ケルト/トラッド/女性ヴォーカル
~celt & trad music/female vocalists
                by Tosei Midorikawa

掲載バンドはABC順になっています

M XY(VA)

■CDの評価に関しては、個人的嗜好が反映されることもあり、納得のいかない評価もあるかと思いますが、どうかご了承ください。

音楽ページTOP *現在形女性Voケルト/トラッド特集



ACETRE 「BARRUNTO」
スペインのトラッドバンド、アセトレの2003年作
アコースティックギターに艶やかなヴァイオリンの音色、フルート、ホイッスルにアコーディオン、
そこに複数の女性ヴォーカルの歌声が重なる、コンテンポラリーなケルトサウンドを聴かせる。
Varttinaあたりに通じる涼やかな土着性と、スパニッシュなやわらかな叙情性が合わさった聴き心地で、
クラシカルな優雅さとともに、わりとキャッチーなノリも感じさせる。全体的には、アコースティックを主体にしつつ、
うっすらとシンセによる味付けもあるので、プログレリスナーにもわりと聴きやすいだろう。
アコースティック度・・8 ケルティック度・・8 女性Vo度・・7 総合・・7.5
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Agnetha Faltskog 「Som Jag Ar」
スウェーデンの女性シンガー、アグネタ・フォルツコッグ の1970年作
後にABBAへの加入で知られる彼女であるが、本作のサウンドはアコースティックを含むギターに
母国語による女性ヴォーカルで聴かせる北欧ポップという作風で、ストリングスによるアレンジも美しい。
優しく清涼な彼女の歌声はやはり大変魅力的で、ABBAへとつながるキャッチーな感触も覗かせつつ、
より素朴な空気感に包まれている。アバのファンはもちろん、北欧女性声ポップ好きもチェック。
ポップ度・8 北欧度・8 女性Vo度・9 総合・7.5
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alifair 「Infiniment songe」
フランスのフィメールポップユニット、アリフェアーの2004年作
女性Voにシンセを含む5人編成で、フランス語による女性ヴォーカルの歌声とともに
ポップでモダン、そしてエキセントリックなサウンドを聴かせる。一方ではストリングスを含んだ
しっとりとした味わいの叙情的な曲や、アコーディオンが入った軽妙なフォルクローレ風味、
シンセ入りのプログレポップ風味の曲など、ほとんどが3、4分前後の小曲中心ながら、
なかなかバラエティに富んだ作風で楽しめる。アレンジの多彩さも含めて玄人受けするかも。
ポップ度・・7 フレンチ度・・8 女性Vo度・・8 総合・・7.5
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Alizbar & Ann'Sannat 「Welcome in the Morning 」
ロシアのハープ奏者擁するモルドバのネオフォーク。2010年作
アコースティックギターのつまびきにパーカッションのリズム、優美なハープの音色にヴァイオリンを重ね、
ホイッスルの音色とともに、ケルティックなサウンドを聴かせる。美しい女性ヴォーカルも加わった
しっとりとした耳心地で、あくまでアコースティックをメインにした素朴で繊細な味わいだ。
シンセなどを使っていないので、シンフォニックな幻想性を期待すると少し物足りないが、
アイルランド民謡の「シューラ・ルーン」といった伝統的なケルトナンバーなどは味わいがあり、
キュートな女性声入りの、アコースティックなケルト系トラッドが好きな方にはお薦めです。
アコースティック度・9 ケルティック度・8 女性Vo度・7 総合・7.5
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ALL ABOUT EVE
イギリスのメロディアスロックバンド、オールアバウトイヴの1st。1988年作
歌姫ジュリアンヌ・リーガンの歌唱をメインに聴かせるメロディアスロックバンドであるが、
このバンドのウェットでメランコリックな哀愁メロディはやはり独特のものがある。
1曲目“Flowers in Our Hair”はキャッチーでありながらも儚げな叙情美を感じさせる代表曲。
“Gypsy Dance”、“In The Clouds”までの3曲はとくに白眉。繊細な美意識と知性をにじませる世界観から、
プログレ方面からの支持が多いのもうなづける。よりメランコリックな空気に包まれた次作、
「SCARLET AND OTHER STORIES」とともに、英国フィメールロックの新たな時代を描いた傑作である。
メロディアス度・・8 メランコリック度・・8 女性Vo度・・8 総合・・8
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ALL ABOUT EVE「Scarlet and Other Stories」
イギリスのメロディアスロックバンド、オールアバウトイヴの2nd。1989作
ジャケットのイメージからしてもそうだが、より幻想的でゴシック風の耽美さの増した傑作。
ゆったりとした曲調とメランコリックな叙情美、そして儚げな浮遊感とともに、
ジュリアンヌ・リーガンの歌声がしっとりと響きわたる。前作以上に楽曲の方向性が絞れ、
シンセやピアノのアレンジによる音の厚みもついたことで、世界観の強度が増した。
繊細な名曲“Dream Now”や“December”をはじめ、耳心地のいいメロウな楽曲が揃う。
女性声で聴かせる翳りある叙情ロックとしてのひとつの形を築いた1枚だ。
メロディアス度・・8 メランコリック度・・9 女性Vo度・・8 総合・・8
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ALL ABOUT EVE「TOUCHED BY JESUS」
英国のメロディックロック、オール・アバウト・イヴの3rd。1991年作
歌姫ジュリアンヌ・リーガン擁するこのバンド、1st、2ndに比べ、本作の評価は高くないようだが、
ほのかな翳りと光をともに感じさせてくれるジュリアンヌの歌声は相変わらず素敵です。
曲は2ndのメランコリック路線を引き継がず、よりシンプルでストレートなメロディアスロック。
英国的な湿り気は減ったが、カラッと明るいわけでもなく、その微妙な部分を行っている。
次作発表のあといったん解散状態になるのも、このあたりの方向の迷いが原因だったのかも。
私はこのアルバムの音、嫌いじゃありません。しっとりとしたバラード曲はやはりぐっときますな。
メロディアス度・・8 しっとり度・・7 女性Vo度・・9 総合・・8
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ALL ABOUT EVEUltraviolet
英国のメロディックロックバンド、オール・アバウト・イヴの4th。1992作
このアルバムは、当初ファンからの評価が高くなかったこともあり、ずっとスルーしていたのだが、
聴いてみると、これが案外悪くない。もちろん、初期2作のようなきらめきはないものの、
たゆたうようなサウンドは倦怠系ゴシックロックの走りともいえるかもしれない。
しっとりとしたジュリアンヌの歌声は、けっして感情的にならず、まるで水面を浮遊するような感覚で
ぼんやりと聴くにはとても心地が良い。バンドはこの後解散状態に陥り、近年の復活まで冬眠に入ることになる。
メロディアス度・・7 倦怠の美度・・8 女性Vo度・・8 総合・・7.5
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ALL ABOUT EVE「BBC RADIO ONE LIVE IN CONCERT」
英国の歌姫ジュリアンヌ・リーガン擁するオールアバウトイヴのライブ作。1993作
録音の時期は1989年。2nd「SCARLET AND OTHER STORIES」発表直前のライブだ。
したがって曲も1st、2ndが中心で、このバンドがもっとも輝いていた時期の音源である。
スタジオ版に比べると全体的にラフな印象で音質も最高とはいいがたいが、
当時のジュリアンヌの生の歌声が聞けるというだけで価値がある。
ポップさと叙情、翳りの同居した独特のメロディックロックとして実に稀有な存在だった。
また歌以外では、2ndまで在籍したティム・ブリッチェノの湿り気を帯びたギターが素晴らしい。
メロディアス度・・8 アンニュイ度・・8 音質・・7 総合・・8
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MICE...because I Can
ALL ABOUT EVEジュリアンヌ・リーガンのバンド、マイスの1996作
ALL ABOUT EVEの4作目「ultraviolet」の後、ジュリアンヌはバンドを脱退し、
その後AAEとして再び復活するまでの間にやっていのがこのバンド。
この当時彼女がやりたかったのはこういう音楽だったのだろう。
曲は比較的シンプルで、飾らない雰囲気のメロディアスロック。
ど゜ちらかというと都会的で、普通に聴きやすく、前向きな感じがなかなかよい。
AAEでのジュリアンヌとはまた違った歌声を聴かせてくれる。
メロディアス度・・8 AAE度・・7 ジュリアンヌ度・・8 総合・・7.5
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ALL ABOUT EVE「LIVE & ELECTRIC AT THE UNION CHAPEL」
歌姫ジュリアンヌ・リーガン擁する英国の女性Voロックバンド、オールアバウト・イヴのライブアルバム。
2000年ロンドン、ユニオン・チャペルでの録音。再結成後のライブアルバムとしては初のバンド編成でのもの。
私はMICEも聴いていなかったので、このCDで久しぶりにジュリアンヌの歌声を聴いたが、
やはりお姫様的な瑞々しさは薄れ、声質には翳りと「大人の倦怠」のようなものが感じられる。
選曲的に一応過去のアルバムのものも多いのだが、現在の彼らのアレンジでは
歌唱の限界もあるだろうが、しっとり系のダウナーなゴシックロックにも聴こえてしまう。
音質も教会での録音のせいか、エッジに欠け、むしろアコースティック曲の方が雰囲気がいい。
とりあえず、初めて聴く方はぜひ1stと2nd「Scarlet And Other Stories」から聴くことをお薦めする。
メロディアス度・・7 ジュリアンヌの歌唱度・・7 翳り度・・8 総合・・7
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All About EveFairy Light Nights /Two」
オール・アバウト・イヴのライブアルバム。2001作
再結成したAAEが2000年に行ったツアーから、アコースティックライブの模様を
CD2枚に分けて発売したもの。アコースティックということでロック色は希薄だが、
そのぶんジュリアンヌ・リーガンの歌声を中心に、しっとりとしたサウンドを聴かせてくれる。
過去の楽曲のアコースティックアレンジもなかなかいい感じで、ファンなら楽しめるだろう。
メロウ度・・8 アコースティカル度・・8 女性Vo度・・8 総合・・7.5
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ALL ABOUT EVE 「CINEMASONIC」
ジュリアンヌ・リーガン率いる復活オール・アバウト・イブのライブアルバム。
2002年のツアーからの音源で、楽曲は新曲5曲に「TOUCH BY JESUS」
「ULTRAVIOLET」から2曲ずつ、MICEの曲といった内容。やはりこのバンドの場合、
初期の輝きが素敵すぎて、聴く側もどうしてもそれを引きずってしまっている感がある。
なので、復活後のややダークめのサウンドを手放しで喜べないのは事実。
ジュリアンヌの歌にしても、かつての瑞々しさはなく、やや鬱の入ったメロウなロック
として聴く分にはいいが、それ以上のものを彼らにいまさら求めるのは酷なのかもしれない。
メロディアス度・・7 女性Vo度・・7 イブの幻影度・・8 総合・・7
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ALL ABOUT EVEreturn to eden-volume one
英国女性Voロックバンド、オール・アバウト・イヴの初期音源集。2002作
メジャーデビュー前のデモ音源などを集めたもので、アルバムで聴かれるサウンドよりも
売ることを意識していない分、ずっとブリティッシュ・サイケロック的な勢いがある。
ジュリアンヌ・リーガンの歌声も、後の路線のような艶めいた歌唱ではなく
若さと感情をクールに溢れさせていて、これはこれで魅力的と言えなくもない。
音質などの部分から、どうしてもマニア向けのアルバムであるとは思うが、
AAEをお好きな方なら彼らの原点としてのサウンドを興味深く聴けるだろう。
メロディアス度・・7 クールなロック度・・8 英国度・・8 総合・・7
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All About Eve 「Iceland」
イギリスのメランコリックロック、オール・アバウト・イヴの2002年作
歌姫、ジュリアンヌ・リーガンを擁し、翳りを含んだウェットなサウンドで人気を博したバンド。
1988年~92年までに4作を残して解散、その後1999年に復活し、本作は10年ぶりとなる作品。
WHAM!「LAST CHRISTMAS」のカヴァーで始まるのは意外だが、モダンなアレンジの中にもAAEらしい
しっとりとした叙情性を覗かせていて、わりと違和感なく聴ける。その後もエレクトロなアレンジを含んだ、
アンビエントな浮遊感と、エフェクトの効いた歌声を乗せた、いわばポストプログレ的なミニマムな作風で、
過去曲のリメイクもデジタリィなアンビエント風味になっていて、かつてのファンはやや面食らうかもしれないが、
倦怠の翳りを含んだジュリアンヌの歌声と、はかなげな空気感はちゃんと残している。
メロディック度・・7 ロック度・・3 倦怠の翳り度・・8 総合・・7
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ALL ABOUT EVE「KEEPSAKES A COLLECTION」
英国の女性Voロックバンド、オール・アバウト・イヴのベストアルバム。2006年作
ファンにはたまらない代物が出た。英国の女性Voロックとして名を馳せるAAEのDVD付きベストだ。
このバンドがどうしてプログレファンに人気なのかと考えたとき、サイケ、ヒッピー、フォーク、ゴシックなど、
いろいろな要素を持ちながら英国の光と翳りを体現するサウンドと、女性Voジュリアンヌ・リーガンの魅力にあるのだと思う。
2CDのベストの方は、スタジオアルバムからのチョイスを基本としながら、リミックスバージョンやライブ、未発表曲なども織り込まれ、
AAEを初めて聴く方にも対応。そして素晴らしいのはDVDで、今までビデオでしか見られなかったビデオクリップを完全収録!!
加えて1988~1991年のライブ映像も楽しめ、ファンであればこのDVDのために買っても損はないだろう。
映像を見ながら曲に耳を傾ければ、このバンドの存在の特殊性というものが見えて来る。
聴きやすいメロディアスさがありながら決してポップではなく、翳りと倦怠の混じった雰囲気には、
ゴシックロックの走りとしての要素も見える。動く映像で初めて見た紅一点のジュリアンヌには、
その素晴らしい歌唱も含めて華があるが、同時にまた、その声や表情にはどこかに鬱の混じった翳りが感じられ、
結果としてそうしたしっとりとしたほの暗さこそが、このバンドの特異な魅力にもなっていたのだと思う。
ブックレットのドキュメンタリー風の解説も、ジュリアンヌの心情とこのバンドの歩みを綴っていて興味深い。
メロディアス度・・8 女性Vo度・・9 ファンなら狂喜のDVD度・・10 総合・・8
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ALL ANGELS
イギリスの女性Voユニット、オール・エンジェルスの2006年作
ピアノやストリングスによるシンプルなバックに、4人の女性ヴォーカルのハーモニーが美しく絡む。
クラシカルで賛美歌的な厳かな雰囲気で、その歌声はCeltic Womanとはまた違った魅力で
しっとりとヨーロピアンな情感に浸れます。“Silent Night”や“Ave Maria”といった定番曲も
じつに美しい仕上がりなので、聖夜に二人で鑑賞するのもロマンティックでよろしいかと思います。
しっとり度・・9 厳か度・・8 女性Vo度・・9 総合・・8
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ALL ANGELS「Fly Away」
イギリスの女性Voユニット、オール・エンジェルスの2010年作
今作はボブ・ディランやノーラ・ジョーンズのカヴァーなどを含め、いくぶんキャッチーな仕上がりであるが、
4人の美声による見事なコーラスハーモニーは、いよいよ素晴らしく、やわらかな耳心地にうっとりとなります。
ストリングスやオーケストレーションを含んだアレンジも、壮麗な雰囲気を描いて、美しい歌声を引き立たせている。
しっとり度・・9 厳か度・・7 女性Vo度・・9 総合・・7.5
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Alquimia 「Angaelic Voices」
ドイツの女性シンガー、アルクイミアの2003年作
浮遊感のある女性ヴォーカルと、ニューウェイブ調の楽曲に、
トラッド的な土着性やゴシック的な耽美さも感じさせるサウンド。
エスニックな旋律や、ときにケルティックな雰囲気も漂わせていて、
テクノ風のゴシックスタイルという点では、Deleriumなどにも通じる感じもあるが、
ピアノやヴァイオリンなども入った美しさがあって、こちらはよりプログレファン向きだろう。
メロディック度・・7 ケルティック度・・7 女性Vo度・・8 総合・・7.5
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Alquimia 「Forever」
イギリスの女性シンガー、アルキミラの2007年作
ピアノやストリングスなどのクラシカルなアレンジと、しっとりとした女性ヴォーカルの歌声で聴かせる、
ゴシック風味もある優雅な美麗サウンド。メロディにはケルティックな叙情性も感じられ、
シンフォニックでモダンなアレンジと融合しているという点で、プログレ系のリスナーにも楽しめる。
もう少し神秘性があればさらに好みなのだが、伸びやかで母性的な彼女の歌声にはうっとりとなる。
いわば「シンフォ寄りのエンヤ」的にも鑑賞可能な好作品。
シンフォニック度・・8 ケルティック度・・7 女性Vo度・・8 総合・・7.5
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AltanIsland Angel」
アイルランドのトラッドバンド、アルタンの1993年作
鳴り響くフィドルにやわらかなフルートの音色、アコーディオンにブズーキ
アコースティックギターのつまびき、そして優しい女性ヴォーカルの歌声。
伝統的なケルティックサウンドを土台に、幻想的な美しさを描き出す初期の傑作。
幻想度・・8 ケルティック度・・9 女性Vo度・・7 総合・・8
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AltanBlackwater」
アイルランドのトラッドバンド、アルタンの1996年作
ヴォーカルであるマレードの夫、フランキーが他界したことでいったん解散状態となったが、
レーベルをヴァージンに移してバンドは復活。曲調はずいぶん明るくなり、
フィドルとアコーディオンによるダンサブルな曲をメインにした聴きやすさが光る。
幻想度・・7 ケルティック度・・9 女性Vo度・・7 総合・・7.5
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AltanRunaway Sunday」
アイルランドのトラッドバンド、アルタンの1997年作
アコースティックギターに艶やかなフィドルとアコーディオンが絡み、
しっとりとしたマレードの歌声で聴かせる、優しいケルティックサウンド。
前作より歌入りの曲が増えたこともあり、やわらかな叙情性が戻ってきた。
幻想度・・7 ケルティック度・・9 女性Vo度・・8 総合・・8
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Altan「Local Ground」
アイルランドのケルティックバンド、アルタンの2005作
1987年のデビュー作から数えて10作目となる本作は、アイルランド北西部ドゴニール出身という
のバンドの原点に立ち返ったような、やわらかでアコースティカルな作風となっている。
女性ヴォーカル、マレードの美しい歌声に、バウロンのリズムに乗る艶やかなフィドルの音色、
軽快なダンスチューンからしっとりとしたバラッドまで、じつに自然体のサウンドだ。
いかにもアイリッシュなパイプの響きと、暖かな陽光を思わせるメロディにゆったりとまどろみたい。
アコースティック度・・9 ケルティック度・・9 女性Vo度・・8 総合・・8
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Amaia Zubiria & Pascal Gaigne 「Zineman」
スペイン、バスク地方出身の女性シンガー、アマイア・スビリアと作曲家、パスカル・ゲイニュのコラボ作品。1990年作
トラッドバンド、Haizeaのシンガーでもあったアマイアと、映画やバレエ音楽なども手掛けるゲイニュの手による、
本作は主に映画サントラとして作られた、1979年~1990年までの楽曲を収録した作品である。
美しいヴァイオリンの音色にたおやかなピアノの旋律、アコーディオのやわらかな音色やうっすらとしたシンセアレンジに
アマイアのスキャット的な歌声が合わさり、シリアスでありながらも浮遊感を感じさせるサウンドになっている。
サントラということで各曲は短めで、歌入りの曲ばかりではないという点も、アマイアのファンには物足りないかもしれないが、
バスク出身の作曲家とシンガーによる、牧歌的なアプローチと先鋭的なセンスが合わさった美しい作品です。
アコースティカル度・・8 トラッ度・・7 女性Vo度・・7 総合・・8
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Amaia Zubiria & Pascal Gaigne 「Tasogare」
スペインの女性シンガー、アマイア・スビリアと音楽家、パスカル・ゲイニュのコラボ作。1996年作/邦題は「黄昏」
バスク地方を代表するアマイアと、フランス圏の現代クラシック音楽架のゲイニュによる初期の2作品、
1985年作「Egun Argi Hartan」、1986年作「Kolorez Eta Ametsez」から選曲されたナンバーに新曲を加えた作品。
伸びやかに美しいアマイアの歌声に、うっすらとしたシンセアレンジを加え、サックスやクラリネットが鳴り響く、
トラッドとフォーク、クラシック、ジャズ風味を足したような聴き心地で、これはなかなかプログレファン好み。
一方ではしっとりとしたピアノやヴァイオリンをバックにした現代クラシック的な歌もの曲や、アコーステイックギターに
パーカッションが鳴り響くフォークタッチのナンバーまで、素朴さと優雅さが同居したゲイニュのアレンジセンスが光る。
プログレ度・・7 優雅度・・9 女性Vo度・・9 総合・・8.5 
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Amaia ZubiriaHaatik」
スペイン、バスクを代表する歌姫、アマイア・スビリアの2002作
70年代にはHAIZEAのメンバーとして活躍し、バンド解散後もパスカル・ゲイニュとのコンビで
多くの作品を発表。今作でもコンテンポラリーな曲をバックに素晴らしい歌声を聴かせてくれる。
軽快なパーカッションのリズムに、アコーディオンが鳴るいかにもトラッド的な曲から
サックスやピアノで聴かせるジャズ風の曲などもあり、参加ミュージシャンの懐の深さを感じさせる。
そしてどんな曲を歌わせても、衰え知らずの美声を聴かせるアマイアの存在感はさすがという他はない。
ケルティック度・・6 アコースティカル度・・9 女性Vo度・・8 総合・・8
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Ancient Bear Cult 「Sounds from the Past」
フィンランドのトラッドバンド、エンシェント・ビアー・カルトの2008年作
TARUJEN SAARIのメンバーを含むバンドで、シタールやリュート、ムーン・ギターの素朴な音色に、
やわらかなフルートやホイッスル、母国語の女性ヴォーカルとともに、素朴なトラッド・フォークを聴かせる。
ブズーキやカンテレ、ハーディ・ガーディなどの古楽器に、優美なハープも鳴り響く、優しい神秘性は
いにしえの北欧の大地を思わせるような雰囲気だ。インストによるシンプルな音数の曲も悪くないが、
アルバム後半、男女ヴォーカルを乗せた8分の大曲では、妖しげな土着性に包まれたディープな味わいで楽しめる。
アコースティック度・・9 北欧トラッ度・・8 神秘度・・8 総合・・7.5
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Ancient Bear Cult 「Lullamoinen」
フィンランドのトラッドバンド、エンシェント・ビアー・カルトの2011年作
2作目の本作も、ハーディ・ガーディやブルーキの素朴な音色に、土着的なパーカッション、
フルート、ホイッスルの音色を乗せた、アコースティックなトラッドサウンドを聴かせる。
母国語による美しい女性ヴォーカルが加わると、メディーヴァルな幻想性に包まれるが、
一方では、シタールとパーカッションによるインスト曲などにはサイケなユルさもあったりと、
派手さはないのになかなか面白い。涼やかな北欧の土着的な空気が楽しめる異色作。
アコースティック度・・9 北欧トラッ度・・8 神秘度・・8 総合・・7.5
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ANDREW CRONSHAW 「Language of Snakes」
イギリス人のトラッド系アーティストアンドリュー・クロンショウのアルバム。
北欧音楽の研究者としても知られる彼だが、このアルバムで聴けるのも
北欧トラッドをベースに、伝統楽器のカンテレ、フィドルやフルート、ホイッスル、
シタールなどで聴かせる、ゆるやかなアコースティカルなサウンドだ。
オールインストながら、自然に溶け込んだような素朴な音が耳に優しく、
シリアスすぎないトラッドの土着性でのんびりと鑑賞できる作品だ。
メロディアス度・・7 アコースティカル度・・9 トラッ度・・9 総合・・7.5
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ANDREW CRONSHAW「On the Shoulders of the Great」
フィンランド音楽を研究するイギリス人アーティスト、アンドリュー・クロンショウの2000作
サックスやカンテレの音色を中心に、静謐感のあるメロディで聴かせる
アコースティカルな作品。北欧のトラッドテイストに溢れた雰囲気であるが、
アカデミックな硬質さではなく、人間味のある穏やかな叙情が耳に心地よい。
音数は少ないながらも、静けさの中に北の清涼な空気を感じさせてくれる。
また、ゲスト参加のGJALLARHORNジェニー嬢が2曲で美しい歌声を聴かせてくれる。
メロディアス度・・7 アコースティカル度・・9 北欧トラッ度・・9 総合・・8
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ANDREW CRONSHAWOchre
イギリス人のトラッド系アーティスト、アンドリュー・クロンショウの2004作
イギリス人でありながら、フィンランドのトラッド音楽にも精通するアーティストであるが、
本作ではイングランドの伝統的なトラッドに立ち返ったコンセプトの作品となった。。
ホイッスルやハープなどのアイリッシュな音色に、異国的なシタールの響きに女性ヴォーカル、
そこにアラビックなテイストもまじえた、無国籍感漂うグローバルなトラッドサウンドだ。
メロディアス度・・7 アコースティック度・・9 トラッ度・・9 総合・・8
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Angels of Venice「Music for Harp,Flute and Cello」
アメリカのケルティックバンド、エンジェルス・オブ・ヴェニスの1st。1994年作
チェロ、ハープ、フルートという女性の三人組で、しっとりとしたハープの音色にフルートが合わさり、
美麗かつ繊細に聴かせるアコースティカルサウンド。クラシックやトラッド曲のメロディを取り入れながら
それを分かりやすいアレンジで優雅に演奏するスタイルはじつに耳に優しく、
うっとりとするほど心地よい。オールインストであるが幻想美に溢れた作品だ。
アコースティカル度・・10 しっとり優雅度・・10 幻想度・・9 総合・・8
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ANGELS OF VENICE「Awake Inside a Dream」
カナダのケルティックユニット、エンジェルズ・オブ・ヴェニスの2nd。1995年作
カナダ出身の女性トリオで、パーカッシブなウドゥ(壺型ドラム)に乗るフルート、ハープ、チェロを中心に、
リコーダー、ブズーキ、ハーディガーディ、ハンマー・ダルシマーなど、多彩な楽器による演奏を聴かせる。
“スカボロ・フェアー”といったアイリッシュの名曲もカヴァーしつつも基本はオリジナルで、
バックのうっすらとしたシンセの効果もあいまって、深い森のような薄暗い世界観も垣間見せる。
ゲストによる女性Voも美しく、単なるトラッドというよりは現代音楽風のアレンジもあって、
BLACKMORE'S NIGHTにも通じるような古典とモダンの合体した幻想的な美しさを生み出している。
ちなみにリーダーのCarol嬢は大のメタル好きだそうで、そういう点も世界観作りに一役買っているのかも。
メロディアス度・・8 トラッ度・・8 プログレ度・・7 総合・・8
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ANGELS OF VENICE
カナダのケルテイックユニット、エンジェルズ・オブ・ヴェニスの3rd。1999年作
ケルテイックハープ奏者のCAROL TATUM嬢を中心にしたインスト中心のケルト音楽。
フルートにハープ、ピアノの美しい音色に、やや異国的なパーカッションもいい味を出している。
ケルティックでありながらも、現代的な整然としたアレンジがなされていて音には無駄がない。
ヴァイオリンやフルート、ハープの音色にはうっとりしっとり和みます。
尚、2nd「AWAKE INSIDE A DREAM」と数曲がかぶっているが
このアルバム用にミックスし直されている模様。バンド公式ページはこちら
メロディアス度・・8 ケルティック度・・8 しっとり度・・8 総合・・8
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Carol Tatum「Music for Harp」
アメリカのハープ奏者、キャロル・タタムの2001年作
女性三人によるユニット、Angels of Veniceのメンバーでもある彼女だが
本作はケルティックハープをメインに聴かせるしっとりとしたインストアルバム。
うっすらとしたシンセをバックに優しいハープのつまびきが響きわたる、幻想的なサウンド。
個人的にはここに女性ヴォーカルでも加わったら最高なのだが。
美麗度・・7 ハープ度・・9 繊細度・・9 総合・・7.5
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Anielka 「Nightingale」
フィンランドの女性SSW、アニエルカの2008年作
やわらかなピアノに透明感のある美しい女性ヴォーカルを乗せ、ギターにドラムも加わって
キャッチーで涼やかなポップロックを聴かせる。歌詞は英語なので土着感はさほどないが、
翳りを帯びた雰囲気には北欧の空気を感じさせ、ポップ過ぎないところがGood。
しっとりとしたアンビエントなナンバーからロック寄りのナンバーも、魅力的な女性声がじつに耳に優しく、
フルートやヴァイオリンも加わると、ケルティック風のシンフォニックロックとしても楽しめる。女性Voファンはぜひ。
優美度・9 幻想度・7 女性Vo度・9 総合・8
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AnnaMy 「Woodpecker」
イギリスのフォークユニット、アナミーの2013年作
女性シンガー、アンナ・ミステン嬢をフロントに、アコースティックギターのつまびきに
優しい女性ヴォーカルを乗せた、英国らしい素朴な叙情を聴かせるフォークサウンド。
しっとりとした落ち着いた味わいに加え、ドラムにオルガン、エレキギターを加えた
程よいロック感触もありつつ、物寂しい空気感に包まれた幻想的な味わいも感じさせる。
英国アシッドフォークとしてのほのかな翳りを含んだ、耳心地のよさに包まれた逸品です。
ドラマティック度・・7 英国度・・8 女性Vo度・・8 総合・・7.5
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Anna Shannon 「Over Land」
イギリスの女性シンガー、アンナ・シャノンの2010年作
自身の奏でるアコースティックギターに、ハスキーな女性ヴォーカルを乗せ、
ケルトテイストのある、素朴で牧歌的なフォークサウンドを聴かせる。
美しすぎない歌声には、良い意味で年季を感じさせる落ち着いた味わいがあり、
ジヤケのようなイングランドの田舎の優しい空気に包まれるような感触だ。
曲によっては、フルートやヴァイオリンの音色も加わって、優美な叙情に包まれる。
しっかりと土臭さを感じさせつつ、神秘的なケルトの味わいをまぶした作品です。
アコースティック度・・8 ケルティック度・・8 女性Vo度・・7 総合・・7.5
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Annbjorg Lien「Baba Yaga」
ノルウェーの女性アーティスト、アンビヨルグ・リエンの2000年作
フィドル奏者でありシンガーでもある女性アーティストで、
うっすらとしたシンセアレンジに、ドラムにエレキギターも加わったサウンドは
コンテンポラリーなモダンさと重厚かつスケールの大きな世界観を感じさせる。
ときにプログレと言ってよいほどのムーグシンセなども顔を覗かせたり、
呪術的な男性のドローンヴォイスなど、ミステリアスな雰囲気も漂わせつつ、
一方では、艶やかなヴァイオリンの音色やしっとりとしたフルートなど、
素朴なトラッド色も含んでいて、土着性とのバランス感覚が見事だ。
アコースティカル度・・7 北欧トラッ度・・8 重厚度・・8 総合・・8.5
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Annbjorg Lien「Waltz With Me」
ノルウェーの女性アーティスト、アンビヨルグ・リエンの2008年作
フィドル奏者でありシンガーでもあるミュージシャンで、本作はゲストのフィドル、ヴィオラ、チェロ奏者を迎えたカルテット編成。
艶やかなフィドルの重なりに、アコースティックギターが重なり、北欧らしい涼やかな空気感のトラッドを演奏。
ノルウェー語による男女ヴォーカルの歌声が牧歌的な味わいをかもしだしつつ、ライブ録音ならではの躍動感と、
素朴な優しさに包まれた演奏が楽しめる。伝統的なフォーク、トラッドに根差したアコースティック演奏ということで、
ロック色やプログレ寄りのテイストはほとんどないが、その分、フィドラーとしての彼女の実力が感じ取れる。
アコースティック度・・9 トラッ度・・9 北欧度・・8 総合・・7.5
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Annbjorg Lien「Khoom Loy」
ノルウェーの女性アーティスト、アンビヨルグ・リエンの2012年作
フィドル奏者でありシンガーでもある女性アーティストで、北欧トラッドをベースにしつつも、
ときにオリエンタルな雰囲気を漂わせた作風の中を、艶やかなフィドルが鳴り響く。
ドラムを含んだロック的なアンサンブルに、随所にシンセも使ったアプローチで、
プログレ方面のリスナーにも楽しめる。一方では美しい歌声で聴かせるしっとりしたナンバーもあり、
ブズーキやフルートが素朴な音色を聴かせてくれる。モダンすぎないアレンジセンスも素晴らしい。
アコースティカル度・・7 ヴァイオリン度・・9 アレンジセンス度・・9 総合・・8
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Ann Odell 「A Little Taste」
英国のシンガーソングライター、アン・オデルの1973年作
Bryan Ferry Bandのキーボード奏者としても知られる彼女だが、
本作はアニー・ハズラムばりの美声で聴かせるしっとりとした歌ものアルバム。
ポップでキャッチーな雰囲気の中にも美しいストリングスアレンジが効いていて
Renaissanceにも通じるクラシカルな質感も随所にあって、なかなか楽しめる。
メロディアス度・・8 ポップですが英国度・・8 女性Vo度・・8 総合・・8
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Annwn「Aeon」
ドイツのトラッドユニット、アンウンの2010年作
うっすらとしたシンセとつまびかれるハープに、美しい女性ヴォーカルの歌声、
ケルティックな薄暗さと神秘的な世界観を描く深遠なサウンドを聴かせる。
伸びやかな歌声はロリーナ・マッケニットもかくやという表現力で、
艶やかなヴァイオリンやチェロの音色などとともに、幻想的な叙情を描いている。
アコースティカル度・・8 ケルティック度・・8 女性Vo度・・8 総合・・8
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ANNWN 「Enaid」
ドイツのトラッド/ネオフォーク、アンウンの2016年作
物悲しいチェロやヴァイオリンの音色に、美しい女性ヴォーカルの歌声を乗せ、ハープやフルートなどの
アコースティック楽器を重ね、バウロンのリズムとともに、幻想的なケルティック/トラッドを聴かせる。
中近東やケルトなどを融合させた民族色と表現豊かな歌声は、ロリーナ・マッケニットなどにも通じる雰囲気があり、
ホイッスルやイーリアンパイプ、サズ、ニッケルハルパなどの、多彩な民族楽器による優雅なサウンドは、
本格派の説得力に包まれている。魅力的な女性ヴォーカルで、しっとりとしたケルティック・トラッドが味わえる。
アコースティック度・・9 ケルティック度・・8 女性Vo度・・8 総合・・8
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Antrabata 「Elephant Reveries」
フランスのゴシックポップ、アントラバタの2007年作
うっすらとしたシンセにチェロの音色、やわらかな女性ヴォーカルにフルートの音色も加わり、
しっとりとした優雅さに翳り帯びたゴシック感触が同居したサウンド。優美なフルートにブラスも重なると
どこか室内楽風の味わいにもなり、軽めのドラムとともに浮遊感のあるアンサンブルを描いている。
民族的なフォーク風味も覗かせつつ、わりとモダンな無国籍感もあって、なかなかつかみどころがない。
全体的にはフランスらしい優雅さに包まれているのだが、楽曲自体にもう少し聴きどころが欲しい気も。
優美度・7 フレンチ度・7 女性Vo度・7 総合・7.5
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Arrowwood 「Beautiful Grave」
ドイツのアシッドフォーク、アローウッドの2012年作
スキャットめいた妖しい女性ヴォーカルに、土着的なパーカッションやウインドチャイムが鳴り響く
曲というよりは、プリミティブな空気感を描くようなサウンドで、いわば雰囲気モノアシッドフォーク。
楽曲は3分前後と、わりあいシンプルであっさりしているので、深みにハマる前に我に返る感じで、
アコースティックギターにフルートを乗せた曲らしいナンバーは、やっと安心して聴けたりする。
夢見がちの女性声はなかなかキュートで、歌入りの曲はしっとりとコケティッシュな雰囲気で悪くないが、
全体的には、どことなく物足りなさも。もう少し楽曲を通した世界観の深みが加わればと思う。
アコースティック度・・8 妖しさ度・・8 女性Vo度・・7 総合・・7
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Arthuan Rebis 「Sacred Woods」
イタリアのミュージシャン、アーサン・レビスこと、アレッサンドロ・ククルニアの2021年作
クラシックギターやケルティック・ハープをはじめ、ニッケルハルパ、ホイッスル、ガイタといった
古楽器を弾きこなすミュージシャンで、本作はアコースティック楽器をを主体に、シンセやギターを加えた、
ケルティックなフォーク作品。バウロンのリズムに艶やかなニッケルハルパやホイッスルの音色、
イタリア語によるマイルドなヴォーカルにうっすらとしたシンセ、ゲストによる女性ヴォーカルも加わり、
幻想的なネオフォークを展開する。クラシックギターによる弾き語り風の牧歌的な味わいもありつつ、
全体的にはジャケのイメージのような神秘的な雰囲気は薄めなので、わりとあっさりとした聴き心地。
アコースティック度・8 ケルティック度・8 牧歌的度・8 総合・7.5
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ARTORIUS
イギリスのネオフォーク、アルトリウスの2007年作
アーサー王伝説をテーマにした作品で、うっすらとしたシンセをバックに映画的なナレーションから始まり、
アコースティックギターの優美な音色にやわらかなシンセアレンジ、女性ヴォーカルの歌声とともに、
幻想的なネオフォークを聴かせる。随所にエレキギターや男性ヴォーカルを加えたり、
IONAあたりにも通じるケルティックでシンフォニックな感触もあり、リコーダーが鳴り響く、
Gryphonのような優雅な古楽風味も覗かせる。自主制作ながら、ファンタジックな幻想美に浸れる好作品です。
アコーステッィク度・・7 幻想度・・8 優美度・・8 総合・・7.5


Asa Jinder「Folkmusik Pa Svenska」
スウェーデンのニッケルハルバ奏者、オーサ・ジンデールの2001年作
優雅なピアノのつまびきに艶やかなフィドルの音色で聴かせる、やわらかなサウンド。
しつとりとしたヴォーカル曲や、随所にニッケルハルパの素朴な音色も含めて、
北欧らしい静謐感も感じられるが、一方では、トラッド的な土着性を
ジャズ風味の軽やかさで包み込んだという感触もする作品だ。
アコースティカル度・・8 トラッ度・・7 北欧度・・8 総合・・7.5
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Auburn 「Indian Summer」
イギリスのフォークバンド、アウバーンの2012年作
女性ヴォーカルのハスキーな歌声を中心に、アコースティカルでありながら、
コケティッシュなポップ性を感じさせるサウンド。チェロやヴァイオリンなどを含んだ隠し味を、
艶めいた大人のソフトさで包み込んだという感触は、SLAPP HAPPYなどにも少し通じるか。
古き良き英国らしい牧歌性も含んだおおらかさと、ときにジャズ風味のテイストも垣間見せつつ、
いわば酒場の歌姫のようなイメージのような親しみやすさで楽しめる、ポップス寄りのフォーク作。
コケティッシュ度・・8 大人の艶度・・8 女性Vo度・・8 総合・・7.5




Autumn's Grey Solace 「Over the Ocean」
アメリカのシューゲイザー/アンビエントロック、オータムズ・グレイ・ソラスの2004年作
男女2人組のユニットで、わりと一般寄りなギター、ベース、ドラムによるサウンドに、
うっすらとしたシンセアレンジ…と思いきやシンセは使っていないようで、ディレイを効かせた
サウンドスケープ的なギターに、透き通るような女性ヴォーカルの歌声を乗せて、
ゆったりとメランコリックな叙情を聴かせる。ゴシックというほどには暗さはなく、
ときに歪ませたギターが適度にハードなので、普通に繊細なメロディックロック、
あるいはアンビエントな女性声ポストロックというふうにも楽しめる。
わりとロック度・・7 ゆったり叙情度・・8 女性Vo度・・8 総合・・8
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AUTUMN'S GREY SOLACE 「Riverine」
アメリカのシューゲイザー/アンビエントロック、オータムズ・グレイ・ソラスの2005年作
男女の2人組ユニットで、アコースティックギターに美しい女性ヴォーカルの歌声を乗せた、
しっとりとした浮遊感に包まれたサウンド。シンセは使わずに、サウンドスケープ的なギターの重ねと、
女性声による幻想的な聴き心地で、ドラムの入った適度なロック感触も含めて、とても耳心地が良い。
アンニュイな薄暗さもあるが、ゴシック寄りというわけではなく、案外キャッチーな爽やかさも感じさせる。
透き通るような女性ヴォーカルにウットリ。女性声のシューゲイザー・ポストロックという好作品です。
メロウ度・・8 しっとり浮遊感・・9 女性Vo度・・8 総合・・8
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AUTUMN'S GREY SOLACE 「Ablaze」
オータムズ・グレイ・ソラスの2008年作
キーボードを使わないというモットーで、ディレイの効いたギターと美しい女性ヴォーカルによる、
浮遊感のあるキャッチーなシューゲイザー・ポストロックは本作も同様。エリン嬢の歌声の表現力が増したことで、
メロディラインのフックがより魅力的になり、シンプルな楽曲構造でも耳心地よく楽しめる。
シンセ抜きでここまできらきらとした音作りができるのも、すべてのインストパートを手掛ける
スコット・フェレルの手腕によるところが大きいのだろう。今作では適度にモダンなアレンジのナンバーもありつつ、
女性声アンビエント・ロックとしての魅力はしっかりと残している。フィメールロックファンはぜひチェック。
メロウ度・・8 しっとり浮遊感・・9 女性Vo度・・9 総合・・8
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AVALON「LUA MEIGA」
スペインはガリシアのコンテンポラリートラッドバンド、アヴァロンの2000年作/邦題「魔女の月」
若い女性6名によるバンドだが、トラッドとしてもなかなか本格的。ヴァイオリンやチェロ、リコーダーの
美しくも優雅な響きにケルト風味もプラスされ極上のアコースティックサウンドを構築している。
メロディが暖かく、分かりやすいので、トラッドでありながらもどこかにポップ性も感じられる。
爽やかな女性ヴォーカルの歌声もサウンドに華を添える。元気の出る陽性トラッドの傑作。
メロディアス度・・9 トラッ度・・9 さわやか度・・10 総合・・8
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AVALON「BELTAINE」
スペインのトラッドポップバンド、アバロンの2nd。2002年作
前作「魔女の月」が非常に聴きやすいケルティックトラッドとしてなかなかの出来だったが、
「ベル神の炎」と題された今作は、よりメジャー感のあるポップな質感を増している。
スペイン語による女性ヴォーカルと、ギターに、ヴァイオリン、チェロ、フルートをメインにした演奏は
ケルティックなトラッド風味ながら、そこにVARTTINAなどにも通じるモダンなリズムアレンジを取り入れている。
このジャケのように女性バンドとしてのカラフルさが土着的な部分をやや上回っているが、
伝統的であるだけにこだわらないリスナーならばむしろ楽しく聴けるだろう。
メロディアス度・・7 ポップ度・・7 トラッ度・・8 総合・・8
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BALTAZAR 「Nusta La Leyenda De La Tirana」
スペインのトラッドロック・プロジェクト、ヌスタの2010年作
ミュージシャン、ロドリゴ・ヴィラセカ(バルタザー)による民族・ロックオペラ作品で、
スペイン語による女性ヴォーカルの歌声に牧歌的なパンパイプの音色を、
ドラムやギター、シンセによるロックアンサンブルに融合したサウンド。
民族的なおおかな優雅さと、キャッチーな感触が合わさった雰囲気で、
プログレ的な要素はさほどないがのんびりと楽しめる。男性声のナンバーもあるが、やはり女性声メインの曲が優美です。
ドラマティック度・・7 プログレ度・・6 優雅度・・8 総合・・7.5


BARBARA DICKSON「TIME & TIDE」
イギリスの女性シンガー、バーバラ・ディクソンの2008年作
70年代から活動する、スコティッシュ・フォークを代表する女性シンガーの一人。
本作は、元IONAのトロイ・ドノックリーがプロデュース、IONAののフランク・ヴァン・エッセンがドラムで参加した
ケルティックなトラッドのアレンジを中心にした作品で、アコースティックギターにうっすらとしたシンセを重ね、
愁いを帯びた女性ヴォーカルで聴かせる優美なサウンド。ときにサックスやホイッスル、イーリアンパイプが鳴り響き、
ピアノやヴァイオリンをバックに、母性を感じさせる優しい彼女の歌声でしっとりと聴かせるナンバーにウットリしつつ、
エレキギターやドラムも加わった使ったナンバーでは、IONAのようなケルティックロックとしても楽しめるところもある。
ケルティック度・・8 ロック度・・5 女性Vo度・・8 総合・・8
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Barbara Dickson 「Winter」
イギリスの女性シンガー、バーバラ・ディクソンの2014年作
70年代は英国フォークシンガーとして活躍し、80年代以降はポップシンガーとして人気を博す。
本作は冬をテーマにした作品で、トラッドナンバーのアレンジやカヴァー曲を中心に、
艶めいた歌声を乗せたしっとりとした聴き心地。現Nightwishのトロイ・ドノクリーがプロデュース、
アコースティックギター、シンセ、バグパイプ、ホイッスルなどの音色を加えたトラッドナンバーは
ケルティックな味わいに包まれていて、ホルストの「木枯らし寒く吹きすさび」のカヴァーなどは
素朴な叙情となつかしさを感じさせる。落ち着いた大人の哀愁と英国の冬を感じさせる好作品。
フォーク&トラッ度・・8 哀愁と叙情度・・8 大人の歌声度・・8 総合・・7.5
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Barbara MonteMare Senza Memoria
イタリアの女性シンガー、バーバラ・モンテのミニアルバム。2010年作
この美麗なジャケだけでもううっとりなのだが、音の方もなかなか素晴らしい。
艶やかなストリングスアレンジとシンセを含んだ厚みのあるサウンドに
イタリア語の美しい女性ヴォーカル。伸びやかかつ艶めいた彼女の歌声は
ほどよく時代的な情感がただよっていて、そこはやはりイタリアというお国柄だろう。
モダンなポップソングもけっこう魅力的だ。これはフルアルバムが聴きたい!
メロディアス度・・8 イタリア度・・9 女性Vo度・・9 総合・・8
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BARRA「ETERNAL MAGUS」
イギリスの女性Voトラッド・ロックバンド、バーラの1st。2002作
のっけからメロウなエレキギターがこのバンドの特徴であるロック色をかもしだしている。
女性Voの歌唱がメインであるが、バックはトラディショナルなメロディをロックフォーマットで演奏し、
そのサウンドはときにALL ABOUT EVEがケルトミュージックを演奏しているかのよう。
もちろんアコースティック部分もあるが、シンセをまぶしたりエレキGを効果的に使うなど音は厚い。
KARNATAKAやALL ABOUT EVEなどのファンなら聴いて損のない作品。
あとは肝心の女性Voに繊細な表現力が欲しいのと、曲の質を高めることだろう。
メロディアス度・・8 トラッ度・・7 女性Vo度・・7 総合・・7.5


Beatrix Players 「Magnified」
イギリスのネオフォーク、ベアトリックス・プレイヤーズの2017年作
女性によるトリオ編成のユニットで、やわらかなピアノに美しい女性ヴォーカルを乗せて、
物悲しいチェロの音色を加えてしっとりと聴かせる、クラシカル・アンビエントというサウンド。
ケイト・ブッシュにも通じる優雅な幻想性とほどよくキャッチーな感触もあって、薄暗くとも
マイナー過ぎない聴き心地で楽しめる。反面、全体的にも優雅な上品さに包まれていて、
エキセントリックな新鮮味はやや薄く、楽曲自体も3~4分前後を主体にわりとシンプルなので、
耳心地の良いクラシカルサウンドにとどまっている印象。もう少しディープな味わいが欲しいか。
優雅度・・9 幻想度・・7 女性Vo度・・7 総合・・7.5
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BERROGUETTO「Viaxe Por Urticaria」
スペイン、ガリシアのトラッドバンド、ベルグエトの1999年作/邦題「ウルティカリアへの旅」
1996年にデビューし、2作目。アコースティックギターにヴァイオリン、ブズーキなどの音色も加え、
ガリシア語による女性ヴォーカルとともに、優雅で素朴なトラッドサウンドを聴かせる。
軽やかなサックスにアーディオンの旋律、随所にピアノやシンセ、ドラムも加わっての
コンテンポラリーなアレンジと伝統的なスパニッシュトラッドの空気が融合した作風が楽しめる。
演奏のレベルは高くインストパートも良いのだが、個人的には女性声パートがもっと欲しかった。
アコースティック度・8 ケルティック度・8 優雅度・8 総合・8
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BLACKMORE'S NIGHT「SHADOW OF THE MOON」
リッチー・ブラックモアによる中世音楽バンド、ブラックモアズ・ナイトの1st。1997作
あのレインボーのリッチーが突然本格的な中世音楽に取り組んだ。
「ブラックモアズナイト」と名づけられたそれは、御大自身の伴侶であるキャンディス・ナイトの美声をメインにした、
中世ルネッサンス音楽を現代の手法で甦らせるというプロジェクトで、ハードロックファンを驚かせた。
トラディショナルな雰囲気を残しつつ、ところどころにキーボードを使用、素朴でありながらシンフォニックなサウンドは
どこを切っても非常に高クオリティ。RENAISSANCEの「OCEAN GYPSY」もカヴァーするなどプログレファンにも必聴の内容。
シンフォニック度・・8 女性Vo度・・8 中世音楽度・・8 総合・・8
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BLACKMORE'S NIGHT「FIRES AT MIDNIGHT」
リッチー・ブラックモアによる中世音楽バンド、ブラックモアズ・ナイトの3rd。2001作
1st「SHADOW OF THE MOON」発表の当時はてっきり1枚のみのプロジェクトだと思っていたが、
「実は本気だった」ようでアルバムはすでに3枚目。さらにはバラッドアルバムまである。
今回も、妻であるキャンディスの美声Voをメインにした中世音楽の現代風解釈であるには変わりないが、
1曲目を聴いた感じだと、よりエレキギターを使用している。キーボードのアレンジなどもシンフォニックで
その手のプログレ系リスナーでも違和感なく聴けるだろう。
もちろん純粋に中世音楽を探求した曲や、アコースティックメインの楽曲もあるが
全体としてはぐっとブリティッシュロック度が強まったという印象だ。
音としてはやはりメタルファンよりもプログレ、ブリティッシュロック・リスナー向けだと思う。
シンフォニック度・・8 女性Vo度・・8 中世音楽度・・8 総合・・8
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BLACKMORE'S NIGHT「MINSTRELS AND BALLADS」
ブラックモアズ・ナイトのバラード集。2001作
1997年の1st「Shadow of the Moon」、99年の2nd「Under a Violet Moon」、
01年の3rd「Fires at Midnight」の3枚から選ばれた14曲を収録。
ゆったりとした中世バラッド曲に、キャンディス・ナイトの歌声が美しい。
「吟遊詩人のバラード」という邦題通り、のんびりと耳を傾けて心癒される。
アコースティカル度・・8 しっとりバラッ度・・9 女性Vo度・・9 総合・・8
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BLACKMORE'S NIGHT「GHOST OF A ROSE」
リッチー・ブラックモアによる中世音楽バンド、ブラックモアズ・ナイトの4th。2003作
今やすっかり御大のライフワークとなった感のあるこのシリーズも早4作目。
今回はややロック色、というかアラビアっぽさを感じる部分もあり、エレキやシンセも多用していて
フォークというよりは女性Voものシンフォとしてもなかなか楽しめる。
キャンディス・ナイトの美声は相変わらず耳に心地よく、御大の弾くギターとの相性もばっちり。
さすがに今となっては目新しさはもうないが、やっぱり私はこの手の中世音楽が好きなのだなあ(^^)。
メロディアス度・・8 中世音楽度・・7 女性Vo度・・8 総合・・8
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BLACKMORE'S NIGHT「Past Time With Good Company」
リッチー・ブラックモア率いる中世音楽バンド、ブラックモアズ・ナイトのライブアルバム。2003作
歌姫キャンディス・ナイトさんの美声による、中世音楽サウンドは今や知らぬものはいないほどに認知度も上がり
日本でもライブDVDなどが発売され、その人気ぶりはプログレ好きからメタル好きまで幅広く高まっている。
この2枚組みライブアルバムは、2002年のオランダ公演からの収録で、バンドとしての年季も入り始めた
貫祿と余裕のある演奏がたっぷり堪能出来る。キャンディスさんの歌唱もいつもながらに美しく、その美声にうっとり。
DEEP PURPLE時代の“Soldier of Fortune”RAINBOW“16th Century Greensleeves”も披露し、
往年のハードロッカーたちには感涙ものだろう。ちなみに、日本盤よりも輸入盤が安くてお得(ボーナストラック2曲入り)。
中世吟遊詩人度・・9 ライブ演奏・・8 女性Vo度・・8 総合・・8
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BLACKMORE'S NIGHT「BEYOND THE SUNSET-THE ROMANTIC COLLECTION
リッチー・ブラックモアによる現代版中世バラッドバンド、ブラックモアズ・ナイトの2004作
このアルバムは、1st~4thから選曲された中世っぽいバラード曲をメインとしたベスト。
しっとりとした曲ばかりなので、キャンディスさんの美声にうっとりとまどろめます。
全14曲で未発表曲や、別バージョンの曲もあり、ボーナスDVDに加え、
クリスマスソング入りのおまけCD付きでお買い得。DVDはライブ映像が5曲入り。
本物の古城の前に立てられたステージで繰り広げられる中世音楽の夕べ、という感じです。
歌っているキャンディスさんはやっぱり綺麗だなあ。声もいいし。御大がうらやましい(笑)
しっとり度・・9 バラッ度・・9 女性Vo度・・9 総合・・8
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BLACKMORE'S NIGHT「Village Lanterne」
リッチー・ブラックモア率いるブラックモアズ・ナイトの5th。2006作
前作あたりから中世音楽色が薄れ、今風なアレンジを取り入れ始めたが、
今作でも中世バラッド曲はやや影をひそめ、モダンな聴きやすさが増している。
アコースティックのみでのネタ切れ感とともに、リッチー御大は何曲かでエレキギターを弾き、
“ Child In Time ”、“Street Of Dreams ”といったDEEP PURPLE、RAINBOW時代の曲も収録。
キャンディス嬢のやわらかな歌声は相変わらず耳に心地よいが、
初期にあった幻想的な世界観はなくなってしまった感があり、個人的には残念。
メロディアス度・・7 中世音楽度・・6 女性Vo度・・8 総合・・7.5
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Blackmore's Night 「Secret Voyage」
リッチー・ブラックモアとキャンディス・ナイトによるブラックモアズ・ナイトの2008年作
1997年の1作目から数えて、本作で6作目となる。やわらかなマンドリンにリコーダーの音色、
ストリングスによるシンフォニックな味付けも加わった、壮麗なイントロ曲から始まり、
キャンディスの美しい歌声に、御大のエレキギターも加わったトラッドロック的なサウンドが広がる。
アコースティックギターを主体にした牧歌的なナンバーでも、艶やかなヴァイオリンにシンセも重なる、
じつに優美な聴き心地。ハーディ・ガーディやフィドルなどの古楽トラッド、ケルト的な味わいも残しつつ、
コンテンポラリーなアレンジとともに、プレスリーの名曲「Can't Help Falling In Love」をカヴァーするなど、
ほどよくキャッチーな側面も楽しめる。本作は何故か日本盤未発売のため希少なアルバムとなっている。
ドラマティック度・・7 優美度・・8 女性Vo度・・8 総合・・8 
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Blackmore's Night「Autumn Sky」
リッチー・ブラックモア率いる、ブラックモアズ・ナイトの2010年作
1997年から始まったリッチー御大の中世音楽の旅もこれが7作目(クリスマスアルバム除く)、
リッチーはすでに65歳を超え、2008年に結婚した妻のキャンディスも40歳になる。
サウンドは初期の中世音楽色をしっかりと残しつつ、エレキギターとシンセを加えた美麗なアレンジで、
曲によってはモダンな感触がずいぶん増して来ているという印象。キャンディス夫人の歌声には
しっとりとした大人の女性の魅力が加わって、アコースティカルな曲での表現力はとくに見事だ。
中世の香りを現代的なビート感覚に同居させる作風は円熟の域にきているといっていい。
アコースティカル度・・7 ロック度・・7 女性Vo度・・8 総合・・8
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Blackmore's Night 「Knight in York」
リッチー・ブラックモア率いる中世音楽ユニット、ブラックモアズ・ナイトのライブ作品。2012年作
英国 ヨーク市のグランド・オペラ・ハウスでの2011年のステージを収録。
より大人っぽい表現力をまとった奥方、キャンディス・ナイトの美声を中心に、
牧歌的なパイプの音色に艶やかなヴァイオリン、随所にオルガンなどのシンセアレンジも含んだ
ブリティッシュロック色も感じさせるところはさすがである。リッチー御大のギタープレイは言うに及ばず、
アコギはもちろんエレキギターのプレイも味わい深く聴かせてくれる。中世古楽ロック的に楽しめるライブ作品。
ロック色もあり度・・8 中世音楽度・・8 女性Vo度・・8 総合・・8

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Blackmore's Night「Dancer and the Moon」
リッチー・ブラックモア率いる、ブラックモアズ・ナイトの2013年作
8作目となる本作も、アコースティカルな牧歌性にいくぶんシンセを含んだアレンジで、
牧歌的な中世バラッドロックが楽しめる。表現豊かなキャンディス夫人の歌声を中心に、
随所にエレキギターを取り入れたリッチー御大のギタープレイもじつに渋く映えている。
全体的なイメージとしては、中世音楽としての伝統的な側面が楽曲により反映されたことで、
ジャケの雰囲気のように、回帰的なロマン主義がサウンドに強い強度をもたらしている。
アコースティック部分の説得力もこれまで以上なので、引き締まった聴き心地となっている。
アコースティカル度・・8 中世度・・8 女性Vo度・・8 総合・・8
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BLACKMORE'S NIGHT「Castles & Dreams」
リッチー・ブラックモア率いるブラックモアズ・ナイトのライブDVD。2005作
ドイツの古城、フェルデンシュタイン城(Burg Veldenstein)での野外ステージでのライブを収録。
夜の古城をバックに、中世スタイルの衣装に身を包んだメンバーたちが奏でる雅な宴。
アコースティカルな中世音楽を、現代的なアレンジを加えて表現する彼らのサウンドは
ヨーロピアンな情緒と典雅な空気とで場を包み込み、我々を中世吟遊詩人のステージにと誘う。
表現力を増したキャンディス嬢の歌唱力と楽しげな表情は、その美しい姿とともに
見るものを惹きつけ、視覚的にもこのバンドの魅力をよく伝えてくれている。
アンコールではDEEP PURPLE時代の“BLACK NIGHT”も披露、
久々にストラトキャスターを弾き鳴らすリッチーの姿が見られるのもうれしい。
Disc2ではビデオクリップ、ドキュメンタリー等を収録、こちらもキャンディス嬢の魅力満載。
ライブ映像・・8 ライブ演奏・・8 キャンディス嬢・・10 総合・・8
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Camilla Kerslake
イギリスの女性シンガー、カミラ・カースレイクの2009年作
しっとりとしたストリングスアレンジに、うっとりとするようなソプラノヴォーカルの
澄みきった歌声が響きわたる。“I Can't Help Falling In Love”といった定番曲も
彼女の歌声の魅力によりいっそう美しく楽しめます。美声のソプラノ好きの方はぜひ。
しっとり度・・9 優雅度・・9 女性Vo度・・9 総合・・7.5
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Candice Night 「Reflections」
Blackmore's Nightのシンガーとして知られる、キャンディス・ナイトのソロ。2011年作
中世トラッド的なブラックモアズ・ナイトに比べ、本作のサウンドはしっとりとした彼女の歌声を中心にした、
よりキャッチーな作風だ。シンセの重ねによるヒーリング風の美しさと、メロディックなポップ性に、
オルガンが鳴り響く古き良きロック風味などもありつつ、メジャー感に包まれた楽曲は、
一般の洋楽ポップのリスナーにも楽しめるだろう。しっとりとしたバラードやBlackmore's Night風味の
トラッド要素も感じさせるナンバーでは、キャンディスの美声にうっとりと浸れる。
ドラマティック度・・7 キャッチー度・・8 女性Vo度・・8 総合・・7.5
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CANDICE NIGHT 「Starlight Starbright」
Blackmore's Nightのシンガーでもある、キャンディス・ナイトのソロ。2015年作
子供たちをイメージして作った作品ということで、しっとりと優しい彼女の歌声に、
アコースティックギターやフルート、ハープなどの音色などで聴かせる繊細な作風。
やわらかな慈愛に溢れたキャンディスの歌声は、CONNIE DOVERなどにも通じる雰囲気で、
子守歌のような優しさとともに、適度なケルト・トラッド風味も含んで耳に心地よい。
2~3分前後の小曲中心なので最後まですんなり聴きとおせる。リッチー・ブラックモアがゲスト参加。
アコースティック度・・8 しっとりやわらか度・・9 女性Vo度・・9 総合・・8
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Caprice 「Mirror」
ロシアのネオフォーク、キャプライスの1996/2006年作
本作は1996年に録音されたバンドのデビュー作で、10年後にようやくCD化されたという異色の作品。
のっけからドラムが入った変則リズムとモダンなアプローチで聴かせるプログレ風味が強く、
ピアノを含むシンセアレンジに、美しい女性ヴォーカルの歌声がエキセントリックに響き渡る。
もちろんフルートやヴァイオリン、ハープなどを使ったクラシカルな要素も取り込んでいて、
女性声の優雅なチェンバーロックとしても楽しめる内容である。一方ではしっとりとした幻想的で
アンビエントなナンバーもあり、なかなかメリハリに富んだ内容だ。デビュー作にしてこのクオリテイは素晴らしい。
クラシカル度・・8 プログレ度・・8 女性Vo度・・8 総合・・8
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Caprice「Songs of Innocence and Experience」
ロシアの女性ヴォーカルバンド、キャプライスの2nd。2000年作
美しい女性ヴォーカルの歌声に、しっとりとしたフルートやクラリネット、ヴァイオリン、
チェロなどが絡む、クラシカルで艶やかなサウンドにうっとりと癒されます。
イナ嬢の歌声は、ドネラ・デル・モナコを思わせるアカデミックな雰囲気が魅力的。
ロック色は皆無で、アコースティカルな暖かみと、涼やかな叙情が同居する美麗作。
クラシカル度・・8 ロック度・・1 女性Vo度・・8 総合・・8
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Caprice 「Elvenmusic」
キャプライスの2001年作
フルート、クラリネット、ヴァイオリン、チェロ、ホルンなどのオーケストラルなアレンジに、
やわらかなハープの音色、そして美しいソプラノ女性ヴォーカルの歌声で聴かせる、
幻想的なネオフォークサウンド。ロック色はほとんどないので、のちの作品に比べると、
ややあっさりとした感じもするが、オペラティックな女性ヴォーカルの表現力とともに、
クラシカルで優雅なネオフォークが楽しめる。アコースティック要素が強い作品です。
クラシカル度・・9 幻想度・・7 女性Vo度・・8 総合・・7.5
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CAPRICE 「Sister Simplicity」
ロシアのゴシックフォーク、キャプライスの2005年作
物悲しいピアノの旋律にヴァイオリン、チェロの音色が絡み、男性声の語りによるイントロから、
美しい女性ヴォーカルの歌声を乗せて、しっとりと優美なサウンドが広がってゆく。
艶やかなストリングスが優雅に彩り、ときにオペラティックな、Inna嬢の歌声が魅力的に響き渡る。
のちの作品に比べると、幻想的な味わいは希薄だが、クラシカルなピアノにクラリネット、フルートが絡む、
チェンバーロック風の優雅さもあり、妖しい女性声とともに耽美な空気を描くところは素晴らしい。
クラシカル度・・9 優美度・・9 女性Vo度・・8 総合・・8 
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CAPRICE 「KYWITT ! KYWITT !」
ロシアのゴシックフォーク、キャプライスの2008年作
1996年にデビュー、本作は7作目。エレクトロなシンセアレンジに母国語の女性ヴォーカルを乗せ、
凶暴にエレキギターが加わってきて、トラッドとポップ、ロックとクラシカルの要素が混在したサウンド。
やわらかなフルートにヴァイオリンが重なる優雅さと、KATE BUSHのようなキュートな歌声で
ストレンジな幻想性に包まれた世界観は、単なるトラッドフォークという以上にプログレリスナー向けである。
本作はゴシック的な薄暗さは希薄で、むしろポップな可愛らしさに包まれているので、普通に聴きやすく
エキセントリックなアレンジセンスも含めて、ディープなリスナーにも楽しめる深みのある内容といえる。
しっとりとしたナンバーでのヴォーカルの美しさも特筆もので、女性声クラシカルフォーク好きは必聴。
クラシカル度・・8 優雅度・・9 女性Vo度・・9 総合・・8 
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Caprice 「Masquerade」
ロシアのゴシックフォーク、キャプライスの2010年作
艶やかなヴァイオリンにやさしいハープのつまびき、女性ヴォーカルの母国語の歌声を乗せた美しい聴き心地。
初期のケイト・ブッシュのようなエキセントリックな感触に、いくぶんモダンなロック/ポップ要素も加わっていて、
いわばクラシカルなゴシックポップというような雰囲気である。ときにチェンバーロック的な緊張感に包まれたり
エレキギターが加わったゴスロック風味も出てきたりと、本作ではそのアレンジの多彩さも光っている。
繊細なピアノにフルートやオーボエの音色も耳に優しい。女性声の美しさとストリングスアレンジにうっとり。
クラシカル度・・8 エキセントリック度・・8 女性Vo度・・8 総合・・8
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Caprise 「Girdenwodan Part 1」
ロシアのゴシックフォーク、キャプライスの2012年作
美しい女性ヴォーカルの歌声に、優雅なチェンバロやヴァイオリン、チェロなどが絡み、
初期のKate Bushにも通じるような、童話的でファンタジックな世界観を描いてゆく。
薄暗いゴシックフォーク的な要素と、クラシカルな繊細さが絶妙に合わさったサウンドは、
ほとんどロック色はないのだが、プログレ方面のリスナーにも充分楽しめるクオリティ。
魅力的な女性声と優美な楽曲、本作も幻想的な聴き心地にうっとりですよ。
クラシカル度・・8 幻想度・・8 女性Vo度・・8 総合・・8
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Caprice 「Girdenwodan Part 2」
ロシアのゴシックフォーク、キャプライスの2014年作
前作の続編となるアルバムで、ケルティックハープのつまびきにフルートやオーボエ、クラリネットのやわらかな音色と
美しい女性ヴォーカルの歌声が重なり、森の精霊めいた幻想的な世界観が広がってゆく。
ケイト・ブッシュを思わせるようなキュートな可愛らしさと、ヴァイオリンやチェロ、ハープシコードなども加わった
クラシカルな優雅さが融合し、アコースティック楽器がメインなのだが音の厚みのあるアレンジセンスが素晴らしい。
曲によってはドラムも入ったりして、プログレファンやシンフォニックロック好きの方にも楽しめるだろう。
女性ヴォーカル系ファンにはたまらないクラシカル系幻想ネオフォークの傑作です。
アコースティック度・・8 幻想度・・9 女性Vo度・・8 総合・・8.5 
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CARA DILLON
アイルランドの女性Vo、カーラ・ディロンの1st。2002年作
ロックフォーマットされたケルトスタイルの音楽というと、プログレファンには
IONAKARNATAKAなどがおなじみだが、こちらはより一般向けのサウンドで
若いのに表現力と温かみがある歌唱は、声質のせいもありCONNIE DOVERあたりを思わせる。
曲の方はアコギやピアノ、シンセなどの比較的シンプルなもので、ケルト風味はやや抑え目ながら、
聴きやすくしっとりとした雰囲気。今後も要チェックのシンガーであろう。オフィシャルファンサイトもあり。
メロディアス度・・8 トラッ度・・7 女性Vo度・・9 総合・・7.5

CARA DILLON「SWEET LIBERTY」
アイルランド出身の女性ヴォーカル、カーラ・ディロンの2nd。2003作
1stの時点からそのキュートな歌唱と、アイリッシュ風味をまじえた聴き易いポップな楽曲がなかなかだったが、
この2ndでは可愛いらしさに加え、より深遠な歌唱力を身に着けている。
曲調もケルト風味を心地よく溶け込ませたしっとりとした雰囲気で、彼女の歌唱を活かしている。
MIKE OLDFIELDの「TUBULAR BELLSⅢ」に参加した経歴もあり、プログレ関係の支持者も多い。
ケルテイック度・・7 女性Vo度・・9 しっとり度・・9 総合・・8
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Cara DillonAfter the Morning
アイルランド出身の女性Vo、カーラ・ディロンの3rd。2006作
前作Sweet Libertyで若手のケルトロックVoとして最高峰に躍り出た彼女だが、
それに続く期待の作品。今回はぐっと肩の力の抜けた作風で、相変わらず温かみのある
彼女の歌唱は耳に優しく響く。ケルト的な要素はやや控えめになり、ポップテイストと
トラディショナルな雰囲気のバランスが良く、力まずに聴き通せるアルバムといえる。
プログレ系の女性Voファンにはまず前作から薦めるが、ヴォーカリストとしての
彼女の人間的な表現力は、こうした素朴な音でさらに引き立って聴こえるようになった。
メロディアス度・・8 ケルティック度・・6 女性Vo度・・8 総合・・8
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Cara Dillon「Hill of Thieves」
アイルランド出身の女性Vo、カーラ・ディロンの4th。2008年作
2ndまではどちらかというとポップ色もあるケルティックロックを歌っていた彼女だが、
前作ではゆったりとした温かみのある作風へと変化し、本作もその延長上のサウンド。
結婚して母になったこともあってか、彼女の歌声にはどこか母性的な優しさが感じられ、
しっとりとしたピアノやアコーステッィクギターによるシンプルな演奏をバックにやわらかに響く。
素朴さの中に覗かせるケルティックな風味は、むしろ味付け程度であるが、
伝統的なトラッド曲においては、フルートやホイッスル、パイプなども使われている。
アコースティカル度・・9 ケルティック度・・7 女性Vo度・・8 総合・・8
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Carlos NunezOs Amores Libres」
スペインのガイタ(ガリシアンパイプ)奏者、カルロス・ヌニェスの2nd。1999作
ガリシアのトラッドシーンに新たな風を吹き込んだアーティストとして知られ、
伝統的なガリシアンパイプを弾きこなし、ときにテクニカルに、ときに叙情味豊かに響かせる。
もちろんガイタだけでなく、ホイッスルやフルート、ハープ、アコーディオン、フィドルなども使われ、
一部ではエレキギターやシンセも入ってきて、モダンなアレンジを取り入れるなど、
あくまでトラッドを大切にしつつも、型だけにとらわれない新鮮なセンスを感じる。
しっとりと聴かせる女性ヴォーカル入りの曲も美しい。この本人写真のジャケはどうかと思うが。笑
アコースティック度・・8 トラッ度・・8 演奏・・9 総合・・8
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Carola Haggkvist 「Sov Pa Min Arm」
スウェーデンの女性シンガー、キャローラ・ヘグクヴィストの2001年作
アコースティックギターのつまびきに、チェロやヴィオラの物悲しい旋律、
母国語による美しい女性ヴォーカルを乗せた、しっとりとしたサウンド。
北欧トラッドの感触をベースに、ピアノやシンセによるアレンジを加えた、
コンテンポラリーなスタイルで、「ブラームスの子守歌」を取り上げるなど、
ほどよくキャッチーな心地よさとともに、彼女の類まれな美声が楽しめる。
曲によってはポップ寄りではあるが、北欧らしい涼やかさも残した聴き心地だ。
アコースティック度・・7 北欧トラッ度・・7 女性Vo度・・9 総合・・7.5
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Cathy Claret
フランス出身の女性シンガー、キャシー・クラレの1990年作
アコースティックギターのつまびきに、フランス語によるコケティッシュな歌声を乗せ、
しっとりと聴かせる。バックの演奏はシンプルなのだが、スパニッシュ風のギターも加わったりと
わりとラテンの感触が前に出て、キュートで物憂げなヴォーカルとのコントラストになっている。
曲によってはほどよくポップなアレンジや、ジプシー的な無国籍感も含んでいて、
単なるフレンチポップや、アコースティックな歌ものという以上に不思議な味わいがある。
アコースティック度・・8 ラテン度・・8 女性Vo度・・8 総合・・7.5
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Cecile Corbel「Songbook 1」
フランス、ブルターニュ出身のハープ奏者/シンガー、セシル・コルベルの2006作
キュートでコケティッシュな歌声と、美しいケルティック・ハープにヴァイオリンの音色
そこに適度なシンセアレンジも加わったシンフォニックな味付けもいい。、
しっとりとしたハープの響きで聴かせる歌もの曲も絶品で、伝統的なケルト色を
モダンかつポップにアレンジするセンスは実に見事だ。パーカッションの使い方などには
ラジカルトラッド的な先鋭さもあるが、全体としては爽やかに聴き通せる作品になっている。
女性ヴォーカルものとしてもケルティック・シンフォとしても楽しめる素敵なアルバムだ。
ケルティック度・・7 ポップ度・・8 女性Vo度・・9 総合・・8.5
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Cecile Corbel「Songbook Vol.2」
フランス、ブルターニュ出身のハープ奏者/シンガー、セシル・コルベルの2006作
艶やかなハープの音色に、キュートな歌声で聴かせる彼女のサウンドは、
伝統的なトラッドを土台にしつつも、ストリングスやシンセなどのアレンジにより
モダンな聴きやすさがあるのがポイント。ドラムなどが加わるとシンフォニックロック的にも楽しめる。
なおセシルは2010年公開のジブリ映画作品「借りぐらしのアリエッティ」の主題歌を務めることが決定。
ケルティック度・・7 モダントラッ度・・8 女性Vo度・・9 総合・・8.5
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Cecile Corbel「Songbook Vol.3」
フランス、ブルターニュ出身のハープ奏者/シンガー、セシル・コルベルの2008年作
フランス語によるキュートな歌声と、美しいハープの音色、ヴァイオリンやチェロ、フルートなども加わった
繊細で優雅なケルティックサウンドを聴かせる。アコースティックが主体ながら、
どことなくコンテンポラリーな雰囲気がただようのは、若手アーティストのセンスだろう。
しっとりとした幻想的な空気感は、中世やケルトのロマンを現在に蘇らせたようだ。
曲によってはエレキギターやドラムも加わったりと、トラッドにとらわれないアレンジも楽しい。
アコースティック度・・8 ケルティック度・・8 優雅で繊細度・・9 総合・・8
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Cecile Corbel「借りぐらし(Kari-gurashi)」
ブルターニュ出身のハープ奏者/シンガー、セシル・コルベルの2010作
もともとジブリ映画のファンであったという彼女が、自ら売り込んで映画の主題歌に抜擢された。
本作はそのジブリの新作「借りぐらしのアリエッティ」のイメージアルバムということだが、
実質的にはセシルのオリジナルアルバムといって差し支えはない。美しいハープの音色やヴァイオリン、
パイプ、12弦ギター、そして彼女のキュートな歌声で聴かせる、やわらかなトラッドサウンドが楽しめる。
ブルターニュのケルト音楽の入門用にもいいだろう。初回特典の可愛らしいミニブックレットも嬉しい。
ケルティック度・・7 トラッ度・・8 女性Vo度・・8 総合・・8
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Cecile Corbel「Songbook Vol.4」
フランス、ブルターニュ出身のハープ奏者/シンガー、セシル・コルベルの2013年作
少女めいたコケティッシュな歌声とハープのつまびきを乗せた、優美なサウンドはそのままに、
今作ではドラムの入ったケルトロック的なナンバーで始まり、ストリングスアレンジを加えての
しっとりとした叙情や、うっすらとしたシンセにハープが美しく響くアンビエントなナンバーなど、
ややコンテンポラリーな雰囲気を強めた作風だ。もちろんトラッド的なアコースティック感触も残していて、
伝統とモダンのバランスのとれたサウンドは、ケルト初心者にも楽しめるだろう。
アコースティック度・・8 ケルティック度・・8 優雅で繊細度・・9 総合・・8
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Cecilia Osterholm & Kerstin Andersson
「Zeke」
スウェーデンのトラッドユニット、セシリア&シェスティンの2000年作
2人の女性ニッケルハルパ奏者のユニットで、フィドルとはまた違った素朴な味わいの
ニッケルハルパ(鍵盤付きヴァイオリン)の音色を重ねた、シンプルなトラッドを演奏する。
カタカタという鍵盤をタッチする音までも収録されているのが、アナログ的な味わいになっていて、
艶やかな音色とともに聴いているうちに、このスウェーデンの伝統楽器にゆったりと親しめる。
個人的には、ここに女性ヴォーカルを入れてくれた方がさらに聴き心地はよいと思うのだが、
ニッケルハルパにこだわるスタイルは、女性アーティストながら硬派な真面目さを感じさせる。
アコースティック度・・9 北欧トラッ度・・9 素朴度・・9 総合・・7.5
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Celtic Legend-Lyonesse
ケルトミュージックのプロジェクト、ケルティック・レジェンドの2008年作
ケルティック・ウーマンの人気により再び世界的にケルトブームが再燃してきているが、
本作は作曲家クリス・ペインを中心にした、音楽におけるケルト伝説の復興を目指したプロジェクトである。
1作目「トリスタンとイゾルデ」は未聴なのだが、本作は日本盤も出ているので手に入りやすいだろう。
伝説の島「リオネス島」をテーマに、壮大なイントロから物語を語るような雰囲気で始まると
壮麗なシンセによるシンフォニックな作風と、美しい女性ヴォーカルの歌声が響きわたる。
パイプやホイッスルなどのアコースティカルな要素もあるが、むしろ全体を包むのはシンセワークで、
ケルティック・ウーマンに比べると、よりコンセプチュアルで雄大な雰囲気は、プログレリスナー向きといえる。
シンフォニックメタル系パンド、Pythiaのメンバーでもあるエミリー嬢の歌声もとても魅力的だ。
ケルティック度・・7 シンフォニック度・・8 女性Vo度・・8 総合・・8
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CELTIC WOMAN
ChloeLisaMeavOrlaという4人のケルト系女性Voによる共演ライブのDVD。2004作
オーケストラをバックに、4人の女性Voがその美声で、アイリッシュソングをしっとりと歌いあげる。
時にフィドルやケルティックハープをメインにしつつ、それぞれのVoがソロをとったり
合唱したりと、美しくたおやかなケルトサウンドを満喫できる。
4人のうちでは、CDを持っているということもあり、やはりMeavの歌唱が好みかな。
ちなみにジャケでアップになっている女性は出てきませんので、あしからず。
ライブ映像・・8 ライブ演奏・・8 ケルティック度・・9 総合・・7.5
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CESAIR 「Dies, Nox et Omnia」
オランダのネオフォーク、セサールの2015年作
女性3人を含む5人編成で、バウロンのリズムにアコーステッィクギターやアコーディオン、ハンマー・ダルシマー、
ハーディ・ガーディの音色が重なり、女性ヴォーカルの母国語の歌声を乗せた、幻想的なネオフォークサウンド。
ヴァイオリン、チェロ、ブズーキなども加わった優雅な感触と共に、メロディにはケルティックな雰囲気が感じられて、
本格派のトラッド要素と、コンテンポラリーなアレンジが融合したという聴き心地。女性ヴォーカルの表現力ある歌声はときに、
ロリーナ・マッケニットを思わせる。アコースティック中心であるが、厚みのあるサウンドでシリアスなトラッド・フォークを描く力作。
アコースティック度・・8 幻想トラッ度・・8 女性Vo度・・9 総合・・8
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Clannad「PASTPRESENT」
アイルランドのケルティックバンド、クラナドのベストアルバム。1989作
アイリッシュポップを代表するこのバンドの、1983年~1987年までのアルバムから
選ばれた14曲に新録2曲を加えたベスト盤。
アイリッシュトラッドの神秘的な感触を、
明快なポピュラーサウンドに融合させたという点では最初のバンドと言っていいだろう。
モイヤ・ブレナンの美しい歌声とともに、広がりのあるシンセや、ロック的なギターを取り入れ
後のIONAあたりにも通じる幻想的なケルティックロックを作り上げている。
メロディアス度・・8 ケルティック度・・8 女性Vo度・・8 総合・・8
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CLANNAD「BANBA」
アイルランドのトラッドバンド、クラナドの1993年作
ゲール語で「家族」を意味するバンド名をもつ、結成は1969年という大ベテラン。
ENYAの実姉であるモイヤ・ブレナンのヴォーカルを中心に、伝統的なケルト音楽と
ポップなメジャー性を融合させたサウンドで、1973年のアルバムデビュー以来、大きな人気を誇る。
80年代のポップ全盛の時代を過ぎ、時代が再びトラッド寄りの音を求め始めたことで、
本作はケルトとしての原点に立ち返ったかのような、ほの暗い叙情で聴かせる作品となった。
しっとりとしたモイヤの歌声と、幻想的なコーラス、うっすらとしたシンセが重なって、幽玄の美を描き出す。
フルートやマンドリンなどのアコースティック色と、現代的なポップ色が見事に融合されている。
幻想度・・8 ケルティック度・・8 女性Vo度・・7 総合・・8
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CLANNAD「Lore」
アイルランドのトラッドバンド、クラナドの1996年作
「伝承」というタイトル通り、古き良きトラッドの魂を今に伝えるような雰囲気で、
楽曲的にはいくぶん地味ながらも、じっくりと聴いて楽しめる作品。
もちろん持ち味である、モダンなポップ、ニューエイジ色との融合はそのままで、
曲によってはケルティックな質感は抑え気味であるが、そこは大人の余裕というか
サックスが鳴り響くような洒落たアレンジの中にも、ゲールの魂はちゃんと感じ取れる。
一方で、ヴォーカル曲でのモイヤの歌声はしっとりと美しく響く。大人のケルトポップ。
幻想度・・8 ケルティック度・・7 女性Vo度・・7 総合・・7.5
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CLANNADLandmarks
アイルランドのトラッドバンド、クラナドの1997年作
シンセの重ねによるニューエイジ色に、素朴なケルトサウンドを融合させたクラナド節が存分に味わえる好作。
モイア・ブレナンの母性的な歌声とマンドリン、アコースティックギターによる伝統的なトラッド色が優しく響く。
本作を最後に活動休止することを思うと、バンドの集大成的な作品ともいえる。
幻想度・・8 ケルティック度・・8 女性Vo度・・8 総合・・8
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Clannad「Live in Concert」
アイルランドのケルティックバンド、クラナドのライブアルバム。2006作
70年代から活動を続けるベテランバンド、これは1996年のライブを収録したもの。
アコースティック楽器にうっすらとしたシンセも加えたアレンジで、
歌姫モイア・ブレナンのしっとりとした歌声が響きわたる。
シンセとともにドラムが加わるとケルトロック的な雰囲気で聴けて、
コアなケルト音楽リスナーももちろん、プログレファンにお勧めだ。
メロディアス度・・8 ケルティック度・・8 ライブ演奏・・8 総合・・8
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CLANNAD 「Nadur」
アイルランドのケルティックバンド、クラナドの2013年作
70年代から活動するベテランで、オリジナルアルバムとしては、じつに1997年以来となる作品。
うっすらとしたシンセにアコースティックギター、そしてENYAの姉である、モイヤ・ブレナンのやわらかな歌声で、
しっとりとしたコンンテンポラリーなケルトミュージックを聴かせる。マンドリンやハープ、フルート、ホイッスルなどの
素朴な音色と、適度にキャッチーなフォーク風味が合わさって、いわば本格派過ぎない聴きやすさがこのバンドの魅力だろう。
といってもポップになることもなく、トラッドナンバーを含む楽曲自体の魅力もあって、深みを増したモイヤのヴォーカルとともに、
ジャケのイメージのような幻想的な雰囲気に包まれたサウンドが楽しめる。復活作としては見事な出来だと思う。
ケルティック度・・8 コンテンポラリー度・・7 女性Vo度・・8 総合・・8 
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COFIELD 「Ceremony」
南アフリカ出身の女性シンガー、コフィールド・ムンディの2009年作
伸びやかな彼女の歌声を中心に、爽やかなキャッチーさで聴かせるサウンド。
アコースティックギターによる素朴さに、打ち込みによるモダンなアレンジなども含んだ
ポップな耳心地の良さで、一般のリスナーにも普通に楽しめるだろう。
メロディック度・・8 ポップ度・・8 女性Vo度・・8 総合・・7.5
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the Colour of Memory「the Old Man & the Sea」
スコットランドのケルティックユニット、カラー・オブ・メモリーの1994年作
二人の女性ヴォーカルに、うっすらとしたシンセ、そして美しいハーブのつまびき、
ケルティックな素朴さを、シンセによるモダンな浮遊感でアレンジした
コンテンポラリーな作風、ロリーナ・マッケニットを思わせる神秘的な歌声が美しい。
アコースティカルさよりもシンセによるヒーリング風味の強い、しっとりと癒される作品です。
ケルティック度・・8 しっとり度・・9 女性Vo度・・8 総合・・8
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ConnemaraBeyond Horizon」
アメリカのアイリッシュ・フォークユニット、コンマーラの1993年作
女性3人のユニットで、やわらかなアコースティックギターにハープが重なり、
女性ヴォーカルが優しい歌声を乗せる、うっとりするようなケルティックサウンド。
つまびかれるハープの音色に、美しいフィドル、ときにチェロなども絡まり
幻想的なアコースティックサウンドを描き出す。ロリーナ・マッケニットのカヴァーも絶品。
アコースティック度・・9 幻想度・・9 女性Vo度・・9 総合・・8.5
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CONNEMARA「SIREN SONG」
アメリカのアイリッシュ・フォークユニット、コンマーラの1996年作
女性2人のヴォーカルを中心にしたユニットで、サウンドはケルトというよりは、
しっとりと幻想的なフォークという趣がある。つまびかれるハープの音色も美しく、
夜の空気に舞うような美しい歌声にうっとり。ファンタジックな美麗作品です。
アコースティック度・・9 幻想度・・9 女性Vo度・・9 総合・・8.5
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CONNIE DOVER「SOMEBODY」
アメリカのケルト系女性シンガー、コニー・ドーヴァーの1st。1991作。
ケルト系トラッドを歌う美声女性ヴォーカルで一番好きなのは?と問われたら、
ケイト・プライスでもロリーナ・マッケニットでもなく、私は「コニー」と答えるだろう。
この清涼でありながら暖かで、人間味に満ちた美声は、一種の癒しですらある。
曲の方も歌を生かす素朴なトラッドがメインで、ほのかなキーボードの味付けも絶妙。
メロディアス度・・9 トラッ度・・9 美声Vo度・・10 総合・・8.5
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CONNIE DOVER 「Wishing Well
アメリカのケルト系シンガー、コニー・ドーヴァーの2nd。1995年作
ケルト系トラッドを歌う美声女性ヴォーカルで一番好きなのは?と問われたら、
ケイト・プライスでもロリーナ・マッケニットでもなく、私は一番に「コニー」と答えるだろう。
この清涼でありながら暖かで、人間味に満ちた美声は、一種の癒しですらある。
曲の方も歌を生かす素朴なトラッドがメインで、陽光のように温かな歌声にうっとりできる。
メロディアス度・・9 トラッ度・・9 美声Vo度・・10 総合・・9
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CONNIE DOVERIf Ever I Reurn
アメリカの女性トラッドシンガー、コニー・ドーヴァーの3rd。1997作
近年はケイト・プライスやパメラ・モーガン等、トラディショナルをコンテンポラリーに再構築した作風が目立つが、
そのなかでも最もオーソドックスで暖かみのあるケルティックトラッドを歌うのが彼女だ。
ケイト・プライスを「陰」とするとコニーは「陽」、その歌には暖かな命の響きが感じられる。
フィドルやブズーキといったトラッド楽器を使用したアコースティックな楽曲に、コニーの陽光のような歌声。
そこいらのヒーリングミュージックを聴くよりよほど癒される。どのアルバムも買いです。
ケルティック度・・8 素朴度・・10 美声度・・10 総合・・8.5
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CONNIE DOVER「THE BORDER OF HEAVEN」
アメリカ出身のケルト系女性ヴォーカリスト、コニー・ドーヴァーの2000年作
とにかく、彼女の「やわらかでいながらも、芯の通った」歌声は素晴らしい。
美しく、気高く、それでいて聴くものを包み込むような母性をも感じさせるのだ。
曲の方も純粋なトラッド曲がメインで、彼女の歌声に実にマッチしている。
ケルト音楽としても、ヒーリングミュージックとしても私にとっては最高の歌い手である。
コニーの情報満載のこのページも発見。曲も聴けるようなので見に行ってみてください。
メロディアス度・・8 トラッ度・・8 女性Vo度・・10 総合・・8
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CORDE OBLIQUE 「BACK THROUGH THE LIQUID MIRROR」
イタリアのクラシカル・フォーク、コーデ・オブリケの2018年作
LupercaliaのギタリストRiccardo Prencipe率いるバンドで2005年にデビュー、本作は7作目。
ヴァイオリン、ピアノを含む編成で、アコースティックギターのつまびきに美しい女性ヴォーカルを乗せ、
艶やかなヴァイオリンの音色とともに、優雅でクラシカルなアコースティックサウンドを聴かせる。
ドラムも加わる適度なロック色も覗かせて、ゴシックというよりは地中海的な優美な叙情に包まれる。
シンセがいないぶん幻想的な空気は希薄だが、巧みなアコギをバックに女性声の美しさが味わえる。
アコースティック度・・8 優雅度・・8 女性Vo度・・8 総合・・8
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THE CORRS「FORGIVEN NOT FORGOTTEN」
アイルランドのケルティックロックバンド、ザ・コアーズの1st。1995作
アイリッシュミュージックをポピュラー音楽に融合させてメジャー化させた彼らの功績は大きいだろう。
プログレリスナーからすると、もっとケルト寄りのシンフォサウンドをやっているIONAあたりの方が
なじみ安いと思うが、こうしたポップ感覚全開の楽曲にヴァイオリン楽器などを取り入れて
一般リスナーにも違和感なく聴かせている、ということが評価に値するわけだ。
曲の方は女性Voものとしても聴きやすく、間奏部のケルト風味もなかなかおいしい。
ポップ度・・8 ケルティック度・・7 女性Vo度・・8 総合・・8
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the Corrs「unpluged」
アイルランド出身のケルティックポップバンド、コアーズのライブアルバム。1999作
正直、コアーズは傑作の1st「Forgiven, Not Forgotten」が最高で、ポップになってゆく
2nd以降には興味が薄らいでいたのだが、このアコースティックライブはなかなかよい。
オーケストラをバックに、アコースティックギターにアコーディオン、そして艶やかなヴァイオリン、
そこに乗る伸びやかなアンドレアの歌声で、適度なポップさとケルティックな感触をミックスしている。
バウロンのリズムにホイッスルが重なる初期の曲調には、やはりアイリッシュの香りが強く嬉しいですね。
アコースティカル度・・8 ケルティック度・・7 女性Vo度・・8 総合・・8
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the Corrs「unpluged」
アイルランド出身のケルティックポップバンド、コアーズの3rd。2000作
ジャケからしても垢抜けているが、サウンドのほうもさらにポップ化が進み、
ケルティックなテイストはほとんどなくなってきている。モダンなビートに
ヴァイオリンが重なるサウンドは、正直あまり魅力を感じない。
バラード曲などでのアンドレアの歌声は相変わらず素敵ですが。
ポップ度・・9 ケルティック度・・3 女性Vo度・・7 総合・・7.5
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the Corrs「Live in Dublin」
アイルランド出身のケルティックポップバンド、コアーズのライブアルバム。2002作
2002年アイルランドのダブリンで行われたコンサートを収録、正直ポップになった3rdは
聴くのが苦痛だったのだが、ライブ演奏においてはモダンな質感はいくぶん抑えられて
キャッチーなサウンドの中にも彼らの持ち味であるアイリッシュな雰囲気が随所に楽しめる。
ポップ度・・8 ケルティック度・・6 女性Vo度・・8 総合・・7.5
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CRISTEL 「Il Tempo Il Nulla L'Amore ed io...」
イタリアの女性シンガー、クリステルの2010年作
ムフフなジャケにつられて購入しましたが、サウンドの方はアコースティックギターのつまびきに、
イタリア語による美しい歌声を乗せ、適度にロック色も加わった、コンテンポラリーな聴き心地。
オルガンを含むシンセにメロウなギターの旋律は、プログレ/シンフォ系のリスナーにもアピールしそう。
彼女の艶めいた歌声は、若手ながらも表現力があって、しっとりとした叙情パートから、
ストリングスなどによるオーケストラルなアレンジとともに盛り上がってゆく感触は、
いかにもイタリアらしい美意識に包まれている。キャッチーなポップ性と、シンフォニック要素が融合した好作品。
全31分というミニアルバム並みに短いのが惜しい。この歌声をもっと聴きたいですわ♡
メロディック度・・8 シンフォニック度・・8 女性Vo度・・9 総合・・8
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Crystal「Ket Utazo」
ハンガリーのケルトポップバンド、クリスタルの2000年作
キュートな女性ヴォーカルの歌声と艶やかなヴァイオリンの音色で聴かせる
CORRSを思わせるようなケルトなポップサウンド。リズムは打ち込みながら、
随所にアコースティカルな風味もあり、母国語による男女の歌声もよい感じ。
ポップ性とケルトな感触のバランスがとれたキャッチーな聴き心地の好作です。
メロディック度・・8 ケルティック度・・7 女性Vo度・・8 総合・・8
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Crystal 「Fujja El A Szel」
ハンガリーのトラッドポップ、クリスタルの2002年作
デジタルなビートに美麗なシンセアレンジと母国語による女性ヴォーカルを乗せ、男性声も絡んで
キャッチーな東欧ポップロックを聴かせる。マンドリンやホイッスルなどのケルティックな味わいも覗かせて
Mike Oldfield「To France」のカヴァーも、ハンガリー語の女性ヴォーカルとともにじつに優美な仕上がりだ。
随所にストリングスによるシンフォニックなアレンジも美しく、魅力的な女性声にウットリとなる好作品です。
ポップ度・7 ケルト度・7 女性Vo度・8 総合・8

Crystal 「Trilogia」
ハンガリーのトラッドポップ、クリスタルの2004年作
優美なハープにホイッスルの音色でケルティックに始まりつつ、ポップなビート感に母国語の女性ヴォーカルに、
マイルドな男性ヴォーカルも加えて、これまで通り、キャッチーなノリのケルトポップを聴かせる。
全体的にはポップな感触が前に出ているが、随処にオーケストラによるシンフォニックな壮麗さもあって、
単なる女性声ポップロックという以上の美しさを感じさせる。男性声パートがやや多い感じもあるが、男女声東欧ポップの好作だ。
ポップ度・8 ケルト度・7 女性Vo度・8 総合・7.5
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Daemonia Nymphe 「The Bacchic Dance of the Nymph」
ギリシャのゴシック・ネオフォーク、ダエモニア・ニンフェの2004年作
2002年にデビュー、本作は2作目で、ハープのような弦楽器のつまびきに、パーカッションのリズムが重なり、
詠唱のような男性声を乗せた、秘教的な民族ゴシックサウンドを聴かせる。やわらかなフルートの音色に、
妖しい女性ヴォーカルも加わりつつ、ときにロックなドラムも入って来るなど、単なるゴシックフォークという以上の
神秘的な個性を本作の時点ですでに感じさせる。のちのアルバムに比べるとまだ雑多な感触であるが、
それがかえって原初的でトライバルなおどろおどろしさも感じさせるという。辺境系ゴシックフォークの異色作。
ドラマティック度・・6 耽美度・・7 神秘的度・・8 総合・・7 
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Daemonia Nymphe 「Psychostasia」
ギリシャのゴシックフォーク、ダエモニア・ニンフェの2013年作
本作がすでに6作目で、アコースティックギターのつまびきに異国的なパーカッション、
クラシカルなヴィオラのや竪琴、サントゥーリ(ダルシマーの一種)の素朴な音色を含んだバックに、
女性ヴォーカルのスキャット的な歌声と男性ヴォーカルが絡んでゆく、じつに神秘的なサウンド。
古代の儀式を思わせるような幻想的な世界観を、アコースティック楽器を使って描いてゆくという、
なかなか個性的な聴き心地である。ギリシャらしい神秘的なゴシック・フォークの好作品です。
アコースティカル度・・8 ゴシック度・・8 神秘的度・・9 総合・・8
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Daemonia Nymphe & Louisa John Krol 「Ghost Fish」
ギリシャのゴシックフォーク、ダエモニア・ニンフェとルイサ・ジョン・クロルのユニット。2005年作
エキセントリックな女性ヴォーカルの歌声と、妖しげな浮遊感に包まれたゴシックポップ的な作風で
こもり気味のドラムやギターの音色もどこか幻想的に響く。ダエモニア・ニンフェに比べるとロック色が強いので、
ゴシックというよりはアヴァン・ポップというような雰囲気だが、随所にヴァイオリンやフルートなども顔を覗かせ、
しっとりと聴かせる神秘的な部分も残っている。ゴシック要素と浮遊感あるエキセントリックなセンスが合わさった異色作。
ゴシック度・・7 アヴァンロック度・・8 女性Vo度・・7 総合・・7.5
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DAFNIA「La Ruta Olvidada
スペインのトラッドバンド、ダフニアの2011年作
AMAROKの女性シンガーとシンセ奏者を中心にしたユニットで、パーカッシブなリズムに
サズ(アラブの弦楽器)、ヴァイオリン、そして女性ヴォーカルのスペイン語の歌声で聴かせる、
アマロックのトラッド色を抽出したというスタイル。もともとあった、バルカン、中近東的な色合いを
全面開花させたという聴き心地で、さすがの演奏力と歌唱で説得力のあるサウンドを描いている。
一方ではシンセを加えたプログレ風味もいくぶんあって、エキゾチックな民族トラッドが楽しめる。
アマロック度・・8 中近東度・・8 女性Vo度・・8 総合・・8
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DARBY DEVON「HIGHLANDS」
アメリカのケルト系女性ヴォーカリスト、ダービー・デボンの1999年作
とにかくこのジャケにつられて買ったのだが、これがなかなかの当たりでした。
この手のケルト系コンテンポラリー作としては、私の愛するコニー・ドーバーをはじめ
ロリーナ・マッケニット、ケイト・プライスなどが有名どころだが、このデボンさんも
美声度では負けていません。なによりシンセを使用した楽曲はとても聴きやすく、
ロリーナ、やケイトの作品にある「重さ」がなく、陽性の部分が大きいのでとても心地よいです。
シリアスすぎず適度にシンフォニック、という点で安心してお薦めできる女性Voアルバムです。
ケルティック度・・7 女性Vo度・・8 しっとり和めます度・・9 総合・・8
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DAVE BAINBRIDGE「VEIL OF GOSSAMER」
IONAのギタリストでリーダー、デイブ・ベインブリッジのソロ作。2004年作/邦題「運命のベール」
ケルティックなトラッドをロックと融合させ、極上の音楽を作り出したIONAは来日公演も果たすなど、
日本でもプログレファンを中心に認知度は確実に上がってきている。本作には、かつてのIONAのメンバーや
現メンバーも名を連ね、ヴォーカルにはジョアンヌ・ホッグはじめ、メイ・マッケンナ、KARNATAKAのレイチェルも参加。
サウンドの方は、IONAの傑作「OPEN SKY」にもあったような、ケルティックなギターメロディのインストを中心に、
しっとりと美しいピアノや、女性Vo陣による美しいコーラスなどを加えた、壮麗なケルティック・シンフォニックロック。
全編アイリッシュな感性に包まれた、ドラマティックにして優美な傑作である。
シンフォニック度・・8 ケルティック度・・8 優美度・・10 総合・・8.5
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Dave Bainbridge 「Celestial Fire」
スコットランドのケルティックロック、IONAのギタリスト、デイブ・ベインブリッジのソロ。2014年作
ソロとしては2004年作「VEIL OF GOSSAMER」以来で、前作も素晴らしい傑作であったが、
本作は10分を超える大曲を中心にした、シンフォニックプログレ寄りの大作。バグパイプが鳴り響くイントロから、
美麗なシンセアレンジとメロウなギターワーク、手数の多いドラムとともに構築されるサウンドは、
ケルトとロックのダイナミックな融合という点で、MIKE OLDFIELDなどにも通じる聴き心地である。
男女ヴォーカルの歌声を乗せた優美な感触と、ドラマティックなスケール感が合わさった雄大な作風で、
艶やかにヴァイオリンが鳴り響くところは、SAGRADOなどを思わせる。まさにプログレ・ケルティック・シンフォの傑作だ。
ジョアンヌ・ホッグ、トロイ・ドノックリーらIONA関連のメンバーに加え、THRESHOLDのダミアン・ウィルソン、
AJALON、Neal Morse BANDのランディ・ジョージなど、多数のゲストが参加。
シンフォニック度・・9 プログレ度・・8 雄大度・・9 総合・・8.5
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Dave Bainbridge 「To The Far Away」
イギリスのミュージシャン、デイヴ・ベインブリッジの2021年作
IONA、Celestial Fire、Lifesignsなどで活躍するミュージシャンで、純粋なソロ名義としては4作目。IONAのドラムや、
Lifesignsのベース、Celestial Fireの女性シンガー、サリー・ミネアが参加、叙情的なギターにうっすらとしたシンセ、
ホイッスルの音色が優雅な旋律を描き、美しい女性ヴォーカルに男性声も加えた、シンフォニックなケルトロックを展開。
アコースティックギターにマンドリン、ブズーキ、イーリアンパイプなどの、素朴なアコースティック要素と、
MIKE OLDFIELDなどにも通じるエレキギターの旋律と優美なシンセ、ときにヴァイオリンも艶やかに鳴り響く。
14分の大曲も含めて、Celestial Fireにも通じる壮麗なケルティック・シンフォニックロックが楽しめる傑作です。
優雅度・9 ケルティック度・8 女性Vo度・8 総合・8.5 
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Dave Bainbridge & Sally Minnear 「Live in the Studio」
イギリスのミュージシャン、デイヴ・ベインブリッジとサリー・ミネアによるユニットのライブ。2020年作
CELESTIAL FIREにも参加する女性シンガーとのデュオ編成で、2017年のスタジオライブを、CD+DVDに収録。
IONADave Bainbridgeのソロからのナンバーをメインに、ケルティックなトラッドナンバーも披露。
うっすらとしたシンセに女性ヴォーカルを乗せたナンバーから、アコースティックギターにマンドリン、
伸びやかなサリー嬢の歌声で、ケルトの素朴さと爽やかな叙情が同居したしっとりとした耳心地。
10分を超えるIONAの大曲では、シンセをバックにマイク・オールドフィールドばりのメロウなギターを響かせて、
幻想的な叙情美に包まれる。DVD映像では、楽し気に演奏するリラックスした二人の姿が微笑ましい。
ライブ演奏・8 ライブ映像・7 女性Vo度・8 総合・8 
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December's EndThirst for Rain
イギリスの女性Voフォークロックバンド、ディセンバーズ・エンドの2010年作
やわらかなアコースティックギターにヴァイオリンの音色、バウロンのリズムをバックに
女性ヴォーカルがしっとりと歌い上げる。かつてのAll About Eveのような翳りある叙情性と
アコースティカルな素朴さ、どこかもの悲しい雰囲気と切なさをかもしだす歌声が素敵です。
声質といい歌い方といい、このヴォーカルさんは本当にジュリアンヌ・リーガンのようですわ。
アコースティカル度・・8 切ない叙情度・・9 女性Vo度・・8 総合・・8
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DELICATE CUTTERS 「Some Creatures」
アメリカのフォークロック、デリケート・カッターズの2011年作
女性SSW、ジャネット・エリザベス・シンプソンを中心にしたバンドで、
ヴァイオリンやピアノの音色に、キュートな女性ヴォーカルで聴かせるフォークロックサウンド。
わりとロック寄りのドラムに乗せたキャッチーなポップ性と、カントリー風味の牧歌性が同居した
どこかなつかしいような素朴な感触であるが、曲によっては翳りを含んだ倦怠の空気も覗かせて、
All About Eveなどにも通じる雰囲気もある。全編でヴァイオリンが使われているのも本作の特徴だ。
アコースティック度・・7 牧歌的度・・8 女性Vo度・・7 総合・・7.5
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Dew 「We Belong to the Day」
IONAのドラマーでもある、フランク・ヴァン・エッセンと妻によるしたユニット、デューの2012年作
しっとりと美しい女性ヴォーカルの歌声に、アコースティックと適度なロック色が合わさった作風。
アイオナに比べるとケルト色は少し薄く、もっとキャッチーな聴き心地で、メロウなギターフレーズや
やわらかなシンセアレンジも含んで、シンフォニック寄りのフォークロックとしても楽しめる。
ヴァイオリンやホイッスル、パイプなどが加わると、スコティッシュでケルトな感触も前に出てくる。
ときおり男性ヴォーカルも入って、男女Voでの優美なデュエット曲も素晴らしい。ボーナス含めて78分の力作。
IONAのデイウ・ベインブリッジ、フィル・ベイカー、元IONAのトロイ・ドノックリーがゲスト参加。
メロディック度・・8 ケルティック度・・7 女性Vo度・・8 総合・・8
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DEW-Worship 「Release your power : Worship, Welfare & Impartation」
オランダのケルティック・ロック、デュー・ワーシップの2007年作
2006年オランダでのライブを収録した作品で、フルート、ホイッスルの音色に、美しい女性ヴォーカル、
うっすらとしたシンセにエレキギターを乗せた、優雅なケルトロックというサウンドで始まりつつ、
語りの掛け合いを乗せたシアトリカルなナンバーもあったり、タイトルのようにスピリチュアルで、
宗教的なストーリー性を描くような、演劇的なライブステージであったのかもしれない。
テンション高めの演奏で盛り上がってゆくところは、MAGAMAなどにも通じる空気感で、
軽快なドラムにピアノが鳴り響く、ジャズロック風味もあったり、わりととりとめがない。
ラストは、艶やかなヴァイオリンにピアノ、女性ヴォーカルを乗せ、しっとりと優美に締めくくる。
ドラマティック度・・7 ケルティック度・・7 女性Vo度・・7 総合・・7
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DONIS 「Kas Tave Saukia... 」
リトアニアのネオフォーク、ドニスの2010年作
90年代から活動するリトアニアを代表するポストアンビエント系バンドで、うっすらとしたシンセをバックに
叙情的なギターにリュートのつまびき、民族的なバグパイプの音色に、母国語の女性ヴォーカルも加えて、
異国的でコンテンポラリーなトラッド・フォークを聴かせる。やわらかなフルートの音色に、優美なピアノとシンセ
エレキギターやドラムなどのを加えたロック感触もいくぶんあって、幻想的なフォークロックとしても楽しめる。
カンテレやハープなどの繊細な音色も織り込みつつ、ギターにシンセが重なると厚みのあるサウンドになり、
雄大なシンフォニック・トラッドという趣もある。アコースティックとエレクトリックの同居した幻想ネオフォークの逸品。
ドラマティック度・8 幻想度・8 女性Vo度・8 総合・8
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Dwelling 「Ainda E Noite」
ポルトガルのネオフォーク系バンド、ドウェリングの2007年作
クラシックギターのやわらかな響きに、艶やかなヴァイオリンの音色がかぶさり、、
女性ヴォーカルの母国語の歌声で聴かせる、ラテン風味のネオフォークサウンド。
適度に翳りを含んだ、ゴシック・フォーク色も含みながら、あくまで優雅な聴き心地なのは
ヴァイオリンとアコースティックギターの美しさからだろう。3、4分前後の小曲中心で、
優しい耳心地で楽しめる。暗さは薄めのラテン系クラシカル・ネオフォークの好作品。
アコースティカル度・・9 妖しさ度・・7 女性Vo度・・8 総合・・7.5
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THE EDEN HOUSE「Smoke and Mirrors
イギリスの女性声ロックユニット、エデン・ハウスの2009年作
NFDというゴシック系バンドのメンバーを中心に、All About Eveのジュリアンヌ・リーガンも参加、
シーケンサーを使ったモダンなアレンジと、シンフォニックな美しさに、けだるげな女性ヴォーカルが歌を乗せる。
もの悲しい雰囲気はAAE的でもあり、ゴシック的な倦怠感と翳り、そして浮遊感がサウンドを包んでいる。
曲によっては少々長尺感もあるが、All About Eveの2作目などが好きな方ならとても楽しめるだろう。
シンフォニック度・・8 倦怠と翳り度・・8 女性Vo度・・7 総合・・7.5
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Eden's Bridge「Isle of Tides」
イギリスのケルティックロックバンド、エデンズ・ブリッジの2002年作
うっすらとしたシンセアレンジに、フルートやホイッスル、パイプなどのケルティックな感触に
しっとりとした女性ヴォーカルの歌声が合わさった、IONAなどにも通じる美麗なサウンド。
ときにオルガンなども含んだシンセアレンジはプログレ的だったり、ピアノのつまびきも美しい。
リズム面では随所にモダンなポップ性もあり、そこにアコースティカルな素朴さが上手く融合していて、
CLANNADあたりのファンにも楽しめるだろう。耳に優しい女性声ケルティックロックの好作です。
シンフォニック度・・7 ケルティック度・・8 女性Vo度・・8 総合・・8
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Eden's Bridge 「Celtic Worship Live」
イギリスのケルティックバンド、エデンズ・ブリッジのライブ作。2009年作
2002年のスタジオアルバムはIONAばりのケルティックロックであったが、本ライブはアコースティック主体の演奏で、
アコースティックギターに美しい女性ヴォーカルの歌声を乗せ、随所にやわらかなフルートも加わった、
しっとりとした素朴な聴き心地。ドラムが入らないのでロック色は薄いものの、うっすらとしたシンセも加わった、
幻想的な味わいもありつつ、紅一点ネサラさんの優しい歌声にうっとりと浸れます。伝統的なケルトというよりは
すっきりとしたコンテンポラリーな作風なので、一般のリスナーにも聴きやすいでしょう。
ライブ演奏・・8 ケルティック度・・7 女性Vo度・・8 総合・・8
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EIMEAR QUINN「THROUGH THE LENS OF A TEAR」
ANUNAにも在籍していたケルト系女性Vo、エイメア・クインの1st。2001作
サウンドはコンテンポラリーなケルト音楽というよりは、
しっとりとしたシンセ、ピアノなどを中心にしたヒーリング系の作り。
ヴァイオリン、ホイッスルなどをまじえ、ゆったりとした穏やかに美しい歌声を聴かせてくれる。
シンフォニック度・・7 ケルティック度・・7 女性Vo度・・8 総合・・7.5

EIMEAR QUINN「gatherings」
ケルト系女性Vo、エイメア・クインの3rd。2006作
アコースティックギターにヴァイオリン、フルートなどの音色に、
森の中に木霊するような彼女の美しい歌声が響く。
適度にシンセの味付けもあって、まどろみながらうっとりと鑑賞できる作品だ。
メロディアス度・・8 ケルティック度・・7 女性Vo度・・8 総合・・7.5
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Eivor
フェロー諸島出身の女性シンガー、アイヴォール・ポルスドッティルの2004年作
2000年にデビュー、フェロー諸島の伝統的なトラッドを現代的に蘇らせるシンガーで、
本作はアコースティックギターのつまびきに、美しい歌声を乗せた素朴な聴き心地。
フェロー語の歌声を乗せたトラッドナンバーに、英語歌詞によるキャッチーなカントリーソング風味もあり、
彼女の美声をのんびりと楽しめる内容だ。基本的にはアコギ一本のシンプルな音数なので、
コンテンポラリーなトラッドを求めるリスナーにに物足りないが、彼女の歌声にゆったりと浸れます。
アコースティック度・・9 トラッ度・・7 女性Vo度・・8 総合・・7.5
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EIVOR PALSDOTTIR「MANNABARN/Human Child」
フェロー諸島出身の女性シンガー、アイヴォール・ポルスドッティルの2007年作
2000年にデビュー、フェロー諸島の伝統的なトラッドを現代的に蘇らせるシンガーで、本作は4作目となる。
ギターやドラムの入ったバンド編成のサウンドで、彼女の伸びやかな母国語の歌声を乗せた、
トラディショナルとポップ性を融合したサウンド。ヴァイオリンやブズーキ、フルートにアコースティックギターなど
トラッド的な素朴な土着性を含ませつつ、それをコンテンホラリーに仕上げという作風で、ポップ過ぎないところがよい。
ときにハスキーに、そして情感的に歌い上げるヴォーカルの表現力も際立っていて、マイナーな辺境性は感じさせない。
北欧の涼やかな空気に実力ある歌声を乗せて、スタイリッュなサウンドに仕上げたという好作品です。
ドラマティック度・・7 トラッ度・・7 女性Vo度・・8 総合・・8 
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Eivor 「Room」
フェロー諸島出身の女性シンガー、アイヴォール・ポルスドッティルの2012年作
今作は全曲英語歌詞によるナンバーで、モダンなアレンジを取り入れたアンビエントな作風。
彼女の美しい歌声を乗せたしっとりとした聴き心地で、うっすらとしたシンセアレンジとともに、
涼やかな北の空気が感じられる。適度にキャッチーなポップ性もあるので、わりとメジャー寄りの作りなのだが、
やはりどこかにトラッド的な土着性を含んだ哀愁が感じられるのが、単なるアンビエントポップと異なるところ。
表現力ある歌声も含めて、むしろKATE BUSHなどのファンにもアピールする内容かもしれない。
キャッチー度・・8 トラッ度・・6 女性Vo度・・8 総合・・7.5
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Eivor 「AT THE HEART OF A SELKIE」
フェロー諸島出身の女性シンガー、アイヴォールをフロントにしたプロジェクトの2016年作
フェロー諸島に伝わる、セルキー(あざらし女)の神話をテーマにした作品で、
The Danish Radio Big Band、The Danish National Vocal Ensembleがバックを務める。
北欧トラッド的な涼やかな空気感と、フェロー語の女性ヴォーカルを乗せたしっとりとした作風に、
男女混声コーラスによる厳かで神秘的な味わいも加えた聴き心地だ。
ブラスの音色があざらしの鳴き声にも聞こえたり、海を感じさせるSEなども含んだ、
神話のストーリーを、寒々しく土着的なトラッドと融合させたサウンドが鑑賞できる。
トラッ度・・8 涼やか度・・8 女性Vo度・・8 総合・・7.5
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Elane 「The Fire of Glenvore」
ドイツのゴシック・ネオフォーク、エラーネの2004年作
うっすらとしたシンセアレンジにクラシカルなピアノ、翳りを帯びた女性ヴォーカルの歌声で聴かせる、
幻想的なネオフォークサウンド。ゴシック風味の薄暗さにドラムも入った適度にロック的な感触や
ヴァイオリンが鳴り響く、中世古楽的な優雅な世界観で、シンフォニックなゴシックアンビエントとしても楽しめる。
のちのアルバムに比べると、いくぶん垢抜けないもっさりとした感じもあるのだが、それもまた雰囲気モノとしての
霧に包まれたような空気感と、おぼつかない浮遊感をともなっていて、なかなか悪くないのである。
シンフォニック度・・7 ゴシック度・・8 女性Vo度・・7 総合・・7.5
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ELANE 「LORE OF NEN」
ドイツのゴシック・ネオフォーク、エラーネの2006年作
打ち込みによるシンフォニックなオーケストションアレンジのインロから、アコースティックギターのつまびきに
美しいヴァイオリンが絡み、はかなげな女性ヴォーカルの歌声を乗せた、幻想的なネオフォークサウンド。
エラーネ嬢の歌声はやや低めの声質なので、突き抜けるような華やかさがないぶん、しっとりと落ち着いた耳心地。
チェロの音色などを含めたストリングスアレンジがクラシカルな優雅さをかもしだすナンバーなども美しい。
1~2分前後の小曲も合わせて、全19曲67分というボリュームで、さすがに後半は聴いていてダレてくるのだが、
幻想的な世界観の強度がしっかりとあるので、この手のネオフォーク系が好きな方にはたまらないサウンドだろう。
ドラマティック度・・7 ゴシック・フォーク度・・7 女性Vo度・・7 総合・・7.5
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Elane 「The Silver Falls」
ドイツのゴシックフォーク、エラーネの2008年作
うっすらとしたシンセにヴァイオリンが鳴り響き、しっとりとした女性ヴォーカルの歌声を乗せた
幻想的なゴシック/ネオフォークサウンド。ドラムによるリズムにエレキギターも入ってくるので、
ヘヴィさのないゴシックメタルとしても楽しめる。バンドのフロントである、ヨラン・エラーネ嬢の歌声は、
いくぶん低めのメゾソプラノなので、薄暗く、くぐもった感じの楽曲によくマッチしている。
曲によっては男性ヴォーカルも絡んで来て、ゴシック化したMostly Autumnという感じにもなる。
シンフォニックな感触も含めて、プログレリスナーにも楽しめるだろう。美麗系ゴシック・フォークの好作。
ゴシック度・・8 幻想フォーク度・・8 女性Vo度・・7 総合・・8
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Elane 「Arcane」
ドイツのネオフォーク、エラーネの2011年作
2001年にデビュー、本作は5作目となる。カイ・マイヤーのファンタジー小説をテーマにした作品で、
アコースティックギターのつまびきに女性ヴォーカルを乗せ、うっすらとしたシンセとともに
幻想的なゴシック・ネオフォークを聴かせる。ホイッスルやヴァイオリン、優美なハープの音色など、
ケルティックなテイストも含ませつつ、紅一点、ヨラン・エラーネ嬢の歌声がサウンドを妖しく包み込む。
ときにエレキギターも加えたロック色も加えつつ、チェロやヴァイオリンの物悲しい音色にシンセが重なる、
シンフォニックな音の厚みで、幻想的な世界観を描きだすサウンドの強度もある。
ドラマティック度・・8 ゴシック度・・8 幻想度・・9 総合・・8 
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Elane 「Arcane 2」
ドイツのネオフォーク、エラーネの2017年作
カイ・マイヤーのファンタジー小説をモチーフにした作品の続編で、アコースティックギターにシンセを重ね、
艶やかなヴァイオリンの音色に美しい女性ヴォーカルで、しっとりと幻想的なネオフォークを聴かせる。
本作はエレキギターにドラムも加えたロックアレンジもあって、曲によっては、Mostly Autumnのような
優美ななシンフォニックロックとしても楽しめる。紅一点、ヨラン・エラーネ嬢の歌声は、ときに物語を語るように、
ときに妖精の囁きのように妖しくも美しく、随所に加わる男性声もよいアクセントになっている。
アコースティックとシンフォ感触が同居した、霧のかかったような幻想の空気に包まれた、全64分の力作です。
ドラマティック度・・8 優美度・・9 女性Vo度・・8 総合・・8 
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Elane 「Legends of Andor」
ドイツのネオフォーク、エラーネの2019年作
ボードゲーム「アンドールの伝説」のサントラとして作られた作品で、うっすらとしたシンセアレンジに
ヴァイオリン、ヴィオラ、ホイッスルの音色、スキャットのような女性声とともに幻想的なサウンドを描く。
2~5分前後の小曲を主体に、わりと起伏のないリフレインの曲も多いのだが、それもサントラゆえか。
普段のアルバムに比べると、女性ヴォーカルがコーラス的に歌うので、霧のかかったようなイメージで、
楽曲ごとのメリハリはさほどないのだが、ゆったりとファンタジーの世界に浸れる全16曲。
ドラマティック度・・7 幻想度・・8 女性Vo度・・7 総合・・7.5
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ELECTRIK GEM 「Radiopolic Projekt」
フランスのラジカル・トラッドロック、エレクトリック・ジェムの2012年作
3人の女性ヴォーカルに、トロンボーン、クラリネット、アコーディオンなども含む、総勢14名のビッグバンドで
女性ヴォーカルの歌声に、トロンボーンやクラリネットの音色が絡み、トラッド的な土着感とキャッチーなノリを合わせた、
VARTTINAあたりを思わせるスタイルで、そこにギターやドラムも加えてロックアレンジされたサウンドを聴かせる。
パーカッションのリズムに女性声で聴かせる、アコースティック主体のバルカントラッド寄りのナンバーもあったり、
ガドゥルカ(縦型フィドル)が鳴り響く、中近東的なノリも含めて、変則リズムを含む巧みなアンサンブルで表現してゆく。
ロックアレンジが加わるとかなりハードな耳心地ながら、トラッド部分にしっかりと説得力があるので、絶妙の融合と言ってよいかと。
トラッ度・・8 ロック度・・7 女性Vo度・・8 総合・・8
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ELENA LEDDA 「INCANTI」
スペイン、サルデーニャの女性シンガー、エレーナ・レッダの1993年作
アコースティックギターのつまびきにサルデーニャ語による伸びやかな女性ヴォーカルを乗せた牧歌的なサウンド。
ときにダンディな男性声も絡むが、基本は彼女一人の歌声がメインで、バックは必要最低限の音数なので
シンプルな聴き心地であるが、サルデーニャの空気がそのまま伝わってくるような素朴な味わいだ。
ドラムの入る曲では、トラッドロック的な雰囲気でも楽しめ、同郷のバンド、AMAROKなどに通じる空気感もある。
アコースティック度・9 スパニッシュ度・9 女性Vo度・8 総合・7.5
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ELENA LEDDA 「MAREMANNU」
スペイン、サルデーニャの女性シンガー、エレーナ・レッダの2000年作
1979年デビュー。本作はソロとしては7年ぶりとなる5作目で、うっすらとしたシンセにアコースティックギター、
サルディーナ語によるやわらかな歌声で、パーカッションのリズムなど、中東的な味わいも含んだサウンド。
母性的な優しさを感じさせる歌声とともに、ドラムやエレキギターも加わった曲ではキャッチーな感触もありつつ、
ラスト2曲では伝統的なサルディーニャのトラッドを聴かせる。情感豊かな彼女の歌声にじっくり浸れる一枚だ。
アコースティック度・9 スパニッシュ度・9 女性Vo度・8 総合・7.5
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ELIN KAVEN 「Eamiritni - Rimeborn」
スウェーデンの女性シンガー、エリン・カヴェンの2015年作
うっすらとしたシンセにアコースティックギターのつまびき、母国語よる女性ヴォーカルを乗せて、
しっとりと聴かせるネオフォーク/トラッドサウンド。フィドルが鳴り響く北欧らしいトラッド感触を、
優雅で幻想的な空気感に包み込み、モダンなアレンジで仕立て上げたという作風は、
サーミ語による独特の歌唱も(ヨイク)含めて、ラップランドのラジカルトラッドという趣であろうか。
ときにエレキギターも加わったりと、打ち込みを含めた聴きやすいアレンジセンスとともに、
プログレリスナー向きの北欧トラッドポップとしても楽しめる。
幻想度・・8 北欧トラッ度・・8 女性Vo度・・8 総合・・8
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Elise Caron 「Eurydice Bis」
フランスの女性シンガー、イリース・キャノンの2006年作
やわらかなピアノに、フランス語による美しい女性ヴォーカルを乗せて、しっとりと優雅に聴かせるサウンド。
Michael Riesslerのアルバムにも参加している彼女だけあって、語りを含んだエキセントリックな表現力は
ダグマー・クラウゼにも通じるような魅力があって、クラリネットも加わるとチェンバーロック的な味わいになる。
バックはピアノがメインなので、音数的にはシンプルなのだが、変拍子入りのスリリングな部分などは、
プログレファンにも十分楽しめるだろう。繊細さの中にもフランスらしい優雅な毒気を覗かせる、
クラシック、ジャズ、シャンソンの要素も含んだ、アーティスティックな女性ヴォーカル作品である。
クラシカル度・・8 フレンチ度・・9 女性Vo度・・9 総合・・8
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Emily Loizeau「Pays Sauvage」
フランスの女性シンガー、エミリー・ロワゾーの2009年作
アコースティカルなやわらかさと
女性ヴォーカルのフランス語によるキュートな歌声、
中世音楽的な優雅さをお洒落にアレンジしたという雰囲気で、単なるフレンチポップではない
アーティスティックな感性を含んだ作風だ。エミリー嬢の歌声はときに倦怠的なムードもかもし出し
ヴァイオリンやチェロ、フルート、サックス、トランペットなども入って、ジャズやクラシックの要素も含んだ
自由度の高い歌ものに仕上がっている。プログレファンにも楽しめるアートなフレンチポップというところか。
アコースティカル度・・8 フレンチ度・・9 女性Vo度・・8 総合・・7.5
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EMMANUELLE PARRENIN「MAISON ROSE」
フランスのトラッド系女性Vo、エマニュエル・パルーナンの1977作
アコースティック楽器によるよるトラッド曲にフランス語のけだるげな女性Vo。
彼女自身も歌の他にハーディガーディ、ハープ、ダルシマーなどを演奏しており、バンドというよりは
エマニュエルのソロ作といった趣。サウンドはジャケットの通り夢見がちでたゆたうような雰囲気の音だが、
ある部分ではフランスらしく、サイケ/アシッド風の倦怠的なイメージを感じさせる演奏もあり
ただのトラッドではないところが、プログレリスナーから「名作」とうたわれるゆえんなのだろう。
アコースティック度・・9 トラッ度・・8 女性Vo度・・8 総合・・7.5
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Eneritz Furyak 「Emadan」
スペイン、バスク地方出身の女性SSW、エネリツ・フルヤクの2021年作
アコースティックギターのつまびきに、バスク語によるキュートな女性ヴォーカルを乗せ、
シンセによるアレンジも加えた、コンテンポラリーなトラッド・ポップを聴かせる。
バスク地方の伝統に根ざした空気感に包まれながら、メロディ自体はキャッチーなので、
エモーショナルなヴォーカルとギターのつまびきを主体に、わりとライトな感触で楽しめる。
ポストフォーク以降の若手世代による、新たなスパニッシュ・トラッドの解釈というべき逸品だ。
アコースティック度・7 モダントラッ度・8 女性Vo度・8 総合・8
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EPHEMERAMonolove
ノルウェーの女性アコースティックポップバンド、エファメラの4th。2004作
地元でも人気の女性3人組みで、いかにも女の子らしいキュートなサウンドと
ゆったりとした北欧のおおらかさを感じさせるメロディが心地よい。
モダンでオシャレな質感と、ゆったりほのぼのとした温かみが同居しながら
ストリングスを取り入れた美しいアレンジや、気取らないやわらかな歌声には
単なるポップスではない繊細な情緒がある。ロハスな午後のひとときにぴったりの一枚。
メロディアス度・・8 ポップ度・・8 ゆったりロハス度・・9 総合・・7.5
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Erin McNamee 「Whores & Fishermen」
アメリカの女性シンガー、エリン・マクナミーの2010年作
アコースティックギターのつまびきにキュートな女性ヴォーカルで、アイリッシュソングやカントリーをカヴァー。
パーカッションのリズムに、艶やかなフィドルやホイッスルの音色も加わって、ケルティックな味わいと
アメリカンなキャッチーな雰囲気が同居していて、魅力的な女性とともに心地よく楽しめる。
ドラムも入ったフォークロック的な感触に、やわらかなアコーディオンやピアノ、物悲しいチェロや、
イーリアンパイプの音色など耳に優しく、素朴な味わいの中にウェットな叙情を感じさせるところも良い。
アコースティック度・8 ケルト度・7 女性Vo度・8 総合・7.5
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Estampie 「Secrets of the North」
ドイツのトラッド/ネオフォーク、エスタンピエの2013年作
90年代から活動するバンドで、艶やかなフィドル音色に、美しい女性ヴォーカルの歌声を乗せ、
アコースティック楽器を主体にメディーヴェルな世界を描く、幻想的なトラッドサウンドを聴かせる。
本作は中世の北欧バラッドを再現するというコンセプトで、ブズーキやガイタ、ニッケルハルパ、
ハーディ・ガーディといった北欧の古楽器に、サントゥールやサズといった中近東系の楽器や、
ポルタティフ、ハルモニウムといった中世の鍵盤楽器、チェロやトローボーンなども加えた厚みのあるサウンドで、
スウェーデン語で歌われているところもなかなかの本格派だ。曲によってはわりとモダンなアレンジもありつつ、
北欧的な寒々しさと土着的なメロディなど、トラッドとしての説得力が高いので、その世界観にうっとりと聴き入れる。
アコースティック度・・8 幻想トラッ度・・9 女性Vo度・・8 総合・・8.5
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Estampie 「Amor Lontano」
ドイツのトラッド/ネオフォーク、エスタンピエの2016年作
本作は、神聖ローマ帝国、フリードリヒ二世の世界をテーマにした作品で、
パーカッシヨンのリズムに、サズやシタールによるアラビックな音色を乗せ、
フィドルの音色に女性ヴォーカルを加えた、異国的なトラッドサウンドを描く。
ドイツ語、フランス語、アラビア語による歌声に、ハーディ・ガーディ、ニッケル・ハルパなど、
本格的なトラッド感触が、中世の空気感をかもしだす。躍動感あるアンサンブルもさすがで、
スペインのAMAROKあたりが好きな方にも楽しめるだろう。中近東系トラッドの傑作だ。
アコースティック度・・9 中近東トラッ度・・8 女性Vo度・・8 総合・・8
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EUZEN「Sequel」
デンマークの女性Vo系ユニット、エウゼンの2011年作
打ち込みによるエレクトロな感触とゴシック的な耽美さも感じさせる世界観で、
マリア嬢のキュートな歌声で聴かせるサウンドは、ポップな耳心地でありながら、
たとえばMYLENE FARMERあたりにも通じるような、深遠なものがある。
曲によってはしっとりとしたアンビエントなゆるやかさも含んでいて、
単に女性声のエレクトロポップという以上に美しい作品です。
メロディック度・・8 ポップ度・・8 女性Vo度・・8 総合・・7.5
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ΕΥΡΙΔΙΚΗ 「ΦΘΙΝΟΠΩΡΟ ΓΥΝΑΙΚΑΣ
ギリシャの女性ヴォーカル、エフリディーキの1995年作
アーティスト名、アルバムタイトル、ともにギリシャ文字表記で、曲目も歌唱も母国語。
美声の女性Voの巻き舌入りの歌唱が素敵で、バックは、ピアノ、キーボードにギターも入っていて、
曲自体にはそう違和感はない。クラシカルでシンフォニックな盛り上がり曲から、カラッとしたロック、フォークっぽい曲など
けっこう多彩な内容だが、この芯の通った女性声の歌唱が全体に統一感を与えている。
シリアス系の曲がとくに出来が良く、ギリシャ語の異国感も相まって情感ゆたかに歌声が届いてくる。
ギリシャ度・・8 女性Vo度・・9 楽曲・・8 総合・・8
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FAIRYTALE 「Forest of Summer」
ドイツのネオフォーク、フェアリーテールの2015年作
女性Vo、女性ヴァイオリン、女性チェロ、男性ギターという編成で、アコースティックギターのつまびきに、
コケティッシュな女性ヴォーカルを乗せ、艶やかなストリングスの響きとともに、優雅なフォークロックを聴かせる。
ドラムを加えてのほどよくキャッチーなノリと、ときに女性のツインヴォーカルとなっての、ディープ過ぎない感触は、
Blackmore's Night
などが好きな方にも楽しめるだろう。わりとポップなカントリー風味のナンバーなどもあって、
幻想的な薄暗さがないので、深みのある世界観という点では物足りないが、魅力的な女性声にウットリしつつ、
ときにシンセアレンジも加えた、コンテンポラリーなケルティックロックとしてゆったりと楽しめる好作品です。
アコースティック度・・8 優雅度・・8 女性Vo度・・8 総合・・8 
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Fairytale 「Autumn's Crown」
ドイツのネオフォーク、フェアリーテールの2018年作
女性Vo、女性ヴァイオリン&Vo、女性チェロ奏者を含む編成で、アコースティックギターにマンドリン、
艶やかなヴァイオリンが鳴り響き、しっとりと美しい女性ヴォーカルを乗せた幻想的なネオフォーク。
ドラムによるリズムが加わると、BLACKMORE'S NIGHTにも通じるような、わりとキャッチーで
メディーヴァルなフォークロックとしても楽しめる。2人の女性声が重なると、ウットリするような優美な聴き心地で、
チェロやヴァイオリンの響きとともに、アコースティックでありながら厚みのあるサウンドに引き込まれる。
全体的には薄暗さや翳りが無い分、一般のリスナーにも取っつきやすく、ややライトな感触ではあります。
アコースティック度・・8 幻想フォーク度・・8 女性Vo度・・9 総合・・8
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FARYL「Wonderland」
イギリスの女性シンガー、ファリルの2009年作
当時若干14歳という若さでデビューした彼女だが、その歌声はしっとりと美しく、
それでいて堂々たる表現力も備えていてじつに見事。うっすらとしたシンセとピアノ、
ストリングスをバックに、クラシカルでオペラティックなソプラノを聴かせてくれる。
クラシック曲からトラッド、アディエマスやカーペンターズのカヴァーまで幅広く取り上げているが、
どの曲も上品な優雅さと瑞々しい繊細さが合わさった、絶品の歌声でうっとりできます。
しっとり度・・9 優雅度・・9 女性Vo度・・9 総合・・8
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Faun 「Zauberspruche」
ドイツのゴシック古楽トラッドバンド、ファウンの1st。2001年作
フルートやフィドルなどアコースティカルな素朴な音色と中世を思わせる薄暗い世界観、
男女ヴォーカルのドイツ語の歌声で聴かせる、神秘的なトラッドサウンド。
パーカッションの響きに牧歌的なバグパイプのメロディが絡まり、
妖しい土着性を感じさせる幻想的な雰囲気作りが見事にハマっている。
アコースティカル度・・9 中世度・・9 ゲルマン度・・8 総合・・8
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FAUN「Renaissance」
ドイツのゴシック古楽トラッドバンド、ファウンの3rd。2005年作
先に4thを聴いていたが、こちらの方は薄暗いゴシック色はまだ薄く、しっとりとした美しさを追求した作品になっている。
ホイッスルやリコーダーブズーキ、ハーディ・ガーディ、バグパイプにハープといった古楽器に、
うっすらとしたシンセで味付けをし、そこに美声の女性ヴォーカルの歌声が乗る、メディーヴァルな聴き心地。。
中世的な世界観とモダンな聴きやすさが融合したサウンドは、幻想的な美しさに満ちていて、
トラッド系が苦手なメタルリスナーでも楽しめるだろう。ジャケ裏の女性メンバー衣装にも萌えです(笑)
メロディアス度・・8 古楽トラッ度・・8 しっとり幻想度・・8 総合・・8
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FAUN「TOTEM」
ドイツのゴシック古楽トラッドバンド、ファウンの4th。2007作
中世を感じさせる古楽に、デジタリィなリズムアレンジを取り入れて再構築、
チャント風の男性コーラスとともに、女性ヴォーカルがしっとりとドイツ語の歌を乗せる。
アコースティックギターにブズーキ、ハーディーガーディ、バグパイプ、ハープといった楽器に
うっすらとしたシンセが合わさると、古楽とモダンの融合されたなんとも不思議な質感になる。
サウンドにはゴシック的な薄暗さがあり、シンフォニックに描かれる世界観とともに、
ダークでアンビエントな女性ヴォーカルものとしても楽しめる。オフィシャルサイトはこちら
中世風古楽度・・8 薄暗度・・8 女性Vo度・・8 総合・・8
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Faun 「Buch Der Balladen」
ドイツのゴシック古楽トラッド・フォーク、ファウンの2009年作
本作は全編アコースティックによるアルバムで、アコースティックギターやハープのつまびきに、
美しい女性ヴォーカルのドイツ語の歌声を乗せ、しっとりと聴かせる幻想的なネオフォークサウンド。
ブズーキやニッケルハルパなどの素朴な音色が、本格派の古楽トラッドとしての空気感を描き、
ケルティックに鳴り響くホイッスルやバグパイプといった、アコースティックサウンドの説得力とともに
中世を思わせる世界観に浸ることができる。美しい本のような作りのデジブック仕様もGoodです。
アコースティック度・・9 幻想度・・8 女性Vo度・・8 総合・・8
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FAUN 「EDEN」
ドイツのゴシック古楽トラッド・フォーク、ファウンの2011年作
2001年にデビューし、本作はすでに6作目となる。ホイッスルやハープ、バグパイプの音色に、
ブズーキ、ニッケルハルパといった古楽器と、ドイツ語による女性ヴォーカルを乗せ、
うっすらとしたシンセアレンジとともに、しっとりと薄暗いゴシック的なトラッドサウンドを描いてゆく。
今作ではアンビエントな静謐感も強まっていて、これまで以上に幻想的な空気感が増しているのだが、
一方では、ホイッスル、アコースティックギターに男女Voを乗せた、フォークタッチの牧歌的なナンバーや
バグパイプとハープによるケルティックなインストナンバーなどもいい味を出している。
豪華なブックレットも中世の書物のような雰囲気でよいですね。
幻想度・・8 ゴシック・トラッ度・・8 女性Vo度・・7 総合・・8 
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Faun 「Von Den Elben」
ドイツのゴシック古楽トラッド・フォークバンド、ファウンの2013年作
2001年にデビューし、本作ですでに7作目くらい。女性ヴォーカルの美しいスドイツ語の歌声に、
艶やかなフィドルが響き、牧歌的なブズーキの音色を含んだ、中世トラッド風味のサウンド。
トラッド的な土着性とシンセやドラムなども入ったモダンなロック色も巧みなアレンジで融合されていて
Blackmore's Night あたりにも通じるキャッチーな聴き心地が前に出たことで、以前の幻想的な薄暗さよりは
ぐっと一般受けしやすい作風になった。曲によってはフォークロック的にも楽しめる好作品だと思う。
ドラマティック度・・8 中世風味度・・8 女性Vo度・・8 総合・・8
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Faun 「Luna」
ドイツのゴシック古楽トラッド・フォーク、ファウンの2014年作
2001年のデビューから、古楽を取り入れたネオフォークにモダンなアレンジを取り込んだスタイルで、
独自の作品を作り続けるバンド。8作目となる本作も、ドイツ語による美しい女性ヴォーカルに男性声が絡み、
ブズーキやサズ、ニッケルハルパなどを使った古楽テイストに、シンセによる味付けを加えたシンフォニック性で、
幻想的な中世トラッドフォーク聴かせる。楽曲は3~4分前後中心で、壮大なドラマ性というのは感じないものの、
キャリアのあるバンドらしいアコースティックの説得力で、しっかりと世界観を描けるのは素晴らしい。
中世フォーク度・・9 幻想度・・8 女性Vo度・・8 総合・・8
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FAUN 「MIDGARD」
ドイツの古楽ネオフォーク、フォウンの2016年作
2001年にデビュー。9作目となる本作は、タイトルのように北欧神話をテーマにした作品で、
素朴なリュートのつまびきにやわらかなフルート、ドイツ語による美しい女性ヴォーカルを乗せて、
優美でメディーヴァルなサウンドが広がってゆく。ほどよくキャッチーなビート感を含んだアレンジに
ニッケルハルパ、ハーディ・ガーディ、ブズーキ、ガイタ、といった古楽器の音色も織り込んで、
モダンなスタイリッシュ性とアコーステッィクなトラッドを巧みに融合させたサウンドは円熟の域だ。
物悲しいチェロや繊細なハープの音色、素朴なマンドリン、男女ヴォーカルで描かれる幻想トラッドの逸品。
中世トラッド度・・8 幻想度・・8 女性Vo度・・8 総合・・8 
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FAUN 「MARCHEN & MYTHEN」
ドイツのゴシック・フォーク、フォウンの2020年作
2001年にデビュー、10作目となる本作は物語的な妖精譚をコンセプトにした作品で、
ドイツ語による語りで幕を開け、アコーステッィクギターやマンドリン、ヴァイオリンやホイッスルの音色に
うっすらとしたシンセを重ね、美しい女性ヴォーカルに男性声が絡む、幻想的なネオフォークを聴かせる。
バウロンなどパーカッションのリズムとともに、バグパイプが鳴り響くケルティックなテイストと
キュートな女性声で聴かせるメディーヴァルな優雅さが合わさり、ほどよくモダンなシンフォニック性が
サウンドを華やかに彩っている。初期に比べるとずいぶん垢抜けた分、神秘的な翳りは薄まったか。
ドラマティック度・8 幻想フォーク度・8 女性Vo度・8 総合・8 
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Fern Knight 「Seven Years of Severed Limbs」
アメリカのネオフォーク、フェーン・ナイトの2003年作
ヴォーカルにギター、アップライトベース、チェロ、ピアノをこなすマーガレット・ウィンク嬢を中心にしたユニットで、
アコースティックギターのつまびきにしっとりとした女性ヴォーカルの歌声で聴かせる素朴なフォークサウンド。
このデビュー作では、のちのアルバムほどにはサイケやアシッドフォーク色はまだ薄いのだが、
その分シンプルな音数の中に、薄暗い幻想性を感じ取ることができる。夢見系ネオフォークの好作。
アコースティック度・・9 幻想度・・8 女性Vo度・・8 総合・・7.5
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Fern Knight
アメリカのネオフォークバンド、フェーン・ナイトの2007年作
アコースティックギターにしっとりとしたハープの音色、そこに乗る女性ヴォーカルの歌声も
どこか夢見がちな浮遊感に包まれている。美しくたゆたうようなサウンドは、
かつての70年代英国フォークからの影響を感じさせつつ、その美しく儚げな作風には、
いわばより確信犯的なレイドバックした世界観が垣間見える。サイケ的な妖しさもうっすらと
にじませていて、かつてのTreesなど、その手のファンにはある意味たまらない1枚だ。
しっとり度・・9 夢見度・・9 女性Vo度・・8 総合・・8
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Fern KnightCastings」
アメリカのアシッドフォークバンド、フェーン・ナイトの2010年作
2003年にデビューしてからこれがすでに4作目となる。今作も前作同様に、
アコースティックギターにゆるやかなハープの音色、そこに夢見がちな女性ヴォーカル
浮遊感のあるスキャットが乗るスタイルであるが、歪ませたギターはサイケロック的で、
よりプログレ的にも楽しめる内容になっている。イギリスのTreesあたりを思わせる雰囲気もあり
KING CRIMSONの“Epitaph”のカヴァーも含めて、プログレ系のフォークロックとして楽しめる出来だ。
アシッドフォーク度・・8 サイケ度・・8 女性Vo度・・7 総合・・8
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Fia Na Roca「Agardando Que Pase Algo」
スペインのトラッドバンド、フィア・ナ・ロカの1996年作
デビューは1993年で、本作は2作目。パーカッションのリズムに素朴なマンドリンの音色、
ヴァイオリンやサックスが絡み、ときにロック的なドラムも加わったケルティックなトラッドを聴かせる。
ジャズタッチのピアノやシンセによるアレンジも含めて、優雅でスタイリッシュな感触で、
わりとキャッチーな味わいとともに、コンテンポラリーなケルトロック的にも楽しめる。
ほぼオールインストであるが、やわらかなアコーディオンの音色にホイッスル、ヴァイオリンなどが、
優美なメロディを奏でていて、耳心地よく鑑賞できる。ラスト曲には男性ヴォーカルも入ります。
アコースティック度・・9 ケルティック度・・8 優雅度・・9 総合・・8
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Fia Na Roca「Contravento」
スペインのトラッドバンド、フィア・ナ・ロカの2001年作
本作では女性Voがゲスト参加していて、優美なピアノの旋律に美しい女性ヴォーカルを乗せ、
ドラムのリズムにガイタやヴァイオリンの音色が艶やかに重なる、スパニッシュなケルトサウンド。
やわらかなホイッスルやアコーディオンの響きで、インストのナンバーでも親しみやすい聴き心地だ。
モダンでコンテンポラリーであっても、トラッドとしての伝統美と説得力は演奏から感じられ、
AMAROKほどにはプログレ寄りではないが、シンセを加えたナンバーもあったりと、
シンフォな味わいも覗かせる。個人的には女性声入りのナンバーがもっと増えると嬉しい。
アコースティック度・・8 ケルティック度・・8 優雅度・・9 総合・・8
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Fia na roca「Dez Anos ao Vivo」
スペインのトラッドバンド、フィア・ナ・ロカのライブアルバム。2004作
メジャー流通されない自主盤扱いなので、なかなか手に入らなかったのだが、ようやくライブアルバムを入手。
バンドは女性ヴォーカルを含む7人組みで、アコースティック主体のやわらかみのある演奏で
爽やかなケルティックサウンドを聴かせる。艶やかなヴァイオリンの音色に牧歌的なマンドリンと、
サックス、ホイッスル、アコーディオンにガイタ(パイプ)なども入りつつ、
ときにピアノやシンセも取り入れるモダンさもあり、なかなか多彩な音数だ。
演奏が主体なので女性Vo入りの曲は半分ほどなのがやや物足りない気もするが、
ドラムがリズムを刻むととても聴きやすく、ケルトロックとしても普通に楽しめる。
アコースティック度・・8 ケルティック度・・7 女性Vo度・・7 総合・・8
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Fia Na Roca「Vente Vindo」
スペインのトラッドバンド、フィア・ナ・ロカの2007年作
女性Voをメンバーに加えた7人編成となり、スペイン語による女性ヴォーカルにアコーディオンの音色、
艶やかなヴァイオリンを乗せて、躍動的なスパニッシュ・トラッドを聴かせる。ドラムを加えたロック色と、
ガイタやホイッスルなどのケルティックで素朴な感触が同居した、絶妙のバランス感が素晴らしい。
やわらかな女性声も魅力的で、ゆったりとした哀愁溢れるナンバーなども、じつに優美な味わいで、
ジャズ要素もある軽妙なアンサンブルとともに、曲によってはAMAROKに接近したような雰囲気にもなる。
確かな演奏力でセンス抜群のスタイリッシュなトラッドロックが楽しめる傑作です。
アコースティック度・・8 トラッドロック度・・8 優雅度・・9 総合・・8.5
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FLЁUR「Prikosnovenie」
ウクライナのトラッド・ポップバンド、フルールの1st。2002作
アコースティックギターのゆるやかな響きにたおやかなフルートの音色、
そして美しい女性ヴォーカルの歌声で聴かせる、しっとりとしたサウンド。
ヴォーカルのオルガ嬢の母国語の歌声は、やわらかでありつつ妖しさもただよわせ、
バックのうっすらとしたシンセとフルートとともに、幻想的な世界観を描いている。
ピアノやチェロなどのクラシカルな要素と、土着的なトラッド風味も合わさって
一種エキセントリックな女性声トラッド・ポップという趣もある。
プログレファンにも充分楽しめる奥の深さが素晴らしい。オフィシャルサイトはこちら
シンフォニック度・・8 幻想度・・9 女性Vo度・・9 総合・・8.5
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FLЁUR「Magic」
ウクライナのトラッド・ポップバンド、フルールの2nd。2003作
今作もいくぶんモダンなアレンジの中に、美しいピアノやルートの音色と、
艶やかなヴァイオリンが鳴り、オルガ嬢の絶品の歌声が響きわたる。
トラディショナルな土着性とポップな聴き心地が絶妙のブレンドで、
女性ヴォーカルのコンテンポラリー系としては理想的な作風である。
翳りある落ち着きとコケティッシュな魅力を併せ持った女性声にうっとり。
アコースティックメインの曲ではLOREENA McKENNITTぱりの表現力が素晴らしい。
シンフォニック度・・8 幻想度・・9 女性Vo度・・9 総合・・8.5
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FLЁUR「Siyanie」
ウクライナのトラッド・ポップバンド、フルールの3rd。2004作
クラシカルなピアノやストリングスと、表現力豊かな女性ヴォーカルで聴かせる、
美しいサウンドはそのままに、今作ではバックの演奏はいくぶんシンプルになり、
しっとりとしたたおやかな雰囲気が強まっている。オルガ嬢の艶めいた歌声にも
妖艶な魅力が増していて、チェロやフルート、アコギなどをバックにしたその美声には惚れ惚れだ。
シンフォニック度・・7 幻想度・・8 女性Vo度・・9 総合・・8
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FLЁUR「Все вышло из под контроля
ウクライナのトラッド・ポップバンド、フルールの4th。2006作
美しいピアノと艶やかなヴァイオリン、そして女性ヴォーカルの艶めいた歌声…
クラシカルな優雅さと、ポップな聴きやすさが同居した絶品のアレンジで、
本作もじつに素晴らしいコンテンポラリーサウンドを作り上げている。
初期よりもいくぶん垢抜けて、デジタリィなリズムなども取り入れているが、
母国語による歌唱も含めて、土着的なトラッド要素もしっかりと感じられる。
シンフォニック度・・7 幻想度・・8 女性Vo度・・9 総合・・8
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Fleur 「Trilogy」
ウクライナのクラシカル・ゴシック、フルールの2007年作
1st「Prikosnovenie」、2nd「Magic」、3rd「Siyanie」を収録したCD3枚組。
アコースティックギターにフルートの音色、美しい女性ヴォーカルの歌声を乗せた、
しっとりとした聴き心地で、とくに1作目は、のちの作品に比べて素朴な優しさに包まれている。
2作目も1stの延長上ながら、いくぶんスタイリッシュなアレンジで、艶やかなヴァイオリンを乗せた優雅なクラシカル性とともに
ほのかなポップ性とメランコリックな翳りが融合した、絶品のサウンドを聴かせる。3作目はさらにロック&ポップ色を増しつつ、
クラシカルな美しさと幻想性をしっかり残している。現在は入手困難な3作をまとめて楽しめる、お得な3枚組です。
クラシカル度・・8 優雅度・・9 女性Vo度・・9 総合・・8.5
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Fleur 「Euphoria」
ウクライナのクラシカル・ゴシックポップ、フルールの2008年作
前作はいくぶんデジタルなアレンジも取り入れた作風であったが、5作目となる本作は
やわらかなフルートにピアノ、しっとりとした女性声を乗せた、クラシカルな優雅さに包まれている。
適度にモダンなシンセアレンジを含んだキャッチーなポップ感と、倦怠の翳りを同居させたサウンドは、
よりスタイリッシュな感触になり、ストリングスも含んだ厚みのあるアレンジも素晴らしい。
クラシカル度・・8 優雅でポップ度・・8 女性Vo度・・9 総合・・8
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Fleur 「Almost a'live/Heart(Почти Живой / Сердце)」
フルールの2008年作
デビュー前のデモ曲10曲と、ライブ録音11曲からなる2枚組アルバム。
Disc1は2000年にレコーディングされた音源で、アコースティックギターにやわらかなフルートの音色、
母国語によるしっとりとした歌声を乗せた優美なサウンド。クラシカルなピアノにストリングスが絡む、
優雅にして幻想的な聴き心地に、東欧らしいほの暗い翳りも含んでいて、すでにその空気感も完成されている。
Disc2は2001年のライブ音源で、アコギにチェロ、フルート、そして美しい女性声による演奏にうっとりと浸れます。
クラシカル度・・8 優雅な幻想度・・8 女性Vo度・・8 総合・・8
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Fleur 「Awakening (Пробуждение)」
ウクライナのゴシック・ポップ、フルールの2012年作
2002年にデビューし、7作目となる。優美なシンセに母国語によるなよやかな女性ヴォーカルを乗せ、
ギターやドラムによる適度なロック感触に、ピアノやストリングスも加わった優雅なサウンドを聴かせる。
東欧らしいアンニュイでメランコリックな翳りに包まれながら、美しい女性声のしっとりとした耳心地の良さで、
ほどよくキャッチーな感触でも楽しめる。単なるゴシックポップという以上のクラシカルで優雅な美意識は、
ときにシンフォニックでもあり、プログレリスナーの心を捉えるだろう。うっとりとなるような傑作である。
クラシカル度・8 優雅度・8 女性Vo度・9 総合・8.5 
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Floes 「Belovodia」
ベルギーのトラッドバンド、フローズの2006年作
二人の女性ヴォーカルをフロントに、アコースティックギターやアコーディオンによる
ゆったりとした優しいトラッドサウンド。薄暗さよりも爽やかさで聴かせるタイプで、
メンバーがオランダ系ということで、女性Voのオランダ語の歌声とともに、
ケルトテイストも覗かせながら、アコースティカルなやわらかな叙情が包みこむ。
アコースティカル度・・9 ケルティック度・・8 女性Vo度・・8 総合・・8
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Florence & the Machine「Lungs-Lep Version」
イギリスの女性Voポップバンド、フローレンス・アンド・ザ・マシーンの2009年作
キャッチーでモダンなポップ感と古き良き英国ロックの要素が融合したような作風で、
フローレンス嬢の表現豊かな歌声が、ときにしっとりとときに情感的に響きわたる。
ぱっと聴きには適度にメジャー感のあるポップロックなのだが、エキセントリックな楽曲アレンジは
どことなくプログレ者にもアピールするという、いわばかつてのKATE BUSHにも通じる感触も。
アーティスティックなダイナミズムと奔放な自然体が同居する、センスにあふれた作品だ。
メロディアス度・・8 ポップ度・・8 女性Vo度・・8 総合・・8
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Florence + The Machine「Ceremonials」
イギリスの女性Voポップバンド、フローレンス・アンド・ザ・マシーンの2011年作
前作はキャッチーなポップ感覚と古き良き英国ロックの要素が融合したような傑作だったが、
本作もその表現豊かな歌声と、適度にモダンなポップセンスを英国らしいアートな感性と融合させた
素晴らしいサウンドを聴かせてくれる。オーケストレイテッドなアレンジを含めて、広がりのある音作りと
かつてのQUEENやKATE BUSHなどの偉大な先人から受け継がれたアーティスティックなセンスを垣間見せつつ、
すでに唯一無二というべき彼女の世界を確立させている。ゴージャスにして感性豊かな傑作だ。
ドラマティック度・・8 サウンドセンス・・9 女性Vo度・・9 総合・・8.5
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Florence + The MachineMTV Unplugged
イギリスの女性Voポップバンド、フローレンス・アンド・ザ・マシーンのライブアルバム。2012年作
2011年12月にニューヨークで行われたMTVアンプラグドの模様を収録したライブ作品。
アルバムとは違ったアコースティックなアレンジで、ピアノやストリングスをバックに、
フローレンス嬢の伸びやかな歌声がダイレクトに伝わってくる。その堂々たる表現力には、
新鋭アーティストとは思えぬパワーを感じさせ、彼女がむしろ伝統的感性を持った歌い手であることを教えてくれる。
アコースティカル度・・8 ライブアレンジ度・・8女性Vo度・・9 総合・・8
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FLORENCE + THE MACHINE「How Big, How Blue, How Beautiful」
イギリスの女性Voポップロック、フローレンス・アンド・ザ・マシーンの2015年作
KATE BUSHのセンスと、QUEENのような華麗さを同居させ、一躍英国女性アーティストのトップへと躍り出た彼女、
3作目となる本作は、のっけから軽快なポップフィーリングに包まれた感触ながら、どこか倦怠を含んだ彼女の歌声は
いかにも英国らしいウェットな表現力を匂わせる。モダンなシンセアレンジにブラスやストリングスなども加えた
厚みのある音作りとオーケストラルなスケール感には、単なる歌ものという以上に楽曲そのものへのこだわりが感じられる。
しっとりとしたバラードナンバーなども含め、普遍的なポップロックの聴きやすさの中に、アーティスティックなセンスを覗かせる、
さりげないクオリティの高さは3作目にしてすでに円熟の域。いうなれば自然体の彼女を表現したような好作品です。
メロディアス度・・8 ポップロック度・・8 女性Vo度・・8 総合・・8
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Fokatelep
ハンガリーのサイケ・トラッドロック、フォカテレプの2008年作
女性ヴォーカルの母国語の歌声に、パーカッションのリズム、
アコースティックギターにシンセやピアノアレンジなども含みつつ、
アラビックな異国情緒を漂わせたサウンド。エレキギターも入ったロック色に
サイケな浮遊感が混ざって、ほのかに倦怠的な女性ヴォーカルの歌声が
不思議なユルさをかもしだす。アシッド・フォーク的な聴き心地もある作品です。
メロディック度・・7 アラビック度・・8 女性Vo度・・7 総合・・7.5
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Moller、Willemark、Gudmundson「Frifot」
スウェーデンのトラッドバンド、フリーフォートの1st。1991年作
現在では北欧でも指折りの本格派トラッドバンドとして認知される彼らだが、
デビュー当時は、メンバー3人の名を冠したユニット的なスタートであった。
軽快に鳴り響くフィドルの音色を中心に、伝統曲を艶やかに表現してゆく
その演奏力はすでに貫祿たっぷり。レーナの歌唱も高音のスキャットを含めて
表現力が素晴らしい。涼やかな北欧の空気を運んでくれるような好作品だ。
アコースティカル度・・9 北欧トラッ度・・9 女性Vo度・・7 総合・・8
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Frifot「Jarven」
スウェーデンのトラッドバンド、フリーフォートの2nd。1996作
男女のフィドル奏者+マンドラ奏者という編成で、本格的な北欧トラッドを描き出す。
二本のフィドルの音色をメインにしながら、バグパイプやフルート、ホイッスル、ハープ、
ハンマー・ダルシマーなど多彩な楽器を操るメンバーは、世界的な演奏力の持ち主。
必要最小限の音数ながら、トラッドとしての音の説得力が素晴らしく、
それでいて硬質すぎない、人間的な温かみを感じさせるのも素晴らしい。
母国語によるやわらかな女性ヴォーカルも、巧みな演奏とのいいコントラストになっている。
アコースティック度・・9 北欧トラッ度・・9 素朴度・・8 総合・・8
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FrifotSluring
スウェーデンのトラッドバンド、フリーフォートの4th。2003年作
やわらかなマンドラとフィドルの音色を中心に、素朴な北欧トラッドへと回帰したようなアルバム。
表現力豊かなフィドルの響きは、それだけで北欧の風を感じるような空気を作り出す。
そこにレーナの優しい歌声が重なると、じつに人間味ある暖かなトラッドミュージックになる。
緊張感は薄らいだが、牧歌的なやわらかみという点では最高作といってよいかもしれない。
アコースティック度・・9 北欧トラッ度・・8 素朴度・・9 総合・・8
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FRIFOT「FLYT」
スウェーデンのトラッドバンド、フリーフォートの5th。2007年作
前作で素朴なトラッド風味へと回帰した傑作を作り上げたバンドが、
今作でも大人の余裕とやわらかな叙情をまぶした絶品の演奏を聴かせる。
美しいフィドルの重ねは、年季の入ったバンドでしか決してかもし出せない
優しい音色をつむぎ、まさに、たゆたうような自然体のサウンドとなって
北欧の風のように涼やかに響きわたる。
アコースティカル度・・9 北欧トラッ度・・9 女性Vo度・・8 総合・・8
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Fursaxa 「Lepidoptera」
アメリカのフォークユニット、フルサクサの2005年作
オルガンが鳴り響き、美しいソプラノ女性ヴォーカルがしっとりとした歌声を響かせる、
幻想的で夢見心地のサウンド。妖しいフルートの音色に、魔女めいた呪文のようなつぶやき、
民族的なパーカッシヨンにアコースティックギター、詠唱じみたヴォーカルで聴かせる曲など、
アシッドフォークというよりもさらに神秘的でアヴァンギャルドな空気が広がってゆく。
アシッドフォーク版ドローンというか、ある種トリップ感のある作風。嫌いではないんです。
アコースティック度・・8 神秘的度・・8 女性Vo度・・7 総合・・7.5
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Fursaxa 「Mycorrhizae Realm」
アメリカのフォークユニット、フラクサの2010年作
つまびかれるハープの音色、幽玄なチェロの響き、そこに乗る物憂げな女性ヴォーカル
しっとりと聴かせながらも、どこか妖しさを内包した、夢見心地のフォークサウンド。
まどろむように聴けますが、心地よすぎて本当に寝ちゃいますな。笑
アコースティカル度・・8 幻想度・・8 女性Vo度・・7 総合・・7.5
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FUXAN OS VENTOS「Sempre E Mais Despois」
スペインのトラッドバンド、フサン・オス・ヴェントスの1999作
70年代から活動するガリシア地方のベテランで、男女2名ずつのヴォーカルに
ギター、マンドリン、ブズーキ、アコーディオン、フルートなどによる土着的なトラッドサウンド。
同じガリシアのベテランMilladoiroがアコースティカルな演奏に重点を置いているのに対し、
このバンドはあくまで歌を大切にした曲調で、その分田舎臭さ、そして土の香りが強い。
ヴォーカルの歌声には美しさと力強さがあり、たおやかなメロディを奏でる演奏の中で
その存在感が引き立っている。アイリッシュとは異なる濃密なトラッドが楽しめる。
アコースティカル度・・9 トラッ度・・9 土着度・・10 総合・・8
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Gabriel Et Marie Yacoub 「Pierre de Grenoble」
フランスのトラッドフォークバンド、Malicorneのヤコブ夫妻によるフォークデュオ。1973年作
アコースティックギターに艶やかなヴァイオリン、フランス語の男女ヴォーカルを乗せた土着的なサウンド。
ブズーキやボンバルデ(ピッフェロ)、ヴィエル・ウ・ルー(ハーディ・ガーディ)など古楽器の素朴な音色と
フランス語のコーラスが合わさって、異国的な情緒をかもしだし、神秘的なトラッドとしても楽しめる。
美しい女性声とやや武骨な男性ヴォーカル、中世音楽的な優雅さと、フォーキーな素朴さに包まれた好作。
アコースティック度・・9 トラッ度・・9 フレンチ度・・8 総合・・7.5
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GALAHAD 「Incredibile」
ドイツのトラッド/フォークロック、ギャラハドの2011年作
同名のポンプ/シンフォニックロックバンドが英国にいるが、こちらはドイツのトラッドロックバンド。
男女ヴォーカルの歌声に、シンセやドラムが入り、ヴァイオリン、フルートなどの音色も加わった
キャッチーなフォークロックサウンド。エレキギターも加わると、ずいぶんロック寄りの聴き心地になり、
古楽風の優雅な雰囲気も含めて、後期のGRYPHONあたりをローカルにしたという感じもある。
女性声がメインのナンバーは、美しいシンセアレンジとともにやわらかな叙情に包まれていて、
アーサー王伝説をテーマにしたファンタジックな世界観が楽しめる。中世トラッドロックの好作品だ。
ドラマティック度・・7 フォークロック度・・8 中世風味度・・8 総合・・7.5
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Galley Beggar 「Silence & Tears」
イギリスのフォークバンド、ギャリー・ベガーの2015年作
アコースティックギターのつまびきに女性ヴォーカルの歌声で聴かせる、古き良き感触のフォークサウンド。
Cathedralのリー・ドリアンのレーベルからの作品ということで、なるほど中世を思わせる妖しげな雰囲気や
いくぶん土着的な感触もあって、伝統的な英国フォークに幻想性を付加したような聴き心地である。
女性奏者が奏でるヴァイオリンの音色に素朴なマンドリンも耳心地よく、牧歌的なやわらかさに包まれた
英国らしい湿り気のあるサウンドで、ドラムも入った適度なロック風味もあり、フォーク初心者にも楽しめるだろう。
ドラマティック度・・8 英国度・・8 女性Vo度・・8 総合・・8
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Galley Beggar 「Heathen Hymns」
イギリスのフォークロック、ギャリー・ベガーの2017年作
2010年にデビュー、リー・ドリアンのレーベルから発表された前作が話題になったが、本作はそれに続く4作目。
女性Vo、女性ヴァイオリン奏者を含む6人編成で、エレキギターも使ったほどよいロック感触に、
けだるげな女性ヴォーカルの歌声で聴かせる、70年代の英国アシッドフォークを思わせるサウンド。
前作に比べて魔女めいた妖しさが増し、女性ヴォーカルのヴィンテージロックとしても楽しめる。
一方では、アコースティックギターにシタール、ヴァイオリンが鳴り響く、牧歌的なフォーク感触も残していて、
どんよりとした妖しさと素朴な聴きやすさが同居した作風だ。これぞ英国の新時代アシッドフォーク。
アシッ度・・8 英国度・・9 女性Vo度・・8 総合・・8
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GARMARNA
スウェーデンのラジカルトラッド、ガルマルナの1993/1999年作
1993年の7曲入りデビューEPに、1992年のデモ音源を6曲追加した再発盤。
艶やかなヴァイオリンの重ねをメインに、ブズーキ、ハーディ・ガーディの素朴な音色も加えた、
純粋な北欧トラッドの作風ながら、本作の時点ですでにドラムを加えたダイナミックな演奏を聴かせる。
紅一点、エマ嬢の母国語によるヴォーカルを乗せたナンバーも、涼やかな叙情に包まれた感触で、
デビュー作の時点で堂々たる世界観を描いている。デモ音源も音質は良好で、瑞々しい演奏が楽しめる。
ラジカル度・・7 北欧トラッ度・・9 女性Vo度・・7 総合・・8
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GARMARNA「VITTRAD」
スウェーデンのトラッドバンド、ガルマルナの1st。1994年作
ヨーロッパではラジカル(革新的)トラッドブームの火付け役ともなったアルバムである。
先に聴いていた2ndに比べるとまだ正統派のトラッドに近いが、すでにロックドラムを導入していたり、
曲における鋭角的なアレンジは、この時点でも単なるトラッドの域は超えている。
女性ヴォーカル、エマさんの凛とした歌唱も、その個性と存在感を強力に示していて、
未来あるバンドの勢いと力強さを物語っている。現在までに4枚のアルバムを発表済み。
ラジカル度・・8 北欧トラッ度・・9 女性Vo度・・7 総合・・8
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Garmarna 「Guds Speleman (Gods Musicians)」
スウェーデンのラジカルトラッド、ガルマルナの2nd。1996年作/邦題「主なるヴァイオリン弾き」
母国語による女性ヴォーカルの歌声と、ディストーションを効かせたフィドルの音色、
そして素朴なハーディガーディが鳴り響く、北欧トラッドの神秘的な雰囲気を強調したようなサウンドで、
ドラムやパーカッションのリズムが入ったモダンなビート感覚と、伝統的なトラッド要素の融合という点でも
新たなトラッドミュージックの可能性を広げたというべき作品だ。次作ではさらに大胆にモダンな深化をとげるが、
伝統的な北欧トラッドの香りを残した本作も、バンドの代表作になりえる出来だと思う。
ラジカル度・・8 北欧トラッ度・・9 女性Vo度・・8 総合・・8
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GARMARNA「VENGEANCE」
スウェーデンのラジカルトラッドバンド、ガルマルナの3rd。1999年作
2nd「主なるヴァイオリン弾き」で日本デビューを果たしたこのバンド、伝統音楽と現代性との融合は、
本作でさらに大胆になされている。楽曲にはデジタリィなテクノ色が現れ、打ち込み風リズムと北欧トラッドが合体したことで
トラッドなのに現代音楽という、非常に面白いサウンドを構築。そしてエマ嬢の歌声はさらに重要な位置を占めるようになり、
伝統的なトラッドシンガーでありながらロック、アンビエント的でもあるこのサウンドのフロント役を見事にになっている。
たとえば、VARTTINAなどと同様に、プログレファンにもお薦めできるような傑作アルバムである。
ラジカル度・・9 北欧トラッ度・・8 女性Vo度・・8 総合・・8
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GARMARNA「Hildegard von Bingen」
スウェーデンのラジカル・トラッドバンド、ガルマルナの4th。2001年作
前作で、先鋭トラッドを極めると、本作では中世の女性作曲家、ヒルデガルド・フォン・ビンゲンの楽曲のアレンジという
異色の作品を作り上げた。修道女として生きていたというヒンゲンの曲は、どこか宗教曲な崇高さがあり、
それをGARMARNA得意の現代的なアレンジを駆使して巧みに再構成している。
単旋律で作られている原曲を、デジタルなパーカッションアレンジなどで上手くリズミカルさをつくり、
ぱっと聴きには音の薄い印象であるが、これが12世紀の修道音楽であることを想像すれば、
900年の時を超えて形を変えて甦ったこのサウンドに神妙な感動を覚える。ビンゲンについてはこのページが詳しい。
ラジカル度・・7 デジタル古楽度・・8 崇高度・・8 総合・・7.5
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GATE「Jygri」
ノルウェーのトラッド・ロックバンド、ゴーテの1st。2003年作
2nd「ISELILYA」は日本盤も出て話題になったバンドの1stの再発盤。
土着的なメロディを大胆に取り入れたサウンドは、モダンなトラッドロックという趣で、
いくぶんメタリックなギターとシンセが合わさり、そこに艶めいた女性ヴォーカルの歌声が乗る。
母国語の歌声がいかにも北欧の空気を感じさせるが、土臭さをヘヴィなアレンジで包み込んでいて
ラジカルトラッドのリスナーはもとより、メタル、ハードロックのリスナーにも違和感なく聴けるだろう。
より北欧トラッドに接近した2ndよりも、むしろこちらの方がフォークメタルに近いかもしれない。
ボーナスディスクにはデモやライブ音源など4曲を収録。
メロディアス度・・8 北欧トラッ度・・8 女性Vo度・・8 総合・・8
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GATE「ISELILYA」
ノルウェーのトラッド・ロックバンド、ゴーテの2004年作
2作目の本作は、前作ほどのメタル感触はなく、正統的な北欧トラッドを今風に構築し直したというサウンド。
艶のある女性ヴォーカルをフロントに、いかにも北欧らしいトラッドメロディをバンドサウンドで解釈している。
いうなれば、GARMARNAあたりにも似た質感でそこにキーボードによるシンフォニック性や、
ときにゴシックメタル的な部分を加味したような雰囲気もある。寒々しい静寂感と同時に、
ロック的なノリの良さ(ときにサイケ調)も併せ持っていて単なる自己満足ではない聴きやすさがあるのがよい。
メロディアス度・・8 北欧トラッ度・・9 女性Vo度・・8 総合・・8
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GHOSTLANDInterview With the Angel
イギリスのケルトポップバンド、ゴーストランドの2001年作
シンセを中心としたモダンでコンテンポラリーなサウンドに、美しい女性ヴォーカルで聴かせる、しっとりとしたサウンド。
オーケストラアレンジも含めて、トラッド要素よりもシンフォニックなやわらかさが強く、
ヒーリング音楽としても聴ける。デビュー前のCara Dillonが2曲で参加している。
シンフォニック度・・8 ケルティック度・・7 女性Vo度・・8 総合・・7.5
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GJALLARHORN「RANAROP
フィンランドのトラッドバンド、ヤァラルホーンの1st。1997年作/邦題「海の女神の叫び声」
ヴァイオリン、フィドルの艶やかな音色に、いかにも北欧的な女性スキャットと美しいコーラス、
そして母国語による伸びやかな女性Voの歌唱が、まるで涼やかな風のように響きます。
バルト海の女神をコンセプトにした、これぞ北の国のトラッド/フォークというサウンドが楽しめる。
若手ながらも演奏力も素晴らしく、音には伝統を感じさせる精神が息づいている。
メロディアス度・・8 トラッ度・・9 女性Vo度・・8 総合・・8
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GJALLARHORN「SJOFN」
フィンランドのトラッドグループ、ヤァラルホーンの2nd。2000年作
1stではシリアスな北欧トラッドをやっていたが、この2ndではむしろGARMARNAHEDNINGARNAあたりに急接近、
いわゆるラジカルトラッドといわれる先鋭的な質感が増した。もちろんヴォーカル、イェニーさんの歌唱は相変わらず素晴らしく
しっとりと歌う曲はたおやかに、激しい曲はキレたような歌声を、それぞれ聴かせてくれます。
個人的には、⑦あたりの伝統的なトラッドナンバーが好きですが、アルバムとしてのメリハリは前作より上かも。
後半ではしっかりと正統派の北欧トラッドも堪能できて、ヴァイオリンの音色にはうっとりです。
ラジカル度・・7 北欧トラッ度・・9 女性Vo度・・8 総合・・8
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GJALLARHORN「GRIMBORG」
フィンランドのトラッドグループ、ヤァラルホーンの3rd。2002年作/邦題「グリム城」
前作ではかなり先鋭的なアプローチも見せたが、今回は再び北欧トラッドの王道に戻ったサウンド。
ジェニー嬢の母国語のヴォーカルを中心に、ヴァイオリン、フィドル、パーカッションなどで
伝統的な北欧の息吹を現代のパッションを加えてリズミカルに再現しており、
そういう点ではVARTTINAなどに近づいたような印象で、とても聴きやすくなった。
1stの頃のどこか北欧の神々を思わせるような涼やかな音からはやや離れたが、
これはこれでとても出来はよいので、北欧系トラッドファンにはうってつけの一枚だ。
メロディアス度・・7 北欧トラッ度・・8 女性Vo度・・7 総合・・8
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GJALLARHORN「Rimfaxe」
フィンランドのトラッドバンド、ヤァラルホーンの4th。2006年作
今作はやや地味だった前作よりも、よりプログレッシブな質感を増している。
ときおりヒステリックに歌い上げるジェニー嬢の母国語のヴォーカルはいっそうの貫祿を増し、
ヴァイオリン、フィドル、フルートに、リズミカルなパーカッション、ドラム、さらには
シンセによる味付けもなされていて、シンフォニックでエレクトリックな要素も加わっている。
もちろん、しっかりと本格派のトラッド要素も健在で、ミスティックな雰囲気をかもし出しつつも、
モダンと伝統の融合
を感じさせるアレンジ面での成長がうかがえる傑作だ。
プログレ度・・8 トラッ度・・8 北欧度・・9 総合・・8
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The Goblin Market 「Beneath Far Gondal's Foreign Sky」
アメリカのフォークロック、ゴブリン・マーケットの2012年作
The Green Pajamasにも参加するメンバーによるユニットで、やわらかなピアノやシンセによる美しいアレンジに
しっとりとした男女ヴォーカルの歌声を乗せた、シンフォニックで幻想的なフォークサウンド。
アコースティックギターのつまびきに乗る女性ヴォーカルの歌声は、アニー・ハズラムあたりを思わせ、
その伸びやかな美しさにうっとりとなる。オルガンやエレキギターも加わったフォークロックな感触は
プログレファンにも対応するだろう。男性ヴォーカルメインの曲もあるが、マイルドな歌声に女性声が絡む
繊細な叙情を描いていて、聴き心地が良い。これは掘り出し物的な好作品だ。
ドラマティック度・・8 幻想フォーク度・・8 女性Vo度・・8 総合・・8
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grada「Endeavour」
アイルランドとニュージーランドの混成バンド、グラーダの1st。2005作
LUNASAのメンバーに見いだされてデビューしたアイリッシュバンドで、
トラディショナルなアイリッシュソングを演奏しつつ、女性Voで聴かせる曲も半分ほどある。
インスト曲の方は、ギターにフルート、ホイッスル、ブズーキ、ヴィオラなどを中心にした
なかなか本格派のアイリッシュサウンドで、やはりルナサに通じるような軽やかな演奏が光る。
合間にヴォーカル曲が入るので、さほど硬派な印象もなく聴きやすい。
若手のケルト系バンドとしては非常に注目株だ。
アコースティック度・・8 ケルティック度・・9 女性Vo度・・7 総合・・8
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GROUPA 「Lavalek」
スウェーデンのトラッドバンド、グルーパの1999年作
80年代から活動するバンドで、艶やかなヴァイオリンの音色にパーカッションのリズム、
やわらかなフルートの音色を重ねた、優雅なトラッドサウンド。インスト曲を主体にしつつ、
ソロとしても活躍する、ソフィア・カールソンの歌声も加わると、素朴な土着性の中に、
キャッチーな部分が同居する。アルバム後半では、ピアノやオルガンなどの
シンセも加わった、ラジカルトラッド的な味わいも覗かせ、先鋭的なアレンジセンスも楽しめる。
アコースティック度・・9 北欧トラッ度・・8 女性Vo度・・7 総合・・7.5
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GROUPA 「fjalar」
スウェーデンのトラッドバンド、グルーパの2002年作
フルートとヴァイオリンにピアノが絡み、母国語の女性ヴォーカルを乗せた優雅なアンサンブルで
軽妙なトラッドサウンドを聴かせる。技巧的なインストパートは、Vasenなどにも通じる感触もあって、
ときにジャズタッチのピアノパートなども含め、土着的になりすぎない、軽やかな耳心地が特徴だろう。
個人的には、女性声入りの曲がもっとあればと思うが、パーカッションのリズムに乗るヴァイオリンも、
確かな演奏力で説得力は十分。アーティスティックなコンテンポラリー・トラッドの好作です。
アコースティック度・・9 北欧トラッ度・・8 女性Vo度・・7 総合・・7.5
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Greenrose Faire「Beggars & Thieves」
フィンランドのフォークロックバンド、グリーンローズ・フェアーのミニアルバム。2010年作
女性Voにヴァイオリン、マンドラ奏者を含む6人組で、アコースティックなアンサンブルに
シンフォニックなシンセを絡め、そこに女性ヴォーカルの歌唱を乗せたスタイル。
ジャケのイメージのような中世風味と、コンテンポラリーなプログレ風のアレンジが合わさって
なかなかいい雰囲気であるが、楽曲における魅力と音の説得力という点では、まだまだこれからという印象。
メロディアス度・・8 フォーキー度・・7 女性Vo度・・7 総合・・7.5
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Greenrose Faire「Neverending Journey」
フィンランドのフォークロック、グリーンローズ・フェアーの2011年作
女性ヴォーカルに女性ヴァイオリン奏者、シンセにマンドラ奏者などを含む6人組で、
1曲めから軽快に聴かせるフォークロックサウンドが楽しめる。ロック的なドラムのリズム上に
艶やかなヴァイオリンが鳴り響き、いくぶんプログレ風味もあるシンセを含んだ聴き心地は、
土着的なシンフォニックロックとしても楽しめる。Blackmore's Nightのように中世を感じさせる
幻想的な雰囲気もよろしい。先に出ていた5曲入り1stミニのうち、4曲が本作にも収録されている。
メロディック度・・8 フォーキー度・・8 女性Vo度・・7 総合・・7.5
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Greenrose Faire 「My Home Is Where My Heart Is」
フィンランドのフォークロック、グリーンローズ・フェアーの2013年作
女性ヴォーカルに女性ヴァイオリン奏者、マンドリン奏者なども含む編成で、
前作はBlackmore's Nightのような中世の雰囲気を感じさせる好作であったが、
本作もやわらかな女性ヴォーカルの歌声に、美しいシンセアレンジも含んだシンフォニック色と
艶やかなヴァイオリンが鳴り響く、中世トラッドの質感が合わさったサウンドが楽しめる。
楽曲は3~4分台が中心で比較的シンプルな味わいながら、メロディの良さと幻想的な世界観で
これまでの作品以上にサウンドの強度を感じさせる。中世トラッド・フォークロックの好作品です。
ドラマティック度・・8 中世トラッ度・・8 女性Vo度・・8 総合・・8
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GREEN WOOD「VOICE OF THE CELTIC MYTH」
アイルランドの神話を題材にしたケルト・シンフォ作品、グリーン・ウッドの1998年作
ラリー・ホーガンというギタリストを中心に、日本のAYUOやDEAD CAN DANCEのメンバーらも参加、
フルート、フィドル、ハープ、ブズーキなどの民族楽器に、エレキギターやシンセも使用し
アコースティカルなとシンフォニック性が融合されたサウンドでオーケストラや混声合唱などにより壮大さも演出。
ラリー・ホーガン自身のVoに、女性ヴォーカルも加わって、美しく雄大な雰囲気に華を添える。
シンフォ系のヒーリングものとしても、壮大なケルト音楽としても鑑賞可能の力作。
シンフォニック度・・8 ケルティック度・・7 雄大度・・8 総合・・8
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Gudrid Hansdottir 「Love is Dead」
フェロー諸島の女性シンガー、グドリッド・ハンスドティアの2007年作
アコースティックギターにシンセを重ね、やわらかな女性ヴォーカルを乗せたフォークロックで
ポップな感触に包まれたサウンドながら、どこかサイケがかったような浮遊感も含めて、
ユルめのアシッド・フォーク的な味わいもある。オルガンやシンセによる素朴な叙情と
艶めいた歌声の魅力が合わさって、レトロさとモダンを行き来するような空気感も面白い。
単なるフィメールポップという以上に、北欧的でエキセントリックなセンスが楽しめる好作品。
ドラマティック度・・7 妖しさ度・・8 女性Vo度・・8 総合・・7.5
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Gudrid Hansdottir 「Sky Is Opening」
フェロー諸島の女性シンガー、グドリッド・ハンスドティアの2011年作
本作は、古き良き味わいのギターにやわらかな女性ヴォーカルを乗せた、どこか70年代を思わせる
ソフトなフォークロックというサウンド。メロトロンのようなシンセやヴァイオリンを含んだアレンジに、
伸びやか女性声を乗せたナンバーなどは、Renaissenceのような美しい聴き心地である。
しっりとしとしたバラードや、オールドなポップロック調のナンバーまでキャッチーな作風であるが、
ヴァイオリンにギターが重なり、翳りを含んだ叙情に包まれたナンバーはうっとりとなる素晴らしさ。
フォークロック度・・8 古き良き度・・8 女性Vo度・・8 総合・・7.5
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Gudrid HansdottirBeyond the Grey
フェロー諸島の女性ヴォーカル、グドリッド・ハンスドティアの2011年作
しっとりとした女性ヴォーカルの歌声に、マンドリンやリコーダーなどの素朴な音色と、
幻想的な美しさで聴かせるサウンド。うっすらとシンセを含んだアレンジもあって
アコースティカルではあるが土着性は薄めなので、キャッチーなフォークとしても楽しめる。
英語歌詞がメインだが、ときに母国語による歌声がトラッドな雰囲気をかもしだしている。
アコースティカル度・・7 北欧トラッ度・・7 女性Vo度・・8 総合・・8
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Gunnfjauns Kapell「Volund」
バルト海のゴットランド島を代表するバンド、グンフヤゥンス・カペルの1998年作
ノルウェー神話の登場人物「鍛冶屋のヴォールンド」の物語をテーマにした作品で、
美しい女性ヴォーカルのハーモニーにやわらかなフルート、オーボエの音色が重なり
アコースティックギターやマンドリンのつまびきとともに、いうなれば繊細なオーケストラのような
壮大にして優しいサウンドを描いている。物語を語るようなエピックな雰囲気のなかで
響きわたる男女コーラス、フィドルやティンホイッスルなども含めた土着的な旋律が合わさって、
優雅で神秘的、そしてストーリ性のあるトラッドサウンドを作り出している。素晴らしい傑作だ。
ドラマティック度・・9 北欧トラッ度・・8 壮大度・・9 総合・・8.5
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Hamacas Al Rio
アルゼンチンのフォークロック、ハマカス・アル・リオの2004年作
うっすらとした幻想的なシンセワークとアコースティカルな繊細な叙情、
そして女性ヴォーカルのスペイン語の歌声が優しく合わさったサウンドは、
ゆったりとした優美な耳心地。たおやかなフルートの音色やメロトロン的なシンセが混じると、
プログレリスナーにも楽しめるような雰囲気になる。この女性声の魅力もあいまって、
英国フォークのドリィミーさを南米的に叙情豊かに仕上げたというような好作品になっている。

叙情度・・9 繊細度・・8 女性Vo度・・8 総合・・8
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Hamacas al Rio 「Mitad de Junio」
アルゼンチンのフォークロック、ハマカス・アル・リオの2006年作
アコースティックギターの響きにフルートの音色が重なり、スペイン語の女性ヴォーカルを乗せた、
南米らしい繊細な叙情のフォークロックサウンド。オーケストラルなアレンジを含んだ楽曲は
シンフォニックロックとしても楽しめ、やわらかなエレピなどシンセのセンスもなかなか絶妙で、
しっとりとした女性声をよく引き立てている。全体的にメロウな叙情に包まれた雰囲気なのだが、
薄暗さというよりも木漏れ日をイメージするような優しい感触なのは、南米のバンドならではだろう。
ドラムを含めたアンサンブルもプログレリスナー受けする力量がある。まどろむように楽しめる好作だ。
メロディック度・・8 南米度・・8 女性Vo度・・8 総合・・8
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HARIS ALEXIOU「Di EFCHON(WITH BLESSINGS)」
ギリシャの女性歌手、ハリス・アレクシーフの1992年作
ギリシャではかなりの大物歌手らしく、来日もしたことがあるとか。
サウンドは基本的にはポップスなのだが、そこはギリシャというお国柄、
エーゲ海を感じるような(?)どこか雄大でシリアスな雰囲気があり、
彼女もさすがに貫祿のある、ギリシャ語の歌声を聴かせてくれる。
メロディアス度・・7 女性Vo度・・8 ギリシャ度・・10 総合・・7.5
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Harmonia「Music of Eastern Europe」
アメリカのトラッドバンド、ハルモニアの2003作
ヴァイオリンにアコーディオン、女性Voを含む6人組で、アメリカのバンドとは思えない本格派の東欧トラッド。
艶やかなヴァイオリンの音色に、現地語による女性ヴォーカル(美人)の歌声が響き、
テクニカルに吹き鳴らされる軽やかな笛の音はFLAIRKあたりを思わせる。
ハンガリー、スロバキア、ウクライナ、ルーマニアといった東欧、バルカン周辺国の音楽を
モダンなアコースティックサウンドで再現してゆくというのがバンドのコンセプトらしい。
本格派であっても音は硬すぎないので愉快に楽しめる。オフィシャルサイトで試聴可。
アコースティカル度・・10 テクニカル度・・9 東欧トラッ度・・9 総合・・8
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Harriet ja Kapypojat 「siiville」
フィンランドの女性シンガー、ハリエット・ヤ・カピィポヤトの2014年作
ストリングスによる壮麗なアレンジに、フィンランド語の女性ヴォーカルを乗せ、ハードなドラムやギターが加わった
適度にモダンなロック感触を含んだサウンドで、キャッチーな感触とフィンランド的な土着性が融合した
シンフォニックなハードポップというか、女性声の北欧ハードロックとしても楽しめる作風だ。
クラシカルなストリングスにピアノによる優美な聴き心地に包まれて、ゆったりとしたバラード曲なども含む、
北欧らしい涼やかな叙情も覗かせつつ、フィメールロックとしての艶めいた歌声の魅力もある。
メロディック度・・8 フィンラン度・・8 女性Vo度・・8 総合・・7.5
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Harvest「Underground Community」
スペインの女性Voロックバンド、ハーベストの2009年作
美しい女性ヴォーカルの歌声で聴かせるゆるやかな叙情のメロディックロック。
うっすらとしたシンセにメロウなギターがかぶさって、ほのかな翳りある雰囲気は
KARNATAKAPANIC ROOMあたりが好きなリスナーには心地よい音だろう。
モニク嬢の歌声にも、どこかアンニュイなけだるさがあって、しっとりと耳に優しい。
メロディアス度・・7 プログレ度・・7 女性Vo度・・8 総合・・8
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HARVEST「Chasing Time」
スペインのフィメールロック、ハーベストの2012年作
女性Voにシンセを含む5人編成で、しっとりとした叙情性とアンニュイな翳りを含んだ繊細な作風。
かつてのALL ABOUT EVEあたりにも通じる雰囲気で、随所にシンフォニック、プログレ的な感触もある。
紅一点、モニク嬢のやわらかな歌声もなかなか魅力的で、メロウなギターと繊細なシンセアレンジとともに
ロックとしての躍動感も適度に感じさせながら、ゆったりとした耳心地のよいサウンドが楽しめる。
8分を超えるラスト曲は、プログレ的なドラマティックな構築が見事。フィメール・メロウ・ロックの好作です。
メロウ度・・8 プログレ度・・7 女性Vo度・・8 総合・・8
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HAVNATT「Havdegn」
ノルウェーのトラッド・フォーク、ハヴナットの2012年
VoとGの2人組ユニットで、アコースティックギターのつまびきに美しい女性ヴォーカルで聴かせる、
わりとシンプルなスタイルのフォークサウンド。母国語による伸びやか歌声が魅力的で、
北欧らしい涼やかな空気感とともに、しっとりとした幻想的な味わいに包まれる。
全5曲29分のミニアルバムであるが、透き通るようなヴォーカルの美しさで、
幻想美に包まれたアコースティックな女性声フォークとしての魅力は十分に感じられる。
アコースティック度・・8 涼やか度・・8 女性Vo度・・9 総合・・8
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HAVNATT「Etterlatte」
ノルウェーのトラッド・フォーク、ハヴナットの2013年作
アコースティックギターにやわらかな女性ヴォーカルを乗せた、幻想的な味わいのネオフォークで、
前作ミニに比べると、随所にヴァイオリン、チェロの音色が絡むなど、クラシカルな優雅さが強まった。
Cecille嬢の母国語による歌声は相変わらずしっとりと美しく、涼やかな北の空気を運んでくれる。
アコースティックを主体にした伝統的なトラッドとしての素朴な叙情と、コンテンポラリーで
優雅なアレンジセンスを同居させた、北欧らしいネオフォークサウンドにゆったりと浸れる。
アコースティック度・・8 涼やか度・・8 女性Vo度・・9 総合・・8
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Hayley Griffiths 「Silver Screen」
イギリスの女性シンガー、ヘイリー・グリフィスの2010年作
KARNATAKAのシンガーでもある彼女のソロは、やわらかなピアノやシンセアレンジに
しっとりとした美しい歌声で聴かせる、キャッチーでシンフォニックな歌もの作品。
楽曲は3分前後と比較的シンプルであるが、その分彼女の歌声をたっぷり堪能できる。
ロック色は薄いものの、カルナタカを気に入った方はぜひチェックしていただきたい。
シンフォニック度・・7 プログレ度・・6 女性Vo度・・9 総合・・7.5
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Heather DaleThe Road to Santiago」
カナダ出身のケルト系シンガー、ヘザー・デールの2005作
美しいピアノに艶やかなヴァイオリンの音色、そこに乗る歌声は
同じくカナダの大御所、ロリーナ・マッケニットを彷彿とさせる。
適度な土着性をコンテンポラリーなアレンジで仕上げた楽曲には
音数の少ないシンプルな質感と、やわらかみのある素朴さとが感じられる。
「サンティアゴへの道」というタイトル通り、サウンドにはときにスパニッシュな趣もあり
深みのある優しい歌声とともに、ゆったりと聴き入れる好作である。
ケルティック度・・7 素朴度・・8 女性Vo度・・8 総合・・8
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The Heather Findlay Band 「Songs from the Old Kitchen」
元Mostly Autumnのシンガー、ヘザー・フィンドレイによるアコースティックバンドの2012年作
スタジオライブ形式で録音された作品で、モストリー・オータムの楽曲をアコースティックで聴かせる。
ヘザー嬢の伸びやかな歌声と、アコギやマンドリンなどの音色が牧歌的に彩り、
ライブ録音ならではのアナログ感とともに、素朴でありながら叙情豊かなサウンドが楽しめる。
元Mostly Autumnのアンジェラ・ゴードンが鍵盤&フルートでゲスト参加している。
アコースティカル度・・9 牧歌的度・・8 女性Vo度・・8 総合・・7.5
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Heather Findlay& Chiris Johnson 「Live at the Cafe 68」
元Mostly Autumnのシンガー、ヘザー・フィンドレイと元Mostly AutumnでPARADEやFishのバンドにも参加する
ギター&ヴォーカルのクリス・ジョンソンによるユニットのライブ作品。2011年作
アコースティックギターのつまびきに、ヘザー嬢の伸びやかな歌声とともに、
素朴さで牧歌性で聴かせるサウンドで、Mostly Autumnの曲もアコースティックに楽しめる。
MCも含んだライブ的な臨場感もあって、会場の温かな空気が伝わってくるようだ。
アコースティカル度・・9 牧歌的度・・8 女性Vo度・・7 総合・・7.5
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Heather Findlay 「Wild White Horses」
イギリスの女性シンガー、ヘザー・フィンドレイの2019年作
MOSTLY AUTUMNのシンガー、現在はMANTRA VEGAで活躍、The Heather Findlay Bandとしても作品を出しているが
本作は純粋にソロ名義となっている。サウンドの方は、肩の力の抜けたわりとストレートなポップロックという趣で、
ブルージーなギターに、大人の女性を感じさせるヘザーの歌声で、ローリング・ストーンズのようなオールドなロック感に包まれる。
全体的にプログレ的な感触は少ないが、アコースティックギターやフルート、トロイ・ドノックリー(Nightwish)によるイーリアン・パイプが鳴り響く、
フォーキーなナンバーには、いくぶんMOSTLY AUTUMN時代の香りも感じさせる。ヘザーの優しい歌声が堪能できる牧歌的な好作です。
メロディック度・7 プログレ度・5 女性Vo度・8 総合・7.5 
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Heather Findlay 「LIVE WHITE HORSES」
イギリスの女性シンガー、ヘザー・フィンドレイのライブ作品。2020年作
Disc1は、2019年の英国公演から、全17曲、78分を収録。ツインギターにシンセ、女性コーラスを含む編成で 
2019年作「Wild White Horses」からのナンバーを主体に演奏。アルバム同様、オールドなロック感触とともに
ヘザーの伸びやかな歌声で聴かせる牧歌的な味わいながら、ライブとしてのグルーヴィな躍動感が伝わってくる。
Disc2には、アメリカ、イギリス、ドイツなどでの、2019~2020年のライブ音源を、会場ごとに数曲ずつ収録。
ブートレグ風のラフな音源やアコースティック編成でのセッションなど、わりとボーナス的な内容である。
ライブ演奏度・8 プログレ度・5 女性Vo度・8 総合・8
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HEAVEN & EARTH「REFUGE」
アメリカの女性ヴォーカルユニット、ヘヴン・アンドアースの1973年作
ジョー・D・アンドリュースとパット・ゲッフェルという二人の女性Voをフロントに
シカゴ周辺のトップ・セッションプレイヤーたちがバックを固める。
二人の歌声をメインにしつつ、アコースティックな繊細さとアメリカらしいポップさもあり、
英国のアシッドフォークのようなクセの強さはあまり感じないサウンドだ。
いわばメジャークラスのミュージシャンたちが作ったフォークロックという雰囲気で、
二人のヴォーカルハーモニーでしっとりと楽しめる。優雅なストリングスアレンジも美しい。
メロディアス度・・8 叙情度・・8 女性Vo度・・8 総合・・8
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HEDNINGARNAKaksi!
スウェーデンのラジカル・トラッドバンド、ヘドニンガルナの1992年作
2作目の本作は、サンプラーやプログラミング、ディストーションなどを使い出した作品で、
そういう点では、ラジカルトラッドとしての出発点ともいえるのがこの作品だろう。
二人の女性ヴォーカルによる母国語の歌声に、フィドルの音色が重なり、
パーカッシブなリズムとともに、神秘的なトラッドサウンドを描き出してゆく。
のちのアルバムに比べると実験性はまだ控えめで、今後の深化を感じさせるサウンドだ。
ラジカル度・・7 北欧トラッ度・・9 女性Vo度・・8 総合・・8
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HEDNINGARNA 「TRA」
スウェーデンのラジカル・トラッドバンド、ヘドニンガルナの1994年作/邦題「異教徒」
1989年にデビュー、本作は3作目で、スウディッシュ・バグパイプ、ハーディ・ガーディの素朴な音色に、
母国語の女性ヴォーカルを乗せた、本格派の北欧トラッドをベースに、ハーディングフェーレや、
歪ませたフィドルの音色が鳴り響き、ときにビート感のあるドラムとパーカッションを加えた、
先鋭的なモダンさが加わったサウンドを聴かせる。さりとて北欧トラッドとしての神秘性をしっかり残していて、
コントラストとしての濃密な土着的が際立ったという印象である。まさに北欧ラジカルトラッドを確立した一枚である。
ラジカル度・・8 北欧トラッ度・・9 女性Vo度・・8 総合・・8
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HedningarnaKarelia Visa
スウェーデンのラジカル・トラッドバンド、ヘドニンガルナの1999年作
90年代初等から型にとらわれない先鋭的なトラッドミュージックを表現してきたこのバンド
5作目となる本作は、アコースティカルなトラッドルーツの素朴さを基本に、それをより重厚に演奏している。
マンドリンの素朴な音色にフィドルが絡み、二人の女性ヴォーカルの母国語によるハーモニーがかぶさってゆく。
ヘヴィなベースとパーカッションによるリズムはサウンドに空間性を与え、エフェクトのかかったモダンなアレンジも
むしろ太古の神秘的な北欧の大地を感じさせるように響いている。土着的な緊張感に包まれた傑作だ。
ラジカル度・・8 北欧トラッ度・・9 女性Vo度・・8 総合・・8
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HEDNINGARNA「1989-2003」
スウェーデンの先鋭トラッドバンド、ヘドニンガルナのベストアルバム。2003年作
GARMARNAと共にラジカルトラッドの筆頭バンドとされる彼らの、1989年から1999年までの
5枚のアルバムからセレクトされた曲に、2003年の新曲を織り込んだ全18曲入り。
こうして並べて聴くと、初期の頃は比較的王道の北欧トラッドの雰囲気を残していたが
最近の曲では明らかにデジタリィなエフェクトが多用されていて、そのギャップも面白い。
アルバムとしての整合感はないが、HEDNINGARNAという個性的なバンドの変遷を聴きながら
北欧ラジカルトラッドの現在形を知るにはちょうどよいアイテムかもしれない。
メロディアス度・・7 トラッ度・・8 ラジカル度・・7 総合・・7.5
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Huldrelokkk 「I Levende Live」
ノルウェー、スウェーデン、デンマークのメンバーによる、女性トラッドユニット、ハルドレロクの2015年作
フィドルやニッケルハルパを操る女性3人のユニットで、本作は2013~14年のドイツでのライブを収録。
艶やかなフィドルと素朴なニッケルハルパの音色、アコースティックギターによるアンサンブルで、
メンバーそれぞれの母国のトラッドをベースにしたナンバーを聴かせる。派手な衣装のメンバーに反して
サウンドはしごく素朴なアコースティック系トラッドで、新鮮さやスリリングな部分というのはさほどないが、
母国語による女性ヴォーカルを乗せた、北欧らしい涼やかな叙情が楽しめる。
アコースティック度・・9 トラッ度・・9 女性Vo度・・7 総合・・7.5
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I

Ialma「Simbiose」
スペインのトラッドポップ、イアルマの2011年作
女性5人によるユニットで、2000年にデビューし、4作目。軽やかなドラムにトランペット、アコーディオンの響き、
スペイン語による女性ヴォーカルとコーラスを重ねた、ジャズ風味も含んだ大人のトラッドポップを聴かせる。
フィドルが鳴り響き、パーカッションのリズムにやわらかな女性声の重ねた、土着的な優雅さも覗かせて、
トラッドとポップが軽やかな同居した味わいは、フィンランドのVarttinaあたりに通じる趣もある。
全体的には、わりとライトに楽しめる一方、ディープなスパニッシュトラッドを求める向きには物足りなさも。
アコースティック度・8 トラッ度・8 優雅度・8 総合・7.5
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ILGI 「Kaza Kapa Debesīs」
ラトビアのトラッドフォーク、イルギの2003年作
デビューは80年代というベテランで、パグパイプが鳴り響き、母国語による女性ヴォーカルの妖しい歌声に、
アコースティックギターやフルートが重なる、土着的なトラッドをコンテンポラリーに仕立てたというサウンド。
GARMANAのような躍動的なラジカルトラッドの質感に、ドラムも加わったほどよいロック感触もあり、
ヴァイオリンの音色とともに、ダンサブルなポップ風味も覗かせるところは、Varttinaにも通じるかもしれない。
朗々とした男性ヴォーカルによるナンバーもアクセントになっていて、涼やかな土着性とキャッチーなノリのバランスもよい。
トラッ度・8 キャッチー度・8 女性Vo度・7 総合・8
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Imaginary Heaven「...distant is my weather」
カナダのケルティック・ユニット、イマジナリー・ヘヴンの1st。1994年作
アコーステイックギターにかぶさる美しい女性ヴォーカルの歌声、
たおやかなピアノ、ハープなどでしっとりと聴かせるサウンドは、
素朴さの中に神秘的な幽玄さを含んでいて、じつに耳に心地よい。
さらに幽玄な雰囲気を増す次作「Dressed In Gentle Days」も必聴。
アコースティカル度・・8 しっとり優美度・・9 幽玄度・・8 総合・・8
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IMAGINARY HEAVEN「DRESSED IN GENTLE DAYS」
カナダのケルティックユニット、イマジナリー・ヘブンの2nd。1996年作
このバンドのサウンドを一言で言うなら「幽玄」…まさしくこれにつきる世界観だろう。
二人の女性メンバーを含む三人編成で、しっとりとしたピアノやハープ、アコスティックギターに、美しい女性ヴォーカルの歌声が乗る
わりとシンプルな音数だが、この静寂感…ゆるやかに流れる、しっとりとした不思議な世界はあまりに美しく、はかなく、そして深遠である。
その音に耳を傾けると、ときの流れ、人間、喜びと哀しみ、生と死などが思い浮かべられ、ふと涙が出そうになる。
重なり合って優しく響く二人の女性ヴォーカル。たゆたうような癒しの時間。夢幻のなかで夢を見ているようだ。
はかなく美しい度・・10 繊細なる静寂度・・10 幽玄度・・10 総合・・9
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Imaginary Heaven「Xmas Comes in Darkness」
カナダのケルティックユニット、イマジナリー・ヘブンの3rd。1998年作
タイトルからしてクリスマスアルバムなのだろう、冬を感じさせる幻想的な静謐感に、
しっとりとした女性ヴォーカルの歌声が響きわたる、幻想的なケルティックフォーク。
やわらかなハープの音色にアコースティックギター、ときにフルートやリコーダーも加わって、
シンプルな音数の中にもケルト、トラッドとしての説得力をしっかりと描いている。女性声の美しさも含めて、
繊細な叙情美にうっとりと聴き入ってしまう。この世のものとは思えない幽玄な空気を感じさせる絶品の傑作です。
静寂度・・9 幽玄度・・10 女性Vo度・・8 総合・・8.5
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IN A SPLIT SECOND「IT HAPPENS」
イタリア出身、ケルティックシンフォ、イン・ア・スプリット・セカンドの1997作
美しい女性Voをメインに、アコギ、シンセなどによる幽玄なバックサウンドが夢見にさそいます。
リズム楽器はパーカッションのみなのでロック色はほとんどないですが、
その分ゆったりとした雰囲気で、まるで深遠な森の中にいるようにまどろめます。
メロディアス度・・8 シンフォッニクなケルト度・・9 女性Vo度・・9 総合・・8
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InChanto 「Citta' Sottili」
イタリアの古楽フォーク、インチャントの2005年作
キタラのつまびきに艶かなヴァイオリン、クラリネットやホイッスルの音色、イタリア語による女性ヴォーカルで、
中世トラッド的な優雅なフォークサウンドを聴かせる。ダルシマーやカンテレなど古楽器を使った素朴な味わいと
メディーヴァルな幻想性が合わさって、ロック色のないアコースティックサウンドながらも、
わりとプログレリスナー向けの世界観である。ヴァイオリンとホイッスルによるケルティックな旋律もじつに優美です。
優雅度・8 アコースティック度・8 女性Vo度・7 総合・8
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InChanto 「Le Stanze Di Ambra」
イタリアの古楽フォーク、インチャントの2011年作
艶やかなヴァイオリンにリコーダーの優美な音色、ハーディ・ガーディが鳴り響き、
イタリア語による女性ヴォーカルとともに、優雅でクラシカルなフォークサウンドが広がる。
アコースティックギターやハープのつまびきに、ホイッスルのケルティックな音色、
美しい女性声とともに、しっとりとした耳心地に包まれて、異国的なバウロンのリズムが
メディーヴァルな空気をかもしだす。物語を語るようなシアトリカルな歌声も含めて、
プログレ寄りの世界観も感じさせ、アコースティック主体ながらも幻想的な味わいで楽しめる。
アコースティック度・9 優雅度・8 女性Vo度・8 総合・8
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INNA ZHELANNAYA & Sergey Kalachev「Танцы Теней」
ロシアの女性シンガー、インナ・ジェランナヤとセルゲイ・カラチェフのユニット。2002年作
アコースティックギターのつまびきに、フィドルの音色、うっすらとしたシンセアレンジに、
母国語の女性ヴォーカルの歌声に男性ヴォーカルが絡む、幻想的なトラッドサウンド。
インナさんの歌声は、中音域のハスキーな存在感があって、可憐さよりもどこか魔女めいた雰囲気。
2曲目以降はポップなモダンさも含んだ、キャッチーな女性声トラッドポップというナンバーもありつつ
ロシア的な土着性とコンテンポラリーを両立させた作風は、本作の時点ですでに確立している。
プログレ度・・7 トラッ度・・8 女性Vo度・・8 総合・・8
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INNA ZHELANNAYA & Farlanders「Inozemets」
ロシア人女性シンガー、インナ・ジェランナヤとファーランダーズの2006年作
サックスやバグパイプなどの音色と母国語によるインナ女史の歌声が合わさり、
ジャズタッチの優雅さと土着的なトラッドが融合したような聴き心地のサウンドだ。
うねりのあるグルーブ感と表現力ある彼女のヴォーカルで描き出される深みのある味わいは、
プログレファンにもとても楽しめるだろう。ロシア版ラジカルトラッドというべき好作品です。
プログレ度・・7 トラッ度・・8 女性Vo度・・8 総合・・8
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Inna Zhelannaya「Cocoon (КокоН)」
ロシア人女性シンガー、インナ・ジェランナヤの2009年作
元KING CRIMSONのTret Gunnがウォーギターで参加、プロデュースにも関わった作品で
うっすらとしたシンセを含むデジタルなアレンジと母国語による土着的な彼女の歌声を中心に、
モダンなシンフォニックロック風味とコンテンポラリーなトラッドが融合したというサウンド。
GarnarnaVarttinaなどの北欧系ラジカルトラッドにも通じるキャッチーな聴き心地と、
幻想的な浮遊感が合わさった雰囲気は、プログレリスナーにも十分アピールするだろう。
幻想度・・8 トラッ度・・8 女性Vo度・・8 総合・・8
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INNA ZHELANNAYA 「IZVOROT (Изворот)」
ロシア人女性シンガー、インナ・ジェランナヤの2014年作
本作はCD2枚組で、ロシア、ベラルーシ、ウクライナのトラッドをモダンにアレンジした作品。
デジタルなシンセアレンジに、母国語による艶めいた歌声を乗せた、ラジカルトラッド・ポップという作風は
ますますスタイリッシュになり、重たいベースにサックスやトランペットを加えた感触は、ある意味プログレ…
つまりはクリムゾン的でもある。艶やかなヴァイオリンも加わったクラシカルな優雅さと、
Disc2ではサックスなどが加わったジャズロック風味も取り入れていて、伝統的なトラッドの旋律を、
現代的なロック&ポップ解釈で多彩に仕上げたという、とても個性的なサウンドが楽しめる。
盟友セルゲイ・カラチェフがハーマネントなメンバーして名を連ね、ゲストにはトレイ・ガンなども参加。
モダン度・・8 トラッ度・・7 女性Vo度・・8 総合・・8
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Instinkt「Hur」
デンマークのトラッドロックバンド、インスティンクトの2002年作
艶やかなヴァイオリンの音色に、ドラムとウッドベースのリズムアンサンブル、
素朴なハーディ・ガーディやフルート、ホイッスルの音色も加わった、躍動感ある演奏で
ジャケのイメージよりもずっと本格派のコンテンポラリーなトラッドを聴かせてくれる。
二本のヴァイオリンの絡みも素晴らしく、スキャット気味の歌はオマケ程度だが、
適度な緊張感を漂わせたサウンドは、Vasenなどのファンも楽しめるだろう。
アコースティカル度・・9 北欧トラッ度・・8 アンサンブル度・・9 総合・・8
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Ion 「Madre Protegenos」
アイルランドのネオフォーク、イオンの2006年作
アコースティックギターのつまびきに、やわらかなフルート、ピアノの音色、
しっとりとした女性ヴォーカルの歌声で、幻想的なネオフォークを描く。
マンドリン、ハープ、パーカッションなどのアコースティックな土着性と
うっすらとしたシンセに包まれて、妖しく薄暗い神秘性を感じさせるサウンドだ。
ダークではあるが、ほどよくメロディの旋律があるので、初心者にも聴きやすい。
幻想度・・8 ゴシックフォーク度・・7 耽美度・・8 総合・・7.5
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IONA
イギリスのケルトロックバンド、アイオナの1st。1990年作
ただのケルト音楽だと静かすぎてどうもね…という私のような人間にとっては
ケルトとロックを巧みに融合させたこのバンドは、まさに理想形のサウンドなのです。
さて、この1stですが、楽曲は比較的シンプルで、インスト曲はケルトメロディを前に出して軽快に、
歌ものはどちらかというとキャッチーでThe Corrsなどにも通じるものがあるかと。
ジョアンヌ・ホッグのヴォーカルも、まだ深みのある表現力はなく、むしろ初々しさがあります。
アルバムとしても後の深みのある世界観に比べると、まだ聴きやすさの方が勝っています。
それから、現在のドラマーも上手いが、ここで叩いているゲストドラマーもかなりの腕前ですね。
メロディアス度・・8 ケルティック度・・7 女性Vo度・・7 総合・・7.5
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IONA「The Book of Kells」
スコットランド出身のケルティックロックバンド、アイオナの2nd。1992年作
8世紀にスコットランドのアイオナ修道院で制作され、アイルランドの国宝ともなっている
“世界一美しい”聖書の写本、「ケルズの書」をテーマにしたコンセプト作。
トラディショナルなメロディと現代シンフォニックの手法を融合したサウンドは、
決して難解にならない聴きやすさがあり、美しく壮大な雰囲気に包まれている。
ジョアンヌの歌唱が好きな方には、歌パートに頼らない今作は微妙かもしれないが、
シンセをバックに、メロウに鳴るギターやたおやかなフルートの音色が心地よく
後の作品「OPEN SKY」あたりにも通じる涼やかな雄大さが楽しめる。
シンフォニック度・・8 壮大度・・8 女性Vo度・・7 総合・・8
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IONA「BEYOND THESE SHORES」
イギリスの女性Voケルトロックバンド、アイオナの3rd。邦題「ブレンダンの航海」1993年作
今やこの手のケルティックなシンフォニックバンドもそこそこの地位を得てきているが、
こうしたサウンドをメジャーに押し上げたのは間違いなくこのバンドの功績だろう。
リーダーであるデイブ・ベインブリッジのメロウなギターに、紅一点、ジョアンヌ・ホッグの艶やかな歌唱は、
バンドの顔であり大きな魅力である。しっとりとした雰囲気に包まれながら、曲のアレンジはとても聴きやすく
シンフォニックロックとしても、ロック寄りのケルトミュージックとしても楽しめる。初めてアイオナを聴く方にもお勧め出来るアルバム。
シンフォニック度・・7 ケルティック度・・8 女性Vo度・・8 総合・・8
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IONA「JOURNEY INTO THE MORN」
スコットランド出身のケルティック・ロックバンド、アイオナの4th。1995年作
トラディショナルなアイリッシュミュージックを、分かり易いロックに仕立て上げたこのバンド。
本作も歌姫、ジョアンヌの清澄な歌唱とともに、バックの演奏もまた絶品で、
アコースティック繊細さにシンセアレンジを取り入れた壮大なシンフォニックサウンドが感動を呼ぶ。
シンフォニック度・・8 ケルティック度・・8 女性Vo度・・8 総合・・8
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IONA「-Live-Heaven's Bright Sun 」
スコットランド出身のケルティック・ロックバンド、アイオナのライブアルバム。1997作
このバンドの素晴らしさについてはいまさら説明するまでもないだろうが、
伝統的なケルトミュージックをバンド仕立てのシンフォニックロックに昇華し、
一般のリスナーにも親しみやすいサウンドを作り上げた彼らの功績は大きい。
さて、この1997年の英国でのライブ演奏であるが、スタジオ盤以上に溌剌としたサウンドが楽しめる。
曲は1stと、この時点での最新アルバム4th「Journey into the Morn」からのものが中心で、
ジョアンヌ・ホッグの伸びやかな美声を中心に、デイブ・ベインブリッジの素晴らしいギターワークが冴える。
バンドの屋台骨を支えるドラムの技量も抜群で、ときおり入るフルートやサックスの音色も美しい。
ケルト音楽好きの方も、女性Vo好きのシンフォニックリスナーにも、ぜひ聴いてもらいたい。
シンフォニック度・・8 ケルティック度・・8 女性Vo度・・8 総合・・8
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IONA WITH THE ALL SOULS ORCHESTRA「WOVEN CORD」
スコットランドのケルティックロックバンド、アイオナのライブ作。1999年作
オーケストラと共演したライブ作品で、壮麗なシンフォニーをバックに歌姫ジョアンヌ・ホッグの美しい歌声を乗せ、
雄大なケルティック・ロックを聴かせる。トロイ・ドノックリーによるイーリアンパイプやホイッスルが鳴り響き、
デイブ・ベインブリッジのギターワークも随所に泣きのフレーズを奏でつつ、ロックとケルトが絶妙に融合した
躍動感あるアンサンブルを描いてゆく。バンドの演奏はときに、HRのリスナーにも楽しめるほどのノリもあって、
これぞ、シンフォニック・ケルトロックの本領が発揮された会心のライブである。素晴らしいのひと言です。
シンフォニック度・・9 ケルティック度・・8 壮大度・・10 総合・・9
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IONA「Open Sky」
スコットランド出身のケルティック・ロックバンド、アイオナの5th。2000年作
ロック寄りのケルトミュージックとしてそのサウンドを確立させつつあったこのバンドが、
さらなる壮大な作風で完成させた傑作アルバム。神秘的なシンセによるイントロからリズムが加わって
ケルティックなバグパイプが鳴り響く、このダイナミックなインスト曲からして素晴らしいのだが、
しっとりとヴァイオリンが鳴り、ジョアンヌ・ホッグの天上の美声が歌いあげる2曲目もまた絶品。
幻想的な美しさとミステリアスなケルトの風が感じられるシンフォニック/プログレ作品というのはなかなかない。
シンフォニックとロック、女性ヴォーカル、そしてケルトミュージックがまさに理想的に融合された傑作だ。
シンフォニック度・・8 ケルティック度・・8 女性Vo度・・8 総合・・8.5
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Iona 「The River Flows」
スコットランド出身のケルティックロックバンド、アイオナの2002年作
1990年のデビュー作、1992年作「The Book of Kells」、1993年作「BEYOND THESE SHORES」
初期3作のリマスターCDに、未発曲を収録した4枚組という豪華ブックレット入りのボックス仕様。
リーダーであるデイブ・ベインブリッジのギターと、紅一点、ジョアンヌ・ホッグの艶やかな歌唱を中心に、
コンテンポラリーなシンフォニックロックと伝統的なケルトミュージックを絶妙に融合させたサウンドは、
涼やかに美しく、そして神秘的である。比較的キャッチーな1stから、2nd「ケルズの書」、3rd「ブレンダンの航海」では
壮大な空気感を増したシンフォニック・ケルトロックが味わえる。未発曲の22分におよぶ組曲も素晴らしい。
アイオナを初めて体験するという方にもうってつけの豪華ボックスである。
ドラマテイック度・・8 ケルティック度・・8 女性Vo度・・8 総合・・8 
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IONA「Live in London」
イギリスのケルティックロックバンド、アイオナのライブアルバム。
2004年ロンドン大学でのステージを収録したCD2枚組みで、同DVDも出ている。
アルバム「OPEN SKY」の冒頭を飾るインスト曲“Woven Cord”で幕を開け、
軽快に駆け抜けるなリズムの上を、バグパイプのメロディが爽快に鳴り響く。
Joanne Hoggの歌声は、温かみのある伸びやかな歌唱で、爽やかな風のように耳に心地よく、
Dave Bainbridgeのメロウなギタープレイに重なる、バグパイプに、ロウ/ティンホイッスル、ブズーキの音色、
そして、タイトで手数の多いドラミングは、バンドとしてのアンサンブルを見事に引き締めている。
幽玄なるケルトの風情と、ロックとしての躍動感を融合させた、このバンドならではの素晴らしいライブ演奏だ。
メロディアス度・・8 ケルティック度・・8 ライブ演奏・・8 総合・・8
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IONA「Live in London」
イギリスのケルティックロックバンド、アイオナのライブDVD。2006年作
2004年ロンドン大学でのステージを2DVDに収録。「OPEN SKY」の冒頭を飾るインスト曲“Woven Cord”で幕を開け
軽快かつデイナミックなリズムの上を、バグパイプのメロディが駆け抜けてゆく爽快なサウンドが広がる。
その後いくつかの新曲や、アルバム「Journy into the Morn」からの曲をメインに進行してゆくが、
見所はバグパイプの他、ロウ/ティンホイッスル、ブズーキなどを弾きこなすTroy Donockleyの存在感や、
Dave Bainbridgeのメロウなギタープレイ、そして、Frank Van Essenの手数の多いドラミングは
バンドとしてのサウンドを見事なまでに引き締めている。シンセを弾き、ときにアコギを片手に歌う
Joanne Hoggは、温かみのある伸びやかな歌唱で、爽やかな風を運んできてくれる。
Disc2はアコースティックステージで、よりしっとりとした深みのある演奏を聴かせてくれる。
ケルトロック好きであれば一見の価値ある見事なライブ作品だ。
メロディアス度・・8 ライブ映像・・8 ライブ演奏・・8 総合・・8
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IONAThe Circling Hour
イギリスのケルティック・シンフォニックロックバンド、アイオナの6th。2006作
バンド作としては「OPEN SKY」以来6年ぶりとなる。前作はどちらかというとインスト重視だったが
今回はヴォーカルと演奏とのバランスがとれた、とても聴きやすい作品となっている。
ジョアンヌ・ホッグの歌唱は、歳月を経てかいっそう大人の落ち着きと調和を感じさせ、
バンドの要であるデイブ・ベインブリッジのギター、そしてキーボードでの活躍ぶりもさすがだが、
ドラマーの腕前もかなりのもので、ロックとしての躍動感とダイナミズムを曲に与えている。
また11分を超える大曲の④のように、ケルトミュージックへの回帰を思わせるナンバーもあり、
バンドとして原点を見直しながら、じっくりと作り上げられたようなアルバムに仕上がっている。
シンフォニック度・・8 ケルティック度・・8 雄大度・・8 総合・・8
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IONA「Another Realm」
イギリスのケルティック・シンフォニックロックバンド、アイオナの7th。2011年作
前作から5年ぶりとなる今作はCD2枚組の大作となった。しっとりとしたジョアンヌ・ホッグの歌声に
雄大なケルティックの風を感じるようなサウンドは、これまで以上に世界観を強めていて、
うっすらとしたシンセをバックに、繊細なギターのつまびきと、ヴァイオリンやパイプの音色が重なり
シンフォニックなケルトロックを描き出す。民族的なフレーズを違和感なくバンドサウンドに取り入れる
コンテンポラリーなセンスはさすがだし、15分を超える大曲などもゆったりと神秘的に聴かせてくれる。
デイブ・ベインブリッジのギターも流麗なフレーズを奏で、ロック的な躍動感をサウンドに付加している。
ベテランならではの自信と確かなアンサンブルが構築する、壮大なダイナミズムにあふれた力作です。
シンフォニック度・・8 ケルティック度・・8 女性Vo度・・8 総合・・8.5
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IONA「Edge of the World」
スコットランド出身のケルティックロックバンド、アイオナのライブ作品。2013年作
1990年のデビューから、これまでにスタジオアルバム7枚を出しているケルティックシンフォの代表格。
本作はイギリスツアーからの音源をCD2枚に収録している。2011年作「Another Realm」からの曲を中心に、
これまでアルバムからの曲もたっぷり演奏。紅一点、ジョアンヌ・ホッグのしっとりと美しい歌声と、
デイブ・ベインブリッジのメロウなギターワークに、バグパイプやホイッスルの音色がかぶさる、
繊細にして叙情的なサウンドが楽しめる。ドラムを含めたリズム面の演奏力もしっかりとしていて、
インストにおける軽妙なアンサンブルもこのバンドの持ち味だろう。素晴らしい歌と演奏にうっとりのライブ傑作。
ドラマティック度・・8 ケルティック度・・8 ライブ演奏・・8 総合・・8
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VA/SONGS FOR LUCA
IONAのリーダーでDave Bainbridgeの自閉症の息子、ルカ少年のためのチャリティーアルバム
楽曲提供はIONAをはじめ、メンバーであるDave BainbridgeJoanne HoggTroy Donockley
さらにはKarnatakaRick WakemanGentle GiantThe Flower Kingsなども参加。
しっとりとした女性ヴォーカルの歌声に、シンフォニックなケルトアレンジ、
アコースティック曲や、プログレ風味の曲まで、オムニバスながらも内容は濃い。
シンフォニック度・・8 ケルティック度・・8 豪華ゲスト度・・9 総合・・8
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VA/SONGS FOR LUCA 2
IONAのリーダーでDave Bainbridgeの自閉症の息子、ルカ少年のためのチャリティーアルバムの2作目。
IONAをはじめMOSTLY AUTUMNや、KARNATAKAなどのメンバーに加え日本のKENSOも参加。
ジョアンヌ・ホッグの歌うシンフォニックなケルト曲にはロイネ・ストルトも参加していたりと、
豪華なコラボを聴かせつつ、アコースティカルなラテンタッチのナンバーや、
アイリッシュ色の強いものまで、提供曲はCD2枚にわたってバラエティに富んでいる。
ベインブリッジのギターワークが素晴らしいIONAのリミックス曲など、
ここでしか聴けない音源が大半なので、ケルトロック好きの方なら聴く価値は大いにあり。
シンフォニック度・・8 ケルティック度・・8 豪華ゲスト度・・9 総合・・8
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IRENE PAPAS・VANGELIS「ODES」
ギリシャの女性歌手、イレーネ・パパスヴァンゲリスによるコラボレート作。1979作
土着的な古代ギリシャの香りと、シンセによるモダンなシンフォニック性が合わさり、
母性的なパパスの歌声とともに神秘的な味わいのサウンドを描き出している。
静謐感漂う中に響きわたる歌声は、素朴な大地の香りと神々しい純粋さを感じさせ、
悠久のときの中に浮かぶギリシャという国の空気をそのまま運んでくるようだ。
シンフォニック度・・7 雄大度・・9 女性Vo度・・8 総合・・8
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IRENE PAPAS・VANGELIS「Rapsodies」
ギリシャの女性歌手、イレーネ・パパスヴァンゲリスによるコラボレート作。1986作
前作「ODES」に比べると、パパスによるヴォーカルパートが少なくなり、
その分ヴァンゲリスによるシンセの多重録音のシンフォニック性が増している。
古代ギリシャを思わせる雄大な世界観をイメージさせる作風で
単なるトラッドともシンセミュージックとも異なる神秘的なアルバムだ。
ラストの10分を超える大曲は、パパスの語りのような声も艶めかしい。
シンフォニック度・・8 雄大度・・9 女性Vo度・・7 総合・・7.5
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IREN REPPEN「Nattas Prinsesse」
ノルウェーの女性Vo、イレン・レッペンの2000年作
母国語によるしっとりとした彼女の歌声に、エレクトロなアレンジを取り入れたモダンな作風ながら、
北欧らしいほの暗い情緒を感じさせる聴き心地。囁きのような歌声は、崇高な静謐感もかもし出していて
涼やかで幻想的なイメージに包まれている。随所にはアコースティカルな感触も残しているので、
エレクトロなポップさよりも、むしろアンニュイな歌声をメインにしてうっとりと聴き入れます。
メロディック度・・7 エレクトロ度・・8 女性Vo度・・8 総合・・7.5
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iRidio 「Waves of Life」
イタリアのトラッドロック、イリディオの2004年作
美麗なシンセアレンジに女性ヴォーカルの美しい歌声を乗せた、コンテンポラリーなトラッドポップ。
アコースティックギターに、打ち込み風のパーカッションのリズムなど、モダンなアレンジを適度に融合させた作風で、
歌詞は英語なのでイタリアらしさというのはあまりないのだが、ときおりプログレ寄りのシンセなどを含んだ聴き心地。
なんとなくDELERIUM をケルト寄りにしたというような感触もあって、わりと一般のリスナーにも楽しめそうな作品ですが、
反面、コアなトラッドリスナーには物足りなさも。ヴァイオリンやハープ、ホイッスルによるナンバーなどはよい感じです。
ドラマティック度・・7 ケルティック度・・7 女性Vo度・・7 総合・・7
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iRidio 「Endless Way」
イタリアのトラッドロック、イリディオの2007年作
女性Voとシンセ奏者によるユニットで、クラシカルなピアノと美しいシンセアレンジに、
やわらかなフルートに、マンドリン、ときにヴァイオリンも加わった優雅なサウンド。
英語による女性ヴォーカルの美しい歌声を乗せて、しっとりと優美に聴かせつつ、
ケルティックなメロディを乗せた素朴な味わいと、コンテンポラリーなコンパクト性が合わさって、
プログレ/シンフォニックロックのリスナーにも楽しめるような幻想性も覗かせる。
打ち込みリズムによるDELERIUM 風のナンバーは個人的にはなくてもいいかな。
ドラマティック度・・7 ケルティック度・・8 女性Vo度・・8 総合・・7.5
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iRtio「Mar De Pedra」
スペインのトラッドバンド、イルティオの2002作
やわらかなアコーディオンの音色にヴァイオリン、パイプ、フルートなどが絡み、
女性ヴォーカルが歌を乗せる、爽やかなサウンド。ケルティックな味わいの中に
ほのぼのとした温かみが感じられるのが、やはりガリシア地方のバンドらしい。
ピアノやクラリネットなどの入れ方はどこかクラシカルだし、
ロック的なドラムも入っているのでプログレファンにも充分楽しめる。
メロディアス度・・8 ケルティック度・・8 トラッ度・・8 総合・・8
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Isabelle Boulay 「Nos Lendemains」
カナダの女性シンガー、イザベル・ブーレイの2008年作
ケベック州のアーティストで、アコースティックギター、ピアノなどのシンプルなアレンジに、
フランス語による艶めいた彼女の歌声を乗せた、シャンソン的な味わいのサウンド。
古き良きポップロックの空気感と、しっとりとした大人の雰囲気に包まれた聴き心地で、
派手さや新鮮さはないものの、アダルトな歌声とともに、どこかなつかしいような安心感が魅力。
楽曲も3分前後のゆったりとしたバラードナンバーが中心で、フランス語の優雅な響きが
疲れた耳にも優しく響く。大人歌声が楽しめる、フレンチな味わいの女性シンガー作品です。
メロディック度・・7 ゆったり安心度・・8 女性Vo度・・8 総合・・7.5
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ISAMBARDE 「TELLING TALES」
イギリスのフォークバンド、イサンバルデの2010年作
女性フィドル、女性オーボエ&Voを含む4人編成で、アコースティックギターやマンドリンのつまびきに、
艶やかなフィドルの音色が重なり、男女ヴォーカルの歌声とともに牧歌的な英国フォークを聴かせる。
初期のFairport ConventionSTEELEYE SPANなど、70年代英国ルーツの空気感を継承する作風で、
やわらかなオーボエやリコーダーの音色など、優雅な土着性に包まれた聴き心地で楽しめる。
伝統的なトラッドをアレンジした素朴な味わいで、古き良き英国フォークを甦らせる好作品です。
アコースティック度・・9 素朴で優雅度・・9 英国度・・9 総合・・7.5
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Islaja 「Meritie」
フィンランドのフリーフォーク系アーティスト、イスラヤの2004年作
二本のアコースティックギターに、即興的な女性ヴォーカルを絡ませた浮遊感のあるサウンドで、
ノイズ混じりの宅録のようなチープな感触も含めて、いかにもマイナーな自主制作感に包まれている。
スキャット的な女性声が重なり、ときにフィドルが適当に鳴り響いたり、曲なのか即興なのかよく分からない、
サイケ的でもあるアヴァンギャルド性と妖しげな土着感は、ときに魔女めいていて呪術的ですらある。
単に北欧アシッド・フォークという以上にミステリアスな空気感で、ある意味とても怖くて楽しめます。
アコースティック度・・8 アヴァンギャル度・・8 妖しげ度・・9 総合・・7.5
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IZZY'S DAUGHTER 「Autumn Flowers」
イギリスのネオフォーク、イジーズ・ドウターの2013年作
アコースティックギターのつまびきに、しっとりとした女性ヴォーカルの歌声、
うっすらとしたシンセに物悲しいチェロの音色も加わったゴシック寄りのネオフォーク。
翳りを帯びた倦怠感は、All About Eveなどにも通じる世界観で、そのたゆたうような歌声は、
ジュリアンヌ・リーガンとケイト・ブッシユを合わせたような雰囲気。楽曲は3分前後で、わりとあっさりしているのだが、
少ない音数で幻想的な世界を描くセンスという点では、今後に期待したいアーティストである。
幻想度・・8 ゴシックフォーク度・・7 女性Vo度・・8 総合・・7.5
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JAR 「Zimowe Stanieslonca」
ポーランドのフォークユニット、JARの2012年作
ペイガンメタルバンド、SLAVLANDのメンバーによるプロジェクトで、
朗々とした男性ヴォーカルの歌声と、アコースティカルな牧歌性で聴かせる
辺境的なトラッド/フォークサウンド。メタル色は一切なく、パーカッションやパイプ、
ホイッスルの音色が響きわたる、スラブ民族的な土着的な神秘性も含んだ聴き心地だ。
マンドリンの素朴なつまびきと母国語による歌声が、異国的な郷愁をただよわせる。
神秘的度・・8 アコースティック度・・9 フォーク度・・9 総合・・7.5



Jennie Avila & Amy Torchia「Change is」
ジェニー・アヴィラアミイ・トーチアという女性二人によるフォークデュオの1993作
ジャケに惹かれてなんとなく買ってみたのだが、これが絶品の女性Voもの
アコースティックギターに乗るキュートな女性声の出だしだけでもうノックアウト。
演奏の方は音数は控えめで、アコギやマンドリン、フルート、ヴァイオリンなどが
うるさすぎない程度に重なり、しっとりとしたゆるやかなサウンドを形作り、
その上に二人の女性のヴォーカルのハーモニーがやわらかにまじわる。
繊細な演奏と歌声は、まるでヨーロッパの庭園でくつろいでいるような優しく優雅な気持ちになれる。
アコースティカル度・・8 繊細度・・9 女性Vo度・・9 総合・・8

Jennie Avila & Amy Torchia「Life Becomes Her」
ジェニー・アヴィラとアミイ・トーチアという女性二人によるフォークデュオの1996年作
アコースティックギターのつまびきに、 二人の女性ヴォーカルのハーモニーが爽やかに響いてゆく。
英国フォーク的な牧歌的な素朴さが耳に優しく、随所にチェロやヴァイオリンなどのストリングスも美しい。
自主制作ながらもクオリティは高く、女性声フォークファンは聴いて損のない作品だ。オフィシャルサイトで試聴可能
アコースティカル度・・8 フォーク度・・8 女性Vo度・・8 総合・・7.5


Jenny Hval「Viscera」
ノルウェーの女性SSW、ジェニー・ヒヴァルの2011年作
静謐感に包まれたミステリアスな空気のなかを、しっとりとした女性ヴォーカルの歌声が響く、
じつに北欧らしい寒々としたサウンド。ときにフォークやトラッド風味も取り入れつつ
繊細なはかなさを感じさせながら、アーティスティックな感性で描かれる独特の世界観は
プログレリスナーにも充分アピールするだろう。神秘的な浮遊感にアンニュイな寂寥感、
エキセントリックなセンスが巧みに合わさった、静かなる北欧アンビエントの傑作。
ところでこの方、ゴシックメタルバンド、Shellyz Ravenのヴォーカルさんだったのですね!
アーティスティック度・・9 北欧度・・8 女性Vo度・・8 総合・・8
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Jenny Hval「Apocalypse, Girl」
ノルウェーの女性SSW、ジェニー・ヒヴァルの2015年作
2011年作の出来が素晴らしかったので期待したが、本作はジャケの感じからしてサイケな雰囲気。
なにやら妖しい語りによるイントロから始まり、少女めいた囁きのようなキュートな歌声を乗せ、
浮遊感のあるシンセアレンジと、エキセントリックな空気感に包まれたサウンドを展開。
向こう側に倦怠の闇を匂わせる、危うくけだるげな狂気が、スリリングに漂ってくるような、
いわば、ケイト・ブッシュを暗黒寄りに包み込んだというような、アーティスティックなセンスが素晴らしい。
ラストの10分におよアヴァンギャルドなナンバーまで、単なる女性声サイケポップの域を超えた異色作。
ドラマティック度・・8 倦怠の狂気度・・9 女性Vo度・・9 総合・・8.5
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Joanna Newsom 「The Milk-Eyed Mender」
アメリカの女性SSW、ジョアンナ・ニューサムの2004年作
やわらかなハープのつまびきに、いくぶん舌足らずの少女めいた歌声を乗せた作風で、
幻想的な力作である次作「Ys」に比べると、とてもシンプルな聴き心地である。
随所にベースやピアノなどは入ってくるが、基本はグランドハープの弾き語りなので、
素朴すぎるほどに素朴なサウンドに、人によっては退屈を覚えるかもしれない。
エキセントリックな魔女性の萌芽のようなものは感じ取れるが、それ以上でもない。
ドラマティック度・・6 ハープ度・・8 女性Vo度・・7 総合・・7
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Joanna Newsom 「Ys」
アメリカの女性SSW、ジョアンナ・ニューサムの2006年作
ハープの弾き語りシンガーとして脚光を集めるアーティストで本作は幻の都市Ysをテーマにした作品。
やわらかなグランドハープのつまびきとオーケストラによるアレンジを含んだサウンドで、
どこか魔女めいた彼女の歌声が幻想的に響いてゆく。10分前後の大曲を中心に、
英国フォークルーツの素朴な牧歌性を神秘的に解釈したという世界観が魅力的だ。
ジョアンナの歌声は、ときにかつてのケイト・ブッシュのようなエキセントリックな表情も見せる。
単なる女性SSWという以上のアーティスティックな側面を感じさせる傑作です。
アコースティック度・・8 幻想度・・・8 女性Vo度・・8 総合・・8
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JOANNE「LOOKING INTO LIGHT」
ケルティックロックバンド、IONAの歌姫、ジョアンヌホッグのソロ。1999年作
基本路線はアイオナと同様、静謐なケルト色溢れるトラッドを軸に、シンセ、弦楽などによるシンフォニック性を付加したもの。
ジョアンヌの絶品の歌声が全篇に渡って楽しめるという点では、非常に嬉しい作品である。
この、のびやかで美しく、素直で清浄、そして魂の深遠さえも覗かせる雄大な音楽を、
なんと賛辞すればいいのか知らない。現在は「Celtic Hymns」というタイトルで再発されている。
メロディアス度・・9 ケルト度・・9 雄大深遠度・・10 総合・・9
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Joanne Hogg 「Uncountable Stars」
スコットランドのケルティックロックバンド、IONAのシンガー、ジョアンヌ・ホッグのソロ。2013年作
1999年のソロ作「LOOKING INTO LIGHT」はたとえようもないほど美しい傑作であったが、
本作はもっとキャッチーなポップロック寄りのスタイルの作品となっている。
ピアノやシンセ。ときにヴァイオリンなども入った美しいアレンジであるが、
IONAに比べるとケルト色は薄く、楽曲は3、4分台と比較的シンプルな聴き心地。
いくぶん物足りなさはあるものの、ジョアンヌの美しい歌声をたっぷり楽しめる好作ではあります。
叙情度・・8 ケルティック度・・5 女性Vo度・・8 総合・・8
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Joanne Hogg & Frank Van Essen 「Raphael's Journey」
IONAのジョアンヌ・ホッグとフランク・ヴァン・エッセンのユニット作。2010年作
アコースティックギターに牧歌的なホイッスルの音色、しっとりと美しい女性ヴォーカルを乗せた、
優美なサウンドで、デイブ・ベインブリッジやトロイ・ドノックリーなど、IONA関連のメンバーも参加。
ドラムにギター、うっすらとしたシンセアレンジも加えた、シンフォニックロック風のアレンジから、
クラシカルなピアノとヴァイオリンをバックに、繊細な歌声で聴かせるナンバーなども耳心地よい。
IONAファンなら押さえておきたい逸品だ。CLANNADのモイヤ・ブレナンが数曲で参加している。
シンフォニック度・・7 しっとり優美度・・9 女性Vo度・・9 総合・・8
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Jorane
カナダの女性シンガー/チェロ奏者、ジョラーヌの2003年作
フランス語圏であるケベック州の出身の彼女の描く音には、ヨーロピアンな翳りと湿りけがあり、
ほの暗いチェロの響きに、スキャット的なヴォイスによるシンプルなサウンドながら、
幽玄で神秘的なものを聴き手に感じさせる。既存の歌や楽曲という構築された音楽ではなく、
あくまで情感やイメージを音にしているというような響きに、ゆったりと心が落ち着いてくる。
メロディアス度・・7 幽玄なチェロ度・・8 神秘的な女性スキャット度・・8 総合・・7.5
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Jorane「The You and the Now」
カナダの女性シンガー/チェロ奏者、ジョラーヌの2005年作
今作は英語歌詞によるアルバムで、前作よりも歌というものをメインにした作風。
チェロによるもの悲しい叙情に、しっとりとした歌声とともにメロディを感じさせる楽曲は
今作ではいくぶんモダンになった印象で、ジャズタッチの大人の優雅さもあったり
シンセアレンジなども加わっていて、一般のリスナーにはとっつきがよくなったかもしれない。
もちろんヨーロピアンな翳りを感じさせる神秘的な雰囲気もしっかり残っている。
メロディアス度・・7 幽玄なチェロ度・・8 女性Vo度・・8 総合・・7.5
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Jorane「Vers a Soi」
カナダの女性シンガー/チェロ奏者、ジョラーヌの2007年作
以前のチェロの弾き語りの路線から、本作では中近東的な雰囲気も取り入れ、
フランス語の歌声とともに聴かせる、トラッド寄りのシリアスな音になっている。
パーカッションのリズムをバックに重々しくチェロを鳴り響かせつつ、表現力を増した歌唱で
随所に芸術的な感性性もかいま見せるそのサウンドは、よりプログレリスナー向けか。
ロックやジャズ的なアレンジも含めて楽曲構成も繊細で、静謐感と空間美、緊張感を表現している。
メロディアス度・・7 幽玄なチェロ度・・7 シリアスな空間美度・・9 総合・・8
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Joran Elane 「Glenvore」
ドイツの女性シンガー、ヨラン・エラーネの2014年作
ゴシックフォーク系のバンド、Elaneとしても活動するシンガーで、本作はうっすらとしたシンセに、
やわらかなフルート、ホイッスル、素朴なブズーキの音色、そして美しい女性ヴォーカルを乗せた、
幻想的な世界観のネオフォークサウンドを聴かせる。シンフォニックなアレンジに包まれながら、、
トラッド的な要素もしっかりと含ませて、中世を思わせるファンタジックな空気感にうっとりとなる。
チェロにヴァイオリンも加わったクラシカルな優雅さもあって、全体的にも壮麗な空気感が強いので、
ゴシック・フォーク的にも楽しめる。シンフォニックな幻想系ネオフォークの好作品です。
シンフォニック度・・8 幻想フォーク度・・8 女性Vo度・・8 総合・・8
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JUDIE TZUKE「WELCOME TO THE CRUISE & SPORTSCAR」
イギリスの女性シンガー、ジュディ・ツークの1st、2ndのカップリングアルバム。1979/1980作
基本的にはブリティッシュポップスにカテゴライズされるシンガーだが、1stに参加のメンバーは、
レイ・ラッセル(G)、モ・フォスター(B)、ピーター・ヴァンフック(Dr)という名うてのメンバーたちで、
ゲストにはサイモン・フィリップスなども名を連ねる。キャッチーなメロディを歌い上げるジュディの美声に、
バックの演奏陣もさすがにタイト。曲によってはオーケストラ入りで盛り上がるので、やはり1stはプログレファン向けか。
ややポップになった2ndもこれはこれで悪くない。女性Vo好きのブリティッシュロックファンに。
メロディアス度・・8 ポップ度・・8 女性Vo度・・8 総合・・7.5
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Judie Tzuke 「The Cat Is Out」
英国の女性シンガー、ジュディ・ツークの1984年作
1979年デビューで本作が4作目。透き通った彼女の歌声を中心に
80年代らしいポップなビート感覚と、メロウなギターとシンセアレンジで
英国的な叙情を含んだポップロックが楽しめる好作品。
彼女の詳しいディスコグラフィーはオフィシャルサイトを参照。
メロディアス度・・8 ポップロック度・・8 女性Vo度・・8 総合・・7.5
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JUDIE TZUKEWonderland
英国の女性シンガー、ジュディ・ツークの1992作
1st「Welcome to the Cruise」はプログレファンにも受けがよいブリティッシュポップ作であったが、
これは9作目くらいで、初期に比べるとモダンさの増したポップサウンドになっている。
しかしジュディのヴォーカルに関しては、艶めいた表現力を増しており、
エレキギターやシンセを使ったハードポップ風の曲では、じつにその歌声がマッチしている。
しっとりとしたバラード曲も美しい。ゲストにブライアン・メイ(QUEEN)が1曲参加。
ケイト・ブッシュやジュリアンヌ・リーガンとはまた違った、英国らしさを感じさせるヴォーカリストだ。
メロディアス度・・8 ポップロック度・・8 女性Vo度・・8 総合・・7.5
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Judie Tzuke「Moon on a Mirror Ball」
イギリスの女性シンガー、ジュディ・ツークのデビュー30周年を記念した2枚組ベスト。2010年作
デビュー作を含めた12枚のアルバムからの楽曲に、4曲の新録と2曲の再録を加えたCD2枚組作品。
ピアノやシンセによるしっとりとした楽曲に、どこか母性的な彼女の歌声がやわらかく響く。
英国フォークルーツの素朴な叙情曲から、ポップ、ロック寄りの曲まで、年代ごとの方向性に違いはあるが、
たとえば、All About Eveなどと同様に、80年代イギリスの香りを漂わせた空気感が満喫できる。
ジュディ・ツークをまだ知らないリスナーの入り口としてもよい内容です。全33曲。
メロディック度・・8 英国度・・9 女性Vo度・・8 総合・・8
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JUDY DYBLE 「Enchanted Garden」
英国のフォークシンガー、ジュディ・ダイブルの2004年作
Fairport Conventionのオリジナルシンガーである彼女の、じつに34年ぶりとなる復活作。
ファンタジックなジャケのイメージ通り、幻想的な味わいのアシッド・フォークロックで、
アコースティックギターにうっすらとしたシンセが重なり、ゆるやかなサイケ的でもある浮遊感とともに、
かつてと変わらぬジュディの伸びやかな歌声が楽しめる。フルート、サックスなども加えた英国らしい牧歌性に
エレキギターも使ったロック色はSPRIGUNSなどにも通じる感触ながら、曲によってはニューエイジ風味の
モダンなアレンジも取り入れていて、ゆったりとした女性声アンビエント的にも味わえる。
ドラマティック度・・7 英国度・・8 女性Vo度・・8 総合・・7.5
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「Spindle」
Fairport Conventionのオリジナルシンガーである、ジュディ・ダイブルの2006年作
Fairport Convention脱退後はTrader Horneに参加、その後30余年をへてソロで復活、
本作は復活2作目で、KING CRIMSONのロバート・フリップなども参加している。
シーケンサーなども使ったデジタリイでモダンなアレンジに、浮遊感のある女性ヴォーカル、
艶やかなストリングスなどを含めて、たんなるフォークではない厚みのあるサウンドである。
随所に70年代風味の英国ロック/フォーク色も感じさせ、プログレリスナーにも楽しめると思う。
英国度・・8 プログレ度・・7 女性Vo度・・8 総合・・7.5
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Judy Dyble 「Talking with Strangers」
英国のフォークシンガー、ジュディ・ダイブルの2009年作
Fairport Conventionのオリジナルシンガーである彼女が、本作はNO-MANのTim Bownessとコンビを組み、
ロバート・フリップ、パット・マステロト、イアン・マクドナルドのKING CRIMSON組に、
FAIRPORT CONVENTION
のサイモン・ニコル、PENTANGLEのジャッキー・マクシー、
ALL ABOUT EVEのジュリアンヌ・リーガン、TREESのセリア・ハンフィリスらをゲストに迎え、
より70年代英国の世界に回帰したような、幻想的なアシッド・フォークを聴かせる。
ゆるやかに響くフルートの調べに、しっとりとしたシンセ、ときにメロトロンなども使いながら
KING CRIMSONの叙情部を思わせる美しさと、儚く夢見ごちの歌声でやわらかなサウンドを描いてゆく。
ラストにいたっては19分の大曲で、サックスも含んで変拍子アレンジのクリムゾン的なプログレ曲が炸裂。
英国度・・8 プログレ度・・8 女性Vo度・・8 総合・・8.5
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JUDY DYBLE 「Flow and Change」
英国のフォークシンガー、ジュディ・ダイブルの2013年作
Fairport Conventionのオリジナルシンガーとしても知られる、英国フォーク界伝説の女性シンガー。
本作はTHE CURATORのAlistair Murphyとコンビを組み、よりシンフォニックロック色が強まったサウンドを聴かせる。
ジュリアンヌ・リーガン、パット・マステロット、マーク・フレッチャー、ジェレミー・サルモンといった顔ぶれが参加し、
英国らしい湿り気を感じさせるジュディの歌声と、優美なピアノやシンセ、ストリングスも入ったアレンジで、
トラッドベースの素朴さを現代風味に巧みに構築している。クラシカルな優雅さとブリティッシュフォークの融合というべきか、
前作のプログレ路線に比べるとゆったりとした優美な雰囲気が強まっていて、ラストの11分の大曲までしっとりと味わえる。
クラシカル度・・8 優雅度・・9 女性Vo度・・8 総合・・8
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JUDY DYBLE 「EARTH IS SLEEPING」
英国のフォークシンガー、ジュディ・ダイブルの2018年作
Fairport Conventionのオリジナルシンガーとしても知られる、英国フォーク界伝説の女性シンガーのソロ。
前作に続きTHE CURATORのアリスター・マーフィがプロデュース、パット・マステロット、マーク・フレッチャー、ジェレミー・サルモンなど、
多くのメンバーが参加している。アコースティックギターのつまびきに、しっとりとした歌声を乗せた叙情ナンバーで幕を開け、
ドラムにエレキギター、シンセも加えた、どこかなつかしい70年代風のキャッチーなナンバーでは、あの頃の英国の香りが蘇るかのよう。
ヴァイオリンやチェロなどのストリングスを加えた優美なアレンジに、年を経ても魅力的なジュディの優しい歌声にウットリとなる。
フルートやシンセが入ると、KING CRIMSONの1stにも通じる幻想的な翳りに包まれる。これぞ英国の空気。繊細にして優美な傑作だ。
繊細で優美度・・9 英国度・・9 女性Vo度・・9 総合・・8.5 
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JUDY DYBLE 「Weavings Of A Silver Magic」
イギリスの女性シンガー、ジュディ・ダイブルのライブ。2020年作
Fairport Conventionのオリジナルシンガーで英国フォーク界を代表するシンガー、本作は2016年の英国でのライブを収録。
THE CURATORのアリスター・マーフィに、マーク・フレッチャー、ジェレミー・サルモンといったメンバーが参加し、
優美なシンセやストリングス隊をバックに、しっとりと優しいジュディの美声が響き渡る。艶やかなヴァイオリンの音色に、
クラシカルなピアノを重ねた優雅なナンバーも耳心地よく、2013年作「Flow And Change」からの楽曲を主体に、
2018年作「Earth Is Sleeping」からのナンバーや、ラストはKING CRIMSON「風に語りて」も披露。
年を経ても変わらぬその歌声にウットリと浸れる。2020年にこの世を去った彼女の、最後のライブ音源である。
優雅度・9 プログレ度・7 女性Vo度・9 総合・8 
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JUDY DYBLE & ANDY LEWIS 「Summer Dancing」
英国の女性シンガー、ジュディ・ダイブルとSSWのアンディ・レヴィスのユニット。2017年作
初期FAIRPORT CONVENTIONTRADER HORNなどに参加した女性シンガーで、
本作はアコースティックギターにシンセアレンジ、ベース、ドラムを加えた叙情的なフォークロック。
ジュディのやわらかな歌声の魅力は歳を経ても健在で、英国らしい牧歌的な空気感と
ユルめのサイケ感触も含んだサウンドによくマッチしている。楽曲は2~3分前後が主体で
シンプルな聴き心地であるが、60~70年代を思わせるおおらかな雰囲気にのんびりと浸れる。
どこかくぐもったような音質もよい感じで、優雅なピアノやメロトロンのようなシンセも加わって、
プログレファンもにんまりだ。ジュディの魅力が存分に活かされたアシッド・フォークの傑作です。
古き良きフォークロック度・・9 英国度・・9 女性Vo度・・8 総合・・8
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Julia Leon 「Romances
スペインの女性シンガー、ジュリア・レオンの1992年作
アコースティックギターのつまびきに、スペイン語による女性ヴォーカルの歌声、
やわらかなフルートの音色も含んだ、ゆったりとした牧歌的なアコースティックサウンド。
中世を感じさせる古楽的な優雅さと、幻想的な牧歌性に包まれた聴き心地で、
オールドなフォークファンからネオフォーク系のリスナーまで楽しめる作品です。
アコースティカル度・・8 しっとり繊細度・・9 女性Vo度・・8 総合・・7.5


juliane werding「Die Grossen Erfolge Juliane Werding」
ドイツの女性シンガー、ジュリアン・ウェディングのアルバム。
70年代から活動するベテラン歌手で、これはおそらく比較的初期の作品だろう。
美しいストリングスをバックに、ドイツ語による清涼な歌声が美しく響きわたる。
90年代の作品は洗練されたポップさがあったが、ここで聴けるのはまだ牧歌的で
カントリー調のアコースティカルなサウンドだ。ジャケの写真を見比べれば分かるが
後の彼女のイメージとはえらく違う、まだ田舎娘臭い素朴さが魅力である。
メロディアス度・・7 カントリー度・・8 女性Vo度・・8 総合・・7.5
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juliane werding「Du Schaffst Es」
ドイツの女性シンガー、ジュリアン・ウェルディングの1994作
ドイツ語による美しいヴォーカルで聴かせるメロディアスなサウンドで、
メジャーなキャッチーさの中に、ポップすぎないしっとりとした叙情が素晴らしい。
ストリングスのアレンジをバックに、ドイツ語のによる絶品の歌唱が映える。
またアコースティカルな素朴さもあって、ジャケのイメージよりも清楚な美しさがある。
メロディアス度・・8 ポップ度・・7 女性Vo度・・9 総合・・8
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juliane werding「Alles Ok」
ドイツの女性シンガー、ジュリアン・ウェルディングの1995作
前作同様のポップな路線であるが、曲には古き良きアコースティカルな叙情もあって、
モダンすぎないところに好感がもてる。ドイツ語による歌声の響きは美しく、
ベテラン歌手らしい繊細な表現力がまた素晴らしい。ポップでありながら素朴な好作。
メロディアス度・・8 ポップ度・・8 女性Vo度・・9 総合・・8
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Juliane Werding 「Sehnsucher」
ドイツの女性シンガー、ジュリアン・ウェルディングの2006年作
70年代から活動するベテランで、ドイツ語による味わい深い彼女の歌声を中心に、
キャッチーながらも湿り気を含んだ叙情も感じさせるポップロックサウンド。
シンセによる美しいアレンジと、ギターの入ったロック色が上手く融合していて、
ポップ過ぎない聴き心地は、ヨーロピアンロック好きのリスナーにも受け入れられる。
メロディック度・・8 叙情度・・8 女性Vo度・・8 総合・・8
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Julieta Venegas 「Aqui」
メキシコ出身のシンガー、ジュリエッタ・ヴェネガスの1997年作
ビートポップなリズムにアコーディオンの音色と、スペイン語による女性ヴォーカルを乗せ
土着的な素朴さとモダンなアレンジが融合された、トラッドポップというようなサウンド。
ボサノバ調のラテンなナンバーから、ピアノにクラリネット、チェロも加えたチェンバーロック的な感触など、
わりとプログレリスナー寄りの要素も覗かせ、単なる女性Voものという以上に楽しめる。
ジュリエッタ嬢の歌声は中音域で、とても美しいわけではないが、スパニッシュな情感を描く
表現力はなかなか魅力的。絶妙のアレンジセンスが光るトラッドポップの好作品だ。
メロディック度・・8 トラッドポップ度・・8 女性Vo度・・8 総合・・8
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Kajaste 「Auringon alla」
フィンランドのフォークロックバンド、カイアステの2009年作
しっとりとしたピアノの音色にアコースティックギター、チェロなどが重なり、
フィンランド語の女性ヴォーカルの歌声で優しく聴かせるサウンド。
アコースティック主体ながらも、ドラムやギターが入るとロック色もあるので
軽やかな耳心地で楽しめる。女性声フィンランドポップというような好作です。
メロディアス度・・8 アコースティカル度・・8 女性Vo度・・8 総合・・8
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Kalabra「Folka」
スウェーデンのトラッドバンド、カラブラの2000年作
パーカッションのリズムの上に伸びやかな女性ヴォーカルの母国語の歌声と
エレキギターにユニゾンするニッケルハルパの響きが重なり、
曲によってはドラムも入ってきて、フォークロック的な躍動感がある。
部分的にはKEBNEKAJSEなどを思わせる質感もあり、プログレファンにも楽しめるだろう。
ブズーキやニッケルハルパの素朴な音色と、コンテンポラリーなアレンジセンスが
よいコントラストになっていて、伝統的でありながら現代的な聴き心地があるのが素晴らしい。
アコースティカル度・・7 北欧トラッ度・・8 女性Vo度・・8 総合・・8
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Karen + Helene「Solen」
デンマークのシンガー、Karen MoseHelene Blumによるユニットの2003年作
しっとりとしたピアノのつまびきに、女性ヴォーカルの母国語の歌声がやわらかにかぶさる。
二人のヴォーカルの声の重なりと、フィドルやビオラなどが奏でる旋律で、
音数はシンプルながら、優しく爽やかな叙情を表現している。
ピアノはむしろジャズタッチなこともあって、土着的すぎない優雅な聴き心地だ。
アコースティカル度・・9 北欧トラッ度・・7 女性Vo度・・8 総合・・8
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Kari Rueslatten 「Spindelsinn
ノルウェーの女性シンガー、カーリ・ルースラッテンの1997年作
ゴシックメタルバンドThe 3rd and The Mortalの初代ヴォーカルでもある彼女だが、
ここで聴けるのはメタル色はなく、しっとりと美しい彼女の歌声を中心にした、
北欧的なトラッドメロディをまじえたサウンド。シンセの入ったモダンなアレンジもあり、
浮遊感を含めたポップな感触と涼やかな土着性が融合されたスタイルだ。
メタルリスナーよりも、プログレーやラジカルトラッドリスナー向けの作品である。
アコースティカル度・・7 北欧度・・8 女性Vo度・・8 総合・・7.5
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KARI RUESLATTEN 「Time to Tell」
ノルウェーの女性シンガー、カリ・ルースラッテンの2014年作
The 3rd and The Mortalのシンガーとしても知られる彼女だが、ソロ転向後は
しっとりとしたアンビエントな作品を作っている。本作もたおやかなピアノの音色をバックに
彼女の美声が優しく響くイントロ曲から、アコースティックギターにドラムが加わり、
北欧のトラッド的な旋律と、涼やかな叙情を含んだサウンドが広がってゆく。
The 3rd and The Mortalの“Why So Lonely”のセルフカヴァーも実に美しい。
メタル要素は皆無だが、素朴で清涼な北の空気を感じさせる好作品だ。
ドラマティック度・・7 北欧度・・8 女性Vo度・・8 総合・・8
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Kari Rueslatten 「To the North」
ノルウェーの女性シンガー、カリ・ルースラッテンの2015年作
The 3rd and The Mortalのシンガーとしても知られる彼女だが、ソロ転向後はメタル色のない
北欧トラッドに根差したアンビエントな作風で活動している。本作も美しいシンセにしっとりとした歌声で、
素朴でアコースティカルなサウンドを聴かせる。彼女の美声を引き立てる優しい味わいと
北欧らしい涼やかな叙情が耳心地よい。随所にドラムやギターも加わった、フォークロック風味もあり、
ゆったりとしたキャッチーなメロディの中に、いくぶん北欧トラッド的な感触も覗かせる。
あえてアナログ的な録音を意識したのか、ぼやけた感じの音作りもドリーミーでよいですな。
女性ヴォーカルをメインにした、繊細な北欧ネオフォークというふうにも楽しめる好作品。
ドラマティック度・・7 メタル度・・1 女性Vo度・・8 総合・・7.5
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Kari Rueslatten 「Silence Is The Only Sound」
ノルウェーの女性シンガー、カリ・ルースラッテンの2017年作
The 3rd and The Mortalのシンガーで、ソロ転向後はアンビエントなトラッド作品を作っている。
本作も、伸びやかな彼女の歌声をメインにしたしっとりとしたトラッドやケルトサウンドに、
エレキギターにシンセ、ドラムも加えたほどよいロック感触とともに、涼やかな空気を描き出す。
これまでの作品以上に彼女の美声が際立つ楽曲は、優美でいてほどよくキャッチーな聴き心地。
土着的なトラッド感触が薄まった分、北欧の女性声メランコリック・ロックとしても普通に楽しめる。
曲によってはゴシック寄りの耽美な空気も感じさせ、その魅力的な歌声にウットリと浸れます。
トラッ度・・7 北欧度・・8 女性Vo度・・9 総合・・8 
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KARMINA「Backwards into Beauty」
ドイツ生まれのKellyとハワイ生まれのKamilleの姉妹デュオ、カーミナの2008作
美女二人のジャケからして、もうフィメール好きにはたまらないのだが、中身の方も素晴らしい。
二人の歌声で聴かせる素朴でメロディアス、ポップな楽曲は、モダンすぎずレトロすぎず
しっかりとロックしていつつも、アコースティカルな魅力もあって、じつに耳に心地よい。
ときに欧州ゴシックロック的な翳りも取り込みながら、あくまで優しくメロディアス。
艶やかな女性ヴォーカルの歌唱ににうっとりとなれる、これは掘り出しものだ。
メロディアス度・・8 ポップロック度・・8 女性Vo度・・8 総合・・8
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KARNATAKA「KARNATAKA」
ウェールズの女性ヴォーカルロックバンド、カルナタカの1st。1998作
ケルテイックな女性ヴォーカルロックとしてを開花した次作に比べ
この1stのサウンドは、IONAというよりはALL ABOUT EVEといった雰囲気だ。
ジュリアンヌ・リーガン的な、けだるげな美声Voがしっとりとした曲に歌を乗せている。
ケルト色はまださほどでもなく、壮大さよりもゆったり系のサウンド。
バックのキーボードがギターと重なり、なかなか美しい。化ける前のもう一息の作品。
メロディアス度・・8 トラッ度・・5 女性Vo度・・8 総合・・7

KARNATAKA「THE STORM」
ウェールズの女性ヴォーカルロックバンド、カルナタカの2nd。2000作
イギリスではIONAに次ぐ逸材として注目を集めたバンドの2ndは、
たゆたうような女性ヴォーカルの歌声に、モダンなシンセアレンジによる
幻想的な美しさで聴かせるしっとりとしたサウンドが素晴らしい。
ケルト的な要素はIONAよりも薄く、ギターにしてもロックフィールドに近い音を出していて、
ALL ABOUT EVEあたりの翳りある世界観を上手くアップデートに表現できている。
シンフォニックな壮大さではIONAに一歩譲るが、今後の成長がさらに楽しみなバンドである。
メロディアス度・・8 ケルティック度・・7 女性Vo度・・9 総合・・8
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KARNATAKA「DELICATE FLAME OF DESIRE」
イギリスはウェールズ出身の女性ヴォーカルロックバンド、カルナタカの3rd。2003作
このバンドの色を表す表現としてIONA+ALL ABOUT EVEという言い方が出来るが、
今作では、よりシンフォニックなアレンジが増しており、繊細かつダイナミックな色彩が高まっている。
美貌の女性Voレイチェルの歌唱の素晴らしさは、英国のクラシックロック・ソサエティで大賞をとるほどの実力。
女性ヴォーカルものとしてはもちろん、シンフォニックロックの好作としても楽しめる質の高さである。
ケルティックな要素を控えめにしながら、随所にそれを感じさせる温かみのあるアレンジを聴かせるのはさすが。
シンフォニック度・・8 トラッ度・・7 女性Vo度・・9 総合・・8.5
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KARNATAKA「STRANGE BEHAVIOUR」
イギリスのケルティックロックバンド、カルナタカのライブアルバム。CD2枚組。2004作
アルバムを出すたびに着実な向上と人気の度合いを上げてきたこのバンド、
ライブでの実力はDVDでも証明済みだが、こうして音だけを聴いていてもバンドとしての成熟が感じられ、
レイチェル嬢の清涼な歌声とともに一体感のある素晴らしい演奏が堪能できる。
ケルト要素をロックと融合させ、結果として非常に高品質な女性Voものシンフォとして
IONAらとともに活動を続けてきたこのバンドだが、アルバム3枚にDVD2作品を発表し、
このライブ作品を最後に解散。彼らの音楽の軌跡としてこのライブアルバムの価値は大きく、
このバンドの全盛期の瑞々しいサウンドを感動的に我々に伝えてくれる。ケルティックロック、女性Voファンはマストアイテム!
シンフォニック度・・8 女性Vo度・・9 演奏・・9 総合・・8.5
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KARNATAKA「Gathering Light」
イギリスのケルティックロックバンド、カルナタカの2010年作
かつて美声の女性Vo、レイチェル・ジョーンズを擁して3枚のアルバムを残したが、
その後、夫であるバンドリーダーのイアン・ジョーンズとの離婚もありレイチェルは脱退。
バンドはそのまま消滅したかに思えたが、新たにリサ・フューリィを迎えてここに復活作を完成させた。
サウンドの方は、シンフォニックな美麗さとケルティックなメロディが融合した、
まさにかつてのKARNATAKAを思わせるもので、いっそうダイナミックな音作りが素晴らしい。
躍動感のあるリズムに乗るきらびやかなシンセと、そこにかぶさる泣きのギター、
厚みのあるサウンドに新生バンドとしての意気込みが伝わって来る。
そして3曲目からはお待ちかねのヴォーカル曲。リサ嬢の歌声は落ち着きのある中音域で
レイチェル嬢とはやや雰囲気が違うが、しばらく聴いていると耳に馴染んでくる。
なんにしてもバンドの復活は嬉しいし、Panic Room、The Reasoningともども頑張っていって欲しい。
シンフォニック度・・9 ケルティック度・・7 女性Vo度・・8 総合・・8.5
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KARNATAKA「New Light」
イギリスのケルティックロック、カルナタカのライブアルバム。2012年作
2010年に復活作となる「Gathering Light」を発表、本作はイギリスでの2012年のライブを2CDに収録。
スタジオ作からメンバーはまた代わっているが、シンフォニックな美しさとケルティックなメロディが合わさった
バンドサウンドはそのままで、ライブの躍動感が加わってさらに魅力を増している。艶やかなヴァイオリンの音色に、
メロウなギターが絡み、新ヴォーカルのヘイリー嬢のやわらかな歌声に包まれて、じつに優しい聴き心地である。
新作からの曲をメインにしつつ、過去のアルバムからも演奏。新たにこのバンドを知る方にも楽しめる内容のライブ作品だ。
ケルティックシンフォ度・・8 ライブ演奏・・8 女性Vo度・・8 総合・・8
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KARNATAKA「In Concert」
イギリスのケルティック・フィメール・ロックバンド、カルナタカのライブDVD
女性ヴォーカルをフロントに、キーボード入りで、シンフォ的要素も加味した心地よいサウンドは、
IONAとCORRSの中間を埋める存在として、広くプログレ、ケルトファンを問わずアピールするだろう。
Voのレイチェルの魅力的な(スレンダーな容姿も)歌唱に加え、美女三人のコーラス隊(曲によってはフルート)も美しく曲を彩る。
IONAよりはずっとロック色が強く、トラッド要素を押し出しすぎないのも、万人受けする一因かもしれない。
ライブ映像に混じって時折流れるクリップ的な映像も美しい。全体を通してスリリングな部分はないが、しっとりと聴ける一作。
メロディアス度・・8 ライブ映像・・8 ライブ演奏・・8 総合・・8
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KARNATAKA「LIVE IN THE USA」
イギリスのケルティック・フィメール・ロックバンド、カルナタカのライブDVD。
2002年アメリカでのライブの模様で、映像作品としては2作目。3rd「DELICATE FLAME OF DESIRE」からの楽曲をメインに
ケルティック風味をマイルドに昇華したサウンドに美声のレイチェルの歌声がしっとりと響く。
演奏陣も安定していて、レイチェルの夫であるベーシスト、堅実かつ意外と手数の多いドラム、
メロウに鳴り響くギター、ここぞと盛り上げるキーボード、そしてサブヴォーカル兼フルート奏者と、
調和のとれたアンサンブルを聴かせてくれる。レイチェルのおへそが見えないのは涙を呑むとして、
カメラワーク的にやや古くさいのと、映像におけるスローやモノクロなどのエフェクトには
あまり感心できないし、曲ごとにメンバーのインタビューが挿入されるのもやや興ざめ。
全体的にしっとりとしすぎて緊張感には欠けるが、ゆったりと鑑賞できる音楽としては高品質。
ライブ映像・・7 ライブ演奏・・8 レイチェル嬢・・8 総合・・8
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KATE BUSHLionheart
英国の歌姫、ケイト・ブッシュの2nd。1978作
ケイト・ブッシュといえば名曲「嵐が丘」で有名な1st「天使と小悪魔」だろうが、
この2ndはむしろ、楽曲の完成度という点ではそれを上回る出来だ。
その魅惑のエンジェルヴォイス(いったいどこから声だしているんだ?)は不変。
ちなみに、このアルバム当時の彼女は20歳。その深遠で文学的な歌詞といい、
エキセントリックな雰囲気も含めて、プログレファンからも高い評価をうけた。
メロディアス度・・8 天使の歌声度・・9 文学少女度・・9 総合・・8
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KATE BUSH「HOUNDS OF LOVE」
英国の歌姫、ケイト・ブッシュの5th。 1985作
「THE KICK INSIDE(天使と小悪魔)」「LIONHEART」、「THE DREAMING」は持っているのですが、
WITHIN TEMPTATIONがカヴァーした「RUNNING UP THAT HILL」が聴きたくて本作を購入しました。
初期の2作あたりに比べるとかなりポップな仕上がりで、打ち込み風のアレンジが不満ですが、
ケイトのVo的には、前作よりも力が抜けた感じで、落ち着いた歌声が楽しめます。
初期の頃の「物語の中の少女」といったイメージはやや薄れているので、プログレファンにとっては物足りないかも。
リマスター盤はボーナストラックに12インチシングルバージョンなど6曲が追加されていてお得です。
メロディアス度・・7 歌声度・・8 楽曲・・7 総合・・7
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Kate Bush 「Aerial」
英国の歌姫、ケイト・ブッシュの2005作
1978年に「天使と小悪魔」で鮮烈なデビューを飾り、そのキュートな歌声とともに
文学的な知性とエキセントリックな感性を含んだ独自の世界観は、プログレ方面のリスナーからも高い支持を受けた。
1993年の「レッド・シューズ」を最後に音楽の舞台から姿を消していた彼女が、なんと12年ぶりに復活作を発表。
しかも、「A Sea of Huney」、「A Sky of Honey」と題されたCD2枚組の作品だ。
1曲目こそポップな感じだが、2曲め以降はアコースティック風味をまじえたしっとりとした曲調で、
そこに乗るケイトの歌声は、かつてのような少女めいた可愛らしさからむしろアニー・ハズラムのような
大人の女性の歌に変化している。Disc2は以前のアルバムのような幻想的な作風となり、
内側にある豊かな感性のみずみずしさを覗かせながら、ときに優雅に、
そしてときに母性的に、そしてかつての夢の続きを語るように歌いあげてくれる。
しっとり度・・9 夢見度・・8 ケイトの歌声度・・9 総合・・8
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Kate Bush 「Director's Cut」
イギリスの女性シンガー、ケイト・ブッシュの2011年作
1989年作「Sensual World」、1993年作「Red Shones」から本人が楽曲を選び再録音した作品。
音数を絞ったわりとシンプルなアレンジで、ケイトの歌声をメインにしたアダルトな雰囲気で、
かつてのキュートさから、落ち着いた大人の艶を身にまとった、やわらかな歌唱が楽しめる。
元々がポップ作品であったので、いわば大人のポップロックに生まれ変わったというべきか。
そんな中、エモーショナルな歌声を響かせる「Top Of The City」あたりのナンバーは聴きどころ。
ドラマティック度・・7 ポップ度・・8 ケイトの歌声度・・8 総合・・7.5
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KATE BUSH50 Words for Snow
英国の歌姫、ケイト・ブッシュの2011年作
セルフカヴァー集だったDirector's Cut続くアルバムで、オリジナルとしては 2005年の「Aerial」以来となる作品。
「雪のための50の言葉」と題された本作は、しっとりとしたケイトの歌声をメインに、冬をコンセプトにした物語を語るような、
内省的なヴォーカルアルバム。ピアノとシンセによるシンプルな音像をバックに、やわらかに響く彼女の歌声は
詩的にセンシティブで、かつてのようなエキセントリックなポップさはないのだが、
繊細で深みのあるヴォーカルと静けさの中にある空間美はやはり素晴らしい。
これもケイトの声の表現力である。まさに雪のように、はかなくも美しい作品だ。
メロディアス度・・7 しっとり繊細度・・9 ケイトの歌声度・・9 総合・・8
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Kate Bush 「Before the Dawn」
イギリスの女性シンガー、ケイト・ブッシュのライブ作。2016年作
ジャンルを超えて愛される英国の元祖歌姫、1979年以来となる、じつに35年ぶりのライブということで
チケットはじつに15分で完売したという。その2014年ロンドンでの公演をCD3枚に収録。
実際にはミュージカル的な舞台演劇であったようだが、音楽部分のみを取り出した内容で、
過去作品からのナンバーも、やわらかな彼女の歌声とともに、新たなアレンジで蘇っている。
ときにかつてを思わせるキュートな歌いまわしも覗かせつつ、大人になったケイトの魅力とともに、
じっくりとライブの空気感が味わえる。Disc2以降は、いくぶん演劇的な空気が強くなり、
こうなると映像とともに鑑賞したい気もするが、たとえミュージカル風味の作風であっても、
その歌声でひとつの世界を描けるのは素晴らしい。CD3枚、2時間半のケイト・ブッシュ劇場です。
ドラマティック度・・8 ライブ演奏・・8 ケイトの歌声度・・8 総合・・8
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KATE PRICE「THE TIME BETWEEN」
アメリカのケルト系女性アーティスト、ケイト・プライスの1st。1993年作
アイルランドからの移民を祖母に持つ彼女は、シンガーであると同時にハンマーダルシマーの奏者でもあり、
自身の作詩作曲した楽曲は、どこかもの悲しい静寂感とはかなげな美しさに満ちている。
ピアノにヴァイオリン、ハープ、フルート、シタールなどによるバックの演奏も耳に心地よく、
彼女の奏でるダルシマーの繊細な音色を引き立てている。
LOREENA MCKENNITTなどに比べると、より素朴な味わいのサウンドだ。
アコースティック度・・9 ゆるやかな静寂度・・8 女性Vo度・・8 総合・・7.5
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Kate Price 「Deep Heart's Core」
アメリカのケルト系女性アーティスト、ケイト・プライスの2nd。1995年作
やわらかな彼女の歌声を中心にしっとりと聴かせるサウンドは前作と変わらず、
彼女の奏でるダルシマーの繊細な響きに、ヴァイオリンやチェロなどが絡み
パーカッションのリズムとともに、異国的で幻想的な雰囲気に包まれる。
アコースティカルな素朴さと神秘的な美しさが合わさった好作品です。
アコースティック度・・9 ケルティック度・・8 女性Vo度・・8 総合・・8
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Kate Teague
アメリカの女性SSW 、ケイト・ティアグの2019年作
自然体のジャケ写真に、そこはかとない翳りを感じさせるが、アンニュイな女性ヴォーカルを乗せた素朴なロックサウンドで、
All About Eveのようなしっとりとウェットな耳心地。フォークやケルトの要素はさほどないので、わりとポップなのだが
曲調はマイナー寄りで、透明感のある彼女の歌声はエモーショナル過ぎずに優しく耳に心地よいのである。
全7曲20分という短さはやや物足りず、インディロック系期待の女性シンガーということで、フルアルバムを期待したい。
素朴度・8 倦怠度・8 女性Vo度・8 総合・7.5
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Katharine BlakeMidnight Flower」
Medieval Baebesのシンガーでもあるキャサリン・ブレイクの2009年作
美しいフルートの音色にアコースティックギターの響き、女性ヴォーカルで聴かせる
ゴシック的な雰囲気もある幻想的なサウンド。トラッド調のメロディも出てきたかと思えば、
素朴なハーモニカ入りのカントリー調、ドラムと男性ヴォーカルが入ってユルめのサイケ風味に、
アラビックな曲もあったりと、なんだかとりとめがない。艶っぽい彼女の歌声はいい感じなので、
曲自体はもっとシンプルでも良い気がするのだが。妖しい感じの女性ものアルバムです。
アコースティカル度・・7 トラッ度・・7 女性Vo度・・8 総合・・7.5
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Kathryn Williams 「The Quickening」
イギリスの女性SSW、キャスリン・ウィリアムスの2009年作
アコースティックギターの旋律にマリンバが響き、やわらかな女性ヴォーカルを乗せたフォークサウンド。
英国らしい翳りを帯びた空気感に、マンドリン、バンジョー、アコーディオン、ハーディ・ガーディなどが、
素朴な彩りを添える。いくぶんかすれた彼女の歌声は耳に優しく、アコースティックサウンドによくマッチしていて、
ときにドラムやエレキも加わった聴きやすさとともに、ブリティッシュ・フォークルーツの牧歌的な叙情が味わえる。
アコースティック度・・8 素朴な叙情度・・8 女性Vo度・・8 総合・・8
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Kathryn Williams 「Crown Electric」
イギリスの女性SSW、キャスリン・ウィリアムスの2013年作
アコースティックギターに、やわらかな歌声を乗せた、フォーク&カントリー調の素朴なサウンドに
優雅なチェロが鳴り響き、物悲しい叙情性も含ませた、しっとりとした聴き心地。
本作では、ストリングスによる美しいアレンジや、わりとキャッチーなナンバーなども含め、
アルバムとしてのメリハリもあって、ドラムにエレキも加えたフォークロックとしての味わいもよいですね。
翳りを帯びた英国フォークルーツのサウンドに、現代的なセンスをまぶしたという好作品。
ドラマティック度・・8 優雅な叙情度・・8 女性Vo度・・8 総合・・8
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Kaydee 「Stop! I'm Doing It Again」
アイルランドの女性Voポップロック、ケイディの1998年作
美しい女性ヴォーカルの歌声で聴かせるキャッチーなサウンドは
同郷のCORRSとも比較されそうだが、こちらのほうがよりロック色が強く
メロディアスなポップ性がありながらも、ほのかに香る素朴な雰囲気が耳心地よい。
美しいストリングスアレンジなども含めて、KARNATAKACara Dillonなどのファンも楽しめる。
メロディアス度・・8 アイリッシュ度・・7 女性Vo度・・8 総合・・8
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Kelli Ali 「Rocking Horse」
イギリスの女性シンガー、ケリー・アリの2008年作
やわらかなフルートにアコースティックギター、バンジョーによる牧歌的な演奏に
キュートな女性ヴォーカルでしっとりと聴かせる、優しく優美なサウンド。
古き良き英国フォークの優雅な叙情性と、KATA BUSH的な幻想性も含んだ世界観と
随所にオルガンやストリングス加えた、プログレ/アシッドフォーク寄りの感触もある。
少し舌足らずな彼女の歌声も魅力的で、のどかに心癒されるような好作品です。
アコースティック度・・8 優雅度・・8 女性Vo度・・8 総合・・8
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Kelsey LindstromReading Room
イギリス出身の女性シンガー、ケルシー・リンドストームの2011年作
アコースティックギターのつまびき、しっとりとしたピアノに乗る繊細かつ表現豊かな歌声、
うっすらとした広がりのあるシンセアレンジが神秘的な静謐感でサウンドを包み込む。
女性ヴォーカルの魅力ももちろんながら、ときにエキセントリックなセンスを感じさせるアレンジで、
単なる歌ものを超えたスケール感を生み出しているのが素晴らしい。ゆったりと雄大な傑作。
メロウ度・・8 女性Vo度・・8 サウンドセンス・・9 総合・・8
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Kerstin Blodig 「Valivann」
スウェーデンの女性アーティスト、カースティン・ブロディグの2002年作
ヴォーカルにギター、マンドリン、ブズーキをこなす女性ミュージシャンで、
アコースティックな素朴さとやわらかな彼女の歌声で聴かせる素朴な作風。
ハープやパイプ、ホイッスルの音色なども随所に響かせ、ケルティックな作風や
アシッドフォーク風味の曲もあったりと、トラッドとして聴くにはやや物足りないが、
どの曲もしっとりと落ち着いた味わいで心地よく耳を傾けられる。
アコースティカル度・・8 北欧トラッ度・・8 女性Vo度・・7 総合・・7.5
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KontRaBurger
ポーランドのトラッドロック、コントラバーガーの2002年作
女性ヴォーカルの母国語の歌声にフルートが絡み、どこかサイケな浮遊感も含んだトラッドロックを聴かせる。
哀愁を感じさせるアコースティックギターのつまびきに、艶やかなフィドルの音色が重なり、
北欧やドイツとはまた違った異国的な叙情とともに
いくぶん屈折感のある、アーティスティックなラジカルトラッド・サウンドが楽しめる。
ポーランドらしい翳りを含んだミステリアスな異国感覚に包まれた好作品。
プログレ度・・7 トラッ度・・8 女性Vo度・・7 総合・・7.5




Kristen Lawrence 「A Broom With a View」
アメリカの女性シンガー&オルガン奏者、クリステン・ローレンスの2009年作
典型的な魔女のジャケ通り、ハロウィンをテーマにした楽曲集で、チャーチオルガンの荘厳な響きに
しっとりとした女性ヴォーカルの歌声で妖しく始まる。その後は、ピアノとシンセの多重録音をバックに、
やわらかな歌もの曲が続いてゆく。ロック色はあまりなく、リズム入りの曲は打ち込みなのがやや物足りないが、
曲によってはゴシック風味もあったり、オルガンをたっぷり使った女性ヴォーカル作品としてはけっこう楽しめる。
メロディアス度・・8 ロック度・・2 女性Vo度・・8 総合・・7.5
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Kristia Di Gregorio 「The Whiplash Curve」
アメリカの女性シンガー、クリスティア・ディ・グレゴリオの2014年作
アコースティックギターのつまびきに、ヴァイオリンやヴィオラの音色、しっとりとした女性ヴォーカルを乗せた
コンテンポラリーなフォークサウンドを聴かせる。ドラムとベースによるゆったりとしたアンサンブルに、
ジャズやシャンソンなどの雰囲気も感じさせながら、彼女の歌声は大人の表現力と情感を含んで、
けだるげな哀愁描いてゆく。やわらかなピアノにストリングス、アコーディオンの音色などとともに、
サロン系チェンバーという感じもあって、味わいのある女性ヴォーカルで優雅に楽しめる逸品。
アコースティック度・・8 哀愁度・・8 女性Vo度・・8 総合・・7.5
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Kristi Stassinopoulou「Echotropia」
ギリシャの女性シンガー、クリスティ・スタシノプールの2001年作
最近では日本盤も出るなど、ミクスチャー系音楽家としての人気も高まっているらしい。
このアルバムは、伝統的なトラッドサウンドをモダンなビート音楽と合体させていて、
質感としては北欧のGARMARNAあたりに通じるものがある。
どことなく浮遊感のある彼女の歌声に異国的なコーラスワークが絡まり、
そこに東洋的なメロディやときにサイケな雰囲気も加わって、
土着的でありつつも現代風という、なかなか奥深い世界観を作り出している。
トラッ度・・8 異国度・・9 女性Vo度・・8 総合・・8
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Kristi Stassinopoulou「The Secrets of the Rocks」
ギリシャの女性ミュージシャン、クリスティ・スタシノプールの2002年作
伝統的なトラッドサウンドをモダンなビート音楽と合体させたサウンドは、
太古の神秘性を残しながらポップなデジタル質感で聴かせるという個性的なもの。
艶めいたクリスティの母国語による歌声と、民俗音楽のアコースティック感覚、
それをユーロビート調のアレンジで包み込んだ、硬質でありながらもやわらかな不思議な味わいだ。
ただのトラッドでもポップ音楽でもない、まさしくギリシャの空気がそこにある。
トラッ度・・8 ギリシャ度・・9 女性Vo度・・8 総合・・8
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La Femme Verte 「Small Distortions」
ベルギー人のシンセ奏者を中心にしたプロジェクト、ラ・フェメ・ベルテの2010年作
ローリング・ストーンズやナイン・インチ・ネイルズ、ルー・リード、ペット・ショップ・ボーイズ、デペッシュ・モードなどのカヴァー集で、
なんといっても、All About Eveのジュリアンヌ・リーガンが参加しているのが目玉だろう。
エレクトロなシンセと打ち込みのアレンジで、けだるげな彼女の歌声と男性ヴォーカルが絡むストーンズのカヴァーや、
しっとりとしたモダンなアンビエントサウンドを聴かせるNINのカヴァーはなかなか魅力的。ジュリアンヌは11曲中の5曲に参加、
その他に2人の女性ヴォーカルが参加していて、男性ヴォーカルメインの曲や、よく知らないカヴァー曲などは、
正直、どうということもないので、アンビエントポップとしては中庸の作品か。どうせなら全曲ジュリアンヌに歌って欲しかった。
ドラマティック度・・6 ロック度・・3 アンビエント度・・8 総合・・7
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L'AME SOEUR「Invincible」
フランスのケルティックポップユニット、ルアメ・ソアーの2000年作
すでにこのジャケからしてムフフ…なんですが(笑)女性3人のユニットで、
サウンドの方は、ケルティックな要素とポップさが融合した聴きやすいもの。
ややロック的なギターに、ドラム、そこにヴァイオリンやフルートが乗り、
フランス語の女性ヴォーカルが歌う様は、フランス版Corrsといった印象。
土着的な雰囲気は薄いので、モダンなケルトロックとして気軽に楽しめる。
メロディアス度・・8 ケルティック度・・7 女性Vo度・・8 総合・・7.5
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Lauren Edman 「It's Always the Quiet One」
アメリカのSSW、ローレン・エドマンの2012年作
エレクトロなシンセに、美しい女性ヴォーカルを乗せた、フィメールポップというサウンドながら、
ピアノをバックにしっとりとした歌声を聴かせる、クラシカルでコンテンポラリーな味わいもある。
打ち込みによるモダンなアレンジと、フォークルーツの素朴な味わいが融合した自然体の聴き心地に
やわらかな女性声による耳心地のよさで、ゆったりと鑑賞できる、わりと癒し系寄りの作風でもある。
濃密さやインパクトは薄いものの、フォーク寄りのフィメールポップとして普通に楽しめる。
ドラマティック度・・7 しっとり度・・8 女性Vo度・・8 総合・・7.5
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Lena Willemark/Ale Moller 「Nordan」
スウェーデンのトラッドバンド、FRIFOTのレーナ・ヴィッレマルクとアレ・メッレルによるユニットの1994年作
母国語によるレーナの歌声と、素朴なマンドラやダルシマーの音色が響く、
シンプルな音数で聴かせる作風で、フリーフォートよりも神秘的な雰囲が強い。
随所にフィドルやフルート、サックス、ハープ、アコーディオンなども入ってきて、
静謐感のあるアンサンブルに、涼やかな緊張感を漂わせている。
アコースティカル度・・9 トラッ度・・8 北欧度・・9 総合・・8
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Lesiem「ILLUMINATION」
ドイツのニューエイジ風ユニット、レジウムの2003作
打ち込みリズムと美しいシンセの上に、グレゴリアンチャント風の歌声が乗る。
ときおりメロウなギターも顔を出したり、ゴシック風の女性Voも絡んだりして、
ただのエニグマ風のヒーリング音楽というには独自の世界観がある。
全体を通して、ユーロビート風の打ち込みリズムが好みを分けるだろうが、
荘厳でありつつもポップという不思議なサウンドは、けっこうプログレファンにもアピールするだろう。
メロディアス度・・8 ユーロビート度・・8 荘厳度・・8 総合・・7


L'Ham de Foc 「U」
スペインのトラッドバンド、ラム・デ・フォクの1999年作
先に2nd、3rdを聴いていて、このバンドの素晴らしさは知っていたが、本デビュー作も神秘的なトラッドという点では、
すでに方向性が確立されている。バウロンのリズムに、ヴァイオリンや、バグパイプ、ブズーキ、アコーディオンなどの音色が重なり、
女性ヴォーカルのスペイン語の歌声を乗せた幻想的なサウンドで、ケルト風味とトルコやバルカンなどの民族色が融合した、
独自のトラッドサウンドを描いてゆく。アコースティックを主体にした本格派のトラッドミュージックでありながら、
どこかスタイリッシュで先鋭的な匂いがあるのは、メンバーのセンスと技量の高さだろう。サズやマンドリンのつまびきに、
アコーディオンや笛の音が重なる牧歌的な聴き心地にも、中近東色を含んだ異国的な空気感を漂わせる。
アコースティック度・・9 幻想トラッ度・・9 女性Vo度・・8 総合・・8
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L'ham de Foc「Canco De Dona I Home」
スペインのトラッドバンド、ラム・デ・フォクの2nd。2002年作
スペインのトラッドというとバスク地方が思い浮かぶが、このバンドはヴァレンシア出身らしい。
古楽を取り入れたサウンドは、アコースティカルでありながらもどこかミステリアスで
ときおりケルティック風の色も垣間見せる。堂々たる女性ヴォーカルの歌唱も見事。
ときにAMAROKの純粋なトラッド部分を抽出したような印象もある。幻想トラッドの傑作。
メロディアス度・・7 トラッ度・・8 女性Vo度・・8 総合・・8
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L'ham de FocCor de Porc」
スペインのトラッドバンド、ラム・デ・フォクの3rd。2006年作
前作もミステリアスなトラッドサウンドでなかなか見事なアルバムであったが、
本作ではさらに一歩踏み込んだような、強い土着性が感じられる作品となった。
アコースティックギターを中心に、ブズーキ、ハーディーガーディなどの古楽を大胆に取り入れ
妖艶な女性ヴォーカルの歌声とともに、中世を思わせる不思議な世界観を描き出している。
またバルカン、ギリシャ的ともいえる地中海色もあり、パーカッションの躍動的なリズムなども含めて
ラジカルトラッドのリスナーも唸らせるだけのインパクトと、サウンドの強度がある。大傑作。
土着度・・9 トラッ度・・9 女性Vo度・・9 総合・・8.5
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Liisa Matveinen & Tellu Virkkala「Mateli」
フィンランドの女性シンガー、リーサ・マトヴェイネンとテル・ヴィルカラによるユニットの1999年作
二人の女性ヴォーカルの母国語の歌声を中心に、カンテレやヨウヒッコ(フィンランドの弦楽器)の
素朴な音色がゆったりと響くサウンド。音数は少なく、あくまで歌声が中心であるが、
翳りを含んだ北欧の土着性をしっかりと表現していて、静かに含みのある作品だ。
アコースティカル度・・9 トラッ度・・8 北欧度・・9 総合・・8
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Linda (Линда) 「AleAda(АЛЕАДА)」
ロシアの女性シンガー、リンダの2006年作
オーケストラルなシンセアレンジにロシア語によるキュートな歌声を乗せたポップロック。
モダンなポップ性の一方で、ヴァイオリンにアコースティックギターなども含んだ叙情性もあって、
単なるロシアンポップという以上に、アーティスティックなセンスも感じさせる。
デジタルなビート感に包まれたポップナンバーでも、彼女の艶めいた歌声は魅力的で
曲によってはストリングスアレンジとともに、耽美なゴスロック的なナンバーもあって、
わりと楽しめて聴けてしまう。個人的にはシンフォニックなゴス路線をもっと期待。
メロディック度・・8 ポップ度・・8 女性Vo度・・8 総合・・7.5
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Linde Nijland 「I Am Here」
オランダの女性SSW、リンデ・ニルランドの2014年作
アコースティックギターのつまびきにアコーディオンの音色、美しい女性ヴォーカルを乗せたトラッド寄りのサウンド。
マンドリン、シターンの素朴な音色で聴かせる、Renaissanceの名曲“Ocean Gypsy”カヴァーもしっとりと美しい。
牧歌的なバンジョーに艶やかなフィドルが絡む、カントリー風味にフォーク&トラッドの空気感が合わさって、
全体的にシンプルな音数ながら、彼女の美声をよく引き立てている。優しい素朴さに包まれた逸品です。
アコースティック度・・9 素朴な叙情度・・9 女性Vo度・・9 総合・・8
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Lisa O Piu「When This Was the Future
スウェーデンのアシッドフォークユニット、リサ・オ・ピウの2009年作
女性ヴォーカル、リサの表現力ある歌声と、アコースティックギターやフルートなどで聴かせる
しっとりとしたフォークサウンドで、どこか神秘的な薄暗さと古楽的な雰囲気も感じさせる。
曲によってはヴァイオリンやフィドル、ハープ、それに1曲メロトロンなども使用していて
ほのかにプログレッシブな味わいもあるのがいい。うっとりする聴き心地の絶品の傑作。
アコースティカル度・・8 しっとり叙情度・・9 女性Vo度・・8 総合・・8.5
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Liv KristineDeus Ex Machina」
元Theatre of Tragedy(現Leaves' Eyes)のリブ・クリスティンのソロ。1998作
本作の時点ではまだ彼女はToTに在籍していており、サウンドの方はシンセをメインに
ゆったりと聴かせる、いわばメタル色を抜いたToTという感じの美しいもので、
リブ嬢の美声がしっとりと響きわたる。まだいくぶんの垢抜けなさがあるのもよろしい。
シンフォニック度・・7 メタル度・・1 女性Vo度・・8 総合・7.5
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Liv Kristine「Enter My Religion」
Leaves' Eyesの女性Vo、リブ・クリスティンのソロ。2006作
Theatre of Tragedy~Leaves' Eyesと、そのしっとりとした美声で
フィメールメタル好きのリスナーを虜にしてきた彼女だが、
本作はメタル色の薄いポップな女性Voロックサウンドを聴かせてくれる。
とはいってもシンフォニックなシンセアレンジやギターもしっかり入っていて、
メタル度を抜いたリーブズという雰囲気でも楽しめる。リブ嬢の歌声にうっとり。
シンフォニック度・・7 メタル度・・5 女性Vo度・・9 総合・・7.5
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Liv KristineSkintight」
Leaves' Eyesで活躍する女性シンガー、リブ・クリスティンの2010年ソロ作
ソロ作としてはこれが3作目で、メタル色はほぼ皆無のポップなメロディックロック。
シンセによる美しいアレンジと、ときにアコースティカルな雰囲気とともに
ゆったりと聴かせる作風で、リブ嬢の透き通った美声がたっぷりと楽しめる。
メロディには単なるポップロックではない、ほのかなノルウェー的な叙情性も感じられる。
メロディアス度・・8 メタル度・・3 女性Vo度・・9 総合・・7.5
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Liv Kristine「Libertine」
Leaves' Eyesのシンガー、リブ・クリスティンの2012年作

しっとりとした歌声で聴かせる本作は、メタル色は薄めのキャッチーなポップロック作品。
KATE BUSHのようなコケティッシュな聴き心地とともに、随所にシンフォニックなアレンジや
北欧出身らしい涼やかな情緒が感じられて、素朴な優しさに包まれたサウンドである。
メタル度を落としたLeaves' Eyesというような曲もあって、案外に違和感なく楽しめる。
彼女のシンガーとしての魅力にあらためて触れることのできる好作だ。
メロディック度・・7 メタル度・・3 女性Vo度・・8 総合・・7.5
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Ljom 「Seterkauk」
ノルウェーのフォークロック、リオンの2014年作
エレキギターを使った適度なロック風味に、やわらかなピアノに母国語の女性ヴォーカルを乗せ、
コンテンポラリーなフォークロックを聴かせる。シンセを使ったプログレ寄りの感触もあって、
クラリネットやリコーダー、チェロの音色とともに、チェンバーロック的な優雅な味わいも感じさせる。
北欧トラッドルーツの土着性も覗かせながら、スタイリッシュにアレンジするモダンなセンスは、
GARMARNAあたりにも通じるかもしれない。ジャズタッチのピアノなどボーダーレスの優美さに
フォーク、トラッドの素朴な空気を自然に同居させるあたりも心憎い。
優雅度・・8 北欧トラッド・・8 女性Vo度・・8 総合・・8
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LOREENA MCKENNITT「ELEMENTAL」
カナダのケルト系ヴォーカリスト、ロリーナ・マッケニットの1st。1985作
その美しき美声で20年以上にわたって、神秘的なケルトミュージックを作り続けている
彼女のデビュー作。この時点では4th以降に聴かれる中近東的な要素はまだなく、
つまびかれるハープに、しっとりとした彼女の歌声が乗る、美しくも素朴なサウンド。
男性声による語りが入ったり、神秘的な物語性はこの頃からすでにあった。
ケルティック度・・8 神秘的度・・8 女性Vo度・・9 総合・・8
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Loreena McKennitt「To Drive the Cold Winter Away」
カナダのケルト系ヴォーカリスト、ロリーナ・マッケニットの2nd。1987作
アイルランド、スコットランドなどのトラッド曲をメインにした作品で、
バックの演奏はハープにアコーディオンなど音数が少ないシンプルなものだが、
静けさの中に響く彼女の歌声は、聖歌のように崇高で神秘的な聖夜を歌いあげる。
バッコス信女とサテュロスの描かれたジャケはインパクト大だが、実際の音楽は素朴で、
ヨーロピアンな薄暗さと静かな神への祈りが、音を通して浮かび上がってくるようだ。
ケルティック度・・7 神秘的度・・9 女性Vo度・・9 総合・・8
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LoREENA McKENNITT「Parallel Dreams」
ロリーナ・マッケニットの3rd。1989作
このアルバムあたりまで、比較的シンプルなケルト音楽をやっている。
うっすらとしたシンセとハープをバックに しっとりとしたロリーナの歌声が乗る。
ヴァイオリン、チェロの音色、ウドゥ・ドラムの響きは、トラディショナルな香りを漂わせ
作風としては彼女の作品の中でも最もアイリッシュ寄りの内容となっている。
次作以降の世界観の深みからすると、楽曲的には少し物足りない気もするが、
涼やかにしっとりと、優しく染み渡るその歌声はやはり素晴らしい。
ケルティック度・・9 トラッ度・・8 女性Vo度・・8 総合・・7.5
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LOREENA McKENNITTTheVisit」
カナダのケルト系ヴォーカリスト、ロリーナ・マッケニットの4th。1992作
3rdを聴いたときはまだ未完成に思えた彼女の世界観が、今作では明確な質感をともなって感じられる。
まずは、彼女自身の歌唱力の成長が挙げられるが、それとともに楽曲における方向性の確かさ、
ケルティックミュージックを基盤にしつつも、より普遍的な聴きやすさが増しているという点が大きい。
優しく、母性的でもある彼女の歌声が、ついに音楽と世界とを融合し得た一作。
ケルティック度・・8 世界観度・・8 女性Vo度・・9 総合・・8
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LOREENA McKENNITTThe Mask and Mirror
カナダのケルト系ヴォーカリスト、ロリーナ・マッケニットの5th。1994作
歌唱における説得力がさらに高まっている。歌声のみで自身の世界観を作り出せるのは素晴らしい。
サウンドの方も単なるケルトではなく、教会音楽的な崇高さとともに、スパニッシュ風味や
中近東的な要素なども取り入れた奥深いもので、まるで世界を旅しているような気分になれる。
パーカッションのリズムに、ギター、フィドル、チェロなどの響き、そしてそこに重なる
彼女の絶品の表現力をたたえた歌声は、世界そのものを包みむような優しさと強さを感じさせる。
間違いなく、初期のロリーナの最高傑作といえる作品だろう。
ケルティック度・・7 世界観度・・9 女性Vo度・・10 総合・・9
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LOREENA MCKENNITT「THE BOOK OF SECRETS」
カナダのケルト系女性ヴォーカル、ロリーナ・マッケニットの6th。1997作
今ではすっかりケルト系シンガーとして第一人者の地位をつかんだ彼女。
今作は歴史書をモチーフにした作品で、マルコ・ポーロやダンテなど曲ごとにテーマのある作風になっている。
雄大なサウンドはケルトのみにとどまらず、東方風の音階を取り入れるなど、
全世界を包み込んだようなスケールを感じさせ、そこにのるロリーナの歌声は
何もかもを悟ったような母性と神秘性をもって力むことなく曲に溶け込んでいる。
トラッ度・・8 雄大深遠度・・10 女性Vo度・・9 総合・・8
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LOREENA MCKENNITTLive in Paris and Toronto
ロリーナ・マッケニットの2枚組ライブ作。1999作
1998年、フランスのパリ、カナダのトロントでの公演を収録。
作り込まれた世界観のスタジオ盤とはまた異なり、ケルトを基本としながらも
どこかキャラバン的な無国籍化感が漂う演奏と、さすがの深みを聴かせるロリーナの歌声。
ブズーキ、ヴァイオリン、チェロにハーディガーディといった生の楽器の奏でる素朴さも心地よく
ロリーナ自身の弾くピアノやケルティックハープの音色もしっとりと美しく響き渡る。
なお、Disc1はアルバム「The Book of Secrets」の完全再現、
Disc2では「The Visit」と「The Mask and Mirror」の曲を演奏している。
ケルティック度・・7 ライブ演奏・・8 ロリーナの歌声度・・9 総合・・8
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LOREENA MCKENNITT 「An Ancient Muse」
カナダ生まれの「彷徨えるケルト人」、ロリーナ・マッケニットの2006作
前作「The Book of Secrets」もオリエンタルな要素を取り入れた非常に深みのある好作であったが、
今作もケルト民族と歴史をテーマに、ブリテン島から古代ギリシャ、ビザンチン、オスマントルコといった国々を旅する
壮大な内容。ロリーナの歌唱は、デビューから20年をへてますます深みを増し、ときに神々しいミューズのように、
ときに母性的にすべてを包み込むように、聴くものの耳にうったえかけてくる。アコースティカルで民族調の雰囲気と、
シンセを含む現代的なアレンジが合わさって、楽曲には研ぎ澄まされた無駄のなさを感じる。空気や風、大地の匂いをも感じさせる、
この音の説得力は本当に凄い。昨今の癒し系ケルトミュージックとは一線を画す、本物の重さと、うす暗さをともなった世界観。
歴史と民族と時間の流れを凝縮させたような、この溢れ出る音を聴きながら、放浪の旅にいざなわれよう。
ケルティック度・・7 中近東トラッ度・・8 女性Vo度・・8 総合・・8
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LOREENA McKENNITT「Nights From the Alhambra」
カナダのケルト系ヴォーカリスト、ロリーナ・マッケニットのライブ作。2007作
タイトル通りアルハンブラ宮殿をステージにしたライブを収録。CD2枚組+DVD
現時点での最新アルバム「An Ancient Muse」も素晴らしい出来であったが、
ここではデビューから22年を経てもなお充実した活動を続ける彼女のライブの様子が楽しめる。
厳かな空気に包まれて演奏が始まると、ヴァイオリン、チェロ、パーカッションなどをバックに、
静かでありながらも確かな表現力に富んだ、彼女の美しい歌声が響き出す。
楽曲は2ndを除く各アルバムからそれぞれ3曲前後と、これまでのベスト選曲的にもなっており、
初めて彼女の歌声に触れる方でも充分楽しめる。貫祿すら漂う絶品のヴォーカルはもちろん、
自身の奏でるハープ、アコーディオン、ピアノの音色も美しい。まさに夢のようなアルハンブラの一夜。
DVDの方では、映像付きでこのライブの模様が楽しめ、アルハンブラ宮殿の幻想的な雰囲気と、
それにも増して崇高な空気をまとって歌い、演奏するロリーナの姿がとても印象深く心に響く。
崇高度・・10 ライブ演奏・・10 女性Vo度・・10 総合・・9
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Loreena Mckennitt 「A Midwinter Night's Dream 」
カナダ出身のケルティックシンガー、ロリーナ・マッケニットの2008年作
1995年のミニアルバム「Winter Garden」に8曲を追加したクリスマスアルバム。
うっすらとしたシンセにピアノ、ヴァイオリンやチェロなどのストリングをバックに
伸びやかで表現豊かな歌声が響き渡る。しっとりとして優しく、それでいて厳かな、
キャリアを重ねた歌い手しか到達できないようなその歌声…これぞロリーナである。
アコーディオンやハーディ・ガーディといったフォーキーな素朴さに、繊細なハープの音色に
アコーステッィクギターのつまびきで、神秘的な空気感を描く、世界観の深みも素晴らしい。
アコースティック度・・9 ケルティック度・・8 女性Vo度・・9 総合・・8
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LOREENA McKENNITT「A Mediterranean Odyssey
カナダのケルト系ヴォーカリスト、ロリーナ・マッケニットの2009年作
CD2枚組で、disc1にはタイトル通り、これまでのアルバムから地中海をテーマにした11曲をセレクト。
アルバム「The Mask And Mirror」「An Ancient Muse」から4曲ずつ、「The Book of Secret」から2曲、
「The Visit」から1曲という構成で、ロリーナの歌声とともに中近東的な異国感あふれるサウンドが楽しめる。
disc2にはトルコのイスタンブールから、ギリシャのアテネにかけての2009年のツアーからの音源を収録、
スタジオ盤以上に伸びやかなロリーナの歌唱にうっとりとしつつ、やはりその土地の空気がそうさせるのか、
地中海の独特の神秘性に包まれたような演奏はじつに素晴らしい。音楽で旅が味わえるような作品だ。
トラッ度・・9 女性Vo度・・9 地中海度・・9 総合・・8
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Lorrena MckennittWind That Shakes the Barley
カナダのケルト系ヴォーカリスト、ロリーナ・マッケニットの2010年作
1985年のデビュー作以来、25年間にわたって、世界を旅するような作品を作り続けてきた彼女
本作は、再びケルトの伝統に立ち返ったような作風で、初期を思わせる世界観のアルバム。
アコースティックギターにアイリッシュパイプの響きが合わさり、ケルトの大地を感じさせる素朴さを
いまだ衰えぬロリーナの瑞々しい歌声が包み込んでゆく。いにしえのケルトの風にひたれる作品だ。
ケルティック度・・8 アコースティック度・・8 女性Vo度・・9 総合・・8
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LOREENA McKENNITT「Troubadours on The Rhine」
カナダ出身のケルト系シンガー、ロリーナ・マッケニットのライブ。2012年作
ギター&シンセ奏者、チェロ奏者を加えての、2011年ドイツでのトリオ編成でのライブを収録。
彼女の奏でるやわらかなハープの音色に、伸びやかな歌声を乗せ、しっとりとしたトラッドソングを聴かせる。
ピアノとチェロによるシンプルなバックが、いっそう彼女の表現ある歌声を引き立てていて、
美しさと深みを併せ持ったその歌唱は、まさに現代最高の女性ケルト&トラッドシンガーであろう。
全44分であるが、まどろむようにウットリと聴き入れる。もっと聴いていたいという
ライブ演奏・・8 ケルト/トラッ度・・8 女性Vo度・・9 総合・・8.5
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Loreena McKennitt 「Live At The Royal Albert Hall」
カナダ出身の女性シンガー、ロリーナ・マッケニットのライブ。2019年作
1985年にデビュー、ケルト系シンガーのベテラン。英国ロイヤル・アルバートホールでのライブを2CDに収録。
ヴァイオリン、チェロ、などを含むバンド編成でのステージで、伸びやかで表現豊かな歌声を中心に、
自身の奏でるハープやアコーディオンの音色に、アコースティックギターやブズーキ、艶やかなヴァイオリンに、
うっすらとしたシンセも加えた、しっとりと優雅なサウンドを描いてゆく。パーカッションやドラムのリズムとともに、
ライブらしい躍動感あるアンサンブルと、優しく豊かな情感に包まれたロリーナの歌声をゆっくりと味わえる。
楽曲ごとに、中近東的なテイストや、ストリングスとピアノによるクラシカルな味わいなど、ケルトのみならず
アラブやバルカン、ヨーロッパなど世界各地を旅するように鑑賞できる。まさに円熟のステージである。
ライブ演奏・8 優雅度・9 女性Vo度・9 総合・8.5 
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Lot Lorien 「Eastern Wind」
ブルガリアのフォークロック、ロット・ローリエンの2009年作
アコースティックギターに艶やかなヴァイオリンの音色が絡み、美しい女性ヴォーカルの歌声を乗せた、
繊細で叙情的なサウンドを描く。ドラムの入った適度なロック感触と、ケルティックな牧歌性が合わさって、
スペインのLuar Na Lubreあたりに通じる雰囲気がある。ということは、しっかりプログレファン向けですよ。
どの曲も美しいヴァイオリンのフレーズが前に出るパートがあって、リズムチェンジを含むインストパートと
やわらかな女性声を乗せたしっとりとした叙情が、ほどよいバランスで同居している。幻想的な雰囲気はとてもいいので、
女性ヴォーカルの存在感がもっと強まれば、よりダイナミックなサウンドになるだろう。
ケルティック度・・8 ロック度・・7 女性Vo度・・7 総合・・8
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Lot Lorien 「Elsewhere」
ブルガリアのフォークロック、ロット・ローリエンの2012年作
やわらかなアコーディオンの音色に美しいシンセ、アコースティックギターにマンドリンのつまびき、
そして伸びやかな女性ヴォーカルの歌声を乗せた、ジャケのイメージ通りに幻想的なフォークロックサウンド。
辺境臭さやマイナー臭さはほとんどなく、適度にキャッチーな優雅さと、素朴なフォーク/トラッドメロディが
じつにセンスよく融合していて、アコースティック部分の説得力もしっかりと備えている。
自主制作のCD-R流通なのが惜しい。世界規模で配信したいような幻想フォークの傑作です。
メロディック度・・8 幻想度・・9 女性Vo度・・8 総合・・8


LOUISA JOHN-KROL 「Argo」
オーストラリアの女性アーティスト、ルイサ・ジョン-クロルの1996年作
アコースティックギターのつまびきに、打ち込みによるシンセアレンジ、女性ヴォーカルの歌声で聴かせる
繊細なネオフォークサウンド。ケルティックな感触もありつつ、エレクロなモダンさも含んでいて、
Deleriumあたりに通じる民族テクノ的な雰囲気も。一方ではゴシック寄りの薄暗い神秘性も感じさせ、
よりディープなリスナー向けの幻想フォークというのが正しいか。現時点では楽曲、スケール感ともにやや物足りない。
ドラマティック度・・7 幻想度・・8 女性Vo度・・7 総合・・7
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LOUISA JOHN-KROL 「Alexandria」
ルイサ・ジョン-クロルの1998年作
シンフォニックなアレンジに、美しい女性ヴォーカルの歌声を乗せたコンテンポラリーサウンドで、
繊細なハープのつまびきとうっすらと包み込むようなシンセが、夢見のような幻想性を描く。
前作に比べて女性声の表現力が上がったことで、このふわふわとした聴き心地にも、
ある種の説得力がともなってきた。アコースティックギターやマンドリンががつまびかれる
牧歌的なフォーク風味も覗かせつつ、曲によってはキャッチーなところも感じさせ、
いくぶん一般向けの作風になったか。ケルティックな部分が薄まったのは痛しかゆしだが。
ドラマティック度・・7 幻想度・・8 女性Vo度・・8 総合・・7.5
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LOUISA JOHN-KROL 「Ariel」
ルイサ・ジョン-クロルの2001年作
今回は出だしからどこか東洋的な趣で、うっすらとしたシンセにパーカッションのリズム、
女性ヴォーカルの歌声も伸びやかで、ストリングスを含んだシンフォニックなアレンジが美しい。
ドラムにベースが入ったキャッチーなナンバーも今作では多く、しっとりとした歌声を聴かせながら、
ポップな質感もやや前に出ている印象だ。もちろん従来の浮遊感のある幻想性も残していて、
やわらかなフルートの入ったインストナンバーなど、ネオフォークとしての魅力もちゃんとある。
個人的には、もっとディープな神秘性や薄暗さをまとわせて欲しい気もするのだが。
ドラマティック度・・7 幻想度・・8 女性Vo度・・8 総合・・7.5
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LOUISA JOHN-KROL 「Alabaster」
オーストラリアの女性アーティスト、ルイサ・ジョン-クロルの2003年作
自身の奏でるマンドリンにうっすらとしたシンセアレンジ、女性ヴォーカルの歌声を乗せた
幻想的なネオフォークサウンドを聴かせる。どこか東洋的な雰囲気をかもしだす空気感に、
ケイト・ブッシュを思わせるキュートな歌声が魅力的で、アコースティックな素朴さと
コンテンポラリーなシンフォニック性のバランスもよい。8分、9分という大曲では、
妖しい神秘性に包まれたアンビエントな浮遊感に浸れる。Daemonia Nympheのメンバーなどがゲスト参加。
ドラマティック度・・7 幻想度・・8 女性Vo度・・8 総合・・7.5
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Louisa John-Krol 「Apple Pentacle」
オーストラリアの女性アーティスト、ルイサ・ジョン-クロルの2005年作
1996年にデビュー、本作は5作目で、コケティッシュな女性ヴォーカルに、アコースティックギター、
やわらかなシンセアレンジを重ね、夢見心地の優美な幻想系ネオフォークを聴かせる。
エレクトロなモダンさを含ませたシンフォニックな感触と、ケイト・ブッシュのようなキュートで
エキセントリックな世界観に、マンドリンやハープなどの素朴なアコースティック性も含んだ
ケルティックな味わいも同居させた優雅なサウンドが楽しめる。初期の作品に比べて
雰囲気モノとしての強度が備わったことで、最後まで夢見心地に浸れる好作品です。
優雅度・・9 幻想度・・8 女性Vo度・・8 総合・・8 
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Louisa John-Krol 「Djinn」
オーストラリアの女性アーティスト、ルイサ・ジョン-クロルの2009年作
1996年にデビュー、6作目の本作は、ジャケのイメージのように妖精の猫をテーマにしたコンセプト作。
アコースティックギターにハープシコードの優雅な音色、いくぶんエレクトロなシンセアレンジに
女性ヴォーカルを乗せた、モダンなネオフォークサウンド。キャッチーなポップ性も含ませつつ、
ときにシンフォニックなシンセの重ねや艶やかなヴァイオリンとともに、マジカルで幻想的な世界観を描いてゆく。
どこか童話的なイメージもある雰囲気とコケテッィシュな歌声は、KATE BUSHなどのセンスにも通じるだろう。
小曲を織り込んだ流れのある楽曲の連なりで、じっくりと優雅な幻想フォークを楽しめる。
ドラマティック度・・8 幻想度・・8 女性Vo度・・8 総合・・8
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Louise Patricia Crane 「Deep Blue」
イギリスの女性シンガー、ルイス・パトリシア・クランの2020年作
THE EDEN HOUSEにも参加していた女性シンガーで、メロウなロック感触に艶めいた女性ヴォーカルの歌声で
倦怠の翳りを帯びたサウンドを聴かせる、ALL ABOUT EVEにも通じる作風。THE EDEN HOUSEのギターや、
KING CRIMSONのジャッコ・ジャクジク、JETHRO TULLのイアン・アンダーソンがゲスト参加していて、
フルートが鳴り響く優雅な感触と、叙情的なギターにシンセを重ねた、シンフォニックなテイストも覗かせる。
イーリアンパイプを用いたケルティック風味やしっとりとしたアンビエントな叙情、いくぶんプログレなテイストも含ませて、
単なるフィメールロックという以上にアーティスティックな聴き心地である。AAEなどが好きな方はまず必聴です。
優美度・8 叙情度・8 女性Vo度・8 総合・8
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Luar Na LubrePlenilunio」
スペインのケルティックバンド、ルア・ナ・ルブレの1998年作
あのマイク・オールドフィールドが絶賛したというガリシア出身の7人組、
本作は「満月」と題された日本盤デビューとなった4作目で、彼らの出世作といえるだろう。
アコースティックギターに絡む、ヴァイオリンやブズーキ、フルート、アコーディオンの音色、
ケルトの伝統を守りながら、スパニッシュな哀愁を漂わせるメロディと、
そして紅一点、ロサ嬢の美しい歌声がしっとりと優しく響きわたる。
トラッドをベースにしながらも、適度なポップ性が感じられることで
インストにおいてもサウンドには難解さはなく、ゆったりと楽しく聴き入れる作品だ。
ケルティック度・・8 スパニッシュ度・・8 女性Vo度・・8 総合・・8
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Luar Na LubreO Cabo do Mundo」
スペインのケルティックバンド、ルア・ナ・ルブレの1999作
ヒット作となった前作に続き、本作もとても完成度の高いアルバムだ。
軽快なリズムに乗るバグパイプとヴァイオリンの音色も爽やかなインスト曲から、
いっそうの表現力を増したロサ嬢の歌声を聴かせるしっとりとした曲も素晴らしい。
マドレデウスを思わせる哀愁の叙情を漂わせながら、シンセも取り入れたアレンジには
シンフォニックな雰囲気も出てきた。アルバムとしての世界観もより統一感が増し、
それとともに音の厚みと説得力がついてきていて、自信に溢れた演奏が見事だ。
“スカボローフェアー”のカヴァーも堂々とした仕上がり。これも文句なしの傑作。
ケルティック度・・8 スパニッシュ度・・8 女性Vo度・・8 総合・・8
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Luar Na Lubre「Lo Mejor de Luar Na Lubre」
スペインのケルティックバンド、ルア・ナ・ルブレのベストアルバム。2001作
前2作のアルバム「満月」と「カボ・ド・ムンド」からを中心にしたセレクトで
未発の新曲3曲に、ライブ音源2曲を加えた全14曲を収録。バンドの入門用にも最適。
アコースティックギターに、ヴァイオリン、パイプを中心としたアンサンブルに
美しい女性ヴォーカルで聴かせるスタイルは、叙情的かつ爽やかで、
スパニッシュ系のトラッドが苦手な方にも楽しめるサウンドです。
ケルティック度・・8 スパニッシュ度・・8 女性Vo度・・8 総合・・8
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LUAR NA LUBRE「ESPIRAL」
スペインのケルティックバンド、ルア・ナ・ルブレの2002年作
ガリシア地方にはMILLADOIROをはじめ、AVALONiRtioといったセンス溢れるバンドが多いが、
このバンドも実に素晴らしい。ギターに、ヴァイオリン、アコーディオン、バグパイプなどが重なった
音の洪水のようなゴージャスで躍動感溢れるケルトサウンドから幕を開ける。
スペイン語による美しい女性ヴォーカルもまた絶品で、アコギとフルートをバックにしっとりと歌い上げる曲などは
とても耳に優しい。アレンジにはときおりシンセも加えた適度なモダン感覚もあって、
伝統的なガリシアのトラッドにポップなメジャー感を加味した聴きやすさが見事だ。
ラストはオーケストラ入りで壮大に盛り上げる。シンフォニック系リスナーにもオススメ。
ケルティック度・・9 アレンジセンス・・9 女性Vo度・・9 総合・・9
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Luar Na Lubre「Hai Un Paraiso」
スペインのケルティックバンド、ルア・ナ・ルブレの2004年作
素朴なガイタ(ガリシアン・パイプ)の音色にアコーディオン、フルート、ヴァイオリンが絡み、
スペイン語の女性ヴォーカルが優美に歌を乗せる、本格派のケルティックトラッド。
前作「ESPIRAL」でのダイナミックなシンフォニック・トラッドサウンドをさらに押し進め、
今作ではアコースティックを主体にした深みのあるガリシアントラッドを追求している。
いっそう表現力を増したロサ嬢の歌声とともに、哀愁の叙情にあふれたサウンドがしっとりと響く。
ケルティック度・・8 スパニッシュ度・・8 女性Vo度・・8 総合・・8
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Luar Na Lubre「saudade」
スペインのケルティックバンド、ルア・ナ・ルブレの2005年作
すでに結成から20年を数えるベテランとなったこのバンド、
本作もアコースティカルな素朴さと哀愁の叙情が光る傑作だ。
新加入のサラ嬢の歌声は、前任のロサ嬢よりも若々しく良い意味でキュート。
アコースティックギターのつまびきに、アコーディオン、フルートの音色…
南北アメリカへと渡ったガリシア人の足跡を綴るというコンセプト通り、
キューバ、メキシコ、ブラジル、アルゼンチンからのヴォーカルをゲストに、
まるで各国を旅をするような情緒豊かな雰囲気が味わえる。
ケルティック度・・7 スパニッシュ度・・8 女性Vo度・・8 総合・・8
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Luar Na LubreCaminos Da Fin Da Terra
スペインのケルティックバンド、ルア・ナ・ルブレの2008年作
本作は、久しぶりにドラムが入った、トラッドロック的な作風の傑作。
前2作での純ガリシアントラッド風味も悪くないが、個人的にはやはりこうした
コンテンポラリーなフォーマットの方がこのバンドに関しては好みかもしれない。
もちろん、アコースティックギターにヴァイオリンが鳴り響く哀愁の叙情もたっぷりで、
女性ヴォーカルの歌声にうっとりとしながら楽しめる。ガイタやフルートなどの
素朴なケルティック感触もより繊細に表現され、一方では爽やかな躍動感も魅力的。
ケルティック度・・8 スパニッシュ度・・7 女性Vo度・・8 総合・・8
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LUAR NA LUBRE 「SOLSTICIO」
スペイン、ガリシアのケルティック・トラッド、ルアル・ナ・ルブレの2010年作
1988年にてデビュー、スタイリッシュなスパニッシュ・ケルトを聴かせるバンドで、本作はすでに10作目。
アコースティックギターのつまびきにやわらかなフルート、バグパイプの音色を重ね、パーカッションのリズムとともに、
優雅なアンサンブルで、牧歌的なガリシアン・ケルトを聴かせる。3曲目からは、美しい女性ヴォーカルの歌声に
ときに男性声も加わって、メディーヴァルな空気感とともに、どことなくコンセプト的な流れのドラマ性も感じさせる。
ほぼアコースティックなので、サウンド的な派手さはないが、深みのある素朴さとおおらかな幻想切に包まれた作品。
アコースティック度・9 ケルティック度・8 優雅度・9 総合・8
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Luar Na Lubre 「Ao VIvo」
スペインのケルティックバンド、ルア・ナ・ルブレのライブアルバム。2010年作
いまやスパニッシュケルトの大御所となったこのバンドの2010年のライブ音源を収録、
素朴なフルートの音色に、ガイタとヴァイオリンが絡み、アコースティカルでありながら
厚みのあるアンサンブルを形成、ライブ演奏においても見事な構築力で聴かせてくれる。
躍動感と叙情性、トラッドの伝統をセンスよく今につなげる、バンドの魅力にあふれた演奏です。
ケルティック度・・8 ライブ演奏度・・9 女性Vo度・・8 総合・・8
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Luar Na Lubre 「Mar Major」
スペインのケルティックバンド、ルアル・ナ・ルブレの2012年作
90年代から活動するキャリアのあるバンドで、バグパイプにヴァイオリン、ホイッスルの音色に
女性ヴォーカルの母国語の歌声を乗せ、ジャケのイメージ通り、ケルトの大地を思わせる雄大なサウンドを描いてゆく。
シンセアレンジも加えたシンフォニックな感触は、プログレリスナーも楽しめるケルティックロックとして鑑賞可能。
本作では中世音楽の素朴な優雅さを取り入れた雰囲気もあって、祝祭的な空気に包まれた9分の大曲をはじめ、
キャッチーなノリの良さと、湿り気を含んだ叙情が同居した、メリハリに富んだ聴き心地が楽しめる。
本格派ケルティック作品としても、ドラマティックなコンセプト性を感じさせる、全64分の力作だ。
シンフォニック度・・8 ケルティック度・9 女性Vo度・・8 総合・・8.5 
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LUAR NA LUBRE「Extra: Mundi」
スペイン、ガリシアのケルティック・トラッド、ルアル・ナ・ルブレの2015年作
12作目となる本作も、バウロンのリズムにフルートやバグパイプの音色、アコースティックギターに
アコーディオンも加わり、ガリシア語による美しい女性ヴォーカルとともに、優雅なサウンドを聴かせる。
インストによるナンバーも多いのだが、艶やかなヴァイオリンやバグパイプの響きも重なった、
厚みのあるアンサンブルは、さすがキャリアのあるバンドの説得力。アコースティックギターに
やわらかなフルートと女性声によるしっとりとしたナンバーも耳に優しい。これぞガリシアン・ケルト。
アコースティック度・9 ケルティック度・8 優雅度・9 総合・8
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Lucilla Galeazzi「LUNARIO」
イタリアの女性シンガー、ルチッラ・ガレアッツィの2007年作
ローマ出身、80年代から活動する、地中海カンタウトーレのシンガーで、
アコースティックを主体とした素朴で味わいのある作品となっている。
パーカッションのリズムにアコースティックギターとアコーディオンのゆるやかな音色が重なり
そこに深みのある彼女の歌声が響きわたる。古き良き地中海トラッドルーツの土着性と、
カンタウトーレの素朴さに、イタリア的な祝祭感覚までも昇華させた、まさしく「暦」を感じさせる力作。
アコースティック度・・9 トラッ度・・9 女性Vo度・・8 総合・・8
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Lumiere
アイルランドの女性デュオ、ルミエーレの2009年作
しっとりと聴かせる二人の女性ヴォーカルの歌声に、アコースティカルな牧歌性で、
伝統的なケルトサウンドを優しく伝えてくれるサウンドだ。ドラムやシンセの入った
コンテンポラリーな聴きやすさもあり。温かみのあるやわらかな作品だ。マイスペはこちら
アコースティック度・・8 ケルティック度・・8 女性Vo度・・8 総合・・8
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Luna Rossa 「Secrets & Lies」
イギリスのネオフォーク、ルナ・ロサの2014年作
PANIC ROOMMOSTLY AUTUMNのアン・マリー・ヘルダーとジョナサン・エドワーズによるユニットで、
アコースティックギターにピアノやハープ、女性ヴォーカルの歌声を乗せて、しっとりとした優美なサウンドを聴かせる。
アコギとピアノをバックにした素朴なフォークナンバーでは、アン・マリー嬢の艶やかな歌声が引き立っていて、
大人の哀愁と倦怠を含んだ聴き心地である。アコースティックがメインなので、ロック色はほぼ皆無であるが、
随所にうっすらとシンセやオルガンも加わって、ヴァイオリンなどのストリングスも優雅に彩をそえる。
アコースティック度・・8 しっとり優美度・・8 女性Vo度・・8 総合・・8
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LUNASA
アイルランドのケルティックバンド、ルナサの1st。1998作
鳴り響くパイプの音色に、フルートとホイッスルが絡む本格派のスタイル、
アコースティックギターをバックに聴かせる、キレのある演奏力が抜群で
古き良きケルトの伝統を、そのまま現代に甦らせたようなサウンドだ。
後のアルバムに比べて、メンバーの若さが意気込みとなって音に表れていて
清々しいまでのケルティック音楽が楽しめる。演奏力も素晴らしいという他ない。
アコースティック度・・9 ケルティック度・・9 演奏・・10 総合・・8.5
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LUNASA「OTHERWORLD」
アイルランドのケルティックバンド、ルナサの2nd。1999作
アコースティックギター、フルート、フィドルなどによるインスト中心のトラッドで、
その演奏は非常に躍動感あふれ、ある意味ジャズ的なスピード感があるのが彼らの特徴。
楽器の音色に温かみを感じるのは巧みな演奏者の力なのだろう、歌がなくても
その躍動する表現力で飽きることなく聴けて、気持ちよくリズムに乗れる。
アコースティック度・・9 ケルティック度・・8 演奏・・9 総合・・8
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LUNASARedwood」
アイルランドのケルティックバンド、ルナサの4th。2003年作
アコースティックギター、フィドル、フルート、ホイッスル、を中心にしたインスト演奏を聴かせる
本格派のケルティックバンド。初期の作品に比べてずいぶんと音に余裕が感じられるようになり、
たたみかけるような勢いの良さはやや薄まったが、その分じっくりと聴ける音になにった。
あくまでアコースティック演奏にこだわりながら、伝統のケルト音楽を現代的な緻密さで
より身近に楽しめるように仕上げた、彼らの功績は大きい。より成熟された演奏である。
アコースティック度・・9 ケルティック度・・8 演奏・・8 総合・・8
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LYNNI TREEKREM「HAUGTUSSA」
ノルウェーのトラッドシンガー、リニ・テリークレムの1996年作
Arne Garborgという詩人による羊飼いの物語「HAUGTUSSA」をテーマに
表現力のある女性ヴォーカルの歌声を中心にした、静かなトラッドアルバム。
パーカッションやシンセも使われているが、メインとなるのはやはり歌唱で
しっとりとした崇高さと静謐感のある世界を歌によって描いている。
北欧らしい寂寥感のあるトラッド作品。シリアスな音なのでややとっつきにくいかもしれない。
メロディアス度・・7 シリアス度・・9 女性Vo度・・8 総合・・7.5
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Maddy PriorRavenchild」
Steeleye Spanのヴォーカルとして知られるマディ・プライアの1999作。
本作はソロとしては7作目あたりだろう。落ち着いたマディの歌声を中心に、しっとりと聴かせる作品で、
IONAのシンセ奏者ニック・ホランドと、ギター、パイプ奏者トロイ・ドノックリーが
参加していることもあり、サウンドにはミステリアスで雄大な雰囲気が漂う。
トラッドベースでありながらも、シンフォニックリスナーにも聴けるような美しさがあり
パイプやフルートなどのケルティックな感触がほどよく挿入されるのも良い。
シンフォトラッ度・・7 幽玄度・・9 女性Vo度・・8 総合・・8
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Maddy Prior「Arthur the King」
Steeleye Spanのシンガー、マディ・プライアの2001作
本作はタイトル通り、アーサー王伝説をもとにしたコンセプト作で、トラッドとシンフォニックを融合したような幻想的な作風が光る。
アニー・ハズラムを思わせるマディの歌声は、まるで物語を語るようにゆるやかで、母性的な優しさをたたえながら、
悠久の彼方へ吹く風のように響きわたる。IONAのニック・ホランドによるピアノ、シンセアレンジも素晴らしく、
ファンタジックな空間美が壮大な世界観を描き出している。ドラムが入る曲では、ケルティックなシンフォニックロックとしても楽しめる。
シンフォトラッ度・・8 幻想度・・9 女性Vo度・・8 総合・・8
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Maddy Prior 「Lionhearts」
Steeleye Spanのシンガー、マディ・プライアの2003年作
「アーサー王」に続くコンセプトもので、本作は獅子心王リチャードをテーマにした作品。
やわらかな彼女の歌声とともにアコースティカルな牧歌性で聴かせるサウンドながら、
ほのかにエピカルな世界観を覗かせ、歴史的な壮大さを感じさせる作風。
随所にドラムやギター、シンセアレンジも加わって、ケルティックパイプが鳴り響くと、
IONAなどにも通じるような、ケルティックなシンフォニックロック的にも楽しめる。
アコースティカル度・・7 ケルティックロック度・・7 女性Vo度・・8 総合・・8
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Mae MckennaNightfallers」
スコットランドの女性シンガー、メイ・マッケンナの1988年作
フォークバンドContrabandのシンガーであったことでも知られる彼女だが、
本作はシンセを使った、ENYAあたりをを思わせるコンテンポラリーな曲で始まる。
その後は、表現力豊かな母性的な歌声に、つまびかれるハープやパイプの響きも美しく、
アコースティカルで素朴なケルト色もしっかり残っていて、ゆったりと鑑賞できる作品だ。
コンテンポラリー度・・8 ケルティック度・・8 女性Vo度・・8 総合・・8
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Maggie McClure「Out of my Mind」
アメリカのシンガーソングライター、マギー・マクルーアの2009作
若干22歳という若さながら、その歌唱力と楽曲センスはなかなか素晴らしく、
サウンドにはただのポップロックではないメロディの質と叙情性とが感じられる。
モダンさの中にもほのかにクラシックやジャズの素養をかいま見せるアレンジ力も見事で、
メジャー感のある聴きやすさとともに、女性らしく伸びやかで素直な感性と
軽すぎない内面的な情感を表現するだけの強さも備わっているようだ。
ポップであってもしっかりとメロディアスな情緒を含んだ好作。今後にますます期待である。
メロディアス度・・8 叙情度・・8 女性Vo度・・8 総合・・8
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MAGICFOLK
イギリスのフォークロック、マジックフォークの2007年作
アコースティックギターにフルート、シンセを含んだ美しいアレンジと
しっとりとした女性ヴォーカルの歌声で聴かせる、幻想的なフォークロック。
ドラムやエレキギターが入ったロック色があるので、IONAあたりにも通じる
ケルティックロックの感触で楽しめる。マイナー臭い野暮ったさも素朴な味になっていて、
全体的に派手さはないものの、ゆったりと神秘的な世界観で聴かせてくれる。
シンフォニック度・・7 叙情度・・8 女性Vo度・・8 総合・・7.5
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MAGICFOLK 「Tales of Power」
イギリスのフォークロック、マジックフォークの2011年作
アコースティックギターを主体に、うっすらとしたシンセアにドラムも入った適度なロック色と
しっとりと美しい女性ヴォーカルの歌声を乗せた、幻想的なフォークロックを聴かせる。
やわらかなフルートの音色にまどろみつつ、いきなりハードなエレキギターも入って来たりと、
いくぶん唐突な展開もなかなか面白く、良くも悪くも垢抜けないマイナーさをかもしだしている。
随所にマイルドな男性声も加わったり、曲によってはジャズ色もあるという雑多なところが惜しいのだが、
優雅なハープのつまびきにフルートやヴァイオリンの音色などはとてもよい感じで、
プログレ的でもある展開とともにファンタジックな女性声フォークロックが楽しめる。
ドラマティック度・・7 幻想度・・8 女性Vo度・・7 総合・・7.5
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Maire Brennan「Perfecttime」
クラナドのヴォーカルでもある、モイヤ・ブレナンの1998作
広がりのあるシンセとヒーリング系のアレンジで聴かせるENYAタイプのサウンド。
たおやかなハープの音色や、フィドル、パイプといった楽器による
アコースティカルな持ち味もしっかりとあるので、Clannadのファンもすんなり聴ける。
しっとりとしたモイアの歌声は、母性を感じさせる優しさに満ちていて、じつに美しい。
ヒーリング度・・8 ケルティック度・・7 女性Vo度・・8 総合・・7.5
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Moya Brennan「Signature」
アイルランドのシンガー、モイヤ・ブレナンの2007年作
世界的には妹のENYAの方が有名だが、トラッドシンガーとしては、
アイルランドにおいては姉のモイヤの方がリスペクトされている。
しっとりとした歌声に、ケルティックなメロディと適度にモダンなアレンジで聴かせるサウンドは、
コンテンポラリー系のケルトとしては正統派の作風で、とても耳に心地よい。
アコースティックギターにフィドルやパイプの音色がまじわり、シンセによるうっすらとした味付けも幻想的だ。
アコースティカル度・・8 ケルティック度・・8 女性Vo度・・8 総合・・8
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Makam「Yanna Yova」
ハンガリーのトラッドバンド、マカームの2008年作
女性ヴォーカル3人をフロントに、ヴァイオリン、クラリネットの音色に笛の音が絡み
ジャズロック的な軽やかさと土着的なトラッドを融合させたようなサウンド。
女性ヴォーカルの母国語の歌唱もエキゾチックでしっとりと美しく響きわたる。
ときにポップといってもいい洗練されたメジャー感もあり、あまり辺境臭さは感じさせない。
チェンバーロック的な優雅さも含めて、プログレファンにも楽しめる作品だ。
アコースティック度・・8 トラッ度・・7 優雅度・・9 総合・・7.5
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MALAGUERO「LATITUDES」
スペインのトラッド・ロックバンド、マラグエロの2001年作
ヴァイオリンやマンドリン、フルートに、エレキギターとロックドラムを融合し、
美しい女性ヴォーカルの歌声を乗せた、キャッチーなトラッドロックサウンド。
曲によっては純トラッド的で、確かな演奏力もあってトラディショナル音楽としても本格派だが、
やはりそこにピアノやギターなどが絡まると、なんともいえぬ素敵な音楽になる。
女性ヴォーカルの歌唱も伸びやかで力強く、スペイン語の歌が実によく映えている。
トラッ度・・9 ロック度・・7 女性Vo度・・8 総合・・8.5
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MALEVENTO「CANZONIERE DELLA RITTA E DELLA MANCA」
イタリアの現代トラディショナルグループ、マレヴェントの1994作
イタリアの熱き血を感じる男女Voの濃密な歌唱をメインに
ヴァイオリン、シタール、フルート、パーカッションなどで伝統音楽を演奏。
時折シンセやハモンドなども加わるのが現代的。技巧よりはたおやかな叙情重視。
地中海的トラディショナルミュージックのプログレ的方向性という感じだろうか。
叙情度・・8 プログレ度・・6 地中海度・・8 総合・・7


MALICORNE「LE BESTIAIRE」
フランスのトラッドロックバンド、マリコルヌの7th。1979作
フランスのトラッドグループとしては大御所とされているバンドで、
このアルバムは初期よりもロック色を濃くし、プログレファンにも人気の作品である。
男女ヴォーカルによるフランス語の歌唱をメインにしつつ、アコースティック楽器だけでなく
エレキギターやシンセも使用し、トラディショナルなテイストとモダンな質感が融合している。
ヴァイオリンやフルートの素朴な音色とは対照的な前衛的なシンセのアレンジも加わりつつ
個性的なトラッドロックサウンドを形成している。
メロディアス度・・7 プログレ度・・7 トラッ度・・7 総合・・7.5
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Maple Bee 「Hello Eve」
イギリスの女性SSW、メイプル・ビーの2006年作
本名はメラニー・ガーサイド、彼女のキュートな歌声で聴かせる、ゴシックポップ風のサウンドで、
ギターやドラムも加わったロック感触もあり、物悲しいチェロも加わりつつ、わりとキャッチーな耳心地。
アコースティックギターと女性声による幻想的なフォーク風ナンバーや、デジタルなシンセによる浮遊感もあったり、
楽曲ごとにコケティッシュなヴォーカルが違う表情を見せていて、これがなかなか魅力的なのである。
エキセントリックなセンスを感じさせつつも、モダンとポップとゴシック感がほどよく同居した好作品。
耽美度・8 ゴスポップ度・7 女性Vo度・8 総合・7.5
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Maria Papadopoulou (ΜΑΡΙΑ ΠΑΠΑΔΟΠΟΥΛΟΥ) 「ΦΕΓΓΑΡΟΣΤΟΛΙΣΤΑ」
ギリシャの女性シンガー、マリア・パパドポリューの1999年作
ギリシャ語によるしっとりとした歌声に、アコースティカルな繊細さとピアノのつまびき、
土着的な神秘性も感じさせつつ、メロディにはポップなキャッチーさがあり、
楽曲のアレンジもとても洗練されている。コンテンポラリーな女性Voもの好作品。
メロディアス度・・8 グリース度・・8 女性Vo度・・8 総合・・8
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Maria Papadopoulou (ΜΑΡΙΑ ΠΑΠΑΔΟΠΟΥΛΟΥ) 「Σ' ΕΝΑ ΚΟΣΜΟ ΜΥΣΤΙΚΟ」
ギリシャの女性シンガー、マリア・パパドポリューの2001年作
前作よりも楽曲はいくぶんポップになった感触であるが、
リズムビートに乗る彼女の歌声は、しっとりと美しく、そして神秘的だ。
伸びやかな歌声とともに、シンフォニックなアレンジも美しい。
メロディアス度・・8 グリース度・・8 女性Vo度・・9 総合・・8
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MARA!「RUINO VINO」
オーストラリアのトラッドバンド、マーラの1997作
のっけからエキセントリックなマーラ嬢の歌声で幕を開け、硬派なトラッド質感とともに、サックスやブズーキが鳴り響く。
曲のアレンジやリズムにおけるハネ具合はある意味現代的であり、たとえばハンガリーのKOLINDAあたりを
さらに激しくしたという雰囲気もある。東欧のバルカン風味のトラッドサウンドは、愛想はあまりよくないが
アコースティカル音楽としての深みと、異国情緒が気に入れば大いに楽しめるだろう。
アコースティカル度・・9 プログレ度・・7 硬派トラッ度・・8 総合・・8
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Mara!「Live in Europe」
オーストラリアのトラッドバンド、マーラのライブアルバム。2000年作
1984年にデビュー、1997年の「RUINO VINO」は日本盤も出ており、
その本格派のトラッドサウンドは見事なものだったが、このライブ演奏においても
中近東やバルカンあたりのトラッドを独自に解釈した硬派な演奏を聴かせる。
クラリネット、サックスなど室内楽的な要素に、アコースティックギター、ブズーキも加わり
アルバムよりもぐっと落ち着いたサウンドはアラビックな夜を感じさせる。かと思えば、
激しいパーカッションとマーラ嬢のはじけた歌声で聴かせるナンバーもあり、緩急自在。
媚のない音であるが、その分音楽としての深みとバンドの器の大きさを感じられる。
メロディアス度・・7 トラッ度・・9 ライブ演奏・・9 総合・・8
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Mara!「Sorella」
オーストラリアのトラッドバンド、マーラの2005年作
1st「RUINO VINO」は本格派のスケール感をもった見事なトラッドサウンドだったが、
本作はのっけから、サックスやクラリネットが軽やかに鳴り響く優雅な作風。
一方ではアコースティカルな土着性もしっかりとあって、静かな緊張感のなか
深みと美しさを備えた
マーラ嬢の歌声が神秘的に響きわたる。
伝統的なトラッドの重みと、現代的なアンサンブルの妙を融合させた力作。
アコースティカル度・・9 プログレ度・・7 トラッ度・・8 総合・・8
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Mara Aranda & Solatge「Deria」
スペインの女性シンガー、マラ・アランダを擁するユニット。2009年作
L'Ham de Focの女性ヴォーカリストで、バックにもラム・デ・フォクのメンバーが参加した本作は、
やわらかなハープのつまびきに、ブズーキ、ドルサイーナといった古楽器の素朴な音色に
母国語による伸びやかなヴォーカルを乗せた、本格派のトラッドサウンドを聴かせる。
バルカン風味の神秘性を感じさせたラム・デ・フォクに比べると、よりスパニッシュトラッドの深みを探求するような
土着的な雰囲気で、アコースティック楽器を主体としながら、繊細かつ躍動的なアンサンブルを描いている。
表現豊かなマラ嬢の歌声は、中世から連なるような幻想的な世界観を包み込むような空気感をかもしだし、
シリアスなトラッドからバラッド調のやわらかなナンバーまで、説得力に満ちたサウンドの強度が素晴らしい。
アコースティック度・・9 トラッ度・・9 女性Vo度・・9 総合・・8
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Maria Del Mar Bonet 「Sempre」
スペインのシンガー、マリア・デル・マール・ボネットの1981年作
カタルーニャ、マジョルカ島出身の歌姫で、本作は、自作曲からスティーヴィー・ワンダー、カエターノ・ヴェローゾ
バルバラ「黒い鷲」などのカタルーニャ語によるカヴァーを収録した、初期のベストアルバム的な作品。
70年代の楽曲では、ピアノとストリングスによる美しいアレンジに、若かりし彼女の瑞々しい歌声が美しい。
ビリー・ホリデイのカヴァーは優雅な大人のジャズナンバーながら、カタルーニャ語の哀愁が加わった独特の味わい。
カエターノ・ヴェローゾのカヴァーでは、シンフォニックなストリングスとともに、泣きの叙情に包まれる。
近年の作品に比べるとトラッド感触は薄めであるが、表現豊かな彼女の歌声が堪能できるコンピ盤です。
アコースティック度・8 トラッ度・7 女性Vo度・9 総合・8 
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Maria Del Mar Bonet 「Breviari D'amor」
スペインの女性歌手、マリア・デル・マール・ボネットの1982年作
カタルーニャ出身のトラッド系シンガーで、本作は彼女の初期の代表作とされる1枚。
優雅なオーケストラをバックに、しっとりと豊かな歌声を乗せて聴かせる、シンフォニックなトラッドサウンド。
中世の吟遊詩人をテーマにした幻想的な味わいが、クラシカルなオーケストラと相まって、
典雅で壮麗な世界観を描き出す。若き日の彼女の伸びやかな歌声は、すでに表現力も素晴らしく、
この後、孤高のシンガーへと歩んでゆく、その原石のような輝きに溢れている。
クラシカル度・・8 優雅度・・9 女性Vo度・・8 総合・・8
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Maria Del Mar Bonet 「Anells D'aigua」
スペインのシンガー、マリア・デル・マール・ボネットの1985年作
やわらかなピアノの旋律に、しっとりとしたカタルーニャ語の美しい歌声が耳に心地よく、
12弦ギターやマンドリンのつまびきとともに、素朴な優しさに包まれるサウンドが味わえる。
タブラによるエスニックなリズムや、ハープシコード、ハーディ・ガーディなどの古楽器による、
土着的な雰囲気も含めて、スパニッシュトラッドとしての優雅な哀愁の空気に包まれている。
そして、表現力豊かな彼女の絶品の歌声は、カタルーニャの息吹を聴き手に感じさせる。
アコースティック度・9 トラッ度・8 女性Vo度・9 総合・8
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MARIA DEL MAR BONETEL COR DEL TEMPS」
スペインのシンガー、マリア・デル・マール・ボネットの1997年作
カタルーニャ、マジョルカ島出身の歌姫で、本作は歌手歴30周年を祝してのコンサートライブの録音。
地中海の伝統的なトラッド音楽を、その母性味豊かな歌声で、スペイン的な情熱とともに聴かせる。
CD2枚組で34曲、1曲ごとはごく短いシンプルなものも多いが、その豊穣な歌唱は圧倒的。
アコースティカル度・・9 トラッ度・・9 女性Vo度・・9 総合・・8
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MARIA DEL MAR BONET 「Cavall De Foc」
スペインのシンガー、マリア・デル・マール・ボネットの1999年作
本作もアコースティカルな素朴さの中に、マリアの表現溢れる歌声で聴かせる
大人のコンテンポラリートラッド作品。大地から生まれたような自然体の力強さと
ある種、優雅な土着性、そして豊穣の喜びを描くような雰囲気が素晴らしい。
アコースティカル度・・9 トラッ度・・9 女性Vo度・・9 総合・・8
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Maria Del Mar Bonet 「RAIXA」
スペインのシンガー、マリア・デル・マール・ボネットの2001年作
1970年にデビュー、マジョルカの歌姫とうたわれるシンガーで、本作はバルセロナで行われる定期コンサートの
25周年を記念してのステージを収録。独唱で始まる1曲目から、すでにその表現豊かな歌声に聴き惚れる。
アコースティックギターにチェロやヴァイオリンなどのストリングスを重ねた、しっとりと優美なナンバーから、
パーカッションにスパニッシュギターを乗せた躍動的なナンバーまで、ときに情感的に、ときに優しく母性的に、
彼女の歌声はしっかりと主役となっている。キャリア30年の実力が発揮された素晴らしい歌唱に浸るべし。
アコースティック度・9 トラッ度・8 女性Vo度・9 総合・8
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MarIa DeL Mar BoneT 「amic,amar」
スペインの女性歌手、マリア・デル・マール・ボネットの2004年作
アコースティックギターに、ブズーキ、フルートなどの演奏に、マリアの深みのある歌声。
中近東的なフレーズやメロディ、パーカッシブな部分が異国情緒を感じさせ、
合唱隊の歌声などには、ある種宗教的な崇高な響きが感じられる。
音数は決して多くないが、素朴で深遠な世界が広がっている。
アコースティカル度・・8 深淵度・・9 女性Vo度・・8 総合・・8
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Maria Del Mar BonetTerra Secreta
スペインの女性歌手、マリア・デル・マール・ボネットの2007年作
カタルーニャ出身のトラッド系シンガーとして、70年代から歌い続けるキャリアをもつ。
美しいハープのつまびきに、優しい彼女の歌声が響きわたると、そこはもうマジョルカの大地、
ラテンの哀愁と叙情が交差する、シンプルながらもじつに味わい深い歌曲だ。
2曲めのピアノ曲も、マリアの母性的な歌声がじつに映えていて素晴らしいし
アコーディオンの音色から始まる3曲めは、ギリシャの大御所シンガー、ハレス・アレクシーフのカヴァー。
全体的にこれまでの硬派なトラッド路線からはずいぶん肩の力を抜いた作風で、クラシック、ジャズ、
ブルースなどの要素を取り入れつつ、彼女の魅力的な歌を堪能できる逸品に仕上がっている。
アコースティカル度・・9 スパニッシュ度・・8 女性Vo度・・9 総合・・8.5
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Maria Del Mar Bonet 「Bellver」
スペインの女性歌手、マリア・デル・マール・ボネットの2010年作
カタルーニャ出身、70年代から活動する、いまやスパニッシュ・トラッドを代表する女性シンガー。
本作は2009年にスペインのパルマ市、ベルヴェル城にて行われた「バレアス交響楽団」と共演したライブ作品で、
優雅なオーケストラの演奏をバックに、伸びやかな彼女の歌声が響き渡る、壮麗にして優美なサウンドが楽しめる。
キャリアのある歌い手のみがかもしだせる円熟の表現力で、優しく、ときに力強く歌い上げるさまは、
マヨルカの歴史的な空気感をともなった壮大なときの流れを感じさせ、じつに感動的である。
全体的にも、クラシック、オペラティック寄りの雰囲気で、トラッド系が苦手な方でも味わえる内容である。
優雅度・・9 壮麗度・・8 女性Vo度・・9 総合・・8 
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Maria Laura Baccarini 「Furrow」
フランスの女性シンガー、マリア・ローラ・バカリーニの2011年作
美しい女性ヴォーカルに、ヴァイオリン、クラリネットの音色が絡み、ジャズ的な優雅さと
ギターも入ったロック色が合わさって、適度にポップな感触もあるというサウンド。
ときに唐突なリズムチェンジを含んだエキセントリックなアレンジセンスも面白く、
キュートで伸びやかな歌声は表現力豊かでなかなか魅力的だ。SLAPP HAPPY
KATZEN KAPELLなどにも通じるような軽妙なチェンバー・ポップ的な味わいもあって、
7~8分という長めの楽曲を構築する知的なセンスは、プログレファンにも十分楽しめる。
プログレ度・・7 優雅度・・8 女性Vo度・・8 総合・・8
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Mari BoineEight Seasons
ノルウェーのシンガー、マリ・ボイネの2001年作
ノルウェー北極圏ラップランドの生まれで、サーメ人の伝統音楽のヨイクの歌い手。
80年代初頭から活動しているベテラン。うっすらとしたシンセとモダンなビートアレンジに
透き通るような彼女の歌声が響きわたる。北欧の土着性を現代的に解釈したというべき
そのサウンドは、HEDNINGARNAやGARMARNAのように、コンテンポラリーでプログレッシブだ。
鳴り響くサックスの音色も、どこか北欧の翳りに包まれていて、モダンなアレンジの中にも
トラッドとしての本質をしっかりと残しているのが素晴らしい。
アコースティカル度・・6 コンテンポラリー度・・9 女性Vo度・・8 総合・・8
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Mari Boine「IDJAGIEDASIn the Hand of the Night
ノルウェーのシンガー、マリ・ボイネの2006年作
アコースティックな素朴さとモダンなアレンジを融合した作風は、
以前の作品に比べるといくぶん地味な印象だが、落ち着いた彼女の歌声とともに、
より深みのある自然体のサウンドを描き出している。伝統的な土着性を
現代的な音像で表現しながら、神秘的な静謐感をゆるやかに聴かせる好作品だ。
アコースティカル度・・7 コンテンポラリー度・・8 女性Vo度・・8 総合・・8
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MARI BOINE「An Introduction To」
ノルウェーのシンガー、マリ・ボイネのベストアルバム。2011年作
デビュー25周年を記念し、1993年~2011年までの全30曲を収録した2枚組。
やわらかな歌声で聴かせるしっとりとしたトラッドから、モダンなビートを取り入れた
ラジカルなアレンジ曲まで、伝統的であることのみにとらわれない柔軟な作風で
独自の世界観を作り上げている。ポップさの中に見え隠れする神秘的な土着性が面白い。
アコースティカル度・・6 コンテンポラリー度・・8 女性Vo度・・8 総合・・8
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Marina Cedro 「Cronicas」
アルゼンチン出身の女性シンガー、マリナ・セドロの2014年作
艶やかなヴァイオリンにピアノの音色、スペイン語による歌声を乗せたコンテンポラリーなスタイルで、
音数が少ない分、彼女のハスキーで伸びやかな歌唱の表現力がサウンドによく映えている。
曲によっては、アコーディオンの音色も入ったり、フォルクローレやタンゴ、ジャズなどの要素も感じさせつつ、
あくまで歌ものとしてのシンプルな聴き心地を崩さない。そういう点では、プログレリスナー寄りとは言えないのだが、
クラシカルなシリアスさにスパニッシュな香りを含んだ、優雅な女性ヴォーカルアルバムとして普通に楽しめる。
ドラマティック度・・7 優雅度・・8 女性Vo度・・8 総合・・7.5
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Marissa Nadler 「Little Hells」
アメリカの女性SSW、マリッサ・ナドラーの2009年作
古き良き、ウーリッツァー・ピアノの旋律に、たゆたうような女性ヴォーカルの歌声で、
しっとりと聴かせるドリーミーなサウンド。アコースティックギターのつまびきやピアノ、
オルガンなども入りつつ、あくまで彼女の夢見がちな歌声を中心にした素朴さが魅力。
フォーク要素はさほどなく、キャッチーでありながら薄暗いアンニュイな雰囲気に包まれた作品だ。
アコースティック度・・7 夢見度・・8 女性Vo度・・8 総合・・7.5
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Marissa Nadler 「For My Crimes」
アメリカの女性SSW、マリッサ・ナドラーの2018年作
2004年にデビューし、本作で8作目となる。アコースティックギターのつまびきに、
はかなげな彼女の歌声を乗せた、シンプルな味わいのネオフォークサウンド。
チェロやヴァイオリンなどのストリングスを加え、寒々しい叙情性と倦怠の幻想性に包まれた
物悲しい世界観で、美しいヴォーカルとともにウットリしながら浸れること請け合い。
楽曲は2~4分前後で、全34分という作品なので、飽きずに聴き通せるのもよいですね。
アコースティック度・・8 儚げ度・・9 女性Vo度・・8 総合・・7.5
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Marja Mattlar 「tuli」
フィンランドの女性アーティスト、マーヤ・マターの2003年作
アコースティックギターに、うっすらとしたシンセアレンジ、フィンランド語のヴォーカルを乗せた、
ゆったりと叙情的なトラッドサウンド。艶やかなストリングスにピアノも加わったクラシカルな優雅さに
素朴な母国語ヴォーカルの味わいが合わさって、土着的なサウンドをコンテンポラリーに仕立てている。
繊細なカンテレの音色や、やわらかなアコーディオンなども随所にアクセントになっている。
北欧らしい本格派のトラッドをベースに、ヴァイオリンやピアノなどで美しく味付けされた作品。
ラスト曲は、何故かエレキギターが加わったフォークメタル風味というのは意外でした。
アコースティック度・・8 北欧トラッ度・・8 女性Vo度・・8 総合・・7.5
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Mary Jess「SHINE」
イギリスの女性シンガー、メアリー・ジェスの2011年作
うっすらとしたシンセ、ストリングスにやわらかなフルートの音色に、
しっとりとした優しい歌声が乗る、じつに美しくやわらかな聴き心地。
オリエンタルな趣もあるメロディや、壮麗でシンフォニックな雰囲気もよろしく、
単なる女性Voものという以上に我々、プログレ好きにアピールするものがある。
DECCAからの配給というのもなんとなく分かる気がする美麗作です。
しっとり度・・9 壮麗度・・8 女性Vo度・・9 総合・・8
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MEAV
アイルランドのケルト系女性Vo、メイヴの1st。1998年作
彼女はリバーダンスに参加したアヌーナというグループの元ヴォーカリスト。
初期のENYAなどにも通じる透明感ある、暖かなケルトサウンドで、
メイヴの澄みきった歌声は、高音だがそれでいてやわらかみがあり心地よい。
バックにはシンセなども使用して、トラッドとポピュラーのバランスが良く聴きやすい。
メロディアス度・・8 ケルト度・・8 女性Vo度・・9 総合・・7.5
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MEAV「SILVER SEA」
アイルランドの女性シンガー、メイヴの2nd。2002作
混声グループ、アヌーナのメンバーとしてリバーダンスなどでも活躍する彼女のソロ作2作目。
トラッドのアレンジ曲をメインに、しっとりとした彼女の美声が響きわたる。
ゲール語に英語、それにフランス語もまじえての全15曲(輸入盤は13曲)、
有名な「ダニーボーイ」のゲール語版や、ALL ABOUT EVEのカヴァー曲なども楽しめる。
ゆったりと優しく癒される、現代版のケルティックトラッド作品。
トラッ度・・7 ケルティック度・・8 優しい美声度・・9 総合・・7.5
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Meav 「A Celtic Journey」
アイルランドの女性シンガー、メイヴの2005年作
混声グループ、アヌーナやリバーダンスに参加、近年ではケルティック・ウーマンでも活躍するシンガーで、
アイリッシュ・トラッドをベースにシンセアレンジによるシンフォニックな味付けに、彼女の絶品の美声が響き渡る。
リコーダー、ホイッスル、ハープ、ハープシコードなどの繊細な音色も含めて、全体的にコンテンポラリーずきず、
しっとりとした優しい作風である。彼女の初期の作品に比べて、よい意味で垢抜けたメジャー性に包まれていて
より多くのリスナーが楽しめるだけの内容になっている。お約束のアイリッシュ名曲“Danny Boy”、“Greensleeves”も収録。
シンフォニック度・・8 ケルティック度・・8 女性Vo度・・8 総合・・8
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Mediaeval Baebes「Salva Nos」
女性12人によるコーラスグループ、ミディーヴァル・ベイブスの1998年作
中世音楽の世界観を歌声で再現するという女性グループで、
曲はほぼ歌のみで、ときおりリコーダーの音色が絡むくらいのいたって素朴なもの。
歌声の方も正直にいって素晴らしく上手なわけではないのだが、
しかし、それがかえって瑞々しい純粋なものに聴こえたりもする。まあともかく、
美女たちの写真やジャケを眺めながら、うっとりと聴けるアルバムではある。
中世音楽度・・8 素朴度・・8 女性Vo度・7 総合・・7
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MELNITSA 「Doroga Sna」
ロシアのフォークバンド、メルニッサの2003年作
アコースティックギターのつまびきに繊細なフルートの音色、女性ヴォーカルで聴かせる、
幻想的なフォークサウンド。ケルティックなバウロンのリズムに、ヴァイオリンとフルートが重なり
異国的な母国語の歌声が響きわたると、ペイガンちっくな世界観にうっとりと浸れる。
アコースティカル度・・9 ケルティック度・・8 女性Vo度・・8 総合・・8
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Мельница(MELNITSA)「Перевал (MOUNTAIN PASS)」
ロシアのフォークロックバンド、メルニッサの2005年作
アコースティックギターに繊細なフルートの音色、艶やかなヴィオラの響きに
母国語による女性ヴォーカルの歌声で聴かせる、異国的なフォークロック。
曲によってはドラムが入っているので、フォーキーなプログレとしても楽しめる。
クラシカルな優雅さと、しっとりとしたやわらかな聴き心地にうっとりです。
アコースティカル度・・8 フォーキー度・・8 女性Vo度・・8 総合・・8
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Mercedes Peon「Ajru」
スペインの女性トラッドミュージシャン、メルセデス・ペオンの2003年作
ガリシア出身の彼女はシンガーであると同時に、パンデイレータ(タンバリン)や
ガイタ(ガリシアン・パイプ)の名手でもある。モダンなリズムビートに乗せる
女性コーラスの重ねはVARTINAあたりを思わせ、エキセントリックなラジカルトラッド的。
鳴り響くガイタの音色、ときに優雅なアコーディオン、お洒落ですらあるアレンジ力、
どれをとってもじつに見事。伝統と革新の融合…プログレッシブなトラッド作品である。
アコースティカル度・・7 プログレ度・・8 ラジカルトラッ度・・8 総合・・8
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Mercedes Peon「SOS」
スペインの女性トラッドミュージシャン、メルセデス・ペオンの2010年作
ガリシア出身のシンガーで、パンデイレータ(タンバリン)やガイタ(ガリシアン・パイプ)の名手でもあるミュージシャン。
本作はブックレットの内容からして、日本をはじめ世界各国をテーマにした内容らしく、どことなく和風のメロディに、
お経じみた歌を乗せたり、エレクトロなシンセアレンジを含むモダンなテイストと、不思議な土着性が融合した、
先鋭的なトラッドミュージックを聴かせる。アラビックな中近東要素や、ボサノバやスカやジャズ要素なども入り混じり、
クラリネット、アーディオンとなども加わった、チェンバーロック的なアヴァンギャルド性も垣間見せる。
エキセントリックなセンスに包まれた異色のエレクトロ・トラッド作品であり、アヴァンロック的にも味わえる傑作。
先鋭トラッ度・・8 アヴァンギャル度・・9 女性Vo度・・8 総合・・8
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Mermaid Kiss 「The Mermaid Kiss Album」
イギリスの女性Voロックバンド、マーメイド・キスの2003年作
しっとりとした美声の女性ヴォーカルの歌声に、うっすらとしたシンセアレンジ、
やわらかなフルートの音色で繊細な叙情を聴かせる、アンニュイなメロディックロック。
All About Eveのような倦怠の翳りに、Karnatakaあたりに通じるシンフォニックな優雅さを加えたという雰囲気で、
ほのかにケルトテイストを感じさせるところもよいですね。楽曲は3~4分前後とわりとシンプルで、もう少し盛り上がりや展開があれば、
プログレ/シンフォ系のリスナーによりアピールするのではないかと思う。女性ヴォーカル好きは要チェックのバンドです。
シンフォニック度・・8 ケルティック度・・7 女性Vo度・・8 総合・・7.5
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MERMAID KISS「salt on skin」
イギリスの女性Voロックバンド、マーメイド・キスの2ndミニ。
今作では女性ヴォーカルが3人に増えていて、曲ごとにリードヴォーカルが変わるというのが面白い。
三人の声質の違いで、ALL ABOUT EVE風、KARNATAKA風、ロリーナ・マッケニット風などと、
曲調もそれに合わせている感じで、それぞれに雰囲気が異なるのが面白い。
サウンドは、しっとりとしたアンビエントな静謐感とモダンなシンセアレンジを取り入れつつ、
元KARNATAKAのGが参加していることで、ロック寄りの部分もしっかりとある。
メロディアス度・・7 アンビエント度・・8 女性Vo度・・8 総合・・7.5
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MERMAID KISS「Etarlis」
イギリスの女性Voロックバンド、マーメイド・キスの2nd。2007年作
IONA、KARNATAKAに続くフィメール系ケルトロックバンドとして期待されているこのバンド、
前作2ndミニアルバムもなかなかの出来だったが、続くこの2ndフルはかなりの力作となった。
女性Voは2人となって、今回はEvelyn嬢をメインヴォーカルに、Kate嬢がサポートするツインヴォーカル体制に。
サウンドは一聴したシンフォニックな厚みが増しておりプログレリスナーを意識したように、7分、10分という大曲もある。
ピアノやフルートなどによるアコースティックな質感と、ケルティックでミステリアスな雰囲気が合わさり
そこに美声の女性ヴォーカルの歌声が乗ると、それだけでうっとりと引き寄せられる。
方向性が固まったことで、音の説得力も増した。まずは最高傑作ですな。
シンフォニック度・・8 ケルティック度・・7 女性Vo度・・8 総合・・8
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MESZECSINKA 「ALLJ BELE A MELYBE STAND INTO THE DEEP」
ハンガリーのゴシック・トラッド、メスゼクシンカの2019年作
FOKATELEPの女性シンガー、アナマリア嬢をフロントにしたバンドで、アコースティックを含むギターに
サイケなシンセアレンジ、母国語の美しい女性ヴォーカルを乗せた、神秘的なトラッドロックを聴かせる。
わりとロック寄りのアンサンブルに、異国的な歌声や妖しいスキャット、土着的なバルカンなトラッドに
耽美なゴシック風味が合わさったような世界観である。しっとりとした女性声の優美なナンバーにウットリとなりつつ、
10分を超えるナンバーでは、トリップ感のあるビートに狂気をはらんだエキセントリックなヴォーカルを乗せた、
ほどよくアヴァンギャルドなセンスも覗かせる。耽美で幻想的なラジカルトラッドとしても楽しめる異色作だ。
トラッ度・・8 エキセントリック度・・8 女性Vo度・・7 総合・・7.5
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michelle tumes「listen」
オーストラリア出身の女性Vo、ミッシェル・トゥームスの1st。1998作
美しい女性ヴォーカルを聴かせる絶品のコンテンポラリー・ケルト作品。
雄大なオーケストレーションによるシンフォニックな感触もあって、
メロディアスなケルティック・ポップとしても楽しめるステキな内容だ。
シンフォニック度・・8 ケルティック度・・7 女性Vo度・・9 総合・・8
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Michelle TUMES「Center Of My Universe」
オーストラリア出身の女性Vo、ミッシェル・トゥームスの2nd。2000作
1st「Listen」でも素晴らしい歌声を聴かせてくれた彼女だが、この2ndも快心の出来。
壮麗なオーケストレーションをバックに、優しい歌声と天上のコーラスがハーモニーを奏で、
シンフォニックな雄大さとともに、聴きやすいメジャー感を両立させているのが見事。
曲におけるシンセなどのアレンジも抜群で、ほのかなケルト風味を織りまぜつつも、
変にコンテンポラリーになりすぎず、決してうす暗くならない陽性の雰囲気が心地よい。
ポツプな感覚でも聴ける、万人受けするシンフォニック・ヒーリング・フィメール作品だ。
シンフォニック度・・8 ケルティック度・・7 女性Vo度・・9 総合・・8.5
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michelle tumes「dream」
オーストラリアの女性Vo、ミッシェル・トゥームスの3rd。2001作
前2作はケルティックな質感で聴かせる美しいアルバムだったが、
本作ではモダンなアプローチを取り入れたポップなサウンドになっている。
ただ、そんな中でも彼女の美しい歌声はやはり素晴らしく、
しっとりとした曲においてはその魅力をたっぷりに聴かせてくれる。
メロディアス度・・7 ポップ度・・9 女性Vo度・・9 総合・・7.5
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Middle Aging 「The Call」
イタリアのフォークロック、ミドル・エイジングの2003年作
いかにも素人臭いジャケが微笑ましいが、サウンドの方はアコースティックギターにチェンバロが響き
やわらかなフルートの音色で聴かせる、中世バロック的な雰囲気の優雅で繊細なサウンド。
美しい女性ヴォーカルの歌声に男性ヴォーカルが絡み、ときにオルガンが加わったり
エレキギターやドラムも入るなどして、フォーク・プログレ的な感触でも楽しめる。
ケルトの定番曲である、“Greensleeves”や“Scarborough Fair”なども取り上げている。
Blackmore's Nightあたりをもっとマイナー臭くしたという感じか。この手が好きな方はいかが。
メロディック度・・8 プログレ度・・7 優雅度・・8 総合・・7.5


Middle Aging 「Autumn Danae」
イタリアのフォークロック、ミドル・エイジングの2010年作
美麗なシンセに包まれたシンフォニックな感触に、やわらかなフルートが鳴り響き、
女性ヴォーカルの歌声を乗せた、中世を思わせるメディーヴァル・ネオフォーク。
ドラムも入って来て、適度にキャッチーなロック風味も感じさせるところは、
Blackmore's Nightなどにも通じる聴き心地である。女性ヴォーカルのヘタウマ感も含めて、
ほどよいユルさがよい味わいにもなっている。優雅で牧歌的なネオフォーク作品。
ドラマティック度・・7 中世トラッ度・・8 女性Vo度・・7 総合・・7.5


Milana「VALOA IKKUNASSA」
フィンランドの女性シンガー、ミラーナの2009年作
美しいストリングスアレンジに、マリンバの音色が軽やかに響き、
フィンランド語の女性ヴォーカルを乗せた、優雅なジャズタッチのサウンド。
欧米のシンガーなどに比べると、メロディにはそこはかとない土着性が感じられ
ポップな聴き心地の中にも北欧らしい涼やかさのある耳心地が楽しめる。
ポップ度・・8 北欧度・・8 女性Vo度・・8 総合・・7.5


MILLADOIRO「Galicia No Tempo」
スペインのトラッドバンド、ミジャドイロの1990年作
結成は1978年というベテランで、本作はすでに8作目にあたる。
1997年に「時を超えるガリシア」の邦題で日本盤も出している。
つまびかれるハープやパイプの音色、フルート、ホイッスル、オーボエなどによる
情緒あふれるアコースティックサウンドは、のちの作品よりも土着性が強く、
ゆったりと鑑賞に浸れる。異国情緒と郷愁に満ちたスパニッシュトラッド作。
アコースティカル度・・9 素朴度・・9 ガリシア度・・9 総合・・8.5
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MILLADOIRO 「IACOBUS MAGNUS」
スペインのトラッドバンド、ミジャドイロの1994年作
1978年デビューのベテラン。1990年作「時を超えるガリシア」、1996年作「ガリシアの輝き」は日本盤も出ているので
プログレリスナーからも認知度が高いだろう。マンドリン、ブズーキなどの素朴なつまびきにシンセを重ね、
ヴァイオリン、フルート、クラリネット、オーボエなど、オーケストラルな優雅さも加わったサウンドを聴かせる。
ガイタ(バグパイプ)の音色がケルテイックな情緒をかもしだし、優美なハープの響きにうっとりとなる。
随処にシンセが加わるので、プログレリスナーにも楽しめるようなシンフォニックな味わいもあって、
哀愁の叙情美に包まれた、クラシカルなトラッドサウンドが楽しめる。耳心地の良い作品です。
アコースティック度・8 ケルティック度・8 優雅な叙情度・9 総合・8 
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MILLADOIRO「Gallaecia Fvlget」
スペインのトラッドバンド、ミジャドイロの1996年作
「ガリシアの輝き」という邦題のように、いかにも素朴なガリシア地方のトラッドを
ときの流れの中で、その一瞬の輝きを封じ込めたような素敵な作品。
パイプやマンドリン、ホイッスル、フルート、ハープなどのアコースティカルな響き、
グレゴリアンチャントを思わせるような厳かなコーラス、雄大な大地と空気、
そのゆったりと優しいサウンドに思わずうっとりと目を閉じてしまう。
アコースティカル度・・9 素朴度・・9 ガリシア度・・9 総合・・8.5
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MILLADOIRO「As Fadas de Estrano Nome」
スペインのトラッドバンド、ミジャドイロのライブアルバム。1997作
スペインではバスク地方とともにトラッドミュージックが盛んなガリシア地方のバンドで、
すでにデビューから28年になるという大ベテラン。 これは元は2枚組であったものが
国内盤では「ガリシアの誘惑」「ガリシアの追憶」という邦題で別々にリリースされたもの。
アルバムとしては、「GALICIA NO TEMPO」「GALLAECIA FVLGHT(ガリシアの輝き)」
を先に聴いていたが、このライブ作では、ギター、マンドリン、アコーディオンにヴァイオリン、
ハープ、ホイッスルと、さまざまな楽器を駆使して繰り広げられる演奏が自然体で実に素晴らしい。
音の中にはケルト音楽の要素を感じさせつつも、どこか郷愁をさそうような温かみがあり、
楽しげなダンス曲や哀愁の漂う叙情曲まで、ベテランらしい多彩な表現力が見事だ。
メロディアス度・・8 トラッ度・・9 ライブ演奏・・8 総合・・8
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MILLADOIRO「Auga De Maio」
スペインのトラッドバンド、ミジャドイロの2000作
1979年から活動しているベテランで、一体何作めになるのか分からないが(15作目くらいか)
今作でもアコースティックギターにヴァイオリン、アコーディオン、フルート、オーボエにハープなど
様々な楽器を駆使して、ゆるやかにして壮大なトラッドサウンドを奏でている。
しっとりとした気取らない音の中に、ベテランとしての風格を漂わせつつ、
楽曲はあくまで自然体で、実に耳に優しく響く。まさに時を忘れてゆだねられる音だ。
二人の女性Voがゲストで2曲その歌声を聴かせてくれ、アルバムに華を添えている。
メロディアス度・・8 トラッ度・・9 ゆったり悠久度・・9 総合・・8
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MILLADOIRO「O Nino Do Sol」
スペインのトラッドバンド、ミジャドイロの2002年作
1978年デビューの、ガリシアを代表するトラッドバンド。本作も、やわらかなアコーディオンの音色に
アコースティックギター、バグパイプの牧歌的な響きとともに、素朴な叙情に包まれたサウンドを聴かせる。
ガイタやマンドーラの素朴なつまびきや、フルートやクラリネットハープなどの優美な音色も耳心地よく、
アコーディオンやヴァイオリンも加わっての優雅なアンサンブルを楽しめる。インストナンバー主体ながら、
ときにシンセを使ったアレンジや、女性ヴォーカル入りのナンバーもあり、しっとりと繊細な味わいで、
素朴ながらもじつに洗練された、ガリシアらしいケルティック・トラッドが味わえる逸品です。
アコースティック度・9 ケルティック度・8 優雅な叙情度・9 総合・8
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Milladoiro 「25」
スペインのトラッドバンド、ミジャドイロの2005年作
ガリシア地方きってのベテラントラッドバンド。本作は25周年を記念するアルバム。
ヴァイオリン、アコーディオン、マンドリンなど、アコースティカルなやわらかさと
しっとりとした落ち着きで聴かせる、ベテランらしい耳触りの良いサウンドだ。
美しいハープの音色にブズーキやパイプなどが重なるとケルティックな雰囲気が増し
ゆるやかなガリシアの風が合わさったような、優しいケルト音楽が楽しめる。
美しい歌声の女性ヴォーカル曲もあり、ゆったりとした音ながら飽きさせない作品。
アコースティック度・・9 ケルティック度・・8 優雅な叙情度・・9 総合・・8
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MILLADOIRO 「Unha Estrela Por Guia」
スペインのトラッドバンド、ミジャドイロの2006年作
アコースティックギターにピアノを乗せ、ガイタやイーリアンパイプ、ホイッスルの音色などを加え、
ガリシア語によるヴォーカルを乗せた、スタイリッシュな優雅さに包まれたアコースティックサウンド。
本作はヴォーカル入りのナンバーがメインになっていて、ジェントルな男性ヴォーカルの歌声に、
女性ヴォーカルのナンバーもしっとりと美しく、繊細でスパニッシュな叙情性に包まれながら、
ヴァイオリンやフルート、ハープ、クラリネットなどのやわらかな旋律が優美に楽曲を彩っている。
土着的な女性コーラスを乗せたトラッド曲や、ケルティックなイーリアンパイプの響きも魅力的だ。
アコースティック度・9 ケルティック度・7 素朴な叙情度・9 総合・8
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MILLADOIRO 「Atlantico」
スペインのトラッドバンド、ミジャドイロの2018年作
アコースティックギターに艶やかなヴァイオリン、アコーディオンの旋律が重なり、優雅で軽やかなケルトサウンドが広がる。
ホイッスルの音色に、ガイタやブズーキ、イーリアンパイプなど、多くの伝統的な楽器が使われていて、
ベテランらしい巧みな演奏力で、厚みのあるアコースティックサウンドが楽しめる。
哀愁を感じさせるヴァイオリンやガイタの響きに、うっすらとシンセが重なるところは、
優美なシンフォニック・トラッドという趣にもなり、マイルドなヴォーカルを乗せたナンバーなども、
やわらかなアクセントになっている。ケルトの雰囲気を強めた傑作である。
アコースティック度・9 ケルティック度・8 素朴な叙情度・9 総合・8.5
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Minne Graw「Ausgetraumt
ドイツの女性シンガー、マイネ・グラウの2010年作
ドイツのトラッドバンド、OUGENWEIDEの女性シンガーであった彼女が80年代に作ってお蔵入りとなった作品。
シンセによるやわらかなアレンジにドイツ語の歌声でしっとりと聴かせる作風ながら、
サックスやトロンボーンなどが加わったり、エレクトロポップ的な曲もあったりと、なかなか楽しめる。
曲は3、4分前後とシンプルであるが、ドイツ語の響きとポップ性が合わさった、面白さがある。
メロディック度・・7 ポップ度・・7 女性Vo度・・7 総合・・7
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Mood 「do om」
フランス、ナント出身の女性シンガー、ムードの2014年作
どこか呪術的なフランス語のヴォーカルに、アラビックな民族色とピアノやチェロ、ブラスが加わった
ジャズ的な感触も含んだサウンドで、息遣いまでも表現にする歌声は、妖しく魔女めいた魅力がある。
グロッンケスピール(鉄琴)、インディアン・ハーモニウムといった楽器も使用していて、
パーカッションのリズムに女性声が重なって、東洋と西洋、アラビックが融合したような、
スピリチュアルで神秘的な世界観を描いてゆく。曲によっては北欧のサーミの音楽にも通じるうな
土着的な感触もあり、ヴァイオリンが鳴り響くトラッド風に楽しめたりもする。個性的なアーティストです。
ドラマティック度・・7 神秘的度・・8 女性Vo度・・8 総合・・8
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The Moon and The Nightspirit「Of Dreams Forgotten and fables untold」
ハンガリーのゴシック・フォークバンド、ザ・ムーン・アンド・ナイトスピリットの2005年作
アコースティックギターのつまびきにヴァイオリンやフルートの音色をバックに、
美しい女性ヴォーカルの歌声で幻想的に聴かせるしっとりとしたフォークサウンド。
薄暗い叙情が神秘的な雰囲気をかもしだし、どこかファンタジックな物語性を感じさせる。
女性声の美しさにうっとりとなりながら、耽美な幻想ネオフォークまどろめます。
フォーキー度・・8 薄暗度・・8 女性Vo度・・9 総合・・8
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The Moon and the Nightspirit「Rego Reitem」
ハンガリーのゴシック・フォークバンド、ザ・ムーン・アンド・ナイトスピリットの2nd。2007年作
美声の女性ヴォーカルをメインに、アコースティックギターにヴァイオリン、ハープなどが
うっすらと古楽的なメロディを奏でるサウンド。ほのかにゴシック的な薄暗さがあり、
美しい女性声にときおり絡む武骨な男性ヴォーカルもアクセントになっている。
繊細でたおやかなサウンドながら、ミステリアスで幻想的な雰囲気が素晴らしく、
女性ヴォーカル、古楽風のフォーク、トラッドが好きならぜひチェックすべし。
フォーキー度・・8 薄暗度・・8 女性Vo度・・9 総合・・8
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The Moon and The Nightspirit「Osforras」
ハンガリーのゴシック・フォークバンド、ザ・ムーン・アンド・ザ・ナイトスピリットの2009年作
3作目となる本作はも、アコースティカルな素朴さと薄暗い幻想性、
そして女性ヴォーカルのキュートな歌声で聴かせるフォークサウンド。
パーカッションのリズムにヴァイオリンやフルートの音色が絡み、
武骨な男性コーラスも加わって土着的で神秘的な雰囲気をかもしだしている。
どこかケイト・ブッシュを思わせるエキセントリックなヴォーカルは魅力的です。
アコースティカル度・・8 幻想度・・9 女性Vo度・・8 総合・・8
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The Moon The Nightspirit 「Mohalepte」
ハンガリーのゴシック・フォーク、ザ・ムーン・アンド・ナイトスピリットの2011年作
女性ヴォーカル&ヴァイオリン、ギター&ベースの2人組ユニットで、アコースティックギターのつまびきに
艶やかなヴァイオリンの音色が絡み、美しい女性ヴォーカルが母国語の歌声を響かせる。
バンド名のように、夜を感じさせる幻想的な世界観に包まれたサウンドは
異国的なペイガン・フォークというべき聴き心地で、うっとりと浸れます
アコースティカル度・・8 幻想度・・9 女性Vo度・・8 総合・・8
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The Moon and the Nightspirit 「Holdrejtek」
ハンガリーのゴシック・フォーク、ザ・ムーン・アンド・ナイトスピリットの2014年作
女性Vo&ヴァイオリン、ギター&ベースの2人組ユニットで
、うっすらとしたシンセに包まれた夜の雰囲気に
幻想的なハープの音色が響き渡るイントロからして、その耽美な世界観に引き込まれる。パーカッションのリズムに、
艶やかなヴァイオリン、神秘的なダルシマーの音色を響かせて、美しい女性ヴォーカルの歌声が妖艶に重なってゆく。
ユニットとしてのキャリアも10年を数え、より強固な世界観をサウンドで描くような、堂々たる空気が備わってきた。
ダークな幻想美にうっとりとなる聴き心地…これぞゴシック系ネオフォークの最高峰というべき傑作だ。
ドラマティック度・・8 幻想度・・10 女性Vo度・・8 総合・・8.5
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The Moon and the Nightspirit 「Metanoia」
ハンガリーのゴシック・フォーク、ザ・ムーン・アンド・ナイトスピリットの2017年作
男女2人組ユニットで、2005年にデビュー、本作は6作目となる。アコースティックギターのつまびきに、
パーカッションのリズム、艶やかなヴァイオリンの音色を重ね、女性ヴォーカルがはかなげな歌を乗せる、
しっとりと優美なゴシックフォークサウンド。クラシカルなピアノに繊細なフルート、ハープなどが優雅に奏でられ、
バンド名のような幻想的な夜の空気をまとった、もの寂しくも神秘的な世界観にじっくりと浸れます。
女性ヴォーカルの美しさも素晴らしく、なよやかな歌声は、この幻想世界を強固に彩っている。
クラシカル度・・8 幻想度・・9 女性Vo度・・8 総合・・8
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The Moon and The Nightspirit 「Aether」
ハンガリーのゴシック・フォーク、ムーン・アンド・ナイトスピリットの2020年作
男女2人組のユニットで、2005年にデビューし、7作目となる。うっすらとしたシンセとピアノに
アコースティックギター、優美なハープの音色に、モリン・ホール(馬頭琴)なども加え、
女性のスキャットヴォイスに男性声が絡む、幻想的なネオフォークを聴かせる。
ヨーロッパやバルカン、ときに中近東的な空気が混在した異国的性に、ドラムも加わった
ロック的なアレンジも覗かせて、スタイリッシュな民族的なフォークに仕上げたという作風であるが、
ほどよいダークな翳りを含んだ耳心地の良さはさすが。全40分というのが本作は少し短いですかね。
民族度・7 幻想フォーク度・8 女性Vo度・7 総合・8 
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Moon'shee
イギリスのフォークバンド、ムーンシーの2011年作
女性ハープ奏者、女性ヴァイオリン、女性ギター、女性パーカッションを含む6人編成で、
アコースティックギターとシタールのつまびきに、パーカションのリズム、優雅なヴァイオリンの音色に
美しい女性ヴォーカルの歌声で、異国的でコンテンポラリーなフォークサウンドを聴かせる。
女性メンバーが4人いるので、女性声のコーラスによる華やかさがキャッチーな味わいになっていて、
優しいハープの音色とともに、やわらかな耳心地で楽しめる。アジアンや中近東的な雰囲気も覗かせつつ
歌声は英国フォーク寄りなので、多国籍感もありつつ、全体的にはストレートな聴きやすさがある。
アコースティック度・9 多国籍度・8 女性Vo度・8 総合・7.5
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МРФ 「Вальсирующие Во Тьме」
ウクライナのネオフォーク、Мой Розовый Фашистикの2012年作
Flёurにも参加するメンバーによるユニットで、本作はCD2枚組の大作。アコースティックギターに優雅なピアノの旋律、
母国語による美しい女性ヴォーカルを乗せて、しっとりと幻想的な空気に包まれたクラシカルなネオフォークを聴かせる。
トラムも加わったロック的なリズムに、デジタルなシンセなど、ポップな味わいも覗かせるところは、Flёurを思わせる。
ヴァイオリンやチェロなどのストリングスも随所に加わり、物悲しい叙情美に包まれる。やわらかな女性声とシンセによるアンビエントな美しさに、
ほどよくモダンでキャッチーな要素も含んだ、クラシカルなゴシックポップ・ネオフォークというべき逸品です。
クラシカル度・8 優美度・9 女性Vo度・8 総合・8
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MYCHAEL DANNA & JEFF DANNA「A CELTIC TALE ~THE LEGEND OF DEIRDRE」
カナダの作曲家、マイケル・ダンナジェフ・ダンナの兄弟によるケルティックユニットの1996年作
ロセッティのジャケにつられて購入。てっきり女性Vo入りだとばかり思ったがヴォーカル入りの曲は1曲のみで
あとはオールインスト作品でありました。アイルランドの神話「ディルドーレの伝説」をモチーフにしたアルバムで、
ダンナ兄弟によるピアノ、キーボード、ギターにフルートやトランペット、ハープ、フィドル、チェロといった
多彩な楽器群を加えてのサウンドは、映画サントラさながらに雄大にして叙情的、
ケルトミュージックの壮大版という感じで、悲恋の乙女ディルドーレの物語をつづってゆく。
ゆったりと気持ちよく聴き通せるが、「もっと女性声が入っていたらなあ」とつい思うのは私だけか。
シンフォニック度・・8 ケルティック度・・8 雄大度・・9 総合・・8
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Myrkur 「Folkesange」
アメリカのアンビエントネオフォーク、ミシュクルの2020年作
デンマーク出身のアマリエ・ブルーン嬢による女性の独りユニットで、2014年にデビューし、本作は3作目。
美しいジャケのイメージのように、やわらかな女性ヴォーカルとシンセによるネオフォーク風の作風で、
素朴なマンドラのつまびきに、チェロやヴィオラなどの音色を重ね、クラシカルな優雅さに包まれる。
デンマーク語の歌声による、涼やかな味わいのトラッド風ナンバーも、神秘的な空気を描き出し、
楽曲は3分前後が主体で、メタル色は皆無。前作のブラックメタル要素を期待すると肩透かしであるが、
幻想的なネオフォークが好きな方なら、わりと普通に楽しめるかと。次作はブラックが復活するのかな。
アコースティック度・・8 メタル度・・0 女性Vo度・・8 総合・・7.5
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Night Watch
ドイツのフォークロックバンド、ナイト・ウォッチの1998年作
男女ヴォーカルの歌声でゆったりと聴かせる、むしろ70年代英国風のフォークサウンド。
幻想的な薄暗さと、SPRIGUNSあたりに通じるプログレッシブな感覚で、とても耳心地のよい音だ。
アコースティックギターに絡むやわらかなフルートや、リコーター、オーボエなどの音色もじつに美しい。
とくに女性声メインの曲は繊細な叙情美にうっとりとなる。ドイツ語で歌われる曲はなかなか新鮮な耳心地。
古き良き幻想フォークの香りを感じさせる作風で、これは掘り出し物的な好作ですわ。

フォーク度・・8 しっとり度・・9 幻想度・・8 総合・・8
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NOR DAR「In the Land of Frozen Water」
アルメニアのクラシカルトラッド、ノル・ダーの2003年作
女性作曲家、Kora Michaelianを中心にしたユニットで、本作は神話や妖精物語をコンセプトにした壮大な作品。
アルメニア語によるナレーションが物語を語りながら、アコースティックギターにうっすらとしたシンセを重ね、
ホイッスルに似た民族楽器、ドゥドゥクの優しい音色に、ヴァイオリン、ビオラなどのストリングスが優美に彩り、
素朴な土着性とクラシカルなシンフォニック性が交差する。演奏部分はオールインストであるが、ときにプログレッシブと言ってよい
スリリングなパートもあったり、単なるトラッド、フォークという以上に作り込まれた世界観を感じさせる。コンセプチュアルな力作だ。
優雅度・9 トラッ度・8 幻想度・9 総合・8
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No Way North「Sum of All You've Seen」
アメリカのフォークロック、ノー・ウェイ・ノースの2012年作
このジャケだけでもう萌えてしまうのであるが、サウンドの方も美声の女性ヴォーカルで聴かせる
しっとりとしたフォークロック。アコースティカルな繊細さとともに適度にオールドなロック感触もあって、
うっすらとしたシンセアレンジやトランペットの音色もいい感じだ。アメリカ的なキャッチーさとヨーロピアンな涼やかな情緒が
いい具合に混ざった聴き心地で、ALL ABOUT EVEをもっとポップにしたようなイメージの爽やかな好作品。
メロディック度・・8 フォークロック度・・7 女性Vo度・・8 総合・・7.5
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Oceanfield「Stolen Time」
イギリスのアシッド・フォークロックバンド、オーシャンフィールドの2008作
女性ヴォーカルのジェーン・バレットさんを中心に、ロック的なギターとドラムも入った
かつてのSPRIGUNSあたりを思わせる妖しげなフォークロックサウンド。
ハスキーな歌声にはエキセントリックな情感と魔女めいた艶っぽさがあり、
ドカドカとしたドラムに絡むギターなどにはサイケロック的な味わいもある。
一方ではマンドリンやホイッスルなどの牧歌的な質感も含んでいてなかなか面白い。
メロディアス度・・7 フォークロック度・・8 女性Vo度・・7 総合・・7.5
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Odin Dragonfly「Offerings
イギリスのフォークユニット、オーディン・ドラゴンフライの2007年作
Mostly AutumnのHeather FindlrayとAngela Gordonによるユニットで
美しいフルートの音色にピアノのつまびき、そしてしっりとした女性ヴォーカルの歌声で聴かせる
やわらかなネオ・フォークサウンド。アコースティカルなMostly Autumnという感じもあって
RENAISSANCEなどの英国プログレや繊細系シンフォニックロックの耳でも楽しめる。
メロウ度・・8 繊細度・・9 女性Vo度・・8 総合・・8
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Olatz Zugasti「Bulun Bulunka」
スペイン、バスク地方の女性シンガー/ハープ奏者、オラツ・ツガスティの2000年作
たおやかなハープの音色に、しっとりとした落ち着いた歌声が優しく響く。
あくまでやわらかで素朴な音作りは、まるで子守歌のようだ。
スペイン的な臭みはほとんどなく、音数はとてもシンプルで派手さや濃厚さもない、
ゆったりとつまびかれるハープと、優しげな彼女の歌声にうっとりと耳を傾ける。
アコースティカル度・・9 しっとり優美度・・9 女性Vo度・・8 総合・・7.5
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Olla Vogala Live in De Sint-Baafsabdij
ベルギーのトラッドフォークユニット、オラ・ヴォガラの2013年作
3人のシンガーを含む15人編成という大所帯のユニットで、本作は母国ベルギーでのライブ音源。
美しい女性ヴォーカルの母国語の歌声に、ヴァイオリン、ヴィオラのストリングスが重なり、
トロンボーン、サックスなどの管楽器が加わった、チェンバー風味もあるトラッドフォークサウンド。
やわらかなピアノのつまびきにアコーディオンの音色、男性ヴォーカルの歌声とともにジャズ風味の優雅さと
哀愁を感じさせる叙情に包まれた、しっとりと落ち着いた大人のアンサンブルが広がってゆく。
軽妙にして繊細な演奏力が素晴らしく、ミステリアスなスケール感も含んだ見事なライブである。
アコースティカル度・・9 ライブ演奏・・9 優雅な叙情度・・9 総合・・8
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Olof Arnalds 「Vid Og Vid」
アイスランドの女性アーティスト、オルロフ・アルナルズの2007年作
アコースティックギターのつまびきに母国語のやわらかな歌声を乗せた、素朴なフォークサウンド。
アコギの弾き語りで音数が少ない分、シンプルな味わいで、暖かみのある彼女の歌声がよく活きていて、
北欧らしい土着的な空気感に包まれた、伝統的なトラッド、フォークをゆったりと楽しめる。
のちの作品では、この素朴な路線を守りつつ、コンテンポラリーな味付けが加わってゆく。
アコースティック度・・9 素朴度・・9 女性Vo度・・8 総合・・7.5
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Olof Arnalds 「Innundir Skinni」
アイスランドの女性アーティスト、オルロフ・アルナルズの2010年作
ストリングスアレンジを含んだ1曲めはスケール感のあるコンテンポラリーなサウンドだが、
全体的にはコケティッシュな彼女のヴォーカルを中心に、弾き語りのようなアコースティカルで
温かみのある繊細さを聴かせる作風になっている。ジャケのようなエキセントリックな雰囲気よりも、
土着的な素朴さが前に出ていて、北欧トラッドとしても楽しめるやわらかで優しいサウンドだ。
アコースティカル度・・8 北欧トラッ度・・7 女性Vo度・・8 総合・・7.5
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OLYA & MONSTER (Оля и Монстр)
ウクライナのアンビエント・ポップ、オリヤ・アンド・モンスターの2007年作
Fleurのメンバーによるユニットで、エフェクトのかかったドラムに、エレクトロなシンセアレンジと
母国語の女性ヴォーカルを乗せた、モダンなアンビエント・ポップというサウンド。
ドラムやギターも含めてロック色がほどよくあるので、わりとキャッチーな感触で楽しめ、
美しい女性声の魅力とともに、優美な大人のアンビエントナンバーから、曲によってはストリングスも加わって
後期のMOONLIGHT(ポーランド)のような、エレクトロなゴシックという感じでも聴ける。
ドラマティック度・・7 ゴシックポップ度・・8 女性Vo度・・9 総合・・8


Omnia「World Of Omnia」
オランダのネオフォーク、オムニアの2009年作
アコースティックギターにバウロンのリズム、男女ヴォーカルの歌声を乗せて、やわらかなハープや
ハーディガーディ、ブズーキなどの素朴な音色とともに、土着的なトラッドフォークを聴かせる。
優美にピアノにヴァイオリンを重ねた繊細な叙情性や、ゲストによるヴァイオリンやニッケルハルパ
鳴り響くホイッスルなど、アコスースティックをメインにした躍動的なアンサンブルは、
ときにFLAIRCKなどにも通じる感触もあり、北欧やアイルランドなどのトラッド曲も含めて、
神秘的な土着性をコンテンポラリーに解釈したという、異国的なサウンドが味わえる。
個人的には、やはり女性声がメインのナンバーがよろしいですな。
アコースティック度・・9 トラッ度・・8 幻想度・・7 総合・・7.5
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ORLA「Blue Note」
ケルティックウーマンにも参加したオーラ・ファロンの1998作
うっすらとしたシンセによる幽玄な雰囲気に、彼女の美しい歌声が響く。
バグパイプやフルート、アコーディオンなどが、うるさすぎないくらいに乗り、
しっとりと聴かせるサウンドは、まるで朝もやの森の中にいるような感覚だ。
ケルティック度・・7 しっとり度・・9 女性Vo度・・8 総合・・7.5
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Orla「WATER IS WIDE」
ケルティックウーマンにも参加したオーラ・ファロンの2005作
アイルランドの伝統的なラブソングを中心に、彼女の優しい歌声と
自身の弾くハープの音色でしっとりと聴かせる。
バックのうっすとらとしたシンセも幻想的な雰囲気を盛り上げ、
あくまで歌ものながら、モダンアイリッシュの世界観を優美に構築している。
シンフォニック度・・7 ケルティック度・・8 女性Vo度・・8 総合・・7.5
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Paintbox「bright gold and red」
スウェーデンの女性Voロックユニット、ペイントボックスの2008作
ISILDURS BANEのFredrik"Gicken"Johanssonと、女性シンガーLinneOlsson嬢を中心にしたユニットで、
サウンドはアコースティカルでアンビエントな雰囲気の歌もの。ゆったりとした素朴な楽曲は
プログレでもシンフォでもないが、EPHEMERAあたりに通じるやわらかなロハスな感覚と、
うっすらとしたシンセやチェロなども加わった、北欧らしい翳りある叙情が耳に優しい。
ゆったりと心地よくまどろめる女性ヴォーカル作品です。
メロディアス度・・8 素朴度・・9 女性Vo度・・8 総合・・8
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Paintbox 「The Night」
スウェーデンのポップロックユニット、ペイントボックスの2011年作
ISILDURS BANEのFredrik"Gicken"Johanssonと、女性シンガーLinneOlssonを中心にしたユニットで、
前作はゆったりとしたアンビエントな歌ものポップであったが、3年ぶりとなる本作も
チェロの音色を響かせながら、女性ヴォーカルの歌声を中心にポップ&キュートな聴き心地。
お洒落な可愛らしさの中にも、やはりどことなく知的な構築センスも覗かせていて、
アコースティカルな要素もまじえつつ、コケティッシュな浮遊感を描いてゆく。
いわばプログレファンにも楽しめるフィメール・スウェディッシュ・ポップである。
ポップ度・・8 プログレ度・・6 女性Vo度・・8 総合・・8
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Pamela Morgan 「On A Wing And A Prayer」
カナダの女性シンガー、パメラ・モーガンの1996年作
アコースティックギターにマンドリン、ティンホイッスルやアコーディオンの音色をバックに、
しっとりとした女性ヴォーカルを乗せた、コンテンポラリーなケルティックサウンドを聴かせる。
クセのない素直な歌声と、アコースティックな演奏で、ゆったりと牧歌的に楽しめる作風で、
神秘的な土着性は薄い分、ケルト風のフォークという感じでも鑑賞可能。
ヴァイオリンに絡むパーカッションのリズムなど、どこか中近東風の雰囲気もある点では、
同郷の先輩、Loreena Mackennittに通じるジプシー的な無国籍感も漂わせる。
アコースティック度・・9 ケルティック度・・7 女性Vo度・・8 総合・・8
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Pamela Wyn Shannon 「Courting Autumn」
イギリスのネオフォークアーティスト、パメラ・ウィン・シャノンの2007年作
アコースティックギターのつまびきに、素朴なリコーダーの音色、しっとりとした女性ヴォーカルで聴かせる、
古き良き英国フォークの叙情性を受け継いだサウンド。いくぶん翳りを含んだ幻想性もあって、
非トラッド系の作風ながら、古楽的な中世風味を感じさせるところは、なかなかに好みです。
ヴァイオリンやチェロなどのストリングスも随所に優雅な音の厚みを加えている。
近年の英国ネオフォーク系のバンド/ユニットでは、TapestryやThistletownなどがよかったが、
この作品も幻想的な叙情性と世界観で、ネオフォークの傑作というべき内容だと思う。
アコースティック度・・9 英国度・・8 女性Vo度・・8 総合・・8
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PERCIVAL 「Eiforr」
ポーランドのフォークユニット、パーシバルの2007年作
フォークメタルバンド、PERCIVAL SCHUTTENBACHのメンバーによるプロジェクトで
バウロンのリズムにマンドリン、サズ、ビザンチンリュラー(弦楽器)音色が鳴り響く、
アコースティックな素朴さに、女性ヴォーカルの歌声とスキャットがかぶさる。
軽快なナンバーはバルカントラッド的でもあり、神秘的な土着性も感じさせる。
神秘的度・・8 アコースティック度・・9 フォーク度・・9 総合・・7.5



Pineforest Crunch「make believe」
スウェーデンのポップロックバンド、パインフォレスト・クランチの1st。1996作
基本はキュートな女性ヴォーカルをメインにしたポップサウンドなのだが、
なにしろ、ドラマーは元ANGLAGARDのメンバーだったり、
シンセは普通にメロトロンを使ったりとなかなかあなどれないのである。
北欧的な透明感のあるメロディと素朴な温かみのある曲作りもGood。
スウェディッシュポップでありながらプログレファンにもオススメだ。
メロディアス度・・8 ポップ度・・8 女性Vo度・・8 総合・・7.5
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Pineforest Crunch「Shangri-La」
スウェーデンのポップロックバンド、パインフォレスト・クランチの2nd。1997作
おお、前作よりもさらにプログレ度がアップ。うっすらとしたメロトロンをバックに、
美声の女性ヴォーカルが歌い上げるそのサウンドには浮遊感も出てきていて、
ANGLAGARDのドラムはもちろん、シンセのアレンジもいかにもプログレだし、
ギターにしても古き良きロックを思わせるレトロな質感がある。
オーサ嬢のヴォーカルも表現力が増していて、しっとりとした情感にうっとりだ。
これは、あるいはPAATOSあたりのファンでも楽しめそうな気がする。
メロディアス度・・8 プログレ度・・7 女性Vo度・・9 総合・・8
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Pineforest Crunch 「Panamarenko」
スウェーデンのポップロックバンド、パインフォレスト・クランチの3rd。2001年作
ANGLAGARDのドラマーが参加していたことでも知られるこのバンド、
キュートな女性ヴォーカルの歌声に、うっすらとしたメロトロンの響きや
アコースティカルな繊細さとストリングスアレンジなども含んだサウンドは、
ポップでありつつも北欧的なゆったりとした情緒が感じられて、耳心地がよい。
スウェディッシュポップでありながら、プログレ方面のリスナーにもアピールするものがある。
メロディック度・・8 北欧ポップ度・・8 女性Vo度・・8 総合・・8
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Piniartut
フィンランド、グリーンランド、フェロー諸島のミュージシャンによるトラッド作品。2002年作
フィンランド語による女性ヴォーカルの歌声とヴァイオリンやブズーキなどの音色が鳴り響く
土着的なサウンで、跳ねるリズムとともにVARTTINAばりの軽快さもありつつ、
美しいピアノのつまびきや物語的な語りなども含んだ、プログレッシブなアレンジが光る。
ラジカルトラッド的で、土着的な神秘性を感じさせる、不思議な異色作。
メロディアス度・・7 プログレ度・・8 ラジカルトラッ度・・8 総合・・8
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PINKNRUBY 「The Vast Astonishment」
スロベニアとイギリスのメンバーによるデュオ、ピンクンルビーの2003年作
アコースティックギターにコケティッシュな女性ヴォーカルの歌声を乗せた、しっとりとしたフォークサウンド。
ドラムによるリズムも入るが、シンセなどはあまり使わず、バックは基本的にはギターのみなので、
歌をメインにしたわりとシンプルな聴き心地ながら、女性声の美しさで、ゆったり夢見心地に味わえる。
スロベニア出身という、ミハエラさんの歌唱の繊細な表現力も魅力的。夢見系幻想ネオフォークの好作。
アコースティック度・8 幻想度・8 女性Vo度・8 総合・7.5
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POETA MAGICA 「edda vol.1」
ドイツのトラッド・ネオフォーク、ポエタ・マジカの2006年作
スウェーデン在住のフンケ夫妻を中心にしたユニットで、本作は北欧神話の歌謡集「エッダ」をコンセプトにした作品。
多数のニッケルハルパ奏者をはじめ多くのメンバーが参加していて、うっすらとしたシンセに素朴なニッケルハルパの音色を乗せ、
ときにモダンでエレクトロなアレンジを含んだ、ラジカルトラッド的でもあるサウンドを聴かせる。語りのような男性声に、
スウェーデン語による女性ヴォーカルも加わって妖しくも幻想的な世界観を描いてゆく。低音から高音まで重ねたニッケルハルパは、
ときにオーケストラルな味わいで、涼やかな北欧の空気感を表現している。曲によってはギターにドラムも加えたロック感触もあり、
神秘的なトラッドロック風にも楽しめる。メディーヴァルな幻想性に包まれた北欧トラッドを、独自の解釈で構築したという逸品です。
アコースティック度・・8 北欧トラッ度・・8 幻想度・・8 総合・・8
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QUECIA「this is where we are」
イギリスの女性Voケルティックロックバンド、クエシアの1st。2002作
女性ヴォーカルのケルティックロックというと、IONAKARNATAKAを思いだすが
このバンドの方向性も上記バンドと同じく、しっとりとした楽曲の雰囲気がなかなかよろしい。
Kirsty嬢の歌声はその美貌と同様、それなりに魅力的であるのだが、歌唱力、表現力の点では
IONAのジョアンヌ、KARNATAKAのレイチェルにはまだまだ及ばない。
バックの演奏陣についても、ややB級な感じがあり、リズム面でのキレのなさ等は気になるものの、
この手の女性Voバンドは大好きなので、今後ともチェックしてゆきたい。
メロディアス度・・8 ケルティック度・・7 女性Vo度・・7 総合・・7.5
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QUECIA「Ⅱ」
イギリスの女性Voケルトロックバンド、クエシアの2nd。2004作
基本は1stと同路線のサウンドだが、今作ではギターの使用法に深みが加わっていて
しっとりとしたフレーズに、メロウな叙情が感じられるようになった。
シンセをバックにしてシンフォニック度が上がってきたのも好印象だし、
Kirsty嬢の歌唱も、声の伸びやかさが少しずつ増していて、
これならポストKARNATAKAとして十分にアピールするだけのものがある。
あとは、曲における盛り上がりの爽快感をもっとはっきり出せるようになれば、
すべてのベクトルが噛み合って、1ランク上がったバンドになれると思う。
メロディアス度・・8 ケルティック度・・6 女性Vo度・・8 総合・・7.5
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QNTAL 「Qntal III」
ドイツのエレクトロ・トラッド、クンタルの2004年作
デジタルなシンセアレンジに、美しい女性ヴォーカルの歌声、アコースティックギターに素朴なサズの響きで、
幻想的な味わいの、モダンでシンフォニックな古楽トラッドサウンドを聴かせる。打ち込みによるリズムが加わると、
Deleriumあたりに通じるポップな味わいにもなるが、こちらの方がより妖しく土着的な空気感が強い。
ときにヘヴィなギターが入ったメタリックな感触や、フィドルが鳴り響くアップテンポのナンバーもあって、
トラッド要素とデジタルなビート感が上手く融合されている。ヴォーカルは曲によってフランス語、ドイツ語を使い分けていて、
艶めいた女性声の魅力が活かされたサウンド。全70分、エレクトロなケルトミュージックが楽しめる好作品。
ドラマティック度・・7 エレクトロトラッ度・・8 女性Vo度・・8 総合・・7.5
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QNTAL 「IV-Ozymandias」
クンタルの2005年作
艶めいた美しさの女性ヴォーカルをフロントに、エレクトロなシンセアレンジで聴かせる、
モダンなケルト・トラッドサウンドは本作も同様。シーケンサーのデジタルビートに乗る、
しっとりとした妖しい歌声というミスマッチが、良い具合に融合されているのがこのバンドの個性だろう。
デジタルな感触でありながら、ミステリアスな空気感が感じられるのは、アレンジのセンスの良さか。
トラッド色の薄いポップ寄りのナンバーもあるので、古楽とは無縁のリスナーにも普通に楽しめそう。
また、今作ではほとんどの曲がフランス語で歌われているので、土着性よりも優雅さが前に出ている。
ドラマティック度・・7 エレクトロトラッ度・・8 女性Vo度・・8 総合・・7.5
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QNTAL「Qntal V: Silver Swan」
クンタルの2006年作
英語、フランス語、ドイツ語による美しい女性ヴォーカルを乗せ、エレクトロなシンセアレンジに、
フィドルやシャルマイ(ドイツの木管楽器)が、ケルティックな旋律を奏でる、優美なモダントラッドサウンド。
古楽としての世界観をデジタルに再現しながらも、本作では幻想的な味わいが強まっていて、
トラッド的な土着性をシンフォニックなアレンジで包み込んだ雰囲気は、FAUNなどにも通じるかもしれない。
アコースティック楽器にの音色と、艶めいた女性声の魅力がサウンドの強度と説得力を高めていて、
デジタルなアレンジもポップすぎないところがGOOD。これまでの最高傑作というべき内容だ。
ドラマティック度・・8 エレクトロトラッ度・・8 女性Vo度・・8 総合・・8
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RAJNA 「ishati」
フランスのゴシック・アンビエントユニット、ライナの1999年作
サントゥールやダルシマーなどの民族楽器にうっすらとしたシンセアレンジ、
そこに美しい女性ヴォーカルのスキャット的な歌声を乗せ、アラビックな雰囲気と
ダークアンビエントの融合というような、オリエンタルなゴシックミュージック。
楽曲として聴くにはまだBGMの延長という感じがして、3rd以降に比べると
単なるミステリアスな雰囲気モノにとどまっている。
ドラマティック度・・7 ゴシック度・・7 エスニック度・・8 総合・・7
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Rajna 「Yahili」
フランスのゴシック・アンビエントユニット、ライナの2000年作
アラビックやチベット的でもある、オリエンタルな神秘性をゴシックサウンドに融合、
パーカッションのリズムに、うっすらとしたシンセ、そして女性声のスキャットが妖しく響く、
幻想的なエスノ・ゴシックサウンドを聴かせる。楽曲そのものの出来うんぬんではなく、
リフレインされる旋律に浸り、ミステリアスでエスニックな空気感を楽しむという作風なので、
いわゆる雰囲気モノが苦手な方にはきついかもしれない。完成度では次作以降ですかね。
ドラマティック度・・7 ゴシック度・・7 エスニック度・・8 総合・・7.5
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RajnaThe Heady Wine of Praise
フランスのゴシック・アンビエントユニット、ライナの3rd。2001年作
今作はジャケのイメージのようにヒンドゥー教やインド神話をテーマにしているのか、
エスニックなテイストがより強く感じられる作風だ。女性ヴォーカルの歌声も美しく、
前作以上に女性声の表現力が増したことで、音楽的にもより楽しめるようになった。
適度にダークなミステリアス性と、やわらかな聴き心地が合わさって、
比較的バランスのとれた内容なので、エスノ・ゴス初心者でもOKだろう。
ドラマティック度・・7 エスニック度・・8 女性Vo度・・8 総合・・7.5
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Rajna 「Door of Serenity」
フランスのゴシック・アンビエントユニット、ライナの2002年作
美しい女性ヴォーカルの歌声と、アラビックな民族色を感じさせる世界観を、
薄暗いゴシックミュージックに融合させたサウンド。中近東的な旋律が鳴り響き
パーカッションのリズムとともに、神秘的な女性スキャットとヴォーカルが重なってゆく。
しっとりとした聴き心地は、ロリーナ・マッケニットなどが好きな方にも楽しめるだろう。
ダークアンビエント初心者にも楽しめる、エスニックゴシックの幻想性が味わえる好作品。
幻想度・・8 ゴシック度・・8 アラビック度・・8 総合・・8
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Rajna 「Hidden Temple」
フランスのゴシック・アンビエントユニット、ライナの2004年年作
本作はおそらく5作目で、ジャケのイメージからは古代エジプトをモチーフにしているのだろう。
シタールの響きにタブラのリズム、ウィスパーな女性声による、神秘的なエスノゴシックである。
うっすらとしたシンセをバックに、ダルシマーやブズーキ、マンドリンなどの豊富な古楽器の組み合わせで、
アコースティック部分での音の厚みがサウンドの説得力となっている。ダークな感触は薄めで、
むしろ幻想的な静謐感と美しい女性ヴォーカルにうっとりとなる。エジプトの香りを運ぶような傑作だ。
ドラマティック度・・7 エスニック度・・8 女性Vo度・・8 総合・・8
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RAJNA 「OFFERING」
フランスのダークウェイブ系ユニット、ライナの2010年作
そのエスニックな世界観からエスノ・ゴシックとも呼ばれる男女二人のユニット。
中東やインド、チベットなどのオリエンタルな民族要素とダークなゴシック風味を融合させた
ミステリアスなサウンドで、パーカッションやシタール、笛の音色にうっすらとしたシンセがかぶさり、
女性ヴォーカルの詠唱のような歌声が乗る。ときにLoreena Mckennittを思わせるような感触もあり、
メタル色は皆無であるが、妖しくも幻想的な雰囲気で夢見心地にゆったりと鑑賞できる。
メロディック度・・7 エスノ度・・8 女性Vo度・・7 総合・・8




Ranarim「Till ljusan dag」
スウェーデンのトラッドバンド、ラーナリムの1st。2001年作 /邦題は「太陽が昇るまで」
2人の女性ヴォーカルと、ギター/マンドラ奏者、そしてニッケルハルパ奏者という
変わった4人編成で、北欧のトラッド、バラッド曲とオリジナル曲を演奏する。
ニッケルハルパは、ヴェーセンや、ヘドニンガルナといったバンドも使用する伝統楽器で、
温かみのある音色がいかにもトラッドの雰囲気をかもしだす。
女性二人によるヴォーカルの掛け合いは、ヴァルティナあたりを思わせるものもあり、
素朴なサウンドに華やかな彩りを添えている。ラーナリムの紹介ページはこちら
アコースティカル度・・9 トラッ度・・8 女性Vo度・・8 総合・・7.5
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Ranarim「Foer Vaerlden Aelskar Vad」
ラーナリムの2nd。2003作/邦題は「カラフル・ワールド」
本作からパーカションにコントラバスも加わって6人のメンバーでの演奏が中心となった。
リズム面が強化されたおかげで、演奏全体の切れ味も増してきていて、
女性二人の歌声も含めて、よい意味での垢抜けたサウンドになっている。
一方では、しっかりと土着的なトラッド色を残した楽曲も取り上げていて
スウェディッシュの伝統音楽への愛着が感じられる。
今後はアルバム全体のテンションが統一されれば傑作を作りそうな気配。
アコースティカル度・・9 トラッ度・・8 女性Vo度・・8 総合・・7.5
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Ranarim「Morgonstjarna (Morning Star)」
スウェーデンのトラッドバンド、ラーナリムの2007年作/邦題「朝焼けの星」
やわらかなアコースティックギターに素朴なニッケルハルパの音色を乗せ、
2人の女性ヴォーカルの歌声で聴かせる、キャッチーな北欧トラッドサウンドは、
この3作目にして、伝統とモダンの完全な融合を果たしたといってもいいだろう。
自然体のトラッドでありながら、絶妙の聴き易さでアレンジされた楽曲は、
ジャケのように陽光の差す森に包まれたような優しい質感だ。
アコースティカル度・・9 トラッ度・・8 女性Vo度・・8 総合・・8
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RASPUTINA「How We Quit the Forest」
アメリカのオルタナ・ゴシックユニット、ラスプチナの1998年作
女性によるチェロ3人組で、Apocalypticaを思わせるような歪ませたチェロの音色に
ポップなメロディとコケティッシュな女性ヴォーカルの歌声で聴かせる個性的なサウンド。
インダストリアルな質感とヘヴィなオルタナ感覚、そこにクラシックの要素なども盛り込みつつ、
あくまでヘヴィすぎないポップさを保っているのがポイント。ケイト・ブッシュを思わせるような
エキセントリックな感触もあり、なかなか不思議な味わいの作品だ。
メロディアス度・・8 チェロ度・・8 エキセントリック度・・9 総合・・7.5
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RASPUTINA「Frustration Plantation」
アメリカのオルタナ・ゴシックユニット、ラスプチナの2004年作
これが何作めなのか分からないが、メンバーは女性チェロ2人と男性ドラマーの3人。
なにやらエキゾチックなイントロに、妖艶な女性の歌声…そこに加わるチェロの響き、
ゴシック的な耽美さとクラシックの優雅さを合わせたサウンドは、とても不思議な味わいだ。
以前よりも歪ませたチェロのヘヴィさはいくらか薄れたが、その分、女性ヴォーカルを中心にした
エキセントリックで妖しげな質感は深まっていて、むしろプログレ的な聴き心地に近づいたような。
エキセントリック度・・8 チェロ度・・7 女性Vo度・・8 総合・・8
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Rebekka「Neophyte」
ノルウェー人の女性シンガー、レベッカの2003年作
ホップなビートに乗るコケティッシュな歌声にエキセントリックなモダンさと、
トラッド的でもあるストリングスアレンジなどを加えた個性的な聴き心地。
KATE BUSH的な少女らしさもありつつ、伝統的な歌唱の表現力も兼ね揃えていて、
音の向こうに北欧の空気が感じられるのもよい。「プログレ寄りのビョーク」とでもいうべきか、
あるいはポップなラジカルトラッドとしても楽しめる、なかなか異色の好作。
エキセントリック度・・8 北欧度・・8 女性Vo度・・8 総合・・7.5
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RHAGAIR「Prologo」
アルゼンチンのトラッドバンド、ラーガーの2000年作
たおやかなフルートにハープのつまびき、ヴァイオリンによる繊細なサウンド。
“Dany Boy”や“Scarborough Fair”といった定番曲や、Lorrena McKenittのカヴァーなども、
しっとりとした女性ヴォーカルの歌声とともに聴かせてくれる。
アコースティカル度・・9 繊細度・・8 女性Vo度・・7 総合・・7.5


Rodrigo Romani「Cantos Caucanos」
Milladoiroのハープ奏者、ロドリゴ・ロマーニの2003作
優雅に鳴り響くハープに、ガイタ(スパニッシュ・パイプ)の音色、そこに重なる女性ヴォーカルの歌声で
陽気に聴かせるスパニッシュなトラッドサウンド。しっとりとしたシンセに美しいフルートが絡み、
ゆるやかな叙情が広がってゆく。アコースティックギターとパーカッションのリズムに男性ヴォーカル
で聴かせる曲などもあり、アルバムの中に繊細さと力強さが同居している印象だ。
歌唱はスペイン語であるが、音自体には土着性は薄く、トラッドとしてはとても聴きやすい。
メロディアス度・・8 アコースティカル度・・8 陽気で爽やか度・・8 総合・・8
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ROSENBERGS SJUA「R7」
スウェーデンのトラッドバンド、ローゼンベリス・シュウアの1999年作
ヴァイオリン、ビオラ×2、チェロというストリングスカルテットの音色に、
四人の女性ヴォーカルが母国語の歌声を乗せるというスタイルで、
北欧のモダントラッドとしてはフィンランドのVarttinaを思わせる雰囲気だ。
あくまでストリングスとヴォーカルというシンプルな音数なので、派手さこそないものの、
むしろ北欧らしいすっきりとした涼やかな土着性がよく伝わってくる。
後にRanarimでデビューするソフィアとウリカの二人も参加している。
ストリングス度・・8 北欧トラッ度・・8 女性Vo度・・8 総合・・7.5
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RUA
オーストラリアの女性Voケルティックユニット、ルアの1st。2001作
女性ヴォーカリスト、LIZ MADDENとGLORIA MULHALLによるユニットで、
美しいストリングス、ピアノをバックに、彼女たちがしっとりとした歌声を乗せる。
ハープ、パイプ、ホイッスル、フレンチ・ホルン、等の楽器もケルティックにサウンドを彩り、
キーボードも含めたシンフォニックな音の重ねがゆるやかに盛り上げる。
女性ヴォーカル、ケルト音楽好きの方は要チェック。オフィシャルサイトにて試聴できます。
シンフォニック度・・7 ケルティック度・・8 女性Vo度・・9 総合・・8

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RUA 「DREAM-TELLER」
オーストラリアの女性Voケルティックユニット、ルアの2nd。2003年作
二人の女性ヴォーカリスト、LIZ MADDENとGLORIA MULHALLによるユニット。
このジャケを見たらもう…これも買わざるを得んでしょう(笑)内容の方も1s以上に素晴らしい出来。
アコースティックギター、ピアノ、ヴァイオリンをバックに、二人がしっとりとした美声を聴かせてくれる。
たおやかなフルートや、ここぞとばかりに盛り上げるストリングスオーケトラもたまらない。
また、単なるコンテンポラリーケルトではなく、キーボードの使用による音の広がりも感じさせ、
ケルト初心者の女性ヴォーカル好きにも対応。聴いてうっとり、じわじわ…じーんという傑作。
シンフォニック度・・8 ケルティック度・・8 女性Vo度・・9 総合・・8.5
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RUA「Whisper」
オーストラリアの女性Voデュオ、ルアの3rd。2007年作
前作「Dream-Teller」がこの手のフィメール系ケルティック・シンフォの最高作であったので、今作も期待大。
今回はジャケからして、二人の女性もいくぶん歳をとられたようだが…サウンドの方もぐっと大人になったような感じで、
もの悲しいヴァイオリンの音色にしても重厚なオーケストレーションにしても、やや薄暗い質感が包んでいるようだ。
そんな中でもLIZ嬢のヴォーカルはしっとりと美しく、ピアノやオーケストラをバックに、母性的ともいえるやわらかな歌声を響かせる。
ケルトの定番「スカボロー・フェア」や、The Moody Blues「サテンの夜」のカヴァーもシンフォニックで美しい仕上がりだ。
カヴァー曲を中心にした、タイトル通り優しい囁きのような繊細な作品です。その後、ジャケが変更されて再発されている。
シンフォニック度・・8 ケルティック度・・8 女性Vo度・・9 総合・・8
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Samantha Link「Bring me to life」
イギリスの女性シンガー、サマンサ・リンクの2011年作
このジャケだけでもう購入決定なのですが、タイトルのように1曲めからなんとEVANESCENCEのカヴァーで、
もしやけっこうなメタル好きのお嬢さんなのかしら。その歌声はしっとりと美しく、確かな表現力もあって、
優雅なアリアでも聴いている気分になります。そしてWITHIN TEMPTATIONのカヴァー“All I Need”には
もう…うっとりであります。願わくば、次はカヴァーではなくオリジナル曲のアルバムを聴きたいものであります。
しっとり度・・9 優雅度・・9 女性Vo度・・9 総合・・8
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Sanna Kurki-Suonio「Huria」
HEDNINGARNAのシンガー、サナ・クルキ・スオニオの2008年作
彼女自身はフィンランドの出身であり、本作もフィンランド人2人とのトリオ編成。
美しくも素朴なカンテレの音色にパーカッションのリズム、母国語による彼女の歌声は、
フィンランドらしい土着性と伝統的なトラッドの感触に包まれている。
やはりヘドニンガルナで培ったような、モダンなアレンジも随所に聴かれ、
どこかミステリアスな雰囲気もただよわせるが、各曲は2~3分のため聴き疲れはしない。
アコースティカル度・・8 北欧トラッ度・・8 女性Vo度・・7 総合・・7.5
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Sarana VerLin「Bats & Butterflies
アメリカのフォーク系シンガー、サラ・ヴァーリンの2010年作
ヴォーカル、ギター、シンセにヴァイオリンもこなすシンガーソングライターで、
適度にポップ感覚のあるカントリー調のフォークサウンドをやっている。
彼女の歌声は落ち着いた中音域で、サンディー・デニーなどに近いか。
牧歌的なマンドリンの音色やアコーディオン、フルートなども顔を覗かせ、
のんびりとした70年代英国調のフォークを聴かせる。
アコースティカル度・・8 フォーク度・・8 女性Vo度・・7 総合・・7
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SAVA 「LABYRINTH」
ドイツのネオフォーク、サヴァの2012年作
2004年にデビュー、本作は3作目。ヴァイオリンに女性フルート&バグパイプ奏者、女性ハープ奏者を含む編成で、
優美なハープの音色にヴァイオリンやバグパイプが重なり、ドラムのリズムとともに、典雅なフォークロックを聴かせる。
素朴なフルートの音色に、フランス語や英語によるやわらかな女性ヴォーカルを乗せて、しっとりとした叙情を描きつつ
バウロンのリズムも鳴り響くケルティックな土着性に、曲によってはバルカン、中近東風味の感触も覗かせる。
インスト曲メインなので、女性声の活躍がもっとあればと思うが、アコースティックによる優雅なサウンドが楽しめる。
アコースティック度・・9 優雅度・・9 女性Vo度・・7 総合・・8
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SAVAGE ROSE「Vi Kaemper For At Sejre!」
デンマークのサヴェージ・ローズの1984年作
フォークやブルース、民俗音楽などを取り入れた独自のサウンドで、
70~80年代のデンマークでは最も有名なバンドのひとつだった。
本作では初期の頃よりも楽曲はシンプルになり、アコーディオンの音色をバックに
歌姫、アニセッテの歌声が響きわたる。政治色の強まったメッセージ性があるようだが、
そのなにかをうったえかけるような魂の歌声は、それだけでインパクト充分。
ハスキーにして母性的、表現力豊かな感情表現、まさに天衣無縫の歌い手である。
メロディアス度・・8 哀愁度・・9 魂の歌唱度・・10 総合・・8.5
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Savsge Rose「Kejserens Nye Klader」
デンマークのサヴェージ・ローズの1986年作
デンマークのアイス・スケート協会の依頼で製作された楽曲を収めた作品で
哀愁漂うアコースティックの音色を聴かせるインスト曲が中心の異色作。
他の作品のような重い雰囲気ではなく、北欧らしい叙情が楽しめる1枚だが、
もちろんアニセッテのハスキーな歌唱が魅力的な歌ものも素晴らしい。
プログレ度・・7 北欧度・・8 女性Vo度・・8 総合・・8
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SAVAGE ROSE「GARDENS DRONNING」
デンマークのサヴェージローズの1990年作。
内容はVoのアニセッテの歌唱がメインで曲自体は比較的シンプル。
オルガン、アコーディオンなどのバックに魂を振り絞るような彼女の歌唱がとどろく。
日本でいえば、カルメンマキか中島みゆきか、とにかくこの歌声はインパクト大。
ブルースなどからの下地を感じさせる、人間的な情感と命の叫びがここにあります。
メロディアス度・・8 ノスタルジック度・・9 魂の歌唱度・・10 総合・・9
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SAVAGE ROSE
デンマークのサヴェージローズ、韓国版のBESTアルバム。
古くは60年代から活動していたこのバンド、基本はアニセッテの魂の熱唱をメインに
アコーディオン、オルガンなどが素朴でノスタルジックな音色をそえます。
それにしてもこの歌は一聴の価値有りです。まさに命の賛歌。
メロディアス度・・8 ノスタルジック度・・9 魂の歌唱度・・10 総合・・8.5

SAVAGE ROSE「Black Angel」
デンマークの女性ヴォーカルR&Bバンド、サヴェージ・ローズの1998作
70年代初頭からブルースを基盤に、ときにプログレファンにも受けるシリアスな世界観と、
素晴らしき歌姫アニセッテのヴォーカルで聴かせる作品を作り続けるこのバンド。
今作は1曲目がなにやらポップでファンキーな雰囲気で、「ありゃ」と思ったが、
2曲目以降は、ピアノやアコーディオンによるしっとりとしたバラードや、
サックスの入ったジャズナンバーなど、幅の広い作風だ。ポップな味わいの中でも、
年季をへてさらなる表現力をその声にまとわせるアニセッテの歌唱はやはり絶品だ。
メロディアス度・・7 ポップ度・・8 女性Vo度・・9 総合・・7.5
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Savina Yannatou「Traditional Lullabies」
ギリシャ人シンガー、サヴィナ・ヤナトゥの1985/1998作
ギリシャやトルコ、南イタリアなどで伝承される子守歌を歌ったアルバムで
本作のオリジナルは1985年作なので、比較的初期の作品である。
サヴィナの瑞々しいその歌声は、神々しいまでの崇高さをたたえつつ、
母性的なやわらかみも感じさせる。鳴り響くフルートの音色にギターやマンドリン、
ヴィオラなどがアコースティカルに絡み、ギリシャ語による歌声とともに、
神秘的ですらある静謐感をかもしだす。妙なる響きのララバイである。
アコースティカル度・・8 神秘的度・・9 女性Vo度・・8 総合・・8

Savina Yannatou「Mediterranea」
ギリシャ人シンガー、サヴィナ・ヤナトゥの1998作
ギリシャをはじめ、サルデニア、イタリア、アルバニア、イスラエル、レバノンなどのトラッドを
彼女の清艶な歌声を中心に聴かせる。比較的、音数はシンプルな演奏ながらも、
それがいっそう歌唱の表現力を際立たせ、いにしえの空気を甦らせるような、
神秘的な空気感を伝えてくれる。地中海を旅するような作品という点では
ロリーナ・マッケニットなどにも通じる世界観だろう。
アコースティカル度・・8 神秘的度・・9 女性Vo度・・9 総合・・8
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Savina Yannatou「Terra Nostra」
ギリシャ人シンガー、サヴィナ・ヤナトゥのライブアルバム。2003作
ギリシャのアクロポリスで行われた音楽祭でのライブ音源を収録。
ギリシャやレバノン、セファルディムなどの伝統曲を、彼女の素晴らしい歌声をメインに、
フルートやアコーディオン、弦楽器にパーカッションなどで躍動感あふれる演奏を聴かせる。
チュニジアの女性ヴォーカリストも参加し、ときにエキセントリックな歌唱を交えつつ、
東地中海~中東的なエキゾチックな雰囲気がたっぷりと味わえる。
アコースティカル度・・9 地中海度・・9 女性Vo度・・9 総合・・8.5
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Savina YannatouSumiglia」
ギリシャの歌姫サヴィナ・ヤナトゥの2005作
やわらかなアコーディオンの音色にヴァイオリンが絡み、情感たっぷりのサヴィナの歌声が美しく響きわたる。
東欧~バルカンの民謡をカヴァーした楽曲は、古来から続く時間の旅を鮮やかに、
そしてしっとりと聴かせてくれる。この感触はLOREENA McKENNITTにも通じるもので
人生の長きを味わってきた内面からの深みともいうべき歌声が、その広がりをもって
静かに我々に語りかけてくるのだ。パーカションのリズムには中近東的なイメージもあり、
地中海を巡る旅のような気分で、素朴にして壮大な音楽が楽しめる。
アコースティカル度・・9 トラディショナル度・・8 女性Vo度・・9 総合・・8
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SAVINA YANNATOU-ELENA LEDDA「Tutti Baci」
サヴィナ・ヤナトゥーと、イタリアはサルディーニャの女性歌手、エレーナ・レッダが共演したライブアルバム。2006作
ギリシャとサルディーニャの伝承歌を元にした土着的な楽曲に、ヴァイオリン、フルート、アコーディオンなどが二人の歌声に絡む。
バックの演奏はうるさすぎず、あくまで歌を引き立たせるために、シンプルな音数を保っている。
そして表現力豊かな二人の歌声は、ときに静謐に、ときにスキャットのような詠唱もまじえて、ある種厳かなまでの空気を作り出す。
あくまで硬派な音なので、民族的なストイックさが苦手な方には向かないかもしれない。
アコースティック度・・10 土着度・・8 厳か度・・9 総合・・8
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Savina Yannatou「Songs of an Other」
ギリシャ人シンガー、サヴィナ・ヤナトゥの2008作
近年の作風同様、地中海~中近東方面のトラッドを聴かせる作品で、
ヴァイオリンやフルート、アコーディオンなどを使いながらも、
メインはあくまでサヴィナの歌声で、神秘的な崇高さと同時に
原初的な魂を聴かせるようなスキャットなど、おそるべき表現力である。
神話や伝承における呪術的な暗がりと、芸術性を感じさせる孤高の音である。
アコースティカル度・・9 地中海度・・8 女性Vo度・・9 総合・・8.5
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SBITEN「У ворот」
ロシアのフォークロック、セビテン(СБИТЕНЬ)の2010年作
やわらかな女性ヴォーカルの歌声に優美なヴァイオリンの音色、
アコースティックギターなどでしっとりと聴かせるサウンドは、
のんびりとした牧歌的なフォークロック。キャッチーな軽快さに
アコーディオンの音色を響かせる素朴な叙情性もあり、
北欧のトラッド系バンドにも近い感触で、ゆったりとなごめる作品です。
フォーキー度・・8 牧歌的度・・9 女性Vo度・・8 総合・・8
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SCARTAGLEN「LAST NIGHT'S FUN」
アメリカのアイリッシュトラッド、スカータグレンの1992年作
ソロでも活躍するコニー・ドーヴァーが参加した作品で、アコースティックギターのつまびきに、
フィドルやイーリアン・パイプ、ブズーキの音色が鳴り響く、本格派のケルトサウンドに、
美しい女性ヴォーカルを乗せて、いくぶんカントリー風味の軽やかな味わいも含んだ作風。
シンセやハルモニウムも使った、コンテンポラリーなアレンジに、優しいコニーの歌声でしっとりと癒される。
アコースティック度・・8 ケルティック度・・8 女性Vo度・・9 総合・・8
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Schattenkinder 
「Vision of Nightfall」
ドイツのゴシックフォークユニット、シャッテンキンダーの2004年作
女性ヴォーカルの歌声とうっすらとしたシンセアレンジで聴かせる、
メタル色のないゆったりとしたゴシック風味のアンビエントサウンド。
打ち込み的アレンジのパーカッションのリズムにクラシカルなヴァイオリンが絡み、
浮遊感のある女性ヴォーカルとともに幻想的な聴き心地を生み出している。
ドラマティック度・・7 幻想度・・8 女性Vo度・・7 総合・・7





Schoolcraft 「Rushing Through the Sky」
カナダの女性Voシンフォニックハード、スクールクラフトの2012年作
シンフォニックなアレンジと美声の女性ヴォーカルの歌声でしっとりと聴かせるサウンドで
もの悲しいピアノやストリングスアレンジなどには、いくぶんゴシックメタル的な耽美な世界観もあり、
メランコリックな感触はALL ABOUT EVEにも通じるか。雰囲気としてはよい感じなのだが、
楽曲としてのメロディのフックや新鮮味の点ではまだまだこれからという印象で、
歌唱の表現力ももう少し欲しい。全7曲32分というのも物足りない。今後に期待です。
シンフォニック度・・7 しっとり度・・8 女性Vo度・・7 総合・・7.5




Sedmina 「Rojstvo Idola」
スロヴェニア(旧ユーゴ)のアシッド・フォーク、セドミナの1998年作
アコースティックギターのつまびきに、女性ヴォーカルの艶めいた歌声を乗せた、
幻想的なフォークサウンド。うっすらとしたシンセやチェロなども加わって、
クラシカルな優雅さと東欧らしい翳りに包まれた空気感にしっとりと浸れる。
男性ヴォーカルの低い歌声は、どことなくLacrimosaのティロ・ウルフを思わせる声質で、
ゴシック的な薄暗い耽美性も漂わせる。ダークめのネオフォークが好きな方はぜひ。
ドラマティック度・・8 幻想度・・8 女性Vo度・・8 総合・・8

SEDRENN「Chemin Faisant」
フランスのトラッドユニット、セドレンの1996年作
ブルターニュ地方出身の女性二人のハープデュオで、
素朴なハープの響きを中心にした、しっとりと優しいサウンド。
ときおり、やわらかな女性ヴォーカルも入ってきて、うっとり癒されます
素朴度・・8 ケルティック度・・7 ハープ度・・9 総合・・7.5
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SEIVA
ポルトガルのトラッドユニット、セイヴァの2015年作
パーカッションのリズムに母国語の女性ヴォーカルを乗せ、アコースティックギターにバクパイプの音色も加わり、
ケルトとバルカンの中間のような、土着的なトラッドサウンドを聴かせる。技巧的なギターとリズミカルな躍動感は、
スパニッシュ系のトラッドにも通じる感触で、素朴でありながらも情熱的な聴き心地が楽しめる。
民族的なガイタ(バグパイプ)の音色もよいアクセントどころか、曲によっては主役になって大活躍。
歌声にエフェクトのかかったラジカルトラッド風味も含めて、伝統と先鋭を同居させた好作品です。
アコースティック度・・9 トラッ度・・9 女性Vo度・・8 総合・・7.5
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Shave the Monkey「Dragonfly」
イギリスのトラッドロックバンド、シェーヴ・ザ・モンキーの2nd。1994年作
牧歌的なマンドリンの音色にフルートが絡み、ブズーキやパイプも加わった
なかなか本格派のトラッドサウンド。ドラムが加わるといくぶんロック色もあり、
女性ヴォーカルの歌声でしっとりと聴かせる曲もあって飽きさせない。
やわらかなアコーディオンにフルートが重なる優しい聴き心地と
うっすらとシンセを含んだ現代的なアレンジのバランスも絶妙だ。
アコースティカル度・・8 プログレ度・・8 モダントラッ度・・8 総合・・8
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Shave the Monkey「Mad Arthur」
イギリスのトラッドバンド、シェーヴ・ザ・モンキーの3rd。1996作
バンドの詳細は不明だが、かなり高品質のトラッドロックをやっている。
マンドリンにブズーキ、ハーディー・ガーディといった楽器が優雅な音色を立てつつ
それらの古楽サウンドとロック的なドラムが融合していて、とても耳馴染みがよい。
曲によってはシンセやエレキギターも加わって、GRYPHONあたりにも通じる
トラッドプログレとして聴ける。メロデオン(一列アコーディオン)やフルートの優しい音色に
うっとりとなりつつ、ときおり女性Voが美しい歌声を聴かせてくれるのも嬉しい。
とても心なごむ一枚だ。オフィシャルサイトで試聴可能
アコースティカル度・・8 プログレ度・・8 古楽ロック度・・9 総合・・8
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SHEODA「CONTEMPORARY & TRADITIONAL IRISH LOVE SONGS」
アイリッシュ系女性Vo、シェオダの2004作
ジャケの雰囲気からしていい感じですが、内容も素晴らしい。
しっとりとした美声の女性Voがアイリッシュソングを歌うのですが、
うっすらとしたシンセや、ピアノ、ヴァイオリン、フルートなどが素敵に彩る楽曲は、、
伝統的な要素と、現代的なアンビエントなシンフォニック性が合わさった感じで
とても聴きやすいです。アコースティックな響きも典雅で素晴らしく、
ケルト音楽好きはもちろん、IONAあたりが好きな方にもお勧めしたいアルバムです。
ケルテイック度・・8 しっとり典雅度・・9 女性Vo度・・9 総合・・8.5
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Shiloh Sheray & Marco Minnemann 「s.m.」
U.K.のツアーメンバーなどで活躍するドラマー、マルコ・ミネマンと女性シンガー、シロー・シレイのユニットの2011年作
サウンドは2~3分台の楽曲を中心にしたキャッチーなポップロックという趣ながら、やわらかな女性ヴォーカルの歌声と、
マルコ・ミネマンの軽妙なドラムセンスが楽しめる。エキンセトリックな浮遊感を含んだふわふわとした雰囲気に包まれながら、
それを巧みに構築するミネマンのセンスはさすが。お洒落なポップ性にプログレ的な香りをほのかに溶け込ませたという好作。
ゲストギタリストとして、Andy Kodiwein、ポール・ギルバートなどが参加している。
キャッチー度・・8 プログレ度・・7 女性Vo度・・8 総合・・7.5
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SHINE DION「KILLANDRA」
ノルウェーのトラッドフォーク、シャイン・ディオンの1st。1998年作
ヴァイオリンやフルート、マンドリンなどの牧歌的な音色に美しい女性ヴォーカルの歌声で聴かせる、
やわらかな北欧トラッド・フォークサウンド。メロディが適度に田舎くさく、キャッチーなクサさというか、
曲によってはシンセメロトロンまで使用していて、プログレ/シンフォ系のリスナーにも楽しめる音だろう。
女性ヴォーカルの歌声も絶品とはいかぬが、なかなか綺麗な歌唱でむしろ田舎っぽくてなごみます。
メロディ臭さ度・・9 トラッ度・・8 女性Vo度・・8 総合・・8
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SHINE DION「WYN」
ノルウェーのトラッドユニット、シャイン・ディオンの2nd。2002年作
前作「KILLANDRA」が北欧的叙情メロディ満載のアルバムだったので非常に期待して聴いた。
美声の女性Vo(歳はいっているが)の歌唱をメインにしたしっとりとしたトラッド・シンフォ。
1stよりもロック色が増していて、バックにキーボードやヴァイオリン、曲によってはギターも入り、
その点では非常に聴きやすい。ただし肝心の哀愁メロディのインパクトは前作が上か。
しっとりとした静謐さが前面に出た分、歌唱力そのものが勝負になってくると
「まあ悪くはない」クラスの歌なので作品としての説得力は多少後退する気がする。
メロディアス度・・7 トラッ度・・8 女性Vo度・・8 総合・・7.5
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Shirel 「Tous Les Chemins」
フランスのシンガー、シレールの2003年作
イスラエル系の女性シンガーで、アコースティックを含むギターに、コケティッシュな女性ヴォーカルを乗せ、
シンセによるアレンジとともに、ほどよいロック感触も含んだキャッチーなサウンドを聴かせる。
ポップに寄り過ぎない素朴な楽曲に乗る、優しく伸びやかな彼女の歌声は魅力たっぷりで、
フランス語による優雅な耳心地にはウットリとなる。全体的にフォーク感触は薄めなので、
ライトに味わえる反面、曲調的な物足りなさはいくぶんある。清涼な女性声を楽しみましょう。
ポップ度・7 フォーク度・7 女性Vo度・9 総合・7.5
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Silje NergaardDarkness Out of Blue」
ノルウェーの歌姫、セリア・ナーガードの2007作
ハスキーでやわらかなその絶品の歌声で、ユーロポップシーンでも人気のシンガー。
本作は北欧トラッド的なアコースティカルな質感と適度なポップ性のバランスがよく、、
曲によっては オーケストラアレンジも加わり、素朴にして雄大なサウンドを聴かせる。
ピアノなども入って、ときにジャズタッチの大人の優雅さも覗かせつつ
そこに乗る繊細で表現豊かな彼女の歌声には、もう思わずうっとりだ。
メロディアス度・・8 北欧度・・8 女性Vo度・・9 総合・・8.5
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Sinikka 「Har Du Lyttet Til Elvene Om Natta?」
ノルウェーの女性シンガー/カンテレ奏者、シニカ・ランゲランドの1995年作
繊細なカンテレの音色に、母国語による美しい女性ヴォーカル、アコースティックギターにサックスなどを加えた、
優雅でコンテンポラリーなトラッドサウンドを聴かせる。ハープのように美しいカンテレのつまびきと、
ヴォーカリストとしても巧みな表現力で、シンプルな音数ながら、しっとりとした優美な耳心地に浸れる。
コントラバスによるジャズタッチのグルーブ感や、素朴なリコーダーなどのフォーク要素も含みながら、
カンテレの音色が優しい透明感を描いてゆく。魅力的な女性声とカンテレの響きが楽しめる逸品です。
アコースティック度・・9 優美度・・8 女性Vo度・・8 総合・・8
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Sinikka「Lille Rosa」
ノルウェーの女性シンガー/カンテレ奏者、シニカ・ランゲランドの2000年作
4作目のソロアルバムで、ハープのように優美なカンテレの音色に、やわらかな女性ヴォーカルで、
しっとりとしたアコースティックサウンドを聴かせる。陽だまりのような母性を感じる優しい歌声には、
涼やかな北欧の空気と土着性も感じさせ、歌のみのパートでも、その表現豊かな歌唱に聴き入れる。
曲によっては美しいカンテレの響きが物悲しい叙情にもなり、情感的なヴォーカルとともに聴き手に突き刺さる。
ほぼ歌とカンテレのみのミニマムな音数ながら、直接的に心の内に響いてくるような傑作です。
アコースティック度・・9 優美度・・8 女性Vo度・・9 総合・・8
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Sinikka Langeland「Runoja」
ノルウェーのシンガー/カンテレ奏者、シニカ・ランゲランドの2002年作
素朴で美しいカンテレの響きに母国語による歌声で、シンプルな音数で聴かせる
北欧の薄暗さを含んだ神秘的なトラッドサウンド。ウッドベースとドラムによるリズムも加わって、
静謐な躍動感というべき土着的でフリーキーな演奏に、ときにアヴァンギャルドな妖しさや
トランペットも入ってのチェンバー的な味わいも入り交じる。彼女のシンガーとしての表現力も見事だ。
アコースティカル度・・9 静謐度・・8 神秘的度・・9 総合・・8
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Sinikka Langeland 「Starflowers」
ノルウェーのシンガー/カンテレ奏者、シニカ・ランゲランドの2007年作
本作は、トランペット、サックス、ウッドベース、パーカッション奏者を迎えての作品。
素朴なカンテレの音色に、サックス、トランペットが重なり、ベースとパーカッションとともに
ジャズとトラッドの融合したような優雅なアンサンブルを形成。シニカの美しい歌声が、
北欧の涼やかな空気を描き出しつつ、ときにフリーキーな管楽器の響きやドラムとともに、
チェンバーロック的なスリリングな部分も覗かせる。女性声の出番が減ったのは痛し痒しだが、
カンテレ入りのトラッド・ジャズというべき新たな方向性を生み出した、全71分という力作だ。
アコースティック度・・9 スリリング度・・8 女性Vo度・・8 総合・・8
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Skrekk
ノルウェーのフォークユニット、スクレクの2004年作
母国語による二人の女性ヴォーカルの歌声と、チェロやブズーキなどを含む
アコースティカルな素朴さで聴かせるサウンドは、あくまで伝統的な感触で
ほの暗い北欧の空気を描いている。シンプルな音数ながら深みのある雰囲気もよい。
アコースティカル度・・8 北欧トラッ度・・8 女性Vo度・・8 総合・・7.5
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Smoke Fairies「Through Low Light And Trees」
イギリスの女性デュオ、スモーク・フェアリーズの2010年作
アコースティックギターのつまびきに、二人の女性ヴォーカルの歌声が重なる、
幻想的なジャケのように薄暗い雰囲気で、うっすらとヴィオラの音色が響きわたる。
素朴で土着的な質感もあり、フォーク要素も含んだ幻想的な世界観が楽しめる。
アコースティカル度・・8 薄暗度・・8 女性Vo度・・7 総合・・7.5
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Soetkin CollierNocturne」
ベルギー出身の女性シンガー、ソートキン・コリアーの2010年作
スウェーデンの留学経験から北欧トラッドを学んだ彼女が、ゲルマン、北欧、
そして自身のルーツであるフランダース地方のトラッドをミックして作った作品。
アコースティックギターやシタールなどのつまびきに、落ち着いた彼女の歌声が
しっとりと耳に優しい。ニッケルハルパを加えたスウェディッシュなトラッド曲もあり
北欧らしい薄暗い叙情を表現している。素朴ながらも味わい深い好作品だ。
アコースティカル度・・9 北欧トラッ度・・7 女性Vo度・・7 総合・・7.5
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Sofia KarlssonFolk Songs」
スウェーデンのシンガー、ソフィア・カールソンの2002年作
つまびかれるアコースティックギターに、もの悲しいチェロの音色、
しっとりとした彼女のスウェーデン語の歌声で聴かせる、素朴な作風。
後のアルバムよりも北欧トラッド色が強く、ヴァイオリンやニッケルハルパが奏でる
土着的な旋律に耳を傾ければ、寒々しい北欧の空気が目の前に広がってゆく。
アコースティカル度・・9 北欧トラッ度・・8 女性Vo度・・8 総合・・7.5
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Sofia Karlsson 「Svarta Ballader」
スウェーデンのシンガー、ソフィア・カールソンの2005年作
つまびかれるアコースティックギターに、フィドルやチェロの音色、繊細なピアノなど
音数はシンプルな歌ものであるが、温かみを感じさせる作風だ。
非トラッド系のフォークから母国の詩人、ダン・アンダーションのポエムを乗せたトラッド曲まで
しっとりとした歌声とともに自然体のサウンドを効かせてくれる。Frifotのメンバーがゲスト参加。
アコースティカル度・・9 北欧トラッ度・・7 女性Vo度・・8 総合・・7.5
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SOLAS「The Words That Remain」
アメリカのケルティックバンド、ソーラスの3rd。1998作
アメリカのケルティックミュージック・グルーブとしては現在もっとも有名なバンドだろう。
アイリッシュな質感にアメリカンなカントリー風味が合わさったような質感で、
牧歌的なマンドリンにフィドルやフルートが絡み、軽やかに聴かせるサウンド。
アイルランド出身の女性ヴォーカル、カラン・カーシーの歌声はしっとりと美しく
ダンサブルなインスト曲とのいいコントラストになっている。ただ、演奏自体には
ケルト的な叙情や幻想性は薄いので、個人的にはヴォーカル曲を増やして欲しい気も。
ケルティック度・・7 カントリー風度・・8 女性Vo度・・7 総合・・7.5
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SORA「Heartwood」
カナダの女性シンガー、ソラの2009年作
ヴァイオリンやハープによる、しっとりとしたケルティックな楽曲に
彼女の絶品の美声を乗せた、コンテンポラリーケルトの美麗作。
ピアノやシンセも入った、シンフォニックな美しさと、幻想的な世界観で、
ほのかに夜の香りをただよわせる、うっとりとなるようなサウンドだ。
シンフォニック度・・8 ケルティック度・・8 女性Vo度・・9 総合・・8
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Spelman 「Pa Nye Vingar」
スウェーデンのトラッドユニット、スペルマンの1996年作
鍵盤奏者Merit Hemmingsonを含む女性4人組で、ヴァイオリン、フルートの優しい音色と
アコースティックギターのつまびきをバックに、母国語による土着的な歌声が響く。
パーカッションのリズムとともにうっすらとしたシンセによる適度にモダンな味付けもよい。
北欧らしい叙情性とやわらかな女性ヴォーカルでしっとりと楽しめる1枚です。
北欧度・・8 トラッ度・・7 女性Vo度・・8 総合・・8
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The Steals「Static Kingdom」
アメリカのネオフォークバンド、ステールズの2009年作
たゆたうような女性ヴォーカルの歌声で夢見ごちに聴かせる、しっとりとしたサウンド。
アコースティカルな牧歌性にオルガンなどのシンセやドラムが入ったロック色も含みつつ、
All About Eveのような倦怠の翳りと、アシッド・フォークやサイケ的でもある浮遊感とともに、
まどろむような耳心地を味わえる好作品。8分以上の大曲もあり、プログレファンにも楽しめます。
メロウ度・・8 夢見度・・8 女性Vo度・・8 総合・・8
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STEELEYE SPAN「Bedlam Born」
ブリティッシュトラッドバンド、スティーライ・スパンの17th。2000作
長い間活動し、多くの作品を出していればメンバーとともに方向性も変わってゆくのが自然なこと。
ぐっとモダンさを増した今作のサウンドは、キャッチーなロック的なビートの中にも、
トラッドバンドとしてのアイデンティティはしっかりと残っていて、
艶やかなヴァイオリンの響きにシンセが重なり、男女Voが爽やかにコーラスを乗せる。
ニューエイジ的な聴きやすさとポップセンスは、今の若いリスナーにもアピールするだろう。
モダンなエレクトリック・トラッドロックとして聴けばなかなか楽しめる。
アコースティカル度・・7 プログレ度・・7 女性Vo度・・6 総合・・7.5
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Storsveit Nix Noltes 「Royal Family - Divorce」
アイスランドのトラッドロック、ストルスヴェイト・ニックス・ノルテスの2009年作
トランペット、トロンポーン、サックス、アコーディオン、ヴァイオリン、チェロ奏者などを含む大人数の編成で、
エレキギターにドラムも入ったロック色と、吹奏楽が愉快に鳴り響く、スカのような感触に、
中世のトラッド風味を加えたというような、アヴァンギャルドでもあるサウンドを聴かせる。
様々な楽器が混ざり合った、いわば混沌としたチェンバーロックというふうでもあり、
けたたましい中にも、空間的なミステリアス性と哀愁の叙情を含ませるセンスもなかなか。
ひねくれ感と悪ノリをスカ風味のアヴァン・チェンバーに仕上げたというべき異色作。
アヴァンギャル度・・8 管弦楽度・・8 トラッ度・・7 総合・・8
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Suden Aika「Unta」
HEDNINGARNAのシンガー、Tellu Turkaを中心としたユニット、スデン・アイカの2006年作
女性メンバー4人のユニットで、フィンランド出身らしい素朴なカンテレの音色に、
女性ヴォーカルの母国語の歌声とコーラスが重なる、やわらかなサウンドを聴かせる。
ハープやハーディガーディ、フルートなどの音色も美しいが、あくまで歌メインの作風で
いわばソフトな土着性を表現している。Varttinaのキャッチーさとはまた違った妖しさも魅力。
アコースティカル度・・8 北欧トラッ度・・8 女性Vo度・・8 総合・・8
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Sunset Wings 「Covering for Solace」
ロシアのネオフォーク系ユニット、サンセット・ウイングスの2009年作
アコースティックギターのつまびきに、やわらかなリコーダーやフルートの音色がかぶさり、
女性ヴォーカルの優しい歌声が響いてゆく、繊細で幻想的なサウンド。
ヴァイオリン、チェロなどのクラシカルな味付けや、男性ヴォーカルによる曲では
メランコリックなゴシック風味もあって、美しくももの悲しい世界観が広がってゆく。
アコースティカル度・・8 プログレ度・・6 繊細度・・8 総合・・8

Sunset Wings 「Shining Thro' the Veil of Night」
ロシアのネオフォーク、サンセット・ウイングスの2013年作
2009年にデビュー、本作は3作目となる。アコースティックギターにヴァイオリン、チェロの音色、
ジェントルな男性ヴォーカルと美しい女性ヴォーカルで、クラシカルなネオフォークを聴かせる。
シンセはあまり使わずにアコースティックがメインなので、わりと素朴な聴き心地であるが、
やわらかなフルートやホイッスルに、クラシックギターのつまびきが重なり、物悲しい叙情に包まれて、
しっとりした優雅なサウンドに浸れる。個人的には男性声よりも女性Voメインの曲の方が嬉しいのだが、
男性ヴォーカルメインの曲も、艶やかなヴァイオリンやリコーターなどがサウンドを彩る。優美で繊細な好作品です。
クラシカル度・・7 優美度・・8 幻想度・・8 総合・・8
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Susanne Lundeng「Vals Til Den Rode Fela」
ノルウェーの女性ヴァイオリン奏者、スザンヌ・ルンデングの2000年作
郷愁を誘うような艶やかなヴァイオリンの音色が美しく鳴り響き、
うっすらとしたシンセやピアノも含んだ、涼やかな叙情がじわりと広がってゆく。
マンドリンやアコースティックギターも加わると、北欧らしいトラッド感触が強まって、
素朴な土着性が味わえる。繊細でありながら、凛とした響きのヴァイオリンに聴き入れます。
アコースティカル度・・8 ヴァイオリン度・・9 北欧度・・8 総合・・7.5
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Susanne LundengNattevak」
ノルウェーの女性ヴァイオリン奏者、スザンヌ・ルンデングの2006年作
土着的な旋律を奏でるヴァイオリンの音色で、ノルディックな清涼感とともに
女性特有の優雅な情緒を描き出す。ジャケのような自然の中に溶け込み
生きる喜びを感じさせるような、凛然とした強さを含んだメロディに聴き惚れる。
伝統的な素朴なつましさと、木々や土の香りを含んだ優しい響きにうっとりです。
アコースティカル度・・9 北欧度・・9 ヴァイオリン度・・9 総合・・8
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Talitha Rise 「An Abandoned Orchid House」
イギリスの女性SSW、タリサ・ライスの2018年
自らピアノにシンセ、ベースもこなす女性シンガーで、うっすらとしたシンセにアコースティックギター、
清涼感のある美しい女性ヴォーカルにヴァイオリンも鳴り響き、ドラムも加えたほどよいロック感触と
優雅なフォーク風味が同居したサウンドを聴かせる。コケティッシュな女性声の魅力はもちろん、
楽曲ごとに変化するその表現力が幻想的な世界観を描いていて、ときに静謐感に包まれながら、
ケルティックな神秘性も覗かせる。アコースティックなナンバーは、ネオフォークとしても楽しめる。
優美度・8 幻想度・8 女性Vo度・9 総合・8
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Tapestry 「Once Upon A String」
イギリスのフォークユニット、タペストリーの2010年作
男女二人のユニットで、アコースティックギターのつまびきに
女性ヴォーカルの歌声で聴かせる、しっとりとしたフォークサウンド。
ジャケはウィリアム・ホルマン・ハントの「シャーロットの女」で、
10分を超える大曲“Lady of Shalott”は、ストリングスアレンジなども加わって、
SPRIGUNSなどを思わせる幻想的なフォークプログレとしても楽しめる。
しっとり度・・8 幻想フォーク度・・8 女性Vo度・・8 総合・・8
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Tarja「Henkays Ikuisuudesta」
NIGHTWISHターヤ・トゥルネンのソロ作。2006作
人気絶頂のさなかNIGHTWISHを脱退したターヤが、どんなアルバムを作るのかと
興味深かったが、やはり想像通りメタル色の少ないしっとりとした作品だ。
ゆるやかなピアノやシンセをバックに、オペラティックなターヤの歌声が乗る。
NIGHTWISHでの歌唱よりは落ち着いたやわらかみのある歌声で、
フィンランドの森を思わせる透明感のあるサウンドは、ヒーリングミュージック的でもある。
クリスマスアルバムでもあるので、それ系のカヴァー曲も入っていてほっと和めます。
メタルファンが聴くには向かないが、ターヤの歌唱が好きだという方はしっとりと楽しめるかと。
メロディアス度・・8 メタル度・・1 ターヤの歌声度・・9 総合・・7.5
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Tarja「My Winter Storm」
NIGHTWISHターヤ・トゥルネンソロの2作目。2007年作
しっとりと聴かせるクリスマスアルバムであった前作に続く本作は、
冬をテーマにしたシンフォニックな作風で、どこか童話的な世界観を感じさせる。
ターヤの歌声はもちろん素晴らしく、オーケストラルな壮麗さにギターも入ったメタル色もあって、
部分的にはNightwishを思わせるところもある。全体を通して冬のイメージを構築した好作品だ。
シンフォニック度・・8 メタル度・・7 女性Vo度・・9 総合・・8
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Tarja 「The Seer EP」
元Nightwishのシンガー、ターヤ・トゥルネンの2008年作
2007年のMy Winter Storm」収録曲のリミックスやバージョン違い、ライブ音源など、合計11曲を収録したEP。
ドロ・ペッシュが参加したデュエットのシングル曲をはじめ、シンフォニックで壮麗なアレンジと
適度なヘヴィさが合わさった楽曲にターヤのオペラティックな美声が加わると、
メタル度が低かろうが別バージョンだろうが、なんだかんだで楽しめてしまう。
しっとりとしたバラード曲などもじつに美しい。4曲のライブ音源もファンには嬉しいだろう。
シンフォニック度・・7 メタル度・・7 女性Vo度・・8 総合・・7.5
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TarjaWhat Lies Beneath」
NIGHTWISHターヤ・トゥルネンの3作目。2010年作
本作はクラシカルなアレンジとともにメタリックなギターも入ったサウンドで、
オペラティックなターヤの歌声に、コーラスワークが壮麗に重なる雰囲気は、
かつてのNightwishともやや異なる作風だが、これはこれでハマっている。
クラシカルな要素が入ったヘヴィロックといってしまえばそれまでだが、
なんといっても、この唯一無二のヴォーカルを楽しめるだけでも聴く価値はある。
クラシカル度・・7 メタル度・・7 女性Vo度・・9 総合・・8
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Tarja 「ACT I」
元Nightwishのシンガー、ターヤ・トゥルネンのライブ作品。2012年作
ナイトウィッシュ脱退後も精力的にソロ作品を作っている彼女、本作は2012年アルゼンチンでのステージをCD2枚に収録。
2010年のソロ「What Lies Beneath」からの楽曲を中心にしつつ、“Nemo”をはじめNightwish時代の曲も披露、
“オペラ座の怪人”やゲイリー・ムーアのカヴァー“Over The Hills and Far Away”なども含め
その変わらぬオペラティックな美声を遺憾なく聴かせてくれる。バンド編成ではあるがメタル的な激しさはあまりなく、
あくまでヴォーカルをメインにしたシンフォニックなロックという印象なので、スリリングな部分は少なく優雅な聴き心地。。
全体的に音質がややラウドなのが惜しいが、ターヤの魅力がたっぷり詰まったライブ作品だ。
シンフォニック度・・7 メタル度・・5 女性Vo度・・8 総合・・7.5
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Tarja「Colors in the Dark」
元Nightwishのターヤ・トゥルネンのソロ。2013年作
ナイトウィッシュ脱退後のソロとしては3作目、クラシックとメタルを融合させた前作からの路線で
適度なヘヴィさと壮麗なアレンジを含んだ楽曲に、オペラティックなターヤの歌声が響きわたる。
ギターにはSINNERのアレックス・スコルプ、ドラムにはマイク・テラーナが参加、安定した演奏陣をバックに
ミドルテンポを主体にしながら、ゆったりとしたクラシカルな優雅さを覗かせた作風は耳に心地よく、
強いインパクトはないのだが、その分、美しい歌声をじっくり味わえる。ピーター・ガブリエルのカヴァーも含め、
歌唱の表現力によって説得力ある世界観を描き出せる、彼女はやはり屈指の女性シンガーなのである。
シンフォニック度・・9 優雅度・・9 女性Vo度・・9 総合・・8


Tarja Turunen & Mike Terrana 「Beauty & the Beat」
元Nightwishのターヤ・トゥルネンとマイク・テラーナのユニットのライブ作品。2014年作
いったいどういう経緯でこのコンビが誕生したのかは不明だが、オーケストラをバックに、ターヤが優雅な歌を乗せるというスタイルで、
歌の入らない曲では、マイク・テラーナがオケをバックにドカドカとドラム叩きまくるという、なんともミスマッチな感じが面白いといえなくもない。
CD2枚組で、前半はバッハやシュトラウス、ロッシーニ、ドヴォルザーク、モーツァルトといった、すべてクラシック曲。
クラシックを歌うターヤは、その声楽的な声質もあってか、オペラ歌手のそれと遜色ない美しい歌声を披露。
音質的にはドラムが薄っぺらい印象なのが残念だが、クラシックホールだから仕方ないのかもしれない。
後半は自身のソロ曲やツェッペリンのメドレー、Nightwishの曲も披露してくれる。同DVDも出ています。
クラシカル度・・9 メタル度・・3 ターヤの歌唱度・・9 総合・・8
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TARUJEN SAARI「Levoton hauta」
フィンランドのトラッドバンド、タルエン・サーリの2002年作
艶やかなフィドルの音色をバックに、女性ヴォーカルの母国語の歌声がエキセントリックに響く、
ハネるリズムはVARTTINAあたりを思わせ、ラジカルトラッド的なプログレッシブさも感じる。
マンドリンやシタール、キタラやブズーキなどの古楽器の素朴な音色と北欧の土着性が合わさって
本格派のトラッドを形成しながら、それに現代的なダイナミズムを加えた力作だ。
アコースティカル度・・8 ラジカルトラッ度・・8 女性Vo度・・7 総合・・8
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Tarujen SaariSota Kirottu!」
フィンランドのトラッドバンド、タルエン・サーリの2004年作
母国語による美しい女性ヴォーカルの歌声に鳴り響くフィドルの音色、
北欧らしい涼やかな土着性に、エピックな幻想性をまじえたサウンドは
単なるトラッドの枠を超えた強度で、我々をうっとりと北の大地へと誘ってくれる。
アコースティカルであっても、演奏には力強いダイナミズムが溢れ、
マンドリンやブズーキなどの古楽器の素朴さと表現力を増したKaisa嬢の歌声とともに、
ひとつの物語を描くような音の説得力を感じる。VarttinaGJALLARHORN級の逸材でしょう。
アコースティカル度・・8 幻想トラッ度・・9 女性Vo度・・8 総合・・8.5
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Tarujen SaariSusien Yo Delirium Lupus
フィンランドのトラッドバンド、タルエン・サーリの2006年作
傑作となった前作からさらに深化、本作ではメタリックなギターを加えた
トラッドメタル風味のサウンドになっている。母国語による女性ヴォーカルの歌声と
ヴァイオリンやホイッスルの土着的な旋律が合わさった聴き心地は、
パワフルなトラッドロックというか、適度なヘヴィさと北欧らしい素朴さの融合が面白い。
北欧トラッドとしての美しさは前作だろうが、メタラーの方にも楽しめるのは本作か。
アコースティカル度・・5 トラッドメタル度・・8 女性Vo度・・8 総合・・8
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Teija Niku 「Finsko Pajdusko」
フィンランドのアコーディオン奏者、テイア・ニクの2011年作
やわらかなアコーディオンの音色を、コントラバスのリズムに乗せ、
アコースティックギターにヴァイオリンも加えた、軽やかなアンサンブルを聴かせる。
艶やかなヴァイオリンが鳴り響くポルカ調から、素朴なマンドリンによるカントリー風、
北欧トラッド的な涼やかなナンバーや、ときにフォルクローレ的な哀愁の旋律も覗かせつつ、
あくまで優雅な感触でアコーディオンの魅力がたっぷり味わえる。女性Vo入りのラスト曲もよいですね。
アコースティック度・・9 北欧度・・7 アコーディオン度・・8 総合・・7.5
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Tellu「Suden Aika」
フィンランドの女性フィドル奏者&シンガー、テル・ヴィルカラの1996年作
HEDNINGARNAのメンバーの彼女だが、本作は母国語による歌を中心にした作品で、
複数のヴォーカルが重なり合う、歌のみによる素朴な味わいが特徴。
フィンランド語の神秘的な響きと、北欧の土着性が詰まった歌作品だ。
歌度・・10 北欧度・・8 素朴度・・9 総合・・7.5
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ThistletownRosemarie」
イギリスのフォークバンド、ティストレタウンの2008作
2人の女性ヴォーカルを含む5人組みで、古き良き英国フォークの叙情を抽出したような
幻想的なサウンドをやっている。アコーステイックギターにマンドリン、アコーディオン、
フルートの音色に、けだるい女性ヴォーカルの歌声を乗せてしっとりと聴かせる。
到底現代の音とは思えないような、牧歌的な古めかしさが、むしろある意味異色で
時の流れを封じ込めたようなドリーミィなフォークサウンドに浸れる。
アコースティック度・・8 幻想フォーク度・・9 女性Vo度・・8 総合・・8
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THREEALITY'T Minne
オランダのモダントラッドバンド、スリーアリティの2009年作
3人の女性ヴォーカルをフロントにした、巧みなコーラスワークの重ねと
ドラムやギターの入ったロック色に、シンセによるポップかつシンフォニックな味付けもある。
アコーディオンの音色やマンドリン、ハーディーガーディなどのトラッド的アコースティック色と
現代的なアレンジセンスが融合された、モダン・コンテンホラリーのお手本のような完成度。
トラッ度・・8 モダンアレンジ度・・8 女性Vo度・・8 総合・・8
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Tina Karol (Тіна Кароль)「 Nochenka」
ウクライナの女性シンガー、ティナ・カーロリの2006年作
アコースティックギターのつまびきに、母国語のしっとりとした歌声を乗せた1曲目から、
シンセやストリングスを加えた優美なナンバー、打ち込みによるポップなナンバーまで
ウクライナ語による独特の響きも含めて、情感豊かな美しい歌声を堪能できる。
全30分で、うち3曲がカラオケVer、1曲がリミックスの英語Verという、実質ミニアルバム。
メロディック度・・8 ポップ度・・8 女性Vo度・・8 総合・・7
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Tirill「Dance With the Shadows
ノルウェーの女性アーティスト、ティリルの2003年作
WHITE WILLOWにヴァイオリンで参加したこともある彼女だか、本作ではヴォーカルにヴァイオリン、
シンセ、パーカッションもこなしている。サウンドはしっとりとした女性ヴォーカルに、
うっすらとしたシンセにつまびかれるギターなどによる、薄暗くアンビエントなもの。
北欧らしい翳りと土着性は、WHITE WILLOWやANGLAGARDあたりの雰囲気にも通じる。
フルートやチェロなどの音色とともに、静謐感を漂わせたたゆたうような叙情にうっとりです。
アコースティカル度・・8 北欧度・・8 女性Vo度・・8 総合・・8
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TJANE 「MARK」
オランダのトラッドフォークバンドの2005年作
アコースティックギターにフルートやホイッスルの音色、ドラムを含んだアンサンブルに、
女性ヴォーカルの母国語の歌声を乗せた、爽やかな聴き心地のトラッドフォークロック。
土着的なトラッドメロディを含んだ牧歌的な感触もあり、伝統的なトラッド質感を残しつつ
ほどよくコンテンポラリーなテイストを取り入れているので、トラッド初心者にも聴きやすい。
曲によってはストリングスカルテットも入ったアレンジも雄大な叙情をかもしだす。
女性ヴォーカルの優しい声質も含めて、ゆったりとまどろめるようなサウンドだ。
メロディック度・・8 やわらか度・・8 女性Vo度・・8 総合・・7.5
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Tone Hulbakmo & Hans Fredrik Jacobsen 「Langt Nord I Skogen」
ノルウェーのフォークロック、トネ・ハルバエクモ&ハンス・フレドリック・ヤコブセンの1988年作
母国語の美しい女性ヴォーカルの歌声に、やわらかなアコーディオンの音色に
パーカッションやシンセによるアレンジを加えた牧歌的なフォークサウンド。
ホイッスルやハープなどの繊細な音色に、伸びやかな女性声の表現力も魅力的で、
ときに物語を語るようなシアトリカルな歌声も楽しい。ジャケのイメージのような童話的な幻想性と、
北欧らしい土着的な旋律が合わさった聴き心地が味わえる好作品だ。
幻想フォーク度・・8 北欧度・・8 女性Vo度・・8 総合・・7.5
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Trembling Bells「Constant Pageant」
スコットランドのフォークロック、トレンブリング・ベルズの2011年作
エレキギターにオルガンなども入った、フォークロックスタイルのサウンドで、
美しい女性ヴォーカルの歌声に、ときにケルティックな味わいも感じさせる牧歌的な聴き心地。
ギターにはサイケ的な感触もあって、70年代ロック的なおおらかなノリと浮遊感が楽しい。
ヴォーカルのラヴィニア嬢は歌って、シンセも弾いて、ときどきギターも弾くという美人さん。
中世音楽的なメロディもいい感じで、お酒を飲みながら楽しめる、ユル系のフォークロックです。
サイケフォーク度・・8 叙情度・・7 女性Vo度・・8 総合・・7.5
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Trembling Bells & Bonnie 'Prince' Billy 「Marble Downs
イギリスのフォークロックバンド、トレンブリング・ベルズ
男性SSW、ボニー“プリンス”ビリーによる2012年作
男女ヴォーカルの歌声が絡み、ゆるやかにオルガンが鳴り響く、
70年代英国を思わせるサイケ気味のアシッド・フォークサウンド。
いくぶんの妖しさも漂わせたドリーミィな感じが耳に心地よく、
牧歌的なゆるやかさと幻想的な雰囲気が楽しめる、古き良き感触の作品です。
アコースティック度・・7 牧歌的度・・8 古き良き英国風味度・・8 総合・・8
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Triakel
スウェーデンのトラッドバンド、トリアケルの1998年作
Garmarnaのエマ・ハルデリンを擁するトリオバンドで、艶やかなフィドルの響きに
ハーモニウム(リードオルガン)が絡み、母国語の美しい女性ヴォーカルで涼やかなサウンドを描く。
フィドルの奏でる北欧らしい土着的メロディに、ハーモニウムが素朴な優雅さをかもしだし、
エマ嬢の伸びやかな歌声がやわらかに重なる。トリオによるシンプルな音数ながらも、
すべてが素朴な北欧の空気をかもしだしていて、ゆったりと味わい深く聴き入れる。
表現力ある素晴らしいヴォーカルとともに、涼し気な北欧の風が感じられる逸品です。
アコースティック度・・9 北欧トラッ度・・9 女性Vo度・・8 総合・・8
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TRIAKEL 「VINTERVISOR」
スウェーデンのトラッドバンド、トリアケルの2000年作
GARMARNAの女性シンガー、エンマ・ハルデリンをフロントにしたバンドで
母国語による女性ヴォーカルとフィドルが響き、やわらかなハルモニウム(リード・オルガン)が鳴る、
素朴で優しい耳心地のサウンド。爽やかで楽しげな曲がメインながら、しっとりとした静かな曲では
エンマの歌声がシリアスに響きわたり、北欧らしい涼やかな空気を感じ取ることができる。
アコースティカル度・・9 トラッ度・・8 北欧度・・9 総合・・8
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Triakel 「Sanger Fran 63゜ N」
スウェーデンのトラッドバンド、トリアケルの2004年作
3作目となる本作は、フィドルが鳴り響き、母国語の女性ヴォーカルを乗せたシンプルなスタイルで、
北欧らしさを残しつつも、コンテンポラリーにソフィスティケートされたようなスタイリッシュな味わい。
涼やかな土着性も含みつつ、今作は暖かみのある牧歌的なナンバーが多いので、聴きやすい反面、
濃密な北欧トラッド感はやや薄まったか。エマさんの歌声にもどこか母性的なおおらかさを感じます。
アコースティック度・・9 北欧トラッ度・・8 女性Vo度・・8 総合・・7.5
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TRINITI
アイルランド出身の女性3人によるユニット、トリニティの2006作
美しい女性声と、包み込むようなシンセを中心にしたしっとりとしたサウンド。
ENYAを彷彿とさせるようなヒーリング系の音作りで、土着性よりはモダンな質感。
“スカボローフェアー”のカヴァーも含めて、聴きやすくリリカルに仕上げた曲調は、
ケルティック・ウーマンなどが気に入った初心者にも楽しめるサウンドだ。
ケルティック度・・7 ポップ度・・8 女性Vo度・・8 総合・・7.5
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TROY DONOCKLEY「The Madness of Crowds」
元IONA、Nightwishなどで活躍するパイプ/ホイッスル奏者、トロイ・ドノックリーのソロ作。2009年作
ケルティックな素朴さにシンフォニックな美しさと壮大さが加わったサウンドが素晴らしい。
IONAのジョアンヌ・ホッグ、ニック・ホランドをはじめ、スコットランドを代表するフォークシンガーの
バーバラ・ディクソン、Mostly Autumnのヘザー・フィンドリィらがゲスト参加していて、
やはりIONAに通じるダイナミックなケルトロックを基本にしつつ、初期のMIKE OLDFIELDあたりを思わせる、
より繊細なアレンジが光っている。艶やかなヴァイオリンやチェロ、ピアノなども美しい。素晴らしい傑作。
シンフォニック度・・8 ケルティック度・・8 繊細度・・9 総合・・8.5
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Troy Donockley 「Messages」
イギリスのホイッスル&パイプ奏者、トロイ・ドノックリーの2012年作
元IONA、現在はNightwishで活躍する彼の、1998~2011年までの作品から楽曲を集めたベストアルバムで、
未発曲を含めた全10曲を収録。艶やかにヴァイオリンが鳴り響きバウロンのリズムとともに、
ケルティックな美しさが広がってゆく。シンセによるシンフォニックなアレンジも含んだ雄大なサウンドは、
女性ヴォーカルの歌声も加わると、やはりIONAを思わせる部分も多々あって、ソロ作品でありながらも
上質なケルティック・シンフォとして楽しめる。ドノックリーの才能を改めて俯瞰できる一枚だ。
ケルティック度・・8 雄大度・・8 IONA度・・8 総合・・8
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Troy Donockley & Dave Bainbridge 「When Worlds Collide」
IONAのトロイ・ドノックリーとデイブ・ベインブリッジによるデュオ。2005年作
2003年のライヴ5曲とスタジオ録音5曲を収録した作品で、デイブのメロウなギターの旋律と
現在はNightwishで活躍する、トロイ・ドノックリーのイーリアン・パイプの音色に、
ブズーキやマンドリンなどの素朴な感触も含んだ、やわらかなトラッドサウンド。
IONAの楽曲をアコースティックにセルフカヴァーしていて、しっとりと耳に優しい。
シンセやエレキギターも入った曲もあり、アコースティックメインながらもメリハリに富んだ内容です。
アコースティカル度・・7 ケルティック度・・7 素朴度・・8 総合・・8
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Troy Donockley & Dave Bainbridge 「From Silence」
IONAのトロイ・ドノックリーとデイブ・ベインブリッジによるデュオ。2004年作
イギリスのリンカン大聖堂前でのライブ録音を基にした作品で、6パートからなる56分の組曲を収録。
トロイ・ドノックリーの奏でるホイッスルの素朴な音色をうっすらとしたシンセが包み込み、
夜を思わせる幻想的な静謐感が耳に優しい。ケルティックなパイプの響きもよろしく、
今回はベインブリッジが脇役に回っているなという印象。タイトル通り静寂感に浸れる一枚。
アコースティカル度・・8 ケルティック度・・8 幻想度・・8 総合・・8
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Tva Fisk Och en Flask 「Jungfruburen」
スウェーデンのトラッドバンド、トヴァ・フィスク・オク・アン・フラスクの2nd。2000年作
ヴァイオリン、ギター、パーカッションを中心にした躍動感溢れる演奏に、
女性ヴォーカルによる母国語の歌唱で聴かせる北欧トラッドサウンド。
土着的なトラッド要素をモダンなアレンジで再構築し、緊張感に満ちた勢いある演奏が繰り広げられる。
この手のバンドの中でも曲のメリハリとインパクトがあるので、
トラッド系初心者の若いリスナーなども退屈せずに聴き通せるだろう。
北欧トラッ度・・9 プログレ度・・7 女性Vo度・・8 総合・・8
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Unni Boksasp「Songar Fra Havdal」
ノルウェーの女性シンガー、ウーニ・ボクサスプの2007年作
艶やかなフィドルの音色をコントラバスに乗せ、母国語の女性ヴォーカルで聴かせる、
素朴な北欧トラッド。二本のフィドルの旋律を重なると、涼やかな土着性に包まれて、
母性的な歌声とともに、北欧の大自然を思わせるような世界観が広がってゆく。
ツィター、ライアーなどの弦楽器による素朴な味わいも含めて、シンプルなアレンジで
伝統的な北欧トラッドを再構築している。派手さはないが、じっくりと浸れる好作品。
アコースティック度・・9 北欧トラッ度・・8 女性Vo度・・8 総合・・7.5
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Unni Lovlid 「Rite」
ノルウェーの女性シンガー、ユンニ・ローヴリの2008年作
エレクトロなシンセアレンジにしっとりとした女性ヴォーカルの歌声を乗せ、
物悲しいチェロの音色とともに、幻想的な味わいのフォークサウンドを聴かせる。
土着的なパーカッションの響きや、ホルン、フィドルなどの音色も加えたトラッド感触に
美しくもはかなげな女性声で、涼やかな薄暗さに包まれた神秘的な世界観を描きだす。
デジタルなアレンジを北欧トラッドに大胆に取り入れながら、空間的な静寂感に浸れる逸品です。
アコースティック度・・7 しっとり幻想度・・9 女性Vo度・・8 総合・・7.5
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The Unthanks「Here's the Tender Coming」
イギリスのトラッド/フォークユニット、アンサンクスの2009年作
レイチェル・アンサンクとベッキー・アンサンクの姉妹ヴォーカルをフロントに、伝統的な英国トラッドをしっとりと聴かせるサウンド。
優美なピアノにヴァイオリンチェロなどのストリングスをバックに、二人のヴォーカルハーモニーが美しい。
随所に入るトランペットなどの管楽器もよいアクセントで、全体的に派手さはないが、
どこかなつかしい感じのする耳心地の良さがあります。ジャケもいいですね。
アコースティカル度・・8 英国トラッ度・・8 女性Vo度・・8 総合・・8
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The Unthanks「Last」
イギリスのトラッド/フォークユニット、アンサンクスの2011年作
美しいストリングスにしっとりと響く二人の女性ヴォーカルの歌声、
前作同様の正統的なトラッド・フォークを基本にしつつ、より優雅な格調高さが加わっていて、
英国的なトラッドを宮廷風に仕上げたというような感触がなんとも絶妙である。
ストリングスに重なるトランペットもよろしく、チェンバーロック風味のクラシカルさも味わえる。
KING CRIMSONの“Starless”のカヴァーもハマってます。これは素晴らしい傑作。
アコースティカル度・・8 優雅な英国度・・9 女性Vo度・・8 総合・・8.5
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The Unthanks 「The Songs of Robert Wyatt & Antony & The Johnsons」
イギリスのフォークバンド、アンサンクスの2011年作
2010年ロンドンでのライブ音源で、前半は、アントニー・アンド・ザ・ジョンソンズのカヴァー。
後半はロバート・ワイアットのカヴァー曲を演奏している。やわらかなピアノをバックに、
二人の女性ヴォーカルがしっとりと優しい歌声を乗せ、艶やかなストリングスが彩を添える。
後半のワイアットのカヴァーでは、チェンバー風味の優雅さとシリアスな緊張感とともに、
ヴォーカルの表現力で、英国らしいウェットな翳りを表現するセンスが素晴らしい。
ライブ演奏・・8 英国度・・9 女性Vo度・・9 総合・・8
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ValravnKoder P Snor
デンマークのラジカルトラッドバンド、ヴァルラウンの2009年作
バンド名はデンマーク神話に出てくるワタリガラスを意味するらしい。
フェロー諸島出身という女性ヴォーカル、アンナの透明感のある美しい歌声とパーカッションのリズム
ハーディガーディ、ニッケルハルパ、マンドラといった古楽器を使った本格派のトラッド質感に、
モダンなアレンジを加えたサウンドは、GARMARNAGjallarhornなどにも通じる雰囲気だ。
シンセやプログラミングによる空間的な音作りは、いかにも新時代のトラッドバンドといった感じで
リズム面での現代的なビート感覚を含めて、土着的すぎない、いわばコンテンポラリーなアレンジセンスは、
あまりトラッドが得意ではない若いリスナーにも楽しめる普遍性がある。
アコースティカル度・・7 モダントラッド・・9 女性Vo度・・8 総合・・8
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VALRAVN「Re-Coded」
デンマークのラジカルトラッド、ヴァルラウンの2011年作
Euzen、Faun、Omnia、Carmen Transglobal Underground、The Kenneth Bager
Experience、Rizzo(NIYAZ)などのアーティストがバンドの過去曲を新たにリミックスしたアルバムで、
もともとラジカルなバンドの音がよりテクノ的であったり、デジタリィな質感を強めている。
ビート感が強まった分、トラッド要素は薄くなったが、母国語によるヴォーカルやコーラス、
随所に土着的なメロディは残していて、浮遊感のあるモダンレンジのトラッドが楽しめる。
メロディアス度・・7 トラッ度・・7 モダンビート度・・8 総合・・7.5
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VARTTINA
フィンランドのトラッドグループ、ヴァルティナの1st。1987年作
来日公演も行い、日本ではメジャー級に匹敵する知名度となったこのグループ。
アルバム毎に高密度かつ斬新なポップフィーリングを本格的北欧トラッドサウンドに融合させてきた。
この1stでは、しかしまだ現代的なポップ性を取り入れる前の、純粋なトラディショナル音楽をやっている。
アコーディオンやカンテレの素朴な音色に、初々しい少女たちの歌声とを乗せた生き生きとした陽気な演奏が広がってゆく。
のちの彼らの偉業を予見させるものを所々にかいま見せつつも、ここではまだミュージシャンというよりは、
北欧の町で聴衆を前に楽しそうに演奏しているような、非商業的な純粋さを感じるトラッドがある。
ポップ度・・3 北欧トラッ度・・9 演奏・・7 総合・・7.5
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VARTTINA「KOKKO」
フィンランドのトラディショナル・ポップ・グループ、ヴァルティナの6th。1996年作
ヴァルティナのサウンドをひとことで言い表すなら「北欧トラッドの現代風フォーマット」である。
結果としてプログレ系のリスナーの心をつかむような音楽を彼らはやっている。複雑かつ高密度な演奏、
トラッド的な変拍子を自然に用いた独特のリズム。そして異国的でありながら、どこかなつかしいような女性の歌声。
アルバムを重ねる度にそれらの要素を説妙に深化させ、無駄を取り除き、音を純化させて
ポップとトラッドの双方を決して殺すことなく、融合させてきた。本作ではロックフォーマットのドラムを取り入れ、
音的にはトラッド性を減退させ、複雑さよりもどちらかというと明快さに主眼が置かれたようなサウンドである。
おそらく前作「AITARA」におけるトラッド主導のサウンドの逆をいったものと思われる。
この後7th「VIHMA」において、彼らは理想的な形で見事なトラッド+ポップの融合をなしとげるのである。
ポップ度・・8 トラッ度・・7 演奏・・8 総合・・8
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VARTTINA「VIHMA」
フィンランドのトラディショナル・ポップバンド、ヴァルティナの7th。1998年作
北欧の伝統的なトラッドをエレクトロニクスを加えた現代風アレンジで聞かせるこのグループ。
作りこまれたアレンジと民族楽器を本格的に使用しながらビート感にあふれたメジャーな普遍性で
高密度のアルバムを作り続けるのは素晴らしい。今作は前作「KOKKO」でのポップな聴きやすさに加え、
より北欧的な、いうなればディープなトラッド要素を増した作風になっている。母国語による女性ヴォーカルのハーモニーと
変拍子を取り入れたアレンジセンスと絶品の演奏力が、土着性とポップ性の完全なる融合をなしている。
トラディショナルな伝統と革新的なミックス感覚が絶妙のバランスをなしている。素晴らしい傑作である。
モダントラッド度・・6 北欧トラッ度・・8 アレンジセンス・・9 総合・・8.5
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VARTTINA「ILMATAR」
フィンランドのトラディショナル・ポップ・グループ、ヴァルティナの8th。2000年作
前作「ヴィヒマ」においてトラッドとポップとの絶妙の融合を成し遂げた傑作を作り、続く今作である。
今回は前作における壮大華麗さを控えめにして、より内省的な深みのある音作りになっている。
一聴すると「落ち着いた」印象であるが、変即リズムや起伏にとんだ民族コーラスなど、相変わらず密度は濃い。
現代風アレンジを若干後退させた印象で、このトラッド路線を堅持するのか、次回作でどうなるのか気になる。
ポップ度・・6 トラッ度・・9 演奏・・9 総合・・8.5
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VARTTINA「LIVE IN HELSINKI」
フィンランドのトラディショナル・ポップ・グループ、ヴァルティナのライブ作品。2000年作
わーい、聴きたかったヴァルティナのライブ音源だあー!!(嬉)
2000年12月の録音というから、8th「ILMATAR」発表後のライブであろう。
ベース、ドラム、ギターというロックフォーマットにヴァイオリン、サックス、アコーディオン、
そして3人の女性Voの母国語の歌唱が合わさり、現代解釈のトラッド・ロックが展開される。
アルバムでのデジタルな感触がないぶん、個性的な歌声がよりダイレクトに聴こえ
ライブならではの演奏が楽しめる。GARMARNAなどにもあるコアな部分を持ちながら、
それをメジャー的にアレンジする聴きやすさは彼らならではのもの。
ラジカルトラッドとしてもトラッドロックとしても一級品のクオリティ。
メロディアス度・・8 トラッ度・・8 ライブ演奏・・9 総合・・8
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VARTTINA「iki」
フィンランドのトラディショナル・ポップ・グループ、ヴァルティナの9th。2003年作
バンド結成20周年のアルバムということだが、主要メンバーが交代して臨んだ本作は
全体的にやや落ち着いた感じの、トラディショナルな味わいの強いサウンドになっている。
アコースティックギターとブズーキ、アコーディオンを中心とした演奏に、3人の女性ヴォーカルが声を重ね、
ヴァルティナ独自の浮遊感あるキャッチーな北欧トラッドを聴かせる。かつてのたたみかけるような部分と
壮大な空気は薄れたが、しっとりと聴ける伝統的な質感とリズミカルな母国語の歌唱とコーラスは今なお健在だ。
メロディアス度・・7 北欧トラッ度・・8 女性Vo度・・8 総合・・7.5
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VARTTINA「Miero」
フィンランドのトラッドポップバンド、ヴァルティナの2006年作
1987年のデビューから数えて10作目となる。5th「Aitara」で日本デビューしてから
北欧トラッドをポップなセンスで再構築するセンスが人気を呼び、来日も果たした。
この数作でメンバーが脱退したり変わったりと、バンドの動向が気がかりだったが、
蓋を開けてみれば、相変わらずのヴァルティナサウンドで一安心。
たたみかける変拍子リズムに、フィドルやアコーディオンが土着的なメロディを乗せ、
3人の女性ヴォーカルが母国語で歌い上げる。ややおとなしかった前作よりも、
少し前に戻ったような躍動感が楽曲に感じられて、なかなかよろしい。
伝統的な要素とモダンなアレンジのバランスで聴かせる、トラッドポップの好作だ。
メロディアス度・・8 トラッ度・・8 ロック度・・8 総合・・8
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Varttina「25」
フィンランドのトラッド・ポップバンド、ヴァルティナのベスト。2008年作
1983年に結成、1987年の1stでは、まだ純粋な伝統的なトラッドをやっていたバンドが、
作品を重ねるごとに進化し、モダンなポップ性を土着的なトラッドと融合させた独自の作風を確立した。
本作は結成25周年のベストアルバムで、初期から現在にいたるまでの楽曲22曲を収録。
初期の若さ溢れる初々しい歌声から、しだいに成熟したバンドとしての音の力をまとわせてゆく。
母国語による女性ヴォーカルの重なりと、フィドルやアコーディオンが奏でる土着的なメロディを、
ナチュナルな変拍子リズムに乗せて聴かせる、ヴァルティナサウンドの歴史と変遷がたどれる1枚です。
フィンラン度・・9 トラッ度・・9 ヴァルティナの歴史度・・10 総合・・8
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Varttina 「Utu」
フィンランドのトラッドポップ、ヴァルティナの2012年作
1987年にデビュー、伝統的なトラッドをハイプリッドなポップ性に融合させた独自のサウンドを聴かせるバンド。
前作から6年ぶりとなる11作目で、三人の女性ヴォーカルによる母国語の歌声と、アコーディオンやホイッスル、
カンテレといった北欧トラッド要素が絶妙に合わさったカラフルなサウンドは本作でも健在だ。
サックスのも音色も加わったジャズタッチの雰囲気や、アコースティックギターに哀愁のあるホイッスルが鳴り響く
バルカントラッドやジプシー的な空気感を漂わせるナンバーなどもあり、なかなか多様な聴き心地になっている。
トラッドポップとしてキャリアに裏打ちされた音の説得力に、大人の渋さも備わった好アルバムです。
アコースティック度・・8 北欧トラッ度・・8 女性Vo度・・8 総合・・8 
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Varttina 「Viena」
フィンランドのトラッドポップバンド、ヴァルティナの2015年作
1987年にデビュー、6作目「KOKKO」以降はトラッドとキャッチーなポップ性を切妙に融合させたスタイルで、
北欧トラッドの域を超えた素晴らしい作品を作り続けている。本作は12作目で、アコースティックギターのつまびきに、
3人の女性ヴォーカルが母国語の歌声を重ね、カンテレやアコーディオンも加わって、叙情的なサウンドを聴かせる。
艶やかなフィドルを乗せた愉快でキャッチーなナンバーや、マンドリン、ブズーキの素朴な音色で聴かせる、
哀愁を感じさせるスローナンバーなども味わい深い。以前に比べると落ち着いた曲調で、さほど派手さはないが、
涼やかな北欧トラッドを楽し気に聴かせるサウンドはそのままで、有機的な3人の声の重なりはこれぞヴァルティナである。
アコースティック度・・9 北欧トラッ度・・9 女性Vo度・・8 総合・・8 
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VasenVarldens Vasen
スウェーデンのトラッドバンド、ヴェーセンの4th。1997作
軽やかなパーカッションのリズムに乗る優雅なヴィオラの音色、
ニッケルハルパの素朴な響きとともに、北欧らしい叙情を聴かせてくれる。
オールインストながらも、歌ごころを感じさせる演奏で、フレーズのひとつひとつが
生き生きとして躍動感がある。スタイリッシュな切れ味と素朴さが同居した、彼らにしかできない
北欧トラッドサウンドである。ケルトでいえばLUNASA的な存在と言ってよいだろう。
ちなみにアメリカ盤のタイトルは「Whirled」でジャケも変更されている。
アコースティック度・・9 北欧トラッ度・・9 演奏度・・9 総合・・8
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VASENGront」
スウェーデンのトラッドバンド、ヴェーセンの5th。1998年作
1990年にデビュー、伝統的な北欧トラッドを優雅なアンサンブルで聴かせるバンド。
軽快なパーカッションのリズムに乗せる艶やかなフィドルの音色、
巧みなアコースティックギターにニッケルハルパの素朴さが合わさったサウンドは
北欧の土着性を強く感じさせつつも、ときに爽快な軽妙さが心地よい。
そして、伝統的な音楽を受け継ぐ力強さと、説得力とが備わった演奏は絶品だ。
アコースティック度・・9 北欧トラッ度・・9 演奏度・・9 総合・・8
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VasenTrio
スウェーデンのトラッドバンド、ヴェーセンの2003年作
ヴィオラ、ニッケルハルパ、ブズーキ/ギターというトリオ編成の作品で
優雅に鳴り響くヴィオラの音色と、ニッケルハルパの素朴な音色が重なり
耳心地のよい演奏が楽しめる。4人編成時のパーカッションのリズムがない分、
土着的な濃密さは薄まっていて、軽やかでスタイリッシュな雰囲気で聴かせる作品だ。
アコースティカル度・・9 北欧トラッ度・・8 演奏度・・9 総合・・8
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VETER VODY「Svistoplyaska」
ロシアのフォークロックバンド、ヴェター・ヴォディの2005年作
たおやかな笛の音色に、アコースティックギターによる牧歌的な雰囲気に、
ロシア語による男女ヴォーカルの歌声が乗る、優しいフォークサウンド。
辺境的なトラッド感触と、ジャケのように神秘的な幻想性を感じさせる作風は、
プログレ、シンフォニックのリスナーにも対応。ペイガン的なネオフォークである。
フォーキー度・・8 牧歌的度・・9 女性Vo度・・7 総合・・7.5

VETER VODY 「Vodovorot Vremen」
ロシアのフォークロックバンド、ヴェター・ヴォディの2009年作
牧歌的な笛の音色とアコースティックギター、母国語の女性ヴォーカルの歌声が爽やかに響く。
艶やかなヴァイオリンの音色など、クラシカルな雰囲気もあり、しっとりと鑑賞できる。
ジェントルな男ヴォーカルも入ります。辺境ペイガンメタルリスナーの箸休めにもいかがかと。
ちなみにロシア語でのバンド名表記は“Ветер ВОДЫ”
フォーキー度・・8 牧歌的度・・9 女性Vo度・・7 総合・・7.5


Vilvla 「Boot」
スウェーデンのトラッドユニット、ヴィルヴラの1999年作
HEDNINGARNA、SWAPのメンバーを含むユニット、3人のダンサーを含む編成で
パーカッションのリズムにヴィオラ・ダ・モーレの艶やかな音色と、マンドーラの旋律を重ねた、
躍動的なアンサンブルで、伝統的な北欧トラッドのポルスカを舞踏曲に仕立てている。
低音の効いたパーカッションの迫力あるリズムが、シリアスなビート感を作り出し、
ブズーキやヴィオラの旋律が土着的に奏でられる。トリオによるシンプルな音数ながら、
ヘドニンガルナのような革新的な力強さに包まれた、北欧トラッドの新たな息吹を感じる。
アコースティック度・・9 北欧トラッ度・・8 躍動度・・9 総合・・8
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Virginia Astley「All Shall Be Well」
イギリスの女性シンガー、ヴァージニア・アストレイの1992作
チェロに重なるつややかなピアノ、ゆったりとしたフルート、ヴァイオリンの音色に、
まるで少女のように清らかな彼女の歌声が、やわらかに世界を包み込む。
ときに賛美歌のように、ときに娘を見つめる母のように、
その清涼な歌声にうっとりとなりながら、安らかにまどろみたい。
メロディアス度・・8 清らか度・・10 女性Vo度・・9 総合・・8
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Voiciano 「Everflow」
オーストリアのシンフォニックメタル、EDENBRIDGEのランヴァルとサヴィーネによるユニット、ヴォイシアノの2014年作
壮麗なシンフォニックメタルのエデンブリッジとは異なり、こちらはぐっとアコースティックなサウンド。
ピアノやアコースティックギターなどをバックに、サビーネ・エデルスバッカーの美声がしっとりと響き渡る。
ハンマー・ダルシマーやブズーキといったトラッド系の古楽器も使用していて、温かみのある素朴な音色と
美しい女性ヴォーカルの歌声にウットリとなる。メタル要素は皆無だが、サビーネファンにはとても楽しめる。
アルイエン・ルカッセンやランヴァルのソロ作にも参加していた同郷のガンダルフなどがゲスト参加。
アコースティック度・・9 メタル度・・0 女性Vo度・・8 総合・・7.5
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Volgyessy Szomor FanniHajnalban
ハンガリーの女性ヴォーカル、ヴォルゲシー・ソモル・ファニーのソロ。1995年作
YOU AND Iのシンガーでもあった彼女の美しい歌声を中心に聴かせる
アコースティカルなポップロックという趣ながら、母国語によるヴォーカルが
異国情緒をかもし出していて、単なるポップという以上のサウンド。
楽曲はうっすらとしたシンセアレンジも含んだ爽やかでキャッチーな耳心地で、
キュートで伸びやかな歌声にうっとり。初期のQUIDAMなど、女性Vo好きはチェック。
メロディック度・・8 プログレ度・・7 女性Vo度・・8 総合・・7.5
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Volgyessy Szomor Fanni 「Var Rad Az Elet」
YOU AND Iのシンガー、ヴォルゲシー・ソモル・ファニーのソロ。2010年作
AFTER CRYINGのメンバーとの共同プロデュース作品ということだが、
サウンドの方は、シンセ類などのモダンなアレンジで聴かせるポップなサウンドで、
アコースティカルなトラッド色も含ませた、コンテンポラリーな趣がある。
ソロとしては実に15年ぶりながら、彼女の美声はまったく衰えることなく、
しっとりと優しいその歌声にうっとりである。曲によってはシンフォニックなロック色もあり。
メロディック度・・8 プログレ度・・7 女性Vo度・・8 総合・・8




Warsaw Village BandInfinity
ポーランドのラジカルトラッド、ワルシャワ・ヴィレッジ・バンドの2008年作
ヴァイオリンやチェロ、ダルシマー奏者などによる6人編成で、中欧のトラッドを先鋭的にアレンジ。
リズミカルなテンポの上に、、ヴァイオリンとチェロ、そして素朴なダルシマーの音色が響き、
そこに三人の
女性ヴォーカルが母国語の歌声を重ねるスタイルは、Varttinaあたりを思わせる。
一方ではデジタルな感触を取り入れたミクスチャーなセンスも面白い。ダイナミックなモダントラッドという点で、
GARMARNAHEDNINGARNAなどが好きな方にも楽しめるだろう。
ラジカル度・・8 トラッ度・・8 女性Vo度・・8 総合・・8
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WARSAW VILLAGE BAND 「Nord」
ポーランドのラジカルトラッドバンド、ワルシャワ・ヴィレッジ・バンドの2012年作
新たに三人の女性ヴォーカル&ヴァイオリン奏者を含む6人編成となった本作は、

Varttinaなどを思わせる母国語による女性のコーラスワークに、フィドルやトランペットが響きわたり、
Hedningarnaがゲスト参加したこともあって、ぐっと重厚になったラジカルトラッドを聴かせる。
モラハルパやスウェデッシュ・バグパイプといった楽器も入ると北欧トラッド的な感触に包まれて、
伝統的なポルスカが新たな形になって躍動するような感動を覚える。
プログレ度・・8 トラッ度・・8 ラジカル度・・9 総合・・8
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Wendy Rule & Craig Patterson「Beneath The Below is a River」
オーストラリアの女性Vo、ウェンディ・ルールとシンセ奏者、クレイグ・パターソンのユニット。2008年作
うっすらとしたシンセに、チェロ、ヴァイオリンの響き、女性ヴォーカルのスキャットが重なり
ゆるやかに幻想的に聴かせるサウンド。ヴォーカルはほとんどスキャットメインなので、
静謐感の強いBGMという感じで、正直眠たくなってしまうのだが、
アンビエント・ゴシック的に聴けばうっとりと楽しめるかもしれない。
静謐度・・8 幻想度・・9 女性Vo度・・7 総合・・7.5
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West of Eden 「Safe Crossing」
スウェーデンのフォークロック、ウエスト・オブ・エデンの2012年作
1997年にデビューし、6作目。アコースティックギターのつまびきに、男女ヴォーカルの歌声を乗せ、
艶やかなフィドルが鳴り響く、北欧らしい素朴で涼やかなフォークサウンドを聴かせる。
バウロンのリズムにアイリッシュ寄りのフィドルの旋律、歌詞が英語であることもあって、
英国ルーツの牧歌的なフォークとしても楽しめる。曲によっては、エレキギターにドラムも加えた
ロック色もいくぶんあって、カントリー調のキャッチーなノリから、女性ヴォーカルをメインにした
優雅なナンバーなども耳心地よい。わりとメジャー感のある作風なので、北欧らしさは薄めかな。
アコースティック度・7 英国風味度・8 女性Vo度・7 総合・7.5
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White Magic 「Dat Rosa Mel Apibus 」
アメリカのアシッド・フォークバンド、ホワイト・マジックの2006年作
ピアノにギター、ドラムも入ったフォークロック的な演奏に、エキセントリックな女性ヴォーカルの歌声を乗せたスタイル。
どこか呪術的な妖しさと倦怠感を含んだ雰囲気は、近年でいうとJoanna Newsomなどの世界観にも通じるものがある。
楽曲自体はむしろシンプルでポップであるが、現代的フォーマットのバンドサウンドの中に、古めかしい土着性や、
毒々しい大衆性が感じられて、いわば古ぼけた100年前の空気を蘇らせるかのような聴き心地である。
リーダーであるミラ・ビロットの歌声が綺麗すぎないことも、このバンドの音にはよくマッチしている。
個人的には、さらにエキセントリックに、もっと妖しい作風へと深化していってもらいたい。
ドラマティック度・・7 フォーク度・・7 女性Vo度・・7 総合・・7.5
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Wimme 「Gierran」
フィンランドのミュージシャン、ウィメ・サーリの1997年作
ヨイクの歌い手であり、伝統的なトラッドを新たな解釈で表現するアーティスト。
シーケンサー的なデジタルなシンセの重ねに、ラップのようなリズムでヨイクの歌声を乗せ、
エレクトロに仕立てた異色の北欧トラッドを聴かせる。デジタルで表現されたパーカッションや
ホイッスルの音色なども違和感なく融合していて、まさに伝統を革新的に表現したという作風だ。
土着的な歌声とモダンなシンセがミスマッチな怪しさとアヴァンギャルドな雰囲気に包まれる。
これもまたひとつの、進化した北欧ラジカルトラッドの、その新たな形というべきだろう。
アコースティック度・・3 デジタル度・・8 北欧トラッ度・・7 総合・・7
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WOODLAND 「TWILIGHT」
アメリカのケルティックロックバンド、ウッドランドの2003年作
ゆるやかなハープの音色と、ピアノのつまびき、ストリングスも美しく、
ドラム、パーカッションのリズムに美しい女性ウォーカルが歌を乗せる。
ジャケのようなファンタジックで優雅なケルトロックサウンドで、少々薄口。
サウンドに土臭さがないので、一般のリスナーにも楽しめると思う。
ファンタジック度・・8 ケルティック度・・7 女性Vo度・・7 総合・・7.5


Wyndow
イギリスのアシッドフォーク、ウインドウの2021年作
TREMBLING BELLSのLAVINIA BLACKWALLと、女性SSW、LAURA J MARTINによるユニットで、
うっすらとしたシンセにピアノ、アコースティックを含むギターに、透明感のある女性ヴォーカルを重ねた、
しっとりとした美しいサウンド。優美なピアノをバックに、コケティッシュな二人の歌声が重なると、
爽やかな空気に包まれて、妖しさよりもむしろキャッチーな清涼感が前に出る。随所にやわらかなフルートや
チェロなども加えた、優雅なアレンジも耳に心地よく、単なるフォークにとどまらないモダンなセンスは、
UNTHANKSなどにも通じるだろう。美しい女性声にウットリできる、コンテンポラリーな好品です。
アコースティック度・7 優雅度・9 女性Vo度・8 総合・8
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X Y

Xeito NovoXanelas」
アルゼンチンのケルティックバンド、シェイト・ノボの2005作
フォルクローレ、タンゴというイメージの強いこの国でケルト系バンドというのは
意外な感じがするが、アルゼンチンにはガリシア系のスペインからの移民も多いらしい。
ゆるやかにつまびかれるアコースティックギターの音色に、たおやかなフルートとアコーディオンが絡み、
しっとりと優美に聴かせつつ、そこにガイタ(ガリシアン・パイプ)が加わると、
本格的なガリシアのトラッドサウンドになって、たとえばMilladoiroあたりと比べても遜色ない雰囲気。
あくまでインスト主体のバンドながら、数曲で歌う女性ヴォーカルもとてもいい感じだし、
ドラムやピアノが入って来るとシンフォニックロック的に聴けたりするのも嬉しい。
また、本作はリト・ヴィターレがミックス、マスリングを手がけている点も見逃せない。
アコースティック度・・8 ケルティック度・・8 しっとりたおやか度・・9 総合・・8
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YggdrasilKristian Blak & Yggdrasil
フェロー諸島のトラッドバンド、イグドラシルの2002年作
フェローの歌姫、EIVOR PALSDOTTIRが参加するバンドで、
ピアニストのクリスティアン・ブラックを中心に、サックス、フルート、ドラムも含んだ
ジャズ的でもあるアンサンブルに、表現豊かなアイヴォールの歌声が重なる。
しっとりとした静謐感と優雅な格調高さが、荒涼とした北の空気に合わさって、
神秘的なサウンドを描いている。シンプルな音数ながらも深みのある傑作です。
アコースティカル度・・8 北欧トラッ度・・8 女性Vo度・・9 総合・・8
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Kristian Blak & Yggdrasil「Risastova」
フェロー諸島のトラッドバンド、イグドラシルの2006年作
ピアニストのクリスティアン・ブラックとのコラボ作品で、サックスが鳴り、ピアノのつまびきによる
優雅でジャズ的なアプローチと、素朴なトラッドが融合したというようなサウンド。
静かな緊張感を含んだアンサンブルはプログレッシブといってもよい聴き心地で、
母国語による男性ヴォーカルの歌声にも味わいがある。神秘的で深みのある静謐感に、
後半の曲ではヴァイオリンも入ったり、軽やかなジャズ・トラッド的な雰囲気も覗かせる。
アコースティカル度・・9 トラッ度・・8 ジャズタッチ度・・8 総合・・8
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ZARI 「Sazaroti」
ラトビアのネオフォーク、ザリの2017年作
うっすらとしたシンセにアコースティックギター、美しい女性ヴォーカルの母国語の歌声を乗せた
幻想的なネオフォークサウンドに、ゴシック的でもある物悲しい倦怠の空気感と、
ドラムやエレキギターも加わったロック寄りのアレンジもあって、辺境フォークロックとしても楽しめる。
打ち込みによるモダンな感触と、アコーディオンやフルートなどの土着的な牧歌性が合わさった
スタイリッシュなバランス感覚は、若手らしいセンスの良さでプログレファンにも対応するだろう。
ドラマティック度・・7 フォークロック度・・8 女性Vo度・・8 総合・・8
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Zefiro Torna 「O Mondo Aveugle」
ベルギーの古楽フォーク、ゼフィロ・トルナの2010年作
美しい女性ヴォーカルの歌声に、民族的なバグパイプが鳴り響き、サックスやフルート、アコーディオンなどが加わった
チェンバーロック風味を感じさせるサウンド。リュートやリコーダーの素朴な音色が中世古楽的な世界観をかもしだし、
ネオフォーク的な幻想性とクラシカルな室内楽風味に、ヨーロピアンな教会音楽が融合したという聴き心地もある。
オペラティックなソプラノヴォーカルが、ときにシアトリカルな空気を描いて、総じて優雅な作風であるのだが、
どこかエキセントリックな神秘性にも包まれている。インストパートにおけるトラッド要素も確かな演奏力で説得力がある分、
垣間見せるシリアスな遊び心に惹きつけられる。軽やかにクラシカル、ジャズ風味も覗かせる、古楽チェンバーの傑作。
アコースティカル度・・8 幻想度・・8 女性Vo度・・8 総合・・8
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VA/The Celtic Circle
ケルト系アーティストのオムニバスアルバム、ケルティック・サークル。2003作
CD2枚組みで全32曲を収録、参加アーティストはクラナド、カパーケリー、チーフタンズといった正統派から、
ロリーナ・マッケニット、モイア・ブレナン、メアリー・マクラフリン、サラ・マクラクラン、ザ・コアーズなどの
コンテンポラリー系、さらにはケイト・ブッシュや、ヴァンゲリス、スティーヴ・ハウ&アニー・ハズラム、
アラン・スティーヴェル、そしてメタル系のナイトウィッシュ、ウィズィン・テンプテーションといったバンドまでを収録。
本格派のケルトミュージックのみならず、さまざまな角度からアレンジされた楽曲が楽しめる。
女性ヴォーカルものが多いのでフィメール好きや、幻想的な世界観が好きな方にもお勧めだ。
ケルティック度・・8 幻想度・・8 女性Vo度・・8 総合・・8
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VA/The Celtic Circle 2
ケルト系アーティストのオムニバスアルバム、ケルティック・サークルの2作目。2003作
CD2枚組みで全32曲を収録、クラナド、チーフタンズ、カパーケリー、ロリーナ・マッケニット、ザ・コアーズといった
前作からのおなじみのアーティストに加え、今回はジェフ・ベック、ゲイリー・ムーアなどの大御所ギタリストや、
マイク・オールドフィールド、ギャラハド、アイオナといった、プログレッシブ方面のアーティストや、
パメラ・モーガン、コニー・ドーバー、フィオナ・ジョイスなど、新世代のケルト系女性ヴォーカルの楽曲も入っていて
美しい歌ものからインスト、シンフォニック系まで、幅広いサウンドが楽しめる。
ケルトのみならず、プログレファンなどにもお勧めできるオムニバスCDだ。
ケルティック度・・8 幻想度・・8 女性Vo度・・8 総合・・8
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VA/FAIRE CELTS
ケルティック系アーティストのオムニバス集。2000作
参加アーティストは、Eimear Quinn、Capercaille、Mary McLaughlin、Imaginary Heaven、
Connie Dover、Mae Mckenna他、12曲を収録。アコースティカルでしっとりとした曲や
シンセによるシンフォニックなもの、どれもうっとりとするような女性ヴォーカルの歌声で
まどろむように聴けて癒されます。コンテンポラリー・ケルトの良質のオムニバスです。
ケルティック度・・8 しっとりやわらか度・・9 女性Vo度・・8 総合・・7.5
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BILL WHELAN RIVERDANCE
アイリッシュダンスを芸術的なエンターテイメントに仕立てたリバーダンスのサントラ。1998(1995)作
映像の方は先にDVDで見ており、その超絶な足技と、アイリッシュミュージックとの融合に
うっとりと釘付けになったものだが、これはそのサントラアルバム。
曲に乗せるダンサーのタップ音がばっちり入っていてその華麗な足の神業を耳でも堪能できる。
音楽の方にも躍動と静謐の対比があり、現代風ケルトミュージックとしてもなかなかの出来。
女性Voとコーラスがとても美しい曲もあり、映像抜きでも単体として楽しめます。
シンフォニック度・・7 ケルト度・・9 映像も見るべし度・・9 総合・・8
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MICHEL FLATLEY'S LORD OF THE DANCE
元リバーダンスのダンサー、マイケル・フラットレーによるロード・オブ・ザ・ダンスのサントラ。2000(1996)作
躍動感溢れるアイリッシュダンスを物語形式の舞台に仕立て上げた同作の映像は
先に同作のビデオで見ており、そのショウとしての素晴らしさに感動することしきり。
リバーダンスよりは演劇性(物語性)が高く、分かりやすいところがポイント。
さて、音楽だけをとってもケルトミュージックを現代風にアレンジした
いわばシンフォニック・ケルトというものなので、とても聴きやすく、
シンセやヴァイオリン、フルート、そして女性Voが優しく、しっとりと耳に入ってきます。
シンフォニック度・・8 ケルト度・・8 映像は必見度・・10 総合・・8
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