〜HEAVY METAL CD REVIEW 2022 by 緑川 とうせい

★2022年に聴いたメタルCDレビュー
*過去のレビューはCDレビューTOPから各ジャンル別に見られます

*プログレ最新レビュー *注目の新譜


1/14
大人のHR/HMはいかが(30)


Sweet Oblivion 「Relentless」
スウィート・オブリヴィオンの2021年作
QUEENSRYCHEのジェフ・テイトをフロントにしたバンドで、本作は2作目となる。前作のシモーネ・ムラーニに代わり
SECRET SPHEREのアルド・ロノビレがプロデュース、サウンドは、きらびやかなシンセをギターに重ね、
伸びやかな歌声を乗せた、シンフォニックメタル風味に、ほどよくダークなヘヴィネスとキャッチーな感触が同居。
楽曲は3〜4分前後で、どっしりとしたミドルテンポのナンバーを主体に、ジェフの歌声をじっくりと聴かせる作風で、
わりとオーソドックスなハードロック風味も含めて、さほど新鮮味はないのだが、優美なシンセによる味付けや、
ときに流麗なギタープレイも加わって、多くのメタルリスナーが楽しめる内容だろう。叙情的なバラードナンバーなども、
ジェフの歌声がよく映えていて、ドラマティックなラスト曲まで、一貫した雰囲気でトータルに楽しめる好作である。
ドラマティック度・8 重厚度・8 ジェフ・テイト度・8 総合・8
Amazonで購入する

ICON OF SIN
メタルバンド、アンコン・オヴ・シンの2021年作
IRON MAIDENトリビュートでブルース・ディッキンソンばりのシンガーとして知られる、ラファエル・メンデス率いるバンドで
正統派のギターにパワフルなヴォーカルを乗せた、80〜90年代ルーツの王道のヘヴィメタルを聴かせる。
アイアン・メイデンやジューダス・プリーストなどオールドスタイルのメタルサウンドを基本にしつつ、
随所に流麗なギタープレイも覗かせたり、伸びやかな歌声とともにほどよくキャッチーな感触もあって、
多くのメロパワリスナーが楽しめる作風だ。楽曲はミドルテンポが主体だが、疾走するナンバーもあり、
全体的にバランスのとれた聴き心地。さほど新鮮味はないが、いかにもメイデン風のツインギターで
ドラマティックに聴かせる8分のナンバーなどはニンマリ。正統派のメタルが好きな方にはもってこいの作品だ。
メロディック度・8 疾走度・7 正統派度・8 総合・8
Amazonで購入する

Joel Hoekstra's 13 「Running Games」
アメリカのギタリスト、ジョエル・ホークストラのプロジェクト、13の2021年作
元ナイト・レンジャー、現ホワイトスネイクのギタリストとして知られるミュージシャンで、13名義としては2作目となる。
ラッセル・アレン、ヴィニー・アピス、トニー・フランクリン、ジェフ・スコット・ソート、デレク・シェリニアンといった凄腕メンバーが参加、
骨太のリフとメロディを弾きこなすギターに、パワフルで伸びやかなラッセル・アレンの歌声を乗せ、ほどよくメロディックなフックのある
王道のハードロックを聴かせる。80年代的でもあるブルージーな古き良きHR感触から、キャッチーで爽快なメロハーナンバー、
スローテンポの叙情ナンバーまで、確かな実力の演奏陣と歌唱も含めて、非常に聴きごたえがある。ギターも目立ちすぎることなく、
リフを主体に楽曲を活かしつつ、随所に味のあるメロディとフレーズを奏で、サウンドを彩ってゆく。まさに大人の王道ハードロック。
メロディック度・8 王道HR度・8 大人のHR度・9 総合・8
Amazonで購入する


THE END MACHINE 「PHASE 2」
DOKKENのメンバーを中心にしたハードロック、ジ・エンド・マシーンの2021年作
ジョージ・リンチ、ジェフ・ピルソン、ロバート・メイソンに、本作では引退したミック・ブラウンに替わり、
実弟のスティーブ・ブラウンがドラムで参加、サウンドは前作に続き、80年代のドッケンを思わせる
ノリの良い王道のハードロックで、ジョージ・リンチの巧みなギタープレイもたっぷりと楽しめる。
ドラムも含めて音が重すぎないところも、80年代スタイルを感じさせ、オールドリスナーには嬉しいだろう。
ロバート・メイソンの伸びやかな歌声は、スローテンポの叙情ナンバーにも似合っていて、
日本人好みのキャッチーな哀愁に包まれるナンバーは、新鮮味はなくとも、とても耳心地良い。
メロディック度・8 王道HR度・9 ドッケン度・9 総合・8
Amazonで購入する


Robin McAuley 「Standing on the Edge」
アイルランド出身のシンガー、ロビン・マッコーリーの2021年作
MSG/MSF、Black Swanなどで活躍するシンガーで、本作はアレッサンドロ・デル・ヴェッキオがプロデュース、
きらびやかなシンセとほどよくハードで叙情的なギターに、エモーショナルなヴォーカルを乗せた、
キャッチーなメロディアスハード作品。うるさすぎない伸びやかな歌声と透明感あるシンセアレンジが、
北欧系メロハーのような耳心地で、楽曲自体は3〜4分前後と比較的オーソドックスな作風ながら、
全体的に優雅なメロディアス性に包まれて、軽すぎず重すぎずというバランスのとれた味わいで楽しめる。
オルガンの音色を使った暖かみのあるアレンジなども含め、オールドなメロハーファンにお薦めの好作品。
メロディック度・8 キャッチー度・8 メロハー度・9 総合・8
Amazonで購入する


WIG WAM「Never Say Die」
ノルウェーのハードロック、ウィグ・ワムの2021年作
2004年にデビュー、80年代のLAメタルを甦らせたようなサウンドで人気を博すも、21014年に解散。
本作は、2012年以来となる5作目で、8年ぶりの復活作。メンバーのヴィジュアルはずいぶん変ったが、
サウンドの方も、キャッチーな叙情性に大人の哀愁も含んだ、どっしりとした聴きこ心地になっている。
流麗なメロディとヘヴィなリフを弾きこなすギターワークは、キャリアを感じさせる堂々たるもので、
メタル寄りの重厚さも描きつつ、パワフルなグラムの歌声がサウンドを華やかに彩ってゆく。
叙情的なバラードやメロウなギターを聴かせるインストナンバーなども、アクセントになっていて
アルバムとしてのバランスもいい。全体的には、爽快なメロディのフックがもっと欲しい気もするが、それは今後に期待。
メロディック度・8 キャッチー度・7 どっしり骨太度・8 総合・8 過去作のレビューはこちら
Amazonで購入する

Jakob Samuel 「CoExist」
スウェーデンのミュージシャン、ヤコブ・サミュエルの2021年作
惜しくも2018年に解散した、The Poodlesの元ヴォーカリストで、ソロとしては2012年以来となる2作目。
ほどよくヘヴィなギターに、味わいのあるヴォーカルを乗せて、キャッチーなノリの良さと哀愁の叙情が同居した、
骨太のハードロツクを聴かせる。オーケストラアレンジが美しいバラードナンバーや、わりとモダンな雰囲気のナンバー、
プードルズを思わせる爽快なメロディアスハードから、LAメタル寄りのポップ感や、ファンキーなアレンジまで、
なかなかバラエティに富んでいる。全体としては大人のハードロックというべき雰囲気に包まれていて、
シンガーとしてのヤコブの表現力もさすが。ボーナス含めて36分ほどながら、プードルズファンには楽しめる内容です。
メロディック度・8 プードルズ度・8 大人のHR度・9 総合・8
Amazonで購入する


Reb Beach 「A View From The Inside」
アメリカのミュージシャン、レブ・ビーチの2020年作
WINGER、WHITESNAKEのギタリストとして知られるミュージシャンで、ソロとしては2001年以来、19年ぶりの作品。
テクニカルで流麗なギターを軽快なリズムに乗せたインストサウンドで、優雅なフュージョン風味と
ハードロック感触が融合した聴き心地。随所にスウィープやタッピングなどの巧みなプレイを披露しつつ、
肩の力の抜けたベテランらしい自然体の作風で、インストながらもキャッチーな味わいで楽しめる。
フィリップ・バイノ、ジョン・ホールというベーシストのプレイも、ギターを引き立ててながら、存在感を発揮。
軽妙なアンサンブルとともに、レブの卓越したギタープレイをたっぷりと鑑賞できる逸品です。
メロディック度・8 テクニック度・8 優雅度・8 総合・8
Amazonで購入する


Vitalij Kuprij 「Progression」
ウクライナ出身のミュージシャン、ヴィタリ・クープリの2020年作
Artensionのシンセ奏者として知られる彼の、ソロとしては、2008年のピアノ作品以来となるアルバム。
マイケル・ハリス(Thought Chamber)、ロジャー・スタフルバッハ(Artension)、ビル・ハドソン(NORTHTALE)、
クリスチャン・ミュンツナー(Eternity's End、PARADOX)、アンガス・クラーク、レオナルド・ポルケッドゥ、
ハヴィエ・リール、スティーヴ・ドーマンなど、多数のギタリストが参加。きらびやかなシンセワークに
流麗なギターフレーズが絡む、インストによるネオクラシカル・メタルを聴かせる。テクニカルな構築力は
ときにプログレメタル的な感触もあり、クラシカルなピアノも含めて、優美なシンセアレンジが素晴らしい。
PLANET Xのようなフュージョン色はなく、あくまでクラシカルな様式美メタルを基盤にしたサウンドが楽しめる。
クラシカル度・8 テクニカル度・8 優雅度・8 総合・8
Amazonで購入する

BLACK ROSE MAZE
イタリアのハードロック、ブラック・ローズ・メイズの2020年作
カナダ出身の女性シンガー、ローザ・ラリキュータをフロントに、アレッサンドロ・デル・ヴェッキオがプロデュース。
ほどよくヘヴィなギターに、ハスキーな女性ヴォーカルを乗せた、80〜90年代ルーツのハードロックサウンド。
エモーショナルに歌い上げるローザの歌唱と、キャッチーなメロディのフックで聴きやすい反面、
楽曲自体は3〜4分前後でわりとオーソドックス。新鮮さやインパクトはあまり感じないのだが、
DANTE FOXあたりに通じる、正統派の女性声メロディアスハードとしては、高水準な出来である。
ジャケのイメージからシンフォニックメタルかなと勘違いしそうだが、シンプルな女性声HRの好作です。
メロディック度・8 キャッチー度・7 女性Vo度・8 総合・8
Amazonで購入する


Midnight City 「 Itch You Can't Scratch」
イギリスのハードロック、ミッドナイト・シティの2021年作
2017年にデビューし、すでに3作目。正統派のギターにきらびやかなシンセアレンジ、
伸びやかなヴォーカルを乗せた、オールドスタイルのキャッチーなハードロック。
80年代ルーツのグラムロックや、LAメタルの華やかな雰囲気もまとわせていて、
デンジャー・デンジャーやモトリー・クルーのイギリス版という感じもあるが、わりと骨太のギターと
シンセによる厚みのあるアレンジは聴きごたえ充分。これという新鮮味はないものの、曲によっては
メロハー寄りの叙情とフックもあって、ゴージャスさとウェットな味わいが同居した高品質なアルバムだ。
メロディック度・8 キャッチー度・8 80年代スタイル度・9 総合・8
Amazonで購入する


SON OF MAN 「STATE OF DYSTOPIA」
イギリスのハードロック、サン・オブ・マンの2020年作
MANのギター、ドラム、Sassafrasのヴォーカル、シンセなどのメンバーで2016年にデビュー、本作は2作目となる。
オードなテイストのギターにオルガンなどのシンセを重ね、伸びやかなヴォーカルを乗せた、
70年代ルーツのヴィンテージなハードロックサウンド。これという新鮮味はないのだが、
きらびやかなシンセとキャッチーなメロディで聴かせるナンバーなどは耳心地よく、
叙情的なギターソロなども随所に光っている。哀愁も含んだ大人のハードロック作品です。
メロディック度・7 叙情度・7 オールドHR度・8 総合・7.5
Amazonで購入する



Rob Moratti「Paragon」
カナダのシンガー、ロブ・モラッティの2020年作
SAGAやFinal Frontierにも在籍していたヴォーカリストで、ソロとしては2011年作から数えて5作目。
流麗なギターに美しいシンセを重ね、マイルドなヴォーカルとともに、透明感のあるサウンドを描く。
キャッチーなメロディのフックと涼やかな叙情性は、北欧系メロディアスハードにも通じる感触で、
どの曲もじつに耳心地良く楽しめる。SECTION Aなどでも活躍するトーベン・エネヴォルドのギターも、
随所に泣きのフレーズを奏でて、楽曲を支えている。どこを切ってもまさに王道メロハーという傑作です。
メロディック度・9 キャッチー度・9 王道メロハー度・9 総合・8
Amazonで購入する



Hour of 13 「Black Magick Rites」
アメリカのドゥームメタル、アワー・オブ・サーティーンの2021年作
チャド・デイヴィス氏による個人ユニットで、2007年にデビューし、本作は8年ぶりとなる4作目。
いかにもオールドなギターリフに、朗々としたヴォーカルを乗せた、カルトなドゥームメタルは健在。
ほどよくウェットな叙情を含んだギターも相変わらず絶妙で、サバスルーツの古き良きテストのリフから
メロディアスなフレーズまでじつに良いセンスをしている。5〜8分前後の楽曲は、スローテンポを基本に、
随所に正統派メタル寄りのノリもあって、遅すぎるドゥームが苦手な方でもわりと楽しめるだろう。
新鮮味はほぼないが、70〜80年代から受け継がれた王道のドゥームメタルが味わえる強力作。
ドラマティック度・7 ドゥーム度・9 古き良き度・9 総合・8 過去作のレビューはこちら
Amazonで購入する


Noctum 「The Seance」
スウェーデンのドゥームメタル、ノクタムの2010年作
重すぎないギターにマイルドなヴォーカルを乗せた、いくぶんユルめの聴き心地のドゥームロック。
初期BLACK SABBATHなど、70年代ルーツのハードロック感触を基本にしつつ、
ほどよく叙情的なギターとヘタウマな歌声が、ウェットなマイナー性をかもしだす。
メタルというにはヘヴィさはなく、むしろスカスカなところがひなびた味わいなので、
かつてのPagan Altarなど、ヴィンテージな幻想ドゥームのファンに楽しめるかと。
楽曲は4〜5分前後で、これというインパクトはないが、ほどよい怪しさのドゥームロックです。
ドラマティック度・7 ドゥーム度・8 古き良き度・8 総合・7
Amazonで購入する



1/2
本年もメタルでよろしくお願いいたします(15)


Dream Theater 「Lost Not Forgotten Archives : Images and Words - Live in Japan, 2017」
アメリカのプログレメタル、ドリーム・シアターのオフィシャルブートレッグ。2021年作
1992年の傑作「Images and Words」を、25周年で完全再現した、2017年、日本でのステージを収録。
ご存知の通り、DT初期の最高傑作であり名曲多数。当時のメンバーから、ドラムとシンセが交替しているものの、
確かな演奏力と楽曲そのものの魅力と展開美で、年月をへてもなお、スリリングに楽しめるのは素晴らしい。
ラブリエのヴォーカルには、エフェクトがかかっているようで、高音部をフェイクでカバーしたり、やや苦しいのだが、
ルーデスの美麗なシンセワークとペトルーシのギターの表現力はさすがで、楽曲のイメージをしっかりと再現している。
一方では、「Take The Time」の間奏に即興的パートを盛り込むなど、大人の余裕を感じさせるアレンジも面白く、
「Metropolis」では、マンジーニのドラムソロも披露。なんだかんだで、名作を完全再現したファン必聴のライブです。
ライブ演奏・8 音質・8 名作度・9 総合・8 過去作のレビューはこちら
Amazonで購入する

LEPROUS 「Aphelion」
ノルウェーのプログレッシブメタル、レプラスの2021年作
2009年にデビュー、EMPERORのイーサーンの義弟エイナル・スーベルグが率いるバンドで、本作は7作目となる。
シンセをバックに独特のエモーショナルな歌声を乗せた導入部から、すでにミステリアスな空気を漂わせてるが、
モダンでキャッチーな感触に、ヴァイオリンが鳴り響く優雅なアレンジ、エレクトロでデジタルな質感も取り入れるなど、
変幻自在のセンスはさすが。しっとりとしたポストプログレ的な繊細さから、メタリックなヘヴィネスへの展開など、
知的な構築力も際立っていて、ヴォーカリストとしての表現力も含めて、アーティストとしての円熟の域を感じさせる。
全体的には、翳りを帯びたゆったりとしたパートが多いのだが、ラスト曲はこれぞプログメタルという展開で楽しめる。
ドラマティック度・7 プログレ度・7 薄暗叙情度・8 総合・8 過去作のレビューはこちら
Amazonで購入する


NAWATHER 「KENZ ILLUSION」
チュニジアのプログレメタル、ナワサーの2021年作
2015年にデビューして、2作目となる。アラビックな旋律に、女性ヴォーカルを乗せたイントロから、
メタリックなギターに艶やかなヴァイオリンの音色、モダンできらびやかシンセアレンジとともに、
低音デスヴォイスを乗せたアグレッシブな迫力と、民族調のメロディが同居したサウンドを構築する。
同郷のMTRATHに比べるとより振り幅の大きな作風で、重厚でモダンな硬質感に包まれつつ、
女性ヴォーカルが優雅なコントラストになっている。全体的にはデス声のパートが多いので、
初期のORPHANED LANDなどに通じるところもあるだろう。今後も期待の民族メタルです。
ドラマティック度・8 アラビック度・8 重厚度・8 総合・8
Amazonで購入する


Mageia
国籍不明の女性SSW、Liza Kayによるプロジェクト、マジェイアの2021年作
適度にハードなギターにシンセを重ね、やわらかな女性ヴォーカルの歌声で、
妖しい浮遊感に包まれた、シンフォニックメタル風のハードロックを聴かせる。
メタル的なヘヴィさはさほどなく、キャッチーな歌メロとウェットな翳りを帯びた、
女性声のプログレ・ハードという感じでも楽しめる。一方では、アコースティック楽器を用いた
フォークルーツの牧歌的な叙情性も覗かせていて、アーティストとしての懐の深さが窺える。
全7曲35分というのが少し物足りないが、次作ではより濃密に手の内を明かして欲しい。
メロディック度・8 妖しさ度・7 女性Vo度・8 総合・7.5
Amazonで購入する


TRAGEDIAN 「SEVEN DIMENSIONS」
ドイツのメロディックメタル、トラゲディアンの2021年作
2008年にデビューし、4作目となる。王道のギターリフにシンセを重ね、ハイトーンヴォーカルとともに疾走する
オールドスタイルのジャーマン・メロディック・スピードメタルを聴かせる。ほどよいB級のマイナー臭さと
キャッチーなクサメロ感は、NOT FRAGILESEVENTH AVENUEあたりのファンならニンマリだろう。
ギターソロでの、どこか外れたようなセンスのなさも、ダサめの味わいになっていて、なんだか憎めず、
CRIMSON GLORYのウェイド・ブラックがヴォーカル参加した疾走メロスピナンバーなども胸熱だ。
ラスト曲にはSAVATAGEのザッカリー・スティーヴンスがゲスト参加。クサメロジャーマン好きはぜひ。
メロディック度・8 疾走度・8 クサメロ・ジャーマン度・8 総合・8
Amazonで購入する


BROTHERS OF METAL「Prophecy Of Ragnarok」
スウェーデンのヴァイキング・パワーメタル、ブラザーズ・オブ・メタルの2018年作
トリプルギターに男女3人のVoを含む8人編成で、正統派のギターに女性ヴォーカルを乗せ、
男性ヴォーカル&ダミ声が絡む、北欧神話をイメージした勇壮なメロディック・メタルサウンド。
かつてのDARK MOORのエリサ・マーティン思わせる、女性ヴォーカル・メロパワの感触と
MANAOWARのようなエピックな正統派メタルが合わさった作風で、ほどよい疾走感とともに、
ときおりフォーキーな旋律も覗かせる。楽曲は3〜4分前後と短めであるが、美麗なシンセアレンジや
叙情的なギターメロディも随所に織り込んでいて、男女声のシンフォニックメタルとしても楽しめる。
ドラマティック度・8 ヴァイキング度・7 正統派度・8 総合・8
Amazonで購入する

BROTHERS OF METAL 「EMBLAS SAGA」
スウェーデンのヴァイキング・パワーメタル、ブラザーズ・オブ・メタルの2020年作
2作目となる本作は、映画的な語りを含むイントロから始まる、北欧神話をテーマにしたコンセプトアルバムで、
前作以上にソリッドになったギターリフに、凛とした女性ヴォーカルと男性ヴォーカルを乗せ、エピックなメタルを展開。
どっしりとした勇壮な正統派メタルを基本に、前作に比べるとわりとモダンでキャッチーなノリのナンバーもあり、
全体的にもスタイリッシュに仕上がっている。反面、土着的なクサメロはやや後退した感じもあって、痛しかゆしか。
ヴァイキングというほどではないが、ドラマティックな北欧メロパワとしては依然楽しめる力作です。
ドラマティック度・8 ヴァイキング度・7 正統派度・8 総合・8
Amazonで購入する



Falconer 「From A Dying Ember」
スウェーデンのヴァイキングメタル、ファルコナーの2020年作
2001年にデビュー、ヴァイキング・パワーメタルの元祖というべきバンドの、6年ぶりとなる通算9作目。
メロディックなギターにマティアス・ブラッドの朗々とした歌声を乗せた、勇壮で土着的なサウンドは健在。
今作ではオルガンなどを使ったアレンジや、ギターリフにもオールドなメタル感触も覗かせていて、
トラディショナルメタル的にも楽しめるかもしれない。キャッチーな疾走ナンバーなども優雅な聴き心地で、
アコースティックパートなども含めて、ほどよいダサさが牧歌的な味わいになっており、激しすぎずヘヴィ過ぎずという
なかなか絶妙の作風である。フォーキーなクサメロ感もいいあんばいで、バンドとしての成熟を感じさせる力作だ。
メロディック度・8 ヴァイキング度・7 北欧度・8 総合・8 過去作のレビューはこちら
Amazonで購入する


Asgard 「Ragnarokkr」
イタリアのフォークメタル、アスガルドの2020年作
イタリア、ドイツ混成のプログレバンドとして、1991〜2000年までに5作を残して消えたバンドの20年ぶりとなる復活作。
オリジナルメンバーはキーボードだけのようで、サウンドの方もがらっとメタリックな感触が強まっていて、
オルガンなどのシンセにメタリックなギターを重ね、フルートなどが鳴り響くフォークメタルになっている。
北欧神話をテーマにしたフォークメタルという点では、バンド名にぴったりだが、まさかここまで変わるとは。
優美なシンセワークは随所にプログレ的な優雅さがあって、11分の大曲ではシンフォプログレ的な展開力も覗かせる。
ドラマティック度・8 フォーキー度・7 優美度・8 総合・7.5 過去作のレビューはこちら
Amazonで購入す



Atlas Pain 「Tales of a Pathfinder」
イタリアのフォーク・パワーメタル、アトラス・ペインの2019年作
2017年にデビューし2作目となる。物語的なコンセプトを感じさせるイントロから幕を開け、
フォーキーなシンセメロディをギターに重ね、ダミ声ヴォーカルを乗せて疾走、勇壮なコーラスとともに、
エピックでシンフォニックなフォークメロパワを聴かせる。随所にイタリアらしいクサメロ感も含ませて
RHAPSODY+TURISASというような、土着的ながらキャッチーかつ壮麗なサウンドが展開される。
激しく疾走パートでも、あくまで華麗な優雅さに包まれているので、ダミ声ヴォーカルを除けば、
クサメタラーにもイケるだろう。11分という大曲もドラマティックに構築する。これぞシンフォークメロパワ!
メロディック度・8 フォーキー度・7 壮麗度・9 総合・8
Amazonで購入する


WARDRUNA 「KVITRAVN」
ノルウェーのペイガン・フォーク、ヴァードゥルナの2021年作
元GORGOROTHのドラムを中心にしたユニットで、2009年にデビューし、本作は5作目となる。
マイルドな男性ヴォーカルの歌声に、フルートやハーディ・ガーディ、ターゲルハルパ(擦弦楽器)、ブッケホルン(角笛)、
クラヴィクリラ(竪琴)など古楽器の音色を重ね、寒々しい北欧の土着性に包まれた神秘的なサウンドを描き出す。
女性ヴォーカルも加えた優雅な感触に、寂寥としたノルディックな空気感が合わさり、太古の儀式めいたイメージとともに、
幻想的なペイガンフォークが味わえる。鳴り響くトライバルなパーカッションに、詠唱のような歌声と風や波の音、
自然崇拝的な世界観が強固な説得力をともなって描かれている。ラストの10分の大曲までじっくり浸れる作品です。
アコースティック度・8 北欧度・9 神秘的度・9 総合・8 過去作のレビューはこちら
Amazonで購入する


WALTARI 「Global Rock」
フィンランドのミクスチャーロック、ワルタリの2020年作
1991年デビューのベテランで、本作は通算14作目となる。ほどよくメタリックなギターにモダンなシンセアレンジ、
キャッチーなヴォーカルメロディで聴かせるナンバーから、オルタナ風味、エモーショナルロック風と、
つかみどころのないロックサウンド。楽曲は3〜5分前後で、ときにメタルコアやデスメタル風味などの
アグレッシブな部分も覗かせつつ、全体的にはストレートなノリのロックとしてわりと普通に楽しめる。
ポストロック風のスケール感のラスト曲などは、ベテランらしい深みを感じさせる。自然体の好作品だ。
メロディック度・7 キャッチー度・8 モダンロック度・8 総合・7.5 過去作のレビューはこちら
Amazonで購入する



HYDRA 「Solar Empire」
ドイツのシンフォニックメタル、ハイドラの2016年作
メタリックなギターに美麗なシンセアレンジと美しい女性ヴォーカルを乗せた、Nightwishなどにも通じる
壮麗なシンフォニックメタル。モダンなヘヴィネスとともに随所に激しい疾走感も覗かせつつ、
ときにアラビックな旋律や、フルートやヴァイオリンの音色などがフォーキーな雰囲気をかもしだす。
紅一点、Lisa嬢の歌声はなよやかな魅力で、ゆったりとした曲ではゴシックメタル寄りの味わいもある。
このバンドならではの個性はさほど感じなられないが、涼やかな世界観は北欧的でもあり、美しい女性声とともに
優美なシンフォニックメタルが楽しめる。Diabulus In Musicaのズベロア嬢がゲスト参加したラスト曲も良い感じです。
シンフォニック度・7 壮麗度・8 女性Vo度・8 総合・7.5
Amazonで購入する


FELIX MARTIN「CARACAS」
ヴェネズエラ出身のギタリスト、フェリックス・マーティンの2019年作
ダブルネックの16弦ギターを操るバークリー卒のギタリストで、2020年にデビュー、本作はソロ4作目となる。
ラテンフレーバーたっぷりのギターフレーズに、テクニカルな技巧を織り交ぜた軽妙なインストサウンドで、
適度にヘヴィな感触も含んだ、ラテン風ジャズメタルという聴き心地。14弦アコースティックギターによる
叙情的なアルペジオから、メタル寄りのリフまで自在に弾きこなしつつ、あくまで優雅なリズム感に包まれるのは
南米らしいラテンの血だろうか。キャッチーというよりは哀愁を感じさせるフレージングなので、爽快感はやや薄い。
いわゆるシュレッド系のギタリストの中でも、地域的な個性をプレイスタイルにする異色の若手だろう。
ドラマティック度・6 テクニカル度・8 ラテン度・9 総合・8
Amazonで購入する


NICK JOHNSTON 「Remarkably Human」
カナダのギタリスト、ニック・ジョンストンの2016年作
2011年にデビュー、本作は4作目のソロ作品で、いかにも新時代のギターヒーローという感じのジャケであるが、
クラシカルなピアノで幕を開け、優雅なメロディを奏でるギタープレイは、トニー・マカパインもかくやという聴き心地。
ドラムにギャヴィン・ハリソン(Porcupine Tree)、ベースにブライアン・ベラーが参加した、軽妙かつ緻密なアンサンブルに、
メロウなフレージングのギターが重なり、泣きの叙情を含んだ耳心地の良さで、インストながらも楽曲性の高さも感じさせる。
HRに寄り過ぎないオールドロック色もあるギタープレイは、アラン・ホールズワースやヤン・アッカーマンなどのファンにも楽しめそうで、
肩の力の抜けた大人のギターインストという味わいだ。マルコ・ミンネマン、ポール・ギルバート、ガスリー・ゴーヴァンなどがゲスト参加。
ドラマティック度・7 テクニカル度・8 優雅度・9 総合・8
Amazonで購入する


 *音楽ページトップへ   *2021年のメタルCDレビューへ