プログレ/南米・中米
〜PROGRESSIVE ROCK/South America/Central America
                by
Tosei Midorikawa

掲載バンドはABC順になっています

GH
M NO

■CDの評価に関しては、個人的嗜好が反映されることもあり、納得のいかない評価もあるかと思いますが、その辺はどうかご了承ください。

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AETHER「VISIONS」
ブラジルのシンフォニックロックバンド、イーサー(エーテル)の1st。1999作
美しいシンセとメロウなギターを中心とした、南米らしいやわらかみのある
ゆったりとしたシンフォニック作。非常に耳に心地よい音ではあるが、
楽曲にスリリングな緊張感はないので、まったりとして聴くのがよいだろう。
演奏面のつたなさもそうだが、少々イモくさいヴォーカルが入るとややB級っぽくなるが、
ときにSAGRADOを思わせるようなゆるやかな叙情にはうっとりとなる。
メロディアス度・・8 シンフォニック度・・8 ゆったり度・・8 総合・・7.5



AETHER「INNER VOYAGES BETWEEN OUR SHADOWS」
ブラジルのシンフォニックロックバンド、イーサー(エーテル)の2nd。2002作
G、KEY&Vo、B、Drの四人組。メンバー写真を見るとドラム以外は皆中年の方々。
音のほうは、ひとことでいうとじじくさくなったTEMPUS FUGITという感じで目新しさはないが、
CAMELにも通じる叙情的なギターワークと、南米らしい優しげなキーボードに彩られたなかなかの好作。
ムソグルスキーの「はげ山の一夜」のシンフォニックアレンジもやっている。
ただ前作同様、SAGRADOのような迫り来る情感やロック的な躍動感はなく、
全体的に落ち着いた大人のシンフォで、聴きようによっては平坦に聴こえてしまうのが惜しい。
メロディアス度・・8 シンフォニック度・・8 ゆったり度・・8 総合・・7.5
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Aguaturbia 「Version Acstica」
チリのサイケロック、アグアトゥルビアのライブ作品。2010年作
チリのジェファーソン・エアプレインとも呼ばれ、1969/70年にアルバムを出していたバンド。
年月をへての復活公演の音源であるが、女性ヴォーカルのキュートな歌声とともに、
いかにも60年代的なユルさで聴かせる、古き良きサイケポップというべきサウンド。
レッド・ツェッペリン「天国への階段」〜プロコル・ハルム「青い影」グランド・ファンク・レイルロード「ハートブレイカー」
〜イーグルス「ホテル・カルフォルニア」というメドレーは、アコースティカルな哀愁でなかなか味がある。
古き良き度・・8 ユル度・・8 女性Vo度・・7 総合・・7.5


AISLES「THE YEARNING」
チリのシンフォニックロックバンド、アイスルズの2005作
なにげにチリのプログレ/シンフォニックシーンは良作の宝庫なのだが、このバンドもまた素晴らしい叙情をまとったシンフォニック作だ。
軽快でありながら、しっとりとしたたおやかな質感が実に耳に心地よく、南米というよりもむしろ北欧あたりのバンドかと思ってしまうほど。
大仰さや熱情よりは、とにかくこのリリカルな繊細さにうっとりとなる。ギターといいキーボードといい、音数を増やし過ぎず
やわらかみのある音作りで聴き手を癒しながら、しっかりとプログレとしても楽しませてくれる。
メロディアス度・・8 シンフォニック度・・9 しっとりたおやか度・・10 総合・・8 ◆プログレ名作選入り
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AISLES 「In Sudden Walks」
チリのプログレバンド、アイスルズの2009年作
前作もじつに叙情的な傑作であったが、本作ではさらに軽妙なアンサンブルで
メロディックなツインギターに美しいシンセワーク、やわらかなフルートの音色も含んだ
叙情的なサウンドが楽しめる。10分前後の大曲を中心に、ジャズやフュージョンロック要素もある
優雅で軽快なアレンジセンスと南米らしい繊細な叙情が合わさった聴き心地は、まさに絶妙の路線。
ヴォーカルが入ったキャッチーな抜けの良さもあり、全体的にもクオリティの高い傑作に仕上がっている。
メロディック度・・8 プログレ度・・8 優雅度・・9 総合・・8
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AISLES「4:45 AM」
チリのプログレバンド、アイスルズの2016年作
2005年にデビュー、本作は7年ぶりの3作目。ジャズ、フュージョン的な感触もある軽やかなアンサンブルで聴かせる、
優雅なシンフォニックロックは本作でも健在で、マイルドなヴォーカルを乗せたやわらかなサウンドが楽しめる。
巧みな演奏力とともにメロウなギターフレーズのセンスも抜群で、キャリアのあるバンドらしいアダルトな余裕も感じさせ、
南米のバンドにありがちなマイナー臭さはまったくなく、メロディのフックはキャッチーで湿り気を帯びた優しさがある。
4〜5分前後を中心に、8分、10分という大曲も、濃密すぎない優美な聴き心地で、しっとりと叙情豊かに構築する。
全体的に派手さはないものの、大人のシンフォニックロックという趣で、耳心地のよい好作品です。
メロディック度・・8 プログレ度・・7 優雅度・・9 総合・・8 
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ALAS
アルゼンチンのプログレ・ジャズロックバンド、アラスの1st。1976年作
15分、17分という大曲2曲の構成で、せわしないテクニカルなリズムに、ジャズ的なピアノやELP的なハモンドを乗せて
軽やかに聴かせるプログレサウンド。かと思うと南米らしい叙情的なヴォーカルも出てきたりと、単なるジャズロックでもない
いわばごった煮感が本作の魅力かもしれない。タンゴにも通じる情熱的な情緒とクールな構築性、たおやかさと荒々しい勢い、
軽やかなジャズと濃密なプログレがミックスされた、混沌として整然たる聴き心地の個性派の傑作である。
メロディアス度・・7 テクニカル度・・8 ジャズロック度・・8 総合・・8
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ALEXL 「triz」
ブラジルのアーティスト、アレクセルの2003年作
美しいピアノのつまびきにクラリネットの音色が優雅に合わさり、ヴァイオリンの響きにリズムが加わって、
ポルトガル語によるやわらかな歌声で聴かせる、優しい耳心地のメロディアスなサウンドが広がってゆく。
シンセアレンジにはプログレ、シンフォニックの感触もありつつ、アコースティカルな繊細さを含ませながら
クラシック的な素養を覗かせる作曲センスが光る。たおやかなフルートの音色、コーラスの重なりや随所に聴かせる
軽妙なアンサンブルはGENTLE GIANT的でもあったりするが、それを南米らしいおおらかな叙情で包み込んでいる。
完成度の高さも含めて、マルコ・アントニオ・アラウージョや、あるいはPFMなどにも通じるような、素晴らしい作品だ。
メロディアス度・・8 プログレ度・・8 繊細度・・9 総合・・8.5
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Alfonso Vidales 「Shepperd」
メキシコのミュージシャン、アルフォンソ・ヴィダレスの1988年作
メキシコ最高のプログレバンド、CASTのシンセ奏者のソロで、美しいシンセワークを主体に
クラシカルな優雅さに包まれたシンフォニックロック。リズムなどは打ち込みで、ギターなどは入らないので、
ロック色はさほどないが、クラシカルなアンビエントナンバーから、ヴォーカル入りのキャッチーな曲もあり、
わりとバラエティに富んだサウンドが楽しめる。ヴォーカルは英語なのであまりメキシコらしさは感じないが、
シンセを主体にした優美な味わいは、フランスのWAPASSOUあたりが好きな方には楽しめるのではないかと思う。
シンフォニック度・・7 プログレ度・・7 優美度・・8 総合・・7.5


ALGARAVIA 「BREVE E INTERMINAVEL」
ブラジルのプログレバンド、アルガラヴィアの1996年作
軽妙なリズムに2本のギターが有機的に絡み、ジャズロック的な優雅なテクニカル性に
ミステリアスな空気感が合わさった、個性的なサウンドを展開してゆく。
随所にヘタウマなヴォーカルも加わるが、あくまでインストパートがメインで、
10分前後の大曲も、とぼけた偏屈さと甘すぎない程度のメロディで、スリリングに構築する。
得体の知れない怪しさをかもしだす、ヘンテコなプログレ・ジャズロックに興味があればぜひ。
メロディック度・・7 プログレ度・・8 偏屈で軽妙度・・8 総合・・7.5


Algebra Lineal 「Frota la Lampara」
メキシコのプログレバンド、アルジェブラ・リネールの2022年作
マルチプレイヤー、ガブリエル・マルティネスを中心にしたユニットで、オルガンを含むヴィンテージな味わいのシンセで
TRACEPAR LINDHにも通じる、クラシカルな鍵盤プログレを聴かせる。スペイン語によるヘタウマなヴォーカルも入ったり、
スカスカのドラムやヨレ気味のギターなど、演奏や録音面ではいかにもマイナー臭さもあるのだが、
スパニッシュな哀愁を感じさせるパートなど、独自の空気感があって、辺境的なひなびた怪しさが楽しめる方にはよいかも。
ドラマティック度・7 プログレ度・7 鍵盤度・7 総合・7


ANACHRONOS
チリのハードプログレバンド、アナクロノスの2013年作
女性ヴォーカルにシンセを含む6人編成で、スペイン語の女性ヴォーカルの歌声と
適度にメタリックなギターにシンセを絡め、テクニカルな構築性で聴かせるサウンド。
ProgMetal的なハードさもありつつ、南米らしいやわらかな叙情も随所に覗かせる。
音質のラウドさも含めていくぶんの粗さもあるが、今後が楽しみな逸材です。
ドラマティック度・・8 南米度・・8 女性Vo度・・8 総合・・7.5


ANACRUSA
アルゼンチンのフォルクローレバンド、アナクルーザの1st/2ndカップリング。1973/1974作。
たおやかなフルートの音色にビブラフォン、アコギにピアノなどが美しい、
南米特有のやわらかみのあるメロディで聴かせるフォルクローレ。
スペイン語の女性ヴォーカルが入ると、いかにもラテンミュージック的になる。
後のアルバムのようなダイナミズムはまだなく、総じて繊細で素朴な雰囲気だが、
のんびりと耳を傾けると、心なごむこと請け合いのアコースティックサウンドだ。
アコースティカル度・・9 南米度・・8 女性Vo度・8 総合・・7.5

ANACRUSA「DOCUMENTOS」
アルゼンチンのフォルクローレバンド、アナクルーザの3rd/4thのカップリング。1975/76作
たおやかなフルートにピアノ、オーボエなどのアコースティック楽器と、ゆるやかなパーカッションのリズムの上を、
スペイン語の女性ヴォーカルが歌い上げる。民族的なメロディにジャズ風味の繊細さも加わって、
ゆったりとした感触で楽しめる。ボサノバを思わせるようなやわらかさのあるサウンドに、ジャズタッチのピアノや
繊細なフルート音色など、南米らしい温かみのあるメロディが耳に心地よい。
ラストは15分の大曲でプログレ的なフォークロワを聴かせてくれる。
アコースティカル度・・9 南米度・・8 女性Vo度・・7 総合・・7.5
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ANACRUSA「El Sacrificio」
アルゼンチンのフォルクローレバンド、アナクルーサの5th。1978年作
初期はたおやかなフォルクローレをやっていたバンドだが、今作はロック的なダイナミズムを取り入れている。
フルートに絡むエレキギター、バックには壮大なオーケストレーション、そこにスペイン語による情熱的な女性ヴォーカルが歌を乗せ、
クラシカルなシリアスさとともに、厚みのあるサウンドが素晴らしい。ピアノやサックスなどにはジャズロック的な質感も垣間見せつつ、
クラシックとフォルクローレをロックと融合させた見事な音楽を聴かせてくれる。
シンフォニック度・・8 プログレ度・・7 クラシカル度・・8 総合・・8
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ANACRUSA「FUERZA」
アルゼンチンのクラシカル・フォルクローレバンド、アナクルーザの6th。1982年作
ロック、プログレ、というよりはクラシカルな叙情派南米音楽といった方がいいのかも知れない。
オーケストラ、ストリングスによる盛り上がりや、熱情的な女性ヴォーカルが特徴的。
クラシカルでシリアスな部分はイタリアのOPUS AVANTAを思わせるが、ゆったりとした壮大さと叙情は
やはり南米特有のもの。たおやかなストリングスが良いかと思えば、時にサックスやフルートが前に出たり、
ゆるやかなピアノが心地よかったりと、うるさい音ではないのになかなかに密度が濃い。
楽曲にはプログレ、シンフォファンにも通じる躍動感があり、クラシカルなダイナミズムが堪能できる傑作である。
シンフォニック度・・7 クラシカル度・・8 シリアス度・・8 総合・・8
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Anacrusa 「Reencuentro」
アルゼンチンのクラシカルロック、アナクルーザの1995年作
1973年にデビュー、1979年までに5作を残して消えたバンドの16年ぶりの復活作で、
叙情的なギターの旋律にやわらかなフルート、クラシカルなピアノやシンセを重ねて、
しっとりと繊細で優美なサウンドを聴かせる。オーボエの優雅な音色にフルートとピアノ、
クラシックギターのつまびきとともに、南米らしいフォルクローレ風の叙情に包まれる。
女性ヴォーカルのスペイン語の歌声を加えた、タンゴ寄りの民族風ナンバーから、
ストリングス入りのクラシカルシンフォ風の味わいなど、わりと曲調も幅広く楽しめる。
クラシカル度・・8 プログレ度・・6 優雅度・・8 総合・・8 
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ANACRUSA「ENCORDADO」
アルゼンチンのフォルクローレバンド、アナクルーザの復活作。2005年作
オリジナル・メンバーのJose Luis Castineira de Dios、Susana Lagoを中心に、作られた本作は、
新曲に加え、過去曲のリメイクなどを収録。たおやかなフルートにピアノ、サックス、オーボエと、
かつてのようなしっとりと聴かせるサウンドは不変ながら、エレキギターやドラムも入って、
フォルクローレとジャズ、ロックの自然な融合を感じさせる。きらきらしたビブラフォンの響きに、
ヴァイオリンなどのストリングスも入ってきたり、クラシカルな優雅さも味わえる。落ち着いた大人の味わいで楽しめるアルバムだ。
アコースティカル度・・9 南米度・・8 しっとり優雅度・9 総合・・7.5
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AngulArt「Donde RENACEN las horas」
チリのプログレバンド、アングルアートの2004作
ENTRANCEMATRAZなどをはじめチリのプログレシーンは、高品質なシンフォバンドの宝庫と化しているが、
このバンドもなかなかの個性を持った新人だ。けっこうメタリックなギターにツーバスも使用するドラム、
そこにいかにもプログレ的なキーボードと、母国語の歌唱とが合わさり、少々奇妙なハードシンフォサウンドを形作っている。
このバンドの場合、ただのメロディアスなシンフォではなく、ややひねくれた偏屈さがあるのが個性となっていて、
癖のあるヴォーカルが辺境的な雰囲気をかもし出しているのが好みを分けるところかもしれない。
メロディアス度・・7 テクニカル度・・7 辺境度・・8 総合・・7.5




ANIMA 「SINGULARITIES」
ブラジルのプログレバンド、アニマの1996年作
美麗なシンセワークに叙情的なギターを重ね、Quaterna Requiemなどにも通じる
南米らしい優美で壮大なシンフォニックロックを聴かせる。序盤はインストをメインに
ギターとシンセによる泣きの叙情に包まれたゆったりとした作風で、ときに女性スキャットや、
ジェントルな男性ヴォーカルも加わって、15分、11分という大曲を優雅に描いてゆく。
全体的にスリリングな部分は希薄なので、やや長尺な感じもあるが、南米らしいシンフォが好きな方はいかが。
シンフォニック度・・8 プログレ度・・7 優美度・・8 総合・・7.5


Animal en Extincion 「Antes y Despues」
チリのプログレ・ジャズロック、アニマル・エン・エクスティンシオンの2019年作
解散したFULANOのメンバーを主体に結成されたバンドで、やわらかなエレピにサックスの音色が重なり、
存在感あるベースとドラムがかもしだすアンサンブルに、スペイン語の美しい女性ヴォーカルを乗せた、
まさにフラノの続編というべき優雅なプログレ・ジャズロックを聴かせる。たたみかけるリズムに
女性スキャットが妖しく響きわたる、いくぶんMAGMAを思わせるようなナンバーもあって、
オルガンを使ったり緩急のある楽曲展開も含め、全体的にもよりプログレッシブな印象になった。
フォルクローレ風の南米らしさは薄まったものの、女性声アヴァン・ジャズロックとして楽しめる好作品。
ドラマティック度・・7 プログレ度・・8 優雅度・・9 総合・・8
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Anima Mundi 「Septentrion」
キューバのプログレバンド、アニマ・ムンディの2002年作
2008年の2作目のクオリティに驚かされたバンドのこちらがデビュー作で、
女性シンセ奏者にバグパイプ奏者も含んだ編成により、ダイナミックなシンフォニックロックを展開。
民族的なガリシアンパイプが鳴り響き、美しいシンセアレンジにメロウなギターワーク、
スペイン語の歌声と共に、濃密でありながらも牧歌的、そして爽快なサウンドを構築してゆく。
10分を超える大曲も含めて、本作の時点ですでに確固たる構築センスを有した力作といえる。
シンフォニック度・・8 プログレ度・・8 濃密度・・8 総合・・8
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Anima Mundi「Jagannath Orbit」
キューバのシンフォニックロックバンド、アニマ・ムンディの2008作
中米といえばメキシコあたりはシンフォニックロックの盛んな国だと思うが、
まさかキューバからこのような本格派のシンフォバンドが出てくるとは。しかもクオリティがえらく高い。
ヴィンテージなシンセ群を使いまくり、のっけから展開の被い17分の大曲を聴かせてくれる。
イモ臭さはまったくなく、むしろTRANSATLANTICばりにスタイリッシュな構築性が素晴らしい。
キャッチーなコーラスワークに、抜けのいいギターでメロディアスにたたみかけ
中米にありがちなリズムの弱さもない。基本的にはアメリカ的な陽性の音であるが、
ここぞというときにはドラマティックに押してくる。若干やぼったいヴォーカルを別にしても
シンフォニックロック愛好家にはたまらない音がたっぷりと詰まっている。
メロディアス度・・8 シンフォニック度・・8 楽曲・・8 総合・・8
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ANIMA MUNDI「The Way」
キューバのシンフォニックロックバンド、アニマ・ムンディの2010年作
前作が大変素晴らしかったこのバンドだが、3作目となる今作もまた大変な力作。
女性シンセ奏者を含む5人編成で、メロディアスかつ繊細な叙情と、見事な展開力で、
キューバという地域性を吹き飛ばすような濃密なシンフォニックロックをやっている。
なにしろ1曲目から14分の大曲で、2曲目が26分の組曲という気合の入りようだ。
ときにゆったりとしたスペイシーな壮大なビジョンを描きつつ、アコースティックな素朴さも織り込みながら、
あくまでやわらかなメロディでじわじわと盛り上げて行くサウンドは、TRANSATLANTICにも負けていない。
泣きのギターと美麗なシンセが重なってゆく瞬間は、すべてのシンフォニックロックファンが降参するだろう。
シンフォニック度・・8 ドラマティック度・・9 総合・・8.5
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Anima Mundi 「Live in Europe」
キューバのプログレバンド、アニマ・ムンディのライブ作品。2012年作
いまやメキシコのCASTとともに、中米最高のプログレバンドというべき存在であろう
かれらの2011年オランダでのライブをCD2枚に収録。女性シンセ奏者を含む5人編成に、
ゲストのガリシアンパイプ奏者を加えて、10分を超える大曲を中心に濃密な演奏を聴かせる。
ギターによるハケットばりの泣きの叙情フレーズと、プログレ受けする美しいシンセアレンジとともに、
キャッチーさと雄大なスケール感を同居させるセンスは、TRANSATLANTICなどにもひけを取らない。
Genesisの名曲“Firth of Fifth”を取り入れるなど、メロディアス派として確かな実力を感じさせるライブ作品です。
シンフォニック度・・8 プログレ度・・8 ライブ演奏・・8 総合・・8

Anima Mundi 「The Lamplighter」
キューバのプログレバンド、アニマ・ムンディの2013年作
大傑作となった前作「The Way」に続く4作目で、20分を超える2つの組曲を軸にした力作となっている。
女性シンセ奏者によるいかにもプログレらしいシンセワークと、英語によるヴォーカルとともに
物語性を感じさせる楽曲展開は、クライブ・ノーランの諸作などにも通じる聴き心地である。
フルートなどの叙情性や随所に聴かせるメロウなギターなど、むしろThe Flower Kingsあたりに近い
大人の構築性も感じさせる。前作ほどの派手さはないが、じっくり楽しめるシンフォニックロック作品。
シンフォニック度・・8 プログレ度・・8 構築度・・9 総合・・8
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Anima Mundi 「I Me Myself」
キューバのプログレバンド、アニマ・ムンディの2015年作
キューバ産シンフォニックロックとして、すでに世界レベルの傑作を連発している驚異のバンド、
5作目となる本作は、のっけから18分の組曲で幕を開ける。これまでよりもいくぶんダークなモダン性を含ませつつ、
メロウな叙情とともにムーグシンセやオルガンが鳴り響くプログレらしい展開美で構築されるサウンドは、
すでにヨーロッパの一流バンドに比肩する。今作では、派手な盛り上がりというのは控えめな感じであるが、
ヴォーカルパートでの薄暗いメロディック性も含めて、どっしりと重厚な世界観を描き出すサウンドには、
中堅バンドとしての自信が漂っている。以前の作品に比べるとキャッチーな軽快さはないが力作には違いない。
ドラマティック度・・8 プログレ度・・8 重厚度・・8 総合・・8 
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Anima Mundi 「Insomnia」
キューバのプログレバンド、アニマ・ムンディの2018年作
2002年にデビュー、そのクオリティの高さで、一躍、中米プログレのトップに躍り出たこのバンド、
本作は6作目で、ジャケのデザインからして前作と対になるようなアルバムなのだろう。
前作でのダークなスタイリッシュ性を受け継いだ雰囲気で、美麗なシンセアレンジと適度にハードなギター、
マイルドなヴォーカルとともに、スペイシーで広がりのあるスケールを感じさせるサウンドを描いてゆく。
翳りを含んだ叙情はポーランドのバンドなどにも通じる、モダンなシンフォニックロックという味わいで、
3〜5分前後の小曲を織り込みながら、コンセプト的な流れのある構成で楽曲を連ねてゆく。
メロディックな抜けがもう少し欲しい気もするが、ダークでスペイシーな味わいの力作である。
ドラマティック度・・8 スタイリッシュ度・・8 叙情度・・8 総合・・8 
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Anima Mundi「Once Upon A Live」
キューバのプログレバンド、アニマ・ムンディのライブ作。2018年作
2017年キューバでのライブをCD2枚組に収録。女性シンセ奏者を含む5人編成のステージで、
2015年作「I Me Myself」からの全曲を含むセットを演奏。美しいシンセワークにハード寄りのギターで、
空間的なスリリングなインストパートを描きながら、薄暗いドラマ性に包まれたサウンドを聴かせる。
近年のアルバムのようにモダンな雰囲気であるが、随所に叙情的なギターフレーズにシンセが重なる
シンフォニックな味わいも残していて、伸びやかなヴォーカルと確かな演奏力で、楽曲にシリアスな説得力を付加している。
Disc2では、2010年作「The Way」からのナンバーも披露。後半の大曲3曲には、王道のシンフォニックロック好きも満足。
10分を超える大曲も多数で、CD2枚トータル120分を超える濃密なライブが楽しめます。
ドラマティック度・・8 ライブ演奏・・8 シリアス度・・8 総合・・8
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Apocalypse 「Perto Do Amanhecer」
ブラジルのシンフォニックロック、アポカリプスの1995年作
美麗なシンセアレンジにポルトガル語によるやわらかなヴォーカル、メロディックなギターフレーズを乗せて、
ゆったりとした叙情を聴かせる、いかにも南米らしい正統派シンフォニックロック。ムーグシンセの音などは
いかにもプログレ的でTEMPUS FUGITQUATERNA REQUIEMをいくぶんB級にした感じで、なかなか悪くない。
中盤以降は、緊張感の足りなさにいくぶん聴くのがダレてくるのだが、のんびりと楽しめる好作ではあります。
メロディック度・・8 プログレ度・・7 南米度・・8 総合・・7.5
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Apocalypse 「Refugio」
ブラジルのプログレバンド、アポカリプスの2003年作
80年代から活動する中堅バンドで、オルガンやムーグを含むプログレらしいシンセに
ポルトガル語のヴォーカルを乗せて軽妙なアンサンブルで描くシンフォニックロック。
テクニカルとまではいかない軽やかさな聴き心地で、楽曲におけるいくぶん唐突な展開は、
マイナーなB級バンドの雰囲気もかもしだしているのだが、随所に聴かせる泣きの叙情ギターや、
SAGRADOあたりにも通じる南米らしいやわらかな叙情性はなかなかのもの。
90年代を引きずった作風といえるが、むしろそのネオプログレ的なシンフォ臭さを好む方なら、
気に入るのではなかろうか。Tempus Fugitあたりをより濃密なシンフォに仕立てたというような力作。
シンフォニック度・・8 プログレ度・・8 南米度・・8 総合・・8
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Apocalypse 「Live in Rio」
ブラジルのプログレバンド、アポカリプスのライブ。2006年作
1991年デビューと、わりとキャリアのあるバンドで、本作は地元ブラジルでのライブを収録。
きらびやかなシンセにギターを重ね、英語のヴォーカルを乗せた、濃密なシンフォニックロックを聴かせる。
手数の多いドラムを主体にしたほどよくハードなアンサンブルで、随所にリズムチェンジを含む緩急のある展開と、
南米らしい情熱的な歌声で、厚みのあるサウンドを展開。カラフルなシンセワークにときに優雅なフルートの音色も加わり、
いくぶんマイナー臭さも漂わせつつも、キャッチーなクサメロを含んだ、日本人好みのシンフォプログレを描いてゆく。
とにかく濃い目に、華やかに、そして叙情的に聴かせる、全72分こってり満腹の、力作ライブです。
ライブ演奏・・8 プログレ度・・8 濃密度・・9 総合・・8 
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Arbatel 「Gamadion」
メキシコのプログレバンド、アルバテルの2004年作
オルガンやムーグを含むきらびやかなシンセに艶やかなヴァイオリンが絡み、
軽妙なドラムを軸にした優雅なアンサンブルで濃密なインストサウンドを聴かせる。
随所に泣きのギターフレーズも覗かせて、メキシコらしいやわらかな叙情性包まれつつ、
弾きまくりのキーボードが華やかに彩るところは、チリのENTRANCEあたりにも通じるか。
一方では、10分を超える大曲では、ジャズタッチのパートもあったりと、演奏力の高さでメリハリある展開が楽しめる。
ドラマティック度・・7 プログレ度・・8 優雅で濃密度・・8 総合・・7.5

ARBATEL「Sumerios」
メキシコのプログレバンド、アルバテルの2010年作
古代文明の宗教/哲学観をコンセプとにした作品で、妖しげな女性スキャットから始まり、
土着的なパーカッションとともに、男女ヴォーカルの呪術的な歌声が響きわたる1曲めはやや異色だが、
2曲めからは美しいシンセとテクニカルなリズムによるシンフォニックサウンドで、
Jaime Rosasあたりを思わせる古き良きプログレ的なシンセワークがなかなか魅力的。
スペイン語による女性ヴォーカルはヘタウマながらオペラティックでなかなか美しく、
シアトリカルな雰囲気がEL&P風のシンセとミスマッチで、どこかローカルさをかもしだしている。
シンフォニック度・・7 プログレ度・・8 妖しさ度・・8 総合・・7.5


ARION
ブラジルのシンフォニックロック、アリオンの2001年作
クラシカルなピアノと優美なキーボード、そして南米らしい叙情的なメロディを奏でるギターに
美しい女性ヴォーカルの歌声を乗せた、優雅なシンフォニックロックサウンド。
女性ヴォーカルは、RENAISSANCEのアニー・ハズラムを思わせる雰囲気で(そこまで上手くはないが)
なかなか魅力的。曲のインパクトとしては突き抜けたものはないが、女性Voシンフォ好きなら聴いて損はない。
シンフォニック度・・7 優雅度・8 女性Vo度・・7 総合・・7.5
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Asa de Luz
ブラジルのプログレバンド、アサ・デ・ラズの1996年作
エレピを含むやわらかなシンセに、ポルトガル語のジェントルなヴォーカルを乗せ、
南米らしい優雅な叙情に包まれた、繊細なシンフォニックロックサウンド。
泣きのフレーズを奏でるギターに、壮麗なシンセアレンジのセンスもよろしく、
SAGRADOをややマイナーにした味わいで楽しめる。90年代の南米シンフォとしてはレベルの高い作品だが、
楽曲は3〜5分程度で、全32分というのがやや物足りないか。2作目となる1998年作も見事な出来です。
シンフォニック度・・8 プログレ度・・7 繊細度・・9 総合・・8

ASA DE LUZ「The Link」
ブラジルのシンフォニックロックバンド、アサ・デ・ラズの1998年作
ややハードめのギターにピアノ、そして艶やかなヴァイオリンが絡み、ドラマティックなシンフォニックサウンドを形成、
主に英語で歌われるヴォーカルメロディも分かりやすいし、ギタリストの奏法はハードロックの感触もあったりするので、
メタル系のリスナーにも聴きやすいバンドかもしれない。南米ハードシンフォニックとしてはなかなかの好作品である。
メロディアス度・・8 シンフォニック度・・8 南米度・・8 総合・・8
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ASTRALIS「Bienvenida al Interior」
チリのシンフォニックロックバンド、アストラリスの2006作
ENTRANCEのGのバンド、AUSTRALISとは似たような名前だが別バンド。
シンセにかぶさるギターがメロウなフレーズを奏で、そこにスペイン語のVoが歌を乗せる。
ときおりギターがハードめになるのもENTRANCEに通じる部分で、
メロディアスな抜けの良さととやぼったさが同居しているのがいかにも南米的だ。
緑の自然を描いたジャケのような爽やかな美しさを目指しているのかもしれないが、
スペイン語の歌唱のせいもあってか、やはりどこか暑苦しくなってしまう(笑)
シンフォニック度・・7 プログレ度・・7 南米度・・8 総合・・7.5


ATEMPO「A bismos del Tiempo」
アルゼンチンのシンフォニックロックバンド、アテンポの2002年作
同郷のNEXUSのメンバーを含むバンドで、ゆるやかに聴かせるシンフォサウンド。
シンフォニックなシンセワークに、ときにハケットを思わせるメロウなギター、
そこに乗るスペイン語の女性ヴォーカルもヘタウマ気味ながら、いい味を出している。
47分の組曲を含む力作で、けっこうな長尺感でもったりしすぎる場面もあるが、
南米らしい濃密なドラマティックさを求めるリスナーなら楽しめるだろう。
シンフォニック度・・8 ドラマティック度・・8 女性Vo度・・7 総合・・7.5

ATEMPO「simple」
アルゼンチンのシンフォニックロックバンド、アテンポの2005作
濃密だった前作に比べて、曲もややシンプルになり(といっても10分以上が2曲)、
交代した女性ヴォーカルも美声のタイプで、なかなか聞こえが良くなった。
ややクサめのメロウなギターや、一昔前のゴシックメタル的な雰囲気になったりと
全体的にはもったりとしたダサさがあるのだが、そこも含めての南米シンフォ、
あるいは女性Voものとして楽しめる方なら許せるだろう。ラスト曲は何故かジャズロック 調。
シンフォニック度・・7 南米度・・8 女性Vo度・・8 総合・・7.5

ATEMPO 「Regresaras」
アルゼンチンのプログレバンド、アテンポの2013年作
8年ぶりとなる3作目で、前作までは女性Voであったが、今作では男性Voフロントになっていて、
サウンドの方もいくぶんハードさを増した印象だ。長かった楽曲も5分前後が中心となって、
オルガンなどを含んだプログレ的なシンセワークと適度にハードなギターに、
随所にテクニカルなリズムなども含ませた、キャッチーなハードプログレが楽しめる。
かすれた味わいのスペイン語の男性ヴォーカルは好みが分かれるところだろうが、
南米らしい哀愁を漂わせた叙情も含めて、濃密な聴き心地の好作品に仕上がっている。
ドラマティック度・・8 ハードプログレ度・・8 南米度・・8 総合・・7.5

ATOMO PERMANENTE 「Projecao」
ブラジルのプログレバンド、アトモ・ペルマネンテの1994年作
メロディックなギターに美しいシンセが絡み、南米らしい繊細な叙情美のシンフォニックロック。
ポトルガル語のヴォーカルを乗せた軽快な疾走感のハードプログレ寄りのナンバーから、12弦ギターのつまびきや、
サックスの音色を乗せた大人の哀愁を描くインストナンバーなど、やわらかな聴き心地の中に、
知的な構築センスも覗かせる。とくにメロウな泣きのギターと、優美なシンセワークが魅力的で、
ときにハードロック的なギターも顔を出すが、濃密になり過ぎず、ゆったりとした叙情に包まれた好作品といえる。
メロディック度・・8 プログレ度・・7 叙情度・・8 総合・・7.5
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AUSTRALIS「terraustralis」
ENTRANCEのギタリストRICHARD PILNIKによるプロジェクトバンド、アウストラリスの2005作
ギターメインのハードめのシンフォニックロックで、ツーバスを叩くドラムもメタリックな雰囲気をかもしだす。
スペイシーなキーボードの使い方は意識的なのだろうが、ピコピコしていてやや安っぽい印象。
聴きようによってはPLANET Xあたりに通じる硬質感もあるが、そこまでテクニカルではなく
ホールズワース的なギターは、あくまでメロディを主体に奏でておりとても聴きやすい。
演奏のレベルも高いが、音のトーンが一本調子なので意外性は薄い。
メロディアス度・・8 プログレ度・・7 ギターオリエンテッ度・・9 総合・・7.5
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AUTUMN MOONLIGHT 「The Sky Over Your Shoulders」
アルゼンチンのシンフォニックロック、オータム・ムーンライトの2010年作
トレモロを含むメロウなギターの旋律にうっすらとしたシンセを重ね、
ポストプログレ風味の繊細な叙情に包まれたインストサウンドを聴かせる。
美麗なシンセによるシンフォニックなテイストと、むしろヨーロピアンな翳りを帯びた空気、
ポストロック的でもあるスタイリッシュな感触が合わさった作風。プログレ的な展開は薄いが、
ときにハードさも含んだ泣きまくりのギターの旋律とともに、優美なサウンドにはうっとりとなる。
ドラマティック度・・7 プログレ度・・7 優美度・・9 総合・・8
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AUTUMN MOONLIGHT 「Alter Reality」
アルゼンチンのシンフォニックロック、オータム・ムーンライトの2012年作
メロウなギターワークとやわらかなシンセで聴かせる、ポストプログレ的な繊細さに包まれたサウンド。
あるいはポーランドのバンドを思わせるような翳りを含んだ雰囲気と、Alcestあたりにも通じるような
シューゲイザー風味のモダンな浮遊感に包まれた叙情美がじつに耳に優しい。
プログレというよりは、薄暗系のメロウ・ロックというべきか。オールインストながら、
ギターの泣きのフレーズにピアノの音色が重なって、しっとりとしたやわらかな叙情に癒されます。
メロディック度・・8 プログレ度・・7 叙情度・・9 総合・・8
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Ave Rock
アルゼンチンのプログレバンド、エイヴ・ロックの1974年作
哀愁を感じさせるメロウなギターの旋律にやわらかなオルガンが絡み、
スペイン語のマイルドなヴォーカルを乗せた南米らしい叙情的なサウンド。
基本的にはインストが中心のスタイルだが、ギターのフレージングのセンスの良さと
クラシカルなオルガンプレイが素晴らしく、プログレらしいリズム的なメリハリもあって、
13分を超える大曲も優雅な構築性で聴かせる。演奏のクオリティと知的な展開力も見事で、
70年代オルガンロックの逸品であり、アルゼンチンプログレの傑作のひとつである。
メロディック度・・8 プログレ度・・8 優雅度・・8 総合・・8
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Bad Dreams 「Apocalypse Of The Mercy」
アルゼンチのプログレバンド、バッド・ドリームスの2015年作
シンセを含む5人編成で、シンフォニックなアレンジと英語によるマイルドなヴォーカルを乗せ、
叙情豊かなサウンドを描き出す。のっけから13分という大曲であるが、流麗な展開力とセンスで、
若手とは思えない自然体の優雅さに包まれた作風だ。ムーグシンセやオルガン、メロトロンなど
きらびやかなシンセとともに、往年のプログレらしさを残しつつ、キャッチーなメロディアス性と、
モダンな構築力を融合させていて、南米的なマイナー臭さというのはほとんど感じさせない。
随所にメロウなギターフレーズも含ませて、あくまで優美な叙情に包まれた聴き心地で、
高品質なシンフォニックロックがじっくりと楽しめる。南米期待の新鋭バンドである。
メロディック度・・8 プログレ度・・7 叙情度・・8 総合・・8
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BACAMARTE「DEPOIS DO FIM」
ブラジルのプログレバンド、バカマルテの1983年作
80年代の南米シンフォニックシーンは、SAGRADOとMARCO ANTONIO ARAUJOを除くと、ワールドレベルのバンドはあまりいなかったのだが、
その例外となるのがPabloと本作である。スパニッシュ風の素朴なギターから始まり、美しいシンセが加わってのダイナミズムは筆舌に尽くしがたい素晴らしさ。
南米的なやわらかな叙情と躍動感と、フルートなども入ったフォルクローレ風味のロマンティシズム、そして情熱的な女性ヴォーカルも加わって、
雄大で鮮やかなシンフォニックロックを聴かせる。一方では土臭い人懐こさもあって、そこがえもいわれぬ魅力となっている。必聴。
シンフォニック度・・8 叙情度・・9 南米度・・9 総合・・8.5
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BANANA「AUN ES TIEMPO DE SONAR」
アルゼンチンのロックバンド、バナナの2nd。1979作
もともとがポップロックバンドだったバンドが、いきなりプログレ的な作品を作ったというのは、
イタリアンロックなどにはよくあるのだが、これはアルゼンチンのバンドなのだから珍しい。
やわらかなオルガンやシンセの音色に、メロディアスなギター、甘いヴォーカルで聴かせるサウンドは、
ゆったりと優しく、そして叙情的。スペイン語による歌唱もどこかイタリア的に響いて聞こえる。
9分、10分という長い曲を聴かせる構築美も備えた、繊細な美しさに溢れた南米プログレの傑作です。
メロディアス度・・8 叙情度・・9 繊細度・・9 総合・・8
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BANANA 「ETAPA SINFONICA 79 - 80」
アルゼンチンのメロディックロック、バナナのアンソロジー。2016年作
南米シンフォの傑作として知られる、1979年作「AUN ES TIEMPO DE SONAR(影法師)」全曲と、
初のCD音源化となる、1980年作「LICUADO」の楽曲を合わせて11曲、67分を収録。
オルガンを含むやわらかなシンセに、メロディックなギターとスペイン語のヴォーカルを乗せ、
リリカルで繊細な叙情美に包まれたシンフォニックロックが味わえる。とくにギターの泣きのフレーズは、KAIPAばりの美しさで、
10分前後の大曲を構築する確かな演奏力も含めて、当時のアルゼンチンのバンドでは、PABLOと並ぶクオリティの高さ。
初出となる1980年作も、負けず劣らずの出来で必聴級。まさに隠れた傑作というべき内容です。
メロディック度・・9 プログレ度・・7 叙情度・・9 総合・・8.5
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Banda Do Sol 「Tempo」
ブラジルのプログレバンド、バンダ・ド・ソルの2010年作
1982年に一作を残して消えたバンドの復活作で、適度にハードなギターにうっすらとしたシンセ、
ポルトガル語によるヴォーカルを乗せた、メロディックな叙情に包まれたシンフォニックロック。
大人の哀愁を感じさせる泣きのギターのフレーズもなかなか心地よく、ドラムやベースを含む、
確かな演奏もあって、マイナー臭さはほとんど感じさせない。南米らしいやわらかな歌メロとともに、
じっくりと聴かせるナンバーなど、シンフォニックなプログレハードという雰囲気でも楽しめる。
曲によっては70年代ルーツのブルージーなロック感触も覗かせつつ、10分を超える大曲では、
ロイネ・ストルトばりのギターとともに、TRANSATLANTICにも通じるシンフォニックロックが展開される。
ドラマティック度・・8 プログレ度・・7 叙情度・・8 総合・・8
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BANDHADA
チリのメロディックプログレバンド、バンドハダの2004作
1984年に自主制作で出ていた作品らしいが、たしかにこうして発掘されるだけの内容である。
一聴すると、プログレというよりはメロディアスなフュージョン的な軽やかさがあるが、
そこにメロウな旋律を奏でるギター、シンセ、そしてたおやかなフルートが重なると
全盛期のCAMELもかくやという叙情ゆたかなメロディアスシンフォサウンドとなる。
とにかくこのメロディアスなことといったら、CAMELGOTICSEBASTIAN HARDIE
といったバンドの最良部分を集めたようなほどで、聴いていてたまらずうっとりとなる。
メロディアス度・・9 プログレ度・・7 しっとりフルート度・・9 総合・・8
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BANDHADA「Open Cage」
チリのプログレバンド、バンドハダの2009年作
1984年に自主制作で発表した音源が2004年になってCD化されたが、本作はなんと新録による25年ぶりの復活アルバム。
前作は「フュージョン化したCAMEL」というようなサウンドだったが、本作も軽やかなジャズロック/フュージョン風味のメロディック作だ。
センスのいいギターフレーズとやわらかなシンセ、ピアノが絡み、ときにサックスやフルートの音色もまじえつつ、
適度なシンフォニック性とともに、大人の余裕を感じさせる優雅なアンサンブルを聴かせてくれる。
メロディアス度・・8 軽やか度・・8 南米度・・7 総合・・8


BARROQUEJON「CONCERNING THE QUEST,THE BEARER AND THE RING」
チリのシンフォニックロック、バロックエジョンの2003年作
「LORD OF THE RING」をコンセプトにした作品で、やわらかなリコーダーの音色にシンフォニックなオーケストレーションが加わり、
壮麗にしてドラマティックなサウンドを聴かせる。キーボード、ピアノ、オーケストレイション、ヴォーカルを一人でこなしていて、
QUEENばりのコーラスの重ねも全て一人でやっているのだから、よほど友達がいな…いや、こだわりがあるのだろう。
ジャケの雰囲気のようなダークさはあまりなく、むしろファンタジックで爽やかに聴き通せる。打ち込みやオーケストレイションがメインなので
演奏的にはやや平坦だが、ケルティックなテイストを盛り込んだシンフォニックハードという聴き心地で、メタルリスナーにもお勧め出来る力作だ。
シンフォニック度・・8 プログレ度・・7 ファンタジック度・・9 総合・・8
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BLEZQI ZATSAZ (FAVIO RIBEIRO)「RISE AND FALL OF PASSIONAL SANITY」
ブラジルのシンフォニックロック、ブレヅキィ・ザッサズの1990年作
III MILENIOのキーボード奏者、FABIO RIBEIROのソロプロジェクト、
トレ・ミレニオ自体も濃密かつシアトリカルなシンフォニックサウンドであるが、
本作はそれ以上に大仰かつドラマティックなキーボード・シンフォニックが全開。
きらびやかなシンセの重なりでオーケストラルな華麗さを描き出しつつ、怒濤のように盛り上げてゆく様は、
まさにラテン系の熱き魂か。キーボードシンフォとしては世界最高レベルの派手さ。こりゃすごいです。
メロディアス度・・9 シンフォニック度・・10 ドラマティック度・・9 総合・・8.5◆プログレ名作選入り
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BLEZQI ZATSAZ「THE TIDE TURNS」
ブラジルのシンフォニックロック、ブレヅキィ・ザッサズの2002年作
SHAMANやAndre Matosバンドにも参加するシンセ奏者、FABIO RIBEIROのソロバンド、
12年ぶりの2作目で、1stは大仰極まりないキーボードシンフォの怪作であったが、
この2ndでは、やや落ち着いた感じのメロディアスなシンフォニックサウンドである。
多重録音の美しいキーボートと流麗なギターによるインストパートは、
どこを切り取ってもシンフォニック好きには心地よい音が詰まっている。
TEMPUS FUGITQUATERNA REQUIEMなどが好きなら聴くべし。
シンフォニック度・・8 コテコテ度・・9 キーボー度・・8 総合・・7.5
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Blue Mammoth
ブラジルのプログレバンド、ブルー・マンモスの2011年作
オルガンやムーグを含んだシンセとともに、古き良きスタイルのプログレを聴かせるサウンド。
適度にハードなギターや英語歌詞のヴォーカルも含めて、プログレハード的なキャッチーさもあり、
いわばマニアックすぎない聴き心地である。随所にメロウな泣きのギターフレーズや、繊細なピアノ
フルートの音色なども入った優雅な叙情性もよい感じです。10分を超えるような長い大曲がないので
壮大な雰囲気はあまりないのだが、その分、難解なところがない耳疲れしない好作品といえる。
メロディック度・・8 プログレ度・・7 叙情度・・8 総合・・8


BUBU「ANABELAS」
アルゼンチンのプログレバンド、ブブの1978作。
70年代のアルゼンチン産バンドの中では名作に挙げられる1枚。
フルート、サックス、ヴァイオリンが鳴り響き、そこにヘヴィめのギターも加わって、
KING CRIMSON的な質感のスケールの大きいサウンドが展開される。
ときにサックスなどが弾きまくり、アヴァンギャルドさを覗かせつつも、全体的には
非常に構築されたチェンバーロック的なシリアスさに、ほのかな叙情性を感じさせる。
19分、11分、9分の全3曲という構成で、70年代の南米を思うと圧巻の完成度を誇る。
メロディアス度・・7 ヘヴィシンフォニック度・・8 壮大度・・8 総合・・8
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BUBU 「El Eco Del Sol」
アルゼンチンのプログレバンド、ブブの2018年作/邦題「太陽の共鳴」
1978年に1作のみを残したバンドの、じつに40年ぶりとなる復活作。オリジナルメンバーは、
作曲を手掛けるダニエル・アンドレオニのみとなったが、混声コーラスから幕を開け、
やわらかなフルートにサックスが鳴り響き、クリムゾン的なスリリングなアンサンブルで聴かせる
スケール感のあるサウンドはかつてのまま。艶やかなヴァイオリンの音色にサックスが重なり、
スペイン語によるマイルドなヴォーカルも加えて、南米らしい優美な叙情も覗かせる。
ほどよくハードなギターにオルガンを含むシンセがヴィンテージな味わいをかもしだしつつ
随所にクラシカルな優雅さをまぶした構築力もさすが。40年の月日を感じさせない見事な復活作だ。
ドラマティック度・・8 プログレ度・・8 優美度・・8 総合・・8 
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Cactus Peyotes
ブラジルのハードプログレバンド、カクタス・ペヨテスの2001年作
シンセを含む5人編成で、ProMetal的なテクニカルさも含んだ軽妙なサウンドを聴かせる。
ハイトーンのヴォーカルやツーバスのドラムなどはメタル寄りなのだが、軽やかなシンセアレンジと
テクニックのあるクリアなギターフレーズがフュージョンメタル的な爽やかな聴き心地となっている。
南米らしいアコースティカルな叙情性も含ませつつ、ときにアヴァンギャルドな展開も見せたりと、
なかなか面白いセンスをしている。むしろヴォーカルはオマケとして聴いた方がよいかもしれない。
メロディック度・・7 テクニカル度・・8 メタルフュージョン度・・8 総合・・7.5
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CALLE SANTIAGO 「Ad Hominem」
ヴェネズエラのハードプログレ、カレ・サンティアゴの2014年作
適度にハードなギターと美麗なシンセアレンジ、DREAM THEATERあたりに通じるテクニカルな展開力で
ProgMetal風味のサウンドを聴かせる。スペイン語によるマイルドなヴォーカルも含めて
メタル的な圧力は薄いので、南米系ハードシンフォが好きな方にも普通に楽しめるだろう。
クラシカルなピアノの旋律やときにサックスの音色も加わり、優雅な美意識に包まれた軽妙なセンスもよろしく、
メロディックなギターフレーズが心地よいタイトル曲のインストナンバーや、緩急に富んだ展開で構築する
18分の大曲なども見事。南米らしいおおらかな叙情とキャッチーな抜けの良さも併せ持った力作です。
ドラマティック度・・8 プログレ度・・8 南米度・・8 総合・・7.5
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CARAVELA ESCARLATE
ブラジルのプログレバンド、カラヴェラ・エスカレートの2019年作
シンセ、ドラム、ベース&ギター&Voというトリオ編成で、2016年にデビューし、本作が2作目。
オルガンやムーグといったヴィンテージなシンセをかき鳴らし、マイルドなヴォーカルを乗せた、
優美なシンフォプログレを聴かせる。ポルトガル語の歌声が南米らしい叙情をかもしだし、
エレピを含むシンセによるやわらかなメロディとともに、キャッチーな優雅さに包まれる。
インスト曲もまじえて、コテコテになり過ぎない繊細な味わいで、音自体はヴィンテージながら、
わりとスタイリッシュなポップ性も感じさせる。ラストは11分の大曲ではプログレらしさ全開。
メロディック度・・8 プログレ度・・8 ヴィンテージ度・・8 総合・・8
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CAST 「Landing In A Serious Mind」
メキシコのプログレバンド、キャストの1994年作
いまや世界レベルのシンフォプログレバンドとなった彼らだが、本作はその記念すべきデビュー作。
やわらかなシンセワークに叙情的なギター、英語によるマイルドなヴォーカルを乗せた、
GENESISCAMELをルーツにしたような優美なシンフォニックロック・サウンドが耳心地よい。
のちの作品のようなテクニカルな展開力よりは、牧歌的な繊細さに包まれていてなかなか魅力的だし、
優雅で軽妙なインストナンバーや、10分を超える大曲では、しっとりとした叙情から起伏のある展開力で、
ドラマティックなサウンドを聴かせてくれる。キャッチーで爽快なラストナンバーまで、じっくり楽しめる好作品。
メロディック度・8 プログレ度・8 優美度・8 総合・8 
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CAST「THIRD CALL」
メキシコのプログレバンド、キャストの3rd。1994作
GENESISCAMELなどの雰囲気を感じさせながらももっと軽やかで
弾きまくりのシンセやギターのフレーズには南米らしい熱さを感じさせつつも
音のまとまりがあるので案外繊細に聴こえる。歌の弱さはいかんともしがたいが、
メロディの抜けの良さはやはり見事だし、近作ほどのクオリティではないにしろ
当時の中米のシンフォニック作としては相当のレベルといえるだろう。
メロディアス度・・8 コテコテ度・・8 されど繊細度・・8 総合・・7.5
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CAST「four aces」
メキシコのシンフォニックロックバンド、キャストの4th。1995作
活動15年近くになるベテランで、中米最高のシンフォバンドといっていいだろう。
出来としては近作になるほど良いのだが、このあたりの初期作もなかなかのもの。
美麗なシンセを中心に、英語による歌メロもキャッチーで聴きやすく、
10分、17分という大曲も、あくまでメロディアスに構築されてゆく。
サウンドにメリハリがないのが残念だが、シンフォ好きの耳には心地よいはず。
バンドのディスコグラフィーが載るオフィシャルサイトはこちら
シンフォニック度・・8 メロディアス度・・8 ドラマティック度・・7 総合・・7.5
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CAST 「Endless Signs」
メキシコのプログレハンド、キャストの1995年作
1994年にデビュー、本作は5作目となる。きらびやかなシンセにメロディックなギターを重ねて、
緩急ある展開力で優雅なシンフォニックロックを聴かせる。英語歌詞によるマイルドなヴォーカルに
やわらかなフルートの音色などの優美な叙情性に、泣きのギターフレーズや美麗なシンセワークなども
本作の時点でもなかなか魅力的で、のちの傑作に比べるといくぶんの野暮ったさはあるのだが、10分、14分という
大曲を構築するアレンジセンスもすでに備わっている。2000年代以降になると、録音面や演奏力の向上で、
世界最高レベルのシンフォプログレバンドになってゆくのだが、その片鱗は十分発揮されている。
シンフォニック度・・8 プログレ度・・8 優雅度・・8 総合・・8
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CAST「Angels and Demons」
メキシコのシンフォニックロックバンド、キャストの1997年作
キャリアとしては15年を超え、アルバムも現在までに20枚近く発表している中米きってのベテラン。
今作はたぶん6作目あたりか。今作も美麗なシンセと泣きのギターで聴かせるCAST節がのっけから炸裂。
10分を超える大曲2曲を含めて、73分間シンフォニックしまくりのアルバムだ。
彼らの魅力はあくまでメロディにこだわる点と、きらびやかさの中にも
繊細な叙情が存在している点。なので濃密であっても耳に心地よいのである。
シンフォニック度・・9 濃密度・・9 叙情度・・8 総合・・8

CAST 「a live experience」
メキシコのプログレバンド、キャストのライブ作品。1999年作
1995年〜1998年のアメリカとメキシコでのライブ音源を中心に収録したCD2枚組
フルートの音色が鳴り響き、美しいシンセに、適度にハードなギターサウンドとともに、
ライブにおいてもベテランらしい安定した演奏で、メロディックな叙情を描いてゆく。
地味な格好のおっさんたちが演奏しているとは思えない、繊細で美しいメロディを
随所に散りばめながら、10分を超える大曲を構築する。その実力はやはり本物である。
音質の点ではダイナミックさにやや欠けるのだが、濃密なライブが楽しめる2枚組である。
メロディック度・・8 プログレ度・・8 ライブ演奏・・8 総合・・8
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CAST「 Imaginary Window」
メキシコのプログレバンド、キャストの1999年作
やわらかなフルートの音色にストリングス、優美なシンセアレンジとメロウなギターが合わさった聴き心地は
まさにメキシコ最高のシンフォニックロックというべきだろう。たとえれば、CAMELをより濃密にしたような
ロマンティシズムに溢れる叙情性と泣きのメロディにはもうお手上げです。これぞ最高のシンフォプログレです。
ヴォーカルが入ると野暮ってくなると思いきや、歌詞が英語なのでアメリカンプログレ的なキャッチーさが加わって
爽やかなメロディアス性があふれ出す。間違いなく世界レベルのバンド。この作品以後も傑作を連発するのです。
メロディック度・・9 プログレ度・・8 叙情度・・9 総合・・8
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Cast 「Laguna de Volcanes」
メキシコのプログレバンド、キャストの2000年作
いまや世界最高のシンフォプログレバンドとなった彼らの、1994年のデビュー作から、1999年の8作目までの楽曲に、
シンセ奏者のLuis Alfonso Vidalesのソロからのナンバーも加え、2CDに収録したベストアルバム。
きらびやかなシンセワークにこれでもかと叙情メロディを奏でるギター、わりと激しめのドラムとともに、
濃密にして優雅なサウンドを展開。スペイン語のヴォーカルも加えた哀愁の叙情性に、優美なフルートの音色
クラシカルなピアノなど、繊細さとダイナミズムが交差する、じつに日本人好みのシンフォプログレである。
10分を超える大曲も多いが、緩急ある構築力で飽きさせないアレンジは、さすがの実力バンドです。
ドラマティック度・9 プログレ度・8 優雅で濃密度・9 総合・8.5 
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CAST「LEGACY」
メキシコのベテランシンフォニックロックバンド、キャストの2000作
CAMELを思わせるメロディアスなギターにたおやかなフルートが美しい。
きらきらとしたキーボードも美しく、堂々とした演奏力も素晴らしい。
中米シンフォの代表として、このクオリティの高さはもっと評価されていいと思う。
やわらかなメロディがじつに耳に゜心地よい、メロディアスシンフォニックの好作品だ。
メロディアス度・・8 シンフォニック度・・8 たおやか度・・8 総合・・8
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CAST「castalia」
メキシコのシンフォニックロックバンド、キャストのライブアルバム。2001作
スタジオ盤では毎作「これでもか」というほどの濃厚シンフォを作り出すこのバンド。
ライブにおいてもその志は変わらず。美しいシンセを中心に、たおやかなフルートの音色、
泣きのギターフレーズとヴォーカルが加わって、濃密なシンフォサウンドが描かれる。
しかしながらあくまで叙情的なので、コテコテなのにどこか爽やかなのがこのバンドの特徴だろう。
シンフォニック度・・8 濃密かつ叙情的度・・9 ライブ演奏・・7 総合・・7.5
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CAST「AL-BANDALUZ」
メキシコのベテランシンフォニックロックバンド、キャストの2003作
メキシコというと、これまではICONOCLASTAに代表されるような「演奏が粗い」というイメージがあり、
なかなか手を出せずにいたのだが、キャストのこの2枚組アルバムは、なかなかの高品質だ。
中米らしい甘いメロディにイタリア的な情熱を加味して、分かりやすく心地よいサウンドに仕上げている。
ベテランらしく演奏もしっかりしており、なにより音質…サウンドプロダクションが良いのである。
メロディアスなギターとキーボードの絡みなどは、シンフォニック好きなら思わずにんまりする。
爽快な疾走感もあり、気持ちよく聴けるインストメインの好シンフォニックロック作品だ。
メロディアス度・・8 シンフォニック度・・8 楽曲・・8 総合・・8◆プログレ名作選入り
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CAST「NIMBUS」
メキシコのシンフォニックロックバンド、キャストの2004作
おそらく14thくらいですか。今回はジャケの雰囲気もそうだが、ややシリアスなハードシンフォサウンド
組曲的な大曲もあることから、どうもコンセプトアルバムのようだ。もちろんベテランらしく、
聴かせどころはツボを心得ていて、メロウな泣きのフレーズを奏でるギターに、音色豊かなシンセ、
哀愁をまとわせたヴォーカルと、フルート、それにゲストの女性Voもよいアクセントになっている。
しっとりとした部分は繊細かつ優美に聴かせ、一転、ハードな部分ではときにプログレメタル的にもなり、
同レーベルのMATRAZあたりをを思わせるドラマティックな構成美が光る。ハードシンフォの大傑作!
メロディアス度・・8 ドラマティック度・・8 プログレメタル的度・・8 総合・・8.5◆プログレ名作選入り
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CAST 「Mosaique」
メキシコのプログレバンド、キャストの2006年作
Cd2枚組の大作で、きらびやかなシンセに、ハードさとメロウさを併せ持つギター、
やわらかなフルートやサックスが鳴り響き、厚みのあるアンサンブルを描いてゆく。
今作ではアラビックな旋律を取り入れるなど、民族的な要素も加わって
曲によっては女性ヴォーカルの歌声も入って、やわらかな味わいに包まれる。
一方ではキャッチーな味わいのプログレハード的な曲もあったりと、全体的には
いつになくバラエティに富んだ内容ながら、質の高さを維持しているのはさすが。
メロディック度・・9 プログレ度・・8 叙情度・・9 総合・・8.5
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CAST「Com.Union」
メキシコのシンフォニックロックバンド、キャストの2007作
今や中米のみならず、世界的に見ても素晴らしいシンフォニックロックバンドとなった感があるが、
今作もベテランらしい充実の完成度。いかにもプログレ的な軽やかなリズムにシンフォニックなシンセとギターが絡み、
そこに重なるフルートの音色はまるでイタリアンプログレのような叙情美を感じさせる。
軽快かつメロディアスで、非常に濃密な作風ながらも、かっちりと合わさったアンサンブルが抜群の一体感となっていて
音に煩さを感じさせないのが見事だ。スペイン語の歌唱が加わると、分厚いサウンドはときにハードシンフォニック的な
重厚さをかもし出しつつも、ピアノによる艶やかな叙情パートでは泣きの哀愁も覗かせる。
これだけ詰め込んでいながらも、全体的にはしっかりとメロディアスで聴きやすく、楽曲のクオリティも含めて
ぱっと出の新人では作れないような貫祿がある。世界基準で見ても傑作といい得る内容だ。
シンフォニック度・・9 プログレ度・・8 濃密度・・10 総合・・8.5
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CAST「Originallis」
メキシコのプログレバンド、キャストの2008年作
ここ数作は、どれもが世界レベルの傑作であり、前作「Com.Union」もじつに素晴らしいアルバムであったが、
今作はなんとCD2枚組の大作。やわらかみのあるシンセが美麗に鳴り響き、たおやかなフルートの音色に
泣きのギター、哀愁溢れるスペイン語の歌唱と女性コーラス。のっけからシンフォニック全開で聴かせつつ、
今作ではジャズロック的な軽やかな展開力も覗かせて、前作にもましてカラフルな趣だ。
しかし、毎度のことながらこのメロディと叙情美へのこだわりはハンパではない。
往年のCAMELGENESISを足して3倍濃縮させたかのような場面の連続に、
思わずにんまりとしつつ、泣きのメロディと哀愁に胸を打たれるのである。またしても大傑作。
メロディアス度・・9 シンフォニック度・・8 哀愁と叙情度・・9 総合・・9
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CAST 「CASTArt」
メキシコのプログレバンド、キャストの2011年作
2004年作以降はそのすべてが必聴の大傑作という、現在世界最高峰のシンフォニックロック。
本作も20分を超える組曲2曲を含む全69分、きらびやかで軽快、叙情的な濃密なサウンドが楽しめる。
ベテランらしい安定した演奏力と、流れるような展開美、メロディのフックとその楽曲センスは、
より自然体になったアンサンブルも含めて、他の追随を許さないレベルにまで到達しつつある。
CAMELばりのメロウなギターフレーズにやわらかなフルートの叙情性、美しいシンセもうるさすぎず、
バランスよく楽曲を彩る。今回は英語による歌詞も、より多くのリスナーに楽しめるだろう。
メロディック度・・9 プログレ度・・8 叙情度・・9 総合・・8.5
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CAST「Arsis」
メキシコのプログレバンド、キャストの2014年作
今作はのっけから8パートに分かれた30分におよぶ組曲で幕を開ける。
クラシカルなテイストも含んだ優雅なシンセと、いくぶんハードなギターが合わさり、
メロウな叙情性とロックの躍動感を、巧みなアレンジ力で昇華したシンフォニックロックを展開。
やわらかなフルートの音色など、ダイナミックな構築美の中にも繊細な美意識を取り入れ、
インストメインでありながらも、起伏のある流れとともにじつに情感豊かに鑑賞できる。
後半は歌入りの9分の曲をはさんで、キャッチーな叙情を聴かせる18分の組曲で締めくくる。
いつもより濃厚さは控えめ、より優雅な感触で、シンフォファンは必聴、文句なしの大傑作。
メロディック度・・9 プログレ度・・8 叙情度・・9 総合・・9

CAST 「Vida」
メキシコのプログレバンド、キャストの2015年作
80年代から活動する大ベテランで、すでにアルバムも20枚近い世界最高のシンフォプログレバンド。
本作も、きらびやかなシンセワークに包まれた壮麗なアレンジに、しっかりとした演奏力とアンサンブルで、
緩急のある展開力に知的なセンスを含ませて、非常にクオリティの高いサウンドが展開される。
プログレらしいシンセワークに加え、ピアノやヴァイオリンなどが鳴り響くクラシカルなテイストも絡ませながら、
ギターはときにメロウなフレーズを奏で、叙情的にそして優雅にメロディックにサウンドを彩っている。
男性ヴォーカルの繊細なハイトーンヴォーカルも雰囲気によくマッチしていて、10分を超える大曲では
後半の盛り上がりが素晴らしい。ラストは18分を超える組曲で泣きの叙情が炸裂する。見事な傑作である。
ドラマティック度・・8 プログレ度・・8 優雅度・・9 総合・・8.5
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CAST 「Power and Outcome」
メキシコのプログレバンド、キャストの2017年作
80年代から活躍するベテランで、近年は出すアルバムがすべて世界最高レベルの大傑作というこのバンド、
本作はおそらく20作目くらいか。ヴァイオリンが鳴り響き、美しいシンセアレンジにメロディックなギターと
スペイン語の歌声を乗せて、適度にハードなモダンさも含んだ、優雅なシンフォニックロックを描き出す。
クラシカルなピアノの旋律に、ヴァイオリンと泣きのギターメロがかぶさった哀愁の叙情に、優美で洗練された空気感は、
スペインのKOTEBELあたりにも通じるかもしれない。手数の多いドラムとともに、プログレらしい起伏のある展開力で、
ハードシンフォニックとしての濃密さも随所に現れる。繊細な美意識と細やかなアレンジが楽曲の質を恐ろしく高めていて、
この美しさとスケール感に対抗できるのは、ロシアのLittle Tragediesくらいだろうか。まさに美麗なる大傑作だ。
シンフォニック度・・9 プログレ度・・8 優美度・・9 総合・・9 
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CAST 「Vigesimus」
メキシコのプログレバンド、キャストの2021年作
1994年にデビュー、この20年ほどは出すアルバムがすべてド傑作という、まさに世界最高クラスのプログレバンド、
本作はおそらく21作目で、ヴァイオリンが鳴り響き、美麗なシンセとギターを重ねた、サグラドを大仰にしたようなイントロからして
もうすでに充分濃密である。クラシカルなピアノにアコースティックギターもまじえた叙情性を織り込みつつ、
テクニカルなリズムと軽妙なアンサンブル、ほどよいハードさと壮麗なシンフォニック性が華麗に行き来する。
今作では、ヴォーカルが英語で歌うこともあって、辺境感も薄まり、ずいぶんと聴きやすくなったという印象。
アルバム後半には10分を超える大曲が並び、ドラマティックな構築力とともに優雅なシンフォプログレが楽しめる。
前作「Power and Outcome」の出来が凄すぎて、あれを超えるのは無理だろうと思っていたが、本作も圧巻の傑作。
シンフォニック度・・9 プログレ度・・8 壮麗度・・9 総合・・9 
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CatuKua「Lomas」
FACTOR BURZACOの女性シンガー、Carolina Restucciaのソロユニット。2013年作
スペイン語のコケティッシュな女性ヴォーカルを乗せた、ポップなアヴァンロックで、
タンゴ風味や南米らしい哀愁を含んだ、わりとメロディックな聴き心地。
アコースティックギターにエキセントリックな歌声を乗せた風変わりなナンバーや
ユルめのサイケ風味のナンバーまで、表現豊かな女性声がサウンドを色彩豊かにしている。
カロリーナ嬢の音楽センスが詰め込まれた、キュートなアヴァンロック作品です。
スリリング度・・8 プログレ度・・7 エキセントリック度・・9 総合・・8

CHANETON「The First Light of the Century」
ブラジルのシンフォバンド、チャネトンのアルバム。2004作
ゆったりめの曲調でたおやかなキーボード、ギターに少々癖のあるヴォーカルと、
典型的なポンプロックで、初期GENESISMARILLIONタイプ
あまりに普通すぎて面白みにかけるが、今どき珍しいくらいのまっとうなポンプサウンドだ。
8分以上の曲が4曲、うち12分の大曲ありと、大作志向のゆるやかシンフォ作。
シンフォニック度・・7 ポンプロック度・・9 楽曲・・7 総合・・7


Cinema Show 「Danca dos Ventos」
ブラジルのプログレバンド、シネマ・ショウの1995年作
バンド名のようにGenesisに影響を受けたとおぼしき、繊細なシンフォニックロック。
うっすらとしたシンセにメロウな泣きのギターがかぶさり、ポルトガル語のヴォーカルともに
やわらかで優美なサウンドを描いてゆく。全体的にもゆったりとした優しい作風であるが、
適度にテクニカルな構築性もあるので、けっこう楽しめる。完成度としてはDOGMAの2ndとまではいないが、
この叙情ギターにはニンマリなのである。全体的にはいくぶん長尺感はあるが、耳心地はよいので好きです。
メロディック度・・8 プログレ度・・8 南米度・・8 総合・・7.5

Chronos Mundi 「Luz & Trevas」
ブラジルのプログレバンド、クロノス・ムンディの1998年作
オルガンを含む美しいシンセにメロウな味わいのギターを乗せ、
軽妙なアンサンブルで聴かせる、王道のシンフォニックロックサウンド。
メリハリのある構築力と、いくぶん唐突ながらドラマティックな展開力で、
10分を超える組曲も、美麗なシンセアレンジとともに優雅な味わいで楽しめる。
やわらかなヴォーカルも加わった南米らしい繊細な耳心地の良さに、
ときにハードシンフォ的な感触も覗かせる。なかなかの力作です。
シンフォニック度・・8 プログレ度・・8 優雅度・・8 総合・・7.5
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CODICE「ALBA Y OCASO」
メキシコのシンフォニックバンド、コーディスの1999年発表の恐らく1st。
サウンドはまさしくシンフォニックの王道。CD2枚組大作。メロディアスなギターにキーボード、意外と歯切れのよいリズム。
キャメルを早くしたような曲や、女性Vo入りの曲、アコースティックギターを聴かせるパートなど
どれもそれなりにセンスがよく、ラテン的叙情を感じさせてくれる。
中米のメキシコという国からここまで洗練されたシンフォッニクグループが現れるとは驚きだ。
メロディアス度・・8 シンフォニック度・・8 壮大度・・9 総合・・7.5


Congreso 「EN VIVO - Montreal, Octubre 1988」
チリのジャズロック、コングレッソのライブ。2019年作
1971年デビューのベテランで、本作はその全盛期というべき、1988年カナダでのライブを収録、
FULANOのベースとシンセ奏者を含む6人編成で、やわらかなピアノにサックスが鳴り響き、
スペイン語によるマイルドなヴォーカルを乗せた、優雅なサウンドを聴かせる。軽やかなアンサンブルに
フルートやマリンバのやわらかな音色も重ね、南米らしいフォルクローレ的でもある哀愁の叙情と
楽し気なジャズが同居した、いわば北欧のサムラにも通じるコミカルなごった煮感が味わえる。
変則リズムを含むほどよくアヴァンギャルドなところでも、軽妙なドラムとベースを土台にした
高い演奏力であくまで優雅な聴き心地である。音質も良好で、バンドの入門用にもどうぞ。
ライブ演奏・・8 プログレ度・・7 優雅度・・9 総合・・8
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CRISALIDA
チリのハードシンフォニック/プログレメタルバンド、クリサリダの2006年作
MATRAZをはじめ、ハードめのシンフォニックバンドの多いこの国だが、
このバンドもDREAM THEATERに影響を受けたとおぼしきメタリックなテイストと
スペイン語の女性ヴォーカルの情熱的な歌唱が特徴的な、クオリティの高いサウンドをやっている。
かなりハードエッジなギターワークは、メタルファンでも普通に楽しめるくらいにテクニカルだし、
きらきらとしたシンセワークもなかなかのもの。曲は3〜6分台で比較的シンプルにまとまっていて聴きやすい。
むしろプログレメタルとしても楽しめるような好作品だ。オフィシャルサイトで試聴可能。
シンフォニック度・・7 メタリック度・・8 女性Vo度・・7 総合・・8
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CRISALIDA「RACO」
チリのハードシンフォニックバンド、クリサリダの2009年作
前作はプログレメタリックなサウンドと女性ヴォーカルの歌声で聴かせるなかなかのアルバムであったが、
本作では、しっとりとしたシンフォニックな楽曲もあって、女性Voのスペイン語の歌唱がより引き立っている。
もちろんハードメタリックなProgMetal要素も残っているが、トータルなバランスを高めてきたという印象だ。
贅沢をいえば、もう少し派手さというか、インパクトのある曲や明快な聴かせどころがあればと思う。
シンフォニック度・・7 メタリック度・・7 女性Vo度・・7 総合・・7.5
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CRISALIDA「Solar」
チリのハードプログレ(メタル)、クリサリダの2012年作
2006年にデビューしてから、本作は3作目となる。メタリックなギターにシンセが重なり、
スペイン語の女性ヴォーカルを乗せた、しっとりとした叙情性が合わさったサウンドで
いわば、メタリックなシンフォニックハードという聴き心地。やや微妙だった前作に比べ、
楽曲におけるダイナミックなスケール感や、女性ヴォーカルの表現力も増していて、
全体的にもぐっとレベルアップしたという印象だ。南米らしい優雅な叙情とメタル寄りの重厚さを同居させた
バランスのよいアレンジで構築された、女性声ハード・シンフォプログレ(メタル)の力作である。
ドラマティック度・・8 重厚度・・8 女性Vo度・・8 総合・・8 
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CRISALIDA 「Terra Ancestral」
チリのプログレメタル、クリサリダの2015年作
2006年にデビューしてから、本作は4作目となる。ツインギターのメタリックなリフと、
うっすらとしたシンセアレンジに、スペイン語の女性ヴォーカルを乗せた重厚なサウンド。
適度にテクニカルな展開力と南米らしい繊細な叙情性も含みつつ、過去のアルバムに比べると
ゴシックメタル的なメランコリックな空気感とモダンなヘヴィネスがずいぶん増している。
スローからミドルテンポのナンバーを主体にしたどっしりとしたアンサンブルで、
女性声による優雅な浮遊感と薄暗い叙情に包まれたサウンドが楽しめる。
ドラマティック度・・7 むしろゴシックメタル度・・8 女性Vo度・・8 総合・・8
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Cronico 「Delirium Room」
メキシコのプログレバンド、クロニコの2007年作
オルガンを含むやわらかなシンセに、変則リズムを含んだ軽妙なアンサンブルと、
スペイン語の女性ヴォーカルを乗せた、優美な聴き心地のシンフォプログレ。
リズムチェンジによるテクニカルな味わいとメロディックな叙情性に包まれて、
女性声入りの美しさは、初期のQUIDAMあたりに通じる雰囲気もある。
8分、9分という大曲も、翳りを帯びた空気感と優雅な構築性でじっくりと楽しめる。なかなかの好作品。
ドラマティック度・・8 プログレ度・・8 優美度・・8 総合・・7.5




DEANGELO SILVA 「HANGOUT」
ブラジルのピアニスト、ディアンジェロ・シルヴァの2020年作
ミナス派の若手ジャズピアニストとして評価されるアーティストで、2作目のソロアルバム。
軽やかなリズムに優美なピアノの旋律を重ね、変拍子を含んだ優雅なテクニカル性で、
オールンインストのフュージョン・ジャズロックを聴かせる。巧みなドラムとベースも実力者で、
ときにフリーキーに弾きならされるピアノとの柔軟なアンサンブルも素晴らしい。
随所にギターも加わっての、ロック寄りの感触も覗かせつつ、あくまで繊細なピアノをメインにした、
耳心地のよい作風である。DAVID SANCIOUSなどのファンにも楽しめるだろう逸品だ。
ジャズロック度・8 プログレ度・7 優雅度・9 総合・8
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Desequilibrios
ブラジルのプログレバンド、デセクイリブリオスの1993年作
南米を代表するシンセ奏者の一人、Fabio Ribeiro(BLEZQI ZATSAZ)が在籍したバンドで、
プログレらしいきらびやかなシンセワークにポルトガル語のヴォーカルを乗せ、
ほどよくテクニカルな展開力で構築する、わりと正統派のシンフォニックロック。
随所にハードエッジなギターも覗かせつつ、南米らしいおおらかな叙情が同居していて、
変則リズムを含んだ展開と、いくぶん怪しくエキセントリックなセンスも面白い。
優美な牧歌性とダイナミックな壮麗さが合わさったシンフォプログレが楽しめる力作。
シンフォニック度・・8 プログレ度・・8 南米度・・8 総合・・7.5
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The Devil's Staircase
スウェーデン&メキシコのプログレユニット、デヴィルズ・ステアケースの2020年作
Anglagardのドラマーで、Necromonkeyなどで活躍するマティアス・オルソンとSonus Umbraのメンバーによるユニットで、
繊細なアコースティックギターから、ハードでメロウなギターの旋律にエフェクトを加えたサックスが鳴り響き、
ときにエレクトロなアレンジも加えた、インストによるハードプログレを聴かせる。マティアス・オルソンのドラムを主体にした
軽やかなアンサンブルに、ときにメロトロンの音色も加わったミステリアスなシンフォ風味も覗かせつつ、
10分を超える大曲を中心に、スタイリッシュなサウンドを構築する。スペイシーなシンセを乗せたナンバーなども
優雅な聴き心地で、エレクトロとアナログの自然な融合がなされている。新感覚のインスト系ハードシンフォの逸品。
ドラマティック度・・7 プログレ度・・8 優雅度・・8 総合・・8
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Dialeto 「The Last Tribe」
ブラジルのプログレ・ジャズロック、ディアレトの2013年作
トリオによるインストバンドで、メロウなギターフレーズを乗せた優雅なアンサンブルで、
随所にツインギターを乗せた適度なヘヴィさも含んだサウンドを聴かせる。
プログレ的な展開はあまりなく、ハードフュージョン寄りのギターインストといった趣で、
テクニカルな面白さもさほどなく、メロディのフックという点でも、やや中途半端な内容。
こういうインスト作品を飽きさせずに聴かせるには大変なセンスと技術が必要なので、
もう少し楽曲の魅力を上げるか、演奏のセンスを磨いていってもらいたい。
メロディック度・・7 プログレ度・・7 楽曲・・6 総合・・6
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DIAPASAO 「Opus I」
ブラジルのプログレバンド、ディアパサオの2006年作
シンセ奏者、ロドリゴ・ラナを中心にしたトリオ編成で、美しいシンセワークと
クラシカルなピアノの旋律を中心にした優雅なインストサウンドを聴かせる。
南米らしいやわらかな叙情と繊細な美意識を描き出す作風で、ロック色が薄い分、
クラシカルでアーティスティックなシリアスさも覗かせた、優美な鍵盤プログレが楽しめる。
クラシカル度・・8 プログレ度・・7 繊細で優雅度・・9 総合・・8
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La Dieta de Worms
アルゼンチンのプログレバンド、ラ・ディエタ・デ・ワームスの1996年作
シンセを含む4人編成で、適度にハードなギターとオルガンを含むシンセに、
スペイン語のヴォーカルを乗せて、キャッチーな優雅さに包まれたサウンド。
メロウなギターフレーズにシンセが重なる爽快なシンフォニック性はよい感じで、
楽曲は3分前後と比較的コンパクト。フォルクローレ的なやわらかな叙情も含んだ耳心地の良さと
アルゼンチンらしい垢抜けないマイナー臭さが同居した、マニア好みの味わいの好作品。
メロディック度・・8 プログレ度・・7 南米度・・8 総合・・7.5


DOGMA「ALBUM」
ブラジルのシンフォニックロックバンド、ドグマの1st。1992作
全編インストながら、ギターの奏でるゆるやかなメロディには親しみ易さがあり、
SEBASTIAN HARDIEの南米盤という言い方もできるかも。やかましくない、ゆったり系の音なので緊張感は薄いが、
優しい系シンフォが好きな方にはお薦め。SAGRADOのマルクス・ヴィアナもヴァイオリンでゲスト参加。
メロディアス度・・8 シンフォニック度・・7 楽曲・・7 総合・・7.5

DOGMA「TWIN SUNRISE」
ブラジルのシンフォニックロックバンド、ドグマの2nd。1995年作
美しいピアノとシンフォニックなシンセ、そこに叙情的なギターワークが合わさって
まるでSAGRADOを思わせるような雄大かつ繊細なサウンドが現れる。
楽曲は主にインスト中心でありながら、この引き込まれるような器の大きさ…
そして絶品のメロディと叙情美。女性ヴォーカルの歌声もいいアクセントになっている。
90年代の南米シンフォを代表する1枚と言っていい内容だろう。
シンフォニック度・・8 叙情度・・9 繊細度・・9 総合・・8.5
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Echoes「Nature Existence」
ヴェネズエラのプログレバンド、エコーズの2010年作
トリプルギターにシンセ入りの6人組で、ヴォーカルパートは全てゲストという面白い編成。
シンフォニックなシンセと厚みのあるギターサウンドで、泣きのメロディを聴かせる楽曲は、
いくぶんメタリックで薄暗い叙情とともに、QuidamSylvanあたりに通じる質感もある。
広がりを感じさせる繊細なシンセワークと、ときにメロウなフレーズを奏でるギターに
耳心地のよいヴォーカルメロディが重なって、重厚なのだがやかましくないのが素晴らしい。
TEMPANOのVoをはじめ、スラッシュメタルバンドANGEL BLEAKのVoなどもゲスト参加している。
メロディアス度・・8 メロウな叙情度・・8 ProgMetal風味も度・・8 総合・・8
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ECLIPSEJumping from Springboards
ブラジルのプログレバンド、エクリプスの2003年作
しっとりとしたフルートの音が響くアコースティカルな繊細さと、PFMのような躍動感のあるアンサンブルで、
優雅に構築されるシンフォニックロック。美しいシンセアレンジやギターのメロウなフレーズも随所によい感じだが、
それらが前に出過ぎることなく、あくまでやわらかな叙情性が耳心地よい。やわらかな女性ヴォーカルの歌声も加わった
優美な叙情性とともに、全体的に南米らしいしっとりとした美しさに包まれた好作品だ。
メロディック度・・8 プログレ度・・8 繊細度・・8 総合・・8
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EGBERTO GISMONTI 「Circense」
ブラジルのミュージシャン、エグベルト・ジスモンチの1980年作
西洋クラシック、ジャズ、プラジル音楽を融合させる天才で、技巧的なギターとピアノが絡む1曲目から
祝祭的な楽しさに包まれつつ、ドラムにサックスが加わって優雅な高速ジャズロックとなる。
ヴァイオリンに絡むパーカッションなど、民族的な温かさを感じさせるところが特徴的で、
クラシックのシンフォニーと陽気なサンバが自然に同居したような味わいがじつに新鮮だ。
巧みなギターのみならず、繊細なピアノ演奏も素晴らしく、ミュージシャンとしての懐の深さは、
同郷の鬼才、パスコアルと並ぶだろう。ジンンル分け不能だが、クラシカルな民族ジャズロックとでもいうしかない傑作である。
クラシカル度・・8 優雅度・・9 繊細度・・9 総合・・8.5
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EIEMEL
アルゼンチンのシンフォニックロック、エイエメルの2019年作
LAQUESISのベーシストのソロプロジェクトで、優美なシンセアレンジに叙情的なギターを重ね
インストをメインにしたシンフォニックロックを聴かせる。スペイン語のヴォーカルを乗せたナンバーは
キャッチーなプログレハード風味だったりして、巧みなベースを聴かせる確かなアンサンブルと、
きらびやかなシンセワークも含めて、ソロというよりは優雅なシンフォプログレとして楽しめる。ジャケのようなダークさはなく、
ゲストによるフルートやアコーディオンなども加わった、やわらかな叙情美も南米らしい。全14曲で72分という力作です。
ドラマティック度・7 プログレ度・7 優雅度・8 総合・8


ELFONIA 「This Sonic Landscape」
メキシコのハードプログレ、エルフォニアの2003年作
のちにSTREAM OF PASSIONに加入する、Marcela Bovio嬢の美しい歌声を乗せ、
適度にテクニカルな展開力と、アンニュイな叙情でゴシック的な薄暗さをもったサウンド。
ときにジャズ的でもある優雅なアンサンブルに、いくぶんエキセントリックなセンスと、スリリングな空気感、
やわらかな浮遊感を同居させたという聴き心地である。なによりもマルセラ嬢の伸びやかな歌声は素晴らしく、
ゴシック寄りのナンバーはThe Gatheringなども思わせる。ラストは3パートに分かれた16分を超える組曲で、
プログレ的な構築センスも光る。美しい女性声ハードシンフォとしても楽しめる好作である。
ドラマティック度・・8 アンニュイ度・・8 女性Vo度・・8 総合・・8
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El Grito Sagrado「Himnos Y Canciones De La Escuela」
アルゼンチンのアーティスト、LITO VITALEが監修した歌曲集。1998年作
2〜4分という小曲主体の作品なのだが、クラシカルなピアノやオーケストレーションを含んだ
シンフォニックなアレンジとスペイン語による朗々としたヴォーカルで聴かせる、
雄大な叙情美が素晴らしい。オペラティックな女性ヴォーカル曲や、曲によってはロック色もあって、
南米的な歌ものメロディックロックとしても楽しめる。クラシカルでシンフォニックな歌曲集です。
シンフォニック度・・8 プログレ度・・6 南米度・・9 総合・・8
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El Reloj
アルゼンチンのハードロック、エル・レロージの1975年作
90年代の作品は正統派メタル的なハードな聴き心地であったが、デビュー作となる本作は
ブリティッシュロックから影響を受けたような、ブルージーでサイケな質感のサウンドである。
オルガンが鳴り響き、スペイン語の歌声を乗せて手数の多いドラムがノリノリのリズムで畳みかけつつ、
南米らしい叙情性も含んだ緩急のついた展開で、ときにプログレ的な素養も匂わせる。
荒削りの勢いの良さもなかなか楽しい。年代を考えれば単なるハードロック以上の濃密な力作である。
ドラマティック度・・7 プログレ度・・7 南米度・・8 総合・・7.5
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ENTRANCE
チリのシンフォニックプログレバンド、エントランスの1st。1999作
2nd「EN LA TIERRA」の好評価があって、その後にリリースされたらしい。
サウンドはひと言で言えば、まさに「ゴリ押し弾き倒し系のシンフォニックロック」
アルゼンチンのNEXUSあたりに通じる音だが、こちらの方が少々粗いかもしれない。
シンフォニックなキーボードや、ときにメタリックでもあるギターなど、なかなかいい感じなのだが、
メロディや曲そのものに突き抜けきらない感じがあって、傑作にはなりきれぬのが残念。
メロディアス度・・7 シンフォニック度・・7 けっこうメタリック度・・8 総合・・7

ENTRANCE 「en la tierra」
チリのシンフォニックロックバンド、エントランスの2nd。2002年作
JAME ROSASの奏でるきらびやかなキーボードワークにけっこうメタリックなギター
そこにスペイン語の歌唱が合わさり、濃いめのハードシンフォニックサウンドを形成。
基本は押しまくりのスタイルだが、メロディには南米らしい歌心が感じられ
そこがやはり欧州のバンドとは異なる質感を生み出している。
組曲形式の大曲が多いが、キレのある演奏と起伏のある構成で聴かせる。
シンフォニック度・・8 プログレ度・・7 南米度・・9 総合・・8

ENTRANCE「ODISEA」
チリのシンフォニックロックバンド、エントランスのライブアルバム。2006年作
2003年メキシコでのライブを収録。スタジオ盤以上に濃密な演奏を聴かせてくれる。
ハードめのギターと手数の多いドラムにはメタリックな質感もあり、
そこに壮麗なキーボードとスペイン語の男ヴォーカルが加わると
「これでもか」という押しの強いハードシンフォサウンドとなる。
たたみかける系のコテコテのシンフォがお好きならぜひ聴きましょう。
シンフォニック度・・8 ライブ演奏・・8 コテコテ濃密度・・9 総合・・8
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ENTRANCE「entre dos mundos」
チリのシンフォニックロックバンド、エントランスの3rd。2008年作
アルバム2枚とライブ作1枚を出してから解散していたと思われていたこのバンドが、
ソロ活動から戻ってきたのか、シンセ奏者のハイメ・ロサスを迎えて復活した。
サウンドの方は、相変わらずのコテコテのハードなシンフォニックプログレが全開。
ハイメ・ロサスのきらびやかな縦横無尽のシンセワークを中心に、ときにProgMetal的なハードさと、
スペイン語の歌声とともに濃密に聴かせる。全体的に優雅さよりも暑苦しさを感じさせるところは
イタリアのバンドにも通じる勢いがあり、この手のハード・シンフォが好きなリスナーなら間違いない。
シンフォニック度・・8 濃密度・・9 南米度・・9 総合・・8
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EQUILIBRIO VITAL「Retorno」
ヴェネズエラのプログレバンド、エクイリブリオ・バイタルの2010年作
フランスのMINIMUM VITAL関連のバンドかと思いきや、まったく別のこちらは南米のバンド。
アコースティックギターにシンセを絡めた南米らしい繊細な質感と、シンフォニックな叙情性で、
シリアスでありつつも音に硬さはなく、美麗なシンセの合間にアコースティカルな素朴さがある。
フルートやサックスなどを自然に取り込んでいる優雅な作風は、PFMなどイタリアのバンドにも通じるか。
楽曲を包む優美な雰囲気と、メロディアスでありつつもべたつかないセンスのよさが光る。かなりの傑作である。
シンフォニック度・・8 叙情度・・8 南米度・・8 総合・・8
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ESPIRITU「V」
アルゼンチンのメロディアスシンフォバンド、エスピリトゥの3rd。1982作
南米らしいやわらかなメロディに、シンフォニックなキーボードが交差する。
全体的にはスペイン語の歌唱を中心とした、落ち着いた感じの小曲でまとめられていて、
さしたるインパクトはないものの、優しい心地よさに包まれるサウンドである。
ややハードでブルージーなギターと繊細な歌メロの対比もいい。
メロディアス度・・8 シンフォニック度・・7 ゆったり度・・8 総合・・7.5


ESTACAO DA LUZ
アルゼンチンのサイケプログレ、エスタカオ・ダ・ラズの2012年作
オルガンやピアノを含んだシンセに、女性ヴォーカルのスペイン語の歌声で聴かせる、
70年代的なおおらかさを感じさせるポップでキャッチーなロックサウンド。
メロディックなギターにプログレ的なムーグシンセの音色も出てきて、
単なる女性声ロックという以上にサイケでプログレ寄りの雰囲気を漂わせている。
スリリングな展開はほとんどないが、のんびりと楽しめる好作品です。
メロディック度・・8 プログレ度・・7 女性Vo度・・7 総合・・7.5
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Estigia 「Profundos Mares」
チリのハードプログレバンド、エスティギアの2005年作
美麗なシンセにハードなギターを重ね、スペイン語のヴォーカルとともにに、
ほどよくテクニカルな展開力で聴かせる、ハードシンフォニックサウンド。
ツーバスのドラムも含めて、ProgMetalとしても聴けるような作風であるが、
きらびやかなシンセアレンジが、南米らしい優美な味わいになっていて、
随処にクサメロを奏でるギターや、スカスカなドラムの音質などがローカルな感触もかもしだす。
楽曲は4〜6分前後が主体なので、長すぎず、クド過ぎずに楽しめる、南米ハードシンフォの好作。
ドラマティック度・・8 プログレ度・・7 南米度・・8 総合・・7


Estigma 「Retrato De Un Sueno」
チリのプログレバンド、エスティグマの2007年作
ヘヴィなギターにフルートが鳴り響き、スペイン語の歌声を乗せた、テクニカルなハード・プログレサウンド。
どことなくイタリアンプログレ的な混沌とした怪しさも覗かせつつ、やわらかで叙情的なフルートの旋律は、
初期クリムゾンを思わせたりもする。シンセ奏者はいないのだが、フルートが活躍するパートが多いので、
ハードエッジなツインギターとのコントラストになっていて、メリハリのあるインストパートを構築。
変拍子を含んだテクニカル性とメロウな叙情が同居した好作品。ProgMetal好きのリスナーにも楽しめるだろう。
ドラマティック度・・7 プログレ度・・8 フルート度・・8 総合・・8
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ESTRUCTURA「mas alla de tu mente」
ヴェネズエラのプログレバンド、エストラクトゥラの1978年作
女性Voに女性Gを含む8人編成でのっけからたたみかけるようなシンセに、神秘的なコーラスが入ってきて
なにやら壮大な雰囲気。33分、28分という大曲2曲の構成もすごいが、中身の濃さも年代と国を考えれば相当すごい。
スペイシーかつクラシカルなシンセワークに、南米らしい情熱的なメロディを奏でるギター、
そこにスパニッシュ美声の女性ヴォーカルが加わると…もうタマりまへん!
ピアノなどによる叙情的なパートでしっとりと聴かせつつも、ボサノバELP(?)風の愉快なパートや、
男Voによるメロウな歌ものパート、クラシカルなキーボードなど、組曲の中でいろいろな側面を見せつける。
曲が長いせいで散漫なところもままあるが、ラストの大団円的な盛り上がりは感動的だ。
ヴェネズエラのみならず、70年代の南米を語る上で異色の傑作として語る価値のある作品だろう。
シンフォニック度・・8 プログレ度・・8 南米度・・8 総合・・8
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Estructura
ヴェネズエラのプログレバンド、エストラクトゥラの1980年作
女性Voに女性Gを含む7人編成で、前作も大変な力作であったが、2作目となる本作は3〜5分前後の小曲が主体で、
やわらかなピアノの音色に、スペイン語による美しい女性ヴォーカルを乗せ、優美なシンフォニックロックを聴かせる。
叙情的なツインギターにムーグやクラヴィネットのプログレらしいシンセが絡み、安定した演奏力とともに、
ときにジャズロック的でもある優雅で躍動感あるアンサンブルを描いている。サウンドのマイナー臭さはほとんどなく、
南米らしい繊細な叙情美には雄大なスケール感すら覚える。インストパートの説得力と魅力的な女性声も素晴らしい。
マイルドな男性ヴォーカル曲もあります。この時期の南米の作品としては、PABLOBACAMARTEにも並ぶレベルだと思う。
ドラマティック度・・8 プログレ度・・8 叙情度・・9 総合・・8.5
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EVOLUTION 「Umbrales」
チリのプログレバンド、エヴォリューションの2006年作
CAMELばりのメロウなギターと美しいシンセアレンジで軽快に聴かせる、
メロディックなプログレフュージョンサウンド。オールインストであるが、
軽妙な聴き心地の中にも、南米らしいやわらかな叙情が耳に優しい。
プログレ的なスリリングさは薄いが、キャッチーなメロディに包まれた好作品だ。
メロディック度・・8 軽妙度・・8 フュージョンプログレ度・・8 総合・・7.5




FACTOR BURZACO
アルゼンチンのチェンバーロック、ファクトル・ブルサコの2007年作
ピアニストのAbel Gilbert率いるユニットで、スペイン語による女性ヴォーカルの美しい歌声に、
やわらかなフルート、オーボエ、ヴァイオリンなどの音色に、ロック的なギターとドラムが加わった、
わりとノリの良いメロディアスなチェンバーロックサウンド。優雅なピアノを含むクラシカルな感触と、
静と動のメリハリある展開で適度にミステリアスな空気感も漂わせつつ、繊細な美しさに包まれた作風で、
アヴァンギャルドではあるがしっかりとロック色もあるので、チェンバー初心者にもとっつきやすいだろう。
反面、室内楽的な味わいはやや薄いので、ダークなチェンバーが好きな方には物足りないかもしれない。
スリリング度・・8 プログレ度・・8 優雅度・・9 総合・・8
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FACTOR BURZACO 「II」
アルゼンチンのチェンバーロック、ファクトル・ブルサコの2011年作
スペイン語によるキュートな女性ヴォーカルを乗せた、エキセントリックなチェンバーロックサウンドは、
前作に比べて、よりミニマムでスタイリッシュな作風へと深化している。やわらかなヴィブラフォンの響きにギターが絡み、
ジャズロック的な軽妙なアンサンブルに、女性声の妖しい表現力も加わって、ダークな空気感が増している。
フルート、クラリネット、サックス、バスーンなどによる室内楽色も含んで、アヴァンギャルドなテイストが先の読めない緊張感となって、
とてもスリリングな聴き心地だ。シアトリカルな語りの入ったナンバーなど、異色の味わいが楽しめる力作だ。
スリリング度・・9 プログレ度・・8 優雅度・・8 総合・・8
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FACTOR BURZACO「III」
アルゼンチンのチェンバーロック、ファクトル・ブルサコの2014年作
3作目となる本作は、サックス、クラリネットの軽やかな音色に、ギター、ベース、ドラムのアンサンブルが合わさった、
中期UNIVERS ZEROにも近づいたような、適度にダークで重さもあるスリリングなチェンバーロックを聴かせる。
カロリーナ嬢のエキセントリックな歌声は、サウンドにキュートな浮遊感を描き、シリアス過ぎない緊張感は、
いよいよ絶妙の域に達している。ヴィブラフォンが鳴り響くミニマムな静けさから、ドラムが加わった即興的なナンバーや
ハードなギターが加わったテクニカルで硬質なナンバー、一転してコミカルなアヴァンロックまで、振り幅の大きさが物凄い。
ラストは14分を超える大曲で、優雅さと激しさ、静と動の起伏に富んだアレンジセンスで、圧巻のチェンバーロックを描き出す。
スリリング度・・9 プログレ度・・8 優雅度・・8 総合・・8
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Ficcion 「Sobre La Cresta De La Ola」
ヴェネズエラのシンフォニックロック、フィシオンの2002年作
軽妙なリズムに美麗なシンセワークで聴かせる、優美なシンフォニックロックで、
インストを主体にしつつ、曲によってはスペイン語のヴォーカルも加わって、
南米らしいやわらかな叙情に包まれる。全体的にはあくまでキーボードが主体で、
ギターレスなので音の厚みという点での物足りなさや、音質的な部分でもマイナー臭さはあるが、
きらびやかなシンセと優雅なアンサンブルで、耳心地よく楽しめる好作と言えるだろう。
シンフォニック度・・8 プログレ度・・7 キーボー度・・8 総合・・7.5
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FLEESH 「WHAT I FOUND」
ブラジルのシンフォニックロック、フレーシュの2017年作
やわらかなシンセに美しい女性ヴォーカルを乗せ、叙情的なギターとともに優美なサウンドを聴かせる。
楽曲は4〜5分前後とわりとコンパクトで、ゆったりとしたなサウンドの中にもキャッチーな味わいがあって、
南米的なマイナー感触はあまり感じさせない。反対にプログレ的な展開力というのもあまりないのだが、
しっとりとした女性声の優雅な魅力とともに、耳心地の良いメロウなフィメールロックとして楽しめる。
美麗なシンセワークとギターの旋律に、ほどよくメランコリックな翳りを含んだ、女性声シンフォの好作です。
優美度・・9 プログレ度・・7 女性Vo度・・8 総合・・8
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Flor de Loto
ペルーのプログレバンド、フロー・デ・ロトの2005年作
やわらかなパンフルートの音色に、適度にハードなギターを重ねた、フォルクローレ風の優雅なサウンド。
シンセ奏者がいないので、プログレ的な要素はさほどないのでが、フルートをメインにした叙情パートと、
ギター入りのハードなノリとのメリハリある構成で、オールインストながらもなかなか楽しめる。
のちの作品に比べると、濃密さの点ではまだ物足りないが、フォルクローレとロックの融合という意味では、
本作の時点でも十分個性は垣間見える。広げると大きなイラストが現れるジャケも素敵です。
ドラマティック度・・7 プログレ度・・7 南米度・・8 総合・・7.5 
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Flor de Loto「Madre Tierra」
ペルーのハードプログレバンド、フロー・デ・ロトの2007年作
牧歌的なサンポーニャの音色に適度にハードなギターを絡ませた、じつに南米らしいプログレサウンド。
フォルクローレなメロディとハードロック的なギターがいい塩梅に中和していて、
なにげにテクニカルな展開力も感じさせるなど、バンドとしての実力を感じさせる。
インスト中心で聴かせる楽曲が多く、吹き鳴らされるフルートにハードめのギターが絡むと、
フォークメタル風味にも聴こえたりして、なかなか面白いのである。濃密な牧歌ハードプログレの力作。
ドラマティック度・・7 プログレ度・・8 南米度・・8 総合・・7.5
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Flor De Loto 「Volver a Nacer」
ペルーのハードプログレバンド、フロー・デ・ロトの2012年作
濃密系ハードプログレとして一部のマニアからはすでに知られる存在で、本作は過去の楽曲のリレコーディング作品。
わりとメタル寄りのハードなギターにフルートが鳴り響き、スペイン語の歌声を乗せた濃厚なサウンドで、
南米らしいやわらかな叙情性を盛り込んだ、フォルクローレ・ハードプログレサウンドでたたみかける。
ドラムもけっこうドカドカと手数が多く、メタル的な要素が前に出すぎるかと思いきや、フルートやサンポーニャの牧歌的な音色に
曲によっては美しい女性ヴォーカルも加わったりして、意外となごめるところもあるというバランス感覚も見事。
あるいはプログレッシブなフォークメタルとしても楽しめたりするかもしれない。濃密なフォルクローレハードの強力作!
ドラマティック度・・8 プログレ度・・7 濃密度・・9 総合・・8 
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Flor de Loto「Imperio De Cristal」
ペルーのハードプログレバンド、フロー・デ・ロトの2012年作
本作がすでに5作目となる。きらびやかシンセとハードエッジなギター、スペイン語の歌声とともに
濃密に聴かせるシンフォニックハードサウンド。ツーバスのドラムも含めてメタリックな感触もありつつ、
随所にフルートやケーナが鳴り響くフォルクローレ風の叙情性などは、やはり南米らしい聴き心地だ。
曲によってはフォークメタル的にも楽しめたりと、案外間口が広く指示させる要素を持っている気もする。
反面、プログレ、シンフォのリスナーにとっては、ドラムなどのハードさがやや耳障りに感じるかもしれない。
ドラマティック度・・8 ハードプログレ度・・8 濃密度・・9 総合・・8



Flor de Loto 「Nuevos Masias」
ペルーのハードプログレバンド、フロー・デ・ロトの2014年作
本作がすでに6作目、前作もじつに濃密なハードプログレであったが、今作ではさらにメタル的感触が強まり、
ハードなギターリフに素朴なケーナの音色が絡み、スペイン語のヴォーカルとともに濃密に聴かせる、
フォルクローレ・メタルというべき感触。一方では、オルガンを含むシンセにピアノ、フルートなどによる
やわらかな叙情性も健在で、いったいメタルにしたいのか、プログレにしたいのかどっちなんだ?と思うほど。
なんというか、ここまでくるとMedina Azaharaあたりにも通じるような、スパニッシュハードな雰囲気もあるし、
しかしやっぱり牧歌的なフォルクローレが基本なんですな。哀愁の叙情に包まれたフォルクレ・ハードの力作!
2枚組のDVDには、本作のメイキングドキュメンタリーやPVなどを収録。
ドラマティック度・・8 フォルクローレ度・・8 叙情度・・8 総合・・8
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FLOR DE LOTO「MEDUSA」
ペルーのハードプログレ、フロール・デ・ロトのライブ。2015年作
2005年にデビュー、ハードエッジなプログレとフォルクローレを融合した濃密な作風で、マニアに人気のこのバンド。
本作は2014年アルゼンチンでのライブを収録したCD+DVD。ハード寄りのツインギターにオルガンを含むシンセと、
ケーナやサンポーニャが鳴り響き、スペイン語のヴォーカルを乗せた濃厚なシンフォニック・ハードロックを聴かせる。
土着的なメロディを含んだ感触はフォークメタル的でもあるが、もっと牧歌的な「フォルクローレロック」というべき、
おおらかな哀愁の叙情を感じさせ、ギターのフレージングには70年代英国HRからの影響も感じられ、
オールドなメタルリスナーでもわりと楽しめるかと。女性ヴォーカルも加わった優雅なナンバーもありつつ、
ラストは10分を超える大曲でドラマティックに締めくくる。全70分、じつに濃密なライブが味わえます。
ライブ演奏・・8 フォルクローレロック度・・9 濃密度・・9 総合・・8 
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FORCELAND 「DRIVEN PACE」
チリのプログレバンド、フォースランドの2020年作
元SUBTERRAのシンセ奏者と、元ENTRANCEのギターを中心にしたバンドで、ほどよくハードなギターに
プログレらしい優美なシンセワークとマイルドなヴォーカルで、叙情的なシンフォプログレを聴かせる
曲調はわりとストレートでプログレハード的であるが、随所にメロウなギターの旋律も覗かせつつ、
ゆったりとした味わいの大人のシンフォニックロックというサウンド。これという新しさはないが安心して楽しめる好作だ。
ドラマティック度・7 プログレ度・7 大人の叙情度・8 総合・7.5

FULANO 「En La Batuta 1993」
チリのジャズロック、フラノのライブ作品。2016年作
80年代から活動するバンドで、本作は1993年に行われた地元サンティアゴでのライブを収録。
シンセに二人のサックス奏者を擁する編成で、ハスキーな女性ヴォーカルのスペイン語の歌声を乗せ、
ダンサブルなノリの良さでたたみかける、ジャズロックサウンド。南米らしい土着的な味わいと、
シンセによるアレンジとクラリネットなどが加わった、ハイテンションなチェンバー風味も随所に覗かせる。
存在感のあるベースにジャズタッチもこなすドラムなど、技量のあるアンサンブルはプログレファン好みで、
フリーキーなサックスにフルートも加わったりと、カラフルなアヴァン・ジャズロックという感触でもある。
即興的でエキセントリックな女性声や、スカやタンゴなどの要素も含んだ、ごった煮感も凄いです。
ライブ演奏・・9 プログレ度・・7 アヴァンジャズ度・・8 総合・・8
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FULANO 「Animal en Extincion」
チリのアヴァン・ジャズロック、フラノの2016年作
CONGRESOのメンバーを中心に1987年にデビュー、1997年までに4枚のアルバムを残すも、2003年にシンセ奏者が死去、
バンドは解散状態となっていたが、ここにきて19年ぶりとなる5作目を発表。「絶滅動物」というタイトルの本作は、
やわらかなフルートにピアノ、サックスを乗せた、優雅なアンサンブルから、リズムチェンジを含むアヴァンギャルドな展開力に
チェンバーロック的でもあるスリリングな空気感をまとわせた、個性的なプログレ・ジャズロックを聴かせてくれる。
スペイン語による女性ヴォーカルも妖しく、そして美しく、ときにMAGMAを聴いているかのようなスケール感にも包まれる。
ザッパをルーツにした軽妙な意外性と、南米らしいやわらかな叙情が合わさった、まさにアヴァン・ジャズロックの力作。
ドラマティック度・・7 プログレ度・・8 優雅で軽妙度・・9 総合・・8
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FULANO「En Vivo En Los Angeles De Chile 2002」
チリのジャズロック、フラノのライブ。2017年作
CONGRESOのメンバーを中心にして、1987年にデビュー、1997年までに4枚のアルバムを残し、
その後、2015年に復活作を発表し解散する。本作は、2002年のチリでのライブを収録。
エレピを含むシンセにサックスが鳴り響き、スペイン語の女性ヴォーカルの歌声を乗せた、
アダルトなジャズ風ナンバーから、フォルクローレ風味の優雅な叙情性も覗かせつつ、ドラムソロなどを含む
フリーキーな演奏もライブならでは。軽妙なテクニックの高度なアンサンブルで、臨場感あるライブ演奏が楽しめる。
なお、本作は、2003年に死去するシンセ奏者ハイメ・ヴィヴァンコの最後のステージ音源でもある。
ライブ演奏・・8 プログレ度・・7 軽妙度・・9 総合・・8 
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GH

GABRIEL AGUDO 「NEW LIFE」
アルゼンチンのミュージシャン、ガブリエル・アグドの2020年作
BAD DREAMSのシンガーで、 In Continuumにも参加するミュージシャン。ソロとしては1作目で、
スティーブ・ロザリー、クライブ・ノーラン、デイヴ・カーズナー、フェルナンド・ペルドモなどがゲスト参加している。
美しいシンセにヴァイオリンが鳴り響き、エモーショナルなヴォーカルを乗せた、壮麗なシンフォニックロックを展開。
アコースティックギターによる繊細な叙情から、ハードなギターやテクニカルなドラムによるスタイリッシュな感触もあり、
キャッチーなメロディのフックとクラシカルな優雅さが同居。メロトロンが鳴り響き、メロウなギターフレーズで
ゆったりと聴かせるシンフォニックロック風味から、牧歌的な歌ものパートまで、南米らしい優美な聴き心地で楽しめる。
ドラマティック度・8 プログレ度・7 優雅度・8 総合・8
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G.A.L.F. 「Spirals of Time」
ブラジルのシンフォニックロック、ガルフの2006年作
のっけから26分におよぶ大曲で、美麗なシンセアレンジにメロディックなギター、
朗々としたヴォーカルを乗せ、QUATERNA REQUIEMやTEMPUS FUGITなどにも通じる、
正統派の南米シンフォニックロックを聴かせる。シンセ奏者はゲストのようだが、
やわらかなピアノやプログレらしいムーグなどを含めて、クラシカルな美意識と
繊細なセンスの良さが光っている。どことなく90年代のバンドのような野暮ったさも、
ある意味で垢抜けない魅力になっていて、南米らしいやわらかな叙情性が楽しめる。
ドラマティック度・・8 プログレ度・・8 南米度・・8 総合・・7.5
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Gerson Werlang 「Memorias Do Tempo」
ブラジルのシンフォニックロック、ガーソン・ワーラングの2008年作
POCOS & NUVENSのギタリストのソロ作品で、アコースティックギターに美しいシンセアレンジを乗せ、
南米らしいやわらかな叙情を描くシンフォニックロック。ポルトガル語による男女ヴォーカルが入ってくると、
フォークロック的な素朴な味わいに包まれ、ときにCAMELを思わせるメロウなギターフレーズや、
優雅なヴァイオリンの音色にマリンバなども加わり、10分を超える大曲をアーティスティックなセンスで構築してゆく。
プログレらしいメリハリあるダイナミックな展開力とアコースティックな叙情を同居させたシンフォニックロックの力作です。
ドラマティック度・・8 プログレ度・・8 南米度・・8 総合・・8
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Grandbell 「The Sun and the Embryo」
ブラジルのシンフォニックロック、グランドベルの1996年作
アコースティックギターにフルートの音色が重なる牧歌的な叙情性にオルガンが鳴り響く
やわらかなシンフォプログレサウンド。裏声を使ったマイルドな男性ヴォーカルの歌声も含めて、
Yesなどに通じるキャッチーな聴き心地。同じくYesタイプのアメリカのREALMなども想起する雰囲気だが、
メロディのフックや演奏力も含めてこちらの方がずっと質は高い。8分以上の大曲も多いが、
繊細な構築力でじっくりと楽しめる。90年代のイエス系シンフォ作品としてはかなり出来の良い作品ですな。
メロディック度・・8 プログレ度・・8 Yes風度・・8 総合・・8


Habitat 「Baul Repleto de Sugerencias」
アルゼンチンのシンフォニックロック、ハビタットの2001年作
やわらかなシンセにスペイン語のマイルドなヴォーカルを乗せ、南米らしいやわらかな叙情に包まれたシンフォニックロック。
クラシカルギター、12弦ギターのつまびきに、たおやかなピアノが重なる、アコースティカルな繊細さが耳に心地よい。
ギターやドラムはゲストなので、あくまで歌とシンセがメインながら、美しいシンセと優しげなヴォーカルにうっとりと聴き入れる。
途中で入るインタビュー音源は正直余計だが、自主制作らしい素朴で暖かみのある好作品である。
シンフォニック度・・7 プログレ度・・7 繊細度・・8 総合・・7.5
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Haddad 「Ars Longa Vita Brevis」
ブラジルのプログレバンド、ハダッドの2004年作
シンセとギターのHaddad兄弟を中心に、1993年にデビュー、本作は6作目となる。きらびやかなシンセワークに
叙情的なギターを重ね、母国語によるマイルドなヴォーカルとともに、優美なシンフォニックロック聴かせる。
クラシカルなピアノに優雅なサックスが鳴り響き、耳心地の良いシンフォプログレ・サウンドを描きつつ、
アコースティックな小曲など、素朴な味わいも覗かせる。メロウなギターの旋律とおおらかな歌メロで、
ゆったりとした叙情に包まれて、壮大過ぎない分のんびりと鑑賞できる。南米らしいシンフォプログレの好作だ。
ドラマティック度・7 プログレ度・7 優雅度・8 総合・7.5
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HADDAD 「EROS & THANATOS」
ブラジルのプログレバンド、ハダッドの2009年作
1993年にデビュー、7作目となる本作は、2枚組の大作で、クラシカルなピアノと優美なシンセワークに
ポルトガル語によるジェントルなヴォーカルを乗せた、南米らしいやわらかな叙情美のシンフォニックロック。
繊細なフルートや艶やかなヴァイオリンの音色に、メロウなギターの旋律が重なりつつ、ときに緩急ある展開力で
シアトリカルなドラマ性を描いてゆく。クラシカルなシンフォプログレとしては、QUATERNA REQUIEMなどに通じる感じもある。
Disc2ラストは12分の大曲で、物語的な語りやSEを含みつつ、じわじわとあくまで優雅に盛り上げる。
シンフォニック度・8 プログレ度・7 優美度・9 総合・8
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Habitat「Tratando De Respirar en la Furia」
アルゼンチンのプログレバンド、ハビタットの2010年作
ヴォーカル&ギター&ベース&シンセとドラムの2人組ユニットで、
古き良き牧歌性を含んだメロディアスなシンフォニックロックスタイル。
やわらかなフルートの音色が入ってくると、どこか90年代的なマイナー系シンフォバンドの
雰囲気に包まれる感じで、そのメロウな聴き心地にうっとりとなる。オルガンの音色にスペイン語の歌声が重なると、
オールドなイタリアンプログレに通じる感触で思わずにやにや。一方ではスパニッシュな哀愁を含んだ小曲や
ラストの大曲ではバグパイプも出てきたりと、いささかとりとめがないが、プログレらしいプログレ好きにはかなり楽しめるだろう。
メロディック度・・8 プログレ度・・8 古き良き度・・8 総合・・7.5

Hamacas Al Rio
アルゼンチンのフォークロック、ハマカス・アル・リオの2004年作
うっすらとした幻想的なシンセワークとアコースティカルな繊細な叙情、
そして女性ヴォーカルのスペイン語の歌声が優しく合わさったサウンドは、
ゆったりとした優美な耳心地。たおやかなフルートの音色やメロトロン的なシンセが混じると、
プログレリスナーにも楽しめるような雰囲気になる。この女性声の魅力もあいまって、
英国フォークのドリィミーさを南米的に叙情豊かに仕上げたというような好作品になっている。

叙情度・・9 繊細度・・8 女性Vo度・・8 総合・・8
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Hamacas al Rio 「Mitad de Junio」
アルゼンチンのフォークロック、ハマカス・アル・リオの2006年作
アコースティックギターの響きにフルートの音色が重なり、スペイン語の女性ヴォーカルを乗せた、
南米らしい繊細な叙情のフォークロックサウンド。オーケストラルなアレンジを含んだ楽曲は
シンフォニックロックとしても楽しめ、やわらかなエレピなどシンセのセンスもなかなか絶妙で、
しっとりとした女性声をよく引き立てている。全体的にメロウな叙情に包まれた雰囲気なのだが、
薄暗さというよりも木漏れ日をイメージするような優しい感触なのは、南米のバンドならではだろう。
ドラムを含めたアンサンブルもプログレリスナー受けする力量がある。まどろむように楽しめる好作だ。
メロディック度・・8 南米度・・8 女性Vo度・・8 総合・・8
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Hamacas Al Rio 「Al Final, El Parque」
アルゼンチンのフォークロック、ハマカス・アル・リオの2010年作
2004年にデビューし、本作は3作目。アコースティックを含むギターにオルガンやエレピ、
そしてしっとりとした女性ヴォーカルのスペイン語の歌声を乗せた、優美なサウンド。
ウェットでやわらかな聴き心地ながら、南米らしいおおらかな味わいに包まれていて、
爽やかなシンフォニックポップ的にも楽しめる。楽曲は3〜4分前後と比較的シンプルだが、
アコースティカルな素朴さから、ストリングスによる優雅なアレンジまでセンスが良く、
美しい女性声とともに、ほのぼのとしたドリーミーな叙情に浸れる逸品です。
プログレ度・・7 優美度・・8 女性Vo度・・8 総合・・8
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HERMETO PASCOAL 「SLAVES MASS」
ブラジルの鬼才、エルメート・パスコアルの1977年作
アメリカで録音された、パスコアルの代表作で、チェスター・トンプソン、アルフォンソ・ジヨンソン、ロン・カーターといった
実力あるメンバーが参加。やわらかなエレビにフルートを乗せた、優雅なフュージョン・ジャズロックサウンドから、
しだいにフリーキーなインプロへと変化し、テクニカルなアンサンブルの中に民族的な雰囲気をかもしだしつつ、
豚の鳴き声までも音楽に取り入れるという、その自然派のごった煮感は、まさに天衣無縫の音楽家。
奔放なピアノソロ曲や、フリーなサックスを吹き鳴らすジャム的なナンバーまで、型にはまらない演奏で、
自由な感性の民族ジャズが楽しめる。ボーナストラック扱いの、2曲で30分に及ぶ、スタジオジャムセッション音源も圧巻です。
ジャズ度・・8 優雅度・・8 フリー度・・9 総合・・8.5
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Hyacintus 「Elydian」
アルゼンチンのプログレバンド、ヒヤシンスの2002年作
哀愁漂うギターメロディに美しいシンセアレンジで、叙情的に聴かせるサウンド。
打ち込みのドラムやラウドな音質などがいかにもアマチュア臭いのだが、
クラシカルな繊細さとコンセプト的な流れを感じさせるドラマティックな雰囲気があり
オールインストながらも、管弦楽器を含んだアレンジとともに壮大な世界観を描いている。
ただ惜しむらくは、この雄大なビジョンに演奏やアレンジ面が追い付いていない気がする。
ドラマティック度・・8 プログレ度・・7 壮大度・・8 総合・・7.5
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Hyacintus 「Fantasia en Concerto」
アルゼンチンのシンフォニックロック、ヒヤシンスの2003年作
マルチプレイヤーのJacinto Miguel Corralによるプロジェクトで、2002年にデビュー、本作が2作目。
オーケストラルなシンセワークにギターを重ね、南米らしい哀愁を帯びた叙情性に包まれた、
インスト主体のシンフォニックロックを聴かせる。小曲を挟んだ流れのある構成とともに
ロックというよりはむしろシンフォニーを鑑賞しているような気品に包まれた世界観。
軽めのドラムも含めて、ダイナミックさの点ではやや物足りなさはあるが、
南米版エニドというような優美でクラシカルなサウンドが楽しめる好作品だ。
クラシカル度・・8 プログレ度・・7 優美度・・8 総合・・7.5
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HYACINTUS 「4th Universe」
アルゼンチンのシンフォニックロック、ヒヤシンスの2015年作
聴くのは2002年作以来となる。マルチミュージシャン、Jacinto Miguel Corralによるプロジェクトで、
シンフォニックなイントロで幕を開け、オルガンが鳴り響き適度にハードなギターを乗せた、
70年代を思わせる古き良きアンサンブルに、ストリングスによるアレンジを加え、
スペイン語のヴォーカルとともに濃密なサウンドを描き出す。随所にアコースティックな哀愁の叙情を覗かせつつ、
泣きのギターがここぞと盛り上げる大仰さも含めて、南米らしいシンフォニックロックの味わいも十分だ。
いくぶんこもり気味の録音などがいかにも自主制作らしいのが惜しいが、壮大な力作です。
ドラマティック度・・8 プログレ度・・7 南米度・・8 総合・・7.5
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I

ICONOCLASTA「Soliloquio」
メキシコのプログレバンド、イコノクラスタの1986/1987年作
1983年にデビュー、本作は1986年のミニアルバムと、1987年の3作目をカップリングしたCD再発盤。
アコースティックギターによる牧歌的なイントロから、ハードめのギターときらびやかなシンセが加わり、
ドカドカとしたツーバスドラムとともにラテン系らしい愉快なノリのシンフォニックロックが広がってゆく。
1987年作の方は、美しいシンセアレンジと女性ヴォーカルも加わって、優雅なスケール感に包まれる。
イタリアのバンドにも通じる情熱的な空気と、南米的でもある優美な叙情が合わさった濃密な聴き心地で、
15分の大曲も含めて、まさにコテコテ系シンフォの極地。チリのENTRANCEあたりが好きな方にもお薦めです。
メロディック度・・8 プログレ度・・7 濃密度・・9 総合・・7.5
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Iconoclasta 「En Busca Sentido」
メキシコのプログレバンド、イコノクラスタの1989年作
1983年にデビュー、本作は5作目。きらびやかなシンセにいくぶんハードなギターを重ね、
ツーバスの軽快なドラムとともに聴かせる、コテコテのシンフォニックロックは本作も変わらず。
ほぼオールインストなので、ギターとシンセのメロディが弱いと、なかなか盛り上がらないし、
ドタドタとしたドラムの軽めの録音も、B級臭さをかもしだしている。馬鹿そうなジャケもどうなの。
メロディック度・・7 プログレ度・・7 コテコテ度・・8 総合・・7
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ICONOCLASTA「En Concierto」
メキシコのプログレバンド、イコノクラスタのライブ作。1990年作
ツインギターにシンセを含む編成で、メタル寄りのドカドカとしたドラムにギターとシンセを重ねた、
ハードシンフォニックサウンドは、スタジオ盤以上に勢いがあって、プログレメタルのリスナーにも楽しめそう。
手数の多いドラムのテクニックもなかなかのもので、オールインストながらも厚みのあるアンサンブルと、
熱い演奏で起伏に富んだサウンドが楽しめる。大曲はないものの、インストなので中だるみせずによいですね。
ハードシンフォ度・・9 ライブ演奏・・8 濃密度・・9 総合・・8

Iconoclasta「Resurreccion
メキシコのプログレバンド、イコノクラスタの2009年作
80年代から活動するベテランで、本作を知った時まだやっていたのかと驚いたが、サウンドの方はずいぶん変化している。
かつては濃密なメロディでバタ臭く聴かせるインストメインのシンフォニックロックだったと思うが、
本作では女性ヴォーカルが入っていて、ときにジャズロック風味もまじえたような雰囲気もある。
美しいシンセアレンジに、軽めのドラムと微妙にダサいギターのメロディなどはかつてのままだが、
スペイン語による女性ヴォーカルのヘタウマの歌声のおかげで、どことなく哀愁の叙情を感じさせる、
よくいえば牧歌的な感じ。もちろんB級シンフォニックの範疇に入る音なのだが、嫌いにはなれない愛らしさをもった作品だ。
メロディック度・・7 プログレ度・・7 ヘタウマ度・・8 総合・・7.5
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INVISIBLE 「Durazno Sangrando」
アルゼンチンのメロディックロック、インビジブルの1975年作
ルイス・アルベルト・スピネッタ率いるバンドの2作目。ギター、ベース、ドラムのトリオ編成を基本にした
テクニカルなアンサンブルに、スペイン語のヴォーカルを乗せた、やわらかな叙情を聴かせるサウンド。
のっけから15分の大曲で、ジャズロック的な優雅さと、適度にエキセントリックなプログレ要素が合わさって、
代表作とされる3作目に比べると、よりアンサンブリーなロック感が強い分、プログレファン受けするだろう。
大人の哀愁を含んだスピネッタのメロウなギターワークも随所に光っていて、アコースティックな小曲なども、
じつに南米らしい繊細な味わいだ。後半の10分高い大曲も、耳心地の良さとプログレ的な展開美が素晴らしい。
ドラマティック度・・7 プログレ度・・8 南米度・・8 総合・・8
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INVISIBLE「El Jardin de Los Presentes」
アルゼンチンのメロディックロック、インビジブルの1976年作
名うてのギタリスト、ルイス・アルベルト・スピネッタ率いるバンドで、ALASのKey奏者も参加している。
うっすらとしたシンセと、アコースティカルなギターワークをバックに、伸びやかな歌声で聴かせる
繊細でマイルドなサウンド。一聴してのインパクトは薄いものの、じわじわとくる叙情には温かみがある。
ブルージーなロック色のあるナンバーは、プログレファンからするとやや外れるかもしれないが
南米ロックという大枠でとらえて聴けば、じつに味わいのある好作品だ。
メロディアス度・・8 プログレ度・・7 南米度・・9 総合・・8
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Ismo De Las Fauces
アルゼンチンのプログレバンド、イスモ・デ・ラス・ファウセスの2015年作
VADE RETROのシンセ奏者によるバンドで、エレピやムーグを含むやわらかなシンセに、
スペイン語のヴォーカルを乗せ、ゆったりとした優雅で繊細な叙情を聴かせるサウンド。
古き良きロック感触のギターも加わって、ジャズやタンゴの要素も感じさせる大人のセンスに
南米らしいおおらかな味わいと、優しい哀愁の空気に包まれた耳心地の良さが光る。
全体的に派手な展開というものはないのだが、じっくりと鑑賞できる好作品です。
メロディック度・・8 プログレ度・・7 南米度・・8 総合・・8
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iX「Ora Pro Nobis」
ヴェネズエラのプログレユニット、iXの2006年作
TEMPANOのシンセ奏者を中心としたユニットで、こちらはシンフォニックというよりは、
どこかシアトリカルな雰囲気で、アヴァンギャルドなつかみどころのなさも感じさせる。
楽曲はシンセ中心なので曲によってはロック色は薄く、気の短い方には退屈かもしれないが、
随所にしっとりとした叙情的なパートもあり、スペイン語の女性ヴォーカルも加わると、
なかなか優美な聴き心地になる。アーティスティックな世界観は決して悪くないのだが、
これという盛り上がりがないので、最後まで淡々として終わってしまうのが残念。
ドラマティック度・・7 プログレ度・・7 シアトリカル度・・8 総合・・7




Jacara「Cien Volando」
アルゼンチンのフォルクローレバンド、ヤカラの2012年作
牧歌的なチャランゴの音色に、女性ヴォーカルのやわらかなスペイン語の歌声を乗せた
素朴なフォルクローレサウンドに、やわらかなピアノのつまびきが入るとジャズ風味の優雅さも現れる。
アコースティカルな繊細さとスタイリッシュな軽妙さを同居させたセンスと演奏力の高さは、
チェンンバー風味のフォルクローレとしても楽しめる。お洒落なカフェで聴きたいような優雅な作品。
アコースティカル度・・9 プログレ度・・7 女性Vo度・・8 総合・・8


Jaen Kief「Las Hadas No Vuelan Mas/I.Vagas Nubes」
コロンビアのシンフォニックロックバンド、ジェーン・キーフの2003作
男女ヴォーカルにフルート、サックス奏者を含む8人組で、美しいシンセに泣きのギター、
アコースティカルな風味もまじえたシンフォニックロックをやっている。
女性Voの歌声にやわらかなフルートの音色がしっとりと耳に優しく、
南米のマイナー系特有のやぼったさもあって、その垢抜けなさもまた微笑ましい。
楽曲としてはこれだという盛り上がりやインパクトに欠けるのが惜しいが、
ゆったりと聴けるやわらか系シンフォニックロックとしてはなかなか楽しめる。
シンフォニック度・・7 しっとり度・・8 やわらか度・・9 総合・・7.5
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Jaen Kief「Las Hadas No Vuelan Mas/U Elagua de frente
コロンビアのシンフォニックロックバンド、ジェーン・キーフの2008作
いかにも南米的なやわらかなメロディで聴かせるマイナー系シンフォというサウンドだった
その前作の続編となるアルバムで、本作もしっとりとしたシンセに女性ヴォーカル
フルートなどが合わさり、繊細な叙情シンフォニックロックを聴かせる。
男女ヴォーカルのスペイン語の歌唱にはやややぼったさは感じるものの、
アコースティカルな要素も含めて、大曲の中でのダイナミックな緩急も活かされていて、
前作以上に雄大な雰囲気を感じさせる。南米シンフォニックの力作である。
メロディアス度・・8 プログレ度・・8 南米度・・8 総合・・7.5



JAIME ROSAS 「VIRGO」
チリのシンセ奏者、ハイメ・ロサスのソロ。2003年作
チリのシンフォニックロックバンド、ENTRANCEのKey奏者でもあるミュージシャン。
サウンドは打ち込みリズムとオーケストレイションによる、いわゆる「一人シンフォニックプログレ」。
組曲、大曲を中心とした四部構成で、音色の使い方や、ドラマティックなメロディのフックには
日本の桜庭統あたりを感じさせるものもあり、リズムが打ち込みということもあってか、
どこかゲームミュージック的な感触もある。綺麗なシンセの音色は現代的シンフォ音像で、
この手のキーボードプログレ好きにとっては美味しい作品には違いない。
シンフォニック度・・8 ドラマティック度・・8 キーボー度・・9 総合・・8
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JAIME ROSAS TRIO 「EXTREMOS」
チリのミュージシャン、ハイメ・ロサス率いるユニットの2004年作
ENTRANCEのシンセ奏者で、ソロ2作目の本作はバンド編成になり、打ち込みではない生ドラムが加わると
いかにもプログレという音になって嬉しい。キーボードトリオといっても、随所にギターも入ったり、EL&Pタイプというよりは、
常にメロディを意識しているという点では日本の桜庭統の作品などにも通じる感触がある。繊細なタッチのピアノなど、
メロディには南米らしいやわらかみが感じられ、手数の多いドラムもなかなかのテクニックだ。
後半にはスペイン語のヴォーカル入りの曲もあり、ラストの15分の大曲はエントランスばりのシンフォニックロックが炸裂。
ちなみに、次作では一人メンバーが増えてJAME ROSAS CUARTETOになる(笑)
メロディアス度・・8 プログレ度・・8 キーボー度・・8 総合・・8
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JAIME ROSAS CUARTETO「CRECIENDO」
チリのシンセ奏者、ハイメ・ロサス率いるユニットの2005年作
ENTRANCEのシンセ奏者である彼だが、ソロ3作目となる本作では、ギター、ベース、ドラムを含む4人編成となり、
ますます濃密なシンフォプログレを聴かせてくれる。厚みを増した演奏とともにロックとしての躍動感も加わって、
オルガンやムーグを含むクラシカルなシンセワークが冴えわたる。桜庭統にも通じるきらびやかな鍵盤さばきに、
ほどよくハードなギター、スペイン語のヴォーカルも重なって、ヴィンテージなシンフォニックロックに
南米らしい哀愁の叙情も加えたという、濃密なキーボードプログレが楽しめる傑作。
シンフォニック度・・8 プログレ度・・9 キーボー度・・9 総合・・8
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Jaime Rosas Cuarteto「Viajetos Astral-Live In Brazil」
チリのシンセ奏者、ヘイメ・ロサスによるユニットのライブアルバム。2008作
ENTRNCEのシンセ奏者でもあり、ソロ作としてもこれまでに3作を発表している。
その濃密なキーボードシンフォニックサウンドは、南米のPar Lindhといってもいい。
これは2005年ブラジルでのステージを収録したライブアルバムで、
ソロ作からの曲をはじめ、ENTRNCEの曲などもギター入りの四人編成で演奏している。
ELP桜庭統かというクラシカルなフレーズでキーボード、ハモンドオルガンを掻き鳴らし、
手数の多いドラムとともに熱い演奏でたたみかける。これが南米鍵盤シンフォの最高峰だ。
シンフォニック度・・8 キーボー度・・8 ライブ演奏・・8 総合・・8
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Jaime Scalpello「El Rugido De Los Dioses」
チリのシンフォニックロック、ヘイメ・スカルペロの2008年作
ENTRANCEのヴォーカルのソロ名義の作品で、ENTRANCEのドラムに、SUBTERRAのシンセ奏者、
JAIME ROSAS CUARTETO
のギターが参加したいわばチリのシンフォニックシーンのスーパーバンド。
クラシカルなシンセワークにメロウなギター、スペイン語の歌唱で聴かせる濃密な作風は、やはりENTRANCEに通じるもので、
いかにも南米的だ。どこかべったりとしたリズムと、ハードエッジなシンフォニックサウンドが、こってりしていてクドいのだが、
ギターとドラムの入らないシンセメインの曲はしっとりと優美に響く。チリのパワーを感じさせるシンフォニック力作。
シンフォニック度・・8 濃密度・・8 南米度・・9 総合・・7.5
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Jinetes Negros
アルゼンチンのシンフォニックロック、ジネテス・ネグロスの2000年作
シンセ奏者のオクタヴィオ・スタンパリア氏を中心にしたバンドで、
SAGRADOあたりに通じる雄大な美しさと、スペイン語の歌声で濃密にたたみかける
ハードな感触も含んだシンフォニックロックサウンド。壮麗なコーラスで盛り上げつつ
フルートやヴァイオリンも加わった優雅さもあって、クラシカルなやわらかさと軽快さが同居した
じつに南米らしい聴き心地だ。オペラティックな女性ヴォーカルで聴かせる曲も美しい。
シンフォニック度・・8 濃密度・・8 南米度・・9 総合・・7.5



Jinetes Negros「Chronos」
アルゼンチンのシンフォニックロック、ジネテス・ネグロスの2nd。2001年作
オーケストラルなシンセアレンジと、ハードエッジな感触のギターに、スペイン語のヴォーカルを乗せた、
ハードシンフォニックロック・サウンド。随所にクサめの泣きメロを奏でるギターが、ひと昔前のシンフォのようで
いくぷんのやぼったさもあるのだが、そこも含めて南米らしい味わいとなっている。
シンフォニック度・・8 プログレ度・・8 南米度・・8 総合・・7.5





Jinetes Negros「Omniem」
アルゼンチンのシンフォニックロックバンド、ジネテス・ネグロスの3rd。2007年作
1曲めからRICK WAKEMANのようなクラシカルなシンセが鳴り響き、スペイン語の歌が入ってくると、
とたんに南米テイストの音に早変わり。ベースがブイブイのフュージョンロック的なテイストも入ってきたり、
王道シンフォニックのキーボードに、曲によってはフルート、ストリングスなども加わって、
なかなか派手やかなのだが、曲は長すぎず4、5分にまとめられているのもポイント。
濃密でありながらもさらりと聴けるあたりはRUMBLIN' ORCHESTRAにも通じるか。
そして、南米らしい繊細な叙情もしっかりとある。これはなかなか質の高い作品だ。
シンフォニック度・・8 プログレ度・・8 南米度・・8 総合・・8
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Jinetes Negros 「Tawa Sarira」
アルゼンチンのシンフォニックロック、ジネテス・ネグロスの2013年作
シンセ奏者、オクタヴィオ・スタンパリアを中心にしたバンドで、前作は派手やかな傑作だったが、
本作ではやわらかなスペイン語の歌声に、ストリングスやフルートも入った優雅なアレンジと、
牧歌的な叙情も含んだ聴き心地。プログレ的なムーグシンセを鳴らしつつ、オーケストラルな華麗さもありつつ
一方では南米的な民族風味の旋律も取り入れていて、いわば土着的なキャッチーさという雰囲気を描いている。
ときにハードめのギターも入ったりして、濃密と素朴の狭間を行き交うメリハリのあるサウンドが楽しめる力作。
メロディック度・・8 プログレ度・・8 叙情度・・8 総合・・8




JOSE LUIS FERNANDEZ LEDESMA Q.「SOLCENTRAL」
メキシコのアーティスト、ホセ・ルイス・フェルナンデス・レデスマの2000年作
ヴォーカルとパーカッションもこなす、Margarita Botello嬢とのユニットらしい。
これまでに聴いた彼の作品のようなたおやかなシンフォニックではなく、
チェンバーロック色もあるアヴァンギャルドに展開する異色のサウンドだ。
35分におよぶ組曲は、エレクトロ的なシンセにエフェクトのかかった女性声と、
パーカッションにオーボエ、男性コーラスなどが重なる、混沌とした雰囲気。
クラシカルなシリアスさを垣間見せながら、ミステリアスな薄暗さで聴かせる作品だ。
クラシカル度・・7 チェンバー度・・8 アヴァンギャル度・・8 総合・・7

Jose Luis Fernandez Ledesma「Dicen que somos dioses y nos sonamos hombres」
NIRGAL VALLIS のメンバーでもある、ホセ・ルイス・フェルナンデス・レデスマの2001年作
ジャケはなんだか怪しいが、おそらく物語的なコンセプトがあるのだろう、シンセとギターをメインにした美麗なシンフォ作で、
ときどき女性ヴォーカルも入る。艶やかなピアノやヴァイオリンなども美しく、クラシカルで幻想的なサウンドは
録音面の安っぽさを差し引いても、うっとりと聴き入れるような世界観がある。ときおり入るケルト風味なども
独特の優雅さと土着性をサウンドに付加していて、メキシコというとCASTICONOCLASTAなど、
コテコテ系のイメージがあるが、この作品はヨーロピアンな繊細さをともなった美意識に溢れていてとても耳に優しい。
シンフォニック度・・8 しっとり繊細度・・8 サウン度・・7 総合・・8

Jose Luis Fernandez LedesmaDesignios
メキシコのアーティスト、ホセ・ルイス・フェルナンデス・レデスマの2002年作
90年代初頭から活動し、NIRGAL VALLISを含め多くの作品に参加するアーティスト。
本作は、たおやかなフルート、アコースティックギターの音色に、美しい女性ヴォーカルが歌を乗せる、
しっとりとした優雅なシンフォニックロック。クラシカルな美意識と、ゆるやかな自然を感じさせる静寂感に包まれながら、
ここぞという所では美麗なキーボードで盛り上げる。スパニッシュ系の民族色も取り入れた、やわらかみのある好作だ。
シンフォニック度・・7 アコースティカル度・・8 やわらか度・9 総合・・8
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Jose Luis Fernandez Ledesma「Hibridos」
NIRGAL VALLISのkey奏者であるホセ・ルイス・フェルナンデスの2007年作
女性Vo、Margarita Botelloのデュオ・ユニットで、これが何作目なのかは不明だが、
2002年のDesigniosはクラシカルかつアコースティカルな見事なシンフォ作品だった。
本作でのサウンドは民族的なパーカッションのリズムにサンポーニャ、フルートなどの音色、
女性スキャットを乗せた、アヴァンギャルドなチェンバーロックといった雰囲気。
アコーディオンやサックス、ヴァイオリンなどが奔放に加わり、ときにジャーマンロック的な
シンセサウンドとともにミステリアスなイメージを描き出している。
クラシカル度・・7 プログレ度・・7 アヴァンギャル度・・8 総合・・7
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Jose Luis Santander 「Leprechaun」
チリのミュージシャン、ホセ・ルイス・サンタンダーの2008年作
SUBTERRAのギタリストでもある人物だが、このソロ名義の作品では
テクニカルな感触のハードなフュージョンロックという作風である。
変則リズムを含んだツーバスのドラムの上に、硬質感のあるギターフレーズと
モダンなシンセが重なり、PLANET X的なメタリックなフュージョンプログレを聴かせる。
全体的に高品質な仕上がりながら、これ系の他バンドを上回る魅力というものは薄いか。
メロディック度・・7 テクニカル度・・8 ハードフュージョン度・・8 総合・・7.5




JOSE MARIA BLANC 「LA HERENCIA DE PABLO」
アルゼンチンのミュージシャン、ホセ・マリア・ブランの2018年作
「パブロの遺産」というタイトル通り、パブロ・エル・エンテラドールのヴォーカリストによる後継作品。
1983年の1st、1998年の「2」どちらもが南米シンフォニックロックの傑作として名高いが、
本作もそれを受け継いだもので、やわらかなシンセにメロウなギターを乗せて、
南米らしい叙情豊かなサウンドを聴かせる。スペイン語のヴォーカルを乗せた優美な味わいは、
かつてのパプロにいくぶん大人の哀愁を加えた感触で、派手さはないがじっくりと聴き入れる好作品です。
ドラマティック度・・7 プログレ度・・7 叙情と哀愁度・・9 総合・・8
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JUAN CARLOS BAGLIETTO/LITO VITALE 「MAS DE LO MISMO」
アルゼンチンのミュージシャン、ファン・カルロス・バグリエットとリト・ヴィターレのライブ作品。2011年作
MIAのシンセ奏者として知られる、リト・ヴィターレの優美なピアノ、キーボードに、
ベテランSSW、バグリエットによる伸びやかな歌声で聴かせる、クラシカルな歌ものサウンド。
スペイン語による情熱的な歌声は、その豊かな表現力とともに、じわじわと感動的に盛り上げる。
後半は、ギター、ベース、ドラムを加えてのバンド編成で、優雅なアンサンブルを描きつつ、
ヴィターレのシンセワークもときにクラシカルにときにシンフォニックにと、じつに美しい。
素晴らしい歌い手とともに、南米らしい叙情的なサウンドが満喫できるライブ作品です。
クラシカル度・・8 プログレ度・・7 優美度・・9 総合・・8
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Kaizen 「Gargula」
ブラジルのシンフォニックロック、カイゼンの1994年作
元QUATERNA REQUIEMのヴァイオリン奏者を中心にしたバンドで、
美しいシンセアレンジにヴァイオリンが絡む、優美なシンフォニックロック。
オールインストで、フルートやオーボエなども加わった室内楽的なクラシカルな優雅さと
上記QUATERNA REQUIEMにも通じる、プログレ的なシンセワークが合わさった作風で、
ときにメロウなギターフレーズも入ってきて、この手が好きなリスナーには実に耳心地がよい。
優美でたおやかなクラシカル・シンフォニックロックの好作品です。
クラシカル度・・8 プログレ度・・7 優美度・・9 総合・・8


Kharmina Buranna「El Arte de Seguir Vivos」
ペルーのプログレバンド、カルミナ・ブラーナの2008年作
美麗なシンセに叙情的なギター、スペイン語のマイルドなヴォーカルを乗せた牧歌的なシンフォニックロック。
南米らしいやわらかなメロディアス性と、フルートの音色などの素朴な叙情性も覗かせつつ、
ときにプログレらしい偏屈な展開力も盛り込んで、10分を超える大曲をじっくりと描いてゆく。
ゆったりとしたユルめのナンバーも挟みつつ、メキシコのCASTのような濃密なプログレ感から、
フルートにヴァイオリンが鳴り響くたおやかな優雅さへと戻ってくる、メリハリのある構築力もなかなかのもの。
オルガンやムーグなどのヴィンテージなシンセにピアノが重なる、シンフォプログレとしての魅力もたっぷりの力作です。
ドラマティック度・・8 プログレ度・・8 南米度・・8 総合・・8
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Kharmina Buranna 「Seres Humanos」
ペルーのプログレバンド、カルミナ・ブラーナの2012年作
女性Voにシンセを含む6人編成で、オルガンやメロトロン、ムーグといったヴィンテージなシンセに、
いくぶんハードなギターが重なり、軽やかでクラシカルなアンサンブルとともに大曲を構築してゆく。
アコースティカルな素朴さや、スペイン語の女性ヴォーカルなどの牧歌的なやわらかさには、
いくぶん田舎的なマイナー臭さも感じさせつつも、それが優しい聴き心地となっている。
長い曲におけるアレンジ力が向上すると、さらによいバンドになりそうだ。
ドラマティック度・・8 プログレ度・・8 楽曲アレンジ・・7 総合・・7.5
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LA BANDA DEL GNOMO 「EL CANTO DEL ANGEL
チリのプログレハード、ラ・バンダ・デル・ノモの1984/2009年作
女性ヴォーカルのスペイン語の歌声と、幻想的なフルートの音色、随所にシンセも入ったメロディアスなプログレハードサウンド。
ギターはなにげにクサメロを弾いたり、音質のこもり具合も含めて、80年代のマイナーバンドらしい、
くぐもった雰囲気がなんともいい感じだ。かつての日本のハードプログレなどにも通じるコテコテな聴き心地もGoodだが、
男性声のオールドロック風の曲もあったりで、アルバムとしては散漫な感じもする。
メロディック度・・8 マイナー雰囲気度・・9 女性Vo度・・7 総合・・7.5

LA BANDA DEL GNOMO 「DESPUES DEL ROCK」
チリのプログレハードロック、ラ・バンダ・デル・ノモの2010年
1984年に1作を残して消えたバンドの26年ぶりとなる復活作。前作にいた女性Voは不参加で、
男性ヴォーカルのスペイン語の歌声に、オルガンが鳴り響く、ヴィンテージなロックを聴かせる。
楽曲は2〜5分前後でわりとシンプル。オルガンの音色以外はプログレ的な要素はあまりなく、
楽し気に演奏するオヤジたちの顔が目に浮かぶような、肩の力の抜けた大人のロック。
アコースティックギターを使った、南米らしい哀愁を感じさせるナンバーはなかなかよい感じです。
ドラマティック度・・7 プログレ度・・6 ヴィンテージ度・・8 総合・・7


LA BIBLIA
アルゼンチンの名盤として知られる、ビブリアの1974作
チャーリー・ガルシア(SUI GENERIS)を中心に21人のミュージシャンとオーケストラによる
一大シンフォニックプロジェクトで、邦題にもある通り「天地創造」をテーマにしている。
壮大なオーケストラをバックにスパニッシュな熱情と哀愁ただよう歌を聴かせてくれる。
プログレ/シンフォニックという範疇からすると、ブルーズ寄りなラフな質感がやや好みから外れるか。
シンフォニック度・・7 メロディアス度・・7 壮大度・・8 総合・・7
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LA FINCA DE LAURENTO 「CienciaFilosofia y Conga」
アルゼンチンのプログレバンド、ラ・フィンカ・デ・ローレントの2008年作
シアトリカルなヴォーカルの歌声に、どこかアヴァンギャルドな楽曲展開は、
イタリアンロックにも通じるような演劇的で混沌とした濃密さがある。
一方ではフルートが鳴り響く、南米らしいフォルクレーレ風味の叙情も含んで、
メロウなギターの旋律と美しいシンセアレンジで、ハードシンフォニック的な構築性も聴かせる。
荒々しいロックとしての躍動感とプログレとしてのアートな感性が融合した力作です。
ドラマティック度・・8 プログレ度・・8 濃密度・・9 総合・・8


LA FINCA DE LAURENTO 「Fuerza」
アルゼンチンのプログレバンド、ラ・フィンカ・デ・ローレントの2012年作
前作はシアトリカルで濃密な力作であったが、今作では3〜5分の楽曲を中心にした作風で、
やわらかなフルート、ピアノに、適度にハードなギターが絡み、テクニカルなアンサンブルとともに
いくぶん偏屈だが優雅なエキセントリックさというべき感触に包まれたサウンドを描いている。
スペイン語によるヴォーカルは南米らしい濃密な味わいをかもしだすが、ジャズ風味の軽妙さも含んだ演奏は
どこかお洒落ですらある。前作ほどのスケール感はないが、スタイリッシュに構築された好作品となっている。
ドラマティック度・・8 プログレ度・・8 南米度・・8 総合・・8


LALO HUBER「Lost in Kali Yuga」
アルゼンチのシンセ奏者、ラロ・ヒューバーの2009年作
NEXUSなどで活躍するシンセ奏者で、本作はヒンドゥー教をモチーフにしたコンセプト作。
スペイシーなシンセアレンジを含んだ聴かせる幻想的な雰囲気だが、曲によってはドラムも入って、
ムーグシンセやオルガンが鳴り響く、キーボードプログレとしても普通に楽しめる。
ときに桜庭統やJaime Rosasなどを思わせる軽快なメロディセンスもよい感じで、
基本はオールインストながら、ヴォーカル入りの叙情的な曲もあったりと、バランスもとれている。
コンセプト云々は別にしても、美しいシンセが楽しめるやわらかな好作品です。
メロディック度・・8 プログレ度・・8 キーボー度・・9 総合・・8



LA MAQUINA DE HACER PAJAROS
アルゼンチンのシンフォバンド、ラ・マクイナ・デ・ヘーサー・パジャロスの1st。1976作
2ndのシンフォニックさに比べると、こちらはややジャズロック風味の演奏で、
プログレというよりはラテン調ロックといった趣が強いが、
チャーリー・ガルシアの繊細なキーボードメロディはさすがに素晴らしい。
南米的な熱い演奏とブルージーなロック色、そしてシンフォニック性が合わさった
個性的なサウンドは、アルゼンチンのプログレシーンでも屈指のものだ。
メロディアス度・・8 プログレ度・・7 南米度・・8 総合・・7.5
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LA MAQUINA DE HACER PAJAROS「PELICULAS」
アルゼンチンのシンフォニックロック、ラ・マクイナ・デ・ヘーサー・パジャロスの2nd。1977年作
ジャケの雰囲気からは想像もできないくらいの繊細なメロディを聴かせるサウンドで
南米を代表する鍵盤奏者、チャーリー・ガルシアのピアノや美しいシンセワークを中心に
自身のやさしげなヴォーカルもしっとりと聴かせる曲調にマッチしている。
曲は4〜5分台のものが中心で、難解さはかけらもなく、どの曲もやわらかなメロディにあふれていて、
とても耳に心地よい。シンセに絡むクラシカルなストリングスの響きも素晴らしい。じわじわと来る大叙情。
メロディアス度・・9 シンフォニック度・・8 プログレ度・・7 総合・・8
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Laquesis
アルゼンチンのプログレバンド、ラケシスの2013年作
ジャケやバンド名から、運命の三人の女神(ラケシス、アトロポス、クロートー)をモチーフにしているようで、
ムーグやオルガンを含む美しいシンセアレンジに、エモーショナルなヴォーカルで聴かせる叙情的なサウンド。
Marillionにも通じる薄暗い繊細さの歌ものナンバーから、いかにもシンフォプログレ系らしいシンセワークに、
CAMELばりの泣きのメロディを奏でるギターを乗せたインストパートも耳心地良く、曲によってはオールドなロック風味も覗かせる。
12分、16分という大曲も濃密すぎず、優雅なアンサンブルでスタイリッシュに構築するところは、南米らしからぬセンスというべきか。
ドラマティック度・・8 プログレ度・・8 叙情度・・8 総合・・8
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LITO VITALE 「Sobre Miedos, Creencias y Supersticiones」
アルゼンチンのミュージシャン、リト・ヴィターレの1981年作/邦題「遥かなる道程」
MIAのシンセ奏者として知られるミュージシャンの1stソロアルバムで、美麗なシンセワークを中心に、
随所に叙情的なギターを加えて、繊細でシンフォニックなインストサウンドを聴かせる。
ラテン系らしい軽やかなアンサンブルと展開力もあって、単なるシンセ奏者のソロという以上に
楽曲的なこだわりを感じさせる。ボーナストラックには1987年のバンド編成での音源を4曲収録。
こちらはやわらかなフルートやサックスにシンセが絡む、大人の叙情美に包まれたサウンドが楽しめる。
ドラマティック度・・7 プログレ度・・7 優美度・・8 総合・・7.5
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Lito Vitale Cuarteto 「la Cruz del Sur」
アルゼンチンのミュージシャン、リト・ヴィターレの1995年作
MIAのシンセ奏者としても知られるミュージシャンで、美麗なシンセワークにギター重ね、
サックスやフルートが鳴り響く、クラシカルなインストのシンフォニックロックを聴かせる。
パンパイプを含むやわらかな笛の音色や、繊細なギターの旋律にシンセを重ねて、
南米らしいフォルクローレ風味の叙情性に包まれた、じつに優しい耳心地のサウンド
プログレ色はさほどないが、ジャズやクラシックの優雅さをシンフォニックな味わいで取り入れ
10分を超える大曲も、あくまでしっとりとした優美な叙情に包まれる。
クラシカル度・・8 プログレ度・・7 優美度・・9 総合・・8
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LOS JAIVAS
チリの民俗ロックバンド、ロス・ハイヴィスの1975年作
1971年デビュー、チリを代表するバンドのひとつで、牧歌的なケーナの音色にピアノを含むシンセ、
ロック的なギターが加わって、スペイン語のヴォーカルを乗せた、フォルクローレなロックを聴かせる。
にぎやかで躍動的なアンサンブルの民俗ロックという感触であるが、パーカッションのリズムに
オルガンやピアノが鳴り響き、朗々と歌い上げるヴォーカルとともに、トライバルで濃密な感触が、
プログレ寄りの味わいになっている。クラシカルなピアノやアコースティックギターの優美な旋律など、
南米らしい叙情性も含ませつつ、13分という大曲では優雅でダイナミックな緩急ある構築力で、
クラシカルなシンフォニックロックとして楽しめる。ジャケのイメージも含めて初期を代表する作品だろう。
民俗&クラシカル度・・8 プログレ度・・7 南米度・・9 総合・・8
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Los Jaivas 「Alturas De Machu Pichu」
チリの民俗ロックバンド、ロス・ハイヴィスの1981年作
1971年デビュー、チリを代表するバンドのひとつで、本作はマチュ・ピチュ遺跡をテーマにした作品。
素朴なケーナの音色にクラシカルなピアノとシンセ、スペイン語のヴォーカルに、叙情的なギターを重ねて、
南米らしい優雅で土着的なシンフォニックロックを聴かせる。軽やかなアンサンブルで大曲を描くところは、
PFMあたりにも通じる確かな技量とセンスを感じさせる。フォルクローレ的な哀愁の叙情に包まれた逸品だ。
ドラマティック度・・7 プログレ度・・7 優美度・・8 総合・・8
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LOS JAIVAS 「Mamalluca - Obras Sinfonicas」
ロス・ハイヴィスの1999年作
本作はオーケストラに混声合唱隊を迎えての、壮大なロックオペラ的な作品で、
クラシカルなオーケストラをバックに朗々としたスペイン語の歌声を重ねた、
シンフォニックで壮麗なスケール感に包まれる。一方では、ケーナの音色などの
フォルクローレな民族性と、ムーグシンセにギターが重なるプログレ感触も残していて、
優雅なクラシカル性とキャッチーなロックを自然に融合させている。ラストは15分を超える大曲で、
叙情的なギターにオーケストラと混声コーラスで、これぞ民族フォルクローレロックという盛り上がりを見せる。
シンフォニック度・・8 プログレ度・・7 南米度・・9 総合・・8
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LOS JAIVAS 「Grandes Exitos」
チリの民族ロック、ロス・ハイヴィスの2004年作
1975年作「Los Jaivas」、1977年作「Cancion del Sur」からの楽曲に、シングル曲を加えた全12曲入り。
牧歌的なケーナの音色にギターとシンセを重ね、スペイン語の歌声を乗せた濃密な民族ロック。
パーカッションにアコースティックギター、朗々とした歌声で聴かせるフォルクローレ風のナンバーや、
1st収録の13分の大曲は、クラシカルなピアノパートを含むプログレ的な展開力で、
シンフォニックロックとしても非常に出来がよい。素朴なマンドリンのつまびきにムーグシンセを重ねた、
いかにも民族プログレというようなナンバーも含めて、南米らしい叙情美に包まれたサウンドである。
リマスターされているようで音質も良好。バンドの70年代の初期ベストとしても楽しめる。
民俗&クラシカル度・・8 プログレ度・・7 南米度・・9 総合・・8
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Luis Alberto Spinetta「A 18' del Sol」
アルゼンチンのギタリスト、ルイス・アルベルト・スピネッタの1977作
INVISIBLEのギタリストでもあるが、本作で聴けるのはもっとたおやかで
ジャズ的なエッセンスも入ったサウンド。スペイン語によるヴォーカルにもやわらかみがあり
流麗なギターのフレーズに軽やかなピアノも合わさって、じつに優雅な雰囲気だ。
フュージョン/ジャズロック風味のテクニカルさも聴かせながら、あくまで本質は繊細で、
いかにも南米らしい作品だ。スピネッタのギターもさすがのテクニックをさりげなく聴かせてくれる。
メロディアス度・・8 プログレ度・・7 繊細度・・9 総合・・8
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MAHESH 「Procesos」
チリのハードプログレバンド、マヘッシュの2008年作
スペイン語による女性ヴォーカルを乗せたしっとりとしたイントロから、ハードなギターを加え、
テクニカルなアンサンブルで聴かせる、メタルフュージョン的なサウンドが広がってゆく。
ツーバスのドラムや存在感のあるベース、流麗に弾きまくるギターと、インストパートでのヘヴィネスは
ほぼテクニカルメタルという聴き心地で、美しい女性ヴォーカルとのコントラストになっている。
アルバム後半は男性ヴォーカル曲やインストナンバーもあるが、やはり女性声入りの曲が魅力的。
演奏自体にメロディックな優雅さが薄いので、そこに女性ヴォーカルを乗せたアイデアは買いたい。
今後は、よりプログレ的な魅力的な展開力を増やすか、いっそさらにテクニカルにしてもらいたい。
メロディック度・・7 テクニカル度・・8 女性Vo度・・8 総合・・7.5
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Maquina Vapor
ブラジルのプログレバンド、マクイナ・ヴァーパーの2010年作
オルガンやムーグを含んだシンセに、ややハード寄りのギター、英語歌詞のヴォーカルで聴かせる
古き良き感触のシンフォ系プログレサウンド。ドラムの軽さや演奏面での甘さも含めて、
典型的なB級南米シンフォという感じだが、若手らしいキャッチーな爽快さもあって、そう悪くはない。
今後はメロディのフックや楽曲アレンジの質自体をもっと向上させていってもらいたい。
ドラマティック度・・7 プログレ度・・7 南米度・・7 総合・・7

MAR ASSOMBRADO 「CANCOES DO FAROL」
ブラジルのシンフォニックロック、マー・アソンブラドの2017年作
美麗なシンセにアコースティックギターのつまびきとやわらかなフルートが重なり、
ポルトガル語による語りを乗せたイントロ曲から、繊細で優雅な美意識に包まれる。
2曲目以降も妖しくフルートが鳴り響き、きらびやかなシンセとともにゆったりとした叙情を描きつつ、
アコースティックパートを盛り込んだ、南米らしいやわらかなシンフォニックロックを聴かせる。インストパートをメインにしつつ、
随所にマイルドなヴォーカルを乗せ、ときにトランペットやヴァイオリンも加えた、耳心地のよい優美な叙情性が楽しめる。
ドラマティックな盛り上がりという点では物足りなさもあるが、今後の成長次第では素晴らしい傑作を作りそう。
ドラマティック度・・7 優美度・・8 叙情度・・8 総合・・7.5

Marcio Rocha「Juno」
ブラジルのアーティスト、マルシオ・ロチャの2000作
うっすらとしたシンセに艶やかなヴァイオリンが絡む、やわらかなインスト作品
スパニッシュ風味のギターやパーカッションなど、民族色をただよわせつつ、
TEMPUS FUGITのKeyによるプログレ的なシンセワークや、GENESIS風味の泣きのギターも出てきたりして、
なかなか聴かせてくれる。MARCUS VIANA(SAGRADO)あたりを思わせる叙情美はやはり南米ならではで、
ヴァイオリンをメインにしたクラシカルなシンフォニック作としてもゆったり楽しめる。
シンフォニック度・・7 ゆるやか叙情度・・8 南米度・・8 総合・・7.5


MARCO「MARCOLAPSOS」
メキシコのシンフォニックロックバンド、マルコの2002作
ギテリストのマルコ・A・ゴメス氏を中心とした個人プロジェクトバンドらしい。
まるで子供のお絵描きのようなジャケットと安っぽい紙ジャケ風の作りであるが、
サウンドは泣き泣きのギターを聴かせるシンフォニックロックでなかなかよい。
バックのうっすらとした美しいキーボードもよいが、やはりなんといってもこの
日本人好みのクサメロを弾き奏でるギターワークは、ときおりヨレぎみながらもしびれますな。
サウンドの平坦さがB級臭いですが、ICONOCLASTAあたりがいければ聴いてみては?
メロディアス度・・8 シンフォニック度・・7 楽曲・・7 総合・・7.5


MARCO ANTONIO ARAUJO「INFLUENCIAS」
ブラジルのアーティスト、マルコ・アントニオ・アラウージョの1st。1982年作
彼が80年代に残した4枚のアルバムは、どれもが80年代の南米シンフォニックの傑作に数えられる出来だ。
艶やかなアコースティックギターにたおやかなフルート、いかにも南米らしい優しげな叙情に満ちあふれたサウンドで、
エレキギターとシンセが入っても決して押しつけがましくならず、大仰さよりは繊細さと素朴さが音を通して心地よく感じられる。
曲としてのメロディのつなぎ方も自然なアレンジで素晴らしく、アントニオ・アラウージョのコンポーサーとしてのセンスの高さが伺える。
優しいフルートの音色にうっとりと浸れる、おだやかな聴き心地の南米叙情シンフォの歴史的名作である。
メロディアス度・・9 プログレ度・・7 南米的叙情度・・10 総合・・8.5◆プログレ名作選入り
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MARCO ANTONIO ARAUJO「CISNE」
ブラジルのシンフォ系アーティスト、マルコ・アントニオ・アラウージョの2nd。1982作
たおやかなピアノに導かれ、アコースティックギターが鳴りだすと、すでにその美しさにうっとりとなる。
チェロやヴァイオリン、フルートの音色は優雅かつクラシカルで、繊細なピアノやアコギととともに、
ゆるやかなシンフォニックサウンドを形作ってゆく。序盤はドラムレスでロック色は薄いが、
エレキギターも出てきてフルートを愉快に鳴らす曲やミステリアスなヴァイオリンとギター、
ピアノによるインプロヴィゼーション的な曲もあり、飽きさせない。
全体的に派手さはないが、たおやか系の南米シンフォとして大切に語り継ぎたいサウンドだ。
メロディアス度・・8 プログレ度・・7 繊細度・・9 総合・・8

MARCO ANTONIO ARAUJO「ENTRE UM SILENCIO E OUTRO」
ブラジルのアーティスト、マルコ・アントニオ・アラウージョの3rd。1983作
彼の残した4枚のアルバムは、どれもが叙情的でクラシカルな名作とされているのだが、
まだまだコアなシンフォニックファンくらいにしか知られていないようだ。
今作は“Fantasia”と題された20分の大曲2曲に、CD化にあたって3曲のボーナスが追加されている。
アコースティックギターにやわらかに絡むフルート、そして優雅なヴァイオリン。
オールインストながら、クラシカルで南米らしい温かみのあるメロディが耳に優しい。
音楽でしっとり、うっとりとなりたい方は、一度聴いてみるべきアーティストです。
シンフォニック度・・8 クラシカル度・・8 たおやか度・・9 総合・・8

MARCO ANTONIO ARAUJO「LUCAS」
ブラジルのプログレ系アーティスト、マルコ・アントニオ・アラウージョの4th。1984作
SAGRADOMARCUS VIANAと並び、ブラジル最高のシンフォ系アーティスト。前3作はいずれも素晴らしい出来だったが、
ラスト作となる本アルバムもまさに絶品。冒頭のピアノとフルートからしてもう絶品の美しさ。この繊細な音色ときたら…もう。涙
今作は16分の大曲を冒頭に、これまでのキャリアの集大成的な内容で、クラシカルかつたおやかに聴かせる演奏は本当に素晴らしい。
アカデミックな細やかなアレンジと、メロディアスな聴きやすさのバランスも見事で、CAMELの最良部をとり出してもかなわないほどの
叙情美にはうっとりとなる。後半の小曲もピアノやアコギなどが実に味わい深い。残念ながら、彼はこの作品を残して夭逝するが、
残された4枚のアルバムは、南米シンフォニックの名作として、多くの人々に語られるべき作品だろう。
メロディアス度・・10 クラシカル度・・9 繊細度・・10 総合・・9


MARCUS VIANA「PANTANAL」
SAGRADOのリーダー、マルクス・ヴィアナのソロアルバム。1990年作
タイトルの"パンタナル"というのはブラジル最大の湿地帯の名前で、
その自然を壊滅から救おうという運動が盛り上がり、TV番組になったときのこれはサントラ作品。
サウンドはヴィアナのヴァイオリンが中心で、そこにピアノやシンセ、パーカッションが絡んだインスト作。
大自然をテーマにしただけあってサウンドには静謐さと雄大な叙情が感じられ
ロック作品ではないものの、しっかりとしたメロディと構成により、素直に聴き通せる。
シンフォニック度・・8 たおやか度・・9 雄大な自然度・・9 総合・・8
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MARCUS VIANA「TRILHAS & TEMAS」
SAGRADOのリーダー、マルクス・ヴィアナのソロアルバム。1992年作
こちらはサントラではなく音楽として純粋な彼のソロで、サグラドの静かな叙情美をそのまま取り出したようなサウンド。
美しいシンセをバックに、クラシカルで格調高いが、どこか優しさを感じるヴィアナのヴァイオリンがたっぷり堪能できる。
室内楽的でありながら、ときに女性声のスキャットも加わった優美なサウンドは、ウットリするほどに自然体でシンフォニック。
ヴァイオリンはもちろん、自ら弾くピアノも実に優雅で美しい。サグラドファンも満足の大傑作。
クラシカル度・・9 シンフォニック度・・9 たおやか度・・10 総合・・9
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Mar de Robles「MdR」
チリのテクニカルシンフォバンド、マール・デ・ロブレスの2003作
ENTRANCE一派やMATRAZなど、高品質なシンフォニックバンドが続出しているこの国だが、
このバンドもかなりのクオリティ。RUSHDREAM THEATERからの影響を感じさせる展開の多さに、
フルート、サックスなどのジャズロック的な味付けと、民族性を付加したようなサウンドで、
一聴してガチャガチャとしているのだが、硬質感よりは南米的な味わいが前に出ている。
変態的シンフォニックロックというか、飽きさせない多様性の点でDISCUSあたりにも通じるものがあり、
演奏の確かさもあって、ハードめのドライブ感と叙情性が同居しているのも苦にならない。
メロディアス度・・7 プログレ度・・8 変態度・・8 総合・・8
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Mar de RoblesIndigena
チリのプログレバンド、マール・デ・ロブレスの2007作
前作はテクニカルで多様性に富んだ異色の傑作であったが、今作も適度に偏屈がかったインスト重視の見事なアルバム。
サックス、フルート奏者で歌も歌えるメンバーや、スティックベースを弾きこなす凄腕、
妖しくサイケなフレーズも奏でるギター、手数の多いドラムにパーカッショニストという、
個性とセンスあるメンバーたちが織りなすのは、ときにアラビックだったり、南米的だったりする
無国籍感たっぷりのインストで、ごった煮感の中にも壮大な世界が見え隠れするのが凄い。
誤解を恐れずにいうと、南米版THE MARS VOLTAというところか。吹っ切れの良さが凄い。
メロディアス度・・7 プログレ度・・8 演奏センス・・9 総合・・8
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MATRAZ 「TIEMPO」
チリのハードプログレバンド、マトラスの1st。1999年作
女性ヴォーカル入りの2作目の出来が素晴らしかったが、本作は全4曲という大作志向で、
ほどよくハードなギターにきらびやかなシンセを重ね、テクニカルなアンサンブルで聴かせる、
優雅なプログレメタルとして楽しめる。インストパートがメインで、バンドとしての演奏力はかなり高く、
ドラムとベースのリズム隊を中心に、変則リズムのキメも軽やかにこなす非凡なセンスを感じさせる。
エレピを含む優美なシンセに、随所に流麗なフレーズを奏でるギターもよい感じだ。スペイン語の男性ヴォーカルは
いくぶん粗野な感じもするが、次作で女性Voが参加することを考えれば、しっかりと改善されることになる。
メロディアス度・・7 テクニカル度・・8 優雅度・・8 総合・・8
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MATRAZ「GRITARE」
チリのハードプログレバンド、マトラスの2nd。2004年作
今やシンフォニック大国となりつつあるチリだが、このバンドもワールドクラスの実力を持つ。
スリリングでテクニカルな演奏はメタル色の薄いDREAM THEATERといった印象もあり、
音はけっしてやかましくならないが流れるような演奏はまるでKENSOのように優雅で、
たたみかける場面でもどこかクールな「静けさの美」を持ったセンスが素晴らしい。
クラシカルなピアノはサウンドに格調高さをもたらし、スペイン語の女性ヴォーカルの歌唱は、
インストだけでは硬質になりすぎるところを、上手い具合にやわらかなバランスを保たせている。
南米なのに涼やかで、適度に硬質で、シンフォニックかつクラシカル。傑作アルバムです。
メロディアス度・・8 テクニカル度・・8 クールな叙情度・・9 総合・・8.5◆プログレ名作選入り
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Media Banda「Dinero Y Terminacion Nerviosa」
チリのチェンバー・ジャズロック、メディア・バンダの2008年作
FULANOのサックス奏者と女性Voを中心に結成されたバンドで、本作は2作目となる。
「金と神経質な完成」と題されたCD2枚組の大作で、軽妙なアンサンブルにサックスが鳴り響き、
オルガンやエレピを含むシンセにキュートな女性ヴォーカルの歌声を乗せたキャッチーな感触と、
テクニカルなジャズロック風味が合わさったスタイル。ザッパ的でもあるアヴンギャルドな感触を優雅に溶け込ませつつ、
あくまで軽やかな聴き心地は、カンタベリー系のジャズロック的でもある。エキセントリックなセンスを覗かせながら、
南米のバンドらしいやわらかな聴き心地が特徴的。優雅なアヴァンロックであり、女性声ジャズロックとしても楽しめる傑作だ。
メロディック度・・8 プログレ度・・8 優雅で軽妙度・・9 総合・・8
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MIA 「Transparencias」
アルゼンチンのシンフォニックロック、ミアの1976年作/邦題「クリスタルの海」
1978年までに3作を残したバンドのデビュー作で、クラシカルなピアノによる優美なイントロ曲から、
軽やかなドラムにオルガンなどのシンセを乗せた、軽妙なインストパートを展開する。
若き日のリト・ヴィターレの瑞々しいキーボードプレイとともに、THE NICETRACEにも通じる
優雅なクラシカル性と、変拍子を含むジャズロック的なアンサンブルが合わさったような聴き心地。
後半の20分の大曲は、ピアノやオルガンにやわらかなフルート、女性スキャットも加わって繊細な叙情美に包まれる。
ボーナスには1978年録音の未発音源を収録。クラシカルでアヴァンギャルドなピアノ演奏やジャズタッチのナンバーなどが楽しめる。
クラシカル度・・8 プログレ度・・8 優雅度・・9 総合・・8 
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MIA「CORNONSTIPICUM」
アルゼンチンのシンフォニックロック、ミアの3rd。1978年作
南米を代表するシンセ奏者、リト・ヴィターレが在籍していたバンドで、本作は「魔法の壺」という邦題で日本盤も出ていた。
クラシカルなピアノ、フルートに導かれた繊細なる楽曲は、リト・ヴィターレによる美しいシンセワークとともに、
あくまで南米らしいやわらかな叙情で紡がれてゆく。そこに乗る男女ヴォーカルの歌声もどこか牧歌的で
サウンドにはほんのりとした薄暗さと、はかない幻想美をただよわせる。じつに優雅な聴き心地である。
そしてタイトル曲である17分の組曲では、静と動を織りまぜた構築性が素晴らしい。70年代アルゼンチンのシンフォ傑作。
シンフォニック度・・8 南米度・・9 やわらか叙情度・・9 総合・・8
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MONTESANO「HOMENAJE」
アルゼンチンのミュージシャン、グスタヴォ・モンテサノの1977年作
CRUCISのKey奏者として知られるミュージシャンで、美しいシンセにたおやかなフルートが鳴り響く、
やわらかなシンフォアルバム。メロトロンやハモンドを鳴らしながら、メロディアスなギターを聴かせる
軽快なナンバーでは、演奏面での充実もあって、9分の大曲であってもさらりとライトに楽しめる。
しっとりとしたピアノをバックに、甘い歌声を聴かせる小曲など、南米らしい叙情とメロディに彩られたサウンドは
じつに繊細で耳に心地よい。クルーシスのメンバーに加え、大御所チャーリー・ガルシアも参加していて、
ソロというよりはむしろ、CRUCISの最高傑作という位置づけもできるほどの出来の良さだ。
シンフォニック度・・8 プログレ度・・8 キーボー度・・8 総合・・8
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Montesano 「El Pasillo」
アルゼンチンのミュージシャン、グスタヴォ・モンテサーノの1982年作
CRUCISのKey奏者として知られるミュージシャンで、前作「HOMENAJE」も素晴らしい出来だったが
今作は2〜4分前後の小曲を主体に、メロディックなギターに美しいシンセを重ね、
マイルドなスペイン語の歌声を乗せたキャッチーな作風となっている。タンゴなどの感触を含む
南米らしいやわらかな叙情性とともに、優雅なプログレハードというべきサウンドが楽しめる。
曲によっては、プログレ、シンフォニックロックとしてのドラマティックな雰囲気も残していて、
哀愁を感じさせるギターフレーズに美麗なシンセワークもさすがのセンスを覗かせる。
メロディック度・・8 プログレ度・・7 優雅度・・8 総合・・8
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N O

NEBBIA PEZ 「Rodar」
アルゼンチンのシンセ奏者、リト・ネビアとにロックバンドのペズによるユニット。2017年作
アコースティックギターりのつまびきに、スペイン語のヴォーカルを乗せた哀愁に包まれた1曲目から、
ぐっとロック寄りになった2曲目からは、オルガンやピアノにオールドな味わいのギターで聴かせる、
70年代スタイルのサウンドになる。南米らしいやわらかな叙情性に包まれた聴き心地で、
プログレ的な要素というのはシンセくらいであるが、古き良き南米ロックがたっぷり味わえる全15曲。
メロディック度・・8 プログレ度・・6 南米度・・8 総合・・7.5
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NECRO 「Adiante」
ブラジルのヴィンテージハード、ネクロの2016年作
2012年にNECRONOMICON名義でデビュー、NECROと改名してからの3作目となる。
ドグサレなジャケにはやや引いてしまうが、サウンドの方はアナログ感あるギターに
妖しいくハスキーな女性ヴォーカルを乗せ、70年代英国ハードロックルーツの感触に、
サイケな浮遊感を加えたという聴き心地。ツェッペリンやヒープなどを思わせる空気感に
ときにアコースティックな叙情性も覗かせて、母国語の女性Voに怪しくオルガンが鳴り響く
ヴィンテージな魔女系ロックとしても楽しめる。男性声が加わったナンバーでは、よりヒープ感が増します。
ドラマティック度・・7 プログレ度・・6 ヴィンテージ度・・8 総合・・7.5
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NEXUS「DETRAS DEL UMBRAL」
アルゼンチンのシンフォニックロックバンド、ネクサスの1st。1998年作
女性Voを含む5人組で、基本はたたみかけるゴリ押しの濃密シンフォニックロック。
ときに大仰に、ときにELPばりに華麗に弾きまくりのいかにもプログレ的なキーポードと、
けっこうハードめなギターをメインにした、重厚で濃い目のハードシンフォサウンドが楽しめる
女性Voは添え物的で、スペイン語の歌唱も南米っぽくて良いのだがバックが濃すぎるためあまり目立ってはいない(笑)
キーボード主導という点では日本のGERARDあたりにも近いが、こちらはリズム面がやや軽快さに欠ける気もする。
全体的にはコテコテのシンフォファンには満足する、力作といってもよいであろう。
シンフォニック度・・8 テクニカル度・・6 コテコテで押します度・・9 総合・・8
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NEXUS「live at nearfest 2000」
アルゼンチンのシンフォニックロックバンド、ネクサスのライブアルバム。
2000年のアメリカ、ペンシルバニアでのプログレ系ライブイベントの音源。
多くの南米産シンフォがそうであるように、エマーソンばりの派手なキーボードに
あくまでメロディアスさにこだわった曲、そこに女性Voが絡むのだから悪かろうはずはない。
ただ、TEMPUS FUGITらに比べると曲に無駄が多く、時々退屈する。
スタジオ盤は未聴だが、このライブ音源を聴くかぎりは音にまだ粗削りな部分があり、
音質もややラウドで、叙情系というよりはゴリ押しに近いシンフォサウンドである。
メロディアス度・・7 シンフォニック度・・8 楽曲・・7 総合・・7.5

Nexus「Metanoia」
アルゼンチンのシンフォニックロックバンド、ネクサスの2nd。2001作
前作も濃密なシンフォ作であったが、本作もオルガンをまじえたELPを思わせる
華麗なシンセワークを中心に、コテコテに弾き倒す72分の濃厚力作。
もちろんたたみかけるだけでなく、南米らしいやらわかな叙情もあり、
メロウなギターフレーズにシンセが絡み、女性声が歌を乗せる美しさも味わえる。
そのスペイン語による女性ヴォーカルの活躍が少し増えているのも嬉しい。
14分の大曲を含めて、総じて「シンフォでしかありえない」というこのサウンドには
少々うんざりする方もおるかもしれないが。胃もたれしないようにお聴きください(笑)
シンフォニック度・・8 濃密度・・9 南米度・・9 総合・・8
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NEXUS 「Perpetuum Karma」
アルゼンチンのプログレバンド、ネクサスの2006年作
1999年にデビュー、本作は3作目。のっけから17分という大曲で、適度にハードなギターに
オルガンを含むシンセを乗せ、ほどよくテクニカルなリズムとともにプログレらしさたっぷりの聴き心地。
スペイン語によるヴォーカルや叙情的なギターフレーズが、南米らしい哀愁をかもしだしつつ、
オルガンをメインにしたEL&Pのような鍵盤プログレパートなど、ほどよいコテコテ加減で楽しめる。
2曲目も14分、その後も、9分、9分、14分と、とにかく曲が長いので、気が短い方には長尺すぎるだろうが
ゆったりとしたメロウな叙情曲も含めて、じっくりとプログレらしさが味わえる全72分の力作です。
ドラマティック度・・7 プログレ度・・8 叙情度・・8 総合・・8 
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NEXUSAire」
アルゼンチンのシンフォニックロック、ネクサスの2012年作
2006年以来となる4作目で、ヴォーカルが男性に代わっての2作目。
古き良き質感のシンセワークと、スペイン語の歌唱によるキャッチーなメロディ
随所に泣きのギターを散りばめながら、これまで以上にスタイリッシュな
シンフォニックサウンドを聴かせてくれる。7、8分台の曲をメインに、濃密さの中にも
哀愁を感じさせるバラード調の曲などもあり、叙情性の点では過去作を上回る。
反面、押しの強さは弱まったが、南米らしいやわらかなメロディたっぷりの力作である。
シンフォニック度・・8 プログレ度・・8 叙情度・・8 総合・・8
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Nimbus 「El Aguila」
チリのプログレバンド、ニンブスの2004年作
やわらかなシンセにフルート、ギターを重ねた、フュージョン的でもある優雅なサウンド。
1〜4分前後の小曲を連ねた、全23曲という構成で、インストを中心にしつつ、
スペイン語のヴォーカルを乗せた牧歌的な味わいもあって、マイナー臭い辺境感と
軽妙なアンサンブルが合わさったという聴き心地。1曲が短いので、展開する前に終わってしまうという、
物足りなさも感じさせつつ、この淡白な煮え切らなさがあるいは個性なのかも。
ドラマティック度・・7 プログレ度・・7 優雅度・・8 総合・・7

Nito Mestre 「Y Los Desconocidos De Siempre」
SUI GENERISニト・メストレによるバンドの1978年作
ゆったりとしたアコースティカルな響きに、美声の女性ヴォーメルが歌い上げる、
まるで英国フォークを思わせるような牧歌的な雰囲気のサウンド。
プログレというよりはやはりフォークロック的な趣が強く、
ややヨレ気味のギターがどことなくサイケがかっていたり、
アコギにかぶさるたおやかなフルートの音色といい、
南米というよりは70年代初頭のブリティッシュの香りがする。
メロディアス度・・7 プログレ度・・7 英国フォーク風味度・・8 総合・・7.5
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OCTOPUS 「BONSAI」
チリのテクニカル・プログレメタルバンド、オクトパスの2006年作
ギター2人にドラム、ベースという4人組で、オールインストのテクニカルメタルをやっている。
ギター によるヘヴィなリフを主体に、シーケンサーを取り入れたモダンなアプローチもあり、
テクニカルなキメと即興一歩手前の演奏でたたみかける。ときおりMESHUGGAH状態になって、
ザクザクなリフがメインながらも、随所にメロディアスなフレーズを折り込んでくるので、聴いていてさほどは疲れない。
音像はメタルながらも心はプログレッシブということか。 ヴァイオリンやチェロなどをゲストに迎えた曲もあり、
この手の変態テクニカル系としてはセンスも演奏力も抜群だ。SPASTIC.INKなど、変態系メタルマニアは要チェック!
メロディアス度・・7 テクニカル度・・9 変態度・・8 総合・・8
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PABLO "EL ENTERRADOR"
アルゼンチンのシンフォニックバンド、パブロ・エル・エンテラドーの1983年作
アルゼンチンのシンフォは、同じ南米系でもブラジルのような壮大な叙情とは若干趣を異にし、
たとえば、リト・ヴィターレBANANAなどのように繊細で、クドすぎないというイメージが強い。
このパブロのサウンドにも、溢れる叙情性をメインにしながらもけっして押し過ぎず、
自然体のやわらかさでメロディをつむぐという性質が見える。手法的には特に目新しさはないが、
楽曲の繊細なアレンジセンスも見事で、ジャケのような田舎っぽい稚拙さは微塵もない。
80年代南米シンフォとしては、サグラド、バカマルテとともに3本に入る傑作だろう。
爽やかなメロディと叙情が駆け抜けてゆく。リマスター再発盤には1985年のライブ音源を4曲追加収録。
メロディアス度・・9 シンフォニック度・・9 繊細度・・9 総合・・8.5◆プログレ名作選入り
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PABLO EL ENTERRADOR 「2」
アルゼンチンのシンフォニックロック、パブロ・エル・エンテラドーの2nd。1998年作
80年代に南米シンフォを代表する名作を生み出したこのバンドの、15年ぶりとなる2作目。
美しいシンセワークにメロウなギターで聴かせる優美なシンフォニックサウンドは健在で
よりソフィスティケイトされた優雅さで、CAMELばりのやわらかな叙情美にうっとりとなる。
プログレ的な構築性は薄まったが、メロディックロックとしての繊細さがより際立っている。
南米らしいやわらかな耳心地でゆったりと楽しめる。なんだかんだでこれも傑作です。
2013年再発盤はジャケも変更され、ボーナスに1998年のライブ音源5曲を追加収録。
シンフォニック度・・8 プログレ度・・7 優美度・・9 総合・・8.5
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Pablo El Enterrador 「Threephonic」
アルゼンチンのプログレバンド、パブロ・エル・エンテラドールの2016年作
1983年に名作と名高いアルバムを残して解散後、1998年に再結成作を発表、本作は3作目として、
2004年に制作されながら、シンセ奏者の死去によりお蔵入りになっていた作品。
オルガンを含むやわらかなシンセに叙情的なギターを乗せた優美なシンフォニックロックで、
どことなく80〜90年代の香りを残した、くぐもったような湿り気に包まれた聴き心地。
スペイン語による歌声を乗せた南米らしい哀愁も覗かせつつ、きらびやかなシンセワークによる
壮麗な味わいと大人の枯れた味わいが同居していて、過去の2作に比べても決して引けを取らない。
シンフォニック度・・8 プログレ度・・8 優美度・・9 総合・・8 
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PARAFERNALIA
アルゼンチンのハードプログレ、パラフェルナリアの2011年作
ジャケは意味不明だが、サウンドはこれがなかなかすごい。70年代の香りがぷんぷんの
ハードロック風味のギターに鳴り響くオルガンが合わさった、Uriah Heepばりの1曲目から思わずにやにやする。
スペイン語のヴォーカルとともに濃密な味わいながらも、南米らしいやわらかな叙情も垣間見せ、
9分を超える大曲もメリハリのある展開で構築してゆく。レトロな古めかしさだけではなく
ラスト曲では優雅なピアノとともに軽妙にして技量あるアンサンブルも見せつける。なかなかの傑作。。
メロディック度・・8 プログレ度・・8 レトロ度・・9 総合・・8
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Patricio Villanueva 「Cera」
アルゼンチンのシンフォニックロック、CHANETONのヴォーカリスト&シンセ奏者、パトリシオ・ヴィラヌエヴァのソロ。2012年作
美麗なシンセアレンジに、スペイン語のヴォーカルとともにモダンなキャッチーさを含んだサウンド。
ハードエッジなギターやデジタリィなアレンジなど、プログレ、シンフォにとらわれない作風は
ピーター・ガブリエルのソロ作品などにも通じる味わいだ。プログレとして聴くには物足りないが、
南米らしいやわらかな叙情も含んだシンフォ系歌ものソロ作品としてはなかなか楽しめる。
ドラマティック度・・7 プログレ度・・7 南米度・・8 総合・・7.5


PIG FARM ON THE MOON「ORBITAL」
ヴェネズエラのプログレバンド、ピッグ・ファーム・オン・ザ・ムーンの2002年作
ツインギターにキーボード入りの5人組みで、サウンドはプログレメタリックな質感も漂わせつつ、
基本はメロディアスな聴きやすさにあり、展開の多い楽曲は濃密でアレンジの質もなかなか高い。
のっけから16分の組み曲ではじまり、その後も9分、12分、18分と続く大曲揃いの力作であるが、
メリハリのある展開力や、巧みな叙情パートの配し方などもセンスが良く、飽きさせない。
清涼感のあるシンセワークや、英語による歌唱もあって、地域的なマイナーさもあまり感じないし、
ゲストによるヴァイオリンやチェロなども楽曲に壮大さを加味している。曲によってはもろにDREAM THEATER風な部分もあり、
チリのMATRAZあたりとともにプログレメタル好きなシンフォニックリスナーにも勧められる作品だ。
メロディアス度・・8 テクニカル度・・8 Prog Metal度・・8 総合・・8
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Polifemo
アルゼンチンのロックバンド、ポリフェモの1976作
のっけからプログレというよりはカントリー調で始まるが2曲目からは南米らしいやわらかな歌メロで聴かせてくれる。
どちらかというとむしろギターが主導のスタイルなので、ハードロック的な要素が強く、シンフォとして聴くにはややつらいが、
熱い演奏にはイタリアのバンドにも通じる押しの強さもあって、ブルージーなハードプログレとして聴けばなかなかの出来だ。
メロディアス度・・7 プログレ度・・7 南米度・・8 総合・・7
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PORCHETTO「VOLANDO DE VIDA」
アルゼンチンのシンガー、ラウル・ポルチェットの1978作
ゆるやかにつまびかれるアコースティックギターに、女性的なナイーブさを感じさせる
中性的な歌声でしっとりと聴かせる。SUI GENERISALASのメンバーも参加し、
プログレ的な要素もちゃんとあって、軽やかな演奏力はさすがのひとこと。
歌をメインにしつつも、バックのシンセやピアノなどもじつに美しく、
南米らしいやわらかな叙情と哀愁が感じられる素晴らしいアルバムだ。
メロディアス度・・8 プログレ度・・7 しっとりゆるやか度・・10 総合・・8
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Praxis 「La Eternidad De Lo Efimero」
メキシコのプログレバンド、プラクシスの1988年作
ICONOCLASTAのシンセ奏者を擁するバンドで、本作が唯一の作品。きらびやかなシンセに
メロディックなギターの旋律を重ね、ほどよい疾走感のあるシンフォニックロックを聴かせる。
オールインストであるが、CASTなどにも通じる爽快なメロディと叙情性が耳心地よく、
弾きまくるキーボードがカラフルに楽曲を彩っている。ドタバタとした元気のいいドラムも含めて
陽性のインスト系シンフォプログレが楽しめる。一作のみで消えたのが惜しまれる、なかなかの出来の良さだ。
メロディック度・・8 プログレ度・・8 キーボー度・・8 総合・・7.5


PROJETO CALEIDOSCOPIO「O SETE」
ブラジルの男女ユニット、プロジェト・カレイドスコピオの1st。1999作
美しい女性ヴォーカルの歌声とキーボード、ギターをメインとしたやさしく叙情的なサウンド。
たたみかけるような展開はないが、どの曲もしっとり牧歌的になごませてくれる。
シンフォニック・フォークとも言えるような温かみがじつに耳に心地よい作品だ。
メロディアス度・・8 シンフォニック度・・8 女性Vo度・・8 総合・・7.5
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PROJETO CALEIDOSCOPIO「CARROSSEL」
ブラジルのシンフォデュオ、プロジェト・カレイドスコピオの2nd。2001作
今作はしっとりゆったり&女性Voを前面に押し出し、アルバムとしての方向がはっきりしていて好感がもてる。
プログレというよりは「ゆったりとしたシンフォニック・フュージョン」という雰囲気で、スリリングさのかけらもない、
なんとも幸せな雰囲気が全編に漂っている。 おそらく恋人同士だろうジャケ裏の二人のラブラブ写真には
なんだか少し腹が立つが(笑)サウンドは素敵な女性Voシンフォとしてその手のファンにお薦めできる。
多数のゲストの中にはSAGRADOのマルクス・ヴィアナの名前もある。
メロディアス度・・8 プログレ度・・6 女性Vo度・・8 総合・・7.5
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Q 「Abduccion」
チリのプログレバンド、Qの2011年作
美麗なシンセアレンジにほどよくハードなギターを重ね、テクニカルなアンサンブルで聴かせる、
スタイリッシュなインストサウンドを聴かせる。きらびやかなシンセワークはシンフォプログレ的であるが、
メタリックなギターリフを変拍子に乗せるところは、テクニカルプログレが好きな方にも対応。
一方では、叙情的な泣きのギターにうっすらとしたシンセを重ねた優美なナンバーなど、
シンフォニックなハードプログレとしても楽しめる。ギタリストのフレージングのセンスや、
オルガンやピアノを含むクラシカルなシンセもポイントが高い。なかなか高品質な作品です。
シンフォニック度・・8 テクニカル度・・8 スタイリッシュ度・・8 総合・・8
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QUANTUM 「II」
ブラジルのプログレバンド、クオンタムの1994年作
1983年にデビュー、本作は2作目で、ムーグなどを含むきらびやかなシンセに、わりと骨太のベース、
どっしりとしたドラムによるアンサンブルに英語のヴォーカルを乗せた、正統派のシンフォニックロックスタイル。
U.K.あたりを思わせるキャッチーな感触で、ヴォーカルはどことなくジョン・ウェットンぽいような。
日本のGerardばりに弾きまくるキーボードサウンドも爽快だ。マイナー臭さがほとんどないので、地味なジャケに反して
多くのリスナーが楽しめる堂々たる内容である。90年代の南米シンフォの中でもクオリティの高いアルバムだと思う。
メロディック度・・8 プログレ度・・8 キーボー度・・8 総合・・8
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Quaterna Requiem「Velha Gravura」
ブラジルのシンフォニックロックバンド、カテルナ・レクイエムの1st。1990年作
たおやかなフルートにヴァイオリンの音色が鳴る、クラシカルで優雅な美意識に包まれた
やわらかなシンフォニックロックサウンド。女性鍵盤奏者、ELISA WIERMANNの作曲センスなのだろう
南米らしいフォルクローレ風味とクラシックを融合させたような感触は、音質の甘さを含めてもうっとりとなる
じつに優美な聴き心地である。続く2ndはより壮大な傑作となるが、本作の下地があったからだろう。
シンフォニック度・・8 クラシカル度・・9 優美度・・9 総合・・8.5

Quaterna Requiem「Quasimodo」
ブラジルのシンフォニックロックバンド、カテルナ・レクイエムの2nd。1994年作
1st「Velha Gravura」はヴァイオリン、フルート入りのシンフォニックロックの美麗作であったが、
続く本作は、なんと38分の組曲入りというシンフォニック大作となった。イントロの荘厳さからしてすでに
ドラマティックなプレリュードというように胸踊る。今作にはヴァイオリン奏者は参加していないが、
まるで南米のPAR LINDHか、というようにクラシカルに弾きまくる女性シンセ奏者を中心に、
壮麗きわまりないコテコテのクラシカル・シンフォニックロックを展開。そしてラストの大曲は
グレゴリアンチャントまで入った悶絶級の出来。90年代の南米シンフォを代表する傑作だ。
シンフォニック度・・8 クラシカル度・・8 キーボー度・・9 総合・・8.5
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QUATERNA REQUIEM「LIVRE」
ブラジルのシンフォニックバンド、カテルナ・レクイエムのライブアルバム。1999作
女性キーボードを含む4人組みで全編ほぼインストの作風だが、曲はシンフォニックで壮大かつメロディアス。
北欧で言うならPAR LINDH状態で、たたみかけるキーボードに良く泣くギター、そして10分以上の大曲多数で、
最後までとことん盛り上げる。良い意味でのマイナー思考、つまりキャッチーなコンパクト性ではなく、
泣きと盛り上がりにこだわる様は、たとえば英国のPENDRAGONのように一徹な精神で、ある意味恐れ入る。
個人的にはこれで女性Voが歌えば、世界最高のシンフォバンドになれる気がするのだが。
シンフォニック度・・10 ドラマティック度・・9 演奏・・8 総合・・8

QUATERNA REQUIEM
ブラジルのシンフォニックロックバンド、カテルナ・レクイエムのライブDVD。2006作
女性キーボードと、ドラム、ヴァイオリンを中心にしたユニットで1990年のデビュー以来、アルバム2枚にライブアルバム1枚を発表。
ブラジルといえばまずはSAGRADOなのだが、個人的にはシンフォニックかつ大仰なこのバンドのサウンドは、
サグラドに匹敵するくらい気に入っている。さて、このライブ映像であるが、さほど大きくはないホールでステージもやや地味め。
曲が始まると、エリサさんのキーボードと美しいヴァイオリンをメインにしたクラシカルなメロディと適度な変拍子で、
EL&P+ENIDという感じでなかなか聴かせる。演奏力としては並み程度だが、ンフォバンドでリーダーが女性Keyというのは珍しい。
ただ良くも悪くも、90年代シンフォのローカルな部分を引きずっていて、テクニック志向を好む方にはやや厳しいか。
しかしながら、そのとことんまでメロディにこだわった楽曲はやはり耳に心地よいのである。
基本はオールインストなので、その分、全編メロディアスでシンフォニックな聴き心地だ。
シンフォニック度・・8 ライブ映像・・7 ライブ演奏・・7 総合・・7.5
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Quaterna Requiem 「O Arquiteto」
ブラジルのシンフォニックロック、カテルナ・レクイエムの2012年作
女性シンセ奏者を中心にしたバンドで、2006年にライブDVDを出したが、スタジオ作としては1994年以来となる、
じつに18年ぶりという3作目。2作目の「Quasimodo」は素晴らしいクラシカルシンフォの傑作であったが、
本作も、女性奏者による美しいピアノに壮麗なシンセワーク、そこに艶やかなヴァイオリンの音色が絡み、
メロウなギターの旋律とともに、かつての作品と同じように、クラシカルで優雅なシンフォニックロックを聴かせてくれる。
シンセをメインにした繊細でリリカルな小曲から、10分を超える大曲におけるプログレとしての構築力と、
優美なスケール感も含めて、全77分、クラシカルな美麗シンフォの傑作に仕上がっている。
シンフォニック度・・8 プログレ度・・8 優雅度・・9 総合・・8.5
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RAEL 「Mascaras Urbanas」
アルゼンチンのシンフォニックロック、ラエルの1992年作
オルガンを含むシンセワークに、メロウなギター、スペイン語のヴォーカルで聴かせる、
叙情派のシンフォニックロック。南米らしいやわらかな耳心地のメロディとともに、
リリカルな繊細さに包まれた耳心地。随所に現れる泣きのギターフレーズもよろしく、
テクニカルなスリリング性は薄いが、ゆったりとした叙情性にウットリとなることしばしば。
これというインパクトや盛り上がりがないので、全体的には少し物足りなさもある。
メロディック度・・8 プログレ度・・7 南米度・・8 総合・・7.5
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Raimundo Rodulfo 「Dreams」
ヴェネズエラのミュージシャン、レイムンド・ロドゥルフォの2000年作
自主制作によるデビューアルバムで、アコースティックギターのつまびきから、やわらかなシンセにフルートの音色、
CAMELかセバスチャン・ハーデイかという優雅なギターの旋律で、繊細な叙情に包まれたサウンドを聴かせる。
軽妙なリズム展開とクラシックを基本にした美意識を同居させて、ネイチャーな雄大さを描くところは、
日本のASTURIASMIKE OLDFIELDにも通じるだろう。艶やかなヴァイオリンにギターが絡むあたりはウットリで、
ラストは7パートに分かれた21分の組曲で、アコースティックな民族要素と繊細なシンフォニックロックが合わさった聴き心地。
クラシカル度・・8 プログレ度・・8 繊細で優美度・・9 総合・・8 

Raimundo Rodulfo's Dreams Concerto
ヴェネズエラのミュージシャン、レイムンド・ロドゥルフォの2002年作
オーケストラを加えて録音された作品で、3つの組曲からなる全78分の大作。
艶やかなストリングスの響きに女性ヴォーカルの歌声、泣きの叙情ギターとともに、
優雅なサウンドを描きつつ、一方ではクラシックギターやフルートが鳴り響く繊細な美しさも覗かせる。
インストパートではいくぶん長尺感もあるのだが、CAMELなどを思わせる軽快なプログレ性も含めて、
メリハリのある構成でドラマティックに構築される力作である。クラシカルなプログレが好きな方はぜひ。
クラシカル度・・8 プログレ度・・8 繊細で優美度・・9 総合・・8



Raimundo RodulfoMare et Terra
ヴェネズエラのミュージシャン、レイムンド・ロドゥルフォの2009年作
Museaの企画アルバム「INFERNO」に収録されていた楽曲が素晴らしかったので購入。
のっけからなんと36分の大曲で、スパニッシュ風味のアコースティックギターが奏でられ、
フルートとピアノがクラシカルに絡む、PFMばりの優雅さにうっとりとなりつつ、
エレキとシンセが加わって、ゆるやかなシンフォニックロックとなってゆく。
ゲストによる艶やかなヴァイオリン、チェロ、トランペット、サックスなども効果的で、
男女ヴォーカルも入った優美でたおやかな、絶品のクラシカル・シンフォが楽しめる。
全5曲78分という力作であるが、民俗色の濃いナンバーなどもあり、飽きずに聴き通せる。
シンフォニック度・・8 クラシカル度・・8 優美度・・9 総合・・8.5
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Raimundo Rodulfo 「Open Mind」
ヴェネズエラのミュージシャン、レイムンド・ロドゥルフォの2013年作
2009年の「Mare et Terra」は素晴らしい傑作だったが、本作も繊細な叙情を散りばめた優美なサウンドだ。
ギターにシンセ、マンドリン、シタール、リュートにパーカッション、そしてヴォーカルもこなすという才人であるが、
その上にメロディのセンスと楽曲アレンジの妙が備わっていて、ゲストによるヴァイオリンやチェロ、サックス、
フルートにバグパイプなど、多くの楽器を用いながら、歌心に富んだ人懐こさとアコースティカルな素朴さで
豊かなメロディを紡いでゆく。初期のMIKE OLDFIELDや日本のASTURIASなどにも通じる雰囲気に、
南米らしいおおらかさをまぶしたというような、とても優しい聴き心地の好作品だ。
メロディック度・・8 プログレ度・・7 優しい叙情度・・9 総合・・8
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Retsam Suriv「Exegesys」
アルゼンチンのシンフォニックハードロック、レトサム・スリヴの2009年作
女性Voにシンセ奏者を含む5人編成で、メロディックなギターワークと
美麗なシンセアレンジで聴かせる、典型的なハード・シンフォニックサウンド。
ギターはいくぶんメタリックな質感もありつつ、随所に泣きの叙情メロを奏で、
ドラマティックに展開しながら、女性ヴォーカルのスペイン語の歌声が重なってゆく。
濃密かつスケール感のある重厚さは、同郷の先輩であるNEXUSにも引けをとらない。
10分を超える大曲もメリハリのある構成が見事。南米ハードシンフォニックの傑作だ。
ドラマティック度・・8 シンフォニック度・・8 女性Vo度・・7 総合・・8.5
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RETSAM SURIV 「Danger」
アルゼンチンのハードプログレ、レトサム・スリヴの2014年作
前作は女性声ハードシンフォの傑作というべきアルバムであったが、2作目となる本作も
ムーグやピアノ、オルガンを含むきらびやかなシンセアレンジに適度にハードなギターを乗せて、
随所にProgMetal的なテクニカル性も含ませた構築美を聴かせるハードプログレサウンド。
母国語による女性ヴォーカルの歌声も加わりつつ、全体的には前作よりもいくぶんダークになった感触であるが、
中盤には美しい女性声と爽快なメロディを乗せたシンフォ曲もあって、やはりよい感じなのである。
メロディック度・・7 ハードシンフォ度・・8 女性Vo度・・7 総合・・8
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R-U KAISER 「DESDE LA OSCURIDAD」
チリのプログレバンド、R-U・カイザーの2018年作
2007年にデビューし、本作は11年ぶりとなる2作目。男女ヴォーカルにシンセを含む編成で、
モダンなシンセにスペイン語の女性ヴォーカルを乗せた、スタイリッシュなサウンドを構築する。
叙情的なギターの旋律にスペイシーなシンセアレンジも耳心地よく、やわらかな浮遊感とともに
随処にほどよいハードさも覗かせる。楽曲的には起伏のある展開がもう少しあればと思うが、
デジタルな感触のモダンシンフォという聴き心で、世界観としては統一性は感じられる。
ラストはスペイシーで壮麗な9分の大曲であるが、全5曲で37分というのも少し物足りないか。
ドラマティック度・・7 プログレ度・・7 スタイリッシュ度・・8 総合・・7.5
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SAENA
メキシコのシンフォニックロック、サエナの2008年作
チェンバーロック系ミュージシャンとして知られる、Jose Luis Fernandez Ledesma率いるパンドで、
妖しげな女性ヴォーカルの歌声にヴァイオリンが鳴り響き、いくぶんミステリアスな薄暗さをまとわせた、
チェンバー風味のシンフォニックロック。クラシカルなピアノの優雅な音色に12弦ギターの繊細なつまびきなど
アコースティカルな叙情性や、アコーディオンによる牧歌的な味わいに、スペイン語の女性ヴォーカルが加わると、
AMAROKなどのトラッドプログレ的な質感も感じさせる。ジャズ的な軽妙さとエキセントリックな女性スキャットが乗る感じは
HENRY COWなどのカンタベリー系チェンバーに通じるところもある。あくまで叙情的な聴き心地ではあるが、
アルバム後半にはスリリングなシリアスさも顔を覗かせ、なかなか飽きさせない。チェンバー系シンフォの力作だ。
ドラマティック度・・8 プログレ度・・8 優雅でミステリアス度・・9 総合・・8
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SAENA 「Dias eternos」
メキシコのプログレバンド、サエナの2021年作
2008年以来、13年ぶりとなる2作目。Jose Luis Fernandez Ledesmaを中心に、女性Vo&シンセ奏者に
ウォーギター奏者を含む編成で、軽やかなリズムに、ギターやシンセを乗せた巧みなアンサンブルで、
スリリングなインストパートを構築、ときにアコーディオンやヴァイオリンの優雅な音色も加わって、
スキャット的な女性ヴォーカルを乗せて、クリムゾン的でもあるほどよいヘヴィネスと緊張感が同居、
幻想的な浮遊感に包まれたサウンドを描く。テクニックのあるドラムを中心にした軽妙なテクニカル性と、
ピアノやギターの繊細な旋律がバランスよく融合した作風で、耳心地は優しくなにげに複雑という玄人好みのセンス。
10分を超える大曲でも、濃密に盛り上がるというよりは、あくまで優雅で自然体のアンサンブルを聴かせる。
幻想度・8 軽妙度・9 優雅度・9 総合・8 過去作のレビューはこちら
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SAGRADO CORACAO DA TERRA
ブラジルのシンフォニックロックバンド、サグラドの1st。1985年作/邦題「捧げもの」
80年代の南米を代表する世界基準のシンフォニックロックバンド、それがサグラドだ。
リーダーでヴァイオリニストのマルクス・ヴィアナの艶やかなヴァイオリンの音色と
美しいピアノやシンセワーク、そしてポルトガル語によるヴォーカルが合わさって、
「地球の聖なる心」というバンドなのように、大自然に溶け込むような雄大さと、
繊細で優雅な聴き心地のサウンドを構築してゆく。辺境的なマイナー臭さは皆無で、
キャッチーなメジャー性すら感じさせるアレンジセンスと、ときに壮大なサントラのようなスケール感が素晴らしい。
シンフォニック度・・8 優美度・・9 雄大度・・9 総合・・8.5
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SAGRADO CORACAO DA TERRA「FLECHA」
南米ブラジルを代表するシンフォニックバンド、サグラドの2nd。1987年作/邦題「シンフォニア」
やはり、初期のサグラドは良いですなー。じつに雄大でそれでいて素朴な、大自然を感じる音というのか。
マルクス・ヴィアナのヴァイオリンも実に繊細で、その艶やかな音色にウットリと聞き惚れます。
シンセアレンジもうるさすぎず、しっとりと楽曲を盛り上げながら、ときに美しい女性コーラスなども絶妙に加わります。
ゆったりとした叙情美の1st、華麗なダイナミズムの3rdとすれば、この2ndはその中間くらいでしょうか。
80年代の世界のシンフォニックロックシーンを考えても、これほどクオリティの高いバンドは稀でしょう。
シンフォニック度・・8 優美度・・9 雄大度・・9 総合・・9 ◆プログレ名作選入り
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SAGRADO「FAROL DA LIBERDADE」
南米ブラジルを代表するシンフォニックバンド、サグラドの3rd。1991年作/邦題「自由の灯」
艶やかなヴァイオリンの乱舞で軽やかに疾走する、1曲め“Danca das Fadas”のインパクトは
ただごとではなかった。大自然を思わせる繊細な叙情美と雄大なダイナミズムを同居させ、
それをメロディックに仕上げてゆく彼らのサウンドは、本作で完成をみたといえるだろう。
これまでよりインストパートに重点が置かれたことで、ヴォーカル曲とのメリハリがついて、
美しいピアノやシンセ、それに絡むヴァイオリンやフルートの音色などがより躍動感をともなって響いてゆく。
しっとりと優しく、優雅で壮大という、感動的なまでの完成度である。
シンフォニック度・・8 優美度・・9 雄大度・・10 総合・・9 ◆プログレ名作選入り
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Sagrado Coracao Da TerraGrande Espirito」
ブラジルのシンフォニックロック、サグラドの4th。1994年/作邦題「偉大なる精霊」
ヴァイオリンが鳴り響くゆるやかにして美しいシンフォニックロックは本作も健在であるが、
躍動的なダイナミズムを感じさせた前作から、いくぶん民族的な色合いを強めた作風となっている。
母国語の歌声に重なってゆくコーラス、美しいシンセワークと艶やかなヴァイオリンの音色。
大地の息吹を感じさせるような世界観と、自然と神々への畏怖を含んだメッセージを思わせる
雄大な聴き心地はやはりこのバンドならではだろう。14分の大曲も含め、まさに壮大な傑作である。
シンフォニック度・・8 優美度・・9 雄大度・・9 総合・・8.5
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SAGRADO「A LESTE DO SOL, OESTE DA LUA」
ブラジルのシンフォニックロック、サグラドの2000年作
艶やかなヴァイオリンの音色に美麗なシンセとギターを重ね、ポルトガル語によるジェントルなヴォーカルに、
女性コーラスなどを加えた、南米らしい優雅で壮麗なシンフォニックロックが広がってゆく。
初期の3作に比べると壮大なダイナミズムは薄れたが、ときにタブラのリズムなどの民俗色も含んだ民族色や
アコースティックギターなどを使った牧歌性に、ヴァイオリンにチェロなどのストリングス、
叙情的なギターとともに、自然体の雄大なサウンドを描くところは、さすがにこのバンドらしい。優美な叙情に包まれた
自然派シンフォニックロックが楽しめる、全70分の力作だ。元ANGRAのアンドレ・マトスが2曲でヴォーカル参加している。
シンフォニック度・・8 優美度・・9 雄大度・・8 総合・・8
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SAGRADO「Sacred Heart of Earth」
ブラジルのシンフォニックロックバンド、サグラドの2001作/邦題「地球の聖なる魂」
本作は1984年の1stから1994年の4thまでの楽曲をリマスター&リミックスし、
一部ヴォーカルを英語に差し替えた音源を収録した、いわば新たなベストアルバム。
全編にわたって艶やかなヴァイオリンが鳴り響き、繊細なピアノやシンセワークとともに、
優美に奏でられるサウンドは、自然や地球との融和をイメージするようなスケールの大きさと、
南米らしいぬくもりのあるやわらかなメロディで聴かせる優しさに溢れている。
シンフォニック度・・8 優美度・・9 南米度・・8 総合・・8
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SAGRADO「COLETANEA T- CANCOES」
ブラジルのシンフォニックロックバンド、サグラドのベストアルバム。
このアルバムは、世界最高峰の叙情派シンフォニックロックバンドのベスト盤であり、
「I」と「U」とに分けられたそれぞれのCDには「歌ものベスト」「インストベスト」という構成で
かつてのアルバムから名曲の数々がチョイスされていて、まさにサグラドのベストといえる
前作にあたる「SACRED HEART OF EARTH」は歌詞を英語版にしたリレコーディングバージョンで
サグラド本来のたおやかな叙情は、いくぶん現代風のアレンジとともに薄められていたのだが、
今回のベストは原曲をそのままに、リマスターで音質をアップしたものになっていてとても嬉しい。
とくに、3rd「FAROL DA LIVERDADE(自由の灯)」の1曲目は、優雅で軽快なシンフォプログレの名曲だ。
情感ゆたかなヴァイオリンの音色にソウルフルな母国語の歌唱、美麗なシンセアレンジに叙情ギター、
まさに雄大な大自然が眼前に浮かび上がるような、壮大かつ牧歌的な音像に感動必至!
シンフォニック度・・9 雄大な叙情度・・10 音質向上度・・9 総合・・9
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SAGRADO「COLETANEA U- INSTRUMENTAL」
ブラジルのシンフォニックロックバンド、サグラドのベストアルバム2。
こちらはインスト曲を中心としたベスト。歌がない分、演奏そのものの盛り上がりがダイレクトに伝わってくる。
ヴァイオリン、ピアノ、ギターなどがその叙情性も含めて一体となって音に重なり、それがメロディとなって
「ぐわーん」と押し寄せてくる様はまさに圧巻。音質の向上により、ダイナミズムがアルバム盤以上になっていて、
静のパートでも繊細なピアノや、艶やかなヴァイオリンの音色がしっかり楽しめます。
まるで映画サントラ並の雄大さに、ここまでの泣きのメロディを情感たっぷりに演奏されたらたまりません。
地球に優しいシンフォニックサウンド。うっとりと、雄大な大自然を思い浮かべるように、この音に聞き入りましょう。
シンフォニック度・・9 雄大な叙情度・・9 音質向上度・・9 総合・・9
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SALES DE BANO 「HORROR VACUI」
アルゼンチンのチェンバーロック、サレス・デ・バノの2016年作
FACTOR BURZACOにも参加するベースを中心にしたバンドで、うるさすぎないドラムとベースによる
ミニマムなアンサンブルにエレピが重なり、サックス、トランペット、フルートなどがゆるやかに鳴らされる、
チェンバーなアヴァンロック。HENRY COWなどにも通じるスリリングな緊張感を、
カンタベリー的な優雅さで包み込んだという聴き心地で、ロック的な部分での重厚さは希薄であるが、
ブラスが鳴り響くとぼけた味わいとシリアスな空気が同居した、フリーキーなチェンバーサウンドが楽しめる。
ドラマティック度・・7 チェンバー度・・8 優雅度・・8 総合・・8


Sambara 「Asomandose」
アルゼンチンのプログレバンド、サンバーラの2013年作
きらびやかなムーグシンセにメロウなギター、しっとりとしたピアノによるインストナンバーで幕を開け、
続く2曲目からは、スペイン語の歌声を乗せたキャッチーなメロディックロックが広がってゆく。
アルゼンチンロック特有のおおらかな叙情性に、プログレらしいシンセアレンジを加えた、
牧歌的でやわらかなサウンドにのんびりと浸れる。曲によっては変拍子も含んだ軽快なアンサンブルに、
Moon Safariを素朴にしたようなコーラスハーモニーも現れて、メロディ派のリスナーならとても楽しめる。
南米らしい繊細な美しさと、キャッチーなメロディアス性に、ほどよいプログレ感触を加えた好作品。
メロディック度・・8 プログレ度・・7 キャッチー度・・8 総合・・8
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Satiro「eLePe」
メキシコのプログレバンド、サティロの2013年作
ツインギターにシンセを含む6人編成で、スペイン語の歌声を乗せた軽快なアンサンブルと
キャッチーなメロディアス性で聴かせるサウンド。楽曲は3、4分台中心で、総じてシンプルな聴き心地。
プログレというよりもむしろキャッチーなメロディックロックという雰囲気であるが、
随所にきらびやかなシンセアレンジな叙情的なギターフレーズも入ってきて、
演奏のレベルもそれなりに高く、なかなか楽しめる。中米プログレハードの好作品。
メロディック度・・8 キャッチー度・・8 プログレ度・・7 総合・・7.5
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Saulo Battesini 「Scored Fractals」
ブラジルのアーティスト、サウロ・バテシニの2009年作
KAIZENやQUATERNA REQUIEMにも参加ていたギタリストで、本作はインストメインのソロ作。
メロディックなギタートーンに美麗なシンセアレンジで聴かせる優雅なシンフォニックロック。
適度に変拍子も盛り込みつつ、テクニカルというよりは古き良きプログレの感触で、
MASTERMINDのようにギターシンセも使っていたり、ムーグシンセの音色もどこかなつかしい。
曲によってはフルートなどの音色も加わった繊細な味わいも。現BACAMARTEのメンバーも参加している。
ドラマティック度・・7 プログレ度・・8 南米度・・7 総合・・7.5
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SEIN 「TESIS」
アルゼンチンのプログレバンド、セインの2013年作
ヴォーカル、シンセ、ギターをこなす、マルセロ・シウティ氏を中心にしたバンドで、本作が2作目。
スペイン語にわるやわらかなヴォーカルと美しいシンセアレンジで聴かせるキャッチーで繊細なサウンド。
楽曲は3〜5分くらいで、プログレというよりはSeru Giranなどに通じる、やわらかな叙情ロックという趣。
シンセはシンフォ系といってもよいくらいかなりプログレ的で、歌メロやコーラスなどのポップなキャッチーさが合わさると
あるいはMoon Safariなどにも通じる雰囲気もある。南米らしい素朴な哀愁を含んだ牧歌性が魅力の好作品。
メロディアス度・・8 プログレ度・・7 南米度・・8 総合・・8
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SEMENTE
ブラジルのプログレバンド、セメンテの1999年作
妖しくフルートが鳴り響き、うっすらとしたシンセに叙情的なギターのインストをメインに、
ポルトガル語による女性ヴォーカルを乗せた、幻想的なシンフォニックロックを展開する。
スリリングな展開はさほどなく、11分の大曲もゆったりとしたギターフレーズとオルガンなどのシンセ、
男性ヴォーカルも加わって、牧歌的ながら、ほどよく辺境感のあるサウンドを描いてゆく。
サックスが鳴り響く優雅な味わいに、アコースティックギター、フルートなどで聴かせる繊細なパートも覗かせる。
全体的には、派手な盛り上がりがないので、シンフォプログレとしてはいくぶん物足りなさもある。
ドラマティック度・7 プログレ度・7 優雅度・8 総合・7.5

SENHORA DEL MUNDO 「COLLEGIUM MUSICUM DE MINAS」
16〜18世紀のブラジル・ミナス音楽を集めた作品集。
チェンバロにフルート、ヴァイオリンが美しい、クラシカルな小曲を中心に
男女混声コーラスによる讃美歌的どを含む、バロックと古楽、教会音楽を融合させた
伝統的なミナス音楽が楽しめる1枚。グリフォンなどにも通じる中世の古楽要素と、
クラシカルで繊細な美しさはシンフォ系のプログレファンにもお薦めです。
クラシカル度・・8 プログレ度・・5 古楽度・・8 総合・・7.5


Septum 「Quiet Listen!」
キューバのシンフォニックハード、セプタムの2013年作
女性Voにヴァイオリン奏者を含む7人編成で、美しいソプラノ女性ヴォーカルの歌声を乗せて
壮麗でクラシカルなシンセアレンジとツインギターによる重厚なソウンドを描き出す。
いくぶん軽めのドラムなどが適度なB級感をかもしだしているが、変化に富んだリズムチェンジなど
ProgMetal的な展開と構築性も感じさせるところはなかなかよい。各楽曲自体は3〜4分前後と、
むしろ濃密さで物足りないのだが、全体的にシンフォニックな優雅さと女性声の魅力も含めた
クラシカル美意識に包まれていて、今後に期待したくなる可能性をもったバンドだと思う。
シンフォニック度・・8 優雅度・・8 女性Vo度・・8 総合・・7.5
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SERU GIRAN
アルゼンチンのシンフォニックロックバンド、セル・ヒランの1st。1978作
アルゼンチンを代表するシンセ奏者、チャーリー・ガルシアが、
LA MAQUINA解散後、ALASのメンバーらと組んだバンドで、
この1stの時点から、さすがに演奏、楽曲のセンスともにこなれている。
ゆるやかなオーケストレーション、繊細なピアノ、シンセに導かれて
やわらかなヴォーカルが加わってゆく、じつに南米らしい優しい叙情サウンドだ。
メロディアス度・・8 叙情度・・8 南米度・・9 総合・・7.5
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SERU GIRANLa Grasa De Las Capitales
アルゼンチンのロックバンド、セル・ヒランの2nd。1979年作
LA MAQUINA DE HACER PAJAROSのチャーリー・ガルシアが率いるバンドで、
本作は一聴してキャッチーかつポップな感触のメロディックロック。
爽やかなコーラスにラテンポップ的な哀愁も含んだメロディは耳心地がよく、
軽やかなアンサンブルの中にはプログレ、ジャズロック的な質感も垣間見える。
とくに優雅なピアノや美しいシンセワークなどはさすがというもので、
バンドとしての高度なアンサンブルが素晴らしい。南米らしいやわらかなサウンドだ。
メロディアス度・・8 プログレ度・・7 優雅で軽やか度・・9 総合・・8
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SERU GIRANPeperina」
アルゼンチンのシンフォニックロックバンド、セル・ギランの4th。1981作
シンセ奏者、チャーリー・ガルシアが、LA MAQUINA解散後、ALASのメンバーらと組んだバンド。
のっけから南米らしいやわらかな叙情を満喫できる歌もので、
シンセはもちろんのこと、バックの演奏陣もさりげなく上手い。
アコースティカルに聴かせるゆったりとした情緒も耳に優しく、
適度なポップ感覚のある普遍的なメロディアスロックといった趣だ。
メロディアス度・・8 叙情度・・8 南米度・・9 総合・・7.5
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SEVEN SIDE DIAMOND「Enigma」
ブラジルのプログレバンド、セヴン・サイド・ダイヤモンドの2011年作
シンセを含む5人編成で、ドラマティックな雰囲気のイントロから、ProgMetal的なハードさを含んだ
テクニカルなアンサンブルとシンセによる美麗なアレンジに、キャッチーなヴォーカルメロディを乗せた
壮麗なシンフォニックハードを聴かせる。ギターはわりとメタル寄りだが、シンセの方はオルガンや
ムーグなどの音色を含むプログレ寄りの感触なので、メタル、プログレどちらの耳でも楽しめる。
一方、やわらかな歌メロは、QUEENなどからの影響も感じさせ、サウンドに優雅さを加えている。
後半は13パートに分かれた34分の組曲で、優美なシンフォニック性とキャッチーな軽快さに、
ドラマティックな構築力が合わさった、メリハリのある展開で聴かせる。シンフォニックハードの力作。
ドラマティック度・・8 壮麗度・・8 構築度・・8 総合・・8
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SIGMA 「Implemantal View」
ブラジルのプログレバンド、シグマの1998年作
きらびやかなシンセとメロディックなギター、グルーブの効いたアンサンブルで聴かせる、
軽やかなインストプログレ。存在感のあるベースを中心にした、しっかりとした演奏力と
南米らしいやわらかな叙情性のバランスもよく、CAMELなどを思わせる優雅な聴き心地。
64分オールインストで耳心地が良い分引っ掛かりが少ないので、BGMになってしまいそうなのだが、
センスのよいシンセワークも含めて、なかなか質の高い作品だとは思います。
メロディック度・・8 プログレ度・・7 優雅度・・8 総合・・7.5


SINAGOGA ZEN
ブラジルのプログレバンド、シナゴーガ・ゼンの2014年作
女性Voにシンセを含む5人編成で、適度にハードなギターにオルガンを含むシンセ、
ポルトガル語の女性ヴォーカルを乗せた、叙情的なシンフォニックロックを聴かせる。
のっけから20分を超える大曲で、クラシカルなピアノやヴァイオリンが鳴り響く繊細な優雅さとともに、
プログレらしいメリハリある展開力で、チェンバーロック的でもあるスリリングな構築力で描いてゆく。
ヴォーカル嬢のなよやかな歌声は、初期のQUIDAMあたりを思わせ、アコースティックパートなどを含む
南米らしいやわらかな叙情美も良いですね。しっとりとした優美さに包まれた、女性声プログレの逸品です。
優美度・・8 プログレ度・・8 女性Vo度・・8 総合・・8
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Sinestesia 「El Folklore Obscuro」
メキシコのプログレバンド、シネステシアの2006年
哀愁を感じさせるアコースティックギターで幕を開け、ヘヴィなギターにシンセが重なり、
スペイン語の歌声を乗せた、妖しいフォルクローレ風のハードプログレが広がってゆく。
シアトリカルに歌い上げるヴォーカルに、クラシカルなピアノにストリングスも加わって、
まるで、「DEVIL DOLLのメキシコ版」か、というような濃密な世界観に圧倒されつつ
ときにメロウなギターフレーズや美しい女性ヴォーカルとともに、オペラティックな優雅さも覗かせる。
ラスト曲などは、シンフォニックなアヴァンメタルというべき聴き心地で、じつに妖しすぎる異色作だ。
ドラマティック度・・8 シアトリカル度・・8 妖しく優雅度・・9 総合・・8
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SLEEPWALKER SUN
プラジルのハードシンフォニック、スリープウォーカー・サンの2006年作
SAGRADOのマルクス・ヴィアナが参加ということで、てっきり南米シンフォ系かとおもいきや、
男女Voのゴシックメタル風のサウンド。しかもプログレメタリックなリズムの質感もあり、これは良いです。
ヴィアナの艶やかなヴァイオリンはもちろん、キーボーディストのセンスも素晴らしく、
プログレ的な匂いをかもしだしつつ、ときにクラシカルなピアノも奏でています。
そして、そこに女性ヴォーカルが乗ると、楽曲は薄暗い叙情美に満ちあふれて
南米というよりはむしろポーランドあたりの質感を感じます。オフィシャルサイトで試聴可
シンフォニック度・・8 プログレ度・・7 ゴシック度・・8 総合・・8
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SLEEPWALKER SUN「Stranger In The Mirror」
プラジルのハードシンフォニックバンド、スリープウォーカー・サンの2009年作
女性ヴォーカル、ジアナ嬢の美しい歌声と薄暗い叙情美で聴かせるサウンドは、
適度なヘヴィさとプログレ的なシンセワークで構築されたハードシンフォニック作。
いくぶんゴシックメタル風であった前作に比べると、華麗なシンセが前に出ていて
プログレ度が強まっている印象。メロウなギターワークもなかなかセンスがよいが、
長い曲ではやや焦点がしぼりきれていないという印象もあるのが惜しい。
シンフォニック度・・8 プログレ度・・8 女性Vo度・・7 総合・・7.5


SONUS UMBRA 「Digging for Zeros」
メキシコのハードプログレ、ソナス・ウンブラの2005年作
2000年にデビュー、本作は3作目となる。ツインギターに男女Vo、シンセを含む6人編成で、
2〜4分前後の小曲を連ねたコンセプト的な流れとともに、ProgMetal的な構築性で描かれる、
いくぶんダークな空気感のシンフォニックロック。女性ヴォーカルがリードをとる優雅なパートから、
男性声メインになるとやぼったくなるが、メリハリのある構成でドラマテイックな世界観を描いてゆく。
楽曲が短めなので1曲ごとの盛り上がりは薄めながら、アルバム後半ではプログレらしい叙情美も現れる。
ドラマティック度・・8 プログレ度・・7 重厚度・・8 総合・・7.5 
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Sonus Umbra 「Winter Soulstice」
メキシコのハードプログレ、ソナス・ウンブラの2013年作
2000年にデビューし、本作で4作目。フルート奏者を含む7人編成で、クラシカルな旋律を含むシンセアレンジに、
マイルドなヴォーカルの歌声を乗せ、知的な展開力で構築されたProgMetal風味もあるシンフォニックロック。
随所にアコースティックギターやフルートによる繊細な叙情性も含んでいて、展開はハードで濃密なのに
どことなくすっきりとした清涼感があるのが面白い。ヴォーカルにさほど力量がないのもかえってうるさすぎず、
マイナーな感じでむしろよかったり。ドラマティックな壮大さとやわらかな美意識が合わさったという力作です。
ドラマティック度・・8 プログレ度・・8 壮大度・・8 総合・・8
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SONUS UMBRA 「Beyond the Panopticon」
メキシコのプログレバンド、ソナス・ウンブラの2016年作
2000年にデビュー、前作はProgMetal風味のハードシンフォの力作だったが、5作目となる本作は
変拍子を盛り込んだテクニカルなアンサンブルと、フルートなどによる優雅な叙情性を盛り込んだ、
軽妙な味わいのサウンドを聴かせる。マイルドな男性ヴォーカルに美しい女性ヴォーカルも絡んで、
優美でラテン的なやわらかな繊細さを強めた感触で、随所に適度にハードな部分も残しつつ、
純粋にシンフォニックロックのファンに楽しめる作風になった。フルートやピアノのやわらかな音色と、
アコースティックなギターを含んだ叙情は、ときにPFMなどイタリアンロック寄りの雰囲気もある。
ドラマティック度・・7 プログレ度・・8 優雅な叙情度・・8 総合・・8
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SONUS UMBRA 「A SKY FULL OF GHOSTS」
メキシコ出身のプログレバンド、ソナス・アンブラの2020年作
200年にデビューし、6作目となる。アコースティックギターにオルガンを重ね、チェロやフルートが鳴り響き、マイルドなヴォーカルを加えた哀愁の叙情と、テクニカルなリズムにヘヴィなギターを乗せたProgMetalの質感が同居。
リズムチェンジによる巧みな展開力でスリリングなサウンドを描きつつ、フルートやアコギが優雅な叙情をかもしだす。
物悲しいチェロを効果的に用いたメランコリックなシンフォナンバーや、20分という大曲では、妖しくスペイシーなサイケプログレ風味に包まれる。
優雅と重厚が行き来する、キャリアのあるバンドらしい堂々たる力作に仕上がっている。
ドラマティック度・8 プログレ度・8 叙情度・8 総合・8 
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STAROSTA 「De Dioses Y Otros Cuentos」
アルゼンチンのプログレバンド、スタロスタの2018年作
オルガンなどのシンセにギターを重ね、スペイン語のマイルドなヴォーカルで聴かせる、
南米らしいやわらかな叙情に包まれたサウンド。アナログ感あるアンサンブルに、
ほどよくハードなギターに、ピアノやオルガンを乗せた、オールドなロック感触もあって、
派手さはないものの、70年代南米プログレをルーツにした素朴な味わいが魅力。
8分を超えるナンバーでは、ときおり緩急あるプログレらしい展開も覗かせつつ、
全体的にはわりとユルめの雰囲気でのんびりと楽しめる。ある意味アルゼンチンらしい作品。
ドラマティック度・7 プログレ度・7 南米度・8 総合・7.5
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SUBTERRA「Sombras De Invierno」
チリのシンフォニックロックバンド、サブテッラの2001年作
2ndはモダンで薄暗いオルタナシンフォ系サウンドだったが、こちらは正統派の香りが漂うハードシンフォニック。
メロウなギターフレーズに、うっすらとしたシンセが合わさり、ときにメタリックな質感もまとわせた
ドラマティックな楽曲がなかなか耳に心地よい。イギリスのARENAあたりに近い雰囲気もあるが、
Voの弱さがマイナー感を漂わせていて、ほの暗くしっとりとした叙情は魅力敵だが、どこか煮え切らなさも残る。
シンフォニック度・・8 うす暗度・・8 楽曲・・7 総合・・7.5
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SUBTERRA「cautiverio」
チリのシンフォニックロックバンド、サブテッラの2nd。2005作
ややダークなハードシンフォサウンドで、スペイン語による歌唱が南米的な趣をかもしだしているが
どちらかというと現代的で、やや薄暗い硬質感が全体に漂っている。テクニカルなプログレメタル要素もあるが、
曲の展開はゆるやかなので、どうもどっちつかずの印象になってしまっている。
もしかして、DPORCUPINE TREEあたりに近づこうとしているのかもしれないが
南米的な雰囲気とはややミスマッチな感は否めず。中途半端なモダンさが惜しい。
メロディアス度・・7 モダンでクール度・・7 南米度・・7 総合・・7


Sui Generis「Pequenas Anecdotas Sobre Las Instituciones」
アルゼンチンのプログレバンド、スイ・ヘネリスの1974年作
同国を代表する鍵盤奏者、チャーリー・ガルシアが率いるバンドで、後のLA MAQUINAへとつながる存在であるが
こちらはより素朴な味わいが光るサウンド。やわらかなスペイン語の歌声に、美しいシンセアレンジとともに、
アコースティカルなフォークロック的な感触も含んで、ゆったりとしたじつに耳心地のよい作風である。
ムーグシンセが鳴り響き、ときにサイケなギターが絡んだ、プログレ的な芸術性も聴かせつつ、
シンフォニックロック的なリリカルな美しさもある。アルゼンチンロックの繊細さを凝縮したような好作品。
メロディック度・・8 プログレ度・・7 繊細度・・9 総合・・8
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SUPERNOVA '75 「SUITE SUPERNOVA」
アルゼンチンのシンフォニック、スーパーノヴァ'75の2020年作
マルチミュージシャン、ロドルフォ・プラネスによるプロジェクトで、6パートに分かれた30分を超える組曲をメインに
叙情的なギターワークにシンセを重ね、軽やかなリズムとともに、優雅なシンフォプログレを展開する。
南米らしいフォルクローレ風味を含んだ素朴な牧歌性と、PABLOにも通じる繊細な叙情美で、
ゆったりとした耳に優しいインストサウンドが楽しめる。スリリングな展開はさほどないものの、
アコースティックを含むメロウなギターを中心に、優美なインストシンフォが味わえる逸品です。
ドラマティック度・7 プログレ度・7 優美度・9 総合・8
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Sur Oculto 「Estados」
アルゼンチンのプログレバンド、サー・オカルトの2006年作
ギターレスのキーボードトリオで、クラシカルなピアノやカラフルなシンセを軽妙なアンサンブルに乗せ
ジャズロック風の優雅さとミステリアスな空気が同居した、オールインストのキーボードロックを聴かせる。
存在感あるベースとテクニカルなリズムのキーボードプログレという点では、日本のGerardにも通じるところも。
やわらかなピアノの旋律が舞うジャズタッチのナンバーも耳心地よく、歪ませたベースがヘヴィなナンバーなど、
独自の世界観を描こうとしているところが個性的。スリリングなトリオのアンサンブルが楽しめる好作品だ。
ドラマティック度・7 プログレ度・8 優雅度・8 総合・8
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SUR OCULTO
アルゼンチンのテクニカルプログレ、サー・オカルトの2012年作
ギターレスのキーボードトリオ編成で、テクニカルな変則リズムの上をクラシカルなシンセが乗り、
アヴァンギャルドな展開でたたみかける、いわばミステリアスなキーボードプログレ。
ブンブン唸るヘヴィなベースに、ときにギターばりに弾きまくるシンセのはじけ方も凄いが、
先が見えないようでいてしっかりとインストによる楽曲を構築してゆくセンスも只者ではない。
チェンバーロック的なシリアスな感触とエキセントリックなフリーキーさが融合した、鍵盤プログレの怪作。
クラシカル度・・7 テクニカル度・・8 キーボー度・・8 総合・・8




TARKUS「Ao Vivo Em Niteroi」
ブラジルのシンフォニックロックバンド、タルカスのライブDVD。2006作
2005年ブラジルでの公演を収録。壮麗でクラシカルなツインキーボードを中心に
スケールの大きなシンフォニックロックサウンドを展開、バンド名のようにかつてのELPを思わせる
ムーグシンセなどを慣らしながら、そこにメロウなギターがかぶさると音の厚みも充分。
女性ヴォーカルの母国語の歌唱も加わって、南米らしいやわらかな叙情性も素晴らしい。
見た目こそ「プログレ大好きなオヤジたちの演奏会」という風だが、演奏のレベルはかなりのもの。
シンフォニック度・・8 ライブ演奏・・8 ライブ映像・・7 総合・・8
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Tau Ceti 「Meus Dois Mundos」
ブラジルのシンフォニックロック、タウ・セティの2019年作。
1995年にデビュー、本作は24年ぶりとなる復活作。シンセ奏者による個人ユニットとなっていて、
きらびやかなシンセを中心にした優雅なインストで、オルガンを使ったヴィンテージな味わいや、
エレピによる叙情ナンバーなど、TRACEあたりを思わせる、クラシカルな鍵盤シンフォが楽しめる。
後半は、ベートーベン、ブルックナー、バッハなどのカヴァーを含む、クラシック系ナンバーで、
オルガンをメインにした曲では、PAR LINDHあたりに通じるバロックな味わいの優雅さに包まれる。
リズムが打ち込みなので、ダイナミックさにはやや欠けるが、耳心地の良いシンセによるインスト作です。
クラシカル度・・8 プログレ度・・7 キーボー度・・8 総合・・7
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TELLAH「CONTINENTE PERDIDO」
ブラジルのプログレバンド、テッラの1980年作
ギター、ベース、ドラムというトリオ編成で、キーボードはベースとドラマーが兼ねるというスタイル。
当時にしてはいくぶんハード寄りのサウンドで、ときにジャジーになるメロウに奏でるギターワークと
ムーグシンセや古き良きストリングス系キーボードの音色で描かれるインストパートを基本に、
ときおりポルトガル語の歌声が入ってくる。南米らしいおおらかな叙情性がよい感じで、
これがもっと現代風になれば、TEMPUS FUGITになるのかなという。ゆったりと聴けるシンフォ好作だ。
メロディアス度・・7 ハードシンフォ度・・8 南米度・・8 総合・・7.5


TEMPANO「THE AGONY AND THE ECSTASY」
ヴェネズエラのシンフォニックプログレバンド、テンパノの2002作
一聴した感じだと、南米らしからぬ硬質さとシリアスさをもったサウンドで、
コンセプト作らしく、随所に小曲を配置するなどして、アルバムとしての構築性を高めている。
どちらかというとAFTER CRYINGあたりに近い雰囲気で、重厚でクラシカルな雰囲気。
インスト中心の曲が大半なので、アルバムとしては力作であるには違いないが、
全体的には曲として印象に残りにくいのが欠点かもしれない。
メロディアス度・・7 シンフォニック度・・8 重厚度・・8 総合・・7.5


TEMPUS FUGITTales from a Forgotten World
ブラジルのシンフォニックロックバンド、テンパス・フュージットの1st。1997年作
SAGRADO
の登場以降、90年代の南米にはにわかにシンフォニックバンドが増えていったが、
このバンドもDOGMAQUATERNA REQUIEMと並ぶ質の高いアルバムを残した。
これぞシンフォプログレといわんばかりのシンセワークに、メロウなギターフレーズが重なり、
南米的なやわらかみに包まれて、GENESISを思わせるロマンティシズムが溢れだす。
リマスター盤にはボーナストラックに1993年のデモ音源を収録。
シンフォニック度・・8 メロウなロマン度・・9 南米度・・8 総合・・8
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TEMPUS FUGIT「The Dawn After the Storm
ブラジルのシンフォニックロックバンド、テンパス・フュージットの2nd。1999作
GENESISタイプの前作に比べて、より爽快なメロディで聴かせる抜けのよいサウンドになった。
メロディックなギターフレーズと美しいシンセによるインスト演奏はSebastian Hardieあたりを思わせるもので、
じつに耳心地がよい。楽曲構造、アレンジも含めて、その辺のマイナーバンドとは一線を画する出来で、
世界レベルでも一線級の内容だろう。叙情派シンフォとしては前作、軽快なメロディアス作としては本作。
メロディアス度・・9 シンフォニック度・・8 南米度・・7 総合・・8
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TEMPUS FUGIT「LIVE」
ブラジルのシンフォニックバンド、テンパス・フュージットのオフィシャルブートレッグライブ。
このバンドのイメージは、CAMELのメロディアスな部分を抜き出して、ほんのりとGENESIS風味をつけましたというものだったが、
このライブではイントロにいきなり語りを入れるなど、シアトリカルな要素を増した濃い目のシンフォサウンド。
ほぼ全編インストなので、重要なのはギターとキーボードメロディがいかに引っ張るかということ。
このバンドではGのフレーズにもセンスがあるので、嫌味なく延々と続く演奏を聴きとおせる。
ただ音質のせいか、ぱたぱたとドラムがせわしなく聞こえ、せっかくの叙情ギターを損なっている気もする。
メロディアス度・・8 演奏・・7 音質・・6 総合・・7

Tempus FugitChessboard」
ブラジルのシンフォニックロックバンド、テンパス・フュージットの2009年作
90年代後半に高品質のアルバム2枚を残し、その後音沙汰のなかったこのバンドだが、
10年ぶりに3作目が届けられた。メンバーはみなオヤジになっているが、
サウンドの方はかつてと変わらず、メロディアスなギターと美しいシンセが重なる
叙情派のシンフォニックロック。哀愁を含んだギターフレーズと、南米らしい優雅さが合わさり、
10分以上の長い曲でも濃密すぎることなく楽しめる。やはりいいバンドなのである。
メロディアス度・・8 シンフォニック度・・8 南米度・・8 総合・・8
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TISARIS 「What's Beyond」
ブラジルのシンフォニックロック、ティサリスの1992年作
シンセを含む5人編成で、メロディックなギターに美しいシンセアレンジを、
ドカドカとしたハード寄りのドラムに乗せた、シンフォニックロックを聴かせる。
やや情感過多でシアトリカルに歌い上げるヴォーカルは好みを分けるものの、
歌詞は英語なので、あまり南米という地域性は感じさせない。ときおり泣きの叙情メロが現れて、
それなりに良い感じではあるが、全体的にはゆったりとして少々長尺感があるのも否めない。
ラストは11分を超える大曲で、盛り上がりそうで盛り上がり切らないという、微笑ましさが嫌いではない。
ドラマティック度・・7 プログレ度・・7 叙情度・・8 総合・・7

TISARIS 「Once Humanity...」
ブラジルのシンファニックロック、ティサリスの1994年作
独自のオリジナルSFストーリーを基にしたコンセプト作品で、美しいシンセアレンジに
随所にツーバスのドラムを含んだ、いくぶんハードなシンフォニックロックサウンド。
インストを中心にした楽曲は、ゆったりとしたシメージを描くような部分も多いのだが、
泣きのクサメロを奏でるギターもよい感じで、シアトリカルなヴォーカルが加わって、
ここぞというところでは叙情があふれ出す。作品としての長尺感があるのは否めないが、
ドラマティックな力作であるには違いない。90年代のおおらかさを感じさせる作品だ。
壮大度・・8 プログレ度・・7 南米度・・8 総合・・7.5

Tisaris 「Power of Myth」
ブラジルのシンフォニックロック、ティサリスの1996年作
3作目となる本作も、美麗なシンセアレンジと適度にハードなギターで、
ドラマテイックな壮大さを感じさせる正統派のシンフォニックロックサウンド。
楽曲は4、5分台が中心で、前作に比べるとややコンパクトになった感があるが、
英語歌詞のヴォーカルの野暮ったさは、いかにも南米的でB級臭さは抜けきれない。
随所にメロウなギターも入った叙情性と濃密な聴き心地は、むしろENTRANCEなどの
現在の南米ハードシンフォの原点的なイメージだろうか。あか抜けなさが魅力と言えなくもない。
ドラマティック度・・8 プログレ度・・7 南米度・・8 総合・・7.5


TOCCATA 「CIRCE」
メキシコのシンフォニックロックバンド、トッカータの2005年作
きらきらとしたキーボードにメロウなギター、そして情熱的な女性ヴォーカルの母国語の歌唱と、
どれもが濃くそして熱い、いかにも中米らしいテクニカルなシンフォニックロックである。
やや唐突ながら次々に展開してゆく楽曲は、この手のハードシンフォ好きにはたまらないし、新人にしては演奏力もある。
ジャケがダサすぎるのが玉に傷であるが…8曲中8分以上の曲が5曲と大作志向で、展開が多いので飽きさせない。
メロディアスで大仰、テクニカルかつ情熱的なシンフォニックアルバム。たっぷり濃厚な力作です。
シンフォニック度・・8 メロディアス度・・8 熱情度・・9 総合・・8
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III MILENIO「ALIANCA DOS TEMPOS」
南米はブラジルのシンフォニックバンド「トレ・ミレニオ」の1990作。
内容を一言であらわすと大仰シアトリカル系シンフォ。つまりは壮大で濃密でクドい。
同じ南米のサグラドが大自然を思わせる雄大な叙情美であるのに対し、本作はいわば演劇的でコテコテ。
部分的にはスロヴェニアのシアトリカル・ゴシックバンド、デヴィルドールさえ思わせる。
かすれ声からキンキン声まで歌い分ける男ヴォーカルが好みを分けるが、壮大なキーボードにメロディアスなギター、
大仰コーラス、合唱隊など、緩急織り交ぜた出来の良い組曲が続く、その聴き心地はとにかく濃厚だ。
シンフォニック度・・9 演劇的度・・9 濃度・・9 総合・・7.5
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Trigemino 「Trampas para Enganar」
アルゼンチンのプログレバンド、トリヘミーノの2019年作/邦題「いつわりの罠」
70年代に活動していたバンドが、2005年に再結成し、かつての楽曲を録音したという復活のデビューアルバム。
前に出すぎないメロウなギターにオルガンやムーグシンセ、エレピを重ね、スペイン語のヴォーカルとともに、
70年代風味のキャッチーなプログレサウンドを聴かせる。2曲目からは、32分近い組曲になっていて
アコースティックギターやシタールによる素朴な感触とともに、フォルクローレ的な優雅さにも包まれる。
派手になり過ぎないところは、いかにも70年代アルゼンチン的で、一聴したインパクトはさほどないのだが、
ラストの17分の大曲なども、牧歌的な叙情とオールドなプログレ感が同居した、微笑ましい味わいで楽しめる。
ドラマティック度・・7 プログレ度・・7 優雅度・・9 総合・・8
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TRINDADE
ブラジルのシンフォニックロック、トリンダーデの1993年作
SAGRADOのマルクス・ヴィアナのプロジェクトで、サウンドはたおやかなヴァイオリン、ピアノ、アコギなどによる
しっとりとした曲調に美しい女性ヴォーカルがポルトガル語の歌を乗せる。つまりはSAGRADOの優しい部分を抽出した感じ。
実際、SAGRADOで聴いたことのある曲もあり、たおやか系シンフォ好きにはお薦めしたい逸品です。
シンフォニック度・・8 たおやか度・・9 女性Vo度・・8 総合・・8
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UNITRI「Minas Cantos E Quintais」
ブラジルのプログレバンド、ウニトリの2012年作
いわゆる「ミナス派」と呼ばれるアーティストの中でもプログレ寄りのバンド、オ・テルソの
セルジョ・インズがプロデュースするバンドで、優美なストリングスとシンセのアレンジ、、
ポルトガル語のやわらかなヴォーカルとともに、繊細な叙情を描くじつに優しいサウンド。
随所にシンフォニックな美しさとメロウな泣きのギター、アコースティカルな素朴さも含んだ、
いかにも南米らしいシンフォニックロックが楽しめる。とにかくメロディアスな感触は、
MOON SAFARIを南米風にしたというような雰囲気もある。たおやか系の傑作。
メロディック度・・9 プログレ度・・7 繊細な叙情度・・9 総合・・8
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URANIAN 「La Ciudad De Los Suenos」
アルゼンチンのプログレバンド、ウラニアンの2011年作
シンセを含む4人編成で、適度にハードなギターワークと、DREAM THEATER以降の構築性を感じさせる
テクニカルなリズムを含んだオールインストによるハードプログレサウンド。ProgMetal的な感触も多分にあるが、
あくまでメロディ主体で、美しいシンセアレンジとともに繊細なパートも多く、緩急のついた楽曲構成で楽しめる。
泣きのギターメロディも随所に光っていて、南米らしいやわらかな叙情性に包まれた、ハードシンフォニック作品。
インストで70分弱はさすがにつらいので、これで歌入りにして楽曲アレンジを詰めれば、かなり良いバンドになりそうな気がする。
メロディック度・・8 ProgMetal度・・8 叙情度・・8 総合・・7.5
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VADE RETRO 「Floreciendo En Heliopolis」
アルゼンチンのプログレバンド、ヴァデ・レトロの2012年作
やわらかなシンセアレンジに叙情的なギターフレーズ、そしてスペイン語によるヴォーカルで、
南米らしい繊細な味わいと哀愁の美学を感じさせるシンフォニックロックサウンド。
Sui GeneriやsLA MAQUINAを受け継ぐような古き良き味わいを感じさせつつ、
クラシカルなピアノの響きを含んだ優雅な聴き心地にうっとりとなる。うるさすぎないレトロな味わい。
オルガンやフルートの入った70年代的な素朴な感触が楽しめる好作品だ。
メロディック度・・8 プログレ度・・7 繊細度・・9 総合・・8
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VIA LUMINI 「What Have We Done About Us?」
ブラジルのプログレバンド、ヴィア・ルミニの1995年作
軽やかなアンサンブルで聴かせるテクニカル性とメロディックなやわらかさが融合した、
ジャズロック風味のシンフォニックロック。オルガンをシンセに優雅なフルートの音色も合わさって、
南米版カンタベリープログレというような雰囲気もある。歌詞が英語なのもこのサウンドには合っている。
ラスト15分の大曲も含め、全体的に強いインパクトはないのだが、軽妙な叙情性で楽しめる好作品だ。
メロディック度・・8 プログレ度・・7 南米度・・7 総合・・7.5


VITRAL 「ENTRE AS ESTRELAS」
ブラジルのシンフォニックロック、ヴィトラルの2017年作
QUATERNA REQUIEMのドラム、元BACAMARTEのフルート奏者が参加するバンドで、52分という長大な組曲を主体に、
オルガンを含むシンセにやわらかなフルートの音色、メロウなギターを重ねて優美な叙情を描く、正統派のシンフォニックロック。
クラシカルな鍵盤のフレーズは、ときにPAR LINDHなどにも通じる感触で、52分の大曲もあくまで優雅な味わいとともに、
ゆったりとしたインストサウンドを構築してゆく。軽やかなリズムの上にフルートが鳴り響くところは、CAMELあたりを思わせ、
シンセをメインにした繊細な叙情美は、かつてのQUATERNA REQUIEMが好きだった方にもアピールするだろう。
さすがに長尺感はあるのだが、耳心地が優しいので最後までのんびりと鑑賞できる。南米シンフォの新たな力作です。
シンフォニック度・・8 プログレ度・・8 優美度・・9 総合・・8
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VLAD V 「A Espada E O Dragao」
ブラジルのプログレバンド、ヴラドVの1996年作
ハード寄りのギターにオルガンを含むシンセとハイトーンヴォーカルを乗せた、
ヴィンテージな味わいのハードプログレ。ときにシャウトするヴォーカルやツーバスのドラムは
ハードロック寄りの感触で、ブルージーなギターも含めて、70年代英国ロックルーツの味わいながら、
ときにフルートが鳴り響き、ポルトガル語による歌声がやわらかな叙情をかもしだす。
アコーディオンにフルート、アコースティックギターによる民族的なナンバーもあったりと、
楽曲の振り幅の大きさもメンバーの力量があるからこそだろう。ハードさと叙情が同居する好作だ。
ドラマティック度・・7 ハードプログレ度・・8 叙情度・・8 総合・・8
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VLAD V「O Quinto Sol」
ブラジルのプログレバンド、ヴラッドVの1999年作
フルートが鳴り響き、アコースティックギターにシンセが重なり、ポルトガル語のヴォーカルで聴かせる、
牧歌的な叙情に包まれたサウンド。オルガンやエレキギターが加わると、オールドなロック感触が出てきて、
素朴なバンジョーの音色など、哀愁を含んだフォルクローレ風味のシンフォニックロックが楽しめる。
全体的にはキャッチーな耳心地で、安定した演奏力とともに、曲によってはPFMのような雰囲気もあり、
適度なテクニカル性とアコースティックな要素も同居した好作品です。ボーナスも含め全17曲、たっぷり70分。
メロディック度・・8 プログレ度・・7 南米度・・8 総合・・8


VOLVOX
アルゼンチンのプログレバンド、ヴォルヴォックスの2014年作
シンセを含む4人編成で、わりとハード寄りのギターにきらびやかなシンセが絡み、
軽妙なアンサンブルで聴かせる、メタルフュージョン的なインストサウンド。
適度にテクニカルな硬質感と、シンフォニックでスペイシーな優雅さが同居していて、
オールインストながらもなかなか楽しめる。ドラムサウンドの野暮ったさが惜しいのだが、
ときに泣きのメロディを奏でるギターは、美しいシンセアレンジとともに、やわらかな叙情を描いている。
もう少し思い切った展開や、インパクトのあるパートが増えれば、より強力なバンドになるだろうと思う。
ドラマティック度・・7 テクニカル度・・7 優雅度・・8 総合・・7.5
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Wejah 「Senda」
ブラジルのプログレバンド、ウェジャーの1996年作
ギター、ベース、ドラム、シンセの4人編成で、やわらかなシンセワークに、
適度にメロディックなギターを乗せた、オールインストのシンフォニックロック。
歌の無いインストで、劇的な盛り上がりがない分、単長な感触もあるのだが、
CAMELのような優美な耳心地でゆったりと楽しめる。Quaterna Requiemあたりに比べると、
もう少し濃い目の泣きが欲しい気もするが、この煮え切らなさが南米マイナー系シンフォの魅力でもあるかも。
シンフォニック度・・7 プログレ度・・7 優美度・・9 総合・・7.5

Wiermann & Vogel「A Mao Livre」
QUATERNA REQUIEMの女性キーボード奏者、Elisa WiermannとヴァイオリンのKleber Vogelによるデュオ。
シンセをバックに艶やかなヴァイオリンをメインにした、たおやかなサウンドで、
QUATERNA REQUIEMからギターとドラムを除いて、しっとりとした叙情性を加味した雰囲気。
ゆるやかなオーボエの音色や、ピアノ、チェロなどによるアコースティカルな美しさが耳に優しい。
ロック色はほぼ皆無なので、ドラマティックな盛り上がりには欠けるものの
ゆったりとした優雅なシンフォニックアルバムとして楽しめる。
SAGRADOのマルクス・ヴィアナのソロ作などが好きな方にはお勧めしたい。
シンフォニック度・・8 プログレ度・・6 しっとりゆるやか度・・9 総合・・7.5
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William Gray 「Living Fossils」
ブラジルのハードプログレ、ウィリアム・グレイの2006年作
シンフォニックなアレンジにハード寄りのギターを重ね、英語のヴォーカルを乗せた
プログレメタル風味もあるシンフォニックハード。ストリングスによる壮麗なアレンジや、
オルガンが鳴り響くオールドなテイストが同居しつつ、小曲を挟んだコンセプト的な流れで、
ドラマティックに世界観を構築してゆくセンスは、なかなかスタイリッシュな感触である。
一方ではメロウなギターやピアノを乗せて、ゆったりと聴かせる叙情パートも多く、
インスト主体で派手さはないが、モダンなシンフォニックロックとしてもじっくり楽しめる力作だ。
ドラマティック度・・8 プログレ度・・7 モダンシンフォ度・・8 総合・・7.5
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William Gray 「Silentio」
アルゼンチンのハードプログレバンド、ウィリアム・グレイの2012年作
適度にハードなギターとシンセアレンジ、マイルドなヴォーカルを乗せ、
ときにProgMetal的なテクニカルな構築力も含んだコンセプトアルバム。
メタリックでモダンな感触と、シンフォニックなアレンジが合わさった重厚な聴き心地ながら、
一方では、ピアノやアコーディオンなどの入ったやわらかな叙情性もあって、
タンゴやフォルクローレ的な雰囲気も感じさせ、ヴァイオリンやチェロなどのストリングスが加わると、
クラシカルな優雅さに包まれる。ストーリー的なドラマティックな流れも楽しめる力作だ。
ドラマティック度・・8 プログレ度・・7 重厚度・・8 総合・・8
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VA/ Rio Art Rock Featival '97
ブラジルのリオで行われたプログレライブイベントを収録した2CD。1999年作
Disc1に、Quaterna RequiemVioleta de OutonoPar Lindh Projectを3〜4曲ずつ、
ボーナスのDisc2には、1996、1998年のライブから、Minimum VitalSagrado
SolarisApocalypseTempus FugitPendragonの音源を1曲ずつ収録。
美麗なシンセワークを中心に優雅なシンフォニックロックを聴かせる、Quaterna Requiem
Violeta de Outonoは優雅なアンサンブルで、わりとユルめに聴き流せるのだが、
Par Lindh Projectが始まるや、そのバロックなクラシカル・シンフォっぷりに惹きつけられる。
パルさんのシンセはもちろん、今は亡きマグダレーナさんの歌声が聴ける貴重なライブ音源でもある。
Disc2では、Minimum Vitalの優雅なサウンドや、Solarisの硬質なキーボードシンフォっぷりも楽しめ、
ラストのPendragonは泣きの叙情ギターに浸れます。各国のシンフォプログレの魅力が詰まったライブ作品です。
シンフォプログ度・・8 ライブ演奏・・8 貴重度・・8 総合・・8


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