説得力を増している。
イタリアのバンドにしては珍しく、わざわざ英語で歌っているのもこだわりなのだろうが、
それでも音にはどことなくイタリア臭さが残っているのがむしろ微笑ましい。ヴィンテージロックの先駆け的なバンドである。
シンフォニック度・・8 プログレ度・・7 ヴィンテージ度・・9 総合・・8
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STANDARTE「Stimmung」
イタリアのプログレバンド、スタンダルテの3rd。1998作
レトロなハモンド、メロトロンの音色にブルージーなギターが合わさって
まるで70年代英国へトリップしたかのようなサウンドを聴かせる。
楽曲自体はシンプルで、プログレというよりは70'sブリティッシュロック的だ。
北欧のBEARD FISHBLACK BONZOらと並び、確信犯的なやりすぎレトロロック。
アルバム後半はライブ音源になっていて、生のメロトロンにハモンドが鳴り響く様は圧巻。
メロディアス度・・7 プログレ度・・7 レトロ度・・9 総合・・7.5
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Stefano Testa 「Una Vita Una Balena Bianca E Altre Cose」
イタリアのカンタウトーレ、ステファノ・テスタの1977年作
アコースティックギターのつまびきにやわらかなフルート、イタリア語によるジェントルな歌声で聴かせる、
素朴な味わいのサウンドで、ドラムにシンセも加わった、シンフォニックロック寄りのテイストもある。
1曲目の16分の大曲は緩急ある構成で、ストリングスも加えた叙情性とともに、プログレとしても十分に出来が良い。
クラシカルなピアノをバックに、表現力あるやわらかな歌声で聴かせる小曲なども魅力的で、
ストリングスを使った劇的なアレンジはさすがイタリアらしい。おそらく70年代では彼の唯一の作品。
ドラマティック度・・8 プログレ度・・7 叙情度・・8 総合・・7.5
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Stefano Testa 「Andrea Il Traditore」
イタリアのミュージシャン、ステファノ・テスタの2016年作
1977年に一作を残して消えるも、2012年に35年ぶりのアルバムを発表、本作はそれに続く3作目となる。
やわらかなフルートにヴァイオリンなどの優美なストリングス、イタリア語による渋みのある歌声で、
クラシカルな味わいのアコースティカルなサウンドを描きつつ、2曲めからはノリのあるビート感とともに、
エレキギターやオルガンなどによるロック/プログレ感触も現れる。1〜2分前後の小曲を挟みながら、
妖しく鳴り響くフルートやピアノ、アコーディオン、男女コーラスなどが、ときにアヴァンギャルドな芸術性をかもしだし、
カンタウトゥーレとしての表現力ある歌唱とともに、優雅な哀愁とエキセントリックな混沌が同居した異色作である。
ドラマティック度・・7 プログレ度・・7 優雅度・・8 総合・・7.5
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Stereokimono 「Prismosfera」
イタリアのプログレバンド、ステレオキモノの2003年作
2000年にデビューし、2作目となる。スペイシーなシンセのイントロから、変拍子を含む軽妙なアンサンブルに、
ガレージロック的なフリーキーな感触と、コミカルで偏屈な味わいが同居したインストサウンドを展開。
叙情的なギターフレーズを乗せた優雅なインストナンバーなども、ほどよくエキセントリックなセンスを覗かせ、
チェロの音色が鳴り響くチェンバーロック風味や、クリムゾン的なミステリアスな雰囲気もあって、
なかなか一筋縄ではいかない。エクスペリメンタルなモダンさと、独特の浮遊感に包まれた作風で、
方向性としてはやや散漫な感じもあるが、ユルめの牧歌性とスリリングなテクニカル性が混在しているのが面白い。
ドラマティック度・・7 プログレ度・・7 スリリング度・・8 総合・・7.5
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STORMY SIX 「L'Apprendista」
イタリアのプログレバンド、ストルミィ・シックスの1978年作
60年代から活動するバンドで本作がすでに6作目。軽やかなマリンバの響きに、サックス、ヴァイオリンの音色、
イタリア語のヴォーカルを乗せて、ジャズロック的な優雅さとアコースティカルな牧歌性が同居した作風で、
のちのアルバムに比べるとずいぶん聴きやすい。コーラスを含んだ歌もの的なキャッチーさがあって、
とぼけた味わいと音楽的素養の高さという点では、GENTLE GIANTにも通じる味わいもある。
随所にリズムチェンジを含んだメリハリのある展開は、AREAにも通じるテクニカル性であるが、
定型のプログレらしさにこだわらない、より柔軟な音楽性がこのバンドの特徴だろう。
イタリらしさという点でも本作を代表作としてもよいと思う。玄人好みの傑作。
プログレ度・・8 アヴァンギャル度・・7 イタリア度・・9 総合・・8
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STORMY SIX「Macchina Maccheronica
イタリアのプログレバンド、ストルミィ・シックスの1979年作
60年代から活動するバンドで、初期は反体制的なフォークバンドだったらしいが、
本作は管楽器を散りばめた、遊び心たっぷりのチェンバーロックの異色作。
クラリネットやサックスのコミカルな音色と、イタリア語のヴォーカルを含んだ哀愁を漂わせ
変則リズムとブレイクの入ったアヴァンギャルドな展開は予測不可能。
ヴァイオリンやチェロなどが緊張感を漂わせつつ、やはりイタリアらしい情緒も顔を出す。
トボけた味わいのポップさが、エキセントリックなセンスに包まれた濃密な力作だ。
プログレ度・・8 アヴァンギャル度・・8 イタリア度・・8 総合・・8
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Stormy Six 「Al Volo」
イタリアのアヴァンプログレ、ストルミィ・シックスの1982年作
存在感あるベースを含んだ硬質なリズムアンサンブルに緊迫感ただようイタリア語の歌声、
オルガンやシンセによるアレンジも、プログレ的な媚びはなく、あくまで硬派な印象である。
ただ、チェンバーロック寄りだった1979年作などと比べると、イタリアらしい牧歌的な感触も覗かれ、
ずいぶん聴きやすくなったという印象だ。現代絵画のようなクールなセンスに包まれた力作である。
ドラマティック度・・7 プログレ度・・8 イタリア度・・8 総合・・8
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Stormy Six - Moni Ovadia「BENVENUTI NEL GHETTO」
イタリアのチェンバー・アヴァンロック、ストルミィ・シックスのライブ作。2013年作
ワルシャワ・ゲットー蜂起70周年を記念したプロジェクトとして、2013年に行われたライブを収録したCD+DVD。
ユダヤ系歌手、モニ・オバディアを招いてのステージで、YUGENのフランチェスコ・ザーゴをギタリストに迎えた編成。
物悲しいヴァイオリンの音色に、ジェントルなヴォーカルを乗せた、ゆったりとした大人の味わいのアンサンブルに、
民俗的な空気感を加えた聴き心地。かつてのようなアヴァンギャルドなテクニカル性は薄いので、これという派手さはなく
プログレとして聴くには物足りなさはあるが、その確かな演奏力はさすが。CDでは楽曲のみなので44分ほどながら、
DVDではザーゴ氏の語りとともに歴史的な映像も加えた90分を超える内容で、本ライブの意義が視覚的にも理解できる。。
ライブ演奏・・8 ライブ映像・・8 プログレ度・・7 総合・・7.5 
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STRANAFONIA 「PER UN VECCHIO PAZZO」
イタリアのプログレバンド、ストランフォニアの1997年作
叙情的なギターの旋律にオルガンなどのシンセを重ね、イタリア語のヴォーカルを乗せた、
緩急ある展開力のシンフォプログレを聴かせる。わりと唐突なリズムチェンジなども含め、
イタリア特有の怪しい空気感もかもしだしつつ、メロウな泣きのギターが哀愁の叙情で包み込む。
オルガンやムーグ系シンセをメインにしたプログレらしいインストナンバーも良い感じで、
全体的にも、70年代ルーツのイタプロをスタイリッシュな90年代型に仕立て上げたというサウンド。
90年代の隠れた好作品のひとつである。本作の後、2005年に自主制作で2作目「Acrobazie」を発表する。
ドラマティック度・8 プログレ度・8 イタリア度・8 総合・7.5
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STRANAFONIA 「Il Nuovo Rinascimento」
イタリアのプログレバンド、ストランフォニアの2014年作
1997年にデビュー、本作は9年ぶりとなる3作目。ジャケの地味さは相変わらずだが、
メロトロンやオルガン、ピアノなどの優美なシンセに、マイルドなヴォーカルを乗せて、
イタリアらしい優雅な叙情を描くサウンドは、より大人の深みを増した味わいになった。
もちろん70年代ルーツのイタリアンプログレの怪しさも残していて、屈折感のあるリズムチェンジや
シアトリカルなイタリア語の歌声とともに、初期のLA MASCHERA DI CERAなどに通じる雰囲気もある。
一方では、ジャズロック風味の軽妙なアンサンブルも覗かせるなど、バンドとしての成長を感じさせる好作品だ。
ドラマティック度・8 プログレ度・8 イタリア度・8 総合・8
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STREGA TRA NOI 「CORRELAZIONI」
イタリアのプログレバンド、ストレガ・トラ・ノイの2023年作
2017年にデビューし、2作目。ピアノやオルガンなどのシンセにイタリア語による年季を感じる女性ヴォーカルで、キャッチーな歌ものサウンドを聴かせる。
70年代ルーツのイタリアンポップ的な艶めいた雰囲気に包まれて、シャンソン風のナンバーからゆったりとした叙情曲なども味わいがある。
楽曲は3〜4前後で、プログレ的な展開はさほどないのだが、曲によってはストリングスも加わったゴージャスなアレンジや、ムーグシンセなどのヴィンテージな味わいも楽しめる。
キャッチー度・8 プログレ度・7 女性Vo度・7 総合・7.5


Struttura & Forma「One of Us」
イタリアのプログレバンド、ストルトゥラ&フォルマの2017年作
70年代に結成されながら作品を残さぬまま消えたバンドの復活のデビュー作で、
ツインギターの5人編成に、ARTI & MESTIERIのペッペ・クロヴェラのメロトロンを加え、
ハード寄りのギターを乗せたテクニカルなアンサンブルにたっぷりとメロトロンが鳴り響く、
フュージョンプログレ的な1曲目から、英語のヴォーカルを乗せた2曲目以降は、
泣きのギターとメロトロンによる叙情豊かなシンフォニックハードという聴き心地になる。
EL&P“Lucky Man”のカヴァーも優美な仕上がりで、歌ものやギターインスト的なナンバーまで、
とにかく全曲メロトロン鳴りまくり。ジャケの地味さが惜しいが、掘り出し物的な逸品です。
ドラマティック度・・7 プログレ度・・7 メロトロン度・・9 総合・・8
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SUBMARINE SILENCE
イタリアのシンフォニックロック、サブマリン・サイレンスの2002年作
MOONGARDENのシンセ奏者を中心にしたプロジェクトで、ポール・ホワイトヘッドによるジャケのイメージ通り、
美麗なメロトロンにハケットばりのメロウなギターの旋律で、初期GENESISへのオマージュといった雰囲気のサウンドを描く。
オールインストであるが、トニー・バンクス的なやわらかなキーボードとアコースティックを含む叙情的なギターの旋律で、
ゆったりとした耳心地の良さに包まれる。スリリングな部分はほとんどないが、ゆるやかに鳴り響くメロトロンとともに、
しっとりとした叙情美の幻想的なシンフォニックロックが楽しめる逸品です。
メロディアス度・・8 しっとりシンフォ度・・9 メロトロン度・・9 総合・・8
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SUBMARINE SILENCE 「There's Something Very Strange in Her Little Room」
イタリアのプログレバンド、サブマリン・サイレンスの2013年作
MOONGARDENやMANGALA VALLISにも参加するシンセ奏者、クリスティアーノ・ロベルシを中心にしたバンドで、
前作はジャケを含めてまさに初期GENESISへのオマージュといった力作だったが、11年ぶりとなる本作も
オルガンやムーグなどのヴィンテージなシンセアレンジとメロウなギターワークで優雅な叙情を聴かせる、
GENESISルーツの王道のシンフォニックロックが楽しめる。12弦ギターのつまびきにメロトロンが鳴り響くさまは、
まさにあの頃のジェネシスの幻想的な雰囲気で、楽曲を連ねた組曲方式の構成によるシアトリカルな雰囲気と
優美な繊細さにダイナミックな展開力が合わさって、前作以上に濃密な味わいの作品になっている。
ドラマティック度・・8 プログレ度・・8 あの頃のジェネシス度・・9 総合・・8
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Submarine Silence 「Journey Through Mine」
イタリアのプログレバンド、サブマリン・サイレンスの2016年作
MOONGARDENMANGALA VALLISにも参加するシンセ奏者、クリスティアーノ・ロベルシを擁するバンドで本作が3作目。
オルガンにムーグ、メロトロンを含む美しいシンセワークにハケットばりのメロウなギターフレーズを乗せた、
GENESISルーツのシンフォニックロックは本作も健在。アコースティックな12弦ギターのつまびきに、
枯れた味わいのヴォーカルで聴かせる、牧歌的な繊細さも持ち味で、うっすらと鳴り響くメロトロンもいいですね。
今作では、さらに80年代ジェネシス的なキャッチーなナンバーなどもあって、アルバム全体的にもレトロすぎず、
適度なモダンな感触とともに、BIG BIG TRAINあたりに通じる雰囲気も出てきた。10分を超えるナンバーでは、
じっくりと泣きの叙情を描く構築力で聴かせてくれる。ジェネシス系大好きという方は必聴この上ない傑作だ。
ドラマティック度・・8 叙情度・・8 ジェネシス度・・9 総合・・8
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SUBMARINE SILENCE 「Did Swans Ever See God?」
イタリアのプログレバンド、サブマリン・サイレンスの2020年作
MOONGARDENやMANGALA VALLISのシンセ奏者、クリスティアーノ・ロベルシを擁するバンドで、2002年にデビュー、
本作は4年ぶりの4作目となる。アコースティックを含む優美なギターに、メロトロンやオルガンなどのやわらかなシンセ、
男女ヴォーカルの歌声を乗せた、初期GENESISルーツの優雅なシンフォニックロックを聴かせる。
ハケットばりの甘美な叙情を奏でるギターも素晴らしく、10分前後の大曲も緩急あるダイナミックな展開力と
ヴィンテージなプログレ感を含んだキャッチーな味わいとともに、じっくりと耳心地よいサウンドを構築してゆく。
泣きのギターとメロトロンの組み合わせはずるい。すべてのシンフォプログレ好きが満足する傑作である。
ドラマティック度・・8 プログレ度・・8 優美度・・9 総合・・8.5
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SUBTILIOR 「ABSENCE UPON A GROUND」
イタリアのチェンバーロック、サブティリオルの2012年作
ギター、ベース、ドラムにヴァイオリン、クラリネット、ヴィブラフォン、ピアノ、オルガン、サックスなど、
多数のミュージシャンが参加したプロジェクト的な作品で、29分、15分というふたつの組曲を演奏している。
艶やかなヴァイオリンの響きに、クラリネット、マリンバなどが優雅な音色を乗せながら、
UNIVERS ZEROを思わせるダークな雰囲気と、緊張感あるスリリングなアンサンブルを構築してゆく。
曲が長いので、いくぶんルーズに思えるところもなきにしもあらずだが、雰囲気モノとしてゆったりと聴ける部分もあって、
カッチリしすぎていないところも逆によいのかもしれない。ダーク寄りのチェンバーロック好きはチェック。
ドラマティック度・・7 クラシカル度・・8 ダーク度・・7 総合・・7.5
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SYNCAGE 「UNLIKE HERE」
イタリアのプログレバンド、シンケージの2017年作
テクニカルなリズムに硬質なギター、エモーショナルなヴォーカルを乗せ、エキセントリックな展開力と、
ときにDjent風味も含んだモダンなハードプログレを聴かせる。歌詞は英語なので、イタリアらしさは希薄で、
HAKENあたりをややスタイリッシュにした作風は、モダン派のProgMetalが好きな方などにも対応。
随所に叙情的なギターの旋律も覗かせたり、ヴァイオリンなどのストリングスを取り入れた優雅なアレンジや
アコースティックなパートから、ピアノやオルガンなど、プログレらしいシンセも加えた耳心地のよさも光っている。
14分という大曲では、先の読めない展開力でハードなモダンプログレを構築しつつ、後半はキャッチーに仕上げ、
ラスト3曲の流れるような構成には、クールなドラマ性を感じさせる。全68分、モダン派プログレの力作である。
ドラマティック度・7 プログレ度・7 スタイリッシュ度・8 総合・8
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SYNDONE「INCA」
イタリアのプログレバンド、シンドーネの2nd。1993年作
90年代ネオプログレのレーベル、ヴィニールマジックからカリオペやカステッロ・ディ・アトランテなどと共に登場したバンド。
古き良きハモンドやムーグなどをけたたましくかき鳴らし、メロディアスかつ高速に引きまくる様は、
まるでエマーソンがジャズロックを演奏しているようだ。とにかくEL&PTRACEが好きな人なら
もろ手を上げて喜ぶようなサウンドだろう。コテコテ懐古主義的キーボードロックもここまでやられると潔い。
インカっぽい(?)地味なジャケに騙されることなかれ。イタリア語を乗せた怒涛のキーボードプログレです。
メロディアス度・・8 テクニカル度・・8 キーボー度・・9 総合・・7.5
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Syndone「Melpesante」
イタリアのプログレバンド、シンドーネの2010年作
かつてCalliopeIl Castello di Atlanteなどとともにイタリアン・ネオプログレとして
Vinyl Magicレーベルを賑わせていたバンドの2nd「Inca」以来となる、17年ぶりの復活作。
古き良きオルガンの音色が響く、EL&Pタイプを基本にしながら、哀愁漂うイタリア語の歌声と
ヴァイオリンやチェロなどが入ったクラシックなシリアスさに、ビブラフォンの音色が響く
軽やかなジャズロックタッチなども覗かせて、なかなか懐が広い。濃密になり過ぎない涼やかなセンスと、
プログレ臭くなりすぎないクラシカルな軽妙さが見事で、楽曲は5、6分台中心と比較的コンパクトながら、
以前よりひと皮向けたといえるスタイリッシュな構築力が光っている。優雅なる力作だ。
クラシカル度・・9 プログレ度・・8 イタリア度・・8 総合・・8
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SYNDONE
La Bella E La Bestia
イタリアのプログレバンド、シンドーネの2012年作
17年ぶりの復活作となった前作に続く復活2作目で、「美女と野獣」をテーマにしたコンセプト作。
オルガンの音色が鳴り響くヴィンテージな感触に、ジャズタッチのピアノなどをまじえながら、
イタリア語によるヴォーカルとともに、ミステリアスかつドラマティックな雰囲気が広がってゆく。
突如舞い込むサックスの響きなど、エキセントリックな迷宮感覚と演劇的な濃密さに彩られた
芸術的なまでの聴き心地が味わえる。ピアノにかぶさる艶やかなチェロの響き、オペラを思わせる
クラシカルな美意識…ある意味、DEVIL DOLLから毒を薄めてより優雅にしたような、素晴らしい傑作。
クラシカル度・・9 プログレ度・・8 イタリア度・・9 総合・・8.5
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Syndone 「Odysseas」
イタリアのプログレバンド、シンドーネの2014年作
5作目となる本作は、タイトル通り、オデュッセウスの叙事詩をコンセプトにしたスケールの大きな作品となった。
U.K.のツアードラマーなどで活躍する、マルコ・ミンネマンが参加していて、タイトなリズムを中心にしたアンサンブルに
オルガンやメロトロンを含む古き良きプログレの感触に、軽やかなヴィブラフォンの音色などを乗せ、
ときにストリングスを含むオーケストラルな美しさも含みつつ、流れるように楽曲は展開してゆく。
イタリア語のヴォーカルでゆったりと聴かせる、アコースティカルで牧歌的な感触もあったり
サックスなどのホーンセクションをまじえたナンバーなど、ベテランらしい幅の広い楽曲アレンジが見事。
クラシックやジャズなどの要素をさらりと取り入れる懐の深さと、プログレらしさをしっかり両立させた傑作です。
ドラマティック度・・8 プログレ度・・8 イタリア度・・8 総合・・8
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Syndone 「Eros & Thanatos」
イタリアのプログレバンド、シンドーネの2016年作
詩人にして哲学者のグイド・チェロネッティが翻訳したヘブライ語聖書の詩編を取り上げたコンセプトであるらしい。
オルガンやムーグシンセが鳴り響き、変拍子を含んだ軽快なリズムと、メリハリのあるサウンドで、
プログレらしい屈折感もありながら、イタリア語のヴォーカルをじっくりと聴かせる大人の叙情性を含ませた
オペラ風味のドラマ性も感じさせる。ときに優雅なヴィブラフォンが彩りを加え、壮麗なオーケストラアレンジも加わった
きらびやか優雅さも魅力的だ。80年代ルーツのネオプログレを正統的に進化させ、スタイリッシュに昇華したというべき、
深みと芸術的な説得力の備わった傑作だ。スティーブ・ハケット、レイ・トーマス(The Moody Blues)がゲスト参加。
ドラマティック度・・8 プログレ度・・8 イタリア度・・9 総合・・8
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Syndone 「Mysoginia」
イタリアのプログレバンド、シンドーネの2018年作
1992年にデビュー、CalliopeIl Castello di Atlanteとともにイタリアン・ネオプログレの旗手して登場し、
現在では、イタリアを代表するプログレバンドのひとつとなった。7作目の本作は、やわらかなピアノの旋律から、
壮麗なオーケストラやヴィヴラフォンの優雅な音色に、オルガンやエレピなどが重なって、軽妙なリズムチェンジとともに、
優雅なアンサンブルを構築する。イタリア語によるエモーショナルなヴォーカルで聴かせる、アダルトな雰囲気から、
プログレらしいムーグシンセとオルガンを弾き鳴らし、オーボエやクラリネット、ストリングスなど、オーケストラルなアレンジが
さりげなく現れる、細やかなアレンジ力もさすが。ゲスト参加、NEW TROLLSのヴィットリオ・デ・スカルッツィによるフルートや、
ARTIのジジ・ヴェネゴーニの流麗なギター、女性ヴォーカルを乗せた艶めいたナンバーなども魅力的だ。全44分ながら、
感動的なラスト曲まで、クラシカルな美意識と、オールドなプログレらしさが自然体で融合する、まさに円熟の完成度である。
クラシカル度・・9 プログレ度・・8 優雅度・・9 総合・・8.5 
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SYNDONE 「KAMA SUTRA」
イタリアのプログレバンド、シンドーネの2021年作
1992年にデビュー、いまやイタリアを代表するプログレバンドのひとつ。8作目の本作は、タイトル通り、
インドの性愛論書「カーマ・スートラ」をテーマに、オリエンタルなイントロから、オルガンが鳴り響く、
ヴィンテージなロック感触と、ジェントルなヴォーカルを乗せた歌もの的なキャッチーな雰囲気が同居したサウンド。
軽やかなピアノやストリングスを加えたクラシカルな優雅さに、ジャズロック的な軽妙なリズムチェンジ、
艶めいた女性ヴォーカルも加わった、しっとりとした叙情美など、変幻自在のアレンジはさすがというところ。
3〜5分前後の小曲を連ねた構成で、派手な盛り上がりは薄いが、流れのあるドラマ性でじっくりと鑑賞できる。
ドラマティック度・8 プログレ度・8 優雅度・9 総合・8 
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Tale Cue 「Voices Beyond My Curtain」
イタリアのプログレバンド、テイル・クーの1991年作
女性Voにシンセ奏者を含む5人編成で、アコースティックなイントロから、いくぶんハード寄りのギターと
美しいシンセにややヘタウマな女性ヴォーカルの歌声を乗せ、のっけから15分におよぶ大曲を聴かせる。
リフレインの多い展開の遅さや演奏力も含めて、いかにもB級シンフォの典型であるのだが、
90年代シンフォ特有のロマンの香りを感じさせる点では、マニア好みのサウンドともいえる。
その後も10分を超える大曲を中心に、メロウなギターやしっとりとした叙情パートなど、
起伏はあるのに盛り上がり薄い、ややもったりとした感触のシンフォニックロックが続くのだが、
全体的な聴き心地はよいので、女性声シンフォが好きな方なら、わりと楽しめるだろう。
ドラマティック度・・7 プログレ度・・7 女性Vo度・・7 総合・・7.5
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TAPROBAN 「POJIDONIAN FIELDS」
イタリアのプログレバンド、タプロバンの2006年作
最近ではむしろ珍しくなったトリオ編成のバンドで、ELPタイプかと思いきや、そうでもなく、
むしろGENSISを基本に、かもしだすレトロさを現代的に再構築した、というサウンド。
鳴り響くハモンドの音色に乗せるヴォーカルの歌唱は英語なので、さほどイタリア臭さはない。
アルバムは3部構成に分かれていて、それぞれ組曲形式となっているのだが、
壮麗なシンフォニックの中にもアコースティカルな歌ものパートなどもあり、
濃厚さと爽やかさが両方楽しめる。ここぞとメロトロンの叙情も入ってきて、
かゆいところに手が届くシンフォ作品。なかなかクオリティ高いです。
シンフォニック度・・8 メロディアス度・・8 イタリア度・・7 総合・・8

Taproban 「Per Aspera Ad Astra」
イタリアのプログレバンド、タプロバンの2017年作
2001年にデビュー、本作が5作目となる。シンセ、ギター&ベース&シンセ、ドラムというトリオ編成で、
のっけからメロトロンにムーグが重なる、往年のプログレ感たっぷりのインストサウンドで
15分という大曲を描いてゆく。アコースティックギターによる叙情的な小曲から、
躍動的なアンサンブルにオルガンが鳴り響く、イタリアらしい濃密な味わいへと再び移り、
ときにヴォーカルも加わって、メリハリのある展開力で構築される。リズム面での演奏力も含めて、
バンドとしてひとつ突き抜けた感のある内容で、なにより、この天晴なまでのプログレ愛と懐古主義は、
オールドなプログレリスナーの胸を打つだろう。アナログキーボードがたっぷり味わえる濃密な快作だ。
ドラマティック度・・8 プログレ度・・8 ヴィンテージ度・・9 総合・・8 
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Tazebao 「Opium Populi」
イタリアのプログレバンド、タツェバオの2017年作
MANGALA VALLIS、MOONGARDENのドラム、ALTARE THOTEMICOのヴォーカル、ベースなどによるバンドで、
中世暗黒時代ヨーロッパの異端審問や宗教迫害、宗教戦争をテーマにした作品。ハード寄りのギターにシンセを重ね、
イタリア語による骨太のヴォーカルを乗せて、シリアスでダークな味わいのハードプログレを展開する。
勇壮な歌声で聴かせるタテノリのサウンドはむしろゲルマン的でもあるが、ときに女性コーラスも加えたり
優雅にヴァイオリンも鳴り響く、幻想的な叙情を描くところはなかなか面白い。リズム自体はわりと単調なので、
全体的にプログレというよりは、イタリア語による勇壮なドラマティックロックという味わいだろう。
ドラマティック度・・8 プログレ度・・7 イタリア度・・7 総合・・7.5
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Il Tempio Delle Clessidre
イタリアのプログレバンド、テンピオ・デッレ・クレシドレの2010年作
オルガンが鳴り響きギターが重なる、かつてのヘヴィプログレの質感を
現代的なシンフォニック性で包み込んだというサウンドは、適度なレトロさとともに
古き良きイタリアンプログレの世界観を濃密に描いている。ヴォーカルはなんと、
Museo Rosenbachのステファノ・ルポ・ガリフィで、枯れた味わいの歌声は
まさにあのころのイタリアの空気をかもし出す。全体的には女性鍵盤奏者の奏でる
美しいシンセワークが楽曲を繊細に彩っていて、むしろ優雅な耳心地の作品である。
シンフォニック度・・8 プログレ度・・8 イタリア度・・9 総合・・8
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Il Tempio Delle Clessidre 「Alienatura」
イタリアのプログレバンド、テンピオ・デッレ・クレシドレの2013年作
女性シンセ奏者のエリサ・モンタルド嬢を中心に、優雅な鍵盤ワークと適度にハードなギターで
古き良きヘヴィプログレの感触を描き出すサウンド。7〜9分の大曲を中心に、メリハリあるアレンジと
翳りを含んだ叙情、そして重厚な味わいで、ドラマティックな構成力をまとわせた堂々たる聴き心地。
前作で参加していた、Museo Rosenbachのステファノ・ルポ・ガリフィは不参加ながら、
新たに加入したフランチェスコ・シアピカの存在感あるどっしりとした歌声はすでに貫禄充分である。
女性コーラスも加わって妖しく構築される15分に及ぶラストの大曲も圧巻だ。前作以上の力作。
ドラマティック度・・8 プログレ度・・8 イタリア度・・9 総合・・8
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IL TEMPIO DELLE CLESSIDRE 「LIVE IN SEOUL」
イタリアのプログレバンド、イル・テンピオ・デッレ・クレシドレのライブDVD。2014年作
女性シンセ奏者のエリサ・モンタルドを中心に、2010年にデビュー、往年のイタリアンプログレを蘇らせる期待のバンド。
Disc1には、2011年韓国でのライブを、Disc2には2009〜2012年のイタリアでのライブ、アメリカNEARfestでの映像も収録。
ムゼオ・ローゼンバッハのステファノ・ガリフィが参加して、名作「ツァラトゥストラ組曲(ZARATHUSTRA)」の完全再現を披露。、
さすがに本家に比べると演奏の重厚さには欠ける感じではあるが、ガリフィ氏の歌声と存在感はさすがで、
耽美なゴスメイクのエリサ嬢が、オルガンなどのオールドな鍵盤を華麗にかき鳴らす姿は、ある意味必見である
後半は1stアルバムのナンバーを全曲演奏。イタリアのバンドらしい妖しくも優美なプログレサウンドが楽しめる。
Disc2の方は、映像、音質ともにオフィシャルブートという程度なので、あくまでオマケながら、TV出演の映像などは興味深い。
ライブ映像・・7 ライブ演奏・・8 イタリア度・・8 総合・・7.5 
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Il Tempio Delle Clessidre「Il Ludere」
イタリアのプログレバンド、イル・テンピオ・デッレ・クレシドレの2017年作/邦題「砂時計の幻想」
女性シンセ奏者、エリサ・モンタルドを中心に、古き良きイタリアンプログレの濃密な空気感を描き出すバンド。
1作目は、Museo Rosenbachのステファノ・ルポ・ガリフィが参加したことでも話題になったが、3作目となる本作には、
元ANGLAGARD、現在はWHITE WILLOW、NECROMONKEYでも活躍するマティアス・オルソンがドラムで参加している。
オルガンやムーグを含んだやわらかなシンセに、メロディックなギターとイタリア語によるヴォーカルを乗せ、
軽やかなアンサンブルで70年代ルーツの叙情性をかもしだすサウンドは、すでに円熟の域というべき聴き心地。
優雅で落ち着いたナンバーが主体ながら、厚みのあるシンセアレンジと泣きのギターでここぞと盛り上げるのはさすがで、
伸びやかなヴォーカルの表現力も含めて、中期のBANCOにも通じる堂々たる作風である。これぞイタリアのプログレ!
ドラマティック度・・8 プログレ度・・8 イタリア度・・9 総合・・8 
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TenMidnight 「The City of Angels」
イタリアのプログレバンド、テンミッドナイトの2011年作
小説を基にしたコンセプトアルバムで、オルガンやムーグを含むシンセアレンジに
イタリア語のヴォーカルで叙情豊かに聴かせる、プログレハード的なサウンド。
プログレ的な展開力や個性的なセンスはあまり感じず、古き良きハードロック的要素もある
メロディックロックのイタリア語版という感じか。全体的にもとくに目新しさはないので、
もっと楽曲ごとのドラマテイックな聴きどころや大仰さが欲しい気がする。
ドラマティック度・・7 プログレ度・・7 楽曲・・7 総合・・7


I TEOREMI
イタリアンロックバンド、イ・テオレミの1972年作
本作が唯一のアルバムで、ブルージーなギターを乗せた大人の味わいのアンサンブルに
イタリア語によるヴォーカルで聴かせる、オールドスタイルのハードプログレサウンド。
シンセをほとんど使っていないのでプログレ感はさほどないが、ブリティッシュロックをルーツに、
イタリアらしい濃密さを加えたスタイルは、初期のIL BALLETTO DI BRONZOにも通じるだろう。
巧みなドラムとセンスのあるフレージングを奏でるギターを中心にした演奏力の高さもあって、
情熱的なヴォーカルとともに、ひとつの世界観を描いている。ハードロックルーツの傑作だ。
ドラマティック度・・8 プログレ度・・7 イタリア度・・8 総合・・8
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THEATRE「NO MORE RHYMES BUT MR.BRAINSTORM」
イタリアのプログレバンド、テアトルの1993年作
優美なシンセにジェントルなヴォーカルを乗せた、PALLASなどに通じる英国ポンプロック寄りのシンフォニックロックで、
随所にPENDRAGONのような泣きのギターメロディも覗かせる。歌詞が英語なので、イタリアっぽさはあまりないが、
いくぶんくぐもったようなマイナーな香りを感じさせるところは、90年代イタリアンシンフォ的でもある。
10分を超える大曲はドラマティックな展開で、GENESISルーツの叙情とシアトリカルな世界観は、その手のファンにはけっこう楽しめる。
ドラマティック度・8 プログレ度・7 ジェネシポンプ度・8 総合・7.5


Three MonksNeogothic Progressive Toccatas
イタリアのプログレバンド、スリー・モンクスの2010年作
荘厳なパイプオルガンが響きわたる、異色のシンフォニックロック作品。
DAEMONIAJACULAなどにも通じるゴシカルな耽美さを含んだ雰囲気で
これもイタリアからしか出て来ない大仰で濃密な世界観といえるだろう。
オールインストなので、キャッチーなプログレを求める方には向かないが、
大聖堂に鳴り響くようなパイプオルガンの音色は、バロックなロマンにあふれている。
シンフォニック度・・8 耽美度・・8 パイプオルガン度・・9 総合・・8
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Three Monks「The Legend of the Holy Circle」
イタリアのプログレバンド、スリー・モンクスの2013年作
前作に続き、本作もパイプオルガンを使った、ゴシカルなシンフォニックロックを聴かせる。
イタリアらしい妖しい濃密さと、TRACEPar Lindh Projectなどに通じるクラシカルなテイストを合わせた
大仰な雰囲気のオールインストサウンドで、鍵盤プログレ好きの方ならにんまりするだろう。
10分前後の大曲も多く、歌が入らない分、やや長尺な感じもあるのだが、壮麗なパイプオルガンに
シンセが重なる濃密なクラシカル・シンフォニックロックにウットリと浸れます。
クラシカル度・・8 プログレ度・・7 キーボー度・・8 総合・・8
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TILIONA.M.I.G.D.A.L.A
イタリアのプログレバンド、ティリオンの2008年作
メロトロンを含んだシンセアレンジと、テクニカルな展開力で聴かせる
ハードシンフォニック作品。イタリアらしいエキセントリックな混沌と
クラシカルな美意識が融合し、先の読めないミステリアスな雰囲気が面白い。
オペラティックな女性ヴォーカルの歌声がシアトリカルな世界観をかもし出し、
どこか妖しげなアンダーグラウンド感覚を漂わせているのもけっこう好みです。
インスト部分にはいくぶん散漫さも感じるのだが、感性で構築された異色の力作。
ドラマティック度・・8 プログレ度・・8 妖しげ度・・8 総合・・7.5
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TILION 「SUITES RITROVATE」
イタリアのプログレバンド、ティリオンの2019年作
1999年にデビュー、本作は3作目。21分、27分という2つの大曲をメインにした構成で、
オルガンなどのヴィンテージなシンセにほどよくハードなギター、イタリア語のヴォーカルとともに、
先の読めない混沌とした空気とうねりのあるアンサンブルで、濃密なプログレを展開する。
歌い上げるシアトリカルなヴォーカルに、クラシカルなピアノを含む優美なシンセワーク、
緩急ある構築センスは、イル・バレット・ディ・ブロンゾ「Ys」のようなミステリアスな雰囲気で、
これぞイタリアのプログレという世界観。さすがに、27分の組曲はなかなか長尺なのだが、
たまにはこういうコテコテな混沌系プログレを聴きたくなる…という方も多いだろう。
ドラマティック度・・8 プログレ度・・8 イタリア度・・9 総合・・8 
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Tito Schipa Jr. 「Orfeo9」
イタリアのカンタゥトーレ、ティト・スキッパ・ジュニアの1973年作
ギリシア神話をテーマにしたCD2枚組のロックオペラで、オーケストラ入りの壮麗さに
男女複数のヴォーカルが歌を乗せる、演劇的な展開で聴かせる壮大な作風。
エキセントリックな妖しさと優雅な叙情が交差する楽曲は、メリハリに富んだ構成で
ブラスやストリングスのアレンジを含ませた、イタリアらしいじつに濃密な聴き心地だ。
女性ヴォーカルの歌声も美しく、ときにアシッドフォーク風味の牧歌的な雰囲気もまじえつつ
シアトリカルな世界観を描いてゆく。プログレとして聴くには長尺な感じもあるが、異色の力作であると思う。
ドラマティック度・・9 プログレ度・・7 壮大度・・9 総合・・8
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TONY CARNEVALE「LA VITA CHE GRIDA」 
イタリアの作曲家、シンセ奏者、トニー・カルネヴァーレの1995年作
ソロ作としてのこの2作目は、BANCOのジャコモ氏をゲストに迎えて、クラシカルなシンフォニックプログレが展開されている。
艶やかなストリングスアレンジとともに、優雅なシンフォニーを繰り広げるさまは、イタリアのゴドフレイ(THE ENID)というべきか。
一方では、ムーグやオルガンなど、古き良きイタリアンプログレの要素を融合させ、緊張感漂う鍵盤プレイも見せつける。
ドラムは打ち込みながら、案外弾きまくるギターとともにハードエッジな部分も含ませたロック色もしっかりとある。
クラシカルなキーボードシンフォニックの極みというべき壮麗さが楽しめる傑作です。
シンフォニック度・・9 クラシカル度・・9 プログレ度・・8 総合・・8
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TONY CARNEVALE「LIVE ROCK SYMPHONIC CONCERT」
イタリアの作曲家でキーボーディスト、トニー・カルネヴァーレのライブアルバム。2003年作
クラシカルでバロックな音楽性は、ロバート・ジョン・ゴドフリー(THE ENID)かパル・リンダーかというほど。
このライブ作では1995年作のソロ2作目「LA VITA CHE GRIDA」からの曲を中心にしつつも、
のっけから「展覧会の絵」で攻めてくるあたりが、いかにもプログレを意識した構成でよいですな。
優雅でクラシカルなスタジオ版の音に比べ、このライブではギターやドラムもかなりロックしており、
イタリア然とした躍動感に満ちた熱い演奏が繰り広げられている。BANCOのジャコモ氏も歌入り曲で参加。
シンフォニック度・・8 クラシカル度・・8 熱情度・・9 総合・・8
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Tony Carnevale 「Piano」
イタリアの作曲家、トニー・カルネヴァーレの2006年作
1979〜2003年までに録音されていたピアノ曲をまとめた作品。当然ながらロック色はなく、
やわらかなビアノの音色を中心に聴かせる作風であるが、曲によってはシンセが加わったり、
シンフォニックなテイストもある。後半にはショパンの組曲を演奏していて、1979年の音源ながら、
クラシックの素養を学んだ鍵盤奏者らしい、繊細かつあでやかなタッチにうっとりとなる。
クラシカル度・・8 プログレ度・・3 ロック度・・1 総合・・7.5
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Tony Carnevale 「...Dreaming A Human Symphony」
イタリアのシンセ奏者にして作曲家、トニー・カルネヴァーレの2009年作
クラシカルでオーケストラルなアレンジと、ムーグなどのプログレ的シンセもたっぷりと使った
ロックオペラ的なコンセプト作。BANCOのジャコモ氏をはじめ、名うてのセッションミュージシャンが参加し、
ときに女性ヴォーカルも加わった歌もの的な楽曲も含めてキャッチーなポップ要素もありつつ、
それがコテコテのキーボードプログレと融合、結果として、壮麗にして繊細な美しさも含んだ
濃密なシンフォニックロックを聴かせてくれる。やっぱりイタリアの人なんですな。
シンフォニック度・・8 プログレ度・・7 壮麗度・・9 総合・・8
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TOP LEFT CORNER「MYSTERY BOOK」
イタリアのプログレハード、トップ・レフト・コーナーの1994作
なにやら物語的なSEで幕を開け、曲が始まるとメロウなギターフレーズと
うっすらとしたシンセ、キャッチーなヴォーカルメロディでポンプロック的に聴かせる。
ややマイナー臭いがファンタジックな世界観と、シンフォニックロック的な叙情性が
なかなか耳に心地よく、爽やかなコーラスハーモニーとともにゆったりと楽しめる。
メタリックな硬質さはあまりなく、むしろプログレハード的に聴ける作品だ。
メロディアス度・・8 プログレハー度・・8 キャッチー度・・8 総合・・7.5

Top Left Corner 「Nowhere」
イタリアのプログレハード、トップ・レフト・コーナーの2nd。1996作
1st「Mystery Book」はポンプロック風味のキャッチーなサウンドで、なかなか悪くなかったが、
本作もシンフォニックなシンセワークとメロウなギターを軸にゆったりとした楽曲で聴かせるハードプログレだ。
メタリックな緊張感や硬質感はあまりなく、聴きようによっては退屈で中庸な音楽性なのだが、
ヨーロピアンな情緒をまぶしたメロディとファンタジックな世界観をかもしだすドラマティックな雰囲気はやはり嫌いではない。
とくに泣きのメロディを奏でるギターは、プログレ/シンフォニック系のリスナーに好まれるものだろう。
メロディアス度・・8 プログレハー度・・8 ゆったりメロウ度・・8 総合・・7.5
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LA TORRE DELL' ALCHIMISTA
イタリアのプログレバンド、ラ・トッレ・デル・アルケミスタの2001年作
「錬金術師の塔」というバンド名通り、古き良きプログレの幻想性を現代に蘇らせたようなサウンド。
BANCOCORTE DEI MIRACOLIなど、70年代のイタリアンロックの濃密な熱さをそのまま再現するかのように、
アナログなフルートの音色に叙情的なキーボードワーク…ハモンドやメロトロンまでちゃんと本物を使うというこだわりようで、
しっとりとした優美な叙情性に包まれた、なつかしい聴き心地のシンフォプログレの味わいが満喫できる。
演奏、アレンジなどの現代的手法と、70年代のやわらかな空気を自然に融合させるセンスも見事で、
単なる模倣や懐古主義には終わらぬ、優れた構築力を有した逸品といえる。これぞイタリアの音!
メロディアス度・・8 ハモン度・・9 70'sイタリア度・・10 総合・・8
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La Torre Dell' Alchimista「neo」
イタリアのシンフォニックロックバンド、ラ・トッレ・デル・アルキミスタの2nd。2007年作
70年代の雰囲気を再現した懐古主義的サウンドが見事だった1stに続き
今作もメロトロン、ハモンド、ムーグなどを鳴らしまくるレトロ系シンフォを追求している。
ただ、あまりにも70'sイタリアの音を追求していた1stに比べ、今作は楽曲の構成や演奏などに
90's以降のスタイリッシュさも感じられるようになり、いっそう聴きやすくなった。
ELPを思わせるハモンドの音色にPFMばりのムーグの響き、叙情的なイタリア語の歌唱とヴァイオリン、
そして適度にテクニカルな楽曲には、プログレマニアの喜びそうな要素が詰まっている。
懐かしのレトロ感覚と、現代シンフォニックの構築性が合体したイタリアンシンフォの充実作だ。
メロディアス度・・8 プログレ度・・8 レトロ度・・8 総合・・8
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TOWER「Tales from a Book of Yestermorrow」
アルティのシンセ奏者でもある、ベッペ・クロヴェッラによるソロプロジェクト。1994年作
オルガンやムーグなど、アナログ感をただよわせるシンセワークに、
女性ヴォーカルの英語の歌声で聴かせる、キャッチーなプログレサウンド。
楽曲的なスリリングさは希薄で全体的にやわらかな耳心地なので、
ときにRENAISSANCEあたりに通じるような雰囲気にもなる。
いわば、キャッチーなポップ性とヴィンテージプログレを融合したような好作品。
メロディック度・・8 プログレ度・・7 やわらか度・・8 総合・・7.5




TRAMA Prodromi Di Finzioni Sovrapposte
イタリアのシンフォニックロック、トラマの1998年作
美しい女性ヴォーカルのイタリア語の歌声と、オルガンを含むやわらかなシンセアレンジ、
随所にメロディックなギターフレーズも含んだ、幻想的なシンフォニックロックを聴かせる。
日本のVermillion Sandsのような素朴な味わいを感じさせるのは、ヴォーカル嬢の素直な歌声のせいだろうか。
飾らない繊細な感触はこの手のマイナーバンドの魅力だろう。派手さはないが、とてもいとおしい感じの好作品。
メロディック度・・8 プログレ度・・7 繊細度・・9 総合・・8
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Trama 「Oscure Movenze」
イタリアのシンフォニックロック、トラマの2018年作
1998年に1作を残して消えたバンドの、じつに20年ぶりとなる復活作。艶めいた女性ヴォーカルの歌声に、
LA COSCIENZA DI ZENO、HOSTSONATENなどにも参加する、ルカ・スケラーニの美麗なシンセワーク、
適度にハードなギターとともに幻想的なシンフォプログレを聴かせる。繊細で優美だった前作の作風に、
いくぶんゴシック的な翳りが加わっていて、ときにPresenceのような魔女めいた妖しさも感じさせる。
12分、14分という大曲も、ゆったりとした叙情性から、ハードシンフォへと緩急ある展開を垣間見せつつ、
美しいシンセアレンジと女性声の魅力で、ダークなジャケのイメージとは異なる優雅な聴き心地に包まれる。
ドラマティック度・・7 優美度・・8 女性Vo度・・8 総合・・8
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TRAUMA FORWARD「SCARS」
イタリアのプログレバンド、トラウマ・フォワードの2017年作
きらびやかなシンセにハード寄りのギターを乗せ、知的なセンスのモダンなハードプログレを聴かせる。
クラシカルなピアノにデジタルなアレンジを重ね、叙情的なギターフレーズも覗かせつつ、
ときにイタリア語による語りが入ってきたり、どことなくシアトリカルな妖しさをかもしだす。
楽曲自体は3〜4分前後とわりとあっさりしていて、シンセをメインにしたニューエイジ風の小曲などもあり、
なかなかつかみどころがない。全体的にイタリアらしい濃密さはあまり感じないので、プログレとして聴くには物足りなさも。
ドラマティック度・・7 プログレ度・・7 モダン度・・8 総合・・7.5
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TREWA「Many Meetings on a Blithe Journey」
イタリアのフォークロック、トレワの2012年作
MOGADORにも参加するLuca BriccolaとCELTIC HARP ORCHESTRAのメンバーによるユニットで、
ヴァイオリンやハープが鳴り響き、ギターやドラムが加わったロック色も含んだサウンド。
メロディにはケルティックなテイストがあって、そこに男女ヴォーカルの歌声を乗せた、
キャッチーかつ軽快な味わいで、素朴な牧歌性とメロディックな聴きやすさが同居している。
女性声メインの曲は優雅な感触でとてもよい感じなので、個人的にはもう少し増やして欲しい。
反面、インストの曲は普通のケルトロックなのでややインパクトが弱いか。
トラッドロックとしての音の説得力とともに、シンフォ色がもっとあってもよい気もする。
ドラマティック度・・7 ケルティック度・・7 優雅度・・8 総合・・7.5
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TRIADE「1998: La Storia Di Sabazio」
イタリアのプログレバンド、トリアーデの1973年作/邦題「サバツィオの物語」
シンセ、ベース、ドラムという、いわゆるキーボードトリオの編成で、本作が唯一の作品となる。
オルガンが幻想的に鳴り響き、いくぶんアヴァンギャルドな展開力とともに、
EL&Pを優雅にしたようなサウンドを展開する。クラシカルなチェロの響きや繊細なピアノなど、
ゆるやかな叙情パートを含んだ緩急ある構築力で、12分の組曲を描いてゆく。
アルバム後半では、イタリア語のヴォーカルや、アコースティックギターも加わった優美なナンバーも魅力的。
全31分という短い作品であるが、繊細でクラシカルなキーボードロックが味わえる逸品です。
クラシカル度・・8 プログレ度・・8 優雅度・・9 総合・・8
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THE TRIP「ATLANTIDE」
イタリアのプログレバンド、トリップの3rd。1972年作
後にARTIに加入する超絶ドラマー、フリオ・キリコが在籍したバンドとしても知られる。
ギターレスのキーボードトリオの編成で、本作は幻の大陸アトランティスをテーマにした作品。
ピアノやオルガンなどのシンセにテクニカルなドラムで、EL&PBANCOにも通じる雰囲気に、
ジャズロックやブルーズロック的な味わいも感じさせる。フリオ・キリコのドラムのキレはやはり素晴らしく
バンドの屋台骨をしっかりと支えていて、軽やかなアンサンブルも含めて、確かな演奏力で楽しめる好作品だ。
メロディアス度・・7 プログレ度・・7 軽妙度・・8 総合・・7.5
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Il Trono dei Ricordi
イタリアのプログレバンド、トロノ・デイ・リコルディの1994年作
きらびやかなシンセに英語歌詞のヴォーカルを乗せた、正統派のシンフォニックプログレ。
オルガンやムーグシンセなどの古き良きプログレ感触を、90年代のスタイリッシュなセンスで構築し、
GENESISをルーツにした幻想的な味わいを、イタリアらしい濃密さで味付けしたという聴き心地である。
1曲目から20分におよぶ大曲というのも、バンドとしての自信の表れなのだろう。起伏に富んだ展開力と
確かな演奏力が備わっていて、B級っぽさはほとんどない。まさに90年代ネオプログレの遺産というべき力作だ。
ドラマティック度・・8 プログレ度・・8 構築度・・8 総合・・8
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TUGSEuropa Minor
イタリアのプログレバンド、タグスの2013年作
70年代に結成されたが、作品を残さないまま80年代に解散したバンドの復活作であり初作品。
ムーグを含む古き良きプログレ感触のシンセワークと、適度なハードも含んだギターに
イタリア語によるヴォーカルでメロディックに聴かせるサウンド。フルートやヴァイオリンが鳴り響き
クラシカルな優雅さといかにもイタリアン・プログレらしい濃密さが合わさったという作風だ。
昨今の新鋭バンドとはやはりいくぶん異なる、ベテランらしい哀愁の叙情も漂わせていて、
いわば70年代風味の作品を現在形で仕上げたという雰囲気か。じっくり楽しめるイタリアンな好作品。
メロディック度・・8 プログレ度・・8 イタリア度・・9 総合・・8
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TWENTY FOUR HOURS 「CLOSE -LAMB-WHITE-WALLS」
イタリアのプログレバンド、トウェンティ・フォー・アワーズの2018年作
1988年にデビュー、2004年までに5作を残して消えるも、2016年になって12年ぶりに復活。本作はそれに続くアルバムで、
JOY DIVISION「CLOSER」、GENESIS「THE LAMB LIES DOWN ON BROADWAY」、THE BEATLES「WHITE ALBUM」
PINK FLOYD「THE WALL」という4つの名作にインスピレーションを得て作られたという、CD2枚組の大作となっている。
オルガンやメロトロンなどのヴィンテージなシンセにブルージーなギター、シアトリカルなヴォーカルを乗せて、
サイケな浮遊感に包まれたオールドなロックサウンドから、女性ヴォーカルに叙情的なギターとシンセの優美ナンバーや、
ヴァイオリンも鳴り響くクラシカルな味わいに、キャッチーなポップ性まであって、なかなかつかみどころがない。
メロトロン鳴り響く叙情的な歌ものから、オルガンと女性声で聴かせるヴィンテージハードに優美なシンフォニックと、
それなりに楽しめはするが、プログレ的な濃密さや展開はさほどなく、とらえどころのなさがもどかしい気もする。
ドラマティック度・・7 プログレ度・・7 イタリア度・・7 総合・・7.5
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Ubi Maior 「Senza Tempo
イタリアのプログレバンド、ウビ・マイオールの2009年作
THE WATCHのメンバーによって結成されたバンドで、これが2作目となる。
サウンドはいかにも古き良きイタリアンプログレを甦らせた雰囲気で、美麗なシンセとともに
かつてのBANCOにも通じるクラシカルな叙情と濃密なシンフォニック性が楽しめる。
メロトロンが響き渡るミステリアスな感触は、70年代的なレトロさを再構築した趣もあり
クオリティの高さの点でLA MASCHERA DI CERAなどのファンにもお勧めできる。
8分以上の大曲が4曲もあるが、メロディックに構築されていてどれも出来がよい。力作。
ドラマティック度・・8 プログレ度・・8 イタリア度・・9 総合・・8
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Universal Totem Orchestra 「Mathematical Mother」
イタリアのプログレバンド、ユニバーサル・トーテム・オーケストラの2017年作
Runaway Totemのメンバーを中心に1998年結成、本作はUTOとして2006年作以来となる3作目のアルバム。
女性Vo、サックス、シンセ奏者を含む6人編成で、変則リズムのテクニカル性を含んだ軽やかなアンサンブルに、
イタリア語の美声の女性ヴォーカルを乗せた、ジャズロック風味を含んだ優雅なプログレサウンド。
メロディックなギターの旋律にクラシカルなピアノとAna Torrs嬢のオペラティックな歌声でしっとりと聴かせるパートから、
リズムチェンジや唐突な展開でアヴァンギャルドな展開を垣間見せる、アーティスティックなアレンジも面白い。
ときにMAGMAを思わせるような部分もあり、ズール系と言われるように、シアトリカルな妖しさを含みながら、
スタイリッシュで軽妙な味わいが特徴的だ。ジャズやチェンバーロック、クラシックの要素を、現代的なセンスと
構築性で仕立て上げた力作。芸術的なジャケデザインは、Il Segno Del Comandoなども手掛けたダニーロ・カプーア氏によるもの。
ドラマティック度・・8 プログレ度・・8 女性Vo度・・8 総合・・8
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UNO
イタリアのプログレバンド、ウーノの1974年作
OSANNAの4th「人生の風景」発表後、ダニーロ・ルスティーチ(Vo&G)とエリオ・ダンナ(Sax)はバンドを脱退し、本バンドを結成。
やわらかなフルートにアコースティックギターが絡むイントロから、優美なシンセに英語のヴォーカルが加わって、
サックスの音色とともに叙情豊かなサウンドが広がってゆく。ファンキーなノリやジャズロック的な軽妙さも覗かせつつ
イタリア語を乗せたナンバーやドカドカとしたドラムも含めて、イタリアらしい濃密な味わいもしっかりと残している。
10分を超える大曲でも、叙情性と勢いのあるノリが同居した緩急ある構築力で、演奏力の高さも見せつける。
ラスト曲では、PINK FLOYDの傑作「狂気」に参加していた女性シンガーがゲスト参加しているのも話題となった。
バンドは本作のみで終わるが、よりスタイリッシュなサウンドを目指したスタイルのNOVAへとつながってゆく。
ドラマティック度・・7 プログレ度・・8 イタリア度・・8 総合・・8
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Unreal City 「LA CRUDELTA DI APRIL」
イタリアのプログレバンド、アンレアル・シティの2013年作
女性ギタリストを含む4人編成で、オルガンやムーグを響かせるシンセワークと
やわらかなイタリア語のヴォーカルで聴かせる、正統派のシンフォニックロック。
ゲストによるヴァイオリンの音色も美しく、古き良きイタリアンロックを思わせるような
唐突な展開力も魅力的で、往年のイタリアン・プログレ好きもにやりとしそうなサウンド。
楽曲は7〜9分と長めで、ラストは17分の大曲という、若手ながら構築力も見せつける。
そして、プロデュースはファビオ・ズッファンティということで、もうハズレはないですね。
メロディック度・・8 プログレ度・・8 イタリア度・・8 総合・・8
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UNREAL CITY 「Il Paese Del Tramonto」
イタリアのプログレバンド、アンレアル・シティの2015年作
女性ギタリストを含む4人編成で、前作もなかなかの好作であったが、2作目となる本作も
オルガンやムーグ、メロトロンを含むシンセに、メロウなギターワークとイタリア語によるマイルドなヴォーカルを乗せた
古き良き感触のプログレサウンド。7〜10分という長めの楽曲を中心に、今作では随所にイルバレ的でもある
エキセントリックなフレーズを覗かせ、適度にスリリングな混沌を含んだ濃密な聴き心地で飽きさせない。
一方では優雅なピアノに泣きのギターを乗せた、ゆったりとした叙情性もあって、牧歌的なシンフォとしての味わいも。
ラストは20分の大曲で、ゲストによるヴァイオリンも加わって、メリハリある構築性で展開する。全70分の力作。
ドラマティック度・・8 プログレ度・・8 イタリア度・・8 総合・・8
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UNREAL CITY 「FRAMMENTI NOTTURNI」
イタリアのプログレバンド、アンレアル・シティの2017年作
2013年にデビューし3作目。女性ギタリストを含む4人編成で、オルガンにヴァイオリンが鳴り響き、
サイケなギターを乗せたイントロから、ミステリアスで混沌としたプログレサウンドが展開してゆく。
クラシカルなピアノにイタリア語のヴォーカルも加え、ゆっりとした叙情パートも含め、5パートに分かれた13分の大曲を、
緩急ある流れで構築。随所に女性ヴォーカルや叙情的なギターで、シンフォプログレとしての優雅さも覗かせる。
続く2曲目も11分という大曲で、ヴィンテージ感のあるシンセとともに、イタリアンロックらしい濃密な味わいに包まれる。
古き良きプログレらしさと、イタリアならではの妖しさを、若手らしい瑞々しいセンスで仕上げたという逸品だ。
ドラマティック度・8 プログレ度・8 イタリア度・9 総合・8 
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Venegoni & Co.「Rumore Rosso」
イタリアのジャズロック、ヴェネゴーニ&カンパニーの1977年作
元ARTI E MESTIERIのギタリスト、GIGI VENEGONIを中心にしたバンドで
アコースティカルなクラシックギターにパーカッション、やわらかなエレピ、シンセが重なる
優雅なジャズロックサウンド。アルティのようなあからさまなテクニカル志向ではないが、
よく聴けばリズムアンサンブルもけっこう凝っていて、玄人好みのサウンドが楽しめる。
サックスとエレピの掛け合いなど、カンタベリー風味の軽妙な聴き心地も魅力的で、
イタリア語のヴォーカルが加わると、AREAのような民族的な彩りも感じさせたりもする。
全体的には小曲集という趣で、強いインパクトはないものの、実力者による好作品には違いない。
メロディック度・・8 プログレ度・・7 ジャズロック度・・8 総合・・8

VENEGONI & CO.「RUMORE ROSSO VIVO」
イタリアのジャズロック、ヴェネゴーニ&カンパニーのライブ。2004年作
ARTI E MESTIERIのルイジ・ヴェネゴーニを中心にしたバンドで、本作は1978、79年の未発表ライヴ音源のCD化。
わりとハード寄りのギターを乗せて、手数の多いドラムとともに躍動感あるアンサンブルで聴かせる、
パワフルなジャズロックが展開される。ヴェネゴーニのギタープレイは、ときにブルージーでときにテクニカル、
ジャズロックでありながらも、むしろロック的な荒々しさを兼ねそろえたノリの良さを感じさせる。
アルティほどの華やかさはないが、ときにアレアのような即興的な演奏もまじえた演奏が楽しめる。
音質はややラフなのだが、その分当時の臨場感ある空気が伝わってくる、価値ある発掘ライブ音源だ。
ジャズロック度・・8 ライブ演奏・・8 音質・・7 総合・・7.5
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I VIAGGI DI MADELEINE
イタリアのプログレバンド、イ・ヴィアージ・ディ・マデレイネの2019年作
わりとハードなギターにシンセ重ね、イタリア語のヴォーカルで聴かせる、70年代ルーツのイタプロサウンド。
緩急ある展開力は、ときにいくぶんアヴァンギャルドで、イタリアンプログレ特有の妖しさに包まれる。
8〜12分という大曲をメインに、叙情的なギターにオルガンやピアノが重なる優美なインストパートなど、
ほどよいハードなノリとプログレらしさが同居していて、新鋭ながら堂々たるサウンドが味わえる。
楽曲間にイタリア語による語りを挟みつつ、ラストの大曲では、往年のイタリアン・ハードプログレらしい
ドラマティックな展開力で聴かせる。同郷のPANDORAなどにも通じる濃密な力作です。
ドラマティック度・8 プログレ度・8 イタリア度・8 総合・8
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IL VOLO
イタリアンロックバンド、イル・ヴォーロの1st。1974年作
FORMULA 3アルベルト・ラディウスを中心としたバンドで、
メンバーの誰もが高度な演奏能力を有しているのが分かる、巧みなアンサンブルは、
派手な部分や突出した展開はないものの、自然体の構築美を感じさせる。
ラディウスのギターはときにメロウにときにアコースティカルに鳴り、美しいシンセをバックに
しっとりとしたイタリア語の歌唱が美しく乗ると、ここに繊細な叙情が極まる。
プログレうんぬんを抜きにして、穏やかなイタリアンロックとして楽しむ作品であろう。
メロディアス度・・8 たおやか穏やか度・・9 アンサンブル度・・9 総合・・8◆プログレ名作選入り
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IL VOLO「ESSERE O NON ESSERE?」
イタリアンロックバンド、イル・ヴォーロの2nd。1975作
FORMULA 3アルベルト・ラディウスを中心、たった二作を残して消滅した名バンド。
2作目の本作では、歌パートが減り、インストとコーラスがメインになったことで、のっけから勢いのある演奏で始まる。
しかし、すぐにまたアコースティカルな情緒を折りこまれ、バンドの本質が変わっていないのが分かる。
ジャズロック的に跳ねるリズムと、美しいシンセ、ギターが一体となったアンサンブルが素晴らしい。
まさにジャケットのようにブルーの叙情…けっして押しつけがましくない内的な激しさが音にある。
よりロック的なダイナミズムに満ちた2ndと、たおやかな叙情の1st、どちらにも捨てがたい魅力がある。
メロディアス度・・8 プログレ度・・8 アンサンブル度・・9 総合・・8◆プログレ名作選入り
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The WATCH「Ghost」
イタリアのプログレバンド、The Night Watch改めウォッチとしての1st。2001年作
いかにも古き良き時代のGENESISを手本にしたサウンドで、ヴォーカルもPガブリエル風、
時代的ロマンを感じさせるメロトロンが鳴り響き、楽曲は8〜10分とどれも長い。
正直、これだというインパクトはないが、ハケットばりのメロウなギターワークや
やわらかなシンセに包まれて初期GENESIS好きには耳心地のよい音だろう。
シンフォニック度・・8 古き良き度・・9 GENESIS度・・9 総合・・7.5
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THE WATCH「VACUUM」
イタリアのプログレバンド、ウォッチの2nd。2004年作
THE NIGHT WATCHから改名しての2作目。イタリアにはGENESISフォロワーが案外多いようだが、
このバンドは、なりきり度の点では頭ひとつ抜けてでいるといってよい。
なにしろヴォーカルの声質や歌い方がピーター・ガブリエルそっくりなのだ。
メロトロンがたっぷり鳴り響き、メロウなギターにフルートの音色も加わって、
しっとりと優美に聴かせる正統派のシンフォニックロック。スリリングさはほぼ皆無だが、
初期ジェネシスのロマンの香りを蘇らせる懐古主義的なサウンドは、ファンにはたまらないだろう。
メロディアス度・・8 プログレ度・・7 GENESIS度・・9 総合・・8
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THE WATCH 「PRIMITIVE」
イタリアのプログレバンド、ウォッチの2007年作
3作目の本作も、メロトロンを含むシンセに叙情的なギター、P.ガブリエル似のヴォーカルを乗せて
GENESISルーツの王道のシンフォプログレを聴かせる。スリリングな展開はさほどないが、
8〜9分の大曲も、ゆったりとした味わいの叙情性に包まれながら、じっくりと構築してゆく。
演奏の意外性という点では物足りないし、リズム面での野暮ったさもあるものの、
ほどよくキャッチーな作風は耳心地よく、ジェネシス系シンフォが好きな方ならにんまりだろう。
ドラマティック度・・7 プログレ度・・7 ジェネシス度・・8 総合・・7.5
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The Watch 「Live」
イタリアのプログレバンド、ウォッチのライブ作品。2009年作
本作は2008年のツアーからの音源を収録。オルガンにメロトロンを含むシンセに、メロウなギター、
ガブリエル似のヴォーカルを乗せた、完全GENESISルーツのシンフォニックロックはライブでも健在。
バンドの過去曲に関しても、シンセの音色やアレンジを変えているのでずいぶん印象が異なっていて、
よりレイドパックした70年代志向のアレンジになっている。ベテランらしく演奏力も十分で、マイナー臭さは皆無。
当のGENESIS“Twilight Alehouse”のカヴァーも含めて、ジェネシス愛に包まれたライブ作品になっている。
ライブ演奏・・8 プログレ度・・7 ジェネシス愛度・・9 総合・・8
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THE WATCH「Planet Earth?」
イタリアのプログレバンド、ウォッチの2010年作
1997年にThe Night Watchとしてデビューしてから、潔いまでにGENESISフォロワー丸出しで
ファンを楽しませるこのバンド、4作目となる本作でもその姿勢は微塵もブレず。
シンセの使い方からヴォーカルの歌唱までGENESIS大好きな人たちによるシンフォニックロックが
目一杯詰まってますよ。さらに今作ではやわらかな叙情と曲展開のダイナミズムが
これまで以上にかみ合って、単なるフォロワー以上の世界観を生み出している。
アコースティカルな繊細さやメロトロンも美しい。まさにイタリアのジェネシスと呼ぶにふさわしい。
シンフォニック度・・8 GENESIS度・・9 イタリア度・・7 総合・・8
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The Watch 「Timeless」
イタリアのプログレバンド、ウォッチの2011年作
2001年にデビューして以来、そのGENESISフォロワー丸出しのサウンドでマニアに人気のバンド。
5作目となる今作もオルガンやメロトロンなど、ヴィンテージなシンセの音色とガブリエル風のヴォーカルで、
耳心地のよい古き良きシンフォニックロックが楽しめる。初期GENESIS「Let Us Now Make Love」のカヴァーも、
やわらかなフルートの音色とともに、じつに堂に入っている。全体的にもバンドとしての優雅なメロディセンスが
楽曲に自然体に溶け込んでおり、ゆったりと鑑賞できる好作品に仕上がっている。
シンフォニック度・・8 GENESIS度・・8 イタリア度・・7 総合・・8
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The Watch 「Tracks from the Alps」
イタリアのプログレバンド、ウォッチの2014年作
The Night Watchの名で90年代から活動するバンドで、2001年からThe Watchに改名してから6作目。
本作はアルプス山脈をテーマにした作品で、これまでよりもいくぶんスタイリッシュになったアレンジで
ガブリエル似のヴォーカルとともに、Genesisルーツの古き良き叙情性をモダンに仕上げたという聴き心地。
メロウなギターフレーズやメロトロンを含むシンセによる、正統派シンフォニックロックを受け継ぐ感触もしっかりある。
トータルで37分というのがやや物足りないのだが、さすがのクオリティで楽しめる安心の好作です。
メロディック度・・8 プログレ度・・8 Genesis度・・8 総合・・8 
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The Watch 「Seven」
イタリアのプログレバンド、ウォッチの2017年作
メロウなギターに美しいシンセアレンジ、P.ガブリエル似のヴォーカルを乗せた、いかにもGENESISを思わせる
シンフォニックロックは7作目の本作でも健在。むしろ、ますます古き良き感触を強めて、ジェネシス化が進んだような…
と思ったら、ゲストに当のスティーヴ・ハケットが参加している。メロトロンもたっぷりと鳴り響きつつ、
わりとキャッチーな中期GENESIS的なナンバーやアコースティックによる小曲などもあったりと、
コテコテになりすぎないスタイリッシュなセンスもさすが。もはや新鮮味はないが優美な聴き心地の好作品です。
シンフォニック度・・7 プログレ度・・7 GENESIS度・・8 総合・・8 
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The Watch 「The Art Of Bleeding」
イタリアのプログレバンド、ウォッチの2021年作
2001年にデビュー、キャリア20年以上のイタリアを代表するプログレバンド。本作は8作目となる。
オルガンにメロトロンを含むヴィンテージな味わいのシンセと、相変わらずガブリエル風のヴォーカルで、
ほどよくスタイリッシュでキャッチーでもある、GENESIS系のシンフォプログレを聴かせる。
随所にアコースティックを含むハケット風のメロウなギターの旋律も覗かせ、あくまで優雅な耳心地で
ゆったりとした叙情美が味わえる。派手さはないものの、ベテランらしい安定の好作品である。
ドラマティック度・8 ジェネシス度・8 優美度・8 総合・8 
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Wicked Minds 「Witchflower」
イタリアのヴィンテージ・ロック、ウィックド・マインズの2006年作
90年代から活動するバンドで、古めかしいオルガンが鳴り響く、70年代スタイルのヴィンテージロック。
ドゥーム的なダークさはあまりなく、むしろキャッチーなメジャー感を漂わせたサウンドは、
たとえばBlood of the Sunあたりにも通じる、アメリカンなサイケ・ストーナーロックという趣もある。
曲によってはオルガンやムーグシンセがプログレ的に鳴らされて、いわばELP + Spiritual Beggarsという感じもありつつ
やわらかなフルートが鳴り響くアコースティックな小曲から、10分を超える濃密なナンバーまで、
ヴィンテージなプログレ・ハードロックとしても、サイケなストーナーロックとしても楽しめる力作だ。
ラストはRAINBOWの“Soldier of Fortune”のカヴァーで締めくくる。付属のDVDにはライブやメイキングなどを収録。
ドラマティック度・・7 キャッチー度・・8 古き良き度・・9 総合・・7.5
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Wicked Minds 「Visioni, Deliri E Illusioni」
イタリアのヴィンテージ・ロック、ウィックド・マインズの2011年作
本作は70年代のイタリアンプログレのカヴァーアルバムで、THE TRIP、OSANNA、IL BALLETTO DI BRONZO、
DELIRIUM、NEW TROLLS、LE ORME、NUOVA IDEA、CIRCUS 2000、MUSEO ROSENBACH、QUELLA VECCHIA LOCANDA、
P.F.M.といったバンドの楽曲を全13曲収録。オルガンやメロトロンが鳴り響き、ややハード寄りのギターとともに、
往年のアナログな空気感まで再現したサウンドで、OSANNAのLino Vairetti、DELIRIUMのMartin Gurice、
LE ORMEのAldo Tagliapietra、MUSEO ROSENBACHのStefano Gualifiがそれぞれ自分のバンド曲でゲスト参加、
さらにはJACULAのAntonio Bartoccetti、PRESENCEのSophya Bacciniなども参加。女性ヴォーカル入りのイルバレやPFMは新鮮だし、
やはり本人が歌うオザンナやムゼオはじつに雰囲気がある。イタリアンロック好きは必聴の内容です。
プログレ度・・8 カヴァー度・・9 イタリア度・・10 総合・・8
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The Winstons
イタリアのサイケ・ジャズロック、ウインストンズの2016年作
ウインストン姓の3人(兄弟?)によるトリオバンドで、オルガンを含むシンセに3人のキャッチーなコーラスハーモニーで、
70年代ルーツのサイケなヴィンテージ感に包まれたサウンドを描く。2曲目は何故か日本語で、サックスも加わった
ジャズロック風の感触と怪しい浮遊感が同居しながら、あくまでキャッチーな優雅さでヘンテコな味わいが面白い。
いわばビートルズ的なオールドなポップ性に、ジャズとサイケを混ぜ合わせたという感じか。曲によってはフルートや
トランペットも鳴り響き、初期クリムゾン的な叙情も感じさせる。大人のジャズ風味から、オルガン鳴り響くサイケへと
何事もないようにシフトしているのが、ある意味凄いセンスである。ラスト曲も日本語のヘンテコ・プログレが炸裂。
ドラマティック度・7 プログレ度・8 優雅でヘンテコ度・8 総合・8
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Wish 「Stay Here My Friends」
イタリアのプログレバンド、ウィッシュの2019年作
やわらかなオルガンやムーグを使ったシンセにギターを重ね、ゆったりとしたヴィンテージなサウンドを聴かせる。
ややもっさりとしたリズムとヘタウマなヴォーカルも含めて、スタイリッシュとは真逆の垢抜けなさには
90年代のマイナー系シンフォのロマンを残している。それでいて嫌いになれない優しい叙情美は、
ある意味でイタリアらしい。とくに、繊細なピアノなど鍵盤アレンジには、優雅な美意識を感じさせる。
派手なインパクトはないがあくまで叙情的。こういうバンドがいまだにいるのにホッとする。そんな好作品である。
ドラマティック度・・7 プログレ度・・7 幻想シンフォ度・・7 総合・・7.5
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Yleclipse 「Prime Substance」
イタリアのシンフォニックロック、イルクリプスの2002年作
ファンタジックなジャケからして微笑ましいが、サウンドの方もやわらかなシンセアレンジに
英語とイタリア語のマイルドなヴォーカルを乗せて、優美な叙情を描くシンフォニックロック。
メロウなギターフレーズによる泣きの叙情もよい感じで、初期Marillionに通じる幻想性を、
繊細な優雅さで包み込んだという聴き心地は、同郷のCAPあたりにも近いだろう。モダンさとは無縁の、
90年代のマイナー感覚とともに、英国ポンプロックをルーツにした、王道のシンフォニックロック好作品。
メロディック度・・8 優美度・・9 イタリア度・・7 総合・・7.5 
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The Yleclipse「Opus」
イタリアのシンフォニックロックバンド、イルクリプスの2006作
これが何作目なのかは知りませんが、ともかくコテコテのシンフォです。
分厚いシンセをバックに暑苦しいイタリア語ヴォーカルが歌います。
曲はだいたい7〜9分台でたっぷりと聴きごたえがあり、
ファンタジックな世界観とロマンの塊のような幻想的な作風がたまりません。
GENESIS系のシンフォ作としては、最近のバンドの中でもよく出来ている方でしょう。
シンフォニック度・・8 コテコテ度・・9 幻想度・・9 総合・・7.5

The Yleclipse「TRAILS OF AMBERGRIS」
イタリアのシンフォニックロックバンド、イルクリプスの2008作
前作もGENESIS系のシンフォとしてはなかなかの出来であったが、今作ではさらに幻想的な作風を増し、
美しいシンセとメロウなギターで聴かせるサウンドだ。演奏力はさほど高くはないのだが、
イタリア語によるヘタウマなヴォーカルと牧歌的でファンタジックな世界観がけっこう好みなんですなあ。
同様の愛らしいイタリアンシンフォにはFAVERAVOLAというバンドもいますが、
MONTEFELTOROとか、そのあたりの幻想的なB級シンフォがお好みの方はぜひ。
シンフォニック度・・8 幻想度・・9 楽曲・・7 総合・・8
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The Yleclipse 「Songs From The Crackling Atanor」
イタリアのシンフォニックロック、イルクリプスの2012年作
過去作もやわらかな叙情で聴かせる好作品だっだが、本作もメロトロンを含むシンセと
ハケットを思わせるメロウなギターに、フルートも鳴り響く、繊細な美しさが素敵な逸品。
ファンタジックな世界観に包まれた楽曲は、ほとんどが9分、10分という大曲ながら、
ドラマティックな展開美とGENESISルーツのメロディックな聴き心地で飽きさせない。
B級ぎみのヴォーカルや、ドラムサウンドの粗さなどを除いても、愛らしい魅力にあふれている。
ドラマティック度・・8 プログレ度・・8 繊細叙情度・・9 総合・・7.5




YUGEN「Labirinto d'acqua」
イタリアのシンフォニック・チェンバープログレ、ユーゲンの2006年作
THE WATCHと元STORMY SIXのメンバーらによるバンドで
ヴァイオリン、クラリネット、サックスなどの管楽奏者も加わった10人以上の編成。
たおやかでほの暗いピアノの音で幕を開け、軽やかな室内楽ロック風アンサンブルで
シンセとピアノ、クラリネット、マリンバなどが絡み合い、クラシカルなジャズロック的演奏を構築する。
オールインストでありながら、テクニカル硬質感とやわらかみが同居している部分は
バンド名の「幽玄」を表現しているのか、シリアスなのだが適度に力が抜けていて叙情的な面も出てくる。
シンフォニックロックとジャズ、チェンバーサウンドが高い次元で融合された傑作だ。
シンフォニック度・・7 テクニカル度・・8 チェンバー度・・8 総合・・8.5
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Yugen Plays Leddi 「Uova Fatali」
イタリアのチェンバー・プログレ、ユーゲンの2008年作
元STORMY SIXのメンバーであるTommaso Leddiの手掛けた楽曲を演奏するというコンセプトの作品で、
ジャケからしてストーミー・シックスっぽい感じがまた芸が細かい。当のトマソ・レディはマンドリンで参加、
クラリネットやサックスにヴァイオリンが絡み、随所にピアノやオルガンなども含んだクラシカルなテイストとともに、
アヴァンギャルドでとぼけた味わいのチェンバーロックを聴かせる。YUGENでのミニマムな要素を前に出した作風で、
各楽器の単音による重なりによって緊張感を生み出すというサウンドだ。巧みな演奏陣のプレイはさすがですな。
ドラマティック度・・7 チェンバー度・・8 アヴァンギャル度・・8 総合・・8
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YUGEN「Iridule」
イタリアのプログレ・チェンバーロックバンド、ユーゲンの2010年作
すでにこれが3作目で、前作はよりチェンバーロック色を増したアルバムであったようだが、
今作ではミステリアスな不穏さとアヴァンギャルドな展開がいっそう大仰に増幅され、
テクニカルなチェンバー、ジャズロックとプログレ的なシンフォニック要素が絶妙に融合、
ある種、奇跡的なまでの均衡を描いている。先の読めないスリリングな展開がたまらない。
サックス、クラリネットなどの管楽器と、クラシカルなピアノ、ヴァイオリン、シンセなどが一体となり、
まるでシンフォ化したUnivers Zeroとでもいうようなプログレ・チェンバーロックが楽しめる。
緊迫感を漂わせながらも、女性Voが入ったり、静かな叙情性も含んでいて、何度聴いても飽きない。
クラシカルチェンバー度・・9 プログレ度・・8 スリリング度・・10 総合・・9
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YUGEN「Mirrors」
イタリアのチェンバー・プログレ、ユーゲンのライブ作品。2012年作
クラシカルでアヴァンギャルドなチェンバープログレの最高峰に躍り出たこのバンド、
本作は2011年フランス公演のステージを収録。シンセにピアノ、サックス、マリンバ奏者を含む編成で、
アルバム以上に激しいドラムとハードなギターを乗せたアンサンブルに、軽やかなマリンバの音色にクラシカルなピアノがかぶさる、
スリリングでミステリアスなサウンドの迫力は素晴らしい。ハードプログレ化したUnivers Zeroというような強力な聴き心地である。
優雅なクラシカル性をスケール感をともなった変則ロックサウンドに仕立て上げた、彼らの才能には驚嘆するばかり。
単なるスタジオ盤の再現ではない、ライブならではのアレンジもなされていて、まさに必聴のクラシカル・チェンバーロック作品となっている。
ライブ演奏・・9 プログレ度・・8 クラシカル・チェンバー度・・9 総合・・9
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YUGEN 「Death By Water」
イタリアのチェンバー・プログレ、ユーゲンの2016年作
クラシカルでアヴァンギャルドなチェンバープログレとして過去の作品はライブも含めてどれも素晴らしかったが、
スタジオアルバムとしては4作目となる本作も圧巻の仕上がりだ。たたみかける変則リズムの上に、
優雅なマリンバやサックス、トロンボーンなどが重なり、フリーキーな音色たちがときに合わさり、また離れては、
アヴァンギャルドに乱舞する。ギターはわりとハードな音で、楽曲にどっしりとした重厚さを生み出していて、
目まぐるしく変化するリズムと音圧の中で、スリリングこの上ないアンサンブルを耳で追うだけで脳が楽しい。
ザッパが本気で高度なチェンバーサウンドを追及したらこうなる…というような、MATS/MORGANも真っ青の迫力である。
コロコロとしたマリンバの響きや美しいピアノ、ときに女性ヴォーカル、スキャットなども加わった繊細さも垣間見せつつ、
優雅なエキセントリック性とシリアスなダークさが絡まり交錯するという、おそるべき芸術性に包まれた傑作だ。
テクニカル度・・9 プログレ度・・8 アヴァンギャル度・・9 総合・・8.5 
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ZAAL 「Homo Habilis」
イタリアのジャズロック、ザールの2020年作
2004年にデビュー、本作は10年ぶりとなる3作目。ヴァイオリンやフルートの音色に、シタールのつまびき、
エレピを含むシンセにトランペットなども加わった、AREAなどにも通じる民族色のあるジャズロックから、
静寂感に包まれたアンビエントなチェンバーロック風味の2曲目から、フリーキーにトランペットが鳴り響く、
とらえどころのないアヴァン・ジャズロックへ展開し、艶やかなヴァイオリンや優雅なサックスの響きに、
パーカッションのリズムや東洋的なシタールの旋律とともに、バルカン、中近東的な民族色も覗かせる。
オールインストで、これという盛り上がりもないので、ゆったり系チェンバー・ジャズロックが好きな方はどうぞ。
ジャズロック度・7 プログレ度・7 民族チェンバー度・8 総合・7.5
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ZAUBERIl Sogno
イタリアのプログレバンド、ザウバーの1978年作
メロトロンやピアノの響きにチェロの音色、アコースティカルな優雅な美しさも含みつつ
ときに
女性ヴォーカルのイタリア語の歌声も入った、しっとりと優しいシンフォニックロック。
たおやかなフルートの音色にアコースティックギター、オルガンやメロトロン、チェンバロなどの
古き良き鍵盤がクラシカルに鳴り響く、素朴な味わいも魅力的。垢抜けないB級っぽさも含めて
じつに耳に心地よいサウンドです。シンセ奏者はのちにCLARIONを結成する。
シンフォニック度・・7 イタリア度・・8 優雅度・・8 総合・・7.5
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Zauber 「Phoenix」
イタリアのプログレバンド、ザウバーのアルバム。1991/2009年作
1978年の「Il Sogno」は女性ヴォーカル入りの繊細系シンフォニックロックの好作だったが、
本作はその前、1977年に録音されていた作品で、オルガンやムーグを含んだ美しいシンセを中心に、
イタリアらしい叙情を聴かせるサウンド。女性ヴォーカルの歌声が加わると、やわらかな耳心地とともに、
いかにもマイナー系シンフォの雰囲気になるのだが、その野暮ったさが案外素朴な魅力にもなっている。
ヴァイオリンやフルートの音色も美しい。繊細で優美なB級シンフォニックの好作品。
メロディック度・・8 優美度・・8 イタリア度・・8 総合・・7.5





VA

PROG EXHIBITION - 40 ANNI DI MUSICA IMMAGINIFICA
2010年にローマで開催された、イタリアンロック・フェスの模様を、7CD+4DVDに収録した、11枚組ボックス。2011年作
PFMBANCOOSANNAをはじめ、THE TRIP、Aldo Tagliapietra(LE ORME)、RACCOMANDATA RICEVUTA DI RITORNO
さらには、SINESTESIALA MASCHERA DI CERAPERIFERIA DEL MONDOなどの新鋭を含む全10バンドが参加。
Disc1は、シネステシアのダイナミックなプログレメタルから、トリップは、美麗なシンセとフリオ・キリコの巧みなドラムが素晴らしい。
Disc2は、ファビオ・ズッファンティ擁するマスケッラ・ディ・チェッラの見事なまでの懐古プログレっぷりにニンマリしつつ、
アルド・タグリアピエトラのバンドは、オルメのナンバーを主体に、デイヴィッド・クロスを迎えてKING CRIMSONのカヴァーも披露。
Disc3&4は、PFMのステージをたっぷりCD2枚に収録。イアン・アンダーソンを迎えてのJETHRO TULLのナンバーも含め、
大御所らしい優雅なアンサンブルでかつての名曲を再現してゆく。「LIVE IN ROMA」のタイトルで単体でも出ています。
Disc5は、ペリフェリア・デル・モンドのヴィンテージな濃密さに、RRRはクラウディオ・シモネッティがシンセを奏でるGOBLINメドレーや
タイス・ファン・レアーを迎えてFOCUSのナンバーも演奏。Disc6、ABASHは、女性ヴォーカルに美麗なシンセのハードプログレで、
オザンナはVDGGのデビッド・ジャクソンを迎えての編成で、ジャンニ・レオーネによる、IL BALLETTO DI BRONZOのナンバーも含め濃密なステージを展開。
Disc7は、故フランチェスコ・ジャコモの伸びやかな歌声で、バンコのステージをたっぷり。まさにイタリアンプログレ祭りというにふさわしいボックスである。
濃密ライブ度・・9 イタプロ祭り度・・10 DVDも必見度・・9 総合・・9
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PROG EXHIBITION 2 - IL FESTIVAL DELLA MUSICA IMMAGINIFICA
2011年に開催された、イタリアンロック・フェスの模様を2CDに収録。2012年作
ARTI & MESTIERIBALLETTO DI BRONZOUT NEW TROLLSGARIBALDIBIGLIETTO PER L'INFERNO
NEW GOBLINなど、11バンドのライブを2CDに収録。Disc1…OAKは、元JETHRO TULLのマーティン・アルコックを迎えて
叙情的なギターでフォーキーな味わいのハードプログレ。SAINT JUST AGAINは、ジェニー・ソレンティの美しい歌声にうっとりしつつ、
兄のアラン・ソレンティも加わり、プログレ寄りの妖しいフォークロックが素晴らしい。UT・ニュー・トロルスは優美なシンセと情熱的な歌声、
バレット・ディ・ブロンゾは、リチャード・シンクレアを迎え、CARAVANのナンバーも披露。アルティ・エ・メスティエリは、メル・コリンズを迎えて、
優雅で技巧的なジャズロックを聴かせる。Disc2…IL BACIO DELLA MEDUSAは、フルート鳴り響く牧歌的なイタリアンロックナンバー。
Vic Vegeat BANDは、大人のジャズロックで、メル・コリンズのサックスが鳴り響く。ガリバルディは、オルンガンとギターで渋めの哀愁に包まれ、
ビリエット・ペル・リンフェルノは、女性ヴォーカルをフロントにしたナンバーから、JETHRO TULLのマーティン・ヴァレを加えて「Aqualung」を披露。
ニユー・ゴブリンは、美麗なシンセによる「サスペリア2」から、スティーブ・ハケットが参加して、GENESISの名曲「Watcher of the Skies」で締めくくる。
今回はDVDはなしの2枚組ということで、各バンド数曲ずつと、フェスのダイジェスト的な内容になっているが、イタプロファンはぜひ。
濃密ライブ度・・8 イタプロ祭り度・・9 つまみ食い度・・8 総合・・8
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VA Progressivamente Story
SONYとProgressivamenteレーベルによる、イタリアンロックのオムニバス。2014年作
のっけから、レアーレ・アカデミア・ディ・ムジカの前身である、Fholksの貴重な音源でスタート、
オルガン鳴り響く牧歌的なイタリアンロックになごみつつ、BANCOとAREAのライブ音源でしゃきっと覚醒、
その後も、Il Balletto Di Bronzoのライブ音源や、Ezra Winstonの牧歌的な未発曲など、レアな音源を多数収録。
ダークアンビエントのHEXPEROSなどはやや異色だが、LPのみでしか聴けなかったSAINT JUST AGAINや
Devaeのライブ音源などもなかなか貴重だろう。70年代から現在にいたる、イタリアのプログレシーンの奥深さを
俯瞰できる全30曲を2CDにたっぷり収録。少しディープなイタリアンロックの世界を知りたいプログレ中級者や、
シングルやライブ音源までは追いかけられないという、不精なリスナーも満足させるコンピ作品です。
マニアック度・・9 貴重音源度・・9 イタリアンロックの歴史度・・9 総合・・8
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VA/The 7 Samurai “The Ultimate Epic”
七人の侍をテーマにしたオムニバス。2005年作
イタリアのCAP、TAPROBAN、ヴェネズエラのTEMPANOの3バンドによるそれぞれ25分を超える大曲を収録。
CAPは、フルートが鳴り響くアコースティカルな叙情とイタリア語のヴォーカル、ドラムとギターが加わると、
まんまイタリアン・ハードプログレの雰囲気で、オルガンやメロトロンも入ってどこを切っても美味しいサウンド。
TEMPANOは、泣きのギターに美しいシンセとヴァイオリンが絡む王道のシンフォニックロックサウンドから、
後半にはアヴァンギャルドなパートも含んだ起伏に富んだ展開を聴かせる。
歌詞が英語なので南米的な臭みはあまり感じさせないが、もう少し明快なメロディが欲しいか。
TAPROBANは、オルガンを含んだヴィンテージな感触のプログレで、インストパートをメインにしつつ、
イタリア語のヴォーカルが入ると、マイナー系シンフォバンドの感触になる。もったいつけた長尺感がやや惜しい。
全体的にはCAPの27分の組曲が抜きん出ている。サムライうんぬんを別にしても素晴らしく出来がよい。
ドラマティック度・・8 プログレ度・・8 サムライ?度・・6 総合・・7.5

VA/ The COLOSSUS OF RHODES “The Seventh Progressive Rock Wonder”
MUSEAレーベル主催、イタリア映画「ロード島の要塞」をテーマにしたオムニバス。2005年作
イタリアから、LEVIATHAN、GREENWALL、MAD CRAYON、REVELATION、スウェーデンから、SINKADUS、
VELVET DESPERADOSといったバンドが参加し、それぞれ25分前後の大曲をCD2枚に収録。
LEVIATHANは、やわらかなフルートの音色に、ムーグを含むきらびやかなシンセが鳴り響き、イタリア語のヴォーカルを乗せた
キャッチーなシンフォニックロック。GREENWALLは、ストリングスを含むクラシカルなアレンジにオルガンなどのシンセと、
女性ヴォーカルの歌声が加わった、優雅で軽妙な聴き心地で、コテコテなプログレでない感じがむしろ新鮮だ。
SINKADUSは、メロトロン鳴り響きメロウなギターを乗せた、いかにも北欧らしい叙情性にうっとり。
MAD CRAYONもメロトロン入りで、アコースティカルなパートも含むメリハリのある構築力が見事。
VELVET DESPERADOSは、オルガンやムーグシンセのレトロな感触に、サックスやトランペットなど、ホーンセクションを加えた、
ジャズロック風味の大人のプログレが楽しめる。REVELATIONは、Genesisタイプのサウンドで、歌詞も英語なのでイタリア色は薄いが、
優美なメロディアス性と繊細な聴き心地で29分を超える大曲を描いている。映画を知らずとも、ドラマティックなプログレが楽しめるオムニバスである。
ドラマティック度・・8 プログレ度・・8 イタリア度・・8 総合・・7.5
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VA/Spaghetti Epic 「Six Modern Prog Band for Six '70 Prog Suites」
MUSEAレーベルによるオムニバス、イタリアの西部劇「続・夕日のガンマン」をテーマにした作品。2004年作
HAIKARA、RANDONE、TILION、La Voce Del Vento、TAPROBAN、TRIONという6バンドが参加、
ハイカラとトリオン以外はイタリアのバンドで、それぞれ20分を超える大曲を持ち寄り、全6曲を2CDに収録。
HAIKARAは、女性ヴォーカルの歌声に牧歌的なアコーディオンが鳴り響き、北欧らしい涼やかな叙情で
大人の哀愁を感じさせるサウンド。RANDONEはやわらかなオルガンにムーグシンセが鳴り響き、
メロウな叙情ギターを乗せ、ときに女性ヴォーカルの歌声も加わった、古き良きプログレの感触が楽しめる。
TILIONはイルバレを思わせるイタリアらしい混沌とした世界観とともに、スリリングな展開で濃密に聴かせる。
La Voce Del Ventoは、オルガンのも色にアコースティックな叙情も含んだ大人の味わいのプログレサウンド。
TAPROBANは、イタリアらしいキーボードプログレにやわらかな叙情の歌ものパートも含んだ構築センスが光る。
TRIONはオルガンにメロトロン、ムーグシンセを鳴り響かせる、インストの叙情シンフォニックロックサウンド。
どのバンドも持ち味を発揮したドラマティックな大曲で、マカロニウエスタンを知らずとも楽しめる濃密なオムニバスに仕上がっている。
ドラマティック度・・8 プログレ度・・8 ほぼイタリア度・・8 総合・・8
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VA/ The SPAGHETTI EPIC 2「The Good, the Bad and the Ugly」
MUSEAレーベルによるオムニバスで、イタリアの西部劇「続・夕日のガンマン」をテーマにした作品。2007年作
イタリアのRANDONE、TILION、イギリスのLA VOCE DEL VENTOの3バンドが、それぞれ25分前後の大曲で参加。
RANDONEは、やわらかなオルガンにメロトロン、メロウなギターにサックスなどが加わり、イタリア語の歌声とともに
叙情豊かなサウンドを聴かせる。LA VOCE DEL VENTOは、Guy ManningとAndy Tillison(The Tangent)によるユニットで、
ムーグシンセにオルガンを響かせながら、軽妙で優雅なアンサンブルを描くところはやはり英国らしい。
TILIONはメロトロンが妖しく鳴り響き、いくぶんダークなミステリアス性と、テクニカルな展開力で構築される、
叙情性とエキセントリックなセンスが合わさった濃密なプログレが楽しめる。マカロニウエスタンとプログレという、
なんの脈絡もない発想と強引さが、いかにもイタリアらしいオムニバス。75分間、プログレ好きなら普通に楽しめます。
ドラマティック度・・8 プログレ度・・8 イタリア度・・8 総合・・7.5
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VA/The Spaghetti Epic 3 “The Great Silence”
MUSEAレーベル主催のオムニバスアルバム。2008年作
イタリアの西部劇をテーマにしたシリーズの3作目で、参加しているのは、ロシアのLittle Tragedies
ハンガリーのYesterdaysとイタリアのN.O.Tの3バンドが、それぞれ20分におよぶ大曲を披露している。
リトトラは西部劇だろうとなんだろうと、濃密かつコテコテのシンフォニックまくりでとてもよろしい。笑
イエスタデイズはここでは男ヴォーカルの編成で、メロトロンやフルートなどのレトロなプログレ感覚とともに、
ゆったりとゆるやかな情緒を聴かせてくれる。N.O.Tは初めて聴いたが、ELP的なシンセワークに
メロディアスなギターを乗せた軽快な作風がなかなか聴きやすい。この手のVAの中ではいい作品であると思う。
シンフォニック度・・8 ドラマティック度・・8 濃密度・・8 総合・・8
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VA/ GIALLO! “One Suite for the Murderer”
フィンランドのファンジン「COLOSSUS」による企画アルバム。2008年作
ダリオ・アルジェント監督の1975年の映画「PROFONDO ROSSO(DEEP RED)」をコンセプトにしたコンピ作品。
TILIONのシンセ奏者Alfio Costaを中心にしたユニット、DARK SESSIONをはじめ、LEVIATHAN、FLOATING STATEと
イタリア系のバンドが参加している。イントロとアウトロにアルフィオ・コスタによるシンセ小曲を配置し、
それぞれのバンドは20分を超える大曲を演奏。DARK SESSIONは、オルガンやメロトロンなどのシンセとともに
バレット・ディ・ブロンゾなどを思わせる、ミステリアスな空気感に包まれた濃密なプログレ大曲を聴かせる。
LEVIATHANは、ムーグやオルガンなどのシンセにメロウなギター、女性ヴォーカルの歌声も加わる優雅な耳心地。
FLOATING STATEは、イタリア語のマイルドなヴォーカルとやわらかなシンセによる叙情性と妖しい薄暗さを含んだサウンド。
どれもプログレらしい展開が楽しめ、この手のコンピものにしては、イタリアらしさという統一感があるのもよいですね。
ドラマティック度・・8 プログレ度・・8 イタリア度・・8 総合・・8
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VA/ The Stories of H.P. Lovecraft a SyNphonic Collection
フィンランドのファンジン「COLOSSUS」による、H.P.ラヴクラフトの「クトゥルー神話」をテーマにしたオムニバス。2013年作
CD3枚組で、参加バンドは…SAMURAI of PROG、GLASS HAMMER、KARDA ESTRA、UNITOPIA、DACCORD、SITHONIA、DAAL、
La Coscienza di Zeno、SIMON SAYS、Guy LeBlanc(NATHAN MAHL)、AETHER、NEXUS、JINETES NEGROS、CICCADA 他…といったディープな面々。
中でもグラス・ハマーは、クトゥルーをテーマにしてもさすがの美しさで、オルガン鳴り響く壮麗なシンフォニックロックを披露、
ダークなチェンバーロックのカルダ・エストラはまさにこのテーマにうってつけ。ユニトピアはキャッチーで爽やかなシンフォ好曲で、
北欧のシモン・セッズは、メロウなギターに美麗なシンセでダイナミックかつダークな大曲を構築。コシエンザ・ディ・ゼノは、
イタリア語のヴォーカルを乗せ、メロトロンにオルガン、ムーグシンセが鳴り響く、ヴィンテージなプログレサウンド。
故ギー・ルブランはやわらかなシンセにメロディックなギターが絡む叙情的なインストナンバー、ヴァイオリン鳴り響く優雅なチッカーダ、
ダッコルドもオルガンをバックにメロウなギターで薄暗い叙情を描く、古き良きプログレ感触の大曲。イタリアのシトニアやダールは、
真面目にダークな暗黒美を楽曲で表現しようとしていて良い感じです。南米のネクサス、エーテルも叙情たっぷりのシンフォサウンド。
クトゥルー云々を抜きにしても、どの楽曲もなかなか出来が良く、世界中のシンフォ系プログレが楽しめる好盤です。
ドラマティック度・・8 プログレ度・・8 ダーク度・・7 総合・・8
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VA/ ILIAD 「Grand Piano Extravaganza」
MUSEAレーベル主催、ホメロスの叙事詩「イーリアス」をテーマに、各国の鍵盤奏者によるグランドピアノの独奏を集めた作品。
LA TORRE DELL'ALCHIMISTA、Marco Lo Muscio、Guy Le Blanc(NATHAN MAHL)、INNER DRIVE、
JINETES NEGROS、SIMON SAYS、SENOGUL、LADY LAKE、WICKED MINDS他、ソロプレイヤーを含む
シプログレバンドのシンセ奏者が集結。それぞれが3〜6分前後のピアノ曲を披露してゆく。
なにせピアノだけなので、ロック色はほぼ皆無なのだが、そこはプログレ系のアーティストたち、
ピアノのみであっても変則リズムを含んだ展開力と優雅なメロディセンスで、これがなかなか楽しめる。
単なるクラシック的なものではない、表情豊かな楽曲が叙事詩的なドラマ性をともなって連なってゆく。
のんびりとお茶でもしながら、各奏者の奏でるピアノの音色を優雅に鑑賞したい作品です。
クラシカル度・・9 プログレ度・・7 ピアノ度・・10 総合・・7.5
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