~HEAVY METAL CD REVIEW 2020 by 緑川 とうせい

★2020年に聴いたメタルCDレビュー
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*プログレ最新レビュー *注目の新譜


12/4
ペイガン、ヴァイキング、ブラックの師走(361)


ARSTIDIR LIFSINS 「Saga A Tveim Tungum I: Vapn Ok Vior」
アイスランド、ドイツ混成のペイガン・ブラックメタル、アルスティディル・リフシンスの2019年作
2010年にデビュー、5作目となる。中世アイスランドの散文である「サガ」をテーマにした作品で、
のっけからダミ声ヴォーカルを乗せて暴虐に疾走する、迫力あるブラックメタルが炸裂する。
アコースティックギターに語りを乗せたパートも含みつつ、激しいブラスト疾走やトレモロを含むギターリフ、
全体的に叙情は控えめの硬派な作風で、メロディアスな部分は少ないのだが、10分を超える大曲では、
緩急ある構築力とともに、神秘的なスケール感に包まれる。おそらく古代アイスランド語のヴォーカルも迫力十分。
本作だけでも全69分の力作であるが、コンセプトは後編となる2020年作へと続いてゆく。
ドラマティック度・・8 暴虐度・・8 神秘的度・・9 総合・・8 過去作のレビューはこちら
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Manegarm 「Vargaresa - The Beginning」
スウェーデンのヴァイキング・ブラックメタル、モーネガルムの2005年作
北欧ヴァイキングメタルを代表するバンドの、デビュー前、1996~1997年のデモ音源を収録。
1996年のデモは、ノイジーなギターにダミ声ヴォーカルを乗せてブラスト疾走するブラックメタルで、
随所にゆったりとしたスローパートや、北欧らしい土着的なギターフレーズを覗かせる。
1997年の音源も、基本的には同傾向で、ヴァイキングというよりペイガンなブラックメタルというスタイルであるが、
メロディックなフレーズがより効果的になり、DISSECTIONなどにも通じるようなメロブラ的な雰囲気に、
ときにヴァイオリンの音色も加えた叙情性とともに、激しくも幻想的なペイガンブラックメタルが楽しめる。
ドラマティック度・・8 ペイガンブラック度・・8 勇壮度・・7 総合・・8 過去作のレビューはこちら
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MANEGARM 「Fornaldarsagor」
スウェーデンのヴァイキングメタル、モーネガルムの2019年作
1998年にデビューし、本作は9作目。今作はのっけからトレモロのギターにダミ声ヴォーカルで、
激しく疾走するブラックメタルばりの感触から、勇壮なコーラスやアコースティックパート、
北欧ペイガンらしい土着的なフレーズを盛り込みつつ、緩急ある展開でたたみかける。
母国語による歌声がミステリアスな神秘性をかもしだし、随所に叙情的なメロディを含んだ
本格派の北欧ヴァイキングメタルが味わえる。激しい疾走ナンバーがけっこう多めながら、
女性声を加えたどっしりとしたミドルテンポや、ケルティックなメロディを乗せたナンバーなど、
キャリアのあるバンドらしい確かな説得力で構築する。涼やかな土着感と激しさが同居した力作デス。
ドラマティック度・・8 ヴァイキング度・・8 勇壮度・・8 総合・・8
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Yggdrasil 「Kvallningsvindar Over Nordront Land」
スウェーデンのフォーク・ブラックメタル、イグドラシルの2007年作
ヴァイオリンが鳴り響く土着的なイントロから、叙情的なギターのメロディを重ね、朗々とした歌声に、
ダミ声ヴォーカルを加えて、神秘的な空気に包まれた、ペイガン・ブラックメタルを聴かせる。
随所に激しい疾走パートも覗かせつつ、暴虐性よりは涼やかな叙情が前に出ていて、
ときにピアノやシンセなどを使ったり、優雅なヴァイオリンの旋律がサウンドを彩っていて、
女性ヴォーカルも加わったナンバーなども、北欧神話を思わせるような幻想的な味わいだ。
11分という大曲も含め、緩急ある構築力でじっくりと世界観を描いてゆく。これぞ北欧の音である。
ドラマティック度・・8 暴虐度・・7 北欧度・・9 総合・・8 過去作のレビューはこちら
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Primordial 「Exile Amongst the Ruins」
アイルランドのペイガン・ブラックメタル、プリモーディアルの2018年作
1995年にデビュー、本作は10作目となる。オールドな味わいのツインギターのリフに、
低音ダミ声ヴォーカルを乗せ、涼やかな空気感に包まれた重厚なペイガンブラックを聴かせる。
どっしりとしたミドルテンポから、随所にブラスト疾走も含んだ激しさと、媚のない叙情性も覗かせつつ
キャリアのあるバンドらしい荘厳な説得力に包まれたサウンドを描く。7~10分という長めの楽曲をメインに、
2曲目以降はスローテンポのパートも多く、ノーマル声とメロウなギターによるゆったりとした叙情も含んだ、
神秘的な土着性を感じさせる。10分を超えるラスト曲も基本スローなので、疾走好きにはやや物足りないかも。
ドラマティック度・・7 暴虐度・・7 ペイガン度・・8 総合・・8 過去作のレビューはこちら
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EYE OF NIX 「BLACK SOMNIA」
アメリカのポストブラックメタル、アイ・オブ・ニックスの2016年作
ノイジーでヘヴィなギターに魔女めいた絶叫ヴォイス、うっすらとしたシンセの味付けとともに、
随所に激しいブラストなども含んだ、妖しくもエクスペリメンタルなブラックメタルを聴かせる。
カスカディアンブラック的な神秘性に、女性声による魔術めいた暗黒性を加えたという世界観であるが、
一方では、美しいソプラノヴォーカルによるパートもあって、ときにゴシック的でもある耽美性も覗かせる。
楽曲は6~8分とわりと長めで、SEなどを含んだ不穏な空気感に包まれながら、スローテンポの曲では
魔女系ドゥーム的にも楽しめる。絶叫する女性声の激しさに妖しい美しさも同居した異色のバンドです。
神秘的度・・8 暴虐度・・7 魔女系ブラック度・・8 総合・・7.5
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EYE OF NIX 「LIGEIA」
アメリカのポストブラックメタル、アイ・オブ・ニックスの2020年作
2作目となる本作は、激しいブラスト疾走とスローなアンビエント性とのメリハリがつき、
楽曲としての構築性が高まったという印象。妖しい女性ヴォーカルによる魔女感もたっぷりで、
けだるい浮遊感と暗黒の凶暴性が同居したという聴き心地である。グロウルの迫力も増していて、
ブラッケンな闇の中に、狂気めいた女性声が乗るところなどは、アヴァンギャルドな妖しさに包まれる。
演奏面での向上がサウンド全体の説得力も強くしていて、美しいソプラノヴォーカルも表現力が増している。
女性声のエクスペリメンタル・ブラックとして、底知れぬ可能性を感じさせるバンドになってきた。
神秘的度・・8 暴虐度・・7 魔女系ブラック度・・9 総合・・8
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Sur Austru 「Meteahna Timpurilor」
ルーマニアのフォーク・ブラックメタル、サー・アウストルの2019年作
NEGURA BUNGETのメンバーによるバンドで、優雅な笛の音で幕を開け、母国語によるヴォーカルと、
トレモロなギター、低音デスヴォイスをまじえて、神秘的な土着性に包まれたサウンドを描く。
ブラックメタルとしての激しさも残しつつ、スローパートなどでの荒涼とした涼やかな空気感は、
ペイガンな味わいに包まれていて、随所にシンセによるアレンジも加えつつ、甘すぎない叙情性とともに
ミステリアスな世界観を構築している。寒々しい土着性が感じられる硬派なフォークブラック作品です。
ドラマティック度・・7 ペイガン度・・7 神秘的度・・8 総合・・8
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BEORN'S HALL「IN HIS GRANITE REALM」
アメリカのペイガンメタル、ベオルンズ・ホールの2019年作
2017年にデビュー、1作目はBATHORYルーツのブラックメタルであったが、3作目となる本作は、
10分を超える4曲の大曲をメインに、わりと正統派のギターリフに咆哮するヴォーカルを乗せた、
ペイガン/ヴァイキングメタル寄りのサウンドを聴かせる。随所にメロディックな叙情を奏でるギターに
うっすらとしたシンセが重なり、ほどよくこもり気味の音質も含めて、幻想的な世界観を描き出す。
ときに激しくブラスト疾走するブラックメタル要素も残していて、ゆったりとした叙情パートとの緩急で
ファンタジックでエピックなペイガンブラックが楽しめる。ボーナスにはBATHORYのカヴァーを収録。
ドラマティック度・・7 ペイガン度・・7 幻想度・・8 総合・・7.5
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Mongol 「The Return」
カナダのフォークデスメタル、モンゴルの2018年作
2012年にデビューし、本作は3作目。バンド名通り、モンゴル帝国の歴史をテーマにした作品で、
東洋的な旋律に語りを乗せたイントロから、二胡や馬頭琴を思わせる民族的な音色にヘヴィなギター、
低音デス声ヴォイスを乗せて、勇壮なコーラスとともに重厚なフォーク・デスメタルを聴かせる。
Tengger Cavalryに比べると、わりとデスメタル色も強いのだが、ときおりシンセアレンジを加えた
シンフォニックデス風の壮麗さや、アジアンな旋律も随所に覗かせ、激しさと民族性のバランスも良いあんばいだ。
「ジンギス・カン」のカヴァーなどもなかなかハマっている。オリエンタルなメロデスとしても楽しめる強力作デス。
ドラマティック度・・7 フォーキー度・・7 重厚度・・8 総合・・8
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Screaming Savior 「千面無容」
中国上海出身のブラックメタル、スクリーミング・セイヴァーの2016年作
2009年にデビュー、本作は3作目となる。美麗なシンセにフォーキーな笛の音色、ダミ声ヴォーカルを乗せて、
激しい疾走感とシンフォニックな叙情美が同居した、クオリティの高いシンフォニック・ブラックメタルを聴かせる。
随所にノーマルヴォイスを乗せ、スローからミドルテンポなど、激しいだけでない緩急ある展開力と
確かな演奏力も含めて、アジアレベルを超えた音の迫力とドラマティックな世界観が味わえる。
ピアノとヴァイオリンによる優雅なインストナンバーを挟み、これぞシンフォニックブラックというラスト曲まで、聴き応えある力作だ。
ドラマティック度・・8 暴虐度・・7 美麗度・・8 総合・・8 過去作のレビューはこちら

Screaming Savior 「驚極幻見 (Boltzmann Brain)」
上海出身のブラックメタル、スクリーミング・セイヴァーの2019年作
中国語名を「驚叫基督楽隊」から「驚極楽隊」に改名しての最初の作品で、本作はタイトル曲のスタジオ音源に、
2018年の日本でのライブを6曲収録。ボーナスのDVDには、その日本公演の映像を収録。
タイトルは美麗なシンセにメロディックなギター、低音ダミ声ヴォーカルを乗せ、リズムチェンジを含む
起伏のある展開力で、よりスタイリッシュなシンフォニック・ブラックを聴かせる。ライブ音源は音がこもり気味で、
音質はブートレグレベル。DVD映像の方が迫力がある分まだ楽しめる。新宿WILD SIDEなのでステージは狭そうだが。
ドラマティック度・・7 暴虐度・・7 ライブ音源度・・7 総合・・7.5

ASA NOIR 「Fall of The Idols」
フィンランドのシンフォニック・ブラックメタル、アサ・ノアールの2014年作
2011年にデビュー、本作はフルアルバムとしての1作目。美麗なイントロで幕を開け、叙情的なツインギターに
低音ダミ声ヴォーカルを乗せて、Dimmu Borgirなどにも通じる質の高いシンフォニック・ブラックメタルを聴かせる。
随所に激しい疾走感も覗かせつつ、全体的には暴虐な激しさよりは、ピアノを含むクラシカルなシンセアレンジなど、
優美な感触が前に出ていて、リズムチェンジを含む緩急ある展開と知的な構築力も感じさせる。
ブラックメタルとしてのダークな味わいは希薄なので、むしろメロデスなどのファンにも楽しめるかも。
ドラマティック度・・8 暴虐度・・7 美麗度・・8 総合・・8
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Abyssic 「A Winter's Tale」
ノルウェーのドゥーム・デスメタル、アビィシックの2016年作
12分、28分、15分、22分という大曲4曲という構成で、重厚なギターにオーケストラルなシンセアレンジ、
低音デスヴォイスを乗せて、シンフォニックな壮麗さと暗黒美が同居した、ゴシック・ドゥームを聴かせる。
とにかく曲が長いので、気が短い方には向かないが、ときにピアノやコントラバスなどを加えての
クラシカルな優雅さと荘厳なスケール感に包まれたサウンドは、メタル寄りのELENDという雰囲気もある。
デスヴォイスの迫力は強いものの、耽美でオーケストラルな感触は、THERIONなどにも通じるだろうか。
曲によっては激しい疾走パートもありつつ、重厚にしてシンフォニックなゴシックデスメタルが楽しめる強力作だ。
シンフォニック度・・8 暗黒度・・8 重厚度・・9 総合・・8
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Ildra 「Edelland (Eðelland)」
イギリスのペイガンメタル、イルドラの2011年作
アコースティックなイントロ曲から、ノイジーなギターリフにダミ声ヴォーカルを乗せて、
土着的な空気に包まれた、ヴァイキング・ブラックメタルを聴かせる。粗削りな武骨さは、
MITHOTYNあたりにも通じるが、こちらはネイチャーブラック寄りの神秘性も感じさせる。
激しい疾走感はなく、基本的にミドルテンポ主体なので、強烈なインパクトはないのだが、
随所にメロディックなギターフレーズや土着リフを含んだ、ほどよい叙情性も含めて、8分、10分という
大曲もじっくりと聴かせる。派手さはないが、甘すぎない硬派なペイガンメタルを聴かせる好作品。
勇壮度・・8 疾走度・・5 ペイガン度・・8 総合・・7.5
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Iron Clad 「Lost in a Dream」
ベルギーのペイガンメタル、アイアン・クラッドの2002年作
ANCIENT RITESのVoが参加するバンドで、ジャケはわりと地味ながら、壮麗なイントロで始まり、
クサメロ気味のギターにシンセを重ね、ダミ声のヴォーカルを乗せた、ほどよくローカルな味わいの
シンフォニックなペイガンメタルを聴かせる。ややラウドな音質も含めて、田舎臭いマイナー感に包まれているが、
リコーダーやフルートの優美な音色にやわらかなシンセのメロディで、メディーヴァルな味わいも覗かせる。
楽曲はミドルテンポ主体で激しさはあまりないが、中盤には疾走するエピックなペイガンメタルナンバーもあったり、
初期のMITHOTYNのようなヴァイキングメタル的な勇壮なクサメロ感もなかなか良い感じだ。
勇壮度・・7 疾走度・・6 クサメロ度・・8 総合・・7.5
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11/20
スラッシュ、プログレメタル、ゴシックの秋(345)


Annihilator「Ballistic, Sadistic」
カナダのベテランメタルバンド、アナイアレイターの2020年作
1989年にデビュー、17作目の本作も、ジェフ・ウォーダーズの切れ味鋭いリフにパワフルなヴォーカルを乗せ、
スラッシーなアグレッションとクールなセンスが同居した、アナイアレイターらしいサウンドを聴かせてくれる。
たたみかける激しいドラムの迫力や、随所に聴かせる流麗なギターソロなど、メタリックな硬質さと
甘すぎない叙情のバランス感覚もさすがで、勢いある疾走ナンバーからミドルテンポまで、
どこを切っても隙のないエッジの効いたギターリフと巧みなフレーズで埋め尽くされている。
過去作からの雰囲気も随所に感じさせる、リフマスターとしての集大成的な聴き心地である。
ドラマティック度・・8 アグレッシブ度・・8 アナイア度・・9 総合・・8 過去作のレビューはこちら
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SODOM 「Agent Orange」
ドイツのスラッシュメタル、ソドムの3rd。1989年作
1984年デビュー、ジャーマンスラッシュを代表するベテランの代表作が、ボーナス追加で紙ジャケ再発された。
エッジの効いたギターリフと吐き捨てヴォーカルを乗せて突進する、ストレートなスラッシュメタルは、
過去2作に比べて、リズム面での演奏力の向上とともに、サウンドの迫力と硬質感を強めていて、
枯葉剤を意味するタイトル通り、戦争をテーマにしたシリアスなイメージとともに強固な説得力も加わった。
疾走一辺倒だけでなくリズムチェンジを含む展開力で、楽曲ごとのノリがあるので、スラッシュ入門用にも良いだろう。
トリオ編成でのソドムの完成形というべき強力なアルバムである。ギターのフランクは本作を最後に脱退するが、2018年に復帰を果たす。
ドラマティック度・・7 疾走度・・8 スラッシュ度・・9 総合・・8 過去作のレビューはこちら
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VOIVOD 「The Wake」
カナダのベテランメタルバンド、ヴォイヴォドの2018年作
1984年にデビュー、インテレクチュアルなスラッシュ、ハードコア、サイケなどを同居させた独自のサウンドで、
コアなファンも多いベテランバンド。本得は5年ぶりとなる15作目。重すぎないギターとダーティなヴォーカルを乗せて、
オールドスタイルで疾走する、80年代ルーツのサウンドに、奇妙な浮遊感を含んだ独自のサウンドは健在。
スラッシュ一歩手前というほどよい激しさと、クールなギターリフ、メロディック過ぎない偏屈な叙情性とともに、
ベテランにしか出せないスペイシーな世界観と、知的でプログレッシブな展開力も随所に覗かせる。
ラストは12分の大曲で、リズムチェンジや適度にメロディックな味わいも含んで、緩急自在に構築される。
前作「Target Earth」をさらにディープにしたような、これぞヴォイヴォド!という強力作である。
ドラマティック度・・8 インテレクチュアル度・・8 ヴォイヴォ度・・9 総合・・8 過去作のレビューはこちら
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Vinnie Moore 「Soul Shifter」
アメリカのギタリスト、ヴィニー・ムーアの2019年作
1985年にVicious Rumorsへの参加からキャリアをスタート、1986年にソロとなってデビューし、
2003年にはUFOへ加入する。本作はソロとして9作目となる。初期のネオクラシカル路線から、
近年は肩の力の抜けた、キャッチーなギターインストいう方向性になってきているが、
本作も前作からの路線で、メロディックで技巧的なギタープレイをたっぷりと聴かせてくれる。
ときにブルージーな大人の叙情をまぶした歌心のあるギターフレーズで、ゆったりとしたナンバーなども、
メロウな味わいでじつに耳心地良い。ハードな部分はほとんどないので、メタル系が苦手な方でも、
巧みなロックギターの名手として楽しめるだろう。ジョーダン・ルーデスやルディ・サードなどがゲスト参加。
メロディック度・・8 テクニカル度・・7 ギタープレイ度・・9 総合・・8
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VOYAGER 「Colours in the Sun」
オーストラリアのプログレメタル、ヴォイジャーの2019年作
2003年にデビュー、モダンなミクスチャー感覚を有したスタイリッシュなサウンドを描くこのバンド、
7作目の本作は、きらびやかなシンセアレンジに硬質なギターとマイルドなヴォーカルを乗せて
前作のDjent的なテクニカル性を覗かせつつ、そこにキャッチーなポップ感を加えたサウンドを構築する。、
楽曲は4分前後がメインでわりとシンプル。ドラマティックな盛り上がりや展開力の点では物足りなさはあるが、
キャッチーなメロディアス性とスタイリッシュなテクニカル性を巧みに同居させた、モダン派ProgMetalの逸品です。
ドラマティック度・・7 テクニカル度・・8 スタイリッシュ度・・9 総合・・8 過去作のレビューはこちら
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ICEFISH 「HUMAN HARDWARE」
イタリアのプログレメタル、アイスフィッシュの2017年作
ドラムにヴァージル・ドナティ、ギターにマルコ・スフォーリ(PFM)、ベース&ヴォーカルにアンドレア・カサリ(ASTRA)
シンセにはアレックス・アルジェントという名うてのメンバー参加したユニットで、硬質なギターにシンセを重ね、
エモーショナルなヴォーカルを乗せた、ほどよくキャッチーでスタイリッシュなProgMetalを聴かせる。
ドナーティの叩き出すテクニカルなドラムに、アルジェントのきらびやかなシンセワークも随所に輝いていて、
DREAM THEATERにも通じる優雅な技巧性を描きつつ、ヴォーカルをメインにしたメロディックな聴きやすさは、
よりモダンでキャッチーな作風といえる。楽曲自体は4~5分前後とわりとシンプルであるが、流麗なギターを乗せた
インストパートなどはなかなか魅力的なので、次作があれば大曲でのテクニカルな構築力などにも期待したい。
ドラマティック度・・7 テクニカル度・・8 スタイリッシュ度・・8 総合・・8
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Inner Strength 「The Common Theme」
アメリカのプログレメタル、インナー・ストレングスの2019年作
1993年に唯一のアルバム「Shallow Reflections」を残して消えたバンドの発掘音源で、
1994、95年のカセットリリースのデモ音源と、2nd用に録音された1995~96年の未発音源を収録。
ほどよくテクニカルなリズムに絡みつくようなギターリフと独特のハイトーンヴォーカルを乗せ、
PSYCHOTIC WALTZあたりを思わせる、いかにもマニア好みのProgMetalを聴かせる。
ミドルテンポの変則リズムとタメの効いたグルーヴィな浮遊感は、CONFESSORなどにも通じるだろう。
巧みなドラムや存在感あるベースをはじめ、演奏力もしっかりとしており、正規アルバムを聴きたかった。
ドラマティック度・・7 テクニカル度・・8 マニアック度・・9 総合・・7.5
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CALIGULA'S HORSE 「BLOOM」
オーストラリアのプログレメタル、カリギュラズ・ホースの2015年作
2011年にデビューし、本作が3作目となる。アコースティックギターにマイルドなヴォーカルで始まり、
やわらかなシンセに叙情的なギターでしっとりと聴かせつつ、ハードなリフが切り込んで来て
途端にテクニカルメタルの感触に変わる。変則リズムを含む、Djent的でもある硬質なグルーブ感に
エモーショナルな歌声が同居したスタイリッシュなプログレメタルで、曲によってはポストプログレ寄りの
優美な歌もの感も覗かせる。流麗なギターワークやテクニカルなリズムなど、演奏力の高さも光っていて、
メタルやプログレのボーダーを突き抜ける感覚も含めて、まさに新時代のProgMetalというべき強力作だ。
ドラマティック度・・8 テクニカル度・・8 スタイリッシュ度・・8 総合・・8 過去作のレビューはこちら
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Threshold 「For the Journey」
イギリスのプログレメタル、スレッショルドの2015年作
1993年デビューのベテラン、本作は10作目となる。適度にヘヴィなギターにシンセを重ね、
伸びやかなヴォーカルを乗せて、翳りを帯びた重厚でシンフォニックなサウンドを聴かせる。
きらびやかなシンセはわりとプログレ寄りで、随所に流麗なフレーズを奏でるギターと、
本作を最後に脱退する、ダミアン・ウィルソンの表現力ある歌声も含めて、安定した演奏力が光る。
12分という大曲では、ハードプログレとしても聴けるキャッチーな叙情性も覗かせながら、
間奏部ではほどよくテクニカルな展開美とともに、じっくりとドラマティックに構築してゆく。
ドラマティック度・・8 テクニカル度・・7 重厚度・・8 総合・・8 過去作のレビューはこちら
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My Dying Bride「The Ghost of Orion」
イギリスのゴシック・ドゥームメタル、マイ・ダイイング・ブライドの2020年作
1992年にデビュー、PARADISE LOSTとともに英国ゴシックメタルを代表するバンドで、本作は13作目となる。
ウェットな叙情を含んだギターにマイルドなヴォーカルを乗せた、耽美な倦怠に包まれた世界観と
咆哮するデスヴォイスを加えた、ダークで重厚なゴシック・ドゥームサウンドは本作も健在。
メロウなギターにヴァイオリやチェロの物悲しい音色を重ねたメランコリックな叙情性も覗かせて、
女性ヴォーカルによる優美なナンバーや、アンビエントな小曲などもアクセントになっている。
10分を超える大曲も、重厚な迫力と耽美なドラマ性でじっくりと聴かせる。さすがベテランという強力作。
ドラマティック度・・8 メランコリック度・・9 重厚度・・8 総合・・8 過去作のレビューはこちら
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ON THORNS I LAY 「THRENOS」
ギリシャのゴシックメタル、オン・ソーンズ・アイ・レイの2020年
1995年にデビュー、初期のゴシックデスメタルから、男女Voの耽美なゴシックメタル、さらには男性声のゴシックロックとなり、
2003年作を最後にいったん消えるも、2015年に復活、本作は通算9作目となる。前作からヴォーカルは男性のみになっていて、
本作では、重厚なツインギターに低音デスヴォイスを乗せた、MY DYING BRIDEにも通じる迫力あるゴシックメタルを聴かせる。
ウェットな叙情を感じさせるギターフレーズや、ときにシンセやヴァイオリンなどによる美しいアレンジも加わって、
重厚にして耽美な世界観に包まれたサウンドは、過去最高といってよい強度と説得力である。キャリア25年にして、
PARADISE LOSTMY DYING BRIDEにも引けを取らない、これぞゴシックメタルというべき傑作が完成した。
ドラマティック度・・8 ゴシック度・・9 重厚度・・8 総合・・8 過去作のレビューはこちら
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Darkher 「Realms」
イギリスのゴシック・ドゥームメタル、ダークハーの2016年作
Jayn Maivenさんによる個人ユニットで、うっすらとしたシンセに重厚なギターを重ね、
はかなげな女性ヴォーカルの歌声を乗せた、妖しくメランコリックなサウンドを聴かせる。
フューネラルな暗黒性とドゥーミィな空気感は、My Dying Brideあたりにも通じるが、
こちらは女性声をメインにしている分、より耽美な味わいで、シンセとアコースティックギターによる
ゴシックアンビエント風味や、物悲しいヴァイオリンにヘヴィなギターが重なるダークな迫力が同居している。
ヴォーカルは歌というよりはウィスパーの雰囲気なので、とらえどころのなさがいくぶんもどかしい。
ドラマティック度・・7 耽美度・・8 重厚度・・8 総合・・7.5
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Nangilima 「The Dark Matter」
ブルガリアとスペインの混成メンバーによるゴシック・デスメタル、ナンギリマの2014年作
重厚なギターにシンセを重ね、低音デスヴォイスを乗せた、ドゥーミィな世界観に包まれた作風。
AHABなどにも通じるフューネラルな暗黒性と、叙情的なギターフレーズに美しいシンセによる、
ゴシックデス的な耽美な雰囲気も同居していて、ダークでありながらも幻想的な聴き心地。
どっしりとしたドゥームデスメタルであるが、スローテンポ過ぎないので、8分、9分という大曲も、
さほど長尺感はなく、迫力あるサウンドをじっくりと構築する。随所に美麗なシンセワークも際立っていて、
デス寄りのゴシックメタルとしても楽しめるかもしれない。重厚にして耽美な味わいの力作だ。
ドラマティック度・・7 重厚度・・8 耽美度・・8 総合・・8
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The Gates of Slumber 「Wretch」
アメリカのドゥームメタル、ゲイツ・オブ・スランバーの2011年作
2004年にデビュー、本作は5作目となる。アナログ感たっぷりのギターリフに野太いヴォーカルを乗せた、
Black Sabbathルーツのオールドスタイルのドゥームメタルを聴かせる。どっしりとしたスローテンポの重厚さは、
初期のCathedralにも通じる感触で、ダークな妖しさとともに、ほどよくウェットなドラマ性を感じさせる。
マイルドな歌声でゆったりとした叙情を聴かせるパートなど、エピックドゥーム的な世界観も良い感じで、
重すぎない、武骨すぎない作風も良いですな。ラストは12分という大曲で、新しいものはなにもないが、
これぞドゥームメタル!というサウンドが楽しめる。正統派ドゥーム好きにはお薦めの強力作です。
ドラマティック度・・8 ドゥーム度・・9 古き良き度・・8 総合・・8
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After All 「Mercury Rising」
ベルギーのスラッシュメタル、アフター・オールの2002年作
1995年にデビュー、本作は4作目で、ツインギターのリフにほどよくパワフルなヴォーカルを乗せた、
オールドな感触のスラッシュメタル。適度にメロディも含んだギターはパワーメタル的でもあり、
激しすぎない疾走感は、EXODUSなどの80年代のベイエリア・スラッシュにも通じる聴き心地だ。
METALLICAなどを思わせるミドルやスローテンポのナンバーなど、疾走スラッシュを期待する向きには
やや物足りないかもしれないが、オールドメタルとしては普通に楽しめる。強いインパクトはないのものの、
キャリアのあるバンドらしい安定した演奏力はさすがというところ。スラッシーなパワーメタルという好作品。
ドラマティック度・・7 疾走度・・7 古き良き度・・8 総合・・7.5
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11/6
秋のブラック&デスメタル(330)


Children Of Bodom 「Hexed」
フィランドのメロディック・デスメタル、チルドレン・オブ・ボドムの2019年作
1997年にデビューしてから、通算10作目となる。前作のモダンヘヴィネス路線は正直、微妙であったが、
本作はザクザクとしたギターリフにきらびやかなシンセワーク、ダミ声ヴォーカルを乗せた、
いくぶんオールドスタイルを意識したような作風となっている。リフ主導のスラッシュメタル風味に、
ほどよくメロディックな旋律を盛り込んで、激しすぎず、重すぎずという聴き心地で楽しめる。
随所に耳を引く流麗なギターフレーズは、さすがアレキシ・ライホというセンスで、美麗なシンセとともに、
キャッチーな味わいを描く質の高さは見事。わりとミドルテンポ多めであるが、チルボドらしさはたっぷり。
メロディック度・・7 暴虐度・・7 チルボ度・・8 総合・・8 過去作のレビューはこちら
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A CANOROUS QUINTET 「THE ONLY PURE HATE - MMXVIII」
スウェーデンのメロディック・デスメタル、キャノラス・クインテッドの2018年作
1995年にデビュー、アルバム2枚を残して消えるも、2006年になって、バンド名をThis Endingとして活動再開、
2012年になると、A CANOROUS QUINTET名義で復活する。本作は1998年作のリレコーディング作品で、
ツインギターの叙情フレーズにダミ声ヴォーカルを乗せて疾走する、90年代北欧メロデスの王道サウンド。
扇情的な泣きのギターは、初期IN FLAMESあたりを思わせ、初期DARK TRANQUILLITYの疾走感が合わさった、
これぞオールドスタイルのメロデスという聴き心地でにんまりである。11分を超える3部構成の組曲も含めて、
20年後に再録音するだけの見事な力作である。1996年の1作目も北欧メロデスの傑作なのでチェックすべし。
ドラマティック度・・8 暴虐度・・7 北欧メロデス度・・9 総合・・8 過去作のレビューはこちら
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WHITE STONES 「KUARAHY」
スペインのデスメタル、ホワイト・ストーンズの2020年作
OPETHのベーシストMartin Mendez率いるバンドで、オールドな味わいのギターに低音デスヴォイスを乗せ
ほどよくテクニカルなアンサンブルで聴かせるデスメタル。ドラムもギターも随所に技巧的なプレイを覗かせ、
うねりのあるグルーブ感には、ヴィンテージなアナログ感触も匂わせる。楽曲自体には、派手な展開はなく、
激しさも控えめながら、ギターのリフレインによるサイケなトリップ感覚や、OPETHに通じる雰囲気も覗かせ、
プログレッシブなデスメタルが楽しめる。楽曲は4~5前後とわりとシンプル。全41分というのもアナログ的デスね。
ドラマティック度・・7 暴虐度・・6 ヴィンテージ度・・8 総合・・7.5
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Monstrosity 「The Passage of Existence」
アメリカのデスメタル、モンストロシティの2018年作
1992年にデビュー、本作は2007年以来、11年ぶりとなる6作目。オールドなギターリフに低音デスヴォイスを乗せて、
激しく疾走しつつ、リズムチェンジを含むテクニカルな展開力で聴かせるスタイルは、かつての作風を踏襲している。
MALEVOLENT CREATIONあたりに通じるオールドスタイルのデスメタルながら、激烈さはわりと控えめで、
叙情的なギターフレーズも覗かせるなど、プログレッシブ・デス的な感触は、DEATHなどが好きな方にも楽しめる。
一方ではトレモロのギターでブラスト疾走するブラッケンな激しさもあったりして、ほどよくメロディックな味わいも含めて、
重すぎない聴きやすさが良いですね。個人的には、もっと思い切った展開力で、さらにプログレデス化してもらいたい。
ドラマティック度・・7 暴虐度・・8 テクニカル度・・7 総合・・8 過去作のレビューはこちら
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Behemoth 「Messe Noire」
ポーランドのブラックメタル、ベヒーモスのライブ作品。2018年作
1993年デビューのベテラン、いまや世界レベルのブラックメタルバンドというべき存在だろう。
本作は、2016年のポーランドでのステージを収録した、CD+Blu-rayの2枚組。不穏なイントロで幕を開け、
激烈にブラスト疾走するドラムに、ツインギターのリフと迫力たっぷりのグロウルヴォーカルを乗せて、
サタニックなブラックメタルを繰り広げる。スローからミドルテンポの重厚なパートもわりと多めなので、
暴虐一辺倒で聴き疲れすることもない。この荘厳な迫力は確かな演奏力と、ベテランならではの説得力と言えるだろう。
ブルーレイには、ポーランドのライブ完全版(CDより6曲多い)に加え、2016年チェコでのステージを追加収録、
合計3時間におよぶ2つのライブが楽しめるという、まさにベヒモスファンは必見のライブ作品デス。
ライブ演奏・・9 ライブ映像・・8 激烈度・・9 総合・・8 過去作のレビューはこちら
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CEREMONY OF SILENCE 「OUTIS」
スロバキアのブラック・デスメタル、セレモニー・オブ・サイレンスの2019年作
G/B/VoとDrによる二人組ユニットで、不穏なギターリフと低音グロウルヴォイスを乗せて激しくブラスト疾走する、
BEHEMOTHにも通じるような、重厚でブルータルなサウンドを聴かせる。リズムチェンジを含むテクニカルな感触と、
暗黒の闇に包まれた荘厳な空気が合わさって、迫力たっぷりのブラッケンなデスメタルとしても楽しめる。
激烈なリズムを叩き出すドラムの技量もかなりのもので、硬派な暴虐性による圧殺感が味わえつつ、
随所にブラックメタル風の暗黒美も感じさせる。媚びのないブルータルデスにブラックが合わさった強力作。
暗黒度・・9 暴虐度・・8 重厚度・・8 総合・・7.5
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FUNERIS NOCTURNUM 「From The Aspect Of Darkly Illuminated」
フィンランドのブラックメタル、フューネリス・ノクターナムの2001年作/邦題「聖なる復讐」
暴虐サタニック・ブラックの頂点を極めたような前作から、2作目となる本作は、トレモロを含むギターリフに
うっすらとしたシンセとダミ声ヴォーカルを乗せて激しくブラスト疾走しつつ、いくぶんモダンになった印象。
ミドルやスローテンポを盛り込んだ緩急ある構築力と、ほどよく叙情を感じさせるギターフレーズ、
美麗なシンセアレンジとともに、シンフォニックでメロディックブラック的な聴きやすさも増している。
マシンガンのような激烈なドラムの迫力など、リズム面での演奏力の高さはやはりシーン屈指で、
低音グロウルを含むヴォーカルの表現力も見事。デスメタル寄りの部分は、BEHEMOTHにも通じるかも。
ボーナストラックは、MANOWARのデスメタル風カヴァー。ボーナス入れて全37分ながら、わりと濃密デス。
ドラマティック度・・7 暴虐度・・8 荘厳度・・8 総合・・8 過去作のレビューはこちら
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MORK 「Det Svarte Juv」
ノルウェーのブラックメタル、モークの2019年作
Thomas Eriksen氏による独りブラックメタルで、2007年にデビュー、本作は4作目になる。
ノイジーなギターにうっすらとしたシンセ、恐ろしげなダミ声ヴォーカルを乗せてブラスト疾走、
BURZUMを受け継ぐような、アンダーグラウンドな空気に包まれたブラックメタルを聴かせる。
いくぶんこもり気味の音質もいかにもプリミティブな感じであるが、ギターのリフやフレーズには適度な叙情もあり、
寒々しい北欧の土着感が味わえる。ミドルテンポのパートもわりと多く、全体的にも暴虐すぎず、演奏力の点でも
しっかりしているので、プリブラ初心者でも楽しめるだろう。なかなかドラムが上手いと思ったら、ドラマーだけは別の人らしい。
ドラマティック度・・8 暴虐度・・7 プリミティブ度・・8 総合・・7.5
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PHLEGEIN 「DEVOTION」
フィンランドのブラックメタル、フィレゲインの2018年作
FORGJORD、HORNAなどで活躍するメンバーによるユニットで、2010年にデビューし、本作は4作目。
ノイジーなギターに絶叫するダミ声ヴォーカルを乗せて激しく疾走する、プリミティブなブラックメタル。
トレモロを含んだ適度な叙情性も感じさせつつ、ザラついたギターリフによるブラッケンな感触とともに、
ほどよくラウドな音質も含めて、これぞプラックメタルというダークなサウンドが楽しめる。
オールドスタイルのブラックとしては、これといって突出したものは感じないが、暴虐すぎずメロ過ぎず、わりとバランスがよい。
ドラマティック度・・7 暴虐度・・7 プリミティブ度・・8 総合・・7.5

Wolves In The Throne Room 「Live At Roadburn 2008」
アメリカのブラックメタル、ウルヴズ・イン・ザ・スローン・ルームのライブ。2009年作
2005年にデビュー、自然崇拝ブラックメタルとして注目を浴び、いまやカスカディアンブラックの代表とされる。
本作は2008年オランダでのライブを収録。全4曲ながら、10~20分という大曲ばかりで、合計57分。
トレモロのギターリフにダミ声ヴォーカルを乗せて、激しくブラスト疾走するサウンドは、
生々しいライブ感とともに迫力たっぷりで、ミステリアスな世界観はスタジオ盤と遜色ない。
音質もクリア過ぎず、悪すぎずという絶妙なあんばいで、暴虐ブラストもほどよくスカスカで気持ちよい。
自然崇拝ブラックとしての雰囲気をしっかりと詰め込んだ、ファンは必聴のライブだろう。
ライブ演奏・・8 暴虐度・・8 ミステリアス度・・8 総合・・8 過去作のレビューはこちら
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CRIMSON THRONE 「OF VOID & SOLITUDE」
イギリスのブラックメタル、クリムゾン・スローンの2017年作
トレモロを含むギターリフにダミ声ヴォーカルを乗せて、スペイシーな神秘性に包まれたサウンドで、
随所にポストプラック的な適度な叙情性も感じさせる。激しいブラスト疾走もありつつ、シンセを使ったアレンジなど
暴虐さよりはミステリアスな味わいに包まれていて、初期のBURZUMをカスカディアン風にした聴き心地ともいえる。
茫漠としたアンビエントなパートも挟みつつ、緩急ある流れとスケールの大きな世界観で描いてゆきながら、
あくまでモノトーンの硬派なイメージなのでメロディックなフックはさほどない。7~8分の長めの楽曲などでも、
わりと淡々とした雰囲気なので、ここぞとたたみかけるような荘厳な迫力がもう少し欲しいか。
ドラマティック度・・8 暴虐度・・7 ミステリアス度・・8 総合・・7.5
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The Negative Bias 「Narcissus Rising - A Metamorphosis In Three Acts」
オーストリアのブラックメタル、ネガティブ・バイアスの2019年作
2017年にデビューし、本作は2作目。21分、20分という大曲2曲の構成で、トレモロを含むギターリフに、
咆哮するデスヴォイスを乗せて激しくブラスト疾走、禍々しくもスペイシーなスケール感に包まれた、
神秘的なブラックメタルを展開する。随所にシンセを加えた厚みのあるサウンドの迫力と、
ダークな静謐パートやスローテンポなどの緩急ある構築力で、ドラマティックな世界観を描く。
手数の多いドラムの演奏力もかなりのもので、暴虐な激しさと知的な展開美が同居した、
プログレッシブなブラックメタルが好きな方にも楽しめる。ラストはアンビエントなパートが続きます。
ドラマティック度・・8 暴虐度・・8 神秘的度・・8 総合・・8
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Darkened Nocturn Slaughtercult 「Nocturnal March」
ドイツのブラックメタル、ダークエンド・ノクターン・スローターカルトの2004年作
ポーランド人女性Voを擁するバンドで、トレモロを含むノイジーなギターに絶叫ヴォーカルを乗せて
激しくブラスト疾走する、初期ノルウェイジャンブラックをルーツにしたプリミティブな暗黒性に包まれたサウンド。
激烈なドラムの迫力と女性声ながらも凶悪なヴォーカルで、たたみかける邪悪なオーラも説得力十分。
リズムチェンジを含む緩急の付け方や、甘すぎない程度のかすかな叙情を覗かせるところなども見事で、
本格派ブラックメタルとしての荘厳な迫力と、ミステリアスな暗黒美が同居したという聴き心地である。
ラストのタイトル曲のヤバいほどの恰好良さ。EMPERORMARDUKにも並べる強固な世界観を感じさせる傑作だ。
暗黒度・・9 暴虐度・・9 荘厳度・・9 総合・・8.5
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Darkened Nocturn Slaughtercult 「Hora Nocturna」
ドイツのブラックメタル、ダークエンド・ノクターン・スローターカルトの2006年作
前作同様の路線で、トレモロ入りのギターに女性ダミ声を乗せて疾走する、ミスティックなブラックメタルが炸裂。
ミドルプラストから高速ブラストビートへというリズムチェンジなど、技量のあるドラムを中心とした確かな演奏力が
荘厳な迫力となっていて、まさに漆黒の闇に包まれるような雰囲気が味わえる。前作に比べるとシンプルに突進する
激烈な圧殺系ナンバーが増えていて、叙情性というのはほとんどないのだが、これはこれで潔い作風で、
激しい疾走系ブラックが好きな方にはたまらないだろう。妖しい詠唱を乗せたタイトルナンバーをはさんで、
ラストの8分の大曲までブラストしまくりでたたみかける。邪悪で激烈なモノホンのブラックメタルが楽しめる強力作。
暗黒度・・9 暴虐度・・9 荘厳度・・9 総合・・8
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Abhor 「Ritualia Stramonium」
イタリアのブラックメタル、アブホーの2015年作
2001年にデビュー、本作は5作目となる。カルトでエロチックなジャケや裏ジャケに惹かれるが、
サウンドの方もややノイジーなギターにオルガンを含むシンセ、絶叫ゲボ声ヴォーカルを乗せた
いかにもカルトなブラックメタルを聴かせる。随所に激しいブラスト疾走するパートもありつつ、
ドゥームメタル的な感触や、チャーチオルガンが妖しく鳴り響く、耽美な世界観もなかなか良い感じです。
激しすぎないオールドな聴き心地に、北欧勢のダークさとはまた違った、地下臭さが味わえる。
まさにジャケのイメージ通りの音なので、妖しげな耽美派ブラックメタルがお好きならいかが。
ドラマティック度・・7 暴虐度・・7 カルト度・・9 総合・・7.5
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10/24
秋の正統派メタル(315)


U.D.O. 「We Are One」
イギリスのメタルバンド、ユー・ディー・オーの2020年作
ウド・ダークシュナイダー率いるバンドと、ドイツ連邦音楽隊オーケストラとの共演作で、
ダーティな歌声を乗せた正統派メタルのバンドサウンドを、壮麗なオーケストラが包み込む。
ますますしわがれたウドのヴォーカルは、正直これという魅力はないような気がするのだが、
ゲストによる女性ヴォーカルやオケとのコントラストで、いままでにない味わいになっている。
随所に流麗なフレーズを奏でるギターやキャッチーな歌メロ、女性ヴォーカルのバラードから、
ケルティックなインスト、さらにはファンク風のナンバーななど、バラエティ豊かな作風で、むしろオーケストラ入りの
シンフォニックメタル的な楽しみ方もできる。タイトルのように世界へのメッセージが込められた、全74分の力作だ。
ドラマティック度・・7 壮麗度・・8 重厚度・・8 総合・・8
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Warkings 「Revenge」
国籍不明のメロディックメタル、ウォーキングスの2020年作
戦士のコスプレに身を包んだ4人組による2作目。古代ローマやギリシャ、十字軍、ヴァイキングなど、
戦いをテーマにした世界観で、バトルメタルというべきパワフルな正統派メタルサウンドを聴かせる。
NANOWARSABATONなどにも通じるエピックな勇壮さに包まれながら、歌メロ自体はキャッチーで、
HAMMERFALLなど、北欧メロパワ的でもあるほどよいクサメロ感とともに、メロディックな味わいで楽しめる。
曲によってはデス声を使ったり、逆にメロハー風のキャッチーなナンバーもあったりと、わりと曲調に幅はあるのだが、
やはり魅力的なのは勇壮なコーラスなどのエピックな部分なので、頑固一徹のバトルメタル路線を目指してもらいたい。
ドラマティック度・・7 正統派度・・8 勇壮度・・8 総合・・8 過去作のレビューはこちら
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Enforcer 「Zenith」
スウェーデンのメタルバンド、エンフォーサーの2019年作
2008年にデビューし、そのコテコテのオールドメタルっぷりが話題となり、一躍人気バンドへ。
5作目となる本作は、のっけから80年代LAメタルのようなキャッチーなサウンドで、思わずニヤリ。
その後も歌モノ的なミドルテンポから、初期のような疾走ナンバー、シンセ入りのバラード、
MANOWARにも通じるどっしりとした三連メタルナンバーや、変拍子入りのプログレメタル風など、
いつになくバラエティに富んだ作風で、これらも当然、確信犯的なアレンジなのだろうと思う。
トータルな完成度では前作には及ばないが、好き勝手やっている楽しさこそ本作の魅力だろう。
ドラマティック度・・7 正統派度・・7 古き良き度・・8 総合・・8 過去作のレビューはこちら
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BLACK MAJESTY 「CHILDREN OF THE ABYSS」
オーストラリアのメロディックメタル、ブラック・マジェスティの2018年作
2003年にデビュー、本作は7作目となる。王道のギターリフにハイトーンヴォーカルを乗せて疾走する
正統派のメロパワサウンドは今作も不変。楽曲は4~5分前後とわりとシンプルであるが、
キャッチーなメロディのフックとともに、ジャーマンメタル的なクサメロ感を随所に盛り込みながら、
キャリアのあるバンドらしい強固な説得力を描くのはさすが。新しいものは何もないがこれでいい。
メロディアスだがエピックな勇壮さが同居した、日本人好みの正統派メロパワの強力作ですな。
メロディック度・・8 疾走度・・8 正統派度・・8 総合・・8 過去作のレビューはこちら
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KAIROS 「QUEEN OF THE HILL」
アメリカのメタルバンド、カイロスの2019年作
2015年にデビューし、2作目となる。ツインギターのリフにハイトーンヴォーカルを乗せて、
適度な疾走感で聴かせる、80年代ルーツのいかにもオールドなメタルサウンド。
初期METALLICAのようなエッジの効いたリフや、ほどよくキャッチーなLAメタル風味、
どっしりしとたミドルテンポからスピードメタル的な疾走感まで、一本調子にならない
緩急あるアレンジセンスはなかなかのもので、リズムチェンジを含んだ知的な展開力は、
CRIMSON GLORYなどが好きな方にも楽しめるだろう。NWOTHM期待の新鋭です。
ドラマティック度・・7 古き良き度・・8 正統派度・・8 総合・・8
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KOBRA and The LOTUS「PREVAIL II」
カナダのメタルバンド、コブラ・アンド・ザ・ロータスの2018年作
女性ヴォーカルをフロントにした正統派のメタルサウンドで、本作は2017年作の続編となる5作目。
メタリックなギターリフにコブラ・ペイジ嬢の伸びやかな歌声を乗せた、オールドスタイルのハードロックは
これまで通りのスタイルで、ほどよいヘヴィさとキャッチーな感触が同居したサウンドが楽しめる。
パワフルでありなから、随所に女性らしい美しさも含んだヴォーカルの表現力も上がっていて、
楽曲的にはこれという新鮮味はないのだが、適度なアグレッシブさも含んだ感触とともに
英国メタルをルーツにした古き良き正統派のスタイルで、じっくりと聴かせる好作品だ。
ドラマティック度・・8 古き良き度・・8 女性Vo度・・8 総合・・8 過去作のレビューはこちら
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Angel Witch 「Angel of Light」
イギリスのメタルバンド、エンジェル・ウィッチの2019年作
NWOBHMを代表するバンドで、80年代に3作を残して消えるが、2012年に25年ぶりとなるアルバムで復活。
本作は7年ぶりとなる復活2作目で、オリジナルメンバーは、ギター&ヴォーカルのケヴィン・ヘイボーンのみだが、
古き良きトーンのギターリフにウェットな味わいのヴォーカルを乗せた、まさしく80年代NWOBHMの続きを思わせる
オールドなブリティッシュHMを聴かせる。ヘヴィ過ぎないサウンド、上手すぎないヴォーカルが、ほどよいマイナー感で
かつての英国メタルの美学を蘇らせるようだ。適度な叙情性を感じさせるギターも絶妙で、これという新しいインパクトや
キラーチューンはないのだが、80年代の世界観をそのまま作り上げていることに敬意を表したい。これぞエンジェル・ウィッチである。
ドラマティック度・・8 古き良き度・・9 エンジェルウィッチ度・・9 総合・・8 過去作のレビューはこちら
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Avatarium「The Fire I Long For」
スウェーデンの女性Voドゥームメタル、アヴァタリアムの2019年作
CANDLEMASSのレイフ・エドリングを中心に2013年にデビュー、2nd発表後にエドリングは脱退しているが、
楽曲提供などでは関わっていて、本作もほどよくヘヴィなギターリフにオルガンなどのシンセを重ね、
艶めいた女性ヴォーカルを乗せたヴィンテージなドゥームメタルは健在。随所に叙情的なフレーズを覗かせるギターに、
紅一点、ジェニー・アン・スミス嬢の歌声も妖しく楽曲を彩っていて、サウンドにウェットなドラマ性を加えている。
重厚ではあるが決して重すぎず、適度にキャッチーな聴きやすさがあるのも、このバンドの魅力だろう。
ドラマティック度・・8 重厚度・・8 ヴィンテージ度・・8 総合・・8 過去作のレビューはこちら
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QUAYDE LAHUE 「LOVE OUT OF DARKNESS」
アメリカのメタルバンド、クアイデ・ラヒューの2019年作
CHRISTIAN MISTRESSのメンバーを中心にしたバンドで、デモ音源に続く1stフルバムが完成。
いかにもオールドなギターに、ハスキーな女性ヴォーカルを乗せた、70~80年代風のサウンドで、
いくぶんこもったアナログ的な音質も含めて、確信犯的な古めかしさを漂わせるスタイルだ。
随所にツインギターによる叙情的なメロディも覗かせて、ときに疾走するスピードメタル風味や
JENNA嬢の艶めいた歌声で、魔女系ロックの雰囲気も感じさせる。オールドスタイルを追求したような
ヴィンテージなギターフレーズや、なんとなく恥ずかしいジャケの80年代感覚まで、すべてが古臭い逸品。
ドラマティック度・・7 古き良き度・・9 女性Vo度・・7 総合・・8
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GHOST 「PREQUELLE」
スウェーデンのカルト・ハードロック、ゴーストの2018年作
2010年にデビュー、ヴィンテージなサイケハードにダークなドラマ性を加えた世界観で人気のバンド。
4作目となる本作も、オルガンを含むシンセにほどよくハードなギターに、シアトリカルなヴォーカルを乗せた、
オールドスタイルのハードロックを聴かせる。今作は、ドゥーム要素を含んだヴィンテージな味わいだけでなく、
曲によってはキャッチーでエモーショナルだったり、プログレハード的なインストなど、わりとスタイリッシュなアレンジで、
これまで以上にバラエティに富んだ内容。過去作のオールドなスタイルが好きな方には痛し痒しかもしれないが、
一般的にはメロディックに、より聴きやすくなったと言えるだろう。全41分という、80年代的なボリューム感もさすが。
キャッチー度・・8 ヴィンテージ度・・7 シアトリカル度・・7 総合・・8 過去作のレビューはこちら
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SARATOGA 「Morir En El Bien - Vivir En El Mal」
スペインのメロディックメタル、サラトガの2016年作
1995年にデビュー、Tierra Santaとともにスパニッシュ・メロパワの中堅というべきバンド。
本作も、バワフルなギターリフにスペイン語のハイトーンヴォーカルを乗せて疾走する、
正統派のメタルサウンドを聴かせる。メロディのフックにはクサメロ寄りのキャッチーさもあり、
オールドスタイルのメロパワ感触とのちょうどよいバランスで、初心者でも安心して楽しめる。
さほど新鮮味はないが、キャリアのあるバンドらしい高品質なスパニッシュ・メロパワ作品です。
メロディック度・・8 正統派度・・8 スパニッシュ度・・8 総合・・8 過去作のレビューはこちら
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Mandragora Negra 「Imparable」
スペインのメロディックメタル、マンドラゴラ・ネグラの2015年作
2012年にデビュー、本作は2作目となる。きらびやかなシンセアレンジにスペイン語のヴォーカルを乗せ、
キャッチーなメロディアス性とともにほどよく疾走する、優美なメロディックメタルサウンド。
初期のAVALANCHをさらに優雅にしたような聴き心地で、ときにメロハー的でもあるポップ性も含んだ
爽やかなメロディアス性が楽しめる。スパニッシュな濃密さも感じさせつつ、疾走するメロスピナンバーも、
ライトで爽快な味わいなので、パワフルなサウンドが好みの方にはいくぶん軟弱に聴こえるかもしれない。
随所にメロディックなギターの旋律も覗かせつつ、キャッチーな歌メロとシンセで壮麗なサウンドを描く好作品だ。
メロディック度・・8 優美度・・8 スパニッシュ度・・8 総合・・8 過去作のレビューはこちら
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Sacred Blood 「Argonautica」
ギリシャのエピックメタル、セイクレッド・ブラッドの2015年作
2008年にデビューし、3作目。ギリシア神話の秘宝「金羊毛」とドラゴンが描かれたジャケのように、
叙事詩「アルゴナウティカ」をテーマにした作品で、ナレーションを乗せた映画的なイントロから、
オーケストラルなシンセにギターを重ね、パワフルなヴォーカルとともに正統派のエピックメタルを展開する。
随所に勇壮なコーラスを加えて、メロディックなギターの旋律にシンセによる優美な味わいも含んだ、
ファンタジックな世界観に包まれて、前作以上にエピカルでスケールの大きなサウンドが楽しめる。
英雄イアソンとアルゴー船の冒険が目に浮かぶような、シネマティックな正統派メタルの強力作。
ドラマティック度・・8 正統派度・・8 エピック度・・8 総合・・8 過去作のレビューはこちら
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ARMOUR
フィンランドのメタルバンド、アーマーの2009年作
メタTにガンベルト姿の4人組で、シンプルなギターにダーティなハイトーンヴォーカルを乗せた
初期のSAXONあたりにも通じる、いかにも80年代ルーツのオールドなHR/HMを聴かせる。
曲によっては、かつてのRATTのようなアメリカンHR的でもあるキャッチーな感触もありつつ、
中盤にはB級スピードメタル的な疾走ナンバーなども良い感じだ。全体的に音は軽めで、
スラッシュメタルみたいなジャケから激しいのを想像すると、肩透かしを食うのでご注意を。
80年代メタルを素直に追求したという微笑ましさでもって楽しめる、全10曲39分です。
ドラマティック度・・7 わりとキャッチー度・・8 古き良き度・・8 総合・・7.5
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AZTRA 「INSURGENTE」
エクアドルのメタルバンド、アストラの2006年作
ジャケやメンバー写真は武装組織のような物騒な感じであるが、語りを乗せた民族的なイントロから、
美麗なシンセとギターを重ねて疾走、キュートな女性ヴォーカルを乗せたメロスピを聴かせる。
たどたどしいツーバスのドラムなどはいかにもアマチュアレベルで、スペイン語によるヴォーカルも、
辺境的なマイナー臭さをかもしだしているが、クサメロのギターフレーズとともに、微笑ましく楽しめる。
フルートやパンパイプ、ヴァイオリンなどの民族的な音色も、ほどよくローカルな味わいになっていて、
アコースティックギターによるしっとりとしたバラードナンバーなどでは、女性声の魅力もよく出ている。
激しさよりもクサメロ路線が似合いそうなので、どうせなら辺境的なマイナー臭さを極めてもらいたい。
ドラマティック度・・7 疾走度・・7 女性Vo度・・7 総合・・7
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10/9
シンフォニックメタルとメロパワの秋(300)


Fairyland「Osyrhianta」
フランスのシンフォニックメタル、フェアリーランドの2020年作
2003年にデビュー、11年ぶりとなる4作目。Windroseのフランセスコ・カヴァリエリをシンガーに迎えた本作は、
過去作のファンタジックなコンセプトストーリーを踏襲し、シネマティックな語りによるイントロから始まり、
壮麗なシンフォニックアレンジにパワフルなヴォーカルとクワイアを重ね、スケール感のあるサウンドを構築。
随所にキャッチーなメロディを覗かせつつ、エピックな勇壮さを感じさせるフランセスコの独特の歌声も、
バンドの新たな個性となっている。1作目のシンガーを務めた、元Dark Moorのエリサ・マーティンがゲスト参加、
ハスキーな歌声を乗せたナンバーもアクセントになっている。アルバム後半には優雅なインストナンバーから、
12分という大曲もあって、RHAPSODYばりの壮大な世界観のシンフォニックメタルを展開する。
シンフォニック度・・8 疾走度・・7 エピック度・・8 総合・・8 過去作のレビューはこちら
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Qantice 「The Anastoria」
フランスのシンフォニックメタル、カンタイスの2019年作
女性ベース、女性ヴァイオリン奏者を擁する5人編成で、本作は5年ぶりとなる3作目。
優美なシンセとヴァイオリンにギター重ねたイントロから、硬質なギターリフを乗せて激しく疾走、
シンフォニックなアレンジとハイトーンヴォーカルで、優雅でファンタジックなサウンドを描き出す。
RHAPSODYのような壮麗なスケール感と緩急ある展開力で、スタイリッシュに構築するサウンドは、
単なるメロスピやシンフォニックメタルという以上に、華やかでプログレッシブな味わいが楽しめる。
キャッチーなメロディのフックと爽快な疾走感、クラシカルな美意識に包まれた楽曲は、傑作未満だった前作から、
アレンジ面でもぐっとスケールアップしていて隙がなくなった。まさに華麗なる傑作というべき会心の出来である。
シンフォニック度・・8 疾走度・・8 壮麗度・・9 総合・・8.5 過去作のレビューはこちら
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FOURTH CIRCLE 「WORLDS」
フランスのシンフォニックメタル、フォース・サークルの2020年作
2013年にデビューし、本作は3作目となる。ファンタジー映画のようなコンセプト作品で、
オーケストラルなイントロから、メタリックなギターに美麗なシンセなアレンジを重ね、
艶めいた女性ヴォーカルを乗せた、エピックな味わいのシンフォニックメタルを聴かせる。
激しすぎない楽曲とフェミニンな歌声も含めて、ゴシックメタル的な耽美な雰囲気もあり、
優雅なオーケストラアレンジとともに、Nightwishなどに通じる味わいでも楽しめる。
エモーショナルな女性ヴォーカルの魅力も十分で、スケール感のある壮麗なる力作です。
シンフォニック度・・8 壮麗度・・8 女性Vo度・・8 総合・・8
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INDUCTION
チェコのメロディックメタル、インダクションの2019年作
カイ・ハンセンの息子がギターで在籍するバンドで、ジャケもなんとなくGAMMA RAYっぽいのだが、
シンフォニックなアレンジにメタリックなツインギターを重ね、伸びやかなハイトーンヴォーカルとともに、
激しくたたみかける、壮麗なメロディックメタルを聴かせる。キャッチーなメロディのフックとともに、
きらびやかな疾走感は、ときにDRAGONFORCE的でもあり、流麗なギターフレーズにシンセアレンジを加えた、
モダンなシンフォニック・メロパワというべきスタイル。パワフル過ぎないヴォーカルも、どことなくカイ・ハンセン風で
サウンドを濃密にしすぎないところも良いですね。そのカイ・ハンセンも1曲ゲスト参加で歌っています。
ドラマティックなスケール感も備わった、厚みのあるサウンドは、シンフォニックメタルとしても楽しみな逸材。
メロディック度・・8 疾走度・・7 壮麗度・・8 総合・・8
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Volturian「Crimson」
イタリアのシンフォニックメタル、ヴォルトゥリアンの2020年作
Frozen Crownのフェデリコ・モンデッリによるバンドで、SEEPING ROMANCEのフェデリカ・ランナをシンガーに、
デジタルなモダンさを含んだシンセアレンジにメタリックなギター、美しい女性ヴォーカルで聴かせるサウンド。
キャッチーなメロディとヘヴィネスを同居させ、曲によってはNightwishのような優美な雰囲気もあり、
随所に男性デスヴォイスも加えつつ、なよやかな女性声の魅力を活かした楽曲が光っている。
シンプルな4つ打ちリズムのナンバーなど、わりとシンプルな聴きやすさを重視したような作風で、
新鮮味や展開力では物足りなさはあるのだが、女性ヴォーカルを前面に出した華やかさで、
モダンなシンフォニックメタルという点では、TEMPERANCEなどのファンにもお薦めです。
シンフォニック度・・7 キャッチー度・・8 女性Vo度・・8 総合・・8
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Beyond The Black「Horizons」
ドイツの女性Voシンフォニックメタル、ビヨンド・ザ・ブラックの2020年作
2015年にデビューし、本作ですでに4作目となる。ほどよくヘヴィなギターに壮麗なアレンジを重ね、
伸びやかな女性ヴォーカルで聴かせる、ほのかにゴシックメタル色も含んだ女性声シンフォニックメタル。
フロントを務めるジェニファー嬢の歌声には、R&B的でもあるエモーショナルな堂々たる雰囲気があって、
楽曲を華やかに彩っている。サウンドにおけるモダンなヘヴィネスとキャッチーなメジャー感という点では、
最近のWITHIN TEMPTATIONなどにも通じるものがあるだろう。反面、マイナー志向のリスナーには、
ありがちな作風に思えて、物足りなさも感じるかもしれないが。ともかく高品質な作品には違いない。
シンフォニック度・・8 メジャー感・・8 女性Vo度・・8 総合・・8
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ONCE 「After Earth」
ドイツのシンフォニックメタル、ワンスの2019年作
Nightwishのアルバムからとったようなバンド名だが、壮麗なイントロで幕を開け、オーケストラルなアレンジに
ヘヴィなギターを重ね、美声の女性ヴォーカルの歌声で聴かせる、華麗なシンフォニックメタルを展開。
紅一点、Alina嬢の伸びやかな歌声も魅力的で、堂々たる表現力もフロール・ヤンセンに引けを取らない。
Nightwishに比べると、よりクラシカルで優雅な味わいを感じさせ、艶やかなヴァイオリンの旋律なども、
随所にアクセントになっている。しっとりとしたバラードナンバーなども、歌唱の魅力にウットリとなるし、
ときにデス声を加えたアグレッシブなパートなどは、EPICAなどにも通じる迫力で重厚に描かれる。
10分を超える大曲は、緩急ある流れで構築される、これぞシンフォニックメタルという醍醐味が味わえる。
シンフォニック度・・9 壮麗度・・9 女性Vo度・・9 総合・・8
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MOON CHAMBER 「LORE OF THE LAND」
イギリスのメタルバンド、ムーン・チェンバーの2019年作
CRYSTAL VIPERの女性シンガー、マルタ・ガブリエルとSARACENのギタリスト、ロブ・ベンデロウが組んだユニットで、
正統派のギターにシンセを重ね、彼女のハスキーな歌声を乗せた、オールドスタイルのメタルサウンド。
ブリティッシュメタルらしいウェットな味わいに、曲によってはメロハー的でもあるキャッチーな雰囲気もあって、
マルタ嬢の伸びやかなヴォーカルも魅力たっぷり。魔女系ロック的なヴィンテージなナンバーも実にハマっている。
随所に叙情的なギターの旋律や優美なシンセアレンジで、シンプル過ぎない耳心地の良い音のバランスも見事。
楽曲は3~5分前後とシンプルにまとめられていて、メロディックな女性声HRとしても普通に楽しめる好作品。
メロディック度・・8 ヴィンテージ度・・7 女性Vo度・・8 総合・・8
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ELEGY OF MADNESS 「New Era」
イタリアのシンフォニックメタル、エレジー・オブ・マッドネスの2017年作
2009年にデビュー、本作は3作目で、モダンでシンフォニックなアレンジに、ヘヴィなギターを重ね、
オペラティックなソプラノ女性ヴォーカルで聴かせる美麗なサウンド。激しい疾走パートを含む
アグレッシブな感触も覗かせつつ、クラシカルな優雅さに包まれたスタイルはやはりイタリアらしい。
NightwishEpicaなどに通じる感触に、ほどよく耽美なゴシックメタル風味も感じさせながら、
Anja嬢の艶めいた歌声も魅力的で、ときにWithin Temptationを思わせるところもある。
物悲しいチェロやピアノの音色、そしてオーケストラアレンジと、壮麗にして重厚なサウンドに、
表現力ある女性ヴォーカルと、すべての要素が揃った、クラシカル・ゴシック・シンフォニックメタルの逸品だ。
シンフォニック度・・8 ゴシック度・・7 女性Vo度・・9 総合・・8 過去作のレビューはこちら
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DERDIAN 「REVOLUTION ERA」
イタリアのメロディックメタル、ダーディアンの2016年作
いまやクサメタル界の最高峰として知られるこのバンド、本作は初期3作のナンバーをリレコーディングした作品。
ファビオ・リオーネ(元RHAPSODY、ANGRA)、ラルフ・シーパーズ(PRIMAL FEAR)をはじめ、D.C.クーパー(ROYAL HUNT)、
アポロ・パパサナシオ(SPIRITUAL BEGGARS)、ヘニング・バッセ(METALIUM)、エリサ・マーティン(元DRK MOOR)、
マーク・バジル(DGM)、ロベルト・ラモン・メッシーナ(元SECRET SPHERE)、ダヴィデ・モラス(ELVENKING)、さらには
日本からLeo Figaro(Minstrelix)といった名うてのシンガーが参加し、それぞれに楽曲を担当。実力あるシンガーによって、
かつてのクサメタルがパワフルに蘇っていて、オリジナルとは別ものの味わいで楽しめる。ファビオの伸びやかな歌声で
華麗に疾走するラプソ風シンフォニックメタルナンバーや、エリサの歌声が映えるバラードや疾走ナンバーなどもGoodです。
メロディック度・・8 疾走度・・8 豪華ゲスト度・・9 総合・・8 過去作のレビューはこちら
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DERDIAN 「DNA」
イタリアのメロディックメタル、ダーディアンの2018年作
2005年にデビュー、本作は6作目となる。メロディックなギターにシンセを重ね、マイルドなヴォーカルを乗せて
きらびやかに疾走する、シンフォニックなメロスピサウンドは本作も健在。キャッチーなクサメロ感に、
壮麗なクワイアを含むエピックな味わいも随所に加えて、スケールの大きな世界観を描いてゆく。
ギターやシンセによるクラシカルなメロディは、華麗で優雅ながら、ほどよいマイナー感も匂わせていて、
スタイリッシュにまとめすぎない適度なダサさこそが、いわばこのバンドの肝なのだろうと思う。
やや中庸なナンバーもあるものの、どことなく日本のMinstrelixにも通じるロマンの香りを含んだ力作です。
メロディック度・・8 疾走度・・8 クサメロ度・・8 総合・・8
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KAMELOT 「The Shadow Theory」
アメリカのシンフォニックメタル、キャメロットの2018年作
1995年にデビュー、いまや世界のシンフォニックメタルを代表するバンドの通算12作目。
ドラマ性を感じさせる壮麗なイントロから、ヘヴィなギターにシンフォニックなアレンジを重ね、
トミー・カレヴィックの表現力あるヴォーカルとともに、優雅でいくぶんダークなサウンドを構築する。
キャッチーな軽やかさと、どっしりとした重厚さのバランスも見事で、随処に聴かせる流麗なギターフレーズや
オーケストラルでゴージャスな雰囲気、ゲストによる女性シンガーを加えての男女Voナンバーも、
いつも通りに良いアクセントになっている。優雅でドラマティックな安定の高品質作であります。
ドラマティック度・・8 壮麗度・・8 優雅度・・8 総合・・8 過去作のレビューはこちら
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Immortal Guardian 「Age Of Revolution」
アメリカのメロディックメタル、イモータル・ガーディアンの2018年作
ギターとシンセを同時に弾きこなす、ガブリエル・ガーディアン率いるバンドで、
モダンなヘヴィネスを含んだギターに美麗なシンセアレンジ、パワフルなヴォーカルを乗せた、
ほどよくテクニカルで重厚なプログレッシブなパワーメタル。OUTWORLDHeaven's Guardianなどに参加する、
カルロス・ゼマの歌声は、激しい疾走パートやリズムチェンジを含むテクニカルなバックにも負けていない、
濃密な存在感でサウンドを彩っている。きらびやかなシンセとギターの重ねは、ときにシンフォニックメタル的でもあるが、
激しいドラムや硬質なギター、そして暑苦しいまでの歌声で、優雅というよりは濃密な聴き心地で、正直ヘトヘトに。
ドラマティック度・・7 テクニカル度・・7 重厚度・・8 総合・・7.5
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Orden Ogan 「Gunmen」
ドイツのメロディック・パワーメタル、オルデン・オーガンの2017年作
1999年にデビュー、本作は6作目で、力強いツインギターにシンセを重ね、中音域のヴォーカルを乗せた
正統派のメロパワサウンドに、壮麗なクワイアを加えた聴き心地は、まさにBLIND GURDIANの後継者である。
随所に聴かせるトライバルなギターフレーズには、RUNNING WILDなどからの影響も窺わせ、
どっしりとしたミドルテンポを主体にしつつ、華麗な疾走パートも含んだ緩急ある展開力はさすがキャリアのあるバンドである。
リブ・クリスティンが参加して、その美声を聴かせるナンバーなど、全体的にもシンフォニックメタルといってもよい音の厚みで、
コンセプト的な楽曲の流れはドラマティックで全体的にも隙がない出来栄え。重厚にして壮麗な傑作です。
ドラマティック度・・8 重厚度・・8 壮麗度・・8 総合・・8 過去作のレビューはこちら
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Cellador 「Off the Grid」
アメリカのメロディックメタル、セラドールの2017年作
2006年以来、11年ぶりの2作目で、メンバーはがらりと変わっているが流麗なギターにハイトーンヴォーカルを乗せて疾走する
爽快なメロスピサウンドはかつてのまま。キャッチーなクサメロ感覚とともに、適度にモダンなアプローチも感じさせつつ、
DRAGONFORCEをアメリカ寄りにしたというスタイルで、きらびやかなシンセアレンジも随所に光っている。
X-JAPANからの影響も感じさせる優雅なメロディアス性など、日本人好みの抜けの良いフックとともに、
爽快な疾走メロスピが楽しめる強力作だ。こうなるとジャケのイメージで損をしている感じもするが、次作も期待。
メロディック度・・8 疾走度・・8 キャッチー度・・8 総合・・8
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9/25
誕生日のメタルレビュー(285)


Ayreon 「Electric Castle Live」
アルイエン・ルカッセンによるロックオペラ、エイリオンのライブ作品。2020年作
1998年作「Into The Electric Castle」を完全再現した、2019年オランダでのステージを2CD+DVDに収録。
アネク・ヴァン・ガースバーゲン、シモーネ・シモンズ(EPICA)、ダミアン・ウィルソン、フィッシュ(元MARILLION)、
エドワード・リーカース(元KAYAK)など、多くのシンガーが参加、CD2枚組の大作であった「光の宮殿」を、
男女ヴォーカルの歌声と見事な演奏でドラマティックに再現、まさに壮大華麗なるロックオペラが繰り広げられる。
随所に活躍するタイス・ヴァン・レアー(FOCUS)のフルートや、ロビー・ヴァレンタインの優美なピアノパートも聴きどころ。
Disc2後半では、ルカッセン関連のプロジェクトから、アネクの歌うGENTLE STORM、シモーネの歌うAMBEON
マルセラの歌うSTREAM OF PASSIONと、美声の女性シンガーにウットリ。さらには、GUILT MACHINE
フィッシュの歌うMARILLIONなども。DVDではこのゴージャスなステージ映像を楽しめる。ファン必見のライブ作品。
ドラマティック度・・9 壮大度・・9 豪華メンバー度・・9 総合・・8.5 過去作のレビューはこちら
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A.C.T 「Rebirth」
スウェーデンのプログレ・ハード、アクトの2019年作
1999年にデビュー、スタジオ作品としては、2014年以来となる5曲入りのミニアルバム。
美麗なシンセアレンジにマイルドなヴォーカルを乗せた、軽妙で優雅なサウンドは健在で、
変拍子入りのリズムとキャッチーなメロディアス性に包まれた、まさにアクト節炸裂である。
流麗なギターフレーズを盛り込みつつ、シンフォニックなシンセに優しい歌声が包み込む、
スタイリッシュな構築性と繊細な美意識は、Moon Safariあたりのファンにも楽しめるだろう。
ハードな感触は控えめなので、ほぼプログレといっても良い内容で、全5曲どれもが素晴らしい。
メロディアス度・・9 プログレ度・・8 優雅度・・9 総合・・8 過去作のレビューはこちら
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Konstantin Jambazov 「Daga (Дъга)」
ブルガリアのミュージシャン、コンスタンティン・ジャンバゾフの2019年作
VirtulHadesなど多数のバンドで活躍する、ブルガリアきってのマルチミュージシャンのソロ。
これまでも多数のソロを発表しているが、今作は全22曲で合計107分という大ボリュームの大作である。
アコースティックを含む優美なギターに、やわらかなシンセと母国語によるマイルドなヴォーカルを乗せた
AOR風味のサウンドで、優雅なコーラスハーモニーが耳心地よい。3~5分前後の楽曲は比較的シンプルながら、
随所に流麗なギタープレイとともにテクニカルな側面も覗かせて、ギターインスト的なナンバーなども魅力的だ。
ブルガリア語の響きが異国的な味わいを加える、キャッチーなメロディックロックが楽しめる逸品です。
メロディック度・・8 キャッチー度・・9 優雅度・・9 総合・・8 過去作のレビューはこちら
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Konstantin Jambazov 「Reborn」
ブルガリアのミュージシャン、コンスタンティン・ジャンバゾフの2020年作
本作は、のっけからネオクラシカル風のギターを乗せた疾走メタルナンバーで、
トニー・マカパインを思わせるような優雅でテクニカルなギターフレーズを聴かせる。
きらびやかなシンセアレンジに流麗なギタープレイを重ねたスタイルで、
クラシカルなメロディセンスとリズムチェンジを含む知的な構築力も見事。
全66分、マカパイン好きにはオススメの高品質なギターインストアルバムです。
メロディック度・・8 ギターインスト度・・9 優雅度・・9 総合・・8
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PSYCHOTIC WALTZ 「THE GOD-SHAPED VOID」
アメリカのプログレッシブメタル、サイコティック・ワルツの2020年作
1990年にデビュー、1996年までに4作を残して消えたバンドの、じつに24年ぶりとなる復活作。
ギター、シンセ、ベース、ドラムはオリジナルメンバーで、ヴォーカルは、Deadsoul TribeThe Shadow Theoryの、
デヴォン・グラヴェスが参加。前任者の独特のハイトーンに比べると、ぐっとマイルドな歌声で、浮遊感のあるサウンドに
落ち着いた大人の味わいを加えている。ほどよく知的な展開力はかつてを思わせるが、より叙情的な味わいで、
メロウなギターの旋律にうっすらとしたシンセが耳心地よい。スリリングな部分よりはスペイシーな雰囲気に包まれていて、
中期のFATES WARNINGあたりにも通じる、良い意味での地味な味わいで、ゆったりと楽しめる。
ドラマティック度・・7 プログレッシブ度・・7 大人の叙情度・・8 総合・・8
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Sons of Apollo 「MMXX」
アメリカのプログレメタル、サンズ・オブ・アポロの2020年作
マイク・ポートノイ、デレク・シェリニアン、ロン・サール、ビリー・シーン、ジェフ・スコット・ソートという
名うてのメンバーが集結したスーパーバンドの2作目。ヘヴィなギターにシンセが重なり、
パワフルなドラムとヴォーカルによる、オールドスタイルのメタルナンバーで幕を開ける。
重厚なギターときらびやかなシンセの絡みに、歌メロには70年代風のキャッチーな感触も覗かせつつ、
どっしりとしたドラムとベースが、説得力あるアンサンブルで包み込むのはさすがというところ。
わりとオールドなハードロック色が前に出た作風であるが、随所にスリリングなテクニカル性も覗かせ、
ラストの15分の大曲は、激しい疾走も含んだ緩急ある構築力に、ドリムシ風味もまじえて盛り上げる。
ドラマティック度・・7 テクニカル度・・8 重厚度・・8 総合・・8 過去作のレビューはこちら
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Myrath 「Shehili」
チュニジアのプログレッシブ・メタル、ミラスの2019年作
2007年にデビュー、本作は5作目で、エキゾチックなイントロで幕を開け、民俗的な旋律とともに
メタリックなギターが重なり、美麗なシンセアレンジにパワフルなヴォーカルを加えた、
初期のOrphaned Landにも通じるアラビックでドラマティックなメタルサウンドを展開する。
オーケストラルなアレンジによるシンフォニックメタルとしての壮麗な聴き心地が増していて、
楽曲自体も、4~5分前後と比較的シンプルな作風なので、KAMELOTなどのファンにも楽しめるだろう。
個人的にはエスニックな民族色がもっとあってもよいと思うが、このバランスの良さが絶妙でもある。
ドラマティック度・・8 民族度・・7 壮麗度・・8 総合・・8 過去作のレビューはこちら
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EMPHASIS 「Soul Transfer」
エストニアのプログレメタル、エンファシスの2018年作
ほどよくテクニカルなリズムにメタリックなギターと美しいシンセ、ソプラノ女性ヴォーカルの歌声を乗せた、
ゴシックメタル寄りのサウンドに、サックスなどを加えたジャズ風味の優雅な感触が同居した聴き心地。
リズムチェンジを含む知的な展開力と、適度にモダンなヘヴィネス、シンセを加えた浮遊感も同居した、
ボーダーレスのサウンドで、10分を超える大曲でも、先の読めないつかみどころのなさがなかなか新鮮だ。
ときにトランペットが鳴り響き、ヴァイオリンの音色などのクラシカル性と女性声の美しさが加わって、
格調ある優雅なProgMetalが楽しめる。小曲を挟んだ構成や独自のセンスも見事な、全73分の力作。
ドラマティック度・・8 優雅度・・9 女性Vo度・・8 総合・・8
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VOLA 「APPLAUSE OF A DISTANT CROWD」
デンマークのプログレメタル、ヴォラの2018年作
前作は「エモ化したメシュガー」というような、モダンなテクニカルメタルであったが、
2作目となる本作は、ほどよくヘヴィなギターにやわらかなシンセを重ね、マイルドなヴォーカルで、
スタイリッシュなサウンドを聴かせる。美しいシンセアレンジやスペイシーな浮遊感のある音作りが、
前作以上に叙情的な味わいになっていて、HAKENあたりにも通じるモダンなプログレ感触もある。
随所にDjent的なテクニカル性も覗かせつつ、エモーショナルなメロディアス性も現れるという、
メリハリのある構築センスは見事。モダンで硬質なサウンドを美麗なシンセが包み込む。
メロディック度・・8 テクニカル度・・7 スタイリッシュ度・・9 総合・・8 過去作のレビューはこちら
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Sunrunner 「Ancient Arts of Survival」
アメリカのメタルバンド、サンランナーの2018年作
2011年にデビューし、4作目。前作はヘンテコなNWOTHM系メタルというべき好作であったが、
今作も、オールドなギターにパワフル過ぎないヴォーカルを乗せた、ほどよくローカルな味わいの
マイナー調ヴィンテージメタルに、ProgMetal風味の緩急あるリズムと偏屈な展開力で聴かせる。
このヘンテコなセンスは、イタリアのEVIL WINGSあたりに通じるものがあるが、こちらは80年代ルーツの
オールドメタルを基本にしているという点で、なんとも古くて新鮮である。ドゥームメタル風のギターリフや、
まさに王道のNWOBTM風ナンバーもありつつ、10分の大曲ではプログレメタル的な構築力を覗かせる。
ラストは18分を超える大曲で、さほどテクニカルでない変拍子のProgMetalから、途中でドゥームメタルになって、
アコースティックなフォークになり、キャッチーな疾走メロスピという無駄な展開で楽しめる。好きですヘンテコさん。
ドラマティック度・・7 古き良き度・・8 ヘンテコ度・・8 総合・・8 過去作のレビューはこちら
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Waken Eyes 「Exodus」
スウェーデンのプログレメタル、ウェイクン・アイズの2015年作
ドラムにマルコ・ミンネマン、ベースにSYMPHONY Xのマイク・レポンドが参加するバンドで、
流麗なギタープレイにハイトーンヴォーカルを乗せ、ほどよくテクニカルな展開力で聴かせる、
Seventh Wonderなどにも通じるスタイリッシュなProgMetal。翳りを帯びたドラマ性を感じさせる楽曲に、
Darkwaterにも参加するヴォーカルの伸びやかな歌声と、キャッチーな歌メロもなかなか魅力的だ。
楽曲は5~8分前後を中心に、さほど派手な展開はないが、テクニカル過ぎず、甘すぎない叙情とともに、
じっくりと楽しめる。ラストは19分におよぶ大曲で、起伏のある展開美でドラマティックに構築される。
ドラマティック度・・8 テクニカル度・・7 スタイリッシュ度・・8 総合・・7.5
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ASTRA 「About Me」
イタリアのプログレメタル、アストラの2006年作
ヘヴィなギターにシンセを重ね、パワフルなヴォーカルを乗せて、テクニカルな展開力で聴かせる、
硬質感のあるスタイリッシュなプログレ・メタルサウンド。随所にメロディックなギターフレーズと
美麗なシンセによる叙情性も覗かせつつ、ややダークでモダンな感触に包まれるところは、
「AWAKE」期のDREAM THEATERにも通じるだろう。キャッチーなコーラスやマイルドな歌メロ、
オルガンやムーグの音色を使ったプログレ的なシンセによるインスト曲など、ジャケのイメージよりも
カラフルな作風が楽しめる。甘すぎないメロディとほどよいテクニカル性のバランスで聴かせる高品質作。
メロディック度・・7 テクニカル度・・8 スタイリッシュ度・・8 総合・・8 過去作のレビューはこちら
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Sieges Even 「Playground」
ドイツのプログレメタル、シージス・イーヴンのライブ。2008年作
1998年デビューのベテラン。2007年のツアーを収録したライブ作品で、復活後の2005年作以降のナンバーを演奏。
Subsignalのメンバーでもあるヴォーカルとギター、ドラムは元RHAPSODYのアレックス・ホルツワース、
ベースはBLIND GUARDIANRHAPSODY OF FIREにも参加した兄のオリヴァー・ホルツワースという編成で、
テクニカルなリズムにマイルドなヴォーカルによるキャッチーな味わいて、技巧的なアンサンブルを聴かせる。
ヘンテコにならない程度の軽妙な偏屈リズムも楽しく、優雅に変拍子を叩く手数の多いドラムのプレイも聴きどころ。
9分、11分という大曲も確かな演奏力で、余裕たっぷりに構築するのはさすがベテランというところ。見事なライブ作品だ。
メロディアス度・・7 ライブ演奏・・8 テクニカル度・・8 総合・・8 過去作のレビューはこちら
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ANCIENT CURSE 「THIRSTY FIELDS」
ドイツのプログレメタル、エンシェント・カースの1995年作
適度にテクニカルなリズムにツインギターのリフを乗せ、マイルドなヴォーカルで聴かせる、
どっしりと重厚な正統派ProgMetal。「AWAKE」期のDREAM THEATERにも通じる
ダークな叙情性に包まれつつ、メタリックなヘヴィネスと硬質感もしっかりあって、
なかなか本格派のスタイル。全26分のミニアルバムなので、もう少し聴きたかったが、
バンドは本作を残して消えてしまう。しかしながら2020年になって、じつに25年ぶりの復活作を発表。
ドラマティック度・・7 テクニカル度・・7 叙情度・・7 総合・・7.5
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JIM MATHEOS 「FIRST IMPRESSIONS」
アメリカのギタリスト、ジム・マテオスの1993年作
FATES WARNINGのギタリストとして知られ、ARCH/MATHEOSとしても活動するミュージシャン、
本作はアコースティックギターを中心にした優雅なインスト作品で、艶やかなヴァイオリンの音色が
クラシカルに彩りを添える。メタル色は皆無なので、ProgMetalを期待すると肩透かしだが、
物悲しいチェロの音色にアコギのつまびきを重ねて、ゆったりと哀愁の美を描く。
こうした素朴なアコースティックサウンドも、マテオスのルーツのひとつなのだろう。
アコースティック度・・9 メタル度・・0 優雅度・・8 総合・・7.5
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8/28
残暑のシンフォニックメタル(270)


Blind Guardian Twilight Orchestra 「Legacy Of The Dark Lands」
ドイツのベテラン、ブラインド・ガーディアンとオーケストラの共演作。2019年作
マーカス・ハイツの小説からインスパイアされた、神聖ローマ帝国時代の30年戦争を舞台にした架空の物語をコンセプトに、
SEや語りを含んだ映画的な作風で、オーケストラによる壮麗なサウンドに、ハンズィのヴォーカルを乗せたシンフォニックオペラ。
ギターなどは一切入らないのでメタル感はほぼ皆無であるが、いつものように壮大でファンタジック、重厚な世界観は、
まさにブラガーそのものである。ジェントルなハンズィの歌声に荘厳なクワイアもが重なり、ときに優雅なオーケストラが、
ゆるやかに盛り上げてゆく。メタル以外はダメというリスナーは途中で眠くなるだろうが、クラシックのアリアに比べれば、
当然ながらドラマティックな起伏があって、映画サントラをダイナミックにしたようなイメージで楽しめればいいのではと思う。
シンフォニック度・・8 メタル度・・1 壮大度・・9 総合・・8 過去作のレビューはこちら
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Rhapsody of Fire「Eighth Mountain」
イタリアのシンフォニックメタル、ラプソディ・オブ・ファイアの2019年作
長年フロントを務めたファビオ・リオーネが脱退し、新たにヴォーカルにジャコモ・ヴォーリを迎えての作品。
華麗なキーボードに流麗なギターを重ね、そこそこ伸びやかなハイトーンヴォーカルに随所に壮麗なクワイアも加えて、
適度な疾走感を含んだ、エピックなシンフォニックメタルを聴かせる。従来のようにコンセプト的な雰囲気はあるものの、
シネマティックなスケール感はやや薄まり、新Voには前任のファビオに比べるとオペラティックな感じもないので、
いくぶんあっさりというか、濃密すぎないところが逆に良いというファンもいるかも。楽曲自体は初期の頃のような、
わりとストレートなファンタジックメタルなのだが、なにかが物足りない。どこかで聴いたような高品質なサウンドで、
新鮮味のなさに加えて、世界観の強度の足りなさというか、サウンドからストーリーのイメージがいまひとつ伝わってこないのも残念。
シンフォニック度・・7 エピック度・・8 壮大度・・7 総合・・7.5 過去作のレビューはこちら
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Labyrinth 「Architecture Of A God 」
イタリアのメロディックメタル、ラビリンスの2017年作
1996年にデビュー、Rhapsodyとともにイタリアンメタルを代表するバンドの、7年ぶりとなる8作目。
ツインギターにきらびやかなシンセを重ね、ロベルト・ティランティの伸びやかな歌声とともに、
キャッチーなメロディアス性で聴かせる王道のメロディックメタル。疾走ナンバーは多くはないが、
シンフォニックなシンセアレンジに流麗なギター、実力あるヴォーカルとともに、ドラマティックな味わいで、
前作は、2ndの続編であったが、本作はいわば、3rd「Sons of Thunder」の頃のサウンドを思わせる。
一方では、ゆったりとしたナンバーでの優美な叙情性や、プログレッシブな雰囲気のシンセワークなど、
これまでになかった魅力も加わっている。20年を超えるキャリアを持つパンドらしい堂々たる力作である。
メロディック度・・8 疾走度・・7 壮麗度・・8 総合・・8 過去作のレビューはこちら
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Serenity 「The Last Knight」
オーストリアのシンフォニックメタル、セレニティの2020年作
2007年にデビュー、本作は6作目で、神聖ローマ皇帝、マクシミリアンI世をテーマにしたコンンセプト作品。
オーケストラによる壮麗なイントロから、メタリックなギターに、伸びやかなヴォーカルと勇壮なコーラスを乗せ、
RHAPSODYばりのエピックなシンフォニックメタルを展開。随所にメロディックなギターフレーズも覗かせつつ
ほどよくキャッチーな味わいで、ヘヴィすぎないサウンドを描く、スタイリッシュなセンスはさすがというところ。
ミドル~スローテンポのナンバーをメインに、ときにアグレッシブな疾走パートも現れて、起伏に富んだ構成力で
どっしりとしたコンセプトストーリーを描いてゆく。トータルの流れで楽しめる、華麗なるエピック・シンフォメタルだ。
ドラマティック度・・8 壮麗度・・9 重厚度・・8 総合・・8 過去作のレビューはこちら
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Tarja 「In The Raw」
フィンランドの女性シンガー、ターヤの2019年作
Nightwish脱退後も旺盛に活動を続ける彼女、ソロとしても本作ですでに7作目となる。
メタリックなギターに、ビヨーン・ストリッド(SOILWORK)による男性声も加わった1曲目から、
ほどよいヘヴィネスとシンフォニックなアレンジに、ターヤの美声を乗せたキャッチーなサウンドで、
クリスティーナ・スカビア(Lacuna Coil)が参加した2曲目は、モダンなヘヴィロックとポップ感が同居した
優雅なゴシックロック風のナンバー。その後も、キャッチーでオペラティックな歌ものナンバーをメインに、
しっとりとしたバラードや、トミー・カレヴィック(KAMELOT)が参加したドラマティックなナンバーなども含め、
彼女の安定した実力ある歌声を堪能できる。まるで写真集のようなブックレットもゴージャスです。
壮麗度・・8 メタル度・・7 女性Vo度・・8 総合・・8 過去作のレビューはこちら
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Moonlight Haze 「Lunaris」
イタリアのシンフォニックメタル、ムーンライト・ヘイズの2020年作
Temperanceの女性シンガー、キアラを擁するバンドで、本作が2作目となる。
壮麗なアレンジにほどよくヘヴィでモダンな感触をまとったサウンドに、伸びやかな女性ヴォーカルで聴かせる
キャッチーなシンフォニックメタル。随所に美しいソプラノヴォイスも使い分けるキアラ嬢の歌唱の表現力とともに、
AMARANTHEDELAINの中間というような雰囲気で、オーケストラルなサウンドながら、シンプルな聴きやすさがある。
テンペランスに比べるとヘヴィネスは控えめで、あくまで女性声をメインにした優雅なメロディアス性が前に出ており、
しっとりとした優美なナンバーなどは、Within Temptationなどのファンにも楽しめるだろう。一方では、
疾走するメロスピ風ナンバーもあって、実力ある女性シンガーで緩急ある作風が楽しめる高品質作だ。
シンフォニック度・・8 壮麗度・・8 女性Vo度・・9 総合・・8
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ASTRALIUM「Land Of Eternal Dreams」
イタリアのシンフォニックメタル、アストラリウムの2019年作
シチリア島出身のバンドで、壮麗でクラシカルなイントロから、オーケストラルなシンフォニック性に包まれて、
伸びやかな女性ヴォーカルの歌声を乗せて、キャッチーなシンフォニックメタルを展開する。
紅一点、ロベルタ嬢の歌声は、やや線は細いがキュートな清涼感があって、表現力も十分。
ほどよい疾走感もある楽曲は、優美でキャッチーな雰囲気で、アネット期のNightwishに近いイメージだろうか。
曲によっては、Within Temptation風なものもあったりと、突き抜けた個性というものはないが、
クラシカルなアレンジセンスもしっかりしていて、クオリティは高い。ちなみに、ベースさんはVo嬢の父上とのこと。
シンフォニック度・・8 壮麗度・・8 女性Vo度・・8 総合・・8
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Her Chariot Awaits
アメリカのメロディックメタル、ハー・チャリオット・アウェイツの2020年作
SIRENIAの女性シンガー、アイリンと、Adrenaline Mobのマイク・オーランドを中心にしたバンド。
サウンドの方は、アメリカハードロックのノリの良さと、妖艶な女性ヴォーカルが融合したスタイルで、
モダンなメタル感触に、ゴシック寄りのヘヴィロックの要素も含んだ聴き心地。グルーヴィなハードさと、
キャッチーなヴォーカルメロディ、随所に流麗なギターも盛り込んだ適度にテクニカルな部分もあって、
Adrenaline Mobを女性声にしたという感じもあるが、エモーショナルなアイリンの歌声は魅力的で、
曲によっては、Lacuna Coilなどのファンにも楽しめるだろう。ヘヴィでキャッチーな女性声メタルです。
ドラマティック度・・7 ヘヴィ&キャッチー度・・8 女性Vo度・・8 総合・・8
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TURBOKILL 「VICE WORLD」
ドイツのメタルバンド、ターボキルの2019年作
古き良きツインギターのリフにハイトーンヴォーカルを乗せた、80年代スタイルの正統派メタル。
ギターもドラムも重すぎない感触で、随所にジャーマンメタルらしい疾走感も含んだサウンドは、
初期のENFORCERPORTRAITなどにも通じるだろう。楽曲は4分前後と比較的シンプルながら、
キャッチーなメロディアス性とともに、どの曲もツインギターの叙情フレーズが随所に魅力的で、
伸びやかなハイトーンヴォーカルを乗せて疾走するところは、RIOTなどのファンにも楽しめるだろう。
日本人好みの哀愁の叙情やクサメロ感も含んだ、オールドスタイルの期待の新鋭バンドですな。
メロディック度・・8 疾走度・・8 古き良き度・・9 総合・・8
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MALAMORTE 「Hell for All」
イタリアのメタルバンド、マラモルテの2019年作
Lord Vampyrなどで活躍する、Alessandro Nunziatiのソロプロジェクトで、本作が3作目。
古き良きギターリフにパワフルなヴォーカルを乗せて、ほどよい疾走感を含んだ、
80年代スタイルのオールドなメタルサウンドを聴かせる。ジャケはデスメタル風なのに
曲によってはクサメロのジャーマンメタル風だったり、軽めのスヒードメタル風だったりとりとめがない。
ヘタウマなヴォーカルもどこかマイナー臭さを漂わせていて、90年代のB級メタルが好きな方なら
わりと楽しめるだろう。ラスト曲のような、カルトな雰囲気がもっとあれば良かった。
ドラマティック度・・7 疾走度・・7 古き良き度・・8 総合・・7.5
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Orion Child 「Continuum Fracture」
スペインのシンフォニックメタル、オリオン・チャイルドの2019年作
近未来の地球を舞台にしたSF的なコンセプト作で、硬質なギターにシンセを重ね、パワフルなヴォーカルに
随所にデスヴォイスを乗せた激しい疾走パートなど、メロデス要素を含んだ重厚なシンフォニックメタル。
きらびやかなシンセにメロディックなギターフレーズも含めて、いくぶんProgMetal的な感触もある
緩急ある構築力で聴かせるスタイリッシュなサウンドは、若いリスナーにも受けるだろう。
楽曲自体には、メロディのフックにもうひと盛り上げ欲しい気もするが、全体的には高品質な力作だ。
ドラマティック度・・8 疾走度・・7 重厚度・・8 総合・・8
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DAIS 「RENOVATIO」
スペインのメロディックメタル、ダイスの2019年作
2006年にデビュー、本作は4作目となる。オールドな感触のギターリフに女性ヴォーカルを乗せて疾走する、
80年代ルーツの正統派メタルサウンド。Isabel嬢の歌声は伸びやかなメゾソプラノで、スペイン語の響きとともに
優雅な美しさをかもしだす。バックはいたって王道の古き良きメタルながら、シンフォニックメタルに似合いそうな
艶やかな女性ヴォーカルとのミスマッチ感がわりと新鮮で、これはこれでアリなのではないかと思う。
キャッチーなハードロックナンバーなども優美な歌声によくマッチしていて、味のあるギタープレイも含めて
キャリアのあるバンドらしい演奏力もさすが。実力ある女性ヴォーカルで正統派メタルが楽しめる強力作だ。
メロディック度・・8 正統派度・・8 女性Vo度・・8 総合・・8
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Rising Steel 「Return Of The Warlord」
フランスのメタルバンド、ライジング・スティールの2016年作
王道のギターリフにダーティなヴォーカルを乗せた、正統派のメタルサウンドで、
Judas PriestACCEPTを合わせたような、いかにもオールドスタイルの聴き心地。
どっしりとしたミドルテンポを主体にした、これぞヘヴィメタルというスタイルであるが、
楽曲にメロディックなフックはさほどなく、ヴォーカルの声質も好みを分けるかもしれない。
ギターリフがありがち過ぎて新鮮味がないところも含め、単なる正統派という以上の魅力が欲しい。
ドラマティック度・・7 正統派度・・8 楽曲・・7 総合・・7
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Candle 「The Keeper's Curse」
スウェーデンのメタルバンド、キャンドルの2018年作
メロディックなツインギターにハイトーンヴォーカルを乗せて疾走する、オールドな正統派スタイルで、
緩急を含む展開力とともに、初期のBLIND GUARDIANにも通じるドラマティックなパワーメタルを聴かせる。
ややクセのあるヴォーカルも含めて、KING DIAMONDあたりを思わせるシアトリカルな味わいもあって、
ダークな叙情性をまとったメロディックメタルとしてなかなか出来が良い。これというキラーチューンはないが、
ほどよく重厚でメロディック、ジャーマンと北欧の中間というような正統派メロパワが楽しめる強力作です。
ドラマティック度・・8 疾走度・・7 正統派度・・8 総合・・8
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Stronghold 「Battle of the Royal Halls」
スウェーデンのメロディックメタル、ストロングホールドの2015年作
ファンタジックなジャケのイメージ通り、ツインギターによるイントロからエピックな世界観を感じさせ、
王道のギターリフにハイトーンヴォーカルを乗せ、適度な疾走感を含んだ正統派のメロパワ。
やや一本調子に力み気味のヴォーカルが、ヘタウマなマイナー感をかもしだしつつ、
随所にクサメロを奏でるギターフレーズは良い感じで、疾走するメロスピナンバーも含めて、
初期のHAMMERFALLをB級にしたようなイメージか。全体的には、これというキラーチューンがないのだが、
その煮え切らない感じもマイナーメタル好きにはよいのかも。ラストは11分という大曲で、じっくりと聴かせる。
メロディック度・・7 疾走度・・7 エピック度・・8 総合・・7
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SoulHealer 「Chasing the Dream」
フィンランドのメタルバンド、ソウルヒーラーの2013年作
2011年にデビュー、本作は2作目。王道のツインギターにパワフルなヴォーカルを乗せた、
80~90年代スタイルの古き良き正統派メタルサウンド。メロディックなギターフレーズには、
RUNNING WILDなど、かつてのジャーマンメタルを思わせるところもあったり、
一方では、Judas Priestなど80年代のブリティッシュメタル風の感触も覗かせる。
楽曲的な新鮮味はさほどないが、オールドスタイルの正統派が好きな方にはもってこい。
ドラマティック度・・7 正統派度・・8 古き良き度・・8 総合・・7.5
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8/14
お盆のブラック&ドゥーム(254)


Alcest 「Spiritual Instinct」
フランスのポストブラックメタル、アルセストの2019年作
マルチプレイヤー、ネージュのソロプロジェクトとして、2007年にデビュー、本作は6作目となる。
2作目から続けて参加しているドラムのウインターハルターとのコンビで、ときに激しく疾走するリズムに
トレモロを含むギターリフとマイルドなヴォーカルを乗せ、随所にスクリームヴォイスも交えたサウンドは、
近作の中ではわりとメタル感触が強めの作風。メロディックなギターフレーズとともに、スローパートでの叙情性は
物悲しく幻想的な味わいに包まれる。全体的には、いつもよりも淡々としたメランコリックな聴き心地で、
ここ数作に比べるとヘヴンリーな美しさはやや希薄であるが、ジャケのイメージ通りともいえるかもしれない。
ドラマティック度・・7 暴虐度・・6 叙情度・・8 総合・・8 過去作のレビューはこちら
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Myrkur 「Folkesange」
アメリカのアンビエント・ポストブラック、ミシュクルの2020年作
デンマーク出身のアマリエ・ブルーン嬢による女性の独りユニットで、2014年にデビューし、本作は3作目。
美しいジャケのイメージのように、やわらかな女性ヴォーカルとシンセによるネオフォーク風の作風で、
素朴なマンドラのつまびきに、チェロやヴィオラなどの音色を重ね、クラシカルな優雅さに包まれる。
デンマーク語の歌声による、涼やかな味わいのトラッド風ナンバーも、神秘的な空気を描き出し、
楽曲は3分前後が主体で、メタル色は皆無。前作のブラックメタル要素を期待すると肩透かしであるが、
幻想的なネオフォークが好きな方なら、わりと普通に楽しめるかと。次作はブラックが復活するのかな。
アコースティック度・・8 メタル度・・0 女性Vo度・・8 総合・・7.5
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POSTHUM 「Like Wildfire」
ノルウェーのブラックメタル、ポストハムの2019年作
2009年にデビューし、本作は4作目となる。ザラついたギターリフとダミ声ヴォーカルを乗せて疾走する、
荒涼とした寒々しさに包まれた、スラッジブラック的なサウンド。激しさだけでない、スローテンポのナンバーや
緩急ある構築力とともに、随所にシンセによるアレンジも加えた、甘すぎない叙情性も覗かせる。
一方では、圧殺感のある激しいブラスト疾走ナンバーなど、ブラッケンな闇と殺伐とした寂寥感を描く、
迫力あるサウンドが味わえる。ミスティックで荘厳な雰囲気に、モダンで硬派な美学が同居したような強力作。
ドラマティック度・・7 暴虐度・・8 暗黒度・・8 総合・・8
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LASTER 「Ons Vrije Fatum」
オランダのポストブラックメタル、ラスターの2017年作
2014年にデビューし、2作目となる。トレモロを含むギターにダミ声ヴォーカルを乗せて疾走する激しさに、
リズムチェンジを含む知的な構築力と、ミステリアスな叙情性が同居した、スタイリッシュなブラックメタル。
随所にシンセアレンジを加えて、幻想的な雰囲気をかもしだしつつ、10分を超える大曲などでは、
ブラメタらしからぬサックスを使ったパートもあったりと、独自のセンスを感じさせるところも多い。
ブラスト疾走する激しさを残しつつ、モダンな解釈で新世代のポストブラックを提示する強力作だ。
再発盤のDisc2には、2016年のスプリットアルバムに収録された17分の大曲を収録。
ドラマティック度・・7 暴虐度・・7 叙情度・・8 総合・・8 過去作のレビューはこちら
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Secrets of the Moon「Sun」
ドイツのブラックメタル、シークレッツ・オブ・ザ・ムーンの2015年作
2001年にデビュー、本作は6作目となる。叙情的なイントロから、ウェットなギターにダミ声ヴォーカルを乗せた、
激しくもミステリアスなサウンドを展開。スローからミドルテンポのパートにノーマルヴォーカルを乗せた
メランコリックな味わいとゴシック寄りの空気感とともに、荒涼としたブラッケンな世界観を描き出す。
6~8分前後と楽曲はわりと長めで、全体的には激しさは控えめ、殺伐とした愛想のなさに包まれていて、
ブラックメタルとしては迫力が物足りないか。歌ものゴシック的なナンバーなど、方向性にもやや迷いが見える。
ドラマティック度・・7 暴虐度・・6 暗黒度・・8 総合・・7.5 過去作のレビューはこちら
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SYBERIA 「SEEDS OF CHANGE」
スペインのポスト・ハードロック、シベリアの2019年作
2012年にデビューし、本作が3作目。トレモロを含む適度にハードなツインギターを乗せた
躍動的なアンサンブルに、メランコリックな叙情と知的な構築性が同居したサウンド。
オールインストなので、ややもすればBGMになりがちだが、ギターフレーズの心地よさが
涼やかな味わいになっていて、メロウな翳りを帯びた3拍子のナンバーなども魅力的だ。
ロックとしてのノリもしっかりとあり、センスあるギターのメロディがしっかりと映えている。
トレモロ好きのトレモラーな方もチェックすべし。ジャケのイメージは意味不明だが。
ドラマティック度・・7 メタル度・・6 叙情度・・8 総合・・8
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Beneath Oblivion 「The Wayward and the Lost」
アメリカのスラッジ・ドゥームメタル、ビニース・オブリヴィオンの2018年作
2006年の自主デビュー作から数えて3作目。物悲しく叙情的なイントロから始まりつつ、
重厚なギターに咆哮するデスヴォイスを乗せ、スローテンポのフューネラルなサウンドを聴かせる。
スラッジ的なザラついた荒々しさに、うっすらとしたシンセも加えたメランコリックな叙情も覗かせ、
10分以上の大曲を主体に、ダーク過ぎず重すぎずという、ゆったりとした味わいで鑑賞できる。
長尺の超遅テンポが退屈に思える人もいるだろうが、本格派のフューネラル・ドゥームが好きな方はどうぞ。
ドラマティック度・・7 フューネラル度・・9 重厚度・・8 総合・・7.5
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Capilla Ardiente 「The Siege」
チリのドゥームメタル、カピラ・アルディエンテの2019年作
5年ぶりとなる2作目で、重厚なギターリフに朗々としたヴォーカルを乗せた
CABDLEMASSルーツの古き良きスタイルの正統派エピック・ドゥームメタルを聴かせる。
10分前後の大曲4曲という構成で、決してスロー過ぎないどっしりとしたリズムとともに、
ギターリフには王道のメタル感があるので、ドゥームが苦手な方でも楽しめるだろう。
全曲長いので、気の短い方には向かないが、本格派のエピックドゥームが好きならぜひ。
ドラマティック度・・7 ドゥーム度・・7 正統派度・・8 総合・・8
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Procession 「Doom Decimation」
チリのドゥームメタル、プロセッションの2017年作
2008年にデビュー、本作は3作目のフルアルバムで、正統派メタル寄りのギターリフに
パワフルなヴォーカルを乗せて、オールドスタイルのドゥームメタルを聴かせる。
適度にメロディックなフレーズを奏でるツインギターとともに、どっしりとしていながら、
スロー過ぎないノリのあるテンポで、勇壮なエピックメタルとしても普通に楽しめる。
これという目新しさはないのだが、重すぎない遅すぎない聴き心地の良さがGoodです。
ドラマティック度・・7 ドゥーム度・・7 正統派度・・8 総合・・8 過去作のレビューはこちら
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My Silent Wake 「A Garland of Tears」
イギリスのゴシック・ドゥームメタル、マイ・サイレント・ウェイクの2008年作
SEVENTH ANGELのヴォーカル、イアン・アークレイ擁するハンドで、2006年にデビュー、本作は3作目。
のっけから11分という大曲で、重厚なギターに低音デスヴォイスとマイルドなノーマル声を乗せ、
My Dying Brideなどにも通じるダークなゴシック・ドゥームを聴かせる。ツインギターの絡みは、
随所にウェットな叙情を覗かせつつ、リフにはオールドなダークメタルとしての味わいもあって、
かつてのSEVENTH ANGELを思わせる部分もある。一方ではアコースティックギターにリコーダーを乗せた
優美なインストナンバーなどもあって、重厚にしてメランコリックな世界観に包まれた強力作だ。
ドラマティック度・・7 重厚度・・8 ダーク度・・8 総合・・8
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My Silent Wake 「There Was Death」
イギリスのゴシック・ドゥームメタル、マイ・サイレント・ウェイクの2018年作
ツインギターにうっすらとしたシンセを重ね、デスヴォイスを乗せた重厚なフューネラルドゥームに
オールドメタルのウェットな空気をまとわせたサウンド。リズムチェンジを含むデスメタル的な感触や、
ツインギターの叙情的なフレーズも覗かせつつ、10分を超える大曲をじっくりと構築してゆく。
包み込むようなシンセアレンジも楽曲を耽美に彩っていて、イアン・アークレイの迫力ある歌声とともに、
初期のPARADISE LOSTにも通じる、重厚なゴシック・デスメタルとしても楽しめる。
ドラマティック度・・8 重厚度・・8 ダーク度・・8 総合・・8
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Desolate Pathway 「Of Gods and Heroes」
イギリスのドゥームメタル、デソレット・パスウェイの2016年作
女性ドラマーを含む3人編成で、オールドな味わいのギターに朗々としたヴォーカルを乗せ、
古き良き英国ハードロックを受け継いだ、ヴィンテージなドゥームメタルを聴かせる。。
Black Sabbathなどに比べると、ローカルな味わいで、むしろWitchfinder Generalに通じるような
マニア好みの怪しさに包まれている。ややこもり気味の音質も含めて、アナログ感もたっぷりで、
いかにも70年代ルーツのギタープレイも光っている。こうなるとCGのジャケが惜しいような気も。
ドラマティック度・・7 ローカル度・・8 古き良き度・・8 総合・・7.5
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Atriarch
「An Unending Pathway」
アメリカのドゥーム・ブラックメタル、アトリアーチの2014年作
2011年にデビューし、本作が3作目。ザラついたギターに詠唱めいたヴォーカルを乗せ、
重厚なドゥームメタル感触に、ブラックメタル的な暗黒性をまとわせたというサウンド。
適度に激しい疾走パートに絶叫ヴォイスも加わりつつ、ギターにはいくぶん叙情的なところもあり、
重すぎないヘヴィネスとともに、ミステリアスな空気に包まれた暗黒の世界観を描いてゆく。
媚のないスタイルで、モノトーンの闇に覆われた、迫力あるスラッジ・ブラックとしても楽しめる。
ドラマティック度・・7 暗黒度・・8 重厚度・・8 総合・・7.5 過去作のレビューはこちら
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Howling Void 「Runa」
アメリカのゴシック・ドゥームメタル、ハウリング・ヴォイドの2014年作
全パートを一人でこなす、R.氏による個人プロジェクトで、3曲入りのEPながら、10分の大曲を含む全24分の作品。
重厚なギターにうっすらとしたシンセを重ね、詠唱のような歌声を乗せて、ミステリアスな空気を描く、
幻想的なゴシック・ドゥームを聴かせる。基本はスローテンポのフューネラルな感触であるが、
ときにトレモロのギターやほどよく激しさもあるドラムとともに、インストパートがメインながらも、
案外飽きずに鑑賞できる。歌らしい歌は入らないので、ダークなゴシック風のBGMとしても楽しめます。
ドラマティック度・・7 ゴシック・ドゥーム度・・8 幻想度・・8 総合・・7.5 過去作のレビューはこちら
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SACROSANCT 「Tragic Intense」
オランダのスラッシュメタル、サクロサンクトの1993年作
1990年にデビュー、本作は3作目。甘すぎない叙情のツインギターにパワフルなヴォーカルと、
随所にリズムチェンジを含んだ構築力で、ダークな味わいの知的なパワーメタルを聴かせる。
ヴォーカルの声質なども含めて、初期のMEATALLICAなどにも通じる雰囲気もあり、
スラッシュというほどには激しい疾走感はないが、5~8分という長めの楽曲を主体にした、
いくぶんプログレッシブな味わいとともに、どっしりとしたクールなサウンドが楽しめる。
CORONERDESPAIRなど、インテレクチュアルなスラッシュが好きな方にもお薦めです。
ドラマティック度・・7 疾走度・・6 重厚度・・8 総合・・7.5
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SACROSANCT「NECROPOLIS」
オランダのスラッシュメタル、サクロサンクトの2018年作
1990~93年までに3作を残して消えたバンドの、じつに25年ぶりとなる復活作で、
叙情的なツインギターにパワフルなヴォーカルを乗せた、重厚なパワーメタルは健在。
ヨーロピアンな翳りを帯びたダークな感触と、ほどよくメロディックなテイストが同居して、
スラッシーな疾走パートを含む緩急ある展開力とともに、ドラマティックなサウンドが楽しめる。
ちなみに、ギターは元PESTILENCEと知って納得。ときにMEGADETHを思わせるような部分もあり、
これぞインテレクチュアル・スラッシュという恰好良さ。復活作にして最高作ですな。
ドラマティック度・・8 疾走度・・7 重厚度・・8 総合・・8
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8/7
麗しの女性Voメタル!(238)


Temperance 「Viridian」
イタリアのシンフォニックメタル、テンペランスの2020年作
2015年にデビューし、本作ですでに4作目となる。ほどよく硬質なギターにきらびやかなシンセを重ね、
男女ヴォーカルが絡む、壮麗なシンフォニックメタルは本作も同路線。楽曲自体は、普通にメロディアスで、
曲によってはAVANTASIAのような、メロハーをヘヴィにしたような感じもあったりと、さして新鮮味はないのだが
メロパワ的な疾走パートも含めて、キャッチーなフックがたっぷり。前作から加入のアレッシア嬢の歌声は、
伸びやかで十分魅力的なのだが、男性声パートがわりと多いので、いくぶんもどかしさも感じてしまう。
楽曲も3~4分前後と、今作はやや小粒な印象。しごく高品質な出来ではあるが、次作はどうなるのでしょう。
シンフォニック度・・8 キャッチー度・・8 女性Vo度・・7 総合・・8 過去作のレビューはこちら
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SASCHA PAETH'S MASTERS OF CEREMONY 「SIGNS OF WINGS」
HEAVENS GATEのギタリストで、AVANTASIAなどにも参加するミュージシャン、
サシャ・ピートによるプロジェクト、マスターズ・オブ・セレモニーの2019年作
AVANTASIAのライブメンバーを主体に、女性シンガー、アドリーネ・コーワンをフロントにした編成で、
ヘヴィなギターで疾走する正統派のパワーメタルに、伸びやかなハイトーンとスクリームも使い分ける、
パワフルな女性ヴォーカルを乗せたサウンド。流麗なギターフレーズに、随所にきらびやかなシンセも重ね、
モダンなヘヴィネスのダークな味わいに、ときにフォーキーな感触やキャッチーなメロディの疾走ナンバー、
ゴシック風味やしっとりとしたバラードまで、バラエティに富んだ楽曲が表現力ある女性Voで楽しめる。
メロディック度・・8 モダンヘヴィ度・・8 女性Vo度・・8 総合・・8
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Edenbridge 「Dynamind」
オーストリアのシンフォニックメタル、エデンブリッジの2019年作
2000年にデビュー、フィメール・シンフォニックメタルとしてはすでにベテランとなるバンドの10作目。
メタリックなギターに壮麗なアレンジを重ね、サビーネ・エデルスバッカーの艶やかな美声で聴かせる、
フィメール・シンフォニックメタルは本作も不変。ケルティックな旋律を取り入れたキャッチーなナンバーなどは、
Blackmore's Nightなどにも通じる味わいで、モダンなヘヴィネスのナンバーとのコントラストになっている。
今作が取り立てて素晴らしいわけではないが、12分の大曲では、壮大なスケールに包まれた優雅なサウンドに浸れる。
Nightwishがスタイルを変えるのに対して、ほぼ同じ路線で勝負している、この素晴らしきマンネリズムに拍手である。
シンフォニック度・・8 優美度・・8 女性Vo度・・8 総合・・8 過去作のレビューはこちら
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Scardust 「Sands of Time」
イスラエルのシンフォニックメタル、スカーダストの2019年作
ストリングスや混声コーラスによるクラシカルなイントロで幕を開け、ヘヴィなギターにオーケストラルなアレンジを重ね、
美しいソプラノとパワフルなハイトーンを使い分ける女性ヴォーカルを乗せた、壮麗なシンフォニックメタルを展開する。
ProgMetal的でもあるテクニカルな展開力も覗かせつつ、ピアノやストリングスなどの優雅なクラシカル性とともに
EPICAにも通じるスケール感と起伏のある構築力に、DELAINのようなキャッチーなメロディアス性も同居した聴き心地。
紅一点、Noa嬢はルックスの美しさに加えて、繊細なソプラノとパワフルな歌声にデス声までを使い分けるという驚異の逸材。
ときにデス声を加えたアグレッシブなヘヴィネスや、流麗なギターフレーズを含む巧みな演奏力と複雑な楽曲アレンジ、
そして奇跡の二刀流女性ヴォーカルと、すべてが高次元で融合。フィメール・シンフォニックメタルに輝ける新星が現れた。
シンフォニック度・・9 壮麗度・・9 女性Vo度・・9 総合・・8.5
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ANGEL HEART
ノルウェーのシンフォニックメタル、エンジェル・ハートの2018年作
美しいシンセアレンジに適度にハードなギター、伸びやかな女性ヴォーカルのシンフォニックメタル。
演奏にはさほど凝ったところはないが、随所にギターの奏でる叙情フレーズも良い感じで、
キャッチーなメロハー風味から、ゆったりとしたシンフォニックナンバーなども優美な味わい。
リズム面での野暮ったさがいくぶんマイナーな雰囲気を醸し出しているが、ヴァイオリンも鳴り響き、
北欧らしい涼やかな土着メロディを覗かせるところもなかなか魅力的。メンバー写真を見ると、
ヴォーカルさん含め、みなさん意外と歳くっておられるようで、中年フィメールメタルの星ですな。
メロディック度・・8 キャッチー度・・8 女性Vo度・・8 総合・・8
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DREAMS IN FRAGMENTS 「REFLECTIONS OF A NIGHTMARE」
スイスのシンフォニックメタル、ドリームス・イン・フラグメンツの2019年作
メタリックなギターにシンセを重ね、美しい女性ヴォーカルを乗せた、Nightwishタイプのサウンド。
随所にデスヴォイスを加えた、ゴシックメタル的な感触も含みつつ、翳りを帯びた優美な世界観で、
ミドルテンポを主体にじっくりと聴かせる。ぽっちゃり系シンガー、セライナ嬢の歌声はなかなか魅力的なのだが、
どこか盛り上がり切らないメロディのフック、シンフォニックな壮麗さも物足りない感じなのが惜しい。
北欧らしいフォーキーなメロのナンバーなど、雰囲気は悪くないので、今後は楽曲の練り込みを期待したい。
シンフォニック度・・7 壮麗度・・7 女性Vo度・・8 総合・・7.5
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KALIDIA 「THE FROZEN THRONE」
イタリアのシンフォニックメタル、カリディアの2018年作
正統派のギターにシンセアレンジを重ね、伸びやかな女性ヴォーカルを乗せたスタイルで、
メロパワの疾走感と、ゴシック的な感触が同居した、優美なメロディックメタルを聴かせる。
紅一点ニコレッタ嬢の清涼な歌声もなかなか魅力的で、キャッチーなメロディのフックとともに、
Ancient Bardsなどにも通じる、エピックなファンタジック性を感じさせる世界観も良いですね。
疾走するメロスピ風味から、3拍子のゴシックメタル寄りのナンバーまで、緩急ある聴き心地で楽しめます。
シンフォニック度・・7 壮麗度・・7 女性Vo度・・8 総合・・8
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FOLLOW THE CIPHER
スウェーデンのメロディックメタル、フォロー・ザ・サイファーの2018年作
SABATONのサウンドエンジニアも務めたギタリスト、ケン・シェングストロム率いるバンドで、
ヘヴィなギターに美麗なシンセアレンジを重ね、ハスキーな女性ヴォーカルに男性声が絡む、
重厚にしてキャッチーなメロディックメタル。きらびやかなシンセを含めた優美なサウンドは、
Nightwishに通じるようなところもあり、男女声を活かしたポップなメロディアス性も魅力的だ。
紅一点、リンダ嬢の歌声はパワフルなシャウトから、エモーショナルに歌い上げるところまで、
その表現力も十分で、フェミニンすぎない中性的な雰囲気も、サウンドによくマッチしている。
モダンなヘヴィネスとキャッチーな爽快感が同居した、パワフルな女性声メタルの力作です。
メロディック度・・8 パワフル度・・8 女性Vo度・・8 総合・・8
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VANDROYA 「BEYOND THE HUMAN MIND」
ブラジルのメロディックメタル、ヴァンドローヤの2017年作
前作は女性声版HELLOWEENというような好作だったが、2作目となる本作も、ツインギターにシンセを重ね、
伸びやかな女性ヴォーカルとともに疾走する、ANGRAばりの王道のメロディック・パワーメタルを聴かせる。
古き良きメロパワの感触に、シンセアレンジによるシンフォニックメタル的な壮麗さも加わったスタイルで、
疾走メロスピナンバーから叙情的なバラードまで、Daisa嬢の表現力ある歌声が前作以上に輝いている。
パワフル過ぎない女性らしい美しさを残した歌声と、ヘヴィ過ぎないオールドなメタル感触を同居させ、
絶妙なバランスできらびやかに聴かせるという高品質な作品だ。心地よい疾走感に浸れます。
メロディック度・・8 疾走度・・8 女性Vo度・・8 総合・・8
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Dying Gorgeous Lies 「The Hunter and They Prey」
ドイツのスラッシュメタル、ダイイング・ゴージャス・ライズの2019年作
2011年にデビュー、本作は3作目。オールドなギターリフに、ダーティなダミ声女性ヴォーカルを乗せた
HOLY MOSESにも通じる、パワーメタル寄りのスラッシュメタル。スラッシーな疾走感とともに、
随所にメロディックなギターや、ピアノやヴァイオリンなどの叙情的なパートも覗かせて、
ときにノーマルな女性声も使い分けるなど、激しさの中にもウェットな感触を漂わせている。
反面、疾走スラッシュでゆくのか、女性声の魅力を活かすのか、やや中途半端な感じもある。
ドラマティック度・・7 疾走度・・7 女性声度・・7 総合・・7.5
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Silent Stream Of Godless Elegy 「Smutnice」
チェコのゴシックメタル、サイレント・ストリーム・オブ・ゴッドレス・エレジーの2018年作
1995年にデビュー、本作は7年ぶりとなる7作目。ヘヴィなギターにヴァイオリンやチェロの音色が重なり、
母国語による女性ヴォーカルに男性声が絡む、Orphaned Landにも通じる異国的な味わいのサウンド。
デスヴォイスを含むアグレッシブな激しさも垣間見せつつ、ストリングスによるクラシカルなテイストも同居して、
ほどよくヘヴィでありながらも、アラビックな雰囲気の土着的と、妖しくミステリアスな空気感に包まれる。
ゴシック的な耽美性よりは、スラヴ系の異国感が前に出ていて、フォークメタルのファンにも楽しめるだろう。
ドラマティック度・・8 ゴシック度・・7 異国度・・8 総合・・8 過去作のレビューはこちら
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VENUES 「ASPIRE」
ドイツのメタルコアバンド、ヴェニューズの2018年作
適度にヘヴィなギターにモダンなシンセアレンジを重ね、女性ヴォーカルと男性デスヴォイスが絡む、
キャッチーでエモーショナルなサウンドを聴かせる。男声の入り方はいかにも類型的なメタルコア風であるが、
紅一点ナイヴス嬢の伸びやかな歌声はなかなか魅力的で、いくぶんゴシック寄りの雰囲気も匂わせる。
楽曲は3~4分前後で、比較的シンプルであるが、激し過ぎないキャッチーでスタイリッシュな作風は、
わりと普通に楽しめる。個人的にはメタルコアが苦手なこともあり、合いの手的なデス声は不要に思えるが、
そうなると、単なる中庸の女性声シンフォメタルとなってしまいそうでもある。
ドラマティック度・・7 スタイリッシュ度・・8 女性Vo度・・7 総合・・7.5
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Wedingoth 「Alone in the Crowd」
フランスのプログレメタル、ウェドインゴスの2016年作
2009年にデビューし、3作目となる。女性Vo、女性ベーシストを含む編成で、
適度にハードなギターにシンセアレンジを重ね、緩急あるアンサンブルに女性ヴォーカルを乗せた
スタイリッシュなプログレメタル。オルガンなどを含むシンセアレンジや、女性声による優美な感触と、
テクニカルな構築力が同居した作風で、いくぶんゴシック寄りのウェットな雰囲気も覗かせる。
10分を超える大曲では、緩急ある展開とともに、シアトリカルなドラマ性も感じさせつつ、
分かりやすい盛り上がりやフックのあるメロディが希薄なので、なんとなくもどかしい。
ドラマティック度・・7 テクニカル度・・7 女性Vo度・・7 総合・・7.5
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By Blood Alone 「Seas of Blood」
アメリカのメロディックメタル、バイ・ブラッド・アローンの2007年作
女性Voにシンセを含む5人編成で、軽めのドラムに普通のギターリフを乗せ、ハスキーな女性ヴォーカルで聴かせる
ローカルな味わいのメタルサウンド。チープなシンセアレンジに、ぱっとしないギターワーク、音質の弱さも含めて
いかにもアマチュアレベルの聴き心地。抑揚のない女性ヴォーカルも、いかにも表現力が足りず、
楽曲のつまらなさを補完することはかなわず。楽曲は6~8分と長めなのだが、こうなると聴き通すのがつらい。
三連リズムのフォークメタル風ナンバーなども、メロディが中途半端なので、単なる凡曲にしか思えない。
そして新品で買ったはずなのに、何故かジャケ内にメンバーのサインが。それいりません。
メロディック度・・6 楽曲・・5 女性Vo度・・6 総合・・5.5
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Eden 「Memories」
ロシアのゴシックメタル、エデンの2015年作
女性Vo、女性ヴァイオリン奏者、女性ベーシストを含む5人編成で、美麗なシンセにメタリックなギターと
艶やかなヴァイオリンを重ね、なよやかな女性ヴォーカルを乗せた、シンフォニックなゴシックメタル。
Maya嬢の歌声は、DELAINのシャーロット嬢を思わせる美声で、サウンドに優美な彩りを加えており、
歌詞も英語なので辺境感はさほどない。楽曲は4分前後で、わりとあっさりしているが、重すぎずに、
ほどよくキャッチーな味わいで楽しめるのもよい。WITHIN TEMPTATIONなどのファンにもお薦めの逸品です。
シンフォニック度・・8 ゴシック度・・7 女性Vo度・・8 総合・・8
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Nebelhexe「Laguz Within the Lakel」
ノルウェーのゴシックアンビエント、ネベルヘクセの2004年作
EMPERORのサモスの夫人でもある、アンドレア・ハウゲンのソロユニットで、
エレクトロな感触を含んだシンセと艶めいた女性ヴォーカルを乗せた耽美なゴシックロックサウンド。
随所にギターも加えたメタル感触も若干覗かせつつ、北欧らしい涼やかな空気感と妖しさに包まれた、
わりとキャッチーな聴き心地。ダークさは薄めながら、耽美なエレクトロ・ゴシックが楽しめる。
ドラマティック度・・7 耽美度・・7 女性Vo度・・7 総合・・7
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7/11
ドゥームとブラックメタル!(222)


Black Wizard 「LIVIN' OBLIVION」
カナダのヴィンテージメタル、ブラック・ウィザードの2018年作
2010年にデビュー、前作は70年代臭たっぷりのストーナー系のハードロックであったが、、
4作目となる本作は、NWOBHM色を推し進めた、ヴィンテージなメタルサウンドを聴かせる。
ツインギターによる適度な叙情性や、激しく疾走するアグレッシブなナンバーもあって、
多くのオールドメタラーに楽しめる作風になった。一方で、ザラついたリフはストーナー的でもあり、
随所にドゥーミィな怪しさを残しているのも良い。重厚な音の説得力が備わったことで、
エピック・ドゥーム的にも楽しめる部分も。ヴィンテージと正統派メタル、どちらの耳でも楽しめる強力作。
ドラマティック度・・8 重厚度・・8 ヴィンテージ度・・9 総合・・8
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LOUSY RIDERS 「ORPHANS」
カナダのドゥームロック、ルーシー・ライダースの2017年作
男女2人組のユニットで、アナログ感たっぷりのギターにハスキーな女性ヴォーカルを乗せ、
Black Sabbathルーツのオールドなスタイルのドゥームメタルを聴かせる。
スラッジ寄りのザラついたヘヴィさとオールドロックのグルーヴィなノリが同居していて、
シンプルなサウンドながら、ドゥーム寄りのヴィンテージロックとしても普通に聴きやすい。
楽曲は3~5分とわりとあっさりしていて、全34分というのは少し物足りないか。
ドラマティック度・・7 ヴィンテージ度・・8 女性Vo度・・8 総合・・7.5
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Serpent 「Nekromant」
スウェーデンのドゥームメタル、サーペントの2015年作
同じスウェーデンには同名のベテランバンドがいるが、こちらは別バンドらしい。
ギター、ベース&ヴォーカル、ドラムというシンプルなトリオ編成で、アナログ感あるギターリフに
パワフル過ぎない歌声を乗せた、古き良きドゥームメタル。Black Sabbathをルーツにしつつ
ブルージーな70年代ロック風味の渋さと、いくぶんマイナーな怪しさまぶしたというサウンドだ。
スローナンバーだけでなく、わりとキャッチーなノリも含んだところは、Angel Witchなど、NWOBHM的な
オールドな正統派メタルとしても楽しめる。さほど重たさがないのでドゥームロック初心者にもお薦めです。
ドラマティック度・・7 ドゥーム度・・7 ヴィンテージ度・・8 総合・・7.5
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THE EVIL
ブラジルのドゥームメタル、イーヴルの2018年作
フードをかぶり覆面をした怪しげな4人編成で、ヘヴィなギターリフに女性ヴォーカルを乗せた、
どっしりとスローテンポの魔女系ドゥームメタルを聴かせる。10分を超える大曲では、
オルガンによるイントロから始まり、妖しい女性声とともに邪悪な雰囲気たっぷりに
WITCH MOUNTAINにも通じる本格派の重さと、適度にアグレッシブなメタル感も覗かせる。
リフや楽曲自体にこれという新鮮味はないのだが、重厚な説得力をまとった強力なサウンドだ。
ドラマティック度・・7 ドゥーム度・・9 魔女系度・・8 総合・・7.5
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Cross Vault 「Spectres of Revocable Loss」
ドイツのドゥームメタル、クロス・ヴァウルトの2014年作
ゆったりとしたスローテンポに、重すぎない叙情的なギターと朗々としたヴォーカルを乗せ、
CANDLEMASSルーツの、古き良きスタイルの幻想的なエピック・ドゥームメタルを聴かせる。
ギターリフはヘヴィ過ぎず、いくぶんこもり気味の音質とともに、霧に包まれたような感触で
アコースティックパートなどのウェットな叙情性も覗かせつつ、全体的にゆったりとした聴き心地。
単調なリフレインのところはやや退屈ではあるが、雰囲気モノとしての世界観はしっかりとあるので、
プリミティブなオールドメタルとしても楽しめる。演奏も歌も上手すぎないところが、ぼやけていて良いのですね。
ドラマティック度・・7 重厚度・・7 エピックドゥーム度・・8 総合・・7.5
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Atra Vetosus 「Apricity」
オーストラリアのブラックメタル、アトラ・ヴェトサスの2018年作
2011年にデビュー、本作は2作目となる。アコースティックによる優美なイントロから始まり、
トレモロのギターリフにダミ声ヴォーカル乗せて激しくブラスト疾走しつつ、朗々としたコーラスを加えた
スペイシーなスケール感とツインギターによる叙情性とともに、メロディックブラック的な感触も覗かせる。
8~10分の大曲をメインに、随所にシンセによるアレンジやゆったりとした叙情パートなども含んだ
激しくも緩急ある展開力で、荘厳な暗黒美というべきドラマティックな世界観を描きだす。
カスカディアンブラックにも通じる、霞みのかかったような幻想的な空気感も魅力的で、
DISSECTIONなど北欧メロブラを思わせる部分もある。メロウな叙情たっぷりの傑作です。
ドラマティック度・・8 暴虐度・・7 荘厳で叙情度・・9 総合・・8
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CONSUMMATION 「The Great Solar Hunter」
オーストラリアのブラックメタル、コンサメーションの2019年作
2012年にデビュー、本作は2作目。ツインギターのリフに低音の唸り声ヴォーカルを乗せて激しく疾走、
スラッジ的なザラついた感触と、モノトーンの暗黒性に包まれたブラックメタルサウンド。
12分、13分という大曲もあり、随所にスローパートを含んだ重厚さと、ときに激しいブラスト疾走で、
邪悪でミステリアスな空気感を描きながら、淡々とした無慈悲なスラッジブラックを構築してゆく。
全体的に硬派で媚のないサウンドなので、ドラマティックな盛り上がりがもう少し欲しい気もするが、
モノトーンの美学こそが魅力なのかも。ラスト曲の最後は、トレモロからの叙情メロディがよい感じです。
ドラマティック度・・7 暴虐度・・7 暗黒度・・9 総合・・8
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ASIRA 「EFFERENCE」
イギリスのポストブラックメタル、アシラの2017年作
トレモロを含むツインギターにシンセを重ね、ダミ声ヴォーカルを乗せて激しくブラスト疾走する、
幻想的なポストブラックを聴かせる。シンフォニックな音の厚みと、マイルドなノーマル声を乗せた
物悲しい静謐感が同居していて、 Alcestにも通じる叙情美に包まれながら、緩急ある展開とともに、
10分を超える大曲を構築する。メロディックなギターにうっすらとしたシンセを重ねたところは、
プログレリスナーにも楽しめるくらいの優雅な感触で、メランコリックな空気感からの激しいブラスト疾走という振り幅の大きさは凄い。
CD-R仕様なのが惜しいが、一線級のバンドになれるだけのポテンシャルを感じさせる、見事な強力作である。
ドラマティック度・・8 暴虐度・・6 叙情度・・9 総合・・8

Echoes of the Moon 「Enthropy」
アメリカのポストブラックメタル、エコーズ・オブ・ザ・ムーンの2016年作
マルチミュージシャンよる個人ユニットで、打ち込みのリズムにトレモロのギターと絶叫ヴォーカルを乗せ、
叙情的なブラックメタルサウンド。全体的に、メロディックなギターフレーズが前に出ていて、
ドラムが打ち込みなので、暴虐な迫力はさほど感じず、10分前後の大曲では、リフレインのパートも多く
フックのある展開も希薄なので、やや長尺な感じもあるが、逆にゆったりとした叙情が心地よいところもあり、
独りブラック特有のほどよいプリミティブなマイナー臭さもわりと味になっている。
ドラマティック度・・7 暴虐度・・7 叙情度・・7 総合・・7.5
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Eigenlicht 「Self - Annihilating Consciousness」
アメリカのブラックメタル、エイゲンリヒトの2018年作
女性シンセ奏者を含む4人編成で、ほどよく叙情的なギターにときにを加えた重厚なアレンジで、
低音の唸りヴォイスや女性声を乗せたゆったりとしたパートから、すでにミステリアスなスケール感を漂わせる。
10分を超える大曲4曲を主体に、トレモロのギターを乗せた激しいブラスト疾走も随所に覗かせつつ、
美麗なシンセを重ねたシンフォニックで幻想的な空気感と、暗黒の世界観が合わさった聴き心地で、
緩急ある構築力とともに、不穏な神秘性に包まれたプログレッシブなブラックメタルとしても楽しめる。
美しいシンセをメインにしたスローパートも魅力的で、荘厳で幻想的なシンフォブラックが好きな方もどうぞ。
ドラマティック度・・8 暴虐度・・7 暗黒度・・8 総合・・8
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Nightbringer 「Hierophany of the Open Grave」
アメリカのブラックメタル、ナイトブリンガーの2011年作
2008年のデビューから、本作は3作目。不穏なギターフレーズに咆哮するヴォーカルを乗せて、
激しくブラスト疾走する荘厳なブラックメタルサウンド。暗黒の世界観と音の迫力に磨きがかかり、
ミステリアスな神秘性をまとわせた空気感は、のちの傑作に引けを取らないくらいの聴き心地である。
適度な叙情性を含んだギターフレーズとともに、北欧ブラックとはやや異なるウェットな妖しさに包まれて、
激しいだけでない緩急ある展開とともに、6~7分台のわりあい長めの楽曲を濃密に構築してゆく。
漆黒の闇を描くようなサウンドで、アメリカを代表する本格派ブラックメタルとなった強力なアルバムだ。
ドラマティック度・・8 暴虐度・・8 ミスティック度・・9 総合・・8 過去作のレビューはこちら
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Bestia Arcana 「To Anabainon Ek Tes Abyssu」
アメリカのブラックメタル、ベスティア・アルカナの2011年作
Nightbringerのメンバーによるユニットで、こちらはより極端なプリミティブスタイルのブラックメタルをやっている。
不穏なギターフレーズに咆哮するヴォーカルを乗せてブラスト疾走するのは、Nightbringerと同様ながら、
こもり気味の音質がよりミスティックな妖しさを助長して、邪悪な激しさとミステリアスな闇が混濁した聴き心地。
高速ブラストのパートでも薄ぼやけた音質のおかげで暴虐な圧殺感はさほどなく、ギターもドラムも混然となった
サウンドスケープ的な音の塊として鑑賞できたりする。暗黒アンビエント風のナンバーもあったりと、やりすぎ感も楽しい。
ラスト曲ではシンセアレンジも加わった、怪しいシンフォブラック的な感触も覗かせる。全39分という短さも潔いです。
ドラマティック度・・7 暴虐度・・8 ミスティック度・・10 総合・・8
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Wallachia 「Shunya」
ノルウェーのシンフォニック・ブラックメタル ワラキアの2012年作
1996年にデビュー、2009年に10年ぶりに復活し、本作は通算で4作目となる。
トレモロのギターにダミ声ヴォーカルを乗せて激しくブラスト疾走、美しいシンセアレンジや
リズムチェンジを含む緩急ある展開力で、いくぶんメロデス的な雰囲気も感じさせるサウンド。
ノルウェイジャンらしい涼やかな空気感と、北欧的な土着メロディ、シンフォニックな味わいなどが、
暴虐な疾走パートとのコントラストになっていて、以前の作品よりもアレンジ面での迫力も増している。
しっかりと激しく、そして優美な叙情を含んだ北欧シンフォブラックが楽しめる高品質作である。
ドラマティック度・・8 暴虐度・・7 叙情度・・8 総合・・8
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Vordr 「III」
フィンランドのブラックメタル、ヴォルドルの2008年作
2004年にデビュー、3作目。ノイジーなギターに絶叫ヴォーカルを乗せて疾走する
プリミティブなブラックメタルで、スカスカの音質も含めて、初期のDark Throneなどを思わせる。
楽曲は1~3分前後といたってシンプルながら、リズムチェンジを含む展開力も多少あって、
音自体はえらくローカルながらも、演奏はわりとしっかりしているので案外まともに楽しめる。
いかにも90年代に回帰したような、暴虐過ぎない原初的な北欧プリブラが好きならいかが。
ドラマティック度・・7 暴虐度・・7 プリミティブ度・・8 総合・・7.5

Ephel Duath 「Hemmed By Light, Shaped By Darkness」
イタリアのアヴァン・ブラックメタル、エフェル・ドゥアスの2013年作
2000年にデビュー、本作は7作目となる。プログレッシブな味わいの変則リズムにクールなギターフレーズ、
ガナり声ヴォーカルとともに聴かせる、ダークでテクニカルな味わいのアヴァンギャルドなブラックメタル。
暴虐な疾走パートはさほどなく、うねりのあるグルーブ感に包まれたスローテンポをメインに、
シアトリカルなヴォーカルが、闇のドラマを描くように叫び続ける。ミステリアスで得体の知れない世界観と
独特の楽曲センスはよいのだが、もう少したたみかけるような迫力や盛り上がる部分があればとも思う。
ドラマティック度・・8 暴虐度・・6 アヴァンギャル度・・7 総合・・7.5
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7/3
メロスピ・メロパワ・シンフォニックメタル!(207)


Turilli/Lione Rhapsody 「Zero Gravity」
イタリアのシンフォニックメタル、トウリッリ・リオーネ・ラプソディーの2019年作
ルカ・トゥリッリとファビオ・リオーネによる、新たなラプソディーの新章がここに開幕した。
ギターのドミニク・ルアキン、ドラムのアレックス・ホルツワースというかつてのメンバーとともに、
オーケストラルな壮麗なアレンジに、ファビオの伸びやかでバワフルな歌声を乗せたサウンドは、
エピックなスケール感とともに、かつてのラプソディーを彷彿とさせる部分もあり、オペラティックなクワイアや、
AMARANTHEのエリーゼ・リードが参加した男女Voのナンバーなど、華やかな優雅さに包まれながら、
コンセプト的な流れのあるシネマティックなストーリーを描き出す。ときにQUEENのようなヴォーカルパートなど、
クラシカルな美意識と、説得力のあるファビオの歌声で、安定のルカラプソ節が楽しめる強力作だ。
シンフォニック度・・9 壮麗度・・9 ラプソ度・・8 総合・・8 過去作のレビューはこちら
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Secret Sphere 「The Nature of Time」
イタリアのシンフォニックメタル、シークレット・スフィアの2017年作
1999年にデビュー、RHAPSODYLABYRINTHに続く、イタリアンメタルシーンの中堅バンド。
ミケーレ・ルッピが加入して3作目の本作は、4章に分かれたコンセプト的なアルバムで、
美麗なシンセに伸びやかなヴォーカルを乗せて、キャッチーなメロディアス性に包まれた聴き心地。
ゆったりとしたナンバーを主体にした優雅な感触で、ときにメロスピ的な疾走ナンバーも挟みつつ、
シンフォニックなアレンジとマイルドな歌声を前に出した作風なので、メロパワ的なインパクトはやや弱いか。
ルッピの歌声が聴ければそれでよしというリスナーも多いだろうが、安定しすぎの出来にはやや退屈さも。
メロディック度・・8 疾走度・・6 優雅度・・8 総合・・8 過去作のレビューはこちら
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TRICK OR TREAT「RE-ANIMATED」
イタリアのメロディックメタル、トリック・オア・トリートの2018年作
2006年にデビュー、前作「Rabbits Hill Pt2」はバンドの最高作というべき見事な傑作であったが、
本作はなんとアニメソングのカヴァー集。バットマン、サムライトルーパー、ドラゴンボール、鋼鉄ジーグ、ポケモン、
ふしぎの海のナディア、ダイターン3、デビルマン、北斗の拳、アナと雪の女王、聖闘士星矢など、ボーナスを含めて全20曲。
日本でもおなじみの作品ばかりながら、海外盤の主題歌を基にしているものは、曲としては知らないものも多いのだが、
キャッチーなメロディと陽性のヒーロー感がメタルサウンドと融合していて、わりと違和感なく楽しめる。
ロベルト・ティランティ(Labyriyth)、マーク・バジル(DGM)、ジャコモ・ヴォーリ(Rhapsody of Fire)、サラ・スクワドラーニ(Ancient Bards)
マルコ・パストリーノ(Temperance)、キアラ・トリカーコ(元Temperance)、ミケーレ・ルッピ(Secret Sphere)、ファビオ・デッシ(Arthemis)など、
イタリアンメタルを代表するシンガーがゲスト参加。日本からRakshasaのYuriが参加した「ペガサス幻想」、ボートラの「GET WILD」も熱い。
メロディック度・・8 キャッチー度・・8 アニソン度・・7 総合・・7.5 過去作のレビューはこちら
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Silver Bullet 「MOONCULT」
フィンランドのメロディック・パワーメタル、シルヴァー・ブレットの2019年作
TURISASのハンネス・ホルマを擁するバンドで、フルアルバムとしては2作目となる。
16世紀の魔女狩りをテーマにした、3部構成に分かれたコンセプト作で、ツインギターのリフに
ハイトーンヴォーカルを乗せて疾走、クワイアを含んだシンフォニックなスケール感とともに、
BLIND GURDIANにも通じるスタイルだ。オールドなパワーメタル感触に包まれながら、
随所にメロディックなギターの旋律が北欧らしい叙情も覗かせて、語りを挿入したストーリー性も含めて、
KING DIAMONDのようなダークなドラマ性を描き出す、AMBERIAN DAWNのカルピ嬢をゲストに迎えての
男女Voナンバーなども良いアクセントになっている。正統派メロパワとしても高品質。見事な強力作だ。
ドラマティック度・・8 疾走度・・7 重厚度・・8 総合・・8
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Fugatta 「Tales of a New Century」
メキシコのメロディックメタル、フーガッタの2019年作
2011年にデビュー、本作は8年ぶりとなる2作目。美麗なイントロから幕を開け、クサメロのギターに
ハイトーンヴォーカルを乗せて疾走する、キャッチーなメロスピサウンドを聴かせる。
シンフォニックなシンセアレンジに、ときに女性コーラスも加えた壮麗な聴き心地は、
AQUARIAなどにも通じるだろう。楽曲は3~4分前後と比較的シンプルながら、
メロディのフックと勢いのある疾走感とともに、きらびやかで濃密な味わい。
ほどよいマイナー臭さを残している点では、DREDIANあたりにも近いかも。
クサ☆メタルってやっぱり良いなと思わせてくれる、メロディ充実の力作です。
メロディック度・・8 疾走度・・8 クサメロ度・・9 総合・・8
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Orion's Reign 「Scores Of War」
ギリシャのメロディックメタル、オリオンズ・レインの2018年作
2010年デビュー、8年ぶりとなる2作目。オーケストラルな壮麗さにパワフルなヴォーカルを乗せた
正統派メロパワが融合したスタイルで、いわばエピックで勇壮なシンフォニックメタルを聴かせる。
B級感の強かった前作に比べて、ヴォーカルにも演奏にも力強さと説得力が加わっていて、
ときにRHAPSODYばりのスケール感とともに、重厚なシンフォニック・パワーメタルを描いてゆく。
随所に流麗なギターフレーズも覗かせつつ、一方ではフォーキーなメロディも覗かせるなど飽きさせない。
MANOWARがシンフォニックメタル化したような勇壮なラスト曲まで、重厚にしてきらびやかな傑作である。
シンフォニック度・・8 重厚度・・8 勇壮度・・8 総合・・8
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EDHELLEN 「Sombra y Anhelo」
スペインのシンフォニックメタル、エデレンの2011年作
ツインギターにシンセを含む6人編成で、これがデビュー作となる。美麗なイントロで幕を開け、
きらびやかなシンセと流麗なギターに、スペイン語のハイトーンヴォーカルを乗せて、
クサメロで疾走するシンフォニックなメロスピサウンドを展開。リズムチェンジを含むフックのある展開力と、
華麗でキャッチーなメロディアス性はとても日本人好みで、メンバーが在籍していた、
Opera Magna
以上にシンフォニックなクサメロスピが味わえる。優雅でクラシカルでありながら、
随所にフォーキーなメロディも覗かせるなど、楽曲ごとの濃密な聴き心地もGoodです。
シンフォニック度・・8 疾走度・・8 優雅度・・9 総合・・8
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LANCER 「Mastery」
スウェーデンのメロディックメタル、ランサーの2017年作
2013年にデビューし、本作で3作目となる。王道のギターリフに伸びのあるハイトーンヴォーカルを乗せ、
古き良き正統派のメタルサウンドを聴かせる。80~90年代スタイルの正統メタルという点では、
ENFORCERあたりにも通じるが、こちらはより抜けの良いハイトーンで、キャッチーな歌メロのフックは、
HAMMER FALL
NOCTURNAL RITESなどのファンに楽しめるだろうし、初期のHELLOWEEN
あるいはJUDAS PRIESTを北欧メロパワ化したような感触もある。新鮮味はさほどないものの、
突き抜けるようなハイトーンヴォーカルで、オールドスタイルのメロパワ好きならニンマリの強力作だ。
メロディック度・・7 正統派度・・8 ハイトーン度・・9 総合・・8
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ELUSION 「Singularity」
ベルギーのシンフォニックメタル、エルシオンの2019年作
美麗なアレンジにほどよくヘヴィなギターと、伸びやかな女性ヴォーカルの歌声を乗せて、
随所にデス声も絡む優美なシンフォニックメタル。モダンな硬質感やアグレッシブな疾走パートも覗かせつつ、
ドラムをはじめ録音がいくぶん軽めなので、ヘヴィな迫力はさほどないので、わりと聴きやすい。
ときおりメロディックなフレーズを奏でるギターは良い感じだが、全体的には盛り上がりに欠け、
もう少し魅力的なメロディのフックや展開が欲しい。シンフォニックな壮麗さもやや中途半端か。
シンフォニック度・・7 優美度・・8 女性Vo度・・7 総合・・7.5
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EDENBRIDGE 「Decade And A Half ... The History So Far」
オーストリアのシンフォニックメタル、エデンブリッジのDVD作品。2015年作
2000年にデビュー、女性ヴォーカルのシンフォニックメタルを代表するバンドの15年のキャリアを総括したDVD6枚組の映像作品。
Disc1は、バンドの歴史をメンバーが座談会的に語りながら、ランヴァルのソロ時代の映像や、バンドのデビューライブなど、
貴重な映像が挿入される。Disc2は、アコースティックセッションから、2003年のライブツアーやTV用の映像を収録。
画質はあまりよくないが、バンド初期の貴重なライブが見られます。Disc3は、2004年「A LIVE TIME IN EDEN」として
単体発売されているライブ作品の完全バージョンを収録。こちらは画質、音質とも良好でファンなら必見の内容といえる。
2005年、ANGRAとのツアーライブでの共演映像も貴重です。Disc4は、2007年の中国、北京のライブ映像で、
こちらも映像良好、90分たっぷりとバンドのステージが楽しめる。Disc5は、2006年アジアツアーのドキュメントに、
オーケストラのレコーディング風景、2008年の韓国とスイスでのライブを収録。映像はそれなりだが音質は良いです。
Disc6は、新作PVやメイキング、インタビュー、オーケストラのレコーディング風景、2014年チェコでのライブを収録。
DVD6枚分を視聴するのは大変だが、バンドの歴史がすべて詰まった、ファンならば必携の映像ボックスである。
ライブ映像・・8 バンドの歴史度・・9 ファンなら必携度・・9 総合・・8 過去作のレビューはこちら
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Akoma 「The Other Side」
デンマークのシンフォニックメタル、アコマの2012年作
6曲入りのデビューEP。美麗なシンセアレンジに美しいソプラノ女性ヴォーカルの歌声で聴かせる、
WITHIN TEMPTATIONなどに通じる、ゴシック寄りの優美なシンフォニックメタルを聴かせる。
タニア嬢の歌声は、Leaves' Eyesのリブ・クリスティンを思わせるなよやかな美声で、
物憂げな浮遊感も漂わせつつ、しっとりとした耳心地にウットリとなる。メタリックなヘヴィさよりも
オーケストラルなシンフォニック性と、魅力的な女性声を前に出した作風が見事にハマっている。
シンフォニック度・・8 ゴシック度・・7 女性Vo度・・8 総合・・8
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Veil Of Obscurity 「In The Beginning」
女性シンガー、ミッシェル・レイチェンをフロントにしたユニット、ヴェール・オブ・オブスキュリティの2018年作
バックを務めるのは、ROYAL HUNTのメンバーで、アンドレ・アンダーセンはゲスト扱い。
伸びやかな女性ヴォーカルの歌声をメインにした、キャッチーなポップ性のあるサウンドで、
ドラムはツーバスながら、メタル色はあまり感じさせない音作りは、あくまで歌を前面に出した作風。
艶めいた彼女の歌声はなかなか魅力的で、随所に美麗なシンセアレンジも覗かせつつ、
わりとメジャー感のあるモダンなポップ性とともに、4~5分前後の楽曲をきらびやかに聴かせる。
この路線なら、別にロイハンがバックでなくてもよい気もするのだが、人脈的なつながりなのだろう。
キャッチー度・・8 メタル度・・2 女性Vo度・・8 総合・・7.5
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RAVENSCRY「THE INVISIBLE」
イタリアのゴシックメタル、レイヴンズクライの2019年作
2011年にデビューし、本作が3作目となる。ツインギターのヘヴィなリフとメロディックなフレーズに、
美しい女性ヴォーカルの歌声を乗せた、倦怠の美とヘヴィネスが同居したゴシックメタルサウンド。
シンセをあまり使っていないので、シンフォニックな感触は薄いのだが、小曲をはさんだコンセプト的な流れで
ダーク世界観を描き出す。紅一点、ジュリア嬢の歌声は、ゴシックらしい妖しさから、伸びやかに歌い上げるところまで
表現豊かに楽曲を彩っていて、The Gathering時代のアネクを思わせるような涼やかな魅力がある。
女性声の実力は十分あるので、あとはサウンドにより強固な説得力が加われば、ひとつ上のバンドになれそう。
ドラマティック度・・7 ゴシック度・・7 女性Vo度・・8 総合・・8 過去作のレビューはこちら
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IVORY 「Time for Revenge」
イタリアのメロディックメタル、アイヴォリーの2008年作
2003年にデビュー、本作は5年ぶりの2作目で、クサメロなギターにシンセを重ね、
わりとパワフルなハイトーンヴォーカルを乗せて疾走する、シンフォ・メロスピサウンド。
リズムチェンジを含む緩急ある構築力と、キャッチーなクサメロ感が同居したスタイルで、
軽めのドラムも含めて重厚さはかけらもなく、どこか微笑ましいというのがB級のお約束か。
曲によっては、メロハー風だったり、シンフォニックメタル寄りだったりと、それなりには楽しめる。
演奏も歌も下手なわけではないので、あとは楽曲アレンジが向上すれば、もう少しは良くなりそうだ。
メロディック度・・7 疾走度・・7 B級度・・8 総合・・7
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Barilari
アルゼンチンのメタルバンド、バリラーリの2003年作
RATA BLANCAのシンガー、アドリアン・バリラーリ率いるバンドで、ネオクラシカルなギターに
存在感のあるハイトーンヴォーカルで聴かせる、古き良き王道の様式美メタルサウンド。
楽曲は、英語歌詞のナンバーが主体だが、ラタ・ブランカ時代のセルフカヴァーも披露。
STRATOVARIUSのイェンス・ヨハンソンや、NIGHTWISHのギターやドラムなどがゲスト参加して、
楽曲に華を添え、曲によってはストヴァリ的な味わいのキャッチーなメロディアス性も感じさせる。
ラストはレインボーの「Stargazer」というお約束っぷりだが、スペイン語によるカヴァーで、
これはなかなか新鮮。実力あるシンガーによる正統派の様式美メタルが楽しめる逸品です。
メロディック度・・8 様式美度・・8 新鮮度・・7 総合・・8
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Portrait 「Voices」
ブラジルのメロディックメタル、ポートレイトの1998年作
スウェーデンの同名バンドとは別バンドのEP。ツインギターにシンセを含む6人編成で、
わりとメロディックなギターに美麗なシンセを重ね、ヘナチョコなハイトーンヴォーカルを乗せて、
古き良き味わいのシンフォニックメタルを聴かせる。やや唐突な展開がマイナー感をかもしだすが、
きらびやかなシンセアレンジとともに、初期のVIPERのようなクラシカルなクサメロ感もあって、
完全なB級ながらも嫌いにはなれないものがある。本作以降音沙汰がなく。どうせならフルアルバムまで出してもらいたかった。
シンフォニック度・・7 クサメロ度・・8 B級度・・9 総合・・7



6/5
ジャンルカ・フェロすげえ!(191)


Crypt Sermon 「The Ruins Of Fading Light」
アメリカのエピック・ドゥームメタル、クリプト・サーモンの2019年作
4年ぶりとなる2作目で、どっしりしたツインギターに朗々としたヴォーカルを乗せ、
CANDLEMASSをルーツにした、重厚なエピック・ドゥームメタルを聴かせる。
ほどよく叙情的なギターフレーズにときにうっすらとしたシンセも重ね、いくぶんこもり気味の歌声とともに、
霧がかかったような翳りを帯びた世界観を描くサウンドは、その強度をぐっと強めている。
フルートが妖しく鳴り響く小曲などもアクセントになっていて、7~9分という大曲では、
リズムチェンジを含む展開力でドラマティックに構築する。まさに幻想ドゥームメタルの傑作である。
ドラマティック度・・8 重厚度・・8 幻想ドゥーム度・・9 総合・・8.5
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AMULET 「THE INEVITABLE WAR」
イギリスのメタルバンド、アミュレットの2019年作
2014年にデビュー、本作は2作目となる。ヘヴィすぎないツインギターのリフに
パワフル過ぎないハイトーンヴォーカルを乗せた、いかにも80年代NWOBHMルーツの
オールドなメタルサウンドを聴かせる。ほどよいスカスカ感とともに疾走するナンバーは、
ENFORCERよりもさらに確信犯的なヘナチョコ感で、マイナーなメタルが味わえる。
ブリューゲルの絵画をジャケにしているところなどにも、エピックな世界観を匂わせ、
ラストは、戦いをテーマにした勇壮なエピックメタルナンバーで締めくくる。全40分。
ドラマティック度・・7 パワフル度・・7 オール度・・9 総合・・7.5
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Messenger 「Starwolf Pt.2: Novastorm」
ドイツのメロディックメタル、メッセンジャーの2015年作
2013年のPt.Iに続く、スペースオペラ的なコンセプトアルバムの続編で、王道のツインギターに
パワフルなヴォーカルを乗せ、GAMMA RAYにも通じる正統派メロパワサウンドを聴かせる。
宇宙海賊をテーマにしているらしく、RUNNING WILDなどを思わせる勇壮な雰囲気も覗かせつつ、
叙情的なスローナンバーから、いかにもジャーマンらしい疾走ナンバーまで、まさに安定の作風。
新鮮味はあまりないが、ドラマティックなラスト曲まで、オールドメタルとしてのどっしりとした聴き心地と
ほどよいクサメロ感も含んだ、エピックな味わいのジャーマン・メロパワが楽しめる強力作だ。
ドラマティック度・・8 疾走度・・7 正統派度・・8 総合・・8
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Judas Priest 「Redeemer of Souls」
イギリスのベテランメタルバンド、ジューダス・プリーストの2014年作/邦題「贖罪の化身」
2枚組の大作だった前作から、6年ぶりとなる通算17枚目のアルバム。脱退した、K.K.ダウニングに替わり、
リッチー・フォークナーが加入、より強力になったツインギターのリフをスコット・トラヴィスのパワフルなドラムに乗せ、
ロプ゛・ハルフォードの衰えぬ歌声とともに、これぞジューダスというオールドスタイルのメタルサウンドを聴かせる。
随所に流麗なメロディを奏でるツインギターも魅力たっぷりで、賛否両論だった前作に比べ、原点回帰したような、
ストレートなメタルナンバーが多いので、ファンには嬉しいだろう。楽曲のタイトルなどもエピックメタル的で
勇壮な世界観が王道のメタルサウンドによくハマっている。まさにベテラン健在の強力なアルバムだ。
ドラマティック度・・8 正統派度・・9 パワフル度・・8 総合・・8 過去作のレビューはこちら
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Speedtrap 「Powerdose」
フィンランドのスピードメタル、スピードトラップの2013年作
オールドなギターリフを乗せて疾走する、スラッシーでシンプルなスタイル。
80年代のNWOBHMサウンドを、より激しいスピードメタルにしたという雰囲気は、
初期のMETALLICAに通じるものがあるだろうが、こちらはよりパンキッシュでストレート。
パワフル過ぎないほどよいローカルさとともに、オールドメタラーには心地よいノリで、
スラッシュというより、古き良き正統派メタルとして楽しめる。全8曲、全29分という爽快作。
ドラマティック度・・7 疾走度・・8 古き良き度・・8 総合・・7.5
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Leprous 「Pitfalls」
ノルウェーのプログレッシブメタル、レプラスの2019年作
2009年にデビュー、EMPERORのイーサーンの義理の弟エイナル・スーベルグが率いるバンドで、
デビューから、きっちり2年おきに作品を発表するのも勤勉であるが、作品ごとに深化してゆくサウンドも興味深い。
6作目となる本作は、美しいシンセにマイルドなヴォーカルを乗せた、翳りを帯びた繊細なポストプログレ風味から、
オーケストラアレンジを取り入れたシンフォニック性、さらにはROXY MUSICのようなエレクトロなポップ性など、
ボーダーレスなとらえどころのなさと、アーティスティックな世界観を感じさせる。メタル要素が薄まっているので、
エモーショナルな歌もの感が強まり、表現力を増したエイナルの歌声は、楽曲ごとにその表情を変えてゆく。
ラストの11分の大曲では、モダンでテクニカルな構築力も現れて、ProgMetalファンはひと安心である。
ドラマティック度・・7 メタル度・・5 薄暗度・・8 総合・8 過去作のレビューはこちら
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DISTORTED HARMONY 「A Way Out」
イスラエルのプログレメタル、ディストーテッド・ハーモニーの2018年作
2012年にデビューし、本作は3作目。硬質なギターにきらびやかなシンセを重ね、
エモーショナルなヴォーカルをテクニカルなリズムに乗せた、モダンなプログレメタル。
MESHUGGAHなどにも通じる、Djent系というべき変則リズムに包まれたサウンドは、
1stに比べるとよりスタイリッシュな作風になっている。一方ではゆったりとした叙情パートなど、
緩急ある構築力を覗かせるドラマティックな部分も残していて、非常に濃密な印象だ。
楽曲は4~5分前後がメインなので、より壮大な大曲などがあればもっと良かった。
ドラマティック度・・8 テクニカル度・・8 スタイリッシュ度・・8 総合・・8 過去作のレビューはこちら
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Fractured Dimension 「On The Precipice Of Many Infinities」
アメリカのテクニカル・プログレメタル、フラクチャード・ディメンションの2018年作/邦題「無限大の絶壁にて」
シンセ奏者のジミー・ピッツを中心に、2008年にデビュー、過去2作はPANET Xばりのテクニカルな力作であったが
3作目となる本作は、ヴァイオリン鳴り響くイントロから幕を開け、プログレ的で優美なシンセワークにギターを重ね
シンフォニックなクラシカル性と軽妙な展開力が同居した、インスト主体のプログレメタルを聴かせる。
ハネス・グロスマン(元OBSCURA)のドラムは、あえて重さ控えめの録音で、硬質感よりも優雅なアンサンブルや、
美麗なシンセをメインにしたナンバーなど、よりプログレリスナー寄りのテクニカルなハードシンフォとしても楽しめる。
スペイシーなスケール感と技巧的な濃密さが同居した強力作。1stに参加のロン・ジャーゾンベクも当然のようにゲスト参加。
ドラマティック度・・7 テクニカル度・・8 軽妙で優雅度・・8 総合・・8 過去作のレビューはこちら
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BREATH of NIBIRU 「Skyline Bazaar」
テクニカルメタル、ブレス・オブ・ニビルの2017年作
Time Machine、DoomSword、Heart Of Sun、LoveKillersなどに参加したイタリア人ギタリスト、ジャンルカ・フェロと
UNEARTHのドラム、ニック・ピアースのユニットで、硬質なギターを変則リズムに乗せたDjent系テクニカルメタル。
メタリックなリフから流麗なスウィープまでこなす、巧みなギターワークによるきらびやかな聴き心地で、
テクニカルかつヘヴィなドラムのよる激しさと、スペイシーなシンセアレンジを含むスケール感は、
「メロディックなメシュガー」という感じでも楽しめる。オールインストなので、この手のテクニカルメタルが好きでないと、
後半は飽きてしまうのだが、無機質なアンサンブルの中にも、随所に叙情的なフレーズを奏でるギターのセンスは素晴らしい。
メロディック度・・8 テクニカル度・・8 重厚度・・8 総合・・8
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Gianluca Ferro 「A Hole in the Ocean」
イタリア人ギタリスト、ジャンルカ・フェロの2017年作/邦題「超弩級多弦魔神」
BREATH of NIBIRUをはじめ、Time Machine、DoomSword、Heart Of Sun、などに参加した、シュレッド系ギタリスト。
本作はソロ3作目で、複雑な変則リズムに、流麗なギターフレーズを乗せてシンセによる味付けをした
きらびやかなテクニカルメタルを聴かせる。メタリックなリフから、ピロピロのスウィープ奏法まで、
華麗な技巧をたっぷり見せつけながら、ギターのメロディにはキャッチーな歌心があるので、案外聴きやすい。
アラン・ホールズワースばりの叙情フレージングとヘヴィなメタルリフが同居するという、ハイブリッドな演奏力が素晴らしい。
メタルフュージョン風の優雅さと超絶テクという点では、PLANET Xやトニー・マカパインなどのファンにもお薦めだ。
UNEARTHのニック・ピアース、アレックス・アルジェント、日本からは矢吹卓など、多数のゲストが参加。
メロディック度・・8 テクニカル度・・9 優雅度・・9 総合・・8.5
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Shadow Gallery 「Prime Cuts」
アメリカのプログレメタル、シャドウ・ギャラリーの2007年作
1992年のデビュー作から、2001年作「Legacy」までの4作から選ばれた11曲に、未発曲を加えたベスト盤。
美麗なシンセにマイルドなヴォーカルで聴かせるシンフォニックなサウンドは、テクニカルな構築力も含みつつ
メタリックなハードさよりも、むしろ優雅な叙情に包まれていて、プログレリスナーからの人気も高い。
リマスターされているので初期のナンバーはいくぶん音質も向上している。大曲は外してあるので、
アルバムにあったコンセプト的な壮大さまでは伝わり切らないが、バンドの入門用としてはよいだろう。
未発曲は、2nd「Curved in Stone」時期のもので、シンフォニックなプログレ寄りのサウンドが楽しめる。
ドラマティック度・・8 テクニカル度・・8 叙情度・・9 総合・・8 過去作のレビューはこちら
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Eternity X「Mind Games」
アメリカのプログレメタル、エターニティ・エックスの1995年作
Eternity名義で1994年にデビュー、本作は2作目なる。3rd以降から「X」を付けた名前に変更したようだ。
変則リズムを含むテクニカル性と緩急ある展開力で、Queensrycheなどに通じるProgMetalを聴かせる。
シアトリカルな味わいのハイトーンヴォーカルや、随所に流麗なフレーズを奏でるギターもよい感じで、
B級なジャケほどにはマイナー臭さは感じない。美麗なシンセを重ねてのシンフォニックな叙情性も覗かせて、
派手さはないがわりとキャッチーな味わいでも楽しめる。楽曲的には突き抜けきらないもどかしさもあって、
メロディ重視なのかテクニカルなのかがやや中途半端な印象。90年代プログレメタルの埋もれた佳作というところ。
ドラマティック度・・7 テクニカル度・・7 楽曲・・7 総合・・7
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EYEWITNESS「EYEWITNESS/MESSIAH COMPLEX」
アメリカのハードロック、アイウィットネスの1st/2ndカップリング。2007年作
のちにMILLENIUMを結成するラルフ・サントーラの最初のバンド。どっしりとしたドラムに技巧的なギターと、
パワフルなヴォーカルを乗せた骨太のハードロックで、その辺のメロハーとはボトムの重さが違う。
硬質なリフから、テクニカルなフレーズまでこなす、サントーラのギターワークは当然ながら素晴らしい。
日本盤では、1、2曲目の順番が入れ替わっているので、やや印象が異なるが、UFOのカヴァーなども含めて、
本格派メロハーの傑作であるには違いない。2作目の方は、キャッチーな部分が薄れ、ややダークな作風となり、
一聴した感じは地味であるが、クールなリフと叙情フレーズを弾きこなすサントーラのギターはさすがというところ。
のちのミレニアムへとつながるバンドとして、とても意義深い2作品であったといえるだろう。
メロディック度・・8 骨太度・・8 サントーラ度・・9 総合・・8 過去作のレビューはこちら
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Ralph Santlla 「Shaolin Monks in the Temple of Metal」
アメリカのギタリスト、ラルフ・サントーラのソロ。2002年作/邦題「悟道」
EYEWITNESSMILLENIUMなどで活動、2018年に51歳の若さで死去した技巧派ギタリスト。
本作は初のソロ作であり、最後のソロ作となった。「メタル少林寺」というアルバムタイトルはさておき、
マイケル・シェンカーやランディ・ローズ、ウリ・ジョン・ロート、ゲイリー・ムーア、アラン・ホールズワースといった、
偉大な先達から影響を受けたという、サントーラのメロディックで叙情的なギターがたっぷり楽しめる。
ただテクニックをひけらかすのではなく、あくまで楽曲に合わせてのフレージングは変幻自在のセンスで、
歌うようにメロディを奏でるギターワークは絶品。オールインストで、全34分とコンパクトながら、素晴らしい出来だ。
メロディック度・・8 テクニカル度・・8 サントーラ度・・9 総合・・8
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MONARCK
アメリカのメロディアスハード、モナークの1997年作
アメリカ人ヴォーカリスト、ジム・ドリアンをフロントにしたユニットで、ラルフ・サントーラがギターで参加、
プロデュースとしても全面サポートした作品。伸びやかなハイトーンヴォーカルを乗せたキャッチーなハードロックで、
ラルフの流麗なギターフレーズが随所に輝きを放つ、EYEWITNESSMILLENIUMをつなぐような作風だ。
よりキャッチーなコーラスハーモニーを乗せた、AOR風味も含んでいるが、やはり巧みなギターの存在感で、
軽すぎない味わいは、さすがサントーラである。楽曲は4分前後とシンプルで、ドラマティックな濃密さがもっと欲しい気もするが、
ほどよくライトなメロディアスハードが抜群のギターワークで楽しめるという、なかなかの好盤であるのは確かです。
メロディック度・・8 キャッチー度・・8 サントーラ度・・8 総合・・8
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5/23
ペイガン、フォーク、ゴシック!(176)


Cellar Darling「The Spell」
スイスのフォーク・ゴシックメタル、セラー・ダーリンの2019年作
ELUVEITIEのアナ・マーフィらによるバンドの2作目。ヘヴィなギターに美しい女性ヴォーカルを乗せ、
たゆたうような倦怠の叙情と、ハーディ・ガーディの素朴な音色など、フォーキーな要素が同居したサウンド。
アナ嬢のヴォーカルも表現力がぐっと増していて、魔女めいた漆黒の艶を感じさせる幻想的な世界観を彩り、
ときにフルートが妖しく鳴り響き、叙情的なギターの旋律や優美なピアノなど、繊細なアレンジも随所に光っている。
ケイト・ブッシュか、アネク・ヴァン・ガースバーゲンかという伸びやかな歌声が、魔法の物語を語るように
コンセプチュアルなスケール感を紡いでゆく。幻想世界の強度を強めた見事な傑作に仕上がっている。
ドラマティック度・・9 幻想度・・9 女性Vo度・・9 総合・・8.5 過去作のレビューはこちら
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ALKONOST 「Песни Белой Лилии(Songs of the White Lily)」
ロシアのペイガンメタル、アルコノストの2016年作
2004年にデビュー、ARKONAとともにロシアのペイガンメタルを代表するバンド。
本作は8作目で、美麗なシンセアレンジとフォーキーなメロディをメタリックなギターに重ね、
ロシア語による美しい女性ヴォーカルで聴かせる、優雅な味わいのペイガンメタルサウンド。
初期の頃よりもぐっとスタイリッシュになった聴き心地で、魅力的な女性声とフォーキーなクサメロ感で
デス声が入らないところも優美でよいですね。シンフォニックな女性声ペイガン・フォークメタルの傑作。
シンフォニック度・・8 フォーキー度・・7 女性Vo度・・8 総合・・8 過去作のレビューはこちら
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ALKONOST 「ОКТАГРАММА(Octagram)」
ロシアのペイガンメタル、アルコノストの2018年作
前作に続き自主リリースとなった9作目。美麗なシンセに女性声を乗せたイントロ曲から、幻想的な世界観に包まれる。
ヘヴィ過ぎないギターとシンフォニックなアレンジに、ロシア語の女性ヴォーカルが美しく響き渡る。
全体的にもゆったりと優雅な感触で、神秘的なフォーク・ゴシックメタルとしても楽しめる作風だ。
ギターの奏でるフォーキーなクサメロ感も前作同様に魅力的で、なよやかな女性声が引き立つような
ゆったりとしたナンバーを主体にした、優美で幻想的なサウンドが楽しめる。新鮮味は薄いがさすがの出来です。
シンフォニック度・・8 フォーキー度・・7 女性Vo度・・8 総合・・8
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Dalriada 「Nyaruto」
ハンガリーのフォークメタル、ダルリアダの2018年作
Echo of Dalriada名義で、2004年にデビューしてから通算で10作目となる。
ほどよくメタリックなツインギターのフォーキーな旋律にフルートの音色が絡み、
母国語の女性ヴォーカルを乗せた、叙情的なフォークメタルはすでに説得力十分。
オルガンを含むシンセがやわらかに楽曲を彩り、随所に男性声やデス声も絡みながら、
辺境的な牧歌性と重たすぎない優雅な土着感に包まれたサウンドが楽しめる。
曲によっては激しい疾走パートもあって、キャッチーなクサメロを乗せたルロスピ風味など、
多くのリスナーにアピールする感触で、キャリアのあるバンドらしいクオリティの高さが光る傑作だ。
メロディック度・・8 フォーキー度・・8 女性Vo度・・7 総合・・8.5 過去作のレビューはこちら
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Fenrir 「Legends Of The Grail」
フランスのフォークメタル、フェンリルの2019年作
2007年にデビュー、フルアルバムとしては2作目となる。艶やかなヴァイオリンが鳴り響き、美しい女性ヴォーカルの歌声を乗せた、
幻想的なフォークメタルを聴かせる。ときに激しめの疾走パートも覗かせつつ、ギターはヘヴィ過ぎない耳心地で、
アコースティックパートもまじえて、ブズーキやリコーダーなどの素朴の音色とともに、ジャケのイメージのような
メディーヴァルな世界観を描いてゆく。曲のタイトルからアーサー王伝説をコンセプトにしているようで、
中世風のコスプレに身を包んだメンバー写真も含めて、ファンタジー好きのメタラーにも美味しいだろう。
ほどよくマイナーな空気感もヨーロピアンな幻想の香りを感じさせる。優美なフォークメタルが楽しめる逸品です。
ドラマティック度・・8 フォーキー度・・8 女性Vo度・・8 総合・・8
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KRAYENZEIT 「Saitentaenzer」
ドイツのフォークメタル、クライエンツェイトの2019年作
2015年にデビュー、本作は4作目。女性ヴァイオリン、女性ハーディガーディ奏者を含む7人編成で、
メタリックなギターにモダンなシンセアレンジ、ヴァイオリンが艶やかに鳴り響き、ドイツ語によるヴォーカルを乗せた、
わりと正統派寄りのサウンドを聴かせる。ハーディ・ガーディの素朴な音色が加わると、ぐっとトラッドメタル的な味わいになって、
SALTATIO MORTISなどゲルマン系らしい雰囲気も漂わせるが、一方、キャッチーなメロディアス性は
Mago De Ozあたりにも通じるかもしれない。3~5分前後の楽曲は比較的シンプルで、激しさはあまりないが、
ゆったりしすぎもせず、ほどよく聴きやすい。フォーキーな旋律と哀愁の叙情を優雅に包み込んだ好作品だ。
ドラマティック度・・7 フォーキー度・・7 ゲルマン度・・8 総合・・8
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Saltatio Mortis 「Brot Und Spiele」
ドイツのフォークメタル、サルタティオ・モーティスの2018年作
2001年にデビュー、SUBWAY TO SALLYとともに、ゲルマン・トラッドメタルの代表格というべきバンド。
優美なピアノにバグパイプが鳴り響くイントロから、ドイツ語のヴォーカルを乗せたキャッチーなハードロックを展開。
楽曲は3~4分前後と比較的シンプルで、前作の路線を受け継ぐメロディックな抜けの良さとともに、
随所にシンセや女性コーラスなどを加えた、厚みのあるゴージャスなアレンジもさすがというところ。
ゲルマンロックとしての勇壮さに、哀愁を含んだ叙情も覗かせつつ、どっしりとした音の説得力はベテランならでは。
かつてのような古楽的なアプローチは薄まったが、バグパイプ入りのゲルマン・ハードロックとしてはとても楽しめる。
メロディック度・・8 フォーキー度・・7 ゲルマン度・・8 総合・・8 過去作のレビューはこちら
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MILETH 「Catro Pregarias no Albor da Lúa Morta」
スペインのフォークメタル、ミレスの2019年作
ガリシア地方のバンドで、艶やかなヴァイオリンが鳴り響き、ガリシア語による女性ヴォーカルと
迫力あるデスヴォイスが絡む、土着的な味わいのトラッド・フォークメタルを聴かせる。
アコースティックギターにマンドリン、ブズーキなどの素朴な音色とメタル感触が絶妙に融合していて、
説得力のあるケルティックなトラッド要素が、本格派としての重厚な説得力を生み出している。
ときに激しい疾走パートも現れて、優雅さとアグレッシブ加減のメリハリあるアレンジセンスなどは、
新鋭のフォークメタルとしては大変な有望株。いにしえのガリシアの風を感じるような強力作だ。
ドラマティック度・・8 フォーキー度・・8 土着度・・8 総合・・8
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Sechem 「Disputes With My Ba」
スペインのゴシック・フォークメタル、セケムの2018年作
女性Vo、女性リコーダー奏者を含む6人編成で、ヘヴィなギターリフに牧歌的なリコーダーの音色、
女性ヴォーカルの歌声に男性デスヴォイスを乗せた重厚なサウンドで、モダンなヘヴィネスと
ゴシックメタル的な雰囲気も覗かせる。バックの演奏にはわりとアグレッシブな激しさもあるのだが、
素朴なリコーダーの音色がややミスマッチな感じで、そこが面白いといえば面白い。
女性ヴォーカルの歌声は淡々としていて、翳りを帯びたミステリアスな雰囲気に包まれつつ、
曲によってはアラビックなテイストもあったりと、エスノゴシックメタル的にも楽しめる。
ドラマティック度・・7 フォーキー度・・7 女性Vo度・・7 総合・・7.5
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ARTAIUS 「TORN BANNERS」
イタリアのフォークメタル、アルタイウスの2015年作
2013年にデビュー、本作は2作目。男女Voにシンセ奏者を含む編成で、ヘヴィなギターに
やわらかなフルートの音色が絡み、美しい女性ヴォーカルと男性デスヴォイスを乗せた、重厚なフォークメタル。
ときにアグレッシブに疾走する激しさとモダンなヘヴィネスには、フォーク・メロデス的な感触もあるが、
ホイッスルにヴァイオリンが鳴り響く、ケルティックな牧歌性が同居していて、オルガンなどを含むシンセとともに、
優美で幻想的な雰囲気を描いている。SARA嬢の伸びやかな歌声も魅力的で、むしろデス声はなくてもいいかも。
激しさと優雅さのバランスのとれた、ドラマティックなフォークメタルを楽しめる力作です。
ドラマティック度・・8 フォーキー度・・8 重厚度・・8 総合・・8
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ELIWAGAR 「Fra Hjertet Av Norden」
ノルウェーのペイガン・ネオフォーク、エリワガーの2012年作
女性アーティスト、Runahild Kvitbjarkan Tyrsdottirによる個人プロジェクトで、
艶やかなハーディング・フェーレ(フィドル)にアコースティックギター、フルートなどの素朴な音色に、
母国語の女性ヴォーカルを乗せた、幻想的なネオフォーク。アコースティック主体なので派手さはないが、
民俗的なパーカッションにフルートが鳴り響き、ペイガンな神秘性に包まれた世界観を描き出す。
北欧らしい涼やかな空気感に包まれた、女性声幻想トラッド・フォークの好作品です。
幻想度・・8 ペイガンフォーク度・・9 女性Vo度・・7 総合・・7.5
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SHIBALBA 「STARS AL-MED HUM」
ギリシャのブラック・ダークアンビエント、シバルバの2018年作
スペイシーなシンセの重ねをメインに、神秘的なスケール感に包まれたブラッケンな世界を描く。
ときに詠唱のような歌声が妖しく響き渡り、ドラムやパーカッションのリズムやときにギターの旋律も入りつつ、
基本は雰囲気モノなので、さほどの展開はなく、どうしてもやや眠くなりがち。ブラックメタル的でもある暗黒性は感じるが、
ダークな迫力よりはスペイシーなぼんやり感が強いので、まどろむようにして聞き流すのがベストかも。全51分…zzz
ドラマティック度・・7 メタル度・・1 暗黒度・・8 総合・7.5
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TARANTULA HAWK
アメリカのアヴァンメタル、タランチュラホークの2002年作
うっすらとしたシンセにノイジーなギター重ねたイントロから不穏な空気を漂わせ、激しいドラムとともに、
オルガンを含むプログレ的なシンセとギターリフによる、激しくもアヴァンギャルドなサウンドを展開。
スペイシーなシンセにヘヴィなベースのうねりを乗せ、ミステリアスなインストパートを中心に、
KING CRIMSONを暴虐にしたというイメージもあり、とくにブラックメタル的なダークさも垣間見せる。
楽曲にはいっさいタイトルがつけられておらず、聴き手を虚無の彼方へ引きずり込むような空間性と、
プログレ、ブラックメタル、スラッジなどの要素を内包したそのスタイルも異色であるが、ラストの大曲は、
フリーキーなギターとシンセによるポストロック的なスケール感に包まれつつ、20分過ぎからは延々とノイズが続く。
ドラマティック度・・7 アヴァンギャル度・・8 ミステリアス度・・9 総合・・8
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Valentine Wolfe 「The Nightingale: A Gothic Fairytale」
アメリカのゴシックメタル、ヴァレンタイン・ウォルフの2015年作
男女2人組のユニットで、適度にハードなギターにシンセを重ね、美しい女性ヴォーカルの歌声を乗せた
耽美なゴシックメタルを聴かせる。やや軽めのドラムも含めて重すぎないサウンドは、マイナー臭さもあるが
チェロの音色などを加えた優雅なクラシカル性や、オペラティックなソプラノヴォーカルはなかなか魅力的。
楽曲自体は、ダークにするのか、クラシカルにするのか、耽美にするのか、いまひとつ中途半端で、
フックのある展開がさほどないので、煮え切らない印象。まあ美しい女性声を楽しむには良いのだが。
ドラマティック度・・7 耽美度・・8 女性Vo度・・8 総合・・7.5
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Green Carnation 「Journey to the End of the Night」
ノルウェーのプログレ・ゴシックメタル、グリーン・カーネーションの2000年作
叙情的なツインギターに美しい女性ヴォーカルを乗せ、物悲しく倦怠の浮遊感に包まれた作風で
リズムチェンジを含む知的な展開力とともに、耽美でプログレッシブなゴシックメタルを聴かせる。
のちの作品に比べると、いくぶんもっさりとした感じもあるが、ジェントルな男性Voを加えて、
OPETHなどにも通じるメリハリある構築力とともに、10分を超える大曲をじっくりと描いてゆく。
アルバム後半は、20分を超える組曲になっていて、重厚にしてドラマティックな味わい。全70分の力作である。
ドラマティック度・・7 耽美度・・8 構築度・・8 総合・・7.5 過去作のレビューはこちら
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5/9
メタルで吹き飛ばす5月!(161)


NACARBIDE 「Iron Lotus」
タイで活動するメロディックパワーメタル、ナッカーバイドの2020年作
バンコク在住の日本人を中心にしたバンドで、王道のギターにパワフルな女性ヴォーカルで聴かせる、、
古き良きスタイルの正統派ヘヴィメタル。歌詞は英語メインであるが、ジャパメタらしいウェットな味わいもあり、
80~90年代ルーツの様式美メタル的な流麗なギターフレーズとともに、メロディアスなフックもなかなか魅力的だ。
強力なドラムを含むリズム面での安定感とギターなどの確かな演奏力、そして中性的なヴォーカルの歌声を乗せ、、
重すぎず軽すぎずという絶妙の味わいで、オールドスタイルのメロパワを愛するリスナーにはニンマリだろう。
アルバム後半3曲は日本語歌詞によるナンバーで、よりキャッチーな味わい。アジア出身、NWOTHM期待のバンドです。
メロディック度・・8 正統派度・・8 古き良きHM度・・9 総合・・8
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THE ROOLER ! 「VOICE OF ROMANCE」
日本のハードロックバンド、ルーラーの2020年作
1987年結成という、東京のベテランバンド。先行シングル「FANCY LADY」に続いてのフルアルバム。
きらびやかなシンセのイントロから、王道のギターにシンセを重ね、日本語歌詞のヴォーカルを乗せて、
古き良き感触のジャパニーズ・ハードロックを聴かせる。フロントマンである本城文也のヴォーカルは、
ときにシャウトを含んだ独特の味わいで、バンドの世界観を濃密に彩り、キャッチーなロックナンバーから、
どっしりとしたメタルナンバーまで、どこか昭和を思わせる歌詞とともに一貫した男の美学(ロマン)を感じさせる。
ギターソロやシンセにはときに様式美メタル的な叙情もあって、いかにもジャパメタらしい疾走ナンバーなども魅力的。
結成から33年を経てなお、変わらぬスタイルで現役を続ける、カッコいいロックオヤジたちに拍手を贈りたい。
メロディック度・・8 ロマン度・・8 昭和度・・9 総合・・7.5
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ALHAMBRA「The Earnest Trilogy」
日本のシンフォニックメタル、アルハンブラの2016年作
2005年にデビュー、本作は6作目。2010年作「Solitude」からの5曲を新たにリレコーディングし、新曲を加えた作品。
オーケストレーションによる壮麗なイントロで幕を上げ、Junko嬢の変わらぬ伸びやかな歌声を乗せて疾走する、
スピードメタルナンバーへとつながる。美麗なシンセアレンジと流麗なギターフレーズを含む、きらびやかなサウンドは、
プログレッシブな展開力を含んだ、このバンドの魅力をしっかりと再確認させてくれる。ロマンを感じさせる日本語歌詞による、
ドラマティックな世界観はそのままに、ARK STORMの笹井康夫を迎え、男女Voによる英語歌詞ナンバーなどは新機軸で、
過去作のリメイクも成熟した歌声とともに、より深みのある仕上がりになっている。アブラ健在の華麗なアルバムです。
ドラマティック度・・8 壮麗度・・8 女性Vo度・・8 総合・・8 過去作のレビューはこちら
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Within Temptation 「Resist」
オランダのゴシック・シンフォニックメタル、ウィズイン・テンプテーションの2019年作
1997年にデビュー、初期のゴシックメタル路線から、しだいにモダンでキャッチーな作風へと深化をとげ、
本作は5年ぶりの7作目となる。1曲目から、パパ・ローチのジャコビー・シャデックスを迎えた男女Voスタイルで
ヘヴィなギターリフにオーケストラルなアレンジを重ねた、重厚なシンフォニックメタルを聴かせる。
IN FLAMES
のアンダース・フリーデンを迎えてのナンバーなど、前作に比べダークなメタル感が戻ったことで、
シャロンの歌声もどこかメランコリックな美しさをたたえている。4~5分前後の楽曲はシンプルではあるが、
キャリアを重ねてきたバンドらしい説得力に包まれて、どっしりとしたドラマティックな味わいだ。
シンフォニック度・・8 重厚度・・8 女性Vo度・・8 総合・・8 過去作のレビューはこちら
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DARK SARAH 「THE PUZZLE」
フィンランドのシンフォニックメタル、ダーク・サラの2016年作
元AMBERIAN DAWNの女性シンガー、Heidi Parviainenをフロントにしたバンドで、本作が2作目となる。
ヘヴィなギターにオーケストラルなアレンジと美しい女性ヴォーカルを乗せ、Nightwishにも通じる
壮麗なシンフォニックメタルサウンドを聴かせる。きらびやかなシンセアレンジがファンタジックなイメージを描き、
ハイジ嬢のなよやかなソプラノを乗せた、Edenbridgeのようなキャッチーな歌メロで、じつに優美な聴き心地。
ときに激しい疾走パートも含んだメリハリある構築力とともに、元PoisonblackのJP.レパルオトを迎えての、
男女Voの掛け合いによるオペラティックなナンバーなどもアクセントになっている。DELAINのシャーロット嬢、
元XANDRIAのマヌエラ嬢がゲスト参加したナンバーも壮麗な仕上がり。これぞ女性声シンフォニックメタルの傑作。
シンフォニック度・・8 優美度・・9 女性Vo度・・9 総合・・8 過去作のレビューはこちら
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ACCEPT 「The Rise of Chaos」
ドイツのベテランメタルバンド、アクセプトの2017年作
1979年にデビュー、二度の解散をへて、2010年の復活作以降は旺盛に作品を生み出しているが、
本作もまた王道のアクセプトスタイルを貫いた強力作。古き良きリフを奏でるツインギターに
ウドを思わせるマーク・トーニロのダーティな歌声を乗せた、正統派メタルサウンドに偽りなし。
勇壮なコーラスや随所にメロディックなギターフレーズも覗かせつつ、本作はより80年代に回帰したような
わりとストレートなHR/HM感触に包まれていて、オールドファンには強くアピールするだろう。
新鮮なインパクトの点ではやや物足りないかもしれないが、この安定感はベテランならではだろう。
メロディック度・・7 正統派度・・8 パワフル度・・8 総合・・8 過去作のレビューはこちら
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AXXIS 「Monster Hero」
ドイツのメロディックメタル、アクシスの2018年作
1989年デビューのベテラン、2000年代に入ってからはシンフォニックメタル寄りの作風になっていたが、
前作あたりから初期のスタイルへと回帰し、14作目となる本作も、オールドなテイストのギターに
伸びやかなヴォーカルを乗せた、ベテランらしいどっしりとした骨太のハードロックを聴かせる。
オルガンを含むシンセを使った、よりレイドバックした80年代を思わせるノリのロックナンバーや、
キャッチーな歌メロの疾走ナンバーなど、3~4分前後を主体にした楽曲はシンプルながらも、
正統派HRとしてのオーセンティックな味わいで楽しめる。新鮮味はないが、これぞ大人の安定感である。
メロディック度・・8 正統派度・・8 ベテラン度・・8 総合・・8 過去作のレビューはこちら
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TEN 「ILLUMINATI」
イギリスのハードロック、テンの2018年作
1995年にデビュー、変わらぬスタイルの美学で作品を作り続けるこのバンド。14作目となる本作も、
美麗なイントロで幕を開け、ケルティックな香りを感じさせるメロウなギターの旋律に、
ジェントルなヴォーカルを乗せ、ウェットな叙情に包まれた王道のハードロックを聴かせる。
ゲイリー・ヒューズの歌声は、愁いを帯びた大人の哀愁をまとい、トリプルギターにシンセを重ねた
厚みのあるサウンドは、ときにシンフォニックなスケール感に包まれて、ドラマティックな味わいだ。
ゆったりとした美メロのナンバーからキャッチーなノリのナンバーまで、ベテランらしい緻密なアレンジで
じっくりと楽しめる好曲が多数。新鮮味云々という野暮なことは言わずに、高品質な英国叙情HRを楽しみたい。
メロディック度・・8 叙情度・・9 英国度・・9 総合・・8 過去作のレビューはこちら
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Khemmis 「Absolution」
アメリカのドゥームメタル、ケミスの2015年作
海外ファンタジー小説のようなジャケからしてよい感じだが、サウンドの方は重厚なギターに
朗々としたヴォーカルを乗せた、オールドな味わいのエピックなドゥームメタルで、
随所にツインギターによるメロディックな味わいを含んでいて、正統派メタル寄りの感触もある。
スラッジ的なザラついたギターリフと、ときにデス声も加えたダークなヘヴィネスも覗かせ、
叙情的なギターフレーズの対比により、結果としてドラマティックな味わいを強めている。
スローテンポでのうねりを帯びたグルーブに、リズムチェンジを含む構築力もなかなかな見事だ。
ドラマティック度・・8 重厚度・・8 エピック度・・8 総合・・8
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Khemmis 「Hunted」
アメリカのドゥームメタル、ケミスの2016年作
2作目となる本作も、ツインギターのヘヴィなリフと叙情的なフレーズを乗せた正統派のドゥームメタル。
パワフル過ぎないヴォーカルが、エピックな雰囲気をかもしだし、適度なノリを含んだ展開力は
ほどよく起伏のある聴き心地で、ダミ声ヴォーカルを乗せた疾走感のあるナンバーなども含めて、
どっしりとした味わいのオールドメタルとしても楽しめる。ラストは13分という大曲で、
Black Sabbath
ルーツのヴィンテージな空気感に、スラッジやエピックメタルの要素も取り込んで、
重厚でありながらウェットなドラマ性を描く、Solitude Aeturnusあたりのファンにもお薦めの力作。
ドラマティック度・・8 重厚度・・8 エピック度・・8 総合・・8
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Khemmis 「Desolation」
アメリカのドゥームメタル、ケミスの2018年作
3作目となる本作は、のっけからエピックメタル的な感触が強まっていて、適度にアップテンポを含んで
ツインギターに朗々としたヴォーカルで聴かせる、Candlemassにも通じる王道のエピックドゥームメタル。
重厚なドゥーム感を残しつつ、随所に叙情的なツインギターを乗せた正統派メタル感触が強まっていて、
より多くのメタルリスナーが楽しめる作風だろう。アコースティックを用いたり、ダミ声を乗せたダークなパートなど
メリハリあるドラマティックな展開力も見事。女戦士とウィザードを主役にした物語性のあるジャケットも魅力的で、
2作目のジャケで描かれていた悪のウィザードが、今作の裏ジャケで捕虜になっているのも面白い。
ドラマティック度・・8 重厚度・・8 エピック度・・9 総合・・8
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SUPERSTATIC 「KEY TO THE ABYSS」
ロシアのドゥームメタル、スーパースタティックの2018年作
重厚なギターリフにダミ声ヴォーカルを乗せた、スローテンポのドゥームメタルを基本に、
いくぶんブラックメタル的でもある、不穏でミステリアスな空気に包まれたサウンドを描く。
低音グロウルを含むヴォーカルはデスメタル的な迫力があるのだが、楽曲自体はこれという展開もなく、
ギターリフなどもわりと普通なので、新鮮味やインパクトはあまりない。ブラックメタル風のスラッジというか、
ダークで無機質なドゥームをしっかりと聴かせてくれるが、せめてジャケがもっと良ければ。
ドラマティック度・・7 ドゥーム度・・8 重厚度・・8 総合・・7.5
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CYANIDE
ロシアのハードロック、サイアナイドの2011年作
古き良き感触のギターに女性ヴォーカルを乗せた、ヴィンテージな味わいのハードロック。
女性ヴォーカルは英語なので、ロシアっぽさはさほどなく、かつてのVIXENのような
キャッチーなノリの女性声ロックとして普通に楽しめる。楽曲は3~4分前後で、
濃密さやメロディのフックとも新鮮味は薄く、もう少しインパクトのあるナンバーが欲しい。
女性声もキュートな感じではないので、全体的に骨太の印象で、ジャケも含めて地味なのが残念。
メロディック度・・7 キャッチー度・・7 女性Vo度・・7 総合・・7

The Dogma 「Black Roses」
イタリアのシンフォニックメタル、ドグマの2006年作
ヘヴィなギターリフにシンセを重ね、伸びやかなヴォーカルを乗せて、
メランコリックな叙情とともに重厚なシンフォニックメタルを聴かせる。
激しいツーバスのドラムでたたみかけるモダンなアグレッシブ性も含みつつ、
混声コーラスを加えた荘厳なアレンジや、メロディックなギターフレーズとともに、
ドラマティックな世界観を描き出す。これだというキラーチューンはないのだが、
表現力あるヴォーカルの力量も含めて、KAMELOTにも通じるような高品質作だ。
ドラマティック度・・8 疾走度・・7 重厚度・・8 総合・・7.5
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4/25
コロナも吹き飛ぶデス&ブラックメタル!(147)


Possessed 「Revelations Of Oblivion」
アメリカのデスメタル、ポゼストの2019年作
「元祖デスメタル」として知られるこのバンド。アルバムとしては1986年以来、じつに33年ぶりの復活作。
オリジナルメンバーは、ヴォーカルのジェフ・ベセーラらのみであるが、かつてを思わせるツインギターのリフに
迫力あるダミ声ヴォーカルを乗せて疾走する、オールドなスラッシュメタル風デスメタルは健在。
当時はいくぶんつたなかったテクニック面は、タイトなドラムを含めた確かな演奏力とともに、
より硬質な迫力を感じさせ、オールドスタイルでありながらも古臭さを感じさせない。
適度にメロデッィクなギターソロも覗かせつつ、スラッシュメタルとしても普通に楽しめる強力作。
ドラマティック度・・7 疾走度・・9 オールドスタイル度・・8 総合・・8
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CHTHONIC 「BATTLEFIELDS OF ASURA」
台湾のシンフォニックデスメタル、ソニックの2018年作/邦題「政治=阿修羅の戦場」
1999年にデビュー、いまやアジアを代表するバンドとなった。本作は5年ぶりとなる8作目。
国会議員でもある、リーダーのフレディ自身を暗示するようなアルバムタイトルであるが、
激しい疾走感とともに、怒りや悲哀の感情を描くように絶叫するようなヴォーカルを乗せ、
ときにメロディックなギターとシンセによるアレンジが、シンフォニックな壮麗さを描き出す。
前作に比べると 民族的な要素が薄まったが、歴史をテーマにした重みのあるドラマ性は健在で、
アグレッシブなシンフォニック・デスメタルとしても、ストレートに楽しめる楽曲が増えている。
政治家になってもこれほど激しく美しい作品を作れるのだから、フレディの気概と才能には恐れ入る。
ドラマティック度・・8 暴虐度・・8 壮麗度・・8 総合・・8 過去作のレビューはこちら
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KVALVAAG「SEID」
ノルウェーのブラックメタル、クヴァラーグの2018年作
ギター&ベース&ヴォーカルとドラムの二人組で、2014年にデビュー、本作は3作目となる。
シンセを使った幻想的なイントロから、トレモロを含むノイジーなギターを乗せて激しくブラスト疾走、
絶叫するダミ声ヴォーカルにうっすらとしたシンセを加えたスタイルは、初期EMPERORにも通じる、
古き良き北欧ブラックメタルの世界観。随所にリズムチェンジや朗々としたノーマルヴォイスも覗かせて、
激しいだけでないダークな叙情性を感じさせるところもよいですね。シンセアレンジの美しさも含めて、
初心者にも聴きやすいだろう。寒々しくも幻想的なノルウェイジャン・ブラックの醍醐味が味わえる強力作だ。
ドラマティック度・・7 暴虐度・・7 北欧ブラック度・・9 総合・・8
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TRISTE TERRE 「GRAND OEUVRE」
フランスのブラックメタル、トリステ・テレの2019年作
不穏なギターリフにうっすらとしたシンセを重ね、邪悪なダミ声ヴォーカルを乗せて、
ミステリアスな空気に包まれたブラックメタルを聴かせる。随所にブラストビートも含みつつ
トレモロを含むギターフレーズなど甘すぎない叙情と、ときにシンセによる味付けも覗かせながら、
緩急ある構築力で10分を超える大曲を重厚に描いてゆく。スラッジブラック的でもある
ザラついた暗黒性とともに、荒涼としたモノトーンの世界を思わせる荘厳なサウンドだ。
ドラマティック度・・7 暴虐度・・7 暗黒度・・8 総合・・7.5
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Infera Bruo 「Cerement」
アメリカのブラックメタル、インフェラ・ブルオの2018年作
2011年にデビュー、本作は4作目で、暗黒星雲のような不穏なイントロから、
いくぶん叙情を含んだギターにダミ声ヴォーカルを乗せて、スペイシーなシンセとともに
ダークなスケール感に包まれたサウンドを聴かせる。激しく疾走するパートモありつつ、
全体的には暴虐性は薄めで、ツインギターの絡みなども、アナログ感ある音作りが耳心地よい。
7~8分の長めの楽曲では、プログレッシブな構築力も覗かせつつ、緩急ある展開というよりは
スラッジ系ブラックのような雰囲気モノの味わいである。もう少し叙情性か荘厳な迫力があれば。
ドラマティック度・・7 暴虐度・・6 暗黒度・・8 総合・・7.5
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LASTER 「DE VERSTE VERTE IS HIER」
オランダのポストブラックメタル、ラスターの2014年作
10分を超える大曲3曲を含む、全4曲という構成で、不穏なギターフレーズに疾走するドラムを重ね、
ダミ声ヴォーカルが絶叫する、ダークで妖しい浮遊感で描かれるブラックメタルサウンド。
こもり気味の音質がプリミティブな香りを感じさせつつ、プラストを含む激しさがあっても、
暴虐さよりも物悲しい味わいに包まれていて、霧の向こうの幻想を見るかのようなイメージだ。
ゆったりとした叙情的なパートも随所に含みつつ、ブラックメタルとしての暗黒性を保ちながら、
優雅な激しさというべき作風を描いてゆく。2作目以降はよりエクスペリメンタルに進化する。
ドラマティック度・・7 暴虐度・・7 アヴァンギャル度・・7 総合・・8
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LASTER 「Het Wassen Oog」
オランダのポストブラックメタル、ラスターの2019年作
2012年にデビューし、本作は3作目となる。叙情的なギターにうっすらとしたシンセを重ね、
ダミ声&ノーマルヴォーカルを乗せて、スペイシーでミステリアスなサウンドを描く。
激しさは控えめであるが、リズムチェンジを含む知的な構築力に、ときにブラスト疾走もまじえ、
シンセやピアノ、優雅なスパニッシュギターが加わると、プログレッシブな味わいに包まれる。
グルーヴィなベースとドラムのリズムや、不穏な空気を誘うようなギターリフもなかなか秀逸。
適度にアヴァンギャルドで、エクスペリメンタルなポストブラックが楽しめる異色作です。
ドラマティック度・・7 暴虐度・・6 アヴァンギャル度・・8 総合・・8
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LES DISCRETS 「Septembre Et Ses Dernieres Pensees」
フランスのポスト・ブラックメタル、レス・ディスクレッツの2010年作
AMESOEURSのFursy Teyssierを中心にした3人組で、物悲しイントロから始まり、
叙情的なギターにフランス語のヴォーカルを乗せた、アンニュイな翳りを帯びたサウンド。
ブラックメタルというほどには激しさはないが、美しいシンセにトレモロのギターが重なり、
疾走パートもまじえた緩急ある作風で、Alcestなどにも通じる優雅なポストブラックを聴かせる。
一方では、随所にアコースティックギターによる繊細な叙情も覗かせて、むしろゴシック的でもある
メランコリックな倦怠の美学を感じさせる。2作目以降は、ポストプログレ的な作風が強まってゆく。
ドラマティック度・・8 激しさ度・・6 叙情度・・8 総合・・8 過去作のレビューはこちら
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Can Bardd 「Nature Stays Silent」
スイスのネイチャー・ブラックメタル、カン・バードの2018年作
アコースティックギターによる牧歌的なイントロから、トレモロを含む叙情的なギターフレーズを乗せ、
ダミ声ヴォーカルとともに激しくブラスト疾走。ホイッスルの音色など、フォーキーな牧歌性とともに、
自然崇拝のネイチャーブラックとしての雄大な叙情美が感じられ、こもり気味のドラムも含めて、
暴虐さよりも幻想的な聴き心地。10分前後の大曲を中心に、うっすらとしたシンセにギターを重ね、
随所に激しいブラストも含みつつ、のんびりとしたスローパートなどもわりとも多いので優雅に楽しめる。
ブラックメタルが苦手な方でも聴けそうな。ペイガンなフォークメタルとしてもお薦めの一枚です。
ドラマティック度・・7 暴虐度・・7 叙情度・・8 総合・・8
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Vinterblot 「Realms Of The Untold」
イタリアのペイガン・デスメタル、ヴィンターブロットの2016年作
2008年にデビューし、本作は3作目となる。適度にメロディックなギターに低音デスヴォイスを乗せて疾走する、
重厚でエピックな味わいのヴァイキング・メロデス。ツインギターの旋律による甘すぎない叙情を乗せ、
激しい突進力とスローパートの緩急ある展開力で、前作に比べてよりドラマティックなサウンドになった。
シンセに頼らない硬派のヴァイキングデスメタルという点では、AMON AMARTHにも通じるだろうが、
こちらの方が激しい疾走を含むメロデス的な感触が強い。楽曲は4~5分前後とわりとシンプルなので、
濃密な世界観という点ではやや物足りなさはあるが、ペイガンなメロデスが好きなら楽しめるだろう。
ドラマティック度・・7 暴虐度・・7 重厚度・・8 総合・・8
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ZGARD 「Astral Glow」
ウクライナのペイガンブラックメタル、ズガードの2013年作
2012年にデビューし、3作目となる。適度にメロディックなギターフレーズに美麗なシンセを重ね、
かすれたダミ声ヴォーカルを乗せて、シンフォニックな味わいのペイガンブラックメタルを聴かせる。
随所に激しい疾走パートも含みつつ、美しいシンセアレンジやウクライナの民俗フルートの牧歌的な音色とともに、
幻想的な雰囲気に包まれていて、10分を超える大曲などもわりとゆったりとした優美な耳心地である。
意外性や新鮮味はさほどないが、神秘的でペイガンなシンフォニック・ブラックが好きな方はどうぞ。
ドラマティック度・・7 暴虐度・・6 優美度・・8 総合・・8
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Miellnir 「Incineration Astern」
ウクライナのペイガン・ブラックメタル、ミエルニアの2014年作
ツインギターにシンフォニックなアレンジと、ダミ声ヴォーカルを乗せた壮麗なペイガンブラックメタル
随所にノーマル声を乗せた勇壮な雰囲気や、ブラスト疾走する激しさも覗かせつつ、
メロディアスなギターフレーズやシンセによるフォーキーなメロディで、あまり暴虐さは感じさせない。
ジャケのようなヴァイキング色は希薄で、フォークメタル的な愉快なノリのナンバーもあったりと、
方向性的にはやや散漫な印象であるが、ほどよく辺境的で甘すぎないフォーク・ブラックメタルが楽しめる。
ドラマティック度・・7 勇壮度・・7 フォーキー度・・7 総合・・7.5
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Lord Wind 「Rites of the Valkyries」
ポーランドのペイガンフォーク、ロード・ウインドの2001年作
ブラックメタルバンドGravelandのメンバーによる個人ユニットで、打ち込みによるリズムにシンセを重ね、
詠唱のような歌声を乗せた幻想的なサウンド。ギリシャ神話や北欧神話をイメージさせる世界観で、
シンセをメインにしたいくぶんチープな聴き心地は、SUMMONINGや刑務所時代のBURZUMを思わせる。
メタル感はほとんどなく、リフレインの多いサントラ的な作風なので気が短い方には向かないが、
ストリングスなども加えたシンフォニックなテイストや、ラストの17分という大曲では、神秘的なパーカッションや
アコースティックギターなどの土着性を含んだ壮大な味わいで、幻想イメージ音楽としてはなかなか楽しめる。
ドラマティック度・・7 メタル度・・3 幻想度・・8 総合・・7.5
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Cynic 「Uroboric Forms」
アメリカのプログレッシブ・デスメタル、シニックの初期音源集。2016年作
1993年のデビュー作「FOCUS」以前、バンドの黎明期である、1988~1991年までのデモ音源を収録。
テクニカルな変則リズムにうねるベースとツインギターのリフを乗せ、吐き捨てヴォーカルを乗せた
初期DEATHにも通じるサウンドで、アヴァンギャルドな展開の中にも、プログレッシブな構築力と、
ときにメロディックなギターフレーズを覗かせるなど、1991年デモの段階でも知的なセンスが光っている。
1990年以前のデモは、よりアグレッシブなパートが多いが、テクニカルデスとしての骨格はすでに完成していて
確かな演奏力も含めて単なるデモという以上の迫力がある。音質もまず良好でファンは必聴の音源デス。
音質・・7 テクニカル度・・8 貴重音源度・・9 総合・・8 過去作のレビューはこちら
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God Dethroned 「RAVENOUS」
オランダのデスメタル、ゴット・デスローンドの2001年作
1992年にデビュー、本作は4作目。ザクザクとしたギターリフにデスヴォイスを乗せて激しく疾走、
ブルータルな迫力にメロデス気味の甘すぎない叙情も同居させた、デスラッシュ的な感触もある。
楽曲は3~4分前後で、激烈なブラストビートなど、たたみかけるドラムとともに強力に突進しつつ、
ツインギターによるメロディックなフレーズを含んだスローパートなど、緩急ある展開も覗かせる。
疾走まくりのデスラッシュ風味という点では、THE CROWNなどが好きな方にも楽しめそう。
ドラマティック度・・8 暴虐度・・8 疾走度・・9 総合・・8 過去作のレビューはこちら
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4/10
ドゥームに正統派メロパワ!(132)


Rexoria 「ICE BREAKER」
スウェーデンの女性声メタル、レクソリアの2019年作
王道のギターリフにハスキーな女性ヴォーカルを乗せた、正統派のメタルサウンドで、
80~90年代を思わせるオールドスタイルの北欧メタルを聴かせる。前作に比べて音がパワフルになり、
シンセを加えたシンフォニックな質感とともに、スタイリッシュなメロパワ感が増している。
一方では、ゆったりとした叙情を描くスローナンバーでは、Frida嬢の伸びやかな歌声が魅力的で、
女性的な繊細さを随所に感じさせる。Sister Sinあたりに比べると、よりヨーロピアンな叙情性と
メロディックな感触が前に出ているので日本人好みの作風だろう。姐御系メタルの期待の新鋭ですな。
メロディック度・・8 正統派度・・8 女性Vo度・・8 総合・・8 過去作のレビューはこちら
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ALUNAH 「Violet Hour」
イギリスのドゥームメタル、アルナーの2019年作
2008年にデビュー、本作で5作目となる。ヘヴィなギターリフに妖しい女性ヴォーカルを乗せ、
アナログ感たっぷりのアンサンブルを描く、Black Sabbathルーツの魔女系ドゥームメタル。
ギターはときにブルージーで、ときにウェットな叙情も含ませつつ、PURSONあたりに比べると、
しっかりとハードでサイケに流れないドゥーム感を保っていて、紅一点、Sian嬢のけだるげな歌声も、
艶めいた魔女らしさを描くように、サウンドによくマッチしている。これという意外性はないのだが、
すべての要素が魔女系ドゥームとしての強固な空気を形成している、じつに見事な作品である。
ドラマティック度・・7 アナログ度・・8 魔女系ドゥーム度・・9 総合・・8 過去作のレビューはこちら
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White Coven 「Overseas」
スペインのヴィンテージロック、ホワイト・カヴンの2018年作
ツインギターにシンセ、女性Voを含む編成で、オールドなギターを乗せたアナログ感たっぷりのアンサンブルに、
ハスキーな味わいの女性ヴォーカルを乗せた、ヴィンテージなロックサウンド。オルガンなどのシンセに
こもり気味のドラムの音が、いかにも60~70年代風味を感じさせつつ、全体的にはハードさは控えめで、
曲によってはカントリー的なおおらかな牧歌性を感じさせる。ブルージーなギターに、オルガンが鳴り響く、
オールドなサイケ感を描くゆったりとしたナンバーなどもなかなか良い感じで、ラストの11分の大曲では、
メロトロンの音色を含む叙情性と、ツインギターの流麗なフレーズとともにゆるやかに盛り上げる。
ドラマティック度 ヴィンテージ度・・9 女性Vo度・・7 総合・・7.5
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The Suns of Thyme 「Cascades」
ドイツのサイケロック、サンズ・オブ・タイムの2016年作
2013年にデビューし2作目となる。スペイシーなシンセにいくぶんユルめの叙情ギター、
朗々としたヴォーカルを乗せて、ミステリアスな浮遊感に包まれたサイケロックを聴かせる。
アナログ感たっぷりのアンサンブルには、ストーナーロック的でもある生々しさもあり、
フックのあるメロディというのはあまりないが、曲によってはキャッチーなポップ性も覗かせる。
全体的には淡々とした感じで、これという盛り上がりはないので、即効性を求める方には向かない。
美しいシンセとともに、ゆるやかな雰囲気モノのサイケロックとして楽しむのがよいかと。
ドラマティック度・・7 サイケ度・・8 叙情度・・7 総合・・7.5
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Magister Templi 「Into Duat」
ノルウェーのドゥームメタル、マジスター・テンプリの2015年作
2012年にデビューし、本作が2作目となる。ツインギターに朗々としたヴォーカルを乗せた、
重厚なエピック・ドゥームメタル。スロー一辺倒ではなく、正統派メタル寄りのミドルテンポもまじえて、
どっしりとしたダークなサウンドを描くところは、CANDLEMASSルーツのスタイルといって言いだろう。
80年代的なツインギターのリフとともに、ほどよい疾走感もあるので、遅めのドゥームが苦手な方にも、
オールドスタイルの正統派エピックメタルとして楽しめるだろう。全38分というのもアナログ的な潔さ。
ドラマティック度・・8 ドゥーム度・・7 正統派度・・8 総合・・8
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RIOT V 「ARMOR OF LIGHT」
アメリカのメロディックメタル、ライオットVの2018年作
マーク・リアリが死去したのちの、新生RIOTとなっての2作目。ジャケのアザラシ男が少し笑えるが、
サウンドの方は、ツインギターにハイトーンヴォーカルを乗せた、いかにもオールドなヘヴィメタル。
トッド・マイケルホールの伸びやかな歌声にキャッチーなコーラス、ツインリードのメロディとともに
かつてのライオットを蘇らせたという王道の作風は、バンドのファンならにんまりだろう。
オールドな味わいのギターに比べてドラムの音が硬質なので、いくぶん違和感はあるが、
「Thundersteel」を思わせるような疾走ナンバーなども含め、曲のほうはそれなりに出来がよい。
一方では「ROITらしさ」に縛られたまま、この作風でどこまで続けられるのかという疑問もあるのだが。
メロディック度・・8 疾走度・・7 ライオット度・・8 総合・・8 過去作のレビューはこちら
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Savage Messiah 「Hands of Fate」
イギリスのパワーメタル、サヴェージ・メサイアの2017年作
2007年にデビューし、本作は5作目となる。前作までのスラッシーな疾走スタイルから、
本作はミドルテンポのどっしりとしたナンバーで始まり、わりと普通のメタルナンバーが続いて
いくぶん拍子抜けながら、ギターリフには古き良きメタル感触があってこれはこれで悪くない。
甘すぎない程度にキャッチーな歌メロで聴かせるオールドなハードロックナンバーなど、
80年代HR/HMをルーツにした渋めの味わいで、激しすぎないメタルが好きな方にも楽しめるだろう。
アルバム後半には勢いのある疾走パートも覗かせて、パワーメタルバンドとしての激しさも残している。
ドラマティック度・・7 疾走度・・7 ヘヴィメタル度・・8 総合・・8 過去作のレビューはこちら
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SAXON 「Killing Ground」
ブリティッシュメタルバンド、サクソンの2001年作
1979年デビューのベテラン。本作はおそらく通算15作めとなる。パワフルなギターリフに
ビフ・バイフォードのかすれたハイトーンヴォーカルを乗せて、ほどよい疾走感とともに聴かせる、
これぞブリティッシュメタルというべきサウンドは健在。随所にツインギターの叙情フレーズも含ませて、
ウェットな味わいのドラマティックな感触には、IRON MAIDENとはまた異なる英国的なものを感じさせ、
KING CRIMSONのHR風のカヴァーもなかなかハマっている。どっしりとしたミドルテンポのナンバーも、
ベテランらしい味わいで、ときにブルージーな哀愁を感じさせるところは、かつてのRIOTなどにも通じるだろう。
古き良きブリティッシュHRの香りを残しつつ、パワフルなメタル性をしかりとまぶした強力なアルバムだ。
ドラマティック度・・8 古き良き度・・9 ブリティッシュ度・・9 総合・・8 過去作のレビューはこちら
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Alpha Tiger 「BENEATH THE SURFACE」
ドイツのメタルバンド、アルファ・タイガーの2014年作
2011年にデビュー、3作目となる本作も、ツインギターのリフにパワフルなハイトーンヴォーカルを乗せた、
正統派のメタルサウンドを聴かせる。前作に比べると、いくぶんモダンなヘヴィさが増してはいるが、
RIOTのトニー・ムーアばりのステファン・ディートリッヒのハイトーンと、メロディックなツインギターは健在。
過去2作に比べて、インパクトのある疾走ナンバーが少ないので、全体的にはやや地味な印象ではあるが、
オールド過ぎない作風は、より多くのリスナーに楽しめるだろう。本作を最後にVoのステファンは脱退。
メロディック度・・7 疾走度・・6 正統派度・・8 総合・・7.5 過去作のレビューはこちら
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HIBRIA 「Silent Revenge」
ブラジルのパワーメタル、ヒブリアの2013年作
2004年にデビュー、本作は4作目で、ザクザクのギターを乗せてスラッシーに疾走する1曲目から
非常にアグレッシブな印象で、スリラー映画をテーマしたというように、ダークな感触に包まれている。
正統派のパワーメタルに、モダンなヘヴィネスを加え、テクニカルでソリッドなギタープレイと、
パワフルなハイトーンヴォーカルで聴かせるスタイルは、より重厚な迫力をまとっている。
一方では、メロディのフックという点ではやや物足りず、新鮮味やこれというインパクトも薄いので、
初めてこのバンドを聴くようなリスナーには、普通のモダンなパワーメタルという程度だろう。
メロディック度・・7 疾走度・・7 パワフル度・・8 総合・・7.5 過去作のレビューはこちら
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Empires of Eden 「ARCHITECT OF HOPE」
オーストラリアのパワーメタル、エンパイア・オブ・エデンの2015年作
元DUNGEONのギタリスト率いるバンドで、2009年にデビュー、本作は4作目となる。
80~90年代ルーツのオーセンティックなヘヴィメタルを、よりダークで重厚な迫力を加えた
どっしりとした正統派のメタルサウンドで、Primal Fearのラルフ・シーパーズをはじめ、
Racer Xのジェフ・マーティン、元RIOTのマイク・ディメオなど、楽曲ごとにゲストヴォーカルを迎えている。
シャウトするハイトーンヴォーカルも含めて、JUDAS PRIESTなどにも通じるパワフルな聴き心地で、
これという新鮮味はないものの、オールドスタイルを好むメタルファンには楽しめるだろう
メロディック度・・7 正統派度・・8 重厚度・8 総合・・7.5
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Almas Militares
メキシコのメロディックメタル、アルマス・ミリタレスの2018年作
ツインギターにスペイン語のハイトーンヴォーカルを乗せて疾走する、古き良きメロパワスタイル。
パワフル過ぎないヘタウマな歌声と、クサメロ気味のギターのフレーズが、いかにもなマイナー感をかもしだし、
ドタドタとしたドラムも含めて、演奏にもローカルなB級臭さがにじみ出ているが、辺境メタラーにはそれも好物か。
とにかく、煮え切らない、クサくならりすぎないメロディと、ほどよい疾走具合が微笑ましくも楽しいのである。
10分を超える大曲では、ゆったりとした叙情性から疾走するメロスピへという展開がなかなかドラマティック。
メロディック度・・7 疾走度・・8 B級度・・8 総合・・7
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MURO 「El Cuarto Jinete」
スペインのパワーメタル、ムロの2013年作
80年代から活動しているベテランで、古き良き王道のギターリフにスペイン語のヴォーカルを乗せた
オールドスタイルの正統派パワーメタル。どっしりとしたメタル感と、疾走するメロパワ感触に、
スパニッシュ特有の哀愁あるヴォーカルメロディに、随所にメロディックなギターフレーズも覗かせる。
勇壮なコーラスなど甘すぎない叙情性と、低音の効いたベースとドラムを含む演奏の説得力が同居して、
ベテランらしい迷いのない重厚なサウンドが心地よい。ジャーマンメタルにも通じるウェットな空気をともなった、
80~90年代のヨーロピアンなパワーメタルが好きな方には、なかなかたまらないだろう強力作である。
メロディック度・・7 正統派度・・8 パワフル度・・8 総合・・8
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Leithian 「Voces de Libertad」
スペインのメロディックメタル、レイシアンの2008年作
ツインギターにスペイン語のハイトーンヴォーカルを乗せた、正統派のメロパワサウンド。
随所にシンセアレンジを加え、哀愁を感じさせるスペイン語の歌いまわしとともに、
メロスピ的な疾走パートでは、初期のAVALANCHなどにも通じるクサメロ感に包まれる。
ツインギターの流麗なフレーズやリズムチェンジを含む展開力には、若手らしい勢いが感じられて、
伸びやかなハイトーンヴォーカルの実力もなかなかのもの。キャッチーなハードロックナンバーや
しっとりしたバラードでのスパニッシュな叙情性も魅力的で、今後の成長が楽しみな逸材です。
メロディック度・・8 疾走度・・7 スパニッシュ度・・8 総合・・7.5
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LEGION (Легион) 「Myths of Antiquity (Мифы Древности)」
ロシアのメロディックメタル、レギオンの2007年作
80年代から活動するバンドで、美麗なシンセアレンジにギターを重ね、ロシア語のヴォーカルで聴かせる、
正統派のメロパワサウンド。どっしりとした勇壮さ、哀愁を含んだ叙情的なメロディアス性が同居して
ドラマティックな味わいのシンフォニックメタルとしても楽しめる。ミドルテンポやスローナンバーが主体で、
疾走感はさほどないのだが、情感的に歌い上げるパワフルなヴォーカルも含めて濃密な聴き心地で、
キャッチーな正統メタルナンバーなども良いですね。もう少しエピックなクサメロ感があればなおよかった。
ドラマティック度・・8 正統派度・・8 重厚度・・8 総合・・7.5
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3/28
プログレメタルの春(117)


Age Of Artemis 「Monomyth」
ブラジルのメロディックメタル、エイジ・オブ・アルテミスの2019年作
2012年にデビュー、本作は5年ぶりとなる3作目。コンセプト的な語りを含むイントロから始まり、
きらびやかなシンセに伸びやかなヴォーカルを乗せ、プログレメタル的な知的な展開力で聴かせる。
シンフォニックメタル的でもある優雅さと、キャッチーな歌メロ、流麗なギターフレーズが重なり、
ドラマティックなスケール感に包まれたサウンドを描いてゆく。パワフルに歌い上げるヴォーカルの力量と
リズム面も含むバックの演奏力もレベルが高く、初期ANGRAばりの優美な疾走ナンバーもよい感じです。
厚みのあるクールなインストパートと、歌入り部分の濃密さのバランスもとれた、隙のない仕上がりの力作だ。
ドラマティック度・・8 疾走度・・7 構築度・・8 総合・・8 過去作のレビューはこちら
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SINHERESY 「Out of Connection」
イタリアのシンフォニックメタル、シンヘレシーの2019年作
2013年にデビュー、本作は3作目となる。硬質なギターにモダンなシンセアレンジを重ね、
男女ヴォーカルの歌声をのせた、LACUNA COILを壮麗にしたようなモダンなサウンドだ。
紅一点、セシリア嬢の伸びやかな歌声に、ヘヴィなギターとエレクトロなシンセが合わさって、
ゴシック的なメランコリーをダンサブルなきらびやかさで包み込んだというような聴き心地。
1stの頃に比べて、方向性に迷いがなくなった分、デジタリィでカラフルな作風に説得力が備わった。
男性声はなくてもいいような気もするが、アグレッシブなパートにおいては女性声とのコントラストになっていて、
このツインヴォーカルスタイルが、彼らのサウンドにはマッチしているのだろう。高品質な出来です。
シンフォニック度・・7 モダン度・・8 女性Vo度・・7 総合・・8 過去作のレビューはこちら
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Vanden Plas 「The Ghost Xperiment - AwakenIng」
ドイツのプログレメタル、ヴァンデン・プラスの2019年作
1994年デビューのベテラン、本作は4年ぶりとなる9作目。ヘヴィなギターリフを乗せたイントロから、
うっすらとしたシンセとエモーショナルなヴォーカルが加わって、重厚なプログ・パワーメタルを展開する。
7~9分の大曲を軸に、オルガンを含むシンセアレンジに叙情的なギター、表現力あるヴォーカルとともに、
ゆったりとしたスローナンバーなども、ベテランらしいどっしりとした説得力に包まれている。
全体的に落ち着いた作風で、派手な展開はさほどないものの、じわじわと大人のドラマ性を構築する力作だ。
ドラマティック度・・8 テクニカル度・・6 重厚度・・8 総合・・8 過去作のレビューはこちら
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Skyharbor 「Sunshine Dust」
インドのプログレメタル、スカイハーバーの2018年作
2012年にデビューし、本作が3作目となる。重たいベースに技巧的なギター、うっすらとしたシンセに
マイルドなヴォーカルを乗せて、スタイリッシュなテクニカル性とキャッチーな味わいが同居したサウンド。
Djent系らしいモダンなハネるリズムに、ポストプログレ的でもある薄暗く繊細な叙情パートを含む、
緩急ある構築力で、モダンでエモーショナルなProgMetalを聴かせる。1stの頃に比べると、
よりキャッチーな仕上がりになっているので、テクニカルメタルが好きな方には物足りないかもしれないが、
ときにダミ声を乗せたアグレッシブなヘヴィネスも覗かせつつ、メロディのフックやドラマティックな展開力という点では
過去作を上回るだろう。あるいは、HAKENなどにも通じる新世代プログレとしてもオススメしたい出来だ。
メロディック度・・8 プログレ度・・8 スタイリッシュ度・・9 総合・・8 過去作のレビューはこちら
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Beneath My Sins 「Valkyries Of Modern Times」
フランスのシンフォニックメタル、ビニース・マイ・シンズの2017年作
オーケストラルなイントロで幕を開け、メタリックなギターに美しいシンセを重ね、
伸びやかな女性ヴォーカルの歌声とともに、優美なシンフォニックメタルを聴かせる。
紅一点、エマ嬢の歌声は中音域からなよやかなソプラノまでこなし、フェミニンな魅力たっぷりで、
随所に男女のクワイアも重なったり、デス声が絡んだりと、厚みのあるサウンドで壮麗な世界観を描く。
楽曲自体は4~5分前後と長すぎず、もう少しドラマティックな展開や盛り上がりが欲しい気もするが、
ときにケルティックな旋律を覗かせるなど、優雅な作風はフィメール・シンフォメタル好きには受けるだろう。
シンフォニック度・・8 壮麗度・・8 女性Vo度・・8 総合・・7.5
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HiddeN 「[Anti] Utopia」
ロシアのシンフォニックメタル、ヒドゥンの2014年作
美麗なシンセアレンジにギターを重ね、美しいソプラノ女性ヴォーカルを乗せた壮麗なサウンド。
適度にモダンな硬質感とリズムチェンジを含んだ展開力もあって、随所に男性デス声も絡みつつ
優雅さとアグレッシブさが同居した、シンフォニックなプログレメタルとしても楽しめる。
ヴォーカル嬢の伸びやかな歌声は魅力的で、EPICAのシモーネ嬢にも勝るとも劣らないだろう。
歌詞は英語なので、辺境臭さはさほどないのだが、細かなアレンジの部分ではマイナー臭さも残していて、
今後は楽曲の魅力の向上が課題だろう。素晴らしい女性声をさらに活かすような作風に期待したい。
ドラマティック度・・8 壮麗度・・8 女性Vo度・・8 総合・・7.5
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MINDMAZE 「Back from the Edge」
アメリカのメロディックメタル、マインドメイズの2014年作
叙情的なギターに女性ヴォーカルの歌声を乗せて、疾走感のある正統派のメロディックメタルを聴かせる。
シンセアレンジを加えたシンフォニックな感触や、ProgMetal的なリズムチェンジも含んだ展開力で
緩急あるサウンドが楽しめる。10分の大曲も、美麗なシンセとギターを重ねたインストパートの構築力と
キュートなヴォーカルを乗せた優雅な聴き心地に、疾走パートも含んだドラマティックな味わいだ。
全体的には、まだ突き抜けきらない部分はあるが、今後のポテンシャルを感じさせる好作品である。
ドラマティック度・・7 疾走度・・7 女性Vo度・・7 総合・・7.5
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FLAMING ROW 「Mirage - A Portrayal of Figures」
ドイツのプログレメタル、フレイミング・ロウの2014年作
Frequency Driftの女性Vo、G、Seven Steps To The Green Doorのシンセ奏者を擁するメンバーで、
2011年にデビュー、本作は2作目となる。のっけから16分という組曲で、男女ヴォーカルの歌声とテクニカルな展開力で、
SF的なコンセプトに基づいたドラマティックなProgMetalを聴かせる。メタリックなヘヴィネスとモダンなスタイリッシュ性に、
プログレ的な軽妙な優雅さが同居して、ときにシンフォニックに、ときにアグレッシブにと起伏のある構築力が光る。
その反面、いくぶん唐突な展開が多く、楽曲ごとの焦点が絞り切れていない感じもするが、ケルティックなメロディを乗せた
優美な叙情性なども含めて、引き出しの多い味わいで楽しめる。AYREONのアルイエン・ルカッセンをはじめ、
Shadow Galleryのゲイリー・ワーカンプ、Spock's Beardのテッド・レオナルドなど、多数のゲストが参加。
ドラマティック度・・8 テクニカル度・・8 構築度・・8 総合・・7.5 過去作のレビューはこちら
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FLAMING ROW 「The Pure Shine」
ドイツのプログレメタル、フレイミング・ロウの2019年作
3作目の本作も、ストーリー的なコンセプトアルバムとなっていて、優美なイントロ曲で幕を開け、
伸びやかな女性ヴォーカルにマイルドな男性声が加わり、変拍子を含んだテクニカルなリズムに、
硬質なギターと美しいシンセ、男女Voを乗せた、優雅でドラマティックなサウンドを構築する。
10分を超える大曲を中心に、ホイッスルやイーリアンパイプなどのケルティックな旋律や、ヴァイオリン、チェロなど
ストリングスなども加えた壮麗さ、アコースティックパートを含むやわらかな叙情性と、メリハリある展開美で
じっくりと聴かせる。前作に比べるとメタル感が薄まったので、シンフォニックロック的な楽しみ方もできる。
Threshold、Pain Of Salvation、TraumhausなどのVoをはじめ、多数のゲストが参加。全73分という力作だ。
ドラマティック度・・8 テクニカル度・・7 構築度・・9 総合・・8
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Cyrax 「Pictures」
イタリアのプログレメタル、サイラックスの2015年作
2013年にデビュー、本作は2作目となる。メタリックなギターにパワフルなハイトーンヴォーカルを乗せ
随所に疾走する激しさを含みつつ、唐突なリズムチェンジなどのテクニカルな展開力で聴かせる、
いわばWATCHTOWERルーツのヘンテコなProgMetal。随所にオルガンやピアノなどのシンセや、
ヴァイオリンなどのストリングス、さらには女性ヴォーカルを加えた優雅な感触も覗かせつつ、
3パートに分かれた15分におよぶ組曲も、メタリックな硬質感とクラシカルな優雅さが同居した、
ひと筋縄ではいかない構築センスを見せつける。ヘンタイ系ProgMetaが好きな方にはとても楽しめる力作だ。
ドラマティック度・・8 テクニカル度・・8 優雅でヘンタイ度・・8 総合・・8
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EXXILES 「Oblivion」
メキシコのプログレメタル、エグザイルスの2015年作
メタリックなギターにシンセを重ね、伸びやかなヴォーカルを乗せて、適度にテクニカルな展開力で聴かせる、
モダンな感触のProgMetal。歌詞は英語なので辺境臭さは感じさせず、ドラマ性を感じさせるダークな雰囲気に
リズムチェンジを含む知的な構築力とともに、重厚なヘヴィネスとスタイリッシュなサウンドを描いてゆく。
メロディックな叙情性よりはクールな硬質さに包まれた作風なので、楽曲ごとの盛り上がりがさほどないのだが、
Stream of Passionのマルセラ嬢が美しい歌声を聴かせる叙情ナンバーや、シンフォニックなラスト曲などはなかなか良い。
Symphony Xのマイク・レポンド、元SAVATAGEのザッカリー・スティーヴンス、Circus Maximusのマッツ・ハウゲンらがゲスト参加。
ドラマティック度・・8 テクニカル度・・7 重厚度・・8 総合・・7.5
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Southern Cross 「From Tragedy」
カナダのプログレメタル、サウザン・クロスの2012年作
2006年にデビュー、本作は3作目となる。美麗なシンセアレンジにメタリックなギターを重ね、
マイルドなヴォーカルとともに、ドラマティックなスケール感を描くようなサウンドを聴かせる。
美しいシンセと流麗なギターフレーズの叙情性も覗かせつつ、10分を超える大曲を、
DREAM THEATERにも通じる確かな演奏力とスタイリッシュなセンスで描いてゆく。
伸びやかなヴォーカルで聴かせる優美なバラードナンバーもアクセントになっていて、
ラストの大曲では、シンフォニックな叙情とテクニカル性をまじえてじっくりと構築する。
ドラマティック度・・8 テクニカル度・・7 構築度・・8 総合・・8
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White Crow 「Creatio ex Nihilo」
ポーランドのプログレメタル、ホワイト・クロウの2005年作
古き良き感触のギターにうっすらとしたシンセ、ハイトーンヴォーカルを乗せて、
テクニカルなリズムとともに、オールドなハードロックテイストも含んだサウンド。
ほどよい疾走感のあるキャッチーなノリと、ドカドカとしたいくぶ野暮ったいリズムチェンジ、
ギターによるウェットな叙情性が合わさった、マイナーらしい垢抜けなさが微笑ましい。
楽曲的にも煮え切らなさがあるので、メロディックにするのかテクニカルにするのか、方向性を絞っていってもらいたい。
ドラマティック度・・7 テクニカル度・・7 構築度・・7 総合・・7

CRISES「Broken Glass」
ドイツのプログレメタル、クライシスの1998年
シンセを含む5人編成で、メタリックなギターに美麗なシンセを重ね、マイルドなヴォーカルを乗せた、
正統派のProgMetalスタイル。「AWAKE」期のDREAM THEATERの影響を感じさせる、
ほどよくダークなヘヴィネスとリズムチェンジを含むテクニカルな構築力で、クオリティの高いサウンドを描く。
随所に流麗なメロディを奏でるギターのセンスもなかなかのもので、表現力あるヴォーカルとともに、
単なるDTフォロワーという以上にドラマティックな世界観を感じさせる。6~8分前後の楽曲を主体に、
20分におよぶ大曲では、緩急ある展開美と、メロディックな叙情とテクニカル性が同居した構築性が光る。
DREAMSCAPEあたりが好きな方にもお薦めの、掘り出し物的な高品質プログレメタル。
ドラマティック度・・8 テクニカル度・・8 構築度・・8 総合・・8
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3/13
俺たちのジギーにラブバイツ!(103)


ZIGGY 「2017」
日本のロックバンド、ジギーの2017年作
1987年にデビュー、名実ともに日本ロックを代表するバンド。2007年作以来、10年ぶりとなる通算16作目。
森重以外のはサポートやツアーメンバーを起用し、ジャケも含めてほとんどソロアルバムのようなおもむきであるが、
サウンドの方はZIGGY節満載。ノリのよいハードさもありつつ、口ずさめるようなキャッチーなメロディで、
エモーショナルな森重のヴォーカルもますます味わい深い。往年のテイストを随所に匂わせつつも、
決して古臭くならない、アレンジの妙もさすが。何度も聴きたくなるような好曲多数の充実の内容です。
Disc2には、2017年のライブを収録。「それゆけ~」「」GLORIA」「Whisky~」「I'm Gettin' Blue」などのオールドナンバーや
「マケイヌ」「Step By Step」といった、ライブではなかなか聴けない曲も披露してくれて、ファンには嬉しい限り。
メロディック度・・9 ロック度・・9 森重度・・9 総合・・8.5 過去作のレビューはこちら
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ZIGGY「TEENAGE LUST/君の笑顔より美しい花を知らない」
日本のロックバンド、ジギーの2018年作
2つのEPをまとめてレビュー。「TEENAGE LUST」は、ハードなギターにキャッチーな歌メロを乗せたノリのよいナンバー。
ポップなメロディとロックとしての疾走感をここまで自然に融合できるのは、まさに森重樹一のセンスだろう。
B面はアンニュイなイメージの心地よいスローナンバー。DVDにはデビュー30周年の森重のインタビューなどを収録。
「君の笑顔より美しい花を知らない」は、タイトルのように、心からの溢れる愛が感じられるようなバラードで、
アコースティックギターやピアノを使ったアレンジと優しい歌声にぐっとくる。B面は切ないイントロから始まる疾走感のあるロックで、
キャッチーで繊細なメロディが美しい好曲。DVDには「11の挑戦」というYOUTUBE企画への森重のコメント映像を収録。
メロディック度・・9 ロック度・・9 森重度・・9 総合・・8
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ZIGGY 「ROCK SHOW」
日本のロックバンド、ジギーの2018年作
前作から1年あまりで届けられた通算17作目。アコギによるイントロ曲から始まりつつ、ハードなギターを加えた
モダンなテイストで、前作の作風に比べると、一聴してどっしりとしたシリアスなロック感触が増している。
もちろん歌メロには森重節のキャッチーな感触も健在で、バックの演奏も存在感あるベースを含めて、
よりバンド的な一体感が強まっている。枯れた味わいのオールドなロックナンバーを歌いこなし、
優美なバラードナンバーでの哀愁とロマンに包まれた歌唱も、唯一無二のものといっていいだろう。
ポジティブなメッセージ性から倦怠の美学、そしてロマンティックな言葉の歌詞たちも、森重樹一の世界観を支える。
美メロ満載だった前作に比べると、インパクトではやや落ちるが、恰好いい大人のロックに溢れた一枚だ。
メロディック度・・8 ロック度・・9 森重度・・8 総合・・8
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LOVEBITES 「Awakening from Abyss」
日本のガールズメタル、ラヴバイツの2017年作
デビューミニに続く1stフルアルバムで、イントロ曲に続くのはスラッシーに疾走する激しいナンバーで、
ザクザクのギターリフを乗せたオールドスタイルのパワフルなメタルに圧倒される。伸びやかなAsami嬢の歌声を乗せた
ミドルテンポのナンバーから、リード曲「Shadowmaker」は、Midori & Miyakoのツインギターの魅力が詰まった疾走曲。
IRON MAIDENを思わせる「Don't Bite The Dust」も含めて、洋楽のメタル感触とキャッチーなメロディのフックが合わさって、
既存のジャパメタを超越した爽快な聴き心地である。ゆったりとしたバラード~シンフォニックな疾走曲となる「Edge Of The World」、
そしてラストのメロスピナンバー「Bravehearted」、この2曲の感動的なメロディのフックと、余韻に包まれながらアルバムは幕を閉じる。
まさに日本のレディース・メタルから世界へ向けて解き放たれた、強力なる一撃というべき傑作だろう。
メロディック度・・8 疾走度・・8 女性Vo度・・8 総合・・8.5 過去作のレビューはこちら
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LOVEBITES 「Battle Against Damnation」
日本のガールズメタル、ラヴバイツの2018年作
1stフルに続く4曲入りのミニアルバム。のっけからIRON MAIDENの名曲を彷彿とさせる王道のメタルナンバーで、
印象的なツインギターのリフと伸びやかなAsami嬢のヴォーカルを乗せて、キャッチーな疾走感に包まれる。
続く2曲目は、METALLICAを思わせるザクザクのリフで疾走するスラッシーなナンバーで、
女性バンドとは思えないパワフルな演奏に圧倒される。3曲目はどっしりとした曲調から始まり、
三連のリズムから疾走へと展開する勇壮なメタルナンバー。4曲目もミドルテンポからキャッチーなメロスピ疾走へと
きらびやかに聴かせるナンバーで、ツインギターのメロディが心地よい。いかにもライブ映えしそうな全4曲です。
メロディック度・・8 疾走度・・8 女性Vo度・・8 総合・・8
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LOVEBITES 「Daughters of The Dawn」
日本のガールズメタル、ラヴバイツのライブ作品。2019年作
2019年東京でのライブを収録。2nd「CLOCKWORK IMMORTALITY」発売にともなうライブで、
同作からのナンバーをメインに、1stとEPからのナンバーも含めて、2時間を超える、全17曲のステージ。
白い衣装に身を包み、太腿もあらわな姿で、男性顔負けのパワフルな演奏をするという彼女たちのライブは、
映像で観てこそ魅力が倍増。パワフルなツーバスドラムを叩き出すHaruna嬢に、指引きの骨太のベースを聴かせるMiho嬢、
Midori & Miyakoの最強のツインギターが奏でる流麗なソロパート、そしてAsami嬢の伸びやかなハイトーンヴォーカルと、
スラッシーな激しいナンバーから華麗なメロスピ、ミドルテンポの王道メタルまで、どの楽曲にも見どころが満載。
Blu-rayは映像、音質とも良好で、2nd付属のライブ映像に比べるとライティングの明るさでステージのメンバーたちがくっきりと見え、
音質自体も楽器の分離が良く、大画面&スピーカーで鑑賞するとより楽しめるだろう。ボーナス収録のメンバーによる機材紹介も楽しい。
ライブ映像・・8 ライブ演奏・・9 買うならブルーレイ度・・9 総合・・8.5
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Mary's Blood 「FATE」
日本のガールズメタル、メアリーズ・ブラッドの2016年作
メジャー3作目のアルバムで、のっけからメタリックなギターにパンチのあるヴォーカルを乗せて激しく疾走する
パワフルなナンバーで聴き手を圧倒する。日本語歌詞による和風のテイストと情感的な歌声で、
ダークでアグレッシブな勢いに包まれつつ、キャッチーなメロディを同居させたスタイルは、
レディースメタルの最高峰というべきクオリティ。モダンなヘヴィネスを感じさせるナンバーや
アグレッシブな疾走曲はもちろん、ミドルテンポのキャッチーなハードロックまで、堂々たる作風で、
女性とは思えない存在感あるギターサウンドやパワフルなドラムを含めて、演奏のレベルも高い。
フェミニンなきらびやかさは控えめなので、ガールズメタルとしては大変硬派な力作といえる。
メロディック度・・8 メタリック度・・8 女性Vo度・・8 総合・・8 過去作のレビューはこちら
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Baskerville 「Opus Aeternum」
日本のメロディックメタル、バスカヴィルの2017年作
2004年にデビュー、本作は3作目で、ツインギターに美麗なシンセを重ねた重厚なメロパワスタイルで、
英語歌詞のハイトーンヴォーカルを乗せた、ヨーロピアンな香りのシンフォニックメタルとしても楽しめる。
骨太のリフと流麗なフレーズを弾きこなすギターのテクニックもなかなかのもので、力量あるヴォーカルとともに、
シアトリカルなドラマ性に包まれた世界観を描き出す。疾走ナンバーではキャッチーなクサメロ感も覗かせつつ、
正統派メタルとしてのパワフルな感触も残したサウンドは、多くのメロパワ好きリスナーにアピールするだろう。
日本語歌詞による和風テイストのナンバーもありつつ、ラストは10分を超える大曲で、ドラマティックに締めくくる。
メロディック度・・8 疾走度・・8 パワフル度・・8 総合・・8
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RACHEL MOTHER GOOSE 「TOKIWA NO SAI」
日本のメロディックメタル、レイチェル・マザー・グースの2017年作
2000年にデビュー、フルアルバムとしては、2006年以来。韓国のメタルバンド、ZIHARDのシンガー、ソン・フンが加入し、
アレッサンドロ・デルヴェッキオがマスタリングという話題性も十分。流麗なギターに伸びやかなハイトーンヴォーカルを乗せた、
正統派の様式美メタルサウンドで、シンフォニックな味付けとリズムチェンジなどの知的な展開力が加わって、
英語歌詞の歌声も含めて、まるで洋楽HRバンドを聴いているような感触だ。キャッチーなメロディのフックも魅力的で、
随所に植木英史のネオクラシカルなギターや、存在感あるベースプレイも光っていて、演奏力も歌唱も非の打ちどころがない。
ミドルテンポ主体で疾走ナンバーは少ないのだが、様式美メタルとしてのクオリティの高さを思えば些末事か。
メロディック度・・8 疾走度・・6 様式美度・・8 総合・・8 過去作のレビューはこちら
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DREAMSTORIA 「Dreams Never End」
日本のメロディアス・ハードロック、ドリームストーリアの2017年作
MinstreliXのLeo FigaroとJ-POPシーンで知られるギタリスト、綿貫正顕を中心にしたバンドで、
5年ぶりの2作目となる。きらびやかなシンセアレンジと流麗なギターワークに、マイルドなヴォーカルを乗せた、
キャッチーなメロディアスハードロックは前作の延長上のもの。かつてのFAIR WARNINGにも通じるような
優美なメロディに日本的な叙情とファンタジックな世界観を加えたという、じつに耳心地の良いサウンドである。
六合のドラムも参加していて、リズム面での安定感も含めて、レベルの高い演奏がバックをしっかりと支え、
ここぞと伸びやかなハイトーンヴォーカルに優雅な泣きのメロディを奏でるギターも見事。すべてが高品質なメロハーです。
メロディック度・・8 キャッチー度・・8 叙情度・・8 総合・・8
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ETHEREAL SIN 「Kakuriyo」
日本のシンフォニック・ブラックメタル、エセリアル・シンの2019年作
キングレコードからのメジャーデビュー作品で、フルアルバムとしては6年ぶりとなる3作目。
美麗なシンセアレンジにメロディックなツインギターとダミ声ヴォーカルを乗せて疾走しつつ、
ゴシック的な耽美さと和風のテイストを含んだ、彼らの言うエレジアック・ブラックメタルを展開。
ブラストビートで疾走する激しさも随所に覗かせつつ、艶やかなヴァイオリンの音色にシンセが重なる
優美なシンフォニック性や、曲中に日本語による台詞を含んだ和風ブラックメタルのテイストで、
世界観としては初期のSIGHにも通じるものもある。クセのある絶叫ヴォーカルは好みが分かれるところで、
音質の良さも含めてまとまり過ぎている感じもあるが、クオリティの高さはさすがのキャリアあるバンドである。
ドラマティック度・・8 暴虐度・・7 和風ブラック度・・8 総合・・8 過去作のレビューはこちら
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ElupiA 「WILDERNESS」
日本のシンフォニックメタル、エルピアの2013年作
ピアノとオルガン、二人の鍵盤奏者を擁する編成で、オーケストラルなイントロから、
激しめの打ち込みドラムにギターを乗せ、日本語歌詞の女性ヴォーカルで聴かせるサウンド。
中音域からソプラノまでこなすNene嬢の歌声は、演劇的でオペラティックな雰囲気があって、
クラシックやジャズの素養も感じさせるピアノとともに、楽曲は優雅でわりとキャッチーな味わい。
打ち込みによるデジタルなアレンジなどは、正統的なシンフォニックメタルを好きな方には、
いくぶんエキセントリックな感じるかもしれない。音質のラウドさもいかにも自主制作っぽい。
女性ヴォーカルの実力はあるので、ラスト曲のような優美なシンフォニック路線が似合っていると思う。
シンフォニック度・・7 メタル度・・7 女性Vo度・・7 総合・・7
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コロナに負けぬメタル!(91)


REFUGE 「Solitary Men」
ドイツのメタルバンド、レフュージの2018年作
ピーター・ワグナー、マンニ・シュミット、クリス・エフティミアディスという。RAGEの黄金時代のトリオが集結。
バンドやアルバム名からして、かつてのRAGEの楽曲を想起するが、サウンドの方も「Trapped!」「Missing Link」といった、
90年代レイジの作品ををそのまま蘇らせたという聴き心地で、往年のファンはなつかしく楽しめるだろう。
自在なリフとメロディを弾きこなすマンニのギターも健在で、ピーヴィーのかすれた味わいのヴォーカルは、
その独特の歌いまわしも含めて、これぞレイジである。生々しいアナログ的な音質や、オルガンなどを加えた
オールドなアレンジも違和感がなく、年を経たベテランらしい渋さを感じさせる。勢いある疾走ナンバーから、
どっしりとしたミドルテンポ、キャッチーなナンバーに、ゆったりとした叙情曲まで、トリオRAGEの続きが楽しめる。
メロディック度・・7 疾走度・・7 トリオのレイジ度・・8 総合・・8
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Gloryful 「Cult Of Sedna」
ドイツのメロディックメタル、グローリーフルの2019年作
2013年にデビュー、本作は4作目となる。ツインギターのリフにダーティなヴォーカルを乗せた
GRAVE DIGGERなどを思わせる、古き良きジャーマンメタルスタイルのパワフルなサウンド。
楽曲は4~5分前後で、甘すぎない叙情性に包まれたどっしりとした勇壮なメタルサウンドは、
SABATONなどのファンにも受けるだろうし、クサメロのツインギターで疾走するところは、
初期HELLOWEENなどのテイストも感じさせる。エピックな味わいのスローナンバーなどもありつつ、
とにかく正統派メタル愛に溢れた聴き心地。新鮮味はないのだが、オールドなジャーマンメタル愛好家はどうぞ。
ドラマティック度・・8 疾走度・・7 正統派度・・8 総合・・8 過去作のレビューはこちら
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Visigoth 「Conqueror's Oath」
アメリカのメロディックメタル、ヴィシゴスの2018年作
2015年にデビュー、本作は2作目となる。ファンタジックなジャケからしてすでに良い感じだが、
サウンドの方も、王道のギターリフに朗々としたヴォーカルで聴かせる正統派のエピックメタル。
叙情的なツインギターとコーラスを含む勇壮な味わいに、ほどよくローカルなマイナー臭さも漂わせるが、
演奏力はしっかりとしていて、ヘナチョコ感はまったくない。どっしりとしたミドルテンポを主体にしつつ、
ジャーマンメタル的な疾走ナンバーもよい感じで、80~90年代初頭の熱いメタル愛が全編に感じられる。
NWOTHM系が好きなオールドメタラーにもお薦めの強力作。全8曲42分というのも潔い。
ドラマティック度・・8 疾走度・・7 エピック度・・8 総合・・8
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Stranger 「Pretty Angels」
ドイツのメタルバンド、ストレンジャーの1990年作/2012年の再発盤
1985年のデビュー作は、STORMWITCHにも通じるメロディックなジャーマンメタルであったが、
2作目の本作は、ジャケのイメージに反して、キャッチーで爽やかなメロハー路線になっている。
シンプルなギターリフにシンセを重ね、ハイトーンヴォーカルを乗せたハードロックサウンドは、
どことなく北欧のバンドのような透明感があって、これはこれで悪くない。楽曲は4分前後とシンプルながら、
ツインギターのメロディが美しい叙情ナンバーなど、どの曲もとにかく優美でキャッチーな聴き心地で楽しめる。
メロディック度・・8 キャッチー度・・8 ジャーマン度・・7 総合・・7.5
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LOVEKILLWERS
元TNTのシンガー、トニー・ハーネルをフロントにしたプロジェクト、ラヴキーズの2019年作
TNTをはじめ、WESTWORLD、STARBRAKERなどが活躍、日本でも人気の高いトニー・ハーネルをヴォーカルに
プロデューサー&ソングライターのアレッサンドロ・デルヴェッキオをブレインに、イタリア人のメンバーが参加、
伸びやかなトニー・ハーネルのヴォーカルをメインにした、キャッチーなハードロックサウンドを聴かせる。
うっすらとしたシンセにほどよくハードなギターほ重ねた、かつてのTNTを思わせる涼やかな味わいは、
往年のファンが求めるスタイルだろう。しっとりとしたバラードナンバーでの甘い歌声は、彼の魅力を引き出していて、
楽曲的な新鮮味は薄いものの、どこをきってもメロディックな叙情に包まれている。ハーネルのファンはチェック。
メロディック度・・8 キャッチー度・・8 ハーネル度・・8 総合・・8
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Madder Mortem 「Marrow」
ノルウェーのアヴァン・ゴシックメタル、マダー・モーテムの2018年作
1999年にデビュー、7作目となる本作は、ほどよくハードなギターに女性ヴォーカルを乗せ
ヴィンテージなアナログ感とプログレッシブな味わいに包まれたサウンドを聴かせる。
いくぶんアヴァンギャルドな展開力をオールドなハードロック風味に融合させ、
サイケな浮遊感と魔女めいた妖しさも覗かせる、その独自の世界観は本作でも健在。
Agnete嬢の艶めいた歌声を中心にした、アンニュイな歌ものナンバーなど、
シアトリカルなゴシックロックという感じでも普通に楽しめる好作品。
ドラマティック度・・7 耽美度・・8 女性Vo度・・8 総合・・8 過去作のレビューはこちら
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Paragon Collapse 「The Dawning」
ルーマニアのゴシックメタル、パラゴン・コラプスの2018年作
ヘヴィ過ぎないギターに艶やかなヴォイオリンの音色、美しい女性ヴォーカルの歌声を乗せ、
ゆったりと聴かせるゴシック・ドゥームサウンド。初期のThe 3rd and The Mortalあたりにも通じる
耽美な倦怠に包まれた世界観とともに、いくぶんのマイナーな辺境臭さも感じさせながら、
10分前後の大曲を主体に、薄暗い叙情を描いてゆく。ドゥームというほどには重さがないので、
女性声の美しさもあってゴシックメタルとしても普通に楽しめる。全体的に派手な盛り上がりというのはなく、
わりと淡々とした聴き心地であるが、随所にメロディアスなギターやヴァイオリンが優雅な味わいをかもしだす。
ドラマティック度・・7 耽美度・・8 女性Vo度・・8 総合・・7.5
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Sinister Downfall 「Eremozoic」
ドイツのフューネラル・ドゥームメタル、シニスター・ダウンフォールの2018年作
ブラックメタル系ミュージシャンによる個人ユニットで、10分前後の大曲を中心に全4曲40分という構成。
重厚なギターに低音グロウルヴォイスを乗せ、ゆったりとした暗黒美に包まれたフューネラルなドゥーム。
シンセをメインにしたアトモスフェリックなパートも多いので、刑務所時代のBURZUMのような、
独り鬱ブラック的な世界観というか、ブラックメタルの空気をそのままフューネラルドゥームにしたという感じも。
ゴリゴリのドゥーム感がないので、ダークであるがわりと聴きやすく、シンセによる耽美な叙情性もあって、
むしろフューネラル・ブラックメタルという感触で楽しめる。暗黒の美を愛する方はどうぞ。
ドラマティック度・・7 鬱ブラック度・・8 フューネラル度・・8 総合・・7.5
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Hooded Menace 「Ossuarium Silhouettes」
フィンランドのドゥームメタル、フーデッド・メナスの2018年作
2008年にデビューして、本作が5作目となる。ヘヴィなギターに低音デスヴォイスを乗せ、
スローテンポの重厚なドゥーム・デスメタルを聴かせる。初期のCATHEDRALをさらに重くしたような、
フューネラルな暗黒性に包まれたサウンドながら、ツインギターのフレーズにはいくぶんの叙情性も感じられ
BLACK SABBATHルーツのオールドなメタル感触も残している。アップテンポのパートもけっこうあって、
ときにデスメタル的なギターリフを含んだアグレッシブな味わいと、翳りを帯びたヨーロピアンな美学を覗かせる。
あるいは、90年代の北欧デスメタルをドゥーム化したような聴き心地で、ダークな叙情に浸れる強力作だ。
ドラマティック度・・7 ドゥームデス度・・8 重厚度・・8 総合・・8
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Spiritual Beggars 「Earth Blues」
スウェーデンのハードロックバンド、スピリチュアル・ベガーズの2013年作
1994年にデビュー、8作目となる本作は、オールドなギターリフにオルガンが鳴り響く、これまでにも増して
レイドバックしたようなアナログ的なハードロックを聴かせる。ときにサイケ気味にかき鳴らされるファズギター、
いかにも70年代ノリのアポロのヴォーカル、そしてペル・ヴィバリ(元OPETH)の奏でる歪んだオルガンも含めて、
現代に録音されたとは思えないヴィンテージな味わいに包まれている。叙情的なツインギターのフレーズなど、
単なるオールドなロックというだけでない魅力を随所に盛り込んでいるところも心憎い。ウェットでブルージーな心地よさ。
マイケル・アモットの巧みなギターセンスをサバスルーツの70'sハードロックに溶け込ませたという、強力なアルバムだ。
ドラマティック度・・8 70'sHR度・・9 ヴィンテージ度・・9 総合・・8 過去作のレビューはこちら
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Spiritual Beggars 「Sunrise To Sundown」
スピリチュアルベガーズの2016年作
前作と同じメンバーで作られた9作目。今作はのっけから、疾走感のある80年代風のメタルナンバーで、
RIOTあたりを思わせる日本人好みのメロディックな感触に包まれる。2曲目以降も、流麗なツインギターと
オルガンを含むシンセを重ねた、キャッチーなメロディを感じさせるサウンドで、前作のヴィンテージ路線に比べると、
いくぶん80年代に寄ったような作風になっている。一方では、70年代風味やプログレ的な部分も混在していて、
全体的に楽曲のバラエティが増したという印象であるが、逆に言えば全体がやや散漫な印象にもなっている。
もちろんそこらのバンドに比べれば演奏も歌唱もレベルは高く、さらりと聴けてしまうのだが、
個人的には前作でのドラムも含めての、やりすぎなまでのアナログ感に軍配が上がるか。
ドラマティック度・・7 70'sHR度・・8 ヴィンテージ度・・8 総合・・8
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Grand Magus 「Sword Songs」
スウェーデンのヘヴィメタル、グランド・メイガスの2016年作
2001年にデビュー、本作が8作目。古き良きギターリフに元SPIRITUAL BEGGARSのJBの歌声を乗せ、
70~80年代ルーツのオールドなメタルサウンドを聴かせる。剣をテーマにしたアルバムのようで、
エピックメタル的な勇壮な雰囲気を匂わせつつ、ほどよくメロディックなギターフレーズに
味わいのあるヴォーカルで、大人の叙情を含んだヴィンテージなハードロックが全編楽しめる。
楽曲は3~4分前後で、全34分というのもアナログ時代のアルバムのよう。これという新鮮味はないが、
初期MANOWARなどのファンでも楽しめるような、エピックな正統派HM作品である。
ドラマティック度・・7 古き良き度・・8 重厚度・・7 総合・・8 過去作のレビューはこちら
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SOULS OF TIDE 「JOIN THE CIRCUS」
ノルウェーのハードロック、ソウルズ・オブ・タイドの2016年作
ツインギターにのオールドなリフにハモンドオルガンが鳴り響き、エミーショナルなヴォーカルを乗せ、
70年代感覚に包まれたヴィンテージなハードロックを聴かせる。オルガン奏者はジョン・ロードをリスペクトしていて、
古典的なハモンドオルガンの音色とブルージーで優雅なギターが重なると、DEEP PURPLERAINBOWを思わせたりする。
パワフル過ぎず、さりとてどっしりと骨太の味わいでオールドロックのレトロさを、いい意味でメタル風に仕上げたという点では、
SPIRITUAL BEGGARS
などのファンにも受けるだろう。楽曲は3~4分前後で、全34分というのもいかにもアナログ的だ。
ドラマティック度・・7 70'sHR度・・9 ヴィンテージ度・・8 総合・・8
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The DREAMSIDE 「Spin Moon Magic」
オランダのゴシックメタル、ドリームサイドの2005年作
1994年にデビュー、本作は4作目となる。美麗なシンセアレンジに女性ヴォーカルの歌声を乗せ、
ヘヴィ過ぎないギターとともに、耽美でキャッチーなゴシックロック風のサウンドを聴かせる。
前作でのエレクトロゴシック路線も随所に残しつつ、楽曲にメロディックなフックが備わったことで
スタイリッシュに聴きやすくなった。曲によっては、WITHIN TEMPTATIONをモダンにしたような感じもあり、
Kemi嬢の歌声もシャロン嬢とまではいかないが、フェミニンな魅力があってなかなかよろしい。
ゴシックメタルとしての重厚さはないものの、ほどよく耽美でシンフォニックな女性声ゴシックロックです。
ドラマティック度・・7 耽美度・・8 女性Vo度・・8 総合・・7.5
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DIABOLIQUE 「THE GREEN GODDESS」
スウェーデンのゴシックメタル、ディアボリックの2001年作
1997年にデビュー、本作は3作目で、エレクトロなシンセにマイルドなヴォーカルを乗せた、
TO DIE FORなどにも通じる、ニューウェイブ風味のゴシックロックサウンド。
ギターはさほどヘヴィさはなく、モダンなビート感に女性ヴォーカルなども加えた
わりとキャッチーな聴き心地で、3~4分前後の楽曲は、ゴシックとしての耽美な味わいに
ときにシンフォニックなテイストも覗かせる。重厚さやダークな部分は希薄ながら、
モダンでポップな感触のゴシックロックが楽しめる方はどうぞ。
ドラマティック度・・7 ゴシック度・・7 耽美度・・8 総合・・7.5
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2/28
俺たちのラヴバイツ!(76)


LOVEBITES 「CLOCKWORK IMMORTALITY」
日本のガールズメタル、ラヴバイツの2018年作
2017年にデビュー、当初はその白い衣装のルックスがあまりに嬢メタル然としていたためスルーしていたが、
じつはそのサウンドは世界基準の本格派メタルであったのだと知ることになる。本作は2作目のフルアルバムで、
アコースティックなイントロから始まり、パワフルなドラムにツインギターのリフと伸びやかなヴォーカルを乗せ、
キャッチーな正統派メロパワを聴かせる。英語歌詞による声量豊かな歌声に、実力あるツインギターのソロプレイと、
ガールズメタルの域を超えた力強さは本物で、メロディのフックには日本的な叙情性を匂わせるところもツボをつく。
Asami嬢のエモーショナルな歌声を活かした叙情ナンバーから、スラッシーな激しさまで、洋楽のHR/HMファンをも唸らせる出来で、
バンドとしての可能性に溢れた力作だ。限定盤のDVD、ブルーレイには、2018年東京でのライブをに収録していて、これも必見。
メロディック度・・8 パワフル度・・8 女性Vo度・・8 総合・・8.5
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LOVEBITES 「Electric Pentagram」
日本のガールズメタル、ラヴバイツの2020年作
3作目のフルアルバム。のっけからザクザクのギターリフを乗せて疾走するスラッシーなナンバーで、
伸びやかな女性ヴォーカルによるキャッチーなフックとともに、激しくも心地よいスピードメタルを聴かせる。
いまさらながら、全員が女性とは思えないパワフルでアグレッシブな勢いに、筋金入りのメタルファンも圧倒されるだろう。
シンセアレンジを加えたきらびやかなメロスピから、ミドルテンポの王道のメタルナンバーまで、演奏、歌唱ともに隙のない仕上がりで
とくにドラムの力強さがさらに増した。流麗なギターソロも含めて聴きどころが満載である。前作以上にメタリックな仕上がりながら、
Asami嬢の美しい歌声が映えるスローなナンバーもあり、各楽曲がメロディのフックも魅力的。全70分というまさに強力な傑作である。
2019年東京でのライブを収録した2CDを加えた、限定3CD仕様や、2018年ドイツWACKENのライブを収録したDVD付き限定盤もあり。
メロディック度・・8 疾走度・・8 女性Vo度・・8 総合・・9
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Cross Vein 「Gate of Fantasia」
日本のシンフォニックメタル、クロス・ヴェインの2018年作
華やかなルックスも含めてV系シンフォニックメタルというべき存在、フルアルバムとしては3作目となる。
シンフォニックで壮麗なイントロから、ツインギターにやわらかな女性ヴォーカルを乗せて、
ほどよい疾走感とともにキャッチーなサウンドを聴かせる。歌メロの陽性のクサメロ感とともに、
紅一点、Julia嬢の歌声にも力みがなくなり、自然体のやわらかさが感じられる。重すぎないギターと
美麗なシンセアレンジのバランスもよく、激しくモダンなヘヴィネスが薄まったぶん、ぐっと聴きやすくなった。
しっとりとしたバラードも感動的で、キャッチーなポップ性と優雅さが合わさった、ロマン派女性声シンフォメタルの逸品です。
シンフォニック度・・8 疾走度・・8 女性Vo度・・8 総合・・8 過去作のレビューはこちら
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Visionatica 「Enigma Fire」
ドイツのシンフォニックメタル、ヴィジョナティカの2019年
2016年にデビュー、本作は2作目で、壮麗なイントロから始まり、メタリックなギターにオーケストラアレンジが重なり、
なよやかな女性ヴォーカルの歌声を乗せた、優美なシンフォニックメタルが広がってゆく。
XANDRIALEAVES' EYESにも通じる優雅でキャッチーな聴き心地で、メロディックでほどよく重厚、
ときにアコースティックな民族調のパートも取り入れるなど、エンシェントで幻想的な世界観を描き出す。
北マケドニア出身という、タマラ嬢の歌唱力も上記のバンドに劣らぬレベルで、サウンドを美しく彩っている。
全体的には、突き抜けたインパクトというまでには至っていないので、今後は楽曲の自体の魅力を磨いて欲しい。
シンフォニック度・・8 壮麗度・・8 女性Vo度・・8 総合・・8
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Frozen Crown 「The Fallen King」
イタリアのメロディックメタル、フローズン・クラウンの2018年作
BE THE WOLFのフェデリコ・モンデッリ率いるバンドで、女性シンガーに女性ギターを含む編成。
パワフルなギターリフにうっすらとしたシンセを重ね、男女ヴォーカルの歌声を乗せて疾走する、
正統のメロパワサウンド。古き良きパワーメタル感触と、技巧的なスタイリッシュ性を同居させたスタイルで、
メロスピからメロデス、X-JAPANなどもリスペクトするという、フェデリコの自在なギタープレイが随所に光る。
クロアチアのASHES YOU LEAVEやイタリアのTYSTNADENにも参加した女性シンガー、ジェイドの歌声は、
いくぶんハスキーで伸びやかな優雅さを備えていて、魅力的に楽曲を彩っている。ときにデスヴォイスを加えた
アグレッシブな疾走曲から、美しいバラードナンバーまで、古さと新しさが融合したハイブリッドな高品質メロパワだ。
メロディック度・・8 疾走度・・7 女性Vo度・・8 総合・・8
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Frozen Crown 「Crowned in Frost」
イタリアのメロディックメタル、フローズン・クラウンの2019年作
前作から1年あまりで早くも2作目が登場。ツインギターのメロディックなフレーズを乗せて疾走する、
正統派メロパワサウンドで、伸びやかな女性シンガーの歌声も、前作以上に楽曲にマッチしている。
フェデリコ・モンデッリが自らの原点とリスペクトする、X-JAPANのような華麗な疾走感に包まれて、
日本人が好む、メロディック・スピードメタルを体現している。一方では古き良きメタル感触も残していて、
若手の黒人女性ギタリストを含む、技巧的なツインギターのリフとフレーズも聴きどころとなっている。
メロデス風のリフなどのアグレッシブな激しさとほどよいクサメロ感、女性声を活かした優美なナンバーが同居した、
メタルとしてバランスのとれた作風は、フェデリコのセンスと引き出しの多さだろう。安定の高品質作品です。
メロディック度・・8 疾走度・・8 女性Vo度・・8 総合・・8
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Asphodelia「Welcome Apocalypse」
イタリアのシンフォニックメタル、アスフォデリアの2018年作
メタリックなギターに美麗なシンセアレンジと、伸びやかな女性ヴォーカルを乗せた、
モダンなヘヴィネスにミステリアスな空気が同居したシンフォニックメタルを聴かせる。
艶めいたサミュエラ嬢の歌声は、どちらかというとゴシック寄りの耽美な雰囲気があって、
わりとダークな曲調も含めて、アグレッシブなゴシックメタルとしても楽しめるかもしれない。
モダンなスタイリッシュ性という点では、TEMPERANCEあたりにも通じるだろうが、
楽曲展開もメロディのフックも、どこか突き抜けきらないところがマイナーらしさというべきか。
ヴォーカル嬢には魅力と実力があるので、今後は楽曲の魅力を向上させていってもらいたい。
シンフォニック度・・7 耽美度・・8 女性Vo度・・8 総合・・7.5
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Devious Mine 「Exilium」
イタリアのメロディックメタル、デヴァイアス・マインの2018年作
美麗なシンセアレンジにパワフルなヴォーカルを乗せた正統派のメロパワスタイル。
3~4分前後の楽曲はわりとシンプルであるが、キャッチーな爽快さに包まれていて、
ミケーレ・ルッピばりの伸びやかなハイトーンヴォーカルの実力もなかなかのもの。
ミドルテンポのナンバーが主体であるが、後半にはメロスピ的な疾走ナンバーもあって
どの曲においても、堂々たる歌声の説得力でマイナー臭さはほとんど感じさせない。
こんな凄いヴォーカルが無名でいたとは驚きである。イタリアンメタルの底力を見る思い。
メロディック度・・8 疾走度・・7 ヴォーカル度・・9 総合・・8
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MAGIC KINGDOM 「Metalmighty」
ベルギーのメロディックメタル、マジック・キングダムの2019年作
IRON MASKでも活躍する、ダッシャン・ペトロッシ率いるバンドで、1999年のデビュから数えて5作目となる。
本作はヴォーカルにマイク・ヴェセーラが参加、イングヴェイやラウドネスで活躍した実力派シンガーの歌声と、
ネオクラシカルな旋律をまぶしたメロパワサウンドが融合、ほどよい疾走感とともにキャッチーな聴き心地。
楽曲自体には新鮮味はさほどなく、音質的にもやや平坦な印象で、せっかくのヴェセーラの歌声が引っ込んでいるし、
かつてのような暑苦しいまでの壮麗なネオクラ感はやや控えめで、よく言えばバランスのとれた聴き心地である。
良くも悪くも、ひと世代前の様式美なメロパワ感であるが、オールドスタイルを愛するリスナーには心地よく楽しめるだろう。
メロディック度・・7 疾走度・・7 正統派度・・8 総合・・8 過去作のレビューはこちら
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ShadowStrike 「Legends Of Human Spirit」
アメリカのメロディックメタル、シャドウストライクの2019年作
のっけからクサメロのツインギターに美しいシンセを重ねて疾走する、きらびやかなメロスピサウンドが広がる。
伸びやかなヴォーカルを乗せた透明感のあるメロディックメタルは、むけしろ北欧のバンドのような雰囲気で
初期のSONATA ARCTICAなどを思わせる、壮麗なシンフォニック性とフックのあるメロディラインは、
DRAGONFORCEやブラジルのAQUARIA、日本のガルネリウスなどからの影響があるというのもうなずける。
とにかくクサメロで、とにかくキャッチーに疾走するという爽快なスタイルは、非常に日本人好みであり、
多くのメロスピリスナーはニンマリだろう。メンバーは日本のアニメやゲームも大好きという、勢いある若手が登場した。
メロディック度・・8 疾走度・・9 クサメロで壮麗度・・9 総合・・8
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Mortanius 「Till Death Do Us Part」
アメリカのメロディックメタル、モータニウスの2019年作
ジャケはドゥームメタルのようだが、サウンドは正統派のギターにハイトーンヴォーカルを乗せた、
しごく叙情的なシンフォニックメタル。1曲目から、MinstreliXのLeo Figaroがゲスト参加していて、
きらびやかなシンセアレンジや流麗なギターとともに、楽曲に華麗な華を添えている。
10分、17分という大曲は、クラシカルな優雅さと幻想的なロマンの香りに包まれながら、
随所にメロスピ的な疾走感を含んた緩急ある構築力でドラマティックなサウンドを聴かせる。
3曲目では、DRAGONLANDのヨナス・ヘイドガードがヴォーカルで参加しているのもマニア好み。
ラストはWham「Last Christmas」のカヴァー。ちなみに前作EPでは、BAAD「君が好きだと叫びたい」をやっている。
メロデッィク度・・8 疾走度・・8 優雅度・・8 総合・・8
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MIND KEY「MK III - Aliens in Wonderland」
イタリアのプログレメタル、マインド・キーの2019年作
2004年にデビュー、本作は10年ぶりとなる3作目。ほどよくヘヴィなギターにシンセを重ね、
かすれた味わいのパワフルなヴォーカルとともに、キャッチーなメロディック性で聴かせる。
きらびやかなシンセワークと知的な展開力には、ProgMetal感触を匂わせつつも、
楽曲は4~5分前後とわりとシンプルで、キャッチーなシンフォニックメタルとしても
曲によってはメロディアスハードとしても普通に楽しめる。各曲のメロディのフックもそつがなく心地よいし、
安定した演奏力とともにまとまっていて、キャリアのあるバンドの帰還というべきレベルの高い好作品だ。
メロディック度・・8 キャッチー度・・8 テクニカル度・・7 総合・・8 過去作のレビューはこちら
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Darkwater 「Human」
スウェーデンのプログレメタル、ダークウォーターの2019年作
Harmonyのメンバー中心にしたバンドで、2007年にデビュー、本作は9年ぶりとなる3作目。
硬質なギターに美しいシンセアレンジを重ね、ハイトーンヴォーカルを乗せた透明感のあるサウンドで、
メロディックなフックと知的な構築力で、モダンでスタイリッシュなProgMetalを聴かせる。
シンフォニックな美麗さに包まれつつ、ヘヴイさと優雅な感触を同居させて、エモーショナルなヴォーカルや
随所に流麗なギターフレーズも魅力的で、過去2作の中庸感を脱却する楽曲アレンジの質の高さが光っている。
10分前後の大曲も、メリハリあるドラマティックな展開力で、美しくも重厚な世界観を味わえる。
イタリアのKINGCROWなどとともに、新時代のプログレメタルを感じさせるような強力作である。
ドラマティック度・・8 テクニカル度・・7 スタイリッシュ度・・9 総合・・8.5 過去作のレビューはこちら
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Shadows Past 「Perfect Chapter」
スウェーデンのメロディックメタル、シャドウス・パストの2013年作
INSANIAのヴォーカルを擁するバンドで、美麗なシンセアレンジにわりとモダン感触のギター、
パワフル過ぎないハイトーンヴォーカルを乗せた、正統派のメロディックメタルサウンド。
北欧らしい透明感とメロスピ的な疾走感を、ほどよくヘヴィでスタイリッシュなアレンジに包み込んだという作風で、
随所に流麗なギターフレーズときらびやかなシンセアレンジを重ねた、ネオクラ風味やシンフォニックメタル感触も覗かせる。
全体的には、クサメロ感はそれほど高くないのだが、後半にはINSANIAばりの疾走メロスピナンバーもあり、
適度にヘヴィでキャッチー、ほどよくモダンでシンフォニックな北欧メロパワが楽しめる好作品です。
メロディック度・・8 疾走度・・7 北欧度・・8 総合・・7.5
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RUBICON 「A HOLNAP TUZE」
ハンガリーのメロディックメタル、ルビコンの2009年作
きらびやかなシンセに、母国語によるヴォーカルを乗せた、キャッチーなメタルサウンド。
楽曲は4~5分前後で、わりとシンプルながらも、メロディックなフックと伸びやかなヴォーカルは
なかなかに高品質。壮麗なシンセワークとともに母国語シンフォニックメタルという味わいで、
古き良きハードロックのリフから叙情的なフレーズもこなす、ギタリストのセンスも光っている。
楽曲は普通に聴きやすく、演奏面でのマイナー臭さはあまり感じないが、その反面もう少し
インパクトのある展開力が欲しい所。いくぶんプログレメタル感触を含んだあたりに伸びしろがありそうな。
メロディック度・・8 キャッチー度・・8 辺境度・・8 総合・・7.5
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ベテラン健在!(61)


Tygers Of Pan Tang 「Ritual」
イギリスのメタルバンド、タイガーズ・オブ・パンタンの2019年作
1979年にデビュー、80年代のNWOBHMシーンで活躍、二度の解散をへて、2001年の再々復活以降は意欲的に活動を続けている。
セルフタイトルの力作であった前作から3年ぶり、復活後6作目となる本作は、デビュー40周年を飾るアルバムとなった。
イントロのギターリフからして、すでに往年のブリティッシュメタル臭がぷんぷんで、往年のファンはにんまりだろう。
オリジナルメンバーであるロブ・ウィアーを含むツインギターに、2008年から参加する、ジャック(ヤコポ)・メイレの
伸びやかなヴォーカルも魅力的で、適度にキャッチーでいて骨太なHR/HMサウンドによくマッチしている。
ジャケこそダークなイメージであるが、ノリのよいメタルナンバーから、哀愁を含んだ叙情を描くナンバーまで、
英国らしい誇りとベテランの味わいに包まれた、オールドスタイルのブリティッシュメタルが詰まった強力作。
ドラマティック度・・8 古き良き度・・8 ブリティッシュメタル度・・9 総合・・8
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CANDLEMASS 「Epicus Doomicus Metallicus Live at Roadburn 」
スウェーデンのエピックドゥームメタル、キャンドルマスのライブ。2013/2019年作
LPのみで限定発売されていた、1986年デビュー作を完全再現した、2011年のオランダでのライブをCD化。
オリジナルヴォーカルであるヨハン・ラングクイストを迎えての編成で、ツインギターの重厚なリフに
存在感のあるヨハンの歌声を乗せて、ダークでウェットなドゥームメタルサウンドを聴かせる。
ロバート・ロウの朗々とした歌声に比べると、ヨハンの声質はよりアンダーグラウンドな怪しさを感じさせて、
とくにこの1stの作風にはよくマッチしている。マッツ・ビョークマンのギターを中心に、ベテランらしい確かな演奏力で、
25年の時を経て蘇った、「Epicus Doomicus」が楽しめる。これぞ元祖エピック・ドゥームメタルである。
ライブ演奏・・8 ドゥーム度・・8 重厚度・・8 総合・・8 過去作のレビューはこちら
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SODOM「Out Of The Frontline Trench + PARTISAN」
ドイツのスラッシュメタル、ソドムの2019年作
1984年デビューのジャーマンスラッシュのベテラン。本作は2作のEPをまとめた日本企画盤。
フランク・ブラックファイアが再加入、ヨーク・ゼーガツとのツインギター編成となり、
ストレートに突進する王道のスラッシュサウンドに、よりいっそうの迫力が加わった。
トム・エンジェルリッパーの吐き捨てヴォーカルも、ベテランらしい味わいがあり、
疾走するダークな説得力という点では、KREATORなどにもひけをとらないだろう。
過去の傑作「Agent Orange」の再録バージョンもファンには嬉しい。ソドマニアはチェック!
ドラマティック度・・7 疾走度・・8 スラッシュ度・・9 総合・・8 過去作のレビューはこちら
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THE CROWN 「COBRA SPEED VENOM」
スウェーデンのデスラッシュ、クラウンの2018年作
CROWN OF THORNES名義で1995年にデビュー、一時期の解散をへて、本作は通算10作目となる。
フレドリック・ノルドストロムをプロデューサーに迎えた本作は、イーヴルなジャケの雰囲気も含めて、
激烈に突進するデスラッシュサウンドがたっぷり楽しめる。ツインギターのリフとクールなフレーズに、
前作から復帰したヨハン・リンドストランドの咆哮するような迫力あるヴォーカルを乗せて激しく疾走、
スラッシーなデスロールというべき圧殺感が味わえる。緩急あるスローパートでの荘厳な空気感と、
随所に甘すぎない程度のメロディも覗かせつつ、デスラッシュの帝王たる威厳に満ちた強力なアルバムに仕上がっている。
ドラマティック度・・7 疾走度・・8 激烈度・・9 総合・・8 過去作のレビューはこちら
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TRIAL 「Motherless」
スウェーデンのメタルバンド、トライアルの2017年作
2011年にデビュー、本作は3作目。ツインギターのオールドなリフとウェットなフレーズに
ハイトーンヴォーカルを乗せて、適度な疾走感も含んだエピックな味わいの正統派メタルを聴かせる。
シアトリカルなヴォーカルの雰囲気も含めて、CANDLEMASSMercyful Fate化したような味わいで、
ほどよくメロディックなフックとともに、ドラマティックな展開力が楽しめる。いかにも80年代を思わせる
マイナーメタル的な空気感に叙情的なギターメロディを加えた、ダークなエピックメタルとしても魅力的。
激しく疾走するナンバーもどこか翳りを帯びた味わいで、9分を超える大曲をどっしりと構築する力量もある。
古き良き北欧系トラディショナル・メタル好きならば、たいへん満足できる強力な作品です。
ドラマティック度・・8 古き良き度・・8 エピック度・・8 総合・・8
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Cradle of Filth 「Cruelty and The Beast - Re Mistressed」
イギリスのヴァイパイア・ブラックメタル、クレイドル・オブ・フィルスの1998/2019年作
エリザベス・バソリー夫人をテーマにした、1998年の傑作「鬼女と野獣」を新たにリミックス、
音の分離が良くなったことで、たたみかけるドラムの迫力と、シンセによるシンフォニックなアレンジ、
ツインギターのフレージングがそれぞれクリアになり、よりゴージャスなサウンドに生まれ変わっている。
ダニ・フィルスの絶叫ヴォーカルを乗せて激しくブラスト疾走し、緩急あるリズムチェンジを含んだ構築力に、
オーケストラルな壮麗さとゴシックロマンス的な退廃の美学が詰まった、まさにクレイドルの代表作である。
旧盤と聴き比べるもよし、新たなファンの入門用としても最高の一枚といえるだろう。
ドラマティック度・・8 暴虐度・・8 リミックス度・・9 総合・・8.5 過去作のレビューはこちら
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Amon Amarth 「Berserker」
スウェーデンのヴァイキング・デスメタル、アモン・アマースの2019年作
1996年デビューのベテラン。本作は11作目で、タイトル通り、北欧神話の狂戦士をテーマにした作品。
アコースティックギターのイントロから、重厚なギターリフと低音デスヴォイスを乗せてパワフルに聴かせる、
勇壮なヴァイキング・デスメタルが広がってゆく。ほどよく叙情性を含んだツインギターのフレーズとともに、
どっしりとしたミドルテンポのナンバーを主体にした、ベテランらしい堂々たる説得力はさすがというところ。
メロディックな要素はそこそこで、アグレッシブな激しさがさほどない分、中庸なインパクトにとどまっている感もあるが、
これがアモアマのオールドなエピックデスメタル・スタイルなのだろう。安心して聴ける佳作です。
ドラマティック度・・7 エピック度・・8 重厚度・・8 総合・・8 過去作のレビューはこちら
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GARMSKRIK 「FIMBULWINTER(Великанская зима)」
ロシアのペイガンブラックメタル、ガルムスクリクの2019年作
トレモロを含むツインギターのリフにダミ声ヴォーカルを乗せ激しくブラスト疾走する
プリミティブな荒々しさと適度にメロディックな味わいを含んだペイガンブラックメタル。
北欧メロブラ的でもある涼やかな感触に、随所にアコースティックパートも挿入するなど、
緩急ある流れとともに、ネイチャーブラック的でもある神秘的な空気感も描き出す。
甘すぎない叙情性は激しい暴虐性のバンラスもよいので、マイナー臭さは感じられない。
全体的にこれだというインパクトはないのだが、今後に期待できるポテンシャルはありますな。
ドラマティック度・・7 暴虐度・・7 涼やか度・・8 総合・・7.5
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LUNAE ORTUS 「White-Night-Wropt」
ロシアのシンフォニック・ブラックメタル、ルナ・オルタスの2018年作
オーケストラルなアレンジにダミ声ヴォーカルを乗せ、ミドルテンポから激しいブラスト疾走へと、
緩急あるリズムチェンジとクラシカルな優雅さが同居した、Dimmu Borgirあたりに通じるスタイル。
全体的に暴虐さよりもシンフォニックな美麗さが前に出ているので、初心者にもわりと聴きやすいし、
メロディックなギターを乗せたミドルテンポのパートなども耳心地良い。このバンドならではの個性はさほどないが、
壮麗なシンフォニック・ブラックとしてはとても高品質な出来。まさにディムボルギルな強力作です!
シンフォニック度・・8 暴虐度・・7 ボルギル度・・8 総合・・8
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Farsot 「FAIL-LURE」
ドイツのブラックメタル、ファーソットの2017年作
2007年にデビューし、本作が3作目。ノイジーなギターとダミ声ヴォーカルを乗せて激しく疾走する、
モノトーンのような寒々しく荒涼とした味わいのブラックメタルサウンド。8分、9分という大曲を主体に、
リズムチェンジを含む展開力と、ときにうっすらとしたシンセも加えて、ミステリアスな神秘性に包まれる。
随所にゆったりとした叙情的なパートも織り込みながら、トレモロのリフや甘すぎないギターフレーズとともに、
激しさの中にも物悲しい空気を描き出す。サウンドの荘厳な説得力という点では、過去2作を上回るだろう。
カスカディアン・ブラック系が好きな方にも楽しめる、暗黒の美学に覆われた強力作だ。
ドラマティック度・・7 暴虐度・・7 暗黒度・・8 総合・・8 過去作のレビューはこちら
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IN DREAD RESPONSE「HEAVENSHORE」
ニュージーランドのメロディック・デスメタル、イン・デッド・レスポンスの2015年作
2008年にデビューし、本作が3作目となる。ザクザクとしたギターリフに吐き捨てヴォイスを乗せて激しく疾走する、
デスラッシュ風味のサウンドで、随所に流麗なギターフレーズを含みつつ、適度にモダンな感触もある。
アメリカの独立戦争をテーマに、アグレッシブにたたみかける迫力と、慟哭のような絶叫ヴォーカルや
ときにいくぶん物悲しい叙情性も覗かせながら、激しくもドラマティックな世界観を描いている。
甘すぎないメロディアス性と、ややメタルコア寄りのモダンさが同居した、高品質な作品デス。
ドラマティック度・・8 暴虐度・・8 叙情度・・7 総合・・7.5
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Black Kirin 「箫韶 (Xiao Shao)」
中国の民俗・メロディック・デスメタル、ブラック・キリンの2016年作
2015年にデビューし、本作が2作目となる。水墨画のようなジャケからして素朴だが、
本作は、前作「哀郢」の楽曲をアコースティックでアレンジした作品。牧歌的な二胡の音色に
アコースティクッギターに絡む筝のつまびきで、中華の空気を感じさせるフォークサウンドを聴かせる。
メタル色はほぼ皆無なので、アコースティックものが苦手なメタラーにはちとつらいかもしれぬが、
中国本土からこのような本格派の民俗要素をもったメタルバンドが現れたのはとても興味深い。
ドラマティック度・・7 メタル度・・1 中華度・・8 総合・・7.5
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BLACK KIRIN 「金陵祭 (NANKING MASSACRE)」
中国の民俗メロディック・デスメタル、ブラック・キリンの2017年作
前作アコースティックアルバムに続く3作目で、二胡、筝、琵琶などの音色にヘヴィなギターと
ダミ声ヴォーカルを乗せた、民俗的でフォーキーな味わいのデスメタルサウンドを聴かせる。
ブラストビートを含むアグレッシブなパートから、ノーマル声ヴォーカルや女性声をなど加えた
牧歌的な叙情を感じさせる展開など、緩急あるアレンジでスケール感のあるサウンドが楽しめる。
優雅な筝のつまびきをメインにしたナンバーなど、アコースティックな民俗調パートとの落差も含めて、
まさに中華な世界観に包まれた異色のメタルバンドたる個性を有している。
ドラマティック度・・8 暴虐度・・7 中華度・・8 総合・・8
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Witch Mountain
アメリカのドゥームメタル、ウィッチ・マウンテンの2018年作
2000年にデビュー、本作は5作目となる。ヘヴィなギターリフに艶めいた女性ヴォーカルを乗せた、
本格派の魔女系ドゥームメタルはこれまで通り。アナログ感に包まれたゆったりとしたアンサンブルで、
媚のないオールドなドゥーム感触に包まれた聴き心地は、いくぶん取っつきにくさはあるのだが、
ときにダミ声を使い分けるカイヤ嬢のヴォーカルも含めて、ダークで妖しげな世界観が味わえる。
ラストは14分という大曲であるが、全5曲で35分という短さは、なんだか物足りない感じも。
ドラマティック度・・7 ドゥーム度・・9 妖しげ度・・8 総合・・7.5 過去作のレビューはこちら
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女性声シンフォメタルはよいですね♪(47)


Visions of Atlantis 「Wanderers」
オーストリアのシンフォニックメタル、ヴィジョンズ・オブ・アトランティスの2019年作
2002年にデビュー、本作は6作目となる。シンフォニックなオーケストラアレンジに、
伸びやかな女性ヴォーカルと男性声を乗せた、キャッチーで壮麗なサウンドはそのままに、
ときにケルティックなメロディを取り入れるなど、Nightwishにも通じる華麗なスケールも感じさせる。
前作EPから加入したクレメンティーヌ嬢の歌声は、清楚な地声からオペラティックなソプラノまで美しく
バンドの世界観にもよくマッチしている。楽曲は、4分前後と比較的シンプルながら、ほどよく疾走感もあるので、
なかなか軽快な聴き心地で楽しめる。EDENBRIDGEなどが好きな方にもお薦めの美麗作です。
シンフォニック度・・8 美麗度・・9 女性Vo度・・8 総合・・8 過去作のレビューはこちら
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Ethereal Kingdoms 「Hollow Mirrir」
デンマークのシンフォニックメタル、エセリアル・キングダムズの2019年作
シンフォニックなアレンジに美しい女性ヴォーカル、男性デス声も絡みつつ、メタリックな激しさと
優雅な叙情が同居したサウンドを聴かせる。ソフィア嬢の歌声は、高すぎないメゾソプラノといったところで、
伸びやかな表現力にはオペラティックな素養が感じられる。ストリングスなどのオーケストラなアレンジに、
ときにアグレッシブな激しさも覗かせる、起伏のある展開力は、EPICAなどにも通じる雰囲気であるが、
こちらはまだマイナーな雰囲気をいくぶん残している。ブラスト疾走するような激しいパートもありつつ、
一方では、Vo嬢の奏でるカンテレの音色を取り入れた、AMORPHISのカヴァーナンバーなども魅力的だ。
とにかくソフィア嬢の歌声は実力十分なので、今後は楽曲面でのさらなる充実に期待したい。
シンフォニツク度・・7 壮麗度・・8 女性Vo度・・8 総合・・7.5
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The Murder Of My Sweet 「Brave Tin World」
スウェーデンのシンフォニック・ゴシックメタル、マーダー・オブ・マイ・スイートの2019年作
2010年にデビュー、本作が5作目となる。シンフォニックなアレンジとほどよくヘヴィなギター、
そして美しい女性ヴォーカルを乗せた、WITHIN TEMPTATIONなどにも通じる優美なサウンド。
キャッチーなメロディはゴシックというよりは、シンフォニックなメロディアスハードという感触ながら、
アンジェリカ嬢の伸びやかなヴォーカルはますます魅力的で、楽曲を艶やかに彩っている。
新鮮味はないのだが、どのナンバーも美しい歌声を活かしたシンプルな明快さで、高品質な聴き心地。
もはやゴシックメタルとは言えないが、安定のフィメール・シンフォニックメタル作品ですな。
シンフォニック度・・8 キャッチー度・・8 女性Vo度・・8 総合・・8 過去作のレビューはこちら
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LEAH 「The Quest」
カナダ人女性シンガー、リア・マクヘンリー率いるシンフォニックメタル。2018年作
のっけから10分の大曲で、美しいシンセによるイントロから、メタリックなギターが加わり、
リア嬢の伸びやかなヴォーカルとともに、メディーヴァル&幻想的な世界観を描いてゆく。
今作は、フルートやサズなどの音色を含む、ケルティックな旋律を随所に覗かせていて、
トロイ・ドノクリー(Nightwish)がフルート&パイプでゲスト参加していることも記しておく。
オーケストラルなシンフォニックメタル性とファンタジックな空気をまとった壮麗な聴き心地で、
リア嬢の伸びやかな歌声も魅力的で、楽曲におけるキャッチーなメロディアス性も含めて、
WITHIN TEMPTATIONDELAINなどと比べてもひけをとらない。まさに美麗なる傑作である。
シンフォニック度・・8 壮麗度・・9 女性Vo度・・9 総合・・8.5 過去作のレビューはこちら
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BEL O KAN 「Birth of a Queen」
フランスのシンフォニックメタル、ベル・オー・カンの2009年作
きらびやかなイントロで幕を開け、ツインギターのクサめのメロディに女性ヴォーカルを乗せ、
適度な疾走感とマイナー臭さに包まれたシンフォニックメタル。軽めの音質はいかにもローカルな感触で、
ヘタウマの女性Voとメロディの煮え切らなさ、楽曲のつたないアレンジなど、ツッコミどころ満載ながら、
ジャケも含めてのヨーロピアンな美意識は決して嫌いではないし、しっとりしたシンフォニックなナンバーでは
女性声の美しさが前に出ていて悪くない。現時点ではB級そのものなので、メロディと楽曲の質を上げていってもらいたい。
シンフォニック度・・7 疾走度・・6 女性Vo度・・7 総合・・6.5
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STORMGARDE 「The Answer」
ドイツのシンフォニックメタル、ストームガードの2008年作
うっすらとしたシンセアレンジにツインギターのリフと美しい女性ヴォーカルを乗せた、
わりと正統派メロパワ寄りのシンフォニックメタル。適度な疾走感とシンフォニックな美麗さに、
紅一点、サブリナ嬢の歌声には、艶めいたなよやかさがあって、けっこう好みであります。
自主制作らしいマイナー臭さはあるものの、なかなか魅力的な女性声シンフォメタルです。
シンフォニック度・・7 疾走度・・7 女性Vo度・・8 総合・・7.5


KINGCROW 「The Persistence」
イタリアのプログレメタル、キングクロウの2018年作
デビューは2001年で、本作はすでに7作目となる。硬質なギターをテクニカルなリズムに乗せ、
シンセで味付けしたスタイリッシュなサウンド。モダンなヘヴィネスとマイルドなヴォーカルによる、
翳りを含んだ叙情性が同居した、オルタナ系プログレメタルというべき聴き心地である。
Djent系にも通じるリズムのハネ具合もありつつ、楽曲自体はテクニカル過ぎヘヴイ過ぎず
ときにポストプログレ的な薄暗い美意識も覗かせる。メロディックな盛り上がりはさほどないので、
濃密さの点では物足りなさもあるが、クールで涼やかなセンスに包まれた好作品だ。
ドラマティック度・・7 テクニカル度・・7 スタイリッシュ度・・8 総合・・7.5 過去作のレビューはこちら
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GLASSWORK 「FEAR AND TREMBLING」
スペインのプログレメタル、グラスワークの2018年作
シンセを含む4人編成で、メタリックなギターをテクニカルなリズムに待載せた乗せたモダンな硬質感と
オルガンなどを含むシンセに、フルートが鳴り響くというプログレ的なアプローチが個性的だ。
インストパートが主体ながら、ドラムを兼任するヴォーカルがマイルドな歌声を乗せ、ときおり聴かせる
ギターの叙情的なメロディも悪くない。全体的にはテクニカルな展開力や意外性というのは希薄で、
わりとゆったりとした聴き心地。スタイリッシュな感触に、ヴィーテージなハードロック風味が同居するところは
なかなか良い感じなのだが、突き抜けるようなドラマ性や魅力的な展開がもう少し欲しいか。
ドラマティック度・・7 テクニカル度・・7 スタイリッシュ度・・8 総合・・7.5
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Empty Tremor 「Slice of Live」
イタリアのプログレメタル、エンプティ・トレマーのライブ。2015年作
1997年にデビュー、2010年作を最後に音沙汰がなかったが、こんなライブ作品を出していたとは。
本作は2013年に行われた、結成20周年のアコースティックライブを収録。アコースティックギターにピアノ、
伸びやかなヴォーカルを乗せて、キャリアを感じさせるリラックスした味わいの演奏を聴かせる。
脱退したダニエレ・リヴェラーニは不参加なのが残念だが、過去4作のアルバムからの曲に加え、
DREAM THEATER「Another Day」のカヴァーも収録。全76分、メタル感触はほとんどないので、
少々長尺ではあるが、バンドが健在であることが知れたので今後は新たな作品にも期待したい。
ドラマティック度・・7 ライブ演奏・・8 アコースティック度・・7 総合・・7.5 過去作のレビューはこちら
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Blackmore's Night 「Secret Voyage」
リッチー・ブラックモアとキャンディス・ナイトによるブラックモアズ・ナイトの2008年作
1997年の1作目から数えて、本作で6作目となる。やわらかなマンドリンにリコーダーの音色、
ストリングスによるシンフォニックな味付けも加わった、壮麗なイントロ曲から始まり、
キャンディスの美しい歌声に、御大のエレキギターも加わったトラッドロック的なサウンドが広がる。
アコースティックギターを主体にした牧歌的なナンバーでも、艶やかなヴァイオリンにシンセも重なる、
じつに優美な聴き心地。ハーディ・ガーディやフィドルなどの古楽トラッド、ケルト的な味わいも残しつつ、
コンテンポラリーなアレンジとともに、プレスリーの名曲「Can't Help Falling In Love」をカヴァーするなど、
ほどよくキャッチーな側面も楽しめる。本作は何故か日本盤未発売のため希少なアルバムとなっている。
ドラマティック度・・7 優美度・・8 女性Vo度・・8 総合・・8 過去作のレビューはこちら
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Angelzoom 「Nothing Is Infinite」
ドイツのゴシックロック、エンジェルズームの2010年作
2004年にデビュー、本作は6年ぶりとなる2作目で、デジタルなリズムに美しいシンセを乗せ、
しっとりとした女性ヴォーカルで聴かせる、優美でエレクトロなゴシックロックサウンド。
ギターが入らないので、メタル感触はほとんどないが、美しいピアノやシンセアレンジと
クラウディア嬢の清涼な歌声で、アンビエントな耳心地の良さでゆったりと楽しめる。
楽曲は3~4分前後とわりとシンプルで、もう少し深みのある世界観があればと思う。
ゴシック度・・7 メタル度・・1 女性Vo度・・8 総合・・7.5
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Noturna 「Diablerie」
ブラジルのゴシックメタル、ノトゥルナの2005年作
ジャケからしていかにもゴス萌えな感じですが、サウンドの方も美麗なイントロから始まり、
メタリックなギターにクラシカルなシンセワーク、美しいソプラノ女性ヴォーカルにデス声が絡む、
初期のEPICAなどにも通じる、シンフォニック・ゴシックメタルを聴かせる。曲によってはモダンな
インダストリアル風味も含みつつ、適度にアグレッシブなパートも含めた重厚なサウンドを描く。
楽曲ごとのメロディや盛り上がりはやや弱いのだが、紅一点、Vivian嬢の美しい歌声は、
しっとりとしたナンバーにおいては魅力的で、個人的には美麗なシンフォニック路線を目指してもらいたい。
シンフォニック度・・7 ゴシック度・・7 重厚度・・8 総合・・7
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PECCATUM 「Lost in Reverie」
ノルウェーのゴシック・ブラックメタル、ペカータムの2004年作
EMPERORのイーサーンとイーリエル夫人によるユニットで、本作が3作目となる。
美しいストリングスと囁きのような語りによるイントロから、クラシカルなピアノに女性ヴォーカルを乗せ、
インダストリアルなアレンジにダミ声Voをかぶせた、アヴァンギャルドなゴシックロックが広がってゆく。
軽やかなドラムにアコースティックギターを乗せたプログレ的な優雅さには、のちのイーサーンのソロに通じる
知的な世界観を感じさせる。一方ではブラスト疾走する、EMPERORのようなブラックメタル要素も残していて、
リズムチェンジなどの唐突な展開力と芸術的なセンスは、SOLEFALDなどが好きな方にも楽しめるだろう。
美しいシンセと女性ヴォーカルによるしっとりとアンビエントなラスト曲も魅力的だ。2005年にEPを残し休止となる。
クラシカル度・・8 耽美度・・8 アヴァンギャル度・・8 総合・・8 過去作のレビューはこちら
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Moon Far Away 「Minnesang」
ロシアのゴシック・フォーク、ムーン・ファー・アウェイの2010年作
1997年にデビュー、シンセを重ねたデジタルなアレンジに、男女ヴォーカルの母国語の歌声を乗せた
秘教めいた妖しげな世界観に包まれたサウンド。女性ヴォーカルをメインにした優美なナンバーもあり、
ゴシック的な耽美さとフォーキーな味わいが同居し、打ち込みのリズムが入ると適度なロック感触とともに、
わりとキャッチーな聴きやすさになる。アコースティックギターなどによる牧歌的な味わいなどもよい感じなので、
個人的にはエレクトロな要素よりは、もっとプリミティブでダークな妖しさを追求してもらいたい。
ゴシック度・・7 耽美度・・8 女性Vo度・・7 総合・・7
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REPTIL 「Throne Of Collapse」
ドイツのインダストリアル・メタル、レプタイルの2017年作
なんとなくジャケにつられて購入。ヘヴィなギターを乗せた無機質なリズムに、絶叫するヴォーカルを乗せた、
インダストリアルなスクリーモ系と思いきや、ときにシンフォニックなアレンジを加えた厚みのあるサウンドで、
ノーマルヴォイスを使い分けるヴォーカルには、ゴシックロック的な倦怠の翳りも匂わせる。
アコースティックギターにヴァイオリンの音色を乗せた、哀愁に包まれた叙情的なナンバーなど、
単なるインダストリアル、ヘヴィロックという以上に、ダークな世界観を感じさせるところは悪くない。
ドラマティック度・・7 インダストリアル度・・8 重厚度・・8 総合・・7.5
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1/10
新春のブラック&デス!(32)


1349「Infernal Pathway」
ノルウェーのブラックメタル、サーティーン・フォーティナインの2019年作
2001年にデビュー、本作は7作目となる。ここ数作はノーチェックだったが、本作は久々の日本盤。
ソリッドなツインギターと吐き捨てヴォーカルを乗せて、激しく疾走する王道のブラックメタルサウンドで、
リズムチェンジを含むどっしりとした迫力と、禍々しいまでの暗黒性に包まれた硬派な聴き心地。
ザラついたオールドなギターリフは圧殺するような鋭さで、フロストの叩き出す強烈なドラムとともに、
ときにデスラッシュ気味の疾走感をかもしだす。スローやミドルテンポを効果的に織り込んだ緩急ある展開で、
メロディックな要素は少ないものの、決して一方調子にならないところは、キャリアのあるバンドらしいセンス。
MAYHEMから始まったノルウェイジャン・ブラックの美学を正統に受け継いだというべき強力なアルバムです。
ドラマティック度・・7 暴虐度・・8 暗黒度・・9 総合・・8 過去作のレビューはこちら
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Ragnarok 「Non Debellicata」
ノルウェーのブラックメタル、ラグナロクの2019年作
デビューは1995年のベテランで、本作は9作目。トレモロを含むギターリフにダミ声ヴォーカルを乗せ、
激しくブラスト疾走する、王道のブラックメタルサウンド。MARDUKなどにも通じるベテランらしい迫力で、
ノルウェイジャンらしい寒々しい禍々しさをまき散らしつつ、ツインギターのリフにはいくぶんメロディも感じさせる。
暴虐な疾走だけでなく、スローやミドルテンポを含むリズムチェンジを含む展開力と、ほどよい叙情性は、
EMPERORのようなドラマティックな味わいも。全体的には、似たような感じの疾走曲が多いのだが、
激しさの中に北欧らしいメロも覗かせつつ、ブラックメタルとしてのトータルな完成度の高さが光る濃密作だ。
ドラマティック度・・8 暴虐度・・8 荘厳度・・8 総合・・8
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Tribulation 「Down Below」
スウェーデンのゴシック・ブラックメタル、トリビュレーションの2018年作
2008年にデビュー、本作は4作目となる。1曲目はブラックメタルというよりはゴシックメタル的な感触で、
ダミ声ヴォーカルを乗せつつも、軽やかなギターにシンセを重ねた、キャッチーでメランコリックなナンバー。
2曲目以降も、デスでもブラックでもない、ゴシックロック的な味わいながら、ダークで耽美な世界観は、
いかにも北欧のバンドらしい。全体的に、前作で見せたプログレッシブな味わいが薄まっているので、
楽曲的にはシンプルになって、物足りなさはあるのだが、ダークなメランコリックメタルとして聴けば
それなりに楽しめるかも。あるいはメンバー写真を含めて、V系ブラックとでもいうべきか。今後の方向性に注目したい。
ドラマティック度・・7 暴虐度・・2 メランコリック度・・8 総合・・7.5 過去作のレビューはこちら
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Barren Earth 「A Complex of Cages」
フィンランドのプログレッシブ・デスメタル、バレン・アースの2018年作
MOONSORROW、AMORPHIS、WALTARI、KREATORなどのメンバーを含むバンド。4作目となる本作は
エレクトロなシンセで幕を開け、変則リズムにクールなギターリフを乗せたプログレッシブな味わいに、
朗々としたノーマル声にデス声を絡ませて、OPETHにも通じる知的で優雅なサウンドを展開する。
マイルドなヴォーカルが歌い上げるフィンランドのバンドらしいメランコリックな空気感に、ヴィンテージなオルガンや
ときにピアノを含むシンセ、叙情的なギターとともに、緩急あるドラマティックなスケール感に包まれる。
10分を超える大曲では、アラビックな雰囲気とともに、ゆったりとしたサイケなプログレ風味で楽しめる。
ほどよいヘヴィさを残しつつ、北欧らしい叙情性とプログレッシブな構築力で聴かせる強力作です。
ドラマティック度・・8 プログレッシブ度・・8 メランコリック度・・7 総合・・8 過去作のレビューはこちら
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SepticFlesh 「Codex Omega」
ギリシャのシンフォニック・デスメタル、セプティックフレッシュの2017年作
1991年にデビュー、神々の戦いを描く第三の聖書をテーマにした、通算10作目となるアルバム。
オーケストラを加えた壮麗なシンフォニック性と、アグレッシブにたたみかけるデスメタルサウンドが融合、
荘厳な迫力とミステリアスなスケール感に包まれたサウンドには、ますます磨きがかかり、聴き手を圧倒する。
低音デスヴォイスの咆哮に重厚なギター、そして生のオーケストラや混声コーラスによる優雅なクラシカル性が、
闇のデスメタルオペラのようにドラマティックな世界を描き出す。オケを除いたバンド演奏のデスメタル部分は、
インパクトのあるフックや展開がさほどないので、そこは痛しかゆしであるが、ともかく重厚にして壮麗な力作デス。
シンフォニック度・・9 重厚度・・9 荘厳度・・9 総合・・8 過去作のレビューはこちら
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SUBLIME EYES 「Sermons & Blindfolds」
ノルウェーのデスメタル、サブライム・アイズの2015年作
2010年にデビューし、本作は2作目となる。ツインギターのリフにダミ声ヴォーカルを乗せ、
どっしりとした重厚さで聴かせる、わりとオールドスタイルの北欧デスメタルサウンド。
ミドルテンポのデスラッシュ風ナンバーから、かつてのAT THE GATESのような疾走曲もあり、
いくぶんメロディックな感触も含ませつつも、甘すぎないアグレッシブな迫力に包まれる。
4~5分前後の楽曲は激しすぎず、メロディアス過ぎずというところで、突き抜けたインパクトはなく、
個人的には、より疾走感を強めるか、よりメロディックにするかの極端さが欲しい気がする。
ドラマティック度・・6 暴虐度・・7 重厚度・・8 総合・・7
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Skeletal Remains 「Devouring Mortality」
アメリカのデスメタル、スケルタル・リメインズの2018年作
2012年にデビュー、本作は3作目となる。G&Vo、B、Drというトリオ編成で、ザクザクとしたギターリフに
吐き捨てるデス声を乗せたオールドスタイルのデスメタルに、リズムチェンジを含む構築性を加えた
初期のDEATHなどにも通じるサウンド。随所に流麗なフレーズを聴かせるギターのセンスもなかなかのもので、
軽くならない程度のメロディを含ませつつ、デスメタルとしてブルータルな迫力をしっかり残したバランスの良さも光る。
激しい疾走パートもありつつ、ミドルテンポでのどっしりとした部分は、OBITUARYのようなグルーヴィな味わいで
絡みつくようなデスヴォイスも説得力十分だ。90年代のフロリダ系デスメタルが好きな方にはお薦めデス。
ドラマティック度・・7 暴虐度・・8 重厚度・・8 総合・・8
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Demonic Resurrection 「The Return to Darkness」
インドのメロディック・デスメタル、デモニック・レザレクションの2010年作
2005年にデビューし、本作が2作目。シンセを含む5人編成で、シンフォニックなイントロから、
テクニカルなギターリフと低音デスヴォイスを乗せて激しくブラスト疾走、リズムチェンジを含む展開力と
シンセによる美しいアレンジで聴かせる、シンフォニック・デスメタル。叙情的なギターフレーズを乗せて
疾走するところはメロデス的でもあり、ときにノーマル声のコーラスも加わったりとなかなかアレンジも多彩。
激しくともヘヴィ過ぎないところは、シンフォニック・ブラックメタル的にも楽しめるだろう。11分という大曲では、
プログレッシブな構築力で、激しさと叙情が同居した緩急あるドラマティックなサウンドを描く。全64分の力作デス。
ドラマティック度・・8 暴虐度・・7 構築度・・8 総合・・7.5
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Reptilian Death 「The Dawn of Consummation & Emergence」
インドのデスメタル、レプティリアン・デスの2013年作
オールドスタイルのギターリフに吐き捨てヴォーカルを乗せて激しくたたみかける、王道のブルータルデスメタル。
楽曲は3~4分前後とシンプルで、ときにリズムチェンジを含んだテクニカル寄りの構築力も覗かせつつ、
基本はザクザクとしたギターリフとともに疾走する、わりと分かりやすいブルデスサウンドが楽しめる。
全体的には、もっと荘厳な迫力か、圧倒するようなテクニカル性があれば、一段上にゆける実力はありそう。
演奏力も含めてインド産という地域性は感じさせない、確かなクオリティをもった強力作デスな。
ドラマティック度・・7 暴虐度・・8 構築度・・8 総合・・8
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Dark Funeral 「Angelus Exuro Pro Eternus」
スウェーデンのブラックメタル、ダーク・フューネラルの2009年作
1994年にデビュー、MARDUKなどとともに、スウェディッシュ・ブラックメタルを代表するこのバンド、
5作目となる本作も、適度にメロディックなギターにダミ声ヴォーカルを乗せて激しくブラスト疾走する、
本格派の北欧ブラックメタルを聴かせる。邪悪な暴虐性という点では前作には及ばないが、
本作では扇情的なギターフレーズが前に出ていて、むしろメロディック・ブラックとしても楽しめる。
キャリアのあるバンドらしい荘厳な迫力と、北欧らしい寒々しい叙情を内包した強力なアルバムだ。
限定盤のDVDには2008年のライブを収録。激烈なドラムをはじめ、さすがの演奏を見せつける。ファンは必見だ。
ドラマティック度・・8 暴虐度・・8 北欧ブラック度・・9 総合・・8 過去作のレビューはこちら
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Krallice
アメリカのブラックメタル、クラリスの2008年作
トレモロのギターリフに絶叫するヴォーカルを乗せて激しくブラスト疾走しつつ、アヴァンギャルドな展開力と、
メロディックな優雅さを覗かせて、ネイチャーな神秘性を描くところは、Wolves in the Throne Roomも通じるだろう。
次作以降に比べると、ややこもり気味の音質も含めて、マイナーな香りと荒々しいプリミティブ性に包まれていて、
ブラックメタルとしてのダークな妖しさもしっかりと残している。10分前後の大曲も多く、どうしても長尺な感じはあるが、
激しさよりも雰囲気モノとしての空気を楽しめる方ならイケるかと。優雅な叙情性が好きな方は2作目以降をどうぞ。
ドラマティック度・・7 暴虐度・・7 叙情度・・7 総合・・7.5 過去作のレビューはこちら
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Sacrificia Mortuorum 「Damnatorium Ferrum」
フランスのブラックメタル、サクリフィシア・モートゥラムの2009年作
不穏なギターリフに絶叫するダミ声ヴォーカルを乗せて、ミドルテンポを主体に聴かせる。
ときに激しいブラスト疾走も覗かせつつ、トレモロのギターフレーズなど適度な叙情性に包まれた
ミステリアスなサウンドは、いかにもヨーロピアンな雰囲気のブラックメタルといったところ。
リズムチェンジを含む展開力は、かつてのEMPERORなどにも通じる感触もあって、
プリミティブ過ぎない聴き心地で、フランス語による絶叫ヴォーカルもなかなかいい味を出している。
もう少しフックのあるフレーズや展開、荘厳な世界観が加われば、ワンラックアップしそうなバンドです。
ドラマティック度・・7 暴虐度・・7 楽曲・・7 総合・・7
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FURIA「Un Lac de Larmes et de Sang...」
フランスのエピック・ブラックメタル、フューリアの2003年作
2001年にデビュー、本作は2作目で、美麗なシンセと女性声によるイントロで幕を上げ、
ツインギターによるリフと低音のダミ声ヴォーカルを乗せた、シンフォニックなブラックメタルを聴かせる。
随所に激しい疾走パートも含みつつ、STORMLORDにも通じるエピックな世界観とともに、
メロデス的な叙情フレーズを奏でるギターを乗せたサウンドは、暴虐さは控えめでわりと聴きやすい。
リズムチェンジによるドラマティックな展開力や、女性ヴォーカルが加わったり、どことなくゴシック寄りの
耽美な雰囲気も感じさせて、ヨーロピアンな空気感に包まれているのがなかなか魅力的デス。
ドラマティック度・・8 暴虐度・・7 壮麗度・・7 総合・・7.5
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Werewolf 「The Temple of Fullmoon」
ポーランドのブラックメタル、ワーウルフの2005年作
ノイジーなギターリフにダミ声ヴォーカルを乗せて疾走しつつ、シンセによるアレンジを加えた
プリミティブな味わいのブラックメタルを聴かせる。ブラストというほど激しい疾走ではないので、
暴虐性はさほどなく、むしろ初期のBURZUMのような寒々しい空気感に包まれている。
ペイガンメタル的な土着性もいくぶん感じさせるが、フックのあるフレーズや展開はあまりなく、
単調なドラムを含めて、迫力の点でも幻想性でもやや中途半端なのが惜しい。
ドラマティック度・・7 暴虐度・・7 ペイガン度・・7 総合・・7
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Iuvenes 「Towards Sources of Honour And Pride」
ポーランドのペイガンブラックメタル、イウヴェネスの2005年作
2000年にデビュー、本作が3作目となる。ノイジーなギターにうっすらとしたシンセを重ね、
ダミ声ヴォーカルとともに聴かせる、エピックな雰囲気のペイガンブラックメタル。
美しいシンセアレンジはときにシンフォニックでもあり、アコースティックギターを使ったパートなど、
ラウドな音質も含めたマイナー臭さの中にも、翳りを帯びた幻想的な空気感を描いている。
激しい疾走パートというのはないので、7~8分と長めの楽曲はもったりとした感触で、
リフやメロディにもフックが弱いため、辺境ペイガンブラックマニア向けの作品です。
ドラマティック度・・7 暴虐度・・6 ペイガン度・・7 総合・・7
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APRAXIA「Hymns of Dark Forests」
ベラルーシのペイガンブラックメタル、アプラクシアの1998年作
うっすらとしたシンセにノイジーなギターリフ、ダミ声ヴォーカルと朗々としたノーマル声をまじえて、
いかにも辺境らしいローカルな味わいのペイガン・ブラックメタルを聴かせる。
ときに激しくブラスト疾走しつつも、軽めのドラムやほとんどベースが聞こえないこともあって、
暴虐な迫力というのはあまり感じられない。随所にクサメロ気味のギターフレーズも覗かせつつ、
フォーキーというほどでもない微妙な叙情性が、またじつにマイナー臭いという。
よほどの辺境ペイガンマニアでないとあえて聴く必要はないでしょう。
ドラマティック度・・6 暴虐度・・6 辺境度・・8 総合・・6.5
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本年もメタルでよろしくお願いいたします(16)
2019年メタルベスト10はこちら


TOBIAS SAMMET'S AVANTASIA 「MOONGLOW」
EDGUYのトビアス・サメットによるメタルオペラ、アヴァンタジアの2019年作
2001年に始まったこのプロジェクトも8作目。本作も、キャンディス・ナイト、ハンズィ・キアシュ、ミレ・ペトロッツァ
マイケル・キスク、エリック・マーティン、ヨルン・ランデ、ジェフ・テイト、ボブ・カトレイといった豪華メンバーが参加。
シンフォニックで壮麗なアレンジに、配役ごとのヴォーカルを乗せて、キャッチーながら物語的なスケール感に包まれた
壮大なサウンドを展開する。オリヴァー・ハートマンのギターも随処に叙情的なフレーズを奏でていて、
普遍的なハードロック、メタルの味わいをしっかり残しながら、優雅なオーケストレーションがそれを包み込む。
ときにミレ・ペトロッツァ(KREATOR)のダーティな歌声がアグレッシブに響き渡り、キャンディス・ナイトの美声が
しっとりと楽曲を彩るという、なんとも豪華な聴き心地。まさに、シンフォニック・メタルオペラの傑作である。
ドラマティック度・・9 壮大度・・9 豪華メンツ度・・9 総合・・8 過去作のレビューはこちら
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Freedom Call 「M.E.T.A.L.」
ドイツのメロディックメタル、フリーダム・コールの2019年作
1999年にデビュー、10作目となる本作も、のっけから陽性のメロディとともにキャッチーに疾走、
クリス・ベイの伸びやかなヴォーカルにコーラスハーモニー、そしてクサメロのギターでガッツポーツである。
楽曲は3~4分前後とシンプルながら、どの曲も明快なメロディのフックと爽快な疾走感で、
激しすぎないヘヴイ過ぎない、ライトなGAMMA RAYというべきサウンドを心地よく楽しめる。
最近の数作と差別化が難しいくらいに安定の作風なので、しだいに飽きてしまうのだが、
ファンにとってはそれでよし。デビュー20年を経てもジャーマンなメタル愛に溢れた強力作です。
メロディック度・・8 疾走度・・8 キャッチー度・・8 総合・・8 過去作のレビューはこちら
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Sonata Arctica 「Talviyo」
フィンランドのメロディックメタル、ソナタ・アークティカの2019年作
1999年にデビュー、本作は10作目で、キャッチーなイントロから、うっすらとしたシンセに伸びやかなヴォーカルを乗せて、
疾走感のあるメロディックなナンバーで幕を開ける。4~6分前後の楽曲は比較的シンプルな感触で
北欧らしい涼やかな叙情性とやわらかな歌メロで、メタルファン以外でも楽しめるような優雅な聴き心地。
ミドルテンポを主体に、ゆったりとしたナンバーも多いので派手さはないものの、どの曲もメロディのフックと
優美なアレンジで耳心地よく楽しめ、ラスト曲はしっとりとしたポストプログレ風味の叙情に包まれる。
もはやメロパワではないものの、北欧シンフォニック・ハードとしては、さすが高品質な逸品です。
メロディック度・・8 優雅度・・8 北欧度・・9 総合・・8 過去作のレビューはこちら
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AUTUMN'S CHILD
スウェーデンのメロディアスハード、オータムズ・チャイルドの2019年作
Last Autumn's Dreamのミカエル・アーランドソンによる新バンドで、日本のマーキーレーベルの提案により結成。
サウンドの方も、ミカエルの甘い歌声に適度にハードで叙情的なギターを中心にした、まさにLADを受け継ぐような、
北欧らしい哀愁に包まれたメロディック・ハードロック。H.E.A.T.にも参加するヨナ・ティーの美麗なシンセワークと、
泣きのメロディを奏でるギターも随所に光る。ちなみに、ギターの片割れはMOON SAFARIのポンタス・オーケソンで、
叙情的なフレージングのセンスもさすがに素晴らしい。LADの後期は正直いくぶん食傷気味であったのだが、
本作での楽曲の充実の仕上がりは、以前からのリスナーはもちろん、新たなファンを獲得するに足るものだろう。
ノリのよいキャッチーなロックナンバーも挟みつつ、ゆったりとしたバラードなども魅力的。至福の傑作です。
メロディック度・・9 哀愁度・・9 北欧度・・8 総合・・8.5
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Edge of Forever「Native Soul」
イタリアのハードロック、エッジ・オブ・フォーエヴァーの2019年作
Eden's CurseISSAなど多くの作品に関わるシンセ奏者でプロデューサー、アレッサンドロ・デル・ヴェッキオ率いるバンドで、
本作は、10年ぶりとなる4作目。キャッチーなコーラスハーモニーのイントロから、ほどよくヘヴィなギターを乗せた
どっしりとしたアンサンブルに、アレッサンドロの伸びやかなハイトーンヴォーカルにオルガンを含むシンセで、
80年代ルーツの古き良きハードロックサウンドを聴かせる。メロハーらしいキャッチーな爽快感も覗かせつつ、
ときにテクニカルで流麗なギターフレーズとともに、様式美HRというべき、きらびやかな雰囲気もかもしだす。
どっしりとしたリズムに骨太のハードロックとイタリアらしい優美なメロディが同居した高品質な作品です。
メロディック度・・8 キャッチー度・・8 王道HR度・・8 総合・・8
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ISSA 「RUN WITH THE PACK」
ノルウェー出身の女性シンガー、イッサの2018年作
2010年にデビューし、4作目のオリジナルアルバム。きらびやかなシンセにほどよくハードなギター、
そして伸びやかな彼女のヴォーカルを乗せた、爽快なハードポップにはますます磨きがかかっている。
楽曲は3~4分前後とシンプルながら、厚みのあるサウンドはなかなかゴージャスな聴き心地で、
アレッサンドロ・デル・ヴェッキオの華やかなシンセにシモーネ・ムラーニ(DGM)の叙情的なギターが楽曲を彩る。
REVOLUSION SAINTSのディーン・カストロノヴォが参加しての男女Voのナンバーもよいアクセントになっていて、
全体的にもフックのあるメロディと優美な味わいの好ナンバーが揃っている。女性Voメロハー好きは必聴の出来。
メロディック度・・8 キャッチー度・・9 女性Vo度・・9 総合・・8 過去作のレビューはこちら
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Guild Of Ages「Rise」
アメリカのメロディアスハード、ギルド・オブ・エイジスの2018年作
Caught in the Actとして1995年にデビュー、1998年からGuild Of Agesと改名するが、2001年作を最後に解散。
本作はじつに、17年ぶりとなる復活作となった。ドラマティックで重厚なイントロ曲で幕を開けつつ、
美しいシンセアレンジにメロディックなギター、マイルドなヴォーカルを乗せたキャッチーなサウンドはかつてのまま。
心地よいコーラスハーモニーとともに、爽快なメロディアス・ハードロックが広がってゆく。アメリカのバンドながら、
ウェットな叙情性に包まれるところは、LILLIAN AXEなどにも通じる感触もあり、フックのあるメロディと確かな演奏力で、
キャリアのあるバンドらしい良質のメロハーが楽しめる。重すぎず軽すぎずというサウンド作りも絶妙。意義ある復帰作だ。
メロディック度・・8 キャッチー度・・8 叙情度・・8 総合・・8
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TREAT 「Tunguska」
スウェーデンのメロディアス・ハードロック、トリートの2018年作
2010年作「Coup De Grace」で見事に復活をはたし、本作は復活3作目。どっしりとしたドラムに正統派のギター、
ロバート・アーンルンドの伸びやかなヴォーカルを乗せた、重厚にしてキャッチーなサウンドを聴かせる。
うっすらとしたシンセアレンジを含む、80年代ルーツの北欧メタルとしての涼やかなメロディアス性もさすがで、
サビでの優美なコーラスハーモニーに叙情的なギターフレーズが重なるところなどは、思わずにんまりだ。
ノリのよいHRからバラード、キャッチーなポップ感に包まれたきらびやかなナンバーまで、どの曲もメロディのフックと
ハードロックとしての骨太な音の厚みでベテランらしい説得力に包まれている。見事な高品質作である。
メロディック度・・8 キャッチー度・8 どっしり正統派度・・8 総合・・8 過去作のレビューはこちら
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Seventh Wonder「Tiara」
スウェーデンのプログレメタル、セヴンス・ワンダーの2018年作
2005年にデビュー、そのクオリティの高いサウンドで、いまや新世代ProgMetalを代表する存在となった。
本作は8年ぶりとなる5作目で、シンフォニックなイントロで幕を開け、メタリックなギターと美麗なシンセアレンジに、
KAMELOTでも活躍するトミー・カレヴィックの伸びやかなヴォーカルを乗せて、ドラマティックなサウンドが広がる。
今作はシンフォニックメタル的でもある、明快なメロディアス性とコンセプト的なスケール感に包まれていて、
ときにキャメロットがプログレメタル化したような感触もある。流麗なギターとシンセを重ねた優美なアレンジに、
キャッチーな抜けの良さとわりとモダンなアプローチも増した分、若いメタルリスナーにはいっそう楽しめるかもしれない。
個々の楽曲は前作ほどのインパクトはないが、華麗な構築力で描かれる、70分におよぶシンフォニック・プログメタルの力作だ。
ドラマティック度・・8 テクニカル度・・7 壮麗度・・8 総合・・8.5 過去作のレビューはこちら
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Arch Matheos 「Winter Ethereal」
FATES WARNINGのジョン・アーチとジム・マテオスのユニット、アーチ/マテオスの2019年作
2011年以来となるアルバムで、ボビー・ジャーヘゾンベクやCYNICのショーン・マローンなどがゲスト参加。
テクニカルなリズムに硬質なギターリフと独特のハイトーンヴォーカルを乗せ、いくぶんダークな浮遊感に包まれた
かつてのFWをよりスタイリッシュにしたというサウンドを聴かせる。ゆったりとした叙情性も随所に覗かせつつ、
全体的にはリフ主体のメタリックな無機質感が強めで、あえてメロディを控えめにした硬派の作風にも思えるが、
ジョン・アーチの存在感ある歌いまわしはより際立っていて、歌をメインにした叙情ナンバーなどもいい感じ。
8~9分という長めの楽曲も、緩急ある構築力で聴かせてくれる。ラストの13分の大曲も含めてさすがの出来だ。
ドラマティック度・・8 テクニカル度・・8 アーチ度・・9 総合・・8 過去作のレビューはこちら
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Rainfall Today 「Eternal」
ロシア、サンクトペテルブルク出身のヘヴィロック、レインフォール・トゥデイの2018年作
メタリックなギターリフに艶めいた女性ヴォーカルを乗せた、モダンなヘヴィロックサウンド。
いくぶんゴシックメタル的な倦怠の香りも匂わせつつ、硬質なヘヴィネスに包まれた作風で、
随所にアグレッシブな激しさも覗かせる。曲によってはシンセアレンジも加わった優雅な叙情性もあり、
個人的にはよりシンフォニックな路線を目指して欲しい気もするが、メタルとしての激しさがあるので、
ゴシック系が苦手な方でもわりと楽しめるだろう。ロシア語でのラスト曲はなかなか魅力的なので、
この母国語路線でいってもよいのではと。女性声の表現力と楽曲の魅力の向上に期待したい。
メロディック度・・7 モダンヘヴィ度・・8 女性Vo度・・7 総合・・7.5
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Greywind 「Afterthoughts」
アイルランドのゴシック・ヘヴィロック、グレイウインドの2016年作
ヘヴィなギターにキュートで伸びやかな女性ヴォーカルを乗せた、ヘヴィロック風のサウンドに
メランコリックな叙情性を含んだ緩急あるアレンジで聴かせる。楽曲は3~4分前後と比較的シンプルで、
女性声のオルタナ・エモロックという感じでも聴けるが、曲によってはゴシックメタル的な感触もある。
キャッチーな歌メロやトレモロのギターも含んだ涼やかな聴き心地で、魅力的な女性ヴォーカルを活かした
しっとりとした叙情パートもあり、単なるゴシック・ヘヴィロックという以上に楽しめる。シンセが入らないので、
シンフォニックな感触はさほどないが、女性声のゴシックロックが好きなら聴いて損のない好作品だ。
メロディック度・・7 メランコリック度・・7 女性Vo度・・8 総合・・8
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Persephone 「Perle」
オーストリアのゴシックアンビエント、ペルセフォネの2018年作
L'AME IMMORTELLEの女性Vo、Sonja Kraushoferのソロプロジェクトで、本作が5作目となる。
クラシカルなピアノに囁くような女性ヴォーカルを乗せたイントロ曲から、デジタルなリズムを加え
妖しく耽美なゴシックミュージックを展開。艶やかなストリングスによる優雅なアレンジとともに、
ギターも加えたゴシックメタル寄りの感触や、ブラスを取り入れたチェンバーゴシック的なナンバーもありつつ、
艶めいたソニア女史の歌声とともにゆったりと楽しめます。ゴスな幻想美とエレクトロのバランスのとれた好作です。
クラシカル度・・7 ゴシック度・・8 女性Vo度・・8 総合・・7.5 過去作のレビューはこちら
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ATARAXIA「Wind at Mount Elo」
イタリアのゴシックユニット、アタラクシアの2014年作
90年代初頭にデビュー、一貫して耽美な世界観を描いてきたベテラン。アコースティックギターのつまびきに、
やわらかな女性ヴォーカルの歌声を乗せた、しっとりとした牧歌性に、シンセやエレキギターも加わった、
幻想的なゴシックフォークというサウンドを聴かせる。うっすらとしたシンセの美しいナンバーや、
エレキギターをバックに妖しい歌声を乗せる魔女めいた雰囲気のナンバーなど、シンフォニックだったり、
アンビエントだったりと、案外曲調も多彩。今作は耽美過ぎない分、涼やかな叙情にも包まれていて、
ディープなゴシック好き以外も楽しめるだろう。6~8分と長めの曲も多く、全71分というなかなかの力作です。
ドラマティック度・・7 ゴシック度・・7 女性Vo度・・8 総合・・7.5 過去作のレビューはこちら
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INKUBUS SUKKUBUS「The Beast With Two Backs」
イギリスのゴシックロック、インキュバス・サキュバスの2004年作
デビューは1990年、現在までに20枚に及ぶアルバムを発表、一貫して耽美な世界観を描き続ける。
男女声による妖しげな詠唱的なイントロから、ノリのよいリズムにシンフォニックなシンセと、
魔女めいた女性ヴォーカルの歌声で聴かせる、キャッチーなゴシックロックを聴かせる。
適度にハードなギターも入るが、メタルというほど重厚ではなく、ゴシック的な耽美さももうひとつ。
全体的に同じようなノリの曲が多いので、全体的にもやや単調な印象になっている。
ドラマティック度・・6 ゴシック度・・7 女性Vo度・・8 総合・・7
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INKUBUS SUKKUBUS 「VAMPIRE QUEEN」
イギリスのゴシックロック、インキュバス・サキュバスの2018年作
本作もシンフォニックなシンセアレンジに、打ち込みのリズムにギターを乗せた適度なロック感触と、
艶めいた女性ヴォーカルを乗せた、わりと聴きやすいキャッチーなゴスロックサウンド。
楽曲的には、さほど盛り上がるわけでもなく、リズムも含めて淡々とした印象なので、
リズムの入らないアコースティックギターをバックにしたナンバーの方にむしろ魅力を感じる。
ドラマティック度・・6 ゴシック度・・7 女性Vo度・・8 総合・・7 過去作のレビューはこちら
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