〜PROGRESSIVE ROCK CD REVIEW 2021 by 緑川 とうせい

★2021年に聴いたプログレ(フォーク/トラッド・その他含む)CDレビュー
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*メタル最新レビュー *注目の新譜


6/11
6月のプログレ(164)


Steve Hackett 「Under A Mediterranean Sky」
イギリスのギタリスト、スティーブ・ハケットの2021年作/邦題「紺碧の天空」
本作は、自身が2019年に地中海を旅したときの景色にインスパイアされて作られた作品で、
アコースティックギターにオーケストラアレンジを加えた、壮麗にして優雅なサウンドを描いている。
12弦ギターを含む繊細なギターのつまびきに、ロジャー・キングによるオーケストレーションが重なり、
シンフォニックにして異国的な詩情に包まれた、典雅なインストサウンドをゆったりと楽しめる。
ジョン・ハケットやロブ・タウンゼントが参加して、やわらかなフルートの音色も聴かせてくれる。
地中海諸国のフォトが美しいブックレットも含めて、じつに優美な作品に仕上がっている。
シンフォニック度・・8 ロック度・・1 優雅度・・9 総合・・8 過去作のレビューはこちら
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Marillion 「With Friends From The Orchestra」
イギリスのプログレバンド、マリリオンの2019年作
本作はオーケストラを迎えて、過去の楽曲を新たにオーケストラ入りアレンジで構成した作品。
優雅なストリングスやフルートの音色に、メロウなギターとうっすらとしたシンセが重なり、
スティーヴ・ホガースのマイルドなヴォーカルを乗せて、壮麗なサウンドを聴かせる。
シンフォニックなアレンジが加わったかつての楽曲は、静と動のダイナミズムとともに、
表現力あるホガースの歌声でより感動的な仕上がりに。16分を超える大曲「This Strange Engine」や、
18分に及ぶ「Ocean Cloud」などもドラマティックな仕上がり。オケとバンドサウンドが自然体で融合した作品です。
シンフォニック度・・9 プログレ度・・7 優美度・・9 総合・・8 過去作のレビューはこちら
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ILLUMINAE 「Dark Horizons」
イギリスのシンフォニックロック、イルミナエの2021年作
KARNATAKAのイアン・ジョーンズ、CAAMORAに参加した女性シンガー、アグニエスカ・スウィタによるプロジェクトで、
THE TANGENTのルーク・マシン、FROST*のクレイグ・ブランデルが全面参加、ゲストにスティーブ・ハケット、
トロイ・ドノクリー(Nightwish)も参加している。やわらかなシンセアレンジにメロウなギター、美しい女性ヴォーカルで、
KARNATAKAにも通じる優美なシンフォニックロックを聴かせる。ギターの旋律にはケルティックな味わいもあり、
トロイ・ドノクリーによるイーリアンパイプやホイッスルの音色とともに、ほどよい民族色と優雅な叙情性が融合している。
曲によってはポップでキャッチーなテイストもあるが、アグニエスカ嬢のたおやかな歌声でどれもしっとりと楽しめる。
全体的には、もう少し明快な盛り上がりがあると良いのだが、ラストは11分の大曲で泣きのギターと美しい歌声にウットリ。
ドラマティック度・・7 プログレ度・・7 女性Vo度・・8 総合・・8
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Solstice「Sia」
イギリスのプログレバンド、ソルスティスの2020年作
1984年にデビュー、1997年までに3作を残して消えるも、2010年に復活、本作は7年ぶりとなる6作目。
女性シンガーが交替しているが、作風はこれまでの延長上。メロウなギターにヴァイオリンが鳴り響き、
女性ヴォーカルを乗せた優雅なサウンド。オルガンを含むシンセが、ほどよくヴィンテージな味わいをかもしだし、
わりとハードなギターも加えたロック感触も覗かせる。一方ではアコースティックギターや繊細なピアノなど、
牧歌的な叙情性も耳心地良く、英国らしい空気感に包まれるところは、さすがにキャリアのあるバンドである。
ラスト曲は、1st「Silent Dance」収録のリメイクナンバーで、しっとりとした優美な仕上がり。
優雅度・・9 プログレ度・・8 女性Vo度・・8 総合・・8 過去作のレビューはこちら
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DBA (DOWNES BRAIDE ASSOCIATION) 「HALCYON HYMNS」
ジェフ・ダウンズとクリス・ブレイドのユニット、ダウンズ・ブレイド・アソシエイションの2020年作
2012年にデビューし、4作目。ドラムには、This Oceanic Feelingに参加する、アッシュ・ソアンが参加、
CELESTIAL FIREのデイヴ・ベインブリッジなどもゲスト参加してい。今作もジャケはロジャー・ディーンで、
アコースティックギターによる優美なイントロから、クリス・ブレイドのマイルドなヴォーカルを乗せて、
英国らしい牧歌的なサウンドが広がってゆく。やわらかなシンセアレンジにメロウなギターワークが
楽曲を優しく彩り、キャッチーなプログレハードナンバーから、繊細なシンフォニックロック風味まで、
今作はより叙情的な作風で楽しめる。ゆったりとした11分の大曲なども含む、全63分の力作です。
DVDには、ロジャー・ディーンのアートワーク制作のドキュメントやPVなどを収録。
メロディック度・・8 プログレ度・・7 優美度・・8 総合・・8 過去作のレビューはこちら
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Dave Brons 「Not All Those Who Wander Are Lost」
イギリスのミュージシャン、デイヴ・ブロンズの2020年作
CELESTIAL FIREのギタリストでもあるミュージシャンで、本作は指輪物語をコンセプトにした作品。
デイブ・ベインブリッジをはじめ、同バンドのメンバーも参加、叙情的なギターにうっすらとしたシンセを重ね、
イーリアンパイプやホイッスルなどの民族色を含んだ、ケルティックなシンフォニックロックを聴かせる。
随処にほどよくハードなギターも覗かせつつ、やわらかなピアノなどの繊細な叙情性とのメリハリのある
ダイナミクスとともに、ときに美しい女性ヴォーカルも加わって、IONAにも通じるような優美で幻想的なサウンドが楽しめる。
全体的にはインストパートがメインで、個人的にはもっと女性声を入れてもらいたいが、ケルティック・シンフォの力作なのは間違いない。
ドラマティック度・・8 プログレ度・・7 叙情度・・8 総合・・8

Looking-Glass Lantern 「A World Of Great Invention」
イギリスのシンフォニックロック、ルッキンググラス・ランターンの2020年作
プログレらしいきらびやかなシンセワークにマイルドなヴォーカルを乗せ、優雅なシンフォプログレを聴かせる。
甘いヴォーカルメロディは、ときにMOON SAFARIあたりにも通じるキャッチーな味わいで、
叙情的なギターの旋律とともに英国らしいウェットな叙情を描き出す。10分、16分という大曲も
派手な展開はないものの、あくまでやわらかな優雅さに包まれて、じっくりと王道のシンフォを構築。
クラシカルなシンセを主体にしたインストパートなども魅力的で、こうなるとやぼったいヴォーカルが惜しい。
ドラマティック度・・8 プログレ度・・7 優雅度・・8 総合・・7.5
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Chasing The Monsoon 「No Ordinary World」
イギリスのシンフォニックロック、チェイシング・ザ・モンスーンの2019年作
KARNATAKAのイアン・ジョーンズを中心に、元KARNATAKAの女性Voであるリサ・フューリィも参加、
メロウなギタープレイに美麗なシンセ、やわらかな女性ヴォーカルの歌声を乗せた叙情豊かなサウンドで、
トロイ・ドノクリー(Nightwish)によるフルートやホイッスルが素朴でケルティックな香りも加えている。
リサ嬢の魅力的な歌声は、楽曲をしっとりと優美に彩り、泣きのギターフレーズはときにCAMELのようで、
英国らしいウェットな叙情を描いている。全体的に派手なところはあまりなく、ゆったりとした大人のサウンドであるが、
美しい女性声と甘美なギタープレイが合わさった耳心地の良さに浸れます。アダルトなカルナタカという逸品。
ドラマティック度・・8 プログレ度・・7 女性Vo度・・8 総合・・8
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The Anchoress 「Confessions of a Romance Novel」
イギリスの女性SSW、キャサリン・アン・デイビスによるプロジェクト、アンコレスの2016年作
ポール・ドレイパーが共同プロデュース、「ロマンス小説家の告白」と題された作品で、
艶めいた彼女の歌声を中心に、80年代グラムロックやデカダンスの香りを感じさせる世界観に、
ケイト・ブッシュ的な文学的な幻想性が合わさった聴き心地。ほどよくキャッチーなロック感触と、
表情を変えるヴォーカリストとしての表現力が、わりとオーソドックスな英国風味をかもしだしつつ、
決して古臭くもないというのが絶妙のセンス。楽曲は3〜4分前後とわりとシンプルながら、ポップ過ぎず、
K-Scopeレーベルからの配給という点も含めて、我々プログレリスナーにも楽しめる作風といえる。
キャッチー度・・8 プログレ度・・6 女性Vo度・・8 総合・・8
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JUDY DYBLE 「Live at WM Jazz」
イギリスの女性シンガー、ジュディ・ダイブルのライブ。2014年作
FAIRPORT CONVENTION、初期のKING CRIMSON、TRADER HORNなどに参加したシンガーで、
本作は、2013年のイギリスでのステージを収録。THE CURATORのアリスター・マーフィをはじめ、
スタジオ作にも参加する、ジェレミー・サルモンらをバックに、近年の傑作ソロ「TALKING WITH STRANGERS」
「FLOW AND CHANGE」からのナンバーを主体に、FAIRPORT CONVENTIONやTRADER HORNのナンバーも披露。
年齢をへてもその美しい歌声は不変、やわらかなシンセをバックにヴァイオリンなども加わって、英国フォークルーツの
優雅な叙情を優しい歌声で聴かせてくれる。彼女のMCも含めてアットホームな雰囲気で、自然体のライブが楽しめます。
優雅度・・8 ロック度・・2 ジュディの歌声度・・9 総合・・8 過去作のレビューはこちら
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Cirrus Bay 「The Art Of Vanishing」
アメリカのシンフォニックロック、シラス・ベイの2019年作
2008年にデビュー、本作は6作目となる。アコースティックを含む繊細なギターにうっすらとしたシンセ、
美しい女性ヴォーカルを乗せた、清涼感のある優美な女性声シンフォニックロックを聴かせる。
静と動のメリハリある展開力で、やわらかな叙情性とともにプログレらしいダイナミズムを表現。
牧歌的でありながらキャッチーで爽快な味わいは、英国のSOLSTICEなどにも通じるだろう。
やわらかなサックスの音色にピアノを重ねた優雅なインストパーとなど、歌ものにとどまらない
楽曲アレンジの多彩さの点でも、バンドの最高作と言えるだろう。もちろん女性声の魅力もたっぷり。
12分を超えるラストのクラシカルなピアノ曲も含めて、全70分の優美なる力作に仕上がっている。
優雅度・・9 プログレ度・・8 女性Vo度・・8 総合・・8.5 過去作のレビューはこちら
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The Bardic Depths
アメリカのプログレユニット、バルディック・デプスの2020年作
「ナルニア国物語」で知られる作家、C・S・ルイスと、「指輪物語」のJ・R・R・トールキンとの友情をコンセプトにした作品。
ほどよくハードなギターにシンセアレンジを重ねたモダンなシンフォニックロックに、随処に語りを含んだドラマ性や、
うっすらとしたシンセにサックスが鳴り響く、アンビエントなサウンドスケープ風味や、80年代風のポップなビート感など
わりとつかみどころがない。楽曲的にはこれという盛り上がりがないので、なんとなく煮え切らない聴き心地。
COSMOGRAFのロビン・アームストロング、TIGER MOTH TALESのピーター・ジョーンズなどがゲスト参加。
ドラマティック度・・7 プログレ度・・7 楽曲・・6 総合・・7
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UMAE 「LOST IN THE VIEW 」
カナダのプログレバンド、ウマエの2019年作
ほどよくハードなギターがメロディックなフレーズを奏で、うっすらとしたシンセアレンジとともに、
軽やかでスタイリッシュなアンサンブルを聴かせる、モダンでキャッチーなプログレサウンド。
かすれた味わいのヴォーカルがオールドなロックのイメージをまとわせて、オルガンやメロトロン風の
シンセワークと叙情的なギターが重なってゆくと、BIG BIG TRAINなどにも通じる味わいで
古き良きシンフォプログレの空気感も楽しめる。ときに女性ヴォーカルも加えた優雅さと
アコースティックギターにやわらかなフルートの音色、ストリングスなどを含む叙情パートなど、
起伏のある展開とともに、10分を超える大曲を優美に構築してゆく。ゲストに、PORCUPINE TREEのジョン・ウェズレイ、
アメリカのシンセ奏者、アダム・ホルツマン、HAKENのコナー・グリーン、NEAL MORSE BANDのエレック・ジレットなどが参加。
ドラマティック度・・8 プログレ度・・8 優雅度・・8 総合・・8
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ORION 「La Face Visible」
フランスのプログレバンド、オリオンの2015年作
1979年に1作を残して消えたバンドの35年ぶりの復活作。東西ドイツの統一をテーマにしたコンセプト作で、
叙情的なギターにシンセを重ね、フランスらしい翳りを帯びた空気感とともに、ジャズロック的でもある
軽妙な優雅さを含んだサウンドを展開する。モダンなビート感によるポップな感触と、
フランス語のヴォーカルを乗せたアンニュイな叙情が同居していて、楽曲展開に派手さはないが、
ゆったりとしたサウンドの中にも、フレンチらしいシアトリカルな雰囲気を感じさせる。
シンフォニックな優雅さか、ジャズロックの軽妙さか、ややどっちつかずなところが惜しい。
ドラマティック度・・7 プログレ度・・7 フレンチ度・・8 総合・・7
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VA/Progday'98
アメリカで行われたプログレフェス、プログデイのステージを収録した2CD。1998年作
Crucible、Soundscape、Discipline、The Flower Kings、Alaska、A Piedi Nudi、Par Lindh Projectが参加。、
Crucibleの20分におよぶ大曲はGENESISの「Supper's Ready」を思わせる優雅な叙情に包まれる。
Disciplineは、ピーター・ハミルのようなシアトリカルなヴォーカルとともに、18分の大曲をじっくりと構築する。
The Flower Kingsは、優美なシンセとメロウなギターとともに、20分におよぶ「Stardust WE Arre」を披露、
Alaskaはきらびやかなシンセを乗せた軽やかなアンサンブルで、スタイリッシュなプログレを聴かせる。
A Piedi Nudiは、ほどよくエキセントリックなセンスとイタリアらしい優美な叙情が同居した個性的なサウンド。
Par Lindh Projectは、オルガンなどのクラシカルなシンセにヴァイオリンが鳴り響き、女性ヴォーカルとともに
バロックなシンフォプログレを展開する。マイナー系バンドの演奏も含めて、貴重なライブ音源が楽しめる。
ライブ演奏・・8 プログレ度・・8 出演バン度・・8 総合・・8


5/22
5月のプログレ(149)


JADIS 「No Fear of Looking Down」
イギリスのシンフォニックロック、ジャディスの2016年作
1989年にデビュー、本作は8作目となる。美麗なシンセに叙情的なギター、マイルドなヴォーカルを乗せて
1曲目からキャッチーなシンフォニックロックが全開。ゲイリー・チャンドラーの奏でる泣きのギターフレーズも
随所に輝きを放っていて、アコースティックなパートなども折り込みつつ、優雅なサウンドを描いてゆく。
いくぶんモダンな翳りに包まれたナンバーでは、ポストプログレ寄りでもあるスタイリッシュな感触も覗かせつつ、
IQのマーティン・オフォードがゲスト参加、やわらかなフルートやハーディ・ガーディの音色も聴かせてくれる。
派手に盛り上がるところはないが、かつてのジャディスに大人の味わいが加わったという好作品です。
ドラマティック度・・7 プログレ度・・7 優雅度・・8 総合・・8 過去作のレビューはこちら
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The Samurai of Prog 「The Demise Of The Third King's Empire」
フィンランドのシンフォニックロック、サムライ・オブ・プログの2020年作/邦題「三代目国王帝国の終焉」
2016年作「Lost And Found」収録、QUILLの未発曲をもとにした57分に及ぶ組曲を再録音した作品で、
ナレーションを含む物語的なコンセプトストーリーに、随所にストリングスを含む壮麗なアレンジと
ヴィンテージなプログレ感触が同居したドラマティックな大曲を展開する。インストパートの緩急ある展開に、
ゲストを含むヴォーカルも加わり、メロウなギターの旋律に繊細なフルートも彩りを添えながら、
GENESISにも通じる優雅な味わいが楽しめる。元バージョンと聴き比べるのもいいだろうが、
なにしろ曲が長大なので、この手のシンフォプログレを愛する人だけにお薦めしたい。
ドラマティック度・・8 プログレ度・・8 優雅度・・8 総合・・8 過去作のレビューはこちら
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VA/ The Tales of Edgar Allan Poe
フィンランドのプログレファンジン「COLOSSUS」規格のオムニバス。2010年作
怪奇作家エドガー・アラン・ポーをテーマにしたCD2枚組で、Marco La Muscio、Dunwich、AREKNAMES、DAALといったイタリア勢から、
スペインのSenogul、カナダのGuy Leblanc(Nathan Mahl)、チリのJinetes Negros、イギリスのKarda Estra、スウェーデンのANIMA MORTE、
オーストリアのBLANK MANUSKRIPT、ロシアのLITTLE TRAGEDIESなど、世界各国から個性豊かなバンドが参加。
優雅なシンフォプログレを聴かせるSenogul「黒猫」や、女性ヴォーカルで壮麗に聴かせるDunwich「長方形の箱」
ピアノやオルガンで優美なシンフォを描く、Guy Leblanc「楕円形の肖像画」、Karda Estraによる「落とし穴と振り子」は
ダークなチェンバーロック路線でハマっている。Disc2では、爽快なシンフォプログレの、Jukka Kulju「盗まれた手紙」
AREKNAMESによるオルガンにヴァイオリン鳴り響く「跳び蛙」、LITTLE TRAGEDIESによる華麗なクラシカルシンフォ大曲「群集の人」
ラストのDaalによる16分のキーボード大曲「アッシャー家の崩壊」まで、作品ごとの想像性を掻き立てるドラマティックなサウンドが楽しめる。
ドラマティック度・・8 プログレ度・・8 アランポー度・・8 総合・・8 オムニバス系作品レビューはこちら
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Opus Symbiosis 「Monster」
フィンランドのプログレバンド、オパス・シンバイオシスの2013年作
2009年にデビュー、本作は4曲入りのEPで、美麗なシンセアレンジにほどよくハードギター、
伸びやかな女性ヴォーカルを乗せて、キャッチーでスタイリッシュなサウンドを聴かせる。
翳りを帯びた叙情とモダンな感触の同居という点では、Frequency Driftなどにも通じるが、
北欧らしい涼やかな空気感は、Paatosなどを思わせる。楽曲は4分前後とコンパクトにまとまっていて、
全4曲ということもあり、濃密さの点では少し物足りなさもあるが、優雅で軽妙なセンスに包まれている。
この路線でのフルアルバムが聴きたかったところ。パット・マステロット(KING CRIMSON)などがゲスト参加している。
ドラマティック度・・7 スタイリッシュ度・・8 女性Vo度・・8 総合・・7.5
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IN SPE
エストニアのプログレバンド、イン・スペの1983/2019年作
1983年、85年に2作を残して消えたバンドで、本作は80年代東欧プログレの傑作として名高い1作目に
1979〜83年にかけて録音されたライブ音源や未発表音源を収録したボーナスDisc付きの2CD再発盤。
流麗なギターにうっすらとしたシンセを重ねた、涼やかな空気感のインストのシンフォニックロックで、
優美なフルートの音色とともに繊細な叙情にも包まれる。翳りを帯びたどこかクールな雰囲気は、
旧ソ連を思わせるミステリアスな味わいで、母国語によるヴォーカルを加えたナンバーも、辺境的な匂いを感じさせる。
Disc2のライブ音源も派手さはないものの、淡々とした演奏の中に、メロウなギターフレーズや優美なフルートの音色とともに
しっとりとした聴き心地で楽しめる。ヴォーカル入りの未発音源は、辺境らしいマイナーな雰囲気に包まれていて面白い。
ドラマティック度・・7 プログレ度・・7 優美度・・8 総合・・8 過去作のレビューはこちら
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KARFAGEN/ANTONY KALUGIN「THE KEY TO PERCEPTION」
ウクライナのシンフォニックロック、カルファゲン/アントニー・カルギンの2019年作
KARFAGENの1st、2006年作「Continium」、2nd、2007年作「The Space Between Us」
ANTONY KALUGIN名義のソロ、2002年作「The Water」、2004年作「AKKO II」を収録したCD4枚組。
KARFAGENの1作目は、美麗なシンセにメロウなギター、フルート、ピアノなどで繊細な叙情を描く、
インスト主体のシンフォニックロック。CAMELかハケットかという泣きのギターにケルティックなテイストも加わった
優美なサウンドにウットリ。2作目になると、フュージョン的な軽妙さが増して、優雅なシンフォニックと融合した味わいに。
それぞれボーナスにデモ音源などを追加収録。「The Water」は、やわかなシンセとギターでゆったりとした叙情を描く、
80分におよぶアンビエント寄りの力作。ANTONY KALUGINS KINEMATICS ORCHESTRA名義の「AKKO II」は、
シンセの重ねを中心に、クラシカルなピアノや女性ヴォーカルも加えて、しっとりとしたサウンドを聴かせる。
シンフォニック度・・8 プログレ度・・8 優美度・・9 総合・・8 過去作のレビューはこちら
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Solaris 「Martian Chronicles - Live」
ハンガリーのプログレバンド、ソラリスのライブ。2015年作
デビュー30周年となる、2014年ブダペストでのライブで、1984年の傑作「火星年代記」ほぼ全曲に、
1990年作「1990」、2014年の「火星年代記2」からのナンバーも加えたセットリストを披露。
きらびやかなシンセに鳴り響くフルート、叙情的なギターを乗せ、優雅なアンサンブルとともに
東欧らしい涼やかなシンフォニックプログレを再現。個人的には最高傑作「1990」からの楽曲が嬉しい。
とくにコラー・アッティラの繊細なフルートが素晴らしく、その優美な旋律で楽曲を彩っている。
ゲストによるサックスや、女性コーラスを加えたゴージャスな味わいも含めて、
全76分、優雅で濃密なソラリスのサウンドが楽しめる、ファン必聴のライブです。
ライブ演奏・・8 プログレ度・・8 優雅度・・9 総合・・8 過去作のレビューはこちら
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EAST 「Live - Ket Arc」
ハンガリーのプログレバンド、イーストのライブ。1995年作
1981年にデビュー、1st「Jatekok/蒼い楽園」、2nd「Huseg/フェイス」は、SOLARISの「火星年代記」とともに、
80年代東欧プログレの傑作として名高いが、本作は、1994年ブダペストでのステージを収録。
1988年作「A Szerelem Sivataga」、1992年作「 Taking The Wheel」、1994年作「Radio Babel」あたりからのナンバーを主体に、
優美なシンセに母国語によるヴォーカル、女性コーラスを加えた、キャッチーなハードプログレを聴かせる。
ほどよくモダンでポップな匂いもありつつ、その確かな演奏力はさすが東欧屈指のバンドである。
後半には、初期作からのナンバーも披露。シンフォニックなシンセワークとともに優雅な演奏で、
ラストは2ndからの「Varni Kell」で、泣きの叙情ギターにウットリ。東欧らしい涼やかな味わいの好ライブです。
ライブ演奏・・8 プログレ度・・7 優雅度・・8 総合・・8 過去作のレビューはこちら
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MATELDA 「LEGGENDE」
イタリアのフォークロック、マテルダの2016年作
アコースティックギターのつまびきにイタリア語の美しい女性ヴォーカルを乗せて、
ヴァイオリンやヴィオラが艶やかに鳴り響く、優雅で牧歌的なサウンドを聴かせる。
アコースティック主体なのでロック色はあまりないが、パーカッションのリズムや
ドラムが加わるナンバーもあって、プログレ寄りのフォークロックという感じで楽しめる。
女性声のキュートな魅力とともに、ゆったりとした優美なサウンドに癒される逸品です。
アコースティック度・・9 ロック度・・2 女性Vo度・・9 総合・・8
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FINISTERRE 「Live...Ai Margini Della Terra Fertile...」
イタリアのプログレバンド、フィニステッレのライブ。1998年作
90年代以降のイタリアンプログレを代表するバンドのひとつで、本作は1997年のライブを収録。
「In Limine」からのナンバーを中心に、1stからのナンバーも演奏。ピアノを含む優美なシンセワークに
やわらかなフルートが鳴り響き、うるさすぎないギターとともに優雅なアンサンブルを聴かせる。
翳りを帯びた叙情にクラシックやジャズを取り込んだ軽妙な展開力で、甘美なシンフォプログレを描いてゆく。
15分を超える大曲でも、派手さよりもあくまで繊細な叙情が包み込み、イタリア語によるヴォーカルとともに、演劇的なドラマ性と
ヨーロピアンなロマンの香りを感じさせる。ラスト曲ではKING CRIMSONGENESISのフレーズも盛り込んでプログレ愛が炸裂。
ライブ演奏・・8 優雅度・・9 叙情度・・8 総合・・8 過去作のレビューはこちら
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MELLOMTA TAUTA
イタリアのプログレバンド、メロンタ・タウタの1993年作
エドガー・アラン・ポーの作品から名前をとり、正規アルバムを残さずに消えたバンドで、
本作は70〜80年代の未発音源とメンバーが80年代に活動していたカヴァーバンドの音源を収録。
1曲目から、Steve Hackettのカヴァーのライブ音源で、ジェネシス愛に包まれつつ、2曲目以降は、
1978、80年録音のオリジナル音源で、やわらかなシンセに12弦ギターを含む繊細なギターワークで、
ゆったりとした叙情に包まれた素朴なシンフォニックロックを聴かせる。ラストはGENESIS「I Know What I Like」
「The Lamb Lies Down On Broadway」のカヴァーのライブ音源で、最後までジェネシス愛に包まれる。
ドラマティック度・・7 プログレ度・・7 叙情度・・8 総合・・7

Companyia Electrica Dharma 「L'oucomballa」
スペインのジャズロック、コンパニア・エレクトリカ・ドアルマの1976年作
1975年にデビュー、本作は2作目。優雅なピアノにサックスが鳴り響き、ギターやシンセも含んだ、
どこかとぼけた味わいの軽やかなジャズロックで、ほどよくユルめの牧歌的な味わいに包まれる。
スパニッシュな哀愁を感じさせるギターやサックスのフレーズにロック寄りのドラムで聴かせるナンバーは、
プログレジャズロック寄りの感触もあるが、全体的にはあまり派手さはなく、わりとアンサンブル重視という作風。
次作に比べるとやや地味にも思えるが、曲によってはフリーキーなおおらかさもいくぶん覗かせている。
ドラマティック度・・7 プログレ度・・7 優雅度・・8 総合・・7.5
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Companyia Electrica Dharma 「TRAMUNTANA」
スペインのジャズロック、コンパニア・エレクトリカ・ドアルマの1977年作
3作目の本作は、のっけからサックスがコミカルに鳴り響き、叙情的なギターの旋律にエレピが絡み、
軽やかなアンサンブルのプログレ・ジャズロックを聴かせる。スペインらしい哀愁を含んだ叙情パートなど
10分を超える大曲では、メリハリある展開と前作以上にプログレ的な構築センスも覗かせる。
軽やかな演奏と民族的な空気感が合わさった、とぼけたようなコミカルさという点では、
北欧のサムラなどにも通じるかもしれない。ただし、こちらはあくまでアンサンブル志向。
サックスが鳴り響く優雅なジャズロックから、ラストのチンドン的なナンバーも面白い。
ドラマティック度・・7 プログレ度・・7 軽妙度・・9 総合・・8
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The Passing Fancy
カナダのサイケロック、パッシング・ファンシーの1968年作
本作が唯一の作品で、ユルめのギターにマイルドなヴォーカルで聴かせる、
60年代らしい牧歌的なおおらかさに包まれたサウンド。楽曲は2〜3分前後で、
いたってシンプル。オルガンが加わると、サイケなオールドロック感が増して、
ビートルズのような感じでのんびりと楽しめる。ラスト曲はわりとプログレっぽくてGood。
ドラマティック度・・6 プログレ度・・5 牧歌的度・・8 総合・・7
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5/7
GW最後の週末はプログレで(135)


Steve Hackett 「Wuthering Nights: Live in Birmingham」
イギリスのギタリスト、スティーヴ・ハケットのライブ作品。2018年作
2017年イギリス、バーミンガムでのステージを2CD+DVDに収録。GENESISの1976年作「静寂と嵐」40周年記念のツアーで、
ロジャー・キング、ゲイリー・オトゥール、ロブ・タウンゼンド、ニック・ベッグスに、女性ギタリストのアマンダ・レーマンを加えた編成で、
ジョン・ハケットがゲスト参加。ソロ作「Spectral Mornings」からのナンバーで幕を開け、2017年作「The Night Siren」からのナンバーに、
1980年作「Defector」や、アマンダの美しい歌声を乗せてのソロデビュー作「Voyage Of The Acolyte」のナンバーも演奏。
バックのうるさすぎない安定した演奏で、ハケットの繊細なギターワークを引き立てる。後半からは、ナッド・シルヴァンをヴォーカルに、
「Wind And Wuthering」からの5曲を披露。「Dance on A Volcano」から、ラスト3曲は、「Firth Of Firth」、「The Musical Box」、
「Los Endos」という流れで、ジェネシスファンも大満足。DVDの映像はカメラワークがやや凡庸ながら、やはり必見のライブです。
ライブ演奏・・9 ジェネシス度・・9 優美度・・9 総合・・8.5 過去作のレビューはこちら
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Steve Hackett「Genesis Revisited Band & Orchestra」
スティーヴ・ハケットのライブ作品。2019年作
2018年、ロンドン、ロイヤル・フェスティバル・ホールでの、オーケストラとの共演ステージを2CD+DVDに収録。
ロジャー・キング、ゲイリー・オトゥール、ロブ・タウンゼンド、ナッド・シルヴァンという、いつものメンバーに加え、今作ではベースに
THE FLOWER KINGSのヨナス・レインゴールドが参加。「Dance on A Volcano」や「Firth Of Firth」など、往年のGENESISナンバーに、
ソロからのナンバーも披露。バックのオーケストラがバンドサウンドをシンフォニックに包み込み、「Dancing With The Moonlit Knight」や
デビューソロからの大曲「Shadow Of The Hierophant」も実に優雅な聴き心地。映像では、ギター&ベースのダブルネックで活躍する
ヨナス・レインゴールドや、オーケストラを含めた豪華なステージで、カメラワークも秀逸。ラストは大曲「Supper's Ready」をオケ入りで演奏、
優美でドラマティックな盛り上がりに感動しきり。アンコールの「The Musical Box」までお腹いっぱい。2時間超のシンフォニーなライブ作品です。
ライブ演奏・・9 シンフォニック度・・9 壮麗度・・10 総合・・8.5
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Arc of Life
アメリカのプログレハード、アーク・オブ・ライフの2021年作
ビリー・シャーウッド、ジョン・デイヴィソン、ジェイ・シェレンというイエスの現メンバー3人に、デイヴ・カーズナー、
ジミー・ホーンを加えた5人編成で、やわらかなシンセにキャッチーなコーラスハーモニーで、80年代のイエスや
エイジアにも通じるサウンド。スーパーバンドであるが、プログレというよりは、古き良きAORを思わせる作風で、
ジョン・デイヴィソンのやわらかな歌声も含めて、確信犯的なまでの80年代感覚が甦ってきて思わずニヤニヤとなる。
後半には9分を超える大曲もあり、緩急ある展開とともにぐっとYES度が高くなり、優雅なサウンドを聴かせる。
全体的にはこれという新鮮味はないのだが、大人のメロディックロック/プログレハードとしては、さすがの出来である。
キャッチー度・・8 プログレ度・・7 イエスやエイジア度・・8 総合・・8
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The Flower Kings 「Islands」
スウェーデンのプログレバンド、フラワー・キングスの2020年作
1995年にデビュー、いまや北欧のみならず、プログレ界を牽引するバンドとなったフラキンの14作目。
ロジャー・ディーンによる幻想的なジャケに包まれて、サウンドの方もロイネ・ストルトの流麗なギターに
前作から加入のザック・カミンズの美麗なシンセワーク、ハッセ・フレベリの味わいのあるヴォーカルで、
優雅なシンフォプログレを聴かせる。これまでのような大曲はないものの、楽曲ごとが流れによって進み、
コンセプト的な味わいになっているのが素晴らしい。90年代的なオールドな雰囲気も甦っていて、
前作以上にバンドとしての一体感が強まった印象もある。ストリングスが加わった壮麗な小曲から、
軽やかなジャズロック風味など、楽曲ごとのバラエティも豊富。フラキンらしさたっぷりの2枚組の力作。
ドラマティック度・・9 プログレ度・・8 優雅度・・9 総合・・8.5 過去作のレビューはこちら
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THE SAMURAI OF PROG 「Beyond The Wardrobe」
フィンランドのプログレユニット、サムライ・オブ・プログの2020年作
2011年から始まったプロジェクト、本作も、KAYAKのトン・スケルペンツェルはじめ、LATTE E MIELEのオリヴィエロ・ラカニータ、
IL TEMPIO DELLE CLESSIDREのエリサ・モンタルド、SEVEN STEPS TO THE GREEN DOOR、UPFのマレック・アーノルド、
Caravela Escarlateのロナウド・ロドリゲス、Mad Crayonのアレッサンドロ・ディ・ベネデッティ、など多数のメンバーが参加、
サックスやフルートが鳴り響く優雅なナンバーで幕を開け、モーツァルトをテーマにヴァイオリン鳴り響く壮麗なナンバーや、
Jinetes Negrosのオクタヴィオ・スタンパリアが手掛けるクラシカルなシンフォプログレ曲、日本の女性SSW、富山優子による
日本語歌詞によるしっとりと優しい楽曲なども魅力的だ。エリサ・モンタルドがシンセと歌を手掛ける優美なラスト曲まで、
派手さや意外性は薄めながら、優れた作曲家と演奏者による、クラシカルなシンフォニックプログレが堪能できる。
クラシカル度・・8 プログレ度・・7 優美度・・9 総合・・8 過去作のレビューはこちら
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MARCO BERNARD & KIMMO PORSTI 「Gulliver」
フィンランドのミュージシャン、マルコ・ベルナルドとキンモ・ポルスティによる2020年作
THE SAMURAI OF PROGの中心人物として知られる二人で、本作はガリバー旅行記をテーマにしたコンセプト作。
LATTE E MIELEのオリヴィエロ・ラカニータ、SEVEN STEPS TO THE GREEN DOOR、UPFのマレック・アーノルド
PAIDARIONのフルート奏者や、HOSTSONATENのルカ・スケラーニ、MUSEO ROSENBACHのステファノ・ガリフィなど
多数のゲストが参加。プログレらしい優美なシンセワークとメロウなギター、ジェントルなヴォーカルを乗せて、
ゆったりとした叙情に包まれたシンフォプログレを展開。小人国、巨人国、飛び島、馬の国という、物語の四つの冒険を
それぞれの大曲で表現。ときにフルートやヴァイオリンの優雅な音色も加わって、物語的なドラマ性を描くような
じっくりとした構築性とともに、ほのぼのとしたファンタジックなサウンドが楽しめる。
ドラマティック度・・8 プログレ度・・8 優美度・・9 総合・・8
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Kimmo Porsti 「Wayfarer」
フィンランドのミュージシャン、キンモ・ポルスティによる2020年作/邦題「徒歩旅行者」
THE SAMURAI OF PROGのドラマーでもあるミュージシャンで、本作は、盟友のマルコ・ベルナルドをはじめ、
SEVEN STEPS TO THE GREEN DOOR、UPFのマレック・アーノルド、元IONA/CELESTIAL FIREのデイヴ・ベインブリッジ
ENTRANCEのロドリゴ・ゴドイ、ハイメ・ロサス、MARS HOLLOWのスティーヴ・モーク、STELLA LEE JONESの入山ひとみ他、
多数のゲストが参加。叙情的なギターにシンセやヴァイオリンを加え、優雅でクラシカルなシンフォニックロックを聴かせる。
やわらかなピアノやフルート、マイルドなヴォーカルが、繊細で涼やかな叙情を描き、MIKE OLDFIELDのようなケルティックな牧歌性も覗かせつつ、
サックスが鳴り響くジャズロック風の軽妙なナンバーなどもあり、大人の優雅さで楽しめる。全73分という力作です。
ドラマティック度・・8 プログレ度・・8 優美度・・9 総合・・8
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THE GUILDMASTER 「THE KNIGHT AND THE GHOST」
THE SAMURAI OF PROGのマルコ・ベルナルドとキンモ・ポルスティ、KAYAKのトン・スケルペンツェル、
スペイン人ミュージシャン、ラファエル・パシャによるシンフォニックロック・プロジェクト、ギルドマスターの2020年作
リコーダーやフルート、バグパイプの音色にギターとシンセが重なり、中世音楽的なメディーヴァルな世界観を、
シンフォプログレに仕立てたというサウンド。アコースティックギターやリコーダー、ヴァイオリンなどの優雅な旋律と、
ギターやドラムによるロック感触が融合したという点では、GRYPHONなどにも通じる感触で楽しめる。
美しい女性ヴォーカルでしっとりと聴かせるナンバーなども、優美で繊細なサウンドにゆったりと浸れる。
メロウな泣きのギターを奏でる、ラファエル・パシャ氏は、フルートやリコーダーの演奏も含めて主役級の活躍ぶり。
ドラマティック度・・7 プログレ度・・7 優美度・・9 総合・・8
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Mindspeak 「Eclipse Chaser」
オーストリアのプログレバンド、マインドスピークの2019年作
2014年にデビュー、本作は2作目となる。美麗なシンセアレンジに適度にハードなギターを重ね
コケティッシュな女性ヴォーカルの歌声とともに、優雅でスタイリッシュなサウンドを聴かせる。
ほどよくテクニカルなアンサンブルと、オルガンを含むシンセにメロウなギターで、キャッチーな爽快さに包まれながら、
17分という大曲を緩急ある展開で構築してゆくところは、女性声版TRANSATLANTICという雰囲気も。
後半は、6部構成、32分超の組曲になっていて、紅一点、ヴィクトリア嬢のキュートな歌声が楽曲を彩りつつ、
ときにクラシックの旋律を取り入れたり、ハードにたたみかけたりと、壮麗なシンフォプログレを描いてゆく。
ドラマティック度・・8 プログレ度・・8 女性Vo度・・8 総合・・8
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Verbal Delirium 「Imprisoned Words of Fear」
ギリシャのモダンプログレ、ヴァーバル・デリリウムの2016年作
2010年にデビューし、3作目となる。フルート&サックス奏者にピアノを含む6人編成で、
クラシカルなピアノにシンセを重ね、マイルドなヴォーカルとやわらかなフルートの音色に、
メタリックなギターが加わって、ときにメロトロンも鳴り響く、スタイリッシュなサウンドを展開。
翳りを帯びた叙情と、ピアノやフルートの鳴る優雅でキャッチーな感触が同居した作風で
ときにギターがメロウな旋律を奏でたり、サックスが加わったジャズロック的な部分もあったりと、
ジャンルに捕らわれないボーダーレス感で、ProgMetal的なセンスはHAKENあたりのファンにも楽しめる。
後半は10分を超える大曲が続き、優雅で軽妙な構築力でドラマティックなサウンドを描きつつ。
ラスト曲は淡々としたモダンロック風のナンバーで、最後は激しく疾走して幕を閉じる。
ドラマティック度・・8 プログレ度・・8 スタイリッシュ度・・9 総合・・8
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ANDERSON / WAKEMAN 「THE LIVING TREE」
YESのジョン・アンダーソンとリック・ウェイクマンによるユニット作。2011年作
ピアノを主体にしたウェイクマンのシンセに、ジョン・アンダーソンのヴォーカルを乗せた、
しっとりとした味わいの歌ものサウンド。ドラムなどは入らないのでロック色は希薄であるが、
美しいシンセによるシンフォニックな味わいと、ジョンの歌声がよくマッチしていて幻想的な雰囲気で、
YESからロック要素を抜いたような聴き心地。プログレというよりはシンセをバックにした歌ものであるが、
ジョン・アンダーソンの変わらぬ歌声をたっぷり楽しめるという点では、往年のイエスのファンには嬉しいだろう。
プログレ度・・7 ロック度・・5 優美度・・8 総合・・7.5
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VA /Fanfare for the Pirates - Tribute to ELP
イタリアのMellow Records主催による、EL&Pのトリビュート作品。1998年作
TRAMA、Mary Newsletter、Zauber、Prowlers、Divaeなど、イタリア系バンドを中心に全28バンドが参加した、CD3枚組。
Works3による「タルカス」で幕を開け、シンセサウンドも含めてオリジナルの雰囲気をなかなか忠実に再現している。
Lukka & Friendsによるハードシンフォ風の「聖地エルサレム」、TRAMAによる女性ヴォーカルの「海賊」なども味があり、
Disc2、Lorienの「タルカス」は、途中に「エピタフ」も挿入するというマニア好みの出来。Matrix Mindによる、「悪の教典#9」は、
モダンなビート感に女性声を乗せた新鮮なアレンジで、 TRILOGYの「悪の教典#9」は、忠実なカヴァーでなかなかの出来だ。
Disc3では、Ken Taylorが「運命の三人の女神」にインスパイアされて「第四の女神」をチェンバーロック風のオリジナルで制作。
ストリングスやピアノによるTNRによるクラシカルな「セ・ラ・ヴィ」など、どのバンドからもELP愛が伝わってくる、濃密なトリビュート作品です。
カヴァー度・・8 アレンジ度・・8 ELP度・・9 総合・・8 VA作品のレビューはこちら
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Titus Groan
イギリスのプログレ・ジャズロック、タイタス・グローンの1970年作
本作が唯一の作品で、軽やかなドラムに、サックスが鳴り響き、ギターにオルガンも加わった
優雅なジャズロックサウンドで、英国らしいウェットな感触はKING CRIMSONにも通じるところもある。
フルートによる牧歌的な味わいやブルージーなギター、どことなくマイナー感のあるヴォーカルも含めて、
ブリティッシュロック好きの耳をくすぐる魅力がある。全体的に派手なところはないものの、
ほどよいプログレ感と叙情性もあり、難解なところもないので、ジャズロックが苦手な方でも楽しめるだろう。
ドラマティック度・・7 プログレ度・・7 英国度・・8 総合・・8
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DECAMERON「Mammoth Special」
イギリスのフォークロック、デカメロンの1974年作
アコースティックギターとエレキギターを重ね、ヴァイオリンやチェロも鳴り響く、牧歌的なフォークロック。
シンセにストリングスが重なった優美な味わいは、Barclay James Harvestなどに通じるところもあり、
エレキギターやドラムを使っているので、素朴なブリティッシュロックとしてもわりと普通に楽しめる。
反面、フォークとしての土着的な部分は薄めなので、さらりと聴ける分、物足りなさもあるのだが
ゆったりとしたやわらかな英国フォークロックを味わえる好作品だ。
フォーク度・・7 素朴度・・8 英国度・・8 総合・・7.5
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4/24
KJSの週末はプログレで(121)


Jordan Jordanov featuring Goran Edman 「天使のてざわり」
ブルガリアのミュージシャン、ヨルダン・ヨルダノフの2021年作
ギタリストのソロ作品であるが、楽曲の方はしっとりとしたピアノやシンセアレンジを含んだ大人のAORという作風で、
アコースティックギターによる繊細な叙情から、エレキギターを使ったロック寄りのナンバーまで、なかなかバラエティ豊か。
HR界では名の知れたスウェーデンのヴォーカリスト、ヨラン・エドマンが前面参加していて、表現力豊かな歌声を披露。
曲によっては、ストリングスによるアレンジを加えたシンフォニックな味わいもあって、プログレリスナーにも楽しめるだろう。
もちろん、しっかりとしたテクニックの流麗なギタープレイも随所に光っていて、アレンジ面でのスタイリッシュなセンスというのは、
メジャー寄りの実力を感じさせる。実力あるG.エドマンの歌声とともに、優雅なサウンドをじっくりと味わえる逸品だ。
ちなみに、CDライナーの解説を手掛けるのは吾輩でありますので、購入の際はご一読をぜひ。
叙情度・・8 ロック度・・7 優雅度・・9 総合・・8
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Giorgio Fico Piazza 「Autumn Shades」
イタリアのミュージシャン、ジョルジオ・フィック・ピアッツァの2019年作
PFMの前身バンド、QUELLI〜初期のPFMに在籍したベーシストで、本作はそのPFMの傑作、
「STORIA DI UN MINUTO/幻想物語」、「PER UN AMICO/友よ」全曲をセルフカヴァーしたライブ。
美しいシンセとピアノ、叙情的なギター、マイルドなイタリア語のヴォーカルで、かつての名曲が甦る。
70年代を意識したような暖かみのある演奏で、変にモダン化せずに往年の空気感までも再現していて、
丁寧なサウンドにファンには感動ものである。2台のシンセを使い、フルートやヴァイオリンのパートも
なかなか忠実に演奏している。女性ヴォーカルによる「9月の情景」もエモーショナルで良いですね。
初期PFMのファンは必聴であるし、そうでない方にもこれら素晴らしい名曲を味わって欲しい。
演奏度・・8 叙情度・・9 名曲度・・9 総合・・8.5
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Giancarlo Erra「Ends」
イタリアのミュージシャン、ジャンカルロ・エラの2019年作
NOSOUNDのリーダーでもあるミュージシャンで、ソロとしては初めての作品となる。
美しいシンセアレンジにヴァイオリンなどのストリングスが重なる優美なサウンドで
エレクトロなデジタル感覚に包まれながら、繊細な味わいでしっとりとした聴き心地。
基本はシンセとストリングスで、ギターなどは入らないのでロック色はほとんどないが、
曲によっては打ち込みのリズムも加わって、オールインストであるが単なるBGMでもない。
メランコリックな叙情とともに、美しい情景が目に浮かぶようなアンビエントな癒し系作品です。
ドラマティック度・・7 ロック度・・3 優美度・・9 総合・・8
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Pholas Dactylus 「Hieros Gamos」
イタリアのプログレバンド、フォラス・ダクティルスの2019年作
1972年に唯一の作品を残して消えたバンドの、じつに47年ぶりとなる復活作。
のっけから21分という大曲で、クラシカルなピアノとギターを乗せた軽やかなアンサンブルで、
イタリア語の語りによるシアトリカルなドラマ性とともに、優雅なシンフォプログレを聴かせる。
ヴォーカルはほぼナレーションなので、ロックとしての濃密さはあまりなく、ピアノをメインにしたジャズ風味に、
随処をにギターの旋律も加えて、緩急に富んだ構築力とアーティスティックでミステリアスな空気に包まれる。
後半は、7部構成の組曲で、アコースティックギターによる素朴な味わいから、クラシカルなピアノの小曲など
ロック色はほぼ皆無ながら、女性声の語りも加わった優美な聴き心地で楽しめる。
クラシカル度・・8 プログレ度・・7 優雅度・・9 総合・・7.5
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KERYGMATIC PROJECT 「Chronicles From Imaginary Places」
イタリアのプログレバンド、ケリーグマティック・プロジェクトの2018年作
2011年にデビューし、5作目となる。のっけから12分におよぶ大曲で、オルガンやムーグを含むシンセに
かすれた味わいのヴォーカルを乗せて、ASIAなどにも通じるキャッチーなシンフォプログレを聴かせる。
歌詞が英語なのでイタリアっぽさはあまりなく、きらびやかなシンフォニック性と優雅な展開力で、
YESを思わせる雰囲気のナンバーもある。どことなく煮え切らなかったこれまでの作品に比べて、
吹っ切れたような爽快な聴き心地。ラストは16分という、シンフォプログレらしい大曲がまた見事。
メロディック度・・8 プログレ度・・8 優雅度・・8 総合・・8 過去作のレビューはこちら
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Fluido Rosa 「Le Vie Dei Sogni」
イタリアのプログレバンド、フライド・ローザの2016年作
オルガンを含むシンセに男女ヴォーカルの歌声で聴かせる、キャッチーで牧歌的なサウンド。
ときに叙情的な泣きのギターや優美なピアノの旋律、女性奏者によるサックスも加わり、
イタリア語の男女ヴォーカルとともに、ゆったりとした優雅な聴き心地に包まれる。
楽曲は4〜6分前後と、わりとコンパクトでプログレ的な派手な展開はさほどないものの、
メロディックロックとしての叙情性という点では、I Poohを受け継ぐような雰囲気もある。
個人的には、女性声をメインにしたシンフォニックなナンバーがとても良かった。
ドラマティック度・・7 プログレ度・・7 優美度・・8 総合・・7.5
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MALIBRAN 「Live Anthology」
イタリアのプログレバンド、マリブランのライブ作。2018年作
1994〜2001年までのライブテイクを集めた、バンドのアンソロジー的なライブ作品集。
やわらかなフルートが鳴り響き、うっすらとしたシンセに叙情的なギターを乗せ、
リズムチェンジを含む緩急ある展開力で、マイナーな翳りを帯びたサウンドを構築する。
いくぶん粗野なヴォーカルが好みを分けるところだが、メロウなギターの旋律とシンセによる
GENESISルーツの優雅な叙情とともに、10分を超える大曲をじっくりと聴かせる。
ラストの1994年の音源は、25分という大曲で、優美なシンフォプログレぶりが良いですね。
ライブ演奏・・7 プログレ度・・7 叙情度・・8 総合・・7.5 過去作のレビューはこちら
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Malibran 「The Wood of Tales」
イタリアのプログレバンド、マリブランの1990年作
2016年までに6作を出している、イタリアンシンフォの中堅バンドで、本作はデビュー作。
メロウなギターにシンセ、やわらかなフルートが鳴り響く、リリカルなシンフォニックロック。
英語歌詞によるヴォーカルは、いかにも90年代のマイナーシンフォらしいシアトリカルな雰囲気で
繊細な叙情性とともにイタリアらしい幻想的な翳りに包まれたサウンドはなかなか魅力的。
アコースティックギターとフルートによる優雅な小曲をはさんで、後半は10分を超える大曲2曲で、
ゆったりとした叙情を描きつつ、ハードなギターの旋律でじわりと盛り上がりも見せる。
ドラマティック度・・8 プログレ度・・7 叙情度・・8 総合・・7.5
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Stereokimono 「Prismosfera」
イタリアのプログレバンド、ステレオキモノの2003年作
2000年にデビューし、2作目となる。スペイシーなシンセのイントロから、変拍子を含む軽妙なアンサンブルに、
ガレージロック的なフリーキーな感触と、コミカルで偏屈な味わいが同居したインストサウンドを展開。
叙情的なギターフレーズを乗せた優雅なインストナンバーなども、ほどよくエキセントリックなセンスを覗かせ、
チェロの音色が鳴り響くチェンバーロック風味や、クリムゾン的なミステリアスな雰囲気もあって、
なかなか一筋縄ではいかない。エクスペリメンタルなモダンさと、独特の浮遊感に包まれた作風で、
方向性としてはやや散漫な感じもあるが、ユルめの牧歌性とスリリングなテクニカル性が混在しているのが面白い。
ドラマティック度・・7 プログレ度・・7 スリリング度・・8 総合・・7.5
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FLAIRCK & BASILY 「GLOBAL ORCHESTRA」
オランダのアコースティックバンド、フレアークのライブ作品。2011年作
本作は、アコースティック・ジプシー音楽集団、バシリーとの共演ライブを収録したCD+DVD。
5人のギターに、パンフルート、ヴァイオリン、ダブルベース、ツィンバロム、パーカッションなど、総勢12人の大編成で、
技巧的なギターの旋律に、フルートやヴァイオリン、ツィンバロンの響きが重なり、軽やかなアンサンブルを描く。
楽しげで奔放、素朴と情熱、哀愁が同居した、まさにフレアークとジプシー音楽が合体したという聴き心地だ。
アコーディオンの音色や女性ヴォーカルを乗せた優美なナンバーもあり、見事な演奏で最後まで飽きさせない。
ピアノ線のような弦をスティックで叩くハンガリーの打楽器、ツィンバロムが大活躍していて、その豊かな音色に聴き惚れる。
CDの方は曲を一部短くしていて全78分。DVDの完全版で、優雅で技巧的な演奏を視覚でも味わうのがよいだろう。
アコースティック度・・10 優雅度・・9 軽妙度・・9 総合・・8.5 過去作のレビューはこちら
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PERVY PERKIN 「.TOTEM.」
スペインのプログレ・モダンロック、パーヴィ・パーキンの2016年作
顔面にペイントを施した若手の5人組で、2014年にデビューして、本作は2作目となる。
ほどよくハードなギターにマイルドなヴォーカルを乗せ、やわらかなシンセアレンジを重ねた
エモーショナルロック寄りのキャッチーでスタイリッシュなサウンド。ほどよいテクニカル性に、
ときにコミカルなカントリー風味なども含む、ごった煮系モダンロックという聴き心地だが、
中盤の26分の大曲では、キャッチーなプログレ感触と緩急ある展開力に、モダンなヘヴィネスや
セリフなどを含んだヘンテコなドラマ性がなかなか面白い。日本語によるナレーションや
デスメタル的なアグレッシブさもネタにしつつ、アヴァンギャルドにたたみかける。全79分という力作。
ドラマティック度・・7 プログレ度・・7 アヴァンギャル度・・8 総合・・7.5
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Q 「Abduccion」
チリのプログレバンド、Qの2011年作
美麗なシンセアレンジにほどよくハードなギターを重ね、テクニカルなアンサンブルで聴かせる、
スタイリッシュなインストサウンドを聴かせる。きらびやかなシンセワークはシンフォプログレ的であるが、
メタリックなギターリフを変拍子に乗せるところは、テクニカルプログレが好きな方にも対応。
一方では、叙情的な泣きのギターにうっすらとしたシンセを重ねた優美なナンバーなど、
シンフォニックなハードプログレとしても楽しめる。ギタリストのフレージングのセンスや、
オルガンやピアノを含むクラシカルなシンセもポイントが高い。なかなか高品質な作品です。
シンフォニック度・・8 テクニカル度・・8 スタイリッシュ度・・8 総合・・8
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HOLY LAMB 「Salt Of The Earth」
ラトビアのプログレバンド、ホーリー・ラムの1999年作
叙情的なギターにうっすらとしたシンセを重ね、ジェントルなヴォーカルで聴かせる、
GENESISルーツの優美なシンフォニックロック。ツインギターによるメロウな叙情性と
美麗なシンセワークに包まれていて、辺境的なマイナー臭さはさほど感じさせない。
12分、16分という大曲も、繊細なピアノや泣きのギターなどを織り込みつつ、
優雅な叙情とドラマティックな展開力でじっくりと構築してゆく。ジェネシス系が好きならとても楽しめる。
90年代東欧の王道シンフォプログレとしては屈指の出来の一枚といえるだろう。
ドラマティック度・・8 プログレ度・・8 優美度・・9 総合・・8

Jean Michel Jarre 「Oxygene」
フランスのミュージシャン、ジャン・ミッシェル・ジャールの1976年作
フランスを代表する電子音楽系アーティストで、アナログシンセの重ねによって、
クラウス・シュルツェにも通じるような幻想的なシンセミュージックを聴かせる。
スペイシーでときにシンフォニックなシンセサウンドは、エレクトロな雰囲気もありながら、、
フランスらしいどこか優雅な翳りを帯びた感触で、ゆったりとその音に浸ることができる。
シーケンサーによるリズムも加わったキャッチーな部分もあって、全体的にもさほどダークでもないので、
シュルツェやタンジェリン・ドリームの作品に比べても、わりと聴きやすいかもしれない。
ドラマティック度・・7 ロック度・・3 幻想度・・8 総合・・8
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Jean Michel Jarre 「Oxygene 7-13」
ジャン・ミッシェル・ジャールの1997年作
1976年作の続編であるが、デジタルシンセによるエレクトロな感触が強まっていて、
リフレンされるシンセサウンドは、同時期のクラウス・シュルツェにも通じる作風である。
打ち込みによるリズムがモダンなビート感をかもしだし、90年代的なデジタル感に包まれつつ、
随所にクラシカルで優雅な雰囲気や、スペイシーで幻想的な味わいも残されていて、それなりに楽しめる。
このシリーズが、ジャンの代表作なのだろう。2016年には、さらなる続編となる 「Oxygene3」発表する。
ドラマティック度・・7 ロック度・・3 幻想度・・7 総合・・7.5
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4/9
カナダ、アメリカ、南米プログレ(106)


MYSTERY 「Lies and Butterflies」
カナダのプログレバンド、ミステリーの2018年作
1992年にデビュー、YESに参加したブノワ・デイヴィッドも在籍していたバンドで、本作は7作目となる。
のっけから17分近い大曲で、やわらかなシンセアレンジにほどよくハードで叙情的なギターを重ね、
マイルドなヴォーカルとともに、翳りを帯びた優美な叙情に包まれたシンフォニックロックを聴かせる。
メロウな泣きのギターは、PENDRAGONにも通じる味わいで、ときにフルートの音色も加わって、
YES + GENESISというようなキャッチーな優雅さに包まれる。伸びやかな歌声の表現力も素晴らしい。
派手な展開はないものの、繊細な叙情美をゆったりと味わうには最高のシンフォプログレと言えるでしょう。
ドラマティック度・・8 プログレ度・・7 叙情度・・9 総合・・8.5 過去作のレビューはこちら
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MYSTERY 「DESTINY?」
カナダのプログレバンド、ミステリーの1998/2009年作
2作目となる1998年作を、10周年記念でジャケを変更してのリマスター再発盤。
美しいシンセアレンジに叙情的なギター、伸びやかなハイトーンのヴォーカルを乗せた
優美なシンフォニックロックはなかなか完成度は高い。ほどよくテクニカルなリズムも含めて、
安定したアンサンブルと演奏力、そしてキャッチーなメロディアス性も含めた聴き心地は
さすがRUSHなどを輩出したカナダのバンドらしい。アコースティックを含むメロウなギターの旋律や
ゲストによるヴァイオリンも加えた叙情美から、RUSHのようなキャッチーなノリのナンバーも味がある。
ラストは15分という大曲で、ドラマティックな展開力で壮麗なシンフォプログレを構築する。
メロディック度・・8 プログレ度・・8 優美度・・8 総合・・8
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SAGA 「LIVE IN HAMBURG」
カナダのプログレハード、サーガのライブ。2016年作
1978年デビューのベテランバンド。本作は、2015年ドイツでのライブを2CDに収録。
70〜80年代の初期のナンバーを中心にしたセットリストで、やわらかなシンセワークに流麗なギター、
マイケル・サドラーのマイルドなヴォーカルを乗せて、キャッチーなノリのプログレハードを聴かせる。
ジム・ギルモアのきらびやかなシンセは、サウンドをシンフォニックに彩っていて、初期の楽曲を魅力的に再現、
2014年作「Sagacity」からのナンバーも、オールドな楽曲の中に違和感なく溶け込んでいる。Disc2では、
1978年デビュー作のナンバーも披露。2CDで全98分と長すぎないのもよい。初期ファンにもお薦めのライブです。
ライブ演奏・・8 プログレ度・・7 初期SAGA度・・9 総合・・8 過去作のレビューはこちら
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Mantis
カナダのプログレバンド、マンティスの1973/2020年作
70年代に活動したバンドで、本作が唯一のアルバムとなる。ほどよくブルージーなギターに
オルガンを含むシンセとハスキーな女性ヴォーカルの歌声で聴かせる牧歌的なサウンド。
やわらかなピアノの旋律に男女ヴォーカルで聴かせるところなどは、RENAISSANCEなどを思わせる、
優雅なクラシカルロック風味で楽しめる。オルガンやピアノに加え、随所にブラスも加わった
年代を考えると厚みのあるサウンドで、マイナー感よりも、むしろキャッチーなポップ性を感じさせる。
8分を超える大曲も含めて、ジャケのイメージよりもプログレリスナー寄りの音で鑑賞できる好作品です。
キャッチー度・・7 プログレ度・・7 優雅度・・8 総合・・8
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CONTRACTION 「LIVE 1974」
カナダ、ケベックのプログレ・ジャズロック、コントラクションのライブ。2009年作
1972、74年にアルバム2作を出したバンドで、本作には1974年のスタジオライブを収録。
やわらかなエレピに軽やかなギター、しっとりとした女性ヴォーカルの歌声を乗せて、
優雅なアンサンブルを聴かせる、大人の味わいのブルージーなプログレジャズロック。
紅一点、クリスティーヌ嬢のコケティッシュな歌声も魅力的で、タメの効いたドラムにベースの存在感と、
さほどテクニカルではないが演奏力の高さも見事で、ゆったりとした中にも軽妙な味わいが心地よい。
70年代のライブ音源としては音質も良好。女性声ジャズロック好きは、2作のスタジオ作もチェックすべし。
ライブ演奏・・8 優雅度・・8 女性Vo度・・8 総合・・8 過去作のレビューはこちら
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Sense 「Stone in The Sky」
カナダのプログレバンド、センスの2005年作
本作は未発曲2曲にライブ音源5曲という変則アルバムで、DVDには別公演のライブを収録。
アコースティックギターにマイルドなヴォーカルを乗せ、フルートの音色も加えた牧歌的な1曲目から、
2曲目は美しいシンセアレンジに包まれたキャッチーな歌もの感がなかなか耳心地よく、
途中でクリムゾン的なスリリングな空気になるところも面白い。全体的にはケベックのバンドらしい
優雅で軽妙なサウンドで、アコースティックをまじえた牧歌性と、ミステリアスなプログレ感が混在した味わい。
10分を超える大曲を構築する確かな演奏力もあり、ライブ音源ではYESのカヴァーや、ジャズロック的な即興パートも披露。
DVDには、2004年のライブを収録。スティックを操るベーシストや女性ヴァイオリン、女性ヴォーカルも含め、優雅なステージが楽しめる。
メロディック度・・8 プログレ度・・8 優雅度・・8 総合・・8

Trigemino 「Trampas para Enganar」
アルゼンチンのプログレバンド、トリヘミーノの2019年作/邦題「いつわりの罠」
70年代に活動していたバンドが、2005年に再結成し、かつての楽曲を録音したという復活のデビューアルバム。
前に出すぎないメロウなギターにオルガンやムーグシンセ、エレピを重ね、スペイン語のヴォーカルとともに、
70年代風味のキャッチーなプログレサウンドを聴かせる。2曲目からは、32分近い組曲になっていて
アコースティックギターやシタールによる素朴な感触とともに、フォルクローレ的な優雅さにも包まれる。
派手になり過ぎないところは、いかにも70年代アルゼンチン的で、一聴したインパクトはさほどないのだが、
ラストの17分の大曲なども、牧歌的な叙情とオールドなプログレ感が同居した、微笑ましい味わいで楽しめる。
ドラマティック度・・7 プログレ度・・7 優雅度・・9 総合・・8
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Tau Ceti 「Meus Dois Mundos」
ブラジルのシンフォニックロック、タウ・セティの2019年作。
1995年にデビュー、本作は24年ぶりとなる復活作。シンセ奏者による個人ユニットとなっていて、
きらびやかなシンセを中心にした優雅なインストで、オルガンを使ったヴィンテージな味わいや、
エレピによる叙情ナンバーなど、TRACEあたりを思わせる、クラシカルな鍵盤シンフォが楽しめる。
後半は、ベートーベン、ブルックナー、バッハなどのカヴァーを含む、クラシック系ナンバーで、
オルガンをメインにした曲では、PAR LINDHあたりに通じるバロックな味わいの優雅さに包まれる。
リズムが打ち込みなので、ダイナミックさにはやや欠けるが、耳心地の良いシンセによるインスト作です。
クラシカル度・・8 プログレ度・・7 キーボー度・・8 総合・・7
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VITRAL 「ENTRE AS ESTRELAS」
ブラジルのシンフォニックロック、ヴィトラルの2017年作
QUATERNA REQUIEMのドラム、元BACAMARTEのフルート奏者が参加するバンドで、52分という長大な組曲を主体に、
オルガンを含むシンセにやわらかなフルートの音色、メロウなギターを重ねて優美な叙情を描く、正統派のシンフォニックロック。
クラシカルな鍵盤のフレーズは、ときにPAR LINDHなどにも通じる感触で、52分の大曲もあくまで優雅な味わいとともに、
ゆったりとしたインストサウンドを構築してゆく。軽やかなリズムの上にフルートが鳴り響くところは、CAMELあたりを思わせ、
シンセをメインにした繊細な叙情美は、かつてのQUATERNA REQUIEMが好きだった方にもアピールするだろう。
さすがに長尺感はあるのだが、耳心地が優しいので最後までのんびりと鑑賞できる。南米シンフォの新たな力作です。
シンフォニック度・・8 プログレ度・・8 優美度・・9 総合・・8
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Estigia 「Profundos Mares」
チリのハードプログレバンド、エスティギアの2005年作
美麗なシンセにハードなギターを重ね、スペイン語のヴォーカルとともにに、
ほどよくテクニカルな展開力で聴かせる、ハードシンフォニックサウンド。
ツーバスのドラムも含めて、ProgMetalとしても聴けるような作風であるが、
きらびやかなシンセアレンジが、南米らしい優美な味わいになっていて、
随処にクサメロを奏でるギターや、スカスカなドラムの音質などがローカルな感触もかもしだす。
楽曲は4〜6分前後が主体なので、長すぎず、クド過ぎずに楽しめる、南米ハードシンフォの好作。
ドラマティック度・・8 プログレ度・・7 南米度・・8 総合・・7

CAST 「Endless Signs」
メキシコのプログレハンド、キャストの1995年作
1994年にデビュー、本作は5作目となる。きらびやかなシンセにメロディックなギターを重ねて、
緩急ある展開力で優雅なシンフォニックロックを聴かせる。英語歌詞によるマイルドなヴォーカルに
やわらかなフルートの音色などの優美な叙情性に、泣きのギターフレーズや美麗なシンセワークなども
本作の時点でもなかなか魅力的で、のちの傑作に比べるといくぶんの野暮ったさはあるのだが、10分、14分という
大曲を構築するアレンジセンスもすでに備わっている。2000年代以降になると、録音面や演奏力の向上で、
世界最高レベルのシンフォプログレバンドになってゆくのだが、その片鱗は十分発揮されている。
シンフォニック度・・8 プログレ度・・8 優雅度・・8 総合・・8 過去作のレビューはこちら
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GOD BLESS 「7 - CERMIN」
インドネシアのロックバンド、ゴッド・ブレスの2017年作
70年代から活動するインドネシアを代表するバンドのひとつで、プログレリスナーからも評価の高いバンド。
7作目の本作は、1980年の2ndアルバムのリレコーディングに、Disc2には新曲を加えた2枚組作品。
オルガンを含むシンセにほどよくハードなギター、母国語による伸びやかなヴォーカルを乗せた
古き良き味わいのプログレハードサウンドを聴かせる。ほのかに様式美HRの香りをまとわせた
叙情的なギターの旋律に、手数の多いドラム、きらびやかなキーボードが一体となった、濃密な味わいは、
このバンドならではのものだろう。一方では柔らか味のある叙情性や、ファンキーなポップ性なども覗かせつつ、
ゴージャスなシンフォニック性も含んだ感動的なナンバーまで、アジアン・プログハードの傑作というべき内容です。
メロディック度・・8 プログレ度・・7 濃密度・・9 総合・・8
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CYGNUS & THE SEA MONSTERS 「One Night In Chicago 」
マイク・ポートノイ、ポール・ギルバート、ショーン・マローン、ジェイソン・マクマスター
というメンバーで行われた、RUSHトリビュートバンドの2005年のライブ音源を収録、
のっけから20分を超える「2112」でスタート、ポートノイの巧みなドラムに、CYNICのショーン・マローンのベース、
Mr.BIGのポール・ギルバートのギターに、元Watchtower、ジェイソン・マクマスターのハイトーンヴォーカルで、
原曲を軽やかに再現。音質的にはレンジが狭くて、上質のブート程度なのと、ヴォーカルの粗さが気にはなるが、
演奏自体はさすがの安定感。本家では「A Farewell to Kings」 と「Hemispheres」の2作にわたって収録された、
「Cygnus X-1」の2部構成の大曲を続けて披露。ラストの「YYG」は、途中のドラムソロも聴きどころ。ファンはどうぞ。
ライブ演奏・・8 音質・・7 トリビュート度・・8 総合・・7.5
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Coryell/Mouzon 「Back Together Again」
アメリカのミュージシャン、ラリー・コリエル&アルフォンス・ムザーンによる1977年作/邦題「未来への再会」
フュージョンとジャズの融合を早くから取り組んだギタリスト、コリエルを中心に、ジャズ・フュージョンの名ドラマーで、
The Eleventh Houseの盟友でもあるムザーン、ベースのジョン・リー、さらにはFOCUSにも参加していた、
ベルギー人ギタリストのフィリップ・カテリーンを加えたツインギターの編成。手数の多い軽やかなドラムに
二本のギターの甘美なメロディを乗せて、優雅でテクニカルなフュージョンロックを聴かせる。
ジャズをベースにしたスリリングなアンサンブルと、叙情的なメロディアス性を含んだ展開力も見事で、
オールインストながら、歌心のあるギタープレイはさすがというところ。プログレファン的には、巧みなギターとともに、
FOCUS
あたりに通じる味わいでも楽しめるだろう。ジャズ、フュージョンのクロスオーバーというべき傑作だ。
ロック度・・7 技巧度・・9 優雅度・・9 総合・・8.5
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Garaj Mahal 「Mondo Garaj」
アメリカのフュージョン・ジャズロック、ガライ・マールの2003年作
パキスタンとチリのハーフのギタリストを中心にしたユニットで、グルーヴィなアンサンブルに
フリーキーなギターとシンセを重ねた、インストによるフュージョン・ジャズロックを聴かせる。
スラップの効いたベースの存在感と、軽やかなドラムのテクニックもなかなかのもので、
シンセはエレピをはじめオルガンも使っているので、わりとプログレ感もあって良いですね。
ギターは決して前に出すぎることなく、ドラムとベースがアンサンブルを引っ張っていて、
随所にシタールも使っていてオリエンタルな民族色も覗かせる。軽妙なインスト作品です。
ドラマティック度・・6 プログレ度・・7 軽妙度・・8 総合・・7.5
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3/26
ドイツ、北欧、東欧、ヨーロピアンプログレ(91)


Magoria 「JTR1888」
オランダのシンフォニックロック、マゴリアの2019年作
KNIGHT AREAのギターを中心にしたロックオペラで、19世紀の切り裂きジャックをテーマにしたCD2枚組のコンセプト作。
VeralinやAyreon、Valentineなどにも参加したメンバーなど、9人の男女ヴォーカルが配役ごとに歌声を乗せる。
しっとりと美しい女性ヴォーカルに、オーケストラルなアレンジを加えた壮麗なイントロから、メロディックなギターを乗せた
ときにメタル寄りのハードな感触も覗かせつつ、プログレらしいきらびやかなシンセワークと魅力的な女性声で
どことなくLANDMARQを壮大にしたようでもある、ドラマティックで優雅なハード・シンフォニックロックを展開する。
楽曲ごとはキャッチーなメロディアス性とともに聴きやすく、男性声よりも女性Voがメインなのも嬉しいですな。
ドラマティック度・・9 プログレ度・・7 壮麗度・・9 総合・・8
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Fish on Friday 「An Initiation」
ベルギーのプログレバンド、フィッシュ・オン・フライデーの2019年作
2010年のデビュー作「SHOOT THE MOON」から、2017年作「QUIET LIFE」までの4作から選曲された楽曲を
新たにリミックスし、未発曲を加えたベストアルバム。美麗なシンセアレンジにメロウなギターの旋律、
マイルドなヴォーカルで、キャッチーなポップ性と泣きの叙情が同居した、優美なサウンドを聴かせてくれる。
曲によっては、TOTOのようなAOR風味もありつつ、10分を超える大曲ではシンフォニックロックとしての
壮麗な美しさにも包まれる。楽曲はわりと素直でシンプルなだが、女性声を加えたゴージャスなコーラスなど、
アダルトなメロディックロックとしても普通に楽しめる。バンドの入門用にも最適な全78分です。
メロディック度・・8 プログレ度・・7 優美度・・8 総合・・8 過去作のレビューはこちら
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FREQUENCY DRIFT 「Personal Effects Pt.2」
ドイツのプログレバンド、フリクエンシー・ドリフトの2010年作
デビュー作である2008年作の続編となるコンセプトアルバムで、適度にハードなギターに美しいシンセを重ね、
コケティッシュな女性ヴォーカルとともに、しっとりとした翳りを帯びたサウンドを描いてゆく。
ときにヴァイオリンの音色も加わって、ゴシック的でもあるアンニュイな倦怠の叙情を感じさせながら、
ゆるやかにドラマを描くようなサウンドを構築するセンスは、本作の時点ですでに確立されている。
シンセをバックに美しい女性声を乗せた、しっとりとしたパートなども魅力的で、派手な盛り上がりはさほどないが
魅力的なヴォーカルとともに薄暗い静謐感に包まれた、スタイリッシュな作風はある意味で個性的だ。
ドラマティック度・・8 プログレ度・・7 女性Vo度・・8 総合・・8 過去作のレビューはこちら
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RPWL 「Trying to Kiss the Sun」
ドイツのプログレバンド、RPWLの2002年作
2000年にデビュー、フロイド系ルーツのポストプログレとして、いまやドイツを代表するバンドの2作目。
メロウなギターにマイルドなヴォーカル、うっすらとしたシンセを重ねた、ユルめの叙情に包まれたサウンドで、
まさにPINK FLOYDを受け継ぐような雰囲気。のちの作品に比べるとドラマティックな構築性よりも、
キャッチーでやわらかな叙情性に包まれていて、繊細系シンフォニックロックとしてもほどよく楽しめる。
派手さはないが、主張しすぎない優しいシンセアレンジに、泣きのギターとともにゆったりと鑑賞できる。
ドラマティック度・・7 プログレ度・・7 叙情度・・8 総合・・8 過去作のレビューはこちら
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Rhys Marsh 「October After All」
イギリス出身、ノルウェーで活動するミュージシャン、ライス・マーシュの2019年作
2008年にデビュー、いまや北欧のポストプログレ系を代表するアーティストの一人だろう。
やわらかなシンセに繊細なトーンのギター、マイルドなヴォーカルを乗せた、キャッチーなサウンドに、
涼やかで物悲しい叙情をまとわせた聴き心地。優美なシンセワークはシンフォニックロック的で、
楽曲は3〜5分前後のわりとシンプルな歌もの風であるが、ときにサックスが鳴り響き、
優しいコーラスハーモニーとともに、アダルトな哀愁とセンシティブな空気感に包まれてゆく。
ヴィンテージなシンセによるオールドな感触で、レイドバックした味わいの叙情美溢れる逸品だ。
ドラマティック度・・8 プログレ度・・7 叙情度・・9 総合・・8 過去作のレビューはこちら
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Crea 「Dwarves & Penguins」
スウェーデンのプログレバンド、クレアの2019年作
90年代に活動するもアルバムを残さず消滅したバンドの復活作。やわらかなシンセにメロウなギター、
マイルドなヴォーカルを乗せて、翳りを帯びた叙情に包まれたサウンドを聴かせる。
ギターの奏でる泣きのフレーズは随所に魅力的で、ほどよくキャッチーな感触もあるが、
楽曲自体はやや盛り上がりに欠け、雰囲気はよいのだが淡々とした印象になっている。
煮え切らない北欧シンフォという点では、初期のGALLEONなどにも通じるかもしれない。
アルバム後半のインスト曲などは、優美な味わいでよい感じだが、全体的にはやや淡白か。
ドラマティック度・・7 プログレ度・・7 叙情度・・8 総合・・7
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Tusmorke 「Osloborgerlig Tusmorke: Vardoger Og Utburder, Vol. 1」
ノルウェーのプログレバンド、タスメルケの2018年作
2012年にデビューし、本作はすでに7作目となる。壮大なサイケプログレとなった前作から、
本作は1曲目から、ヴァイオリンやフルートが鳴り、母国語のヴォーカルを乗せた、薄暗い土着性に包まれる。
北欧トラッド的なアコースティックな味わいに、ユルめのけだるげな妖しいサイケ感が同居していて、
プログレというよりはフォーキーな牧歌性で聴かせるのんびりとしたナンバーなどもあったりと、
ある意味やりすぎなまでのユルさである。フルートにクラリネットも鳴り響くサイケロックになごみつつ、
11分近いラスト曲も、これといった盛り上がりを見せるでもなく、ゆるゆるとリフレインが続く。
ドラマティック度・・7 プログレ度・・7 ユル度・・9 総合・・7.5 過去作のレビューはこちら
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GENTLE KNIFE 「CLOCK UNWOUND」
ノルウェーのプログレバンド、ジェントル・ナイフの2017年作
2015年にデビューし、2作目となる。女性Voにフルート、サックス奏者などを含む、11人という大編成で、
ピアノとトランペットによるしっとりとしたイントロ曲から、シンセを加えたスタイリッシュなアンサンブルに、
男女ヴォーカルの歌声を乗せて、ほどよくハードでモダンなプログレサウンドを聴かせる。
15分という大曲では、優雅なフルートやサックスやホルンが鳴り響くゆったりとしたインストパートとともに、
チェンバーロック風の空気もかもしだす。一方ではプログレらしいきらびやかなシンセワークも現れて
男女声を乗せたキャッチーなノリのナンバーもあったりと軽妙な作風が楽しめる。随所に叙情的なギターも覗かせて、
ぱっと聴きには派手さはないが、全体的に大人の余裕というものが感じられる、玄人好みのセンスを感じる好作だ。
ドラマティック度・・7 プログレ度・・7 優雅度・・8 総合・・8
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SONIC SIGHT 「ANTHROPOLOGY」
ノルウェーのプログレバンド、ソニック・サイトの2017年作
ソロとしても活動する、マルチプレイヤーのFinn Arildを中心にしたバンドで、叙情的なギターに
プログレらしいヴィンテージなシンセを重ね、フィル・コリンズを思わせるジェントルなヴォーカルで、
70年代後期のGENESISにも通じるキャッチーなサウンドを聴かせる。泣きのギターフレーズに優美なピアノで、
大人の味わいの叙情に包まれたゆったりとした感触とともに、80年代風のメロディックロックとしても楽しめ、
IT BITESあたりが好きなリスナーにも対応。目新しさはないが、センスある構築力もさすがというところ。
キャッチーなシンフォプログレが好きな方には、理想的なバランスのサウンドだと思う。
メロディック度・・8 プログレ度・・8 優雅な叙情度・・8 総合・・8
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GALLEON 「Mind Over Matter」
スウェーデンのプログレバンド、ギャレオンの1998年作
1994年にデビューし、本作は5作目となる。やわらかなシンセアレンジに叙情的なギターと
ジェントルなヴォーカルを乗せた、北欧らしい涼やかでキャッチーなシンフォニックロックを聴かせる。
10分を超える大曲も、決して派手さはないが、ゆったりとした叙情とほどよい展開力で優美に構築してゆく。
繊細なシンセワークとやわらかなヴォーカルメロディには、初期のTHE FLOWER KINGSにも通じる雰囲気もあり
過去作と比べて幻想的な世界観の強度が強まっている。ラストの21分という大曲も、あくまでゆったりとメロウに聴かせます。
ドラマティック度・・8 プログレ度・・7 優美度・・9 総合・・8 過去作のレビューはこちら
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THE GIANT HOGWEED ORCHESTRA
フィンランドのプログレバンド、ジャイアン・ホグウィード・オーケストラの2004年作
サイケな雰囲気をかもしだすギターにやわらかなフルートの音色を重ね、ゆったりとしたアンサンブルで
叙情的なインストサウンドを聴かせる。楽曲は10分前後と長めであるが、これといった展開や
盛り上がる場面はさほどなく、フリーキーな演奏が淡々と続いてゆく感じなので長尺に感じてしまう。
優美なフルートが映える小曲などは、北欧らしい涼やかで叙情的な味わいでいいのだが、
20分近い大曲では、ユルめのサイケ路線が延々と続くので、人によっては退屈かもしれない。
ドラマティック度・・7 プログレ度・・7 北欧度・・7 総合・・7
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Niemen 「Spodchmurykapelusza」
ポーランドのミュージシャン、ニーメンこと、CZESLAW NIEMENの2002年作
60年代から活動するポーランドを代表するミュージシャンで、本作はそのラストアルバム。
打ち込みによるリズムに美しいシンセとバード寄りのギターを乗せ、ポーランド語による
枯れた味わいのヴォーカルで聴かせる、シンフォニックな歌ものロックというサウンド。
ときにフルートの音色などの民族色とエレクトロなモダンさが同居しつつ、情感的なニーメンの歌声が
時代的な雰囲気で包み込む。楽曲は3〜4分前後で、全体的にもプログレ的な部分は少ないが、
アーティスト、ニーメンの最後の輝きが味わえる。本作を最後に偉大なるミュージシャンは、2004年に死去する。
ドラマティック度・・7 プログレ度・・7 ニーメンの歌声度・・8 総合・・7.5 過去作のレビューはこちら
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THE RYSZARD KRAMARSKI PROJECT 「Mr Scrooge」
MILLENIUMのシンセ奏者でもあるポーランドのミュージシャン、リシャルト・クラマルスキによるプロジェクト。2019年作
本作はディケンズの小説「クリスマス・キャロル」を題材にしたコンセプト作品で、MILLENIUMのベースに、
同郷のMoonriseLoonyparkのメンバーも参加、やわらかなシンセアレンジに美しい女性ヴォーカルを乗せ、
叙情的なギターとともに優美なシンフォニックロックを展開する。翳りを帯びた叙情性はPink Floyd的な部分もあり、
歌詞は英語ながらも、やはりポーランド的なしっとりとした空気感に包まれる。スリリングな展開はさほどないが、
Magentaの「Home」などにも通じる物語性のある女性声歌ものシンフォとして、ゆったりと楽しめる逸品です。
ドラマティック度・・8 プログレ度・・7 優美度・・9 総合・・8 過去作のレビューはこちら
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SUNCHILD 「Messages From Afar: The Division & Illusion Of Time」
ウクライナのシンフォニックロック、サンチャイルドの2018年作
Karfagenでも活動するシンセ奏者、アントニー・カルギン率いるバンドで、本作は7作目となる。
メロディックなギターに美麗なシンセワーク、マイルドなヴォーカルを乗せて、優雅でファンタジックな
シンフォプログレを展開する。随所に女性ヴォーカルを加え、やわらかなシンセアレンジとともに、
素朴で牧歌的な世界観に包まれた作風は、じつに優しい聴き心地。20分を超える大曲も
メロウなギターの旋律に優美なシンセと男女ヴォーカルで、あくまでゆったりと構築する。
全体的にスリリングな展開はさほどないが、優美な叙情派シンフォが楽しめる好作品です。
ドラマティック度・・8 プログレ度・・7 優美度・・9 総合・・8 過去作のレビューはこちら
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Tatiana's Niovi 「Breath Of Life」
ギリシャのシンフォニック・ハード、タティアナズ・ニオヴィの2013年作
やわらかなシンセアレンジに美しい女性ヴォーカルを乗せ、適度にハードなギターに
いくぶんエレクトロなアレンジも含んだ優美なサウンド。ときにアンビエントでキャッチーな感触と、
タティアナ嬢の艶めいたどこか神秘的な歌声とともに、随所にケルティックな土着性も含んだ
浮遊感のある聴き心地で楽しめる。美麗なシンセと叙情的なギターの旋律とともに、
曲によっては、IONAなどのケルティックなシンフォニックロックとしても鑑賞可能。
楽曲は3〜5分前後と、わりとコンパクトなので、より壮麗な大曲なども聴いてみたい。
シンフォニック度・・8 優美度・・9 女性Vo度・・8 総合・・7.5
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3/12
英国プログレ特集(76)


PENDRAGON「Love Over Fear」
イギリスのシンフォニックロック、ペンドラゴンの2020年作
1983年にデビュー、名実ともに英国シンフォニックロックを代表するバンドの、6年ぶりとなる10作目。
オルガンを使ったヴィンテージなシンセを乗せた軽快な始まりから、古き良きスタイルへの回帰を感じさせるが、
ニック・バレットの奏でる泣きのギターとかすれた味わいのヴォーカルが加わると、ペンドラワールドが全開。
シンセとヴォーカルを主体にしたしっとりとしたメロウな小曲や、アコースティックギターの繊細なつまびきから、
エレキによる叙情フレーズが加わると、CAMELのような優美な味わいに。マンドリンやヴァイオリンを使った
トラッド的な質感のナンバーなども新機軸で、全体的にも力み過ぎない自然体のやわらかな叙情美に包まれている。
ラスト曲では、クライブ・ノーランの美麗なシンセワークとともにゆるやかに幕を閉じる。ベテラン健在の傑作です。
ドラマティック度・・8 プログレ度・・7 泣きの叙情度・・9 総合・・8 過去作のレビューはこちら
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The Tangent 「Auto Reconnaissance」
イギリスのプログレバンド、タンジェントの2020年作
マルチプレイヤーのアンディ・ティリソンを中心に、2003年にデビュー、本作はすでに通算11作目となる
ギターはルーク・マシン、ベースはヨナス・レインゴールド、ドラムにはスティーブ・ロバーツと前作からのメンバーで、
オルガンを含むシンセワークに軽妙なギター、マイルドなヴォーカルを乗せた優雅なプログレサウンドを聴かせる。
軽やかなドラムに存在感あるベースという見事なリズム隊に、キャッチーなコーラスハーモニーも引き立っていて、
カンタベリー的な優雅さをシンフォプログレに寄せた絶妙のサウンドは、円熟の境地というべき完成度。
テオ・トラヴィスのサックス、フルートに、優美なエレピなどで、オールドなジャズロック風味も描きつつ
ときにクリムゾンばりのヘヴィさも覗かせるなど、緩急ある展開力で10分を超える大曲をゆったりと構築する。
28分という大曲もあくまでやわらかな聴き心地で、枯れた味わいのヴォーカルも含めて大人のプログレが堪能できる。
ドラマティック度・・8 プログレ度・・8 優雅で軽妙度・・9 総合・・8 過去作のレビューはこちら
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THE GIFT 「ANTENNA」
イギリスのプログレバンド、ギフトの2019年作
2006年にデビューし、本作が4作目となる。英国らしい正統派のシンフォニックプログレだった前作から、
よりキャッチーなロック感をまとわせていて、やわらかなシンセとメロウなギターにマイルドなヴォーカルを乗せた、
大人の味わいのメロディックロックというサウンドになっている。10分近い大曲もありつつ、適度にハードな感触とともに
ジェントルなヴォーカルによる歌もの感とともに、肩の力の抜けた作風でゆったりと楽しめる。派手な展開はさほどなく、
アコースティックギターによる小曲から、80年代AOR風味のキャッチーなナンバー、アンビエント寄りの曲もあったりと
わりととえらどころがない。プログレとしてはやや物足りなさもあるが、ラスト曲では途中から叙情シンフォ路線に回帰する。
ドラマティック度・・7 プログレ度・・7 叙情度・・8 総合・・7.5 過去作のレビューはこちら
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The Kentish Spires 「Sprezzatura」
イギリスのプログレバンド、ケンティッシュ・スパイアーズの2019年作
2018年にデビューし、すでに2作目となる。女性Voにサックス奏者を含む6人編成で、オルガンを含むシンセに
サックスが優雅に鳴り響き、軽妙なアンサンブルで聴かせるジャズロックの感触に、女性ヴォーカルの歌声と
やわらかなフルート、アコースティックギターにピアノも加えた、英国フォーク風の素朴な牧歌性も含んだサウンド。
紅一点、Lucie.Vさんの歌声は、なよやかというよりは姐御系の雰囲気で、独特の味わいをかもしだし、
どこか妖しく魔女めいたところもある。ヴィンテージな70年代感覚に包まれつつも、決して濃密にはならず
シンプルな音数でさらりとした聴き心地。もう少し展開力が欲しい気もするが、この素朴さに惹かれる方も多いかと。
ドラマティック度・・7 プログレ度・・7 優雅度・・8 総合・・7.5
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GIZMO 「Marlowe's Children Part 1“The Innocence”」
イギリスのプログレバンド、ギズモの2015年作
やわらかなフルートにアコースティックギター、マイルドなヴォーカルを乗せた牧歌的なサウンドで
オルガンも鳴り響くゆったりとしたアンサンブルには、カンタベリー的な優雅さも感じさせる。
SEや子供の声などを取り入れ、ジャケのイメージのような少年時代のモラトリアムを描く世界観には、
古き良き英国の空気が感じ取れる。わりとポップなナンバーや、サックスが鳴り響く大人の味わいもあったり、
プログレ的な展開力はさほどないが、コンセプト的な雰囲気も含んでいて、The Moody Blues
The Whoなどにも通じる、往年のキャッチーな英国ロックという感じで楽しめる。
ドラマティック度・・7 プログレ度・・7 英国度・・8 総合・・7.5
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LANDMARQ 「ROADSKILL - Live In The Netherlands」
イギリスのシンフォニックロック、ランドマークのライブ。2015年作
1992年にデビュー、トレイシー・ヒッチングが加入した1998年以降は女性声のシンフォプログレとして人気を博す。
本作はオランダでのライブをCD+DVDに収録。2012年作「Entertaining Angels」からのナンバーを中心にしたセットで、
ほどよくハードで叙情的なギターにシンセを重ね、トレイシー・ヒッチングスの艶めいた女性ヴォーカルを乗せて、
キャッチーできらびやかなシンフォプログレを展開。美しいシンセに叙情的なギターフレーズが重なる優美な聴き心地で
10分を超える大曲もゆったりと優雅に楽しめる。そして16分という大曲「Calm Before the Storm」はライブのハイライトで、
ドラマティックな構築力とともに正統派の女性声シンフォプログレが楽しめる。DVDの方はCDよりも曲数が多く、
すっかり熟女になられたタプタプのトレイシーさんの巨乳とお腹…いやいや、お姿も含めてなかなか必見です。
ライブ演奏・・8 ライブ映像・・8 優美度・8 総合・・8 過去作のレビューはこちら
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Steven Willson 「Home Invasion」
イギリスのミュージシャン。スティーヴン・ウィルソンのライブ。2018年作
Porcupine Treeのリーダーであり、いまや新世代のプログレッシブロックを代表する顔というべきミュージシャン。
本作は2018年、ロンドンの名門ロイヤル・アルバートホールで行われたライブを収録した、2CD+DVD(初回盤)。
最新ソロ作の「To The Bone」からのナンバーを主体に、ポーキュパイン・トゥリーの楽曲も披露。
マイルドなヴォーカルを乗せた、ほどよいキャッチーさと翳りを帯びた繊細な叙情が同居したサウンドに
ときに女性ヴォーカルも加わったゴージャスなアレンジもライブらしい。グレイグ・ブランデル(FROST*)の巧みなドラムに
ニック・ベッグスのベースもさすがで、アダム・ホルツマンのシンセとアレックス・ハッチングスのギターも随所に活躍、
メロウな中に、ときにハードにうるさすぎないテクニカル性を織り込むあたりも、演奏陣のレベルの高さを感じさせる。
ドラマティックな大曲「Ancestral」など、10分を超える大曲も多数。合計150分を超えるボリュームの見事なライブです。
ライブ演奏・・9 ライブ映像・・8 叙情度・8 総合・・8 過去作のレビューはこちら
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Francis Dunnery 「Vampires」
イギリスのミュージシャン、フランシス・ダナリーの2016年作
IT BITESのギター&ヴォーカルである彼が、イット・バイツの楽曲をセルフカヴァーした2CD。
軽やかなギタープレイに、オルガンやピアノなどのシンセアレンジを重ね、かつてと変わらぬマイルドな歌声で
80年代の楽曲をわりとストレートにカヴァーした1曲目から、オールドなファンはなつかしさがこみ上げるだろう。
アコースティックギターを使った大人のアレンジもあったり、曲によってはシンプルな味わいながらも、
キャッチーでスタイリッシュなサウンドは古さを感じさせない。叙情的な泣きのギタープレイも随所に聴かせ、
2nd収録の「The Old Man And The Angel」、「Yellow Christian」あたりも優美でなかなか良い雰囲気。
Disc2ラストは、2nd収録の大曲「Once Around The World」で感動的に幕を閉じる。イット・バイツファンは必聴。
メロディック度・・8 プログレ度・・7 イット・バイツ度・・9 総合・・8
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John Hackett Band 「We are not Alone」
イギリスのミュージシャン、ジョン・ハケット率いるバンドの2017年作
スティーブ・ハケットの弟として知られるフルート奏者で、バンド名義としては初のアルバムとなる。
ジョンはシンセにサイドギター、リードヴォーカルも担当、やわらかなフルートに叙情的なギターとシンセに、
マイルドなヴォーカルを加えた、優雅でキャッチーなメロディックロック。S.ハケットとホールズワースの中間というような
甘美なフレーズを奏でる、ニック・フレッチャーのギターワークも魅力的で、繊細なジョンの歌声を引き立てている。
80年代プログレハード、AOR的でもあるポップな雰囲気もありつつ、どこか翳りを帯びた歌声が英国らしい味わいで、
モダン過ぎないウェットな聴き心地。派手なところはないが、優美なフルートとセンスのあるギターが素敵な逸品です。
ドラマティック度・・7 プログレ度・・7 叙情度・・8 総合・・8
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Midnight Sun 「Dark Tide Rising」
イギリスのプログレバンド、ミッドナイト・サンの2019年作
元ALSO EDENシンセとヴォーカル、元GREY LADY DOWN, DARWIN'S RADIOのベースなどによるバンドで、
きらびやかなシンセに適度にハードなギター、大人の味わいのエモーショナルなヴォーカルを乗せて、
スケールの大きなシンフォニックロックを聴かせる。Marillionのようなゆったりとした叙情的な感触に
往年のシンフォニックロックのドラマティックな盛り上がりが加わって、いくぶんメタル寄りのギターも含めて
重厚なサウンドを構築している。10分前後の大曲も、表現力あるヴォーカルと確かな演奏で飽きさせない。
同名バンドが多いのでまぎらわしいが、本作はPALLASなどにも通じる英国らしいハード・シンフォの逸品だ。
ドラマティック度・・8 プログレ度・・7 叙情度・・8 総合・・8
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King Crimson 「Live at the Orpheum」
キング・クリムゾンのライブ作。2015年作
2014年のアメリカでのライブをCD+DVD(Audio)に収録。パット・マステロット、ギャヴィン・ハリソン、ビル・リーフリンを擁する
「トリプルドラム」の編成で、ロバート・フリップ、メル・コリンズ、トニー・レヴィン、ジャッコ・ジャクジクという7人編成。
イントロに続くのは「RED」収録の「One More Red Nightmare」で、CDの方は音質的にはいくぶんこもった感じもあって、
ゆったりとした大人のクリムゾンという雰囲気ながら、巧みなリズム隊にコリンズのサックスの表現力はさすがで、
「Sailor's Tale」でのスリリングなアンサンブルから、ラストの「Starless」での叙情にはやはりぐっとくる。
全40分とライブしてはやや物足りない尺であるが、この編成でのお披露目という意味合いのライブなのだろう。
DVDの方は音質がとても良く、各楽器の音の分離やドラムも音のキレも含めて、よりバンドの神髄を楽しめる。
ライブ演奏・・8 CD音質・・7 DVD音質・・9 総合・・8 過去作のレビューはこちら
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King Crimson 「Live in Toronto」
キング・クリムゾンのライブ作。2016年作
2015年カナダ、トロント公演のステージを2CDに収録。トリプルドラム編成を映したジャケのインパクトもなかなかだが、
イントロに続く「太陽と戦慄パート1」では、迫力あるドラムサウンドにハードなギターが重なり、一気に引き込まれる。
メル・コリンズのフルートやサックスも楽曲における優雅なアクセントになっていて、重厚なドラムを中心にした
バンドとしてのアンサンブルも研ぎ澄まされて、スリリングな緊張感と叙情が同居した、まさに新時代のクリムゾン。
ツーバス踏みまくる迫力たっぷりの「Red」、Disc1ラストの「Epitaph」では、ジャコのヴォーカルもいい味を出している。
Disc2は、「Easy Money」、スリリングな「Level Five」、レヴィンのベースが恰好いい「Sailor's Tale」、名曲「Starless」、
「The Court Of The Crimson King」、ラストは「21世紀の精神異常者」オールドファンは感涙。2CDで125分の必聴ライブです。
ライブ演奏・・9 音質・・8 重厚度・・9 総合・・8.5
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MARILLION 「TUMBLING DOWN THE YEARS」
イギリスのプログレバンド、マリリオンのライブ。2010/2018年作
2009年にオランダで行われた「Marillion Weekend」の2日目を、2CDに収録した2018年の再発盤。
ファンからのリクエストを元に選曲された楽曲で、2008年から1981年へと遡っていくというセットリスト。
2008年作「Happiness is the Road」の楽曲で幕を開け、メロウなギターにスティーブ・ホガースのマイルドな歌声を乗せ、
ゆったりとした優美なサウンドを描いてゆく。10分を超える「When I Meet God」などもドラマティックな味わいで、
スティーブ・ロザリーの泣きのギターがじつに耳に心地よい。Disc2では、90年代のナンバーを主体に、
キャッチーな感触も覗かせながら、現在形のアレンジでじっくりと聴かせる。ラストは1stからのナンバーで、
ホガースの歌声で初期のシンフォプログレが楽しめる。2CDで135分、ディープなマリリオンファンも満足の内容です。
ライブ演奏・・8 叙情度・・9 マリリオンの歴史度・・9 総合・・8 過去作のレビューはこちら
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MARILLION 「Best.Live.」
イギリスのプログレバンド、マリリオンのライブ。2012年作
2005年「MARBLES LIVE」から、2011年「HOLIDAYS IN EDEN LIVE 2011」までの6年間に発表されたオフィシャルライブと
web限定のライブ盤から選曲された全20曲を2CDに収録。「MARBLES」収録の大曲から始まり、やわらかなシンセに
スティーブ・ロザリーの泣きのギター、スティーブ・ホガースのエモーショナルな歌声で、翳りを帯びた叙情に包まれる。
Disc1のラストは、16分を超える大曲「This Strange Engine」で、ゆるやかな盛り上がりが胸を打つ。
Disc2は、「MARBLES」収録のラスト曲でドラマティックに始まりつつ、表現力あるホガースのヴォーカルに、
やわらかなピアノでしっとりと聴かせるナンバーなども、大人の味わいで楽しめる。アコースティックギターを使った
「This Strange Engine」収録のラスト曲で爽やかに締めくくる。2CD合計146分のという、まさにベストライブ。
ライブ演奏・・9 叙情度・・9 優美度・・9 総合・・8
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Citizen Cain 「Ghost Dance」
イギリスのプログレバンド、シチズン・ケインの1996年作
本作はバンドのデビュー前、1984〜86年に録音されていた未発表音源をまとめたもので、
G&Key、Dr、B&Voというトリオ編成で、随所にシンセを重ねた幻想的なシンフォニックロックを聴かせる。
基本的には初期のIQなどに通じる、GENESISルーツの感触であるが、7〜8分という大曲を、
緩急ある展開で構築するスタイルは、のちのポンプロック路線よりも、むしろプログレ寄りかもしれない。
巧みなドラムを中心とした演奏力もしっかりしていて、変則リズムによる適度なテクニカル性を含めて、
優雅なアンサンブルも見事。単なる未発音源という以上に、バンドのルーツと実力を窺い知れる濃密な内容だ
ドラマティック度・・8 プログレ度・・8 優雅度・・8 総合・・8 過去作のレビューはこちら
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DeeExpus 「Far From Home」
イギリスのプログレバンド、ディーエクスプスのライブ。2009年作
2009年ポーランドでのステージで、2008年作「Half Way Home」の全曲を含むセットリストを演奏。
ほどよくハードなギターにシンセを重ね、マイルドなヴォーカルを乗せた、ARENAなどにも通じる
英国らしいモダンなハードシシンフォで、安定した演奏力も含めて新世代プログの雰囲気を漂わせる。
一方では、優雅でキャッチーなオールドなプログレ感も含んでいるところが、IT BITESなどと同様に
英国らしい味わいにもなっていて、派手な展開はないもものの、安心してじっくりと楽しめるサウンドだ。
叙情的なバラードから、17分という大曲まで、スタジオ作以上にダイナミックな好ライブ作品。
ライブ演奏・・8 プログレ度・・7 英国度・・8 総合・・8 過去作のレビューはこちら
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2/26
ドイツ、オランダ、ベルギー(60)


LUCIFER'S FRIEND 「BLACK MOON」
ドイツのベテランハードロック、ルシファーズ・フレンドの2019年作
1970年にデビュー、1981年までに8作を残して消えるも、2015年になって本格的に復活を果たす。
本作は、2016年作「TOO LATE TO HATE」に続く、復活後2作目で、ジョン・ロートンをはじめ、
ギターとベースのオリジナルメンバー3人を主体に、往年を思わせるオールドなサウンドを聴かせる。
オルガンなどのシンセに古き良き味わいのギターと、ブラスやストリングスなどのアレンジも随所に加えて
適度なプログレ風味も覗かせつつ、なんといっても衰え知らずのロートンの朗々としたヴォーカルが素晴らしい。
楽曲は4分前後とわりとシンプルで、新鮮な部分はさほどないが、70年代と変わらぬスタイルでファンには嬉しいだろう。
ドラマティック度・・7 プログレ度・・6 古き良き度・・9 総合・・8 過去作のレビューはこちら
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Nektar 「Book Of Days」
ドイツで活動する英国人バンド、ネクターの2008年作
1971年デビュー、1980年までに8作を残して消えるも、2001年に20年ぶりに復活、本作は復活後の3作目となる。
ほどよくハードなギターにオルガンなどのシンセを重ね、いくぶんブルージーな感触も含んだ
古き良き味わいのハードプログレを聴かせる。アルバム中盤からは10分を超える大曲が続き、
キャッチーなオールドロック感の中に、ときに初期の頃を思わせるウェットな雰囲気も覗かせる。
派手な展開はさほどないが、大人のプログレハードが楽しめる好作品だ。2020年デラックスエディションには、
2016年に死去した、故ロイ・アルブライトンの2005年のソロ作、「THE FOLLIES OF RUPERT TREACLE」を収録
ドラマティック度・・8 プログレ度・・7 古き良き度・・8 総合・・8 過去作のレビューはこちら
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RPWL 「Live from Outer Space」
ドイツのプログレバンド、RPWLのライブ。2020年作
2000年にデビュー、現在までに8枚のアルバムを発表している、モダンプログレの代表格。
本作は2019年のライブを2CDに収録、Disc1は2019年作「Tales From Outer Space」の完全再現で、
やわらかなシンセにほどよくハードなギター、マイルドなヴォーカルとともに、PINK FLOYDルーツの
オールドなプログレ感触と優雅なスタイリッシュ性が同居したサウンドを構築。メロウなギターフレーズや
メロトロンの音色やピアノなど優美なシンセワークが、泣きの叙情を描き出し、アルバム以上にエモーショナル。
Disc2には過去のアルバムからまんべんなくセレクト。CD2枚で全100分超のステージが満喫できる。
ライブ演奏・・8 プログレ度・・7 叙情度・・9 総合・・8 過去作のレビューはこちら
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Yuval Ron 「Somewhere in This Universe,Somebody Hits a Drum」
イスラエル出身、ドイツで活動するギタリスト、ユヴァル・ロンの2019年作
ドラムにマルコ・ミンネマンを迎え4人編成で、きらびやかなシンセに流麗なギタープレイを乗せた
軽やかなアンサンブルを展開。アラン・ホールズワース的でもある優雅なジャズロック感触から、
クリムゾンにも通じるスリリングな構築力も覗かせながら、あくまでも濃密すぎない軽妙な味わい。
スペイシーなシンセにゆったりと叙情的なギターフレーズを重ねた優美なナンバーを挟みつつ、
後半は、10分近い大曲3連発で、テクニカルなリズムのシンフォニック・ジャズロック風味で、
技巧的なギターを奏でまくる。優雅で軽やかなホールズワース系プログレ・ジャズロックの逸品。
ドラマティック度・・7 プログレ度・・8 優雅度・・9 総合・・8
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Realisea「Mantelpiece」
オランダのシンフォニックロック、リアリシーの2020年作
SILHOUETTEのBrian de Graevを中心に、多数のメンバーが参加したプロジェクトで、
美麗なシンセにキュートな女性ヴォーカルの歌声を乗せ、メロウな泣きのギターとともに
優美な叙情に包まれたシンフォニックロックを聴かせる。マイルドな男性ヴォーカルも加わって、
艶やかなヴァイオリンの音色や、アコースティックを含む繊細な味わいはとても耳心地よい。
全体的に派手な展開はさほどないが、メロディックなギターフレーズとやわらかなシンセによる、
ゆったりと優しいサウンドが楽しめる。本作が気に入ったらも、SILHOUETTEもぜひチェックすべし。
ドラマティック度・・8 プログレ度・・7 優美度・・9 総合・・8
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CHANDELIER 「FACEING GRAVITY」
ドイツのシンフォニックロック、シャンデリアの1992/2018年作
1990年にデビュー、本作は2作目のリマスター再発盤。美麗なシンセアレンジにメロウなギターフレーズを重ね
ややクセのあるヴォーカルとともに、初期MARILLIONにも通じるポンプロック寄りのサウンドを聴かせる。
前作の優美なシンフォプログレ路線から、よりスタイリッシュでキャッチーな抜けの良さをまとい、
メロディックロックとしての軽快な聴きやすさと、シンフォニックロックの叙情がバランス良く同居していて、
ゆったりとした繊細なナンバーから、15分におよぶ大曲まで、濃密すぎないリリカルな耳心地で楽しめる。
Disc2には、1993年フランスでのライブ音源を収録。音質も良好で、1stと2ndの楽曲を主体に、確かな演奏力で、
スタジオアルバム以上に躍動的なサウンドを聴かせる。ライブ単体としても出来が良いボーナスである。
ドラマティック度・・8 プログレ度・・7 優美度・・8 総合・・8 過去作のレビューはこちら
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Marco Minnemann 「EEPS」
ドイツ出身のドラマーにしてマルチミュージシャン、マルコ・ミンネマンの2014年作
本作はヴォーカルを含む全パートを自身で務めるまさしくソロアルバムで、軽やかなドラムにギターとシンセを乗せた、
独りセッション的なフリーキーなテクニカル性と、ラフなヴォーカルを重ねたガレージロック風味が同居しつつ、
結果としてキャッチーでストレンジなアヴァンギャルド・サウンドを聴かせる。とにかくドラムが上手いので、
テキトーなアンサンブルでも説得力があり、バラけた曲調のわりにはカッチリと聴こえるというのが凄い。
2〜4分前後の小曲を主体に11分という大曲もあり、ときにメロウなギターに自身のヴォーカルを乗せて、
ゆったりと叙情を描くところは、ミュージシャンとしての懐の深さを感じさせる。ボーナス入れて全79分という力作だ。
ドラマティック度・・7 プログレ度・・7 アーティスティック度・・8 総合・・8 過去作のレビューはこちら
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Marco Minnemann 「Borrego」
ドイツ出身のドラマーにしてマルチミュージシャン、マルコ・ミンネマンの2016年作
アメリカにあるアンザ・ボレゴ砂漠をコンセプトにしたCD2枚組作品で、ヴォーカルを含め全パートを独りで演奏。
一聴してオルタナ寄りのサウンドは、わりと普通のモダンロックの感触だが、随所にテクニカルなドラムや
フリーキーなギターによるアヴァンギャルドな味わいも覗かせる。シンセやヴァイオリンを加えての、
チェンバーロック風のスリリングなインストナンバーや、女性ヴォーカルを加えた優雅な味わいなど、
キャッチーで軽妙なナンバーも織り込みつつ、RUSHのアレックス・ライフソン、ジョー・サトリアーニがゲスト参加し、
随所に巧みなギターを披露している。全体的にリラックスした作風で、いくぶんつかみどころがないという印象も。
ドラマティック度・・7 プログレ度・・7 アーティスティック度・・7 総合・・7.5
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Blank Manuskript 「The Waiting Soldier」
オーストリアのプログレバンド、ブランク・マヌスクリプトの2015年作
軽妙なアンサンブルにメロウなギター、オルガンを含むシンセに、フルートも鳴り響く、優雅な感触に
どこかミステリアスな空気感をまとわせたサウンド。シアトリカルに歌い上げるヴォーカルも加わりつつ、
繊細なピアノやクラシカルギターのつまびきもまじえ、ほどよくエキセントリックで唐突な展開とともに
スタイリッシュなセンスと叙情性が同居したスリリングな味わい。ときにキュートな女性ヴォーカルの歌声に、
トランペットやホルン、トロンボーンなどの音色と、優美なピアノや叙情的なギターでゆったりと聴かせつつ、
一転してオルガンにサックス、フルートが鳴り響く、スウィングジャズ的なプログレ感が現れるなど、
なかなか一筋縄ではいかない。スリリングで個性的なセンスのアヴァン・プログレが楽しめる逸品です。
ドラマティック度・・7 プログレ度・・8 優雅でアヴァンギャル度・・8 総合・・8
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Jan Akkerman 「Focus in Time」
オランダのギタリスト、ヤン・アッカーマンの1998年
ご存知、FOCUSのギタリストとして知られる名プレイヤーで、本作はタイトルからして期待させる。
2〜3分前後の小曲を主体に、クラシカルな中世音楽風ナンバーから、軽やかなフュージョンナンバーまで、
アコースティックとエレキをバランス良く配し、美しいシンセアレンジとともに優雅なサウンド聴かせる。
派手なプレイというのはないのだが、クラシックとジャズの素養を持つ彼らしい、巧みなフレージングで、
ゆったりと大人の叙情を描いてゆく。アコースティックによる味わいのある繊細な小曲から、
ウリ・ロートばりのクラシカルな泣きのナンバーなどにじっくりと聴き入れる。まさに円熟の出来だ。
クラシカル度・・8 プログレ度・・7 優雅度・・9 総合・・8 過去作のレビューはこちら
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QUANTUM FANTAY 「AGAPANTHUSTERRA」
ベルギーのサイケロック、クアンタム・ファンタイの2005年作
フルートが鳴り響き、スペイシーなシンセにギターを重ねた、厚みのあるアンサンブルで、
Ozric Tentaclesを思わせる、アッパーで軽快なノリのサイケロックを聴かせる。
オズテンに比べるとエレクトロな部分よりも、フルートなどによる優雅な叙情が前に出ていて、
グルーヴィなドラムをはじめ確かな演奏力で、オールインストながらも耳心地よく楽しめる。
ハードめのギターにきらびやかなシンセを重ねた、シンフォニックサイケ的なナンバーなど、
オズテン好きはもちろん、軽妙でアンサンブリーなサイケロックが好きな方にはお薦めだ。
サイケ度・・8 優雅度・・8 オズテン度・・8 総合・・8
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Julverne 「Le Pavillon Des Passions」
ベルギーのチェンバーロック、ジュルヴェルヌの2000年作
1979年デビュー、1986年以来となる5作目で、クラリネットやオーボエ、フルート、バスーンなとが鳴り響き、
クラシカルなピアノの旋律に、ヴァイオリン、ヴィオラ、チェロのストリングスがスリリングに重なる、
いかにも室内楽的な優雅なサウンドを聴かせる。ドラムなどが入らないので、ロック的な感触はほとんどなく、
ダークさよりもヨーロピアンな気品に包まれた聴き心地が特徴だろう。一方では、ピアノやヴァイオリンをメインにした
緊迫感のあるナンバーでは、Univers Zeroにも通じる雰囲気も覗かせ、アコースティック楽器によるダイナミズムという、
優美さとアグレッシブが同居した演奏が楽しめる。かつてのサロン系チェンバーを引き継いだ優雅な逸品です。
クラシカル度・・9 ロック度・・1 優雅度・・9 総合・・8 過去作のレビューはこちら
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Klaus Schulze's Wahnfried「Drums'n' Balls」
ジャーマンシンセミュージックの鬼才、クラウス・シュルツェの1997年作
コンピューター・プログラムによるユニット、ヴァーンフリード名義のアルバムで、
CLARA MONDSHINEのメンバーが参加、デジタルなシンセにドラムやベースなどを重ね、
ときにエフェクトのかかったヴォイスを乗せた、エレクトロなサウンドを聴かせる。
12〜15分前後の大曲をメインに、いつものシュルツェらしいスペイシーなシンセと
フリーキーなパーカッションが合わさった、エスノ風のデジタルミュージックという趣。
女性声を乗せた神秘的な浮遊感もよい感じで、ボーナストラック曲も妖しい感触で楽しめます。
ドラマティック度・・7 幻想度・・8 シンセ度・・8 総合・・7.5
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Klaus Schulze 「La Vie Electronique 8」
クラウス・シュルツェの未発音源集その8。2010年作
Disc1には、1979年のライブ音源をメインに収録。傑作「DUNE」を発表した時期であるから、
とくに前半の40分の組曲は、幻想的なシンセの重ねによる、スケールの大きなサウンドが楽しめる。
後半の30分の組曲ではヴォーカルを加えたシアトリカルな感触も。Disc2には、1977〜78年に録音された
「ヒッチコック組曲」を収録。ティッピ・ヘドレン、ジャネット・リー、カレン・ブラック、バーバラ・ハリスといった、
ヒッチコックの映画作品に出演した女優をテーマにした、40分におよぶミステリアスな味わいの大曲。
後半には、1979年のライブ音源を収録。Disc3には、1981〜83年のスタジオ音源に、1983年のライブ音源を収録。
デジタルシンセによるエレクトロなナンバーから、フルートにドラムも入ったレアな曲もあったりしてなかなか楽しめる。
ドラマティック度・・8 幻想度・・9 シンセ度・・9 総合・・8 過去作のレビューはこちら
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LIFT 「Spiegelbild & Nach Hause」
旧東ドイツのプログレバンド、リフトの3rd/4th。1981/1987年作
1977年にデビュー、本作は3作目と4作目のカップリング盤。きらびやかなシンセにサックスが鳴り響き、
ドイツ語のヴォーカルを乗せた、軽快でキャッチーな味わいのシンフォニックロックを聴かせる。
巧みなドラムとベースによる確かなアンサンブルに、RICK WAKEMANばりのシンセが弾きまくり、
ピアノやチェロ、フルートなどのクラシカルな優雅さも含んだ、メロディアスなシンフォプログレが楽しめ、
個人的には、代表作とされる2作目よりも、この3作目の方が出来が良いのではないかと思う。
4作目になると、ギターが加わったことでAOR風の感触が強まり、80年代的産業ロックの聴き心地に、
曲によってはASIAのようなキャッチーなプログレハードとしてもわりと普通に楽しめる。
メロディック度・・8 プログレ度・・8 東欧度・・8 総合・・8
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2/11
ポストプログレにフレンチプログ、サイケなど(45)


Cobalt Chapel 「Variants」
イギリスのサイケ・フォーク、コバルト・チャペルの2019年作
REGAL WORMのJerrod Goslingと女性シンガーによるユニットで、本作は2017年デビュー作のリメイク。
オルガンやメロトロンなどのヴィンテージなシンセに、美しい女性ヴォーカルの歌声を乗せた、
ゴシック的な倦怠の空気も感じさせる、アシッドなサイケフォークというようなサウンドを聴かせる。
ときにドラムやギターも加わるが、基本はシンセとヴォーカルになるアンビエントな雰囲気モノで
シーケンサーを使ったエレクトロ色も覗かせつつ、幻想的な妖しさに包まれた世界観が楽しめる。
ラストの11分の大曲は、メロトロンやアコーディオン、ドラムも加え、プログレ寄りのアシッド・フォークロックを展開。
ドラマティック度・・7 ロック度・・2 幻想度・・8 総合・・7.5
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Suns of the Tundra「Murmuration」
イギリスのポスト・プログレロック、サンズ・オブ・ツンドラの2019年作
PEACHのSimon Oakesを中心にしたバンドで、2004年にデビューし、本作は4作目となる
適度にハードなギターと、エフェクトのかかったヴォーカルとともに、TOOLを受け継ぐような
モダンでスタイリッシュなサウンド。シンセも加えたプログレ寄りの叙情性も覗かせながら、
グルーヴィなロック感触とキャッチーな歌もの感も合わさった、とらえどころのなさが魅力。
プログレとして聴くには物足りなさはあるが、モダン派のオルタナ・プログレロックの好作だ。
ドラマティック度・・7 プログレ度・・7 スタイリッシュ度・・8 総合・・7.5
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COHEED AND CAMBRIA 「THE UNHEAVENLY CREATURES」
アメリカのプログレ・エモーショナルロック、コヒード・アンド・カンブリアの2018年作
2002年にデビューし、本作が9作目。前作はわりとシンプルな作風でいくぶん物足りなさもあったが、
今作はジャケのイメージからしてSF的なコンセプト性を感じさせる。語りを含んだ映画的なイントロから、
メロディックなギターにエモーショナルなヴォーカルを乗せて、ProgMetal的でもあるほどよくハードで
スタイリッシュな構築力と、キャッチーな歌もの感触がバランス良く同居したサウンドを聴かせる。
楽曲自体は、これまでの作品同様、優雅なエモーショナルロックのプログレ風味という感じであるが、
ときにQUEENにも通じるキャッチーな優雅さも含めて、じっくりと楽しめる。全79分というという力作だ。
ドラマティック度・・8 プログレ度・・7 優雅でキャッチー度・・8 総合・・8 過去作のレビューはこちら
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Motorpsycho PresentsThe International Tussler Society
ノルウェーのロックバンド、モーターサイコがジ・インターナショナル・タスラー・ソサエティ名義で発表した作品。2005年作
いかにもオールドなギターにピアノ、ジェントルなヴォーカルを乗せた、古き良きカントリーロック風味のサウンド。
西部劇をコンセプトに、ウエスタンを思わせる雰囲気で、キャッチーな牧歌性に包まれた聴き心地であるが
モーターサイコらしいグルーヴィな生々しさを随所に感じさせる。アコースティックギターを使った優雅な味わいと
開放感のあるおおらかなロック性も含めて、のんびりと気持ちよく楽しめる。何本ものギターを重ねた音の厚みや
コーラスハーモニー、哀愁を含んだ叙情も覗かせて、北欧のバンドらしいやわらかなメロディアス性にも包まれる。
ノルウェーの実力派が、ヴィンテージでアメリカンなカントリーロックを再現したという好作品です。
キャッチー度・・8 プログレ度・・3 叙情度・・8 総合・・8 過去作のレビューはこちら
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Gazpacho 「Soyuz」
ノルウェーのプログレ・ロックバンド、ガスパチョの2018年作
2003年にデビュー、いまや北欧ポストプログレを代表するバンドの通算10作目のアルバム。
メロウなギターにうっすらとしたシンセに優美なピアノ、エモーショナルなヴォーカルを乗せて、
エレクトロなアレンジを含んだスタイリッシュ性と、薄暗い繊細な叙情が同居したサウンドを描く。
ヴァイオリンも鳴り響く、北欧らしい涼やかで優雅な味わいに包まれつつ、ゆったりと静謐パートと
盛り上げるロック部分のダイナミズムもあって、プログレとしてもしっかりと楽しめるのがさすが。
13分という大曲もあくまで優美な雰囲気で、ゆったりと構築する。いつもながらに味わい深い逸品。
ドラマティック度・・8 プログレ度・・7 優美度・・9 総合・・8 過去作のレビューはこちら
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35 Tapes 「Lost & Found」
ノルウェーのプログレバンド、35テープスの2019年作
やわらかにメロトロンが鳴り響き、叙情的なギターに繊細なピアノ、ジェントルなヴォーカルを乗せた
しっとりと優美なサウンド。涼やかな泣きのギターフレーズが耳心地よく、同郷のAIRBAGあたりにも通じる
ポストプログレ的な大人の歌もの感も含んだ作風ながら、どこか暖かみを感じさせる古き良き空気を感じさせる。
後半は19分という大曲で、優しいシンセワークとメロウなギターにマイルドな歌声で、じっくりと聴かせる。
全体的に派手なところはないが、北欧らしい叙情にじわじわと包まれるような好作品です。
ドラマティック度・・7 プログレ度・・7 優美度・・8 総合・・7.5
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Frokedal 「Hold On Dreamer」
ノルウェーのアシッドフォークロック、フローケダルの2016年作
女性SSW、アン・リーズ・フローケダル嬢を中心にしたユニットで、ユルめのギターにシンセを重ね、
やわらかな女性ヴォーカルを乗せた、素朴でゆったりとした浮遊感に包まれたサウンド。
フィドルやマンドリンにパーカッションも鳴り響く、北欧らしい土着性も含んだゆるやかな味わいに、
エレキギターやドラムも加わったロック感触もいくぶん覗かせて、SPRIGUNSあたりにも通じる
幻想的なプログレ・フォークの雰囲気とともに、のんびりと夢見心地に楽しめる。
アナログ感ある70年代風の音質や、ときにトランペットなどを使ったアレンジもよい感じです。
幻想フォーク度・・8 ロック度・・6 女性Vo度・・8 総合・・8
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ATLANTIDE
フランスのプログレバンド、アトランティーデの1976年作
VISITORSで知られる、ジャン・ピエール・マシエラによるプロジェクトで、本作が唯一の作品。
のっけからYESのあの曲を思わせるギターフレーズとともに、軽やかなアンサンブルで始まり、
アコースティックな叙情を含んだ優雅なサウンドを聴かせる。フランス語によるマイルドなヴォーカルに
女性コーラスなども加えて、ほどよくキャッチーな味わいと素朴な牧歌性を含んだサウンドに、
どことなく霧のかかっようなミステリアスな空気感に包まれるところは、いかにもフランスらしい。
12分という大曲も、YESから拝借したようなフレーズも覗かせて、叙情豊かに構築してゆく。
ドラマティック度・・7 プログレ度・・8 優雅度・・8 総合・・7.5
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Qantum 「Les Temps Oublies」
フランスのプログレバンド、クアンタムの2009年作
きらびやかなシンセにギターを重ね、フランス語による味のあるヴォーカルを乗せた、
優雅なシンフォニックロックを聴かせる。フレンチらしいシアトリカルでドラマティックな雰囲気は、
やはりANGEをルーツにした雰囲気であるが、ほどよいマイナー臭さも含めてなかなか出来がよい。
随所にクラシカルなピアノや、メロウな旋律を奏でるギターもよい感じで、楽曲も3〜7分ほどなので
長すぎないのも聴きやすい。濃密なヴォーカルパートと、優美な叙情のインストパートの対比もよろしく、
古き良き正統派シンフォプログレの王道というような、幻想のロマンが味わえる力作です。
ドラマティック度・・8 叙情度・・9 フレンチ度・・9 総合・・8
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MOTIS 「Ripaille」
フランスのプログレバンド、モーティスの2011年作
2004年にデビュー、本作は3作目。ムーグやメロトロン、オルガンなどのシンセにフランス語の歌声を乗せ、
哀愁を含んだブズーキの音色など、トラッド的な味わいが合わさった、優雅なサウンドを聴かせる。
ヴィンテージなキーボードプログレと、アコースティックのフォーク要素が同居したような感触で、
フレンチらしいシアトリカルな空気と、素朴な古楽風味が融合した独自の世界観が楽しめる。
楽曲は3〜5分前後中心で、プログレらしい展開力はさほどなく、フランス語による歌もの感が強いのだが、
アルバム後半には、オルガンにメロトロンが鳴り響くイントロ曲などもあって、むしろ古楽要素がもっと欲しい気も。
ドラマティック度・・7 プログレ度・・7 フレンチ度・・9 総合・・7.5 過去作のレビューはこちら
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DIDIER BARDIN 「Le Pouvoir Des Pierres」
フランスのシンセ奏者、ディディアー・バーディンの2008年作
美麗なシンセやピアノにアコースティックギターを重ねた、JEAN-PASCAL BOFFOGANDALFなども通じる、
繊細で優美なサウンド。やわらかなフルートの音色に、リリカルなシンセの重ねが幻想的な世界観を描き、
ときに語りのような女性ヴォーカルが加わって、しっとりとまどろむような聴き心地で楽しめる。
ロック色はほぼ皆無で、プログレ的な展開というのもないので、アンビエントなシンセミュージックや
夢見心地のクラシカルシンフォなどが好きな方向けだろう。けだるい午睡にぴったりの音楽です。
ドラマティック度・・7 プログレ度・・6 優美度・・8 総合・・7
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VERSUS X 「The Turbulent Zone」
フランスのプログレバンド、ヴェルサス・エックスの2000年作
1994年にデビューし、3作目となる。のっけから21分という組曲で、美麗なシンセに叙情的なギターを重ね、
枯れた味わいのヴォーカルを乗せた、王道のシンフォニックロックを聴かせる。アコースティックギターや
優美なピアノなど、リリカルで繊細な耳心地で、メロウなギターの旋律も含めてなかなか魅力的であるが、
ヘタウマな英語ヴォーカルが、いかにもマイナー感をかもしだしている点では、90年代シンフォ的ともいえる。
アルバム後半も13分、15分という大曲で、優雅な美旋律をまぶしたサウンドをじっくり楽しめる。
幾何学的なジャケからは想像がつかない、叙情豊かな正統派シンフォプログレの逸品です。
ドラマティック度・・8 叙情度・・9 フレンチ度・・7 総合・・7.5
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MARS RED SKY 「STRANDED IN ARCADIA」
フランスのサイケ・ドゥームロック、マーズ・レッド・スカイの2014年作
2011年にデビューし、本作は2作目。ほどよくヘヴィなギターを乗せたスローなアンサンブルに
中性的なヴォーカルを乗せて、サイケな浮遊感に包まれたドゥームロックを聴かせる。
アナログ感たっぷりのヴィンテージな味わいに、ポストロック的なスケールも感じさせ、
スペイシーなサイケ感も加わったという、いわばプログレリスナー寄りのドゥームといべきか。
ユルめに楽しめる叙情的な部分もありつつ、不穏な空気に包まれたインストナンバーや、
シンセを加えたプログレ寄りのパートもあって、なかなか楽しめる。全44分という長さもちょうどよい。
ドラマティック度・・7 サイケドゥーム度・・8 ヴィンテージ度・・8 総合・・8
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MARS RED SKY 「THE TASK ETERNAL」
フランスのサイケ・ドゥームロック、マーズ・レッド・スカイの2019年作
4作目となる本作も、アナログ感たっぷりのギターにマイルドなヴォーカルを乗せ、
ほどよいヘヴィさとサイケなユルさが同居した、ヴィンテージなサウンドを聴かせる。
わりとエモーショナルで優しい歌声が、ドゥームなギターリフとのコントラストになって、
メタル感触が緩和されることで、わりとキャッチーでソフトな味わいになっている。
インストのナンバーなどでは、ポストロックやプログレにも通じる感触もあって、
ラストのアコースティック曲で幕を閉じるまで、やわらかで妖しい世界観が楽しめる。
ドラマティック度・・7 サイケドゥーム度・・8 ヴィンテージ度・・8 総合・・8
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Atavismo 「Inerte」
スペインのプログレ・サイケロック、アタヴィスモの2017年作
ほどよくハードなギターにメロトロンやファルフィッサ・オルガンを重ね、マイルドなヴォーカルとともに
ANEKDOTENのような涼やかな叙情と、サイケな浮遊感に包まれたサウンドを聴かせる。
ヴィンテージなシンセとギターのトーンは、70年代的なアナログ感をかもしだしていて、
随所に女性コーラスを加えた妖しい雰囲気も含めて、サイケドゥーム的な味わいもある。
10分を超える大曲では、ユルめのリフレインがやや長尺に思えるところもあるが、
カッチリしていない分、神秘的なスケールを感じさせる。ヴィンテージな浮遊感に浸れます。
ドラマティック度・・7 プログレ度・・7 ヴィンテージ度・・8 総合・・7.5
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1/29
イタリアンプログレ特集(30)


I TEOREMI
イタリアンロックバンド、イ・テオレミの1972年作
本作が唯一のアルバムで、ブルージーなギターを乗せた大人の味わいのアンサンブルに
イタリア語によるヴォーカルで聴かせる、オールドスタイルのハードプログレサウンド。
シンセをほとんど使っていないのでプログレ感はさほどないが、ブリティッシュロックをルーツに、
イタリアらしい濃密さを加えたスタイルは、初期のIL BALLETTO DI BRONZOにも通じるだろう。
巧みなドラムとセンスのあるフレージングを奏でるギターを中心にした演奏力の高さもあって、
情熱的なヴォーカルとともに、ひとつの世界観を描いている。ハードロックルーツの傑作だ。
ドラマティック度・・8 プログレ度・・7 イタリア度・・8 総合・・8
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Picchio dal Pozzo「Abbiamo Tutti I Suoi Problemi」
イタリアのプログレバンド、ピッキオ・ダル・ポッツォの1980年作
2作目の本作は前作のカンタベリー的な雰囲気から、HENRY COWにも通じるチェンバーロック色を強めている。
サックスやクラリネットがフリーキーに吹き鳴らされ、変則リズムによるスリリングな優雅さに包まれる。
イタリア語によるとぼけた味わいのヴォーカル曲もあるが、基本はブラスを主体にしたインストによるナンバーで、
随所にフルートやヴィヴラフォンの音色も加わって、やわらかな偏屈さというべきサウンドが展開される。
15分を超える大曲では、メロディアスなギターやアコースティックも含んだ繊細な叙情にカンタベリー風味も感じさせる。
初心者の頃は楽しめなかったが、改めて聴くとソフトなチェンバーロックとして飽きの来ない逸品であると思える。
チェンバー度・・8 プログレ度・・7 優雅な偏屈度・・9 総合・・8 過去作のレビューはこちら
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DALTON 「EDEN」
イタリアのプログレバンド、ダルトンの2019年作
1973年のデビュー作「無限の概念への省察」は日本盤も出たのでご存知の方も多いだろう。1975年作を最後に消えたバンドの、
じつに44年ぶりとなる復活作。バグパイプの鳴り響くイントロから、やわらかなピアノに女性ヴォーカルのイタリア語の歌声を乗せ、
美しいストリングスシンセにフルート、男性ヴォーカルも加えて、往年のイタリアンロックを思わせる優美なサウンドが広がってゆく。
アコースティックギターによる牧歌的な味わいと、優しい男女ヴォーカルを乗せた、アシッドフォーク的な聴き心地もあり、
楽曲は3〜4分前後とわりとシンプルながら、オルガンやムーグシンセなどヴィンテージなプログレ感触も同居している。
70年代の作風とはやや異なるものの、シンフォニックなアレンジと素朴な牧歌性で楽しめる、耳心地の良い好作品です。
ドラマティック度・・7 プログレ度・・7 イタリア度・・9 総合・・8
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ERIS PLUVIA 「Tales From Another Time」
イタリアのプログレバンド、エリス・プルーヴィアの2019年作
1991年に1作を残して消えたバンドが、2010年になって復活、本作は復活後3作目となる。
ジャケの雰囲気はいかにもB級シンフォのようだが、やわらかなピアノにフルートの音色、メロウなギターの旋律も加わって、
優美なシンフォニックロックを聴かせる。繊細なシンセワークとともに英語歌詞のヴォーカルが加わると、イタリアというよりは、
Genesisルーツの感触で優しい幻想美に包まれる。女性声も加えて、しっとりと聴かせる17分の大曲も、総じてやわらかな耳心地で
ゆったりとした叙情美を楽しめる。もう少しドラマティックな展開が欲しい気もするが、優美な繊細系シンフォプログレの逸品です。
ドラマティック度・・7 プログレ度・・7 優美度・・9 総合・・8 過去作のレビューはこちら
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Aerostation
イタリアのプログレバンド、エアロステーションの2018年作
ほどよくハードなギターにモダンなシンセアレンジ、マイルドなヴォーカルで聴かせる、
スタイリッシュなハードプログレサウンド。楽曲は4〜5分前後とわりとシンプルで、
随所にプログレらしい展開力も覗かせつつ、ポストプログレ的な翳りを帯びた叙情や
エレクロトなアレンジなどとともに、きらびやかであるが硬質でモダンな感触に包まれる。
ヴォーカルは英語なのでイタリアらしさはさほどなく、ストレートなリズムのナンバーは、
普通のメロディックロックという感じで、ヴィンテージ系が好きな方にはやや物足りないかも。
ドラマティック度・・7 プログレ度・・7 スタイリッシュ度・・8 総合・・7.5
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MARBLE HOUSE 「Embers」
イタリアのプログレバンド、マーブル・ハウスの2018年作
適度にハードなギターにオルガンを含むシンセを重ね、躍動的なアンサンブルとともに、
ほどよくテクニカルで叙情的なサウンドを描く、スタイリッシュなプログレサウンド。
ヴォーカルは英語であるが、屈折感のある混沌とした味わいにはイタリアらしさは感じさせ、
演奏力のあるインストパートが、緩急ある構築力とともにミステリアスな緊張感を描き出す。
メロディックなギターを乗せたキャッチーなナンバーもあって、地味なジャケからは想像もつかない出来。
ラストは24分という大曲で、ゆったりとしたアコースティックな叙情から、スリリングなシンフォプログレに展開。
ドラマティック度・・8 プログレ度・・8 スタイリッシュ度・・8 総合・・8
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Homunculus Res 「Della Stessa Sostanza Dei Sogni」
イタリアのプログレバンド、ホムンクルス・レスの2018年作/邦題「夢の迷宮」
2013年にデビュー、本作は3作目となる。軽やかな変拍子を含んだリズムにサックスとギターが交わり、
マイルドなヴォーカルを乗せた、カンタベリー的な優雅さに包まれたプログレ・ジャズロックサウンド。
サロン的でキャッチーな上品さと知的な屈折感が同居したという、不思議な聴き心地で、
2〜4分前後の小曲主体の構成ながら、演奏力の高さもあって非常に濃厚に楽しめる。
ときに女性ヴォーカルも加えた、やわらかな歌もの的なナンバーにも味わいがあって、
フルートや鉄琴、クラリネットの優雅な響きなど、優しいソフトな雰囲気も魅力的だ。
ドラマティック度・・7 プログレ度・・8 優雅で軽妙度・・9 総合・・8 過去作のレビューはこちら
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TWENTY FOUR HOURS 「CLOSE -LAMB-WHITE-WALLS」
イタリアのプログレバンド、トウェンティ・フォー・アワーズの2018年作
1988年にデビュー、2004年までに5作を残して消えるも、2016年になって12年ぶりに復活。本作はそれに続くアルバムで、
JOY DIVISION「CLOSER」、GENESIS「THE LAMB LIES DOWN ON BROADWAY」、THE BEATLES「WHITE ALBUM」
PINK FLOYD「THE WALL」という4つの名作にインスピレーションを得て作られたという、CD2枚組の大作となっている。
オルガンやメロトロンなどのヴィンテージなシンセにブルージーなギター、シアトリカルなヴォーカルを乗せて、
サイケな浮遊感に包まれたオールドなロックサウンドから、女性ヴォーカルに叙情的なギターとシンセの優美ナンバーや、
ヴァイオリンも鳴り響くクラシカルな味わいに、キャッチーなポップ性まであって、なかなかつかみどころがない。
メロトロン鳴り響く叙情的な歌ものから、オルガンと女性声で聴かせるヴィンテージハードに優美なシンフォニックと、
それなりに楽しめはするが、プログレ的な濃密さや展開はさほどなく、とらえどころのなさがもどかしい気もする。
ドラマティック度・・7 プログレ度・・7 イタリア度・・7 総合・・7.5
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Wish 「Stay Here My Friends」
イタリアのプログレバンド、ウィッシュの2019年作
やわらかなオルガンやムーグを使ったシンセにギターを重ね、ゆったりとしたヴィンテージなサウンドを聴かせる。
ややもっさりとしたリズムとヘタウマなヴォーカルも含めて、スタイリッシュとは真逆の垢抜けなさには
90年代のマイナー系シンフォのロマンを残している。それでいて嫌いになれない優しい叙情美は、
ある意味でイタリアらしい。とくに、繊細なピアノなど鍵盤アレンジには、優雅な美意識を感じさせる。
派手なインパクトはないがあくまで叙情的。こういうバンドがいまだにいるのにホッとする。そんな好作品である。
ドラマティック度・・7 プログレ度・・7 幻想シンフォ度・・7 総合・・7.5
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Periplo 「Diario Di Un Malessere Passeggero」
イタリアのシンフォニックロック、ペリプロの2015年作
LA COSCIENZA DI ZENO、FINISTERRE、HOSTSONATENなどで活躍する、シンセ奏者、ルカ・スケラーニと
シンガーのファウスト・シドリによるプロジェクト。優美なピアノの旋律にイタリア語のマイルドなヴォーカルを乗せ、
ヴァイオリンやチェロ、フルートを加えた優雅でクラシカルなサウンド。ギターなどは入らないものの、
ドラムを加えてのロック感触とともに、艶かなストリングスにピアノを重ねたシンフォニックな味わいに、
ほどよくキャッチーなナンバーなど、格調高すぎないところも良い。ラストのKANSASのカヴァーも美しい。
魅力的な甘い歌声とともに、優雅でシンフォニックな室内楽というサウンドが楽しめる逸品です。
クラシカル度・・9 ロック度・・5 優雅度・・10 総合・・8
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FP Emsemble「Ayexit」
イタリアのプログレ・ジャズロック、FPアンサンブルの2015年作
Syndoneに参加するヴィブラフォン奏者、フランチェスコ・ピネッティを中心としたバンドで
マルコ・ミンネマンがドラムで全面参加、軽やかなリズムにフルートやサックスが鳴り響き、
やわらかなシンセにヴィヴラフォンの優雅な響きを重ねた、プログレジャズロックを聴かせる。
アンサンブルの核となるミンネマンの巧みなドラムプレイも素晴らしく、ボトムの効いたベースと
随所に存在感のあるギターとともに、ジャズとロックが融合したスリリングなダイナミズムを加えている。
変拍子を使いながらも、テクニカルというよりは軽妙な味わいで、サックスやフルートのゆったりとしたメロディと
ヴィブラフォンの音色を楽しめるので、難解さはそれほど感じない。肩の力を抜いて鑑賞できるインスト作だ。
ジャズロック度・・8 プログレ度・・7 優雅で軽妙度・・9 総合・・8
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Il Fauno Di Marmo「The Rebus Years 2001-2012」
イタリアのプログレバンド、イル・ファウノ・ディ・マルモの2014年作
2013年作「Canti, Racconti E Battaglie」はヴィンテージなイタリアンロックの好作であったが、
本作は前身バンドである、REBUS時代の音源を収録したCD2枚組。Disc1は2002年の録音。
フルートにオルガンが鳴り響く、いかにもオールドなスタイルで、イタリア語のヴォーカルとともに
濃密な空気感が味わえる。コテコテの70'sイタプロ好きにはたまらない聴き心地だろう。
Disc2は「ACROTERIUS」というタイトルの2005年の音源で、フルートにアコースティックギターの叙情と、
シンセとギターによる厚みのあるサウンドはよりダイナミックになり、正規アルバムとしても十分なクオリティ。
ドラマティック度・・7 プログレ度・・8 ヴィンテージ度・・9 総合・・8 過去作のレビューはこちら
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L'ESTATE DI SAN MARTINO「ALDER」
イタリアのプログレバンド、エスターテ・ディ・サン・マルティノの2006年作
1978年にシングルを1枚出して消えたバンドで、本作は1983年の未発ライブ音源を収録。
12弦ギターのつまびきにやわらかなフルートの音色、シンセにイタリア語のヴォーカルも加えた、
ウェットな叙情に包まれたサウンド。ギターが二人いるので、エレキと12弦アコースティックが同居して
シンセも加えた厚みのあるアンサンブルで、ヴォーカル以外はマイナーなB級感はあまりない。なにより、
80年代のライブなのに、70年代の生き残りのようなロマンを感じさせるプログレを演奏しているのも好感が持てる。
本作の後、バンドは2007年に復活のスタジオアルバム「Febo」を発表。そちらもたおやか系シンフォの逸品です。
ライブ演奏・・8 プログレ度・・7 イタリア度・・8 総合・・8 過去作のレビューはこちら
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Gatto Marte「Gioco Del Mago」
イタリアのチェンバーロック、ガトー・マルテの2000年作
1997年にデビュー、本作は2作目で、ヴァイオリン、バスーン、ピアノ、ダブルベースという4人編成で、
クラシカルなピアノの旋律にヴァイオリンが絡み、やわらかなバスーンの音色とともに、
優雅なチェンバーサウンドを聴かせる。ダークとはいかないが、ほどよく偏屈な味わいも含んだ、
軽やかなアンサンブルで、ほぼインスト中心ながら、歌入りの曲もあってアクセントになっている。
アコースティックによる室内楽なので、ロック感触はほとんどないのだが、ヴァイオリンやピアノ、
バスーンの音色がじっくり味わえるという意味では、玄人好みのサウンドといえるだろう。
クラシカル度・・8 ロック度・・1 優雅度・・8 総合・・7.5
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Gatto Marte「Leolombrico」
イタリアのチェンバーロック、ガトー・マルテの2003年作
本作も、ヴァイオリン、バスーン、ピアノ、ダブルベースという4人編成で、優雅で少しコミカルな
室内楽サウンドを聴かせる。今作では随処にドラムも加わってのアンサンブルで、
10分を超える大曲や組曲形式のナンバーなど、プログレらしい味わいも感じさせる。
演奏の隙間を含めて、チェンバーロックとしてのスリリングな部分が増したことで、
より自由度のあるサウンドが繰り広げられていて、エキセントリックな楽しさも含めた、
優雅なクラシカル性も耳に心地よい。典雅な品の良さを感じさせるチェンバーロック作品です。
クラシカル度・・8 ロック度・・4 優雅度・・8 総合・・8
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1/15
今年もプログレでよろしくお願いいたします(15)


SIENA ROOT 「The Secret of Our Time」
スウェーデンのヴィンテージロック、シエナ・ルートの2020年作
2004年にデビュー、本作は7作目。今作は2人の女性ヴォーカルを迎えての編成で、
オルガンを含むシンセにブルージーなギター、ハスキーな女性ヴォーカルの歌声で、
いかにも70年代的なサイケな味わいのユルめのヴィンテージロックを聴かせる。
アナログ感たっぷりの音質も含めて、生々しいグルーブ感がなかなか耳に心地よく、
PURSONなどが好きな方にも楽しめるだろう。オルガン・ブルーズロック好きも必聴。
ドラマティック度・・7 プログレ度・・7 ヴィンテージ度・・9 総合・・8 過去作のレビューはこちら
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Adventure 「New Horizon」
ノルウェーのプログレバンド、アドヴェンチャーの2019年作
2000年にデビュー、本作は4作目となる。女性Vo&フルート奏者を含む6人編成で、
やわらかなオルガンに適度にハードなギター、朗々としたなヴォーカルを乗せた、
オールドな味わいのプログレハード風味のサウンド。北欧らしい哀愁を感じさせる叙情的なギターフレーズに、
優美なピアノや女性声も加えたシンフォニックロックとしての耳心地のよさもあって、わりとゆったりと楽しめる。
シアトリカルな雰囲気の歌声とともに、ときにフルートも鳴り響く、ヴィンテージロックとしての土着感は
Jethro Tullあたりにも通じるだろう。楽曲ごとの盛り上がりはさほどないが、大人の叙情に包まれた好作品だ。
ドラマティック度・・8 プログレ度・・7 ヴィンテージ度・・8 総合・・7.5 過去作のレビューはこちら
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MOTORPSYCHO 「THE CRUCIBLE」
ノルウェーのプログレ・ロックバンド、モーターサイコの2019年作
90年代初頭にデビュー、アルバムは20作を超える、いまやノルウェーを代表するロックバンドと言える。
今作は8分、10分、20分という大曲3曲の構成で、オールドな味わいのギターにメロトロンを含むシンセを乗せ、
アナログ感あるアンサンブルとともに、サバス+クリムゾンというような、より70年代に回帰したサウンドを聴かせる。
ブリティッシュロックルーツの感触と、クールで知的な構築力が合わさって、プログレやポストロックの耳でも楽しめる、
ミステリアスなスケール感も魅力的だ。大曲においてもさほど難解にはならず、随所に北欧らしい叙情性も感じさせつつ、
ときにテクニカルな軽妙さも覗かせる。メロトロンの鳴るヴィンテージな北欧プログレとしても傑作といえる見事な出来だ。
ドラマティック度・・8 プログレ度・・8 ヴィンテージ度・・8 総合・・8.5 過去作のレビューはこちら
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OBERON「Dream Awakening 」
ノルウェーのメロディックロック、オベロンの2014年作
バード・オベロン氏による個人ユニットで、フルアルバムとしては1998年以来となる、2作目。
叙情的なギターにマイルドなヴォーカルを乗せ、翳りを帯びた叙情に包まれたサウンドで、
随所にうっすらとしたシンセも重ねて、ポストプログレ的でもある繊細な空気感と
ジャケのイメージのような優美な幻想性を描き出す。アコースティックギターをメインにした
ネオフォーク的な雰囲気もあって、ポストロックとフォーク、プログレの中間という聴き心地。
楽曲は3〜4分前後で、全37分と、やや物足りなさもあるが、のんびりと鑑賞できる好作品だ。
ドラマティック度・・7 プログレ度・・6 叙情度・・8 総合・・7.5
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OBERON 「AEON CHASER」
ノルウェーのプログレロック、オベロンの2018年作
バード・オベロン氏による個人ユニットで、本作は3作目となる。前作に比べてバンド感触が増していて、
二本のギターに美しいシンセを重ね、マイルドなヴォーカルを乗せた、キャッチーな叙情サウンドを聴かせる。
涼やかな翳りを帯びた空気感と、スタイリッシュなアンサンブルで、わりとハードなポストプログレとしても楽しめつつ
エモーショナルな歌声とメロウなギターで、繊細な優雅さに包まれた感触は、MARILLIONなどにも通じるだろう。
楽曲は3〜4分前後でシンプルで、プログレらしさはさほどないのだが、アコースティックギターやピアノ、ストリングスなど、
優美なアレンジを取り入れた耳心地の良さと、ほどよくハードなロック感が同居したハイブリッドな叙情ロックの逸品です。
ドラマティック度・・7 プログレ度・・7 叙情度・・8 総合・・8
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...And You Will Know Us by the Trail of Dead「X: The Godless Void And Other Stories 」
アメリカのドラマティックロック、トレイル・オブ・デッドの2020年作
1997年にデビュー、単なるロックの枠を超え、プログレやポストロックなどの要素も含んだ壮大なサウンドを描くこのバンド。
本作は通算10作目で、ジャケのイメージからも物語的なコンセプト作であることが見て取れる。オリエンタルなイントロから、
ほどよくハードなギターとともに、オルタナ的なロック感触とサイケな浮遊感が同居した、独自のサウンドを描いてゆく。
うるさすぎないシンセアレンジも加えつつ、今作はプログレというよりは、全体的にはわりとキャッチーなノリのロック感触で、
ゆるやかな盛り上がりを含みながら牧歌的な聴き心地。これだというドラマティックな展開がもう少し欲しいか。
ドラマティック度・・7 プログレ度・・6 壮大度・・8 総合・・8 過去作のレビューはこちら
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Frank Wyatt 「Zeitgeist」
アメリカのミュージシャン、フランク・ワイアットの2019年作
HAPPY THE MANのシンセ奏者のソロで、本作にはOblivion Sunを含む新旧ハピマンのメンバーもこぞって参加。
軽やかアンサンブルにやわらかなシンセとジェントルなヴォーカルを乗せた1曲目からして、往年のHTMを思わせる
優雅なテクニカルシンフォでなかなか素晴らしい。ゆったりとしたシンセナンバーから、軽妙なプログレフュージョン風味、
オルガンを使ったヴィンテージな味わいも覗かせて、キーボードプログレ好きならば頬が緩みっぱなしの優美な聴き心地。
後半は4パートに分かれた25分超の組曲になっていて、ピアノとヴァイオリンを使ったクラシカルな導入部から、
オーケストラルなアレンジを含んだ、The Enidを思わせる壮麗なシンフォニックロックを展開。ハピマン風というよりは
美しいシンセの重ねを中心にした優雅なクラシカルシンフォという趣で、ゆったりと鑑賞すべし。
クラシカル度・・8 プログレ度・・8 優雅度・・9 総合・・8
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Neal Morse Band 「Morsefest! 2017: Testimony Of A Dream」
アメリカのシンフォプログレ職人、ニール・モーズ率いるバンドのライブ作品。2018年作
2017年アメリカで行われた2日間のステージを、4CD+2DVDに収録。盟友マイク・ポートノイとベースのランディー・ジョージ、
シンセのビル・ヒューバウアー、ギターのエリック・ジレットの5人編成で、Disc1には、2008年作「Lifeline」からのナンバーと、
2011年作「TESTIMONY TWO」Disc2収録の大曲を披露。ポートノイの巧みなドラムにエリック・ジレットの抜群のギターワークを含め、
キャッチーかつテクニカルな絶品の演奏で盛り上げる。Disc2は「TESTIMONY TWO」Disc1の完全再現で、ストリングスカルテットやブラス、
コーラス隊にダンサーも加え、壮麗なシンフォニックプログレを構築。娘さん登場で涙のニール先生。ラストへの感動的な盛り上がりは必見。
Disc3、4は、2016年のCD2枚組大作「THE SIMILITUDE OF A DREAM」を完全再現、シンセのビル・ヒューバウアーがヴォーカルでも活躍しつつ、
キャッチーなオールドロック風味もちりばめたドラマティックなサウンドを躍動的に再現する。合計5時間というまさに濃密なニールモー祭り。
ドラマティック度・・9 ライブ演奏・・9 濃密度・・9 総合・・8.5 過去作のレビューはこちら
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Discipline 「Captives of the Wine Dark Sea」
アメリカのプログレバンド、ディシプリンの2017年作
1993年にデビュー、2作を残したのちに沈黙するも、2011年に復活、本作は4作目となる。
やわらかなピアノにオルガンを含むシンセ、叙情的なギターに乗せるMatthew Parmenterの歌声は、
ますます深みを加えた渋い味わいで、まさに「アメリカのピーター・ハミル」と呼ぶにふさわしい。
優雅な大人のアンサンブルと表現力ある歌声で、ほとんどVDGGと区別ができないほどのサウンドだが、
メロウな泣きのギターなどにシンフォ寄りの感触も残していて、アメリらしいキャッチーなところも感じられる。
3〜4分前後のシンプルな小曲を中盤に配しつつ、ラストは14分を超える大曲で、しっとりと優美な叙情美に包まれる。
ドラマティック度・・8 プログレ度・・7 優雅度・・9 総合・・8 過去作のレビューはこちら
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Discipline 「This Ones for England」
アメリカのプログレバンド、ディシプリンのライブ、2014年作
2012年アメリカでのライブを収録した2CD。2011年作「To Shatter All Accord」からのナンバーを主体に
1997年作「Unfolded Like Staircase」からの大曲や、1993年のデビュー作「 Push & Profit」からも演奏。
オルガンを含むやわらかなシンセにほどよくハードで叙情的なギター、ジェントルなヴォーカルを乗せて
展開力のある優雅なアンサンブルを聴かせる。VDGG+クリムゾンというような知的な構築力に、
メロウなギターフレーズとシンセを重ねたシンフォ感触が同居しつつ、随所に適度な偏屈感も垣間見せる。
加工しすぎない音質もライブらしい味わいで、20分を超える大曲を描く、安定した演奏力の高さもさすが。
ライブ演奏度・・8 プログレ度・・8 優雅度・・8 総合・・8
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Schooltree 「Heterotopia」
アメリカのプロクレバンド、スクールトゥリーの2017年作
女性シンガー、Lainey Schooltreeを中心にしたプロジェクトで、本作はCD2枚組のコンセプト的な大作。
クラシカルなピアノを含むやわらかなシンセアレンジにギター重ね、軽やかなアンサンブルとともに
コケティッシュな女性ヴォーカルで聴かせる優雅なサウンド。オルガンなどのシンセにプログレらしい変則リズムで、
濃密すぎないシンフォプログレという点では、MAGENTAあたりにも通じるが、こちらはもう少しアーティスティックで、
どことなくエキセントリックなケイト・ブッシュ的世界観も感じさせる。Disc2では、オルタナポップ風のナンバーや
キャッチーな歌ものもありつつ、ほどよく妖しい語りやアンニュイな浮遊感とともに、しっとりと優美な聴き心地で楽しめる。
ドラマティック度・・8 プログレ度・・7 優雅度・・8 総合・・8
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MYSTERY 「SECOND HOME」
カナダのプログレバンド、ミステリーのライブ。2017年作
1996年デビュー、いまやカナダを代表するプログレバンドのひとつ。本作は2016年のオランダでのライブを2CDに収録。
2015年作「Delusion Rain」からのナンバーを中心に、過去曲からのナンバーも多数演奏。安定したリズムの上に、
叙情的なギターとシンセを重ね、表現力あるヴォーカルで、ゆったりとウェットなメロディックロックを聴かせる。
厚みのあるサウンドは、ときにDREAM THEATERなどを思わせる感触もあり、薄暗いプログレハードとしても楽しめ、
一方では過去曲でのキャッチーなスタイルもまじえつつ、ベテランらしい確かな演奏力とシンフォニックな音の重ねで、
じっくりと大曲を描いてゆく。Disc2には優美な叙情のプログレ大曲を3連発。CD2枚で合計142分。お腹いっぱいのライブ作。
ライブ演奏・・8 プログレ度・・7 叙情度・・9 総合・・8 過去作のレビューはこちら
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MYSTERY 「LIVE IN POZNAN」
カナダのプログレバンド、ミステリーのライブ。2019年作
本作は、2019年ポーランドでのライブを2CDに収録。2018年作「Lies And Butterflies」からの全曲に、
過去曲からのナンバーもたっぷりと演奏。優美なシンセワークとメロウなギターにマイルドなヴォーカルを乗せ、
翳りを帯びた叙情を描くサウンドは、確かな演奏力も含めて、MARILLIONなどにも通じる雰囲気も漂わせる。
2015年作から加入した、ジャン・パジャーの優しくエモーショナルなヴォーカルも楽曲によくマッチしていて、
ツインギターにシンセを重ねた厚みのあるサウンドとともに、優雅な大人のシンフォニックロックを聴かせてくれる。
10分を超える大曲も多く、2CDで合計156分というボリューム。全体的にゆったりとした味わいで鑑賞できるライブ作品。
ライブ演奏・・8 プログレ度・・7 叙情度・・9 総合・・8
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Ed Bernard 「Polydactyl」
カナダのミュージシャン、エド・ベルナルドの2015年作
DRUCKFARBENのリーダーでもあるマルチミュージシャンで、きらびやかなシンセにギターを重ね、
テクニカルなリズムで聴かせる、軽妙なプログレサウンド。流麗なギターワークにオルガンなどの鍵盤、
ヴァイオリンやヴィオラ、さらにはマンドリンまでも自身でプレイ。さらに自身の味のあるヴォーカルが加わると、
ストリングスとシンセを重ねた叙情的なシンフォニック性に、知的な展開力とキャッチーな抜けの良さで、
NEAL MORSEなどにも通じるプログレらしい爽快な味わいに。素朴なマンドリンの音色にメロウなギター、
そして美麗なシンセアレンジもじつにセンス良く、テクニカルなインストパートとのメリハリある構築力が見事。
才能ある人間によるソロはこんなにも楽しいのだなと思える、プログレらしい優雅な傑作です。
ドラマティック度・・8 プログレ度・・8 優雅度・・9 総合・・8
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KLAATU 「SIR ARMY SUIT」
カナダのメロディックロック、クラトゥの1978年作
1976年にデビュー、本作は3作目となる。The Beatlesをルーツにしたキャッチーなヴォーカルメロディに
やわらかなピアノ、ときにストリングスアレンジも加えた、叙情豊かなメロディックロックは、
BARCLAY JAMES HARVESTなどにも通じる味わい。楽曲は3〜4分前後とシンプルながら、
しっかりとロックなアンサンブルと確かな演奏力もあるので、ポップ過ぎない聴き心地で楽しめ、
やわらかなコーラスハーモニーと牧歌的な雰囲気は、Stackridgeなどが好きな方にもお薦めだ。
キャッチー度・・8 プログレ度・・6 牧歌的度・・8 総合・・8 過去作のレビューはこちら
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