〜PROGRESSIVE ROCK CD REVIEW 2021 by 緑川 とうせい

★2021年に聴いたプログレ(フォーク/トラッド・その他含む)CDレビュー
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2/26
ドイツ、オランダ、ベルギー(60)


LUCIFER'S FRIEND 「BLACK MOON」
ドイツのベテランハードロック、ルシファーズ・フレンドの2019年作
1970年にデビュー、1981年までに8作を残して消えるも、2015年になって本格的に復活を果たす。
本作は、2016年作「TOO LATE TO HATE」に続く、復活後2作目で、ジョン・ロートンをはじめ、
ギターとベースのオリジナルメンバー3人を主体に、往年を思わせるオールドなサウンドを聴かせる。
オルガンなどのシンセに古き良き味わいのギターと、ブラスやストリングスなどのアレンジも随所に加えて
適度なプログレ風味も覗かせつつ、なんといっても衰え知らずのロートンの朗々としたヴォーカルが素晴らしい。
楽曲は4分前後とわりとシンプルで、新鮮な部分はさほどないが、70年代と変わらぬスタイルでファンには嬉しいだろう。
ドラマティック度・・7 プログレ度・・6 古き良き度・・9 総合・・8 過去作のレビューはこちら
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Nektar 「Book Of Days」
ドイツで活動する英国人バンド、ネクターの2008年作
1971年デビュー、1980年までに8作を残して消えるも、2001年に20年ぶりに復活、本作は復活後の3作目となる。
ほどよくハードなギターにオルガンなどのシンセを重ね、いくぶんブルージーな感触も含んだ
古き良き味わいのハードプログレを聴かせる。アルバム中盤からは10分を超える大曲が続き、
キャッチーなオールドロック感の中に、ときに初期の頃を思わせるウェットな雰囲気も覗かせる。
派手な展開はさほどないが、大人のプログレハードが楽しめる好作品だ。2020年デラックスエディションには、
2016年に死去した、故ロイ・アルブライトンの2005年のソロ作、「THE FOLLIES OF RUPERT TREACLE」を収録
ドラマティック度・・8 プログレ度・・7 古き良き度・・8 総合・・8 過去作のレビューはこちら
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RPWL 「Live from Outer Space」
ドイツのプログレバンド、RPWLのライブ。2020年作
2000年にデビュー、現在までに8枚のアルバムを発表している、モダンプログレの代表格。
本作は2019年のライブを2CDに収録、Disc1は2019年作「Tales From Outer Space」の完全再現で、
やわらかなシンセにほどよくハードなギター、マイルドなヴォーカルとともに、PINK FLOYDルーツの
オールドなプログレ感触と優雅なスタイリッシュ性が同居したサウンドを構築。メロウなギターフレーズや
メロトロンの音色やピアノなど優美なシンセワークが、泣きの叙情を描き出し、アルバム以上にエモーショナル。
Disc2には過去のアルバムからまんべんなくセレクト。CD2枚で全100分超のステージが満喫できる。
ライブ演奏・・8 プログレ度・・7 叙情度・・9 総合・・8 過去作のレビューはこちら
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Yuval Ron 「Somewhere in This Universe,Somebody Hits a Drum」
イスラエル出身、ドイツで活動するギタリスト、ユヴァル・ロンの2019年作
ドラムにマルコ・ミンネマンを迎え4人編成で、きらびやかなシンセに流麗なギタープレイを乗せた
軽やかなアンサンブルを展開。アラン・ホールズワース的でもある優雅なジャズロック感触から、
クリムゾンにも通じるスリリングな構築力も覗かせながら、あくまでも濃密すぎない軽妙な味わい。
スペイシーなシンセにゆったりと叙情的なギターフレーズを重ねた優美なナンバーを挟みつつ、
後半は、10分近い大曲3連発で、テクニカルなリズムのシンフォニック・ジャズロック風味で、
技巧的なギターを奏でまくる。優雅で軽やかななホールズワース系プログレ・ジャズロックの逸品。
ドラマティック度・・7 プログレ度・・8 優雅度・・9 総合・・8
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Realisea「Mantelpiece」
オランダのシンフォニックロック、リアリシーの2020年作
SILHOUETTEのBrian de Graevを中心に、多数のメンバーが参加したプロジェクトで、
美麗なシンセにキュートな女性ヴォーカルの歌声を乗せ、メロウな泣きのギターとともに
優美な叙情に包まれたシンフォニックロックを聴かせる。マイルドな男性ヴォーカルも加わって、
艶やかなヴァイオリンの音色や、アコースティックを含む繊細な味わいはとても耳心地よい。
全体的に派手な展開はさほどないが、メロディックなギターフレーズとやわらかなシンセによる、
ゆったりと優しいサウンドが楽しめる。本作が気に入ったらも、SILHOUETTEもぜひチェックすべし。
ドラマティック度・・8 プログレ度・・7 優美度・・9 総合・・8
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CHANDELIER 「FACEING GRAVITY」
ドイツのシンフォニックロック、シャンデリアの1992/2018年作
1990年にデビュー、本作は2作目のリマスター再発盤。美麗なシンセアレンジにメロウなギターフレーズを重ね
ややクセのあるヴォーカルとともに、初期MARILLIONにも通じるポンプロック寄りのサウンドを聴かせる。
前作の優美なシンフォプログレ路線から、よりスタイリッシュでキャッチーな抜けの良さをまとい、
メロディックロックとしての軽快な聴きやすさと、シンフォニックロックの叙情がバランス良く同居していて、
ゆったりとした繊細なナンバーから、15分におよぶ大曲まで、濃密すぎないリリカルな耳心地で楽しめる。
Disc2には、1993年フランスでのライブ音源を収録。音質も良好で、1stと2ndの楽曲を主体に、確かな演奏力で、
スタジオアルバム以上に躍動的なサウンドを聴かせる。ライブ単体としても出来が良いボーナスである。
ドラマティック度・・8 プログレ度・・7 優美度・・8 総合・・8 過去作のレビューはこちら
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Marco Minnemann 「EEPS」
ドイツ出身のドラマーにしてマルチミュージシャン、マルコ・ミンネマンの2014年作
本作はヴォーカルを含む全パートを自身で務めるまさしくソロアルバムで、軽やかなドラムにギターとシンセを乗せた、
独りセッション的なフリーキーなテクニカル性と、ラフなヴォーカルを重ねたガレージロック風味が同居しつつ、
結果としてキャッチーでストレンジなアヴァンギャルド・サウンドを聴かせる。とにかくドラムが上手いので、
テキトーなアンサンブルでも説得力があり、バラけた曲調のわりにはカッチリと聴こえるというのが凄い。
2〜4分前後の小曲を主体に11分という大曲もあり、ときにメロウなギターに自身のヴォーカルを乗せて、
ゆったりと叙情を描くところは、ミュージシャンとしての懐の深さを感じさせる。ボーナス入れて全79分という力作だ。
ドラマティック度・・7 プログレ度・・7 アーティスティック度・・8 総合・・8 過去作のレビューはこちら
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Marco Minnemann 「Borrego」
ドイツ出身のドラマーにしてマルチミュージシャン、マルコ・ミンネマンの2016年作
アメリカにあるアンザ・ボレゴ砂漠をコンセプトにしたCD2枚組作品で、ヴォーカルを含め全パートを独りで演奏。
一聴してオルタナ寄りのサウンドは、わりと普通のモダンロックの感触だが、随所にテクニカルなドラムや
フリーキーなギターによるアヴァンギャルドな味わいも覗かせる。シンセやヴァイオリンを加えての、
チェンバーロック風のスリリングなインストナンバーや、女性ヴォーカルを加えた優雅な味わいなど、
キャッチーで軽妙なナンバーも織り込みつつ、RUSHのアレックス・ライフソン、ジョー・サトリアーニがゲスト参加し、
随所に巧みなギターを披露している。全体的にリラックスした作風で、いくぶんつかみどころがないという印象も。
ドラマティック度・・7 プログレ度・・7 アーティスティック度・・7 総合・・7.5
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Blank Manuskript 「The Waiting Soldier」
オーストリアのプログレバンド、ブランク・マヌスクリプトの2015年作
軽妙なアンサンブルにメロウなギター、オルガンを含むシンセに、フルートも鳴り響く、優雅な感触に
どこかミステリアスな空気感をまとわせたサウンド。シアトリカルに歌い上げるヴォーカルも加わりつつ、
繊細なピアノやクラシカルギターのつまびきもまじえ、ほどよくエキセントリックで唐突な展開とともに
スタイリッシュなセンスと叙情性が同居したスリリングな味わい。ときにキュートな女性ヴォーカルの歌声に、
トランペットやホルン、トロンボーンなどの音色と、優美なピアノや叙情的なギターでゆったりと聴かせつつ、
一転してオルガンにサックス、フルートが鳴り響く、スウィングジャズ的なプログレ感が現れるなど、
なかなか一筋縄ではいかない。スリリングで個性的なセンスのアヴァン・プログレが楽しめる逸品です。
ドラマティック度・・7 プログレ度・・8 優雅でアヴァンギャル度・・8 総合・・8
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Jan Akkerman 「Focus in Time」
オランダのギタリスト、ヤン・アッカーマンの1998年
ご存知、FOCUSのギタリストとして知られる名プレイヤーで、本作はタイトルからして期待させる。
2〜3分前後の小曲を主体に、クラシカルな中世音楽風ナンバーから、軽やかなフュージョンナンバーまで、
アコースティックとエレキをバランス良く配し、美しいシンセアレンジとともに優雅なサウンド聴かせる。
派手なプレイというのはないのだが、クラシックとジャズの素養を持つ彼らしい、巧みなフレージングで、
ゆったりと大人の叙情を描いてゆく。アコースティックによる味わいのある繊細な小曲から、
ウリ・ロートばりのクラシカルな泣きのナンバーなどにじっくりと聴き入れる。まさに円熟の出来だ。
クラシカル度・・8 プログレ度・・7 優雅度・・9 総合・・8 過去作のレビューはこちら
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QUANTUM FANTAY 「AGAPANTHUSTERRA」
ベルギーのサイケロック、クアンタム・ファンタイの2005年作
フルートが鳴り響き、スペイシーなシンセにギターを重ねた、厚みのあるアンサンブルで、
Ozric Tentaclesを思わせる、アッパーで軽快なノリのサイケロックを聴かせる。
オズテンに比べるとエレクトロな部分よりも、フルートなどによる優雅な叙情が前に出ていて、
グルーヴィなドラムをはじめ確かな演奏力で、オールインストながらも耳心地よく楽しめる。
ハードめのギターにきらびやかなシンセを重ねた、シンフォニックサイケ的なナンバーなど、
オズテン好きはもちろん、軽妙でアンサンブリーなサイケロックが好きな方にはお薦めだ。
サイケ度・・8 優雅度・・8 オズテン度・・8 総合・・8
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Julverne 「Le Pavillon Des Passions」
ベルギーのチェンバーロック、ジュルヴェルヌの2000年作
1979年デビュー、1986年以来となる5作目で、クラリネットやオーボエ、フルート、バスーンなとが鳴り響き、
クラシカルなピアノの旋律に、ヴァイオリン、ヴィオラ、チェロのストリングスがスリリングに重なる、
いかにも室内楽的な優雅なサウンドを聴かせる。ドラムなどが入らないので、ロック的な感触はほとんどなく、
ダークさよりもヨーロピアンな気品に包まれた聴き心地が特徴だろう。一方では、ピアノやヴァイオリンをメインにした
緊迫感のあるナンバーでは、Univers Zeroにも通じる雰囲気も覗かせ、アコースティック楽器によるダイナミズムという、
優美さとアグレッシブが同居した演奏が楽しめる。かつてのサロン系チェンバーを引き継いだ優雅な逸品です。
クラシカル度・・9 ロック度・・1 優雅度・・9 総合・・8 過去作のレビューはこちら
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Klaus Schulze's Wahnfried「Drums'n' Balls」
ジャーマンシンセミュージックの鬼才、クラウス・シュルツェの1997年作
コンピューター・プログラムによるユニット、ヴァーンフリード名義のアルバムで、
CLARA MONDSHINEのメンバーが参加、デジタルなシンセにドラムやベースなどを重ね、
ときにエフェクトのかかったヴォイスを乗せた、エレクトロなサウンドを聴かせる。
12〜15分前後の大曲をメインに、いつものシュルツェらしいスペイシーなシンセと
フリーキーなパーカッションが合わさった、エスノ風のデジタルミュージックという趣。
女性声を乗せた神秘的な浮遊感もよい感じで、ボーナストラック曲も妖しい感触で楽しめます。
ドラマティック度・・7 幻想度・・8 シンセ度・・8 総合・・7.5
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Klaus Schulze 「La Vie Electronique 8」
クラウス・シュルツェの未発音源集その8。2010年作
Disc1には、1979年のライブ音源をメインに収録。傑作「DUNE」を発表した時期であるから、
とくに前半の40分の組曲は、幻想的なシンセの重ねによる、スケールの大きなサウンドが楽しめる。
後半の30分の組曲ではヴォーカルを加えたシアトリカルな感触も。Disc2には、1977〜78年に録音された
「ヒッチコック組曲」を収録。ティッピ・ヘドレン、ジャネット・リー、カレン・ブラック、バーバラ・ハリスといった、
ヒッチコックの映画作品に出演した女優をテーマにした、40分におよぶミステリアスな味わいの大曲。
後半には、1979年のライブ音源を収録。Disc3には、1981〜83年のスタジオ音源に、1983年のライブ音源を収録。
デジタルシンセによるエレクトロなナンバーから、フルートにドラムも入ったレアな曲もあったりしてなかなか楽しめる。
ドラマティック度・・8 幻想度・・9 シンセ度・・9 総合・・8 過去作のレビューはこちら
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LIFT 「Spiegelbild & Nach Hause」
旧東ドイツのプログレバンド、リフトの3rd/4th。1981/1987年作
1977年にデビュー、本作は3作目と4作目のカップリング盤。きらびやかなシンセにサックスが鳴り響き、
ドイツ語のヴォーカルを乗せた、軽快でキャッチーな味わいのシンフォニックロックを聴かせる。
巧みなドラムとベースによる確かなアンサンブルに、RICK WAKEMANばりのシンセが弾きまくり、
ピアノやチェロ、フルートなどのクラシカルな優雅さも含んだ、メロディアスなシンフォプログレが楽しめ、
個人的には、代表作とされる2作目よりも、この3作目の方が出来が良いのではないかと思う。
4作目になると、ギターが加わったことでAOR風の感触が強まり、80年代的産業ロックの聴き心地に、
曲によってはASIAのようなキャッチーなプログレハードとしてもわりと普通に楽しめる。
メロディック度・・8 プログレ度・・8 東欧度・・8 総合・・8
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2/11
ポストプログレにフレンチプログ、サイケなど(45)


Cobalt Chapel 「Variants」
イギリスのサイケ・フォーク、コバルト・チャペルの2019年作
REGAL WORMのJerrod Goslingと女性シンガーによるユニットで、本作は2017年デビュー作のリメイク。
オルガンやメロトロンなどのヴィンテージなシンセに、美しい女性ヴォーカルの歌声を乗せた、
ゴシック的な倦怠の空気も感じさせる、アシッドなサイケフォークというようなサウンドを聴かせる。
ときにドラムやギターも加わるが、基本はシンセとヴォーカルになるアンビエントな雰囲気モノで
シーケンサーを使ったエレクトロ色も覗かせつつ、幻想的な妖しさに包まれた世界観が楽しめる。
ラストの11分の大曲は、メロトロンやアコーディオン、ドラムも加え、プログレ寄りのアシッド・フォークロックを展開。
ドラマティック度・・7 ロック度・・2 幻想度・・8 総合・・7.5
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Suns of the Tundra「Murmuration」
イギリスのポスト・プログレロック、サンズ・オブ・ツンドラの2019年作
PEACHのSimon Oakesを中心にしたバンドで、2004年にデビューし、本作は4作目となる
適度にハードなギターと、エフェクトのかかったヴォーカルとともに、TOOLを受け継ぐような
モダンでスタイリッシュなサウンド。シンセも加えたプログレ寄りの叙情性も覗かせながら、
グルーヴィなロック感触とキャッチーな歌もの感も合わさった、とらえどころのなさが魅力。
プログレとして聴くには物足りなさはあるが、モダン派のオルタナ・プログレロックの好作だ。
ドラマティック度・・7 プログレ度・・7 スタイリッシュ度・・8 総合・・7.5
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COHEED AND CAMBRIA 「THE UNHEAVENLY CREATURES」
アメリカのプログレ・エモーショナルロック、コヒード・アンド・カンブリアの2018年作
2002年にデビューし、本作が9作目。前作はわりとシンプルな作風でいくぶん物足りなさもあったが、
今作はジャケのイメージからしてSF的なコンセプト性を感じさせる。語りを含んだ映画的なイントロから、
メロディックなギターにエモーショナルなヴォーカルを乗せて、ProgMetal的でもあるほどよくハードで
スタイリッシュな構築力と、キャッチーな歌もの感触がバランス良く同居したサウンドを聴かせる。
楽曲自体は、これまでの作品同様、優雅なエモーショナルロックのプログレ風味という感じであるが、
ときにQUEENにも通じるキャッチーな優雅さも含めて、じっくりと楽しめる。全79分というという力作だ。
ドラマティック度・・8 プログレ度・・7 優雅でキャッチー度・・8 総合・・8 過去作のレビューはこちら
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Motorpsycho PresentsThe International Tussler Society
ノルウェーのロックバンド、モーターサイコがジ・インターナショナル・タスラー・ソサエティ名義で発表した作品。2005年作
いかにもオールドなギターにピアノ、ジェントルなヴォーカルを乗せた、古き良きカントリーロック風味のサウンド。
西部劇をコンセプトに、ウエスタンを思わせる雰囲気で、キャッチーな牧歌性に包まれた聴き心地であるが
モーターサイコらしいグルーヴィな生々しさを随所に感じさせる。アコースティックギターを使った優雅な味わいと
開放感のあるおおらかなロック性も含めて、のんびりと気持ちよく楽しめる。何本ものギターを重ねた音の厚みや
コーラスハーモニー、哀愁を含んだ叙情も覗かせて、北欧のバンドらしいやわらかなメロディアス性にも包まれる。
ノルウェーの実力派が、ヴィンテージでアメリカンなカントリーロックを再現したという好作品です。
キャッチー度・・8 プログレ度・・3 叙情度・・8 総合・・8 過去作のレビューはこちら
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Gazpacho 「Soyuz」
ノルウェーのプログレ・ロックバンド、ガスパチョの2018年作
2003年にデビュー、いまや北欧ポストプログレを代表するバンドの通算10作目のアルバム。
メロウなギターにうっすらとしたシンセに優美なピアノ、エモーショナルなヴォーカルを乗せて、
エレクトロなアレンジを含んだスタイリッシュ性と、薄暗い繊細な叙情が同居したサウンドを描く。
ヴァイオリンも鳴り響く、北欧らしい涼やかで優雅な味わいに包まれつつ、ゆったりと静謐パートと
盛り上げるロック部分のダイナミズムもあって、プログレとしてもしっかりと楽しめるのがさすが。
13分という大曲もあくまで優美な雰囲気で、ゆったりと構築する。いつもながらに味わい深い逸品。
ドラマティック度・・8 プログレ度・・7 優美度・・9 総合・・8 過去作のレビューはこちら
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35 Tapes 「Lost & Found」
ノルウェーのプログレバンド、35テープスの2019年作
やわらかにメロトロンが鳴り響き、叙情的なギターに繊細なピアノ、ジェントルなヴォーカルを乗せた
しっとりと優美なサウンド。涼やかな泣きのギターフレーズが耳心地よく、同郷のAIRBAGあたりにも通じる
ポストプログレ的な大人の歌もの感も含んだ作風ながら、どこか暖かみを感じさせる古き良き空気を感じさせる。
後半は19分という大曲で、優しいシンセワークとメロウなギターにマイルドな歌声で、じっくりと聴かせる。
全体的に派手なところはないが、北欧らしい叙情にじわじわと包まれるような好作品です。
ドラマティック度・・7 プログレ度・・7 優美度・・8 総合・・7.5
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Frokedal 「Hold On Dreamer」
ノルウェーのアシッドフォークロック、フローケダルの2016年作
女性SSW、アン・リーズ・フローケダル嬢を中心にしたユニットで、ユルめのギターにシンセを重ね、
やわらかな女性ヴォーカルを乗せた、素朴でゆったりとした浮遊感に包まれたサウンド。
フィドルやマンドリンにパーカッションも鳴り響く、北欧らしい土着性も含んだゆるやかな味わいに、
エレキギターやドラムも加わったロック感触もいくぶん覗かせて、SPRIGUNSあたりにも通じる
幻想的なプログレ・フォークの雰囲気とともに、のんびりと夢見心地に楽しめる。
アナログ感ある70年代風の音質や、ときにトランペットなどを使ったアレンジもよい感じです。
幻想フォーク度・・8 ロック度・・6 女性Vo度・・8 総合・・8
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ATLANTIDE
フランスのプログレバンド、アトランティーデの1976年作
VISITORSで知られる、ジャン・ピエール・マシエラによるプロジェクトで、本作が唯一の作品。
のっけからYESのあの曲を思わせるギターフレーズとともに、軽やかなアンサンブルで始まり、
アコースティックな叙情を含んだ優雅なサウンドを聴かせる。フランス語によるマイルドなヴォーカルに
女性コーラスなども加えて、ほどよくキャッチーな味わいと素朴な牧歌性を含んだサウンドに、
どことなく霧のかかっようなミステリアスな空気感に包まれるところは、いかにもフランスらしい。
12分という大曲も、YESから拝借したようなフレーズも覗かせて、叙情豊かに構築してゆく。
ドラマティック度・・7 プログレ度・・8 優雅度・・8 総合・・7.5
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Qantum 「Les Temps Oublies」
フランスのプログレバンド、クアンタムの2009年作
きらびやかなシンセにギターを重ね、フランス語による味のあるヴォーカルを乗せた、
優雅なシンフォニックロックを聴かせる。フレンチらしいシアトリカルでドラマティックな雰囲気は、
やはりANGEをルーツにした雰囲気であるが、ほどよいマイナー臭さも含めてなかなか出来がよい。
随所にクラシカルなピアノや、メロウな旋律を奏でるギターもよい感じで、楽曲も3〜7分ほどなので
長すぎないのも聴きやすい。濃密なヴォーカルパートと、優美な叙情のインストパートの対比もよろしく、
古き良き正統派シンフォプログレの王道というような、幻想のロマンが味わえる力作です。
ドラマティック度・・8 叙情度・・9 フレンチ度・・9 総合・・8
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MOTIS 「Ripaille」
フランスのプログレバンド、モーティスの2011年作
2004年にデビュー、本作は3作目。ムーグやメロトロン、オルガンなどのシンセにフランス語の歌声を乗せ、
哀愁を含んだブズーキの音色など、トラッド的な味わいが合わさった、優雅なサウンドを聴かせる。
ヴィンテージなキーボードプログレと、アコースティックのフォーク要素が同居したような感触で、
フレンチらしいシアトリカルな空気と、素朴な古楽風味が融合した独自の世界観が楽しめる。
楽曲は3〜5分前後中心で、プログレらしい展開力はさほどなく、フランス語による歌もの感が強いのだが、
アルバム後半には、オルガンにメロトロンが鳴り響くイントロ曲などもあって、むしろ古楽要素がもっと欲しい気も。
ドラマティック度・・7 プログレ度・・7 フレンチ度・・9 総合・・7.5 過去作のレビューはこちら
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DIDIER BARDIN 「Le Pouvoir Des Pierres」
フランスのシンセ奏者、ディディアー・バーディンの2008年作
美麗なシンセやピアノにアコースティックギターを重ねた、JEAN-PASCAL BOFFOGANDALFなども通じる、
繊細で優美なサウンド。やわらかなフルートの音色に、リリカルなシンセの重ねが幻想的な世界観を描き、
ときに語りのような女性ヴォーカルが加わって、しっとりとまどろむような聴き心地で楽しめる。
ロック色はほぼ皆無で、プログレ的な展開というのもないので、アンビエントなシンセミュージックや
夢見心地のクラシカルシンフォなどが好きな方向けだろう。けだるい午睡にぴったりの音楽です。
ドラマティック度・・7 プログレ度・・6 優美度・・8 総合・・7
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VERSUS X 「The Turbulent Zone」
フランスのプログレバンド、ヴェルサス・エックスの2000年作
1994年にデビューし、3作目となる。のっけから21分という組曲で、美麗なシンセに叙情的なギターを重ね、
枯れた味わいのヴォーカルを乗せた、王道のシンフォニックロックを聴かせる。アコースティックギターや
優美なピアノなど、リリカルで繊細な耳心地で、メロウなギターの旋律も含めてなかなか魅力的であるが、
ヘタウマな英語ヴォーカルが、いかにもマイナー感をかもしだしている点では、90年代シンフォ的ともいえる。
アルバム後半も13分、15分という大曲で、優雅な美旋律をまぶしたサウンドをじっくり楽しめる。
幾何学的なジャケからは想像がつかない、叙情豊かな正統派シンフォプログレの逸品です。
ドラマティック度・・8 叙情度・・9 フレンチ度・・7 総合・・7.5
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MARS RED SKY 「STRANDED IN ARCADIA」
フランスのサイケ・ドゥームロック、マーズ・レッド・スカイの2014年作
2011年にデビューし、本作は2作目。ほどよくヘヴィなギターを乗せたスローなアンサンブルに
中性的なヴォーカルを乗せて、サイケな浮遊感に包まれたドゥームロックを聴かせる。
アナログ感たっぷりのヴィンテージな味わいに、ポストロック的なスケールも感じさせ、
スペイシーなサイケ感も加わったという、いわばプログレリスナー寄りのドゥームといべきか。
ユルめに楽しめる叙情的な部分もありつつ、不穏な空気に包まれたインストナンバーや、
シンセを加えたプログレ寄りのパートもあって、なかなか楽しめる。全44分という長さもちょうどよい。
ドラマティック度・・7 サイケドゥーム度・・8 ヴィンテージ度・・8 総合・・8
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MARS RED SKY 「THE TASK ETERNAL」
フランスのサイケ・ドゥームロック、マーズ・レッド・スカイの2019年作
4作目となる本作も、アナログ感たっぷりのギターにマイルドなヴォーカルを乗せ、
ほどよいヘヴィさとサイケなユルさが同居した、ヴィンテージなサウンドを聴かせる。
わりとエモーショナルで優しい歌声が、ドゥームなギターリフとのコントラストになって、
メタル感触が緩和されることで、わりとキャッチーでソフトな味わいになっている。
インストのナンバーなどでは、ポストロックやプログレにも通じる感触もあって、
ラストのアコースティック曲で幕を閉じるまで、やわらかで妖しい世界観が楽しめる。
ドラマティック度・・7 サイケドゥーム度・・8 ヴィンテージ度・・8 総合・・8
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Atavismo 「Inerte」
スペインのプログレ・サイケロック、アタヴィスモの2017年作
ほどよくハードなギターにメロトロンやファルフィッサ・オルガンを重ね、マイルドなヴォーカルとともに
ANEKDOTENのような涼やかな叙情と、サイケな浮遊感に包まれたサウンドを聴かせる。
ヴィンテージなシンセとギターのトーンは、70年代的なアナログ感をかもしだしていて、
随所に女性コーラスを加えた妖しい雰囲気も含めて、サイケドゥーム的な味わいもある。
10分を超える大曲では、ユルめのリフレインがやや長尺に思えるところもあるが、
カッチリしていない分、神秘的なスケールを感じさせる。ヴィンテージな浮遊感に浸れます。
ドラマティック度・・7 プログレ度・・7 ヴィンテージ度・・8 総合・・7.5
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1/29
イタリアンプログレ特集(30)


I TEOREMI
イタリアンロックバンド、イ・テオレミの1972年作
本作が唯一のアルバムで、ブルージーなギターを乗せた大人の味わいのアンサンブルに
イタリア語によるヴォーカルで聴かせる、オールドスタイルのハードプログレサウンド。
シンセをほとんど使っていないのでプログレ感はさほどないが、ブリティッシュロックをルーツに、
イタリアらしい濃密さを加えたスタイルは、初期のIL BALLETTO DI BRONZOにも通じるだろう。
巧みなドラムとセンスのあるフレージングを奏でるギターを中心にした演奏力の高さもあって、
情熱的なヴォーカルとともに、ひとつの世界観を描いている。ハードロックルーツの傑作だ。
ドラマティック度・・8 プログレ度・・7 イタリア度・・8 総合・・8
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Picchio dal Pozzo「Abbiamo Tutti I Suoi Problemi」
イタリアのプログレバンド、ピッキオ・ダル・ポッツォの1980年作
2作目の本作は前作のカンタベリー的な雰囲気から、HENRY COWにも通じるチェンバーロック色を強めている。
サックスやクラリネットがフリーキーに吹き鳴らされ、変則リズムによるスリリングな優雅さに包まれる。
イタリア語によるとぼけた味わいのヴォーカル曲もあるが、基本はブラスを主体にしたインストによるナンバーで、
随所にフルートやヴィヴラフォンの音色も加わって、やわらかな偏屈さというべきサウンドが展開される。
15分を超える大曲では、メロディアスなギターやアコースティックも含んだ繊細な叙情にカンタベリー風味も感じさせる。
初心者の頃は楽しめなかったが、改めて聴くとソフトなチェンバーロックとして飽きの来ない逸品であると思える。
チェンバー度・・8 プログレ度・・7 優雅な偏屈度・・9 総合・・8 過去作のレビューはこちら
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DALTON 「EDEN」
イタリアのプログレバンド、ダルトンの2019年作
1973年のデビュー作「無限の概念への省察」は日本盤も出たのでご存知の方も多いだろう。1975年作を最後に消えたバンドの、
じつに44年ぶりとなる復活作。バグパイプの鳴り響くイントロから、やわらかなピアノに女性ヴォーカルのイタリア語の歌声を乗せ、
美しいストリングスシンセにフルート、男性ヴォーカルも加えて、往年のイタリアンロックを思わせる優美なサウンドが広がってゆく。
アコースティックギターによる牧歌的な味わいと、優しい男女ヴォーカルを乗せた、アシッドフォーク的な聴き心地もあり、
楽曲は3〜4分前後とわりとシンプルながら、オルガンやムーグシンセなどヴィンテージなプログレ感触も同居している。
70年代の作風とはやや異なるものの、シンフォニックなアレンジと素朴な牧歌性で楽しめる、耳心地の良い好作品です。
ドラマティック度・・7 プログレ度・・7 イタリア度・・9 総合・・8
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ERIS PLUVIA 「Tales From Another Time」
イタリアのプログレバンド、エリス・プルーヴィアの2019年作
1991年に1作を残して消えたバンドが、2010年になって復活、本作は復活後3作目となる。
ジャケの雰囲気はいかにもB級シンフォのようだが、やわらかなピアノにフルートの音色、メロウなギターの旋律も加わって、
優美なシンフォニックロックを聴かせる。繊細なシンセワークとともに英語歌詞のヴォーカルが加わると、イタリアというよりは、
Genesisルーツの感触で優しい幻想美に包まれる。女性声も加えて、しっとりと聴かせる17分の大曲も、総じてやわらかな耳心地で
ゆったりとした叙情美を楽しめる。もう少しドラマティックな展開が欲しい気もするが、優美な繊細系シンフォプログレの逸品です。
ドラマティック度・・7 プログレ度・・7 優美度・・9 総合・・8 過去作のレビューはこちら
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Aerostation
イタリアのプログレバンド、エアロステーションの2018年作
ほどよくハードなギターにモダンなシンセアレンジ、マイルドなヴォーカルで聴かせる、
スタイリッシュなハードプログレサウンド。楽曲は4〜5分前後とわりとシンプルで、
随所にプログレらしい展開力も覗かせつつ、ポストプログレ的な翳りを帯びた叙情や
エレクロトなアレンジなどとともに、きらびやかであるが硬質でモダンな感触に包まれる。
ヴォーカルは英語なのでイタリアらしさはさほどなく、ストレートなリズムのナンバーは、
普通のメロディックロックという感じで、ヴィンテージ系が好きな方にはやや物足りないかも。
ドラマティック度・・7 プログレ度・・7 スタイリッシュ度・・8 総合・・7.5
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MARBLE HOUSE 「Embers」
イタリアのプログレバンド、マーブル・ハウスの2018年作
適度にハードなギターにオルガンを含むシンセを重ね、躍動的なアンサンブルとともに、
ほどよくテクニカルで叙情的なサウンドを描く、スタイリッシュなプログレサウンド。
ヴォーカルは英語であるが、屈折感のある混沌とした味わいにはイタリアらしさは感じさせ、
演奏力のあるインストパートが、緩急ある構築力とともにミステリアスな緊張感を描き出す。
メロディックなギターを乗せたキャッチーなナンバーもあって、地味なジャケからは想像もつかない出来。
ラストは24分という大曲で、ゆったりとしたアコースティックな叙情から、スリリングなシンフォプログレに展開。
ドラマティック度・・8 プログレ度・・8 スタイリッシュ度・・8 総合・・8
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Homunculus Res 「Della Stessa Sostanza Dei Sogni」
イタリアのプログレバンド、ホムンクルス・レスの2018年作/邦題「夢の迷宮」
2013年にデビュー、本作は3作目となる。軽やかな変拍子を含んだリズムにサックスとギターが交わり、
マイルドなヴォーカルを乗せた、カンタベリー的な優雅さに包まれたプログレ・ジャズロックサウンド。
サロン的でキャッチーな上品さと知的な屈折感が同居したという、不思議な聴き心地で、
2〜4分前後の小曲主体の構成ながら、演奏力の高さもあって非常に濃厚に楽しめる。
ときに女性ヴォーカルも加えた、やわらかな歌もの的なナンバーにも味わいがあって、
フルートや鉄琴、クラリネットの優雅な響きなど、優しいソフトな雰囲気も魅力的だ。
ドラマティック度・・7 プログレ度・・8 優雅で軽妙度・・9 総合・・8 過去作のレビューはこちら
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TWENTY FOUR HOURS 「CLOSE -LAMB-WHITE-WALLS」
イタリアのプログレバンド、トウェンティ・フォー・アワーズの2018年作
1988年にデビュー、2004年までに5作を残して消えるも、2016年になって12年ぶりに復活。本作はそれに続くアルバムで、
JOY DIVISION「CLOSER」、GENESIS「THE LAMB LIES DOWN ON BROADWAY」、THE BEATLES「WHITE ALBUM」
PINK FLOYD「THE WALL」という4つの名作にインスピレーションを得て作られたという、CD2枚組の大作となっている。
オルガンやメロトロンなどのヴィンテージなシンセにブルージーなギター、シアトリカルなヴォーカルを乗せて、
サイケな浮遊感に包まれたオールドなロックサウンドから、女性ヴォーカルに叙情的なギターとシンセの優美ナンバーや、
ヴァイオリンも鳴り響くクラシカルな味わいに、キャッチーなポップ性まであって、なかなかつかみどころがない。
メロトロン鳴り響く叙情的な歌ものから、オルガンと女性声で聴かせるヴィンテージハードに優美なシンフォニックと、
それなりに楽しめはするが、プログレ的な濃密さや展開はさほどなく、とらえどころのなさがもどかしい気もする。
ドラマティック度・・7 プログレ度・・7 イタリア度・・7 総合・・7.5
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Wish 「Stay Here My Friends」
イタリアのプログレバンド、ウィッシュの2019年作
やわらかなオルガンやムーグを使ったシンセにギターを重ね、ゆったりとしたヴィンテージなサウンドを聴かせる。
ややもっさりとしたリズムとヘタウマなヴォーカルも含めて、スタイリッシュとは真逆の垢抜けなさには
90年代のマイナー系シンフォのロマンを残している。それでいて嫌いになれない優しい叙情美は、
ある意味でイタリアらしい。とくに、繊細なピアノなど鍵盤アレンジには、優雅な美意識を感じさせる。
派手なインパクトはないがあくまで叙情的。こういうバンドがいまだにいるのにホッとする。そんな好作品である。
ドラマティック度・・7 プログレ度・・7 幻想シンフォ度・・7 総合・・7.5
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Periplo 「Diario Di Un Malessere Passeggero」
イタリアのシンフォニックロック、ペリプロの2015年作
LA COSCIENZA DI ZENO、FINISTERRE、HOSTSONATENなどで活躍する、シンセ奏者、ルカ・スケラーニと
シンガーのファウスト・シドリによるプロジェクト。優美なピアノの旋律にイタリア語のマイルドなヴォーカルを乗せ、
ヴァイオリンやチェロ、フルートを加えた優雅でクラシカルなサウンド。ギターなどは入らないものの、
ドラムを加えてのロック感触とともに、艶かなストリングスにピアノを重ねたシンフォニックな味わいに、
ほどよくキャッチーなナンバーなど、格調高すぎないところも良い。ラストのKANSASのカヴァーも美しい。
魅力的な甘い歌声とともに、優雅でシンフォニックな室内楽というサウンドが楽しめる逸品です。
クラシカル度・・9 ロック度・・5 優雅度・・10 総合・・8
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FP Emsemble「Ayexit」
イタリアのプログレ・ジャズロック、FPアンサンブルの2015年作
Syndoneに参加するヴィブラフォン奏者、フランチェスコ・ピネッティを中心としたバンドで
マルコ・ミンネマンがドラムで全面参加、軽やかなリズムにフルートやサックスが鳴り響き、
やわらかなシンセにヴィヴラフォンの優雅な響きを重ねた、プログレジャズロックを聴かせる。
アンサンブルの核となるミンネマンの巧みなドラムプレイも素晴らしく、ボトムの効いたベースと
随所に存在感のあるギターとともに、ジャズとロックが融合したスリリングなダイナミズムを加えている。
変拍子を使いながらも、テクニカルというよりは軽妙な味わいで、サックスやフルートのゆったりとしたメロディと
ヴィブラフォンの音色を楽しめるので、難解さはそれほど感じない。肩の力を抜いて鑑賞できるインスト作だ。
ジャズロック度・・8 プログレ度・・7 優雅で軽妙度・・9 総合・・8
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Il Fauno Di Marmo「The Rebus Years 2001-2012」
イタリアのプログレバンド、イル・ファウノ・ディ・マルモの2014年作
2013年作「Canti, Racconti E Battaglie」はヴィンテージなイタリアンロックの好作であったが、
本作は前身バンドである、REBUS時代の音源を収録したCD2枚組。Disc1は2002年の録音。
フルートにオルガンが鳴り響く、いかにもオールドなスタイルで、イタリア語のヴォーカルとともに
濃密な空気感が味わえる。コテコテの70'sイタプロ好きにはたまらない聴き心地だろう。
Disc2は「ACROTERIUS」というタイトルの2005年の音源で、フルートにアコースティックギターの叙情と、
シンセとギターによる厚みのあるサウンドはよりダイナミックになり、正規アルバムとしても十分なクオリティ。
ドラマティック度・・7 プログレ度・・8 ヴィンテージ度・・9 総合・・8 過去作のレビューはこちら
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L'ESTATE DI SAN MARTINO「ALDER」
イタリアのプログレバンド、エスターテ・ディ・サン・マルティノの2006年作
1978年にシングルを1枚出して消えたバンドで、本作は1983年の未発ライブ音源を収録。
12弦ギターのつまびきにやわらかなフルートの音色、シンセにイタリア語のヴォーカルも加えた、
ウェットな叙情に包まれたサウンド。ギターが二人いるので、エレキと12弦アコースティックが同居して
シンセも加えた厚みのあるアンサンブルで、ヴォーカル以外はマイナーなB級感はあまりない。なにより、
80年代のライブなのに、70年代の生き残りのようなロマンを感じさせるプログレを演奏しているのも好感が持てる。
本作の後、バンドは2007年に復活のスタジオアルバム「Febo」を発表。そちらもたおやか系シンフォの逸品です。
ライブ演奏・・8 プログレ度・・7 イタリア度・・8 総合・・8 過去作のレビューはこちら
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Gatto Marte「Gioco Del Mago」
イタリアのチェンバーロック、ガトー・マルテの2000年作
1997年にデビュー、本作は2作目で、ヴァイオリン、バスーン、ピアノ、ダブルベースという4人編成で、
クラシカルなピアノの旋律にヴァイオリンが絡み、やわらかなバスーンの音色とともに、
優雅なチェンバーサウンドを聴かせる。ダークとはいかないが、ほどよく偏屈な味わいも含んだ、
軽やかなアンサンブルで、ほぼインスト中心ながら、歌入りの曲もあってアクセントになっている。
アコースティックによる室内楽なので、ロック感触はほとんどないのだが、ヴァイオリンやピアノ、
バスーンの音色がじっくり味わえるという意味では、玄人好みのサウンドといえるだろう。
クラシカル度・・8 ロック度・・1 優雅度・・8 総合・・7.5
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Gatto Marte「Leolombrico」
イタリアのチェンバーロック、ガトー・マルテの2003年作
本作も、ヴァイオリン、バスーン、ピアノ、ダブルベースという4人編成で、優雅で少しコミカルな
室内楽サウンドを聴かせる。今作では随処にドラムも加わってのアンサンブルで、
10分を超える大曲や組曲形式のナンバーなど、プログレらしい味わいも感じさせる。
演奏の隙間を含めて、チェンバーロックとしてのスリリングな部分が増したことで、
より自由度のあるサウンドが繰り広げられていて、エキセントリックな楽しさも含めた、
優雅なクラシカル性も耳に心地よい。典雅な品の良さを感じさせるチェンバーロック作品です。
クラシカル度・・8 ロック度・・4 優雅度・・8 総合・・8
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今年もプログレでよろしくお願いいたします(15)


SIENA ROOT 「The Secret of Our Time」
スウェーデンのヴィンテージロック、シエナ・ルートの2020年作
2004年にデビュー、本作は7作目。今作は2人の女性ヴォーカルを迎えての編成で、
オルガンを含むシンセにブルージーなギター、ハスキーな女性ヴォーカルの歌声で、
いかにも70年代的なサイケな味わいのユルめのヴィンテージロックを聴かせる。
アナログ感たっぷりの音質も含めて、生々しいグルーブ感がなかなか耳に心地よく、
PURSONなどが好きな方にも楽しめるだろう。オルガン・ブルーズロック好きも必聴。
ドラマティック度・・7 プログレ度・・7 ヴィンテージ度・・9 総合・・8 過去作のレビューはこちら
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Adventure 「New Horizon」
ノルウェーのプログレバンド、アドヴェンチャーの2019年作
2000年にデビュー、本作は4作目となる。女性Vo&フルート奏者を含む6人編成で、
やわらかなオルガンに適度にハードなギター、朗々としたなヴォーカルを乗せた、
オールドな味わいのプログレハード風味のサウンド。北欧らしい哀愁を感じさせる叙情的なギターフレーズに、
優美なピアノや女性声も加えたシンフォニックロックとしての耳心地のよさもあって、わりとゆったりと楽しめる。
シアトリカルな雰囲気の歌声とともに、ときにフルートも鳴り響く、ヴィンテージロックとしての土着感は
Jethro Tullあたりにも通じるだろう。楽曲ごとの盛り上がりはさほどないが、大人の叙情に包まれた好作品だ。
ドラマティック度・・8 プログレ度・・7 ヴィンテージ度・・8 総合・・7.5 過去作のレビューはこちら
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MOTORPSYCHO 「THE CRUCIBLE」
ノルウェーのプログレ・ロックバンド、モーターサイコの2019年作
90年代初頭にデビュー、アルバムは20作を超える、いまやノルウェーを代表するロックバンドと言える。
今作は8分、10分、20分という大曲3曲の構成で、オールドな味わいのギターにメロトロンを含むシンセを乗せ、
アナログ感あるアンサンブルとともに、サバス+クリムゾンというような、より70年代に回帰したサウンドを聴かせる。
ブリティッシュロックルーツの感触と、クールで知的な構築力が合わさって、プログレやポストロックの耳でも楽しめる、
ミステリアスなスケール感も魅力的だ。大曲においてもさほど難解にはならず、随所に北欧らしい叙情性も感じさせつつ、
ときにテクニカルな軽妙さも覗かせる。メロトロンの鳴るヴィンテージな北欧プログレとしても傑作といえる見事な出来だ。
ドラマティック度・・8 プログレ度・・8 ヴィンテージ度・・8 総合・・8.5 過去作のレビューはこちら
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OBERON「Dream Awakening 」
ノルウェーのメロディックロック、オベロンの2014年作
バード・オベロン氏による個人ユニットで、フルアルバムとしては1998年以来となる、2作目。
叙情的なギターにマイルドなヴォーカルを乗せ、翳りを帯びた叙情に包まれたサウンドで、
随所にうっすらとしたシンセも重ねて、ポストプログレ的でもある繊細な空気感と
ジャケのイメージのような優美な幻想性を描き出す。アコースティックギターをメインにした
ネオフォーク的な雰囲気もあって、ポストロックとフォーク、プログレの中間という聴き心地。
楽曲は3〜4分前後で、全37分と、やや物足りなさもあるが、のんびりと鑑賞できる好作品だ。
ドラマティック度・・7 プログレ度・・6 叙情度・・8 総合・・7.5
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OBERON 「AEON CHASER」
ノルウェーのプログレロック、オベロンの2018年作
バード・オベロン氏による個人ユニットで、本作は3作目となる。前作に比べてバンド感触が増していて、
二本のギターに美しいシンセを重ね、マイルドなヴォーカルを乗せた、キャッチーな叙情サウンドを聴かせる。
涼やかな翳りを帯びた空気感と、スタイリッシュなアンサンブルで、わりとハードなポストプログレとしても楽しめつつ
エモーショナルな歌声とメロウなギターで、繊細な優雅さに包まれた感触は、MARILLIONなどにも通じるだろう。
楽曲は3〜4分前後でシンプルで、プログレらしさはさほどないのだが、アコースティックギターやピアノ、ストリングスなど、
優美なアレンジを取り入れた耳心地の良さと、ほどよくハードなロック感が同居したハイブリッドな叙情ロックの逸品です。
ドラマティック度・・7 プログレ度・・7 叙情度・・8 総合・・8
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...And You Will Know Us by the Trail of Dead「X: The Godless Void And Other Stories 」
アメリカのドラマティックロック、トレイル・オブ・デッドの2020年作
1997年にデビュー、単なるロックの枠を超え、プログレやポストロックなどの要素も含んだ壮大なサウンドを描くこのバンド。
本作は通算10作目で、ジャケのイメージからも物語的なコンセプト作であることが見て取れる。オリエンタルなイントロから、
ほどよくハードなギターとともに、オルタナ的なロック感触とサイケな浮遊感が同居した、独自のサウンドを描いてゆく。
うるさすぎないシンセアレンジも加えつつ、今作はプログレというよりは、全体的にはわりとキャッチーなノリのロック感触で、
ゆるやかな盛り上がりを含みながら牧歌的な聴き心地。これだというドラマティックな展開がもう少し欲しいか。
ドラマティック度・・7 プログレ度・・6 壮大度・・8 総合・・8 過去作のレビューはこちら
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Frank Wyatt 「Zeitgeist」
アメリカのミュージシャン、フランク・ワイアットの2019年作
HAPPY THE MANのシンセ奏者のソロで、本作にはOblivion Sunを含む新旧ハピマンのメンバーもこぞって参加。
軽やかアンサンブルにやわらかなシンセとジェントルなヴォーカルを乗せた1曲目からして、往年のHTMを思わせる
優雅なテクニカルシンフォでなかなか素晴らしい。ゆったりとしたシンセナンバーから、軽妙なプログレフュージョン風味、
オルガンを使ったヴィンテージな味わいも覗かせて、キーボードプログレ好きならば頬が緩みっぱなしの優美な聴き心地。
後半は4パートに分かれた25分超の組曲になっていて、ピアノとヴァイオリンを使ったクラシカルな導入部から、
オーケストラルなアレンジを含んだ、The Enidを思わせる壮麗なシンフォニックロックを展開。ハピマン風というよりは
美しいシンセの重ねを中心にした優雅なクラシカルシンフォという趣で、ゆったりと鑑賞すべし。
クラシカル度・・8 プログレ度・・8 優雅度・・9 総合・・8
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Neal Morse Band 「Morsefest! 2017: Testimony Of A Dream」
アメリカのシンフォプログレ職人、ニール・モーズ率いるバンドのライブ作品。2018年作
2017年アメリカで行われた2日間のステージを、4CD+2DVDに収録。盟友マイク・ポートノイとベースのランディー・ジョージ、
シンセのビル・ヒューバウアー、ギターのエリック・ジレットの5人編成で、Disc1には、2008年作「Lifeline」からのナンバーと、
2011年作「TESTIMONY TWO」Disc2収録の大曲を披露。ポートノイの巧みなドラムにエリック・ジレットの抜群のギターワークを含め、
キャッチーかつテクニカルな絶品の演奏で盛り上げる。Disc2は「TESTIMONY TWO」Disc1の完全再現で、ストリングスカルテットやブラス、
コーラス隊にダンサーも加え、壮麗なシンフォニックプログレを構築。娘さん登場で涙のニール先生。ラストへの感動的な盛り上がりは必見。
Disc3、4は、2016年のCD2枚組大作「THE SIMILITUDE OF A DREAM」を完全再現、シンセのビル・ヒューバウアーがヴォーカルでも活躍しつつ、
キャッチーなオールドロック風味もちりばめたドラマティックなサウンドを躍動的に再現する。合計5時間というまさに濃密なニールモー祭り。
ドラマティック度・・9 ライブ演奏・・9 濃密度・・9 総合・・8.5 過去作のレビューはこちら
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Discipline 「Captives of the Wine Dark Sea」
アメリカのプログレバンド、ディシプリンの2017年作
1993年にデビュー、2作を残したのちに沈黙するも、2011年に復活、本作は4作目となる。
やわらかなピアノにオルガンを含むシンセ、叙情的なギターに乗せるMatthew Parmenterの歌声は、
ますます深みを加えた渋い味わいで、まさに「アメリカのピーター・ハミル」と呼ぶにふさわしい。
優雅な大人のアンサンブルと表現力ある歌声で、ほとんどVDGGと区別ができないほどのサウンドだが、
メロウな泣きのギターなどにシンフォ寄りの感触も残していて、アメリらしいキャッチーなところも感じられる。
3〜4分前後のシンプルな小曲を中盤に配しつつ、ラストは14分を超える大曲で、しっとりと優美な叙情美に包まれる。
ドラマティック度・・8 プログレ度・・7 優雅度・・9 総合・・8 過去作のレビューはこちら
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Discipline 「This Ones for England」
アメリカのプログレバンド、ディシプリンのライブ、2014年作
2012年アメリカでのライブを収録した2CD。2011年作「To Shatter All Accord」からのナンバーを主体に
1997年作「Unfolded Like Staircase」からの大曲や、1993年のデビュー作「 Push & Profit」からも演奏。
オルガンを含むやわらかなシンセにほどよくハードで叙情的なギター、ジェントルなヴォーカルを乗せて
展開力のある優雅なアンサンブルを聴かせる。VDGG+クリムゾンというような知的な構築力に、
メロウなギターフレーズとシンセを重ねたシンフォ感触が同居しつつ、随所に適度な偏屈感も垣間見せる。
加工しすぎない音質もライブらしい味わいで、20分を超える大曲を描く、安定した演奏力の高さもさすが。
ライブ演奏度・・8 プログレ度・・8 優雅度・・8 総合・・8
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Schooltree 「Heterotopia」
アメリカのプロクレバンド、スクールトゥリーの2017年作
女性シンガー、Lainey Schooltreeを中心にしたプロジェクトで、本作はCD2枚組のコンセプト的な大作。
クラシカルなピアノを含むやわらかなシンセアレンジにギター重ね、軽やかなアンサンブルとともに
コケティッシュな女性ヴォーカルで聴かせる優雅なサウンド。オルガンなどのシンセにプログレらしい変則リズムで、
濃密すぎないシンフォプログレという点では、MAGENTAあたりにも通じるが、こちらはもう少しアーティスティックで、
どことなくエキセントリックなケイト・ブッシュ的世界観も感じさせる。Disc2では、オルタナポップ風のナンバーや
キャッチーな歌ものもありつつ、ほどよく妖しい語りやアンニュイな浮遊感とともに、しっとりと優美な聴き心地で楽しめる。
ドラマティック度・・8 プログレ度・・7 優雅度・・8 総合・・8
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MYSTERY 「SECOND HOME」
カナダのプログレバンド、ミステリーのライブ。2017年作
1996年デビュー、いまやカナダを代表するプログレバンドのひとつ。本作は2016年のオランダでのライブを2CDに収録。
2015年作「Delusion Rain」からのナンバーを中心に、過去曲からのナンバーも多数演奏。安定したリズムの上に、
叙情的なギターとシンセを重ね、表現力あるヴォーカルで、ゆったりとウェットなメロディックロックを聴かせる。
厚みのあるサウンドは、ときにDREAM THEATERなどを思わせる感触もあり、薄暗いプログレハードとしても楽しめ、
一方では過去曲でのキャッチーなスタイルもまじえつつ、ベテランらしい確かな演奏力とシンフォニックな音の重ねで、
じっくりと大曲を描いてゆく。Disc2には優美な叙情のプログレ大曲を3連発。CD2枚で合計142分。お腹いっぱいのライブ作。
ライブ演奏・・8 プログレ度・・7 叙情度・・9 総合・・8 過去作のレビューはこちら
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MYSTERY 「LIVE IN POZNAN」
カナダのプログレバンド、ミステリーのライブ。2019年作
本作は、2019年ポーランドでのライブを2CDに収録。2018年作「Lies And Butterflies」からの全曲に、
過去曲からのナンバーもたっぷりと演奏。優美なシンセワークとメロウなギターにマイルドなヴォーカルを乗せ、
翳りを帯びた叙情を描くサウンドは、確かな演奏力も含めて、MARILLIONなどにも通じる雰囲気も漂わせる。
2015年作から加入した、ジャン・パジャーの優しくエモーショナルなヴォーカルも楽曲によくマッチしていて、
ツインギターにシンセを重ねた厚みのあるサウンドとともに、優雅な大人のシンフォニックロックを聴かせてくれる。
10分を超える大曲も多く、2CDで合計156分というボリューム。全体的にゆったりとした味わいで鑑賞できるライブ作品。
ライブ演奏・・8 プログレ度・・7 叙情度・・9 総合・・8
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Ed Bernard 「Polydactyl」
カナダのミュージシャン、エド・ベルナルドの2015年作
DRUCKFARBENのリーダーでもあるマルチミュージシャンで、きらびやかなシンセにギターを重ね、
テクニカルなリズムで聴かせる、軽妙なプログレサウンド。流麗なギターワークにオルガンなどの鍵盤、
ヴァイオリンやヴィオラ、さらにはマンドリンまでも自身でプレイ。さらに自身の味のあるヴォーカルが加わると、
ストリングスとシンセを重ねた叙情的なシンフォニック性に、知的な展開力とキャッチーな抜けの良さで、
NEAL MORSEなどにも通じるプログレらしい爽快な味わいに。素朴なマンドリンの音色にメロウなギター、
そして美麗なシンセアレンジもじつにセンス良く、テクニカルなインストパートとのメリハリある構築力が見事。
才能ある人間によるソロはこんなにも楽しいのだなと思える、プログレらしい優雅な傑作です。
ドラマティック度・・8 プログレ度・・8 優雅度・・9 総合・・8
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KLAATU 「SIR ARMY SUIT」
カナダのメロディックロック、クラトゥの1978年作
1976年にデビュー、本作は3作目となる。The Beatlesをルーツにしたキャッチーなヴォーカルメロディに
やわらかなピアノ、ときにストリングスアレンジも加えた、叙情豊かなメロディックロックは、
BARCLAY JAMES HARVESTなどにも通じる味わい。楽曲は3〜4分前後とシンプルながら、
しっかりとロックなアンサンブルと確かな演奏力もあるので、ポップ過ぎない聴き心地で楽しめ、
やわらかなコーラスハーモニーと牧歌的な雰囲気は、Stackridgeなどが好きな方にもお薦めだ。
キャッチー度・・8 プログレ度・・6 牧歌的度・・8 総合・・8 過去作のレビューはこちら
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