
〜HEAVY METAL CD REVIEW 2025 by 緑川 とうせい
★2025年に聴いたメタルCDレビュー
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12/13
師走のメタル(208)
REINFORCER 「ICE AND DEATH」
ドイツのメロディックメタル、レインフォーサーの2025年作
2021年にデビューし、2作目となる。クサメロ感あるギターに、朗々としたヴォーカルを乗せ、ほどよい疾走感の正統派メロパワを聴かせる。
エピックメタル的でもある勇壮な世界観と、古き良きジャーマンメタルのマイナー臭さも残しているという点では、HAMMERFALLや初期のNOCTURNAL RITESあたりが好きな方にも楽しめるだろう。
激しさやヘヴィネスは抑えめなので、新鮮なインパクトはあまりないが、キャッチーなメロディアス性と王道メロパワの叙情性には、男のロマンを感じさせる。
全体的に安心して楽しめるものの、クサメロ疾走するキラーチューンがもっと欲しいか。ファンタジックなコンセプトに包まれた雰囲気は良い感じです。
ドラマティック度・7 疾走度・7 勇壮度・8 総合・7.5 過去作のレビューはこちら
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PARALYDIUM 「UNIVERSE CALLS」
スウェーデンのプログレメタル、パラリディウムの2024年作
Dynaztyのメンバーを中心にしたバンドで、2020年にデビューし、2作目となる。メタリックなギターに壮麗なシンセを重ね、エモーショナルなヴォーカルとともに、華麗なプログレッシブ・パワーメタルを描く。
リズムチェンジを含む知的な展開力に、巧みなギタープレイやきらびやかなキーボードも随所に光っていて、Astrakhanにも在籍するシンガーの表現力ある歌声も実力充分だ。
10分を超える大曲は、ほどよくテクニカルなインストパートも交えて、ドラマティックに構築されるところは、THRESHOLDなどに通じる重厚な聴き心地。
ラストも13分の大曲で、優美なキーボードとギターの重ねで、厚みのあるサウンドを描きつつ、緩急ある流れで楽しめる。濃密な力作である。
ドラマティック度・8 テクニカル度・7 華麗度・8 総合・8
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Tomorrow's Eve 「Mirror of Creation III: Project Ikaros」
ドイツのプログレメタル、トゥモローズ・イヴの2018年作
1999年にデビュー、Symphony Xにも参加するマイケル・レポンド、アメリカ人ドラマー、ジョン・マカルソらを含む編成で、本作は10年ぶりとなる5作目。
メタリックなギターにきらびやかなシンセワーク、Mekong Deltaにも参加する、マーティン・レマーのハイトーンヴォーカルとともに、ドラマティックなProgMetalを聴かせる。
かつての作品に比べるとわりとモダンな硬質感が強まっていて、アグレッシブなナンバーはプログ・パワーメタル的にも楽しめるだろう。
キャッチーな盛り上がりがもう少し欲しい気もするが、ともかく、2003年から続く、コンセプト3部作の完結編となる力作である。
ドラマティック度・8 テクニカル度・7 重厚度・8 総合・8 過去作のレビューはこちら
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ATAN 「Ugly Monster」
イギリスのプログレメタル、アタンの2022年作
ほどよくヘヴィなギターに伸びやかな女性ヴォーカルを乗せたグルーヴィなヘヴィロック風味に、随所にテクニカルな展開力で独自のサウンドを描く。
オルタナ的な翳りを帯びたところはゴシックロック風だったり、どことなく90年代風というか、モダンになりきれないマイナーな雰囲気も漂う。
ただ、メロディアスというにはそうでもなく、ProgMetalとしても物足りず、ゴシックというほどは耽美ではないという、悪く言えば煮え切らない聴き心地。
ボーナストラックでは、デレク・シェリニアンがゲスト参加、うっすらとしたシンセとアンニュイな女性Voで叙情的な耳心地に。この路線でぜひ。
ドラマティック度・7 テクニカル度・6 女性Vo度・7 総合・7
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Pallbearer 「Mind Burns Alive」
アメリカのドゥームメタル、ポールベアラーの2024年作
2012年にデビューし、5作目となる。叙情的なギターの旋律から、中音域のヴォーカルを乗せて、メランコリックな空気に包まれたサウンドを描いてゆく。
ヘヴィなギターとシンセが重なると、重厚な感触と涼やかな叙情が同居して、ゴシック・ドゥーム的な幻想性にも包まれる。
エモーショナルなヴォーカルによる、優雅でアンニュイな翳りは、ポストロックをドゥーム化とたようなイメージでも楽しめるだろう。
10分を超える大曲も、重すぎないギターリフと煽情的なフレージングでじっくりとフューネラルな美学を聴かせてくれる。
全体的にもドゥーミィな暗黒性は抑えめなので、ザラついた音が苦手な方やドゥーム初心者もどうぞ。
ドラマティック度・7 暗黒度・7 重厚度・8 総合・8 過去作のレビューはこちら
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Sorcerer 「Lamenting Of The Innocent」
スウェーデンのドゥームメタル、ソーサラーの2020年作
2015年にデビューし、3作目となる。重厚なツインギターに朗々としたヴォーカルを乗せて、CANDLEMASSタイプのどっしりとしたエピック・ドゥームメタルを聴かせる。
ミドルテンポを主体にしつつ、正統派メタル寄りのグルーブ感に、翳りを帯びた幻想的な叙情が同居したスタイルで、ザラついたドゥームが苦手な方にも楽しめるだろう。
ウェットなフレーズのツインギターが、エピックメタルとしてのドラマティックな空気感を描いていて、ゆったりとしたダークな叙情のナンバーなども聴きごたえがある。
ラスト曲では、シンセアレンジも加わった壮麗な音の厚みで、重厚なエピックドゥームを展開する。ボーナス含めて全70分という濃密な力作です。
ドラマティック度・8 叙情度・7 重厚度・8 総合・8 過去作のレビューはこちら
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Dark Forest
イギリスのエピックメタル、ダーク・フォレストの2009年作
いかにもオールドなギターリフに、パワフル過ぎないハイトーンヴォーカルを乗せた、80年代NWOHMルーツのヴィンテージメタルを聴かせる。
マイナーな香り漂わせたツインギターの叙情性と、ほどよくスカスカなアナログ感あるサウンドは、まさに80年代の生き残りのような耳心地である。
3〜4分前後の楽曲をメインに、7分、8分という大曲もあり、どっしりとした勇壮な世界観とともに、ほどよい疾走感も随所に覗かせる。
3作目以降に比べると、本作の時点ではまだまだB級のスタイルではあるが、ドラマティックなインストナンバーも含めて、なかなか楽しめる。
古き良きマイナー感触のエピックメタルという点では、イタリアのMARTIRIAあたりが好きな方もどうぞ。
ドラマティック度・7 エピック度・7 オールドメタル度・8 総合・7.5 過去作のレビューはこちら
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SOLSTAFIR 「Hin helga kvol」
アイスランドのポストブラックメタル、ソルスターフィアの2024年作
2002年にデビュー、8作目となる。うっすらとしたシンセに母国語のヴォーカルを乗せたイントロから、荒涼とした空気に包まれて、ポストロック的でもある神秘的なサウンドを描く。
トレモロのギターとともに激しく疾走するナンバーではブラックメタルの名残も覗かせて、ネイチャーなカスカディアンブラック的にも楽しめる。
一方では、オールドな味わいのギターのヴィンテージなハードロック風ナンバーもあったりと、前作でのプログレッシブな作風を引き継ぎつつ、よりレイドバックした聴き心地。
ヴィンテージなプログレ化という点では、OPETHの路線にも通じるが、こちらはより寒々しい北方の土着性を感じさせる。次作での深化も楽しみである。
ドラマティック度・7 神秘的度・8 ヴィンテージ度・8 総合・8 過去作のレビューはこちら
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SICKLE OF DUST 「Where The Sun Glare Danced」
ロシアのエピック・ブラックメタル、シックル・オブ・ダストの2022年作
2018年にデビューし、4作目となる。美麗なシンセをギターに重ね、吐き捨てヴォーカルとともに、涼やかで幻想的なシンフォニック・ブラックメタルを聴かせる。
暴虐な疾走感はさほどなく、スローからミドルテンポのパートも、ダンジョンシンセ的なキーボードとともに、ファンタジックなイメージで楽しめる。
、雰囲気としては、BAL-SAGOTHを穏やかにしたような感じもあり、激しい疾走パートもあるが、ややこもり気味の音質もあって美麗なシンセに包み込まれるイメージ。
全5曲であるが、6〜9分という大曲ばかりで、ゆったりとサウンドに浸れる。雰囲気モノのシンフォニックな幻想ブラックメタルが好きな方はぜひ。
ドラマティック度・8 暴虐度・6 幻想度・8 総合・8
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VALKYRJA 「THE INVOCATION OF DEMISE」
スウェーデンのブラックメタル、ヴァルキリアの2007年作
デビュー作の2025年リマスター再発盤。トレモロを含むザラついたギターに、かすれたダミ声ヴォーカルを乗せて激しくブラスト疾走する、MARDUKなどに通じる王道のスウェディッシュ・ブラックメタルサウンド。
甘すぎない叙情を含んだツインギターのフレーズとともに、ほどよくプリミティブな荒々しさと暗黒性に包まれて、ミドルテンポのナンバーなどもじっくりと味わえる。
曲によっては、初期EMPERORを重厚にしたような雰囲気もあり、どこを切っても北欧らしいブラックメタルが楽しめる強力作だ。
ドラマティック度・8 暴虐度・8 叙情度・7 総合・8 過去作のレビューはこちら
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11/15
紅葉とメタル(198)
Veonity 「The Final Element」
スウェーデンのメロディックメタル、ヴェオニティの2024年作
2015年にデビューし、すでに6作目。前作「Elements Of Power」から続くコンセプトストーリーの完結編で、朗々としたコーラスを乗せたエピックなイントロから、ツインギターにハイトーンのヴォーカルを乗せて疾走する、キーパーメタル風のメロスピが炸裂。
抜けの良いキャッチーなクサメロ感覚は、GAMMA RAYにも通じ、勇壮なコーラスはRHAPSODY風だったりと、クサメタラー歓喜のサウンドが広がってゆく。
疾走ナンバーからミドルテンポまで、どこをきっても爽快なメロディのフックが現れて、きらびやかに心躍るような古き良き王道のメロパワが味わえる。
ヨアキム・カンスを伸びやかにしたようなアイサックのヴォーカルも楽曲によくマッチしていて、捨て曲なしの充実ぶりも素晴らしい。
まさにバンドとしての絶頂期を迎えるかのような勢いあるクサメロパワの力作といえる。
メロディック度・8 疾走度・8 クサメロ度・9 総合・8.5 過去作のレビューはこちら
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FATAL FIRE 「ARSON」
ドイツのメタルバンド、フェタイル・ファイアの2024年作
ツインギターのオールドなリフに伸びやかな女性ヴォーカルを乗せて疾走する、古き良き感触のスピードメタルを聴かせる。
ジャーマンメタルをルーツにしたメロディックな叙情もまぶしつつ、スラッシーな味わいも含んだ疾走感はなかなか爽快だ。
Crystal Viperなどに比べるとよりスピードメタル寄りなので、最初期のHELLOWEENのようなローカルなジャーマンメタルが好きな方にもよいだろう。
ときにエリサ・マーティンなどを思わせる、紅一点、Svenja嬢の歌声もパワフルすぎず魅力的で、重すぎない疾走メタルスタイルによくマッチしている。
ほどよいクサメロ感に優雅さもまとわせた女性声で、ジャーマンらしいヴィンテージなメロディック・スピードメタルを楽しめる好作です。
メロディック度・7 疾走度・8 古き良き度・8 総合・8
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Athena XIX 「Everflow Part 1: Frames Of Humanity」
イタリアのプログレッシブ・メタル、アシーナXIXの2024年作
最初期にはファビオ・リオーネが在籍したが、ファビオは脱退しLABYLINTHEに加入。1995年のATHENAのデビュー作「Inside The Moon」はプログレッシブメタルの傑作となった。
その後、ファビオが復帰し、1998年に2ndを発表するも、再びファビオは脱退。バンドは2001年に3rdを残して解散するが、2019年になって再結成を果たすと、三たびファビオ・リオーネが加わって、Athena XIXとバンド名を変更し、23年ぶりの4作目がここに完成した。
メタリックなギターにきらびやかなシンセが絡み、伸びのあるファビオの歌声とともに、緩急あるリズム展開の知的でドラマティックなサウンドを構築する。
楽曲自体は4〜5分前後ながら、疾走するメロスピ風味や、キャッチーなノリのミドルテンポなども盛り込みつつ、近未来的な世界観をコンセプト的な流れで描いてゆく。
爽快な盛り上がりがもう少しあってもよいとは思うが、ほどよくダークでモダンなプログレメタルとしても楽しめる力作である。
ドラマティック度・8 テクニカル度・7 重厚度・8 総合・8 過去作のレビューはこちら
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Stranger Vision 「Faust - Act I, Prelude To Darkness」
イタリアのプログレメタル、ストレンジャー・ヴィジョンの2024年作
2021年にデビューし、3作目となる。ゲーテの「ファウスト」をコンセプトにした作品で、ジェイムズ・ラブリエ(Dream Theater)、シモーネ・ベルトッツィ(Ancient
Bards)らがゲスト参加
壮麗なイントロから、巧みで硬質なギターにパワフルなヴォーカルを緩急あるリズムに乗せて、ドラマティックなProgMetalを展開する。
随所にアグレッシブな激しさも覗かせつつ、スタイリッシュなメタル感触と、適度にダークな叙情が同居したスケールの大きなサウンドだ。
全体的には、もう少しメロディのフックや盛り上がりが欲しい気もするが、モダンなプログ・パワーメタルとしてわりとストレートに聴ける。
ドラマティック度・7 テクニカル度・7 重厚度・8 総合・7.5
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OPETH 「The Last Will And Testament」
スウェーデンのプログレッシブ・デスメタル、オーペスの2024年作
1995年にデビュー、2011年作以降は、デス色を抑えたプログレッシブなヴィンテージハードロックという作風に深化し、本作は5年ぶりとなる14作目。
1920年代のとある富豪一族をテーマにしたコンセプトアルバムで、ヘヴィなギターをアグレッシブなリズム乗せ、デスヴォイスを解禁したミカエルのヴォーカルとともに重厚なサウンドを展開する。
メロトロンのようなシンセを重ねたヴィンテージな感触や、ゆるやかなピアノにマイルドなヴォーカルなど、静と動の緩急あるアレンジで、セピア色のドラマをじわじわと描いてゆく。
Jethro Tullのイアン・アンダーソンがゲスト参加してナレーションやフルートを担当していることもあってか、激しさの合間に英国的な優雅な空気感も覗かせる。
派手なインパクトはさほどないが、叙情的なラスト曲まで、プログレッシブでスリリングな構成と、翳りを帯びたダークな世界観を、ベテランらしい見事な演奏で構築した力作である。
ドラマティック度・8 展開度・8 重厚度・8 総合・8 過去作のレビューはこちら
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Quantum 「Down The Mountainside」
スウェーデンのプログレ・ハードロック、クァンタムの2024年作
変拍子を含むリズムに、ほどよくヘヴィなギターとハイトーンのヴォーカルを乗せ、オールドなハードロック感にストリングスアレンジも加わった、優雅なアートロックを聴かせる。、
随所に流麗なギタープレイも覗かせつつ、アナログ感のあるガレージロック的なノリや、エモーショナルなキャッチーなパートも覗かせるなど、緩急に富んだ味わい。
テクニカルなインストパートでは、ブラスアレンジなども盛り込んだ、知的で軽妙なセンスも覗かせて、ときにRUSHやDREAM THEATERを思わせるような部分もあり、ProgMetalファンにも楽しめるだろう。
シンセをあまり使っていないので、華麗な盛り上がりはあまりないのだが、アルバム後半の10分近い大曲も聴きごたえがあり、確かな演奏力も含めて今後に期待のバンドです。
ドラマティック度・7 テクニカル度・8 優雅度・8 総合・8
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VULTURE INDUSTRIES 「Ghosts From The Past」
ノルウェーのプログレメタル、ヴァルチャー・インダストリーズの2023年作
ブラックメタルバンド、Sulphurのメンバーを中心に、2007年にデビューし、5作目となる。オールドな感触のギターに朗々としたヴォーカルを乗せた、ヴィンテージなハードロック風味のサウンド。
楽曲は4〜5分前後のミドルテンポを主体に、シアトリカルに歌い上げるヴォーカルとともに、ARCTURUSあたりに通じるようなダークで妖しい世界観も感じさせる。
ProgMetalというにはテクニカルな要素や展開力に乏しいが、このザラついた垢ぬけなさは、土着感のある北欧ヴィンテージメタルといった聴き方がいいだろう。
ラストは9分の大曲で、ブルージーかつ叙情的なギターに、ゲストによるサックスの響きなども加わり、優雅にしてどっしりとした重厚さも描いている。
ドラマティック度・7 重厚度・8 ヴィンテージ度・8 総合・7.5
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Robby Valentine 「Embrace the Unknown」
オランダの貴公子、ロビー・ヴァレンタインの2023年作
1992年にデビュー、1995年からはヴァレンタイン名義で活動し、2014年からは再びソロネームとなり、本作は通算12作目のオリジナルアルバム。
ロック度が抑え目だった前作に比べ、本作はQUEENをルーツにしたキャッチーでオールドなメロディックロックがたっぷりと詰まっている。
ドラムは打ち込みのようだが、優美なピアノとほどよくハードなギター、マイルドなウォーカルにコーラスを重ねた、優雅でゴージャスなサウンドは健在。
エルトン・ジョンのようなポップなナンバーもあって、良い意味での80年代感覚に包まれた作風が、なつかしくも耳心地よいのである。
一方では、シンセとピアノをバックにしたしっとりとしたバラードもよろしく、30年経っても変わらぬロビヴァレ節を楽しめる好作品です。
メロディック度・8 キャッチー度・8 優雅度・8 総合・8 過去作のレビューはこちら
KRUK 「It Will Not Come Back」
ポーランドのハードロック、クラックの2011年作
2006年にデビューし、3作目となる。オールドなギターにオルガンなどのシンセを重ね、ジェントルなヴォーカルで、URIAH HEEPなどに通じる70年代ブリティッシュ・ハードロックをルーツにしたサウンドを聴かせる。
歌詞は英語なので辺境臭さはほとんどないが、東欧らしい翳りを帯びた叙情も含ませて、随所にメロウな泣きのギターの旋律も耳心地よい。
7〜8分という長めの楽曲もあるが、エモーショナルなヴォーカルやセンスのあるギターワーク、プログレ的でもあるシンセとともに、じっくりと味わえる力量がある。
哀愁の叙情に包まれる3拍子のスローナンバーから、12分という大曲では、プログレッシブな構築力も光る。付属のDVDにはライブ映像を収録。
ドラマティック度・8 オールドロック度・8 哀愁の叙情度・8 総合・8 過去作のレビューはこちら
CONTRARIAN 「Sage Of Shekhinah」
アメリカのテクニカル・デスメタル、コントラリアンの2023年作
2015年にデビューし、5作目となる。テクニカルなリズムにほどよいメロディを含んだギターとデスヴォイスを乗せて、せわしない展開力のオールドスタイルのテクデスを聴かせる。
軽やかなドラムに巧みなベースを重ね、随所に流麗なギタープレイも奏でられる、知的でプログレッシブなセンスは、DEATHにも通じるだろう。
重すぎない聴き心地で楽しめる。
2本のギターが有機的に絡む独自の浮遊感とたたみかける変則リズムの応酬は、ヘンタイ系デスメタルが好きなら心地よいに違いない。
全33分と短めであるが、濃厚でアヴァンギャルドなテクニカルデスとしてはむしろちょうどよい。
テクニカル度・8 暴虐度・7 知的デス度・9 総合・8 過去作のレビューはこちら
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Malevolent Creation 「MEMORIES OF A BEAST」
アメリカのデスメタル、マレヴォレント・クリエイションの2019年作
1991年にデビュー、2019年までに13作を発表しているアメリカデスメタルを代表するバンドのひとつ。本作は、1997〜2002年作までの4作からの15曲を収録した中期のベストアルバム。
ザクザクとしたギターに低音のデス声ヴォーカルを乗せて、ブラストビートやときにスラッシーな疾走も含め、オールドスタイルのデスメタルを聴かせる。
絡みつくようなゲボ声ヴォーカルは好みを分けるところだが、デビュー時からほとんど変わらない、デスメタルらしいスタイルを続けるのは天晴であろう。
4作のアルバムから、各3〜4曲程度で、トラックが進むごとに古くなるので、音質にバラツキはあるのだが、1998年作「The Fine Art Of Murder」からのナンバーなどは、OBITUARYのようなミステリアスな雰囲気もあって面白い。
90年代後半から、2000年代にかけての、バンドの歩みを振り返ることができる全15曲デス。
ドラマティック度・7 暴虐度・8 オールドデス度・9 総合・8 過去作のレビューはこちら
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Pestilence 「Mind Reflections」
オランダのテクニカルデスメタル、ペスティレンスの1994年作
1988年にデビュー、1993年までに4作を残して消えるも、2009年に復活したバンドの、初期の4作からの楽曲を収録したベストアルバム。
ザクザクのギターリフに、吐き捨てヴォーカルで疾走する、やや粗削りの1stや、2ndからのナンバーも、リマスターされててデスラッシュ的な迫力で楽しめる。
3rdになると、叙情的なギターの旋律も覗かせるなど、緩急あるリズム展開が知的な雰囲気を醸し出し、4thになると、プログレッシブなテクニカルデスへと深化して、DEATHなどのファンにも楽しめる。
1988年のコンピレーシヨン収録曲など貴重な音源や、後半には1992年のライブ音源を6曲収録。アグレッシブな演奏から、当時のバンドの実力の高さが認識できる。
テクニカル度・8 暴虐度・7 知的デス度・8 総合・8 過去作のレビューはこちら
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10/11
メタルの秋到来(186)
Dream Evil 「Metal Gods」
スウェーデンのメロディックメタル、ドリーム・イ−ヴルの2024年作
プロデューサーとして名高いフレドリック・ノルドストロームを中心に結成し、2002年デビュー、本作は7年ぶりとなる7作目。
どっしりとしたリズムにメタリックなギターを重ね、パワフルなヴォーカルとともに、王道のヘヴィメタルを聴かせる。
ほどよくキャッチーなメロディに古き良きメタル感触が合わさり、どこを切っても正統派の北欧メロパワという味わいで、ニクラス・イスフェルドの歌い上げるヴォーカルに勇壮なコーラスも加わるとエピックな雰囲気も現れる。
疾走感あるナンバーもあるが基本はミドルテンポが主体で、重厚なメタルサウンドはベテランらしい説得力たっぷりだ。
トミー・ヨハンソン(Reinxeed)、クリストファー・アモット(Armageddon)などがゲスト参加し、巧みなギタープレイを披露している。
ドラマティック度・7 正統派度・9 重厚度・8 総合・8 過去作のレビューはこちら
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All For Metal 「Gods Of Metal」
ドイツのメロディックメタル、オール・フォー・メタルの2024年作
男性ツインヴォーカルに女性ツインギターを含む編成で、2023年にデビューし、本作は2作目となる。
ジャケといいアルバムタイトルといい、MANOWARを思わせる雰囲気が漂うが、日本語によるイントロから、正統派のギターにダーティ&ハイトーンという2人の男性ヴォーカルで、どっしりとした古き良きヘヴィメタルが展開される。
北欧神話+日本というコンセプトなのか、随所に和風の旋律も織り込みつつ、ヨーロピアンなメロディアス性が融合したスタイルは、メンバーのヴィジュアルも含めて、やはりMANOWAR的なマッチョでエピックな世界観といえるだろう。
ローラ・デルグモンド(Burning Witches)、ティム・ハンセン(Induction)などがゲストシンガーで参加している。
ドラマティック度・8 正統派度・8 エピック度・8 総合・8
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Crystal Viper 「The Silver Key」
ポーランドのメタルバンド、クリスタル・ヴァイパーの2024年作
2007年にデビューし、すでに9作目となる。スラッシーなギターリフにハスキーな女性ヴォーカルを乗せて疾走する1曲目から、オールドなスピードメタルが炸裂。
紅一点、マルタ・ガブリエルの伸びのある歌声に、古き良き正統派のギタープレイで、これという目新しさはないのだが、胸躍るメタルサウンドが詰まっている。
ツインギターによる叙情的なフレーズは、ジャーマンメタル風でもあり、今作は疾走するナンバーが多いのも、ファンには嬉しいだろう。
一方では、しっとりとしたバラードなども、マルタ嬢の歌唱の表現力が増したことで、なかなか魅力的である。
ドラマティック度・7 疾走度・8 オールドメタル度・8 総合・8 過去作のレビューはこちら
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Leonardo Oliveira’s Power Reset 「Son of The Light」
ブラジルのシンフォニックメタル、レオナルド・オリヴェイラズ・パワー・リセットの2024年作
マルチミュージシャンのレオナルド・オリヴェイラによるプロシェクトで、Inductionのクレイグ・ケインズがヴォーカルで参加。
STRATOVARIUSを思わせるクラシカルなイントロから、シンフォニックなアレンジにハイトーンヴォーカルを乗せて、きらびやかに疾走するメロパワサウンドを展開。
ほどよくクサメロ感を含んだヴォーカルメロディも心地よく、クレイグ・ケインズの伸びのあるヴォーカルも、爽快なメロスピナンバーによくマッチしている。
ソナタやストラトなどの北欧メロパワと、インサニアンなキーパーメタル感が合わさって、つまりはその手のクサメロパワ好きにはたまらない内容だろう。
ドラマティック度・8 疾走度・8 華麗でクサメロ度・8 総合・8
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Vanquisher 「An Age Undreamed Of」
スウェーデンのエピックメタル、ヴァンクイッシャーの2022年作
ナレーション入りのイントロから、エピカルな世界観に包まれて、クサメロ感あるツインギターにパワフル過ぎないハイトーンヴォーカルを重ね、MANOWARやMAJESTYあたりを思わせる勇壮なメロパワを聴かせる。
どっしりとしたミドルテンポを主体に、適度な疾走感も覗かせつつ、朗々としたコーラスも加わって、ジャケのイメージのようなバトルメタル的な味わい。
これという新鮮味はないものの、クサめのギターフレーズが随所にアクセントになっており、ほどよいマイナー臭さも悪くない。
80〜90年代をルーツにした、オールドな王道のエピックメタルが楽しめる強力作です。
ドラマティック度・7 正統派度・8 勇壮度・8 総合・7.5
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MOON WIZARD 「SIRENS」
アメリカの女性Voドゥームロック、ムーン・ウィザードの2024年作
2019年にデビューし、3作目となる。アナログ感ある重すぎないギターに、ハスキーな女性ヴォーカルを乗せた、ヴィンテージなドゥームロックを聴かせる。
Black Sabbathをルーツにした70年代風の空気感とともに、魔女系ロックとしたのカルトな妖しさも漂わせ、Blood Ceremonyあたりのファンにも楽しめる。
楽曲は4〜5分前後とわりとストレートながら、演奏力あるドラムにベースも存在感があって、心地よいアンサンブルとともに、それなりに展開力もあるので飽きることはない。
ヴィンテージ度・8 ドゥーム度・7 魔女系ロック度・8 総合・8
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Withering Surface 「Exit Plan」
デンマークのメロディック・デスメタル、ウィザリング・サーフェイスの2024年作
1997年にデビュー、2020年に16年ぶりに復活し、本作は6作目となる。叙情的なツインギターに吐き捨てヴォイスを乗せて、90年代ルーツの北欧らしいメロディック・デスメタルを聴かせる。
ミドルテンポのナンバーは、IN FLAMES風だったり、スラッシーな疾走感はAT THE GATES的であったりと、いわゆるイエテボリ系メロデスが好きな方にはストライク。
激しく疾走するパートでも、モダンにならず重すぎないオールドスタイルの安心感で、巧みなギターの旋律も楽曲に涼やかな叙情性を加えている。
古き良きメロデスを愛する方には大変楽しめる内容デスな。
ドラマティック度・8 暴虐度・7 メロデス度・9 総合・8
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AN TORAMH 「Echoes Of Eternal Night」
スウェーデンのフューネラル・ドゥームメタル、アン・トラムの2025年作
2人組のユニットで、シンセによる幻想的なイントロから、叙情的なギターの旋律に唸り声じみたヴォーカルを重ね、ゆったりとした暗黒のドゥームメタルを聴かせる。
泣きのギターにシンセが重なるメランコリックな美しさに包まれて、デスヴォイスがなければ耽美なゴシックアンビエントとしても楽しめたかもしれない。
スローテンポを主体に、8〜9分という大曲も、わりと淡々としたダークな叙情を描いていて、耳心地よく眠くなったりするのだが、それもまたよし。
SHAPE OF DESPAIRなどにも通じる、耽美でフューネラルな世界観が好きな方なら、まどろむように楽しめるのではなかろうか。
ドラマティック度・7 暗黒度・7 幻想度・8 総合・7.5
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AVERNUS「GRIEVANCES」
アメリカのフューネラル・ドゥームメタル、アヴァーナスの2024年作
1997年に1作を残して消えたバンドの、27年ぶりとなる復活作。叙情的なツインギターにうっすらとしたシンセを重ね、低音デスヴォイスとともに、フューネラルなドゥームメタルを聴かせる。
MY DYING BRIDEあたりにも通じるゴシックメタル的なもの悲しさも随所に覗かせつつ、どっしりとした重厚なドゥーム感触が融合されて、説得力あるサウンドを構築している。
シンセによるアトモスフェリックなインストナンバーもありつつ、ラストはメロディアスなギターとドゥーミィな暗黒性が融合した、SWALLOW THE SUNのような幻想的なゴシック・ドゥームが味わえる。
ドラマティック度・8 暗黒度・8 重厚度・8 総合・8
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Amiensus 「Reclamation Pt II」
アメリカのブログレッシブ・ブラックメタル、アミエンサスの2024年作
2013年にデビューし、本作は5作目となる。前作の続編となるコンセプト作で、ザラついたギターに吐き捨てヴォーカルを乗せ、うっすらとしたシンセも重なってミステリアスなブラックメタルを描く。
随所に激しいブラスト疾走も織り込みつつ、叙情的なギターの旋律や、ノーマルヴォーカルを使ったもの悲しい空気感など、緩急ある構築力とともに、ダイナミックなサウンドが楽しめる。
神秘的なスケール感に包まれたプログ・ブラックという点では、SOLEFALDあたりのファンにもお薦めだが、こちらはデスメタル的でもある重厚な感触もある。
ドラマティック度・8 神秘的度・8 重厚度・8 総合・8
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LORD VAMPYR「The Greatest Bloodbath」
イタリアのシンフォニック・ブラックメタル、ロード・ヴァンパイアの2025年作
元Theatres Des Vampiresのメンバーによるプロジェクトで、2005年にデビューし、本作は7作目となる。
DEVIL DOLLのようなホラーサントラ風のイントロから、ダミ声ヴォーカルとともに、Cradle Of Filthにも通じるヴァンパイア・ブラックメタルを展開。
シンフォニックなアレンジと随所に激しい疾走感や、ダークで耽美な世界観が融合し、シアトリカルなホラーメタルというべきサウンドが楽しめる。
1分前後の小曲を挟んだシネマティックな流れで進み、アルバム後半は、シンセをメインにしたサントラ風のナンバーが続くので、GOBLINあたりが好きな方もどうぞ。
ドラマティック度・7 暴虐度・5 耽美度・8 総合・7.5
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ANTECANTAMENTUM「Saturnine December」
アメリカのブラックメタル、アンテカント・アメンタムの2022年作
Melpomene氏による個人ユニットで、ジャケのイラストは少女マンガのようだが、ブラストを含む激しいリズムにトレモロを含むギターリフと、咆哮するヴォーカルで迫力あるブラックメタルを聴かせる。
暴虐にたたみかける本格派のプリミティブブラックの感触に、幻想的な叙情を織り込んだ緩急ある展開力で、10分を超える大曲を構築してゆくセンスはプログレッシブでもある。
美麗なシンセを重ねてブラスト疾走するシンフォニックブラック風のナンバーや、もの悲しいチェロの音色が響き渡るラストの大曲まで、激しくも神秘的な空気に包まれる。
ドラマティック度・8 暴虐度・7 構築度・8 総合・8
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9/19
暑さ寒さも彼岸まで(174)
Hypersonic 「Kaosmogonia」
イタリアのシンフォニックメタル、ハイパーソニックの2024年作
2011年にデビュー、本作は8年ぶりとなる3作目。オーケストラルなイントロから、メタリックなギターリフに壮麗なシンセアレンジ、男女ヴォーカルの歌声で、展開力のあるシンフォニックメタルを聴かせる。
アグレッシブな疾走感のメロパワ要素と緩急ある展開力に、ゴシックメタル風の耽美な世界観や、ときに民族調の旋律も溶け込ませて、濃密なサウンドを構築する。
新加入のエレオノーラ嬢は、ストレートな歌声の中にフェミニンな表現力を醸し出し、ゆったりとしたナンバーでは伸びやでエモーショナルな歌唱が魅力的だ。
アグレッシブな激しさとヘヴィネスも含みつつ、キャッチーな優雅さとシンフォニックなオーケストラアレンジが融合した、高品質なアルバムです。
シンフォニック度・8 壮麗度・8 女性Vo度・8 総合・8
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DRACONICON 「Dark Side of Magic」
イタリアのメロディックメタル、ドラコニコンの2021年作
RHAPSODYのようなオーケストラルなイントロから、クサメロ感ある流麗なギターに、ハイトーンヴォーカルを乗せて、ファンタジックなシンフォニックメタルを展開する。
メロスピ的な華麗な疾走感と、エピックなコーラスを重ねたシネマティックな重厚さが同居し、イタリアンメタルらしい優雅なメロディアス性に包まれる。
歌い上げるヴォーカルの歌唱力、随所に巧みなギタープレイも奏でるなど、演奏力の高さも含めて、LABYRINTHEや、THY MAJESTIEあたりと比べても遜色はない。
ミドルテンポのキャッチーなナンバーや、ヴァイオリン鳴り響く優雅な味わいもあったり、物語的な流れで楽しめる好作品である。
ドラマティック度・8 華麗度・8 ファンタジック度・8 総合・8
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DRACONICON「PESTILENCE」
イタリアのメロディックメタル、ドラコニコンの2023年作
2作目となる本作は、ペストに冒された国をテーマにしたコンセプト作のようで、クラシカルなストリングスアレンジをギターに重ね、伸びやかなヴォーカルとともに疾走する、ドラマティックなメロディックメタルを聴かせる。
ときに激しい疾走感やスクリームするヴォーカルも現れて、いくぶんダークな雰囲気も覗かせつつ、THY MAJESTIEあたりを思わせる壮麗なスケール感に包まれる。
流麗なギタープレイも随所に光っていて、表現力あるヴォーカルも含めてサウンドの説得力は見事で、プログレッシブなタイトルナンバーもアクセントになっている。
全40分ながら濃密この上なし。シアトリカルなドラマ性を描き出す重厚なシンフォニックメタルが好きな方には必聴の出来だろう。
ドラマティック度・9 壮麗度・8 エピック度・8 総合・8.5
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GLYPH「Honour. Power. Glory」
カナダ、アメリカ混成のメロディックメタル、グリプの2024年作
オールドなギターに朗々としたヴォーカル、エピックなコーラスに壮麗なシンセも加えて、SABATONやGLORYHAMMERなどに通じる、勇壮なメロパワサウンドを聴かせる。
楽曲は3〜4分前後を主体に、どっしりとしたミドルテンポから、適度に疾走感もある正統派のメロパワスタイルで、メロディックなギターとともに、STRATOVARIUSのようなきらびやかなシンセワークも随所に光っている。
歌い上げてもパワフルになり過ぎないヴォーカルに、ほどよいクサメロ感が、いくぶんB級の哀愁を漂わせ、エピックなシンフォ・メロパワとしても良い感じだ。
ドラマティック度・8 疾走度・7 エピック度・8 総合・7.5
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ARYSITHIAN BLADE「IRIATH」
ギリシャのメタルバンド、アリシシアン・ブレードの2024年作
いかにもファンタジックなエピックメタルを想起させるジャケだが、サウンドの方も、叙情的なギターに癖のあるハイトーンヴォーカルで、LORDIAN GUARDやCRIMSON GLORYなどを思わせるオールドな味わいの様式美メタルを聴かせる。
楽曲はミドルテンポを主体に、ツインギターによるクサめのフレーズもよろしく、80年代ルーツのマイナーなエピックメタルとしても楽しめる。
全体的に疾走感はあまりないが、どこを切ってもメロディアスなギターの旋律が耳心地よい。全36分というのがやや物足りないか。
ドラマティック度・8 疾走度・6 エピック度・8 総合・7.5
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Angel Witch 「Burn The White Witch-Live」
イギリスのメタルバンド、エンジェル・ウィッチのライブ。2009年作
NWOBHMムーブのさなか、1980年にデビュー、1986年までに3作を残して消えたバンドが、2008年に新たなラインナップで再結成。
本作は、2009年、ロンドンでのライブを収録。オリジナルメンバーは、ケヴィン・ヘイボーンのみであるが、デビューアルバムからのナンバーをメインに、ツインギターのオールドなリフに、決して上手くはないが味のあるヴォーカルで、往年のサウンドを蘇らせている。
ややラウドな音質からもライブの臨場感が伝わってくる。バンドはこの後、2012年に復活作「As Above, So Below」を発表する。
ライブ演奏・7 オールドメタル度・8 NWOBHM度・8 総合・7.5 過去作のレビューはこちら
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SAUROM「MARYAM」
スペインのシンフォニックメタル、サウロムの2010年作
SAUROM LAMDERTHとして2001年にデビュー、本作は通算6作目で、SAUROM名義となっての3作目。
わりとモダンなシンセのイントロから、正統派のギターリフにスペイン語のヴォーカルを乗せた、優雅なメロパワを聴かせる。
美麗なシンセアレンジや随所にホイッスルなどを加えて、フォーキーな牧歌性も覗かせつつ、決してマニアックにならないキャッチーなメロディアス性もある。
クサメロを乗せた疾走感や土着感は控えめながら、シンフォニックメタル寄りのナンバーではエピックなスケール感も現れる。
エモーショナルな歌声をピアノに乗せたバラードなどもよい味わいで、全体的にもさすがの高品質作である。DVDにはPVやライブ映像を収録。
ドラマティック度・8 フォーキー度・7 スパニッシュ度・8 総合・8 過去作のレビューはこちら
ANCIENT SETTLERS 「OBLIVION'S LEGACZY」
ベネズエラ、スペインの混成メロディック・デスメタル、エンシェント・セットラーズの2024年作
2022年にデビューし、2作目となる。女性シンガーをフロントにしたバンドで、ザクザクとしたギターリフに女性のグロウルヴォイスを乗せたメロデスサウンド。
キュートなノーマルヴォイスも使い分ける、Argen嬢のヴォーカルと、美麗なシンセアレンジとともに、随所に優雅なメロディアス性も覗かせて、ミドルテンポから、スラッシーに疾走する激しいナンバーも、叙情的なギターフレーズが耳心地よく、デス系が苦手な方でも楽しめるだろう。
重すぎないオールドスタイルのメロデスの感触に、女性声による耽美な味わいが融合した好作品デス。
ドラマティック度・8 暴虐度・7 女性声メロデス度・8 総合・8
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Therion 「Leviathan」
スウェーデンのシンフォニックメタル、セリオンの2021年作
1991年にデビュー、初期のデスメタル路線から、壮麗なコーラスを導入し、シンフォニックな作風へと深化、前作「Beloved Antichrist」では長大なロックオペラに挑戦するなど、独自の路線を追求している。
本作は、オリジナルのシンフォニックメタル路線としては、2010年以来となるアルバムで、3部作の1作目である。
ノア・グラマン(Scardust)、マルコ・ヒエタラ(元Nightwish)、マッツ・レヴィンなど、多数のシンガーが参加、メタリックなギターに男女ヴォーカルと混声コーラスを乗せた、かつての作風へと回帰した聴き心地で、わりとストレートなメタル感触で楽しめる。
キアラ・マルヴェスティティ(Crysalys)の美しいソプラノや、タイダ・ナズライク(The Loudest Silence)のキュートな歌声が映えるナンバーなども魅力的で、オーケストラルなアレンジとともに優雅な味わいに包まれる。
シンフォニック度・8 壮麗度・8 重厚度・8 総合・8 過去作のレビューはこちら
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Nattsmyg 「Fylgja」
スウェーデンのペイガンメタル、ナットスマイグの2011年作
2007年にデビューし、2作目となる。優美なシンセをギターに重ね、母国語による女性ヴォーカルにダミ声ヴォーカルを加えて、幻想的な浮遊感を描くサウンド。
メロウなギターの旋律をうっすらとしたシンセが包み込み、涼やかで神秘的な土着性とともに、ゴシック的でもある耽美な味わいも覗かせる。
ツーバスのドラムがわりと激しめのリズムを刻んでおり、なよやかな女性声とのコントラストになっていて、不穏なギターリフにダミ声が乗ると、ゆったりとしたブラックメタルという雰囲気にもなるのが面白い。
アルバム後半の、6〜8分という長めの楽曲では、シンフォニックブラック風味もありつつ、美麗なシンセによるサウンドスケープに心地よく包まれる。
ドラマティック度・8 北欧度・9 幻想度・8 総合・8
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THE CROWN 「Crown Of Thorns」
スウェーデンのデスメタル、クラウンの2024年作
CROWN OF THORNES名義で1995年にデビュー、一時期の解散をへて復活、通算12作目となる本作は、かつてのバンド名をアルバムタイトルに冠している。
初期メンバーであるギターのマーカス・スーネソンが復帰し、エッジの効いたギターリフとともに激しく疾走する、オールドなデスメタルとスラッシュメタルが同居したサウンドを展開する。
間奏部での叙情的なギタープレイも素晴らしく、ヨハン・リンドストランドの迫力あるデスヴォイスは楽曲に荘厳な説得力をまとわせる。
激烈に疾走するデスラッシュでありながら、ときに北欧らしいメランコリックな哀愁のメロディを含んで、ドラマティックに構築する展開力もベテランらしい。
どっしりとしたミドルテンポに、ブラックメタル的な禍々しさを覗かせるラスト曲まで、セルフタイトルにふさわしい傑作に仕上がっている。日本盤ライナー解説は緑川です。
ドラマティック度・8 暴虐度・8 デスラッシュ度・9 総合・8.5 過去作のレビューはこちら
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VADER「Solitude In Madness」
ポーランドのデスメタル、ヴェイダーの2020年作
1992年にデビューし、12作目。本作もスラッシーでもあるギターリフに咆哮するデスヴォイスで疾走する、ストレートなデスメタルを聴かせる。
暴虐な疾走感でたたみかけつつも、ギターリフはあくまでオールドスタイルなので、ブルータルになりすぎず、いわば激しくも爽快なサウンドである。
楽曲は2〜3分前後で、疾走ナンバーのみでなく、どっしりとしたミドルテンポもあって、ほどよく緩急のある味わいである。
随所に甘すぎない程度のギターフレーズを盛り込んだ、デスラッシュ好きにも薦められるスタイル。全11曲29分という短さも潔い。
ドラマティック度・7 暴虐度・8 オールドデス度・8 総合・8 過去作のレビューはこちら
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9/12
残暑のペイガンメタル(162)
Amorphis 「Live At Helsinki Ice Hall」
フィンランドのトラッドメタル、アモルフィスのライブ。2021年作
1991年にデビュー、北欧らしい土着的なメロディをデスメタルに融合させた独自のサウンドで深化を続けてきたベテランバンド。
本作は、2019年ヘルシンキでのライブを2CDに収録。2018年作「Queen Of Time」からのナンバーを主体に、過去作からの楽曲も演奏。
重厚なギターにシンセを重ね、迫力あるデスヴォイスにノーマルヴォーカルも使い分けて、涼やかな空気とヘヴィネスを描き出す。
ヴィンテージなオルガンに叙情的なギターフレーズがときにプログレッシブな味わいで、ベテランらしい説得力ある厚みのあるサウンドを展開する。
やはり初期作からのナンバー、2ndからの“Into Hiding”、“Black Winter Day”、3rdからの“Against Widows”、“My
Kantele”あたりは、ぐっときますな。
ドラマティック度・8 ライブ演奏・8 重厚度・8 総合・8 過去作のレビューはこちら
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KORPIKLAANI「KULKIJA/北欧コルピひとり旅」
フィンランドのフォークメタル、コルピクラーニの2018年作
2003年にデビュー、10作目となる本作は「放浪者」をコンセプトにしたアルバムで、全71分という力作。
のっけからメタリックなギターにアコーディオンを重ね、母国語のダミ声ヴォーカルとともに疾走する、アグレッシブな聴き心地。
ヴァイオリンが鳴り響きフォーキーな優雅と、武骨な土着性が同居して、哀愁を含んだ旅情を描くように楽曲は進んでゆく。
ミドルテンポで、どっしりと聴かせるナンバーも多いので、中盤からは少々飽きてしまうのだが、アルバム後半にはほどよい疾走感も現れ、わりとバランスをとっている。
アコーディオンとヴァイオリンが哀愁のフレーズを奏でる、ゆったりとしたフォルクローレなラストナンバーも、旅の終わりを思わせるようなエンディング的な味わいだ。
ドラマティック度・8 フォーク度・8 哀愁度・9 総合・8 過去作のレビューはこちら
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KORPIKLAANI 「Jylhae」
フィンランドのフォークメタル、コルピクラーニの2021年作
11作目となる本作は、ドラマーが交替し、ツーバスによるタイトなリズムにメタリックなギターを乗せ、アコーディオンの音色とダミ声ヴォーカルで、疾走感あるフォークメタルを展開。
前作にくらべるとメロパワ的な勢いが増し、それとともにギターリフにはオールドなヘヴィメタルの感触が強まって、JUDAS PRIESTを思わせる部分もあったりする。
いかにもコルピらしい、アコーディオンとヴァイオリンを鳴り響かせ、軽快に疾走するナンバーから、母国語による情感的な歌声で哀愁の叙情に包まれるナンバーなども、ファンには嬉しいところ。
全体的にも、アグレッシブなノリとフォーキーな優雅さがよい塩梅で同居した、ベテランらしいクオリティに仕上がっている。
ドラマティック度・7 フォーク度・8 哀愁度・8 総合・8
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SIETA 「NOVGOROD (Новъгородъ) 」
ロシアのフォーク・ブラックメタル、セタの2021年作
マンドリンのつまびきに、リコーダーやハーディ・ガーディが鳴り響き、うっすらとしたシンセが包み込むイントロから、叙情的なギターに吐き捨てヴォーカルを乗せて、優雅なフォークメタルを展開。
母国語による朗々としたコーラスや、美麗なシンセアレンジにホイッスルの牧歌的な音色が重なり、幻想的なペイガンメタルとしても楽しめる。
一方では、ブラックメタル的な激しいブラスト疾走パートも現れるが暗黒性はさほどなく、フォーキーなメロディはときにキャッチーでもある。
アルバム後半では、12分の大曲もあり、古都ノヴゴルドの史実をテーマに、緩急ある展開でエピックなペイガン・ブラックメタルを聴かせる。
ドラマティック度・8 フォーキー度・8 優雅度・8 総合・8
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CNOC AN TURSA 「The Forty Five」
スコットランドのペイガンメタル、クノック・アン・タルサの2017年作
2013年にデビューし、2作目。優美なピアノのイントロから、重厚なギターに涼やかなシンセを重ね、わめき系ヴォーカルを乗せてエピックなペイガンメタルを展開。
随所にトレモロのギターを乗せた激しい疾走感も現れつつ、勇壮なコーラスやときにピアノやホイッスルの音色も絡んで、神秘的な土着性に包まれる。
スコティッシュの空気を感じさせるメロディアスなギタープレイもよい感じで、ヨーロピアンな優雅さをまとったナンバーから、曲によってはブラックメタルばりのブラスト疾走もあったりと、メリハリある聴き心地で楽しめる。
勇壮ながら叙情的、ケルティックな神秘性を激しさに融合させた、シンフォニックなペイガンメタルが味わえる強力作。
ドラマティック度・8 ペイガン度・9 叙情度・8 総合・8
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Gwydion「VETERAN」
ポルトガルのペイガンメタル、グウィディオン2013年作
2008年にデビューし3作目となる。ジャケのイメージからもエピックなバトルメタルを思わせるが、壮麗なイントロから、ヘヴィなギターにシンセを重ね、吐き捨てヴォーカルとともに勇壮なヴァイキングメタルを聴かせる。
随所に叙情的なギターフレーズや朗々としたコーラスも加わり、幻想的な土着性を描きつつ、TURISASにも通じるシンフォニックなアレンジや、フォーキーに疾走する優雅なノリも覗かせる。
武骨なバトル感とエピックな神秘性が融合して、重厚にしてファンタジックなペイガンメタルが楽しめる好作品です。
ドラマティック度・8 ペイガン度・9 重厚度・8 総合・8 過去作のレビューはこちら
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Valuatir 「Exobnos」
フランスのペイガン・ブラックメタル、ヴァルアティルの2013年作
2008年にデビューし、2作目となる。バグパイプやガイタが鳴り響き、トレモロのギターリフとダミ声ヴォーカルでブラスト疾走する、幻想的なフォーク・ブラックメタルを展開。
激しくとも重すぎないサウンドで、プリミティブなブラックメタルにフォーキーな土着性を取り込んだという聴き心地で、バグパイプの音色が随所にアクセントになっている。
14分という大曲では、ブラックメタルの激しい疾走感とフォークメタルの優雅さが混ざりあい、素朴なガイタの音色が響き渡る小曲なども味わいがある。
前作はいかにもB級ペイガンというスカスカなサウンドであったが、本作はローカルながらも世界観の強度を増した力作となった。
ドラマティック度・8 ペイガン度・8 神秘的度・8 総合・8
VALKNACHT 「Le Sacrifice D'ymir」
カナダのペイガンメタル、ヴァルクナクトの2013年作
2009年にデビューし3作目となる。勇壮なコーラスと美麗なシンセによるイントロから、低音デスヴォイスにオーケストラルなアレンジも重ね、重厚なペイガンメタルを聴かせる。
トレモロを含むギターリフを乗せたアグレッシブな激しさに、ほどよいクサメロ感も漂わせ、エピックなコーラスはヴァイキングメタル的でもあり、7〜10分前後の大曲を主体にしたスケールの大きさは、MOONSORRROWやTURISASなどのファンにも対応。
一方では、激しくブラスト疾走する、シンフォニック・ブラックメタルとしての側面も覗かせつつ、優雅なホイッスルの音色が重なるフォーキーな味わいもある。
ドラマティック度・8 ペイガン度・8 重厚度・8 総合・8
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CLAIM THE THRONE 「FORGED IN FLAME」
オーストラリアのペイガンメタル、クライム・ザ・スローンの2013年作
2008年にデビューし、3作目となる。艶やかなストリングスとシンセによるイントロから、土着的なギターの旋律に武骨なダミ声ヴォーカルを乗せ、激しい疾走感を含んだ勇壮なペイガンメタルを聴かせる。
随所に朗々としたコーラスとシンセによる華麗なアレンジが重なり、激しさの中にクサメロ感も覗かせるあたり、フォーキーなエピック・メロデス的にも楽しめる。
曲によっては女性コーラスも加わって、トレモロを含めた流麗なギターメロディとともに、重厚なサウンドに優雅な叙情美をほどよく溶け込ませている。
後半には11分という大曲もあり、緩急ある展開力でドラマティックに盛り上げる。全68分の濃密な力作である。
ドラマティック度・8 ペイガン度・8 重厚度・8 総合・8.5 過去作のレビューはこちら
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Land of Fog「Heathen Tales」
ブラジルのペイガンメタル、ランド・オブ・フォグの2012年作
クサメロ感あるツインギターにシンセを重ね、吐き捨てヴォーカルを乗せて疾走する、いわばメロスピ風のペイガンメタル。
やわらかなフルートの音色などフォーキーな優雅さと、無骨なダミ声など辺境臭さが合わさって、良い意味でのローカルな土着感が味わえる。
楽曲は3〜4分前後が主体で、わりとシンプルながら、耳触りの良いメロディが随所に現れて、激しくともほどよくキャッチーな聴き心地である。
ラストは、女性声の語りとエピックなコーラスを、フルートとアコースティックギターに乗せ、フォーキーに締めくくる。
ドラマティックな展開力や、サウンド面での重厚な説得力がもうひとつ加われば、クサメロ系ペイガンメタルとしての評価はより高まるだろう。
ドラマティック度・7 ペイガン度・8 クサメロ度・8 総合・7.5
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A LIGHT IN THE DARK 「Insomina」
ロシアのポストブラックメタル、ライト・イン・ザ・ダークの2020年作
Bogdan Makarovによる個人ユニットで、2017年にデビューし、2作目。ジャケやブックレットの写真が日本の夜景なので、日本をテーマにしているのだろう。
駅のアナウンスのSEから、叙情的なギターのリフとメロウな旋律を重ねて、ALCESTなどに通じる翳りを帯びたメランコリックなポストプラックを聴かせる。
随所にダミ声ヴォーカルも入ってくるが、あくまでもの悲しいギターのフレーズが耳に心地よく、激しい疾走パートでも優雅な味わいである。
ソロプロジェクトながら、厚みのあるギターの重ねで、モダンなメランコリーを描く、いわば都会派ポストブラックというような好作品だ。
ドラマティック度・7 激しさ度・7 優雅度・8 総合・8
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Lantlos 「Neon」
ドイツのポストブラックメタル、ラントロスの2010年作
マルチミュージシャンのHerbst(Markus Siegenhort)を中心に、2008年にデビュー、本作は2作目で、AlcestのNeigeが参加している。
トレモロを含む適度にヘヴィなギターに絶叫ヴォーカルを乗せて、随所にブラスト疾走を含む緩急ある展開で、翳りを帯びたポストブラックを聴かせる。
ネイジュの歌声は、悲しみを含んだ咆哮を感じさせながら、一方ではマイルドにヴォーカルによる、ゆったりとしたポストプログレ風のパートなども覗かせる。
ラスト曲での巧みなドラムによるリズムなどはプログレッシブであり、メランコリックなダークさとアヴァンギャルドな浮遊感が交差する。
ドラマティック度・7 暗黒度・7 メランコリック度・8 総合・7.5 過去作のレビューはこちら
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8/29
残暑お見舞い申し上げメタル!(150)
BLITZKRIEG 「TIME OF CHANGES」
ブリティッシュメタルバンド、ブリッツクリーグの1985年作
NWOBHMを代表するバンドのデビュー作で、ツインギターにパワフル過ぎないヴォーカルを乗せた、いかにも英国らしいウェットな味わいのメタルサウンド。
METALLICAがカヴァーした2曲目のノリの良さと、キレのあるギターリフの格好良さなどは、多くのバンドに影響を与えたことだろう。
随所に叙情的なギターの旋律も覗かせながら、朗々としたヴォーカルとともに、どこか幻想的でもあるヨーロピアンな空気感を描き出す。
本作は、80年代としては唯一の作品で、バンドはその後1995年に復活し、現在までにコンスタントに10作品を発表している。
ドラマティック度・8 NWOBHM度・9 英国度・9 総合・8 過去作のレビューはこちら
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Deep Purple 「Now What?!」
イギリスのハードロック、ディープ・パープルの2013年作
2005年作「Rapture Of The Deep」から、8年ぶりのアルバムで、イアン・ギラン、イアン・ペイス、スティーヴ・モーズ、ロジャー・グローヴァー、ドン・エイリーというメンバーは変わらず。
オールドなギターにオルガンが鳴り響き、衰え知らずのイアン・ギランのヴォーカルとともに、どっしりと重厚なブリティッシュ・ハードロックを聴かせる。
ときにストリングスアレンジによる厚みのあるサウンドに、ヘヴィなリフと巧みなフレーズをこなすモーズのギターワークをエイリーのオルガンが包み込む。
KANSASにも通じるような牧歌的なナンバーや、ブルージーな大人の哀愁ロックも挟みつつ、全体として英国らしい優雅でウェットな空気を描くのはさすが。
ゴールドジャケの限定版は、2013年のヨーロッパツアーのライブを収録したボーナスDisc付き。“Smoke On The Water”はじめ、かつてのオールドナンバーも演奏。
ドラマティック度・8 ヴィンテージ度・8 英国度・9 総合・8 過去作のレビューはこちら
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Deep Purple 「Whoosh!」
イギリスのハードロック、ディープ・パープルの2020年作
近年の最高傑作というべき前作「INFINITE」に続く、通算21作目で、イアン・ギラン、イアン・ペイス、スティーヴ・モーズ、ロジャー・グローヴァー、ドン・エイリーというメンバーによるバンドのラストアルバム。
1曲目は、オーケストラルなアレンジをギターに重ねて、イアン・ギランの味わいのあるヴォーカルで、優雅で壮麗なハードロックを展開。
2曲目からは、やわらかなオルガンが鳴り響き、キャッチーなメロディとともに、前作以上に肩の力の抜けた大人のロックサウンドが広がってゆく。
イアン・ペイスのドラムにしろ、スティーブ・モーズのギターにしろ、ハードさよりも優雅で軽やかなプレイで楽曲を構築し、メロディはときにポップですらある。
楽曲は3〜5分前後と、いたってシンプル。半世紀を超えて活動してきたバンドらしい、アダルトな英国ロックンロールを追求したというべき作品である。
ドラマティック度・7 大人のロック度・9 英国度・8 総合・8
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SAXON 「Carpe Diem」
イギリスのベテランメタルバンド、サクソンの2022年作
1979年にデビュー、キャリア40年を誇る大ベテラン。4年ぶりとなる23作目で、シンセによる幻想的なイントロから、パワフルなギターリフに、ビフ・バイフォードの衰え知らずのヴォーカルを乗せて、Judas Priestばりの王道のヘヴィメタルを聴かせる。
どっしりとしたミドルテンポのナンバーも、英国らしい誇り高き空気をまとわせて、泣きのギターとともに哀愁の叙情に包まれる。
今作は、楽曲は3〜5分前後とシンプルで、アグレッシブなナンバーも多いのだが、随所にツインギターによるメロディがアクセントになっていて、ブリティッシュメタルとしての王道たる聴き心地。
もはや新鮮味はないが、パワフルなヘヴィメタルが詰まった強力作である。
ドラマティック度・7 パワフル度・8 英国度・8 総合・8 過去作のレビューはこちら
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ASTRAL SPECTRE 「Ars Notoria」
ドイツのメタルユニット、アストラル・スペクトレの2024年作
マルチミュージシャンによる個人ユニットで、2022年にデビューし、本作は2作目となる。それにしても自主制作然としたジャケである。
オールドなギターにオルガンが鳴り響き、ブラックメタル風のダミ声ヴォーカルとともに、カルトなヴィンテージメタルを聴かせる。
ギターの奏でる叙情メロディと、80年代のNWOBHM風味マイナー臭いウェットな空気感はマニア好みで、ヴォーカルを気にしなければ、けっこう楽しめるだろう。
女性クラリネット&フルート奏者が参加していて、曲によって間奏部で唐突にフルートやクラリネットの優雅な音色が鳴らされる。
アナログ感あるギターにオルガンと、ヴィンテージなハードロックとしても心地良いのだが、ダミ声ではない方が良い気もする。
ドラマティック度・7 ヴィンテージ度・8 カルト度・8 総合・7.5
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ACHELOUS 「TOWER OF HIGH SORCERY」
ギリシャのエピックメタル、アケロースの2024年作
2018年にデビューし、3作目となる。アコースティックギターに女性声を乗せた優美なイントロから始まり、叙情的なギターに朗々としたヴォーカルで、オールドなヨーロピアンメタルを聴かせる。
流麗なギターのメロディに、うっすらとしたシンセ、随所に女性コーラスも重なって、シンフォニックメタル的でもある幻想的な世界観を描いてゆく。
勇壮に疾走する正統派のメロパワ感触に、BLIND GUARDIANなどにも通じるファンタジックなスケール感と、どっしりとした重厚さもあって、なかなか楽しめる。
アコギと女性ヴォーカルによるしっとりとした小曲をはさみ、ラストは9分の大曲で、壮麗なシンセアレンジとともに、エピックかつシネマティックな聴き心地でじわりと盛り上がる。
ドラマティック度・8 エピック度・8 重厚度・8 総合・8
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Legend 「From The Fjords」
アメリカのプログレ・エピックメタル、レジェンドの1979年作
G&Vo、B、Drのトリオ編成で、本作は唯一のアルバム。叙情的なギターに手数の多いドラム、朗々としたヴォーカルで、WARLORDなどに通じるマイナー調のエピックメタルを聴かせる。
巧みなベースも含めてリズム面での演奏力もしっかりしており、70年代の作品としては音質も良好で、単なるB級メタルという以上の内容だろう。
軽やかなドラムは、ときにビル・ブラフォードばり…といったに言いすぎか、メタルにしては軽妙かつフィルなどの手数が多く、インストナンバーではテクニカルなプレイも覗かせる。
全体的にメタル的な激しさはさほどなく、むしろ優雅な味わいでマイナー感のあるプログレハード的にも楽しめるだろう。
2019年再発盤にはデモ音源5曲を追加収録。それにしても、ブックレット写真のドラムセットの要塞っぷりは異常である。笑
ドラマティック度・7 エピック度・7 優雅度・8 総合・7.5
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Castle 「Deal Thy Fate」
アメリカのヴィンテージ・ドゥームメタル、キャッスルの2018年作
B&Voのエリザベス・ブラックウェルとギターのマット・デイヴィスによるユニットで、2011年にデビューし、本作は5作目となる。
ほどよくヘヴィなギターリフに、ハスキーな女性ヴォーカルを乗せて、Black Sabathを魔女系ドゥームにしたようなサウンドを聴かせる。
ダミ声ヴォーカルが絡むブラッケンな味わいも覗かせつつ、ほどよいノリのリズムやエピックメタル的なウェットな雰囲気にも包まれるなど、オールドなメタル好きにも対応。
リズ(エリザベス)嬢の上手すぎない歌声も、マイナーなメタル感触にマッチしている。楽曲は4分前後で、全35分というのもアナログ時代の作品のようだ。
ドラマティック度・7 ヴィンテージ度・8 魔女系ドゥーム度・8 総合・7.5 過去作のレビューはこちら
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Sanctuary 「The Year the Sun Died」
アメリカのスラッシュ・パワーメタル、サンクチュアリの2014年作
MEGADETHのデイブ・ムステインのプロデュースで、1987年にデビュー、1990年に2作目を発表し解散、メンバーはNEVERMOREを結成する。
本作は、かつてのメンバーが集結した24年ぶりとなる復活作で、ツインギターのクールなリフに野太いヴォーカルを乗せて、ソリッドでインテレクチュアルなスラッシュ・パワーメタルを聴かせる。
随所に甘すぎない叙情のギターフレーズもアクセントになっていて、硬質で重厚ながらもダークな空気感を描くあたりは、NEVERMOREが好きな方にも対応。
全体的に派手なインパクトはないのだが、モダンになりすぎない、かつてのスタイルの延長上のサウンドで楽しめる好作といえる。
ドラマティック度・7 インテレクチュアル度・8 重厚度・8 総合・7.5 過去作のレビューはこちら
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Thorondir 「Des Wandrers Mar」
ドイツのペイガンメタル、ソロンディアの2019年作
2009年にデビューし、3作目となる。シンセによる美麗なイントロから、メロディックなギターにドイツ語によるダミ声ヴォーカルを乗せて、勇壮なヴァイキングメタルを聴かせる。
ときにペイガン・ブラックメタル的なブラスト疾走や、ゲルマンな勇壮さと土着的なクサメロ感がほどよく合わさり、重すぎず激しすぎないという耳心地で楽しめる。
うっすらとしたシンセアレンジとともに、優雅で幻想的な雰囲気にも包まれて、随所にトレモロのギターリフも叙情的でエピックなコーラスなどもサウンドを盛り上げる。
暴虐過ぎないクサメロ感触は、BLACK MESSIAHにも通じるだろう。ペイガン&ヴァイキングメタル初心者にもお薦めの強力作だ。
ドラマティック度・8 エピック度・8 ペイガン度・8 総合・8
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Tarabas 「Das Neue Land」
ドイツのペイガン・メロデス、タラバスの2010年作
メロディックなギターフレーズにダミ声ヴォーカルを乗せて、随所に激しい疾走感も含んだメロデス的でもあるペイガンメタルを聴かせる。
アコースティックギターによる叙情パートも覗かせつつ、迫力あるダミ声に勇壮なコーラスも加わって、エピックで幻想的な世界観を描きだす。
流麗なリフやメロディを奏でるギターのセンスもよろしく、ときにかつての北欧メロデスを受け継ぐようなクサメロ感も味わえる。
どっしりとしたミドルテンポでは、ヴァイキングメタル的な武骨な土着性も現れるなど、楽曲、演奏ともに説得力充分の力作である。
ドラマティック度・8 メロデス度・8 ペイガン度・7 総合・8
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Minotaurus 「The Lonely Dwarf」
ドイツのフォーク・エピックメタル、ミノタウロスの2009年作
1999年にデビューし、3作目となる。オールドなギターリフにダーティなヴォーカルを乗せた、古き良き正統派のヨーロピアンメタルというスタイル。
次作以降に比べると、フォーキーな雰囲気は控えめであるが、随所にアコースティックなパートや女性コーラスも加わった優雅な味わいも覗かせる。
楽曲は3〜5分前後で、リズムチェンジなどの展開力もあって、ほどよいクサメロ感や勇壮なコーラスなども含め、激しすぎない古き良きジャーマンメタル、あるいは武骨なマイナー系エピックメタルという感じでも楽しめる。
ドラマティック度・7 エピック度・7 オーメドメタル度・8 総合・7.5
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7/26
灼熱のメタル(138)
Manticora 「Mycelium」
デンマークのメロディックメタル、マンティコラの2024年作
1999年にデビュー、6年ぶりとなる9作目。エッジの効いたギターに朗々としたヴォーカルを乗せて、スラッシーな感触を含んだダークなパワーメタルを展開。
疾走するアグレッシブな激しさと、ハイトーンも使い分けるヴォーカルに、ときに吐き捨てヴォイスも加えて、シアトリカルでメロデス的な感触も現れる。
どっしりとしたスローテンポでは、ゴシックメタル風の翳りを帯びた叙情に包まれつつ、初期BLIND GURDIANのようなパワフルな疾走ナンバーは迫力たっぷり。
ドラムは打ち込みらしいが、さほど違和感はなく、重く激しいツーバスの疾走感などは、かつてのブラガーのトーメンばりである。
スラッシーな激しさと甘すぎない叙情性でホラー風のダークな世界観を描く、重厚な北欧パワーメタルが味わえる強力作です。
ドラマティック度・8 疾走度・8 重厚度・8 総合・8 過去作のレビューはこちら
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LEAH 「The Glory and The Fallen」
カナダのシンフォニックメタル、リアの2024年作
女性シンガー、リア・マクヘンリーによるプロジェクトで、2012年にデビュー、本作は5年ぶりとなる5作目。
美麗なシンセアレンジをメタリックなギターに重ね、美しい女性ヴォーカルとともに、幻想的なシンフォニックメタルを聴かせる。
前作に比べると、わりとモダンでスタイリッシュな作風になっていて、DELAINやWITHIN TEMPTATIONのファンにはストライクだろう。
一方ではケルティックな雰囲気も随所に覗かせていて、アコースティックパートやストリングスを含む優雅なアレンジセンスもさすがというところ。
楽曲は3〜5分前後で、ストレートなメロディアス性から、ときに激しい疾走パートやデスヴォイスなどを含む、緩急ある展開力も覗かせる。
ドラマティック度・7 壮麗度・8 女性Vo度・8 総合・8 過去作のレビューはこちら
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Seven Spires 「A Fortress Called Home」
アメリカのシンフォニックメタル、セヴン・スパイアーズの2024年作
女性シンガーでシンセとオーケストラアレンジも手掛ける、エイドリアン・コーワンを中心に、2017年にデビュー、本作は4作目となる。
ケルティックなテイストを含む優美なイントロから、疾走するドラムにメロディックなギターとオーケストレーションを重ね、ダミ声とストレートを使い分ける女性ヴォーカルで、激しくも壮麗なシンフォニックメタルを聴かせる。
RHAPSODY of FIREにも通じるエピックなスケール感と、ときにブラックメタルばりのブラストビートを含む、緩急の大きな展開力で、オペラティックなドラマ性を描いてゆく。
楽曲は4〜6分前後が主体で、キャッチーなフックとメロディアス性に、アグレッシブな激しさが溶け込んだ味わいで、総じて優雅な聴き心地。ボーナス含む全68分の力作だ。
ドラマティック度・8 壮麗度・8 女性Vo度・8 総合・8 過去作のレビューはこちら
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ANGRA 「Cycles of Pain」
ブラジルのメロディックメタル、アングラの2023年作
5年ぶりとなる通算10作目で、ファビオ・リオーネを迎えての3作目となる。荘厳なクワイヤによるイントロから、巧みなギターにパワフルなファビオのハイトーンヴォーカルを乗せて疾走する、アングラらしいメロディック・パワーメタルを展開する。
リズムチェンジなど緩急あるテクニカルな展開美はDREAM THEATERのようなProgMetal的で、硬質なリフと流麗なフレーズを弾きこなすツインギターもさすがの実力者。
一方では、オーケストラアレンジによるシンフォニックメタル感触や、初期のような民族的な優雅さも取り入れて、楽曲ごとのアレンジの幅も大きく、シネマティックなドラマ性という点でも、ここ数作で一番濃密な力作だろう。
ドラマティック度・8 疾走度・8 流麗度・9 総合・8 過去作のレビューはこちら
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Eregion 「Non Omnis Moriar」
イタリアのメロディックメタル、エレギオンの2024年作
2014年にデビューし、本作は5年ぶりの3作目。正統派のツインギターにハイトーンヴォーカルを乗せて、ほどよいクサメロ感のあるオールドなメロパワを聴かせる。
勇壮なコーラスなどエピックな感触と、かつてのHEIMDALLなど、90年代イタリアンメタルをルーツにしたB級感触も覗かせて、思わずニヤついてしまう。
楽曲はミドルテンポを主体に、ゲストによるヴァイオリンやシンセアレンジも随所にコントラストになっていて、民族調のナンバーなどにも味がある。
後半にはクサメロな疾走ナンバーもあって、メロスパーも膝を叩くだろう。伸びやかで、パワフル過ぎないヴォーカルもけっこうな逸材だ。
オールドなイタリアンメロパワとしても、MANOWARルーツのエピックな正統派メタルとしても楽しめる、なかなかの好作品です。
ドラマティック度・8 疾走度・7 勇壮度・8 総合・8
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Eldritch 「Innervoid」
イタリアのプログレメタル、エルドリッチの2023年作
1995年にデビュー、初期のヘンテコなProgMetalから、しだいにモダンでダークなサウンドへと深化してゆき、本作は13作目となる。
きらびやかなシンセをメタリックなギターに重ね、ほどよい疾走感とモダンなヘヴィネスに、伸びやかなヴォーカルを乗せたプログ・パワーメタルを聴かせる。
変拍子を含むテクニカル性と、メロディックなフックが同居したサウンドは、重厚でありながらもキャッチーで、ときにイタリアらしいシアトリカルな空気も覗かせる。
楽曲は4〜5分前後がメインで、わりとストレートに聴きやすく、新加入のヴォーカルはエモーショナルな表現力もあり、伸びのある歌声が爽快に響き渡る。
スタリッシュなモダンさとほどよくテクニカルな展開力に、シンフォニックなテイストも合わさった高品質な作品です。
ドラマティック度・8 テクニカル度・7 重厚度・8 総合・8 過去作のレビューはこちら
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FLOATING WORLDS 「SKYWATCHER」
ギリシャのシンフォニックメタル、フローティング・ワールズの2024年作
2007年にデビュー、5年ぶりとなる4作目で、デジタルなアレンジとポップなビート感に、ハイトーンのヴォーカルを乗せ、キャッチーなハードロックを聴かせる。
楽曲は3〜4分前後で、きらびやかなシンセや叙情的なギターとともに、スタイリッシュなメロディアスハードとしても楽しめる。
一方では、オルタナ風の雰囲気や、いくぶんオールドなハードロック感触も覗かせて、単なるメロハーというには巧みに確信犯的である。
全体的にはコンセプト的な流れも感じさせつつ、ラストはシンフォニックなインストナンバーでエンディング的に締めくくる。
ドラマティック度・7 スタイリッシュ度・8 メロハー度・8 総合・7.5 過去作のレビューはこちら
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Oceans Of Slumber 「Starlight And Ash」
アメリカのシンフォニックメタル、オーシャンズ・オブ・スランバーの2022年作
2013年にデビューし5作目となる。黒人系女性Voをフロントにした6人編成で、ソウルフルな女性ヴォーカルとともにゆったりと始まる。
今作は、翳りを帯びたゴシックロック風味やブルージーなナンバーなど、わりと落ち着いた印象であるが、ときにアグレッシブなパートも覗かせるなど、その展開力はさすが。
全体的には、楽曲の盛り上がりが薄めなのでインバクトは足りないのだが、表現力ある女性シンガーがいるので、しっとりとしたパートでの耳心地の良さは充分である。
ドラマティック度・7 重厚度・8 女性Vo度・8 総合・7.5 過去作のレビューはこちら
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For All We Know 「By Design Or By Disaster」
オランダのプログレメタル、フォー・オール・ウィ・ノウの2024年作
WITHIN TEMPTATIONのギタリストRuud Jolieを中心に、2011年にデビューし、3作目。元Pain Of Salvationのクリストファー・ギルデンロウが参加し、ドラムもPOSのメンバー。
キャッチーなビート感に、美麗なシンセアレンジ、ヘヴィ過ぎないギターとエモーショナルなヴォーカルで、モダンなハードプログレ風のサウンドを描く
硬質なギターリフによるスタイリッシュなメタル感触に、オルガンなどのやわらかなシンセとポストプログレ的な繊細な歌ものが融合した、優雅な聴き心地で楽しめる。
ほどよいテクニカル性と緩急ある構築力も随所に発揮していて、ProgMetalとハードプログ、いずれの耳でも鑑賞可能。センスの良い好作品です。
ドラマティック度・8 モダンプログ度・8 スタイリッシュ度・8 総合・8 過去作のレビューはこちら
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Caligula's Horse 「Charcoal Grace」
オーストラリアのプログレメタル、カリギュラズ・ホースの2024年作
2011年にデビュー、新世代プログメタルの騎手というべきバンドの6作目。美麗なシンセのイントロから、エッジの効いた巧みなギタープレイとともに、テクニカルなDjent感触のサウンドが広がる。
エモーショナルなヴォーカルを加えた優雅な叙情も覗かせつつ、メタリックな硬質感とのコントラストで、緩急ある楽曲を構築。
中盤には、4パートに分かれた24分という組曲もあり、泣きのギターと優しい歌声で、MARILLIONをプログメタル化したような翳りを帯びた叙情性に包まれる。
キャッチーな小曲を挟んで、ラストも12分の大曲で、シンフォニックなアレンジとモダンなテクニカル性が融合し、ドラマティックに盛り上げてゆく。
ドラマティック度・8 テクニカル度・8 スタイリッシュ度・8 総合・8 過去作のレビューはこちら
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Press To Enter 「From Mirror To Road」
デンマークのプログレメタル、プレス・トゥ・エンターの2023年作
G、B、女性Voという3人編成で、ほどよくヘヴィで流麗なギターにきらびやかなシンセアレンジ、コケティッシュな女性ヴォーカルを乗せて、モダンでスタイリッシュなサウンドを描く。
ARCH ECHOのアダム・ベントリーがミックスを手掛けているように、テクニカル過ぎない優雅なスタイルは、女性Vo入りのアーチ・エコーという感じもある。
キャッチーなヴォーカルメロディには、エモーショナルロック的な部分もあり、爽快な聴き心地の向こうに、緩急ある知的なアレンジセンスが見え隠れする。
ラストは9分の大曲で、巧みなインストパートを含む軽妙な構築力も光る。新時代ProgMetalの期待の新鋭して、さらなる成長と深化に期待したい。
ドラマティック度・7 テクニカル度・8 優雅度・8 総合・8
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Blackbriar 「A Dark Euphony」
オランダのゴシックメタル、ブラック・ブライアーの2023年作
2021年にアルバムデビューし、本作は2作目となる。重すぎ過ぎないツインギターにシンセを重ね、なよやかな女性ヴォーカルとともに、シンフォニックなゴシックメタルを聴かせる。
キャッチーな優雅さは、WITHIN TEMPTATIONにも通じる雰囲気ながら、同郷の先輩、THE GATHERINGのような神秘的な浮遊感も覗かせる。
紅一点ゾラ嬢の歌声は、フェミニンでキュートな魅力があり、ヨーロピアンな翳りを含んだメロディとの相性もばっちりで、モダンになり過ぎていないサウンドもよろしく、かつてのウィズインなどが好きな方にはかなり楽しめるだろう。
楽曲は3〜5分前後とわりとシンプルながら、魅力的な女性ヴォーカルとともに優雅な味わいに包まれる。今後の成長が楽しみな逸材です。
シンフォニック度・8 ゴシック度・7 女性Vo度・8 総合・8
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Sign Of The Jackal 「BREAKING THE SPELL」
イタリアのメタルバンド、サイン・オブ・ザ・ジャッカルの2018年作
2013年にデビュー、Angel Witch風のカルトな80年代メタルを聴かせてくれた前作から、5年ぶりとなる2作目。
いかにもオールドなツインギターにハスキーな女性ヴォーカルを乗せて、ほどよく疾走感のあるヴィンテージメタルを聴かせる。
「Demons Queen」を名乗るローラ嬢の歌声も、パワフル過ぎず、ヒステリック過ぎずに、オールドなメタルによくマッチしている。
楽曲自体には、新鮮味は皆無であるが、わりとキャッチーなノリも随所にあって、メロディアスなギタープレイなどもアクセントになっている。
ドラマティック度・7 疾走度・7 ヴィンテージ度・8 総合・7.5 過去作のレビューはこちら
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LOTUS EMPEROR 「Syneidesis」
ギリシャのサイケ・ドゥーム、ロータス・エンペラーの2022年作
2015年にデビューし、7年ぶりとなる2作目。オールドなギターリフをゆったりとしたリズムに乗せ、妖しげな女性ヴォーカルとともに、サイケな神秘性に包まれたドゥームロックを聴かせる。
10分超の大曲を主体にした楽曲は、重厚すぎない適度なユルさをまとわせていて、スキャット気味の女性声も含め、雰囲気モノとして楽しむのがよいだろう。
全体的には、もう少しフックのある盛り上がりが欲しい気もするが、この愛想のよくない浮遊感こそバンドの目指すところなのかもしれない。
ドラマティック度・7 サイケドゥーム度・8 妖しげ度・8 総合・7.5
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6/27
ブラックメタルの初夏(124)
VANIR 「Epitome」
デンマークのヴァイキングメタル、ヴァニルの2024年作
2011年にデビューし、すでに7作目。メタリックなツインギターに吐き捨てデスヴォイスを乗せ、激しく疾走する、重厚なヴァイキング・デスメタル。
美麗なシンセアレンジを重ねて、シンフォニックな厚みのあるサウンドで、随所にブラストを含むブルータルな迫力に包まれる。
一方で、煽情的なギターフレーズはメロデス的でもあり、ミドルテンポのナンバーではかつてのイエテボリ系メロデスの雰囲気も漂わせる。
ペイガン/ヴァイキング的な土着感は薄まったが、流麗なツインギターとともに勇壮なメロディック・デスメタルへと深化した強力作である。
ドラマティック度・8 激しく重厚度・8 メロデス度・8 総合・8 過去作のレビューはこちら
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SOEN 「MEMORIAL」
スウェーデンのプログレ・ダークメタル、ソーエンの2023年作
元OPETHのドラマー、マーティン・ロペスと、Willowtreeのシンガーを中心に結成し、2011年にデビュー、本作は6作目となる。
メタリックなギターに朗々としたヴォーカルを重ね、モダンなヘヴィネスとともに、ほどよくキャッチーでモダンなProgMetalを構築する。
随所に叙情的なギターフレーズやシンセやピアノによる優雅なアレンジも覗かせて、北欧らしいメランコリックな哀愁は、いくぶんOPETHに通じるところもある。
楽曲自体は3〜4分前後がメインで、わりとストレートなノリが強いのだが、巧みなギタープレイも含んだ知的なヘヴィロックとしても普通に聴ける。
ゲストの女性シンガーを加えた、男女Voのゴシックロック風ナンバーから、ラストの泣きのバラードまで、翳りを帯びたスタイリッシュな耳心地です。
ドラマティック度・7 重厚度・8 叙情度・7 総合・7.5
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VITAM AETERNAM 「Revelations Of The Mother Harlot」
ノルウェーのアヴァン・ゴシックメタル、ヴィタム・エーテルナムの2022年作
2020年にデビューし、2作。不穏なイントロから、DEVIL DOLLのような妖しい空気に引き込まれるが、きらびやかなシンセにクラシカルなピアノ、混声合唱を乗せた優雅な小曲から、デジタルなビート感に女性ヴォーカルとシアトリカルな男性ヴォーカル、叙情的なギターも加えて耽美なサウンドを描き出す。
15分という大曲では、うっすらとしたシンセに女性スキャットやナレーションを乗せ、オーケストラルなアレンジで、ELENDのようなダークでクラシカルなスケール感に包まれる。
メタル的な重さはあまりないが、突如として現れる激しいパートもあったりと、シアトリカルな暗黒プログレ/メタル好きにも楽しめるだろう。
Leprousのエイナル、元HAKENのシンセ奏者、日本のソプラノ女性シンガー、大林奈央果など多数のゲストが参加。
クラシカル度・8 耽美度・8 シアトリカル度・8 総合・8
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Five the Hierophant 「Through Aureate Void」
イギリスのエクスペリメンタル・ドゥームメタル、ファイブ・ザ・ヒエロファントの2021年作
2015年にデビューし、3作目。ドゥーミーなギターにサックスやヴァイオリンがフリーキーに絡み、不穏な暗黒サウンドを展開する。
しゃがれたヴォイスも加わるが基本はインストがメインで、ときにKING CRIMSONが暗黒メタル化したような雰囲気もある。
15分という大曲では、重厚なギターによるドゥームメタル感触に、スペイシーな神秘性が合わさった、妖しいスケール感に包まれる
ドラマティック度・7 重厚度・8 暗黒ドゥーム度・9 総合・8
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Splendidula 「Somnus」
ベルギーのスラッジ・ドゥームメタル、スプレンディドゥラの2021年作
2013年にデビューし、3作目となる。ヘヴィなギターに妖しい女性ヴォーカルを乗せ、ミステリアスなスラッジ・ドゥームを聴かせる。
ゆったりとしたスローテンポを基本にしつつ、ときにグロウルヴォーカルも加えて激しくアグレッシブなパートも覗かせ、単なるドゥームという以上の迫力がある。
艶めいた囁きや女性スキャットとデスヴォイスとの対比で、暗黒スラッジと魔女系ドゥームが同居したというサウンドは、なかなか聴きごたえがある。
紅一点、Kristien嬢の歌声も魅力的で、ときに耽美な空気も描きつつ、ヨーロピアンな翳りに包まれた重厚なスラッジ・ドゥームが楽しめる力作である。
ドラマティック度・7 重厚度・8 暗黒スラッジ度・8 総合・8
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VORNA「AAMUNKOI」
フィンランドのシンフォニック・ブラックメタル、ヴォルナの2023年作
2013年にデビューし、4作目となる。ツインギターにシンセを含む6人編成で、美麗なシンセアレンジをギターに重ね、母国語によるノーマル&ダミ声ヴォーカルとともに疾走する、シンフォニックなペイガン・ブラックメタル。
ツインギターの叙情フレーズとオーケストラルなアレンジで、フィンランドらしい寒々しくも優美な空気に包まれて、Eternal Tears of Sorrowがペイガン・ブラックになったような感じでも楽しめる。
ゆったりとした叙情ナンバーや、ノーマル声メインのパートも多いので、激しいメロデスやブラックメタルが苦手な方にも対応。
シンフォニック度・8 暴虐度・7 フィンラン度・9 総合・8 過去作のレビューはこちら
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TILINTETGJORT 「In Death I Shall Arise」
ノルウェーのブラックメタル、ティリンテットギョルトの2023年作
アナログ感あるトレモロのギターリフを速すぎないブラストビートに乗せ、ダミ声ヴォーカルとともに、オールドな味わいのブラックメタルを聴かせる。
緩急あるリズム展開には、プログレッシブな知性も覗かせていて、初期のSATYRICONなど、プリミティブな荒々しさも残したサウンドながら、ほどよくスカスカで激しすぎない。
アルバム後半は、21分の大曲で、激しい疾走ブラックメタルから、アコースティックギターを使った叙情的なパートを盛り込んで、ブラッケンでミステリアスなサウンドを描いてゆく。
ドラマティック度・7 暴虐度・7 プリミティブ度・8 総合・7.5
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Askog 「Varpnaper」
スウェーデンのブラックメタル、アスコグの2021年作
ほどよい叙情性を含んだギターフレーズにダミ声ヴォーカルで激烈にブラスト疾走する、MARDUKにも通じる王道のスウェディッシュ・ブラックメタル。
マシンガンのような圧殺ブラストからミドルテンポまで、迫力ある咆哮ヴォーカルと、北欧らしい涼やかなギターリフで、暴虐にしてメロディックなブラックメタルが味わえる。
ときに朗々としたコーラスなどペイガンな勇壮さも覗かせ、中盤以降はミドルテンポのナンバーが続くが、どっしりとした聴き心地で楽しめる。
甘すぎない叙情の荒涼とした北欧ブラックメタルが好きな方はどうぞ。
ドラマティック度・7 暴虐度・8 北欧度・8 総合・8
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HETROERTZEN「Phosphorus Vol I」
スウェーデンのブラックメタル、ヘトローツェンの2022年作
元々はチリ出身で、2002年にデビュー、4作目以降からはスウェーデンに移住し、本作は5年ぶりとなる7作目。
グノーシス思想をコンセプトに置いた世界観で、不穏なイントロから、ノイジーなギターをブラストビートに乗せて、吐き捨てヴォーカルとともに、オールドなブラックメタルを聴かせる。
初期MAYHEMやMARDUKのようなアンダーグラウンドな暗黒性に包まれながら、トレモロを含むギターリフが甘すぎない叙情をかもしだす。
暴虐なブラスト疾走と、ミドルテンポとの緩急あるリズム展開など、キャリアのあるバンドらしい構築性も見事で、楽曲も5〜6分前後と聴きごたえがある。
ミステリアスな闇を描く、オカルティックなブラックメタルが好きな方は聴くべし。
ドラマティック度・8 暴虐度・8 暗黒度・8 総合・8
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Dordeduh「Har」
ルーマニアのブラックメタル、ドルデドゥの2021年作
元Negura Bungetのメンバーを中心に、2012年にデビュー、本作は9年ぶりとなる2作目。のっけから12分の大曲で、トレモロを含むギターにうっすらとしたシンセを重ね、低音グロウルヴォイスとともに重厚にしてミステリアスなサウンドを展開。
随所に母国語によるノーマルヴォーカルも含めて、スペイシーな世界観と、激しさに頼らない知的な構築性は、ARCTURUSなどにも通じるだろう。
美麗なシンセに包まれたゆったりとしたポストブラック寄りのナンバーから、激烈なブラスト疾走パートまで、緩急ある展開もさすがというところ。
10分超えの大曲も3曲あり、ゲストによるフルートやハンマー・ダルシマーの優雅な音色も現れて、プログレッシブなポストブラックとしても楽しめる。
ドラマティック度・8 暴虐度・7 優雅度・8 総合・8
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LIMINAL SHROUD 「VISIONS OF COLLAPSE 」
アメリカのブラックメタル、リミナル・シロウドの2024年作
2020年にデビューし、3作目となる。もの悲しいギターのイントロから、ブラストビートに叙情的なギターフレーズを重ね、ダミ声ヴォーカルとともに激しくもプログレッシブなブラックメタルを展開する。
10分前後の大曲をメインに、ザラついた荒々しさと神秘的な叙情の同居したサウンドは、カスカディアンブラック的でもあり、緩急あるリズムの流れでドラマティックに聴かせる。
トレモロのギターとブラストビートで疾走する激しさに、荒涼としたダークなスケール感に包まれたサウンドが楽しめる、強力なアルバムですよ。
ドラマティック度・8 暴虐度・8 神秘的度・8 総合・8
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Aenaon 「Mnemosyne」
ギリシャのプログレ・ブラックメタル、エナオンの2022年作
2011年にデビュー、6年ぶり4作目となる。メタリックなギターリフにシンセを重ね、ダミ声ヴォーカルとともに激しくブラスト疾走しつつ、緩急あるリズムチェンジで知的なサウンドを構築する。
叙情的なギターフレーズやスペイシーなシンセ、優雅なサックスの音色など、涼やかでプログレッシブなセンスは、初期のSOLEFALDなどに通じるかもしれない。
迫力あるダミ声に、ノーマルヴォーカルもまじえて、ほどよい叙情性を描きつつ、サックスをメインにしたチェンバーロック風の小曲もあったりと、ひと筋縄ではいかない。
ブラックメタルの激しさをしっかりと残しつつ、プログレッシブに楽しめるという点では、EMPERORやIHSAHNなどのファンにもお薦めの強力作です。
ドラマティック度・8 暴虐度・7 知的アレンジ度・9 総合・8.5
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Bethzaida 「Nine Worlds / LXXVIII」
ノルウェーのメロディック・デスメタル、ベスザイダの1st/2ndのカップリング盤。1996/1998/2024年作
1stは、メロディックなギターフレーズに吐き捨てヴォーカルを乗せて、ときに激しい疾走感も含んだオールドスタイルのメロデスで、スローからミドルテンポをメインに、リズムチェンジによる展開力や、フルートの音色なども加えた優雅な叙情は、むしろプログレッシブデスとして楽しめるだろう。
2ndになると、ザクザクとしたギターリフとデスヴォイスで疾走しつつ、メロディックなギターフレーズをまぶした、メロデスとしての迫力が増してきている。
一方で、優美なフルートの音色も随所に現れ、独特のギターリフも含めた展開力のあるプログレッシブ・デスメタルとしての魅力も残している。
ブラックメタル全盛の当時のノルウェーで、こうしたプログレッシブなメロデスバンドもいたのだと再認識できるような好盤です。
ドラマティック度・7 暴虐度・7 メロデス&プログデス度・8 総合・8
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6/14
シンフォニックにゴシックに(112)
Fairyland 「The Story Remains」
フランスのシンフォニックメタル、フェアリーランドの2025年作
2003年にデビュー、本作は5年ぶりとなる5作目で、シンセ奏者でバンドの中心人物、フィリップ・ジョルダナの死去を乗り越えての復活作。
物語的なイントロから、壮麗なシンセとオーケストレーション、マイルドなヴォーカルとともに、華麗にしてエピックなシンフォニック・メタルサウンドが広がってゆく。
新加入のアーチー・ケインの優しく伸びやかな歌声は、パワフル過ぎずにファンタジックな世界観に良くマッチしていて、楽曲はミドルテンポが中心ながら、キャッチーなメロディアス性が爽快である。
曲によっては、優美なフルートやホイッスルも加わって、ケルティックな優雅さも現れる。そして、RHAPSODY OF FIREを思わせる壮麗なオーケストレーションやクワイヤなど、シネマティックなシンフォニックメタルとしての魅力もたっぷり。
ラスト曲では、1stに参加していたエリサ・マーティンがハスキーな歌声を響かせて、初期のファンにはたまらないだろう。
まさに壮麗なるファンタジックメタルです。ちなみに日本盤ライナーは、緑川が担当しています。
シンフォニック度・9 疾走度・6 ファンタジック度・9 総合・8 過去作のレビューはこちら
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EVERDAWN 「Venera」
アメリカのシンフォニックメタル、エヴァードーンの2023年作
Midnight Eternalとして2016年にデビュー、その後、ロシア出身の女性シンガーを迎え、改名して2021年に再デビュー、本作は改名後の2作目となる。、
メタリックなギターに美麗なシンセアレンジ、ソプラノを使い分けるアリーナの艶やかなヴォーカルを乗せて、NIGHTWISH系のシンフォニックメタルを聴かせる。
流麗なギタープレイも随所に覗かせ、ときに激しく疾走するメロスピ風味もあったりと、緩急ある楽曲アレンジで、きらびやかなサウンドを描いてゆく。
楽曲は3〜4分前後が中心ながら、メロディには爽快なフックがあって心地よく楽しめつつ、12分を超える大曲では、ストレートな歌声を乗せたパワフルな感触から、メロディックなギターとシンセアレンジに、ややコミカルな展開も覗かせるなど、プログレッシブな味わいに。
シンフォニック度・8 壮麗度・8 女性Vo度・8 総合・8 過去作のレビューはこちら
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Astral Experience 「Clepsidra」
スペインのシンフォニックメタル、アストラル・エクスペリエンスの2023年作
2016年にデビューし、3作目となる。きらびやかなシンセをメタリックなギターに重ね、スペイン語のヴォーカルを乗せて、疾走感のある華麗なメロディックメタルを聴かせる。
リズムチェンジを含む緩急ある展開力に、ときにDjent的でもあるモダンなヘヴィネスを覗かせたり、スパニッシュギター風のアコースティックパートも挿入するなど、知的な構築力も随所に光っている。
スパニッシュらしい優雅でキャッチーなメロディアス性と、スタイリッシュな硬質感が良い具合に融合していて、どっしりとしたメタルバラードから、ドラマティックな8分の大曲まで、プログ・パワーメタルというべき高品質なサウンドが詰まっている。
メロディック度・8 テクニカル度・7 重厚度・8 総合・8
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Emerald 「Calling The Knights」
スイスのメタルバンド、エメラルドの2002年作
1999年にデビュー、本作は2001年の2作目のジャケを変更して、ボーナスを追加しての再発版。
美しいイントロから、叙情的なギターにシンセを重ね、線の細いハイトーンヴォーカルを乗せて、ファンタジックなエピックメタルを展開する。
疾走感はさほどないものの、リズムチェンジを含む唐突な展開や、WARLORD系のクサメロ感も随所に感じられて、マニアにはたまらないだろう。
メロハー的なキャッチーで爽やかなナンバーや、ゆったりとしたバラードまで、ドラムもギターも軽めなのだが、中性的な歌声も含めてむしろちょうどよい味わいになっている。
ジャケにぐっときたならどうぞ。きっとイメージ通りの愛すべきB級エピメタ作品ですよ。
ドラマティック度・8 疾走度・6 勇壮度・7 総合・7.5
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Sleeping Romance 「We All Are Shadows」
イタリアのシンフォニックメタル、2022年作
2013年にデビューし、本作は5年ぶりの3作目となる。リーダーでギター&シンセとのフレデリコとドラムのフランチェスコ以外のメンバーが交替し、ヘヴィなギターに優美なシンセとなよやかな女性ヴォーカルで、DELAINやEVANESCENCEなどに通じる、モダンなヘヴィネスを含んだゴシックメタルを聴かせる。
楽曲には、ヘヴィな硬質感とほどよくキャッチーな優雅さもあり、新加入のLina嬢の美しいヴォーカルに、チェロなヴァイオリンを加えたメランコリックなナンバーもなかなか魅力的。
全体的には、シンフォニックにするのか耽美路線でいくのかが振り切れておらず、どこか盛り上がりきらないのが惜しい。高品質なシンフォ・ゴシメタではあります。
シンフォニック度・7 耽美度・7 女性Vo度・8 総合・7.5 過去作のレビューはこちら
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Weeping Silence 「Isles Of Lore」
マルタ共和国のシンフォニック・ゴシックメタル、2023年作
2008年にデビュー、本作は8年ぶりとなる5作目で、女性シンガーが脱退して、男性シンガーをフロントにした編成となった。
ヘヴィなツインギターにシンセを重ね、迫力あるデスヴォイスにノーマル声も使い分ける男性ヴォーカルで、メランコリックなサウンドを聴かせる。
女性鍵盤奏者による美麗なシンセワークは健在で、ときに流麗なフレーズを奏でるギターとともに重厚なサウンドを構築してゆく。
もの悲しい叙情のゴシックメタルとしては、Swallow The SunやParadise Lostなどにも通じる本格派のスタイルで楽しめるだろう。
10分を超える大曲を優雅に構築するアレンジも見事で、ときにアグレッシブなパートも迫力充分。女性声から脱却して、むしろ凄みを増した強力なアルバムだ。
ドラマティック度・8 メランコリック度・8 重厚度・9 総合・8 過去作のレビューはこちら
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Fortis Ventus「Vertalia」
ギリシャのシンフォニックメタル、フォーティス・ヴェンタスの2022年作
壮麗なイントロから、美しいソプラノ女性ヴォーカルに男性Voも加わり、疾走感あるドラムとメタリックなギターが重なり、華麗なサウンドを展開する。
メタリックな部分よりは、オーケストラルなアレンジに包まれた優美な聴き心地で、幻想的な世界観も含めて、NIGHTWISHを思わせる。
10分を超える大曲では、艶やかなヴァイオリンも加えたクラシカルなアンジと、なよやかなソプラノヴォーカルで、優雅なシンフォニックメタルが楽しめる。
紅一点、ナンシー嬢のヴォーカルも表現豊かなソプラノでじつに美しく、NIGHTWISHのフォロワーというレベルは超えている。
しっとりとしたラストナンバーまでどこをきっても完成度が高く、デビュー作にして早くも次作が期待大の逸材です。
シンフォニック度・9 壮麗度・9 女性Vo度・9 総合・8
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Circle Unbroken 「Vincere」
ベルギーのシンフォニックメタル、サークル・アンブロークンの2016年作
ツインギターに美麗なシンセを重ね、伸びのある女性ヴォーカルとともに、華麗でキャッチーなシンフォニックメタルを聴かせる。
重すぎないギターとオーケストラルなシンセアレンジのバランスも良く、紅一点Marieke嬢の歌声は、ややハスキーなメゾソプラノで楽曲を彩る。
ゆったりとしたスローテンポのナンバーは、メロウなギターの旋律も含めて優雅な味わいに包まれ、女性声の魅力が発揮されている。
楽曲は3〜4分前後と、わりとシンプルなので、ドラマティックな盛り上がりには乏しいが、ときにキャッチーなメロハー風味もあって聴きやすい。
シンフォニック度・8 キャッチー度・8 女性Vo度・8 総合・8
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Angelic Foe 「Mother Of Abominations」
スウェーデンのゴシック・アンビエント、エンジェリック・フォーの2015年作
Arcanaの女性シンガー、Ann-Mari Thimによるプロジェクトで、2012年にデビューし、2作目となる。
荘厳なシンセの重ねとオーケストレーションに、たゆたうような女性ヴォーカルを乗せ、幻想的なゴシックアンビエントを構築する。
ウィスパーヴォイスから、オペラティックなソプラノまで、表現力あるアン・マリー嬢の歌声も美しく、ARCANA以上に優美な聴き心地で楽しめる。
バックはシンセとプログラムによるリズムのみであるが、サウンドに崇高な説得力を付加しているのは、やはりヴォーカルの実力のおかげだろう。
シンフォニック度・8 耽美度・8 女性Vo度・9 総合・8
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Angelic Foe 「An Evil Of Nature」
スウェーデンのゴシック・アンビエント、エンジェリック・フォーの2019年作
3作目となる本作も、シンセの重ねによる美麗なオーケストレーションにオペラティックなソプラノヴォーカルを乗せた、シンフォニックなサウンドを描く。
今作では、自然をコンセプトにしているからか、耽美な幻想性はやや控えめで、クラシカルなピアノをバックに美声の歌声でしっとりと聴かせるナンバーなども美しい。
ダークなゴシックアンビエントとして聴くにはいくぶんあっさりしているが、美しい女性ヴォーカルとシンセにより、ARCANAを涼やかなにしたような味わいで鑑賞できる。
シンフォニック度・8 耽美度・7 女性Vo度・8 総合・8
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AURA NOCTIS 「Itineris I」
スペイン、ゴシックアンビエント、オーラ・ノクティスの2011年作
男性チェロ奏者と女性ピアニストによるユニットで、優美なピアノとシンセにチェロを重ね、美しいソプラノ女性ヴォーカルとともに、しっとりとしたクラシカル・アンビエントを描く。
優雅なピアノの旋律に、もの悲しいチェロの響きが重なるインストパートは、いかにもヨーロピアンなはかなげな美意識に包まれる。
ゴシックというほどには耽美なダークさはないので、DARK SANCTUARYあたりが好きな方にも聴きやすいだろう。
ヴォーカル曲は多くないので、もっと女性声を乗せてくれると心地よいのだが、ラスト曲はしっとりとした女性ヴォーカルにウットリです。
クラシカル度・8 耽美度・7 優雅度・8 総合・7.5
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AURA NOCTIS 「Vitae Proelium」
スペインのゴシックアンビエント、オーラ・ノクティスの2012年作
2作目となる本作も、優美なフルートにオーボエの音色が重なり、うっすらとしたシンセとともにクラシカルなゴシックアンビエントを聴かせる。
女性ヴォーカルによる詠唱めいた妖しい歌声も雰囲気たっぷりで、翳りを帯びた幻想的なサウンドに引き込まれる。
フルートやホイッスルがメインのインストナンバーでは、バウロン的なドラムも加わったり、ケルティックな味わいでも楽しめる。
女性声が入るのは5曲くらいなので、少し物足りなさはあるが、はかなげな幻想ゴシックが好きな方にはストライクでしょう。
クラシカル度・8 耽美度・8 優雅度・8 総合・7.5
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5/24
一カ月ぶりメタルレビュー(100)
Tobias Sammet's Avantasia「A Paranormal Evening With The Moonflower Society」
トビアス・サメットによるメタルオペラ、アヴァンタジアの2022年作
本作も、サシャ・ピートがプロデュース、マイケル・キスク、ラルフ・シーパーズ、ロニー・アトキンス、ヨルン・ランデ、ジェフ・テイト、ボブ・カトレイ、エリック・マーティン、フロール・ヤンセンといったビッグネームが参加。
各シンガーが楽曲ごとにリードをとり、ラルフ・シーパーズのパワフルなハイトーンが冴える正統派メロパワから、フロール・ヤンセンの伸びやかな歌声とトビアスの男女Voを乗せた、Nightwishばりの壮麗なナンバー、マイケル・キスクの歌うHELLOWEEN風の疾走ナンバーなど、それぞれのシンガーに合わせたアレンジセンスも心憎い。
ヨルン・ランデのキャッチーなハードロック風味から、ボブ・カトレイの歌うタイトルナンバーでは、MAGNUMを思わせるドラマティックなハードロックが味わえる。
10分を超えるラスト曲は、マイケル・キスクとヨルン・ランデの豪華な共演で、華麗なコーラスとともにドラマティックにじわりと盛り上げる。
ドラマティック度・8 壮麗度・8 豪華シンガー度・9 総合・8 過去作のレビューはこちら
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SACRED OUTCRY「Towers Of Gold」
ギリシャのメロディックメタル、セイクレッド・アウトクライの2023年作
結成は90年代だが、アルバムを残さず解散、その後復活し、2020年にアルバムデビュー。2作目となる本作には、元LOST HORIZONのダニエル・ハイメンがシンガーに加入している。
アコースティックギターのイントロからファンタジックな香りを漂わせ、正統派のギターリフとダニエルの伸びやかなヴォーカルを乗せて疾走する王道のメロディック・パワーメタルが炸裂。
オールドなメロパワスタイルに、なんといってもパワフルなダニエルの歌声が、勇壮にしてエピックな世界観を描き出す、その説得力ある歌唱は唯一無二のもの。
どっしりとしたミドルテンポやスローなナンバーも、叙情的なギターの旋律がアクセントになっていて、歌い上げるダニエルのヴォーカルがよく映えて、耳心地よく楽しめる。
15分におよぶ大曲は、疾走するメロパワから、緩急ある静と動の展開でエピカルでドラマティックに構築される。
ドラマティック度・8 疾走度・8 ハイメン度・9 総合・8
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Xeneris 「Eternal Rising」
イタリアのシンフォニックメタル、ゼネリスの2024年作
2021年までに3作を残して解散した、KalidiAのギターとベースを中心に結成したバンドで、メタリックなギターにオーケストラルなアレンジ、伸びやかな女性ヴォーカルを乗せた華麗なシンフォニックメタルを聴かせる。
メタルらしいパワフルな疾走感も覗かせつつ、マリアンナ嬢のストレートな歌声が鮮やかに楽曲を彩っていて、正統派の女性声メロパワとしても楽しめる。
メロディのフックはキャッチーで、マイナー臭さが無い分、クサメロ要素は希薄であるが、メタリックなヘヴィネスと爽快な抜けの良さが同居したクオリティは見事。
緩急あるリズムチェンジのナンバーから、ラストのしっとりとした叙情美も、伸びのある歌声が映えている。美しい女性声シンフォメタルの逸品。
シンフォニック度・7 メタリック度・8 女性Vo度・9 総合・8
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Celtian 「Secretos de Amor y Muerte〜愛と死の秘密」
スペインのシンフォニック・フォークメタル、セルティアンの2024年作
2018年にデビューし、4作目となる。前作は壮麗なる傑作であったが、アコースティックギターにシンセを重ね、ヴァイオリンも鳴り響く、優雅で幻想的なイントロからすでに、物語的な世界観を描き出す。
しっかりとメタル感のあるギターに、スペイン語による女性ヴォーカルを乗せて、ヴァイオリンやバグパイプ、フルートも加わったフォーキーな土着感と疾走感のあるメロパワが融合したスタイルで、MAGO DE OZの女性Vo版というサウンドが広がってゆく。
前作に比べて、いくぶんメタリックな質感が増し、マイナー臭さが払拭されたことで、幻想性がいくぶん薄れた感もあるが、サナ嬢のキュートな歌声は相変わらず魅力的で、楽曲を涼やかに彩っている。
キャッチーなメロディのフックとケルティックな優雅さが合わさったサウンドは耳心地よく、全体的にも傑作といって良い完成度だろう。
シンフォニック度・8 ケルティック度・8 女性Vo度・8 総合・8 過去作のレビューはこちら
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Dreams Of Agony 「A Forgotten Tale」
スペインのシンフォニックメタル、ドリームス・オブ・アゴニーの2017年作
語りによるコンセプト的な導入から、美麗なシンセにヴァイオリンが重なり、メタリックなギターにソプラノ女性ヴォーカルを乗せて華麗なシンフォニックメタルを展開。
ほどよい疾走感ときらびやかなシンセアレンジ、ハイトーンのソプラノヴォーカルで、なよやかな優雅さに適度な激しさが同居したサウンドを描く。
ピアノをバックにつややかなストリングスと、オペラティックなソプラノが重なるクラシカルな味わいから、ときにデスヴォイスを加えてのメタリックな展開へと、緩急あるアレンジも見事。
後半には8分の大曲もあって、Nightwishにも通じる壮麗にしてドラマティックなサウンドが楽しめる。女性声シンフォメタル好きはチェックすべし。
シンフォニック度・8 オペラティック度・8 ソプラノVo度・9 総合・8
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Opus Eclypse 「The Forest」
スペインのフォークメタル、オパス・エクリプスの2018年作
Trobar De Morteのメンバーによるユニットで、本作は5曲入りのEP。うっすらとしたシンセにギターを重ね、詠唱のようなスキャットを含む女性ヴォーカルとともに神秘的なサウンドを描く。
アコースティックギターに、ヘヴィ過ぎないエレキギターは随所に叙情的なフレーズを奏で、妖しい女性声を乗せ、涼やかな空気に包まれたペイガン・フォークロックという趣でもある。
いくぶんノイジーなギターにシンセが重なる寒々しい土着感は、BURZUMあたりを思わせるところもありつつ、一方では、ネオフォーク的な優雅な雰囲気も覗かせる。
幻想的な雰囲気はよろしいので、ぜひともフルアルバムに期待したい。
ドラマティック度・7 神秘的度・8 女性Vo度・7 総合・7.5
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Pagan Reign 「Once Again」
ロシアのペイガンメタル、ペイガン・レインの2018年作
2002年にデビュー、本作は12年ぶりとなる復活の5作目。マンドリンやフルートによるアコースティックなイントロから、クサメロ感のあるギターにダミ声ヴォーカルを乗せて、ほどよくローカルな辺境臭さを残したペイガンメタルを聴かせる。
トレモロによる土着的なギターフレーズにフルートやマンドリンのつまびきを重ね、随所に激しい疾走感を含んだオールドなヴァイキングメタルとしても楽しめる。
フォーキーな叙情性と荒々しさが同居して、緩急ある展開力とともに、ドラマティックに描かれるサウンドは、さすがキャリアのアルバンドらしい説得力だ。
ブラックメタル寄りのブラスト疾走も覗かせつつ、優美なシンセやメロディックなギターフレーズで、激しくも優雅なペイガンメタルが楽しめる強力作。
ドラマティック度・8 ペイガン度・8 叙情度・8 総合・8 過去作のレビューはこちら
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Witchseeker 「Scene Of The Wild」
シンガポールのメタルバンド、ウィッチシーカーの2021年作
2017年にデビューし2作目となる。いかにもオールドなギターリフにハイトーンヴォーカルを乗せ、ほどよい疾走感のあるヴィンテージメタルを聴かせる。
適度に叙情的なギターとともに、80年代のNWOBHMを思わせる、ウェットなマイナー臭さをかもしだしていて、マニアにはわりとたまらないだろう。
スラッシーに疾走するスピードメタルナンバーもよい感じで、かすれた味わいのヴォーカルも重すぎないサウンドによくマッチしている。
ストレートなヴィンテージメタルとしては新しさはなにもないが、アジアの国にもこのようなバンドがいるのだと示す強力作です。
ドラマティック度・7 疾走度・8 オールドメタル度・9 総合・7.5
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Gravety 「Bow Down」
ドイツのメタルバンド、グラヴェティの2021年作
2012年にデビューし、2作目となる。叙情的なギターに語りを乗せたイントロから、なにやらマニア心をくすぐるが、オールドなギターに朗々としたヴォーカルで、古き良き正統派のヘヴィメタルを聴かせる。
MANOWARなどにも通じる勇壮な空気感を描きつつ、ほどよいギターのクサメロもよい感じで、パワフル過ぎないヴォーカルもヨーロピアンなマイナーさを醸し出す。
イントロ入れて全8曲ながら、6、8分という楽曲もあって、疾走感はほとんどないミドルテンポが主体ながらもなかなか濃密な聴き心地である。
ドラマティック度・8 エピック度・8 正統派度・8 総合・8
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Majesty 「Metal Law」
ドイツのメロディックメタル、マジェスティの2004年作
2000年にデビュー、本作は2CD+DVDのライブ作品で、1曲目にはタイトルナンバーである新曲を収録。2曲目以降は、1st〜3rdまでの楽曲をメインにライブ音源を収録。
正統派のギターにシンセを重ね、かすれた味わいのヴォーカルとともに、MANOWARにも通じる勇壮にしてエピックなメタルサウンドを聴かせる。
楽曲はミドルテンポを主体にしつつ疾走するナンバーもあり、重すぎないオールドなメロパワ感と随所に叙情的なツインギターも耳心地よい。
ドイツ語によるMCや、観客によるコールなども臨場感があり、DVDの映像では、さほど大きくないステージにレザーパンツに身を包んだムサいメンバーたちの姿とともに、ライブの熱気が伝わってくる。
ライブ演奏・8 正統派メロパワ度・8 勇壮度・8 総合・8 過去作のレビューはこちら
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Stamina 「Perseverance」
イタリアのメロディックメタル、スタミナの2014年作
2007年にデビューし、3作目。メタリックなギターにシンセを重ね、パワフルなヴォーカルを乗せ、VANDEN PLASなどにも通じるどっしりとした重厚なプログレ・パワーメタルを聴かせる。
キャッチーなメロディのフックと、随所にネオクラ敵でもある巧みなギタープレイやシンフォニックなアレンジも覗かせて、歌い上げるヴォーカルの実力もなかなかのもの。
ヨラン・エドマン、ニルス・モリン(Amaranthe)などがゲスト参加して、伸びやかな歌声を聴かせるナンバーに、女性シンガーがゲスト参加してのラスト曲は、美麗なシンセとともにシンフォニックメタル的な優雅な味わいが楽しめる。総じて高品質なプログ・メロパワです。
ドラマティック度・8 ProgMetal度・7 重厚度・8 総合・8
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TENHI 「KERTOMUKSIA / HALLAVEDET」
フィンランドのゴシックフォーク、テンヒの2023年作
1998年にデビュー、北欧暗黒ネオフォークの代表格。本作はデビュー前、1997年のデモと、1998年のEPを合わせた作品。
叙情的なギターとうっすらとしたシンセをドラムに乗せ、北欧らしい寒々しい空気に包まれた、もの悲しいフォークロックを聴かせる。
基本はインストがメインながら、ときにしゃがれた囁きや詠唱も加わって、ブラストめいた激しいドラムも現れて、BURZUMのようなブラックメタル風の土着的な暗黒性も覗かせる。
デビュー後のEPの楽曲になると、ジェントルなヴォーカルとシンセアレンジの美しさで、はかなげで幻想的なネオフォークとして楽しめる。
ドラマティック度・7 暗黒度・9 土着度・8 総合・7.5 過去作のレビューはこちら
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TENHI 「Valkama」
フィンランドのゴシックフォーク、テンヒの2023年作
本作は5作目のアルバムで、アコースティックギターのつまびきにうっすらとしたシンセ、母国語によるかすれた歌声を乗せて、もの悲しい空気に包まれたサウンドを描く。
ときに女性スキャットや美しいシンセとともにゴシック的な耽美性も覗かせつつ、随所にドラムも加わってのロック感触も現れるので、ダークであってもわりと聴きやすい。
曲によってはフルートやストリングスによるクラシカルなアレンジもあって、素朴でメランコリックでありながら、優雅なシンフォニック性も描いている。
キャリア25年に裏打ちされた落ち着きと大人の哀愁に、演奏面での説得力も充分で、全70分という力作になっている。
クラシカル度・7 薄暗度・8 叙情度・8 総合・8
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HEILUNG 「LIFA (HEILUNG LIVE AT CASTLEFEST) 」
デンマーク、ノルウェー、ドイツのメンバーによるペイガン・ネオフォーク、ヘイラングの2018年作
Euzenの女性シンガーとシンセ奏者を含むトリオで、2015年にデビュー、本作は2017年オランダでのライブ作品を収録。
パーカッションのリズムにダミ声&女性スキャットを乗せ、トライバルな空気に包まれた秘教的なステージ。
楽器といえるのは、ほぼパーカッションのみで、詠唱を含む粗野な歌声に、ステージに居並ぶ戦士たちのコーラスが重なって、一種異様な世界観を描いている。
10分前後の大曲も多いが、楽曲性はあまりない儀式めいた妖しさを感じる作風なので、この手の雰囲気モノが苦手な方には退屈なだけかもしれない。
うっすらとシンセが入ったナンバーは幻想的な味わいでよいのだが、全体的にもっと女性声を前に出してもらった方が個人的には嬉しい。
怪しげ度・9 神秘的度・8 楽曲度・2 総合・7
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Aythis 「Glacia」
フランスのダークアンビエント、アイスィスの2009年作
ゴシックメタルバンド、Remembranceの女性シンガー、Carline Van Roosのプロジェクトで、2007年にデビューし、2作目となる。
美麗なシンセの重ねに、はかなげな女性ヴォーカルを乗せた、Dark Sanctuaryなどに通じる幻想的なゴシックアンビエントを聴かせる。
ダークさは薄めで、クラシカルなピアノとうっすらとしたシンセ、美しい女性声で、ゆったりとした夢見心地のサウンドが楽しめる。
シンフォニック度・7 耽美度・8 女性Vo度・7 総合・7.5
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4/11
ビバ、マイナーメタル!(85)
SCANNER 「The Cosmic Race」
ドイツのメロディックメタル、スキャナーの2024年作
1988年にデビュー、HEAVENS GATEなどとともに、HELLOWEEN以降のジャーマンメタルのシーンで活躍、1996年までに4作を残し、続く5作目は女性シンガーが加入するもほどなく脱退、2015年に久しぶりのアルバムを発表し、本作はそれに続く通算7作目となる。
日本盤となると、1996年作以来で、SFストーリーをコンセプトにしているのは、いかにもこのバンドらしい。王道のツインギターにパワフルなヴォーカルで疾走する1曲目は、往年を受け継ぐジャーマンメタルスタイル。
どっしりとしたミドルテンポでは、前作から加入のエフティミオスの勇壮な歌声とともに、ACCEPTなどを思わせる硬派なパワーメタル感触で、オールドメタラーなら充分楽しめるだろう。
全体的に、もう少し疾走ナンバーやクサメロ感が欲しかった気もするが、ベテランバンドが活動を続けてくれるのは嬉しいですな。
ドラマティック度・7 疾走度・6 正統派度・8 総合・7.5 過去作のレビューはこちら
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Ruthless 「The Fallen」
アメリカのメタルバンド、ルースレスの2024年作
結成は80年代、1986年にアルバムデビューを飾るも解散、その後、2015年になって復活アルバムを発表し、本作は復活後の3作目となる。
オールドなギターリフにパワフル過ぎないヴォーカルを乗せ、JUDAS PRIESTなど、80年代のブリティッシュメタルをルーツにしたサウンドを聴かせる。
いくぶんスラッシーなスピードメタル風の疾走ナンバーも、決して激しすぎないオールドメタル感触に包まれていて、ほどよいマイナー臭さもよい味わいだ。
曲によっては、朗々と歌い上げるヴォーカルとともに、BLACK SABBATHルーツの雰囲気もあって、ドゥームメタル的にも楽しめたりする。
リフやメロディのフックが抜けきらず、物足りないあたりは、むしろ80年代的なB級感触というべきか。オールドメタル愛好家はどうぞ。
ドラマティック度・7 オールドメタル度・8 叙情度・7 総合・7.5
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Nite 「Voices Of The Kronian Moon」
アメリカのメタルバンド、ナイトの2022年作
2020年にデビューし2作目となる。オールドなツインギターにかすれたヴォーカルを乗せて、ブラックメタル的なダークな空気感を、NWOBHMルーツのヴィンテージメタルで包み込んだサウンドを聴かせる。
叙情的なギターフレーズはなかなか耳心地良く、これでヴォーカルが普通なら、正統派のNWOTHMになるところだが、あえてしわがれ声ヴォーカルなのが異色なところだろう。
楽曲そのものはミドルテンポを主体に、激しさや禍々しさはあまりないので、全体的には普通に聴きやすく、しゃがれ声オールドメタルとして楽しめる。
ドラマティック度・7 オールドメタル度・8 叙情度・8 総合・7.5
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SINSID 「In Victory」
ノルウェーのメタルバンド、シンシドの2022年作
2018年にデビューし、3作目となる。ピアノによる優美なイントロから、ツインギターにハイトーンヴォーカルを乗せ、勇壮な正統派ヘヴィメタルを聴かせる。
往年のジャーマンメタル風の疾走感と、ほどよくキャッチーな感触も覗かせつつ、いくぶんお馬鹿な歌詞で、MANOWARばりにメタル愛を描くところも微笑ましい。
どっしりとしたミドルテンポや勇壮な3連リズムのナンバーなども、いくぶんマイナー臭い感触とともに、エピックメタルのファンも楽しめるだろう。
ドラマティック度・7 オールドメタル度・8 勇壮度・8 総合・7.5 過去作のレビューはこちら
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STARSCAPE 「Colony」
スウェーデンのメタルバンド、スタースケープの2021年作
SF的なSEから始まりつつ、オールドなギターリフに中音域のヴォーカルを乗せ、オルガンも鳴り響く、ヴィンテージなメタルサウンドを聴かせる。
重すぎず激しすぎずという点では、NWOBHMなど80年代ルーツの感触たっぷりで、ほどよい叙情性と、エセ宇宙風味のチープな雰囲気も素敵である。
ヴォーカルのヘタウマ感も、良い意味でのB級さをかもしだしていて、わりと長めの曲でもそこそこ展開があるので、飽きずに楽しめる。
オルガン鳴り響くプログレハード風味やインストの小曲もありつつ、ラストは10分の大曲で、派手な盛り上がりも新鮮な展開もないが、なんとなくよろしい。
ドラマティック度・7 オールドメタル度・8 叙情度・7 総合・7.5
Esa Holopainen 「Silver Lake」
フィンランドのミュージシャン、エサ・ホロパイネンの2021年作
AMORPHISのギタリストで、ソロとしては初の作品。シンガーには、KATATONIAのヨナス・レンクス、REPLOUSのアイナー・ソルバーグ、SOILWORKのビョーン・ストリッド、元THE
GATHERINGのアネク・ヴァン・ガースバーゲンなどが参加。
アコースティックギターに優美なピアノとシンセによる、イントロから北欧らしい涼やかな空気に包まれ、ドラムに叙情的なエレキギターが加わって、哀愁の叙情を描いてゆく。
2曲目以降はヴォーカル入りで、ゲストたちによるそれぞれの味わいのある歌声に、メロウなギターとオルガンなどのシンセ、フルートなどが合わさり、物悲しくも優雅なサウンドを聴かせる。
曲によっては、AMORPHIS風の味わいもありつつ、全体的にはメタル感触は控えめなので、土着的な北欧プログレとしても楽しめるだろう。
ドラマティック度・7 哀愁の叙情度・8 北欧度・9 総合・8
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Oblivion Protocol 「The Fall of the Shires」
多国籍のプログレッシブ・メタル、オヴリヴィオン・プロトコールの2022年作
Thresholdのシンセ奏者、リチャード・ウエストを中心にしたバンドで、Within Temptationのギター、Darkwaterのベースなどが参加。
アコースティックギターにマイルドなヴォーカルを乗せたイントロから、美麗なシンセに叙情的なギターとともに、英国らしい翳りを帯びたサウンドを展開。
キャッチーな優雅さと適度なヘヴィネスが同居しつつ、優美な歌もの感もあって重厚すぎない聴き心地は、スタイリッシュなハードプログレとしても楽しめる。
泣きのギターとシンセによるウェットな叙情に包まれた楽曲は、テクニカルな部分は薄く、最長でも6分と、わりとコンパクトである。
ジャケのイメージから重厚なドラマ性を想像すると肩透かしだが、シンフォニックなプログ・ハードロックとして聴くべし。
ドラマティック度・7 テクニカル度・7 叙情度・8 総合・8
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SERVANTS TO THE TIDE 「WHERE TIME WILL COME TO DIE」
ドイツのエピック・ドゥームメタル、サーヴァンツ・トゥ・ザ・タイドの2024年作
2021年にデビューし、2作目となる。女性ギタリストを含む5人編成で、ほどよく叙情的なツインギターに、朗々としたパワフルなヴォーカルを乗せて、どっしりとした正統派メタル寄りのエピック・ドゥームを聴かせる。
ATLANTEAN KODEXやDOONSWORDなどに通じる幻想性に包まれたサウンドで、勇壮な世界観や、物悲しい叙情を随所に含みつつ、8〜10分前後の大曲を重厚に描いてゆく。
ツインギターによるウェットな叙情がヨーロパアンな空気感をかもしだし、適度にアグレッシブなノリもあるので、ドゥームメタルが苦手な方にも楽しめる力作である。
ドラマティック度・8 エピックドゥーム度・8 重厚度・8 総合・8
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ALUNAH 「STRANGE MACHINE」
イギリスの女性声ドゥームメタル、アルナーの2022年作
2008年にデビューし、本作で6作目。アナログ感たっぷりのギターに、ハスキーな女性ヴォーカルの歌声で、Black Sabbathルーツのオールドなドゥームメタルを聴かせる。
わりとユルめのナンバーでは、サイケな浮遊感にも包まれて、PURSONなどにも接近した、優雅でヴィンテージな魔女系ロックとしても楽しめる。
ブルージーなギターとともに、ほどよくキャッチーなノリもあって、ドゥーム初心者や、70年代ブリティッシュ・ハードロックのファンにも対応。
ドラマティック度・7 ドゥーム度・7 ヴィンテージ度・8 総合・8 過去作のレビューはこちら
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Traitors Gate 「Devil Takes the High Road」
イギリスのメタルバンド、トレイターズ・ゲイトの2013年作
NWOBHM幻のバンドの、1985年の3曲入りEPに、前身であるQUESTのデモを3曲を加えての再発CD。
正統派のギターに朗々としたハイトーンヴォーカルで、ANGEL WITCHなどに通じる、英国らしいウェットなメタルサウンドを聴かせる。
キャッチーなヴォーカルメロディと叙情を含んだギターフレーズで、エピックな雰囲気をかもしだし、疾走感のある3曲目あたりは、好事家にはたまらないだろう。
QUESTのデモも年代を考えれば音質も良く、演奏のレベルも安定していて、80年代にアルバムを出していれば人気バンドとなっていたかもしれない。
バンドは2016年に再結成し、2018年には、33年ぶりとなるアルバム「FALLEN」をリリースしている。
ドラマティック度・8 オールドメタル度・8 ブリティッシュ度・8 総合・7.5
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NOISEHUNTER 「Time To Flight」
ドイツのメタルバンド、ノイズハンターの1986年作
結成は70年代、NOISEとしてスタートし、その後改名、1985年にHELLOWEENがデビューし、ジャーマンメタルのムーブを追い風にデビューを飾る。
ツーバスのドラムにツインギターの王道のリフ、かすれたヴォーカルを乗せて疾走する、古き良きジャーマンメタルのスタイルで、キャッチーな感触のハードロックナンバーなども味がある。
楽曲は3〜4前後が主体で、ストレートな聴き心地ながら、随所に叙情的なツインギターも覗かせるなど、いくぶんのマイナー臭さと、ほどよくウェットな味わいはいかにもジャーマンらしい。
RAINBOWなど70年代英国ハードロックからの影響も匂わせながら、80年代らしいヘヴィメタルに仕上げたという好作品である。ボーナスのライブビデオは、画像は粗いが、当時の熱気あるステージが味わえる。
ドラマティック度・7 疾走度・7 ジャーマン度・8 総合・7.5 過去作のレビューはこちら
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NOISEHUNTER 「Rock Shower」
ドイツのメタルバンド、ノイズハンターの2005年作
1986年にデビュー、89年までに3作を残して消えたバンドの幻の4作目で、当時録音されたままお蔵入りとなっていた音源のCD化となる。
アルバム用の音源であるから、音質も良好で、正統派のギターにパワフルなヴォーカルで、ACCEPTなどにも通じるどっしりとしたメタル感触のサウンドを聴かせる。
一方では、キャッチーなハードロックナンバーも、過去の作品以上に洗練され、アメリカンな質感もありつつ、そこはジャーマンメタル。ほどよいマイナー感触とウェットなクサさは健在だ。
ミドルテンポのナンバーが主体なので、勢いの良さという点ではさほどないが、演奏面もしっかりしていて、このまま活動を続けていれば、1線級バンドになっていたかもしれない。
ドラマティック度・7 疾走度・8 ジャーマン度・8 総合・7.5
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3/13
ペイガン&フォークメタル(73)
Beyond The Black
ドイツのシンフォニックメタル、ビヨンド・ザ・ブラックの2023年作
2015年にデビューし、5作目となる本作は、セルフタイトルの作品となった。メタリックなギターにハスキーな女性ヴォーカル、シンフォニックなアレンジを重ねたスタイルで、ほどよくキャッチーでヘヴィなメタルサウンドを展開。
ジェニファー嬢の歌声は、パワフルさと伸びやかさがあり、ときにアコースティックを含む優美なパートから、重厚なメタル感触のナンバーまで、楽曲をあでやかに彩っている。
楽曲的には、新鮮味やインパクトという点では物足りなさはあるが、メロディックなフックは随所に感じられ、全体的に安定したレベルの高さで楽しめる。
ドラマティック度・7 重厚度・8 女性Vo度・8 総合・8 過去作のレビューはこちら
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Witchcraft 「Cinema」
ロシアのゴシックメタル、ウィッチクラフトの2018年作
2008年にデビューし、4作目となる。ヘヴィなギターにシンセを重ね、艶めいた女性ヴォーカルで、インダストリアルな硬質感と妖しい耽美性が同居したサウンドを描く。
ロシア語による男性ヴォーカルを加えたナンバーもあって、ほどよくキャッチーなノリと男女Voのゴシック・ハードロック的な感触が合わさり、シンフォニックなシンセアレンジも含めて、なかなか重厚な聴き心地。
楽曲は3〜4分前後で、ドラマティックな展開はあまりなく、わりとストレートではあるが、ヴァイオリンが鳴り響くナンバーなどは、美しい女性声とともにしっとりと楽しめる。
ドラマティック度・7 ゴシック度・7 女性Vo度・8 総合・7.5 過去作のレビューはこちら
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LADUSHKA (Ладушка)「A HOUSE FULL OF HAPPINESS(Счастья Полон Дом!)」
ロシアのフォークメタル、ラドゥースカの2021年作
2015年にデビューし、3作目となる。女性Vo、女性ドムラ奏者を含む編成で、やわらかなアコーディオンをギターに重ね、ロシア語の女性ヴォーカルに、素朴なドムラのつまびきも加わり、優美なフォークメタルを聴かせる。
ツインギターによるメタリックなヘヴィネスと、コケティッシュな女性ヴォーカルとのコントラストも鮮やかで、優雅な土着性と重厚なメタル感をしっかりと同居させている。
激しすぎないサウンドは、ロシアン・フォークメタル初心者にも対応。ヘヴィで優雅なサウンドに浸れる逸品です。
ドラマティック度・8 フォーキー度・8 優雅度・9 総合・8 過去作のレビューはこちら
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Plamya V Mas (Пламя В Нас) 「Times (Времена)」
ロシアのフォークメタル、プラミア・V・マスの2020年作
美女Voを擁する、Rvi Mekha! (Рви Меха!)が改名したバンドで、メタリックなギターにアコーディオンの音色、ロシア語のなよやかな女性ヴォーカルとともに疾走する、優雅なフォーク・メロスピを展開。
フルートやヴァイオリンも加えつつ、フォーキー過ぎない聴きやすさがあって、女性声の艶めいた歌声も魅力的で、楽曲は4分前後と比較的シンプルながら、キャッチーな聴きやすさで楽しめる。
現バンド名で、2017年の1st「SKYLARK (Жаворонок)」も再発されているので、そちらも女性声フォークメタラーは必聴である。
ドラマティック度・8 フォーキー度・7 女性Vo度・8 総合・8
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Alkonost 「Tales of Wanderings」
ロシアのペイガンメタル、アルコノストの2015年作
本作は、2013年作の再録&英語版アルバムで、美麗なシンセをギターに重ね、美しい女性ヴォーカルにデスヴォイスが絡む、優雅でシンフォニックなペイガンメタルを展開する。
新加入のKsenia嬢のコケティッシュな歌声は伸びやかに魅力的で、英語歌詞なので辺境臭さは控えめ、再録のためか演奏面もいくぶんスタイリッシュになっている。
ほどよく叙情的なギターと厚みのあるシンセアレンジ、可憐な女性ヴォーカルで、ロシアン・ペイガンメタルの初心者にも聴きやすい逸品です。
ドラマティック度・8 ペイガン度・8 女性Vo度・8 総合・8 過去作のレビューはこちら
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Alkonost 「Ведомые Ветром」
ロシアのペイガンメタル、アルコノストの2021年作
2000年にデビュー、本作は10作目となる。美麗なシンセによるイントロから、叙情的なギターにロシア語の艶めいた女性ヴォーカルを重ね、優美な土着性に包まれたなサウンドを構築。
初期から比べると、アレンジがずいぶんスタイリッシュになり、魅力的な女性声を乗せた壮麗な感触は、フォーキーなシンフォニックメタルとしても鑑賞できる。
物語的なコンセプトもあるのだろう、エピックな神秘性を描き出すサウンドの説得力も見事で、どっしりとしたスローテンポのナンバーでも、Ksenia嬢の表現力あるヴォーカルが光る。
名実ともに女性声ロシアン・ペイガンメタルの代表格というべき、堂々たる傑作である。
ドラマティック度・8 ペイガン度・8 女性Vo度・9 総合・8.5
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Smorodina Reka 「Предвестье」
ロシアのペイガン・フォーク、スモロディナ・レカの2021年作
元Imperial Age、Grailight、Рарогъ、Zmey Gorynichなどで活躍する女性シンガーによるバンドで、アコースティックギターにうっすらとシンセを重ね、ロシア語の艶めいたヴォーカルで幻想的なぺイガン・フォークを聴かせる。
艶やかなヴァイオリンにシンフォニックなシンセアレンジ、2人の女性バックヴォーカルによる厚みのあるサウンドで、随所にドラムも加わって、単なるネオフォーク以上のダイナミクスも感じさせる。
メタル感触はほぼないが、ラスト曲にはメタルバージョンを1曲収録。シンフォニックなペイガン・フォークとして、壮麗な味わいで楽しめる力作です。
幻想度・8 フォーキー度・8 女性Vo度・8 総合・8
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SMUTA (Смута) 「THE TIME OF TROUBLES (Время беды)」
ロシアのフォークメタル、スムタの2018年作
2007年にデビュー、6作目となる。なにやら物騒なジャケであるが、メタリックなギターリフにフルートの音色、武骨なダミ声ヴォーカルに艶めいた女性ヴォーカルが重なり、ほどよく激しいフォークメタルを聴かせる。
ときにクサメロ感をまじえたギターフレーズと美麗なシンセアレンジによるシンフォニックな感触し、美しい女性ヴォーカルを乗せて疾走する、フォーク・メロスピ風味も覗かせる。
迫力あるデスヴォイスによるアグレッシブな重厚さと、優美なフルートの音色が響き渡る土着的性が合わさり、男女Voのフォークメタルとしての世界観もしっかりしている。
女性ヴォーカルをメインにしたナンバーもあり、全体的にも優雅で神秘的なペイガン・フォークタルが味わえる強力作です。
ドラマティック度・8 フォーキー度・7 優雅で重厚度・8 総合・8 過去作のレビューはこちら
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Pagan Reign 「Art of The Time」
ロシアのペイガンメタル、ペイガン・レインの2019年作
2002年にデビュー、2006年までに4作を残して消えるも、2018年に復活し、本作は6作目となる。
土着的なギターフレーズにシンセを重ね、牧歌的なドムラやフルートの音色にデスヴォイスも加え、随所に疾走感を含んだ辺境的なペイガンメタルを展開する。
マンドリンのような優雅なトレモロを奏でるプサルタリーやトムラの響きと、武骨なヴォーカル、クサメロ感あるギターのコントラストも面白く、勇壮なフォークメタルとしても楽しめる。
キャリアのあるバンドらしいどっしりとした説得力と、神秘的な土着性が融合して、激しさと重厚さの緩急ある展開力とともに、聴きごたえがある力作に仕上がっている。
ドラマティック度・8 フォーキー度・8 辺境度・8 総合・8 過去作のレビューはこちら
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TROLL ORCHESTRA (Оркестръ Тролля) 「TURBO RETRO (Турбо Ретро)」
ロシアのフォークメタル、トロル・オーケストラの2015年作
TROLL BENDS FIR(Тролль Гнёт Ель) のメンバーによるプロジェクトで、2013年にデビューし、2作目となる。
優雅なアコーディオンに、素朴なバラライカのつまびき、ときにトランペットやチューバも加わり、野太いダミ声ヴォーカルとともに、武骨で軽やかなフォークロックを聴かせる。
歪んだギターが入らないのでメタル感触はさほどなく、軽快に疾走しつつもアコーディオンの音色などが愉快な味わいで、メタル色のないKorpiklaaniという感じでも楽しめる。
楽曲は2〜3分前後と、ストレートでライトな聴き心地。重厚さや濃密さはあまりないので、酒飲み系フォークロックが好きな方へ。
ドラマティック度・7 フォーキー度・8 メタル度・6 総合・7.5
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STOZHAR (Стожар)「Ни Шагу Назад /No Retreat」
ロシアのフォークメタル、ストズハーの2013年
アコーディオンの音色をギターに重ね、ダミ声ヴォーカルとともに激しく疾走する、アグレッシブなフォークメタルサウンド。
母国語による朗々としたノーマルヴォイスもまじえ、ラウドな荒々しさと土着的なクサメロ感が同居した、辺境らしい空気に包まれつつ、随所に優美なシンセアレンジやヴァイオリンなども加わって、優雅な叙情も覗かせる。
楽曲は3〜4分前後とわりとシンプル。次作からは女性シンガーが加わるが、本作の時点ではまだB級という印象。全34分のデビュー作。
ドラマティック度・7 フォーキー度・7 辺境度・8 総合・7.5 過去作のレビューはこちら
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SEVERHIE VRATA (Северные Врата) 「Prau/Правь」
ロシアのペイガンメタル、セヴァーハイ・ヴラタの2003年作
1998年にデビューし、3作目。女性シンセ奏者によるシンフォニックなアレンジをギターに重ね、ロシア語によるマイルドなヴォーカルとともに、ほどよくキャッチーなペイガンメタルを展開。
アコーディオンの音色などフォークメタル的な優雅さも覗かせつつ、なんとなくヘタウマの歌声と牧歌的なクサメロ感とともに、辺境的なシンフォニックメタルとしても楽しめたりする。
楽曲はどれも3分前後と、わりとあっさりしていて、盛り上がりそうで突き抜けないという、その中庸感も辺境らしい味わいか。
ドラマティック度・7 ペイガン度・7 叙情度・7 総合・7
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Eluveitie 「Live At Masters Of Rock」
スイスのフォークメタル、エルヴェイティのライブ。2019年作
2019年チェコの「マスターズ・オブ・ロック・フェスティヴァル」でのステージを収録。同年作「Ategnastos」を中心に、過去作からのナンバーを含む15曲を収録。
女性フィドル、ハーディーガーディ奏者を含む9人編成で、メタリックなギターに咆哮するデスヴォイス、ホイッスルやフィドルの音色とともに激しく疾走、女性ヴォーカルの歌声とともに、アグレッシブなフォークメタルを展開する。
シンセを用いずに、ツインギターと民族楽器で、これほど厚みのあるサウンドをライブで再現するのは圧巻で、ハーディーガーディとフィドルの優雅な絡みや、シンガーのファビエンヌによるハープの音色も随所に美しい。
メロデスばりの激しさと本格派フォークメタルの土着感を融合し、スタイリッシュに仕立てたという、強力なライブが楽しめる。、
ライブ演奏・8 アグレッシブ度・8 重厚度・8 総合・8 過去作のレビューはこちら
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KerecsenSolyom 「Aquileia Ostroma」
ハンガリーのペイガンメタル、ケレッセンソルヨムの2010年作
ツインギターにフルート、女性シンセ奏者を含む7人編成で、優雅でオーケストラルなイントロから、フルートやチェンバロの音色に、クサメロ感あるギターとダミ声ヴォーカルで、勇壮で辺境的なペイガンメタルを聴かせる。
メディーヴァルな土着感と、ラウドなマイナー臭さが合わさって、ほどよい激しさも覗かせながら、フォーキーな優雅さに包まれつつ、わりと愉快に楽しめる。
ときに女性コーラスも加わって、やわらかなフルートの音色とともに、中世の空気を思わせる幻想性もよろしい。
ラスト曲ではトロンボーンやホルン、トランペットのブラスが加わり、激しい疾走感にハーディ・ガーディが鳴り響くという、ごった煮感も面白い。
全31分という短さが物足りないが、優雅でヘンテコな辺境ペイガンメタル好きはどうぞ。
ドラマティック度・8 ペイガン度・8 辺境度・8 総合・7.5
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Svartanatt 「Starry Eagle Eye」
スウェーデンのヴィンテージロック、スヴァータナットの2018年作
オールドなギターにオルガンを重ね、かすれた味わいのヴォーカルとともに、70年代ルーツのヴィンテージハードロックを聴かせる。
ブルージーな感触のギターは随所に叙情的なフレーズも奏で、やわらかなオルガンを含む感触は、70'sブリティッシュロック好きの方にも対応。
スローテンポのナンバーでの哀愁を感じさせる叙情などは、むしろプログレリスナー向けで、ときに北欧らしい涼やかな空気感にも包まれる。
全体的にもハード過ぎない作風で、サイケやブルーズの要素を優雅なオールドロックで包み込んだというべき逸品です。
ドラマティック度・8 ブルージーな叙情度・8 ヴィンテージ度・9 総合・8
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Witchgrave
スウェーデンのメタルバンド、ウィッチグレイヴの2013年作
バンド名からしてサタニックなメタルサウンドを想像するが、オールドなギターにダミ声ヴォーカルを乗せて、1曲目は初期のMETALLICAにも通じる疾走感あるサウンド。
その後は、ほどよく叙情的なツインギターを盛りこみつつ、ENFORCERなどを思わせる、ヨーロピアンなヴィンテージメタルとしても楽しめる。
ヴォーカルのダミ声がややうるさいのだが、曲によっては、Motorhead風だったりもして、80年代ルーツのダーティなメタル感が悪くない。
新鮮味はほぼ皆無であるが、80年代ルーツのオールドメタルが全開だ。全31分という短さもいっそ潔い。
ドラマティック度・7 疾走度・7 ヴィンテージ度・8 総合・7
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2/28
メタル春の足音(57)
The Night Flight Orchestra 「Give Us The Moon」
スウェーデンのメロディックロック、ザ・ナイト・フライト・オーケストラの2025年作
70〜80年代のクラシックロックを蘇らせることを旗印に、SOILWORKのビョーン・ストリッド、ダーヴィド・アンデション、ARCH ENEMYのシャーリー・ディアンジェロらにより結成、2012年にデビューし7作目となる。
2022年にダーヴィド・アンデションが死去、本作からSOILWORKのラスムス・エーンボーンが加入し、2人の女性コーラスを含む8人編成となった。
空港のアナウンスのイントロから、きらびやかなシンセをギターに重ねて、伸びやかなヴォーカルとともキャッチーで爽快なサウンドが広がる。
JOURNEYなどを思わせる、80年代風味のメロディックロックであるが、巧みなギターソロも随所に見事で、BOSTONやSURVIVORなど、哀愁に包まれた往年のハードポップスタイルとウェットなメロディアス性が耳心地よい。
プログレバンドのVALINOR'S TREEで活躍するシンセ奏者のセンスも素晴らしく、TOTOなどに通じるポップ性から、ASIAのような優雅なシンフォニック性と、それぞれの楽曲を鮮やかに彩っている。
YESとJOURNEYが合体したような華麗なラスト曲まで、古き良きメロディックロックの理想郷というべきサウンドが味わえる傑作だ。日本盤ライナーは緑川です。
メロデッィク度・8 キャッチー度・9 80'sロック度・9 総合・8.5 過去作のレビューはこちら
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Candlemass 「Sweet Evil Sun」
スウェーデンのドウームメタル、キャンドルマスの2022年作
1986年にデビュー、2012年作を最後に解散を示唆するも、シンガーにマッツ・レヴィンを迎えてバンドは2016年に再び復活、2作のEPを残したのち、バンドには初代シンガーのヨハン・ラングクイストが加わり、2019年に12作目を発表した。
それに続く13作目の本作も、アナログ感たっぷりのギターにほのかな叙情を漂わせ、ややダーティなヴォーカルとともに、最初期のスタイルに回帰したような古き良きドゥームメタルを聴かせる。
メサイア・マーコリンの加入した2作目よりも、さらにオールドな雰囲気かもしだしていて、ザラついたギターサウンドは、ときにBLACK SABBATHを思わせる。
これぞドゥームタル!という聴き心地であるが、反面、エピックドゥームとしてのドラマティックな雰囲気はやや薄まって、個人的には痛しかゆしか。
ドラマティック度・7 ドゥーム度・8 エピック度・7 総合・8 過去作のレビューはこちら
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Hallas 「Isle Of Wisdom」
スウェーデンのヴィンテージハードロック、ハラスの2022年作
2017年にデビュー、3作目となる本作も、オールドなギターにオルガンやムーグシンセを重ね、URIAH HEEPにも通じるヴィンテージなハードロックを聴かせる。
ゆったりとしたユルめの叙情性に包まれつつ、随所にリズムチェンジを含む展開力、鳴り響くムーグシンセなどプログレ寄りの感触もあるので、北欧プログレハードロックとしても楽しめる。
伸やかなヴォーカルもパワフル過ぎない味わいがあって、70年代ルーツのオールドなロックサウンドによくマッチしている。
ドラマティックな展開のラスト曲も含めて、叙情的なギターの旋律にオルガンが重なるスタイルが好きなら、間違いなく気に入るだろう。
ドラマティック度・8 ヴィンテージ度・8 叙情度・8 総合・8 過去作のレビューはこちら
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TRIAL 「Feed The Fire」
スウェーデンのメタルバンド、トライアルの2022年作
2011年デビューし、4作目となる。前作は、ツインギターにハイトーンヴォーカルを乗せて疾走するメロパワスタイルに、エピックなドラマ性を内包したサウンドで、ヨーロピアンな叙情に包まれる。
ときに、初期IRON MAIDEN風や、JUDAS PRIESTなどへのリスペクトも感じさせつつ、くぐもった湿り気は北欧のバンドらしく、80年代ルーツの激しすぎないメタル感触が耳に心地よい。
随所に疾走パートをまじえながら、リズムチェンジを含む展開力で、初期ENFORCERなどが好きな方にもお薦め。
ラストはエピックドゥームメタル風の9分の大曲でどっしりとした聴き応えがある。ボーナスには、Fleetwood Macと、Black Sabbathのカヴァーを収録。
ドラマティック度・8 ヴィンテージ度・8 叙情度・8 総合・8 過去作のレビューはこちら
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DARK FOREST 「Oak, Ash & Thorn」
イギリスのエピックメタル、ダーク・フォレストの2020年作
2009年にデビューし、5作目となる。川のせせらぎにギターを重ねたイントロから、叙情的なツインギターとジェントルなヴォーカルを軽快なリズムに乗せて、トラディショナルなメタルサウンドが広がってゆく。
ときにネイチャーなケルト風味を含んだギターの旋律や、ほどよくキャッチーな歌メロなど、全体的にも激しさよりも優雅な耳心地で、アナログ感たっぷりのオールドメタルが楽しめる。
曲によっては、FALCONERのような勇壮な土着感や、ゲイリー・ムーア的な哀愁も覗かせるなど、ヴィンテージなメタル好きから、ブリティッシュなハードロックファンにも対応。
12分に及ぶどっしりとしたドラマティックなタイトルナンバーや、アイリッシュな叙情性、パワフルなエピックメタルナンバーと、楽曲も充実の強力作です。
ドラマティック度・8 エピック度・7 オールドメタル度・9 総合・8 過去作のレビューはこちら
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MAGNUM 「The Monster Roars」
イギリスのドラマティック・ハード、マグナムの2022年作
1978年デビューのベテランバンド、2002年の再結成後は旺盛な活動を続けていて、本作は通算21作目となる。
ほどよくハードなギターに優美なピアノやオルガンを含むシンセ、ボブ・カトレイの枯れた味わいのヴォーカルで、英国らしい哀愁の叙情に包まれたサウンドを描き出す。
今作はウェットな翳りを含んだナンバーも多く、メロウなギターソロやクラシカルなピアノやストリングスによる優雅なアレンジも、随処で楽曲をじわりと盛り上げる。
楽曲は3〜5分前後と、ほどよくシンプルでストレートだが、ブラスを用いたキャッチーなナンバーから、どっしりと重厚なドラマ性まで、どこを切っても英国らしさに包まれる。
たとえ新鮮味はなくとも、伝統のスタイル守り続けるバンドの強固なスタンスには感服する。
ドラマティック度・8 叙情度・8 英国度・9 総合・8 過去作のレビューはこちら
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Saxon 「Battering Ram」
イギリスのベテランバンド、サクソンの2015年作
1979年にデビュー、本作はおそらく21作目あたりだろう。オールドなツインギターにビフ・バイハートの味わいのある歌声乗せ、ほどよい疾走感のあるヘヴィメタルを聴かせる。
Judas Priestあたりにも通じるパワフルなメタル感触とともに、ときに勇壮でエピックな世界観を描き出すのは、このバンドの伝統的なスタイルであるだろう。
ベテランながらもほどよくアグレッシブなノリとともに、70年代ブリティッシュ・ハードロックから受け継がれたサウンドをしっかりと残している。
一方ではわりとダークなナンバーもあって、哀愁を感じさせるギターの旋律がウェットな叙情性を感じさせるなど、決して一本調子にならないのも見事。
ドラマティック度・8 オールドHM度・9 英国度・9 総合・8 過去作のレビューはこちら
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SONIC HAVEN 「VAGABOND」
ドイツのメロディックメタル、ソニック・ヘイヴンの2021年作
Seventh Avenue、Sinbreed、Radiantなどでシンガーを務める、ハービー・ランハンスを中心に、Radiantのギター、Enemy Insideのベース、Silent Forceのドラムが集結したバンド。
3〜5分前後の作曲を主体に、巧みなギターにパワフルなヴォーカルを乗せ、シンプルに疾走するキャッチーなメロディックメタルを聴かせる。
ミドルテンポの爽快なメロディアス性は、GAMMA RAYなどにも通じる感触で、かすれた味わいの歌声も、どことなくカイ・ハンセン風だったりする。
美麗なシンセアレンジも加えて盛り上げるあたりは、AVANTASIAに参加した経験からか、流麗なギタープレイも随所にサウンドを華やかに彩る。
メタルバラード的なナンバーも、味わいのあるヴォーカルが哀愁の叙情を描き出す。疾走曲もミドルテンポも、メロディのフック充実の好作品である。
メロディック度・8 疾走度・7 正統派度・8 総合・8
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PALADIN 「ASCENSION」
アメリカのメロディックメタル、パラディンの2019年作
メロデッィクで巧みなギターにパワフルなハイトーンヴォーカルを乗せて激しく疾走する、いわばスラッシーなメロスピサウンドを聴かせる。
ときにイングヴェイばりの流麗なギタープレイを織り込みつつ、デスヴォイスも用いたアグレッシブな部分もあって、メロデスとメロスピのハイブリッドとしても楽しめる。
ちなみにギタリストは、GALNERYUSのSyuをリスペクトしているとか。日本のアニメ調のジャケも含めてなんとなく納得である。
きらびやかなメロスピにチルボド風の感触も加えたという強力作で、ドラマティックな展開や盛り上がりが増えれば、傑作を作りそうな予感もする。
メロディック度・8 疾走度・8 メロスピデス度・8 総合・8
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Eternal Flight 「Under The Sign Of Will」
フランスのメタルバンド、エターナル・フライトの2006年作
2004年にデビューし、2作目となる。正統派のギターにハイトーンヴォーカルを乗せ、リズムチェンジを含む適度にテクニカルなメロパワを聴かせる。
随所に美麗なシセアレンジも加えて、いくぶんProgMetal寄りの雰囲気も覗かせつつ、オールドな正統派メタル感触もしっかり残している。
同国のMANIGANCEあたりに通じるところもあるが、メロディのフックや展開はいま一つ突き抜けきらず、わりとB級なテイストを感じさせる。
ドラマティック度・7 疾走度・6 楽曲・7 総合・7 過去作のレビューはこちら
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Maestrick 「Espresso Della Vita・Solare」
ブラジルのプログレメタル、マエストリックの2018年作
2011年にデビューし、7年ぶりとなる2作目。人生を列車に例えたコンセプト的な作風で、テクニカルなリズムに美麗なシンセと巧みなギターを重ね、一聴してDREAM THEATERをルーツによりシンフォニックに仕立て上げたというサウンドを描く。
オルガンなどを用いたプログレ寄りのシンセワークや、ジェントルなヴォーカルとキャッチーなコーラスで優雅なメロディアス性に包まれるところは、A.C.T.やTRANSATLANTICにも通じるだろう。
一方では、疾走感あるナンバーでは、ANGRAのような華麗なメロディックメタルになったり、メタル感触と優美なプログレ感が同居したハイブリッドなセンスは見事。
混声コーラスから始まる15分の大曲は、緩急あるドラマティックな構築力で、きらびやかなProgMetalが楽しめる。ボーナス含めて全78分という大変な力作。
ドラマティック度・8 華麗度・8 優雅度・9 総合・8.5
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KALACREAD 「Mystic Society」
日本のプログレメタル、カラクリードの2019年作
女性シンセ奏者を含む5人編成で、壮麗でクラシカルなシンセにメタリックなギター、リズムチェンジを多用したテクニカル性に、英語歌詞のハイトーンヴォーカルで、ドラマティックなサウンドを描く。
メロウなフレーズを奏でるギターと、女性らしい優雅なシンセワーク、伸びのあるハイトーン、軽やかなリズムアンサンブルと、全体的にもレベルが高く、やや唐突な展開もアヴァンギャルドで面白い。
ゆったりとした叙情ナンバーでは、伸びやかなハイトーンヴォーカルがエモーショナルに歌い上げて、シンフォニックハード的にも楽しめる。
ドラマティック度・8 テクニカル度・8 優雅度・8 総合・8
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TOTO「TOTO XIV〜聖剣の絆」
アメリカのメロディックロック、トトの2015年作
1978年にデビュー、本作は9年ぶりとなる14作目で、オリジナルベーシスト、デヴィッド・ハンゲイドが復帰し、ドラムにはキース・カーロックが加入している。
「IV」以来となる剣がジャケットに戻り、ステスィーヴ・ルカサーのメロウなギターの旋律とともに、ジョセフ・ウィリアムズの味わいのある歌声で、往年を思わせる叙情的なロックサウンドが広がってゆく。
アダルトな枯れた味わいとともに、キャッチーなヴォーカルメロディには、80年代の香りをしっかりと感じさせ、どこを切ってもTOTOらしい味わいに包まれる。
スティーヴ・ポーカロ、デヴッィド・ペイチのシンセやオルガンも効いていて、ゴージャスなアンサンブルながら、あえて重くないサウンドメイキングもあの頃のようである。
ゆったりと落ち着いたAORであるが味わい深い。これは久々にオールドファンも感涙の出来だろう。
メロディック度・8 哀愁度・8 往年のトト度・8 総合・8
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バレンタインはブラック&デスメタル(44)
Enslaved 「Heimdal」
ノルウェーのプログレッシブ・ブラックメタル、エンスレイヴドの2023年作
90年代初頭から活動する、ヴァイキング・ブラックメタルの元祖、5作目以降はプログレッシブな構築力を強め、ベイガン、ブラック、プログレの要素が同居した独自の作風を確立。
本作も、アナログ感あるギターにシンセを重ね、巧みなリズムアンサンブルに、ダミ声&ノーマルヴォーカルをまじえて、ミステリアスなサウンドを展開。
涼やかな空気感と、ときにProgMetal的でもあるテクニカル性やオルガンも鳴り響き、スタイリッシュとヴィンテージが混在した、これまで以上にプログレッシブな作風である。
激しい疾走パートの中にも、スペイシーな旋律を盛り込むなど、神秘的なスケール感を描くあたりもさすがで、Solefaldなどに通じる涼やかな知的センスが光っている。
ラスト曲は、KING CRIMSONがブラックメタル化したような雰囲気もあったり、プログレ・ブラックが好きな方にはお薦めの内容だ。
ドラマティック度・8 プログレッシブ度・8 叙情度・7 総合・8 過去作のレビューはこちら
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Primordial 「How It Ends」
アイルランドのペイガン・ブラックメタル、プライモーディアルの2023年作
1995年デビューのベテランで、本作は11作目となる。アイリッシュを感じさせるギターのイントロから、アナログ感あるドラムにかすれたヴォーカルも加えて、オールドなハードロック感触を含んだサウンドが広がる。
どことなく、ゲイリー・ムーア的な哀愁の空気感に包まれた1曲目から、2曲目以降はダミ声ヴォーカルによるアグレッシブなブラックメタル風味も加わって、重厚にして土着的な味わいに。
トレモロを含む甘すぎないギターの旋律も随所に心地よく、シンセやモダンなアレンジを一切使わない、いわばヴィンテージなペイガンメタルというべきか。
7分以上の大曲も多く、派手な展開などもないのだが、リフやフレーズからはベテランらしい力強さがにじみ出ていて、枯れた味わいが楽しめる方なら飽きないだろう。
ドラマティック度・7 暴虐度・6 古き良き度・8 総合・8 過去作のレビューはこちら
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Amon Amarth 「The Great Heathen Army」
スウェーデンのヴァイキング・デスメタル、アモン・アマースの2022年作
1996年デビューのベテラン、12作目となる本作も、北欧神話やヴァイキングの歴史を取り入れた世界観で、重厚なギターに迫力あるデスヴォイスで、猛々しいペイガン・デスメタルを聴かせる。
どっしりとしたミドルテンポを主体に、メロディックな部分はさほどないが、勇壮なバトル感触と、ほどよい叙情も覗かせながら、あくまでオールドなデスメタルのスタイルをつらぬいている。
ドラマティックな盛り上がりがもう少しあればと思うが、ラスト曲でのペイガンらしい土着感とエピックな雰囲気は悪くない。ベテランらしさは感じさせる内容だ。
ドラマティック度・7 暴虐度・7 重厚度・8 総合・7.5 過去作のレビューはこちら
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BELPHEGOR 「TOTENRITUAL」
オーストリアのブラックメタル、ベルフェゴールの2017年作/邦題「屍骸典礼」
1995年にデビュー、現在では、ヘルムス、サーペンスの二人によるユニットとして活動。本作は11作目となる。
低音デスヴォイスとともに激烈にブラスト疾走する禍々しいスタイルで、圧殺感あるドラムも含めて、BEHEMOTHなどにも通じるブルータルなブラックメタルを展開。
トレモロを含む甘すぎない叙情のギタープレイも随所に覗かせながら疾走する、王道のブラックメタルとしても迫力たっぷりだ。
ミドルテンポのパートも、重厚感あるベテランらしい荘厳な世界観を描いていて、漆黒に覆われたサタニズムを感じさせる強力作である。
ドラマティック度・7 暴虐度・8 暗黒度・9 総合・8 過去作のレビューはこちら
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MALPHAS 「PORTAL」
アメリカのメロディック・デスメタル、マルファスの2024年作
2018年にデビューし、2作目となる。美麗なシンセやピアノをギターに重ね、デスヴォイスとともに、緩急あるリズム展開で、テクニカルなシンフォニック・デスメタルを聴かせる。
オーケストラルなシンフォニック性とプログレッシブな構築力、随所にストリングスが重なるクラシカルな感触は、DARK LUNACYなどに通じる雰囲気もある。
ラストは12分の大曲で、軽やかな展開力の中に、女性ヴォーカルも加わった優美さと、叙情的なギターでじっくりと聴かせつつ、ストリングスやピアノによるクラシカルなアレンジにアグレッシブな激しさが同居して、優雅にしてプログレッシブなデスメタルを構築する。
シンフォニック度・8 暴虐度・7 優雅度・8 総合・8
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PRAISE THE PLAGUE 「Suffocating In The Current Of Time」
ドイツのブラックメタル、プライス・ザ・プレイグの2024年作
2018年にデビューし、3作目となる。ミステリアスなイントロから、トレモロのギターリフにシンセを重ね、喚き声ヴォーカルを加えた暗黒のスラッジ・ブラックを展開。
どっしりとした重厚なスローパートから、迫力あるブラスト疾走を織り込んで、ブラックメタルとしての激しさもしっかりと感じさせつつ、ドゥーミィと暴虐の緩急ある流れで聴かせる。
ラストは8分の大曲で、重いベースにトレモロのギターを乗せたゆったりと不穏な序盤から、絶叫するヴォーカルとともに疾走する、プリミティブなブラックメタルが炸裂する。
ドラマティック度・7 暴虐度・7 暗黒度・9 総合・8 過去作のレビューはこちら
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JORD 「TUNDRA」
スウェーデンのブラックメタル、ヨルドの2023年作
2021年にデビューし3作目となる。ほどよい叙情を含んだアナログ感あるギターにうっすらとしたシンセ、ダミ声ヴォーカルを乗せて、カスカディアンブラック寄りのサウンドを描く。
ゆったりとしたリズムから、随所に激しい疾走パートを含んだ緩急ある展開と、北欧らしい土着性や、ピアノを使った優美なアレンジなど、知的な構築力もなかなか見事。
楽曲は5〜7分ほどと、短すぎず長すぎず、激しさと叙情が良いあんばいで同居、ノイジー過ぎず綺麗すぎず、というバランスの良い聴き心地だ。
後半には暴虐なブラスト疾走から、ポストブラック的な幻想パートをはさんで再び疾走という、ドラマティックなナンバーもあり、ブラックメタルらしい禍々しさもしっかり感じさせる。
ドラマティック度・8 暴虐度・7 カスカディアンブラック度・8 総合・8
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DODSFALL 「Nar Morkret Ar Pa Vag」
スウェーデンのブラックメタル、ドッドゥスフォールの2022年作
2011年にデビュー、6作目となる今作では、全てのパートをIshtar氏が手掛ける、いわゆる独りブラックメタルとなっている。
アコースティックギターとシンセを重ね、日本語の語りによるイントロから、ノイジーなトレモロのリフとダミ声ヴォーカルで激しくブラスト疾走する。
随所に美麗なシンセアレンジも加わって、緩急あるリズムとともに、初期DIMMU BORGIRにも通じる禍々しくも幻想的なブラックメタルが味わえる。
ほどよくプリミティブな荒々しさとブラッケンロール的なアナログ感、甘すぎない叙情も含んだオールドスタイルのサウンドで、暴虐過ぎない聴きやすさもいいですね。
ドラマティック度・8 暴虐度・7 オールドブラック度・8 総合・8 過去作のレビューはこちら
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HELGA 「WRAPPED IN MIST」
イギリスのアトモスフェリック・メタル、ヘルガの2023年作
スウェーデン出身のアジア系女性シンガー、ヘルガ・ガブリエルをフロントにしたバンドで、重すぎないギターにうっすらとしたシンセにヴァイオンも絡み、美しい女性ヴォーカルとともに幻想的なサウンドを描く。
物悲しい空気感に包まれた、曲によってはゴシックメタル寄りの感触で、妖しい女性声がアンビエントな味わいにもなっていて、キャッチーなメランコリックロックとしても楽しめる。
楽曲は3〜5分前後が主体で、Alcest風の優雅ナンバーや、ときにブラスト疾走も覗かせるなど、ポストブラックのファンにも対応しつつ、一方で、ケイト・ブッシュ的なコケティッシュな歌声を響かせるなど、表現力ある歌声もなかなか魅力的。
ドラマティック度・7 メランコリック度・8 女性Vo度・8 総合・8
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AODON 「Portraits」
フランスのポストブラックメタル、アオドンの2023年作
2016年にデビューし、3作目となる。トレモロのギターに喚き声ヴォーカルで激しく疾走するスタイルに、緩急ある展開と物悲しい叙情を含ませたサウンドで、Alcestなどに比べるとストレートなブラックメタル感触が強めか。
暴虐なブラスト疾走と、フレンチらしいコールドな空気感が合わさり、激しさと静寂感のバランスもあって、ブラックメタルとしてもレベルは高い。
全体的にはクールで硬派な感触で、もう少し泣きの叙情が欲しい気もするが、ラスト曲などはミドルテンポからの疾走という、ドラマティックな流れが見事。
ドラマティック度・7 疾走度・8 叙情度・7 総合・7.5
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Mesarthim 「Ghost Condensate」
オーストラリアのコズミック・ブラックメタル、メサーシウムの2019年作
2015年にデビューし、4作目となる。20分ぴったりの大曲2曲という異色の構成で、デジタルできらびやかなシンセを重厚なギターに重ね、ダミ声ヴォーカルとともに、スペイシーなブラックメタルを展開。
ときに激しいブラスト疾走も覗かせつつ、きらきらとしたシンセアレンジがシンフォニックな感触で包み込み、サイバーな近未来感とブラックメタルを自然に融合させている。
ARCTURUSのスタイルをよりコズミックに表現したという感じもあり、ブラックメタルの禍々しさを神秘性に変換させ、しっかりと激しさを残しつつも華麗なサウンドに仕立てている。
ドラマティック度・7 暴虐度・7 コズミック度・8 総合・8
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SATURNUS 「THE STORM WITHIN」
デンマークのゴシック・ドゥームメタル、サターナスの2023年作
1996年にデビューし、6作目となる。叙情的なギターにシンセを重ねた物悲しいイントロから、低音デスヴォイスとともに、重厚なフューネラルドゥームを聴かせる。
あくまでメロウで泣きを含んだギターの旋律に、ノーマルヴォイスをまじえたメランコリックな空気感はゴシックメタル寄りで、Swallow The Sunあたりのファンにも楽しめるだろう。
10分前後の大曲も多く、ゆったりとしたスローテンポを主体に、随所にシンセなどによる静謐なパートも盛り込むなど、わりと緩急ある構築力で飽きさせない。
一方では、優雅なピアノにヴァイオリン、ノーマルヴォーカルによるアンビエントなナンバーもあって、涼やかな静寂感も味わえる。
とにかくほぼ全編でギターが叙情メロディを奏でているので、重めのフューネラルドゥームが苦手という方でも楽しめるだろう。
ドラマティック度・8 メランコリック度・8 重厚度・8 総合・8
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Les Discrets 「Live at Roadburn 2013」
フランスのポスト・ブラックメタル、レス・ディスクレッツの2015年作
Alcest,、Amesoeursのメンバーを中心に結成し、2010年にデビュー、本作は2012年オランダ「Roadburn」フェスからのステージを収録。
AlcestのNeigeがベースで参加しての4人編成で、叙情的なツインギターにマイルドなヴォーカルを乗せ、メランコリックな翳りに覆われたサウンドを描く。
ツーバスのドラムや、ときにブラスト疾走を含む適度にアグレッシブなノリも覗かせつつ、あくまで優雅で薄暗い叙情に包まれた世界観は心地よい。
トレモロのギターに男女声が重なるパートや、泣きのギターの旋律と詠唱のような歌声が合わさる、神秘的なパートなどもウットリですな。
ライブ演奏・8 メランコリック度・8 叙情度・8 総合・8 過去作のレビューはこちら
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God Is An Astronaut 「EPITAPH」
アイルランドのポストメタル、ゴッド・イズ・アン・アストロノートの2018年作
2002年にデビューし、すでに8作目となる。物悲しいピアノにノイジーなギターが重なり、メランコリックな叙情とともにポストロック的な世界観を描き出す。
ほどよくグルーヴィなドラムとベースが、ノリのあるリズムを作りだし、メタリックな重厚さも覗かせつつ、あくまで物悲しい涼やかな空気に包まれたサウンドだ。
オールインストなので、派手な展開はないが、シンセの重ねによるアンビエントな空間性を感じさせながら、轟音ギターによる不穏な重々しさが同居する。
ドラマティック度・7 ポストロック度・8 重厚度・8 総合・7.5
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メロパワ、スラッシュプログメタル!(30)
DragonKnight 「Legions」
フィンランドのメロディックメタル、ドラゴンナイトの2025年作
仮面をつけたメンバーたちによるバンドで、シンガーのミカエル・サロは、EVERFROSTで活躍しつつ、STRATOVARIUSやBEAST IN
BLACKなどでバックヴォーカルを務めた実力派。
オーケストラによる壮麗なイントロから、ツインギターに伸びやかなヴォーカルを乗せ、クラシカルなシンセアレンジとともに、RHAPSODYにも通じる勇壮でシネマティックなサウンドが炸裂する。
どっしりとしたミドルテンポやフォーキーなメロディを乗せたナンバー、SABATONやDREAM EVILのような王道の北欧メロパワから、HELLOWEENばりのキャッチーなメロディックメタルなど、楽曲ごとにメリハリがあり、異世界ファンタジー映画のような世界観で楽しめる。
アコースティックギターにアコーディオンやフルートの音色で、エンディング的な牧歌性に包まれたボーナストラックも含めて、ファンタジックなシンフォニックメタルが詰まった強力作だ。
日本盤ライナー解説は私、緑川が担当しているのでよろしくです。
ドラマティック度・8 疾走度・7 ファンタジック度・9 総合・8
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Metallica 「72 Seasons」
アメリカのベテランバンド、メタリカの2023年作
7年ぶりとなるスタジオアルバムで、72の季節…すなわち多感な人生最初の18年間をテーマにした作品。エッジの効いたギターリフにロバート・トゥルージロの存在感あるベースとともに、かつてを思わせる疾走感も含んだサウンドは、一聴して「...And
Justice For All」の頃を思わせる。
ジェイムス・ヘッドフィールドの味のあるヴォーカルと、ラーズ・ウルリッヒのドラムもバスドラのブチブチ感も含めて、往年に回帰したような雰囲気で、これはファンにはたまらない。
6〜7分前後の長めの楽曲も多く、どっしりとしたミドルテンポのナンバーはやや単長にも聴こえるが、オールドスタイルと現在形を融合させた作風とも言えるだろう。
ラストは11分の大曲で、ブルージーなハードロック感触に、哀愁の叙情を含んだ大人のロックを聴かせる。全体的には、もう何曲か激しいナンバーが欲しかった。
ドラマティック度・7 疾走度・7 メタリカ度・8 総合・8 過去作のレビューはこちら
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Nervosa 「Jailbreak」
ブラジルのガールズ・スラッシュメタル、ネルヴォサの2023年作
2014年デビュー、5作目となる。スラッシーなギターリフに吐き捨て女性ヴォーカルを乗せて疾走する、オールドなスラッシュメタルを聴かせる。
迫力ある吐き捨てヴォイスとともに激しく疾走するあたりは、デスラッシュといってよいほどの圧殺感もあって、女性バンドとは思えぬ攻撃性である。
ときにツインギターによる叙情性も覗かせて、初期のTESTAMENTあたりを思わせるウェットなドラマ性も描くところは、バンドとしての成長も感じさせる。
初期KREATORのような疾走する突進力にも磨きがかかり、いまやガールズスラッシュの最高峰としての地位を確立したというべきだろう。
ドラマティック度・7 疾走度・8 スラッシュ度・9 総合・8 過去作のレビューはこちら
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Cobra Spell 「666」
オランダ、アメリカ、ブラシル混成のメタルバンド、コブラ・スペルの2023年作
元BURNING WICHES、CRYPTAのギタリスト、ソニア・アヌビス率いるガールズバンドで、オールドなギターにハスキーな女性ヴォーカルを乗せた、80年代ルーツのメタルサウンド。
疾走する激しさはあまりなく、どっしりとしたミドルテンポの中に、巧みなギタープレイを織り込むスタイルには、なつかしさを感じるリスナーも多いだろう。
ハードロック寄りのキャッチーなナンバーは、グラマラスなルックスも含めて、かつてのVIXENあたりに通じる雰囲気もありつつ、一方では叙情的なギターを乗せたヨーロピアンなメタルナンバーも良い感じだ。
凶悪なジャケのイメージに比べて、オーセンティックなHR/HMのストレートな聴きやすさに溢れていて、オールドなリスナーはニンマリだろう。
メロディック度・7 激しさ度・7 80'sHR/HM度・8 総合・8
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Dragonheart 「The Dragonheart’s Tale」
ブラジルのメロディックメタル、ドラゴンハートの2023年作
2000年にデビュー、8年ぶりとなる5作目で、語りを含むイントロから、王道のツインギターにハイトーンヴォーカルを乗せたオールドなメロディックメタルを聴かせる。
初期BLIND GUARDIANやGRAVE DIGGERなど、往年のジャーマンメタルに通じる雰囲気で、曲によってはRUNNING WILDあたりを思わせるところもある。
いくぶんB級がかったクサメロ感が、いまとなっては心地よく、スタイリッシュとは真逆のオールドなメロパワの追及には拍手をしたいほどだ。
曲間にSEをはさんだ構成で、エピックでファンタジーな世界観を表現しつつ、楽曲そのものはこれでもかという正統派メタル。
新しさは皆無だが、HAMMERFALLあたりを好むリスナーなら、間違いなく楽しめるだろう。
ドラマティック度・8 疾走度・7 ファンタジック度・8 総合・8 過去作のレビューはこちら
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Immortal Guardian 「Unite and Conquer」
アメリカのメロディックメタル、イモータル・ガーディアンの2023年作
ギター&シンセを同時に弾きこなすゲイブリエル・ガーディアン率いるバンドで、2018年にアルバムデビューし、本作は3作目となる。
きらびやかなシンセをシュレッドなギターに重ね、パワフルなヴォーカルとともに、ネオクラシカル風のテクニカルなメタルサウンドを聴かせる。
メロパワ的な疾走感と、ProgMetal的な展開力が同居して、スタイリッシュでありながらも、キャッチーなメロディアス性に包まれて、随所にクサメロなギタープレイも覗かせる。
Heaven's Guardianでも活躍するブラジル人シンガーの伸びやかなヴォーカルの実力もあって、優雅で濃密なメロディックメタルが味わえる強力作です。
メロディック度・8 疾走度・7 華麗度・9 総合・8 過去作のレビューはこちら
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DGM 「Life」
イタリアのメロディックメタル、ディー・ジー・エムの2023年作
1997年にデビュー、6th以降はシモーネ・ムラローニが加わって、テクニカルなギタープレイを含んだスタイリッシュなスタイルへと深化し、本作は11作目となる。
きらきらとしたシンセのイントロから、巧みなギターをテクニカルなリズムに乗せ、伸びやかなヴォーカルとともに、華麗でメロディックなサウンドを展開。
モダンなヘヴィネスとテクニカルな展開力、流麗なギタープレイとキーボードを重ねて、濃密なインストパートを描きつつ、歌パートでのキャッチーな抜けの良さは爽快な味わいだ。
これという新鮮味は感じられないが、華麗なメロディアス性とメタリックな硬質感を優雅に同居させた、文句の付けどころのないハイクオリティな作品である。
ドラマティック度・8 テクニカル度・8 優雅度・8 総合・8 過去作のレビューはこちら
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Trick Or Treat 「The Legend of The XII Saints」
イタリアのメロディックメタル、トリック・オア・トリートの2020年作
2006年にデビューし、5作目となる本作は、「聖闘士星矢」をコンセプトに、12人の黄金聖闘士をそれぞれの楽曲にあてはめた構成となっている。
メロディックなツインギターにアレッサンドロ・コンティのハイトーンヴォーカルを乗せて疾走する、HELLOWEENルーツの王道のメロディック・スピードメタル。
キャッチーなフックで爽快に疾走する、双子座「ジェミニ」、獅子座「レオ」あたりは、クサメロ好きのメロスパーにはたまらないだろう。
叙情的なバラードの射手座「サジタリウス」、優雅なメロディアス性の山羊座「カプリコーン」など、好曲多数。哀愁あるエンディング曲も味わいがある。
版権の関係か日本盤は出ないようだが、バンドのディスコグラフィーにおいても、トップクラスの内容といってよいだろう。
メロディック度・8 疾走度・8 クサメロ度・8 総合・8.5 過去作のレビューはこちら
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GREAT MASTER 「MONTECRISTO」
イタリアのメロディックメタル、グランド・マスターの2023年作
2009年にデビューし、すでに6作目となる中堅バンドで、本作は「巌窟王」として知られるアレクサンドル・デュマの名作「モンテ・クリスト伯」をコンセプトにした作品。
ツインギターに美麗なシンセを重ね、伸びのあるハイトーンヴォーカルにエピックなコーラスも加えて、THY MAJESTIEあたりにも通じるドラマティックなサウンドを描く。
ほどよくクサメロ感を残したギターの旋律に、シンフォニックなシンセアレンジで、重厚でありながらイタリアンメタルらしいメロディックな優雅さもしっかりと融合している。
どっしりとしたミドルテンポを主体に、中盤以降は疾走するメロスピ寄りのナンバーもあって、ストーリー的な流れととともに緩急ある構成で楽しめる。
ヴォーカルの確かな力量も含めて、いよいよ一線級バンドに成長したかというような堂々たる力作です。
ドラマティック度・8 疾走度・7 重厚度・8 総合・8 過去作のレビューはこちら
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A.C.T. 「Falling」
スウェーデンのプログレ・ハードロック、アクトの2023年作
「Rebirth」「Heatwave」と続いてきた、EP連作シリーズの3作目で、日本盤はボーナスのライブ音源を追加した全34分を収録。
わりとハードなギターから始まりつつ、一転してキャッチーな歌メロとともに、優雅でメロディアスなサウンドが展開される。
きらびやかなシンセアレンジと緩急あるリズム展開に、あくまでやわらかなヴォーカルメロディで、巧みな知的さと繊細な叙情が融合したスタイルは円熟の域。
楽曲自体は3〜5分前後であるが、流れのある構成で、EP全体をひとつの作品として仕上げているのも見事。早くも次のアルバムが聴きたい。
メロディアス度・8 キャッチー度・9 優雅度・9 総合・8 過去作のレビューはこちら
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ICE AGE 「Waves Of Loss & Power」
アメリカのプログレメタル、アイス・エイジの2023年作
1999年に「The Great Divide」でデビュー、2001年に「Liberation」という2作を残して沈黙したバンドの、じつに22年ぶりとなる3作目。
ベーシストが交替しているが、他の3人は健在。のっけから巧みなギターをテクニカルなリズムに乗せ、パワフル過ぎないヴォーカルとともに、DREAM THEATERルーツのProgMetalが全開。
プログレ感あるキーボードも随所にきらびやかで、10分を超える大曲は緩急ある展開美とともに、伸びやかなヴォーカルも含めて優雅なセンスで構築される。
独特のリズム展開などもかつてのサウンドのままで、テクニカルでもメロディ重視なので、初心者にも楽しめ、玄人好みも唸らせる技巧も見事。
1stから続く壮大な組曲“To Say Goodbye”のPart4&5で締めくくるあたりも心憎い。これぞプログレメタル!というべき見事な復活作だ。
ドラマティック度・8 テクニカル度・8 王道ProgMetal度・9 総合・8.5 過去作のレビューはこちら
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FATES WARNING 「Chasing Time」
アメリカのプログレメタル、フェイツ・ウォーニングのベストアルバム。1998年作
1984年のデビュー作から、1994年作「Inside Out」まで、7枚のアルバムからセレクトされた楽曲に、未発曲を2曲加えた、全14曲を収録。
90年代以降のサウンドは、スタイリッシュな感触を増して、レイ・アルダーの伸びやかな歌声を活かしたメロディアス性と、翳りを帯びたクールな空気に包まれる。
個人的にはやはり、ジョン・アーチの歌声と分かりやすい変拍子リズムで聴かせる、初期の傑作「THE SPECTRE WITHIN」、「AWAKING
THE GUARDIAN」からのナンバーがお気に入り。
全78分、80〜90年代へ至るバンドの歴史を俯瞰できるベストアルバムです。FW入門用にもどうぞ。
ドラマティック度・8 元祖ProgMetal度・9 フェイツの歴史度・9 総合・8 過去作のレビューはこちら
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SL THEORY 「CIPHER」
ギリシャのプログレメタル、SLセオリーの2019年作
Persona Non GrataのBらが在籍するバンドで、ほどよく叙情的なギターにオルガンを含むシンセを加え、伸びやかなヴォーカルとともに、キャッチーなプログレ・パワーを聴かせる。
のっけから13分という大曲だが、ROYAL HUNTのような女性コーラスを含む優雅なヴォーカルメロディと、巧みなギタープレイで、難解さのないメロディックな味わいである。
2曲目以降は4分前後の小曲主体で、メロディアスハード寄りの抜けの良い歌もの風味に優美なキーボードワークを重ねた、いわゆるプログレハード風の作風。
ProgMetalとしてのテクニカル性を求めると物足りないが、ミドルテンポのキャッチーなプログ・ハードとするならば、わりと楽しめる好作だろう。
メロディック度・8 テクニカル度・7 優雅度・8 総合・8
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Bertoncelli 「Leyendas De Amor Y Sangre」
アルゼンチンのメタルバンド、バートンセリの2011年作
シンガーのクリスティアン・ベトンセリ率いるバンドで、メタリックなギターに壮麗なシンセアレンジ、スペイン語によるハイトーンヴォーンルを乗せて、RATA BLANCAあたりに通じる正統派メタルサウンドを聴かせる。
随所に叙情的なギターの旋律や、オルガンなどを含む優雅なシンセワークのセンスもよろしく、力量あるヴォーカルの歌声が哀愁の情感を描き出してゆく。
ゆったりとしたミドルテンポのメロハー寄りのナンバーも含みつつ、曲によってはほどよい疾走感もあり、オールドな様式美風味とともに、メロディアスなスパニッシュメタルが楽しめる。
メロディック度・8 疾走度・7 哀愁度・8 総合・8
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フォークメタルで本年もよろ(15)
Furor Gallico 「Future To Come」
イタリアのフォークメタル、フロー・ギャリコの2024年作
2010年にデビューし、4作目となる。前作は見事な傑作であったが、本作もヴァイオリンやホイッスル、優雅なハープの音色をギターに重ね、迫力あるデスヴォイスと女性ヴォーカルの歌声で、幻想的なフォークメタルを聴かせる。
シュレッド的でもある巧みなギタープレイとともに、アグレッシブなパートではメロデス寄りの聴き心地にもなり、フォーク・メロデスが好きな方にも対応。
アコースティックなパートを含むフォーキーな優雅さも残しつつ、随所に激しい疾走感をまじえた緩急ある構成で描かれる力作だ。
ドラマティック度・8 フォーキー度・8 アグレッシブ度・8 総合・8 過去作のレビューはこちら
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Elvenking 「Reader Of The Runes: Rapture」
イタリアのフォーク・メロパワ、エルヴェンキングの2023年作
2001年にデビュー、本作は11作目で、前作の続編となるコンセプト作品。ツインギターにヴァイオリンの音色を重ね、ハイトーンヴォーカルとともに、土着的な旋律をまじえながら、重厚でエピックなサウンドを展開。
アグレッシブな疾走感も随所に覗かせつつ、フォーキーなメロディをしっかり盛り込んでいて、隙のないサウンドメイキングもさすがキャリアのあるバンドらしい。
全体的にも高品質であるが、コンセプトアルバムとしての幻想的な世界観の構築という点では、もうひとつ強度が欲しい気もする。
ドラマティック度・8 フォーキー度・8 重厚度・8 総合・8 過去作のレビューはこちら
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Heidevolk 「WEDERKEER」
オランダのペイガンメタル、ヘイデヴォルクの2023年作
2005年にデビューし、7作目となる。メタリックなギターリフに朗々としたヴォーカルと勇壮なコーラスを重ね、重厚なぺイガンメタルを展開する。
どっしりとしたミドルテンポを主体に、ときにブラックメタル的な激しい疾走パートも含んだ緩急ある聴き心地で、ヴァイオリンやアーディオンなどによるフォーキーなアレンジや、随所に叙情的なギターフレーズも覗かせる。
派手さはあまりないが、神秘的な世界観とともに、甘すぎない本格派のヴァイキングメタルが味わえる力作です。
ドラマティック度・7 ペイガン度・8 重厚度・8 総合・8 過去作のレビューはこちら
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SKILTRON 「Bruadarach」
アルゼンチンのフォークメタル、スキルトロンの2023年作
2006年にデビュー、本作は7年ぶりとなる6作目。クサメロを含むメタリックなギターにバグパイプが鳴り響き、パワフルなハイトーンヴォーカルで、疾走感あるフォークメロパワを聴かせる。
ホイッスルやバグパイプによるフォーキーな土着性と、エピックで勇壮なバトル感が同居していて、中堅バンドらしい厚みのあるサウンドはクオリティが高く説得力も充分。
メロスピ寄りの疾走ナンバーから、どっしりとしたミドルテンポまで、フォークメタルの優雅さとキャッチーなメタル感触がバランスよく合わさった作風で、初心者にも爽快に楽しめる。
ドラマティック度・8 フォーキー度・8 勇壮度・8 総合・8 過去作のレビューはこちら
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Verikalpa 「Tuomio」
フィンランドのフォークメタル、ヴェリカルパの2024年作
2018年にデビューし、4作目となる。ほどよくメロディックなギターにシンセを重ね、ガナり声ヴォーカルを乗せて、疾走感のあるメロデス風のフォークメタルを聴かせる。
フィンランド語による歌声が土着的な空気を描きつつ、美麗なシンセと巧みなギターフレーズは、CHILDREN OF BODOMを思わせる部分もあり、FINNTROLLあたりに通じるキャッチーな愉快さも含めてなかなか魅力的だ。
シンセによるアコーディオン風のフォーキーなメロディと、ツインギターのメタリックなエッジが融合していて、激しく重厚でありながらも優雅な聴き心地が楽しめる。
楽曲は4分前後が主体だが、ときにブラックメタルばりのアグレッシブな疾走感と、TURISASばりの迫力あるダミ声ヴォーカルで非常に濃密な味わいである。
ドラマティック度・8 フォーキー度・7 メロデス風度・8 総合・8 過去作のレビューはこちら
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VALKEAT 「Fireborn」
フィンランドのフォークメタル、ヴァルキートの2023年作
女性を含む2人のカンテレ奏者を含む6人編成で、2017年にデビュー2作目となる。艶やかなフィドルのイントロから、マイルドなヴォーカルに勇壮なコーラスを重ね、重厚なギターにオーケストラルなアレンジも重なって、エピックな神秘性に包まれたフォークメタルを聴かせる。
涼やかな土着性を描きつつも、伸びやかなヴォーカルとキャッチーなメロディのフックもあって、壮麗なシンフォニックメタルとしても楽しめる。
ときに女性コーラスも加わって、秘教めいた妖しさや語りを乗せた物語性も覗かせて、シネマティックといってもよいスケール感は、RHAPSODYのフォークメタル版という感触もある。
フィンランド語によるナンバーも味があって、神秘的な土着感と壮麗なシンフォニック性がほどよく融合した、全68分という力作だ。
ドラマティック度・8 フォーキー度・7 壮大度・8 総合・8
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The Privateer 「Kingdom Of Exiles」
ドイツのフォークメタル、プライヴァティアの2023年作
2011年にデビュー、4作目となる本作は、女性ヴァイオリン奏者を含む編成となり、正統派のギターを乗せて疾走し、朗々としたヴォーカルに女性デスヴォイスが絡む、激しくも勇壮なメタルサウンドを展開。
ときにデスメタルばりの激しい疾走感に、フォーキーなヴァイオリンの旋律も加え、アグレッシブでありながらも海賊をテーマにエピックな世界観を描き出す。
ダーティな女性ヴォーカルメインにしたパワーメタル風味と、荒々しいペイガンデスメタルが融合した感触もあり、メロディアスというほどでもない、わりと硬派なスタイル。
もう少しヴァイオリンを活かしたクサめのメロディや、ドラマティックな盛り上がりがあれば嬉しいのだが。今後に期待です。
ドラマティック度・7 フォーキー度・7 激しさ度・8 総合・7.5 過去作のレビューはこちら
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Cruachan 「Blood For The Blood God」
アイルランドのフォークメタル、クルアチャンの2014年作
1995年にデビュー、ケルティックなフォークメタルの元祖というべき存在で、本作は7作目。男性ヴォーカルになって2作目となる。
アコースティックギターにマンドリン、ヴァイオリンが絡むイントロから、土着的なギターの旋律と荒々しいヴォーカルを乗せて、勇壮なペイガンメタルが展開される。
うっすらとしたシンセアレンジにチェロなども加えて重厚で神秘的な空気を描き出し、ホイッスル、ブズーキ、バグパイプなどのケルティックな味わいに、激しく疾走するアグレッシブなパートも現れつつ、メリハリのあるサウンドを構築。
ダミ声ヴォーカルも含めて荒々しい勢いと、ケルトの土着性ががっちり融合し、ラストの2パートに分かれた大曲も圧巻。ベテランならではの説得力に包まれた強力作だ。
ドラマティック度・8 フォーキー度・8 重厚度・8 総合・8 過去作のレビューはこちら
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HELJAREYGA
フェロー諸島のメロディックメタル、ヘルヤレイガの2010年作
TYRのシンガーが率いるバンドで、土着的なメロディを含んだギターに母国語による朗々としたヴォーカルを乗せて、ほどよく疾走感のある正統派パワーメタルを聴かせる。
随所に流麗なギタープレイを含んだ優雅なメロディアス性も覗かせつつ、母国語の歌声がペイガンな神秘性を描いていて、涼やかな空気感はTYRにも通じるが、こちらはよりメロスピ寄り。
8〜11分という大曲5曲という構成で、長い曲が苦手な方にはやや散漫に感じるかもしれないが、伸びやかなヴォーカルの実力も含めてクオリティは高く、土着的な正統派北欧メロパワとしても楽しめる強力作だ。
メロディック度・8 疾走度・7 土着度・7 総合・8
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LYRRE 「NOT ALL WHO DREAM ARE ASLEEP」
ポーランドのフォークメタル、リーレの2023年作
女性Vo兼ハーディガーディ奏者を擁する編成で、素朴なハーディ・ガーディの音色にハープが重なり、アコースティックギターやパーカッションによる神秘的なトラッド風味から、エレキギターも加わって、2曲目からは美しい女性ヴォーカルを乗せて優雅で重厚なフォークメタルになる。
楽曲は3〜4分前後で、メタリックなギターと、うっすらとしたシンセやハーディ・ガーディの響きが合わさり、いにしえのトラッドとモダンなヘヴィネスが融合した味わいで、はかなげな女性ヴォーカルが、ときにゴシックメタル寄りのメランコリックな空気も描いている。
神秘的な雰囲気はとてもよいので、今後はドラマティックな展開など楽曲面の向上に期待したい。
ドラマティック度・7 フォーキー度・7 女性Vo度・8 総合・7.5
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Lysa Gora 「W Ogniu Swiat」
ポーランドのゴシック・フォークメタル、リサ・ゴラの2023年作
2013年にデビューし、4作目となる。ヘヴィなギターを硬質なリズムに乗せ、母国語による女性ヴォーカルの歌声に、物悲しいヴァイオリンの音色も加えて、ゴシック寄りのメランコリックな空気に包まれる。
わりと激しいドラムとギターがモダンなヘヴィネスを描きつつ、随所にシンセによる美麗なアレンジと優雅なヴァイオリンの旋律がアクセントになっていて、妖しい女性声とともに神秘的な土着性も感じさせる。
適度にアグレッシブな激しさと東欧らしいミステリアスな翳りが同居した、重厚なゴシック・フォークメタルが味わえる好作品。
ドラマティック度・7 フォーキー度・7 女性Vo度・7 総合・7.5
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ANDAJA 「ATVARAS」
リトアニアのフォークメタル、アンダージャの2017年作
2006年にデビュー、11年ぶりとなる2作目で、前作は男性ダミ声ヴォーカルのバンドであったが、今作から女性シンガーをフロントにした編成になった。
優雅なアコーディオンの音色を重すぎないギターに重ね、母国語による艶めいた女性ヴォーカルを乗せた、神秘的なフォークメタルを聴かせる。
緩急あるリズムチェンジはいくぶん唐突な展開もあるが、DALRIADAなどに通じる辺境的な土着感が好きな方にはなかなかたまらないだろう。
メタル的な重さがさほどないため、優雅なトラッドロックなどが好きな方にも聴けるだろう。ラスト曲などはむしろプログレ的な優雅さである。
ドラマティック度・7 フォーキー度・8 女性Vo度・7 総合・7.5
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ANDAJA「PAVIDALAI」
リトアニアのフォークメタル、アンダージャの2022年作
のっけからヘヴィなギターにピアノを重ね、テクニカルなリズムに、伸びやかな母国語の女性ヴォーカルを乗せた、前作よりもぐっとスタイリッシュなサウンドを聴かせる。
アコーディオン奏者がいなくなったので、フォーキーな感触は薄まっているが、優美なシンセがほどよく土着的なメロディも奏でていて、メランコリックな叙情と、ProgMetal的な感触も合わさった作風である。
曲によっては激しいブラスト疾走も覗かせるなど、緩急ある展開力は、巧みなドラムとベースによる演奏力も含めて、地域性を感じさせない質の高さがある。
女性シンガーの妖しい表現力も増していて、神秘的なプログ・ゴシックメタルとしても楽しめる逸品です。
メランコリック度・8 フォーキー度・7 女性Vo度・8 総合・8
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Ukanose
リトアニアのフォークメタル、ウカノスの2016年作
重すぎないギターにアコーディオンの音色を重ね、母国語によるマイルドなヴォーカルで、辺境的な土着性のペイガンメタルを聴かせる。
アコーディオンの音色とともに疾走するところは、初期FINNTROLLあたりに通じる感触で、ほどよくクサメロなギターも味になっている。
詠唱めいた独特のヴォーカルの歌いまわしが、神秘的な空気を描いていて、軽やかな疾走感との対比でなかなか面白い。
ドイツの古楽バンド、Corvus Coraxのカヴァーでは、女性ヴォーカルも加わって優雅なフォークメタルが楽しめる。
ドラマティック度・7 フォーキー度・8 辺境度・8 総合・7.5
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Abinchova「Wegweiser」
スイスのフォークメタル、アビンコヴァの2014年作
2010年にデビューし、2作目となる。女性シンセ、女性ヴァイオリン奏者を含む7人編成で、アコースティックギターにダミ声を乗せたイントロから、ツインギターのリフにヴァイオリンが絡み、ダミ声&女性ヴォーカルを乗せて、優雅さとアグレッシブな武骨さが同居したサウンドを描く。
随所に叙情的なギターのメロディやフォーキーなヴァイオリンの旋律、美しいソプラノ女性ヴォーカルもアクセントになっていて、確かな演奏力も含めて辺境臭さはさほど感じない。
後半にはメロスピ風の疾走ナンバーや、男女Voを乗せた勇壮な三連リズムのナンバー、ラストの8分の大曲まで、クオリティの高いフォークメタルが詰まった逸品です。
ドラマティック度・8 フォーキー度・8 優雅度・8 総合・8 過去作のレビューはこちら
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