〜PROGRESSIVE ROCK CD REVIEW 2022 by 緑川 とうせい

★2021年に聴いたプログレ(フォーク/トラッド・その他含む)CDレビュー
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1/7
明けましてイタリアンプログレ(16)


I Pooh 「Dove Comincia Il Sole」
イタリアンロックバンド、イ・プーの2010年作
デビューは1966年という、まさにイタリアンロックの大御所中の大御所で、アルバムは優に30作以上。
本作は見開きジャケの豪華な仕様にもバンドとしての気合が感じられるが、サウンドの方も素晴らしい。
彼らにしてはわりとハード寄りのギターにオーケストレーションを重ねたシンフォニックに感触で、
ジェントルなイタリア語のヴォーカルとともに、壮麗な叙情に包まれたサウンドが広がってゆく。
キャッチーなコーラスに泣きのギターメロディ、優美なピアノとやわらかなシンセアレンジで、
大人のシンフォニックロックとしても鑑賞できる。もちろんキャッチーなイ・プーらしさも残していて、
優雅なアコースティックナンバーなどもアクセントになっている。歌もの系イタリアンロックの最高峰。
シンフォニック度・8 プログレ度・7 優美度・9 総合・8 過去作のレビューはこちら
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Rovescio Della Medaglia 「Contaminazione 2.0」
イタリアのプログレバンド、ロヴェッショ・デッラ・メダーリャの2020年作
RDMによる、1973年の傑作、3rd「汚染された世界」を完全再現した2018年シエーナでのライブを収録。
オリジナルメンバーはギターのエンツォ・ヴィータのみであるが、ツインギター、ツインキーボードの編成に
ストリングスカルテットも加え、クラシカルなシンフォニックロックをさらにダイナミックに甦らせている。
優美なピアノにエモーショナルなイタリア語のヴォーカル、オルガンなどのシンセにギターを重ね、
軽やかなアンサンブルとともに、バッハの楽曲をモチーフにした優雅なシンフォプログレを聴かせる。
艶やかなストリングスにウットリとなりつつ、フルートも鳴り響くイタリアンプログレらしさも含んだ、
見事な再現ライブが味わえる。ボーナスに、1st「La Bibbia」からの3曲を収録しているのもファンには嬉しい。
ライブ演奏・8 プログレ度・8 クラシカル度・8 総合・8 過去作のレビューはこちら
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GOBLIN REBIRTH 「ALIVE」
イタリアのプログレバンド、ゴブリン・リバースのライブ。2016年作
本家GOBLINのベース、ドラムを中心に結成された別働バンドによる、2011年イタリアでのライブで、
ゴブリンの黄金期の作品中心にセレクトされたナンバーを、2CDに全18曲収録。同タイトルのDVDも出ている。
軽やかなドラムと存在感のあるベースに、オルガンやエレピを含むツインキーボードとギターを乗せ、
Disc1は、2000年作「スリープレス」や、往年の代表作である「ローラー」、「サスペリア2」、「シャドー」、
さらには「BUIO OMEGA」などからのレアなナンバーも披露。Disc2は、「ローラー」収録の大曲「Goblin」から
おなじみ「ゾンビ」、プログレの傑作「マークの幻想の旅」、日本未公開作「CONTAMINATION」からのナンバーも披露。
シモネッティのゴブリンとはやや異なる感触ながら、ファンにとっては往年の楽曲がたっぷり味わえるライブ作品である。
ライブ演奏・8 プログレ度・7 ゴブリン度・8 総合・8 過去作のレビューはこちら
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Il Paradiso Degli Orchi 「Samir」
イタリアのプログレバンド、イル・パラディソ・デグリ・オルチの2020年作
2016年にデビューし、2作目となる。前作はレトロとモダンが同居したスタイリッシュな作風であったが、
本作は、のっけからフルートが鳴り響き、ヴィンテージな妖しさに包まれる。叙情的なギターに
メロトロンも鳴り響き、緩急あるインストパートから、イタリア語のヴォーカルを乗せて、
混沌とした味わいのプログレサウンドを展開する。中盤には、10分の大曲が2曲続き、
シアトリカルな歌声とともに怪しさっぷりの雰囲気で、吹き鳴らされるフルートも効果的。
往年のヘヴィプログレの空気をかもしだしつつ、カッチリしすぎないユルさもあるのが面白い。
ドラマティック度・8 プログレ度・8 イタリア度・8 総合・8 過去作のレビューはこちら
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Choruscant 「A Christmas Carol」
イタリアのプログレバンド、コーラスカントの2020年作
「クリスマス・キャロル」をコンセプトにした、CDR仕様の2枚組作品。1曲目からクリスマスキャロルのメロディを盛り込みつつ、
ハード寄りのギターにシンセやピアノ、艶やかなヴァイオリンを重ねた、ゴージャスなシンフォプログレを展開。
変則リズムにエモーショナルなヴォーカルを乗せ、メタリックなギターも加えたスリリングな展開力には、
ProgMetal的な感触もありつつ、22分という大曲では、優雅な叙情性に女性ヴォーカルも加わって、
シンフォプログレらしい展開力を見せる。Disc2では、MOON SAFARIばりのキャッチーなナンバーから、
メタル寄りのナンバーまで、ドラムを含めた確かな演奏力もあって、カラフルなハードプログレが楽しめる。
ジャケはチープだが、ドラマ性に包まれたサウンドは濃密な味わい。マイナー系シンフォプログの力作です。
ドラマティック度・8 プログレ度・8 イタリア度・7 総合・7.5
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QIRSH 「ASPERA TEMPORA Parte 1」
イタリアのプログレバンド、キルシュの2020年作
2013年にデビューし、2作目となる。ツインギター、ツインドラムという7人編成で、優美なシンセに
イタリア語によるジェントルなヴォーカルを乗せて、のっけから17分の大曲を構築する。
インストパートにやや長尺感はあるのだが、オルガンなどのヴィンテージなシンセに、
コンセプト的なロマンを感じさせる世界観で、ドラマティックなシンフォプログレが味わえる。
演奏力は並程度でリズム面なども意外性が少ないので、スリリングな展開はさほどないが、
優美なシンセワークは、ときにLE ORMEのようなイメージで、幻想的なサウンドを描いている。
ラストは詠唱めいたチャントを乗せた曲で、やや意味不明だが、センスの面白さは感じさせる。
ドラマティック度・8 プログレ度・7 イタリア度・8 総合・7.5
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Banda Belzoni
イタリアのプログレバンド、バンダ・ベルゾーニの2019年作
シンセ奏者のサンドロ・ベルゥとARTI E MESTIERIのジジ・ヴェゴーニを中心にしたバンドで、
OSANNAのリノ・ヴィレッティ、FINNISTERREのファビオ・ズファンティがヴォーカルで参加している。
エジプト遺跡の発掘で知られるイタリアの探検家、ジョバンニ・バティスタ・ベルゾーニをテーマに、
優美なシンセワークに叙情的なギターを重ね、イタリア語のジェントルなヴォーカルとともに、
大人の哀愁に包まれたシンフォプログレを聴かせる。アコースティックギターによる優雅な牧歌性や、
オルガンなどのヴィンテージな感触も含んだ作風で、全体的にもゆったりとしたサウンドなので、
スリリングな部分はあまりないが、イタリアンな叙情美をじっくりと鑑賞できる逸品です。
ドラマティック度・7 プログレ度・7 イタリア度・9 総合・8
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LA BATTERIA 「II」
イタリアのプログレバンド、ラ・バテリアの2019年作
2015年にデビューし、2作目となる。オルガンやムーグ、メロトロンなどのヴィンテージなシンセに
適度にハードで叙情的なギターを重ね、Goblinのようなミステリアスなインストサウンドを聴かせる。
アコースティックギターにやわらかなフルートが重なる、しっとりと優美なナンバーから、
ファンキーでキャッチーなナンバーまで幅広く、メロウなギターの旋律にオルガンも重なり、
3〜4分前後の小曲を連ねた流れで、一本の映画を構築するような味わいで楽しめる。
インストなので濃密な盛り上がりは薄いが、ゴブリン系のサントラ風プログレが好きな方はいかが。
ドラマティック度・7 プログレ度・7 サントラ風度・8 総合・7.5 過去作のレビューはこちら
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CORPORESANO
イタリアのプログレバンド、コルポレサノの2019年作
やわらかなシンセにメロウなギター、イタリア語による優しいヴォーカルを乗せて、
ジャケのイメージ通りの幻想的な叙情美に包まれたシンフォプログレを聴かせる。
全体的にもゆったりとした味わいで、スリリングな展開は希薄であるが、
繊細なギターのトーンとうっすらとしたシンセにより、どこを切っても優美で叙情的で、
耳心地の良いサウンドであるが、気の短い方には、全74分の長さはちと退屈かもしれぬ。
90年代シンフォのもっさりとした煮え切らなさを継承したような、Mellowレーベルらしい好作。
繊細シンフォ度・8 プログレ度・7 イタリア度・8 総合・7.5
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I VIAGGI DI MADELEINE
イタリアのプログレバンド、イ・ヴィアージ・ディ・マデレイネの2019年作
わりとハードなギターにシンセ重ね、イタリア語のヴォーカルで聴かせる、70年代ルーツのイタプロサウンド。
緩急ある展開力は、ときにいくぶんアヴァンギャルドで、イタリアンプログレ特有の妖しさに包まれる。
8〜12分という大曲をメインに、叙情的なギターにオルガンやピアノが重なる優美なインストパートなど、
ほどよいハードなノリとプログレらしさが同居していて、新鋭ながら堂々たるサウンドが味わえる。
楽曲間にイタリア語による語りを挟みつつ、ラストの大曲では、往年のイタリアン・ハードプログレらしい
ドラマティックな展開力で聴かせる。同郷のPANDORAなどにも通じる濃密な力作です。
ドラマティック度・8 プログレ度・8 イタリア度・8 総合・8
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SYNCAGE 「UNLIKE HERE」
イタリアのプログレバンド、シンケージの2017年作
テクニカルなリズムに硬質なギター、エモーショナルなヴォーカルを乗せ、エキセントリックな展開力と、
ときにDjent風味も含んだモダンなハードプログレを聴かせる。歌詞は英語なので、イタリアらしさは希薄で、
HAKENあたりをややスタイリッシュにした作風は、モダン派のProgMetalが好きな方などにも対応。
随所に叙情的なギターの旋律も覗かせたり、ヴァイオリンなどのストリングスを取り入れた優雅なアレンジや
アコースティックなパートから、ピアノやオルガンなど、プログレらしいシンセも加えた耳心地のよさも光っている。
14分という大曲では、先の読めない展開力でハードなモダンプログレを構築しつつ、後半はキャッチーに仕上げ、
ラスト3曲の流れるような構成には、クールなドラマ性を感じさせる。全68分、モダン派プログレの力作である。
ドラマティック度・7 プログレ度・7 スタイリッシュ度・8 総合・8
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STRANAFONIA 「PER UN VECCHIO PAZZO」
イタリアのプログレバンド、ストランフォニアの1997年作
叙情的なギターの旋律にオルガンなどのシンセを重ね、イタリア語のヴォーカルを乗せた、
緩急ある展開力のシンフォプログレを聴かせる。わりと唐突なリズムチェンジなども含め、
イタリア特有の怪しい空気感もかもしだしつつ、メロウな泣きのギターが哀愁の叙情で包み込む。
オルガンやムーグ系シンセをメインにしたプログレらしいインストナンバーも良い感じで、
全体的にも、70年代ルーツのイタプロをスタイリッシュな90年代型に仕立て上げたというサウンド。
90年代の隠れた好作品のひとつである。本作の後、2005年に自主制作で2作目「Acrobazie」を発表する。
ドラマティック度・8 プログレ度・8 イタリア度・8 総合・7.5
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STRANAFONIA 「Il Nuovo Rinascimento」
イタリアのプログレバンド、ストランフォニアの2014年作
1997年にデビュー、本作は9年ぶりとなる3作目。ジャケの地味さは相変わらずだが、
メロトロンやオルガン、ピアノなどの優美なシンセに、マイルドなヴォーカルを乗せて、
イタリアらしい優雅な叙情を描くサウンドは、より大人の深みを増した味わいになった。
もちろん70年代ルーツのイタリアンプログレの怪しさも残していて、屈折感のあるリズムチェンジや
シアトリカルなイタリア語の歌声とともに、初期のLA MASCHERA DI CERAなどに通じる雰囲気もある。
一方では、ジャズロック風味の軽妙なアンサンブルも覗かせるなど、バンドとしての成長を感じさせる好作品だ。
ドラマティック度・8 プログレ度・8 イタリア度・8 総合・8
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LAVIANTICA 「Clessidra」
イタリアのプログレバンド、ラヴィアンティカの2013年作
やわらかなシンセにほどよくハードで叙情的なギター、イタリア語のジェントルなヴォーカルで、
優美なシンフォプログレを聴かせる。ピアノやオルガンなどのシンセワークも耳心地よく、
随所に変拍子を含む軽やかなアンサンブルも覗かせつつ、ゆったりと大人の叙情を描いてゆく。
ギターのフレージングのセンスが良いので、ロックな質感を残しつつ、泣きのメロディも織り込ませ、
優美なシンセが絡むインストパートはなかなか魅力的。ラストは11分の大曲で、ヴァイオリンが鳴り響き、
繊細なピアノやオルガンも重なって、メロウなギターとともに優雅なシンフォニックロックが味わえる。
ドラマティック度・7 プログレ度・7 優雅な叙情度・8 総合・8
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EUTHYMIA 「L'ultima Illusione」
イタリアのプログレバンド、ユーセイミアの2010年作
イタリア語の語りによるコンセプト的なイントロから、オルガンなどを含むきらびやかなシンセと
クラシカルなピアノを乗せた軽やかなアンサンブルで、優雅なシンフォプログレを展開する。
コケティッシュな女性ヴォーカルが加わると、NARROW PASSのような優雅な味わいになり、
しっとりとした叙情性とともに、ときに語りによる小曲を挟みつつ、物語的な流れで進行してゆく。
中盤は語りや小曲が多く、楽曲自体の方に、もう少し明快なフックが欲しいと思いつつ、
ラスト3曲の流れはなかなかドラマティックで、これぞシンフォプログレという展開で盛り上げる。
ドラマティック度・8 プログレ度・7 優雅な叙情度・8 総合・7.5
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Fiaba 「XII L'Appiccato」
イタリアのプログレバンド、フィアバの1992年作
ほどよくハードなツインギターにイタリア語のシアトリカルなヴォーカルを乗せて、
どことなくヘンテコな怪しさに包まれたサウンドを聴かせる。シンセを使っていないので、
シンフォプログレ的な優雅さはなく、ギターをメインにしたわりとハードロック寄りの感触で、
インストパートにはこれといってメロディもなく、クセのあるヴォーカルによる歌ものロックという感じで、
正直あまり面白くないのだが、後半は14分という大曲で、アコースティックパートを含む叙情性と
演劇的なヴォーカルによる、ドラマティックなシアトリカルロックという趣で多少は楽しめます。
ドラマティック度・7 プログレ度・7 イタリア度・8 総合・6.5
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