非メタル系ゴシック/ダーク アンビエント
〜gothic/dark anbient music
                    by Tosei Midorikawa

掲載バンドはABC順になっています
■CDの評価に関しては、個人的嗜好が反映されることもあり、納得のいかない評価もあるかと思いますが、その辺はどうかご了承ください。

 音楽ページTOP  *ゴシックメタルCDレビュー



All My Faith Lost... 「Chamber Music」
ロシアのネオフォーク、オール・マイ・フェイス・ロストの2013年作
クラシカルなピアノに、ヴァイオリンやヴィオラの音色、うっすらとしたシンセを重ね、男女ヴォーカルを乗せた
しっとりとした物悲しい世界観。フルートやストリングスによるクラシカルな優雅さととともに、
はかなげな女性声とジェントルな男性声が、物憂げなサウンドをメランコリックに彩ってゆく。
クラシカルな室内楽をゴシック寄りに仕立てたという点では、Nature and Organisationあたりにも通じる感触で、
アコースティックギターをバックにしたシンプルなナンバーや、シンセをメインにしたアンビエントな味わいなど、
耽美な翳りに包まれた幻想的な雰囲気が楽しめる。ダークさよりもしっとりと優雅な聴き心地の逸品。
優雅度・・8 耽美度・・8 幻想度・・8 総合・・7.5
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Amber Asylum 「Frozen in Amber
アメリカのダークアンビエント、アンバー・アサイラムの1996年作
物悲しいチェロの音色にクラシカルなピアノの旋律で聴かせる、ダークだがしっとりと美しい世界観。
ここに女性ヴォーカルでも入ればさらによいのだが、オールインストなので、淡々とした寂しさに包まれて
ドラマティックな要素というのはあまりない。疲れた耳を癒したり、うとうとしながら聴くにはよいだろう。
むしろゴシックチェンバーとか、ダークなクラシックとして楽しむのが正しい作品かもしれない。
クラシカル度・・8 ゴシック度・・8 メタル度・・0 総合・・7.5
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Amber Asylum 「Natural Philosphy of Love」
アメリカのダークアンビエント、アンバー・アサイラムの1997年作
美しいソプラノ女性ヴォーカルの歌声に、チェロやヴァイオリンのクラシカルな旋律が合わさった
クラシカル・アンビエントゴシックというようなサウンド。メタル色はないが、随所にドラムも入るので
この手のバンドの中ではまとまりが良く、比較的聴きやすい部類の作風だろう。
ゴシック的な耽美性に包まれながら、暗すぎず妖しすぎずに楽しめる好作品です。
ゴシック度・・8 耽美度・・8 女性Vo度・・7 総合・・7.5
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Amber Asylum 「The Supernatural Parlour Collection」
アメリカのダークアンビエント、アンバー・アサイラムの2000年作
チェロの音色が単調なリズムに乗ってリフレインされる1曲目は、イントロというには曲が長すぎるし、
ゴシックというよりはダウナーなサイケという聴き心地。2曲目でははかなげな女性ヴォーカルが加わって、
物悲しいオーボエの音色が重なる耽美でダークなチェンバーロック風味。全体的にも淡々とした雰囲気で、
とくに盛り上がりがあるわけでもないという、不思議な寂寥感に包まれた作風である。
ラストは何故か、Black Sabbathのアンビエントカヴァー。魔女感たっぷりでわるくないです。
ドラマティック度・・6 ゴシック度・・6 妖しげ度・・8 総合・・7.5
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Amber Asylum 「Bitter River」
アメリカのダークアンビエント、アンバー・アサイラムの2009年作
美しいソプラノ女性ヴォーカルの歌声に、アコースティックギターのつまびき、うっすらとしたシンセに
クラシカルなチェロとヴァイオリンの音色が重なって、もの悲しくも叙情的なサウンドを描いてゆく。
包み込むようなシンセにドローン気味のチェロが重なる、これぞダークアンビエントという雰囲気で、
ロック色は皆無。キャットのような、語りのような女性声を増せた、神秘的な空気感が広がってゆく。
作品に比べると、音が描く世界観の強度が高まったことで、作品としての説得力も強めている。
ドラマティック度・・7 アンビエント度・・8 女性Vo度・・7 総合・・8
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Amber Asylum「Sin Eater」
アメリカのゴシックアンビエント、アンバー・アサイラムの2015年作
1996年にデビューし、7作目となる。うっすらとしたシンセにチェロやヴィオラの物悲しい音色、
けだるげな女性ヴォーカルを乗せて、しっとりと耽美なゴシックアンビエントを聴かせる。
ときにドラムも加わるので、いくぶんのロック色も感じさせつつ、妖しい女性スキャットとともに、
魔女めいた雰囲気に包まれる。後半は、12分前後の大曲もあり、アトモスフェリックな静寂感から
ドラムとエフェクトのかかったストリングスが加わって、ゴシックメタル風味に展開するなど、
単なるアンビエントという以上の深みのあるサウンドで独自の耽美な世界観を描いている。
ドラマティック度・7 ゴシック度・8 耽美度・9 総合・7.5
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Amethystium 「Evermind」
ノルウェーのゴシック・アンビエント、アメジスティウムの2004年作
打ち込みのリズムによるデジタリィなアレンジに女性ヴォーカルのスキャットを乗せた
幻想的なアンビエント・ゴシックサウンド。DELERIUMに通じるエレクトロ系の作風であるが、
より耽美でシンフォニックな美しさに包まれているので、ゴシック寄りのリスナーにも楽しめる。
適度に民族色のある旋律も含めて、やわらかなコード進行が耳心地よく、ゆったりと楽しめる好作品だ。
ドラマティック度・・7 ゴシック度・・7 幻想度・・8 総合・・7.5
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AM GANESHA'N「ELEFTHERIA」
フランスの民族ゴシックバンド、アム・ガネシャンの3rd。
聴くのは初めてだったが、なるほど民族調でありながらゴシック、というなかなか面白いサウンド。
内ジャケ写真にはドレスのおねえさんも写っていて、いかにもゴシック風なのだが
音の方はアジアンなテイストも感じる、どこか宗教がかった雰囲気があり
そこに女性Vo、男性コーラスなどが重なると、西洋版ガムランといった感じにもなる。
メタル色はなく、同郷のDARK SANCTUARYのようにヨーロピアンな雰囲気でもないので
雰囲気ものとしてもやや微妙な感触。異質なゴシックが聴きたい方に。
シンフォニック度・・7 ゴシック度・・8 民族度・・7 総合・・7


Angelic Foe 「Opressed By The Heavens」
スウェーデンのゴシックユニット、エンジェリック・フォーの2012年作
ARCANAのヴォーカルでもあるAnn-Mari嬢を中心としたユニットで、
うっすらとしたシンセにアコースティックギター、パーカッションが鳴り響く、
フォーキーな味わいもあるアンビエントなサウンド。ゴシック的なダークさよりも、
北欧らしい涼やかでミステリアスな叙情を感じさせる世界観で、
しっとりとした女性ヴォーカルの歌声もじつに美しい。うっとり聴ける美麗作です。
シンフォニック度・・7 ゴシック度・・8 女性Vo度・・8 総合・・8
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ANGELZOOM
ドイツの女性Voゴシックポップバンド、エンジェルズームの2004作
ロック色はなく、シンフォニックなシンセをバックにクラウディア嬢の天上の美声が響く。
ゴシックといってもアンビエントなフィメールヴォーカルものに近いが、
女性ヴォーカルものが好きであれば問題なく受け入れられるだろう。
配給がNUCLEAR BLASTというのもゴシックメタルファンを狙っているとしか思えない。
ところでこの方、ドイツではかなり有名なX-PERIENCEというバンドで歌っているらしい。
シンフォニック度・・8 メタル度・・3 女性Vo度・・9 総合・・8
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Angelzoom 「Nothing Is Infinite」
ドイツのゴシックロック、エンジェルズームの2010年作
2004年にデビュー、本作は6年ぶりとなる2作目で、デジタルなリズムに美しいシンセを乗せ、
しっとりとした女性ヴォーカルで聴かせる、優美でエレクトロなゴシックロックサウンド。
ギターが入らないので、メタル感触はほとんどないが、美しいピアノやシンセアレンジと
クラウディア嬢の清涼な歌声で、アンビエントな耳心地の良さでゆったりと楽しめる。
楽曲は3〜4分前後とわりとシンプルで、もう少し深みのある世界観があればと思う。
ゴシック度・・7 メタル度・・1 女性Vo度・・8 総合・・7.5
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ARCANA「Dark Age of Reason」
スウェーデンのゴシックユニット、アルカナの1st。1996年作
男女2人のユニットで、メタル色のない静謐感に満ちたゴシックミュージックをやっている。
荘厳なシンセに美しい女性ヴォーカル、そしてグレゴリアンチャント風の男性ヴォーカルが重なり
ダークで神秘的な世界観を描き出している、ELENDなどに比べると重々しい暗さは薄く、
シンフォニックかつアンビエントな美しさも感じられて、夢見心地で聴くことができる。
シンフォニック度・・8 暗黒度・・8 メタル度・・0 総合・・8
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Arcana「Cantar De Procella」
スウェーデンのゴシックバンド、アルカナの2nd。1997年作
男女2人のユニットで、シンセを中心にした荘厳でダークなゴシックミュージック。
静謐感あふれるサウンドは中世を思わせる世界観とヨーロピアンな美意識があり、
詠唱を思わせる宗教的な歌声に女性コーラスが加わって、沈み込むような美しさに浸れる。
ゴシック度・・9 メタル度・・1 荘厳と静寂度・・9 総合・・8
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ARCANA 「inner Pale Sun」
スウェーデンのゴシック系バンド、アルカナの2003年作
本作はおそらく4作目で、うっすらとしたシンセに包まれたダークアンビエントな世界観で
ジェントルな男性ヴォーカルの歌声を中心に、ときに女性ソプラノヴォーカルが絡みながら
ほの暗いゴシックサウンドを描いてゆく。シンセの多重録音がメインながら、
随所にドラムやティンパニなども入ったり、ダルシマーの音色が北欧らしい土着性もかもしだす。
全体的には40分弱という時間の短さや、女性声の活躍の少なさも含めて、やや物足りないのが惜しい。
ドラマティック度・・7 ゴシック度・・9 メタル度・・1 総合・・7.5
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ARCANARaspail」
スウェーデンのゴシック系バンド、アルカナの2008年作
ダークアンビエント界ではすでにベテランともいうべきバンドで、おそらくこれが6作目か7作目。
うっすらとしたシンセに包まれて、詠唱のような男性声とパーカッションが響きわたる。
女性ヴォーカルの歌声が入ると、曲はぐっとゴシックっぽくなり、耽美な世界観に包まれる。
原初的な暗がりとデジタリーなクリアさが合わさった、ダークアンビエントの好作である。
ゴシック度・・8 メタル度・・1 耽美度・・8 総合・・7.5
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Arkane 「Mesmeric Masquerade Seduction」
ギリシャのダークアンビエント、アルカンの2013年作
2008年にデビュー、2作目となる。女性ヴォーカルの歌声に、シンセの重ねによる
シンフォニックなクラシカル性に包まれて、耽美に聴かせるゴシックアンビエント。
美しいソプラノの女性声に、男性声の語りを重ねたサウンドは、曲というよりも雰囲気モノで
やや単調なリフレインはときおり間延びしてしまうのだが、この妖しく耽美な世界観は悪くない。
もう少し曲らしい展開でもあれば、よりドラマティックに楽しめるのだが。ジャケに惹かれた方はどうぞ。
シンフォニック度・・7 耽美度・・8 女性Vo度・・7 総合・・7
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ARTESIA 「HILVERN」
フランスのゴシックアンビエント、アルテシアの2006年作
女性二人組のユニットで、美しいシンセの重ねに、はかなげな女性ヴォーカルの歌声を乗せた、
幻想的なゴシックサウンドを聴かせる。艶やかなヴァイオリンの音色がクラシカルな優雅さを描き、
浮遊感のあるコーラスのような女性声がシンセをバックに響き渡る。3〜4分前後の楽曲は、
濃密な盛り上がりはないのだが、Dark Sanctuaryにも通じるヨーロピアンな耽美性に包まれている。
シンフォニックなゴシック・アンビエントとして、しっとりとしたその空気に浸るのがよろしいだろう。
優雅度・・9 耽美度・・8 女性Vo度・・7 総合・・7.5 
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ARTESIAChants d'automne
フランスのゴシックユニット、アルテシアの2007年作
女性二人によるユニットで、うっすらとしたシンセによるオーケストレーションと
ソプラノ女性ヴォーカルで聴かせる、Dark Sanctuaryなどを思わせるサウンド。
ダークな部分はあまりなく、バックのシンセもやや一本調子なので、
雰囲気は好みなのだが、通して聴いてくるとやや飽きてくる。
シンフォニック度・・8 メタル度・・1 女性Vo度・・8 総合・・7.5
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ARTESIA 「Llydaw」
フランスのゴシック・アンビエント、アルテシアの2009年作
うっすらとしたシンセにヴァイオリンが鳴り響き、アコースティックギターのつまびきに
美しい女性ヴォーカルの歌声を乗せた、シンフォニックなゴシックサウンド。
同郷のDark Sanctuaryにも通じるが、こちらはもう少しシンプルな雰囲気で、
女性声の重ねもスキャット的なので、ふんわりとした幻想性に包まれている。
濃密さや耽美な空気感という点では物足りないが、その分、ゆったりとBGM的に聞き流せる。
ドラマティック度・・7 ゴシック度・・8 女性Vo度・・7 総合・・7.5
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Artesia 「Wanderings」
フランスのゴシック/ダークアンビエント、アルテシアの2012年作
女性二人のユニットで、うっすらとしたシンセに美しい、女性ヴォーカルの歌声
ヴァイオリンやピアノによるクラシカルな優雅さも加わった、幻想的なゴシックサウンド。
暗黒度は低めで、優美な幻想性に包まれた感触は、やはりDark Sanctuaryあたりに通じるだろう。
ドラマティックな盛り上がりというのは希薄ながら、うっとりと聴き入れるダークアンビエントの好作品。
ドラマティック度・・7 ゴシック度・・8 優雅度・・9 総合・・7.5
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Ashram
イタリアのゴシックユニット、アシュラムの2006年作
美しいピアノに艶やかなヴァイオリンの音色、男性ヴォーカルが優しい歌声を乗せる。
ロック色はほぼなく、優雅なヴァイオリンが鳴り響き、繊細なピアノのつまびきとともに
物悲しくはかなげな世界観を描くようなしっとりとしたサウンドは、とても聴き心地がよい。
全体的には淡々とした情感で、ほの暗いゴシックアンビエントという作風なので、
個人的にはこれで女性ヴォーカルが歌ってくれれば…などととつい思ってしまう。
叙情度・・8 ゴシック度・・8 ロック度・・1 総合・・7.5
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ATARAXIA「La Malediction d’Ondine」
イタリアのゴシックバンド、アタラクシアの3rd。1995作
クラシカルなピアノにアコースティックギター、うっすらとしたシンセに、オペラティックな女性ヴォーカルが歌い上げる。
どこか呪術的で薄暗さのある雰囲気はイタリアならではで、女性ヴォーカルの歌声はアクが強く、魔女めいて聴こえる。
妖しげなゴシック、ダークウェーブが好きな方にお勧め。
メロディアス度・・7 ゴシック度・・8 女性Vo度・・7 総合・・7.5
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ATARAXIA「THE MOON SANG ON THE APRIL CHAIR」
イタリアの中世音楽風ゴシックバンドアタラクシアの1995作
少々ヨレた妖しい感じの女性Voが、アコギやピアノ、キーボードに歌を載せている。
イタリアにはDUNWICHORDO EQUITUM SOLISといったこの手のゴシック系バンドがいるが、
このバンドの雰囲気も耽美指向の本気度の強いもので、ロック性を排したけだるげな浮遊感が悪くない。
情報がなかったのでネット検索してみたら、すでにアルバムも10枚以上出しているようで、
バンドのサイトのライブ写真などを見ると、衣装や雰囲気まで本格的に中世音楽を志しているのが分かる。
中世度・・9 ゴシック度・・9 女性Vo度・・7 総合・・7.5

ATARAXIA「SAPHIR」
イタリアの女性Voゴシックユニット、アタラクシアの2004年作
中音域のオペラティックな女性Voの歌唱を中心に、呪術的な男性Voと
アコースティックギターなどによる秘教的なゴシックサウンド。メタルではないです。
なんというか、この怪しげな本物の雰囲気…宗教色も感じるゴシック世界は少々怖いですが、
アコースティカルな美しさと自然への畏怖のようなものも音からは伝わってきます。
曲によってはうっすらとしたシンセも美しく、女性Voの歌唱もかなり本格的なので、
こうした雰囲気ものが好きな方なら知っておいてもよいバンドかと思います。
ゴシック度・・8 アコースティック度・・8 女性Vo度・・8 総合・・7
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Ataraxia 「Liyr」
イタリアのゴシックバンド、アタラクシアの2010年作
90年代から活動するベテランで、本作が何作目なのかすでに分からないほど。
アコースティックギターのつまびきに美しいシンセ、そして妖しげな女性ヴォーカルの歌声を乗せた、
幻想的なゴシックミュージック。ケルトの名曲「スカボローフェア」も取り上げていて、
トラッド/ネオフォーク的な土着性も随所に覗かせる。バンドとしてのキャリアを重ねたことで、
過去の作品よりもサウンドに強固な説得力が備わってきていて、神秘的な幻想美が強まった。
シンフォニックなシンセアレンジに、魔女めいたヴォーカル嬢の歌声が素敵です。
ドラマティック度・・7 ゴシック度・・8 幻想度・・9 総合・・8
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ATARAXIA「Wind at Mount Elo」
イタリアのゴシックユニット、アタラクシアの2014年作
90年代初頭にデビュー、一貫して耽美な世界観を描いてきたベテラン。アコースティックギターのつまびきに、
やわらかな女性ヴォーカルの歌声を乗せた、しっとりとした牧歌性に、シンセやエレキギターも加わった、
幻想的なゴシックフォークというサウンドを聴かせる。うっすらとしたシンセの美しいナンバーや、
エレキギターをバックに妖しい歌声を乗せる魔女めいた雰囲気のナンバーなど、シンフォニックだったり、
アンビエントだったりと、案外曲調も多彩。今作は耽美過ぎない分、涼やかな叙情にも包まれていて、
ディープなゴシック好き以外も楽しめるだろう。6〜8分と長めの曲も多く、全71分というなかなかの力作です。
ドラマティック度・・7 ゴシック度・・7 女性Vo度・・8 総合・・7.5 
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Atrium Carceri 「Cellblock」
アメリカのダークアンビエント、アトリウム・カルセリの2003年作
Simon Heath氏による個人ユニットで、シンセの多重録音をメインにした静謐感あるアンビエントサウンド。
ダークで幻想的な雰囲気は、初期のKLAUS SCHULZEなどにも通じる世界観も感じさせ、
全体的に楽曲というよりは、SEも含むサントラ的なシンセミュージックという聴き心地。
何故か日本語によるドラマの一部のような語りも入ってきたり、インダストリアルなアレンジなど
さほど統一感もないので、全体としてはドラマ性も引っ掛かりも薄いという。自己満足的な作品。
ドラマティック度・6 メタル度・1 ダーク度・8 総合・7
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Autumn Tears 「Reprise MCMXCVIII - Love Poems For Dying Children... Act I」
アメリカのゴシックアンビエント、オータム・ティアーズの1作目。1996年作
チェンバロやチャーチオルガンなどの音色も含んだクラシカルなシンセアの重ねに、
美しいソプラノ女性ヴォーカルとコーラスを加えた優雅で壮麗なサウンド。暗黒性は薄めながら、
ゴシックらしい空気感はしっかりあって、シンフォニックな美しさと耽美な幻想性が融合した味わい。
随所に男性声も加わった、男女ヴォーカルによるグレゴリアンチャント的な荘厳な雰囲気もあって、
クリスチャン・ゴシック的な世界観にゆったりと耽溺できます。2作目、3作目も素敵なのでぜひ。
クラシカル度・・8 耽美度・・9 女性Vo度・・8 総合・・8 
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AUTUMN TEARS「THE GARDEN OF CRYSTALLINE DREAMS」
アメリカの女性Voゴシックユニット、オータム・ティアーズの2nd。1997年作
"死せる子供たちに贈るの愛の詩"と題されたシリーズの二作目。
のっけから母親と子供の異様な問答から幕を開け、その後はシンセをバックに
しっとりとした母性的な女性Voが歌い上げるというサウンド。メタル色は皆無。
たゆたうような心地よい、癒し系の音楽に聞こえるかもしれないが、じつのところ歌詞を読んだり、
曲をじっくり聴いているとその辺の暗黒系ゴシックよりもかえって恐ろしくなってくる。
残酷さではなく心の深遠に愛とともに同居する闇というか、美しい母性の裏に潜む悪魔をかいま見る心地というか。
音自体はシンセのみなので、へたをすると眠ってしまいそう。陰鬱な午睡のひとときに。
静謐度・・10 耽美度・・9 女性Vo度・・8 総合・・8
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Autumn Tears 「Absolution」
アメリカのゴシックアンビエント、オータム・ティアーズの1999年作
クラシカルなシンセの重ねに、艶めいた女性ヴォーカルを乗せて耽美な世界観を描く。
バックはシンセとピアノのみであるが、3曲目はドラムによるリズムと男性声も加わって、
いくぶんゴシックロック的にもなる。3曲入りのEPなので、物足りなさはあるが、
しっとりと夢見心地のサウンドで、美しくも妖しい耽美な幻想に耽溺できる。
クラシカル度・8 ゴシック度・8 耽美度・9 総合・7.5 

AUTUMN TEARS「WINTER and the BROKEN ANGEL」
アメリカの女性Voゴシックバンド、オータム・ティアーズの3rd。2000年作
2人のソプラノ女性Voとキーボード&作曲者兼男コーラスの3人組。本気の中世風ゴシック世界を目指すこのバンドは、
ジャケにしろインナーの文字や印刷にしろ世界観へのこだわりが徹底している。シンセを重ねたシンフォニックなバックに、
母性的なソプラノ女性ヴォーカルの歌唱を乗せたサウンドは、静謐な美しさをたたえ、耽美な暗闇を間接的に表現している。
歌詞をちらりと見ただけでも、そこにある陰鬱で、寓話的な悲哀の色を見い出すことができる。
メタル色は皆無で、バックはほとんどピアノとシンセのみなので、要はこの「本気度」に浸れるかどうか。
静謐度・・9 耽美度・・10 女性Vo度・・9 総合・・8

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AUTUMN TEARS
Eclipse

アメリカのゴシックバンド、オータム・ティアーズの4th。2004年作
今作も、ゆるやかなシンセをバックにした、女性ヴォーカルの艶やかな歌唱が美しい。
暗黒度という点では、デス声も使われていた以前のアルバムよりはやや抑えめで、
代わりに普通声の男性コーラスが入り、フルート、コントラバスなどとともに音に厚みを加えている。
しっとりとした薄暗いゴシック/ダークアンビエントミュージックとして、期待にたがわぬ耽美な世界観だ。
ゆるやか叙情度・・8 ゴシック度・・8 女性Vo度・・8 総合・・7.5
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Autumn Tears「The Hallowing」
アメリカのゴシックバンド、オータム・ティアーズの5th。2007年作
美しい女性ヴォーカルの歌声とシンセによるオーケストレーションを主体にしたサウンドは、
ELENDのようにクラシカルな質感がありながらも、暗黒性は薄く、耽美な世界観は
DARK SANCTUARYあたりに近いだろうか。ときにストリングスで盛り上げたり、
ピアノやフルートなどの優しい音色に包み込まれ、しっとりと耳心地がいい。
シンフォニック度・・8 メタル度・・1 女性Vo度・・8 総合・・8
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Autumn Tears 「Origin Of Sleep」
アメリカのゴシックユニット、オータム・ティアーズの2018年作
1996年にデビュー、2007年までに5作を残したバンドの、11年ぶりとなるミニアルバム。
ヴァイオリンやチェロなどのストリングスに、美しい女性ヴォーカルの歌声を乗せた
耽美でクラシカルなサウンド。やわらかなピアノの旋律に、ハープやフルートの音色、
ホルン、トランペット、トロンボーンなどの管楽器も加わった優雅な聴き心地で、
ゆったりとした室内楽的なゴシックミュージックとしても楽しめる。フルアルバムに期待。
クラシカル度・・8 ゴシック度・・7 優雅度・・8 総合・・7.5 
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Camerata Mediolanense 「Musica Reservata」
イタリアのゴシックユニット、カメラタ・メディオラネンスの1994/2013年作
女性鍵盤奏者を中心にしたユニットで、クラシカルなシンセワークにパーカッションが鳴り響き、
その上に詠唱を思わせる男女コーラスの歌声が乗るという、耽美で秘教的なサウンド。
ドラムやギターなどは入らないので、メタル色はほぼ皆無。典雅なハープシコードの音色に
女性ヴォーカルの歌声が厳かに絡む、神秘的な美しさに浸れるような方にはオススメだ。
再発盤のボーナスDiscにはライブ音源や未発曲など5曲を収録。
幻想度・・8 ゴシック度・・8 メタル度・・1 総合・・7.5
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Camerata Mediolanense 「Madrigali」
イタリアのゴシックユニット、カメラタ・メディオラネンスの1998/2013年作
美しいソプラノ女性ヴォーカルの歌声とオーケストラルなシンセアレンジを中心に聴かせる、
シンフォニックなダークウェーブサウンド。ロック/メタル色というのはほとんどなく、
全体的にもゴシック的な暗さよりは、Dark Sanctuaryのような美しさが前に出ている。
アルバムとしては時間的に35分に満たないので、濃密さの点でもやや物足りなさはある。
2013年の再発盤ボーナスDiscには、ライブや未発音源を5曲収録。
ライブ音源は、妖しいスキャットボイスとともに神秘的なミステリアスさをかもしだしていてなかなかよろしい。
シンフォニック度・・7 ゴシック度・・7 女性Vo度・・7 総合・・7
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THE CHANGELINGS 「TERRA FIRMA」
アメリカのゴシックアンビエント、チェンジリングスの1997年
クラシカルなピアノにシンセを重ね、しっとりとした女性ヴォーカルを乗せた優美なサウンドで、
艶やかなヴァイオリンの音色も美しく、ドラムやギターも加わったほどよいロック感触もある。
アコースティックギターにシンセを重ねた素朴なナンバーや、パーカッション鳴り響く民族的な雰囲気など、
エスニックな部分は、Rajnaなどのファンにも楽しめるだろう。一方ではジャズタッチのアレンジなど、
楽曲ごとに異なる空気感を描くところは、バンドとしての技量の高さだろう。幻想的な逸品です。
クラシカル度・・7 優美度・・8 女性Vo度・・7 総合・・7.5
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CHAOSTAR「CHAOSTAR」
ギリシャのゴシック(メタル)バンド、カオスターの1st。2000年作
SEPTIC FLESHのクリストス・アントニオとナタリー嬢のユニットで、メタル色のない呪術的な暗黒ゴシックサウンドをやっている。
静謐感ただようシンセとオーケストレーションをバックに、オペラティックな女性ヴォーカルと、怪しい男性声を乗せて、
ELENDあたりにも通じる耽美な世界観を描いてゆく。グレゴリオチャント的なコーラスが神秘性をかもしだし、
ときにヴァイオリンやトランペットなどが加わって、クラシカルな優雅さにも包まれる。メタリックなギターを乗せた
インダストリアルなナンバーもあるが、やはり女性声の耽美な部分が耳心地よい。漆黒の闇と神秘性が好きな方なら楽しめるだろう。
シンフォニック度・・7 クラシカル度・・8 暗黒度・・8 総合・・7.5
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CHAOSTAR「THRENODY」
ギリシャのゴシック(メタル)バンド、カオスターの2nd。2001年作
女性Voのナタリー嬢をはじめ、G、DrはSEPTIC FLESHでも活躍している。
セプティック・フレッシュが呪術的なデスメタルとすれば、こちらは呪術的なゴシックか。
ヴァイオリン、キーボードなどによるクラシカルかつダークな楽曲にミステリアスな女性ヴォーカル、
そしてTHERIONばりのコーラスという壮大な楽曲は、実にシアトリカルで本気度が高い。
暗黒ゴシックでありながら、ある意味格調の高いオーケストラルな空間をも感じさせる。
シンフォニック度・・8 クラシカル度・・8 暗黒(呪術)度・・9 総合・・8
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CHAOSTAR「THE SCARLET QUEEN」
ギリシャのゴシックユニット、カオスターの3rd。2004年作
今回はナタリー嬢に代わって新たな女性Voとクリス・アントニオウ氏の二人のクレジットになっている。
したがって、もはやメタル色、バンド要素は影も形もなくなり、サンプラーのシンセをバックに、
新Voサフォ嬢の歌声が妖しく響くという、いわば「女声版ELEND」といった感じの音になっている。
まったくの静寂ゴシックという雰囲気で、静かな部分は無音に近くオケもプログラミングのようなので、
オペラティックではあるが、前作のような呪術的な闇や壮大さはさほど感じられない。
これを退屈と思う人々は多いかと思うが、こういうサントラ的な静謐ゴシックも決して嫌いではない。
クラシカル度・・8 メタル度・・1 静謐度・・9 総合・・7.5
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CHAOSTAR「UNDERWORLD」
SEPTIC FLESHのメンバーによる、ゴシックユニット、カオスターの4th。2008作
クリストス・アントニオを中心にしたユニットで、オペラティックな男女ヴォーカルと、美しいシンセワークを中心に
ダークで耽美な世界観を描き出す作風。壮麗なオーケストレーションに加え今作ではチェンバーロック的な
クラシカルな要素も強くなり、前作よりも壮大で、そしてミステリアスな奥深いサウンドとなっている。
シンフォニック度・・8 クラシカル度・・8 暗黒度・・7 総合・・8
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Chaostar 「Anomima」
ギリシャのゴシックバンド、カオスターの2013年作
SEPTIC FLESHのクリストス・アントニオウを中心にしたユニットで、本作は5作目となる。
怪しげな日本語の語りで幕を開け、オーケストラルなアレンジとオペラティックな女性ヴォーカル、
随所に東洋的な笛の音色も響かせつつ、ダークで神秘的なサウンドを描いてゆく。
メタル的な要素はほとんどないが、ELENDなどを思わせるクラシカルな優雅さと、耽美な世界観、
表現豊かなオペラティックヴォイス、ときにチェンバーロック的なアヴァンギャルドな緊張感も含んで
DEVIL DOLLなどにも通じる暗黒オペラとしても楽しめる。雰囲気ものゴシックが好きな方はぜひ。
ドラマティック度・・8 メタル度・・1女性Vo度・・8 総合・・8
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CHAOSTAR 「THE UNDIVIDED LIGHT」
ギリシャのゴシックバンド、カオスターの2018年作
SEPTIC FLESHのクリストス・アントニオウを中心にしたユニットで、本作は6作目となる。
艶めいた女性ヴォーカルの歌声に、ヴァイオリンの音色を含むオーケストラルなアレンジを重ね、
耽美でシンフォニックなゴシックサウンドを聴かせる。ほとんどギターが入らない分、メタル要素は希薄ながら、
アンドロニキ嬢の妖艶でときにオペラティックな歌声が、妖しく秘教的な空気感を描き出している。
曲によってはモダンなアレンジも覗かせつつ、独自のゴシックミュージックを作り出すセンスは素晴らしい。
耽美度・・9 メタル度・・3 女性Vo度・・8 総合・・8 
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Chirleison 「A Whisper」
イタリアのゴシックユニット、チレイソンの2004年作
女性Vo、女性シンセ奏者、男性ギターのユニットで、打ち込みによるドラムの上に
美しい女性ヴォーカルの歌声と、アコースティックギター、うっすらとしたシンセアレンジを乗せた
やわらかな聴き心地のサウンド。ゴシック的なダークさはさほどなく、牧歌的な素朴さと物悲しさ、
透き通るような女性声を中心とした、どこか淡々とした涼やかな美しさに包まれた雰囲気だ。
もう少しシンフォニックな盛り上がり欲しい気もするが、アンビエントで神秘的な空気感はよろしい。
ドラマティック度・・7 ゴシック度・・7 女性Vo度・・7 総合・・7
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COLLECTION D'ARNELL ANDREA 「Un Automne A Loroy」
フランスのクラシカル・ゴシックユニット、コレクション・ド・アルネル・アンドレアの1989年作
打ち込みリズムに美しいシンセアレンジとフランス語の女性ヴォーカルを乗せて、
優美でシンフォニックなゴシックサウンドを聴かせる。チェロの音色などのクラシカルな感触と
なよやかな女性声の美しさで、ゆったりとした味わいながら、ドラムが入っているので、
静謐すぎるアンビエントが苦手という初心者にもわりと聴きやすいだろう。
クラシカル度・・7 優美度・・8 女性Vo度・・8 総合・・7.5
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Collection D'Arnell Andrea 「Les Marronniers」
フランスのクラシカル・ゴシックユニット、コレクション・ド・アルネル・アンドレアの1992年作
優雅なヴァイオリン、チェロの響きにシンセが重なり、フランス語の女性ヴォーカルが美しい歌声を乗せる、
クラシカルなゴシックサウンド。ギターなどは入らないが、チェロやベースがサウンドに厚みを生み出していて、
ゴシック・アンビエント系の中では、わりと重厚な聴き心地である。はかなげな女性ヴォーカルの歌声も美しく、
ピアノとチェロをバックに、物悲しく歌い上げるナンバーなどにはうっとりとなる。打ち込みのリズムは正直好みではないが、
幻想的な薄暗さと、クラシカルな優雅さに包まれた、シンフォニックなゴシックサウンドが楽しめる逸品だ。
クラシカル度・・8 ゴシック度・・8 女性Vo度・・8 総合・・7.5
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Collection D'Arnell Andrea 「Tristesse Des Manes」
フランスのクラシカル・ゴシックユニット、コレクション・ド・アルネル・アンドレアの2002年作
やわらかなピアノにチェロが絡み、女性ヴォーカルのフランス語による歌声が乗る優美なサウンド。
耽美なダークさはというのはさほどなく、あくまでクラシカルな優雅さに包まれていて、
ゴシックミュージックとして聴くには少し物足りないか。シンセを使わないアコースティックな編成なので、
同郷のDark Sanctuaryあたりに比べると、よりクラシック寄りのスタイルと言えるだろう。
随所に男性ヴォーカルも絡むが基本は女性声メイン。個人的にはさほど好みの声質ではないのだが、
ヨーロピアンな美意識を感じさせる世界観は、この手の作品が好きな方にはたまらないだろう。
クラシカル度・・8 ゴシック度・・7 女性Vo度・・7 総合・・7.5
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Collection D'Arnell-Andrea 「Au Val Des Roses」
フランスのクラシカル・ゴシック、コレクション・ド・オルネール-アンドレアの2005年作
1989年にデビュー、本作は1990年の2作目にボーナスを加えた再発盤。艶やかなチェロの音色に
美麗なシンセアレンジ、フランス語による美しい女性ヴォーカルを乗せた、優雅なゴシックサウンド。
ドラムは打ち込みであるが、後の作品のようなエレクトロ色はさほどなく、クラシカルな美意識と
はかなげな女性声による耽美な空気感に包まれる。フレンチらしい優美なゴシックアンビエント作品。。
ボーナス追加の曲は、インダストリアルなエレクトロアレンジの別バージョンなどで、オマケ程度です。
クラシカル度・・8 優雅度・・9 女性Vo度・・8 総合・・7.5 
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Collection D'Arnell Andrea 「La Nuit Des Fees - Live」
フランスのゴシック・ネオクラシカル、コレクション・ド・アルネール・アンドレアの2008年作
1989年デビューというベテランで、本作は2007年のフランスでのライブを収録。
男女Voに2人のピアノ、ヴィオラ、チェロという6人編成で、クラシカルなピアノに
艶やかなストリングス、なよやかな女性ヴォーカルに男性声が絡む優雅なサウンド。
楽曲は3〜4分前後なのでわりとあっさりしていて、濃密な妖しさがさほどないぶん、
アコースティックなクラシカルサウンドといった趣だ。聴き心地は優雅なのだが、
ライブならではの迫力や、生々しさというものがもう少し欲しかったような。
アコースティック度・8 ライブ演奏・7 女性Vo度・7 総合・7
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Daemonia Nymphe 「The Bacchic Dance of the Nymph」
ギリシャのゴシック・ネオフォーク、ダエモニア・ニンフェの2004年作
2002年にデビュー、本作は2作目で、ハープのような弦楽器のつまびきに、パーカッションのリズムが重なり、
詠唱のような男性声を乗せた、秘教的な民族ゴシックサウンドを聴かせる。やわらかなフルートの音色に、
妖しい女性ヴォーカルも加わりつつ、ときにロックなドラムも入って来るなど、単なるゴシックフォークという以上の
神秘的な個性を本作の時点ですでに感じさせる。のちのアルバムに比べるとまだ雑多な感触であるが、
それがかえって原初的でトライバルなおどろおどろしさも感じさせるという。辺境系ゴシックフォークの異色作。
ドラマティック度・・6 耽美度・・7 神秘的度・・8 総合・・7 
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Daemonia Nymphe 「Psychostasia」
ギリシャのゴシックフォーク、ダエモニア・ニンフェの2013年作
本作がすでに6作目で、アコースティックギターのつまびきに異国的なパーカッション、
クラシカルなヴィオラのや竪琴、サントゥーリ(ダルシマーの一種)の素朴な音色を含んだバックに、
女性ヴォーカルのスキャット的な歌声と男性ヴォーカルが絡んでゆく、じつに神秘的なサウンド。
古代の儀式を思わせるような幻想的な世界観を、アコースティック楽器を使って描いてゆくという、
なかなか個性的な聴き心地である。ギリシャらしい神秘的なゴシック・フォークの好作品です。
アコースティカル度・・8 ゴシック度・・8 神秘的度・・9 総合・・8
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DARGAARD「Eternity Rites」
オーストリアのゴシックユニット、ダーガードの1st。1998作
ABIGORのメンバーと女性Voによるゴシックユニットで、メタル色は無く、ゆったりとしたシンセと打ち込みリズムによるサウンド。
ダークな静寂感のなかに、ダミ声男ヴォーカルとエリザベス嬢のスキャット的な歌声が美しく響きわたる。
いくぶんの土着的要素も含んで、ヨーロピアンな暗闇と幻想的な耽美さを味わえる好作品だ。
シンフォニック度・・7 ゴシック度・・8 女性Vo度・・7 総合・・7.5
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DARGAARD「INNOMINE AETERNITATIS」
オーストリアのゴシックユニット、ダーガードの2nd。1999年作
ABIGORのメンバーと女性Voのユニットで、2作目となる本作は、雰囲気ものとしてもやや濃度が薄めだった前作に比べて、
ぐぐっと耽美度が増している。女性ヴォーカルの美しさがより前に出てきていて、たおやかに、ときにドラマティックに響くシンセアレンジも
シンフォニックに耳を引きつける。ダークな世界観と天上の美しさが同居した壮麗なシンフォ・ゴシックアルバムだ。
シンフォニック度・・8 ゴシック度・・8 女性Vo度・・8 総合・・8
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DARGAARD「THE DISSOLUTION OF TERNITY」
オーストリアの暗黒系ゴシックユニット、ダーガードの3rd。2002年作
ブラックメタルバンドABIGORのVoが手がけるプロジェクトで、寒々しくも土着性のあるシンセをバックに、
美しい女性ヴォーカルがたゆたうように歌を乗せる。リズム楽器はほとんど使われておらず、
バックはシンセの多重録音によるもので、ときに静謐に、ときにシンフォニックに美しい暗黒世界を描き出してゆく。
ときおり男性声のパートもあるが、女性メインの曲はまるで「ブラック版のENYA」といったところ。
曲によってはアコースティックギターも用いるなど、トラッド的な要素もかいま見える。
シンフォニック度・・8 ダークゴシック度・・9 女性Vo度・・7 総合・・8
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DARGAARD「RISE AND FALL」
ABIGORのメンバーと女性Voによるゴシックユニット、ダーガードの4th。2004年作
前作同様、寒々しい静謐感ただようゴシックで、シンセによるオーケストレイションがいっそう美しくなっている。
冬の森の中のような寂寥感の中、エリザベス嬢の悲しげな歌唱がしっとりと響きわたる。
ドラムやギターなどのロック要素は皆無なので、いわば「ダークなヒーリング音楽」として聴くのがよいサウンドだと思う。
この手のアンビエントな雰囲気ものとしてはクオリティは高い部類といっていいだろう。
シンフォニック度・・8 暗黒度・・8 女性Vo度・・8 総合・・8
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DARK AWAKE「MESEONAS」
ギリシャのゴシックアンビエント、ダーク・アウェイクの2008年作
クラシカルなピアノにシンセによるオーケトレーション、語りのような女性ヴォーカルも加わって
耽美でミステリアスな空気を描いてゆく。打ち込みによりインダストリアルなビート感覚と
クラシカルな優雅さを同居させたサウンドは、これという展開力はないのだが、
淡々としたトリップ感に包まれる。妖しい女性スキャットに男性声が絡み、美しいシンセと
ギターのつまびきが重なるしっとりとした聴き心地と、雰囲気モノらしいシンセによるインスト曲も良いですね。
クラシカル度・・7 耽美度・・8 ミステリアス度・・8 総合・・7.5

DARK AWAKE 「Soil,Blood ...And The Reaping Of Light」
ギリシャのゴシックアンビエント、ダーク・アウェイクの2013年作
3作目となる本作は、シンセの重ねにノイズを含んだ不穏なイントロから、ダークな気配を感じさせ、
語りを含んだ女性声を乗せて、妖しく耽美な世界観を描き出す。打ち込みによるアレンジも加えて、
シンセをメインにしたホラーサントラ風のナンバーなどは、聴き手の想像力を掻き立てる。
クラシカルなピアノによる小曲など、全体的に小粒な印象ではあるが、優雅な耽美性は堪能できる。
クラシカル度・・7 耽美度・・8 ミステリアス度・・8 総合・・7.5

DARK AWAKE 「ANUNNAKI」
ギリシャのゴシックアンビエント、ダーク・アウェイクの2016年作
4作目となる本作も、シンセの重ねをメインにした、ダークなゴシックアンビエントを聴かせる。
インダストリアルなSEなどを含んだアヴァンギャルドな感触と、オーケストラルなアレンジで、
チェンバーロック的な味わいも覗かせる。荘厳なチャーチオルガンに妖しい女性声を乗せたり、
シンセをバックにノイジーなギターが鳴り響いたりと、よりアーティスティックなサウンドになっていて、
楽曲性は薄れたが雰囲気モノとしての強度は強まっている。プログレファンにも受けそうな内容です。
クラシカル度・・8 耽美度・・8 ミステリアス度・・8 総合・・7.5
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Darkher 「Realms」
イギリスのゴシック・ドゥーム、ダークハーの2016年作
Jayn Maivenさんによる個人ユニットで、うっすらとしたシンセに重厚なギターを重ね、
はかなげな女性ヴォーカルの歌声を乗せた、妖しくメランコリックなサウンドを聴かせる。
フューネラルな暗黒性とドゥーミィな空気感は、My Dying Brideあたりにも通じるが、
こちらは女性声をメインにしている分、より耽美な味わいで、シンセとアコースティックギターによる
ゴシックアンビエント風味や、物悲しいヴァイオリンにヘヴィなギターが重なるダークな迫力が同居している。
ヴォーカルは歌というよりはウィスパーの雰囲気なので、とらえどころのなさがいくぶんもどかしい。
ドラマティック度・・7 耽美度・・8 重厚度・・8 総合・・7.5
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DARK SANCTUARY「ROYAUME MELANCOLIQUE」
フランスのシンフォゴシックバンド、ダーク・サンクチュアリの1st。1998作
女性Voに女性Vinもいる5人組み。シンとアコギによるメタル色のないゴシックサウンドで
美しいソプラノ女性Voがしっとりと歌を乗せる。この手の静謐系ゴシックの中ではダークすぎない雰囲気なので、
ダークアンビエント初心者にも聴きやすく、美しくゆったりとまどろめる音楽です。
シンフォニック度・・7 メタル度・・1 女性Vo度・・8 総合・・7.5
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DARK SANCTUARY「De Lumiere Er L'obscure」
フランスのゴシックバンド、ダークサンクチュアリの2nd。2000年作
女性3人、男性3人という編成で、ゆるやかなシンセとヴァイオリンに、
しっとりとしたソプラノ女性ヴォーカルが天上の歌声を乗せるサウンド。
シンフォニックかつ耽美な雰囲気のサウンドは耳に優しく、むしろ暗黒色は薄いので、
聴いていて気が滅入ることもない。ヨーロピアンなゴシックの深淵にどっぷりと浸りたい方へ。
シンフォニック度・・8 メタル度・・1 女性Vo度・・8 総合・・8
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Dark Sanctuary「L'etre las-l'envers du miroir」
フランスのゴシックバンド、ダーク・サンクチュアリの3rd。2002年作
2人のヴァイオリンを含む男女3人ずつの6人編成で、うっすらとしたシンセと
美しい女性ヴォーカルの歌唱を中心にした静謐系のゴシックサウンド。
暗黒性よりも耽美な美しさで聴かせる作風なので、クラシカルなピアノの響きや、
オーケストラルなシンセの重ね、そしてしっとりと響く女性声にうっとりと耳を傾けられる。
シンフォニック度・・8 メタル度・・1 女性Vo度・・8 総合・・8
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DARK SANCTUARY「LES MEMOIRES BLESSEES」
フランスのゴシックバンド、ダーク・サンクチュアリの4th。2003作
ヴァイオリン2名を含む男女3人ずつの6人編成で、メタル色のないダークなゴシックをやっている。
シンフォニックなシンセの上を美声の女性ヴォーカルが歌をのせるというもので、
静謐でクラシカルな部分はELENDあたりを思わせるが絶望的な暗さはなく、
美しさ重視のアンビエントゴシックで、雰囲気的にはAUTUMN TEARSなどにも近い。
ときおりパーカッションのリズムが入ったり、艶やかなヴァイオリンも顔を覗かせる。
女性Voのシンフォニックなゴシックとしてお薦めのバンド。とても美しいです。
シンフォニック度・・8 メタル度・・1 女性Vo度・・9 総合・・8
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Dark Sanctuary 「Thoughts - 9 Years in the Sanctuary」
フランスのゴシックバンド、ダーク・サンクチュアリの2005年作
1999〜2004年までの4作からセレクトした楽曲に、未発曲を加えた初期のベスト盤というべき内容。
クラシカルなピアノと優美なシンセに、美しいソプラノ女性ヴォーカルを乗せて、翳りを帯びた幻想性に包まれた、
しっとりと耽美なゴシックミージック。ときにドラムやギターも加わったり、艶やかなヴァイオリンも鳴り響いて、
単なるアンビエント系ダークウェーブよりは、ゴシックメタル系のリスナーにも聴きやすいだろう。
未発曲は、13分分を超える大曲で、美麗なシンセと女性声にウットリと浸れます。入門用にもどうぞ。
クラシカル度・8 ゴシック度・8 女性Vo度・8 総合・8 
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DARK SANCTUARY「Exaudi Vocem Mean-Part 1」
フランスのゴシックバンド、ダーク・サンクチュアリの5th。2005年作
二人の女性ヴァイオリン奏者に女性ヴォーカルも含めた、男女6人組。
1stのころから変わらないダークで、耽美なゴシック・アンビエントをやっている。
美しいシンセワークをバックに歌いあげるソプラノ女性ヴォーカルの歌声を中心に、
夕暮れの墓地にいるような雰囲気とともに、ゆったりとした薄暗い曲調で聴かせる。
一歩間違えば眠ってしまいそうな音楽だが、この世界観に浸れる方にはうっとりだろう。
シンフォニック度・・8 耽美度・・9 女性Vo度・・8 総合・・8
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DARK SANCTUARY「Exaudi Vocem Mean-Part 2」
フランスのゴシックバンド、ダーク・サンクチュアリの6th。2006年作
美しいシンセアレンジに女性ヴォーカルの歌声、二人の女性奏者が奏でるヴァイオリンの音色で、
しっとりと耽美な世界観を描き出す、シンフォニックなダークアンビエントサウンドは本作も同じ。
バンドとしてのキャリアがサウンドそのものに説得力をもたらしていて、やわらかな聴き心地でありながら
優しくまとわりつくような空気感が素晴らしい。ピアノやアコースティックギター、バグパイプなどによる優雅な感触もよいですな。
シンフォニック度・・8 耽美度・・9 女性Vo度・・8 総合・・8
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Dark Sanctuary
フランスのゴシックバンド、ダーク・サンクチュアリの7th。2009作
しっとりとした静謐感を漂わせたサウンドは、もの悲しいヴァイオリン、チェロの音色に
クラシカルなピアノがかぶさり、美しい女性ヴォーカルがやわらかに歌い上げる。
今作ではブックレットのイラストなどからも、物語的なストーリーを感じさせ、
薄暗い叙情美とともに繊細でロマンティックな世界観を描いている。
シンフォニック度・・8 耽美度・・9 女性Vo度・・8 総合・・8
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Dawn Desiree'「Dancing, Dreaming, Longing... 」
アメリカのゴシックメタル、Rain Fell Withinの女性Vo、ダウン・デジリー嬢のソロ。2004年作
美しいシンセと女性ヴォーカルによる、メタル色のないしっとりとしたサウンドで、
いくぶんモダンなテイストも含んだ、アンビエント・ゴス・ポップというような感触。
ゴシック的な耽美さも残してはいるが、荘厳な美しさというものは感じられない。
ポップなのかダークアンビエントなのか、いくぶん中途半端な内容だ。
シンフォニック度・・7 ゴシック度・・7 女性Vo度・・7 総合・・7




DAY BEFORE US 「ADORNED PATH OF STILLNESS」
フランスのゴシックアンビエント、デイ・ビフォー・アスの2018年作
2013年にデビュー、本作は6作目。SEや語りを含んだイントロから、うっすらとしたシンセに
フランス語の女性ヴォーカルを乗せて、ダークで幻想的なサウンドを描いてゆく。
シンセと歌をメインに、音数は少ないものの、バックで水音が聞こえていたりと、
楽曲というよりは、ミステリアスな空気を描く雰囲気モノとしてはとても楽しめる。
Dark Sanctuaryなどに比べるとよりディープで、退廃的な物悲しさに包まれた聴き心地。
10分を超える大曲も、クラシカルなピアノを含むシンセと女性声の美しさでしっとりとした味わいだ。
アンビエント度・・8 ゴシック度・・8 女性Vo度・・7 総合・・7.5


Die Laughing 「Heaven in Delcline」
イギリスの女性ヴォーカル、ゴシックロックバンド、ダイ・ラッフィングの2nd。1996年作
倦怠的な雰囲気を漂わせた女性ヴォーカルの歌唱と、薄暗い質感で聴かせるサウンドは
メタリックなヘヴィさはあまりなく、むしろALL ABOUT EVEなどを思わせるもの。
シンセによる美しい味付けもなかなかいい感じで、耽美な雰囲気は素晴らしいのだが、
曲自体が盛り上がりにやや欠けるので、しだいに耳が飽きてきてしまうのが惜しい。
メロディアス度・・7 耽美度・・8 女性Vo度・・8 総合・・7.5
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Die Laughing 「Temptress EP」
イギリスのゴシックロック、ダイ・ラッフィングの1997年作
1995年にデビュー、2作を残して消えたバンドのEPで、新曲と別バージョン曲2曲に、ライブ音源3曲を収録。
デジタルなビート感のリズムに女性ヴォーカルを乗せて、アンニュイな叙情をキャッチーに聴かせる作風で、
たゆたうような女性声とともに、ALL ABOUT EVEなどにも通じる独自の浮遊感を描いている。
2曲目のアコースティックバージョンもしっとりと美しく、この路線でのアルバムも聴いてみたかった。
ライブ音源の方も、楽曲に忠実な演奏で、ヘタウマ気味の女性Voも良くも悪くもそのままの印象ですね。
ドラマティック度・7 アンニュイ度・8 女性Vo度・7 総合・7
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DIE LAUGHING「INCARNATIONS」1998年作
ダイ・ラフィングの2ndまでのベストに新曲を加えた企画アルバム。
やはりALL ABOUT EVEをそのまんまややゴシックメタル的にしたという印象で、
もちろんVoの声質はジュリアンヌ・リーガン似(そこまで上手くはないが)。
曲の雰囲気は暗くもなく明るくもない。鳴り渡るシンセやアコギがなかなか美しい。
リズムやアレンジにメリハリのないところは、同じ英国の女性VoバンドLEGENDを思い出した。
メロディアス度・・7 女性Vo度・・7 楽曲・・7 総合・・7
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Die Verbannten Kinder EvasDusk & Void Became Alive」
オーストリアのゴシックユニット、ダイ・ヴァーバンテン・カインダー・エヴァスの2006年作
ブラックメタルバンドSUMMONINGのメンバーと女性Voの二人組によるユニットで、
荘厳に重ねられたシンセの上に、たゆうたような女性ヴォーカルの歌声で聴かせる美麗なゴシックサウンド。
ダークな世界観ではあるが暗黒性は薄く、宗教的な崇高な美しさを感じるという点で、DARK SANCTUARYにも通じる雰囲気がある。
アンビエントなゴシック、ダークウェーブが好きな方なら充分に満足できる出来だろう。
シンフォニック度・・8 メタル度・・1 女性Vo度・・8 総合・・8
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Dissvarth「Between the Light and the Moon」
スロバキアのゴシックアンビエント、ディスヴァースの2016年作
Aeon WindsのSvarthenによる個人ユニットで、美麗なシンセの重ねを中心にした、しっとりとした幻想的なサウンド。
クラシカルな旋律を含む優雅な味わいと、暗黒性よりも優美なシンフォニック性が前に出た作風で、
ゆったりと夢見心地に鑑賞できる。随所に語りを含んだジェントルな男性ヴォーカルも加わりつつ、
ダークになり過ぎない霧のかかったような空気に包まれた、物悲しい叙情性に包まれる。
シンセだけでなく、アコースティックギターを使ったナンバーでは、繊細で素朴な味わいもあり、
全体的にこれという盛り上がりはないのだが、夜を感じさせる幻想的な世界観に浸れる好作品だ。
シンフォニック度・・8 耽美度・・8 幻想度・・8 総合・・7.5
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DRACULAKOMPLET
チェコのホラー・ミュージカルオペラ、「ドラキュラ」のサントラアルバム。1997作
劇の内容についてはよく知らないが、ブックレットの写真などを見ると、
ドラキュラを題材にした異世界風のファンタジックなミュージカルといった雰囲気だ。
さて、音楽の方が凄い。クラシックを基盤にしながら、壮麗なオーケストレイションやたおやかなピアノ、
そこに巻き舌の演劇的なヴォーカルが加わると、まるでDEVIL DOLLを思わせる世界観になる。
J.Aシーザー(天井桟敷)ばりの混声合唱隊に、オペラティックに歌い上げる男性Vo、
そしてヒロイン役だろう美しい女性Voの歌声もサウンドに華を添える。
CD2枚、計2時間にわたって繰り広げられるこのカルトなドラマティック・オペラミュージックは、
単なるサントラの枠を超えて、シアトリカルロック好きの胸を打つだけの強度がある。
クラシカル度・・8 耽美度・・9 シアトリカル度・・10 総合・・8
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Dreamfire 「Atlantean Symphony」
イギリスのシンフォニック・アンビエント、ドリームファイアの2018年作
シンセによるオーケストレーションで聴かせる、幻想的なアンビエントサウンドで、
ほどよく耽美な空気感もあって、ELENDから暗黒性を薄めたような雰囲気も。
ときおりアコースティックギターやピアノの旋律は入るが、ロック色は皆無なので、
一般のリスナーには退屈かもしれないが、シネマティックな壮麗さも感じさせる
アンビエントなシンセミュージックが好きな方には、わりと楽しめるかもしれない。
全58分、映画サントラ的にゆったりとその世界観に浸るのがよいでしょう。
シンフォニック度・・8 メタル度・・0 幻想度・・8 総合・・7.5
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Dreamlike Horror 「Delightful Suicides」
イタリアのゴシックアンビエント、ドリームライク・ホラーの2005年作
男女2人組のユニットで、クラシカルなピアノやシンセの重ねにヴァイオリンの音色、
妖しくも美しい女性ヴォーカルの歌声を乗せた、耽美なゴシックサウンドを聴かせる。
タイトルのようなホラーサントラ的てせもあるミステリアスな空気感に包まれていて、
女性声の魔女めいた囁きなどは恐ろしげ。打ち込みのドラムにギターも加わって、
ダミ声ヴォーカルを乗せたインダストリアルゴシック風のナンバーなどもあるが、
全体的にはメタル感触はあまりない。チャーチオルガンが鳴り響き、詠唱のような声が重なると
JACULAを思い出すのはお国柄か。耽美な妖しさにさらに磨きをかけていただきたい。
クラシカル度・・8 耽美度・・8 女性Vo度・・7 総合・・7
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DUNWICH「SUL MONTE IL TUONO」
イタリアのクラシカルゴシック、ダンウィッチの1994年作
ORDO EQUITUM SOLISといい、この時期のイタリアではこの手のゴシックサウンドがトレンドだったのだろうか?
うっすらとしたシンセをバックにに夢見がちな女性ヴォーカルがたゆたうような声をのせるサウンドで、
打ち込みのドラムやギターが入ってくると、いくぶんゴシックメタル的な感触にもなる。
2nd以降ではより大仰な世界観を描き始めるが、本作の時点では静謐パートが多く、
クラシカルな優雅さに包まれた聴き心地で、ゆったりとまどろむように楽しめます。
シンフォニック度・・7 クラシカルゴシック度・・7 女性Vo度・・7 総合・・7.5
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DUNWICH「IL CHIARORE SORGE DUE VOLTE」
イタリアの女性Vo入りクラシカルゴシック、ダンウィッチの2nd。1995年作
この2ndではヴァイオリン等の多数のゲストを迎えて、よりクラシカルな優雅さを増している。
前作からの静謐パートにゴシックメタル的な大仰さが加わって、楽曲はより濃密な雰囲気になった。
またときおりトラディショナルなメロディを配すなど、女性ヴォーカルの歌声を活かした部分もも増えている。
全体としては陰鬱さを残しつつも、どことなくさわやかなものも感じるという、不思議な世界観の作品だ。
シンフォニック度・・8 クラシカルゴシック度・・8 女性Vo度・・7 総合・・7.5
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DUNWICH「ETERNAL ECLIPSE OF FROST」
イタリアのゴシックバンド、ダンウィッチの3rd。1999年作
シンセ奏者と女性Voの二人を中心に、美しいシンセアレンジにメタリックなギターも加わって、
ゴシックメタル的な要素が増している。ゲストには、ヴァイオリン、チェロなどのストリングス隊やハープ、
ハーディ・ガーディなども参加、シンフォニックかつ優雅な音を聴かせてくれる。
たゆたうような女性ヴォーカルの歌声に、オペラティックな男性コーラスなどが加わり
牧歌的だった以前のアルバムよりもドラマティックな雰囲気が増してきている。
シンフォニック度・・8 ゴシック度・・8 メタル度・・6 総合・・8
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Dunwich「Heilagmanoth」
イタリアのゴシック(メタル)バンド、ダンウィッチの4th。2007作
8年ぶりとなるアルバム。前作からぐっとメタリックな質感を増していたが、今作でもクラシカルなシンセにギターが絡み、
そこに女性ヴォーカルの歌声が乗ると、ほぼゴシックメタル的な雰囲気のサウンドである。
オーケストレイテッドなアレンジに混声コーラスが重なり、フルートやブズーキなどの管弦楽器も加わって、
オペラティックな雰囲気にはHaggardあたりに通じる質感もある。同郷のPRESENCEというバンドも思い出した。
適度な民族色もいいあんばいで、イタリアらし大仰さと、妖しく耽美な美しさで聴かせるアルバムだ。
シンフォニック度・・8 ゴシック度・・8 オペラティック度・・8 総合・・8
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Elane 「The Fire of Glenvore」
ドイツのゴシック・ネオフォーク、エラーネの2004年作
うっすらとしたシンセアレンジにクラシカルなピアノ、翳りを帯びた女性ヴォーカルの歌声で聴かせる、
幻想的なネオフォークサウンド。ゴシック風味の薄暗さにドラムも入った適度にロック的な感触や
ヴァイオリンが鳴り響く、中世古楽的な優雅な世界観で、シンフォニックなゴシックアンビエントとしても楽しめる。
のちのアルバムに比べると、いくぶん垢抜けないもっさりとした感じもあるのだが、それもまた雰囲気モノとしての
霧に包まれたような空気感と、おぼつかない浮遊感をともなっていて、なかなか悪くないのである。
シンフォニック度・・7 ゴシック度・・8 女性Vo度・・7 総合・・7.5
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ELANE 「LORE OF NEN」
ドイツのゴシック・ネオフォーク、エラーネの2006年作
打ち込みによるシンフォニックなオーケストションアレンジのインロから、アコースティックギターのつまびきに
美しいヴァイオリンが絡み、はかなげな女性ヴォーカルの歌声を乗せた、幻想的なネオフォークサウンド。
エラーネ嬢の歌声はやや低めの声質なので、突き抜けるような華やかさがないぶん、しっとりと落ち着いた耳心地。
チェロの音色などを含めたストリングスアレンジがクラシカルな優雅さをかもしだすナンバーなども美しい。
1〜2分前後の小曲も合わせて、全19曲67分というボリュームで、さすがに後半は聴いていてダレてくるのだが、
幻想的な世界観の強度がしっかりとあるので、この手のネオフォーク系が好きな方にはたまらないサウンドだろう。
ドラマティック度・・7 ゴシック・フォーク度・・7 女性Vo度・・7 総合・・7.5
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Elane 「The Silver Falls」
ドイツのゴシックフォーク、エラーネの2008年作
うっすらとしたシンセにヴァイオリンが鳴り響き、しっとりとした女性ヴォーカルの歌声を乗せた
幻想的なゴシック/ネオフォークサウンド。ドラムによるリズムにエレキギターも入ってくるので、
ヘヴィさのないゴシックメタルとしても楽しめる。バンドのフロントである、ヨラン・エラーネ嬢の歌声は、
いくぶん低めのメゾソプラノなので、薄暗く、くぐもった感じの楽曲によくマッチしている。
曲によっては男性ヴォーカルも絡んで来て、ゴシック化したMostly Autumnという感じにもなる。
シンフォニックな感触も含めて、プログレリスナーにも楽しめるだろう。美麗系ゴシック・フォークの好作。
ゴシック度・・8 幻想フォーク度・・8 女性Vo度・・7 総合・・8
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Elane 「Arcane」
ドイツのネオフォーク、エラーネの2011年作
2001年にデビュー、本作は5作目となる。カイ・マイヤーのファンタジー小説をテーマにした作品で、
アコースティックギターのつまびきに女性ヴォーカルを乗せ、うっすらとしたシンセとともに
幻想的なゴシック・ネオフォークを聴かせる。ホイッスルやヴァイオリン、優美なハープの音色など、
ケルティックなテイストも含ませつつ、紅一点、ヨラン・エラーネ嬢の歌声がサウンドを妖しく包み込む。
ときにエレキギターも加えたロック色も加えつつ、チェロやヴァイオリンの物悲しい音色にシンセが重なる、
シンフォニックな音の厚みで、幻想的な世界観を描きだすサウンドの強度もある。
ドラマティック度・・8 ゴシック度・・8 幻想度・・9 総合・・8 
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Elane 「Arcane 2」
ドイツのネオフォーク、エラーネの2017年作
カイ・マイヤーのファンタジー小説をモチーフにした作品の続編で、アコースティックギターにシンセを重ね、
艶やかなヴァイオリンの音色に美しい女性ヴォーカルで、しっとりと幻想的なネオフォークを聴かせる。
本作はエレキギターにドラムも加えたロックアレンジもあって、曲によっては、Mostly Autumnのような
優美ななシンフォニックロックとしても楽しめる。紅一点、ヨラン・エラーネ嬢の歌声は、ときに物語を語るように、
ときに妖精の囁きのように妖しくも美しく、随所に加わる男性声もよいアクセントになっている。
アコースティックとシンフォ感触が同居した、霧のかかったような幻想の空気に包まれた、全64分の力作です。
ドラマティック度・・8 優美度・・9 女性Vo度・・8 総合・・8 
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Elane 「Legends of Andor」
ドイツのネオフォーク、エラーネの2019年作
ボードゲーム「アンドールの伝説」のサントラとして作られた作品で、うっすらとしたシンセアレンジに
ヴァイオリン、ヴィオラ、ホイッスルの音色、スキャットのような女性声とともに幻想的なサウンドを描く。
2〜5分前後の小曲を主体に、わりと起伏のないリフレインの曲も多いのだが、それもサントラゆえか。
普段のアルバムに比べると、女性ヴォーカルがコーラス的に歌うので、霧のかかったようなイメージで、
楽曲ごとのメリハリはさほどないのだが、ゆったりとファンタジーの世界に浸れる全16曲。
ドラマティック度・・7 幻想度・・8 女性Vo度・・7 総合・・7.5
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ELEND 「Lecons De Tenebres
フランスのゴシックバンド、エレンドの1st。1994年作
女性ヴォーカルを含むトリオ編成で、グレゴリアンチャントから始まり、美しいシンセの重なりによる
オーケストラルなサウンドに、男女ヴォーカルの歌声が乗る。随所に絶叫スクリームヴォイスも絡みつつ、
あくまでしっとりとした非メタル的なゴシックを描いてゆく。ただ絶叫ヴォーカルに迫力がないのがちと惜しいか。
次作以降に比べると、荘厳なスケール感の点ではまだ物足りないが、シンセを主体にした音作りの中に、
ピアノやヴァイオリンによるクラシカルなテイストも含んでいて、ダークで耽美な世界観が味わえる。
シンフォニック度・・7 メタル度・・1 暗黒度・・8 総合・・7.5
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ElendLes Tenebres du Dehors
フランスのゴシックバンド、エレンドの2nd。1996年作
壮麗なシンセの重ねをバックに、まるで賛美歌のような男女ヴォーカルで崇高に始まりつつ
やがて地獄のようなスクーリームヴォイスが合わさり、暗闇の絵巻が展開される。
ミルトンの「失楽園」をテーマに、神秘的な荘厳さとクラシカルな美麗さ、そして大仰な邪悪さで聴かせる、
暗黒系ゴシックアルバムの力作だ。シンセによるオーケストレーションと、美しいソプラノヴォーカルが素晴らしい。
ブックレットもGustave Doreのイラストが飾られており雰囲気たっぷり。再発盤では赤いジャケに変更されている。
シンフォニック度・・8 メタル度・・1 暗黒度・・9 総合・・8
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ELEND 「Weeping Nights
フランスのゴシックユニット、エレンドの1997年作
ミルトンの「失楽園」をモチーフにしたルシファー三部作の合間に出された3作目の作品で、
美しいソプラノ女性ヴォーカルの歌声に、オーケストラルなシンセアレンジに包まれて、
チャーチオルガンが荘厳に鳴り響く、しっとりと優雅に聴かせる作品。
次作「The Umbersun」の壮大な暗黒路線ではなく、女性ヴォーカルを中心に、
あくまでやわらかに、宗教色漂うヨーロピアンなゴシックサウンドがじつに耳に優しい。
シンフォニック度・・8 ゴシック度・・9 女性Vo度・・8 総合・・8
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ELEND「THE UMBERSUN」
フランスの暗黒クラシカルゴシック、エレンドの4th。1998年作
ルシファー三部作の最終章で、このバンドの集大成というべきドラマティックな大傑作。
壮大なオーケストレイションと混声合唱団、女性ソプラノヴォーカルに凄絶な男性デスヴォイス、
これらが闇の中で交じり合い、ある種叙情的な絶望音楽というべきサウンドを構築してゆく。
これはすでに暗黒のクラシックともいうべき地平である。暗黒映画サントラのようなスケール感と、
「本物」の空気を身につけたかれらは、この究極ともいうべき作品を完成させ、今後どこへ向かうのだろう。
シンフォニック度・・8 荘厳度・・10 暗黒叙情度・・10 総合・・9
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ELEND「WINDS DEVOURING MEN」
フランスの暗黒ゴシックバンド、エレンドの5th。2003作
一聴したところ、前作よりも暗黒度は抑え目で、その分アヴァンギャルドが増している印象。
ゆったりとしたシンセによるオーケストレイションに重なる男Voと女性スキャット。
ヴァイオリンの音色がクラシカルに響きながらも、サウンドは決して華やかにはならず
ハープシコードの寂しげな音色がとても哀愁を誘う。大仰な暗黒シンフォニーだった前作に比べると
やや地味な印象があるが、一つ所にとどまらないこのバンドの深化を見る思いがする。
シンフォニック度・・7 暗黒度・・7 哀愁度・・8 総合・・7.5
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ELEND 「Sunwar the Dead」
フランスのゴシックバンド、エレンドの2004年作
暗黒クラシカルゴシックの名盤、「THE UMBERSUN」の衝撃から、続く「WINDS DEVOURING MEN」はやや中庸な出来で、
いくぶん落胆したのだが、それに続く本作は、オーケストラルなシンセアレンジに包まれながら、
美しい女性ヴォーカルの声が崇高に響き渡る、じつにエレンドらしい世界観に惹き付けられる。
やがてストリングスを含んだ緊迫感のあるアレンジに、朗々とした男性ヴォーカルを乗せた感触は
かつてのルシファー三部作を思わせる聴き心地もある。アヴァンギャルドでダークなクラシカル性という点では、
UNIVERS ZEROなどにも通じるかもしれない。アーティスティックな静謐感を漂わせた傑作である。
ちなみに次作「A World in Their Screams」はさらに圧巻の大傑作となるので要チェック。
ドラマティック度・・8 クラシカル度・・8 暗黒度・・8 総合・・8 
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ELEND「A World in Their Screams」
フランスのクラシカル・ゴシックバンド、エレンドの7th。2007作
4th「The Umbersun」でこの手の暗黒系クラシカルゴシックとしては究極ともいうべき世界を描いたこのバンドだが、
その進化はまだとどまることを知らなかった。美しいソプラノヴォーカルに、ヴァイオリンやチェロが妖しげに鳴り響き、
重々しいティンパニにオーケストラルかつ荘厳なアレンジがかぶさってゆく。恐るべき迫力…
おどろおどろしい闇の交響曲ともいうべき世界観に圧倒されつつ、芸術的なまでの漆黒の深遠に、
しだいしだいに引き込まれてゆく。4thまでの禍々しさに比べると、もっと優雅な暗黒というか、
プログレッシブな手法に磨きがかかり、激しくなくともここまでの緊迫感を描き出せるという点では、Univers Zeroにも通じるか。
あるいは「The Umbersun」をも超えた傑作といえる。クラシカルな暗黒音楽の金字塔。
クラシカル度・・9 暗黒度・・10 荘厳度・・10 総合・・9
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GOTHICA「NIGHT THOUGHTS」
イタリアのゴシックバンド、ゴシッカの1st。2000年作
ARCANA系の耽美な静謐系のゴシックサウンドで、ほぼリズムはなく
シンセの上に美しいソプラノVoがたおやかな歌声を載せ、フルート、オーボエ、ヴァイオリンなどが
ときおり顔を出して中世的な雰囲気をかもしだしている。この世界に酔えれば暗黒世界に浸れるだろうが、
やはりもう少し極端な部分が欲しい気がする。静謐なだけでは眠ってしまうのですな。
内ジャケのおねえちゃんもまだ若そうで、もうちょい年季が入ると歌唱に情念が滲み出ると思います。
耽美度・・8 静謐度・・9 女性Vo度・・7 総合・・7
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GOTHICA 「The Cliff of Suicide」
イタリアのゴシックアンビエント、ゴシカの2003年作
シンセによるオーケストレーションに美しい女性ヴォーカルを乗せた、幻想的なゴシックアンビエント。
パーカッションのリズムなども入るが、基本はシンセと女性声をメインに、ときに男性声も加わって
ゆったりと耽美な世界観を描いてゆく。随所にストリングスやフルートなどによるクラシカルなアレンジも
優雅な感触を加えていて、ダークな暗黒性というよりは、AUTUMN TEARSにも通じる倦怠の美に包まれる。
女性ヴォーカルの表現力が増したことで、前作に比べて世界観の強度がぐっと上がっていて、
薄暗い幻想の空気に埋没するように楽しむことができる。ロック感触は皆無なので、アンビエント好きの方へ。
ゴシック度・・8 耽美度・・9 女性Vo度・・8 総合・・7.5
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HEKATE 「Sonnentanz/ Tempeltanz」
ドイツのゴシック・フォーク、ヘカテの2000/2001年作
90年代から活動するバンドで、本作は2000年の4thと2001年のミニアルバムのカップリング盤。
美しい女性ヴォーカルにジェントルな男性ヴォーカルのドイツ語の歌声を乗せ、うっすらとしたシンセに
アコースティックギターやフルート、ハーディ・ガーディ、アコーディオン、チェロなどを含んだフォーク要素と
シンセによるシンフォニックなアレンジや、ときに妖しいパーカッションのリズムなども加わったミステリアスな世界観。
3〜4分前後の小曲を主体に、どこかつかみどころのないエキセントリックなセンスとゲルマンな香りを含んだ、
ゴシックともフォークともつかぬような聴き心地であるが、神秘的な面白さという点では個性的なバンドである。
ミニアルバムの方の楽曲は、ゴシックらしい叙情性とともにもう少し分かりやすい聴きやすさがある。
ドラマティック度・・7 ゴシック度・・7 ゲルマン度・・8 総合・・7.5
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HEKATE 「goddess」
ドイツのゴシック/ネオフォークバンド、ヘカテの2004年作
ミレーの「オフェーリア」のジャケがよい感じだが、サウンドの方も女性ヴォーカルの歌声と
シンフォニックなアレンジで聴かせる、耽美な世界観のゴシック/ダークウェーブ系でしっとりと美しい。
フォーキーなホイッスルの音色も覗かせつつ、曲によってはドラムとベースが加わったり、
エレクトロなシンセアレンジなども含んでいて、適度にメリハリのある静かすぎない聴き心地。
ドイツ語の曲では、ゲルマンな土着性も感じられて、ペイガン・フォーク的にも楽しめる。
ドラマティック度・・7 耽美度・・8 女性Vo度・・7 総合・・8
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HEKATE 「Totentanz」
ドイツのゴシックフォーク、ヘカテの2018年作
90年代から活動するバンドで、7年ぶりとなる6作目。うっすらとしたシンセにアコースティックギター、
ドイツ語によるマイルドな男性ヴォーカルを乗せた、幻想的なゴシックフォークを聴かせる。
バグパイプの音色などのケルティックな土着性とともに、メディーヴァルな神秘性も感じられ、
随所にドラムが入るので、アンビエント過ぎないほどよいロック感触があるのも良いですね。
アルバム前半は男性声メインだが、後半では艶めいた女性ヴォーカルのナンバーが続いて、
妖しく耽美な空気をかもしだす。これぞゴシックフォークという世界観。もう全部女性声にしてください。
幻想度・・8 耽美度・・8 女性Vo度・・7 総合・・7.5 
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HEXPEROS 「The GARDEN Of The HESPERIDES」
イタリアのゴシックアンビエント、ヘクスペロスの2007年作
男女の2人組ユニットで、コントラバスの物悲しい音色にうっすらとしたシンセを重ね、
しっとりとした女性ヴォーカルの歌声で、耽美で幻想的なゴシック・ネオフォークを聴かせる。
妖しい女性スキャットとともに秘教的な空気に包まれつつ、随所にやわらかなハープの音色や
ヴァイオリンなども加わった、優雅な耳心地に浸れる。2〜3分前後の楽曲を主体に、わりと雰囲気モノという感じで
これといった展開力には欠けるが、この手のダークアンビエントを好む方ならハマるだろう。
幻想度・7 耽美度・8 優雅度・8 総合・7
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Hexperos 「The Veil of Queen Mab」
イタリアのゴシックアンビエント、ヘックスペロスの2010年作
ヴァイオリン、ハープの優美な音色に、しっとりとした美しい女性ヴォーカルの歌声を乗せ、
クラシカルな優雅さに包まれた、耽美なゴシックサウンドを聴かせる。物悲しいチェロの響きに、
やわらかなフルートにバスーンの旋律、随所にシンセを重ねたシンフォニックな味わいとともに、
ソプラノ女性ヴォーカルの崇高な歌声が、翳りを帯びたヨーロピアンな幻想美を描き出す。
楽曲は3〜4分前後と比較的シンプルであるが、優雅なフルートとケルティックハープに、
美しい女性声で聴かせる静謐なナンバーなども含め、耽美で幻想的な世界観に浸れます。
クラシカル度・・8 耽美度・・9 女性Vo度・・8 総合・・8
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HEXPEROS 「Lost in the Great Sea」
イタリアのゴシックアンビエント、ヘクスペロスの2014年作
2007年にデビューし、3作目。チェロやヴァイオリンの物悲しい旋律にうっすらとしたシンセ、優美なハープや
ハンマーダルシマーのつまびきに、女性のスキャットヴォーカルを乗せた、妖しく幻想的なサウンド。
艶やかなヴァイオリンとハープ、フルートをバックに、美しい女性声で聴かせるしっとりとしたナンバーや、
パーカッションのリズムにイーリアンパイプが鳴り響く、ケルティックな土着性も覗かせて、
アコースティック楽器を含めた耳心地の良さは、単なるネオフォークという以上の説得力である。
幻想度・8 耽美度・9 優雅度・9 総合・8
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IMPRESSIONS OF WINTER 「Cantica Lunae - Songs Of The Moon」
ドイツのゴシックアンビエント、インプレッションズ・オブ・ウインターの1996年作
うっすらとしたシンセにアコースティックギター、たよたうような女性ヴォーカルを乗せて
物悲しい幻想美に包まれたゴシックアンビエントを聴かせる。随所に男性声も加わりつつ、
ときにシンフォニックといってもよい美しいシンセサウンドとはかなげな女性声が、
しっとりと耽美な世界観を描いてゆく。ELENDの暗黒性を薄めたような感じもあり、
ダーク過ぎない倦怠の浮遊感が心地よい。雰囲気モノとしての強度もなかなかあり。
シンフォニック度・・8 耽美度・・8 女性Vo度・・7 総合・・7.5
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Inhumankind「Self-Extinction」
スペインのクラシカル・ゴシック、インヒューマンカインドの2018年作
フルートとダブルベース奏者によるユニットで、フルートの音色が優雅に鳴り響き、
グルーヴィなウッドベースに女性スキャットヴォイスを乗せた、クラシカルなコンテンポラリーサウンド。
男女コーラスが妖しく響くところは、MAGMAあたりの世界観にも通じるかもしれない。
同郷のプログレッシブ・デスメタル、Moonloopのヴォーカルがゲスト参加していて、
随所にデスヴォイスも加えて、ゴシック的でもあるダークで耽美な雰囲気も匂わせる。
楽曲は2〜3分前後で、全26分と短めであるが、優雅でミステリアスなサウンドに浸れる異色作。
フルート度・・8 耽美度・・8 優雅度・・8 総合・・7.5
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INKUBUS SUKKUBUS 「BELTAINE」
イギリスのゴシックロック、インキュバス・サキュバスの1991年作
夢魔からとったバンド名や、「ビョールティナ」というサバトの名前のアルバムタイトルも含めて、
いかにも魔女臭ぷんぷんなバンドであるが、サウンドの方は女性ヴォーカルの歌声をメインに、
適度にロック色のあるギターを重ねた、わりとキャッチーな聴き心地。打ち込みによるリズムやシンセは
ややチープなのだが、女性声の妖しさとあいまって、エレトクロなサイケ風味をかもしだしている。
魔女寄りのマイナー感覚という点では、同じくイギリスのLEGENDなどに通じる雰囲気もある。
リズムが単調なのでゴシックとしてはやや迫力不足だが、この世界観自体はとても好みです。
ゴシック度・・7 魔女度・・8 女性Vo度・・7 総合・・7.5
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INKUBUS SUKKUBUS 「Heartbeat of the Earth」
イギリスのゴシックロック、インキュバス・サキュバスの1995年作
ボドランのリズムによるイントロから、ストリングス的なシンセアレンジとギターを重ね、
妖しい女性ヴォーカルで聴かせる、耽美な魔女系ロックが広がってゆく。
カンディア嬢の歌声も艶めいた魅力が増し、サウンドにぐっと説得力が加わった。
曲によっては、むしろSPRIGUNSのようなフォークロック的なナンバーもあって、
ゴシック的な要素は薄めながら、キャッチーな聴きやすさで楽しめる。曲自体は繰り返しが多いので
やや単調ではあるのだが、アコースティックなナンバーなどもいい感じで、けだるげな空気感が素敵です。
ゴシック度・・7 魔女度・・8 女性Vo度・・8 総合・・7.5
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INKUBUS SUKKUBUS「The Beast With Two Backs」
イギリスのゴシックロック、インキュバス・サキュバスの2004年作
デビューは1990年、現在までに20枚に及ぶアルバムを発表、一貫して耽美な世界観を描き続ける。
男女声による妖しげな詠唱的なイントロから、ノリのよいリズムにシンフォニックなシンセと、
魔女めいた女性ヴォーカルの歌声で聴かせる、キャッチーなゴシックロックを聴かせる。
適度にハードなギターも入るが、メタルというほど重厚ではなく、ゴシック的な耽美さももうひとつ。
全体的に同じようなノリの曲が多いので、全体的にもやや単調な印象になっている。
ドラマティック度・・6 ゴシック度・・7 女性Vo度・・8 総合・・7
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INKUBUS SUKKUBUS 「VAMPIRE QUEEN」
イギリスのゴシックロック、インキュバス・サキュバスの2018年作
本作もシンフォニックなシンセアレンジに、打ち込みのリズムにギターを乗せた適度なロック感触と、
艶めいた女性ヴォーカルを乗せた、わりと聴きやすいキャッチーなゴスロックサウンド。
楽曲的には、さほど盛り上がるわけでもなく、リズムも含めて淡々とした印象なので、
リズムの入らないアコースティックギターをバックにしたナンバーの方にむしろ魅力を感じる。
ドラマティック度・・6 ゴシック度・・7 女性Vo度・・8 総合・・7 
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ISA 「Departure At Sunset」
ロシアのネオフォーク系ゴシック・ブラック、イサの2015年作
絵画のようなジャケが美しいが、サウンドの方はうっすらとしたシンセにギターを乗せた
ネオフォーク的な幻想性と、ダミ声ヴォーカルを乗せたポストブラック風味を融合した聴き心地。
ゆったりとした楽曲は、耳心地は良いがメロディのリフレインが多いのでスリリングさには欠け、
世界観の強度という点でもいまひとつか。アンビエントな雰囲気にブラックメタル要素を合わせるという
異色の試みは面白いが、いまのままだとどっちつかずという印象で、ブラックな暗黒性をもう少し上げるか、
反対にネオフォークとしての美しさに磨きをかけるか、今後の進化に期待したい。
ドラマティック度・・7 ポストブラック度・・7 優美度・・8 総合・・7.5
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L'AME IMMORTELLESeelensturm
オーストリアのゴシックユニット、ルアーメ・イモーテレの2003年作
1996年〜2002年までのデモやバージョン違い、リミックス音源などを集めた作品。
初期の頃はダミ声の男性声メインで、打ち込みリズムとデジタルなアレンジで聴かせる作風。
1998年以降は、女性ヴォーカルが加わって、エレクトロなゴシック世界が楽しめる。
メロディック度・・7 ゴシック度・・6 エレクトロ度・・8 総合・・7
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L'AME IMMORTELLEGezeiten
オーストリアのゴシックユニット、ルアーメ・イモーテレの2004作
女性Voと男性シンセ奏者によるユニットで、デジタルなシンセアレンジと
打ち込みのリズムの上に女性ヴォーカルの艶めいたドイツ語の歌声が乗る。
曲によってはギターやドラムも入って、普通にゴシックメタルとしても楽しめるところもある。
メロディック度・・7 ゴシック度・・7 エレクトロ度・・8 総合・・7.5
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L'AME IMMORTELLE「10 JAHRE」
オーストリアのゴシックユニツト、ルアーメ・イモーテレのベストアルバム。2007作
1997年にデビューし、これまでに7枚のアルバムを出している、エレクトロ・ゴシックの人気バンド。
彼らの10年間の軌跡をたどるベストアルバムで、過去のアルバムから17曲を収録。
VoのSonja Kraushofer嬢のソロ・プロジェクトであるPERSEPHONEの方は以前から聴いていたが、
こちらの方は、ギター入りのメタリックな曲もあるが、基本は打ち込みリズムとシンセがメインのデジタル系サウンドなので、
このあたりが好みを分けるところだろう。ドイツ語による女性ヴォーカルの歌唱が、耽美さをかもしだしていて美しい。
メロディアス度・・7 ゴシック度・・7 エレクトロ度・・8 総合・・7.5
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Les Chants Du Hasard
フランスのゴシックブラック、レス・チャンツ・ドゥ・ハサードの2017年作
ハザード氏による独りユニットで、シンセとオーケストレーションによる壮麗なサウンドに、
ダミ声ヴォーカルが響き渡る、ELENDを思わせる荘厳なゴシック&ネオクラシカルを聴かせる。
ギターやドラムなどは一切入らないので、闇のサントラか暗黒の交響曲かという雰囲気で、
この手の世界観が苦手な方には薦められないが、大仰なダークミュージックか好きならば、
心地よく耽溺できるだろう。ただ、エレンドのフォロワーという以上の個性はまだないか。
シンフォニック度・・8 メタル度・・3 暗黒度・・7 総合・・7.5
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LES SECRETS DE MORPHEE「Chuchotements」
フランスのゴシック・アンビエント、レス・シークレッツ・デ・モルフィーの1999年作
オーケストラルなシンセアレンジに艶やかなヴァイオリンが鳴り響き、美しい女性ヴォーカルの歌声が
まさにヘヴンリーに響き渡る、天上の癒し系サウンド。クラシカルな優雅さに包まれながら、
曲によっては妖しい耽美性も垣間見せる。二人の女性声のトーンがいくぶん合ってないところもあるのだが、
艶めいた歌声は嫌いではないし、垢抜けないマイナー臭さも含めて、この手の雰囲気モノの魅力と言えなくもない。
クラシカル度・・8 耽美度・・7 幻想度・・8 総合・・7.5
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LES SECRETS DE MORPHEE 「Chimeres」
フランスのゴシック・アンビエント、レス・シークレッツ・デ・モルフィーの2012年作
オーケストレーションによるイントロから始まり、シンフォニックなシンセアレンジをバックに
二人の女性ヴォーカルが美しい歌声を乗せる。耽美な空気感もあるもののダークなほどではなく、
ヘヴンリー・ヴォイス系のアンビエントとしては初心者にも聴きやすい部類だろうと思う。
2〜3分前後の小曲を主体に、インストナンバーも多いので、ついBGMになってしまいそうにもなるが、
オーケストラルな壮麗さにはうっとりと浸ることができる。個人的にはもっと妖しくディープなのが好みなのですが。
ドラマティック・・7 耽美度・・7 幻想度・・8 総合・・7.5
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MOON FAR AWAY 「Belovodie」
ロシアのゴシック・フォーク、ムーン・ファー・アウェイの2005年作
フォーキーな旋律を奏でるシンセの重なりと、ハーカッションとドラムのリズムに、
女性ヴォーカルの歌声を乗せた、妖しく秘教めいたゴシックフォークを聴かせる。
曲によってはアコースティックギターによる叙情性や、美しい女性声の魅力でゆったりと楽しめ、
耽美ではあってもダーク過ぎないサウンドなので、この手の中ではわりと聴きやすい部類だろう。
ラスト曲は、デジタルっぽいアレンジの異色のナンバーながら、秘教的な歌声とのアンバランスが面白い。
ドラマティック度・・7 ゴシック度・・8 女性Vo度・・7 総合・・7.5
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Moon Far Away 「Minnesang」
ロシアのゴシック・フォーク、ムーン・ファー・アウェイの2010年作
1997年にデビュー、シンセを重ねたデジタルなアレンジに、男女ヴォーカルの母国語の歌声を乗せた
秘教めいた妖しげな世界観に包まれたサウンド。女性ヴォーカルをメインにした優美なナンバーもあり、
ゴシック的な耽美さとフォーキーな味わいが同居し、打ち込みのリズムが入ると適度なロック感触とともに、
わりとキャッチーな聴きやすさになる。アコースティックギターなどによる牧歌的な味わいなどもよい感じなので、
個人的にはエレクトロな要素よりは、もっとプリミティブでダークな妖しさを追求してもらいたい。
ゴシック度・・7 耽美度・・8 女性Vo度・・7 総合・・7
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MORTIISThe Smell of Rain
ノルウェーのミュージシャン、モーティスの2001年作
EMPERORの初期メンバーとしても知られる彼だが、本作で聴けるのは
デジタリィでダンサブルなビートに乗せるエレクトロゴシック風のサウンド。
女性ヴォーカルにSarah Jezebej Devaが参加、ストリングスの音色や
男女コーラスをまじえた、独特の浮遊感を漂わせた作風は、
メタルというよりはむしろPeter Gabrielなどにも通じる感触である。
メロディアス度・・7 メタル度・・5 ゴシック度・・6 総合・・7
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Narsilion 「Nerbeleth」
スペインのネオフォーク、ナルシリオンの2004年作
美麗なシンセにヴァイオリン、やわらかなフルートの音色に、しっとりとした女性ヴォーカルの歌声で
幻想的な土着感に包まれたネオフォークを聴かせる。男性声の囁きもアクセントになっていて、
DARGAARDなどにも通じるペイガン・アンビエント寄りの薄暗い世界観も感じさせるが、
こちらは、アコースティック楽器によるケルティックな旋律が優雅な味わいになっている。
艶やかなヴァイオリンにハープが重なり、美しい女性声にウットリとなりつつ、随所にドラムも入って
ほどよく盛り上がるところも良いですね。シンフォニックで幻想的なネオフォークの逸品です。
優美度・・8 幻想度・・9 女性Vo度・・7 総合・・8
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NARSILION 「ARCADIA」
スペインのゴシック・ネオフォーク、ナルシリオンの2006年作
2004年にデビュー、本作は2作目で、美麗なシンセにアコースティックギター、ヴァイオリンが絡み
美しい女性ヴォーカルにやわらかなフルートの音色も加えた、幻想的なネオフォークを聴かせる。
男性声による語りもあって、ほどよく土着的でゴシック寄りの耽美な空気も感じさせるあたりは
DAGAARDなどに通じる部分もある。ときおりドラムやパーカッションによるリズムも入るので、
うっとりと聴き入りつつ、わりとメリハリもあるので、ネオフォーク初心者にも楽しめるだろう。
ユニコーンのジャケのイメージ通り、幻想の叙情美に包まれた逸品です。
幻想度・8 ゴシック度・7 女性Vo度・7 総合・7.5
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NARSILION 「NAMARIE」
スペインのネオフォーク、ナルシリオンの2008年作
2004年にデビュー、本作で3作目。美しいシンセにフルート、ヴァイオリンの音色、
なよやかな女性ヴォーカルの歌声で聴かせる、シンフォニックなネオフォークサウンドは不変。
随所に男性声も絡みつつ、クラシックギターのつまびきに、バウロンやドラムのリズム、
バグパイプやシャリュモー(民俗クラリネット)、そして艶やかなヴァイオリンが鳴り響き、
ケルティックな感触とペイガンな土着性に包まれた、メディーヴァルな世界観を描き出す。
スペイン語によるヴォーカルも異国的な味わいで、優美で幻想的なサウンドに浸れる傑作です。
優美度・・8 幻想度・・9 女性Vo度・・8 総合・・8
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Nature and Organisation「Beauty Reaps the Blood of Solitude」
英国のアーティスト、Michael Cashmoreによるプロジェクト作品。1994年作
不穏なストリングスが鳴り響く、チェンバーロックのような緊迫感のあるイントロ曲に続き、
アコースティックギターのつまびきに美しい女性ヴォーカルの歌声で聴かせる、「Willow's Song」のカヴァーはしっとりと美しく、
ヴァイオリンやチェロ、フルートの音色など、クラシカルな優雅さと、もの淋しい翳りが合わさり、美しくもはかない世界観を描いてゆく。
ときにジェントルな男性ヴォーカルの語りも雰囲気を盛り上げつつ、沈み込むような耽美な空気に覆われたサウンドで、
まさにヨーロピアンなゴシックの世界を突き詰めたような異色の傑作である。
ドラマティック度・・8 メタル度・・1 耽美度・・9 総合・・8
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Nature and Organisation 「Snow Leopard Messiah」
イギリスのゴシック/ダークアンビエント、ネイチャー・アンド・オーガニゼーションの2015年作
Michael Cashmoreによるプロジェクト作品で、1994年作「Beauty Reaps the Blood of Solitude」
1998年作「Death in a Snow Leopard Winter」の2作を収録したCD2枚組の再発盤。
Disc2「Beauty Reaps〜」は、物悲しいチェロの音色に、アコースティックギターのつまびき、
美しい女性ヴォーカルを乗せ、やわらかなフルートが鳴り響く優雅な叙情性に包まれつつ、
男性ヴォーカルの語りも入ったシアトリカルな雰囲気と、クラシカルなヴァイオリンの旋律にもうっとりだ。
ボーナストラックにはノイジーなギターと激しいドラムによる11分を超えるアヴァンギャルドなナンバーを収録。
Disc2「Death in s Snow〜」は優美なピアノにストリングスが絡む、クラシカルな小曲を連ねた構成で、
こちらはゴシック的なやや引っ掛かりは薄いのだが、しっとりとした聴き心地に浸ることができる。
クラシカル度・・8 ゴシック度・・8 耽美度・・9 総合・・8
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Nebelhexe「Laguz Within the Lakel」
ノルウェーのゴシックアンビエント、ネベルヘクセの2004年作
EMPERORのサモスの夫人でもある、アンドレア・ハウゲンのソロユニットで、
エレクトロな感触を含んだシンセと艶めいた女性ヴォーカルを乗せた耽美なゴシックロックサウンド。
随所にギターも加えたメタル感触も若干覗かせつつ、北欧らしい涼やかな空気感と妖しさに包まれた、
わりとキャッチーな聴き心地。ダークさは薄めながら、耽美なエレクトロ・ゴシックが楽しめる。
ドラマティック度・・7 耽美度・・7 女性Vo度・・7 総合・・7
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Nebelhexe「Essensual」
ノルウェーのゴシックユニット、ネベルヘクセの2006年作
EMPERORのサモスの夫人でもある、アンドレア・ハウゲンのソロユニットで、
女性ヴォーカルを中心にした、エレクトロな打ち込み系のゴシックサウンド。
モダンなデジタルビートの楽曲は、メロディにしろ耽美な世界観にしろ中途半端で
肝心の女性声の魅力もさほど感じられない。エレクトロ・ゴシック系が好きな方へ。
メロディック度・・7 ゴシック度・・7 女性Vo度・・7 総合・・7
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Nebelkorona 「Reminiszenzen an das Morgenrot / Relikte des Abendrotes」
ドイツのゴシック・アンビエント、ネベルコロナの2006年作
美しいシンセにクラシカルなピアノ、囁くような男ヴォーカルを乗せた耽美な世界観で、
ドラムは打ち込みのようだが、リズムがある分、この手ではわりと聴きやすい。
ほぼインストがメインで、わりと淡々としたメランコリックな雰囲気が続くので、
ダークアンビエント系が苦手な方には少し退屈かもしれない。個人的には女性声が欲しいですね。
ドラマティック度・・7 ゴシック度・・7 メランコリック度・・8 総合・・7
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NORD「BLUE SYMPHONY」
ロシアの一人シンフォニック、ノードの2004作
詳細はまったく不明だが、Sztakics Istvanという人物のソロプロジェクトらしい。
ジャケはゴシックメタル風だが、実際はゴシック風味のシンフォニックロック。
キーボードメインの打ち込みによるサウンドで、クラシカルな雰囲気にときおり民族調のメロディも聴かせる。
メタル色はかなり薄いが、シンフォニックなサウンドが好きならBGMとしても聴ける。
シンフォニック度・・7 メタル度・・1 楽曲・・7 総合・・7


Nucleus Torn「Andromeda Awaiting」
スイスのゴシック・フォークバンド、ニュークリアス・トーンの2010年作
男女Voにヴァイオリン、チェスロ、フルートを含む7人組で、中心人物のFredy Schnyderは、
ギターにベース、ピアノ、マンドリン、ブズーキ、ハンマーダルシマーまで弾くというマルチプレイヤー。
美しいピアノの調べにフルートが重なり、はかなげな女性ヴォーカルの歌が乗る。
ダークな暗黒性は薄く、艶やかなヴァイオリンの音色など、クラシカルで優雅なサウンドだ。
中世的な世界観も魅力的で、静寂感ただよわせる幻想的な雰囲気にうっとりです。
クラシカル度・・8 ロック度・・1 幻想度・・9 総合・・8
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Travellers」
スイスのゴシック・フォークバンド、ニュークリアス・トーンの2010年作
1997、98年に録音され2004年にリリースされた作品を、2009年に新たにリミックスしたもの。
素朴なアコースティック風味で聴かせる、トラッド風味で、ロック色は皆無。
前半はアコギだけの純トラッド風で、歌もなにも入らないので、ややきつい
後半からは歌も入って、いくぶんメタリックな質感やプログレ風味を聴かせる曲もあり、
自然の空気を感じさせるトラッド・フォークロックを楽しめる。こちらはややプログレファン向けか。
アコースティック度・・9 ロック度・・3 幻想度・・8 総合・・7.5
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Nucleus Torn「Golden Age
スイスのゴシック・フォークバンド、ニュークリアス・トーンの2011年作
アコースティカルな素朴さに、クラシカルなピアノにヴァイオリン、チェロが響き、男女ヴォーカルの歌声でしっとりと聴かせる、
幻想的なフォークロックサウンド。本作から、ELUVEITIEのAnna Murphyも加わり、女性2人、男性1人の3人ヴォーカルとなった。
プログレとフォークの中間的な雰囲気は、WHITE WILLOWあたりにも通じるもので、ゴシック的なシンフォニックロックとしても楽しめる。
やわらかなフルート、オーボエなどの音色も美しい。以前の作品よりも楽曲にメリハリがついて、後半にはメタル色もあったり
ラスト曲はデス声入りと、最後まで飽きさせない。神秘的な世界観と薄暗い叙情にうっとりの力作です。
ドラマティック度・・8 プログレ度・・7 幻想度・・9 総合・・8
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Nucleus Torn 「Neon Light Eternal」
スイスのゴシック・フォーク、ヌクリアス・トーンの2015年作
マルチプレーヤーのFredy Schnyderを中心に、ELUVEITIEのAnna Murphyもヴォーカルで参加、
女性ヴォーカルの歌声にアコースティックギターのつまびきで、静寂感を感じさせるサウンドに、
オルガンやメロトロンなどのシンセが加わると、北欧プログレ的な薄暗い叙情性に包まれる。
クラシカルなハープシコードの響きにうっとりしつつ、ときにヘヴィなギターが入ってくるという、
メタル寄りの質感もあなどれない。やわらかなフルートも加わって、この土着的で幽玄な世界観は、
AnglagardWhite Willowなどのファンにもアピールするだろう、22分、10分、7分で全3曲という構成で、
1曲目北欧プログレ路線から、一転して2曲目は激しいメタルに。このアヴァンギャルドな感性も素晴らしい。
ドラマティック度・・8 むしろ北欧プログレ?度・・9 いきなりメタル度・・8 総合・・8
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Ophelia's Dream「All Beauty Is Sad」
ドイツのゴシック・アンビエント、オフェーリアズ・ドリームの1997年作
男女2人組のユニットで、シンフォニックなシンセの重ねによる、クラシカルな優雅さに、
美しいソプラノ女性ヴォーカルの歌声が響き渡る、崇高にして耽美な世界観を描き出す。
やわらかなピアノの旋律には、クラシックの素養を感じさせ、ダークな感触はさほどない。
インストによる小曲もけっこうあって、女性声も歌というよりはスキャット的なので、
個人的にはもう少しヴォーカルがメインの曲があればとも思う。2005年の再発盤には、
1999年のEP「Stabat Mater」全曲と、2002年のデモ音源をボーナス収録。
クラシカル度・・8 ゴシック度・・7 女性Vo度・・7 総合・・7.5
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OPHELIA'S DREAM 「NOT A SECOND TIME」
ドイツのゴシックユニット、オフェーリアズ・ドリームの2004作
Vo担当のスーザンさんと、楽曲担当のディトマー氏の二人組でたぶんこれが2作目。
ゆったりとしたシンセをメインに、フルートやチェロがもの悲しく鳴り響き、
そこに鐘の音やアコーディオンのメロディが重なると、もううっとり…。
ソプラノ女性のスキャットも美しく、たゆたうようなダークな癒しサウンドです。
荘厳さと薄暗さのバランスが適度なので、アンビエントシンフォとしても聴け、
この手の非メタルゴシックは暗すぎてダメ、という方でもこれなら大丈夫でしょう。
耽美にクラシカルに、そしてやや暗鬱にまどろめます。オフィシャルサイトはこちら
シンフォニック度・・8 ゴシック度・・8 ゆったり静謐度・・9 総合・・8
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O Quam Tristis 「Le Rituel Sacre」
フランスのゴシックアンビエント、オ・クアム・トリスティスの2002年作
打ち込みによるシンセアレンジに、フランス語の女性ヴォーカルとジェントルな男性声を乗せた、
エレクトロなゴシックサウンドを聴かせる。シンフォニックでクラシカルな美しさから
シーケンサーのリズムによるインダストリアルな感触もあって、いわば耽美な幻想性を
モダンに解釈したというような世界観。グレゴリアンチャント風の男性ヴォーカルに
美しい女性声を重ねた神秘的な空気や、ホイッスルやフルート、バグパイプの音色など、
アコースティック要素も随所に覗かせて、エレクトロ一辺倒でないところも良いですね。
シンフォニック度・・7 耽美度・・8 女性Vo度・・7 総合・・7.5
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Ordo Equitum Solis 「Solstitii Temporis Sensus」
イタリアのゴシックユニット、オルド・エクイタム・ソリスの1990年作
のっけから10分を超える大曲で始まる。うっすらとしたシンセをバックに呪文のような声が乗り
いかにも妖しさ満点の雰囲気である。きっと一般のリスナーなら、この1曲だけで寝てしまうだろう。
その後も、ゴシックというよりは、シューゲイサー的なシンセをメインにしたシンプルな曲が多く、
良くも悪くもダークアンビエントの自己満足的な側面に包まれている。雰囲気もの作品としては深化と言えるのかもしれないが、
幻想的な妖しさはいくぶん薄まった。女性ヴォーカルをメインにした曲はしっとりと美しい。
ゴシック度・・7 女性Vo度・・7 静謐度・・8 総合・・7
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ORDO EQUITUM SOLIS「ANIMI AEGRITUDO」
イタリアのゴシックユニット、オルド・エクイタム・ソリスの2nd。1991年作
まず、ジャケからして「もうゴシック!!」と言っているようなもので、それだけでゴシック好きは買い(笑)。
リズムなしのシンセやアコギの上をたゆたうような女性ヴォーカルがはかなげな歌声を乗せるサウンドで、
静謐さと中世的クラシカルな雰囲気が全編にただよい、うっとりと夢見ごこちにさせてくれる。
ロック色はほとんどないので途中で眠くなることもあるが、この世界観はそれでいいのだろう。
怪しげな女性声の語りなどはJACULAを思わせる呪術性も感じる。幻想ゴシックファンへ。
ゴシック度・・8 女性Vo度・・7 静謐度・・9 総合・・7.5
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Ordo Equitum Solis「Paraskenia」
イタリアのゴシックユニット、オルド・エクイタム・ソリスの3rd。1994年
美しい女性ヴォーカルの歌声に、アコースティックギター、たおやかなフルートにパーカッションのリズム、
クラシカルなピアノやシンセも入った耽美な世界観に、いくぶんプログレ風味も感じさせるサウンド。
レイサナ嬢のヴォーカルは、魔女的な妖しさを感じさせつつも、声質は綺麗なのでしっとりと聴けて、
楽曲的にも大仰すぎない素朴なアコースティック風味が、やわらかな味わいとなっている。
なお、本作は野外で録音された音源とのこと。木々に囲まれて妖しげに演奏するメンバーの姿が目に浮かぶ。
ゴシック度・・8 女性Vo度・・7 静謐度・・8 総合・・7.5
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ORDO EQUITUM SOLIS「HECATE」
イタリアのゴシックユニット、オルド・エクイタム・ソリスの4th。1995年作
たゆたうようなシンセをバックに、艶のある女性ヴォーカルがしっとりと歌い上げる。
静寂クラシカル系ゴシックサウンドとでもいうべきか、魅力的な女性Voの歌唱は、妖しく、そして崇高、
この格調高さと静謐さはアヴァンギャルドさを抜いたOPUS AVANTRAとも言えるかもしれない。
リズムを刻む楽器がないので、ロックっぽさはまるでなく、フランスのWAPASSOUにも通じるものがある。
浮遊する女性スキャットに絡まるヴァイオリン、アコースティックギターが美しい。じわりとくるダークな傑作。
クラシカル度・・8 女性Vo度・・8 静謐度・・9 総合・・8
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ORDO EQUITUM SOLIS「PLANETES」
イタリアのゴシックユニット、オルド・イクイタム・ソリスの1998年作
1990年デビュー、本作は5作目で、アコースティックギターにうっすらとしたシンセ、
美しい女性ヴォーカルの歌声で聴かせる、妖しく幻想的なダークアンビエント。
美麗なシンセにフルートの音色が重なるプログレ寄りの感触も覗かせつつ、
クラシカルな優雅さと魔女めいた世界観が合わさったサウンドが楽しめる。
ときに男性声によるイタリア語の語りなども加えたシアトリカルな雰囲気もあり、
派手な盛り上がりなどはないものの、ゆったりと耽美な空気に浸れる。
クラシカル度・・7 耽美度・・8 幻想度・・8 総合・・7.5
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ORDO EQUITUM SOLIS「METAMORPHOSIS」
オルド・イクイタム・ソリスの6th。2000年作
シンセと詠唱、語りを含んだ、9分におよぶ序曲からして、すでに妖しげな香りがぷんぷん。
アコースティックギターにパーカッションのリズム、しっとりとした女性ヴォーカルの歌声に、
トランペットなども加えた、ゴシックチェンバー的な雰囲気や、シンセをメインにしたシンフォニックなナンバーなど、
とにかく耽美な世界を描くという点では、Lacrimosaあたりの精神性に通じるものがあるかもしれない。
一方では、大仰になり過ぎない、ダークになり過ぎないという、煮え切らないもどかしさも残るのだが。
オルガンを使ったプログレ寄りのナンバーなどもよい感じで、優雅な聴きやすさで楽しめる。
クラシカル度・・7 耽美度・・8 幻想度・・8 総合・・7.5
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ORDO EQUITUM SOLIS 「Killing Time Killing Love」
イタリアのゴシックユニット、オルド・イクイタム・ソリスの2013年作
13年ぶりとなる7作目で、これまでの男女ユニットにベーシストが加わった3人編成となっている。
アコースティックギターのつまびきに、たゆたうような女性ヴォーカルとうっすらとしたシンセアレンジ、
ベースとドラムによるリズムによって、いくぶんロック寄りの感触が強まったという印象。
ときにシンフォニックなシンセの重ねやピアノのつまびきで、耽美でクラシカルなサウンドを描く、
幻想的なゴシック世界は不変。Leithana嬢の艶めいたヘタウマな歌声も、もはや魅力のひとつだろう。
相変わらず派手な大仰さというのはないのだが、この中庸なダークウェーブに浸れる方はどうぞ。
クラシカル度・・7 耽美度・・8 幻想度・・8 総合・・7.5
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ORDO FUNEBRIS 「Cantar a La Morte:Fabra Triste」
フランスのゴシックフォーク、オルド・フューネブリスの2003年作
女性Vo、女性ヴァイオリン、シンセという3人編成で、パーカッションの妖しいリズムに、
うっすらとしたシンセと、男性のダミ声&ソプラノ女性ヴォーカルの歌声が響き渡る、
耽美な幻想性に包まれたゴシックサウンド。フルートや素朴なマンドリンの音色、
艶やかなヴァイオリンに、スキャット的な女性ヴォーカルが、美しくも神秘的な空気感を描いてゆく。
SEや小曲も含んで全35分というのが少し物足りないが、幻想的なゴシックフォークが好きならどうぞ。
ドラマティック・・7 耽美度・・9 幻想度・・9 総合・・7.5
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ORDO FUNEBRIS 「Songs from The Enchanted Garden」
フランスのゴシックフォーク、オルド・フューネブリスの2004年作
シンセによる優美なシンフォニック性に、神秘的な女性ヴォーカルを乗せた、
幻想的なサウンドは、オーストリアのDAGAARDあたりにも近づいたかもしれない。
やわらかなフルートの音色に、艶やかなヴァイオリンがクラシカルな優雅さを付加し
中世を感じさせるしっとりとした空気感に包まれる。曲によっては男性ヴォーカルにパーカッションも加わって、
サウンドに厚みをもたらしている。幻想ゴシックとしての世界観の説得力を強めた逸品です。
ドラマティック・・7 耽美度・・9 幻想度・・9 総合・・8

Persephone「Home」
L'AME IMMORTELLEの女性ヴォーカル、Sonja Kraushoferのソロ・プロジェクト、ペルセフォネの2002作
うっすらとしたシンセを中心とした静謐感ただよう曲調に、しっとりと美しい女性ヴォーカルがミステリアスに歌いあげる。
楽曲アレンジでは適度なデジタル感触が薄暗さを緩和していて、この手のバンドとしてはかなり聴きやすい部類だろう。
ストリングスの音色がクラシカルな荘厳さも生み出しつつ、モダンなインダストリアル要素もある美しきゴシックサウンドだ。
クラシカル度・・7 ゴシック度・・8 女性Vo度・・8 総合・7.5
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PERSEPHONE「Still」
L'AME IMMORTELLEの女性Voのソロ・プロジェクト、ペルセフォネのミニアルバム。2003作
ライブ音源や別バージョンなどによる7曲入りで、ストリングスやシンセによるアレンジも含んで
しっとりと響きわたるSonja Kraushofer嬢の歌声とともに、その耽美な世界観に吸い込まれる。
ライブ音源の方は、加工をほどこされていない、ピアノやチェロのみをバックにした
シンプルな聴き心地で、静謐感に包まれた、ヨーロピアンな情感が伝わってくる。
シンフォニック度・・7 ゴシック度・・8 女性Vo度・・8 総合・・7.5

PERSEPHONE 「Atma Gyan」
L'AME IMMORTELLEの女性Vo、Sonja Kraushofer嬢のソロ・プロジェクト、2004作
耽美なジャケにつられて買ったわけですが、サウンドは、Sonja嬢の美しい歌声をメインにしつつ、
重ねられたシンセやコーラスなどが、しっとりと耽美な雰囲気とゴシックな世界観を作り上げてゆきます。
曲によってはバンド編成で、ゴシックメタル風味もありますが、ストリングスやピアノ、シンセのみをバックにした曲が多く、
いわゆる雰囲気もの、非メタル系の静謐系ゴシックの要素が強いですね。ときに囁きのようなSonja嬢の歌声は、
淡々として静かで、妖しく耳に残ります。AUTUMN TEARSなどが好きなら、気に入る作品だと思います。
シンフォニック度・・7 耽美ゴシック度・・9 メタル度・・5 総合・・8
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PERSEPHONEMera Sangeet Kho Gaya
L'AME IMMORTELLEの女性Vo、Sonja Kraushoferのソロ・プロジェクト、ペルセフォネの2004作
このジャケからしてすでに萌えなんですが、内容も美しき歌声を聴かせる静謐感のある非メタル系ゴシックサウンド。
うっすらとしたシンセをメインに、ヴァイオリンやチェロなどが厳かな音色を奏で、耽美な世界観を作り上げています。
ギターが加わるとゴシックメタル的にも聴けてよい感じですが、基本はSonja嬢の艶のある歌声を中心にした、しっとりとした作品。
ゴシック度・・8 メタル度・・5 女性Vo度・・8 総合・・8
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PERSEPHONE「Letters to a Stranger」
オーストリアのゴシックユニット、L'AME IMMORTELLEの女性Vo、
Sonja Kraushoferのソロ・プロジェクト、ペルセフォネの2007年作
ストリングスを含んだ美麗なアレンジに女性ヴォーカルの歌声で、
ときにKATE BUSHようなエキセントリックな雰囲気も含ませたサウンド。
ヨーロピアンな情感をまといつつも全体的にはむしろ耽美な薄暗さは抑えめで、
女性声のアンビエント・ポップという感じもあるが、ラスト曲ではゴシックメタル風味になる。
シンフォニック度・・7 ゴシック度・・7 女性Vo度・・8 総合・・7.5
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Persephone 「Perle」
オーストリアのゴシックアンビエント、ペルセフォネの2018年作
L'AME IMMORTELLEの女性Vo、Sonja Kraushoferのソロプロジェクトで、本作が5作目となる。
クラシカルなピアノに囁くような女性ヴォーカルを乗せたイントロ曲から、デジタルなリズムを加え
妖しく耽美なゴシックミュージックを展開。艶やかなストリングスによる優雅なアレンジとともに、
ギターも加えたゴシックメタル寄りの感触や、ブラスを取り入れたチェンバーゴシック的なナンバーもありつつ、
艶めいたソニア女史の歌声とともにゆったりと楽しめます。ゴスな幻想美とエレクトロのバランスのとれた好作です。
クラシカル度・・7 ゴシック度・・8 女性Vo度・・8 総合・・7.5 
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PETER BJARGO 「A Wave of Bitterness」
スウェーデンのゴシック/ダークアンビエント、ペーター・ビヤルゴの2009年作
ARCANAのリーダーでもあるミュージシャンで、多重シンセを中心としたダークアンビエント作品。
メタル色はほとんどないが、ときおりドラムによるリズムも入りつつ、やはりARCANAに通じる暗黒美と
シンフォニックな美しさ、そして神秘的な静寂感に包まれた世界観にうっとりと浸れる。
これという盛り上がりや派手な展開というのはないのだが、ときおり男性ヴォーカルも加わって、
パーカッションのリズムやオリエンタルな旋律なども含んで、最後まで飽きることなく楽しめる。
ドラマティック度・・7 ゴシック度・・8 暗黒度・・8 総合・・7.5
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PETER BJARGO 「The Architecture Of Melancholy」
スウェーデンのゴシック/ダークアンビエント、ペーター・ビヤルゴの2011年作
シンセサウンドを基本にしたダークなアンビエントサウンドはARCANAと同様のもので、
今作ではゲストに女性ヴォーカルをまねき、自身のマイルドな男性声との対比で、
1曲目から荘厳なスケール感を描き出している。その後も、朗読のような語りを入れたりと、
ストーリー性を感じさせる耽美な世界観を構築し、幻想ゴシックとしての強度を高めている。
今作ではギターのつまびきも入ったやわらかな叙情性もあって、ダークさはやや控えめな分、
アンビエント寄りの繊細なナンバーが耳心地よい。夢見心地にまどろめる好作品だ。
ドラマティック度・・7 ゴシック度・・8 暗黒度・・7 総合・・7.5
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Raison d'etre 「Prospectus I」
スウェーデンのダークアンビエント、レイソン・デエトレの1993年作
Peter Andersson氏による個人ユニットで、シンセを中心にインダストリアルなエフェクトや
グレゴリアンチャントのようなコーラスを乗せた、不穏でダークなサウンドを描き出す。
これといった盛り上がりもなく、サントラ的なシンセサウンドが延々と続くので、音楽というよりは
ほぼBGMになりがちであるが、どことなくWHENあたりに通じるアヴァンギャルドな感性や、
監獄期のBURZUMのような物悲しいシンセのメロディをリフレインする、殺伐とした暗黒性も覗かせる
ドラマティック度・5 メタル度・0 ダーク度・8 総合・7
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RAJNA 「ishati」
フランスのゴシック・アンビエントユニット、ライナの1999年作
サントゥールやダルシマーなどの民族楽器にうっすらとしたシンセアレンジ、
そこに美しい女性ヴォーカルのスキャット的な歌声を乗せ、アラビックな雰囲気と
ダークアンビエントの融合というような、オリエンタルなゴシックミュージック。
楽曲として聴くにはまだBGMの延長という感じがして、3rd以降に比べると
単なるミステリアスな雰囲気モノにとどまっている。
ドラマティック度・・7 ゴシック度・・7 エスニック度・・8 総合・・7
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Rajna 「Yahili」
フランスのゴシック・アンビエントユニット、ライナの2000年作
アラビックやチベット的でもある、オリエンタルな神秘性をゴシックサウンドに融合、
パーカッションのリズムに、うっすらとしたシンセ、そして女性声のスキャットが妖しく響く、
幻想的なエスノ・ゴシックサウンドを聴かせる。楽曲そのものの出来うんぬんではなく、
リフレインされる旋律に浸り、ミステリアスでエスニックな空気感を楽しむという作風なので、
いわゆる雰囲気モノが苦手な方にはきついかもしれない。完成度では次作以降ですかね。
ドラマティック度・・7 ゴシック度・・7 エスニック度・・8 総合・・7.5
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RajnaThe Heady Wine of Praise
フランスのゴシック・アンビエントユニット、ライナの3rd。2001年作
今作はジャケのイメージのようにヒンドゥー教やインド神話をテーマにしているのか、
エスニックなテイストがより強く感じられる作風だ。女性ヴォーカルの歌声も美しく、
前作以上に女性声の表現力が増したことで、音楽的にもより楽しめるようになった。
適度にダークなミステリアス性と、やわらかな聴き心地が合わさって、
比較的バランスのとれた内容なので、エスノ・ゴス初心者でもOKだろう。
ドラマティック度・・7 エスニック度・・8 女性Vo度・・8 総合・・7.5
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Rajna 「Door of Serenity」
フランスのゴシック・アンビエントユニット、ライナの2002年作
美しい女性ヴォーカルの歌声と、アラビックな民族色を感じさせる世界観を、
薄暗いゴシックミュージックに融合させたサウンド。中近東的な旋律が鳴り響き
パーカッションのリズムとともに、神秘的な女性スキャットとヴォーカルが重なってゆく。
しっとりとした聴き心地は、ロリーナ・マッケニットなどが好きな方にも楽しめるだろう。
ダークアンビエント初心者にも楽しめる、エスニックゴシックの幻想性が味わえる好作品。
幻想度・・8 ゴシック度・・8 アラビック度・・8 総合・・8
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Rajna 「Hidden Temple」
フランスのゴシック・アンビエントユニット、ライナの2004年年作
本作はおそらく5作目で、ジャケのイメージからは古代エジプトをモチーフにしているのだろう。
シタールの響きにタブラのリズム、ウィスパーな女性声による、神秘的なエスノゴシックである。
うっすらとしたシンセをバックに、ダルシマーやブズーキ、マンドリンなどの豊富な古楽器の組み合わせで、
アコースティック部分での音の厚みがサウンドの説得力となっている。ダークな感触は薄めで、
むしろ幻想的な静謐感と美しい女性ヴォーカルにうっとりとなる。エジプトの香りを運ぶような傑作だ。
ドラマティック度・・7 エスニック度・・8 女性Vo度・・8 総合・・8
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RAJNA 「OFFERING」
フランスのダークウェイブ系ユニット、ライナの2010年作
そのエスニックな世界観からエスノ・ゴシックとも呼ばれる男女二人のユニット。
中東やインド、チベットなどのオリエンタルな民族要素とダークなゴシック風味を融合させた
ミステリアスなサウンドで、パーカッションやシタール、笛の音色にうっすらとしたシンセがかぶさり、
女性ヴォーカルの詠唱のような歌声が乗る。ときにLoreena Mckennittを思わせるような感触もあり、
メタル色は皆無であるが、妖しくも幻想的な雰囲気で夢見心地にゆったりと鑑賞できる。
メロディック度・・7 エスノ度・・8 女性Vo度・・7 総合・・8



Rising Shadows 「Finis Gloriae Mundi」
スウェーデンのゴシックユニット、ライジング・シャドウスの2011年作
女性Voと男性シンセ奏者のユニットで、シンセによる多重録音をバックに
たゆたうような女性ヴォーカルの歌声で聴かせる、しっとりと幻想的なサウンド。
ジャケのイメージほどにはダークな感じはなく、静謐感を漂わせた夢見心地の雰囲気で、
アンビエントな耳触りである。ANGLAGARDのマティアス・オルソンがドラムで参加している。
幻想度・・8 ゴシック度・・7 女性Vo度・・7 総合・・7.5





Sanctum 「Lupus in Fabula」
スウェーデンのゴシックユニット、サンクトゥムの1996年作
クラシカルなチェロの音色にシンセが重なり、女性ヴォーカルの歌声と男性ダミ声を乗せ、
シーケンサーによるリズムを加えた、インダストリアルな感触のゴシックサウンド。
ダークで耽美な雰囲気は保たれていて、「エレクトロ化したELEND」という感触でも楽しめるが、
インダストリアルなミクスチャー感覚は、むしろプログレやレコメン系リスナーにアピールしそうな気もする。
曲によってはメタリックなギターも加わったメタル風味や、Klaus Schulzeのようなシンセミュージック風のナンバーなど、
実験的なアヴァンギャルド性も含めて、わりと多彩な聴き心地が味わえる。全64分の力作だ。
ドラマティック度・・7 ゴシック度・・7 アヴァンギャル度・・7 総合・・7.5
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Seventh Harmonic 「Garden of Dilmun」
イギリスのゴシックユニット、セブンス・ハーモニックの2011年作
うっすらとしたシンセアレンジに美しい女性ヴォーカルの歌声を乗せた、シンフォニックなゴシック/ダークアンビエント。
シンセによるオーケストレーションがクラシカルな壮麗さを描きつつ、曲によってはアコースティックギターによる、
英国らしいウェットなフォーク要素も加わって、やわらかな女性声とともにメランコリックな空気感が包み込む。
個人的には、もう少しディープな妖しさが欲しい気もするが、あくまで耽美に、ダークすぎない世界観は、
非メタル系ゴシックの初心者にも楽しめるだろう。シンフォニックなゴシックサウンドにウットリと浸れます。
シンフォニック度・・8 ゴシック度・・8 女性Vo度・・8 総合・・7.5
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SHIBALBA 「STARS AL-MED HUM」
ギリシャのブラック・ダークアンビエント、シバルバの2018年作
スペイシーなシンセの重ねをメインに、神秘的なスケール感に包まれたブラッケンな世界を描く。
ときに詠唱のような歌声が妖しく響き渡り、ドラムやパーカッションのリズムやときにギターの旋律も入りつつ、
基本は雰囲気モノなので、さほどの展開はなく、どうしてもやや眠くなりがち。ブラックメタル的でもある暗黒性は感じるが、
ダークな迫力よりはスペイシーなぼんやり感が強いので、まどろむようにして聞き流すのがベストかも。全51分…zzz
ドラマティック度・・7 メタル度・・1 暗黒度・・8 総合・7.5
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Slepaya Elan (Слепая Елань) 「Neizbezhnost(Неизбежность)」
ロシアのダークアンビエント、スレパヤ・エランの2010年作
うっすらとしたシンセによる翳りを帯びたランドスケープ的なサウンドで、ロック色は皆無。
それどころか、本の楽器はほぼ入らず、メロディともいえないシンセの重なりが霧のように続いてゆくので、
この手の雰囲気モノが苦手な方にはまったく向かない。10分近い大曲も含めた全66分。
ドラマティック度・3 メタル度・0 ダーク度・8 総合・7

Somnare 「Bellum Esse」
スペインのゴシック・ネオクラシカル、ソムナーレの2016年作
うっすらとしたシンセに美しい女性ヴォーカルを乗せ、物悲しいチェロの響きとともに、
耽美で秘教的なゴシックアンビエントを聴かせる。オーケストレイテッドなシンセに、
クラシカルなピアノ、オペラティックなソプラノを主体に、ときに詠唱のような男性声も加わって、
ELENDあたりにも通じるダークな妖しさを描いてゆく。いくぶんインダストリアルに香りも含みつつ、
全体的には雰囲気モノに近いので、楽曲というよりはサウンドの空気に浸るというような作品だろう。
幻想度・8 ゴシック度・8 女性Vo度・7 総合・7.5

Stoa 「Porta VIII」
ドイツのクラシカル・アンビエント、ストアの1994年
オーケストラルなシンセアレンジに、美しいソプラノ女性ヴォーカルを乗せた
クラシカルな優雅さに包まれたゴシック・アンビエント。パーカッションも加わった、
異国的な雰囲気とともに、ダーク過ぎないしっとりとした聴き心地で楽しめる。
楽曲は3〜5分前後とわりとシンプルなので、世界観の深みという点では物足りなさもあるが
シンセの重ねと女性声による、耽美で幻想的なサウンドが好きならばどうぞ。
クラシカル度・・8 ゴシック度・・7 女性Vo度・・7 総合・・7.5
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sToa 「Zal」
ドイツのクラシカル・アンビエント、ストアの2002年作
物悲しいピアノの旋律に、女性ヴォーカルの歌声を乗せた、しっとりとした美しさ。
シンセやストリングスによるアレンジも加わった、ほどよくシンフォニックな感触と、
耽美で薄暗い世界観が合わさった美麗な聴き心地に、うっとりと浸れるサウンドだ。
ヴォーカルの入らないナンバーは、チェンバーロック的なミステリアスな雰囲気もあり、
ピアノやフルート、ヴァイオリン、チェロなどのクラシカル性を、メランコリックな空気に包み込んだ
優雅なアレンジセンスも素晴らしい。空間的な奥行きも感じさせるクラシカルなダークアンビエント作品。
クラシカル度・・8 ゴシック度・・7 女性Vo度・・8 総合・・8
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Stormfagel「Den Nalkande Stormen」
スウェーデンのゴシックフォーク、ストームファゲルの2005年作
ストリングスを含むシンセの重ねにはかなげな女性ヴォーカルの歌声を乗せ、
寒々しく物悲しい空気感に包まれた、メディーヴァルなゴシックフォークサウンド。
シンセの使い方はエレクトロな感触もありながら、打ち込みによるパーカッションなどが
古代の呪術性を感じさせ、初期のARCANAにも通じる秘教めいた幻想性を描いている。
雰囲気モノとしての世界観もディープで、中世ダークアンビエントとしても楽しめる逸品です。
シンフォニック度・・7 耽美度・・8 幻想度・・8 総合・・7.5
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TANQUAM「artanasan」
ロシアのシンフォニックユニット、タンクゥアムの2005作
女性2人のヴォーカルにキーボード、ドラムという変則4人編成。
サウンドは、シンセがメインのエレクトリックサウンドであるが、どことなく民族色もある。
ゴシックというほどにはダークではないが、ゆるやかなシンセの重ねをバックに
妖しげな女性スキャットが加わると、立派な雰囲気ものサウンドとして成立する。
不気味なジャケとはうらはらに、映画サントラ風の壮大さも垣間見せてくれ、なかなか楽しめる。
今後は、できれば思い切り予算を注ぎ込んで、生楽器入りでより大仰な作品を期待したい。
シンフォニック度・・8 壮大度・・8 雰囲気もの度・・9 総合・・7.5


Tethrippon
ギリシャのゴシック・フォーク、テスリポンの2009年作
オーケストラルなアレンジに朗々としたギリシャ語の歌声を乗せ、エピックな世界観を描き出す。
バックはシンセの重ねのみで、エレクトロなシーケーンサー的なリズムに
語り口調のような淡々としたヴォーカルがややミスマッチながら、
その愛想のなさが、むしろ映画サントラのようなスケール感になっている。
楽曲としての展開はあまりなく、フォーク的な要素も薄いので、
古代ローマを描くダークな雰囲気モノとして鑑賞する作品かと。
幻想度・・8 ゴシックフォーク度・・7 エピック度・・8 総合・・7
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THE TRIPLE TREE 「GHOSTS」
イギリスのゴシック・エクスペリメンタル、トリプル・ツリーの2008年作
歴史学者、M.R.ジェイムスの文献をモチーフにした作品で、女性ヴォーカルにストリングスが絡むイントロから、
アコースティックギターにシンセを重ね、朗々とした男性ヴォーカルの語りを含んだ歌声を乗せ、
幻想文学を描くような妖しいサウンドが広がってゆく。それぞれは楽曲というにはさほど展開はなく、
SEや語りなどの入った雰囲気モノという印象で、ノルウェーのWHENあたりに通じるところもある。
アルバム後半には、シンセとメロディカをバックに妖しいパーカッション、フルートに女性声が重なる、
混沌としたアヴァンギャルドサウンドが展開される。女性ヴォーカルパートがもっとあると嬉しかった。
ドラマティック度・・7 耽美度・・7 アヴァンギャル度・・8 総合・・7
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TROBAR DE MORTE 「Nocturnal Dance of the Dragonfly」
スペインのゴシックフォーク、トロバー・デ・モルテの2004年作
4曲入りのデビューEP。美しいシンセの重ねにハープの音色、女性ヴォーカルの歌声を乗せた、
幻想的なゴシックアンビエントで、優美なフルートの音色にパーカッションのリズムなどを加え、
シンフォニックな壮麗さに、アコースティックな土着性を融合したサウンドが楽しめる。
全11分という短い作品ながら、妖しく神秘的な世界観は、本作の時点ですでに確立されている。
ドラマティック度・・7 耽美度・・8 女性Vo度・・7 総合・・7.5 
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TROBAR DE MORTE 「Fairydust」
スペインのゴシックフォーク、トロバー・デ・モルテの2004年作
フルアルバム1作目で、美麗なシンセアレンジに女性ヴォーカルを乗せた、
幻想的なゴシック・フォークサウンドは、この時点ですでに確立されている。
やわらかなハープの音色にアコーステッィクギター、フルートなどを含んだケルト&フォーク要素と
オーケストラルなシンフォニック性が合わさって、この手としては世界観の強度がしっかりとあって、
とてもクオリティの高い聴き心地である。再発盤は2011年のライブ音源を収録のCDを加えた2枚組。
ドラマティック・・7 耽美度・・9 幻想度・・9 総合・・8
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Trobar De Morte 「Reverie」
スペインのゴシックフォーク、トロバー・デ・モルテの2006年作
シンフォニックなアレンジにソプラノ女性ヴォーカルの美しい歌声を乗せた、幻想的なゴシックフォーク・サウンド。
フルートやリコーダー、ヴァイオリン、ホルンなども加わった、ケルティックなトラッド感触も覗かせつつ、
うっすらと霧に包まれたようなファンタジックな世界観は、シンフォニック系のプログレリスナーにも楽しめる。
これという盛り上がりや、印象的なメロディというのはあまりないのだが、このぼんやりとした空気感に浸るのが、
正しい鑑賞でろう。幻想系ゴシック・フォークとしてはドイツのElaneあたりと並ぶバンドですな。
シンフォニック度・・8 幻想度・・8 女性Vo度・・8 総合・・7.5
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Trobar de Morte「Legends of Blood and Light」
スペインのゴシックフォーク、トロバー・デ・モルテの2008年作
ファンタジックなジャケがよい感じですが、サウンドの方はメタル色はまったくなく、
美しい女性ヴォーカルの歌声と、打ち込みによるオーケストラルな多重録音を中心にした
ゴシック系アンビエントという作風。ARCANAあたりに通じる神秘的な世界観と
いくぶんケルトや土着的なフォーク色も感じさせる雰囲気をゆったりと描いてゆく。
女性声の表現力も素晴らしく幻想世界の強度を強めている。ゴシック系アンビエントの傑作。
幻想度・・8 メタル度・・1 女性Vo度・・8 総合・・8
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TROBAR DE MORTE 「Beyond the Woods」
スペインのゴシックフォーク、トロバー・デ・モルテの2011年作
本作はシンセを使わないアコースティックスタイルの作品で、バグパイプが鳴り響き、
アコースティックギターに艶やかなヴァイオリンが重なり、美しい女性ヴォーカルの歌声を乗せた
優美なネオフォークサウンドを聴かせる。シンフォニックな味付けがない分、トラッド的な繊細さが前に出ているが
やわらかなフルートの音色にヴァイオリン、ときにブズーキやハーディ・ガーディなども加えた、
案外厚みのあるサウンドで、本格派のケルティック・フォークが楽しめる。
ドラマティック・・7 耽美度・・8 幻想度・・8 総合・・8
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Trobar De Morte 「The Silver Wheel」
スペインのゴシックフォーク、トロバー・デ・モルテの2012年作
ジャケやアルバムタイトルからも、魔女をイメージする世界観がぷんぷんだが、
サウンドも女性ヴォーカルの妖しく美しい歌声に、美麗なシンセとストリングスを乗せた、
幻想的なゴシック・ネオフォーク。牧歌的なリコーダー、バグパイプ、ハープなどの優雅な音色に、
シンフォニックといってもいいオーケストラルなアレンジが重なり、しっとりとした聴き心地で
強度のある世界観を描くという点では、過去のアルバムを超えるサウンドの説得力を感じさせる。
DVDには2011年のベルリンでのライブを収録。女性ヴァイオリン奏者にハーディガーディを手にした
ヴォーカル嬢の透き通る歌声で、メディーヴァルな雰囲気のステージが楽しめます。
シンフォニック度・・8 幻想度・・8 女性Vo度・・8 総合・・8
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VISHNU'S SECRET 「3 Candles」
アメリカのゴシック・アンビエント、ヴィシュヌズ・シークレットの1994年作
女性Voと男性ギター&チェロの二人組で、アコースティックギターにチェロの音色と、
妖しく艶めいた女性ヴォーカルを乗せた、耽美で秘教的な空気感を描きだす。
シンセを使っていないので、美しくも妖しい歌声がダイレクトに伝わって来て、
シンプルな音数ながらも、どこか神秘的でプリミティブな魔女性を感じさせる。
ゴシックというよりはむしろ魔女系フォークというような異色作だ。
ゴシック度・・7 耽美度・・8 女性Vo度・・8 総合・・7.5
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Vittorio Vandelli 「A Day of Warm Rain in Heaven」
イタリアのミュージシャン、ヴィットリオ・ヴァンデッリの2004年作
ゴシックユニット、Ataraxiaのギタリストのソロで、美麗なシンセの重ねによるオーケストラルなアレンジに、
Ataraxiaのフランチェスカ・リコリ嬢の妖しい歌声を乗せた、耽美なゴシック・シンフォニックロック。
アコースティックなフォーク要素も含みつつ、ときに打ち込みによるデジタルなアレンジも取り入れつつ、
美しい女性ヴォーカルとともに幻想的な空気を描きだす。サントラ的な小曲なども含め、中世を思わせる幻想性で、
メロディーヴァルな素朴さと土着的な神秘性に包まれた、優雅なゴシックミュージックが楽しめる逸品です。
ドラマティック度・・7 耽美度・・8 女性Vo度・・8 総合・・7.5
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Worm Ouroboros
アメリカのゴシック・ドゥームバンド、ワーム・ウロボロスの2010年作
女性Vo/G、女性B、Drというトリオ編成で、静謐感のあるドゥーム・ゴシックロックをやっている。
曲は7〜11分という長いものが中心で、美しい女性ヴォーカルのしっとりとした叙情と、
ときにフルートなども入ったプログレッシブな雰囲気もあるサウンド。ゆったりとした浮遊感と、
沈み込むような薄暗さが同居していて、ぱっと聴きの派手さはないが、耳心地のよいアナログな質感が
なかなかいい。女性コーラスの幻想的な響きに英国フォークのようなけだるい情緒も垣間見せて
ヘヴィなパートとのコントラストになっている。メタル度は低いのでプログレリスナーにも勧められる。
ゆったり叙情度・・9 メタル度・・7 女性Vo度・・8 総合・・8
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Worm OuroborosCome the Thaw
アメリカのゴシック・ドゥームバンド、ワーム・ウロボロスの2012年作
女性Vo&G、女性B&Key、Drというトリオ編成で、ゆったりと聴かせるドゥーミィなサウンド。
メタル的なヘヴィさはあまりなく、クリーントーンをメインにしたギターとうっすらとしたシンセに
たゆたうような女性ヴォーカルの歌声で、しっとりとした薄暗い世界観を描き出してゆく。
7〜10分と曲は長めで、淡い夢の中をまどろむような繊細な情緒と静寂感に包まれていて、
派手な展開というものはなく、メタルというよりも耽美なドゥームロックとして鑑賞する作品だろう。
ドラマティック度・・7 耽美度・・8 ゆったり情緒度・・9 総合・・7.5
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WORM OUROBOROS 「WHAT GRACELESS DAWN」
アメリカのゴシック・ドゥーム、ワーム・ウロボロスの2016年作
女性Vo&G、女性B&Key、Drというトリオ編成で、2010年にデビューしてから、本作で3作目となる。
しっとりとした女性ヴォーカルの歌声と幻想的な空気感に包まれた、耽美なダークアンビエントサウンド。
ほとんどが10分前後の大曲で、ダークなゴシックフォークとしても楽しめつつ、うるさすぎないギターにドラムも入った
適度なメタル色もあって、アンビエントが苦手なゴシックメタルリスナーでも聴けるくらいの重厚な展開も現れる。
沈み込むようなフューネラルな物悲しさと倦怠の美に浸れる一方では、物悲しい叙情性という点では、
PaatosWhite Willowなどの薄暗系女性声シンフォのファンでも楽しめるかもしれない。
ドラマティック度・・7 ゴシック度・・8 幻想と倦怠度・・9 総合・・8 
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