〜HEAVY METAL CD REVIEW 2022 by 緑川 とうせい

★2022年に聴いたメタルCDレビュー
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11/19
いよいよサッカーW杯開幕!(305)

LILLIAN AXE 「From Womb To Tomb」
アメリカのハードロック、リリアン・アクスの2022年作
1988年にデビュー、本作は10作目で、スタジオ作としては10年ぶりとなる。ギターの2人以外のメンバーが交替しているが、
ステーヴィー・プレイズの奏でるメロウなギターフレーズと、日本人好みのウェットでキャッチーなサウンドは継承していて、
いくぶん翳りを帯びた叙情とともに、人間の生誕から死までを描くというコンセプトでドラマティックなハードロックを展開する。
随所に優美なシンセアレンジも効いていて、ブレント・グラハムによるマイルドなヴォーカルも楽曲によくマッチしている。
ときにProgMetal的な感触や、しっとりとしたスローナンバーに、小曲も織り交ぜながら大きな流れで楽しめる、全72分の力作だ。
ドラマティック度・8 キャッチー度・8 叙情度・8 総合・8 過去作のレビューはこちら
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Diablo Swing Orchestra 「Swagger & Stroll Down The Rabbit Hole」
スウェーデンのアヴァン・ジャズメタル、ディアブロ・スウィング・オーケストラの2021年作
2006年にデビュー、スウィング・ジャズとメタルを融合させた独自のスタイルで異彩を放つバンド。
5作目となる本作は、メタリックなギターにトランペットやトロンボーンなどのブラスを重ね、
男女ヴォーカルのシアトリカルな歌声とともに、モダンでとぼけた味わいのアヴァンロックを展開。
哀愁の女性ヴォーカルを乗せたメタルシャンソン風ナンバーなどもコケティッシュでお洒落な耳心地。
ストリングスを加えたクラシカルな優雅さは、シンフォニックなジャズロックとしても楽しめるだろう。
ジャズ度・7 優雅度・9 アヴァンギャル度・8 総合・8 過去作のレビューはこちら
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Be'lakor 「Coherence」
オーストラリアのメロディック・デスメタル、ベラコールの2021年作
2007年にデビューし、5作目となる。本作はのっけから10分を超える大曲で、叙情的なギターにデスヴォイスを乗せて
激しく疾走しつつ、リズムチェンジによる緩急ある展開力で、ドラマティックなメロデスサウンドを聴かせる。
メロディックなギターフレーズにシンセも重なり、凶悪過ぎないグロウルヴォイスも含めて、激しさの中にも
メランコリックな空気をかもしだすあたりは、フィンランド系のメロデスバンドにも通じる雰囲気だろう。
泣きメロたっぷりのミドルテンポや叙情的なインストナンバーなど、全体的にも優雅な美学に包まれていて、
ラストの12分の大曲も、優美なシンセと泣きのギター、知的な展開力とともにじわじわと盛り上げる。
ドラマティック度・8 暴虐度・7 叙情度・8 総合・8 過去作のレビューはこちら
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BRON 「Pred Dverima Noci」
イギリスのアトモスフェリック・ブラックメタル、ブロンの2020年作
G/B/Key/Voとドラムによるユニットで、2016年にデビューし、3作目となる。15分以上の大曲ばかり、
全3曲という構成で、美麗なシンセによるイントロから、ダミ声ヴォーカルを乗せてブラスト疾走。
ドラムを含めてわりとスカスカのサウンドが、90年代風のプリミティブな味わいになっていて、
うっすらとしたシンセが幻想的な空気を描き出し、暴虐さよりもミステリアスな神秘性に包まれる。
ゆったりとしたパートでは、叙情的なギターの旋律とともにメランコリックな雰囲気も覗かせつつ、
そこからの激しいブラスト疾走という緩急ある展開で、夢見心地の幻想ブラックが味わえる。
ドラマティック度・7 暴虐度・7 幻想度・8 総合・8
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Automb 「Esoterica」
アメリカのブラックメタル、オートゥームの2018年作
女性Vo&BとGによる2人組で、詠唱のような怪しいイントロから、トレモロを含むノイジーなギターに
グロウルヴォーカルを乗せて、激しくブラスト疾走するプリミティブなブラックメタルを聴かせる。
Danielle嬢のゲボ声Voは女性とは思えないアンダーグラウンドな迫力があって、
ほどよくこもり気味の音質も含めて、初期のMAYHEMのようなおどろおどろしい暗黒性が味わえる。
ドラムはゲストのようだが、ブラストを含む激しさは、EMPERORのタリムばりでなかなかの技量である。
女性Voの本格派ブラックメタルという点では、Darkened Nocturn Slaughtercultなどのファンもいかが。
ドラマティック度・7 暴虐度・8 プリミティブ度・8 総合・8

GREEN CARNATION 「LEAVES OF YESTERYEAR」
ノルウェーのプログレ・ゴシックメタル、グリーン・カーネイションの2020年作
2000年にデビュー、スタジオ作としては、2006年以来となる6作目。叙情的なギターにマイルドなヴォーカルを乗せ
ほどよくヘヴィで翳りを帯びたサウンドを聴かせる。リズムチェンジなどの知的な展開力はOPETHなどにも通じるが、
そこに、KATATONIAのようなメランコリックな叙情が加わったという雰囲気もあり、15分という大曲では、
ゆったりとした静寂パートから、叙情的なギターの旋律とともに、哀愁を帯びたゴシックメタルを描いてゆく。
続く10分の大曲も、ドゥーミィなギターリフにオルガンなどのシンセを重ねた、大人の味わいで楽しめる。
ドラマティック度・7 メランコリック度・8 知的ゴシック度・8 総合・8 過去作のレビューはこちら
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Anthemon 「Dystopia」
フランスのゴシックメタル、アンテモンの2004年作
2002年にデビューし、2作目となる。1作目に参加していた女性シンガーが抜けて、本作は男性声をフロントに、
叙情的なギターに美麗なシンセアレンジを重ねた、耽美でメランコリックなゴシックメタルを聴かせる。
スローテンポを基本に、重すぎずダーク過ぎない味わいで、壮麗なシンセアレンジに包まれたサウンドは
マイルドなヴォーカルとともに、ほどよくキャッチーなフックもあって、ENTWINEなどが好きな方にも楽しめる。
シンフォニックなシンセと泣きのギターフレーズで、ヨーロピアンな翳りを帯びたゴシックメタルの好作品だ。
ドラマティック度・8 ゴシック度・8 優美度・8 総合・7.5
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Legenda Aurea 「Sedna」
スイスのシンフォニックメタル、レジェンダ・オーレアの2006年
美麗なシンセと語りによるイントロから、メタリックなギターにシンフォニックなアレンジを重ね、
なよやかなソプラノ女性ヴォーカルを乗せた、Nightwishタイプの優美なサウンドを聴かせる。
ほどよい疾走感も含んだ楽曲は、重すぎない優雅なメロディアス性に包まれていて、
紅一点、クラウディア嬢の声質は、ターヤよりも優しい感じのソプラノでしっとりと耳に心地よい。
男性ヴォーカルも加わった叙情ナンバーや、きらびやかなインストナンバーもあったりと、
一本調子にならない流れもよい感じで、ラストまで壮麗な味わいで楽しめる好作品だ。
シンフォニック度・8 優美度・8 女性Vo度・8 総合・8
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Synful Ira 「Between Hope & Fear」
イタリアのシンフォニックメタル、シンフル・イラの2012年作
女性Vo、女性Gを擁する6人編成で、叙情的なギターのイントロから、優美なシンセをツインギターに重ね
伸びやかな女性ヴォーカルを乗せた、キャッチーでスタイリッシュなシンフォニックメタルを聴かせる。
ゆったりとしたミドルテンポから、ほどよい疾走感も覗かせつつ、美しい女性声と優雅なメロディのフックは
EDENBRIDGEなどにも通じる雰囲気もあるが、ギターにはわりとオールドなメタル感触も見え隠れする。
これという新鮮味はないのだが、美麗なシンセアレンジとキャッチーな耳心地で、爽快に楽しめる逸品。
シンフォニック度・7 優美度・8 女性Vo度・8 総合・7.5
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TRUST X 「На Краю Вечности」
ロシアのシンフォニックメタル、トラスト・エックスの2011年作
壮麗なシンセをメタリックなギターに重ねたイントロから、ロシア語によるハイトーンヴォーカルとともに
ほどよい疾走感とクサメロの優雅なメロディックメタルを聴かせる。リズムチェンジを含む展開力や、
随所に叙情的なギターのフレーズもドラマティックな味わいになっていて、ProgMetalとまではいかないが、
コンセプト的なスケールの世界観を感じさせる。シンセとギターによるネオクラ風の旋律も覗かせるなど、きらびやかなメロパワとしても楽しめる。
ドラマティック度・8 疾走度・7 構築度・8 総合・8
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Svartby 「Big Boss」
ロシアのフォークメタル、スヴァートビィの2019年作
2007年にデビューし、本作は5作目で、インスト2曲を含む全7曲で、22分というEP的な内容。
優美なシンセによるイントロから、ヘヴィなギターにダミ声ヴォーカルを乗せ、適度に疾走感のある武骨なサウンド。
モダンな硬質感とキャッチーな軽快さが同居したスタイルは、Finntrollをルーツに、よりスタイリッシュな味わい。
クサメロ感やフォーキーな土着性という点では、さほど高くないので、わりとあっさりとした聴き心地。
楽曲も3〜4分前後とシンプルかつストレートで、もう少し濃密な展開やメロディのフックが欲しい。
ドラマティック度・7 フォーキー度・7 武骨度・8 総合・7
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RVI MEKHA (Рви Меха) 「SKYLARK (Жаворонок)」
ロシアのフォークメタル、リヴィ・メクハの2017年作
現在は、PLAMYA V MAS (Пламя в Нас)へと改名。ほどよくヘヴィなギターに牧歌的なアコーディオン、
母国語による美しい女性ヴォーカルを乗せて、優雅な耳心地のフォークメタルを聴かせる。
楽曲は3〜4分前後で、キャッチーなノリの良さがあって、ときに愉快なアコーディオンの旋律と共に
コルピクラーニの女性声版という感じでも楽しめる。シンセがないぶんシンフォニックな感触は薄いが、
なよやかな女性声の魅力が前に出ていて、メロディックなフックも含めて耳心地の良さが光る好作品。
メロディック度・8 フォーキー度・7 女性Vo度・8 総合・8
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HELENGARD 「FIREBIRD」
ロシアのフォークメタル、ヘレンガルドの2017年作
2010年にデビューし、2作目となる。重厚なギターにやわらかなフルート、バグパイプの音色も加わり、
男性デスヴォイスに母国語による美しい女性ヴォーカルが絡む、牧歌的なサウンドを聴かせる。
8分、9分という大曲では、ペイガンメタル的な勇壮なコーラスにバグパイプが鳴り響き、
美しい女性声とともに幻想的な土着性に包まれる。本格派のフォークメタルとしての神秘性と、
幻想的な世界観は好みだが、語りを含む小曲が5曲あって、全9曲で35分というのがやや物足りないか。
ドラマティック度・8 フォーキー度・8 幻想度・8 総合・7.5
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11/5
ディープなメタルの秋(292)

Konstantin Jambazov 「Faith and Philosophy」
ブルガリアのミュージシャン、コンスタンティン・ジャンバゾフの2022年作/邦題「信仰と哲学」
DEYAN ANGELOFFとのユニットをはじめ、ソロや多くのバンドで活躍する、ブルガリアきってのマルチミュージシャン。
本作は、ストライパーからの影響を受けて作られたというクリスチャンメタル作品。王道のギターリフとハイトーンヴォーカルで
80年代ルーツ正統派のメタルサウンドを聴かせつつ、爽快なコーラスハーモニーなどのキャッチーな味わいと、
随所に覗かせる流麗なギタープレイは、さすがというところ。エピックメタル風味のスローナンバーをはさみつつ、
ストライパー的王道のクリスチャンメタルが炸裂する5曲目などは、オールドなHMを好むリスナーにはニンマリだろう。
哀愁の叙情を描くラストのバラードナンバーは、エモーショナルな歌声と泣きのギターメロディが味わい深い。
ウェットな大人のヘヴィメタルが味える全6曲入りのEPである。この路線でのフルアルバムも聴いてみたい。
ドラマティック度・8 古き良きHM度・8 叙情度・8 総合・・7.5 過去作のレビューはこちら

Terra Odium 「Ne Plus Ultra」
多国籍のプログレメタル、テラ・オディウムの2021年作
SPIRAL ARCHITECTのシンガーとドラムを中心に、TESTAMETのベースや、DRAGONFORCE/AMORPHIS/MOONSPELL
などでも活躍するギターが参加。テクニカルなリズムに巧みなギターリフを乗せ、ハイトーンヴォーカルとともに
ミステリアスなプログレッシブ・メタルを構築する。随所にオーケストラルなアレンジを加えた壮麗なスケール感と
薄暗い叙情性に包まれていて、歌い上げるヴォーカルも含め、11分の大曲などもインストパートに偏らない聴き心地。
ラストナンバーなどは、FATES WARNINGなどにも通じる雰囲気で、知的な展開力のProgMetalが味わえる。
ドラマティック度・7 テクニカル度・8 叙情度・7 総合・8
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Fates Warning 「Long Day Good Night」
アメリカのプログレメタル、フェイツ・ウォーニングの2020年作
80年代初頭から活動する、プログレメタルの元祖。13作目となる本作は、前作と同じメンバーで制作されている。
翳りを帯びたイントロから、叙情的なギターにマイルドなヴォーカルを乗せたアンニュイな空気に包まれつつ、
ヘヴィなリフとともにダークなメタルサウンドが広がってゆく。レイ・アルダーのエモーショナルな歌声と、
ジム・マテオスにたる巧みなギターワーク、そしてボビー・ジャーゾンベクのテクニカルなドラムも冴えを見せ、
「AWAKE」期DREAM THEATERにも通じるProgMetalが楽しめる。ゆったりとしたバラードナンバーなど
スローやミドルのナンバーも多いので中盤はややダレるが、スタイリッシュな味わいの全72分の力作です。
ドラマティック度・8 テクニカル度・8 叙情度・7 総合・8 過去作のレビューはこちら
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FROZEN LAND
フィンランドのメロディックメタル、フローズン・ランドの2018年作
シンセを含む5人編成で、正統派のギターにかすれた味わいのヴォーカル乗せて疾走する、王道のメロパワサウンドで、
ネオクラシカル風のシンセとギターの絡みや、サビのキャッチーなメロディは、STRATOVARIUSを思わせる。
随所に伸びやかなハイトーンを聴かせるヴォーカルや、きらびやかなシンセワークなど、デビュー作にしてはレベルも高く、
メロディのフックやシンセの音色なども含め、同郷の偉大な先輩をリスペクトしつつ、優雅なミドルテンポから、
いかにもな疾走ナンバー、北欧らしいフォークメタル風味など、単なるストラトフォロワーという以上のセンスも覗かせる。
それにしても、この爽快な疾走曲には、ストヴァリ系の北欧メロパワが好きな方はニンマりだろう。
メロディック度・8 疾走度・8 ストラト度・8 総合・8
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REVERENCE 「Gods of War」
アメリカのメタルバンド、レヴェレンスの2015年作
RIOTのトッド・マイケル・ホールがシンガーを務めるバンドで、本作は2作目となる。ツインギターのリフに
パワフルなハイトーンヴォーカルを乗せた、正統派のヘヴィメタルを聴かせる。楽曲は3〜4分前後が主体で
JUDAS PRIEST風のどっしりとしたミドルテンポから、適度な疾走感のあるナンバー、RIOTにも通じるような
キャッチーなナンバーなども良い感じで、トッドの伸びやかなヴォーカルもサウンドによくマッチしている。
全体的に新鮮味はさしてないが、硬派で王道のメロパワという雰囲気で楽しめる強力作だ。
メロディック度・7 疾走度・6 正統派度・8 総合・8
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Lost Opera 「Hidden Sides」
フランスのシンフォニックメタル、ロスト・オペラの2016年作
2011年にデビューし、2作目。メタリックなギターにオーケストラルなアレンジを重ね、
パワフルなヴォーカルにグロウルもまじえて、アグレッシブな疾走パートを含んだ、
モダンなシンフォニックメタルを聴かせる。わりとメタルコア寄りの激しさも覗かせつつ、
美しいシンセアレンジがサウンドに厚みを加えていて、クサメロ感はさほどないものの、
スケール感のあるドラマ性を描くような聴き心地。デス声パートが多めなのと、
メロディのフックや明快な盛り上がりという点で、いまひとつ物足りないのが残念。
ドラマティック度・7 疾走度・7 叙情度・7 総合・7.5
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Metanoon 「Legio Bohemorum」
チェコのメタルバンド、メタヌーンの2019年作
90年代から活動するバンドで、11年ぶりとなる7作目。オールドなギターに母国語によるヴォーカルを乗せて疾走、
女性コーラスやフォーキーなフルートの音色も加えた、辺境らしい土着的なメタルサウンドを聴かせる。
エピックメタル寄りの勇壮な世界観と牧歌的なクサメロ感が同居した味わいで、疾走ナンバーも多いが
ダーティながらパワフル過ぎないヴォーカルとユルめのメロディも含めて、わりとのんびりとした聴き心地で楽しめる。
メロディック度・7 疾走度・8 辺境度・8 総合・7.5

MISSION (Миссия) 「Queen (Королева)」
ロシアのメタルバンド、ミッションの2016年作
正統派のギターに巻き舌のロシア語ヴォーカルを乗せた、しごくオーソドックスなメタルサウンド。
ゆったりめのミドルテンポを主体に、うっすらとしたシンセも重ねつつ、シンフォニックというほどでもなく
疾走感やクサメロ感も薄いので、楽曲ごとの魅力やインパクトという点では物足りない。
メロディック度・7 疾走度・5 正統派度・7 総合・7

Obidil 「Stardust」
スロベニアのシンフォニックメタル、オビディルの2008年作
2003年にデビューし、2作目。ツインギターにシンセを重ね、ソプラノを使い分ける女性ヴォーカルを乗せた
マイナーな香り漂うシンフォニック・メロパワを聴かせる。ほどよい疾走感と緩急あるリズムチェンジ、
クサメロとまではいかなウェットな叙情が混然となって、耳心地の良いB級という微妙な味わいである。
メロディック度・7 疾走度・7 女性Vo度・7 総合・7

Hidden Lapse 「Redemption」
イタリアのプログレメタル、ヒドゥン・ラプスの2017年作
モダンなシンセによるイントロから、硬質でテクニカルなギターに伸びやかな女性ヴォーカルを乗せ、
優美なシンセアレンジを加えて、緩急ある展開力のスタイリッシュなProgMetalを聴かせる。
楽曲は3〜4分前後が主体とわりと短めで、ドラマティックな展開というよりは、優雅で軽やかな聴き心地。
メランコリックな味わいのナンバーでは、Alessia嬢の歌声が、The Gatheringのアネクばりの表現力で、
この路線での楽曲ももっと聴きたくなる。アルバムとしては、大曲がないので、全38分というのが少し物足りないか。
ドラマティック度・7 テクニカル度・8 女性Vo度・8 総合・7.5
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CALIGULA'S HORSE 「TIDE THIEF AND RIVER'S END」
オーストラリアのプログレメタル、カリギュラズ・ホースの2013年作
2011年にデビューし、2作目。硬質なツインギターにエモーショナルなヴォーカルを乗せ、Djent的でもあるテクニカル性とともに
モダンでスタイリッシュなサウンドを描く。シンセによる優美なアレンジや、ときにフルートやヴァイオリンなどの音色も加えて、
ポストプログレ的でもある繊細な歌ものパートを含む、優雅な叙情性も耳心地良い。一方では、流麗なギターのフレーズや
硬質なリフによるソリッドなメタル感触が、メリハリある輪郭を描いていて、緩急ある構築力は本作でもすでに完成されている。
アコースティックによる小曲も気が効いていて、ドラマティックに展開するラスト曲まで、アルバムとしての流れも見事な力作だ。
ドラマティック度・8 テクニカル度・8 叙情度・8 総合・8 過去作のレビューはこちら
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ORDINARY MILE 「NEW HORIZONS」
アメリカのプログレメタル、オーディナリー・マイルの2007年作
2006年にデビューし、2作目となる。メタリックなギターにモダンなシンセアレンジ、パワフルなヴォーカルを乗せ、
ほどよくヘヴィで翳りを帯びたサウンドを描き出す。叙情的なギターの旋律やハイトーンの歌声も含めて、
いくぶんFATES WARNINGなどにも通じる感触もあるが、よりスタイリッシュな硬質感に包まれている。
楽曲は4〜5分前後とわりとシンプルで、テクニカルな展開力よりは、モダンな浮遊感を描いていて、
耳心地はよいものの、ドラマティックな盛り上がりや、メロディのフックという点では物足りないか。
ドラマティック度・7 テクニカル度・7 叙情度・7 総合・7
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Moonstone 「The Second Rune」
フランスの女性声ハードロック、ムーンストーンの2003年作
2000年作に続く2作目で、前作は80年代ルーツの様式美風HRという印象であったが、本作もその路線の延長で
ほどよく叙情的な古き良き味わいのギターに、ハスキーな女性ヴォーカルの歌声を乗せた、キャッチーなメタルサウンド。
激しすぎない重すぎないという中庸感に、メロディのフックも盛り上げきらないというのが、絶妙というか、むしろ微妙であるが、
オールドスタイルの女性声ハードロックとしても普通に楽しめる。悪くはないのに、これというキラーチューンがないのが残念。
メロディック度・7 80'sHM度・7 女性Vo度・7 総合・7.5
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AWACKS 「Atmosphere 136」
フランスのプログレメタル、アワックスの2003年作
1999年にデビュー、本作は2作目となる。叙情的なギターにシンセを重ね、ハントーンのヴォーカルとともに、
ほどよくノリのあるキャッチーなサウンドを展開。テクニカルな展開力というよりは、流麗なギターフレーズや
優美なシンセアレンジを含むメロディックな叙情に包まれていて、わりとメロハー寄りの楽しみ方もできる。
反面、ProgMetalとしてはスリリングなところには欠けるのだが、イントロがDREAM THEATERっぽかったりと、ニヤリとしたり、
アルバム後半のフランス語のナンバーなどは、ヨーロピアンな優雅な味わいでなかなか良い感じです。
ドラマティック度・7 テクニカル度・6 叙情度・8 総合・7.5
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10/21
久々のメタルレビュー!(278)

GLASYA 「Attarghan」
ポルトガルのシンフォニックメタル、グラシヤの2022年作
Nightwishタイプの女性声シンフォニックメタルとして、前作もなかなかの好作であったが、2作目となる本作は
シネマティックな語りで幕を開け、メタリックなギターにオーケストラルなアレンジ、美しいソプラノ女性ヴォーカルに
パワフルな男性声も加えて、壮麗なシンフォニックメタルを構築する。戦いの場面を想起させるエピックな世界観と
紅一点、エドゥアドラ嬢のオペラティックな歌声による優雅さが同居して、重厚でスケール感のあるサウンドが味わえる。
随所に語りを挿入したり、アラビックな雰囲気なども覗かせるなど、コンセプトストーリーとしての世界観をしっかり描きながらも、
楽曲的にはさほど新鮮味がないのが惜しい。TEMPERANCEのマルコ・パストリノ、CHAOS MAGICのキャサリン・ニックスなどがゲスト参加
シンフォニック度・8 壮大度・9 女性Vo度・8 総合・8
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Edge of Paradise 「The Unknown」
アメリカのシンフォニックメタル、エッジ・オブ・パラダイスの2021年作
2011年にデビューし、4作目となる。モダンなヘヴィネスを含んだギターにシンセを重ね、
ハスキーな女性ヴォーカルとともに、スタイリッシュなシンフォニックメタルを聴かせる。
壮麗なシンセアレンジもこなす才女、マルガリータ嬢の歌声は、伸びやかに艶めいた魅力で
重すぎず、激しすぎないサウンドによくマッチしている。楽曲は4分前後とわりとシンプルながら、
ほどよくキャッチーで、曲によってはWITHIN TEMPTATIONのような優美な味わいもある。
新鮮味はさほどないが、適度な硬質感と美麗なシンフォニック性のバランスのよい好作品である。
シンフォニック度・7 キャッチー度・8 女性Vo度・8 総合・8 過去作のレビューはこちら
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Warrior Path 「The Mad King」
ギリシャのメロディックメタル、ウォリアー・パスの2021年作
2019年にデビュー、2作目となる本作には、元LOST HORIZON、HARMONYのダニエル・ハイマンがヴォーカルで参加、
メロディックかつヘヴィなギターにハイトーンヴォーカルを乗せて、どっしりとした正統派のメタルサウンドを聴かせる。
伸びやかなダニエルの歌声と王道のメタルリフによるエピックな味わいは、かつてのLOST HORIZONを思わせ、
ほどよくキャッチーでメロディックなフックという点では、HAMMERFALLなどのファンにもアピールするだろう。
疾走する部分はさほどないが、ミドルテンポのナンバーでも、説得力あるヴォーカルが聴き手に高揚感をもたらし、
パワフルなギターリフにメロディアスな叙情性が合わさって、正統派メロパワとしてのひとつの理想形をなしている。
ドラマティック度・8 勇壮度・9 正統派度・9 総合・8.5 過去作のレビューはこちら
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PORTRAIT 「AT ONE WITH NONE」
スウェーデンのメタルバンド、ポートレイトの2021年作
2008年にデビュー、ENFORCERやWOLFなどとともに、ヨーロッパのNWOTHMを牽引するバンド。5作目となる本作も、
正統派のギターリフにハイトーンヴォーカルを乗せ、ほどよい疾走感を含んだオールドなメタルサウンドを聴かせる。
80年代ルーツのウェットな叙情を含ませつつ、甘くなりすぎない程度の硬派さもまた絶妙で、
ヨーロピアンな翳りを帯びたヘヴィメタルが耳心地よく楽しめる。スローテンポの叙情ナンバーや、
中盤には9分という大曲もあり、ドラマティックな展開力と、中堅バンドとしての堂々たる構築力も光っている。
ドラマティック度・8 疾走度・7 古き良きメタル度・9 総合・8 過去作のレビューはこちら
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IRON FIRE 「Beyond The Void」
デンマークのメロディックメタル、アイアン・ファイアの2019年作
2000年にデビュー、北欧メロパワの中堅バンド、本作は9作目となる。ギター、ペース、ドラムというトリオ編成で
メタリックなギターリフにややダーティなヴォーカルを乗せ、疾走感をともなう正統派のメロパワを聴かせる。
甘すぎないメロディとともに、どっしりとしたミドルテンポでの勇壮なメタル感触は、SABATON
初期のDREAM EVILなどにも通じるだろう。楽曲は3〜4分前後とわりとシンプルながら、
ストレートなノリで突き進むオールドスタイルの北欧メロパワを好むファンには嬉しいだろう。
メロディック度・8 疾走度・7 正統派度・9 総合・8 過去作のレビューはこちら
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TYR「HEL」
フェロー諸島のメロディックメタル、ティールの2019年作
2002年にデビュー、本作は6年ぶりとなる8作目。叙情的なギターの旋律で幕を開け、
ダーティなヴォーカルを乗せた武骨な激しさに、メロディックなフックが同居した北欧メロパワを聴かせる。
流麗なギターメロディも随所に効いていて、ジェントルなヴォーカルを使い分けながら、HAMMERFALLなどにも通じる
ほどよい疾走感を含んだ正統派のメロディックメタルを描いてゆく。母国語による詠唱のような歌声を乗せた、
エピックな空気感は、ヴァイキングメタル寄りの勇壮さに包まれて、FALCONERなどのファンにも楽しめるだろう。
激しさと叙情のバランスも良く、爽快なメロディも覗かせながら、北欧神話的な世界観を描く強力作だ。
メロディック度・8 勇壮度・8 北欧メロパワ度・9 総合・8 過去作のレビューはこちら
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TYR 「A Night At The Nordic Hous」
フェロー諸島のメロディックメタル、ティールのライブ作品。2022年作
2020年に首都のトースハウンで行われたオーケストラとの共演ライブを、2CD+DVDに収録。
2019年作「HEL」からのナンバーをメインに、過去作からのナンバーも含む全18曲のステージで、
バンドを取り囲むようにオーケストラが陣取ったゴージャスなステージ。混声コーラス隊も加わった、
壮麗なシンフォニック性に包まれながら、バンドのサウンド自体は武骨なヴォーカルも含めて、
しごく正統派のメロパワとして演奏しつつ、母国語の歌声によるヴァイキングメタル寄りのナンバーでは、
エピックなコーラスが勇壮に重なり、壮大なスケール感はときに、BLIND GUSRDIANを思わせる部分もある。
DVDの映像では、オーケストラやコーラス隊を含む迫力ある大人数のステージが圧巻だ。
ライブ演奏・8 ライブ映像・8 勇壮度・9 総合・8
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ROSS THE BOSS 「Born of Fire」
アメリカのメロディックメタル、ロス・ザ・ボスの2020年作
元MANOWARのギタリスト、ロス・フライドマン率いるバンドで、2008年にデビューし、本作は4作目となる。
Let Us Preyでも活躍するマーク・ロペスのパワフルなヴォーカルを乗せて、のっけからスラッシーに疾走する。
随所にメロディックなギタープレイも奏でつつ、基本はあくまでオールドスタイルのヘヴィメタルで、
ガナリ立てるハイトーンの歌声を乗せた、JUDAS PRIEST的な雰囲気から、MANOWARを思わせるナンバーなど、
甘すぎないメロディアス性とともに、80〜90年代ルーツのどっしりとした勇壮なメタルサウンドが味わえる。
楽曲的には新鮮味はさほどなく、わりと中庸なオールドメタル感触に包まれているので、その手が好きな方へ。
メロディック度・7 パワフル度・8 正統派度・8 総合・8 過去作のレビューはこちら
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LEYENDA 「Bienvenido Al Paraiso」
スペインのメロディックメタル、レイエンダの2015年作
2005年にデビューし、5作目となる。王道のギターにシンセを重ね、スぺイン語のヴォーカルを乗せた
正統派のメロパワサウンド。叙情的なギターのメロディとともにキャッチーな優雅さもあって、
ほどよいクサメロ感とシンフォニックな味わいで、激しすぎないスパニッシュメタルが楽しめる。
全体的にミドルテンポが主体で、優美なシンセアレンジなどはむしろシンフォニックメタル的なので、
MEDINA AZAHARAなどが好きな方にもよいだろう。全9曲、41分で、もう1〜2曲あってもよかった。
メロディアス度・8 疾走度・5 優雅度・8 総合・7.5
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EXMORTUS 「SOUND OF STEEL」
アメリカのメロディック・スラッシュメタル、エクスモータスの2018年作
2008年にデビューし、すでに5作目となる。ツインギターリフにダミ声ヴォーカルを載せてスラッシーに疾走する、
メロディック・スラッシュ・デスメタルというべきサウンドは本作も健在。オールドスタイルのギタープレイに
随所にネオクラ風の流麗なメロディも覗かせて、激しく疾走しつつも、わりとライトな聴き心地というのが特徴的。
今作には、WARBRINGERのドラムとギターが参加していて、パワフルなドラムはサウンドの核を担っている。
ベートーベンの「テンペスト」を取り上げたクラシカルなインストナンバーなど、ネオクラに寄せた部分は、
1stの頃に回帰したようなイメージだが、反面オールドなスラッシュ感触には目新しさはなくなったか。
ドラマティック度・7 疾走度・8 スラッシュ度・7 総合・8 過去作のレビューはこちら
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Mammoth Grinder 「Cosmic Crypt」
アメリカのデスメタル、マンモス・グラインダーの2018年作
Power Trip、Iron Reaganなどのメンバーによるバンドで、2008年にデビューし、4作目となる。
スラッシュ寄りのギターリフにグロウルヴォーカルを乗せて疾走する、オールドなデスメタルサウンド。
80〜90年代ルーツのアンダーグラウンドなおどろおどろしさを残していて、いくぶんの野暮ったさとともに
重すぎない激しすぎないという聴き心地はなかなか絶妙なところ。ブラストビートなどはほとんどないので、
暴虐なデスメタルが苦手な方にもイケるだろう。楽曲は2〜3分前後で、全28分という短さもいっそ潔い。
ドラマティック度・7 暴虐度・7 オールドデス度・8 総合・7.5
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SEPULTURA 「MACHINE MESSIAH」
ブラジルのメタルバンド、セパルトゥラの2017年作
1986年にデビュー、初期のスラッシュ路線からしだいに方向性を変えつつも、メタルとしての激しさも残したスタイルで
カヴァレラ兄弟脱退後も活動を続け、本作は14作目となる。ほどよく叙情的なギターにマイルドなヴォーカルを乗せ、
ゆったりとしたメロウなサウンドを描きつつ、グロウル寄りのダーティな歌声とともに、ダークな雰囲気に包まれる。
スラッシーに疾走するアグレッシブなナンバーなどは、初期からのファンにはなつかしい感触だろうし、
モダンなベヴィネスや曲によってはオーケストラルなシンフォニック性も覗かせるなど、意欲的なアレンジも光る。
スラッシュメタルとしての激しさも取り戻したことで、メタルとしての確かな強度も感じさせる。なかなかの力作だ。
ドラマティック度・7 重厚度・8 叙情度・7 総合・8
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BRYMIR 「Wings Of Fire」
フィンランドのシンフォニック・デスメタル、ブリュミルの2019年作
2011年にデビューし、3作目となる。オーケストラルなアレンジにメロディックなギターを重ねて激しく疾走、
ダミ声ヴォーカルとともに、ヴァイキングメタル寄りの勇壮さを加えた、壮麗なシンフォニック・メロデスを聴かせる。
ほどよい土着的なクサメロ感は、ENSIFERUMなどに通じる部分もあり、オーケストラアレンジとクワイヤによる
華麗なスケール感に包まれたサウンドは、過去2作を超えるインパクトだろう。ブラスト疾走する暴虐な激しさと
きらびやかでスタイリッシュな叙情美が同居した、高品質なヴァイキング・シンフォニック・デスメタルである。
ドラマティック度・8 疾走度・8 壮麗度・8 総合・8 過去作のレビューはこちら
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Stigmatic Chorus 「Fanatic」
ロシアのシンフォニック・ブラックメタル、スティグマティック・コーラスの2012年作
1998年にデビューし、6作目となる。ほどよい叙情を含んだギターにダミ声ヴォーカルを乗せて激しく疾走、
オーケストラルなアレンジも加わった、壮麗なシンフォニックブラックを聴かせる。
ときにクラシカルなシンセのスローパートや女性コーラスなども加えた優雅さも覗かせつつ、
激烈なブラストパートへと展開する緩急ある構築力は、Cradle Of Filthにも通じるだろう。
ダークなドラマ性と荘厳な迫力を感じさせる、高品質なシンフォブラックが楽しめる強力作である。
ドラマティック度・8 暴虐度・8 総合・8

Arcturus 「Constellation」
ノルウェーのシンフォニック・ブラックメタル、アークチュラスの初期音源集。1994/2022年作
1991年のデビューEP、1994年のEPを合わせた全8曲入りの再発盤。美麗なシンセをバックに
ダミ声ヴォーカルを乗せた、激しすぎない耽美な味わいのサウンドで、こもり気味の音質も含めて
まだマイナーの香りを残している。のちのスペイシーで知的なサウンドとはいくぶん異なるが
激しい疾走に頼らない怪しげな世界観の構築という点では、すでにその基盤は感じさせる。
ヘルハマーのドラムはさすがという安定感で、バンドとしての演奏の核を担っている
全体的には、シンセによるシンフォニックな部分が前に出たサウンドで、激しさは控えめです。
シンフォニック度・8 暴虐度・6 音質・6 総合・7.5
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9/24
メタル台風きたる(263)

Trytan 「Blood Of Kings」
アメリカのプログレメタル、トライタンの2021年作
デビューは1987年で、1990年までに2作を残して消えるも、じつに30年ぶりに復活。オリジナルメンバーは、
リーダーでG&Voのラリー・ディーンのみで、NEAL MORSEバンドではギターを弾く、エリッキ・ギレッテがドラムで参加、
オールドな味わいのギターにハイトーンのヴォーカルを乗せた、RUSHKANSASあたりをハードにしたようなサウンドを聴かせる。
メロディックなギターの旋律にシンセアレンジも加え、シンフォニックロック的な爽快さと、ProgMetal寄りの構築性が合わさって
中性的な伸びやかな歌声もひの作風によくマッチしている。弾きまくりのギターを中心にしたインストパートも含めて、
6〜9分前後の長めの楽曲をじっくりと聴かせる。80年代クリスチャンメタル的な雰囲気もあるので、その筋のファンもどうぞ。
メロディック度・8 テクニカル度・7 プログレハー度・8 総合・8
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TALES OF THE OLD 「THe Book of Chaos」
ギリシャのシンフォニックメタル、テイルズ・オブ・ザ・オールドの2021年作
マルチプレイヤーのマイク・ツァナキス氏によるプロジェクトで、ファビオ・リオーネ(ANGRA)、ボブ・カティオニス(元FIREWIND)をはじめ、
多数のゲストが参加したメタルオペラ的な作品。メタリックなギターにオーケストラルなアレンジを重ね、ゲストによる男女ヴォーカルを乗せた
壮麗なシンフォニックメタルを聴かせる。ボブ・カティオニスによるきらびやかなシンセワークが加わると、とたんにネオクラ風になったりと、
楽曲自体にはこれという新鮮味はないのだが、女性ヴォーカルをメインにした優美なナンバーなどは良い感じで、
随所にほどよい疾走感も覗かせつつ、ラスト近くではデス声も加わったりと、メリハリある流れで構築される。
シンフォニック度・7 壮麗度・8 新鮮度・7 総合・7.5
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Angelica 「All I Am」
スウェーデンの女性シンガー、アンジェリカの2020年作
THE MURDER OF MY SWEETのAngelica Rylinのソロで、2013年作「Thrive」以来となる2作目。
モダンできらびやかなシンセアレンジにほどよくハードなギター、伸びやかな女性ヴォーカルを乗せて
キャッチーな女性声ハードロックを聴かせる。ルックスも含めてフェミニンなお色気もたっぷりながら、
艶めいた歌声も魅力的で、WITHIN TEMPTATIONのシャロンや、DELAINのシャーロットにもひけをとらない。
楽曲は3〜4分前後ながら、爽快なメロディのフックとシンフォニックな音の厚みで、耳心地よく楽しめる。
表現力あるアンジェリカの歌声と、ゴシックメタル寄りの泣きのメロディが感動的なラスト曲まで、高品質な完成度。
メロディック度・8 キャッチー度・8 女性Vo度・8 総合・8 過去作のレビューはこちら
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Ebony Ark 「Decoder 2.0」
スペインのシンフォニックメタル、エボニー・アークの2006年作
本作は2004年作の再録版で、ジャケも変更されている。メタリックなギターにオーケストラルなアレンジ、
美しいソプラノ女性ヴォーカルを乗せて、EPICAなどにも通じる壮麗なシンフォニックメタルを聴かせる。
随所に男性声も加わるが、基本は女性声メインなので、ジャケのイメージのようなおどろおどろしさはなく、
ゴシックメタル寄りの耽美さも覗かせつつ、あくまでキャッチーなシンフォニック性を描いている。聴き比べてみないと
オリジナルとの違いは分からないが、コンセプト的な楽曲の流れとともに、スケール感のあるサウンドが味わえる力作です。
シンフォニック度・8 壮麗度・8 女性Vo度・8 総合・8 過去作のレビューはこちら

Nemesea 「Pure: Live @ P3」
オランダのゴシックメタル、ネメシーのライブ。2009年作
オランダでの2009年のライブを収録、2作目「In Control」からのナンバーを主体にした全17曲で、
ほどよくヘヴィなギターにデジタルなシンセを重ね、紅一点、MANDA嬢の伸びやかなヴォーカルとともに、
キャッチーなゴシックロックを聴かせる。リズム面でのアンサンブルはアルバム以上の躍動感があり、
爽快感のあるメロディのフックとともに、ときに優美な女性声ハードロックとしても楽しめる。
ゴシックとしてのメランコリックな雰囲気は薄いので、良くも悪くもわりとさらっと聴けるサウンドです。
ライブ演奏・8 ゴシック度・7 女性Vo度・8 総合・7.5 過去作のレビューはこちら
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The Slow Death「Siege」
オーストラリアのゴシック・ドゥームメタル、スロー・デスの2021年作
2008年にデビューし、4作目となる。19分、13分、19分、10分という大曲4曲の構成で、うっすらとしたシンセに
重すぎない叙情的なギター、妖しい女性ヴォーカルの歌声を乗せた、メランコリックなサウンドを描く。
随所にデスヴォイスも加わるが、フューネラル・ドゥームというほどには暗黒性は感じさせず、
メロウなギターの旋律に優美なシンセアレンジが耳心地よく、ゴシックドゥームとしても楽しめる。
とにかく、曲が長くてスローテンポなので、ヘヴィすぎないサウンドも相まって眠気がきてしまうのだが、
SHAPE OF DESPAIRなど、ゆったりとした幻想ドゥームが好きな方には楽しめるだろう。
ドラマティック度・7 メランコリック度・8 重厚度・8 総合・7.5
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BETWEEN THE BURIED AND ME 「COLORS II」
アメリカのテクニカルメタル、ビトウィーン・ザ・バリィド・アンド・ミーの2021年作
2002年にデビュー、2部構成のEP「Automata」に続く本作は、タイトルのように2007年作の続編となる作品。
優美なイントロで幕を開け、ソリッドなギターにシンセを重ね、マイルドなヴォーカルとグロウルヴォイスを織り交ぜ、
静と動のメリハリあるテクニカルなサウンドを描く序盤は、かつてのBTBAMらしいスタイルを再現したような聴き心地。
流麗なギターとシンセによる叙情的なパートや、軽やかなリズムにオルガンなどを乗せたプログレ風味など、
より優雅な遊び心が際立ったようなナンバーも多いので、破天荒なプログレメタルとしても楽しめる。
ラストはアグレッシブに疾走する激しさも含んだ緩急自在の15分という大曲で、トータル78分の力作です。
ドラマティック度・7 プログレ度・8 テクニカル度・8 総合・8 過去作のレビューはこちら
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Fractal Universe 「Impassable Horizon」
フランスのプログレッシブ・デスメタル、フラクタル・ユニヴァースの2021年作
2017年にデビューし、3作目となる。流麗なギターにシンセを重ね、咆哮するデスヴォイスとともに激烈にブラスト疾走しつつ、
リズムチェンジによる知的な展開力と、メロディアスな叙情美を含んだ、ハイブリッドなプログレ・デスメタルを聴かせる。
ときにサックスの音色や優美なギターフレーズ、ノーマルヴォーカルを乗せたエモーショナルな優雅さも覗かせつつ、
強烈なグロウルヴォイスの激しさへと変化する極端さは、いかにも若手のバンドらしい。ブルータルな激しさもありながら、
全体的には知的な構築力が強めなので、BETWEEN THE BURIED AND MEなどのファンにもお薦めのプログデス。
ドラマティック度・7 暴虐度・7 テクニカル度・8 総合・8
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Darkest Mind 「Oracle of Death」
ベルギーのブラックメタル、ダーケスト・マインドの2021年作
ほどよく叙情的なギターリフに吐き捨てヴォーカルを乗せて、激しくブラスト疾走する
オールドスタイルのブラックメタルサウンド。随所にメロディックなギターの旋律も覗かせて
緩急あるリズムチェンジとともに、ドラマティックな構築力で迫力あるサウンドを聴かせる。
曲によっては、DISSECTIONあたりを思わせるところもあり、甘すぎないメロブラとしても楽しめる。
ラストは10分を超える大曲で、暴虐な激しさの中にも叙情的なメロディを盛りこんだ、高品質な作品だ。
ドラマティック度・8 暴虐度・8 叙情度・7 総合・8
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BORNHOLM 「APOTHEOSIS」
ハンガリーのペイガン・ブラックメタル、ボーンホルムの2021年作
2003年にデビューし、5作目。語りを含んだ壮麗なイントロから、トレモロを含んだギターリフにシンセを重ね
ダミ声ヴォーカルとともに激しくブラスト疾走、随所にメロディックなフレーズを織り込みつつ、
甘すぎない叙情性と緩急ある展開で、迫力ある荘厳なペイガン・ブラックメタルを聴かせる。
ミドルテンポでの勇壮な雰囲気から、激しい疾走パートへと移行してゆくあたりは、
いわばペイガンメタルとシンフォニック・ブラックが合わさったような味わいで楽しめる。
全体的にも暴虐過ぎず、美麗過ぎずというバランスが見事な、高品質な作品です。
ドラマティック度・8 暴虐度・7 荘厳度・8 総合・8 過去作のレビューはこちら
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ALDA 「A Distant Fire」
アメリカのブラックメタル、アルダの2021年作
2011年にデビューし、3作目となる。アコースティックな牧歌的なイントロから、トレモロのギターとともにブラスト疾走、
ダミ声ヴォーカルを乗せて、Wolves in the Throne Roomなどに通じるカスカディアン・ブラックメタルを聴かせる。
ほどよくスカスカな音圧がよいあんばいで、暴虐さよりも自然崇拝スタイルのヴィンテージな味わいに包まれていて、
激しくともどこかドゥーミィな耳心地なのである。10分前後の大曲をメインに、ラストは16分という大曲で、
ジェントルな歌声に女性声も加わった牧歌的な雰囲気から、激しいブラスト疾走とスローパートを織り込みつつ、
プログレッシブというような構築力で展開する。このレベルのスケール感のナンバーがもう1曲あれば傑作であった。
ドラマティック度・7 暴虐度・7 神秘的度・8 総合・8 過去作のレビューはこちら
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Eoront 「Neverending Journey」
ロシアのペイガン・ブラックメタル、エオロントの2013年作
うっすらとしたシンセに包まれて、咆哮するデスヴォイスとともに激しくブラスト疾走、
トレモロのギターリフとともに、幻想的な神秘性を含んだサウンドを展開する。
土着的な旋律には、ときにヴァイキングメタル寄りの部分も感じさせ、ほどよい叙情性が耳心地よい。
ベースの存在感がなにげに大きいので、アンサンブルがスカスカにならず、確かな演奏力で、しっかりと重厚さを描いている。
14分という大曲では、緩急ある流れでスケール感と幻想的な空気に包まれたペイガンブラックメタルを構築する。
ドラマティック度・8 暴虐度・8 幻想度・8 総合・8
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LUNAE ORTUS 「White-Night-Wropt」
ロシアのシンフォニック・ブラックメタル、ルナ・オルタスの2018年作
壮麗な雰囲気のイントロから、シンフォニックなアレンジをメタリックなギターに重ね、ダミ声ヴォーカルとともに
エピックなスケール感に包まれた緩急ある展開力で、Dimmu Borgirスタイルのサウンドを描いてゆく。
激しいブラスト疾走も含みつつ、メロディックなギターとオーケストラルな美麗さに、ときに女性コーラスも加わって
全体的にも優雅な味わいが前に出ているので、暴虐な暗黒性というのはさほど感じず、あくまで壮麗な耳心地。
演奏力も含めて、完成度の高さという点では、シンフォニック・ブラックの一線級バンドに引けを取らない。
シンフォニック度・8 暴虐度・7 優雅度・8 総合・8
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9/9
9月のメタル(250)

Octavision「Coexist」
多国籍のプログレメタル、オクタヴィジョンの2020年作
アルメニア出身のギタリスト、ホヴァク・アラヴェルティアンを中心にしたプロジェクトで、
ジャズ系の凄腕ベーシスト、ヴィクター・ウッテンをはじめ、ビリー・シーン、ジェフ・スコット・ソートも参加、
硬質感のあるリズムに、ほどよくヘヴィで巧みなギタープレイを乗せ、きらびやかなシンセアレンジとともに、
スタイリッシュなインストサウンドを展開。ヴォーカルが加わったナンバーでは、キャッチーな味わいもありつつ、
間奏部では、ときにDREAM THEATER的なテクニカルなパートも垣間見せる。10分近い大曲もあり、
叙情的なギターのフレージングや、わりとプログレ寄りのシンセワークにフルートも鳴り響くなど、
優雅な構築力で楽しめる。凄腕のベーシストたちのプレイも含めて、玄人好みに鑑賞可能の逸品。
ドラマティック度・7 テクニカル度・8 優雅度・8 総合・8
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Caligula's Horse 「Rise Radiant」
オーストラリアのプログレメタル、カリギュラズ・ホ−スの2020年作
2011年にデビューし、すでに5作目となる。叙情的なツインギターをテクニカルなリズムに乗せて、
Djent系のモダンなサウンドを描きつつ、マイルドなヴォーカルによるウェットな味わいが同居した、
新世代のハードプログレというべきスタイルを確立。変則リズムのキメをさりげなく織り込みつつ、
優美なシンセを含むシンフォニックな感触も覗かせて、緩急あるドラマティックな仕上がりになっている。
ラストは10分を超える大曲で、優雅な叙情を含んだプログレッシブな構築力でスタイリッシュに聴かせる。
ドラマティック度・8 テクニカル度・8 優雅度・8 総合・8 過去作のレビューはこちら
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OPETH 「GARDEN OF THE TITANS: LIVE AT RED ROCKS AMPHITHEATRE」
スウェーデンのプログレッシブ・メタル、オーペスのライブ作品。2018年作
2017年に行われた、アメリカ、コロラド州デンバーの「レッドロック野外劇場」でのステージを2CD+DVDに収録。
ヘヴィなギターにオルガンを含むシンセ、ミカエル・オーカーフェルドのジェントルなヴォーカルで、ヴィンテージな
ハードロックを描きつつ、迫力あるデスヴォイスを加えた重厚なパートとともに緩急あるサウンドを描きだす。
2011年作「Heritage」以降のナンバーを主体に、初期作からも披露、かつてのプログレッシブ・デスメタルとしての
サウンドも随所に味わえる。2008年作「Watershed」からの「Heir Apparent」はドラマティックな展開が白眉で、
ラストは12分に及ぶ大曲「Deliverance」で締めくくる。DVDでは岩盤に囲まれた野外ステージでの幻想的な映像が味わえる。
ドラマティック度・8 ライブ演奏・9 ライブ映像・9 総合・8.5 過去作のレビューはこちら
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Cradle Of Filth 「Existence Is Futile」
イギリスのシンフォニック・ブラックメタル、クレイドル・オブ・フィルスの2021年作
1993年にデビュー、いまやエクストリーム系メタルの代表格となったバンドの通算13作目。
オーケストラルで壮麗なイントロから、高音とダミ声を使い分けるダニ・フィルスのヴォーカルとともに、
ブラスト疾走する激しさとドラマティックな耽美性が同居した、シンフォニックなダークメタルを描いてゆく。
緩急ある展開力とシアトリカルな空気感は初期の頃から変わらず、ときに女性コーラスも加わった
妖艶な味わいは、ゴシックロマンというべき世界観で、決してモダンになり過ぎないサウンドが素晴らしい。
全体的にもシンフォニックな聴きやすさがあり、昔からのCOFファンにも満足できる強力作である。
ドラマティック度・8 暴虐度・8 耽美度・8 総合・8 過去作のレビューはこちら
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Crescent Lament/恆月三途「噤夢/Land Of Lost Voices」
台湾のシンフォニック・ゴシックメタル、クレセント・ラメントの2020年作
2011年にデビューし、3作目となる。コミック調のジャケットに豪華仕様のトールケースという作品で、
第二次大戦後の1947年を舞台にした物語的なコンセプト作。メタリックなギターに優雅な二胡の音色、
中国語による美しい女性ヴォーカルの歌声に、男性デスヴォイスも絡んで、激しくも優美なサウンドを構築。
中華的なメロディや艶やかな二胡の響きが美しいゆったりとしたナンバーから、ゴシックメタル風の物悲しさや、
ほどよく激しいメタル感触が合わさった、自主制作とは思えないクオリティの高いサウンドが楽しめる。
二・二八事件を含む、中国国民党の支配下に翻弄された歴史的史実をテーマにした、シネマティックな力作です。
ドラマティック度・8 ゴシック度・8 優美度・8 総合・8
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Swallow The Sun 「Moonflowers」
フィンランドのゴシック・ドゥームメタル、スワロー・ザ・サンの2021年作
2003年にデビューし、本作は8作目。いまやメランコリックなゴシックドゥームを代表するバンドとなった。
マイルドなヴォーカルでゆるやかに始まりつつ、重厚なギターとシンセの重ねに咆哮するデスヴォイスを乗せて、
ほどよく緩急のあるゴシックデスメタルを展開。叙情的なギターの旋律によるメランコリックな泣きと、
絶望の慟哭が交互に押し寄せるスタイルは、かつてのOPETHなどに通じる部分もあるだろう。
ストリングスなどによるシンフォニックなアレンジも、楽曲にクラシカルな優雅さを加えていて、
全体的に激しすぎない耳心地であるが、ラスト曲ではブラックメタルばりのブラスト疾走も現れる。
限定盤のDisc2には、ストリングスバンドによるクラシカルバージョンの教会でのライブを収録。
ドラマティック度・8 メランコリック度・9 重厚度・8 総合・8 過去作のレビューはこちら
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Amber Asylum「Sin Eater」
アメリカのゴシックアンビエント、アンバー・アサイラムの2015年作
1996年にデビューし、7作目となる。うっすらとしたシンセにチェロやヴィオラの物悲しい音色、
けだるげな女性ヴォーカルを乗せて、しっとりと耽美なゴシックアンビエントを聴かせる。
ときにドラムも加わるので、いくぶんのロック色も感じさせつつ、妖しい女性スキャットとともに、
魔女めいた雰囲気に包まれる。後半は、12分前後の大曲もあり、アトモスフェリックな静寂感から
ドラムとエフェクトのかかったストリングスが加わって、ゴシックメタル風味に展開するなど、
単なるアンビエントという以上の深みのあるサウンドで独自の耽美な世界観を描いている。
ドラマティック度・7 ゴシック度・8 耽美度・9 総合・7.5 過去作のレビューはこちら
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Fostermother 「The Ocean」
アメリカのドゥームメタル、フォスターマザーの2022年作
2020年にデビューし、2作目となる。アナログ感たっぷりのギターにうっすらとしたシンセを重ね、
朗々としたヴォーカルとともに、ヴィンテージかつ神秘的なサイケ・ドゥームロックを聴かせる。
スローテンポを主体に、重すぎないギターでほどよくノリのあるストレートなサウンドであるが、
ときにメロトロンなどのシンセが合わさると、いくぶんスペイシーな雰囲気も覗かせる。
全体的には、これといって盛り上がりもなく、淡々とした聴き心地なので、濃密な大曲などあればと思う。
ドラマティック度・7 重厚度・7 ドゥーム度・8 総合・7.5
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Nekromant 「Temple of Haal」
スウェーデンのドゥームメタル、ネクロマントの2021年作
2017年にデビューし、3作目。ギター、ベース&ヴォーカル、ドラムのトリオ編成で、
ウェットな叙情を含んだギターに伸びやかなヴォーカルを乗せ、翳りを帯びたサウンドを描く。
スローテンポ主体ながらほどよくノリもあって、メロディックなフレーズを含むギターリフも含めて、
オールドな味わいの正統派メタルとしても楽しめる。7分以上のナンバーもいくつかあって、
ゆったりとした味わいのダークな叙情性はやはり北欧のバンドらしく、CANDLEMASSにも通じる
どっしりとしたエピックドゥームの感触と、NWOTHM的なキャッチーなオールドメタルが同居した好作品だ。
ドラマティック度・7 重厚度・7 正統派メタル度・8 総合・8
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Altareth 「Blood」
スウェーデンのドゥームメタル、アルタレスの2021年作
ツインギターの5人編成で、重厚なギターにうっすらとシンセが重なり、絡みつくようなヴォーカルとともに、
神秘的なスラッジ/ドゥームメタルを聴かせる。ザラついたギターリフを乗せた、どっしりとしたスローテンポは
これぞドゥームメタルという味わいで、あまり力まない淡々としたヴォーカルも妖しい空気感に一役かっている。
楽曲自体は、これといった盛り上がりは薄いのだが、ヴィンテージなスラッジ感触に包まれながらも
秘教的な怪しさをかもしだしていて、幻想系ドゥームが好きな方にも楽しめる強力作。
ドラマティック度・7 重厚度・8 ドゥーム度・8 総合・8
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Crypta 「Echoes Of The Soul」
ブラジルのガールズデスメタル、クリプタの2021年作
元NERVOSAのメンバーを中心にしたガールズメタルバンド、ブラストビートを含む激しさに、
喚き声ヴォーカルを乗せて、オールドスタイルのスラッシーなデスメタルを聴かせる。
テクニックのあるドラムを含め安定したリズムに、ツインギターのリフのキレも良く、
随所にメロディックなフレーズも覗かせるなど、サウンドの勢いやクオリティも充分。
どちらかというとブラックメタル寄りのガナリ声や、ブルータル過ぎず重すぎずという点では、
デスラッシュ的な聴きやすさがある。楽曲的に似たものが多いので、今後の成長にも期待デス。
ドラマティック度・7 暴虐度・7 疾走度・8 総合・8
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Sunless 「Ylem」
アメリカのテクニカル・デスメタル、サンレスの2022年作
G/Vo、B、Drというトリオ編成で、ブラスト疾走するドラムに重すぎないギターとデスヴォイスを乗せ、
緩急あるリズムチェンジで、激しすぎないオールドスタイルの知的なテクニカルデスを聴かせる。
不穏なギターリフとともに、どこかミステリアスな空気を描きつつ、わりと軽めのドラムも含め、
ヘヴィ過ぎないサウンドは、かつてのDEATHなどが好きな方にも楽しめるだろう。
3〜5分前後の楽曲を主体に、ラストの7分のナンバーでは、プログレッシブデス的な構築力も覗かせる。
ドラマティック度・7 暴虐度・7 テクニカル度・8 総合・8
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NILE 「WHAT SHOULD NOT BE UNEARTHED」
アメリカのデスメタル、ナイルの2015年作
古代エジプトの世界観を追及するブルータルなデスメタルを標榜し、1998年にデビュー、本作は8作目となる。
激烈なブラストビーを含む激しさでたたみかける、オールドスタイルのブルデスサウンドは健在。
ギターリフ自体はわりとオーソドックスで、デスヴォイスの迫力も突き抜けるほどではない。
つまり音に新鮮味はさほどないのだが、やはり古代エジプトを描く世界観が個性となっていて、
暴虐な激しさからスローパートも含む緩急あるサウンドに、神秘的で荘厳な空気を生み出している。
ドラマティック度・7 暴虐度・9 荘厳度・8 総合・8 過去作のレビューはこちら
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8/27
残暑のメタル見舞い(237)


ARJEN ANTHONY LUCASSEN'S STAR ONE 「Revel In Time」
アルイエン・アンソニー・ルカッセンによるスペースロック・プロジェクト、スター・ワンの2022年作
AYREONでの活動で知られるルカッセンだが、こちらSTAR ONE名義では12年ぶりの作品。ジョー・リン・ターナーをはじめ、
ダミアン・ウィルソン、ロイ・カーン、トニー・マーティン、ジェフ・スコット・ソート、ダン・スワノ、アレッサンドロ・デル・ヴェッキオ、
ジョン・カイペルス、フロール・ヤンセン、イレーネ・ヤンセン、ブリトニー・スラヤス、マルセラ・ボヴィオなど名だたるシンガーに、
エイドリアン・ヴァンデンバーグ、スティーヴ・ヴァイ、マイケル・ロメオ、ロン・サール、イェンス・ヨハンソンなど、多数のゲストが参加している。
Disc1と2では、楽曲は同じだが、それぞれ別のシンガーを配置するというこだわりよう。「ターミネーター」「バック・トゥ・ザ・フューチャー」など、
時空をテーマにしたSF系映画からインスパイアされたという楽曲は、ほどよい疾走感もあり、キャッチーなメロディアス性とシンフォニックな壮麗さ、
力量のある男女ヴォーカルにより、じつにゴージャスな聴き心地である。AYREONにも通じる、ロックオペラ的なスケール感で描かれる力作。
ドラマティック度・8 壮麗度・9 豪華ゲスト度・9 総合・8 過去作のレビューはこちら
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Van Canto 「To The Power Of Eight」
ドイツのアカペラメタル、ヴァン・カントの2021年作
2006年にデビュー、ドラム以外のすべてのパートを声で表現するという、まさに驚異の「ズンズンティキタク」バンド。笑
本作は8作目となる。ドラムを含めて7人編成で、ツインギターの「声リフ」に男女ヴォーカルの歌声を乗せた、
正統派?メタルサウンドを聴かせる。声によるギターソロもなかなか頑張っていて、このバンドを初めて聴く方には
すべて声でやっているとは信じられないかもしれない。ダミ声ヴォーカルを乗せたヴァイキングメタル風味もあったり、
女性声をメインにした優雅なバラードから、IRON MAIDEN「Run To The Hills」のカヴァーも壮麗な仕上がりだし、
AC/DC「Thunderstruck」や、QUEEN「I Want It All」のカヴァーでは、しっかりオールドなロック感も出している。
ドラマティック度・8 再現度・8 人声度・9 総合・8 過去作のレビューはこちら
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Whyzdom 「Of Wonders and Wars」
フランスのシンフォニックメタル、ワイズダムの2021年作
2009年にデビューし、5作目。オーケストラルで壮麗なアレンジと美しいソプラノ女性ヴォーカルで、
優雅なシンフォニックメタルを展開。紅一点、マリー嬢のなよやかな歌声は、かつてのターヤのような
オペラティックなソプラノで、モダンなヘヴィネスも含んだギターにオーケストレーションを重ねたサウンドは
Nightwishを思わせる部分もしばしば。一方では、メロスピ的な疾走パートもあったりと、ほどよくマイナーな
クサメロ感覚を残しているところも嬉しい。キャッチーなメロディと美麗なシンフォニック性が同居した強力作。
シンフォニック度・9 壮麗度・9 女性Vo度・8 総合・8 過去作のレビューはこちら
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Crystal Viper 「The Cult」
ポーランドのメロディックメタル、クリスタル・ヴァイパーの2021年作
2007年にデビュー、女性シンガーによる正統派メタルとして人気を博し、本作は8作目となる。
メロディックなツインギターにハスキーな女性ヴォーカルを乗せた、オールドスタイルのメタルサウンド。
マルタ・ガブリエルの中性的な歌声はヘヴィ過ぎないギターによくマッチしていて、ほどよい疾走感とともに
80〜90年代ジャーマンメタル的なサウンドを描きつつ、スローやミドルテンポのナンバーでは、
かつてのVELVET VIPERのような雰囲気も匂わせる。楽曲は3〜4分前後とシンプルであるが、
どの曲もキャッチーなフックがあってストレートに楽しめる。ラストはKING DIAMONDのカヴァー。
メロディック度・8 疾走度・7 古き良き度・9 総合・8 過去作のレビューはこちら
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ALOGIA 「Semendria」
セルビアのメロディックメタル、アローギアの2020年作
2002年にデビュー、本作は6作目となる。ツインギターに女性シンセ奏者を含む6人編成で、
本作は中世時代のセルビアの都市、セメンドリアの興亡を描いたコンセプト作。きらびやかなシンセアレンジと
正統派のギターに、ハイトーンヴォーカルで聴かせる王道のメロパワサウンド。フルートが鳴り響く民族的な叙情や、
テクニカルなリズム展開も覗かせるなど、アレンジ面の魅力も増した。Eden's CurseやSerious Blackにも参加する、
ニコラ・ミイッチの伸びやかな歌声はもちろん、マーク・ボールズ、ティム“リッパー”オーウェンズ、ファビオ・リオーネがゲストで、
それぞれに見事な歌唱を披露する。日本盤ボーナスには、DREAM THEATER、HELLOWEENのカヴァーを収録。
メロディック度・8 疾走度・7 正統派度・8 総合・8 過去作のレビューはこちら
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Winter's Verge 「The Ballad of James Tig」
キプロスのメロディックメタル、ウインターズ・ヴァージの2020年作
2008年にデビューし、本作は6作目。ツインギターに女性シンセ奏者を含む6人編成で、
美麗なシンセアレンジに叙情的なギター、中音域のパワフルなヴォーカルを乗せて、
ヴァイキングメタル風味もある土着的なメロディを含んだ正統派メロパワを聴かせる。
楽曲はミドル〜スローテンポが主体だが、シンフォニックメタル的な華麗さと勇壮な歌メロとともに、
ときに、RHAPSODYのようなドラマティックな高揚感に包まれ、美しい女性ヴォーカルが加わると
Nightwishのような優雅な味わいにもなる。メタル的な激しさよりも叙情美に浸れる逸品です。
シンフォニック度・8 疾走度・6 勇壮度・8 総合・8
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WILDESTARR「BEYOND THE RAIN」
アメリカのメタルバンド、ワイルドスターの2017年作
2009年にデビュー、本作は5年ぶりとなる3作目。メタリックなギターにハスキーな女性ヴォーカルを乗せた、
正統派のメタルサウンドで、モダンなヘヴィネスと、ほどよくメロディックな味わいが同居していて、
甘すぎない骨太のスタイルだ。随所に疾走するパワーメタル感触もありつつ、基本はどっしりとした
ミドルテンポやスローナンバーで、飾りっ気のないあくまでストレートなヘヴィメタルを聴かせる。
ロンドン・ワイルド嬢の中性的な歌声は、ときに男性のハイトーンのように聴こえる部分もあって、
女性Voメタルが苦手な方でもイケるだろう。個人的にはもう少し魅力的なメロディのフックが欲しいか。
メロディック度・7 正統派度・8 女性Vo度・7 総合・7.5
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Enchained Souls 「In Memoriam」
アルゼンチンのシンフォニックメタル、エンチェインド・ソウルズの2012年作
2006年にデビューし、3作目となる。オーケストラルで壮麗なアレンジにギターを重ね、
なよやかなソプラノ女性ヴォーカルに男性ダミ声が絡む、ほどよく疾走感のあるサウンド。
随所にゴシックメタル寄りの耽美な空気感に包まれつつ、しっとりとした叙情ナンバーなども、
紅一点、カロリーナ嬢のスペイン語によるフェミニンな歌声がなかなか魅力的だ。
メタリックなギターとダミ声によるアグレッシブな激しさと、女性声の優雅さが同居した作風は
初期の六翼天使(Seraphim)あたりにも通じるかもしれない。粗削りながら今後に期待です。
シンフォニック度・7 疾走度・8 女性Vo度・7 総合・7
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Verde Lauro 「Son Animali Al Mondo」
イタリアのシンフォニックメタル、ヴェルデ・ラウロの2015年作
アレッサンドロ・デル・ヴェッキオ、ロベルト・ティランティ(Labylinth)、ターヴィッデ・デル・オルト(Drakkar)といった
名のあるヴォーカリストが参加した、メタルオペラ的なコンセプト作。オーケストラルなアレンジにクワイアを重ね、
実力派ヴォーカルたちのイタリア語の歌声を乗せて、優雅で壮麗なシンフォニックメタルを展開。
2〜3分前後の小曲を連ねてゆく作風で、1曲ごとは短めだが、アコースティックな叙情ナンバーや
メロスピ的な疾走パートもあり、ストーリーを紡ぐような緩急ある流れで、じっくりと鑑賞できる。
全体的には、メタル的な激しさよりも優雅さが前に出ていて、もう少し濃密な盛り上がりが欲しいか。
シンフォニック度・7 疾走度・6 優雅度・8 総合・7.5
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Bittencourt Project 「Brainworms - I」
ANGRAのギタリスト、ラファエル・ビッテンコートのプロジェクト。2008年作
現ANGRAのベース、フェリペ・アンドリオーリをはじめ、元ANGRAのドラム、リカルドなどが参加していて、
ほどよくヘヴィなギターにビッテンコート自身のかすれた味わいのヴォーカルを乗せた、キャッチーな優雅さとともに、
随所にProgMetal的な構築性を含んだサウンドを聴かせる。オルガンを含むシンセや、渋みのあるギタープレイには
オールドなハードロックの感触もあり、やわらかな歌メロとともに聴かせる、ゆったりとした普遍性のあるメロディックロックから、
テクニカルなギタープレイも盛りこんだインストパートもさすがというところ。アコースティックギターにピアノやストリングスを重ねた
優美な味わいなど、激しさは控えめながら深みのあるセンスが光る。アルバム後半の軽快なインストナンバーもよい感じです。
ドラマティック度・7 メタル度・7 優雅度・8 総合・7.5
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Nera Luce 「Luci Nell'ombra」
イタリアのハードロック、ネラ・ルースの2010年作
適度にヘヴィなギターにオルガンを重ね、イタリア語のヴォーカルを乗せたハードロックサウンド。
3〜5分前後の楽曲は、ジャケのイメージのような耽美な雰囲気はなく、パワフルなハイトーンヴォーカルと
オールドな味わいのギターで、わりとストレートな聴き心地。一方では、ゆったりとした叙情的なナンバーもあったり、
プログレ寄りの部分も覗かせるが、全体的にはメロディアスにもなり切らず、どこか中途半端な印象だ。
メロディック度・7 キャッチー度・7 叙情度・7 総合・7
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Ethereal Faun 「The Nightlitany」
イタリアのメタルバンド、エセリアル・ファウンの2009年
6曲入りのEPで、クサメロ感のあるギターとともに疾走し、中音域の女性ヴォーカルを乗せた、
ほどよいB級感に包まれたサウンド。いくぶんドタバタとした展開は、初期のSKYLARKなどを思わせるが、
シンセアレンジが入らない分、わりとピロピロ系のギターが前に出てくる。アコースティックギターによる
牧歌的なナンバーもあったり、反対にデス声入りのアグレッシブなパートもあったりと、フォークメタル風なのだが雑多な印象。
ラストの8分の大曲は、展開力のある優雅な味わいなので、この路線を伸ばしていってもらいたい。
メロディック度・7 優雅度・7 女性Vo度・7 総合・7

Lujuria 「Licantrofilia」
スペインのメタルバンド、ルフリアの2008年作
1996年にデビュー、すでに中堅というべきキャリアがあるバンドで、本作は7作目となる。
正統派のギターリフにパワフルなスペイン語ヴォーカルを乗せた、古き良き感触のヘヴィメタルサウンド。
シンセによるシンフォニックなアレンジも随所に効いていて、ツインギターとともに厚みのある耳心地だが、
ダーティな歌声はやや好みが分かれるかもしれない。全体的にもストレートな正統派メタルであるが、
初期作のようなクサメロで疾走するナンバーは良い感じで、個人的にはこのメロスピ路線を増やしてもらいたい。
メロディック度・7 疾走度・7 正統派度・8 総合・7.5 過去作のレビューはこちら
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Idi Bihotz 「Negarraren Amorrua」
スペインのメタルバンド、イディ・ビホッツの2000年作
1997年にデビューし、3作目となる。メタリックなギターにスペイン語のマイルドなヴォーカルを乗せて疾走する
正統派のメロパワスタイルで、サビでのキャッチーなクサメロ感やメロディックなギターソロはなかなか日本人好み。
シンセは入らないので、きらびやかな感触はないが、メロスピ的な軽やかな疾走ナンバーから、
どっしりとしたミドルテンポまで、メタルとしての重厚さとメロディックな優雅さがほどよくブレンドしており、
単なるB級メロパワという以上の魅力がある。ときに、HELLOWEENGAMMA RAYなどを思わせる
陽性のメロディで疾走するナンバーには思わずにんまりだ。スパニッシュ・メロスピの好作品。
メロディック度・8 疾走度・8 正統派度・8 総合・8
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7/22
猛暑のデス&ブラック!(223)


Omnium Gatherum 「Origin」
フィンランドのメロディック・デスメタル、オムニアム・ギャザルムの2021年作
2003年にデビュー、初期の正統派メロデスからよりスタイリッシュな作風へと深化をとげ、本作は9作目となる。
重すぎないギターに美麗なシンセアレンジ、クリアな味わいのメロディをたっぷりと盛りこみつつ、
吐き捨てヴォーカルを乗せた、涼やかなメロデスサウンドを展開。楽曲はミドルテンポが主体で
流麗なギターとシンセによる優雅な耳心地で楽しめつつ、後半には激しい疾走ナンバーもあって、
メロデスとしての面目躍如。個人的にはプログレッシブな展開美がもっと欲しい気もするが、さすがの高品質デス。
ドラマティック度・7 暴虐度・6 北欧叙情度・8 総合・8 過去作のレビューはこちら
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Insomnium 「Heart Like a Grave」
フィンランドのメロディック・デスメタル、インソムニウムの2019年作
2002年にデビューし、8作目。優美なピアノのイントロから、叙情的なギターに履き捨てヴォーカルを乗せ、
フィンランドらしい涼やかなメランコリック性に包まれたサウンドを描く。泣きのギターメロディにシンセが重なる
シンフォニックといってよい美麗な質感と、メロデスとしてのアグレッシブな激しさがほどよく同居していて、
ゆったりとした土着的な叙情を描くナンバーなどは、AMORPHISなどに通じる部分もある。
全体的には、激しさよりは北欧らしい物悲しい叙情に包まれた優雅な味わいで、メロウなギターの旋律が
これまで以上に前に出ているという印象。インストによるラストナンバーもじつにメランコリックである。
ドラマティック度・8 暴虐度・6 北欧叙情度・9 総合・8 過去作のレビューはこちら
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In Flames 「I, The Mask」
スウェーデンのメロディック・デスメタル、イン・フレイムスの2019年作
1994年にデビュー、初期のメロデス路線から、イェスパー・ストロムブラードの脱退後はヘヴィロック寄りになっていたが、
13作目となる本作も、ツインギターによるモダンなヘヴィネスにメランコリックな叙情性をまとわせたサウンドで、
デスヴォイスにノーマル声をまじえ、重すぎないほどよいキャッチーさも含んだ聴き心地。ゴシックメタル風味や、
曲によっては、スラッシーな疾走感もあるが、リフの恰好良さが際立つわけでもなくメロディのフックも物足りず、
激しさも足りず、メロデスというよりはやはりメタルコア風味の感触で、色々と中途半端。インフレはどこへゆく?
ドラマティック度・7 暴虐度・6 叙情度・7 総合・7.5 過去作のレビューはこちら
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Mystic Circle
ドイツのブラックメタル、ミスティック・サークルの2022年作
1996年にデビュー、2006年までに7作を残して消えたバンドが、じつに16年ぶりに復活した。
メンバーは、A.Blackwar (Sven Meesters) 、Beelzebub (Marc Zimmer)の2人のみとなったが、
ほどよい叙情を含んだギターにうっすらとしたシンセと喚き声ヴォーカルを乗せてブラスト疾走する、
DIMMU BORGIRにも通じるシンフォニックなブラックメタルは健在。激烈なドラムに迫力あるヴォーカル、
トレモロのギターリフにメロディックな味わいも覗かせながら、荘厳な暗黒美に包まれたサウンドを描いてゆく。
美麗すぎないダークな邪悪さは、EMPERORなど北欧ブラックメタルのファンにも楽しめるだろう。
元祖デスメタル、Possessedのカヴァーもなかなかハマっている。まさに復活の強力作だ。
ドラマティック度・8 暴虐度・8 暗黒度・8 総合・8
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Negura Bunget 「Zau」
ルーマニアのブラックメタル、ネグラ・バンゲットの2021年作
1998年にデビュー、ペイガンな土着性とアトモスフェリックな幻想性を含んだ独自のブラックメタルを描くバンド、
リーダーでドラムのNegru氏の死去により解散するも、未発アルバムのドラムテイクが発見され、
本作は、それを残されたメンバーが完成させたもの。のっけから16分に及ぶ大曲で、うっすらとしたシンセに
パンパイプの牧歌的な音色、男性声の囁きや女性ヴォーカルとともに、しっとりとした幻想性に包まれつつ、
ドラムとギターが加わって、ポストブラック的なサウンドを描いてゆく。美麗なシンセアレンジよるシンフォニックな感触と
スローテンポのパートでは耽美なゴシックメタル風味も覗かせつつ、随所にほどよい激しさもしっかりと残している。
ドラマティック度・7 暴虐度・7 幻想度・8 総合・8 過去作のレビューはこちら
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Nifrost 「Blykrone」
ノルウェーのペイガン・ブラックメタル、ニフロストの2019年作
2016年にデビューし2作目。土着的なギターリフに武骨なヴォーカルを乗せ、
北欧神話的な荘厳な空気に包まれた、ヴァイキング風のブラックメタルを聴かせる。
ミドルテンポを主体にしたナンバーから、ブラスト疾走する激しいナンバーもあって、
サウンドの迫力という点でも申し分ない。全体的に、甘すぎない硬派な作風なので、
もう少し叙情性が欲しい気もするが、ラストの8分超えの大曲ではトレモロのギターとともに
激しいブラストでたたみかける、ドラマティックなペイガンブラックが炸裂する。
ドラマティック度・7 暴虐度・7 ペイガン度・8 総合・7.5
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Nifrost 「Orkja」
ノルウェーのペイガン・ブラックメタル、ニフロストの2021年作
3作目の本作は、不穏なギターリフにダミ声ヴォーカルを乗せて激しく疾走する、
ザラついた感触のオールドスタイルのペイガン・ブラックメタルを聴かせる。
トレモロのギターリフを含むほどよい叙情と、朗々としたコーラスによる神秘的な空気が
北欧らしい土着性を感じさせる。全7曲、38分というのが、やや物足りない感じだが、
ラストは9分の大曲で、激しくも幻想的なペイガン・ブラックメタルが味わえる。
ドラマティック度・7 暴虐度・7 ペイガン度・8 総合・7.5
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Fortid 「Voluspa Part II」
ノルウェーのペイガンブラックメタル、フォーティドの2007年作
2003年にデビューし、2作目となる。本作の時点では、Eldur氏による個人プロジェクトで、
物悲しいギターの旋律から、母国語による朗々としたヴォーカルを乗せた涼やかな土着性に
ノイジーなギターとシンセを重ね、ダミ声ヴォーカルとともに幻想的なブラックメタルを聴かせる。
随所に叙情的なギターのメロディを覗かせつつ、スローテンポのナンバーなども多く、
全体的に激しさは抑え目ながら、優美なシンセがサウンドを包み込み北欧神話の世界観を描き出す。
ダンジョンシンセ的な幻想的なナンバーから、ラストはプリミティブなブラックメタルで締めくくる。
ドラマティック度・7 暴虐度・5 幻想度・8 総合・7.5 過去作のレビューはこちら
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Fortid 「World Serpent」
ノルウェーのペイガンブラックメタル、フォーティドの2020年作
6作目となる本作は、ほどよく叙情的なギターにシンセを重ね、涼やかでミステリアスな空気に包まれた
ペイガンブラックメタルを聴かせる。激しいブラスト疾走からスローパートへの緩急ある展開に、
朗々としたヴォーカルを乗せての土着的な神秘性や、トレモロのギターフレーズなどの叙情性が同居して
激しくとも暴虐過ぎない聴きやすさがある。ザラついたギターリフにはプリミティブな感触も残していて、
ほどよい粗さも持ち味になっている。いかにも北欧らしいペイガンブラックが楽しめる強力作です。
ドラマティック度・7 暴虐度・7 幻想度・7 総合・8
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Enslaved 「Isa」
ノルウェーのブラックメタル、エンスレイヴドの2004年作
1993年にデビュー、ヴァイキング・ブラックの元祖というべきバンドで、本作は8作目となる。
トレモロのギターにダミ声ヴォーカルを乗せ、リズムチェンジを含むプログレッシブな展開力で、
ミステリアスなブラックメタルを聴かせる。朗々としたノーマル声や美しいシンセアレンジも加えて、
北欧らしい涼やかな叙情を描きつつ、随所にブラックメタルとしてのアグレッシブな部分も垣間見せる。
12分におよぶ大曲では、激しい疾走感の中にも知的なセンスと、優雅で巧みなギタープレイを含む
オールドロックの感触も織り込んで、じっくりと構築する。バンドとしての懐の深さを見せつける力作だ。
ドラマティック度・8 暴虐度・7 叙情度・8 総合・8 過去作のレビューはこちら
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Enslaved 「Ruun」
ノルウェーのブラックメタル、エンスレイヴドの2006年作
9作目となる本作は、わりと正統派のギターにうっすらとしたシンセを重ね、ダミ声ヴォーカルとともに、
知的なプログレ・ブラックメタルサウンドを描く。ミドルテンポが主体で、激しい疾走パートは多くないが、
ときに日本のSIGHIHSAHNのソロなどにも通じる、アヴァンギャルドでスタイリッシュなセンスも感じさせ
ゆったりとしたパートでもスケールの大きな聴き心地。後半にはブラックメタルらしい激しさも覗かせつつ、
寒々しくミステリアスな空気に包まれた、独自のプログレッシブ・ブラックが展開される。
ドラマティック度・8 暴虐度・6 アヴァンギャル度・7 総合・8
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Dornenreich 「Du Wilde Liebe Sei 」
オーストリアのペイガン・フォーク、ドルネンレイクの2021年作
1997年にデビュー、本作は7年ぶりの9作目。民族的なパーカッションにギターを重ね、
ドイツ語によるヴォーカルを乗せた、神秘的でトライバルなサウンドを聴かせる。
ダミ声で歌うところは、ブラックメタル寄りのダークな世界観も匂わせつつ、
艶やかなヴァイオリンが鳴り響くと、優雅なクラシカル性にも包まれる。
エレキギターも使っているので、アコースティカルだけではないロック感触もあって、
わりとメリハリが効いている。ドイツ語によるゲルマンな勇壮さも含んだペイガンフォークの好作。
ペイガン度・8 ロック度・5 幻想度・8 総合・7.5 過去作のレビューはこちら
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Power Trip 「Manifest Decimation」
アメリカのスラッシュメタル、パワートリップの2013年作
オールドスタイルのギターリフに喚きヴォーカルを乗せて疾走する、80年代ルーツのスラッシュメタルで
ラウドな音質も含めて、かつてのアンダーグラウンドなハードコア寄りの雰囲気を再現している。
突っ走りぎみのドラムも往年のB級スラッシュの勢いを感じさせ、こもり気味のヴォーカルも迫力たっぷり。
楽曲は3〜4分前後が主体でわりとシンプルながら、疾走ナンバーのみでなく、スローやミドルテンポのナンバーでの
どっしりとした味わいもよろしく、 Bolt Throwerなど、80〜90年代のスラッシュ寄りデスメタルのファンにもニンマリだ。
ドラマティック度・7 スラッシュ度・8 古き良き度・8 総合・7.5
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Power Trip 「NIGHTMARE LOGIC」
アメリカのスラッシュメタル、パワー・トリップの2017年作
2作目となる本作も、ザクザクとしたギターリフに喚き声ヴォーカルを乗せて激しく疾走する、
オールドなスラッシュメタルが炸裂する。疾走ナンバーはもちろん、ミドルテンポでの恰好良さも前作以上で、
エッジの効いたギターと激しいドラムの迫力も、往年のSLAYERDARK ANGELなどにもひけをとらない。
疾走スラッシュとしての爽快さと、ハードコアルーツのおどろおどろしさが合致したというべき強力作。
ドラマティック度・7 スラッシュ度・8 古き良き度・8 総合・8
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7/9
安倍元総理に哀悼を(209)


Between The Buried And Me 「Automata I」
アメリカのテクニカルメタル、ビトゥウィーン・ザ・バリイド・アンド・ミーの2018年作
2002年にデビュー、デスメタルばりの激しさを含んだテクニカルな展開力で、カオティックなメタルサウンドを構築するバンド。
5作目「Colors」以降はよりプログレッシブな作風へと深化し、アルバムごとに壮大なスケール感をまとわせてゆく。
本作は、2枚に分けられたEPの1作目で、叙情的なイントロから、ヘヴィなギターにシンセを重ね、デスヴォイスとともに
激しく疾走しつつ緩急あるリズムチェンジでテクニカルに展開。メロディックなフレーズをまぶしながらブルータルにたたみかける、
初期の作風に近づいているものの、アレンジの細かさという点ではよりスタイリッシュである。軽妙なパートから翳りを帯びた叙情に包まれる、
プログレメタルとしての魅力も含め、全35分に、このバンドの高度な演奏力とセンスが詰まっている。ラストの10分の大曲も圧巻だ。
ドラマティック度・8 テクニカル度・8 緩急度・9 総合・8 過去作のレビューはこちら
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Between The Buried And Me 「Automata II」
アメリカのテクニカルメタル、ビトゥウィーン・ザ・バリイド・アンド・ミーの2018年作
前作の続編となる、EP2部作の後編。のっけから13分の大曲で、流麗なギターにシンセを重ねたメロディックな味わいから、
プログレッシブな優雅さに包まれたサウンドが広がってゆく。エモーショナルなヴォーカルを乗せたキャッチーなパートから
デスヴォイスも加えたアグレッシブな激しさも覗かせつつ、今回はオルガンなどのプログレ的なシンセアレンジなどもあり、
前作に比べて、よりProgMetalとしての叙情性を感じさせる。ジャズメタル風の異色のナンバーなども新機軸で、
これぞBTBAM流プログレメタルというべきドラマティックなラスト曲まで、全33分ながらとても聴きごたえがある。
ドラマティック度・8 テクニカル度・8 叙情度・8 総合・8
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Between The Buried And Me 「The Silent Circus」
アメリカのテクニカルメタル、ビトゥウィーン・ザ・バリイド・アンド・ミーの2003年作
2002年にデビュー、本作は2作目となる。わりと唐突なテクデス感が強かった1作目からの流れで、
凶悪なグロウルを乗せてたたみかけるブルータルな激しさとともに、叙情的なギターフレーズによる
メロディックなテイストも随所に覗かせる。マイルドなヴォーカルを乗せてゆったりと聴かせるナンバーもありつつ、
のちの作品に比べるとデスメタル寄りのパートが多いので、全体的にはテクデス寄りの耳で聴くのがよいだろう。
ラスト曲では、プログレッシブなアヴァンギャルド性とともに静かに終わるが、無音部分を挟んでスクリーモ風になる。
付属のDVDは、音質、画質は普通程度であるが、バンドの若かりし頃の勢いあるライブステージが楽しめる。
ドラマティック度・7 テクニカル度・8 暴虐度・8 総合・7.5
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Ghost Ship Octavius 「Delirium」
アメリカのプログレメタル、ゴースト・シップ・オクタヴィアスの2019年作
元NEVERMOREのドラマーと、元GOD FORBIDのギタリストを中心に、2015年にデビュー、本作は2作目。
シンセとヴァイオリンによる優美なイントロから、流麗なギターにパワフルなヴォーカルを重ね、
モダンなヘヴィネスと巧みな展開力が同居した、スタイリッシュなプログレメタルを聴かせる。
メタルコアを通過したような激しさに、クラシカルなシンセアレンジによる叙情性が同居して、
重厚なサウンドの中に、ミステリアスなスケール感も垣間見せる。楽曲は4〜5分前後が主体で、
複雑すぎない知的なメタル感触には、NEVERMOREをメロディアスにしたようなところもある。
ドラマティック度・8 テクニカル度・7 重厚度・8 総合・8
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Arch Echo
カナダのプログレメタル、アーチ・エコーの2017年作
新世代のProgMetalとして注目を集めるバンドのデビュー作で、流麗なギターにきらびやかなシンセアレンジ、
Djent的なモダンなヘヴィネスも含んだ、フュージョン的な優雅でテクニカルなインストサウンドを聴かせる。
メロディックなギターのフレージングもセンスが良く、技巧的でありながらもキャッチーな味わいで、
変拍子のキメを盛りこんで展開するところは、DREAM THEATERのインストパートにも通じるだろう。
ときおり、MESHUGGAH風になったかと思えば、ジャズタッチのピアノを乗せた軽妙なナンバーなど、
オールインストながら、振り幅の大きい作風だ。ドラムのサウンドがいくぶんデジタルっぽいのが気になるが、
新世代系テクニカルプログレとしては、ANIMALS AS LEADERSCHONなどのファンにも楽しめそう。
ドラマティック度・7 テクニカル度・8 優雅でモダン度・9 総合・8
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Arch Echo 「You Won't Believe What Happens Next」
カナダのプログレメタル、アーチ・エコーの2019年作
2作目となる本作も、きらびやかなシンセにメロディックなギターフレーズを乗せた、流麗なインストサウンドで、
デジタルなアレンジを取り入れつつ、テクニカルなリズムの遊びを含んだ、高度な演奏が楽しめる。
前作に比べてヘヴィさは控えめで、優雅なメロディアス性に包まれているが、技巧的なアプローチには磨きがかかり、
フュージョン的な軽妙さの中にも、ときおりメタリックな硬質感が垣間見える。オールインストなので、
どうしても耳心地の良いBGMになってしまいがちだが、巧みなギターフレーズに美麗なシンセによる
シンフォニックなテイストも含んだナンバーなどはなかなか気に入った。
ドラマティック度・7 テクニカル度・8 優雅でモダン度・9 総合・8
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PRESTO VIVACE 「REALIDADES CONVENIENTES」
アルゼンチンのプログレメタル、プレスト・ヴィヴァスの2018年作
2000年にデビューし、本作は5作目となる。のっけから15分の大曲で、きらびやかなシンセアレンジに
ほどよく叙情的なギターとパワフルなヴォーカルで、テクニカルで濃密なProgMetalを構築する。
巧みなベースプレイに流麗なメロディを奏でるギターも随所にアクセントになっていて、
リズムチェンジを含む緩急ある展開力とともに、知的でドラマティックなサウンドを描いてゆく。
中盤以降も、11分という大曲が2つあり、いくぶん力みがちのヴォーカルが暑苦しいのだが、
そんなエモーショナルな情感も南米らしさか。ともかく重厚にしてテクニカルな力作です。
ドラマティック度・8 テクニカル度・8 濃密度・8 総合・7.5
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STANDING OVATION 「GRAVITY BEATS NUCLEAR」
フィンランドのプログレメタル、スタンディング・オヴェーションの2015年作
2012年にデビューし、2作目となる。美麗なイントロから、メタリックなギターにシンセを重ね、
マイルドなヴォーカルを乗せた、ほどよくテクニカルで優雅なProgMetalを展開する。
随所に流麗なギタープレイもセンスを感じさせ、やわらかなシンセワークとともに、
北欧らしい涼やかなサウンドを描いてゆく。わりとストレートなメタルナンバーも挟みつつ、
中盤には、10分、18分という大曲もあり、緩急ある展開でドラマティックに聴かせる。
全体的には、楽曲のバラつきがあるので、今後はトータルな完成度の作品を期待したい。
ドラマティック度・7 テクニカル度・7 楽曲度・7 総合・7.5
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Symphonic Theater of Dreams - A Symphonic Tribute to Dream Theater
ポーランドのSinfonietta Consonusによる、ドリーム・シアターのトリビュート。2012年作
AffectorVivaldi Metal Projectなどのメタル作品にも参加していたオーケストラで、
ストリングスにブラスを重ねたイントロ曲から、「Falling Into Infinity」収録の「Hell's Kitchen」が壮麗に演奏される。
「Octavarium」収録「Sacrificed Sons」でのスリリングな味わいは、原曲のドラマ性をシンフォニーに置き換えたよう。
「A Dramatic Turn of Events」収録「Beneath the Surface」では、クラシックギターにオーボエが絡む、優美な聴き心地で、
「Systematic Chaos」収録の大曲「The Ministry of Lost Souls」から、ラストは「Six Degrees of Inner Turbulence」から
「Losing Time/Grand Finale」で華麗に締めくくる。メタル色は皆無ながら、優雅なオーケストラでしっとりとDTの楽曲が楽しめる
クラシカル度・9 メタル度・1 優美度・9 総合・8
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EXIVIOUS
オランダのプログレメタル、エクシヴィアスの2009年作
CYNICのギター、ベースを擁するバンドで、軽やかなリズムにメタリックなツインギターを重ね、
変拍子を含むテクニカル性とともに、優雅なジャズ/フュージョン風味のインストサウンドを聴かせる。
流麗なギターはほどよくメロディックなフレーズも奏で、存在感のあるベースのプレイや
手数の多いドラムなど、高度な演奏力で、リズムチェンジや複雑なキメを軽やかにこなす。
Djent的なスタイリッシュな技巧性とともに、うっすらとしたシンセアレンジなども加わった、
叙情的なパートも覗かせる。緩急あるテクニカルなメタルフュージョンとしても楽しめる強力作。
ドラマティック度・7 テクニカル度・8 優雅度・8 総合・8
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Kingcrow 「Insider」
イタリアのプログレメタル、キングクロウの2003年作
2001年にデビュー、本作は2作目。5作目以降は聴いていたのだが、のちのスタイリッシュな作風に比べると、
本作はいくぶん野暮ったいメタル感を残していて、わりと正統派のギターに朗々としたヴォーカルを乗せ、
リズムチェンジなどほどよくテクニカルな味わいの、B級気味のプログ・パワーメタルという聴き心地。
SEやセリフを含むコンセプト的な流れを感じさせつつ、シンセなどはほぼ使っていないので、
ストレートなメタル感触が強く、全体的にドラマティックな重厚さがもっと欲しい気がする。
5作目以降のモダンな路線へ深化してゆくことを思えば、初期の試行錯誤の段階だったのかも。
ドラマティック度・7 テクニカル度・7 重厚度・7 総合・7 過去作のレビューはこちら
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FATES WARNING 「A Pleasant Shade of Gray」
アメリカのプログレッシブ・メタル、フェイツ・ウォーニングの1997年作
1984年にデビュー、プログレメタルの元祖というべきバンドで、本作は8作目となる。DVD付きの再発盤。
キーボードに元DREAM THEATERのケヴィン・ムーアが参加していて、うっすらとしたシンセに硬質なギター、
エフェクトのかかったヴォーカルを乗せて、翳りを帯びたモダンな感触に包まれたサウンドを構築する。
マーク・ゾンダーの巧みなドラムと、ジム・マテオスのセンスあるギタープレイも効いていて、
随所にテクニカルな展開力も覗かせる。一聴して派手さはないのだが、ほどよいヘヴィネスと薄暗い叙情で、
コンセプト的な流れとともにじっくりと世界観に浸れる、時代を先取りしたようなモダンProgMetalの好作品。
限定盤のDVDには、1997年ドイツでのライブ映像を収録。本作を完全再現したライブでファンは必見です。
ドラマティック度・7 テクニカル度・7 薄暗度・8 総合・8 過去作のレビューはこちら
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Kiss Kiss 「Reality Vs the Optimist」
アメリカのアヴァンロック、キッス・キッスの2007年作
女性ヴァイオリン奏者を含む5人編成で、ピアノを含むゆったりとした導入から、ヴァイオリンが鳴り響き、
ハード過ぎないギターにエモーショナルなヴォーカルを乗せた、キャッチーでメランコリックなサウンドが広がる。
優雅なロック感と知的なプログレッシブ性という点では、Coheed And Cambriaなどに通じる雰囲気もあるが、
艶やかなヴァイオリンの音色とともに、随所にアヴァンギャルド展開力も覗かせるなど、なかなか個性的である。
2〜3分前後の小曲も多いが、エモやスクリーモの要素をプログレ化したような味わいで楽しめる。全32分。
ドラマティック度・7 プログレ度・7 優雅でアヴァンギャル度・8 総合・7.5
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Kiss Kiss 「The Meek Shall Inherit What's Left」
アメリカのアヴァンロック、キッス・キッスの2009年作
2作目となる本作は、ヴァイオリンが鳴り響き、中性的なヴォーカルを乗せたメランコリックなロック感触に、
よりアンサンブリーな説得力が加わっている。一方では、唐突でアヴァンギャルドな要素も際立ってきて
優雅でキャッチーな味わいの中に見せる、遊び心ある混沌とした展開は、じつにプログレッシブで、
コケティッシュでヘンタイ的という点では、Diablo Swing Orchestraなどのファンにも楽しめそう。
2〜3分前後の小曲を主体にしつつ、ラストは物憂げなアヴァンギャルド性が炸裂する異色の大曲。
ドラマティック度・8 プログレ度・7 優雅でアヴァンギャル度・8 総合・8
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Ars Nova
スペインのメロディックメタル、アルス・ノヴァの2009年作
正統派のギターにスペイン語のパワフルなヴォーカルを乗せて疾走する、王道のメロパワサウンド。
ほどよくクサメロを奏でるギターに、ときにProgMetal寄りのテクニカルなリズムチェンジも含ませながら、
キャッチーな爽快さに包まれたナンバーから、ゆったりとしたスパニッシュな哀愁の叙情まで、緩急ある聴き心地、
疾走感のあるクサメロスピナンバーにニンマリしつつ、ツインギターの流麗なメロディにシンセアレンジも加わって
ほどよい激しさとともに、ラストの8分の大曲はプログレメタル的な優雅な展開力で楽しめる。濃密かつメロディアスな好作品。
ドラマティック度・8 疾走度・7 スパニッシュ度・8 総合・7.5
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IGNEA 「The Sign of Faith」
ウクライナのシンフォニックメタル、イグネアの2017年作
硬質なギターリフを乗せたモダンなヘヴィネスに、艶めいた女性ヴォーカルにデスヴォイスも加えて、
どっしりと重厚なサウンドを描く。ザクザクとしたギターにシンセも重ね、アグレッシブなデス声とともに
ほどよくエクストリームな激しさもありつつ、母国語の女性ヴォーカルが耽美な空気で包み込む。
曲によってはゴシックメタル的な雰囲気や、フォークメタル寄りの神秘的な土着性も匂わせつつ、
後半にはシンフォニックメタルとしての壮麗なナンバーも聴かせる。全体的にはヘヴィな重厚さが、
叙情性を上回っているので、個人的にはもう少し女性声を活かした美麗なナンバーが欲しいか。
ドラマティック度・7 重厚度・8 女性Vo度・7 総合・7.5
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6/17
やっぱりウォーロード最高!(193)

Hammer King
ドイツのメタルバンド、ハンマー・キングの2021年作
元Ross The Boss、Lord VigoのTitan Fox率いるバンドで、2015年にデビューし、4作目となる。
正統派のギターリフにパワフルなヴォーカルを乗せた、オールドスタイルのメタルサウンドで、
どっしりと勇壮にして、ほどよくキャッチーなスタイルは、MANOWARにも通じる聴き心地。
疾走するメロパワナンバーは、HAMMERFALLを思わせる雰囲気で、メロディックなギターフレーズとともに
どこか涼やかな空気も感じさせるところは日本人好みだろう。楽曲自体にもう少し新鮮なインパクトや
フックのある展開が欲しい気もするが、ストレートな正統派メロパワが好きな方にはお薦めです。
ドラマティック度・7 疾走度・7 正統派度・8 総合・7.5
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WOLFCHANT 「OMEGA : BESTIA」
ドイツのペイガン・メロパワ、ウルフチャントの2021年作
2004年にデビュー、本作は7作目となる。ツインギターにツインヴォーカルの編成で、
メタリックなギターにダミ声&パワフルなヴォーカルを乗せた、勇壮な正統派メタルを聴かせる。
ときおりフォーキーな旋律も覗かせつつ、全体的にはペイガンな土着性は薄めなので、
ドイツ語ヴォーカルによるオールドスタイルのゲルマンなヘヴィメタルとして普通に楽しめる。
ときおり覗かせる激しい疾走感など、緩急ある展開で、ほどよくアグレッシブなDisc1から、
Disc2では、エピックなドラマ性を感じさせるサウンドで、個人的にはこちらが好みか。
ドラマティック度・8 勇壮度・8 ゲルマン度・8 総合・8 過去作のレビューはこちら
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Galactic Empire「Episode II」
映画「STAR WARS」のトリビュートバンド、ギャラクティック・エンパイアの2018年作
トリプルギター編成の5人組で、コスプレに身を包んで、スター・ウォーズの音楽をメタルアレンジするユニット。
2作目の本作も、パワフルなドラムに3本のギターを重ねた、しっかりとメタル感のあるインストサウンドを聴かせる。
流麗なギターのフレーズで映画のメロディを再現しつつ、テクニカルメタル的な変則リズムやキメもたっぷりで、
演奏面での迫力は1作目以上。ただ、1作目に比べると、ぱっと聴きで分かるような曲は減っているのだが、
戦闘シーンやダースベイダー側のスリリングなナンバーは、重厚なテクニカルメタルとしても普通に楽しめる。
もちろん、スターウォーズファンであれば、どの場面の曲か思い出しながら楽しむこともできるだろう。
ドラマティック度・7 テクニカル度・8 重厚度・8 総合・8 過去作のレビューはこちら
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PRETTY MAIDS 「Motherland」
デンマークのメタルバンド、プリティ・メイズの2013年作
1983年にデビュー、80年代北欧メタルを代表するバンドのひとつで、本作は13枚目のアルバム。
どっしりとしたパワフルなドラムにメタリックなギター、優美なシンセアレンジを重ねた
ほどよいヘヴィネスとキャッチーな透明感が同居したサウンドは、まさにプリティ・メイズ。
ロニー・アトキンスのヴォーカルは、ときにマイルドにときにパワフルに、激しいメタルナンバーから、
ゆったりとした叙情曲まで、かすれた味わいの歌声に大人の哀愁をまとわせ、サウンドを彩っている。
楽曲は3〜4分前後とわりとストレートながら、随所に叙情的なギターフレーズを覗かせつつ、
メロディックなフックとともに、ドラマティックに聴かせる。これぞ大人の北欧メタルという力作だ。
ドラマティック度・8 どっしり重厚度・8 叙情度・8 総合・8
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PRETTY MAIDS 「KINGMAKER」
デンマークのメタルバンド、プリティ・メイズの2016年作
15枚目の本作は、ダークなジャケのイメージであるが、サウンドの方はキャッチーな叙情と
北欧らしい翳りを含んだ王道のスタイルで、ロニー・アトキンスの味わいのある歌声と、
ケン・ハマーによるメロウなギターにうっすらとシンセを重ねた、ウェットで重厚な聴き心地。
パワフルなドラムによる激しさもありつつ、あくまで80年代ルーツのHR/HMの雰囲気を残していて、
重すぎず、激しすぎずというスタイルはさすがである。一方では、モダンなヘヴィネスを含んだ、
スタイリッシュなメタル感触も覗かせていて、バンドとして現在進行形の深化も感じさせる。
ドラマティック度・8 どっしり重厚度・8 叙情度・8 総合・8
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PRETTY MAIDS 「Undress your madness」
デンマークのメタルバンド、プリティ・メイズの2019年作
16作目の本作は、元ROYAL HUNTのアラン・ソーレンセンが参加。前作の充実ぶりに続き、
今作も、どっしりとしたメタル感触とメロディックなフックで、王道の北欧メタルを聴かせる。
メロハー寄りのキャッチーな抜けの良さと叙情性に、泣きのギターメロディにシンセアレンジが重なる、
厚みのあるサウンドは説得力充分で、軟弱さのかけらもない。楽曲はミドルテンポが主体であるが、
ゆったりとした叙情ナンバーでも、ケン・ハマーの流麗なギターソロが随所に冴えを見せていて、
渋みを増したロニー・アトキンスの歌声もエモーショナル。前作に比べやや地味ながら、依然クオリティは高い。
ドラマティック度・8 どっしり重厚度・8 叙情度・8 総合・8
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Arcane Tales 「Legacy Of The Gods」
イタリアのメロディックメタル、アーケイン・テールズの2018年作
ルイージ・ソラーノ氏によるソロプロジェクトで、壮麗なアレンジに正統派のギターと
ハイトーンヴォーカルを乗せて疾走する、ファンタジックなメロパワサウンド。
ヴォーカルの弱さやこもり気味の音質が、いかにもマイナー臭いのだが、
RHAPSODYのような、エピックで勇壮な世界観を描こうとする心意気は理解できる。
クサメロ感触を含んだ楽曲と、マイルドなヴォーカルにも味があるので、まずは録音の質を上げてもらいたい。
ドラマティック度・8 疾走度・7 ファンタジック度・8 総合・7

Arcane Tales 「Power Of The Sky」
イタリアのメロディックメタル、アーケイン・テールズの2019年作
ルイージ・ソラーノ氏によるソロプロジェクトで、3作目となる本作も壮麗なイントロから、
シンフォニックなアレンジをギターに重ねて疾走、マイルドなヴォーカルとともに、
エピックなメロパワサウンドを聴かせる。リズムチェンジを含む緩急ある展開とともに、
マイナーな翳りを残したクサメロ感は、初期のThy Majetieにも通じる味わいで、
美麗なシンセアレンジも含めて、ドラマティックな聴き心地。前作に比べてサウンドのスケール感も出てきた。
ドラマティック度・8 疾走度・7 ファンタジック度・8 総合・7.5

Sound Storm 「Northern Wilderness」
イタリアのメロディックメタル、サウンド・ストームの2007年作
5曲入りのデビューEPで、クサメロを含むギターにシンセを重ね、かすれた味わいのヴォーカルを乗せて
ほどよい疾走感とともにマイナーなB級感に包まれた、エピックな味わいのシンフォニックメタルを聴かせる。
優美でクラシカルなシンセアレンジとともに、壮麗でファンタジックな世界観を描くところは、
初期のThy Majestieにも通じる雰囲気もあり、マイナー系クサメタルが好きな方にも対応。
ドラマティック度・8 疾走度・7 ファンタジック度・8 総合・7 過去作のレビューはこちら

Seyminhol 「Setptentrion's Walk」
フランスのエピックメタル、セイミンホルの2005年作
2002年にデビューし、2作目の本作は、8〜9世紀、フランク王国、カロリング朝における
ヴァイキングとの戦いをコンセプトにしたアルバム。シネマティックなイントロから幕を開け、
正統派のギターにマイルドなヴォーカルを乗せ、壮麗なシンセアレンジやエピックなコーラスとともに
Thy Majetieにも通じるスケール感のあるサウンドを描いてゆく。いくぶんB級ぎみの雰囲気も残しつつ、
ヨーロピアンな翳りを含んだウェットな叙情性はなかなか日本人好みで、ときに疾走するメロパワ感触も覗かせながら、
緩急ある流れで壮大な世界観をじっくりと構築する。全72分。まさにエピックなシンフォニックメタルの力作だ。
ドラマティック度・8 壮麗度・8 エピック度・8 総合・8 過去作のレビューはこちら
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MANOWAR 「The Lord of Steel Live」
アメリカのメタルバンド、マノウォーのライブEP。2013年作
2012〜2013年にかけてのワールドツアーからの音源を6曲収録。2009年EP「Thunder In The Sky」からの疾走ナンバーに、
2012年作「LORD OF STEEL」からの5曲という構成で、2010年に復帰したオリジナルメンバーのドニー・ハムジクのドラムに、
ジョーイ・ディマイオのベース、カール・リーガンのギターで、どっしりとした正統派メタルナンバーを聴かせる。
エリック・アダムスのヴォーカルは、往年に比べるとややパワーが落ちた印象もあり、音質のせいもあるだろうが、
全体的にも、やや迫力不足という感は否めない。セット的にも、キャッチーでノリのよい「Manowarriors」など、
新しめの曲も悪くはないのだが、やはり往年のナンバーも入れて欲しかったというのが正直なところ。
ライブ演奏・7 音質・7 正統派度・8 総合・7 過去作のレビューはこちら
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WARLORD 「Book1」
アメリカのエピックメタル、ウォーロードの2003年作
1983年のデビュー作「DELIVER US」と、1984年作「And The Cannons Of Destruction Have Begun...」DVDの2枚組仕様。
かつては高額が付いていた、マニアご用達の隠れた逸品という存在であったが、2002年にバンドは復活をはたしている。
マイルドなヴォーカルとウェットな叙情を奏でるギターで、翳りを帯びた幻想的なエピックメタルを聴かせるデビュー作は、
疾走感ある名曲「Child of the Damned」も含めて、NWOHMルーツのマイナー系メタルの奥深さを物語る逸品だ。
DVDの方は、当時はライブを行わない謎のバンドという設定のため、客のいない疑似ライブステージであるが、
80年代の貴重なライブ映像が見られるだけでもファンには嬉しいだろう。続編バンドというべき、LORDIAN GUARDもチェックすべし。
ちなみに、デビュー作「悪魔の洗礼」、ライブ作「Cannons Of Destruction〜」ともに、単体で日本盤紙ジャケ再発されている。
ドラマティック度・8 幻想メタル度・9 1st+DVDでお得度・9 総合・8 過去作のレビューはこちら
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WARLORD「The Cannons Of Destruction /破壊の砲口」
アメリカのエピックメタル、ウォーロードの1984年作
観客のいない疑似ライブを収録したCDで、かつてDVDでも発売されたが、2015年に紙ジャケSHM-CDで再発された。
語りによるエピックなイントロから、重厚なギターにハイトーンヴォーカルを乗せた、ドラマティックなメタルサウンドを展開。
元々がライブ映像に重ねた、スタジオ録音なのだが、リマスターにより音圧も増していて、アルバムの楽曲が
より躍動的に味わえるという点では、ファンには嬉しいだろう。このあと、LORDIAN GUARDを立ち上げる、デストロイヤー、
ことウィアム・J・チャミスの泣きのメロディをまぶしたギタープレイに、美しいシンセが重なる「Lost And Lonely Days」や、
ほどよい疾走感とウェットなメロディのフックで聴かせる、「Child of the Damned」などは、いまなお魅力的だ。
今回はボーナスとして未発曲も収録されていて、コアなファンには嬉しい再発となっている。
ドラマティック度・8 幻想メタル度・9 本当はライブじゃないけど度・9 総合・8
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ICE AGE 「BREAKING THE ICE」
スウェーデンのスラッシュメタル、アイス・エイジの2017年作
80年代から活動するバンドで、女性Vo、女性G、女性Bを擁する4人編成。叙情的なアルペジオのイントロから、
エッジの効いたギターリフにダーティな女性ヴォーカルを乗せて疾走する、初期のMETALLICA
TESTAMENTにも通じるオールドなスラッシュメタル。ほどよい叙情を含んだツインギターとともに
わりとメロディックなフックもあって聴きやすく、疾走一辺倒でない、どっしりとした聴き心地。
パワフルでハスキーな女性声も、正統派のオールド・メタルサウンドによくマッチしていて、
80年代ルーツのスラッシーなパワーメタルとしても楽しめる。ジャケが地味なのが惜しいですな。
ドラマティック度・7 疾走度・7 オールドメタル度・8 総合・7.5
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Meat Loaf 「3 Bats Live」
アメリカのヴォーカリスにして、ロックオペラの代名詞、ミート・ローフのライブ。2007年作
1977年作「地獄のロック・ライダー」、1993年作「同2」、2006年作「同3」、3部作の楽曲を再現するライブで、
サックスが鳴り響くキャッチーなイントロ曲から幕を開け、ほどよく軽快なロックアンサンブルに、
ミート・ローフの朗々としたパワフルなヴォーカルに女性ヴォーカルも加わった、ゴージャスなサウンドで、
10分を超える大曲を優雅に描いてゆく。楽曲自体には、わりとポップな感触もあるのだが、
優美なピアノやシンセに男女ヴォーカルを乗せて、ときにQUEENのような華麗さで、
ロックオペラらしい感動的な盛り上がりを見せる。音質も素晴らしく、臨場感あるライブが楽しめる。
ドラマティック度・8 ライブ演奏・8 音質・9 総合・8 過去作のレビューはこちら
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5/27
女性ヴォーカル・シンフォメタル!(178)


Lana Lane 「Neptune Blue」
アメリカの女性シンガー、ラナ・レーンの2022年作
1995年にデビュー、本作は、2012年以来、10年ぶりとなるオリジナルアルバムとしての12作目。
エリク・ノーランダーによるきらびやかなシンセアレンジと伸びやかなラナの歌声は本作も不変で、
キャッチーでウェットなメロディに包まれた、まさにラナ・レーンらしいサウンドだ。
オルガンなどを含むシンセとともに、どこか懐かしいような優しく暖かな耳心地で、
ほどよくハードなギターワークも含めて、初期の作品に近いイメージで楽しめる。
中盤以降は、ゆったりとした大人の叙情を描くナンバーやオールドなロック風味など、
わりと落ち着いた内容で、シンフォニックな抜けの良さは抑え目だが、ともかく復活を祝いますか。
メロディック度・8 優雅度・8 女性Vo度・8 総合・8 過去作のレビューはこちら
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Heaven's Guard 「Pathfinder」
ドイツのシンフォニックメタル、ヘヴンズ・ガードの2022年作
メタリックなギターに美麗なシンセアレンジ、美しいソプラノ女性ヴォーカルを乗せた
Nightwishタイプのシンフォニックメタル。紅一点、ドレーン嬢のなよやかな歌声は、
バックの演奏にいくぶん埋もれ気味なのだが、パワフル過ぎない耳心地の良さで
その優美な浮遊感が味にもなっている。楽曲の方も、4〜5分前後が主体で、
ドラマティックな展開はさほどなく、わりとストレートな聴き心地。ほどよい疾走感もありつつ、
激しすぎず重すぎずで、全体的にも優雅な作風であるが、いくぶん物足りなさも。
シンフォニック度・8 優美度・8 女性Vo度・8 総合・7.5
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Ad Infinitum 「Chapter II: Legacy」
スイスのシンフォニックメタル、アド・インフィニトゥムの2021年作
2020年にデビューし、本作は2作目となる。壮麗なシンセアレンジに伸びやかな女性ヴォーカルを乗せて
ほどよくダークなゴシック風味も含んだ、モダンでキャッチーなシンフォニックメタルサウンドを聴かせる。
メリッサ嬢の堂々たる歌声の表現力も含めて、メジャー感のあるストレートな作風なので、
WITHIN TEMPTATIONなどのファンにも普通に楽しめるだろう。随所にスクリームヴォイスも加えた
モダンなヘヴィネスとキャッチー優雅さが同居したところは、LACUNA COILあたりにも通じる雰囲気も。
楽曲3〜4分前後とシンプルで、個人的にはもう少し壮大な展開や盛り上がりが欲しい。高品質な出来ではあるが。
シンフォニック度・8 ゴシック度・7 女性Vo度・8 総合・8 過去作のレビューはこちら
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Imperia 「The Last Horizon」
ノルウェーのゴシックメタル、インペリアの2021年作
Trail Of Tearsのヘレナ嬢をフロントに、2004年にデビュー、本作は6作目となる。
重すぎないギターに壮麗なシンセアレンジを重ね、艶めいた女性ヴォーカルで聴かせる
優雅なシンフォニックメタル・サウンド。ゴシック的な翳りよりは、わりとキャッチーな作風であるが、
ANGELとしても活躍するヘレナさんの歌声は、ときにオペラティックなソプラノを使い分けつつ、
エキセントリックな妖しさもかもしだす、さすがの存在感。随所にメロディックなギターの旋律も聴かせつつ
曲によっては土着的な雰囲気も覗かせて、NightwishLeaves' Eyesなどに接近したような感じもある。
CD2枚組の作品で、Disc1に35分、Disc2に36分と、これなら1枚にまとめても良かった気もするが、
Disc2は、比較的メタル色の薄めのキャッチーなナンバーが多く、それぞれの方向性を分けたかったのだろう。
ドラマティック度・8 ゴシック度・7 女性Vo度・8 総合・8 過去作のレビューはこちら
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Inner Stream 「Stain the Sea」
アルゼンチンのシンフォニックメタル、インナー・ストリームの2021年作
女性シンガー、イネス嬢率いるバンドで、モダンなヘヴィネスのギターにシンセを重ね、
伸びやかな女性ヴォーカルで聴かせる、キャッチーなヘヴィロック風味のサウンド。
美麗なシンセアレンジと、イネス嬢のエモーショナルな歌声で、ほどよくメランコリックな翳りと
メロディックなフックが同居した耳心地で、堂々たるノリのわりとメジャー感もある作風だ。
楽曲も3〜4分前後が主体で、ストレートな歌もの感が強いので、意外性はないのだが、
表現力ある女性ヴォーカルのハードロックとしても普通に楽しめる好作品だ。
ドラマティック度・7 キャッチー度・8 女性Vo度・8 総合・8
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Sombria 「Chirographon Dei 」
ギリシャ、ノルウェー、メキシコのメンバーによるゴシックメタル、ソンブリアの2021年作
マスクやペイントをほどこした怪しいメンバー写真だが、サウンドの方は美麗なシンセをギターに重ね、
艶めいたソプラノ女性ヴォーカルで聴かせる、耽美でシンフォニックな王道のゴシックメタル。
ヨーロピアンな翳りを感じさせるほどよくダークな世界観とともに、クラシカルなピアノや
オーケストラルで壮麗なアレンジに加え、ときにブラスト疾走する激しさも覗かせる。
キャッチーな爽快さやメロディのフックは薄いものの、くぐもったようなメランコリックな空気感はマニア好み。
妖しい耽美性とともに、ほどよい疾走感も含んだ、シンフォニック・ゴシックメタルの強力作です。
シンフォニック度・8 耽美度・9 女性Vo度・8 総合・8
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Alia Tempora 「Dragonfly Effect」
チェコのシンフォニックメタル、アリア・テンポラの2019年作
2105年にデビューし、2作目となる。ヘヴィなギターにデジタルな感触を含んだ美麗なシンセアレンジ、
美声の女性ヴォーカルとともに、モダンでエレクトリックなシンフォニックメタルを聴かせる。
紅一点、Markie嬢の魅力的な歌声に、ときにデスヴォイスやゲストの男性Voも加えつつ、
キャッチーなメロディのフックで、LACUNA COILをライトにしたようなイメージでも楽しめる。
曲によってはダンサブルなポップ感もあって、きらびやかな女性声エレクトロメタルというような好作品です。
シンフォニック度・7 モダンで壮麗度・8 女性Vo度・8 総合・8


OCEANS OF SLUMBER 「THE BANISHED HEART」
アメリカのモダン・プログレメタル、オーシャンズ・オブ・スランバーの2018年作
2013年にデビューし、本作は3作目。黒人系女性Voをフロントにした5人編成で、
メタリックなギターにエモーショナルな女性ヴォーカルを乗せ、緩急ある展開力とともに、
ほどよくダークでドラマティックなサウンドを描く。随所にデスメタルばりのアグレッシブなブラスト疾走や
デスヴォイスも加えた迫力あるパートから、ゴシックメタル風のメランコリックな叙情も覗かせるなど、
振り幅の大きなサウンドは、第三代のエクストリームメタルというべきか。しっとりとしたパートでは
Cammie嬢の伸びやかな歌声の表現力が素晴らしい。激しさと女性声のコントラストが強力な力作です。
ドラマティック度・8 激しく重厚度・8 女性Vo度・8 総合・8
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BEYOND VISIONS 「CATCH 22」
スウェーデンのシンフォニックメタル、ビヨンド・ヴィジョンズの2017年作
メタリックなギターにモダンなシンセアレンジ、伸びやかな女性ヴォーカルを乗せたキャッチーなサウンド。
紅一点、レベッカ嬢の歌声は、元Nightwishのアネット・オルソンにも通じる雰囲気があり、
わりとストレートでメロディアスな楽曲によくマッチしている。随所に流麗なギタープレイも聴かせつつ、
ほどよくモダンなヘヴィネスと、ときにメロハー寄りのキャッチーなフックが爽快で耳心地よい。
曲によっては、メロスピ的な疾走パートやゴシックメタル寄りの雰囲気も覗かせるなど、
わりとメリハリのあるアレンジで楽しめる。実力ある女性Voメタルの好作品です。
メロディック度・8 キャッチー度・8 女性Vo度・8 総合・8
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Sinners Moon 「Atlantis」
スロバキアのシンフォニックメタル、シナーズ・ムーンの2015年作
壮麗なイントロから、ほどよくヘヴィなギターにシンセを重ね、美しい女性ヴォーカルを乗せた
Nightwishタイプのシンフォニックメタルを聴かせる。女性声に絡む男性ダミ声がやや耳障りだが、
紅一点、シモーナ嬢の歌声は、Delainのシャーロット嬢のような、しっとりとなよやかな声質で、
サウンドを優美に彩っている。楽曲はほどよくキャッチーで、適度な疾走感もあるのだが、
いかにもNightwishという部分も多く、さほど新鮮味はないのが惜しい。Sonata Arcticaのトニー・カッコが
ゲスト参加したナンバーや、ゆったりとした11分のタイトル曲など、全体的に高品質な作品ではあります。
シンフォニック度・7 壮麗度・8 女性Vo度・8 総合・7.5
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Armonight 「Suffering And Passion」
イタリアのシンフォニックメタル、アーモナイトの2010年作
女性Vo、女性Gを擁する編成で、壮麗なイントロから、メロディックなギターにうっすらとしたシンセを重ね、
透明感のある美しい女性ヴォーカルを乗せて、優美でキャッチーなサウンドを聴かせる。
楽曲はわりとスローテンポ主体で、曲によってはメランコリックな雰囲気も覗かせるが、
ゴシックメタルというほどには重さや翳りはなく、優雅なメロディアス性でに包まれている。
フロントのSY嬢の歌声は、やや線は細いものの伸びやかな魅力があって、なかなか日本人好み。
シンフォニックなシンセをバックに、美しい女性Voを乗せたラスト曲にはウットリです。
メロディック度・8 優雅でキャッチー度・8 女性Vo度・8 総合・8
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Seven Dark Eyes 「Across Oneiric Lands」
イタリアのシンフォニックメタル、セヴン・ダーク・アイズの2008年作
きらびやかなシンセアレンジをギターに重ね、なよやかな女性ヴォーカルの歌声で聴かせる、
優美なシンフォニックメタルサウンド。適度に疾走感のある楽曲は、いわゆるNightwishタイプであるが、
紅一点、キアラ嬢のやや線の細い歌唱や、ほどよいクサメロ感も含めて、どことなく翳りを帯びた
マイナーな味わいに包まれているのがマニア好みである。メロディのフックや楽曲展開など、
突き抜けきらないB級っぽさも、またよろしい。クラシカルなシンセワークはSKYLARKあたりも思わせ、
フェミニンな女性声とともに疾走する、可憐なシンフォニックメタルが好きな方はどうぞ。
シンフォニック度・8 優美度・8 女性Vo度・7 総合・7.5
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Even Vast 「Hear Me Out」
イタリアのゴシックメタル、イーヴン・ヴァストの1999年作
スローテンポにドゥーミィなギターリフを乗せ、妖しく魔女めいた女性ヴォーカルで聴かせる、
耽美なゴシックメタルサウンド。ときおりシンセも加わるが、シンフォニックというほどではなく、
ギターの正統派のリフをメインにした、90年代的なオールドなゴシック・ドゥームメタル風味で、
アントニエッタ嬢のヘタウマ感のある歌声が、どことなくマイナーな翳りを描いている。
さして盛り上がらない楽曲の煮え切らなさも、いかにもB級ゴシックメタルの味わいだ。
2016年の再発盤ではジャケが変更され、ライブ音源3曲がボーナス追加されている。
ドラマティック度・7 ゴシック度・7 女性Vo度・7 総合・7
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5/20
ブラック&デスメタル!(165)


Fuath 「II」
スコットランドのブラックメタル、フアスの2021年作
SAORのメンバーによるバンドで、2016年にデビューし、本作は2作目となる。
トレモロを含むギターに吐き捨てヴォーカルを乗せてブラスト疾走、うっすらとしたシンセに包まれた
アトモスフェリックなブラックメタル。5曲中3曲が、9分を超える大曲で、リフレインによるインストパートなど、
ゆったりとした幻想的な部分と、ブラストビートによる激しさがナチュラルに融合したという聴き心地で、
カスカディアンブラック寄りのネイチャーな空気感に包まれた、激しくともうるさすぎないサウンドだ。
これという展開はないのだが、リフレンされるトレモロのギターとともに、雰囲気モノとして耳心地よく浸れます。
ドラマティック度・7 暴虐度・8 幻想度・8 総合・8
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Praise the Plague 「The Obsidian Gate」
ドイツのスラッジ・ブラックメタル、プライス・ザ・プレイグの2021年作
2018年にデビューし2作目となる。歪んだベースと重たいギターを乗せたフューネラルなサウンドで、
どっしりとしたスローテンポが暗黒の空気を描きつつ、トレモロのギターとともに激しくブラスト疾走。
迫力ある喚き声ヴォーカルとともに激烈なサウンドを聴かせながら、フューネラルドゥーム的でもある重厚さが
ほどよく同居していて、ときにメランコリックな静けさをまとわせたりと、緩急ある展開力で漆黒の世界を描き出す。
9分を超える大曲では、スラッジ的なヘヴィネスから暴虐なブラストビート、女性声の語りなどを含んだ静寂パートと、
ドラマティックな構築力が光る。ザラついたギターを乗せた、スラッジ・ドゥームの雰囲気を含んだブラックメタル強力作。
ドラマティック度・8 暴虐度・8 暗黒度・9 総合・8
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Abbath 「Outstrider」
ノルウェーのブラックメタル、アバスの2019年作
ImmortalのAbbath Doom Occulta率いるバンドの2作目で、本作からNervosaの女性Bが加入、
ダミ声ヴォーカルを乗せてブラスト疾走する、ブラックメタルとしての禍々しさと、
ときにオールドメタル寄りの叙情性も含んだ独自のスタイルを深化させている。
ブラッケン・ロール寄りのノリの良さと聴きやすさもありつつ、迫力あるヴォーカルにより、
しっかりとブラックメタルの邪悪な世界観を守っている。激しい疾走感の中にも、
随所に流麗なギターフレーズも覗かせたりと、全体的にも暴虐過ぎないので、
曲によってはスラッシュメタル的かもしれない。楽曲も4分前後でわりと爽快に楽しめる。
ドラマティック度・7 暴虐度・7 暗黒度・8 総合・8
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Ihsahn「Amr」
ノルウェーのミュージシャン、イーサーンのソロ。2018年作
EMPERORの解散後は、ソロ活動を精力的に続けていて、本作はすでに7作目となる。
エレクロなシンセのイントロから、ギターとダミ声ヴォーカルを乗せて激しくブラスト疾走する、
ブラックメタルの質感をしっかりと残しながら、壮麗なオーケストラルアレンジなども加わり、
プログレッシブな構築センスが光る。サイバーなモダンさをアグレッシブなメタル感触に融合させ、
ときにマイルドなヴォーカルもまじえて、優雅でキャッチーな味わいが現れるところも絶妙だ。
ポストプログレ的なゆったりとした歌ものナンバーは、Leprousなどにも通じる雰囲気もある。
楽曲は4〜5分前後と長すぎず、ほどよい激しさも含んだダークな叙情が楽しめる、さすがの傑作だ。
ドラマティック度・8 暴虐度・7 知的センス度・9 総合・8 過去作のレビューはこちら
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Mors Principium Est 「Embers of a Dying World」
フィンランドのメロディック・デスメタル、モルス・プリンシピウム・エストの2017年作
2003年にデビュー、本作は6作目。壮麗なイントロから、メロディックなギターにダミ声ヴォーカルを乗せ
きらびやかなシンセアレンジを加えた、シンフォニックなメロデスサウンドを聴かせる。
暴虐な激しさはさほどなく、むしろ北欧メロパワを激しめにしたような味わいで、ほどよい疾走感と
流麗なギタープレイとともに、CHILDREN OF BODOM系の美麗メロデスが楽しめるのだが、
モダンなヘヴィネスや、シンセの使い方などは、デスメタルというよりはメタルコア寄りかもしれない。
女性Voの入った優美なナンバーなどは、フィンランドらしいメランコリックな味わいで良いのだが、
全体的には、もっと慟哭系や悲哀系のメロデスらしい叙情と激しさが欲しい気もする。
ドラマティック度・7 暴虐度・6 モダンデス度・8 総合・7.5 過去作のレビューはこちら
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Obituary「Inked in Blood」
アメリカのデスメタル、オビチュアリーの2014年作
1989年にデビュー、本作は9作目。前作まで参加していたラルフ・サントーラに替わり、ケン・アンドリュースが加入、
のっけから重すぎないギターリフにダミ声ヴォーカルを乗せた、ハードコア風の疾走ナンバーで、
その後は、スローからミドルテンポを主体にした、3〜4分前後のわりとシンプルな作風であるが、
絡みつくようなリフの感触は、まさにオビチュアリーそのもの。随所にメロディックなギタープレイも聴かせつつ、
基本はリフが主体で、悪くはないのだが、前任のラルフ・サントーラに比べるとやや物足りなさも。
らしさはちゃんとあるものの、往年のファンからしては、やや中庸のアルバムという感じだろうか。
ドラマティック度・7 暴虐度・7 重厚度・8 総合・7.5 過去作のレビューはこちら
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Obituary
アメリカのデスメタル、オビチュアリーの2017年作
通算10作目のアルバムで、セルフタイトルを冠した、バンドとしての集大成的な作品といえるだろう。
オールドなギターリフに吐き捨てヴォーカルで疾走する、3rdあたりに回帰したような作風で、
甘すぎない程度の叙情を含んだギタープレイも随所にアクセントになっている。
楽曲は3分前後が主体ながら、激しめのナンバーが増えたことでアルバムとしても引き締まり、
ミドルやスローテンポでも、ツーバスのドラムとツインギターのリフがグルーヴィな味をかもしだす。
ジョン・ターディのグロウルの迫力も含めて、これぞオビチュアリーという力作デスな。
ドラマティック度・7 暴虐度・7 重厚度・8 総合・8
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Malevolent Creation「13th Beast」
アメリカのデスメタル、マルヴォレント・クリエイションの2019年作
1991年にデビュー、本作は13作目となる。ヴォーカルのブレット・ホフマンが死去し、オリジナルメンバーは
ギターのフィル・ファシアナのみとなったが、オールドなギターリフに低音デスヴォイスを乗せ、
ブラストを含む激しいドラムとともにたたみかける、ブルータルな正統派のデスメタルは健在。
新ヴォーカルのゲポ声も迫力たっぷりで、激烈なサウンドによくマッチしていて違和感なし。
スローからミドルテンポでの重厚な感触も含めて、ゴア系とは異なるスラッシーな聴きやすさもあり、
これという新鮮味はないのだが、あくまでオールドスクールのデスメタルを追及した強力作デス。
ドラマティック度・7 暴虐度・8 オールドデス度・9 総合・8
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Unleashed 「Hammer Battalion」
スウェーデンのデスメタル、アンリーシュトの2008年作
1991年にデビュー、本作は9作目。ツインギターのリフにダミ声ヴォーカルを乗せて激しくブラスト疾走する、
オールドなスウェディッシュ・デスメタルを、ブラックメタル寄りにしたようなサウンドを聴かせる。
楽曲は3分前後とシンプルなストレートさで、ブラッケンな禍々しさで突進するナンバーを主体に、
ミドルテンポのどっしりとしたメタルナンバーもあり、随所にほどよく叙情的なギタープレイも覗かせる。
曲によっては、KREATORなどのダークなスラッシュメタルに近い雰囲気もあったりと、
激しくともブルータルな暴虐性は控えめなので、わりと初心者にも聴きやすいかもしれない。
ドラマティック度・7 暴虐度・7 重厚度・8 総合・7.5 過去作のレビューはこちら
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Unleashed 「As Yggdrasil Trembles」
スウェーデンのデスメタル、アンリーシュトの2010年作
10作目となる本作は、タイトルからして北欧神話をテーマにしているようで、重すぎないギターリフに
ダミ声ヴォーカルを乗せた、オールドスタイルのスウェディッシュ・デスメタルを展開する。
ブラストビートで疾走する激しさから、ミドルテンポの王道的なメタルナンバーまで、
どれもストレートな聴き心地ながらも、ベテランらしい音の説得力を感じさせる。
甘すぎない叙情フレーズを奏でるギターも含めて、いくぶんメロデス、メロブラ寄りの感触と
デスラッシュ的な疾走感が同居した作風で、ペイガンな勇壮さも内包した強力作デス。
ドラマティック度・7 暴虐度・7 重厚度・8 総合・8
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Unleashed 「Dawn of the Nine」
スウェーデンのデスメタル、アンリーシュトの2015年作
本作は12作目で、ブラックメタル寄りのギターリフに迫力あるデスヴォイスを乗せた、
ダークで禍々しいサウンドを聴かせる。北欧らしい涼やかな叙情も含ませながら、
疾走するメロデス寄りの雰囲気と、ブラックメタルの暗黒の空気感が同居した作風で、
ときにフックのある展開力も覗かせる。どっしりとしたスローテンポのナンバーから、
暴虐なブラスト疾走まで、緩急ある構成と音の迫力で飽きさせないのは、さすがベテラン。
オールドなスウェディッシュ・デスメタルをブラックメタル化したような強力なアルバムだ。
ドラマティック度・8 暴虐度・8 重厚度・8 総合・8
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MARDUK 「BLOOD PUKE SALVATION」
スウェーデンのブラックメタル、マーダックのライブDVD。2006年作
1992年にデビュー、名実ともにスウェディッシュ・ブラックメタルを代表するバンド。
本作は2004年、オランドとベルギーでのステージを収録。激烈なブラストビートを刻むドラムに、
ノイジーなギターとがなり立てるヴォーカルを乗せて、暴虐なブラックメタルを聴かせる。
画面は4:3で、画質はさほど良いとはいえないが、ラウドな音質には物凄い迫力があって、
ドラムカメラも含めて、たたみかける無慈悲な激しさをしっかりと映像として映し出している。
2ステージ合計で、全20曲鑑賞するとヘトヘトになるが、禍々しく荘厳な暗黒性とともに、
これぞブラックメタルという激しさに浸ることができる。それにしても、Emilのブラストは強烈ですな。
ライブ演奏・8 ライブ映像・7 暴虐度・9 総合・8 過去作のレビューはこちら
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ENSLAVED 「MARDRAUM」
ノルウェーのブラックメタル、エンスレイヴドの2000年作
1993年にデビュー、ヴァイキング・ブラックメタルの元祖というべきバンド、本作は5作目で、
物悲しいイントロから、メロウなギターの旋律とともに、激しさとメランコリック性の同居した、
プログレッシブといってもよい展開力で、のっけから10分という大曲を聴かせる。
ダミ声ヴォーカルを乗せて疾走するブラックメタルとしてのダークな激しさもしっかり残しながら、
知的なリズムチェンジによる緩急ある構築力には、バンドとしてのさらなる深化を予見させる。
ギターサウンドの軽さは90年代の名残りを思わせるが、本作の高い評価が彼らを一段押し上げることになる。
ドラマティック度・8 暴虐度・7 構築度・8 総合・8 過去作のレビューはこちら
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ENSLAVED 「Monumension」
ノルウェーのブラックメタル、エンスレイヴドの2001年作
6作目となる本作は、ほどよく重厚なギターにダミ声ヴォーカルを乗せ、ブルータルな激しさも覗かせながら
展開力あるプログレッシブなブラックメタルを聴かせる。ときに叙情的なギターフレーズを織り込んだり、
叙情的なパートも含んだ緩急ある構築センスには、SOLEFALDあたりに通じる雰囲気もあり、
いよいよプログレ・ブラックとしての本領発揮というところ。低音グロウルを乗せたデスメタル寄りのパートなど、
前作に比べるとぐっとヘヴィな感触が増しているが、オルガンなどを使ったプログレ寄りのアレンジも良い感じで、
7〜8分の長めの楽曲も、じっくりとその世界観に浸れる。ラスト曲での妖しく土着的な世界観も異色です。
ドラマティック度・8 暴虐度・7 構築度・8 総合・8
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DETONATION 「AN EPIC DEFIANCE」
オランダのメロディックデスメタル、ディトネーションの2002年作
スラッシーなリフにデスヴォイスを乗せて疾走しつつ、甘すぎない叙情メロディを含んだ、
AT THE GATESなどにも通じる、イエテボリ系のオールドスタイル・メロデスを聴かせる。
暴虐な疾走感とともに、デスメタルとしての激しさもしっかりと残しているので、
同郷のベテラン、God Dethronedあたりが好きな方にもお薦めできるだろう。
激しさたっぷりのほどよくメロディックなデスメタルが堪能できる強力作デス。
ドラマティック度・8 暴虐度・8 叙情度・7 総合・8
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DETONATION 「EMISSION PHASE」
オランダのメロディックデスメタル、ディトネーションの2007年作
3作目の本作も、エッジの効いたツインギターのリフにデスヴォイスを乗せて、
激しいブラスト疾走を含んだ、突進力のある硬派のメロデスサウンドを展開。
90年代北欧メロデスをルーツにした叙情的なギターフレーズも随所に覗かながら、
デスラッシュ的でもある勢いある疾走感が爽快だ。ミドルやスローテンポへのリズムチェンジや、
ツインギターの絡みもより魅力的になった。昨今の軟弱系メロデスとは一線を画す見事な傑作だ。
ドラマティック度・8 暴虐度・8 叙情度・8 総合・8.5
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5/6
GW最後のメタル(149)


THYRFING 「Vanagandr」
スウェーデンのヴァイキングメタル、ティルフィングの2021年作
1998年にデビュー、本作は8年ぶりとなる8作目。わりと正統派メタル寄りのギターにうっすらとしたシンセを重ね
グロウルヴォイスを乗せて、エピックな神秘性に包まれた、重厚なヴァイキングメタルを聴かせる。
激しくブラスト疾走するパートも覗かせつつ、叙情的なギターやときにシンフォニックなシンセアレンジで、
MOONSORROWにも引けを取らない、ドラマティックでスケール感のあるサウンドを展開する。
いつになくオーケストラルなアレンジも加わるが、以前のような硬派な迫力もしっかり残していて、
甘すぎない涼やかな叙情とともに、随所にペイガンブラック的な激しさも含んだ強力作だ。
ドラマティック度・8 ヴァイキング度・8 重厚度・8 総合・8 過去作のレビューはこちら
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Opeth「In Cauda Venenum」
スウェーデンのプログレッシブメタル、オーペスの2019年作
1995年にデビュー、本作は13作目で、スウェーデン語と英語、それぞれのバージョンを収録した2枚組となっている。
シンセによる幻想的なイントロから、ハードなギターにオルガンやメロトロンを重ね、ジェントルなヴォーカルとともに、
10作目以降からのヴィンテージなプログレ路線を受け継ぎつつも、随所にメタル寄りの激しさも残している。
アコースティックな静寂パートなどを含む、メリハリのある展開力に、スウェーデン語による土着的な雰囲気もよろしく、
ときにオーケストラを加えた壮麗なアレンジも覗かせる。後半にはジャズタッチの優雅なナンバーもあったりと、
なかなかバラエティに富んだ作風ではあるが、強烈なインパクトはないというのが、自然体のサウンドということか。
英語版の方は、いくぶん優雅な味わいで、よりオールドなブリティッシュ・ハードロック風味を感じさせる。
ドラマティック度・7 プログレ度・7 ヴィンテージ度・8 総合・8 過去作のレビューはこちら
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TESTAMENT「Titans Of Creation」
アメリカのスラッシュメタル、テスタメントの2020年作
1987年にデビュー、ベイエリア・スラッシュを代表するベテランバンド。本作は4年ぶりとなる通算12作目。
アレックス・スコルニック、エリック・ピーターソンによるツインギターに、チャック・ビリーのダーティな歌声を乗せ、
ジーン・ホグラン巧みでのパワフルなドラムとともに、どっしりとした重厚なスラッシュメタルを聴かせる。
随所に疾走感も含んだ初期を思わせる雰囲気に、甘すぎないメロディックなギターフレーズも覗かせつつ、
あくまでオールドスタイルのスラッシュメタルに回帰した作風で、重すぎないザクザクのリフが心地よい。
ミドルテンポのナンバーでも、激しいツーバスのドラムやヴォーカルの迫力も含めて、スラッシーな勢いは失わず、
ベテランらしい荘厳な音の説得力はさすが。往年のファンにも安心して楽しめる痛快作ですな。
ドラマティック度・7 疾走度・7 スラッシュ度・9 総合・8 過去作のレビューはこちら
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Artillery 「Face of Fear」
デンマークのスラッシュメタル、アーティレリーの2018年作
1985年にデビュー、本作は9作目となる。2000年の復活後から数えると6作目で、1曲目から激しく疾走する
オールドな味わいのスラッシュメタルサウンドで、ハイトーンのパワフルなヴォーカルを乗せた、
ほどよくメロディックな味わいのパワーメタル的にも楽しめる。ミドルテンポのパートから、
激しい疾走へと展開する知的な構築力は、かつてのMETALLICAにも通じる雰囲気もあり、
良い意味でヘヴィ過ぎない90年代感覚に包まれている。ウェットな叙情曲などもアクセントになっていて、
疾走のみでないバランスの良さは、スラッシュ初心者にも対応。初期のデモ音源の再録ナンバーも収録。
ドラマティック度・8 疾走度・8 スラッシュ度・8 総合・8 過去作のレビューはこちら
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LEVIATHAN 「Of Origins Enearthed」
ドイツのメロディック・デスメタル、リヴァイアサンの2018年作
メタリックなギターに女性のグロウルヴォーカルを乗せて激しく疾走しつつ、
随所に流麗なギターフレーズも含ませた、わりとキャッチーなメロデスサウンド。
アグレッシブなサウンドの中に、ペイガンメタル寄りのクサメロ感も漂わせるところは、
なかなか日本人好みで、基本は男女のデス声ながら、ときにストレート女性声も用いるなど、
単なるメロデス以上の優雅な雰囲気を感じさせる、ギターメロのセンスが良いので、インストパートの魅力もたっぷりで、
アコースティックなパートもあったりと、緩急ある構築力にエピックな叙情性を盛りこませた、なかなかの強力作デス。
ドラマティック度・8 暴虐度・7 クサメロデス度・8 総合・8

Witherscape「The Inheritance」
スウェーデンのメロディック・デスメタル、ウィザースケープの2013年作
EDGE OF SANITYのダン・スワノ率いるユニットで、自身はヴォーカル、ドラム、シンセを担当。
ほどよく叙情的なギターに迫力あるデスヴォイスを乗せ、野太いノーマル声も使い分けつつ、
随所に派手やかなシンセアレンジも加わって、重厚なプログレッシブなデスメタルを聴かせる。
全体的にメロデス的な激しさや暴虐さはさほどなく、ミドルやスローテンポのパートが多いのだが、
翳りを帯びた叙情性と緩急ある構築力は、OPETHあたりが好きな方にも楽しめるだろう。
ノーマル声を乗せたパートでは、わりとゴシックメタル寄りのメランコリックな雰囲気にも包まれる。
本作の時点では新鮮味はさほどないが、次作は、よりシンフォニックデス寄りに深化した力作となる。
ドラマティック度・8 暴虐度・6 重厚度・8 総合・8
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Eyevory 「Inphantasia」
ドイツのシンフォニックメタル、アイヴォリーの2016年作
女性Vo&B、女性フルート奏者を含む編成で、2012年にデビューし、3作目となる。適度にハードなギターに
優美なシンセ、透明感のある女性ヴォーカルの歌声を乗せた、優雅なシンフォニック・ハードロックを聴かせる。
やわらかなフルートの音色も加わって、叙情的なギターの旋律とともに、キャッチーな味わいに包まれて、
メタル的なヘヴィさはさほどない。8〜9分という大曲では、軽やかなアンサンブルのインストパートも覗かせつつ
あくまで爽快なメロディアス性に包まれながら、リリカルでファンタジックな世界観を描いてゆく。
ケルティックなテイストも含んだ、女性声のシンフォニック・プログレとしても楽しめる逸品です。
ドラマティック度・7 優雅度・9 女性Vo度・7 総合・8 過去作のレビューはこちら
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TALES OF EVENING 「Hajlektalan Lelek」
ハンガリーのシンフォニックメタル、テイルズ・オブ・イブニングの2012年作
エピックで壮麗なイントロから、きらびやかなシンセをメタリックなギターに重ねて、
なよやかな女性ヴォーカルとともに疾走する、キャッチーな味わいのシンフォニックメタルを聴かせる。
母国語による歌声が辺境臭さをかもしだし、ときにフォーキーなフルートの音色なども加わって、
同郷のDALRIADAあたりにも通じる、優雅な土着感も覗かせる。ときにクサメロを奏でるギターに
オーケストラルなアレンジも楽曲に華を添える。ほどよい疾走パートも含む展開力と、
魅力あるヴォーカルで、キャッチーかつ壮麗な女性声メロスピとしても楽しめる好作品です。
シンフォニック度・7 優雅でキャッチー度・8 女性Vo度・8 総合・8
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TESKA INDUSTRIJA 「Nazovi Album Pravim Imenom」
ボスニアのハードロック、テスカ・インダストリヤの2010年作
70年代旧ユーゴスラビア時代から活動するベテランで、ほどよくハードなギターにシンセを重ね、
母国語によるハスキーな女性ヴォーカルを乗せた、キャッチーなハードロックを聴かせる。
楽曲は3〜4分前後とわりとシンプルで、ストレートなロック感触から、ゆったりとしたバラードナンバーまで、
エモーショナルな女性ヴォーカルとともに、どこか東欧らしい翳りを帯びた哀愁を漂わせている。
メロディック度・8 キャッチーな哀愁度・8 女性Vo度・8 総合・8
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Vic Anselmo 「In My Fragile」
ラトビアの女性シンガー、ヴィク・アンセルモの2011年作
2008年にデビューし、2作目となる。ほどよくヘヴィなギターにモダンなシンセアレンジ、
艶めいた女性ヴォーカルで聴かせる、ヨーロピアンな翳りを帯びたゴシックロックサウンド。
いくぶんインダストリアルな雰囲気もあるが、ヴァイオリンなどを加えた優雅さや、耽美な叙情性、
ときにヒステリックな女性声のエキセントリックな表現力も含めて、単なるゴスロック以上の味わいだ。
ピアノをバックにしっとりとした歌声を乗せたアンビエントなナンバーや、エレクトなポップ感もあったり、
Evanescenceのような優美でキャッチーなナンバーも、表現力ある彼女の歌声が魅力的だ。
ドラマティック度・7 ゴシック度・7 女性Vo度・8 総合・7.5
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Dark Sanctuary 「Thoughts - 9 Years in the Sanctuary」
フランスのゴシックバンド、ダーク・サンクチュアリの2005年作
1999〜2004年までの4作からセレクトした楽曲に、未発曲を加えた初期のベスト盤というべき内容。
クラシカルなピアノと優美なシンセに、美しいソプラノ女性ヴォーカルを乗せて、翳りを帯びた幻想性に包まれた、
しっとりと耽美なゴシックミージック。ときにドラムやギターも加わったり、艶やかなヴァイオリンも鳴り響いて、
単なるアンビエント系ダークウェーブよりは、ゴシックメタル系のリスナーにも聴きやすいだろう。
未発曲は、13分分を超える大曲で、美麗なシンセと女性声にウットリと浸れます。入門用にもどうぞ。
クラシカル度・8 ゴシック度・8 女性Vo度・8 総合・8 過去作のレビューはこちら
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AMORPHIS「Forging the Land of Thousand Lakes」
フィンランドのトラッドメタル、アモルフィスのライブ作品。2010年作
1992年にデビュー、北欧らしい土着的なメロディに、デスメタル、ゴシック、トラッド、サイケなどの要素を取り込んだ
独自のメランコリックなメタルサウンドで深化を続けるこのバンド、本作は、2009年のライブを収録した、2DVD+2CD。
ツインギターの奏でる叙情的なギターの旋律に、咆哮するデスヴォイス、随所にノーマルヴォーカルもまじえて、
涼やかな哀愁の空気に包まれたサウンドは、ベテランらしい確かな演奏力とともに、アルバム以上に重厚な聴き心地。
ときにオルガンなどのシンセを重ねたプログレッシブな雰囲気も覗かせて、初期のナンバーなども味わい深く楽しめる。
ロン毛のドレッドヘアを振り乱すヴォーカルのヴィジュアルも含めて、ステージ映像も迫力たっぷりだ。
DVD1にはフィンランドのライブを全16曲、DVD2にはドイツでの野外フェスライブ12曲に、歴代のPVを13曲収録。
ライブ演奏・8 ライブ映像・8 重厚な叙情度・9 総合・8.5 過去作のレビューはこちら
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BEER BEAR 「Honey(Мёд)」
ロシアのフォークメタル、ビアー・ベアーの2010年作
女性ヴァイオリン、女性フルート奏者を擁する6人編成で、ラウドなギターにフルートやヴァイオリンが鳴り響き、
ダミ声ヴォーカルを乗せた陽気なノリのフォークメタル。初期のFINNTROLLKORPIKLAANIにも通じるスタイルで、
酒を飲んで踊り騒ぐ蛮族の姿が目に浮かぶようだ。母国語による朗々としたヴォーカルや女性ヴォーカルも加わって、
アグレッシブなダミ声との掛け合いに、艶やかなヴァイオリンの音色が重なって、キャッチーな優雅さとメタリックな激しさが同居する。
哀愁を漂わせるスローテンポのナンバーでは、幻想的な土着感も漂わせつつ、エピックで重厚なナンバーもあって、
決して軽すぎない本格派のフォークメタルが楽しめる。ヴァイオリンとフルートの活躍が多いのも良いですね。
ドラマティック度・8 フォーキー度・8 優雅度・8 総合・8
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BEER BEAR 「BEYOND THE INVISIBLE LINE」
ロシアのフォークメタル、ビアー・ベアーの2012年作
2作目となる本作は、ファンタジックなジャケの雰囲気が良い感じだか、バグパイプが鳴り響くイントロから、
ウェディングのテーマが始まり、続いてラウドなギターにヴァイオリンを重ねて、ダミ声ヴォーカルとともに
ほどよい疾走感と優雅さと武骨が同居した、ノリのよいフォークメタルを展開する。
女性ヴォーカルを乗せたナンバーは、Kalevalaなどに通じる優雅な雰囲気もある。
8分、9分という大曲では、優美なフルートやヴァイオリンの音色とともに、エピックな叙情性に包まれて
優美な哀愁を描いてゆく。重厚にして優雅な本格派フォークメタルの逸品だ。
ドラマティック度・8 フォーキー度・8 優雅度・8 総合・8
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MOONSORROW 「Tama Ikuinen Talvi」
フィンランドのヴァイキングメタル、ムーンソロウの2003年作
2001年にデビュー、北欧ヴァイキングメタルを代表するバンドの、1999年に作られたデビュー前のデモ音源。
美しいシンセによるイントロから、ノイジーなギターとダミ声ヴォーカルを乗せ、シンフォニックなアレンジとともに
ブラストビートを含む激しさで、ヴァイキングというよりはブラックメタル寄りのサウンドを聴かせる。
5曲入り全42分で、曲が長いのはこのバンドらしいが、トレモロのギターと涼やかなシンセで疾走するところは、
初期EMPERORのようでもあり、絶叫するダミ声ヴォーカルはまさにブラックメタルのそれだ。
のちのどっしりとした硬派な土着性に比べ、北欧らしいシンフォニック・ブラックメタルとして楽しめる音源です。
ドラマティック度・8 ヴァイキング度・7 むしろブラックメタル度・8 総合・7.5 過去作のレビューはこちら
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4/22
女性声シンフォメタルにゴシック、メロパワ(134)


Nightwish 「Human :||: Nature.」
フィンランドのシンフォニックメタル、ナイトウィッシュの2020年作
5年ぶりとなる9作目で、人類と自然をテーマにしたCD2枚組の大作。いつになくトライバルな雰囲気のイントロから、
フロール・ヤンセンの美しい歌声を乗せ、シンフォニックなアレンジとともに、しっとりと優美なサウンドを描いてゆく。
オーケストレーションをバックに女性ヴォーカルやクワイアを重ねた、メタル色のないオペラティックなパートから、
バグパイプがケルティックな旋律を奏でる優雅な味わいなど、緩急ある流れで全体を構築してゆくという作風。
わりとゆったりとした曲が多く、部分的な明確な盛り上がりが薄いので、一聴したインパクトは薄いかもしれない。
Disc2は、自然をテーマにした8部構成の30分を超える組曲で、インストによるクラシカルなサントラ的な作風。
GANDALF辺りに通じるような、ネイチャーなシンフォニックサウンドであるが、メタラーにはちと退屈かもしれぬ。
シンフォニック度・8 壮麗度・8 女性Vo度・8 総合・8 過去作のレビューはこちら
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Amberian Dawn 「Looking For You」
フィンランドのシンフォニックメタル、アンベリアン・ドーンの2020年作
2008年にデビューし、本作は9作目となる。きらびやかなシンセアレンジに伸びやかな女性ヴォーカルを乗せた、
キャッチーなシンフォニックメタルサウンド。壮麗でありつつポップ性もあるという、Nightwishにも通じるスタイルながら、
楽曲は3〜4分前後と、よりシンプルな味わいで、メタルというよりはもはや美麗な女性声メロディアスーハードという趣も。
タテノリのストレートなリズムは、メジャーなポップミュージックのリスナーでも普通に聴けそうなくらいで、
カプリ嬢の歌声も、それに合わせたライトな雰囲気だ。メタルとして聴くには、正直物足りなさもあるのだが、
中盤には、ファビオ・リオーネをゲストに迎えた、男女Voのオペラティックなシンフォニックメタル・ナンバーもあり、
ファンは一安心だろう。全体的にはポップでキャッチーな女性声シンフォニック・ハードロックというべき好作です。
シンフォニック度・7 キャッチー度・8 女性Vo度・8 総合・8 過去作のレビューはこちら
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AURI 「II -Those We Don't Speak Of」
フィンランドのケルト/フォークロック、アウリの2021年作
NIGHTWISHのツォーマス・ホロパイネン、トロイ・ドノックリーと女性シンガー、ヨハンナ・クルケラによるユニットの2作目、
前作に続き、IONAのフランク・ヴァン・エッセンがヴァイオリンでゲスト参加。艶やかなストリングスにうっすらとしたシンセを重ね、
美しい女性ヴォーカルを乗せた、ドリーミィなネオフォークで、イーリアンパイプやホイッスルが鳴り響く、ケルティックな味わいも含んだ
幻想的なサウンドを描く。ツォーマスの奥さんでもあるヨハンナのやわらかな歌声を、優美なシンセやピアノが包み込み、
土着性控えめのコンテンポラリーな作風は、ケルティック・ウーマンなどが好きな方にも楽しめるだろう。
これという派手さはないが、やったりと夢見心地に楽しめる、シンフォニックなネオフォーク作品です。
ドラマティック度・7 しっとりネオフォーク度・9 女性Vo度・8 総合・8 過去作のレビューはこちら
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EPICA 「Omega」
オランダのシンフォニックメタル、エピカの2021年作
2003年にデビュー、本作は4年ぶりの8作目となる。オーケストラによるイントロから、メタリックなギターとデスヴォイス、
そしてシモーネ・シモンズの美しいフィメールヴォーカルを乗せた、壮麗にして華麗なシンフォニックメタルを展開する。
ほどよく激しいアップテンポと、フックのある歌メロに、オーケストラやクワイアが重なり、キャッチーにして壮大な、
これぞエピカというサウンドは本作も健在だ。一方で、咆哮するデスヴォイスとともに重厚なメタル感も覗かせて、
オペラティックな優雅さとのコントラストを描きながら、ドラマティックに楽曲を構築してゆくのは、さすがの実力だ。
民族的な旋律を含ませた、Nightwishのようにキャッチーなナンバーもありつつ、3パートに分かれた13分の大曲では、
緩急ある展開力で、クラシカルな美意識に包まれる。新鮮なインパクトはないものの、重厚にして壮麗な力作といえる。
シンフォニック度・9 キャッチー度・8 女性Vo度・8 総合・8 過去作のレビューはこちら
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CROSS VEIN 「Life of Veins」
日本のシンフォニックメタル、クロス・ヴェインの2021年作
2012年にデビュー、フルアルバムとしては4作目となる。前作のキャッチーな作風は個人的に大歓迎であったが、
今作も壮麗でシンフォニックなアレンジに包まれて、なよやかな女性ヴォーカルとともに疾走する、
華麗でライトなメロスピサウンドが展開される。ロマンティックな日本語歌詞の世界観とともに、
Julia嬢のフェミニンな歌声がよくマッチしていて、わりと和風の味わいのクサメロ感も覗かせる。
楽曲は4〜5分前後で、きらびやかに疾走するインストナンバーから、ダンサブルなミドルテンポまで、
バラエティに富んでいて、随所にメタリックなヘヴィネスをまとわせつつ、あくまでキャッチーで美麗な味わい。
ラスト曲の華麗な疾走ナンバーは、シンフォニックな女性声メロスピとしてのキラーチューンというべき出来だ。
シンフォニック度・8 疾走度・8 女性Vo度・8 総合・8 過去作のレビューはこちら
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Rie a.k.a. Suzaku 「Top Runner」
日本の女性ギタリスト、リエ・エー・ケー・エー・スザクの2019年作
2001年にデビュー、フルアルバムとしては4作目で、これがメジャーデビュー作となる。
Ear Candy Jazz Factoryの女性ドラマー、佐藤奏が参加、ベースには、須藤満、田中晋吾という、
T-Squareのメンバーがゲスト参加し、フュージョンロック的な軽妙なアンサンブルに、伸びやかなギターメロディを乗せた、
爽快なインストサウンドを聴かせる。和風のメロディを含んだハードロック寄りのナンバーから、
キャッチーでメロディックなドライブ感のナンバーまで、実力あるベーシストの存在感とともに、
耳心地の良いギタープレイがたっぷりと詰まっている。個人的には8曲目のゆったりとした叙情ナンバーでの
泣きのギターが心地良いですね。ロック、メタル、フュージョンの垣根を超えた、ギターインストの好作品。
メロディック度・8 メタル度・6 優雅度・8 総合・8 過去作のレビューはこちら
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Somberwind 「Remain」
ギリシャのゴシックメタル、サンバーウインドの2021年作
ほどよくヘヴィなギターにシンセを重ね、渋い歌声の男性ヴォーカルに女性ヴォーカルが絡む、
適度にキャッチーなゴシックロック寄りのサウンドを聴かせる。シンフォニックというほどは壮麗さはなく、
ゴシックメタルにしては耽美さが足りず、たいして魅力もない男性声パートの方が無駄に多いなど、
サウンド、世界観ともに中途半端な印象で、音質のラウドさも含めて、突き抜けるものがないという。
やわらかな女性声が唯一の魅力なので、今後は女性Voを活かした楽曲を作ってみてください。
ドラマティック度・7 ゴシック度・7 女性Vo度・7 総合・6.5
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Thalarion 「Dying on the Scorched Plains」
スロバキアのゴシックメタル、サラリオンの2021年作
デビューは90年代というキャリアのあるバンドで、本作は2004年以来となる、17年ぶり復活作。
男女Voにシンセを含む6人編成で、ダークで壮麗なイントロから、叙情的なギターに美しい女性ヴォーカルを乗せ、
ほどよく重厚でシンフォニックなゴシックメタルを聴かせる。迫力あるデスヴォイスを乗せた、アグレッシブな部分もあり、
ツインギターのリフとともに、ときにメロデス的な雰囲気も覗かせる。なよやかな女性声はなかなか魅力的で、
優美なシンセアレンジや随所に流麗なメロディを奏でるギターも含めて、全体的にウェットな耳心地で楽しめる。
楽曲的には、インパクトのある展開はそれほどなく、雰囲気はいいのだが、もう一歩ディープな作風へ深化を求めたい。
ドラマティック度・7 ゴシック度・8 女性Vo度・7 総合・7.5
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KAIRA (Каира)「Время Тёмных」
ベラルーシのシンフォニック・ペイガンメタル、カイラの2021年作
女性シンガーKairaをフロントに、2006年にデビュー、本作は7作目となる。女性シンセ奏者を含む編成で、
壮麗なイントロから、メタリックなギターにきらびやかなシンセを重ね、女性ヴォーカルの母国語の歌声を乗せた
ペイガン寄りの妖しさを含んだシンフォニックメタル。スクリームとストレートを使い分ける、カイラ嬢の歌声とともに
モダンなヘヴィネスとペイガンな土着性が同居した、重厚にして神秘的な聴き心地で楽しめる。
ロシアのARKONAにも通じる雰囲気があるが、こちらは激しさよりも壮麗な感触で、シンフォニックなペイガンメタルという趣だ。
全体的には、メロディのフックなり華麗な盛り上がりが、もう少し欲しい気もするが、どっしりとした迫力ある力作です。
シンフォニック度・7 ペイガン度・7 重厚度・8 総合・7.5

Uriel 「Multiverse」
カナダのクラシカル・ゴシック・デスメタル、ウリエルの2019年作
女性Vo、女性チェロ、女性ヴァイオリン奏者を含む編成で、優雅なハープの旋律に艶やかなヴァイオリンとチェロの音色重ね、
美しい女性ヴォーカルを乗せたイントロで幕を開け、男性デスヴォイスを加えて、激しい疾走パートを含むデスメタル要素と
ストリングスが鳴り響く、耽美なゴシックメタルの雰囲気が同居した、クラシカルなデスメタルサウンドを構築する。
楽曲は3分台がメインであるが、唐突なリズムチェンジを含む緩急ある展開と、魅力的な女性ヴォーカルのコントラストで、
激しくも優雅な聴き心地に包まれる。アグレッシブなメロディックデスの感触に、ヴァイオリンとチェロのクラシカル性が融合した、
いわば、クラシカル・ゴシック・デスとでもいうべきか。全33分であるが、濃密な味わいで楽しめる強力作デスよ。
クラシカル度・7 ゴシックデス度・8 女性Vo度・7 総合・7.5
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VOUNA 「Atropos」
アメリカのポストブラックメタル、ヴォウナの2021年作
女性アーティスト、Yianna Bekrisの個人ユニットで、2018年にデビューし、2作目となる。
重すぎないギターにシンセを重ね、美しい女性ヴォーカルを乗せた、ゆったりとしたゴシックメタル風から、
ときおり疾走するブラックメタル感触も含んだ、耽美でミステリアスなサウンドを展開する。
15分前後の大曲が3曲もあり、スローテンポのドゥーミィなパートでは、ダミ声ヴォーカルとともに
フューネラルなダークさに包まれつつ、シンセをメインにした静謐なダークアンビエント風味もあり、
全体的にも激しさはそれほどなく、アトモスフェリックな雰囲気モノという感じであるが、
女性アーティストらしい優雅な世界観で、MYRKURなどが好きな方にもお薦めです。
ドラマティック度・7 ミステリアス度・8 耽美度・8 総合・7.5
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BattleroaR 「CODEX EPICUS」
ギリシャのエピックメタル、バトルロアーの2018年作
2003年にデビューし、5作目となる。壮麗でエピカルなイントロから、ツインギターに朗々としたヴォーカルを乗せ、
MANOWARにも通じるオールドスタイルのメタルサウンドを聴かせる。ミドルテンポ主体の楽曲は、
どっしりとした王道の感触で、派手さやクサメロ感は薄いので、一聴したインパクトはさほどない。
戦士の戦いを思わせる勇壮な世界観はよいのだが、もう少しメロディのフックや盛り上がりが欲しいか。
パワフル過ぎないヴォーカルもマイナーな味わいで、全体的にも中庸な正統派メタルという以上のものはない。
ドラマティック度・7 エピック度・7 正統派度・8 総合・7.5 過去作のレビューはこちら
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VEONITY 「Into The Void」
スウェーデンのメロディックメタル、ヴェオニティの2016年作
2015年にデビューし、2作目。1作目は戦士のジャケであったが、今作はSF風になっている。
のっけからクサメロなギターにシンセを重ねて疾走する、王道のメロパワサウンドで、
サビでのキャッチーなコーラスには、思わずニヤニヤとしてしまうほど。メタル的なヘヴィネスよりも
ライトなクサメロ感覚に包まれていて、NOCTURNAL RITESか、PHOENIX RIZINGかという雰囲気で、
いくぶんエピックな勇壮さも残しつつ、メロディックなフックは爽快であくまでキャッチーだ。
ミドルテンポと疾走ナンバーのバランスも良く、北欧メロスピ/メロパワ好きならチェックすべし。
メロディック度・8 疾走度・8 王道メロパワ度・8 総合・8 過去作のレビューはこちら
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Tragedian 「Dreamscape」
ドイツのメロディックメタル、トラジェディアンの2008年作
正統派のギターに美麗なシンセを重ね、パワフル過ぎないハイトーンヴォーカルで聴かせる、
キャッチーなメロディックメタル。ほどよくマイナーな香りとクサメロ感を含んだサウンドで、
きらびやかなシンセアレンジはシンフォニックメタル的でもある。ミドルテンポを主体に随所に疾走パートもあり、
フックのあるメロディの流れは良い感じであるが、突き抜けそうで突き抜けきらないという、もどかしさも。
オールドスタイルのジャーマンメタルをルーツに、シンフォニックな味付けを加えたB級メロパワの好作だ。
メロディック度・8 疾走度・7 クサメロ度・8 総合・7.5
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MoonStone
フランスの女性声ハードロック、ムーンストーンの2000年作
女性Voに女性Bを擁する4人編成で、様式美色を感じさせるギターにハスキーな女性ヴォーカルの歌声で聴かせる、
80年代ルーツのマイナーな香りを含んだメタルサウンド。どことなく、古き良きジャパメタ風の雰囲気もあって、
ほどよく伸びやかな女性声に、いくぶん翳りを帯びた叙情性とともに、Fatima Hillなどが好きな方にもお薦めだ。
ミドルテンポの正統派ナンバーを主体に、しっとりとしたバラードや、ときにキャッチーなロック感触もあって、
軽めの音質も含めてメロハー寄りのわりとライトな聴心地。全体的にはもう少しメロディのフックが欲しいが、
オールドスタイルの女性声HRの好作品です。バンドは2003年に2作目「The Second Rune」を発表して消える。
メロディック度・7 古き良き度・8 女性Vo度・8 総合・7.5
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ANTICHRISIS 「CANTARA ANACHORETA」
ドイツのゴシックメタル、アンチクライシスの1997年作
Moonshadow氏を中心にしたユニットで、スローテンポに重すぎないギターリフを乗せ、男性デスヴォイスに
女性ソプラノヴォーカルが絡む、耽美なゴシックメタルサウンド。美しい女性声が前に出たパートも多く、
叙情的なギターフレーズや美しいシンセアレンジ、ときにアコーススティックギターをまじえるなど、
ペイガン寄りの土着性も覗かせるなど、ほどよく優雅な雰囲気に包まれる。3部構成のコンセプト性で、
10分前後の大曲を含めて、じっくりと聴かせる作風なので、即効性のインパクトはさほどないのだが、
ヘヴィ過ぎない耽美な世界観にゆったりと浸れる。しかしラスト3曲だけで30分、全70分、ちと長尺ですな。
ドラマティック度・7 ゴシック度・8 耽美度・8 総合・7
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4/8
春のメロパワ特集(118)


UNLEASH THE ARCHERS 「Time Stands Still
カナダのメロディックメタル、アンリーシュ・ジ・アーチャーズの2015年作
2009年にデビューし、3作目となる。硬質なギターリフにパワフルな女性ヴォーカルの歌声で疾走するパワーメタルに、
男性グロウルを加えたアグレッシブなパートなど、モダンな感触も取り入れたスタイルで、甘すぎないメロディアスとともに
ときにエピックな勇壮さも感じさせる。サウンド的にはドラムを含む音質面の弱さが、マイナーな雰囲気になっていて、
現時点では垢抜けないB級っぽさも残しているが、ブリトニー嬢の突き抜けるようなハイトーンはなかなか魅力的。
曲によっては、メロデス的な雰囲気の激しさも覗かせるなど、単なるメロパワの枠に収まらないサウンドであるが、
ラスト曲は、MANOWARのようなどっしりとした王道のヘヴィメタルナンバーで、今後の深化に期待させる内容だ。
ドラマティック度・8 疾走度・7 重厚度・7 総合・7.5
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UNLEASH THE ARCHERS 「Apex」
カナダのメロディックメタル、アンリーシュ・ジ・アーチャーズの2017年作
4作目となる本作では、サウンドがよりソリッドになっていて、巧みなフレーズを取り入れたメタリックなギターに、
ブリトニー嬢のパワフルなヴォーカルを乗せて疾走する、キャッチーなフックのメロパワサウンドに磨きがかかっている。
随所にモダンなヘヴィネスとテクニカル性も含ませながら、オールドなパワーメタルの雰囲気も残しており、
ミドルテンポのストレートなメタルナンバーなども、叙情的なギターとともに激しすぎない味わいで楽しめる。
全体的にも、メロディアスなギタープレイが目立ってきていて、楽曲ごとのアレンジが明快になったことで、
女性声メロパワとしての爽快な魅力も増している。ラスト曲はIRON MAIDEN風味で、オールドメタラーもニヤリ。
ドラマティック度・8 疾走度・7 重厚度・8 総合・8
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UNLEASH THE ARCHERS 「Abyss」
カナダのメロディックメタル、アンリーシュ・ジ・アーチャーズの2020年作
5作目の本作は、前作の続編となる、オリジナルストーリーに基づいたコンセプト作で、
メロディックなギターに伸びやかな女性ヴォーカルを乗せて疾走する正統派のメロパワ要素に、
きらびやかなシンセアレンジを盛りこんだ、華麗でドラマティックなサウンドを聴かせる。
ミドルテンポのナンバーも、キャッチーなメロディのフックと、ブリトニー嬢の歌唱の表現力に加え、
デジタルのシンセの重ねが華やかに彩っていて、一転して激しいブラスト疾走を見せるナンバーなども
いかにも新世代のバンドらしい。DRAGONFORCEなどにも通じる、爽快なモダン・メロパワの強力作だ。
ドラマティック度・8 疾走度・8 華麗度・9 総合・8
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Dream Evil 「Six」
スウェーデンのメロディックメタル、ドリーム・イーヴルの2017年作
2002年にデビュー、本作は7年ぶりとなる6作目。メタリックなギターにパワフルなヴォーカルを乗せ、
どっしりとした正統派のメタルサウンドを聴かせる1曲目から、バンド名を冠したナンバーで、
2曲目以降も、オールドスタイルのヘヴィネスと、甘すぎないメロディックな部分が合わさった、
王道のヘヴィメタルを展開。随所に巧みなギタープレイも盛り込みつつ、ミドルテンポを主体にしたスタイルは
HANMMERFALLのウェットなメロパワ路線とはまた違った、より硬派で重厚な作風といえるだろう。
もはや新鮮味というものはないのだが、これが「ヘヴィメタルだ」と体現するバンドのひとつだろう。
メロディック度・7 正統派度・8 王道メタル度・9 総合・8 過去作のレビューはこちら
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Hammerfall 「Built to Last」
スウェーデンのメロディックメタル、ハンマーフォールの2016年作
結成20年をへて、本作は通算10作目。のっけから王道のギターにヨアキム・カンスの伸びやかな歌声を乗せ
ほどよい疾走感のオールドなメロパワサウンドでニンマリだ。ほどよいスカスカ感とクサメロのギターフレーズ、
エピックなコーラスも加わって、爽快なメロディアス性は、むしろ1st〜2ndの頃のような作風に原点回帰してきている。
ヨアキムの歌声も、ここにきてさらにエモーショナルな表現力が加わっており、スロー〜ミドルテンポのナンバーでも、
キャッチーなヴォーカルメロディが耳に心地よい。4曲目あたりの疾走メロスピナンバーもファンはガッツポーズだろう。
全体的に魅力的なフックのあるナンバーが多く、全ディスコグラフィー中でも楽曲充実の傑作と言ってよいだろう。
メロディック度・8 疾走度・8 正統派度・8 総合・8 過去作のレビューはこちら
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Hammerfall 「Dominion」
スウェーデンのメロディックメタル、ハンマーフォールの2019年作
1997年のデビューから、コンスタントに作品を出し続け、いまや北欧メロパワの代表格。本作は通算11作目となる。
前作の出来が大変素晴らしかったので、今作も期待していたが、1曲めから疾走感のあるメロパワナンバーで、
キャッチーなヴォーカルメロディはまさにハンマーフォール節。かつてのジャーマンメタル的なツインギターのソロや、
ヨアキム・カンスのハイトーンヴォーカルも、ここぞと楽曲を盛り上げ、勇壮なコーラスやシンセアレンジを加えた、
ミドルテンポのエピックなナンバーなどもさすがの説得力である。前作に比べると疾走ナンバーが減ってはいるが、
作風には変化なしで、安心して楽しめる好作品だ。バンドとしては第二の全盛期を迎えているのかもしれない。
メロディック度・8 疾走度・7 正統派度・8 総合・8
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VEONITY 「Legend of the Starborn」
スウェーデンのメロディックメタル、ヴェオニティの2018年作
2015年にデビューし、3作目となる。クサメロ寄りのギターにハイトーンヴォーカルを乗せて疾走する、
キャッチーな爽快さとエピックな勇壮さが合わさった、正統派の北欧メロパワスタイル。
オールドスタイルのメロパワとしては、Hammerfallあたりに通じる雰囲気もあるが、
曲によってはシンセアレンジを加えたり、ネオクラ風味のギターフレーズも覗かせるなど、
ライトなメロスピ寄りのナンバーも多く、いくぶんのマイナー臭さも含めて良い感じだ。
かつてのPhoenix Rizingを思わせるような、エピック・クサメロパワの良作です。
メロディック度・8 疾走度・8 北欧メロパワ度・9 総合・8 過去作のレビューはこちら
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VEONITY 「SORROWS」
スウェーデンのメロディックメタル、ヴェオニティの2020年作
4作目となる本作は、タイトルのようにピアノとヴァイオリンによる悲しみを感じさせるイントロから幕を開けつつ、
楽曲の方は、メロディックなギターにシンセを重ね、伸びやかなヴォーカルを乗せた正統派のメロパワで、
キャッチーなサビメロが実に爽快である。どっとりとしたミドルテンポや、叙情的なギターを乗せたスローテンポ、
そしてお約束の疾走メロスピ感も随所に現れて、どの曲にもクサメロ寄りのフックが魅力的である。
4〜5分前後の楽曲は、明快で手堅い作りで意外性はないのだが、メロディックな疾走ナンバーも多いので、
メロパワ好きの多くは無条件で快哉を叫ぶだろう。日本盤が出てもおかしくない高品質作である。
メロディック度・8 疾走度・8 北欧メロパワ度・8 総合・8
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Bloodbound 「War of Dragons」
スウェーデンのメロディックメタル、ブラッドバウンドの2016年作
2005年にデビューし、すでに7作目。1曲目から、ツインギターにハイトーンヴォーカルを乗せて疾走する、
キーパーメタル的なメロスピサウンドで、ファンタジックなジャケのイメージのように、
シンフォニックなアレンジやエピックなクワイアを重ねた、ゴージャスなサウンドを展開。
キャッチーなクサメロで疾走するナンバーなどは、じつに日本人好みで、華麗なシンセワークとともに
以前の正統派メロパワの作風から、シンフォニックメタル路線へ舵を切ったような作風で、楽曲も3〜4分前後と、
比較的ストレートな聴き心地。ラストの爽快な疾走ナンバーまで、全45分ながら、濃密な満足感の力作である。
メロディック度・8 疾走度・8 華麗度・9 総合・8 過去作のレビューはこちら
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Bloodbound 「Rise Of The Dragon Empire」
スウェーデンのメロディックメタル、ブラッドバウンドの2019年作
8作目となる本作も、前作に続きドラゴン系のジャケであるが、1曲目は優雅なミドルテンポのナンバー。
2曲目はお約束の疾走メロスピで、やや線の細いハイトーンヴォーカルも含めた、初期HELLOWEEEN風味に、
きらびやかなシンセアレンジや壮麗なコーラスを加えた、ドラマティックなシンフォニック・メロパワを展開する。
スロ〜ミドルテンポのナンバーも、陽性のキャッチーなメロディに包まれた爽快な味わいで楽しめる。
メロハー寄りのライトなナンバーから、どっしりとしたメタルナンバーまで、わりとバラエティにも富んでいて、
最後まで飽きずに聴けるクオリティの高さがある。華麗なるファンタジック・メロパワというべき強力作だ。
メロディック度・8 疾走度・7 華麗度・9 総合・8
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MASTERPLAN 「Novum Initium」
ドイツのメロディックメタル、マスタープランの2013年作

5作目の本作は、Frequencyのリック・アルツィをVoに、Cradle of Filthなどでも活躍するマーティン・スカロウプカがドラムで参加、
メタリックなギターにシンセを重ね、かすれた味わいのヴォーカルを乗せた、メロディックなパワーメタルを聴かせる。
Beautiful Sinにも参加するアレックス・マッケンロットによるシンセワークも楽曲をきらびやかに彩っていて、
随所にグラポウの渋みのあるギタープレイも含めて、骨太にして華麗なジャーマンメロパワが楽しめる。
パワフルなリックのシャウトはかつてのヨルン・ランデにも負けておらず、重厚なサウンドによくマッチしている。
ラストは10分を超えるタイトル曲で、キャッチーな叙情を含ませながら、じっくりとドラマティックに構築してゆく。
メロディック度・7 疾走度・7 重厚度・8 総合・8 過去作のレビューはこちら
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MASTERPLAN 「Pumpkings」
ドイツのメロディックメタル、マスタープランの2017年作
2003年にデビューし、5作のスタジオアルバムを発表。本作は、かつてローランド・グラポウが在籍していた
HELLOWEENのカヴァーアルバム。グラポウが作曲に関わった曲ばかりなので、代表曲的なものは少ないが、
「The Chance」「Someone's Crying」などの疾走ナンバーから、「Mr.Ego」のようなどっしりとしたナンバーも、
リカルド・トーンバーグ(リック・アルツィ)のダーティな歌声を乗せた、本家とは異なった味わいで、これはこれで悪くない。
「Master of the Rings」収録の「Still We Go」は好きなナンバーで、わりと原曲に近いアレンジも含めて良い感じだし、
ミドルテンポから疾走という「The Dark Ride」のドラマティックな雰囲気もより硬質な味わいです。
メロディック度・8 疾走度・7 かぼちゃ度・8 総合・8
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Primal Fear 「Apocalypse」
ドイツのメタルバンド、プライマル・フィアの2018年作
1997年にデビュー、本作は12作目となる。王道のギターリフにハイトーンヴォーカルを乗せて疾走する、
正統派のジャーマン・パワーメタルは本作も不変。ラルフ・シーパーズのパワフルな歌声も冴えていて
ミドルテンポのキャッチーなナンバーなどでも、伸びやかなハイトーンで楽曲を盛り上げる。
Judas Priest的なオールドなヘヴィメタル感触を残しつつ、そこにジャーマンらしいメロディアス性が加わって
新鮮味はないものの安心して楽しめる。スローテンポの叙情ナンバーなどもアクセントになっていて、
アルバム全体を通して、ベテランらしいサウンドの強度を感じさせる。まさに不変の正統派メタルである。
メロディック度・7 疾走度・7 正統派度・9 総合・8 過去作のレビューはこちら
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Beast in Black 「From Hell With Love」
フィンランドのメロディックメタル、ビースト・イン・ブラックの2019年作
BatlleBeastのアントン・カヴァネン率いるバンドの2作目。ヘヴィ過ぎないギターにシンセを重ね、
パワフルなハイトーンヴォーカルで聴かせる、北欧らしいキャッチーなノリのメタルサウンド。
楽曲は3〜4分前後とわりとシンプルで、随所に巧みなギタープレイを盛りこみつつ、
ときにデジタルなシンセアレンジとともに、メロハー寄りのポップな味わいも覗かせる。
正統派メロパワというよりは、むしろアリーナ系ハードロックのようなゴージャスな感触で、
シンフォニックで壮麗なところは、男性声のNightwishというような部分もあったりする。
モダンでアゲアゲなシンフォニックメタルとしても楽しめるだろう。全13曲の高品質作。
メロディック度・8 キャッチー度・8 ゴージャス度・8 総合・8
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Dreamtale 「Seventhian」
フィンランドのメロディックメタル、ドリームテイルの2016年作
2002年にデビューし、7作目となる。きらびやかなシンセアレンジにメロディックなギターを重ね、
マイルドなヴォーカルとともに、SONATA ARCTICA系のキャッチーな北欧メロパワを聴かせる。
2曲目の疾走メロスピナンバーは、ほどよくマイナーな香りも残していて、ファンはニンマリだろう。
やや線の細いハイトーンヴォーカルも、涼やかなサウンドにはわりあいよくマッチしていて、
サウンド自体も重すぎず、ほどよい中庸感は、メロバワ初心者でも耳心地よく楽しめるだろう。
意外性やインパクトがない分、激しすぎない優雅な北欧メロパワがじっくり味わえる好作です。
メロディック度・8 疾走度・7 北欧メロパワ度・9 総合・8 過去作のレビューはこちら
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3/25
メタルの春到来(103)


Hevilan 「Symphony Of Good And Evil」
ブラジルのメロディックメタル、ヘヴィランの2021年作
2006年にデビュー、フルアルバムとしては、2013年以来となる2作目。のっけからヘヴィなギターリフに
パワフルなヴォーカルを乗せ、テクニカルな展開力とともに、ProgMetal風のサウンドを聴かせる。
流麗なギタープレイに手数の多いドラム、エモーショナルなヴォーカルも含めて、演奏面の実力は高く、
テクニカルなメロパワとしても、重厚なProgMetalとしても鑑賞可能。モダンなヘヴィネスに包まれつつ、
いくぶんダークな翳りを含んだドラマティックな感触は、WITHERFALLあたりに通じる雰囲気もあり、
HIBRIAなどを思わせるストレートなメロパワや、キャッチーなナンバーなど、メリハリに富んだ作風だ。、
ラストは4部構成、17分に及ぶ大曲で、壮麗な混声コーラスとともに、シンフォニックメタル的に重厚に構築する。
ドラマティック度・8 テクニカル度・7 重厚度・8 総合・8
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Serpent Lord「Apocrypha」
ギリシャのエピックメタル、サーペント・ロードの2021年作
メタリックなギターにうっすらとしたシンセ、ハイトーンのヴォーカルを乗せ、KING DIAMONDのような
シアトリカルな雰囲気に包まれた、ダークな正統派メタルを聴かせる。激しい疾走パートもありつつ、
リズムチェンジによる緩急ある展開力で、朗々とした歌声とともに濃密でドラマティックなサウンドを構築。
楽曲は4〜5分前後が主体ながら、重厚なギターリフと伸びやかに歌い上げるヴォーカルの存在感が、
ディープな聴き心地になっていて、いくぶん翳りを帯びたエピックドゥーム寄りの雰囲気も感じさせる。
正統派メタルのリスナーも、エピックメタルのリスナーも楽しめる、どっしりとした濃密な強力作だ。
ドラマティック度・8 エピック度・8 重厚度・8 総合・8
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Starbynary 「Divina Commedia Paradiso」
イタリアのプログレメタル、スターバイナリーの2020年作
ダンテの「神曲」をテーマにした三部作の最終章で、メタリックなギターに美麗なシンセアレンジを重ね、
伸びやかなハイトーンヴォーカルとともに、緩急ある展開力のドラマティックなサウンドを展開する。
流麗なギターにきらびやかなシンセで疾走する、ネオクラシカル的なメロディックスピードメタル風味や、
ときに女性コーラスも加えた優雅な感触など、メロパワとしての勢いとProgMetal構築性が同居した味わいだ。
核となるのは、ときにシンフォプログレばりの美しいシンセワークであるが、元DERDIANのジョー・ガジアネッリの歌声も、
エモーショナルな説得力でサウンドを彩っている。壮麗なドラマを描くような、シンフォニックなProgMetalの傑作である。
ドラマティック度・8 テクニカル度・7 壮麗度・8 総合・8.5 過去作のレビューはこちら
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MASTORD 「To Whom Bow Even The Trees」
フィンランドのプログレメタル、マストルドの2021年作
メタリックなギターに優美なシンセを重ね、かすれた味わいのヴォーカルとともに、
ほどよくテクニカルな展開力の北欧らしい涼やかなプログレメタルを聴かせる。
メロディはキャッチーというほどでもなく、たたみかけるようなテクニカル性もさほどないので、
全体的にこれという突出した部分がなく、やや地味な印象ではあるが、随所に叙情的なギターや
美しいシンセアレンジが現れる。後半にはDREAM THEATER的なテクニカルなナンバーもあり、
8〜9という大曲や、ラストの12分の大曲まで、なかなかドラマティックに聴かせる全72分。
ドラマティック度・7 テクニカル度・7 楽曲・7 総合・7.5
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Faceless Night 「Seven Gates」
イタリアのシンフォニックメタル、フェイスレス・ナイトの2017年作
男女Voに女性Gを含む編成で、きらびやかなシンセをギターに重ね、男性ハイトーンヴォーカルに
女性ヴォーカルが絡んで、随所に疾走パートも含んだメロスピ寄りのクサメロ感触も覗かせる。
女性ソプラノのヘタウマ感や唐突なリズムチェンジなども、かつてのB級イタリアンメタル的なのだが、
そのあたりの微笑ましさも含めてが、マイナー系バンドの楽しみ方だろう。このまま成長して、
正しいB級シンフォメタルになっていってもらいたい。全7曲33分というのが、EPなのかフルなのか微妙なところ。
シンフォニック度・7 疾走度・7 B級度・8 総合・7

In-Side 「Out-Side」
イタリアのメロディアスハード、イン・サイドの2017年作
優美なシンセアレンジにほどよくハードなギター、エモーショナルなヴォーカルを乗せた
80年代ルーツのキャッチーなAORサウンドを聴かせる。楽曲は4〜5分前後を主体にした、
ストレートなメロディックロックであるが、シンフォニックなシンセワークが前に出ていて、
随所にメロディアスなギターの旋律も覗かせるなど、耳触りの良さは日本人好みだろう。
全33分という短さがやや物足りないのだが、プログレハードとしても楽しめる優美な好作品だ。
メロディック度・8 キャッチー度・8 優美度・8 総合・7.5
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Eternal Dream 「The Fall of Salanthine」
スペインのシンフォニックメタル、エターナル・ドリームの2012年作
ツインギターにシンセを含む6人編成で、壮麗なイントロで幕を開け、ツインギターとともに疾走開始、
伸びやかな女性ヴォーカルにシンセアレンジを加えた、シンフォニックなメロスピサウンドを聴かせる。
激しい疾走感の一方で、しっとりした叙情パートでは、Ana嬢のなよやかなソプラノが美しく引き立っており、
Nightwish系のバンドとしては緩急ある展開力で、女性声の魅力とともに、高品質な内容と言えるだろう。
ラストは3部構成、11分という大曲で、緩急あるリズムチェンジとともに、女性ヴォーカルの美しさがはえる
しっとりと優美なパートを含めて、ドラマティックな構築力で聴かせる。美麗系シンフォニックメタルの逸品。
シンフォニック度・8 疾走度・8 女性Vo度・8 総合・8
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Third Dimension 「Where The Dragon Lies」
スペインのメロディックメタル、サード・ディメンションの2014年作
壮麗なイントロでエピックに幕を開け、クサメロなギターにハイトーンヴォーカルを乗せて疾走する、
キーパーメタルの後継者というべき、爽快でキャッチーなメロディック・スピードメタルを聴かせる。
ヴォーカルの歌声も、かつてのマイケル・キスクを思わせるような、コブシの効いたパワフルな表現力があり、
HELLOWEENルーツのメロパワとしては、楽曲とメロディのフックも含めて、なかなかの出来である。
スローやミドルテンポのナンバーでは、叙情的なギターメロディも覗かせながら、じっくりと聴かせつつ、
キーパーなクサメロ感で疾走するナンバーにはニンマリである。クサメタラー必聴の強力作。
メロディック度・8 疾走度・8 キーパー度・9 総合・8
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Dream Theater 「Lost Not Forgotten Archives: A Dramatic Tour Of Events」
アメリカのプログレメタル、ドリーム・シアターのオフィシャル・ブートレグシリーズ。2021年作
2011年作「A Dramatic Turn Of Events」ツアーからセレクトされたライブ音源を、2CDに収録。
マイク・マンジーニ加入後の初のツアーの音源で、「Under A Glass Moon」、「Peruvian Skies」
「Ytsejam」、「Another Day」、「To Live Forever」、「Learning To Live」といった、往年のナンバーも多数演奏。
音質も良好で、きらびやかなシンセや巧みなギタープレイとともに、テクニカルなインストパートが迫力たっぷり。
ラブリエのヴォーカルはいくぶんこもり気味であるが、ハイトーンのシャウト部分などもライブならではの生々しさ。
マンジーニのドラムは、テクニック充分で、ドラムソロはやや退屈であるが、わりと楽曲に自然に融合されている。
ライブの選曲としてはいくぶんマニアックな感じはするが、DTファンであれば聴いて損はない内容でしょう。
ライブ演奏・8 音質・7 楽曲度・7 総合・7.5 過去作のレビューはこちら
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Jordan Rudess 「Notes on a Dream」
アメリカのシンセ奏者、ジョーダン・ルーデスの2009年作
本作は、DREAM THEATERの楽曲を、ピアノによるアレンジで聴かせる作品で、
ルーデスの軽やかな鍵盤さばきとともに、優雅でクラシカルなピアノの独奏が楽しめる。
原曲通りというよりは、メロディ自体も崩したアレンジがされていて、「Lifting Shadows Off A Dream」、
「Another Day」、「Hollow Years」、「The Spirit Carries On」あたりは、原曲自体の美しさもあって、
良い感じに仕上がっている。ただ、なにせピアノのみなので、メタル感はほぼゼロ。思い入れのある曲でないと、
どうしても単なるクラシック音楽になってしまうのだが。ルーデスのピアニストとしての技量が再発見できる。
クラシカル度・8 メタル度・1 優雅度・8 総合・7.5 過去作のレビューはこちら
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YARGOS 「To Be Or Not to Be」
ドイツのプログレメタル、ヤーゴスの2005作
男女Voを含む6人編成で、女性Voは、レディースバンド、ROSY VISTAのギターとしても活躍している。
ほどよくヘヴィなギターにシンセを重ね、伸びやかな男性ヴォーカルに女性声が絡むゴージャスなサウンド。
随所にモダンなシンセアレンジも含ませた、きらびやかなシンフォニックメタル風でもあり、
4〜5分前後の楽曲は、テクニカルな展開はさほどないが、優雅でキャッチーな聴き心地。
ヴォーカリストの実力も含めて、厚みのあるサウンドは、VANDEN PLASなどにも引けを取らない。
男女ヴォーカルによるドラマ性とともに、コンセプト的な流れで構築される力作です。
ドラマティック度・8 テクニカル度・7 優雅度・8 総合・7.5
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ROSY VISTA 「UNBELIEVABLE」
ドイツのレディース・ハードロック、ロージー・ヴィスタの2019年作
1985年にEPを残して消えたバンドの復活作。叙情的なギターにハスキーな女性ヴォーカルを乗せ、
かつてのVIXENのような、どっしりとした骨太のロック感に包まれたサウンドを聴かせる。
メロディックなフレーズを随所に奏でるギタリストは、YARGOSというプログレメタルバンドにも在籍し、
そのテクニックは女性としてはかなりのもの。楽曲は3〜4分前後ながら、じっくりと聴かせるバラードナンバーなども、
やはりアメリカのバンドとは異なる、ウェットな叙情性に包まれている。アンドレアさんの歌声の表現力と、
巧みなギタープレイが楽曲を輝かせていて、ステッペンウルフの名曲「Born to Be Wild」のカヴァーも
なかなかハマっている。まさにオールドスタイルの女性ハードロックが味わえる強力作だ。
メロディック度・8 王道HR度・8 女性Vo度・8 総合・8
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Onsegen Ensemble「Fear」
フィンランドのサイケ・ドゥームロック、オンサゲン・アンサンブルの2020年作
2016年にデビューし3作目。オールドなギターリフとうねりのあるベースを乗せたドゥームロック感触に
トランペットや男女のコーラスも加わって、ポストロック的なスケール感とサイケな妖しさも含んだ
ミステリアスな世界観を描きだす。メロトロンのようなシンセにトランペットが重なると、プログレ的な味わいで、
やわらかなフルートの音色など、優美な叙情性も覗かせる。コーラスを除けばほぼオールインストなので、
一般受けはしないだろうが、ゆったりと聴かせる神秘的な雰囲気モノとして楽しむのがよいだろう。
サイケやプログレ要素も含んだ、ドゥーム寄りのポストロックというべき、ボーダーレスの異色作である。
ドラマティック度・7 サイケ度・7 ミステリアス度・8 総合・7.5
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Witchcraft「Black Metal」
スウェーデンのサイケ・ドゥームロック、ウィッチクラフトの2020年作
2004年にデビュー、70年代的なヴィンテージなロックにサイケやプログレの雰囲気も漂わせるこののバンド。
6作目となる本作は、タイトルこそ「ブラック・メタル」であるが、サウンドの方はアコースティックギターのつまびきに
ジェントルなヴォーカルを乗せた、シンプルな弾き語り風のフォークスタイルで、ロック感触もほとんどなし。
北欧の暗い森を思わせる怪しさがあるわけでもなく、むしろ英国調の優雅な牧歌性に包まれている。
それにしても音数が少なすぎて、アコギも単音ばかりなのでさすがに眠くなる。全7曲、33分で、これ以上はきつい。
ドラマティック度・5 ロック度・0 フォーク度・8 総合・7 過去作のレビューはこちら
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Somali Yacht Club「The Sea」
ウクライナのドゥームメタル、ソマリ・ヤクト・クラブの2018年作
G&Vo、B、Drのトリオ編成で、2014年にデビューし、2作目となる。重ためのベースに叙情的なギターと
マイルドなヴォーカルを乗せ、ゆったりとしたドゥーム感にミステリアスな空気をまぶしたというサウンド。
10分前後の大曲も多く、翳りを帯びた叙情の中に、ときおりプログレッシブなリズムも覗かせるなど、
単なるヴィンテージなサイケ・ドゥームではない、独自のスケール感と構築センスを感じさせる。
トリオ編成なので音数はシンプル、わりと隙間のあるサウンドであるが、スラッジ風味の生々しさを
スローテンポのドゥームにメタルに織り込んで、モノトーンのような寂寥感に包まれた異色作だ。
ドラマティック度・7 サイケドゥーム度・8 ミステリアス度・8 総合・7.5
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3/11
メロパワ&シンフォニックメタル(88)


REINFORCER「Prince of the Tribes」
ドイツのメロディックメタル、レインフォーサーの2021年作
ジャケの雰囲気からも、エピックなメロパワ感がぷんぷんであるが、サウンドもクサメロなギターに
パワフルなヴォーカルを乗せて、ほどよく疾走感のある正統派のメロディックメタルを聴かせる。
歌詞は英語だが、どことなくゲルマンななまりを感じさせる歌声が、勇壮な空気をかもしだしつつ、
楽曲自体はさほど激しさはないので、メロディックなギターとともにわりとライトな味わいで楽しめる。
90年代的なオールドなメロパワという点では、HAMMERFALLあたりが好きな方にもお薦めだ。
全体的に出来は良いので、あとはキラーチューンとなる鮮烈なナンバーが1〜2曲欲しいですね。
メロディック度・8 疾走度・7 正統派度・8 総合・7.5
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Winterage 「The Inheritance of Beauty」
イタリアのシンフォニックメタル、ウインターレイジの2021年作
2015年にデビュー、6年ぶりとなる2作目。ヴァイオリン奏者を含む5人編成で、オーケストラアレンジに
混声コーラスを乗せたイントロから、RHAPSODYばりのバロックな壮麗さに包まれつつ、艶やかなヴァイオリンを
ギターリフに重ね、伸びやかなヴォーカルとともに、疾走感あるエピックシンフォニックメタルを展開する。
ほどよいクサメロ感や重厚なクワイアも含めて、やはり初期ラプソディにも通じる雰囲気が強いのだが、
専任のヴァイオリン奏者が奏でるケルティックな旋律が随所にアクセントになっていて、緩急ある構築力や
ときにオペラティックな女性シンガーも加えた優雅な味わいには、単なるフォロワーという以上の魅力がある。
ラストは16分という大曲で、ストーリー的な語りを含んだシネマティックでファンタジックなサウンドを描いてゆく。
シンフォニック度・8 疾走度・7 壮麗度・9 総合・8
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ETERNAL IDOL「RENAISSANCE」
イタリアのシンフォニックメタル、エターナル・アイドルの2020年作
RHAPSODY、現ANGRAのファビオ・リオーネをフロントに、2016年にデビューし、2作目。
ほどよくヘヴィなギターに壮麗なアレンジを重ね、ファビオの伸びやかな歌声に美しいソプラノ女性ヴォーカルが絡む、
優雅なシンフォニックメタルサウンド。バックはHOLLOW HAZEのメンバーで、メロディアスなギタープレイに
オーケストラアレンジもなかなか堂に入っている。なよやかな女性ヴォーカルが前に出る部分では、
しっとりと優美な聴き心地になって、マイルドなファビオの歌声が重なるとオペラティックな味わいだ。
楽曲的に目新しさはないが、実力ある歌声がサウンドにどっしりとした説得力をかもしだしている。
シンフォニック度・8 疾走度・6 優雅で壮麗度・8 総合・8 過去作のレビューはこちら
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HOLLOW HAZE 「BETWEEN WILD LANDSCAPES AND DEEP BLUE SEAS」
イタリアのメロディックメタル、ホロウ・ヘイズの2019年作
2006年にデビュー、本作はすでに5作目となる。メタリックなギターにシンフォニックなシンセアレンジ、
伸びやかなヴォーカルを乗せた、SECRET SPHEREあたりに通じるキャッチーなメロパワサウンド。
全体的に疾走感はさほどなく、ミドルテンポが主体なので、激しさや即効的なインパクトはさほどないが、
エモーショナルなヴォーカルとともに、じっくりと聴かせる優雅な味わいで、随所に流麗なギタープレイも光っている。
歌唱、演奏ともにクオリティは充分あるが、もうひとつ突き抜けるには、キラーチューンなるようなナンバーが欲しい。
メロディック度・8 疾走度・6 優雅でキャッチー度・8 総合・7.5
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SOULS OF DIOTIMA 「MAITRI」
イタリアのシンフォニックメタル、ソウルズ・オブ・ディオティマの2010年作
壮麗なイントロから、メタリックなギターを乗せたモダンな硬質感と、きらびやかなシンセアレンジに
コケティッシュな女性ヴォーカルで、優美なシンフォニックメタルを展開。ゆったりとした優雅なナンバーから、
ミドルテンポのキャッチーなナンバーも、クラウディア嬢の伸びやかな歌声の魅力で耳心地よく楽しめる。
ほどよい疾走感のある楽曲では、ギターとシンセの重ねによるネオクラシカルな味わいも覗かせつつ、
全体的には激しさよりも優雅なメロディアス性に包まれていて、派手なインパクトはさほどないものの、
じっくりと聴かせる女性声シンフォメタルの好作品だ。あとはもう一つ突き抜けるようなアレンジが欲しいか。
シンフォニック度・7 優雅でキャッチー度・8 女性Vo度・8 総合・7.5
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SOULS OF DIOTIMA 「Janas」
イタリアのシンフォニックメタル、ソウルズ・オブ・ディオティマの2021年作
2010年にデビュー、本作は5年ぶりとなる4作目。硬質感のあるギターにシンセアレンジを重ね、
伸びやかな女性ヴォーカルを乗せた、スタイリッシュなシンフォニックメタルを聴かせる。
曲によってはデスヴォイスも加えたモダンなヘヴィネスも覗かせつつ、メロディアスなギタープレイや
クラウディア嬢のヴォーカルでしっとりと聴かせる、優美なナンバーなどもアクセントになっている。
楽曲自体は、比較的ストレートで意外性はさほどなく、適度にキャッチーでそれなりに壮麗という、
悪くはないがどこかあと一歩感があるのだが、魅力的な女性声でそれを補っている。
シンフォニック度・7 優雅でキャッチー度・8 女性Vo度・8 総合・7.5
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Afterlife Symphony 「Moment Between Lives」
イタリアのシンフォニックメタル、アフターライフ・シンフォニーの2016年作
Afterlifeの名義で2013年にデビュー、本作は改名しての1作目で、エッジの効いたギターにうっすらとしたシンセ、
伸びやかな女性ヴォーカルを乗せた、ゆったりとした優雅でモダンなシンフォニックメタルを聴かせる。
翳りを帯びた空気感にはいくぶんゴシックメタル寄りの雰囲気もあって、楽曲はスロー〜ミドルテンポ主体、
派手な疾走感はさほどないので、激しさや爽快なサウンドを求める方には向かないかもしれないが、
随所にNightwishのような壮麗なアレンジも覗かせて、2パートに分かれた10分近い大曲では、
ドラマティックな構築力でじっくりと聴かせる。ほどよいヘヴィさと、優雅な翳りが同居した好作品です。
シンフォニック度・7 優雅な翳り度・8 女性Vo度・7 総合・7.5
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ANKHARA 「Premonicion」
スペインのメロディックメタル、アンクハラの2021年作
1999年にデビュー、本作は6作目で、ツインギターのリフにスペイン語のハイトーンヴォーカルを乗せた、
正統派のメタルサウンドを聴かせる。過去の作品に比べると、クサメロ感はやや薄めで、エッジの効いたギターと
ややダーティなパワフルなヴォーカルで、JUDAS PRIESTにも通じる、わりと硬派なヘヴィメタルのスタイル。
楽曲は3〜4分前後で、シンプルにストレートなメタルナンバーが多いので、新鮮な引っ掛かりがさほどないのだが、
スパニッシュの濃密な歌いまわしとともに、どっしりとしたオールドなメロパワが楽しめる。スペイン版ジューダスという好作だ。
ドラマティック度・7 正統派度・8 スパニッシュ度・8 総合・7.5 過去作のレビューはこちら
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ANKHARA 「EL ORIGEN」
スペインのメロディックメタル、アンクハラの2021年作
本作は、デビュー前、1997年のデモ5曲、1998年のデモ4曲と、1997年のライブ音源3曲を収録。
メロディックなギターにスペイン語のハイトーンヴォーカルを乗せて、ほどよい疾走感のメロパワスタイルで、
スパニッシュな哀愁とともに、随所にクサメロ感を含んだマイナーな香りに包まれたサウンドが楽しめる。
デモとしての音質も良好で、2021年の最新作に比べ、より優雅なメロディアス性を含んだ聴き心地で、
キャッチーな疾走ナンバーなども、クサメタラーにとってはニンマリだ。ライブ音源の方は、音質はブート程度であるが、
HELLOWEEEN「LITTLE TIME」のカヴァーも含め、デビュー前の貴重な音源という点では、嬉しいオマケだろう。
メロディック度・8 音質・7 スパニッシュ度・9 総合・7.5
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TyranT「Hereafter」
アメリカのメタルバンド、タイラントの2020年作
1985年にデビュー、2作を残して解散するも、1996年に再結成し復活作を発表、本作はそれから24年ぶりとなるアルバム。
元CANDLEMASS、Solitude Aeturnusのロバート・ロウが加入し、オールドなギターリフに朗々とした歌声で、
80年代NWOBHMを受け継ぐような、マイナーな翳りを含んだ叙情とともに正統派のメタルサウンドを聴かせる。
90年代の復活作よりもさらにレイドバックしたような作風に、キャンドルマス的なウェットでエピックな雰囲気が加わって、
ミドルテンポを主体にした、どっしりとした感触ながら、ヘヴィ過ぎない、激しすぎないという中庸感が耳に心地よい。
8分を超えるタイトル曲は、ゆったりとしたドゥーミィな味わいながら、全体的にはこれぞオールドメタルという強力作。
ドラマティック度・7 ドゥーミィ度・8 オールドメタル度・9 総合・8
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CLAYMOREAN 「EULOGY FOR THE GODS」
セルビアのメロディックメタル、クレイモアンの2021年作
CLAYMORE名義で2003年にデビュー、3作目からCLAYMOREANへと改名し、本作は5作目となる。
メタリックなギターにハスキーな女性ヴォーカルを乗せた、正統派のパワーメタルサウンドで、
今作ではギターリフなどにも、80〜90年代ルーツのオールドなメタル感触がより強まっている。
紅一点、Dejana嬢の歌声は、ハイトーンのシャウトも含めて、パワフルに楽曲を彩っている。
7分前後の大曲も多く、どっしりとしたミドルテンポを主体に、随所にメロディックなギタープレイも覗かせる。
これという新鮮味はないが、キャリアのあるバンドらしい説得力とともに、女性声のヘヴィメタルが楽しめる。
メロディック度・7 正統派度・8 女性Vo度・7 総合・8 過去作のレビューはこちら
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Kobra And The Lotus 「Evolution」
カナダの女性声メタルバンド、コブラ・アンド・ザ・ロータスの2019年作
ゴブラ・ペイジこと、ブリタニー・ペイジ嬢をフロントに、2009年にデビュー、本作は6作目となる。
ヘヴィなギターに伸びやかな女性ヴォーカルを乗せたパワフルなメタル感触に、女性性らしい
なよやかな歌声を使い分ける、キャッチーなフックを含ませながら、エモーショナルに聴かせる。
楽曲は3〜5分前後とシンプルながら、これまでの作品以上に、メロディとヘヴィネスのメリハリが
くっきりと鮮やかな印象になり、ペイジ嬢の表現豊かな歌声が魅力的に響き渡る。
ヘヴィな硬質感とメロディアス性が同居した、メタルとメロハーの中間という感じでもあるが、
これも実力ある女性シンガーあってのものだろう。全40分、隙の無い力作に仕上がっている。
メロディック度・8 正統派度・8 女性Vo度・9 総合・8 過去作のレビューはこちら
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YOTANGOR 「We Speak」
フランスのシンフォニックメタル、ヨタンガーの2012年作
2009年にデビュー、壮麗なシンセアレンジをギターに重ね、コケティッシュな女性ヴォーカルを乗せた
重すぎないキャッチーなシンフォニックメタルを聴かせる。3〜4分前後のライトなナンバーから、
6〜8分という長めの曲まで、Yngrid嬢のキュートな歌声をメインにした優美なサウンドで、
ときおりNightwishあたりに通じる部分もあるのだが、壮大過ぎないストレートな耳心地の良さが、
ある意味では個性なのかもしれない。コンパクトなナンバーが続きつつ、ラストの大曲では、
流麗なギターソロのパートなども含む、流れのある展開で聴かせる。全71分の力作だ。
シンフォニック度・7 壮麗度・7 女性Vo度・7 総合・7.5
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HAMMERFALL 「Gates of Dalhalla」
スウェーデンのメロディックメタル、ハンマーフォールのライブ。2013年作
1997年にデビュー、いまや北欧メロパワを代表するメロパワバンドで、本作はバンドの15周年記念となる、
2013年スウェーデンでのライブを2CD+DVDに収録。アンダース・ヨハンソンのどっしりとパワフルなドラムに、
ツインギターのリフとヨアキム・カンスの伸びやかなヴォーカルを乗せた、正統派のメタルサウンドを展開。
キャリアのあるバンドらしい安定した演奏力とともに、アルバム以上に躍動的な疾走感で、楽曲を再現してゆく。
DVDでは、客席との間に堀のような水路があるという、特殊な野外ステージの絵が、なかなか新鮮で映像も良好。
初期メンバーでもあったギターのステファン・エルムグレンや、元IN FLAMESのイェスパー・ストロムブラード、
DARK TRANQUILLITYのミカエル・カタンネなどがゲスト参加、1stを含む初期ナンバーも披露するなど、
全26曲、ハンマーフォールの歴史を凝縮させたような、濃密なライブステージが楽しめる。
ライブ演奏・8 ライブ映像・8 正統派メロパワ度・9 総合・8 過去作のレビューはこちら
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Sacred Blood 「The Battle Of Thermopylae」
ギリシャのエピックメタル、セイクレッド・ブラッドの2008年作
ペルシア戦争、テルモピュライの戦いをコンセプトにした作品で、ピアノとフルートが鳴り響き、
物語を語るようなイントロから、正統派のギターにシンセを重ね、朗々としたヴォーカルとともに、
MANOWARにも通じる勇壮なエピックメタルを聴かせる。ミドルテンポのナンバーを主体にしつつ、
適度なリズムチェンジとともにドラマティックに展開する雰囲気は悪くないのだが、ヴォーカルの音程など
演奏面には微妙にヘタウマ感がある。ラストは11分という大曲で、叙情パートも含めて戦いの終わりを描き切る。
マイナーなメタルが苦手な方にはお薦めしないが、B級でも勇壮なエピックメタルが好きな方はどうぞ。
ドラマティック度・8 正統派度・8 勇壮度・8 総合・7.5 過去作のレビューはこちら
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2/25
ゴシック、ドゥームにテクデスも(73)


NOUMENA 「ANIMA」
フィンランドのゴシックメタル、ノウメナの2020年作
2002年にデビューし、6作目となる。かつてはメロディック・デスメタル寄りのスタイルであったようだが、
本作は、どっしりとしたギターリフにメロディックな旋律を重ね、母国語による女性ヴォーカルを乗せ、
随所にデスヴォイスが絡む、ゆったりとした重厚でメランコリックなサウンドを聴かせる。
紅一点、Suviの歌声はコケティッシュな雰囲気で、低音グロウルとのコントラストになっていて、
トリプルギターによる厚みのあるサウンドとともに、涼やかな泣きのメロディを含んだ感触は
Swallow The Sunなどにも通じる、物悲しくも幻想的な味わいだ。15分という大曲では、
ほどよくアグレッシブなメロデス風味も覗かせつつ、緩急あるドラマティックな展開で構築する。
ドラマティック度・8 ゴシック度・7 重厚度・8 総合・8
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HALOCLINE 「Troubled Waters」
スイスのゴシックポップ、ハロクラインの2019年作
女性SSW、Valerie Leimgruberによるプロジェクトで、エレクトロなアレンジに美しいシンセを重ね、
コケティッシュな女性ヴォーカルを乗せた、しっとりとしたキャッチーなゴシックポップサウンド。
全体的にメタル感はあまりないが、曲によってはギターとドラムを加えたゴシックロック風味もあり、
なによりヴァレリー嬢のキュートな歌声が魅力的なので、シンフォニックなシンセアレンジとともに
わりと心地よく聴けてしまう。ほどよく耽美な空気感と、彼女の美しいヴォーカルが楽しめる好作です。
ゴシック度・7 メタル度・1 女性Vo度・8 総合・7.5
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KURSK
イギリスのドゥームメタル、クルスクの2020年作
オールドな味わいのギターにダーティなヴォーカルを乗せ、BLACK SABBATHや、
WITCHFINDER GENERALなど、70年代ルーツのカルトなドゥームメタルを聴かせる。
ほどよくメロディックなギターソロも含んだ、ノリのよいアップテンポのナンバーから
リズムチェンジを含む展開力とともに、一本調子でない楽曲センスを感じさせる。
随所に叙情的なギターフレーズも覗かせて、英国らしいウェットな叙情性とマイナー感は、
ANGEL WITCHなどのNWOBHM系のファンに楽しめるだろう。アルバム後半の、
2パートに分かれた計11分の大曲なども、ドラマティックな味わいで構築される。
ドラマティック度・8 ドゥーム度・7 ヴィンテージ度・8 総合・8
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SLOUGH OF DESPAIR 「CATACOMBS OF TERROR」
メキシコのドゥームメタル、スロウ・オブ・デスペアーの2020年作
メタリックなギターにうっすらとしたシンセ、デスヴォイスを乗せたブラッケンなドゥームメタルを聴かせる。
どっしりとしたスローテンポを主体にミステリアスな妖しさに包まれつつ、オールドメタル寄りのギターは
ほどよい叙情性を含んだフレーズも奏でていて、わりとエピックドゥーム寄りの味わいでも楽しめる。
不穏なゲボ声ヴォーカルも含めて、カルトな暗黒性に包まれているが、ときに物悲しいシンセの音色や
叙情的なギターの旋律が、サウンドをウェットに彩っている。派手さはないが、邪悪系ドゥームの好作だ。
ドラマティック度・7 暗黒度・8 重厚度・8 総合・7.5
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Kraken Duumvirate 「The Stars Below, The Seas Above」
フィンランドのエクスペリメンタル・ドゥームメタル、クラーケン・ドゥームヴィレートの2020年作
2008年にデビュー、フルアルバムとしての1作目で、シューゲイザー風味のギターのトーンに
囁くようなデスヴォイスを乗せた、ミステリアスな空間性を描くようなエクスペリメンタルなサウンド。
10分以上の大曲をメインに、それに前後するシンセによるダークなエレクトロのリフレインで、
淡々とした無機質な聴き心地であるが、二本のギターが有機的に絡む叙情的なパートなどもあり、
わりと心地よく鑑賞できる。全体的には、これという盛り上がりがないので、一般のリスナーには退屈かも。
ドラマティック度・7 ミステリアス度・8 重厚度・7 総合・7.5
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ACID'S TRIP 「Strings of Soul
スウェーデンの女性声ハードロック、アシッズ・トリップの2021年作
妖しい女性声にオルガンが鳴り響くイントロから、オールドなギターにハスキーな女性ヴォーカルを乗せた
PURSONなどにも通じる、キャッチーなヴィンテージロックを聴かせる。紅一点、Acid嬢の歌声は、
ときにコケティッシュに、ときにパワフルに、魔女系ロックの妖艶さと、70年代ルーツのポップ感が合わさった
ノリのよいオールドロックサウンドによくマッチしている。歪ませすぎないギターとやわらかなオルガンなど、
アナログ感たっぷりの耳心地に、表現力ある女性ヴォーカルの実力もあって、3〜4分前後の楽曲は
わりとシンプルながら、70年代にトリップするような感覚で楽しめる。女性声ヴィンテージロックの期待の新星です。
キャッチー度・8 ヴィンテージ度・9 女性Vo度・8 総合・8
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Lykantropi 
スウェーデンのヴィンテージロック、ライカントロピの2017年作
さほどハードさのないオールドなギターに、けだるげな男女ヴォーカルを乗せた
わりとユルめのヴィンテージロックで、サイケハード寄りの浮遊感とフォークロック的な
涼やかな牧歌性に包まれる。ドラムをはじめ、アナログ感たっぷりのアンサンブルで、
シンセ類をほぼ使わない、全体的に音数の少ないシンプルな聴き心地であるが、
素朴なヴィンテージ感がむしろ耳に優しい。PURSONなどに比べてもさらにユルめの作風で
これというインパクトはないのだが、音がうるさくないのでのんびりと味わえる好作品。
ドラマティック度・7 ヴィンテージ度・9 女性Vo度・7 総合・7.5
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Lykantropi 「Tales to Be Told」
スウェーデンのヴィンテージロック、ライカントロピの2020年作
3作目となる本作では、女性Voがメインになり、やわらかにフルートが鳴り響き、
軽やかなアンサンブルに、美しい女性ヴォーカルの歌声で、優美なサイケロックを聴かせる。
女性声が前に出ていることで、前作に比べてゆっりとした浮遊感が倦怠の空気を描いていて、
より魔女系ロックに接近したという聴き心地。男性声も加わったナンバーも牧歌的な味わいで、
曲によってはオルガンを使ったり、フルートの活躍もあって、全体的にも優美な感触で楽しめる。
母国語のヴォーカルによるラストナンバーなども、涼やかな叙情性に包まれ、プログレリスナーにもお薦めだ。
ドラマティック度・7 ヴィンテージ度・9 女性Vo度・8 総合・8
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JESS BY THE LAKE 「UNDER THE RED LIGHT SHINE」
フィンランドのヴィンテージロック、ジェス・バイ・ザ・レイクの2019年作
Jess And The Ancient Onesでも活躍する女性シンガー、ジャスミン・サーレラをフロントにしたバンドで、
オールドなギターにオルガンが重なり、女性ヴォーカルの妖しい歌声を乗せたヴィンテージロックを聴かせる。
ピアノも含む美しいシンセアレンジとともに、重すぎないキャッチーな感触はいくぶんサイケロック風でもあり、
表現力ある彼女の歌唱には、けだるげなブルース寄りの雰囲気も漂わせる。3〜4分前後のナンバーを主体に、
7分、9分という大曲では、ドゥーミィな深みをたたえてじっくりと聴かせる。メランコリックなラスト曲も良いですね。
キャッチー度・7 ヴィンテージ度・9 女性Vo度・8 総合・8
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BLACK MOON MOTHER 「ILLUSIONS UNDER THE SUN」
アメリカのサイケドゥーム、ブラック・ムーン・マザーの2020年作
ほどよい重さのツインギターに、しっとりとした女性ヴォーカルを乗せた、ゆっりたとしたドゥームロック。
うっすらとしたシンセに包まれた霞みがかったような幻想性が、艶めいた女性声と合わさって、
妖しい世界観をかもしだす。メタル過ぎないが軽すぎもしないというギターサウンドも絶妙で
ドゥーミィな翳りとオールドロックのノリがバランス良く、ときにメランコリックな女性ヴォーカルが
ゴシック風の味わいにもなっていて、全体的にしっとりとした、うるさすぎない耳心地で楽しめる。
全29分というEP並の短さが残念だが、今後も期待の魔女系ロックバンドです。
ドゥーミィ度・8 ヴィンテージ度・8 女性Vo度・8 総合・8
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VOLUR 「DEATH CULT」
アメリカのドゥームロック、ヴォラーの2020年作
Blood Ceremonyのベーシストを中心としたユニットで、2014年にデビューし、3作目となる。
女性奏者の奏でるヴァイオリンが妖しく鳴り響き、歪んだベースにオルガンなどのシンセを重ね、
詠唱のような男女ヴォーカルとともに、耽美で秘教的なドゥームロックを聴かせる。
ブラックメタルばりの喚き声を乗せた暗黒性と、優雅なヴァイオリンのコントラストが面白く、
ギターは入らないのだが、ヘヴィなベースの存在感が重厚なサウンドを描いている。
ドラムが激しく疾走する場面などは、ほぼブラックメタル気味の感触になったりと、
ドゥーミィながら緩急のある構成で、7〜11分という大曲4曲を暗黒の美で描く異色作。
ドゥーミィ度・8 暗黒度・8 神秘的度・8 総合・8 過去作のレビューはこちら
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ILLUDIUM 「Ash of the Womb」
アメリカのポストメタルバンド、イルディウムの2021年作
2016年にデビューし2作目となる。ギター&ヴォーカル、ドラム、ベースというトリオ編成で、
歪んだベースに物悲しいギターの旋律、たゆたうような女性ヴォーカルを乗せて、
翳りを帯びたオルタナ風のサウンドを聴かせる。アコースティックギターによるフォーク風味や
シューゲイザー、ポストロックなどの要素も内包しつつ、しっとりとした静寂の空気感から
激しめのドラムに轟音ギターを重ねたエモコア風味と、メリハリのある作風で楽しめる。
7〜9分と長めの楽曲をメインにした、メランコリックな女性声オルタナというべき好作品だ。
ドラマティック度・7 メランコリック度・8 薄暗度・8 総合・7.5
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CONTRARIAN 「Only Time Will Tell」
アメリカのテクニカル・デスメタル、コントラリアンの2020年作
2015年にデビュー、4作目となる本作は、SFサイバー風のジャケの雰囲気で、テクニカルなリズムに
巧みなギターと低音デスヴォイスを乗せて、ほどよい叙情を含んだ、プログレッシブ・デスメタルを展開する。
ときにシンセアレンジも加えつつ、ブルータルな暴虐さよりは、優雅なテクニカル性が前に出ているので
案外にメロディアスな質感で楽しめたりする。スリリングな変則リズムたっぷりの緩急ある展開力とともに、
ときに激しく、ときに叙情性も覗かせながら濃密すぎないサウンドを構築。楽曲は2〜4分前後がメインながら、
ラストの7分のナンバーでは、圧巻のプログレデスが味わえる。全34分というのも長すぎずに聴けて良いですね。
ドラマティック度・7 暴虐度・7 テクニカル度・8 総合・8 過去作のレビューはこちら
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Entophyte 「End of Society's Sanity」
ドイツのスラッシュメタル、エントフィーテの1992年作
1作のみで消えたマイナー系バンドの作品が、何故か中国のレーベルから2019年に再発された。
サウンドの方は、クールなギターリフにハイトーンヴォーカルを乗せ、スピードメタル的に疾走しつつ、
テクニカルなリズムチェンジによる、インテレクチュアルな味わいで、マイナーらしい唐突な展開など、
プログレッシブメタル的な感触もある。ギターの奏でる流麗なリフやフレーズにはなかなかセンスを感じさせ、
変則リズムも含めてテクニックは安定しているが、楽曲的には尻切れな感じもあってとらえどころがない。
ボーナスを入れて全35分というのは物足りないし、スラッシュメタルというほどの激しさはあまりないが、
ヘンテコなマイナーメタルという点では、初期のMEKONG DELTAなどが好きな方にも楽しめるかも。
ドラマティック度・7 スラッシュ度・7 ヘンテコ度・8 総合・7.5
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2/11
冬季ブラックメタル祭り(59)


Wolves In The Throne Room 「Primordial Arcana」
アメリカのブラックメタル、ウルヴズ・イン・ザ・スローン・ルームの2021年作
2005年にデビュー、いまや自然崇拝系のネイチャー・ブラックの代表格となったバンドの7作目。
ほどよく叙情的なギターに霧の向こうから響いてくるような喚き声ヴォーカルとともに激しくブラスト疾走、
ミステリアスな神秘性に包まれたサウンドは説得力十分。ゆったりとしたスローパートでは、
涼やかなシンセとともに幻想的な空気感をまとわせつつ、大自然の不穏さを感じさせるような
重厚な迫力もひそめている。後半には10分を超える大曲もあり、激しい疾走感からアコースティックを用いた
静寂パートを挟んだ緩急ある構築力が見事。ブックレットのネイチャーなフォトも含め、強固な世界観を作り上げている。
ドラマティック度・8 暴虐度・7 荘厳度・8 総合・8 過去作のレビューはこちら
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MIASMATA「Unlight: Songs of Earth and Atrophy」
ニューランドのブラックメタル、ミアスマタの2021年作
Mike Wilsonによるソロプロジェクトで、ほどよくラウドなギターにデスヴォイスを乗せて激しく疾走しつつ、
随所に叙情的なメロディアス性も覗かせるという、スラッシーでメロデス的なブラックメタルサウンド。
ブラストビートを含む激しさと、デスラッシュ風味の疾走感に、トレモロを含む叙情的なギターフレーズが、
ときにクサメロ気味の味わいにもなっていて、ダークさは控えめで爽快に楽しめるというのが新鮮である。
ブラックメタルとしての激しさはしっかりと残しながら、ギターのメロディアスなセンスが冴えている。
激しくも泣きメロたっぷりの40分、メロデス好きも、メロブラ好きも寄ってらっしゃいの逸品デス。
メロディック度・8 暴虐度・7 暗黒度・7 総合・8
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MONTE PENUMBRA 「AS BLADES IN THE FIRMAMENT」
ポルトガルのブラックメタル、モンテ・ぺヌンブラの2021年作
マルチミュージシャンとドラムという2人組のユニットで、2013年にデビューし2作目となる。
不穏なギターリフにダミ声ヴォーカルを乗せて激しく疾走する、邪悪な暗黒性に包まれたサウンド。
ときに詠唱のような歌声を含んだ、妖しい神秘性も覗かせつつ、2ビートの疾走感とともに
手数の多いドラムにスラッジ風のザラついたギターが、モノクロームの世界観を描き出す。
ラストは11分という大曲で、激しいブラスト疾走からスローテンポの荘厳なパートをはさんで
叙情的なギターフレーズとともにじわりと盛り上げつつ、後半はアンビエントに締めくくる。
ドラマティック度・7 暴虐度・8 暗黒度・9 総合・8
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Edoma 「Immemorial Existence」
ロシアのブラックメタル、エドマの2021年作
トレモロのギターリフに吐き捨てヴォーカルを乗せ激しくブラスト疾走する、ブラッケンな空気に包まれたサウンド。
殺伐とした圧殺感の中にも、甘すぎない叙情性を感じさせるところは、北欧系ブラックメタルに近い感触で、
ギターフレーズのセンスも含めて、なかなか高品質。暴虐なブラスト疾走からミドルテンポまで、
トレモロまくりのギターリフが心地よく、正統派のブラックメタルが好きなら間違いなく気に入るだろう。
肝となる安定したドラムも含めて演奏力も高く、オードスタイルの純度の高いブラメタが楽しめる。
ドラマティック度・7 暴虐度・8 暗黒度・8 総合・8
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MORK 「Katedralen」
ノルウェーのブラックメタル、モークの2021年作
トーマス・エリクソンによる独りブラックメタルで、2007年にデビューし、本作は5作目となる。
北欧ブラックらしいギターリフと絶叫ヴォーカルを乗せてブラスト疾走する、プリミティブなスタイルで、
ほどよくノイジーで地下臭ただよう、いかにも初期ノルウェイジャン・ブラックメタルらしいサウンド。
随所にスローパートを盛りこみつつ、叙情的なギターの旋律やときにエピックなコーラスも加わって、
全体的に暴虐すぎない聴きやすさがあるので、BURZUMなどに比べて初心者にも楽しめるだろう。
オールドスタイルのブラックメタルに、北欧らしい寒々しくメランコリックな空気を封入した強力作。
ドラマティック度・8 暴虐度・7 プリミティブ度・8 総合・8 過去作のレビューはこちら
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LEBENSNACHT 「THE REALM BEYOND」
フィンランドのブラックメタル、レベンスナクトの2021年作
2人組のユニットで、2012年にデビューし5作目となる。荒々しいギターにスペイシーなシンセを重ね、
ダミ声ヴォーカルを乗せて暴虐にブラスト疾走する、いかにもオールドスタイルのブラックメタル。
わりとスカスカのドラムが初期の北欧ブラックメタルを思わせるが、トレモロのギターリフに重なる
美しいシンセアレンジがシンフォニックブラック的な味わいになっていて、案外に聴きやすい。
ゆったりとした静寂パートも挟みつつ、激しさと叙情が交差する緩急ある展開力もいいですね。
北欧らしい涼やかな空気感とともに、90年代ルーツのアナログ感あるブラックメタルが楽しめる。
ドラマティック度・8 暴虐度・7 プリミティブ度・8 総合・8
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Nyrst 「Orsok」
アイスランドのブラックメタル、ニルストの2020年作
ノイジーなギターにうっすらとしたシンセを重ねて、絶叫するヴォーカルとともに疾走しつつ、
妖しくも寒々しい空気に包まれた、ミステリアスなプリミティブ・ブラックメタルを聴かせる。
9分、10分という大曲もあり、ときにトレモロを含むギターリフがほどよい叙情を描きながら、
ミドルテンポによるどっしりとしたパートでは、ダークで荘厳な雰囲気に包まれる。
派手な展開などはあまりないが、ブラックメタルとしてのツボを押さえた聴き心地で、
甘すぎない暗黒美と荒涼とした北の大地を思わせる幻想的なサウンドが味わえる。全41分。
ドラマティック度・7 暴虐度・7 プリミティブ度・8 総合・7.5
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BOTANIST「PHOTOSYNTHESIS」
アメリカのポストブラックメタル、ボタニストの2020年作
2011年にデビュー、科学的な視点から自然保護をテーマにする、「グリーンメタル」とも称されるバンド。
本作は7作目で、重すぎないギターにうっすらとしたシンセとマイルドなヴォーカルを乗せ、
ときにハンマー・ダルシマーの優美な音色を重ねた、耳心地の良いポストブラックメタル。
喚き声ヴォーカルを乗せて激しく疾走するパートでも、邪悪さのあまりない聴き心地は、
DEAFHEAVENなどにも通じるだろう。楽曲は3〜5分前後と比較的シンプルで、
楽曲ごとに「水」「細菌」「酸素」などの曲名を付けているのも、科学的な環境メタルらしい。
神秘的な優雅さに包まれたも自然派ポストブラック。日本盤にはデモ音源を5曲追加収録。
ドラマティック度・7 暴虐度・6 優雅度・8 総合・7.5
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SVNTH 「SPRING IN BLUE」
イタリアのポストブラックメタル、スヴンスの2020年作
叙情的なギターにダミ声ヴォーカルを乗せて、ゆったりとしたパートから、ブラスト疾走へと展開する、
エクスペリメンタルな味わいのポストブラックメタル。ツインギターが奏でる物悲しい旋律とともに、
不穏な空気に包まれながら、10分を超える大曲を中心に、随所に激しい疾走パートを含んだ、
スケールの大きな構築力で聴かせる。全体的にはインストパートがメインで、ヴォーカルはほとんどオマケ程度。
トレモロを含む叙情的なギターの旋律が前に出ているので、激しいブラックメタルが苦手な方にも楽しめるだろう。
ドラマティック度・8 暴虐度・7 叙情度・8 総合・8
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THE BISHOP OF HEXEN 「THE DEATH MASQUERADE」
イスラエルのシンフォニック・ブラックメタル、ビショップ・オブ・ヘクセンの2020年作
1997年にデビュー、本作は14年ぶりとなる3作目。硬質なギターになオーケストラルなアレンジを重ね、
ダミ声ヴォーカルを乗せた、重厚かつ壮麗なシンフォニック・ブラックメタルサウンドを聴かせる。
随所に疾走パートも盛りこみつつ、耽美で優雅な世界観に包まれるところは、Cradle of Filthにも通じるが、
全体的にミドルテンポのパートが多いので、暴虐な激しさが好みの方にはやや物足りないかもしれない。
楽曲は6〜8分前後が主体で、シアトリカルな語りや女性声を加えたパートなど、緩急ある展開力とともに
ドラマティックに味わえる。暗黒性よりも壮麗なシンフォニック性が前に出ているので、初心者にも聴きやすい作品だ。
シンフォニック度・8 暴虐度・7 壮麗度・8 総合・7.5
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Khazad Dum 「Hymns from the Deep」
イギリスのドゥーム・ブラックメタル、カザド・ダムの2020年作
トールキンの「指輪物語」をコンセプトにした作品で、詠唱のようなイントロから、唸るような低音デスヴォイスと
ゆったりとしたギターリフが重なって、妖しくも重厚な空気に包まれたフューネラルなドゥームメタルが広がってゆく。
12〜13分という大曲をメインにした全5曲という構成で、スローテンポを主体にしつつ、トレモロのギターを乗せた
ほどよいノリからブラックメタルばりのブラスト疾走も覗かせるなど、緩急のついた流れはなかなかドラマティック。
うっすらとしたシンセの味付けも幻想的な空気感に一役かっている。曲が長いので気が短い方には向かないが、
浸れる方にはこの暗黒サウンドが心地よく楽しめるだろう。AHABなどの絶望系ドゥームが好きな方もぜひ。
ドラマティック度・8 フューネラル度・9 重厚度・8 総合・8
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FURZE 「TRIDENT AUTOCRAFT」
ノルウェーのブラックメタル、ファーゼの2000/2006年作
ドラム、ベース、ギター、ヴォーカルをほぼ一人でこなす、Woe J. Reaper氏による独りブラックメタルのデビュー作で、
こもり気味のドラムにノイジーなギターとダミ声ヴォーカルを乗せた、いかにもプリミティブなブラックメタル。
激しいブラスト疾走からスローテンポまで、わりと緩急ある作風であるが、スカスカの音質の弱さも含めて、
暴虐性はさほど感じず、初期BURZUMにも通じるような、どんよりとしたおどろおどろしさに包まれている。
ラストは12分という大曲で、アヴァンギャルドな雰囲気も覗かせながら、後半は淡々としたドラムソロという謎。全31分。
ドラマティック度・6 暴虐度・7 プリミティブ度・8 総合・7
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DIABOLICAL MASQUERADE 「RAVENDUSK IN MY HEART」
スウェーデンのブラックメタル、ディアボリカル・マスカレードの1996年作
KATATONIAのAnders Nystromのプロジェクトで、入手困難だった初期作が、2021年に再発された。
ほどよく叙情的なギターにダミ声ヴォーカルを乗せて疾走する、メロディック・ブラックメタル的な感触で、
ギターのフレージングには、初期のKATATIONIAにも通じるメランコリックなメロディを漂わせる。
激しい疾走パートからミドルテンポへのリズムチェンジなどには、知的な構築センスも感じさせ、
耽美なミステリアス性とともに、単なるブラックメタルという以上のプログレッシブな雰囲気がある。
Ege of Sanityのダン・スワノがミックスを手掛け、ヴォーカルでもゲスト参加している。
ドラマティック度・8 暴虐度・7 叙情度・8 総合・7.5 過去作のレビューはこちら
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DIABOLICAL MASQUERADE 「The Phantom Lodge」
スウェーデンのブラックメタル、ディアボリカル・マスカレードの1997年作
こちらも2021年再発盤でやっと入手。本作もダン・スワノがミックスとプロデュースを手掛けていて、
シンセによるアレンジが加わったことで、随所にシンフォニックブラック的な味わいも感じられる。
迫力を増したダミ声ヴォーカルを乗せて、激しい疾走からの静寂パートへと、緩急ある展開力で
プログレッシブなブラックメタルを聴かせる。音質面でのクオリティアップもサウンドの説得力を高めており、
メランコリックな叙情パートでは、初期KATATONIAに通じる雰囲気もある。3rd以降に比べると、
まだ粗削りな部分もあるが、Anders Nystrom(Blackheim)のセンスが発揮された力作である。
ドラマティック度・8 暴虐度・7 叙情度・8 総合・7.5
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1/28
メロデスにブラックメタル(45)


ABLAZE MY SORROW 「Among Ashes and Monoliths」
スウェーデンのメロディック・デスメタル、アブレイズ・マイ・ソロウの2021年作
1995年にデビュー、IN FLSMESなどの後続バンドとして、2002年までに3作を残して消えるが、2016年に復活、
本作は5年ぶりとなる5作目。重厚なギターにシンセを重ねた1曲めから、吐き捨てヴォーカルを乗せて疾走する、
涼やかな叙情のメロデスサウンドは健在。かつてのAT THE GATESなど、イエテボリ系というべきリフと
ほどよくメロディアスなギターフレーズで、まさにオールドスタイル・メロデスの王道という聴き心地だ。
どっしりとしたミドルやスローテンポから、デスラッシュ気味の疾走ナンバーまで、エッジの効いたギターと
90年代ルーツのうるさすぎないデスヴォイスで、DARK TRANQUILLITYのファンなどにも楽しめるだろう。
ドラマティック度・8 暴虐度・7 叙情度・7 総合・8 過去作のレビューはこちら
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SepticFlesh 「Infernus Sinfonica MMXIX」
ギリシャのシンフォニック・デスメタル、セプティックフレッシュのライブ。2020年作
1991年デビューのベテランで、本作は総勢100名を超える、フルオーケストラ&合唱隊との共演ステージを2CDに収録。
メタリックなヘヴィネスに壮麗なオーケストラサウンドが融合、低音デスヴォイスを乗せたブルータルな激しさと、
バンドの世界観である神秘的なスケール感が、シンフォニーをバックに重厚かつシンフォニックに繰り広げられる。
硬質感のある巧みなドラムとベースを軸にしたアンサンブルが、過去の楽曲もモダンなヘヴィネスで蘇らせていて、
原曲とは別物のような迫力に包まれている。ときに不穏なストリングスが、ダークなクラシカル性をかもしだし、
合唱隊の厳かなコーラスが秘教的な神秘性を描き出す。暗黒のデスメタルとオーケストラが重厚にまじわるライブです。
壮麗度・8 重厚度・9 ライブ演奏・8 総合・8 過去作のレビューはこち
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IMPERIAL AGE 「LIVE ON EARTH」
ロシアのシンフォニックメタル、インペリアル・エイジの2020年作
2021年にデビューし、これまでに3作のスタジオ作を出している。本作はコロナ禍でのオンラインライブを2CDに収録。
メタリックなギターに美麗なシンセアレンジ、男女ヴォーカルを乗せた壮麗なシンフォニックメタルを聴かせる。
2人女性ヴォーカルの美しい歌声と男性声のコントラスト、オーケストラルな壮大さはTHERIONにも通じる感触で、
14分という大曲から、ほどよい激しさとキャッチーなノリも含んだナンバーなども、華麗な聴き心地で楽しめる。
タイトなドラムをはじめバックの演奏も安定感があり、歌詞は英語なのでさほどロシア臭さはないのだが、
曲によってはフルートやヴァイオリンなどによる民族色を感じさせる優雅なメロディも覗かせる。
CD2枚で全19曲、壮麗な男女声シンフォニックメタルの濃密なライブ演奏が詰まった内容です。
シンフォニック度・8 ライブ演奏・8 濃密度・8 総合・8 過去作のレビューはこちら
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RAGE OF LIGHT「Imploder」
スイスのモダン・シンフォニック(デス)メタル、レイジ・オヴ・ライトの2019年作
シンセによるきらびやかなイントロから、メタリックなギターを激しく硬質なドラムに乗せ、
伸びやかな女性ヴォーカルとともに、AMARANTHEなどにも通じる華麗なサウンドを聴かせる。
随所に凶悪なスクリームも使い分ける、メリッサ嬢のエモーショナルな歌声もなかなか魅力的で、
男性デス声も加えてのメロデス風の激しさを覗かせつつ、美麗なシンセアレンジも際立っている。
トランスノリのシンセアレンジを含む、シンフォニック性とアグレッシブなエクストリーム感が合わさり、
全体的にも派手やかな耳心地ではあるが、メロデスとしてはギターリフなどの面白みが足りないし、
シンフォニックメタルとしては激しすぎるという。ボーダーレスの方向性が今後どこへ向かうのかも注目したい。
シンフォニック度・8 アグレッシブ度・8 女性Vo度・8 総合・8
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STORMLORD 「FAR」
イタリアンのエピック・ブラックメタル、ストームロードの2019年作
1999年にデビュー、本作は6年ぶりとなる6作目。4th以降は疾走する激しさが薄れていたのだが、
オーケストラルなイントロから、重厚なギターと低音デスヴォイス&喚きヴォーカルを乗せて暴虐に疾走。
荘厳なコーラスと華麗なシンセアレンジに、クラシカルなピアノなども加えた、壮大にして優雅な聴き心地だ。
随所に叙情的なスローパートやノーマルヴォイスも乗せた、正統派のシンフォニックメタル風味もあって、
激しいブラスト疾走パートとのコントラストで、前作に比べると非常にメリハリのある味わいになった。
初期のようなクサメロ寄りのドラマ性とはまた違った、スケール感のあるシンフォニックブラックが楽しめる。
シンフォニック度・8 暴虐度・7 エピック度・8 総合・8 過去作のレビューはこちら
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AONARACH 「I」
スコットランドのブラックメタル、アオナラックの2021年作
トレモロを含むノイジーなギターにうっすらとしたシンセと喚き声ヴォーカルを乗せて激しく疾走しつつ、
霧がかかったような涼やかなサウンドは、アトモスフェリック系のネイチャーブラックという聴き心地。
8〜10分の大曲が4曲という構成で、こもり気味の音質も含めてオールドスタイルのブラックメタルを基盤に、
さほど盛り上がらないコールドな空気感とリフレインで、淡々として寒々しい音を描く、わりと硬派な印象だ。
ブラストする激しさと随所にスローパートを織り込んだ、緩急あるリズムチェンジも覗かせながら、全体的には、
ほどよい激しさのヴィンテージな幻想ブラックメタルが味わえる。曲は長いが、全4曲なのでちょうどよい。
ドラマティック度・7 暴虐度・7 アトモス度・8 総合・7.5
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Misanthur 「Ephemeris」
ポーランドのブラックメタル、マイサンスアーの2021年作
叙情的なギターに語るようなヴォーカルを乗せたイントロから、ドゥーミィなリフに吐き捨て声のダークさに
うっすらとしたシンセによる静寂パートをはさんでのブラスト疾走と、起伏のある展開を見せてゆく。
暴虐な激しさとスローパートが自然と同居していて、7〜9分前後の長めの楽曲を中心に構築するところは、
いわば、プログレッシブなデプレッシブ・ブラックメタルという印象。トレモロのギターリフにダミ声ヴォーカルで、
激しく疾走する王道のブラックメタルスタイルから、ノーマル声を乗せた叙情的なスローパートなど、
甘すぎないメロディアス性も含めて日本人好みの作風だ。女性声を乗せたメランコリックなナンバーもあり、
耽美で神秘的な空気感は、カスカディアン・ブラック系のリスナーにも楽しめる。
ドラマティック度・8 暴虐度・8 デプレッシブ度・8 総合・8
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ENEFERENS 「BLEAKNESS OF OUR CONST」
アメリカのポストブラックメタル、エネフェレンスの2018年作
2016年にデビューし、3作目。個人プロジェクトのいわゆる独りブラックメタルで、叙情的なギターの旋律に導かれ、
トレモロのギターリフと唸り声ヴォーカルを乗せてブラスト疾走。スローパートではゆるやかな叙情美に包まれて、
KRALLICEなどにも通じるポストブラックメタルを構築してゆく。アコースティックギターやシンセによる味付けも
サウンドの幻想的な雰囲気に効果的で、ときにマイルドなヴォーカルを乗せたやわらかなパートなど、
緩急ある構築力とともに、ドラムを含めた全パートを一人でこなしているとは思えないクオリティである。
アンビエント寄りの小曲を配したり、ラスト曲は優雅なアコースティックパートから、叙情的なギターの旋律を乗せ、
ダミ声とともに疾走するという展開で、3拍子のリズムとともにメランコリックな哀愁に包まれる。
ドラマティック度・8 暴虐度・7 叙情度・8 総合・8
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INTER ARMA 「The Cavern」
アメリカのスラッジ・ブラックメタル、インター・アルマの2014年作
2010年にデビューし、3作目となる。本作は全45分という長大な楽曲を1曲のみ収録。
ギターとストリングスによる叙情的な導入から、ヘヴィなギターの轟音にわめき声ヴォーカルも加え
重厚なスラッジブラックを展開。殺伐としたリフレインによるドゥーム感触に不穏なヴァイオリンの音色、
ときにツインギターによる叙情的な旋律も含ませて、緩急あるプログレッシブな展開で大曲を構築する。
マイルドなヴォーカルを乗せたところでは、ポストロック的なスケール感もただよわせていて、
とにかく曲は長いのだが、暗黒性は控えめなのでわりと聴きやすかったりする。長い曲OKな方はどうぞ。
ドラマティック度・7 暗黒度・7 重厚度・8 総合・8 過去作のレビューはこちら
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INTER ARMA 「Garbers Days Revisited」
アメリカのスラッジ・ブラックメタル、テンター・アルマの2020年作
いまや暗黒スラッジの中堅バンド。6作目となる本作は、わりとオールドなギターに吐き捨てヴォーカルを乗せた
ヴィンテージなスラッジ・ドゥームという感触で、スペイシーなシンセアレンジを加えるなど、新たな方向性も感じさせる。
全体的にはブラックメタル要素はやや減退してはいるが、絶叫するヴォーカルにはその名残を残していて、
サイケな浮遊感とオールドなドゥーム要素を無機質に同居させたという作風で、唐突に現れるブラストビートなど、
アヴァンギャルドなセンスは健在。いくぶんこもり気味の音質もアナログ的で、ミステリアスな不穏さを演出している。
全37分というのもやや物足りないのだが、バンドの深化を感じさせる異色のサウンドが楽しめる。
ドラマティック度・7 暗黒度・7 重厚度・8 総合・8
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BELENOS 「BEST OF LIVE - 22nd Anniversary」
フランスのペイガンブラックメタル、ベレノスのライブ。2018年作
2000年にデビュー、激しさと叙情が同居したサウンドで、通好みのペイガンブラックを聴かせるバンド。
本作は2017年のライブを収録。自主制作時代を含めた、デビュー22年を記念したステージのようで、
過去作からのナンバーをたっぷり盛り込んだ全77分。トレモロを含むギターリフを乗せて激しくブラスト疾走、
邪悪な唸り声ヴォーカルとともに、詠唱のような歌声がペイガンな勇壮さをかもしだし、初期ENSLAVEDにも通じる
神秘的な世界観を描いてゆく。くっきりしすぎない音質も逆に良い感じで、ライブとしての生々しさが伝わってくる。
ほどよい叙情性と激しさ、涼やかな空気と土着感…幻想ペイガンブラックが好きな方にはお薦めのライブです。
ライブ演奏・8 暴虐度・8 幻想ペイガンブラック度・9 総合・8 過去作のレビューはこちら
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GERM「GRIEF」
オーストラリアのポストブラックメタル、ゲルムの2013年作
DUNGEONやLORDなどに在籍し、Autumn's Dawnなどで活躍するティム・ヤトラスによるプロジェクトで、
本作は2作目となる。妖しいジャケのイメージが印象的だが、靄のかかったようなシンセに包まれて、
トレモロのギターに泣き叫ぶようなヴォーカルを乗せて、ほどよい激しさも含んだメランコリックなサウンド。
随処に叙情的なギターの旋律もまじえつつ、曲によってはエレクトロなシューゲイザー感もあったりと、
全体的には暗黒性は控えめで、きらびやかなシンセアレンジも含めたシンフォニックな感触も覗かせる。
優美なシンセにノーマルヴォーカルを乗せたしっとりとしたナンバーは、ポストプログレ風にも味わえる。
2016年の再発盤は2枚組で、Disc2には、オンラインのみで発表されたアンビエントな2曲を30分弱収録。
ドラマティック度・7 暗黒度・7 叙情度・8 総合・8
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SIGH 「Heir to Despair」
日本のプログレッシブ・ブラックメタル、サイの2018年作
1993年にデビュー、いまや日本が誇るプログレッシブ・ブラックの代表バンド。本作は11作目で、
ジャケのナチュラルな不気味さも相当だが、オールドな感触のギターリフにフルートも鳴り響き、
サイケな浮遊感に三味線などの旋律も含んだ1曲目から、独自のセンスが炸裂している。
今作では、日本語歌詞をメインにした曲が多く、怨念めいた和風の土着感を溶け込ませた、
アヴァンギャルドな空気感とともに、激しいパートからの唐突なリズムチェンジなど緩急ある作風で、
奇妙なサイケ・ブラックが楽しめる。中盤のエレクトロなナンバーも含めて、安定のやりすぎ感です。
ドラマティック度・7 暗黒度・7 アヴァンギャル度・8 総合・8 過去作のレビューはこちら
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Veiled in Scarlet 「Atonement」
日本のメロディック・デスメタル、ヴェイルド・イン・スカーレットの2018年作
元SERPENTのKeija率いるバンドで、2012年にデビュー、フルアルバムとしては3作目となる。
本作では、ヴォーカルが交替しシングルギターの編成となっているが、美麗なシンセアレンジに
重ねられた流麗なギター、吐き捨てヴォーカルを乗せて疾走する、優雅なメロディック・デスメタルは健在。
テクニカルなフレーズを奏でる、Izoのギターワークも随所に冴えを見せ、アグレッシブな疾走感と
耽美なメランコリズムが同居したバンドの世界観はさすがというところ。楽曲は3〜4分前後と、
比較的シンプルではあるが、叙情派メロデスとしての明快な味わいで、最後まで軽やかに楽しめる。
メロディック度・8 暴虐度・7 優雅なダーク度・8 総合・8 過去作のレビューはこちら
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大人のHR/HMはいかが(30)


Sweet Oblivion 「Relentless」
スウィート・オブリヴィオンの2021年作
QUEENSRYCHEのジェフ・テイトをフロントにしたバンドで、本作は2作目となる。前作のシモーネ・ムラーニに代わり
SECRET SPHEREのアルド・ロノビレがプロデュース、サウンドは、きらびやかなシンセをギターに重ね、
伸びやかな歌声を乗せた、シンフォニックメタル風味に、ほどよくダークなヘヴィネスとキャッチーな感触が同居。
楽曲は3〜4分前後で、どっしりとしたミドルテンポのナンバーを主体に、ジェフの歌声をじっくりと聴かせる作風で、
わりとオーソドックスなハードロック風味も含めて、さほど新鮮味はないのだが、優美なシンセによる味付けや、
ときに流麗なギタープレイも加わって、多くのメタルリスナーが楽しめる内容だろう。叙情的なバラードナンバーなども、
ジェフの歌声がよく映えていて、ドラマティックなラスト曲まで、一貫した雰囲気でトータルに楽しめる好作である。
ドラマティック度・8 重厚度・8 ジェフ・テイト度・8 総合・8
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ICON OF SIN
メタルバンド、アンコン・オヴ・シンの2021年作
IRON MAIDENトリビュートでブルース・ディッキンソンばりのシンガーとして知られる、ラファエル・メンデス率いるバンドで
正統派のギターにパワフルなヴォーカルを乗せた、80〜90年代ルーツの王道のヘヴィメタルを聴かせる。
アイアン・メイデンやジューダス・プリーストなどオールドスタイルのメタルサウンドを基本にしつつ、
随所に流麗なギタープレイも覗かせたり、伸びやかな歌声とともにほどよくキャッチーな感触もあって、
多くのメロパワリスナーが楽しめる作風だ。楽曲はミドルテンポが主体だが、疾走するナンバーもあり、
全体的にバランスのとれた聴き心地。さほど新鮮味はないが、いかにもメイデン風のツインギターで
ドラマティックに聴かせる8分のナンバーなどはニンマリ。正統派のメタルが好きな方にはもってこいの作品だ。
メロディック度・8 疾走度・7 正統派度・8 総合・8
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Joel Hoekstra's 13 「Running Games」
アメリカのギタリスト、ジョエル・ホークストラのプロジェクト、13の2021年作
元ナイト・レンジャー、現ホワイトスネイクのギタリストとして知られるミュージシャンで、13名義としては2作目となる。
ラッセル・アレン、ヴィニー・アピス、トニー・フランクリン、ジェフ・スコット・ソート、デレク・シェリニアンといった凄腕メンバーが参加、
骨太のリフとメロディを弾きこなすギターに、パワフルで伸びやかなラッセル・アレンの歌声を乗せ、ほどよくメロディックなフックのある
王道のハードロックを聴かせる。80年代的でもあるブルージーな古き良きHR感触から、キャッチーで爽快なメロハーナンバー、
スローテンポの叙情ナンバーまで、確かな実力の演奏陣と歌唱も含めて、非常に聴きごたえがある。ギターも目立ちすぎることなく、
リフを主体に楽曲を活かしつつ、随所に味のあるメロディとフレーズを奏で、サウンドを彩ってゆく。まさに大人の王道ハードロック。
メロディック度・8 王道HR度・8 大人のHR度・9 総合・8
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THE END MACHINE 「PHASE 2」
DOKKENのメンバーを中心にしたハードロック、ジ・エンド・マシーンの2021年作
ジョージ・リンチ、ジェフ・ピルソン、ロバート・メイソンに、本作では引退したミック・ブラウンに替わり、
実弟のスティーブ・ブラウンがドラムで参加、サウンドは前作に続き、80年代のドッケンを思わせる
ノリの良い王道のハードロックで、ジョージ・リンチの巧みなギタープレイもたっぷりと楽しめる。
ドラムも含めて音が重すぎないところも、80年代スタイルを感じさせ、オールドリスナーには嬉しいだろう。
ロバート・メイソンの伸びやかな歌声は、スローテンポの叙情ナンバーにも似合っていて、
日本人好みのキャッチーな哀愁に包まれるナンバーは、新鮮味はなくとも、とても耳心地良い。
メロディック度・8 王道HR度・9 ドッケン度・9 総合・8
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Robin McAuley 「Standing on the Edge」
アイルランド出身のシンガー、ロビン・マッコーリーの2021年作
MSG/MSF、Black Swanなどで活躍するシンガーで、本作はアレッサンドロ・デル・ヴェッキオがプロデュース、
きらびやかなシンセとほどよくハードで叙情的なギターに、エモーショナルなヴォーカルを乗せた、
キャッチーなメロディアスハード作品。うるさすぎない伸びやかな歌声と透明感あるシンセアレンジが、
北欧系メロハーのような耳心地で、楽曲自体は3〜4分前後と比較的オーソドックスな作風ながら、
全体的に優雅なメロディアス性に包まれて、軽すぎず重すぎずというバランスのとれた味わいで楽しめる。
オルガンの音色を使った暖かみのあるアレンジなども含め、オールドなメロハーファンにお薦めの好作品。
メロディック度・8 キャッチー度・8 メロハー度・9 総合・8
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WIG WAM「Never Say Die」
ノルウェーのハードロック、ウィグ・ワムの2021年作
2004年にデビュー、80年代のLAメタルを甦らせたようなサウンドで人気を博すも、21014年に解散。
本作は、2012年以来となる5作目で、8年ぶりの復活作。メンバーのヴィジュアルはずいぶん変ったが、
サウンドの方も、キャッチーな叙情性に大人の哀愁も含んだ、どっしりとした聴きこ心地になっている。
流麗なメロディとヘヴィなリフを弾きこなすギターワークは、キャリアを感じさせる堂々たるもので、
メタル寄りの重厚さも描きつつ、パワフルなグラムの歌声がサウンドを華やかに彩ってゆく。
叙情的なバラードやメロウなギターを聴かせるインストナンバーなども、アクセントになっていて
アルバムとしてのバランスもいい。全体的には、爽快なメロディのフックがもっと欲しい気もするが、それは今後に期待。
メロディック度・8 キャッチー度・7 どっしり骨太度・8 総合・8 過去作のレビューはこちら
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Jakob Samuel 「CoExist」
スウェーデンのミュージシャン、ヤコブ・サミュエルの2021年作
惜しくも2018年に解散した、The Poodlesの元ヴォーカリストで、ソロとしては2012年以来となる2作目。
ほどよくヘヴィなギターに、味わいのあるヴォーカルを乗せて、キャッチーなノリの良さと哀愁の叙情が同居した、
骨太のハードロツクを聴かせる。オーケストラアレンジが美しいバラードナンバーや、わりとモダンな雰囲気のナンバー、
プードルズを思わせる爽快なメロディアスハードから、LAメタル寄りのポップ感や、ファンキーなアレンジまで、
なかなかバラエティに富んでいる。全体としては大人のハードロックというべき雰囲気に包まれていて、
シンガーとしてのヤコブの表現力もさすが。ボーナス含めて36分ほどながら、プードルズファンには楽しめる内容です。
メロディック度・8 プードルズ度・8 大人のHR度・9 総合・8
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Reb Beach 「A View From The Inside」
アメリカのミュージシャン、レブ・ビーチの2020年作
WINGER、WHITESNAKEのギタリストとして知られるミュージシャンで、ソロとしては2001年以来、19年ぶりの作品。
テクニカルで流麗なギターを軽快なリズムに乗せたインストサウンドで、優雅なフュージョン風味と
ハードロック感触が融合した聴き心地。随所にスウィープやタッピングなどの巧みなプレイを披露しつつ、
肩の力の抜けたベテランらしい自然体の作風で、インストながらもキャッチーな味わいで楽しめる。
フィリップ・バイノ、ジョン・ホールというベーシストのプレイも、ギターを引き立ててながら、存在感を発揮。
軽妙なアンサンブルとともに、レブの卓越したギタープレイをたっぷりと鑑賞できる逸品です。
メロディック度・8 テクニック度・8 優雅度・8 総合・8
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Vitalij Kuprij 「Progression」
ウクライナ出身のミュージシャン、ヴィタリ・クープリの2020年作
Artensionのシンセ奏者として知られる彼の、ソロとしては、2008年のピアノ作品以来となるアルバム。
マイケル・ハリス(Thought Chamber)、ロジャー・スタフルバッハ(Artension)、ビル・ハドソン(NORTHTALE)、
クリスチャン・ミュンツナー(Eternity's End、PARADOX)、アンガス・クラーク、レオナルド・ポルケッドゥ、
ハヴィエ・リール、スティーヴ・ドーマンなど、多数のギタリストが参加。きらびやかなシンセワークに
流麗なギターフレーズが絡む、インストによるネオクラシカル・メタルを聴かせる。テクニカルな構築力は
ときにプログレメタル的な感触もあり、クラシカルなピアノも含めて、優美なシンセアレンジが素晴らしい。
PLANET Xのようなフュージョン色はなく、あくまでクラシカルな様式美メタルを基盤にしたサウンドが楽しめる。
クラシカル度・8 テクニカル度・8 優雅度・8 総合・8
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BLACK ROSE MAZE
イタリアのハードロック、ブラック・ローズ・メイズの2020年作
カナダ出身の女性シンガー、ローザ・ラリキュータをフロントに、アレッサンドロ・デル・ヴェッキオがプロデュース。
ほどよくヘヴィなギターに、ハスキーな女性ヴォーカルを乗せた、80〜90年代ルーツのハードロックサウンド。
エモーショナルに歌い上げるローザの歌唱と、キャッチーなメロディのフックで聴きやすい反面、
楽曲自体は3〜4分前後でわりとオーソドックス。新鮮さやインパクトはあまり感じないのだが、
DANTE FOXあたりに通じる、正統派の女性声メロディアスハードとしては、高水準な出来である。
ジャケのイメージからシンフォニックメタルかなと勘違いしそうだが、シンプルな女性声HRの好作です。
メロディック度・8 キャッチー度・7 女性Vo度・8 総合・8
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Midnight City 「 Itch You Can't Scratch」
イギリスのハードロック、ミッドナイト・シティの2021年作
2017年にデビューし、すでに3作目。正統派のギターにきらびやかなシンセアレンジ、
伸びやかなヴォーカルを乗せた、オールドスタイルのキャッチーなハードロック。
80年代ルーツのグラムロックや、LAメタルの華やかな雰囲気もまとわせていて、
デンジャー・デンジャーやモトリー・クルーのイギリス版という感じもあるが、わりと骨太のギターと
シンセによる厚みのあるアレンジは聴きごたえ充分。これという新鮮味はないものの、曲によっては
メロハー寄りの叙情とフックもあって、ゴージャスさとウェットな味わいが同居した高品質なアルバムだ。
メロディック度・8 キャッチー度・8 80年代スタイル度・9 総合・8
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SON OF MAN 「STATE OF DYSTOPIA」
イギリスのハードロック、サン・オブ・マンの2020年作
MANのギター、ドラム、Sassafrasのヴォーカル、シンセなどのメンバーで2016年にデビュー、本作は2作目となる。
オードなテイストのギターにオルガンなどのシンセを重ね、伸びやかなヴォーカルを乗せた、
70年代ルーツのヴィンテージなハードロックサウンド。これという新鮮味はないのだが、
きらびやかなシンセとキャッチーなメロディで聴かせるナンバーなどは耳心地よく、
叙情的なギターソロなども随所に光っている。哀愁も含んだ大人のハードロック作品です。
メロディック度・7 叙情度・7 オールドHR度・8 総合・7.5
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Rob Moratti「Paragon」
カナダのシンガー、ロブ・モラッティの2020年作
SAGAやFinal Frontierにも在籍していたヴォーカリストで、ソロとしては2011年作から数えて5作目。
流麗なギターに美しいシンセを重ね、マイルドなヴォーカルとともに、透明感のあるサウンドを描く。
キャッチーなメロディのフックと涼やかな叙情性は、北欧系メロディアスハードにも通じる感触で、
どの曲もじつに耳心地良く楽しめる。SECTION Aなどでも活躍するトーベン・エネヴォルドのギターも、
随所に泣きのフレーズを奏でて、楽曲を支えている。どこを切ってもまさに王道メロハーという傑作です。
メロディック度・9 キャッチー度・9 王道メロハー度・9 総合・8
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Hour of 13 「Black Magick Rites」
アメリカのドゥームメタル、アワー・オブ・サーティーンの2021年作
チャド・デイヴィス氏による個人ユニットで、2007年にデビューし、本作は8年ぶりとなる4作目。
いかにもオールドなギターリフに、朗々としたヴォーカルを乗せた、カルトなドゥームメタルは健在。
ほどよくウェットな叙情を含んだギターも相変わらず絶妙で、サバスルーツの古き良きテストのリフから
メロディアスなフレーズまでじつに良いセンスをしている。5〜8分前後の楽曲は、スローテンポを基本に、
随所に正統派メタル寄りのノリもあって、遅すぎるドゥームが苦手な方でもわりと楽しめるだろう。
新鮮味はほぼないが、70〜80年代から受け継がれた王道のドゥームメタルが味わえる強力作。
ドラマティック度・7 ドゥーム度・9 古き良き度・9 総合・8 過去作のレビューはこちら
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Noctum 「The Seance」
スウェーデンのドゥームメタル、ノクタムの2010年作
重すぎないギターにマイルドなヴォーカルを乗せた、いくぶんユルめの聴き心地のドゥームロック。
初期BLACK SABBATHなど、70年代ルーツのハードロック感触を基本にしつつ、
ほどよく叙情的なギターとヘタウマな歌声が、ウェットなマイナー性をかもしだす。
メタルというにはヘヴィさはなく、むしろスカスカなところがひなびた味わいなので、
かつてのPagan Altarなど、ヴィンテージな幻想ドゥームのファンに楽しめるかと。
楽曲は4〜5分前後で、これというインパクトはないが、ほどよい怪しさのドゥームロックです。
ドラマティック度・7 ドゥーム度・8 古き良き度・8 総合・7
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本年もメタルでよろしくお願いいたします(15)


Dream Theater 「Lost Not Forgotten Archives : Images and Words - Live in Japan, 2017」
アメリカのプログレメタル、ドリーム・シアターのオフィシャルブートレッグ。2021年作
1992年の傑作「Images and Words」を、25周年で完全再現した、2017年、日本でのステージを収録。
ご存知の通り、DT初期の最高傑作であり名曲多数。当時のメンバーから、ドラムとシンセが交替しているものの、
確かな演奏力と楽曲そのものの魅力と展開美で、年月をへてもなお、スリリングに楽しめるのは素晴らしい。
ラブリエのヴォーカルには、エフェクトがかかっているようで、高音部をフェイクでカバーしたり、やや苦しいのだが、
ルーデスの美麗なシンセワークとペトルーシのギターの表現力はさすがで、楽曲のイメージをしっかりと再現している。
一方では、「Take The Time」の間奏に即興的パートを盛り込むなど、大人の余裕を感じさせるアレンジも面白く、
「Metropolis」では、マンジーニのドラムソロも披露。なんだかんだで、名作を完全再現したファン必聴のライブです。
ライブ演奏・8 音質・8 名作度・9 総合・8 過去作のレビューはこちら
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LEPROUS 「Aphelion」
ノルウェーのプログレッシブメタル、レプラスの2021年作
2009年にデビュー、EMPERORのイーサーンの義弟エイナル・スーベルグが率いるバンドで、本作は7作目となる。
シンセをバックに独特のエモーショナルな歌声を乗せた導入部から、すでにミステリアスな空気を漂わせてるが、
モダンでキャッチーな感触に、ヴァイオリンが鳴り響く優雅なアレンジ、エレクトロでデジタルな質感も取り入れるなど、
変幻自在のセンスはさすが。しっとりとしたポストプログレ的な繊細さから、メタリックなヘヴィネスへの展開など、
知的な構築力も際立っていて、ヴォーカリストとしての表現力も含めて、アーティストとしての円熟の域を感じさせる。
全体的には、翳りを帯びたゆったりとしたパートが多いのだが、ラスト曲はこれぞプログメタルという展開で楽しめる。
ドラマティック度・7 プログレ度・7 薄暗叙情度・8 総合・8 過去作のレビューはこちら
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NAWATHER 「KENZ ILLUSION」
チュニジアのプログレメタル、ナワサーの2021年作
2015年にデビューして、2作目となる。アラビックな旋律に、女性ヴォーカルを乗せたイントロから、
メタリックなギターに艶やかなヴァイオリンの音色、モダンできらびやかシンセアレンジとともに、
低音デスヴォイスを乗せたアグレッシブな迫力と、民族調のメロディが同居したサウンドを構築する。
同郷のMTRATHに比べるとより振り幅の大きな作風で、重厚でモダンな硬質感に包まれつつ、
女性ヴォーカルが優雅なコントラストになっている。全体的にはデス声のパートが多いので、
初期のORPHANED LANDなどに通じるところもあるだろう。今後も期待の民族メタルです。
ドラマティック度・8 アラビック度・8 重厚度・8 総合・8
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Mageia
国籍不明の女性SSW、Liza Kayによるプロジェクト、マジェイアの2021年作
適度にハードなギターにシンセを重ね、やわらかな女性ヴォーカルの歌声で、
妖しい浮遊感に包まれた、シンフォニックメタル風のハードロックを聴かせる。
メタル的なヘヴィさはさほどなく、キャッチーな歌メロとウェットな翳りを帯びた、
女性声のプログレ・ハードという感じでも楽しめる。一方では、アコースティック楽器を用いた
フォークルーツの牧歌的な叙情性も覗かせていて、アーティストとしての懐の深さが窺える。
全7曲35分というのが少し物足りないが、次作ではより濃密に手の内を明かして欲しい。
メロディック度・8 妖しさ度・7 女性Vo度・8 総合・7.5
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TRAGEDIAN 「SEVEN DIMENSIONS」
ドイツのメロディックメタル、トラゲディアンの2021年作
2008年にデビューし、4作目となる。王道のギターリフにシンセを重ね、ハイトーンヴォーカルとともに疾走する
オールドスタイルのジャーマン・メロディック・スピードメタルを聴かせる。ほどよいB級のマイナー臭さと
キャッチーなクサメロ感は、NOT FRAGILESEVENTH AVENUEあたりのファンならニンマリだろう。
ギターソロでの、どこか外れたようなセンスのなさも、ダサめの味わいになっていて、なんだか憎めず、
CRIMSON GLORYのウェイド・ブラックがヴォーカル参加した疾走メロスピナンバーなども胸熱だ。
ラスト曲にはSAVATAGEのザッカリー・スティーヴンスがゲスト参加。クサメロジャーマン好きはぜひ。
メロディック度・8 疾走度・8 クサメロ・ジャーマン度・8 総合・8
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BROTHERS OF METAL「Prophecy Of Ragnarok」
スウェーデンのヴァイキング・パワーメタル、ブラザーズ・オブ・メタルの2018年作
トリプルギターに男女3人のVoを含む8人編成で、正統派のギターに女性ヴォーカルを乗せ、
男性ヴォーカル&ダミ声が絡む、北欧神話をイメージした勇壮なメロディック・メタルサウンド。
かつてのDARK MOORのエリサ・マーティン思わせる、女性ヴォーカル・メロパワの感触と
MANAOWARのようなエピックな正統派メタルが合わさった作風で、ほどよい疾走感とともに、
ときおりフォーキーな旋律も覗かせる。楽曲は3〜4分前後と短めであるが、美麗なシンセアレンジや
叙情的なギターメロディも随所に織り込んでいて、男女声のシンフォニックメタルとしても楽しめる。
ドラマティック度・8 ヴァイキング度・7 正統派度・8 総合・8
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BROTHERS OF METAL 「EMBLAS SAGA」
スウェーデンのヴァイキング・パワーメタル、ブラザーズ・オブ・メタルの2020年作
2作目となる本作は、映画的な語りを含むイントロから始まる、北欧神話をテーマにしたコンセプトアルバムで、
前作以上にソリッドになったギターリフに、凛とした女性ヴォーカルと男性ヴォーカルを乗せ、エピックなメタルを展開。
どっしりとした勇壮な正統派メタルを基本に、前作に比べるとわりとモダンでキャッチーなノリのナンバーもあり、
全体的にもスタイリッシュに仕上がっている。反面、土着的なクサメロはやや後退した感じもあって、痛しかゆしか。
ヴァイキングというほどではないが、ドラマティックな北欧メロパワとしては依然楽しめる力作です。
ドラマティック度・8 ヴァイキング度・7 正統派度・8 総合・8
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Falconer 「From A Dying Ember」
スウェーデンのヴァイキングメタル、ファルコナーの2020年作
2001年にデビュー、ヴァイキング・パワーメタルの元祖というべきバンドの、6年ぶりとなる通算9作目。
メロディックなギターにマティアス・ブラッドの朗々とした歌声を乗せた、勇壮で土着的なサウンドは健在。
今作ではオルガンなどを使ったアレンジや、ギターリフにもオールドなメタル感触も覗かせていて、
トラディショナルメタル的にも楽しめるかもしれない。キャッチーな疾走ナンバーなども優雅な聴き心地で、
アコースティックパートなども含めて、ほどよいダサさが牧歌的な味わいになっており、激しすぎずヘヴィ過ぎずという
なかなか絶妙の作風である。フォーキーなクサメロ感もいいあんばいで、バンドとしての成熟を感じさせる力作だ。
メロディック度・8 ヴァイキング度・7 北欧度・8 総合・8 過去作のレビューはこちら
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Asgard 「Ragnarokkr」
イタリアのフォークメタル、アスガルドの2020年作
イタリア、ドイツ混成のプログレバンドとして、1991〜2000年までに5作を残して消えたバンドの20年ぶりとなる復活作。
オリジナルメンバーはキーボードだけのようで、サウンドの方もがらっとメタリックな感触が強まっていて、
オルガンなどのシンセにメタリックなギターを重ね、フルートなどが鳴り響くフォークメタルになっている。
北欧神話をテーマにしたフォークメタルという点では、バンド名にぴったりだが、まさかここまで変わるとは。
優美なシンセワークは随所にプログレ的な優雅さがあって、11分の大曲ではシンフォプログレ的な展開力も覗かせる。
ドラマティック度・8 フォーキー度・7 優美度・8 総合・7.5 過去作のレビューはこちら
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Atlas Pain 「Tales of a Pathfinder」
イタリアのフォーク・パワーメタル、アトラス・ペインの2019年作
2017年にデビューし2作目となる。物語的なコンセプトを感じさせるイントロから幕を開け、
フォーキーなシンセメロディをギターに重ね、ダミ声ヴォーカルを乗せて疾走、勇壮なコーラスとともに、
エピックでシンフォニックなフォークメロパワを聴かせる。随所にイタリアらしいクサメロ感も含ませて
RHAPSODY+TURISASというような、土着的ながらキャッチーかつ壮麗なサウンドが展開される。
激しく疾走パートでも、あくまで華麗な優雅さに包まれているので、ダミ声ヴォーカルを除けば、
クサメタラーにもイケるだろう。11分という大曲もドラマティックに構築する。これぞシンフォークメロパワ!
メロディック度・8 フォーキー度・7 壮麗度・9 総合・8
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WARDRUNA 「KVITRAVN」
ノルウェーのペイガン・フォーク、ヴァードゥルナの2021年作
元GORGOROTHのドラムを中心にしたユニットで、2009年にデビューし、本作は5作目となる。
マイルドな男性ヴォーカルの歌声に、フルートやハーディ・ガーディ、ターゲルハルパ(擦弦楽器)、ブッケホルン(角笛)、
クラヴィクリラ(竪琴)など古楽器の音色を重ね、寒々しい北欧の土着性に包まれた神秘的なサウンドを描き出す。
女性ヴォーカルも加えた優雅な感触に、寂寥としたノルディックな空気感が合わさり、太古の儀式めいたイメージとともに、
幻想的なペイガンフォークが味わえる。鳴り響くトライバルなパーカッションに、詠唱のような歌声と風や波の音、
自然崇拝的な世界観が強固な説得力をともなって描かれている。ラストの10分の大曲までじっくり浸れる作品です。
アコースティック度・8 北欧度・9 神秘的度・9 総合・8 過去作のレビューはこちら
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WALTARI 「Global Rock」
フィンランドのミクスチャーロック、ワルタリの2020年作
1991年デビューのベテランで、本作は通算14作目となる。ほどよくメタリックなギターにモダンなシンセアレンジ、
キャッチーなヴォーカルメロディで聴かせるナンバーから、オルタナ風味、エモーショナルロック風と、
つかみどころのないロックサウンド。楽曲は3〜5分前後で、ときにメタルコアやデスメタル風味などの
アグレッシブな部分も覗かせつつ、全体的にはストレートなノリのロックとしてわりと普通に楽しめる。
ポストロック風のスケール感のラスト曲などは、ベテランらしい深みを感じさせる。自然体の好作品だ。
メロディック度・7 キャッチー度・8 モダンロック度・8 総合・7.5 過去作のレビューはこちら
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HYDRA 「Solar Empire」
ドイツのシンフォニックメタル、ハイドラの2016年作
メタリックなギターに美麗なシンセアレンジと美しい女性ヴォーカルを乗せた、Nightwishなどにも通じる
壮麗なシンフォニックメタル。モダンなヘヴィネスとともに随所に激しい疾走感も覗かせつつ、
ときにアラビックな旋律や、フルートやヴァイオリンの音色などがフォーキーな雰囲気をかもしだす。
紅一点、Lisa嬢の歌声はなよやかな魅力で、ゆったりとした曲ではゴシックメタル寄りの味わいもある。
このバンドならではの個性はさほど感じなられないが、涼やかな世界観は北欧的でもあり、美しい女性声とともに
優美なシンフォニックメタルが楽しめる。Diabulus In Musicaのズベロア嬢がゲスト参加したラスト曲も良い感じです。
シンフォニック度・7 壮麗度・8 女性Vo度・8 総合・7.5
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FELIX MARTIN「CARACAS」
ヴェネズエラ出身のギタリスト、フェリックス・マーティンの2019年作
ダブルネックの16弦ギターを操るバークリー卒のギタリストで、2020年にデビュー、本作はソロ4作目となる。
ラテンフレーバーたっぷりのギターフレーズに、テクニカルな技巧を織り交ぜた軽妙なインストサウンドで、
適度にヘヴィな感触も含んだ、ラテン風ジャズメタルという聴き心地。14弦アコースティックギターによる
叙情的なアルペジオから、メタル寄りのリフまで自在に弾きこなしつつ、あくまで優雅なリズム感に包まれるのは
南米らしいラテンの血だろうか。キャッチーというよりは哀愁を感じさせるフレージングなので、爽快感はやや薄い。
いわゆるシュレッド系のギタリストの中でも、地域的な個性をプレイスタイルにする異色の若手だろう。
ドラマティック度・6 テクニカル度・8 ラテン度・9 総合・8
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NICK JOHNSTON 「Remarkably Human」
カナダのギタリスト、ニック・ジョンストンの2016年作
2011年にデビュー、本作は4作目のソロ作品で、いかにも新時代のギターヒーローという感じのジャケであるが、
クラシカルなピアノで幕を開け、優雅なメロディを奏でるギタープレイは、トニー・マカパインもかくやという聴き心地。
ドラムにギャヴィン・ハリソン(Porcupine Tree)、ベースにブライアン・ベラーが参加した、軽妙かつ緻密なアンサンブルに、
メロウなフレージングのギターが重なり、泣きの叙情を含んだ耳心地の良さで、インストながらも楽曲性の高さも感じさせる。
HRに寄り過ぎないオールドロック色もあるギタープレイは、アラン・ホールズワースやヤン・アッカーマンなどのファンにも楽しめそうで、
肩の力の抜けた大人のギターインストという味わいだ。マルコ・ミンネマン、ポール・ギルバート、ガスリー・ゴーヴァンなどがゲスト参加。
ドラマティック度・7 テクニカル度・8 優雅度・9 総合・8
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