プログレ/イギリス 80年代〜
〜PROGRESSIVE ROCK/England,Wales,Scotland,Ireland 80's〜
                by Tosei Midorikawa

掲載バンドはABC順になっています

M VW

■CDの評価に関しては、個人的嗜好が反映されることもあり、納得のいかない評価もあるかと思いますが、どうかご了承ください。
  
*70年代ブリティッシュロックCDレビュー  音楽ページトップ  



Abel Ganz 「Gratuitous Flash」
イギリスのシンフォニックロック、アベル・ガンズの1984/2016年作
自主制作による1984年のデビュー作のリミックス盤で、ジャケも変更されている。
オルガンにメロトロンを含む美麗なシンセにほどよくハードなギターを乗せ、のちにPALLASに加入する
アラン・リードの歌声とともに、きらびやかでキャッチーな王道のシンフォニックロックを聴かせる。
いわゆるポンプロックの軽快な優雅さと、英国らしいウェットな味わいが魅力で、爽快な叙情性という点では、
初期のIQPALLASを上回る。リミックスにより音質もダイナミックになり、30数年前という古臭さはさほど感じない。
16分という大曲なども、デビュー作としては堂々とした構築力で、ポンプルーツのシンフォニックロックが楽しめる。
シンフォニック度・・8 プログレ度・・8 叙情度・・8 総合・・8 
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Abel Ganz 「The Dangers of Strangers」
イギリスのシンフォニックロック、アベル・ガンズの1988/2008年作
PALLASのアラン・リードも在籍した80年代英国ポンプロックを代表するバンドのひとつで、
代表作である1988年作が、20周年記念のリマスター盤としてジャケも変更されて再発された。
やわらかなシンセアレンジとマイルドなヴォーカルで、IQなどにも通じる湿り気を帯びた叙情性で、
Genesisルーツのポンプ/シンフォサウンドを聴かせる。80年代の商業音楽路線に抵抗するような
ソフトでメロディックでありつつも、キャッチーに抜け切らない、ほのかな翳りこそが英国らしさであり、
後のシンフォ系プログレへとつながってゆくことになる。メロウな叙情をゆったりと楽しめる好作品だ。
ドラマティック度・・8 プログレ度・・7 叙情度・・8 総合・・8
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Abel Ganz「Shooting Albatross」
イギリスのシンフォニックロックバンド、アベル・ガンズの。2009年作
80年代から活動をしている英国ポンプ/シンフォニックロックのベテラン。本作は1994年作以来、じつに15年ぶりとなる新作。
のっけから15分を超える大曲で、たおやかなピアノや古き良きスタイルのシンセ、
メロウなギターフレーズが合わさった、じつに耳心地の良いゆるやかなシンフォニックロック。
その後も23分、12分、14分という大曲で構成されたアルバムは、派手な展開やモダンな感触は
あまりなく、あくまでヴィンテージなやわらかさで聴かせるゆったりとしたもので、
せっかちなリスナーには向かないが、PENDRAGONやPALLASなどが好きなら楽しめるだろう。
シンフォニック度・・8 ドラマティック度・・7 ゆったり度・・8 総合・・8
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ABEL GANZ
イギリスのシンフォニックロック、アベル・ガンズの2014年作
1984年にデビュー、かつてはPALLASのアラン・リードが在籍したバンドとしても知られる。
2008年に15年ぶりの新作で復活し、本作はそれに続く6年ぶりのアルバム。
ストリングスにシンセを重ねたクラシカルなイントロ曲から、マイルドなヴォーカルを乗せ、
アコースティックギターにフルートなどの繊細な叙情とともに、英国らしい牧歌的な味わいと
ここぞと泣きのギターにオルガンを含むシンセで盛り上げつつ、23分という組曲を描いてゆく。
アルバム中盤は、女性声を乗せたアンビエントなナンバーやアコーディオを乗せたカントリー風から、
14分の大曲では、ブラスやピアノを加えた優雅なジャズタッチも覗かせる。全72分の大人の力作です。
ドラマティック度・・7 プログレ度・・7 優美度・・8 総合・・7.5 
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Alan Reed 「First in a Field of One」
元PALLASのシンガー、アラン・リードの2012年作
80年代からパラスのフロントマンを務めてきたシンガーで、本作がソロとしての初作品となる。
マイルドなヴォーカルを中心にしたシンフォニックな歌ものサウンドで、美麗なシンセアレンジと
ケルティックなメロディを含んだ叙情性でじっくりと聴かせる作風。英国らしい美意識と牧歌的なおおらかさに包まれつつ
随所にムーグやオルガンなどのプログレらしいシンセワークも入って、やはりかつてのPALLASを思わせる部分も多い。
アイルランドで活動するギタリスト、ジェフ・グリーンをはじめ、元PALLASのシンセ奏者にPENDRAGONのドラマー、
さらにはMAGENTAのクリスティーナ嬢なども参加している。PALLASのファンはもちろん、英国シンフォ好きにもオススメの好作品。
ドラマティック度・・8 叙情度・・8 英国度・・9 総合・・8
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ALAN REED 「HONEY ON THE RAZORS EDGE」
イギリスのミュージシャン、アラン・リードの2017年作
80年代からPALLASのフロントマンを務めてきたシンガーで、本作がソロ2作目となる。
美麗なシンセアレンジに適度にハードなギターと、衰えぬ伸びやかなヴォーカルを乗せた、
PALLASARENAにも通じるシンフォニックロックを聴かせる。いくぶんモダンな感触もありながら、
そこにアランの歌声が加わると、とたんに90年代のシンフォ系に回帰したような空気感になってにんまり。
元PALLASのマイク・ストビーのシンセワークもさすがで、元PENDRAGONのスコット・ハイアムのドラム、
元MOSTLY AUTUMNのジェフ・グリーンのギターとともに、ゆるやかな叙情に包まれた英国らしいサウンドを描き出す。
ゲストに、スティーブ・ハケットや、クラウド・レオネッティ(LAZULI)、クリスティーナ・ブース(MAGENTA)、
モニク・ヴァン・ダー・コーク(HARVEST)などが参加。パラスのファンはもちろん英国シンフォ好きはチェックです。
メロディック度・・8 プログレ度・・7 英国度・・9 総合・・8
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ALAN REED 「LIVE :FROM THE RAZORS' EDGE」
PALLASのシンガー、アラン・リードのライブ作。2018年作
TWELFTH NIGHTのマーク・スペンサー、DEEEXPUS/TOUCHSTONEのヘンリー・ロジャースに、
女性ベーシストを含むバックバンド、THE DAUGHTERS OF EXPEDIENCYを従えての2017年英国でのライブで、
オルガンを含むシンセにツインギターと、シアトリカルな味わいを含んだ独特のヴォーカルを乗せた、
英国らしいハード・シンフォニックロックは健在。2012年、2017年のソロ作からのナンバーに加え、
PALLAS時代のナンバーも披露。音質的にやや平坦なのと、普通過ぎるジャケが少し残念だが、
あの頃のパラスが蘇るような聴き心地で、英国シンフォのファンには嬉しいライブ作品だろう。
ライブ演奏・・8 音質・・7 英国シンフォ度・・8 総合・・7.5
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ALSO EDEN 「[Redacted]」
イギリスのプログレバンド、オルソー・エデンの2013年作
2006年デビューの新鋭で、本作がすでに4作目となる。適度にハードなギターと
ハイトーンヴォーカルを乗せながら、ときに繊細なポストプログレ風味も含ませたサウンド。
いくぶんモダンなアレンジを覗かせつつ、随所にプログレ的なシンセワークも光っていて、
やはりARENA以降のネオプログレ的なダイナミズムが爽快な味わいになっている。
メロディックなギターフレーズもよろしく、PALLASあたりに通じるドラマティック性もあるが、
全体的にはこれだというインパクトに欠ける。キャッチーなのに抜けきれないのが英国的ではある。
ドラマティック度・・7 プログレ度・・7 英国度・・8 総合・・7.5
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AMANDA LEHMANN 「Innocence & Illusion」
イギリスの女性ミュージシャン、アマンダ・レーマンの2021年作
Steve Hackettのツアーメンバーにも参加するなど、公私ともにハケットファミリーである女性ギタリスト&シンガーで、
ソロとしては初のアルバム。スティーブ・ハケット、ニック・マグナス、ロジャー・キングといったハケットバンドの面々が参加、
どことなくアニー・ハズラムを思わせる美しい歌声に叙情的なギターとシンセを重ねた、優美なサウンドを聴かせる。
ニック・マグナスのシンフォニックなシンセアレンジも素晴らしく、アマンダの泣きのギターもときにハケットを思わせる。
ロブ・タウンゼンドのサックスが鳴り響くジャズタッチのナンバーや、繊細なアコースティックギターのバラードも美しい。
ときにハード寄りのギタープレイも覗かせつつ、魅力的な女性声を活かした優雅な味わいの好作品です。
ドラマティック度・8 プログレ度・7 女性Vo度・8 総合・8
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AmplifierInsider」
イギリスのプログレ・ロックバンド、アンプリフィアーの2006年作
おそらくこれが2作目。先に3作目を聴いていたが、本作もポストロック的なビジョンの深さと
プログレッシブな知的構築性で聴かせる、スケールの大きなロックサウンドだ。
適度なヘヴィさもあるので、メタルファンにはハードプログレとして楽しめるし、
70年代的なアナログ感覚も含んだ、ヴィンデージ系ロック風味もある。
内的プログレ度・・8 壮大度・・8 ポストロック風味度・・9 総合・・8
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AmplifierThe Octopus」
イギリスのプログレ・ロックバンド、アンプリフィアーの2011年作
基本はギター/ヴォーカル、ベース、ドラム、ピアノ(シンセ)という4人編成であるが、
5人のバックヴォーカルやトランペット奏者も含んでいて、まるで大がかりなポストロックバンドのよう。
紙ジャケを開いてみると、PART1、2に分かれたCD2枚組の大作というのにもびっくりだが、
しっとりとしたピアノの音色に、マイルドなヴォーカル、メロウなギターで綴られるサウンドは
PINK FLOYDなどにも通じるような、叙情的でありつつ壮大なビジョンを感じさせるもので、
キャッチーなコーラスワークなど、聴き心地の良さの裏側に、知的なビジョンが見え隠れする。
ギターがヘヴィになると、古き良きオルタナ風味にもなるのだが、アナログ感覚はちゃんとある。
これはプログレ的なポストロックというのが正しいのか、ともかくただものではないセンスが
聴き手の想像力を刺激する。70'sロックの感触が、モダンな知性と融合したというべき力作。
まるで暗号解読のようなブックレットの文字や、付属の意味不明のロゴシールも謎だ。
内的プログレ度・・8 壮大度・・8 ポストロック風味度・・9 総合・・8
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Amplifier「Echo Street」
イギリスのポストプログレバンド、アンプリフィアーの2013年作
前作はCD2枚組で、PINK FLOYDばりの壮大なビジョンを持った力作だったが、
本作では、ジャケのようにどこかノスタルジーを感じさせる牧歌的な雰囲気で、
ゆったりと広がりのあるサウンドを聴かせる。やわらかなヴォーカルの歌声とコーラス、
美しいシンセアレンジと、ときに厚みのあるギターが重なり、楽曲はゆるやかなな盛り上がりを見せる。
キャッチーであるが、ミステリアスな深みを垣間見せるセンスは、バンドの懐の深さだろう。
ドラマティック度・・8 プログレ度・・7 壮大度・・8 総合・・8
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Amplifier 「Mystoria」
イギリスのポストプログレ、アンプリフィアの2014年作
前作はゆったりとした牧歌的な作風であったが、今作では冒頭からまるでMotorpsychoのような
サイケ感に包まれたノリと、オルガンなどを含んだヴィンテージ感あるロックサウンドが広がってゆく。
キャッチーなロック色が強まった分、従来の精細なポストプログレ風味は薄れているのだが、
そこはこのバンドのセンスの良さで、曲によっては80年代オルタナ色やドゥームロック要素も垣間見せるなど、
楽曲ごとの確信犯的なアレンジが楽しめる。プログレサイドのリスナーがにやりとできる、サイケロック風の好作品。
ドラマティック度・・7 プログレ度・・7 楽曲センス・・8 総合・・8
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ANATHEMA「Judgement」
イギリスのゴシックロックバンド、アナシマの5th。1999作
4th「Alternative 4」ではメタリックな要素を薄め、倦怠の叙情を聴かせるゆるやかなサウンドへと進化をとげ、
本作ではさらにその路線を押し進めている。ここで聴けるのはもはやゴシックというよりは、薄暗さのあるポストロックという趣で、
マイルドなヴォーカルにうっすらとしたシンセ、そしてメロウなギターフレーズで聴かせる
静かな楽曲は、メタルというよりはむしろプログレの質感に近いかもしれない。
Porcupine Treeへとつながる、英国の薄暗系ロックとして楽しめるアルバムだ。
メロディアス度・・8 ゴシック度・・6 ゆるやか叙情度・・8 総合・・8
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ANATHEMA「A Fine Day to Exit」
イギリスのゴシックロックバンド、アナシマの6th。2001作
ここに来てメタル色はほぼなくなり、むしろプログレ的なサウンドになった。
ヴォーカルの歌声もやわらかくなり、浮遊感のあるシンセとギターを中心に
ゆったりと聴かせるブリティッシュロックとでも言うべき雰囲気である。
しかしながら、彼らならではのほの暗い叙情性はちゃんとあり、
これはこれでちゃんと楽しめる世界観がある。しっとりと耳に心地よいこの音は、
案外PORCUPINE TREE系のリスナーなどにも勧められるものがあるかもしれない。
メロディアス度・・8 ゴシック度・・6 ゆるやか叙情度・・9 総合・・8
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Anathema 「Resonance」
イギリスのゴシックロックバンド、アナシマの2001年作
1993年にデビュー、初期のドゥーミィな路線から、しだいにメロディアスに、そして脱メタルをも果たし、
4th以降はむしろプログレのリスナーにも楽しめる、マイルドな薄暗い叙情ロックとなっているが、
本作は未発曲やアコースティックバージョン、ライブ音源などで構成されたベストアルバム的になっている。
繊細なアコースティックギターをうっすらとしたシンセが包み、はかなげな女性ヴォーカルの歌声が美しい。
PINK FLOYDのカヴァーも含めて、企画ものとは思えないトータルな静謐感が楽しめる好作だ。
ゴシック度・・7 メタル度・・1 しっとり繊細度・・9 総合・・8
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Anathema「A Natural Disaster
イギリスのゴシックロックバンド、アナシマの7th。2003作
4thあたりからメタル度を減らし、浮遊感を漂わせたメランコリックな作風へと変化、
本作もほの暗い叙情を含んだゆったりとした聴き心地のサウンドで、
プログレ方面にもアピールする内容だろう。マイルドなヴォーカルの歌声に、
ときにメロウな旋律も奏でるギター、曲によっては女性ヴォーカルや
シーケンサー的なシンセアレンジも含んで、アルバムとしてのメリハリもある好作品だ。
メロウ度・・8 メタル度・・5 叙情度・・8 総合・・8
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ANATHEMA「Hindsight」
イギリスのゴシックロックバンド、アナシマの2008年作
4th以降はメタル度を減らしたマイルドな作風へと進化してきたこのバンド、
本作は既存曲をアコースティカルにアレンジした作品で、雰囲気としては
完全に薄暗系プログレのサウンドになっている。もの悲しいチェロの響きに
アコースティックギターとピアノが重なり、ヴォーカルの歌声がマイルドに広がる。
MARILLIONあたりのファンにも楽しめる繊細な作品だ。
ドラマティック度・・8 薄暗度・・9 繊細度・・9 総合・・8
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ANATHEMA「We're Here Beacuse We're Here」
イギリスのゴシックロックバンド、アナシマの2010年作
初期のゴシックメタル路線から、しだいにゆるやかな浮遊感をまとったプログレ的な色合いを深め、
5th以降はPorcupine Treeにも通じるような薄暗系のマイルドな作風を確立したこのバンド。本作は
2008年の「Hindsight」以来となる9作目で、ミックスはPorcupine Treeのスティーブ・ウィルソンが手がける。
サウンドにはもはやメタル色はいっさいなく、ゆるやかな叙情で聴かせるマイルドな英国ロックという趣。
ジャケのイメージのように光を感じさせる爽やかさで、女性コーラスとうっすらとしたシンセが優しく包み込む。
どう考えてもプログレコーナーに置いた方がいいような内容ですな。じつに美しい作品だ。
メロウ度・・9 メタル度・・3 叙情度・・9 総合・・8
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AnathemaWeather Systems
イギリスのメランコリックロック、アナシマの2012年作
初期のゴシックメタル路線から、ゆるやかな浮遊感をまとった作風へと進化し、
もはやメタルというよりは、マイルドな英国プログレロックというべきこのバンド。
本作も、前作までの路線に引き続き、ゆるやかな美しい叙情を聴かせてくれる。
ときに女性ヴォーカルの歌声も含んだ聴き心地はしっとりと耳に優しく、
ストリングスの優雅なアレンジなど、繊細な叙情性がさらに際立っている。
8〜9分という大曲もあり、どう考えてもプログレ側のリスナー向けだろう。
メロウ度・・9 メタル度・・2 叙情度・・9 総合・・8
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ANATHEMA 「Universal」
イギリスのメランコリックロック、アナシマのライブ作品。2013年作
本作はブルガリアの古劇場で行われたライブステージを収録したCD+DVD
バックにはオーケストラを加え、アルバム以上にシンフォニックなスケール感に包まれたサウンドが楽しめる。
マイルドな男性ヴォーカルに、2000年に加入した女性シンガー、Lee Douglasの美しい歌声も重なって、
バックの優美なストリングスとともに、しっとりと翳りを帯びたゆるやかな叙情美を描いてゆく。
繊細なダイナミズムというべき空間美はベテランならではの構築力といえるだろう。
これは素晴らしいライブ作品。DVDの映像も見れば感動もさらに増します。
シンフォニック度・・8 叙情度・・9 繊細度・・9 総合・・8.5
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ANATHEMA 「Distant Satellites」 
イギリスのメランコリックロック、アナシマの2014年作
もはやメタル枠で掲載するにははばかられる、しっとり系ポストプログレ系のサウンドなのであるが、
本作もマイルドな男性ヴォーカルに女性ヴォーカルを絡め、物悲しく薄暗い叙情性を描き出すスタイルで
シンフォニックなオーケストレーションが楽曲を包み込む。曲によってはリー嬢のヴォーカルをメインにした、
繊細な女性声シンフォという感じにも楽しめる。楽曲ごとに深みのあるスケール感を生み出すだけの
世界観が強く感じられ、単なる薄暗系プログレというにはとどまらない、ドラマティックな雄大さが素晴らしい
8分を超えるタイトル曲ではエレクトロなアレンジも含んだモダンさも覗かせる。バンドとしてのさらなる深化が窺える意欲作だ。
ドラマティック度・・8 繊細度・・9 叙情度・・9 総合・・8 
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Anathema 「A Sort of Homecoming」
イギリスのゴシック/ポストプログレ/ロック、アナシマのライブ作品。2015年作
イギリスのリヴァプール大聖堂で行われた、アコースティックライブのステージを2CD+DVDに収録。
2014年作「Distant Satellites」は素晴らしい傑作であったが、本作ではその世界観を再現するべく、
アコースティックギターのつまびきに、美しい女性ヴォーカルの歌声でしっとりと聴かせつつ、
うっすらとしたシンセアレンジにマイルドな男性ヴォーカルとともに、やわらかなサウンドを描き出す。
大聖堂の音響効果もあってか、雄大で厳かな空気感もよろしく、随所にヴァイオリン、チェロも加わった
優雅な耳心地にはうっとりとなる。曲によっては、つい眠くなりそうなほど耳心地がよいのだが、
DVDで見ると、大聖堂の威厳あるたたずまいとともに、いっそう幻想的なステージが視覚的にも楽しめる。
ライブ演奏・・8 薄暗度・・8 しっとり繊細度・・9 総合・・8
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Anathema 「The Optimist」
イギリスのメランコリックロック、アナシマの2017年作
1993年にデビュー、初期のゴシックメタル路線から、4作目以降は浮遊感をまとったポストプログレ路線へと変化を遂げ
いまやプログレ方面からも人気のこのバンド。本作は2001年作「A Fine Day To Exit」のジャケのイメージから構想された、
「楽観主義者」旅路を描くというコンセプト作品。映画的なSEから幕を開け、モダンなビート感にロック的なギターを乗せ、
マイルドなヴォーカルとともに、いつになく軽快なノリで始まりつつ、しっとりとしたピアノに女性ヴォーカルで聴かせる、
繊細な叙情にうっとりとなる。シンセとシーケンサーによるリフレインで不思議なトリップ感をかもしだすナンバーや、
トレモロのギターリフが哀愁の叙情を描くパートなど、ゆったりとした作風の中にも、メリハリのある流れで楽しめる。
ストリングスを含んだシンフォニックなテイストも美しい。コンセプチュアルなポストプログレに浸れる力作だ。
ドラマティック度・・8 叙情度・・8 繊細度・・9 総合・・8 
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The Anchoress 「Confessions of a Romance Novel」
イギリスの女性SSW、キャサリン・アン・デイビスによるプロジェクト、アンコレスの2016年作
ポール・ドレイパーが共同プロデュース、「ロマンス小説家の告白」と題された作品で、
艶めいた彼女の歌声を中心に、80年代グラムロックやデカダンスの香りを感じさせる世界観に、
ケイト・ブッシュ的な文学的な幻想性が合わさった聴き心地。ほどよくキャッチーなロック感触と、
表情を変えるヴォーカリストとしての表現力が、わりとオーソドックスな英国風味をかもしだしつつ、
決して古臭くもないというのが絶妙のセンス。楽曲は3〜4分前後とわりとシンプルながら、ポップ過ぎず、
K-Scopeレーベルからの配給という点も含めて、我々プログレリスナーにも楽しめる作風といえる。
キャッチー度・・8 プログレ度・・6 女性Vo度・・8 総合・・8
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ANDERSON / WAKEMAN 「THE LIVING TREE」
元YESのジョン・アンダーソンとリック・ウェイクマンによるユニット作。2011年作
ピアノを主体にしたウェイクマンのシンセに、ジョン・アンダーソンのヴォーカルを乗せた、
しっとりとした味わいの歌ものサウンド。ドラムなどは入らないのでロック色は希薄であるが、
美しいシンセによるシンフォニックな味わいと、ジョンの歌声がよくマッチしていて幻想的な雰囲気で、
YESからロック要素を抜いたような聴き心地。プログレというよりはシンセをバックにした歌ものであるが、
ジョン・アンダーソンの変わらぬ歌声をたっぷり楽しめるという点では、往年のイエスのファンには嬉しいだろう。
プログレ度・・7 ロック度・・5 優美度・・8 総合・・7.5
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Anderson/Stolt 「Invention of Knowledge」
Yesのジョン・アンダーソンとTHE FLOWER KINGSのロイネ・ストルトによるユニットの2016年作
まさかという組み合わせのユニットであるが、内容もまさしくジョン・アンダーソンの透明感のある歌声を活かした
繊細なシンフォニックロックサウンドで、トム・ブリスリンとラレ・ラーションによる美しいシンセアレンジに、
ロイネのメロウなギターワークが重なる優雅な聴き心地。ヨナス・レインゴールドとフェリックス・レーマンという、
フラキン組のリズム隊に、ダニエル・ギルデンロウ(Pain of Salvation)、ナッド・シルヴァンらがコーラスに参加。
ようするに、バックはほとんどTFK関連の北欧プログレ状態。キャッチーで涼やかな叙情性をジョンの歌声で包み込み、
ロイネの抜群のギターワークも楽しめるという。まさにYes+TFKという、プログレファンには桃源郷のような作品だろう。
10〜20分ずつ4パートに分けられたアルバム構成も見事で、実力者たちが結集したジョンのための傑作に仕上がっている。
メロディック度・・9 繊細度・・9 ジョンの歌声度・・9 総合・・8.5
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The Andy Tillison Multiplex 「Electric Sinfonia 2」
イギリスのミュージシャン、アンディ・ティリソンによるプロジェクトの2014年作
The Tangentを率いるマルチミュージシャンで、本作は優雅なジャズロック風味を押し出した作品。
ギター、ベース、ドラム、シンセなど、すべての楽器を一人でこなし、カンタベリーテイストあふれる
軽妙なインストサウンドを描いている。5楽章に分かれた組曲方式の構成で、巧みなグルーブを作り出すドラムに、
やわらかなピアノ、エレピ、オルガン、ムーグシンセなどが、ときにシンフォニック的な美しさとともに楽曲を彩る。
サックスやフルートなどブラスや管楽器も加わって、随所にプログレらしいスリリングな展開もしっかりと織り込みつつ、
オールインストながら最後まで飽きさせない構築力はさすが。The TangentがNational Health化した、という聴き心地の傑作です。
メロディック度・・8 プログレ度・・8 優雅度・・8 総合・・8
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Tillison Reingold Tiranti 「Allium: Una Storia」
THE TANGENTのアンディ・ティリソン、THE FLOWER KINGS、KARMAKANICのヨナス・レインゴールド、
NEW TROLLS、LABYLINTHのロベルト・ティランティによるユニット。2021年作/邦題「ネギ物語」
17分、14分という大曲を含む全3曲で、やわらかなシンセにイタリア語にるヴォーカルを乗せた優雅なサウンド。
PFMや後期OSANNAなど、往年のイタリアンプログレの雰囲気を織り込んだ、大人の叙情に包まれた作風で、
ときにサックスも加わったジャズロック的な軽妙さと、地中海的な牧歌性が同居したという味わい。
全体的に派手さはないがのんびりと楽しめる。後半には、ヨナス・レインゴールドによる別ミックス音源を収録。
より輪郭がはっきりしたダイナミックなサウンドになっていて、個人的にはこちらのミックスが好みかも。
ドラマティック度・7 プログレ度・7 優雅度・8 総合・7.5
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Aquaplanage
イギリスのプログレバンド、アクアプラネージの2009年作
YESのトリビュート・バンドである、FRAGILEのメンバーを中心に結成されたバンドで、
のっけから15分の組曲で、やはりYesを思わせるキャッチーなヴォーカルハーモニーに、
たおやかなフルートなども入りつつ、軽快に聴かせるサウンドはなかなか高品質。
オルガンなどの時代的なシンセワークや、抜けのよいキャッチーな歌メロともに
耳触りのよいプログレを展開する。強いインパクトはないのだが、安心して楽しめる好作品だ。
メロディアス度・・8 プログレ度・・8 優雅度・・8 総合・・7.5
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ARENA「SONGS FROM LION'S CAGE」
イギリスのシンフォニックロックバンド、アリーナの1st。1995年作
PENDRAGONLANDMARQをはじめ、多くのバンドに関わっていたクライブ・ノーランのメインバンド、
本作は「BRAVE」以降のMARILLIONにも通じる、重たくシリアスな音とメタリックなギターサウンドと、
曲の半ばでは必ず訪れるメロディックかつシンフォニックな切り返しが絶品の傑作である。
こうした爽快感ではこの1stがもっともアレンジ的にも効果的で、個人的にも気に入っている作品だ。
クライブ・ノーランのメロディセンスと、作曲における豊かな才能を物語る見事な1枚といえるだろう。
シンフォニック度・・8 メロディアス度・・8 意外にメタル度・・8 総合・・8
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ARENA「THE VISITOR」
イギリスのシンフォニックロックバンド、アリーナの3rd。1998年作
今作から新たにギタリストにジョン・ミッチェルが加入、過去2作に比べて、翳りを帯びた叙情性に包まれた重厚なサウンドへと深化している。
メロウなフレーズとメタリックなヘヴィさを使い分ける、ジョン・ミッチェルのギターセンスはなかなかのもので、
クライブ・ノーランのシンフォニックなキーボードワークによくマッチしている。初期に比べると爽快なメロディは少ないが
時代性とともに薄暗系のシンフォニックが増えてゆくことになる、その先取りだったのかもしれない。モダン・シンフォニックの好作品だ。
シンフォニック度・・8 メロディアス度・・7 薄暗度・・8 総合・・8
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ARENA「immortal?」
イギリスのシンフォニックロック、アリーナの4th。2000年作
前作からの翳りを帯びたハードシンフォニック路線は、本作でよりダークな重厚さをまとい、
ジョンミッチェルのヘヴィかつメロウなギターワークに、クライブ・ノーランの美麗なシンセが重なって、
どっしりとした迫力と繊細な叙情性を同居させた、モダンなシンフォニックロックを展開する。
本作から加入のロブ・ソウデンの情感的なヴォーカルを乗せた、涼やかでシリアスな空気感とともに、
いわば、MARILLIONのメランコリックな空気感をそのままハードにシンフォプログレ化したというべきか。
19分の大曲を含め、薄暗い叙情と重厚な音の説得力が同居したハード・シンフォニックの力作です。
シンフォニック度・・8 重厚度・・8 薄暗度・・8 総合・・8
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ARENA「BREAKFAST IN BIARRITZ」
イギリスのシンフォニックロック、アリーナのライブアルバム。2001年作
2000年オランダ、アムステルダムでのライブを収録。のっけから「Immortal?」からの20分超の大曲で幕を開け、
ミック・ポインターのドラムに、ジョン・ミッチェルのハード寄りのギターとクライブ・ノーランの美麗なシンセによる、
安定感のあるアンサンブルに、エモーショナルなヴォーカルを乗せた、翳りを帯びたシンフォニックロックが広がってゆく。
メタルファンなどにも楽しめるどっしりとした重厚さに、繊細な叙情パートを含んだ構築力で、さす実力あるメンバーらしい説得力で、
堂々たる演奏を聴かせてくれる。1998年作「THE VISITOR」からのナンバーが多いので、同作が好きな方には嬉しいだろう。
音質もクリアで迫力十分のライブが楽しめる。2枚組ボーナスCDには、追加のライブ3曲とバンドのドキュメンタリー映像も収録。
シンフォニック度・・8 重厚度・・8 ライブ演奏・・8 総合・・8
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ARENA 「CONTAGION」
イギリスのシンフォニックロック、アリーナの5th。2003年作
このバンドの持ち味となったややダークな叙情性は、いまや時代的にもトレンドになってきている。
クライブ・ノーランの美しいキーボードワークに、ジョン・ミッチェルのメロウなギターフレーズは
今作でもバンドの音に重要なカラーを植えつけていて、前作以上にそのクオリティを高めてきている。
プログレというよりは翳りのあるハードシンフォともいうべき音楽性は、メタルリスナーでも聴けるヘヴィなエッジもあり、
同時にまた、深い部分での「精神的な癒し音楽」としてのロックの可能性も示唆している。
一方では、13曲めの突き抜けの良さのような爽快で希望的な展開美も健在だ。さすがの力作です。
シンフォニック度・・8 プログレ度・・8 モダンな叙情度・・9 総合・・8
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ARENA「CAUGHT IN THE ACT」
現在の英国ポンプ/シンフォを牽引するアリーナのライブ作品。
2003年ポーランドでのライブを収録したDVD。全体的にはややダークで、メタリックなエッジがあり、
そこにシアトリカルな歌が乗るというサウンドで、やはりPENDRAGONあたりに比べると爽快なメロディは弱いか。
MARILLIONを今風にしたという印象のシリアスで重厚なサウンドで、そこが好みを分けるところだろうが、
ともかく、全22曲この音楽を聴き通すのは、いかに映像があるといえどもファンでないすぎり大変だ(^^;)
やや力みがちで、演劇的なヴォーカルの歌唱は(外見もそうだが)私にはあまり心地よくないし、
曲ごとにはっとする盛り上がりや起伏に欠けるのもライブ全体として見ると平坦に感じてしまう。
熱心なバンドのファンであれば、この130分をたっぷり楽しめる作品だとは思うが。
ライブ映像・・8 ライブ演奏・・8 シンフォニック度・・7 総合・・7.5
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ARENA「live & life」
イギリスのシンフォニックロックバンド、アリーナのライブアルバム。2004年作
2003年のツアーの音源をCD2枚に収録。ト゜キュメンタリー映像の入ったDVD付き3枚組仕様。
クライブ・ノーランの美しいシンセワークに、ジョン・ミッチェルのメロウなギター、シアトリカルなロブ・ソウデンの歌声で聴かせる
ハードシンフォニックサウンドは、かつてのMARILLIONをシンフォニックにアップデートしたようでもあり、
ほのかに薄暗い叙情性は、最近のモダンシンフォニックの先駆けでもあったと再確認できる。
反面、多くの曲が収録されたライブ作では曲のトーンがやや一本調子に感じられるのは、いたしかたなし。
シンフォニック度・・8 モダンプログレ度・・8 ライブ演奏・・8 総合・・7.5
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ARENA「PEPPER'S GHOST」
イギリスのシンフォニックロックバンド、アリーナの6th。2005年作
PENDRAGONでも活躍するシンセ奏者、クライブ・ノーランを中心にしたこのバンド、
1995年のデビューから、モダンな叙情を先取りしたようなシンフォニックハードサウンドで、
重厚かつドラマティックなアルバムを作り続けてきた。名実共に英国のシンフォシーンの代表である。
本作は、ミステリーや冒険活劇など、それぞれの曲ごとに7つの物語を題材にした全7曲という構成で、
コンセプトストーリー的な傑作に仕上がった。一曲ごとにドラマティックな盛り上がりがしっかりとあり、
アルバムを通してもダレない質の高さが光る。重厚な音の厚みはメタルファンにも聴かせられるサウンドだ。
メロディアス度・・7 シンフォニック度・・8 重厚度・・8 総合・・8
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ARENAThe Seventh Degree Of Separation
イギリスのシンフォニックロック、アリーナの2011年作
本作は前作から6年ぶりとなる7作目で、これまでの薄暗いメロウな叙情性に加え
いくぶんレイドパックしたような古き良き質感を覗かせる作風になっている。
もはや職人技というべきクライブ・ノーランのシンセワークに、IT BITESでも活躍する
ジョン・ミッチェルのメロディックなギターで、大人のシンフォニックロックともいうべき
渋みのあるサウンドを描いてゆく。新加入のVo、ポール・マンズィのかすれた声質も
随所にハードロック的な聴き心地もある楽曲にマッチしている。メイキング映像を収録したDVD付き。
メロディック度・・8 プログレ度・・7 大人のハードシンフォ度・・8 総合・・8
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ARENA 「LIVE」
イギリスのシンフォニックロック、アリーナのライブ作品。2013年作
名実ともに90年代以降のネエプログレシーンをけん引する存在であるこのバンド、
本作は2011〜2012年のツアーから選ばれたライブ音源をCD2枚に収録している。
2011年作「The Seventh Degree Of Separation」からの楽曲を中心にしながら、
初期のアルバムからもまんべんなく選曲されたCD2枚、全21曲というボリュームで、
クライブ・ノーランのシンセワークに、It Bitesでも活躍するジョン・ミッチェルのギター
深みのあるポール・マンズィの歌声とともに、適度にハードなシンフォニックロックを展開する。
ベテランらしい堂々たる演奏がたっぷり味わえる、お腹いっぱいの濃密ライブ作品。
ドラマティック度・・8 ハードシンフォ度・・8 ライブ演奏・・8 総合・・8
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Arena「The Unquiet Sky」
イギリスのシンフォニックロック、アリーナの2015年作
スタジオアルバムとしては4年ぶりとなる8作目で、クライブ・ノーランの壮麗なシンセワークに、
It Bitesでも活躍するジョン・ミッチェルのメロウなギター、そしてポール・マンズィの歌声とともに、
ドラマティックなシンフォニックロックは健在。今作は4〜5分前後の楽曲が中心で、
各曲ごとは比較的シンプルな分かりやすさで、湿り気のある叙情を存分に味わえる。
随所にはっとするようなキャッチーなメロディを織り込む手法は、1stに通じる雰囲気も感じさせる。
ドラマティック度・・8 モダンシンフォ度・・8 英国度・・8 総合・・8
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ARENA 「XX」
イギリスのプログレバンド、アリーナのライブ作品。2016年作
1995年にデビュー、英国におけるモダンプログレの先駆けというべきこのバンド、
デビュー20周年を記念してのポーランドでのライブをCD2枚に収録。英国らしいウェットな叙情と
翳りを含んだモダンなシンフォニック性が、クライブ・ノーランの美麗なシンセに、ジョン・ミッチェルのギターワーク、
ポール・マンズィの表現力ある歌声を乗せて、ベテランらしい味わいのある演奏力で表現される。
2015年作からのナンバーをメインに、過去作からの楽曲もたっぷりと演奏。適度なハードさと薄暗さを、
キャッチーなメロディック性と同居させた、キャリアのあるバンドらしい重厚な説得力が見事である。
2000年作「Immortal?」収録の19分の大曲や、1st収録の大曲「Solomon」などが聴けるのも嬉しい。
ライブ演奏・・8 プログレ度・・7 重厚度・・8 総合・・8 
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The Aristocrats
ガスリー・ゴーヴァン、ブライアン・ベラー、マルコ・ミンネマンによるロックバンド、アリストクラッツの2011年作
シンプルなトリオ編成ながら、凄腕のメンバーによるアンサンブルはインストといえど迫力たっぷり。
優雅で軽妙なミンネマンのドラムに、存在感のあるブライアンのベース、そして奔放にガスリーのギターで、
オールドロックのアナログな味わいに、リズムチェンジを含むプログレッシブな感触も覗かせる。
オールインストながら表現力ある演奏で、8分、9分という長めの曲でもスリリングに楽しめる。
一方では、ラスト曲のような、ゆったりとタメの効いた叙情的な演奏も見事。味のあるインスト作品です。
メロディック度・・7 テクニカル度・・8 優雅なアンサンブル度・・8 総合・・8
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The Aristocrats「You Know What...?」
ガスリー・ゴーヴァン、ブライアン・ベラー、マルコ・ミンネマンによるロックバンド、アリストクラッツの2019年作
2011年のデビュー作から数えて4作目となる。グルーヴィなリズムに、フリーキーなギターが鳴り響く1曲目は、
オールドな雰囲気のファンクロック風で、肩の力の抜けたメンバーの楽し気な演奏姿が目に浮かぶ。
その後もミンネマンの巧みなドラムに、骨太かつテクニカルなガスリー・ゴーヴァンのギターを主導に、
ジャズやフュージョン的な優雅さや、ラウドなハードロック風であったり、カントリーな要素なども含んだ、
変幻自在の奔放なインストサウンドを聴かせる。各メンバーの引き出しの多さによって、結果として玄人好みの、
プログレ的なボーダーレス感覚で楽しめるという。楽曲はほとんど6分以上で、名人たちの演奏がたっぷり65分。
ドラマティック度・・6 テクニカル度・・8 奔放度・・9 総合・・8
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ARK 「Wild Untamed Imaginings」
イギリスのプログレバンド、アークの2011年作
80年代に結成し、90年代まで活動していたバンドの復活作。元IQのジョン・ジョウィットやDarwin's Radioのドラムが参加、
オルガンやムーグシンセが鳴り響き、ハード寄りのギターと枯れた味わいのヴォーカルで聴かせる、
シンフォニックなプログレハードというサウンド。楽曲自体はASIAや中期のYesIT BITESなどを思わせる
キャッチーなメロディアス性でとても聴きやすく、やわらかなフルートの音色が入った繊細な叙情性もよいですね。
ただ、いかんせんヴォーカルのウェットンを下手にしたようなオッサン臭い声が好みを分けるところかもしれない。
音作り的にも90年代の延長という感触で、いくぶんB級がかった英国のプログレハードがお好きならどうぞ。
メロディック度・・8 プログレ度・・7 古き良きプログレハー度・・8 総合・・7.5
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AUDIOPLASTIK 「IN THE HEAD OF A MANIAC」
イギリスのモダンプログレ、オーディオプラスティックの2015年作
元Frost*のDec Burke、Thresholdのシンセ奏者らによるバンドで、硬質なギターにうっすらとしたシンセを重ね、
マイルドなヴォーカルとともに、翳りを帯びたポストプログレ寄りのモダンなサウンドを聴かせる。
涼やかに美しいシンセとDec Burkeの優しいヴォーカルも耳心地よく、繊細な叙情美に包まれながら、
キャッチーなノリのハードプログレとしても楽しめる。楽曲自体は4〜5分前後とほどよくコンパクトで、
派手な展開はないものの、優美な叙情に包まれた、スタイリッシュなモダンプログレの逸品です。
ドラマティック度・8 モダンプログレ度・8 叙情度・8 総合・8
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AUTUMN CHORUS 「The Village To The Vale」
イギリスのシンフォニックロック、オータム・コーラスの2012年作
うっすらとしたシンセアレンジにマイルドなヴォーカルの歌声で繊細な叙情を描き出す、
美しくもはかなげな聴き心地。トランペットやヴァイオリン、フルートなども入ってきて
幻想的な広がりを感じさせる雰囲気には、ポストロック、ポストプログレ的な風味もある。
一方では、16分におよぶ大曲など、プログレ、シンフォニックロックとしての構築力もしっかりと備えていて、
バンド名通り、深い秋の物悲しい情景と涼やかな空気を思い描くような、じつに繊細な傑作です。
プログレ度・・7 繊細度・・9 叙情度・・9 総合・・8
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The Backstage 「Isolation」
スウェーデン&イギリスのメンバーによるプログレジャズロック、バックステージの2020年作
スティーヴ・ハケットのバンドでのツアーに参加した、ヨナス・レインゴールド、ロヴ・タウンゼント、クレイグ・ブランデル(元FROST*)が、リハーサルとジャムセッションをへて結成したバンドで、70年代風のジャズロック/フュージョンを指向した作品。ゲストに、スティーヴ・ハケット、ロイネ・ストルト、アンディ・ティリソン、パット・マステロット、テオ・トラヴィス、トム・ブリスリン、マルコ・ミンネマン、ニックベッグスという豪華メンバーが参加。
軽やかなリズムにサックスが鳴り響き、巧みなベースとともに軽妙なジャズロックを聴かせ、オルガンやエレピなどのシンセも加わって、プログレらしさも覗かせる。
オールインストながら各自の演奏力はさすがで、優雅な大人のアンサンブルが楽しめる好作です。
ドラマティック度・7 ジャズロ度・9 優雅度・8 総合・8
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BAND OF RAIN 「PETRICHOR」
イギリスのポストプログレ、バンド・オブ・レインの2020年作
ギターのクリス・ギルを中心に、元RENAISSANCEのジョン・キャンプ、ENGLANDのロバート・ウェッブ、Fellowshipのマシュー・コリーらが参加。
うっすらとしたシンセに叙情的なギター、マイルドなヴォーカルで、翳りを帯びた叙情に包まれた英国らしいサウンドを描く
スリリングな部分はほとんどなく、アコースティックギターを含んだ、いくぶんフォーキーな牧歌性も感じさせ、
エモーショナルなヴォーカルの歌声とともに、ゆったりとした繊細な聴き心地である。ラストの12分の大曲も盛り上がりそうで盛り上げない。
ドラマティック度・7 プログレ度・7 叙情度・8 総合・7
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BIG BIG TRAIN「Goodbye to the Age of Steam」
イギリスのシンフォニックロックバンド、ビッグ・ビッグ・トレインの1993年作
のちの作品ではよりスタイリッシュな作風となるのだが、このデビュー作の時点では、
やわらかなシンセとマイルドなヴォーカルによる、キャッチーで繊細なシンフォニックロックながら、
すでに現代的なメロディアスロックとしての普遍性もあり、あまりプログレ臭さがないのがよい。
もちろん、ハモンドやメロトロンなどの音色を使ったキーボードワークにはレトロな質感もあり、
かつてのポンプロック的な聴きやすさも有しているが、むしろ優しくアコースティカルな部分や
マイルドなヴォーカルメロディ、ちょっとしたピアノの使い方などにこそ魅力があるように思う。
決して大仰にならない、ナイーブな感性で作られた好作品。2011年の再発盤ではジャケが変更されている。
メロディアス度・・8 プログレ度・・7 繊細度・・9 総合・・8
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BIG BIG TRAIN 「English Boy Wonders」
ビッグ・ビッグ・トレインの1997年作
Genesisの遺伝子を受け継ぐようなメロディックなプログレサウンドを標榜するこのバンド、
本作は2ndをリミックスし曲順も変えたという2008年再発盤。サウンドはうっすらとしたメロトロンに
キャッチーなヴォーカルメロディ、メロウなギターワークで聴かせるいかにも王道の英国シンフォ。
後の作品ほどにはスタイリッシュではないが、メロディックな耳心地の良さは本作の時点で十分魅力的で、
ジェネシスや初期マリリオンから続く、英国シンフォ/ポンプロックのウェットな叙情が楽しめる好作品だ。
ドラマティック度・・8 プログレ度・・8 叙情度・・8 総合・・8
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BIG BIG TRAIN「Gathering Speed」
ビッグ・ビッグ・トレインの2004年作
第二次世界大戦での英国航空兵を描いたコンセプト作で、2009年のリマスター再発盤。
このバンドの持ち味である古き良きプログレを継承した感触と、キャッチーなヴォーカルメロディは
本作でますます磨きがかかり、現在までの作品に続くサウンドが完成したというような内容だ。
楽曲はすべて6〜10分と適度な長さで、随所にしっかりとメロディのフックを含ませた
英国シンフォニックロックが展開される。ハケットを思わせるギターとともにGenesisルーツの叙情性は
プログレを愛するすべての人間の耳を優しく楽しませるだろう。全体的にもダレのない高品質な作品。
ドラマティック度・・8 プログレ度・・8 叙情度・・8 総合・・8
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Big Big Train「The Difference Machine」
イギリスのシンフォニックロックバンド、ビッグ・ビッグ・トレインの2007年作
これまではGENESISルーツの王道の英国シンフォを聴かせるバンドであったが、
今作は、14分、13分、12分という3つの大曲を軸に、よりしっとりとドラマティックに攻めてきた。
切り返しの多い曲展開と、ガブリエル風のヴォーカルにメロトロンやオルガンが重なる、
古き良きプログレ性に、翳りを含んだ薄暗い叙情を同居させた、ポストプログレ的なセンスも感じさせ、
まるでポーランドのバンドのような幻想的な空気感とともに、ゆったりと音に入り込んで楽しめる。
単なるGENESISフォロワーから一皮むけた、現代風シンフォニックを構築する傑作となった。
シンフォニック度・・8 プログレ度・・7 ほの暗度・・9 総合・・8
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Big Big Train「Underfall Yard」
イギリスのシンフォニックロックバンド、ビッグ・ビッグ・トレインの2009年作
初期はいかにもGENESISからの影響の強いサウンドであったが、前作「The Difference Machine」では
幻想的な叙情にいくぶん現代的な薄暗さを取り込んだ傑作を作り上げた。本作はさらなる深みのある作風で、
メロトロンが鳴り響き、やわらかなフルートの音色にトロンボーン、チェロなども入った優雅なサウンドを聴かせつつ、
マイルドなヴォーカルが加わると、キャッチーなコーラスとともに、ほの暗い叙情美が広がってゆく。
GENESIS〜MARILLIONという流れを感じさせながら、メロウなギターのフレーズに幻想的なシンセワークで
シンフォニックロックとしての魅力もしっかりと残している。FROST*やKINOと同様かそれ以上の構築性…
雄大にして繊細なる美意識の伝承者。英国シンフォニックの現在形を示した見事な傑作だ。
シンフォニック度・・8 ほの暗叙情度・・8 構築美度・・9 総合・・8.5
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Big Big Train「Far Skies Deep Time」
イギリスのシンフォニックロックロックバンド、ビッグ・ビッグ・トレインの2010年作
傑作となった2009年作に続くミニアルバムで、1曲目はAnthony Phillpsの未発曲のカヴァー、
アコースティックギターのやわらかな音色に美しいシンセ、フルートも入ってきて、
ヴォーカルの声質も含めて、もうほとんどGENESISそのもの。未発曲にクリスマスソング、
そしてラストは18分の大曲で、ミニといっても全5曲で41分のボリュームだ。
また、元IQのマーティン・オーフォードがゲスト参加している。
シンフォニック度・・8 プログレ度・・8 現代版GENESIS度・・9 総合・・8
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BIG BIG TRAIN「English Electric Part One」
ギリスのシンフォニックロックバンド、ビッグ・ビッグ・トレインの2012年作
90年代初頭にデビュー、初期のGENESIS路線から、英国現在形シンフォニックの代表格に成長したこのバンド。
本作もマイルドなヴォーカルメロディで聴かせるキャッチーな抜けの良さと英国らしい叙情性が素晴らしい。
美しいフルートの音色に優雅なピアノ、ストリングスを含んだシンフォニックなアレンジにハケットばりの叙情ギターがかぶさり、
これまで以上に情感的なやわらかさが広がってゆく。オルガンやメロトロンなどのプログレ的なシンセワークはもちろん、
アコースティカルな素朴とENIDばりのクラシカルな美しさも含んだダイナミックなアレンジにバンドとしての懐の深さを感じさせる。
繊細な美意識に包まれながら、やわらかなメロディをたっぷりと含んで盛り上げる、まさにシンフォ好きには必聴の傑作だろう。
メロディック度・・9 プログレ度・・8 叙情度・・10 総合・・8.5
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BIG BIG TRAIN「Make Some Noise」
イギリスのプログレバンド、ビッグ・ビッグ・トレインの2013年作
「English Electric」の1と2を補完するEPであるが、新曲4曲にバージョン違いなどを含む全9曲40分以上。
やわらかなフルートの音色とともに、このバンドらしいキャッチーな人懐こさが素敵なタイトル曲をはじめ、
牧歌的な味わいの小曲や既存曲を並べ、全体的に落ち着いた叙情が楽しめる構成となっている。
本編に比べるとプログレ的なスリリングさやドラマティックな要素はやや薄めながら、
このバンドの繊細なアレンジセンスがあらためて感じられる、箸休め的にゆったりと鑑賞できる1枚だ。
メロディック度・・8 プログレ度・・7 キャッチー度・・8 総合・・8
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BIG BIG TRAIN 「English Electric」
イギリスのプログレバンド、ビッグ・ビッグ・トレインの2016年作
先に単体で発売されていた、Part OneとTwoを合わせ、さらにEPの4曲を加えて、新たに曲順も変更した2枚組の完全版で、
もともとの作品自体も素晴らしかったのだが、新たにドラマティックな流れが付加されたことでさらにスケール感が増した。
キャッチーなメロディとやわらかな叙情性をまえに出しつつ、適度にテクニカルな展開力も含ませた楽曲のクオリティは
キャリアのあるバンドらしい堂々たる聴き心地で、ほとんどのプログレファンを唸らせるだけの出来栄えだろう。
美しいフルートやしっとりとしたGenesisルーツのメロウな質感も絶妙で、繊細にして優雅なダイナミズムも素晴らしく、
メロディのフックと楽曲構築のセンスも職人的だ。まさに完全版というべき必聴の傑作です。
ドラマティック度・・9 プログレ度・・8 完全度・・10 総合・・8.5
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Big Big Train 「Folklore」
イギリスのプログレバンド、ビッグ・ビッグ・トレインの2016年作
1991年にデビュー、初期のGENESIS路線から現在形シンフォニックへと深化した高品質なサウンドで、
前作「English Electric」は大変な傑作となったが、本作ではBEARDFISHのリカルド・ファーブロムが加入、
女性ヴァイオリン奏者を含む8人編成となり、従来のキャッチーなメロディック路線に適度なモダンとさ、
オルガンが鳴り響く70年代的なアナログ感覚を同居させたというようなサウンドが楽しめる。
渋みのある歌声で大人の叙情を描くナンバーや、フルートが鳴り響き美しいストリングスが重なる
シンフォニックなパートなど、キャリアのあるバンドらしい自然体の展開力でじっくりと構築してゆく。
10分を超える大曲も、ゆったりとした聴き心地ながら、泣きの叙情でじわじわと盛り上げてゆくのがさすが。
メロディック度・・8 プログレ度・・7 大人の叙情度・・9 総合・・8
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Big Big Train 「A Stone's Throw from the Line」
イギリスのプログレバンド、ビッグ・ビッグ・トレインのライブ。2016年作
本作は2015年の英国公演を収録した2CD。女性ヴァイオリン奏者にシンセ奏者2人を含む8人編成で、
近年のアルバムからのナンバーを中心に、キャッチーなメロディと繊細な叙情性が合わさった、
英国らしいメロディックロックを聴かせてくれる。ときにトランペット、ホルン、トロンボーンなどのブラスセクションも加え
音の厚みとベテランらしい確かなアンサンブル、味わいのあるヴォーカルも含めて、さすがというライブの表現力である。
ムーグやメロトロンなどプログレらしいシンセサウンドに、メロウなギター、そしてフルートのも色も加わった泣きの叙情と
湿り気のある哀愁も随所に覗かせつつ、10分前後の大曲を中心にドラマティックな展開力で描いてゆく。
ストリングスによるアレンジを含んだ16分の大曲の優雅な聴き心地にもうっとり。ファンは必聴のライブ作品である。
ドラマティック度・・8 ライブ演奏・・8 構築度・・9 総合・・8 
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Big Big Train 「Grimspound」
イギリスのプログレバンド、ビッグ・ビッグ・トレインの2017年作
12分を超える大曲から始まる本作は、のっけからシンフォニックロックとしての泣きが全開で、
メロウなギターにマイルドにヴォーカルを乗せ、英国らしいウェットな叙情に包まれたサウンドを描く。
ベテランらしい優雅なアンサンブルと、古き良きプログレのテイストを含んだ構築センスも見事で、
艶やかなヴァイオリンやチェロ、優美なピアノが加わった典雅なクラシカル性にもうっとりである。
近年のキャッチーでモダンな路線から、本格派のシンフォニックロックへと回帰したというべき大傑作。
ドラマティック度・・8 プログレ度・・8 優雅度・・9 総合・・8.5
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Big Big Train 「The Second Brightest Star」
イギリスのプログレバンド、ビッグ・ビッグ・トレインの2017年作
前々作「Folklore」、前作「Grimspound」を補完するアルバムで未発曲を主体に、別アレンジバージョンなどを収録。
ストリングスを含む壮麗なアレンジから、マイルドなヴォーカルでゆったりと聴かせる歌ものパートまで、
英国らしい叙情性と、このバンドらしいキャッチーなメロディアス性をたっぷりと含んだ聴き心地で、
新作アルバムとして聴いても十分楽しめる内容だ。ヴァイオリン鳴り響くクラシカルな小曲なども味わい深く、
随所にプログレらしい展開美やメロウな泣きのギターも加わった、シンフォプログレとしての王道を含ませた、
心憎いアレンジはキャリアのあるバンドならではだろう。そして後半の「Grimlore」と題された再構成組曲は圧巻だ。
ドラマティック度・・8 プログレ度・・8 優雅度・・9 総合・・8
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Big Big Train 「Merchants of Light」
イギリスのプログレバンド、ビッグ・ビック゛・トレインのライブ。2018年作
本作は2017年の英国公演の模様を2CDに収録。ツインキーボードに女性ヴァイオリン奏者を含む8人編成に、
トランペット、ホルン、トロンホーンなどブラスセクションを加えた、ゴージャスなステージで、優雅なヴァイオリンの音色が鳴り響き、
メロウな味わいのギターにうるさすぎないシンセと、枯れた味わいのヴォーカルを乗せ、英国らしい叙情美に包まれたシンフォニックロックを展開。
ほどよくモダンな感触と古き良きプログレらしさの絶妙に同居したサウンドで、2009〜17年のアルバムから選曲された楽曲をたっぷりと披露してくれる。
ツインギターにツインシンセ、ブラスも加えた厚みのある演奏ながら、濃密になり過ぎない軽妙なアンサンブルであるのも、
キャリアのあるバンドならではだろう。10分を超える大曲も多いが、聴き疲れしない大人の味わいのライブ作品です。
ライブ演奏・・8 叙情度・・8 英国度・9 総合・・8 
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Big Big Train 「Swan Hunter」
イギリスのプログレバンド、ビッグ・ビッグ・トレインの2018年作
名実ともに現在系の英国プログレの代表となったこのバンド、本作はタイトル曲の別バージョンやリミックス、
ライブ音源など、5曲を収録した全27分のEP。ジェントルなヴォーカルで聴かせる優美なタイトルナンバーは、
ラジオエディット、ニューリミックス、ライブバージョンの3通りを収録。ゆったりとした大人の叙情に包まれつつ、
トランペットやヴァイオリンなどを加えたライブ演奏では、優雅で厚みのあるアンサンブルが素晴らしい。
Tim Bowness(NO-MAN)をゲストに迎えての、ポストプログレ的な繊細なナンバーも味わい深く、
プログレ的な派手さはないものの、アルバムにつなげる箸休め的な小品として静かに鑑賞すべきですね。
ドラマティック度・・7 プログレ度・・7 ゆったり叙情度・・8 総合・・7.5 
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BIG BIG TRAIN「Grand Tour」
イギリスのプログレバンド、ビッグ・ビック゛・トレインの2019年作
1991年にデビュー、いまや英国シンフォの代表格。自主制作を入れると、アルバムとしてはすでに12作目となる。
英国貴族の子弟がローマをめぐる旅を描いたコンセプト作品で、美しいシンセアレンジにジェントルなヴォーカルで、
序盤は、TRANSATLANTICのようなキャッチー抜けの良さで、爽快なシンフォニックロックが広がってゆく。
優雅なストリングスやフルート、そして泣きのギターフレーズによる、GENESISルーツのウェットな叙情美に包まれながら、
円熟味を増したデヴィッド・ロングドンのヴォーカルとともに、英国らしい繊細にして優雅なサウンドが味わえる。
13分、14分という大曲も、キャリアのあるバンドらしい落ち着いた展開力と流れのあるドラマ性で
じっくりと優美な世界観を描き出す。まさに新時代のジェネシスというような、全74分の見事な力作だ。
ドラマティック度・・8 プログレ度・・8 叙情度・・9 総合・・8.5 
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BIG BIG TRAIN 「Common Ground」
イギリスのプログレバンド、ビッグ・ビッグ・トレインの2021年作
1994年にデビュー、いまや英国プログレを代表するバンドのひとつとなった。本作は通算13作目で、
ジャケも含めて、コロナ禍による人類の団結というものを感じさせる内容で、ピアノを含む優美なシンセに
叙情的なギターとマイルドなヴォーカルで、希望に満ちたキャッチーなシンフォプログレを展開する。
ニック・ティヴァージリオの巧みなドラムを屋台骨にした確かなアンサンブルと優雅な展開力は、
サウンドに説得力をもたらし、オルガンやメロトロンなどヴィンテージなシンセをかき鳴らす
リカルド・ショブロム(GUNGFLY)の存在感も大きい。ヴァイオリン鳴り響くKANSAS風のナンバーから、
15分のドラマティックな大曲まで聴きどころも多く、メンバー3人の脱退を感じさせないさすがの傑作です。
ドラマティック度・8 プログレ度・8 優雅度・8 総合・8.5 
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Big Big Train 「Welcome To The Plannet」
イギリスのプログレバンド、ビッグ・ビッグ・トレインの2022年作
前作から、わずか半年で完成した作品で、ジャケからは、コロナ禍における人類の団結への希望が伺われる。
女性シンセ奏者のカーリー・ブライアント、Mr.So & Soのギター、デイヴ・フォスターを順メンバーに迎えた編成で、優美なシンセに叙情的なギター、マイルドなヴォーカルを重ね、ストリングスやブラスを加えたゴージャスなアレンジで、優雅なシンフォプログレを聴かせる。
ニック・ディヴァージリオの安定感あるドラムや、オルガン、メロトロンにギターもこなすリカルド・ショブロムの活躍ぶりもさすがで、GENESISを思わせる繊細な叙情性や英国らしい牧歌性に包まれる。
ヴィンテージをリスペクトしつつも、現在形のプログレを構築する傑作。本作を遺して、Voデヴィッド・ロングドンが急逝。
ドラマティック度・8 叙情度・8 優雅度・9 総合・8.5 
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BIG HOGG
イギリスのプログレバンド、ビッグ・ホッグの2015年作
女性Vo、トランペット、トロンボーン奏者を含む6人編成で、軽快なアンサンブルに
やわらかな女性ヴォーカルを乗せた、70年代的な牧歌的な味わいのサウンドを聴かせる。
優美なフルートの音色に、トランペット、トロンボーンを絡めたチェンバー的な感触と、
カンタベリー風味の優雅な偏屈さが同居したような作風で、曲によっては男性Voも加わる。
アナログ感のある音質に、ときにオルガンも加わったヴィンテージロック風味の耳心地で、
あまり派手な展開がないぶん、のんびりと鑑賞できる。古き良き英国の香りを感じさせる好作だ。
プログレ度・・7 優雅度・・8 英国度・・9 総合・・7.5
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BIG HOGG 「Gargoyles」
イギリスのプログレ・ジャズロック、ビッグ・ホッグの2017年作
2作目となる本作も、やわらかなフルートに男女ヴォーカルの歌声を乗せて、
70年代英国フォークやジャズロック的な優雅さに包まれたサウンドを聴かせる。
2〜4分前後の小曲を主体に、プログレというよりはむしろ、ユルめのサイケ感触もあって、
肩の力が抜けた味わいだ。曲によってはエレピなどのシンセも加わり、トランペット、トロンボーンの音色ともに、
カンタベリー的なプログレ・ジャズロックが楽しめる。技巧よりはレトロな浮遊感に包まれた作風です。
プログレ度・・7 優雅度・・8 英国度・・9 総合・・7.5
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Big Hogg 「Pageant Of Beasts」
イギリスのプログレ・ジャズロック、ビッグ・ホッグの2021年作
2015年にデビューし、3作目。トロンホーン、トランペット、フルートという金管楽器を軽妙なアンサンブルに乗せて、
伸びやかな女性ヴォーカルに男性声も加え、サイケがかった浮遊感も含んだエキセントリックなジャズロックを聴かせる。
優美なフルートにエレピ、メロディックなギターフレーズも覗かせて、カンタベリー風の優雅さに包まれながら、
カヴァー曲の「Willow's Song」では、美しい女性ヴォーカルとともに、しっとりと素朴な叙情を描き出す。
楽曲は3〜5分前後と、プログレとしてはやや物足りないものの、優雅な英国ジャズロックが楽しめる。
ドラマティック度・7 ジャズロ度・8 優雅度・8 総合・8 
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BLACKFIELD
イギリスのポストプログレ、ブラックフィールドの2004年作
Porcupine Treeのスティーブン・ウイルソンとイスラエル出身のミュージシャン、アビブ・ゲフィンによるユニットで、
アコースティックギターのつまびきに、マイルドな二人のヴォーカルを重ね、ほどよくハードなギターとシンセも加えて
優しい翳りを帯びた叙情を描き出す。ときにメロトロン風のシンセが、シンフォニックに鳴り響き、
モダンとヴィンテージが同居したような耳心地で、優美なピアノやストリングスの音色もしっとり美しい。
楽曲は3〜4分前後とわりとシンプルで、全37分というのも少し物足りないが、大人の哀愁に包まれた好作だ。
ドラマティック度・7 プログレ度・7 叙情度・8 総合・7.5 
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BLACKFIELD 「BLACKFIELD II」
イギリスのポストプログレ、ブラックフィールドの2007年作
スティーブン・ウイルソンとイスラエル出身のミュージシャン、アビブ・ゲフィンを中心としたバンドで
うっすらとしたシンセに適度にハードなギター、マイルドなヴォーカルを乗せて、
繊細な叙情美に包まれたメロディックロックを聴かせる。近年のMARILLIONにも通じるような
薄暗系の歌ものサウンドであるが、美しいシンセの重ねはときにシンフォニックであり、
歌メロを含むメロディはキャッチーで、翳りの中にも光が差し込むような感触が楽しめる。
ロックとしてのアンサンブルもしっかりとあるので、繊細なだけのポストプログレとも違う、
いわば、オルタナ系シンフォニックロックというべき聴き心地の傑作です。
メロディック度・・8 プログレ度・・7 叙情度・・8 総合・・8
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Blackfield 「IV」
イギリスのポストプログレ、ブラックフィールドの2013年作
Porcupine Treeのスティーブン・ウイルソンとイスラエル出身のミュージシャン、アビブ・ゲフィンを中心としたバンドで、
モダンな質感と薄暗い叙情で聴かせる、ポストプログレサウンド。楽曲は2〜3分前後と比較的シンプルで、
むしろ淡々とした聴き心地なのだが、それぞれの楽曲を5人のメンバーがヴォーカルをとったり、
メロトロンの入ったシンフォニックなアレンジを含めて、玄人好みの歌ものサウンドが楽しめる。
Marillionのような繊細な情感と素朴なメロディが耳心地よく、のんびりと鑑賞できる好作品だ。
ドラマティック度・・7 プログレ度・・7 繊細度・・8 総合・・8
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BLACKFIELD「V」
イギリスのポストプログレ、ブラックフィールドの2017年作
Porcupine Treeのスティーブン・ウイルソンとイスラエル出身のミュージシャン、アビブ・ゲフィンによるユニット。
ストリングスによる優美なイントロ曲から、うるさすぎないギターとシンセにマイルドなヴォーカルを乗せた、
MARILLIONにも通じる翳りを帯びた叙情サウンドを聴かせる。楽曲は3〜4分前後でシンプルながら、
美しいシンセアレンジにメロウなギターの旋律とともに、ほどよくキャッチーなメロディのフックも覗かせて、
単なる歌ものという以上にシンフォニックロックとしての味わいでも楽しめる。ときに女性ヴォーカルも加わって
優美な雰囲気に包まれながら、ゆったりとした繊細さとモダンなスタイリッシュ性が同居した好作品だ。
メロディック度・・8 プログレ度・・7 叙情度・・9 総合・・8 
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THE BLACKHEART ORCHESTRA「MESMERANTO」
イギリスの男女ユニット、ブラックハート・オーケストラの2019年作
男女2人組のユニットで、2017年にデビュー。本作は2作目で、コケティッシュな女性ヴォーカルの歌声に、
ピアノやシンセによるアレンジで、しっとりと優雅に聴かせる、アンビエントなポップサウンド。
いくぶん舌足らずの、チリシー嬢の歌声は可憐に美しく、女性声フリークは萌えキュン必至。
80年代風味のデジタルなビート感覚や、KATE BUSHなどにも通じるエキセントリックな幻想性も
確信犯的に取り入れつつ、ほのかにプログレ寄りのセンスも覗かせるところは心憎い。
キュートな歌声にウットリしつつ、英国らしさも感じさせるストレンジな女性声ポップの好作品。
ドラマティック度・・7 プログレ度・・5 女性Vo度・・9 総合・・8
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Blue Drift 「Mariner」
イギリスのプログレバンド、ブルー・ドリフトの2005年作
元THE MORRIGANのメンバーによるバンドで、ギター、ベース、ドラムというトリオ編成で、
適度にテクニカルなインストプログレを聴かせる。メタルフュージョン的な軽快なアンサンブルと
ジャズロック的な優雅な聴き心地は悪くないが、メロディや展開にもっとインパクトが欲しいところ。
ラストの21分の大曲も含めて、なかなかの力作であるが、音質面の弱さなども少し惜しいか。
メロディック度・・7 プログレ度・・7 楽曲・・7 総合・・7
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The Blue Ship 「Executioner's Lover」
スコットランドのチェンバーロック、ブルー・シップの2014年作
「死刑執行人の恋人」と題された作品で、ヴァイオリンが鳴り響き、ジェントルなヴォーカルを乗せ、
QUEENにも通じる緩急のあるドラマティックな展開と、シアトリカルな空気感を含んだサウンド。
やわらかなヴォーカルメロディに、ピアノやアコーディオン、ヴァイオリンによる優雅さと、
大人の哀愁を感じさせる叙情性に包まれながら、どこか不穏でスリリングな気配も覗かせる。
いわば、キャッチーな歌ものロックにチェンバーロックの要素を加えたというべきか、
クイーンをプログレ化したような感じでも聴けてしまう。Disc2にはクラシカルなインストによる組曲を収録。
ドラマティック度・・8 プログレ度・・7 チェンバー度・・7 総合・・8
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BLURRED TURTLE
イギリスのミュージシャン、Tim Brownのプロジェクト、ブルーレッド・タートルの2018年作
ギター、ベース、シンセなどすべてをこなすマルチミュージシヤンで、壮麗なシンセにギターが重なるイントロから、
打ち込みのドラムにオルガンを含むシンセとハード寄りのギターを乗せ、インストのシンフォニックロックを展開。
オールインストであるが、きらびやかなシンセを中心とした優雅な耳心地のよさに包まれる。
楽曲は3分前後と短めで、全体的にも、これという盛り上がりがないので、もう少しドラマ性が欲しい。
ドラマティック度・・6 プログレ度・・7 楽曲・・6 総合・・7


BPM&M「XtraKcts & ArtifaKcts」
パット・マステロットとプロジェクトXのプロデューサー、ビル・マニヨンによるユニット。2001年作
ロバート・フリップ、トニー・レヴィンらが参加、エレクトロニクスを駆使したテクノ的なサウンドは、
デジタルにインダストリアル化したクリムゾンというべき作風で、アレンジ面での方向性は異なるが、
フリップの遺伝子は確実に受け継いでいる。くぐもったベースのみがリフレインするパートなど、
適度にアヴァンギャルドな部分もあって、単なるクリムゾン系と思って聴くと肩透かしだろうが、
無機質なビート感に、トニー・レヴィンのベースとフリップのギター音が重なると、いかにもそれらしくなる。
ロック色、プログレ色はあまりないのだが、むしろエレクトロなトリップミュージック的にも楽しめるかもしれない。
ドラマティック度・・6 プログレ度・・7 インダストリアル度・・8 総合・・7.5
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Iain Jennings Breathing Space
Mostly Autumのシンセ奏者、イアイン・ジェニングスのプロジェクト、ブリーシング・スペースの2007年作
伸びやかな女性ヴォーカルの歌声で聴かせるな爽やかなサウンドは
やはりMostly Autumに通じる素朴なメロディとシンフォニックな美しさがある。
キャッチーなポップ性も有した楽曲は、しっとりとしたフォーキーな質感もあって
ときにメロウなギターとシンセが絡み、じつに耳に優しく響く。
ラストの“Distant Train”はMostly Autumのアルバム「Passengers」収録曲のリメイク。
シンフォニック度・・8 メロディアス度・・8 女性Vo度・・8 総合・・8
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Breathing Space「Coming Up For Air」
MOSTLY AUTUMNのKey、IAIN JENNINGSによる、ブリーシング・スペースの2007作
一聴してプログレというよりは、もっとストレートなメロディックロックという雰囲気で、
シンフォニックなシンセワークに、美しい女性ヴォーカルの歌声で聴かせる。
MOSTLY AUTUMNのようなフォーキーな要素はほとんどなく、ややモダンなアレンジとともに、
爽やかで瑞々しい耳に心地よいサウンドだ。女性Voシンフォファンならば、これは聴かずにはおれない作品だろう。
メロディアス度・・8 プログレ度・・7 女性Vo度・・9 総合・・8
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BREATHING SPACE 「BELOW THE RADAR」
元MOSTLY AUTUMNのKey、IAIN JENNINGSによる、ブリーシング・スペースの2009年作
女性ヴォーカルのキュートな歌声を中心に聴かせる、優美なシンフォニックロック。
今作はPANIC ROOMなどにも通じるようなアンニュイな翳りも含んでいて、前作に比べると
いくぶん地味な印象であるが、しっとりと聴かせるスローな曲の美しさにはやはりウットリである。
本作を最後にこのユニットは休止、Voのオリビア嬢はモストリー・オータムに参加することになる。
メロディック度・・8 プログレ度・・7 女性Vo度・・9 総合・・8
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Breathing Space 「Below The Radar Live」
元Mostly AutumnのIAIN JENNINGSを中心にした、ブリーシング・スペースのライブ。2010年作
ヴォーカルのオリヴィア嬢がMostly Autumnに加入、イアイン・ジェニングスも同じく復帰が決まったことで、
本作はこのバンドとしてのラスト音源となった。ソロ名義を含む過去3作からの曲をたっぷりと収録した
自主制作のCD-R2枚組作品で、艶やかな女性ヴォーカルの歌声とキャッチーなメロディで聴かせる、
メロウなシンフォニックロックが楽しめる。当のMostly Autumnからブライアン・ジョシュも参加し、
当然のようにモストリー・オータムのナンバーも演奏している。フィメールシンフォ好きはチェック。
メロディアス度・・8 ライブ演奏・・8 女性Vo度・・8 総合・・8

BRUCE SOORD
イギリスのポストプログレ、THE PINEAPPLE THIEFのリーダーのソロプロジェクト。2015年作
繊細なピアノのつまびきに、マイルドなヴォーカルを乗せた、Nosoundあたりに通じるアンビエントなサウンド。
アコースティックギターにドラムも加わった、適度なロック感触と、プログレ寄りのシンセアレンジは、
やはり、パイナップル・シーフを率いるミュージシャンらしい知的で豊かなセンスを感じさせる。
曲によっては、Marillionあたりを思わせるメロウな翳りを含んだ叙情ロックや、サックスなどのブラスを加えて、
ポストロック的なスケール感を描くナンバーもあったりと、3〜5分前後の楽曲にそれぞれテーマを感じさせる世界観もさすが。
泣きのギターにシンセを絡めた優しい叙情性にもうっとり。繊細系ポストプログレを好む方は一聴の価値ありです。
ドラマティック度・・7 プログレ度・・7 繊細度・・8 総合・・7.5
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Bruce Soord 「All This Will Be Yours」
イギリスのミュージシャン、ブルース・ソードの2019年作
The Pineapple Thiefのシンガーで、ソロとしては2作目となる。アコースティックギターにマイルドなヴォーカルを乗せたイントロから、
ドラムとベースのアンサンブルも加わって、エレピなどのしっとりとしたシンセとともに、翳りを帯びたポストプログレを聴かせる。
優しくエモーショナルな歌声をメインにした作風で、アコースティックギターによるシンプルな弾き語り風のナンバーなど、
全体的にプログレ的な要素は薄めであるが、デジタルなシンセアレンジを含んだナンバーなど、モダンな味わいとともに
物悲しくドリーミィな叙情に浸れる作風だ。ゆったりとした歌もの系ポストプログレが好きな方はいかが。
ドラマティック度・7 プログレ度・7 繊細度・8 総合・7.5
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CAAMORA 「SHE」
ARENAPENDRAGONクライブ・ノーランと女性ヴォーカルのユニット、カーモラの2008年作
冒険小説「She-洞窟の女王」をコンセプトにした2枚組の大作で、ポーランド人のシンガー、アグネイスカ・スウィタ嬢を中心に
ゲストヴォーカルとして、PALLASのアラン・リード、MAGENTAクリスティーナ嬢IQTHRESHOLDなどのメンバーを迎え、
4人のVoが物語的に配役を担うという構成。壮麗なシンセワークに美声の女性ヴォーカル、そしてファンタジックなストーリーと、
この手の好きなリスナーにはたまらない要素が揃っているが、楽曲そのものはPALLASなどを思わせる、
しごく正統派のシンフォサウンド。ロックオペラ的な歌ものが主体なこともあり、曲自体の新鮮味は薄いが、
豪華なブックレットを眺めつつ物語を思い浮かべながら楽しめる作品だ。
シンフォニック度・・8 ファンタジック度・・9 物語度・・9 総合・・8
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CAAMORA 「SHE」
冒険小説「洞窟の女王」をコンセプトにしたシンフォニックロック、カーモラのライブDVD。
CD2枚組の大作をオーケストラを含めて、まるでオペラのように大がかりに再現したライブ作品で、
ヴォーカルをとるのは、アグネイスカ・スウィタ嬢の他、MAGENTAのクリスティーナ、クライブ・ノーラン、
そしてPALLASのアラン・リードで、それぞれが物語の配役に扮して演じるように歌っている。
楽曲は歌もの中心なので、サウンド自体にスリリングな部分は少ないが、安定した演奏陣と
美声の女性ヴォーカルの歌声を中心に、じっくりとストーリーを描くようなシンフォニックロックが楽しめる。
DVDの方は、視覚的にもより大がかりで演劇的なステージが繰り広げられる。
ドラマティック度・・8 ライブ演奏・・8 ロックオペラ度・・9 総合・・8
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CaamoraJourney's End... an acoustic anthology」
イギリスのシンセ奏者クライブ・ノーランと女性シンカー、アグニエスカ・スウィタによるカーモラの2008年作
先に出ていたスタジオアルバムは冒険小説をコンセプトにしたシンフォニックロックの大作だったが、
これはクライブ・ノーランの弾くピアノをバックに女性ヴォーカルが歌う、アコースティックなライブ作品。
アグニエスカ嬢の美しい美声に、クライブの男性声も絡んで、しっとりとした聴き心地にウットリである。
CAAMORAの楽曲以外にも、STRANGERS ON A TRAINの曲なども聴かせてくれ、コアなリスナーには嬉しいかぎり。
ポーランド、イギリス、チリ、ボリビア、ドイツ、ベルギー、アルゼンチンと、各国でのライブ録音に加え、
デモや未発曲なども多数収録したCD2枚組。MAGENTAのクリスティーナも参加している。
シンフォニック度・・7 しっとりピアノ度・・8 女性Vo度・・9 総合・・8
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CAIRO 「$@Y (SAY)」
イギリスのプログレバンド、カイロの2016年作
Touchstoneのシンセ奏者を中心にしたバンドで、The Paradox Twinのドラムなどが参加。
ストーリー的な語りから始まり、きらびやかなシンセにハードなギター、女性ヴォーカルに男性Voも絡み、ProgMetal的なテクニカル性も含んだスタイリッシュなサウンドを聴かせる。
3〜4分前後の小曲を主体に、9分の大曲ではクールな硬質感の中に、叙情的なギターにシンセが重なるシンフォニックな感触も覗かせて、ゆったりとした繊細な歌ものナンバーなども、コンセプト的な流れとともに、じっくりと聴かせてくれる。
美しい女性声をメインにしたしっとりとしたナンバーは、MAGENTAにも通じる優美な味わいで楽しめる。男女声モダンシンフォの期待の新鋭です。
ドラマティック度・8 プログレ度・7 スタイリッシュ度・8 総合・8
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CAIRO 「Nemesis」
イギリスのプログレバンド、カイロの2023年作
7年ぶりとなる2作目で、女性シンガーが交替しているが、サウンドは前作の延長で、いくぶんメタリックなギターにプログレらしいカラフルなシンセワーク、男女ヴォーカルの歌声で、モダンなハードプログレを展開する。
コケティッシュな女性ヴォーカルを乗せたキャッチーなハードロック風味や、シンセをバックにしたしっとりとしたナンバーでは、泣きのギターフレーズとともに優雅なシンフォニックロックが味わえて、わりと振り幅の広い作風。
ラストの8分の大曲は、男女ヴォーカルに美麗なシンセで、ポストプログレ風味の優美な叙情に包まれる。スタイリッシュなシンフォプログレの逸品です。
ドラマティック度・8 プログレ度・7 叙情度・8 総合・8
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CASINO
イギリスのシンフォニックロック、カジノの1994年作
PENDRAGONARENAでおなじみクライブ・ノーランとTwelfth Nightのメンバーらによるプロジェクトで、
タイトル通り、カジノを舞台にしたコンセプト作。きらびやかなシンセを中心に、キャッチーなメロディで
プログレハード風に聴かせつつときにアダルトな雰囲気を漂わせた大人のメロディックロック作というおもむき。
ストーリー的な流れとともに、シンフォニックに展開してゆくドラマティックな大曲はとくに素晴らしい。
メロディアス度・・8 シンフォニック度・・8 プログレ度・・7 総合・・8
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Castanarc「Journey to the East」
イギリスのシンフォニックバンド、キャスタナルクの1984年作
これは1984年当初のLP盤音源に手を加えられ1991年にCD化されたもの。
ポンプロック全盛の当時の作品の中で本作の出来の良さは突出しており、
美しいシンセとハケットを思わせるメロウなギターを中心にした叙情性と
甘いヴォーカルで聴かせる、キャッチーな抜けの良さが同居した見事な傑作だ。
バンドはこの1作のみで消滅、その後1998年に復活作を出しているが、
ロマンティックなシンフォニックアルバムとしては本作を超えるものではなかった。
シンフォニック度・・8 メロディアス度・・8 ロマンティック度・・9 総合・・8
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CASTANARC「LITTLE GODS」
かつて80年代に「JOURNY TO THE EAST」というアルバムを残した
イギリスのポンプロックバンド、キャスタナルクが何と密かに復活していた? 1998作
初期のMARILLION的だった音楽性はそのままよりポップ&マイルドになり、
甘い声質のVoやメロウなKEY、ギターなどはPENDRAGONなども想起させる。
目新しさはないものの、再結成したPALLASもしかり、ポンプロックを聴いた世代にはなじみやすいサウンドだろう。
メロディアス度・・8 プログレ度・・6 ポンプロック度・・9 総合・・7.5

CASTANARC 「Sea Of Broken Vows」
イギリスのプログレバンド、キャスタナルクの2021年作
1984年にデビュー、1998年までに4作を残して消えるも、2020年に復活。本作は復活2作目となる。
オリジナルメンバーは、ヴォーカルとシンセのみであるが、優美なシンセワークにメロウなギター、
味わいのあるヴォーカルを乗せたキャッチーな1曲目は、1984年作「Journey To The East」を思わせる。
その後は、歌ものナンバーを主体にに、4〜5分前後とシンプルな楽曲が続くが、メロディックロックとしての
純粋な耳心地の良さで、インストパートには凝った展開はさほどないものの、優雅な味わいで楽しめる。
ベテランらしい確かな演奏と歌唱力で、英国らしいウェットなプログレハードとしても鑑賞できる好作品。
メロディック度・8 プログレ度・7 優雅度・8 総合・8
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CELESTIAL FIRE 「LIVE IN THE UK」
イギリスのケルティック・シンフォニックロック、IONAのデイヴ・ベインブリッジ率いる、セレスティアル・ファイアのライブ作品。2017年作
2015年の英国公演を2CD+DVDに収録。GENTLE GIANTのシンセ奏者の娘、サリー・ミネアをシンガーに、ドラムはIONAのフランク・ヴァン・エッセン、
Carl Palmer BANDのベースを迎えた5人編成。2014年のDave Bainbridge名義のソロ「CELESTIAL FIRE」からの15分の大曲で幕を開け、
叙情的なギターにやわらかなシンセを重ね、美しい女性ヴォーカルにヴァイオリンも鳴り響き、優雅なシンフォニックロックを展開する。
アコースティックギターやマンドリン、ブズーキなどを使った、ケルト/フォーク寄りの感触も含ませた、しっとりとした優美な味わいで、
伸びやかなサリー嬢の歌声とともに、IONAのナンバーも披露。一方では、プログレらしいきらびやなシンセワークを乗せて、
軽やかなアンサンブルのインストパートでは、緩急ある構築力も見事。巧みなベースによるYES「Roundabout」のカヴァーや、
アンコールでのYES「Soon」も優美な聴き心地だ。DVDでは、小さな会場でのアットホームなステージが視覚的にも楽しめる。
ライブ演奏・8 ライブ映像・8 女性Vo度・8 総合・8 
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Charlie Cawood 「Blurring Into Motion」
イギリスのミュージシャン、チャーリー・カーウッドの2019年作
KNIFEWORLDなどで活躍するマルチミュージシャンで、本作には多数のゲストが参加し、アコースティックギターに
やわらかなフルート、ピアノにクラリネット、ヴィブラフォンの響きに、ヴァイオリン、チェロなども加えて、
優雅でクラシカルなアコースティックサウンドを聴かせる。バウロンのリズムに乗るフルートやヴァイオリンが
ときにケルティックな雰囲気もかもしだし、女性ヴォーカルが加わった優美なナンバーなども耳心地が良い。
3〜4分前後の小曲を主体に、スリリングな展開はないが、優雅なチェンバーロックとしても楽しめる。
アコースティック度・9 ロック度・1 優雅度・9 総合・8
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Chasing The Monsoon 「No Ordinary World」
イギリスのシンフォニックロック、チェイシング・ザ・モンスーンの2019年作
KARNATAKAのイアン・ジョーンズを中心に、元KARNATAKAの女性Voであるリサ・フューリィも参加、
メロウなギタープレイに美麗なシンセ、やわらかな女性ヴォーカルの歌声を乗せた叙情豊かなサウンドで、
トロイ・ドノクリー(Nightwish)によるフルートやホイッスルが素朴でケルティックな香りも加えている。
リサ嬢の魅力的な歌声は、楽曲をしっとりと優美に彩り、泣きのギターフレーズはときにCAMELのようで、
英国らしいウェットな叙情を描いている。全体的に派手なところはあまりなく、ゆったりとした大人のサウンドであるが、
美しい女性声と甘美なギタープレイが合わさった耳心地の良さに浸れます。アダルトなカルナタカという逸品。
ドラマティック度・・8 プログレ度・・7 女性Vo度・・8 総合・・8
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CHIMPAN A 「THE EMPATHY MACHINE」
イギリスのプログレユニット、チンパン・エーの2020年作
MAGENTAのロバート・リードと、THE STORYSのシンガー、スティーヴ・バルサモによるユニットで、
美しいシンセを中心にしたモダンでエレクトロなアレンジに、繊細なアコースティックギター
ジェントルな男性ヴォーカルに女性ヴォーカルも加えた、ポストロック風味の優雅なサウンド。
楽曲は7〜9分とわりと長めながら、あくまでしっとりとした優しい耳心地で、スペイシーなシンセと
男女Voの歌声でゆったりと楽しめる。MAGENTAのクリスティーナ・ブースが参加していて、
女性声の入ったパートが多いのも嬉しい。ロック感触は薄めの、癒し系モダンプログレです。
ドラマティック度・7 プログレ度・7 優美度・9 総合・8
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Chris Fry 「Composed」
Magentaのギタリスト、クリス・フライのソロ2012年作
アコースティックギターの素朴な響きに、優雅なストリングスアレンジで聴かせる繊細な作風。
ギターのアルペジオにはスパニッシュ/フラメンコ的な感触も覗かせ、英国人らしい叙情性に
ラテンの雰囲気を融合したような作風だ。美しいヴァイオリンの響きに、
ロブ・リードによるオーケストラアレンジも随所にシンフォニックな味わいを付加している。
アコースティック度・・8 プログレ度・・6 優雅な叙情度・・8 総合・・7.5


CHRIS LEA 「Dr Syn & the Scarecrow」
イギリスのミュージシャン、クリス・リーの2015年作
ラッセル・ソーンダイクの小説「かかし(まぼろし密輸団)」をコンセプトにした、CD2枚組のフォークロックオペラ。
アコースティックギターやマンドリン、バンジョーの牧歌的な音色に、男女ヴォーカルの歌声を乗せ、
やわらかなフルートも加わった、英国らしいフォークロックサウンド。随所に物語を語るナレーションも入りつつ、
うっすらとしたシンセアレンジにピアノ、ドラムも入ったロック色があるので、プログレリスナーにも普通に聴きやすく、
女性声がメインのナンバーは、優美な叙情性でしっとりと味わえる。CD2枚、120分におよぶ大作なので、
フォークが苦手な方にはさすがに長尺感はあるが、牧歌的な英国サウンドが演劇仕立てで鑑賞できる力作だ。
ドラマティック度・・8 プログレ度・・7 英国度・・8 総合・・7.5
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Christina「Broken Lives & Bleeding Hearts」
MAGENTAの女性ヴォーカル、クリスティーナのソロアルバム。2010年作
現在系英国シンフォニックの代表格のひとつとなったMAGENTAの紅一点、
クリスティーナ・ブース嬢のソロ作で、ロブ・リードをはじめ、MAGENTAのメンバーをはじめ、
ジョン・ミッチェル(ARENA、IT BITES)、トロイ・ドノックリー(IONA)らもゲスト参加している。
サウンドは、彼女の美声を活かしたメロディアスな歌もの中心で、プログレ的なアレンジは
いくぶん抑え気味にした、聴き心地のよいものになっている。美しいシンセワークに、
メロウなギターをまじえつつ、あくまでしっとりとしたアダルトな感触の女性声ロックである。
シンフォニック度・・7 プログレ度・・7 女性Vo度・・8 総合・・8
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Christina 「The Light」
イギリスの女性シンガー、クリスティーナのソロ。2015年作
MAGENTAのシンガーとして知られる彼女のソロ2作目。美しいヴォーカルを中心にゆったりと聴かせる作風で、
楽曲は4〜5分前後でわりとシンプルな歌もの路線であるが、楽曲を手掛けるのはMAGENTAのロブ・リードであるから、
メロトロンやオルガンなどを含んだシンセをたっぷり含ませたシンフォニックな聴き心地が随所に楽しめる。
繊細なピアノやオーケトラルな壮麗さも含んだアレンジは、むしろコンテンポラリーな作風でロック的な感触が薄い分、
じっくりと彼女の歌声を味わえる。マジェンタのファンはもちろん、繊細な女性ヴォーカル作品が好きな方にもぜひ。
ジョン・ミッチェル(IT BITES)、アンディ・ティリソン(The Tangent)などがゲスト参加。
シンフォニック度・・8 プログレ度・・7 女性Vo度・・8 総合・・7.5
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CIRCA: 「HQ」
イギリスのプログレハード、サーカの2009年作
元Yesのビリー・シャーウッド、トニー・ケイを中心にしたバンドで、これが2作目。
オルガン鳴り響く古き良きプログレ感触と、キャッチーな爽快さで聴かせるサウンド。
基本はコンパクトな聴き心地であるが、やはりYesを思わせるような軽妙なアンサンブルに
10分前後の大曲ではドラマティックな構築性も感じさせる。これという新鮮味はないが、
キャリアのあるメンバーによるプログレッシブ・ロックへの憧憬が込められた好作品である。
メロディック度・・8 キャッチー度・・8 プログレ度・・7 総合・・8
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CIRCA: 「And So on & Overflow」
イギリスのプログレハード、サーカの2013年作
Disc1には2011年作を、Disc2にはダウンロードのみの販売だった2009年作を収録した2CD。
1曲目とラスト曲に10分前後の大曲を配した構成は前作同様であるが、サウンドはよりキャッチーなポップ感が増していて、
きらびやかなシンセにやわらかなコーラスなども、ASIAなど80年代のプログレハード系バンドを思わせる雰囲気である。
もちろん、オルガンなどの音色には古き良きプログレ風味も感じさせ、アダルトな叙情をマイルドに聴かせてくれる。
Disc2「Overflow」の方は、肩の力の抜けたライトな感触としっとりとした優雅さを含んだ、モダンなプログレポップ的な好作。
メロディック度・・8 キャッチー度・・8 プログレ度・・7 総合・・8
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CIRCA 「LIVE」
イギリスのプログレハード、サーカのライブ。2016年作
元Yesのビリー・シャーウッド、トニー・ケイ、アラン・ホワイトらによるバンドで、本作は2007年のデビュー直後のライブから、
アメリカツアーのステージを2CDに収録。アラン・ホワイトの軽やかなドラムに、存在感あるビリー・シャーウッドのベース、
トニー・ケイのシンセとともに、初期のYESを思わせるようなキャッチーなプログレハードサウンドを聴かせる。
オルガンを含む古き良きプログレの感触と、枯れた味わいのヴォーカルによる、大人の味わいの叙情性は、
目新しさはないものの安心して楽しめる。そして、Disc2の目玉は、YESの歴史を振り返るような40分のメドレー。
1969年のデビュー作から1999年までのナンバーから抜粋した演奏を披露してくれ、往年のファンは感激だろう。
音質的にはややラウドながら、イエス関連のファンはチェックすべきライブですね。Disc2だけでも必聴かと。
ライブ演奏・・8 Yes度・・8 音質・・7 総合・・8 
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CIRCA 「Valley of the Windmill」
イギリスのプログレハード、サーカの2016年作
Yesのビリー・シャーウッド、トニー・ケイを中心にしたバンドで、本作は14分、18分という大曲を含む全4曲という構成。
美しいシンセアレンジに、キャッチーなコーラスハーモニーを乗せた、ASIAにも通じるポップでメロディックな味わいと
オルガンなどを含む古き良きプログレ性が合わさったサウンド。楽曲は長いものの、あくまで歌ものという構成で、
スリリングな展開や新鮮味というのは薄いのだが、逆に言えばメロディックロックとしてのメジャー感に包まれていて、
渋みのある歌声と安定した演奏でゆっくり楽しめる。ラストの大曲はシンフォニック的でもある起伏のある構成力で
中期のYesを思わせるような優美なサウンドが味わえる。大作志向ながら、耳心地のよいキャッチーな好作品。
メロディック度・・8 プログレ度・・7 王道プログレハー度・・8 総合・・8 
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Circulus「Clocks Are Like People」
イギリスのフォークロックバンド、サークルスの2nd。2006作
男女ヴォーカルにシンセ、フルートを含む7人組で、古き良きフォークをモダンにアレンジしたサウンドを聴かせる。
ゆったりとしたフルートの音色と、男女Voの牧歌的な歌声に、プログレ的なシンセも加わると、
のどかなサイケロック風味にもなる。古楽風のパイプの音色はGRYPHONなどを思わせる部分もあり、
おおらかでレトロな雰囲気のフォークロックが楽しめる。
メロディアス度・・7 おおらかフォーク度・・8 英国度・・8 総合・・7.5
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CITIZEN CAIN「SERPENTS IN CAMOUFLAGE」
イギリスのポンプロックバンド、シチズン・ケインの1st。1993作
IQPENDRAGONなど、80年代からの活躍組はそこそこ知名度はあるが
このバンドのように90年代になってからデビューしたポンプロックバンドというのも珍しい(笑)
音楽性は…やはりかつてのジェネシスクローンと言われたサウンドそのもので、
キャッチーでメロディアスで、そしてどこか垢抜けない…Voの声質も含めて少し前のPENDRAGONという感じ。
聴き易くて、耳に優しいが、そして新鮮味はないという。王道のポンプロック好きにはお薦めだ。
メロディアス度・・7 シンフォニック度・・7 楽曲・・7 総合・・7
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Citizen Cain 「Somewhere But Yesterday」
イギリスのシンフォニックロック、シチズン・ケインの1994年作
1992年にデビュー、本作は2作目となる。プログレらしいきらびやかなシンセワークに、
フィッシュを思わせる味のあるヴォーカルを乗せ、PENDRAGONなどに通じるポンプロック寄りのサウンド。
10分を超える大曲を中心に、キャッチーなメロディアス性と緩急ある展開力は、よりシンフォプログレらしくなり、
同時期のIQなどにも引けを取らない。やわらかなフルートに、P.ガブリエルばりの歌声で聴かせるところは、
初期のGENESISを思わせる叙情に包まれて、25分という大曲も濃密なシンフォ感触と優美なパートが同居した、
ドラマティックな構築力が光る。ポンプ系のシンフォニックロックとして、初期MARILLIONを正統進化させたような力作だ。
ドラマティック度・・8 プログレ度・・8 ポンプ系シンフォ度・・9 総合・・8 
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Citizen Cain 「Ghost Dance」
イギリスのプログレバンド、シチズン・ケインの1996年作
本作はバンドのデビュー前、1984〜86年に録音されていた未発表音源をまとめたもので、
G&Key、Dr、B&Voというトリオ編成で、随所にシンセを重ねた幻想的なシンフォニックロックを聴かせる。
基本的には初期のIQなどに通じる、GENESISルーツの感触であるが、7〜8分という大曲を、
緩急ある展開で構築するスタイルは、のちのポンプロック路線よりも、むしろプログレ寄りかもしれない。
巧みなドラムを中心とした演奏力もしっかりしていて、変則リズムによる適度なテクニカル性を含めて、
優雅なアンサンブルも見事。単なる未発音源という以上に、バンドのルーツと実力を窺い知れる濃密な内容だ
ドラマティック度・・8 プログレ度・・8 優雅度・・8 総合・・8
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CITIZEN CAIN 
「Raising the Stones」
イギリスのシンフォニックロックバンド、シチズン・ケインの1997年作
手に入りにくかったこのバンドの初期作品が、2012年リマスター盤で再発された。
以前に1stを聴いたときは、まさに典型的なGenesisルーツのポンプロックであったが、
この3作目では、単なるジェネシスフォロワーの域を超えたというべき力作となった。
ガブリエル似のヴォーカルの歌声によるシアトリカルな濃密さと、時代的なチェンバロの響き
プログレ的なムーグシンセとともに描かれる楽曲は、初期Genesisがそのまま90年代化したという
聴き心地で緩急に富んだドラマティックな展開が楽しめる。10分を超える大曲も3曲あり、
いくぶん長尺感はあるのだが、そこも含めてじっくり鑑賞できる方にはお薦めできる。
ドラマティック度・・8 プログレ度・・8 ジェネシス風味度・・8 総合・・7.5
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Citizen Cain 「Playing Dead」
イギリスのシンフォニックロック、シチズン・ケインの2002年作
1992年にデビュー、本作は5作目となる。優美なシンセに叙情的なギター、P.ガブリエル風のヴォーカルで、
GENESISをルーツにしたドラマ性と、ポンプロックを通った優雅なシンフォプログレを聴かせる。
10分を超える大曲も多く、適度にエキセントリックなメリハリある展開力で、とくにインストパートは
スリリングなプログレらしい味わいである。初期MARILLIONIQにくらべて知名度は低いが、
ジェネシス系シンフォとしての完成度ではむしろ本作が上かもしれない。バンドは10年後に復活作を発表。
ドラマティック度・8 プログレ度・8 優雅度・8 総合・8 
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Citizen Cain「Skies Darken」
イギリスのシンフォニックロック、シチズン・ケインの2012年作
初期はPENDRAGONタイプのポンプロックだったと思ったが、前作から10年ぶりとなる本作は、
のっけからテクニカルなアンサンブルでたたみかける濃密なサウンドに驚かされるが、
ヴォーカルの声質も含めて、GENESISルーツのやわらかな叙情もちゃんと残していて、
ヘヴィプログレ的なダイナミズムと変則リズムを多用した古き良きプログレの感触が混ざると、
思わずにやにやしてしまう。シアトリカルな世界観を描いてゆく説得力もさすがベテランである。
10分以上の大曲も多数あり、メリハリの効いた展開も見事な、濃密かつドラマティックな傑作だ。
ドラマティック度・・9 プログレ度・・8 濃密度・・9 総合・・8
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CITIZEN CAIN'S STEWART BELL  「The Antechamber of Being(Part 1)」
イギリスのプログレバンド、CITIZEN CAINのシンセ奏者、ステュアート・ベルによるソロ。2014年作
10分を超える大曲を中心にした組曲形式のコンセプトアルバムで、自身でシンセの他、ドラム、ヴォーカルをこなし
美しいシンセとマイルドなヴォーカルを乗せて、ドラマティックに展開する、英国らしいシンフォニックロックを構築する。
CITIZEN CAINのヴォーカル、ギター、THE WATCHのヴォーカル、さらにはAYREONのアンソニー・ルカッセンがゲスト参加、
初期のGENESISに通じるシアトリカルな幻想性と、ときににアヴァンギャルドなセンスが交差して、じつに濃密な味わいである。
ときに女性ヴォーカルも加わって、男女ヴォーカルによるロックオペラ的な雰囲気もかもしだす。トータル74分におよぶ力作だ。
ドラマティック度・・8 プログレ度・・8 濃密度・・8 総合・・8
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CITIZEN CAIN'S STEWART BELL 「THE ANTECHAMBER OF BEING (PART 2)」
イギリスのプログレバンド、CITIZEN CAINのシンセ奏者、ステュアート・ベルによるソロ。2017年作
前作の続編となるコンセプト作品で、美しいシンセアレンジにシアトリカルなヴォーカルを乗せ、
ミステリアスな空気感に包まれたシンフォニックロックを展開。10分を超える組曲を主体に、
初期のMARILLIONあたりにも通じる、オールドなポンプロック色も感じさせつつ、
ドラマティックな展開力は、PALLASなど英国らしいハードシンフォの感触でも楽しめる。
ゲストによる女性ヴォーカルも加わった、男女Voのロックオペラ的な雰囲気もあり、
曲が長い分、気が短い方には向かないが、優雅で濃密なシンフォニックロックが味わえる。
ドラマティック度・・8 プログレ度・・7 英国度・・8 総合・・7.5 
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CLIVE NORAN & OLIVER WAKEMAN「Jabberwocky」
クライブ・ノーラン(ARENA、PENDRAGON)、オリバー・ウェイクマンによる1999年作
「鏡の国のアリス」に出てくる怪物、「ジャバーウォック」をテーマにしたコンセプト作で、
ヴォーカルにはボブ・カトレイ(MAGNUM)、トレイシー・ヒッチングス(LANDMARQ)らが参加。
PENDRAGONのピーター・ギー、やSHADOWLANDのイアン・サーモン、元YESのピーター・バンクス、
リック・ウェイクマンとともに活動するドラマー、トニー・フェルナンデスなども加わっている。
リックの息子であるオリバー・ウェイクマンは、さすがに親譲りのクラシカルなプレイを聴かせ、
ベテランのクライブとともに、これぞ英国シンフォニックというサウンドを構築している。
ボブ・カトレイとトレイシー・ヒッチングスの男女ヴォーカルもストーリーによくマッチしていて、
ゆるやかに盛り上がる楽曲とともに、ジャケ通りのファンタジックなイメージで壮麗に聴かせてくれる。
シンフォニック度・・8 プログレ度・・7 ファンタジック度・・9 総合・・8
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CLIVE NOLAN & OLIVER WAKEMAN「THE HOUND OF THE BASKERVILLES」
クライブ・ノーランRICK WAKEMANの息子オリバー・ウェイクマンとの共同作品。2002年作
この二人の共作としては「JABBERWOCKY」(1998)に続く第二弾となる。小説「バスカヴィル家の犬」をコンセプトにした内容で、
二人のキーボードを中心にRICK WAKEMANの「地底探検」を思わせるようなキーボードシンフォ作品。
ゲストとしてボブ・カトレイアルイエン・ルカッセン、トレイシー・ヒッチング、ミッシェル・ヤング等々が参加
曲ごとに彼らの歌唱や演奏を聞くことができる。メロディや曲の音像的にはリック・ウェイクマンの初作品に酷似している印象で、
これという目新しさはないが、それを抜きにすればよく出来た正統派キーボードシンフォ である。
シンフォニック度・・8 キーボー度・・8 新鮮度・・6 総合・・7.5
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Clive Nolan & Agneiszka Swita「CLOSER」
クライブ・ノーランとポーランド人の女性歌手、アグネイスカ・スウィタのユニット。2006作
どういう経緯でこのユニットができたのかは知らないが、トレーシー・ヒッチングスを思わせるハスキーな女性Voと
クライブ・ノーランのシンセ、ピアノを中心したサウンドを聴かせる、5曲入りのミニアルバム。
プログレというよりは、しっとりとしたシンフォニックな女性ヴォーカルものという雰囲気で、
かつての、STRANGERS ON A TRAINを思わせる、…とおもったら、4曲目はそのリメイク曲でした。
メロディアス度・・8 プログレ度・・6 女性Vo度・・8 総合・・7.5
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Clive Nolan 「Alchemy」
クライブ・ノーランによるシンフォニックロック・オペラの2013年作
2008年のCAAMORAに続き、今作は錬金術をテーマにした冒険ストーリーを描く、CD2枚組の壮大なロックオペラ作品。
トレイシー・ヒッチング(LANDMARQ)、アグニエスカ・スウィタ(CAAMORA)、アンディ・シアーズ(TWELFTH NIGHT)
ポール・マンジィ(ARENA)、ポール・メネル(元IQ)、ダミアン・ウィルソン(THRESHOLD)といったメンバーが参加。
いまや英国シンフォニックロック界の重鎮といっていいだろう、クライブ・ノーランお得意のサウンドで、
配役ごとにヴォーカリストたちが語りや歌を乗せながら、シアトリカルかつドラマティックにストーリーが進行してゆく。
曲ごとのインパクトはあまりないが、壮麗な男女ヴォーカルにコーラス、シンフォニックなアレンジとともに、
作品の流れを演劇的に鑑賞できる優雅なるロックオペラの逸品。同作を完全再現したライブDVDも必見。
ドラマティック度・・8 プログレ度・・7 壮大度・・8 総合・・8
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Laura Piazzai & Clive Nolan 「From The Outside In」
イタリア人女性シンガー、ローラ・ピアッツァイとクライブ・ノーランのユニット。2019年作
ARENAやPENDRAGONのシンセ奏者、クライブ・ノーランがまた新たに女性シンガーとのコラボを制作。
STRANGERS ON A TRAINをはじめとして、過去のバンドやプロジェクトの楽曲をリメイクした内容で、
美麗なシンセワークに伸びやかでハスキーな女性ヴォーカルを乗せた、シンフォニックなサウンド。
ローラ嬢の歌声は、トレイシー・ヒッチングスに比べるとフェミニンな魅力はさほどないのだが、
力強くエモーショナルに歌い上げる。楽曲は、3〜5分前後が中心で、キャッチーな歌ものが多いが、
彼女のヴォーカルがたっぷりと味わえるので、女性声シンフォ好きなら楽しめるだろう。
メロディック度・・8 プログレ度・・7 女性Vo度・・8 総合・・8
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CLIVE NOLAN/OLIVER WAKEMAN「DARK FABLES」
イギリスのミュージシャン、クライヴ・ノーランとオリヴァー・ウェイクマンによる2021年作
2人のユニット作としては、1999年作「ジャバーウォック」、2002年作「バスカヴィル家の犬」とあるが、
本作は、3作目に予定していた「フランケンシュタイン」用に作られた未発音源を収録している。
きらびやかなシンセアレンジを中心にしたシンフォニックロックで、元Twelfth Nightのアンディ・シールズ、
元ARENAのポール・マンズィがヴォーカルでゲスト参加。女性シンガーが参加したしっとりとしたナンバーなど、
幻想的な翳りを帯びた世界観と、二人の奏でる優美な鍵盤プレイで、全体的にはゆったりと楽しめる内容。
楽曲自体は2〜4分前後の小曲が多く、ドラマティックな盛り上がりがもう少し欲しかったが、そこは未発曲なので。
ドラマティック度・7 プログレ度・7 優美度・8 総合・7.5 過去作のレビューはこちら
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Clive Nolan 「Song of the WildLands」
イギリスのミュージシャン、クライヴ・ノーランの2021年作
PENDRAGON、ARENAなどで活躍するシンセ奏者で、本作は、叙事詩「ベーオウルフ」を題材としたシンフォニック・ロックオペラ。
ドラムにPENDRAGONのスコット・ハイアム、ギターには、SHADOWANDのマーク・ウエストウッド、The Windmillのベースとフルート、
MAGENTAのクリスティーナ・ブースなどがヴォーカルで参加している。壮麗なシンセアレンジに物語を語るナレーション、
配役ごとの男女ヴォーカルを乗せて、ファンタジックなシンフォニックロックを展開する。混声コーラス隊を重ねたスケール感に、
ときに土着的なメロディを含んだ、ケルトやフォークロック的なパートと勇壮な世界観が合わさって、ドラマティックなサウンドを描く。
2008年作「Caamora」や、2012年作「Alchemy」も見事な出来だったが、幻想的なロックオペラという点で本作も素晴らしい内容だ。
ドラマティック度・8 プログレ度・7 壮麗度・8 総合・8 
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CLOUD ATLAS 「BEYOND THE VALE」
イギリスのプログレバンド、クラウド・アトラスの2014年作
Stolen Earthにも在籍する女性シンガーを擁するバンドで、いくぶんハードなギターにオルガンを含むシンセを重ね、
ストレートな女性ヴォーカルの歌声で、KARNATAKAなどにも通じる優美なシンフォニックロックを聴かせる。
ときにブルージな感触も含んだ叙情的なギターは、古き良き英国ロックの味わいもかもしだしていて、
7〜10分前後の大曲を主体に、伸びのある女性ヴォーカルとともに、じっくりとウェットなサウンドを描いてゆく。
アコースティックなパートを含んだ英国らしい叙情美は、MOSTLY AUTUMNなどが好きな方にも楽しめるだろう。
ドラマティック度・7 プログレ度・7 女性Vo度・8 総合・7.5
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Cobalt Chapel 「Variants」
イギリスのサイケ・フォーク、コバルト・チャペルの2019年作
REGAL WORMのJerrod Goslingと女性シンガーによるユニットで、本作は2017年デビュー作のリメイク。
オルガンやメロトロンなどのヴィンテージなシンセに、美しい女性ヴォーカルの歌声を乗せた、
ゴシック的な倦怠の空気も感じさせる、アシッドなサイケフォークというようなサウンドを聴かせる。
ときにドラムやギターも加わるが、基本はシンセとヴォーカルになるアンビエントな雰囲気モノで
シーケンサーを使ったエレクトロ色も覗かせつつ、幻想的な妖しさに包まれた世界観が楽しめる。
ラストの11分の大曲は、メロトロンやアコーディオン、ドラムも加え、プログレ寄りのアシッド・フォークロックを展開。
ドラマティック度・・7 ロック度・・2 幻想度・・8 総合・・7.5
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COLIN BASS「AN OUTCAST OF THE ISLANDS」
キャメルのベース奏者、コリン・バースのソロ作。1998年作
ポーランドのシンフォニックロックバンド、QUIDAM、ABRAXASのメンバーをバックに迎え、
オルガンを含む美麗なシンセアレンジにメロウなギターを乗せ、繊細な叙情を描く優美なサウンド。
全編にわたって非常にメロディアスかつドラマティックなもので、随所にオーケストラによるアレンジも加えて、
プログレというよりは、CAMEL直系のメロディアスロックの壮大版という感じで楽しめる。素朴な歌ものナンバーで
しっとりとなごみつつ、たおやかな叙情と劇的な曲の数々にうっとりせずにはいられない。素晴らしい傑作です。
メロディアス度・・10 シンフォニック度・・9 たおやか度・・9 総合・・8.5
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COLIN BASS「IN THE MEANTIME」
CAMELのベーシスト、コリン・バースのソロアルバム。2003年作
前作「AN OUTCAST OF THE ISLANDS」が素晴らしかっただけに期待していたのだが、
今作もQUIDAMやAMAROKのメンバーが参加。メロウなギターフレーズにうっすらとしたシンセを加えた、
叙情豊かなサウンドで、ジェントルなヴォーカルを乗せた、渋みのあるメロディアスな歌ものが楽しめる。
前作に比べるとシンフォニックな優美さは薄まったが、落ち着いた大人の哀愁の叙情に包まれた逸品です。
メロディアス度・・8 シンフォニック度・・7 大人の叙情度・・8 総合・・8
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Colin Bass 「At Wild End」
イギリスのミュージシャン、コリン・バスの2015年作
CAMELのベーシストでもある、ソロとしては12年ぶりとなる3作目。1作目「An Outcast Of The Islands」での
素晴らしい叙情美が記憶に残っているが、本作はジャケのイメーバのようにリラックスした牧歌的な作風で、
アコースティックギターにジェントルな歌声を乗せた素朴なサウンドを聴かせる。CAMELのアンドリュー・ラティマーや、
ドラムのデイブ・スチュワートなどもゲスト参加、女性ヴォーカルを加えてのしっとりとした優美なナンバーや、
エレキギターやオルガンを加えてのロック色のあるナンバーなども、落ち着いた大人の味わいで楽しめる。
全体的にはプログレ的な要素はあまりないが、ゆったりとした自然体の叙情が詰まった好作品。
ドラマティック度・・7 プログレ度・・7 大人の叙情度・・8 総合・・7.5 
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COLIN MASSON「ISLE OF EIGHT」
THE MORRIGANのメンバー、コリン・メイソンのソロ作。2001作
モリガン同様にケルティックテイストのシンフォニックロック作品で、ギター、ベース、キーボードを自身でこなし、
ジャケのCGまで描くという多芸ぶり。全3曲(25分、27分、12分)という大作主義で、やや長尺なところも感じるが
全体としてはインストメインの心地よいたおやかなケルティックシンフォ。トラッド的アコースティックパートや
ゲストで歌う女性Voなど、聴きどころも多い反面いかにも打ち込みの安っぽいドラム音が残念。
シンフォニック度・・8 トラッ度・・7 サウン度・・7 総合・・7.5


Colin Mold 「Girl on the Castle Step」
イギリスのミュージシャン、コリン・モルドの2012年作
KARAKARNATAKAなどにも参加するギタリストで、本作ではヴォーカルにギター、シンセ、ヴァイオリンを一人で演奏。
うっすらとしたシンセにピアノ、マイルドなヴォーカルを乗せて、シンフォニックな味わいのケルト/フォークを聴かせる。
艶やかなヴァイオリンの音色にシンセが重なる優美な感触に、アコースティックギターに爽やかな歌声が重なると、
英国らしい牧歌性に包まれる。ドラムやエレキギターを加えたロック色もあって、男性声版のIONAという雰囲気も。
流麗なフレーズを奏でるギターの腕前もさすがで、10分の大曲では、叙情的なギターにヴァイオリンとシンセが合わさって、
ケルティックなシンフォニックロックとしても楽しめる優美なサウンドを展開。ジャケの地味さが惜しいと思える逸品です。
ドラマティック度・・8 優美度・・9 英国度・・9 総合・・8
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Combination Head
イギリスのプログレバンド、コンビネーション・ヘッドの2006年作
優美なピアノのイントロから、オルガンなどのシンセに叙情的なギターを重ね、軽やかなアンサンブルとともに
どこかスペイシーな味わいもある優雅なシンフォニックロックを聴かせる。オールインストであるが、
楽曲はきらびやかなシンセワークを中心に、決してテクニカルにはなり過ぎず、ときにカンタベリー的でもある
軽妙な味わいで耳心地よく楽しめる。濃密な盛り上がりというのはさほどないが、キーボードの音色には
オールドなプログレ感触を残しつつ、英国らしい叙情美と軽妙なスタイリッシュ性が同居した好作品である。
ドラマティック度・7 キーボー度・8 優雅度・8 総合・8
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Combination Head「Progress?」
イギリスのシンフォニックロック、コンビネーション・ヘッドの2nd。2007年作
オルガンやムーグシンセが鳴り響き、優雅なアンサンブルで聴かせる、インスト主体のサウンド。
美しいシンセとメロディックなギターのからみはなかなかきらびやかで、
ヴォーカルの歌唱にはアメリカのバンドを思わせるキャッチーな抜けの良さがある。
ハモンドの使い方にしても現代的な音像の中に上手く溶け込ませており、
この辺のスタイリッシュなセンスの良さがバンドの個性にもなっている。
曲も4、5分台とコンパクトで、爽快なノリの中にプログレファンの求める要素を織り込み、
モダンさとレトロが融合され新旧のリスナーのどちらにも対応した、ハイブリッドなシンフォサウンドだ。
ンフォニック度・・8 モダンでレトロ度・・8 爽快度・・9 総合・・8
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COMEDY OF ERRORS 「Disoby」
イギリスのプログレバンド、コメディ・オブ・エラーズの2011年作
80年代に結成され、いったんは活動を停止したものの復活。きらびやかなシンセに適度にハードなギター、
中性的なヴォーカルを乗せた正統派のシンフォニックロックを聴かせる。叙情的なギターフレーズに、
美麗なシンセワークが重なる、ほどよくキャッチーでメロウなサウンドは、GENESISルーツの英国シンフォとしては、
BIG BIG TRAINなどにも引けをとらない。哀愁を含んだコーラスハーモニーなどは、NEAL MORSEなどにも通じるか。
ラストは24分におよぶ組曲で、優美なメロディアス性に包まれた、ドラマティックな展開力で盛り上げる。
シンフォニック度・・8 プログレ度・・8 英国シンフォ度・・8 総合・・8 
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COMEDY OF ERRORS 「SPIRIT」
イギリスのプログレバンド、コメディ・オブ・エラーズの2015年作
80年代に結成され、いったんは活動を停止したものの、2011年に復活し、本作は復活後3作目となる
ツインギターにシンセを含む6人編成で、美麗なシンセアレンジに、メロウなギターとマイルドなヴォーカルを乗せた
適度にハードでモダンな感触と繊細な叙情美に包まれた、英国らしいウェットなシンフォニックロックサウンド。
楽曲は3〜6分前後と、比較的コンパクトであるが、楽曲を連ねた流れがドラマティックな構成になっていて、
キャッチーなシンフォニックハードという点では、PALLASあたりにも通じる雄大なスケール感に包まれている。
やわらかなメロディの流れに浸りつつ、シンフォプログレ好きで良かった、と心から思える力作に仕上がっている。
ドラマティック度・・8 キャッチー度・・8 英国シンフォ度・・9 総合・・8
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COMEDY OF ERRORS 「House of the Mind」
イギリスのプログレバンド、コメディ・オブ・エラーズの2017年作
復活後4作目となる本作は、大曲を含む楽曲の構築力とドラマティックなアレンジセンスとがぐっと高まった。
オルガンやムーグシンセによる古き良きプログレの味わいとメロウなツインギター、マイルドなヴォーカルを乗せ、
アメリカのシンフォ系バンドにも通じるキャッチーで抜けの良いサウンドが楽しめる。これぞシンフォプログレの王道だ。
美しいシンセにツインギターによる流麗なフレーズも随所に光っていて、15分におよぶ大曲をじっくりと構築してゆく。
一方では大人の味わいのアコースティックな小曲もあり、そういうパランス感は、BIG BIG TRAINにも通じるか。
優しい叙情に包まれた後半の13分の大曲もじつに優美な感触で、正統派のシンフォプログレ好きはうっとりの傑作です。
ドラマティック度・・8 キャッチー度・・8 大人の叙情度・・9 総合・・8
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COSMOGRAFWhen Age Has Done It's Duty
イギリスのシンフォニックロック、コスモグラフの2011年作
マルチ・ミュージシャンRobin Armstrongのソロプロジェクトで、うっすらとしたシンセにメロウなほの暗さを含んだモダンなシンフォニックロック。
マイルドなヴォーカルとメロディックなフレーズを含んだ適度にヘヴィなギターで聴かせるサウンドは、
10分超の大曲を聴かせる壮大さと、ARENAあたりにも通じるドラマティックなセンスが光る。
英国的な牧歌性もあり、ゆったりと楽しめる好作だ。GALAHADやTHE TANGENTのギタリストなどがゲスト参加。
ドラマティック度・・8 プログレ度・・7 英国度・・8 総合・・7.5
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COSMOGRAF 「Man Left in Space」
イギリスのミュージシャン、ロビン・アームストロングのプロジェクト、コスモグラフの2013年作
2009年にデビューし、3作目となる。適度にハードなギターにシンセを重ねた重厚なサウンドに、
マイルドなヴォーカルを乗せた、モダンな味わいのシンフォニックロックを聴かせる。
メロウな叙情を奏でるギターに美麗なシンセアレンジが合わり、スペイシーなスケール感と
翳りを帯びた雰囲気に包まれる。楽曲ごとはわりと淡々としていて、キャッチーなフックはさほどないが、
ラスト2曲は、9分の大曲になっていて、ゆったりとした中に泣きのギターの旋律と美しいシンセが映える。
ドラマティック度・・7 プログレ度・・7 重厚度・・7 総合・・7.5 
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Cosmograf 「Capacitor」
イギリスのシンフォニックロック、コスモグラフの2014年作
マルチミュージシャン、Robin Armstrongのソロプロジェクトで、適度にハードなギターを乗せたモダンな感触と
オルガンなどを含むプログレらしいシンセアレンジで、コンセプトアルバム的なシリアスな空気感を描いてゆく。
マイルドなヴォーカルを乗せた、翳りのある叙情性はARENAあたりにも通じる重厚な感触で、
メロウなギターにシンフォニックなシンセが重なったドラマティックな聴き心地が楽しめる。
オルガンが鳴り響くゆったりとしたナンバーも耳心地よく、Marillionばりの泣きの叙情とともに、
薄暗くウェットな空気感をストーリー的な流れでじっくりと味わえる、モダンシンフォの力作である。
ドラマティック度・・8 プログレ度・・7 重厚度・・8 総合・・8
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COSMOGRAF 「THE UNREASONABLE SILENCE」
イギリスのシンフォニックロック、コスモグラフの2016年作
マルチ・ミュージシャン、Robin Armstrongのソロプロジェクトで、SFストーリー的なコンセプト作品。
オルガンを含むプログレらしいシンセアレンジに、メロディックなギターを乗せた王道のシンフォニックロックで、
PENDRAGONARENAなどに通じる適度にハードな感触と翳りを帯びたウェットな叙情性も魅力的。
BIG BIG TRAINのニック・ディヴァージリオがドラムで全面参加していて、リズム面での安定感も抜群だ。
配役ごとに多数のゲストヴォーカルが参加した、ロックオペラ的なスケール感にときにポストプログレ的な
繊細な叙情も織り込んだメリハリある構築センスで、ドラマティックな味わいが楽しめる力作ですな。
ドラマティック度・・8 プログレ度・・8 壮麗度・・8 総合・・8
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COSMOGRAF「MIND OVER DEPTH」
イギリスのシンフォニックロック、コスモグラフの2019年作
マルチミュージシャン、Robin Armstrongのソロプロジェクトで、自主制作を含めて7作目となる。
人間の内面世界の探求をテーマに、ハードなギターによるモダンな硬質感に美麗なシンセアレンジ、
マイルドなヴォーカルを乗せた、スタイリッシュなサウンドを聴かせる。ヴィンテージなオルガンや
叙情的なギターも覗かせつつ、ProgMetal的でもある構築感とほの暗い翳りを帯びた世界観は、
Riversideなどにも接近した印象だ。全体的にはメロディックなフックがあまりないので、
シンフォニックロックとしての爽快さという点では、今作はやや物足りないかもしれない。
ドラマティック度・・7 プログレ度・・7 薄暗度・・8 総合・・7.5
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Cosmograf 「Rattrapante」
イギリスのミュージシャン、ロビン・アームストロングのプロジェクト、コスモグラフの2021年作
2009年にデビューし、本作は8作目となる。叙情的なギターにオルガンなどを含むシンセ、
ジェントルなヴォーカルを乗せて、コンセプト的なシンフォニックロックを展開する。
古き良きロック感触とスペイシーなスケール感が同居した作風で、派手な展開はないが、
ときに女性ヴォーカルも加えた優しい叙情性や、メロウなギターの旋律にシンセを重ねた
シンフォニックな泣きのナンバーも耳心地よい。ラストの12分の大曲も、あくまで大仰にはならず
クールな空気感とゆったりとした優雅さに包まれながら、わりとあっさりと締めくくる。
ドラマティック度・8 プログレ度・7 叙情度・8 総合・7.5
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CRAFT 「First Sign」
イギリスのシンフォニックロック、クラフトの1984年作
THE ENIDのメンバーによるバンドの唯一の作品で、1989年にCD化されたが、2021年にリマスターで再発。
オリジナルの1983年ミックスに未発音源、1989年のミックスに、新たなボーナス音源も加えた、全14曲入り。
美麗なシンセワークにほどよくハードなギターを重ねた、優雅さとキャッチーな感触が同居したサウンド。
80年代的なビート感のドラムに、エニドに通じるクラシカルなシンセの旋律を乗せ、華麗なシンフォプログレを聴かせる。
オールインストで、オリジナルは35分弱程度だが、別ミックスや未発音源も加え、全77分に拡張させて聴きごたえがある。
1989年ミックスの方は、ドラムがうるさすぎない分、優美な耳心地になっていて、よりエニド風味のサウンドが楽しめる。
クラシカル度・8 プログレ度・8 優雅度・8 総合・8
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CREDO 「rhetoric」
イギリスのシンフォニックロックバンド、クレドの2005作
70年代から活動するミュージシャンによって90年代に結成されたバンドの復活作となる。。
サウンドは、かつてのMARILLIONや今で言うARENAあたりに通じるポンプ/シンフォニックで、
キーボードをバックに、ときおりハードめにもなるメロウなギターが耳に心地よい。
全体的にほの暗さのあるしっとりとした雰囲気で、10分以上の大曲もあるのだが、
随所にキャッチーな分かりやすさやプログレメタル風のテクニカルさも聴かせる。
この手としてはなかなか質が高く、TANTALUSあたりが気に入るならこのバンドも聴いて損はない。
メロディアス度・・7 シンフォニック度・・8 プログレ度・・7 総合・・7.5
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CREDO 「This is What We Do」
イギリスのシンフォニックロック、クレドのライブ作品。2009年作
90年代に結成され、2005年に復活作を発表したバンドの2008年のポーランド公演を2CDに収録。
きらびやかなシンセワークにメロウなギターとマイルドなヴォーカルを乗せた
PENDRAGONARENAなどに通じる英国らしい正統派のシンフォニックロックサウンド。
10分を超えるナンバーも多く、ポンプロックルーツの湿り気のある叙情性とともにメロウに聴かせる作風は、
これという新鮮味はないものの、ポーランドのSatelliteなどにも通じる翳りを含んだ繊細な味わいが楽しめる。
演奏自体も安定していて、IQなどを思わせるシアトリカルなヴォーカルの表現力もなかなかのもの。
さすがに2CDで100分を超えるという長尺感もあるのだが、音質も良く安心して聴けるライブ作品ではある。
シンフォニック度・・8 ライブ演奏・・8 メロウな叙情度・・8 総合・・7.5
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Crippled Black PhoenixLove of Shared Disasters」
イギリスのプログレ・ポストロックバンド、クリップルド・ブラック・フェニックスの2007年作
先に2作目、3作目を聴いていたが、このデビューアルバムでも、アナログ感たっぷりで
ほんのりダークな世界観を構築している。うっすらとした叙情性と、ときおり聴かせる
ロックとしてのダイナミズムが、サウンドのメリハリとなっていて、プログレ的なポストロック…
あるいは、Porcupine Tree系の薄暗系知的ロックとしても鑑賞可能。
ドラマティック度・・8 プログレ度・・7 薄暗度・・8 総合・・8
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Crippled Black Phoenix 「200 Tons Of Bad Luck」
イギリスのプログレ・ポストロックバンド、クリップルド・ブラック・フェニックスの2009年作
MOGWAIのドミニク・アイチソンとElectric Wizardのジャスティン・グリーヴスを中心にしたバンドで、
アナログ的なロックとポストロック風味の広がりのある、ゆったりとした叙情を聴かせるサウンド。
古き良きロックの香りに、メロトロンやハモンド、ピアノを含めたシンセによる味付けと、
ときにチェロやヴァイオリン、トランペットなども加わって、素朴でありながらも壮大さをかもしだす。
ドラマティック度・・8 ポストロック度・・7 アナログ度・・8 総合・・8
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Crippled Black Phoenix「I,Vigilante」
イギリスのプログレ・ドゥームロックバンド、クリップルド・ブラック・フェニックスの2010年作
MOGWAIのドミニク・アイチソンとElectric Wizardのジャスティン・グリーヴスを中心にしたバンドで、
サウンドは古き良きドゥームロックの感触に、ポストロック的な広がりのある壮大さが加わったもの。
オルガンの音色を含めアナログ感たっぷりのアンサンブルが心地よく、薄暗い叙情を内包しつつ、
知性的な構築も感じさせるのがプログレ的か。第二次大戦バルジの戦いにおけるバストーニュの戦いを
テーマにするなど、コンセプト風味のストーリー性も感じられる。むしろプログレ、ポストロックのファン向けの力作。
ドラマティック度・・8 ドゥームロック度・・7 アナログ度・・8 総合・・8
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Crippled Black Phoenix 「Night Raider」
イギリスのプログレ・ドゥームロック、クリップルド・ブラック・フェニックスの2011年作
2007年にデビュー、本作は2009年に2枚組で発表された作品を、単体としてリマスター再発したもの。
語りによるSEではじまり、アナログ感あるアンサンブルにうっすらとしたシンセを重ね、薄暗い翳りに包まれた
ドゥーム感触のヴィンテージロックを聴かせる。ブルージーなギターにプログレ寄りのシンセワークで、
サイケな浮遊感をかもしだしつつ、じわじわと盛り上げてゆく様は、ダークなポストロックというところもある。
オルガンやメロトロン、ムーグシンセのオールドな味わいとともに、サイケなプログレドゥームに浸れます。
ドラマティック度・・7 プログレ度・・7 サイケドゥーム度・・8 総合・・7.5 
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Crippled Black Phoenix「(Mankind)the Crafty Ape」
イギリスのプログレ・ドゥームロックバンド、クリップルド・ブラック・フェニックスの2012年作
第二次大戦「バストーニュの戦い」をテーマにした前作もドラマティックな傑作であったが、
本作は三章に分かれたCD2枚組の大作となった。PINK FLOYDを思わせるような
ゆったりとした叙情性の中に壮大なビジョンを描き出すポストロック的サウンドで、
ときおりシンセによる美しい味付けもあって、プログレファンにもアピールするだろう。
アナログ感をかもしだすギターワークに、ストーナーロック的な質感も織り込んで
ゆるやかなドラマを構築するようなスケール感が素晴らしい。じっくりと味わえる力作だ。
ドラマティック度・・9 壮大度・・9 プログレ度・・8 総合・・8.5
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Crippled Black PhoenixNo Sadness Or Farewell
イギリスのプログレ・ドゥームロックバンド、クリップルド・ブラック・フェニックスの2012年作
前作の2枚組大作に続き、今年2作目となるアルバム。なんとも勤勉な創作活動である。
サウンドの方はゆったりと聴かせるポストロック的なもので、本作では美しいシンセアレンジも入って、
メロウなギターとともにアナログ感を漂わせたアンサンブルは、プログレ風味のやわらかな耳心地。
これまで以上にメランコリックな叙情が前に出ていて、歌入りの曲などはゴシックロック的な美しさもある。
女性声も入ったしっとりとした浮遊感の曲もあったり、このバンドの懐の深さを窺わせる一作だ。
ドラマティック度・・7 プログレ風味度・・8 叙情度・・8 総合・・8
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Crippled Black Phoenix 「Live Poznan」
イギリスのプログレ・ドゥームロック、クリップルド・ブラック・フェニックスのライブ作品。2013年作
2011年ポーランドでのライブステージをCD2枚に収録。アルバムにおけるポストロック的なスケール感はそのままに、
厚みのあるギターサウンドはより生々しく重厚で、オルガンなどを含むシンセワークとともに、
グルーヴィなアンサンブルを聴かせてくれる。3拍子系の曲などはマイルドなヴォーカルの歌声とともに、
Coheed and Cambriaにも通じるキャッチーさがあり、モダンプログレ、知的ロック好きの方ならとても楽しめるだろう。
Journeyのカヴァー“Of a Lifetime”では、女性シンセ奏者がヴォーカルをとり、
ラストは21分におよぶハード・サイケ的な組曲で、スペイシーなシンセアレンシを交えつつ
聴き手を圧倒するような迫力が素晴らしい。バンドの力量を遺憾なく見せつけるライブ作品です。
ドラマティック度・・8 プログレ度・・7 ライブ演奏・・8 総合・・8
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Crippled Black Phoenix 「White Light Generator」
イギリスのプログレ・ドゥームロックバンド、クリップルド・ブラック・フェニックスの2014年作
ポストロックやプログレ、ドゥームロックの要素もあるというセンス抜群のこのバンド、
本作は前半が「Black Side」、後半が「White Side」と分けられたコンセプト的なアルバムで、
ゆったりとした叙情の中にもロックとしてのグルーヴィなダイナミズムを描きながら、
壮大なストーリーを感じさせる知的な構築力が素晴らしい。これという派手さはないのだが、
シンセの入った厚みのある音像と、広がりのある浮遊感には引き込まれる。
あるいは、PINK FLOYDがメタル化するとこうなる…というようなイメージか。今回も傑作。
ドラマティック度・・8 プログレな壮大度・・8 構築センス・・9 総合・・8
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Crippled Black Phoenix 「Bronze」
イギリスのプログレ・ドゥームロック、クリップルド・ブラック・フェニックスの2016年作
2007年にデビュー、ポストロック、プログレ、ドゥームロックの要素を融合させたセンス抜群のバンド、
7作目となる本作は、物語的なナレーションとシンセによるイントロからコンセプト風の壮大さを感じさせ、
2曲目に入ると、ヘヴィなギターも加わった重厚なドゥームロック感触が現れる。オルガンやメロトロンに
変拍子を使用したリズムなど、プログレ的な要素を含ませつつ、どっしりとしたサウンドを描いてゆく。
一方では70年代的なオールドロックの感触も本作では強めてきていて、ブルージーな渋さも随所に覗かせる。
9分前後の大曲をじっくりと構築する力量とセンスもさすがで、後半には女性ヴォーカルを乗せたナンバーもあったり、
イーグルスのギタリスト、Joe Walshのソロ曲のカヴァーというのは渋いセレクトながら、世界観によくマッチしている。
ドラマティック度・・8 プログレ度・・7 重厚度・・8 総合・・8
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Crippled Black Phoenix 「Great Escape」
イギリスのプログレ・ドゥームロック、クリップルド・ブラック・フェニックスの2018年作
2007年にデビュー、プログレ、サイケ、ドゥーム、ポストロックなどを融合した独自の世界観で、本作は9作目あたり。
全73分のコンセプト作品で、うっすらとしたシンセに語りを含んだイントロから、ほどよくハードなギターに
マイルドなヴォーカルを乗せて、ゆったりと叙情的で翳り帯びたポストプログレ・サウンドを聴かせる。
ザラついたロック感触を残しながら、PINK FLOYD的な優雅さとミステリアスなスケール感に包まれ、
女性声を加えてメランコリックな叙情美も覗かせる。ラストは2パートに分かれた、計20分のタイトル曲で、
しっとりとした歌もの感からトランペットなども重ねた雄大なポストロック感触に、シンフォプログレの優美さで盛り上げる。
ドラマティック度・8 プログレ度・7 ミステリアス度・8 総合・8 
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Crippled Black Phoenix 「Banefyre」
イギリスのプログレ・ドゥームロック、クリップルド・ブラック・フェニックスの2022年作
11作目の本作は、CD2枚組のミュージカル風コンセプト大作。奇妙な詠唱のようなイントロから、
ドゥーミィなギターに女性声を含む魔女めいたヴォーカルを乗せて、妖しいドゥームロックを展開する。
今作では、ヘヴィなギターが重厚なサウンドを描きつつ、随所に美しい女性ヴォーカルとともに、
メランコリックなゴシック・ドゥーム的な空気感に包まれ、曲によってはAnathemaなどを思わせる。
トレモロのギターやトランペットなどが優雅な叙情をかもしだし、全体的にはドゥーム寄りの作風ながら、
Disc2では10分を超える大曲を連ねて、ゆったりとダークな物語的な流れで楽しめる。
ドラマティック度・8 プログレ度・7 メランコリック度・8 総合・8
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The CuratorSometime Soon
NO-MANやJudy Dybleなどに参加したAlistair Murphyによるソロプロジェクト、キュレイターの2010年作
艶やかなヴァイオリンにしっとりとしたピアノ、妖しげな女性コーラスが合わさって、
彼自身のマイルドな歌声とともに、ゆるやかな味わいのサウンドを描き出す。
キャッチーなメロディアスさに哀愁を含ませながら、美しいシンセ、オルガンが鳴り響く
いかにも英国らしい叙情美にうっとりとなる。ロック色の薄いアンビエントな雰囲気ながら、
女性VoにJudy Dybleをはじめ、元ALL ABOUT EVE〜THE MICEのJulianne Reganらが参加していて、
モノトーンになりそうなサウンドを優しく彩っている。ドラムにはKING CRIMSONのPat Mastelotto、
ヴァイオリンで元NO-MANのSteve Binghamが参加、チェンバー風味の曲などもあり最後まで楽しめる。
メロディアス度・・8 プログレ度・・7 しっとり叙情度・・9 総合・・8
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The Curator 「Inside The Whale」
イギリスのミュージシャン、アリスター・マーフィによるソロプロジェクト、キュレイターの2013年作
NO-MANやJudy Dybleとの共演で知られるミュージシャン。2009年作「SOMETIME SOON」は素晴らしい出来だったが、
それに続く今作は、ドラムにパット・マステロット、ベースにマーク・フレッチャー(Judy Dyble)が参加、
のっけから20分という組曲で幕を開ける。ストリングス隊による壮麗なバックに、マイルドなヴォーカルを乗せて、
ギターやシンセ、クラシカルなピアノとともに、シンフォニックなポストプログレという、優美なサウンドを構築する。
ほどよくプログレ感のあるシンセアレンジや、女性ヴォーカルをメインにした艶めいたナンバーなども魅力的で
どくとなく初期のクリムゾンにも通じる、英国フォークルーツの叙情性も感じさせる。優雅で繊細なる逸品です。
シンフォニック度・・8 プログレ度・・7 優美度・・9 総合・・8
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THE CURATOR 「Where the Stars Will Give Way to the Morning」
イギリスのミュージシャン、アリスター・マーフィによるソロプロジェクト、キュレイターの2018年作
NO-MANJudy Dybleとの共演で知られるミュージシャン。パット・マステロットがドラムで参加、
ベースにはJudy Dyble作品に参加したマーク・フレッチャーを迎えて、アコースティックを含むギターに
ジェントルなヴォーカルを乗せ、ヴァイオリンやサックスを加えた英国らしい優雅なサウンドを聴かせる。
フォークロック的な牧歌的な味わいや、シンセを加えたほどよいプログレ感触が同居していて、
どことなくフィル・コリンズを思わせるアリスターの歌声とともに、ゆったりとした味わいで楽しめる
艶やかなヴァイオリンにオルガン、メロウなギターで聴かせるラスト曲もじつ良いですね。
ドラマティック度・・7 プログレ度・・7 優雅度・・8 総合・・7.5 
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THE CURATOR 「TWENTY-SIX/12」
イギリスのミュージシャン、アリスター・マーフィによるソロプロジェクト、キュレイターの2019年作
NO-MANJudy Dybleの作品にも参加するミュージシャンで、本作にも関連メンバーが参加。
優雅なヴィブラフォンの音色にやわらかなシンセとピアノ、しっとりとした女性ヴォーカルの歌声に
サックスも鳴り響き、ジェントルな男性ヴォーカルも加えた、ジャズタッチの大人のナンバーから、
ときに優美でシンフォニックな感触も覗かせる。ギターやドラムなどはほとんど入らないので、ロック感触は希薄だが、
後半は24分の大曲で、クラシカルな優雅さとポストプログレ的な繊細な歌もの感触が同居したアレンジセンスは見事。
ドラマティック度・7 プログレ度・7 優美度・8 総合・7.5 
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The CUSTODIAN「Necessary Wasted Time」
イギリスのプログレバンド、カストディアンの2013年作
マルチプレイヤーのリチャード・トンプソンを中心にした4人編成で、
オルガンなどを含むシンセなど古き良きプログレのやわらかな感触を継承しながら、
それをよりマイルドでスタイリッシュに仕上げたという、耳触りのいいキャッチーなサウンド。
ポストプログレ的な繊細な叙情と、アコースティカルな素朴さを、モダンに味付けしたという作風で
その落ち着いた聴き心地は、新鋭バンドとは思えぬ自然体のおおらかさと懐の大きさを感じさせる。
強いインパクトはないのだが、とにかく調和のとれたセンスの良さが光る好作品だ。
メロディック度・・8 プログレ度・・7 繊細度・・9 総合・・8
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CYAN「THE CREEPIG VINE」
イギリスのシンフォニックロック、サイアンの1999作
FIREWORKSの中心人物で、現在はMAGENTAを率いる、ロブ・リードによるプロジェクト。
やさしげなキーボード、ピアノにメロディアスなギター、中音域のマイルドなヴォーカルで聴かせる
やわらかみのあるシンフォニックロックで、新鮮味はないが非常にまとまりのある心地よいサウンドだ。
曲によってはフルートなども入ったトラッドなテイストもあり。PENDRAGONのニック・バレットもゲスト参加している。
メロディアス度・・8 シンフォニック度・・7 優しい質感度・・8 総合・・7.5
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CYAN「ECHOES」
イギリスのシンフォニックロック、サイアンの1999年作
現在はMAGENTAで活躍するRob Reedによるプロジェクトで、初期の楽曲をリミックスしたベスト盤。
いかにもポンプ〜90'シンフォニックといった類型的なシンセワークと、メロディアスなギターのフレーズが重なり、
PENDRAGONなどにも通じるキャッチーな叙情サウンド聴かせる。曲自体はあまりに王道すぎて
やや面白みには欠けるものの、英国らしい叙情とメロディにこだわる姿勢には敬服するし、
こうしたまっすぐなシンフォニックロックが聴きたいという方には心地よい音だろう。
メロディアス度・・8 シンフォニック度・・8 新鮮度・・7 総合・・7.5
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DAMANEK 「On Track」
イギリス、ドイツ、オーストラリアのメンバーによるプログレユニット、ダマネクの2017年作
The Tangentのガイ・マニング中心に、MASCHINE、SEVEN STEPS TO THE GREEN DOOR、SOURTHERN EMPIRE
といった、各国のメンバーが集結したユニットで、適度に硬質感のあるハードさとオルガンを含むきらびやかなシンセに
マイルドなヴォーカルを乗せたモダンなシンフォニックロックを聴かせる。IT BITESのキャッチーな部分と、
MARILLIONの翳りある叙情を合わせたという感触に、ピアノ、サックスが鳴り響く大人の哀愁も感じさせる。
歌もの的な聴きやすさを前に出しつつ、環境破壊をテーマにした雄大なスケール感をスタイリッシュなセンスで包み込んだ、
モダンプログレの好作品である。ルーク・マシン(Maschine)、ニック・マグナス、Phideauxなどがゲスト参加。
メロディック度・・8 プログレ度・・7 大人の叙情度・・8 総合・・8
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DAMANEK 「IN FLIGHT」
イギリス、ドイツ、オーストラリアのメンバーによるプログレユニット、ダマネクの2019年作
THE TANGENTのガイ・マニングを中心に、MASCHINE、SEVEN STEPS TO THE GREEN DOOR、SOURTHERN EMPIREのメンバーが集った
多国籍バンドで、本作が2作目となる。美しいシンセアレンジに適度にハードなギター、マイルドなヴォーカルで、
モダンな翳りに包まれた叙情的なサウンド。ゲストにルーク・マシンなどが参加、随所に流麗なギタープレイも覗かせ、
前作以上にスタイリッシュなシンフォニック性を増した聴き心地である。歌もの的なキャッチーなナンバーもありつつ、
サックスが鳴り響く優雅なパートなど、大人の余裕を感じさせる作風は、さすがにキャリアのあるガイ・マニングというところ。
後半は3パートに分かれた30分近い大作で、優美なシンセと叙情的なギターを重ね、じっくりと構築される英国的なシンフォプログレが味わえる。
シンフォニック度・・8 プログレ度・・7 大人の叙情度・・8 総合・・8
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DAMANEK 「MAKING SHORE」
イギリス、ドイツ、オーストラリアのメンバーによるプログレユニット、ダマネクの2023年作
THE TANGENTのガイ・マニングを中心に、SEVEN STEPS TO THE GREEN DOOR、SOURTHERN EMPIREのメンバーによるバンド、
3作目となる本作は3人編成となり、優美なシンセに軽やかにサックスが鳴り響き、マイルドなヴォーカルを乗せた、
ASIADBAなどに通じる優雅でキャッチーなプログレハードを聴かせる。カラフルなメロディアス性ともに、
英国シンフォプログレらしい叙情性と、ダイナミックな構築力を描くのはさすがに実力派のメンバーたちである。
アコースティックを含むメロウなギターの旋律に、味わいのあるガイ・マニングの歌声もよくマッチしていて、
中盤のJETHRO TULL風ナンバーなども良い感じ。後半は5パートに分かれた、31分におよぶ圧巻のシンフォプログレ組曲。
ドラマティック度・8 プログレ度・8 優雅度・9 総合・8.5 
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Darwin's Radio「Template for Generation」
イギリスのシンフォニックロック、ダーウィンズ・レイディオの2009年作
元GREY LADY DAWN、現IQのシンセ奏者、FROST*のDec Burkeを中心にしたバンドで、
きらびやかなシンセと抜けの良いギターで、キャッチーなメロデイと知的な構築力で聴かせる、
モダンなシンフォニックロックサウンド。インストパートの充実はFROST*にも通じる感触で
ヴォーカルの入ったやわらかでキャッチーな軽妙さは、IT BITES的でもある。
19分、11分、13分という大曲3曲という構成で、ドラマティックで重厚な聴き心地は、
ARENAあたりのファンにも薦められる。高品質な英国モダンシンフォの力作だ。
ドラマティック度・・8 プログレ度・・8 構築度・・8 総合・・8
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DAVE BAINBRIDGE「VEIL OF GOSSAMER」
IONAのギタリストでリーダー、デイブ・ベインブリッジのソロ作。2004年作/邦題「運命のベール」
ケルティックなトラッドをロックと融合させ、極上の音楽を作り出したIONAは来日公演も果たすなど、
日本でもプログレファンを中心に認知度は確実に上がってきている。本作には、かつてのIONAのメンバーや
現メンバーも名を連ね、ヴォーカルにはジョアンヌ・ホッグはじめ、メイ・マッケンナ、KARNATAKAのレイチェルも参加。
サウンドの方は、IONAの傑作「OPEN SKY」にもあったような、ケルティックなギターメロディのインストを中心に、
しっとりと美しいピアノや、女性Vo陣による美しいコーラスなどを加えた、壮麗なケルティック・シンフォニックロック。
全編アイリッシュな感性に包まれた、ドラマティックにして優美な傑作である。
シンフォニック度・・8 ケルティック度・・8 優美度・・10 総合・・8.5
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Dave Bainbridge 「Celestial Fire」
スコットランドのケルティックロック、IONAのギタリスト、デイブ・ベインブリッジのソロ。2014年作
ソロとしては2004年作「VEIL OF GOSSAMER」以来で、前作も素晴らしい傑作であったが、
本作は10分を超える大曲を中心にした、シンフォニックプログレ寄りの大作。バグパイプが鳴り響くイントロから、
美麗なシンセアレンジとメロウなギターワーク、手数の多いドラムとともに構築されるサウンドは、
ケルトとロックのダイナミックな融合という点で、MIKE OLDFIELDなどにも通じる聴き心地である。
男女ヴォーカルの歌声を乗せた優美な感触と、ドラマティックなスケール感が合わさった雄大な作風で、
艶やかにヴァイオリンが鳴り響くところは、SAGRADOなどを思わせる。まさにプログレ・ケルティック・シンフォの傑作だ。
ジョアンヌ・ホッグ、トロイ・ドノックリーらIONA関連のメンバーに加え、THRESHOLDのダミアン・ウィルソン、
AJALON、Neal Morse BANDのランディ・ジョージなど、多数のゲストが参加。
シンフォニック度・・9 プログレ度・・8 雄大度・・9 総合・・8.5
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Dave Bainbridge 「To The Far Away」
イギリスのミュージシャン、デイヴ・ベインブリッジの2021年作
IONA、Celestial Fire、Lifesignsなどで活躍するミュージシャンで、純粋なソロ名義としては4作目。IONAのドラムや、
Lifesignsのベース、Celestial Fireの女性シンガー、サリー・ミネアが参加、叙情的なギターにうっすらとしたシンセ、
ホイッスルの音色が優雅な旋律を描き、美しい女性ヴォーカルに男性声も加えた、シンフォニックなケルトロックを展開。
アコースティックギターにマンドリン、ブズーキ、イーリアンパイプなどの、素朴なアコースティック要素と、
MIKE OLDFIELDなどにも通じるエレキギターの旋律と優美なシンセ、ときにヴァイオリンも艶やかに鳴り響く。
14分の大曲も含めて、Celestial Fireにも通じる壮麗なケルティック・シンフォニックロックが楽しめる傑作です。
優雅度・9 ケルティック度・8 女性Vo度・8 総合・8.5 
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Dave Bainbridge & Sally Minnear 「Live in the Studio」
イギリスのミュージシャン、デイヴ・ベインブリッジとサリー・ミネアによるユニットのライブ。2020年作
CELESTIAL FIREにも参加する女性シンガーとのデュオ編成で、2017年のスタジオライブを、CD+DVDに収録。
IONADave Bainbridgeのソロからのナンバーをメインに、ケルティックなトラッドナンバーも披露。
うっすらとしたシンセに女性ヴォーカルを乗せたナンバーから、アコースティックギターにマンドリン、
伸びやかなサリー嬢の歌声で、ケルトの素朴さと爽やかな叙情が同居したしっとりとした耳心地。
10分を超えるIONAの大曲では、シンセをバックにマイク・オールドフィールドばりのメロウなギターを響かせて、
幻想的な叙情美に包まれる。DVD映像では、楽し気に演奏するリラックスした二人の姿が微笑ましい。
ライブ演奏・8 ライブ映像・7 女性Vo度・8 総合・8 
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Dave Brons 「Based On A True Story」
イギリスのミュージシャン、デイヴ・ブロンズの2015年作
Celestial Fireのギタリストで、本作には元IONAのデイヴ・ベインブリッジ、トロイ・ドノクリーがゲスト参加。
ケルティックな雰囲気も感じさせるメロウなギターの旋律に優美なシンセやオーケストラアレンジを重ね、
インストによる優雅なシンフォニックロックを展開する。トロイ・ドノクリーによるイーリアンパイプがギターに重なると、
ケルティックな幻想性に包まれて、Celestial Fireやデイヴ・ベインブリッジの諸作に通じる味わいにもなる。
オールインストなので耳心地の良いBGMになってしまいそうだが、ときにMIKE OLDFIELDを思わせるような
センス良いギターのフレージングがしっかりと泣きの魅力になっている。優雅なるケルト風シンフォの逸品です。
ドラマティック度・7 プログレ度・7 優雅度・9 総合・8
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Dave Brons 「Not All Those Who Wander Are Lost」
イギリスのミュージシャン、デイヴ・ブロンズの2020年作
CELESTIAL FIREのギタリストでもあるミュージシャンで、本作は指輪物語をコンセプトにした作品。
デイブ・ベインブリッジをはじめ、同バンドのメンバーも参加、叙情的なギターにうっすらとしたシンセを重ね、
イーリアンパイプやホイッスルなどの民族色を含んだ、ケルティックなシンフォニックロックを聴かせる。
随処にほどよくハードなギターも覗かせつつ、やわらかなピアノなどの繊細な叙情性とのメリハリのある
ダイナミクスとともに、ときに美しい女性ヴォーカルも加わって、IONAにも通じるような優美で幻想的なサウンドが楽しめる。
全体的にはインストパートがメインで、個人的にはもっと女性声を入れてもらいたいが、ケルティック・シンフォの力作なのは間違いない。
ドラマティック度・・8 プログレ度・・7 叙情度・・8 総合・・8

David Foster 「Dreamless」
イギリスのミュージシャン、デヴィッド・フォスターの2016年作
Mr. SO & SOSteve Rothery BandPanic Roomなどでも活躍するギタリストで、
女性ヴォーカルの歌声を乗せた、アンニュイでモダンな翳りに包まれたメロディックロック。
オルタナ寄りのハードな感触もあったりと、全体的にプログレ的な要素は薄いのだが、
女性声を乗せた薄暗く淡々とした浮遊感とともに、うるさすぎない耳心地で楽しめる。
Dinet Poortmanという女性シンガーをメインヴォーカルに、Mr. SO & SOのシャーロット・エヴァンス、
Panic Roomのアン・マリー・ヘルダーがゲスト参加。スティーブ・ロザリーもギターで参加している。
ドラマティック度・・7 プログレ度・・6 女性Vo度・・7 総合・・7.5
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David Longdon 「Door One」
イギリスのミュージシャン、デイヴィッド・ロングドンの2022年作
2021年、事故で急逝したBIG BIG TRAINのシンガーで、2004年以来の2作目のソロ。未完成だった音源が残されていたが、
FISHのステイーヴ・ヴァンシス、KING CRIMSONのジェレミー・ステイシー、テオ・トラヴィスなど多数のゲストを迎えて完成。
シンセとピアノの優美なイントロから、12弦ギターのつまびきにマイルドなヴォーカルを乗せ、ロックなアンサンブルとともに、
英国らしい優雅なサウンドを聴かせる。モダンなリズムには、ほどよいポップさを感じさせつつ、ジェントルな歌声をメインに、
じっくりと味わえる作風で、派手な展開はさほどないが、10分を超える大曲はポストプログレ的な繊細な美意識に包まれる。
全41分で、いくぶん物足りなさはあるが、故ロングドンが遺した音楽への愛情がじわりと感じ取れるような逸品です。
ドラマティック度・7 プログレ度・7 英国の叙情度・8 総合・7.5
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Davy O'list 「Second Thoughts」
イギリスのミュージシャン、デイヴィッド・オリストの2015年作
The NICE、ROXY MUSIC、JETなどで活躍したギタリストで、本作ではヴォーカル、シンセ、トランペットもこなしている。
サウンドは、オルガンやムーグを含むシンセに、オールドな味わいのギターワークとマイルドなヴォーカルを乗せた
キャッチーな英国ロックという感触で、70年代を思わせるアダルトなクラシカルロックの趣をほどよく残している。
一方ではプログレらしい展開力のインストパートや、メロウなギターにシンセを重ねたプログレハード風味など、
歌パートとのコントラストで決して地味ではない耳心地で、結果としてシンフォニックな雰囲気でも楽しめたりもする。
ラストは14分の大曲で、美しいシンセにメロディックなギター、トランペットも加わった、優雅なシンフォニックロックを展開。
やわらかな英国プログレが味わえる好作品である。The Tangentのアンディ・ティリソンがシンセで参加。
メロディック度・・8 プログレ度・・8 英国度・・9 総合・・8
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Dead Heroes ClubTime of Shadow
アイルランドのプログレバンド、デッド・ヒーローズ・クラブの2010年作
古き良きブリティッシュテイストのロック感覚に、シンセやオルガンなどで
シンフォニックな要素を付加したというサウンド。10分以上の大曲もあり、
初期GENESIS的なドラマティックな世界観もなかなか魅力的だ。
全体的には古めかしい感じで、URIAH HEEPなどが好きな方にも楽しめる。
ドラマティック度・・8 プログレ度・・7 古き良き度・・8 総合・・7.5
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Dead Heroes Club 「Everything Is Connected」
アイルランドのプログレバンド、デッド・ヒーローズ・クラブの2013年作
古き良きブリティッシュテイストのロック感覚で、前作もなかなかの好作であったが、
本作も70年代テイストを感じさせる、アダルトなプログレ・ハードロックが楽しめる。
渋さのあるヴォーカルの歌声もサウンドにマッチしていて、全体的に派手な演奏はないものの、
オルガンやピアノも加わったやわらかな牧歌性も含めて、どこかなつかしく鑑賞できる。
8分、10分という大曲もありつつ、あくまで自然体の叙情性と大人の味わいで聴かせる好作品だ。
ドラマティック度・・7 プログレ度・・7 大人の叙情度・・8 総合・・8
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Dec Burke「Destroy All Monsters」
イギリスのミュージシャン、デック・バークの2010年作
FROST*にも参加したギタリストで、ヴォーカル、シンセもこなすというマルチプレイヤー。
本作では曲ごとにベース、ドラムのゲストプレイヤーを迎えて、きらびやかなシンセワークと、
プログレハード風味のキャッチーなメロディが合わさったレベルの高いサウンドは、
やはりFROST*にも通じる部分があり、軽妙なアレンジセンスなどはときに、IT BITES的でもある。
全体的にはデジタル気味の音圧バランスがやや一本調子に感じるのが惜しいのだが、
HAKENなど新時代のモダンプログレのひとつの形を描くような見事な好作品である。
メロディアス度・・8 プログレ度・・7 モダンシンフォ度・・8 総合・・8
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DEC BURKE 「Paradigms & Storylines」
イギリスのミュージシャン、デック・バークの2011年作
当時、FROST*で活躍していたギタリストで、ヴォーカル、シンセもこなすというマルチプレイヤー。
マイルドなヴォーカルとキャッチーなメロディをモダンなアレンジで包み込んだ、メロディックロックサウンドで、
美しいシンセアレンジに流麗なギターを乗せた、英国らしいウェットな叙情性のプログレハードとしても楽しめる。
随所にやはりフロストを思わせるモダン・シンフォニックの感触も含みつつ、プログレらしさにとらわれない
ポップ感を取り入れたセンスもさすが。ラストは15分を超える大曲で、叙情的なメロディとドラマティックな流れで
重厚なシンフォニックロックが楽しめる。元CANDLEMASSのCarl Westholmなどが参加。
メロディック度・・8 プログレ度・・7 英国度・・8 総合・・8
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DEC BURKE 「Book of Secrets」
イギリスのミュージシャン、デック・バークの2016年作
FROST*のギタリストで、ヴォーカル、シンセもこなすマルチプレイヤー。ソロとしては三作目で、
メロウなギターによる導入部から、美しいシンセアレンジにマイルドなヴォーカルを乗せ、
適度にハード寄りのモダンなメロディックロックが広がってゆく。楽曲自体も4〜5分前後で、
キャッチーなノリの良さとハードエッジの硬質感が合わさったサウンドは、一聴してプログレらしさは希薄だが、
きらびやかなシンセアレンジや随所に奏でるギターのフレージングのセンスなどはさすが。
ベースにクリストファー・ギルデンロウ、ドラムにはスティーヴ・ヒュージスが参加している。
メロディック度・・7 プログレ度・・8 モダン度・・8 総合・・7.5 
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DeeExpusHalf Way Home
イギリスのシンフォニックロック、ディーエクスプスの2008年作
シンセ奏者を含む5人編成で、適度なヘヴィさを含んだモダンなシンフォニックサウンド。
随所にメロウなギターフレーズも聴かせつつ、きらびやかなシンセアレンジに包まれたサウンドは
いくぶんの薄暗い叙情とともに、ARENAPALLASなどにも通じる雰囲気がある。
キャッチーなメロディで聴かせる曲や10分以上の大曲なども含め、どれも英国らしい世界観で
高品質に構築されている。英国モダンシンフォ期待の新鋭。続く2ndも見事な出来です。
ドラマティック度・・7 プログレ度・・7 モダンシンフォ度・・8 総合・・8
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DeeExpus 「Far From Home」
イギリスのプログレバンド、ディーエクスプスのライブ。2009年作
2009年ポーランドでのステージで、2008年作「Half Way Home」の全曲を含むセットリストを演奏。
ほどよくハードなギターにシンセを重ね、マイルドなヴォーカルを乗せた、ARENAなどにも通じる
英国らしいモダンなハードシシンフォで、安定した演奏力も含めて新世代プログの雰囲気を漂わせる。
一方では、優雅でキャッチーなオールドなプログレ感も含んでいるところが、IT BITESなどと同様に
英国らしい味わいにもなっていて、派手な展開はないもものの、安心してじっくりと楽しめるサウンドだ。
叙情的なバラードから、17分という大曲まで、スタジオ作以上にダイナミックな好ライブ作品。
ライブ演奏・・8 プログレ度・・7 英国度・・8 総合・・8 
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DeeExpus「King of Number 33
イギリスのシンフォニックロック、ディーエクスプスの2012年作
前作もモダンなシンフォニックロックの力作だったが、2作目となる本作は、MARILLIONのマーク・ケリーがシンセで参加。
美しいシンセアレンジと適度にハードにギターワークを乗せ、随所にメロウな叙情を含んだ高品質な作品だ。
ARENAあたりに通じる重厚さと、きらびやかなシンセワークが一体になりマイルドなヴォーカルの歌声とともに
ドラマティックに構築させるサウンドは、英国らしい誇り高き叙情に包まれていて、なかなか素晴らしい。
とくに6パートに分かれた26分におよぶタイトル組曲は圧巻だ。PALLASなどのファンにもぜひ聴いて欲しい逸品です。
シンフォニック度・・8 ドラマティック度・・8 構築度・・8 総合・・8
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Diagonal
イギリスのヴィンデージ・プログレロックバンド、ディアゴナルの2008作
スウェーデンからはBLACK BONZOBEARDFISHをはじめ、レトロなバンドが増えてきていたが
今度はイギリスからものすごいバンドが登場した。メンバー7人中、3人がギターを弾き、
6人がシンセをこなすというから、懐古主義的サウンドでありながらも音の厚さがすごい。
70'sブリテイッシュハードロック風のギターにメロトロン、オルガンが重なり、Atomic Roosterもかくやというアンサンブルでたたみかけ、
ときに美しいピアノやサックス、クラリネットなども入ったりして、節々にはどこかポストロック的な壮大さもある。
抜けきらない音質もひどくアナログ的で、生々しいドラムの音などはある意味たまらない。
全5曲が10分前後の大曲という、まさにレトロプログレを極めたような力作。マイスペはこちら
メロディアス度・・7 プログレ度・・8 レトロ度・・9 総合・・8
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DIAGONAL「Second Mechanism」
イギリスのヴィンデージ・プログレロックバンド、ディアゴナルの2012作
前作も Atomic Roosterばりの70'sブリティッシュハードロック風の力作だったが、
本作もアナログ感たっぷりのアンサンブルで、生々しいドラムとベースのリズムに、
サイケ調のギターフレーズが重なり、トランペットやサックスなどの音色も含みつつ、
迫力あるサウンドを聴かせる。うっすらとしたメロトロンやスペイシーなシンセアレンジは
ときにHAWKWIND的でもあったりして、サイケ風味のプログレリスナーなら楽しめること請け合い。
ほぼオールインストなのだが、音にはミステリアスな得体の知れなさがあって、聴いていてワクワクする。
ドラマティック度・・7 プログレ度・・8 サイケ度・・8 総合・・8
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Die Laughing 「Heaven in Delcline」
イギリスの女性ヴォーカル、ゴシック・シンフォニックロック、ダイ・ラッフィングの2nd。1996年作
倦怠的な雰囲気を漂わせた女性ヴォーカルの歌唱と、薄暗い質感で聴かせるサウンドはALL ABOUT EVEを思わせる。
シンセによる美しい味付けもなかなかいい感じで、シンフォニックかつ耽美な雰囲気は素晴らしいのだが、
曲自体が盛り上がりにやや欠けるので、しだいに耳が飽きてきてしまうのが惜しい。雰囲気モノとした楽しむべし。
メロディアス度・・7 耽美度・・8 女性Vo度・・8 総合・・7.5
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DIE LAUGHING「INCARNATIONS」
ダイ・ラフィングの2ndまでのベストに新曲を加えた企画アルバム。
やはりALL ABOUT EVEをそのまんま、ややゴシックメタル的にしたという印象で、
もちろんヴォーカル嬢の声質はジュリアンヌ・リーガン似(そこまで上手くはないが)。
曲の雰囲気は暗くもなく明るくもない。鳴り渡るシンセやアコギがなかなか美しい。
リズムやアレンジにメリハリのないところは、同じ英国の女性VoバンドLEGENDを思い出した。
メロディアス度・・7 女性Vo度・・7 楽曲・・7 総合・・7


Doubt 「Never Pet A Burning Dog」
イギリスのジャズロック、ダウトの2010年作
Hatfield And The Northのアレックス・マグワイアが参加するバンドで、同バンドのリチャード・シンクレアがゲスト参加。
やわらかなエレピに軽やかなドラムのリズムとほどよくフリーキーなギターが鳴り響き、カンタベリー的な優雅さを覗かせつつ
アヴァンギャルドなジャズロックが広がってゆく。インプロを含んだスタジオライブのようなスリリングなアンサンブルで、
70年代初頭のような自由度の高い演奏は、かつてのSOFT MACHINEにも通じるだろう。さほど愛想はよくないので、
初心者向けではないのだが、メロトロンを使った叙情性も覗かせるなど、玄人好みのプログレ・ジャズロックが味わえる。
ジャズロ度・8 カンタベ度・7 インプロ度・8 総合・7.5
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DBA 「PICTURES OF YOU」
ジェフ・ダウンズとクリス・ブレイドのユニット、ダウンズ・ブレイド・アソシエイションの2012年作
シンガーにして作曲家、プロデューサーとしての顔も持つクリス・ブレイドと、バグルズ、イエスで活躍したジェフ・ダウンズという、
このコンビで作られたイメージ通りのサウンドで、美しいシンセアレンジとマイルドなヴォーカルを乗せた、
モダンでキャッチーなプログレハード。打ち込みのドラムによる80年代ルーツのシンプルなビート感に、
ときにメロディックなギターを加えた耳心地の良さは、バグルズなどが好きな方には普通に楽しめるだろう。
1曲目は13分という大曲ながら、シンセの重ねによるシンフォニックな感触もあったり、間延びせず聴き通せる。
その後は4分前後のコンパクトなナンバーが並び、しごく普通のAORという感じなのだが、それが心地よいのだな。
メロディック度・・8 プログレ度・・6 80'sAOR度・・8 総合・・8
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Downes Braide Association 「Suburban Ghosts」
ジェフ・ダウンズとクリス・ブレイドのユニット、ダウンズ・ブレイド・アソシエイションの2015年作
2作目となる本作も、前作同様に、AOR的なきらびやかなシンセアレンジにマイルドなヴォーカルを乗せた、
聴き心地の良いキャッチーなメロディックロック。今作もドラムは打ち込みのようだが、モダンなAORというべきこのサウンドには、
違和感のないデジタル感覚となっていて、むしろそのシンプルなリズムが80年代風味を確信犯的にかもしだしている。
楽曲そのものには、これという新鮮味はないのだが、アレンジャーとしての確かな力量とサウンドセンスが
クオリティの高いレベルで結実した好作品といえる。リー・ポメロイ(IT BITES)、デイヴ・グレゴリーがゲスト参加。
メロディック度・・8 プログレ度・・6 80'sAOR度・・8 総合・・8
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Downes Braide Association 「Skyscraper Souls」
ジェフ・ダウンズとクリス・ブレイドのユニット、ダウンズ・ブレイド・アソシエイションの2017年作
本作は3作目で、ジャケとロゴがロジャー・ディーンになって、見た目にもプログレ感が増した。
ピアノをバックにしたしっとりとした歌もの小曲に続くのは、18分という大曲で、マイルドなヴォーカルを乗せた
キャッチーで優美なサウンドは、ASIAあたりに通じる雰囲気で、女性コーラスなども加えた壮麗な聴き心地。
美しいシンセアレンジに随所にメロウなギターの旋律など、シンプルにAOR色の強かった過去2作に比べると、
よりシンフォニックロック的な優雅な雰囲気もあって、叙情的な大人のプログレハードとしても楽しめる傑作です。
BIG BIG TRAINのデヴィッド・ロングトン、NO-MANのティム・ボウネスなどがゲスト参加。
メロディック度・・8 プログレ度・・8 優雅度・・9 総合・・8
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DBA (DOWNES BRAIDE ASSOCIATION) 「HALCYON HYMNS」
ジェフ・ダウンズとクリス・ブレイドのユニット、ダウンズ・ブレイド・アソシエイションの2020年作
2012年にデビューし、4作目。ドラムには、This Oceanic Feelingに参加する、アッシュ・ソアンが参加、
CELESTIAL FIREのデイヴ・ベインブリッジなどもゲスト参加してい。今作もジャケはロジャー・ディーンで、
アコースティックギターによる優美なイントロから、クリス・ブレイドのマイルドなヴォーカルを乗せて、
英国らしい牧歌的なサウンドが広がってゆく。やわらかなシンセアレンジにメロウなギターワークが
楽曲を優しく彩り、キャッチーなプログレハードナンバーから、繊細なシンフォニックロック風味まで、
今作はより叙情的な作風で楽しめる。ゆったりとした11分の大曲なども含む、全63分の力作です。
DVDには、ロジャー・ディーンのアートワーク制作のドキュメントやPVなどを収録。
メロディック度・・8 プログレ度・・7 優美度・・8 総合・・8 
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DRIFTING SUN 「Safe Asylum」
イギリスのシンフォニックロック、ドリフティング・サンの2016年作
90年代から活動するキャリアのあるバンドで、美しいシンセアレンジにマイルドなヴォーカル、
メロウなギターで聴かせる、正統派のシンフォニックロック。ヨーロピアンな湿り気を感じさせる泣きの叙情に、
適度にマイナー臭さを含んだ垢抜けない雰囲気も、この手のシンフォ好きにはむしろ嬉しいかもしれない。
10分を超える大曲も、あくまで叙情とメロディ重視で、派手さはないが優雅な耳心地の良さで楽しめる。
フルートやストリングスを含む優美なアレンジのナンバーなど、叙情派のシンフォファンはチェックです。
ドラマティック度・・8 プログレ度・・7 マイナーシンフォ度・・8 総合・・7.5
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DRIFTING SUN 「TWILIGHT」
イギリスのシンフォニックロック、ドリフティング・サンの2017年作
90年代から活動するキャリアのあるバンドで、美しいシンセにメロウなギターワーク、
マイルドなヴォーカルを乗せ、展開力のある優美なシンフォニックロックを聴かせる。
やわらかなエレピのしっとりとした叙情パートから、流麗なギターフレーズを乗せたメロディックな盛り上がりと
これまで以上にメリハリのある構築力で、コンセプト的なドラマ性を感じさせる流れとともに楽しめる。
フランス出身というシンセ奏者の奏でる繊細なキーボードワークが、バンドの世界観を優雅に彩り、
ヨーロピアンな美学に包まれた泣きの叙情を描き出す。正統派のシンフォ好きはぜひチェックすべし。
メロディック度・・8 プログレ度・・7 優美度・・9 総合・・8
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DRIFTING SUN 「Singled Out」
イギリスのシンフォニックロック、ドリフティング・サンの2019年作
1997年にデビュー、1999年作を最後に消えるも、2014年になって、15年ぶりに復活、以後コンスタントに作品を発表。
本作はアルバム未収録、2015〜18年のシングル音源や未発曲を収録した作品。美しいピアノにマイルドなヴォーカルを乗せた
しっとりとした優美なナンバーから、メロウな泣きのギターと美麗なシンセを重ねた、インストによるシンフォニック曲、
キャッチーなプログレハード風まで、小曲主体ながら、バンドの繊細な美意識が詰め込まれた聴き心地で味わえる。
10分を超える大曲では、モダンなアレンジのスタイリッシュなサウンドを構築、現在形の英国シンフォとしても楽しめる内容だ。
ドラマティック度・・7 プログレ度・・7 優美度・・9 総合・・8
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DRIFTING SUN「Planet Junkie」
イギリスのシンフォニックロック、ドリフティング・サンの2019年作
2014年の復活後から数えて4作目となる作品。今作では、ゲストに3人のヴォーカルを招いて、それぞれがリードをとり、
叙情的なギターに美しいシンセ、マイルドなヴォーカルで、プログレハード風のキャッチーなサウンドを聴かせる。
ゲストによるサックスやオルガン奏者、ときにストリングスなども加えた、なかなかゴージャスなアレンジに、
優しい大人の哀愁が漂う、80年代風の雰囲気も感じさせて、どことなくなつかしい聴き心地で楽しめる。
一方では、これまで通りの、ゆったりとした優美なシンフォニックロック風味のナンバーも耳心地よく、
8分、10分という大曲では、繊細なピアノに美麗なシンセ、メロウなギターフレーズでじわじわと盛り上げる。
ドラマティック度・・8 プログレ度・・7 優美度・・9 総合・・8
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DUKE 72 「The Mid Shires Herald」
イギリスのサイケロック、デューク72の2019年作
BIG HOGGのギター、女性Vo&フルート、トロンボーン奏者を擁するバンドで、アナログ感あるギターに
男女ヴォーカルの歌声を乗せた、サイケなガレージロックというサウンド。70年代フォークルーツの牧歌性や
サイケやドゥーム、ハードロックを思わせる感じもあり、わりとシンプルなアンサンブルながら、
英国らしい土着性やオールドな空気感を蘇らせるような、ヴィンテージロックとして楽しめる。
カンタベリー風のBIG HOGGに比べると、こちらはサイケハード化したGONGという雰囲気も。
全体的にプログレというよりは、トロンボーンやフルートが入った風変わりなガレージサイケです。
サイケ度・・7 プログレ度・・6 ヴィンテージ度・・8 総合・・7.5
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Dyonisis 「Intoxicated」
イギリスの女性声ロック、ディオニシスの2010年作
ほどよくハードなギターにうっすらとしたシンセを重ね、2人の女性ヴォーカルがしっとりと歌声を乗せる優美なサウンド。
ドラムは打ち込みらしく、ギターもさほど前に出ないので、全体的にアンビエントな浮遊感に包まれた聴き心地。
シンフォニックロックとしてはインパクトはさほどないが、クラシカルなピアノをバックに、優しい女性ヴォーカルで
ゆったりと聴かせるナンバーなどにはウットリとなる。ゴシックロック的なメランコリックな空気感もあるので、
倦怠系の女性声ロックが好きならばわりと楽しめるだろう。CDR仕様の自主制作作品。
ドラマティック度・・7 優美度・・8 女性Vo度・・8 総合・・7.5
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EDEN SHADOW「Hail」
イギリスのシンフォニックロック、エデン・シャドウの2012年作
若手3人組による新鋭バンドの4曲入りデビューミニ。いくぶんハードめのギターと美麗なシンセアレンジで聴かせる、
ARENAなどを思わせる正統派のシンフォニックロックスタイル。メロディ指向の聴き心地とモダンな薄暗い叙情が合わさって、
オーインストであるがなかなか楽しめる。MAGENTAのロブ・リードがゲスト参加
シンフォニック度・・8 プログレ度・・7 新鮮度・・7 総合・・7.5
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EDEN SHADOW「Phases」
イギリスのシンフォニックロック、エデン・シャドウの2014年作
2012年のデビューミニに続く1stフルアルバム。マイルドなヴォーカルで聴かせるポストプログレ的な繊細さと
Marillionあたりから受け継いだようなしっとりとした叙情性を含んだサウンドで、適度にモダンなハードさもある。
ほの暗いハードシンフォという点では、ARENAなどにも通じる雰囲気であるが、シンセの比重が高くないので、
シンフォニックな泣きに関しては物足りなさがある。キャッチーな路線でいくのか、ポストプログレにするのか、
いくぶん煮えきらないところが惜しい。今後は楽曲ごとのフックやメロディなどを磨いていってもらいたい。
メロディック度・・7 プログレ度・・7 英国度・・7 総合・・7
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Edison's Children 「In the Last Waking Moments」
イギリスのモダンプログレ、エジソンズ・チルドレンの2011年作
Marillion、Transatlanticで活躍する、ピート・トレワヴァスと、アメリカのミュージシャン、エリック・ブラックウッドによるユニットで、
うっすらとしたシンセとマイルドなヴォーカルとともに、マリリオンにも通じる薄暗しいメロウな叙情で聴かせる、
繊細なポストプログレ風のサウンド。全体的には、プログレというよりは、メロディックロックというべき曲もあるが、
ARENAあたりを思わせるモダンなシンフォニックロック風味もあり、泣きのギターを含んだ15分の大曲など
聴き心地のよい力作に仕上がっている。個人的にはもっとドラマティックな展開美があればとは思うが。
ドラマティック度・・7 プログレ度・・7 叙情度・・8 総合・・7.5
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Edison's Children 「Somewhere Between Here & There」
イギリスのシンフォニックロック、エジソンズ・チルドレンの2015年作
MarillionTransatlanticのピート・トレワバス率いるバンドで、本作は未発曲や別ミックスなど15曲を収録。
適度にキャッチーかつ繊細な叙情性を含んだサウンドは、プログレというよりはメロウな叙情ロックという趣で
本作ではとくに歌もの主体のわりとシンプルなナンバーが多い。相方であるリック・アームストロングと
トレワバスがほとんどの楽器とヴォーカルをこなしている。キャッチーなコーラスハーモニーなどは、
部分的にトランスアトランティックに通じる感触もあり、古き良き英国ロック調のナンバーなどもゆったり楽しめる。
プログレやシンフォとしては少し物足りないかもしれないが、トレワバスのファンならチェックしてよいだろう。
メロディック度・・7 プログレ度・・7 楽曲・・7 総合・・7.5
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EDISON'S CHILDREN 「Disturbance Fields」
イギリスのプログレバンド、エジソンズ・チルドレン2019年作
MARILLIONのピート・トレワヴァス率いるバンドで、2011年にデビューし、本作は4作目となる。
アルバムトータルで組曲構成になっていて、アコースティックギターにマイルドなヴォーカルを乗せ
ゆったりとメロウに聴かせつつ、ときに美麗なシンセを加えたシンフォニックな感触も覗かせる。
随所に叙情的なギターワークも耳心地よく、大仰すぎない優雅な味わいで、流れのある構成とともに
じっくりと世界観を描いてゆく。派手な盛り上がりはないが、大人の叙情美に包まれた好作品。
ドラマティック度・・7 プログレ度・・7 大人の叙情度・・8 総合・・7.5 
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Elegant Simplicity「ANHEDONIA」
イギリスのシンフォニックユニット、エレガント・シンプリシティの2004作
ギター、ベース、キーボード、フルートをこなすマルチプレイヤーとドラムの2人ユニットで、
曲はオールインストで大曲中心。メロトロンやハモンド、ムーグなどが鳴り響く、
ぱっと聴きにはたまらないサウンドであるが、この手の自主制作にありがちな
自己満足的な長尺感があり、途中から曲として聴くのがつらくなってくる。
シンセの方はいいとしても、ギターの音色は繊細さに欠けてやや耳障りだし、
リズム面もだらだらとしていて、長くてシンフォニックという以外にはさして聴き所がない。
ある意味、自主制作による才能の限界を教えてくれるような一作。
シンフォニック度・・8 プログレ度・・7 楽曲・・6 総合・・7

EMMETT ELVIN 「ASSAULT ON THE TYRANNY OF REASON」
イギリスのミュージシャン、エメット・エルヴィンの2016年作
CHROME HOOF、KNIFEWORLD、GUAPOなどにも参加したシンセ奏者で、
キャッチーなポップ性とサイケ要素が合わさった、スタイリッシュなサウンドを聴かせる。
ストリングスにピアノが絡む、クラシカルなチェンバーロック風味もありつつ、
ときに躍動感あるアンサンブルで、知的でクールなインストパートを構築してゆく。
アコースティックやオルガンが鳴り響くオールドな味わいから、シンセをメインにした
ミステリアスなナンバーまで、独自のセンスで昇華したアヴァンプログレが楽しめる。
ドラマティック度・・7 プログレ度・・7 アヴァンギャル度・・8 総合・・8
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Engineers 「Always Returning」
イギリスのポストプログレ、エンジニアーズの2014年作
G&B、Key、Drのトリオ編成で、美しいシンセアレンジに、適度にロック色のあるギター、
やわらかなヴォーカルを乗せ、繊細な叙情を描くポストプログレ的なサウンド。
ゲストによる女性ヴォーカルも加わって、スペイシーなシンセアレンジとともに
しっとりと優美な聴き心地に浸れる。適度にエレクトロな感触やキャッチーなところもあって
モダンなポストプログレ、シューゲイザー要素とエモーショナルロックをバランスよく融合させている。
派手さやインパクトのある展開というものはないのだが、耳触りのよいサウンドが楽しめます。
ドラマティック度・・7 プログレ度・・7 叙情度・・8 総合・・7.5
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ESP 「Invisible Din」
イギリスのプログレユニット、ESPの2016年作
BRAM STOKERのメンバーでもあった、トニー・ロウと、BIG COUNTRYのマーク・ブルゼジキによるユニットで、
メロトロンやムーグ、オルガンを含む古き良きシンセとメロウなギターに、やわらかなヴォーカルを乗せ、
ゆったりとした叙情を描くシンフォニックロックサウンド。キャッチーな繊細さで聴かせる歌もの的なプログレハード色もありつつ、
元VDGGのデヴィッド・ジャクソンのサックスが大人の哀愁をかもしだす。曲によってはオールドなブリティッシュロック色も覗かせ、
英国らしい湿り気に包まれた優美な空気感は、ギター、ベース、シンセにヴォーカルもこなすトニー・ロウの
マルチな才能とアレンジセンスによるものだろう。ラスト2曲ではデヴィッド・クロスのヴァイオリンも美しい。
LANDMARQのスティーヴ・ジー、LIFESIGNSのジョン・ヤングなど多数のゲストが参加している。
メロディック度・・8 プログレ度・・7 英国の叙情度・・9 総合・・8
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ESP 2.0「22 LAYERS OF SUNLIGHT」
イギリスのプログレユニット、ESPの2018年作
トニー・ロウを中心にしたプロジェクトの2作目で、ドラムは前作に引き続きBIG COUNTRYのマーク・ブルゼジキ、
ヴォーカルにはLOTUS EATERSのピーター・コイルが参加。サウンドは、オールド英国色を感じさせた前作から、
うっすらとしたシンセにマイルドなヴォーカルを乗せた、優美なポストプログレ路線へと若干変化している。
随所にオルガンによるオールドな感触も残していて、古き良き英国ロックをモダンに深化させたような聴き心地。
メロウなギターにオルガンが重なる大人の味わいに包まれた、シンフォニックロックとしても楽しめる好作品だ。
ドラマティック度・・7 プログレ度・・7 英国度・・8 総合・・8
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ESP Project「Three」
イギリスのプログレユニット、ESPプロジェクトの2019年作
トニー・ロウを中心にしたプロジェクトの3作目で、うっすらとした美しいシンセに、
トニー・ロウのマイルドなヴォーカルを乗せた、モダンでスタイリッシュなサウンドを聴かせる。
叙情的なギターフレーズにシンセを重ねたシンフォニックロック的な優美な味わいもあって、
派手さはないものの、MARILLIONなどにも通じる繊細な叙情とともにゆったりと楽しめる。
全4曲30分というEPで、CD-R仕様ということもあって、今後のフルアルバムにも期待したい。
ドラマティック度・・7 プログレ度・・7 叙情度・・8 総合・・8 
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ESP Project 「The Rising」
イギリスのプログレバンド、イー・エス・ピーの2019年作
ギター&シンセ奏者のトニー・ロウによるプロジェクトで、2016年にデビュー、本作は4作目となる。
優美なシンセワークに、新たに加入したダミアン・チャイルドのマイルドなヴォーカルを乗せ、
プログレハード的なキャッチーな優雅さに包まれたサウンドを聴かせる。叙情的なギターの旋律に
オルガンなどのオールドな味わいも加わって、随所に70年代の英国らしさを覗かせつつ、
それをスタイリッシュに昇華していて、ときにしっとりとした浮遊感にも包まれる。
軽やかなシンフォニックロックとしても楽しめる。優雅で耳心地の良い逸品です。
メロディック度・8 プログレ度・7 優雅度・9 総合・8 
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ESP Project「PHENOMENA」
イギリスのプログレユニット、ESPプロジェクトの2020年作
トニー・ロウを中心にしたプロジェクトの5作目で、オルガンを含むやわらかなシンセに
メロウな泣きのギターとマイルドなヴォーカルを乗せて、英国的な叙情に包まれたサウンドを描く。
ゆったりとした浮遊感の中にも、往年のプログレハード的でもある爽快でキャッチーな感触があって、
70年代ルーツのシンフォニックロックとしても楽しめる。スペイシーできらびやかなシンセをバックに、
前作から参加する、ダミアン・チャイルドの歌声も、ウェットなサウンドによくマッチしている。
シンフォニックで優雅な叙情美という点では、過去最高の出来に仕上がっているだろう。
メロディック度・・8 プログレ度・・7 優雅な叙情度・・9 総合・・8.5 
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ESP Project「Anarchic Curves」
イギリスのプログレバンド、ESPプロジェクトの2022年作
ギター&シンセのトニー・ロウを中心にしたプロジェクトの6作目で、オルガンを含むやわらかなシンセワークに
マイルドなヴォーカルを乗せて、しっとりと幻想的な浮遊感に包まれたシンフォプログレを聴かせる。
本作からドラムとVoが交替していて、Voのピーター・コイルは歌詞のコンセプトも担うなど重要な役割を果たし、
その優しい声質はポストプログレ的でもある繊細な味わいになっている。ジョン・レノンへ捧げた9分の大曲など、
メロウなギターと優美なシンセによる叙情豊かな作風から、モダンなアレンジを取り入れたナンバーなど、
なかなかバラエティに富んでいて、ラストの9分のシンフォニックロック大曲まで耳心地よく味わえる。
ドラマティック度・7 プログレ度・7 叙情度・8 総合・8 
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THE FAR MEADOW 「GIVEN THE IMPOSSIBLE」
イギリスのシンフォニックロック、ファー・メドウの2016年作
女性Voにシンセを含む5人編成で、ハスキーな女性ヴォーカルとアコースティックギターによる
英国フォーク風味の牧歌的なイントロから、叙情的なギターにプログレらしいシンセを乗せて、
優美なシンフォニックロックを展開する。緩急のある展開力は、ときにエキセントリックな唐突性もあり、
女性声によるキュートな聴き心地の中に、ときに先の読めないスリリングな空気感を描いている。
16分を超える大曲も、きらびやかなシンセとメロウなフレーズを奏でるギターを前に出したインストパートと、
やわらかなヴォーカルパートが合わさったダイナミックなサウンドが楽しめる。ラストのスカーボローフェアのアレンジも見事。
英国の女性声シンフォとしては、Mostly AutumnKARNATAKAMagentaに続く存在となれるか、期待大のバンドです。
ドラマティック度・・8 プログレ度・・8 女性Vo度・・7 総合・・8
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The Far Meadow 「Foreign Land」
イギリスのシンフォニックロック、ファー・メドウの2019年作
2021年にデビュー、本作は3作目。前作も優美な好作品だったが、本作はのっけから18分という大曲で幕を開け、
美しいシンセワークに女性ヴォーカルの歌声を乗せて、MAGENTAにも通じる優雅なサウンドを描いてゆく。
オルガンやムーグなどを含むプログレ感のあるシンセに、随所に泣きのギターフレーズが叙情を加え、
ややハスキーなマルゲリータ嬢の伸びやかな歌声が楽曲を彩る。シンフォニックロックとしての壮麗さの一方で、
プログレらしい引っ掛かりのある展開力は、YESをはじめとする往年の英国バンドからの影響も匂わせる。
ラストも11分の大曲で、堂々たる構築力にはバンドとしての自信が感じられる。英国女性声シンフォプログレの逸材です。
ドラマティック度・・8 プログレ度・・8 女性Vo度・・8 総合・・8
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Felamid 「September Garden」
イギリスのシンフォニックロック、フェラミッドの1994年作
美しいシンセアレンジに、いくぶんアマチュア臭いヴォーカルを乗せた、
ファンタジックな感触のシンフォニックロック。ポンプロックルーツのスタイルであるが、
キャッチーな歌メロなどはむしろアメリカのバンドを思わせる。
打ち込みのようなメリハリのないドラムやヴォーカルの素人臭さは正直聴くのがつらいのだが、
随所にメロウなギターやシンセによる優雅な雰囲気は悪くない。そして全15曲76分は長すぎる。
メロディック度・・7 プログレ度・・7 楽曲・・7 総合・・7


Final Conflict「Simple」
イギリスのシンフォニックロックバンド、ファイナル・コンフリクトの5th。2006作
90年代初頭から活動するバンドで、以前2ndを聴いた記憶があるが、まだ活動していたとは。
サウンドはかつてのポンプロックからの流れを感じるGENESISタイプのシンフォニックロックで、
典型的ではあるが、モダンなシンセアレンジとギターの絡みがなかなか心地よい。
ときにシアトリカルに声を張り上げるヴォーカルなどはやや時代的な大仰さを感じさせ、
メロディには昨今のスタイリッシュなシンフォ系バンドとは一線を画すクサさがある。
PENDRAGONあたりが好きなリスナーなら、まずまず楽しめる作品だと思う。
シンフォニック度・・8 クサメロ度・・8 新鮮度・・7 総合・・7.5
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FINAL CONFLICT「Another Moment in Time: Live
イギリスのプログレバンド、ファイナル・コンフリクトのライブ作品。2009年作
90年代から活動するベテランバンド、2008年のポーランド公演を収録した作品。
ツインギターによる適度にハードなサウンドとシンセによるシンフォニックな味付けで
キャッチーかつドラマテイックに聴かせる作風は、PENDRAGONやPallasにも通じる
英国ポンプルーツの雰囲気がある。随所にメロウな泣きのギターも入りつつ、
安定した演奏とメロディアスな味わいで楽しめる、大人のハードシンフォニックライブ。
メロディック度・・8 ライブ演奏・・8 大人のハードシンフォ度・・8 総合・・7.5
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Final Conflict 「Return of the Artisan」
イギリスのプログレバンド、ファイナル・コンフリクトの2012年作
90年代初頭から活動するベテランバンドで、本作はおそらく2006年作から6年ぶりとなる作品。
適度にハードなギターとオルガンを含むシンセワークとともに、いくぶんモダンな感触で聴かせるハードシンフォサウンド。
ARENAのような薄暗い叙情とメロウなギターフレーズも随所に現れ、ベテランらしいダイナミックな展開力とともに、
8分、10分という大曲を構築してゆく。古き良きポンプロックルーツに、ドラマティックな解釈を盛り込んだ、モダンシンフォの力作。
ドラマティック度・・8 プログレ度・・8 薄暗叙情度・・8 総合・・7.5
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FISH「Return to Childhood」
MARILLIONのシンガー、フィッシュによるライブアルバム。2006作
MARILLIONの名作「Misplaced Childhood」の20周年を記念した公演を収録したもの。
MARILLION脱退後のFISH名義のソロ作から選曲されたDisc1は、独特の枯れた味わいの歌声と
キャッチーなメロディで聴かせるメロディックロックといった趣で、ゆったりと楽しめる。
Disc2は「Misplaced Childhood」の完全再現を含む演奏で、プログレファンにとっては
やはりこちらが目玉だろう。時代を超えてポンプロックのコンセプト作品が感動的に蘇る。
メロディアス度・・8 フィッシュ度・・7 マリリオン度・・8 総合・・7.5
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Flash Range「On the Way」
FROST*のメンバーを中心としたユニット、フラッシュ・レンジのミニアルバム。2009作
サウンドの方は、IT BITESを思わせるキャッチーなプログレハードで、
美しいシンセワークにメロディアスなギターで聴かせる、比較的コンパクトなスタイル。
ジョン・ミッチェルがヴォーカルをとることからも、新生IT BITESのリスナーにもアピールするだろう。
爽やかさと叙情の詰まった耳心地のよい音である。フルアルバムに期待したい。
メロディアス度・・8 プログレ度・7 キッャチー度・・8 総合・・7.5
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FLUANCE 「LUNACY」
イギリスのプログレユニット、フルーアンスの2020年作
ジェーン・レーン、フィリップ・レーンという夫妻?によるユニットで、ダンカン・マッケイが全面バックアップ、
やわらかなシンセとピアノを中心にした、しっとりとしたサウンドに、味わいのあるヴォーカルを乗せた、
大人の叙情ロックというような聴き心地。オルガンなどのシンセは、さすがダンカン・マッケイらしい
プログレ的な雰囲気をかもしだしているが、楽曲自体はプログレというよりは、AOR風の落ち着いた印象。
ポップな歌メロがビートルズ風だったりしつつ、ときに叙情的なギターによる哀愁の泣きが現れて、
オールドな英国ロックの優雅さに包まれる。メロウなギターの旋律は、PINK FLOYD的といえなくもないが、
全体的にはキャッチーなポップ感を優美に包み込んだという作風で、もう少し深みのあるアレンジがあれば。
メロディック度・8 プログレ度・7 優美度・8 総合・7.5
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Fragile 「Golden Fragments」
イギリスのプログレバンド、フラジャイルの2020年作
TANTALUS、AQUAPLANAGEなどで活躍した、マックス・ハントを中心にした、YESトリビュートバンドのオリジナル作品で、
クレア・ハミルが前面参加。スティーヴ・ハウを思わせる優雅な旋律を奏でるギターにやわらかなシンセアレンジ、
そしてクレア・ハミルの優しい歌声を乗せて、まさにイエスの女性ヴォーカル版というようなサウンドを聴かせる。
軽やかなリズムによる展開力と、オルガンやムーグを含むヴィンテージなシンセで、70年代的な味わいと
ネオプログレとしての構築力が合わさった雰囲気。ラストの大曲は、MAGENTARENAISSANCEにも通じる
優雅なシンフォプログレで、イエスルーツの女性声シンフォとしてはクオリティの高い逸品といえるだろう。
ドラマティック度・・8 プログレ度・・8 優美度・・9 総合・・8
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Fragile 「Beyond」
イギリスのプログレバンド、フラジャイルの2021年作
TANTALUS、AQUAPLANAGEなどで活躍したシンセ奏者、マックス・ハントを中心にしたバンドの2作目。
のっけから22分におよぶ組曲で、優雅なギターの旋律にオルガンやピアノなどのシンセを重ね、
クレア・ハミルの美しいヴォーカルを乗せた、YESルーツの優美なシンフォニックロックを聴かせる。
ピアノをバックにしっとりとした女性ヴォーカルが優しく響く部分は、RENAISSANCEにも通じる雰囲気で、
わりと軽めの音質なども含めて、今作はさらに70年代寄りのサウンドになった印象。2曲目、3曲目ともに、
14分という大曲で、ゆったりとした叙情パートをメインに、あくまで優雅な流れでじっくりと聴かせる。
YESタイプのシンフォプログレとしては、GLASS HAMMERとはまた違った繊細な味わいの好作品です。
ドラマティック度・7 プログレ度・7 優雅度・9 総合・8 
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Francis Dunnery 「Vampires」
イギリスのミュージシャン、フランシス・ダナリーの2016年作
IT BITESのギター&ヴォーカルである彼が、イット・バイツの楽曲をセルフカヴァーした2CD。
軽やかなギタープレイに、オルガンやピアノなどのシンセアレンジを重ね、かつてと変わらぬマイルドな歌声で
80年代の楽曲をわりとストレートにカヴァーした1曲目から、オールドなファンはなつかしさがこみ上げるだろう。
アコースティックギターを使った大人のアレンジもあったり、曲によってはシンプルな味わいながらも、
キャッチーでスタイリッシュなサウンドは古さを感じさせない。叙情的な泣きのギタープレイも随所に聴かせ、
2nd収録の「The Old Man And The Angel」、「Yellow Christian」あたりも優美でなかなか良い雰囲気。
Disc2ラストは、2nd収録の大曲「Once Around The World」で感動的に幕を閉じる。イット・バイツファンは必聴。
メロディック度・・8 プログレ度・・7 イット・バイツ度・・9 総合・・8
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Francis Dunnery 「Live in Japan」
IT BITESのフランシス・ダナリーのライブ。2018年作
2016年の来日公園を2CDに収録。セッションメンバーを主体にしたバンド編成で、ECHOLYNのメンバーでもあるブレッド・カルがKEY&Gで参加している。
5人編成のバンドの演奏力も申し分なく、ライブらしい臨場感を感じさせる音質もGoodで、なにより、かつてのIT BITESのナンバーが、フランシスのヴォーカルで再び甦るのだから、ファンには感動もひとしおだろう。
キャツチーな代表曲“Yellow Christian”や、3rdからの“Underneath Your Pillow”あたりも、ツインギターとキーボードの重ねで厚みのあるアレンジになっていて、1st収録の“You'll Never Go To Heaven”も優雅な耳心地で楽しめる。
Disc2では優雅な叙情美の“Still Too Young To Remember”、そしてラストは、大曲“Once Around The World”で感動的に締めくくる。
スタジオアルバム、「Vampires」を気に入った方は必聴のライブだろう。
ライブ演奏・8 音質・8 イット・バイツ度・9 総合・8 
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Francis Lickerish 「Far and Forgot」
イギリスのギタリスト、フランシス・リカリーシュの2012年作
The ENIDのオリジナルメンバーであり、本作は2009年の傑作、Secret Greenの続編というべき作品。
オーケストレーションを含んだ壮麗なアレンジで、コンセプチュアルな雄大さを描き出すシンフォニック大作。
かつてのエニドを思わせる叙情豊かなギターの旋律と、フルート、チェロ、オーボエ、トランペットなど管楽器が合わさり
美しい女性ヴォーカルの歌声とともに、繊細にして優美なサウンドを構築してゆく。ロック的な躍動感は薄いのだが、
いくぶんケルティックな味わいも含みつつ、あくまで優雅でクラシカルな味わいにはうっとりとなる。
そして、ラストの30分におよぶ組曲は、かつてのエニドの組曲“Fand”を思わせる美麗なる一大シンフォニック大曲だ。
シンフォニック度・・9 クラシカル度・・8 壮大度・・9 総合・・8.5
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FREEDOM TO GLIDE 「SEED」
イギリスのプログレバンド、フリーダム・トゥ・ギルドの2019年作
2013年にデビューし、3作目となる。優美なピアノにマイルドなヴォーカルを乗せたイントロから、MARILLIONを思わせる
ウェットな英国メロウロックの感触が広がる。アコースティックを含む繊細なギターに物悲しいチェロの音色など、
翳りを帯びた叙情性に包まれたポストプログレ寄りのサウンドに、エモーショナルな歌声もよくマッチしている。
全体的は、淡々とした流れで進んでゆくコンセプト的な味わいで、派手に盛り上がりや展開はないものの、
うるさすぎないシンセアレンジをバックに、歌ものを基調にしたゆったりとした作風で耳心地よく楽しめる。
ドラマティック度・7 プログレ度・7 叙情度・8 総合・7.5
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FROST* 「MILLIONTOWN」
イギリスのプログレバンド、フロストの2006年作
キーボーディストJEM GODFREYを中心に、ARENAKINOでも活躍するJOHN MITCHELL、IQのJOHN JOWITT、
ANDY EDWARDSらによるユニットで、美麗なシンセワークとともに、メロディアスに構築されるサウンドは、
ARENA+IQというか、あるいはむしろTRANSATLANTIC風のキャッチーさを合わせたという雰囲気だ。
かといって、レトロな部分よりもモダンさと、うっすらとした翳りがあるのはKINOにも通じるだろうか。
メンバーが実力者なだけに、音にはせこさというものがまったくなく、メジャー感すら漂うダイナミズムが素晴らしい。
中盤はモダンな感触の中庸曲もあるが、ラストのタイトル曲での見事な構成力はさすがです。
メロディアス度・・8 モダンプログレ度・・8 完成度・・9 総合・・8.5
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FROST*Experiments in Mass Appeal」
イギリスのプログレバンド、フロストの2nd。2009年作
英国ポップシーンのプロデューサーにしてキーボーディスト、Jem Godfreyを中心に
ARENAKINOでも活躍するJOHN MITCHELLらによるスーパーバンドとして結成された。
前作はきらびやかなダイナミズムとモダンなアレンジによる、シンフォニックロックの傑作であったが、
今作では、UKロック的なキャッチーさと、PORCUPINE TREE系の薄暗さを前に出した作風になっている。
もちろん多彩なシンセワークによるプログレ的なアレンジも覗かせつつ、わりとハードな硬質感とともに、
全体的にはより普遍的なメロディックロックへと接近、KINOに通じるモダンなスタイリッシュ性が強まった。
プログレとして聴くよりは、シンフォニックなプログレ・UKロックというべき高品質作だ。DVD付き限定盤もあり。
メロディアス度・・8 プログレ度・・7 UKロック度・・8 総合・・8
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FROST*「The Philadelphia Experiment」
イギリスのプログレバンド、フロストのライブ作品。2010年作
シンセ奏者、ジェム・ゴドフレイを中心に、ジョン・ミッチェル(IT BITES)、ジョン・ジョーウィット(IQ、ARENA)、
ニック・ディヴァージリオ(SPOCK'S BEARD)らが参加したスーパーバンド、2009年のアメリカでのライブを収録した2CD。
キャッチーな歌メロと軽やかな展開美で聴かせるサウンドは、ライブ演奏でもしっかりと再現されている。
躍動感のある確かなテクニックのリズム隊を土台にして、美麗なシンセワークとメロウなギターの旋律を随所に織り込み、
インストパートでの説得力あるアンサンブルを描くのはさすが。とくに27分に及ぶ大曲“Milliontown”の再現は圧巻だ。
メロディック度・・8 プログレ度・・8 ライブ演奏度・・8 総合・・8
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FROST* 「The Rockfield Files」
イギリスのプログレバンド、フロストのライブ作品。2013年作
2006年、2009年に2作を残し、2010年にライブ音源を発表するも、その後、活動を中止していたが
本作は2013年のスタジオライブセッションを収録した復活音源。ジェム・ゴドフレイ、ジョン・ミッチェル(IT BITES)に加え、
新たに、ベースにネイサン・キング(IT BITES)、ドラムにクライグ・ブランデル(David Cross BAND)が参加、
傑作である1st「MILLIONTOWN」の楽曲を中心に、2ndの曲や未発曲も披露、テクニックのあるメンバーたちによる
シャープでダイナミックなアンサンブルで、よりモダンな感触となったキャッチーなネオプログレサウンドが楽しめる。
1stのタイトル曲である24分を超える大曲も見事な構築力で再現。スタジオアルバム以上に躍動感のある演奏が楽しめる、
ファンならば必聴のライブ作品であろう。同セッションの映像やインタビューの入ったDVD付きの2枚組仕様。
メロディック度・・8 プログレ度・・8 演奏度・・9 総合・・8.5
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Frost* 「Falling Satellites」
イギリスのプログレバンド、フロストの2016年作
キーボーディストJEM GODFREYを中心に、ARENAIT BITESでも活躍するJOHN MITCHELLらとともにに結成、
2006年「MILLIONTOWN」は現在形シンフォプログレの傑作として記憶に新しいが、2作を発表後いったん活動を停止
本作はスタジオ作品としては2009年以来となる3作目である。モダンなアレンジと軽快なビート感に包まれた、
キャッチーなメロディックロックという趣で、きらびやかなシンセにデジタルなエフェクトを含んだ感触は、
プログレというよりはミクスチャーロックという雰囲気もする。現在形プログレよりさらに先を行くというセンスでは
かつてのIT BITES的でもあるスタイリッシュな美学も感じさせるが、一方ではポストプログレ的な繊細な叙情も含んで、
適度にハードかつシンフォニックな味付けもなかなか心憎いバランスだ。なんだかんだでクオリティの高い傑作ですな。
メロディック度・・8 プログレ度・・7 モダン度・・9 総合・・8 
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Frost* 「Day And Age」
イギリスのプログレバンド、フロストの2021年作
キーボーディストのジム・ゴドフレイ、ARENA、KINOでも活躍するジョン・ミッチェルを中心にして、2006年にデビュー、
4作目となる本作は、カズ・ロドリゲス 、ダービー・トッド、パット・マステロットという3人のドラムが楽曲ごとに参加している。
モダンなシンセアレンジにギターを重ね、キャッチーなヴォーカルメロディとともに、スタイリッシュなサウンドを構築する。
随所にエレクトロなモダンさを強めつつ、しっとりとした歌もの感触とともに、ポストプログレ寄りの叙情美も覗かせて、
泣きのギターフレーズもまじえた優美な耳心地はさすがのセンス。2曲目以降はわりとコンパクトなナンバーが続き、
オーケストラルなアレンジやアンビエントな繊細さ、シンフォニックな美しさとノリのある歌メロのバランスで優雅に楽しめる。
ドラマティック度・・8 モダンプログ度・・8 優美度・・8 総合・・8 
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FUTURE KINGS OF ENGLAND 「The Viewing Point」
イギリスのプログレバンド、フューチャー・キングス・オブ・イングランドの2009年作
叙情的なギターワークにうっすらとしたシンセを重ね、PINK FLOYDルーツのゆるやかなサイケ感触に
ポストロック的なスケール感が合わさった聴き心地。メロトロンが鳴り響く涼やかな叙情美に、
70年代ルーツのブルージーなギターがヴィンテージな味わいをかもしだす。ゆったりとしたインストをメインに、
12分、13分という大曲では、優美なメロトロンとギターが重なるシンフォニックなパートも含んだ、
緩急ある展開力とドラマティックな構築性が楽しめる。壮大さとユルさがほどよくブレンドした傑作だ。
ドラマティック度・・8 プログレ度・・7 壮大度・・8 総合・・8
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GALAHAD 「In a Moment of Complete Madness」
イギリスのシンフォニックロックバンド、ギャラハドの1993年作
PENDRAGONやPALLASなどに続く、ポンプロックルーツのネオプログレバンドの2作目。
美しいシンセアレンジに、適度にハードなギターとマイルドなヴォーカルで聴かせる、
いかにもGENESISルーツのサウンドだ。全体的にスリリングな展開というものはあまりないが、
キャッチーな爽やかさが前に出ていて、とても耳心地はよい。爽快な感触は、CASTANARCあたりにも近いか。
ペンドラゴンなどのメロディアスさが好きな方ならこちらも充分楽しめるだろう。
メロディアス度・・8 プログレ度・・7 ポンプ度・・8 総合・・7.5
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GALAHAD「SLEEPERS」
イギリスのシンフォニックロックバンド、ギャラハドの1995年作
1st「未だ綴られぬ伝説 」は日本盤も出たものの、あまりぱっとしなかった記憶があるのだが、
本作はシンフォニックというよりは、MARILLIONなどを思わせるゆるやかなメロディックロックという質感。
10分台の大曲も含めて、全体的にゆったりと耳触りは良いが、プログレとしてはひっかかり所が少なく、
つい聞き流してしまうのは、どことなくメジャー感のあるキャッチーな分かりやすさのせいかもしれない。
メロディアス度・・7 プログレ度・・7 ゆったり度・・8 総合・・7
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GALAHAD「Year Zero」
イギリスのシンフォニックロックバンド、ギャラハドの2003年作
本作は初期のサウンドに比べればよりダイナミックなハードシンフォニックになっていて
PALLASあたりに通じるドラマティックで壮大なサウンドはなかなかのものだ。
ハードロック的なギターワークにシンフォニックなシンセが絡み、随所にコーラスもまじえつつ
キャッチーなヴォーカルが歌を乗せるサウンドは、90年代のポンプの質感を残しつつ
PENDRAGON的な泣きの叙情も聴かせてくれる。ヴォーカルの力量は正直いまひとつながら、
正統派の英国シンフォニックの生き残りとして、密かに応援してゆきたいバンドである。
シンフォニック度・・8 プログレ度・・7 ドラマティック度・8 総合・・8
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GALAHAD「EMPIRES NEVER LAST」
イギリスのシンフォニックロックバンド、ギャラハドの2007年作。
本作は、初期の中庸のイメージからするとジャケといいサウンドといいずっと重厚になっていて、
ARENAPALLASかというようなドラマティックなハードシンフォを展開している。
ときにメタリックなギターに壮麗なシンセが加わると、ProgMetal系の質感すらも垣間見せ、
これならば軽すぎるシンフォ系プログレがだめという人にも薦められる。
10分台の大曲3つを含む計60分の力作は、バンド史上最高傑作となった。
シンフォニック度・・8 重厚度・・8 ドラマティック度・・9 総合・・8
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GALAHAD「Battle Scars」
イギリスのシンフォニックロックバンド、ギャラハドの2012年作
PENDRAGONPALLASに比べると知名度は低いが、90年代初頭から活動するベテランバンド、
本作はARENAにも通じる薄暗い情感を含んだモダンなハードシンフォニック路線の力作。
美麗なシンセアレンジとともに、PALLASなどを思わせる適度にハードな感触も含ませて
ベテランらしい安定感とともにドラマティックな世界観を聴かせてくれる。
随所にデジタリィなアレンジもあったり、モダンな薄暗系ロックとしても楽しめる。
ドラマティック度・・8 プログレ度・・7 モダンシンフォ度・・8 総合・・7.5
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GALAHAD「Beyond the Realms of Euphoria」
イギリスのシンフォニックロック、ギャラハドの2012年作
90年代から活動するベテランで、初期は典型的なポンプ路線、2000年代後半にはドラマティックな
シンフォニックハードへと進化してきていたが、今作はなんとダンサブルなノリをまとわせた異色作となった。
デジタリィなシンセアレンジと、適度にハードなギターを含んだシンフォニックサウンドが巧みに融合されていて、
これが意外や楽しめるのである。後半には、これまでのハードシンフォニックの王道的な楽曲もあるので、
これまでのファンの方もご安心を。新時代のモダン・シンフォを提示するかのような力作です。
メロディック度・・8 プログレ度・・7 モダンシンフォ度・・8 総合・・8
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GALAHAD「YEAR ZERO - 10TH ANNIVERSARY EXPANDED EDITION 」
イギリスのシンフォニックロック、ギャラハドの2012年作
1989年にデビュー、本作は5作目である2002年作の10周年記念再発盤で、Disc1にはオリジナルのリマスター音源を
Disc2には2002年の未発ライブ音源を収録。美麗なシンセアレンジと叙情的なギター、マイルドなヴォーカルを乗せた
英国らしいウェットでドラマティックな王道のシンフォプログレを聴かせる。PENDRAGONあたりに比べると、
もう少しマイナー寄りの垢抜けなさもあるのだが、曲によってはハードエッジな質感やモダンなアレンジも覗かせつつ、
バンドの深化する方向性が感じられる。PAR LINDHばりのチャーチオルガンが鳴り響く、バロックなシンフォナンバーなど、
アルバム後半のドラマティックな流れも含めて、堂々たる力作に仕上がっている。Disc2のライブ音源も臨場感たっぷり。
ドラマティック度・・8 プログレ度・・8 王道シンフォ度・・8 総合・・8 
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Galahad 「Quiet Storms」
イギリスのシンフォニックロック、ガラハドの2017年作
デビューは80年代後半というベテランで、過去曲の新緑に新曲を加えた構成のアルバム。
しっとりとしたピアノにアコースティックギター、マイルドなヴォーカルで聴かせる繊細なアレンジで
MARILLIONのような優しい聴き心地。優雅な叙情に包まれた作風は、ロック的な躍動感はないが、
やわらかなシンセにヴァイオリンの音色、女性ヴォーカルなども加わった、優美なサウンドにじっくりと浸れる。
アコースティックなアレンジで仕上がった過去曲も違った味わいで楽しめます。しっとり優雅な全75分。
シンフォニック度・・7 プログレ度・・7 繊細度・・9 総合・・8 
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Galahad 「Seas of Change」
イギリスのシンフォニックロック、ガラハドの2018年作
80年代後半にデビュー、初期のポンプロック路線から、2000年代後半にはドラマティックなシンフォニックハードへと進化、
2012年作ではデジタリィでモダンな作風で賛否を呼んだが、本作ではなんと、本編が42分全1曲という構成で、
本格派のシンフォニックロックへと回帰している。英国のEU離脱による世界をテーマにしたコンセプトアルバムで、
美しいシンセアレンジにやわらかなフルート、ピアノにナレーションを重ねたイントロから、壮麗なスケール感とともに
ドラマティックなシンフォニックロックを展開。バンドに復帰したリー・エイブラハムのメロウなギターフレーズに、
スチュアート・ニコルソンのマイルドなヴォーカルを乗せて、英国らしいウェットな湿り気に包まれた優雅な叙情を描いてゆく。
即効的な盛り上がりは薄いが、じっくりと鑑賞しながら、英国の誇りに包まれた本格派シンフォニックロックが味わえる力作だ。
ドラマティック度・・8 プログレ度・・8 壮大度・・9 総合・・8 
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GALAHAD 「The Last Great Adventurer」
イギリスのプログレバンド、ギャラハドの2022年作
1991年デビューのベテランで、本作は2018年以来となる11作目。オリジナルロンバーはVoのスチュアート・ニコルソンと
ドラムのスペンサー・ラックマンのみであるが、ほどよくモダンなアレンジを含んだ美麗なシンセワークと、
ソロでも活躍する、リー・エイブラハムのギターにマイルドなヴォーカルを乗せた、華やかなシンフォプログレは健在。
キャッチーといってもよいメロディのフックや、英国らしいウェットな叙情と、コンセプト的なスケール感が合わさり、
それでいて古臭くならない現在形のシンフォとして味わえるのはさすが。10分を超えるタイトル曲も含めて、
ドラマティックな英国シンフォニックロックとしては、ARENAPENDRAGONに並ぶ存在だろう。
ドラマティック度・8 プログレ度・7 叙情度・8 総合・8 
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Galahad Electric Company 「When The Battle Is Over」
イギリスのプログレバンド、ガラハド・エレクトリック・カンパニーの2020年作
GALAHADのシンセ奏者、ディーン・ベイカーと、シンガーのスチュアート・ニコルソンによるユニットで、
優美なシンセにエレクトロなアレンジを重ね、ジェントルなヴォーカルを乗せた、ポストプログレ風味のサウンド。
リズムは打ち込みのようで、全体的にモダンなエレクトロロック風味で、派手な盛り上がりは薄いのだが、
ときにオルガンなどのシンセを使ったりと、プログレらしさは随所に残している。じわじわとした叙情美と
翳りを帯びた空気に包まれた耳心地の良さに、表現力あるヴォーカルでゆったりと味わえる好作品だ。
ドラマティック度・7 プログレ度・7 エレクトロ度・8 総合・7.5
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GALAHAD ELECTRIC COMPANY「SOUL THERAPY」
イギリスのプログレバンド、ガラハド・エレクトリック・カンパニーの2021年作
GALAHADのシンセ奏者、ディーン・ベイカーと、シンガーのスチュアート・ニコルソンによるユニットで、2020年に続く3作目。
デジタルな感触のビートに優美なシンセを重ね、マイルドなヴォーカルを乗せて、モダンなシンフォニックロックを聴かせる。
4〜6分前後の楽曲は、翳りを帯びた叙情に包まれた歌もの系メロディックロックという趣ではあるが、
エレクトロな要素がシンフォプログレと自然体で融合されているという点では、とてもセンスを感じるし、
ときにポストプログレ寄りの繊細な叙情美も覗かせるなど、英国らしい味わいの好作である。
ドラマティック度・7 プログレ度・7 叙情度・8 総合・7.5 
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GALASPHERE 347
イギリス、ノルウェー、スウェーデンの混成バンド、ガラスフィアー347の2018年作
Henry Foolのステファン・ベネットを中心に、White Willowなどで活躍する、ヤコブ・ホルム・ルッポ、マティアス・オルソン、フルート奏者、ケティル・ヴェストラム・エイナーセンの4人編成で、優美なシンセにマイルドなヴォーカルを乗せ、繊細な叙情に包まれたポストプログレ風味もある作風。
10分、15分、15分という大曲3曲の構成で、ムーグやオルガン、メロトロンなどのヴィンテージなシンセとフルートも鳴り響く、北欧らしい涼やかな空気感で、シンフォプログレとしてのキャッチーな優雅さも覗かせる。
ポストプログレ寄りの歌もの感と、オールドなプログレ感触が同居した、まさに、White WillowHenry Foolが合体したような味わいの逸品だ。
ドラマティック度・8 プログレ度・7 涼やかな叙情度・8 総合・8
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Gandalf's Fist 「Forest of Fey」
イギリスのシンフォニックロック、ガンダルフズ・フィストの2014年作
独自のファンタジーストーリーに基づいたコンセプト作品で、語りやSEを挿入した物語的な流れに
男女ヴォーカルの歌声と、適度なハードさを持ったProgMetal風味もある展開力で聴かせるサウンド。
しっとりした女性ヴォーカルパートの叙情性もよい感じで、全体的にはAYREONのドラマ性に、
ハードシンフォ的なメリハリのある展開を加えたという感触もあり、なかなかよろしいのであるが、
楽曲そのものの盛り上げ方というか、メロディの流れがもうひとつ突き抜けきれないのが惜しい。
ジョン・ミッチェル(IT BITES)、トロイ・ドノックリー(NIGHTWISH)、クライヴ・ノーラン(ARENA)らがゲスト参加。
ドラマティック度・・8 プログレ度・・7 壮大度・・8 総合・・7.5
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GANDALF'S FIST 「THE CLOCKWORK FABLE」
イギリスのプログレバンド、ガンダルフズ・フィストの2016年作
ファンタジーストーリーに基づいたコンセプチュアルなハードシンフォニックロックを得意とするこのバンド、
本作はなんとCD3枚組で、配役ごとに男女ヴォーカルやコーラスを配置した壮大なストーリーを感じさせる
ロックオペラ大作となっている。映画のようなナレーションで幕を開け、やわらかなシンセアレンジと、
美しい女性ヴォーカルを乗せ、ケルティックなメロディを含んだ叙情性とともに、優美なシンフォニックロックを描く。
オルガンやメロトロンなど古き良きプログレの感触を覗かせつつ、ストーリーを語るナレーションを随所に挿入しながら、
AYREON
ばりのファンタジックなロックオペラを展開してゆく。当のアンソニー・ルカッセンもゲスト参加しています。
CD3枚、3時間超はさすがに通しで聴くのは大変なのだが、バンドとしては渾身の力作というのは間違いない。
ドラマティック度・・8 プログレ度・・7 壮大度・・8 総合・・7.5
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Gandalf's Fist 「The Clockwork Prologue」
イギリスのプログレバンド、ガンダルフズ・フィストの2019年作
2011年にデビュー、本作は3枚組だった2016年作のコンセプトストーリーの続編で、2枚組の大作。
セリフや語り、SEを含んだロックオペラ的な構成で、配役ごとの男女ヴォーカルやコーラスを配置して、
ストーリーを描いてゆくのは、AYREONにも通じるところ。楽曲自体は、わりと普通のプログレハードで、
ややハスキーな女性ヴォーカルを乗せたナンバーは、LANDMARQあたりにも通じる雰囲気もあったり、
オルガンが鳴り響くノリのよいナンバーもあったりと、なかなか楽しめる。頻繁にセリフや語りが入るので、
音楽のみを楽しむ方には少々うっとおしいかもしれないが、Disc2では10分を超える大曲もあって、
ドラマティックなシンフォニックロックが味わえる。あとはもう少し、楽曲ごとの明確な盛り上がりがあれば。
ドラマティック度・・8 プログレ度・・7 壮大度・・8 総合・・7.5 
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Ghost of the Machine「Scissorgames」
イギリスのプログレバンド、ゴースト・オブ・ザ・マシンの2022年作
THIS WINTER MACHINEのメンバーによる新バンドで、きらびやかなシンセと適度にハードなギター、
マイルドなヴォーカルで、ARENAなどにも通じる英国らしいドラマティックなシンフォプログレを聴かせる。
ときにMARILLIONなどにも通じる優美な叙情を含んだ流れのある展開で、のっけから17分という大曲を構築。
90年代シンフォの流れをくむキャッチーな抜けの良いナンバーや、しっとりした叙情的な小曲なども挟んで、
ラストの10分の大曲は、メロウな泣きのギターと優美なシンセでやわらかな叙情美に包まれながら、爽快に盛り上げる。
ドラマティック度・8 叙情度・8 英国シンフォ度・8 総合・8
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THE GIFT 「AWAKE & DREAMING」
イギリスのシンフォニックロックバンド、ギフトの2006年作
メロトロンやハモンドを含めたレトロな感じのキーボードにややヘヴィめのギター、
そこにやわらかなヴォーカルが歌を乗せる、基本はGENESIS風でありながらも
モダンな薄暗さと叙情をもったサウンドだ。 長大な組曲2曲というアルバム構成ながら、
新人にしては力みもなく、ゆるやかな空間美を聴かせる場面もあってなかなかの出来。
後期MARILLIONあたりに通じるゆったりとした歌ものになる場面もあるが、
そこも含めて聴き通せるシンフォニックリスナーなら満足できるだろう。
シンフォニック度・・8 プログレ度・・7 壮大度・・8 総合・・8
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The Gift 「Land of Shadows」
イギリスのプログレバンド、ギフトの2014年作
2006年のデビュー作は、Genesisルーツのシンフォニックロックの好作品であったが、
本作は8年ぶりとなる2作目で、語りの入った映画的なイントロと、アコースティックギターに
やわらかなピアノとジェントルなヴォーカルを乗せた大人の哀愁に包まれた雰囲気から、
ノリのあるアンサンブルに、ムーグシンセとメロウなギターが加わり、プログレらしい展開力と
メリハリある構築性で、ドラマティックなサウンドを聴かせる。メロトロンが鳴り響く叙情性もよろしく、
ラストは19分を超える組曲は、ストリングスを含む優雅でやわらかな感触の序盤から、
唐突にハードなパートも現れたりと、緩急ある展開が楽しめる。まさしく大人のシンフォ力作だ。
ドラマティック度・・8 プログレ度・・8 大人の叙情度・・9 総合・・8
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The GIFT 「Why the Sea is Salt」
イギリスのプログレバンド、ギフトの2016年作
前作は大人のシンフォというべき見事な出来であったが、3作目となる本作も、
やわらかなピアノとシンセによるイントロから、メロウなギターワークにマイルドなヴォーカルを乗せ、
繊細な叙情を聴かせる正統派のシンフォニックロック・サウンドが広がってゆく。
10分前後の大曲に20分を超える組曲などをゆるやかに構築してゆくセンスもなかなかのもので、
英国らしいウェットな空気感の中に、キャッチーなメロディアス性も覗かせる。
スリリングな展開はあまりないが、安心して楽しめる叙情的な好作品です。
ドラマティック度・・8 プログレ度・・7 叙情度・・8 総合・・8
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THE GIFT 「ANTENNA」
イギリスのプログレバンド、ギフトの2019年作
2006年にデビューし、本作が4作目となる。英国らしい正統派のシンフォニックプログレだった前作から、
よりキャッチーなロック感をまとわせていて、やわらかなシンセとメロウなギターにマイルドなヴォーカルを乗せた、
大人の味わいのメロディックロックというサウンドになっている。10分近い大曲もありつつ、適度にハードな感触とともに
ジェントルなヴォーカルによる歌もの感とともに、肩の力の抜けた作風でゆったりと楽しめる。派手な展開はさほどなく、
アコースティックギターによる小曲から、80年代AOR風味のキャッチーなナンバー、アンビエント寄りの曲もあったりと
わりととえらどころがない。プログレとしてはやや物足りなさもあるが、ラスト曲では途中から叙情シンフォ路線に回帰する。
ドラマティック度・・7 プログレ度・・7 叙情度・・8 総合・・7.5 
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GIZMO 「Marlowe's Children Part 1“The Innocence”」
イギリスのプログレバンド、ギズモの2015年作
やわらかなフルートにアコースティックギター、マイルドなヴォーカルを乗せた牧歌的なサウンドで
オルガンも鳴り響くゆったりとしたアンサンブルには、カンタベリー的な優雅さも感じさせる。
SEや子供の声などを取り入れ、ジャケのイメージのような少年時代のモラトリアムを描く世界観には、
古き良き英国の空気が感じ取れる。わりとポップなナンバーや、サックスが鳴り響く大人の味わいもあったり、
プログレ的な展開力はさほどないが、コンセプト的な雰囲気も含んでいて、The Moody Blues
The Whoなどにも通じる、往年のキャッチーな英国ロックという感じで楽しめる。
ドラマティック度・・7 プログレ度・・7 英国度・・8 総合・・7.5
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GLACIER 「ASHES FOR THE MONARCH」
イギリスのシンフォニックロック、グレイシアの2015年作
結成は70年代というバンドで、美麗なシンセアレンジに枯れた味わいのマイルドなヴォーカルを乗せた
大人の叙情を漂わせる正統派のシンフォニックロック。メロウなギターにヴァイオリンが絡む、
優雅な美旋律と、Pallasあたりにも通じる英国らしいシンフォニックハードが合わさったという聴き心地。
技巧的な部分はないのだが、むしろ温かみのある幻想性で、やわらかな叙情美に浸ることができ、
ヴォーカルはときにジョン・ウェットンっぽくなって、結果としてASIA風味になったりと、80年代的なプログレハード感もある。
22分を超える組曲も、あくまで心地よいゆるやかさで、詰め込み過ぎていないところがかえって好感が持てる。叙情豊かな好作品。
シンフォニック度・・8 プログレ度・・7 英国度・・8 総合・・8

Gordon Giltrap & Rick Wakeman 「From Brush & Stone」
アコースティック系のギタリスト、ゴードン・ギルトラップとリック・ウェイクマンによるユニット作品。2010年作
絵画や彫刻をテーマした作品で、アンソニー・フィリップスを思わせるような繊細なアコギの音色に
美しいピアノが絡む、じつに優雅な聴き心地。ウェイクマンの奏でるクラシカルなピアノの旋律は、
彼の長いキャリアの中でも、その美しさにおいては上位に来るような作品ではないだろうか。
オールインストなので、のんびりと聴き流してしまいがちであるが、各小曲はシンプルながらも、
じっくりと鑑賞しても楽しめる。耳心地の良さにうっとりと浸れる素敵な作品だ。
ドラマテイック度・・7 プログレ度・・7 繊細度・・9 総合・・8
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Gordon Giltrap & Oliver WakemanRavens & Lullabies」
イギリスのギタリスト、ゴードン・ギルドラップオリバー・ウェイクマンの2013年作
うっすらとしたシンセに、アコースティックを含むメロウなギターを重ねた、繊細なシンフォニックロック。
オリバーのシンセワークは、父であるリックを思わせるフレーズを随所に聴かせてくれ、
ARENAのPaul Manziの味わいのある歌声とともに、優美な叙情に包まれたサウンドに浸れる。
キャッチーなメロディと素朴なアコースティックの同居という点では、Steve Hackettの作品などにも通じるだろう。
優しくメロウな感触に物語的な幻想美を加えた、ゆったりと楽しめる好作品に仕上がっている。
限定盤のDisc2には、2012年に行われたライブを収録。こちらも繊細な美しさが素晴らしい演奏です。
シンフォニック度・・8 プログレ度・・7 繊細度・・9 総合・・8
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Grand Tour 「Heavy on the Beach
イギリスのプログレバンド、グランド・ツアーの2015年作
ABEL GANZ、COMEDY OF ERRORSのメンバーを中心にしたバンドで、荘厳なシンセのイントロから、
叙情的なギターに伸びやかなヴォーカルを乗せて、優美なシンフォニックロックを聴かせる。
ゆったりとしたパートから、ムーグやオルガンなどのプログレらしいシンセが鳴り響く、
緩急あるインストパートをじっくりと構築、スムーズな展開力はさすがキャリアのあるメンバーというところ。
後半は10分超える大曲が3曲続き、優しい歌声にメロトロン音色を含む美しいシンセアレンジを重ねて、
英国らしいウェットな空気感と、ポンプロックルーツのキャッチーな優雅さが合わさった王道のシンフォプログレが楽しめる。
ドラマティック度・8 ポンプ系シンフォ度・8 優雅度・8 総合・8
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The Greatest Show on Earth
イギリスのプログレハードプロジェクト、グレイテスト・ショウ・オン・アースの1998年作
マーティン・ダービルを中心にしたバンド、MOONのメンバーに、ジョン・ウェットン、
ニック・バレット、マーティン・オーフォード、クライブ・ノーラン、ミック・ポインター、ジョン・ミッチェル他、多数の有名ゲストが集結。
ストーリーに基づいたコンセプト作のようだが、サウンドには難解な部分はなく、キャッチーなメロディで聴ける、
上質のプログレハードサウンドである。シンフォニックなシンセワークに、耳に心地よいメロディアスなギター、
そしてマイルドなヴォーカルで聴かせる、スケールの大きな力作だ。
メロディアス度・・8 キャッチー度・・8 壮大度・・8 総合・・8
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GREY LADY DOWN 「THE CRIME」
イギリスのプログレハード、グレイ・レディ・ダウンの1994年作
きらびやかなシンセにほどよくハードなギターを重ね、伸びやかなヴォーカルを乗せた、
初期のPALLASなど、80年代ポンプロックルーツのプログレハードを聴かせる。
リズムチェンジを含んだ展開力にキャッチーなメロディアス性で、90年代でいえば、
ARENASHADOWLANDなどにも通じる、ネオシンフォニック路線に近いだろう。
情感的なヴォーカルとともに、10分を超える大曲をじっくりと構築する力量もあって、
ジャケは地味だが、内容はキャッチーなシンフォニックハードが楽しめる好作品です。
ドラマティック度・・8 プログレハー度・・8 英国シンフォ度・・8 総合・・7.5
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GTR
イギリスのプログレハード、ジー・ティー・アールの1986年作
プロデュースはジェフ・ダウンズ、2人のギターは、スティーブ・ハウとスティーブ・ハケットという、奇跡のようなユニット。
叙情的なツインギターにシンセを重ね、伸びやかなヴォーカルで聴かせる、80年代らしいAOR的なメロディックロックで、
TOTOなどにも通じるポップ性に、二人の流麗なギタープレイをたっぷりフィーチュアした高品質なサウンドだ。
元NIGHTWINGのマックス・ベーコンの伸びやかなハイトーンヴォーカルも楽曲によくマッチしていて、
80年代のYESなどを思わせる、優美でキャッチーな聴き心地で楽しめる。アコースティックギターも含めて、
ハウとハケット、それぞれの色をかもしだす繊細なギタープレイに聴き惚れる。
メロディック度・・8 プログレ度・・7 優美度・・8 総合・・8
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GUAPO 「Black Oni」
イギリスのアヴァンプログレ、グアポの2004年作
結成は90年代という、なにげにキャリアのあるバンドで、本作は鬼をテーマにしたコンセプト作。
ノイジーでヘヴィなギターが鳴り響き、美しいシンセを絡ませながら、不穏な空気感を躍動的に描く、
いわゆる「MAGMA/Zeuhl系」の作風に、暗黒性をたっぷりとまぶした重厚なサウンドを展開する。
ジャズロック、チェンバーロックというカテゴライズ不要な、凶暴なダークさとスリリングな緊張感が、
聴き手をじわじわと包み込む。UNIVERS ZEROをよりハードにしたという感触もあるが、
シンセのメロデイはときに優美ですらあって、メタル寄りのリスナーにも楽しめるかもしれない。
5パートに分かれた、44分のオールインストだが、最後まで張詰めた緊張感で飽きさせない。
ドラマティック度・・8 アヴァンギャル度・・8 暗黒度・・9 総合・・8
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GUAPO 「ELIXIRS」
イギリスのアヴァンプログレ、グアポの2008年作
結成は90年代というキャリアのあるバンドで、エレピを含むシンセに、サウンドスケープ的なギター、
ヴァイオリンが不穏に鳴り響く、緊張感のある静寂を描く、チェンバーロック風味のサウンドを聴かせる。
オールインストながら、アヴァンギャルドな即興性と知的な構築センスが合わさり、ほのかなダークさと
先の読めないスリリングな空気感に包まれて、10分を超える大曲を巧みな演奏でじっくりと描いてゆく。
テクニカルな変則リズムと、生々しいアンサンブルの緊張感は、UNIVERS ZEROにも通じるが、
アンビエントな浮遊感や女性スキャットを乗せたArt Bearsのような雰囲気もあったりして面白い。
ラスト曲での原初的な怪ししい空気感などは、Third Ear Bandをも思わせる。異色の力作だ、
アヴァンギャル度・・8 プログレ度・・8 ダークな緊張感・・8 総合・・8 
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GUAPO 「History Of The Visitation」
グアポの2013年作
7作目となる本作は、のっけから26分の組曲で幕を開ける。サックスやトランペット、バスーン、ヴァイオリンなどが鳴り響き
うっすらとシンセが重なる不穏な空気感のイントロから、ギター、ベース、ドラム、シンセによる四人編成による
シンプルなアンサンブルへ移行する極端なギャップも含めて、聴き手に先を読ませないセンスは見事。
メロウなギターフレーズにシンセを重ねた優雅な叙情性も覗かせつつ、徐々にハードなヘヴィさと躍動感で、
アッパーなノリを強めながらサウンド盛り上げてゆく。適度なアヴァンギャルド性は決して難解過ぎず、
案外チェンバー/アヴァンロック初心者にも楽しめるだろう。DVDには2006年、2007年のライブ映像を収録。
ドラマティック度・・7 アヴァンギャル度・・7 暗黒度・・8 総合・・8
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GUAPO 「OBSCURE KNOWLEDGE」
グアポの2015年作
今作も25分の大曲で幕を開け、オルガンを含むシンセに、優雅なギタープレイを乗せた軽妙なアンサンブルで、
むしろメロディックなプログレ寄りの聴き心地も感じさせつつ、ときにノイジーなギターと反復するシンセによる
トリップ感と、レコメン系としての偏屈なアレンジを自然に溶け込ませている。本作ではタークさは控えめに、
ときに叙情的なギターフレーズも覗かせつつ、適度な緊張感のある展開力とともに壮大に大曲を描いてゆく。
もはやチェンバーロックというよりは、ミステリアスなプログレとして楽しむ方がよいかもしれないが、
湿り気のあるギターメロディにシンセが絡むあたりは、ダークなシンフォ系としても鑑賞可能だろう。
ドラマティック度・・8 プログレ度・・8 ミステリアス度・・8 総合・・8
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Haken「Aquarius」
イギリスのハードプログレバンド、ヘイケンの2010年作
英国からハードシンフォニックの大型新人が登場、ツインギターにツインシンセの6人組で
シンフォニックなシンセワークと、ハードめのギターによる厚みのあるサウンドで、
ドラマティックな壮大さを聴かせる。一方ではとぼけた味わいの展開の妙も取り入れていて、
ヘヴィ・チェンバー的な味わいもあってなかなか面白い。メタリックな重厚さと知的なセンス、
ときにDREAM THEATER的なドラマ性も感じさせる。これは驚愕の新人が現れた。
シンフォニック度・・8 プログレ度・・8 壮大度・・8 総合・・8
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HAKEN「VISIONS」
イギリスのハードプログレバンド、ヘイケンの2011年作
デビュー作にして新時代のハードシンフォニックの傑作と話題となったこのバンド、
本作も適度にヘヴィなギターワークと、メロディックな叙情性で構築される、
絶品のサウンドが楽しめる。プログレメタル的でもあるインストパートでの展開美は
テクニカルな要素とともに、いかにもプログレ的なシンセアレンジが融合され、
クールでありつつも古き良さもあるという感触が面白い。センスの良さという点では
The TANGENTにもすでに匹敵するだろう。ラストは22分の大曲も圧巻だ。
シンフォニック度・・8 プログレ度・・8 楽曲センス度・・9 総合・・8
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HAKEN 「The Mountain」
イギリスのハードプログレバンド、ヘイケンの2013年作
過去2作もかなりの出来であったが、3作目となる本作はやわらかなヴォーカル曲で幕を開け、
美しいシンセワークに導かれて、適度なハードさとともにProgMetal的なテクニカルな構築力と、
キャッチーな軽快さを含んだサウンドが広がってゆく。そのアレンジセンスはやはり抜群だ。
メリハリのあるドラマティックな展開美とコンセプト的な壮大さに包まれたサウンドは、
あくまでメロディアスな聴き心地で、ときにGENTLE GIANTばりの遊び心も含んだ、
素晴らしい仕上がりには脱帽。シンフォニック、プログレ、ProgMetalと、どの耳でも楽しめる傑作。
ドラマティック度・・9 プログレ度・・9 楽曲センス・・9 総合・・8.5
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HAKEN 「Restoration」
イギリスのハードプログレバンド、ヘイケンの2014年作
初期のデモ音源の再録を含む、全3曲入りのミニアルバム。20分近い大曲を含む34分弱の内容で
テクニカルな展開力と適度にモダンなハードさを含んだ、ProgMetal感触の強いサウンドを聴かせる。
GENTLE GIANTルーツの軽妙な変拍子入りアンサンブルを、時代的なハードプログレに仕立てたという1曲目から、
2曲目になるとポストプログレ的な薄暗い叙情性も垣間見せる。目玉である20分の大曲にはマイク・ポートノイが参加していて、
古き良きプログレ/シンフォニックロック性を感じさせるキャッチーな質感とともに、ダイナミックな展開で描かれる、
TRANSATLANTICばりの優雅なスケール感が見事。古さと新しさを併せ持つこのバンドのセンスが再確認できる作品だ。
ドラマティック度・・7 プログレ度・・8 ハイブリッ度・・8 総合・・8
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HAKEN 「Affinity」
イギリスのモダンプログレバンド、ヘイケンの2016年作
2010年にデビュー、メタリックでハード感触と知的なテクニカル性にシンフォニックロックを融合させた
新時代のハイブリッド・プログレバンドとして注目を浴びる。フルアルバムとしたは4作目となる本作は、
80年代のコンピュータを思わせるシンプルなデザインに包まれているが、サウンドの方は適度なハードさに
Riversideあたりに通じるクールな構築センスと薄暗い繊細な叙情が交差する、モダンプログレとなっている。
スティーヴン・ウィルソンなどのポストプログレと、FROST*のようなキャッチーな展開力を合わせたというべきか、
ProgMetal的にも楽しめるハードさもありつつ、ときにメロウな耳心地と、しっかりとプログレらしさも感じさせるという、
心憎いバランス感覚である。ダイナミックな展開力を聴かせる15分の大曲もさすがというところ。文句なしの傑作だ。
ドラマティック度・・8 プログレ度・・8 ハイブリッ度・・9 総合・・8.5
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Haken 「Vector」
イギリスのプログレメタル、ヘイケンの2018年作
2010年にデビュー、そのスタイリッシュなサウンドで、いまやモダンプログレの旗手というべき存在。
5作目となる本作は、美麗でミステリアスなイントロから、適度なヘヴィさを含んだテクニカル性に、
マイルドなヴォーカルを乗せたキャッチーなサウンドで、コンセプト的なドラマ性を描き出す。
DREAM THEATERにも通じる、ProgMetal的な感触に、きらびやかなシンセやモダンなアレンジを加えて、
エモーショナルな叙情性を表現する、スタイリッシュなメロディアス性というべきフックのある展開力もさすが。
今作ではインストパートでのテクニカルメタルとしての側面も強めていて、リズムのハネ方はDjent的でもある。
傑作だった前作に比べると、楽曲ごとの魅力では物足りなさもあるが、安定の実力を発揮した高品質作である。
ドラマティック度・・8 テクニカル度・・8 スタイリッシュ度・・9 総合・・8 
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Haken 「Virus」
イギリスのモダンプログレ(メタル)、ヘイケンの2020年作
2010年にデビュー、6作目の本作はタイトルからして、まさにコロナ禍である年を思わせるが、
のっけから硬質なギターリフを乗せた、モダンなテクニカルメタルの感触を強めたような聴き心地。
エレクトロなシンセアレンジにマイルドなヴォーカルで聴かせる、ハードなポストプログレという感触や、
Djent風のリズムチェンジなど、ボーダーレスの味わいは、単なるProgMetalという以上のセンスを感じさせ、
ダークで不穏な雰囲気から、ほどよくメロディックなギターも切り込んでくるという、絶妙のバランスも見事である。
5パートに分かれた19分の大曲では、エモーショナルな叙情性も覗かせつつ、起伏に富んだテクニカルな展開力で、
スケールの大きなスタイリッシュなハードプログレを構築する。ヘヴィ過ぎずエモ過ぎない、クールでハイセンスな作品。
ドラマティック度・・8 プログレ度・・8 スタイリッシュ度・・9 総合・・8 
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HAKEN 「Fauna」
イギリスのプログレメタル、ヘイケンの2023年作
2010年にデビューし、7作目となる。今作はのっけから硬質なギターでハードに幕を開けつつ、マイルドなヴォーカルにシンセも加え、
軽妙でテクニカルリズムとともに、モダンでキャッチーな新時代のProgMetalを描く。随所に流麗なギタープレイも織り込んで
曲によってはヘヴィなメタル感触や、Djent的なテクニカル性、エモーショナルな叙情も含ませて変幻自在の聴き心地である。
優雅なアレンジセンスと巧みな演奏による構築力という点では、Caligula's Horseと双璧と言えるかもしれない。
IT BITES風のメロディックな小曲から、11分の大曲では、GENTLE GIANT的なとぽけた感じも覗かせつつ、
DREAM THEATER以降のドラマティックなプログメタルへと展開。バンドとしての熟成を感じさせるハイセンスなアルバムだ。
ドラマティック度・8 テクニカル度・8 優雅度・8 総合・8 
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HATS OFF GENTLEMEN IT'S ADEQUATE 「When the Kill Code Fails」
イギリスのポストプログレ、ハッツ・オフ・ジェントルマン・イッツ・アデカートの2015年作
マルチプレイヤーのマルコム・ギャロウェイを中心に、2012年にデビュー、本作は2作目となる。
人工知能をテーマにしたコンセプトアルバムで、うっすらとしたシンセにギターを重ね、
マイルドなヴォーカルとともに、翳りを帯びたモダンなメロディックロックを聴かせる。
エレクトロなシンセアレンジも覗かせつつ、フルートが鳴り響くヴィンテージな味わいもあったりと、
派手さはないものの、じっくりと世界観を構築している。あとはもう少しドラマティックな展開があれば。
ドラマティック度・・7 プログレ度・・7 モダン度・・8 総合・・7.5
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Hats Off Gentlemen It's Adequate 「Out Of Mind」
イギリスのポストプログレ、ハッツ・オフ・ジェントルマン・イッツ・アデカートの2019年作
2012年にデビュー、本作は4作目。うっすらとしたシンセにメロウなギター、マイルドなヴォーカルで聴かせる
モダンな翳りを帯びた歌ものポストプログレというサウンド。全体的にゆったりとした作風であるが、
ハードなギターを重ねたスタイリッシュなナンバーや、美しいシンセにやわらかなフルートの音色で
しっとりと聴かせるパートなど、ほどよく起伏のある聴き心地で、流れのあるストーリー性を感じさせる。
派手な盛り上がりというのはないものの、じっくりと耳心地よく味わえる、全65分という力作です。
ドラマティック度・・7 プログレ度・・7 マイル度・・8 総合・・7.5 
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HATS OFF GENTLEMEN IT'S ADEQUATE 「NOSTALGIA FOR INFINITY」
イギリスのモダンプログレ、ハッツ・オフ・ジェントルメン・イッツ・アデクイットの2020年作
2012年にデビュー、本作は4作目となる。優美なシンセとフルートのイントロから、マイルドなヴォーカルとギターを加え
翳りを帯びたドラマ性を描くような、スタイリッシュなメロディックロックを展開。ポストプログレ的でもある繊細な叙情性と、
メロウな泣きのギターと美しいシンセワークによる、シンフォニックロックとしての優美な味わいが合わさって、
10分前後の大曲も、ゆったりとした構築美でじつに耳心地がよい。中盤の5パートに分かれた20分の組曲では、
デジタルでモダンなアレンジを取れ入れた近未来的なイメージも広がる。優雅なモダンシンフォ。全68分の力作です。
ドラマティック度・8 プログレ度・7 叙情度・8 総合・8
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HAZE 「30TH ANNIVERSARY SHOWS」
イギリスのプログレバンド、ヘイズのライブ。2008年作
80年代から活動するバンドで、2004年に結成20周年のライブで復活、本作は30周年記念のライブを2CDに収録。
女性フルート奏者を含む5人編成のステージで、いくぶんハードなギターを乗せたオールドなロック感触に、
ときにRUSHECHOLYNなどにも通じるような、キャッチーで軽快なアンサンブルを聴かせる。
フルートの音色に叙情的なギターの旋律を重ねた、シンフォニックなテイストも随所に覗かせつつ、
どこか煮え切らないマイナー臭さに包まれているのも、かれらがPLLASのようにはなれなかった所以だろう。
Disc2では、Jethro Tullを思わせるような土着的なメロディも出てきたりして、わりととりとめがない。
嫌いではないのだが、2CDでトータル130分以上という長丁場で、さすがに途中で聴くのに疲れてきます。
ライブ演奏・・7 プログレ度・・7 楽曲・・7 総合・・7


Heather Findlay 「The Phoenix Suite」
イギリスの女性シンガー、ヘザー・フィンドレイの2011年作
Mostly Autumnのシンガーとして知られる彼女の、バンド脱退後の5曲入りミニアルバムで、
ギターに(元Mostly Autum、PARADE)のクリス・ジョンソン、Roger Waters BANDのデイブ・キルミンスターが参加、
オールドなロック風味に女性ヴォーカルを乗せたストレートなナンバーから、しっとりとした味わいのウェットな叙情で、
Mostly Autumnにも通じる優雅で牧歌的な部分も覗かせる。シンセが入らないのでシンフォニックな要素はないのだが、
艶めいた彼女の歌声はやはり魅力的で、この後のソロ活動や、新たなバンドMantra VegaへとつながるEPとも言えるだろう。
ドラマティック度・・7 プログレ度・・6 女性Vo度・・7 総合・・7
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The Heather Findlay Band 「Songs from the Old Kitchen」
元Mostly Autumnのシンガー、ヘザー・フィンドレイによるアコースティックバンドの2012年作
スタジオライブ形式で録音された作品で、モストリー・オータムの楽曲をアコースティックで聴かせる。
ヘザー嬢の伸びやかな歌声と、アコギやマンドリンなどの音色が牧歌的に彩り、
ライブ録音ならではのアナログ感とともに、素朴でありながら叙情豊かなサウンドが楽しめる。
元Mostly Autumnのアンジェラ・ゴードンが鍵盤&フルートでゲスト参加している。
アコースティカル度・・9 牧歌的度・・8 女性Vo度・・8 総合・・7.5
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Heather Findlay& Chiris Johnson 「Live at the Cafe 68」
元Mostly Autumnのシンガー、ヘザー・フィンドレイと元Mostly AutumnでPARADEやFishのバンドにも参加する
ギター&ヴォーカルのクリス・ジョンソンによるユニットのライブ作品。2011年作
アコースティックギターのつまびきに、ヘザー嬢の伸びやかな歌声とともに、
素朴さで牧歌性で聴かせるサウンドで、Mostly Autumnの曲もアコースティックに楽しめる。
MCも含んだライブ的な臨場感もあって、会場の温かな空気が伝わってくるようだ。
アコースティカル度・・9 牧歌的度・・8 女性Vo度・・7 総合・・7.5
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Heather Findlay 「Wild White Horses」
イギリスの女性シンガー、ヘザー・フィンドレイの2019年作
MOSTLY AUTUMNのシンガー、現在はMANTRA VEGAで活躍、The Heather Findlay Bandとしても作品を出しているが
本作は純粋にソロ名義となっている。サウンドの方は、肩の力の抜けたわりとストレートなポップロックという趣で、
ブルージーなギターに、大人の女性を感じさせるヘザーの歌声で、ローリング・ストーンズのようなオールドなロック感に包まれる。
全体的にプログレ的な感触は少ないが、アコースティックギターやフルート、トロイ・ドノックリー(Nightwish)によるイーリアン・パイプが鳴り響く、
フォーキーなナンバーには、いくぶんMOSTLY AUTUMN時代の香りも感じさせる。ヘザーの優しい歌声が堪能できる牧歌的な好作です。
メロディック度・7 プログレ度・5 女性Vo度・8 総合・7.5 過去作のレビューはこちら
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Heather Findlay 「LIVE WHITE HORSES」
イギリスの女性シンガー、ヘザー・フィンドレイのライブ作品。2020年作
Disc1は、2019年の英国公演から、全17曲、78分を収録。ツインギターにシンセ、女性コーラスを含む編成で 
2019年作「Wild White Horses」からのナンバーを主体に演奏。アルバム同様、オールドなロック感触とともに
ヘザーの伸びやかな歌声で聴かせる牧歌的な味わいながら、ライブとしてのグルーヴィな躍動感が伝わってくる。
Disc2には、アメリカ、イギリス、ドイツなどでの、2019〜2020年のライブ音源を、会場ごとに数曲ずつ収録。
ブートレグ風のラフな音源やアコースティック編成でのセッションなど、わりとボーナス的な内容である。
ライブ演奏度・8 プログレ度・5 女性Vo度・8 総合・8
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Memories of MachinesWarm Winter
No-ManのTim BownessとNosoundのGiancarlo Erraによる、メモリーズ・オブ・マシンズの2011年作
プロデュースはスティーブン・ウィルソンで、想像通りのしっとりとした薄暗い叙情のサウンド。
うっすらとしたシンセアレンジにもの悲しいヴォーカルの歌声が響きわたり、
アコースティックギターにピアノやチェロの音色が絡み、繊細な情感を描いてゆく。
優しく翳りのあるアンビエントなサウンドが好きな方なら気に入る作品だろう。
ロバート・フリップ、ピーター・ハミル、さらにはジム・マテオスといった多数のゲストが参加。
メロウ度・・8 プログレ度・・7 しっとり度・・9 総合・・8
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HENRY FOOL
イギリスのモダン・シンフォニックロックバンド、ヘンリー・フールの2001作
PORCUPINE TREEが注目され始めて以降、こうした現代的な薄暗い叙情をもったサウンド…
いわゆるオルタナ・シンフォという言い方ができるバンドが、にわかに増えてきている。
このバンドもメロウな歌ものとしての側面と、プログレッシブで空間的な構築性とを併せ持っており、
悲しみの混じった叙情を表現しながら、ときおり音には怒りや不安感、倦怠感など、
現代的な人間のもつ多面的な感情をにじませた、内省的なサウンドとなっている。
メロトロンなどの使用法にしても、古くささよりもむしろそうしたモダンな哀愁を漂わせているのが特徴で、
かつてのプログレッシブロックでの表現方法とは異なり、人間の深い意識、繊細な感情にうったえる類の音だ。
ミキシングには、当のPORCUPINE TREEのスティーブ・ウィルソンも参加。
メロディアス度・・7 オルタナシンフォ度・・8 内的度・・9 総合・・7.5
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Henry Fool 「Men Singing
イギリスのポストプログレ、ヘンリー・フールの2013年作
No Manのヴォーカルが在籍するバンドで、2001年作以来となる2作目。
お洒落なモダンさと、サイケな浮遊感に、フリーキーなジャズロック色も含んだサウンドで、
うっすらとしたシンセアレンジにサックスやフルートなども加わった、やわらかな聴き心地。
いまをときめく、ポストプログレ系レーベル、KScopeからの作品ということもあって、
それ系のもの哀しい叙情も入りつつ、13分を超える大曲2曲を中心にした全4曲という構成で、
随所にプログレらしい妖しげなエキンセトリックさも垣間見せる。フィル・マンザネラも2曲に参加。
ドラマティック度・・8 プログレ度・・7 優雅な叙情度・・8 総合・・8
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Hoggwash 「Spellbound」
イギリス&ウクライナのシンフォニックロック、ホグワシュの2013年作
英国のミュージシャン、Will MackieとKARFAGENのAntony Kaluginを中心にしたユニットで、
オルガンを含むシンセワークにメロディックなギターを重ねた優雅なシンフォニックロック。
マイルドなヴォーカルハーモニーはキャッチーなやわらかさで、ときにポップな要素も感じさせつつ、
泣きのギターフレーズと美麗なシンセは、あくまでしっとりとした叙情に包まれている。
メロディックな歌ものナンバーがメインながら、8分、9分という大曲では、KARFAGENにも通じる
美麗なシンフォニックロックが楽しめる。繊細でメロウな味わいのシンフォ好作だ。
メロディック度・・8 プログレ度・・7 優雅度・・8 総合・・8
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I

IAIN JENNINGS 「My Dark Surprise」
イギリスのミュージシャン、イアン・ジェニングスの2013年作
Breathing Space、Mostly Autumnのシンセ奏者でもある。美麗なシンセワークにマイルドなヴォーカル、
ほどよくハードなギターを重ねて、翳りを帯びた叙情のモダンなシンフォニックロックを聴かせる。
コンセプト的なドラマ性で流れのある構成になっていて、歌ものナンバーを主体にしつつ、
きらびやかなシンセにポップなビート感が同居し、サックスが鳴り響く大人の優雅さも覗かせる。
全体的にこれというインパクトは薄いのだが、しっとりとした繊細なポストプログレ風味も含んだ好作品。
ドラマティック度・・7 プログレ度・・7 スタイリッシュ度・・8 総合・・7.5
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I AM THE MANIC WHALE 「Everything Beautiful in Time」
イギリスのプログレバンド、アイ・アム・ザ・マニック・ホエールの2015年作
叙情的なギターの旋律にオルガンやピアノを含む、やわらかな鍵盤アレンジを乗せて、
A.C.TIT BITESあたりを思わせるキャッチーで爽快なサウンドを聴かせる。
16分、21分という大曲も、あくまでメロディ主導で、マイナー臭さのない抜けの良さと、
適度にテクニカルな展開力で、優雅に構築してゆく。新人ながらそのセンスの良さは見事。
コーラスハーモニーの美しさでは、Moon Safariなどのファンにもアピールするだろう。
メロディ派のプログレハード&トランスアトラン系大好きリスナーは必聴の出来ですな。
メロディック度・・9 プログレ度・・8 爽快度・・9 総合・・8
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I Am The Manic Whale 「Gathering The Waters」
イギリスのプログレバンド、アイ・アム・ザ・マニック・ホエールの2017年作
前作は、IT BITESあたりを思わせるメロディアスな傑作であったが、2作目となる本作は
オルガンが鳴り響くヴィンテージなロック感触で始まりつつ、キャッチーな歌メロを乗せた爽快なフックは、
TRANSATLANTICにも通じる聴き心地。11分、13分、18分という大曲も、優雅なメロディアス性とともに、
決してクドすぎない軽やかでスタイリッシュな感触だ。シンセに重なるギターの叙情的なフレージングもよろしく、
演奏力、アレンジセンスともに隙がない。英国産の正統派プログレでは、BIG BIG TRAIN以来の逸材といえる。
古き良きプログレ性を継承しつつも、軽妙な構築センスを融合させた、全68分の高品質傑作だ。
メロディック度・・9 プログレ度・・8 優雅度・・9 総合・・8.5
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I AM THE MANIC WHALE 「NEW FORMS OF LIFE」
イギリスのプログレバンド、アイ・アム・ザ・マニック・ホエールのライブ。2019年作
2015年にデビュー、IT BITESBIG BIG TRAINクラスのクオリティを持つバンドとして注目の存在。
本作は2018年のステージで、2nd「Gathering The Waters」全曲に、1stからのナンバーも演奏。
オルガンやムーグの音色を含むシンセにほどよくハードなギターを重ね、キャッチーなヴォーカルメロディで、
古き良き味わいのプログレ感覚に、確かな演奏力と軽妙な構築センスで、躍動的なサウンドを描く。
楽曲は、6〜8分前後を主体に、10分を超える大曲も、力み過ぎない優雅な味わいで、大人のプログレらしい
軽やかな聴き心地に包まれる。濃密になり過ぎない、ほどよく詰まった全74分の軽快なライブです。
ライブ演奏・・8 プログレ度・・8 優雅でキャッチー度・・9 総合・・8
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I Am the Manic Whale 「Things Unseen」
イギリスのプログレバンド、アイ・アム・ザ・マニック・ホエールの2020年作
2015年にデビューし、本作は3作目となる。オルガンやムーグシンセなどのヴィンテージな味わいと、
優雅で軽やかなアンサンブルに、伸びやかなヴォーカルで聴かせる、キャッチーなプログレサウンド。
叙情的なギターのフレーズと爽やかなヴォーカルメロディは、ときにMOON SAFARIなどにも通じる感触で、
変拍子を含んだほどよくテクニカルな展開力も含めて、19分という大曲でも濃密になり過ぎないところが魅力だろう。
一方では、ハード寄りのギターを乗せたモダンなスタイリッシュ性も覗かせ、単なるヴィンテージ系にはならないセンスも光る。
やわらかなフルートやメロトロンなど、オールドなプログレ感触を残しつつ、絶妙なバランスで再構築したというべき傑作である。
メロディック度・・8 プログレ度・・8 優雅で軽妙度・・9 総合・・8.5 
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ILLUMINAE 「Dark Horizons」
イギリスのシンフォニックロック、イルミナエの2021年作
KARNATAKAのイアン・ジョーンズ、CAAMORAに参加した女性シンガー、アグニエスカ・スウィタによるプロジェクトで、
THE TANGENTのルーク・マシン、FROST*のクレイグ・ブランデルが全面参加、ゲストにスティーブ・ハケット、
トロイ・ドノクリー(Nightwish)も参加している。やわらかなシンセアレンジにメロウなギター、美しい女性ヴォーカルで、
KARNATAKAにも通じる優美なシンフォニックロックを聴かせる。ギターの旋律にはケルティックな味わいもあり、
トロイ・ドノクリーによるイーリアンパイプやホイッスルの音色とともに、ほどよい民族色と優雅な叙情性が融合している。
曲によってはポップでキャッチーなテイストもあるが、アグニエスカ嬢のたおやかな歌声でどれもしっとりと楽しめる。
全体的には、もう少し明快な盛り上がりがあると良いのだが、ラストは11分の大曲で泣きのギターと美しい歌声にウットリ。
ドラマティック度・・7 プログレ度・・7 女性Vo度・・8 総合・・8
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Ioearth
イギリスのシンフォニックロック、アイオーアースの2009年作
マルチプレイヤー2人によるユニットで、繊細なピアノの音色に導かれて、
やわらかなシンセに包まれながら、美しい女性ヴォーカルの歌声が入り、ギターがメロウなフレーズを奏でてゆく。
ときにアコースティカルな叙情も含ませつつ、メロディックであることにこだわったサウンドは、JADISなどに通じるものがある。
アルバムを2つの組曲に分けて楽曲を連ねてゆくのは、まさしくシンフォニックロックの王道であるが、
一方ではハードエッジな部分や、ミスティックな雰囲気の幻想性もあって、爽やかな男性ヴォーカルと女性声が絡む、
優美なサウンドに浸ることができる。2枚組のDisc2では、THE ENIDばりのクラシカルな壮麗さも聴かせてくれる。力作です。
シンフォニック度・・8 メロディック度・・8 繊細度・・8 総合・・8
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IOEARTH「Moments
イギリスのシンフォニックロック、アイオーアースの2012年作
前作はクラシカルな美意識で聴かせる王道のシンフォニック作品であったが、
本作はどこかオリエンタルなミステリアスさを感じさせる雰囲気とともに、
繊細さと雄大さの合わさった世界観で、センスのよいサウンドを構築している。
女性ヴォーカルの歌声もどこか神秘的で、モダンで浮遊感のあるシンセワークや
サックスやフルートなども含んだアレンジなど、定型のシンフォにとどまらぬ広がりのある作風だ。
反面、クラシカルな要素が薄れ、突き抜けきれないもどかしさも感じてしまうが、力作なのは間違いない。
ドラマティック度・・8 プログレ度・・7 雄大度・・8 総合・・7.5
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IOEARTH 「Live in the USA」
イギリスのシンフォニックロック、アイオーアースのライブ作品。2013年作
2012年アメリカでのステージを収録。女性Voにシンセ、サックス&フルート奏者を含む6人編成で、
8分前後の大曲を中心に、美しい女性ヴォーカルの歌声とともにじっくりと聴かせる内容。
随所にサックスやフルートによる叙情性と、メロウなギターワークも顔を覗かせながら、
派手すぎずにあくまでマイルドな聴き心地は、Mostly AutumnやPanic Roomなどにも通じる。
演奏面でのこれというインパクトがないので、全体的には少し地味な感じもあるのだが、
LANDMARQやMAGENTAなど、女性Vo系シンフォが好きな方はチェックして損はない。
ドラマティック度・・7 ライブ演奏・・7 女性Vo度・・8 総合・・7.5
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IO EARTH 「NEW WORLD」
イギリスのシンフォニックロック、アイオー・アースの2015年作
2009年にデビュー、3作目となる本作はCD2枚組の大作で、本作では女性シンガーが交替している。
ほどよくハードなギターに美麗なシンセを重ね、やわらかな女性ヴォーカルの歌声を乗せた、
優雅なシンフォニックロックを聴かせる。オーケストラルなアレンジが加わった壮麗な感触に、
フルートの音色が繊細な叙情を描きつつ、紅一点、リンダ嬢のなよやかな歌声が優美に響き渡る。
随所にメロウなギターの旋律も耳心地よく、アコースティックギターやマンドリンを用いたパートなど、
過去2作に比べて、メリハリある構築力で、シンフォニックロックとしてよりダイナミックな仕上がりになった。
Disc1に比べて、Disc2の方はいくぶんダークでヘヴィな味わいなので、個人的には1枚目の路線で希望したい。
シンフォニック度・・8 優美度・・9 女性Vo度・・8 総合・・8 
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IO EARTH 「SOLITUDE」
イギリスのシンフォニックロック、アイオー・アースの2018年作
4作目の本作では、再び女性シンガーが交替している。うっすらとしたシンセに美しい女性ヴォーカルを乗せた
アンニュイな雰囲気に、ハードなギターとオーケストラルなアレンジを重ねた、壮麗なサウンドが広がってゆく。
新加入のロザンナ嬢の歌声は、物憂げな翳りを帯びていて、ゴシック寄りの女性声ハードシンフォとしても楽しめる。
叙情的な泣きのギターがしっとりとしたサウンドに彩りを与えながら、10分前後の大曲を、じわじわと盛り上げてゆく。
クラシカルなピアノや物悲しいチェロやヴァイオリンの響きに、ときにほどよくモダンなアレンジも取り入れつつ、
シンフォニックな優雅さとアンニュイな薄暗さが合わさった、女性声シンフォを聴かせる。全72分という力作です。
シンフォニック度・・8 翳りと叙情度・・9 女性Vo度・・8 総合・・8
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IO EARTH 「AURA」
イギリスのシンフォニックロック、アイオー・アースの2020年作
2009年にデビューし、5作目。やわらかなシンセにメロウなギター、男女ヴォーカルの歌声に
ヴァイオリンなどのストリングスも加わって、しっとりと優美なシンフォニックロックを聴かせる。
前作から参加のロザンナ嬢のヴォーカルも美しく、ソロをとるナンバーではなよやかな魅力に包まれる。
スピリチュアルなテーマのためか、過去作に比べるとヒーリング風のアンビエントパートが多いので、
派手な盛り上がりはさほどなく、ラストの18分という大曲も、アコースティックギターのつまびきなども含めて、
あくまでゆったりと優雅に構築してゆく。個人的には、女性ヴォーカルの美しさを活かした部分がもっと欲しい。
ドラマティック度・・7 プログレ度・・7 優美度・・8 総合・・8 
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IONA
イギリスのケルトロックバンド、アイオナの1st。1990年作
ただのケルト音楽だと静かすぎてどうもね…という私のような人間にとっては
ケルトとロックを巧みに融合させたこのバンドは、まさに理想形のサウンドなのです。
さて、この1stですが、楽曲は比較的シンプルで、インスト曲はケルトメロディを前に出して軽快に、
歌ものはどちらかというとキャッチーでThe Corrsなどにも通じるものがあるかと。
ジョアンヌ・ホッグのヴォーカルも、まだ深みのある表現力はなく、むしろ初々しさがあります。
アルバムとしても後の深みのある世界観に比べると、まだ聴きやすさの方が勝っています。
それから、現在のドラマーも上手いが、ここで叩いているゲストドラマーもかなりの腕前ですね。
メロディアス度・・8 ケルティック度・・7 女性Vo度・・7 総合・・7.5
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IONA「The Book of Kells」
スコットランド出身のケルティックロックバンド、アイオナの2nd。1992作
8世紀にスコットランドのアイオナ修道院で制作され、アイルランドの国宝ともなっている
“世界一美しい”聖書の写本、「ケルズの書」をテーマにしたコンセプト作。
トラディショナルなメロディと現代シンフォニックの手法を融合したサウンドは、
決して難解にならない聴きやすさがあり、美しく壮大な雰囲気に包まれている。
ジョアンヌの歌唱が好きな方には、歌パートに頼らない今作は微妙かもしれないが、
シンセをバックに、メロウに鳴るギターやたおやかなフルートの音色が心地よく
後の作品「OPEN SKY」あたりにも通じる涼やかな雄大さが楽しめる。
シンフォニック度・・8 壮大度・・8 女性Vo度・・7 総合・・8
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IONA「BEYOND THESE SHORES」
イギリスの女性Voケルトロックバンド、アイオナの3rd。邦題「ブレンダンの航海」1993作
今やこの手のケルティックなシンフォニックバンドもそこそこの地位を得てきているが、
こうしたサウンドをメジャーに押し上げたのは間違いなくこのバンドの功績だろう。
リーダーであるデイブ・ベインブリッジのメロウなギターに、紅一点、ジョアンヌ・ホッグの艶やかな歌唱は、
バンドの顔であり大きな魅力である。しっとりとした雰囲気に包まれながら、曲のアレンジはとても聴きやすく
シンフォニックロックとしても、ロック寄りのケルトミュージックとしても楽しめる。初めてアイオナを聴く方にもお勧め出来るアルバム。
シンフォニック度・・7 ケルティック度・・8 女性Vo度・・8 総合・・8
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IONA「JOURNEY INTO THE MORN」
スコットランド出身のケルティック・ロックバンド、アイオナの4th。1995年作
前作「BEYOND THESE SHORES」が見事な完成度であったが、本作も歌姫、ジョアンヌ・ホッグの清澄な歌唱とともに、
アコースティックなケルトの優雅さと、シンフォニックロックサウンドを優美に融合させている。
艶やかなヴァイオリンにやわらかなシンセアレンジ、デイヴ・ベインブリッジの流麗なギターとともに、
壮大なシンフォニック・ケルトロックを描き出す。爽快で幻想美に包まれた感動的な傑作です。
シンフォニック度・・8 ケルティック度・・8 女性Vo度・・8 総合・・8
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IONA「-Live-Heaven's Bright Sun 」
スコットランド出身のケルティック・ロックバンド、アイオナのライブアルバム。1997年作
伝統的なケルトミュージックをバンド仕立てのシンフォニックロックに昇華し、
一般のリスナーにも親しみやすいサウンドを作り上げた彼らの功績は大きい。
さて、この1997年の英国でのライブ演奏であるが、スタジオ盤以上に溌剌としたサウンドが楽しめる。
曲は1stと、この時点での最新アルバム4th「Journey into the Morn」からのものが中心で、
ジョアンヌ・ホッグの伸びやかな美声を中心に、デイブ・ベインブリッジの素晴らしいギターワークが冴える。
バンドの屋台骨を支えるドラムの技量も抜群で、ときおり入るフルートやサックスの音色も美しい。
ケルト音楽好きの方も、女性Vo好きのシンフォニックリスナーにも、ぜひ聴いてもらいたい。
シンフォニック度・・8 ケルティック度・・8 女性Vo度・・8 総合・・8
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IONA WITH THE ALL SOULS ORCHESTRA「WOVEN CORD」
スコットランドのケルティックロックバンド、アイオナのライブ作。1999年作
オーケストラと共演したライブ作品で、壮麗なシンフォニーをバックに歌姫ジョアンヌ・ホッグの美しい歌声を乗せ、
雄大なケルティック・ロックを聴かせる。トロイ・ドノックリーによるイーリアンパイプやホイッスルが鳴り響き、
デイブ・ベインブリッジのギターワークも随所に泣きのフレーズを奏でつつ、ロックとケルトが絶妙に融合した
躍動感あるアンサンブルを描いてゆく。バンドの演奏はときに、HRのリスナーにも楽しめるほどのノリもあって、
これぞ、シンフォニック・ケルトロックの本領が発揮された会心のライブである。素晴らしいのひと言です。
シンフォニック度・・9 ケルティック度・・8 壮大度・・10 総合・・9
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IONA「Open Sky」
スコットランド出身のケルティック・ロックバンド、アイオナの5th。2000年作
ロック寄りのケルトミュージックとしてそのサウンドを確立させつつあったこのバンドが、
さらなる壮大な作風で完成させた傑作アルバム。神秘的なシンセによるイントロからリズムが加わって
ケルティックなバグパイプが鳴り響く、このダイナミックなインスト曲からして素晴らしいのだが、
しっとりとヴァイオリンが鳴り、ジョアンヌ・ホッグの天上の美声が歌いあげる2曲目もまた絶品。
幻想的な美しさとミステリアスなケルトの風が感じられるシンフォニック/プログレ作品というのはなかなかない。
シンフォニックとロック、女性ヴォーカル、そしてケルトミュージックがまさに理想的に融合された傑作だ。
シンフォニック度・・8 ケルティック度・・8 女性Vo度・・8 総合・・8.5
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Iona 「The River Flows」
スコットランド出身のケルティックロックバンド、アイオナの2002年作
1990年のデビュー作、1992年作「The Book of Kells」、1993年作「BEYOND THESE SHORES」
初期3作のリマスターCDに、未発曲を収録した4枚組という豪華ブックレット入りのボックス仕様。
リーダーであるデイブ・ベインブリッジのギターと、紅一点、ジョアンヌ・ホッグの艶やかな歌唱を中心に、
コンテンポラリーなシンフォニックロックと伝統的なケルトミュージックを絶妙に融合させたサウンドは、
涼やかに美しく、そして神秘的である。比較的キャッチーな1stから、2nd「ケルズの書」、3rd「ブレンダンの航海」では
壮大な空気感を増したシンフォニック・ケルトロックが味わえる。未発曲の22分におよぶ組曲も素晴らしい。
アイオナを初めて体験するという方にもうってつけの豪華ボックスである。
ドラマテイック度・・8 ケルティック度・・8 女性Vo度・・8 総合・・8 
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IONA「Live in London」
イギリスのケルティックロックバンド、アイオナのライブアルバム。
2004年ロンドン大学でのステージを収録したCD2枚組み。 アルバム「OPEN SKY」の冒頭を飾るインスト曲“Woven Cord”で幕を開け、
軽快に駆け抜けるなリズムの上を、バグパイプのメロディが爽快に鳴り響く。
Joanne Hoggの歌声は、温かみのある伸びやかな歌唱で、爽やかな風のように耳に心地よく、
Dave Bainbridgeのメロウなギタープレイに重なる、バグパイプに、ロウ/ティンホイッスル、ブズーキの音色、
そして、タイトで手数の多いドラミングは、バンドとしてのアンサンブルを見事に引き締めている。
幽玄なるケルトの風情と、ロックとしての躍動感を融合させた、このバンドならではの素晴らしいライブ演奏だ。
メロディアス度・・8 ケルティック度・・8 ライブ演奏・・8 総合・・8
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IONA「Live in London」
イギリスのケルティックロックバンド、アイオナのライブDVD。2006年作
2004年ロンドン大学でのステージを2DVDに収録。「OPEN SKY」の冒頭を飾るインスト曲“Woven Cord”で幕を開け
軽快かつデイナミックなリズムの上を、バグパイプのメロディが駆け抜けてゆく爽快なサウンドが広がる。
その後いくつかの新曲や、アルバム「Journy into the Morn」からの曲をメインに進行してゆくが、
見所はバグパイプの他、ロウ/ティンホイッスル、ブズーキなどを弾きこなすTroy Donockleyの存在感や、
Dave Bainbridgeのメロウなギタープレイ、そして、Frank Van Essenの手数の多いドラミングは
バンドとしてのサウンドを見事なまでに引き締めている。シンセを弾き、ときにアコギを片手に歌う
Joanne Hoggは、温かみのある伸びやかな歌唱で、爽やかな風を運んできてくれる。
Disc2はアコースティックステージで、よりしっとりとした深みのある演奏を聴かせてくれる。
ケルトロック好きであれば一見の価値ある見事なライブ作品だ。
メロディアス度・・8 ライブ映像・・8 ライブ演奏・・8 総合・・8
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IONAThe Circling Hour
イギリスのケルティック・シンフォニックロックバンド、アイオナの6th。2006年作
バンド作としては「OPEN SKY」以来6年ぶりとなる。前作はどちらかというとインスト重視だったが
今回はヴォーカルと演奏とのバランスがとれた、とても聴きやすい作品となっている。
ジョアンヌ・ホッグの歌唱は、歳月を経てかいっそう大人の落ち着きと調和を感じさせ、
バンドの要であるデイブ・ベインブリッジのギター、そしてキーボードでの活躍ぶりもさすがだが、
ドラマーの腕前もかなりのもので、ロックとしての躍動感とダイナミズムを曲に与えている。
また11分を超える大曲のCのように、ケルトミュージックへの回帰を思わせるナンバーもあり、
バンドとして原点を見直しながら、じっくりと作り上げられたようなアルバムに仕上がっている。
シンフォニック度・・8 ケルティック度・・8 雄大度・・8 総合・・8
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IONA「Another Realm」
イギリスのケルティック・シンフォニックロックバンド、アイオナの7th。2011年作
前作から5年ぶりとなる今作はCD2枚組の大作となった。しっとりとしたジョアンヌ・ホッグの歌声に
雄大なケルティックの風を感じるようなサウンドは、これまで以上に世界観を強めていて、
うっすらとしたシンセをバックに、繊細なギターのつまびきと、ヴァイオリンやパイプの音色が重なり
シンフォニックなケルトロックを描き出す。民族的なフレーズを違和感なくバンドサウンドに取り入れる
コンテンポラリーなセンスはさすがだし、15分を超える大曲などもゆったりと神秘的に聴かせてくれる。
デイブ・ベインブリッジのギターも流麗なフレーズを奏で、ロック的な躍動感をサウンドに付加している。
ベテランならではの自信と確かなアンサンブルが構築する、壮大なダイナミズムにあふれた力作です。
シンフォニック度・・8 ケルティック度・・8 女性Vo度・・8 総合・・8.5
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IONA「Edge of the World」
スコットランド出身のケルティックロックバンド、アイオナのライブ作品。2013年作
1990年のデビューから、これまでにスタジオアルバム7枚を出しているケルティックシンフォの代表格。
本作はイギリスツアーからの音源をCD2枚に収録している。2011年作「Another Realm」からの曲を中心に、
これまでアルバムからの曲もたっぷり演奏。紅一点、ジョアンヌ・ホッグのしっとりと美しい歌声と、
デイブ・ベインブリッジのメロウなギターワークに、バグパイプやホイッスルの音色がかぶさる、
繊細にして叙情的なサウンドが楽しめる。ドラムを含めたリズム面の演奏力もしっかりとしていて、
インストにおける軽妙なアンサンブルもこのバンドの持ち味だろう。素晴らしい歌と演奏にうっとりのライブ傑作。
ドラマティック度・・8 ケルティック度・・8 ライブ演奏・・8 総合・・8
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IQ 「Tales from the Lush Attic 2013」
イギリスのシンフォニックロック、アイキューの1983/2013年作
80年代ポンプロックを代表するバンドのデビュー作を、新たにリミックスした2013年新装版。
オルガンを含むやわらかなシンセにガブリエル風のかすれた味わいのヴォーカルを乗せ、緩急ある展開力とともに、
のっけから20分の大曲を構築。リミックスによりサウンドがダイナミックになったことで、マイナー臭さは感じさせず、
確かな演奏力も含めて、現在につながるネオプログレのスタイリッシュ性をしっかり有していたことが改めて確認できる。
中盤のキャッチーなナンバーは今聴いても爽快で、クラシカルなピアノの小曲など、マーティン・オーフォードの鍵盤ワークも光っている。
MARILLIONのデビュー作とともに、GENESISルーツの80年代シンフォプログレとしては出色の出来といっていいだろう。
ドラマティック度・8 プログレ度・8 ジェネシス度・8 総合・8 
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IQ「The Wake」
イギリスのポンプロックバンド、アイキューの2nd。1985年作
ポンプロックの「POMP」には「華麗な/虚飾の」という意味があり、当時のイギリスではあまりよい意味では使われておらず、
それらがわが国でも初期のMARILLIONあたりへの「GENESISクローン」的な、過分に不当な扱いを容認する状況を生み出した。
もちろんこのバンドを含め、いわゆるポンプロックと呼ばれたバンドの大半がGENESISをルーツとして
生まれたものであることには疑いがないが、現在ではそうした「〜系」バンドという括り方は当然であるし、
最近のバンドにもGENESIS、YES、ELPらの音楽性を臆面もなくさらしている良質なシンフォバンドはたくさんいる。
この2作目ではGENESIS的部分はそのままに「華麗」な部分を抽出し、曲展開に無駄がなくなったという印象。
おそらく多くの人々がポンプという言葉を使うとき、MARILLIONの3rdや本アルバムを挙げるのではないだろうか。
今となって聴くと、古き良きヴィンテージ・シンフォとして普通に気持ちよく聴けるのも、時代が一回りしたからか、
ポンプうんぬんも含めて「シンフォニック」という大きな括り方が可能になったからなのだろう。
シンフォニック度・・8 GENESIS度・・8 楽曲・・7 総合・・7.5
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IQ「Nomzamo」
イギリスのポンプロック、アイキューの3rd。1987年作
新たにヴォーカルにポール・メネルを迎え、前作「The Wake」のGENESIS風味を
いくぶんは残しつつも、よりキャッチーな作風へとシフトしたサウンド。
アレンジにおけるモダンなビート感はいかにも80年代的であるが、
随所にはっとするような美しいシンセアレンジやコーラスハーモニーなど、
むしろ、IT BITESやASIA、PALLAS的などに通じる感触でも楽しめる。モダンシンフォニックの先駆け的な好作品だ。
シンフォニック度・・7 GENESIS度・・7 キャッチー度・・8 総合・・7.5
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IQ「Are You Sitting Comfortably?」
アイキューの4th。1989年作
「まんまGENESIS」だった1st、「GENESIS味のポンプロック」の2ndに比して、メジャーデビューした前作ではぐっとポップ寄りになり、
続く本作もその延長上の、非常にキャッチーで軽快なサウンドになっている。ようするに「ポップ」で、マニア以外にも聴ける音楽であり、
もうポンプだジェネシスクローンだなんだと、つまらぬことで非難されるべきではない音楽をやっている。
これを聴くとGENESISルーツで始まったポンプ系バンドも正統に進化はするのだ、ということがわかる。
それはMARILLIONにしてもPENDRAGONにしてもそうで、ルーツは同じでもバンドを続けてゆく過程で
彼らが「本物」になってゆくということを証明してもいるのだ。ここにあるのは。今聴いてもなんら違和感のない良質のメロディックロックである。
シンフォニック度・・8 GENESIS度・・7 キャッチー度・・8 総合・・7.5
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IQ「EVER」
イギリスのシンフォニックロック、アイキューの1993年作
GENESIS系ポンプロックとしてデビューしたパンドの4作目。日本盤が出たこともあり、本作から入ったリスナーも多いだろう。
2作目を最後に脱退していた、ピーター・ニコルズが復帰し、王道のシンフォニック路線に回帰した力作。
存在感のあるベースとグルーヴィなドラムのリズムに、マーティン・オーフォードのきらびやかなシンセを乗せ、
ピーター・ニコルズのガブリエル寄りの歌声とともに、キャッチーなメロディアス性と英国らしいウェットな叙情が融合した
完成度の高いサウンドを聴かせる。変拍子を含んだ展開力と、泣きのギターとシンフォニックなシンセアレンジで、
じっくりと構築される楽曲は、確かな演奏力とともに、しっかりとロマンの香りを残している。90年代シンフォの最良の手本というべき内容だ。
メロディック度・・8 プログレ度・・8 英国度・・9 総合・・8
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IQ 「FOREVER LIVE」
イギリスのシンフォニックロック、アイキューのライブ。1996年作
1993年作「Ever」にともなうツアーからのライブをCD2枚に収録。
同作からのナンバーを中心に、過去のアルバムからも選曲されたステージで、
ピーター・ニコルズの味わいのあるヴォーカルにマーティン・オーフォードの美麗なシンセワーク、
マイク・ホルムズのメロウなギターとともにGENESISルーツのポンプロックを通過したサウンドを描いてゆく。
10分を超える大曲も含め、80年代から活動するキャリアあるバンドらしい堂々たる構築力で聴かせる。
メロディアス度・・8 ライブ演奏・・8 90'sシンフォ度・・8 総合・・7.5
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IQ「SUBTERRANEA」
イギリスのシンフォニックロック、アイキューの6th。1997年作
新生IQとしては前作「EVER」に続く2枚目となるアルバムで、初期のGENESISタイプのポンプロックから一転、
CD2枚組のコンセプト大作となった。4枚目あたりまでのキャッチーさにくらべると、ぐっとシリアスな感触を増した
雄大なシンフォニックロックサウンドとなっていて、部分的にはやや長尺に感じるところもなきにしもあらずなのだか、
全体としてはかなりの力作で、盛り上がりの場面ではPENDRAGONばりのダイナミックな叙情性を体現している。
Disc2ラストの20分を超える大曲も圧巻。新たなシンフォニックロックのムーブに、ベテランバンドの意地を見せつけるような力作。
シンフォニック度・・8 ドラマティック度・・8 壮大度・・8 総合・・8
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IQ 「SEVEN STORIES INTO NINETY EIGHT」
イギリスのプログレバンド、アイキューの1998年作
本作は、1981〜82年にかけて録音しながら発表されなかった作品を、1998年に再録したもので、
Disc2にはそのオリジナルバージョンを収録した2CD。マーティン・オーフォードのきらびやかなシンセワークに
叙情的なギターを乗せた軽やかなアンサンブルで、翳りを帯びた英国らしいシンフォニックロックを聴かせる。
全体的にはインストパーが中心であるが、随所にピーター・ニコルズのヴォーカルも加わって、
じわじわとドラマティックに盛り上げる構築性は素晴らしい。リレコーディングの音質の良さも含めて、
正規アルバムとして数えてもよいくらいの出来である。Disc2のオリジナルは、デモ程度の音質であるが、
楽曲としての魅力は随所に感じられる。アイキューのファンであればチェックすべき音源ですな。
ドラマティック度・8 プログレ度・8 叙情度・9 総合・8 
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IQ「SUBTERRANEA THE CONCERT」
イギリスのシンフォニックロックバンド、アイキューのライブアルバム。1999年作
2枚組の大作「SUBTERRANEA」を完全再現したライブ作品(当然CD2枚組)。
実を言うとスタジオ版の印象は、「壮大でシンフォニックだがやや長尺感のある作品」
というものだったのだが、こうしてライブでの演奏を聴くと彼らの実力の確かさがあらためて分かる。
演奏はスタジオ版よりもダイナミックで、楽曲にはメリハリが感じられる。ドラムの生音や、引きと押しを明確にしたアンサンブルには
バンドの一体感と表現するべきサウンドの明瞭さがダイレクトに伝わってくる。ピーター・ニコルズの歌の表現力も素晴らしく、
コンセプト作のライブ再現という点ではDREAM THEATERの「METROPOLIS PT2」を思い起こさせるような深みがある。
シンフォニック度・・8 メロディアス度・・8 ライブ演奏・・8 総合・・・8.5
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IQ「The Seventh House」
イギリスのシンフォニック・ロックバンド、アイキューの2001年作
80年代から活動する大ベテラン。GENESISクローンと揶揄された初期の作風から、
1993年の復活後にはドラマティックなシンフォニック性を強め、1997年の大作「SUBTERRANEA」で、
ひとつの結実をみる。本作はその流れを組ながらも、曲ごとのキャッチーなメロディアスさが際立ち、
アルバムとしての聴きやすさではむしろ上回っている。核となるのはピーター・ニコルズの歌唱と
マーティン・オーフォードの華麗なシンセワークで、繊細かつ叙情的な美しさが胸をうつ。
PENDRAGON、PALLASらとともに英国シンフォニックのベテランたるにふさわしい完成度だ。
シンフォニック度・・8 叙情度・・8 完成度・・9 総合・・8
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IQ「DARK MATTER」
イギリスのシンフォニック・ロックバンド、アイキューの2004年作
復活作で「EVER」、そして2枚組の大作「SUBTERRANEA」という力作を生み出しながら活動をつづけてきたベテラン。
今作はさらに「なにかが吹っ切れたような」会心の一作である。復活したPALLASの活躍などにも影響を受けたのだろうか、
これまでにないシリアスかつ濃密なシンフォニック作となっている。「SUBTERRANEA」にあったやや長尺な印象が、
ここではタイトな曲展開と切れのある演奏により一掃され、たとえればTRANSATLANTICあたりに通じるメロディの明快さと、
演奏と曲のバランスの良さが両立されている。軽快さと説得力を併せ持ったリズムセクションや、シンフォニックに鳴り響くキーボード、
はっとするようなメロウなギターフレーズ、世界観を見事に表現するヴォーカル、どれもが一級品である。至福の52分というべき大傑作。
シンフォニック度・・9 メロディアス度・・8 楽曲・・8 総合・・・8.5 ◆プログレ名作選入り
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IQ「Frequency」
イギリスのシンフォニックロックバンド、アイキューの2009作
前作「Dark Matter」がバンド史上最高傑作ともいうべき会心の出来であったので、
大いに期待していたが、バンドを支えてきたシンセ奏者のマーティン・オーフォードが
音楽業界からの引退を表明し、バンドを離脱、新メンバーを迎えてのアルバムとなった。
サウンドは一聴して重厚さが増し、INSIDE OUT系というようなハードシンフォニックの質感。
哀愁を漂わせたギターメロディにピーター・ニコラスの歌声が重なると、まぎれもないかつてのIQの音となるのが、さすがベテランの存在感である。
また新加入のMark Westworthのシンセワークも、元々DARWIN'S RADIOというGENESIS系バンドに在籍していたというだけあり、
ツボを押さえたプレイが光っている。全体的には、美しくももの悲しい叙情が散りばめられた、ほの暗い繊細さも魅力のアルバムだ。
シンフォニック度・・8 叙情度・・8 ダイナミック度・・7 総合・・8
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IQ「THE WAKE LIVE AT DE BOERDERIJ」
英国のシンフォニックロックバンド、アイキューのライブアルバム。2010年作
2009年の「Frequency」はほの暗い哀愁の叙情が光る傑作であったが、本作は1985年の2nd「The Wake」の完全再現ライブを収録。
コアなファンの間では傑作と名高い作品を、25年後に再現するというのは、バンドにとってもなかなか意味の大きなことなのだろう。
テクノロジーは進化し、サウンドの広がりとともに、かつて感じたような野暮ったさは微塵もなく、
GENESISルーツの上質なシンフォニックロックとして素直に楽しめる演奏だ。
DVDでは同ライブ映像に加え、「EVer」や「Subterranea」からの曲もボーナス収録。
シンフォニック度・・8 ライブ演奏・・8 GENESIS風度・・8 総合・・7.5
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IQ 「The Road of Bones」
イギリスのシンフォニックロックバンド、アイキューの2014年作
PENDRAGNやPALLASとともに80年代から活動する英国を代表するシンフォ系バンド。
今作からベースとシンセが交代しているようだが、渋みを増したピーター・ニコルズの歌声をフロントに
美麗なシンセアレンジに包まれていくぶん翳りを増したメロウな感触で描かれるシンフォニックロックは、
最高傑作というべき前々作「Dark Matter」にも通じる美しさである。ポストプログレ的な繊細な叙情を匂わせつつ、
19分12分という大曲をゆるやかに、そしてドラマティックに盛り上げてゆく力量はベテランならではだろう。
GENESISルーツのポンプロックから、モダンなドラマ性を加えて深化させた正統的な英国シンフォニックロックの傑作といえる。
限定盤2CDのDisc2には、本編から外された6曲50分弱を収録。ハードなシンフォニックサウンドはボーナスの域を超えている。
シンフォニック度・・8 ドラマティック度・・8 叙情度・・9 総合・・8.5
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IQ 「Live On The Road of Bones」
イギリスのシンフォニックロック、アイキューのライブ作品。2016年作
2015年イギリス公演のステージをCD2枚に収録。2014年作「Road of Bones」からの楽曲を中心にしつつ、
往年の代表曲もまじえたステージで、ピーター・ニコルズの味わい深いヴォーカルにメロウなギターと
オルガンなどを含む古き良き感触のシンセワークとともに、王道のシンフォニックロックを聴かせる。
オフィシャルブートレック゛ということで、音質は多少ラウドながらも、むしろライブならではの迫力ある臨場感が伝わってくる。
ポンプロックルーツのメロウな翳りを含んだ空気感は、オールドなファンにもアピールするだろう。ファンは必聴のライブ作品。
ライブ演奏・・8 ドラマティック度・・8 臨場感度・・8 総合・・8
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IQ 「Resistance」
イギリスのプログレバンド、アイキューの2019年作
1983年にデビュー、いまや英国シンフォニックロックを代表するバンドの、5年ぶりとなるCD2枚組のアルバム。
Disc1はコンセプト作となっていて、ハード寄りのギターにシンセを重ね、ピーター・ニコルズのシアトリカルなヴォーカルで、
シリアスなダークさに包まれたサウンドを構築する。前作から加入のニール・デュラントの優美なシンセワークが、
サウンドに壮麗なスケール感を与えていて、雰囲気としては、ARENAにも接近したような重厚なドラマ性を感じさせつつ、
ラストの15分の大曲では、泣きのギターフレーズとともにじわじわと盛り上げる。Disc2は、20分前後の大曲2曲を中心に、
緩急ある展開力で、これぞアイキューという甘美なシンフォニックロックを聴かせる。CD2枚で110分に及ぶ大作だ。
ドラマティック度・・8 叙情度・・9 壮大度・・9 総合・・8.5 
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IT BITES「THE BIG LAD IN THE WINDMILL」
イギリスのプログレ・ハードバンド、イット・バイツの1st。1986作
コマーシャルな大衆性とテクニック、そして適度なプログレな感覚をセンスよくまとめて音に詰め込んだおそらく最初のバンド。
音の方はキャッチーでポップなメロディをプログレ的感性のアレンジでコンパクトにまとめたもの。
2nd「ONCE AROUND THE WORLD」の完成度には及ばぬものの、すでにこの時点で方向性が決まっていたというところが凄い。
個々の演奏力はもちろん、この時代のバンドとしてはしっかりとした商業意識をもっていたことが伺えるサウンドで、
「ポップ=軟弱」という認識を覆すだけのクオリティ。もしかしたら現代プログレバンドの影の立役者はこのバンドだったのかも。
メロディアス度・・8 キャッチー度・・8 プログレ度・・7 総合・・8
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IT BITES「ONCE AROUND THE WORLD」
イギリスのプログレ・ハードバンド、イット・バイツの2nd。1988年作
以前にこのバンドの3rd「EAT ME IN ST LOUIS」を聴いたときには
「これのどこがプログレだ?」と感じてしまい、じつのところまったく気に入らなかったのだが、
最近はACTなどの良質なバンドに感化されたおかげでポップな音に昔ほどの嫌悪を感じなくなった。
キャッチーかつポップ味溢れる楽曲のなかにときおりかいま見えるプログレなセンス。
これはACTそのままではないか…いや逆だ。ACTの原点はやはりこのバンドにあったのだなと納得。
3曲目の3連リズムの曲調なんかかなりACTっぽいぞ。うう・・良いな、良いな。
聴きやすく、メロディに溢れた、ポップで、プログレが隠し味のアルバムである。
メロディアス度・・8 隠れプログレ度・・7 キャッチーな楽曲センス・・9 総合・・8
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IT BITES「EAT ME IN ST LOUIS」
イット・バイツの3rd。1989作
2ndあたりに比べるとやや音がドライで、単なる「キャッチーなHR」にしか聴こえなくても無理ない。
ただ、こうしてポップなものが許せる年齢になって聴き直すと、まあけっこう悪くないんですなぁ。
もちろんこのバンドの最高作はACTにも通じるキャッチーなプログレセンスが心地よい2nd
「ONCE AROUND THE WORLD」だと思うけれど、最後のアルバムという意味合いを込めて聴くと、
バンドとしてのスタンスと商業的な要素との兼ね合いということまで考えてしまう。
ちょうどこのアルバムが出た年にDREAM THEATERが1stを発表しているというのも暗示的で興味深い。
DTのように「好きなことをやって売れる」という時代が、彼らには訪れなかったのが惜しい。
メロディアス度・・7 キャッチー度・・8 プログレ度・・5 総合・・8
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IT BITES「CALLING ALL THE HEROES -THE BESTOF IT BITES-」
イット・バイツのベストアルバム。1995作
1st〜3rdまでまんべんなく選曲されているが、基本的にシングルカットされたものが多いため、
曲がフェードアウトされるなどアレンジ的にもアルバム版とやや異なり、これここれでけっこう楽しめる。
2nd収録の長めの曲が入れられていないものの、総じて良い選曲だと思う。
こうして聴くと、やはりキャッチーで軽快なセンスという点では抜群のバンドだった。
いかにも適当に撮ったというジャケのつまらないメンバー写真が、
「解散後のベストアルバム」という悲哀と皮肉を感じます。
メロディアス度・・8 キャッチー度・・9 プログレ度・・6 総合・・8
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IT BITES「THANKYOU AND GOODNIGHT」
イギリスのプログレハード、イット・バイツのライブアルバム。1991年作
プログレ衰退期の80年代に「新しいプログレの形」を提示してくれたこのバンド、1987〜1989年に3枚のアルバムを残し
バンド解散後にレコード会社とのアルバム契約履行のために作られたのが本作であるが、
内容の方はステージでの魅力を余すところなく伝えてくれ、音質はややラウドであるものの
まったく手直しがされていないだけにダイレクトに躍動的な演奏が伝わってくる。
この楽曲と演奏力があれば、今の時代であればもしかしたらDREAM THEATER並の評価を勝ち得ていたかもしれないと思うと、
あらためてこのバンドの解散が惜しまれると同時に、彼らは時代に早すぎたバンドだったのだな、という感慨が沸いてくる。
メロディアス度・・8 プログレ度・・7 ライブ演奏・・9 総合・・8◆メタル名盤特選入り
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IT BITES「Live in Montreux」
英国のプログレハードバンド、イット・バイツのライブアルバム。
録音は1987年スイスでのライブからのもので、まさにバンドの絶頂期。
メロディアスでキャッチー、そしてさりげなくテクニカルであるという、
心憎いアレンジの楽曲が巧みな演奏でたっぷりと堪能できる。
公式ライブアルバムである「THANKYOU AND GOODNIGHT」よりもむしろ音質は上で
アレンジ的にもアルバムを意識した丁寧な演奏が光る。ファンは必聴だろう。
メロディアス度・・8 ライブ演奏・・9 音質・・8 総合・・8
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IT BITES「Live in Tokyo」
英国のプログレハードバンド、イット・バイツのライブDVD。
1986〜1989年のあいだに3枚のアルバムを残し、キャッチーなメロディとテクニカルな融合で
プログレとHRを組み合わせたバンドとしては先駆けでもあった彼ら。
全盛期の彼らのライブ映像…しかも伝説の1989年の日本公演の模様が見られるDVDだ!
この手のプログレ系バンドにしては、女性の黄色い声が多いのにも驚きだが、
ヴォーカルをとりながらギターをこなすフランシス・ダナリーを見れば
彼らは確かに四人編成でやっていたのだということが改めて実感できる。
普段着の自然体で、ときに日本語のMCもまじえながらのステージは実に楽しそうで、
演奏の方もさすがに安定しているので、肩の力を抜いて楽しめる。
ライブ映像・・7 ライブ演奏・・8 音質・・7 総合・・7.5
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IT BITESWhen the Lights Go Down
イギリスのプログレハードバンド、イット・バイツのライブアルバム。2006年作
2008年の復活アルバムは素晴らしい出来だったが、これはその先駆けとなった2006年のライブ。
フランシス・ダナリーは不在であるが、代わりに歌うジョン・ミッチェルのジェントルなヴォーカルも
なかなかアダルトな味わいで、過去曲に関しても違和感なく聴ける。きらびやかなシンセにメロディックなギター、
キャッチーな優雅さに包まれたプログレハードサウンドは健在だ。かつてのライブアに比べると、みずみずしい勢いの代わりに
大人のプログレハード的な質感が前にでていて、これはこれでよい。いくぶんKINOの雰囲気をプラスしたとも言えるかも。
メロディアス度・・8 ライブ演奏・・8 大人のイットバイツ度・・9 総合・・8
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IT BITESThe Tall Ships
イギリスのプログレハードバンド、イット・バイツの2008年作
スタジオ作品としては約20年ぶりとなる復活作であるが、期待を裏切らない素晴らしい出来である。
そう、まるであの当時のIT BITESが甦ったようなサウンドに涙、涙である。
キャッチーなメロディに、テクニカルな隠し味とセンス溢れるアレンジ、そして泣きの叙情も盛り込んだ、
素晴らしきプログレハードを聴かせてくれる。フランシス・ダナリーは不参加ながら、KINOでも活躍する
ジョン・ミッチェルの歌声はまったく違和感がなく、むしろ往年以上の瑞々しさとドラマティックな感触が見事。
過去をなぞるだけでない意義のある復活作だ。A.C.Tなどのファンも含めてメロディ派は必聴。
メロディアス度・・8 イット・バイツ度・・9 楽曲・・9 総合・・8.5
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IT BITES「It's Live」
イギリスのプログレハードバンド、イット・バイツのライブアルバム。2010年作
2008年に復活アルバムThe Tall Shipsを発表し、2009年に来日を果たした。そのステージをCD2枚に収録。
キャッチーなメロディをテクニックアルアンサンブルで聴かせるイット・バイツサウンドは再結成後でも不変。
きらびやかなシンセに軽快なリズムとギターワーク、楽しそうなメンバーたちの顔が目に浮かぶようだ。
ジョン・ミッチェルのヴォーカルは大人の味わいがあって、フランシス・ダナリーとはまた違った魅力がある。
“Kiss Like Judas”、“All in Red”、“Yellow Christian”といった往年の楽曲が甦る様はファンには感涙だろうし
新曲の雰囲気も違和感なくセットリストに溶け込んでいる。20年のときをまたいだ来日公演の記録である。
メロディアス度・・8 ライブ演奏・・8 イット・バイツ度・・9 総合・・8
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IT BITES 「It Happened One Night」
イギリスのプログレハード、イット・バイツのライブ作。2011年作
2009年の英国でのライブを2CD+2DVDに収録。メンバー全員が白い衣装というのも、なんとなく80年代的であるが、
2008年作「The Tall Ships」からのナンバーを中心に、80年代の傑作「Once Around the World」からのナンバーも披露。
適度にハードで軽やかなアンサンブルとキャッチーなメロディアス性に包まれた、サウンドはライブにおいても魅力は十分だ。
バンドのフロントである、ジョン・ミッチェルの巧みなギターと味わいのあるヴォーカルに、メンバー全員のコーラスハーモニーが重なり、
ジョン・ベックのオルガンを含む繊細なシンセワークもさすがで、安定した演奏力とともに優雅なプログレハードが再現される。
DVDの画質がさほど良くはないのと、CDの音源ではバスドラがややラウドに感じるのが残念なのだが、
ラストでの大曲「Once Around the World」、アンコールの「This Is England」などはとても感動的だ。
ライブ演奏・・8 ライブ映像・・7 プログレハー度・・8 総合・・8 
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IT BITESMap of the Past
イギリスのプログレハード、イット・バイツの2012年作
2008年の復活作に続く、通算5作目のスタジオアルバムで、ある英国家族の人生をテーマにしたコンセプト作。
流れにそって聴かせるストーリー的な作風でありながら、一曲ごとは明快なメロディをもったキャッチーな聴き心地なので
難解さはまったくない。大人の味わいをかもしだすジョン・ミッチェルのヴォーカルはいよいよ円熟味を増し
随所に美麗なシンセアレンジや適度なテクニカル性をまじえつつ、ゆるやかに盛り上がり、MAGELLANあたりにも通じる
緩急のついたドラマティックなサウンドが展開してゆく。後半はむしろシンフォニック・プログレ的な構築性も見せ、
叙情的なドラマ性が素晴らしい。聴きやすさと完成度が両立した、シンフォニックなプログレハードとして楽しめる力作。
限定盤のDisc2には、ライブDVD「It Happened One Night It」からの音源を6曲収録。
メロディック度・・8 ドラマティック度・・8 プログレハー度・・8 総合・・8
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JADIS「MORE THAN MEETS THE EYE SPECIAL EDITION
英国シンフォバンド、ジャディスの1stのリマスター&デモ音源を収録のCDを加えた2枚組。1992/2005年作
かつてZEROコーポレーションから配給されていたので、案外HR方面に知名度があるかもしれない。
ゲイリー・チャンドラーのメロウなギターワークを前面に押し出した聴きやすいシンフォニックロックサウンドが持ち味で、
メロディの充実度としてはこの1stの楽曲が一番良かったかもしれない。きらきらとしたキーボードワークも
サウンドに爽やな印象を与えていてシンフォニックな部分ではPENDRAGONなどを、
ゆるやかなメロディにはCAMELあたりを思わせるところもある。重厚さや奥行きはあまりないが
非常に耳に心地よく、軽やかなメロディアス/シンフォニックロック作品として再評価に足る内容である。
メロディアス度・・8 プログレ度・・7 爽やか度・・9 総合・・8
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JADIS 「AS DAYLIGHT FADES」
イギリスのプログレバンド、ジャディスのライブ。1998年作
1992年にデビュー、本作は1996年のイギリスでのライブを収録。流麗なギターのメロディに
きらびやかなシンセを重ね、マイルドなヴォーカルとともに、優雅なシンフォニックロックを聴かせる。
デビュー作「More Than Meets The Eye」からのナンバーを主体に、2nd、3rdの楽曲も披露、
アルバム以上に躍動的な演奏で、ゲイリー・チャンドラーの奏でる叙情的なギターがたっぷり味わえる。
同時期のARENAPENDRAGONとともに、90年代英国シンフォの魅力が詰まったライブ作品だ。
ライブ演奏・・8 プログレ度・8 叙情度・9 総合・8 
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JADIS「FANATIC」
イギリスのシンフォニックロック、ジャディスの5th。2003年作
ゲイリー・チャンドラー率いるこのバンドも、デビューからすでに10年以上、
こうしてメロディックなシンフォニックサウンドを続けているというのがまず素晴らしい。
本作には、IQのマーティン・オーフォード、ジョン・ジョウィットが参加、美麗なシンセアレンジに
メロディックなギターを乗せて、オールドなロック感触とシンフォニックな優雅さが同居した作風。
英国らしい叙情性とともに、ポンプロックルーツのキャッチーな味わいもほどよく残していて、ゲイリー自身のマイルドな歌声も
サウンドによくマッチしている。全体的に派手さはないものの、ゆったりとした叙情美で耳心地よく楽しめる好作品だ。
メロディアス度・・8 プログレ度・・7 叙情度・・8 総合・・8
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JADIS「See Right Through You」
イギリスのシンフォニックロック、ジャディスの2012年作
1992年デビューの中堅バンドで、本作が7作目となる。ゲイリー・チャンドラーのメロディックなギターワークと
マイルドなヴォーカルで聴かせる、初期のPENDRAGONなどにも通じるキャッチーなサウンドで、
近年の作品の中ではぐっと初期寄りの爽快な聴き心地である。ヴォーカルパートの耳心地の良さと
プログレらしいシンセアレンジを含んだインスト部分とのバランスもよく、個人的には1st以来の傑作と言いたい。
メロディック度・・8 プログレ度・・7 爽快度・・8 総合・・8
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JADIS 「No Fear of Looking Down」
イギリスのシンフォニックロック、ジャディスの2016年作
1989年にデビュー、本作は8作目となる。美麗なシンセに叙情的なギター、マイルドなヴォーカルを乗せて
1曲目からキャッチーなシンフォニックロックが全開。ゲイリー・チャンドラーの奏でる泣きのギターフレーズも
随所に輝きを放っていて、アコースティックなパートなども折り込みつつ、優雅なサウンドを描いてゆく。
いくぶんモダンな翳りに包まれたナンバーでは、ポストプログレ寄りでもあるスタイリッシュな感触も覗かせつつ、
IQのマーティン・オフォードがゲスト参加、やわらかなフルートやハーディ・ガーディの音色も聴かせてくれる。
派手に盛り上がるところはないが、かつてのジャディスに大人の味わいが加わったという好作品です。
ドラマティック度・・7 プログレ度・・7 優雅度・・8 総合・・8 
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JADIS 「More Than Meets the Eye 25」
イギリスのシンフォニックロック、ジャディスの2017年作
デビュー作にして傑作と名高い、1992年作を25周年記念として新規リミックス、ボーナスDiscを付けたスペシャルエディション。
ゲイリー・チャンドラーの奏でる流麗なギターメロディに、元IQのマーティン・オーフォードの美麗なシンセ重ね、
キャッチーで抜けの良い爽快なシンフォニックロックを聴かせる。Steve Hackettをよりきらびやかにしたという感じもあり、
ややクドいながらもメロウなギターフレーズは、ポンプロック以降の濃密な味わいで、シンフォ好きにはたまらないだろう。
よりクリアになった音質で、今聴いても古臭さは感じさせない。優雅でメロディックなギター主導の英国シンフォの逸品である。
ボーナスDiscには、アコースティックバージョン、1993年のライブ音源、未発曲、デモなど貴重音源8曲を収録。
メロディック度・・8 プログレ度・・7 優美度・・9 総合・・8 
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Jan Scheelhaas 「DARK SHIPS」
イギリスのミュージシャン、ヤン・シェルハースの2008年作
CAMELやCARAVANで活躍するシンセ奏者のソロで、本作には元キャラバンのギタリスト、ダグ・ボイル、
フルート&サックス奏者のジミー・ヘイスティングスが参加している。やわらかなシンセにメロウなギター、
自身のマイルドなヴォーカルを乗せた、優美でキャッチーなプログレハード風味のサウンドを聴かせる。
フルートの音色が優雅な小曲から、シンフォニックなシンセアレンジに、CAMELばりの叙情的なギター、
ときにサックスも加わった、しっとりとした繊細な耳心地で、幻想的な空気に包まれた逸品です。
ドラマティック度・7 プログレ度・7 優美度・9 総合・8 
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Jan Schelhaas 「Living On A Little Blue Dot」
イギリスのミュージシャン、ヤン・シェルハースの2017年作
CAMELCARAVANで活躍するシンセ奏者で、本作にはCAMELのアンディ・ラティマー、CARAVANのパイ・ヘスティングス、
ダグ・ボイルなどが参加、優美なシンセワークにメロウな叙情を奏でるギターに、自身のマイルドなヴォーカルを乗せた、
キャッチーでスペイシーなシンフォニックロックを聴かせる。ジミー・ヘスティングスによるサックスも味わいがあり、
ほぼ全曲に参加するダグ・ボイルによるギターワークも素晴らしい。哀愁に包まれた大人のメロディックロックという趣に、
やわらかなシンセが包み込むという、じつに優しいサウンドが味わえる。80年代ルーツのプログレハード好きにもぜひ。
2021年のリマスター再発盤には、アンディ・ラテイマーが参加する未発のボーナスを3曲追加収録。
メロディック度・8 プログレ度・7 優美度・9 総合・8
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Jan Schelhaas 「Ghosts」
イギリスのミュージシャン、ヤン・シェルハースの2018年作
ソロとしては3作目で、前作にも参加していたジミー・ヘスティングスによるサックスの音色に美しいシンセを重ね、
マイルドなヴォーカルとともに、ゆったりとした優美なメロディックロックを聴かせる。スペイシーだった前作よりは、
キャッチーな英国ロック風の作風であるが、繊細なピアノを含むやわらかなシンセアレンジが素晴らしく
わりとポップなヴォーカルメロディとともに、ASIAを大人のシンフォニックロックにしたような趣でも楽しめる。
元CARAVANのダグ・ボイルのギターも数曲でメロウな旋律を乗せて、9分の大曲などもしっとりとした味わいだ。
2021年のリマスター再発盤には、アンディ・ラテイマーが参加する未発曲を含むボーナスを3曲追加収録。
メロディック度・8 プログレ度・7 優美度・9 総合・8
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JEFF GREEN PROJECT 「Elder Creek」
アイルランドで活動するアメリカ人ミュージシャン、ジェフ・グリーンのソロ。2014年作
オルガンやムーグを含んだシンセアレンジ、適度にテクニカルなリズムとグルーヴィなベース、繊細なギタートーンで聴かせる
メロディックなサウンドで、マイルドなヴォーカルを乗せたキャッチーな歌もの感は、It Bitesあたりを思わせる。
いわゆるシンフォ系のマイナー臭さはなく、抜けの良いメロディックロックをプログレ寄りにアレンジしたという作風で、
やわらかなコーラスなどは、Neal Morseなどにも通じる爽快な感触だ。もちろんギタリストとしての音色のセンスや
フレージングも巧みに耳に心地よく、これまでさしたるキャリアと知名度がないというのが信じられないくらいである。
ラストは20分の組曲で、メリハリに富んだ構築美と幻想的な展開を覗かせる。なかなかの力作だ。
メロディック度・・8 キャッチー度・・8 叙情度・・7 総合・・7.5
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JOHN HACKETT 「CHECKING OUT OF LONDON」
イギリスのミュージシャン、ジョン・ハケットの2005年作
スティーブ・ハケットの弟であるフルート奏者で、本作には兄のスティーブ・ハケットやニック・マグナスなどが参加。
アコースティックギターにうっすらとしたシンセ、ジェントルなヴォーカルを乗せた哀愁の叙情漂うサウンド。
スティーブの奏でるメロウなギターも随所に加わって、オルガンなどを含む優美なシンセによる味付けと
キャッチーな歌もの感が同居した、素朴なメロディックロックという聴き心地。楽曲は3〜5分前後と、
全体的にプログレ的な展開というはあまりないが、翳りを帯びた英国的な叙情に包まれた味わいで、
やはり兄ハケットの泣きのギターフレーズが随所に素晴らしい。落ち着いた大人の美学を感じる好作品。
ドラマティック度・7 プログレ度・6 英国度・8 総合・7.5
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John Hackett 「Another Life」
イギリスのミュージシャン、ジョン・ハケットの2015年作
スティーブ・ハケットの弟で、フルート奏者としても知られるミュージシャン。本作ではベースとヴォーカルも担当。
兄のスティーブ・ハケットもギターで参加、ニック・マグナスによるやわらかなシンセアレンジにアコースティックを含むギター、
マイルドなヴォーカルとフルートも鳴り響き、繊細な叙情に包まれたサウンドを聴かせる。
スティーブ・ハケットのメロウなギターの旋律とともに、ジョン・ハケットのジェントルな歌声も優しく耳心地が良い
3〜5分前後の小曲を主体に、キャッチーなメロディアス性と、Marillionなどにも通じる、しっとりとした歌ものナンバーで
トータルな流れも感じさせる。アンソニー・フィリップスがゲスト参加した、12弦ギターの典雅な響きにもウットリです。
ドラマティック度・・7 プログレ度・・7 優美で繊細度・・9 総合・・8
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John Hackett Band 「We are not Alone」
イギリスのミュージシャン、ジョン・ハケット率いるバンドの2017年作
スティーブ・ハケットの弟として知られるフルート奏者で、バンド名義としては初のアルバムとなる。
ジョンはシンセにサイドギター、リードヴォーカルも担当、やわらかなフルートに叙情的なギターとシンセに、
マイルドなヴォーカルを加えた、優雅でキャッチーなメロディックロック。S.ハケットとホールズワースの中間というような
甘美なフレーズを奏でる、ニック・フレッチャーのギターワークも魅力的で、繊細なジョンの歌声を引き立てている。
80年代プログレハード、AOR的でもあるポップな雰囲気もありつつ、どこか翳りを帯びた歌声が英国らしい味わいで、
モダン過ぎないウェットな聴き心地。派手なところはないが、優美なフルートとセンスのあるギターが素敵な逸品です。
ドラマティック度・・7 プログレ度・・7 叙情度・・8 総合・・8
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JOHN WETTON「Rock of Faith」
イギリスのミュージシャン、ジョン・ウェットンのソロ。2003年作
ASIA、U.K.などで知られるヴォーカリストにしてベーシスト。本作にはジョン・ミッチェル(ARENA、IT BITES)、
クライブ・ノーラン(ARENA、PENDRAGON)、ジェフリー・ダウンズ(YES、ASIA)らが参加し、
美麗なシンセアレンジにメロウなギター、そしてウェットンの味わい深いヴォーカルで聴かせる、
シンフォニックロック寄りの作品となっている。全体的にもゆったりとしたナンバーが主体であるが、
オルガンを含むプログレ寄りのシンセアレンジに泣きのギターフレーズで、英国らしい優美な叙情に包まれる。
そしてウェットンの枯れた味わいの歌声で、のちのICONへとつながるようなウェットなドラマ性を描いてゆく。
PENDRAGONのピーダー・ジー、元IQのマーティン・オーフォードなどがゲスト参加。
シンフォニック度・・8 プログレ度・・7 叙情度・・9 総合・・8
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WETTON DOWNES「Icon」
ジョン・ウェットンとジェフ・ダウンズのユニットの2005年作
互いにキャリアのあるミュージシャンのコラボということで、ファンも期待を寄せたことだろうが、
サウンドは美麗なシンセアレンジと、渋みのあるウェットンのヴォーカルで聴かせる正統派のプログレハード。
英国らしい荘厳な雰囲気と湿り気ある叙情性が素晴らしく、ASIAのポップ性を薄めてドラマティックにしたような聴き心地。
シンフォニックといってもよいダウンズのシンセも楽曲を重厚に彩っている。英国らしさという点では、TENMAGNUMなどを思わせるような
シリアスな世界観もあって、随所に聴かせるメロウなギターの旋律とともにハードロック系のリスナーにも楽しめるだろう。
イアン・マクドナルド、アニー・ハズラムなどがゲスト参加。ボーナスにASIA“Heat of Moment”2005年バージョンを収録。
ドラマテイック度・・8 プログレ度・・7 英国度・・9 総合・・8
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WETTON DOWNES「Icon II - Rubicon」
ジョン・ウェットンとジェフ・ダウンズのユニットの2006年作
前作から1年あまりで2作目を完成させたことからも、この二人の相性の良さというものが窺えるのだが、
サウンドの方も前作に引き続き、きらびやかなシンセに滝度にハードなギターで聴かせるドラマティックなプログレハードで、
ASIAを思わせるキャッチーな感触と随所にストリングスなども加えたシンフォニックな重厚さも素晴らしい。
前作よりも、いくぶんポップな楽曲が増えているが、当然ながらその方向性でもウェットンのヴォーカルはマッチしていて、
おそらくこれが、2008年のASIAの復活作「Phoenix」へとつながる下地ともなったのだろう。とくにラスト曲は感動的だ。
今作ではThe Gatheringのアネク・ヴァン・ガースバーゲンがゲスト参加、ウェットンとのデュエット曲でその美声を聴かせてくれる。
ドラマテイック度・・8 プログレ度・・7 英国度・・9 総合・・8
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WETTON DOWNES「Icon 3」
ジョン・ウェットンとジェフ・ダウンズのユニットの2009年作
アイコン3部作の最終章として位置づけられた作品であるが、ASIA復活後の作品ということもあってか、
サウンドは過去2作よりもライトでキャッチーな仕上がりとなっている。さすがというべきダウンズのシンセワークに
熟練のウェットン先生のヴォーカルであるから、悪い出来であろうはずもなく、まさに安定の極地。
QUEENを思わせるようなやわらかなメロディの“Destiny”や、アン・マリー・ヘルダー(Mostly Autumn、KARNATAKA)が
ゲスト参加した“Raven”は美しい女性ヴォーカルのしっとりとした聴き心地にうっとりである。
前にも聴いたようなメロディや、いかにもASIA的なナンバーも出てくるが、この二人なら許されるのである。
メロディック度・・8 プログレ度・・7 英国度・・8 総合・・8
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WETTON-DOWNES ICON 「URBAN PSALM LIVE」
ジョン・ウェットンとジェフ・ダウンズのユニットのライブ作品。2017年作
2012年にDVDのみで出ていたものの拡大版で、2009年にロンドンの教会で行われたライブを2CD+DVDに収録。
ギターはBLEEDING HERATS BANDのデイヴ・キルミンスター、元E.L.O.の故ヒュー・マクドウェルがチェロで参加、
MOSTLY AUTUMN/PANIC ROOMのアン・マリー・ヘルダーがフルートで参加している。「ICON 3」からのナンバーを主体に
ASIAやTHE BUGGLES、KING CRIMSONのナンバーも披露。音質も良好で、ダウンズのきらびやかなシンセワークに
渋みを増した故ウェットンのヴォーカルとともに、キャッチーで叙情的な大人のプログレハードを聴かせてくれる。
アン・マリーの美声とウェットンの優美なデュエットや、名曲「Starless」や「Heat of the Moment」もさすが本家の歌声。
ウェットン先生の生前の歌声と、動くライブでの映像が楽しめるという点でも、ファンには嬉しい作品です。
ライブ演奏・8 ライブ映像・8 ウェットン度・9 総合・8 
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Josh & Co. Limited「Through These Eyes」
Mostly Autumnのブライアン・ジョシュによるユニットの2008年作
ゆったりとした牧歌的なサウンドは、やはりMostly Autumnに通じるものであるが、
本作はあくまで彼のソロ的な作品ということで、ヴォーカルも男性声が中心。
しっとりとした薄暗い叙情とともに、PINK FLOYD的な浮遊感もいくぶんあって、
楽曲は比較的コンパクトながら、のんびりと楽しめる耳心地のよい音だ。
また、Mostly Autumnのオリビア嬢も参加しており、数曲で美しい歌声を聴かせてくれる。
メロディアス度・・8 シンフォニック度・・7 モストリーオータム度・・8 総合・・8
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Josh & Co.LTD「Transylvania Part 1- The Count Demands It」
Mostly Autumnのブライアン・ジョシュによるプロジェクトの2016年作
ドラキュラ伝説をテーマにしたコンセプト作で、語りによるイントロから、アコースティックギターの素朴な感触に
ブルージーなエレキギターとジェントルなヴォーカルを乗せた、フォークロック風味のサウンドが広がってゆく。
Mostly Autumnのオリビア嬢も参加して、その美しい歌声に、シンフォニックなアレンジや、
現Nightwishのトロイ・ドノクリーによるバグパイプやホイッスルがケルティックな感触も加え
時にハードロック寄りのギターも覗かせつつ、ストーリー的な流れとともに進行してゆく。
楽曲ごとのインパクトや盛り上がりという点ではやや物足りないが、2作目に期待というところか。
ドラマティック・・8 プログレ度・・7 楽曲・・7 総合・・7.5
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KAPREKAR'S CONSTANT 「Fate Outsmarts Desire」
イギリスのプログレバンド、カプリカーズ・コンスタントの2017年作
オルガンやムーグを含むシンセに、フルートやサックスが鳴り響き、マイルドなヴォーカルを乗せ
ゆったりとした大人の叙情に包まれた、オールドな味わいのシンフォニックロック。17分、21分という大曲も、
派手に盛り上げるのではなく、美しいシンセにメロウなギターを重ねて、じっくりと繊維な流れで描かれる。
キャッチーで優雅な感触はCAMELなどにも通じるところもあり、フォークルーツの牧歌的な小曲なども耳心地よい。
元VDGGのデビッド・ジャクソンがサックス&フルートで賛歌、その娘、ドリー・ジャクソンもヴォーカルで参加していて、
ラストの大曲では透明感のある美声を聴かせてくれる。英国らしいゆるやかな叙情のシンフォニックロック作品です。
ドラマティック度・・7 プログレ度・・7 大人の叙情度・・8 総合・・7.5
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Kaprekar's Constant 「Dept of Field」
イギリスのプログレバンド、カプリカーズ・コンスタントの2019年作
2017年にデビュー、これが2作目となる。VDGGのデヴィッド・ジャクソン、CARAVANのマーク・ウォーカーが参加、
美麗なシンセアレンジにマイルドな男性ヴォーカル、美しい女性ヴォーカルにホイッスルやフルートも加わって、
英国らしい優美な叙情に包まれたサウンドを描く。やわらかなエレピやサックス、メロウなギターの旋律も覗かせ、
カンタベリー的でもある優雅な味わいとともに、10分前後の大曲をゆったりと構築する、大人のシンフォニックロックという作風。
23分の大曲では、マンドリンやホイッスルなどのアコースティックな牧歌性とシンフォニックな壮麗さが合わさってウットリ。
英国的な優雅な美意識に包まれた、優しいシンフォニックプログレが楽しめる逸品です。
ドラマティック度・・8 プログレ度・・8 優雅度・・9 総合・・8
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KAPREKAR'S CONSTANT 「The Murder Wall」
イギリスのプログレバンド、カプリカーズ・コンスタントの2022年作
2017年にデビューし、3作目。山岳をコンセプトにしたアルバムで、前作に続き、Van der Graaf Generatorのデヴィッド・ジャクソン、
娘のドリー・ジャクソン、CARAVANのマーク・ウォーカーが参加、やわらかなシンセに叙情的なギターと男女ヴォーカルの歌声で、
英国らしいウェットな味わいのシンフォプログレを聴かせる。繊細なピアノやデヴィッド・ジャクソンのサックスやフルートも楽曲を彩り、
英国を代表する女性シンガー、Judie Tzukeがゲスト参加し、1曲で美声を聴かせてくれる。優雅で牧歌的な味わいに包まれた、
MOSTLY AUTUMNにも通じる作風だろう。小曲を連ねてゆくストーリー的な構成で描かれる、全74分という力作だ。
ドラマティック度・8 プログレ度・7 優美度・9 総合・8
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karda estra「eve」
イギリスのクラシカル・ゴシックユニット、カルダ・エストラの2001年作
クラシック界で活躍するRichard Wilemanを中心としたプロジェクトで、
本作は18世紀の小説「THE FUTURE EVE」という作品をテーマにしている。
サウンドはうっすらとした美しいシンセに、アコースティックギターを中心に、
ヴァイオリンやフルート、オーボエなどが絡みつつ、しっとりとした女性スキャットも入ってくる。
ダークさよりもクラシカルな美しさが前に出ていて、幻想的な浮遊感が耳に心地よい。
シンフォニック度・・7 プログレ度・・6 しっとり幻想度・・9 総合・・7.5
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karda estra「Voivode Dracula」
イギリスのクラシカル・ゴシックユニット、カルダ・エストラの2004作
本作のテーマはドラキュラということもあってか、クラシカルな雰囲気は変わらないが
チェンバーロック的な優雅な作風の中にもややダークな質感が増している。
うっすらとしたシンセに絡むオーボエ、クラリネット、ヴァイオリンなども美しく
やわらかな耳触りの良さの中に、雰囲気ものとしての世界観は強度を保っている。
プログレやゴシックとして聴くにはインパクトが足りないかもしれないが、
ART ZOYDなどのような薄暗いチェンバーロックとしてはかなり楽しめる。
クラシカル度・・8 プログレ度・・7 薄暗チェンバー度・・8 総合・・8
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Karda Estra 「The Age of Science and Enlightenment」
イギリスのゴシック・チェンバーロック、カルダ・エストラの2006年作
クラシック界でも活躍するRichard Wilemanを中心としたプロジェクトユニットで、
ピアノを含む優雅なシンセワークに、オーボエやヴァイオリン、フルート、サックスなどが絡む
ダークでミステリアスなチェンバーロックを聴かせる。随所に女性のスキャットヴォイスも加わると、
妖しく耽美な雰囲気に包まれる。いわゆるロック的な要素はあまりないので、一般のプログレファンには向かないが、
Art Zoydなどの、薄暗くクラシカルなチェンバーロックが好きな方にはとても楽しめるだろう。
クラシカル度・・8 チェンバー度・・8 妖し度・・8 総合・・8
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Karda Estra 「Weird Tales」
イギリスのゴシック・チェンバーロック、カルダ・エストラの2009年作
クラシック界でも活躍するミュージシャン、Richard Wilemanを中心としたプロジェクトで、
本作は各楽曲ごとに書物や絵画をテーマにしたコンセプトがあるようだ。
ヴァイオリンやクラリネット、オーボエ、フルートなどがクラシカルで優雅な旋律を奏でつつ、
うっすらとしたシンセが幻想的に包み込み、ミステリアスでダークな世界観を描いてゆく。
ART ZOYDあたりにも通じるダークなチェンバーロックの感触であるが、こちらはもう少し
シンフォ寄りの分かりやすさがある分、とっつき安いかもしれない。優雅でダークな好作品。
クラシカル度・・8 プログレ度・・7 ミステリアス度・・8 総合・・8
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Karda Estra 「Mondo Profondo/New Worlds」
イギリスのチェンバーロック、カルダ・エストラの2013年作
ギター、ベース、シンセを操るマルチミュージシャン、Richard Wilemanによるソロユニットで、
本作は2013年のミニアルバムと、2011年作のカップリングCD。不協和音を含んだピアノが鳴り響き、
艶やかなストリングスが包み込む。ドラムのリズムに乗む重々しいベースが不穏な緊張感をかもしだす、
まさに王道のチェンバーロックが楽しめる。一方では、女性声のスキャットにメロウなギターが加わった、
シンフォニックロック的な優美さや、オーボエの音色に繊細なピアノが絡むクラシカルな聴き心地にもウットリ。
2011年作の方は、うっすらとしたシンセにサウンドスケープ的なギターによる、クールなアンビエント感触と、
オーボエやクラネットによる優雅なチェンバー色が合わさった、わりとモダンなアレンジでじっくりと楽しめる。
クラシカル度・・8 チェンバー度・・9 優雅で不穏度・・9 総合・・8 
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Karda Estra 「Strange Relations」
イギリスのクラシカル・チェンバーロック、カルダ・エストラの2015年作
ギター、ベース、シンセを操るマルチミュージシャン、Richard Wilemanによるソロユニットで、
90年代から活動していて作品は優に10作は超える。本作はこれまでのようなゴシック的なダークさは薄めで、
ジャズやクラシック風味で軽妙に聴かせる、チェンバーロックサウンド。エレピやシンセ、ギター、ドラムを中心に、
オーボエやクラリネット、サックス、トランペットなどの音色が優雅に加わる、いわばUNIVERS ZEROの暗黒度を
いくぶん薄めたような聴き心地である。本作では世界観よりもアンサンブル重視の作風なので、
プログレ、チェンバーロックのリスナーにもぐっと聴きやすいアルバムになっている。
クラシカル度・・8 プログレ度・・8 ミステリアス度・・7 総合・・8
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KARDA ESTRA 「Time and Stars」
イギリスのクラシカル・チェンバーロック、カルダ・エストラの2016年作
マルチミュージシャン、Richard Wilemanによるソロユニットで、本作は「The Stars and The Stars」、
「Foture Sounds」という2つのパートに分けられたアルバム。やわらかなクラリネットにピアノ、シンセが絡み、
暗すぎないダークさとクラシカルな優雅さに包まれた、耳心地の良いチェンバーロックサウンド。
女性ヴォーカルも加わったやわらかな美しさと、今作ではアコースティックギターによる繊細さとともに、
ほの暗い翳りを含んだ優美な叙情にうっとりと浸れる。後半にはドラムを加えたロック色も覗かせつつ、
UNIVERS ZEROのようなミステリアスな空気感も楽しめる。これぞチェンバーロックという作品。
クラシカル度・・8 チェンバー度・・8 優雅度・・9 総合・・8 
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Karda Estra 「Infernal Spheres」
イギリスのクラシカル・チェンバーロック、カルダ・エストラの2017年作
ギター、ベース、シンセを操るマルチミュージシャン、Richard Wilemanによるソロユニットで
ミステリアスなシンセに、ギターやクラリネット、オーボエ、トロンボーンなどを使用した、
クラシカルなチェンバーロックは本作も同様。アコースティックギターにオーボエが重なる
物悲しくもミステリアスな空気感というのは、いかにも王道のチェンバーミュージックらしい。
美しいストリングスや、シンセの重ねにノイジーなギターを加えたアレンジなど、空間的なスケール感と
スリリングな緊張感の同居も、さすがキャリアのあるミュージシャンである。一方では、ドラムの加わったナンバーは
わりとキャッチーで、女性スキャットも入ったり、サロン系チェンバーのノリもある。いつになく多様な印象の逸品だ。
クラシカル度・・8 チェンバー度・・9 ミステリアス度・・8 総合・・8 
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KARNATAKA「KARNATAKA」
ウェールズの女性ヴォーカルロックバンド、カルナタカの1st。1998作
ケルテイックな女性ヴォーカルロックとしてを開花した次作に比べ
この1stのサウンドは、IONAというよりはALL ABOUT EVEといった雰囲気だ。
ジュリアンヌ・リーガン的な、けだるげな美声Voがしっとりとした曲に歌を乗せている。
ケルト色はまださほどでもなく、壮大さよりもゆったり系のサウンド。
バックのキーボードがギターと重なり、なかなか美しい。化ける前のもう一息の作品。
メロディアス度・・8 トラッ度・・5 女性Vo度・・8 総合・・7

KARNATAKA「THE STORM」
ウェールズの女性ヴォーカルロックバンド、カルナタカの2000年作
イギリスではIONAに次ぐ逸材として注目を集めたバンドの2ndは、
たゆたうような女性ヴォーカルの歌声に、モダンなシンセアレンジによる幻想的な美しさで聴かせる
しっとりとしたサウンドが素晴らしい。ケルト的な要素はIONAよりも薄く、ギターにしてもロックに近い音を出していて、
ALL ABOUT EVEにも通じる、翳りある世界観を上手くアップデートに表現できている。
シンフォニックな壮大さではIONAに一歩譲るが、今後の成長がさらに楽しみなバンドである。
メロディアス度・・8 ケルティック度・・7 女性Vo度・・9 総合・・8
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KARNATAKA「In Concert」
イギリスのケルティック・フィメール・ロックバンド、カルナタカのライブDVD
女性ヴォーカルをフロントに、キーボード入りで、シンフォ的要素も加味した心地よいサウンドは、
IONAとCORRSの中間を埋める存在として、広くプログレ、ケルトファンを問わずアピールするだろう。
Voのレイチェルの魅力的な(スレンダーな容姿も)歌唱に加え、美女三人のコーラス隊(曲によってはフルート)も美しく曲を彩る。
IONAよりはずっとロック色が強く、トラッド要素を押し出しすぎないのも、万人受けする一因かもしれない。
ライブ映像に混じって時折流れるクリップ的な映像も美しい。全体を通してスリリングな部分はないが、しっとりと聴ける一作。
メロディアス度・・8 ライブ映像・・8 ライブ演奏・・8 総合・・8
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KARNATAKA「DELICATE FLAME OF DESIRE」
イギリスはウェールズ出身の女性ヴォーカルロックバンド、カルナタカの3rd。2003年作
ケルティックなフィメールロックとしては、IONA+ALL ABOUT EVEという言い方も出来るが、
今作では、よりシンフォニックなアレンジが増しており、繊細かつダイナミックな色彩が高まっている。
美貌の女性ヴォーカル、レイチェルの歌唱の素晴らしさは、英国のクラシックロック・ソサエティで大賞をとるほどの実力。
女性ヴォーカルものとしてはもちろん、美麗なシンフォニックロックとしても楽しめる質の高さである。
ケルティックな要素を控えめにしながら、随所にそれを感じさせる温かみのあるアレンジを聴かせるのはさすが。
シンフォニック度・・8 トラッ度・・7 女性Vo度・・9 総合・・8.5
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KARNATAKA「LIVE IN THE USA」
イギリスのケルティック・フィメール・ロックバンド、カルナタカのライブDVD。
2002年アメリカでのライブの模様で、映像作品としては2作目となる。
よりシンフォニックになった3rd「DELICATE FLAME OF DESIRE」からの楽曲をメインに
ケルティック風味をマイルドに昇華したサウンドに美声のレイチェルの歌声がしっとりと響く。
演奏陣も安定していて、レイチェルの夫であるベーシスト、堅実かつ意外と手数の多いドラム、
メロウに鳴り響くギター、ここぞと盛り上げるキーボード、そしてサブヴォーカル兼フルート奏者と、
調和のとれたアンサンブルを聴かせてくれる。レイチェルのおへそが見えないのは涙を呑むとして、
カメラワーク的にやや古くさいのと、映像におけるスローやモノクロなどのエフェクトにはあまり感心できないし、
曲ごとにメンバーのインタビューが挿入されるのもやや興ざめか。ゆったりと鑑賞できる音楽としては高品質です。
ライブ映像・・7 ライブ演奏・・8 レイチェル嬢・・8 総合・・8
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KARNATAKA「STRANGE BEHAVIOUR」
イギリスのケルティックロックバンド、カルナタカのライブアルバム。CD2枚組。2004年作
ライブでの実力はDVDでも証明済みだが、こうして音だけを聴いていてもバンドとしての成熟が感じられ、
初代ヴォーカルのレイチェル嬢の清涼な歌声とともに一体感のある素晴らしい演奏が堪能できる。
ケルト要素をロックと融合させ、結果として非常に高品質な女性Voものシンフォとして
IONAらとともに活動を続けてきたこのバンドだが、アルバム3枚にDVD2作品を発表し、
このライブ作品を最後に解散。彼らの音楽の軌跡としてこのライブアルバムの価値は大きく、
バンドの全盛期の瑞々しいサウンドを感動的に我々に伝えてくれる。ケルティックロック好き、女性Voファンはマスト!
シンフォニック度・・8 女性Vo度・・9 演奏・・9 総合・・8.5
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KARNATAKA「Gathering Light」
イギリスのケルティックロックバンド、カルナタカの2010年作
かつて美声の女性Vo、レイチェル・ジョーンズを擁して3枚のアルバムを残したが、
その後、夫であるバンドリーダーのイアン・ジョーンズとの離婚もありレイチェルは脱退。
バンドは消滅したかに思えたが、新たにリサ・フューリィを迎えてここに復活作を完成させた。
シンフォニックな美麗さとケルティックなメロディが融合し、優雅にしてダイナミックなサウンドで、
躍動感のあるリズムに乗るきらびやかなシンセワークと、そこにかぶさる泣きのギター、
その華麗にして厚みのあるサウンドに、新生バンドとしての意気込みが伝わって来る。
そして3曲目からはお待ちかねのヴォーカル曲。リサ嬢の歌声は落ち着きのある中音域で
レイチェル嬢とはやや雰囲気が違うが、しばらく聴いていると耳に馴染んでくる。
なんにしてもバンドの復活は嬉しいし、Panic Room、The Reasoningともども頑張っていって欲しい。
シンフォニック度・・9 ケルティック度・・7 女性Vo度・・8 総合・・8.5
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KARNATAKA「New Light」
イギリスのケルティックロック、カルナタカのライブ作品。2012年作
2010年に復活作となる「Gathering Light」を発表、本作はイギリスでの2012年のライブを2CDに収録。
スタジオ作からメンバーはまた代わっているが、シンフォニックな美しさとケルティックなメロディが合わさった
バンドサウンドはそのままで、ライブの躍動感が加わってさらに魅力を増している。艶やかなヴァイオリンの音色に、
メロウなギターが絡み、新ヴォーカルのヘイリー嬢のやわらかな歌声に包まれて、じつに優しい聴き心地である。
新作からの曲をメインにしつつ、過去のアルバムからも演奏。新たにこのバンドを知る方にも楽しめる内容のライブ作品だ。
ケルティックシンフォ度・・8 ライブ演奏・・8 女性Vo度・・8 総合・・8
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KARNATAKA 「Secrets Of Angels」
イギリスのケルティックロックバンド、カルナタカの2015年作
1998年にデビューしてから本作で5作目、復活作となった前作はじつに素晴らしい出来であったが、
今作ではまたしてもメンバーが変更。新ヴォーカルにはリヴァーダンスなどでも活躍したヘイリー・グリフィスが加入した。
シンフォニックな美麗アレンジに適度なハードさも含んだギターとケルティックな香りを漂わせたメロディ、
そして美しい女性ヴォーカルの歌声で聴かせるサウンドはよりダイナミックになり、シンフォニックメタルや
フィメールメタルのファンにも楽しめるくらいの聴き心地である。これまでにないぐっとキャッチーなナンバーや
しっとりとしたバラードなど、アルバムとしてのメリハリもあり、表現豊かなヘイリー嬢の歌声が素晴らしい。
ラストの20分の大曲は、ケルティックな世界観からシンフォニックメタル的に盛り上がりを見せる。まさに美麗傑作!
シンフォニック度・・9 美麗度・・9 女性Vo度・・9 総合・・8.5
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KARNATAKA 「SECRETS OF ANGELS LIVE IN CONCERT」
ウェールズ出身のシンフォニックロック、カルナタカのライブ。2018年作
2016年ロンドンでのライブを2CDに収録。2015年作「天使の秘密」全曲に、過去作のナンバーも演奏。
美麗なシンセにほどよくハードなギター、そしてフェミニンな女性ヴォーカルの歌声を乗せた、
同作でのハードシンフォ路線から、しっとりとした叙情ナンバーまで、優美な耳心地で楽しめる
随所にメロウなギターの旋律もサウンドを彩っていて、紅一点、ヘイリー・グリフィス嬢のヴォーカルも
美しいソプラノからいくぶん力んだ歌唱まで、アルバム以上にエモーショナルに歌い上げる。ハイライトの20分のタイトル曲は、
ケルティックな旋律も盛り込みながら、伸びやかな歌声とギターとシンセを重ねて壮麗に盛り上げる。本ライブのDVD盤もあり。
ライブ演奏・・8 優美度・・9 女性Vo度・・8 総合・・8 
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Kentish Spires 「The Last Harvest」
イギリスのプログレバンド、ケンティッシュ・スパイアーズの2018年作
艶めいた女性ヴォーカルの歌声にサックスやフルートが鳴り響き、やわらかなオルガンとともに
かつてのカンタベリー系ロックを思わせる、優雅で軽やかなアンサンブルを聴かせる。
紅一点、Lucie Vの歌声は中音域の魔女めいた妖しさがあって、英国フォークな空気も感じさせ
10分を超える大曲でも、ほどよいユルさとフリーキーな味わいがあって、それもまた70年代的だ。
これという派手さはないのだが、この懐古主義的なアナログ感は耳心地よく、最後まで優雅に鑑賞できる。
ドラマティック度・・7 プログレ度・・7 英国度・・9 総合・・8 

The Kentish Spires 「Sprezzatura」
イギリスのプログレバンド、ケンティッシュ・スパイアーズの2019年作
2018年にデビューし、すでに2作目となる。女性Voにサックス奏者を含む6人編成で、オルガンを含むシンセに
サックスが優雅に鳴り響き、軽妙なアンサンブルで聴かせるジャズロックの感触に、女性ヴォーカルの歌声と
やわらかなフルート、アコースティックギターにピアノも加えた、英国フォーク風の素朴な牧歌性も含んだサウンド。
紅一点、Lucie.Vさんの歌声は、なよやかというよりは姐御系の雰囲気で、独特の味わいをかもしだし、
どこか妖しく魔女めいたところもある。ヴィンテージな70年代感覚に包まれつつも、決して濃密にはならず
シンプルな音数でさらりとした聴き心地。もう少し展開力が欲しい気もするが、この素朴さに惹かれる方も多いかと。
ドラマティック度・・7 プログレ度・・7 優雅度・・8 総合・・7.5
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KEPLER TEN 「A NEW KIND OF SIDEWAYS」
イギリスのプログレバンド、ケプラー・テンの2020年作
2017年にデビューし、2作目となる。ハード寄りのギターにシンセを重ね、巧みなドラムとともに、
モダンなエッジの効いたハードプログレを聴かせる。随所に流麗なギタープレイも聴かせながら、
伸びやかなヴォーカルを乗せたキャッチーな抜けの良さに、ProgMetal的な展開力も覗かせる。
ほどよいテクニカル性とメロディアスな爽快さという点では、ENCHANTなどにも通じるだろう。
存在感あるベースもなにげに効いていて、スタイリッシュなアンサンブルは演奏力の高さを感じさせる。
ラストは20分という大曲で、重厚さと緩急ある構築力で、高品質なモダンプログレが楽しめる。
ドラマティック度・7 プログレ度・7 スタイリッシュ度・8 総合・8
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KIAMA 「Sign of IV」
イギリスのプログレハードロック、キアマの2016年作
MAGENTAのロブ・リードを中心に、FROST*のアンディ・エドワーズをドラムに、ギターにはルーク・マシンが参加
THE REASONINGのディラン・トンプソンをリードヴォーカルに据えた編成で、70年代ルーツの古き良きロック感触と
シンフォニックなプログレ性をほどよくブレンドしたという作風。いうなれば、レッド・ツェッペリン的な英国ハードロックを
オルガンなどを含む美しいシンセとともに、プログレファン向けに構築したという聴き心地である
随所に聴かせるルーク・マシンのテクニカルなギタープレイや、ロブ・リードの美麗なシンセアレンジもさすがで、
しっとりとした叙情的なバラード曲などはシンフォニックロック的にも楽しめる。大人の味わいに包まれた力作。
メロディック度・・8 プログレ度・・7 英国ロック度・・9 総合・・8
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Kim Seviour 「Recovery Is Learning」
イギリスの女性シンガー、キム・セイヴィアーの2017年作
TOUCHSTONEのシンガーのソロで、ジョン・ミッチェル(It Bites)が全面プロデュース、演奏も手掛けている。
美麗なシンセアレンジに、伸びやかでフェミニンな女性ヴォーカルを乗せたメロディックロックで、
適度なプログレ感をシンフォニックに包み込んだという聴き心地。男女Voだったタッチストーンに比べると、
彼女の歌声の魅力がダイレクトに感じられ、楽曲は4〜5分とわりとシンプルながら、
壮麗な音の厚みとキュートでコケティッシュな女性ヴォーカルにぐぐっと引き込まれます。
随所にメロウなギターソロも含んだ楽曲アレンジのセンスはさすがジョン・ミッチェル。
KARNATAKALANDMARQなどが好きな方にもお薦めの、フィメール・シンフォニックロックの傑作です。
メロディック度・・8 プログレ度・・7 女性Vo度・・9 総合・・8
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KINO「PICTURE」
イギリスのモダンプログレバンド、キノの2005年作
IT BITESARENAMARILLION、元PORCUPINE TREEのメンバーが集結したスーパーバンド。
薄暗く繊細な叙情を含んだ、ARENAから受け継がれた英国モダンプログレの完成形というべきサウンドで、
ARENA、IT BITESなどで活躍するジョン・ミッチェルのやわらかなヴォーカルを乗せたキャッチーな聴き心地に、
同じくIT BITESのジョン・ベックのプログレらしいシンセが重なり、うるさすぎないシンフォニック性と、
後のFROST*などにも通じる構築センスも覗かせる。繊細なピアノなどによるしっとりとした引きの叙情もよろしく、
ときにハード寄りにになるギターにからむキーボードの美しさにも、さりげないアレンジの細かさが垣間見える。
派手な展開やテクニカルの応酬はないものの、抜群の聴き心地の良さで楽しめる、まさに英国モダンプログレの傑作だ。
メロディアス度・・8 プログレ度・・7 叙情度・・9 総合・・8.5
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KINO「cutting room froor」
IT BITESのKEY、ARENAのG、MARILLIONのB、元PORCUPINE TREEのDrらによる
イギリスのスーパーバンド、キノのライブやデモ音源等、9曲を収録したCD。2005作
さすがにメンバーは皆実力者なので、デモといっても正規曲とさほど質に変わりなく
ジョン・ミッチェルの哀愁あるヴォーカルや、ジョン・ベックのさりげないが、巧みなキーボードワークなど、
ライブ演奏の方にも安定感があり、彼らの持ち味である翳りのある叙情を感じさせてくれる。
メロディアス度・・8 プログレ度・・7 演奏・・8 総合・・7.5
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Kino 「Radio Voltaire」
イギリスのプログレバンド、キノの2018年作
IT BITESのジョン・ミッチェル、ジョン・ベック、MARILLIONのピート・トレワバスによるユニツトで、
この名義では13年ぶりとなる2作目。本作ではドラムに、Steven Wilson BANDのクレイグ・ブランネルが参加、
メロウなギターワークに美しいシンセを重ね、マイルドな歌声を乗せてゆったりと聴かせる、
モダンなスタイリッシュ性とシンフォニックな感触を同居させた、叙情的なサウンドを展開。
しっとりとしたバラード、キャッチーなメロディックロックなども、ポストプログレ的な精細さと
ゆったりとした優雅さを溶け込ませた作風でじっくり楽しめる。前作に比べると肩の力が抜けた、
大人の味わいが強まったという雰囲気ながら、アルバムを通して流れを感じさせる構成はさすが。
ドラマティック度・・7 プログレ度・・7 スタイリッシュ度・・8 総合・・8 
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Kite Parade 「The Way Home」
イギリスのプログレユニット、カイト・パレードの2022年作
マルチミュージシャン、アンディ・フォスターによるプロジェクトで、BIG BIG TRAINのニック・ディ・ヴァージリオがドラムで参加。
オールドなプログレ感触のシンセにジェントルなヴォーカルで、IT BITESを思わせるキャッチーなプログレハードを聴かせる。
80年代ルーツの優美なポップ性と、ほどよくモダンなスタイリッシュ性が同居した、メロディックロックとしても楽しめ、きらびやかなシンセワークが優雅なシンフォニック性となっていて、耳心地のよい爽快な味わいだ。
古き良きプログレをスタイリッシュに昇華している点では、BIG BIG TRAINなどのファンにもお薦め。
ラストは14分という大曲で、サックスも加わった大人の叙情と、ドラマティックな構築力でじわりと盛り上げる。
ドラマティック度・8 プログレ度・7 優雅度・8 総合・8
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Knifeworld 「The Unravelling」
イギリスのプログレバンド、ナイフワールドの2014年作
GONGにも参加するイラン出身のギタリスト&シンガー、カヴス・トラビを中心にしたバンドで、
浮遊感ある女性ヴォーカルの歌声に男性声が絡み、適度にハードなギターワークとともに、
メロウな叙情とダークな翳りを含んだサウンド。サックスやバスーンなどの音色も含んで
エキセントリックなセンスを描く味わいはHENRY COW的でもあり、先の読めない展開がスリリング。
毒のあるポップセンスを覗かせつつ、飄々とした脱力感と緻密なアレンジが同居する、異色の力作。
ドラマティック度・・7 プログレ度・・8 エキセントリック度・・8 総合・・8
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KNIFEWORLD 「BOTTLED OUT OF EDEN」
イギリスのサイケ・プログレ、ナイフワールドの2016年作
GONGにも参加するイラン出身のギタリスト&シンガー、カヴス・トラビを中心にしたバンドで、
前作はチェンバー風味とポップ要素が融合した好作品であったが、本作は女性Vo、女性シンセ奏者、
サックス、バスーン奏者を含む8人編成となり、オリエンタルなサイケ感触を強める一方で、
前作でのカラフルなポップ感触とともに、独自のチェンバー・サイケ・ポップロックを展開する。
GONG的でもある浮遊感と女性コーラスを加えたキャッチーな歌メロに、サックスが鳴り響き、
個性的でありながら、決して難解にならない絶妙の聴き心地で、スペイシーなスケール感を描き出す。
強烈なインパクトはないが、じわじわとセンスがにじみ出る、まさに玄人好みの好作品である。
ドラマティック度・・7 プログレ度・・7 サイケ度・・8 総合・・8
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KOMPENDIUM「Beneath the Waves」
イギリスのシンフォニックロック・プロジェクト、コンペンディウムの2012年作
ケルトのバラッドをモチーフにしたストーリーをもとにした壮大なコンセプトアルバムで、
MAGENTAのロブ・リードを中心に、スティーブ・ハケット、メル・コリンズ、ニック・バレット(PENDRAGON)、
フランシス・ダナリー、ジョン・ミッチェル(IT BITES)、トロイ・ドノックリー(IONA)など多数のメンバーが参加。
映画的な語りから始まり、たおやかなフルートにハープやエーボエ、の音色が重なり、
ケルティックなパイプやヴァイオリンの響きを壮大なオーケストラアレンジが彩ってゆく。
随所に泣きのギターやシンフォニックなシンセも含みながら、男女ヴォーカルの歌声とともに
繊細かつドラマティックに構築されるサウンドは、IONAが成しえたケルトとシンフォニックロックの融合を、
よりドラマティックに仕立てたという雰囲気である。リズム面でのやぼったさが惜しいが壮麗なる力作である。
シンフォニック度・・8 ケルティック度・・8 壮大度・・9 総合・・8
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KOMPENDIUM 「Elements」
イギリスのシンフォニックロック、コンペンディウムの2013年作
MAGENTAのロブ・リードを中心にしたプロジェクト作品「Beneath the Waves 」を補完する企画アルバム。
2枚組のDisc1には、未発曲やデモなどを、Disc2には本編のインストバージョンを収録。
デモといっても、完成版と同じように、オープニングからラストまでの流れを楽しめるように
曲順が連なっているので、オリジナル版の別バージョンとして楽しめるクオリティ。
壮麗なオーケストレーションやコーラス、随所にケルテイックなメロディも盛り込んだ
優美なシンフォニックロックをゆったりと鑑賞できる。インストバージョンにもうっとり。
シンフォニック度・・8 プログレ度・・7 優美度・・9 総合・・8
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KONCHORDAT 「English Ghosts」
イギリスのシンフォニックロック、コンコルダットの2009年作
オヤジ二人組によるロマン溢れるシンフォニックロックで、
やわらかなメロディと美麗なシンセアレンジに包まれたサウンド。
ヴォーカルはやや素人臭いのだが、これが在りし日のB級シンフォニックの感触で
もったりとしつつも耳触りがよいのである。英国らしい湿りけを含んだ叙情と、
11分、19分という大作も、優美なメロウさでじっくりとドラマティックに構築されてゆく。
数少ない英国王道シンフォの生き残りとして、今後も頑張っていって欲しい。
シンフォニック度・・8 ゆったり優美度・・9 英国度・・8 総合・・7.5
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Konchordat「New Crusade」
イギリスのシンフォニックロック、コンコルダットの2011年作
オヤジ二人組によるユニットで、ヴィンデージ感もある美麗なシンセワークを散りばめた、
GENESISタイプを継承する古き良き王道のシンフォニックロックサウンドを聴かせる。
のっけから14分の大曲という力の入れようや、ファンタジックでロマンの香りを感じさせる作風は、
かつてのPENDRAGONPALLASなどにも通じるドラマティックな感触で聴いていてにんまりだ。
いくぶんのやぼったさもあるが、泣きのフレーズを聴かせるギターも含め、メロディのセンスもよろしい。
プログレがモダン化する昨今、こうした往年のシンフォニックを体現するバンドの存在は嬉しいかぎり。
シンフォニック度・・8 GENESIS風度・・8 英国度・・8 総合・・8
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KONCHORDAT 「Rise to the Order」
イギリスのシンフォニックロック、コンコルダットの2016年作
前作はPENDRAGONなどを思わせる王道のシンフォニックロックであったが、3作目となる本作は
これまでになくモダンなヘヴィさが加わった感触で、どことなくニック・バレットを思わせるヴォーカルを乗せ、
これまでのシンフォニックなアレンジとモダンな歌もの感が合わさったという聴き心地。
かといって、王道のシンフォ色が失ったわけではなく、むしろ近年のPENDRAGONPALLASなどにも通じる
適度に翳りを含んだハードシンフォニックとして楽しめる。プログレらしいきらびやかなシンセとともに
ときにキャッチーなメロディも覗かせつつ、どっしりとしと重厚さでもって、7〜9分前後の楽曲を構築する。
ペンドラ&パラスのファンにもうってつけな、英国らしい大人のシンフォニックロック力作だ。
シンフォニック度・・8 プログレ度・・7 英国度・・8 総合・・8 
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KTU「Quiver」
KING CRIMSONのパット・マステロットとトレイ・ガンによるユニット、ケートゥーの2008年作
フィンランドのアコーディオン奏者を加えたトリオ編成で、独特の浮遊感のあるインストの
チェンバーロックをやっている。ヘヴィなグルーブ感を生み出すトレイ・ガンのワーギターと、
マステロットのタイトなドラムは、やはりKING CRIMSON風味の聴き心地もあるが、
アコーディオンの音色が重なると、チェンバーロック気味の質感になり、なかなか面白い。
広がりのある静謐感の中に、トリオならではの緊張感を漂わせた構築美が楽しめる。
ドラマティック度・・7 プログレ度・・8 クリムゾン度・・8 総合・・8
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KYROS 「VOX HUMANA」
イギリスのプログレバンド、キロスの2016年作
SYNAESTHESIAのメンバーによる新バンドで、本作はCD2枚に分かれたコンセプト的な大作。
エモーショナルなヴォーカルを乗せ、適度にハードな質感とエレクトロなシンセを加えたモダンなアレンジに、
キャッチーなプログレ風味を融合したサウンド。テクニカルな構築力とモダンでクールなセンスで、
アップデートしたシンフォプログレを聴かせるという点では、FROST*あたりに通じるかもしれない。
メロディックな歌もの感触とプログレらしい技巧的なインストパート、モダンなエモーショナルロック、
それらがほどよくブレンドされ、HAKENなどとも同様に新たな英国プログレの形を提示した力作です。
メロディック度・・8 プログレ度・・8 クールどモダン度・・9 総合・・8
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KYROS 「Celexa Dreams」
イギリスのプログレバンド、キロスの2020年作
SYNAESTHESIAのVo/Keyを中心にしたバンドで、2016年にデビュー、本作は2作目となる。
きらびやかなシンセアレンジにマイルドなヴォーカル、80年代ニューウェイヴ風のポップ感に包まれた
シンフォニックなプログレハードを聴かせる。ビート感のあるリズムにきらきらとしたシンセ、
随所にサックスも鳴り響き、10分、14分という大曲では、ほどよくテクニカルなリズムを含んだ
緩急ある展開力に、シンフォプログレとしてのドラマティックな味わいもしっかり覗かせる。
かつてのシティポップ風味をモダンなプログレに融合させたというようなスタイリッシュな傑作。
メロディアス度・・8 プログレ度・・7 キャッチー度・・9 総合・・8 
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LANDMARQ「SCIENCE OF COINCIDENCE」
イギリスのシンフォニックロック、ランドマークの1998年作
かつて日本のZEROレーベルから3枚目までが出ていたので、このバンドの名前を知っている方もいると思うが、
4作目となる本作からは、QUASARSTRANGERS ON A TRAINで歌っていた、トレイシー・ヒッチングスが加わり、
女性ヴォーカルフロントのバンドとなって音ががらりと変わった。サウンドはよりメロディックでキャッチーになり、
生き生きとした躍動感に包まれたメロディックロックとしてもシンフォニックロックとしても格段に聴きやすくなっている。
トレイシーのハスキーな歌声はじつに好みであるので、本作こそがバンドの最高傑作となったと言いたい。
そして、影でバンドを支えるクライブ・ノーランのプロデュース力も見逃せない。英国女性声シンフォの傑作である。
シンフォニック度・・8 プログレ度・・8 女性Vo度・・8 総合・・8
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LANDMARQ「Thunderstruck」
イギリスのシンフォニックロックバンド、ランドマークのライブアルバム。1999年作
1998〜99年のヨーロッパツアーの音源を収録。男性ヴォーカル時代の2nd、3rdの曲もやっていて、
美麗なシンセに叙情的なギター、紅一点、トレーシー・ヒッチングスのハスキーなヴォーカルがあでやかに楽曲を彩っている。
傑作である3rd「Science of Coincidence」からの大曲2曲も含めて、このバンドの魅力がたっぷり詰まったライブ作品だ。
メロディック度・・8 ライブ演奏・・8 女性Vo度・・8 総合・・8
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LANDMARQ「AFTERSHOCK」
イギリスのシンフォニックロックバンド、ランドマークのライブアルバム。2002作
ライブアルバムとしては「THUNDERSTRUCK」に続くもので、2000〜2001年時期の録音。
ARENA、PENDRAGONらとともに英国シンフォを支えるバンドとして、精力的にツアーもこなしているらしい。
さて、このライブ音源だが、演奏の方は安定していて安心して聴けるがそれ以上の目新しさはなく、
看板のトレーシー・ヒッチングスの歌唱も、録音のせいもあってか、いつもの情感が感じられない。
シンフォニック度・・7 女性Vo度・・7 録音・・7 総合・・7
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LANDMARQ「Turbulance Live in Poland」
イギリスのシンフォニックロックバンド、ランドマークのライブDVD。2006作
2005年ポーランドでのステージを収録。ステージの方は、さすがに年季の入ったメンバーだけに
安定した演奏を聴かせる。フロントのトレイシー・ヒッチングスは、雰囲気的にも「ちょいぽちゃのおばさま」と化していて、
せめて5、6年前の若い頃にライブ映像作品で見たかった…などと思ってしまうが、
その独特のハスキーな歌声は健在で、サウンドに彩りと躍動感を与えている。
全体的にはテクニカルすぎず派手すぎずといった、悪くいうと地味めのシンフォニックロックで
聴きやすさはあるが盛り上がりや高揚感の点ではもの足りないかもしれない。
ボーナスに過去のライブ映像や(若い頃のトレイシーがちらっと!)ライブ音源等のオーディオトラックも収録。
ライブ映像・・7 ライブ演奏・・7 女性Vo度・・8 総合・・7.5
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LANDMARQ「Entertaining Angels」
イギリスのシンフォニックロックバンド、ランドマークの2012作
スタジオアルバムとしてはじつに14年ぶりとなる作品で、バンドが健在であることが嬉しいが
トレイシー・ヒッチングスのハスキーな歌声とともに、メロディックに聴かせるサウンドも不変。
美しいシンセワークと、適度にハードさも含んだギター、そして艶のあるコケティッシュな歌声で
ポンプロックのキャッチーな部分を継承する作風には、古くからのリスナーも嬉しいだろう。
12分、16分という後半の大曲もドラマティックに構築され、適度にモダンな感触も加わった力作。
シンフォニック度・・8 プログレ度・・7 女性Vo度・・8 総合・・8
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LANDMARQ 「Origins」
イギリスのシンフォニックロロック、ランドマークのアンソロジー作品。2014年作
1992年にデビュー、活動20年を超えるキャリアのバンドで、初期にはクライブ・ノーランが関わっていたことでも知られる。
Disc1には、女性シンガー、トレイシー・ヒッチングスが加入した1998年から現在までの楽曲を、
Disc2には、ダミアン・ウィルソンがヴォーカルを務めた初期3作からの楽曲を収録した、CD2枚組。
初期の作品はZEROコーポレーションから日本盤も出ていたので、HR/HM方面のリスナーでも案外知っている方も多いだろう。
1stの頃は、シンフォニックというよりは、美しいシンセアレンジ入りのキャッチーな歌ものプログレハードという作風で、
メロウなギターも含んだ英国らしいウェットな叙情性は、Pallasあたりのファンにも受けそうだ。2nd、3rdのメロウな質感も捨てがたい。
トレイシー・ヒッチング時代になると、ハスキーで魅力的な歌声とともに、美麗なシンセアレンジとともにきらびやかな感触がぐっとアップ、
爽快なシンフォニックロックが楽しめる。バンドの歴史を振り返る意味でもファンには嬉しいアンソロジーだろう。
メロディック度・・8 プログレ度・・7 バンドの歴史度・・9 総合・・8
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LANDMARQ 「ROADSKILL - Live In The Netherlands」
イギリスのシンフォニックロック、ランドマークのライブ。2015年作
1992年にデビュー、トレイシー・ヒッチングが加入した1998年以降は女性声のシンフォプログレとして人気を博す。
本作はオランダでのライブをCD+DVDに収録。2012年作「Entertaining Angels」からのナンバーを中心にしたセットで、
ほどよくハードで叙情的なギターにシンセを重ね、トレイシー・ヒッチングスの艶めいた女性ヴォーカルを乗せて、
キャッチーできらびやかなシンフォプログレを展開。美しいシンセに叙情的なギターフレーズが重なる優美な聴き心地で
10分を超える大曲もゆったりと優雅に楽しめる。そして16分という大曲「Calm Before the Storm」はライブのハイライトで、
ドラマティックな構築力とともに正統派の女性声シンフォプログレが楽しめる。DVDの方はCDよりも曲数が多く、
すっかり熟女になられたタプタプのトレイシーさんの巨乳とお腹…いやいや、お姿も含めてなかなか必見です。
ライブ演奏・・8 ライブ映像・・8 優美度・8 総合・・8 
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LAST FLIGHT TO PLUTO 「A DROP IN THE OCEAN」
イギリスのプログレバンド、ラスト・フライト・トゥ・プルートゥの2019年作
優美なシンセアレンジに適度にハードなギター、ハスキーな女性ヴォーカルを乗せて、
キャッチーな味わいのメロディックロックを聴かせる。ツインギターによる叙情性とともに
ほどよくメランコリックな雰囲気は、PANIC ROOMあたりに通じるところもあって、
紅一点、Alice嬢のキュートな歌声も魅力的だ。全6曲ながら、楽曲は7〜9分と長めで、
コケティッシュなフィメール・メランコリックロックがじっくり楽しめる。期待の新鋭です。
メロディック度・・7 プログレ度・・7 女性Vo度・・8 総合・・7.5
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Leafblade 「The Kiss of Spirit & Flesh」
イギリスのポストプログレ、リーフブレードの2013年作
AnathemaのDaniel Cavanaghを中心にしたユニットで、メロウなギターとマイルドなヴォーカルで聴かせる、
薄暗い叙情を聴かせるサウンド。アコースティックギターのつまびきに、ハードなギターも重なり、
ときにシンセによるオーケストレーションも加わったシンフォニックな感触もあって、なかなか楽しめる。
全体的にはやはり、Anathemaに通じる部分も多いので、取り立てて個性的というわけではないが、
曲によってはキャッチーなノリの良さや、アコースティカルな牧歌性なども含んでいて、わりとメリハリのある聴き心地。
ラストの10分を超えるナンバーも含めて、質の高さと安定のKscopeサウンドという点では、ポストプログレ好きはマストだろう。
ドラマティック度・・7 繊細度・・8 Anathema度・・8 総合・・8
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League of Lights
イギリスのプログレハード、リーグ・オブ・ライツの2011年作
THRESHOLDのシンセ奏者とその妻によるユニットで、きらびやかなシンセに適度にハードなギター、
そしてコケティッシュな女性ヴォーカルで聴かせる、シンフォニックなメロディックロック。
そこそこキャッチーな聴き心地で悪くはないのだが、メロディのフックにさほど魅力がないのと
女性Voの力量も並程度なので、これといってぐっとくるポイントがないのが残念。
シンセによるシンフォニックなアレンジというのはさすがなのだが、プログレ的な聴き心地が薄いので
こうなるとどうしても女性声の魅力次第となってしまうのだな。ただ奥さんは美人ですね。
メロディック度・・8 プログレ度・・7 女性Vo度・・7 総合・・7.5
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LED BIB 「UMBRELLA WEATHER」
イギリスのプログレ・ジャズロック、レッド・ビブの2017年作
二人のサックス奏者にシンセを含む編成で、軽妙なリズムにサックスが鳴り響く、
KING CRIMSON
的な雰囲気も漂わせる、スリリングなアンサンブルを聴かせる。
手数の多いドラムと存在感あるベース、ツイン・サックスによる、フリーキーな優雅さで
アヴァンギャルドな展開とともに不穏な緊張感を漂わせつつ、10分を超えるナンバーなども、
自由度の高い即興性が合わさった迫力ある演奏が楽しめる。テクニックのあるドラムを軸に、
歪んだベースとサックスがバトルするような激しさから、とぼけた味わいの軽妙なパートまで、
オールインストながら表現豊かな感触が素晴らしい。全75分というアヴァン・ジャズロックの力作。
ドラマティック度・・7 プログレ度・・8 アヴァンジャズロ度・・9 総合・・8.5
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Led Bib 「It's Morning」
イギリスのプログレ・ジャズロック、レッド・バイブの2019年作
2005年にデビュー、8作目となる。2人のサックス奏者に女性Voを含む6人編成で、やわらかなエレピとシンセに
サックスやヴァイオリンが絡み、美しい女性ヴォーカルの歌声を乗せて、優雅で軽妙なジャズロックを聴かせる。
フリーキーなサックスが鳴り響く、スリリングな即興性とアヴァンギャルドな味わいに、今作では女性声による
コケティッシュな雰囲気が加わって、ときにArt Bearsにも通じるような妖しさとともに、メリハリあるサウンドを描いている。
全40分と、前作に比べるとわりとあっさりしているが、スッキリとした潔さで聴き疲れしない。英国アヴァン・ジャズロの逸品。
ジャズロック度・8 プログレ度・8 優雅でアヴァンギャル度・9 総合・8 
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LEE ABRAHAM 「Black & White」
イギリスのミュージシャン、リー・アブラハムの2009年作
GALAHADのベーシストでもあるマルチプレイヤーで、自主制作を含めると3作目のソロ作となる。
IT BITESのジョン・ミッチェル、BIG BIG TRAINのシーン・フィルキンス、FROST*のジム・ゴドフリー、
JADISのゲイリー・チャンドラー、スティーブ・ソーンらが参加、きらびやかなシンセアレンジにハードなギター、
マイルドなヴォーカルを乗せて、メタリックでモダンな感触のメロディックロックを聴かせる。
随所にオルガンやピアノなどの優美な叙情性や、技巧的で流麗なギタープレイも覗かせながら、
IT BITESのようなキャッチーなナンバーもあってなかなか楽しめる。後半は、14分、23分という大曲で、
泣きのギターメロディと美麗なシンセを重ね、プログレらしい構築力でドラマティックなシンフォニックロックを描き出す。
メロディック度・・8 プログレ度・・7 スタイリッシュ度・・8 総合・・8 
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Lee Abraham 「Distant Days」
イギリスのミュージシャン、リー・アブラハムのソロ。2014年作
GALAHADのメンバーでもあるマルチミュージシャンで、美しいシンセアレンジに適度にハード寄りのギターを乗せた
叙情的でモダンなシンフォニックロック。楽曲ごとにゲストヴォーカルがリードをとる形で、FROST*のDec Burke、
LIFESIGNSのJohn Young、RIVERSEAのMarc Atkinson、そしてSteve Thorne、といった顔ぶれが参加している。
随所に流麗なギターの泣きのフレーズやテクニカルなリズムなども覗かせつつ、あくまでメロウな聴き心地で、
ゆったりとした3拍子の歌もの曲や、ProgMetal風味も含んだ11分、15分という大曲まで、豊かな叙情性と
確かな構築センスでじっくり聴かせてくれる。新時代の英国シンフォ勢の充実ぶりを感じさせる好作品だ。
メロディック度・・8 モダンシンフォ度・・8 叙情度・・8 総合・・8
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Lee Abraham 「The Season Turn」
イギリスのミュージシャン、リー・アブラハムのソロ。2016年作
GALAHADのメンバーでもあるマルチミュージシャン。今作はのっけから25分に及ぶ大曲で、
美しいシンセアレンジに泣きの叙情ギターを乗せた、正統派のシンフォニックロックサウンドが広がってゆく。
メロトロンやムーグなど古き良き感触のシンセアレンジは、オールドなプログレリスナーにも嬉しいだろう。
前半はゆったりとしたインストパートがメインで、スリリングな部分というのはあまりないが、
ヴォーカル入りの叙情ナンバーでの泣きのギターなどは、かつてのPENDRAGONを思わせ、
ラストの16分の大曲では、プログレ的なテクニカルな間奏部もあり、ドラマティックな展開が楽しめる。
IQのMartin Orford、RIVERSEAのMarc Atkinson、COSMOGRAFのRobin Armstrong、CREDOのMark Colton、
FROST*のDec Burke、TINYFISHのSimon Godfreyなどがゲスト参加している。
シンフォニック度・・8 プログレ度・・8 叙情度・・9 総合・・8
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LEE ABRAHAM 「COLOURS」
イギリスのミュージシャン、リー・アブラハムの2017年作
本作は6作目のソロアルバムで、AOR風のジャケのイメージのように、よりスタイリッシュな作風で、
美しいシンセにメロディックなギター、マイルドなヴォーカルで聴かせるハードポップ風のサウンド。
全体的にストレートな作風だが、きらびやかなシンセアレンジとギターのメロディセンスはさすがで、
ASIAあたりにも通じる爽快なプログレハードから、ゆったりとしたシンフォニックロック風のナンバーも白眉。
そしてラストは10曲超の大曲で、これぞシンフォプログレという叙情美が炸裂する。今回も傑作ですよ。
デック・バーク、ゲイリー・チャンドラー(JADIS)、ロビン・アームストロング(COSMOGRAF)などがゲスト参加。
メロディック度・・8 プログレ度・・7 キャッチー度・・8 総合・・8
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Lee Abraham「Comatose」
イギリスのミュージシャン、リー・アブラハムの2019年作
GALAHADのベーシストでもあるマルチミュージシャンで、ソロとしては2003年にデビュー、本作は7作目となる。
涼やかなシンセに叙情的なギターを重ねたシンフォニックな感触に、いくぶんハードエッジな部分も覗かせつつ、
Reversea、moon haloなどでも活躍する、マーク・アトキンソンのマイルドなヴォーカルを乗せて、
コンセプト的なドラマ性を感じさせるサウンドを描いてゆく。ときにProgMetal的な展開力も見せながら、
メロウなギターのフレーズとともに、今作では随所に物悲しい泣きの叙情が際立っていて、
近年のGALAHADにも通じる、スタイリッシュなシンフォプログレとしても楽しめる高品質な作品だ。
ドラマティック度・8 プログレ度・7 叙情度・8 総合・8 
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LEGEND 「Light in Extension」
イギリスのシンフォニックロック、レジェンドの1992年作
アーサー王伝説の名シーンである、湖から浮かぶ聖剣エクスカリバーのジャケが印象的で、
このアルバムが発売された当初は、女性ヴォーカルのネオプログレ作品ということで話題になり
日本盤も出ていたので、ご存知の方も多いかもしれない。サウンドの方は美しい女性ヴォーカルを乗せた
キャッチーなプログレハードという趣で、英国らしいウェットな空気と適度なマイナー臭さもよい感じです。
プログレ的な部分でのインパクトは薄いのだが、女性声入りのハードシンフォの先駆けというべき存在であった。
ドラマティック度・・7 プログレ度・・7 女性Vo度・・8 総合・・7.5
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LEGEND「TRIPLE ASPECT」
イギリスのシンフォニックロックバンド、レジェンドの3rd。1996年作
かつて女性Voもののハードプログレとして日本盤でも1st、2ndが出ていたが、
剣を持った腕が泉から突き出したジャケといえば、案外知っている方もいるだろう。
1stのエクスカリバーもそうだが、三相の女神をテーマにした今回のジャケも、
ヘタウマなマイナー臭さをただよわせつつ、好きものにはやはりぐっとくる(笑)。
肝心の演奏面では、シンセにしろギターにしろ、さしたる特徴はないし、
リズム的にもやややぼったいのであるが、ソーニャー・クリスティーナを思わせる
デビー嬢の美しい歌声を含めて、どこか靄のかかったようなマイナーっぽさがあり、
それがかえって神秘的な雰囲気をかもしだしていて、なかなか悪くないのだ。
ラストは29分の大作で、アレンジなどはいかにもつたないがそれなりに気合が入っている。
メロディアス度・・7 プログレ度・・7 女性Vo度・・8 総合・・7.5
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LEGEND 「Cardinal Points」
イギリスのシンフォニックロック、レジェンドの2011年作
90年代に3作を残して消えたバンドだが、メンバーチェンジをへて15年ぶりの復活作を完成させた
オリジナルメンバーはシンセ奏者のみとなったが、新たな女性ヴォーカルをフロントにして、
13分、14分、13分、17分という4つの大曲で、地、風、火、水というエレメントを描く大作である。
オルガンを含むシンセにやわらかなフルートの音色、ほどよくハードなギターに、いくぶん魔女めいた
ケリー嬢の歌声を乗せて、CURVED AIRなどにも通じる古き良き英国らしいサウンドを聴かせる。
ほどよく煮え切らないマイナーな感触はかつてのままで、わりと長尺感はあるのだが、ラストの大曲では、
アコースティックパートを含む優美な幻想性とともに、ゆるやかにシンフォニックに盛り上げる。
ドラマティック度・・8 プログレ度・・7 女性Vo度・・8 総合・・7.5 
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Legend 「Spirit」
イギリスのプログレバンド、レジェンドの2013年作
2011年の復活作に続く、復活2作目で、美声の女性ヴォーカルをフロントにして、
きらびやかなシンセアレンジとともに聴かせる、シンフォニックハードは本作でも健在。
ドラムがツーバスになので、いくぶんシンフォニックメタル的な感触も出てきたが、
ミステリアスなマイナー臭さといくぶん唐突な展開は、このバンドの変わらぬ持ち味だろう。
紅一点、Beck嬢の歌声はやわらかな美しさで、ときにエキセントリックな妖しげさも覗かせつつ
10分を超える大曲を中心に、オルガンやムーグを含む古き良き質感も覗かせる、なかなかの力作。
ドラマティック度・・8 プログレ度・・7 女性Vo度・・8 総合・・7.5
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Les Penning「Belerion」
イギリスのミュージシャン、レス・ペニングのプロジェクト。2016年作
Mike Oldfieldの名作「オマドーン」にも参加したリコーダー奏者と、MAGENTAのロバート・リードに、
TRICKSTARのフィル・ベイツが参加、アコースティックギターのつまびきに素朴なリコーダーの音色が重なり、
うっすらとしたシンセとともに、英国フォーク的な牧歌性とケルティックな味わい包まれたサウンド。
アコースティック主体ながら、ときにエレキギターの旋律は初期のマイク・オールドフィールド的な感触で、
2〜3分前後の小曲を連ねた、中世音楽のような繊細で優雅なインストサウンドが楽しめる。
プログレファンはもちろん、ケルトやトラッドが好きな方にも薦められる耳心地の良い好作品だ。
ドラマティック度・・7 プログレ度・・7 素朴で優雅度・・9 総合・・8
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LES PENNING with ROBERT REED 「RETURN TO PENRHOS」
イギリスのミュージシャン、レス・ペニングのプロジェクト。2019年作
Mike Oldfieldの名作「オマドーン」に参加したリコーダー奏者と、MAGENTAのロバート・リードによるコラボ作。
やわらかなリコーダーの音色にうっすらとしたシンセを重ね、英国らしい牧歌的な叙情に包まれたサウンド。
AMAZING BLONDELあたりに通じる、中世音楽ルーツの優雅な旋律に、フォークやトラッドの素朴な味わいが混ざり、
優しいリコーダーに繊細なギターが絡みつつ、メディーヴァルな世界観を描いてゆく。ときにエレキギターが加わると、
マイク・オールドフィールド的な雰囲気にもなって、英国プログレのファンにも十分楽しめるだろう。
3〜4分前後の小曲を主体に、ゆったりと鑑賞できる逸品です。DVDにはPVやライブ映像を収録。
牧歌的度・・9 プログレ度・・7 優雅度・・9 総合・8
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LES PENNING & ROBERT REED 「THE LAST BELLS OF WINTER」
イギリスのミュージシャン、レス・ペニングとロバート・リードのユニット。2022年作
Mike Oldfieldの名作「オマドーン」に参加したリコーダー奏者と、MAGENTAのロバート・リードによるコラボ作で、
本作はクリスマスをコンセプトにした全23分のミニアルバム。素朴なリコーダーの音色に、アコースティックギターやマンドリン、
シンセアレンジを重ねて、優雅なトラッド・シンフォを聴かせる。ときにMike Oldfieldばりのギターの旋律も覗かせつつ、
マンドリンによるトレモロの旋律や、優しいリコーダーとピアノの響きで、しっとりと繊細な耳心地に包まれる。
小曲を連ねたインストによる全7曲なので、ボリュームの物足りなさはあるが、英国らしい叙情美が味わえる逸品です。
ドラマティック度・7 プログレ度・7 優美度・9 総合・8 
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Liam Davison 「Treasure of Well Set Jewels」
イギリスのミュージシャン、リアン・ダヴィソンの2011年作
Mostly Autumnのギタリストでもあるミュージシャンで、グラムロック調のナンバーから、素朴なシンフォニックロック、
アンビエントなナンバーまで、自身のヴォーカルを乗せ、メロウなギターワークとともに、じっくりと聴かせる作風だ。
イアイン・ジェニングス、アン・マリー・ヘルダー、ヘザー・フィンドレイといった、Mostly Autumn関連のメンバーが参加。
女性ヴォーカルを含むナンバーは、やはりモストリー・オータムに通じる雰囲気もあり、浮遊感ある叙情が味わえ、
翳りを含んだモダンなポストプログレ風のナンバーなど、Pink Floydルーツの薄暗系ロックとしても楽しめる。
ラストの8分を超えるナンバーでは、ギルモアばりの叙情豊かなギターの旋律が心地よく響き渡る。
ドラマティック度・・7 プログレ度・・7 薄暗度・・8 総合・・7.5
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LIFE IN DIGITAL 「Signs To The Far Side」
イギリスのプログレハード、ライフ・イン・デジタルの2019年作
Simon Collins、David Cross、David Jacksonらと共演、新たにGLASS HAMMERのシンガーとなったJohn Beagleyと、
BLUE SHIFTのRobin Schellのユニット。打ち込みを含んだきらびやかなシンセアレンジに
ハイトーンヴォーカルを乗せた、80年代のYESなどを思わせる、キャッチーなプログレハードサウンド。
のっけから22分という大曲であるが、なんとなく付け足したような長さなので、これはやりすぎか。
デジタルなポップ感に包まれながら、シンフォプログレ寄りのシンセアレンジも含めて、
確信犯的な80年代風味という点では、DOWNES BRAIDE ASSOCIATIONにも通じるだろう。
楽曲そのものにもっと爽快な抜けの良さが欲しい気もするが、あえてマイナー感を残しているような気も。
メロディック度・・8 プログレ度・・7 80年代風度・・8 総合・・8
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Lifesigns
イギリスのプログレバンド、ライフサインズの2013年作
ジョン・ウェットン・バンドやグリーンスレイドなどで活動するジョン・ヤング、スティーヴ・ハケット・バンドなどに参加するニック・ベッグス、
そして、元カッティング・クルーで、サラ・ブライトンマンのバックなどで活動するマーティン・“フロスティ”・ビードルによるバンドで、
やわらかなシンセアレンジとキャッチーなヴォーカルメロディで聴かせる、古き良きプログレハード的なサウンド。
10分前後の大曲をメインにしつつも、難解なところはなく、あくまでマイルドな耳心地でゆったりと楽しめる。
ときにCAMELのようなメロウなギターやフルートも顔を覗かせる、優しい叙情性に包まれた作品です。
メロディック度・・9 プログレ度・・7 やわらか度・・8 総合・・8
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LIFESIGNS 「Live in London: Under the Bridge」
イギリスのプログレバンド、ライフサインズのライブ作。2016年作
ジョン・ウェットン・バンドやグリーンスレイドなどで活動するシンセ奏者、ジョン・ヤングを中心にしたバンドで、
2015年ロンドンでのステージを2CD+DVDに収録。1stの全曲に、2ndから数曲、ジョン・ヤング・バンドのナンバーも含むセットで、
メロディックなギターとやわらかなシンセワーク、ジェントルなヴォーカルを乗せて、優美な叙情に包まれたサウンドを描きだす。
キャッチーなコーラスハーモニーなども含めて、キャリアのあるメンバーらしい落ち着いたプレイと繊細な表現力で、
大人の味わいの英国プログレを堪能できる。各楽器の音のバランスもよく、うるさすぎない音圧が臨場感となっていて、
フロスティ・ビードルの巧みなドラムをはじめ、インストパートでの軽やかなアンサンブルを際立たせている。
DVDでの映像も素晴らしく、カメラワーク、ライティングも含めて臨場感あるステージを視覚的に楽しめる。
ライブ演奏・・9 ライブ映像・・9 大人の叙情度・・9 総合・・8 
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LIFESIGNS 「CARDINGTON」
イギリスのプログレバンド、ライフサインズの2017年作
ジョン・ウェットン・バンドやグリーンスレイドなどで活動するジョン・ヤングを中心にしたユニットの2作目で、
ニック・ベッグスに替わり、THE WILDHERATSのジョン・ポールが参加。美しいシンセアレンジにマイルドなヴォーカルを乗せた
キャッチーなメロディアス性と躍動的なアンサンブルで、前作以上にシンフォニック・プログレとしての魅力を感じさせるサウンドだ。
オルガンやピアノによるやわらかな味わいと、古き良きプログレ/メロディックロックの感触を、そのままアップデートしたような
ゆったりとした大人の叙情性に包まれた聴き心地。10分前後の大曲が多い点も、この路線での自信の表れだろう。
オールドなプログレファンはもちろん、多くのメロディ派リスナーに楽しめる充実の出来だ。元IONAのデイヴ・ベインブリッジがゲスト参加。
メロディック度・・8 プログレ度・・8 大人の叙情度・・9 総合・・8
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LITMUS 「PLANETFALL」
イギリスのサイケ・ハード、リトマスの2007年作
スペイシーなシンセにハードロック的なギターで聴かせる、
HAWKWINDの世界観を継承するようなサイケロックサウンド。
うねりのあるグルーヴィーなベースとノリノリのギターリフも含めて
ある種、お馬鹿なまでに濃密なスペースサイケを描いてゆく。
ホークウインドのファンはもちろん、サイケメタルのリスナーにもオススメ。
ドラマティック度・・7 スペース度・・9 ホークウイン度・・9 総合・・8
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LITNUS 「Aurora」
イギリスのサイケ・ハード、リトマスの2009年作
前作に続き、のっけから11分を超える大曲で軽快なスペースサイケが炸裂。
うっすらとしたシンセをバックに、楽しげに弾きまくるギターを乗せて
ゴキゲンなグルーブでたたみかける。前作以上にシンフォニックな壮大さが感じられ、
いわばよりプログレ的に楽しめるようになった。ラストまでテンションが落ちることなく、
まるで全盛期のホークウインドが甦ったかのような力作に仕上がっている。
ドラマティック度・・8 スペース度・・9 ホークウイン度・・9 総合・・8
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LONELY ROBOT 「Please Come Home」
イギリスのシンフォニックロック、ロンリー・ロボットの2015年作
IT BITESなどで活躍するジョン・ミッチェルによるプロジェクトで、適度にモダンなハードさを含みつつ、
ポストプログレ的な繊細な叙情を合わせたという、シンフォニックなメロディックロックを聴かせる。
プログレハード風味のキャッチーなナンバーから、FROSTあたりを思わせるダイナミックなシンフォプログレまで、
センスのよいアレンジとウェットでメロウな叙情美に包まれた好作品だ。ドラムを叩くのはFROST*のクライグ・ブランデルで、
ベースは、ニック・ベックス(Steve Hackett BAND)、さらには、ジェム・ゴドフリー(FROST*)、ヘザー・フィンドレイ(元MOSTLY AUTUMN)、
キム・セヴィアー(TOUCHSTONE)、スティーヴ・ホガース(MARILLION)などがゲスト参加。
ドラマティック度・・8 プログレ度・・7 叙情度・・8 総合・・8
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LONELY ROBOT「THE BIG DREAM」
イギリスのシンフォニックロック、ロンリー・ロボットの2017年作
IT BITESなどで活躍するジョン・ミッチェルによるプロジェクトの2作目。ドラムはFROST*のクライグ・ブランデルで、
それ以外のギター、ベース、シンセはジョン・ミッチェルが手掛けている。美しいシンセに映画的なナレーションを乗せ
SF的なコンセプトストーリーとともに、適度にハードエッジなモダンなシンフォニックロックを展開。
キャッチーな歌メロが加わると、IT BITESに接近したような感触で、メロウなギターワークと
プログレらしいシンセアレンジも耳心地良い。前作に比べると、楽曲におけるメロディのフックと
ダイナミックな緩急とが感じられ、繊細さな美意識と泣きの叙情美がぐっと際立っている。
厚みのある音作りも素晴らしく、スタイリッシュな英国シンフォニックロックの傑作といえる。
ドラマティック度・・8 モダンシンフォ度・・9 叙情度・・9 総合・・8.5 
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Lonely Robot 「Under Stars」
イギリスのシンフォニックロック、ロンリー・ロボットの2019年作
ARENAIT BITESなどで活躍するジョン・ミッチェルによるプロジェクトの3作目。本作もFROST*のクライグ・ブランデルがドラムで参加、
美しいシンセアレンジにギターを重ね、マイルドなヴォーカルで、スペイシーな味わいのシンフォニックロックを展開する。
ときにポストプログレ的でもある繊細な叙情を、スタイリッシュでほどよいハードさとモダンなアレンジで包み込みつつ、
随所に流麗なギターフレーズやキャッチーなメロディ展開を聴かせるのは、さすがキャリアのある才人である。
また、歌ものナンバーでのヴォーカリストとしての表現力も素晴らしい。翳りを帯びた優しい聴き心地は、
MARILLIONIT BITESの中間をゆくイメージか。マルチプレイヤー、ジョン・ミッチェルの才能が溢れる傑作です。
ドラマティック度・・8 プログレ度・・7 叙情度・・8 総合・・8
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Lonely Robot 「Feelings Are Good」
イギリスのモダンプログレ、ロンリー・ロボットの2020年作
IT BITESなどで活躍するジョン・ミッチェルによるプロジェクト。4作目の本作も、FROST*のクライグ・ブランデルがドラムで参加、
うっすらとしたシンセにキャッチーな歌メロで聴かせるスタイリッシュなサウンドで、ポストプログレ的な繊細な叙情に、
翳りを帯びたモダンな質感も含んだ作風。IT BITESFROST*MARILLIONを合わせたようなイメージで
味わいのある歌声で聴かせる優美なバラードナンバーなど、エモーショナルな歌もの感触も耳心地よい。
全体的に派手さや新鮮味は希薄だが、ゆったりとしたナンバーを主体に、随所に聴かせる泣きのギターや
美麗なシンセアレンジはさすがのセンスで、大人の優雅さに包まれた英国モダンシンフォの逸品です。
キャッチー度・・8 プログレ度・・7 スタイリッシュ度・・8 総合・・8 
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LONELY ROBOT「A MODEL LIFE」
イギリスのモダンプログレ、ロンリー・ロボットの2022年作
IT BITESなどで活躍するジョン・ミッチェルによるプロジェクト。本作は5作目で、FROST*のクライグ・ブランデルがドラムで参加、
80年代的なビート感に優美なシンセとうるさすぎないギターを乗せ、ジョン・ミッチェルの味のある歌声とともに、
キャッチーなサウンドを描く。かつてのROXY MUSICのようなセンスの良いポップ感覚とモダンなプログレが合体し、
スタイリッシュに仕上がったという作風ながら、エモーショナルなヴォーカルとシンフォニックなシンセアレンジで聴かせる、
繊細な叙情ナンバーもあって、前作までのファンもひと安心。キャッチーな歌ものと優美な叙情が同居したさすがの好作品。
ドラマティック度・7 プログレ度・7 叙情度・8 総合・8 
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LONG EARTH「THE SOURCE」
イギリスのプログレバンド、ロング・アースの2017年作
ABEL GANZ関連のメンバーにより結成されたバンドで、うっすらとしたシンセにメロウなギターと
枯れた味わいのヴォーカルで、オールドなスタイルのシンフォニックロックを聴かせる。
20分前後の2つの組曲を中心にした構成で、全体的にゆったりとした流れのサウンドは
スリリングな部分は希薄だが、年季のあるメンバーらしい落ち着いた味わいで楽しめる。
大曲においては、もう少しドラマティックな盛り上がりが欲しい気もするが、
哀愁の叙情を帯びた歌もの的なところも含めて、大人のシンフォというべき好作だ。
ドラマティック度・・7 プログレ度・・7 大人のシンフォ度・・8 総合・・7.5
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Looking-Glass Lantern 「A World Of Great Invention」
イギリスのシンフォニックロック、ルッキンググラス・ランターンの2020年作
プログレらしいきらびやかなシンセワークにマイルドなヴォーカルを乗せ、優雅なシンフォプログレを聴かせる。
甘いヴォーカルメロディは、ときにMOON SAFARIあたりにも通じるキャッチーな味わいで、
叙情的なギターの旋律とともに英国らしいウェットな叙情を描き出す。10分、16分という大曲も
派手な展開はないものの、あくまでやわらかな優雅さに包まれて、じっくりと王道のシンフォを構築。
クラシカルなシンセを主体にしたインストパートなども魅力的で、こうなるとやぼったいヴォーカルが惜しい。
ドラマティック度・・8 プログレ度・・7 優雅度・・8 総合・・7.5
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MAESTOSO「ONE DROP IN A DAY WORLD」
イギリスのシンフォニックロック、マエストソの2nd。2004年作
BARCLAY JAMES HARVESTのシンセ奏者、ウーリー・ウォルステンホルムによるプロジェクトで、
哀愁ただようメロウなギターメロディに、メロトロンを含む美麗なキーボードで
往年のブリティッシュプログレの質感を漂わせるシンフォニックロックを聴かせる。
ゆったりとした歌もの曲では、ほのぼのとした魅力もあり、そういう点でもBJH的か。
きらきらとした大仰さよりは、英国らしい牧歌的なサウンドが楽しめる好作品。
限定版の2CDには、バージョン違いやデモ等の9曲が収録されている。
メロディアス度・・8 プログレ度・・7 ゆったりほのぼの度・・8 総合・・8
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MAESTOSO「FIDDLING MEANLY」
マエストソのライブアルバム。2005年作
2004年ロンドンでのライブを収録。鳴り響くメロトロンにメロディアスなギターで聴かせる、
極上のシンフォニックロックはライブでも変わらず。ドラムはいくぶんもったりしていてオッサンバンド臭いが、
叙情的なギターフレーズとキーボードが心地よく、BJH時代の曲も披露してくれてファンには嬉しいかぎり。
音質的にはややラウドながら、ライブとしての臨場感がよく伝わってくる。
シンフォニック度・・8 ライブ演奏・・7 音質・・7 総合・・7.5
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MAESTOSO「GRIM」
WOOLLY WOLSTENHOLMEによるシンフォニックロック、マエストソの3rd。2005年作
タイトルからグリム兄弟をテーマにした作品かと思ったら、どうもそうではなく地名である「Grimroyd」と「grimly」という
単語をかけたということらしい。美しいキーボードに叙情的なギターを重ねた、英国らしい湿り気を含んだ叙情に包まれた
ドラマティックなシンフォニックロック。ほどよくダークで重厚にして、クラシカルな優雅さも含んだサウンドは、
とてもおっさんたちがやっているとは思えない、どっしりと強度のある世界観を感じる。渋いヴォーカルの歌声にアコースティックギターなど、
牧歌的で素朴な雰囲気も覗かせつつ、コンセプト作としてのメリハリある構成もさすが。大人のドラマティックシンフォというべき傑作だ。
シンフォニック度・・8 メロディアス度・・8 英国度・・9 総合・・8
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MAESTOSO「Caterwauling」
イギリスのシンフォニックロック、マエストソの2008年作
前作「GRIM」もドラマティックな傑作だったが、それに続く本作もじつに素晴らしい。
メロトロンが鳴り響き、泣きのギターを重ねた涼やかな叙情美に包まれて、ジェントルなヴォーカルを乗せた
BARCLAY JAMES HARVESTを思わせる牧歌的な雰囲気が合わさった、大人のシンフォニックロックを描いてゆく。
ときにクリムゾン的なヘヴィさも顔を覗かせたりと、楽曲アレンジのメリハリが大きく、油断して聴いているとびっくりするという。
適度なハードエッジを含んだ70年代的な質感を嫌味なく甦らせたような、見事なまでの英国シンフォニックロックの傑作だ。
残念ながら、本作が、故WOOLLY WOLSTENHOLMEのラスト作となってしまう。
シンフォニック度・・8 プログレ度・・8 70'風度・・8 総合・・8
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MAGENTA「Revolutions」
イギリスのシンフォニックロックバンド、マジェンタの1st。2001年作
FIREWORKSやCYANなどで活躍していたシンセ奏者、ロブ・リードを中心としたバンドで、
たおやかな声質の女性ヴォーカルと、優雅なエレンガントさも漂わせた軽やかなサウンド。
随所にYesを思わせるようなキャッチーさに彩られていて、長い曲においても聴き疲れがしないの特徴だ。
19分、20分、24分、21分という大曲を配した構成でCD2枚組という、デビュー作にしてこの気合の入り方はなかなかすごいが、
全体的にサウンドには重厚さや濃密さはなく、あくまでキャッチーなので、つい聴き流してしまいそうになる。
しかしながら、プログレマニア向けにとどまらないポップな軽妙さにこそ、このバンドの可能性があるのかもしれない。
メロディアス度・・8 プログレ度・・8 女性Vo度・・7 総合・・8
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MAGENTA「SEVEN」
イギリスのシンフォニックロックバンド、マジェンタの2nd。2004年作
雰囲気的には、かつてのYESのように爽やかでキャッチーな典型的シンフォニックロック・サウンド。
いかにもプログレ的なお約束のキーボードの音色にメロウなギター、女性ヴォーカルの歌声で聴かせる、
ライトなシンフォニックロック。10分を超える大曲がほとんどであるが、軽快なアンサンブルで聴き疲れはしない。
全体的に重厚さはないのだが、爽快でキャッチーなシンフォニックロックが好きな方ならまず気に入るだろう。
2009年のリマスター再発盤では、サウンドがよりダイナミックになっていて、バンドの爽快な魅力が増している。
シンフォニック度・・8 爽快度・・8 女性Vo度・・7 総合・・8
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MAGENTA 「Another Time...Another Place...」
イギリスのシンフォニックロック、マジェンタのライブ作品。2004年作
本作は2002〜2004年までのライブ音源をCD2枚組で収録。
ロブ・リードのきらびやかなシンセワークとクリスティーナ嬢の歌声を中心にした
キャッチーかつメロディックなサウンドは、女性声のYesというような聴き心地もある。
現在の作風に比べるとまだダイナミズムは弱いのだが、優雅でやわらかな感触とともに、
10分、20分を超える大曲を構築してゆく。今後のバンドの成長を予感させるライブ作品だ。
メロディアス度・・8 ライブ演奏・・7 女性Vo度・・8 総合・・7.5
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MAGENTA「THE GATHERING」
イギリスの女性Voシンフォニックロックバンド、マジェンタのライブDVD。2005作
女性ウォーカルのたおやかなシンフォバンドとして、人気もそこそこ出てきているこのバンド。
個人的には、このバンドの楽曲はひっかかりが少なくて、自分にはやや退屈なのだが、
このライブ演奏では、CD以上にVoのクリスティーナ嬢が前に出ている感じでなかなかよろしい。
全体的に落ち着いた演奏で聴かせるアダルトなシンフォニックロックという感じなので
音のダイナミズムには欠けるのが難点か。もう少し大仰さが欲しい。
シンフォニック度・・7 ライブ映像・・7 ライブ演奏・・7 総合・・7

MAGENTA「HOME」
イギリスのシンフォニックロックバンド、マジェンタの2006年作
3作目の本作は、アメリカに移り住んだ女性を描いたコンセプト作で、歌ものメインの構成となっている。
キーボードはやや控えめで、しっとりとしたピアノに乗るクリスティーナ嬢の歌声…
全体的に内面を描くコンセプト作ということでか、これまでのような爽やかな雰囲気よりも
翳りのある叙情が押し出されていて、聴きようによっては地味すぎて退屈に思える部分もあるが、
バンドの魅力はしっかりと発揮されているので、彼らのサウンドが好きならば心地よく楽しめるだろう。
限定盤2CDのdisc2には「New York Suite」と題された、ストーリーの後日談的な内容となっている。
シンフォニック度・・7 しっとり度・・8 女性Vo度・・8 総合・・7.5
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MAGENTA「The Singles」
イギリスのシンフォニックロックバンド、マジェンタの2007年作
いまや現在形英国シンフォを代表するバンドのひとつとなった彼らだが、
本作は過去に発表されたシングルからの楽曲を集めた企画アルバム。
クリスティーナ嬢の歌声とともにシンフォニックなアレンジで聴かせるサウンドは
適度にキャッチーなポップ感とモダンなセンスを含ませつつ、コンパクトに構築されている。
歌もの的な曲が多い分、プログレバンドとしてより女性声ロックとしての魅力が再認識できる1枚。
メロディック度・・8 プログレ度・・7 女性Vo度・・8 総合・・8
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MAGENTA「Metamorphosis」
イギリスのシンフォニックロックバンド、マジェンタの4th。2008年作
前作は歌もの中心のコンセプト作で、サウンド的にはやや地味だったのだが、今作では爽快なシンフォニックサウンドに戻っている。
ロブ・リードのプログレ的なシンセワークはますます本領を発揮、オーケストレーションを加えた壮麗なアレンジによって、
楽曲の重厚さが増している。クリスティーナ嬢の歌唱にもいっそうの表現力が加わり、線の細かった過去作に比べて音のスケール感が備わった。
20分を超える大曲2曲をメインに聴かせる、ドラマティックな高品質作。現時点ではバンドとしての最高傑作というべき出来だろう。
シンフォニック度・・8 プログレ度・・8 女性Vo度・・8 総合・・8.5
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MAGENTA 「Live at the Point 2007」
マジェンタのライブ作品。2008年作
2007年の英国公演を収録したCD2枚組作品。1stから2007年の「The Singles」までの
4枚のアルバムから選曲された楽曲を中心に演奏。クリスティーナ嬢のキュートな歌声と、
ミニムーグの音色を含んだいかにもプログレ的なシンセワークとともに、爽快なシンフォニックロックを聴かせる。
メロディックなギターワークも随所にサウンドを彩り、楽曲におけるキャッチーなアクセントになっている。
Disc2ではデビュー作「Revolutions」からの14分を超える大曲2曲を演奏。アルバム以上にドラマティックで
プログレらしく起伏に富んだサウンドが楽しめる。以前のライブ作よりも、バンドとしてのまとまりを感じさせる好ライブ。
メロディック度・・8 ライブ演奏・・8 女性Vo度・・8 総合・・8
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MAGENTA「HOME-The Complete 2CD Edition」
英国のシンフォニックロックバンド、マジェンタの3rdの再発盤。2010年作
本来は2枚組みとして作られた本作は、レーベルの意向により1CD+ボーナスCDとなっていたが、
本来の構想であった曲順に戻されて甦った。正直、最初のリリース時には地味な作品と思ったのだが、
主人公の女性がリバプールからニューヨークへ渡り、出会いや事件とともに人生を見つめてゆくという
ストーリーを念頭に入れながら、あらためて聴いてみると、ゆるやかに展開してゆくドラマティックな物語を
映画を見るようにして音楽で楽しむことができる。メロウなギターワークに、美しいシンセ、そして
クリスティーナ嬢の歌声が合わさった、しっとりと聴かせる大人のシンフォニックロックである。
シンフォニック度・・8 ドラマティック度・・8 女性Vo度・・7 総合・・8
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MAGENTA 「Live at Real World」
イギリスのシンフォニックロック、マジェンタのライブ。2010年作
アコースティック編成にストリングスを加えた、2009年のスタジオライブを収録した2CD+DVD。
アコースティックギターのつまびきに、優雅なピアノとオーボエが重なり、女性ヴォーカルの歌声を乗せ
しっとりと聴かせるサウンドは、キャッチーなバンドの楽曲になかなかマッチしていて、じつに耳心地よい。
アコースティックアレンジによりクリスティーナの美しい歌声が引き立ったことで、RENAISSANCEあたりにも通じる
クラシカルで優美な雰囲気に包まれていて、アルバムバージョンとはまた違った魅力が引き出されている。
DVDではセクシーなドレスのクリスティーナの姿をはじめ、アットホームな雰囲気のスタジオライブの映像が楽しめる。
ライブ演奏・・8 しっとり優美度・・9 女性Vo度・・8 総合・・8 
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magenta 「chameleon」
イギリスのシンフォニックロックバンド、マジェンタの2011年作
スタジオアルバムとしては5作目で、ロブ・リードのいかにもなプログレ的音色のシンセワークと
女性ヴォーカル、クリスティーナ嬢の歌声で聴かせるシンフォニックロックは本作も健在。
前作「Metamorphosis」に比べると、いくぶん初期の作風に戻った感じもあり
キャッチーで軽快な聴き心地と、しっとりとした叙情が同居したサウンドは、
これといった新鮮味はないものの、安心して楽しめるクオリティの高さだ。
シンフォニック度・・8 プログレ度・・8 女性Vo度・・8 総合・・8
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MAGENTA「LIVE : On Our Way To Who Knows Whee」
イギリスのシンフォニックロック、マジェンタのライブ作品。2012年作
本作は2011〜2012年のヨーロッパツアーのライブを収録したCD2枚組。
ドラムが交代したことで、アンサンブルはより安定感を増し、ロブ・リードの美麗なシンセワークと
テクニックのあるギター、そしてキャリアをへて艶を増したクリスティーナ嬢の歌声とともに、
バンドとしての円熟した演奏が楽しめる。初期よりもぐっとアダルトな聴き心地で、
ときにアニー・ハズラムを思わせるやわらかなヴォーカルが魅力的です。
メロディアス度・・8 ライブ演奏・・8 女性Vo度・・8 総合・・8
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MAGENTA 「The Twenty Seven Club」
イギリスのシンフォニックロック、マジェンタの2013年作
2001年にデビューしてから、女性Voをフロントにしたキャッチーなプログレサウンドで人気を博し
いまや英国シンフォを代表するバンドのひとつとなった。スタジオ作品としては6作目となる本作は
27歳の若さで亡くなったミュージシャン達…ジム・モリソン、ジミ・ヘンドリックス、ジャニス・ジョプリン、
ブライアン・ジョーンズ、カート・コバーン、ロバート・ジョンソン…をコンセプトにしたという作品で、
各楽曲ごとにそれぞれのアーティストをモチーフにしたドラマティックなシンフォニックロックを描いている。
10分を超える大曲を中心に、メロディックなフックと、ときにしっとりとした翳りのある叙情も含ませながら、
メリハリのある展開力とアレンジセンスを見せつける。いっそう円熟味を増したバックの演奏に、
艶めいた大人の香りを感じさせるクリスティーナ嬢の歌声も、ぐっと表現力を増してきている。さすがの力作です。
メロディック度・・8 プログレ・・8 女性Vo度・・8 総合・・8
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MAGENTA 「The Singles - Complete」
イギリスのプログレバンド、マジェンタの2015年作
2007年に発売された「The Singles」に、新たに楽曲を追加して2枚組仕様にした完全版。
美しいシンセアレンジにクリスティーナ嬢の美声を乗せて、優雅に聴かせるシンフォニックロックサウンドは、
キャッチーで爽快なメロディアス性を含めて、いわばYes+Renaissanceという聴き心地でもある。
Disc1にはこれまでのバンドのカラーを散りばめたシングル曲を12曲収録。EL&P“Lucky Man”のカヴァーなども
美しく叙情的な仕上がりだ。Disc2には新規リミックスや別バージョン、未発曲などを12曲収録。
バンドのファンはもちろん、バンドの入門用としてもうってつけの企画アルバムである。
メロディック度・・8 優雅度・・8 女性Vo度・・8 総合・・8
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MAGENTA 「Chaos from the Stage」
イギリスのプログレバンド、マジェンタのライブ。2016年作
いまや英国を代表する女性Voプログレバンド。本作は、2015年の英国公演のステージをCD+DVDに収録。
近年のアルバムからまんべんなく選曲されたセットリストで、ロブ・リードのひらびやかなシンセワークと、
クリス・フライの流麗なギター、そして大人の艶を増したクリスティーナの伸びやかなヴォーカルで、
優雅なシンフォニックロックを聴かせる。過去のナンバーもバンドの現在形の編成で高品質に蘇り、
キャリアのあるバンドらしい余裕のある演奏力も見事。DVDには全12曲、CDには内8曲を収録。
ラスト2曲は合わせて30分を超える大曲で、このバンドの軽妙な構築力をたっぷりと堪能でき、
とくにDVDは映像、音質ともに良好で、マジェンタの魅力を余すところなく伝えてくれる。入門用にもどうぞ。
ライブ演奏・・8 プログレ度・・8 女性Vo度・・9 総合・・8 
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MAGENTA 「We Are Legend」
イギリスのプログレバンド、マジェンタの2017年作
2001年にデビュー、女性Voをフロントにしたキャッチーなサウンドで、いまや英国シンフォを代表するバンドのひとつ。
スタジオ作品としては7作目で、26分、10分、11分という大曲3曲を収録した、コンセプト的なアルバムとなった。
美しいシンセアレンジに適度にハードさを含んだ叙情的なギターを重ねて、優雅で軽やかなアンサンブルに、
紅一点、クリスティーナ・ブースの伸びやかな歌声を乗せた、ドラマティックなシンフォニックロックを展開。
バンドとしての演奏力も、クリスティーナの歌唱の表現力も、ずいぶん上がっていて、アコースティックパートなどを含む
メリハリのある構築力と、物語的な流れを感じさせる展開美で、キャリアのあるバンドらしい大人の叙情に包まれた、
レベルの高いプログレサウンドを描いてゆく。優雅でドラマティック、文句なく傑作といえる内容です。
ドラマティック度・・8 プログレ度・・8 優雅度・・9 総合・・8 
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MAGENTA 「We Are Seven」
イギリスのプログレバンド、マジェンタのライブ作品。2018年作
Disc1には、2017年作「We Are Legend」からの全曲を含むセットで、過去作からのナンバーも披露、
安定したリズム隊に、ロバート・リードのきらびやかなシンセとクリス・フライの巧みなギターワーク、
クリティーナ・ブースの伸びやかな歌声を乗せて、優美で叙情的なシンフォニックプログレを聴かせる。
26分の大曲を構築するバンドとしての確かな力量も見事で、ライブ演奏における貫禄も備わってきた。
Disc2には、2004年作「Seven」の全曲を収録。YESをルーツにしたオールドなプログレ感触に包まれて、
優雅でキャッチーなメロディアス性で楽しめる。バンドの現在形と、過去作の再現が両方味わえるライブですな。
ライブ演奏・・8 プログレ度・・8 優雅度・・9 総合・・8
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MAGENTA 「HOME 2019 Limited Edition」
イギリスのプログレバンド、マジェンタの2019年作
2001年にデビュー、いまや現在系の英国プログレを代表するバンド。本作は2006年の3作目を
新たにリミックスして手直しを加えたもので、やわらかなピアノに美しい女性ヴォーカルでしっとりと幕を開け、
メロウなギターも加えつつ、優雅な歌もの感をメインにしたアダルトなシンフォニックロックを構築する。
リミックスによりサウンドのダイナミズムが増したこことで、よりメリハリのついたドラマティックな味わいになり、
繊細なパートでも歌や楽器ごとの存在感が増した印象。倦怠を帯びた大人の叙情美を体現した全70分の逸品。
2枚組に拡大された2010年バージョンともまた違った出来なので、それぞれ聴き比べて楽しむのもよいだろう。
ドラマティック度・・8 プログレ度・・7 優雅度・・9 総合・・8
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MAGENTA 「LIVE AT ACAPELA 2016 & 2017」
イギリスのプログレバンド、マジェンタのライブ作品。2019年作
ウェールズのアカペラ・スタジオで行われた、2016/2017年のアコースティックライブを2CD+2DVDに収録。
アコースティックギターにチェロを重ねたインスト曲から、TIGER MOTH TALESのピーター・ジョーンズによるピアノと
クリスティーナ・ブースの美しい歌声でしっとりと聴かせる。ロブ・リード、クリス・フライ、クリスティーナ各メンバーのソロや、
KOMPENDIUMの楽曲も披露。アダルトなジャズタッチのナンバーや、牧歌的なリコーダーによるフォーク風のナンバー、
ドラムにエレキギターも加えたロック寄りの感触も覗かせつつ、音数を絞ったシンプルな音像で各曲をアレンジしている。
2017年の方では、10分前後のMAGENTAの大曲も優美なアレンジで披露。バンドの懐の深さを味わえるライブ作品である。
ライブ演奏・8 プログレ度・6 優雅度・9 総合・8 
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MAGENTA 「Masters of Illusion」
イギリスのプログレバンド、マジェンタの2020年作
8作目となる本作は、1950〜60年代の怪奇/ホラー映画の名優たちを各楽曲ごとにテーマにした作品で、
ストリングスを含むオーケストラルなイントロから、メロディックなギターの旋律にシンセを重ね、
クリスティーナ・ブースのコケティッシュなヴォーカルを乗せて、優雅なシンフォニックロックを聴かせる。
いつもながら、きらびやかなシンセアレンジにキャッチーなメロディアス性のバランスも良く、
表現力を増したクリスティーナ歌声に、クリス・フライのギターワークも大人の叙情美をぐっと増している。
派手な展開や新鮮味は薄いものの、10分を超える大曲を構築する、優美で軽妙なセンスはすでに円熟の域。
アルバム後半には、ケルティックな旋律を乗せたIONAばりのパートもあり、ウェールズ出身の感性も覗かせる。
ドラマティック度・・8 プログレ度・・7 優雅度・・9 総合・・8 
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Magenta 「Lost Reel」
イギリスのプログレバンド、マジェンタの2020年作
2020年作「Master of Illusion」収録の5曲を新たにミックス、さらに2001年の年デビュー作「REVOLUTIONS」、
2011年作「CHAMELEON」、2017年作「WE ARE LEGEND」、配信限定シングル曲からのリミックスを収録した、
全9曲入りのコンピ作品。クリスティーナ・ブースの美しいヴォーカルに優美なシンセワーク、叙情的なギターで
しっとりと耳心地の良いシンフォプログレを聴かせる。アコースティックを含む繊細なアレンジも覗かせつつ、
一方で16分という大曲「Masters Of Illusion」のインストミックスは、メロウなギターの旋律にオルガンなどのシンセで
ゆったりと優雅な味わいで楽しめる。ある意味、アルバム以上に聴きごたえがある、全73分です。
ドラマティック度・・8 プログレ度・・8 優美度・・9 総合・・8 
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Magenta 「Songs from the Big Room」
イギリスのプログレバンド、マジェンタの2021年作
2020年に亡くなったウェールズのある熱心なファンに向けて作られたというEPで、内ジャケにも彼の写真がある。
新曲3曲に、同3曲の別ミックスを収録した、全43分。オルガンやエレピを含むシンセに、美しい女性ヴォーカル、
アコースティックを含むメロウなギターとともに聴かせる、優雅な叙情に包まれた英国らしいシンフォプログレサウンド。
しっとりとした2曲では、表現力を増したクリスティーナの歌声に、Tiger Moth Talesのピーター・ジョーンズが参加し、
エモーショナルなサックスの音色も素晴らしい。キャッチーな3曲めは、マジェンダらしいYESルーツの王道のナンバー。
よりオールドな味わいの別ミックスも味わいがあり、ラストのChinpan Aミックスは、エレクトロな感触で面白い。
メロディック度・8 プログレ度・8 優雅度・8 総合・8 
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Magenta 「The White Witch: A Symphonic Trilogy」
イギリスのプログレバンド、マジェンタの2022年作
本作は、ロバート・リード編曲によるオーケストラをフィーチャーした作品で、レス・ペニングスによるナレーションから、
クリス・フライのクラシックギターのつまびきに、クリスティーナ・ブースの美しい歌声と、オーケストレーションを合わせた
しっとりとしたシンフォニックサウンドを描く。ドラムなどは入らないのでロック色は薄いが、優美なシンフォニーとしては
THE ENIDなどにも通じる典雅な雰囲気で楽しめる。22分、15分、11分という構成で、シネマティックなスケール感と、
オーケストラルな美しさに包まれながら、英国的な美学を感じさせるセンスはさすが。クラシカルで優雅な逸品です。
クラシカル度・9 ロック度・1 女性Vo度・8 総合・8 
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Manning 「Anser's Tree」
イギリスのシンフォニックロック、マニングの2006年作
The TangentやオーストラリアのUPFなどにも参加するミュージシャン、ガイ・マニング率いるバンドで、
きらびやかなシンセワークにやわらかなフルート、艶やかなフィドルの音色も加わって、
ジェントルなヴォーカルとともに、英国らしい牧歌的な叙情に包まれたサウンドを聴かせる。
曲ごとに歴史上の人物をテーマにしていて、Jethro Tullなどにも通じる優雅な土着性と、
メディーヴァルな雰囲気も感じさせる。サックスも鳴り響く軽妙な味わいは、The Tangentに通じるところもあるが、
12分という大曲もテクニカルというよりはあくまで牧歌的な感触で、ヴォーカルも含めて悪くいえばイモ臭い。
ドラマティック度・・7 プログレ度・・7 牧歌的度・・8 総合・・7.5
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Mantra Vega 「The Illusion’s Reckoning」
イギリスのシンフォニックロック、マントラ・ヴェガの2016年作
Mostly Autumnのヘザー・フィンドレイをフロントにしたバンドで、モストリー・オータムのギター、ドラムも参加、
アコースティックギターを用いた牧歌的な感触に、やわらかな女性ヴォーカルと美しいシンセを加えた、
繊細で優美なシンフォニックロック。当然ながら、Mostly Autumnに通じる優雅な聴き心地であるが、
ヘザーさんの歌声をより前に出した作風で、やわらかなリコーダーの音色も含んだしっとりとしたフォークロック色に、
ときにギターを重ねた音の厚みや、メロトロンやオルガンを含むプログレらしいシンセアレンジも覗かせる。
魅力的な歌声とシンフォニックな美しさに包まれた、ラストの10分におよぶタイトル曲にはウットリとなる。
トロイ・ドノックリー(Nightwish)、イレーネ・ヤンセン、アルイエン・ルカッセンなどがゲスト参加。
ドラマティック度・・7 プログレ度・・7 女性Vo度・・8 総合・・8
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Mark Kelly's Marathon
イギリスのミュージシャン、マーク・ケリーによるプロジェクト、マラソンの2020年作
MARILLIONのシンセ奏者としても活躍するミュージシャン。本作は「コミュニケーションの断絶」をテーマに、
MOSTLY AUTUMNのドラムや、WATERCOLOURSというバンドで活躍するマークの甥であるベースが参加。
メロウなギターに美しいシンセが重なり、かすれた味わいのヴォーカルとともに、ゆったりとした叙情に包まれた
メロディックロックを展開する。キャッチーな感触と、しっとりとした繊細さが同居したサウンドは、IT BITTES
MARILLIONの中間という雰囲気で、全体的に歌もの主体ながら、後半は4部構成の15分の組曲で、
コンセプト的なドラマ性を感じさせる、叙情豊かなシンフォニックロックとしても楽しめる。
メロディック度・・8 プログレ度・・7 優美な叙情度・・8 総合・・8
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Marillion 「Script Fot a Jester's Tear」
イギリスのポンプロックバンド、マリリオンの1st。邦題は「独り芝居の道化師」1983年作
演劇的な情感を含んだフィッシュの歌声は、明らかにGENESISのピーター・ガブリエルに影響を受けたもので、
7〜8分前後の長めの楽曲をメリハリのある構成で描いてゆく手法も、ジェネシスの80年代化というべき聴き心地。
スティーブ・ロザリーのギターは、適度にキャッチーでモダンな感触も匂わせつつ、メロウに楽曲を彩っている。
このシンフォ路線は、3rdで集大成を見せ、バンドはその後しだいに方向性を変化させてゆく。
2020年のリミックス盤では、サウンドがよりクリアになり、ドラマティックな味わいで楽しめます。
ドラマティック度・・8 ジェネシス度・・8 叙情度・・8 総合・・8
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MARILLION「Fugazi」
イギリスのポンプロックバンド、マリリオンの2nd。1984年作
GENESIS風味のダイナミックなハードシンフォだった1stから、今作ではややシンプルな感触になり、
ストレートで軽快さが増した。シンフォニックなシンセをバックに、スティーブ・ロザリーのギターは
メロディアスなフレーズを奏でつつ、ときにハードロック的な質感も垣間見せており、
パワフルなドラムの音も含めて録音が良いので、サウンドにはぐっと迫力がある。
相変わらずフィッシュの歌声は濃厚すぎるほどで、ときにやや暑苦しいのだが、
そこも含めてのカラフルなサウンドはキャッチーなプログレハードとしても楽しめるだろう。
シンフォニック度・・8 メロディアス度・・8 プログレハー度・・8 総合・・8
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MARILLION「Misplaced Childhood」
イギリスのプログレバンド、マリリオンの3rd。邦題は「過ち色の記憶」1985年作
物哀しいイントロのメロディから始まる本作は、主人公が少年時代の亡霊と出会い、過去への記憶を甦らせるという、
独自のストーリーのコンセプト作。きらびやかなシンセとメロウなギター、そして物語を語るような
フィッシュの味わいのあるヴォーカルとともに、繊細な叙情美とウェットなメロディの合わさった、
英国的な空気に包まれる。ドラマティックに構築される本作は、初期のシンフォニックロック路線では、
バンドの最高傑作といえるだろう。2017年リマスター盤では、サウンドのダイナミックさがぐっと増している。
ドラマティック度・・9 メロディアス度・・8 叙情度・・9 総合・・8.5
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MARILLIONClutching at Straws」
イギリスのポンプロックバンド、マリリオンの4th。邦題は「旅路の果て」1987年作
初期の濃密な作風よりもやや肩の力が抜け、ソフトな叙情性で聴かせる好作。
シンフォニックなシンセは控えめで、スティーブ・ロザリーのギターワーク前に出た印象。
自身の内面を歌うようなフィッシュの歌声は深みを増し、GENESISクローンと言われた
ホンプロックからの脱却が感じ取れる。ここにあるのは良質なメロディックロックであり、
英国的な叙情美ともに、自然体で聴かせるシンフォニックロックである。
ドラマティック度・・8 メロディアス度・・8 叙情度・・9 総合・・8
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MARILLION「THE THEIVING MAGPIE」
英国ポンプロックの代表格、マリリオンのライブアルバム。CD2枚組。1988年作
80年代当時はIQらとともにGENESIS風のサウンドを標榜して、ポンプロックムーブを引き起こしたこのバンド。
このライブアルバムは、初期の代表作「MISPLACED CHILDHOOD」の完全再現を含む集大成的な作品である。
1枚目は3rdを除くアルバムからの選曲となっていて、やや小粒でポップなメロディの曲もある。
ややわざとらしいフィッシュの歌唱は、ライブで聴くといっそう好き嫌いが分かれるかもしれない。
これが2枚目の「MISPLACED CHILDHOOD」になると、このシアトリカルなVoがコンセプトサウンドにマッチして、
非常にドラマテイックに聴こえてくるから不思議だ。このDISC2を聴くだけでも価値がある。
おそらくPENDRAGONやARENAあたりの原点は、やはりこのサウンドだったのだと思える。
シンフォニック度・・(DISC1・・7 DISC2・・8) ライブ演奏・・8 総合・・7.5
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Marillion 「Holidays in Eden」
イギリスのメロディアスロックバンド、マリリオンの6th。1991年作
スティーブ・ホガースが加入しての2作目となる本作は、うっすらとしたシンセアレンジと、
マイルドなヴォーカルを乗せた繊細で叙情的なサウンドに、アメリカ進出を意識したというように、
キャッチーでポップなナンバーも含んだ、耳心地の良さが際立っている。随所に泣きのギターフレーズも光っていて、
翳りを帯びたやわらかな空気感とともに、すでにのちのポストプログレ系というべきサウンドを確立しつつ、
しっかりとメロウな感触は残しながら、より多くのリスナーへ向けた普遍性も感じさせる。派手さはないがよい作品です。
メロディック度・・8 プログレ度・・7 繊細な叙情度・・8 総合・・8
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MARILLION「Brave」
イギリスのメロディアスロックバンド、マリリオンの7th。1994年作
前作「Holidays in Eden」でのキャッチーな路線から一転、壮大なコンセプト作となった。
うっすらとしたシンセワークに、メロウなギタートーン、そしてスティーブ・ホガースの
もの悲しくも優しい歌声で聴かせる、しっとりとした叙情サウンドは、プログレというよりは
今で言う薄暗系ロックの先駆けでもあり、たとえば、同時期のDREAM THEATERにおける
テクニカルなドラマ性とは対照的な構築の仕方である。おそらくは後のARENAなどにも
大きな影響を与えたであろう、このモダン志向の叙情ロックのスタイルは、ひとつの金字塔である。
リマスター盤にはもアコースティックバージョンなど未発曲を収録したの2CDの限定盤もあり。
しっとりメロウ度・・9 プログレ度・・7 薄暗叙情度・・9 総合・・8
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MARILLION「afraid of sunlight」
イギリスのメロディアスロックバンド、マリリオンの8th。1995年作
シリアス系のコンセプト作として成功を収めた「BRAVE」に続くこのアルバムは、
前作のダークな部分を残しながらも、楽曲的には分かりやすさを増した作風となっている。
「BRAVE」で身につけた「静寂と自然体の中の叙情」「コンセプト的なつながりのあるアルバム構成」
という新たなオリジナリティを遺憾なく発揮し、等身大のバンドの姿をさらしたサウンドといってもよいだろう。
最近のARENAあたりにも通じるものを感じられるが、それもこのバンドの存在があったからこそだろう。
聴く側も肩の力を入れずに、ゆったりとこの深遠な楽曲に身を任せられる、そんな音楽である。
それにしてもバラード曲でのステイーブ・ホガースの歌唱は以前にも増して胸を打つ。
メロディアス度・・8 プログレ度・・6 深遠度・・8 総合・・8
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MARILLION「Made Again」
英国のメロディックロックバンド、マリリオンのライブアルバム。1996年作
CD2枚組で、Disc1は1991年ロンドン、1995年ロッテルダムのライブを収録。
スティーブ・ホガースのマイルドな歌声を中心に、やわらかみのある演奏と
ゆったりとした叙情美で聴かせる、ほの暗さが心地よいサウンドだ。
Disc2は1994年のパリでのライブを収録。名作「Brave」の完全再現で、
哀愁漂うコンセプト作を、楽曲の連なりで再現してゆく様は圧巻だ。
メロディアス度・・8 ライブ演奏・・8 ゆったり叙情度・・9 総合・・8
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MARILLION「This Strange Engine」
マリリオンの9th。1997年作
ここにきてほぼ完全に脱プログレを果たし、自然体のメロディアスロックを歌ものとして聴かせる術を身に付けた。
ギターはアコギ中心になり、バックの演奏もしごくシンプルに、そしてホーガスの歌唱の重要度は否が応にも高まっている。
じつに聴きやすく、質の高いメロディアスロックといっていいが、今作あたりからプログレファンが離れていってしまうのは
ある意味仕方がないだろう。しかし、このせつないような内的叙情は実に日本人向けだとは思う。
メロディアス度・・8 プログレ度・・5 歌もの度・・8 総合・・7.5
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MARILLION「RADIATION」
マリリオンの10作目。1998年作
印象的なジャケはプログレな雰囲気を感じさせるが、サウンドの方はじつに自然体の歌ものロックで、
オルガンなどのシンセアレンジやホガースの歌声の魅力とともに、適度にキャッチーかつメロウな味わいで楽しめる。
もはや彼らは、マリリオンという名の英国叙情ロックバンドであり、ネオプログレとは別次元の存在である。
しかしながら、英国らしい倦怠を含んだしっとりとした叙情性は、この後の作品でさらに深まってゆくことを思えば、
過渡期の作品としては、試行錯誤ではなくより自然体の音を目指す、彼らの意図はしっかりと表現されているともいえる。
メロディアス度・・8 プログレ度・・5 歌もの叙情度・・8 総合・・7.5
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MARILLION「marillion.com」
マリリオンの11作目。1999年作
薄暗い叙情性を含んだモダンなメロディックロックは、前作からの自然体の流れをよりスタイリッシュに深化させている。
スティーヴ・ホガースのヴォーカルを中心にした、耳心地の良い歌もの感と、メロウなギターと美しいシンセアレンジによる、
シンフォニックな質感も加えた作風は、2000年以降の英国のモダンプログレの新たな指針というべきサウンドである。
楽曲は4〜6分前後中心のシンプルな聴き心地ながら、後半には15の大曲もあって、しっかりとプログレらしい展開力と構築センスが光っている。
サックスが鳴り響く大人の哀愁と叙情に包まれたラスト曲まで、この時期のマリリオンを敬遠していた方にも、ぜひ聴いて欲しい力作に仕上がっている。
メロディアス度・・8 プログレ度・・7 歌もの叙情度・・8 総合・・8
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MARILLION「Marbles」
英国のプログレロックバンド、マリリオンの2004年作
通算13作目のアルバムで、すでにプログレともポンプロックとも異なる、しっとりとした叙情の
薄暗系モダンロックというべき作風なのだが、今作では幻想的な情緒を漂わせたシンセワークと
メロウなギターに包まれて、不思議な浮遊感とゆるやかな叙情美が楽しめるサウンドになっている。
いくぶんシンフォニックロック的な感触も戻ってきて、かつての「BRAVE」あたりにも通じるコンセプト風味が見事。
1枚ものも出ているが、2CD盤の方が、よりドラマティックな流れを感じられるのでオススメです。
メロディアス度・・8 プログレ度・・7 ゆったりメロウ度・・9 総合・・8
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Marillion 「Marbles Live」
イギリスの叙情ロックバンド、マリリオンのライブ作品。2005年作
2004年の傑作「Marbles」を完全再現したライブで、メロウで薄暗い叙情と
繊細な美しさはそのままに、ライブならではの躍動感が加わった見事な演奏。
ドラムを含めて安定したアンサンブルとベテランならではのグルーブに加えて、
スティーブ・ロザリーのギターも随所に泣きのメロディを聴かせる。そしてやはり、
スティーブ・ホガースの詩情あふれるヴォーカルがこの世界観の核を担っている。
バンドのファンはもちろん、近年のマリリオンを初体験の方にも薦めたい見事なライブ作品です。
ドラマティック度・・8 ライブ演奏度・・8 繊細度・・8 総合・・8
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MARILLION 「SOMEWHERE ELSE」
イギリスの叙情ロックバンド、マリリオンの2007年作
前作「Marbles」は繊細な叙情ロックでありながらもプログレらしさを含んだ傑作であったが、
通算14作目の本作は、さらに自然体のほどよいユルさに包まれた、メロウなサウンドを聴かせる。
裏声も巧みに使うスティーブ・ホガースの歌声は、いまやバンドの世界観を体現する表現力で、
今作では、キャッチーといってもよいやわらかな繊細さで楽しめる。スティーブ・ロザリーのギターも
ここぞと泣きのフレーズを織り込んで、じっくりと楽曲を盛り上げる。全体的には派手さはないものの、
キャリアのあるバンドしかかもしだせない「繊細な存在感」というべき空間性が素晴らしい好作品。
ドラマティック度・・8 プログレ度・・7 叙情度・・9 総合・・8 
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MARILLION「Happiness Is the Road」
イギリスの叙情ロックバンド、マリリオンの2008年作
2004年の「Marbles」、2007年の「Somewhere Else」から続く、メロウな叙情路線を踏襲した2枚組の大作。
Disc1「Essence」は、スティーブ・ホガースのマイルドな歌声を中心に、うっすらとしたシンセと、繊細なギターワークで描かれる、
いわゆるポストプログレの王道で、薄暗い叙情の中にも、やわらかな希望の光が差し込むような、耳心地のよいサウンドだ。
Disc2「The Hard Shoulder」では、よりドラマティックな感触が増していて、うっすらとしたシンセとメロウなギターワークに
スティーブ・ホガースの情感豊かな歌声で描かれる繊細なサウンドは、これぞマリリオンというもの。
ゆるやかな盛り上がりを含んだ聴き心地にうっとり。2枚通して通してじっくり鑑賞したい逸品です。
ドラマティック度・・8 プログレ度・・7 繊細度・・9 総合・・8
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MARILLION 「TUMBLING DOWN THE YEARS」
イギリスのプログレバンド、マリリオンのライブ。2010/2018年作
2009年にオランダで行われた「Marillion Weekend」の2日目を、2CDに収録した2018年の再発盤。
ファンからのリクエストを元に選曲された楽曲で、2008年から1981年へと遡っていくというセットリスト。
2008年作「Happiness is the Road」の楽曲で幕を開け、メロウなギターにスティーブ・ホガースのマイルドな歌声を乗せ、
ゆったりとした優美なサウンドを描いてゆく。10分を超える「When I Meet God」などもドラマティックな味わいで、
スティーブ・ロザリーの泣きのギターがじつに耳に心地よい。Disc2では、90年代のナンバーを主体に、
キャッチーな感触も覗かせながら、現在形のアレンジでじっくりと聴かせる。ラストは1stからのナンバーで、
ホガースの歌声で初期のシンフォプログレが楽しめる。2CDで135分、ディープなマリリオンファンも満足の内容です。
ライブ演奏・・8 叙情度・・9 マリリオンの歴史度・・9 総合・・8 
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MARILLION「Live From Cadogan Hall」
英国のプログレロックバンド、マリリオンのライブアルバム。2011年作
スティーヴ・ホガース加入後のアルバムからセレクトされた楽曲で作られたアコースティックアルバム、
2009年作「Less Is More」にともなう、2009年のライブツアーを収録したCD2枚組。
もともとやわらかな叙情を聴かせる彼らの楽曲が、さらに美しく、耳に優しくなって
アコースティックにアレンジされていて、しっとりと鑑賞できる。シンプルな音数の中でも、
スティーブ・ロザリーのギターワークはさすがの存在感で、表現豊かなホガースの歌声を引き立てている。
メロディアス度・・8 プログレ度・・6 しっとり繊細度・・9 総合・・7.5
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MARILLION「HOLIDAYS IN EDEN:LVE」
イギリスのメロディックロック、マリリオンのライブ。2011年作
2011年オランダでの公演で、1991年作「HOLIDAYS IN EDEN」を完全再現したステージを収録。
元々、じっくりと聴かせる落ち着いた雰囲気のアルジムであったが、このライブでは年季をへて
表現力を増したスティーブ・ホガースの歌声と、スティーブ・ロザリーのメロウなギターとともに、
ライブならではのダイナミックなアンサンブルで聴かせてくれる。アルバムの繊細な叙情性を
ゆるやかなドラマ性で包み込みながら、現在形マリリオンのサウンドで表現しているのはさすが。
Disc2にはシングル曲や、「This Strange Engine」、「Mables」などからのアンコールナンバーを収録。
ドラマティック度・・8 ライブ演奏・・8 叙情度・・9 総合・・8 
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MARILLION 「Best.Live.」
イギリスのプログレバンド、マリリオンのライブ。2012年作
2005年「MARBLES LIVE」から、2011年「HOLIDAYS IN EDEN LIVE 2011」までの6年間に発表されたオフィシャルライブと
web限定のライブ盤から選曲された全20曲を2CDに収録。「MARBLES」収録の大曲から始まり、やわらかなシンセに
スティーブ・ロザリーの泣きのギター、スティーブ・ホガースのエモーショナルな歌声で、翳りを帯びた叙情に包まれる。
Disc1のラストは、16分を超える大曲「This Strange Engine」で、ゆるやかな盛り上がりが胸を打つ。
Disc2は、「MARBLES」収録のラスト曲でドラマティックに始まりつつ、表現力あるホガースのヴォーカルに、
やわらかなピアノでしっとりと聴かせるナンバーなども、大人の味わいで楽しめる。アコースティックギターを使った
「This Strange Engine」収録のラスト曲で爽やかに締めくくる。2CD合計146分のという、まさにベストライブ。
ライブ演奏・・9 叙情度・・9 優美度・・9 総合・・8
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MARILLION「Sound That Can't Be Made」
英国のプログレロックバンド、マリリオンの2012年作
2008年の「Happiness Is the Road」以来となるスタジオアルバム。ほの暗い叙情と繊細な感触はそのままに、
本作では楽曲におけるダイナミズムが増していて、随所にハードめのギターが入ったり、
オーケストラルなアレンジによる、スケール感のある壮大な雰囲気をサウンドに加えている。
スティーブ・ホガースのやわらかな歌声とともにに、泣きのギターを含んだ叙情美も素晴らしく、
17分、14分という大曲をゆるやかに構築するセンスはさすが。ポストプログレ的な聴き心地で楽しめる力作。
ドラマティック度・・8 繊細度・・8 壮大度・・8 総合・・8
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MARILLION 「F.E.A.R」
イギリスのメロディックロック、マリリオンの2016年作
1983年にデビュー、初期のポンプロック路線からしだいに深みを増したメロウなサウンドへと移行、
いまでいうポストプログレの先駆けというべき繊細な叙情美をまといながら、いまや世界的な評価も取り戻した。
通算18作目の本作は、人間の存在意義をテーマにしたコンセプト作品で、タイトルは「FUCK EVERYONE AND RUN」の略。
組曲構成の大曲3曲を軸に、スティーヴ・ホガースのマイルドな歌声に、いつになくシンフォニックなアレンジとともに、
うっとりとするような繊細な叙情美のサウンドが広がってゆく。スティーブ・ロザリーのギターも随所に泣きのフレーズを奏で、
じわじわと盛り上げてゆく感触は、いわばポストプログレとシンフォニックロックを融合させたような聴き心地である。
コンセプトアルバムとしては「BRAVE」、「MARBLES」にも通じる、スケール感のあるドラマティックな流れで楽しめる傑作です。
ドラマティック度・・8 プログレ度・・7 繊細な叙情度・・9 総合・・8.5
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Marillion 「Marbles In The Park」
イギリスのメロディックロック、マリリオンのライブ。2017年作
2004年作「Marbles」を曲順通りに完全再現した、2015年オランダでの公演を2CDに収録。
うっすらとしたシンセに、メロウなギターとスティーヴ・ホガースの表現豊かな歌声を乗せ、
哀愁の叙情に包まれたサウンドを描きだす。スティーヴ・ロザリーの泣きのギターフレーズに、
ピート・トレワヴァスのベースの存在感もなにげに際立っていて、キャリアのあるバンドらしい確かな演奏力で
ときにアルバム以上の躍動感とともに、繊細なコンセプト作品を見事にライブで再現してゆく。
ラストに向けてのゆるやかな盛り上がりはやはり感動的。エモーショナルなホガースの歌声も素晴らしい。
ドラマティック度・・8 ライブ演奏・・8 叙情度・・8 総合・・8 
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MARILLION 「ALL ONE TONIGHT」
イギリスのメロディックロック、マリリオンのライブ。2018年作
2017年のイギリス、ロイヤル・アルバート・ホールでのステージで、Disc1には2016年作「F.E.A.R」の完全再現を収録。
コンセプトアルバムとしては「BRAVE」、「MARBLES」と並ぶ傑作であるから、そのライブが素晴らしくないはずはない。
美しいシンセアレンジに、スティーブ・ロザリーの叙情的なギターに、スティーブ・ホガースのマイルドな歌声を乗せて、
繊細でありながら広がりを感じる空間性とともに、じわじわと盛り上げてゆくドラマティックなスケール感が素晴らしい。
Disc2には、過去曲からのセレクトで、ストリングスカルテットを加えたシンフォニックなアレンジによる演奏にウットリ。
「Afraid Of Sunlight」や「The Great Escape」などもじつに美しい。CD2枚で計150分におよぶライブが楽しめる必聴作。
ドラマティック度・・8 ライブ演奏・・9 叙情度・・9 総合・・8.5
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Marillion 「With Friends From The Orchestra」
イギリスのプログレバンド、マリリオンの2019年作
本作はオーケストラを迎えて、過去の楽曲を新たにオーケストラ入りアレンジで構成した作品。
優雅なストリングスやフルートの音色に、メロウなギターとうっすらとしたシンセが重なり、
スティーヴ・ホガースのマイルドなヴォーカルを乗せて、壮麗なサウンドを聴かせる。
シンフォニックなアレンジが加わったかつての楽曲は、静と動のダイナミズムとともに、
表現力あるホガースの歌声でより感動的な仕上がりに。16分を超える大曲「This Strange Engine」や、
18分に及ぶ「Ocean Cloud」などもドラマティックな仕上がり。オケとバンドサウンドが自然体で融合した作品です。
シンフォニック度・・9 プログレ度・・7 優美度・・9 総合・・8
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Marillion 「An Hour Before It's Dark」
イギリスのプログレバンド、マリリオンの2022年作
会心の傑作なった前作「F.E.A.R.」に続く本作は、美しいシンセとコーラスによるイントロから、
スティーブ・ホガースのエモーショナルな歌声とともに、しっとりとした叙情に包まれてゆく。
小曲を連ねた組曲形式のナンバーも多く、世界的パンデミックや気候変動など地球規模の事変をテーマに、
物悲しい味わいとキャッチーかつ繊細な叙情美で、スティーブ・ロザリーのメロウなギターの旋律とともに、
マリリオン節というべきサウンドを構築する。この耳心地の良さは、若手バンドでは到底出せないもので、
ほどよくモダンで翳りを帯びた、深みのあるシンフォニックロックといっていい。豊饒なまでの泣きを描く傑作である。
ドラマティック度・8 プログレ度・7 叙情度・10 総合・8.5
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Mark Rowen 「Raindance」
イギリスのミュージシャン、マーク・ローウェンの2018年作
BREATHING SPACEのギタリストで、美麗なシンセにほどよくハードギターを重ね、
ハスキーな女性ヴォーカルで聴かせる、キャッチーなプログレハード風味のサウンド。
随所にメロウな叙情を奏でるギターとともに、爽快なメロディアス性やポップな味わいもあって、
アコースティックギターをバックにしっとりとした女性声で聴かせるナンバーなども耳心地よい。
プログレ感はあまりないのだが、オルガンなどを含むシンセワークは良い感じで、10分を超える大曲では、
ゲストヴォーカルも加えて女性3人の歌声が美しく重なる。キャッチーな女性声メロディックロックの逸品です。
メロディック度・・8 プログレ度・・7 女性Vo度・・8 総合・・8
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Martin Orford「Classical Music and Popular Songs」
IQのシンセ奏者、マーティン・オーフォードのソロ作。2003作
先に聴いた「The Old Road」があまりに素晴らしかったので、本作も慌てて購入したのだが、
こちらも劣らず素晴らしい。たおやかなフルートの音色から始まり、きらびやかなシンセワークと
キャッチーなヴォーカルメロディによる爽やかなシンフォニックロックサウンドが響きわたる。
ゲイリー・チャンドラー(JADIS)のギターワークもさすがで、繊細でクラシカルな楽曲を引き立たせている。
ゲストのジョン・ウェットン、ピーター・ニコルズ(IQ)が1曲ずつヴォーカルで参加。メロディ派必聴!
メロディアス度・・9 シンフォニック度・・8 繊細で爽やか度・・9 総合・・8.5
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Martin Orford「The Old Road」
IQのシンセ奏者、マーティン・オーフォードのソロ作。2008年作
突如IQを脱退したオーフォードは、自身の音楽活動のキャリアの最後として本作を制作。
ジョン・ウェットンをはじめ、ジョン・ミッチェル(IT BITES)、ゲイリー・チャンドラー(Jadis)、
スティーブ・ソーンら多数のゲストが参加。オーフォードの美しいシンセワークを軸に、
メロディアスなギターとキャッチーな歌メロで聴かせる、絶品のシンフォ・プログレハード作だ。
TRANSATLANTICばりの爽快なメロディと、古き良きシンフォニックロックの質感が合わさり、
ASIAあたりを思わせるヴォーカルハーモニーがやわらかにかぶさる。JADISばりの泣きのギターも
たっぷりと入って、叙情豊かに繰り広げられるこれは素晴らしいシンフォニックハードの美麗傑作。
シンフォニック度・・8 キャッチー度・・9 プログレハー度・・8 総合・・8.5
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Mary Jane「Eve」
イギリスのフォークロックバンド、マリー・ジェーンの2010年作
女性ヴォーカルにギター、ベース、ドラムというロック編成に、ヴァイオリンなどが加わった
フォーキーな質感と、70年代的な古き良き英国ロックの牧歌性を継承したような雰囲気。
上手すぎない女性ヴォーカルの歌声もむしろローカルな感じでよろしい。
土着的要素が薄めなので、普通にCurved Airのようなプログレとしても聴けたりする。
フォークロック度・・8 英国度・・8 女性Vo度・・7 総合・・7.5
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MASCHINE「Rubidium」
イギリスのハードプログレバンド、マシーンの2013年作
The Tangentにも参加した若手ギタリスト、ルーク・マシン率いるバンドで、デスメタルバンドの元VADERのドラムが参加。
適度にテクニカルな硬質感と、ProgMetal的な構築センスを含んだ新時代のハードプログレサウンド。
メンバーはブライトン現代音楽学校の出身ということで、音楽理論に基づいた技術の高さも含めて
DREAM THEATERなどに通じる部分もあるが、こちらはもっと軽妙でメタルフュージョン的な聴き心地である。
随所に覗くキャッチーな感触はIT BITESからの影響もあるのだろう。モダンなセンスの良さには、今後に期待できる新鋭だ。
ボーナストラック2曲はよりプログレ色が濃いナンバーで、女性ヴォーカルが加わったりと、本編以上に優雅で素敵です。
メロディック度・・7 テクニカル度・・8 モダン度・・8 総合・・8
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MASCHINE 「Naturalis」
イギリスのハードプログレバンド、マシーンの2016年作
The Tangentにも参加していたギタリスト、ルーク・マシン率いるバンドの2作目で、新たに加入した女性シンセ奏者による
モダンなシンセワークと巧みなツインギターを乗せた、適度にハードな硬質感と知的な構築性で聴かせるサウンド。
エモーショナルなヴォーカルに女性コーラスを重ねた浮遊感と、テクニカルなギタープレイの対比も含めて、
いわゆるDjent風味のカラフルな技巧性と優雅な叙情性が交差する。オールドなプログレ要素がない分、
メロディックな部分でもあくまでクールな感触で、良い意味で無駄をそぎ落としたスタイリッシュなセンスが光っている。
とてもモダンな作風だが男女声のキャッチーな歌メロが心地よいナンバーもあり、ProgMetal的というよりは、
フュージョン的でもあるアーバンなセンスと軽妙な優雅さが魅力だろう。これぞ新時代のテクニカルプログレだ。
ドラマティック度・・7 プログレ度・・8 モダン&スタイリッシュ度・・9 総合・・8
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MAX HUNT 「HOPE」
イギリスのミュージシャン、マックス・ハントの2021年作
Fragileを率いるマルチミュージシャンのソロで、ギター、ベース、ドラム、シンセ、ヴォーカルと全パートをこなしている。
オルガンを含むプログレらしいシンセに叙情的なギターとジェントルなヴォーカルで、YESをルーツにした
優雅でキャッチーなサウンドを聴かせる。一方では、モダンなビート感のポストプログレ風の味わいもあり、
歌もの的なポップな聴き心地から、しっとりとしたシンセによるアンビエントなナンバーなどもはさみつつ、
ラスト2曲は9分の大曲が続き、スリリングな展開は希薄ながら、YES系のシンフォプログレが楽しめる好作。
ドラマティック度・7 プログレ度・7 優雅度・8 総合・7.5
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Memories of MachinesWarm Winter
No-ManのTim BownessとNosoundのGiancarlo Erraによる、メモリーズ・オブ・マシンズの2011年作
プロデュースはスティーブン・ウィルソンで、想像通りのしっとりとした薄暗い叙情のサウンド。
うっすらとしたシンセアレンジにもの悲しいヴォーカルの歌声が響きわたり、
アコースティックギターにピアノやチェロの音色が絡み、繊細な情感を描いてゆく。
優しく翳りのあるアンビエントなサウンドが好きな方なら気に入る作品だろう。
ロバート・フリップ、ピーター・ハミル、さらにはジム・マテオスといった多数のゲストが参加。
メロウ度・・8 プログレ度・・7 しっとり度・・9 総合・・8
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Mermaid Kiss 「The Mermaid Kiss Album」
イギリスの女性Voロックバンド、マーメイド・キスの2003年作
しっとりとした美声の女性ヴォーカルの歌声に、うっすらとしたシンセアレンジ、
やわらかなフルートの音色で繊細な叙情を聴かせる、アンニュイなメロディックロック。
All About Eveのような倦怠の翳りに、Karnatakaあたりに通じるシンフォニックな優雅さを加えたという雰囲気で、
ほのかにケルトテイストを感じさせるところもよいですね。楽曲は3〜4分前後とわりとシンプルで、もう少し盛り上がりや展開があれば、
プログレ/シンフォ系のリスナーによりアピールするのではないかと思う。女性ヴォーカル好きは要チェックのバンドです。
シンフォニック度・・8 ケルティック度・・7 女性Vo度・・8 総合・・7.5
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MERMAID KISS「salt on skin」
イギリスの女性Voロックバンド、マーメイド・キスの2ndミニ。
今作では女性ヴォーカルが3人に増えていて、曲ごとにリードヴォーカルが変わるというのが面白い。
三人の声質の違いで、ALL ABOUT EVE風、KARNATAKA風、ロリーナ・マッケニット風などと、
曲調もそれに合わせている感じで、それぞれに雰囲気が異なるのが面白い。
サウンドは、しっとりとしたアンビエントな静謐感とモダンなシンセアレンジを取り入れつつ、
元KARNATAKAのGが参加していることで、ロック寄りの部分もしっかりとある。
メロディアス度・・7 アンビエント度・・8 女性Vo度・・8 総合・・7.5
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MERMAID KISS「Etarlis」
イギリスの女性Voロックバンド、マーメイド・キスの2nd。2007年作
IONA、KARNATAKAに続くフィメール系ケルトロックバンドとして期待されているこのバンド、
前作2ndミニアルバムもなかなかの出来だったが、続くこの2ndフルはかなりの力作となった。
女性Voは2人となって、今回はEvelyn嬢をメインヴォーカルに、Kate嬢がサポートするツインヴォーカル体制に。
サウンドは一聴したシンフォニックな厚みが増しておりプログレリスナーを意識したように、7分、10分という大曲もある。
ピアノやフルートなどによるアコースティックな質感と、ケルティックでミステリアスな雰囲気が合わさり
そこに美声の女性ヴォーカルの歌声が乗ると、それだけでうっとりと引き寄せられる。
方向性が固まったことで、音の説得力も増した。まずは最高傑作ですな。
シンフォニック度・・8 ケルティック度・・7 女性Vo度・・8 総合・・8
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MESSENGER 「Illusory Blues」
イギリスのプログレバンド、メッセンジャーの2014年作
Vo&G、B、Drという三人編成で、やわらかなギターのつまびきに、マイルドなヴォーカルを乗せ、
フルートが優美に鳴り響く、繊細な叙情性に包まれたサウンドで、ポストプログレ的なモダンさと、
オルガンなどのヴィンテージな感触が融合したサウンド。ゲストによるヴァイオンなども加えた優雅な美しさと、
フォーク的でもある素朴さが英国らしい味わいとなっていて、曲によってはシンフォニックに盛り上がる場面や、
オールドな70年代ロックテイストもあったりして、全体的に派手さはないが、ゆったりと楽しめる内容だ。
ドラマティック度・・7 プログレ度・・7 繊細で素朴度・・9 総合・・7.5
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Messenger 「Threnodies」
イギリスのプログレバンド、メッセンジャーの2016年作
二人のG&Voにシンセを含む5人編成で、やわらかなシンセにキャッチーなヴォーカルハーモニーで聴かせる、
Moon Safariあたりにも通じる繊細な聴き心地で、ときにポストプログレ的な浮遊感も含んだサウンド。
古き良きロックの優しいアナログ感に、どこか懐かしい匂いも感じさせ、適度に技巧的なアンサンブルを描き出しながら、
一方では、オルガン鳴り響く、Uriah Heepばりのヴィンテージなハードロック風味もあったりと、
70年代の英国ロック風味と繊細なアレンジで適度なモダンさを巧みに同居させるセンスも素晴らしい。
派手さはないが、なつかしくも新しい、新時代のヴィンテージプログレとしても楽しめる逸品です。
メロディック度・・8 プログレ度・・7 ヴィンテージ度・・8 総合・・8
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Midnight Sun 「Dark Tide Rising」
イギリスのプログレバンド、ミッドナイト・サンの2019年作
元ALSO EDENのシンセとヴォーカル、元GREY LADY DOWN、DARWIN'S RADIOのベースなどによるバンドで、
きらびやかなシンセに適度にハードなギター、大人の味わいのエモーショナルなヴォーカルを乗せて、
スケールの大きなシンフォニックロックを聴かせる。Marillionのようなゆったりとした叙情的な感触に
往年のシンフォニックロックのドラマティックな盛り上がりが加わって、いくぶんメタル寄りのギターも含めて
重厚なサウンドを構築している。10分前後の大曲も、表現力あるヴォーカルと確かな演奏で飽きさせない。
同名バンドが多いのでまぎらわしいが、本作はPALLASなどにも通じる英国らしいハード・シンフォの逸品だ。
ドラマティック度・・8 プログレ度・・7 叙情度・・8 総合・・8
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MICK POINTER BAND 「Marillion's "Script" Revisited」
初期MARILLIONのドラマーで現在はARENAで活動する、ミック・ポインター率いるマリリオン・トリビュート。2014年作
MARILLIONの1986年デビュー作「SCRIPT FOR A JESTER'S TEAR」25周年を記念して結成されたユニットで、
本作に2013年オランダでのライブを収録。PENDRAGONのニック・バレットや、元SHADOWLANDのベース、シンセが参加、
Disc1では、デビュー作を完全再現、美しいシンセワークに流麗なギター、GENESISトリビュートバンドに参加していたという、
ブライアン・カミンスの歌声も、P.ガブリエル寄りで、つまりはフィッシュのイメージにぴったりで、初期マリリオンにおける
優雅な泣きのロマンティシズムもしっかり再現している。Disc2では、1st時のアルバム未収録ナンバーを演奏。
大曲の「Grendel」などもファンには嬉しいだろう。2016年公演を収録したDVD「Script Revisited」の方も必見です。
ライブ演奏・・8 マリリオン度・・9 道化師の涙度・・9 総合・・8
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The Mighty RA 「All Secrets Known」
イギリスのプログレバンド、マイティ・ラーの2022年作
The Fyreworksのアンディ・エドワーズを中心にしたバンドで、美麗なシンセのイントロから、ダンディなヴォーカルと
ほどよくハードなギター、ピアノを含む優雅なシンセとともに、英国らしい正統派のシンフォプログレを聴かせる。
キャッチーなコーラスハーモニーなどは、IT BITES的でもあり、随所にメロディックなギターを奏でつつ、
TENなどにも通じるメロハー風味の爽快なノリとともにわりとストレートに楽しめる。6〜9分前後の楽曲を主体に、
曲によってはスペイシーな神秘性も覗かせつつ、じっくりと大人の叙情のプログレハードを描いてゆく。
ラストは12分の大曲で、シネマティックなセリフなどを挿入しながら、じわじわと盛り上がりそうでもうちょっと。
ドラマティック度・8 プログレ度・7 大人の叙情度・8 総合・7.5
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Moon Halo 「Chroma」
イギリスのプログレバンド、ムーン・ハローの2019年作
MOSTLY AUTUMNのイアイン・ジェニングス、RIVERSEAのマーク・アトキンソン、デヴッィド・クレメンツによるバンドで、
美しいシンセアレンジにマイルドなヴォーカルを乗せ、キャッチーでモダンなメロディックロックを聴かせる。
随所に叙情的なギターワークも覗かせつつ、ROXY MUSICのようなスタイリッシュなビートロック風味と、
PANIC ROOMのアン・ノリー・ヘルダー、MOSTLY AUTUMNのオリヴィア・スパーネンがゲスト参加しての、
男女ヴォーカルによる優雅な味わいも同居する。楽曲は3〜5分前後が中心で、わりとコンパクトなポップ性で
プログレ的な展開力はあまりないが、英国らしい優美な叙情を描く後半の楽曲などはさすがというところ。
ドラマティック度・・8 プログレ度・・7 優美度・・8 総合・・8
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MOONSHOT「WORLDS OF YESTERDAY」
イギリスのプログレバンド、ムーンショットの2020年作
No-ManTim Bownessによるプロジェクトで、1968年から活動する架空のバンドの、1971〜1992年までの楽曲集という設定で、
ジャケットには架空のジャケ、レコードなどのデザインが散りばめられている。サウンドの方は、優雅なアコースティックギターから
オルガンやムーグシンセが鳴り響く、いかにも70年代を意識したようなアートロック風で、いくぶんこもり気味の音質も確信犯的。
ヴォーカルの歌いまわしは、ときにピーター・ガブリエル的で、GENESISへの憧憬も設定に入っているのかもしれない。
80年代設定の曲はわりとキャッチーで、90年代設定の音源はシンセサウンドがよりシンフォニックになっているという凝りよう。
未発曲設定で作られたにしては、シンフォプログレとして出来が良すぎるというのがツッコミどころか。ティム・ボウネスの才能を再発見。
ドラマティック度・8 シンフォプログレ度・8 叙情度・8 総合・8
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M-OPUS 「ORIGINS」
アイルランドのプログレバンド、エム・オパスの2019年作
マルチプレイヤーのジョナサン・ケイシーを中心としたトリオ編成で、2015年にデビューし、2作目となる。
本作は1978年作品という設定(?)の、CD2枚組の大作で、男女6人のシンガーを配役にしたロックオペラ作品。
シンセとナレーションによるイントロから、ジェントルなヴォーカルとともにノリのよいロック感触に包まれつつ、
スペイシーでモダンなアレンジや、叙情的なギターにメロトロンやオルガンも加わるなど、ヴィンテージなプログレ感と
スタイリッシュなポストプログレが同居、語りによるストーリーを織り込んだシネマティックな味わいで進んでゆく。
楽曲ごとの盛り上がりなどは薄いので、CD2枚全135分という長尺感は気の短い方には向かないかもしれないが、
CD2ラストの23分という大曲では、PINK FLOYDルーツのメロウなシンフォニックロックが味わえる。
ドラマティック度・8 プログレ度・7 スタイリッシュ度・8 総合・7.5
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MORDECAI SMYTH 「The Mayor of Toytown Is Dead」
イギリスのミュージシャン、モルデカイ・スミスの2017年作
メロトロンを含むシンセに叙情的なギター、ジェントルなヴォーカルとともに、
どこかシアトリカルな雰囲気を感じさせる、古き良き英国ロックを継承するサウンド。
美しい女性ヴォーカルを加えてのしっとりと優美なパートなどもなかなか魅力的で、
クラリネットやサックスなどの音色がやわらかに鳴り響きつつ、牧歌的な優雅さに包まれる。
60年代サイケや英国フォーク的なおおらかさもあって、プログレというよりは、THE WHO
THE MOODY BLUESなどをルーツにした、英国叙情ロックとして楽しむのがよいかと。
ドラマティック度・・7 プログレ度・・7 英国度・・8 総合・・7.5
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Mordecai Smyth 「Things Are Getting Stranger On The Shore」
イギリスのミュージシャン、モルデカイ・スミスの2022年作
2011年にデビューし、本作は5年ぶりとなる3作目。前作は古き良きサイケな英国ロックという趣であったが、
本作は叙情的なギターにシンセを重ね、味のあるヴォーカルにサックスも絡む、優美なアートロックを聴かせる。
70年代初頭を思わせるようなサイケでアナログな浮遊感とともに、キャッチーでポップ味わいもあり、
ときにクラネットなどの優雅な音色もアクセントになっている。RENAISSANCEのジョン・キャンプがゲスト参加し、
女性ヴォーカルを加えたナンバーは、ルネッサンスのような美しさ。15分の大曲では、やわらかなフルートの音色や
優美なシンセに男女ヴォーカルの歌声を乗せ、幻想的なシンフォニックロックを展開する。
ドラマティック度・8 プログレ度・7 古き良き英国度・8 総合・8 
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Moria Falls 「The Long Goodbye」
イギリスのシンフォニックロックバンド、モリア・フォールズの1995年作
90年代のネオプログレ・ムーブメントに乗ってデビューしたバンドのひとつ。
美しいシンセアレンジにメロウなギターで聴かせる、GENESISルーツのシンフォニックロックで、
ゆったりとメロディアスな楽曲にマイルドなヴォーカルを乗せたサウンドはなかなか聴き心地良く、
ARENAPENDRAGONほどには突き抜けたメロディの魅力はないものの、ポンプ以降のシンフォニックロックが好きなら
それなりに楽しめるだろう。全体的にはにさらりと聴き流してしまう中庸感があるのが惜しい。
バンドはこの後2ndを出したようだが、それ以降の音沙汰は聞かない。
メロディアス度・・8 プログレ度・・7 英国ポンプ/シンフォ度・・8 総合・・7.5
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The Morrigan 「Spirit Of The Soup」
イギリストフォークロック、モリガンの1999年作
デビュー前、1985〜86年にかけてのデモ音源をCD化した作品で、トラッドナンバーのアレンジをメインに、
何曲からのオリジナル曲もやっている。どことなくサイケ感を漂わせたギターに、女性ヴォーカルの歌声を乗せ、
いくぶん妖しい土着性を含んだ感触は、Curved Airあたりにも通じるようなサウンドであるが
牧歌的なリコーダーや優雅なハープの音色には、ケルティックな雰囲気を漂わせる。
うっすらとしたシンセによるアレンジに、ソーニャ・クリスティーナばりの艶めいた女性ヴォーカルが、
浮遊感と同時に魔女めいた幻想性になっていて、デモでありながらすでに個性的な聴き心地である。
メロディック度・・8 プログレ度・・7 ケルティック度・・8 総合・・7.5
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THE MORRIGAN「RIDES OUT」
イギリスのトラッド・ロックバンド、ザ・モリガンの1st。1990年作
デモ音源に続く正規の1stで、ケルトやトラディショナルなメロディをたっぷりと取り入れ、
それをロックフォーマットで演奏するというスタイルは、この時点ですでに確立している。
エレキギター、キーボードなどをトラッドメロディと上手く融合させ、とロック的な躍動感と両立させているという点で、
後のLegendMostly Autumnなどにも少なからず影響は与えているかもしれない。
曲によっては女性ヴォーカルも入ってきて、アルバムの中でアクセントになっている。
メロディアス度・・8 プログレ度・・7 ケルティック度・・8 総合・・7.5
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The Morrigan 「Wreckers」
イギリスのトラッドロック、モリガンの1996年作
フルートが鳴り響くケルティックなフォーク要素と、ロックのダイナミズムを融合させたサウンドは
本作でより説得力をともなった世界観を描くようになった。かつてGryphonがやったような
中世音楽的な神秘性とプログレとの合体が、よりシンフォニックなテイストで具現化したという聴き心地。
ソーニャ・クリスティーナを思わせる女性ヴォーカルの歌声も、楽曲の雰囲気によくマッチしている。
メロディック度・・8 プログレ度・・7 ケルティック度・・8 総合・・8
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THE MORRIGAN「MASQUE」
イギリスのケルティックロックバンド、ザ・モリガンの1998年作
ロックフォーマットのギター、ドラム、シンセなどにフルートやアコギ、ヴァイオリンなどが
上手く溶け込んでいる。男女ヴォーカルの歌うメロディも伝統的なブリティッシュトラッドのそれだ。
同郷のGRYPHONなどに通じる部分もあり、さわやかなトラッドシンフォロックという感じ。
フォーク/トラッド要素が嘘臭くなく、それらをしっかりと研究し、シンセやギターなどと
違和感なく融合させているのが素晴らしい。トラッド・ロック好きには自信を持ってお勧めできる一作。
メロディアス度・・8 プログレ度・・8 ケルティック度・・8 総合・・8
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THE MORRIGAN「HIDDEN AGENDA」
英国のケルティックロックバンド、ザ・モリガンの5th。2002年作
今作もフルート、ギターなどによるトラッドメロディをたっぷり取り入れて、
演奏的にはシンセの比重も増したことで、よりシンフォニックロック的になった。
また、ジャケットアートの通りの中世音楽的な世界観もあって、
かつてのGryphonなど、この手のサウンドが好きな者には心地よい音楽である。
シンフォニック度・・7 プログレ度・・7 中世音楽度・・8 総合・・7.5
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MOSTLY AUTUMN「FOR ALL WE SHARED」
イギリスのシンフォニックロックバンド、モーストリィ・オータムの1st。
ヴァイオリンなどを取り入れ、トラディショナルで懐かしい感じのサウンドは、
シンフォニックというよりは、Barclay James Harvestにも通じる土と森の香りがする。
音自体にさして目新しさはないが、男女ヴォーカルの歌声とともに安心して楽しめる。
メロディアス度・・8 プログレ度・・6 トラッ度・・7 総合・・7.5
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Mostly Autumn 「The Spirit of Autumn Past」
イギリスのプログレバンド、モストリー・オータムの1999年作
1998年にデビュー、本作は2作目で、これまで貴重盤のため聴けていなかったのだが、ようやくゲット。
オールドスタイルのフォーキーな旋律と男女ヴォーカルの歌声を乗せた、牧歌的なサウンドはそのままに、
1stに比べて楽曲はよりダイナミックになった。ライブでもおなじみのナンバー「Evergreen」をはじめ、
フェザー・フィンドレイの美しい歌声を乗せた、しっとりと優美なパートも耳心地よく、やわらかなフルートや
ヴァイオリンなどを含むフォーキーな味わいに、シンフォニックな優雅さが合わさったバンドの世界観が確立。
ラストの11分の大曲まで、英国らしい優美な叙情に包まれたサウンドに浸れる。全69分の力作です。
ドラマティック度・8 プログレ度・7 優雅度・9 総合・8
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MOSTLY AUTUMN「THE LAST BRIGHT LIGHT」
イギリスのシンフォニックロック、モストリー・オータムの3rd。2001年作
1stの時点ではまだイモ臭い印象だったが、この3作目ではアレンジに吹っ切れが見られ、
曲の盛り上げ方がより大胆に、全体としてもより引き締まったクオリティに仕上がった。
アコースティック楽器をほどよく取り入れ、民族色も嘘臭くない程度の導入でバランスがよく、
シンフォニックロックとしての音の強度が上がっている。マイルドな男性ヴォーカルに、美しいシンセワーク、
そしてヘザー・フィンドレイ嬢のやわらかな歌声も耳心地よい。初期の最高傑作と言い切れる内容だ。
メロディアス度・・9 プログレ度・・7 優美度・・9 総合・・8
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Mostly Autumn 「Music Inspired By The Lord Of The Rings」
イギリスのシンフォニックロック、モストリー・オータムの2001年作
本作はトールキンの「指輪物語」をテーマにしたコンセプト作品で、ツインギターにシンセを重ねたイントロ曲から、
アコースティックギターに、ヘザー嬢の美しいヴォーカルでしっとりと聴かせる優美なナンバーへとつながり、
物語的な流れとともに進んでゆく。やわらかなフルートやヴァイオリン、チェロなどの優雅な音色も加えつつ
ときにハードなギターが重厚なメリハリをつける、これまで以上にダイナミックな構築性が味わえる。
フォーク、ケルト的な素朴な味わいと、PINK FLOYDルーツのメロウなギターの叙情性も覗かせながら
映画サントラ的なイメージに包まれた、幻想的なシンフォニックロックが描かれる好作品です。
ドラマティック度・・8 プログレ度・・7 優雅度・・8 総合・・8 
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MOSTLY AUTUMN「THE STORY SO FAR...」
イギリスのシンフォニックロックバンド、モストリー・オータムのライブ。2002年作
2001年のロンドンでのライブを収録。シンセに女性フルート奏者を含む7人編成のステージで、アコースティックを含むギターに、
美しいシンセと男女ヴォーカルの歌声で、英国らしいウェットな叙情のシンフォニックロックを聴かせる。
1st〜3rdまでのナンバーを主体に、全14曲(CDは10曲)収録。フォーク風味のある牧歌的な味わいを含んだ優雅なサウンドで
やわらかなフルートの音色も随所にアクセントになっている。ヘザー・フィンドレイ嬢の美声をメインにしたしっとりとしたナンバーも美しく、
フルートにホイッスルが鳴り響く、4thからの中世音楽風味のナンバーも披露。演奏に派手さはないが優美な叙情に浸れます。
映像で見ると、スレンダーな体系の腹出し衣装のヘザーさんに、フルート兼コーラスのアンジェラさんもセクシーで良いですね。
DVDにはライブの他、リハーサル風景やインタビューなども収録。田舎のロッジのようなところで練習しているのがいかにもらしい。
ライブ映像・・8 ライブ演奏・・8  優雅叙情度・・9 総合・・8
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MOSTLY AUTUMN「HEROES NEVER DIE/Catch the Spirits」
イギリスのシンフォニックロックバンド、モストリー・オータムのベストアルバム。2002年作
牧歌的なメロディと女性ヴォーカルの歌声で、しっとりとした英国シンフォを聴かせるこのバンド、
本作は4thまでの曲をピックアップしリレコーディングしたという変則的ベストアルバムで
原曲と聴き比べてはいないが、より音に厚みが増してシンフォニック性を強めている。
ファンなら買いだろう。またこのバンドをまだ聴いたことがない方の入門用にもお薦めだ。
画像左は1枚組「HEROES NEVER DIE」、右は2枚組「Catch the Spirits」のジャケット。
シンフォニック度・・8 しっとり度・・8 女性Vo度・・7 総合・・8
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MOSTLY AUTUMN「LIVE IN THE USA」
イギリスのシンフォニックロックバンド、モストリー・オータムのライブアルバム。2003作
ケルトテイストのあるシンフォニックロックバンドとして、着実な人気を得ているこのバンド。
このライブ作は、2002年アメリカはトリントンでのステージを収録、全11曲78分たっぷり聴かせてくれる。
決して派手さはないが、まるで自然の風景が目に浮かぶようなゆるやかな楽曲に、
アコギやフルートなどのアコースティカルな要素も調和して、じつに耳に優しい。
ヘザー嬢の歌声にはさほど華やかさはないが、その分バンドの素朴な方向性にマッチしている。
シンフォニック度・・8 しっとり度・・8 ライブ演奏・・7 総合・・7.5
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MOSTLY AUTUMN「AT THE GRAND OPERA HOUSE」
イギリスのシンフォニックロックバンド、モストリー・オータムのライブDVD。2003年作
ニューヨークはグランドオペラハウスでのライブの模様を収録。客席は2階桟敷もあり、なにやら格調高い雰囲気。
バンドのDVDとしてはすでに3作目で、演奏は初期の頃に比べずいぶんと一体感が感じられる。
バンドの色であるトラッド・フォーク色を折り込みつつ、繰り返しの多い曲調ながら音のメリハリの付けかたが上手くなった。
中盤からは弦楽隊も加わり、しっとりとシンフォニックに曲はゆるやかに盛り上がってゆく。
赤いドレスのヘザー嬢のヴォーカルもなかなか素晴らしく、今やこのバンドの顔であるし、
フルート兼コーラスのグラマーなアンジェラ嬢も、音の中で効果的な役をになっていて、
フォーク色のあるシンフォニックロックという、彼らの持ち味に貢献している。
コーラス隊にストリングスが重なる曲では、「これぞシンフォニック」という大盛り上がりを見せる。
シンフォニック度・・9 ライブ映像・・7 ライブ演奏・・8 総合・・8
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Mostly AutumnFiddler's Shindig」
イギリスのシンフォニックロックバンド、モストリー・オータムのライブアルバム。2003年作
英国Classic Rock Societyで2001年のベストバンドに輝いた彼らの2002年のライブを収録。
男女ヴォーカルの歌声と、たおやかなフルートの音色、適度にフォーキーな香りを感じさせるメロディで、
素朴で温かみのあるシンフォニックロックをライブにおいてもたっぷり聴かせてくれる。
シンフォニック度・・8 素朴な叙情度・・8 ライブ演奏・・8 総合・・7.5
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MOSTLY AUTUMN「PASSENGERS」
イギリスのシンフォニックロック、モストリィ・オータムの5th。2003年作
3rd「THE LAST BRIGHT LIGHT」では一皮剥け、5作目となるこのアルバムでは
楽曲のドラマティック性がいっそう増している。リズムがダイナミックになり、以前のようなもったりとした印象から、
美しい女性ヴォーカルとアコースティックによるフォーク色も曲に上手く融合されてきて、
いよいよ独自の「田園風シンフォ」サウンドを確かなものにしてきているのが頼もしい。
盛り上がりでは聴いていて純粋に高揚感が味わえるし、素直に頭を横に振りたくなる。
やはり女性Voメインのバラード曲がしっとりと美しく、優美な叙情性の傑作である。
シンフォニック度・・8 プログレ度・・7 叙情度・・9 総合・・8
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MOSTLY AUTUMN「THE NEXT CHAPTER」
イギリスのシンフォニックロックバンド、モストリー・オータムのライブ&映像作品。
本DVDはイギリスとアメリカでのライブ映像に、美しいイメージ映像を配した作りとなっている。
ライブにおいても、肩の力の抜けた楽しそうな演奏で、ゆるやかに盛り上がる楽曲に、
女性Voのヘザー嬢に、フルート&コーラスのアンジェラ嬢の「紅二点」がステージに華を添えている。
川のほとりでの演奏や、緑の山林、流れゆく雲などを映したイメージ映像なども美しく、
これほど自然風景の似合うバンドというのも珍しい。このバンドの牧歌的なイメージが楽しめる作品だ。
ライブ映像・・7 イメージ映像・・8 ヘザー嬢・・8 総合・・7.5
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MOSTLY AUTUMN「THE V SHOWS」
イギリスのシンフォニックロックバンド、モストリィ・オータムのライブDVD。2004作
DVD作品としてはすでにこれが4作目。今回はロンドンはアストリアシアターでのライブ映像。
アルバム「PASSNGERS」からの楽曲を中心に、メロディアスで安定した演奏を聴かせてくれ、女性Voヘザー嬢の歌唱もしっとりと美しい。
プログレというよりはフォーキーなものを感じるメロディックロックだが、弦楽隊を加えてシンフォニックに盛り上がる様などは
なかなか素晴らしい。ステージ後ろのスクリーンに映し出されるイメージ映像や、カメラワークなどにもお金と手間隙がかけられた
丁寧な作りで好感がもてる。白い衣装のヘザー嬢と黒衣装のアンジェラ嬢(フルート&キーボード)というコントラストもよいし、
堂々としたパフォーマンスのヘザー嬢の歌唱には、このバンドが絶頂期にあることが見て取れる。
シンフォニック度・・8 ライブ演奏・・8 ライブ演奏・・8 総合・・8
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MOSTLY AUTUMNStorms Over Still Water
イギリスのシンフォニックロックバンド、モストリー・オータムの6th。2005年作
これまでの牧歌的な田園風シンフォ路線から、一聴してヘヴィになったギターサウンドが耳につく。
このメタリックな質感はここにきての新機軸で、結果としシンフォニックな部分での音の厚みがぐっと増している。
もちろん牧歌的なメロディの質感は彼らならではのもので、男女ヴォーカルの歌声にやわらかな女性コーラス、
ピアノやフルートなどの美麗なアレンジとともに、サウンドのメリハリとアレンジの質も向上してきている。
ハードシンフォ系のリスナーからフォーキーなメタルファンにまで広くアピールする傑作に仕上がっている。
シンフォニック度・・8 重厚度・・8 叙情度・・8 総合・・8
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MOSTLY AUTUMN「STORMS OVER LONDON TOWN」
イギリスのシンフォニックロックバンド、モストリー・オータムのライブアルバム。2006作
現在までにアルバム8枚を出し、名実共に英国シンフォニックの代表格のひとつとなったこのバンド、
本作は6thStorms Over Still Waterにともなうツアーか、2005年ロンドンでの公演を収録。
同アルバムは従来の作品よりもダイナミックなサウンドとなった傑作であったが、
それはこのライブ音源でも同様で、男女ヴォーカルの歌声に壮麗なコーラスワーク、
シンセとギターが重厚に重なると、牧歌的でありつつもシンフォニックな広がりに包まれる。
ノリのよい曲ではロックとしての勢いもあって、プログレと思わずとも楽しめる。
フォーキーな土着性も適度にある。元KARNATAKAのレイチェル嬢もゲスト参加。
シンフォニック度・・8 ライブ演奏・・8 女性Vo度・・7 総合・・8
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MOSTLY AUTUMN「Heart Full of Sky」
イギリスのシンフォニックロックバンド、モストリー・オータムの7th。2006作
自主レーベルになっての二作目は、若干のメンバーチェンジを経ての作品となった。
男女Voの歌声に、メロウなギターとシンセ、そして艶やかなヴァイオリンの重なる1曲目は
これまで以上にシリアスな音で、ドラマティックに雄大な叙情を聴かせる。2曲目以降は、
やや肩の力の抜けた田園ロック調の雰囲気で、彼らのルーツであるPINK FLOYD的なゆったりとしたロック曲が混じるので、
シンフォニック耳にはやや物足りないか。そんな中でもヘザー嬢のやわらかな歌声は、やはり耳に優しくうっとりとなるし、
曲によってはハードシンフォニック的な盛り上がりを見せて、ときおりテンションがぐっと上がる。
ハードエッジな部分と、フロイド的な牧歌性が交互に現れるダイナミックな聴き心地の力作だ。
シンフォニック度・・7 ドラマティック度・・8 叙情度・・7 総合・・8
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MOSTLY AUTUMN「Glass Shadows」
イギリスのシンフォニックロックバンド、モストリー・オータムの2008作
新たに女性コーラスを加え、フロントのヘザー嬢とフルート奏者のアン・マリー嬢を含めて女性が3人歌をとる。
サウンドの方はシンフォニックさよりも、古き良きブリティッシュロックの素朴さが増し、
リーダーであるブライアン・ジョシュのマイルドな歌声とともに英国的な翳りを感じさせる楽曲は
あえて派手さを抑えて、1ロックバンドとしての原点に立ち戻ったような雰囲気を漂わせる。
最近のシンフォニックリスナーからするとやや地味に聴こえるかもしれないが、
このやわらかな叙情と薄暗さの中にある人間的な温かみは、むしろ現在においては貴重な音だろう。
牧歌的な味わいの中で、ヘザー嬢の絶品の歌声が映えるバラード曲などもじつに感動的だ。
シンフォニック度・・7 ブリティッシュ度・・9 素朴な叙情度・・10 総合・・8.5
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Mostly Autumn 「Pass The Clock」
イギリスのシンフォニックロック、モスタリー・オータムのアンソロジー。2009年作
1998年デビュー作「FOR ALL WE SHARED」から、2008年作「GLASS SHADOWS」までの
バンドの20年間の軌跡を総括する作品で、CD3枚にリマスター音源全35曲を収録。
牧歌的な素朴さとシンフォニックな優美さを合わせたサウンドは、英国らしい叙情に包まれていて
男女ヴォーカルの歌声で聴かせるフォーキーな味わいも魅力的なバンドなのである。
以前からのファンはもちろん、これからこのバンドを聴く方への入門用にもうってつけの作品です。
メロディック度・・8 牧歌的度・・8バンドの歴史度・・9 総合・・8
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Mostly Autumn「Live 2009 Vol.1/vol.2」
イギリスのシンフォニックロックバンド、モストリー・オータムのライブアルバム。2009年作
それぞれ別売りの2枚に分けられたライブアルバムを一緒にレビュー。
アコースティックなフルートなどを使った牧歌的なフォーク風味と女性ヴォーカルの歌声、
そこにシンフォニックロックを融合させたスタイルは、古き良き英国ロックの風味も残しながら
耳に優しく響く。ヘザー嬢のやわらかな歌声を中心に、オリビア嬢のコーラスも絡みつつ、
現在はPANIC ROOMでも活躍するアン・マリー嬢のフルートもしっとりと美しい。
個人的には大好きな泣きの叙情曲、“Half The Mountain”が聴けるのも嬉しい。
シンフォニック度・・8 牧歌的度・・8 女性Vo度・・8 総合・・8


Mostly AutumnGo Well Diamond Heart」
イギリスのシンフォニックロックバンド、モストリー・オータムの2010年作
いまや英国を代表するシンフォニックバンドとなった彼ら、これまでフロントを務めてきた
女性ヴォーカルのヘザー嬢が脱退し、本作ではオリビア嬢がリードヴォーカルに昇格している。
ケルティックなぬくもりをフォーキーなシンフォニックロックに融合させたサウンドは不変で、
リーダーであるブライアン・ジョシュの描き出す牧歌的な英国ロックに聴き惚れる。
サウンドとしてのクオリティも素晴らしく、録音に手間隙をかけたキメの細かさはこれまで以上で
アコースティカルなやわらかさととロックとしての躍動感の融和が、よりダイナミックに聴こえてくる。
オリビア嬢のヴォーカルはいくぶん地味にも思えるが、しっとりとした世界観にはよく合っており、ラスト曲は感動的。
また、彼らにしては珍しく戦争をテーマにした緊迫感あるナンバーなどもあって、作品としてのメリハリとなっている
シンフォニック度・・8 ドラマティック度・・9 女性Vo度・・8 総合・・8.5
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Mostly AutumnThat Night in Leamington
イギリスのシンフォニックロックバンド、モストリー・オータムのライブアルバム。2011年作
バンドを脱退するヘザー・フィンドレイの2010年に行われたラストライブを収録したCD2枚組だ。
これまで看板女性Voとして10年以上活動してきたヘザー嬢がバンドを去るのは残念だが、
PANIC ROOMでも活躍するフルート兼Voのアン・マリー嬢Breathing Spaceオリヴィア嬢という
豪華なヴォーカル陣は健在なので、バンドの今後に不安はない。演奏の方も安定感はさすがで、
過去の代表曲をCD2枚たっぷり楽しめる。MCや観客の反応は、別れの雰囲気をかもしだしていてしんみり。
メロディアス度・・8 ライブ演奏・・8 女性Vo度・・8 総合・・8
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Mostly Autumn「Still Beautiful: Live 2011」
イギリスのシンフォニックロックバンド、モストリー・オータムのライブアルバム。2011年作
長年フロントを務めたヘザー嬢が脱退、代わりにジャケのオリヴィア嬢がメインヴォーカルとなっての
初のライブアルバム。サウンドの方にはとくに大きな変化はないが、曲によっては以前よりもノリのよい
ロック色が増したかなという印象も。もちろんしっとりとしたシンフォニック路線やフルート入りの叙情性も健在、
メロウなギタートーンも含めて円熟した演奏で、新旧まじえた楽曲をCD2枚たっぷり聴かせてくれる。
メロディアス度・・8 ライブ演奏・・8 女性Vo度・・7 総合・・7.5
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Mostly Autumn「Live At High Voltage 2011
イギリスのシンフォニックロック、モストリー・オータムのライブアルバム。2011年作
最近やたらとライブ作品を乱発しているこのバンドだが、本作もヘザー脱退後のステージを収録。
CD2枚組なのだが、Disc2はPCで見られるバックステージを収録というファン向けのアイテム。
正直、演奏の方はどうということもなく、音質も最高とは言い難い、いわばオフィシャルブートレベル。
メロディアス度・・7 ライブ演奏・・7 音質・・7 総合・・7
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Mostly Autumn 「The Ghost Moon Orchestra」
イギリスのシンフォニックロックバンド、モストリー・オータム2012年作
1998年にデビュー、いまや英国シンフォニックを代表するバンドとなった彼ら。
10作目となる本作は、フロントヴォーカルがオリビア嬢に替わっての2作目である。
しっとりと美しい女性ヴォーカルの歌声と、美しいシンセアレンジによる叙情性、
これまで以上にスケール感とダイナミズムが増した楽曲は、壮麗にして重厚だ。
男性ヴォーカルメインの曲もあるが、フォーキーな素朴さと古き良きロックの質感を
同居させたアレンジはじつに巧みで、曲ごとの男女ヴォーカルの配置もよく考えられている。
前作も素晴らしかったが、今作もバンドの力量と経験を発揮した見事な傑作である。
シンフォニック度・・8 壮麗度・・9 女性Vo度・・8 総合・・8.5
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Mostly Autumn 「Live at the Boerderij」
イギリスのメロディックロック、モストリー・オータムのライブ作品。2013年
2012年のオランダ公演を収録した2枚組のライブ作品。美貌の女性ヴォーカル、オリビア・スパルネン嬢をフロントに、
リーダーでギター&ヴォーカルのブライアン・ジョシュ、ヴォーカルにフルート、シンセをこなすアン・マリー・ヘルダー嬢を含む
7人編成による、厚みのある演奏が繰り広げられる。イアイン・ジェニングスのシンフォニックなシンセワークも見事で、
美しい女性ヴォーカルの歌声に、メロウなギターフレーズも絡ませながら、ときにフルートによるフォーキーな味わいとともに
叙情的でドラマティックなサウンドが楽しめる。15年を数えるバンドとしてのキャリアが自信となって音に現れており、
ツインギター、ツインキーボード、ときにトリプルヴォーカルにもなる、これまで以上にダイナミックな聴き心地が素晴らしい。
ドラマティック度・・8 シンフォニック度・・8 ライブ演奏・・9 総合・・8.5
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Mostly Autumn 「Dressed in Voices」
イギリスのシンフォニックロックバンド、モストリー・オータムの2014年作
1998年にデビュー、いまや英国シンフォニックを代表する存在となったこのバンドの11作目。
牧歌的な素朴さとシンフォニックな美麗さを同居させ、男女ヴォーカルの歌声とともに聴かせる、
その楽曲アレンジは、すでに熟練の域に入りつつある。オリビア嬢の歌声はしっとりと美しく、
ゆったりとした曲においても優雅で魅力的な説得力をサウンドに与え、イアイン・ジェニングスのシンセワークや
リーダーであるブライアン・ジョシュのメロウなギターとヴォーカルも曲調に大人の彩りと厚みを加えている。
前作ほどの派手さはないが、バンドとして肩の力の抜けた自然体の実力が発揮された好作といえるだろう。
ドラマティック度・・8 プログレ度・・7 女性Vo度・・8 総合・・8
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Mostly Autumn 「Box of Tears」
イギリスのシンフォニックロック、モスタリー・オータムの2015年作
1998年にデビュー、現在までにアルバム11作、ライブ作品も多数発表し、いまや英国を代表するバンドといってよい。
本作は2014年作「DRESSED IN VOICES」発表後の英国ツアーでのステージから、同アルバムの全曲を収録。
フロントを務めるオリビア嬢のしっとりと美しい歌声に、シンフォニックなシンセアレンジと厚みのあるアンサンブル、
リーダーでギター&ヴォーカルのブライアン・ジョシュのかもしだす英国フォークルーツの牧歌的な叙情性が合わさった
独自のスタイルと世界観はいまや円熟の域にあるといってよい。スタジオ作の方はやや落ち着いた作りに感じたが、
ライブでのドラマティックな再現は、メンバーたちのキャリアと実力によるものだろう、メリハリに富んだ見事な演奏だ。
バンドのファンはもちろん、MAを初めて聴くという方にもオススメの素晴らしいライブ作品です。
シンフォニック度・・8 ライブ演奏・・9 叙情度・・9 総合・・8.5
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Mostly Autumn 「Sight of Day」
イギリスのシンフォニックロック、モストリー・オータムの2017年作
1998年にデビュー、本作ですでに12枚目のアルバムとなる、英国を代表するシンフォニックロックバンド。
のっけから14分を超える大曲で、クラシカルなピアノと美しいシンセワークに、オリヴィア嬢のやわらかな歌声を乗せ、
しっとりとした優雅さと気品を感じさせるサウンドが広がり、牧歌的なフォーク風味を含んだ英国らしい空気感とともに
じわじわと盛り上がるいつものモストリー節が楽しめる。フルートやヴァイオリンなども加えたアコースティックな素朴さと
古き良き英国らしさをシンフォニックロックの中に自然に取り入れるセンスは、さすがキャリアのあるバンドで、
男女ヴォーカルの歌声にメロウな泣きのギターで涙腺を刺激するところは、初期から中期の作風に戻った感触もある。
トロイ・ドノックリーが参加してバグパイプが鳴り響くスコティッシュなテイストなども含めて、大人の余裕を感じさせる好作品だ。
ドラマティック度・・8 プログレ度・・7 英国度・・8 総合・・8 
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MOSTLY AUTUMN 「White Rainbow」
イギリスのシンフォニックロック、モストリー・オータムの2019年作
1998年にデビュー、本作は13枚目のアルバムで、うっすらとしたシンセにリコーダーやバグパイプの音色を乗せた
ケルティックなイントロ曲で幕を開け、アコースティックを含む叙情的なギターにブライアン・ジョシュのジェントルな歌声、
そしてオリヴィア嬢の美しいヴォーカルが重なって、シンフォニッな壮麗さと牧歌的な味わいが同居したサウンドを描く。
わりとストレートなナンバーは、初期の作風にも立ち返った聴き心地で、フォーキーな土着感も匂わせつつ、
イアイン・ジェニングスによる壮麗なシンセアレンジと、デイブ・ギルモアばりのメロウなギターも随所に耳に心地よい。
19分という大曲では、哀愁を含んだ英国的な香りと、オルガンが鳴り響くハードエッジなロック感触が合わさって
どっしりとドラマティックに構築する。ラストの泣きの叙情ナンバーまで、ベテランらしい説得力に包まれた全78分の力作です。
ドラマティック度・・8 プログレ度・・7 優美度・・8 総合・・8 
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MOSTLY AUTUMN 「GRAVEYARD STAR」
イギリスのシンフォニックロック、モストリー・オータムの2021年作
1998年にデビュー、本作は14枚作目となる。のっけから12分という大曲で美麗なシンセアレンジに
男女ヴォーカルを乗せたやわらかなシンフォニックロックサウンドで、英国らしい牧歌的な叙情性は、
初期の頃に回帰したようなイメージもある。オリヴィア嬢のなよやかな歌声もしっとりと魅力的で、
メロウなギターフレーズに、ときにヴァイオリンも鳴り響き、アコースティックギターのパートも含めて、
フォーク的でもあるおおらかな優雅さに包まれる。全体的には派手なインパクトは薄いものの、
キャリアのあるバンドらしい自然体の作風で、じっくり楽しめる。ラストも12分の大曲で、全74分の力作です。
ドラマティック度・8 プログレ度・7 優雅度・9 総合・8 
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Mothertongue 「Unsongs」
イギリスのアヴァンロックバンド、マザータンの2016年作
ノリのよいストレートなロックアンサンブルに、トランペットやサックスが鳴り響き、
キャッチーなコーラスなども加えて、エモーショナルなマスロックというサウンドを聴かせる。
曲によってはシンセアレンジを加えて、いくぶんプログレらしい展開力も覗かせつつ、
ブラス入りのアヴァンロックから、ヴァイオリンが入ったり、ジャズタッチや何故か日本語歌詞、
クラブノリのビート感など、一筋縄ではいかない面白さがある。ヘンテコだけどロックしている。
ドラマティック度・・7 プログレ度・・7 アヴァンギャル度・・7 総合・・7.5
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Mr. So & So 「Truth, Lies & Half Lies」
イギリスのハードシンフォニックバンド、ミスター・ソー&ソーの2013年作
結成は1989年というなにげにベテランで、本作は5作目のアルバム。
のっけからメタルばりのヘヴィさで始まるが、適度にモダンなハードエッジとともに
男女ヴォーカルの歌声で聴かせる、キャッチーな味わいも広がってゆく。
プログレというよりは、ポンプロックの進化系というべき聴き心地であるが、
同郷のTouchstoneなどにも通じるハードシンフォニック系の好作である。
ドラマティック度・・7 プログレ度・・7 モダン度・・8 総合・・7.5




MULTI STORY「CBF10」
イギリスのプログレバンド、マルチ・ストーリーの2020年作
1985年にデビュー、1987年までに3作残して消えるも、2016年に復活。本作は復活後2作目となる。
叙情的なギターにオルガンなどの優美なシンセを重ね、ジェントルなヴォーカルを乗せて、
ほどよい軽快なノリとウェットな英国らしさを含んだ、80年代ポンプロックルーツのサウンド。
かつてのフィッシュやピーター・ニコルズを思わせる歌声と、メロウな泣きの叙情性は、
初期のMARILLIONIQにも通じるものだろう。意外性はないが、6〜8分前後の楽曲を中心に、
じっくりと味わえるタイプのサウンドで、ポンプ寄りの英国シンフォが好きな方ならニンマリの好作品。
ドラマティック度・8 プログレ度・7 英国度・8 総合・8
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MUMPBEAK「TOOTH」
イギリスのジャズロック、マンプビークの2017年作
シンセ、ベース、ドラムというトリオ編成で、軽妙なリズムにムーグやオルガン含むシンセを乗せ、
どこかとぼけた味わいのインストサウンドを聴かせる。シンプルな音数ながら、生々しいドラムを含む
アナログ的なアンサンブルで、ほどよいテクニカル性と同時に、優雅な音の隙間を感じさせるような作風だ。
センスのよい演奏が耳心地よく、ときにBGMのようにもなるが、一方ではフリーキーにたたみかける
アッパーなナンバーもあり、全体的にはやわらかな屈折感とともに愉快なプログレ・ジャズロックが楽しめる。
ジャズロック度・・8 プログレ度・・7 優雅度・・9 総合・・8
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THE MUTE GODS 「Do Nothing Till You Hear From Me」
Steven Wilson
バンドやIONALIFESIGNSにも参加するベース奏者、ニック・ベッグスと
Steve Hackett Bandのシンセ奏者、ロジャー・キングによるユニット、ミュート・ゴッズの2016年作
ドラムにはマルコ・ミネマンが参加、適度にモダンでソリッドな硬質感と、キャッチーな歌もの感に、
シンフォニックなシンセアレンジを加えた聴き心地。ニック・ベッグスのマイルドな歌声は、
80年代ルーツの爽快なポップ性も感じさせ、全体としてはモダンなメロディックロックでありながらも、
さすがの実力者たち、ミンネマンのドラムとベッグスのベースもじつによい仕事をしているし、
ロジャー・キングのシンセが美しく彩る、繊細なプログレらしさもしっかりと融合されている。
KINOPocupine Treeあたりが好きな方にもお薦めの、英国モダンプログレの好作品だ。
メロディック度・・8 プログレ度・・7 モダン度・・8 総合・・8
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THE MUTE GODS 「Tardigrades Will Inherit the Earth」
イギリスのプログレユニット、ミュート・ゴッズの2017年作
2作目となる本作も、ニック・ベッグス、ロジャー・キング、マルコ・ミンネマンのトリオ編成で、
メタリックといってもよいハードなギターに、マイルドなヴォーカルとシンセアレンジを乗せた、
重厚でモダンなサウンドを聴かせる。ヘヴィな硬質感と英国らしい翳りある空気感とともに、
前作よりもややダークな味わいが強まってはいるが、8分、9分という大曲ではキャッチーで繊細な叙情も覗かせる。
ヴォーカル、ギター、ベース、スティックをこなすニック・ベッグスのマルチなセンスと、
ロジャー・キングの美しいシンセが絶妙に融合し、ミンネマンのドラムもいつになく激しく、
曲によってはProgMetalファンなどにも対応する。スタイリッシュな英国ハードプログレの力作だ。
メロディック度・・7 プログレ度・・7 モダン度・・9 総合・・8
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NIALL MATHEWSON 「ECLECTIC ELECTRIC VOL.1」
イギリスのシンフォニックロック、PALLASのギタリスト、ニアール・マテウソンのソロ。2015年作
パラス関連では2012年にアラン・リードが初のソロ作品を発表したが、こちらもソロデビュー作品となる。
わりとモダンなアレンジに包まれたキャッチーなプログレハード風味に、メロディックなギターフレーズが光る、
最近のBIG BIG TRAINHAKENなどにも通じる、いかにも現在形の英国プログレらしいサウンドだ。
ドラムやシンセ、ヴォーカルも含めて、ほぼ一人でこなしているというマルチプレイヤーぶりも素晴らしいが、
やはり味わいのある、古き良き感触のギターワークはさすがキャリアのあるミュージャンというところだろう。
インストメインの曲でも、ドラマ性を感じさせる緩急ある展開力にもセンスを感じさせる。10分近いラストの大曲では、
大人の渋みを感じさせるギターワークとシンフォニックなシンセを合わせたインストサウンドが楽しめる。英国らしい好作品だ。
ドラマティック度・・7 プログレ度・・7 英国度・・8 総合・・8


NICK MAGNUS「INHALING GREEN」
イギリスのミュージシャン、ニック・マグナスの1999年作
スティーブ・ハケットバンドにも参加するシンセ奏者で、1993年以来となる2作目のソロ作品。
モダンな感触のキーボードが軽やかにメロディを乗せる出だしはややポップであるが、
続く2曲目では、ジョン・ハケットによるたおやかなフルートと美麗なシンセワークで
スピリチュアルな宇宙的空間が感じられるような雄大なシンフォニック・サウンドになる。
その後も美しいピアノやオーケストレイション、女性コーラスを加えた壮大な雰囲気の楽曲がつづき
全体的にゆったりとした作風ながら、内的なスケールの大きさを感じさせる作品になっている。
シンフォニック度・・8 スピリチュアル度・・8 雄大度・・8 総合・・8
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NICK MAGNUS「HEXAMERON」
イギリスのシンセ奏者、ニック・マグナスのソロ作。2004年作
スティーブ・ハケットバンドにも参加していたミュージシャンで、ソロ名義としては3作目となる。
ゆったりとした落ち着いた感じの曲が並び、雰囲気的にもSTEVE HACKETTのアルバムのイメージにも近い。
バックのメロトロンや、ゲストによる歌も決して押しつけがましくなく、ケルティックなテイストも上手く取り入れている。
強いインパクトはないが、耳に優しく心地よいたおやかなシンフォニックロック作品である。
スティーブ・ハケット、ジョン・ハケット、トニー・パターソンなどがゲスト参加。
シンフォニック度・・7 メロディアス度・・8 しっとりたおやか度・・9 総合・・8
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NICK MAGNUSChildren of Another God
イギリスのシンセ奏者、ニック・マグナスのソロ。2010年作
ソロ名義としては4作目で、プログレ好きならにんまりとなる美しいシンセワークとやわらかなヴォーカルを中心に
メロディアスに聴かせるサウンドは、随所にさわやかなキャッチーさも盛り込んでとても耳心地がよい。
ハケットばりのしっとりとした叙情性や女性ヴォーカル入りのナンバーなど、シンフォニックな繊細さも素晴らしい。
スティーヴ・ハケット、ジョン・ハケット兄弟も参加。派手さはないがじっくりと聴きたい傑作です。
メロディアス度・・8 プログレ度・・7 叙情度・・9 総合・・8
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Nick Magnus 「N'monix」
イギリスのシンセ奏者、ニック・マグナスのソロ2014年作
ソロ5作目となる本作には、盟友スティーヴ・ハケットをはじめ、トニー・パターソン、ティム・ボウネス、
ロブ・タウンゼントなどのゲストが参加。シンフォニックなシンセワークとメロディックな歌ものが合わさった
Genesisルーツの叙情性で聴かせるマイルドなサウンド。彼がかつて参加していたEnidを思わせる、
オーケストラルなアレンジや繊細な美意識も感じさせつつ、そこにキャッチーな普遍性を含ませるセンスは
職人芸といってよく、多くのリスナーが楽しめる仕上がりだ。ハケットの泣きのギターや、ゲストの女性Vo、
優美なフルートの音色など、曲によって方向性をしっかりと定めた完成度の高さも見事な好作品。
メロディック度・・8 プログレ度・・7 叙情度・・8 総合・・8 
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Nodens Ictus 「The Cozmic Key」
イギリスのサイケロック、ノーデンス・イクタスの2017年作
OZRIC TENTACLESのEd Wynneによるソロプロジェクトで、エレクトロなシンセアレンジに
フリーキーなギターを重ねた、アッパーなサイケロックはオズテンの延長線にあるサウンド。
後半は15分、25分という大曲で、桃源境的なユートピア感に包まれたやわらかな聴き心地から、
ややアヴァンギャルドなエレクトロなサイケ感触まで、ある意味スペイシーなスケール感が味わえる。
GONGをルーツとしたドリーミィなサイケの進化系で、オズテンのファンなら普通に楽しめるかと思います。
ドラマティック度・・7 サイケ度・・8 オズテン度・・8 総合・・7.5
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No-Man 「Together We're Stranger」
イギリスのポストプログレ、ノーマンの2003年作
スティーヴン・ウィルソンとトム・ボウネスによるユニットで、うっすらとしたシンセの重ねに、
マイルドなヴォーカルを乗せ、サウンドスケープ的なギターが鳴り響く、アンビエントなサウンド。
いわゆるロック的なノリはほとんどないのだが、ときにシンフォニックといってよい音の厚みで、
じわじわと泣きの叙情を描くところは、さすがのスティーヴン・ウィルソン先生、
ゲストによるクラリネットやトランペットの音色も加わった、ポストロック的なスケール感も見事で、
アコースティックギターを使用した素朴な暖かみもあって、耳心地よい優しい音に浸れます。
ドラマティック度・・7 プログレ度・・7 アンビエン度・・8 総合・・8
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North Atlantic OscillationGrappling Hooks」
スコットランドのモダンプログレ・ロックバンド、ノース・アトランティック・オシレーションの2010年作
Porcupine TreePineapple Theifに続き、新時代のモダンプログレパンドがデビュー。
ヴォーカル、ギター、ベース、シンセをこなすマルチプレイヤーとドラムという2人のユニットで、
エモ的なやわらかな叙情と、エレクトロがかったモダンなセンスを合わせたサウンドをやっている。
Sigur Rosを思わせるしっとりとしたやわらかな歌声に、楽曲にはポストロック的な壮大さもあり、
デジタルとアナログの両立というべき、調和のとれた聴き心地のいいミクスチャーロックである。
知的なプログレ風味も随所に覗かせつつ、あくまでモダンなバランス感覚で仕上げられている。
メロディアス度・・8 プログレ度・・7 モダンロック度・・9 総合・・8
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North Atlantic Oscillation 「Fog Electric」
スコットランドのモダンプログレバンド、ノース・アトランティック・オシレーションの2012年作
ヴォーカル、ギター、シンセをこなすマルチプレイヤーとドラムという2人のユニットで、これが2作目。
やわらかなヴォーカルハーモニーと、いくぶんエレクトロがかったモダンなセンスを含み、
浮遊感のあるキャッチーな繊細さは、Sigur Rosあたりにも通じるほんわかとした聴き心地。
シンセの重なりによる美しさと、マイルドな歌声を中心に、あくまで叙情的なサウンドは、
最近のANATHEMASteven Wilson系のファンにも楽しめるだろう。
メロディアス度・・8 プログレ度・・7 繊細度・・9 総合・・8
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OLIVER WAKEMAN 「Mothers Ruin」
イギリスのシンセ奏者、オリヴァー・ウェイクマンの2005年作
ご存知、リック・ウェイクマンの息子として知られるミュージシャンで、かつてはクライブ・ノーランと組んだ
「Jabberwocky」「パスカヴィル家の犬」といったシンフォニックロック作品を発表していたが、
本作はオルガンやムーグなどレトロなシンセが鳴り響き、適度にハードなギターとノリのよいヴォーカルを乗せた、
わりとストレートなメロディックロックを聴かせる。プログレ的な要素はやや薄いのだが、シンフォニックなシンセの重ねで、
随所に父親譲りのセンスを覗かせ、曲によってはギターとの絡みで、プログレハード的なインストパート盛り込んで、
単なる歌もの以上のサウンドに仕上げているのはさすが。ジャケも含めて、やや地味なのだがなかなかの好作ですよ。
メロディック度・・8 プログレ度・・7 ウェイクマン度・・8 総合・・7.5
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Ontofield 「Sleeping With Fractals」
イギリスのマルチ・ミュージシャンJohn Grahamによるソロユニット、オントゥフィールドの2013年作
多重録音されたシンセアレンジと、やわらかなヴォーカルを中心に聴かせる、正統派のシンフォプログレ。
随所にハードな側面を覗かせるギターも含みつつ、18分、15分という大曲もやわらかでキャッチーに描いてゆく。
ヴォーカルのかすれた声質などはPENDRAGONあたりを思わせ、メロウな叙情はいかにも英国的である。
もう少し大仰なも盛り上がりや、思い切った展開などがあればよいのだが、全体的にはいくぶんインパクトが弱い。
ギターの泣きもニック・バレットにはまだ遠い。英国ポンプロック進化のシンフォ好作ではある。
ドラマティック度・・7 プログレ度・・7 叙情度・・8 総合・・7.5
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O.R.K. 「Ramagehead」
イギリス、アメリカ、イタリア混成のポストプログレ、ORKの2019年作
PORCUPINE TREEのコリン・エドウィン、KING CRIMSONのパット・マステロット、OBAKEのVoらによるユニットで、
軽やかなドラムと存在感のあるベースに、適度にハードなギターとエモーショナルなヴォーカルを乗せた、
翳りを帯びたモダンな味わいのサウンドで、随所に美しいシンセやアコースティックギターによる叙情も含んだ
優雅な感触も覗かせる。楽曲は4〜5分前後で、わりとシンプルなため、これというインパクトは少ない。
曲によっては、クリムゾンやポーキュパイン的な雰囲気も多少はあるが、全体的にはプログレ感はさほどなく、
実力あるメンバーによるスタイリッシュな歌ものロックとして聴くのがよいだろう。
ドラマティック度・・6 プログレ度・・7 叙情度・・7 総合・・7.5
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Ozric Tentacles 「Tantric Obstacles/Erpsongs」
イギリスのサイケロック、オズリック・テンタクルズの2000年作
自主制作で発表された1985年のデビュー作と、1986年作のカップリング2CD。
いまや、エレクトロ・サイケロックの大御所としてディープなリスナーの支持を集めるこのバンド、
その最初期のサウンドは、音質面こそややチープであるが、スペイシーなシンセアレンジに
軽やかなアンサンブルで聴かせる、ドライブ感あふれるサイケロックとして、すでにその原型は完成している。
一方では、GONG直系のサイケらしいユルさとフュージョン的なインストという表情も垣間見せ、
のちの作品に比べるとやや単長な部分もあるのだが、バンドとしての原型を作り出した初期作として興味深い。
サイケロック度・・8 プログレ度・・7 爽快度・・7 総合・・7.5
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Ozric Tentacles 「There Is Nothing/Live Ethereal Cereal」
イギリスのサイケロック、オズリック・テンタクルズの2000年作
自主制作のカセットで発表された、1986年作と、1986年のライブ音源の2作品をカップリングした2CD。
エレクトロなシンセに手数の多い元気なドラムで、アッパーなノリで聴かせる、GONG+HAWKWINDというような
軽やかなスペース・サイケロックは、この時点ですでに方向性が固まっている。テクニックのあるリズム隊に、
メロディックな味わいのギターのフレージングもセンス良く、グルーヴィな技巧性に、東洋的なテイストをまぶした
神秘的な浮遊感というのは、やはりこのバンドならではのものだろう。自主制作とは思えない音質の良さと、
うるさすぎない軽妙な耳心地の良さも絶妙で、1985年のデビュー作から格段の進歩が窺える内容だ。
Disc2は、1985〜86年のライブ音源で、音質はややラウドながら、バンド初期の躍動感ある演奏が楽しめる。
サイケ度・・8 プログレ度・・8 爽快度・・8 総合・・8 
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Ozric Tentacles 「The Bits Between the Bits & Sliding Gliding Worlds」
イギリスのサイケロック、オズリック・テンタクルズの2000年作
自主制作のカセットで発表された、1988年作と、1989年作のカップリング2CD。
「The Bits Between the Bits」は、エレクトロなシンセワークに流麗なギターを乗せながら、
東洋的な雰囲気に包まれたサウンドで、アッパーなノリは控えめのわりと落ち着いた作風。
「Sliding Gliding Worlds」は、きらびやかなシンセにロック的なフリーキーなギターの旋律を乗せ、
牧歌的なフルートの音色とともに、グルーヴィなプログレ・サイケロックを聴かせる。
カラフルなノリとユルさに叙情性がほどよく同居していて、インパクトはないが聴きやすい作品だ。
サイケ度・・8 プログレ度・・7 叙情度・・8 総合・・7.5
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Ozric Tentacles「Pungent Effulgent & Strangeitude」
イギリスのサイケロックバンド、オズリック・テンタクルズの1989/1991年作のカップリング
80年代半ばから活動するベテランで、そのアルバム数は20枚近くに及ぶ。「Pungent Effulgent」は、
シーケンサーによるシンセワークを中心に、ミステリアスな世界観と、東洋的な雰囲気を取り込んだサイケロックサウンド。
アンサンブルの切れ味では次作以降に譲るが、すでに独自の浮遊感を確立している。
「Strangeitude」は初期の代表作というべき傑作。サイケロック的な勢いとエレクトロ感覚がバランスよく融合し、
彼らの嗜好する東洋メロディの巧みな導入がより効果を発揮している。確かにGONGからの影響が強いサウンドだが、
より演奏重視の爽快さがこのバンドの特徴であり、プログレ的なスケール感とキレの良さで最初の頂点を極めた作品といってよいだろう。
サイケロック度・・8 プログレ度・・8 爽快度・・8 総合・・8
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Ozric Tentacles「Erpland/Jurassic Shift」
プログレ・サイケロックバンド、オズリック・テンタクルズの1990/1993年作のカップリング
「Erpland」は、傑作「Strangeitude」へとつながる前段階のサウンドで、シンセによる浮遊感が前に出ていて、
全体的に比較的おとなしめの雰囲気。長い曲はややまったりとしてしまうが、ギターの奏でる東洋フレーズも含めて
むしろジャーマンロック的なゆるやかなサイケロック世界を楽しめる。「Jurassic Shift」は心地よいアンサンブルで聴かせる好作。
この音の気持ちよさは、ドラマーの技量とグルーブ感に負うところが大きい。シーケンサーのシンセとギターとのバランスもよく、聴きやすくお勧めの1枚。
サイケロック度・・8 プログレ度・・8 爽快度・・8 総合・・8
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Ozric Tentacles「Live Underslunky/Spice Doubt」
プログレ・サイケロックバンド、オズリック・テンタクルズの1992/1998年作
2枚のライブアルバムのカップリング盤で、「Live Underslunky」は傑作「Strangeitude」発表後、1991年のツアーからの公演を収録。
抜群の演奏力とグルーブ感、うねるギターにベース、そして格好いいドラム!この時点ではまだシンセは控えめながら、
ときおりプログレ的なフルートも入ってきてスペイシーな浮遊感に叙情味も加わって、素晴らしいライブ演奏を繰り広げている。
「Spice Doubt」は、どうやらインターネットライブ(?)での音源らしい。デジタリィなシンセサウンドを前に出しはじめた時期であるが、
スタジオ盤以上の躍動感で、きらきらとしたシンセとハネまくりのリズム、弾きまくりのギターでたたみかける。
狂暴化したトランス音楽という雰囲気とともに、サイケロックバンドとしての彼らの凄さが改めて認識出来る、痛快な演奏だ。
サイケロック度・・9 プログレ度・・8 爽快度・・9 総合・・8.5
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Ozric Tentacles「Arborescence & Become the Other」
オズリック・テンタクルズの1994/1995年作のカップリング
「Arborescence」は、けたたましいまでのシンセとギターが絡み、これまでにも増してカラフルな雰囲気でたたみかける好作。
手数の多いドラムの疾走感あふれるリズムに、きらびやかなシンセがハードロック的なギターとともに重なってゆく爽快なサウンド。
「Become the Other」も同様の作風だが、ギターとベースが前に出てきていてバンドアンサンブルが強調されるとともに、
変拍子リズムが入ってテクニカルな印象。中盤にはデジタリィなテクノ風アレンジが顔を出し、新たな志向の変化を予感させる。
サイケロック度・・8 プログレ度・・7 爽快度・・9 総合・・8
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Ozric Tentacles「Curious Corn/Swirly Termination」
オズリック・テンタクルズの1997/2000年作のカップリング
「Curious Corn」は、前作からの流れを汲んだデジタリィなサウンドが強調された作品。
モダンな音の中にもしっかりと演奏にはグルーブ感があり、シーケンサーのシンセに絡むギターは
ときおり中近東風のメロディを奏でるなど、センスあるフレージングがさすがである。
テクノ風のサイケロックという雰囲気で、エレクトロな浮遊感をただよわせる好作。
「Swirly Termination」も同路線。デジタリィなテクノサイケ風サウンドながら、
音にはさすがのスケール感があり、シンセをバックに妖しげなギターのフレーズが鳴り響く。
アッパーな勢いはややなくなったが、独特のモダンサイケが楽しめる。ラストの大曲は見事な出来。
モダンサイケ度・・8 プログレ度・・7 エレクトロ度・・8 総合・・8
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Ozric Tentacles「Waterfall Cities/Hidden Step」
プログレ・サイケロックバンド、オズリック・テンタクルズの1999/2000年作のカップリング
「Waterfall Cities」は、巧みなドラムにうねるベースが作り出す変拍子リズムに、エレクトロなシンセアレンジと、
センス溢れるギターフレーズを乗せた、プログレフュージョン的なテクニカル性が味わえる傑作。
ときに中近東的なメロディがサイケな雰囲気を匂わせつつ、吹き鳴らされるフルートもエキゾチックな香りを添える。
シーケンサーを用いたデジタリィな質感も大胆に取り入れ、トランス的な浮遊感とともに、ミステリアスな世界観を構築している。
「Hidden Step」は、ギターサウンドを前に出したフュージョンサイケ風味で、スペイシーなシンセが重なった
浮遊感あるアンサンブルで、モダンなサイケ感を強めながらも、スケール感を描くサウンドが素晴らしい。
ゆったりとしたナンバーでもきらびやかなシンセが、神秘的な世界観を感じさせる。シンフォニックな味わいの好作品。
モダンサイケ度・・9 プログレ度・・7 エレクトロ度・・8 総合・・8
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Ozric Tentacles「Pyramidion」
イギリスのプログレ・サイケロックバンド、オズリック・テンタクルズの2001年作
ライブ録音を中心とした変則的なアルバムだが、むしろオズテンの魅力がダイレクトに分かる。
切れのよいリズムの上に、テクノちっくなシンセが鳴り響きながら、ロック的なギターが弾きまくる。
今作はエジプト的なモチーフの曲もあってか、そのスペイシーな浮遊感に神秘性も加わっている。
EP扱いだが、5曲で41分と聴き応え充分。ライブ演奏のカッコよさは一聴の価値ありだ。
サイケロック度・・8 エレクトロ度・・8 ライブ演奏・・9 総合・・8
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Ozric TentaclesThe Pongmasters Ball
オズリック・テンタクルズのライブアルバム。2002年作
ベテランらしくライブにおいてもその演奏力は抜群で、キラキラとした浮遊感のあるシンセワークに弾きまくりのギター
そしてグルーブ感のあるドラムとベースの存在感が素晴らしい。曲はどれも長いのだが、トリップするように引き込まれる。
ときに中近東的なフレーズや、吹き鳴らされるフルートを交えて、スペイシーかつ濃密なサイケロックのライブが堪能出来る。
CD2枚組でオズテンファンは必聴であるが、同ステージを収録したライブDVDも必見です。
メロディアス度・・8 サイケロック度・・9 ライブ演奏・・9 総合・・8.5
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Ozric Tentacles 「Eternal Wheel」
イギリスのサイケロック、オズリック・テンタクルズの2004年作
1984年にデビュー、GONGを受け継ぐスペイシーなサイケロックで数多くの作品を作り続けるこのバンド。
本作はデビュー20年を記念してのベストアルバムで、Disc1には、1990年作「Erpland」から、
1999年作「Waterfall Cities」までの作品からセレクトされた10曲を収録。きらびやかなシンセと、
ロック寄りの流麗なギターを、グルーヴィなリズムに乗せた、耳心地の良いアッパーなサイケロックで、
ドラム、ベース、ギターともに演奏力も抜群。1995年作「Become the Other」収録の10分を超える大曲なども圧巻だ。
ボーナスのDisc2には、ライブ音源を含む6曲に、ライブ映像をエンハンスドで収録。バンド入門用にも最適の作品です。
サイケ度・・8 プログレ度・・7 オズリックの20年度・・9 総合・・8
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OZRIC TENTACLES「Spirals in Hyperspace」
イギリスのサイケプログレ、オズリック・テンタクルズの2004年作
80年代半ばから活動するベテランで、本作はレーベルをMAGNA CARTAに移しての作品。
スペイシーかつデジタルなシンセアレンジと、フュージョン的でもある軽やかなアンサンブルを融合、
随所に中近東的なフレーズを含ませながら、浮遊感あるテクノ風味のサイケロックを聴かせる。
音質面での向上がよりクリアな感触を増していて、モダン・サイケロックの最高峰というべき内容です。
ドラマティック度・・7 プログレ度・・7 モダンサイケ度・・8 総合・・8
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OZRIC TENTACLES 「The Floor's Too Far Away」
イギリスのサイケロック、オズリック・テンタクルスの2006年作
80年代半ばから活動するベテランで、レーベルをMAGNA CARTAに移しての2作目。
浮遊感のあるエレクトロなシンセアレンジとグルーブたっぷりのリズムで聴かせる
躍動的なサイケロックスタイルは本作も同様。デジタルエフェクトばりばりの曲もあるが、
そこに中近東系の雰囲気や、プログレ的要素を巧みに取り入れ、ベテランのみがかもしだせる説得力と
強固な世界観に包まれた、オズテン節というべきサウンドはもはや唯一無二のものだ。
ドラマティック度・・7 プログレ度・・7 サイケ度・・8 総合・・8
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OZRIC TENTACLES 「SUNRISE FESTIVAL」
イギリスのサイケプログレ、オズリック・デンタクルズのライブ。2008年作
2007年イギリスでのライブをCD+DVDに収録。スペイシーなシンセに巧みなギターを重ね、
ほどよくアッパーなアンサンブルで、オズテンらしいグルーヴィなサイケロックを展開。
かつての傑作からの大曲「Jurassic Shift」や、「Erpland」などのオールドなナンバーも取り入れつつ
ドラッギーなカラフルさの中にも、ベテランらしさを感じさせる味のある演奏が楽しめる。
ノリよいドラムと女性ベーシストを中心にした、しなやかなリズムとグルーブ、そして奔放に奏でられるギターが、
このバンドの生命線。ラストの大曲「Tidal Convergence」も、1990年作「Erpland」からのナンバーで、
昔からのファンにも嬉しい選曲だろう。DVDの映像の方も、いかにもサイケらしいステージが楽しめます。
ライブ演奏・・8 ライブ映像・・8 グルーヴ度・・9 総合・・8 
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OZRIC TENTACLES 「The YumYum Tree」
イギリスのサイケプログレ、オズリック・テンタクルスの2009年作
80年代半ばから活動するベテランで、エレクトロなシンセアレンジとアッパーなビート感覚に、
ときに中近東的なフレーズも含んだ、スペイシーなサイケロックを繰り広げている。
多重シンセによるトランス的な味わいがカラフルな色合いを強めており、
エフェクトのかかったドラムとグルーヴィなベースの上を、奔放なギターの旋律が乱舞する、
ベテランらしいユルさと構築のバランス感覚が絶妙である。なんだかんだで傑作です。
プログレ度・・7 トランスサイケ度・・8 カラフル度・・8 総合・・8
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Ozric Tentacles 「PAPER MONKEYS」
イギリスのサイケロック、オズリック・テンタクルズの2011年作
グルーヴィなリズムにスペイシーなシンセと奔放なギターを乗せた、ほどよくモダンなサイケロックで、
エレクトロなトランス感触とともに、一体感のある演奏でうねりある浮遊感を描き出す。
巧みなフレージングのギターもさることながら、曲によっては以上にベースの音の存在感も際立っていて、
どっしりとボトムを支えるプレイは見事。演奏力の高さも含めて、フュージョン・サイケ的にも楽しめる。
新鮮なところはないものの、25年以上もこの路線を追及してきたバンドの存在自体に敬服したい。
サイケ度・・8 プログレ度・・7 優雅度・・8 総合・・8
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Ozric Tentacles「Technicians Of The Sacred」
イギリスのサイケロック、オズリック・テンタクルズの2015年作
80年代から活動するベテランバンドで、本作が何作目なるのか分からないが、バンド史上初の2枚組の大作。
きらびやかでエレクトロなシンセの重ねと、軽やかなバンドアンサンブルが合わさった、モダンなスペース・サイケ。
随所にギュインギュインの派手なシンセやギターの流麗なフレージングで盛り上げながら、
ジャケのイメージのような桃源郷的なカラフルなイメージで、アッパーなサウンドが楽しめる。
またこのバンドの特徴であるオリエンタルなメロディを取り入れた、ナンバーもハマっていて、
神秘的な浮遊感とインストロックとしての演奏の強度を両立させているのもさすが。
10分前後の大曲も多数含んだ、現在形サイケロックがたっぷり詰まった2枚組の力作です。
モダンサイケ度・・9 プログレ度・・7 きらびやか度・・8 総合・・8 
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Ozric Tentacles 「Space For The Earth」
イギリスのサイケ・プログレ、オズリック・テンタクルスの2020年作
1985年にデビュー、現在までに20作以上を発表している、スペース・サイケロックの大御所。
オリジナルメンバーは、エド・ウィンのみになったが、本作にはかつてのメンバーがゲスト参加、
アコースティックを含むギターにカラフルでスペイシーなシンセアレンジ、やわらかなフルートの音色とともに、
桃源郷的なサイケロックを聴かせる。優雅なギターのフレージングにオリエンタルなメロディを織り交ぜつつ、
エレクトロなアレンジを乗せたアッパーなノリのナンバーなど、インストながらも振り幅の大きな味わい。
全体的にはアンビエントな雰囲気も増えていて、わりと落ち着いた感じで楽しめる好作品です。
ドラマティック度・7 プログレ度・・7 サイケ度・8 総合・8 
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PALLAS「ARRIVE ALIVE」
英国のポンプ・プログレハード、パラスの初期ライブ+デモ音源集。1981年作
PALLASといえば1984年作の「THE SENTINEL」が有名で、若いリスナーには1999年の復活作「BEAT THE DRUM」
壮大なシンフォニック作の2001年作「THE CROSS & THE CRUCIBLE」あたりを思い出すだろうが、
この最初期の音源には、むしろ彼らの原点ともいうべきプログレハードサウンドが詰まっている。
ポンプというには若干ハードめなギターに、うっすらとしたメロトロンが重なり、キャッチーなメロディアス性と
ロック的な荒々しさが同居している印象で、当時では意外と新鮮なサウンドだったのではないだろうか。
ポンプロックとして片づけるよりはむしろ、MAGNUM等の英国ロックに通じる感性のバンドだったと思う。
メロディアス度・・8 プログレハー度・・8 音質・・7 総合・・7
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PALLAS「The Sentinel」
英国のプログレバンド、パラスの1984年作
若いリスナーにとっては、復活後のPALLASしか知らないかもしれないが、
オールドなプログレ者にとっては、パラスといえばこのアルバムなのである。
1曲目“Shock Treatment”は三連リズムに乗るキャッチーなメロディで、名曲の呼び声も高い。
ハードロック要素もあるドラマティックなギターワークとシンセによるシンフォニックな味付け、
そして聴きやすいキャッチーな歌メロが合わさったサウンドは、まさに英国産プログレハード。
今聴きなおしてみると、しっとりとしたピアノが美しい、ゆったりとしたナンバーも良い感じ
メロディアス度・・8 プログレ度・・7 ドラマティック度・・8 総合・・8
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PALLAS「The Wedge」
イギリスのプログレバンド、パラスの1986年作
きらびやかなシンセとメロディックなギター、アラン・リードのヴォーカルを乗せた
軽快なプログレハードスタイルで、ポンプロック的な優美なシンフォニック性も含ませた
爽快なサウンドが楽しめる。曲によっては産業ロック的でもあるポップ感触も覗かせつつ、
それでやはり英国らしい優雅な聴き心地に包まれる。前作「The Sentinel」が傑作として知られるが、
キャッチーなプログレハードとしての明快さではむしろ本作の方が上かもしれない。
メロディアス度・・8 プログレ度・・7 キャッチー度・・8 総合・・8
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PALLAS 「THE RIVER SESSION 1」
イギリスのポンプ/プログレハードバンド、パラスのライブ作品。
1983年のライブ音源で、全5曲だが55分もある(つまり1曲が長い)。
曲は初期のハードロック色の強いものが中心で、シンフォニック色は薄いので
再結成後からこのバンドを聴き始めた方にはやや違和感があるかもしれない。
個人的には、この手のプログレハード系の中では初期のPALLASはけっこう好きだし、
80年代初頭の発掘ライブ音源としては、音質もわりと良い部類でなかなか楽しめる。
メロディアス度・・7 プログレハー度・・8 音質・・7 総合・・7
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PALLAS 「THE RIVER SESSION 2」
イギリスのポンプロックメプログレバンド、パラスのライブ作品。
70年代後半〜80年代にかけて、PENDRAGONIQなどとともに、ポンプロックと呼ばれたネオプログレッシブのムーブメントを作ったバンド。
近年復活したが、本作は1985年、彼らの全盛期のライブ音源。名曲「SHOCK TREATMENT」をはじめ、かつてのPALLASサウンドが楽しめる。
彼らの楽曲は他のポンプ系バンドに比べると、やハードロック寄りのプログレハードサウンドできらきらとしたキーボードに、
キャッチーなメロディが非常に聴きやすい。音質はそこそこ程度だが、このバンドが好きな方には実に嬉しいプレゼントだろう。
5曲目のシンフォニックな盛り上がりなどは、PENDRAGON風でなかなか感動的ですわ。
メロディアス度・・8 音質・・7 あの頃のパラス度・・9 総合・・7.5
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PALLAS「BEAT THE DRUM」
英国シンフォニック・ハードの雄、パラスの1998年作
1984年〜86年に2作のアルバムを残し、いったん活動を休止していたバンドが、
10年以上のときをへて復活。サウンドの方はかつてよりさらにドラマティックになり、
シンフォニックなシンセとメロウなギターが絡み、マイルドなヴォーカルの歌声とともに、
ダイナミックなハードシンフォニックサウンドを聴かせてくれる。
かつてのポンプロック的なキャッチーさよりもシリアスな重厚さが前に出ていて、
90年代以降の本格派シンフォニックロックへとシフトされたというべき傑作となった。
メロディアス度・・8 シンフォニック度・・8 壮大度・・8 総合・・8
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PALLAS 「LIVE OUR LIVES」
イギリスのプログレバンド、パラスのライブ。2000年作
1984年にデビュー、PENDRAGONやMARILLION、IQとともに英国ネオプログレを牽引するバンド、
本作は、1999年のヨーロッパツアーの音源を2CD収録。きらびやかなシンセと叙情的なギター、
アラン・リードの味のあるヴォーカルとともに、ドラマティックなシンフォニック・ハードを聴かせる。
1998年の復活作「Beat The Drum」からのナンバーを中心に、デビュー作「The Sentinel」や、
2作目「The Wedge」からのナンバーも披露。音質も良好で、ライブならではの躍動的な演奏が味わえる。
Disc2のラストは、1stの大曲「Atlantis」で締めくくる。これぞパラスという優美なライブ。Web販売限定CDなので希少です。
ライブ演奏・8 プログレ度・7 音質・8 総合・8 

PALLAS「THE CROSS & THE CRUCIBLE」
英国シンフォニックハードのベテラン、パラスの2001年作
前作「BEAT THE DRUM」において本格派シンフォニックサウンドへと変貌を遂げ、
それに続く今作も、コンセプトをともなった大掛かりな作りのアルバムだ。
いわゆるPENDRAGON的な、ゆったりとしたリズムにメロウなギターとキーボードをのせ、
叙情的な歌メロとともに、ときに静謐に時に劇的に楽曲を盛り上げてゆく手法だ。
ゆるやかに流れてゆく部分などはやや間延びしていて退屈にも思えるのだが、
その分ドラマティックな盛り上がりでは、これぞシンフォニックハードという壮麗さを聴かせる。
メロディアス度・・7 シンフォニック度・・8 壮大度・・8 総合・・8
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PALLAS「THE BLINDING DARKNESS」
英国シンフォニック・プログレハード、パラスのライブアルバム。2003年作
復活後の2作目である「The Cross & The Crucible」からの楽曲を中心に
これでもかというシンフォニックなキーボードとほどよくハードなギターで、ドラマティックなサウンド聴かせる
まさに白熱のステージ。後半にはオリジナルメンバーである初代Voも登場し、往年の曲なども聴かせてくれる。
CD2枚組み。同タイトルのDVDも出ているので、ドラマティックな王道シンフォプログレ好きはぜひチェック。
シンフォニック度・・9 ドラマティック度・・9 ライブ演奏・・8 総合・・8
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PALLAS「THE BLINDING DARKNESS」
復活した英国ポンプ/シンフォニックロックの雄、パラスのライブDVD作品。2003年作
「THE COSS & THE CRUCIBLE」からの曲を中心に、前作「BEAT THE DRUM」、さらには80年代の楽曲も演奏している。
演奏はさすがにベテランらしく安定しており、ときに静謐にときにシンフォニックに盛り上がり、
その曲調のなかなか盛り上がらないタメのようなものは、まさしく「大人のシンフォニック」という印象だ。
ドラムとヴォーカルは90年代からの新メンバーであるが、問題なくバンドサウンドに溶け込んでいる
(蛇足だがVoの顔は元Jリーガー、ストイコビッチとリトバルスキーを足したような感じ・・笑)。
アンコールではかつての名作「THE SENTINEL」からの曲も聴かせてくれファンには嬉しい限り
(どうせなら「SHOCK TREATMENT」も聴きたかった)。ゲストでは初代ヴォーカル、アラン・リードも登場する。
ライブ映像・・7 ライブ演奏・・8 シンフォニック度・・8 総合・・7.5
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PALLASThe Dreams of Men」
英国シンフォニックプログレ、パラスの2005年作
前作「THE CROSS & THE CRUCIBLE」は壮大ながら、やや長尺感のある作品だったのだが
今作も物語的なコンセプト作で、プロローグのような出だしはごく静かに始まりつつ、
ゆったりとしたヴォーカルとともに英国らしいウェットな空気感に包まれながら、じわじわと盛り上がってゆく。
シンフォニックなシンセワークとメロディアスなギターが重なり、ときに女性コーラスなども配して
重厚な雰囲気を作りながら、あくまでメロディアスな質感にこだわるのがやはり彼ららしい。
10分を超える大曲も多数含んで、ドラマティックに構築される、シンフォニックハードの力作である。
シンフォニック度・・8 ドラマティック度・・9 壮大度・・9 総合・・8
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PALLAS「XXV」
英国シンフォニックハードの雄、パラスの2011年作
1984年にデビュー、2作の傑作を出したのちに活動休止、10年もの潜伏期間をへて1998年に復活、
その後は2001年、2005年とドラマティックな力作を発表、本作は5年ぶりのスタジオアルバムとなる。
なにやらSF映画的なジャケや、イントロのナレーションから始まる壮大なスケール感にわくわくする。
美麗なシンセワークとメロディックなギター、そしてヴォーカルによるキャッチーな聴き心地で、
これまで通りのPALLAS節というべき、ドラマティックな作風でぐいぐいと聴かせてくれる。
古き良きプログレハードの質感と構築性を融合させ、質の高いサウンドを描く力量はベテランならではで、
より重厚になったハードさが本作の特徴か。1曲ごとのインパクトはさほどではないものの、
ダイナミックさとメロディアスさを合わせた、まさしくシンフォニックハードの力作といえる。
シンフォニック度・・7 ドラマティック度・・8 重厚度・・8 総合・・8
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PALLAS 「Wearewhoweare」
英国シンフォニックハードの雄、パラスの2014年作
80年代にデビューし、PENDRAGONやIQなどとともに英国ポンプロックのムーブメントを形成、
いったんの活動休止ののち1998年に復活、その後はコンスタントに作品を出し続けている。
前作から3年ぶりとなる通算7作目のアルバムで、壮大なシンフォニック性とコンセプト風味のドラマ性をまとって
描かれるサウンドは、これぞパラス節というべき感触だ。前作から加入したポール・マッキーの伸びやかな歌声も、
前任者のアラン・リードに負けておらず、スケール感のあるシンフォニックハードサウンドによくマッチしている。
これまでの作品に比べると、全体的にゆったりとしたダークな雰囲気に包まれていて、メロディアスな盛り上がりに関しては
なんとなく物足りなさも残るのだが、そこも含めて大人のシンフォということですな。
ドラマティック度・・8 プログレ度・・7 英国度・・8 総合・・7.5
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PALLAS 「FRAGMENTS OF THE SUN」
イギリスのプログレバンド、パラスの2020年作
1981年にデビュー、英国ポンプロック、ネオプログレを代表するバンドのひとつで、本作は、1986年作「The Wedge」から、
2014年作「WEAREWHOWEARE」までのナンバーに加え、未発曲やソロ収録曲など、全11曲を収録したアンソロジー。
優美なシンセによるしっとりとしたナンバーから、叙情的なギターにウェットな味わいのヴォーカルを乗せて、
英国らしい優雅でキャッチーなシンフォニックロックが広がってゆく。GANDALFのようなピースフルなインストナンバーも多いので、
プログレとして聴くには穏やかすぎるきらいもあるが、タイトル曲でもあるラストナンバーは叙情的な英国シンフォの味わいだ。
ドラマティック度・7 プログレ度・7 優美度・8 総合・7.5 


PANIC ROOM「Visionary Position」
イギリスの女性Voロックバンド、、パニック・ルームの2008年作
KARNATAKAではサブヴォーカル&フルートだったアン・マリー嬢をリードヴォーカルに据え、
ギター 、ドラム、シンセは同じメンツというから、サウンドもKARNATAKAの延長上かと思いきや、
ケルティックなテイストは後退し、どちらかというとモダンでアンニュイな雰囲気になっている。
ときにジャズ的なピアノタッチもあるシンセワークに、渋い味わいの落ち着いたギターワーク、
全体的にあまり派手さはないが、しっとりと聴かせる大人のシンフォニックサウンドだ。
たおやかなフルートに美麗なシンセ、そして伸びやかな女性ヴォーカルの歌声で
じわじわと盛り上げるラストの大曲などは、まさに女性Voシンフォの理想形。
シンフォニック度・・7 プログレ度・・7 女性Vo度・・8 総合・・8
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Panic Room「Satellite」
イギリスの女性Voロックバンド、パニック・ルームの2nd。2010作
KARNATAKAMostly Autumnアン・マリー嬢を擁するこのバンド、KARNATAKAに比べると
ケルト色はほとんどなく、どちらかというとモダンさのあるアンニュイなロックサウンドだ。
かつてのAll About Eveにも通じる雰囲気で、アン嬢の歌声にも大人の艶が感じられる。
今作も後半以降の曲に魅力が多く、しっとりとしたバラード曲や、WITHIN TEMPTATIONを思わせる
いくぶんハードなシンフォニックナンバーも光っている。ラストの叙情曲にもうっとりだ。
メロディアス度・・8 プログレ度・・7 女性Vo度・・8 総合・・8
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Panic Room「SKIN」
イギリスのシンフォニックロック、パニック・ルームの2012年作
Mostly Autumnにも参加するアン・マリー・ヘルダー嬢をフロントにしたバンドの3作め。
いくぶんのハードさとともに、ほの暗いアンニュイさを漂わせるサウンドで、
しっとりとした女性ヴォーカルの歌声が美しい。派手なインパクトはないが、
ストリングスも含んだ優雅なアレンジもあって、耳心地のよい叙情性に包まれている。
モダンな翳りを含んだフィメール・シンフォニックハードというような好作だ。
シンフォニック度・・7 ほの暗度・・8 女性Vo度・・8 総合・・8
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Panic Room 「Incarnate」
イギリスの女性声メロディックロック、パニック・ルームの2014年作
Mostly Autumnにも参加するアン・マリー・ヘルダー嬢をフロントにしたバンドの4作めで、
今作も適度にハードなギターとアンニュイな浮遊感を漂わせたメロウなサウンド。
アン・マリー嬢の艶めいた歌声をメインにした、しっとりとした大人の味わいは、
All About Eyeなどにも通じるような、翳りを含んだキャッチーな聴き心地である。
派手すぎないシンセアレンジも含めて、プログレ的には物足りないものの、じっくりと楽しめる。
メロウ度・・8 プログレ度・・7 女性Vo度・・8 総合・・8
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PANIC ROOM 「SCREENS: LIVE IN LONDON」
イギリスの女性声メロディックロック、パニック・ルームのライブ。2017年作
2008年にデビュー、2015年までに5作のアルバムを発表。本作は2016年ロンドンでのライブを2CDに収録。
ギターにフルートもこなす、アン・マリー・ヘルダーをフロントに、その美しいヴォーカルをメインにした、
アンニュイな翳りを帯びたサウンドを聴かせる。シンフォニックというほどの華麗さはないものの、
随所に叙情的なフレーズを奏でるギターと優美なシンセワーク、そして躍動感あるアンサンブルで、
スタジオ盤以上にロック感のある演奏が味わえる。プログレ的な展開というのはさほどなく、
わりとシンプルな歌ものナンバーが多いので、シンフォ寄りの女性声ロックとして聴くのがよいかも。
ライブ演奏・・8 翳りと叙情度・・8 女性Vo度・・8 総合・・8 
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PARADE「The Fabric」
イギリスの薄暗系ロックバンド、パレードの2010作
Mostly AutumnPANIC ROOMでも活躍するアン・マリー嬢を擁するバンドで、
しっとりとしたアンニュイな空気の漂うロックをやっている。上の2バンドに比べると
プログレ/シンフォニック度は薄く、一聴して思い出すのはAll About Eveあたりか。
アコースティカルな繊細さに美しく映える女性ヴォーカルの歌唱にはうっとり。
浮遊感と倦怠、薄暗い叙情で聴かせる好作。随所にモダンなポップさもある。
後半には男声の曲がメインになって、むしろPorcupine Tree風の雰囲気になる。。
メロウ度・・8 アンニュイ度・・8 女性Vo度・・7 総合・・7.5
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Paradigm Shift 「Becoming Aware」
イギリスのプログレバンド、パラダイム・シフトの2016年作
のっけから15分近い大曲で、ほどよくハードなギターにシンセを重ね、マイルドなヴォーカルを乗せた、
キャッチーなシンフォニック・ハードプログレを聴かせる。オルガンなどのシンセにブルージーなギターが重なる、
70年代風味のヴィンテージな感触もありつつ、適度にテクニカルなProgMetal的でもある展開力も覗かせる。、
やわらかなエレピを乗せた優雅な小曲など、インストパートでの軽妙な味わいもなかなか魅力的で、
アルバム後半の9分の大曲などは、アメリカ系バンドのような優美なメロディアス性で楽しめる。
もうひと押し、ドラマティック盛り上がりが加われば、さらによいバンドになりそうな気がする。
ドラマティック度・・7 プログレ度・・7 叙情度・・8 総合・・7.5
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THE PARADOX TWIN 「The Importance of Mr Bedlam」
イギリスのモダンプログレ、パラドックス・ツインの2018年作
マルチプレイヤー、ダニエル・ソレールを中心にしたバンドで、ハード寄りのギターに優美なシンセを重ね、
マイルドなヴォーカルを乗せた、スタイリッシュなハードプログレを聴かせる。10分を超える大曲では、
ProgMetal的な構築力とともに、翳りを帯びた叙情を描きつつ、じっくりと重厚なサウンドを聴かせ、
IT BITESのジョン・ミッチェル、TOUCHSTONEのキム・セイヴィアーがゲスト参加、美しい女性声を乗せるパートなども
良いアクセントになっている。ほどよくキャッチーながら、ドラマティックなスケール感に包まれたモダンプログレの好作だ。
ドラマティック度・8 プログレ度・7 叙情度・8 総合・7.5
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THE PARADOX TWIN 「SILENCE FROM SIGNALS」
イギリスのモダンプログレ、パラドックス・ツインの2021年作
2作目となる本作は、女性Vo、女性Gを含む5人編成となり、叙情的なギターにうっすらとしたシンセ、
伸びやかな女性ヴォーカルと男性ヴォーカルを乗せて、翳りを帯びたモダンなハードプログレを描く。
ProgMetal的でもある硬質さも覗かせつつ、ときにアコースティックギターなどの繊細なパートや
ポストプログレ寄りの歌ものパートなども含ませながら、10分を超える大曲もじっくりと構築する。
突き抜けるようなドラマ性まではもう一歩であるが、薄暗い空気感で描かれるスケールの大きな力作である。
ドラマティック度・8 プログレ度・7 叙情度・8 総合・8
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Parallel or 90 degrees「unbranded」
英国のシンフォバンド、パラレル・オア・90・ディグリーズの2000作
シンフォニックリスナーの間では、THE TANGENTの方が有名かもしれないが、Keyのアンディ・ティリソンのメインバンドはこちら。
やはりタンジェントに通じる美しいシンセワークと、ややハードめのギターによるシンフォニックサウンドで、
90年代以降の英国シンフォの知的な構築性が聴ける。ドラムもデジタリィな雰囲気があり、
あえてモダンなテイストを出そうとしているが、そこかしこにかつてのプログレへのリスペクトが垣間見える。
曲は8分、10分は当たり前で、ラストは25分の大曲。泣きのギターが美しいシンフォ曲や、
サイケ気味にはじける曲など、随所にアンディ・ティリソンという人間のこだわり性が発揮されている。
シンフォニック度・・8 プログレ度・・8 モダンでレトロ度・・8 総合・・8
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Parallel or 90 Degrees「A Can of Worms-The Best of Po90 1996-2001」
イギリスのプログレバンド、パラレル・オア・ナインティ・ディグリーズのベストアルバム。2009作
今ではThe Tangentでの活躍の方が知名度が高いかもしれないアンディ・ティリソンが率いる
このバンドの1996年〜2001年までのアルバムからの楽曲に、未発音源を加えた2枚組。
簡単にシンフォニックというには、知性を感じさせるセンスと、モダンとレトロの融合された
スタイリッシュなプログレサウンドは、非常に通好みのバンドといえるだろう。
メロディアスであっても決して情感的にならない、このクールさがある種の魅力ともいえる。
彼らのアルバムは多くが廃盤なので、こうしてあらためてバンドのマテリアルを俯瞰できるのは
とてもありがたいし、20分の大曲も含む未発音源もオマケとはいえぬくらい聴きごたえがある。
メロディアス度・・7 プログレ度・・7 構築センス・・8 総合・・8
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PARALLEL OR 90 DEGREES
「JITTERS」
イギリスのプログレバンド、パラレル・オア・ナインティ・ディグリーズの2009年作
The Tangentのアンディ・ティリソンが率いるバンドで、2002年以来となる6作目。
適度にヘヴィなギターを乗せた、ノリのよいアンサンブルにデジタルでモダンなアレンジを取り入れた、
スタイリッシュなハードプログレ。随所にタンジェントにも通じるシンフォニックなシンセも覗かせつつ、
マイルドなヴォーカルを乗せたキャッチーな歌もの感触に、オルタナ的な硬質感が合わさって、
いまでいう、THE MUTE GODSあたりに通じる雰囲気もある。モダンなハードエッジと肩の力の抜けた
とぼけた味わいを同居させ、あるいは、IT BITESの3rdを現代よりにしたというような好作品である。
ドラマティック度・・7 プログレ度・・7 スタイリッシュ度・・8 総合・・7.5 
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PAUL CUSICK 「FOCAL POINT」
イギリスのミュージシャン、ポール・カシックの2010年作
ギター、ベース、シンセ、ヴォーカルをこなすマルチミュージシャンで、適度にハードなギターに美しいシンセアレンジ、
マイルドなヴォーカルを乗せて、モダンな翳りを含んだスタイリッシュなサウンドを聴かせる。
メロウなギターの旋律にシンセを重ねたシンフォニックな叙情性に、ポストプログレ的な繊細さ、
キャッチーなメロディックロックというノリのナンバーなど、わりと振り幅の大きな聴き心地で楽しめる。
全体的に派手なインパクトはないものの、じっくりと作り込まれた大人のモダン・プログレの好作だ。
ドラマティック度・・7 プログレ度・・7 スタイリッシュ度・・8 総合・・7.5 
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PAUL MENEL 「Into Insignificance I Will Pale」
元IQのヴォーカリスト、パウル・メネルの2012年作
いくぶんプログレ的なシンセと枯れた味わいのヴォーカルを中心に聴かせる、
キャッチーな歌もの叙情ロックというサウンド。メロディにおける爽快なポップ性と
湿り気を含んだ叙情のバランスはNeal Morseなどのセンスに近いものを感じさせる。
楽曲は比較的シンプルな作風で、プログレとして聴くには物足りないのだが、
英国風味を含んだキャッチーな歌ものロックとしては、ライトな味わいで楽しめる。
メロディック度・・8 プログレ度・・7 楽曲・・7 総合・・7.5
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PENDRAGON 「Kowtow」
イギリスのシンフォニックロック、ペンドラゴンの1988年作
1984年にデビュー、IQ、PALLASと並び、英国ポンプロックのシーンを形成することになるバンド。
フルアルバムとしては2作目で、若き日のクライブ・ノーランのシンセにニック・バレットのギターとヴォーカルで
キャッチーな感触の王道のポンプロックサウンドを聴かせる。本作の時点ではシンフォニックといよりは、
まだキャッチーなメロディックロックという趣のサウンドで、インストパートは比較的シンプルなアレンジ。
序盤は3〜4分前後の楽曲で、80年代的なビート感のプログレハード風味の歌ものという作風ながら、
後半には10分を超える大曲もあり、次作以降へとつながるシンフォニックなロマンの萌芽も覗かせる。
メロディック度・・8 ドラマティック度・・7 キャッチー度・・8 総合・・8
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PENDRAGON「The World」
イギリスのシンフォニックロックバンド、ペンドラゴンの3rd。1991年作
初期のサウンドは、まだ個性的とは言い難い良くも悪くもポンプロックの王道というサウンドであったが、
3作目となる本作では、その独自のロマンティシズムあふれる世界観が開花、爽快なメロディの流れと共に、
繊細さとダイナミズムのメリハリができて、バンドとして一皮むけたというような快作となっている。
とくに、ニックバレットのギターワークの泣きの叙情は、楽曲における感動的な盛り上がりを作り出していて
かつてのGENESISをアップデートしたような美しさである。90年代シンフォニックロックのひとつの原点といえる作品だろう。
メロディック度・・8 ドラマティック度・・8 幻想とロマン度・・9 総合・・8.5
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PENDRAGONThe Window of Life
イギリスのシンフォニックロックバンド、ペンドラゴンの4th。1993年作
前作でのメロディックかつキャッチーなシンフォニック路線をそのまま引き継いだ作品で、
美しいシンセワークに、ニック・バレットの味わいのあるヴォーカルと泣きのギターとともに描かれる
ロマンあふれる世界観はやはり素晴らしい。シンフォニックロックとしての優美な躍動感と繊細なドラマ性を同居させ、
なおかつ明快でシンプルな聴き心地を保つバランス感覚こそが、のちのネオ・プログレブームのひとつの指針ともなっただろう。
10分、14分という大曲を構築する力量も含めて、バンドとしてのキャリアの充実が窺える傑作に仕上がっている。
メロディック度・・8 ドラマティック度・・8 幻想とロマン度・・9 総合・・8.5
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PENDRAGON「UTRECHT...THE FINAL FRONTIER」
イギリスのシンフォニックロックバンド、ペンドラゴンのライブアルバム。1995作
時期としては「THE WINDOW OF LIFE」後のツアーのもので、のちの作品に比べると
楽曲自体がまだやや地味で、端々にはまだポンプロックとしての名残も感じさせる。
もちろんベテランらしく演奏は安定していて、しっかりとしたリズムセクションに
ニック・バレットのメロウなギター、クライブ・ノーランのきらびやかなキーボードが合わさり、
耳に優しいシンフォニックなサウンドを形作っているのはこの頃も変わらない。
シンフォニック度・・8 ライブ演奏・・8 まだポンプ度・・8 総合・・7.5
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PENDRAGON「Masquerade Overture」
イギリスのシンフォニックロックバンド、ペンドラゴンの5th。1996年作
1991年の3rd「THE WORLD」以降、よりダイナミックなサウンドで、かつてのポンプロック路線を
現代版のシンフォニックロックへと昇華してきたこのバンド。本作はまさに決定打というべき傑作となった。
ロマンの香りに満ちたジャケットアートと、「仮面舞踏への序曲」という幻想的なタイトルにも胸踊るが、
厳かな混声合唱の入ったイントロから、ゆるやかに楽曲が始まると、壮大なスケール感に叙情の加わった
シンフォニックロックが炸裂。ニック・パレットの流麗なギターメロディと、クライブ・ノーランの美しいシンセワーク、
繊細さとダイナミズムが交差しながら、盛り上がりでの泣きの情感、そのメロウな感触は尋常ではない。
ロマンと幻想の美に彩られた、まさに90年代を代表するシンフォニックロック作品の一枚である。
シンフォニック度・・9 繊細度・・9 幻想とロマン度・・10 総合・・9
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PENDRAGON「LIVE IN KRAKOW 1996」
イギリスのシンフォニックロックバンド、ペンドラゴンのライブ作品。1997年作
1996年ポーランドでの録音。本国以上にポーランドでのこのバンドの人気は大変なものがあるらしい。
演奏の方だが、スタジオ盤以上にダイナミックかつシンフォニックな仕上がりで驚かされる。
クライブ・ノーランの流麗なキーボードはもちろん、歌いながらメロウなギターのフレーズーを連発する
ニック・バレットのフロントマンとしての実力も確かなもの。ドラムもかなりの実力者で、手数も多く、確かなグルーブとともに
サウンドの屋台骨を支えている。押しと引きのメリハリ、押し寄せる叙情と泣きにはやはりうっとりとしてしまう。
同公演のDVD「Live at Last & More」も出ている。シンフォファンにはぜひ彼らのライブサウンドを堪能して欲しい。
シンフォニック度・・9 ライブ演奏・・8 叙情と泣き度・・10 総合・・8
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PENDRAGON「NOT OF THIS WORLD」
英国が誇るシンフォニックロックバンド、ペンドラゴンの6th。2001年作
1991年の「THE WORLD」以降、クオリティの高いシンフォニックアルバムを発表し続ける
中心人物のニック・バレット、そしてクライブ・ノーランのシンフォニックロックに注ぐ熱情はもの凄い。
前作「仮面舞踏への序曲」からの流れを引き継いだ、大作志向の楽曲がずらりと並び、
そしてそれらがゆるやかに、ときに激しく盛り上がってゆく様は圧巻のひとことだ。
ニック・バレットのギターはテクニック志向というよりは、繊細なメロディによる叙情性を重視しており、
キャメルのアンディ・ラティマーを思わせる「泣き」の美学を見事に継承している。メタル系のリスナーは
歌が弱いと思うかもしれないが、歌を含めすべての演奏が泣きのシンフォニックを目指しているのが彼らなのだ。
メロディアス度・・9 シンフォニック度・・10 幻想とロマン度・・10 総合・・9 ◆プログレ名作選入り
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PENDRAGON「ACOUSTICALLY CHALLENGED」
ペンドラゴンのアコースティックライブアルバム。2002作
このバンドの魅力は、壮大に盛り上がるシンフォニック性と、ニックバレットの泣きのギター
だと思っていたので、はたしてそれらがアコースティック編成でどうなるのか。二本のアコギにクライブ・ノーランのピアノ、
キーボードが重なり、ゆったりとした曲調に、ニック・バレットの甘い歌声がかぶさる。アコースティックものというよりは
たやおやかなしっとりシンフォといった趣で、過去の曲が、こうして別アレンジで表現されているのもなかなか面白く、
のんびりとしながら耳をかたむけるのにはちょうどよい作品だ。
メロディアス度・・8 シンフォニック度・・7 しっとり度・・9 総合・・8
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PENDRAGON 「Believe」
イギリスのシンフォニックロックバンド、ペンドラゴンの7th。2005年作
いつになくシリアスなイントロから、男女ヴォーカルの歌声が加わり、楽曲が始まると、
枯れた味わいのニック・バレットの歌声を乗せて、モダンで重厚になったサウンドが広がってゆく。
これまでよりぐっと大人っほくなった作風だが、キャッチーなメロディアス性とメロウな叙情は残していて、
ジャケのイメージほどにはダークではない。泣きのギターにうっすらとかぶさる、クライブ・ノーランのシンセも
ほの暗い幻想性でサウンドを彩っている。4パートに分かれた20分の組曲も含めて、じっくり味わえる力作である。
シンフォニック度・・7 メロウな叙情度・・8 薄暗度・・8 総合・・8
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PENDRAGON「and now everybody to the stage...」
イギリスのシンフォニックロック、ペンドラゴンのライブ作品。2006年作
英国最高のポンプ/シンフォニックバンド、第二の故郷ともいうべき、ポーランドでの2006年のライブを収録。
往年の名曲たちをステージで再現、その泣きのシンフォニックロックぶりはやはり感動的だ。
ギターを弾きながら希望的メロディをロマンティックに歌い続けるニック・バレットの姿は、その風貌も含めて、
“プログレ界のカイ・ハンセン”とでも呼びたくなるし、クライブ・ノーランのシンセワークもやはり見事。
わりと大人のロック色を強めたアルバム「Believe」からの曲もライブだとなかなか映えており、
年季の入った堂々たるステージで2時間を超えるステージを盛り上げる。DVD+2CDの限定盤もあり。
メロディアス度・・10 ライブ映像・・8 ライブ演奏・・8 総合・・8
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PENDRAGON「PURE」
イギリスのシンフォニックロックバンド、ペンドラゴンの8th。2008年作
前作「Believe」は、ぐっとモダンになった作風だったが、今作も基本的にはその延長上のサウンド。
かつてのロマン溢れる泣きの叙情に比べれば、ぐっとヘヴィかつダークになり、
ニック・バレットの世界を見つめる視線には現実への悲しみに溢れている。
ただ、楽曲におけるメロディの点では、クライブ・ノーランのシンセワークとともに、
メロウな叙情的がたっぷり配されていて、前作よりずっと浸れるサウンドだ。
うっすらと悲しみをただよわせた泣きのギターは、現在のニックにしか出せない音だろう。
古き良き時代をなつかしむ声もあるだろうが、これが現在のPENDRAGONの姿である。
シンフォニック度・・7 メロウな叙情度・・8 薄暗度・・8 総合・・8
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PENDRAGON「Concerto Maximo」
イギリスのシンフォニックロックバンド、ペンドラゴンのライブアルバム。2009年作
アルバム的にはここのところややダークな作風に変化を始めているが、
ライブでは過去からの曲も多く取り上げていて、ファンなら楽しめる。
ニック・バレットの歌声は、かつてに比べるとやや枯れた雰囲気で
サウンド的にも幻想の美には翳りが加わってきているが、そこも含めて、
長く活動するバンドとしてのゆるやかな変遷を見守る気分になる。
ときを重ねたことでドラマティックな泣きがメロウな泣きへと変化はしたが、
CD2枚に渡って繰り広げられる叙情的なシンフォニックロックは今なお健在だ。
メロディアス度・・8 シンフォニック度・・7 ライブ演奏・・8 総合・・8
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PENDRAGON「Passion」
イギリスのシンフォニックロック、ペンドラゴンの2011年作
2005年の「Believe」から、ダークでヘヴィなサウンドへと変化してきたが、
本作はそのモダンなヘヴィさを残しつつも、シンフォニックな華麗さを加えた
いわば現代風シンフォというべき力作に仕上がっている。重厚なギターサウンドと
シンセによる音の厚みで、感触としてはむしろARENAあたりに通じる作風でもあるが、
ニック・バレットのかすれた歌声と、随所に聴かせるメロウなギターワークは唯一無二のもの。
モダンプログレとしての叙情とともに、新時代のPENDRAGONサウンドを確立したといってよい力作だ。
シンフォニック度・・8 モダンプログレ度・・8 重厚度・・8 総合・・8
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PENDRAGON 「Out Of Order Comes Chaos」
イギリスのシンフォニックロック、ペンドラゴンのライブ作品。2013年作
2011年ポーランドでのステージをCD2枚に収録。2011年作「Passion」からの楽曲を中心に、
いくぶんモダンになったハードシンフォニックサウンドを聴かせつつ、過去曲でのロマンティックな味わいも健在。
ニック・バレットの枯れた味わいのヴォーカルのメロウなギター、クライブ・ノーランの美麗なシンセとともに、
往年のファンも楽しませるドラマティックな演奏が広がってゆく。16分を超える“Not of This World”や、
2008年作「Pure」収録の組曲“Comatose”など、10分を超える大曲をゆるやかに盛り上げてゆく。
ライブ後半になるとニック・バレットの歌声が少々つらそうなのだが、そこも含めて大人のシンフォニックロックということで。
ラストの定番叙情曲“Paintbox”まで、ベテランらしい艶のある泣きの表現力に包まれた好ライブです。
ドラマティック度・・8 ライブ演奏・・8 叙情度・・9 総合・・8
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PENDRAGON 「Men Who Climb Mountains」
イギリスのシンフォニックロック、ペンドラゴンの2014年作
1983年にデビュー、キャリア30年にしてちょうど10作目となる本作は、ニック・バレットの枯れた味わいの歌声とともに
繊細な叙情の小曲から幕を開け、続く8分、10分という大曲では、山に挑戦する登山家たる精神をコンセプトにしている通り、
そびえたつ山々を思わせるような雄大なシンフォニックロックが広がってゆく。かつてのファンタジックな幻想性というよりは、
より現実的な世界観と人間的な温かみを感じさせる作風は、バンドとしての成熟の結果なのだろう。
クライブ・ノーランのシンセワークも派手すぎることなく、じっくりと楽曲を盛り上げてゆくようだ。
若手には決して真似のできない説得力が、泣きの叙情とともにメロウにサウンドを包み込む。さすがの力作ですね。
ドラマティック度・・8 プログレ度・・7 壮大度・・8 総合・・8 
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Pendragon 「Masquerade 20」
イギリスのシンフォニックロック、ぺンドラゴンのライブ。2017年作
1983年にデビュー、MARILLION、IQ、PALLASとともに、80年代英国ポンプロックのムーブを形成し、
90年代英国シンフォの代表格というべきバンド。本作は1996年の傑作「Masquerade Overture」から
20周年を記念して行われたポーランドでのライブを収録。Disc1はその「仮面舞踏への序曲」を完全再現、
混声コーラスによる荘厳なイントロから、美しいシンセと枯れた味わいのヴォーカル、泣きメロを奏でる叙情ギターとともに
壮麗な世界観を構築。初期からのメンバーである、ニック・バレット、クライブ・ノーラン、ピーター・ギーの3人がいることで
当時のロマンの香りまでをそのまま再現している。とりわけ90年代に思い入れのあるシンフォファンには感涙のライブ作品だろう。
MAGENTAのクリスティーナ・ブースがコーラスで参加しているのも見逃せない。そして、バンドは2017年9月に来日を果たすのだ。
シンフォニック度・・9 ライブ演奏・・8 名作再現度・・9 総合・・8.5 
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PENDRAGON「Love Over Fear」
イギリスのシンフォニックロック、ペンドラゴンの2020年作
1983年にデビュー、名実ともに英国シンフォニックロックを代表するバンドの、6年ぶりとなる10作目。
オルガンを使ったヴィンテージなシンセを乗せた軽快な始まりから、古き良きスタイルへの回帰を感じさせるが、
ニック・バレットの奏でる泣きのギターとかすれた味わいのヴォーカルが加わると、ペンドラワールドが全開。
シンセとヴォーカルを主体にしたしっとりとしたメロウな小曲や、アコースティックギターの繊細なつまびきから、
エレキによる叙情フレーズが加わると、CAMELのような優美な味わいに。マンドリンやヴァイオリンを使った
トラッド的な質感のナンバーなども新機軸で、全体的にも力み過ぎない自然体のやわらかな叙情美に包まれている。
ラスト曲では、クライブ・ノーランの美麗なシンセワークとともにゆるやかに幕を閉じる。ベテラン健在の傑作です。
ドラマティック度・・8 プログレ度・・7 泣きの叙情度・・9 総合・・8 
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PERSONA NON GRATA「The Fine Art Of Living」
イギリスのプログレバンド、ペルソナ・ノン・グラタの2004年作
The Pineapple ThiefのBruce Soordを中心に、Vulgar Unicorn名義で活動していたバンドの名前を変えての作品で、
オルガンを含むシンセにほどよくハードなギター、マイルドなヴォーカルを乗せたスタイリッシュなサウンド。
The Pineapple Thiefに通じるポストプログレ的なモダンさと、キャッチーなロック感が合わさった聴き心地で、
ときにオルタナ風味の翳りを帯びた浮遊感にも包まれつつ、ラストはアンビエントなナンバーでしっとりと締めくくる。
Disc2には、Vulgar Unicorn時代のデモ音源などを収録。こちらはシンフォ寄りの美麗なシンセアレンジとともに、
モダンなプログレハードという感触もありつつ、ブラスを加えた優雅なアレンジなど、面白い大曲が盛りだくさんの74分。
ドラマティック度・・7 プログレ度・・7 スタイリッシュ度・・8 総合・・7.5
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PETE BARDEN'S MIRAGE「SPEED OF LIVE」
CAMELのキーボード奏者、故ピート・バーデンスのソロバンドのライブアルバム。
曲の方はオリジナル曲に混じり、「ムーンマッドネス」「スノーグース」などのキャメルの名曲も演奏。
本家よりはダイナミックさに欠けるが、なかなかの好演。
ただミックスをほどこしてないのか、ライブの音そのままという感じでサウンド的にはラフな感じ。
メロディアス度・・7 プログレ度・・6 演奏・・6 総合・・6


Peter Gee 「A Vision of Angels」
PENDRAGONのベーシスト、ピーター・ギーの1997年作
ペンドラゴンにおいてはあくまで楽曲を陰で支えている印象が強かったのだが、
本作では彼自身のメロディアスなセンスも素晴らしかったのだと確認できる。
キャッチーなポップ性とマイルドなヴォーカルで聴かせるアダルトな雰囲気に、
随所にPENDRAGONばりの泣きのギターも含んで、9分10分という大曲も美しく描いてゆく。
繊細な叙情とともにじわじわと感動させるような楽曲も素晴らしい。優しい聴き心地の好作品。
PENDRAGONのニック・バレット、クライブ・ノーランがゲスト参加。
メロディアス度・・8 プログレ度・・7 繊細度・・8 総合・・8
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Peter Gee 「The Spiritual World」
イギリスのミュージシャン、ピーター・ギーの2008年作
PENDRAGONのベーシストでもあり、ソロ作としては1997年以来の作品となる。
本作では、ギター、ベース、シンセをこなしていて、ヴォーカルにSteve Thorneが参加。
アコースティックを含む繊細なギターにやわらかなシンセ、マイルドなヴォーカルを乗せた、
叙情的な歌ものから、シンフォニックなアレンジの教会音楽的な厳かなサウンドも聴かせる。
楽曲は3〜4分前後で、プログレ的な展開はあまりないが、メロウなギターに美しいシンセ、
そして味わいのあるヴォーカルで、しっとりとした優美な空気に包まれた好作品です。
ドラマティック度・・7 プログレ度・・7 優美度・・8 総合・・7.5 
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Peter Gee「East of Eden」
PENDRAGONのベーシスト、ピーター・ギーの2011年作
人類と地球をテーマにした作品で、本作では、ギター、ベース、シンセを自身がこなし、
ゲストヴォーカルにスティーブ・ソーン、ダミアン・ウィルソンが参加している。
適度にハードなギターワークとシンセアレンジで重厚に聴かせる作風で、
スペイシーな壮大さやモダンロックとしてのキャッチーなノリも取り入れている。
2、3分台の小曲が連なる形なので、1曲ごとのインパクトというのはあまりないのだが、
全体の流れで大きなビジョンを楽しむような力作に仕上がっている。
ドラマティック度・・8 プログレ度・・7 壮大度・・8 総合・・8
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Peter Gee 「The Bible」
イギリスのミュージシャン、ピーター・ギーの2018年作
敬虔なクリスチャンらしく、本作は聖書をテーマにしたコンセプト作で、優美なシンセにギターを重ね、
マイルドなヴォーカルに女性コーラスも加えた、正統派シンフォニックロックの感触で聴かせる。
1〜3分前後の小曲を連ねた構成で、随所に語りを含んだストーリー性を含ませて、
雄大な叙情に包まれたサウンドを描いてゆく。楽曲ごとに派手な展開と言うのはないが、
聖書における人物や場面をそれぞれに表現する、ドラマティックな聴き心地が楽しめる。
クリスチャン系のシンフォプログレという点では、Neal Morseなどが好きな方もどうぞ。
ドラマティック度・・8 プログレ度・・7 叙情度・・8 総合・・8
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Phi Yaan-Zek 「Solar Flare」
イギリスのインド系ギタリスト、フィ・ヤーン・ゼクの2005年作
うっすらとしたシンセに軽妙なギターを乗せた、サイケがかったようなフュージョンロック的なインストサウンドで、
フルートなども加わったプログレ的なやわらかな叙情もある。ドラムにマルコ・ミネマン、ピアノ&シンセにラレ・ラーションが参加、
テクニカルだがなんとなくヨレているというのが面白く、そういう点では、サイケ的なフュージョンプログレとしても楽しめる。
全体的にはスリリングな展開よりも、むしろゆったりとした聴き心地で、インストメインなので中盤以降はさすがにダレてくるのだが、
女性スキャットの入る曲など、スピリチュアルな世界観も含めてユルユルでよいのです。
東洋思想的な空気感の、のんびりとしたプログレ・フュージョンに興味がある方はぜひ。
ドラマティック度・・7 プログレ度・・7 サイケ・フュージョン度・・8 総合・・7.5
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Phi Yaan Zek with Marco Minnemann 「Dance With the Anima」
イギリスのギタリスト、ファイ・ヤーン・ゼクとマルコ・ミンネマンのユニット。2010年作
ジョン・バリーとフランク・ザッパのコラボをイメージして作られたという作品で、シンセにラレ・ラーションが参加。
1〜3分前後の小曲を連ねた全22曲という構成で、ミンネマンの軽やかなドラムに奔放なギター、
ピアノを含むシンセを重ねた、優雅でテクニカル、アヴァンギャルドなジャズロックを聴かせる。
ジャジーかつ叙情的なフレーズもこなすギターのセンスも見事であるが、手数の多いドラムとともに
クラシカルで優美なシンセワークもすばらしく、軽妙でフリーキー、スリリングなインストが楽しめる。
ときにトランペットやハーモニカの音色も加わって、華やかな聴き心地にもなる。全50分の優雅な傑作。
ドラマティック度・・7 テクニカル度・・8 優雅度・・8 総合・・8
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Phi Yaan-Zek 「Reality Is My Play Thing」
イギリスのミュージシャン、ファイ・ヤーン・ゼクの2018年作
マルコ・ミンネマン、ラレ・ラーション、マイク・ケネリー、ブライアン・ベラーといった腕利きメンバーを迎えた2枚組大作。
ミンネマンの巧みなドラムに存在感のあるブライアン・ベラーのベース、ラレ・ラーションの優美なシンセにトランペットなども加え、
マイク・ケネリーのマイルドなヴォーカルを乗せた、Gentle Giant的な優雅な作風で、3〜5分前後を主体にした
歌もの的なキャッチーな聴きやすさの中にも、アヴァンギャルドなセンスが垣間見える。Disc2は、インストがメインで
軽やかなテクニカル性ととぽけた屈折感は、MATS/MORGANにも通じる味わい。叙情的なギターの旋律が耳心地よい
ゆったりとしたナンバーから、ラストの15分の大曲で、軽やかなピアノやブラスとともに優雅なアヴァン・ジャズロックを構築する。
テクニカル度・8 プログレ度・8 優雅度・8 総合・8 
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Phi Yaan-Zek 「Holotropic Guitar (20th Anniversary Edition)」
イギリスで活躍するインド系のミュージシャン、ファイ・ヤーン・ゼクの2020年作
90年代から活動する技巧派ギタリストで、本作は2000年作に新緑パートを加えてリミックスした20周年バージョン。
優雅なフレーズを奏でるギターにシンセを重ね、軽妙なリズムとともに、スペイシーなサイケ感も含んだ
とぼけた味わいのインストサウンドを描く。エスニックなテイストも含んだ旋律や、デジタルなアレンジによる
MATS/MORGAN風味のコミカルなアヴァンギャルド性も覗かせるなど、とらえどころのない作風ながら、ギターのプレイ自体は、
わりとメロディがあったりして聴きやすい。FROST*のアンディ・エドワース、KARMAKANICのラレ・ラーションなどがゲスト参加。
ドラマティック度・7 プログレ度・7 アヴァンギャル度・8 総合・7.5 
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PILGRYM「pilgrimage」
イギリスのシンフォニックロックバンド、ピルグリムの2004作
Vo、G、B、Keyをこなす2人のメンバーを中心にしたバンド
ゆったりと繊細に、かつドラマティックに聴かせるシンフォニックハードサウンド。
ボブ・カトレイのようなアダルトな声質のVoが、やや好みを分けるところだが、
むしろINSIDE OUT系などを好むHRファンなどにはとっつき安いかもしれない。
自主制作らしい音の詰めの甘さとローカルさはあるが、なかなかの好作だ。
メロディアス度・・8 プログレ度・・7 総合・・7.5


the pineapple thief「Variations On A Dream
イギリスのプログレバンド、パイナップル・シーフの3rdの再発盤。2004/2011年作
やわらかなヴォーカルとしっとりとしたシンセワークで、ほの暗い叙情を聴かせるサウンドは、
Porcupine Treeなどの流れを組む、ポスト・プログレッシブともいうべきもので
やわらかみのあるメロウな聴き心地と、もの淋しい哀愁の表現が素晴らしい。
PTはもちろん、フランスのDemiansやドイツのRPWLなどがお好きならぜひ。
再発盤のDisc2には、2003年の10曲入りミニアルバム、「8 days」を収録。
メロディアス度・・8 プログレ度・・7 哀愁の叙情度・・8 総合・・8
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the pineapple thief「10 Stories Down」
イギリスのプログレバンド、パイナップル・シーフの2005作
薄暗い叙情で聴かせる、いわゆるPorcupine Tree系のバンドであるが本家以上にプログレ寄りのサウンドで、
個人的にはPTよりも好み。本作でも、アコースティカルな叙情を織りまぜつつ、プログレ的なシンセワークと
優しいヴォーカルの歌声でしっとりと聴かせる楽曲はじつに耳心地がよい。
モダンな翳りの中にもキャッチーなメロディや、ヴァイオリンなども取り入れた
センスあるアレンジが心憎い。ラストは15分の大曲でゆるやかに盛り上げる。
リマスター再発盤は、8 Days Laterと題された8曲入りのボーナスDisc付き。
メロディアス度・・8 プログレ度・・8 薄暗度・・8 総合・・8
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the pineapple thief「Tightly Unwound」
イギリスのプログレバンド、パイナップル・シーフの2008年作
薄暗い叙情で聴かせる、いわゆるPorcupine Tree系のサウンドだが、こちらはもっとプログレ色が強く、
変拍子入りの巧みなアンサンブルにポストロック的でもある深遠な世界観を折り込んでじっくりと構築してゆく。
それなりに技巧的でありつつも、サウンドのやわらかさを保っているのはマイルドなヴォーカルの歌声と、
静かなパートを自然に盛り込むアレンジのセンスだろう。メロトロンの音色の使い方などは
むしろ北欧のバンドのようでもあり、随所にプログレファンを唸らせるものが散りばめられている。
ポーキュパイン系のファンはもとより、RiversideANEKDOTENのリスナーなどにも勧められる。
メロディアス度・・8 プログレ度・・8 薄暗度・・8 総合・・8.5
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the pineapple thief「3000 Days」
イギリスのプログレバンド、パイナップル・シーフのベストアルバム。2009作
1999年のデビュー作から現在までの楽曲をCD2枚組みで20曲収録。
Porcupine Treeタイプの薄暗い叙情を聴かせるバンドとして注目しているのだが、
こうしてあらためてバンドの初期の音源から聴いてみると、聴き心地のよい
自然体のゆるやかな叙情と、ポストロック的な雄大なシリアスさを同居させつつ、
しだいにプログレッシブなアレンジを効かせるようになってきているのが分かる。
とくに静かに盛り上がってゆく10分を超える大曲などは、聴きごたえありだ。
メロディアス度・・7 プログレ度・・7 薄暗叙情度・・8 総合・・7.5
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The Pineapple ThefLittle Man」
イギリスのプログレバンド、パイナップル・シーフの2010作
Porcupine Tree系としては頭ひとつ抜けたクオリティのこのバンド、
本作は入手困難であった2006年のアルバムのリミックス再発盤だ。
マイルドなヴォーカルの歌声と、薄暗い叙情を含んだけだるい世界観はやはり耳心地がよい。
ただ全体の完成度としては、2008年の傑作「Tightly Unwound」にはまだおよばない。
メロディアス度・・7 プログレ度・・7 薄暗叙情度・・8 総合・・7.5
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The Pineapple Thief「Someone Here Is Missing」
イギリスのプログレバンド、パイナップル・シーフの2010年作
ベスト盤や再発盤を除くと、2008年の「Tightly Unwound」以来となるアルバム。
Porcupine Treeへの回答ともいうべき傑作であった前作に続き、本作もメロウな叙情と
モダンな軽妙さ、そしてプログレッシブな展開力を盛り込んだ、なかなかの力作だ。
しっとりとした繊細な美しさとともに、ところによりモダンなヘヴィ感覚も盛り込んでいて
いかにも現代的なミクスチャーロックでもある。自然体の作り込みが「らしい」仕上がりだ。
メロディアス度・・8 プログレ度・・7 繊細度・・8 総合・・8
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The Pineapple ThiefAll The Wars
イギリスのプログレバンド、パイナップル・シーフ2012年作
Porcupine Tree以後の新世代薄暗系プログレとして、すでに活動は10年以上、
9作目となる本作も、モダンなセンスと知的な構築力が光る見事なサウンドを聴かせる。
キャッチーなヴォーカルメロディにほの暗い翳りをまとわせつつ、今作ではギターがより前に出た
アンサンブルを強めていて、お洒落で軽やかでありつつ、ロックとしての普遍的な格好良さも感じられる。
オーケストラルなアレンジによるシンフォニック性も含んだ、優雅な傑作に仕上がっている。
メロディアス度・・8 プログレ度・・7 繊細度・・8 総合・・8
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Pineapple Thief 「Magnolia」
イギリスのプログレバンド、パイナップル・シーフの2015年作
1999年のデビューから本作で10作目、名実ともにポストプログレ系の代表格となったこのバンド、
来日も果たし、本作ではめでたく国内盤もリリース。マイルドなヴォーカルを乗せた薄暗い叙情と、
いくぶんヘヴィさを増したギターとともにモダンなエモーショナルロック的なサウンドを聴かせる。
プログレ色という点では以前に比べて薄くなったものの、ストリングスの加わった美しいアレンジに
しっとりとした繊細なナンバーも含めて、透明感に包まれた涼やかな聴き心地が味わえる。
楽曲はどれも3〜4分台で、シンプルな分かりやすさがあり、プログレというよりは叙情ロックですな。
ドラマティック度・・7 プログレ度・・7 薄暗叙情度・・8 総合・・8
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The Pineapple Thief 「Your Wilderness」
イギリスのポストプログレ、パイナップル・シーフの2016年作
1999年にデビュー、いまやポストプログレ系の代表格となったこのバンド、11作目となった本作は
前作の歌もの路線を受け継ぎつつ、うっすらとしたシンセにマイルドなヴォーカルを乗せた繊細な叙情で、
ポスプログレの王道をゆくようなサウンドに立ち返っている。メロウなギターを乗せたメランコリックな泣きに、
曲によってはダイナミックなノリのパートも含んだりと、プログレとしてのメリハリある構成力も見事。
10分近い大曲も、優雅な叙情とキャリアのあるバンドらしいスケール感とともに、じっくりと構築してゆく。
ファンはもちろん、このバンドを初めて知る方にも勧められる、完成度の高いアルバムに仕上がっている。
ドラマティック度・・8 プログレ度・・8 繊細な叙情度・・8 総合・・8 
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THE PINEAPPLE THIEF 「HOLD OUR FIRE」
アメリカのポストプログレ、パイナップル・シーフのライブ。2019年作
2018年のヨーロッパツアーのライブを収録。同年発表「Dissolution」からのナンバーをメインにしたセットで、
叙情的なギターにうっすらとしたシンセ、マイルドなヴォーカルで、オルタナ的な翳りを含んだサウンドを展開。
Porcupine Treeでも活躍する、ギャヴィン・ハリソンの巧みなドラムを軸にしたタイトなアンサンブルと
随所に聴かせるメロウなギターの旋律、ブルース・ソードのエモーショナルな歌声とともに、アルバム以上に
躍動的な演奏が楽しめる。ラストは、2010年作「Someone Here Is Missing」収録曲で優雅に聴かせる。
ライブ演奏・7 プログレ度・7 叙情度・8 総合・8 
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THE PINEAPPLE THIEF 「VERSIONS OF THE TRUTH」
アメリカのポストプログレ、パイナップル・シーフの2020年作
1999年にデビュー、本作は13作目となる。うるさすぎないギターとシンセに、マイルドなヴォーカルで聴かせる
繊細な叙情に包まれたモダンなポストプログレサウンド。タイトなドラムがスタイリッシュなアンサンブルを描き、
ピアノを含む優美なシンセとほどよくハードなギターで、しっとりと薄暗くもメリハリある構築力で描かれる。
楽曲は4〜5分前後が主体で、プログレというよりは、もはやモダンロックというべき感触ではあるが、
クールなセンスとキャッチーな叙情のバランスで、さらりと耳心地が良い。個人的にはもう少し濃密さが欲しいか。
ドラマティック度・7 プログレ度・7 叙情度・8 総合・7.5
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PLENTY 「IT COULD BE HOME」
イギリスのポストプログレ、プレンティの2018年作
NO-MAN、HENRY FOOLなどで活動する、ティム・ボウネスが80年代に在籍していたバンド、
1990年のカセットEP以来となる復活作。打ち込みとシーケンサーによるリズムにうっすらとしたシンセ、
マイルドなヴォーカルを乗せたやわらかなサウンドで、どこか80年代的なデジタル感がなつかしい。
シンプルなリズムにクリアなギターとシンセを重ねた、キャッチーなノリのポップ感触とともに、
繊細な叙情が合わさった耳心地の良さに包まれる。これという新鮮味はないのだが、
ROXY MUSICがポストプログレ寄りになったような感じもある、マイルドなポップ性が楽しめます。
キャッチー度・・8 プログレ度・・6 繊細度・・8 総合・・7.5
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Porcupine Tree 「The Sky Moves Sideways」
イギリスのプログレバンド、ポーキュパイン・トゥリーの1995年作
3作目となる本作は、バンドとしてのPTをいよいよ強固にした作品で、コリン・エドウィン、ギャビン・ハリソンなどが参加
のっけから18という大曲で幕を開け、うっすらとしたシンセにメロウなギター、マイルドなヴォーカルとともに
ゆったりとした浮遊感に包まれた、PINK FLOYDルーツのサウンドを描く。テオ・トラヴィスのフルートが鳴り響き、
スペイシーなシンセが重なったサイケな感触から、アコースティックギターなどの繊細な叙情も同居していて、
のちのポストプログレの先駆けのような雰囲気も覗かせる。小曲を挟んで、ラストはタイトル曲の後半となる16分の大曲で、
優美なシンセにフリーキーにギターが鳴り響き、ポストロック的なスケール感に、女性スキャットなども加わった優雅な味わい。
Disc2には、タイトル曲を34分につなげた長大なナンバーやインプロ曲などを収録、聴き応えのある内容です。
ドラマティック度・7 プログレ度・7 フロイ度・8 総合・8 過去作のレビューはこちら
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PORCUPINE TREESignify
イギリスのロックバンド、ポーキュパイン・トゥリーの4th。1996作
初期のPINK FLOYD的な浮遊感から、ロックバンドとしての構築性を曲の中ではっきりと前に出してきたのは
このアルバムからだろう。次作「In Absentia」でよりメタリックなダイナミズムを打ち出してくるが、
このバンド本来のメランコリックな翳りある叙情は本作ですでに確立されている。
うっすらとしたシンセワークに、メロウなギターワークが耳に心地よい。
アルバムとしての完成度では後の2枚の方が高いだろうが、ファンならば、聴いて損のない作品だろう。
メロディアス度・・7 メランコリック度・・8 楽曲・・7 総合・・7.5
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Porcupine Tree 「Coma Divine」
イギリスのプログレバンド、ポーキュパイン・トゥリーのライブ。1997/2004年作
1997年イタリア、ローマでのライブを収録。CD2枚組で再発されたバージョンで、4th「Signify」からのナンバーを主体に、
叙情的なギターにシンセを重ね、アルバム以上に躍動的なアンサンブルを描く。スティーブン・ウィルソンのマイルドな歌声に、
リチャード・バルビエリのうっすらとしたシンセもセンス良く、3rd「The Sky Moves Sideways」からの大曲も含めて、
ほどよいハードさとPINK FLOYD的な浮遊感で、翳りを帯びた独自のPTサウンドをダイナミックに構築してゆく。
Disc2は、ゆったりとしたナンバーが主体であるが、ラスト曲は2nd収録のサイケハードなナンバーで締めくくる。
ライブ演奏・8 プログレ度・7 フロイ度・8 総合・8
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PORCUPINE TREE 「LIGHTBULB SUN」
イギリスのプログレバンド、ポーキュパイン・トゥリーの2000年作
7作目となる本作は、アコースティックギターにマイルドなヴォーカルを乗せたゆったりとした叙情から、ハードなギターを加えたオルタナ風味も覗かせつつ、翳りを帯びた歌ものポストプログレというサウンドを展開。
優美なピアノやシンセによる繊細なアレンジに、ほどよくオールドな英国ロック感触も織り込んでいて、Marillionあたりにファンにも楽しめるだろう。
13分の大曲では、メロウなギターの旋律にプログレ感触のあるシンセを重ね、後半にはハードなギターを加えてモダンな重厚さが現れる。
明快な盛り上りが薄いので物足りなさはあるが、ラストのしっとりとした叙情ナンバーまで、コンセプト的な流れでも楽しめる好作である。
ドラマティック度・7 プログレ度・7 薄暗叙情度・8 総合・7.5 
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PORCUPINE TREE「warszawa」
英国の人気バンド、ポーキュパイン・トゥリーのライブアルバム。2001年作
2001年ポーランド、ワルシャワでのステージを収録。いわゆるメジャーデビュー前のライブ。
2000年のアルバム「Lightbulb Sun」からの曲がメインであることもあり、
メタリックな質感はほとんどなく、ゆったり淡々とした雰囲気で演奏は進んでゆく。
「In Absentia」以降の曲に比べ、分かりやすいメリハリはあまりないが、
このバンド本来のPINK FLOYD的な鬱ぎみの浮遊感を感じ取ることができる。
メロディアス度・・7 ゆったり浮遊感度・・8 ライブ演奏・・8 総合・・7.5
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PORCUPINE TREE「IN ABSENTIA」
イギリスのプログレ・ロックバンド、ポーキュパイン・トゥリーの2002年作
このバンドのサウンドはいうなれば、現代にマッチした憂鬱なメロディアスロック、ということになるのだろうか。
プログレメタルというほどテクニカルでもないし、厳密にいえばいわゆるプログレでもない音だが、そのクールな情感と
やや暗鬱な叙情をかもしだすサウンドには不思議な魅力がある。内的世界の描写を淡々とした演奏で表すところなどはポストロック的で、
そういう点では現代版PINK FLOYDと表現されるのもうなずける。やわらかだが冷たい質感と、しっかりとロックとしてのビートを感じるし、
メロトロン的なキーボードの使い方などはどこか北欧的で、ANEKDOTEN、さらにはOPETHなどの静寂部分に通じるものもある。
メロディアスでメランコリックな「雰囲気」が気に入れば心地よく聴ける音楽だろう。
メロディアス度・・7 プログレ度・・6 心地よい浮遊感度・・8 総合・・8
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Porcupine Tree 「Coma Divine」
イギリスのモダンプログレ、ポーキュパイン・トゥリーのライブ作。2005年作
1989年にデビュー、いまやモダンプログレの代表格となったバンドの、1997年イタリアでのステージを2CDに収録。
1994年作「The Sky Moves Sideways」、1997年作「Signify」からのナンバーを中心にしたセットで、
ハード寄りのギターにシンセを重ね、変則リズム入りのテクニカル性をまぶした、ProgMetal風味から、
スティーブン・ウィルソンの歌声とともに、薄暗い叙情に包まれた現代プログレの味わいが同居している。
Disc2後半、13分という大曲は聴きごたえがあり、バンドの今後のイメージに重なるような構築力と、
スケールの大きな世界観で楽しめる。バンド初期の姿を映し出すライブとして、意義のある内容である。
ライブ演奏・・8 プログレ度・・7 わりとハー度・・8 総合・・7.5 
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PORCUPINE TREE「DEADWING」
イギリスのプログレバンド、ポーキュパイン・トゥリーの2005年作
通算では9作目。ゆるやかに静寂感をともなったマイルドだがクールなサウンドで、
ときおり現れるメタリックなギターがいいアクセントになっていて、メロトロンの使用やヴォーカルハーモニーの美しさも魅力的。
9分の大曲から始まるので、前作よりもプログレ的な雰囲気が強く感じられ、メランコリックな軽い鬱的な部分が浮遊感となって音に漂う。
誤解を恐れずに言うと、近年のDREAM THEATERの現代的なダークな部分に相通じるものも感じる。
けっして爽やかな音ではないが、身を任せるに心地よい空間を構築しているのは確かで、
しっとりとピアノが美しいバラードや、メロトロンの鳴り渡るシンフォニックなアレンジも聴きとなっている。
前作よりもやや音に温かみがあるところが英国的にも思える。プログレ、メタル、両方のリスナーに対応したアルバムだ。
シンフォニック度・・8 プログレ度・・7 心地よい浮遊感度・・9 総合・・8
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PORCUPINE TREE「Fear Of A Blank Planet」
イギリスのモダンプログレロック、ポーキュパイン・トゥリーの2007年作
メジャー3作目となる今作だが、いよいよその鬱サウンドには磨きが…いや翳りがかかり、
メロトロンの音色をはじめしっとりとしたシンセワークと、ゆるやかなヴォーカルが繊細に響きわたる。
前2作にあったメタリックな展開美はやや影をひそめ、代わりにしっとりとした叙情性に包まれた
薄暗系ポストプログレが広がっている。現代的な翳りと鬱系の内的なメロウロックをここまで極端に提示したことで
聴き手を選ぶには違いないが、この沈み込むようなディープな感性を心地よく感じられる人も大いに違いない。
メロディアス度・・7 プログレ度・・7 ディープな鬱ロック度・・9 総合・・8
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Porcupine Tree「The Incident」
イギリスのモダン・プログレバンド、ポーキュパイン・トゥリーの2009作
2002年のデビュー以降もコンスタントに作品を発表し、今や世界的な知名度を誇るこのバンド、
今作はなんと、14パートに分かれた55分に及ぶタイトル組曲をメインにした2枚組の大作。
鬱ぎみの薄暗ロック作品で賛否がはっきりとした前作に比べ、プログレッシブな雰囲気が戻り
クリムゾン風のヘヴィさとフロイド的な浮遊感を併せ、ポストロック的でもある内的志向の
ゆるやかな世界観構築を聴かせてくれる。派手な盛り上がりがほとんどない分、
前作以上に聴き手を選ぶ作品かもしれないが、この繊細な叙情とほの暗い雰囲気に
浸れる方にはこの上ない傑作となるかもしれない。Disc2はむしろオマケという感じ。
ドラマティック度・・7 プログレ度・・8 内的叙情度・・8 総合・・8
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Porcupine Tree 「Octane Twisted」
イギリスのプログレバンド、ポーキュパイン・トゥリーのライブ。2012年作
2010年のツアーから、アメリカとイギリスでのステージを2CDに収録。Disc1は、2009年作「The Incident」完全再現で
ギャヴィン・ハリソンの巧みなドラムにほどよくハードなギターと、スティーヴン・ウィルソンのマイルドなヴォーカルで、
翳りを帯びたサウンドを描いてゆく。叙情的なギターにうっすらとしたシンセで、12分の大曲なども耳心地よく、
確かな演奏力とともに、ラスト曲までコンセプト的な流れでじっくりと味わえる。Disc2は、過去作品からのナンバーで、
10分前後の大曲を主体に、適度にハードでテクニカルなパートも覗かせながら、スタイリッシュなモダンプログレを聴かせる。
ライブ演奏・8 スタイリッシュ度・8 叙情度・8 総合・8
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PRODUCERS 「Made in Basing Street」
イギリスのメロディックロック、プロデューサーズの2012年作
トレヴァー・ホーン、ロル・クレーム、アッシュ・ソーン、スティーヴ・リプソンによるバンドで、
キャッチーなポップ性と80年代的なAOR感触を、モダンに再構築したというきらびやかなメロディックロック。
レコーディング途中で脱退したクリス・ブレイドが作曲に参加、4曲でリード・ヴォーカルを担当する他、
ジェフリー・ダウンズも全曲に参加していて、美しいシンセに爽快なコーラスハーモニーを乗せ、
随所にメロディックなギタープレイも含んだ、大人味わいのポップなプログレハードとしても楽しめる。
ほのかにプログレ感触も覗かせつつ、やわらかなメジャー感を漂わせた音作りで、
バグルズやダウンズ期のイエスあたりが好きな方には、とても心地よいサウンドだろう。
メロディック度・・8 プログレ度・・7 爽快キャッチー度・・9 総合・・8
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PROTOS「ONE DAY A NEW HORIZON」
英国のシンフォニックロックバンド、プロトスの1982年作
かつてはLPのみで250枚限定だっとたいう、コレクターズアイテムのCD化。
サウンドはゆるやかなシンセワークを中心にした、インストのシンフォ作で、STEVE HACKETTあたりを思わせる繊細なメロディで聴かせる。
ギターにしろドラムにしろ決して前には出すぎず、音がうるさくならない分濃密さよりも淡白な味わいが耳に優しく、
初期CAMELなどの質感にも似ている。いかにも自主制作然とした録音面での弱さも含めて、やわらかな雰囲気の作品だ。
メロディアス度・・8 プログレ度・・7 繊細度・・8 総合・・7.5
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PROTOS「The Noble Pauper’s Grave」
イギリスのシンフォニックロックバンド、プロトスの2007年作
80年代初頭に活動したバンドで、残した1枚のアルバムが再発されたが、本作は25年ぶりとなる新作になる。
ヴィンテージ色もあるシンセワークとメロディアスなギターを中心に聴かせるインストのシンフォニックサウンド。
曲間には語りが入るなど、コンセプト的な色合いもあるが、音自体には難解さはなく、
「ややコテコテになったCAMEL」という雰囲気でのんびりと聴ける。繊細な好作品だ。
シンフォニック度・・8 メロディアス度・・8 繊細度・・8 総合・・7.5
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PURE REASON REVOLUTION「THE DARK THIRD」
イギリスの新世代ロックバンド、ピュア・リーズン・レヴォリューションの2006年作
PINK FLOYD的な浮遊感ある楽曲に、男女Voの歌声が重なり内的宇宙を感じさせる広がりのあるシンセアレンジがなかなか魅力的で、
薄暗い質感のシンフォニックロックとしても楽しめそう。オルタナシンフォとポストロックの中間に位置するような雰囲気であるが、
女性ヴォーカルの存在がよいアクセントになっているので、ゴシックロック風味の美しさもあって聴きやすいサウンドだ。
シンフォニック度・・7 プログレ度・・7 うす暗浮遊感度・・8 総合・・7.5
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Pure Reason Revolution 「Amor Vincit Omnia」
イギリスの新世代ロックバンド、ピュア・リーズン・レヴォリューションの2009作
前作はPINK FLOYD+Porcupine Treeというイメージの作品であったと思ったが、今作では冒頭からデジタリィなアレンジを大胆に取り入れ、
テクノのようなピコピコのシンセ音を確信犯的に使いながら、まるでかつてのROXY MUSICもかくやというようなサウンドを聴かせる。
機械的なビートに乗る男女ヴォーカルの歌声と、コーラスワークの重ねも絶妙という他はなく、
この「古めかしいモダンさ」の再現はある意味で職人技だ。もちろんロック的な躍動感や、ポストロック風味も健在で、
UKロック的なマイルドさに加え古くささをお洒落なまでに変換させるこのアレンジセンスには脱帽である。
メロディアス度・・8 レトロなデジタリィ度・・8 アレンジセンス・・9 総合・・8
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Pure Reason Revolution「Hammer & Anvil」
イギリスの新世代ロックバンド、ピュア・リーズン・レヴォリューションの2010年作
Porcupine Tree風味のプログレ色を覗かせた1作目、エレクトロなアレンジを大胆に取り入れた2作目、
そして本作では、これまであったエレクトロ色とインダストリアルな質感が増したサウンドになっている。
女性ヴォーカルの歌声を前に出し、プログレ要素がなくなった分だけ、ある意味で分かりやすい作風になった。
モダンなインダストリアルロックでありながら、音の中に知的な洒落っけがあるのは、やはり彼らならではだ。
メロディアス度・・8 モダンロック度・・9 アレンジセンス・・9 総合・・8
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QUASAR「The Loreli」
イギリスのシンフォニックロック、クェーサーの1989年作
STRANGERS ON A TRAIN〜LANDMARQの女性シンガー、トレイシー・ヒッチングが在籍していたバンドで、
美麗なシンセワークにまだ若々しいハスキーな歌声を乗せて、シンフォ/ポンプロックの王動的というべき
キャッチーなサウンドで爽やかに聴かせる。10分を超える大曲も2曲あり、スリリングな展開はあまりないが、
やわらかなシンセをメインにしたシンフォニックロックが楽しめる。トレイシーファンもどうぞ。
シンフォニック度・・7 プログレ度・・7 女性Vo度・・8 総合・・7.5
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RA「WAKE」
イギリスのシンフォニックロックバンド、ラーの2007年作
シンセを含む4人組で、メロディックなギターとシンセを中心とした
インストによるシンフォニックロックをやっている。曲は2〜5分台が中心で
比較的コンパクトに分かれていて、フュージョン風味も含んだ軽快な雰囲気。
スリリングさは薄いが、CAMELばりの叙情ギターで聴かせるメロウな質感はなかなかで、
ゲストによるフルート、ヴァイオリンなども美しい。ストーリー的なコンセプト作らしい。
シンフォニック度・・7 メロディアス度・・8 ドラマティック度・・7 総合・・7.5
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Raphael Rudd 「The Awakening」
イギリスのシンセ奏者、ラファエル・ラッドの1991年作
RENASSANCEに在籍していたキーボード奏者のソロで、1984年作「Reflections」の曲順を変えて再編集された作品
ピート・タウンゼント、フィル・コリンズ、アニー・ハズラムという名だたるメンバーが参加、優美なシンセとクラシカルなピアノに
自身のやわらかなヴォーカルを乗せた繊細なシンフォニックロックを聴かせる。アニー・ハズラムがヴォーカルをとるナンバーは
まるでルネッサンスのような優雅なクラシカルロックで、フィル・コリンズの巧みなドラムも光っている。
自身が演奏する美しいハープによる小曲なども味わいがあり、ジャケのイメージとは異なる、しっとりとした美しさの好作品だ。
クラシカル度・8 プログレ度・7 優美度・9 総合・8
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Ray Wilson 「Change」
イギリス人ヴォーカリスト、レイ・ウィルソンの2003年作
GENESISの「CALLING ALL STATION」に参加したことでも知られるシンガーで、
本作はシンセによる美しいアレンジと随所に泣きのギターを含んだ、プログレハード風味の好作。
枯れた味わいのマイルドなヴォーカルとともに、アコースティカルな繊細さも含んだ
じつに耳心地のいいサウンドが楽しめる。3分前後のコンパクトな楽曲が中心ながら、
優雅な叙情メロディを配した楽曲はとても質が高い。メロディ派には聴いて欲しい作品です。
メロディアス度・・8 プログレ度・・7 繊細叙情度・・8 総合・・7.5




The Reasoning「The Awakening」
イギリスのメロディックロックバンド、リーゾニングの2007年作
KARNATAKAレイチェル嬢が参加するバンドで、サウンドはほどよくハードなギターにきらびやかなシンセを重ね、
男女ヴォーカルで聴かせる、KARNATAKAをハード寄りにした雰囲気。シンフォニックというにはわりとストレートな作風で、
個人的にはもう少しレイチェルの歌を前に出してもよかったが、デビュー作としては手堅くまとまっていると言うこともできる。
男性声のパートが多いのだが、男女声の英国シンフォという点では、MOSTLY AUTUMNにも通じるところもある。
メロディアス度・・7 叙情度・・8 女性Vo度・・7 総合・・7.5
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The Reasoning「Dark Angel」
イギリスのシンフォニックロックバンド、リーゾニングの2nd。2008年作
KARNATAKAレイチェル嬢擁するこのバンド、前作の時点ではまだ楽曲面での詰めの甘さが感じられたが、
本作では叙情性を伸ばしバンドとしての明確な方向性が現れてきていて、確かな成長が感じられる。
メロウなギターワークにしっとりとしたシンセが合わさったサウンドはほのかな薄暗さをともなって、
シンフォニックな要素が引き立ってきた。レイチェル嬢の歌声にはKARNATAKA時代よりもぐっと大人の落ち着きが感じられ
男性ヴォーカルとの掛け合いでは、ゴシックメタル的な雰囲気もかもし出している。
シンフォニック度・・8 翳りある叙情度・・8 女性Vo度・・7 総合・・7.5
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The Reasoning「Adverse Camber」
イギリスのメロディックロックバンド、リーゾニングの3rd。2010年作
KARNATAKAレイチェル嬢を擁するこのバンド、前作もなかなかの好作であったが、
今作もいくぶんのモダンさとメタリックな質感とともに、ゴシックロック的な翳りある叙情を聴かせる。
レイチェル嬢の浮遊感のある歌声も含めて、All About Eveの現代版という作風だろうか。
前作に比べて音のインパクトはあまりないが、じっくりと聴き入れる好作品である。
シンフォニック度・・7 翳りある叙情度・・8 女性Vo度・・7 総合・・7.5
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The ReasoningAcoustically Speaking
イギリスのメロディックロック、リーゾニングのアコースティックアルバム。2010年作
アコースティックギターやマンドリンのつまびきに女性ヴォーカルの歌声で聴かせる
しっとりとした作品。曲調のせいかレイチェル嬢の歌声はかつてのKARNATAKAを思わせ、
これまでのアルバム以上に歌の魅力が前に出ている。スリリングさはないがゆったりと楽しめる。
メロディック度・・7 アコースティカル度・・8 女性Vo度・・8 総合・・7.5
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THE REASONINGLive in the USA :Bottle of Gettysburg
イギリスのメロディックロックバンド、リーゾニングのライブアルバム。2011年作
KARNATAKAのレイチェルを擁するバンドの2011年のアメリカでのライブを収録。
シンセを含んだシンフォニックなメロウさに、ハードロック的な質感もある楽曲と、
女性ヴォーカルの歌声で聴かせるサウンドは、アルバムでの印象同様、
決して悪くはないのだが、メロディや盛り上がりに物足りなさを覚える。
音質の迫力のなさとともにローカルな雰囲気が出てしまっているのが残念。
メロディアス度・・7 ライブ演奏・・7 女性Vo度・・7 総合・・7.5
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The Reasoning「Adventures in Neverland」
イギリスの女性Voシンフォニックロック、リーゾニングの2012年作
KARNATAKAのレイチェル嬢を擁するこのバンド、ライブやアコースティック作を挟み、スタジオ作としては4作目。
美しい女性ヴォーカルで聴かせる、ほの暗い翳りを含んだメロディックロックという路線はそのままに、
今作ではシンフォニック寄りのアレンジで、かつてのカルナタカにも接近したような印象である。
きらきらとしたシンセアレンジとメロウなギターワークが、しっとりとした彼女の歌声を引き立てていて、
これまで以上に深みのある世界観を感じさせるサウンドとなった。女性声ハードシンフォニックの好作といえる出来です。
メロディック度・・7 プログレ度・・7 女性Vo度・・8 総合・・8
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RED BAZAR 「CONNECTIONS」
イギリスのプログレバンド、レッド・バザーの2020年作
2008年のデビュー作をリレコーディングした作品で、軽やかなリズムにほどよくハードで巧みなギターを乗せ、
エレピやオルガンを含むシンセも加えて、インストによるハード・フュージョン的なサウンドを聴かせる。
メロディックな旋律を奏でるギターに、Tiger Moth Talesでも活躍するピーター・ジョーンズによる優美なシンセを重ねた、
優雅な耳心地で楽しめつつ、曲によってはいくぶんダークな部分も覗かせたりと、オールインストながらも楽曲ごとの表現力と
確かな演奏力も見事。ラストは14分という大曲で、ゆったりとしたリズムで叙情的なギタープレイをたっぷりと聴かせる。
ドラマティック度・7 プログレ度・7 優雅度・8 総合・8
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RED JASPER 「Sting In The Tale」
イギリスのプログレバンド、レッド・ジャスパーの1990年作
ジェントルなヴォーカルに、ハード寄りのギターとオルガンを含むシンセを乗せ、
随所に美しいヴァイオリンが鳴り響く、プログレ風味のハードロック的なサウンド。
70年代英国ハードロック風味を土台に、サックス、フルートもなども加わって、
Jethro Tull風のフォーク風味や、ブギウギ調のナンバーもあったり、とりとめのなさがいかにもB級バンドらしい雰囲気だ。
プログレとして聴くには、いくぶん中途半端な方向性で、日本ではあまり知名度がなかったのもうなずける。
メロディック度・・7 プログレ度・・7 英国度・・8 総合・・7
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RED JASPER 「The Great And Secret Show」
イギリスのシンフォニックロック、レッド・ジェスパーの2015年作
結成は80年代で、1997年にいったん解散したバンドの、じつに18年ぶりとなる復活作で、
ムーグシンセやメロトロンが鳴り響くきらびやかなシンセに、マイルドなヴォーカルを乗せて
英国らしいウェットな叙情を描く、かつてのSHADOWLANDあたりにも通じるシンフォニックロックサウンド。
フォークバンドをルーツにしているだけあって、アコースティックギターやホイッスルなどを含む牧歌的な味わいもあり、
メロウな泣きのギターフレーズや伸びやかなヴォーカルの歌声とともにキャッチーな爽快さを生み出している。
90年代の香りを残した英国的なシンフォニックロックの大穴的な力作です。PENDRAGONなどのファンもぜひ。
シンフォニック度・・8 プログレ度・・7 英国度・・8 総合・・8
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RED JASPER「777」
イギリスのシンフォニックロック、レッド・ジェスパーの2016年作
結成は80年代で、1997年にいったん解散するも2015年に復活、本作は復活後2作目となる。、
うっすらとしたシンセにマイルドなヴォーカルを乗せた、ポンプロック風味のキャッチーなサウンドで、
初期のPALLASPENDRAGONのような、英国らしい優雅な叙情性に包まれた聴き心地。
80年代に回帰したようなやわらかな感触と、コンセプト的でもある全体の雰囲気は良いのだが、
1曲ごとの魅力という点では前作には及ばないか。どこかなつかしさも感じる英国シンフォ作品です。
メロディック度・・7 プログレ度・・7 英国度・・8 総合・・7.5
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REGAL WORM 「Use and Ornament」
イギリスのプログレバンド、リーガル・ウォームの2013年作
ヴォーカル、ギター、ベース、シンセ、ドラムを一人でこなすマルチミュージシャン、Jarrod Goslingを中心にしたバンドで、
メロトロンやオルガンが鳴り響くヴィンテージな感触と、GENTLE GIANTに通じるとぼけた味わいで構築されるサウンド。
サックスが鳴り響くブラス入りプログレに、フリーキーでエキセントリックなセンスが融合したという聴き心地で、
やわらかなヴォーカルなど、音自体はキャッチーといってもよいのだが、コロコロとした先の読めない展開が面白い。
13分、26分という大曲を、緩急自在に「これぞプログレ!」というエキセントリックなセンスで描きつつ、
女性によるスキャットや語りなどが現れるミステリアスな雰囲気も素晴らしい。
ドラマティック度・・8 プログレ度・・9 軽妙で偏屈度・・9 総合・・8.5
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Regal Worm 「Neither Use Nor Ornament」
イギリスのプログレバンド、リーガル・ワームの2014年作
マルチミュージシャン、Jarrod Goslingによるユニットで、前作は「現代版GENTLE GIANT」というような見事な傑作だったが、
続く本作は、のっけから18分の大曲で、とぼけた味わいの軽妙なサウンドに、マイルドな歌声を乗せた繊細な叙情も覗かせる。
メロトロンも含む美しいシンセアレンジに、難解にならない程度の変拍子リズムで、フルートによるゆったりとしたパートなど、
先の読めない展開力には知的なセンスを感じさせる。曲によっては、MAGMAのようなコーラスを乗せた妖しさも含んでいて、
それでいてコロコロとしたどこかコミカルな味わいもあったりと、一筋縄ではいかない。不思議なセンスのアヴァンなプログレ作品。
ドラマティック度・・7 プログレ度・・8 軽妙度・・8 総合・・8
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Regal Worm 「Pig Views」
イギリスのプログレバンド、リーガル・ワームの2018年作
マルチミュージシャン、Jarrod Goslingによるユニットで、過去2作もアヴァンプログレの傑作であったが、
3作目となる本作は、メロトロンを含むヴィンテージなシンセを乗せ、エキセントリックな展開力とともに
優雅でとぼけた味わいのサウンドが広がってゆく。女性ヴォーカルを加えての、アコースティックなフォーク風味や
サックスが鳴り響くコミカルな部分もあったりと、なんでもありの軽妙なアヴァン・プログレが楽しい。
15分におよぶ大曲も、オールドなプログレ風味を含みつつ、ほどよくアヴァンギャルドな唐突感と、
軽やかな優雅さと先の読めない偏屈なセンスが光っている。1作目を超えるものではないが、さすがの傑作です。
ドラマティック度・・7 プログレ度・・8 優雅で偏屈度・・9 総合・・8 
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REGAL WORM 「THE HIDEOUS GOBLINK」
イギリスのプログレバンド、リーガル・ワームの2021年作
Henry Foolなどにも参加するシンセ奏者、Jarrod Goslingによるプロジェクトで、2013年にデビュー、4作目となる本作は、
とぼけた味わいのアヴァンプログレにアッパーな浮遊感を加えた、初期GONG風味のサイケプログレを聴かせる。
メロトロンやオルガンなどのヴィンテージなシンセも使いつつ、ノリのよいリズムも含めた軽妙なサウンドは、
前作までのスタイルをより奔放にしたような聴き心地であるが、ラストの19分の大曲では、アヴァンギャルドな優雅さと
サイケロックのユルさが混在した、独自のセンスを遺憾なく発揮。屈折サイケプログレというべき好作品である。
ドラマティック度・7 プログレ度・7 サイケ度・8 総合・8 
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REGAL WORM 「WORM!」
イギリスのプログレバンド、リーガル・ワームの2022年作
前作の路線がよほどしっくりきたのか、1年ほどで5作目が完成。前作の延長のアッパーなサイケロックで、
ノリのよいリズムにオルガンなどのシンセを重ね、ユルめのヴォーカルとともにスペイシーなサウンドを展開。
カラフルなイメージは、Ozric Tentaclesにも通じるが、こちらはもう少しヴィンテージな妖しさがあって、
メロトロンなども効果的に使われている。ときにエスニックな旋律やサックスなどのブラスを取り入れたりと、
前作以上に奔放なアレンジで、独自のサイケ路線を深化させている。英国サイケロックの新たな潮流となるか。
ドラマティック度・7 プログレ度・7 サイケ度・9 総合・8
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REGENESIS「LIVE」
ジェネシスのコピーバンド、その名もリジェネシスのライブアルバム。1997作
堂々とコピーバンドのアルバムが売られるというのも驚きだが、それもGENESISというバンドの偉大さを表しているのかもしれない。
初期のGENESIS(つまりピーター・ガブリエル在籍時)から影響を受けたフォロワーは数知れず…
…というかシンフォニック系と言われるバンドの大半はなんらかの形で影響されているはず。
そして、このバンドはそんな初期GENESISの楽曲をほぼ完全コピーして演奏しているのだからまた凄い。
“Wacher of the Skies”、“Firth of Fifth”、“Supper's Ready”等の名曲が次々に再現されてゆくのは
初期のファンにとってはたまらないだろう。このバンドのおじさんたち(みな30代以上)にしろ
かつてのロマンの幻影を追いかけながら自分たちの手で再構築している喜びに浸っているのだろう(笑)
演奏力としてはもちろん本家には及ぶべくもないが、Voも含めてなかなか頑張っている。
ジェネシス度・・10(当たり前だ) ライブ演奏・・7 音質・・7 総合・・7(ファン以外には価値がないので)
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RICHARD HENSHALL 「THE COCOON」
イギリスのミュージシャン、リチャード・ヘンシェルの2019年作
HAKENのギタリストでシンセ奏者、過去にはプログレメタルのTo-Meraにも参加していたマルチプレイヤー。
本作にはそのHAKENのベース、NOVA COLLECTIVEのドラムが参加、変則リズムによるテクニカル性と
マイルドなヴォーカルやシンセによる叙情が同居した、Djent要素もあるモダンなハードプログレを聴かせる。
硬質なギターリフにシュレッド的な流麗なプレイを織り込みつつ、鳴り響くサックスやきらびやかなシンセなどを、
巧みにまぶしたカラフルで軽妙な味わいは、まさに新時代のテクニカルなモダンプログレという聴き心地である。
DREAM THEATERのジョダン・ルーデス、ICEFISHのマルコ・スフォーリ、BENT KNEEのメンバーなどがゲスト参加。
ドラマティック度・・7 テクニカル度・・8 スタイリッシュ度・・9 総合・・8
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RICHARD WILEMAN 「VEIL」
イギリスのミュージシャン、リチャード・ワイルマンの2018年作
チェンバーロックプロジェクト、KARDA ESTRAでもおなじみのアーティストだが、今作はソロ名義となっていて、
女性Vo&クラリネット奏者を迎えての作品。アコースティックギターのつまびきにジェントルな歌声を乗せた
素朴な出だしから、2曲目では女性ヴォーカルを加えてのキャッチーなフォーク風味になりつつ、
うっすらとしたシンセにクラリネットが重なる、チェンバーロック的でもあるミステリアスな優雅さも残している。
2〜3分前後の小曲を連ねた作風であるが、チェンバー風のアシッドフォークとして楽しめる好作品だ。
クラシカル度・・7 プログレ度・・7 優雅度・・8 総合・・7.5
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RIVERSEA 「Out of an Ancient World」
イギリスのシンフォニックロック、リヴァーシーの2012年作
復活したMANDALABAND、NINE STONE CLOSEのメンバーを中心にしたバンドで、
美しいシンセアレンジにマイルドなヴォーカルで、しっとりとした叙情を聴かせるサウンド。
ドイツのSylvanあたりにも通じる、メロウな翳りを含んだやわらかな耳心地で
美しいピアノや繊細なギターとともに、あくまで優しく、そしてじわじわと盛り上がってゆく。
とにかくこの泣きのメロディにぐっとこないリスナーというのはいないだろう。聴いてください。涙
メロウ度・・9 プログレ度・・7 繊細な叙情度・・9 総合・・8.5
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Riversea 「The Tide」
イギリスのシンフォニックロック、リヴァーシーの2018年作
2012年にデビュー、本作は2作目となる。前作は泣きの叙情美にあふれた素晴らしい傑作であったが、
今作も美しいシンセアレンジにマイルドなヴォーカルを乗せ、しっとりとしたシンフォニックロックが広がってゆく。
MOSTLY AUTUMNのオリヴィア嬢が参加した曲では、優美な歌声とともに繊細な幻想性に包まれる。
MARILLIONのような翳りを帯びた叙情性と、ポストプログレ的なスタイリッシュな感触もありつつ、
甘美な泣きのギターフレーズや、アコースティックギターにメロトロンが重なるところなどにはうっとりとなる。
リー・アブラハム(元GALAHAD)、トニー・パターソン、ポール・カシック、サイモン・ゴドフレイ(Tinyfish)などがゲスト参加。
ドラマティック度・・8 プログレ度・・7 叙情度・・9 総合・・8
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ROB COTTINGHAM 「Captain Blue」
イギリスのミュージシャン、ロブ・コッティンガムの2013年作
TOUCHSTONEのシンセ奏者のソロで、そのタッチストーンのギターに、元Mostly Autumnのヘザー・フィンドレイ、
Steve Hackett BANDのゲイリー・オートゥールがドラムで参加。さらには、スティーヴ・ハケットもゲスト参加している。
コンセプト的な雰囲気の語りから始まり、美麗なシンセアレンジにメロウなギター、マイルドな男性ヴォーカルに、
ヘザーによる美しい女性ヴォーカルも加わって、LANDMARQあたりに通じるキャッチーなプログレハードが楽しめる。
3〜5分のコンパクトなナンバーが主体ながら、ストーリー的に楽曲を連ねた構成で、歌もの要素が強めではあるが、
モダンなシンフォニックロックとしても鑑賞可能。全体的にわりとあっさりとした印象ながら、アルバム後半には泣きの叙情が待ち構えていて、
ハケット先生のソロパートはさすが。ポストプログレ的でもある繊細な叙情性も含めて、Marillion + It Bitesという感じでもイケるかも。
ドラマティック度・・8 プログレ度・・7 繊細な叙情度・・8 総合・・8
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ROBERT REED 「SANCTUARY」
イギリスのミュージシャン、ロバート・リードの2014年作
MAGENTAのシンセ奏者でもあるミュージシャンで、本作はMike Oldfieldへのオマージュを込めて作り上げた作品。
ピアノ、ギター、ベース、マンドリン、シンセ、リコーダー、マリンバ、さらにはチューブラーベルズまで、一人で演奏し、
2パートに分かれた全38分の大曲を描いてゆく。アコースティックギターのつまびきにリコーダーの音色が重なり、
叙情的なエレキギターのフレーズとともに、ケルティックな味わいも含んだ繊細にして優美なサウンドは、
まさにマイク・オールドフィールドそのもの。オリジナルティ云々を超越した、敬愛を感じさせるオマージュといえるだろう。
ドラマティック度・・8 優美度・・9 オールドフィール度・・9 総合・・8
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Robert Reed 「Sanctuary II」
イギリスのミュージシャン、ロバート・リードの2016年作
MAGENTAのシンセ奏者としても知られる彼が、Mike Oldfieldへのオマージュを込めて作り上げた作品の続編。
ドラムにはサイモン・フィリップスが参加、自身がギター、ベース、シンセ、マンドリン、リコーダー、ブズーキ、ビブラフォンなどなど、
ほぼすべての楽器を演奏し、20分前後の大曲2曲のみという構成も、いかにもマイク・オールドフィールド的である。
美しいシンセにケルティックで涼やかなギターフレーズが重なり、民族的なコーラスなどを含んだ作風は、「Hergest Ridge」や
「Ommadawn」、「Incantations」あたりに通じる優雅な聴き心地。トム・ニューマンがプロデュースというのも含めて、
マイク・オールドフールド的過ぎる…という気もするのだが、一方では随所にMAGENTAを思わせる軽妙な感じが、
本家の翳りある叙情とは少し異なるところかもしれない。ともかく、やり過ぎなまでにオールドフィールド愛を貫いた力作である。
ドラマティック度・・8 プログレ度・・7 オールドフィール度・・9 総合・・8
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ROBERT REED 「SANCTUARY LIVE」
イギリスのミュージシャン、ロバート・リードのライブ作。2017年作
Mike Oldfieldへのオマージュ作品「SANCTUARY」のI & II をライブで再現したCD+DVD。
自身のギター&シンセに、二人のギター、ベース、ドラム、シンセ、ピアノ、マリンバ&ヴィブラフォン、
女性Voにコーラス隊も加えた大編成で、それぞれ20分前後の優美な大曲を構築してゆく。
「I」のパート2は簡略バージョンだが、それ以外は完全なライブ再現で、メロウなギターフレーズに
アコースティックを取り混ぜた、ケルトロック的でもある優雅な楽曲をじっくりと聴かせてくれる。
ライブならではの躍動感というものはさほどないが、丁寧に楽曲を再現した好ライブ作品だ。
DVDの方では、MAGENTAのクリスティーナ・ブースらも含む大所帯でのステージ映像を楽しめる。
ライブ演奏・・8 優美度・・9 オールドフィール度・・9 総合・・8
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ROBERT REED 「SANCTUARY III」
イギリスのミュージシャン、ロバート・リードの2018年作
MAGENTAのシンセ奏者でもある彼が、Mike Oldfieldへのオマージュを込めて作り上げた作品の3作目。
今回も21分、20分という大曲2曲の構成で、メロウなギターに美しいシンセアレンジと女性ヴォーカルの歌声に
ピアノ、マンドリン、ビブラフォン、リコーダー、そしてチューブラーベルズなど、多くのアコースティック楽器を取り入れ、
繊細にして優雅なサウンドを構築してゆく。ドラムにサイモン・フィリップスが参加、随所にロック的な躍動感も覗かせつつ、
シンフォニックロックとしての起伏のある展開とともに、マイク・オールドフィールド的な壮麗で牧歌的な世界観を描き出す。
トム・ニューマンやトロイ・ドノクリーなどもゲスト参加。3部作まとめて鑑賞したいと思わせる優美な傑作である。
Disc2は、未発表曲や、トム・ニューマンによる本編の別ミックスを収録した全79分。DVDには5.1サラウンドミックスを収録。
シンフォニック度・・8 優美度・・9 オールドフィール度・・9 総合・・8.5
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ROBERT REED 「CURSUS 123 430」
イギリスのミュージシャン、ロバート・リードの2020年作
MAGENTAのシンセ奏者でもある彼の、本作はシンセをメインにしたエレクトロニクス作品。
ストリングスシンセやコルグのアープ、ローランドSH-2000などを使った、スペイシーなシンセの重ねを
打ち込みによるリズムに乗せた、Tangerine Dreamなどにも通じる優美なサウンドを描いてゆく。
ヴィンテージ感としては、80〜90年代あたりの古臭すぎないシンセミュージックという趣で、
耳心地の良いBGMのようにも楽しめるのだが、プログレ感触はさほどないので、電子音楽好き向け。
DVDには5.1chミックスを収録していて、音響環境のある方なら、より広がりのあるサウンドが味わえる。
ドラマティック度・6 プログレ度・7 シンセ度・9 総合・7.5
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Robin A Smith 「Tubular Bells: Reimagined - 50th Anniversary Recording」
イギリスのミュージシャン、ロビン・A・スミスの2022年作
本作は、MIKE OLDFIELDの「Tubular Bells」50周年記念として大胆にカヴァーした作品で、
美麗なシンセとオーケストラアレンジに、叙情的なギターの旋律を重ね、美しい女性スキャットも加わって
壮大にして優美なシンフォニー・ロックを描いてゆく。原曲にあった英国らしい牧歌性と繊細な美意識を残しつつ、
よりダイナミックにアレンジを加えたサウンドは、まさに現代版チューブラー・ベルズといったところ。
楽器紹介のパートはさすがにオリジナルのアナログ感に及ばないが、聴き比べて楽しむのも一興だ。
ドラマティック度・8 オールドフィール度・8 優美度・9 総合・8 
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Rocking Horse Music Club 「Circus Of Wire Dolls」
イギリスのシンフォニックロック、ロッキング・ホース・ミュージック・クラブの2022年作
Vo&Gのジャスティン・コーンとシンセ奏者のブライアン・コンバースを中心に、ジョン・ハケット、デヴィッド・クロス、ロブ・タウンゼンドなど
多数のゲストが参加。模型のサーカスにおける想像上のパフォーマーを通して人生を重ね見るという、CD2枚組のコンセプト作品。
メロウなギターの旋律にシンセを重ね、マイルドなヴォーカルとともに、PENDRAGONなど、90年代英国ネオプログレルーツの
優美なシンフォプログレを展開。キャッチーな爽快さは、かつてのポンプロックを思わせつつ、楽曲によっては女性ヴォーカルも加わったり、
オルガンを含むシンセにサックスが鳴り響く、ゆったりとした大人の叙情美も耳心地よい。ポストプログレ風の繊細な歌もの感触や、
ときにQUEENにも通じるポップな雰囲気も覗かせつつ、総じて優雅なサウンドで、派手なインパクトはないがじっくり楽しめる好作だ。
ドラマティック度・7 プログレ度・7 優雅度・8 総合・7.5
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The Room 「Open Fire」
イギリスのプログレ・ロックバンド、ルームの2012年作
70年代的なロック感覚を基本に、適度にプログレ的なシンセアレンジを含んだサウンド。
聴き方によってはKAYAKあたりに通じるライトでキャッチーな感触で、
牧歌的な叙情には英国フォークルーツの雰囲気もあるような気がする。
全体的にはやや地味な印象であるが、随所に聴かせる泣きのギターメロディなどは
叙情派好きのリスナーにアピールする部分があるだろう。9分を超える大曲などはなかなか。
メロディック度・・8 プログレ度・・7 英国度・・8 総合・・7.5
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The Room 「Beyond The Gates Of Bedlam」
イギリスのプログレ・ロックバンド、ルームの2015年作
先に聴いた2012年作は、70年代スタイルのキャッチーなメロディックロックという趣だったが、
古き良きロック感触のギターと表現力あるヴォーカルを乗せたオールドな感触はそのままに、
本作では美麗なシンセアレンジを加えた、適度なシンフォニックロック色が強まっている。
結果的に、いくぶんブルージーになった「英国版KAYAK」という聴き心地もありつつ、
ツインギターによるウェットな叙情性は、まぎれもなくブリティッシュロックの系譜である。
全体的に、プログレ的な展開力というのはさほどないのだが、6分、7分という長めの楽曲も、
力量のあるヴォーカルのおかげで心地よく聴き通せる。オールドな渋さとシンフォが合わさった好作品。
メロディック度・・8 プログレ度・・7 古き良き度・・8 総合・・7.5
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Rory Ridley-Duff 「Passing Decades」
イギリスのシンフォニックロック、プロトスの中心人物である、ローリー・リドリー・ダフの未発音源集。2006年作
1982年にPROTOSとしての唯一の作品を発表、本作は1992〜93年に録音されたマテリアルで、
シンセによる多重録音を中心した優美なサウンドを聴かせる。リズムは打ち込みなのでロック色はあまりなく、
Enidの1994年作「Tripping the Light Fantastic」あたりに通じる、デジタル風味のある優雅なシンフォニックロックである。
メロディ自体はもっとキャッチーで優しい感触なので、良質のシンセミュージックとしての楽しめる。しかし、この安っぽいジャケや、
CD盤面に印刷されたエロティックな写真はいかんともしがたい。なお、PROTOSとしての復活作を2007年に発表している。
ドラマティック度・・7 プログレ度・・7 優美度・・8 総合・・7.5
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Sanguine HumDiving Bell
イギリスのプログレバンドのサンガイン・ハムの2012年作
シンセ奏者を含む4人編成で、キャッチーなヴォーカルメロディと適度にテクニカルな演奏で聴かせる、軽やかなプログレサウンド。
いわばIT BITESにカンタベリー風味を加えたような優雅さで、オルガンやエレピを使用したシンセアレンジのセンスもよろしく、
ほどよいレトロさとモダンな清涼感とのバランスのとれた聴き心地。やわらかでキャッチー、そして軽妙なセンスで構築された傑作です。
メロディアス度・・8 プログレ度・・8 優雅で軽やか度・・9 総合・・8
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Sanguine Hum「The Weight Of The World」
イギリスのプログレバンド、サンガイン・ハムの2013年作
前作は、いわばIT BITESにカンタベリー風味を加えたような傑作だったが、
本作ではやわらかなヴォーカルによる叙情性とともに、ポストプログレ的なモダンさをまとわせながら、
抜群の構築センスが光るサウンドを展開。美しいシンセアレンジに、ハードさと繊細さを備えたギターワーク、
軽やかなリズムの上でなにげにテクニカルなアンサンブルをさらりと優雅なこなす。
ラストは15分近い大曲であるが、普通のシンフォ系バンドのように濃密に盛り上げるのではなく
あくまで優雅で軽やかな聴き心地。力まずに楽しめるモダンプログレの好作品です。
ドラマティック度・・8 プログレ度・・8 ハイセンス度・・9 総合・・8
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Sanguine Hum 「Now We Have a Light」
イギリスのプログレバンド、サンガイン・ハムの2015年作
英国から現れた新鋭バンドの3作目は、ストーリーに基づいたCD2枚組の大作となった。
モダン香り漂うマイルドな繊細さと、適度にテクニカルで軽妙なアンサンブルが合わさった
センス抜群のサウンドは本作でも健在。一方ではオルガンが鳴る伝統的なプログレ感触もあり、
コロコロとしたビブラフォンの音色にエレピがかぶさると、カンタベリー系バンドのような優雅さとともに、
やわらかなヴォーカルの歌声を乗せたキャッチーな叙情を描いてゆく。Disc2では9分、10分という大曲もあり、
知的な構築センスを含ませた、オールドとモダンの架け橋というようなセンスのよいサウンドが楽しめる。
メロディック度・・8 モダンプログレ度・・8 優雅度・・8 総合・・8
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Sanguine Hum 「What We Ask Is Where We Begin」
イギリスのプログレバンド、サンガイン・ハムの2016年作
センスのよいモダンプログレサウンドで評価を受けるバンドの未発音源集。2枚組。
Disc1には2006年にデジタル販売でのみで発表されたデビュー前の作品を収録。
マイルドなヴォーカルを乗せたやわらかな歌もの風味に、カンタベリー的でもある
軽妙な優雅さを加えたサウンドは、本作の時点で、そのセンスの萌芽を覗かせている。
Disc2には、シングル収録のリミックス音源や未発曲、セッション音源などを収録。
未発曲とはいえ、どれもしっかりと作り込まれたアレンジで、アルバムと遜色ない、
適度なプログレ感触をモダンに包み込んだ耳触りの良いサウンドが楽しめる。
メロディック度・・8 プログレ度・・7 モダンセンス度・・8 総合・・8
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SANGUINE HUM 「NOW WE HAVE POWER」
イギリスのプログレバンド、サンガイン・ハムの2018年作
2010年にデビュー、本作は4作目となる。マイルドなヴォーカルとピアノによる叙情的なイントロから、
やわらかなシンセとギターを加え、優雅なアンサンブルとともにスタイリッシュなサウンドを描いてゆく。
どことなくカンタベリーをルーツにしたような優しく繊細なサウンドで、シンフォプログレ的な優美なシンセと
メロウなギターワークも心地よく、ゆったりとした感触の中に軽妙なテクニカル性を覗かせるのも心憎い。
モダンとレトロを巧みに融合させて、あらたな英国プログレの優雅さを作り上げた。見事な傑作である。
ドラマティック度・8 プログレ度・8 優雅度・9 総合・8.5 
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SEAN FILKINS「War and Peace & Other Short Stories」
BIG BIG TRAINのヴォーカリスト、シーン・フィルキンスのソロ。2011年作
ムーグの音色を含むいかにもプログレらしいシンセワークと、適度にハードなギターを重ね、
そこに表現豊かなヴォーカルを乗せたシンフォニックサウンド。英国的な牧歌性も感じさせつつ、
やはり基本はGENESISルーツのロマンあふれる優雅さと繊細な感性による叙情美か素晴らしい。
Part1、2に分かれた計30分に渡る“Prisoner of Conscience”は美麗なシンセと泣きのギターで盛り上がる
まさにシンフォニックの王道的な大曲だ。質の高いアレンジ力も含めて見事な傑作である。
ジョン・ミッチェル(IT BITES)、ゲイリー・チャンドラー(JADIS)らがゲスト参加。
ドラマティック度・・8 シンフォニック度・・8 英国度・・8 総合・・8.5
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Secret Green 「To Wake the King」
イギリスのシンフォニックロックバンド、シークレット・グリーンの2009年作
かつてのTHE ENIDのメンバーであった、Francis Lickerishを中心としたバンドで、
サウンドのほうはまさしく70年代のエニドを現代に甦らせたような壮麗なシンフォニックロック。
美麗なオーケストレーションにメロウなギターが鳴り響き、女性ヴォーカルの歌声とともに、
トラッド的な中世風味とファンタジックな世界観を広がりのあるスケール感で聴かせる。
クラシカルで優雅な旋律にロックオペラ的なダイナミズムも加わり、英国的な伝統色も含めて
アーサー王伝説をテーマにした壮大華麗なシンフォニックロックを繰り広げる。これは素晴らしい傑作。
シンフォニック度・・9 美麗度・・10 エニ度・・9 総合・・9
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SHADOWLAND 「Through the Looking Glass」
イギリスのシンフォニックロック、シャドウランドの1994年作
PENDRAGONなどで活躍するクライブ・ノーランによるユニットで、本作が2作目となる。
アコースティックギターにマイルドなヴォーカルを乗せた牧歌的なイントロから始まり、
美麗なシンセアレンジを乗せて、MARILLIONにも通じる翳りを含んだウェットな叙情が広がってゆく。
クライブ自身のヴォーカルはやや一本調子ながら、セピア調のジャケのイメージのような世界観にはマッチしていて、
歌もの的なキャッチーでモダンなアプローチという点では、新世代のシンフォニックロックを先取りしていたともいえる。
メロウなギターワークも耳心地良く、派手な展開というものはないが、ゆったりと味わえる好作品である。
メロウ度・・8 プログレ度・・7 叙情度・・8 総合・・8
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Simon CollinsU-Catastrophe //」
GENESISのフィル・コリンズの息子であるサイモン・コリンズの2008年作
プログレというよりはポップ性のあるモダンなロックであるが、
やはりときおりGENESIS風味も覗かせつつ、親譲りのメロディセンスと味のある歌声で、
薄暗さのある叙情を聴かせる、いわばポストロック的感覚を備えたサウンドだ。
モダンな聴きやすさの中に現れる哀愁のメロディはなかなか耳心地がよく、
ポストプログレ系のリスナーなどにも楽しめる作品だと思う。
メロディアス度・・8 プログレ度・・7 薄暗叙情度・・8 総合・・8
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Simon McKechnie 「Retro」
イギリスのミュージシャン、サイモン・マッケチーニの2021年作
クラシックやジャズ、ラテンミュージックにも造詣のあるミュージシャンで、本作は全パートを一人で演奏。
のっけから20分を超える組曲で、やわらかなシンセの重ねに叙情的なギター、マイルドなヴォーカルで
キャッチーなシンフォニックロックを展開。アコースティックな繊細さを含むしっとりと雄大な叙情美と
ほどよくテクニカルな展開力が合わさり、GENTLE GIANTのような陽性の偏屈さも覗かせつつ、
しっかりとメロディックな抜けもあるところは、ECHOLYNなどのファンにも楽しめるだろう。
ポップ寄りのナンバーも挟みつつ、後半の12分の大曲では、クラシカルなシンセとメロウなギターで、
THE ENIDのような優雅なシンフォプログレを構築。オッサンのジャケに騙されず聴いて欲しい傑作。
メロディック度・8 プログレ度・8 キャッチーで優雅度・9 総合・8
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THE SIRKIS/BIALAS IQ 「OUR NEW EARTH」
イギリスのジャズバンド、シルキス・ビアラス・インターナショナル・クインテッドの2019年作
イギリス人メンバーを主体に、ポーランド人女性シンガーを擁する編成で、CD2枚組の大作。
軽やかなドラムとベースに、優美なピアノやシンセを重ね、しっとりとした女性ヴォーカルの歌声で聴かせる
優雅なジャズロックサウンド。シンセをバックにゆったりとした女性声を乗せたアンビエントな味わいから、
正統派のジャズナンバーまで、美しい女性スキャットとともに耳心地よく楽しめる。サックスなどは入らず、
あくまでドラムとベース、ピアノがメインの演奏なので、ロック色は薄めでスリリングな部分もさほどないが、
7〜10分という長めの楽曲も含む、やわらかなエレビと女性声による、繊細で優雅な味わいの好作品です。
ジャズ度・9 ロック度・4 優雅度・9 総合・7.5
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Solstice「Silent Dance」
イギリスのプログレバンド、ソルスティスの1st。1984年作
まさにポンプロック全盛の80年代に現れたこのバンド、93年に2nd「New Life」、97年に3rd「Circles」を発表し、
その後沈黙するが、2010年になってから復活を遂げる。デビュー作である本作は、女性ヴォーカルにヴァイオリンも入った、
Curved Airを思わせるスタイルでやわらかな女性声とフォーキーな牧歌性は、Renaissanceにも通じる優雅さがある。
泣きのギターとそこにかぶさるシンセはシンフォニックロックの質感であるが、
ポンプ派生のバンドのような大仰さはなく、どこか醒めたクールさが漂っているのも特徴だ。
再発盤の2枚組Disc2には1982〜83年のカセットのデモ音源やBBCラジオの音源を収録。
デモの段階でも曲はしっかり完成していて、とくにBBCの音源は躍動感溢れる演奏が素晴らしい。
シンフォニック度・・7 牧歌度・・8 女性Vo度・・8 総合・・8
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SOLSTICE「NEW LIFE」New Life
イギリスのシンフォニックロックバンド、ソルスティスの2nd。1993年作
艶やかなヴァイオリンの音色と、透明感のある女性ヴォーカルの歌声を中心に、
しっとりと英国的な優雅な空気を描く。過度な盛り上がりやメロディの聴かせ所はなく、
ポンプロック以降の他のシンフォニックバンドとは一線を画する落ち着きが感じられる。
ときにアコースティカルな質感を聴かせるギターワークもなかなかよろしく、
美しいヴァイオリンの音色とともにゆったりと鑑賞出来る作品だ。
バンドは1997年に3rdを発表した後沈黙、その後2010年に復活する。
シンフォニック度・・8 ゆったり英国度・・8 女性Vo度・・7 総合・・8
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Solstice「New Life-the definitive edition」
イギリスのシンフォニックロックバンド、ソルスティスの2nd。1993/2007年作
1993年作のリマスターに、1984〜1985年のデモや貴重なライブ音源などを収録したボーナスDisc付きの2CD再発盤。
艶やかなヴァイオリンの音色と、女性ヴォーカルの歌声を中心にした牧歌的で優雅なシンフォニックロックサウンド。
彼らの3枚のアルバムは、どれもヴォーカルが代わっているが、本作のハイジ嬢の声質が、幻想的な楽曲と一番似合っていると思う。
いかにも英国的なフォーキーな質感をシンフォニックに表現したサウンドはポンプ以後のシンフォ勢とは一線を画すものだ。
シンフォニック度・・8 優雅度・・8 女性Vo度・・8 総合・・8
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SOLSTICE「Circles」
イギリスのシンフォニックロックバンド、ソルスティスの3rd。1997作
艶やかなヴァイオリンに女性ヴォーカルの歌声で、前作「NEW LIFE」は非シンフォ系好みのリスナーにも受け入れられた傑作だったが、
本作では女性Voが交代している。楽曲における英国フォーク調の牧歌性と、やや垢抜けない女性声が上手くマッチしていて、
ヴァイオリンとギターによるメロディアスな叙情美にも、しっとりとした落ち着きが感じられる。
アルバム後半はポンプ化したAll About Eveのようにもなり、シンフォニックな盛り上がりとともに、じっくりと楽しめる好作といえる。
メロディアス度・・8 牧歌的度・・8 女性Vo度・・7 総合・・8
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SOLSTICE「PATHWAYS」
イギリスのシンフォニックロック、ソルスティスの1998年作
1993年作「NEW LIFE」、1984年作「Silent Dance」全曲と、未発曲やデモなど12曲を加えて2CDに収録。
うっすらとしたシンセに叙情的なギター、女性ヴォーカルの歌声に艶やかなヴァイオリンが鳴り響く、
クラシカルな優雅さと英国フォークルーツの牧歌性が合わさった、じつに優美な聴き心地で、
いわば、RENAISSANCECURVED AIRを足したようなサウンドが楽しめる。
未発音源や初期のデモ、ライブ音源なども聴きごたえがあり、初期の2作をまとめて聴けるというお得盤です。
クラシカル度・・8 プログレ度・・7 優美度・・9 総合・・8 過去作のレビューはこちら
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Solstice 「The Cropredy Set」
イギリスのメロディックプログレ、ソルスティスのライブ音源。2002年作
女性声の英国系シンフォの元祖というべきこのバンド、80〜90年代に3作を残していったん解散するのだが、
本作は1998年のスタジオライブ音源を収録したもの。2nd、「New Life」、3rd「Circles」からの楽曲を中心に、
美麗なシンセにフィドルが鳴り響き、女性ヴォーカルの歌声を乗せた、清涼感あるサウンドを聴かせてくれる。
アルバム以上に躍動感のあるアンサンブルで、英国フォークルーツの優雅な叙情が楽しめる好ライブ作品。
メロディック度・・8 ライブ演奏・・8 優雅な叙情度・・9 総合・・8
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Solstice 「Spirit」
イギリスのプログレバンド、ソルスティスの2010年作
1997年の「Circles」以来、実に13年ぶりとなるアルバムで、メンバーも一部替わっているようだが、
女性ヴォーカル
の歌声にヴァイオリンが鳴り響く優雅なサウンドは、かつてのサウンドを継承している。
ゆったりとした牧歌性の中にも、さりげなく変拍子を盛り込む演奏センスはさすがで
トラッド的なメロディも含ませるなど、聴き心地の良さを保ちながら、プログレとしての緊張感も
随所に感じさせる。優雅な構築美の力作です。2009年のライブ映像を収録したDVD付き。
メロディアス度・・8 プログレ度・・8 女性Vo度・・7 総合・・8
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Solstice 「Kindred Spirits」
イギリスのプログレバンド、ソルスティスのライブアルバム。2011年作
2010年のライブステージを収録したDVDと、2007/2008年のライブ音源の入ったCDの2枚組。
CDの方は過去のアルバムからの曲を、DVDは2010年作「Spirit」からの曲をメインに、
スタジオ盤以上に躍動感のある演奏を聴かせてくれる。ハスキーな女性ヴォーカルの歌声に
メロウなギターとヴァイオリンが絡む優雅なサウンドは、メンバーの技量の高さもあって、
しっかりとしたアンサンブルを構築している。CD、DVDともに音質、映像も良好で、
ヴォーカルにヴァイオリンと、女性二人のいるステージは視覚的にも華やかです。
ライブ演奏・・8 ライブ映像・・8 音質・・8 総合・・8
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Solstice 「Prophecy」
イギリスのプログレバンド、ソルスティスの2013年作
1984年のstから97年代までに3作を出してバンドは消滅、その後2010年に復活、それから3年ぶりとなる通作5作目。
アメコミ調のジャケは前作ライブ作からの流れか。サウンドはしっとりとしたアコースティカルな雰囲気と
やわらかな女性ヴォーカルの歌声で、英国フォークルーツの繊細なシンフォニックロックが広がってゆく。
艶やかなヴァイオリンの音色を響かせながら、押しつけがましくない牧歌的な叙情性がこのバンドの魅力。
後半は10分を超える大曲が続き、全体的に派手さはないものの、味わい深い大人のサウンドに仕上がっている。
ボーナスにスティーヴン・ウィルソンがリミックスした1stの楽曲を3曲収録。初期の優雅な作風があらためて楽しめる。
ドラマティック度・・7 プログレ度・・7 女性Vo度・・8 総合・・8
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Solstice「Sia」
イギリスのプログレバンド、ソルスティスの2020年作
1984年にデビュー、1997年までに3作を残して消えるも、2010年に復活、本作は7年ぶりとなる6作目。
女性シンガーが交替しているが、作風はこれまでの延長上。メロウなギターにヴァイオリンが鳴り響き、
女性ヴォーカルを乗せた優雅なサウンド。オルガンを含むシンセが、ほどよくヴィンテージな味わいをかもしだし、
わりとハードなギターも加えたロック感触も覗かせる。一方ではアコースティックギターや繊細なピアノなど、
牧歌的な叙情性も耳心地良く、英国らしい空気感に包まれるところは、さすがにキャリアのあるバンドである。
ラスト曲は、1st「Silent Dance」収録のリメイクナンバーで、しっとりとした優美な仕上がり。
優雅度・・9 プログレ度・・8 女性Vo度・・8 総合・・8 
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Sound of Contact 「Dimensionaut」
フィル・コリンズの息子であるサイモン・コリンズのバンド、サウンド・オブ・コンタクトの2013年作
きらびやかなシンセアレンジと適度なハードも含んだモダンなプログレ・ロックサウンド。
IT BITESFROST*にも通じる抜けのよい爽快さと、PINK FLOYDのような繊細な叙情が合わさり、
それをメジャー感のあるキャッチーなポップセンスで包み込んだという、完成度の高さが光っている。
父親譲りの鼻にかかったマイルドな歌声に、ドラムのセンスもなかなかのもの。
チェロが鳴り響く優雅なアレンジや、MARILLIONのようにいくぷん翳りを帯びた哀愁も含みながら、
メロディックロックとしての情感とダイナミズムも素晴らしい。ラストの19分の大曲も見事な傑作です。
メロディック度・・8 プログレ度・・7 繊細度・・9 総合・・8
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Space Ritual 「OTHERWORLD」
イギリスのサイケロック、スペース・リチュアルの2007年作
HAWKWINDのニック・ターナーによるNIK TURNER'S SPACE RITUALが改名したバンドで、
メロトロンをはじめスペイシーなシンセをたっぷりと使いつつ、サックスやフルートの音色やストリングス、
12弦ギターなどの叙情性も含んだ聴き心地。もの悲しさをたたえた淡々としたヴォーカルもいい味を出していいて、
厚みのあるサウンドはときにシンフォニックですらあって、単なるサイケにはとどまらないスケールの大きさを感じさせる。
モダンなトリップ感を含ませつつ、スペースサイケの浮遊感と壮大な世界観を重厚に聴かせる見事な傑作です。
ドラマティック度・・8 スペースサイケ度・・9 重厚度・・9 総合・・8.5
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SPHERE 3「Comeuppance」
イギリスのプログレバンド、スフィアー3の2002作
G、B、Dr、Keyという4人組で、曲はオールインスト。プログレというよりはフュージョン的な軽快さで聴かせつつ、
ギターはときおりヘヴィになったり、ジャズ的なシンセ/ピアノも出てきたりして、テクニカルに聴かせるあたりは
PLANET Xなどにも通じる質感がある。キメ倒しというよりは、あくまでメロディとフレーズを重視しているので、
とても聴きやすいのだが、反面ただのBGMになってしまいがちか。プログレぎみのT-スクェアという聴き方もできそうなサウンドだ。
メロディアス度・・8 プログレ度・・7 フュージョン度・・8 総合・・7.5
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SPIRAL REALMS 「Trip to G9」
イギリスのサイケロック、スパイラル・レアルムスの1994/2004年作
HIGH TIDE、HAWKWIND、THIRD EAR BANDなどで活躍したシンセ&ヴァイオリン奏者Simon Houseによるユニットで、
スペイシーなシンセの重ねを中心にした、テクノ風のアンビエントなサイケミュージックというサウンド。
サイケ化したKlaus Schulzeというような、ゆったりとした聴き心地でまどろみながら鑑賞できる一方で、
随所にエレクトリック・ヴァイオリンも響かせつつ、リズムが入ると、やはりHAWKWIND的なノリにもなったりする。
2004年の再発盤はジャケが変更され、別バージョンなどを収録したボーナスDiscの付いた2枚組となっている。
ドラマティック度・・7 プログレ度・・7 スペイシー度・・8 総合・・7
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SQUACKETT「Life Within a Day
クリス・スクワイアとスティーヴ・ハケットのユニット、スクアケットの2012年作
プログレ界の大物というべき二人によるユニットであるが、サウンドの方は、じっくりと聴かせる
メロディックな大人のプログレハード風味で、イエスというよりはジェネシス…ハケット色がやや強いか。
ハケットの奏でるメロウで叙情的な泣きのギターを織り込みながら、キャッチーな歌メロもよい感じで、
随所にロジャー・キングのシンセワークも存在感を放っている。全体的にはゆったりとした雰囲気なのだが、
枯れた味わいの落ち着きを退屈と思わなければ、とても楽しめる好作である。
メロディック度・・8 プログレ度・・7 ハケット度・・8 総合・・8
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Steve Hughes 「Tales from the Silent」
イギリスのミュージシャン、スティーヴ・ヒュージスの2015年作
ドラマーで、ギター、ベース、シンセもこなすマルチプレイヤーで、きらびやかなシンセアレンジによるシンフォニック性と
FROST*などにも通じるスタイリッシュなモダンさが合わさった、クオリティの高いサウンドを聴かせる。
メロディックでテクニカルなギターも随所に光っていて、インストパートにおける爽快なメロディアス性と、
キャッチーなヴォーカルパートのセンスも良い。ときに女性ヴォーカルも加わった優美な叙情性にうっとりしつつ、
全体的には泣きな走りすぎないクールなアレンジセンスか前に出ていて、13分、16分という大曲も軽妙な優雅さで楽しめる。
全80分弱という壮大なモダン・シンフォプログレの力作だ。元Big Big TrainのSean Filkinsなどが参加。
ドラマティック度・・8 プログレ度・・8 スタイリッシュ度・・9 総合・・8
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STEVE HUGHES 「ONCE WE WERE - PART ONE」
イギリスのミュージシャン、スティーヴ・ヒュージスの2016年作
BIG BIG TRAINにも参加したドラマーで、ギター、ベース、シンセもこなすマルチプレイヤーのソロ。
本作は、過去の自分と対峙するというコンセプトストーりーを基にした、2部構成作品の前編。
前作「Tales from the Silent」はモダンシンフォの力作であったが、今作もきらびやかなシンセに
メロディックなギターとマイルドなヴォーカルで、スタイリッシュなシンフォニックロックを聴かせる。
のっけから33分の大曲で、厚みのあるシンセアレンジを中心にしたインストパートも充実、この1曲でお腹いっぱいだが、
その後はわりとシンプルでメロディックなナンバーが続き普通に聴きやすい。全76分。続編へと続く。
ドラマティック度・・8 プログレ度・・7 優雅度・・8 総合・・8
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STEVEN WILSON 「INSURGENTES」
PORCUPINE TREEのスティーヴン・ウィルソンのソロ。2009年作
本作がソロデビュー作で、うっすらとしたシンセに、マイルドなヴォーカルを乗せた、
のちにいうポストプログレ的な物悲しい味わいの叙情ロックサウンドはすでに確立されている。
ギターには適度にメタリックなヘヴイさもあり、オルタナ的でもある硬質感を残している。
一方ではエレクトロなアレンジを加えたモダンさや、クリムゾンばりのスリリングなナンバー、
ゲストによるフルートやクラリネット、ピアノなどの音色によるやわらかな味わいなど、
楽曲ごとの面白さもある。PORCUPINE TREE〜KING CRIMSONのギャビン・ハリソン、
トニー・レヴィン、DREAM THEATERのジョーダン・ルーデス、GONGのテオ・トラヴィスらが参加。
ドラマティック度・・7 プログレ度・・7 叙情度・・8 総合・・8
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Steven WilsonGrace for Drowning
Porcupine Treeスティーブン・ウィルソンのソロ2011年作
PTの他にKING CRIMSONのリミックス、OPETHやORPHAND LANDなどのプロデュースなど
現在もっとも多忙を極めるミュージシャンの一人だろう。本作はVol.1、2に分けられたCD2枚組で、
しっとりとしたピアノやシンセと、繊細なヴォーカルで聴かせる、いわば静謐系の作風であるが、
アコースティカルな素朴さと、KING CRIMSONの静寂部分のような奥深い叙情性が素晴らしい。
もちろんプログレッシブな構築センスと、PT的な薄暗いモダンシンフォの要素も含んで
適度な緊張感とともにその世界観が描かれてゆく。Disc2の23分の大曲も見事な静かなる傑作。
メロウ度・・8 プログレ度・・8 静謐の叙情度・・9 総合・・8
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Steven Wilson 「The Raven That Refused To Sing」
Porcupine Treeのスティーヴン・ウィルソンの2013年作
ソロ3作目となる本作は、ギターにThe Aristocratsのガスリー・ゴーヴァン、ドラムにマルコ・ミネマンが参加、
躍動感あるアンサンブルに、フルートが鳴り、軽やかなシンセワークが彩る、これまで以上にプログレしているサウンド。
もちろんしっとりとした繊細な叙情も含んで、初期クリムゾンばりのメロトロンも聴かせてくれます。
ガスリーの奏でる泣きのギターも随所に素晴らしく、奥深い世界観の楽曲を優美に彩っている。
10分を超える大曲も緩急のついたアレンジで優雅にして知的に構築される。DVD付きの限定盤もあり
ドラマティック度・・8 プログレ度・・8 優雅度・・9 総合・・8.5
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STEVEN WILSON 「Hand.Cannot.Erase」
PORCUPINE TREEのスティーヴン・ウィルソンのソロ。2015年作
2013年の傑作「レイヴンは歌わない」に続く本作は、孤独死を遂げた女性の人生を描くコンセプト作。
うっすらとしたシンセアレンジに叙情的なギターを乗せ、キャッチーなメロディアス性も含んだ
軽快なProgMetal風のパートから、やわらかなヴォーカルパートまで、メリハリのある展開力で構築される、
いつになくダイナミックな聴き心地。ポストプログレらしい繊細で物悲しい味わいに、
プログレ的シンセにメロウなギター鳴り響くインストナンバーなど、楽曲ごとの巧みアレンジセンスも見事。
ニック・ベッグスをはじめ、THE ARISTOCRATSのガスリー・ゴーヴァン、マルコ・ミンネマン
GONGのテオ・トラヴィスらが参加。アーティストとしての豊かな才能が詰め込まれた傑作である。
ドラマティック度・・8 プログレ度・・8 叙情度・・8 総合・・8.5
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Steven Wilson 「TRANSIENCE」
PORCUPINE TREEのスティーヴン・ウィルソンの2016年作
ソロ活動のみならず大御所バンドのリミックスなども手掛ける、現在プログレシーンにおける重要ミュージシャンとなった彼の、
2008年からの自身のソロ作品を総括するベストアルバム。アコースティックな歌ものナンバーからゆるやかに始まり、
その後は、お得意の薄暗系ポストプログレをたっぷり聴かせてくれる。美しいシンセアレンジに、コーラスハーモニー、
適度にハードだがうるさすぎないギターワークなども絶妙で、繊細な叙情性に包まれたサウンドにゆったりと浸れる。
全14曲を収録で、楽曲は年代順に並んでいるのではなく、おそらくアルバムとしての流れも考えられているのだろう、
案外メリハリに富んだ曲調が楽しめるようになっている。これからSWの世界に入るというリスナーにも対応した1枚だ。
ポストプログレ度・・8 薄暗度・・8 繊細度・・9 総合・・8
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Steven Wilson 「To the Bone」
イギリスのミュージシャン、スティーヴン・ウィルソンの2017年作
PORCUPINE TREEでの活動はもとより、ソロ活動や、プログレ作品のリミックスなど、多彩な才能を発揮し続けるミュージシャン。
本作は、80年代のニューウェイブや、ピーター・ガブリエルなど、わりとポップ路線から影響を受けたという作品で、
軽やかなリズムに、ロックなギターとマイルドなヴォーカルを乗せ、女性コーラスも絡んだ、キャッチーなサウンドを聴かせる。
80年代的なほどよいポップ感に包まれつつ、翳りを帯びた繊細な叙情性は、やはりスティーヴンらしい世界観で、
優美なピアノやシンセアレンジも含めて、しっとりとした耳心地の良さで楽しめる。比較的コンプクトな楽曲が中心で、
プログレとして聴くには物足りなさもあるのだが、サウンドメイキングの質の高さはさすが。センスの光る一枚です。
キャッチー度・8 プログレ度・7 優美で繊細度・9 総合・8 
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Steven Willson 「Home Invasion」
イギリスのミュージシャン。スティーヴン・ウィルソンのライブ。2018年作
Porcupine Treeのリーダーであり、いまや新世代のプログレッシブロックを代表する顔というべきミュージシャン。
本作は2018年、ロンドンの名門ロイヤル・アルバートホールで行われたライブを収録した、2CD+DVD(初回盤)。
最新ソロ作の「To The Bone」からのナンバーを主体に、ポーキュパイン・トゥリーの楽曲も披露。
マイルドなヴォーカルを乗せた、ほどよいキャッチーさと翳りを帯びた繊細な叙情が同居したサウンドに
ときに女性ヴォーカルも加わったゴージャスなアレンジもライブらしい。グレイグ・ブランデル(FROST*)の巧みなドラムに
ニック・ベッグスのベースもさすがで、アダム・ホルツマンのシンセとアレックス・ハッチングスのギターも随所に活躍、
メロウな中に、ときにハードにうるさすぎないテクニカル性を織り込むあたりも、演奏陣のレベルの高さを感じさせる。
ドラマティックな大曲「Ancestral」など、10分を超える大曲も多数。合計150分を超えるボリュームの見事なライブです。
ライブ演奏・・9 ライブ映像・・8 叙情度・8 総合・・8 
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Steve Rothery Band 「Live in Rome」
Marillionのギタリスト、スティーヴ・ロザリーのライブ作。2014年作
2013年のイタリア、ローマでのステージを収録した2CD+DVDで、Panic Roomのデヴッド・フォスター、ヤティム・ハリミが参加
Disc1は、2015年のソロ作「Ghosts of Pripyat」からのナンバーを演奏、Disc2ではかつてのMarillionのナンバーも披露している。
スティーヴ・ロザリーの奏でるメロウなギターを中心にした、じっくりと聴かせる味わい深いインストサウンドが楽しめる。
ほとんどが10分を超えるナンバーだが、グルーヴィーなリズムアンサンブルと、デイヴ・フォスターとのツインギターによる、
哀愁に包まれた大人の叙情が耳に優しく、メロウなギターのトーンは、Steve Hackettにも通じる、ウェットな翳りと深みをまとっていて、
キャリアのあるメンバーたちの表現力ある演奏で飽きさせない。同日に共演したイタリアのRanestraneのシンセ奏者がゲスト参加。
Disc2では、ゲストの男女ヴォーカルが参加したマリリオンのナンバーや、RanestraneのナンバーにS・ロザリーが参加しての演奏も収録。
ライブ演奏・・8 プログレ度・・7 大人の叙情度・・9 総合・・8
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STEVE ROTHERY 「The Ghosts of Pripyat」
Marillionのギタリスト、スティーブ・ロザリーのソロ。2015年作
意外にもソロ作品としては初のアルバムで、うっすらとしたシンセに繊細なギターワークで
やはりマリリオンにも通じるしっとりとした叙情を描いてゆく、オールインストの作品。
メロウなフレーズを奏でるギタートーンはスティーブ・ハケットにも通じる耳心地の良さで、
派手さはないものの、メロディックでキャッチーな感触も含んだ爽やかな優雅さを感じさせる。
一方では11分の大曲“Old Man Of The Sea”などでは、年季を感じさせる渋みのあるギターが素晴らしい。
アルバム後半はアンビエントなナンバーが続くので、いくぶん眠たくなるのだが、そこも含めてロザリー氏の
センスを楽しめる方にはよい作品だろうと思う。スティーブ・ハケット、スティーヴン・ウィルソンがゲスト参加。
ドラマティック度・・7 プログレ度・・7 しっとり繊細度・・9 総合・・8
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STEVE THORNE「Emotional Creatures: Part One」
イギリスのマルチミュージシャン、スティープ・ソーンの2005作
ギター、ベース、ヴォーカル、キーボードをこなすマルチプレイヤーであるが、本作ではトニー・レヴィンをはじめ、
ジェフ・ダウンズ、ゲイリー・チャンドラー(JADIS)、マーティン・ウォーフォード(IQ)、ニック・ディヴァージリオ(SPOCK'S BEARD)など、
ゲスト陣もなかなか豪華がメンツが名を連ねる。英国らしい牧歌的な雰囲気と、ゆるやかなシンフォニック性が合わさったサウンドで、
ジャケのようなファンタジックな雰囲気の中にも、現代世界を生きる人間の苦悩などがコンセプトになっている。
薄暗い中に溢れる叙情と温かみはMARILLIONにも通じる質感があり、派手さはないが、しっとりと聴かせるメロディアスな好作である。
シンフォニック度・・7 プログレ度・・7 薄暗シンフォとしても聴けます度・・8 総合・・7.5
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STEVE THORNE 「Part Two:Emotional Creatures
イギリスのマルチミュージシャン、スティープ・ソーンの2007年作
前作の続編となるアルバムで、薄暗系のゆるやかな作風であったPart1に比べて
美麗なシンセワークでキャッチーに聴かせる1曲めからにして、ぐっとシンフォニックな感触が増している。
2曲以降は、やはりMARILLIONを思わせるほの暗い翳りある作風で、マイルドなヴォーカルに、
ピアノやアコースティックギターなども含んだ優しい耳心地で、しっとりとした繊細な叙情美を描いてゆく。
メロウなギターワークもセンスよく、作り込まれたゆるやかな楽曲構成で、現代形シンフォニックの傑作というべき内容である。
トニー・レヴィン(KING CRIMSON)、ジェフ・ダウンズ(Yes)、ピート・トレワバス(MARILLION)、ジョン・ミッチェル(It Bites)
ニック・ディヴァージリオ(SPOCK'S BEARD)、ギャヴィン・ハリソン(Porcupine Tree)らがゲスト参加。
メロディアス度・・8 プログレ度・・8 繊細度・・8 総合・・8
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Steve ThorneInto the Ether
イギリスのマルチミュージシャン、スティープ・ソーンの2009年作
前作は薄暗いメロウな作品であったが、今作は一転してIT BITESあたりを思わせるキャッチーな
プログレハード的な作風になっている。軽快なリズムに乗るモダンなシンセワークと聴き心地のよいヴォーカルメロディ。
哀愁をまとったアダルトな質感とキャッチーなやわらかさが同居した雰囲気は、NEAL MORSEなどにも通じるだろうか。
ゲイリー・チャンドラー(JADIS)、ジョン・ミッチェル(ARENA、IT BITES)、ジョン・ベック(IT BITES)
ニック・ディヴァージォ(元SPOCK'S BEARD)、トニー・レヴィン、ピート・トレワヴァス(MARILLION)といった
豪華メンバーが参加。確かな演奏力とアンサンブルによる、マイルドな大人のメロディック・シンフォニックロックが楽しめる。
メロディック度・・8 プログレ度・・7 キャッチー度・・8 総合・・8
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Steve Thorne「Crimes & Reasons」
イギリスのマルチミュージシャン、スティープ・ソーンの2012年作
前作からのモダンなシンフォニックロック路線はそのままに、現代的なテーマにそったシリアスなコンセプトのもと、
今作ではARENAあたりにも接近したような印象で、うっすらとしたシンセにマイルドなヴォーカルで聴かせる、
やわらかでメロウな耳心地の良さが光る。叙情的なギターにシンフォニックなシンセアレンジもありつつ、
キャッチーなメロディやアコースティカルな素朴さも含んだ好作品。前作に続き、ゲイリー・チャンドラー(JADIS)、
ニック・ディヴァージリオ(元SPOCK'S BEARD)、トニー・レヴィン、マーティン・オーフォード(IQ)らがゲスト参加。
メロディック度・・8 プログレ度・・7 薄暗度・・8 総合・・8
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Steve Thorne 「Island Of Imbeciles」
イギリスのミュージシャン、スティーヴ・ソーンの2016年作
2005年にデビュー、5作目となる本作には、トニー・レヴィン、ニック・ディヴァージリオ、ロビン・アームストロングなどが参加。
オルガンなどのシンセにマイルドなヴォーカルを乗せ、メロウなギターとともに、翳りを帯びた大人の叙情に包まれた
歌もの系のポストプログレを聴かせる。やわらかなシンセアレンジにエモーショナルな歌声で、MARILLION風味の
しっとりとした繊細な味わいに、トニーとニックによるリズム隊の描く軽妙なアンサンブルが随所に楽しめる。
楽曲は3〜6分背前後と長すぎず、プログレ的な展開はさほどないが、自然体の優雅さで濃密すぎない聴き心地。
ドラマティック度・7 プログレ度・7 叙情度・8 総合・8 
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Steve Thorne 「Levelled: Emotional Creatures Part 3」
イギリスのミュージシャン、スティーヴ・ソーンの2021年作
6作目の本作は、2007年作の続編となる作品。アコースティックギターにフルートを含む牧歌的なイントロから、
やわらかなシンセをギターに重ね、マイルドなヴォーカルを乗せた、優雅なシンフォニックロックが広がってゆく。
スタイリッシュな歌もの感とともに、華麗なシンセワークと随所に奏でられる泣きのギターフレーズが、
シンフォプログレとしての英国らしい美学を感じさせ、ドラマティックな流れでコンセプト作品を構築してゆく。
ラストはアルバム冒頭の牧歌的なイントロに戻って幕を閉じる。派手さはないが英国的な空気に包まれた好作です。
ドラマティック度・8 プログレ度・7 叙情度・8 総合・8
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Stolen Earth「A Far Cry From Home」
イギリスのシンフォニックロック、ストーレン・アースの2012年作
ハスキーな
女性ヴォーカルの歌声とオルガンの音色を含む美しいシンセワーク、
アコースティカルな叙情性も含めて、KARNATAKAMAGENTAなどにも通じる
しっとりとしたシンフォニックロック作品。メロウなギターのフレージングも耳心地がよく、
全体的にスリリングさは希薄ながら、やわらかな感触で聴かせる好作だ。
シンフォニック度・・7 プログレ度・・7 女性Vo度・・7 総合・・7.5
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Storm Corrosion
Porcupine Treeのスティーヴン・ウィルソンとOPETHのミカエル・オーカーフェルドによるユニット、ストーム・コロージョンの2012年作
前々から噂されていた2人の才人による期待のユニットであるが、そのサウンドの方は想像通り
薄暗い叙情性と、プログレッシブな香りを漂わせたもので、ミカエルとステーィブンのマイルドな歌声に、
うっすらとしたシンセと、アナログ的に響くギターの音色、しっとりとしたピアノのつまびきなど、
静寂感を漂わせた繊細な聴き心地が楽しめる。OPETHの2011年作「Heritage」で聴かれた
70年代ロックへのオマージュ的な作風ともまた異なり、むしろPorcupine Treeの世界観に近いか。
メタル色はほぼ皆無で、派手さやドラマティックな展開もないのだが、プログレリスナーや
PTのファンなどには間違いなく楽しめるし、繊細でゆるやかな情感に浸れる好作品である。
ドラマティック度・・7 メタル度・・1 繊細な静寂度・・9 総合・・8
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STRANGEFISH 「FULL SCALE」
イギリスのプログレバンド、ストレンジフィッシュの2003年作
ハード寄りのギターに美麗なシンセを重ね、キャッチーなヴォーカルメロディとともに、スタイリッシュなモダンさで聴かせる、
ハードプログレサウンド。10分を超える大曲が3曲と、大作志向でありながら、盛り上がり過ぎないバランス感とともに、
IT BITESのような抜けの良いメロディックロック感触で楽しめる。野暮ったいヴォーカルはともかくとして、
オルガンやムーグを含むプログレらしいシンセワークが冴えていて、BIG BIG TRAINなどにも通じる優雅な感触もある。
ARENA以降のモダンな英国シンフォニックロックを、よりスタイリッシュに仕立て上げたという好作品である。
メロディアス度・・8 プログレ度・・7 優雅度・・8 総合・・8

STRANGEFISH「Fortune Telling」
イギリスのプログレバンド、ストレンジフィッシュの2nd。2005年作
オルガンを含むシンセに、ジェントルなヴォーカルを乗せた、キャッチーでメロディアスなサウンド。
IT BITESあたりにも通じる、優雅でコンパクトなセンスが光る楽曲にはプログレハード的なポップ性もあり、
その力の抜けかたが、コテコテ大仰系好きのシンフォリスナーにはやや物足りないかもしれないが、
軽やかなメロディアスサウンドにのんびりと浸れる好作品だ。随所にメロウなギターによる叙情性やヴァイオリンも美しい。
メロディアス度・・8 プログレ度・・7 優雅度・・8 総合・・8
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STRANGEFISH 「The Spotlight Effect」
イギリスのプログレバンド、ストレンジフィッシュの2018年作
2003年にデビュー、本作は2005年以来、13年ぶりとなる3作目。アコースティックギターに
ジェントルなヴォーカルを乗せた小曲で幕を開け、続いてハードエッジなギターとリズムが加わり、
オルガンを含むシンセとともに、モダンとヴィンテージが同居したようなハードプログレを聴かせる。
女性声を加えた優美な叙情性も覗かせつつ、18分に及ぶ大曲も落ち着いた味わいでじっくりと構築してゆく。
随所に軽妙なリズムや展開も織り込んで、往年のプログレらしいシンセアレンジにはにんまりとしつつ、
しっかりと現在形の英国らしさを表現している。まさに、大人のハードプログレというべき逸品です。
ドラマティック度・・8 プログレ度・・7 大人の叙情度・・8 総合・・8
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STRANGERS ON A TRAINThe Key Part 1:TheProphecy」
イギリスのシンフォニックロック、ストレンジャース・オン・ア・トレインの1st。1990年作
PENDRAGONARENAでも活躍するクライブ・ノーランの華麗なシンセワークと、
トレイシー・ヒッチングスのハスキーな女性ヴォーカルを乗せたシンフォニックロック。
今作ではリズムは入らず、ほとんどがシンセと歌のみの演奏なので、
シンフォニックロックとしてのダイナミズムでは、続編である2作目に譲るが、
その分、トレイシーの艶のある歌声をたっぷりと堪能できるという好作品だ。
シンフォニック度・・8 ドラマティック度・・7 女性Vo度・・9 総合・・8
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STRANGERS ON A TRAINThe Key Part 2:The Labyrinth
イギリスのシンフォニックロック、ストレンジャース・オン・ア・トレインの2nd。1993年作
PENDRAGONARENAでも活躍するクライブ・ノーランによるプロジェクトで、
華麗なキーボードワークに、トレーシー・ヒッチングス(LANDMARQ)のキュートなヴォーカルを乗せ、
メロディアスで甘美なギターメロが合わさり、ゆるやかなシンフォニック組曲を描いてゆく。
ペンドラゴンに比べるとややシリアスで格調高く、情感溢れる女性ヴォーカルの歌声が胸に響きます。
ポンプ系人脈で作られたシンフォとしては、まさに90年代屈指の一枚というべき傑作ある。
再発盤では、Part 1、2ともにジャケが左のものに変更されている。
シンフォニック度・・8 ドラマティック度・・8 女性Vo度・・9 総合・・8.5
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Stuckfish 「Days Of Innocence」
イギリスのプログレバンド、スタックフィッシュの2022年作
2018年にデビューし、3作目。叙情的なギターにプログレらしいシンセを重ね、キャッチーなヴォーカルメロディとともに、英国らしい優美なシンフォプログレを聴かせる。
楽曲は5〜8分前後で、どのナンバーもしっかりとした構築力で、PALLASなどにも通じるウェットな叙情と大人の優雅さに包まれる。
硬質にならず、重厚すぎない耳心地の良さは、時代と逆光するアレンジながらも、派手過ぎないサウンドにどこか落ち着くのも事実。
印象的な盛り上がりなどがもう少しあれば傑作になっただろうが、この質の高い中庸さこそ愛すべきものかもしれない。
ドラマティック度・8 プログレ度・7 叙情度・8 総合・8
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Suns of the Tundra「Murmuration」
イギリスのポスト・プログレロック、サンズ・オブ・ツンドラの2019年作
PEACHのSimon Oakesを中心にしたバンドで、2004年にデビューし、本作は4作目となる
適度にハードなギターと、エフェクトのかかったヴォーカルとともに、TOOLを受け継ぐような
モダンでスタイリッシュなサウンド。シンセも加えたプログレ寄りの叙情性も覗かせながら、
グルーヴィなロック感触とキャッチーな歌もの感も合わさった、とらえどころのなさが魅力。
プログレとして聴くには物足りなさはあるが、モダン派のオルタナ・プログレロックの好作だ。
ドラマティック度・・7 プログレ度・・7 スタイリッシュ度・・8 総合・・7.5
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SWAPPERS ELEVEN 「FROM A DISTANCE」
イギリス、イタリア、ブラジルのメンバーによるプログレバンド、スワッパーズ・イレヴンの2020年作
MARILLIONとステージで共演するための「スワップ・ザ・バンド」コンテストの受賞メンバーによるバンドで、
オルガンなどのプログレらしいシンセにほどよくハードで叙情的なギター、伸びやかなヴォーカルを乗せた、
王道のシンフォプログ・サウンド。マリリオンにも通じる翳りとキャッチーなメロディアス性が同居し、
13分という大曲も、マイルドなヴォーカルやメロウなギターとともに、しっとりとした叙情美に包まれる。
世界各国から10名以上のミュージシャンがゲスト参加していて、女性ヴォーカルを乗せた優美なナンバーや
ゲストのきらびやかなシンセやギター、サックスなども加わって、深みのあるサウンドを描いている。
翳りを帯びたMARILLIONルーツの歌もの系シンフォニックロックとしても楽しめる逸品です。
ドラマティック度・8 プログレ度・7 叙情度・8 総合・8
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The Syn「Big Sky」
イギリスのプログレハード、シンの2009年作
もともとはYesの母体となったバンドとしてクリス・スクワイアを中心にして活動していたらしいが、
現在ではフランシス・ダナリー、スティーヴ・ナーデリ、トム・ブリスリンという三人編成となっている。
サポートでドラムを叩くのはEcholynのポール・ラムゼイ。サウンドはプログレ色はあまりない
大人の味わいのメロディックロックで、英国風の叙情とアメリカのキャッチーさが融合された質感。
枯れた味わいのヴォーカルとやわらかなメロディで聴かせる、肩の力の抜けた自然体のアルバムだ。
メロディアス度・・8 プログレ度・・5 ゆったり叙情度・・8 総合・・7.5
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The SYN 「LIVE ROSFEST」
イギリスのプログレバンド、シンのライブ。2015年作
2009年のアメリカ、ロズフェストでのステージを収録。オリジナルメンバーのSteve Nardelliを中心に、
IT BITESのフランシス・ダナリー、YESCAMELKANSASにも参加するシンセ奏者、トム・ブリスリンというトリオ編成を基本に、
初期のメンバーであったクリス・スクワイア、元YESのアラン・ホワイト、さらにはECHOLYNMOON SAFARIのメンバーも参加。
躍動感アンサンブルにメロウなギター、枯れた味わいのヴォーカルを乗せた、古き良き英国メロディックロックというサウンドで、
オルガンやメロトロンを含むんだレトロな感触のシンセワークにもにやりとする。スリリングな部分はあまりないが、
ゆったりと聴かせるアコースティックなパートなども含めて、落ち着いた大人のプログレ/英国ロックが味わえる。
ライブ演奏・・8 プログレ度・・7 大人の味わい度・・8 総合・・8 
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the Syn 「Trustworks」
かつてはクリス・スクワイアを中心に活動した、Yesの母体として知られるバンド、シンの2016年作
本作ではヴォーカルのスティーブ・ナーデリを中心に、演奏陣には全員MOON SAFARIのメンバーが参加、
さらにはヨナス・レインゴールドも参加ということで、ほぼ北欧プログレ状態といってもいい布陣であるが、
サウンドは、枯れた味わいのヴォーカルを中心にした哀愁の叙情を聴かせる歌ものプログレハード。
楽曲は3〜5分台中心で、オルガンを含んだシンセやメロウなギターワークを聴かせつつ、
全体的にはシンプルな爽快さで、アダルトな歌声はジョン・ウェットン〜ASIAあたりにも通じる。
随所にムーン・サファリを思わせるコーラスワークやシンフォニックな美しさも覗かせつつ、
ラストの大曲ではGENESISを思わせる叙情とプログレ的な展開力に包まれ、泣きまくりのギターで大団円。
メロディック度・・8 プログレ度・・7 大人の哀愁度・・8 総合・・8
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Synaesthesia
イギリスのプログレバンド、シネステシアの2014年作
英国の新鋭シンフォニックロックバンド、のっけから22分の大曲で、美しいシンセワークを中心に、
メロウなギターにマイルドなヴォーカルを乗せ、繊細な叙情性とともに優美なサウンドを描いてゆく。
FROST*あたりにも通じるキャッチーなモダンさと、古き良きプログレ的なアレンジが合わさった聴き心地で、
派手すぎない展開と泣きのメロディアス性に包まれた、正統派シンフォニックロックのアップデート型というべきか。
反面、安定しすぎて意外性に欠けるという面もあるのだが、かつてのPENDRAGONを思わせる泣きの叙情と、
現在形バンドとしてのキャッチーなセンスも兼ねそろえていて、期待の新鋭バンドであるには違いない。
メロディック度・・8 プログレ度・・8 叙情度・・8 総合・・8
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Tangekanic 「Hotel Cantaffordit」
イギリスのTHE TANGENTとスウェーデンのKARMAKANICの合体バンド、タンジェカニックのライブ。2018年作
2017年のアメリカツアーのライブを収録。両バンドに参加する、ヨナス・レインゴールドを筆頭に、
タンジェントのアンディ・ティリソン、ルーク・マシン、カーマカニックのヨラン・エドマンが参加。
タンジェントから3曲、カーマカニック2曲、そしてオリジナル1曲を演奏。軽やかなリズムにきらびやかなシンセ、
ほどよくハードで流麗なギターを乗せた、技巧的なアンサンブルで軽妙なプログレサウンドを聴かせる。
インストの12分の大曲も確かな演奏力と展開力でスリリングに聴け、25分におよぶKARMAKANICの大曲では、
美麗なシンセとヨラン・エドマンの豊かな歌声で、フラキンにも通じる叙情的なシンフォニックロックを展開する。
ライブ演奏・・8 プログレ度・・8 技巧度・・8 総合・・8
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THE TANGENT「THE MUSIC THAT DIED ALONE」
イギリスのプログレバンド、タンジェントの2003年作
PARALLEL OR 90 DEGREESのアンディ・ティリソンを中心に、THE FLOWER KINGSのロイネ・ストルト、
ヨナス・レインゴールド、ソルタン・チョース、VAN DER GRAAF GENERATORのデビッド・ジャクソンといったメンバーが参加。
サウンドは切れのよい演奏の軽快なシンフォニックロックで、フラキンよりはややジャジーな感じというところ。
北欧的なメロディックな叙情性と英国カンタベリーロック風の優雅な素朴さが融合したような作風で、
随所に70年代風の古めかしさを感じる部分もあり、オールドなプログレファンにも楽しめる傑作だ。
シンフォニック度・・8 プログレ度・・8 楽曲・・8 総合・・8
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THE TANGENT「The World That We Drive Through」
イギリスのシンフォニックロックバンド、タンジェントの2nd。2004年作
PARALLEL OR 90 DEGREESのアンディ・ティリソン、ガイ・マニングに、ロイネ・ストルト、ヨナス・レインゴールド、ソルタン・チョースと、
The Flower Kings
関連のメンバーが参加、サウンドの方も、ジャズロック化したフラキンという感じで、軽妙なアンサンブルが楽しめる。
随所に女性ピアニスト、サム・バインのしっとりとしたピアノタッチが素晴らしく、またたおやかなフルートの音色なども
楽曲に繊細な華を添えている。前作の軽快なシンフォニック性に加え、大人のジャズロック風なパートが増した感触で、
随所にロイネの絶品のギターフレーズも覗かせつつ、優美なフルートの音色とともにカンタベリー的な優雅さに包まれる。
テクニカルなシンフォニックとしても楽しめながら、肩の力を抜いてくつろぎながら楽しめるような傑作である。
メロディアス度・・8 プログレ度・・8 優美度・・9 総合・・8.5
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THE TANGENTA Place in the Queue
イギリスのプログレバンド、タンジェントの3rd。2006年作
今回はロイネ・ストルトが不参加であるが、過去作を上回るクオリティのカラフルなシンフォニックロック作品となった。
のっけから20分の大曲だが、メリハリの効いた構築された展開の中で、軽やかなジャズロック風のテイストと、
オールドなプログレ風のレトロな質感を聴かせてくれる。メロディアスなギターフレーズはロイネ不在をまったく感じさせず、
それに絡むキーボードと、ときにしっとりとしたピアノも美しく、理知的でありながら優しいサウンドを形成している。
後半はややジャズロック色が強まるが、ラストの25分という大曲まで、優雅な構築美に包まれた傑作アルバムである。
2CDのスペシャルエディション盤には、未発表曲、デモ、ライブ音源等、6曲を収録。
シンフォニック度・・8 メロディアス度・・8 テクニカル度・・8 総合・・8.5
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THE TANGENT「Going Off on One」
テクニカルシンフォプログレのスーパーバンド、タンジェントのライブ作品。2007年作
オルガン、ムーグを操りながらヴォーカルもこなすアンディ・ティリソンは、バンド全体を引っ張り、
ヨナス・レインゴールド(THE FLOWER KINGS)のベースワークもさすがの存在感で、
のっけから10分、11分、22分という大曲連発で濃密なシンフォプログレを聴かせる。
きらびやかなシンセによる70年代風のレトロな質感と、軽やかなジャズロック風味が交差して、
スタジオ盤以上の躍動感あふれる演奏で、プログレリスナーの耳にはとても分かりやすいサウンドだろう。
ボーナスでは、KING CRIMSONの“21世紀の精神異常者”も聴かせてくれる。
シンフォニック度・・8 テクニカル度・・8 ライブ演奏・・8 総合・・8
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THE TANGENT「Not as Good as the Book」
イギリスのプログレバンド、タンジェントの4th。2008年作
アンディ・テリィソンを中心に、ガイ・マニング、ヨナス・レインゴールド、さらに今作ではジャッコ.M.ジャグジグ(21st Century Schizoid Band)が参加。
ストーリーに基づくCD2枚組のコンセプト作で、カンタベリー風味もあるジャズロック的なリズムに、メロディアスなシンフォニック性を重ねた、
前作からの延長線上のサウンドながら、コーラスワークにはいっそうキャッチーな抜けの良さが加わっていて実に爽快な聴き心地だ。
テオ・トラヴィスによるサックス、フルートも曲の中で存在感を増しており、アコースティカルなしっとりとした叙情性もあったりと心憎い。
Disc2は、20分台の大曲2曲という構成で、ゆるやかに盛り上げるドラマティックな構築力が見事。限定盤は豪華ブックレット付き。
シンフォニック度・・8 キャッチー度・・8 軽やかジャズロック風味度・・8 総合・・8.5
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The Tangent「Down and out in Paris and London」
イギリスのプログレバンド、タンジェントの2009年作
CD2枚組だった前作は、シンフォニックと軽やかなジャズロック風味が融合された傑作であったが、
5作目となる本作も、1曲目から19分という大曲で始まり、スタイリッシュに構築されたプログレ/シンフォニックの傑作となった。
アンディ・ティリソンの巧みなシンセ、そしてギターワークに、テオ・トラヴィスのフルートやサックスも加わり、しっとりとした繊細さと
クールな軽妙さが絶妙に交わるサウンドはさすがのセンスの良さで、今作ではメロディにほの暗い叙情が加わっていて、
やわらかな歌で聴かせる大人の哀愁とともに、いくぶんヴィンテージ寄りのシンセアレンジも心憎い。やはり質の高い作品だ。
メロディアス度・・8 プログレ度・・8 優雅度・・9 総合・・8
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The Tangent 「Going Off on Two」
イギリスのプログレユニット、タンジェントのライブ作品。2011年作
マルチミュージシャン、アンディ・ティリソンを中心に、いまや新時代の英国プログレを代表するバンドのひとつ。
本作は2010年のスタジオのライブセッションを収録したCD+DVD作品で、サックス&フルート奏者を含む6人編成で、
2009年作「Down and out in Paris and London」からのナンバーを中心に演奏。きらびやかなシンセアレンジに、
軽妙で優雅なアンサンブルが融合した、「カンタベリー系シンフォ」というべきサウンドを描いてゆく。
リラックスした雰囲気のスタジオライブなので、演奏面でのたたみかけるような迫力はないのだが、
バンドのファンであれば、DVDの映像も含めてとても楽しめる内容だろう。
ライブ演奏・・8 プログレ度・・8 音質・・7 総合・・8
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The Tangent「Comnn」
イギリスのプログレバンド、タンジェントの2011年作
PARALLEL OR 90 DEGREESのアンディ・ティリソン率いるこのバンドも早くもこれで6作目となにる。
ギターにはルーク・マシンが加わって、本作はのっけから20分の大曲で、美麗なシンセに叙情的なギターが絡む、
シンフォニックの王道。随所に古き良きプログレの感触を含みつつ、The Flower Kingsを思わせるような自然体の構築センスと
大人の味わいを感じさせる哀愁とともに心地よく聴かせてくれる。力みすぎないメロディの流れ方、巧妙な展開美は
さすがというべきもので、ゆるやかな繊細さも含みつつ、ダイナミックでありながら決して派手すぎない
知的な感触は絶品だ。軽やかなフルートやヴァイオリン、ピアノも加わった軽妙なジャズロック風味などもあり、
豊かな音楽性をクールに構成するセンスは、現代シンフォニックのトップクラスといっていいだろう。
シンフォニック度・・8 プログレ度・・8 構築センス・・9 総合・・8
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The Tangent 「Le Sacre Du Travail」
アンディ・ティリソンによるプロジェクトバンド、タンジェントの7作目。2013年作
前作からメンバーがだいぶ替わり、本作ではヨナス・レインゴールドが復帰して、新たにジャッコ・ジャクジクが参加、
ドラムにはギャヴィン・ハリソンというメンバーで、きらびやかなシンセアレンジにテオ・トラヴィスのフルートやサックスを乗せた
メロウな叙情と、ときにカンタベリー風味もある軽妙な展開美は、これまで通りにとても優雅で高品質なサウンドだ。
19分、22分という大曲では、フラキンばりのしっとりとした繊細さも聴かせてくれる。シンフォニックロックとジャズロック、
どちらの要素もバランス良く、知的な構築力に、確かな演奏陣による音の説得力とスケール感が合わさった傑作。
The Flower Kings、TRANSATLANTIC、NEAL MORSEなどと肩を並べる、これぞ現代シンフォプログレの代表でしょう。
ドラマティック度・・8 プログレ度・・8 構築センス・・9 総合・・8
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The Tangent「L'Etagere Du Travail 」
イギリスのプログレバンド、タンジェントの2014年作
2014年作「Le Sacre Du Travail(仕事の儀式)」と同時期に録音されながら、アルバムに収録されなかった
未発音源に旧作品の再録などを追加した変則的な作品であるが、サウンドのクオリティは正規アルバムに遜色ない。
カンタベリージャズロック的でもある軽妙な優雅さとシンフォニックなきらびやかさを融合させたスタイルは、
テクニカル性とキャッチーさの絶妙なバランスも含めて、アンディ・ティリソンの豊かなセンスを示している。
全ての楽器を一人でこなす前半のアウトテイクスの出来も素晴らしいが、テオ・トラヴィス(サックス&フルート)、
ジャッコ・ジャクジク(ギター)、ヨナス・レインゴールド(ベース)らが参加した後半の再録曲も聴きごたえありだ。
メロディック度・・8 プログレ度・・8 楽曲・・8 総合・・8 
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The Tangent 「A Spark in the Aether
イギリスのプログレバンド、タンジェントの2015年作
PARALLEL OR 90 DEGREES…というよりも、すでにこちらの方がメインになっているアンディ・ティリソン率いるバンドの8作目。
今作からドラムにモルガン・アグレンが参加、ヨナス・レインゴールドとの鉄壁のリズム隊が完成…って、KAIPAもそうだよな。
そしてギターには若手のルーク・マシンが加わって、きらびやかなシンセを乗せて軽快なリズムで描かれるキャッチーでスタイリッシュな
シンフォニックロックは、まさに円熟の優雅さというべき聴き心地であるが、ヴォーカルのデヴィッド・ロングドンが脱退したことで
シンセを弾きながらアンディ・ティリソンが歌っているのだが(ニール・モーズ状態?)、ヴォーカルはやや弱くなったという印象は否めない。
メンバー的にはスーパーバンドになったという点で、音の雰囲気もなんだかTRANSATLANTICに接近したような。随所にサックスや
フルートなども加わって、12分、21分という大曲を巧みに構築してゆくメンバーの技量も含め、ともかくは見事な力作という他ない。
メロディック度・・8 プログレ度・・8 キャッチー&テクニカル度・・8 総合・・8
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THE TANGENT「THE SLOW RUST OF FORGOTTEN MACHINERY」
イギリスのプログレバンド、タンジェントの2017年作
マルチプレイヤーのアンディ・ティリソンを中心に2003年にデビュー、本作はすでに9作目となる。
シンセ&ドラムのアンディ・ティリソンを中心に、ギターにルーク・マシン、ベースにヨナス・レインゴールド、
さらに女性Voにサックス&フルート奏者を加えての編成で、マイルドなヴォーカルに美しいシンセを乗せた、
カンタベリー的な優雅なアンサンブルに、繊細なシンフォニック風味が合わさったサウンドを聴かせてくれる。
やわらかな女性ヴォーカルに、フルートの音色も加わった優美な雰囲気に、軽妙なテクニカル性を含んだ展開美で、
10分を超える大曲をコンセプト的なスケール感で描くのはさすがのセンスである。随所にオルガンが鳴り響く、
古き良きプログレ質感も覗かせつつあくまで優雅な聴き心地。レトロとモダンのバランスも絶妙な、全79分の力作です。
ドラマティック度・・8 プログレ度・・8 優雅度・・9 総合・・8 
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The Tangent 「Proxy」
イギリスのプログレバンド、タンジェントの2018年作
マルチプレイヤーのアンディ・ティリソンを中心にして、2003年にデビュー、本作は10作目となる
ギターはルーク・マシン、ベースはヨナス・レインゴールド、ドラムにはスティーブ・ロバーツ、
サックス&フルートに、セオ・トラヴィス、そしてヴォーカルとしてヨラン・エドマンがゲスト参加。
オールドなハモンドオルガンの音色にワウの効いたギターを乗せた軽やかなアンサンブルで、
フルートにサックスも鳴り響く、70年代カンタベリー風の優雅さに包まれたプログレ・ジャズロック。
セッション風のおおらかな演奏は、これまでの作品以上にヴィンテージなアナログ感を描いていて、
16分におよぶ組曲も肩の力の抜けた大人の聴き心地。80年代風なアレンジのナンバーも面白い。
ドラマティック度・・7 ジャズロック度・・8 優雅度・・9 総合・・8 
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The Tangent 「Auto Reconnaissance」
イギリスのプログレバンド、タンジェントの2020年作
マルチプレイヤーのアンディ・ティリソンを中心に、2003年にデビュー、本作はすでに通算11作目となる
ギターはルーク・マシン、ベースはヨナス・レインゴールド、ドラムにはスティーブ・ロバーツと前作からのメンバーで、
オルガンを含むシンセワークに軽妙なギター、マイルドなヴォーカルを乗せた優雅なプログレサウンドを聴かせる。
軽やかなドラムに存在感あるベースという見事なリズム隊に、キャッチーなコーラスハーモニーも引き立っていて、
カンタベリー的な優雅さをシンフォプログレに寄せた絶妙のサウンドは、円熟の境地というべき完成度。
テオ・トラヴィスのサックス、フルートに、優美なエレピなどで、オールドなジャズロック風味も描きつつ
ときにクリムゾンばりのヘヴィさも覗かせるなど、緩急ある展開力で10分を超える大曲をゆったりと構築する。
28分という大曲もあくまでやわらかな聴き心地で、枯れた味わいのヴォーカルも含めて大人のプログレが堪能できる。
ドラマティック度・・8 プログレ度・・8 優雅で軽妙度・・9 総合・・8 
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The Tangent 「Songs From The Hard Shoulder」
イギリスのプログレバンド、タンジェントの2022年作
2003年にデビュー、アンディ・ティリソン率いるバンドの通算12作目。ヨナス・レインゴールド、ルーク・マシン、スティーブ・ロバーツ、
テオ・トラヴィスと、前作同様のメンバーで、メロウなギターにオルガンやエレピなどのヴィンテージなシンセ、やわらかなフルートや
サックスの音色に、マイルドなヴォーカルを乗せて、優雅な大人のシンフォプログレを展開。17分、17分、21分という大曲を主体に、
ジャズロック寄りの軽やかなアンサンブルからアコースティックによるパートなども含め、各メンバーの技量の高さでじっくりと楽しめる。
渋みのある歌パートから、きらびやかなシンセとともにプログレらしい展開力を見せる大曲はさすがのセンス。これぞ大人の英国シンフォです。
ドラマティック度・8 プログレ度・8 優雅度・9 総合・8
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TANTALUS「SMOKING ANGELS」
イギリスのシンフォニックロックバンド、タンタルスの1st。1994作
このバンドの2nd、3rdにおけるセンスの良いメロディとスタイリッシュな楽曲構築はじつに見事だった。
リーダーはキーボードのようで、本1stの時点ではメインメンバーは二人、ギターは2ndでは交代している。
さて、この1stであるが、曲に光る部分はあるが、やはり2ndほどの構築性、方向の一貫性はまだなく
曲によってはプログレではないただの歌ものとかもあって、完成度は後のアルバムに及ぶべくもない。
ただし音の重ね方、メロディの流れなどには他にはないセンスも感じる。
まずは傑作の2nd「JUBAL」、3rd「LUMEN ET CALIGO T」から聴いて欲しい。
メロディアス度・・8シンフォニック度・・7 楽曲センス・・8 総合・・7

TANTALUS「JUBAL」
イギリスシンフォニックロックバンド、タンタルスの2nd。2000年作
一聴してまず耳を引くのが、同時代的なセンスの良いスタイリッシュな音作り。
かつての80年代シンフォニックのような泥臭さ、無理な大仰さとは決別し、
ある種クールとも思える自己を見つめる視点が音の中に感じられる。
つまりはDREAM THEATER以後のフィルターを確実に通ってきたバンド。
キーボード、ギターともメロディアスで流麗だが、情熱よりも知的さを優先させた質感があり、
その決して感情的に爆発しない冷静さこそがこのバンドの持ち味であるのと思う。
さらにひとつ突き抜けるためにはまだ何かが必要な気もしないではないが、
現時点で、すでに凡百のシンフォバンドが追いつけないものを持っているのも確か。
シンフォニック度・・8 クールな音作り度・・9 楽曲センス・・8 総合・・8

TANTALUS「SHORT STORIES」
イギリスのシンフォニックロックバンド、タンタルスの2001作
2ND「JUBAL」と3rd「LUMEN ET CALIGO T」の間に出されたアルバムで、
内容はシンフォニックな中にもジャズロック色もある、ジャムセッション的なもの。
ゆったりとした演奏の中にも、さすがにときどきセンスの片鱗をかいま見せており、
ギターやキーボードのメロディと音の重ね方、自然で嫌味のないアレンジのどれも一級のレベル。
2nd、3rdの構築的な完成度からすると力の抜けた作風で、やや物足りない感じはするが、
“トッカーターとフーガ”のクラシカルなカヴァーなどは美麗なシンフォニックでやはり見事だ。
メロディアス度・・8 シンフォニック度・・7 演奏・・8 総合・・7.5
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TANTALUS「LUMEN ET CALIGO T」
イギリスのシンフォニックバンド、タンタルスの3rd。2002作
前作「JUBAL」を聴いてそのセンスの良さに驚いたものだが、今作も期待通りの内容。
このバンドの場合70年代ポンプからの派生ではなくどちらかというとDREAM THEATER以降の知的な構築性をともなったサウンドで、
ツインキーボードにツインギターという編成だが、やみくもに大仰になることなく、むしろすっきりスタイリッシュにまとめられた音の重ねである。
「メタル色を抜いたドリームシアター」という表現が分かりやすいかもしれない。
前作よりもスリリングな部分が減ったが、その分しっとりとしたのびやかなギターメロディなどが楽しめる。
静のパートでここまでちゃんと聴かせられるバンドはそうあるまい。クールでデジタリィな要素を見せながらも、
アコギ、フルートなどのやさしく暖かいパートも有り、70分以上の大作だが密度が濃い。
メロディアス度・・8 シンフォニック度・・9 楽曲センス・・9 総合・・8.5◆プログレ名作選入り


TEXEL「ZOOMING INTO FOCUS」
イギリスとデンマークのミュージシャンによるユニット、テクセルの2018年作
オランダのプログレバンド、FOCUSをリスペクトして作られた作品で、やわらかなオルガンが鳴り響き
メロウなギターフレーズを乗せた、軽やかで優雅なアンサンブルで聴かせるインストサウンド。
前編オリジナルでありながら、ヤン・アッカーマンを思わせる流麗なギタープレイや、
フルートを加えた牧歌的な味わいなど、まさにかつてのフォーカスを思わせる聴き心地。
オールインストであるが、歌心のある叙情的なギターメロディが心地よく、ゆったりと楽しめる。
FOCUSのファンはもちろん、ヴィンテージな70年代風のインストプログレとしても魅力十分だ。
メロディック度・・8 プログレ度・・8 フォーカス度・・8 総合・・8
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TEXEL 「Metropolitan」
イギリスとデンマークのメンバーによるプログレバンド、テクセルの2021年作
2018年のデビュー作は、FOCUS愛に満ちた好作であったが、2作目となる本作もオルガンが鳴り響き、
ヤン・アッカーマンばりのギターを乗せた、フォーカス風味たっぷりのプログレサウンドを聴かせる。
やわらかなフルートの音色にメロウなギターが重なる優雅な叙情性は、まさにあの頃のFOCUSに通じる
ヴィンテージな味わいで、マルコ・ミンネマンが巧みなドラムを叩く、ジャズロック寄りの軽妙なナンバーや
ピーター・ジョーンズ(Csmel、Tiger Moth Tales)が参加した、キャッチーな歌入り曲などもアクセントになっている。
日本からはキクラテメンシスの鈴木和美もゲスト参加している。まさにポスト・フォーカス的な傑作です。
優雅度・9 プログレ度・7 フォーカス度・8 総合・8 
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THIEVES' KITCHEN「Head」
イギリスのシンフォニックロックバンド、シーヴス・キッチンの1st。2000作
先に3rdから聴いていたので、軽やかなテクニカルプログレというイメージがあったのだが、
この時点ではもう少しゆったりとしたサウンドで聴かせる。とはいっても、ギターとキーボードの絡みは
細かなフレージングとカッチリとした感触がとても現代的で、音にはメタリックな硬質感もある。
楽曲はインスト中心で、16分、19分という大曲もあり、デビュー作にしてはじつに堂々としたものだ。
ヴォーカルの平坦さと、やや機械的なドラムサウンドが惜しいといえば惜しいが、
クオリティを求めるシンフォニックリスナーにはTANTALUSとともに勧められる英国産バンドだ。
メロディアス度・・8 テクニカル度・・8 楽曲・・8 総合・・7.5
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THIEVES' KITCHEN「SHIBBOLETH」
イギリスのシンフォニックロック、シーヴス・キッチンの3rd。2003年作
軽妙なアンサンブルのテクニカルな感触に、しっとりとした女性ヴォーカルの歌声にメロトロンが鳴り響く、優雅なサウンド。
モダンでスタイリッシュなシンフォニックロックであるが、どこか古き良きメロウな感覚が同居していて、
エレピの音色などを含む、カンタベリー風味の軽やかさに、ギターのやや硬質なフレージングが合わさって、
涼やかな味わいをかもしだす。同じクールなセンスでもTANTALUSのような構築された感覚とは多少違い、
自由度の高い伸びやかなシンフォ・ジャズロックということもできる。メロトロンを含めてヴィンテージ風のシンセと、
女性ヴォーカルの歌唱もややダウナーな声質ながら、サウンドを優美に彩っている。
シンフォニック度・・7 プログレ度・・8 優雅度・・8 総合・・8
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THIEVES KITCHEN「The Water Road」
イギリスのシンフォニックロック、シーヴス・キッチンの2008年作
2000年にデビュー、いまや英国のネオプログレを代表するバンドのひとつと言ってよいバンド。
今作ではANGLAGARDのKey、トーマス・ジョンソンをメンバーに迎え、美しいピアノにメロトロンが鳴り響く。
のっけから20分の大曲で、前作の延長上の適度なテクニカル性とともに展開しつつ、メロトロンやフルートなどによる
幽玄な味わいが魅力的で、そこに絡むメロウなギターフレーズもどこか北欧的な感触で、叙情的な味わいだ。
女性ヴォーカルの歌唱も、前作よりもしっとりとした美声を聴かせ、サウンド全体が浮遊感のある叙情性に包まれている。
テクニカルな英国シンフォニックロックに北欧的なメロトロンをプラスしたという、叙情あふれる力作である。
シンフォニック度・・8 メロトロンいいねぇ度・・8 女性Vo度・・7 総合・・8
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Thieves Kitchen「One for Sorrow, Two For Joy」
イギリスのシンフォニックロックバンド、シーブス・キッチンの2013年作
ANGLAGARDのトーマス・ジョンソンをシンセ奏者に迎えての2作目で
メロウなギターにメロトロンがかぶさり、しっとりとした
女性ヴォーカルの歌声で聴かせる、
優美なシンフォニックロックは本作も同路線。随所に変拍子を取り入れたリズムとともに、
適度にテクニカルに、そしてゆるやかに大曲を構築する力量は、さすが中堅バンドというところ。
やわらかなピアノやフルートの音色も美しく、全体的にも優雅な聴き心地に包まれた好作品。
ドラマティック度・・8 プログレ度・・8 しっとり叙情度・・9 総合・・8
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Thieves Kitchen 「The Clockwork Universe」
イギリスのシンフォニックロックバンド、シーブス・キッチンの2015年作。
美しい女性ヴォーカルの歌声にやわらかなエレピやメロトロン、メロウなギターワークが合わさった
繊細な叙情性のサウンドはこれまで通り。今作ではよりスタイリッシュなアンサンブルが軽妙な味わいで、
ときにジャズロック的でもある優雅さと、メロトロンが鳴り響くシンフォニック性が合わさったという聴き心地だ。
20分におよぶ大曲も濃密になり過ぎず、優美なフルートの音色も含んだ、あくまで涼やかでしっとりとした
優雅な感触というのは、やはりANGLAGARDやWHITE WILLOWなど、北欧のバンドにも通じるだろう。
ドラマティック度・・8 プログレ度・・8 女性Vo度・・8 総合・・8
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Thieves' Kitchen 「Genius Loci」
イギリスのシンフォニックロック、シーブス・キッチンの2019年作
2000年にデビュー、本作で7作目となる。元ANGLAGARDのトーマス・ジョンソンの奏でるやわらかなシンセに、
美しい女性ヴォーカルで聴かせる、優美なシンフォニックロックはこれまで通り。軽やかなアンサンブルに、
オルガンやメロトロンにメロウなギターを乗せた涼やかな叙情性は、Paatosなどにも通じる聴き心地。
しっとりとしたフルートの音色も入りつつ、シンフォニックになり過ぎないシンプルでスタイリッシュな味わいは、
キャリアのあるバンドならではだろう。20分の大曲も、繊細なギターワークとプログレらしいシンセに、
アミイ嬢の優しい歌声で、MAGENTAのような優雅さに包まれる。派手な盛り上がりはないがじつに優美な逸品。
ドラマティック度・・7 プログレ度・・8 優雅度・・9 総合・・8 
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THIS OCEANIC FEELING 「Universal Mind」
イギリスのプログレハード、ディス・オーシャニック・フィーリングの2015年作
Downes Braide Associationでも活動するクリス・ブレイドを中心に、ベースはIT BITESのリー・ポメロイ、
ドラムは、PRODUCERSにも参加したアッシュ・ソーンというトリオ編成のユニットで、
マイルドなヴォーカルとメロウなギターワークに、プログレ寄りのシンセアレンジで聴かせる、
キャッチーなやわらかさと湿り気のある叙情を同居させたサウンド。ASIAなどに通じる古き良きAOR感触とともに、
ときにポストプログレ寄りの繊細な感触もありつつ、オルガンやムーグ、ピアノなどのシンセも随所に美しい。
DBAの方が80年代感覚を再現しているのに対し、こちらはモダンプログレの要素を含んだ聴き心地。
プログレ、ポップ、AORという要素を、絶妙なアレンジセンスで包み込んだ見事な傑作です。
メロディック度・・9 プログレ度・・7 叙情度・・8 総合・・8.5
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THIS WINTER MACHINE 「THE MAN WHO NEVER WAS」
イギリスのプログレバンド、ディス・ウインター・マシンの2017年作
やわらかなシンセにマイルドなヴォーカル、叙情的なギターを重ねた、スタイリッシュなシンフォプログレ。
のっけから16分という大曲で、ゆるやかな展開力と英国らしいウェットな空気感に包まれて、じっくりと聴かせる。
適度にハードなギターも覗かせつつ、エモーショナルな歌声を乗せて、ジャケのイメージのような冬を感じさせる
繊細でメランコリックな叙情はポストプログレ風でもあるが、泣きのギターにシンセが重なるところは、
優美なシンフォニックロックとしても楽しめる。ラストの10分の大曲は、キャッチーなプログレらしさから、
薄暗い叙情性へと展開しつつ、メロウなギターのフレーズと美しいシンセでじわじわと盛り上げる。
ドラマティック度・・8 プログレ度・・7 叙情度・・8 総合・・8
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This Winter Machine 「Kaites」
イギリスのプログレバンド、ディス・ウインター・マシンの2021年作
2016年にデビューし、3作目となる。優美なピアノとアコースティックギターによるイントロから、オルガンを含むシンセに
ほどよくハードなギターとマイルドなヴォーカルを乗せて、英国らしい翳りを帯びたシンフォニックロックを聴かせる。
叙情的な泣きのギターにうっすらとシンセが重なるところは、MARILLONなどにも通じる雰囲気もあり、
派手な展開などはないものの、ゆったりと耳心地よく楽しめる。2分前後のインストの小曲もアクセントになっていて、
ヴァイオリンも鳴り響く優雅なナンバーから、ラストのタイトル曲は、これぞ英国のシンフォプログレという味わいだ。
ドラマティック度・7 プログレ度・7 英国度・8 総合・7.5 
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Three Colours Dark 「Love's Lost Property」
イギリスのシンフォニックロック、スリー・カラーズ・ダークの2021年作
元KARNATAKA、The Reasoningの女性シンガー、レイチェル・コーエンと、元KARNATAKA、PANIC ROOMのシンセ奏者、
ジョナサン・エドワーズのユニットで、2020年作に続く2作目。艶やかなヴァイオリンのイントロから、やわらかなシンセに
メロウなギター、しっとりとした女性ヴォーカルを乗せて、翳りを帯びた叙情のシンフォニックロックを描いてゆく。
オルガンを使ったオールドな味わいや、反対にいくぶんデジタルなアレンジも覗かせつつ、あくまで女性声をメインにした
ストレートな作風で、初期のKARNATAKAALL ABOUT EVEにも通じる、優雅なメロウ・ロックという耳心地でも楽しめる。
ドラマティック度・7 プログレ度・7 女性Vo度・8 総合・8
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Tiger Moth Tales 「Cocoon」
イギリスのシンフォニックロック、タイガー・モス・テイルズの2014年作
マルチ・ミュージシャンPeter Johnによる個人プロジェクトで、美しいシンセにメロウなギターを乗せた、
優雅なシンフォニックロックで、語りを含んだ映画的な雰囲気でファンタジックなストーリー性を描いてゆく。
かつてのGenesisのようなシアトリカルな世界観に、QUEENのようなキャッチーなコーラスハーモニーなども現れて
結果としてIQなどのような、いかにも英国らしいシンフォニックロックとなっている。ドラムは打ち込みなのだが、
オランダのCHRISによるBlack Codexシリーズあたりを思わせるクオリティの高さである。10分を超える大曲なども、
プログレとしての楽曲そのものの引っ掛かりはさほどでもないが、優雅な美意識に包まれた味わいで楽しめる。
ドラマティック度・・8 プログレ度・・7 優雅度・・8 総合・・8
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TIGER MOTH TALES 「STORY TELLERS PART ONE」
イギリスのシンフォニックロック、タイガー・モス・テイルズの2015年作
全盲のマルチ・ミュージシャンPeter Johnによる個人プロジェクト。きらびやかなシンセにメロディックなギターを乗せて
リズムチェンジを多用した展開の多いインストパートが、遊園地のようなファンタジックな世界観を描き出す、
優雅なシンフォニックロックサウンド。QUEENのような壮麗な雰囲気をプログレ化したという聴き心地で
マイルドなヴォーカルが入ってじっくりと聴かせる叙情ナンバーや、語りの入ったコミカルなナンバーなども含め
タイトルのように童話的な物語性を感じさせる作風だ。12分の大曲も緩急のついた構築力で、
映画的なドラマ性を巧みにプログレに融合させている。次回作あたりでものすごい傑作を作りそうな気配。
ドラマティック度・・8 プログレ度 壮麗度・・9 総合・・8
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TIGER MOTH TALES 「THE DEPTHS OF WINTER」
イギリスのシンフォニックロック、タイガー・モス・テイルズの2017年作
全盲のミュージシャン、ピート・ジョーンズによるプロジェクトで、2014年にデビュー、本作は3作目となる。
タイトル通り、冬をテーマにしたコンセプト作で、優美なシンセワークを中心にマイルドなヴォーカルと、
随所にホルンやトロンボーンなどのブラスも加えて、物悲しい精細な叙情美に包まれたサウンドを描く。
メロウなギターの旋律による泣きの叙情とともに、GENESISルーツのシンフォニックな美意識に包まれ
10分を超える大曲もしっとりと優美に聴かせる。MOON SAFARIあたりに通じるキャッチーな味わいも覗かせつつ、
軽やかなアンサンブルで耳心地の良いサウンドが楽しめる。うるさすぎない優雅なシンフォプログレの逸品です。
ドラマティック度・7 プログレ度・7 優美度・9 総合・8 
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TIGER MOTH TALES 「Story Tellers Part Two」
アメリカのシンフォニックロック、タイガー・モス・テイルズの2018年作
全盲のマルチ・ミュージシャンPeter Johnによる個人プロジェクトで、2015年作の続編となる3作目。
やわらかなシンセアレンジに叙情的なギター、マイルドなヴォーカルを乗せた優美なサウンドで、
きらびやかなシンフォニック性と、ファンタジックなストーリー性が合わさった聴き心地。
ゲストによる女性ヴォーカルも加わって、しっとりとした繊細な叙情美に包まれながら、
コミカルなポップ性も含んだ流れのある作風で楽しめる。楽曲自体にスリリングな部分は少ないので、
プログレ的な展開力という点では物足りなさもあるが、ミュージカルのように優雅に鑑賞できる好作品です。
ドラマティック度・・7 プログレ度・・7 優雅度・・9 総合・・8 
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TIGER MOTH TALES 「A VISIT TO ZOETERMEER」
イギリスのシンフォニックロック、タイガー・モス・テイルズのライブ。2019年作
CAMELのツアーキーボードとしても活躍するミュージシャンで、本作は2019年オランダでのライブをCD+DVDに収録。
ギター、ベース、ドラムにRED BAZARのメンバーが参加してのバンド編成、2016年作「Story Tellers Part Two」
デビュー作「Cocoon」からのナンバーを中心にしたセットで、やわらかなシンセワークにジェントルな歌声で、
優美なシンフォニックロックを聴かせる。ピアノをメインにした弾き語りのような繊細なナンバーなども含め、
全体的にも自然体な力みのなさで、スリリングな部分は希薄であるが、1st収録の14分超えの大曲なども、
丁寧な演奏でじっくりと構築している。DVDには同ライブの映像に加え、PVを5曲収録。
ライブ演奏度・8 プログレ度・7 優雅度・8 総合・8
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Tiger Moth Tales 「A Song Of Spring」
イギリスのシンフォニックロック、タイガー・モス・テイルズの2022年作
全盲のマルチミュージシャン、ピーター・ジョーンズによるプロジェクトで、2014年にデビューし、すでに7作目。
本作は、2017年の「玄冬」に続く、春をテーマにしたコンセプト作で、CAMELのアンディ・ラティマーがゲスト参加。
きらびやかなシンセによるイントロから、ヴィヴァルディの「四季」を思わせるメロディとともに春の喜びが感じられ、
自身のジェントルなヴォーカルを乗せ、やわらかなサックスも加えたキャッチーなシンフォニックロックが広がってゆく。
10分を超える大曲も、随所にプログレらしいシンセワークを織り込みつつ、あくまで優雅な耳心地で構築する。
ポップな小曲も挟みつつ、ラストは優美な歌もの感から、メロウなギターとシンセによるシンフォプログレとしての美しさに包まれる。
メロディアス度・8 プログレ度・7 優美度・8 総合・8 
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Tiger Moth Tales 「Spring re-Loaded」
イギリスのシンフォニックロック、タイガー・モス・テイルズの2022年作
「A Song Of Spring/春の歌」制作時の別バージョン音源にライブ音源などを加えた、全9曲入り、50分の作品。
ヴィヴァルディ「四季」をモチーフにしたキャッチーなメロディと、サックスも鳴り響くファンキーなテイストが合わさった
軽快なナンバーから、元々ポップユニットをやっていたという、ピーター・ジョーンズらしいモダンなアレンジに、
クラシカルなピアノをメインにした優美なアコースティックバージョンなど、それぞれ色合いの違ったミックスが楽しめる。
ドラマティック度・7 プログレ度・7 優雅度・8 総合・7.5 
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Tim Bowness 「Abandoned Dancehall Dreams」
イギリスのミュージシャン、ティム・ボウネスの2014年作
NO-MANHenry Foolでも活躍するミュージシャンで、ほどよくプログレ感のあるシンセアレンジに
やわらかなヴォーカルを乗せて、しっとりと聴かせる繊細なポストプログレサウンド。
アコースティックギターによる素朴な叙情性と、シンセの重ねによる美しさが合わさって、
メロウなギターの旋律とともに耳心地の良い味わいで、ときにストリングスアレンジも加えた
シンフォニックな感触も楽しめる。限定盤のDisc2には、別ミックスや未発曲などを収録。
ドラマティック度・・7 プログレ度・・7 繊細度・・8 総合・・8
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Tim Bowness 「Flowers At The Scene」
イギリスのミュージシャン、ティム・ボウネスの2018年作
NO-MANやHenry Foolでも活躍するミュージシャンのソロで、うっすらとしたシンセにメロウギターを重ね
センシティブなヴォーカルを乗せた、しっとりと幻想的な味わいのポストプログレを聴かせる。
シンフォニックなシンセアレンジや優雅なストリングス、泣きのギターフレーズやフルートなど、
本家NO-MAN以上にプログレ的に楽しめる部分も多く、優しい聴き心地にうっとりとなりつつ、
曲によってはハードめのギターが加わって、Porcupine Treeのような味わいもある。繊細で優美な作品です。
スティーヴン・ウィルソンがミックスを手掛け、ゲストには、ピーター・ハミルをはじめ、アンディー・パートリッジ(XTC)
コリン・エドウィン(Porcupine Tree)、ジム・マテオス(Fates Watning)、デヴィッド・ロングドン(Big Big Train)などが参加。
ドラマティック度・・7 プログレ度・・7 優美度・・8 総合・・8
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TIM BOWNESS 「LATE NIGHT LAMENTS」
イギリスのミュージシャン、ティム・ボウネスの2020年作
NO-MAN、Henry Foolでも活躍するミュージシャン、本作はスティーヴン・ウィルソンがミックスを担当、
PORCUPINE TREEのリチャード・バルビエリ、コリン・エドウィン、KNIFEWORLDのカヴース・トラビ、
Iamthemorningのエヴァン・カーソンなどがゲスト参加。うっすらとしたシンセアレンジに優美なピアノや
ヴィブラフォンの響き、メロウなギターとマイルドなヴォーカルを乗せて、しっとりと繊細なサウンドを描く。
曲によっては、美しい女性ヴォーカルも加わり、最後まで優美に楽しめるアンビエント・プログの逸品。
Disc1の本編は38分と短めであるが、Disc2には、本作のアウトテイクスなどを収録していて、ファンには嬉しい。
ドラマティック度・7 プログレ度・7 優美で繊細度・9 総合・7.5 
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Tim Bowness 「Butterfly Mind」
イギリスのミュージシャン、ティム・ボウネスの2022年作
No-Man、Henry Foolなどでも活躍するミュージシャンで、本作にはイアン・アンダーソン、ピーター・ハミルなどがゲスト参加、
従来の繊細な歌もの系ポストプログレの路線から、より多様なアレンジを含んだ作風となっている。
躍動的なアンサンブルにマイルドなヴォーカルを乗せた、キャッチーな味わいと翳りを帯びた叙情に
エレクトロなモダンさが同居し、フルートやサックスを取り入れた優雅さや、ときにいくぶんハードなギターによるロック感など、
わりと振り幅のあるアレンジを見せている。しっとりとした小曲や、従来のエモーショナルな歌もの路線も残しながら、
新たなセンスを加えた好作だ。Disc2には、全曲の別バージョンを収録。よりデジタルなアレンジで聴き比べるのもよし。
ドラマティック度・7 プログレ度・7 優雅度・8 総合・7.5 
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Tin Spirits 「Wired To Earth」
イギリスのプログレロック、ティン・スピリッツの2012年作
元XTCのデイヴ・グレゴリーが参加するバンドで、コーラス入りのキャッチーな歌もの感覚に、
適度にテクニカルなアンサンブルが合わさった、プログレ風のメロディックロック。
Genesis“Back in N.Y.C.”のカヴァーも取り上げるなど、キャッチーなポップ感覚と、
プログレ的な要素が溶け合った耳心地のよいサウンドだ。全体的に肩の力の抜けた作風ながら、
13分の大曲などでは、しっかりとした演奏力と構築センスも感じさせる。
メロディック度・・8 キャッチー度・・8 プログレ度・・7 総合・・7.5
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Tinyfish 「Curious Things」
イギリスのプログレバンド、タイニー・フィッシュの2009年作
適度なハードさとキャッチーな感触で聴かせる、プログレ風味のメロディックロック。
IT BITESの3rdあたりに通じる歌もの的なスタイリッシュなポップ性と
ポストプログレ的でもあるしっとりとした繊細な叙情が合わさった雰囲気で、
ときにデジタリィなアレンジも覗かせる。UKロック的なメジャー感とセンスの良さに
素朴な味わいも含んだ好作品だ。全7曲30分弱のミニアルバム。
メロディック度・・8 プログレ度・・7 モダン&キャッチー度・・8 総合・・7.5
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Tinyfish 「One Night on Fire」
イギリスのプログレバンド、タイニーフィッシュのライブ作。2009年作
2009年ポーランドでのライブを収録。ナレーションによる語りを含んだコンセプト的な雰囲気で、
メロディックなギターに伸びやかなヴォーカルを乗せたキャッチーな爽快さに、
タイトでアンサンブルで聴かせる、スタイリッシュなプログレハードが広がってゆく。
いわゆるプログレらしさやダイナミックな展開というのはあまりないのだが、
It BitesPallasのような英国らしい空気感と適度にモダンな構築センスも含めて、
ポストプログレとUKロックの中間をゆくような雰囲気がこのバンドの持ち味なのだろう。
聴き心地は良いのだが、個人的にはもうひとつ突き抜けた楽曲が欲しいと思ってしまう。
ドラマティック度・・7 プログレ度・・7 ライブ演奏・・8 総合・・7.5
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Tolga Kashif 「The Genesis Suite」
作曲家、指揮者、プロデューサーでもあるトルガ・カシフによるジェネシスの名曲をモチーフにした組曲作品。2010年作
自らロンドン交響楽団を指揮して録音した本作は、優美なオーケストラに女性ヴォーカルの歌声も入った、
壮麗なサウンドを表現。初期の楽曲を取り上げていないのが残念だが、7曲中、「Trick of the Tail」から3曲、
「And Then There Were Three」から2曲を取り上げていて、やはりプログレというよりは優雅な叙情性に包まれた
クラシック音楽を鑑賞するような聴き心地である。ロック色はほとんどないが、艶やかなストリングスの音色とともに、
ときにThe Enidばりのスケール感も含んだ、一流の演奏者たちによる繊細なシンフォニーが味わえる。
クラシカル度・・9 プログレ度・・5 優美度・・9 総合・・8
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Tom Slatter 「Happy People」
イギリスのミュージシャン、トム・スラッターの2017年作
2013年にデビュー、本作は3作目。適度にハードなギターにシンセを重ね、
マイルドなヴォーカルを乗せて、モダンでキャッチーなサウンドを聴かせる。
メロディックなギターフレーズとともにシンセの重ねによるシンフォニック性と、
スタイリッシュな硬質感で、薄暗系のハードプログレとしても楽しめる。
楽曲そのものに、もう少しフックある展開や盛り上がりが欲しい気もするが、
ジャケのイメージほどサイバーな雰囲気もないので、わりと聴きやすい。
ドラマティック度・・7 プログレ度・・7 楽曲・・7 総合・・7
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Tony Patterson 「Equations Of Meaning」
英国のミュージシャン、トニー・パターソンの2016年
自身でヴォーカル、ギター、シンセアレンジ、フルートをこなすマルチミュージシャンで、
メロトロンが鳴り響き、アコースティックギターのつまびきに、オーケストレーションがかぶさる、
シンフォニックな美しさと、マイルドなヴォーカルを乗せた叙情性で、かつてのGENESISを思わせる
幻想的で繊細な美意識を感じさせる。キャッチーなナンバーも優美なアレンジに包まれていて、
随所にフルートやサックスの音色も加わったり、メロウなギターフレーズも光っている。
スリリングな展開は薄いのだが、どこまでもやわらかな聴き心地でゆったりと楽しめる傑作です。
シンフォニック度・・8 プログレ度・・7 優美度・・9 総合・・8
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Tony Patterson & Brendan Eyre 「Northlands」
英国のマルチミュージシャン、トニー・パターソンと、RIVERSEAのシンセ奏者ブレンダン・エイルによるユニット。2014年作
やわらかなピアノの音色に美しいシンセアレンジとオーケストレーション、アコースティックギターのつまびきや
繊細なフルートの音色とともに、しっとりと繊細なサウンドを描く。REGENESISのVoとしても知らるトニーの歌声は
楽曲に溶け込むようなマイルドな大人の叙情をかもしだし、24分の大曲も、大仰にならない繊細な美意識に包まれて、
ハケットのソロ作などに通じる優しい味わいがある。そのスティーブ・ハケット&ジョン・ハケット兄弟に、ニック・マグナスなどがゲスト参加。
ゆったりとしたニューエイジ風味のナンバーなどもあって、プログレとして聴くには物足りなさもあるのだが、
英国らしい優雅なシンフォニック性と、Marillionのようなモダンでメロウな叙情ロックが合わさったという好作品だ。
ドラマティック度・・7 プログレ度・・7 繊細で優雅度・・9 総合・・8
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Tony Patterson, Doug Melbourne 「The Devied」
イギリスのミュージシャン、トニー・パターソンとダグ・メルボルンの2019年作
ReGenesisのメンバー2人によるユニットで、デジタルなリズムにうっすらとしたシンセ、マイルドなヴォーカルを乗せた
しっとりとした翳りを帯びたサウンドを聴かせる。Steven Wilson以降の世界観というべき薄暗いポストプログレに、
シンフォルーツの叙情的なギターや優美なピアノを含むシンセアレンジ、女性コーラスなども加えた優雅な味わいで、
ゆったりとした耳心地の良さに包まれる。楽曲は4〜6分前後で、派手な展開などはないが、
美しいシンセの重ねと優しい歌声で、じわじわと繊細な叙情美を味わえる好作です。
ドラマティック度・7 プログレ度・6 叙情度・8 総合・7.5
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Tony Patterson, Doug Melbourne 「Dark Before Dawn」
イギリスのミュージシャン、トニー・パターソンとダグ・メルボルンの2022年作
このコンビの2作目となる本作は、のっけからオルガンが鳴り響き、軽快なリズムとキャッチーなヴォーカルメロディで
優美なシンフォニックロックを展開。叙情的なギターの旋律とともに、前作に比べてしっかりとロックのノリがあって、
YES系のシンフォプログレとしても楽しめる。いくぶんデジタルなアレンジやアコースティックギターとシンセによる
繊細なナンバーなど、モダンとヴィンテージの融合された聴き心地で、ゆったりと鑑賞できる逸品です。
ドラマティック度・7 プログレ度・7 叙情度・8 総合・8
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TOUCHSTONE「Discordant Dreams」
イギリスのシンフォニックロックバンド、タッチストーンの2008年作
男女ヴォーカルの歌声で聴かせるMostly Autumnタイプのハードシンフォニック作。
叙情的なギターのメロディには、IONAあたりにも通じるウェットな感触があるが、
ギターの刻みや意外と激しめのドラムなどはもっとハードロック/メタル寄りの雰囲気。
楽曲的にももう少しひねりが欲しいし、個人的にはもっと女性声がメインだとなお嬉しい。
シンフォニック度・・7 女性Vo度・・7 楽曲・・7 総合・・7.5
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TOUCHSTONE「Live in the USA」
イギリスの男女Voシンフォニックロックバンド、タッチストーンのライブ作。2010作
男女ヴォーカルの歌声と、美麗なシンセによるハードシンフォニックなサウンドで、
本作は2009年アメリカでのライブ音源をCD2枚に収録。女性ヴォーカルの美しい歌唱と
スタジオ盤以上にダイナミックな演奏がなかなか魅力的。Mostly Autumnなどに比べると
ずっとハードロック寄りで、叙情性よりもノリの良さが持ち味。個人的には男Voは不要かと。
メロディアス度・・8 ハードシンフォ度・・8 女性Vo度・・8 総合・・7.5
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TOUCHSTONEWintercoast」
イギリスの男女Voシンフォニックロックバンド、タッチストーンの2010年作
けっこうヘヴィめのギターが入ったメタリックな質感と、Mostly Autumnあたりにも通じる
美しい女性ヴォーカルの歌声で聴かせるシンフォニックな叙情美が合わさった作風。
相変わらず男ヴォーカルはとくに必要ない気がするが、女性声の活躍頻度はずいぶん増していて、
しっとりとしたバラード曲などはじつに美しい。また楽曲におけるダイナミックさも強まっていて
美麗なシンセをバックにしたギターのメロディアスなフレーズも随所で光っている。
英国産の本格派シンフォバンドとしてモストリー・オータムに並びそうなクオリティにはきている。
シンフォニック度・・8 ドラマティック度・・8 女性Vo度・・8 総合・・8
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Touchstone「City Sleeps」
イギリスの男女Voシンフォニックロックバンド、タッチストーンの2011年作
ライブアルバムをはさんでの3作目で、美しい女性ヴォーカルの歌声で聴かせる、
シンフォニックハードサウンドは前作の延長上ながらよりダイナミックになっている。
この手のバンドにしては重厚さの効いたドラムとエッジのあるギターサウンドに、
美麗なシンセワークも含めて、PALLASあたりを思わせるドラマティックな雰囲気だ。
10分超の大曲も2曲あり、メリハリのある展開と、女性Voの美しさに惚れ惚れする。
ここぞというところで聴かせるメロディと盛り上げ方も上手くなった。なかなかの力作です。
ドラマティック度・・8 プログレ度・・8 女性Vo度・・8 総合・・8
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Touchstone 「Oceans of Time」
イギリスのシンフォニックハード、タッチストーンの2013年作
前作もなかなかの力作だったが、4作目となる本作も、適度にハードなギターワークに、
女性ヴォーカルの歌声で聴かせる、キャッチーなプログレハードサウンドになっている。
うるさすぎないシンセアレンジに、随所にメロウなギターフレーズが重なり、
キム嬢の伸びやかな歌声は、ときにジュリアンヌ・リーガンばりにしっとりと美しい。
これまでは男女Voであったが、本作では女性Voメインになったことで、よりウェットな聴き心地で、
バンドの方向性もはっきりしてきた。The Reasoningあたりが好きな方もいかが。
ドラマティック度・・7 プログレ度・・7 女性Vo度・・8 総合・・7.5
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TOUCHSTONE「Live Inside Out」
イギリスのシンフォニックハード、タッチストーンのライブ。2014年作
2008年にデビュー、男女Voのハードシンフォ系バンドとして2013年までに4枚のアルバムを発表、
本作は2作めのライブ作品となる。CD+2DVDで、2枚のDVDにはそれぞれ別会場でのライブを収録。
いくぶんメタリックなギターとツーバスのドラムによるヘヴィな質感と、浮遊感のある女性ヴォーカルを乗せて、
ときにゴシックメタル的な感触も含んだようなサウンドは、プログレよりはむしろメタル系リスナーに受けそうな気がする。
紅一点、キム嬢の歌声は、音程も含めて抜群に上手くはないのだが、なよやかでフェミニンな魅力があって嫌いではない。
音質的にはややラウドで、CDの音だけではさほど面白くはないので、DVDでの彼女の映像を鑑賞するのをお薦めします。
ライブ演奏・・7 わりとハー度・・8 女性Vo度・・7 総合・・7.5
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TRACY HITCHINGS「FROM IGNORANCE TO ECSTASY」
イギリスのポンプ&シンフォ界を代表する女性Vo、トレーシー・ヒッチングスのソロ作。1991作
彼女の履歴としてはQUESARSTRANGERS ON A TRAINLANDMARQオリバー・ウェイクマン(リックの息子)との共作にも参加、
GANDALFの作品にも参加したりと、まさにシンフォニック界の女性ヴォーカル請負人である。
本作は1991年、時期的にはSTRANGERS ON A TRAINの直前ということで、当然のようにクライブ・ノーラン(ARENA、PENDRAGON)が参加、
他のメンツもSTRANGERS ON A TRAINや元QUESARのメンバー。シンフォニック全開というよりは、
トレーシーの歌をメインにした曲が多く、彼女のファンは聴いて損はないだろう。というか曲によってはそのまま今のLANDMARQみたい。
キュートでハスキーな声質は好みを分ける部分もあるが、一聴しただけで彼女とわかる個性は素晴らしい。
メロディアス度・・7 シンフォニック度・・7 女性Vo度・・8 総合・・7.5
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TRIPPA「Sorry」
マジェンタのロブ・リードとクリスティーナ・ブースによるユニット、トリッパの2007年作
1995〜2000年の間に活動していた、いわばMAGENTAの前身ともいうべきバンドで、
本作は唯一の音源であるシングルに、未発表のマテリアル、新曲を加えて作られたもの。
サウンドはモダンなキャッチーさで聴かせるメロディック・ポップロックで、プログレ風味は薄いものの、
むしろその分、クリスティーナ嬢のコケティッシュな歌声の魅力が前に出ている。
キュートな女性Voものということでは、AYREONのルカッセンがやっていたAmbeonを思い出した。
メロディアス度・・8 プログレ度・・7 女性Vo度・・8 総合・・8
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Twelfth Night 「Fact and Fiction」
イギリスのシンフォニックロック、トゥウェルフス・ナイトの1982年作
1980年にデビュー、IQPALLASPENDRAGONと並ぶ、ポンプロック黎明期のバンドで、本作は3作目。
きらびやかなシンセに適度にハードなギター、クセのあるシアトリカルなヴォーカルを乗せて、
いかにもGENESISルーツの優雅なポンプロックを聴かせる。10分を超える大曲では、緩急ある展開に、
メロウなギターに美麗なシンセワークで、初期MARILLIONなどにも通じるドラマティックな味わいが楽しめる。
CD再発盤にはボーナスにシングルや未発曲を7曲追加収録。わりとポップなナンバーもいかにも80年代らしい。
ドラマティック度・・8 プログレ度・・7 ポンプロック度・・8 総合・・7.5
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Twelfth Night 「Live and Let Live」
イギリスのシンフォニックロック、トウェルフス・ナイトの1984年作
80年代初頭から活動する、英国ポンプの元祖というべきバンドのひとつ。
本作は1983年英国でのライブを収録。きらびやかなシンセに適度にハードなギターを重ね、
PALLASなどにも通じる、いかにも英国らしいキャッチーでメロディックなサウンドを聴かせる。
リズムチェンジを含む展開力にシアトリカルに歌い上げるヴォーカルとともに、10分を超える大曲では、
初期MARILLIONIQのような、GENESISルーツのドラマティックなポンプロックの味わいで楽しめる。
このバンドの正規アルバムはなかなか手に入らないので、本作で知るにも良いでしょう。全76分の濃密なライブ作です。
ドラマティック度・・8 ライブ演奏・・8 英国ポンプ度・・9 総合・・7.5 
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25 Yard Screamer 「Natural Satellite」
イギリスのプログレバンド、トウェンティファイヴ・ヤード・スクリーマーの2019年作
2004年にデビュー、本作は6作目。適度にハードなギターにうっすらとしたシンセ、マイルドなヴォーカルを乗せ、
翳りを帯びたアンニュイな叙情に包まれたサウンドを聴かせる。オルタナ風のハードなパートもありつつ
随所に物悲しいメロディを覗かせながら、15分前後の大曲もじっくりと構築してゆく。
歌もの風のモダンな薄暗系プログレハードという作風であるが、美しいシンセアレンジや
ときに女性ヴォーカルなども加わった、優雅な空気感はなかなか魅力的ではある。
全体的には、楽曲ごとの魅力的な展開や、プログレらしい盛り上がりがもう少し欲しい気はする。
ドラマティック度・・8 プログレ度・・7 薄暗度・・8 総合・・7
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TWOMBLEY BURWASH 「Grak」
イギリスのプログレバンド、トゥームレイ・バーウォッシュの2014年作
マイルドなヴォーカルに、ヴァイオリンが鳴り響くケルティックなテイストも含んだメロディックなサウンド。
緩急のある展開で聴かせるのだが、キャッチーであるが抜けきれないという、B級バンドらしさにも包まれていて、
随所にいい感じのシンセアレンジやメロウなギターも入りつつ、全体的にはどうも煮え切らないという印象。
ラストは22分の大曲なのだが、テクノ風味のデジタルなアレンジはいったいどこを目指しているのか意味不明。
まずは魅力的なメロディのフックや流れを楽しめるような展開を磨いてください。落書きみたいなジャケもひどいね。
メロディック度・・7 プログレ度・・7 楽曲・・6 総合・・6.5
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VWZ

Venus Principle 「Stand in Your Light」
イギリス&スウェーデンのサイケプログレ、ヴィーナス・プリンシプルの2022年作
ハード過ぎないギターにメロトロンやオルガンを含むシンセ、しっとりとした女性ヴォーカルにジェントルな男性声が重なる
涼やかで牧歌的なサウンドを聴かせる。優美なシシセにメロウなギター、男女声を乗せた優雅な叙情性という点では、
MOSTLY AUTUNM
などに通じる感触もあり、浮遊感のあるヴィンテージなシンフォプログレとしても楽しめる。
一方では、女性声をメインにメロトロンが鳴り響く妖しいナンバーもよい雰囲気で、WHITE WILLOWを思わせたりする。
涼やかな空気とドゥーミィな翳りに包まれた、まさに北欧と英国の融合というべき好作品である。
ドラマティック度・8 プログレ度・7 翳りと叙情度・9 総合・8
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THE VICAR 「Songbook #1」
イギリスのミュージシャン、デヴィッド・シングルトンによるプロジェクト、ヴィカー2013年作の
KING CRIMSONのDGMレコードのプロデューサーで、ロバート・フリップの片腕としても知られるミュージシャン。
本作は自身の息子が手掛けるコミックとの連動作品で、音楽プロデューサー「ザ・ヴィカー」の冒険を描いたコンセプト作。
キャシー・スティーヴンス、トニー・レヴィン、スティーヴ・シドウェル、チャス・ディッキー、セオ・トラヴィスといったメンバーが参加、
QUEENNを思わせるキャッチーなコーラスハーモニーに艶やかなヴァイオリンが鳴り響き、優雅なクラシカル性と、
モダンなポップセンスを合わせたサウンドを描く。無名ながら、参加したヴォーカリストたちの表現力も見事だ。
ドラムやエレキギターなどは入らないのでロック的な質感は薄いのだが、ストリングスやフルート、クラリネット、オーボエ、
トロンボーン、ピアノといった、室内楽的な優雅さに包まれた聴き心地で、むしろチェンバー的なポストプログレとしても楽しめる。
クラシカル度・・8 プログレ度・・7 優雅度・・8 総合・・8
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Vienna Circle
「Silhouette Moon」
イギリスのプログレ・ロック、ヴィエナ・サークルの2013年作
ポール&ジャックのデービス兄弟によるユニットで、Marillionなどに通じる繊細な叙情性で聴かせる、
ポストプログレ風味のサウンド。やわらかなピアノにうっすらとしたシンセ、メロウなギターと
マイルドなヴォーカルの歌声で、モダンな翳りを含んだしっとりとしたメロディックロックを構築してゆく。
随所にやわらかなフルートの音色やシンフォニックなアレンジも入ってきて、13分の大曲なども
案外メリハリのある構築力で楽しめる。SYLVANあたりが好きな方にもお薦めの好作品。
ドラマティック度・・7 プログレ度・・7 繊細度・・8 総合・・7.5
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VLY 「I/[Time]」
イギリスのプログレバンド、VLYの2015年作
CRIPPLED BLACK PHOENIXのギタリストを中心に、元ANGLAGARDのマティアス・オルソン、
イタリアのIL TEMPIO DELLE CRESSIDREの女性シンセ奏者が参加したユニットで、
マイルドなヴォーカルと美しいシンセ、メロウなギターで繊細な叙情を聴かせるサウンド。
オルガンやメロトロンを含んだエリーザ嬢のやわらかなシンセワークが耳心地よく、
PINK FLOYD的な浮遊感に包まれた作風は、夢見心地のポストプログレというべきか。
オールドな感触のキャッチーさと、スタイリッシュなモダンさの融合された好作品。
ドラマティック度・・7 プログレ度・・7 繊細度・・9 総合・・8
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WILLOWGLASS
イギリスのシンフォニックユニット、ウィローグラスの2005作
ギター、ベース、ドラム、キーボード、フルートを一人でこなすアンドリュー・マーシャル氏による
個人プロジェクトで、サウンドはたおやかでレトロな雰囲気のシンフォニックロック。
鳴り響くメロトロンに優しげなフルート、時代性は皆無なスローライフな空気が漂っている。
ジャケも含めたマイナー臭さも魅力で、この手の好事家にはある種たまらないサウンドだろう。
シンフォニック度・・8 プログレ度・・7 しっとりゆったり度・・9 総合・・7.5
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WILLOWGLASS 「Book of Hours」
イギリスのシンフォニックロック、ウィローグラスの2008年作
マルチプレイヤーのアンドリュー・マーシャルとドラマーによる二人組ユニットで、
1作目はいくぶんマイナー臭さのある牧歌的なシンフォであったが、本作はのっけからムーグにメロトロンを含む
きらびやかなシンセの重ねにメロウなギターを乗せた、優雅なシンフォニックロック・サウンドが広がってゆく。
10分を超える大曲も、メロディのフックとプログレらしさに包まれたシンセワークで、にんまりしながら楽しめる。
アコースティックギターやフォーキーなリコーダーなど、英国らしい牧歌的な味わいの繊細な叙情も含んだ、
耳心地の良いインストシンフォ作品。ドン・キホーテをイメージさせるジャケも、微笑ましくてよいですね。
シンフォニック度・・8 プログレ度・・8 叙情度・・8 総合・・8
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Willowglass 「The Dream Harbour」
イギリスのシンフォニックロック、ウィローグラスの2013年作
3作目となる本作も、オルガンやメロトロンを含んだシンセアレンジとメロウなギターワークを中心に、
ヴァイオリンやフルートの音色も含んだ、やわらかな叙情を聴かせるインストサウンド。
スリリングな要素は希薄であるが、Genesisルーツの幻想的な美しさを受け継いでいるという点では、
イタリアのThe Watchなどと同様にマニア受けするバンドだと思う。古き良きスタイルの英国シンフォ好作。
メロウ度・・8 プログレ度・・7 叙情度・・8 総合・・7.5
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Wisdom of Crowds
The Pineapple Thiefのブルース・ソードとKATATONIAのヨナス・レンクスによるプロジェクト、ウィズダム・オプ・クロウズの2013年作
マイルドなヴォーカルの歌声を中心に、エレクトロでモダンなアレンジを含んで、
薄暗い世界観を描き出す、いかにもKscope的といってよいポストプログレ風味のサウンド。
ギターは随所にハードなプレイも覗かせつつ、全体としてはあくまで歌ものとしての聴き心地で、
グラムロック的なキャッチーな感触もある。ラストはモダンなハードプログレ風味の好曲で、
個人的にはこの路線の曲を増やして欲しい気がします。次作があったらぜひ。
メロディック度・・7 プログレ度・・7 モダン度・・8 総合・・7.5
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THE WISHING TREE「CARNIVAL OF SOULS」
イギリスの女性Voメロウロック、ウィッシング・トゥリーの1996年作
MARILLIONスティーブ・ロザリーによるユニットで、美声の女性ヴォーカル、ハンナ嬢の歌声をメインに、
シンフォニックというよりは、むしろアコースティック風味のしっとりとした繊細なサウンドを聴かせる。
ベースには、マリリオンのピート・トレワバス、ドラムにはENCHANTのポール・クラディックが参加している。
サウンドはプログレというよりは、フォーキーな牧歌性も含んだメランコリックな叙情ロックという趣で、
曲によっては、ALL ABOUT EVEなどに通じる味わいも。ただ、清涼でキュートな歌声を聴いているだけで
癒される音楽ではある。余談だがハンナ嬢は、このユニットが縁となりドラムのポールと結婚したらしい。
メロディアス度・・8 繊細度・・9 女性Vo度・・9 総合・・8
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the wishing tree「Ostara」
イギリスの女性Voロックユニット、ウィッシング・トゥリーの2009年作
1996年にアルバムを出してからずっと音沙汰のなかったこのバンド、まさか10年以上もたってから
こうして新作を出して来るとは。スティーブ・ロザリー氏はそれだけ多忙だったのだろうか。
しかしながら、女性ヴォーカルの歌声をメインした、しっとりとやわらかなサウンドは本作でも不変。
ハンナ嬢のキュートな歌唱は倦怠の浮遊感と癒し系の繊細さが同居していて、相変わらず耳心地がよい。
曲そのものはシンプルでさして面白くはないので、あくまで歌ものとしてまったりと聴きましょう。
メロウ度・・8 プログレ度・・6 女性Vo度・・8 総合・・8
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WOOLLY WOLSTENHOLME 「MAESTOSO」
Barclay James HarvestのKey、ウーリー・ウォルステンホルムのソロ作。1980年作
後のMAESTOSOへとつながる作品だろうが、80年という時代性もあってか優美なシンフォニック性と
キャッチーなメロディアス性が同居したサウンドで、後期BJHにも通じる英国らしい牧歌的な味わいも残している。
もちろんその美しいシンセワークはさすがで、泣きのメロディを奏でるギターと合わさると、英国らしい繊細な叙情に包まれる。
マイルドなヴォーカルを乗せた歌ものナンバーなどでは、後期のYESを思わせるキャッチーなコーラスワークも覗かせて、
全体的にゆったりと味わえる大人のシンフォニックロックという趣だ。現在は、本作を含んだ7枚組ボックスセットで入手可能。
メロディアス度・・8 プログレ度・・7優美度・・9 総合・・8
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Woolly Wolstenholme「Black Box Recovered」
Barclay James HarvestのKey、ウーリー・ウォルステンホルムのソロ作。1994/2004作
これまでCD化されたことのない幻の2ndソロの音源に、1980年の1st「MAESTOSO」のデモを収録。
叙情的な泣きのギターと美しいシンセワーク、そしてBJHを思わせるやわらかな歌メロが合わさった
シンフォニックで美麗なサウンドにうっとりとなる。楽曲によっては80年代らしいポップな味わいもあり、
シンセ奏者のソロというよりは、普遍的なメロディアスなロックとしての質の高さが光る傑作だ。
メロディアス度・・8 プログレ度・・7 優美な叙情度・・9 総合・・8
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Woolly Wolstenholme 「Strange Worlds: A Collection 1980-2010」
イギリスのミュージシャン、ウーリー・ウォルステンホルムのアンソロジー。2018年作
BARCLAY JAMES HARVESTのシンセ奏者で、MANDALABANDにも参加、近年はソロプロジェクトMAESTOSOで活躍しながら、
2010年に逝去した彼の全作品を収録したボックス。ソロ名義の1980年作「MAESTOSO」、1994年作「BLACK BOX RECOVERED」、
MAESTOSO名義の2004年作「ONE DROP IN A DRY WORLD」、2005年のライブ作「FIDDLING MEANLY」、2005年作「GRIM」、
2007年作「CATERWAULING」、そして生前に書き残した未発表音源集を収録した、CD7枚組。ソロ名義の2作は、BJHにも通じる
牧歌的でキャッチーな味わいで、英国らしい優雅さに包まれたサウンドが楽しめる。マエストソとしての3作+ライブでは、
よりドラマティックなシンフォニックロックを志向して、クラシカルな壮麗さに大人の叙情美が合わさった作風が素晴らしい。
Disc7の未発音源20曲はいずれも初出で、ファンには嬉しい限り。優雅な叙情とメロディに溢れた作品群を改めて再評価すべし。
メロディック度・・8 優美度・・9 英国の叙情度・・9 総合・・8.5 
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ZIO
「Flower Torania」
イギリスのシンフォニックロック、ジオの2020年作
KARNATAKAのドラムを中心に、元KARNATAKAのヘイリー・グリフィス、元MOSTLY AUTUMNのヘザー・フィンドレイ、
THE ENIDのジョー・ペインが参加。RPGゲームの世界に取り込まれた少年の冒険を描くコンセプト作品となっている。
きらびやかなシンセに適度にハードなギター、実力ある男女ヴォーカルの歌声を乗せた壮麗なサウンドを展開。
ドラムはツーバスなので、演奏面ではProgMetal的な部分も感じられ、随所に巧みなギターフレーズも覗かせながら、
キャッチーなヴォーカルハーモニーとともに、シンフォニックなメロディックロックという聴き心地で楽しめる。
ときにゲームミュージック的なアレンジも含ませつつ、華やかにコンセプトストーリーを描いてゆく力作です。
ドラマティック度・・8 プログレ度・・7 壮麗度・・8 総合・・8
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ZORBONAUTS 「THE UNOBSERVED BEAVER」
イギリス&アメリカのプログレバンド、ゾルボナウツの2021年作
YESのジェフ・ダウンズ、BIG BIG TRAINのニック・ディヴァージリオ、SPOCK'S BEARDのデイヴ・メロス
Jerusalemのリンデン・ウィリアムス、ボブ・コックといったメンバーが集ったバンドで、本作は2作目となる。
ハード寄りのギターにオルガンなどのシンセを重ね、伸びやかなヴォーカルで聴かせる、
わりとストレートなロックサウンド。70年〜80年代のブリティッシュロックをルーツにした味わいに
キャッチーなスタイリッシュ性が合わさったコンパクトな作風であるが、技量のあるメンバーによる
演奏力の高さはさすがというところ。プログレというよりは、シンセ入りのハードロックとしても楽しめる。
ドラマティック度・7 プログレ度・6 爽快度・8 総合・7.5
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