メロディックデスメタル/ブラックメタル
〜Melodic Death/Black Metal
                by Tosei Midorikawa

掲載バンドはABC順になっています

M XYZ

■CDの評価に関しては、個人的嗜好が反映されることもあり、納得のいかない評価もあるかと思いますが、どうかご了承ください。

*メロデス傑作特集  *ブラックメタル名盤特集

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A

AarA 「En Ergo Einai」
スイスのブラックメタル、アアラの2020年作
2019年にデビュー、本作は2作目となる。トレモロを含む叙情的なギターを乗せて激しくブラスト疾走、
絶叫系ダミ声ヴォーカルを加えつつ、KRALLICEにも通じる優美で叙情的なサウンドを聴かせる。
激しい疾走感の中でも、とにかくギターのメロウな叙情リフと泣きのフレーズが際立っていて、
暴虐性よりは優雅な味わいに包まれている。ブラストしつつ金物系の手数の多いドラムも見事で、
全33分という短さだが、アトモスフェリックな泣きメロ系疾走ポスト・ブラックメタルが好きならチェックです。
ドラマティック度・・8 暴虐度・・7 叙情度・・9 総合・・8
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Abbath 「Outstrider」
ノルウェーのブラックメタル、アバスの2019年作
ImmortalのAbbath Doom Occulta率いるバンドの2作目で、本作からNervosaの女性Bが加入、
ダミ声ヴォーカルを乗せてブラスト疾走する、ブラックメタルとしての禍々しさと、
ときにオールドメタル寄りの叙情性も含んだ独自のスタイルを深化させている。
ブラッケン・ロール寄りのノリの良さと聴きやすさもありつつ、迫力あるヴォーカルにより、
しっかりとブラックメタルの邪悪な世界観を守っている。激しい疾走感の中にも、
随所に流麗なギターフレーズも覗かせたりと、全体的にも暴虐過ぎないので、
曲によってはスラッシュメタル的かもしれない。楽曲も4分前後でわりと爽快に楽しめる。
ドラマティック度・7 暴虐度・7 暗黒度・8 総合・8
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Abhor 「Ritualia Stramonium」
イタリアのブラックメタル、アブホーの2015年作
2001年にデビュー、本作は5作目となる。カルトでエロチックなジャケや裏ジャケに惹かれるが、
サウンドの方もややノイジーなギターにオルガンを含むシンセ、絶叫ゲボ声ヴォーカルを乗せた
いかにもカルトなブラックメタルを聴かせる。随所に激しいブラスト疾走するパートもありつつ、
ドゥームメタル的な感触や、チャーチオルガンが妖しく鳴り響く、耽美な世界観もなかなか良い感じです。
激しすぎないオールドな聴き心地に、北欧勢のダークさとはまた違った、地下臭さが味わえる。
まさにジャケのイメージ通りの音なので、妖しげな耽美派ブラックメタルがお好きならいかが。
ドラマティック度・・7 暴虐度・・7 カルト度・・9 総合・・7.5
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Abigail Williams「Legend」
アメリカのメロデスバンド、アビゲイル・ウィリアムスの5曲入りミニアルバム。2007作
2008年のフルアルバムではDIMMU BOGIRばりのシンフォブラックサウンドであったが、
本作ではまだむしろメロデス風味を残した作風で、シンセをバックに激しく疾走しつつ
メタルコア的なヘヴィさと、チルボド系のモダンなメロディアスさが合わさった雰囲気。
ツインギターの叙情フレーズと、そこに絡むシンフォニックなシンセはなかなか魅力的だ。
メロディアス度・・8 暴虐度・・7 むしろメロデス度・・8 総合・・7.5
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Abigail Williams「In the Shadow of a Thousand Suns」
アメリカのブラックメタルバンド、アビゲイル・ウィリアムスの2008年作
のっけからDIMMU BOGIRばりに疾走する、なかなか本格派のシンフォブラックサウンド。
クラシックの素養も感じさせる女性シンセ奏者による美しい旋律を全面に出しながら、
暴虐なブラストビートと絶叫ヴォーカルでたたみかけるスタイル。
緩急をつけた楽曲と、アメリカのバンドとは思えぬような叙情性が素晴らしく、
日本でいうとTYRANTあたりにも近い感触か。この後、2nd、3rdと方向性が変化してゆくので
シンフォブラックとして楽しめるこの1stを最高作とする向きも多いだろう。
シンフォニック度・・8 暴虐度・・8 本当にアメリカ?度・・9 総合・・8
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Abigail WilliamsIn the Absence of Light」
アメリカのブラックメタルバンド、アビゲイル・ウィリアムスの2nd。2010年作
前作はアメリカ産のシンフォブラックとしては、DIMMU BOGIRばりの本格派の力作であったが、
本作ではVo以外のメンバーが脱退し、新たに3人編成となって作られている。
質の高いブラックメタルサウンドは相変わらずだが、やはり専任シンセがいなくなったことで
音がいくぶんシンプルになっている。以前のような美麗なまでのシンフォニック要素は薄まり、
ギターのフレーズを中心にしたメロブラ的な質感に近づいたが、これはこれで悪くはない。
メロディアス度・・7 暴虐度・・7 メロブラ度・・8 総合・・8
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Abigail Williams「Becoming」
アメリカのブラックメタルバンド、アビゲイル・ウィリアムスの3rd。2012年作
1stは本格派のシンフォブラックであったが、2ndではギター主体のメロブラになり、
3作目となる本作では、10分を超える大曲で聴かせるポストブラック的な作風になった。
うっすらとしたシンセアレンジとトレモロのギターリフ、そしてこもり気味の音質などは、
Wolves in the Throne Room
にも通じる雰囲気で、なかなかミステリアスな聴き心地だ。
ときおり入る叙情的なチェロの音色などもよい感じ。ただこの路線はけっこう好きなのだが、
次作でまた変化するのではないかという疑念がこのバンドに限っては湧いてしまうのである。笑
ドラマティック度・・8 暴虐度・・7 ポストブラック度・・8 総合・・8
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ABIGAIL WILLIAMS 「The Accuser」
アメリカのブラックメタル、アビゲイル・ウィリアムズの2015年作
アルバムごとに方向を変えながら、解散やメンバーチェンジといった紆余曲折をへて、本作は4作目となる。
前作でのポストブラック路線から一転、今作はザリザリとしたギターリフとダミ声ヴォーカルを乗せて疾走する
本格派のブラックメタルスタイルで、激しいブラストパートとスローパートの緩急のついた展開とともに、
強力なサウンドを聴かせてくれる。適度にプリミティブな荒々しさと、邪悪な妖しさを含んだ雰囲気で、
楽曲によってはメロディックな叙情性もいくぶん垣間見せつつ、あくまで硬派なスタイルを貫いている。
荘厳な迫力に包まれた暴虐なる原初的ブラックメタルへと回帰した力作です。
ドラマティック度・・7 暴虐度・・8 邪悪度・・8 総合・・8
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ABIGOR 「Nachthymnen」
オーストリアのブラックメタルバンド、アビゴーの2nd。1995年作
このバンドの2ndはEMPERORの2ndと並び、シンフォニック・ブラックの最高傑作である。
1stの時点から、単なる暴虐疾走だけではない、テクニカルな展開や芸術性、
そしてメロディアスな要素を兼ね揃える、独自の個性を有していたのだが、
この2ndでさらに独自の世界観を身に付け、崇高さと邪悪さを見事なまでに表現している。
女性コーラスの導入や、ギターメロディの煽情力も向上し、雰囲気ものとしての説得力も増した。
ブラックメタルとしての本物の闇の質感に、こもり気味の音質がまた真性っぽく、それもよし。
ドラマティック度・・8 暴虐度・・9 ドラマティック度・・9 総合・・8.5
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ABIGOR 「Orkblut - The Retaliation」
オーストリアのブラックメタル、アビゴルの1995年作
11パートに分かれた24分という長大な組曲を収録。アコースティックギターにフルートの音色を乗せた牧歌的な雰囲気から、
ノイジーなギターが重なり、ブラストするドラムとともに、土着的でプリミティブなブラックメタルを展開する。
傑作であった2nd「Nachthymnen」の流れをくみつつ、よりプログレッシブな構築性を強めたという作風だ。
アコースティックを含む緩急あるインストパートと、喚きたてるヴォーカルを乗せた暴虐パートのコントラストとともに、
ドラマティックな幻想性を描き出す。激しくも知的なセンスを散りばめた、異色のミニアルバムである。
ドラマティック度・・8 暴虐度・・8 構築度・・8 総合・・8
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ABIGOR「Fractal Possession」
オーストリアのブラックメタルバンド、アビゴルの2007年作
初期2作はブラックメタルの名盤たりえる内容であったが、しだいにそのサウンドは初期のドラマティックな路線から変化してゆく。
7作目の本作はどことなくモダンな雰囲気のイントロから激しくブラストで疾走を開始、
唐突でアヴァンギャルドな展開を盛り込んだ独自のブラックメタルを形成している。
初期のような幻想的な作風ではなくなったが、妖しげでプログレッシブな感性と
サイバーな香りを漂わせた世界観はなかなか面白い。ドラムの音が軽いのが少し残念。
メロディアス度・・7 暴虐度・・7 アヴァンギャル度・・8 総合・・8
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ABIGORTime Is the Sulphur in the Veins of the Saint
オーストリアのブラックメタルバンド、アビゴルの2010年作
デビューから15年以上のベテランで、前作からはプログレッシブでサイバーな方向性へとシフトしていたが、
おそらく8作目である本作は、19分、18分という大曲2曲という極端な構成となった。
暴虐なブラストビートでたたみかけながら、アヴァンギャルドな展開と起伏に富んだ
プログレッシブな構成と、デジタリィでサイバーな世界観を合わせた個性的なサウンドである。
ドラマティック度・・8 サイバーブラック度・・8 知的アヴァンギャル度・・8 総合・・8
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ABIGOR 「LEYTMOTIF LUZIFER」
オーストリアのブラックメタル、アビゴルの2014年作
1994年にデビューのベテランで、本作はおそらく9作目あたり。いかにもサタニックなジャケもよい感じだが、
サウンドの方も、のっけから暴虐にブラスト疾走しつつ、リズムチェンジを含む知的な構築力で、
迫力たっぷりのブラックメタル聴かせる、ギターのフレーズはときに流麗でメロディックで、
プログレッシブといってよい展開力とともに、禍々しくもどこか優雅な空気感に包まれる。
激しさだけではないスローパートでの不穏な気配も含めて、ベテランらしい荘厳な世界観を描く
音の説得力はさすが。ラストは11分の大曲で、怪しくアヴァンギャルドなサウンドを繰り広げる。
ドラマティック度・・8 暴虐度・・8 荘厳度・・8 総合・・8 
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ABLAZE MY SORROW 「IF EMOTIONS STILL BURN」
スウェーデンのメロディック・デスメタル、アブレイズ・マイ・ソロウの1996年作
90年代のスウェーデンは、IN FLAMESなどに影響を受けたメロデス系が続々と現れたが、このバンドもそのひとつ。
ほどよいラウドさと叙情的な旋律を奏でるギターを主体に、吐き捨てヴォーカルを乗せて激しく疾走しつつ
緩急あるリズムチェンジとともに、ややドタバタとした感じのメロディック・デスメタルを聴かせる。
迫力の点では、DARK TRANQUILLITYなどには及ばないのだが、ツインギターのフレーズには
北欧らしい土着感がにじみ出ていて、90年代メロデスのマイナー寄りの味わいで楽しめる。
SACRILEGEなどとともに、インフレ、ダートラの後続バンドという位置づけで聴いてください。
ドラマティック度・7 暴虐度・7 北欧メロデス度・8 総合・7.5
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ABLAZE MY SORROW 「Among Ashes and Monoliths」
スウェーデンのメロディック・デスメタル、アブレイズ・マイ・ソロウの2021年作
1995年にデビュー、IN FLSMESなどの後続バンドとして、2002年までに3作を残して消えるが、2016年に復活、
本作は5年ぶりとなる5作目。重厚なギターにシンセを重ねた1曲めから、吐き捨てヴォーカルを乗せて疾走する、
涼やかな叙情のメロデスサウンドは健在。かつてのAT THE GATESなど、イエテボリ系というべきリフと
ほどよくメロディアスなギターフレーズで、まさにオールドスタイル・メロデスの王道という聴き心地だ。
どっしりとしたミドルやスローテンポから、デスラッシュ気味の疾走ナンバーまで、エッジの効いたギターと
90年代ルーツのうるさすぎないデスヴォイスで、DARK TRANQUILLITYのファンなどにも楽しめるだろう。
ドラマティック度・8 暴虐度・7 叙情度・7 総合・8 
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ABORYMGenerator
イタリアのブラックメタル、アヴォリムの2006年作
シンセによるオーケストレーションをバックに激しくブラスト疾走する、
シンフォニックな味わいのあるブラックメタル。随所にテクニカルなギタープレイも入り、
コーラスワークなども含めて荘厳なサウンドを描いている。アレンジにおけるセンスには
知的でプログレッシブな質感もあり、個性的なブラックメタルが好きな方にはお勧め。
ドラムには元EMPERORのFAUST参加していることも注目だろう。
シンフォニック度・・8 暴虐度・・8 荘厳度・・8 総合・・7.5
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ABORYM「Psychogrotesque
イタリアのブラックメタル、アヴォリムの2010年作
うっすらとしたシンセを含むサイバーな感触のブラックメタルを基本にしつつ、
本作ではおそらくホラーストーリー的なコンセプト作でもあるのだろうか、
ミステリアスな雰囲気が強まっていて、ミドル〜スローテンポでじっくり聴かせるところは
Cradle of Filthあたりに通じる世界観も感じられる。イタリア語の語りを随所に入れることで
ホラー映画的なシアトリカルな聴き心地を演出している。全体的にはまあまあいい感じなのだが、
楽曲そのものにもう少し魅力が欲しいか。本作も元EMPERORのFAUSTがドラムで参加している、
ドラマティック度・・8 暴虐度・・7 ミステリアス度・・8 総合・・7.5
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ABORYM 「Shifting.Negative」
イタリアのサイバー・ブラックメタル、アボリムの2017年作
1999年にデビュー、かつては元EMPERORのFAUSTやMAYHEMのメンバーが参加していたことでも知られる。
7作目となる本作は、よりエレクトロなアレンジを強めていて、デジタルなシンセに硬質なギターが重なり、
モダンでインダストリアルなサウンドを聴かせる。ブラックメタル的な激しさは薄めで、囁くようなヴォーカルに
ときにメランコリックなフレーズを奏でるギターを乗せた薄暗い叙情性は、むしろゴシックメタル的でもあるが、
一方ではアヴァンギャルドな展開や、知的なアレンジセンスも感じさせ、一筋縄ではいかない。
ドラムが打ち込みなので、激しいブラストパートも暴虐さはさほど感じない。インダストリアルなブラックが好きな方はどうぞ。
ドラマティック度・・7 暴虐度・・6 インダストリアル度・・8 総合・・7.5
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ABSENTIA LUNAE 「Vorwarts」
イタリアのブラックメタル、アブセンティア・ルナの2014年作
絶叫と語りのような朗々とした歌声を使い分けるヴォーカルとともに、重厚かつ大仰なミステリアス性と
ブラスト疾走する暴虐性を兼ねそろえたサウンド。激しいだけでなくテクニカルなリズムチェンジや
スローテンポでの絡みつくような妖しい雰囲気もあって、7分、8分という長めの楽曲でも
メリハリのついた展開力で聴かせてくれる。寒々しい荒涼感とエピックな勇壮さが合わさった
得体のしれない迫力が感じられて、硬派なサウンドでありながら壮大な世界観が垣間見える。
重厚でダーク、そして知的な構築性を含んだドラマティックブラックメタルの力作だ。
ドラマティック度・・8 暴虐度・・8 ミステリアス度・・8 総合・・8
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Abyssic 「A Winter's Tale」
ノルウェーのドゥーム・デスメタル、アビィシックの2016年作
12分、28分、15分、22分という大曲4曲という構成で、重厚なギターにオーケストラルなシンセアレンジ、
低音デスヴォイスを乗せて、シンフォニックな壮麗さと暗黒美が同居した、ゴシック・ドゥームを聴かせる。
とにかく曲が長いので、気が短い方には向かないが、ときにピアノやコントラバスなどを加えての
クラシカルな優雅さと荘厳なスケール感に包まれたサウンドは、メタル寄りのELENDという雰囲気もある。
デスヴォイスの迫力は強いものの、耽美でオーケストラルな感触は、THERIONなどにも通じるだろうか。
曲によっては激しい疾走パートもありつつ、重厚にしてシンフォニックなゴシックデスメタルが楽しめる強力作だ。
シンフォニック度・・8 暗黒度・・8 重厚度・・9 総合・・8
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ABYSSIC 「High in the Memory」
ノルウェーのシンフォニック・ドゥームメタル、アビシックの2019年作
SUSPERIA、元DIMMU BORGIR、元OLD MAN'S CHILDのメンバーらによるバンドで、本作が2作目となる。
低音デスヴォイスを乗せたフューネラル・ドゥームに、壮麗なシンフォニックアレンジを加えたスタイルで、
叙情的なフレーズも奏でる重厚なギターとオーケストラルな美しさで、荘厳なサウンドを描いてゆく。
8分、20分、12分、20分、15分という、大曲5曲という構成で、全体的にゆったりとした聴き心地ながら、
ときにスローすぎないシンフォニック・デスメタル的なノリもあり、なにより美麗なシンセアレンジが
ダークな世界観を耽美に彩っていて、じっくりとそのサウンドに浸ることができる。全77分という長さで、
気が短い方には向かないが、ラスト曲ではいきなりブラスト疾走するシンフォブラックになりますよ。
シンフォニック度・・8 重厚度・・8 荘厳度・・9 総合・・8
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ABYSSIC 「BROUGHT FORTH IN INIQUITY」
ノルウェーのシンフォニック・ドゥームデスメタル、アビシックの2022年作
2016年にデビューし、3作目となる。オーケストラルなアレンジにブラッケンなギターリフを重ね、
低音デスヴォイスとともに、ゆったりと重厚にして壮麗なシンフォニック・デスメタルを聴かせる。
長めの楽曲は気が短い方には向かないが、咆哮するデス声と美麗なシンフォニック性が同居した、
この暗黒美に浸れる方には心地よく楽しめるだろう。ブラックメタルばりの激しさも含んだナンバーから、
ラストは18分の大曲で、フューネラルなドゥーム感とオーケストレーションで荘厳な世界観に包まれる。
シンフォニック度・8 重厚度・8 暗黒度・8 総合・8 
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Acherontas 「15 Years Anniversary Of Left Hand Path Esoterica」
ギリシャのブラックメタル、アケロンタスの2011年作
Disc1には、2007年のデビュー作「Tat Tvam Asi」全曲に、2009年のSPLIT CD収録曲を収録。
Disc2には、2010年の2作目「Theosis」全曲に、2008年のSPLIT CD収録の大曲を収録した、CD2枚組。
優雅なイントロで幕を開けるデビュー作は、トレモロを含むギターにガナり声ヴォーカルを乗せて激しく疾走、
ほどよい叙情性とともにミステリアスな空気に包まれた、プリミティブなブラックメタルを聴かせる。
シンセによる優美なアレンジも覗かせた、メロディックブラック寄りのスタイルは、1作目ですでに確立されている。
2作目になると、サウンドにぐっと迫力が増して、音質も良くなったことで、メロディックなギターフレーズが引き立ってきた。
シンセによるスぺイシーな雰囲気も覗かせつつ、激しさと叙情のバランスのとれたドラマティックなブラックメタルである。
ドラマティック度・・8 暴虐度・・8 ミステリアス度・・8 総合・・8 過去作のレビューはこちら

Acherontas「Vamachara
ギリシャのメロディック・ブラックメタル、アケロンタスの2011年作
ジャケの雰囲気からSeptic Fleshのようなサウンドを想像したのだが、実際には、メロディックなツインギターで疾走する聴きやすいメロブラ。
いくぶんローカルな古き良き感触と、ギリシャらしいミスティックな雰囲気で、ギターフレーズの叙情性はときにDISSECTIONなどを思わせる。
6〜7分という長めの曲でもリフとメロディの煽情力で飽きさせない構築力があり、ラストの10分を超える大曲も含めメロディアスに聴き通せる。
メロディアス度・・8 暴虐度・・7 オールドメロブラ度・・8 総合・・8
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ACHERONTAS 「Faustian Ethos」
ギリシャのブラックメタル、アケロンタスの2018年作
2007年にデビュー、本作はおそらく8作目で、のっけからトレモロのギターリフを乗せて激しくブラスト疾走。
迫力ある低音ダミ声ヴォーカルとともに荘厳な邪悪さに包まれつつ、メロディックなギターフレーズを含む、
叙情的な展開力もあって、メロディック・ブラックとしても楽しめるサウンドだ。朗々とした語りのようなVoは、
ミスティックな神秘性をかもしだし、初期EMPERORなどにも通じるダークなドラマ性を感じさせ、
スローパートを含んだ緩急ある構築力なども、キャリアのあるバンドらしい堂々たる説得力で聴かせる。
楽曲は5〜7分前後で、ブラックメタルとして長めなのだが、ウェットなメロディのフックで激しくとも心地よく楽しめる。
ドラマティック度・・8 暴虐度・・8 ダークな叙情度・・8 総合・・8
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ACOD 「Fourth Reign Over Opacities And Beyond」
フランスのブラック・デスメタル、アコドの2022年作
2009年デビュー、5作目となる。オーケストラルな雰囲気のイントロ曲から、激しいブラストビートに吐き捨てヴォーカルを乗せた、ブラックメタル寄りのデスメタルを聴かせる。
甘すぎない程度のギターフレーズやシンフォニックなアレンジなど、わりと優雅な美意識も随所に感じさせ、暗黒性というよりは荘厳な雰囲気をかもしだす。
ザラついたギターリフのオールドなデスメタル感触と、ストリングスを含むオーケストラアレンジが同居した重厚なサウンドで、ミドルテンポのパートもどっしりとした味わいのブラッケンなデスメタルが楽しめる。
ドラマティック度・8 暴虐度・7 重厚度・8 総合・8
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ADIMIRON「Burning Souls」
イタリアのテクニカル・メロデスラッシュバンド、アディミロンのアルバム。2004作
変則リズムを多用したテクニカルな楽曲に、メロデス風のフレーズを盛り込みつつ
デスラッシュ的な突進力で聴かせるサウンドはとてもせわしなく、ある意味プログレッシブで濃密だ。
ヴォーカルは低音デス声とブラックメタル風のわめきを使い分け、なかなか頑張っている。
ザクザクとしたスラッシーなリフと、変態的な展開でたたみかける部分は嫌いではないのだが、
現時点では破天荒な楽曲展開を若さあふれる勢いで演奏しており、構成力の点ではまだ粗削りか。
メロディアス度・・7 テクニカル度・・8 楽曲・・7 総合・・7.5
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AD INFERNA「L'Empire Des Sens」
フランスのシンフォニックブラックメタル、アド・インフェルナの2002年作
元はDE PROFUNDISという名前で活動していたようだが、改名しての1作目らしい。
美麗なシンセをふんだんに使ったサウンドは暴虐さよりもシンフォニックな美しさ重視で、
メロディアスなフレーズを奏でるギターとともにスペイシーなシンフォブラックを聴かせる。
感触としてはポルトガルのSIRIUSとか、ノルウェーのTIDFALLあたりに近いか。
美しいピアノや女性コーラスも入ると、耽美な雰囲気になり、ゴシックな世界観も垣間見える。
シンフォニック度・・8 暴虐度・・7 耽美度・・8 総合・・7.5


Adversvm 「Dysangelion」
ドイツのスラッジ・ブラック・ドゥームメタル、アドヴァースヴムの2019年作
2018年にデビューし、2作目となる。どっしりとしたベースに不穏なギター、かすれた低音デスヴォイスを乗せ、
禍々しい暗黒性に包まれた、ブラッケンなドゥームメタルサウンド。ほどよく叙情的なギターのフレーズとともに、
ゆったりとした聴き心地で、10分を超える大曲をおどろおどろしく描いてゆく。ツーバスの連打なども含めて
わりとブラックメタル寄りの雰囲気もあるので、荘厳な暗黒系スラッジブラックとしても楽しめるだろう。
アルバム後半は、My Dying Brideのような耽美でフューネラルなゴシックメタル風味の味わいもありつつ、
ラストはシンセにギターを重ねたドローン風のナンバーと、とにかくミステリアスな世界観を追及している。
ドラマティック度・・7 暗黒度・・8 重厚度・・8 総合・・7.5
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AEOLIAN 「SILENT WITNESS」
スペインのメロディック・デスメタル、アエオリアンの2018年作
ツインギターにダミ声ヴォーカルを乗せて激しく疾走する、正統派のメロデス・スタイルで、
随所に叙情的なギターフレーズによる優雅なパートも含んだ、緩急ある構築力で聴かせる。
トレモロのギターでブラスト疾走するところは、わりとペイガン・ブラック的でもあるが、
部分的にはモダンなヘヴィネスもあって、結果としてヴァイキング・メロデスという聴き心地。
楽曲は4〜5分前後で、全体的にクオリティは高いのだが、もう少しクサメロ感や幻想性が欲しい気も。
メロディック度・・7 疾走度・・8 ペイガン度・・7 総合・・7.5
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AETHER 「IN EMBERS」
ポーランドのメロディック・デスメタル、エーテルの2019年作
美しいシンセにメロディックなギター、吐き捨てヴォーカルを乗せて、北欧メロデスのような
涼やかな叙情に包まれたサウンドを聴かせる。随所に激しい疾走パートもありつつ、
基本的にはミドルテンポが主体で、優雅なメロディアス性が前に出ているので暴虐性はさほどない。
ETERNAL TEARS OF SORROWなどフィンランド系バンドに通じるメランコリックな泣きの美学とともに、
わりとキャッチーなメタルナンバーから、女性声を加えた優美なラスト曲まで、クオリティの高さが光る。
ポーランドというよりは、ほぼ北欧メロデス系のスタイルで、多くのリスナーが楽しめるレベルの好作デス。
ドラマティック度・7 暴虐度・7 叙情度・8 総合・8
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Aethernaeum 「Wanderungen Durch Den Daemmerwald」
ドイツのブラックメタル、エーテルナームの2013年作
ノイジーなギターに美麗なシンセを重ね、ダミ声ヴォーカルとドイツ語によるノーマル声も加わった、
シンフォニックなネイチャー系ブラックメタルという聴き心地。優雅なストリングスや女性コーラスなども加えて、
激しくも神秘的なサウンドを描くところは、Wolves in the Throne Roomあたりにも通じるだろう。
8〜12分という大曲をメインに、叙情的なギターフレーズやゆったりとした静寂感、ときに女性コーラスなど含む
メリハリある展開力で、幻想的な世界観を味わえるのだが、さすがに大曲が多くて後半は少しダレてしまう。
暴虐性はあまりないので、雰囲気モノとしてのネイチャーブラックが好きな方にはわりとお薦めです。
ドラマティック度・・7 暴虐度・・7 神秘的度・・8 総合・・7.5
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Aethernaeum 「Naturmystik」
ドイツのペイガン・ブラックメタル、エーテルナウムの2015年作
チェロ奏者を含む5人編成で、ツインギターのリフにうっすらとしたシンセアレンジと
ドイツ語によるダミ声ヴォーカルを乗せて、土着的な叙情性を含んだサウンドを聴かせる。
物悲しくチェロが鳴り響くクラシカルな優雅さと、ミステリアスな幻想性が合わさって、
トレモロのギターリフも含めてネイチャーブラック的でもあるメロディックな感触に包まれて、
10分前後の大曲も、アコースティックパートなどを挿入した緩急ある構築力で描いてゆく。
激しさよりも優雅な叙情が前に出た、幻想的なペイガンブラックが楽しめる力作です。
ドラマティック度・・8 暴虐度・・7 叙情度・・8 総合・・7.5
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AGATHODAIMON「Blacken the Angel」
ドイツとルーマニアのメンバーからなるシンフォ・ブラックメタルバンド、アガソダイモンの1st。1998作
最初に聴いた3rdは、かなりクオリティの高い作品であったが、彼らのサウンドはこのデビュー作の時点から
すでに完成されている。シンセをふんだんに使用したシンフォニックさ、ギターの奏でるもの悲しいメロディ、
ブラックメタル的なわめきヴォーカルすらもどこか悲哀を感じさせる。どことなくゴシック風の耽美な世界観もあり、
イタリアのGRAVEWORMあたりにも近いか。もちろんCradle of Filthなどのファンも充分満足させられるだろう。
後半になるとやや楽曲が一本調子に感じるのが惜しいが、デビュー作としてはかなり上質の部類だろう。
メロディアス度・・8 暴虐度・・7 耽美度・・8 総合・・7.5
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AGATHODAIMON「CHAPTER V」
ドイツとルーマニアのメンバーからなるシンフォ・ブラックメタルバンド、アガソダイモンの3rd。2002作
あまり有名なバンドではないが、サウンドのクオリティはなかなか高いバンドで、
CRADLE OF FILTH的なシンフォブラックと、DISSECTION的なメロブラの中間といった雰囲気。
曲、演奏、メロディ、突進力ともにいいものを持っていて、キーボード入りで疾走し、
とくに煽情的なギターフレーズはこの手のバンドの中でもかなり質が高いと思う。
ときおり聴かせる静寂パートでの叙情や、ヨーロピアンな荘厳さも素晴らしいので、
メロディック/シンフォニックブラック好きなら、聴いておくべきバンドのひとつだろう。
メロディアス度・・8 暴虐度・・7 楽曲・・8 総合・・8
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AGATHODAIMON「SERPENT'S EMBRACE」
シンフォニック・ブラックメタルバンド、アガソダイモンの4th。2004作
ギーガーちっくなジャケからして耽美な精神を覗かせているが、サウンドの方も
キーボードを多用したシンフォニックな味付けで、ヨーロピアンなゴシック風味も感じられる。
アグレッシブに疾走するというよりは、メロウなパートを配するなど
聴きやすさに重点がおかれている感じで、シンフォブラック初心者でも聴けるクオリティ。
リズムやエフェクトなどにはエレゴシック風のデジタル感覚もあり、
女性Voがメインに歌うしっとり曲もあったりで、なかなか楽しめます。
シンフォニック度・・7 暴虐度・・7 耽美度・・8 総合・・8
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Agathodaimon「Phoenix」
ドイツとルーマニアのメンバーからなるシンフォニックデスメタルバンド、アガソダイモンの5th。2009作
毎作、質の高いシンフォニックなブラックメタル作品作り続け、コアなリスナーの評価も高いこのバンド、
本作は一聴してメロデス的な雰囲気が増している。ややモダンになったシンセアレンジと、
ツインギターのフレーズで聴かせるスタイルは、疾走する暴虐さよりも正統的な聴きやすさが前に出ていて
これまでのバンドのファンはやや戸惑うかもしれない。ヴォーカルの声はブラックなのに音はメロデスという、
世界観もそれまでの耽美なものから、チルボドなどに近いモダンな作風になっているのが個人的には残念。
ただし、メロデスとしての質はとても高いので、このアルバムから聴き始めた方にはとくに違和感はないだろう。
メロディアス度・・8 暴虐度・・7 むしろメロデス度・・8 総合・・8
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AGATHODAIMON 「In Darkness 」
ドイツのシンフォニック・ブラックメタル、アガソダイモンの2013年作
1998年デビューで、本作は6作目。前作でのモダンなメロデス路線から打って変わり
本作では重厚なゴシック・ブラックというような、強力なサウンドになった。
随所に美麗なシンセアレンジを含みつつ、むしろギターリフをメインにした硬派な感触で、
迫力あるダミ声ヴォーカルも含めて、キャリアのあるバンドならではの音の説得力が素晴らしい。
ミドルテンポを用いながら、ここぞという激しい暴虐パートも効果的で、ときにノーマルヴォイスの歌声も入るなど、
ドラマティックな構成力も見事。耽美にしてダークな世界観を描き出す、まさに荘厳なる力作である。
ドラマティック度・・8 暴虐度・・7 荘厳度・・9 総合・・8

Agathodaimon 「The Seven」
ドイツのブラックメタル、アガソダイモンの2022年作
1998年にデビュー、本作は9年ぶりとなる7作目。トレモロのギターにダミ声ヴォーカルを乗せ、ブラストを含む激しい疾走感で、
甘すぎないメロディック・ブラックメタルを聴かせる。ミステリアスなスローテンポやシンフォニックなシンセアレンジ、
ミドルテンポでの叙情性から激しい疾走と、緩急ある展開力で荘厳な空気を描くあたりは、キャリアのあるバンドらしい説得力である。
ブラックメタルとしてのダークな世界観もしっかりと残しながら、激しい暴虐性と耽美な叙情が交差する、
全体のクオリティとしては、Dimmu Borgirなどにもひけをとらない聴きごたえのある復活作だ。
ドラマティック度・8 暴虐度・7 荘厳度・8 総合・8 
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Ahamkara 「The Embers of the Stars」
イギリスのポストブラックメタル、アームカラの2015年作
10分を超える大曲4曲という構成で、ややノイジーなギターを乗せて激しくブラスト疾走、
邪悪なわめき声ヴォーカルを響かせつつ、アトモスフェリックな叙情性に包まれたサウンド。
緩急ある流れで大曲を構築するセンスと、ミスティックな空気感と説得力も備わっていて、
うっすらとしたシンセアレンジや、ときにメロディックなギターフレーズも耳心地よい。
暴虐性よりも神秘的なスケール感を描くところは、Wolves in The Throne Roomにも通じるか。
激しい疾走感を含んだ叙情派のネイチャーブラックメタルとしては、なかなかの力作と言える出来だ。
ドラマティック度・・8 暴虐度・・7 アトモスフェリック度・・8 総合・・8
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AKERCOCKE「RAPE OF THE BASTARD NAZARENE」
イギリスのアヴァンギャルド・ブラックメタルバンド、アカーコックのデビュー前の音源。1999作
彼らがまだSALEM ORCHIDと名乗っていたころの音源で、アヴァンギャルドでプログレ的な部分はまだ薄く、
全体としてはブルータルなデス・ブラックサウンド。かつてのVENONにも通じるようなアンダーグラウンドな暗黒性をかもし出していて、
ブラストビートや展開の多い曲調、ときおり入る女性コーラスなどは、1stにつながるこのバンドの妖しい邪悪さの萌芽がかいま見える。
ジャケは相変わらずエッチ。(CDの曲数が"66"と表示されて驚くが14〜65までは無音)
メロディアス度・・5 暴虐度・・8 変態度・・6 総合・・7

AKERCOCKE「THE GOAT OF MENDES」
イギリスのブラックメタルバンド、アカーコックの1st。2001作
いきなり剛速のブラストに乗せて、「ぐむぉぉぉ」という低音デス声が炸裂の本気系ブラック、
かと思いや、リズムはなんだか唐突に変拍子とか。途中おねーちゃんの喘ぎも入り
一筋縄ではいかないサウンド。やがて高音ブラック声も交じり、奇妙なリフに唐突な曲展開。
おお…こりゃ、変態系アヴァン・プログレ・剛速ブラックだぁ。曲によってはシンセやアコギも入り、
それなりにシンフォニックな叙情もあって面白い。PCで見られるビデオクリップは、低予算な作りながら裸もでてきます(笑)。
なんなんだ、こいつら ? いや、変態でしょう。激烈かつプログレなステキな作品。
メロディアス度・・7 激烈度・・8 変態度・・9 総合・・7.5
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AKERCOCKE「CHORONZON」
イギリスのプログレ・ブラックメタルバンド、アカーコックの2nd。2003年作
1stの時点から、奇妙で唐突な展開や変拍子などを取り入れたプログレッシブなアプローチが面白い
暴虐なブラックサウンドだったが、この2ndではさらに全体的にアレンジの整合感のようなものが出てきて、
テクニカルで変態的な楽曲展開がごく自然に聴こえるようになっている。とはいうものの、剛速な所はブラストしまくり、
わめきまくりなので、軟弱さはなく、むしろノーマル声パートや静寂部分とのメリハリがついた感じがする。傑作。
シンフォニック度・・7 暴虐度・・8 プログレ度・・8 総合・・8
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AKERCOCKEWords That Go Unspoken Deeds That Go Undone
イギリスの変態系ブラックメタルバンド、アカーコックの3rd。2005作
ブルータルな暴虐性と、アヴァンギャルドな楽曲展開で聴かせるサウンドは、
今作でも健在で、知的な芸術性とシアトリカルなセンスで構築される楽曲は、濃密かつドラマティック。
これまでになくメロディックなテイストも含んでいて、Solefaldあたりに通じるアートなプログレッシブ・ブラックとしても楽しめる。
ブラックメタルとしての激しさもしっかり残しつつ、質の高さを増してきたという印象だ。
ドラマティック度・・7 暴虐度・・8 変態度・・8 総合・・8
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AKERCOCKE「Antichrist」
イギリスの変態系ブラックメタルバンド、アカーコックの4th。2007作
1stのころからステキな変態系ブラックだったが、今作はその暴虐さに磨きがかかり、まるで古き良きデスメタルのようにブルータルに突進。
ブラストビートに続く唐突な叙情パートの入れ方や、ノーマル声での歌唱などにプログレッシブなセンスを感じさせつつ、
あくまでブラックメタルとしての過激さも追求している。英国のバンドとしてはここまで硬派な音楽性を追求するバンドも珍しいだろうし、
暴虐さの中にEMPERORあたりにも通じる荘厳さを感じさせるのは大したもの。
このスラッシーな質感は、むしろオールドなデスメタルファンに受けるのではないかと思う。
ドラマティック度・・7 暴虐度・・9 変態度・・8 総合・・8
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Akercocke 「Renaissance in Extremis」
イギリスのアヴァン・デスメタル、アカーコックの2017年作
2001年にデビュー、2007年までに4作を出して後沈黙、本作は10年ぶりとなる5作目である。
スラッシーなギターリフと低音のデスヴォイスを乗せて激しく疾走、リズムチェンジを含む知的な感触で
テクニカルなデスメタルサウンドを聴かせる。かつてのような暴虐なブラックメタル色はやや薄まったものの、
随所に覗かせるアヴァンギャルドなセンスは健在で、ときにメロディックで叙情的なパートも含んだ
プログレッシブなデスメタルとしても楽しめる。楽曲によってはブルータルなブラスト疾走も残しつつ、
オールドスタイルのデスメタル感触と知的な展開力のバランスがとれた強力なアルバムに仕上がっている。
ドラマティック度・・7 暴虐度・・7 知的デス度・・8 総合・・8 
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Akercocke 「Decades Of Devil Worship」
イギリスのアヴァン・ブラックメタル、アカーコッケのライブ作品。2023年作
1999年デビューのベテランで、本作は2007年ロンドンでのステージを収録。1st「Rape Of The Bastard Nazarene」と、2nd「The Goat Of Mendes」からのナンバーを主体に、ブラストビートを含むリズムに喚きヴォイスを乗せ、随処に唐突なリズムチェンジとともに、アヴァンギャルドなブラックメタルを聴かせる。
力量あるドラムを中心に演奏面も安定しており、ときにデスメタル的でもあるブルータルな激しさとサタニックな暗黒性が同居していて、雰囲気モノとしても本格派の荘厳さを漂わせている。
「セイタン」と連呼するMCの叫びなどからも、アンチキリスト的な本気度が伝わってくる。ホンモノのブラックメタルが好きな方もどうぞ。
ライブ演奏・8 暴虐度・8 暗黒度・8 総合・8 
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ALCEST「Souvenirs d'Un Autre Monde」
フランスのポストブラックメタル、アルセストの2007作
このバンドのサウンドはシューゲイザーブラックとも呼ばれるらしいが、
そんな言葉を抜きにすれば、アコースティカルで叙情的なゴシック/プログレとして聴ける。
ゆったりとしたリズムに歪みギターとシンセが重なり、そこにマイルドな歌声が乗る。
美しいシンセに包まれるように女性コーラスが入ってくると、プログレ、ポストロック風味の
ゆるやかな空間美が楽しめる。ときにブラックメタルらしい疾走なども入って来るが、
それでいて暴虐さよりもあくまで叙情重視なのは、ややぼやけたようなサウンド作りのためだろう。
どこか夢見心地というか、やわらかな感触なのだ。ノイジーなギターとアコースティックの同居も面白い。
個人的にこういう雰囲気は大好きだし、プログレ系のリスナーにもゆったりと楽しめる作品だと思う。
メロディアス度・・8 メタル度・・6 幻想叙情度・・9 総合・・8
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Alcest「Ecailles De Lune」
フランスのシューゲイザー・ブラックメタル、アルセストの2010作
前作は癒し系ブラックともいうべき叙情的な作品であったが、本作も同路線。
美しいシンセとマイルドな歌声で聴かせるサウンドは、淡い幻想を含んだ哀愁を漂わせ
その聴き心地の良さは、もはやブラックというよりはエモやポストロック的な世界観である。
激しく疾走する部分もちゃんとあるが、それすらもたれこめたグレーの空のように、
叙情的でメロウな薄暗さと、優しい雨のようなやわらかな感触がある。癒されるブラック。
メロディアス度・・8 暴虐度・・7 幻想叙情度・・9 総合・・8
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Alcest「Les Voyages De L'ame
フランスのシューゲイザー・ブラック、アルセストの2012年作
ブラックメタルと呼ぶにはあまりにもの悲しく美しいサウンドで、多くのファンを虜にするNeige氏による一人ユニット、
その3作目である。幻想的なジャケも素晴らしいが、サウンドのほうもやわらかなヴォーカルと、
叙情たっぷりのギターワークで聴かせる、まるでポストロックのような耳心地だ。
ブラックメタル的な疾走も随所にあるのだが、それすらもはかない叙情を含んだ
しっとりとした雰囲気で、哀愁のトレモロリフとともに聴き手の涙腺を刺激する。
癒し系ブラックという言い方よりもさらに美しい。プログレファンもこれはぜひ。
メロディアス度・・8 ブラック度・・6 幻想叙情度・・9 総合・・8.5
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Alcest 「Shelter 」
フランスのシューゲイザー系・ブラックメタル、アルセストの2014年作
4作目となる本作はマルチプレイヤーのNeigeとドラムの二人組ユニットとなり、メロディックなギターとうっすらとしたシンセアレンジに、
マイルドなヴォーカルを乗せたサウンドで、過去のアルバム以上に脱ブラックメタルした癒し系の聴き心地。
ANATHEMAあたりにも通じるやわらかな叙情性は、プログレ系のリスナーにも楽しめるのではないかという。
もちろんメタル的なギターも随所に入ってくるので、のんびりとしているようでいてちゃんとメリハリがある。
前作のような哀愁のトレモロリフが炸裂するところは少ないので、全体的にはややあっさりとした印象だが、
ラストの10分の大曲は、美しいコーラス、スキャットを含んだシンフォニックな味わいがじわじわと広がってゆく。
ドラマティック度・・7 メタル度・・5 癒し系度・・8 総合・・8
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Alcest 「Kodama」
フランスのポストブラックメタル、アルセストの2016年作
2007年にデビューし、癒し系の叙情とブラックメタルを融合させた、シューゲイザー・ブラックとして
新たなジャンルを切り開いたこのバンド。5作目となる本作は、「木霊」というタイトルなど日本的なものを連想させる。
サウンドの方は、メロウなギターにマイルドなヴォーカルを乗せて、プロレッシブな叙情性を感じさせる。
2曲目からは、随所に激しい疾走パートも現れて、ポストブラックメタルらしい物悲しさと、トレモロのギターなどには、
初期作を思わせる雰囲気もある。全体的には、メタルというよりもプログレリスナーが楽しめるような、
やわらかな叙情に包まれていて、女性コーラスなども含めて幻想的な聴き心地でゆったりと楽しめる。
ドラマティック度・・8 メタル度・・6 繊細な叙情度・・8 総合・・8 
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Alcest 「Spiritual Instinct」
フランスのポストブラックメタル、アルセストの2019年作
マルチプレイヤー、ネージュのソロプロジェクトとして、2007年にデビュー、本作は6作目となる。
2作目から続けて参加しているドラムのウインターハルターとのコンビで、ときに激しく疾走するリズムに
トレモロを含むギターリフとマイルドなヴォーカルを乗せ、随所にスクリームヴォイスも交えたサウンドは、
近作の中ではわりとメタル感触が強めの作風。メロディックなギターフレーズとともに、スローパートでの叙情性は
物悲しく幻想的な味わいに包まれる。全体的には、いつもよりも淡々としたメランコリックな聴き心地で、
ここ数作に比べるとヘヴンリーな美しさはやや希薄であるが、ジャケのイメージ通りともいえるかもしれない。
ドラマティック度・・7 暴虐度・・6 叙情度・・8 総合・・8 
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ALDA 「Passage」
アメリカのネイチャー・ブラックメタル、アルダの2015年作
アコースティカルな叙情性とマイルドな男女ヴォーカルの歌声で静かに始まりつつ、、
ダミ声とトレモロリフを乗せた激しい疾走パートへと移行するスタイルで、
一聴して、Wolves in the Throne Roomを思わせる自然崇拝型のブラックメタル。
随所にフォーキーな素朴さも垣間見せながら、アナログ感たっぷりの音質で、
10分を超える大曲を中心に、緩急の付いたメリハリある展開を聴かせる。
全体的には激しさよりも、フォーク風味の牧歌性が前に出た聴き心地で楽しめる。
ドラマティック度・・7 暴虐度・・7 神秘的度・・8 総合・・7.5
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ALDA 「A Distant Fire」
アメリカのブラックメタル、アルダの2021年作
2011年にデビューし、3作目となる。アコースティックな牧歌的なイントロから、トレモロのギターとともにブラスト疾走、
ダミ声ヴォーカルを乗せて、Wolves in the Throne Roomなどに通じるカスカディアン・ブラックメタルを聴かせる。
ほどよくスカスカな音圧がよいあんばいで、暴虐さよりも自然崇拝スタイルのヴィンテージな味わいに包まれていて、
激しくともどこかドゥーミィな耳心地なのである。10分前後の大曲をメインに、ラストは16分という大曲で、
ジェントルな歌声に女性声も加わった牧歌的な雰囲気から、激しいブラスト疾走とスローパートを織り込みつつ、
プログレッシブというような構築力で展開する。このレベルのスケール感のナンバーがもう1曲あれば傑作であった。
ドラマティック度・7 暴虐度・7 神秘的度・8 総合・8 
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ALGHAZANTH 「SUBLIMINAL ANTENORA」
フィンランドのシンフォニック・ブラックメタル、アルガザンスの2000年作
1999年にデビューし、本作は2作目。美麗なシンセアレンジに絶叫ヴォーカルを乗せて激しく疾走しつつ、
リズムチェンジによる展開力と、メロディックなギターフレーズとシンセによる優雅な感触が合わさった、
DIMMU BORGIRあたりにも通じるサウンドである。3作目以降に比べると、楽曲アレンジの粗さや
こもり気味の音質などに、マイナー感を残しているのだが、そこが幻想的な味わいにもなっている。
インパクトや曲の完成度、音の迫力という点ではのちの作品に比べてやや物足りないが、
わりと唐突なリズム展開など、粗削りの魅力で楽しめる、シンフォニックブラックの好作品だ。
ドラマティック度・7 暴虐度・7 壮麗度・8 総合・7.5 
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ALGHAZANTH 「OSIRIS-TYPHON UNMASKED」
フィンランドのシンフォニック・ブラックメタル、アルガザンスの3rd。2002年作
美麗なキーボード入りで暴虐に疾走する、とにかく疾走ブラストパートの速いこと速いこと。
ANOREXIA NERVOSAを聴いた時も速いと思ったが、このバンドはさらに速いかも。
激しく暴虐なのだが、キーボードアレンジが過剰なまでにシンフォニックなのが特徴で、
この手が好きな方はストライクのサウンドだろう。シンフォニック疾走ブラック…この呼び方がぴったりなアルバム。
シンフォニック度・・8 暴虐度・・9 高品質・・8 総合・・8
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ALGHAZANTH 「Polarity Axiom」
フィンランドのシンフォニック・ブラックメタル、アルガザンスの2004年作
4作目の本作は、のっけから激しいブラスト疾走しまくりで、ほどよく叙情的なギターリフに
うっすらとしたシンセを重ね、絶叫ヴォーカルを乗せた、暴虐なシンフォブラックを展開する。
激しさの中にも、随所にメロディックなギターフレーズが光っていて、美麗なシンセアレンジとともに、
北欧らしい優雅さと激烈な激しさが融合した、高品質なメロディック・ブラックメタルが楽しめる。
激速のブラストにトレモロのギター、シンフォニックなシンセ、激しさと演奏力、美旋律と世界観が
完璧に同居しているという点でも見事という他にない。全39分というのも聴き疲れしなくて良いデスね。
ドラマティック度・8 暴虐度・8 激烈で壮麗度・9 総合・8 
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Alghazanth 「Wreath of Thevetat」
フィンランドのシンフォニック・ブラックメタル、アルガザンスの2008年作
美しいシンセアレンジにツインギターのリフを乗せて激しく疾走するスタイルは本作も同路線。
北欧らしい叙情をまとわせたトレモロのギターリフは、メロブラ的な感触でとても聴きやすく、
シンフォニックに楽曲を彩る美麗なアレンジも含めて、クオリティの高さはさすがというところ。
もちろん疾走するだけではない、緩急のついた展開力もあって、激しさとメロディアス性のバランスも見事。
楽曲ごとの魅力的なフックもあるので、ブラック初心者から中級者まで楽しめる高品質な出来である。
ドラマティック度・・8 暴虐度・・8 高品質度・・8 総合・・8
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Alghazanth 「Vinum Intus」
フィンランドのメロディックブラックメタル、アルガザンスの2009年作
うっすらとしたシンセアレンジとトレモロのギターリフ、高音絶叫ヴォーカルを乗せて激しく疾走する、
正統派のシンフォニック・ブラックメタル。北欧らしい寒々しい叙情とミステリアスな雰囲気に包まれて、
これまで以上に美麗なシンセが前に出たサウンドである。疾走一辺倒ではなく、ミドルやスローテンポでの
ギターの叙情フレーズも効いていて、クラシカルなヴァイオリンの音色も加わるとさらに美旋律な質感が強まる。
これでもかという泣きのメロディには軽く悶絶できるでしょう。シンフォブラックっていいなと素直に思える傑作。
メロディック度・・8 暴虐度・・7 叙情メロ度・・9 総合・・8.5
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Alghazanth 「The Three Faced Pilgrim」
フィンランドのメロディックブラックメタル、アルガザンスの2013年作
2001年の「OSIRIS- TYPHON UNMASKED」以来ノーチェックであったが、本作はすでに7作目で、
ツインギターのトレモロリフと美しいシンセをバックに、ダミ声ヴォーカルを乗せて疾走するオールドなメロブラスタイル。
9分、10分という大曲を緩急をつけて構築するセンスも含めて、バンドのキャリアが窺える作りで、
以前の作品に比べてぐっとサウンドの説得力が増している。美しさと激しさを兼ねそろえた傑作ブラック。
ドラマティック度・・8 暴虐度・・8 楽曲度・・8 総合・・8
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ALGHAZANTH 「Eight Coffin Nails」
フィンランドのブラックメタル、アルガザンスの2018年作
1999年にデビュー、本作は5年ぶりの8作目となる。メロディアスなツインギターにダミ声ヴォーカルを乗せ、
メランコリックな叙情に包まれた、北欧らしいメロディックブラックを聴かせる。激しい疾走パートもありつつ、
美しいシンセアレンジや泣きのギターフレーズがサウンドを彩り、物悲しい叙情美に溢れたサウンドに浸れる。
トレモロのギターにシンセが重なると、シンフォニックな音の厚みと、寒々しい哀愁のメロディにウットリとなれる。
ブラストビートを含むブラックメタルとしての激しさもしっかりとありつつ、緩急あるリズムチェンジで構築する、
フックある楽曲センスもさすがキャリアのあるバンドらしい。ともかく、泣きメロまくりの北欧メロブラ傑作!
メロディック度・・8 暴虐度・・7 泣きの叙情度・・9 総合・・8.5 
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Al-NamroodAstfhl Al Tha'r
サウジアラビアのオリエンタル・ブラックメタル、アル・ナムロードの1st。2009年作
イスラム発祥の地であるサウジから、ついにブラックメタルバンドが出てきたのですね。
サウンドは、意外にも美しいシンセアレンジにオリエンタルな旋律を響かせながら、
おそらくアラビア語による詠唱のようなスクリームヴォイスを乗せる、不思議な感触。
ブラックメタルというには激しい突進力はなく、ドラムの音も軽くて籠もっているので、
まだ一般のリスナーが聴けるレベルではないが、神秘的な中近東メタルが楽しめる。
ドラマティック度・・7 暴虐度・・6 中東度・・9 総合・・7
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Al-Namrood「Estorat Taghoot

サウジアラビアのブラックメタル、アル・ナムロードの2nd。2010年作
ヴォーカルの脱退にともない、バーレーンのNARJAHANAMからVoが参加、
いかにもブラックメタル的なスクリームヴォイスになったことで、一聴して音のダイナミズムが増し、
ブラスト入りの激しい疾走感とともにアラビックな中近東フレーズを盛り込みながら、
迫力のあるサウンドを展開する。ギターリフやドラムなども前作よりもヘヴィになってきた。
随所にシンセによるアレンジも美しい。イスラム視点での民俗ブラックメタルの力作だ。
ドラマティック度・・8 暴虐度・・7 中東度・・9 総合・・7.5
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Al-NamroodKitab Al Awthan
サウジアラビアのブラックメタル、アル・ナムロードの3rd。2012年作
どうやらヴォーカルは正式メンバーが見つかったようだが、今度はドラムが脱退したらしい。
シンフォニックかつ荘厳なイントロから、ヘヴィさを増したギターリフがアラビックな音階を奏で
そこにシンセが美しく絡んでゆく、独特の中近東ブラックサウンドにさらに磨きがかかっている。
低音のスクリームヴォイスも迫力たっぷりで、重厚な音の迫力がひしひしと伝わってくるようになった。
民俗的なオリエンタル性と、ブラックメタルとしてのダークさが巧みに融合された力作に仕上がっている。
このままゆけば、いずれはORPHANED LANDにも並ぶほどの存在になるかもしれない。
ドラマティック度・・8 暴虐度・・7 中東度・・9 総合・・8
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Al-Namrood 「Heen Yadhar Al Ghasq」
サウジアラビアのブラックメタル、アル・ナムロードの2014年作
2009年にデビュー、イスラム発祥の地からの本格派ブラックメタルとして注目され、
4作目となる本作は、いかにもアラビックな旋律を乗せたインスト曲で幕を開ける。
アラビア語の野太いヴォーカルを乗せたダークなサウンドは、打ち込みのリズムも含めて
ブラックメタルとしての激しさは控えめだが、民俗色のあるメロディを含ませたアレンジで
中近東的な空気感はより強まっている。リフレインが多いので耳を惹くような展開はないが、
その分、サイケ的なトリップ感があって、中近東メタルとしての味わいを楽しめます。
ドラマティック度・・7 暴虐度・・6 アラビック度・・8 総合・・7.5 
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Al-Namrood 「Enkar」
サウジアラビアのブラックメタル、アル・ナムルードの2017年作
イスラム圏からの本格派ブラックメタルで、2009年にデビューして、すでに6作目となる。
アラビア語の野太いヴォーカルを乗せて、スラッシュメタル的に疾走するサウンドで、
前作同様、サイケな浮遊感を感じさせるダークな中近東メタルを聴かせる。
ドラムは打ち込みのようだが、ぼやけたような音質のせいで、さほど気にならず、
繰り返されるアラビックなギターの旋律とともに、プリミティブな妖しさに包まれている。
サウンド的な暴虐性はさほどではないが、にじみ出るアラビックな暗黒臭に浸れます。
ドラマティック度・・7 暴虐度・・7 アラビック度・・8 総合・・7.5 
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Alraune 「The Process of Self」
アメリカのブラックメタル、アルラウネの2014年作
ノイジーなギターにガナり声ヴォーカルを乗せて激しくブラスト疾走する、プリミティブなブラックメタルサウンド。
MAYHEMなど初期の北欧ブラックメタル的でもある、スカスカでチープな録音がいかにもオールドスタイルで、
8〜11分の大曲をメインに、激しくも神秘的な空気を描くところは、初期Wolves In The Throne Roomなど、
アトモスフェリック系の味わいもある。サウンドはスラッジブラック寄りのザラついた感触に包まれていて、
叙情性というよりは荒涼とした闇を感じさせるのが特徴だろう。ちなみにバンド名のアルラウネは、
魔術に用いられる植物であるマンドレイクの亜種で、ドイツには同タイトルのゴシックホラー小説もある。
ドラマティック度・7 暴虐度・8 プリミティブ・8 総合・7.5
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Altar Of Plagues 「Teeth Glory And Injury」
アイルランドのブラックメタル、アルター・オブ・プレイグズの2013年作
近年のCeltic FrostやSatyriconあたりに通じる、モノトーンの暗黒臭に包まれたサウンドで、
硬質なギターリフにダミ声ヴォーカルを乗せ、随所に激しいブラストパートも含んだサウンド。
ノイジーなシューゲイザー感覚を取り込んだようなミステリアスな空気感と不穏な闇の気配、
ミドルテンポやスローパートでは、アトモスフェリックな浮遊感をかもしだしつつ、
ディプレッシブな絶叫を乗せた無慈悲なまでの激しさも垣間見せる。いわばBURZUMから受け継がれた
地下臭ただよう空気感を、よりディープな闇に溶け込ませたという感触もあるる
ドラマティック度・・7 暴虐度・・7 暗黒度・・9 総合・・8
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Amesoeurs
AlcestのNeige率いるフランスのポスト・ブラックメタル、アメスールの2009作
癒し系ブラックというべきAlcest同様に、垂れ込めた空のようなアンニュイな世界観と、
シューゲイザー風味のアンビエントな叙情で聴かせるサウンドは耳に優しくもある。
激しく疾走する部分もあるが、それは一要素にすぎず、女性ヴォーカルのフランス語の歌唱や
うっすらとした美しいシンセなど、むしろゴシックメタル的な雰囲気でも楽しめる。
メロディアス度・・7 暴虐度・・6 薄暗叙情度・・8 総合・・8
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AMON AMARTH「FATE OF MORNS」
スウェーデンのメロデスバンド、アモン・アマースの5th。2004作
このバンドのアルバムを聴くのは1st以来。昔は普通のメロデスという感じだったが
このアルバムではミドルテンポ主体の力強いメタルサウンドになっている。
メロデスというにはメロディに華麗さがなく、暴虐に疾走しているわけでもないので
いうなれば、「ヴァイキング風のメロもあるデスちっくなメタル」といったところか。
ギターリフなども含めて正統派っぽい音作りなので新しいものが好きな方には向かない。
日本盤も出ているようだ。尚、限定版はライブ映像が入ったDVD付きだが、音質はブートレグっぽいのであくまでおまけ。
メロディアス度・・7 暴虐度・・7 楽曲・・7 総合・・7.5

AMON AMARTHWrath of the Norsemen
スウェーデンのヴァイキング・デスメタルバンド、アモン・アマースのライブDVD。2006年作
ザクザクとしたギターリフで聴かせる、言うなればヴァイキング風のデスメタル
やや腹の出た巨漢のヴォーカルの野太い声と風貌は、それこそヴァィキングというにぴったりながら
曲の方はけっこう似たりよったりのものが多くて、最初は良いのだがどうしてもしだいに飽きて来る。
ステージには剣と楯を持った戦士のエキストラが登場するなどときおり見せ場はあるが、
演奏としてはむしろ正統派で、テクニカルな部分もなく、映像的にはそれほど楽しめる部分はない。
観客はほとんどが男で(そりゃそうだろう)けっこう熱(苦し)く盛り上がっている様子も映される。
Disc1と2には2005年のライブを、Disc3には2004年のWackenでのステージを収録。
DVD3枚が全部がライブ映像というのもすごいが、合計7時間以上を見るのもまた大変だ(笑)
ヴァィキング度・・7 ライブ映像・・7 ライブ演奏・・7 総合・・7.5
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AMON AMARTH「With Oden on Our Side」
スウェーデンのヴァイキング・デスメタルバンド、アモン・アマースの6th。2006作
北欧らしいうっすらとした叙情を取り入れつつも、決して甘くなりすぎないそのサウンドは、
ややもすれば日本のメロデスファンからは愛想が悪いイメージであったが、
今作では日本盤が出たということは、ヴァイキングメタルの密かなブームとともに、
彼らのもつ北欧神話的な神秘的なデスメタルサウンドも評価が高まってきているということか。
シンセの類はいっさい使用せず、あくまでギターリフのみで聴かせる硬派なスタイルは
本作でも不変ながら、その音のかもしだす世界観にはいっそう北欧色が強まってきている。
ときにヴァイキングメタル的な土着性とともに、北欧の叙事詩を表現するかのように
激烈な音の中にもドラマティックで勇壮な戦士の姿がかいま見える。
メロディアス度・・7 ドラマティック度・・8 北欧デス度・・9 総合・・8
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AMON AMARTHTwilight of the Thunder God
スウェーデンのヴァイキング・デスメタルバンド、アモン・アマースの7th。2008作
デビュー時から一貫して北欧の戦士のような勇壮でパワフルなサウンドを標榜してきた彼ら、
前作のタイトルがオーディンであるなら今作は雷神トールと、その北欧神話への傾倒も
今やこのバンドのイメージそのままだ。サウンドの方もおおむね相変わらず、
クサすぎない程度の土着フレーズを盛り込みつつ、あくまで硬派にメタルを聴かせる。
ただ、以前よりも音の強度が減ったというか、ようするに聴きやすくなっているという気がする。
演奏の整合感が増したぶん、このバンドの持ち味であった無骨な迫力が薄らいだということか。
質自体は上がったかもしれないが、これまでの彼らの音の濃密さに比べると物足りなさも残る。
メロディアス度・・7 ドラマティック度・・8 北欧デス度・・8 総合・・8
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Amon Amarth「Surtur Rising」
スウェーデンのエピック・デスメタル、アモン・アマースの2011年作
1998年のデビュー作から数えて本作が8作目。重厚かつ硬派なそのサウンドから、
コアなファンの多いこのバンドだが、これまでに決定的な傑作はまだなかった。
前作では北欧神話の雷神トールをテーマにしていたが、本作もまた北欧神話から
炎の剣を手にしたムスペッル族の長スルトをジャケにし、激しくも勇壮な世界を描いている。
前作にあった聴きやすさをそのままに、ドラマティックなエピックメタルとしての質が上がっていて、
これまでになくメロディックなギターフレーズも効果的。戦う漢の熱さが濃密な音から伝わってくる。
これは過去最高のアルバムだろう。ライブ映像をたっぷり収録したDVD付き2枚組はこちら
ドラマティック度・・8 重厚度・・8 エピック度・・9 総合・・8.5
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AMON AMARTH「Deceiver of the Gods」
スウェーデンのエピック・デスメタル、アモン・アマースの2013年作
北欧神話を題材にした勇壮なサウンドで、前作も強力な傑作だったが
本作はのっけから激しく疾走、ツインギターのリフに吐き捨てヴォーカルを乗せ、
スラッシーにたたみかける。エピックな勇壮さをデスメタルの激しさを融合させ、
随所にメロディックな叙情も織り込んだ、ベテランらしい堂々たるサウンドである。
ヘヴィすぎない感触には、90年代メロデス的な雰囲気も感じられる。
前作ほどのインパクトはないものの、ブレないバンドの信念が詰まった好作品だ。
ドラマティック度・・8 エピック度・・8 重厚度・・7 総合・・8
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Amon Amarth 「Jomsviking」
スウェーデンのヴァイキング・デスメタル、アモン・アマースの2016年作
1998年デビューの20年近いキャリアを持つバンド。本作はおそらく10作目となる。
低音のダミ声ヴォーカルを乗せたメロデス的な激しさに、武骨な荒々しさと勇壮な世界観を
オールドスタイルのメタル感触で表現した重厚なサウンドは本作も健在。
どっしりとしたミドルテンポのナンバーもキャリアのバンドらしい堂々たる感触で、
楽曲そのものには新鮮味がなさ過ぎて、むしろにやにやしてしまうほど。
随所にメロディックなフレーズを甘すぎない程度に織り込んでくるあたりも、
初心者にも聴きやすいだろう。個人的にはもう少しエピックなスケール感も欲しいかな。
ドラマティック度・・7 重厚度・・8 勇壮度・・8 総合・・8 
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Amon Amarth 「Berserker」
スウェーデンのヴァイキング・デスメタル、アモン・アマースの2019年作
1996年デビューのベテラン。本作は11作目で、タイトル通り、北欧神話の狂戦士をテーマにした作品。
アコースティックギターのイントロから、重厚なギターリフと低音デスヴォイスを乗せてパワフルに聴かせる、
勇壮なヴァイキング・デスメタルが広がってゆく。ほどよく叙情性を含んだツインギターのフレーズとともに、
どっしりとしたミドルテンポのナンバーを主体にした、ベテランらしい堂々たる説得力はさすがというところ。
メロディックな要素はそこそこで、アグレッシブな激しさがさほどない分、中庸なインパクトにとどまっている感もあるが、
これがアモアマのオールドなエピックデスメタル・スタイルなのだろう。安心して聴ける佳作です。
ドラマティック度・・7 エピック度・・8 重厚度・・8 総合・・8
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AMORAL「REPTILE RIDE」
フィンランドのメロデスラッシュバンド、アモラルの3rd。2007作
デスラッシュの突進力とモダンなデスコア系のヘヴィさが合わさって、ギターフレーズには北欧らしいメロデス的な質感もある。
吐き捨て方のスクリームヴォイスは暴虐さをかもしだしているが、楽曲展開にはテクニカルな要素もあり、
バンドとしての知性を感じさせる。反面、デスラッシュなのかメロデスなのか、どこか中途半端な感じもあって、
なかなか面白く格好いい音なのに曲が印象に残らないような気がする。
個人的にはデスラッシュとしての本気度をもっと聴かせて欲しいが、
むしろ、お国柄なのかチルボド風のギターフレーズの方に魅力を感じた。
メロディアス度・・7 暴虐度・・7 テクニカル・・8 総合・・7.5
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AMORAL「Show Your Colors」
フィンランドのメロデスラッシュバンド、アモラルの4th。2009作
アイドル発掘番組「IDOLS」で優勝を飾りデビューしたシンガー、アリ・コイヴネンが加入。
日本盤では「アリ・コイヴネンwithアモラル」という表記でジャケも異なるのがややこしいが、
サウンドの方も、以前のせわしなく突進するメロデス風デスラッシュの感触は抑え気味で、
コイヴネンのハイトーンヴォーカルが歌いあげるメロディアスさが強くなった。
とはいっても激しく疾走する曲もちゃんと残っていて、モダンなメタルコア的な勢いと
スラッシュ、メロデス風味を感じさせるギターフレーズでクールに聴かせる。
メロディアス度・・7 疾走度・・7 モダンメタル度・・8 総合・・7.5
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Amor E Morte「About These Thornless Wilds」
ブルガリアのシンフォニック・ゴシックブラック、アモール・エ・モルテの2007年作
女性Voに女性Bを含む5人編成で、オーケストラルなシンフォニックアレンジと
女性ヴォーカルの歌声に男性吐き捨てヴォーカルを乗せて、シアトリカルな大仰さを描き出す。
ミステリアスな耽美さともの悲しい叙情を含ませ、クラシカルな美旋律をともなった
プログレッシブな展開力とともに、Ebonylakeのようなエキセントリックなセンスを感じさせる。
ときにブラストも含んだ激しさを盛り込みつつ、あくまで美意識に彩られた世界観で、いうなれば、
THERIONとCradle of Filthを融合させたような雰囲気ともいえる。耽美なるゴシック・ブラックの力作だ。
シンフォニック度・・9 ゴシック度・・8 シアトリカル度・・8 総合・・8
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ANAAL NATHRAKHHELL IS EMPTY,AND ALL THE DEVILS ARE HERE
イギリスのブラックメタル、アナール・ナスラックの2008年作
基本は激しく疾走するブラックメタルサウンドだが、モダンでサイパーな感触と、
グラインドコア風味のヘヴィなグロウル感覚を含んだサウンド。
もちろんブラックメタルらしいオールドスタイルのリフを乗せる部分もあり、
2〜3分台の曲を中心に、いわばコンパクトに暴虐性を表現している。
ギターリフのセンスも含めて荘厳な音の説得力はさすがである。
ドラマティック度・・7 暴虐度・・8 荘厳度・・8 総合・・8
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Anamnesi 「La Proiezione Del Fuoco」
イタリアのブラックメタル、アナムネシの2017年作
ザラついたギターにダミ声ヴォーカルを乗せて激しくブラスト疾走するブラックメタルに、
朗々としたコーラスやときにアコースティックなパートも加え、緩急ある展開で聴かせる。
ジャケのイメージから古代ローマをコンセプトにしているのだろう。ダークな暴虐性の中にも
ミステリアスな空気とともに荘厳なスケール感と幻想性も感じさせる。10分を超える大曲では、
イタリア語による語りを含んだシテマティックなドラマ性で迫力あるサウンドを描き出す。
ドラマティック度・・8 暴虐度・・7 荘厳度・・8 総合・・8
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AN AUTUMN FOR CRIPPLED CHILDREN 「Eternal」
オランダのポストブラックメタル、アン・オータム・フォー・クリップルドチルドレンの2016年作
うっすらとしたシンセにトレモロのギター、ダミ声ヴォーカルを乗せた、幻想的なポストブラックメタル。
包み込むようなシンセの美しさや、叙情的なギターフレーズで、声以外は暴虐なところはまったくなく、
Alcestをシンフォニックにしたような味わいだ。楽曲は4〜5分前後なので長すぎず、
インストパートも多いのだが、メロディの聴き心地の良さでゆったりと楽しめる。
シンフォニックな音の厚みと優雅な叙情美に包まれたポストブラックの好作品。
ドラマティック度・・8 激しさ度・・6 叙情度・・8 総合・・8
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Ancient「Night Visit」
ノルウェーのブラックメタルバンド、エンシェントの5th。2004作
デビューは1996年ということで、すでに活動10年以上の中堅バンド。
本作で日本盤デビューしたということもあって、安心して聴けるクオリティだ。
シンセ入りで疾走しつつも、ギターは割りとオーソドックスなフレーズで
曲はスピードよりもまとまりを重視しているのか、あまり暴虐さは感じない。
初期のCRADLE OF FILTHを北欧寄りにした質感もあって、ドラマティックな部分は
なかなか好感がもてる。ただブルータルさの点でのインパクトはやや弱いか。
メロディアス度・・7 暴虐度・・7 聴きやす度・・8 総合・・7.5
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ANCIENT RITES「Fatherland」
ベルギーのメロディックブラックメタルバンド、エインシェント・ライツの3rd。1998作
メロディアスなツインギターで疾走、バックにはうっすらとキーボード、
土臭いメロディラインにはヴァイキングメタル的な色合いがある。
バスドラが目立つサウンドプロダクションはバランス的にいま一つだが、
クサメロで疾走するブラックメタルが好きなら、聴いてみて損はない。
メロディアス度・・8 疾走度・・8 ヴァイキング度・・8 総合・・7.5
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ANCIENT RITES「DIM CARCOSA」
ベルギーのシンフォニック・ブラックメタルバンド、エインシェント・ライツの4th。2001作
シンフォニックなキーボードで彩られた疾走するシンフォブラックで、
ブラックメタルとしては、やややりすぎなほどにメロディアスなサウンドだ。
若干のヴァイキング色もあるメロディとともに、なかなか雰囲気は悪くない。
疾走するドラムはやや軽いものの、むしろ暴虐さを感じなくて聴きやすい。
幻想的な世界観を聴かせる、土着的なシンフォブラックの好作だ。
メロディアス度・・8 暴虐度・・7 土着メロ度・・7 総合・・8
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ANCIENT RITES「And The Hordes Stood As One
ベルギーのメロディックブラックメタルバンド、エンシェント・ライツのライブアルバム。2002作
まるでメロスピかなにかのような美しいイントロから、曲に入るとブラスト入りで疾走開始。
ブラックというには邪悪さが足りないし、デスというには音が軽いので、メロスピ風のブラックとして聴いた方がいいのだろう。
ときおりクサいフレーズを奏でるギターに、シンフォニックなシンセがなかなか。
サウンドプロダクションの平坦が迫力を薄くしているのが惜しいが、全16曲78分たっぷりと聴けて、バンドのファンなら嬉しいだろう。
シンフォニック度・・7 暴虐度・・7 ライブ演奏・・7 総合・・7.5
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ANCIENT RITES「Rubicon」
ベルギーのメロディックブラックメタルバンド、エンシェント・ライツの2006作
ツインギターにシンセを含む7人組みで、これまでもヴァイキング色のある
シンフォニックな疾走ブラックメタルで、なかなかいいものを持っていたが、
十字軍の遠征をテーマにした本作はいっそうエピックな雰囲気を増した傑作となった。
美しいシンセによるイントロに続き楽曲が始まると、ブラックメタルとしての激しい疾走感とともに
緩急のつけられたアレンジと、ある種RHAPSODYにも通じるシンフォニックメタル的な質感で
壮大な世界観を演出してゆく。ときに土着的なメロディを盛り込みつつ、
壮麗に聴かせる厚みのあるサウンドは、説得力という点でも過去最高だ。
シンフォニック度・・8 暴虐度・・7 エピック度・・9 総合・・8.5
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Ancient Rites 「Laguz」
ベルギーのシンフォニック・ブラックメタル、エンシェント・ライツの2015年作
デビューは90年代というベテランで、本作は6作目。前作「Rubicon」は壮麗な傑作だったが、
9年ぶりとなる今作は、クラシカルで優雅なイントロで幕を開け、美麗なシンセアレンジに
ダミ声ヴォーカルを乗せて激しくブラスト疾走する、シンフォニックなプラックメタルが広がってゆく。
全体的に暴虐さよりも壮麗な美しさが前に出ているので、BAL-SAGOTHあたりにも通じる
ファンタジックで大仰な雰囲気にニヤニヤできる。シンフォニックまくりのエピック・ブラック強力作!
シンフォニック度・・8 暴虐度・・7 エピック度・・8 総合・・8 
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Anorexia Nervosa 「Drudenhaus」
フランスのシンフォニックブラックメタル、アノレクシア・ネルヴォサの2nd。2000年作
美麗なシンセアレンジとダミ声ヴォーカルを乗せて激しく疾走する、なかなか高品質なシンフォブラック。
真性でもないので暗黒性は薄く、Cradle of Filthあたりに比べるといくぶんスタイリッシュでクールな感触もある。
楽曲自体にこれというインパクトがないのが惜しいが、後の作品ほどには激烈ではないので、初心者にも楽しめると思う。
シンフォニック度・・7 暴虐度・・7 楽曲・・7 総合・・7.5
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ANOREXIA NERVOSA「NEW OBSCURANTIS ORDER」
フランスのシンフォニックブラックメタルバンド、アノレクシア・ネルボサの3rd。
少女を脱がせたかなりヤバめのジャケ。白塗りメイクだがどこかヴィジュアル系ノリのメンバー写真。
音楽は激烈、突撃、疾走しまくっているブラックメタル。真性っぽいが、バックのシンセは華麗で、
激速シンフォニックブラックとしてはなかなか。しかし・・・休むパートをくれ。
一応スローテンポの部分もあるが、基本的に全曲疾走、激速、ブラストなのでずっと聴いていると
ヘトヘトに疲れる。音質的にも整理されていないので、シンフォニックだがやや耳障り。
バカっ速いわりには暗黒度をさほど感じないのがフランスらしいというか。
シンフォニック度・・7 激速度・・10 暗黒度・・7 総合・・7.5
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ANOREXIA NERVOSA「Redemption Process」
フランスのシンフォニックブラックメタルバンド、アノレクシア・ネルヴォサの4th。2004年作
1997年にデビュー、「神経性無食欲症」を意味するバンド名や、ファン女性が自殺するなど、カルトな人気を誇る。
前作は疾走一辺倒のシンフォニックブラックだったのですが、今作では楽曲にメリハリがついていて、
美しいシンセをバックに荘厳に疾走しつつも、重厚でドラマティックな要素も増しているという感じですな。
これという新鮮味はないものの、迫力あるサウンドに浸れる、シンフォニックブラックの力作です。
日本盤ボーナスにはX(JAPAN)の“I'll Kill You”のブラックメタルカヴァーを収録。
シンフォニック度・・7 暴虐度・・8 新鮮度・・7 総合・・8
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ANTERIOR「THIS AGE OF SILENCE」
イギリスの新世代メロデスバンド、アンテリアの2007年作
古き良きメタルサウンドを若き感性で蘇らせることによって、これまでにもシーンは幾度も活性化されてきた。
CHILDREN OF BODOMSOILWORKなどが世界的に台頭すると、アメリカではTRIVIUMAVENGED SEVENFOLD
イギリスではBULLET FOR MY VALENTINEDRAGONFORCEといった、勢いのある若手が現れて、
メタルというジャンルを多様化させるともに、アンダーグラウンドから引き上げることに成功しつつある。
そしてこのバンドもまた、往年のメタルの質感を、メロデス、メタルコアなどの要素とともに再構築している。
一聴すると、そのサウンドはいわゆるニュースクール系の感触なのだが、流麗なツインギターの絡みは、
ただの若手バンドとは一線を画すものがあり、過去のバンドから受け継がれてきたものを基盤にしつつモダンなメロデス風アレンジの中で、
質の高いメロディと演奏を聴かせてくれる。アメリカのコア系バンドよりも、はるかにメタルへの愛着と敬意とが音には感じられる。
メロディアス度・・8 ツインギター度・・8 新鮮度・・7 総合・・8
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ANTERIOREchoes of the Fallen
イギリスの新世代メロデスバンド、アンテリアの2011年作
古き良き正統派メタルをモダンにメロデス化したような前作はなかなかの快作だったが、
本作もツインギターのオールドなリフで疾走する、じつに正統派のメロデスサウンド。
流麗なギターフレーズのセンスも抜群で、泣きの叙情を含ませて、これでもかと盛り上げる。
吐き捨てヴォーカルはいかにもデスメタル風であるが、サウンド的には正統派メタルの色が強く
ともかくここまでメロウに弾きまくるギターというのはARCH ENEMYか、それ以上だろう。
今風のバンドに通じるモダンなヘヴィさもあるのだが、オールドな質感とほどよく融合されている。
メロディアス度・・8 暴虐度・・7 泣きの叙情度・・8 総合・・8
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AONARACH 「I」
スコットランドのブラックメタル、アオナラックの2021年作
トレモロを含むノイジーなギターにうっすらとしたシンセと喚き声ヴォーカルを乗せて激しく疾走しつつ、
霧がかかったような涼やかなサウンドは、アトモスフェリック系のネイチャーブラックという聴き心地。
8〜10分の大曲が4曲という構成で、こもり気味の音質も含めてオールドスタイルのブラックメタルを基盤に、
さほど盛り上がらないコールドな空気感とリフレインで、淡々として寒々しい音を描く、わりと硬派な印象だ。
ブラストする激しさと随所にスローパートを織り込んだ、緩急あるリズムチェンジも覗かせながら、全体的には、
ほどよい激しさのヴィンテージな幻想ブラックメタルが味わえる。曲は長いが、全4曲なのでちょうどよい。
ドラマティック度・7 暴虐度・7 アトモス度・8 総合・7.5
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AORATOS 「GODS WITHOUT NAME」
アメリカのブラックメタル、オーラトスの2019年作
Nightbringerのメンバーによるソロプロジェクトで、不穏な闇を感じさせるようなイントロナンバーから、
トレモロのギターリフに唸るようなヴォーカルを乗せてブラスト疾走する、荘厳な暗黒性に包まれたサウンド。
スローや静寂パートでのミステリアスな空気感は、アトモスフェリック系というべき世界観で、
暴虐な激しさとダークな暗黒美が同居する。楽曲は4〜7分前後と、Nightbringerに比べるとコンパクトながら、
すぶずぶと闇の中に引き込まれるような聴き心地で、雰囲気モノブラックとしてはなかなか出来がよい。
激烈なブラストもありつつシンセによる美しいアレンジなどもあって、漆黒の美学に浸れるような強力作。
ドラマティック度・・8 暴虐度・・8 暗黒度・・9 総合・・8
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APRAXIA「Hymns of Dark Forests」
ベラルーシのペイガンブラックメタル、アプラクシアの1998年作
うっすらとしたシンセにノイジーなギターリフ、ダミ声ヴォーカルと朗々としたノーマル声をまじえて、
いかにも辺境らしいローカルな味わいのペイガン・ブラックメタルを聴かせる。
ときに激しくブラスト疾走しつつも、軽めのドラムやほとんどベースが聞こえないこともあって、
暴虐な迫力というのはあまり感じられない。随所にクサメロ気味のギターフレーズも覗かせつつ、
フォーキーというほどでもない微妙な叙情性が、またじつにマイナー臭いという。
よほどの辺境ペイガンマニアでないとあえて聴く必要はないでしょう。
ドラマティック度・・6 暴虐度・・6 辺境度・・8 総合・・6.5
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ARCANA COELESTIA 「Le Mirage De L'Ideal」
イタリアのブラック・ドゥームメタル、アルカナ・コーレスティアの2009年作
Absentia Lunaeなど、ブラックメタルバンドで活動するメンバーにより、2007年にデビュー、
本作は2作目となる。美麗なシンセのイントロから、トレモロのギターと絶叫ヴォーカルを乗せ、
いかにもブラックメタルをルーツにした、邪悪な香りのただようドゥームメタルを聴かせる。
こもり気味の音質も叙情的なトレモロのギターリフも、ブラックメタルそのものであるが、
ドラムは沈み込むようなスローテンポで、耽美な暗黒性に包まれたサウンドを描いてゆく。
フューネラルな暗黒の幻想美にどっぷりと浸れる、ブラックメタル好きのためのドゥームです。
ドラマティック度・7 耽美度・8 フューネラル度・8 総合・7.5
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Arcane Grail 「Mysteries of the Ancient Charnel」
ロシアのシンフォニック・ブラックメタル、アルカン・グレイルの2006年作
男女Voと女性シンセ奏者を擁する6人編成で、高音ダミ声ヴォーカルに美しい女性ソプラノが絡み
クラシカルなピアノやシンセをギターに重ねて、ミドルテンポを主体にした激しすぎないサウンドを描く。
初期Cradle Of Filthにも通じる耽美な世界観を、より優雅にしたような感触で、クラシカルなピアノの旋律や
随所にメロディックなギターフレーズも覗かせるなど、暴虐さは控えめで、9分の大曲も適度な疾走感を含みつつ
リズムチェンジによる緩急ある展開力で楽しめる。女性声入りの耽美派シンフォブラックの好作品です。
ドラマティック度・8 暴虐度・7 優雅度・8 総合・7.5
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ARCANE GRAIL「Ninefold Path to the Innocence」
ロシアのシンフォニック・ブラック、アルカン・グレイルの2009年作
女性Vo、女性シンセ奏者を含む6人編成で、シンフォニックな美麗さと男女Voの歌声を乗せて疾走、
雰囲気としては韓国のDark Mirror Ov Tragedyや台湾のChthoniCにも通じるような感じで、
ダークな暴虐性はむしろ薄い。美しいシンセとともにストリングスなども含んだ優雅なアレンジと、
ソプラノ
女性ヴォーカルの歌声が優美な感触を強めていて、随所にゴシック・ブラック的な耽美性も含んでいる。
歌詞は英語がメインなので辺境的な感じもあまりない。高品質なシンフォブラック作品です。

シンフォニック度・・7 暴虐度・・7 美麗度・・8 総合・・8
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Arcane OrderIn the Wake of Collisions
デンマークのメロデスバンド、アルカン・オーダーの2008年作
AUTUMN LEAVESのギタリストが在籍するバンドで、荘厳なイントロから曲が始まると
ブラックメタルばりにブラスト入りで激しく疾走、うっすらとしたシンセアレンジとともに
モダンなヘヴィさと古き良きデスラッシュ的な勢いが合わさったサウンドで、なかなか質が高い。
随所にメロディックなギターフレーズも織り込んで、ドラマティックに構築してゆくセンスも見事だ。
荘厳な世界観と、硬質な激しさ、そして適度なメロディアスさを両立させた力作デス。
ドラマティック度・・8 暴虐度・・8 荘厳度・・8 総合・・8
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Arcanorum Astrum 「Гимны Великому」
ロシアのシンフォニック・ブラックメタル、アルカノラム・アストラムの2019年作
2017年作「The Great One」のロシア語版で、激しいドラムにメタリックなギターと美麗なシンセを重ね、
ダミ声ヴォーカルとともに、DIMMU BORGIRにも通じる緩急ある展開のシンフォニックブラックを聴かせる。
激烈なブラストビートとともに、オーケストラルなシンセや随所に流麗なギターフレーズも覗かせるなど、
激しさと壮麗なアレンジが同居した、なかなかクオリティの高いサウンドである。ブルータルな激しさとサタニックな世界観という点では
初期のBEHEMOTHなどにも通じるかもしれない。全体的には、もう少し意外性やフックのあるメロディが欲しいかな。
シンフォニック度・8 暴虐度・8 壮麗度・7 総合・7.5
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ARCANUM SANCTUM 「Veritas Odium Parit」
ロシアのメロディック・デスメタル、アルカナン・サンクトゥムの2012年作
Vo&G、B、Drというトリオ編成のバンドで、北欧メロデス的なリフとダミ声ヴォーカルを乗せて疾走する
古き良き王道のメロデスサウンド。メロディックなギターフレーズもよい感じで、AT THE GATESや
かつてのINFLAMESなどが好きな方は思わずにやにやだろう。楽曲は3〜4分台と比較的シンプルで、
全8曲というのもやや物足りないのだが、The Duskfallのように適度にモダンな感触も含めて、
90年代の北欧メロデスのスタイルが好きな方はけっこう楽しめるはず。
メロディック度・・8 疾走度・・7 古き良きメロデス度・・8 総合・・7.5
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ARCH ENEMY 「Black Earth」
スウェーデンのメタルバンド、アーチ・エネミーの1st。1996作
今でこそ世界的な人気バンドとなった彼らだが、CARCASSが解散したのち、
マイケル・アモットはこのバンドをメインにしてゆくつもりはなかったらしい。
ここにはカーカスのようなアンダーグラウンドなデスメタル臭さは皆無で、
激しくとも整合感のあるタイトなサウンドはじつにモダンな感触で、そこに流麗と表現してもいいくらいの
メロディアスなギターパートが大胆に盛り込まれていることで、とても聴きやすいものとなっている。
厳密に言えば、いわゆる北欧メロデスの質感とは異なり「メロディの組み込まれたデス色のあるメタル」
なのであるが、この質の高さの前にはそれもつまらぬ論議か。アンジェラ加入後しか知らない方は聴くべし。
メロディアス度・・7 暴虐度・・8 重厚度・・8 総合・・8
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ARCH ENEMY「STIGMATA」
スウェーデンのメタルバンド、アーチ・エネミーの2nd。1998作
「デスメタル」としてこのバンドを聴くのなら、この2ndまでだろうと思う。
ダークなヘヴィさとブルータルなアグレッションを残しながら、激しい疾走とともに、
随所に流麗なギターワークを聴かせる、アーエネ節が確立しつつある傑作だ。
2009年リマスター盤には、「BURNING JAPAN Live 1999」からの4曲を含む7曲を追加収録。
メロディアス度・・7 暴虐度・・8 重厚度・・8 総合・・8
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ARCH ENEMY「Burning Bridges」
スウェーデンのメタルバンド、アーチ・エネミーの3rd。1999作
いくぶんモダンになった硬質感とともに、ギターフレーズのメロディアスさはより際立ってきた。
キャッチーなまでのメロディを織り込んだ名曲“Silverwing”に代表されるように、
激しい疾走感覚もあくまでメロディとの対比という構造であって、暴虐なダークさは薄れている。
より普遍的なメタルサウンドと現代的なミクスチャー感覚を盛り込んだ、
「新世代のエクストリームメタル」の完成形とも言えるかもしれない。
2009年リマスター盤には、「BURNING JAPAN Live 1999」からの5曲を含む9曲を追加収録。
メロディアス度・・8 暴虐度・・7 重厚度・・7 総合・・8
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ARCH ENEMY「WAGES OF SIN」
アモット兄弟率いるメロデス風バンド、アーチ・エネミーの4th。2001作
今やCARCASSは知らなくともこちらは知っているという若いファンも多いだろう。
この4thからは何と女性Voが加入している。といってもドイツ出身のアンジェラ嬢の歌唱は
その美貌には似合わぬ激烈な吐き捨てデスヴォイスで、かえってアグレッションが増している(^^;)。
曲の方は、1曲目のイントロリフがGAMMA RAYみたいで、2曲目がMEGADETHみたい・・・
ということはさておき、時にテクニカルかつ流れるようなツインギターを聴かせつつ、
デスとしてのブルータルさも残したサウンドで、切れのいいドラムを含め演奏クオリティは抜群に高い。
ただやはり、キャッチーなギターメロディのあとに、ごくまっとうなデスメタルパートを聴くと
どうにもそこにアンバランスさを感じてしまう。デス部分が意外と普通すぎるのも退屈なのかも。
メロディアス度・・8 暴虐度・・8 楽曲・・7 総合・・7.5

ARCH ENEMY「Rise of the Tyrant」
スウェーデンのエクストリームメタルバンド、アーチ・エネミーの7th。2007作
暴虐なる声をした美貌のアンジェラ女史が加入してはや4作目となる。
クリストファー・アモットが復帰したらしい。ただ前作、前々作を聴いていないので、
違いはよく分からない。というか、なんだかギターだけがやたらとメロディアスだよ。
こりゃあ正統派メロディックメタルだのう…といいたくなる部分もしばしば。こうなると、
女史のデス声が邪魔に思えてくるほど。いっそノーマル声で女性Voメタルにしてもよいね。
クオリティは大変高いです。音質、演奏とも。楽曲も良い仕事で作られていてプロですね。
カッチリとしていて、流麗なツインギターの絡みを聴かせ、オマケ程度にブルータルな作品です。
デスメタルでもスラッシュでもないので、リフなし暗黒性なしのギターアルバム。
メロディアス度・・8 暴虐なのは声だけ度・・9 ツインギター度・・9 総合・・8
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ARCH ENEMY「Root Of All Evil」
スウェーデンのエクストリームメタルバンド、アーチ・エネミーの2009作
なぜ今になって初期曲のカヴァー集をやるのかと思ったら、海外では日本とは異なり
アンジェラ加入前の初期の作品はまったく認知度がないらしく、これはそういうリスナーに向けて
昔の曲を知ってもらうために作ったアルバムということらしい。個人的には、このバンドに関しては
初期の方が好きであったので、あらためてこうしてリメイクが聴けるのはなかなかありがたい。
とくに1stの曲はまだデスメタル的なダークなアグレッションが感じられて、今のバンドのカラーとは
だいぶ異なるが、今の若いリスナーにはかえって新鮮に聴こえるかもしれない。
よりツインギターのメロディを活かした2nd、3rdの曲は激しさの中にも印象的なソロプレイが光っている。
アンジェラ嬢のヴォーカルに関しては、やはりやや一本調子で魅力には欠けるが、
今や世界的な人気バンドとなった彼らの原点ともいうべき楽曲がたっぷり楽しめる。
メロディアス度・・7 暴虐度・・7 初期アーエネ度・・8 総合・・8
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Arch Enemy「Khaos Legions」
スウェーデンのエクストリームメタル、アーチ・エネミーの2011年作
初期曲のセルフカヴァーアルバムに続く、通算8作目のアルバムで、
テクニカルかつメロディアスなギターワークをたっぷりと散りばめたサウンドは不変。
そして本作では、パソコンではなく、アンプを通してギターを録音したというように、
古き良きアナログテイストのメタル質感が耳心地よく、往年のファンにも聴きやすいだろう。
アンジェラ嬢の咆哮は、いまや男性のスクリームと遜色ないくらいにバンドにフィットしているし、
ギターの泣きの叙情フレーズにもよく合っている。アンジェラ加入以降では一番耳馴染みのいいアルバムだ。
ちなみに、本作から日本語のバンド表記が「アーク」から「アーチ」へと正常化されたのも興味深い。
メロディアス度・・8 暴虐度・・7 新鮮度・・7 総合・・8
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Arch Enemy 「Deceivers」
スウェーデンのメロディック・デスメタル、アーチ・エネミーの2022年作
1996年にデビュー、本作は12作目で、The Agonistの女性シンガー、アリッサが加入してからの3作目となる。
パワフルなドラムにメロディックなツインギター、咆哮するデスヴォイスとストレートな女性声を乗せたサウンドは、
アグレッシブに疾走しつつ、ほどよくダークでキャッチーな感触とともに、ぐっと洗練された聴きやすさがある。
ツインギターによる叙情的なフレーズは、激しさの中で、ときにはっとなるようなコントラストとなっていて、
極端な緩急の付け方などは初期を思わせるところもある。楽曲は3〜4分前後が主体で、わりとシンプルであるが、
ラスト曲のようなミドルテンポのどっしりとしたナンバーも味わいがある。激しさとメロディのバランスのとれた好作。
ドラマティック度・7 暴虐度・7 叙情度・8 総合・8 
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Arcturus 「Constellation」
ノルウェーのシンフォニック・ブラックメタル、アークチュラスの初期音源集。1994/2022年作
1991年のデビューEP、1994年のEPを合わせた全8曲入りの再発盤。美麗なシンセをバックに
ダミ声ヴォーカルを乗せた、激しすぎない耽美な味わいのサウンドで、こもり気味の音質も含めて
まだマイナーの香りを残している。のちのスペイシーで知的なサウンドとはいくぶん異なるが
激しい疾走に頼らない怪しげな世界観の構築という点では、すでにその基盤は感じさせる。
ヘルハマーのドラムはさすがという安定感で、バンドとしての演奏の核を担っている
全体的には、シンセによるシンフォニックな部分が前に出たサウンドで、激しさは控えめです。
シンフォニック度・8 暴虐度・6 音質・6 総合・7.5
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ARCTURUS「Aspera Hiems Symfonia /Constellation/My Angel」
ノルウェーのシンフォニック・ブラックメタルバンド、アークチュラスの1st+EP。2002年作
MAYHEMやULVERのメンバーなどからなる、スーパーバンドとして登場したこのバンド、
Disc1には1995年の1stフルのリミックス音源を、Disc2には1st以前のEPをカップリング収録。
1stは美麗なシンセをたっぷり使ったまさにシンフォニックブラックメタルの王道というべきサウンドで、
おそらく、のちのDimmu Borgirなどにも影響を与えただろう。EPの方も同様のサウンドながら、
北欧らしい叙情メロディを奏でるギターも含めて、年代を考えればかなり高品質といえるだろう。
シンフォニック度・・8 暴虐度・・7 楽曲・・8 総合・・8
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ARCTURUS「La Masquerade Infernale」
ノルウェーのシンフォニック・ブラックメタルバンド、アークチュラスの2nd。1997作
1stは比較的正統派のシンフォニックブラックメタルスタイルであったが、
本作では、よりプログレッシブでアヴァンギャルドな音楽性に深化をとげている。
「地獄の仮面舞踏会」というタイトル通り、演劇的なヴォーカルと妖しげな世界観で、
ときにクラシカルな要素をまじえつつ、じつに個性的なサウンドを聴かせてくれる。
ブラックメタルとして聴くととっつきは悪いだろうが、変態的なプログレッシブメタルとしては
濃密な音楽性で非常に楽しめる。知的さの漂うシアトリカルブラックの力作だ。
シンフォニック度・・7 暴虐度・・4 アヴァンギャル度・・8 総合・・8
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ARCTURUS「Disguised Masters」
ノルウェーのシンフォニック・ブラックメタルバンド、アークチュラスの1999作
新曲やリレコーディング、別ミックス音源などを収録した企画アルバムで、
プログレッシブかつモダンなアレンジがなされた楽曲は、ときにサイバーな雰囲気も加わって
もはやブラックというよりもアートメタルである。その点ではKovenantにも近いものもある。
メロディアス度・・7 プログレ度・・7 サイバー度・・8 総合・・7.5
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ARCTURUS「THE SHAM MIRRORS」
ノルウェーのシンフォニック・ブラックメタル、アークチュラスの3rd。2002年作
1stの時点では正統派のシンフォニックブラックメタルだったが、2ndでアヴァンギャルドなアプローチを取り入れ
続くこの3rdは、前作よりもさらにメロディアスな要素を増し、シンフォニックなアレンジと
THE KOVENANTにも通じるサイバーな感触を取り入れた作品になっている。
ヴォーカルはほとんどのパートを普通声で歌っていて、ブラックメタルらしさはさほどないのだが、
美麗なシンセワークに随所にメロディアスなギターやコーラスとともに、厚みのあるサウンドが楽しめる。
そしてブラストしなくても十分存在感のあるHELLHAMMERのドラムはやはり素晴らしい。
シンフォニックな要素が前に出つつも、楽曲によっては攻撃性を感じる迫力もあって、バンラスのとれた傑作に仕上がっている。
シンフォニック度・・8 暴虐度・・6 楽曲センス・・8 総合・・8.5
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ARCTURUS「SIDESHOW SYMPHONIES」
ノルウェーのシンフォニックブラックメタルバンド、アークチュラスの4th。2005作
ブラックといっても、2nd以降は知的でアートな部分を追求したようなサウンドになっている。
今回は、現DIMMU BORGIRのペースである、Vortexをメインヴォーカルにすえ、
スペイシーなシンフォニックメタルをやっている。前作の出来が物凄く良かったのだが、
今回はさらに力が抜けたような、メタルなのだがスペイシーなプログレ的な雰囲気もあるという音だ。
Hellhammerのドラムは相変わらず切れがよいが、曲のメリハリが多くないので以前より見せ場は少ない。
そして全体的に音質がこもり気味な気がするのは、スペイシーなコンセプトによるものかな?
雰囲気ものスペースメタル(?)としては、なかなかクオリティは高いと思う。プログレリスナーも聴くべし。
シンフォニック度・・7 暴虐度・・5 宇宙度・・9 総合・・8
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ARCTURUS「Shipwrecked in Oslo」
ノルウェーのプログレ・ブラックメタルバンド、アークチュラスのライブ作品。2006年作
2005年ノルウェーでのステージを収録。スペインーなシンセとともに、シンフォニックなサイケ・ブラックメタルを展開。
Hellhammerの見事なドラムプレイは素晴らしく、ツーバス連打を含めた手数の多さやグルーブ感もさすがで、
Sverd(COVENANT)のシンセワークとともに、宇宙をイメージするような壮麗なシンフォブラックを構築してゆく。
スペースサイケ的でもある浮遊感が、不思議な空間性とプログレ的でもある優雅な空気をかもし出しており、
ブラックメタルでも単なるシンフォニックメタルでもない、もはやジャンル分け不能の音楽性である。
あえていうなら「シンフォニック・スペースメタル」とでも名付けるしかないだろう。プログレ受けする見事なライブ作品だ。
DVDの映像では、ピエロや動物など、仮装舞踏会のような衣装を着た奇怪な人々や、要塞のような巨大なドラムセットなど
視覚的にもシアトリカルなステージが楽しめる。カメラワークも良く、特殊エフェクトなども世界観を効果的に演出している。
ライブ映像・・9 ライブ演奏・・9 シアトリカル&スペース度・・9 総合・・8.5
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Arcturus 「Arcturian」
ノルウェーのブラックメタル、アークチュラスの2015年作
1994年にデビュー、10年ぶり5作目となる本作も、ヘルハマーの叩き出すパワフルでグルーヴィなドラムに
シンフォニックなシンセアレンジとシアトリカルなヴォーカルを乗せ、随所に激しい疾走パートを含んだ
緩急ある展開力でスペイシーなブラックメタルを展開する。ときにヴァイオリンを加えた優雅な叙情美と
プログレッシブなリズムチェンジとともに壮大な世界観を描きつつ、今作では激しいブラスト疾走による
ブラックメタルとしての禍々しさも戻ってきた。一方では、モダンでキャッチーなインダストリアル風味もあったり、
単なるブラックメタルの枠を超えた知的なセンスが散りばめられた、スケールの大きなサウンドが味わえる。
ドラマティック度・・8 暴虐度・・7 構築度・・8 総合・・8
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ARKHERON THODOL 「Rituals of the Sovereign Heart」
アメリカのポストブラックメタル、アーケロン・ソードルの2020年作
16分、17分という大曲を含む全4曲という構成で、ツインギターにうっすらとしたシンセを重ねて激しく疾走する、
叙情的なブラックメタル。メロディアスなギターフレーズや優美なピアノを乗せたゆったりとしたパートもあって、
プログレッシブなポストブラックという風に楽しめる。ときおりダミ声ヴォーカルも入るが、インストパートが多いので、
むしろシンセアレンジの美しさやトレモロのギターリフなどの叙情性が前に出ていて、暴虐さはあまり感じない。
激しいブラスト疾走パートもありつつ、緩急ある展開とともに、Alcestなどのファンでも耳心地よく楽しめるだろう。
ドラマティック度・・8 暴虐度・・7 優美度・・8 総合・・8
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ARMAGEDDA 「SVINDELDJUP ATTESTUP」
スウェーデンのブラックメタル、アルマゲッダの2020年作
2001年にデビュー、本作は2004年以来16年ぶりの復活作。トレモロのギターリフを乗せてブラスト疾走、
ダミ声ヴォーカルとともに、ミドルの疾走感も含んだオールドな雰囲気のブラックメタルを聴かせる。
緩急あるリズムチェンジに母国語によるヴォーカル、スウェディッシュらしい適度な叙情性も感じさせて
プリミティブなスタイルながらけっこう聴きやすい。スローテンポ主体のナンバーなど、激しいだけでなく、
ブラッケン・ロール的な味わいもあって、アナログ感に包まれた音質も含めて、いい塩梅のサウンドです。
6〜8分の楽曲を主体に、ラストは11分の大曲で、リフレイン長めでほどよい激しさを含んで展開する。
ドラマティック度・・7 暴虐度・・7 オールドブラック度・・8 総合・・7.5
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ARS MACABRA 「III」
イタリアのブラックメタル、アルス・マカブラの2013年作
暴虐なブラスト疾走で聴かせる正統派のブラックメタルスタイルを基本に、リズムチェンジを含んだ
ドラマティックな展開美を垣間見せる強力作。MARDUKあたりを思わせる荘厳でダークな世界観に包まれて
メロディックというほどではないが、ギターリフにはいくぶん叙情的なフックも垣間見せるのもよろしい。
ヴォーカルはかすれた低音で、喚き散らさない分、耳障りでないのもむしろよいのではないかと。
暗黒の空気と邪悪な気配…オールドスタイルを貫く本格派のブラックメタルが好きな方はぜひ。
ドラマティック度・・8 暴虐度・・8 暗黒度・・8 総合・・8
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ARTHEMESIA「DEVS-IRATVS」
フィンランドのメロディックブラックメタルバンド、アルテメシアの2000年作
激速ブラストビートに、カラスに似たがなり声を乗せて突っ走る凶悪サウンドだが、
バックには悲しげなビアノやキーボード、ギターもはっとするメロディを奏で、北欧の寒々しい叙情が感じられる。
音楽的には(Voのカラス声を含めて)英国のHECATE ENTHRONEDあたりに通じるものがあるが、
こちらはギターのメロディリフの組み立てが、北欧メロデス系(特にGATES OF ISHTAR的)で、
とても聴きやすい。激烈系メロブラとしては非常に高品質のアルバムだと思う。
メロディアス度・・8 シンフォニック度・・8 凶暴度・・9 総合・・8
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ArthemesiAA.O.A.
フィンランドのメロディックブラックメタル、アルテメシアの2009年作
1stから9年ぶりとなる2作目で、まだ活動していたのかと正直驚いた。
幻想的でミスティックなイントロから引き込まれるが、前作のメロデス的な作風から
静謐感のあるプログレッシブなサウンドへ変化している。10分以上の曲が2つに
他も8分、9分という大作志向で、ミドルテンポ主体ながら、SolefaldEnslavedなどを思わせる
知的な土着性というべき感触で神秘的な世界観を描いてゆく。随所にメロディックなギターを配したり、
叙情的な静けさを盛り込んだり、激しさはなくても飽きさせない。いかにも北欧らしい雰囲気の作品だ。
ドラマティック度・・8 暴虐度・・6 プログレッシブ度・・8 総合・・8
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ART INFERNO「ABYSSVS AVYSSVM INVOCAT
イタリアのメロディック・ブラックメタルバンド、アート・インフェルノの1999作
G/Key、B/Vo/Key、Drという3人編成で、ジャケのチープさからは想像がつかないが、
美麗なシンセを多用したドラマティックでプログレッシブなシンフォブラックをやっている。
まず荘厳なコーラス入りのイントロからして4分もあり、他の曲も6〜9分台が中心とけっこう長い。
疾走するリズムに乗せるメロディアスなギターとシンフォプログレ的なキーボードを中心にしたサウンドは、
音が軽いためブラストビートにしてもちっとも暴虐さを感じず、それがかえって非常に聴きやすい。
イタリアというお国柄か、クラシカルなシンセや変拍子のリズムなどにプログレ的アレンジを匂わせる。
シンフォニック度・・8 暴虐度・・5 プログレ度・・7 総合・・7.5
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ASA NOIR 「Fall of The Idols」
フィンランドのシンフォニック・ブラックメタル、アサ・ノアールの2014年作
2011年にデビュー、本作はフルアルバムとしての1作目。美麗なイントロで幕を開け、叙情的なツインギターに
低音ダミ声ヴォーカルを乗せて、Dimmu Borgirなどにも通じる質の高いシンフォニック・ブラックメタルを聴かせる。
随所に激しい疾走感も覗かせつつ、全体的には暴虐な激しさよりは、ピアノを含むクラシカルなシンセアレンジなど、
優美な感触が前に出ていて、リズムチェンジを含む緩急ある展開と知的な構築力も感じさせる。
ブラックメタルとしてのダークな味わいは希薄なので、むしろメロデスなどのファンにも楽しめるかも。
ドラマティック度・・8 暴虐度・・7 美麗度・・8 総合・・8
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Ascension「Consolamentum」
ドイツのブラックメタル、アセンションの2011年作
初期EMPERORMARDUK的なオールドなギターリフでブラスト疾走しつつ、
知的な構築センスと得体の知れない壮大さを覗かせるサウンドにわくわくする。
ミドルテンポで聴かせるドゥームな感触もあって、激しい疾走パートとのよいメリハリになっている。
ダークな邪悪さよりも内的精神世界に入り込むような世界観と、アナログ感漂う音作りもよい感じで、
サイケやポストロック的な雰囲気を巧みに取り入れた、プログレッシブなブラックメタルの力作である。
ドラマティック度・・8 壮大度・・8 構築センス・・9 総合・・8
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ASENBLUT 「BERSERKER」
ドイツのペイガン・デスメタル、アセンブラットの2016年作
ツインギターのリフに低音デスヴォイスを乗せた、重厚なペイガンデスメタルで、
随所に激しいブラスト疾走にメロディックな叙情を含んだサウンドを聴かせる。
ヴォーカルはデス声であるが、ギターの旋律はむしろ正統派のメロパワ寄りであったりして、
案外聴きやすく、あるいはヴァイキング寄りのメロデスとしても普通に楽しめるだろう。
Amon Amarthあたりにも通じるどっしりとした迫力もあり、全体的にもクオリティは高いのだが、
メロディック性と暴虐さがややどっちつかずで、全13曲がどれも似たり寄ったりなのが惜しい。
メロディック度・・7 疾走度・・8 重厚度・・8 総合・・7.5
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ASH BORER「Cold of Ages」
アメリカのブラックメタル、アシュ・ボラーの2012年作
ミステリアスなシンセによるイントロから始まり、ノイジーなギターを乗せて激しくブラスト疾走。
プリミティブな神秘性に包まれたサウンドは、WOLVES IN THE THRONE ROOMを思わせる。
10分以上の大曲4曲という構成で、ミドルテンポのパートやドゥーミィなスローテンポなども挟みながら、
緩急のつけられた楽曲には知的なアレンジ力も感じさせる。アナログ感を漂わせた聴き心地に、
欧州のブラックメタル勢とは異なる、神秘主義的な香りをまとわせた力作です。
ドラマティック度・・7 暴虐度・・7 神秘的ブラック度・・8 総合・・7.5
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Ashes Of Moon 「Darkness Where The Past Lay Sleeping」
オーストリアのプログレッシブ・デスメタル、アッシズ・オブ・ムーンの2014年作
2011年にデビューし、2作目となる。ウェットな叙情を含んだギターフレーズにデスヴォイスを乗せて、
ほどよい疾走感と知的な展開力で聴かせる、プログレッシブなメロディック・デスメタル。
ギターはヘヴィ過ぎず、メロディを奏でるパートも多いので、デスメタルとしての激しさよりは、
叙情的な感触が前に出ていて、いうなればポスト・メロデスという味わいで楽しめる。
ときに疾走する激しさも垣間見せつつ、7〜8分という大曲もわりと優雅でスタイリッシュに構築するところは、
OPETHなどにも通じるセンスも感じさせる。もう少しメロディや展開力にインパクトが加われば面白いと思う。
ドラマティック度・・7 暴虐度・・5 叙情度・・8 総合・・7.5
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Ashtar 「Kaikuja」
スイスのドゥーム・ブラックメタル、アシュターの2020年作
2015年にデビューし2作目となる。マルチプレイヤー2人組のユニットで、不穏なギターリフに
ダミ声ヴォーカルで激しくブラスト疾走しつつ、スローテンポではドゥーミィな暗黒性に包まれる。
物悲しくヴァイオリンが鳴り響く静寂パートから、ブラッケンなスラッジドゥームに展開してゆく、
13分の大曲もなかなか圧巻。ドゥーム部分でのリフレインはやや単調なところもあるのだが、
ときおりブラックメタルの激しさが同居していて、ほどよい緊張感と不穏な空気を描いている。
ドラマティック度・・7 暴虐度・・7 重厚度・・8 総合・・7.5
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ASIRA 「EFFERENCE」
イギリスのポストブラックメタル、アシラの2017年作
トレモロを含むツインギターにシンセを重ね、ダミ声ヴォーカルを乗せて激しくブラスト疾走する、
幻想的なポストブラックを聴かせる。シンフォニックな音の厚みと、マイルドなノーマル声を乗せた
物悲しい静謐感が同居していて、 Alcestにも通じる叙情美に包まれながら、緩急ある展開とともに、
10分を超える大曲を構築する。メロディックなギターにうっすらとしたシンセを重ねたところは、
プログレリスナーにも楽しめるくらいの優雅な感触で、メランコリックな空気感からの激しいブラスト疾走という振り幅の大きさは凄い。
CD-R仕様なのが惜しいが、一線級のバンドになれるだけのポテンシャルを感じさせる、見事な強力作である。
ドラマティック度・・8 暴虐度・・6 叙情度・・9 総合・・8


ASPHAGOR 「THE CLEANSING」
ドイツのブラックメタル、アスファゴールの2018年作
いかにもB級臭いジャケながら、不穏なギターリフにダミ声ヴォーカルを乗せて疾走する、
迫力たっぷりのオールドスタイルのブラックメタル。安定感のあるドラムも含めてどっしりとしたアンサンブルで、
この手としてはわりと重厚な聴き心地に、ほどよく叙情的なギターフレーズも入ってきて、なかなか聴きやすい。
ブラッケンなダークさとプリミティブな荒々しさも残しつつ、ミドルテンポのナンバーも含め、暴虐過ぎないサウンドで
突出した迫力はないものの、しっかりとした演奏力で楽曲を構築するところは、ブラックメタル初心者にも楽しめるかもしれない。
7分を超える長めの曲も多いが、疾走する激しさとスローパートのバランスも良く、案外心地よく楽しめる好作品。
ドラマティック度・・7 暴虐度・・7 荘厳度・・8 総合・・7.5
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Asphodele 「Jours Pales」
フランスのポストブラックメタル、アスフォデーレの2019年作
Amesoeursにも在籍する女性ミュージシャンのソロプロジェクトで、ベートーベンの月光のメロディを用いたクラシカルなイントロから、トレモロを含むギターにコケティッシュな女性ヴォーカルを乗せ、フランス語の男性声も絡む優雅なポストブラックを聴かせる。
激しい疾走感の中にもメランコリックな叙情がにじみ出ていて、ザラついたギターのフレーズはBURZUMあたりを思わせるが、アンダーグラウンドというよりは幻想的な雰囲気に包まれる。
Alcestの女性声版という感じでも楽しめるが、後半はけっこう男性ダミ声メインの曲もあるので、全曲女性声にして欲しかった。
ドラマティック度・7 激しさ度・6 優雅度・8 総合・8
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Astaarth「Gloria Burgundia」
フランスのフォーク・ブラックメタル、アスタースの2010年作
中世の戦いを思わせるエピックな雰囲気のイントロがしばらく続いたかと思うと、バグパイプの音色を響かせ疾走開始。
スタスタという軽めのドラムにうっすらとしたシンセアレンジとダミ声ヴォーカルを乗せたサウンドは、
邪悪さの薄いエピック・ブラックという感じで、暴虐な感じがしない分、ある意味とても聴きやすい。
クサメロを感じさせるギターなどもなかなかよい感じで、ヴァイオリンやフルート、アコーディオンなども入って
フォークメタル的な雰囲気もある。10分以上の大曲も多く、この手が苦手な方には退屈かもしれないが、
幻想的な雰囲気に包まれた好作だと思う。ブラックというには、迫力のなさがむしろ微笑ましい。
ドラマティック度・・8 暴虐度・・6 エピック度・・8 総合・・7.5



ASTARTE「Quod Superius, Sicut Inferius」
ギリシャのガールズ・ブラックメタルバンド、アシュタルテの3rd。2002作
女性3人によるバンドで、激しいブラストも含んでたたみかける、本格派のブラックメタル。
随所にメロディックなギターフレーズやシンフォニックなシンセアレンジも含ませつつ、
女性によるトリオとは思えない質の高さで、OLD MAN'S CHILLDばりのサウンドが楽しめる。
女性声によるスクリーム面含めて、どこか耽美な雰囲気があるのもよろしい。
ドラマティック度・・7 暴虐度・・8 耽美度・・8 総合・・7.5
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ASTARTEDemonized
ギリシャの美女系ブラックメタルバンド、アシュタルテの5th。2007作
女性のみによるブラックメタルバンド、ヴォーカル、シンセ、歌詞担当(?)という女性3人組で、ドラムは男性、
ギター、ベースはセッションミュージシャンらしい。あくまで美女3人のヴィジュアルを前面に出すという
感じのユニットなのでしょうな。サウンドの方は、ブラックメタルというほどの暗い暴虐性ではなく、
激しめに疾走するメロデス風のサウンドに、スクリームヴォイスを乗せたという雰囲気。
その女デス声にしてもアーエネのアンジェラ女子のように強烈な汚さではなく
なんとなく女性的なものが感じられる。曲自体の魅力はまだまだという気もするが、
女性ブラックメタラーという存在自体がもう魅力的ですわな。オフィシャルサイトはこちら
メロディアス度・・7 暴虐度・・7 楽曲・・7 総合・・7.5
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Atra Mustum 「Хаос (Chaos) 」
ロシアのシンフォニック・ブラックメタル、アトラ・ムスタムの2012年作
2004年にデビューし、2作目。女性シンセ奏者を含む5人編成で、美麗なシンセワークにギター重ね、
ガナり声ヴォーカルを乗せて疾走する、Dimmu Borgirタイプのシンフォニックブラックを聴かせる。
激しいブラストビートでも、きらびやかなシンセが優美な味わいになっていて、さほど暴虐性は感じさせない。
リズムチェンジ含む展開力のある構築性とともに、激しい疾走感とクラシカルな優美さのバランスも良く、
新鮮味はないが、女性奏者によるセンスあるシンセアレンジも含めて、質の高いシンフォブラが楽しめる。
ラスト曲の効果音入りのインスト曲は、なんとなく映画っぽいですね。全47分で長さもちょうどよい。
シンフォニック度・・8 暴虐度・・7 激しくも壮麗度・・8 総合・・8
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Atra Vetosus 「Apricity」
オーストラリアのブラックメタル、アトラ・ヴェトサスの2018年作
2011年にデビュー、本作は2作目となる。アコースティックによる優美なイントロから始まり、
トレモロのギターリフにダミ声ヴォーカル乗せて激しくブラスト疾走しつつ、朗々としたコーラスを加えた
スペイシーなスケール感とツインギターによる叙情性とともに、メロディックブラック的な感触も覗かせる。
8〜10分の大曲をメインに、随所にシンセによるアレンジやゆったりとした叙情パートなども含んだ
激しくも緩急ある展開力で、荘厳な暗黒美というべきドラマティックな世界観を描きだす。
カスカディアンブラックにも通じる、霞みのかかったような幻想的な空気感も魅力的で、
DISSECTIONなど北欧メロブラを思わせる部分もある。メロウな叙情たっぷりの傑作です。
ドラマティック度・・8 暴虐度・・7 荘厳で叙情度・・9 総合・・8
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ATROCITY 「Longing For Death」
ドイツのデスメタルバンド、アトロシティの2nd。1992年作
今でこそ、デジタルなゴシックメタルとして知られるバンドだが、この当時はバリバリのデスメタル。
しかもこのような名盤を残していたのである。なにやら荘厳なイントロからゆったりと始まり、
どことなく知性を感じさせるギターリフと、強烈なデスヴォイスを乗せて、しだいに楽曲は激しさを増す。
ときおりふっと垣間見せる叙情の瞬間がなかなか極端で、この当時はえらく斬新に思えた。
激しくて汚いのがデスメタルという認識を覆した一枚であるし、アメリカではなくドイツからそれが出てきたのも大きい。
プログレッシブかと言われれば、まだその一歩手前のサウンドではあるが、年代を思えばこの完成度の高さは驚異的だし、
彼らがMORGOTHとともに当時ドイツのデスメタルシーンの旗手であったことは忘れて欲しくはない。
メロディアス度・・7 テクニカル度・・7 変態度・・7 総合・・8
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ATROCITY「ATLANTIS」
ドイツのデス(ゴシック)メタルバンド、アトロシティの2004作
最近のアルバムはエレクトロ化していたようだが、このアルバムはデス色を色濃く残した濃密なコンセプト作である。
リズム面などにエレゴシック的な名残もあり、そこがかえって聴きやすさになっていて、
ゴシックメタル的な耽美性を混ぜながらも、非常に重厚で迫力のある音像。咆哮するデス声に、
キーボードによるオーケストレーションも荘厳でノーマル声パートや女性コーラスを導入したりとアレンジ的にも芸が細かい。
シンフォニック度・・7 暴虐度・・8 ゴシック度・・7 総合・・8
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ATROCITY 「Okkult」
ドイツのゴシック・デスメタル、アトロシティの2013年作
デビューは80年代で、初期はデスメタルだったものが、しだいにインダストリアル寄りになり、
前作では土着的なトラッドメタルであったりと、もはやジャンル分け不能のバンドであるが、
荘厳なイントロから始まる本作は、ブラックメタルばりのブルータルさを含んだ力作に仕上がった。
Leaves' Eyesのリブ嬢のダンナでもある、Alexanderによるダミ声のデスヴォイスの迫力と、
シンフォニックなアレンジに女性コーラスなどによる壮麗な味付けで、重厚な世界観を聴かせる。
ミステリアスな雰囲気はよいのだが、楽曲ごとのインパクや魅力の点ではやや物足りない。
ドラマティック度・・7 ゴシック・デス度・・8 重厚度・・8 総合・・7.5



Atrum Tempestas 「Neant」
フィンランドのポスト・ブラックメタル、アトラム・テンペスタスの2014年作
14分、11分という大曲を中心に全3曲という構成で、叙情的なギターフレーズにダミ声ヴォーカルを乗せた
メランコリックな雰囲気のサウンド。トレモロのギターリフとともに、Alcestのような物悲しい美しさが前に出ていて、
リズムチェンジなども適度にありつつ、基本的にはゆったりとした聴き心地。暴虐さや暗黒性はあまり感じないが、
ラスト曲の後半には激しいブラスト疾走も現れる。ただ全31分というのはやや物足りないかな。
ドラマティック度・・7 暴虐度・・6 メランコリック度・・8 総合・・7.5
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AT THE GATES「Red in the Sky Is Ours」
スウェーデンのメロディックデスメタル、アット・ザ・ゲイツの1st。1992年作
北欧メロデスのムーブが起きる前に、デビューしていたこのバンドは、3rdのメロデス路線、4thでのデスラッシュ路線が
傑作として知られているが、本デビュー作は緩急の激しい、リズムチェンジで聴かせるテクニカルデスメタルであった。
DEATHのチャック・シュルディナーに影響を受けたとおぼしき、ディープな喚き声ヴォーカルを乗せて、
展開の激しい楽曲の中に、北欧らしいギターフレーズを随所に聴かせる。唐突に物悲しいヴァイオリンが鳴り響く
そのエキセントリックなセンスと強烈なインパクトという点でも、決して忘れられない作品である。
メロディアス度・・7 暴虐度・・8 テクデス度・・8 総合・・8
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AT THE GATES「With Fear I Kiss the Burning Darkness」
スウェーデンのメロディックデスメタル、アット・ザ・ゲイツの2nd。1993作
3rd以降にくらべると、プロダクション的にもまだB級臭さが残り、ドタバタとした展開のテクニカルデスメタルという雰囲気である。
面白さの点では1stThe Red in the Sky Is Oursの方に軍配が上がるが、ツインギターによるリフのセンスや、
知的な展開力にはさすがというものがある。そして唐突で強引な楽曲は、むしろプログレッシブデスの元祖でもあったのだと再認識。
リマスター再発盤にはライブ音源2曲とデモ1曲を追加収録。
メロディアス度・・7 暴虐度・・7 テクデス度・・8 総合・・7.5
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AT THE GATESTerminal Spirit Disease
スウェーデンのメロディックデスメタル、アット・ザ・ゲイツの3rd。1994作
彼らの4th「Slaughter of the Soul」 は、後のThe Hauntedへとつながる北欧デスラッシュ系の傑作として知られるが、
1st「The Red in the Sky Is Ours」はむしろテクニカルデスの傑作であり、そして本作3rdはメロディックデスの傑作である。
もの悲しいチェロによるイントロとともに、哀愁のリフが襲いかかる。やや耳障りなわめき声系のヴォーカルとともに激しく疾走しつつ、
クールなリフとときに煽情的なフレーズを奏でるギターワークが効果的だ。やはりこの時代のバンドの音には
最近のデスコア系にはないロマンがあるのだなあ。アルバム後半はライブ音源になっていて、当時の勢いある演奏が楽しめる。
リマスター再発盤には1993年のライブ音源を3曲追加収録。
メロディアス度・・8 暴虐度・・7 ギターワーク度・・9 総合・・8
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AT THE GATES「Slaughter of the Soul」
スウェーデンのメロディックデスメタル、アット・ザ・ゲイツの4th。1995年作
北欧メロデスの名作であり、クールなギターリフと甘すぎない叙情で疾走するサウンドは、
後のTHE HAUNTEDの結成など、多くのデスラッシュ系バンドにも影響を与えた。
二本のギターだけで、ここまでの有機的なリフとメロディを組み立てられるセンスは、
やはり見事だし、昨今の若手バンドにはなかなか真似のできない芸当だろう。
ボーナストラックにデモやカヴァー曲など6曲を追加。本作をまだ未聴の方はぜひ。
再発盤に付属のDVDには1995年ポーランドでのライブ映像と、アルバムのメイキング映像を収録。
メロディアス度・・7 暴虐度・・8 リフセンス度・・9 総合・・8.5
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AT THE GATES「Purgatory Unleashed: Live at Wacken」
スウェーデンのメロディックデスメタル、アット・ザ・ゲイツのライブアルバム。2010年作
北欧メロデスの黎明期を支え、1992〜1995年の間に4作を残して解散するも、
The Hauntedの結成をはじめとして、後の多くのバンドに多大な影響を与えた
この伝説のバンドが2008年に行ったWackenでの復活ライブを収録したアルバム。
観客の歓声に導かれて、4th「Slaughter of the Soul」からの曲で幕を開け、
ツインギターのクールなリフで疾走開始、甦ったかつてのサウンドに感涙だ。
その後も1st〜4thまでの楽曲をたっぷり18曲。甘すぎない叙情をもった激しくも美しい、
オールドスタイルのメロデスを楽しめる。同タイトルのDVDボックスもあり。ファンはチェック!
オールドメロデス度・・9 ライブ演奏・・9 アットザゲイッ度・・10 総合・・8
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At The Gates 「At War With Reality」
スウェーデンのメロディック・デスメタル、アット・ザ・ゲイツの2014年作
IN FLAMESやDARK TRANQUILLITYとともに、北欧メロデスの創世記を支えた重鎮バンド。
90年代に4作を残して消えてしまうが、2008年に復活ライブを行い、本作は復活のスタジオ作だ。
硬質でクールなギターリフと吐き捨てヴォーカルを乗せて疾走するデスラッシュ的な感触に、
甘すぎない叙情性を含んだサウンドは、かつての「Slaughter of the Soul」を思わせる、
あの頃のアット・ザ・ゲイツ節である。The Hauntedを通過したスタイリッシュな感じもいくぶんあるが
ダークなヘヴィネスを巧みに取り込んだことで、古臭さを感じさせない見事な仕上がりとなっている。
ドラマティック度・・7 疾走度・・8 アット・ザ・ゲイツ度・・9 総合・・8
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At The Gates 「To Drink from the Night Itself 」
スウェーデンのメロディック・デスメタル、アット・ザ・ゲイツの2018年作
1992年にデビュー、北欧メロデス黎明期から活動するバンドで、2014年の復活作に続く通算6作目。
シンフォニックなイントロに続くのは、AT THE GATES節というべきツインギターのリフで疾走する、
オールドスタイルのサウンドで、脱退したアンダース・ビョーラーの不在を感じさせない聴き心地。
リズムチェンジによる緩急ある展開力に、随所に北欧メロデスらしい叙情性を覗かせつつ、
迫力ある疾走感でたたみかけるスタイルは、まさにファンが望むこのバンドらしい作風だろう。
一方では、わりとスタイリッシュでキャッチーな感触を融合させていて、メロディックなギターリフとともに、
かつてのThe Hauntedにも通じる、クールな北欧メロデスラッシュとしても楽しめる強力作だ。
ドラマティック度・・8 疾走度・・8 アットザゲイツ度・・8 総合・・8 
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AT THE GATES 「THE NIGHTMARE OF BEING」
スウェーデンのメロディック・デスメタル、アット・ザ・ゲイツの2021年作
2008年に復活、2014年の復活アルバムからは順調な活動をへて、本作は通算7作目となる。
アコースティックなイントロから、扇情的なツインギターにデスヴォイスを乗せて疾走する、オールドスタイルのイエテボリ系メロデスが炸裂する。
トレモロから泣きのフレーズまで、北欧らしさたっぷりのギタープレイもさすがという他なく、オリジナルメンバーであるトーマス・リンドバーグの叫びにも似た歌声も、このバンドのひとつの個性となっている。
かつてを思わせるオールドな疾走ナンバーから、今作では、スローテンポのナンバーなども、メランコリックな味わいになっている。ベテラン健在の強力なアルバムだ。
ボーナスDiscには2018〜2019年のライブを収録、いきなりKING CRIMSON「Red」のカヴァーで驚くが、その後もストリングカルテットをゲストに優雅な感触も覗かせる。
ドラマティック度・8 激しさ度・7 叙情度・8 総合・8 
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AU CHAMP DES MORTS 「Dans La Joie」
フランスのブラックメタル、チャンプ・デス・モーティスの2017年作
ANOREXIA NERVOSAのVo&Gであるステファン・ベイル率いるバンドで、
ダークな叙情性を感じさせるギターリフにうっすらとしたシンセアレンジとダミ声ヴォーカルを乗せ
寒々しい空気感の中に物悲しい叙情を含ませたサウンド。ときにジェントルなノーマルヴォイスも加わって、
随所にAlcestを思わせる美しさも垣間見せる。激しくブラスト疾走しつつも、トレモロのギターリフなど、
メロディックな感触が前に出ているので、暴虐な感じはさほどなく、8〜10分という大曲も緩急のある展開で、
Wolves in the Throne Roomにも通じるミステリアスな気配とともに、メランコリックなブラックメタルが味わえる力作だ。
ドラマティック度・・8 暴虐度・・7 メランコリックな叙情度・・9 総合・・8
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Automb 「Esoterica」
アメリカのブラックメタル、オートゥームの2018年作
女性Vo&BとGによる2人組で、詠唱のような怪しいイントロから、トレモロを含むノイジーなギターに
グロウルヴォーカルを乗せて、激しくブラスト疾走するプリミティブなブラックメタルを聴かせる。
Danielle嬢のゲボ声Voは女性とは思えないアンダーグラウンドな迫力があって、
ほどよくこもり気味の音質も含めて、初期のMAYHEMのようなおどろおどろしい暗黒性が味わえる。
ドラムはゲストのようだが、ブラストを含む激しさは、EMPERORのタリムばりでなかなかの技量である。
女性Voの本格派ブラックメタルという点では、Darkened Nocturn Slaughtercultなどのファンもいかが。
ドラマティック度・7 暴虐度・8 プリミティブ度・8 総合・8

Autumn Leaves「As Night Conquers Day」
デンマークのメロデスバンド、オータム・リーヴスの2nd。1999作
90年代も後半になり最初のメロデスブームに斜陽が射しはじめた世紀末に、
王道ともいうべき古き良きメロデスを追求していたバンドも少なからずいた。
ツインギターの叙情的なフレーズを乗せて疾走するこのバンドのスタイルは
初期のDARK TRANQUILLITYAT THE GATES的で、甘すぎないメロディを
ブルータルな攻撃力と融合させた、しごくまっとうなメロディックデスメタルである。
吐き捨て形のヴォーカルと、ザクザクとしたリフの感触がオールドな雰囲気でとてもいい。
ジャケの地味さでずっとスルーしていましたが、これは掘り出し物デス。
メロディアス度・・7 暴虐度・・8 ドラマティック度・・7 総合・・8
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Ave Tenebrae 「Tandis Que Les Perjures Se Meurent」
フランスのブラックメタル、アヴェ・テネブレの2016年作
トレモロを含むメロディックなツインギターにいかにもブラックらしいダミ声ヴォーカルを乗せてブラスト疾走、
緩急のあるリズムチェンジと激しくも叙情的な味わいで、ほどよくプリミティブな世界観を描き出す。
軽すぎず重すぎずというバランスに、曲によっては優雅と言ってよいリズム展開とともに知的な味わいも感じさせる。
ブラックメタルとしての暴虐な激しさの中に、ふっとアコースティックなパートを挿入するなど、
メロディックな叙情性を取り入れたアレンジセンスも見事。フレンチな優雅さに包まれた高品質作。
ドラマティック度・・8 暴虐度・・8 激しくも優雅度・・8 総合・・8
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AVSLUT「Tyranni」
スウェーデンのブラックメタル、アヴスラットの2019年作
2018年にデビューし、2作目となる。ツインギターのリフにダミ声ヴォーカルを乗せて激しくブラスト疾走する、
寒々しくブルータルなブラックメタルを聴かせる。トレモロを含む適度に叙情的なフレーズも覗かせつつ、
コールドな暴虐性に包まれたサウンドで、甘すぎない北欧メロブラ的な感触でも楽しめる。
パワフルなドラムも重厚な迫力で楽曲を彩っていて、MARDUKあたりと比べてもひけをとらない。
ラスト曲では叙情的なメロディアス性に包まれる。激烈な激しさと北欧ブラックらしい空気が同居した強力作。
ドラマティック度・・7 暴虐度・・8 北欧度・・8 総合・・8
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AXAMENTA「eVeR-ARch-][-teCh-tURe」
ベルギーのプログレッシブ・ブラックメタルバンド、アクサメンタの2nd。2006年作
知的さをただよわせた構成と、ザクザクとしたスラッシーなリフで硬派に疾走しつつ、
バックにはDIMMU BORGIRCRADLE OF FILTHのような荘厳なシンセワークが美しい。
そしてプログレッシブな曲展開やリズム面での複雑なキメは、EXTOLあたりを思わせるセンスで、
これがまたいちいちカッコいい。メンバーがPAIN OF SALVATIONが好きだというだけあり、
ProgMetal的なコンセプチュアルな雰囲気と濃密な世界観をたっぷりと感じさせる。
ダークな冷気とシアトリカルな構築性、そしてブラックメタルとしての激しさを併せ持ちつつ
オールドなスラッシュメタル的質感も有した、まさにエクストリーム系のミクスチャーサウンド。
大仰かつプログレッシブなデス系メタルが好き方は必聴の傑作だ。
メロディアス度・・7 プログレッシブ度・・8 知的センス度・・9 総合・・8.5
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Azmodan 「Evil Obscurity」
ドイツのブラックメタル、アズモダンの1998年作
ほどよく叙情的なギターにうっすらとしたシンセアレンジ、ダミ声ヴォーカルを乗せて疾走する
シンフォニック・ブラックメタル。マイナー感のあるB級っぽさがカルトな味わいになっていて、
随所に妖艶な女性コーラスを加えた耽美な雰囲気にはゴシック的な味わいもあり、
優美なシンセアレンジとともに、暴虐過ぎない激しすぎない聴きやすさで楽しめる。
楽曲は6〜9分前後とわりと長めなので、即効性を求める方には物足りなさもあるだろうが、
いくぶん煮え切らない耽美なシンフォブラックをだらだらと聴ける方はどうぞ。
ドラマティック度・・7 暴虐度・・7 耽美度・・8 総合・・7
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B

Balfor 「Barbaric Blood」
ウクライナのペイガン・ブラックメタル、バルフォーの2010年作
重厚なツインギターにダミ声ヴォーカルを乗せ、エピックなスケール感を漂わせる
デスメタル寄りのプラックメタルサウンド。ブラスト疾走するブルータルな激しさと、
甘すぎない程度のメロディックな叙情も含んだ作風は、演奏面でのクオリティの高さもあって、
辺境臭さをあまり感じさせない。あるいはブラックメタル寄りのメロデスとしても楽しめるかも。
ペイガンな要素や土着的なメロデイはあまりないので、わりと硬派寄りの強力作デス。
ドラマティック度・・8 暴虐度・・8 ペイガン度・・7 総合・・8
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BAL-SAGOTH 「Starfire Burning Upon the Ice-Veild Throne of Ultima Thule」
イギリスのエピック・ブラックメタルバンド、バル・サゴスの2nd。1996年作
イントロからしてもうファンタジー映画ばりの大仰さであるが、楽曲が始まるとダミ声ヴォーカルと語りのような低音声とともに、
シンフォニックなシンセアレンジとクサメロたっぷりのギターでたたみかける、シンフォ・ブラックメタルが炸裂する。
激しいブラストも随所に含みつつ、基本はシンフォニックなメロスピ風味に、適度にダークな香りも漂わせた
ファンタジーな世界観にたっぷりと浸れます。クサすぎる、大仰すぎる、エピック・シンフォブラックの傑作!
シンフォニック度・・9 暴虐度・・7 ファンタジック度・・10 総合・・8.5
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BAL-SAGOTH「BATTLE MAGIC」
イギリスのエピック・ブラックメタルバンド、バル・サゴスの3rd。1998年作
1stの時点ではずいぶんショボかったものの、2nd「Starfire Burning upon Ice Veiled」において、
まるでファンタジーゲームのような壮麗な世界観で聴かせるシンフォブラックサウンドを確立、
そして続く本作で決定打となった。シンセによる美麗なイントロは映画のような雰囲気だが、曲が始まるとクサメロまくりで疾走開始、
美しいシンセとクサフレーズを奏でるギターににんまりしつつ、彼らのファンタジー絵巻にどっぷり浸る。
ヴォーカルはダミ声ながらちっとも暴虐ではなく、曲間に入る語りなどはとてもエピックな感じである。
とにかくこの、笑っちゃうほどに大仰かつ勇壮、そしてクサく、シンフォニックなサウンドは一聴の価値ありだ。
シンフォニック度・・9 暴虐度・・6 ファンタジック度・・10 総合・・8.5
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BAL-SAGOTH「The Power Cosmic」
イギリスのエピック・ブラックメタルバンド、バル・サゴスの4th。1999年作
前作がRPGのようなファンタジー世界なら、今度はスターウォーズみたいなSFか。笑
いや、このジャケのインパクトもすごいですが、サウンドも相変わらずのクサメロまくりの
壮大なシンフォフォブラック。シンセによる美麗なイントロからしてもう胸踊ります。
曲が始まると、前作よりもいくぶんパワフルさを増した疾走サウンドで、クサメロを奏でるギターに
シンセが重なり、恥ずかしげもないバルサゴス節が炸裂。宇宙征服を企む悪の皇帝との戦いだ!
後にDRAGONFORCEに加入するドラマーのプレイもツーバスドコドコでいい感じ。
アニメかコミック的なファンタジックブラックを聴きたいなら、このバンドで決まりだ!
シンフォニック度・・8 暴虐度・・7 ファンタジック度・・9 総合・・8
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BAL-SAGOTH「ATLANTIS ASCENDANT」
イギリスのシンフォニックブラックメタルバンド、バル・サゴスの5th。2001年作
1stから聴いているが、作を追うごとにこけおどしシンフォニック度が増大してゆく。
3rdの「BATTLE MAGIC」で壮大華麗なファンタジー世界を描いたと思ったら、前作ではスターウォーズ的なSFに、
そして今作はSFチックなファンタジーらしい(好きだねぇ…)。基本は疾走型のシンフォブラックなのだが、
じつにメロディアスかつ大げさきわまりない。ギターメロにしろ、バックで常に鳴っている美麗なシンセも、
過剰なまでにシンフォニックでファンタジック。まだこのバンドを聴いたことのない方はきっと衝撃を受けるに違いない。
メロディアス度・・8 シンフォニック度・・8 暴虐度・・6 総合・・8
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BAL-SAGOTH「The Chthonic Chronicles」
イギリスのシンフォニックブラックメタルバンド、バル・サゴスの6th。2006年作
毎度のこと、ゲーム的なファンタジーやSFをモチーフに、エセ壮大風で濃すぎるほどに濃い
シンフォニック(ブラック)メタルサウンドを恥ずかしげもなく披露してきたこのバンド。
ドラムのデイブ・マッキントッシュはDRAGONFORCEに加入、今作からドラマーが交代している。
サウンドの方は、相変わらずの大仰なキーボードをたっぷり導入したシンフォブラックであるが、
今作は古代帝国や神話などがテーマらしく、これまでのように疾走しまくりではなく
ミスティックな香りをただよわせたコンセプチュアルな雰囲気となっている。
メロディアス度・・8 シンフォニック度・・8 暴虐度・・7 総合・・8
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Barren Earth「Curse of the Red River」
フィンランドのゴシック・デスメタル、バレン・アースの2010年作
ツインギターにシンセを含む6人組で、叙情的かつメランコリックなフレーズを奏でるツインギターに、
うっすらとしたシンセが絡み、咆哮するスクリームヴォイスを乗せたサウンドは、ときにゴシックメタル的でもある。
ほのかに漂うプログレッシブな香りはOPETHなどを思わせる部分もあり、単なるメロデス、ゴシックの枠にとらわれない
巧妙なアレンジが気に入った。ときに土着的な色をまじえながら流麗なメロディを奏でるツインギターのセンスもなかなかだし、
バックで鳴るメロトロン的なシンセの音も、どこかおどろおどろしく幻想的だ。緩急の中にノーマル声を織りまぜたり、
繊細なフルートやピアノの音色も使うなど、キメ細かな構築センスが素晴らしい。プログレッシブデス期待のハンド現る。
メロディアス度・・8 OPETH風センス度・・9 メランコリック度・・8 総合・・8.5
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BARREN EARTH「The Devil's Resolve」
フィンランドのプログレッシブデスメタル、バレン・アースの2012年作
元AMORPHISのシンセとベース、SWALLOW THE SUNのヴォーカル、MOONSORROWのドラム、
WALTARI、KREATORのギターといった豪華なメンバーが集結したこのバンド、前作も素晴らしい出来であったが、
本作もメランコリックな叙情と知的でプログレッシブな香りを漂わせた質の高いサウンドが楽しめる。
オルガンなどもまじえた美しいシンセワークと、ときに土着性も含んだギターフレーズ、
デス声にノーマルヴォイスもまじえた、メリハリのついた展開力とアレンジで優雅ですらある聴き心地は、
AMORPHISをProgMetal化したような雰囲気でもある。ジャケのイメージで敬遠している方にも聴いていただきたいセンス抜群の作品。
ドラマティック度・・8 プログレッシブ度・・8 アレンジセンス・・9 総合・・8
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Barren Earth 「On Lonely Towers」
フィンランドのプログレッシブ・デスメタル、バレン・アースの2015年作
元AMORPHISのシンセとベース、、MOONSORROWのドラム、WALTARIのギターなど豪華メンバーが集結したこのバンド、
3作目となる本作ではヴォーカルのミッコ(Swallow the Sun)が脱退したことでVoが交代している。
叙情的なイントロから幕を開け、ツインギターのリフと叙情フレーズに吐き捨てのデスヴォイスを乗せた
知的で構築的なメロディックデスメタルが炸裂する。雰囲気としてはやはり「壮大になったAMORPHIS」、
という言いかたが一番近いかと思う。メロトロンの音色を含んだよりプログレ的なシンセアレンジや、
適度な激しいProgMetal的な展開力も素晴らしい。10分を超える大曲ではじっくりと聴かせるスローパートに
ストリングスのアレンジも加わったりと、叙情豊かでメロウな耳心地。じつに見事な傑作に仕上がっています。
ドラマティック度・・8 叙情度・・8 知的アレンジ度・・9 総合・・8.5
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Barren Earth 「A Complex of Cages」
フィンランドのプログレッシブ・デスメタル、バレン・アースの2018年作
MOONSORROW、AMORPHIS、WALTARI、KREATORなどのメンバーを含むバンド。4作目となる本作は
エレクトロなシンセで幕を開け、変則リズムにクールなギターリフを乗せたプログレッシブな味わいに、
朗々としたノーマル声にデス声を絡ませて、OPETHにも通じる知的で優雅なサウンドを展開する。
マイルドなヴォーカルが歌い上げるフィンランドのバンドらしいメランコリックな空気感に、ヴィンテージなオルガンや
ときにピアノを含むシンセ、叙情的なギターとともに、緩急あるドラマティックなスケール感に包まれる。
10分を超える大曲では、アラビックな雰囲気とともに、ゆったりとしたサイケなプログレ風味で楽しめる。
ほどよいヘヴィさを残しつつ、北欧らしい叙情性とプログレッシブな構築力で聴かせる強力作です。
ドラマティック度・・8 プログレッシブ度・・8 メランコリック度・・7 総合・・8
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BATHORY 「In Memory of Quorthon Vol.II」
スウェーデンのエピック・ダークメタル、バソリーのベストアルバム。2006年作
1984年にデビュー、クォーソンの個人ユニットであり、ダークなメタルサウンドと北欧神話などのエピカルな要素を合わせた
北欧ヴァイキングメタルの原点ともされる存在。そのクォーソンは2004年に死去、本作はBlack Markレーベルのオーナーでもある、
クォーソンの父親が選曲した追悼的なベストアルバムである。SEやシンセアレンジを含んだ幻想的な雰囲気に、
朗々としたヴォーカルを乗せドラマティックで勇壮なテイストを盛り込んだ独自のサウンドは、内的な強固な世界観を形成している。
打ち込みリズムの曲もあって音質はややチープながら、ヨーロッパのメタルシーンに多大な影響を与えたバソリーの音楽性と
その歴史を改めて俯瞰できる作品だ。Black Sabbath“War Pigs”、MOTORHEAD“ACE OF SPADES”のカヴァーも収録。
幻想度・・8 勇壮度・・8 北欧度・・8 総合・・7.5
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Battle Dagorath「Eternal Throne」
アメリカのブラックメタルバンド、バトル・ダゴラスの2009年作
ノイジーなギターと絶叫ヴォーカルを乗せてブラスト疾走する、プリミティブブラックで、
古き良きアナログ的な音質がまたいい感じだ。シンセによる味付けはごくわずかで
余分な装飾がないだけより生々しい。たとえば、Wolves in the Throne Roomあたりよりは
もっとノルウェイジャンブラックに近いか。ただし、暗黒度はやや薄めなので案外聴きやすい。
リフ主体なのでメロディを感じさせる部分はあまりなく、いくぶん単調な感は否めないが。
メロディアス度・・7 暴虐度・・7 暗黒度・・7 総合・・7.5
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Battle Dagorath「Ancient Wraith」
アメリカのブラックメタルバンド、バトル・ダゴラスの2011年作
ノイジーなギターリフと絶叫ヴォーカルを乗せて激しくブラスト疾走するサウンドで
Wolves in the Throne Roomあたりにも通じるミステリアスな雰囲気で聴かせる。
10分以上の大曲が中心であるが、これといった展開がないのがやや退屈か。ラスト曲はノイズばかり。
ともかく、アナログ感たっぷりのプリミティブなブラックメタルが楽しめる作品ではある。
ドラマティック度・・7 暴虐度・・7 ミステリアス度・・8 総合・・7.5

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Battlesoul 「Lay down Thy Burdens」
カナダのフォークメロデス、バトルソウルの2011年作
ツインギターにダミ声ヴォーカルを乗せて激しく疾走しつつ、随所にフォーキッシュなメロディを盛り込んだ、
メロデス寄りのヴァイキングメタルサウンド。朗々としたノーマル声を織り込んで、勇壮な世界観を描きつつ、
B級気味のクサメロ感触もあって、わりと正統派メロパワ風のツインギターも覗かせるところもある。
メロデスばりの疾走曲でも、途中に牧歌的なフォークメロディが現れたりと、フックのある展開はなかなか楽しい。
一方では、長めの曲では煮え切らない中庸感もあり、楽曲のアレンジの質がマイナー臭さとなっている。
エピックな世界観はよいので、クサメロ感を増やすか、スタイリッシュにそぎ落とすか、今後の成長に期待したい。
ドラマティック度・・8 疾走度・・8 フォーキー度・・7 総合・・7.5
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BEALIAHAnthology of the Undead
インドネシアのブラックメタルバンド、ベアリアのベストアルバム。2008作
1996〜1999年にかけて活動していたバンドで、サウンドの方は重厚なギターに
美しいシンセをバックに疾走する、なかなか本格派のシンフォブラック。
絡みつくようなギターリフは、むしろ正統派メタルやドゥームメタル的な質感で、
アンダーグラウンドな感じがなかなかいい。ヴォーカルの迫力はいまひとつながら、
ミスティックな世界観はときに耽美な叙情をかもしだす。音質にバラつきがあるのは惜しいが
世界レベルでみてもなかなか質の高いブラックメタルバンドであったと思う。
シンフォニック度・・7 暴虐度・・7 ミスティック度・・8 総合・・7.5
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BEGERITH 「A.D.A.M.」
ポーランドのブラックメタル、ベゲリスの2017年作
妖しげなイントロ曲から、ツインギターのリフにうっすらとしたシンセを重ね、低音デスヴォイスとともに、
ブラストビートで激しくたたみかける、重厚なブラックメタルスタイル。ブルータルな激烈さの中で、
ギターは随所にメロディックなフレーズも奏で、シンセによるシンフォブラック的な味付けとともに、
緩急あるリズムチェンジでメリハリのある楽曲を構築する。マシンガンのようなドラムはブルデス的でもあり、
同国の先輩、BEHEMOTHにもひけをとらない荘厳な迫力に包まれながら、ギターはヘヴィ過ぎずに、
わりと叙情的なメロディも覗かせるので、全体的には意外と聴きやすい。今後の深化に期待のバンドです。
ドラマティック度・・7 暴虐度・・8 重厚度・・8 総合・・8
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BEHEMOTHDemonica
ポーランドのブラック・デスメタル、ベヒーモスの2枚組デモ音源集。2006/2011年作
ブルータルデスメタルの代表として語られる彼らだが、デビュー当時は、原初的なブラックメタルスタイルであった。
Disc1には「The Return of The Northern Moon」と題された1992年のデモテープ音源に
1994年のスタジオセッション、EP「And The Forests Dream Eternally」のリレコーディング音源を収録。
Disc2には、1993年のデモテープ「From The Pagan Vastlands」に未発音源などを収録。
ノイジーなギターリフとガナりヴォーカルで聴かせる、初期BURZUMに影響を受けたとおぼしき、
ミスティックでアンダーグラウンドな香りのするブラックメタルサウンドを繰り広げている。
のちの作風のような怒濤の疾走感はなく、スローからミドルのじっとりとした妖しさが魅力で
北欧の初期ブラックメタル勢を思わせる、地下に立ち込める怨念のような邪悪さがにじみ出ている。
ベヒモスのファンはもちろん、プリミティブなブラックメタル愛好家もチェックすべき内容ですね。
ドラマティック度・・7 暴虐度・・7 初期ブラック度・・9 総合・・8
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BEHEMOTHChaotica - The Essence of The Underworld
ポーランドのブラック・デスメタル、ベヒーモスの1st/2ndカップリング2枚組。
1995年の1stSventevithと1996年の2nd「Grom」の全曲に加え、
ミニアルバムAnd The Forests Dream Eternallyの音源を収録したCD2枚組。
現在ではブルータルなデスメタル風味を強めてきているが、初期の作風はやBURZUM
EMPERORにも通じるような、アンダーグラウンドな香りを漂わせたブラックメタルであった。
こもり気味の音質も含めてややチープながらも、プリミティブでミスティックな妖しさたっぷりで、
これぞ原初的ブラックメタルというサウンドは、聴いていて思わずにんまりである。
2ndになると、より緩急のついた知的な展開力を見せるようになり、激しさと叙情性をまとわせたスタイルは、
この時点ですでに非常に完成されている。1999年の貴重なライブEPが付いた3枚組ボックスセットもあり。
ドラマティック度・・7 暴虐度・・7 ミスティック度・・8 総合・・8
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BEHEMOTHSatanica
ポーランドのブルータル・ブラックメタルバンド、ベヘモスの4th。2000作
アルバムごとにブルータルなデスメタル度を高めてゆく彼らだが、分岐点となったのはこのアルバムあたりからか。
ブラックとデスの中間といったサウンドで、禍々しく疾走しつつもヘヴィさがある。
突進するだけでなくリズム的なテクニカルさもあり、迫力あるツーバスドラムもかなり凄い。
収録時間が31分ほどしかないのだが、たしかにこれ以上聴いたら疲れそうな気もする(笑)
ブルータルでありながら、ブラックメタルとしての名残りである叙情性もほのかに感じられる。
ドラマティック度・・7 暴虐度・・9 楽曲・・7 総合・・7.5
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BEHEMOTHThelema.6
ポーランドのブルータル・ブラックメタルバンド、ベヘモスの5th。2001作
初期のブラックメタル色に、前作あたりからブルータルデス的な重厚さを加味し、
今作では音質も格段に向上し、重くかつ速いという、とてもクオリティの高いサウンドになっている。
ブラックメタルの香りを残す禍々しさと、カッチリとした隙のないタイトな演奏が合わさって、
邪悪でありながらもチープな雰囲気者ではなく、「音圧」で聴かせる暴虐さが見事だ。
意外にメロディを感じさせる部分もあるし、基本ブラストで突進する疾走時の迫力と説得力も凄い。
ドラマティック度・・7 暴虐度・・9 楽曲・・8 総合・・8
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BEHEMOTHZos Kia Cultus
ポーランドのブラックメタルバンド、ベヘモスの6th。2002作
前作からサウンドの説得力を高め、本作でもデスメタル的な感触の中に、
ブラックメタルとしての邪悪な禍々しさをたっぷり封入して聴かせてくれる。
激烈なブラストビートに乗るギターリフはある種テクニカルですらあり、
ときに中東メロディ的なフレーズを聴かせつつ、あくまで暴虐さを演出している。
この後7th、8thとさらなる高みへ登ってゆくが、質の高さではすでにこの時点でも充分。
ドラマティック度・・7 暴虐度・・9 荘厳度・・8 総合・・8
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BEHEMOTH「demigod」
ポーランドのブラック・デスメタルバンド、ベヘモスの7th。2005作
整合感のある演奏で、暴虐にブラストしつつも、音はカッチリしているのでとても聴きやすい。
Voもどちらかというとデス声に近いので、全体的にはデスとブラックの中間的な音像だが、
ギターによるメロディの入れ方や、重さよりも疾走感を重視している点などはやはりブラックメタル的。
曲自体は3〜4分台が大半で、比較的展開もシンプルなのでとくに何も考えずに楽しめる。
しかし、このマシンガンのようなドラムは物凄い。VADERといいポーランドはつくづく凄い国だ…。
ドラマティック度・・7 暴虐度・・10 荘厳度・・9 総合・・8

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BEHEMOTH「The Apostasy」
ポーランドのブラックメタルバンド、ベヒーモスのアルバム。2007作
前作も相当の強度と暴虐度の高いアルバムであったが、続く今作も見事な出来。
マシンガンのようなブラストビートで突進する暴虐性はそのままに、今作ではサウンドに魔界の邪神のごとき荘厳さが加わって、
今まで以上に「浸れる」作品となっているのである。これまでになくメロディを聴かせる部分が増しており、
魅力的なギターリフやソロが効果的に導入されたことで、邪悪でありながらも聴きやすいという、奇跡的なバランスとなっている。
全39分というのもこの密度ならちょうど良い。完成度の点でバンドの最高傑作だろう。
ドラマティック度・・8 暴虐度・・9 荘厳度・・10 総合・・8.5
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BEHEMOTH「At The Arena Ov Aion - Live Apostasy」
ポーランドのブラックメタルバンド、ベヒーモスのライブアルバム。2008年作
本作は2008年フランスでのステージを収録したライブ音源。ライブにおいてもその抜群の演奏力で、
アルバム以上に禍々しく暴虐なサウンドが繰り広げられる。ブルータルに突進する激しさのなかに、
ヨーロピアンな翳と叙情を感じさせるのが彼らの特徴であるが、クリアな音質とベテランらしい音の説得力が、
その辺の若手には決して真似のできない荘厳な迫力を生み出している。全17曲、
すさまじく激烈だが、タイトな演奏が心地よく、最後まで楽しめる、まさに圧巻のライブ作品だ。
ドラマティック度・・8 ライブ演奏・・9 暴虐度・・9 総合・・8.5
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BEHEMOTH「Evangelion」
ポーランドのブラックメタルバンド、ベヒーモスの2009作
タイトルの「エヴァンゲリオン」とはアニメのあれではなく、ギリシア語の「神の福音を広める」の意。
すでに名実共にポーランド最強のブラックメタルバンドとして君臨する彼ら、
前作「The Apostasy」は邪悪さの中にも美しさと荘厳さを兼ね揃えた傑作であったが、
続く本作では、叙情性の代りにブルータルな硬質感を全面に出したサウンドとなっている。
しかし激烈なブラストで疾走しつつも、ときおりギターは神秘的なフレーズを奏でたり、
激しさの中にもドラマティックな世界観を覗かせる。また今作ではブラックというよりは、
デスメタル的なミドルテンポを効果的に使用するなど、重厚なサウンドに磨きをかけている。
演奏力、構成力のレベルの高さとともに、もはや他のバンドを圧倒する存在といえるだろう。
ドラマティック度・・7 暴虐度・・8 荘厳度・・9 総合・・8
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BEHEMOTHAbyssus Abyssum Invocat
ポーランドのブラックメタル、ベヒーモスの企画アルバム。2011年作
以前にリリースされたEP「CONJURATION」「SLAVES SHALL SERVE」のカップリングで、
CD2枚組のDisc1には、2003年の新曲2曲にVENOMのカヴァーとライヴ6曲を収録。
Disc2は2005年のタイトル曲に未収録曲、NEFILIMとDANZIGのカヴァー、ライヴ4曲を収録。
シングル曲とカヴァーはまあともかく、ライブ音源がたっぷり入っているのはファンには嬉しいだろう。
暴虐なブラストビートで突進する演奏はライブでもさすがの迫力。ベヒモス好きならチェックどうぞ。
ドラマティック度・・7 暴虐度・・8 ライブ音源・・8 総合・・7.5
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BEHEMOTH 「The Satanist」
ポーランドのブラックメタル、ベヒーモスの2014年作
1995年にデビューしてから、本作でちょうど10作目となる。白血病に冒されたネルガルが回復し、
自身の血を混ぜた絵具で描かれたというジャケットや「サタニスト」という強烈なタイトルもそうだが、
サウンドの方も、反キリストへの信念と憎悪に満ち満ちた、荘厳にして邪悪な雰囲気を漂わせている。
スローテンポから始まりつつやがて激烈なブラストを含んで疾走する迫力は、ベテランならではの説得力で、
ダークで暴虐だがオーケストラルなアレンジによる美しさには、ある種の畏怖感をすら覚える。
楽曲自体は3〜5分と割とシンプルながら、ここぞという緩急の付け方で聴き手を圧倒する力はさすがである。
ドラマティック度・・8 暴虐度・・8 荘厳度・・9 総合・・8 
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Behemoth 「Messe Noire」
ポーランドのブラックメタル、ベヒーモスのライブ作品。2018年作
本作は、2016年のポーランドでのステージを収録した、CD+Blu-rayの2枚組。不穏なイントロで幕を開け、
激烈にブラスト疾走するドラムに、ツインギターのリフと迫力たっぷりのグロウルヴォーカルを乗せて、
サタニックなブラックメタルを繰り広げる。スローからミドルテンポの重厚なパートもわりと多めなので、
暴虐一辺倒で聴き疲れすることもない。この荘厳な迫力は確かな演奏力と、ベテランならではの説得力と言えるだろう。
ブルーレイには、ポーランドのライブ完全版(CDより6曲多い)に加え、2016年チェコでのステージを追加収録、
合計3時間におよぶ2つのライブが楽しめるという、まさにベヒモスファンは必見のライブ作品デス。
ライブ演奏・・9 ライブ映像・・8 激烈度・・9 総合・・8 
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BEHEMOTH 「I LOVED YOU AT YOUR DARKEST」
ポーランドのブラックメタル、ベヒーモスの2018年作
1995年デビューのベテラン。11作目となる本作は、子供のチャントによる妖しげなイントロから始まり、
激烈なドラムにツインギターのリフを乗せ、ダミ声ヴォーカルとともに暴虐にたたみかける、
迫力たっぷりのブラックメタルを展開。オーケストラルなアレンジを加えた荘厳なスケール感に、
ときにアコースティックパートを挿入するなど、激しさの中にもドラマティックな展開力も覗かせる。
また今作では、ミドルテンポに近いわりと聴きやすいナンバーもあったり、メロディックなギターパートなど、
アルバムとしてのメリハリある構成に、クリアな音質も手伝って、初心者にも楽しめるような作風である。
もちろんブラックメタルとしての邪悪さ、禍々しさはしっかりと感じられる、非常に完成度の高い傑作である。
ドラマティック度・・8 暴虐度・・8 荘厳度・・9 総合・・8.5 
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BEHEMOTH「OPVS CONTRA NATVRAM」
ポーランドのブラックメタル、ベヒーモスの2022年作
1995年にデビュー、フルアルバムとしては12作目となる。おどろおどろしげなイントロから荘厳な空気をかもしだし、激烈なブラストビートに咆哮するデスヴォイスを乗せて、迫力たっぷりのブラックメタルを描き出す。
楽曲は4分前後が主体と、比較的コンパクトにまとめられていて、暴虐な暗黒性の中にも、ふと覗かせる叙情的なギターフレーズなどがアクセントになっており、ヘヴィネスを抑え目に、オーケストラルなアレンジを重ねるなど、激しい圧殺感はほどほどで、わりと聴きやすい。
日本盤デラックスエディション、Disc2には、2020年発表の4曲入りEP「A Forest」を収録。Shiningのニクラス・クヴァルホースをゲストヴォーカルに、アンダーグラウンドな香りのタイトル曲や、同ライブ音源など。
ドラマティック・8 暴虐度・8 荘厳度・9 総合・8 
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Be'Lakor「Stone's Reach」
オーストラリアのメロデスバンド、ベラコールの2009年作
ツインギターのメロディをたっぷり聴かせる、90年代北欧メロデスタイプのサウンド。
疾走感や激しさは控えめで、とにかく叙情性重視なので初心者にも聴きやすい
9分、10分という大曲もあるが、ミドルテンポを主体にしたあくまでメロディックな作風である。
音質がいまひとつなので迫力は足りないが、メロディ重視のオールドなメロデスが好きな方はぜひ。
ちなみに続く3rdd「Of Breath and Bone」はさらに強力な悶絶メロ満載の傑作になるのデス。
メロディック度・・8 暴虐度・・6 とにかく叙情度・・8 総合・・8
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Be'Lakor「Of Breath & Bone」
オーストラリアのメロデスバンド、ベラコールの2012年作
叙情的なツインギターで聴かせる、ヨーロピアンなスタイルのメロデスサウンド。
随所にプログレッシブなリズムチェンジや展開美を聴かせるセンスもなかなかで、
豪州のバンドだと知らなければ、北欧のメロデスだと思いそうな涼やかな雰囲気である。
ヴォーカルは低音デスヴォイスであるが、全体的に暴虐さよりも叙情が前に出ていて
ギターはリフよりも、むしろメロディアスなフレーズを弾いている方が多いという。
これでもかという、クサめのギターメロに悶絶することしきりで、初期IN FLAMES以上に叙情的。
疾走する激しさはあまりないのだが、とにかくメロメロなメロデ好きっ子は必聴の作品デスね。
メロディアス度・・9 暴虐度・・6 アレンジセンス・・8 総合・・8.5
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Be'Lakor 「Vessels」
オーストラリアのメロディック・デスメタル、ベラコールの2016年作
過去2作は叙情派メロデスとしては見事な出来であったが、3作目となる本作もメロディックなツインギターと
低音デスヴォイスを乗せた高品質なサウンドを聴かせる。激しい疾走感も随所にありながら、ミドルテンポや
スローテンポでのゆったりとした耽美な空気感も含めて、7〜10分という大曲を構築する知的なセンスは、
かつてのOPETHのようでもある。前作までの明快なメロディックデス路線が気に入っていた方には、
ややプログレッシブに傾きすぎとも思えるかもしれないが、北欧のINSOMNIUMなどにもひけをとらない、
メランコリックな叙情美も随所に含んでいて、個人的には初期OPETHばりに楽しめる傑作だと思う。
ドラマティック度・・8 疾走度・・6 構築度・・8 総合・・8
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Be'lakor 「Coherence」
オーストラリアのメロディック・デスメタル、ベラコールの2021年作
2007年にデビューし、5作目となる。本作はのっけから10分を超える大曲で、叙情的なギターにデスヴォイスを乗せて
激しく疾走しつつ、リズムチェンジによる緩急ある展開力で、ドラマティックなメロデスサウンドを聴かせる。
メロディックなギターフレーズにシンセも重なり、凶悪過ぎないグロウルヴォイスも含めて、激しさの中にも
メランコリックな空気をかもしだすあたりは、フィンランド系のメロデスバンドにも通じる雰囲気だろう。
泣きメロたっぷりのミドルテンポや叙情的なインストナンバーなど、全体的にも優雅な美学に包まれていて、
ラストの12分の大曲も、優美なシンセと泣きのギター、知的な展開力とともにじわじわと盛り上げる。
ドラマティック度・8 暴虐度・7 叙情度・8 総合・8 
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Belenos 「Errances Oniriques」
フランスのペイガン・ブラックメタル、ベレノスの2009年作
本作は2000年のデビュー作をリレコーディングしたアルバムで、ツインギターにダミ声ヴォーカルを乗せ、
随所に叙情的なパートを含んだメリハリある展開力で、ミステリアスなペイガンブラックを聴かせる。
メロディックなギターフレーズやときに朗々としたコーラスも加えて、勇壮な世界観を描きつつ
激しいブラストでたたみかける、オールドなブラックメタル風味もまじえた迫力あるサウンドだ。
いくぶん唐突なリズムチェンジェンジなど、のちのアルバムに比べて楽曲アレンジの点での粗さはあるが、
甘すぎない叙情性と激しさのバランスのとれた聴き心地で、幻想的なペイガンブラックが味わえる。
ドラマティック度・・8 暴虐度・・7 勇壮度・・8 総合・・7.5 
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Belenos 「Yen Sonn Gardis」
フランスのペイガン・ブラックメタル、ベレノスの2010年作
デビューは1996年とキャリアのあるバンドで、本作がすでに7作目となる。
トレモロを含んだギターフレーズとダミ声ヴォーカルを乗せて、激しいブラスト疾走を含む緩急のある展開とともに、
エピックなスケール感に包まれたペイガンブラックメタル。ときに美しいヴァイオリンの旋律も現れたり
随所に土着的な叙情性も覗かせながら、ネイチャーブラック的でもあるうっすらとした神秘性も感じさせる。
ヘヴイすぎないほどよくこもり気味のサウンドもよい感じで、ペイガンなブラックメタルとしての魅力たっぷりの力作。
ドラマティック度・・8 暴虐度・・7 ペイガン度・・8 総合・・8
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Belenos 「KORNOG」
フランスのペイガンブラックメタル、ベレノスの2016年作
物悲しいフィドルの音色によるイントロから、重厚なギターリフが重なり、低音のダミ声ヴォーカルを乗せて
ミステリアスなスケール感に包まれた、ペイガンなブラックメタルを聴かせる。激しい疾走パートもありつつ、
スローからミドルテンポでどっしりとした重厚さでもって、ゆったりとした叙情パートなど、緩急ある展開力とともに、
キャリアのあるバンドらしいサウンドの説得力を感じさせる。朗々としたコーラスを乗せた勇壮な雰囲気と
霧に包まれたような音作りが神秘的な空気感をかもしだす。ドラムの高速ブラストもMARDUKあたりに引けを取らない迫力。
12分の大曲も含めて、荘厳でドラマティックな世界観を描く、ペイガン・ブラックメタルの強力作である。
ドラマティック度・・8 暴虐度・・8 ペイガン度・・8 総合・・8
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BELENOS 「BEST OF LIVE - 22nd Anniversary」
フランスのペイガンブラックメタル、ベレノスのライブ。2018年作
2000年にデビュー、激しさと叙情が同居したサウンドで、通好みのペイガンブラックを聴かせるバンド。
本作は2017年のライブを収録。自主制作時代を含めた、デビュー22年を記念したステージのようで、
過去作からのナンバーをたっぷり盛り込んだ全77分。トレモロを含むギターリフを乗せて激しくブラスト疾走、
邪悪な唸り声ヴォーカルとともに、詠唱のような歌声がペイガンな勇壮さをかもしだし、初期ENSLAVEDにも通じる
神秘的な世界観を描いてゆく。くっきりしすぎない音質も逆に良い感じで、ライブとしての生々しさが伝わってくる。
ほどよい叙情性と激しさ、涼やかな空気と土着感…幻想ペイガンブラックが好きな方にはお薦めのライブです。
ライブ演奏・8 暴虐度・8 幻想ペイガンブラック度・9 総合・8 
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BELPHEGOR「Lucifer Incestus」
オーストリアのブラックメタルバンド、ベルフェゴールの4th。2003作
この背徳的なジャケもなかなかすごいが、内ジャケの尼さん裸写真も18禁ですよ。
喘ぎ声入りのイントロから、曲が始まると暴虐にブラスト開始〜。
激烈な疾走のサウンドの中にも、いくぶん北欧ブラック風の叙情があって、
MARDUKDARK FUNERALあたりに通じるドラマティックさがよい感じだ。
むしろ5th以降のアルバムよりもメロブラ的な魅力では上をいっている。
ドラマティック度・・8 暴虐度・・9 暗黒度・・8 総合・・8
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BELPHEGOR「Goatreich-Fleshcult」
オーストリアのブラックメタルバンド、ベルフェゴールの5th。2005作
オーストリアのブラックといえば、ABIGORとこのバンド。どのアルバムも質は高いが
とくに前作4thはメロブラ的なドラマティックサウンドでかなり好みだった。
本作はブルータルな圧迫感を増したサウンドで、BEHEMOTHばりに激烈に聴かせる。
強烈なブラストビートに乗せる吐き捨てヴォーカルもかなりの迫力だ。曲はやや一本調子か。
ドラマティック度・・7 暴虐度・・8 暗黒度・・8 総合・・7.5
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Belphegor「Pestapokalypse VI」
オーストリアのブラックメタルバンド、ベルフェゴールの6th。2006作
オーストリアのブラックメタルというと真っ先に思い浮かぶのはABIGORだが、
このバンドは美しさよりもアグレッシブな暴虐さ重視のスタイルで、よりブルータルなサウンドだ。
ジャケや曲タイトルなどがら、中世を襲ったペスト(黒死病)をテーマにしたアルバムであるようで、
ブラストビートで強烈に疾走しつつも、緩急をつけた展開で、ドラマティックさも演出している。
MARDUKあたりに通じる質感もあるが、個人的にはもう少し音に湿りけがあると好みかな。
ドラマティック度・・7 暴虐度・・8 暗黒度・・8 総合・・7.5
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BELPHEGORBondage Goat Zombie
オーストリアのブラックメタルバンド、ベルフェゴールの7th。2008作
ブルータルな音を想像していたが、暴虐に疾走しつつも、ツインギターによるリフはメロディアスでなかなかドラマティック。
BEHEMOTHあたりに通じる骨太の疾走感と暗黒性とともに、曲の中で一本調子にならない叙情性を描き出している。
ヴォーカルはかなりの吐き捨てデスヴォイスなので、重厚なサウンドとともにブルデス的な質感でも聴ける。
メロディアス度・・7 暴虐度・・8 骨太度・・8 総合・・8
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BEORN'S HALL「IN HIS GRANITE REALM」
アメリカのペイガンメタル、ベオルンズ・ホールの2019年作
2017年にデビュー、1作目はBATHORYルーツのブラックメタルであったが、3作目となる本作は、
10分を超える4曲の大曲をメインに、わりと正統派のギターリフに咆哮するヴォーカルを乗せた、
ペイガン/ヴァイキングメタル寄りのサウンドを聴かせる。随所にメロディックな叙情を奏でるギターに
うっすらとしたシンセが重なり、ほどよくこもり気味の音質も含めて、幻想的な世界観を描き出す。
ときに激しくブラスト疾走するブラックメタル要素も残していて、ゆったりとした叙情パートとの緩急で
ファンタジックでエピックなペイガンブラックが楽しめる。ボーナスにはBATHORYのカヴァーを収録。
ドラマティック度・・7 ペイガン度・・7 幻想度・・8 総合・・7.5
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BERGRAVEN 「DET FRAMLIDNA MINNET」
スウェーデンのプログレッシブ・ブラックメタル、バーグレイヴンの2019年作
2004年にデビュー、本作は4作目で、アコースティックを取り入れた有機的なギターにダミ声ヴォーカル、
リズムチェンジを含むいくぶん唐突な展開力で、アヴァンギャルドなブラックメタルを聴かせる。
OPETHSOLEFALDなどに通じる知的なセンスと、北欧らしい寒々しい土着的な空気感をまとい、
ときにトランペットやサックスの音色が絡み、妖しくフルートが鳴り響き、優雅でプログレッシブ、
そしてダークな香りに包まれた異色のサウンドを構築。10分を超える大曲も先の読めない展開で、
媚びの無いモノトーンの叙情を含んだ、ミステリアスなアヴァン・ブラックメタルが楽しめる。
ドラマテッック度・・8 アヴァンギャル度・・8 知的で優雅度・・8 総合・・8 
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Berserk「Rites of Supremacy」
スペインのブラックメタル、ベルセルクの2003年作
軽めの音質で疾走する、90年代北欧スタイルのブラックメタルで、コープスペイントのメンバー写真なども含めて
古き良きブラックメタルのアティテュードをしっかりと受け継いでいる。ややノイジーなギターリフにうっすらとシンセが絡み、
低めのダミ声ヴォーカルで描かれる世界観は、ジャケの雰囲気も含めてペイガンブラック的な勇壮さもある。
適度にメロディを感じさせるギターのリフとフレーズもよい感じで、暴虐過ぎない聴き心地で楽しめます。
ドラマティック度・・7 暴虐度・・7 ペイガン度・・7 総合・・7.5
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Bestia Arcana 「To Anabainon Ek Tes Abyssu」
アメリカのブラックメタル、ベスティア・アルカナの2011年作
Nightbringerのメンバーによるユニットで、こちらはより極端なプリミティブスタイルのブラックメタルをやっている。
不穏なギターフレーズに咆哮するヴォーカルを乗せてブラスト疾走するのは、Nightbringerと同様ながら、
こもり気味の音質がよりミスティックな妖しさを助長して、邪悪な激しさとミステリアスな闇が混濁した聴き心地。
高速ブラストのパートでも薄ぼやけた音質のおかげで暴虐な圧殺感はさほどなく、ギターもドラムも混然となった
サウンドスケープ的な音の塊として鑑賞できたりする。暗黒アンビエント風のナンバーもあったりと、やりすぎ感も楽しい。
ラスト曲ではシンセアレンジも加わった、怪しいシンフォブラック的な感触も覗かせる。全39分という短さも潔いです。
ドラマティック度・・7 暴虐度・・8 ミスティック度・・10 総合・・8
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Bewitched「Spiritual Warfare」
スウェーデンのブラック・スラッシュメタルバンド、ビウィッチドの6th。2006作
NAGLFARらのメンバーが在籍するバンドだが、音の方はMotorheadからの影響を思わせる
ダーティなデスラッシュロール。オールドなギターリフで突進したり、ミドルテンポで聴かせたり
ブラックメタルリスナーよりもむしろ、往年のスラッシュファンなどに好まれるサウンドだろう。
メロディアス度・・7 疾走度・・7 むしろスラッシュ度・・8 総合・・7
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beyond the embraceAgainst the Elements
アメリカのメロデスバンド、ビヨンド・ジ・エンブレイスの2002年作
トリプルギターの6人編成で、比較的正統派のギターリフとスクリームヴォイスで聴かせる
モダンなヘヴィネスを融合させたサウンド。IN FLAMESなどの北欧メロデス的な叙情フレーズと
IRON MAIDEN的な普遍的なメタル感触を、SOILWORK風味に仕上げたというスタイルで、
新鮮味はないものの、ギターの奏でるメロディの質も含めてレベルはなかなか高い。
激しい疾走よりもミドルテンポ主体ながら、トリプルギターの叙情フレーズで飽きずに楽しめる。
メロディック度・・8 疾走度・・7 メロデス風味度・・8 総合・・8
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BILOCATE「Sudden Death Syndrome」
レバノンのプログレッシブ・デスメタル、ビロケートの2009年作
アラビックでミステリアスなイントロから、曲が始まると唸るような低音デスヴォイスとともに
重厚なサウンドが広がってゆく。ドゥーミィなギターリフにうっすらとしたシンセがかぶさり、
スケール感のある世界観とともに、OPETHのように緩急のついた知的な展開も見せる。
随所にアラビックな旋律も含ませたメロディックな感触やクラシカルなシンセの美旋律も聴かせるなど、
ドラマティックな楽曲アレンジのセンスもなかなか見事。スケール感を感じさせる中東プログレ・デス。
ドラマティック度・・8 重厚度・・8 ミステリアス度・・8 総合・・8
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THE BISHOP OF HEXEN 「THE DEATH MASQUERADE」
イスラエルのシンフォニック・ブラックメタル、ビショップ・オブ・ヘクセンの2020年作
1997年にデビュー、本作は14年ぶりとなる3作目。硬質なギターになオーケストラルなアレンジを重ね、
ダミ声ヴォーカルを乗せた、重厚かつ壮麗なシンフォニック・ブラックメタルサウンドを聴かせる。
随所に疾走パートも盛りこみつつ、耽美で優雅な世界観に包まれるところは、Cradle of Filthにも通じるが、
全体的にミドルテンポのパートが多いので、暴虐な激しさが好みの方にはやや物足りないかもしれない。
楽曲は6〜8分前後が主体で、シアトリカルな語りや女性声を加えたパートなど、緩急ある展開力とともに
ドラマティックに味わえる。暗黒性よりも壮麗なシンフォニック性が前に出ているので、初心者にも聴きやすい作品だ。
シンフォニック度・8 暴虐度・7 壮麗度・8 総合・7.5
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THE BLACK「Alongside Death」
スウェーデンのブラックメタルバンドその名も、ブラックの2009作
バンド名といいジャケといい、いかにもなブラックメタル愛だが、ケースまで真っ黒という念の入りよう。
かつてはDISSECTIONの故Jon Nodtveidtも在籍していたというバンドで、
アルバムとしては1994年以来、じつに15年ぶりの新作ということらしい。
サウンドの方はもうオールドなブラックメタルの典型。激しいブラストと邪悪な絶叫ヴォーカル、
そしてスカスカとしたこもり気味の音質からして、もう古ブラマニアは大喜びだろう。
暴虐度・・8 オールドブラック度・・9 音質・・6 総合・・7.5
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Blackcount Baalberith 「Kingdom Of Hebruk」
チェコのアンビエントブラック、ブラックカウント・バールベリスの1999年作
オーケストラルなシンセの重ねに、女性スキャットや男性ヴォーカル乗せて幻想的なサウンドを描く、
SUMMONINGなどに通じる作風。どことなく素人臭い男性声も含めて、ショボめの宅録感が強く、
ファンタジーゲーム的な世界観をチープに表現したという聴き心地。刑務所時代のBURZMあたりの、
アンダークラウンドな幻想感も感じさせる。美しい女性声が耳心地よいのが救いです。
ドラマティック度・・7 ファンタジック度・・8 幻想度・・8 総合・・7

Black Forest 「Dream」
オーストリアのシンフォニック・ブラックメタル、ブラック・フォレストの2017年作
シンセとピアノ、ストリングスによる優美なイントロから、メロディックなツインギターにシンセアレンジを重ねて疾走、
ダミ声ヴォーカルとともに、ほどよく激しくも壮麗なサウンドを展開。シンフォニックなオーケストレーションが包み込む、
涼やかな叙情性は、BAL-SAGOTHSTORMLORD、日本のTYRANTなど美麗系シンフォブラックにも通じるだろう。
アルバム後半は8分、9分という大曲もあり、激しい疾走パートからクラシカルなシンセのゆったりとした叙情美まで、
リズムチェンジを含む展開力で、ドラマティックに構築する。全34分というのがやや物足りないが、質の高いシンフォブラです。
シンフォニック度・8 暴虐度・7 叙情度・8 総合・8
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BLACKGUARD「Profugus Mortis」
カナダのシンフォニック・メロデスバンド、ブラックガードの2009年作
Profugus Mortisから改名したということで、元はヴァイオリン入りのシンフォニックな
クサメロが魅力であったのだが、本作では残念ながらヴァイオリンは不参加。
美麗なシンセを全面に出した初期チルボド風味の疾走メロデスを基本にしつつ、
今作ではFINNTROLLばりのフォーキーなメロディも導入していて、なかなか楽しい。
楽曲やメロディにもっとこのバンド独自の個性が欲しい気はするが、やはり質は高い作品です。
メロディアス度・・8 疾走度・・8 暴虐度・・7 総合・・8
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Blackguard「Fireflight」

カナダのシンフォニックメロデス、ブラックガードの2011年作
Profugus Mortisから改名しての2作目で、美麗なシンセとメロディックなギターで疾走する
ヴァイキング風味のメロデスサウンドで、初期CHILDLEN OF BODOM+ENSIFERUMという雰囲気。
いくぶん土着性のあるクサめのメロディは、この手のファンにすればにんまりだろうし、
聴き心地のいい疾走感覚ときらびやかなシンフォニック性で、質の高いサウンドを描いている。
このバンドならではの新鮮味は薄いものの、安心して聴けるキラデス作品ですな。
メロディアス度・・8 疾走度・・8 新鮮度・・7 総合・・8
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Black March 「Praeludium Exterminii」
フランスのブラックメタル、ブラック・マーチの2017年作
オーケストラルで不穏なイントロから、ザリザリとしたギターリフにかすれたダミ声ヴォーカルを乗せてブラスト疾走する、
ヘヴィでブラッケンな迫力に包まれたサウンドを聴かせる。随所にギターソロ的なメロディを含みつつ
叙情性というよりは、たたみかける圧殺感で、殺伐としたモノトーンの世界観を描き出してゆく。
ときにピアノを導入したクラシカルなセンスも覗かせるが、全体的にはブラッケンロールぎみの勢いの良さと
ヨーロピアンな暗黒性が混然となった、ロウ・ブラックというスタイルの強力作だ。
ドラマティック度・7 暴虐度・8 ローブラ度・8 総合・7.5


BLACK MESSIAHOath of a Warrior
ドイツのペイガン・ブラックメタルバンド、ブラック・メサイアの2nd。2005作
シンフォニックなシンセと、クサメロフレーズを掻き鳴らすギターで疾走。
メロディにはヴァイキングメタル色があり、田舎臭い悶絶メロディを連発する。
ブラストの疾走パートにはプリミティブなブラックメタルの雰囲気が漂い音質の悪さも手伝って、
どこか古き良き幻想性を内包しているのが耳に心地よい。ヴァイオリンやマンドリンなどによる、フォーキーな要素も効果的で
ローカルな質感を上手く魅力にしている点も見事。ベルギーのANCIENT RITESよりさらにクサい。
クサメロディアス度・・9 暴虐度・・7 ヴァイキング度・・8 総合・・8
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Black Void 「Antithesis」
ノルウェーのヴィンテージ・ブラックメタル、ブラック・ヴォイドの2022年作
SOLEFALD、BORKNAGARのラーズ・ネッドランド、IN VAINのトビアス・ソルバックによる、WHITE BOIDと対をなすバンドで
オールドなギターリフにダミ声ヴォーカルを乗せ、アグレッシブなヴィンテージ・メタルを聴かせるスタイルで、
随所にノーマル声を乗せて、北欧らしい涼やかな空気を感じさせるところは、SOLEFARDにも通じるだろう。
ときにブラックメタルばりの激しいブラスト疾走も覗かせつつ、叙情的なギターフレーズを含ませながら、
緩急ある展開でたたみかけるあたりは、日本のSighなどを思わせる部分もある。楽曲は3〜4分前後で、
ブラッケン・ロール的なストレートな勢いも楽しめる。全38分というのもアナログっぽいですな。
ドラマティック度・7 暴虐度・7 暗黒度・8 総合・8
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BlasphemyGods of War/Blood Upon The Altar」
カナダのブラックメタルバンド、ブラスフェミーの2nd。1993年作
妖しげなジャケがいい感じですが、B級感たっぷりのサウンドもじつに妖しげ。
北欧のブラック勢とはまったく異なり、叙情パートなどは一切なく、曲はほとんどが1〜3分台で、
グラインドコアのような感じで疾走してます。こもり気味の音質に、低音デスヴォイスがおどろおどろしい。
マニア以外は聴く価値はないでしょう。再発版には1989年のデモを全曲追加収録。
ドラマティック度・・6 暴虐度・・7 おどろおどろ度・・8 総合・・6
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Blaze of Sorrow 「Astri」
イタリアのポストブラックメタル、ブレイズ・オブ・ソロウの2017年作
2010年にデビュー、本作が5作目となる。G&B&Key&Voのピーター氏とドラムによる二人ユニットで、
トレモロを含む叙情的なギターの旋律に、低音ダミ声ヴォーカルを乗せ、そこそこ激しく疾走しつつ、
ほどよいスカスカ感とともに、カスカディアン風の幻想的なブラックメタルを聴かせる。
随所にシンセやアコースティックギターなどによる優雅なアレンジも加わって、
全体的にも激しさはさほどでもなく、むしろ牧歌的なポストブラックという雰囲気もあり、
こうなると、ヴォーカルのゲボ声が非常に耳障りに思えてしまう。より幻想的な深化に期待。
ドラマティック度・・7 暴虐度・・6 優雅度・・8 総合・・7.5
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Blessed in Sin 「Celebrating the Whore」
フランスのブラックメタル、ブレスト・イン・シンの2014年作
2000年の1st「Melancholia」、20001年の2nd「Par le sang du christ (Opus Luciferi)」を2CDに収録した再発盤。
トレモロのギターリフにうっすらとしたシンセを乗せてブラスト疾走する、ごく正統派のブラックメタルで、
いくぶん粗めの音質も含めて、90年代の初期ノルウェイジャン・ブラックをプリミティブ性を受け継いだ雰囲気。
Anorexia Nervosa あたりに比べると激烈さもシンフォニック性も足りないのだが、むしろ演奏技術のなさと中庸感が
カルト的なアンダーグラウンド性をかもしだしている。2ndの方はさらに音のスカスカ感が増していて、ちっとも暴虐でないんだが、
10分を超える大曲などもあって、意気込みは伝わる。パイオツまくりのブックレットもいかにも妖しくてステキです。
ドラマティック度・・7 暴虐度・・7 楽曲度・・7 総合・・7.5


BLINDED COLONYDivine
スウェーデンのメロデス風バンド、ブラインデッド・コロニーの2003作
メロデス的な雰囲気で聴かせる重厚なメロパワ作。えーい、メロデスとメロパワと、どっちなんだ(笑)
煽情的なギターワークに、うっすらとしたシンセ、そこに乗るのはデス声まではいかないややダーティなノーマルヴォイス。
メンバーがIN FLAMESSOILWORKに影響を受けているという通り、哀愁を漂わせたギターワークと曲展開に
上記のバンドに通じるセンスを感じる。ザクザクとしたヘヴィリフと、流麗なツインギターがすごくいい感じなんですが、
曲自体がテンポ的にもどれも似たりよったりな印象なのが惜しい。
メロディアス度・・8 メロデス風度・・8 重厚度・・9 総合・・7.5
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Blind Stare「Symphony of Delusions」
フィンランドのメロデスバンド、ブラインド・ステアの2005年作
ジャケのイメージはシンフォニックメタル風だが、実際はチルボドタイプのメロデスです。
ツインギターにシンセを含む6人組みで、ザクザクとしたモダンなヘヴィさと
壮麗でシンフォニックなシンセワークを合わせたサウンドを聴かせる。楽曲も演奏もそれなりに質は高く、
目新しさはあまりないもののKALMAHあたりが好きな方なら同様に楽しめるバンドだろう。
シンフォニック度・・8 暴虐度・・7 新鮮度・・7 総合・・7.5
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Bliss of Flesh 「Empyrean」
フランスのブラックメタル、ブリス・オブ・フレッシュの2017年作
2009年にデビューし、本作で3作目。ダンテの「神曲」をテーマにした3部作の完結編で、
重厚なギターに低音デスヴォイスを乗せて激しくブラスト疾走、リズムチェンジを含む緩急ある展開とともに、
デスメタル的でもある荘厳なサウンドを描いてゆく。甘すぎない程度の叙情性も覗かせつつ、
激しさだけでないエピックなスケール感などは、SEPTICFLESHあたりにも通じるところがあるだろう。
全体的にはメロディのフックが希薄で、ギターリフもやや単調なので、ヘヴィな迫力はあるのだが、
楽曲的な盛り上がりには欠けるか。今後は、よりドラマティックな楽曲アレンジを目指して欲しい。
ドラマティック度・・7 暴虐度・・7 重厚度・・8 総合・・7.5
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BLOODBATH「Fathomless Mastery」
スウェーデンのデスメタルユニット、ブラッドバスの2008作
元々は元EDGE OF SANITYのダン・スヴァノやOPETHのミカエル・オーカーフェルド、
それにKATATONIAのギターとベースというメンバーでスタートしたバンドであるが、
現在はダン・スヴァノは離脱し、アンダース・ナイストローム(KATATONIA)を中心に、
OPETHのマーティン・アクセンロットがドラムを叩き、一時は離脱していたミカエルも復帰している。
サウンドは、ツインギターのリフで暴虐に疾走するオールドなデスメタルを基調にしながら、
ときにデスラッシュ風の質感や、北欧らしいミステリアスな雰囲気もほのかに漂わせている。
ミカエルのヴォーカルは、OPETHで聴かせるよりもさらに低音のデスヴォイスで咆哮しており、
デスメタルとしての禍々しさに北欧的な翳りを融合させた、高品質なデスメタルに仕上がっている。
メロディアス度・・6 暴虐度・・8 オールドデス度・・8 総合・・8
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Bloodhammer 「Kuusi Hymnia Syvyydesta」
フィンランドのブラックメタル、ブラッドハンマーの2016年作
ノイジーなギターリフに絶叫するヴォーカルを乗せた、オールドスタイルのブラックメタルで、
コンコンと軽めのドラムとこもり気味の音質も含めて、いかにもプリミティブ系の聴き心地。
ギターのコード進行には叙情的な感触があり、うっすらとしたシンセも入ったりして、
初期のBURZUMあたりがイケれば、わりと楽しめるかもしれない。全32分という短さも含めて、
とても近年の作品とは思えないが、これぞブラックメタルというべきか。笑
ドラマティック度・・7 暴虐度・・7 プリミティブ度・・8 総合・・7.5
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Blood of Kingu「Sun in the House of the Scorpion」
ウクライナのブラックメタル、ブラッド・オブ・キングの2010年作
ベクシンスキーをあしらったミステリアスなジャケが印象的だが、サウンドの方はノイジーなギターでブラスト疾走する
しごくファストなブラックメタル。ヴォーカルは低音の吐き捨て型で、むしろデスメタル的でもありつつ、
随所に荘厳さを感じさせるところはBEHEMOTHあたりに近いものがあるか。
10分を超える大曲もあり、ミスティックな重厚さと激しさが合わさったなかなかの力作だ。
ドラマティック度・・7 暴虐度・・8 荘厳度・・8 総合・・7.5
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BLOODTHORN「ONWARDS INTO BATTLE」
ノルウェーのシンフォニックブラックメタルバンド、ブラッドソーンの1999作
Luis Royoによるファンタジックなジャケ絵から、てっきりシンフォニックメタルを予想したのだが、聴いてみたらブラック系でした(笑)。
しかし、キーボード入りのなかなか分厚い演奏にデス声の咆哮、メンバーに女性Voもいてデス声の合間に美しいソプラノを聴かせます。
楽曲は疾走感よりはミドル〜ローテンポが多く、キーボードもゴージャスだし、ゴシック的な耽美な世界観も感じさせる。
7分から10分の大曲が中心で、それでも飽きさせず聴かせてくれるところは楽曲のアレンジが良いのだろう。美しいキーボードが実に良い。
ドラマティック度・・8 シンフォニック度・・7 暴虐度・・7 総合・・7.5
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BLOODTHORN「In the Shadow of Your Black Wings」
ノルウェーのシンフォニックブラックメタルバンド、ブラッドソーンの2nd。2000作
1stはLuis Royoによるジャケも美しく、シンフォニックかつゴシック色もあるサウンドだったが、
本作も10分を超える楽曲を含めた、ファンタジックかつ大作志向の作品となっている。
美麗なシンセに女性ヴォーカルも加えて、ゴシックとブラックの中間という雰囲気で聴かせつつ、
どれも曲が長いので、単に疾走するサウンドではなく、ゆったりとしたパートで雰囲気を描くような、
プログレッシブと言っていいようなところもある。ゆるやかなピアノに女性声が重なるところなどは
じつに美しいし、3拍子のリズムに乗るメロディアスなギターフレーズなども、なかなかツボをつく。
疾走ブラックを求める向きにはだらだらとしたサウンドに思えるだろうが、個人的にはこれはこれでOK。
ドラマティック度・・8 シンフォニック度・・7 暴虐度・・7 総合・・7.5
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Borgazur「2P3: Alchemists Earth of Aeon A.C.」
オランダのブラックメタル、ボルガザーの2008年作
美しいピアノのイントロで幕を開け、曲が始まると暴虐なブラスト疾走とともに、
随所にアヴァンギャルドなセンスも含ませつつ激しいサウンドを描き出す。
ダミ声ヴォーカルにノーマルヴォイスも絡ませたり、変則リズムも入った知的な構築も見せながら、
得体の知れない迫力でたたみかける。ノイジーなギターリフはときに叙情的なフレーズを奏で、
EMPERORや初期ABIGORばりのドラマティックな聴き心地も感じさせる。音質の悪さが惜しいが、
それがかえってミステリアスな雰囲気をかもしだしている。プリミティブなブラックメタル好きにも対応の力作。
ドラマティック度・・8 暴虐度・・8 アヴァンギャル度・・7 総合・・7.5
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Bornholm 「Inexorable Defiance」
ハンガリーのペイガン・ブラックメタル、ボルンホルムの2013年作
うっすらとしたシンセアレンジにツインギターのリフとともに疾走する、シンフォニックブラック的なサウンドで、
随所に勇壮なコーラスやヴァイキング調のメロディも覗かせる、ドラマティックなペイガンブラックメタル。
涼やかで土着的な叙情性は北欧ブラックメタル的な雰囲気もあり、Emperorや初期Abigorなどのファンにも楽しめるだろう。
全体的に暴虐性よりもメロディックな感触が強いので、ペイガン・ブラック初心者にもお薦めの力作デス。
ドラマティック度・・8 暴虐度・・7 叙情度・・8 総合・・8
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BORNHOLM 「APOTHEOSIS」
ハンガリーのペイガン・ブラックメタル、ボーンホルムの2021年作
2003年にデビューし、5作目。語りを含んだ壮麗なイントロから、トレモロを含んだギターリフにシンセを重ね
ダミ声ヴォーカルとともに激しくブラスト疾走、随所にメロディックなフレーズを織り込みつつ、
甘すぎない叙情性と緩急ある展開で、迫力ある荘厳なペイガン・ブラックメタルを聴かせる。
ミドルテンポでの勇壮な雰囲気から、激しい疾走パートへと移行してゆくあたりは、
いわばペイガンメタルとシンフォニック・ブラックが合わさったような味わいで楽しめる。
全体的にも暴虐過ぎず、美麗過ぎずというバランスが見事な、高品質な作品です。
ドラマティック度・8 暴虐度・7 荘厳度・8 総合・8 
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BOTANIST「PHOTOSYNTHESIS」
アメリカのポストブラックメタル、ボタニストの2020年作
2011年にデビュー、科学的な視点から自然保護をテーマにする、「グリーンメタル」とも称されるバンド。
本作は7作目で、重すぎないギターにうっすらとしたシンセとマイルドなヴォーカルを乗せ、
ときにハンマー・ダルシマーの優美な音色を重ねた、耳心地の良いポストブラックメタル。
喚き声ヴォーカルを乗せて激しく疾走するパートでも、邪悪さのあまりない聴き心地は、
DEAFHEAVENなどにも通じるだろう。楽曲は3〜5分前後と比較的シンプルで、
楽曲ごとに「水」「細菌」「酸素」などの曲名を付けているのも、科学的な環境メタルらしい。
神秘的な優雅さに包まれたも自然派ポストブラック。日本盤にはデモ音源を5曲追加収録。
ドラマティック度・7 暴虐度・6 優雅度・8 総合・7.5
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BRON 「Pred Dverima Noci」
イギリスのアトモスフェリック・ブラックメタル、ブロンの2020年作
G/B/Key/Voとドラムによるユニットで、2016年にデビューし、3作目となる。15分以上の大曲ばかり、
全3曲という構成で、美麗なシンセによるイントロから、ダミ声ヴォーカルを乗せてブラスト疾走。
ドラムを含めてわりとスカスカのサウンドが、90年代風のプリミティブな味わいになっていて、
うっすらとしたシンセが幻想的な空気を描き出し、暴虐さよりもミステリアスな神秘性に包まれる。
ゆったりとしたパートでは、叙情的なギターの旋律とともにメランコリックな雰囲気も覗かせつつ、
そこからの激しいブラスト疾走という緩急ある展開で、夢見心地の幻想ブラックが味わえる。
ドラマティック度・7 暴虐度・7 幻想度・8 総合・8
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BROOD OF HATRED「IDENTITY DISORDER」
チュニジアのブラックメタル、ブラッド・ハートレッドの2018年作
ムハンマド・メルキ氏による一人ユニットで、2014年にデビューし、本作が2作目となる。
ブラストを含む激しいドラムに低音デスヴォイスを乗せ、ほどよく叙情的なギターとともに、
ポストブラックメタル的でもある浮遊感と、デプレッシブなダークさ包まれたサウンドを聴かせる。
デスメタル的な感触もあるが、ミドルやスローテンポの部分も多く、暴虐さはさほど感じない。
13分という大曲では、メランコリックでミステリアスな空気感とともに緩急ある構築力も感じさせ、
あるいは、OPETHあたりが好きな方にも楽しめるだろう。ジャケも含めて孤独感ただよう力作デス。
ドラマティック度・・8 暴虐度・・7 叙情度・・8 総合・・8
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BRYMIRBreathe Fire to the Sun
フィンランドのシンフォニック・エピックメロデス、ブリュミルの2011年作
ツインギターにシンセ入りの6人編成で、エピックなイントロから曲が始まると
シンフォニックなシンセを含んでメロスピばりに疾走。ヴォーカルはダミ声ながら、
ギターのクサメロフレーズとともにヘヴィすぎないサウンドが美麗さを引き立たせている。
随所にヴァイキングメタル的な勇壮さも含みつつ、オーケストラルなシンセアレンジが美しく
あくまでシンフォニックな感触が前に出ている。たとえばNORTHERあたりをよりシンフォニックに、
そしてエピック寄りにしたという雰囲気か。個人的には勇壮な武骨さがもっと欲しいが、とにかく美麗デス。
シンフォニック度・・8 エピック度・・7 壮麗度・・9 総合・・8
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BRYMIR 「SLAYER OF GODS」
フィンランドのシンフォニック・メロディックデスメタル、ブリュミルの2016年作
ツインギターにシンセを含む6人編成で、前作も壮麗なる力作であったが、2作目となる本作も
オーケストラルなシンセアレンジと重厚なギターリフに、ダミ声ヴォーカルを乗せて疾走、
随所に流麗なギターメロディを含ませた、激しくも美麗なメロデスサウンドを聴かせる。
ギターリフは自体は90年代北欧メロデスルーツの感触で、重すぎずモダン過ぎないところがよいし、
エピックなスケール感を描く、シンフォニックなアレンジもいよいよ堂に入ってきている。
一方では、全体的な聴き心地の良さに反して、楽曲ごとのインパクトがやや薄い感じもあり、
個人的には、ヴァイキングメタル的なクサメロ感がもう少しあればと思う。ともあれ美麗なる力作デス。
シンフォニック度・・8 疾走度・・8 壮大度・・8 総合・・8
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BRYMIR 「Wings Of Fire」
フィンランドのシンフォニック・デスメタル、ブリュミルの2019年作
2011年にデビューし、3作目となる。オーケストラルなアレンジにメロディックなギターを重ねて激しく疾走、
ダミ声ヴォーカルとともに、ヴァイキングメタル寄りの勇壮さを加えた、壮麗なシンフォニック・メロデスを聴かせる。
ほどよい土着的なクサメロ感は、ENSIFERUMなどに通じる部分もあり、オーケストラアレンジとクワイヤによる
華麗なスケール感に包まれたサウンドは、過去2作を超えるインパクトだろう。ブラスト疾走する暴虐な激しさと
きらびやかでスタイリッシュな叙情美が同居した、高品質なヴァイキング・シンフォニック・デスメタルである。
ドラマティック度・8 疾走度・8 壮麗度・8 総合・8 
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Burden of Grief「Haunting Requiems」
ドイツのメロデスバンド、バーデン・オブ・グリーフの2000年作
2000年以降に登場したバンドとしては、しごく正統派のメロデスをやっていて
シンセに頼らずツインギターのリフによってメロディを聴かせるスタイルだ。
ヴォーカルは強烈な吐き捨て声だが、曲の方は暴虐さよりもあくまで
叙情性重視という感じで、DISSECTIONばりの激しい疾走の中でもギターフレーズは
とてもメロディアスで聴きやすい。IRON MAIDENの“Prowler”のカヴァーもなかなか。
WITHOUT GRIEFなど、90年代メロデスの音が好きな方はぜひチェックすべし!
メロディアス度・・8 暴虐度・・8 ツインギター度・・8 総合・・8
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Burden of Grief「Death End Road」
ドイツのメロデスバンド、バーデン・オブ・グリーフの4th。2007作
予備知識なしに買ったこのバンドの1stがオールドメロデスの傑作だったので、
本作も購入してみた。サウンドは初期に比べてずいぶんとモダンになったが、
ツインギターによる叙情的な旋律は相変わらずなかなか魅力的だ。
昨今流行りのメタルコア風味も加わっていて、オールドなメロデス好きには
やや残念な変化かもしれないが、その辺のアメリカのバンドなどよりは
よほどいいメロディを持っていると思う。モダンメロデスの好作。
メロディアス度・・8 メロデス度・・7 モダンデス度・・8 総合・・8
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BURIED DREAMS「Perceptions」
メキシコのメロデスバンド、ベリード・ドリームスの2nd。2000年作
メロデスといえばまず「北欧」というイメージなのだが、中米のメキシコという国にもバンドがいた。
先に聴いていた3rd「NECROSPHERE」は、せわしない展開のテクニカルデスという印象だったが
本作ではシンセ奏者の存在もあって、叙情たっぷりのメロデスサウンドである。
初期のIN FLAMESを思わせるような美しいギターフレーズでドラマティックに聴かせる楽曲は
デスメタルとしての暴虐性よりも、メロスピ的な疾走感が強いこともあって初心者にもオススメ。
メロディアス度・・8 ドラマティック度・・8 暴虐度・・7 総合・・8
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BURIED DREAMS「NECROSPHERE」
メキシコのメロディック・デスメタルバンド、ベリード・ドリームスの3rd。2002作
前作は叙情クサメロ満載の好作であったが、今作ではキーボードが抜け、全体的に非常にアグレッションに満ちたサウンドとなった。
非常にせわしない、ある意味で無茶な展開をともなった楽曲は、時折かいま見せるプログレッシブなリズム感覚を含め、
テクニカルで疾走感に溢れており、デスメタルとしてのブルータルさと、ツインギターによる叙情メロディがうまく融合している。
イモ臭さは微塵もなく、北欧メロデスの要素に熱情的な部分を足した堂々たる作風。
ただ、曲の展開が多すぎて、一曲ずつが印象が残りづらいのが現時点での欠点か。
メロディアス度・・7 暴虐度・・8 テクニカル度・・8 総合・・7.5
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BURZUMBurzum / Aske」
ノルウェーのブラックメタル、バーズムの1st+EPのカップリング。1992作
のちにMAYHEMのユーロニモス刺殺容疑で逮捕されることになる、カウント・グリシュナック率いるこのバンド、
本1stの段階では比較的正統派のブラックメタルをやっていて、明快なギターリフを乗せて疾走するスタイル。
音質的にもかなりチープなのであるが、絶叫するカウントのヴォーカルのインパクトとともに、
ノルウェーでしか生まれえないような寒々しい情感と、狂気じみた地下臭を強烈に発散していて
耳で聴く音以上に、そこに秘められた一人のブラックメタラーの世界観を感じ取ることができる。
ギターのフレーズはときにメロディアスですらあり、音の軽さを問題にしなければとても聴きやすい。
ドラマティック度・・7 暴虐度・・7 暗黒度・・9 総合・・7.5
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BURZUMDet Som Engang Var
ノルウェーのブラックメタル、バーズムの2nd。1993年作
アンビエントなイントロ曲から幕を開け、ノイジーなギターとガナり声ヴォーカルとともに疾走する
カウント・グリシュナックの闇の世界の体現ともいうべき原初的なブラックメタルサウンドを展開。
こもり気味のぼやけた音像がいっそう不気味に響いて、まさに鬱系ブラックの元祖というべき内容であるが、
随所にメロディのあるギターの旋律も含んでいて、バーズムの作品の中でも、3rdと並んで聴きやすい部類だろう。
のちの作風を予見させるアンビエントなシンセ曲もあって、案外メリハリのある(というか散漫な)アルバム構成であると思う。
日本盤のタイトルは「無常の門」、「涅槃宮」と付けられているが、チープながらもおどろおどろしいジャケの雰囲気をよく表している。
ドラマティック度・・7 暴虐度・・7 暗黒度・・9 総合・・7.5
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BURZUM「Hvis Lyset Tar Oss」
ノルウェーのブラックメタル、バーズムの3rd。1993年作
かつての日本盤は「白昼夢」というタイトルであったが、再発盤は「虚無光」のタイトルになっている。
全4曲で44分という大作志向のアルバムで、初期のノイジーな地下臭いブラックメタルを土台にしつつ、
シンセを導入し始めたことで、カウント・グリシュナックの絶叫するヴォーカルとともに、
もの悲しい叙情や虚無感が増幅され、暗黒に包まれた幻想的なサウンドが表現されている。
シンセのみのラスト曲はもはやブラックメタルというよりはアンビエントなダークミュージック。
初期のBURZUMのアルバムの中では、おそらく最も完成度の高いアルバムであろう。
リマスター盤は音がラウドになってしまっているので、アンダーグラウンドな幻想性が味わいたければ、
Misanthropy Records盤(デジパック)を購入することをお薦めする。
幻想度・・8 暴虐度・・7 虚無的叙情度・・8 総合・・8
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BURZUMFilosofem
ノルウェーのブラックメタル、バーズムの4th。1995年作
MAYHEMのユーロニモス刺殺容疑で逮捕される直前の1993年に録音された作品で、
2010年の出所後の復活作を待つまでは、バンド編成で作られた最後のアルバム。
シャリシャリとしたノイジーなギターサウンドに絡みつくようなカウントのヴォーカルと、
うっすらとしたはかなげなシンセが絶望的な世界観を描いている。曲はどれも長めで、
展開というよりは反復を続けるリフによって、荒涼とした雰囲気を感じさせるものだ。
正直、一般のメタルリスナーが聴いてもただ退屈なだけのノイズにも思うだろうが、
これがある種の癒し系に聴こえる人々には、暗黒の中へ沈み込むような気持ちが味わえる。
アルバム後半はシンセをメインにしたアンビエントなサウンド。ほとんど獄中にいるような感じである。
暗黒度・・8 暴虐度・・6 虚無的叙情度・・7 総合・・7.5
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BURZUM「Daudi Baldrs」
バーズムの5th。1997年作
殺人容疑で逮捕されたヴァーグが獄中で独り、シンセのみを使用して作り上げた作品。
自身が傾倒する北欧神話をテーマに、、シンセの多重録音とコンピューターの打ち込みによる、
ダークなアンビエントサウンドを描いてゆく。10分前後の大曲をメインに、ひたすらリフレインされるフレーズが、
一種異様な暗黒臭を漂わせているが、ストリングスを模したクラシカルな旋律には、彼の優雅な美意識が垣間見える。
暗黒度・・8 メタル度・・1 幻想度・・8 総合・・7.5
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BURZUM 「Hlidfsklajf」
バーズムの6th。1999年作
カウント・グリシュナック(ヴァーグ)による刑務所作品第二弾で、前作同様に、メタル色は皆無の
シンセの多重録音によるダークアンビエントなサウンド。美しくも物悲しいメロディは
彼の脳裏に描かれる幻想風景を描写するかのようで、反復されるフレーズとともに
夢の中でぼんやりとまどろむように鑑賞できる。メロディの輪郭がある分、難解さはなく
絶望というよりは、森の中を光を求めて彷徨うような心地である。これもまたバーズム。
暗黒度・・8 メタル度・・1 幻想度・・8 総合・・7.5
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BURZUMAnthology
ノルウェーブラックメタル界のカリスマ、カウント・グリシュナックによるバーズムのアンソロジー。2008作
MAYHEMのユーロニモス刺殺容疑で逮捕され、2000年にはBURZUMの活動停止を宣言、
現在も服役中であるが仮釈放は許され、音楽活動を再開、2010年に復活作「Belus」を発表した。
本作は1992〜1999年までのミニを含む7枚の作品からセレクトされた楽曲を収録。
ノイジーに疾走するいかにも初期ブラックメタルといった作風から、しだいに
暴虐さよりも絶望的な闇と、シンセを使用したもの悲しい表現へと変化してゆく。
今で言うシューゲイザーの先駆け的な曲や、逮捕後の獄中から作られたシンセによる
いわばアンビエントな作風まで、彼の人生の変転そのものという音楽性の変転をかいま見れる。
暴虐度・・7 絶望と諦観度・・9 ブラック人生度・・10 総合・・7.5
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BURZUMBelus」
ノルウェーのブラックメタル、バーズムの2010年作
MAYHEMのEuronymousの殺害容疑で27年の実刑となったカウント・グリシュナックであるが、
獄中においてもダークでアンビエントな音楽作品を作り続けた。そしてついに2009年に出所、その復活作となるのが本作だ。
聴いてみて、まずずいぶん音が良くなった。(といっても、一般のバンドを基準にすればまだ悪いのだが)
ノイジーなギターリフの中に、うっすらと北欧的な叙情と殺伐とした冷たさを感じさせながら、
カウントの絶叫ヴォーカルが乗るスタイルはかつてと同じであるが、本作のサウンドはよりメロディアスで、
そこにはに絶望と嫌悪に満ちあふれていたような以前の荒涼感は薄まっている。
これならば、一般のメロディック・ブラックメタル好きの人間にも楽しめるくらいの聴きやすさだ。
衝動的な感情と憎しみに包まれた世界観から、作品としての楽曲を感じさせるようになった、
いわばカウントの人間としての成長が窺える。これは殺人者ではなく、音楽家としてのアルバムである。
ドラマティック度・・8 暴虐度・・7 暗黒度・・8 総合・・8
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Burzum「The Fallen」
ノルウェーのブラックメタル、バーズムの2011年作
2009年に出所したカウント・グリシュナックのシャバ復活2作目となる。
前作で聴かれたメロディックな路線を引き続き、より普遍的なメタル感触がともなってきている。
ノイジーなギターフレーズで激しく疾走する部分は、かつてのブラックメタル質感がちゃんとあるが、
より有機的なリフとフレーズが目立ってきていて、わめき声とともにノーマルヴォイスも使われたりと
プログレッシブ・ブラック的なモダンなアプローチへの意欲も随所に感じられる。いわばかつての寂寥感を卒業し、
楽曲、音楽としての表現手法が強まったことで、一般的にも聴き安い作品となっているし、
ある意味、音楽家としてのセンスはIHSAHNなどにも通じるこの路線は、個人的にも気に入っている。
メロディアス度・・8 暴虐度・・6 暗黒度・・7 総合・・8
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BURZUMFrom The Depths Of Darkness
ノルウェーのブラックメタル、バーズムの2011年作
1st「BURZUM」、ミニ「ASKE」、2nd「Det Som Engang Varの曲をリメイクした作品。
ノイジーなギターでチープに疾走する初期バーズムのサウンドはそのままだが、
音の輪郭がはっきりした分、かつてのアンダーグラウンな雰囲気はいくぶん薄れている。
とはいえ、うねりのあるギターリフとカウントのわめき声ヴォーカルがかもしだす、
地下音楽的な作風は、やはり唯一無二の個性である。むしろ初期の音質が苦手だった方には
ずいぶん聴きやすさが増したと言えるだろう。初期バーズムの世界観を甦らせた好作品です。
ドラマティック度・・7 暗黒度・・8 バーズム度・・8 総合・・8
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BURZUMUmskiptar
ノルウェーのブラックメタル、バーズムの2012年作
カウント・グリシュナック出所後3作目となるアルバムで、毎年作品を作り続ける創作意欲は、
あるいは彼の人生において現在がもっとも充実している時なのかもしれない。
前作で聴かせたプログレッシブな構築美とメロディ志向を引き継ぎつつも
本作ではむしろ拡散志向の芸術センスが強まり、北欧らしい土着的なメロディをまじえた
もの悲しいギターフレーズと語りのような歌声を乗せて、ゆったりと聴かせるサウンドだ。
ノイジーなギターはいかにもブルズム節であるが、9分、10分という大曲も含め、
全体的にメタル的な激しさよりも静謐感の強い作品。これはこれで好きです。
メロディック度・・8 暴虐度・・5 北欧叙情度・・8 総合・・8
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BURZUM 「SOL AUSTAN, MANI VESTAN」
ノルウェーのブラックメタル、バーズムの2013年作
出所してからというもの、毎年のように作品を出しているヴァーグ氏であるが、
本作は奥方のMarie Cachetと共に制作した映画「FOREBEAR」のサントラ作品で、
メタル色のないシンセによるアンビエントなサウンド。かつての彼の世界観であったダークな絶望感というよりは、
寂寥とした美しさを漂わせた雰囲気で、盛り上がりやダイナミズムとはほぼ無縁。
単音によるフレーズの反復が多いので、楽曲として聴くには少々つらい内容だ。
ドラマティック度・・7 メタル度・・1 幻想度・・7 総合・・7




C

CADACROSS「SO PALE IS THE LIGHT」
フィンランドのメロデスバンド、カダクロスの1st。2001作
透明感のあるキーボードと叙情的なギターによる、実に美しいメロデスサウンド。
いかにも北欧らしい、やや田舎ぎみの土着メロディが人懐こい感じで、曲も速すぎず遅すぎず、
さらに音質が少しこもりがちのせいが、サウンドにエッジが立っていなくて、かえってぼんやりとして心地よく聴けます。
いっそダミ声のヴォーカルが無用に思えるほどの美麗なサウンドで、Eternal Tears of Sorrowをややイモくさくした感じか。
2ndだともっとカッチリとしたチルボド系の音になっていますが、そちらも総じて質は高いです。
メロディアス度・・8 シンフォニック度・・8 暴虐度・・6 総合・・8
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CADACROSS「CORONA BOREALIS」
フィンランドのメロデスバンド、カダクロスの2nd。2002作
1stから比べて一聴して音質が向上。結果としてチルボド度が増しているようにも聞こえるが、
彼ら独自のキラキラシンセ&ヴァイキング調の北欧メロディは相変わらず心地よいし、美しい。
ただ、このキラキラメロデスにはヴォーカルのがなり声が合っていない気もするが…
まあ、これでノーマル声で歌ったらデスでもなんでもなくなるだろうし、仕方ないか(^^;)。
品質は確実に向上しています。ただし1stの「もわ〜っ」とした感じが好きだったら
この2ndはちょっとカッチリしすぎのように感じるかも。北欧キラデスの好盤。
メロディアス度・・8 シンフォニック度・・8 暴虐度・・6 総合・・8
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CADAVERIA「Shadow's Madame」
イタリアのゴシック・ブラックメタル、カダヴェリアの2002年作
Opera IXの女性Vo、カダヴェリア嬢を中心にしたユニットで、ヒステリックなデスヴォイスを乗せて疾走するスタイルに、
シンセによるシンフォニック性とゴシック的な耽美な世界観を聴かせるサウンド。
サイバーブラック的なメンバーの写真などもインパクトが大きいが、もっとシアトリカルな妖しさが欲しかった気もする。
シンフォニック度・・7 暴虐度・・7 女性デス度・・7 総合・・7.5
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Cadaveria 「In Your Blood」
イタリアのゴシック・ブラック、カダヴェリアの2007年作
OPERA IXのヴォーカルとしても知られる、カダヴェリア嬢をフロントに、Necrodeathのメンバーも在籍するバンド。
ノイジーなギターリフと、カダヴェリア嬢のスクリームヴォイスを乗せた、ブラックメタル風味のサウンドで、
随所にインダストリアルな硬質感と、ノーマルな女性声を含んだダークで妖しげな世界観で描かれる。
ときおり、ゴシック的なシンセアレンジも入るのだが、基本的にはギターメインなので壮麗な感触は薄く、
ゴシックなのかブラックなのか、はっきりさせて欲しい気もする。裏ジャケのヌードはパイオツ丸出しです。
ドラマティック度・・7 ゴシック度・・7 女性Vo度・・7 総合・・7




Caina 「Temporary Antennae」
イギリスのシューゲイザー・ブラック、カイナの2008年作
アンドリュー・カーティス・ブリグネル氏による個人ユニットで、シンセをメインにした怪しげなイントロから、
ラウドなギターリフにドラムが加わり、詠唱めいた邪悪な歌声を乗せた、異色の暗黒性に包まれたサウンド。
アコースティックギターによる叙情性と、サウンドスケープ的なシューゲイザー要素も覗かせつつ、
プリミティブでミステリアスな空気を描き出す。ときにブラスト疾走する激しさもあるが、邪悪な雰囲気は薄く、、
BURZUMのアンダーグラウンド感覚に比べると、こちらはスペイシーな広がりを感じさせる世界観である。
一方では、Alcestあたりにも通じるポストブラックとしての繊細な叙情美も備わっていて、
浮遊感のある幻想性はやはりシューゲイザー寄りの作風といえる。アーティスティックなセンスが味わえる異色作。
ミステリアス度・・8 暗黒度・・7 スペイシー度・・8 総合・・8
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CAINA 「HANDS THAT PLUCK」
イギリスのポストブラックメタル、カイナの2011年作
アンドリュー・カーティス・ブリグネル氏による個人ユニットで、今作はザラついたギターリフとダミ声ヴォーカルを乗せて
のっけから激しく疾走、邪悪な気配をまき散らすダーティな空気感に、しだいにスペイシーなスケール感がまとう。
ドラムは打ち込みっぽいのだが、あえてスカスカな音質が、フリミティブなアナログ感をかもし出してていて、
ときにアヴァンギャルドなセンスも感じさせるシンセアレンジが、唸るようなダミ声とともに混沌とした闇を描く。
10分前後の大曲も多く、まともな音楽を好む方には到底薦められないが、単なる自己満足以上の迫力をともなって、
禍々しい得体の知れないモノを大仰に表現しているという点で、ブラックメタルとしての闇と狂気が確かに感じ取れる。
歌声の不気味さも含めてデプレッシブ・ブラックのファンにも楽しめるだろう。Disc2には未発曲や旧曲の新バージョンなどを収録。
ドラマティック度・・8 大仰度・・8 ミステリアス度・・8 総合・・8
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Caina 「Christ Clad in White Phosphorus」
イギリスのポストブラックメタル、カイナの2016年作
アンドリュー・カーティス・ブリグネル氏による個人ユニットで、本作がすでに6作目となる。
インダストリアルで不穏なイントロから、ノイジーなギターリフとわめき声ヴォーカルを乗せて激しくブラスト疾走、
こもり気味の音質も含めたプリミティブな怪しさを漂わせる、無機質なブラックメタルサウンドを展開。
モノトーンの宇宙空間のような、無慈悲な神秘性に包まれた雰囲気で、壮大かつ邪悪な世界観を描く。
ジャーマンロックのようなサウンドエフェクトによるアヴァンギャルドなナンバーや、インダストリアル調のナンバー、
スペイシーなシンセミュージックというべき12分の大曲まで、単なるブラックメタル以上の実験性も感じさせる。
ドラマティック度・・7 暴虐度・・7 暗黒度・・8 総合・・7.5 
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CAINA「Gentle Illness」
イギリスのポストブラックメタル、カイナの2019年作
アンドリュー・カーティス・ブリグネル氏による個人ユニットで、2006年にデビューし、本作は7作目。
ドラマのようなSEのイントロから始まり、ノイジーなギターリフにダミ声ヴォーカルを乗せた、
不穏な空気に包まれた暗黒サウンドを展開。激しいブラストビートも覗かせつつ、ぼんやりとラウドな音質が
プリミティブな妖しさになっていて、ほどよく叙情的なギターフレーズとともに、ミステリアスな聴き心地を描き出す。
ブラックメタルの邪悪さというよりは、ホラー映画のようなおどろおどろしさで、シンセやSEを含むサントラのような感触は、
楽曲というよりは雰囲気モノというべきか。アヴァンギャルドなセンスの暗黒ポストロックとしても楽しめそうな異色作。
ドラマティック度・・7 暗黒度・・8 アヴァンギャル度・・8 総合・・7.5 
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Can Bardd 「Nature Stays Silent」
スイスのネイチャー・ブラックメタル、カン・バードの2018年作
アコースティックギターによる牧歌的なイントロから、トレモロを含む叙情的なギターフレーズを乗せ、
ダミ声ヴォーカルとともに激しくブラスト疾走。ホイッスルの音色など、フォーキーな牧歌性とともに、
自然崇拝のネイチャーブラックとしての雄大な叙情美が感じられ、こもり気味のドラムも含めて、
暴虐さよりも幻想的な聴き心地。10分前後の大曲を中心に、うっすらとしたシンセにギターを重ね、
随所に激しいブラストも含みつつ、のんびりとしたスローパートなどもわりとも多いので優雅に楽しめる。
ブラックメタルが苦手な方でも聴けそうな。ペイガンなフォークメタルとしてもお薦めの一枚です。
ドラマティック度・・7 暴虐度・・7 叙情度・・8 総合・・8
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A Canorous Quintet「Silence of the World Beyond」
スウェーデンのメロデスバンド、ア・キャノラス・クインテットの1996作
ツインギターの叙情的なフレーズをメインに疾走するサウンドは、シンセを一切使わずとも展開美は作れるのだという
メロデスのお手本のようだ。かつて本物のメロデスとはこういう音楽のことを指したのだ。
ダークな世界観をドラマティックに描いてゆくのは、シンセやテクノロジーに頼りがちな
昨今のバンドにこそ見習って欲しい。泣きのツインギターに悶絶しまくりの隠れた傑作。
メロディアス度・・8 暴虐度・・7 ドラマティック度・・8 総合・・8
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A CANOROUS QUINTET 「THE ONLY PURE HATE - MMXVIII」
スウェーデンのメロディック・デスメタル、キャノラス・クインテッドの2018年作
1995年にデビュー、アルバム2枚を残して消えるも、2006年になって、バンド名をThis Endingとして活動再開、
2012年になると、A CANOROUS QUINTET名義で復活する。本作は1998年作のリレコーディング作品で、
ツインギターの叙情フレーズにダミ声ヴォーカルを乗せて疾走する、90年代北欧メロデスの王道サウンド。
扇情的な泣きのギターは、初期IN FLAMESあたりを思わせ、初期DARK TRANQUILLITYの疾走感が合わさった、
これぞオールドスタイルのメロデスという聴き心地でにんまりである。11分を超える3部構成の組曲も含めて、
20年後に再録音するだけの見事な力作である。1996年の1作目も北欧メロデスの傑作なのでチェックすべし。
ドラマティック度・・8 暴虐度・・7 北欧メロデス度・・9 総合・・8 
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CATAMENIA「HALLS OF FROZEN NORTH」
フィンランドのシンフォニックブラックメタルバンド、カタメニアの1st。1998作
現在までに6枚のアルバムを出し、順調に活動を続けているこのバンド。
いかにも北欧的な叙情溢れるメロディを疾走ブラックに取り入れたサウンドはこの手の初心者にも聴きやすく、
楽曲、演奏ともクオリティが高い。この1stの時点ではまだCRADLE OF FILTH的な匂いのあるシンフォブラックであるが、
女性Keyによるシンフォニックな美しさは、すでに凡百のバンドとは異なるだけのものがある。
シンフォニック度・・8 暴虐度・・7 北欧度・・8 総合・・7.5
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CATAMENIA「MORNING CRIMSON」
フィンランドのシンフォニックブラックメタルバンド、カタメニアの2nd。1999作
ブラックというよりはゴシック的なジャケに少々引くかもしれないが、これも一応“オオカミジャケ”ではあります。
音のほうは基本的に1stの延長だが、音質が良くなっているためサウンドに整合感がでてきた。
この時点でメジャークラスのシンフォブラック連中ともなんら遜色がない。ほとんどが3分台の曲というのも、
とても聴きやすいし、北欧的な叙情を感じさせる部分は、やわらかくなったDIMMU BORGIRという雰囲気もある。
がなりたてるVo以外は、暴虐な部分は少ないので安心して聴けるシンフォブラである。
シンフォニック度・・8 暴虐度・・7 北欧度・・8 総合・・8
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CATAMENIA「ETERNAL WINTER'S PROPHECY」
フィンランドのシンフォニック・ブラックメタルバンド、カタメニアの3rd。2000作
北欧的な寒々しくも美しいシンセが鳴り響く中を暴虐に疾走する、王道のシンフォブラックサウンド。
ギターのフレーズも非常に聴き易く、全体的に整然とした綺麗な音作りである。
ブラックとしての禍々しさは希薄だが、初心者にも安心して聴けるバンドだろう。
シンフォニック度・・8 暴虐度・・7 楽曲・・7 総合・・7.5

CATAMENIA「ESKHARA」
フィンランドのシンフォニック・ブラックメタルバンド、カタメニアの4th。2002作
シンフォニックなキーボードにブラストビートで疾走するスタイルのこのバンド、
基本的にどのアルバムも方向性は同じなのだが、メロディの煽情度はこの4作目が一番だろうか。
北欧らしい、ときにヴァイキング調のメロディを奏でつつ突っ走るそのサウンドは激しいながらも音には整合感があって、
非常に聴き易い。高品質のシンフォブラックとして、このバンドを初めて聴くならまずこのアルバムを推したい。
シンフォニック度・・8 暴虐度・・8 北欧シンフォブラック度・・9 総合・・8
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CATAMENIA「CHAOS BORN」
フィンランドのシンフォニック・ブラックメタル、カタメニアの5th。2003作
北欧らしい寒々しいメロディに、疾走するブラストビートで聴かせるシンフォニックブラックの王道。
感触としては少し前のDIMMU BORGIRに近いが、こちらの方がメロディにややヴァイキング色が強い感じで
雪に狼というジャケ通りにスカンジナビアの冬を思い起こさせるようなイメージだ。
美しく鳴り響くキーボードをバックに、ブラストで疾走しまくるというスタイルながら
音的にはとても聴き易く、シンフォブラック好きには安心してお薦めできるクオリティがある。
シンフォニック度・・8 暴虐度・・8 楽曲・・7 総合・・8
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CATAMENIA 「WINTERNIGHT TRAGEDIES」
フィンランドのシンフォ/メロブラバンド、カタメニアの6th。2005作
今回も音質の向上にともない完全に日本盤レベルの出来になっている。
とくにギターの音がソリッドになりツインギターの重ねが鮮明に聴こえることで、
メロデスとしてのクオリティもアップしている。以前の北欧的なうっすらとした美しいシンセが引っ込んだ印象があるので、
これまでよりもシンフォ度が薄くなった感もあるが、全体的なクオリティは過去最高だろう。
メロディアス度・・8 暴虐度・・8 サウン度・・8 総合・・8
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CATAMENIALocation: Cold」
フィンランドのシンフォニックブラックメタルバンド、カタメニアの7th。2006作
今回もメロディックなリフとキーボードで疾走しまくりだが、北欧的な叙情はやや薄まり、
どちらかというとメロブラ/メロデス系の質感が強まっている。これはこれでクオリティは高いのだが
3拍子疾走系の曲がどれも似たように聴こえるなど、どうもあまり新鮮味はない。
曲、メロディともに前作には及ばず、これはもう少し作り込みが必要だったかも。
シンフォニック度・・7 メロディアス度・・7 暴虐度・・7 総合・・8
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CATAMENIA「VIII: the Time Unchained」
フィンランドのシンフォブラックメタルバンド、カタメニアの8th。2008作
前作からややシンフォニックな味わいが薄くなってきた感があったのだが、本作でもその延長上のサウンド。
かつての美麗なシンセワークをやや影をひそめ、むしろメロブラ的にギターリフ中心で疾走するスタイルになっている。
ドラムを含めて音の方もやや軽く、暴虐ブラックという点でも物足りないか。
この手の他のバンドに比べればメロディに土着性が高いわけでもないので、
どうにも中途半端な作品である気がする。個人的にはシンフォプラに戻って欲しい。
シンフォニック度・・6 暴虐度・・7 楽曲・・7 総合・・7.5
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CATAMENIA「Cavalcade」
フィンランドのシンフォブラックメタルバンド、カタメニアの9th。2010作
前作あたりから、初期の美麗なプラックメタル路線からの変化が見えていたが、
ついに狼ジャケをやめた本作では、ミドルテンポ主体のメロデス路線になっている。
ときおり聴かせるフィンランド的なメランコリックなフレーズは悪くはないし、
前作からの流れであるギターリフで聴かせるメロブラ風味も残っているが、
サウンドに新鮮味はなく、バンドとしての特徴がますますぼやけてきたような気がする。
メロディアス度・・7 暴虐度・・7 フィンラン度・・8 総合・・7.5
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Catamenia「Rewritten Chapters」
フィンランドのシンフォニック・ブラックメタル、カタメニアの2011年作
1998年にデビューし、高品質なシンフォブラとしてファンを増やしてきたこのバンド、
ここ最近はメロデス寄りの作風になっていたが、本作は過去曲の再録アルバムで、
北欧的な叙情とともに激しく疾走する、久々に彼ららしいサウンドを聴いた感じがする。
暴虐さはそこそこながら、うっすらとしたシンセアレンジも含め、バランスのとれた再構築である。
新鮮味がないことは否めないものの、ファンが求めているのはやはりこの路線だろう。
ドラマティック度・・8 暴虐度・・7 カタメニア度・・8 総合・・7.5
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CATAMENIA「Bringing the Cold to Poland」
フィンランドのシンフォニックブラックメタルバンド、カタメニアのライブDVD。2006作
2006年ポーランドでのステージを収録。シンフォニツクに分かりやすく疾走するスタイルで
数あるシンフォブラックの中でもけっこう好きなバンドである。しかし…ここで聴けるライブの模様では
演奏、音質ともにかろうじて中の下という感じで、なんとかアルバムの楽曲を再現してはいるが、
肝心のヴォーカルの迫力の無さはいかんともしがたく、バンド全体的にもどこかアマチュア臭さが残る。
観客の反応もどこか醒めていて、これならむしろ地元で収録した方が良かったのではと思う。
北欧シンフォブラックとしてはすでに中堅の部類に入る彼らだが、ライブではこの程度なのかと少々残念。
ところでこのバンド、いつからツインヴォーカルになったの??どちらにしても雪原の狼は見えなかった…
シンフォニック度・・7 ライブ演奏・・7 ライブ映像・・7 総合・・7
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Cemetery Winds 「Unholy Ascensions」
フィンランドのメロディック・デスメタル、セメタリー・ウインズの2017年作
ドラム&ギターによる個人ユニットで、ヴォーカルとベースはゲスト。どことなく90年代北欧デスメタル風のジャケであるが、
オールドなギターリフに低音デスヴォイスを乗せ、ブラックメタル風の疾走感も含んだ古き良きメロデスサウンド。
ほどよく叙情的なギターうっすらとしたシンセが重なる雰囲気は、いかにも北欧らしいコールドな味わいで、
ブラストパートも含んだスタイルはブラックメタル寄りのなのだが、ヴォーカルがデス声なので、デスメタルなのかもしれない。
全33分と短めなのが少し物足りないか。サウンドは悪くないので、ぜひバンドを結成してこの路線を続けていただきたい。
ドラマティック度・7 暴虐度・7 北欧デス度・8 総合・7.5

CEREMONY OF SILENCE 「OUTIS」
スロバキアのブラック・デスメタル、セレモニー・オブ・サイレンスの2019年作
G/B/VoとDrによる二人組ユニットで、不穏なギターリフと低音グロウルヴォイスを乗せて激しくブラスト疾走する、
BEHEMOTHにも通じるような、重厚でブルータルなサウンドを聴かせる。リズムチェンジを含むテクニカルな感触と、
暗黒の闇に包まれた荘厳な空気が合わさって、迫力たっぷりのブラッケンなデスメタルとしても楽しめる。
激烈なリズムを叩き出すドラムの技量もかなりのもので、硬派な暴虐性による圧殺感が味わえつつ、
随所にブラックメタル風の暗黒美も感じさせる。媚びのないブルータルデスにブラックが合わさった強力作。
暗黒度・・9 暴虐度・・8 重厚度・・8 総合・・7.5
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Chasma 「Codex Constellatia」
アメリカのブラックメタル、チャスマの2013年作
2011年にデビュー、クリーンなギターに絶叫ヴォーカルを乗せ、ゆったりとしたイントロから、
激しくブラスト疾走しつつもも、暴虐さよりもスペイシーな神秘性に包まれたサウンドを描く。
いわゆるカスカディアン・ブラックメタルというべきスタイルであるが、よりプリミティブな雰囲気で、
初期のWOLVES IN THE THRONE ROOMを、サイケデリック志向にしたような世界観である。
アンビエントなリフレインによる小曲を挟みつつ、10分を超える大曲ではトレモロのギターを乗せて、
ブラスト疾走するお約束のスタイルに、緩急ある構築力で耳心地の良いポストブラックが味わえる。
ドラマティック度・・7 暴虐度・・7 神秘度・・8 総合・・7.5
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CHILDREN OF BODOM「FOLLOW THE REAPER」
フィンランドのメロデスバンド、チルドレン・オブ・ボドムの3rd。2000作
デスメタルとは思えないメロディアスさと、軽快さで疾走。きらきらとしたキーボードに、
テクニカルな様式フレーズを撒き散らす流麗なギターサウンドは今作でついに完成の域に達した。
とくにタイトル曲である1曲目は、正統的なメタルリフと、メロデスの疾走、そして泣きのメロディと
すべてがハマったチルボド最高の名曲だろう。40分弱と収録時間は短いが、
この完成度の高さはフィンランド産メロデス最高の一枚といっていい。
メロディアス度・・8 暴虐度・・7 完成度・・8 総合・・8
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CHILDREN OF BODOM「BESTBREEDER from 1997 to 2000」
フィンランドのメロデスバンド、チルドレン・オブ・ボドムの初期ベストアルバム。2003作
今や日本でもメロデスバンドの筆頭として人気、知名度ともにその地位を確立したこのバンド。
1st〜3rdと、ライブアルバムから選ばれた16曲にビリー・アイドルのカヴァー曲を新録した全17曲を収録。
改めて初期の曲を聴いてみるにつけ、当時「デスメタルにしてはあまりにメロディアス!」と衝撃を受けた、
きらきらとしたキーボードアレンジとキャッチーなメロディで疾走するというスタイルは、
後続の同系バンドたちに多大な影響を与えたのだと再確認できる。
この3枚めまでの音には北欧らしい叙情溢れるメロディと若さにまかせた突進力とが合わさって
インパクトの強い楽曲が多かったように思う。素直に聴いていて心地よいのだ。
これからチルボドを聴く方にもお勧めだし、彼らのアルバムは短いという不満も解消出来る一枚である。
メロディアス度・・8 暴虐度・・7 初期チルボド堪能度・・9 総合・・8
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CHILDREN OF BODOMHate Crew Deathroll
フィンランドのメロデスバンド、チルドレン・オブ・ボドムの4th。2003作
チルボドのアルバムでこれだけまだ未聴でした。前作「Follow the Reaper」
北欧メロデスとしてのこのバンドはひとつの完成を見たように思う。
今作ではよりメロディックで、ある意味キャッチーなサウンドへと深化している。
テクニカルなギターワークに、美麗なシンセワークが絡む彼ら独特の方法論は
ますます冴えを見せ、適度にモダンなアレンジともにソリッドな叙情美を構築してゆく。
次作へとつながるヘヴィロック的なアプローチも端々に聴かれ、
時代に合わせたバンドとしてのスタイルの柔軟性を感じさせる作品だ。
メロディアス度・・8 暴虐度・・6 モダンでキャッチー度・・8 総合・・8
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CHILDREN OF BODOM「Are You Dead Yet」
フィンランドのメロデスバンド、チルドレン・オブ・ボドムの5th。2005作
前作Hate Crew Deathrollのモダンな路線をさらに押し進めたサウンドで、
テクニカルなギターに流麗なシンセが絡んで激しく聴かせる1曲めは純粋に格好いい。
メロデスだヘヴィロックだ云々という以前に、まず「音楽」としてのクオリティが高いのだ。
初期の3作からすればかなりモダンになっているし、北欧メロデス的な雰囲気は減りつつあるが、
見事なまでのソリッドかつメロディアスなギターサウンドに、ときおり聴かせる泣きのメロディ、
そしてきらきらとしたシンセワークの美しさはアメリカのバンドでは決して出せないものがある。
メロデスかどうかといった議論は、こうまで質の高い演奏と曲の前ではもはや大した意味はなさない。
しっかりとヘヴィメタルファンにアピールする重厚さと、ギターフレーズにこだわるリスナーにも満足を与える。
次作6thも含めて、曲の質とメロディと突進力のバランスの点では近作の中で一番だと思う。
メロディアス度・・8 暴虐度・・7 ギターワーク度・・9 総合・・8
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CHILDREN OF BODOM「Chaos Ridden Years Stockholm Knockout Live」
チルドレン・オブ・ボドムのライブDVD。2006作
スウェーデンはストックホルムでのステージを収録。
初期のキラデス路線から、4th以降はモダンなアレンジを取り入れだして進化を続けているが
このライブではその抜群の演奏力を見せつけながら、スタジオ盤以上の勢いを感じさせる。
巧みなギターワークを見せつけながら、ヴォーカルもこなすアレキシのパフォーマンスには、
やはり華があり、バンドの顔としての存在感を見せつける。それに絡むヤンネのシンセワークは
華麗に楽曲を彩りつつ、ヘヴィネスの中にキャッチーな聴きやすさを付加しているし、
手数の多いドラムのプレイも素晴らしく、このバンドの屋台骨をしっかりと支えている。
最近のモダンな楽曲も、アルバム盤よりもずっと生き生きと聴こえ、メロデスうんぬんを超越した
“チルボド印”のメタルサウンドをたっぷりと満喫できる。
メロデデス度・・7 ライブ映像・・8 ライブ演奏・・9 総合・・8
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CHILDREN OF BODOM 「Blooddrunk」
フィンランドのメロデスバンド、チルドレン・オブ・ボドムの6th。2008作
前作「Are You Dead Yet」もなかなか質の高いアルバムだったが、
今作はそれよりもひとつ前に戻った感じで、ソリッドな硬質感を強めた作風だ。
このバンドの特徴であるモダンで美しいシンセワークと、普遍的なメタル色を強くした
メタリックなギターリフが絡み、ぱっと聴きにはやや淡白ながらも、骨太のサウンドを繰り広げている。
新鮮味がないとか、クサメロが少ないという見方もあると思うが、音にはバンドとしての自信に満ちあふれた
スケール感があり、彼らにしか作りえないサウンドであるという点で、評価すべき作品だと思う。
メロディアス度・・7 暴虐度・・7 ソリッ度・・9 総合・・8
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CHILDREN OF BODOM「Relentless.reckless Forever」
フィンランドのメロデスバンド、チルドレン・オブ・ボドムの2011年作
初期の王道のメロデス路線からしだいにモダンなヘヴィネスを含ませたサウンドへ進化させ
いまや世界的なメタルバンドとなったCOBの通算7作目。ぱっと聴きには、シンセによる美麗さと
メロディアスなギターフレーズから、3rd「FOLLOW THE REAPER」の頃を思い出させる作風だ。
かつてのスタイルにレイドバックした感触とともに、音そのものにはモダンな硬質さがあるので、
以前のファンに受け入れられる聴きやすさと、最近のファンにも楽しめる要素が両方まじっている。
楽曲そのもののインパクトや迫力と勢いの点では前作、前々作ほどではない気もするが、
シンフォニックなシンセとギターとの絡みは絶品だし、この質の高さの維持にはやはり敬意を表したい。
メロディアス度・・8 暴虐度・・7 モダン度・・7 総合・・8
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CHILDREN OF BODOM 「Holiday at Lake Bodom」
フィンランドのメロデスバンド、チルドレン・オブ・ボドムのベスト。2012年作
バンドのデビュー15周年を記念してのベストアルバムで、2曲のカヴァーを含む全20曲入り。
いまや、世界的にもビッグになったこのバンドの1997年〜2011年作までのアルバムから、
まんべんなく選ばれた楽曲は、あらためて聴いても、アグレッションとメロディのバランスに優れた
高品質なサウンドである。きらびやかなシンセに、ギターリフと流麗なフレーズで展開する、
まさにチルボド節というべき聴き心地は、ベタであるがそれも個性と言ってもよいのだろう。
いくぶんの変化はあっても、初期から現在まで同じ方向性を保ちつづけるバンドの強度は素晴らしい。
メロディアス度・・8 突進度・・8 チルボ度・・9 総合・・8


CHILDREN OF BODOM 「Halo Of Blood」
フィンランドのメロデスバンド、チルドレン・オブ・ボドムの2013年作
いまや世界的バンドとなったCOBの通算8作目。前作のメロディアス路線からの流れで
本作も流麗なギターフレーズをたっぷり織り込んだ、初期のスタイルにも近いサウンドだ。
全体的に音が軽めなのでヘヴィな迫力というものは薄いが、むしろ曲によっては疾走感のある
正統派メタル的にも聴けたりする。アルバム後半は、ミドルテンポの中庸曲もあるのだが、
相変わらず高品質なチルボド節を楽しめる安定作と、割り切って聴けばけっこう楽しめる。
メロディック度・・8 疾走度・・8 新鮮度・・7 総合・・8



Children of Bodom 「I WORSHIP CHAOS」
フィンランドのメロデスバンド、チルドレン・オブ・ボドムの2015年作
いまや世界的バンドとなったCOBの通算9作目。初期を思わせるライトなメロデス路線の前作から
再びモダンなヘヴィネスをまとわせた作風となっていて、いつになくブルータルなデスヴォイスを乗せて激しくたたみかける。
随所に流麗なギターフレーズも覗かせつつ、今回はリフ主体のスラッシーな感触が強めで、モダンなシンセワークとともに、
ヘヴィなエクストリームサウンドを描いている。メロディックな叙情性よりも激しさを重視したナンバーが多く、
前作、前々作あたりが好きだった方には、ややきついかもしれない。メロデスとしての方向性に再び迷ったような、
ヘヴィなニュースクール系の路線は個人的にはあまり楽しめない。チルボドはどこへ向かう。
メロディック度・・7 ブルータル度・・8 モダン度・・8 総合・・7.5
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Children Of Bodom 「Hexed」
フィランドのメロディック・デスメタル、チルドレン・オブ・ボドムの2019年作
1997年にデビューしてから、通算10作目となる。前作のモダンヘヴィネス路線は正直、微妙であったが、
本作はザクザクとしたギターリフにきらびやかなシンセワーク、ダミ声ヴォーカルを乗せた、
いくぶんオールドスタイルを意識したような作風となっている。リフ主導のスラッシュメタル風味に、
ほどよくメロディックな旋律を盛り込んで、激しすぎず、重すぎずという聴き心地で楽しめる。
随所に耳を引く流麗なギターフレーズは、さすがアレキシ・ライホというセンスで、美麗なシンセとともに、
キャッチーな味わいを描く質の高さは見事。わりとミドルテンポ多めであるが、チルボドらしさはたっぷり。
メロディック度・・7 暴虐度・・7 チルボ度・・8 総合・・8 
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Chrome Waves
アメリカのメロデス風ポストブラックメタル、クローム・ウェーブスの2012年作
ギター&シンセ、ベース&ドラム、ヴォーカルという変わった編成の三人組で
メランコリックなギターフレーズと、わめき声ヴォーカルを乗せてもの悲しい叙情を聴かせる
ポストブラック的なサウンド。疾走感はさほどでもなく、ノイジーなギターによるBURZUMのような
静寂パートや、いくぶんこもり気味の音質も含めて、ヘヴィさよりもはかなげな雰囲気が強い。
全体に漂うもの悲しい世界観は嫌いではないので、今後の成長に期待したいバンドだ。
ドラマティック度・・7 暴虐度・・7 はかなげ叙情度・・8 総合・・7.5
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CHTHONIC「9TH EMPYREAN」
台湾の女性3人を含む5人組、シンフォニックブラックメタルバンド、ソニックの2nd。
しかしまさか台湾から「ブラックメタル」とは・・(まあ日本や韓国にもいるわけだしね)、
サウンドはキーボードと女性コーラスを効果的に配した、なかなかのシンフォブラックで、
ダミ声で歌うおねいさんの歌唱も堂に入ったもの。暴虐パートとピアノによる静謐パートで
しっかり場をつないで、少々強引な曲展開もかえって新鮮に聴かせてくれる。
やはりヨーロッパのバンドとは質感がやや異なり、我々日本人に近しい感覚が音に表れている。
ドラムの技量がいまひとつなのが惜しいが、今後も充分に存在価値のあるバンドと思う。
私が買ったのは英語版だが、中国語版も出ている(本当はそっちを聴きたかった・・)。
シンフォニック度・・8 暴虐度・・7 アジア度・・7 総合・・7.5

CHTHONIC「RELENTLESS RECURRENCE」
台湾のシンフォニック・ブラックメタルバンド、ソニックの3rd。2002年作
シンフォニックなキーボードにメロブラ風のギターリフ、そこにブラック声が乗るスタイルで
一聴して前作より音に説得力が増した。シンセ担当の女性奏者はときおりフィメールヴォイスも担当。
二胡と呼ばれる台湾伝統の二弦楽器を使用しており、アジアンなミステリアスさをかもしだしつつ
全体的に暴虐さよりも、もの悲しい美しさが印象的でドラマティックかつ耽美に聴かせてくれる。
中国語によるデスヴォイスは独特な響きで、二胡の音色ととも不思議な雰囲気をかもしだしている。
シンフォニック度・・8 暴虐度・・7 台湾度・・8 総合・・7.5
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ChthoniC「Seediq Bale」
台湾のシンフォニックブラックメタルバンド、ソニックの4th。2007作
CRADLE OF FILTHあたりを思わせる禍々しくも美しい世界観で疾走するサウンドは
以前は弱点だったドラムの弱さも克服されていて、堂々たるレベルに仕上がっている。
シンフォニックなキーボードアレンジはどこか幽玄を感じさせる空気があり、
ダミ声絶叫Voに絡む女性Voや、もの悲しい二胡の音色にも注目だ。
どうせなら英語版ではなく中国語のまま配給して欲しかったが、メロディの雰囲気や怨念の込められたような音には
充分地域性を感じ取れる。日本盤にはライブ映像とPVの入ったDVDが付属していてお得ですよ。
シンフォニック度・・8 暴虐度・・8 台湾度・・8 総合・・8
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CHTHONIC「Mirror of Retribution」
台湾のシンフォニック・ブラックメタルバンド、ソニックの2009作
本作は5作目で、日本デビューとなった前作はCradle of Filthばりの傑作であったが、
今作もクサメロを撒き散らして強力に疾走。そして二胡によるもの悲しいメロディで
アジアンな雰囲気を漂わせつつ、ダークかつドラマティックに聴かせる力作だ。
ここまでのクオリティになると台湾のバンドうんぬんという地域性をあまり感じさせないほどだが、
個人的には中国語によるもっと土着的な怨念のようなものを聴きたい気もしないでもない。
シンフォニック度・・7 暴虐度・・7 台湾度・・7 総合・・8
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ChthoniC「Takasago Army」
台湾のシンフォニックブラックメタル、ソニックの2011年作
6作目となる本作は、太平洋戦争における台湾の戦士たち、高砂義勇隊をテーマにしたコンセプト作。
美しいシンセ、オーケストレーションをバックに、ヘヴィなギターと吐き捨てヴォーカルを乗せて疾走するスタイルは、
いっそう迫力を増していて、歴史的なテーマにそった重厚さ、怒りや悲しみなどが音を通して伝わってくる。
民族的な二胡の音色は、台湾文化特有の感触を楽曲に付加していて、いいアクセントになっている。
全体的にはシンフォニックさよりもヘヴィネスが上回っているので、メロディ派のリスナーにはやや物足りないかも。
シンフォニック度・・7 暴虐度・・8 重厚度・・8 総合・・8
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CHTHONIC「醒靈寺大決戦 Final Battle at Sing Ling Temple」
台湾のメロディック・ブラックメタル、ソニックのライブアルバム。2012年作
本作は歴史的意義を含む二.二八事件の舞台となった醒靈寺で行われた2011年のライブを収録。
美麗なシンセを含んで激しく疾走するサウンドはCradle of Filthを思わせる荘厳なシンフォブラックの質感に
アジアンな土着性が加わった独自のもので、ライブでのタイトな演奏力はアルバム以上の迫力をかもしだしている。
野外ということでドラムの音も含めてやや輪郭がぼやけた音質だが、それもかえって神秘的な臨場感に包まれている。
Disc2はTakasago Armyの全曲を演奏。激しくもドラマティックな楽曲が、よりパワフルに展開されてゆく様は圧巻だ。
付属DVDの映像を見れば、バンドのヴィジュアルも含めていっそう楽しめるだろう。
ドラマティック度・・9 ライブ演奏・・8 音質・・7 総合・・8
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ChthoniC「Bu Tik 武徳」
台湾のエクストリームメタル、ソニックの2013年作
今作も台湾の歴史をテーマにした作品で、民族的な香りただようイントロから始まり、
激しく絶叫するヴォーカルとメロデス的なギターリフを乗せて、重厚なサウンドを聴かせる。
ブルータルな疾走もありつつ、オーケストラルなアレンジの美しさが、もの悲しい情緒になっていて
アジアンな旋律が印象的に耳に響いてくる。ギターの奏でるフレーズや、厚みのあるコーラスなどにも
前作以上に民族的な色合いを覗かせ、バンドとしてのアイデンティティを強く感じさせる仕上がりとなっている。
アグレッシブな勢いとアジアンなテイストを見事に融合させた、このバンドならではの強力作です。
ドラマティック度・・8 アグレッシブ度・・8 重厚度・・8 総合・・8
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CHTHONIC 「演武」
台湾のエクストリームメタル、ソニックのライブ作品。2014年作
いまやアジアを代表するバンドの、2013年台北市でのステージをCDとDVDに収録。
2011年作「高砂軍」、2013年作「武徳」からの楽曲を中心に、迫力あるフレディのデスヴォイスを乗せ、
メロデス的な激しさと民族的なメロディを融合させた独自のサウンドは、ライブ演奏でもその実力を見せつける。
観客の盛り上がりとともに、熱いMCを挟みながら、戦争と史実をテーマにしたドラマティックな楽曲は、
ゲストによる采風楽坊(女子十二楽坊みたいな?)による演奏で、中華メロディをふんだんに取り入れつつ
アルバム以上の説得力と勢いある音圧で描かれてゆく。CD、DVDともにイントロを入れて全9曲で43分と
ボリューム的にはやや物足りないが、その分、濃密な迫力とともに最後まで飽きずに楽しめる。
紅一点、Doris嬢のベースプレイとその美しいおみ足も含めて(?)ファンは必見といえるかと。
ドラマティック度・・8 ライブ演奏・・8 濃密度・・8 総合・・8 
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CHTHONIC 「BATTLEFIELDS OF ASURA」
台湾のシンフォニックデスメタル、ソニックの2018年作/邦題「政治=阿修羅の戦場」
1999年にデビュー、いまやアジアを代表するバンドとなった。本作は5年ぶりとなる8作目。
国会議員でもある、リーダーのフレディ自身を暗示するようなアルバムタイトルであるが、
激しい疾走感とともに、怒りや悲哀の感情を描くように絶叫するようなヴォーカルを乗せ、
ときにメロディックなギターとシンセによるアレンジが、シンフォニックな壮麗さを描き出す。
前作に比べると 民族的な要素が薄まったが、歴史をテーマにした重みのあるドラマ性は健在で、
アグレッシブなシンフォニック・デスメタルとしても、ストレートに楽しめる楽曲が増えている。
政治家になってもこれほど激しく美しい作品を作れるのだから、フレディの気概と才能には恐れ入る。
ドラマティック度・・8 暴虐度・・8 壮麗度・・8 総合・・8 
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Claret Ash 「The Great Adjudication」
オーストラリアのブラックメタル、クラレット・アッシュの2018年作
2013年にデビューし、4作目となる。トレモロのギターにダミ声で、のっけから暴虐にブラスト疾走しつつ
リズムチェンジを含む緩急ある展開力で、プログレッシブなブラックメタルを聴かせる。
ドラムを含めリズム面での演奏力もしっかりしていて、激しい疾走パートでも軽さはない。
6〜8分という長めの楽曲でも、激しくたたみかけるパートや叙情的なパートなどが同居したスリリングな構築力に
迫力ある音像と荘厳な暗黒性も有している。いくぶんテクニカルデスメタルの雰囲気もある。全75分という力作です。
ドラマティック度・8 暴虐度・8 荘厳度・8 総合・8

Claymore 「Vengeance Is Near」
ブルガリアのシンフォニック・ブラックメタル、クレイモアの2014年作
セルビアにも同名のバンドがいたのでお間違えのないよう。オーケストラルなアレンジを含んだ
Dimmu Borgirにも通じる壮麗なシンフォブラックを聴かせる。ほどよくメロディックなギターに、
きらびやかなシンセアレンジ、クワイアなどを加えた厚みのあるサウンドは、暴虐な激しさよりは
クラシカルな優雅さが前に出ていて、初期のDark Lunacyあたりを好む方にもお薦めできるかと。
適度なクサメロ感が辺境的な味わいにもなっていて、激しすぎない美麗なシンフォニックブラックが楽しめる。
シンフォニック度・・8 暴虐度・・7 壮麗度・・8 総合・・8
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Cold Northern Vengeance 「Maelstrom」
アメリカのペイガン・ブラックメタル、コールド・ノーザン・ベンジェンスの2015年作
ギター、ベース、シンセ、ヴォーカルをこなすマルチプレイヤーHEATHEN氏を中心にした、
90年代ブラックメタルを受け継ぐようなツインギターのリフに朗々としたヴォーカルを乗せた、
ミステリアスでダークな世界観を描くサウンド。随所に激しいブラスト疾走も含ませつつ、
基本はミドルテンポ主体で、暴虐さよりもドゥームブラック的な重厚さを感じさせる。
最近のSATYRICONなど、重々しいダークメタルが好きな方は気に入るかもしれない。
ドラマティック度・・7 暴虐度・・6 重厚度・・8 総合・・7.5
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CONSTELLATIA 「The Language Of Limbs」
南アフリカのポスト・ブラックメタル、コンステラティアの2020年作
叙情的なギターにダミ声ヴォーカルを乗せて激しくブラスト疾走、スローパートでは優美なシンセアレンジと
メロウなギターの旋律に、女性ヴォーカルの歌声も加わって、やわらかな叙情性に包まれる。
Alcestなどにも通じる優雅さと、Wolves In The Throne Roomの神秘性と激しさを合わせた雰囲気で
8分、9分、11分という大曲をメインに、緩急ある構築力で、幻想的なポストブラックメタルが楽しめる。
ギターの泣きのメロディによる耳心地の良さという点では、上記したバンドを超えるセンスを感じさせる。
激しさをちゃんと残しつつ、ここまでメロディアスなのは素晴らしい。全4曲35分で、もっと聴いていたい逸品です。
ドラマティック度・8 暴虐度・7 優美な叙情度・9 総合・8
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Constellatia 「Magisterial Romance」
南アフリカのポストブラックメタル、コンステラティアの2022年作
2019年にデビュー、本作は2作目となる。10分前後の大曲4曲という構成で、トレモロを含む叙情的なギターに
ダミ声ヴォーカルを乗せた、カスカディアンブラック寄りのサウンドで、随所に激しくブラスト疾走しつつ、
うっすらとしたシンセを重ねた、どこか夢見心地の世界観。ときにメロウなギターの旋律も覗かせて
激しくも優雅な味わいと叙情的な扇情力の高さは、Alcestばりであろう。女性ヴォーカルを加えた3曲目などは、
ブラックメタルとは思えぬ優美な聴き心地で、この路線での新機軸というような美しさにウットリとなる。
ドラマティック度・8 激しさ度・7 幻想度・8 総合・8 
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CONSUMMATION 「The Great Solar Hunter」
オーストラリアのブラックメタル、コンサメーションの2019年作
2012年にデビュー、本作は2作目。ツインギターのリフに低音の唸り声ヴォーカルを乗せて激しく疾走、
スラッジ的なザラついた感触と、モノトーンの暗黒性に包まれたブラックメタルサウンド。
12分、13分という大曲もあり、随所にスローパートを含んだ重厚さと、ときに激しいブラスト疾走で、
邪悪でミステリアスな空気感を描きながら、淡々とした無慈悲なスラッジブラックを構築してゆく。
全体的に硬派で媚のないサウンドなので、ドラマティックな盛り上がりがもう少し欲しい気もするが、
モノトーンの美学こそが魅力なのかも。ラスト曲の最後は、トレモロからの叙情メロディがよい感じです。
ドラマティック度・・7 暴虐度・・7 暗黒度・・9 総合・・8
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Monument」
ノルウェーのメロディックブラック、コル・スコルピの2009年作
ツインギターにシンセを含む6人組で、メロディックなギターフレーズと北欧的な叙情を匂わせつつ、
美麗に聴かせるスタイル。音は比較的軽めで、ツインギターの泣きの旋律をたっぷりと含み
シンセやピアノによる美しいアレンジとともに疾走、暴虐さよりむしろクラシカルで優雅な感触が前に出ている。
メロデスでいうとEMBRACEDあたりに通じる美へのこだわりがあって、シンフォニックな耳心地の好作品だ。
メロディアス度・・8 暴虐度・・7 美旋律度・・9 総合・・8
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Cor Scorpii 「Ruin」
ノルウェーのブラックメタル、コル・スコルピの2018年作
2008年にデビュー、本作は10年ぶりとなる2作目。前作は優雅なシンフォニックブラックを聴かせる傑作であったが、
本作も美麗なイントロで幕を開け、叙情的なギターに優美なシンセとダミ声ヴォーカルを乗せて激しく疾走する、
メロディックなブラックメタルを聴かせる。泣きのギターフレーズにシンセを重ねた壮麗な叙情性と、
緩急ある知的な展開力が素晴らしく、ときにWINDIRSOLEFALDをより華麗にしたような味わいでもある。
どこを切っても、扇情的なギターのメロディが耳心地よく、北欧らしい涼やかな空気感に包まれながら、
激しくブラスト疾走するあたりは、シンフォブラ好きにはたまらないだろう。激しくも壮麗なる傑作です。
メロディック度・9 暴虐度・7 叙情度・10 総合・8.5 
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CRADLE OF FILTHVempire or Dark Fairytales in Phallustein
イギリスのシンフォニックブラックメタルバンド、クレイドル・オブ・フィルスの1996年作
今や世界的な人気を誇るこのバンドだが、日本盤が出る2ndまでは、まだまだマニアックな存在であった。
本作は1994年のデビュー作から2ndへとそのサウンドのクオリティを上げてゆく過渡期の作品であるが、
初期の荒々しい激しさと耽美な叙情性が合わさっていて、個人的には大好きな作品だ。
とくにクレイドル最高の大曲である“Queen of Winter,Throned”の素晴らしさは必聴級で、
緩急のついた展開力と、たたみかける疾走感、そして耽美で幻想的な世界観に浸れる。
エロティックなジャケのインパクトとともに、ミニアルバムとはいえ濃密な傑作である。
シンフォニック度・・8 暴虐度・・8 幻想美度・・9 総合・・8
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CRADLE OF FILTH「Dusk and Her Embrace」
イギリスのシンフォニックブラックメタルバンド、クレイドル・オブ・フィルスの2nd。1996作
壮麗に聴かせるシンフォニックなシンセワーク、ヴァンパイアをテーマにした耽美な世界観、
そして絶叫としわがれ声を巧みに使い分けるヴォーカルのダニ・フィルスの存在感。
あらゆる点で1stからスケールアップを遂げ、本作ではその激烈かつドラマティックなサウンドに
説得力を付加し、闇の幻想美を彩っている。たとえば、ノルウェーのバンドとは異なるベクトルで
ブラックメタルをエンターテイメントミュージックにまで仕立て上げたこのバンドの功績は大きい。
現在におけるシンフォニック・ブラックシーンの発展の布石ともなった傑作といっていいだろう。
そして次作「Cruelty And The Beast(鬼女と野獣)において、彼らはその地位を不動のものにする。
シンフォニック度・・8 暴虐度・・8 幻想美度・・9 総合・・8.5
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CRADLE OF FILTH「HEAVY LEFT-HANDED & GANDID」
英国のシンフォニック・ブラックメタルバンド、クレイドル・オブ・フィルスのライブDVD。2001年作
彼らの地元でのライブ映像12曲に、新曲のビデオクリップ、その他、映像特典多数の内容。
まず、ライブの方はやはり安定した演奏力による見事なステージ。特に目を引くのがVoのダニの表現力で、
高音の絶叫から囁き声、低目の語りやデス声まで変幻自在。またドラムの実力も相当なもので、激速ブラスト〜スローテンポ〜三連という
起伏の多い展開を見事な手数の多さでこなす。ギター、キーボードの重ねや、そこに絡む女性コーラスなど
アレンジ面でもそつがなく、この手のシンフォニックブラックメタルとしてはやはり最高レベルだと頷ける出来だ。
異形の美女がステージに現れたりして、邪悪で耽美な雰囲気作りに一役買っている。
PVはサイコホラー的な作りで、ギャグとホラーの境目を行くようなB級映画的なイメージングだが、
それもまた楽しい。このビデオクリップ、「残酷バージョン」と「さらに残酷バージョン」の2通りが入っていて
見比べてみるのも面白い。血みどろのスプラッタシーンや裸がいっぱい出てくる(笑)。その他のボーナスとして、
「ブレア・ウィッチ・プロジェクト」をもじったような、深夜の森でのロケ映像やメンバーのフォトやインタビューなど、満載の内容でお腹いっぱい。
ビデオクリップ・・7 ライブ映像・・8 ライブ演奏・・8 総合・・8
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CRADLE OF FILTH「BITTER SUITES TO SUCCUBI」
英国のメロディックブラックメタルバンド、クレイドルオブフィルスの2001年作
新曲6曲に過去のリメイク曲3曲、カヴァー曲1曲という構成で、
相変わらずの高品質な激烈かつドラマティックなブラックメタルサウンド。
彼らの場合は、エンペラー、サテリコンなどとは異なり、その暴虐さにはキャッチ―なエンターテイメント性がある。
それが「ブラックメタル」という特異なジャンルにおいても、彼らが決してアンダーグラウンドには走らず、
万人に向けた 「ホラー映画的な娯楽性」をまとった音にして、構築している所以だろう。
そういう意味で、彼らの「恐怖というものを演出」する手腕は見事という他はない。
もはやここまでくるとこれは、デス/ブラック嫌いの人間でも聴けるA級の音楽とさえいえる。
メロディアス度・・8 ドラマティック度・・9 暴虐度・・8 総合・・8
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CRADLE OF FILTH「LIVE BAIT FOR THE DEAD」
イギリスのシンフォニック・ブラックメタルバンド、クレイドル・オブ・フィルスのライブアルバム。2002作
「MIDIAN」発表後の2001年の地元イギリスでのライブ音源。
Disc1は過去のアルバムからの楽曲も多く取り入れながらの13曲を収録、
私の好きなミニアルバム「VAMPIRE」からの大曲「QUEEN OF WINTER THRONED」が嬉しい。
暴虐に疾走しつつも演奏力は確かで、ライブでのダニのVoの表現力もさすがに見事。
来日時同様にサラ嬢のコーラスも効果的で、シンフォニックな部分と激烈な部分のバランスの良さに、
改めてこのバンドのセンスの良さが知れる。音質がややラウドなのが惜しいがファンならば楽しめるだろう。
2枚組みのDISC2では、デモバージョンや別ミックスバージョンなどが収められていて
こちらはデジタリーなダンスミックス曲などもあってちょっとびっくり(^^;)これはこれで面白いが。
シンフォニック度・・8 暴虐度・・8 ライブ演奏・・8 総合・・7.5
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Cradle of Filth「Lovecraft & Witch Hearts」
英国のシンフォニック・ブラックメタル、クレイドル・オブ・フィルスのベストアルバム。2002年作
世界的なメジャーバンドとなった彼らの1996年から2000年までの楽曲と、リミックス曲を収録したCD2枚組。
シンセによる美麗なアレンジとダニ・フィルスの強力なわめきヴォーカルを乗せて疾走、
ヴァンパイアなどの、ホラーやゴシックロマン的な耽美な世界観を融合させたサウンドは、
2nd「Dusk and Her Embrace」で完成し、次作「Cruelty And The Beast(鬼女と野獣)で人気を決定的なものとした。
やはりこの時期のサウンドには、いくぶん粗削りの勢いと、ややつたないながらもB級ホラー的な雰囲気があって、
クレイドルといえばこの頃が一番良い。CoFを初めて聴くという方にも勧められる初期のベストアルバムである。
シンフォニック度・・7 暴虐度・・7 初期クレイドル度・・9 総合・・8
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CRADLE OF FILTH「DAMNATION AND A DAY」
英国が誇るヴァンパイア・ブラックメタラー、クレイドル・オブ・フィルスの5th。2003年作
今作では本格的にオーケストラを導入し、初期に比べてサウンドの荘厳さがアップ。
暴虐かつシンフォニックな世界観は、クレイドル節そのもので、従来からのリスナーには
とくに新鮮味は与えないかもしれないが、彼らの音を初めて聴くという方は、この完成度に衝撃を受けるはずだ。
とくにダニ・フィルスのヴォーカルはいっそう表現力を増しており迫力充分。
間奏を含めて全17曲、77分というコンセプト作で、もうお腹いっぱいである。
シンフォニック度・・8 暴虐度・・7 世界観完成度・・9 総合・・8.5
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CRADLE OF FILTH「NYMPHETAMINE」
イギリスのシンフォニック・ブラックメタルバンド、クレイドル・オブ・フィルスの6rh。2004作
前作で完全にメジャーバンドとしての地位を築いた彼らが次にどんなアルバムを作るのか非常に気になっていたが、
蓋を開けてみると、思っていたよりも、かつての暴虐性と分かりやすい疾走感を取り戻していた。
オーケストラ入りで壮大だった音を気に入っていた方には少々不満かもしれないが
3rd「CRUELTY AND THE BEAST」あたりが好きなら、「おお、戻ってきたか」と思うだろう。
2本のギターによるスラッシーなリフの気持ちよさはここ数作では最高の出来だし、
疾走のみに頼らないメタリックな質感は、シンフォブラック初心者のメタラーにも勧められる。
女性Voをメインにした曲や、間奏部でのたおやかなピアノパートなど、新しい試みもあり、
ジャケやブックレットなどにおけるエロティシズム、耽美的な精神性をも含めて、トータルな完成度が光る。
シンフォニック度・・8 暴虐度・・8 楽曲・・8 総合・・8
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CRADLE OF FILTHPeace Through Superior Firepower
英国のヴァイパイア・ブラックメタラー、クレイドル・オブ・フィルスのライブDVD。2005年作
すでにベテランの域に入りつつあるこのバンド、人気の方はまだまだ衰え知らずのようだが、
個人的にはかつてのようにあまり彼らのサウンドに熱狂できなくなったのはどうしてだろう。。
演奏で目立っているのは正確なブラストを叩き出すドラムと、女性コーラスのサラ嬢の美声くらいで、
肝心のダニのVoは、さすがに長年の活動で喉を使いすぎたのか以前にライブで見たほどの迫力はない。
またギタリストのセンスと実力が並程度である点も、アルバムで聴く以上の高揚感を楽曲に感じない要因か。
ステージ上には着ぐるみの怪物や、綱を登る美女、巨大な人形などが現れ、趣向が凝らされているが、
それらもこけおどしでしかなく、やや太り気味のダニの姿は、ビジュアル面でも全盛期は過ぎたかという印象。
ライブ映像よりは、むしろダークで耽美、背徳感のあるビデオクリップの方が楽しめた。
DVDとしては、以前に出た「Heavy Left Handed & Candid」の方が勢いがあって出来がよい。
ライブ映像・・7 ライブ演奏・・7 楽曲・・7 総合・・7
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CRADLE OF FILTHThornography
英国のシンフォニック・ブラックメタルバンド、クレイドル・オブ・フィルスの7th。2006作
前作「Nymphetamine」において、装飾を極力減らし初期の突進力を復活させた彼らだが
メンバーチェンジを経ての本作もその流れに乗った、ある種のメタリックなシンプルさを追求した作品だ。
全盛期に比べると、バンドの顔であるダニのVoも、楽曲そのものの迫力もやや減退しているのは否めず
ブラックメタルとしての大仰さよりも、普遍的なメタルサウンドとしての要素が強く出ているような気がする。
メンバーの交代のせいもあってか、ギターのサウンドの軽さも気になるし、リフ自体にも面白みはない。
とても聴きやすくなってしまった。肝心の彼ら独自の血みどろの世界観が、今のこの音からは見えて来ない。
美も醜もどちらも中途半端な印象。年を経たヴァンパイアはすでに魔力を失いつつあるのだろうか…
シンフォニック度・・7 暴虐度・・7 楽曲・・7 総合・・7.5
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CRADLE OF FILTH「Godspeed on the Devil's Thunder」
イギリスのシンフォブラックメタルバンド、クレイドル・オブ・フィルスの2008作
本作は「青ひげ」のモデルともなった、ジル・ド・レイ男爵をテーマにしたコンセプト作だ。
前作の出来がどうもドライで中途半端な印象であったのだが、今回は大仰さが復活。
シンフォニックかつ暴虐に疾走するサウンドは、まさにクレイドル節炸裂であり、
歴史的なコンセプトによるダークで荘厳な香りと、そのドラマティックな世界観は、
かつての「鬼女と野獣」を彷彿とさせる、血塗られた暗黒のロマンを感じさせる。
新加入のドラマーもテクニック的に優れており、リズム面でのダイナミックさを引き立て、
ダニ・フィルスのヴォーカルも年季の入ったシアトリカルな声の使い分けがやはり見事だ。
耽美な血の匂いと、映画的ドラマ性で聴かせる傑作。ここ数作では最高の出来だろう。
シンフォニック度・・8 暴虐度・・8 ドラマティック度・・9 総合・・8.5
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Cradle of Filth「Darkly Darkly Venus Aversa」
イギリスのブラックメタルバンド、クレイドル・オブ・フィルスの2010年作
デビューから15年以上、一貫してその耽美な世界観とともに、高品質のブラックメタル作品を
作り続けてきたこのバンド、一時期の中庸ぶりを吹き飛ばす傑作となった前作に続き、
本作もまた見事な出来である。壮麗なシンセワークとともに強烈なブラストビートでたたみかけながら
絶妙のブレイクで切り返す、緩急をつけた楽曲構築はまさにクレイドル節炸裂というところ。
全盛期に比べれば、ダニ・フィルスの絶叫ヴォーカルは迫力を落としたようにも感じられるが、
サウンド自体には衰えはなし。美しさと激しさ、荘厳さを兼ね揃えて突っ走る。妖艶な女性コーラスも含めて
世界観の構築には隙がない。お決まりの高品質といえばそれまでだが、これぞクレイドルという力作である。
シンフォニック度・・8 暴虐度・・8 荘厳度・・9 総合・・8.5
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Cradle of FilthMidnight In The Labyrinth
英国のヴァイパイア・ブラックメタル、クレイドル・オブ・フィルスの2012年作
過去の楽曲をオーケストラアレンジした作品で、ギターや激しいドラムは入らず
まるでホラー映画のサントラのような感触。ヴォーカルパートもときおり入るが
基本的にはインストメイン。女性声による語りなどはいかにも耽美なホラー系の雰囲気で、
メタル度は薄いのだが、こういうサントラものだと思えばBGM的に楽しむことはできる。
シンフォニック度・・8 メタル度・・2 サントラ度・・8 総合・・7.5
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Cradle of Filth「The Manticore & Other Horrors」
英国のヴァンパイアメタル、クレイドル・オブ・フィルスの2012年作
10作目となる本作は、前作、前々作の充実ぶりを引き継いだ濃密な作風で
シンフォニックなイントロから始まり、オーケストラルなアレンジとともに激しく疾走する
クラシカルな優雅さも含ませながら、彼ららしい耽美で激烈な世界観は不変である。
バンドの顔であるダニのヴォーカルの迫力が、かつてよりはいくぶん弱まった気もするが、
随所に叙情的なギターメロディを配したり、緩急のついたアレンジ力はベテランならでは。
もはや、ブラックメタルというよりは、耽美なホラーメタルというべきだろう。力作であるのは確かだ。
シンフォニック度・・8 暴虐度・・7 耽美度・・8 総合・・8
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Cradle of Filth 「Hammer Of The Witches」
イギリスのヴァンパイア・ブラックメタル、クレイドル・オブ・フィルスの2015年作
1994年デビュー、すでにキャリア20年を誇るベテランとなったこのバンド。11作めとなる本作は
女性Vo&ハープ奏者を含む6人編成となり、のっけから激しいブラストでたたみかける強力なサウンドを聴かせる。
ダニのヴォーカルも一時期よりも迫力が戻ってきていて、高音の絶叫はまさにクレイドル節である。
随所にツインギターのメロディや美麗なシンセワーク、女性コーラスなどもアクセントになっていて、
緩急の付いたリズムチェンジとともに、ドラマティックでシアトリカルなシンフォニック・ブラックが楽しめる。
20年にわたってクオリティの高い荘厳な作品を作り続ける、まさに世界最高のエクストリーム系バンドのひとつだろう。
ドラマティック度・・8 暴虐度・・8 クレイドル度・・9 総合・・8.5
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Cradle of Filth 「Cryptoriana」
イギリスのシンフォニック・ブラックメタル、クレイドル・オブ・フィルスの2017年作
1994年デビュー、いまや世界的なエクストリームメタルの代表格ともなったこのバンド。
通算12作めとなる本作は、「ヴィーナスの誕生」をもじったジャケも印象的だが、サウンドの方は、
オーケストレーションを乗せた壮麗なアレンジとともに激しく疾走する、まさにクレイドル節全開。
ダニ・フィルスの絶叫ヴォーカルの迫力も全盛期に迫る迫力で、美しい女性コーラスとの対比で、
まさに美と醜を描き出す濃密な聴き心地である。メロディックなギターが耽美な味わいをかもしだし、
激しくブラスト疾走しながらも優美ですらあるというのは、単なるブラックの域を超えたバンドの世界観であろう。
ときにメロディック過ぎるメイデンばりのツインギターも含めて、初心者にも楽しめる出来でしょう。
むろん、2nd、3rdの頃のクレイドルが好きだった方も必聴。激しくも美麗な傑作デス。
ボーナストラックにANNIHILATORのカヴァーというのは意外だったが、ダニの歌声が案外ハマっている。
ドラマティック度・・8 暴虐度・・8 耽美で壮麗度・・9 総合・・8.5 
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Cradle of Filth 「Cruelty and The Beast - Re Mistressed」
イギリスのヴァイパイア・ブラックメタル、クレイドル・オブ・フィルスの1998/2019年作
エリザベス・バソリー夫人をテーマにした、1998年の傑作「鬼女と野獣」を新たにリミックス、
音の分離が良くなったことで、たたみかけるドラムの迫力と、シンセによるシンフォニックなアレンジ、
ツインギターのフレージングがそれぞれクリアになり、よりゴージャスなサウンドに生まれ変わっている。
ダニ・フィルスの絶叫ヴォーカルを乗せて激しくブラスト疾走し、緩急あるリズムチェンジを含んだ構築力に、
オーケストラルな壮麗さとゴシックロマンス的な退廃の美学が詰まった、まさにクレイドルの代表作である。
旧盤と聴き比べるもよし、新たなファンの入門用としても最高の一枚といえるだろう。
ドラマティック度・・8 暴虐度・・8 リミックス度・・9 総合・・8.5
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Cradle Of Filth 「Existence Is Futile」
イギリスのシンフォニック・ブラックメタル、クレイドル・オブ・フィルスの2021年作
1993年にデビュー、いまやエクストリーム系メタルの代表格となったバンドの通算13作目。
オーケストラルで壮麗なイントロから、高音とダミ声を使い分けるダニ・フィルスのヴォーカルとともに、
ブラスト疾走する激しさとドラマティックな耽美性が同居した、シンフォニックなダークメタルを描いてゆく。
緩急ある展開力とシアトリカルな空気感は初期の頃から変わらず、ときに女性コーラスも加わった
妖艶な味わいは、ゴシックロマンというべき世界観で、決してモダンになり過ぎないサウンドが素晴らしい。
全体的にもシンフォニックな聴きやすさがあり、昔からのCOFファンにも満足できる強力作である。
ドラマティック度・8 暴虐度・8 耽美度・8 総合・8 
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CRAVING 「At Dawn」
ドイツのヴァイキング・デスメタル、クラヴィングの2013年作
ブラストを含む激しい疾走感に、ヘヴィなギターリフと低音のデスヴォイスで聴かせるサウンド。
楽曲はブルータルな激しさに包まれていて、ほとんどデスメタルのような雰囲気なのだが、
随所にツインギターの叙情フレーズやノーマル声によるパートも挿入されて、
ケルティックなフォークメタル風味も覗かせる。武骨な荒々しさで突進する迫力は
この手のバンドの中でも強力な部類だろう。暴虐なペイガンデス。
ドラマティック度・・7 暴虐度・・8 ヴァイキング度・・7 総合・・7.5
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Craving 「By The Storm」
ドイツのヴァイキング・デスメタル、クラヴィングの2016年作
フォーキッシュなイントロから、ツインギターにダミ声ヴォーカルを乗せて激しく疾走、
重厚なヘヴィネスとメロディックな叙情性が合わさったペイガンなメロデスサウンド。
前作よりもヴァイキングなクサメロ感が強まった分、激烈な疾走パートであっても
勇壮なコーラスなども含めたエピックなスケール感が増している。8分を超える大曲もあり、
メロディのフックーやリズムチェンジを含む楽曲の構築性とアレンジの力量も着実にアップした。
ボーナストラックを入れて全78分、迫力たっぷりのヴァイキング・メロデスが味わえる濃密作。
ドラマティック度・・8 暴虐度・・8 ヴァイキングデス度・・8 総合・・8
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CREATURE 「EX CATHEDRA」
フランスのアヴァン・ブラックメタル、クリーチャーの2020年作
Raphael Fournier氏による個人ユニットで、流麗なギターにシンセを重ね、フルートやトロンボーンが鳴り響く
プログレッシブなブラックメタルを聴かせる。デスヴォイスを乗せた、激しくブラスト疾走する暴虐なパートもありつつ
トロンボーンの音色やうっすらとしたシンセアレンジとともに、優雅でスぺイシーなスケール感に包まれる。
テクニカルなリズムチェンジや、随所に叙情的なギターメロディやクラシカルなピアノの旋律も覗かせる、
知的なセンスと自由度の高い構築性は、Solefaldや日本のSighなどに通じるようなところもある。
ラスト2曲は、10分を超える大曲で、優雅でほどよくアヴァンギャルド。プログレッシブなブラック好きは必聴の出来。
ドラマティック度・・8 アヴァンギャル度・・8 構築センス・・9 総合・・8.5
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Crest of Darkness「The Ogress」
ノルウェーのシンフォ・ブラックメタルバンド、クレスト・オブ・ダークネスの2nd。1999作
CONCEPTIONのBとDrが在籍するバンドで、うっすらとしたシンセをバックに
ミステリアスな雰囲気で疾走するブラックメタルサウンドであるが、
PALE FORESTのクリスティン嬢がゴシック風味の美声を聴かせてくれたり、かと思えば、
ゲスト参加のKAMELOTのロイ・カーンが歌うと、メロパワ的な質感もあったりする。
ブラックとして聴くにはややまとまりに欠けるが、ジャンルにこだわらず楽しめる方はどうぞ。
シンフォニック度・・7 暴虐度・・7 ミステリアス度・・8 総合・・7.5
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Cretura 「FALL OF THE SEVENTH GOLDEN STAR」
ノルウェーのゴシック・ブラックメタル、クレチュラの2016年作
女性Voに女性シンセ奏者を含む6人編成で、激しいツーバスのドラムに美麗なシンセアレンジ、
ブラックメタルばりのダークな世界観と激しさに、美しい女性ヴォーカルを乗せたというスタイル。
男性ダミ声ヴォーカルも加えてブラスト疾走するところは、Dimmu Borgirにも通じる聴き心地で、
暴虐な男性声ブラックメタルから、女性声が加わるとEPICAのような耽美な雰囲気にシフトする。
男女声ゴシックブラックでは、DISMAL EUPHONYが元祖だろうが、このバンドはより重厚な世界観を描いている。
女性声メインのゴシックメタル寄りのナンバーもありつつ、そこに激しいブラックメタルが同居した強力作♪
ドラマティック度・・8 暴虐度・・7 女性Vo度・・7 総合・・8
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Crimson Shadows「Kings Among Men」
カナダのメロディックスピード(デス)メタル、クリムゾン・シャドウスの2014年作
Dragonforceばりに疾走するスピーディなメロスピと咆哮するデスヴォイスを乗せたメロデス要素が融合、
ツインギターの叙情メロディやノーマルヴォイスも含んだ聴きやすさもある高品質なサウンドだ。
若手らしいピロピロ感と勢いの良さが魅力的で、爽快なスピード感とメロディのバランスもよい。
全体的にブルータルな激しさよりもキャッチーなメロディアス性が前に出ているので、
メロデスというには「デス風味もあるメロスピ」として聴くのがよいのかも。どの曲もドラフォーばりに
しっかりとメロディックなフックがあり疾走しまくり。濃密でありながら爽快、クオリティが高い力作です。
メロディック度・・8 疾走度・・8 メロデス度・・7 総合・・8
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CRIMSON THRONE 「OF VOID & SOLITUDE」
イギリスのブラックメタル、クリムゾン・スローンの2017年作
トレモロを含むギターリフにダミ声ヴォーカルを乗せて、スペイシーな神秘性に包まれたサウンドで、
随所にポストプラック的な適度な叙情性も感じさせる。激しいブラスト疾走もありつつ、シンセを使ったアレンジなど
暴虐さよりはミステリアスな味わいに包まれていて、初期のBURZUMをカスカディアン風にした聴き心地ともいえる。
茫漠としたアンビエントなパートも挟みつつ、緩急ある流れとスケールの大きな世界観で描いてゆきながら、
あくまでモノトーンの硬派なイメージなのでメロディックなフックはさほどない。7〜8分の長めの楽曲などでも、
わりと淡々とした雰囲気なので、ここぞとたたみかけるような荘厳な迫力がもう少し欲しいか。
ドラマティック度・・8 暴虐度・・7 ミステリアス度・・8 総合・・7.5
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Crom Dubh 「Heimweh」
ドイツのブラックメタル、クロム・ダブの2015年作
アナログ感あるトレモロのギターリフに、ダミ声ヴォーカルを乗せて疾走する、
オールドスタイルのプリミテイブなブラックメタルサウンド。適度に叙情性を含んだギターリフが、
ポストブラック的でもある感触になっていて、ダークであるがどこかマイルドな聴き心地。
いわばAlcestが、本気でブラックメタルをやっているというような感触もあって、
激しさと不穏な空気感の中に優雅な叙情が混ざり合ったサウンドが楽しめる。
ミドルテンポや3拍子のナンバーなども、メロウなギターとトレモロのリフなどで
かなりメロディアスに味わいだ。これぞポストブラック風味のメロブラといべき力作です。
ドラマティック度・・8 暴虐度・・7 叙情度・・8 総合・・8
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CROWN OF AUTUNM「The Treasures Arcane」
イタリアのシンフォニックブラックメタルバンド、クラウン・オブ・オータムのアルバム。1997作
のっけから壮大きわまりないイントロには思わず「おおっ!」となるが、
曲が始まると録音のチープさも手伝って、スカスカのドラムにややげんなり。
メンバーは二人で、ドラマーはセッションメンバーという編成。
音は疾走しながらもヴァイキングメタル風のメロディが顔を出すというタイプで、
美しいシンセのメロディなどには聴くべきものがあり、中世的な雰囲気も悪くない。
これで音質がちゃんとしていれば、もっと音に説得力が出たはずなのが惜しい。
シンフォニック度・・8 暴虐度・・7 サウン度・・6 総合・・7


Cryptic Wintermoon「Age of Cataclysm」
ドイツのシンフォニック・ブラックメタル、クリプティック・ウインタームーンの2004年作
女性シンセ奏者を含む6人組で、美麗なイントロに続き曲に入ると、DIMMU BOGIRタイプの
比較的正統派のシンフォブラックで、この手のマイナーバンドにしてはなかなか質も高い。
どこかもっさりとした音作りも含めて、ペイガンメタル風の幻想的な雰囲気もあって、
美しいシンセをバックにした勇壮なコーラスなどもいい感じだ。
シンフォニック度・・8 暴虐度・・7 ペイガン風味度・・7 総合・・7.5
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Cryptic Wintermoon「Of Shadows.....and The Dark Things You Fear
ドイツのシンフォニック・ブラックメタル、クリプティック・ウインタームーンの2005年作
女性シンセ奏者を含む6人組で、メロディックなギターリフで疾走する古き良きメロブラのスタイル。
シンセによるシンフォニックな味付けが入ると、初期のDIMMU BORGIR風味もある
ドラムを含めて音の軽さがマイナー臭をかもしだしていて、辺境ペイガン・ブラックとしても聴ける。
メロディアス度・・7 暴虐度・・7 辺境風味度・・8 総合・・7.5
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CULTUS PROFANO 「SACRAMENTUM OBSURUS」
フランスのブラックメタル、カルタス・プロファノの2018年作
コープスペイントをした二人組のユニットで、妖しいジャケからもカルトな雰囲気がぷんぷんであるが、
鐘の音と詠唱によるカルトなイントロから、絶叫するダミ声ヴォーカルを乗せて激しくブラスト疾走、
こもり気味の音質とともにプリミティブな空気に包まれた、オールドスタイルのブラックメタルが炸裂する。
トレモロのギターリフによる甘すぎない程度の叙情と、リズムチェンジを含む展開力で聴かせるところは
EMPERORの1stあたりにも通じる雰囲気。暴虐過ぎないサウンドがわりと幻想的な聴き心地になっていて、
楽曲は4〜5分前後と長すぎず、ブラックメタル初心者の方にもお薦めできる。
ドラマティック度・・8 暴虐度・・7 荘厳度・・7 総合・・8
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CURSE「Void Above Abyss Below」
アイスランドのブラックメタル、カースの2011年作
ダミ声ヴォーカルとアナログ的なギターリフで聴かせるブラッケン・ロール的なサウンド。
ブラストビート的な激しさはなく、適度な疾走感にミドルテンポの部分もけっこうあるので、
むしろオールドなデスロールとしても聴ける。まったくもって愛想のよくない音なのだが、
この無情な雰囲気が得体の知れぬ黒さを生み出している。ストーナー色も感じさせる異色作。
ドラマティック度・・7 暴虐度・・7 デスロール度・・8 総合・・7.5
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Cvinger 「Embodied In Incense」
スロベニアのブラックメタル、クヴィンガーの2016年作
コープスペイントを施した凶悪なメンバー4人編成で、ジャケの雰囲気もいかにもダークで怪しげだが、
呪術的な語りによるイントロから、デスメタル的なギターリフと低音デスヴォイスを乗せて、
激しいドラムでたたみかける、BEHEMOTHばりのブルータルなブラックメタルサウンドを展開。
激烈なブラストビートで突進しつつ、リズムチェンジによる展開力には知的な雰囲気も漂わせ、
トレモロのギターやときに神秘的なコーラスを乗せて、荘厳な暗黒の世界を描き出す。
ドラマティック度・・8 暴虐度・・9 暗黒度・・9 総合・・8
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D

DARK AGE「The Silent Republic」
ドイツのメロデスバンド、ダーク・エイジの3rd。2002作
メロデスといえば北欧なのだが、スラッシュとパワーメタルの地であるドイツからこの手のバンドが現れた。
とはいっても彼らのサウンドスタイルはIN FLAMESともCHILDREN OF BODOMとも異なり
もう少し荒々しいメタルの根源的な攻撃性を感じるもので、北欧勢のような叙情性はない。
むしろかつての80年代のスラッシュ、パワーメタルバンドのようなガリガリした感触で
その辺が甘いメロディに慣れた若いメロデスファンには違和感があるかもしれない。
ときおりメロウなフレーズを奏でるギターや、バックのうっすらとしたキーボードはなかなか良いものがある。
メロディアス度・・7 暴虐度・・7 メロデス度・・7 総合・・7.5

Darkened Nocturn Slaughtercult 「Nocturnal March」
ドイツのブラックメタル、ダークエンド・ノクターン・スローターカルトの2004年作
ポーランド人女性Voを擁するバンドで、トレモロを含むノイジーなギターに絶叫ヴォーカルを乗せて
激しくブラスト疾走する、初期ノルウェイジャンブラックをルーツにしたプリミティブな暗黒性に包まれたサウンド。
激烈なドラムの迫力と女性声ながらも凶悪なヴォーカルで、たたみかける邪悪なオーラも説得力十分。
リズムチェンジを含む緩急の付け方や、甘すぎない程度のかすかな叙情を覗かせるところなども見事で、
本格派ブラックメタルとしての荘厳な迫力と、ミステリアスな暗黒美が同居したという聴き心地である。
ラストのタイトル曲のヤバいほどの恰好良さ。EMPERORMARDUKにも並べる強固な世界観を感じさせる傑作だ。
暗黒度・・9 暴虐度・・9 荘厳度・・9 総合・・8.5
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Darkened Nocturn Slaughtercult 「Hora Nocturna」
ドイツのブラックメタル、ダークエンド・ノクターン・スローターカルトの2006年作
前作同様の路線で、トレモロ入りのギターに女性ダミ声を乗せて疾走する、ミスティックなブラックメタルが炸裂。
ミドルプラストから高速ブラストビートへというリズムチェンジなど、技量のあるドラムを中心とした確かな演奏力が
荘厳な迫力となっていて、まさに漆黒の闇に包まれるような雰囲気が味わえる。前作に比べるとシンプルに突進する
激烈な圧殺系ナンバーが増えていて、叙情性というのはほとんどないのだが、これはこれで潔い作風で、
激しい疾走系ブラックが好きな方にはたまらないだろう。妖しい詠唱を乗せたタイトルナンバーをはさんで、
ラストの8分の大曲までブラストしまくりでたたみかける。邪悪で激烈なモノホンのブラックメタルが楽しめる強力作。
暗黒度・・9 暴虐度・・9 荘厳度・・9 総合・・8
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Darkest Mind 「Oracle of Death」
ベルギーのブラックメタル、ダーケスト・マインドの2021年作
ほどよく叙情的なギターリフに吐き捨てヴォーカルを乗せて、激しくブラスト疾走する
オールドスタイルのブラックメタルサウンド。随所にメロディックなギターの旋律も覗かせて
緩急あるリズムチェンジとともに、ドラマティックな構築力で迫力あるサウンドを聴かせる。
曲によっては、DISSECTIONあたりを思わせるところもあり、甘すぎないメロブラとしても楽しめる。
ラストは10分を超える大曲で、暴虐な激しさの中にも叙情的なメロディを盛りこんだ、高品質な作品だ。
ドラマティック度・8 暴虐度・8 叙情度・7 総合・8
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Darkestrah 「Manas」
キルギスタンのペイガン・ブラックメタル、ダーケストラの2013年作
うっすらとしたシンセアレンジと、女性によるダミ声ヴォーカルを乗せてブラスト疾走、
緩急のついた楽曲とともに、土着的な神秘性を感じさせる世界観を描いてゆく。
激しく疾走する部分にはプリミティブ・ブラックとしての原初的な闇を感じさせつつ、
スローパートでは包み込むようなシンセによる叙情性も魅力的だ。
7〜10分の大曲を中心に、スケール感のある作風を聴かせる力作ブラック。
ドラマティック度・・8 暴虐度・・7 ミステリアス度・・9 総合・・8



Darkestrah 「Turan」
キルギスタンのペイガン・ブラックメタル、ダーケストラの2016年作
前作は女性によるダミ声Voであったが、本作ではすでに脱退していて、ギターとベースも新たに加わっている。
美麗なシンセに包まれた神秘的なイントロから、ツインギターとダミ声ヴォーカルを乗せて激しくブラスト疾走、
シンフォニックかつ幻想的なペイガン・ブラックメタルを聴かせる。ときにヴァイオリンも鳴り響く優雅な感触と、
ブラックメタルとしてのプリミティブな土着性と迫力が合わさって、激しくも美しいサウンドを描き出す。
9分、10分という大曲を主体に、スローパートも含んだ緩急ある展開力でドラマティックに聴かせるところは
さすが6作目というキャリアである。シンフォブラックとしての音の厚みも前作以上。説得力十分の力作だ。
ドラマティック度・・8 ペイガンブラック度・・9 幻想度・・8 総合・・8
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DARK FUNERALThe Secrets of the Black Arts
スウェーデンのブラックメタルバンド、ダーク・フューネラルの1st。1995年作
今やスウェディッシュ・ブラックメタルのベテランとなったバンドだが、彼らの記念すべきデビュー作がこれ。
ノイジーなギターリフダミ声ヴォーカルを乗せて疾走する、プリミティブな味わいを残したブラックメタルを聴かせる。
リマスター盤ではいくぶん音質が良くなっているが、それでもこもり気味のサウンドが妖しい雰囲気をかもしだし、
DISSECTIONの1stにも通じる疾走感と、ツインギターによる叙情性を含んだフレーズで案外聴きやすい。
3rd以降は薄れた湿り気を含んだ幻想性があるのもいい。北欧メロブラの原点の1枚として聴く価値のあるアルバムだ。
メロディアス度・・7 暴虐度・・8 スウェディッシュブラック度・・9 総合・・8
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DARK FUNERALVobiscum Satanas
スウェーデンのブラックメタルバンド、ダーク・フューネラルの2nd。1998年作
前作よりもさらに激しさを増し、ツインギターのトレモロリフを乗せて激烈にブラスト疾走しながらも、
随所にメロディックな質感も甘すぎない程度に残している。真性ブラックメタルの闇の美学を感じさせる世界観が
しっかりとした演奏力をともなってその音の迫力をぐっと強めてきている。暴虐な疾走感と北欧らしいダークな湿り気、
本作は、まさに90年代スウェディッシュ・ブラックメタルの傑作のひとつといえる出来だろう。
メロディアス度・・7 暴虐度・・8 スウェディッシュブラック度・・9 総合・・8
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DARK FUNERAL「DIABOLIS INTERIUM」
スウェーデンのブラックメタルバンド、ダーク・フューネラルの3rd。2001年作
このバンドの特徴は、やはりキーボードを使わず二本のギターのみで流麗なメロディを生み出しているところ。
随所にDISSECTIONばりの叙情的なギターフレーズが光っていて、ブラストしまくる暴虐サウンドなのにとても聴きやすい。
スウェーデンではMARDUKと並んで真性メロブラとしては高品質なバンドだろう。むしろ聴きやすさではこちらか。
メロディアス度・・7 暴虐度・・8 疾走度・・9 総合・・8
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DARK FUNERAL「Attera Totus Sanctus」
スウェーデンのブラックメタルバンド、ダーク・フューネラルの4th。2005年作
MARDUKとともにスウェディッシュブラックシーンを牽引するバンド。
今回は、前作3rdよりはメロディが抑え目になり、その分暴虐さがアップという印象。
たたみかけるブラストビートの嵐に咆哮するヴォーカル…これぞ真性の凶暴さ。
聴きやすさ、メロディのギター煽情度という点では前作の方が好みだが、
炸裂する邪悪さを味わいたければ今作もどうぞ。音もいいので安心して聴ける。
メロディアス度・・7 暴虐度・・9 疾走度・・10 総合・・8
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Dark Funeral 「Angelus Exuro Pro Eternus」
スウェーデンのブラックメタル、ダーク・フューネラルの2009年作
1994年にデビュー、MARDUKなどとともに、スウェディッシュ・ブラックメタルを代表するこのバンド、
5作目となる本作も、適度にメロディックなギターにダミ声ヴォーカルを乗せて激しくブラスト疾走する、
本格派の北欧ブラックメタルを聴かせる。邪悪な暴虐性という点では前作には及ばないが、
本作では扇情的なギターフレーズが前に出ていて、むしろメロディック・ブラックとしても楽しめる。
キャリアのあるバンドらしい荘厳な迫力と、北欧らしい寒々しい叙情を内包した強力なアルバムだ。
限定盤のDVDには2008年のライブを収録。激烈なドラムをはじめ、さすがの演奏を見せつける。ファンは必見だ。
ドラマティック度・・8 暴虐度・・8 北欧ブラック度・・9 総合・・8 
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Dark Funeral 「Where Shadows Forever Reign」
スウェーデンのブラックメタル、ダーク・フューネラルの2016年作
1994年にデビュー、MARDUKなどとともに、スウェディッシュ・ブラックメタルを代表するこのバンド、
2009年以来となる6作目で、今作はジャケの雰囲気からして初期を思わせる感じがよいですね。
ツインギターの叙情的なイントロから、激烈なツーバスドラムにトレモロりリフを乗せてブラスト疾走、
いかにもオールドスタイルの北欧ブラックメタルを聴かせる。激しく突進しながらもメロディックなところは
DISSECTIONあたりにも通じる感触で、甘すぎない叙情性が物悲しくもダークなサウンドに融合している。
ブラックメタルとしての王道の邪悪さを残しつつ、メロブラ寄りにも楽しめるさすがの強力作。
ドラマティック度・・8 暴虐度・・8 北欧ブラック度・・9 総合・・8
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DARK FUNERAL 「We Are The Apocalypse」
スウェーデンのブラックメタル、ダーク・フューネラルの2022年作
1994年にデビュー、スウェディッシュ・ブラックメタルを代表するバンドの、6年ぶりとなるとなる7作目で、
ベテランになっても白塗りメイクを続けるサタニズム精神に敬服する。甘すぎない叙情を含むギターリフに
ダミ声ヴォーカルで暴虐にブラスト疾走する、禍々しきファストなブラックメタルは健在だ。
激烈なツーバスのドラムの圧殺感と、北欧らしいトレモロのギターがコールドな叙情を描いて、
この邪悪にして荘厳なる迫力というのは、キャリアのあるバンドにしか出せないものだろう。
北欧ブラックメタルを代表する1枚に加えてもいいほどの、じつに強力なアルバムですぞ!!
ドラマティック度・8 暴虐度・9 王道ブラック度・9 総合・8.5 
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DARK LUNACY「DEVOID」
イタリアのデスメタルバンド、ダークルナシーの2001年作。
生の弦楽四重奏入りという売り文句通り、ヴァイオリンが大胆にフィーチュアされたサウンドで、
ヘヴィなギターリフで激しくたたみかけるデスメタルパートから、唐突なクラシカルパートへと移行する
その極端さがなかなか面白い。基本は低音デスヴォイスを乗せた古き良きデスメタルなので、
最近のモダンなバンドが好きな方にはむしろ古臭く感じられるかもしれないが、ときに男女混合コーラスも入ったり、
艶やかなストリングスとともに聴かせる優美な叙情性は、このバンドならではの大きな武器だろう。
あとは、クラシックとデスメタルサウンドとの融合を自然なアレンジで聴かせられれば、そらにひとつ皮がむけるだろう。
クラシカル度・・7 暴虐度・・7 叙情度・・7 総合・・7.5
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DARK LUNACY「FORGET ME NOT」

イタリアの管弦入りデスメタルバンド、ダーク・ルナシーの2nd。2004年作
1st「DEVOID」の時点では管弦楽隊を導入した、という部分のみで注目されていたものの、
曲の方は普通のデスメタルに所々管弦パートを入れたという印象で、まだ楽曲には不融合感があった。
今回はヴァイオリン、チェロ、ヴィオラ、オーボエが奏でるメロディがデスサウンドの上に乗せられている。
ブラックメタル的な劇速パートに管弦メロディが重なると、ある種の奇妙な浮遊感が生まれ
やや強引ながらも、そこにある種の格調高さをともなった特異な雰囲気を作り出している。
デスメタルとしての演奏の力強さも増していて、説得力という点でも一段上にきた。
また管弦隊だけでなく、ピアノや女性Voを織りまぜるなど、叙情性という面でも向上が見られる。
クラシカル度・・8 暴虐度・・8 叙情度・・8 総合・・8
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DARK LUNACYThe Diarist
イタリアのメロデスバンド、ダーク・ルナシーの3rd。2006年作
デビュー時は管弦楽入りのデスメタルということで、話題を呼んだバンドだが、
前の2作はそのストリングスを除けば楽曲自体の魅力にはやや乏しかった。
第二次大戦中のロシア、レニングラードの戦いの悲劇をテーマにした本作では、
ギターによるメランコリックなフレーズや、バックのコーラスワーク、そしてシンセによる
オーケストラアレンジなどがサウンドに説得力を与えていて、重厚な雰囲気を生み出している。
テーマがテーマだけに全体に漂うもの悲しさはある種ゴシックメタル的でもあり、
ときおり挿入されるロシア語の語りなども、映画的なビジュアライズを効果的に果たしている。
ただの管弦入りデスメタルバンドが、それから脱却して歩み始めた見事な一作だ。
メロディアス度・・8 暴虐度・・7 メランコリック度・・8 総合・・8
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Dark LunacyWeaver Of Forgotten
イタリアのメロデスバンド、ダーク・ルナシーの4th。2010年作
2nd「FORGET ME NOT」、3rdThe Diaristと見事な傑作を作り上げた彼らだが、本作では
リーダーであるマイク・ルナシー以外のメンバーががらりと変わり、サウンドにもずいぶん変化が見られる。
まず、シンプルなリズムとメロデスというよりはむしろゴシックメタル的な耽美な雰囲気で、
クラシカルなピアノやシンセによるシンフォニックなアレンジとともに、じっくりと聴かせる作風になった。
前作までが好きな方には微妙だろうし、ヘヴィロック調のモダンさもいまひとつ気に入らないが、
ゲストによるストリングスは艶やかで美しく、これはこれでそう悪くはない好作品だと思う。
シンフォニック度・・8 メロデス度・・7 ゴシック風味度・・8 総合・・8
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DARK LUNACY 「The Day Of Victory」
イタリアのメロディックデスメタル、ダーク・ルナシーの2015年作
前作はゴシックメタル的な作風に変化していて賛否両論であったが、5作目となる今作では
かつてのアグレッシブな疾走感を取り戻し、ブルータルに疾走するデスメタル要素に
メランコリックな叙情とドラマテイックな展開力を加えた、このバンドのスタイルが帰ってきた。
ロシアの文学や歴史をテーマにした重厚な世界観に、勇壮なクワイアやオーケストラルなアレンジも含んだ
シアトリカルかつ耽美な聴き心地で、単なるメロデスバンドの域を超えたシネマティックな香りに包まれている。
激しいだけでなくスローやミドルテンポのパートでも、どっしりとした荘厳な空気が音の説得力となっていて、
メロディックなフックは希薄ながら、迫力あるサウンドが聴き手を飽きさせない。じつに硬派の力作デス。
ドラマティック度・・8 重厚度・・9 荘厳度・・9 総合・・8
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Dark Lunacy 「The Rain After The Snow」
イタリアのメロディック・デスメタル、ダーク・ルナシーの2016年作
1998年にデビューし、本作は6作目となる。ストリングスによるクラシカルなイントロから、
ヘヴィなギターに吐き捨てヴォーカルを乗せて、アグレッシブなデスメタルを聴かせる。
随所に優美なヴァイオリンやクラシカルなピアノの旋律を絡ませつつ、メランコリックな叙情と
ダークなヘヴィネスが同居した味わいで、重厚にして耽美なサウンドが楽しめる。
激しい疾走パートでは、初期のDARK TRANQUILLITYにも通じる雰囲気もありつつ、
スローナンバーはゴシックメタル的な味わいでも聴ける、クラシカルデスメタルの逸品だ。
クラシカル度・・8 暴虐度・・7 重厚度・・8 総合・・8 
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Dark Mirror Ov Tragedy
韓国のシンフォニック・ブラックメタルバンド、ダーク・ミラー・オヴ・トラジェディーの2004年作
ジャケはいかにもマイナー臭いのだが、音の方はなかなか壮麗なシンフォブラック。
クラシカルなピアノに導かれて曲が始まると、美しいシンセをバックに疾走、
ダミ声ヴォーカルの絶叫と、メロウなフレーズを奏でるツインギターもいい感じで、
クオリティとしては日本のTYRANTや台湾のChthoniCあたりにも負けていない。
とくに静寂パートでの美しさは特筆もので、物哀しさを漂わせる叙情美は
シンセ奏者のセンスの良さか。インスト3曲を含め全7曲で35分余りはやや物足りないが、
ラスト2曲はそれぞれ7分を超える曲で、起伏に富んだ展開でドラマティックに聴かせる。
SAD LEGENDOATHEANに続く韓国産ブラックの若手として期待したい。
シンフォニック度・・8 暴虐度・・7 叙情美度・・8 総合・・7.5
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Dark Mirror Ov TragedyThe Pregnant of Despair
韓国のシンフォニック・ブラックメタル、ダーク・ミラー・オヴ・トラジェディーの2009年作
2004年の1stもなかなか美麗なシンフォブラックであったが、本作は5年ぶりの2作目。
耽美なイントロに続き、いきなり10分を超える大曲で、シンフォニックなシンセと
流麗なフレーズを奏でるツインギター、ダミ声ヴォーカルの絶叫を乗せて疾走する。
ストリングスの音色がもの悲しい静寂パートなどを織り込みながら、
ドラマティックに構築されるサウンドは、暴虐さよりも耽美さが前に出ていて、
日本のSERPENTなどにも通じるような聴き心地である。美しさに磨きがかかった力作だ。
シンフォニック度・・8 暴虐度・・7 耽美度・・8 総合・・8
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Dark Mirror Ov Tragedy 「The Lord Ov Shadows」
韓国のシンフォニック・ブラックメタル、ダーク・ミラー・オヴ・トラジェディーの2018年作
2004年にデビュー、本作は4作目。美しいシンセによるクラシカルなイントロで幕を開け、
オーケストラルなアレンジにピアノの旋律、メロディックなギターとダミ声ヴォーカルを乗せた、
壮麗なシンフォニック・ブラックメタルを聴かせる。激しくブラスト疾走するパートでもヘヴィさはさほどなく、
スローパートで鳴り響くヴァイオリンや女性ヴォーカルなども含めて、優雅で耽美な世界観を描き出す。
そういう点では、むしろゴシックメタルのリスナー向けともいえるだろう。13分の大曲も緩急ある展開とともに、
クラシカルな美意識に包まれ、ラストは20分の大曲で、泣きのヴァイオリンを乗せて優美に疾走する。
シンフォニック度・・8 暴虐度・・6 優雅度・・8 総合・・8
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Darkness Ablaze
ドイツのメロディックデスメタル、ダークネス・アブレイズの2008年作
ツインギターにシンセ奏者を含む6人編成で、美麗なイントロ曲から耽美な雰囲気を漂わせるが、
2曲目はザクザクのギターリフを乗せて激しく疾走する、デスラッシュ風味のサウンドになる。
低音デスヴォイスとダミ声を掛け合うヴォーカルは迫力十分で、ギターはわりとリフ主体であるが、
調所にメロディックなフレーズも覗かせつつ、シンフォニックなシンセアレンジが楽曲を彩る。
突進する激しさの一方で、メロディックなインスト曲などは叙情的で、この路線でいってもいいような気もする。
ラストのナンバーなどは、重厚なミドルテンポからの激しい疾走という緩急のあるアレンジで楽しめ、
メロディの扇情力も上々だ。このレベルの楽曲を増やせば今後さらに期待できるバンドになるだろう。
メロディック度・・7 暴虐度・・7 重厚度・・8 総合・・7.5
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Dark Ring 「Reborn from the Inferno」
中国のシンフォニック・ブラックメタル、ダーク・リングの2013年作
ツインギターに女性シンセ奏者を含む6人編成で、美麗なイントロ曲から始まり、
きらびやかなシンセとダミ声ヴォーカルを乗せて聴かせる正統派のシンフォブラック。
激しいブラスト疾走も含みつつ、ギターは随所にメロディックなフレーズを奏で、緩急のついた楽曲展開なども
なかなか堂に入っている。同じく中国のScreaming Saviorや、韓国のDark Mirror Ov Tragedyあたりに
通じる雰囲気もあるが、こちらの方がいくぶんローカルで、いわばより古き良きシンフォブラック色を感じさせる。
現時点ではこれという個性は薄いのだが今後に期待のバンドです。
シンフォニック度・・7 暴虐度・・7 楽曲・・7 総合・・7.5
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Darkthrone 「Transylvanian Hunger」
ノルウェーのブラックメタル、ダークスローンの4th。1994年作
BURZUMとともにノルウェィジャン・ブラックのアンダーグラウンドシーンの代表格。
健全なリスナーはこのジャケだけで多分引いてしまうだろうが、サウンドの方も凄いです。
こもりまくりの音質で単調なギターリフとダミ声を乗せて疾走するという、
真性ブラックメタラー以外にゴミと思われても仕方がないような代物。
しかしながら、じっくり聴いていると寒々しい北欧の空気が感じられるような、
メロディックというか叙情的なコード進行がしだいに耳に心地よくなってくるのです。
まさに地下臭ただようブラックメタルの本質が味わえる1枚。
ドラマティック度・・7 暗黒度・・8 音質・・5 総合・・7
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DarkthronePanzerfaust
ノルウェーのブラックメタル、ダークスローンの5th。1995年作
基本は前作からの延長上の、疾走するストレートなブラックメタルサウンドであるが、
トレモロピッキングのギターリフのメロディックな感触と楽曲の出来という点ではこちらが上だと思う。
音質もいくぶん良くなっていて、アンダーグラウンドな妖しさも残しつつ、むしろ一般のブラクメタラーには
聴きやすくなったといえるだろう。ブラッケン・ロール的なノリやスローテンポの曲などもあって、
案外バラエティに富んだ曲調が楽しめる好作品だ。再発盤はドラムのFenrizの楽曲コメントの入ったボーナスCD付き。
ドラマティック度・・7 暗黒度・・8 音質・・6 総合・・7.5
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DARK TRANQUILLITYSkydancer
スウェーデンのメロディックデスメタル、ダーク・トランキュリティの1st。1993年作
現在はびこる全てのメロディックデスの元祖的存在であり、私にメロデスの世界を教えてくれた歴史的傑作。
激しい荒々しさと疾走につぐ疾走に北欧のもの悲しいメロディ折り込んだ、この1stこそが我が最高作なのである。
とにかく、ツインギターによる北欧的な叙情美を、ここまでデスメタルサウンドに融合させたのは
彼らが初めてであったし、その激しさと美しさに当時の私は激しく魅了されたのだ。
バンドは3rd以降、少しずつ方向性を変えてゆくが、このデビュー作は今なお輝きを放っている。
再販盤にはミニアルバム「Of Chaos and Eternal Night」の4曲をボーナスで収録。
メロディアス度・・8 暴虐度・・8 歴史的偉業度・・10 総合・・8.5
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DARK TRANQUILLITYThe Gallery
スウェーデンのメロディックデスメタル、ダーク・トランキュリティの2nd。1995年作
1stの衝撃から2年、当時は待ちに待って発売日に入手したというダートラの代表作である。
なんといっても、1曲目“Punish My Heaven”のインパクトであろう。北欧らしいツインギターのリフと
慟哭のヴォーカルを乗せて激しく疾走、そしてリズムチェンジからのメロディックなフレーズには大いにしびれたものだ。
おそらく、ダートラと聞いて多くの方が思い浮かべるのがこの曲であり、メロデスの金字塔ともいうべきナンバーだろう。
その後も、叙情的なフックを聴かせる佳曲がたっぷり。この後は3rd〜5thまで方向性に悩むような低迷期が続くが、
本作の輝きはメロディックデスメタルの黄金期の傑作として、これからも語り継がれてゆくだろう。
メロディアス度・・8 暴虐度・・7 名作度・・9 総合・・8.5
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DARK TRANQUILLITYProjector
スウェーデンのメロディックデスメタル、ダーク トランキュリティの4th。1998作
前後の3rd「The Mind's I」、5th「Haven」がどちらも微妙な出来だったこともあって、この4thはずっとノーチェックでした。
いわゆる彼らがゴシック的な手法を取りはじめたアルバムということもあって、当時は賛否両論だった記憶があります。
のっけから耽美な雰囲気で始まり、その後もかつてのような激しい疾走ナンバーはいっさいなし。
シンセや女性コーラスを使用するなど、ゴシック調のアプローチはあるが、かといってゴシックメタルになりきれず、
全体的にも浮遊感のある「ゆるさ」が漂っている。ときおり美しいツインギターの絡みに耳を引く部分はあるものの、
やはり途中で退屈になってしまうのは否めず。どうにも中途半端なもどかしさが残る。
定型のメロデスサウンドから脱却をはかろうとする、彼らの試行錯誤が始まったアルバムともいえる。
メロディアス度・・7 メロデス度・・7 ゴシック風度・・7 総合・・7.5
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DARK TRANQUILLITY「Damage Done」
スウェーデンのメロディックデスメタル、ダーク・トランキュリティの6th。2002作
「projector」「HAVEN」と個人的には煮え切らないアルバムが続き、ダートラはもう終わりだと思っていたが、
彼らはどっこい生きていたのであった。本作はその前2作の流れを汲みつつも、演奏にはアグレッシブな硬質感が増し、
メロデス的なツインギターの煽情メロディを乗せて疾走する。かつてよりはややモダンになったが、
まさにダートラ復活ののろしである。適度にシンセを取り入れたアレンジで、メランコリックな質感をともないながら
重厚かつドラマティックに聴かせる。これが次作「CHARACTER」へと続くのである。
メロディアス度・・8 暴虐度・・7 メラコンリック度・・9 総合・・8
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DARK TRANQUILLITY「LIVE DAMEGE」
スウェーデンのメロディックデスメタルバンド、ダーク・トランキュリティのライブDVD。
2002年、ポーランドでのライブ映像にドイツ、ギリシャでのブートレッグ映像にビデオクリップという内容。
1st「SKYDANCER」2nd「THE GALLERY」までは、私にとって最も好きなメロデスバンドの1つだった。
しかし、3rd「THE MIND'S EYE」以降は失速し、その後「PROJECTOR」「HAVEN」と発表するも、
そのサウンドはすでにメロデスとしての疾走感を放棄し、どちらかというとゴシックメタル的な曲調になっている。
数年前、CHILDREN OF BODOMと共に来日した時は、楽しみにして見に行ったものだが、
チルボドの素晴らしさに比して、こちらダートラの方はまったく退屈だった、という記憶がある。
このDVDを見ても、ゴシックメタルとしてはメロディの煽情性に欠け、当然デスとしての突進力もない、
どうにも中途半端な位置に彼らはいるように思える。当然ながら、最新作「DAMEGE DONE」からの選曲が多いのだが、
ここで曲を聴いても、さしてCDを買いたいとは思わないのは曲に魅力がないということ。
かろうじて2ndの名曲「PUNISH MY HEAVEN」にだけはかつての興奮が甦ったが、
全体としては曲調、演奏ともに飽きがくる内容で、自意識過剰気味のVoも、なんだか気に食わない(笑)。
ボーナスのブートの方は、映像、音声ともにイマイチで、当然であるがおまけ以上のものではない。
ライブ映像・・7 ライブ演奏・・7 楽曲・・6 総合・・7
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DARK TRANQUILLITY「CHARACTER」
スウェーデンのメロディックデスメタルド、ダーク・トランキュリティの7th。2005作
北欧メロデスの元祖として登場しながら、一時期ゴシックメタル的なサウンドに変化し
その方向性に迷いを見せていた彼らだが、前作「Damage Done」からかつての勢いを取り戻し、
続く本作では1曲目からアグレッシブな疾走感とともに、迷いのない勢いを聴かせてくれる。
デスラッシュ的な硬質感とともに激烈に疾走しつつ、彼ららしいメランコリックなメロディを乗せ、
そこにミカエル・スタンネの迫力あるデスヴォイスが咆哮を上げる。
シンセによる味付けなど、曲によっては以前のゴシック的要素を上手く取り込んでいて、
モダンなヘヴィさともにダークなドラマ性を感じさせるダートラサウンドはここに健在だ。
次作「Fiction」において、この路線は綺麗に完成されるが、純粋な勢いの点では本作か。
メロディアス度・・7 暴虐度・・8 これぞダートラ度・・8 総合・・8
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DARK TRANQUILLITY「Fiction」
スウェーデンのベテランメロデスバンド、ダーク・トランキュリティの2007作
今作では初期にあったメロデス的なツインギターの絡みも戻ってきていて、なかなか聴きやすい。
Keyが正式メンバーになっていることもあり、これまでになくバックのシンセが
ゴシックメタル的にメランコリックな空気を生み出しているのもポイント。
反面、綺麗になりすぎたサウンドにはデスメタル的な破壊力は薄く、マイルドでモダンな質感とともに、
悪い言い方をすると、タイトル通り「出来の良い作り物」感が漂ってしまっている。
曲としてのフック、メロディの魅力という点では近作では最高といえそうだが。
メロディアス度・・7 暴虐度・・7 哀愁度・・8 総合・・8
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DARK TRANQUILLITY「Yesterworlds」
スウェーデンのメロディックデスメタル、ダーク・トランキュリティの初期音源集。2009作
デビュー前の1991年のデモ、1992年のEP、2nd発表前の1994年のデモ、その他未発曲という全10曲を収録。
個人的にはダートラの最高作は1st「Skydancer」であり、その激しくも美しいサウンドは
それまでのデスメタルには存在しなかった感覚であった。ここで聴けるデビュー前のデモは
やや荒々しい演奏で疾走する楽曲に、かすかにメロディを感じるフレーズを盛り込んだもので、
当然ながら1stアルバムほどの完成度はないものの、メロデスとしての最初の萌芽が感じ取れる。
1994年のデモはミニアルバム「Of Chaos and Eternal Night」へとつながる音源で、
バンドの最初の絶頂期。ツインギターによる叙情フレーズが絶品の“Away,Delight,Away”、
そして2nd「The Gallery」の冒頭を飾る名曲“Panish My Heaven”のデモは感涙もの。
最近の綺麗なメロデスから入った若いリスナーには、ここに収められた荒々しいサウンドは
むしろ驚きだろうし、初期ダートラを愛するリスナーには充分聴く価値ありの音源だ。
メロディアス度・・7 初期メロデス度・・8 貴重音源度・・9 総合・・7.5
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DARK TRANQUILLITYWhere Death Is Most Alive
スウェーデンのメロディックデスメタル、ダーク・トランキュリティのライブアルバム。2009作
90年代初頭、メロデス黎明期にデビューし、IN FLAMESやAT THE GATESなどとともに北欧メロデスを牽引してきたこのバンド。
次々に現れる若手バンドたちに混ざって、こうして堂々たる存在感を持ち続けているというのは本当に素晴らしいことだと思う。
このライブで聴けるサウンドは、初期の勢い溢れるサウンドとはやや異なるものの、
それでもギターのみで表現する叙情と激しさをそなえた、まぎれもない北欧メロデスのスタイルであり、
その変わらぬ姿勢には心から敬意を表したくなる。ゴシックメタル的なメランコリズムも含めて、
重厚かつドラマティックな楽曲演奏が、CD2枚に渡って存分に楽しめる。音質も良好。ダートラ初心者の方も聴いてみるといい。
ドラマティック度・・8 重厚メロデス度・・9 ライブ演奏・・8 総合・・8
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DARK TRANQUILLITY「We Are the Void」
スウェーデンのメロディックデスメタル、ダーク・トランキュリティの2010作
6th「Damage Done」から再びアグレッシブなメロデスに立ち返り、7th「Character」、8th「Fiction」と
質の高い作品で着実にファンを広げてきた。ライブアルバムを挟んでの本作は、
モダンな雰囲気にやや面食らうがツインギターのリフで疾走するダートラサウンドは基本的には変わらず。
ゴシック風味のメランコリックな叙情を織り込んだ楽曲は、メロデスというには激しさが足りないが、
適度なシンセアレンジとともに、聴きやすくマイルド構築されている。なかなかの力作だ。
ドラマティック度・・7 暴虐度・・7 メランコリック度・・8 総合・・8
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Dark TranquillityConstruct
スウェーデンのメロディックデスメタル、ダーク・トランキュリティの2013年作
1993年にデビューした彼らも、すでに20年のベテラン。10作目となる本作も前作でのメランコリックな叙情を重厚に描き出す、
いわばゴシック・メロデスという雰囲気。楽曲はミドルテンポ主体ながら、ツインギターのリフとフレーズが巧みに絡み合って、
適度な緊張感を生み出していて、そこに乗るミカエルのヴォーカルも、深みのあるしゃがれ声というような、
さすがの存在感をかもしだす。もの悲しい叙情に包まれながら、ときにかつてのような疾走感も加わったりして、
マイルドすぎず、激しすぎずという絶妙のバランスである。ベテランらしい説得力が詰まった力作といえる。
ドラマティック度・・8 メランコリック度・・8 ゴシック・メロデス度・・8 総合・・8
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Dark Tranquillity 「Atoma」
スウェーデンのメロディックデスメタル、ダーク・トランキュリティの2016年作
1993年にデビュー、IN FLAMESとともに北欧メロデスの元祖というべきこのバンド、11作目となる本作は
美しいシンセアレンジを取り入れたゴシック寄りの耽美な感触と、疾走するメロデス要素が自然体で融合し、
年季の入ったミカエルのヴォーカルとともに、どっしりとした重厚さとメランコリックな叙情を同居させている。
マイルドなノーマルヴォーカルを乗せたゴシックロック的な雰囲気もあり、楽曲は3〜4分前後とわりとシンプルなので、
スローテンポのナンバーでもダレずに聴き通せる。初期のようなツインギターの扇情的なリフやフレーズの魅力はやや薄まったが、
これまでになくキャッチーな感触のナンバーなども不思議とハマっていて、バンドとしての懐の深さを見せつけるような作品である。
ドラマティック度・・8 メロデス度・・7 メランコリック度・・8 総合・・8 
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DARK TRANQUILLITY 「Moment」
スウェーデンのメロディックデスメタル、ダーク・トランキュリティの2020年作
1993年にデビュー、IN FLAMESとともに北欧メロデスの元祖というべきバンド、12作目となる本作も、
ゴシック寄りのメロデスという近年の作風を引継ぎ、叙情的なツインギターにデスヴォイスを乗せた、
ほどよくアグレッシブでメランコリックなサウンドを聴かせる。楽曲は4分前後で比較的シンプルながら、
クリストファー・アモットが正式に加わったことで、メロディックなギターフレーズの扇情力がアップ、
うっすらとしたシンセアレンジを重ねつつ、ミカエル・スタンネの悲哀を帯びた歌声が響き渡る。
マイルドなノーマル声を使ったメロウなゴシックメタル寄りのナンバーなどもありつつ、どっしりとした重厚さと
説得力のあるサウンド作りは、さすがベテランの力量だろう。この路線でのひとつの完成形というべき力作だ。
ドラマティック度・・8 メランコリック度・・8 重厚度・・8 総合・・8 
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Darkwoods My Betrothed 「Angel Of Carnage Unleashed」
フィンランドのブラックメタル、ダークウッズ・マイ・ビトローズドの2021年作
Nightwishのツォーマス・ホロパイネンが在籍していたバンドで、1995年にデビュー、1998年までに3作を残して解散するも
ここにきて23年ぶりに復活作が完成。ラウドなギターにダミ声ヴォーカルを乗せて、激しくブラスト疾走するファストなスタイルで、
随所に優美なシンセアレンジも加えつつ、プリミティブな迫力をしっかりと残した、王道のブラックメタルを聴かせる。
シンフォニックな感触は、Dimmu Borgirを思わせるところもあるが、こちらはより硬派な作風で、メロディックなフックは控えめ。
ペイガンメタル寄りのナンバーでは土着的な叙情性も覗かせつつ、寒々しくダークな空気に包まれたミステリアスなサウンドだ。
ドラマティック度・7 暴虐度・8 プリミティブ度・8 総合・8
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DARZAMAT「IN THE FLAMES OF BLACK ART」
ポーランドの男女Voゴシック・ブラックメタルバンド、ダルザマットの1st。1996作
打ち込みのドラムにキーボード、ゴシック的な耽美性とシンフォニックさをもった曲調に、
ブラックメタル的激烈性を加味したサウンド。ソプラノ女性Voが歌うパートはほとんどゴシックメタルのそれだが、
ダミ声Voによる疾走パートもある。全体的にはどちらかというとゴシック寄りか。
ブラックとゴシックの両方がやりたかったのだろうが、どうも中途半端な印象。
雰囲気は悪くはないので、今後はどちらかにゆくのかはっきりしてもらいたい。
シンフォニック度・・7 ゴシック度・・7 暴虐度・・6 総合・・7
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DARZAMAT「IN THE OPIUM OF BLACK VEIL」
ポーランドの男女Voゴシックメタルバンド、ダルザマットの6曲入りミニ。1999作
詳細は不明だが、録音時が1997-1998となっているので1st以前の音源だろうか。
「IN THE FLAMES OF BLACK ART」の時点ではゴシックとブラックの中間という感じで
どことなく散漫な印象だったのだが、このミニを聴くかぎり壮大なシンセと女性Voによる
なかなか説得力のあるゴシックメタル。個人的にはこのミニCDの路線が好きだった。
シンフォニック度・・8 ゴシックメタル度・・8 女性Vo度・・8 総合・・7.5
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DARZAMAT「Transkarpatia」
ポーランドのゴシック・ブラックメタルバンド、ダルザマットの4th。2006作
のっけから荘厳なイントロで始まり、シンフォニックなキーボードで疾走、
ダミ声ヴォーカルにからむ女性Vo…という感じで、デス/ブラックとしての分かりやすさが増している。
音の厚みの点ではシンフォニックデス的なものがあるので、ゴシック嫌いの人にもいけそうだが、
反面、ポーランド特有の翳りを期待すると、その部分では物足りなさも残る。
全体的にもはやゴシックメタルとは呼べそうもないサウンドだが、完全にそうした部分が消えたわけではなく
ときおり女性Voメインの耽美な雰囲気のパートもあり、これはこれでなかなか出来がよろしいと思う。
シンフォニック度・・8 ゴシック度・・7 女性Vo度・・7 総合・・7.5
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Darzamat「Solfernus' Path」
ポーランドのゴシック・ブラックメタルバンド、ダルザマットの2009作
以前からゴシックとブラックの中間というサウンドで質の高い作品を作っていたこのバンド、
5作目となる本作でついに日本デビューを飾った。シンセ入りで重厚にたたみかける楽曲に
男女Voの歌声を乗せて、耽美かつ激しく疾走。DIMMU BOGIRばりの雰囲気がありながら、
女性ヴォーカルをメインに聴かせるシンフォニックなパートもあり、ゴシックメタルリスナーにも
鑑賞に耐えうるだろう。ブラックメタル的な暗黒性といくぶんモダンなヘヴィさが増したことで、
ゴシック風味のシンフォブラックというべき音になったかもしれない。重厚でシンフォなゴシブラ。
シンフォニック度・・8 暴虐度・・7 ゴシック度・・7 総合・・8
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Darzamat「A Philosopher At The End Of The Universe」
ポーランドのゴシック・ブラックメタル、ダルザマットの2020年作
1996年にデビュー、本作は2009年以来、11年ぶりとなる6作目。ミステリアスなコンセプトストーリーに基づいた作品で
ヘヴィなギターなシンセを重ね、ダミ声Voに女性ヴォーカルが絡む、妖しくも重厚なサウンドを聴かせる。
ブラックメタルとしてのダークでアグレッシブな雰囲気に、ゴシックメタルの耽美さが同居したという作風で、
どことなく、SepticFleshあたりにも通じる世界観である。随所に暴虐な疾走パートも覗かせつつ、
全体的には、激しさと妖しさのバランスのとれた聴き心地で、キャリアのあるバンドらしいクオリティの高さが光る。
個人的には女性声がもっと活躍して欲しいのと、ボーナストラックを除けば全38分というのがいささか物足りないが。
ドラマティック度・・8 暴虐度度・・7 耽美度・・8 総合・・8 
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DAWN 「Naer Solen Gar Nider For Evogher」
スウェーデンのブラックメタル、ダウンの1994年作
IN FLAMESの名曲“Stand Ablaze”を歌っていたことでも知られるヘンクを擁したバンドで、
ダミ声ヴォーカルとツインギターによる土着的な旋律を乗せてブラスト疾走するサウンドは、
いかにも90年代の香りを漂わせている。楽曲は5〜7分と、当時のバンドにしては比較的長めで、
リフレインされるトレモロのリフが耳に心地よく、いまあらためて聴くと、シンプルなスタイルながら
この古き良きメロブラサウンドが新鮮に感じもする。リマスターにより音質もいくぶん良くなった。
激しさの中にも北欧的な薄暗い叙情を感じさせる、90年代メロディック・ブラックの好作品である。
メロディアス度・・8 古き良きブラック度・・8 北欧度・・9 総合・・8
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DAWN 「Slaughtersun - Crown Of The Triarchy」
スウェーデンのブラックメタル、ドーンの1998年作
IN FLAMESの名曲“Stand Ablaze”を歌っていたことでも知られるヘンクを擁したバンドで、
北欧らしい土着的なギターフレーズたっぷりの作風で1stもなかなかの好作であったが、
本作もトレモロ系のツインギターの旋律とともに激しくブラスト疾走するスタイル。
楽曲は8〜11分台とより長くなり、随所に緩急をつけたリズムチェンジも含めて、
ドラマティックな仕上がりになっている。最近のバンドに比べれば派手な盛り上がりなどはないので
長尺感を覚えるところもあるのだが、そこも含めて楽しめれば、マイナー系北欧ブラックの力作と言えるだろう。
メロディック度・・8 暴虐度・・8 北欧度・・8 総合・・8
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Dawn of RelicLovecraftian Dark
フィンランドのメロデスバンド、ドーン・オブ・レリックの2nd。2002年作
激しさだけでなくミドルテンポでじっくりと聴かせるドラマティックな雰囲気に、
AT THE GATES的なギターリフで疾走する曲もあり、なかなか高品質なメロデスだ。
やはり新世紀以降のバンドということで、CHILDREN OF BODOMからの影響も思わせる
モダンさが随所に感じさせるが、昨今のバンドのようにシンセに頼りすぎず、
ギターリフを主体に叙情を聴かせようというスタイルにはなかなか好感がもてる。
ノーマル声を使ったり女性ヴォーカルを盛り込んだ曲など、ゴシッタメタル的アプローチもあり、
バンドとしての引き出しの多さも感じさせる。なお本作は怪奇作家ラブクラフトをコンセプトにした作品らしい。
メロディアス度・・8 暴虐度・・7 ドラマティック度・・8 総合・・8
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Dead Shape Figure「The Grand Karoshi」
フィンランドのメロデスラッシュバンド、デッド・シェイプ・フィギュアの2008年作
ザクザクのギターリフで激しく疾走しつつ、ときおりメロディックなフレーズを盛り込んだスタイルは
モダンなメタルコア風味も含めてSOILWORKのデスラッシュ版という感じもある。
ギターのセンスもなかなかで、あるいは初期のARCH ENEMY好きにも楽しめるかもしれない。
曲調がやや一本調子なのが残念だが、サウンドの質の高さは一線級である。
メロディアス度・・7 疾走度・・8 モダンデスラッシュ度・・9 総合・・8
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Deadspace 「The Liquid Sky」
オーストラリアのポストブラックメタル、デッドスペースの2017年作
トレモロのギターリフにうっすらとしたシンセとダミ声&ノーマル声を乗せて激しいブラスト疾走しつつ
ときにメロウなギターフレーズとともに、メランコリックで叙情的なサウンドを描き出す。
Alcestあたりに通じるウェットな叙情美が耳心地よく、激しさの中も繊細な美意識が感じられ、
シンセによるシンフォニックなアレンジとともに、暴虐性よりもアトモスフェリックな幻想性に包まれた聴き心地。
ゲストによる女性声を乗せたナンバーなどには耽美な雰囲気もあり、ミステリアスな空気感に包まれた好作品だ。
ドラマティック度・・7 暴虐度・・7 メランコリック度・・8 総合・・8


Deafheaven「Roads to Judah」
アメリカのポストブラックメタル、デフヘヴンの2011年作
フランスのALCESTあたりを思わせる癒し系のブラックメタルで、
トレモロ風のギターフレーズの重ねによるゆったりとした情感から、ブラストビートで激しく疾走。
音自体はとても激しいのだが、そこにあるのは怒りではなく嘆きや悲しみで、マイナー調のフレーズと
泣きを含んだトレモロリフが聴き手の涙腺を刺激する。楽曲は10分前後と長く、全4曲で38分というのも、
デビュー作にしてはなかなか思い切っている。耳心地のいい悲しみの叙情ブラックサウンドに泣きましょう。
メロディアス度・・8 泣きの叙情度・・8 激しくも悲し度・・9 総合・・8
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DEAFHEAVEN
「SUNBATHER」
アメリカのポストブラックメタル、デフヘヴンの2013年作
前作はALCESTあたりを思わせる、癒し系のブラックメタルサウンドであったが、
2作目となる本作も、トレモロのギターリフを乗せて激しくブラスト疾走しながらも、
もの悲しい浮遊感を描くような聴き心地で、耳触りのよい叙情的な作風である
10分以上の大曲を構築するだけの知的なセンスも有していて、スローパートなどを盛り込んだ
メリハリのつけ方もなかなか巧みである。ポストブラックというものを知らない方にもお薦めできる好作品。
ドラマティック度・・7 激しさ度・・7 叙情度・・8 総合・・8
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Deafheaven 「New Bermuda」
アメリカのポストブラックメタル、デフヘヴンの2015年作
Alcestに通じる癒し系ブラックとして人気が上がり始めているこのバンド、3作目となる本作は、
8〜10分の大曲5曲という構成で、のっけからこれまでにない激しいブラスト疾走に圧倒される。
トレモロリフとダミ声ヴォーカルを乗せてたたみかける、ブラックメタルらしさという点では前2作を上回りつつ、
随所に叙情的なパートも盛り込まれたメリハリのある聴き心地で、その独自のサウンドに磨きがかかっている。
ときに荘厳なスケール感をまとわせつつ、激しさと繊細な叙情のバランスをセンス良く落とし込んだ、
ブラックメタル、ポストブラック、双方のファンにアピールする見事な力作だ。
ドラマティック度・・8 けっこうブラック度・・8 叙情度・・8 総合・・8
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DEAFHEAVEN 「ORDINARY CORRUPT HUMAN LOVE」
アメリカのポストブラックメタル、デフヘヴンの2018年作
2011年にデビューし、4作目となる。前作は激しさを取り戻した力作であったが、本作はピアノと叙情的なギターのイントロでゆったりと始まり、メロディックな優雅さに包まれる。
2曲目以降は、激しいブラストビートにトレモロのギターとダミ声ヴォーカルでたたみかける、ブラックメタルとしての激しさも現れるが、ギターのフレーズはあくまで叙情的なので暗黒性はさほど感じさせない。
10分を超える大曲も多く、緩急ある展開はときにプログレッシブでもあり、女性ヴォーカルを加えた叙情的な小曲などもよいアクセントになっている。
疾走する激しさもしっかりと同居させつつ、優雅な哀愁する感じさせる、現在形ポストブラックの逸品です。
ドラマティック度・7 激しさ度・7 叙情度・8 総合・8 
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DEATHSPELL OMEGASi Momentum Requires, Circumspice」
フランスのブラックメタルバンド、デススペル・オメガの3rd。2004作
ジャケからしてカナーリ不気味なのであるが、音のほうはしごくまっとうなブラックメタルです。
基本はプリミティブなスタイルで、シンフォニックな装飾はほとんどなし。
うねるようなギターリフとダミ声で突っ走りつつ、ときに緩急を効かせたり
宗教色のある荘厳な雰囲気をかもしだしつつ、「本物」の香りを漂わせています。
北欧の真性ブラック勢に比べると、音に感じる冷たさはさほどなく、人間的で暖かい(というのもおかしいが)気もします。
全13曲、77分の力作で11分の大曲もあり、プログレッシブというか、むしろポストロック的な壮大さも感じます。
昨今のバンドに飽きてきた方は、原初的なブラックメタルの王道を継承している彼らのサウンドに接してみるのもよいかも。
メロディアス度・・7 暴虐度・・8 壮大度・・9 総合・・7.5
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DECEM MALEFICIVM 「La Fin De Satan」
チリのブラックメタル、デセム・マレフィシウムの2019年作
ツインギターにシンセを含む編成で、ほどよく叙情的なギターに吐き捨てヴォーカルを乗せて、
激しくブラスト疾走しつつ、シンセによるシンフォニックな味付けで、優雅なブラックメタルを展開する。
朗々としたノーマルヴォーカルも加え、ゆったりとしたアンビエントなパートなども含む、緩急ある構築力で
ドラマティックな世界観を描いてゆく。随所に泣きのギターフレーズも耳心地よく、全体的に邪悪さよりも、
KRALLICE
のような優美な空気があるので、ポストブラックやカスカディアン・ブラックのファンにも楽しめるだろう。
王道のブラックメタルとしての激しさと、シンフォニック・ブラック寄りの華麗さが同居した強力なアルバムです。
ドラマティック度・・8 暴虐度・・7 優雅度・・8 総合・・8
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De Magia Veterum 「The Divine Antithesis」
オランダのアヴァン・ブラックメタル、デ・マジア・ヴェテラムの2011年作
2008年デビューし、3作目となる。7パートに分かれたコンセプト的な作品で、ノイジーにギターの音の塊に、語りのようなヴォイスと絶叫が重なり、激しいブラスト疾走とともにたたみかける、アヴァンギャルドなサウンド。
楽曲展開というよりは、激しいリズムの上にノイジーな音が重なっているという感じなので、叙情性やドラマティックな部分は希薄。
正直、音楽として楽しむのはきついので、この激烈な塊に神秘性を感じ取れるような方はどうぞ。
ドラマティック度・6 暴虐度・8 アヴァンギャル度・8 総合・7
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Demonic Resurrection 「The Return to Darkness」
インドのメロディック・デスメタル、デモニック・レザレクションの2010年作
2005年にデビューし、本作が2作目。シンセを含む5人編成で、シンフォニックなイントロから、
テクニカルなギターリフと低音デスヴォイスを乗せて激しくブラスト疾走、リズムチェンジを含む展開力と
シンセによる美しいアレンジで聴かせる、シンフォニック・デスメタル。叙情的なギターフレーズを乗せて
疾走するところはメロデス的でもあり、ときにノーマル声のコーラスも加わったりとなかなかアレンジも多彩。
激しくともヘヴィ過ぎないところは、シンフォニック・ブラックメタル的にも楽しめるだろう。11分という大曲では、
プログレッシブな構築力で、激しさと叙情が同居した緩急あるドラマティックなサウンドを描く。全64分の力作デス。
ドラマティック度・・8 暴虐度・・7 構築度・・8 総合・・7.5
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Demons Of Guillotine 「Время Серпа」
ロシアのブラックメタル、デモンズ・オブ・ギロチンの2011年作
2004年にデビューし2作目となる。スラッシーなギターリフに吐き捨てヴォーカルを乗せ、
激しすぎない疾走感とともに聴かせる、オールドなデスラッシュ風の1曲目から、
2曲目はトレモロのギターにブラストビートを含む、メロブラ的なサウンドを展開。
ギターリフにかすかに叙情性を含んではいるが、基本は硬派なスタイルで、メロディアスな感触は薄め。
もう少し暴虐な激しさか、扇情的なメロディか、どちらかに舵をきってもらいたい気がする。
ドラマティック度・7 暴虐度・7 叙情度・6 総合・7
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DER WEG EINER FREIHEIT 「Finisterre」
ドイツのブラックメタル、ダー・ヴェグ・エイナー・フレイヘイトの2017年作
ドイツ語による語りから始まり、トレモロのギターリフとともにブラスト疾走開始、
そこに乗るダミ声ヴォーカルもドイツ語のようで、適度にメロディックなフレーズも織り込みながら
アトモスフェリックかつゲルマンなブラックメタルサウンドを聴かせる。暴虐な疾走パートをメインに、
ゆたりとした叙情パートを含む、緩急あるリズムチェンジとともに、10分を超える大曲を構築してゆく。
ストリングスも鳴り響くラスト曲のメランコリックな味わいも含めて、激しくもミステリアスで、
どこか知的な香りを漂わせたアレンジセンスは見事。今後もさらに期待したいバンドである。
ドラマティック度・・8 暴虐度・・8 構築度・・8 総合・・8
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Desaster「Arts of Destruction
ドイツのブラックメタル、デザスターの2012年作
オールドスタイルのアナログ感を漂わせて疾走する暴虐なサウンド。
ガナリ声ヴォーカルとともにブラスト疾走しつつも、ギターリフやフレーズには
随所にメロディックな感触もあり、ダーティな荒々しさとスラッシーな部分を残している。
ブラッケン・ロールというか、ブラッケン・スラッシュというか、なかなか格好いい作品だ。
ドラマティック度・・7 暴虐度・・7 アナログ度・・8 総合・・7.5
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Destroy Destroy Destroy「Devour the Power」
アメリカのメロデスバンド、デストロイ・デストロイ・デストロイの1st。2006作
ヴォーカルの声質も含めて、初期のCHILDLEN OF BODOMを思わせる作風だが、
先に聴いていた2ndに比べて、こちらはもっとモダンなコア要素が強い。
シンセによる味付けが音の粗さをおぎなっているが、基本的なメロディそのものが弱いため、
何度も聴きたくなる魅力はまだない。今後はなにかひとつ武器を見つけないと厳しいだろう。
メロディアス度・・7 暴虐度・・7 新鮮度・・7 総合・・7.5
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Destroy Destroy DestroyBattle Sluts」
アメリカのメロデスバンド、デストロイ・デストロイ・デストロイの2nd。2009作
インパクトのあるバンド名とジャケから、一部ではすでに前から話題になっていたバンド、
大仰なイントロに引き続き、勇壮なギターリフとシンフォニックなシンセとともに、
エピックな質感を撒き散らしながら疾走開始。チルボド的な華麗なメロデスと
モダンなコア要素が合体したサウンドは、個性的とは言えないがとても高品質。
ときにブラックメタル的なブラストやヴァイキングメタルちっくなメロディも出てきたりと、
節操のなさもいかにもアメリカの若手っぽい。真価が問われるのは次作以降か。
メロディアス度・・8 疾走度・・8 楽曲・・7 総合・・8
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DESULTORY「Counting Our Scars」
スウェーデンのデスメタルバンド、デザルトリーの復活作。2011年作
90年代北欧のデスメタルバンドの中でも知る人ぞ知るという存在で、1994年の2ndは聴いた記憶があるが、
さして印象には残っていない。本作のサウンドは、まさに古き良きスラッシュ風味のデスメタルで、
随所に叙情的なメロディを取り入れつつも、決して甘すぎないのがポイント。
若いリスナーがいわゆるメロデスと聞いて想像するのとは違うもので、むしろ北欧デスラッシュとして聴くと、
とてもいい感じである。オールドなメタルブームが来ている昨今においては、意味のある復活作だ。
メロディアス度・・7 疾走度・・8 オールドなデスラッシュ風度・・8 総合・・8
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DESULTORY「THROUGH ACHING AEONS」
スウェーデンのデスメタルバンド、デザルトリーの2017年作
1993年にデビュー、96年までに3作を残して消えるも、2011年に復活、本作は6年ぶりとなる復活2作目。
ツインギターのリフとダミ声ヴォーカルを乗せて疾走する、デスラッシュ気味のサウンドで、
甘すぎないメロディアス性を含ませて激しく突進する、AT THE GATESにも通じる聴き心地。
オヘルドスタイルながらベテランらしい確かな演奏力と、クールなギターリフが見事で、
90年代の北欧メロデス、デスラッシュが好きな方にとってはニンマリのスタイルだろう。
この痛快なまでの疾走感は過去最高といってよいほどで、ベテラン健在の強力作である。
ドラマティック度・・8 疾走度・・9 オールドデス度・・9 総合・・8
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DETONATION 「AN EPIC DEFIANCE」
オランダのメロディックデスメタル、ディトネーションの2002年作
スラッシーなリフにデスヴォイスを乗せて疾走しつつ、甘すぎない叙情メロディを含んだ、
AT THE GATESなどにも通じる、イエテボリ系のオールドスタイル・メロデスを聴かせる。
暴虐な疾走感とともに、デスメタルとしての激しさもしっかりと残しているので、
同郷のベテラン、God Dethronedあたりが好きな方にもお薦めできるだろう。
激しさたっぷりのほどよくメロディックなデスメタルが堪能できる強力作デス。
ドラマティック度・8 暴虐度・8 叙情度・7 総合・8
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DETONATION 「EMISSION PHASE」
オランダのメロディックデスメタル、ディトネーションの2007年作
3作目の本作も、エッジの効いたツインギターのリフにデスヴォイスを乗せて、
激しいブラスト疾走を含んだ、突進力のある硬派のメロデスサウンドを展開。
90年代北欧メロデスをルーツにした叙情的なギターフレーズも随所に覗かながら、
デスラッシュ的でもある勢いある疾走感が爽快だ。ミドルやスローテンポへのリズムチェンジや、
ツインギターの絡みもより魅力的になった。昨今の軟弱系メロデスとは一線を画す見事な傑作だ。
ドラマティック度・8 暴虐度・8 叙情度・8 総合・8.5
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DEVILISH IMPRESSIONS「The I」
ポーランドのブラックメタル、デヴィリッシュ・インプレッションズの2017年作
2005年にデビュー、本作は4作目で、トレモロのギターリフにダミ声ヴォーカルを乗せて激しくブラスト疾走する、
オールドスタイルのブラックメタル。ギターは随所にメロディックなフレーズも覗かせつつ、
スローパートも含んだ緩急ある展開で、甘すぎない叙情とともに、MARDUKあたりにも通じる、
荘厳な空気に包まれたサウンドを描いてゆく。スロ〜ミドルテンポからじっくり展開する10分の大曲は、
エピックな神秘性にも包まれていて、全体的にも重厚さと激しさのバランスのとれた強力なアルバムである。
ドラマティック度・・8 暴虐度・・8 荘厳度・・8 総合・・8
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Devilment 「The Great & Secret Show」
イギリスのシンフォニック・ホラーメタル、デヴィルメントの2014年作
Cradle of Filthのダニ・フィルスを擁するバンドで、ツインギターに女性シンセ奏者を含む6人編成。
サイバーなアレンジを含んだモダンなヘヴィネスとホラー映画的な世界観が合わさった雰囲気で、
クレイドル同様、低音から絶叫までこなすダニのヴォーカルがシアトリカルなサウンドを描いてゆく。
ミドルテンポ主体なので荘厳な邪悪さというのは感じないが、聴きようによっては激しさを薄めたCOFという感じもする。
全体的にはメロディのフックが物足りないのと、個人的にはシンセ&コーラスのローレン嬢の活躍を増やしてもらいたい。
ドラマティック度・・8 モダンヘヴィ度・・8 シアトリカル度・・8 総合・・7.5
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DIABOLICAL MASQUERADE 「RAVENDUSK IN MY HEART」
スウェーデンのブラックメタル、ディアボリカル・マスカレードの1996年作
KATATONIAのAnders Nystromのプロジェクトで、入手困難だった初期作が、2021年に再発された。
ほどよく叙情的なギターにダミ声ヴォーカルを乗せて疾走する、メロディック・ブラックメタル的な感触で、
ギターのフレージングには、初期のKATATIONIAにも通じるメランコリックなメロディを漂わせる。
激しい疾走パートからミドルテンポへのリズムチェンジなどには、知的な構築センスも感じさせ、
耽美なミステリアス性とともに、単なるブラックメタルという以上のプログレッシブな雰囲気がある。
Ege of Sanityのダン・スワノがミックスを手掛け、ヴォーカルでもゲスト参加している。
ドラマティック度・8 暴虐度・7 叙情度・8 総合・7.5 
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DIABOLICAL MASQUERADE 「The Phantom Lodge」
スウェーデンのブラックメタル、ディアボリカル・マスカレードの1997年作
こちらも2021年再発盤でやっと入手。本作もダン・スワノがミックスとプロデュースを手掛けていて、
シンセによるアレンジが加わったことで、随所にシンフォニックブラック的な味わいも感じられる。
迫力を増したダミ声ヴォーカルを乗せて、激しい疾走からの静寂パートへと、緩急ある展開力で
プログレッシブなブラックメタルを聴かせる。音質面でのクオリティアップもサウンドの説得力を高めており、
メランコリックな叙情パートでは、初期KATATONIAに通じる雰囲気もある。3rd以降に比べると、
まだ粗削りな部分もあるが、Anders Nystrom(Blackheim)のセンスが発揮された力作である。
ドラマティック度・8 暴虐度・7 叙情度・8 総合・7.5
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Diabolical Masquerade「NIGHTWORK」
スウェーデンのブラックメタルバンド、ディアボリカル・マスカレードの3rd。1998作
シンフォブラックの隠れた傑作とされている本作は、KATATONIAのAnders Nystromのプロジェクトで、
ゲストにはEDGE OF SANITYDan Swanoが参加。楽曲は疾走のみに頼らず、ミドルテンポから
ゆるやかなパートを盛り込んだ、知的な構築センスとメロディによる非常に高品質なもの。暴虐さよりは
美しさにこだわっていて、ときにギターがクサいほどのメロディックなフレーズを奏で、しっとりとしたシンセが加わると
なんともいえない暗く美しきドラマティックさが垣間見える。90年代のメロブラとしては名作といってよい出来だ。
メロディアス度・・8 暴虐度・・7 ドラマティック度・・8 総合・・8
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Diabolical Masquerade 「Death's Design」
スウェーデンのブラックメタルバンド、ディアボリカル・マスカレードの4th。2001作
詳細は不明ながら、どうやら映像作品のサウンドトラックとして作られた作品らしい。
前作「NIGHTWORK」はメロディアスかつ質の高い楽曲で、シンフォブラックの隠れた名作だったが、
今作もEDGE OF SANITYのダン・スヴァノが参加しており、単なるブラックを超えた異色作となっている。
なにせトラックが61もあるので、次々に場面が変わってゆき、気づいたら10曲め…ということに(笑)
クラシカルでオーケストラルなシンセアレンジを取り入れつつ、ときに暴虐に、ときにシンフォニックにと、
目まぐるしく展開してゆく楽曲はプログレッシブで、EDGE OF SANITY「Crimson」にも通じる感触だ。
ときおり聴かせるキャッチーなまでの叙情性も含めて、メリハリに富んだ43分間。まさにサウンドトラック・ブラックメタル。
シンフォニック度・・8 暴虐度・・7 プログレッシブ度・・8 総合・・8
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Diesear 「Ashes of the Dawn」
台湾のメロディックデスメタル、ディエシアーの2014年作
ツインギターのリフと吐き捨てるデス声を乗せて疾走する、オールドスタイルのデスメタルで、
甘すぎないメロディアス性を含んだところは、90年代の北欧メロデス系バンドに通じる聴き心地。
楽曲は3〜4分台と比較的シンプルであるが、アジア系のバンドとしてはテクニック面も含めて、
サウンドの迫力もしっかりある。感触としてはメロデスというよりは、むしろデスラッシュに近いかもしれない。
台湾のメタルといえば、Chthonicが有名だが、このバンドも若手としては非常に有望株だと思う。
メロディック度・・7 疾走度・・8 むしろデスラッシュ度・・8 総合・・8
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DIMMETION ZERO「SILENT NIGHT FEVER」
IN FLAMESのイェスパー率いるデスラッシュバンド、ディメンション・ゼロの2001作
IN FLAMESよりもずっと疾走感のあるアグレッシブなサウンドで、ザクザクのリフで疾走する。
どの曲も3分前後と短く、ギターソロ等はほぼまったくないという潔さ。
あくまでリフ主体で疾走しながら、ときおりAT THE GATES的なメロディも感じさせる。
分かりやすく言うと、北欧デスラッシュ、メロデス風味といったところか。
もう少し作り込みが欲しい気がするが、イェスパーの片手間バンドにしておくのは惜しい。
メロディアス度・・7 疾走度・・9 単純明解デスラッシュ度・・9 総合・・7.5
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DIMMU BORGIR 「For All Tid」
ノルウェーのブラックメタル、ディム・ボガーの1st。1994年作
いまやブラックメタル界を代表する存在となったこのバンドの記念すべきデビュー作。
美しいシンセによる長めのイントロ曲から、ツインギターのリフとダミ声ヴォーカルを乗せ、
北欧らしい寒々しい叙情を描くようなサウンドが広がってゆく。楽曲はミドルテンポ主体で、
随所に疾走パートもあるものの暴虐な激しさは控えめで、むしろゴシック的な耽美さを感じさせる。
後の作品のような荘厳な迫力というものはまだないが、ぼんやりとした幻想的な空気感は、
案外のんびりとした心地よさがありますな。どことなくヴァイキングメタル的な土着性もあって、
激しいブラックが苦手な方にも楽しめるだろう。美しくなったBURZUMという感じも少しある。
ドラマティック度・・7 暴虐度・・6 ダークな叙情度・・8 総合・・7.5
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DIMMU BORGIRSpiritual Black Dimensions」
ノルウェーのブラックメタル、ディム・ボガーの4th。1999年作
初期のディム・ボガーは疾走感とサウンドの迫力という点ではいまひとつだったのだが、
本作では美麗なシンセアレンジを含んだシンフォニックな聴き心地と、ブラスト疾走する邪悪な激しさが
ひとつ説得力を増してきたという印象だ。お得意のリズムチェンジからの緩急の付いた叙情性と
ドラマティックな構成力も光っていて、バンドとしての最初の傑作というべき内容に仕上がっている。
これぞシンフォニック・ブラックメタルのスタンダードというような、初心者にも入りやすい作品だろう。
シンフォニック度・・8 暴虐度・・8 荘厳度・・7 総合・・8
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DIMMU BORGIR「PURITANICAL FUPHORIC MISANTHROPIA」
ノルウェーのブラックメタル、ディム・ボガーの5th。2001年作
前作でこの手のシンフォニックブラックとしては最高品質のサウンドを作り上げた彼ら。
今作でもすっかりゴージャスなアレンジ能力を身に付けた高クオリティのブラックメタルが満喫できる。
OLD MAN'S CHILDのG、元CRADLE OF FILTHのDrが加わり、音の厚みもいっそう増した。
激速で暴虐なのにメロディアスでシンフォニックという点でも非常に明快で、ドラマテイックな聴き心地。
真性すぎないエンターテイメント・ブラックメタルとして、クレイドルとの二大巨頭時代は今後も続きそうだ。
シンフォニック度・・8 暴虐度・・8 荘厳度・・8 総合・・8 ◆メタル名盤特選入り
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DIMMU BORGIR「WORLD MISANTHROPY」
ノルウェー出身のシンフォニック・ブラックメタルバンド、ディム・ボガーのライブDVD。2枚組。
2001年のライブ映像と、バックステージ、インタビュー、ビデオクリップといった内容。
ライブでのパフォーマンスは安定しており、シンフォニックなキーボードの味付けと暴虐パートの切り返し、
という極端さを有効に生かし「聞かせ所」をつかんだ演奏はさすがという感じ。
CRADLE OF FILTHのニコラスの手数の多いドラムもバンドのサウンドに違和感なく溶け込んでいる。
しかしステージのプロフェッショナルぶりに比してバックステージ映像の下品なこと。
ある意味見るに耐えないような(ゲロやケツ丸出し、便器etc..)場面や、自己満足的なジョーク映像、
それに練習風景などは、この手の雰囲気モノバンドのスタンスとして見せるべきでない気もした。
まあ、おそらくメンバーなどにはかつてのダーティなロックンローラー気質というものがあるのだろうが、
ライブシーンの合間に毎回入れるほどの価値はないと思う。ライブ映像もフラッシュ効果のせいで画面がせわしなく、目が疲れる(^^;)
ライブ演奏・・8 ライブ映像・・7 バックステージ・・2 総合・・7
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DIMMU BORGIR「DEATH CULT ARMAGEDDON」
ノルウェーのブラックメタルバンド、ディム・ボガーの6th。邦題「最終戦争讃歌」。2003年作
シンフォニックでありながらブラックメタルとしての暴虐さを保ったそのサウンドは、
アルバムごとに着実にクオリティを上げてきており、その美と醜の均衡はまったく見事なほど。
今回は楽曲に本物のオーケストラを導入しており、音の荘厳さと説得力は否が応にも増している。
緩急の効いた切り返しの多い曲をこなすメンバーの技量は見事だが、それに加えて
キーボード、オーケストレイションのアレンジの質もいっそう上がっているように思う。
クオリティとしてはCRADLE OF FILTHと並び立つと同時に、ブラックメタルとしての音の迫力では
ついに彼らを上回ったという印象。名実ともにドラマティックブラックの頂点に立った強力作。
シンフォニック度・・8 暴虐度・・8 荘厳度・・9 総合・・8.5 ◆メタル名盤特選入り
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DIMMU BORGIR「Stormblast」
ノルウェーのシンフォニックブラックメタルバンド、ディム・ボガーの2005年作
1996年の2ndアルバムを新たにリレコーディングしたもので、2004年のOSSFESTのライブ映像入りDVD付き仕様。
かつてオリジナルの方を聴いたときは、けっこうショボめの音だったという記憶があるが、
リレコーディング効果で荘厳さがぐんとアップ。寒々しく暴虐な雰囲気にも説得力が増した。
これはまさに現在の彼らが昔に立ち返ったかのごとき、シンフォニックブラックサウンドである。
こう聴くと初期は北欧らしいメロディのヴァイキングメタル寄りのサウンドだったのだと分かる。
ドラムにはHellhammer(MAYHEM〜ARCTURUS)が参加。さすがの切れ味のドラムを聴かせる。
シンフォニック度・・8 暴虐度・・7 北欧ヴァイキングメロ度・・8 総合・・8
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DIMMU BORGIR「In Sorte Diaboli」
ノルウェーのシンフォブラックメタルバンド、ディム・ボガーの8th。2007作
前作「Stormblast」のリレコーディングアルバムから、レコーディングメンバーとなった
ヘルハマー(MAYHEM、ARCTURUS)が今回もドラムを叩き、今作は人間とサタン、
キリストとの関係を黒魔術をまじえて描いた、中世を舞台にした濃密なコンセプト作となった。
音の方は疾走のみに頼らない重厚な曲調が特徴的で、その中にあっても、
やはりヘルハマーのドラムのパワフルかつグルーブのある存在感は素晴らしい。
直接的な派手さよりも、匂い立つような荘厳な邪悪さと叙情の立ち込めるサウンドは、
年季をへたベテランバンドのみが作り出せる説得力に満ちていて、ぐいぐいと引き込まれる。
ブックレットの豪華さも、この中世暗黒絵巻に入り込むための重要な要素になっており、
アルバムパッケージとして、ある種映画的なまでの世界観の演出にも成功している。
シンフォニック度・・8 暴虐度・・8 重厚度・・9 総合・・8.5
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DIMMU BORGIR「Abra Hadabra 」
ノルウェーのブラックメタルバンド、ディム・ボガーの2010年作
名実共に北欧シンフォニックブラックの頂点に君臨するこのバンド、本作はいつになくクラシカルかつ美麗なイントロで幕を開け、
その後はいつものような暴虐さを覗かせつつも、今回はよりシンフォニックな美しさが際立っている。
コンセプチュアルな荘厳さに包まれていて、むしろCradle of Filthにも近づいたような雰囲気もある。
本物のストリングス隊を使っているので、バックを彩るオーケストラの説得力も見事で、男女コーラスなどが加わると
THERION
などにも通じるスケール感がある。前作の重厚な邪悪さも捨てがたいが、このシンフォニック路線も素晴らしい。
ブラックメタルとして激しさもしっかりと残しながら、より多くのリスナーにアピールする一枚だ。
シンフォニック度・・9 暴虐度・・7 荘厳度・・9 総合・・8.5
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Dimmu Borgir 「Forces of the Northern Night」
ノルウェーのシンフォニックブラックメタル、ディム・ボルギルのライブ作品。2017年作
1994年にデビュー、いまや世界的に人気を博すこのバンド。本作は2011年地元ノルウェー、オスロでのライブで、
オーケストラと合唱隊を伴ってのステージを収録した2CD。生のオーケストらによる荘厳なイントロから、
バンド演奏が加わって、ツインギターにダミ声ヴォーカルを乗せて激しくブラスト疾走、緩急あるリズムに
オケによるシンフォニックな美しさが、暗黒のスケール感をともなって、唯一無二のサウンドを描いてゆく。
音質も抜群で、キャリア20年を超えるバンドとしての構築された世界観の迫力を余すところなく伝えてくれる。
ところで、いまさらながら日本での呼び名が「ボガー」から発音通りの「ボルギル」に変わったのね。
シンフォニック度・・8 荘厳度・・9 ライブ演奏・・9 総合・・8.5 
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DIMMU BORGIR「Eonian」
ノルウェーのシンフォニック・ブラックメタル、ディム・ボルギルの2018年作
1994年にデビュー、スタジオ作としては8年ぶりの10作目。「ボガー」だったのが正式な発音の「ボルギル」になって、
違和感のある方もいるかもしれないが、アチエネもそうだったし、まあよいでしょう。今作は生のオーケストラは使わず、
打ち込みによるオーケストレーションによる壮麗なシンフォニック性と、硬質なバンドサウンドをスタイリッシュに融合。
ときにインダストリアルなモダンさも匂わせつつ、男女コーラスによる荘厳なスケール感は、THERIONなどにも通じるだろう。
暴虐なブラスト疾走は少なめなので、激しさを求める方にはやや肩透かしかもしれないが、トライバルな民族性を覗かせたり
メランコリックな叙情を含んだメロディアス性なども含め、より多くのリスナーへと間口を広げる作品というべきだろう。
ブラックメタルというものをここまでスタイリッシュに仕上げたという点では、CRADLE OF FILTHと同様に敬意を表したい。
シンフォニック度・・8 暴虐度・・7 荘厳度・・8 総合・・8 
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Direwolf「Beyond the Lands of Human Existence」
アメリカのプログレッシブ・ブラックメタルユニット、ディアウルフの2007作
Vo、G、B、Key、プログラミングをこなすマルチプレイヤー、Direwolf氏の一人ユニットで
打ち込みドラムによる変則リズムにスペイシーなシンセとギターを乗せた、
プログレッシブでシンフォニックなサウンド。ブラストも入って激しく疾走しつつも
打ち込みなのであまりヘヴィにはならず、むしろプログレッシブな浮遊感を漂わせている。
テクニカルなギターフレーズとシンセが絡み、語りのようなヴォーカルが加わると
なかなか個性的なサウンドになる。ARCTURUSあたりが好きなリスナーは聴いてみて損はない。
シンフォニック度・・7 暴虐度・・7 スペイシー度・・9 総合・・7.5
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Disarmonia Mundi「Fragments of D-Generation」
イタリアのメロデスバンド、ディサルモニア・ムンディの2nd。2004作
ひと言で言うとSOILWORK的なモダンなヘヴィネスで聴かせるメロデス。
ヘヴィさとメロディを同居させた流麗なギターワークを軸に、きらびやかなシンセや
デス声とノーマル声を重ねて、メタルコア的にカッチリと構築したサウンドは
目新しさはないものの、質の高さの点では最近のバンドではピカイチと言っていい。
メロディアス度・・7 暴虐度・・7 モダン度・・8 総合・・7.5
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DISARMONIA MUNDI「Mind Tricks」
イタリアのメロデスバンド、ディサルモニア・ムンディの3rd。
この手のメロデスはいいかげん飽和状態にあるので、新鮮味はもはや皆無。
要はどこまでクオリティと説得力を上げられるかが勝負になる。その点ではこのバンドは、
疾走感、突進力、メロディの質、曲アレンジの総てにおいて、このスタイルのパイオニアであるSOILWORKよりも上をいった。
デス声で暴虐に疾走しつつも邪悪感は全くないのだが、要はそれはギミックとしてのデスメタルスタイルであって、
それは楽曲アレンジのモダンさとメロディ至上主義にも現れている。ノーマルヴォイスのハーモニーはキャッチーで、
ヨーロッパのみならずアメリカ的なメジャーな部分も感じさせるが、それというのも曲の展開のスムーズさと
イタリアらしからぬ洗練されたアレンジのたまものであろう。ギターメロを活かすバックのキーボードの絡みなども
念入りに作り込まれている。いまさらこの手の音楽に感動はしない私ですらも、全曲を聴き通すことが苦痛ではなかった。
メロディアス度・・7 暴虐度・・7 モダン度・・8 総合・・8
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DISARMONIA MUNDI 「Cold Inferno」
イタリアのメロディック・デスメタル、ディサルモニア・ムンディの2015年作
メロデスというよりは、もはやモダンなエクストリームメタルとして扱うべきだと思うが、
本作も激しい突進力とモダンな硬質感、シンフォニックなアレンジが合わさったクオリティの高いサウンド。
ダミ声ヴォーカルをメインに、随所にマイルドなノーマル声も織り込んだメタルコア的な聴き心地で、
叙情的なメロディックなギターフレーズの入れ方もさすがというセンス。メリハリに富んだ構成と
暴虐な激しさとキャッチーさの極端な二面性は、若いリスナーにはとても受けるのだろう。
出来はよいとは思うが、個人的にはとくに興奮することもなく、これというインパクトも感じられない。
メロディック度・・8 暴虐度・・8 モダン度・・8 総合・・8
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DISILLUSION「BACK TO TIMES OF SPLENDOR」
ドイツのプログレッシブ・デスメタルバンド、ディスイリュージョンの1st。2004年作
10,分以上の長めの楽曲をセンスあるアレンジで構築する、OPETHあたりに通じる作風で、
プログレ的なテクニカルで知的な部分と暴虐性の同居という点ではEXTOLあたりにも近いか。
盛大にキーボードを鳴らしながら疾走する部分は、シンフォニックブラック的でありながら、
対照的にノーマル声で歌われるスローパートなどでは到底デスメタルとは思えないマイルドさがある。
テクニカルさと突進力、静寂と美と醜と、なんともいろいろな要素を併せ持った不思議なバンド。
取り立てて新しいことをやっているわけではないのに、聴いていて音に引き寄せられるのは
やはりセンスがいいのだと思う。デビューアルバムとは思えない密度と完成度に唸らされた。
ドラマティック度・・8 暴虐度・・7 楽曲センス・・9 総合・・8
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DISILLUSIONGloria
ドイツのプログレッシブ・デスメタルバンド、ディスイリュージョンの2nd。2006作
プログレッシブかつ知的なエッセンスと展開美が実に見事だった1stから、本作はがらりと方向を変えてきた。
のっけからザクザクのヘヴィロック風味で始まり、「いったいどうしたんだ?」と聴き手に思わせつつ、
よく聴くと楽曲にはキラリと光る知的なアレンジが効いていて、モダンさの中に覗かせるProgMetal的なセンスが絶妙。
一筋縄ではいかない思考回路を持つメンバーたちは、聴き手を驚かせつつ、こっそりほくそ笑んでいることでしょうよ。
OPETHにも通じるような前作の雰囲気を気に入っていた人には、この極端な変化はガッカリかもしれませんが、
ちゃんと鑑賞すればサウンドには奥深いスケール感と、コンセプチュアルな知的センスが詰まっていて、
結局お前らはなんなんだ?と唖然としながらも、つい聴いてしまうだけの世界観がある。これはこれで傑作!
ドラマティック度・・8 知的センス度・・9 世界観度・・9 総合・・8
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DISILLUSION 「Liberation」
ドイツのプログレッシブ・デスメタル、ディスイリュージョンの2019年作
2004年作「Back to Times of Splendor」はプログレデスの傑作として名高いが、2作目を残したのちに沈黙、
本作は13年ぶりとなる復活の3作目。叙情的なイントロで幕を開け、メタリックなギターにシンセを重ね、
デス声&ノーマル声を使い分けながら、リズムチェンジを含むテクニカルな展開力で構築してゆくところは、
まさに1stの延長上のサウンド。随所にデスメタル的なアグレッシブな疾走感や激しいブラストビートも覗かせつつ、
メロディックなギターフレーズを盛り込むなど、適度な叙情性と緩急ある知的なアレンジセンスも光っている。
10分を超える大曲をドラマティックに構築する力量はさすがで、今作では成熟したスケールの大きさを感じさせる、
重厚なスローなパートなども効果的で、1stからのファンはもちろん新たなリスナーも惹きつける強力な復活作である。
ドラマティック度・・8 テクニカル度・・8 叙情度・・7 総合・・8 
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DISMAL EUPHONYSoria Moria Slott
ノルウェーのゴシックブラックメタル、ディスマル・ユーフォニーの1st。1996作
このバンドのポイントは、やはり男女Voというところとシンフォニックなシンセアレンジだろう。
ゴシック系では珍しくもないが、疾走ブラックメタル系で女性Voがリードをとるバンドというのは
この頃はまだほとんどいなかったと思う。3rd以降はモダンな質感を増してゆくが、
本作はまだ土着的なマイナー臭さの残るサウンドで、プロダクションのせいもあって、
マイナー系ブラック特有のスカスカなチープさをもかもしだしているのだが、
北欧らしい涼しげなシンセアレンジや、効果的に使用されるアコギの上を
ソプラノ女性ヴォーカルが清涼な歌を乗せるのは、なかなか美しいのである。
シンフォニック度・・8 ゴシックブラック度・・8 女性Vo度・・7 総合・・7.5
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DISMAL EUPHONY「All Little Devils」
ノルウェーのゴシック・ブラックメタル、ディスマル・ユーフォニーの3rd。1999作
ジャケはなんだかグロいですが、サウンドの方はむしろ耽美なゴシックメタル風味が強まった。
艶めいた女性ヴォーカルに、ダミ声男性ヴォーカルが絡み、ミドルテンポを主体にした楽曲は、
叙情的なギターフレーズとうっすらとしたシンセアレンジも含めて、ゴシック・メロデスという聴き心地である。
方向性としては、ゴシックにしたいのかメロデスなのか、やや中途半端な感じもするのだが、
メロディの煽情度という点では傑作といってもよい出来だと思う。
メロディアス度・・8 ゴシックデス度・・8 女性Vo度・・7 総合・・8
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DISMAL EUPHONY「PYTHON ZERO」
ノルウェーのゴシック・メロデスバンド、ディスマル・ユーフォニーの4枚目。
初期はシンフォニックブラックだったが、前作ではゴシック的なアプローチの傑作であった。
続く今作では、比較的シンフォニックで物悲しい部分は抑えられ、むしろドライなメロデス風味になった。
疾走パートはもちろんデスっぽいのだが、曲によっては非常にメロディアスでキャッチーですらあり、
とくに女性Voがリードをとる曲においては、そこいらのゴシックメタルよりもよほど雰囲気がある。
ジャケのエリマキトカゲの意味が不明なのだが、それなりにクオリティの高い好作ではある。
メロディアス度・・7 ゴシックデス度・・7 女性Vo度・・7 総合・・7


DISSECTION「The Somberlain」
スウェーデンのメロディックブラックメタルバンド、ディセクションの1st。1993年作
北欧メロブラ伝説のバンドである、彼らの持ち味は、昨今のこの手のバンドのようにただ暴虐ブラストで疾走するのではなく、
しっかりとギターがリフを弾き、北欧的なもの悲しい叙情を乗せてツインギターを機能させている点だ。
この1stは、名盤たる2nd「Storm the Light's Bane」に比べれば、音質、演奏ともにやや粗く
曲のアレンジに無駄の多さがあるものの、やはり彼ら独特の薄暗いメロディと疾走感は素晴らしい。
disc2には、未発のライブや、デビュー前のデモやシングルなど13曲を収録。ファンは垂涎。
メロディアス度・・7 暴虐度・・8 北欧叙情度・・8 総合・・8
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DISSECTION「Storm of the Light's Bane」
ディセクションの2nd。1996年作
北欧メロディックブラックの金字塔として愛聴していた作品で、名曲“Night's Blood”をはじめ、流麗なギターメロディで疾走するスタイルは、後のチルボドなどにも影響を与えた。
曲と演奏のクオリティの高さの点でも、数あるメロブラ、メロデス系バンドのアルバムでもトップの1枚だと思う。
残念ながら、バンドのリーダーであったジョンは、2006年の解散ツアーの後、自殺という形で永遠にバンドを去ってしまったが、
葬送の意味でこのアルバムを聴き返すにつれ、メロディのもの悲しさと、北欧的な暗い叙情性を有した楽曲には、
あらためて彼の音楽センスとその才能が惜しまれる。再発のリマスター盤はCD2枚組み仕様で、disc1にはオリジナルのリマスター音源、
disc2には同オルタナティブミックスに1994年のデモ、ミニアルバム「Where Dead Angels Lie」を収録。disc2でのミックスは、
ややドライなサウンドになっているが、そう大きく雰囲気は変わらないので案外楽しめる。この名盤をまだ聴いたことがないリスナーは即買いだ!
メロディアス度・・8 暴虐度・・8 北欧的薄闇度・・9 総合・・8.5◆メタル名盤特選入り
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DISSECTION「LIVE LEGACY」
ディセクションのライブアルバム。2003(録音は1997)作
個人的に2nd「STORM OF THE LIGHT'S BANE」は北欧メロブラの名作であると思うし、
この手のメロディアスブラックの先駆として、CHLDREN OF BODOMなどにも影響を与えていると思う。
そのバンドのライブ音源がいきなり登場。これはバンドの活動再開の前触れなのか?
音のほうは、録音も良好でこのバンドの演奏技術の高さが認識できる。
全7曲というのは少ない気もするが(2ndの名曲"NIGHT'S BLOOD"は聴きたかった)、
まあ1曲自体がけっこう長めのバンドなので、物足りないというほどではない。
メロディアス度・・7 暴虐度・・7 演奏・・8 総合・・7.5
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DISSECTION 「The Past is Alive(The Early Mischief)」
スウェーデンのメロブラバンド、ディセクションの初期音源集。
1st以前のデモ音源など13曲を収録。音質は悪いが、当時の彼らの勢いある演奏が楽しめる。
この頃は、まだ後のアルバムに比べてメロディの取り入れかたが中途半端で、
いかにもマイナーなブラックメタル然と疾走するサウンドには、若さと禍々しさが同居する。
後の楽曲の原型ともなる曲もあるが、あくまでマニア向けの音源であるには違いない。
メロディアス度・・6 暴虐度・・8 音質・・5 総合・・7

DISSECTION「REINKAOS」
スウェーデンのメロディックブラックメタルバンド、ディセクションの復活3rd。2006作
北欧メロブラの金字塔となった2nd「Storm the Light's Bane発表後、リーダーのジョンは殺人容疑で逮捕され、
その後バンドは沈黙状態に陥るがジョンの出所とともに復活し、こうして待望の新作を発表した。
サウンドの方は、かつてのように突進する疾走感は薄れていて、ブラックメタルとしての禍々しさを求めてるとやや肩すかしをくらうが
北欧独特のもの悲しい質感を含んだメタルサウンドとして聴けばやはり高品質。
全体的にミドルテンポ主体であるが、ザクザクとしたリフの中にヴァイキングメタル風のメロディを
取り入れたりと、ソングライターとしてのジョンの多様な才能が垣間見える作品だ。
ライブDVDでの最後の雄姿を見るにつけ、未来あるはずだったジョンの自殺はつくづく残念に思う。
メロディアス度・・7 暴虐度・・7 北欧度・・9 総合・・8
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DISSECTION「Rebirth of Dissection」
スウェーデンのメロディックブラックメタルバンド、ディセクションのライブDVD。2006作
2nd「Storm of the Light's Bane」を発表後、リーダーのJon Nodtvedtが殺人容疑で捕まり、
バンドは活動停止、服役を終えたJonを待ってバンドは復活、2006年に復活作「Reinkaos」を発表する。
だが、ライブツアーもこなし、これからという時に…Jonは自らの頭を撃ち抜いて自殺をとげた。
このライブ映像は2004年地元スウェーデンでの復活ステージで、これが最初で最後のDVD作品となった。
イントロから続く“Nights Blood”が始まると、もう鳥肌もの。楽曲は激しく疾走しつつもしっかりと美しい展開があり、
メロディックなツインギターの絡みが素晴らしい。JonのVoとギターはブランクを感じさせず、手数の多いタイトなドラムも含め、
バンドとしての演奏力はさすが。ドラマティックな構成を存分に見せつける“Unhallowed”も名曲だ。
北欧らしい土着的なメロディラインとともに、ここまで有機的にツインギターが絡むバンドはなかなかいない。
客席には若いファンの姿も多く盛り上がりもすごい。このバンドの魅力を余すことなく伝えるステージで
これから若いファンなどがもっと増えそうなのだが…それだけに、Jonの早すぎる死はあまりにも惜しい。合掌…
1stからの代表曲“The Somberlain”…間奏部で反復されるギターフレーズ、これってこんなに悲しい曲だったのか。
ライブ映像・・8 ライブ演奏・・9 ツインギター度・・10 総合・・9
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DIVINE SOULS「EMBODIMENT」
スウェーデンのメロデスバンド、ディヴァイン・ソウルスの1st。2001作
ミドルテンポの曲にメロディアスなツインギターというスタイルで、2nd〜3rdあたりのIN FLAMESに近い。
曲の途中に三連リズムを用いたり、デス声から囁き声までを使い分けるなど、
曲、アレンジともにそこそこのものは持っている。また、メロディの扇情度も高い。
イン・フレイムスみたいな聴きやすいメロデスが好きな人間なら充分楽しめるだろう。
メロディアス度・・7 暴虐度・・6 初期IN FLAMES度・・8 総合・・7

DIVINE SOULS「The Bitter Self Caged Man」
スウェーデンのメロデスバンド、ディヴァイン・ソウルズの2nd。2002作
その昔1stを聴いたときには、初期IN FLAMESを思わせる叙情メロがなかなかだったが、
あまりインパクトはなかった記憶がある。この2ndも基本的には同傾向。
暴虐さは薄めで、ツインギターのメロディで聴かせるサウンドは、ときにキャッチーですらあるが、
楽曲にしてもコンパクトすぎて、いまひとつぐっと来る部分が少ないのはいかんともしがたい。
北欧らしいツインギターのメロディが好きな方なら、聴いてみてもよいかもしれない。
メロディアス度・・8 暴虐度・・6 新鮮度・・6 総合・・7
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DODSFALL 「DODEN SKAL IKKE VENTE」
ノルウェーのブラックメタル、ドドスフォールの2019年作
2011年にデビューし、すでに5作目となる。トレモロを含むギターにダミ声ヴォーカルを乗せて疾走しつつ、
緩急あるリズムチェンジやメロデス的な叙情フレーズも覗かせる、わりとメロディックブラック寄りのサウンド。
激しいブラスト疾走するパートでも、軽すぎず重すぎずで、暴虐性をさほど感じさないのが良いですね。
全体的に派手な部分はないのだが、ほどよくノイジーなオールドスタイルと甘すぎない叙情性は、
DISSECTIONあたりが好きな方にも楽しめるだろう。ミドルテンポと疾走感のバランスも良いあんばいで、
ヴォーカルのガナり声も迫力がありすぎずちょうどよい。古き良き北欧ブラックメタルを受け継いだ強力作。
ドラマティック度・・8 暴虐度・・7 オールドブラック度・・8 総合・・8
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Domains 「Sinister Ceremonies」
スペインのブラックメタル、ドメインズの2014年作
ジャケからして妖しさがぷんぷんだが、ブラッケンなギターリフに低音デスヴォイスを乗せて激しく疾走する、
オールドスタイルのブラックメタルサウンド。不穏な空気感をまき散らし、デスメタル的な重厚さを含ませた感触は、
中期のBEHEMOTHあたりにも通じるかもしれない。ギターは随所にメロディックなフレーズも奏でるなど、
暴虐なだけではない緩急のついた楽曲アレンジもなかなか見事だ。古き良きブラックメタルとデスメタルを合わせ、
暗黒世界の中にも湿り気を含んだ叙情を匂わせる、高品質なブラックメタルデス!
ドラマティック度・・8 暴虐度・・8 ブラッケン度・・8 総合・・8
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DOMINION「Interface」
イギリスのメロディック・デスメタルバンド、ドミニオンの1st。1996作
ツインギターのヘヴィなリフと男女ヴォーカルの歌声で聴かせるサウンドは
メロデス的な叙情性とゴシックメタル的な質感が絶妙にミックスしていて、
年代を考えれば、男女ヴォーカルメタルの先駆け的な作品ともいえるだろう。
メロディアス度・・7 ゴシックメロデス度・・8 男女Vo度・・8 総合・・7.5
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DRAGOBRATH「And Mountains Openeth Eyes...」
ウクライナのペイガン・ブラック、ドラゴブラスの2008年作
ダミ声ヴォーカルとノイジーなギターリフで聴かせる、プリミティブなブラックメタルに、
土着的なフレーズやうっすらとしたシンセアレンジを加えたというサウンド。
疾走パートもあるがさほど激しくもなく、かといってペイガンな雰囲気もさほどないので
非常に微妙な聴き心地なのだが、ときおりメロディックなギターフレーズが出てきたり、
それなりに楽しめなくもないし、音質の軽さも含めて辺境的な味わいがなくもない。
5曲入りで32分という、ミニなのかフルアルバムなのか、それも微妙な作品。
ドラマティック度・・7 暴虐度・・7 ペイガン度・・7 総合・・7


DRAGONLORD「RAPTURE」
アメリカのシンフォニックデスメタルバンド、ドラゴンロードの1st。2001作
音の雰囲気はVoの声からしてもどちらかというとブラックメタル的で、バックで鳴っているキーボードの荘厳さと
ゴリゴリのギターリフが対照的。突進力もあり演奏もまとまっていて迫力十分。クオリティは高い。
ただ曲の盛り上げ方、静と動のメリハリという点ではやはりヨーロッパのバンドの耽美センスには届いていないように思う。
メロディアス度・・6 シンフォニック度・・8 暴虐度・・7 総合・・7

DRAGONLORDBlack Wings of Destiny
アメリカのメロディック・ブラックメタルバンド、ドラゴンロードの2nd。2005作
荘厳なシンセをバックに疾走するブラックメタルサウンドは、前作より音の説得力が増した。
メンバーにTESTAMENTNEVERMOREのギターがいることもあり、
ギターリフはその辺のブラックメタルバンドよりもよほどザクザクとしていて、
北欧的なきらきらとしたシンセとともに、サウンドのクオリティを高めている。
時折聴かせる泣きのギターフレーズもほどよいアクセントになっており、
シンフォブラックとしてもDIMMU BORGIRあたりにも匹敵する出来だろう。
メロディアス度・・7 暴虐度・・8 荘厳度・・8 総合・・8
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Dragonlord 「Dominion」
アメリカのブラックメタル、ドラゴンロードの2018年作
TESTAMENTのエリック・ピーターソン率いるバンドで、2001年にデビューし、本作は13年ぶりとなる3作目。
エッジの効いたギターに美麗なシンセアレンジ、ダミ声ヴォーカルを乗せて激しくブラスト疾走する、
ブルータルなシンフォニック・ブラックメタルを聴かせる。スローパートでの叙情的なギタープレイなど、
随所にギタリストとしてのセンスも織り込みつつ、リズムチェンジなどの展開力とともに、激しさとシンフォニック性が同居した
Dimmu Borgirなどにも通じる感触にデスメタル要素も加わった作風。エリック自身の咆哮するヴォーカルも迫力たっぷりだ。
ミドルテンポではメロデス的な雰囲気もあったり、ゲストの女性ヴォーカルが加わった優雅なパートなど、
過去2作に比べると叙情性と聴きやすさも増していて、スラッシュメタル的なギターリフも覗かせる強力作。
ドラマティック度・・8 暴虐度・・7 叙情度・・8 総合・・8 
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DrautranThrone of the Depths
ドイツのペイガンブラックメタル、ドラウトランの2008年作
アコースティックギターにうっすらとしたシンセとドイツ語による語りが乗り、
わめき声ヴォーカルとともに激しいブラスト疾走が始まると、かつてのEMPERORのような
神秘的な世界観と、原初の闇を感じさせるプリミティブな雰囲気がたまらない。
美しいシンセアレンジも含め、激しさの中にも芸術性を含んだ構築センスが感じられ、
女性スキャットの入ったアコースティックな曲など、ペイガンブラック的な土着性もある。
ドラマティック度・・8 暴虐度・・7 神秘的度・・8 総合・・8
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DREAMSHADE「What Silence Hides」
スイスのメロデスバンド、ドリームシェイドの2011年作
ツインギターにシンセを含む6人組で、きらびやかな美麗系メロデスをやっている。
ギターリフはけっこう古き良き北欧メロデスの質感もあるが、シンセによる美しさと
あくまでメロディにこだわった質感は、初期COBやEToS、Skyfireあたりに近いかもしれない。
ギターもときに流麗なクサメロを奏でてシンセと絡み、楽曲にはモダンなヘヴィネスと構築性もある。
反面、これだというインパクトはやや弱いのだが、ともかく質の高いシンフォニックメロデスである。
メロディアス度・・8 暴虐度・・7 美麗デス度・・8 総合・・8
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Dreamshade 「The Gift Of Life」
スイスのメロディック・デスメタル、ドリームシェイドの2013年作
前作はきらびやかなシンセを乗せたシンフォニックなメロデスの高品質作であったが、
2作目となる本作は、ぐっとモダンな感触が増して、いわばメタルコア的な作風に近づいている。
メロディックなギターフレーズに、デスヴォイスにエモーショナルなノーマルヴォイスを混ぜ込んで、
硬質感とキャッチーな感触を同居させたスタイルは、若いメタルリスナーには受けがよいだろう。
楽曲は3〜4分前後とシンプルであるが、ときにメロデスらしい疾走パートも含んだり、
シンセによる美しいアレンジも入ってきて、緩急に富んだ構成力が光る、高品質なアルバムだ。
ドラマティック度・・7 疾走度・・7 モダンメロデス度・・8 総合・・8
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Drudkh「Blood in Our Wells」
ウクライナのブラックメタルバンド、ドルドゥクの2006年作
自然との融和を感じさせるアトモスフェリックな作風にペイガンメタル的な勇壮さと
涼やかな土着性を含んだ神秘的な叙情性、そしてエピックな世界観で聴かせる力作。
10分を超える楽曲には、ときにアコースティカルな要素も取り入れていて、
リフレインの中にもミステリアスなドラマティックさを覗かせる。辺境的な味わいの傑作だ。
ドラマティック度・・8 暴虐度・・7 土着度・・8 総合・・8
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Drudkh「Estrangement」
ウクライナのブラックメタルバンド、ドルドゥクの2007年作
アナログ感たっぷりの生々しいサウンドの中に、プリミティブな土着性が詰め込まれている。
自然崇拝を思わせる土や風の匂いと、秋の森をさまようような世界観を、
ブラックメタルとしての激しさとアコースティカルな叙情とともに織り込んで、
芸術的なまでの作品を作り上げている。全4曲という構成にはプログレッシブな要素も感じさせ、
邪悪さよりも神秘性を描き出す方法論は、いわば“ネイチャー・ブラック”ともいうべき視点であろう。
メロディアス度・・7 暴虐度・・7 自然崇拝度・・9 総合・・7.5
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Drudkh 「Microcosmos」
ウクライナのペイガン・ブラックメタル、ドゥルードゥフの2009年作
これがすでに7作目ということだが聴くのは初めて。ジャケのイメージ通りに
大自然の雄大な空気を感じさせるサウンドで、疾走するパートはそう多くなく、
暴虐性よりも神秘的な世界観を表現している。曲はどれも長く、そういう点でも
Wolves in the Throne Roomあたりに通じる雰囲気がある。
メロディアス度・・7 暴虐度・・7 自然崇拝度・・9 総合・・7.5
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DrudkhHabdful of Stars」
ウクライナのペイガン・ブラックメタル、ドゥルドクの2010年作
反復するギターリフで、ヘヴィさよりも哀愁をかもしだすという手法は、
かつてのBURZUMに通じるものだが、あちらが暗黒地下音楽であるのに対し、
こちらはより自然崇拝的な、風や空気、大地と木々といったものを感じさせる世界観。
今作は星空をテーマに夜の幻想美を描き出しているようで、ゆったりとした叙情パートも多く、
曲も10分以上が普通なのだが、この神秘的で土着的な雰囲気はハマるとじつに心地よい。
ドラマティック度・・8 暴虐度・・7 叙情度・・8 総合・・7.5
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DrudkhEternal Turn of the Wheel」
ウクライナのブラックメタルバンド、ドルドゥクの2012年作
アトモスフェリックな作風で大曲を描いてゆく作風はこれまでと変わらないが、
今回は7〜9分と楽曲がいくぶんシェイプされていて、その分ダレずに聴ける。
絶叫ヴォーカルとともに疾走するブラックメタルとしての激しさを保ちながら、
静寂パートを含んだ緩急ある展開とノイジーなギターリフにうっすらとしたシンセを重ねた、
ダークで幻想的な聴き心地は、BURZUMと双璧をなす世界観の強度といってよいだろう。
ドラマティック度・・8 暴虐度・・7 幻想度・・8 総合・・8
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DRUDKH 「THEY OFTEN SEE DREAMS」
ウクライナのブラックメタル、ドゥルドゥフの2018年作
2003年にデビュー、ネイチャーブラック系の元祖というべきバンドで、本作ですでに11作めとなる。
トレモロのギターリフにダミ声ヴォーカルを乗せて疾走する、プリミティブなブラックメタルサウンドで、
ときにフォークブラック的な土着性も感じさせる。ギターリフをメインにしたオールドスタイルの感触で、
8〜9分前後の大曲を中心にした長尺感はあるものの、Wolves in the Throne Roomなどにも通じる、
幻想的な空気に包まれたサウンドが楽しめる。全5曲で43分。淡々としたリフレインに愛想はないが、
神秘的なネイチャーブラックメタルが好きな方は、この寒々しい神秘的な世界観に浸れると思う。
ドラマティック度・・7 暴虐度・・7 プリミティブ度・・8 総合・・8 
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THE DUSKFALL「FRailty」
スウェーデンのメロデスバンド、ザ・ダスクフォールの2002作
GATES OF ISHTARのドラムを中心としたバンド。
かつてのAT THE GATESIN FLAMESを思わせるオールドメロデススタイルで
スラッシーなリフで疾走しつつ、時折ギターがメロディアスなフレーズを奏でる。
今となっては目新しさのないサウンドだが、クオリティはそこそこ高いので
かつての北欧メロデスの王道を好む向きには勧められる。
メロディアス度・・7 暴虐度・・7 オールドメロデス度・・8 総合・・7.5
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THE DUSKFALL「Source
スウェーデンのメロデスバンド、ザ・ダスクフォールの2nd。2003作
ソリッドなギターリフで疾走するスラッシーなメロデスサウンド。
甘すぎない質感はデスラッシュ的でもあり、メタルコア的にモダンさも垣間見せつつ、
随所には北欧らしい叙情も感じられる。適度なメロディアスさと硬質感で聴かせる好作。
メロディアス度・・7 疾走度・・8 ギターリフ度・・8 総合・・8
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THE DUSKFALL「Lifetime Supply of Guilt」
スウェーデンのメロデスバンド、ザ・ダスクフォールの3rd。2005作
基本は前作からの流れのデスラッシュ風味のメロデスサウンドだが、
ヘヴィかつモダンなメタルコア質感がいくぶん強まってきている。
メロディアス度・・7 疾走度・・8 モダンヘヴィ度・・8 総合・・7.5
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The Duskfall「The Dying Wonders of the World」
スウェーデンのメロデスバンド、ダスクフォールの4th。2008作
ずいぶんモダン化していた前作に比べると本作は原点回帰した印象で、
随所にツインギターによるメロデスリフの名残りがあり、疾走する曲はなかなか格好よい。
アメリカのメタルコア勢に比べ、ギターのフレーズにおける叙情性はずっと魅力的だし、
かつてのAT THE GATES風の突進力とともに北欧デスラッシュ的にも楽しめる。
ミドルの曲でもあくまでメロディアスなギターがいい。バンドは本作を最後に解散。
メロディアス度・・8 疾走度・・7 ギターリフ度・・8 総合・・8
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E

Ebonylake 「On the Eve of the Grimly Inventive
イギリスのプログレッシブ・ブラックメタル、エボニーレイクの1999年作
女性Vo、女性Keyを含む7人組みで、そのサウンドは異常ともいえるような変則クラシカル・ブラックメタル。
男女ヴォーカルのシアトリカルな絡みに、シンセ入りでオペラティックな美しさを垣間見せつつも、
ブラストビートで強烈にたたみかける。そのブラストすらも変拍子という始末だから思わずにんまりだ。
こうしたシアトリカルな手法はゴシックメタル的なのであるが、そこを無理やりブラックにしているのが素晴らしい…
というか変態的だ。レビュワーのM氏が某B!誌で「気持ち悪くて二度と聴きたくない」と書いていたのは、
むしろ変態音楽愛好家には最高の褒め言葉であろう。異形のオペラティック変態ブラックメタル。こりゃ凄いです。
ドラマティック度・・8 シアトリカル度・・8 ヘンタイ度・・10 総合・・8
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Ebonylake「In Swathes Of Brooding Light」
イギリスのプログレッシブ・ブラックメタル、エボニーレイクの2011年作
1999年に「On the Eve of the Grimly」でアヴァンギャルド・ブラックの極みともいうべき作品で
カルトなヘンタイメタルファンの心を鷲掴みにしたこのバンド、なんと11年ぶりとなる作品が登場。
激しいブラストを織りまぜながら、変則リズムと唐突な展開で聴かせる濃密でシアトリカルなサウンドは
本作でも健在。不穏さをかもし出すエキセントリックなシンセアレンジに、かつてのEMPERORのような
神秘的なギターフレーズと個性的なセンスで、異形のオペラティックメタルというべき世界を描き出す。
9分、10分という大曲もあり、先の読めない楽曲は芸術的な緊張感を漂わせて聴き手を音の渦に引き込んでゆく。
ドラマティック度・・8 シアトリカル度・・8 アヴァンギャル度・・9 総合・・8
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Ebony Tears「Tortura Insomie」
スウェーデンのメロディックデスメタル、エボニー・ティアーズの1st。1998作
2nd以降はデスラッシュ的にサウンドへと変化をするのだが、本作で聴けるのは
北欧的な叙情メロディをたっぷりと取り入りれた、しごく正統派のメロデスサウンドだ。
ときにはっとするような土着的なメロディや女性ヴォーカルなども取り入れた楽曲は激しさよりも
ジャケのイメージのような耽美な雰囲気もあって、メロデスが苦手な方などにも楽しめるだろう。
メロディアス度・・8 暴虐度・・7 耽美度・・7 総合・・8
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EBONY TEARS「A HANDFUL OF NOTHING」
スウェーデンのメロデスバンド、エボニー・ティアーズの2nd。1999年作
1stは叙情満載のメロデスサウンドだったのだが、本作はむしろ、AT THE GATESの傑作、
「SLAUGHTER OF THE SOUL」を思わせるような突進型のデスラッシュになっている。
曲もごくシンプルで、日本盤ボーナスを入れても全9曲35分という潔さ。
もちろんギターリフにはメロディを感じさせる部分も多いので聴き心地もよく、
AT THE GATESやTHE HAUNTEDが好きであれば要チェックのアルバムだろう。
ドラマティック度・・8 疾走度・・8 デスラッシュ度・・9 総合・・8
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Ebony Tears 「Evil as Hell」
スウェーデンのデスラッシュメタル、エボニー・ティアーズの2001年作
1作目はメロディックデスの好作、2作目はAT THE GATESを思わせるデスラッシュ的な傑作であったが、
3作目となる本作は、前作の路線からメロディアス性を抜いたような、硬質なデスラッシュサウンドになっている。
ダミ声ヴォーカルとザクザクのギターリフを乗せて疾走するこのドライな聴き心地は、1st、2ndのファンにすると
やや微妙かもしれないが、迫力のあるスラッシュメタルとしては、それなりに質が高い作品だとは思う。
ドラマティック度・・7 疾走度・・8 デスラッシュ度・・9 総合・・7.5
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Echoes of the Moon 「Enthropy」
アメリカのポストブラックメタル、エコーズ・オブ・ザ・ムーンの2016年作
マルチミュージシャンよる個人ユニットで、打ち込みのリズムにトレモロのギターと絶叫ヴォーカルを乗せ、
叙情的なブラックメタルサウンド。全体的に、メロディックなギターフレーズが前に出ていて、
ドラムが打ち込みなので、暴虐な迫力はさほど感じず、10分前後の大曲では、リフレインのパートも多く
フックのある展開も希薄なので、やや長尺な感じもあるが、逆にゆったりとした叙情が心地よいところもあり、
独りブラック特有のほどよいプリミティブなマイナー臭さもわりと味になっている。
ドラマティック度・・7 暴虐度・・7 叙情度・・7 総合・・7.5
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Echtra 「Sky Burial」
アメリカのネイチャーブラックメタル、エクトラの2013年作
いわゆる「カスカディアン・ブラックメタル」と呼ばれるバンドで、ミステリアスな神秘性に包まれた雰囲気と、
ポストブラック的なゆるやかな叙情性を合わせたようなサウンド。23分ぴったりの大曲が2曲という構成で、
激しく疾走するような部分はほとんどなく、むしろゆったりとした聴き心地なので、気の短い方には向かない。
うっすらとしたシンセにノイジーなギターが重なり、淡々としたリフレインが続いてゆき、展開という展開はあまりなく、
アコースティックなパートや、語りのような歌声が入ったりもするのだが、ブラックとして聴くのは少々つらいかも。
とくに2曲目などは、神秘的なネオフォークといってもよいような曲調なのだが、12分を過ぎたあたりから少し激しくなり、
徐々に盛り上がると思いきや、そのまま淡々と終わってゆくという。ううむ、なんとも微妙な作品です。
ドラマティック度・・7 ブラック度・・5 神秘的度・・8 総合・・7.5
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Edge Of Sanity 「Nothing But Death Remains」
スウェーデンのプログレッシブ・デスメタル、エッジ・オブ・サニティの1991/2024年作
鬼才ダン・スワノ率いる伝説のスウェディッシュ・デスメタルバンドのデビュー作が、ダン・スワノの手に寄りリマスター&リミックスされ、CD2枚組で再発された。
優美なシンセのイントロで幕を開け、重厚なツインギターに迫力あるデスヴォイスとともに疾走しつつ、随所にリズムチェンジを含む知的な展開力で構築するスタイルは、本作の時点で充分個性的だ。
メロデスとしての最高作である4thや、5th以降のプログレッシブな作風に比べるとやや粗削りではあるが、EntombedDismemberとは異なる、独自のデスメタルが楽しめる。
Disc2の最新リミックスバージョンは、音のバランスが良くなり、演奏パートがくっきりとした印象に。また、後半に収録された1991年のラフミックスは、プリミティブな荒々しさに包まれていて、デスメタルとしての原初的な迫力が味わえる。
なお、日本盤のライナー解説は緑川が担当しておりますので、どうぞよろしくデス。
ドラマティック度・7 暴虐度・7 北欧デス度・8 総合・8 
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EDGE OF SANTYPurgatory Afterglow」
スウェーデンのメロデスバンド、エッジ・オブ・サニティの4th。1994作
北欧におけるメロデスの元祖というべきこのバンド。初期は若干のメロディを含んだデスメタル
という雰囲気であったが、本作ではゴリゴリと荒々しかったサウンドがずいぶん聴きやすくなり。
暴虐性を減らした代わりにメロディアスさが増した。流麗なギターフレーズで聴かせるこのスタイルは、
IN FLAMESなどにも影響を与えたことだろう。硬派系メロディックデスの傑作である。
ドラマティック度・・7 暴虐度・・7 初期メロデス度・・9 総合・・8
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EDGE OF SANITY「Crimson」
スウェーデンのメロディックデスメタルバンド、エッジ・オブ・サニティの5th。1996作
北欧メロデスの元祖とも言われ、プロデューサーとしても活躍するダン・スヴァノを
中心としたこのバンド。本作はSF的なストーリーに基づいたコンセプト作で、
全1曲40分という異色作だ。サウンドの方は難解さはなく、メロデス的に疾走したり、
ゆるやかに聴かせる静寂パートがあったりと、展開にメリハリがあって面白い。
叙情的なメロディを弾くギターも魅力的で、個人的には最高作とされる4thより気に入った。
OPETHのミカエル・オーカーフェルドがゲストで参加しているが、確かにOPETHに通じるような
プログレッシブな知的さが垣間見える。2003年には続編となる「Crimson U」を発表している。
メロディアス度・・8 暴虐度・・7 ドラマティック度・・9 総合・・8
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EDGE OF SANITY「Infernal」
スウェーデンのデスメタルバンド、エッジ・オブ・サニティの6th。1997作
鬼才ダン・スヴァノ率いるこのバンド、全1曲40分という異色の傑作「Crimson」に続く本作であるが、
前作のプログレッシブな要素よりも、むしろ正統派ヘヴィメタルへの接近がなされている。
メロディックデスメタル的な雰囲気はやや薄れ、ザクザクとしたツインギターのリフで聴かせつつ、
ときにノーマルヴォイスを入れたりして、モダンなアプローチも取り入れている。
デスメタル質感も残した曲もちゃんとあるが、激しめのヘヴィメタルとして聴いても楽しめる。
メロディアス度・・7 暴虐度・・7 けっこう正統派メタル度・・8 総合・・7.5
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EDGE OF SANITY「CrimsonU」
スウェーデンのメロディックデスメタルバンド、エッジ・オブ・サニティの2003作
北欧メロデスの元祖とも言われ、プロデューサーとしても活躍するダン・スヴァノを
中心としたこのバンド。本作はSF的なストーリーに基づいたコンセプト作「Crimson」の続編で、
9パートに分かれた43分の組曲という構成である。前回もOPETHに通じるような
プログレッシブで知的な展開をもった大曲であったが、本作ではシンセアレンジの美しさが増し
むしろCHILDREN OF BODOM的なきらびやかなメロデスサウンドとなっている。
流れるような展開力の中でメロディを聴かせるアレンジは相変わらず見事であるし、
同じフレーズを繰り返すことなく楽曲を構成してゆく力量はさすがとしか言いようがない。
メロディアス度・・8 ドラマティック度・・9 暴虐度・・7 総合・・8
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EDGE OF SANITYWhen All Is Said
スウェーデンのメロデスバンド、エッジ・オブ・サニティーのベストアルバム。2006年作
北欧メロデスの元祖として知られるこのバンドは、プロデューサーとしても知られる
ダン・スヴァノを中心に結成され、1991年に1stアルバムでデビューを飾ってから2003年までに
ミニアルバムを含め9作を発表しており、これはその歴史を凝縮した2枚組のベストアルバムだ。
それぞれのアルバムから2曲ずつが年代順に並べられていて、1stの時点ではまだ荒々しく
古めかしいデスメタルサウンドが、しだいにメロディと叙情をまとって深化してゆくその過程が分かる。
2nd、3rdあたりは黎明期のメロデスとしての勢いが感じられるし、4thでいったんその音楽性を完成させ、
異色の5thをへて6thになると、ノーマル声を使用するなどモダンなアプローチも取り入れはじめている。
ダン・スヴァノが脱退した7thでは、アグレッシブなオールドスタイルに戻った風だが、
バンドとしての深化を止めることは、その存在の意義を失ったことも意味していたのだろう。
メロデスの歴史を語る上で決して外せないバンドは、こうして10年あまりの歴史の終焉を迎えた。
さて、注目すべきはDisc2には恐るべき大作「Crimson」がT、Uともに収録されていることである。
それぞれ40分におよぶ長大な楽曲は、プログレッシブな知性を感じさせる異色の名曲で、
個人的には、この2曲をまとめて聴くために本作を買ったというのが正直なところ。
また9枚のジャケが曼陀羅のように配置されたこのアートワークもなかなか見事だ。
元祖メロデス度・・9 歴史的価値度・・10 Crimsonを聴くべし度・・10 総合・・8.5
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Edoma 「Immemorial Existence」
ロシアのブラックメタル、エドマの2021年作
トレモロのギターリフに吐き捨てヴォーカルを乗せ激しくブラスト疾走する、ブラッケンな空気に包まれたサウンド。
殺伐とした圧殺感の中にも、甘すぎない叙情性を感じさせるところは、北欧系ブラックメタルに近い感触で、
ギターフレーズのセンスも含めて、なかなか高品質。暴虐なブラスト疾走からミドルテンポまで、
トレモロまくりのギターリフが心地よく、正統派のブラックメタルが好きなら間違いなく気に入るだろう。
肝となる安定したドラムも含めて演奏力も高く、オードスタイルの純度の高いブラメタが楽しめる。
ドラマティック度・7 暴虐度・8 暗黒度・8 総合・8
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EHLDER 「Nordabetraktelse」
スウェーデンのペイガンブラックメタル、エルダーの2019年作
2人組のユニットで、ノイジーなギターにシンセを重ねて、ダミ声ヴォーカルとともに荒々しくブラスト疾走する、
初期のWINDIRにも通じる雰囲気の神秘的なペイガンブラックメタル。楽曲は7〜9分という長めがメインで、
単調なリフレインも多いので、わりと大味なのだが、その分プリミティブな原初性がダイレクトに感じられて、
土着的なギターフレーズとともに、初期BURZUMのような、寒々しくも幻想的な空気が楽しめるかもしれない。
ミドルテンポのパートもわりと多いが、アナログ感ある音質も含めて、激しすぎないところがかえって魅力か。
ラスト曲はパーカッションのみ。初期SATYRICONなど、荒々しくプリミティブな北欧ブラックが好きな方はいかが。
ドラマティック度・・7 暴虐度・・7 プリミティブ度・・8 総合・・7.5
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Eigenlicht 「Self -? Annihilating Consciousness」
アメリカのブラックメタル、エイゲンリヒトの2018年作
女性シンセ奏者を含む4人編成で、ほどよく叙情的なギターにシンセを加えた重厚なアレンジで、
低音の唸りヴォイスや女性声を乗せたゆったりとしたパートから、すでにミステリアスなスケール感を漂わせる。
10分を超える大曲4曲を主体に、トレモロのギターを乗せた激しいブラスト疾走も随所に覗かせつつ、
美麗なシンセを重ねたシンフォニックで幻想的な空気感と、暗黒の世界観が合わさった聴き心地で、
緩急ある構築力とともに、不穏な神秘性に包まれたプログレッシブなブラックメタルとしても楽しめる。
美しいシンセをメインにしたスローパートも魅力的で、荘厳で幻想的なシンフォブラックが好きな方もどうぞ。
ドラマティック度・・8 暴虐度・・7 暗黒度・・8 総合・・8
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ELEXORIEN
オランダのエピック・デスメタル、エレクソリエンの2008年作
女性ヴォーカルにシンセを含む6人組で、シンフォニックな美麗さとともに、
ブラスト入りで激しく疾走しながら、美しいソプラノVoに男性ダミ声が絡むスタイル。
ファンタジックでエピックな世界観と、ときにクサメロのギターフレーズもいい感じで、
ヴァイキング風味のメロデスとしても楽しめる。若干のイモ臭さ、B級っぽさもあって、
それがむしろクサメタル的な雰囲気をかもしだしている。マニアの方はぜひ。
ドラマティック度・・8 疾走度・・8 エピック度・・9 総合・・7.5
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ELVIRA MADIGAN「BLACKARTS」
スウェーデンのメロブラバンド、エルヴィラ・マディガンのアルバム。
2000年に発表されたアルバムを2004年にリミックスし直したもの。
ドラムは打ち込みで、メロウなギターとシンフォニックなキーボードで疾走。
暴虐性よりは耽美重視の路線で、ルイス・ロヨのこのジャケも含めて
軽めのシンフォニックブラックとして、なかなかいい雰囲気のバンドだと思う。
シンフォニック度・・8 暴虐度・・7 楽曲・・7 総合・・7.5
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ELVIRA MADIGAN 「WICHES」
スウェーデンのメロブラバンド、エルヴィラ・マディガンの2002作
今作もルイス・ロヨによるエロティックなジャケアートに心ときめく(笑)
音的にはやや軽めのシンフォブラックという雰囲気で、暴虐さよりは華麗でロマンティックなものを感じるサウンド。
シンフォニックなキーボードが美しく、ツインギターのメロウなフレーズに繊細なピアノがかぶさると、
EToSあたりにも通じる、とても耽美な雰囲気になる。音質の薄っぺらさと、ドラムが打ち込みなのが難点だが、
この美麗なキーボードを含めて、けっこう耳心地よく楽しめてしまうのであった。
シンフォニック度・・8 暴虐度・・6 耽美度・・8 総合・・7.5
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ELVIRA MADIGAN「ANGELIS DEAMONAE-WICCAN AFTERMATH
スウェーデンのシンフォ・デスユニット、エルヴィラ・マディガンのアルバム。2004作
全編カヴァー曲によるアルバムで、TORI AMOSSCORPIONSChris DeBurghはては日本のゲームミュージックにまで手を出している。
どれも、シンフォブラック的にアレンジされているので、元ネタを知らずともこのサウンドだけでなかなか楽しめる。
打ち込みにより一人音楽なのだが、美しいシンセのアレンジも含め、シンフォゴシック的な美意識があるのがよい。
カヴァーしているのは、FF]の“ザナルカンドにて”、クロノトリガーの“クロノトリガー”、クロノクロスの“運命に囚われし者たち”
シンフォニック度・・8 暴虐度・・7 ゲームミュージックもシンフォブラ度・・8 総合・・7.5
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Elvira Madigan「Regent Sie」
スウェーデンの一人ブラックメタル、エルヴィラ・マディガンの2009作
Marcus H Madigan氏の一人プロジェクトで、過去作もきらびやかなシンセで軽めに疾走する
ファンタジックな打ち込み系シンフォブラック作品であったが、本作ではストーリー的なコンセプトをともなって
さらに壮大な作風で攻めてきた。相変わらず打ち込みによるドラムパターンは軽いのだが、
慣れればむしろゲーム音楽的な感覚で楽しめる。きらきらとしたシンセの重ねとメロディックなギターに、
ブラック声のヴォーカルが絡み、ファンタジックな世界観も含めて、打ち込み版Cradle of Filth、という雰囲気もある。
ルイス・ヨロのジャケにつられて毎作買ってしまうのだが、濃密かつ美麗な作風はやはり嫌いではない。
シンフォニック度・・8 暴虐度・・7 ゲームミュージック風シンフォブラ度・・8 総合・・7.5
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The Ember, The Ash 「Consciousness Torn From The Void」
イタリアのブラックメタル、エンバー・ジ・アッシュの2019年作
ノイジーなギターにダミ声ヴォーカルを乗せて疾走する、アトモスフェリックなブラックメタルサウンド。
ほどよくシンセアレンジを加えた幻想的な空気とともに、激しすぎず叙情的過ぎずという聴き心地で、
ダークな世界観を描くところは、BURZUMや初期のEMPERORなどが好きな方にも楽しめるだろう。
ゆったりとしたスローパートでは物悲しい叙情性も覗かせ、シンセをメインにした美麗な小曲も挟みつつ、
全体的に暗黒性よりもネイチャーブラック的な神秘性も感じさせる作風だ。幻想ブラックが好きな方はぜひ。
ドラマティック度・・8 暴虐度・・7 幻想ブラック度・・8 総合・・8
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EMBRACED「AMOROUS ANATHEMA」
スウェーデンのメロデスバンド、エンブレイストの1st。1998年作
ツインキーボードによるシンフォニックできらびやかなアレンジが素晴らしい。
全編で鳴り響くもの悲しいピアノの音色が美しい。そしてリズム的にも単なる疾走ものではなく、
3拍子やときに変拍子的なアイディアを取り入れて、非常に知的なセンスも感じさせる。
2ndではさらにプログレ的要素が増しているが、この1stでは華麗な耽美路線をかもしだしていて、
ゴシックメタル風に聴ける部分もある。これで、ジャケに美麗なインパクトがあったらもっと売れていただろうに。
クオリティの高いメロデスが聴きたい方、センスのある美しいメロデスが好きな方は本作をチェック!
シンフォニック度・・8 暴虐度・・7 サウンドセンス・・9 総合・・8 ◆メタル名盤特選入り
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EMBRACED「WITHIN」
スウェーデンのメロディックデスメタル、エンブレイストの2nd。2001年作
ツインギターにツインキーボード、派手に疾走するかと思えばテクニカルな決めやプログレッシブな展開があり、
その辺の北欧系メロデスバンドとはやや異なる印象。もちろんメロデス的な泣きの叙情性はちゃんとあり、
ツインリードのギターメロディに分厚いキーボードか重なると、かなりシンフォニック度が高くなる。
Voのわめき声は普通だが、演奏力は抜群で、とくにトーマス・レヨンのセンスあるドラミングは本当に素晴らしい。
作品のクオリティに比べてジャケが地味すぎるのが惜しい。プログレッシブなメロデス好きは必聴デス。
メロディアス度・・8 テクニカル度・・8 楽曲度・・8 総合・・8 
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EMPERORIn the Nightside Eclipse
ノルウェーのブラックメタルバンド、エンペラーの1st。1994年作
ブラックメタル界のカリスマ、イーサーン率いるこのバンド、4枚のアルバムを残して消えた
まさにノルウェーを代表する伝説のブラックメタルバンドの、その記念すべきデビュー作。
うっすらとした美しいシンセをバツクに暴虐に疾走するサウンドは、激しくも幻想的であり、
この時点ですでに他のブラックメタルバンドとは一線を画すだけの美意識を感じさせる。
2nd以降のような圧倒的なまでの荘厳さはまだないが、その分プリミティブな暗闇に包まれた
まさに闇の皇帝というべきサウンドが楽しめる。再発盤では音質も向上している。
シンフォニック度・・8 暴虐度・・9 荘厳度・・8 総合・・8.5
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EMPEROR「Anthems to the Welkin at Dusk」
ノルウェーのブラックメタルバンド、エンペラーの2nd。1997年作
本作こそブラックメタルの歴史における輝ける金字塔的な傑作である。
教会への放火容疑で逮捕されたギターのサモスが出所し、殺人容疑で逮捕されたファウストに代わって、
ドラムには超絶なブラストビートを叩くタリムを迎えて作られた本作は、1stをはるかに上回る傑作となった。
荘厳なるイントロに導かれ、暴虐なる地獄の音楽が始まるや、黙示録の戦いを思わせる激しさとともに、
ときにシンフォニックな美しさをたたえたシンセワークや、プログレッシブなリズム展開なども素晴らしく、
リーダー、イーサーンの美意識がとことんまで発揮された本作のサウンドは、単なるブラックメタルの枠を超え、
闇の芸術ともいうべき境地に達している。激烈にして耽美、暗黒にして知性と狂気をともなった名作だ。
シンフォニック度・・8 暴虐度・・9 荘厳度・・10 総合・・9

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EMPERORIX Equilibrium
ノルウェーのブラックメタルバンド、エンペラーの3rd。1999年作
シンフォニックブラックとしての最高作は2nd「Anthems to the Welkin at Dusk」に間違いないだろうが、
本作はサモスが曲作りに関わっていることで、イーサーンのクラシカルな美意識に
サモスのブルータルなギターセンスが加わった強烈なアルバムとなっている。
美麗なシンセをバックに、強力なタリムのドラムが激烈なブラストを叩き出しつつ、
前作以上に多彩なギターワークと緩急を取り入れた知的な展開力で、激しくも荘厳な美しさを描き出す。
音質も良くなったことで音の迫力が一段増した。バンドは次作「Prometheus」で終焉を迎え、
サモスとタリムはZYKRONを結成、イーサーンはソロへとそれぞれの活動へ移ってゆく。
メロディアス度・・7 暴虐度・・8 荘厳度・・10 総合・・9
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EMPEROR「EMPERIAL LIVE CEREMONY」
ノルウェーのブラックメタルバンド、エンペラーのライブアルバム。2000年作。
1999年ロンドンでの録音。1st〜3rdまでの曲を激烈に演奏。ファストブラックの1st、
シンフォブラの金字塔2nd、ある意味テクニカルでさえある3rdと、それぞれの曲が聴けて楽しめる。
絶叫Voをふりまくイーサーンの存在感は強烈だが、、それ以外にも、けっこう緻密なギターの重ねや
バックのシンセによる音の広がり、そしてパワフルかつ激速のタリムのドラムなども充分に聴きどころだろう。
邪悪にしてシンフォニック、激烈でありながらも知性的、この時期のライブを一度でいいからナマで見たかった…。
シンフォニック度・・7 暴虐度・・8 ライブ演奏・・8 総合・・8
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EMPEROR「PROMETHEUS - THE DISCIPLINE OF FIRE & DEMISE」
ノルウェーのブラックメタルバンド、エンペラーの4th。2001年作
プログレッシブなブラックメタルとして最高峰の地位を築き、暗黒美を極めてきたこのバンドも、本作で終焉を迎える。
前作から顕著になってきたプログレッシブな展開力が今作では存分に発揮され、激烈でありながらも非常に知性的で、
ある意味で優雅でメロディアスであるサウンドだ。激速なブラストパートとテクニカルな展開力を見事に融合し、
随所にノーマルヴォイスをたくみに活かしつつ、シンフォニックといってよい美しさと切り返しの多い楽曲構成は、
見事なまでにドラマティックで、聴き応え十分である。デビュー作がややマイナーなブラックメタルであったことを考えると、
これは恐ろしい深化といえるだろう。イーサーンはこの後、ソロ作品へとシフトしてゆくが、本作にはすでにその萌芽がある。
シンフォニック度・・8 暴虐度・・8 知的センス度・・9 総合・・9 ◆メタル名盤特選入り
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EMPEROR「Scattered Ashes -Decade of Emperial Wrath」
ノルウェーのブラックメタルバンド、エンペラーのベストアルバム。
4枚のアルバムを残して惜しくも解散した彼らの、集大成的な2枚組み作品だ。
Disc1は、1stから6曲、2ndから3曲、3rdから1曲、4thから2曲という構成のベストで
ブラックメタルとしての雰囲気を残した初期の楽曲に、やはり彼ら自身も思い入れがあったのだろう。
寒々しい叙情美と禍々しさをともなって疾走するスタイルは、プリミティブでありながらも
心に入り込むメロディに満ちていて、雰囲気ものとしてだけでなく楽曲としてもクオリティが高い。
そこがこのバンドを他の凡百のブラックメタル勢とは一線を画した、孤高の存在にしていたのだろう。
Disc2はカヴァー曲やミックス違い、それに初期のデモ等を収録。こちらはかなりマニア向け。
北の暗黒の帝王の音にまだ触れていない方には、1st、2ndをまずは勧めたいが、
スラッシーなテクニカルさをかもし出した3rd、イーサーンのプログレッシブなセンスに溢れた4thと、
後期2枚における音楽的進化もぜひ聴いて欲しい。このベストは幕を下ろした迷宮の入り口にすぎない。
暴虐の皇帝度・・8 芸術の皇帝度・・9 孤高の皇帝度・・10 総合・・8
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EMPEROR「Live Inferno」
ノルウェーのブラックメタルバンド、エンペラーのライブアルバム。2009年作
復活ライブを行った2006年のノルウェーでのInfelno Festivalと、ドイツのWacken Open AirでのステージをCD2枚組で収録。
イーサーンはバンド解散後もソロ活動を続けているが、こうしてEMPEROR時代のナンバーを聴けるのは嬉しいかぎり。
のっけから1stの1、2曲目メドレーでファンなら悶絶必至。うっすらとしたシンセをバックに超人ドラマー、タリムの強烈なブラストビートが炸裂、
そしてサモスのギターとイーサーンの絶叫ヴォーカルが闇の賛美歌のように響きわたる。その後も1stから3rdまでの曲を中心に、
単なるブラックメタルにとどまらない激しくも美しい、展開力ある楽曲を、抜群の演奏力で蘇らせてゆく。
個人的には2nd収録の“The Loss and Curse of Reverence”などはもっとも好きな名曲だ。
ボックスセットではWackenのライブDVDが付属(DVD単体もあり)。こちらも必見だ。
ライブ演奏・・9 暗黒の美度・・10 エンペラー度・・10 総合・・9
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VA/ A Tribute To Emperor 「In Honour Of Icon E 」
ブラックメタルの皇帝、エンペラーのトリビュート作品。2012年作
1991年〜2007年にかけて活動した、ノルウェーの大御所ブラックメタルバンド、そのカヴァー作品集。
Svartalv、Saltus、Troll、Infer、Demonical、Helheim、Midnight Odyssey、Silva Nigra、Necrodeath、Horna、
Karpathia、Ancestral Volkhves、Mesmerized、Crionics、Taake、Setherial…といったバンドが参加。
のっけから、1stのイントロまで再現しているというリスペクトぶりで、その後も比較的元曲を尊重してのカヴァーで、
各バンドによる演奏を聴いても、あらためて激しくもメロディックな高い楽曲性をもっていたことが分かる。
Midnight Odysseyによるスペイシーな“宇宙鍵”などは面白いし、CRIONICSによる名曲“The Loss and Curse of Reverence”も
なかなかドラマテイックな仕上がり。TAAKEによる“我は黒魔術師なり”のアナログ感たっぷりのサウンドにもにやり。
やはり1st、2ndの曲はよいですな。エンペラーのファンであれば素直に楽しめる1枚。
ドラマティック度・・7 暴虐度・・8 カヴァー度・・8 総合・・8
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ENEFERENS 「BLEAKNESS OF OUR CONST」
アメリカのポストブラックメタル、エネフェレンスの2018年作
2016年にデビューし、3作目。個人プロジェクトのいわゆる独りブラックメタルで、叙情的なギターの旋律に導かれ、
トレモロのギターリフと唸り声ヴォーカルを乗せてブラスト疾走。スローパートではゆるやかな叙情美に包まれて、
KRALLICEなどにも通じるポストブラックメタルを構築してゆく。アコースティックギターやシンセによる味付けも
サウンドの幻想的な雰囲気に効果的で、ときにマイルドなヴォーカルを乗せたやわらかなパートなど、
緩急ある構築力とともに、ドラムを含めた全パートを一人でこなしているとは思えないクオリティである。
アンビエント寄りの小曲を配したり、ラスト曲は優雅なアコースティックパートから、叙情的なギターの旋律を乗せ、
ダミ声とともに疾走するという展開で、3拍子のリズムとともにメランコリックな哀愁に包まれる。
ドラマティック度・8 暴虐度・7 叙情度・8 総合・8
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Enfold Darkness 「Our Cursed Rapture」
アメリカのブラック・デスメタルバンド、エンフォールド・ダークネスの2009作
メタルコアブームが一段落した後は、アメリカからも本格派のブラックメタルが出てきているが、
このバンドもツインギターで激しく疾走する高品質なメロディック・ブラックサウンドだ。
ヴォーカルの声質などはCradle of Filthのダニを思わせ、メロディアスなフレーズとともに
緩急のあるドラマティックな雰囲気で聴かせるところは、シンセ抜きのクレイドルといった趣もある。
ただ音自体はモダンなクリアさがあって、そこがやはり北欧のバンドとは異なるところか。
メタルコア風味のモダンブラックメタルというべきか。聴きやすさの点では評価はできる。
メロディアス度・・7 暴虐度・・7 モダン・ブラック度・・8 総合・・8
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ENNOVEN 「REDEMPTION」
ポーランドのポストブラックメタル、エンノヴェンの2015年作
全4曲ながら、全34分の作品で、叙情的なギターにうっすらとしたダミ声ヴォーカルを乗せて
ネイチャー・ブラックメタル的な神秘的なサウンドを聴かせる。ブラスト疾走などはあまりなく、
全体的にもゆったりとした聴き心地なので、さほど暴虐性は感じず、のんびりと鑑賞できる。
ノイズのように彼方から聴こえてくるヴォーカルも含めて、サウンドスケープ的な雰囲気もあり、
つかみどころがないのだが、叙情的なギターフレーズのリフレインが耳心地よい。幻想ポストブラック。
ドラマティック度・・7 暴虐度・・6 神秘的度・・8 総合・・7.5
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EnslavedVikingligr Veldi & Hordanes Land」
ノルウェーのヴァイキング・ブラック、エンスレイヴドの1st+ミニ。1993/1994年作
Bathoryなどとともにヴァイキングメタルの元祖としても語られるこのバンド、
うっすらとしたシンセをバックに、ダミ声ヴォーカルと反復するトレモロのギターリフで聴かせるサウンドは
いまでいうヴァイキング系よりは、BURZUMやEMPERORなどの初期ノルウェイジャンブラックの雰囲気に近い。
随所に激しいブラスト疾走も含みつつ、邪悪なダークさよりも北欧神話の世界を描きだすような
ミスティックな雰囲気が特徴的。10分以上の大曲を中心にしたヴァイキングブラックの力作だ。
デビューミニの方は、こもり気味の音質とともにさらに荒々しい原初的なブラックメタルサウンドが聴ける。
ドラマティック度・・7 暴虐度・・7 北欧度・・9 総合・・8
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Enslaved「Frost」
ノルウェーのヴァイキング・ブラックメタル、エンスレイヴドの2nd。1994年作
後にEMPERORに加入するTrymの叩く激しいブラストビートで疾走するブラックメタルサウンド。
緩急をつけたリズムと楽曲アレンジには、後の知的なプログレッシブ性へつながる萌芽も見られ、
激しさの中にも北欧の土着性を感じさせる神秘的な世界観はより強まっている。
メロディックというほど甘すぎない、寒々しい荒涼とした氷河を思わせる作風で、
ヴァイキングというよりは北欧神話を描くような、ノルディック・ブラックメタルの好作品である。
ドラマティック度・・7 暴虐度・・7 北欧度・・9 総合・・7.5
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ENSLAVED 「Blodhemn」
ノルウェーのヴァイキング・ブラックメタル、エンスレイヴドの1998年作
4作目の本作は、美麗なイントロから始まりつつ、ノイジーなギターにダミ声ヴォーカルを乗せて激しくブラスト疾走する
プリミティブなブラックメタル作風で、ときに朗々としたコーラスが勇壮なヴァイキングの世界を描き出す。
激しい攻撃性の中にも、土着的なギターリフと甘すぎない程度の叙情的なフレーズも覗かせて、
北欧らしい寒々しい空気感に包まれる。随所にリズムチェンジも含みつつ、ブラスト疾走するパートも多いので、
初期MAYHEMなどの硬派なブラックメタル好きでも楽しめるだろう。激しくも荘厳な強力作である。
ドラマティック度・・7 暴虐度・・8 ヴァイキング度・・7 総合・・8
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ENSLAVED 「MARDRAUM」
ノルウェーのブラックメタル、エンスレイヴドの2000年作
1993年にデビュー、ヴァイキング・ブラックメタルの元祖というべきバンド、本作は5作目で、
物悲しいイントロから、メロウなギターの旋律とともに、激しさとメランコリック性の同居した、
プログレッシブといってもよい展開力で、のっけから10分という大曲を聴かせる。
ダミ声ヴォーカルを乗せて疾走するブラックメタルとしてのダークな激しさもしっかり残しながら、
知的なリズムチェンジによる緩急ある構築力には、バンドとしてのさらなる深化を予見させる。
ギターサウンドの軽さは90年代の名残りを思わせるが、本作の高い評価が彼らを一段押し上げることになる。
ドラマティック度・8 暴虐度・7 構築度・8 総合・8 
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ENSLAVED 「Monumension」
ノルウェーのブラックメタル、エンスレイヴドの2001年作
6作目となる本作は、ほどよく重厚なギターにダミ声ヴォーカルを乗せ、ブルータルな激しさも覗かせながら
展開力あるプログレッシブなブラックメタルを聴かせる。ときに叙情的なギターフレーズを織り込んだり、
叙情的なパートも含んだ緩急ある構築センスには、SOLEFALDあたりに通じる雰囲気もあり、
いよいよプログレ・ブラックとしての本領発揮というところ。低音グロウルを乗せたデスメタル寄りのパートなど、
前作に比べるとぐっとヘヴィな感触が増しているが、オルガンなどを使ったプログレ寄りのアレンジも良い感じで、
7〜8分の長めの楽曲も、じっくりとその世界観に浸れる。ラスト曲での妖しく土着的な世界観も異色です。
ドラマティック度・8 暴虐度・7 構築度・8 総合・8
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EnslavedBelow the Lights
ノルウェーのブラックメタルバンド、エンスレイヴドの2003年作
プログレッシブな感性を取り入れた、独自の北欧ブラックサウンドが確立した力作。
激しく疾走するブラックメタル質感を残しながら、リフの組み立てのセンスと
緩急をつけた展開美に磨きがかかり、うっすらとした美しいシンセやフルートの音色など
プログレ的な手法が効果的にサウンドを彩っている。ガナリ声とノーマルヴォイスを使い分け、
ノルウェイジャンとしての神秘的な土着性を取り入れながら、Solefaldなどと同様に、
知的でプログレッシブ、ドラマティックな音楽性へと昇華させた傑作といえるだろう。
ドラマティック度・・8 暴虐度・・7 知的センス度・・8 総合・・8 
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Enslaved 「Isa」
ノルウェーのブラックメタル、エンスレイヴドの2004年作
1993年にデビュー、ヴァイキング・ブラックの元祖というべきバンドで、本作は8作目となる。
トレモロのギターにダミ声ヴォーカルを乗せ、リズムチェンジを含むプログレッシブな展開力で、
ミステリアスなブラックメタルを聴かせる。朗々としたノーマル声や美しいシンセアレンジも加えて、
北欧らしい涼やかな叙情を描きつつ、随所にブラックメタルとしてのアグレッシブな部分も垣間見せる。
12分におよぶ大曲では、激しい疾走感の中にも知的なセンスと、優雅で巧みなギタープレイを含む
オールドロックの感触も織り込んで、じっくりと構築する。バンドとしての懐の深さを見せつける力作だ。
ドラマティック度・8 暴虐度・7 叙情度・8 総合・8 
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Enslaved 「Ruun」
ノルウェーのブラックメタル、エンスレイヴドの2006年作
9作目となる本作は、わりと正統派のギターにうっすらとしたシンセを重ね、ダミ声ヴォーカルとともに、
知的なプログレ・ブラックメタルサウンドを描く。ミドルテンポが主体で、激しい疾走パートは多くないが、
ときに日本のSIGHIHSAHNのソロなどにも通じる、アヴァンギャルドでスタイリッシュなセンスも感じさせ
ゆったりとしたパートでもスケールの大きな聴き心地。後半にはブラックメタルらしい激しさも覗かせつつ、
寒々しくミステリアスな空気に包まれた、独自のプログレッシブ・ブラックが展開される。
ドラマティック度・8 暴虐度・6 アヴァンギャル度・7 総合・8
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Enslaved 「Vertebrae」
ノルウェーのブラックメタルバンド、エンスレイヴドの2008作
あれ、Enslavedってこういうバンドでしたっけ?…もっと暴虐に疾走するイメージだったのだが、
長くやっているとサウンドも変化するということか。ノーマルヴォイスを効果的に使ったり
適度に知的な展開力を聴かせるプログレッシブな雰囲気は、むしろSOLEFALDなどに近づいたか。
一聴しただけだと曲が地味に感じるし、暴虐なヴァイキングブラックを好む向きには勧められないが、
SOLEFALDやARCTURUSなど、プログレッシブなバンドが好きなら本作も気に入るかと。
5曲目あたりのシンフォニックブラック的な質感がもう少しあれば、素晴らしい傑作となったかも。
メロディアス度・・7 暴虐度・・6 知的プログレ風味度・・8 総合・・8
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EnslavedAxioma Ethica Odini」
ノルウェーのブラックメタルバンド、エンスレイヴドの2010年作
プログレッシブな香りを感じさせた前作に続き、本作も知的な構築性を感じさせるサウンド。
ブラック的なわめき声とノーマルヴォイスを絡ませながら、ときにキャッチーにすら思えるメロディと
爽やかなギターフレーズが現れて、その緩急のコントラストとギャップがある意味たまらない。
激しいブラスト疾走も残っているが、それはあくまで暴虐さの表現としてスタイリッシュなアレンジに
組み込まれているという印象。知的プログレブラックとしての作風はますます強まってきている。
メロディアス度・・8 暴虐度・・6 知的アレンジ度・・9 総合・・8
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EnslavedRIITIIR
ノルウェーのブラックメタル、エンスレイヴドの2012年作
初期のヴァイキング・ブラック的な作風から、しだいにプログレッシブなセンスをまとい、
本作でも知的な構築センスとアヴァンギャルドな感性を含んだサウンドを聴かせてくれる。
ダミ声とマイルドなヴォーカルを絡ませながら、オルガンを含んだシンセワークとともに
OPETHのようなアナログ感のあるアンサンブルで緩急のある楽曲を展開してゆく。
一方ではどろどろとした原初の土着性を感じさせる得体の知れないスケール感もあり、
ノルウェー独特の感性をしっかり踏襲しているのも個性的だ。じつに懐の深い作風である。
プログレッシブなブラックとしてはSolefaldと双璧と言っていいだろう。さすがの力作。
ドラマティック度・・8 プログレブラック度・・8 ノルウェー度・・9 総合・・8
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Enslaved 「In Times」
ノルウェーのプログレッシブ・ブラックメタル、エンスレイヴドの2015年作
90年代初頭から活動する、ヴァイキング・ブラックメタルの元祖ともいわれるこのバンド、
近年ではSolefaldにも通じるプログレッシブな感触を増したサウンドになってきていたが、
本作ではのっけから激しいブラスト疾走で、ブラックメタルとしての暴虐さを見せつける。
一方では、ノーマルヴォイスを含んだ知的な展開力も健在で、モダンなプログレ性と
プリミティブな激しさがダイナミックに融合した、独特のスケール感が本作ではより強く感じられる。
全6曲、すべてが8分以上の大曲というのもベテランバンドとしての確かな力量を示している。濃密な力作です。
ドラマティック度・・8 暴虐度・・7 知的センス・・8 総合・・8
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Enslaved 「Roadburn Live」
ノルウェーのプログレッシブ・ブラックメタル、エンスレイヴドのライブ。2017年作
2015年オランダでのライブを収録、同年発表のアルバム「In Times」からのナンバーに過去作からも演奏、
ゲストのシンセを含む5人編成のステージで、いくぶん土着的な感触のギターリフに、ダミ声&ノーマルヴォーカルを乗せて、
ミドルテンポを主体にした激しすぎないサウンドを描く。スタジオアルバムに比べるとプログレッシブな感触は薄いのだが、
ときおりオルガンを含むシンセを加えた優雅な叙情や、トレモロのギターを含むブラックメタルとしての感触も覗かせる。
9分、10分の大曲ではもう少し盛り上がりが欲しい気もするが、この硬派な作風こそが彼らのスタイルなのだろう。
ラストは何故かツェッペリンの「移民の歌」で、これがペイガンブラックな味わいになっていてなかなか格好良い。
ドラマティック度・7 暴虐度・6 ライブ演奏・8 総合・7.5 
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ENSLAVED「E」
ノルウェーのプログレッシブ・ブラックメタル、エンスレイヴドの2017年作
90年代初頭から活動する、ヴァイキング・ブラックメタルの元祖ともいわれるベテランバンド、
本作はいつになく優雅なポストプログレ的な叙情に包まれてゆったりと始まる。
うっすらとしたシンセにノーマルヴォイスとダミ声が絡み、リズムチェンジを含む展開力には
知的でプログレッシブな香りがぷんぷん。もちろんブラックメタルとして激しさも随所に残していて、
荘厳でミステリアスな空気を、緩急ある楽曲の中に自然に融合させるセンスは素晴らしい。
7〜10分の大曲を中心に、じっくりと構築される楽曲は、オルガンを含むシンセアレンジや、
変拍子リズムなど、ぐっとプログレリスナー寄りの作風といえる。この路線は大歓迎です。
ドラマティック度・・8 暴虐度・・6 プログレ寄りです度・・9 総合・・8 
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Enslaved 「Utgard」
ノルウェーのプログレッシブ・ブラックメタル、エンスレイヴドの2020年作
90年代初頭から活動する、ヴァイキング・ブラックメタルの元祖で、近年はプログレッシブな指向を強めている。
北欧神話の巨人族の都市をタイトルにした本作は、神秘的な詠唱と、アコースティックギターのつまびきから、
重厚なツインギターに朗々としたヴォーカルを乗せて、涼やかな空気に包まれた独自のサウンドを展開。
リズムチェンジを含む知的でな展開力に、シンセによるアレンジも加わりつつ、甘すぎない叙情性とともに
ときにポストプログレ的な優雅さも覗かせる。プログレッシブ・ブラックとしては、SOLEFALDにも通じる聴き心地で、
ブラックメタルとしての激しさもいくぶん残しつつ、よりスタイリッシュな構築性が光る内容になっている。
ドラマティック度・8 暴虐度・6 壮大度・8 総合・8
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ENSOM 「CIVILIZATION」
スペインのシンフォニック・ブラックメタル、エンサムの2020年作
オーケストラルなシンフォニックアレンジにダミ声ヴォーカルを乗せて激しく疾走するサウンドで、
クラシカルなストリングスや混声コーラスなども加わって、壮麗なスケール感に包まれた聴き心地。
随所に叙情的なギターフレーズやピアノの旋律が現れて、激しさの中にも優雅な感触を描きだす。
10分を超える大曲では、暴虐性よりもシンフォニックメタルとしての華麗なオーケストラアレンジが前に出て、
THERIONあたりに通じる雰囲気にもなる。全78分という長さなので、後半はわりとお腹いっぱいです。
シンフォニック度・・9 暴虐度・・8 壮麗度・・10 総合・・8
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ENTARTUNG 「Maleficae Artes」
ドイツのブラックメタル、エンタータングの2020年作
2012年にデビューし、4作目。ノイジーなギターに迫力あるダミ声ヴォーカルを乗せて疾走する、
プリミティブなブラックメタルに、うっすらとしたシンセアレンジとリズムチェンジなど緩急ある構築力を加えた、
荒々しくも禍々しいサウンドを聴かせる。わりと単調なギターのリフレインが続くところなども、
いかにも初期のブラックメタル的で、暴虐過ぎない疾走感と甘すぎない叙情性なども含めて、
ほどよくダークな世界観を保っている。全5曲であるが、9分、9分、12分という大曲を主体に、
じっくりと妖しく荘厳な暗黒美を描いてゆくところは、ディープなブラックメタル好きにはたまらないだろう。
ドラマティック度・・7 暴虐度・・7 プリミティブ度・・8 総合・・7.5
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Enthroned 「Prophecies of Pagan Fire」
ベルギーのブラックメタル、エンスローンドの1995年作
北欧で始まったブラックメタルのムーブメントからやや遅れて、ベルギーから現れたこのバンド。
叙情的なイントロ曲から、ノイジーなギターリフとダミ声ヴォーカルを乗せてブラスト疾走しつつ、
ミドルやスローテンポを織り交ぜて、暴虐なだけではない妖しい禍々しさを表現してゆく。
適度なスカスカ感が、いかにも古き良きブラックメタルの味わいになっていて、
ときおりギターの奏でるメロディックなフレーズやうっすらとしたシンセアレンジも含めて、
わりと聴きやすいサウンドだ。圧倒するような迫力はないが、ほどよい感じの激しさです。
ドラマティック度・・7 暴虐度・・7 プリミティブ度・・8 総合・・7.5
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Enthroned 「Towards the Skull Throne」
ベルギーのブラックメタル、エンスローンドの1997年作
妖しげなイントロから激しくブラスト疾走開始、わりとペラペラの音質も含めたプリミティブ感と
いかにもブラックメタルらしいガナり声ヴォーカルを含めて、前作以上によい感じである。
ブラストの速さも上がったことで、ブラックメタルとしての勢いとこけおどし感が高まって、
暴虐な激しさとリズムチェンジによるスローパートと、緩急あるメリハリがくっきりとなっている。
メロディックなギターフレーズも随所に覗かせる一方で、北欧のバンドに比べるとやはり
暗黒性や湿り気という部分では少し物足りないかもしれない。
ドラマティック度・・7 暴虐度・・8 プリミティブ度・・8 総合・・7.5
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Enthroned 「Apocalypse Manifesto」
ベルギーのブラックメタル、エンスローンドの1999年作
3作目となる本作も、ダミ声ヴォーカルを乗せてブラスト疾走する前作までのスタイルで、
スカスカな軽めの音質もまた同様。ときおりギターがクサメロなフレーズを奏でたりと、
暴虐硬派になり切らない、一種の微笑ましさというのも、こうなったらバンドの特徴かも。
どことなく土着的なローカル臭さを残す一方では、印象的なメロディや劇的な展開があるでもない、
悪く言うとぱっとしない中庸感に包まれたところが認知度の低さにもつながっているような気がする。
ラストの曲は激しく疾走しつつわりとドラマティックな世界観で、このクラスのナンバーがもっと欲しい。
ドラマティック度・・7 暴虐度・・8 プリミティブ度・・8 総合・・7.5
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Enthroned 「Armoured Bestial Hell」
ベルギーのブラックメタル、エンスローンドの2001年作
本作は4作目で、妖しいイントロに続き、ダミ声ヴォーカルとノイジーなギターを乗せて疾走。
以前の作風に比べるとプリミティブな部分は薄れ、ドラムを含めた硬質な聴き心地になっていて、
土着的な空気感が失われた分、ややドライなサウンドになっている。音の迫力は増しているので、
ブラストビートで激しく突進するところは、MARDUKあたりにも通じるかもしれない。
楽曲は3〜4分前後が中心で、わりとシンプルな感触なので、濃密さの点ではやや物足りないのだが、
8分を超えるナンバーでは緩急のある展開で、そこそこドラマティックな雰囲気に包まれる。
ドラマティック度・・7 暴虐度・・8 プリミティブ度・・7 総合・・7.5
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Eoront 「Neverending Journey」
ロシアのペイガン・ブラックメタル、エオロントの2013年作
うっすらとしたシンセに包まれて、咆哮するデスヴォイスとともに激しくブラスト疾走、
トレモロのギターリフとともに、幻想的な神秘性を含んだサウンドを展開する。
土着的な旋律には、ときにヴァイキングメタル寄りの部分も感じさせ、ほどよい叙情性が耳心地よい。
ベースの存在感がなにげに大きいので、アンサンブルがスカスカにならず、確かな演奏力で、しっかりと重厚さを描いている。
14分という大曲では、緩急ある流れでスケール感と幻想的な空気に包まれたペイガンブラックメタルを構築する。
ドラマティック度・8 暴虐度・8 幻想度・8 総合・8
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Ephel Duath 「Hemmed By Light, Shaped By Darkness」
イタリアのアヴァン・ブラックメタル、エフェル・ドゥアスの2013年作
2000年にデビュー、本作は7作目となる。プログレッシブな味わいの変則リズムにクールなギターフレーズ、
ガナり声ヴォーカルとともに聴かせる、ダークでテクニカルな味わいのアヴァンギャルドなブラックメタル。
暴虐な疾走パートはさほどなく、うねりのあるグルーブ感に包まれたスローテンポをメインに、
シアトリカルなヴォーカルが、闇のドラマを描くように叫び続ける。ミステリアスで得体の知れない世界観と
独特の楽曲センスはよいのだが、もう少したたみかけるような迫力や盛り上がる部分があればとも思う。
ドラマティック度・・8 暴虐度・・6 アヴァンギャル度・・7 総合・・7.5
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Epicurean「A Consequence of Design」
アメリカのメロデスバンド、エピキュリアンの2008年作
アメリカのメタルコアシーンの中でも、ここ最近では北欧メロデスの色をより濃く受け継いだような
バンドも出てきているが、このバンドも初期のCHILDREN OF BODOMばりのサウンドを聴かせる。
全体を包み込む美しいシンセワークに、重すぎないメロディアスなギターフレーズとともに疾走、
ヴォーカルはスクリームとノーマル声を使い分けていて、いかにもモダンな感じだが、
全体的な叙情性はアメリカのバンドにしてはなかなかのもの。北欧メロデスとモダンコアの完全合体。
メロディアス度・・8 暴虐度・・7 チルボ度・・8 総合・・8
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Erebos「Flame That Pierces With A Deadly Cold」
ポーランドのシンフォニック・ブラックメタル、エレボスの2019年作
トールキンの「指輪物語」をコンセプトにしているようで、優美でシンフォニックなイントロから、
オーケストラルなアレンジにドラムとダミ声ヴォーカルを乗せた、サントラ風のブラックメタルを展開。
なんとなくBAL-SAGOTHにも通じるファンタジックな世界観であるが、暴虐な激しさとはほとんどなく、
シンフォニックなオーケストレーションにやわらかなフルートが鳴り響く、薄暗く幻想的な聴き心地は、
Summoningあたりを思わせる。全体的にはダークファンタジーのサントラという雰囲気であるが、
ときに叙情的なギターメロディやトレモロのリフを乗せた疾走パートも現れる。ジャケに惹かれた方はどうぞ。
ドラマティック度・・7 暴虐度・・7 幻想度・・8 総合・・7.5
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Ered Wethrin 「Tides of War」
アメリカのポストブラックメタル、エレド・ウェスリンの2017年作
トレモロのギターリフとダミ声のヴォーカルを乗せ、軽すぎず重すぎずほどよい激しさで聴かせる、
ミステリアスな空気感に包まれた、アトモスフェリックなブラックメタル。10分前後の大曲を中心に、
随所にメロディックな叙情性も含んだ構築性と、曲によってはシンフォニックな味付けもあって、
ダークな暴虐性が薄い分、Alcestなどにも通じる幻想的で優美なサウンドが楽しめる。
曲が長いので気が短い方には向かないが、雰囲気モノのポストブラックに浸れる方にはお薦めです。
ドラマティック度・8 暴虐度・・6 幻想度・・8 総合・・8
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Eternal Autumn「The Storm」
スウェーデンのメロデスバンド、エターナル・オータムの1st。1998作
ヴォーカルはデス声なのだが、ツインギターのリフはむしろ正統派メタル的で、
暴虐さもあまりないので、メタルとして普通に聴きやすい。
叙情的なギターフレーズはいかにも北欧のオールドメロデスという感じで、
かすかなIRON MAIDEN風味とともに、今となってはなつかしく楽しめるサウンドだ。
メロディアス度・・7 暴虐度・・6 オールドメタル度・・8 総合・・7

Eternal Autumn…from the Eastern Forest
スウェーデンのメロデスバンド、エターナル・オータムの2nd。1999作
比較的オーソドックスなメタルリフを奏でるギターと、やや耳障りな絶叫気味のデス声、
ときおりシンセも入ってくるが、それもシンフォニックというほどでもない。
IRON MAIDENMETALLICAなどからの影響も感じさせる部分もあって、
メロデスというよりは、デス声入りのヘヴィメタルという雰囲気もあるが、
北欧らしい土着性を感じさせる3拍子の曲などはなかなかいい感じだ。
15分を超える大曲ではプログレッシブな展開も聴かせるが、
録音のショボさがサウンドをチープにしてしまっていて、そこが残念。
メロディアス度・・7 暴虐度・・7 サウン度・・6 総合・・7
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ETERNAL CONSPIRACY「KORAN KILLERS/A FUNERAL BANQUET AT DAWN」
オランダのシンフォニック・ブラックメタルバンド、エターナル・コンスピラシーのアルバム。
女性Vo(というか囁き専門?)を含む6人組みで、割と王道のシンフォブラをやっている。
暴虐に疾走しつつ、そこにCRADLE OF FILTHのダニのようなVo(そこまで上手くはない)が
わめきヴォーカルを乗せている。女性声の囁きもどこかクレイドル的。、
ただ、曲によっては、もろクレイドルという雰囲気もあるので、
今後はバンド独自の個性を身に着けていってもらいたい。
シンフォニック度・・7 暴虐度・・8 楽曲・・7 総合・・7


ETERNAL OATH 「THROUGH THE EYES OF HATRED」
スウェーデンのメロデスバンド、エターナル・オースの1st。1999作
ツインギターに美しいキーボード、そこに絡む凄絶なデス声。この手のメロデスとしては割と王道のサウンドだが、
どちらかというと疾走に頼らないミドルテンポ主体のタイプで、キーボードの効いた耽美な雰囲気にもゴシックデスといった趣がある。
ギターの奏でる悲しみの叙情メロディもなかなか煽情的で、部分的には初期のAMORPHISに近いような感じもある。
メロディアス度・・7 暴虐度・・6 けっこう耽美度・・8 総合・・7.5

ETERNAL OATH「RIGHTEOUS」
スウェーデンのゴシック(デス)メタルバンド、エターナル・オースの2nd。2002作
このバンドの特徴は、ゴシックといっても、しっかりとしたツインギターのメロディとキーボード、
そして咆哮デス声とが合わさった、“メロデス風ゴシックメタル”といった音で、適度に疾走感もある。
前作よりも、キーボードの美しさがいっそう増していて、流麗なツインギターを彩るようにして音に厚みを加えている。
シンフォニックな叙情性と哀愁、そして攻撃性が見事にミックスされたサウンドだ。
メロディアス度・・8 ゴシック度・・7 メロデス風度・・8 総合・・8
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ETERNAL OATH「WITHER」
スウェーデンのゴシック(デス)メタルバンド、エターナル・オースの3rd。2005作
基本は前作と同様の、メロデス気味のゴシックメタルサウンドだが、
曲によってはやや軽くなり、最近流行りのゴシックロック路線に近づいたような印象もある。
キーボーディストが交代したせいか、シンフォニックな色合いが薄れたのも残念。
もちろん彼らならではの重厚さと、ギターフレーズによるもの悲しい叙情は健在だが、
前作の出来の良さに比べるとやや地味になった感は否めない。
メロディアス度・・7 ゴシック度・・8 メロデス風度・・7 総合・・7.5
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Eternal Tears of Sorrow「Vilda Mannu」
フィンランドのメロデスバンド、エターナル・ティアーズ・オブ・ソロウの2nd。1998作
今やフィンランド産の美麗系メロデスとしてはトップをゆくこのバンド、
本作は日本盤デビューする3rd「CHAOTIC BEAUTY」以降に比べると、
楽曲のアレンジの詰めが甘く、まだどことなくB級っぽさが漂っている。
もちろんギターのフレーズなどはメロディアスで、叙情性もあるのだが、
シンセ奏者がまだいないこともあって、後のアルバムのようなシンフォニックな美しさはない。
このバンドを聴くなら、まずは4th「A VIRGIN AND A WHORE」あたりからどうぞ。
メロディアス度・・7 暴虐度・・7 耽美度・・7 総合・・7.5
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ETERNAL TEARS OF SORROW「CHAOTIC BEAUTY」
フィンランドのメロデスバンド、エターナル・ティアーズ・オブ・ソロウの3rd。2000作
バンド名やジャケットからして、聴くまではてっきりメランコリックなゴシックメタルかと思っていましたが、
どっこいメロデスでした。ブラストビートありの、シンセ使いまくりの、メロウなギターの高品質サウンド。
今作ではこれだという個性はまだ見えませんが(あえていえばピアノ、キーボードの多用か)、
そのとことん「美」にこだわったメロディとゴシック色もある楽曲には非常に好感が持てます。
メロディアス度・・8 暴虐度・・7 耽美度・・7 総合・・8
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ETERNAL TEARS OF SORROW「A VIRGIN AND A WHORE」
フィンランドのメロデスバンド、エターナル・ティアーズ・オブ・ソロウの4th。2001作
今作では全体的に疾走度を落として、よりゴシックメタル的な音像に接近してきている。
シンフォプログレにも通じるようなきらきらとしたキーボードワークに、
美しいピアノがメロウなギターフレーズに絡まる場面などはとくに美しく、
激烈系のメロデスが好きな方には甘すぎるだろうが、むしろゴシックメタルファンや、
シンフォメタルのリスナーなどがメロデスを聴いてみる時などにいいバンドであろう。
シンフォニック度・・8 暴虐度・・6 耽美度・・8 総合・・8
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Eternal Tears of Sorrow「Before the Bleeding Sun」
フィンランドのメロディック・デスメタルバンド、エターナル・ティアーズ・オブ・ソロウの5th。2006作
このバンドの魅力は単なるメロデスではない、どちらかというとゴシックメタル寄りの世界観と、
初期チルボド以上に美しい流麗なキーボードワークにあると思う。日本盤も出た3rdと、4thは
耽美派メロデス好きにとってはかなりの名盤であったが、今作も基本的には同路線で、
きらきらとしたシンフォニックなキーボードを中心に、あまり暴虐さを感じさせずに疾走する。
音自体はやや軽いので軟弱系メロデスといってもよいのだが、物哀しい美しさをまとわせながら、
効果的に女性ヴォーカルなども用いて、その世界観を描く手法には磨きがかかっている。
流麗なギターとキーボードの重なりとともに、以前よりもゴージャスな雰囲気も増した。
メンバーが重なることから、KALMAHの親戚バンドとも言えるだろうが、音の美麗さでは断然こちらが上だろう。
シンフォニック度・・8 暴虐度・・7 流麗度・・8 総合・・8
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Eternal Tears of Sorrow「Children of the Dark Waters」
フィンランドのメロデスバンド、エターナル・ティアーズ・オブ・ソロウの6th。2009作
毎作、美麗なシンセワークでゴージャスなメロデスサウンドを聴かせるこのバンド、
今作では疾走を抑えめにして、モダンなヘヴィさを増してきたという印象だ。
従来からの持ち味である美しいシンセアレンジと、メロウなギターで、
THERIONばりにシンフォニックに聴かせるサウンドは、メロデス的な激しさよりも、
もともとあった耽美なゴシック的な作風に磨きをかけてきている。
疾走メロデスを期待すると肩すかしだが、シンフォニックな音の説得力はむしろ過去最高か。
シンフォニック度・・9 メロデス度・・7 耽美度・・8 総合・・8
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Eternal Tears Of Sorrow
「Saivon Lapsi」
フィンランドのメロデスバンド、エターナル・ティアーズ・オブ・ソロウの2013年作
4年ぶりとなる7作目で、ゴシックメタルばりの耽美な世界観とシンフォニックなアレンジには
さらなる磨きがかかり、前作では影をひそめていたメロデス的な疾走感も戻ってきた。
いかにもフィンランドらしいメランコリックなもの悲しさを随所に含ませながら、
メロウなギターフレーズとシンセによるきらびやかな旋律が美麗に楽曲を彩る。
随所にノーマルヴォイスや女性Voなども取り入れた聴きやすさもあって、
しっとりとした叙情性もこれまで以上に美しい。さすがというべき高品質作デス。
シンフォニック度・・8 メロデス度・・8 耽美度・・8 総合・・8
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ETERNAL VALLEY 「THE FALLING LIGHT」
アメリカのブラックメタル、エターナル・ヴァレイの2017年作
Jason Yorke氏による個人ユニットで、オーケストラルなアレンジに美しいピアノの旋律と、
トレモロのギターとダミ声を乗せて、激しくブラスト疾走するシンフォニックなブラックメタル。
ドラムは打ち込みなので激しく疾走しても暴虐さはさほど感じず、世界観としてはむしろ、
アンビエントブラック寄りの美しさとともに、ウェットで物悲しい叙情性に包まれていて、
曲によっては、Alcestなどポストブラック好きの方にも楽しめるだろう。一方では、BURZUMのような
地下臭ただようプリミティブ・ブラックの雰囲気もあって、ミステリアスな聴き心地がなかなか良いですね。
ドラマティック度・・7 暴虐度・・7 叙情度・・8 総合・・7.5
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Evig Natt「Darkland」
ノルウェーのシンフォブラックメタル、エヴィグ・ナットの2010年作
男女Voを含む5人組で、シンフォニックな美しさと、ヘヴィな重厚さで聴かせるサウンド。
咆哮するデスヴォイスに女性ヴォーカルが絡み、ゴシックメタル的な耽美さを含みつつ
ときにブラックメタル的に激しく疾走する。ノルウェー独特の土着的な香りも漂わせるところは
Leaves' Eyesなどにも通じる雰囲気がある。女性Voの力量はまずまずという程度なので、
今後は彼ら独自の世界観の追求で、さらに楽しみなバンドになっていきそうだ。
シンフォニック度・・8 重厚度・・9 耽美度・・8 総合・・8
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Ex Deo 「CALIGVLA」
カナダのシンフォニックメタル、イーエックス・デオの2012年作
KATAKLYSMのメンバーを中心にしたバンドで、本作はタイトルが「カリギュラ」というように、
古代ローマをテーマにした世界観に、デスメタル的な重厚なサウンドを融合した、
エピックな味わいの作品に仕上がっている。激しい疾走感よりも、どっしりとしたミドルテンポを主体に、
シンフォニックなアレンジと、ヘヴィなギター、デスヴォイスとともに聴かせる作風は、
勇壮かつ荘厳なドラマ性に包まれている。ギターリフやヴォーカルにはデスメタル感触を残しているが、
暴虐な激しさというのはあまりないので、エピックな正統派メタル的としても十分楽しめる作品だ。
ドラマティック度・・8 重厚度・・8 エピック度・・8 総合・・8
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Ex Deo 「The Immortal Wars」
カナダのシンフォニック・デスメタル、イーエックス・デオの2017年作
KATAKLYSMのメンバーを中心にしたバンドで、古代ローマをテーマにした世界観とデスメタルを融合したサウンドを聴かせる。
前作もなかなかの力作だったが、今作もジャケのイメージ通り、ハンニバルが戦象を率いたアルプス超えやザマの戦いなど
歴史的な場面をテーマにしたコンセプト作。ヘヴィなギターにシンフォニックなアレンジと、デス声ヴォーカルを乗せた重厚なサウンドは、
適度にメロディックな感触も含ませて、正統派メロパワのデスメタル寄りという雰囲気で、ドラマティックな世界観を描き出す。
壮麗な音の厚みと、戦いの場面を思わせるでエピックな勇壮な空気感も素晴らしく、まるで映画の一場面を思い起こさせるような
迫力あるメタルサウンドに引き込まれる。ヴォーカルはデス声ながら、楽曲自体は重ためのシンフォ・パワーメタルという趣なので、
正統派メロパワ好きにも楽しめるかと思う。適度に激しさもあり、前作以上に音の強度を感じる力作です。
ドラマティック度・・8 エピック度・・9 重厚度・・9 総合・・8
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Ex Deo 「The Thirteen Years Of Nero」
カナダのシンフォニック・デスメタル、イーエックス・デオの2021年作
2009年にデビューし、4作目。今作はローマ皇帝ネロの生涯をコンセプトに、重厚なギターにオーケストラルなアレンジ、
低音のデスヴォイスとともに、荘厳な迫力に包まれたエピックなデスメタルを聴かせる。どっしりとしたスローテンポから、
激しく疾走するパートでも暴虐になり過ぎず、シンフォニックな壮麗さと重厚な味わいで、ダークなドラマ性に包まれる。
ときに女性コーラスも加わったり、叙情的なギターフレーズも覗かせるなど、これまで以上に聴きどころも多い仕上がりだ。
ドラマティック度・8 暴虐度・7 重厚度・9 総合・8 
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ExhumationSeas of Eternal Silence」
ギリシャのメロデスバンド、エグズメーションの1st。1997作
いわゆるIN FLAMESに影響を受けた第二世代のバンドであるが、ツインギターによるメロディと
ザクザクのリフで疾走するスタイルは、オールドなデスメタルの香りを残している。
より煽情的でメロディックになる次作に比べて、本作では初期EDGE OF SANTY的な荒々しさがあり、
そこに時折メロディアスなフレーズを挿入するという作風であるが、曲によっては知的なリズムアレンジを
取り入れたりと、すでに非凡なセンスを見せている。ツインギターで聴かせる古き良きメロディックデス。
メロディアス度・・8 暴虐度・・7 オールドデス度・・8 総合・・7.5
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EXHUMATION「Dance Across the Past」
ギリシャのメロデスバンド、エグズメーションの2nd。1999作
ツインギターによる叙情的なギターリフと、激しいデス声で聴かせるサウンド。
初期のIN FLAMES的な雰囲気に加え、ギリシャ特有のミステリアスな感覚が加わって
いわゆる北欧メロデス勢とはやや異なる印象だ。印象的なメロディのフレーズや
ときに知的な展開力をともなった楽曲は、このバンドのセンスの良さを感じさせる。
ゴシックメタル的な薄暗さも味になっていて、激しさとともに美意識の感じられる作品だ。
メロディアス度・・8 暴虐度・・7 薄暗叙情度・・8 総合・・8
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ExhumationTraumation」
ギリシャのメロデスバンド、エグズメーションの3rd。2000作
叙情的な傑作であった2ndDance Across the Past」に続き、本作も見事な出来。
ツインギターのリフと、抜群のメロディフレーズで聴かせるオールドなメロデスだ。
相変わらず、湿りけを含んだ泣きの叙情に加え、音に耽美な薄暗さがあるのもいい。
そしてとにかくギターフレーズのセンスの良いこと。激しさがあまりないのでじつに耳に心地よい。
メロディアス度・・8 暴虐度・・7 耽美な叙情度・・8 総合・・8
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EXTOL「BURIAL」
スウェーデンのテクニカルデスメタルバンド、エクストルの1st。1998年作
ジャンルとしてはDEATHが築きあげた「知的なデスメタル」の進化系にあるもので、
テクニカルな演奏とプログレ的な展開、リズムアプローチをデスメタルサウンドで表現したもの。
このバンドの場合凄いのは、時折クリムゾンさえも想起させる芸術性を垣間見せながらも、
デスメタルとしてのへヴィネス、アグレッションをそのまま保っている点である。
何曲か聴いてみて私はMORBID ANGELがプログレ曲を演奏しているような印象にとらわれた。
つまりデスメタルの激烈性ではデスの帝王である彼らにも負けておらず、しかもDEATH以上の
プログレ的精神の実践、それも演奏だけでなく楽曲に内面的な芸術性を植え込むことに成功している。
アコースティックやシンセを効果的に用いながらもそれに頼らず「デスメタル」として「プログレ」している。
そういう意味で彼らは非常に稀有なバンドであり、テクニカル系のプログレデスが好みの人間には
必聴のバンドであることは間違いない。余談だがメンバーの平均年齢は1st当時22才だったという。
プログレ度・・8 デスメタル度・・8 楽曲センス・・9 総合・・8 ◆メタル名盤特選入り
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EXTOL「Mesmerized」
スウェーデンのプログレ・デスメタルバンド、エクストルのミニアルバム。1999作
1st「BURIAL」からのシングルカットと未収録曲2曲、リミックス曲3曲を収録。
最近ではテクニカルスラッシュ風のサウンドにシフトしてきているが、
デビュー時はアートな感性のプログレッシブ・デスというにふさわしいものだった。
ここで聴けるサウンドは、まさに1stから2ndへと飛躍を遂げる彼らの若さと、
そして類まれなるセンスが光っている。暴虐でありながらも変則リズムを導入し
知性を感じさせるアレンジと、ほのかな叙情美が合わさった楽曲はやはり見事だ。
3曲のリミックスバージョンは、インダストリアル風なのでやや好みからは外れるが。
メロディアス度・・7 暴虐度・・7 プログレ度・・8 総合・・7.5
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EXTOL「ANDECEIVED」
ノルウェーのプログレッシブ・デスメタルバンド、エクストルの2nd。
1st「BURIAL」の時点で並のバンドではない知性のきらめきを感じたが、本作ではさらに成長。
このバンドの場合、変拍子を入れただけの単なるテクニカルデスとは違い、楽曲のアレンジセンスが抜群で、
結果としてデスメタルとしての重厚さを失わずに、知的なプログレ性との両立に成功している。
咆哮するデス声とともにギターの音像はヘヴィでありながら、楽曲には意外性とフックがあり、
ときおり見せるメロディアスな叙情性も唐突でない範囲で絶妙なのだ。傑作デス!
メロディアス度・・7 プログレ度・・8 デスメタル度・・8 総合・・8.5 ◆メタル名盤特選入り
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EXTOL「SYNERGY」
スウェーデンのプログレッシブ・デスメタルバンド、エクストルの3rd。2003作
アートな感性とテクニカルさを兼ね揃えたこのバンド、期待の3作目
まず、全体的に音が軽めになり、ノーマル声で歌われるパート大幅に増えた。
それとともにデス色は大幅減少。あからさまな変拍子リフに疾走する様は、
デスというよりはSPIRAL ARCHTECT系のテクニカルスラッシュの音である。
ゴリゴリのデスメタルでありながらプログレという2ndまでの彼らのアイデンティティに惹かれた向きにとっては
今作はやや残念だが、変態の入った、変拍子入りテクニカルスラッシュが好きには問題なくお薦めできる。
メロディアス度・・6 テクニカル度・・8 デスメタル度・・7 総合・・8
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EXTOL「THE BLUEPRINT DIVES」
スウェーデンのプログレッシブ・デスメタルバンド、エクストルの4th。2005年作
前作3rdでは脱デス化、テクニカルなスラッシュ風サウンドになっていたが、今作ではさらに
モダンなアプローチをしてきた。リズムでの遊びは今まで通りだが、雰囲気はよりプログレ的になり、
ノーマル声で歌われる浮遊感のあるヴォーカルが変拍子リズムの上に乗ると、クールさと知的さを漂わせつつも、ど
こか倦怠のムードが漂う。そのあたりはミクスチャー系ポストロックの感触にも近いかもしれない。
曲によっては、曲の断片のように尻切れで終わるものもあり、それが物足りなく感じもするが、
このバンドのセンスを愛しているリスナーであれば、クールなサウンドを自然体で楽しめるだろう。
メロディアス度・・7 テクニカル度・・8 知的でクール度・・9 総合・・8
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EXTOL
ノルウェーのプログレッシブ・デスメタルバンド、エクストルの2013年作
1998年にデビューし、激しさと知的さを併せ持つ通好みのサウンドで人気を博すも、4作を残して沈黙。
本作は8年ぶりとなる5作目で、一聴してモダンなヘヴィさが耳につくが、その独自のヘンタイサウンドは健在。
変則リズムを取り入れたテクニカルな硬質感とともにスラッシーに疾走しながらも
唐突なまでのメロウなキャッチーさを覗かせるところなどは、いかにもこのバンドらしい。

ヘヴィなリフとメロディックなフレーズを極端なまでに変化させるギターのセンスも抜群で、
クールな切れ味とリズムの遊び、メロトロンまで使用したプログレ的なセンスが冴え渡る力作だ。
メロディック度・・7 ヘヴィ度・・8 知的センス度・・9 総合・・8
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EYE OF NIX 「BLACK SOMNIA」
アメリカのポストブラックメタル、アイ・オブ・ニックスの2016年作
ノイジーでヘヴィなギターに魔女めいた絶叫ヴォイス、うっすらとしたシンセの味付けとともに、
随所に激しいブラストなども含んだ、妖しくもエクスペリメンタルなブラックメタルを聴かせる。
カスカディアンブラック的な神秘性に、女性声による魔術めいた暗黒性を加えたという世界観であるが、
一方では、美しいソプラノヴォーカルによるパートもあって、ときにゴシック的でもある耽美性も覗かせる。
楽曲は6〜8分とわりと長めで、SEなどを含んだ不穏な空気感に包まれながら、スローテンポの曲では
魔女系ドゥーム的にも楽しめる。絶叫する女性声の激しさに妖しい美しさも同居した異色のバンドです。
神秘的度・・8 暴虐度・・7 魔女系ブラック度・・8 総合・・7.5
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EYE OF NIX 「LIGEIA」
アメリカのポストブラックメタル、アイ・オブ・ニックスの2020年作
2作目となる本作は、激しいブラスト疾走とスローなアンビエント性とのメリハリがつき、
楽曲としての構築性が高まったという印象。妖しい女性ヴォーカルによる魔女感もたっぷりで、
けだるい浮遊感と暗黒の凶暴性が同居したという聴き心地である。グロウルの迫力も増していて、
ブラッケンな闇の中に、狂気めいた女性声が乗るところなどは、アヴァンギャルドな妖しさに包まれる。
演奏面での向上がサウンド全体の説得力も強くしていて、美しいソプラノヴォーカルも表現力が増している。
女性声のエクスペリメンタル・ブラックとして、底知れぬ可能性を感じさせるバンドになってきた。
神秘的度・・8 暴虐度・・7 魔女系ブラック度・・9 総合・・8
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F

FALAISE 「As Time Goes By」
イタリアのポストブラックメタル、ファライスの2015年作
うっすらとしたシンセをバックに、ノイジーなギターを乗せて激しく疾走しつつ、随所に繊細な叙情パートを盛り込んだ
Alcestを思わせるスタイルで、幻想的なポストブラックサウンドを描いてゆく。ヴォーカルは低音ダミ声なのだが、
遠くからうっすらと聴こえてくる感じで、暴虐な感じはさほどしない。むしろトレモロのギターフレーズなどの、
メロディアスな聴き心地が前に出ていて、激しく疾走するパートは多いのだが、耳に優しい感じがする。
Alcestの雰囲気を踏襲しすぎていて、現時点ではこのバンドならではの個性というものは薄いのだが、
逆に言うと、この手のサウンドが好きな方にはたまらないに違いない。今後に期待のバンドです。
ドラマティック度・・8 叙情度・・8 Alcest度・・9 総合・・8
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The Fallen Divine 「The Binding Cycle」
ノルウェーのプログレッシブ・デスメタル、フォールン・ディヴァインの2012年作
ツインギターのリフに迫力あるデスヴォイスを乗せ、テクニカルなリズムチェンジで聴かせる、
プログレッシブなメロデスサウンド。手数の多いドラムと存在感のあるベース、ツインギターのフレーズに
美麗なシンセアレンジを重ねたシンフォニックな美しさとともに、知的な展開力で構築する。
OPETHというよりは、EDGE OF SANITYの傑作「CRIMSON」を思わせるような雰囲気で、
ときにメロディックなギターフレーズや優雅なシンセパートが、涼やかな叙情性を描き出す。
ミックス&マスタリングはダン・スヴァノ。これぞ北欧プログレッシブ・デスメタルの力作です。
ドラマティック度・・8 プログレデス度・・8 北欧デス度・・8 総合・・8
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FALLEN SENTINEL「Perpetual」
スペインのシンフォニック・ゴシックデス、フォーレン・センティネルの2010年作
2人の女性キーボード奏者を擁する6人編成で、シンフォニックな美麗さと
耽美なゴシック要素も含んだサウンドで、ストリーリー的な展開力もある。
デス声に絡む女性Voがいくぶん弱い感じもあるが、プログレメタル的なリズムチェンジ、
緩急のついた楽曲とツインシンセ、ツインギターによる厚みのある音はなかなか壮麗でよろしい。
ゴシック寄りになったCradle of Filthという感じもある。楽曲に魅力がつけばいいバンドになるだろう。
シンフォニック度・・8 暴虐度・・7 ドラマティック度・・8 総合・・7.5
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FALLOCH 「Where Distant Spirits Remain」
スコットランドのポストブラック、ファロックの2011年作
マイルドなクリーンヴォーカルとともに、やわらかな叙情性で描かれるサウンドは、
Alcestなどを思わせる聴き心地で、随所に激しい疾走パートも含みつつ、
ときにケルティックなティンホイッスルの音色や美しいピアノ、ヴァイオリンなど、
優雅な繊細さも含んでいる。10分を超える大曲も、アコースティカルな優しさと、
幻想的な世界観でじっくりと楽しめる。これはなかなか素晴らしい期待の新鋭です。
ドラマティック度・・8 優雅な叙情度・・8 幻想ポストブラック度・・9 総合・・8
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Farsot「IIII」
ドイツのブラックメタルバンド、ファーソットの2008年作
ツインギターにシンセを含む5人組で、プリミティブな荒々しさで激しく疾走する
WATAINなどに通じる、古き良き北欧ブラックメタルを継承するような作風である。
アナログ風味のサウンドに、寒々しい叙情性を含んだ神秘的な雰囲気もあり、
派手さはないもののの、ポストブラックやネイチャーブラック的な聴き心地が楽しめる。
ラストは20分の大曲で、緩急のついたドラマティックな展開は、なかなか聴き応えありだ。
ドラマティック度・・8 暴虐度・・7 プリミティブ度・・8 総合・・7.5
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Farsot 「Insects」
ドイツのブラックメタル、ファーソットの2011年作
ザリザリとしたギターリフで疾走する、古き良き感触のブラックメタルを基本に、
モノトーンの退廃感を含んだブラッケンロール的な雰囲気が合わさったサウンド。
ツインギターの重なりはときに叙情的でもあるが、決して甘すぎない感触で、
10分の大曲を構築する知的さもありながら、あくまで淡々とした冷徹な聴き心地だ。
アナログ感ただよわせるプリミティブかつダークなポストブラックとしても楽しめる。
ドラマティック度・・7 暴虐度・・7 ダーク度・・8 総合・・7.5



Farsot 「FAIL-LURE」
ドイツのブラックメタル、ファーソットの2017年作
2007年にデビューし、本作が3作目。ノイジーなギターとダミ声ヴォーカルを乗せて激しく疾走する、
モノトーンのような寒々しく荒涼とした味わいのブラックメタルサウンド。8分、9分という大曲を主体に、
リズムチェンジを含む展開力と、ときにうっすらとしたシンセも加えて、ミステリアスな神秘性に包まれる。
随所にゆったりとした叙情的なパートも織り込みながら、トレモロのリフや甘すぎないギターフレーズとともに、
激しさの中にも物悲しい空気を描き出す。サウンドの荘厳な説得力という点では、過去2作を上回るだろう。
カスカディアン・ブラック系が好きな方にも楽しめる、暗黒の美学に覆われた強力作だ。
ドラマティック度・・7 暴虐度・・7 暗黒度・・8 総合・・8
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Fellwarden 「Oathbearer」
イギリスのポストブラックメタル、フェルワーデンの2017年作
Fenのメンバーによるユニットで、うっすらとしたシンセにトレモロのギターを乗せて、
ダミ声ヴォーカルとともに疾走する、アトモスフェリックなブラックメタルサウンド。
ギターフレーズには北欧ブラックメタルからの影響も感じさせつつ、Alcestのような癒し系の優雅さと
シンフォニックと言ってもよいアレンジとともに、幻想的な叙情美に包まれた聴き心地。
10分を超える大曲も厚みのある空間的な音の説得力で、じわりと世界観に引き込まれる。
激しくも美しい幻想的なポストブラックが楽しめる力作です。
シンフォニック度・・8 暴虐度・・7 幻想度・・8 総合・・8
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Fellwarden 「Wreathed in Mourncloud」
イギリスのポストブラックメタル、フェルワルデンの2020年作
FENのメンバーによるユニットで、アコースティックギターのイントロから、三拍子の土着的なギターフレーズに
彼方から響いてくるようなヴォーカルを乗せた、ミステリアスな空気に包まれたアトモスフェリックなサウンド。
ダミ声を乗せて激しいブラスト疾走するパートも、暴虐性よりもネイチャーブラック的な神秘性を感じさせ、
トレモロを含むギターリフにうっすらとしたシンセアレンジも加えて、ウェットで幻想的な世界観を描き出す。
後半は10分を超える大曲が並び、美しいシンセとピアノによる優美なパートなど、緩急ある展開力とともに、
ほどよい激しさと叙情性が同居した雄大なポストブラックが楽しめる。神秘的な幻想美に包まれた逸品です。
ドラマティック度・・8 暴虐度・・6 神秘的度・・8 総合・・8
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Fen 「Epoch」
イギリスのポストブラックメタル、フェンの2011年作
うっすらとしたシンセに、トレモロのギターリフ、かすれたダミ声ヴォーカルを乗せ、
薄暗い叙情性に包まれた、涼やかな味わいのポストブラックメタルを聴かせる。
ブラスト疾走する激しさもありつつ、邪悪さよりもネイチャーな神秘性が前に出ていて、
ゆったりとメロウなスローパートなど、緩急の付いた構築力には知的なセンスも感じさせる。
8〜10分という大曲も、プログレッシブとも言えるような展開力と、ストリングスを加えたシンフォニックなアレンジで
叙情美たっぷりに鑑賞できる。ほどよくダークで美しい、激しいブラックが苦手という方にもお薦めの逸品だ。
ドラマティック度・・8 暴虐度・・7 叙情度・・8 総合・・8 
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FEN 「CARRION SKIES」
イギリスのポストブラックメタル、フェンの2014年作
うっすらとしたシンセアレンジに、歪んだギターリフにダミ声ヴォーカルを乗せ、
随所に叙情的なフレーズを含んで、メランコリックなダークさを描くようなサウンド。
癒し系のAlcestとは異なり、よりブラックメタル寄りの暗黒性をまとった雰囲気で、
ブラスト疾走する激しさも含めて、ミステリアスなメロディックブラックとしても楽しめる。、
10分前後の大曲を中心に、緩急ある流れで描かれる、神秘的で生々しいサウンドは、
Wolves in the Throne Roomあたりのネイチャー系ブラックにも通じるかもしれない。
ドラマティック度・・8 暗黒度・・8 叙情度・・7 総合・・8
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FEN「Winter」
イギリスのポストブラックメタル、フェンの2017年作
ダミ声ヴォーカルにアトモスフェニックなギターを乗せて、タイトル通り、冬を感じさせる寒々しい空気感を描く、
物悲しいサウンド。のっけから17分の大曲で、ギターリフは、エッジの効いたテクニカルな感触も増していて、
わりとプログレッシブな印象も強めつつ、アコースティックパートも含めて随所に叙情的なフレーズも覗かせる。
ブラックメタルとしての激しい疾走パートも含みつつ、暴虐さよりもミステリアスでメランコリックな気配に包まれていて、
トレモロのギターリフなども涼やかな感触だ。Alcestなどに比べると泣きの叙情美は控えめで、甘すぎず、
凍てついた荒涼とした雰囲気。ほとんどが10分を超える大曲で、激しい疾走曲から、ドゥーミィなスローパート、
ラストはシューゲイザーなアンビエントパートも含んでいて、わりと振り幅の広い内容だ。全6曲75分という力作。
ドラマティック度・・7 メランコリック度・・8 冬の叙情度・・8 総合・・8
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Firmament 「Aetheric Pathway」
ドイツのポストブラックメタル、フィルマメントの2022年作
2019年にデビューし2作目となる。美麗なシンセのイントロから、叙情的なギターにスクリームヴォイスを乗せて疾走する
幻想的なンフォニック・ブラックメタルを聴かせる。優美なシンセアレンジが前に出ていて、静寂パートを織り込んだ
緩急ある展開力も含めて、激しさよりもむしろ涼やかな叙情美に包まれる。6〜9分前後の長めの楽曲を主体に、
プリミティブな神秘性にペイガンブラック的な土着性も感じさせ、オーロラのような幻想美に浸れる。全72分の力作だ。
ドラマティック度・8 暴虐度・6 幻想度・9 総合・8


FIRTAN 「MARTER」
ドイツのブラックメタル、ファータンの2022年作
2014年にデビューし、3作目となる。幻想的なジャケからしてそそられるが、トレモロのギターにシンセを重ね、
吐き捨てヴォーカルとともにブラスト疾走する、ほどよくプリミティブな正統派のブラックメタルを聴かせる。
スローテンポを含む緩急ある展開や、ときにアコースティックギターやヴァイオリンの導入など、
翳りを帯びたヨーロピアンな優雅な空気を感じさせ、ややこもり気味の音質も神秘的な味わいだ。
楽曲は6〜9分前後とわりと長めで、ブラックメタルとしての不穏な暗黒性と激しさはしっかりと含みつつ、
ヴァイオリンなど涼やかな叙情性をふっと挿入するセンスもなかなかのもの。これぞ幻想ブラックの逸品である。
ドラマティック度・8 暴虐度・8 漆黒の叙情度・8 総合・8
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FJOERGYN「Ernte Im Herbst」
ドイツのシンフォニック・ブラックメタル、フヨールギンの2005作
のっけからまるでゴシックメタルのような美麗なイントロ…4分以上あります。
やっと曲が始まった、と思ったら、ドラムはどうも打ち込みっぽい。
ヴォーカルはこの手にしては珍しいドイツ語で歌って(がなって)おります。
美麗なシンセワークと、どことなくヴァイキング調のメロディも覗かせつつ疾走、
しかし打ち込みなので暴虐さはあまり感じられず、どうしてもゲームミュージック風に聴こえてしまう。
ペイガン風の雄々しいコーラスなどが入ると、むしろそちらの方がなかなかいい感じで
ラストはベートーベンの「第9」風に盛り上がる。まずはメンバーにドラムを入れてください。
シンフォニック度・・7 暴虐度・・6 ゲルマン度・・8 総合・・7.5
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Fjoergyn 「Sade Et Masoch」
ドイツのプログレッシブ・ブラックメタル、フヨルギンの2007年作
2005年にデビュー、本作は2作目で、シンフォニックなアレンジにドイツ語のダミ声ヴォーカルを乗せ、
リズムチェンジを含む知的な展開力で聴かせるサウンド。ときに激しい疾走パートも含みつつ、
暴虐さよりはオーケストラルなアレンジとともに、クラシカルで優雅な感触が前に出ていて、
この美意識に包まれた世界観は、シンフォニックなゴシックメタルが好きな方でも楽しめるかと。
シアトリカルな空気も漂わせるゲルマンなアヴァンメタルという点では、Eisregenにも通じるだろうが、
こちらはより優雅な聴き心地。いわばドイツ版SOLEFALDというところか。見事な傑作デス。
シンフォニック度・・8 暴虐度・・6 優雅度・・8 総合・・8 
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FJOERGYN 「JAHRESZEITEN」
ドイツのプログレッシブ・ブラックメタル、フヨルギンの2009年作
ドイツ語によるダミ声ヴォーカルとノーマルヴォーカルに、シンフォニックなアレンジを乗せて激しく疾走、
緩急ある知的な展開力で聴かせる、SOLEFALDあたりに通じる、プログレッシブ・ブラックメタル。
のちの作品に比べると、ブラストする暴虐な疾走パートがまだ多いのだが、一方では牧歌的でもある
叙情的なパートでは、ゲルマンなシンフォニックメタルの味わいで、優雅でメロディックな聴き心地。
クラシカルな美意識と、ブラックメタルの激しさが同レベルで融合しているという点では稀有な一枚であり、
アヴァンギャルド過ぎないメロディの分かりやすさも含めて、プログレッシブなブラックが好きなら必聴かと。
ドラマティック度・・8 暴虐度・・7 優雅で知的度・・8 総合・・8
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FJOERGYN 「Monument Ende」
ドイツのプログレッシブ・ブラックメタル、フヨルギンの2013年作
本作は4作目で、男女声のスキャットとシンセによるイントロ曲から妖しさぷんぷんだが、
ギターとドラムが加わると重厚な空気感に包まれ、ドイツ語によるヴォーカルを乗せて、
シンフォニックなアレンジとともに、ARCTURUSなどに通じる荘厳なサウンドが広がってゆく。
リズムチェンジを含んだ知的な展開力と、オーケストラルなアレンジによる優雅で重厚な聴き心地に、
ダミ声&ノーマルヴォイスを絡ませるシアトリカルな雰囲気には、プログレッシブな香りも漂わせる。
壮大でアヴァンギャルドなブラックという点では、SOLEFALDあたりが好きな方にも楽しめるだろう。
随所に激しい疾走パートやゲルマンな勇壮さも盛り込みつつ、12分の大曲もドラマティックな仕上りだ。
ドラマティック度・・8 暴虐度・・7 荘厳度・・8 総合・・8
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FJOERGYN 「Lucifer Es」
ドイツのプログレッシブ・ブラックメタル、フヨルギンの2017年作
前作も壮大な力作であったが、5作目となる本作も厚みのあるギターに美麗なシンセアレンジで、
シンフォニックで重厚なスケール感に包まれたサウンドを展開。ドイツ語によるヴォーカルが
ゲルマンな勇壮さ加えつつ、随所に暴虐なブラスト疾走する激しさと、知的なリズムチェンジが、
プログレッシブな感触を同居させる。ときに女性スキャットによる妖しさやオーケストラルな優雅さが、
ミステリアスなブラックメタルに溶け込み、Dimmu Borgirをアヴァンギャルド化したような雰囲気も。
荘厳な音の迫力という点でも前作以上だろう。10分前後の大曲も緩急ある構築力で描き切る。これは傑作!
ドラマティック度・・8 暴虐度・・7 荘厳度・・9 総合・・8.5
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FLESHGOD APOCALYPSE「Agony」
イタリアのデスメタルバンド、フレッシュゴッド・アポカリプスの2011年作
ブルータルなデスメタルにクラシカルなシンフォニック要素を盛り込んだというサウンドで
マシンガンのようなブラストビートで突進しながら、美麗なオーケストレーションがかぶさるという極端な作風が面白い。
デスヴォイスとノーマルヴォイスも美と醜の対比を思わせ、女性ヴォーカルの入ったオペラティックなパートや、
随所にメロディックなギターを織り込んで激烈かつ美麗に聴かせる。激速のブラストはホントすごいし、
濃密な音圧にも圧倒されるのだが、楽曲そのものにはシンフォニックな部分以外での魅力がさほどでもないので
正直、何度も聴きたくはならないかもしれない。クラシカルなブルータルデスというインパクトは抜群デス。
シンフォニック度・・8 暴虐度・・9 極端度・・9 総合・・8
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FLESHGOD APOCALYPSE 「Labyrinth」
イタリアのシンフォニック・デスメタル、フレッシュゴッド・アポカリプスの2013年作
クラシカルなシンフォニック性とブルータルな激しさを融合したサウンドで人気のこのバンド、3作目となる本作は
ミノタウロスの迷宮をテーマにした作品で、オーケストラルなアレンジと、激烈なツーバスドラムでブラスト疾走する、
暴虐かつ壮麗なシンフォニックデスメタルを聴かせる。ソプラノ女性ヴォーカルを含むコーラスも美しく、
低音デスヴォイスとのコントラストで極端なまでの美と醜を描き出す。随所に流麗なギターの旋律も覗かせて、
前作以上にメロディックな感触を強めたことで、より多くのリスナーに楽しめるようになった。
曲間をつないでたたみかけるような流れも迫力たっぷりで、壮麗にして濃密なシンフォデスの傑作。
シンフォニック度・・9 暴虐度・・9 荘厳度・・9 総合・・8.5 
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FLESHGOD APOCALYPSE 「King」
イタリアのシンフォニック・デスメタル、フレッシュゴッド・アポカリプスの2016年作
激烈なブルータルデスメタルと壮麗なオーケストレーションを融合した極端なまでのサウンドで人気を集めるこのバンド、
4作目となる本作も、クラシカルなシンフォニック性に包まれたアレンジと、低音デスヴォイスを乗せたデスメタルサウンドが合わさった、
重厚にして暴虐、そして華麗な聴き心地である。中世の王をテーマにした、エピックなスケール感を漂わせていて、
ギターは随所にメロディックなフレーズも奏でたり、女性ヴォーカルの入った美麗なナンバーなどもあって、
これまで以上にシンフォニックメタル的な感触が強まっている。2ndまでのようにブルータルな激しさ一辺倒でなく、
同郷のDark Lunacyをより激しく濃密にしたようなメロディックな要素が強まったことで、より多くのリスナーにアピールするだろう。
ピアノをバックにイタリア語で歌われる、オペラティックな女性ヴォーカル曲なども、優雅なアクセントになっている。
ドラマティック度・・8 暴虐度・・8 クラシカルデス度・・9 総合・・8.5
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Fleshgod Apocalypse 「Veleno」
イタリアのシンフォニック・ブルータルデスメタル、フレッシュゴッド・アポカリプスの2019年作
2009年にデビュー、本作は5作目となる。前作でのオーケストラルな壮麗さはいくぶん控えになっていて、
ヘヴィなギターリフにクラシカルなピアノを重ね、低音デスヴォイスを乗せた迫力あるテクニカルデスを聴かせる。
ブルータルな感触は2ndの頃に接近した感触ながら、適度にメロディックなギタープレイも覗かせつつ、
緩急ある濃密なサウンドを描くところはこのバンドならではだろう。楽曲は4〜5分前後が主体であるが、
随所にオーケストラルなアレンジや美しいソプラノ女性コーラスも織り込んだ、シンフォニックな優雅さも残している。
新たなインパクトはないが、ブルータルデスメタルの激しさとクラシカル性のバランスの取れた強力作デス。
シンフォニック度・・7 暴虐度・・8 濃密度・・8 総合・・8 
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Forefather「Deep in to Time」
イギリスのペイガンブラック、フォアファザーの2004年作
アングロサクソン系ペイガンというのでしょうか、軽めのブラストで疾走しつつ
わめき声とノーマル声のヴォーカルを乗せて、エピックな雰囲気でたたみかけます。
ギターのリフはひと昔前の北欧ブラック的なので、メロブラとして普通に楽しめ、
ときおりヴァイキングメタル的な土着フレーズも聴かせる。
ドラマティック度・・7 暴虐度・・7 エピック度・・8 総合・・7.5
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A Forest of Stars 「Corpse of Rebirth」
イギリスのサイケデリック・ブラックメタルバンド、フォレスト・オブ・スターズの2008年作
女性ヴァイオリン&フルート奏者を含む7人編成で、「Victorian psychedelic black metal」を名乗るように、
英国ヴィクトリア時代をイメージしているという世界観は、ダークな倦怠の美に包まれていて、
ゴシック風味の耽美さもある。もの悲しいヴァイオリンの音色と、灰色に垂れ込めた空のような
ドゥーミィな翳りに覆われたサウンドだ。参加しているは元MY DYING BRIDEのメンバーさんというのも納得。
楽曲は10分以上の大曲ばかり。ブラックメタル的な疾走パートは少なめで、スローに聴かせる部分が多いので
気が短い方には向かない。プログレッシブなドゥーム・ブラックというべきか。個人的にはこういうの好きです。
ドラマティック度・・7 倦怠の翳り度・・9 英国度・・8 総合・・8
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A Forest of StarsOpportunistic Thieves of Spring
イギリスのサイケデリック・ブラックメタルバンド、フォレスト・オブ・スターズの2011年作
前作同様、10分以上の大曲を中心にしているが、本作はよりプログレッシブな味わいのあるサウンドとなっていて
緩急のついたドラマティックなメリハリとクラシカルな優雅さ、そして説得力が備わってきている。
薄闇に包まれたような世界観と神秘性に包まれた、いわゆるネイチャーブラックメタルの質感を
英国風に仕立て上げたという雰囲気で、ストリングスの音色やアナログ的な音作りもあって、
ブラックメタル的に疾走する場面でもあまり激しさは感じない。むしろ優雅な聴き心地の作品だ。
ドラマティック度・・8 翳りと叙情度・・8 英国度・・8 総合・・8
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A Forest Of Stars「A Shadowplay For Yesterdays」
イギリスのサイケデリック・ブラックメタルバンド、フォレスト・オブ・スターズの2012年作
女性ヴァイオリン&フルート奏者を含む7人編成で、プログレッシブといってよいセンスと
ブラックメタルとしての激しさをサイケな浮遊感に混ぜ混んだという個性的なサウンド。
ブラストで疾走する部分もあるが、禍々しさよりも混沌とした美しさを感じさせ、
そういう点ではこのバンドもポストブラックのひとつと言ってよいのだろう。
8分、10分という大曲などには、知的な構築力とシアトリカルなドラマ性もあり、
ひと筋縄ではいかなエキセントリックな芸術性も含んだ異色の力作です。
ドラマティック度・・8 個性派度・・8 英国度・・7 総合・・8
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A FOREST OF STARS 「Beware the Sword You Cannot See」
イギリスのプログレッシブ・ブラックメタル、フォレスト・オブ・スターズの2015年作
「Victorian psychedelic black metal」を名乗り、女性ヴァイオリン&フルート奏者を含む7人編成のバンド。
4作目となる本作も、艶やかなヴァイオリンの音色に幻想的なシンセアレンジによるプログレッシブな味わいと、
激しく疾走するブラックメタル要素が融合した独自のスタイルで、優雅でセンス豊かなサウンドを描いている。
随所に女性声も含んだ美しさと、ダークな妖しさを描くファンタジックな世界観とともに、聴き手の想像を刺激する。
後半は6パートに分かれた21分の組曲で、さらにプログレッシブでスペイシーな雰囲気と、ミステリアスな壮大さに包み込まれる。
Solefaldなどとはまた違った、幻想的なプログレ・ブラックメタルが楽しめる力作です。
ドラマティック度・・8 プログレッシブ度・・8 幻想度・・8 総合・・8
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A FOREST OF STARS「Grave Mounds and Grave Mistakes」
イギリスのプログレッシブ・ブラックメタル、フォレスト・オブ・スターズの2018年作
2008年にデビュー、女性ヴァイオリン&フルート奏者を含む7人編成で、本作は5作目となる。
アコースティックギターとフルートのやわらかなイントロから、重厚なギターリフにガナりたてるヴォーカルを乗せて
激しく疾走する、シアトリカルなブラックメタルサウンドが広がってゆく。ヴァイオリンが鳴り響く優雅な叙情性と
サイケデリックなアヴァンギャルド性も覗かせつつ、演劇的なヴォーカルとともに濃密な聴き心地が味わえる。
女性ヴォーカルによるしっとりとした叙情ナンバーもアクセントになっていて、10分前後の大曲も多いのだが、
緩急ある流れで飽きずに聴き入れる。声の裏返るヴォーカルが好みを分けるところだが、これぞアヴァン・ブラックの力作だ。
ドラマティック度・・8 シアトリカル度・・8 壮大度・・8 総合・・8.5 
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Fornhem 「Ett Fjarran Kall」
スウェーデンのペイガン・ブラックメタル、フォルンヘムの2017年作
荒波のSEから始まり、土着的なギターフレーズにダミ声ヴォーカルを乗せたミドルテンポのサウンドで、
かつてのBATHORYBURZUMを受け継ぐような、ローカルな空気感も漂わせるペイガン・ブラックメタル。
10分を超える大曲を中心にした全4曲という構成で、わりとリフレインの多い、悪く言えば単調な感じなのだが、
激しい疾走ナンバーでも暴虐過ぎず、手数の少ないドラムやくぐもった音質も含めて、むしろ心地よかったりもする。
北欧らしい牧歌的なフレーズや、トレモロのギターを乗せた叙情性に、ときにアコースティックなパートもまじえ
物悲しい叙情と翳りを含んだサウンドをゆったりと楽しめる。ほどよいスカスカ感のオールドな味わいがGoodです。
ドラマティック度・・7 暴虐度・・7 北欧度・・9 総合・・7.5
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FORMLOFF「Spyhorelandet」
ノルウェーのアヴァン・ブラックメタル、フォームロフの2012年作
ヴォーカル&シンセ、ヴォーカル&ギターという2人組のユニットで、
一聴してSolefaldあたりを思わせるプログレッシブなブラックメタルサウンドだ。
随所に激しいブラストも含みつつ、ドゥームメタル的なスローパートもあったりと、
緩急をつけた楽曲展開と、不穏なダークさをかもし出すシアトリカルな世界観が特徴的。
ギターの音色にはストーナー的なアナログ感もあり、邪悪さよりもむしろ荒涼とした雰囲気を漂わせている。
ときにオルガンの音色も顔を出し、サイケデリックな要素も覗かせる。個性派ブラックがお好きな方へ。
ドラマティック度・・8 シアトリカル度・・8 アヴァンギャル度・・8 総合・・8
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Fortid 「Voluspa Part II」
ノルウェーのペイガンブラックメタル、フォーティドの2007年作
2003年にデビューし、2作目となる。本作の時点では、Eldur氏による個人プロジェクトで、
物悲しいギターの旋律から、母国語による朗々としたヴォーカルを乗せた涼やかな土着性に
ノイジーなギターとシンセを重ね、ダミ声ヴォーカルとともに幻想的なブラックメタルを聴かせる。
随所に叙情的なギターのメロディを覗かせつつ、スローテンポのナンバーなども多く、
全体的に激しさは抑え目ながら、優美なシンセがサウンドを包み込み北欧神話の世界観を描き出す。
ダンジョンシンセ的な幻想的なナンバーから、ラストはプリミティブなブラックメタルで締めくくる。
ドラマティック度・7 暴虐度・5 幻想度・8 総合・7.5 
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FORTIDVoluspa Part III: Fall of the Ages
アイスランドシュッシン、ノルウェーで活動するブラックメタルト、フォーティドの2009年作
うっすらとしたシンセによる美麗なアレンジに、ミスティックなブラックメタルとしての感触と
北欧神話をテーマにした壮大な世界観の作品。ヴァイキング的な土着メロディはあまり強くなく、
むしろ、古き良きトレモロなリフで疾走する、往年の北欧メロディックブラックメタルとして楽しめる。
随所に聴かせるツインギターの叙情フレーズもよい感じで、甘すぎない硬派な作風に好感が持てる。
ドラマティック度・・8 メロブラ度・・8 北欧度・・8 総合・・8
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FORTID「Pagan Prophecies」
アイスランド出身、ノルウェーで活動するペイガンブラックメタル、フォーティドの2012年
北欧らしい寒々しい叙情を含んだ世界観とともに、暴虐に疾走するブラックメタルサウンド。
初期EMPERORばりの激しさもありながら、ペイガン的な土着性を含んだツインギターのフレーズと
うっすらとしたシンセをまとわせた聴き心地で、甘すぎないくらいのメロディアスさがよろしい。
北欧神話のようなスケールの大きさと神秘性をまとった、硬派なドラマティック・ブラックメタルです。
ドラマティック度・・8 暴虐度・・8 北欧ブラック度・・9 総合・・8
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Fortid 「World Serpent」
ノルウェーのペイガンブラックメタル、フォーティドの2020年作
6作目となる本作は、ほどよく叙情的なギターにシンセを重ね、涼やかでミステリアスな空気に包まれた
ペイガンブラックメタルを聴かせる。激しいブラスト疾走からスローパートへの緩急ある展開に、
朗々としたヴォーカルを乗せての土着的な神秘性や、トレモロのギターフレーズなどの叙情性が同居して
激しくとも暴虐過ぎない聴きやすさがある。ザラついたギターリフにはプリミティブな感触も残していて、
ほどよい粗さも持ち味になっている。いかにも北欧らしいペイガンブラックが楽しめる強力作です。
ドラマティック度・7 暴虐度・7 幻想度・7 総合・8
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Foscor 「Les Irreals Visions」
スペインのポストブラックメタル、フォスコーの2017年作
2004年にデビュー、本作は4作目で、メロウなギターにマイルドなヴォーカルを乗せ、
メランコリックな空気感とともに、ときに激しくブラスト疾走するパートも含んだ
ゴシック的なポストブラックサウンド。ジャケのイメージのようなモノトーンの無機質さと
やわらかなピアノによるクラシカルな美しさが合わさった、物悲しい叙情も感じさせ、
雰囲気としては、KATATONIAあたりの世界観にも近いかもしれない。トレモロギターを乗せた、
Alcestにも通じるようなナンバーもあり、じっくりと味わえるポストブラック作品です。
ドラマティック度・・7 叙情度・・7 メランコリック度・・8 総合・・8
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FOSCOR 「ELS SEPULCRES BLANCS」
スペインのポストブラックメタル、フォスコーの2019年作
2004年にデビューし、すでに7作目。優美なピアノにギターを重ね、マイルドなヴォーカルを乗せた、
メランコリックな味わいのサウンドで、ゆったりとしたパートから激しい疾走へと緩急あるサウンドを描く。
ブラスト疾走するパートでも、ダミ声などは気入らないので、あくまで優雅な聴き心地。
繊細な叙情性とともに、曲によっては、むしろポストプログレとしても楽しめるだろう。
全7曲38分というのはやや物足りないが、このそっけなさもまた良いのかもしれない
ドラマティック度・7 暴虐度・3 叙情度・8 総合・7.5 
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Fragments Of Unbecoming「Sterling Black Icon」
ドイツのメロデスバンド、フラグメンツ・オブ・アンビカミングの2006年作
ツインギターのリフで激しく疾走、メロディックなフレーズを織り込みながら
かつてのDARK TRANQUILLITYばりの本格派のメロデスサウンドを聴かせる。
咆哮するヴォーカルと叙情的なギターフレーズが重なり、重厚でありながらもメロウな耳心地で、
昨今のメロデス系バンドに物足りなさを感じているリスナーも満足するクオリティの高さだ。
ブラスト入りの激しさも含めてブルータルな迫力充分。デスメタルを下地にしたメロデスというべきか。
メロディック度・・8 暴虐度・・8 本格派デス度・・9 総合・・8
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From The Vastland 「Temple of Daevas」
イランのブラックメタル、フロム・ザ・ヴァストランドの2014年作
サウジアラビアにはAl-Namroodがいたが、イランにも本格派のブラックメタルバンドがいたのですな。
アラビックでミステリアスなイントロから、曲が始まると激しいブラスト疾走でたたみかける、
MARDUKばりの激烈なサウンドが襲い掛かる。ダミ声ヴォーカルにもなかなか迫力があり、
中東のバンドだと知らなければ、普通に北欧のプリミティブブラックだと思ってしまいそうだ。
激しいだけでなく、緩急の付いた楽曲構成や、随所に適度な叙情性も覗かせるセンスも見事。
ややラウドな音質もむしろ怪しさを助長している。中東らしさをあまり前に出さない正統派ブラックの力作。
ドラマティック度・・8 暴虐度・・8 中東度・・7 総合・・8
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Frostveil 「Antediluvian Majesty」
オーストラリアのアンビエント・ブラックメタル、フロストヴェイルの2017年作
いわゆるアトモスフェリック・ブラックメタルの独りユニットで、全5曲、29分のミニアルバム。
美しいシンセを中心にした、アンビエントな作風で、ネイチャーな神秘性を感じさせる世界観。
ヴォーカルやギターなどは入らないので、メタルとして聴くにはちょっと厳しいが、
Summoningあたりの雰囲気が好きな方なら、幻想的なアンビエントブラックとして楽しめるかと。
ドラマティック度・・7 メタル度・・1 幻想度・・8 総合・・7


Frozen Dawn 「Those of the Cursed Light」
スペインのブラックメタル、フローズン・ダウンの2014年作
女性ベーシストを含む4人編成で、ツインギターのリフとともに激しいブラスト疾走する、
DARK FUNERALDISSECTIONあたりを思わせる、オールドスタイルのブラックメタル。
甘すぎない程度にメロディを盛り込みつつ、早過ぎない暴虐過ぎない疾走感は、
まさにあの頃の北欧ブラックメタルの聴き心地である。これという目新しさはないのだが、
古き良き北欧メロブラが好きな方にはたまらない好作品だろう。
ドラマティック度・・7 暴虐度・・7 古き良き北欧メロブラ度・・8 総合・・8
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Fuath 「II」
スコットランドのブラックメタル、フアスの2021年作
SAORのメンバーによるバンドで、2016年にデビューし、本作は2作目となる。
トレモロを含むギターに吐き捨てヴォーカルを乗せてブラスト疾走、うっすらとしたシンセに包まれた
アトモスフェリックなブラックメタル。5曲中3曲が、9分を超える大曲で、リフレインによるインストパートなど、
ゆったりとした幻想的な部分と、ブラストビートによる激しさがナチュラルに融合したという聴き心地で、
カスカディアンブラック寄りのネイチャーな空気感に包まれた、激しくともうるさすぎないサウンドだ。
これという展開はないのだが、リフレンされるトレモロのギターとともに、雰囲気モノとして耳心地よく浸れます。
ドラマティック度・7 暴虐度・8 幻想度・8 総合・8
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The Funeral PyreNature of Betrayal
アメリカのブラックメタルバンド、フューネラル・パイルの2007年作
うっすらとしたシンセとギターリフを乗せて激しく疾走するスタイルは
メロディックな聴き心地とともに北欧のブラックメタルを思わせるサウンド。
ギターフレーズにはメロデス的な雰囲気もあり、随所にシンセによるシンフォニックなアレンジも
利いていて、邪悪さや暗黒性はさほど感じさせない点では、ジャケほどには怖さはない。
適度にプリミティブな感触もありつつ、案外聴きやすくメロディックな好作になっている。
メロディアス度・・8 暴虐度・・7 暗黒度・・7 総合・・7.5
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FUNERIS NOCTURNUM 「PURE SATANIC BLASPHEMY」
フィンランドのブラックメタル、フューネリス・ノクターナムの2000年作
ツインギターにシンセを重ね、ダミ声ヴォーカルを乗せて激烈にブラスト疾走するスタイルで、
暴虐な激しさの中に、ほどよくメロディックな叙情とシンフォニックな味わいも感じさせる。
マシンガンのようなツーバス連打など、ドラムの技量(と体力)もかなりのもので、
カッチリとしたリズムと演奏力のおかげで、プリミティブな妖しさはさほどないのだが、
ダニ・フィルスを野太くしたようなヴォーカルも含めて、本格派ブラックメタルとしての荘厳な迫力も十分。
2作目、3作目と、作風が変化してしまうのだが、本作はサタニック・ブラックの傑作として語り継がれるだろう。
ドラマティック度・・7 暴虐度・・9 叙情度・・7 総合・・8
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FUNERIS NOCTURNUM 「From The Aspect Of Darkly Illuminated」
フィンランドのブラックメタル、フューネリス・ノクターナムの2001年作/邦題「聖なる復讐」
暴虐サタニック・ブラックの頂点を極めたような前作から、2作目となる本作は、トレモロを含むギターリフに
うっすらとしたシンセとダミ声ヴォーカルを乗せて激しくブラスト疾走しつつ、いくぶんモダンになった印象。
ミドルやスローテンポを盛り込んだ緩急ある構築力と、ほどよく叙情を感じさせるギターフレーズ、
美麗なシンセアレンジとともに、シンフォニックでメロディックブラック的な聴きやすさも増している。
マシンガンのような激烈なドラムの迫力など、リズム面での演奏力の高さはやはりシーン屈指で、
低音グロウルを含むヴォーカルの表現力も見事。デスメタル寄りの部分は、BEHEMOTHにも通じるかも。
ボーナストラックは、MANOWARのデスメタル風カヴァー。ボーナス入れて全37分ながら、わりと濃密デス。
ドラマティック度・・7 暴虐度・・8 荘厳度・・8 総合・・8 
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FUNERIS NOCTURNUM「CODE 666-RELIGION SYNDROME DECEASED」
フィンランドのブラックメタルバンド、フューネリス・ノクターナムの3rd。2003年作
ファストな本格派ブラックメタルとしてデビューしたこのバンドだが、3作目となる本作では、サウンドがよりクリアーに
ぐっと聴きやすくなっている。サイバーな雰囲気を随所に折り込みつつ、ギターとキーボードの重ねによる
メロディックな味わいを強め、ブラストで疾走する暴虐さはそのままに、モダンな感触が加わって完成度が増した。
激しくもスペイシーでサイバーな、甘すぎないシンフォニック・ブラックメタルアルバムである。
メロディアス度・・7 暴虐度・・8 モダンアレンジ度・・8 総合・・8
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FURIA「A La Quete Du Passe」
フランスのゴシック・ブラックメタルバンド、フューリアの2001年作
シンフォニックなシンセとけっこうクサメロのギターフレーズで聴かせるサウンド。
ホラー映画的なコンセプトがあるらしく、ゴシックメタル的な耽美なドラマ性も感じられ、
そういう点ではCradle of Filthにも通じるか。雰囲気的には悪くはないのだが、
音がやや軽めな点とバタバタした曲展開がいまひとつ印象に残りづらいか。
女性コーラスなども入ってきて盛り上がる部分などはなかなかいい感じだ。
シンフォニック度・・7 暴虐度・・7 耽美度・・8 総合・・7.5

FURIA「Un Lac de Larmes et de Sang...」
フランスのエピック・ブラックメタル、フューリアの2003年作
2001年にデビュー、本作は2作目で、美麗なシンセと女性声によるイントロで幕を上げ、
ツインギターによるリフと低音のダミ声ヴォーカルを乗せた、シンフォニックなブラックメタルを聴かせる。
随所に激しい疾走パートも含みつつ、STORMLORDにも通じるエピックな世界観とともに、
メロデス的な叙情フレーズを奏でるギターを乗せたサウンドは、暴虐さは控えめでわりと聴きやすい。
リズムチェンジによるドラマティックな展開力や、女性ヴォーカルが加わったり、どことなくゴシック寄りの
耽美な雰囲気も感じさせて、ヨーロピアンな空気感に包まれているのがなかなか魅力的デス。
ドラマティック度・・8 暴虐度・・7 壮麗度・・7 総合・・7.5
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FURZE 「TRIDENT AUTOCRAFT」
ノルウェーのブラックメタル、ファーゼの2000/2006年作
ドラム、ベース、ギター、ヴォーカルをほぼ一人でこなす、Woe J. Reaper氏による独りブラックメタルのデビュー作で、
こもり気味のドラムにノイジーなギターとダミ声ヴォーカルを乗せた、いかにもプリミティブなブラックメタル。
激しいブラスト疾走からスローテンポまで、わりと緩急ある作風であるが、スカスカの音質の弱さも含めて、
暴虐性はさほど感じず、初期BURZUMにも通じるような、どんよりとしたおどろおどろしさに包まれている。
ラストは12分という大曲で、アヴァンギャルドな雰囲気も覗かせながら、後半は淡々としたドラムソロという謎。全31分。
ドラマティック度・6 暴虐度・7 プリミティブ度・8 総合・7
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G

GARDENIAN「SOULBURNER」
スウェーデンのメロデスバンド、ガーデニアンの2nd。1999作
1stは確か日本盤も出ていたと思う。いわゆるIN FLAMES系のサウンドだが
メロディアスでありながらスラッシーな硬質感を合わせ持っているバンドである。
ゲストシンガー(元ARTCH)のクリーンボイスや女性コーラスなども効果的。
曲によってはクリーン声がメインとなり、全体的に硬質さとマイルドさのバランスがとれた聴き心地。
正統派メタル好きのメロデスファンにもお薦めデス。
メロディアス度・・7 暴虐度・・7 ヘヴィメタル度・・8 総合・・7.5
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GARMSKRIK 「FIMBULWINTER(Великанская зима)」
ロシアのペイガンブラックメタル、ガルムスクリクの2019年作
トレモロを含むツインギターのリフにダミ声ヴォーカルを乗せ激しくブラスト疾走する
プリミティブな荒々しさと適度にメロディックな味わいを含んだペイガンブラックメタル。
北欧メロブラ的でもある涼やかな感触に、随所にアコースティックパートも挿入するなど、
緩急ある流れとともに、ネイチャーブラック的でもある神秘的な空気感も描き出す。
甘すぎない叙情性は激しい暴虐性のバンラスもよいので、マイナー臭さは感じられない。
全体的にこれだというインパクトはないのだが、今後に期待できるポテンシャルはありますな。
ドラマティック度・・7 暴虐度・・7 涼やか度・・8 総合・・7.5
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Gartraada 「A Night Of Winter Solstice」
ロシアのメロディック・デスメタル、ガートラーダの2013年作
ツインギターにシンセを含む5人編成で、適度にメロディックなギターにうっすらとしたシンセ、
低音のダミ声ヴォーカルを乗せ、激しい疾走よりはミドルテンポを主体にしたサウンドを聴かせる。
デスメタル的な暴虐性というのは薄く、ツインギターによるメロディックな叙情が前に出ると、
むしろゴシックメタル的な雰囲気でも聴けたりする。アルバム後半にようやく疾走ナンバーがあるのだが、
全体的にはまったり系メロデスというべきか。もう少しインパクトか、大仰な濃密さでもあれば。
ドラマティック度・・7 暴虐度・・6 楽曲・・7 総合・・7


GATES of ISHTAR 「The Dawn of Flames」
スウェーデンのメロディック・デスメタル、ゲイツ・オブ・イシュターの1997年作
IN FLAMESやDARK TRANQUILLITYなどの登場により、90年代後半は北欧のメロデスブームが盛んになったが
そのメロデス第二世代というべきバンドの2作目。ツインギターのリフと吐き捨てヴォーカルを乗せて激しく疾走しつつ、
随所にメロディックな叙情フレーズを含んだなかなかクオリティの高いサウンドが楽しめる。
うっすらとしたシンセによる味付けも北欧らしい物悲しさを感じさせ、全体的にはデスというほどの暴虐さはなく、
むしろAT THE GATESのようなメロデスラッシュ的な雰囲気も強いかもしれない。バンドは3作を残して消滅する。
ドラマティック度・・7 暴虐度・・7 北欧度・・8 総合・・7.5
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GEHENNA「Seen Through the Veil of Darkness」
ノルウェーのブラックメタルバンド、ゲヘナの1st。1995作
ブリミティブでミスティックな雰囲気とともに、シンセ入りで聴かせる美しきサウンド。
ブラストビートなどの激速リズムは比較的抑え目で、この手の初期型ブラックメタルにしては
非常に聴きやすい。ヴォーカルは絶叫しているが、邪悪な雰囲気よりは薄暗い美意識を感じ、
メロディにある土着的な雰囲気もいい味になっている。2nd以降は幻想的な作風を脱し、
徐々にブラックメタルから離れてゆくが、本作の美しさは名作として語り継ぐに足るものである。
メロディアス度・・8 暴虐度・・7 ミスティック度・・9 総合・・8
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GERM「GRIEF」
オーストラリアのポストブラックメタル、ゲルムの2013年作
DUNGEONやLORDなどに在籍し、Autumn's Dawnなどで活躍するティム・ヤトラスによるプロジェクトで、
本作は2作目となる。妖しいジャケのイメージが印象的だが、靄のかかったようなシンセに包まれて、
トレモロのギターに泣き叫ぶようなヴォーカルを乗せて、ほどよい激しさも含んだメランコリックなサウンド。
随処に叙情的なギターの旋律もまじえつつ、曲によってはエレクトロなシューゲイザー感もあったりと、
全体的には暗黒性は控えめで、きらびやかなシンセアレンジも含めたシンフォニックな感触も覗かせる。
優美なシンセにノーマルヴォーカルを乗せたしっとりとしたナンバーは、ポストプログレ風にも味わえる。
2016年の再発盤は2枚組で、Disc2には、オンラインのみで発表されたアンビエントな2曲を30分弱収録。
ドラマティック度・7 暗黒度・7 叙情度・8 総合・8
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Ghost Bath 「Moonlover」
アメリカのポストブラックメタル、ゴースト・バスの2015年作
2013年にデビュー、本作は2作目となる。グアテマラの写真家、ルイス・ゴンザレス・パルマによるジャケも印象的だが、
物悲しいイントロ曲で幕を開け、トレモロのギターリフを乗せてブラスト疾走する、ミステリアスなブラックメタルを聴かせる。
随所に叙情的なフレーズも覗かせつつ、Alcestを激しくしたような聴き心地で、疾走しつつもメランコリックという味わいだ。
やわらかなピアノによるアンビエントなパートなど、静と動の緩急ある構成で、大胆なアレンジセンスも光っている。
泣き叫ぶように絶叫するヴォーカルはやや耳障りだが、さほどダークな暗黒性は感じられず、叙情性が前に出た作風は
ブラックメタルが苦手な方にも入りやすいだろう。激しさと幻想的な美しさが同居した、新たなポストブラックの形を描いた力作だ。
ドラマティック度・・7 激しくブラスト度・・8 しっとり叙情度・・8 総合・・8
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Ghost Bath 「Starmourner」
アメリカのポストブラックメタル、ゴースト・バスの2017年作
2013年にデビュー、本作は3作目となる。夜の気配を感じさせるピアノによる物悲しいイントロから、
メロディックなツインギターのフレーズが響き渡り、絶叫するヴォーカルとともに激しくブラスト疾走。
クサメロ寄りのギターはときにブラックメタルとは思えないほどに爽快な感触で、
このキャッチー要素をダークで妖しい空気感に同居させたところがなかなか個性的である。
トレモロのギターフレーズなど、Alcestなどに通じるしっとりとした泣きの叙情も含ませつつ、
こちらはもう少し荒削り感が強めなのだが、その分激しく疾走する部分のノリの良さで楽しめる。
ドラマティック度・・8 ちゃんと激しさ度・・8 叙情度・・8 総合・・8
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GHOST BRIGADE「Isolation Songs 」
フィンランドのゴシック・デスメタル、ゴースト・ブリゲードの2009年作
本作は2作目で、ツインギターのヘヴィなリフにデスヴォイスを乗せ、不穏な空気感を描き出す
モダンなゴシック・デスメタルサウンド。メランコリックな叙情が加わるとSENTENCEDなどに通じる雰囲気で、
ノーマルヴォイスによるゆったりとしたパートと、デス声の入りのアグレッシブなパートのとの対比は、
かつてのOPETHなどを思わせる構築力である。ギターの奏でる泣きのメロディも随所によい感じで、
シンセによる美しいアレンジも含んだ9分の大曲では、Swallow The Sunばりの物悲しい空気を描き出す。
本作の時点で、すでにバンドとしての方向性と楽曲のクオリティはしっかりと確立している、高品質な力作だ。
ドラマティック度・・8 メランコリック度・・8 北欧度・・8 総合・・8
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Ghost Brigade 「Until Fear No Longer Defines Us」
フィンランドのメランコリック・ドゥームデスメタル、ゴースト・ブリゲードの2011年作
3作目となる本作も、SENTENCEDを思わせるもの悲しい叙情と、ノーマル声とデスヴォイスを使い分ける
OPETHのような知的な構築性、そしてドゥーミーなヘヴィさで聴かせるサウンドを聴かせる。
KATATONIAのようなアンニュイさを漂わせつつ、ときにメロウなギターフレーズで盛り上げる。
ドゥーム/ストーナー的な生々しさを非常にヘヴィな部分で表現しているといってもよいかもしれない。
ただのドゥームでもゴシックでもない、これまでありそうでなかったメランコリック・ヘヴィメタルである。
ドラマティック度・・8 メランコリック度・・8 重厚度・・8 総合・・8
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GHOST BRIGADE「IV」
フィンランドのゴシック・デスメタル、ゴースト・ブリゲードの2014年作
前作はOPETH+SENTENCEDというような好作品であったが、4作目となる本作もツインギターの重厚なリフと
メロディックなフレーズを乗せた、北欧らしいメランコリックな叙情のゴシック・メロデス的な聴き心地。
ヴォーカルは低音のデスヴォイスであるが、曲によってはノーマルヴォイスで歌っていて、
ギターによるメロディックなフレーズが前に出ていることもあって、デスというよりはゴシック寄りの感触だ。
5〜6分のナンバーを中心に、10分を超える大曲もあり、4作目にして楽曲の構築センスにも磨きがかかっている。
ENTWINEあたりにも通じるフィンランド独特の倦怠の翳りに包まれたキャッチーなメロディアス性に、
ドゥームメタル的なザラついた雰囲気もいくぶん残していて、どっしりとした重厚な味わいで楽しめる力作です。
ドラマティック度・・8 メランコリック度・・8 北欧度・・8 総合・・8
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GLORIA MORTI 「LIFESTREAM CORROSION」
フィンランドのメロデスバンド、グロリア・モルティの2004年作
女性Keyを含む6人組。疾走しながらシンフォニックなキーボードが乗る様はメロブラ風の音なのだが、
Voの声質が典型的なデス声(昔のデスメタルバンドのように低音の「ずむおぉぉ」タイプ)なので、
そこが気にならなければ、なかなかクオリティの高いサウンドだと思う。
疾走部分はシンフォニックなメロブラで、ミドルテンポ部分はザクザクとした
ヘヴィギターのデスメタル…という、これは案外新しい合体の仕方かもしれない。
モダンなメロデスが好きな方にはお勧め出来ないが、ザクザクなデスメタも好きという方は聴いて損はない。
メロディアス度・・7 暴虐度・・9 かなりザクザク度・・8 総合・・7.5
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GLORIA MORTI 「Kuebiko」
フィンランドのメロディック・デスメタル、グロリア・モルティの2016年作
聴くのは2004年作以来なのだが、地道に活動を続けていたのですね。サウンドの方は、
低音デスヴォイスを乗せてブラスト疾走する、ブラックメタル寄りのブルータルな聴き心地。
ギターのリフは適度にメロディックで、随所に叙情的なフレーズも入りつつも、全体的には甘すぎない硬派の感触で、
ブルータルデスメタルの重厚さにブラックメタルの激しさ、そしてメロデスの感触を合わせたという雰囲気である。
演奏力もしっかりとしていて音の迫力も十分なのだが、これだというインパクトに欠けるのが惜しい。
楽曲自体にフックのある展開がもう少し欲しいか。クオリティはちゃんと高いんデスけど。
ドラマティック度・・7 暴虐度・・8 楽曲・・7 総合・・7.5
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Gnaw Their Tongues 「L'arrivee De La Terne Mort Triomphante」
オランダのエクスペリメンタル・ブラックメタル、グノウ・ゼア・トングスの2010年作
マウリス・デ・ヨングによる独りユニットで、2006年にデビュー。本作はすでに7作目となる。
男女混声コーラスと、ノイジーなギター、絶叫するヴォーカル、ドラムが混然一体となった、
サウンドスケープ、ポストロック的な妖しさと、荘厳なスケール感を描くような異色の世界観。
ダークアンビエント、ノイズ、ドローン、インダストリアルの要素をブラックメタルばりの暗黒性で塗りつぶし、
ときにクラシカルなピアノなど耽美な空気も覗かせ、アヴァンギャルドなELENDというような聴き心地もある。
7〜11分という大曲ばかりで、曲というよりは混沌とした耽美な音の塊を味わうというところは、
カルトでダークなアヴァンミュージック好きには脳が心地よいことこの上ない。新時代の暗黒魔王です。
ドラマティック度・・8 メタル度・・5 暗黒度・・9 総合・・8
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GODGORY「RESURRECTION」
スウェーデンのメロデス/ゴシックバンド、ゴッドゴリーの3rd。1999作
ゆったりしたテンポにへヴィなギター、浮揚感漂う曲調に、囁くようなVoと、一聴してPALADISE LOSTを想起させる。
曲によってはデスメタル的な激しさも見せたり、キーボードを乗せた美しい劇的パートなどもあったりするが、
全体として曲、メロディとも練りこみがもう一歩足りない。雰囲気はいいものを持っている。
メロディアス度・・6 デス度・・6 ゴシック度・・7 総合・・6


Gormathon 「Following the Beast」
フィンランドのメロディック・デスメタル、ゴルマソーンの2014年作
ツインギターの硬質なリフと低音のデスヴォイスを乗せた、どっしりとした聴き心地のサウンド。
ミドルテンポを主体に、随所に叙情的なギターフレーズやクリーンヴォーカルも含んだ
メランコリックな味わいはいかにもフィンランド的である。楽曲は3〜4分台中心でわりとシンプルで、
激しい疾走というのもないので暴虐性が薄い分、メロデスというには物足りなさもあるかもしれないが、
むしろゴシックとデスの中間という重厚な味わいというべきか。アルバム中盤には疾走するパートもあり、
AMON AMARTHあたりに通じるエピックな雰囲気は悪くないので、その路線でいった方が受けは良いように思う。
ドラマティック度・・7 重厚度・・8 楽曲・・7 総合・・7
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GRAILIGHT 「Sic Luceat Lux」
ロシアのシンフォニック・デスメタル、グレイライトの2019年作
艶やかなヴァイオリンの音色に美しい女性ヴォーカルで幕を開け、ヘヴィなギターにグロウルを乗せて激しくブラスト疾走、
美麗なシンセアレンジやストリングスを乗せたシンフォニック性に、緩急あるリズムチェンジによるテクニカル性と、
随処にソプラノ女性ヴォーカルによる優美な味わいも含んだ、クラシカルでアヴァンギャルドなデスメタルを聴かせる。
Ebonylakeあたりにも通じる、せわしない展開とオペラティックな美意識が混在したスタイルで、たたみかける激しさの中にも、
オーケストラルな壮麗さに包まれた優雅な味わい。アルバム後半には7〜9分の大曲がずらりと並び、シンフォブラック風から、
THERIONHAGGARDのような壮麗なナンバーなど、濃密すぎるクラシカル・デスメタルが楽しめる全75分の力作デス。
シンフォニック度・・9 暴虐度・・8 壮麗で濃密度・・9 総合・・8.5
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Gravestone 「Ars Arcana」
イタリアのプログレッシブ・デスメタル、グレイヴストーンの2021年作
1994年にEPのみを残して消えたバンドが、2017年に復活し、本作は初のフルアルバムとなる。
シンセを含む5人編成で、シネマティックな語りの入ったイントロから、メタリックなギターに美麗なシンセを重ね、咆哮するデスヴォイスとともに、緩急ある展開力のデスメタルを聴かせる。
リズムチェンジを多用したドラマティックな構築力に、きらびやかなシンセワークが楽曲を彩り、イタリアらしい濃密でシアトリカルなサウンドが味わえる。
ときにブラックメタルばりの暴虐なブラスト疾走に、優美なピアノや女性ヴォーカルを加えたシンフォニックなパートも覗かせて、Ebonylakeあたりにも通じる混沌としたアヴァンギャルド性は好き者にはたまらないだろう。STORMLORDのクリスティアーノ・ボルチ、Rhapsody Of Fireのジャコモ・ヴォイルがゲスト参加。
ドラマティック度・8 暴虐度・7 アヴァンギャル度・8 総合・8
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GRAVEWORM「WHEN DAYLIGHT'S GONE & UNDERNEATH THE CRESCENT MOON」
イタリアのシンフォニック・ブラックメタル、グレイブワームの1stに4曲入りミニアルバムを加えた韓国盤。2002作
現在では、世界的に見ても素晴らしいシンフォブラックバンドとなった彼らだが、
この1stの時点では疾走感は多少抑え気味で、メロデスとゴシックの中間という雰囲気。
3rd以降のクオリティには及ばないが、ツインギターのメロディアスさや、
シンセなどのアレンジを含めて、やはり良質のセンスを持っていたことを確認。
4曲入りミニのラストはHELLOWEENの「How Many Tears」のシンフォブラックカヴァー(笑)
シンフォニック度・・7 暴虐度・・7 ゴシック度・・7 総合・・7.5
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GRAVEWORMAs THe Angels Reache THe Beauty
イタリアのシンフォニックブラックメタルバンド、グレイブワームの2nd。1999年作
この手のシンフォブラックの中でもゴシック風の耽美な雰囲気があって、好きなバンド。
女性シンセ奏者の奏でる美しいシンセアレンジに、ゲストのストリングスカルテットが加わって、
非常にクラシカルかつシンフォニックな美しさをかもしだしている。
絶叫Voを乗せて疾走しつつ、とても美麗な質感があるのがこのバンドの特徴で、
ゴシックメタル好きにも聴かせられるくらいのサウンドだ。ルイス・ロヨによる美麗なジャケも良い。
シンフォニック度・・9 暴虐度・・7 耽美度・・8 総合・・8
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GRAVEWORM「SCOURGE OF MALICE」
イタリアのメロディックデスメタルバンド、グレイブワームの3rd。2001年作
今作もSKYLARKなどのジャケでおなじみのLOUIS ROYOのイラストがよい感じです。
オーソドックスなシンフォニック・ブラックで、突進するリズムの上を扇情的なギターと、美しいキーボード、
そこにブラックメタル的なダミ声ヴォーカルが乗るという、しごく正統派のシンフォニック・ブラックサウンド。
ヴァイオリンなどの物悲しいメロディがゴシック的でもある耽美な要素をかもし出している。前作同様の傑作です。
シンフォニック度・・8 暴虐度・・7 耽美度・・8 総合・・8
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GRAVEWORM「ENGRAVED IN BLACK」
イタリアのシンフォニック・ブラックメタルバンド、グレイブワームの4th。2003年作
泣きの叙情シンフォニック+激しい疾走という、完成度の高いバンドだったが、
今作ではさらに、激しくも美麗なサウンドに重厚な説得力が加わっている。
ブラックメタルとしての突進力と煽情的なメロディのバランスもじつに見事で、
静寂パートでの耽美性はゴシック的でもあり、壮麗なキーボードが音に厚みを加える。
STORMLORDと共にイタリア産のシンフォブラックとして一線級に来たという印象の傑作。
シンフォニック度・・9 暴虐度・・8 楽曲・・8 総合・・8.5 ◆メタル名盤特選入り
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GRAVEWORM「[N]UTOPIA」
イタリアのシンフォニック・ブラックメタルバンド、グレイブ・ワームの5th。2005作
暴虐さとシンフォニック性のバランス、ゴシック的な耽美&ロマンティックな雰囲気は
CRADLE OF FILTHのイタリア版といっても差し支えはないレベルかと思う。
今回は前作の超美麗なシンフォニック路線からはやや異なり、よりパワフルに重厚度を増した作風になった。
一聴した感じ、華麗な部分が薄れ、かわりにデスメタル的な部分が増している気もするが
サウンドの厚みを含めて、クオリティ的にはやはりワールドクラスの作品だと思う。
シンフォニック度・・8 暴虐度・・8 ゴシック度・・7 総合・・8
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GRAVEWORM「Collateral Defect」
イタリアのシンフォニック・ブラックメタルバンド、グレイブ・ワームの6th。2007年作
初期のシンフォニックブラック路線から、前作ではデスメタル的なモダンさへとシフトし、
本作もその延長上のサウンド。美しいシンセワークで疾走しつつ、随所にモダンなヘヴィネスを盛り込み、
テクニカルなギターリフやノーマルヴォイスなども使った、いわば昨今のスタイリッシュなメロデス風に聴かせる。
全体的な質はなかなか高いのだが、やはり4thまでが好きだった身には少し微妙か。力作ではある。
シンフォニック度・・7 暴虐度・・7 スタイリッシュ度・・8 総合・・8
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GRAVEWORM「Diabolical Figures」
イタリアのシンフォニック・ブラックメタルバンド、グレイブ・ワームの7th。2009作
デビューからすでに10年以上の中堅バンドで、クオリティの高いシンフォブラックは本作でも健在。
5thあたりから重量感を強めてきたそのサウンドは、低音のデスヴォイスを乗せて疾走しつつ、
女性奏者の美しいシンセワークとともに、デスメタル的シンフォブラを聴かせる。ただ2n〜4thに比べると
美麗さの点ではやはり薄まってきているか。もちろんその辺のバンドよりは遥かに質が高いが。
シンフォニック度・・7 暴虐度・・7 重厚度・・8 総合・・8
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GRAVEWORM「Fragments of Death」
イタリアのシンフォニック・デスメタル、グレイヴワームの2011年作
1997年にデビューし、初期はゴシック要素もある耽美なシンフォニック・ブラックメタルであったが、
しだいにメロデス的な色合いを強めてゆき、本作が8作目となる。すでに中堅バンドというべきキャリアである。
低音デスヴォイスが咆哮するブルータルなデスメタル色を基本にしつつ、シンセによる美麗なアレンジと、
前々作あたりからのモダンなヘヴィネスとともに、今作では荘厳で邪悪な雰囲気がより強まってきている。
一方では、曲によってはかつてのようなゴシック的な耽美さも戻ってきていて、東日本大震災をテーマにした曲など、
メランコリックな叙情美も感じさせる。
全体的にも重厚かつ高品質な力作に仕上がっている。
シンフォニック度・・7 暴虐度・・8 重厚度・・8 総合・・8
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The GREAT OLD ONES「EOD - A Tale of Dark Legacy」
フランスのブラックメタル、グレート・オールド・ワンズの2017年作
名前の通りクトゥルフ神話をコンセプトにするバンドで、アルバムタイトルは「Esoteric Order of Dagon(ダゴンの難解な命令)」の略。
厚みのあるギターリフを乗せて激しいブラスト疾走する、オールドスタイルのブラックメタル感触とともに、
遠くから霞むような邪悪な絶叫ヴォーカルを乗せ、かつてのEMPERORのような荘厳なスケール感を描き出す。
9分、11分という大曲を、スローテンポを含んだ緩急ある展開力で構築する、アレンジセンスも一級品だ。
不穏な空気感に甘すぎない程度の叙情性も盛り込んで、ダークでドラマティックなブラックメタルが楽しめる傑作。
ドラマティック度・・8 暴虐度・・8 荘厳度・・9 総合・・8.5
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The Great Old Ones 「Cosmicism」
フランスのブラックメタル、グレート・オールド・ワンズの2019年作
2012年にデビューし、4作目。バンド名「古きものたち」のようにクトゥルー神話をコンセプトにしていて、
叙情的なイントロから、トレモロを含む不穏なギターリフにダミ声ヴォーカルを乗せて激しくブラスト疾走する
ミステリアスなスケール感に包まれたブラックメタルを展開。暴虐に疾走しつつも、ツインギターのフレーズと
うっすらとしたシンセアレンジがほどよい叙情をかもしだし、涼やかでスペイシーな幻想性を感じさせる。
10分前後の大曲も荘厳な迫力と緩急ある展開力で、激しいだけでないドラマティックな世界観を描いていて、
不穏なラスト曲のタイトルは「ナイアーラトテップ」で、クトゥルーファンにはたまらない。暗黒幻想ブラックの強力作。
ドラマティック度・・8 暴虐度・・8 荘厳度・・8 総合・・8 
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GRIM FUNERAL 「Abdication Under Funeral Dirge」
スペインのブラックメタル、グリム・フューネラルの2013年作
ノイジーなギターと低音のダミ声ヴォーカルを乗せ、BURZUMを思わせる闇に包まれたサウンド。
フューネラルなダークさと絶望感、19分、15分、25分、15分という大曲による構成も圧巻で、
トレモロのギターリフによる寒々しい叙情性も含めて、暗黒美にどっぷり浸れる作風だ。
ゆったりとしたスローパートから、随所に激しいブラストも入った楽曲のメリハリもあるのだが、
どこかシアトリカルな絶叫ヴォーカルも含めて、長い曲はややクドいと感じてしまうところも。
フューネラルな雰囲気は嫌いではないので、もう少し曲を短くしてください。笑
ドラマティック度・・8 暴虐度・・7 暗黒度・・8 総合・・7.5
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GYRDLEAH 「SPELLBINDER」
イギリスのブラックメタル、ギルドレアの2023年作
Flagrum氏による個人ユニットで、2017年にデビューし、2作目。不穏なギターフレーズに吐き捨てヴォーカルを乗せ、ドゥーミィな暗黒性に包まれたスローテンポから、激しくブラスト疾走するプリミティブなブラックメタルを聴かせる。
涼やかな叙情性を含んだギターのトーンとともに、カスカディアンブラック的でもある荒涼とした幻想的な空気に包まれながら、トレモロを盛り込んだり、ゆったりとした曲調から暴虐なブラストへといういう緩急ある展開力なども、なかなかドラマティック。
甘すぎない、暗黒すぎない、激しすぎないという、バランスの良さもあって、わりと耳心地よく楽しめる。全41分という長さもちょうどよい。
ドラマティック度・8 暴虐度・7 暗黒度・8 総合・8
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H

HAAR 「The Wayward Ceremony」
イギリスのブラックメタル、ハールの2015年作
ツインギターの5人編成で、デプレッシブなダミ声ヴォーカルを乗せて激しく疾走しつつ、
プログレッシブで知的な構築力も感じさせるサウンド。10分前後の大曲も多く、
重厚なスローパートを説得力たっぷりに聴かせる禍々しい音の迫力も十分。
緩急の付いたアレンジと展開力にもバンドとしての実力を感じさせ、
ざらついたギターリフでたたみかけながらときにトレモロの叙情性も覗かせる。
ダークなスケール感を含んだ、まさに新世代のモダン・ブラックメタルの力作だ。
ドラマティック度・・8 暴虐度・・7 重厚度・・8 総合・・8
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HALPHAS 「DAWN OF A CRIMSON EMPIRE」
ドイツのブラックメタル、ハルファスの2017年作
ほどよい叙情を含んだギターに吐き捨てヴォーカルを乗せて、激しくブラスト疾走、
緩急あるリズムチェンジに、トレモロのギターリフを含む甘すぎないメロディアス性で
禍々しくも幻想的なブラックメタルを聴かせる。激しくとも重すぎないサウンドは、ほどよくマイナーな
初期ブラックのプリミティブな怪しさも残していて、どっしりとしたスローパートでは荘厳な迫力がにじみ出る。
ラストの9分の大曲も、ゆったりとした中に、じわりと暗黒が香るようにして、その世界観に浸れます。
ドラマティック度・7 暴虐度・8 ブラッケン度・8 総合・8
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Harrow 「Fallow Fields」
カナダのネイチャーブラックメタル、ハロウの2015年作
土着的な神秘性と、寂寥感ただようダークな世界観に包まれて、ダミ声ヴォーカルを乗せ、
こもり気味のドラムとともに疾走する、WOLVES IN THE THRONE ROOMなどにも通じるサウンド。
こちらの方がよりローカルなスカスカ感が強いので、おどろおどろしい迫力というのはあまりない。
ときにヴァイオリンやチェロの音色が加わった優雅な叙情も覗かせ、14分、8分、8分、12分という
大曲4曲という構成もいかにもな感じであるが、サウンドのチープさが説得力を半減しているのが残念。
カスカディアン・ブラックメタル系のディープなファンなら、それなりには楽しめるでしょう。
ドラマティック度・・8 暗黒度・・7 神秘的度・・8 総合・・7
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HATEFORM「DOMINANCE」
フィンランドのメロデスバンド、ヘイトフォームの2008作
ジャケは地味ながら、サウンドは今どき珍しいくらいのオールドなメロデスラッシュ。
激烈に疾走しつつ、ドラマティックな展開を織りまぜたなかなか高品質なサウンドで、
シンセの類はいっさい使わずにツインギターのフレーズのみで叙情を表現するのがよい。
ザクザクとしたリフでスラッシーにたたみかけつつ、流麗なギターワークを聴かせるあたりは
初期のARCH ENEMYなどにも通じる感触がある。デスラッシュ的なエクストリームメタル高品質作。
メロディアス度・・7 暴虐度・・8 デスラッシュ度・・8 総合・・8
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Havamal 「The Shadow Chapter」
スウェーデンのペイガン・ブラックメタル、ハヴァマルの2021年
2019年にデビューし、2作目となる。シンフォニックなシンセアレンジをギターに重ね、デスヴォイス寄りのヴォーカルを乗せて、
激しく疾走するシンフォニック・ブラックメタル。ギターのリフにはメロデス的な感触があり、クワイアを含む美麗なシンセに、
随所にメロデッィクなギターフレーズも覗かせて、暴虐さよりも叙情美めの作風で、いわばペイガンな北欧メロデスという作風だ。
ときおりブラスト疾走も現れるが、全体的にはミドルテンポのパートも多く、激しすぎるシンフォブラックが苦手な方にも楽しめるだろう。
勇壮にして壮麗なシンセアレンジは、TURISASなどにも通じるところもある。北欧神話をテーマにした、きらびやかな高品質作である。
ドラマティック度・8 暴虐度・7 ペイガン度・7 総合・8
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HEARSE 「Dominion Reptilian」
元Arch Enemyのヨハン・リーヴァ率いる、ハースの2003年作
古き良き感触のヘヴィなギターリフに、迫力あるデスヴォイスを乗せたスタイルで、
随所にメロディックなフレーズを奏でるギターとともに、初期のアチエネに近い雰囲気である。
曲によってはオールドなハードロックにデス声を乗せたという感じもあって、
デスメタル的な疾走感はさほどでもないので、激しさの点では物足りないかもしれない。
メロディック度・・7 暴虐度・・6 楽曲・・7 総合・・7.5
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HEARSE「Armageddon, Mon Amour」
Arch Enemyのヨハン・リーヴァが在籍する、ハースの2nd。2004作
先に2006年の4thを聴いてとても気に入っていたのだが、このアルバムでもMotorhead的な
ダーティな突進力と北欧メロデスを融合させたようなデスロールサウンドを聴かせてくれる。
オールドな雰囲気の中にもツインギターのフレーズには聴きやすいメロディもあり、
暴虐さというよりもノリの良さで楽しめるような音楽性だ。本作の時点では、曲によっては
まだARCH ENEMY風のリフもあったりして、楽曲的には突き抜けたものはないのだが、
演奏の質は高く、オールドなメロデス風味が好きな方なら充分楽しめるだろう。
メロディアス度・・7 暴虐度・・7 デスロール度・・8 総合・・8
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HEARSEIn These Veins
Arch Enemyのヨハン・リーヴァが在籍する、ハースの2006作
アーエネ自体もファンでないので、彼のヴォーカルについてもあまり記憶にないのだが、
ツインギターで聴かせるオールドスタイルのメロデスサウンドは、先入観なしに楽しめる。
咆哮するスクリームヴォイスと、甘すぎないギターフレーズが一体となって
重厚に突進してゆく楽曲は、昨今流行りのモダンさに流されることなく、
自らの立ち位置をしっかりと見極めたような自信と質の高さが伺える。
リフの構築でドラマティックに世界観を描きつつ、Motorheadばりのデスロールな感覚が
なかなか爽快だ。久々にまっとうなメロディックなデスメタルを聴いたという感じがした。
ドラマティック度・・8 暴虐度・・7 デスロール度・・8 総合・・8
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HEARSESingle Ticket to Paradise
Arch Enemyのヨハン・リーヴァが在籍するメロデスバンド、ハースの2009年作
アーエネがモダン化した現在にあって、しごくまっとうなメロディックデスとしての
このバンドの存在価値は大きい。見事な傑作であった前作に続き、5作目となる本作は
ずいぶんとキャッチーに始まるが、疾走が始まるとかつてのThe Crownを思わせるような
メロデスラッシュンロールでにんまり。初期のARCH ENEMYを思わせる部分も残っていて、
メロディアスなギターフレーズと古き良きリフの組み合わせも、もはやこのバンドのお家芸だろう。
今まで以上に聴きやすいサウンドはもっと多くのファンを得てもいい出来だ。
ドラマティック度・・8 暴虐度・・7 デスロール度・・8 総合・・8
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HECATE ENTHRONED「THE SLAUGHTER OF INNOCENCE,A REQUIEM FOR THE MIGHTY」
英国のシンフォニック・ブラックメタルバンド、ヘカテ・エンスロンドの1st。1997年作
サウンドは音質の悪さも手伝って、同郷のCRADLE OF FILTHあたりよりはずっと真性に近い。
キーボードをたっぷり使い、激速リズムのバックは非常にシンフォニックで美しくすらあるが、
まがまがしく、不気味で、本物の凶悪さを有する雰囲気はEMPERORの1stあたりにも近いか。
霧のかかったような幻想性に包まれた、闇の気配のシンフォニックブラックが楽しめる。
2作目までは同路線のサウンドだが、3rdからはメロデスに近いドライな音に変貌する。
シンフォニック度・・8 暴虐度・・8 Voはカラス声度・・10 総合・・8
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HECATE ENTHRONED 「Dark Requiems...And Unsilent Massacre」
イギリスのシンフォニック・ブラックメタルバンド、ヘカテ・エンスロンドの2nd。1998作
実に美麗かつ耽美なシンセワークとともに疾走するスタイルで、
サウンドにはまるでノルウェーのバンドのようなプリミテイブなマイナー感がある。
ぎゃあぎゃあとカラスのような声でわめき散らすヴォーカルは耳障りだが、
ともかくこのシンフォニックなキーボードの美しさですべてを許せてしまう。
B級臭くてもよいから美麗な疾走ブラックが聴きたいの方や、COFの1stが好きならぜひ。
シンフォニック度・・8 暴虐度・・7 耽美度・・8 総合・・8
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HECATE ENTHRONED「KINGS OF CHAOS」
イギリスのメロディアスブラックメタルバンド、ヘカテ・エスロンンドの3rd。
英国産ブラックとしてはCRADLE OF FILTHに続くキャリアの彼らだが、そのサウンドはCOFよりは
ブラックメタル度(つまりB級度)が高く、暴虐度も本気度も「真性」のそれに近いものがあった。
しかし今作では、音質の向上とともに楽曲の方も「メロデス」的な音作りが目立ち、比較的聴きやすくなっている。
個人的には以前の「本物のブラックメタル的」激烈サウンドがキワモノっぽくて良かった気がするが、
一般リスナーに受け入れられるのはこちらの音なのだろう。ギターもシンセもなかなかにメロディアス。
メロディアス度・・7 暴虐度・・8 ブラック度・・6 総合・・7.5

HECATE ENTHRONED 「Embrace of the Godless Aeon」
イギリスのシンフォニック・ブラックメタル、ヘカテ・エンスロンドの2019年作
1995年にデビュー、本作は6年ぶりとなる6作目。B級感ただようジャケであるが、美麗なシンセアレンジに
ダミ声ヴォーカルを乗せてブラスト疾走する、クオリティの高い王道のシンフォニック・ブラックメタルを聴かせる。
かつてのDIMMU BORGIRなどにも通じる壮麗さに、ときに女性ヴーカルなども加わった耽美な雰囲気は、
CRADLE OF FILTHが好きな方にも楽しめるだろう。ヴォーカルはガナり声と低音デスヴォイスを使い分け、
オールドなギターリフやトレモロの叙情フレーズとともに、90年代のシンフォブラックに回帰したというべき力作だ。
シンフォニック度・・8 暴虐度・・7 壮麗&耽美度・・8 総合・・8 
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Heimdalls Wacht 「Ut De Graute Olle Tied - Deel Twee (Land Der Nebel)」
ドイツのブラックメタル、ヘイムダルズ・ワハトの2015年作
2005年にデビューし、本作で6作目。アコースティックギターによるイントロから幕を上げ、
ノイジーなギターと絶叫するヴォーカルを乗せて激しくブラスト疾走する、プリミティブなスタイル。
ダークな暴虐さの中にも、トレモロのギターフレーズによる適度な叙情性を覗かせつつ、
ドイツ語の語りや朗々としたコーラスを含むエピックな勇壮さと、ドラマティックなスケール感、
神秘的な土着性とともに、ゲルマンなペイガン・ブラックメタルを描く強力作だ。
ドラマティック度・・8 暴虐度・・8 叙情度・・7 総合・・8
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HEIMDALLS WACHT 「GEISTERSEHER」
ドイツのブラックメタル、ヘイムダルズ・ワハトの2016年作
2005年にデビューしてから、本作ですでに7作目となる。ツインギターによるトレモロのリフに
迫力ある低音のダミ声ヴォーカルを乗せた、オールドスタイルのブラックメタルサウンド。
ギターフレーズには甘すぎない叙情性も覗かせながら、ブラストを含む激しさと緩急ある展開で、
ブラッケンな空気感を描き出す。中盤はミドルテンポのどっしりとしたナンバーも多いが、
キャリアのあるバンドらしい確かな演奏力が、暗黒性を描くサウンドの説得力となっている。
ラストは14分におよぶ大曲で、激しくブラスト疾走しながら、神秘的なスケール感に包まれた味わい。
ドラマティック度・・7 暴虐度・・7 ゲルマン度・・8 総合・・7.5
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HELHEIM 「Raunijar」
ノルウェーのペイガン・ブラックメタル、ヘルヘイムの2015年作
1995年デビューという古株で、母国語のダミ声ヴォーカルによる土着的な感触と
ミステリアスな空気感に包まれたサウンドで、ブラックメタル的な激しさよりも、
同郷のSolefaldにも通じるような、プログレッシブ・ブラック的でもある知的な聴き心地である。
10分を超える大曲を構築するセンスも見事で、ノルウェイジャンらしい寒々しい空気感と
荘厳なスケール感がよいですな。朗々としたノーマルヴォーカルを乗せたナンバーなど、
随所に甘すぎない叙情性も織り込みつつ、あくまで涼やかな硬派さで描かれる傑作デス。
ドラマティック度・・8 荘厳度・・8 北欧度・・9 総合・・8
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HELHEIM 「Landawarijar」
ノルウェーのペイガン・ブラックメタル、ヘルヘイムの2017年作
すでにキャリア20年を超えるバンドで、北欧らしい土着性を感じさせるギターワークに、
ノーマル&ダミ声ヴォーカルを乗せた、ペイガン寄りのブラックメタルサウンド。
アコースティックギターを含んだ叙情的な感触もあり、7〜9分前後の大曲を主体に、
緩急ある展開で聴かせる知的な構築力も光る。ブラッケンロール的な疾走感も含みつつ、
勇壮なノーマルヴォーカルを乗せたヴァイキングメタル風のパートもあったりする。
ミステリアスな神秘性と北欧の寒々しい空気を感じさせる、ノルウェイジャン・ブラックメタルの力作。
ドラマティック度・・8 暴虐度・・7 北欧度・・9 総合・・8
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HELHEIM 「Rignir」
ノルウェーのペイガン・ブラックメタル、ヘルヘイムの2019年作
1995年デビューのベテランで、本作は10作目。マイルドな母国語のヴォーカルを乗せてゆるやかに始まる1曲目は、
激しさのないノルディック・メタルという趣で、ブラックメタル色はほとんどない。2曲目以降もときおりブラスト疾走はあるが、
ノーマル声がメインで、いつになくゆったりとした静寂感に包まれている。その分、寒々しい空気感と物悲しい叙情を感じさせ、
ミステリアスでダークなペイガンメタルでありながら、ときにアンビエントでもあるという不思議な聴き心地である。
正統派寄りのどっしりとしたナンバーなども、派手さや愛想はないが、硬派なヴァイキングメタルとしても楽しめる。
過去作に比べて激しさは薄まったが、キャリアのあるバンドらしい涼やかな音の説得力はさすがである。
ドラマティック度・・7 重厚度・・8 ペイガン度・・8 総合・・8 
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HELHEIM 「WoduridaR」
ノルウェーのペイガン・ブラックメタル、ヘルヘイムの2021年作
1995年デビューのベテランで、本作は11作目となる。不穏なギターの旋律とともに暴虐にブラスト疾走、
吐き捨てるダミ声ヴォーカルとともに、ブラッケンな気配に包まれたサウンドを展開。随所にリズムチェンジと
ノーマルヴォーカルを乗せ、トレモロのギターや涼やかなシンセアレンジも加えた甘すぎない叙情も覗かせつつ、
90年代ノルウェイジャン・ブラックメタルを彷彿とさせる疾走ナンバーなども含め、あくまで硬派な聴き心地。
ラストは12分の大曲で、ゆったりとしたパートを軸にじわじわとドラマティックに構築する。これぞ大人のペイガンメタル。
ドラマティック度・8 暴虐度・7 ペイガン度・8 総合・8 
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Hellish Outcast 「Stay of Execution」
ノルウェーのデスメタル、ヘリッシュ・アウトキャストの2014年作
元KEEP OF KALESSINのVoが参加、ヘヴィなギターリフと低音グロウルヴォーカルを乗せて暴虐に疾走する、
ブラッケンなデスメタルサウンド。スローパートを織り込みつつ、デスラッシュ的でもあるたたみかける疾走感と、
硬質なギターの重ねには、わりとモダンなヘヴィネスも感じさせる。甘さの無いインダストリアルな無慈悲さと、
ブラックメタルをルーツにしたミステリアスなスケール感が合わさった、なかなか硬派な聴き心地といえる。
楽曲自体にこれという個性は薄いものの、重厚な迫力と暗黒の気配に包まれた強力なアルバムだ。
ドラマティック度・・7 暴虐度・・8 暗黒度・・8 総合・・7.5
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HELRUNARBaldr ok Iss」
ドイツのネイチャーブラックメタル、ヘルラナーの2007年作
先に2011年作Sol IIを聴いてとても気に入ったのだが、本作もドイツ語の語りから始まり、
チリチリとしたノイジーなギターリフでブラスト疾走開始。古き良きブラックメタルの感触と
アナログ的な土着性で聴かせる、ミスティックな雰囲気はこのバンドの持ち味だ。
もの悲しい叙情パートも随所にあるが、のちの作品に比べるとブラックメタル度が高いアルバム。
ドラマティック度・・7 暴虐度・・8 薄暗叙情度・・8 総合・・7.5
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Helrunar 「:Sol I:Der Dorn Im Nebel」
ドイツのペイガン・ブラックメタル、ヘルルナーの2011年作
ツインギターのリフにダミ声ヴォーカルを乗せて激しくブラスト疾走する、
寒々しい空気感に包まれたミステリアスなブラックメタルサウンド。
激しいブラスト疾走パートは、MARDUKのような迫力で、トレモロを含んだギターリフは、
北欧のブラックメタルのような荒涼とした叙情性も感じさせる。7〜8分前後の楽曲を主体に、
物悲しい静寂パートやドイツ語による語りなども含んだ、緩急ある構成で硬派なサウントを描く。
甘すぎず暗黒過ぎない、本格派のペイガン・ブラックメタルの強力作だ。
ドラマティック度・・8 暴虐度・・8 ペイガン度・・7 総合・・8 
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HELRUNARSol II-Zweige Der Erinnerung
ドイツのネイチャーブラックメタル、ヘルラナーの2011年作
ドイツ語による語りからゆったりと始まり、ノイジーなギターが加わって
かつての北欧ブラックを思わせるようなトレモロリフと、がなりヴォーカルを乗せて疾走。
本作は2枚作品の後編にあたるようで、コンセプトは不明だが、10分前後の曲が3曲あり、
薄暗く寒々しい叙情と、アコースティカルな静寂パートなども織り込んだ楽曲はなかなか魅力的。
甘すぎない程度のメロディックな聴き心地もよい感じです。アナログ的自然派ブラックの力作。
ドラマティック度・・8 暴虐度・・7 薄暗叙情度・・8 総合・・8
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HELRUNAR 「Vanitas Vanitatum」
ドイツのブラックメタル、ヘルラナーの2018年作
2003年にデビュー、本作は6作目となる。G、B、DrをこなすSebastian Korkemeierとヴォーカルの二人編成となり、
サウンドの方はさらにプリミティブなブラックメタルに回帰している。ノイジーなトレモロのギターに
ダミ声ヴォーカルを乗せてブラスト疾走する、オールドスタイルの寒々しいブラックメタルを聴かせつつ、
ペイガンメタル的でもある土着的な叙情も感じさせる。キャリアのあるバンドらしい荘厳な迫力が
サウンドの強固な説得力となっていて、暴虐な疾走パートからスローテンポを含むリズムチェンジなど、
緩急あるドラマティックな展開力もさすが。ミステリアスな本格派ペイガンブラックの傑作です。
ドラマティック度・・8 暴虐度・・8 叙情度・・7 総合・・8 
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HELSOTT「SLAVES AND GODS」
アメリカのペイガン・デスメタル、ヘルソットの2018年作
ヘヴィなギターにダミ声&低音デスヴォイスを乗せ、うっすらとしたシンセアレンジとともに、
重厚なペイガン・デスメタルを聴かせる。パワフルなドラムとともにモダンな硬質感に包まれつつ、
土着的なギターの旋律を乗せた、幻想的でミステリアスな空気とアグレッシブなヘヴィネスが合わさって、
ペイガン寄りのデスメタルというふうにも楽しめる。クサメロ感やシンフォニックな要素は希薄なので、
良く言えば硬派な、悪く言えば引っ掛かりがないという印象で、もう少しフックのある展開が欲しいか。
ドラマティック度・・7 ペイガン度・・7 重厚度・・8 総合・・7
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Helsott 「Will & The Witch」
アメリカのペイガンメタル、ヘルソットの2022年作
2014年にデビューし、3作目となる。ジャケやタイトルからアメリカ開拓時代の魔女狩りをテーマにしたコンセプトなのだろう、
オールドなギターリフにダミ声ヴォーカルを乗せて疾走するスラッシュメタル的な感触に、随所にシンセアレンジも加えた、
ペイガン・メロデスサウンド。ヴァイオリンが鳴り響くとフォーキッシュな雰囲気も覗かせるが、バンジョーの音色が牧歌的で、
むしろオールドなアメリカンの空気に包まれる。激しすぎない疾走感に、メロディックなギターフレーズを含んだ味わいは
普通にメロデスとしても楽しめる。3〜4分前後の小曲が主体で、9分の大曲もあるが、これという盛り上がりもないので、
全体的にはいまひとつ高揚感に欠けるか。フォークメタル的な土着性をもっと強めても良い気もするが、さてどうなる。
ドラマティック度・7 メロデス度・7 フォーキー度・7 総合・7.5 
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HIMINBJORGGolden Age
フランスのペイガン・ブラックメタルバンド、ヒミンビヨルグの2003作
北欧神話のヘイムダールの館からバンド名をとっている通り、神秘的でエピックな世界観と、
ギターリフを主体にしたオールドなブラックメタルスタイル。甘すぎないギターメロディとともに、
激しく疾走しても邪悪ではなく、荘厳な雰囲気のあるペイガン・ブラックメタルサウンドを聴かせる。
メロディアス度・・7 暴虐度・・7 荘厳度・・8 総合・・7.5
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HOLLENTHONWith Vilest of Worms to Dwell
オーストリアのシンフォニック・デスメタルユニット、ホレンソンの2nd。2001作
PUNGENT STENCHのメンバーによるバンドということだが、詳細は不明。
音の方は、むしろ北欧系の質感でTHERION風のオーケストラルな壮大さと、
知的でプログレッシブな雰囲気がある。メタリックな部分とモダンなアレンジとが
上手く融合しているところなどは、SOLEFALDあたりにも通じるセンスの良さを感じる。
後半で聴かせるヴァイキングメタル的な土着メロディもなかなか堂に入っている。
メロディアス度・・7 壮大度・・8 知的度・・9 総合・・8
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HOLLENTHON「Opus Magnum」
オーストリアのシンフォニックデスメタル、ホレンソンの3rd。2008年作
前作同様、THERIONを思わせる荘厳なコーラスワークを聴かせながら、、
オーケストラルなアレンジを交えて、よりモダンでソリッドな質感となっている。
あくまでデス声がメインながら、ときおり女性Voも加えてゴシック風に聴かせたり、
オペラティックな混声コーラスで盛り上げたりと、クラシカルな質感も垣間見せる。
ジャケ裏のメンバーたちは凶悪そうだが、こうした知的なアレンジには確信犯的な芸術センス
を感じさせる。マニアックでありながら、もっと多くのリスナーに聴かせたい、そんな作品だ。
シンフォニック度・・7 暴虐度・・7 荘厳度・・9 総合・・8
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Homselvareg 「Catastrofe」
イタリアのブラックメタル、ホムセルヴァレグの2009年作
ツインギターのノイジーなリフを乗せて疾走する、オールドスタイルのブラックメタルで、
アナログ感あるサウンドも含めて、プリミティブなマイナー臭さに包まれた聴き心地。
イタリア語による邪悪なダミ声ヴォーカルもいい感じで、随所にメロディックなギターフレーズも覗かせながら、
スローパートから強烈なブラスト疾走まで、緩急のある展開は初期のABIGORなどにも通じるだろう。
ファストにたたみかける激しさの中にも、ダークな幻想性と湿り気ある空気感を描くところもよいですな。
甘すぎないメロディを含んだ古き良きスタイルの真性ブラックメタル強力作!
ドラマティック度・・7 暴虐度・・8 プリミティブ度・・8 総合・・8
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HOPE DRONE 「Cloak of Ash」
オーストラリアのポストブラックメタル、ホープ・ドローンの2015年作
トレモロのギターリフを乗せて激しくブラスト疾走、いくぶんこもり気味の音質も含めて、
Wolves in the Throne Roomあたりに通じる、荒涼としたミステリアスな雰囲気のサウンド。
のっけから20分の大曲で、その後も10分を超える大曲が続くという大作志向も凄いが、
バンド名のようにドローン的な要素も含めて、スローパートと疾走部分の振り幅が大きいのも特徴だろう。
トータル80分近い作品なので気が短い人には向かないが、スケール感のあるミステリアス・ブラックの力作だ。
ドラマティック度・・7 暗黒度・・8 ミステリアス度・・8 総合・・7.5
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Hope for the Dying「Dissimulatio」
アメリカのシンフォニック・メロデス、ホープ・フォー・ザ・ダイイングの2011年作
美麗なシンセアレンジとツインギターの叙情メロディで聴かせる質の高いメロデスサウンド。
メタルコア的なモダンさを含んだ激しさと、ツインギターのクラシカルなクサメロが融合し、
キラデス系の質感で疾走する。ときにネオクラ気味のやりすぎ感と、壮麗なコーラスなどを含んで
ヨーロピアンな叙情を覗かせるサウンドは、メタルコア嫌いの自分でも「まいった」という感じ。
なんというか…「メタルコア風クサメロデス」という新ジャンル確立の予感である。
メロディアス度・・8 暴虐度・・7 モダンデス度・・8 総合・・8
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HORRIFIED 「Allure of the Fallen」
アメリカのエピック・ブラックメタル、ホリフィードの2017年作
ツインギターによるメロディックなイントロから、トレモロのリフと低音のダミ声ヴォーカルを乗せて
激しくブラスト疾走するサウンドで、緩急ある展開とともに聴かせる、メロデス的な感触もある。
ツインギターによる叙情性は、かつての北欧メロデスを思わせ、それをエピックな雰囲気とともに
ブラックメタル風味に仕立てたという聴き心地だ。ギターは随所にオールドなメタル感触を覗かせるなど、
わりと聴きやすさもある。一方では、ブラックメタル的なダークなミステリアス性が少し足りない気もするが、
ラストの9分の大曲では、ポストブラック的な優美な叙情性に包まれる。なかなかの力作デス。
ドラマティック度・・7 暴虐度・・7 幻想度・・8 総合・・7.5
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HYPOCRISY「CATCH22」
スウェーデンのメロディックデスメタルバンド、ヒポクリシーの2002年作
90年代初等から活動するベテランで、本作は10作目くらいだろうか。
デスラッシュ風のギターリフで疾走しつつ、甘すぎないメロディを取り入れた
硬派なメロデスとしても楽しめる。ときおり聴かせる北欧らしい叙情フレーズもいい。
時代に流されることなく己のアティテュードを堅持し続ける彼らは本当に素晴らしい。
長い年月をかけて磨かれた音の説得力が詰まった力作である。
ドラマティック度・・8 暴虐度・・7 古き良きメロデス度・・8 総合・・8
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I

IHSAHNAdversary
EMPERORイーサーンのソロ作。2006作
EMPERORの解散から早5年、ついにイーサーンが動きだした。サモスの方はZYKLONで活躍中だが、
これを聴けばやはりバンドのブレインはイーさんの方だったのだなと思わせる内容。
基本はシンフォニックブラックであるが、楽曲の展開の多さにはEMPERORとしてのラスト作である
「PROMETHEUS」の延長上にあるもので、SOLEFALDにも通じるプログレッシブな質感だ。
ブラックとしてのおどろおどろしさはなくなったが、プログレブラックとしての魅力はより明快になった。
ときおり聴かせるクラシカルなアレンジもじつにいい感じだし、シンフォブラック的に疾走しつつも
暴虐さはさほど感じないので、これならばデス/ブラック系が苦手な人でも楽しめるだろう。
シンフォニック度・・7 暴虐度・・7 プログレブラック度・・8 総合・・8
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IHSAHN「angL」
EMPERORイーサーンのソロ2作目。2008年作
前作はプログレッシブな味わいの好作だったが、今作も彼の美意識とセンスとが存分に発揮された作品。
クラシカルなシンセアレンジで華麗に聴かせつつ、ときに暴虐な突進力もあり、
かつてのシンフォニック・ブラックメタルのアイデンティティをまざまざと見せつける。
イーサーンのヴォーカルも情念の深みを増していて、前作よりもぐっと迫力があり、
ノーマル声で歌う叙情パートなどは、ときにOPETHなどを思わせる部分もある。
シンセをバックにテクニカルなギターリフや、メロウなフレーズが交互に顔を出し、
楽曲は緊張感と荘厳な空気に包まれていて、最後まで聴き手を飽きさせない。
かつてのEMPERORファンのみならず、プログレッシブなメタル好きも必聴だ。
シンフォニック度・・7 プログレッシブ度・・8 楽曲センス・・9 総合・・8
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Ihsahn「After」
元EMPERORのイーサーンの2010年作
ソロとしてはこれが3作目、EMPEROR時代からのブラックメタルの深化をさらに芸術的に、
プログレッシブになしとげてきた彼の才能には脱帽するばかりだ。
本作では二本のギターを有機的に絡ませつつ、サックスの使用や変則リズムをまじえての
プログレッシブ・ブラックの質感を軸に、前作で聴かせたOPETHばりの緩急の変化とともに
激しくもアヴァンギャルドな感性を炸裂させた、劇的で濃密なアレンジが光っている。
日本のSIGHにも通じる、音楽をアートとしてとらえての楽曲表現の追求が素晴らしい。
ノーマルヴォイスで歌う叙情パートも含めて、ドラマティックなメリハリの効いた見事な傑作だ。
ドラマティック度・・8 プログレッシブ度・・8 楽曲センス・・10 総合・・8.5
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IHSAHNEremita
元EMPERORのイサンの2012年作
前作「After」でプログレッシブ・ブラックとしての頂点を極めた作品を作り上げたが
ソロ4作目となる本作は、インダストリアル調に始まっておやとなるが、
知的でプログレッシブなセンスは変わらず、むしろより深い時点での表現をまとっている。
一聴してシンプルな音の中に細やかなアレンジと必要な構成要素が詰まっていて、
彼のアーティストとしてのスタイリッシュな深化を伺わせる。アヴァンギャルド性と
聴きやすさの同居という点では、日本のSIGHなどにも通じる方法論であろう。
ブラックメタルとしての枠を飛び出したというよりは、それを単なるひとつの要素として
楽曲を構成するパーツとすることで、己の描く世界をよりモダンに提示したというべき力作だ。
ドラマティック度・・8 知的センス度・・8 ミクスチャー度・・8 総合・・8
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IHSAHN 「Das Seelenbrechen」
ノルウェーのミュージシャン、イーサーンのソロ5作目。2013年作
前作にあったモダンな感触を含みつつ、今作ではよりプログレッシブなスケール感をまとわせている。
シンセによるオーケストラルなアレンジや、チェンバーロック的なミステリアスさを内包した世界観と、
ときにスティーヴン・ウィルソン的というべき繊細さでもって、ほの暗い叙情美と、荘厳な空気を描き出す
アーティスティックなセンスが炸裂している。アヴァンギャルドな空間性に冷徹な知性を注ぎ込んだというような、
ダークなプログレッシブロックといってもよい作品だ。ポストプログレ系のファンなどにも聴いてもらいたい傑作。
ドラマティック度・・8 ほぼプログレ度・・9 荘厳な知性度・・9 総合・・8.5
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Ihsahn 「Arktis」
ノルウェーのブラックメタル、Emperorのイーサーンのソロ。2016年作
EMPEROR後のソロ活動もすでに10年、6作目となる本作は、北極探検をテーマにした作品らしく、
前作でのプログレッシブな作風を受けつつ、ダミ声ヴォーカルとギターリフによるアグレッシブな感触と
モダンなアレンジにノーマル声と美しいシンセによる繊細な叙情性が交錯するという聴き心地。
ギター主導によるわりと正統派なメロディックナンバーなど、意外な方向性もあるのだが、
オルガンが鳴り響くやわらかさとサイバーなハードさが融合されたりと、そのセンスは抜群だ。
随所にブラックメタル的な激しさも覗かせながら、全体的には研ぎ澄まされた知的センスが光るという。
どこを切ってもイーサーン流プログレッシブ・メタルというべき見事な傑作に仕上がっている。
ドラマティック度・・8 プログレッシブ度・・8 叙情度・・8 総合・・8.5
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Ihsahn「Amr」
ノルウェーのミュージシャン、イーサーンのソロ。2018年作
EMPERORの解散後は、ソロ活動を精力的に続けていて、本作はすでに7作目となる。
エレクロなシンセのイントロから、ギターとダミ声ヴォーカルを乗せて激しくブラスト疾走する、
ブラックメタルの質感をしっかりと残しながら、壮麗なオーケストラルアレンジなども加わり、
プログレッシブな構築センスが光る。サイバーなモダンさをアグレッシブなメタル感触に融合させ、
ときにマイルドなヴォーカルもまじえて、優雅でキャッチーな味わいが現れるところも絶妙だ。
ポストプログレ的なゆったりとした歌ものナンバーは、Leprousなどにも通じる雰囲気もある。
楽曲は4〜5分前後と長すぎず、ほどよい激しさも含んだダークな叙情が楽しめる、さすがの傑作だ。
ドラマティック度・8 暴虐度・7 知的センス度・9 総合・8 
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IHSAHN 「Pharos」
ノルウェーのブラックメタル、EMPERORのイーサーンの2020年作
アレクサンドリアの大灯台として知られるファロス島を起源とする「灯台」をテーマにしたEPで、
叙情的なギターとシンセにマイルドなヴォーカルを乗せた、メタル感触はやや薄めのサウンド。
キャッチーな歌もの主体であるが、オーケストラルなアレンジやスタイリッシュなアンサンブルが、
知的で優雅な聴き心地になっていて、Leprousのようなモダンなプログレメタルとしても楽しめる。
激しさは抑え目ながら、イーサーンの歌唱の表現力とともにプログレッシブなスケール感を描いていて、
メランコリックな叙情とポップな味わいが絶妙に同居しているのもさすが。全5曲24分を収録。
ドラマティック度・・7 メタル度・・5 優雅度・・8 総合・・8
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IKUINEN KAAMOS「The Forlorn
フィンランドのプログレッシブ・デスメタル、イクイネン・カーモスの2006年作
先に2ndを聴いていたのだが、デビュー先となる本作も、のっけから13分、12分という大作志向。
もの悲しいイントロから、激しく疾走するブラックメタル要素と、緩急をつけた知的なアレンジセンスで構築する
そのサウンドは本作の時点で確立されている。もの悲しい叙情を聴かせるメロウなギターフレーズも絶品で
静と動のメリハリも含めて、やはり随所にOPETHを思わせる部分もあるが、
2ndに比べるとより激しいメロディックブラック要素が強いのもむしろ魅力的だ。
ドラマティック度・・8 プログレッシブ度・・7 フィンラン度・・8 総合・・8
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IKUINEN KAAMOS「Fall of Icons
フィンランドのプログレッシブ・デスメタル、イクイネン・カーモスの2010年作
ツインギターの巧みなリフにダミ声&デス声ヴォーカルを乗せ、緩急をつけた展開力で聴かせる、
OPETHを思わせるようなセンス抜群のサウンド。ときにブラックメタル寄りの疾走パートも覗かせつつ、
随所にノーマル声もまじえ、メロディックなギターフレーズとともにフィンランドらしいメランコリックな叙情を盛り込んで、
ゆったりとした静寂パートなども含めて、知的な構築力で10分を超える大曲を描いてゆく。全体的には激しさよりも
ゆるやかでプログレッシブな構築性に重点が置かれているという印象で、優雅なプログレ・メロデスとしても素晴らしい。
ドラマティック度・・8 プログレッシブ度・・8 フィンラン度・・8 総合・・8
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ILLNATH「CAST INTO FIELDS OF EVIL PLEASURE」
デンマークのシンフォニック・ブラックメタルバンド、イルナスの1st。2003年作
ひとことでいうと、CHLDREN OF BODOM + CRADLE OF FILTHというような
メロディックなギターにシンフォニックなシンセで疾走する、美味しいとこどりのサウンドで、
新鮮味はないが演奏技術もしっかりしているので、この手としてはかなり聴ける部類。
ゴージャスな音の重ねに加え、デス/ブラックとしての暴虐性もある程度保っており
チルボドかクレイドルの前座にでも座ればかなり受けるだろうなと思われる。
シンフォニック度・・8 暴虐度・・7 初期チルボ度・・8 総合・・7.5

ILLNATH「Second Skin of Harlequin」
デンマークのシンフォニック・ブラックメタルバンド、イルナスの3rd。2006作
今作はのっけからミドルテンポの普通のキーボード入りメタルという印象。
Voのがなり声だけがブラック的で、バックの聴きやすさとのギャップにはむしろ違和感がある。
モダンなアレンジのゴシックメタルとして聴けなくもないが、ドラマティックというよりはエレクトロ系のピロピロ感が耳につく。
COB、COF的な雰囲気も若干あるにはあるが、暴虐さはほぼなくなっているので、
途中、DRAGONFORCEを聴いているような錯覚に陥る瞬間もあったりして(笑)、
このバンドのブラックメタルとしてのアイデンティティはもはや失われたのではないかと。
シンフォニック度・・7 暴虐度・・6 チルボ度・・6 総合・・7.5
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ILLNATH「Third Act in the Theatre of Madness」
デンマークのメロデスバンド、イルナスの2012年作
2003年にデビュー、本作は6年ぶりとなる3作目で、新たに女性ヴォーカルが加入している。
サウンドの方は激しい疾走パートもあるが、全体的にはスピード感よりもミドルテンポの割合が多めで、
随所に叙情的なギターメロディや美麗なシンセアレンジを取り入れて、メランコリックで耽美なドラマ性を描いている。
モナ嬢のスクリームは男性顔負けで、知らなければ女性とは思えないかもしれない。総じてなかな質は高いのだが、
メロデスというにはインパクトが少し弱いので、今後バンドがひと皮向けるには、なんらかの極端さが欲しい気がする。
シンフォニック度・・7 暴虐度・・7 メロデス度・・7 総合・・7.5
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Ill Tidings 「Signa Tenebris」
オーストリアのブラックメタル、イル・ティディングスの2020年作
トレモロのギターにうっすらとしたシンセを重ねて、迫力あるダミ声ヴォーカルで激しくブラスト疾走する、
王道のヨーロピアン・ブラックメタルを聴かせる。甘すぎない叙情を含んだギターフレーズに乗せる
ドイツ語のヴォーカルが勇壮な空気をかもしだし、エピックな幻想性も感じさせるメロブラ寄りの味わいも。
激しく暴虐であるが、緩急あるリズムやツインギターのメロディとともに、じっくりと構築するサウンドは、
なかなか日本人好みである。全7曲、38分であるが濃密な聴き心地で楽しめる幻想ブラックメタルの力作。
ドラマティック度・8 暴虐度・8 叙情度・7 総合・8
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Immanifest 「Macrobial」
アメリカのシンフォニック・デスメタル、アイムマニフェストの2019年作
ツインVo編成の6人組で、美麗なシンセに硬質なギターリフ、グロウルヴォーカルを乗せて激しく疾走しつつ
緩急あるリズムチェンジとともに、テクニカルデス風味もあるモダンでスタイリッシュなサウンドを聴かせる。
オーケストレーションを使ったシンフォニックなアレンジと、メタリックなギターがコントラストになっていて、
ときに流麗な叙情メロディも覗かせつつ、Djent的でもあるテクニカル性も含んだ緩急あるサウンドは非常に濃密。
荘厳なスケール感もあって、激しさと展開力でたたみかける、テクニカル・シンフォデスメタルの力作です。
シンフォニック度・7 暴虐度・8 むしろテクデス度・8 総合・8
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ImmortalPure Holocaust
ノルウェーのブラックメタルバンド、イモータルの2nd。1993年作
シンプルなトリオ編成で、トレモロ系のギターリフで疾走する正統派のブラックメタル。
適度にメロディを感じるフレーズや北欧らしい叙情も含み、ミドルパートを含めた緩急の付け方も
凡百のB級ブラックメタルバンドとは違う、しっかりとした演奏力と音楽的なセンスを感じさせる。
DISSECTIONほどメロディックではないが、MAYHEMほど愛想が悪くもないので、
ブリミティブすぎるブラックメタルが苦手という方でも案外聴けるだろう。
どれも曲が短めであっさりしているので、全8曲33分ははちと物足りないが。
ドラマティック度・・8 暴虐度・・8 プリミティブ度・・8 総合・・7.5
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ImmortalAt the Heart of Winter
ノルウェーのブラックメタル、イモータルの5th。1999年作
メンバーは二人になっているが、曲の方はむしろ長くなり構築力が強まった。
ブラストビートで激しく疾走しつつも、緩急の付けられた展開力と
よりメロディアスになったギターフレーズで、ドラマティックなサウンドを聴かせる。
音質的にも初期よりはずいぶん良いので、マニア以外にも充分楽しめるが、
真正ブラックメタル好きには6〜8分台の楽曲がやや散漫に聴こえるかもしれない。
ドラマティック度・・8 暴虐度・・7 プリミティブ度・・7 総合・・7.5
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Immortal 「Northern Chaos Gods」
ノルウェーのブラックメタル、イモータルの2018年作
1992年にデビュー、ブラックメタル黎明期から活動するベテランで、本作は2009年以来となる9作目。
フロントマンであったアバスが脱退し、デモナスとホルグの2人組となっているが、のっけから激しくブラスト疾走する、
王道のブラックメタルサウンドで、かすれ気味のデモナスのダミ声ヴォーカルも違和感なく、迫力たっぷりだ。
サラついたギターリフには叙情的な媚びはないが、ときにほどよくメロディを含んだ旋律を覗かせつつ、
強烈なドラムとともにオールドスタイルのノルウェイジャン・ブラックメタルが展開する。ミドルテンポのナンバーなども、
荒涼とした北の空気感をまとっていて、ラストの9分の大曲まで、ベテランらしい説得力と荘厳な味わいに包まれる。
これという新鮮味はないものの、かつての90年代初頭の正統派ブラックメタルを現在の力量で表現したような力作である。
ドラマティック度・・7 暴虐度・・8 荘厳度・・8 総合・・8 
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Immortal SoulsWintereich」
フィンランドのメロデスバンド、イモータル・ソウルズの2007年作
今どき珍しいくらいの古き良きメロデス。シンセを使わずにあくまでツインギターの絡みで
叙情性を描くやり方には好感が持て、ジャケのように北欧独特の土着性もいくぶん感じさせる。
その点ではINSOMNIUMあたりに近い世界観だろうか。一方ではモダンなヘヴィネスを含んだ
今風のノリも混在していて、CHILDLEN OF BODOMあたりのファンでも楽しめるだろう。
メロディアス度・・7 暴虐度・・7 フィンラン度・・7 総合・・7.5
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Impaled NazareneNihil
フィンランドのブラック・デスメタルバンド、インペールド・ナザレンの6th。2000作
ノイジーなギターリフとガナリ声で爆走する、スラッシーなブラックメタル。
80年代風の古めかしさとダーティに疾走する雰囲気がけっこう愉快で
ブラックメタル的な暗さというものはあまり感じられない。
CHILDREN OF BODOMのアレキシ・ライホが参加していることで、
テクニカルなギターワークも随所に聴けて、まあまあ楽しめる。
メロディアス度・・7 暴虐度・・8 暗黒度・・7 総合・・7.5
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IMPERANONStained
フィンランドのメロデスバンド、インペラノンのアルバム。2004作
氾濫ぎみの北欧キラデス勢だが、またしても初期CHILDREN OF BODOMタイプのバンドがデビュー。
いかにもチルボド好きらしいきらきらのシンセに、テクニカルなフレーズも弾きこなすギターで疾走。
メンバーはまだ20歳そこそこらしいが、サウンドの整合感はかなりのもので、
ツインギターによる叙情性をしっかり織り込んでいるあたりが、非常なセンスを感じさせる。
おそらく数あるチルボドフォロワーの中でも質の高さはトップクラスと言って良いだろう。
ただし、当然ながら新鮮味は薄く、この手の予定調和型メロデスをさして好まない
私のようなリスナーにとっては1回聴けばもう充分…というのが正直なところ。
NORTHERKALMAHなどが好きなメロデス初心者には安心して薦められる。
メロディアス度・・8 暴虐度・・7 チルボ度・・9 総合・・8
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Imperious 「Tales of Woe - The Journey of Odysseus, Part I: From Ilion to Hades」
ドイツのブラックメタル、インペリオスの2017年作
ホメロスの叙事詩「オデュッセイア」をコンセプトにした作品で、シンセをバックに語りの入ったイントロから、
激しいドラムにノイジーなギターと低音ダミ声ヴォーカルを乗せた、重厚なエピック・ブラックメタルを展開。
シンフォニックなアレンジや、メロディックなギターフレーズによる甘すぎない叙情性とともに、
ダークな迫力に包まれたサウンドを描き出す。14分、12分という大曲も、どっしりとした聴き心地で
スローテンポでのドゥーミィな味わいも含めて、暴虐性よりも重厚なドラマ性に包まれた作品に仕上がっている。
ドラマティック度・・8 暴虐度・・7 重厚度・・8 総合・・8
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Imperious 「Tales of Woe - The Journey of Odysseus, Part II: From Hades to Ithaca」
ドイツのブラックメタル、インペリオスの2017年作
ホメロスの叙事詩「オデュッセイア」をコンセプトにした作品の続編で、メロディックなギターを乗せた
叙情的な味わいで始まり、オデュッセウスの旅の途中を思わせる物悲しい世界観を描きつつ、
女性ヴォーカルを加えた優美なナンバーから、10分を超える重厚なぺイガンブラック的な大曲へと、
ドラマティックな流れで展開する。前作同様、激しい疾走感はさほどないが、ときにシンセやピアノを加えた、
メランコリックな叙情性や、神話の世界を描く荘厳な空気感は、エピックなメタル好きならば心地よく楽しめるだろう。
アルバム後半の盛り上げ方は、さすがコンセプト作品の大団円というところ。前編から2枚通して聴きたい。
ドラマティック度・・8 暴虐度・・7 重厚度・・8 総合・・8
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Imperium Dekadenz 「Meadows of Nostalgia」
ドイツのブラックメタルユニット、インペリウム・デカダンツの2013年作
二人組のユニットで、アコースティックなイントロから、ノイジーなトレモロリフとダミ声ヴォーカルを乗せ
初期BURZUMとWolves in the Throne Roomを足したような、ミステリアスなサウンドが広がってゆく。
激しいブラスト疾走はあまりなく、全体的にはミドルテンポ主体のため暴虐な迫力というの感じないが、
その分、物悲しくメランコリックな叙情性に包まれた世界観で、ゴシック・ブラック的な聴き心地もある。
9分、10分という大曲もあるのだが、個人的にはもっとプログレッシブな展開などが欲しいと感じた。
ドラマティック度・・7 暴虐度・・6 叙情度・・8 総合・・7.5
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In Cauda Venenum 「G.O.H.E.」
フランスのポスト・ブラックメタル、イン・カウダ・ヴェネナムの2020年作
2015年にデビューし、2作目となる。22分、21分という大曲2曲という構成で、ストリングスとシンセのイントロから、
トレモロのギターリフと絶叫するヴォーカルを乗せて激しくブラスト疾走する、耽美でミステリアスなサウンドを描く。
ピアノやチェロなどのクラシカルな優雅さを随所に加えつつ、激しさと叙情性との緩急ある構築力も見事。
後半の大曲では、スローテンポでのゴシックメタル的な耽美性から、トレモロ乗せてのブラスト疾走で、
物悲しくチェロが鳴り響き、ジャズ風味のピアノによる間奏パートまで、優雅でメランコリックな聴き心地。
ヴォーカルパートが少ないので、インスト中心の叙情派ポストブラックとして鑑賞するのがよいかと。
ドラマティック度・8 暴虐度・7 メランコリック度・8 総合・8
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IN DREAD RESPONSE「HEAVENSHORE」
ニュージーランドのメロディック・デスメタル、イン・デッド・レスポンスの2015年作
2008年にデビューし、本作が3作目となる。ザクザクとしたギターリフに吐き捨てヴォイスを乗せて激しく疾走する、
デスラッシュ風味のサウンドで、随所に流麗なギターフレーズを含みつつ、適度にモダンな感触もある。
アメリカの独立戦争をテーマに、アグレッシブにたたみかける迫力と、慟哭のような絶叫ヴォーカルや
ときにいくぶん物悲しい叙情性も覗かせながら、激しくもドラマティックな世界観を描いている。
甘すぎないメロディアス性と、ややメタルコア寄りのモダンさが同居した、高品質な作品デス。
ドラマティック度・・8 暴虐度・・8 叙情度・・7 総合・・7.5
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INDUNGEON「THE MISANTHROPOCALYPSE」
スウェーデンのメロデスユニット、インダンジョンの2nd。1999作
MITHOTYNのGが中心となったバンドで、メロディアスな疾走デス・スラッシュサウンド。
流麗なギターリフはなかなか心地よく、この手のメロデスファンには受ける音だろう。
MITHOTYNほどではないが土着的なメロディも聴かれ、スラッシーな疾走感に
クサメロギターが合わさって高品質なメロディック・デスを形作っている。
メロディアス度・・7 疾走度・・8 暴虐度・・7 総合・・7


Infera Bruo 「Cerement」
アメリカのブラックメタル、インフェラ・ブルオの2018年作
2011年にデビュー、本作は4作目で、暗黒星雲のような不穏なイントロから、
いくぶん叙情を含んだギターにダミ声ヴォーカルを乗せて、スペイシーなシンセとともに
ダークなスケール感に包まれたサウンドを聴かせる。激しく疾走するパートモありつつ、
全体的には暴虐性は薄めで、ツインギターの絡みなども、アナログ感ある音作りが耳心地よい。
7〜8分の長めの楽曲では、プログレッシブな構築力も覗かせつつ、緩急ある展開というよりは
スラッジ系ブラックのような雰囲気モノの味わいである。もう少し叙情性か荘厳な迫力があれば。
ドラマティック度・・7 暴虐度・・6 暗黒度・・8 総合・・7.5
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IN FLAMES「Lunar Strain」
スウェーデンのメロデスバンド、イン・フレイムスの1st。1994作
現在のモダン化したサウンドからは想像もつかないだろうが、彼らのデビュー当時は
土着的なギターフレーズによる少々イモ臭いメロデスであったのだ。AMORPHISなどもそうだが、
この北欧からしか出て来ないトラディショナルな質感は非常に魅力的であった。
そして、当時の日本盤ボーナストラックに収録されていた“Stand Ablaze”の美しさは本当に衝撃的で
それまでにこれほど美しく、そしてもの悲しい曲をメタルでは聴いたことがなかった。
現在ではこの究極のメロデス名曲は、ミニアルバム「Subterranean」で聴ける。
やや整合感を増した続く2nd「Jester Race」も、やはり初期の代表作である。
メロディアス度・・8 暴虐度・・7 北欧叙情度・・9 総合・・8
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IN FLAMES 「SUBTERRANEAN」
スウェーデンのメロデスバンド、インフレイムスの初期のミニアルバムのリマスター盤。
以前は1stの「LUNAR STRAIN」にボーナスとして入っていた楽曲で、
中でも“Stand Ablaze”は初期のIN FLAMESを代表する名曲だった。
この頃の彼らの音には北欧らしい土着的メロディが満載で、その美しい旋律と
アグレッシブサウンドの融合こそが魅力だったのだ。アルバムを重ねるごとに知名度を上げ、
それとともに脱デスメタル化していたった彼らだが、原点はまさしくこのサウンドであり、
このミニアルバムにこそ魅力が凝縮されている。名曲「Stand Ablaze」もさることながら
Bの「Subterranean」もいかにも北欧民謡的なメロディが耳に馴染む美しい1曲。
北欧メロデス史上最も美しい曲が収録され、音質も向上したこのミニアルバムは、
初期の彼らを知らない方にはまず必聴である。アイアンメイデン、メタリカのカヴァー曲も収録。
メロディアス度・・8 暴虐度・・6 Stand Ablaze・・10 総合・・8
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IN FLAMES「Soundtrack to Your Escape」
スウェーデンのメロデスバンド、イン・フレイムスの7th。2004作
前作「Reroute to Remain」あたりからモダン化したサウンドへ変化しつつあったが、
本作ではそこにソリッドな激しさを加えたような作風となっている。
初期のような北欧メロデス的な叙情ではなく、あくまでモダンなヘヴィネスと
マイルドな冷たさともいうべき感触に包まれた音には賛否両論があるだろうが、
これもひとつところにとどまらないこのバンドの深化の過程なのだろう。
ある種のドラマティックなスケール感は、彼らなりのひとつの到達点とも思える。
メロディアス度・・7 メロデス度・・7 モダンヘヴィ度・・8 総合・・7.5
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IN FLAMES「USED AND ABUSED...IN LIVE WE TRUST」
スウェーデンのベテランメロデスバンド、イン・フレイムスのライブDVD。2005作
DISC1は地元スウェーデンでのライブをメインに、ロンドンのHAMMERSMITHでのライブも収録。
ハマースミスは会場が広いせいか、サウンド的に低音のバスドラが分離してしまっているが、これは仕方がない。
メンバーは皆半袖の襟付きシャツで、ドレッドヘアのVoにいたってはネクタイまでしている。
これがニューメタル風のファッションということなのだろうか…それはよく分からないが(笑)
観客には若者が多く、おそらくイギリスなどではニュースクール系メタルとしての人気もあるのだろう。
スウェーデンでのステージの方は、メンバーもぐっとくだけた風で、演奏と音の迫力もアップ。
(ちなみにここでVoのアンダースが着ているのはGUNS AND ROSESのTシャツ)
こちらは狭いライブハウスだがその分観客の熱気もものすごく、彼らの地元での人気ぶりもうかがえる。
やはり4th〜7thあたりの曲がメインで、アルバムで聴くよりもずっとアグレッシブで迫力があるが、
初期から聴いてきている自分にとっては、メタルコア的なノリが苦手なこともあり、どうも好みの音ではない。
そんななか、“Behind Space”“Moonshield”といった昔の曲はやはり燃えるのであった。
disc2にはビデオクリップ、TV番組風のツアードキュメンタリー等を収録。
ライブ演奏・・8 ライブ映像・・7 メロデス度・・6 総合・・7
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IN FLAMES「Come Clarity」
スウェーデンのメロデスバンド、イン・フレイムスの8th。2006作
いつにも増して暴虐に幕を上げる本作は、初期のような北欧的叙情からは程遠いが、
DARK TRANQUILITYらとともにメロデスを黎明期から支えてきたバンドが、
時代の変遷とともに少しずつ変化しながらも、アグレッシブさを損なわずに存在し続けているという事実に
敬意を表したい。重厚なリフとともにサビでのメロディアスなフレーズとヴォーカルラインには
現代的なモダンヘヴィネスと、彼らの培ってきたメロディへのこだわりとが感じられる。
3分代台の分かりやすい曲を並べたのも正解で、ゲストによる女性Voなども良いアクセントになっている。
ダートラ、チルボド、ソイルとともに、北欧の四天王としてのプライドが炸裂したような一枚。
メロディアス度・・8 暴虐度・・7 モダンヘヴィ度・・8 総合・・8
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IN FLAMES「Sense of Purpose」
スウェーデンのメロデスバンド、イン・フレイムスの9th。2008作
前作「COME CLARITY」はモダンな作風ながらもなかなかの好作だったが、
今作はツインギターの叙情を前面に押し出したメロディが光っていて、かつてを思わせる
北欧的なメランコリックなフレーズを乗せて疾走するところは、メロデスバンドとしての原点に戻った風でもあり、
曲によってはシンセを取り入れるなど、ある種のキャッチーさがサウンドを聴きやすくしていて、
リスナーの間口をより広げるだろう。スクリームヴォイスを巧みにマイルドに歌うヴォーカルの効果もあって、
これまでよりも音にやわらかみがある。哀愁のギターメロディをたっぷりと聴かせる好作だ。
メロディアス度・・8 暴虐度・・7 メランコリック度・・8 総合・・8
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IN FLAMESSounds of a Playground Fading
スウェーデンのメロデスバンド、イン・フレイムスの2011年作
1994年のデビューから10作目となる本作は、前作でのメロディアスな聴き心地から
モダンなヘヴィロック風味を強めた作風に変化している。メロデス的な質感は減退し、
メランコリックな叙情とモダンヘヴィネス、メタルコア風味の融合というようなサウンドだ。
中心人物であったイェスパー・ストロムブラードの脱退も大きく影響しているのだろう、
所々にメロウなギターによる聴き心地は残っているし、アルバムとしての完成度もまあまあ高いのだが、
楽曲にこれだというインパクトはなく、これまでのファンにとってはやや物足りない内容かもしれない。
メロディアス度・・7 メロデス度・・5 モダンヘヴィ度・・8 総合・・7.5
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In Flames 「Siren Charms」
スウェーデンのメロディック・デスメタル、イン・フレイムスの2014年作
1994年のデビューから本作で11作目となる。モダンなヘヴィロック調だった前作の流れを汲んだ作風で、
適度にメロディックなギターフレーズとエレクトロなシンセアレンジに、マイルドなヴォーカルを乗せた、
メタルコア風味の聴き心地。楽曲は3〜4分前後とシンプルで、曲によってはキャッチーな感触もあって聴きやすく、
スクリームヴォイスを乗せて、かつてのメロデス的なギターリフも現れたりと、単なるヘヴィロックという以上には
クオリティが高いのでわりと楽しめる。ほどよい激しさも含んだモダンなメタルというイメージなら入りやすいかと。
メロディック度・・7 メロデス度・・6 モダン度・・8 総合・・7.5 
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In Flames 「I, The Mask」
スウェーデンのメロディック・デスメタル、イン・フレイムスの2019年作
1994年にデビュー、初期のメロデス路線から、イェスパー・ストロムブラードの脱退後はヘヴィロック寄りになっていたが、
13作目となる本作も、ツインギターによるモダンなヘヴィネスにメランコリックな叙情性をまとわせたサウンドで、
デスヴォイスにノーマル声をまじえ、重すぎないほどよいキャッチーさも含んだ聴き心地。ゴシックメタル風味や、
曲によっては、スラッシーな疾走感もあるが、リフの恰好良さが際立つわけでもなくメロディのフックも物足りず、
激しさも足りず、メロデスというよりはやはりメタルコア風味の感触で、色々と中途半端。インフレはどこへゆく?
ドラマティック度・7 暴虐度・6 叙情度・7 総合・7.5 
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Inkisitor 「Dysevangelist」
フランスのブラックメタル、インキシターの2011年作
ジャケはちょっとグロい感じですが、サウンドの方も低音の絶叫ヴォーカルを乗せて
激しくブラスト疾走する暴虐なブラックメタルサウンド。ギターリフは比較的オーソドックスなので、
そこそこブラックメタルが好きな方であれば問題なく楽しめるだろう。こもり気味の音質も含めて、
アンダーグラウンドな暗黒性が強く感じられる。全6曲ながら、7分以上の曲が多く、それなりに構築力もある。
ドラマティック度・・7 暴虐度・・8 アンダーグラウン度・・8 総合・・7.5
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In Lingua Mortua「Bellowing Sea」
ノルウェーのプログレッシブ・ブラックメタルバンド、イン・リングア・モーテュアの2007作
なにやら静かで上品なイントロから、曲が始まるとEMPERORばりに疾走するブラックメタルに突入。
しかしながら、ヴァイオリン、サックス、フルート、ピアノなどを使用したクラシカルな優雅さや
どことなく知的さを感じさせる展開美などは、プログレブラックの先輩、Solefaldあたりを思わせる。
そして、なんと、ブラックメタルなのにメロトロン使ってますよ、奥さん!これがなかなかハマっていて、
メロトロンの響きがどこか時代的なレトロさを、いい意味でサウンドにもたらしていたりします。
そういう点ではイーサーンのソロ作などにも通じる芸術的センスがあり、その筋には激しくお勧めです!
クラシカル度・・8 暴虐度・・7 プログレブラック度・・8 総合・・8
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In Lingua Mortua「Salon Des Refuses」
ノルウェーのプログレッシブ・ブラックメタルバンド、イン・リングア・モーテュアの2010年作
前作はヴァイオリン、サックス、フルート、ピアノなどを使用したクラシカルな優雅さと、
なんとプログレバンドばりにメロトロンを使った、独自のスタイルがインパクト大であったが、
本作も激しさの中に知的な感覚を覗かせ、まるでEMPERORと70年代プログレを融合させたような雰囲気である。
ANEKDOTENばりに鳴り響くメロトロン、フルートの音色はレトロな質感をかもしだしており、
緩急をつけた楽曲構造とともに、一種シアトリカルなまでのプログレブラックを展開している。
一般のリスナーにはつかみ所がない音かもしれないが、Solefaldなどのファンならにんまりしそう。
メロディアス度・・7 暴虐度・・7 プログレ(変態)度・・8 総合・・8
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INSOMNIUM「IN THE HALLS OF AWAKING」
フィンランドのメロデスバンド、インソムニウムの1st。2002作
このバンドの特徴は、ツインギターの奏でるいかにも北欧らしいメロディで、
初期AMORPHISの土着性をメロデスに持ち込んだようなサウンド、ともいえる。
昨今シンセに頼りがちなバンドが多い中、こうして北欧という固有の地域性を保って
それを音に表現できるバンドが存在していることは、とても嬉しく思う。
キラキラと疾走はしないが、やや田舎臭いメロディをふりまくギターの音色は
初期IN FLAMESあたりが好きな私にとってはとても心地よい音なのだ。
メロディアス度・・8 暴虐度・・6 北欧メロディ度・・8 総合・・8
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INSOMNIUM「SINCE THE DAY IT ALL COME DOWN」
フィンランドのメロデスバンド、インソムニウムの2nd。2004作
もの悲しいピアノのイントロ〜Aになる瞬間に北欧メロデスの全てが凝縮されています。
この2ndでは前作より引き継いだ土着メロは多少控えめになり、
1stより音がすっきりしていて、より一般向けに聴きやすくなっているという印象。
とくに、ふっと現れるアコーステイックパートなどがとても効果的で美しいですね。
個人的にはより無骨で田舎くさい1stの方が好みなんですが…
このアルバムも北欧の涼やかな森っぽさ(?)を感じられて良い感じです。
メロディアス度・・8 暴虐度・・6 北欧メロディ度・・8 総合・・8
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INSOMNIUM「Above the Weeping World」
フィンランドのメロデスバンド、インソムニウムの3rd。2006作
このバンドの1st、2ndはAMORPHISから続くフィンランド特有の土着的メロディを配した
叙情性が見事にメロデスサウンドに融合された作品だった。日本デビュー盤となる本作は、
そうした田舎臭さをやや抑えめにして普遍的なメロデス要素が増した力強いサウンドになっている。
もちろん、メロディにはある程度の土着性はときおり感じられるし、ツインギターの泣きメロもいい。
昨今の軽めのバンドに比べて、初期のメロデスにあった荒々しさも残しているのも好感が持てる。
個人的には前2作の北欧的な田舎臭さが好みであるのだが、総合的なクオリティは上がっている。
メロディアス度・・8 暴虐度・・7 北欧土着度・・7 総合・・8
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Insomnium「Across the Dark」
フィンランドのメロデスバンド、インソムニウムの4th。2009作
前作3rdでは土着性を減退させた普遍的なメロデスサウンドへとやや変化していたが、
本作においてはよりモダンでスタイリッシュなアレンジを聴かせるようになっている。
もの悲しいギターフレーズはKATATONIAに通じるようなメランコリックな質感があり
美しいシンセとデス声の咆哮が重なると、むしろEternal Tears of Sorrowに通じるような
美麗で叙情的なメロデスサウンドを描き出す。この泣きのメロディがじつに素晴らしく、
方向性が変わったのどうのと言う指摘が無意味に思えるほどに、質の高い作品である。
メロディアス度・・8 暴虐度・・7 泣きの叙情度・・9 総合・・8.5
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INSOMNIUMOne for Sorrow」
フィンランドのメロデスバンド、インソムニウムの5th。2011年作
前作の出来が大変素晴らしかったので期待していたが、本作もいかにもフィンランドらしい
メランコリックな叙情美が炸裂、ある意味ゴシックメタル的な雰囲気も楽しめる好作に仕上がっている。
ツインギターの流麗なメロディはやはり絶品で、そのもの悲しくも甘美なトーンはじつに日本人好み。
メロデス的な激しさや疾走感は控えめだが、その分、メロウな聴き心地にうっとりとなることしばしば。
これぞまさしくフィンランドのメタル。方向性はやや異なるがAMORPHISの持つ芳醇さにも通じる傑作。
メロディアス度・・8 メロデス度・・7 フィンラン度・・9 総合・・8
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INSOMNIUM 「Shadows of the Dying Sun」
フィンランドのメロデスバンド、インソムニウムの2014年作
2002年にデビューして、本作がすでに6作目という、なにげに中堅バンドと言ってよい存在。
前作では激しさを控えめにしたメランコリック作風であったが、基本的にはその延長上で、
ツインギターの叙情フレーズと低音デスヴォイスで聴かせる、モダンなメロデスサウンド。
北欧らしい土着性を感じさせるメロディを含ませつつ、曲によっては激しい疾走パートもあり、
前作以上にメリハリのある濃密なアレンジが光る。堂々たる説得力と音の迫力は
バンドとしてのキャリアによる自信を物語っている。ゴシック・デスメタル的な哀愁の美学と
フィンランドのバンドらしい知的でメロディックなフックが詰め込まれた見事な傑作だ。
メロディック度・・8 疾走度・・7 叙情度・・9 総合・・8.5
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Insomnium 「Winter's Gate」
フィンランドのメロディック・デスメタル、インソムニウムの2016年作
2002年にデビューしてから本作ですでに7作目となる。本作は40分全1曲という異色の大曲を収録している。
のっけからブラックメタルばりに激しくブラスト疾走しつつ、美しいシンセとメロディックなギターフレーズに、
ダミ声ヴォーカルを乗せて、北欧らしい寒々しい叙情性を含んだメロデスサウンドが炸裂。
キャリアのあるバンドのみがかもしだせる荘厳な説得力が、凍てついた冬の世界観を描いていて、
たとえるなら、MOONSORROWをメロデスにしたような雰囲気とでもいおうか。勇壮かつドラマティックに、
ときにアコースティックパートなども含みつつ、緩急ある展開で重厚なサウンドを構築してゆく。まさに傑作デス!
ドラマティック度・・8 暴虐度・・7 北欧叙情度・・9 総合・・8.5
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Insomnium 「Heart Like a Grave」
フィンランドのメロディック・デスメタル、インソムニウムの2019年作
2002年にデビューし、8作目。優美なピアノのイントロから、叙情的なギターに履き捨てヴォーカルを乗せ、
フィンランドらしい涼やかなメランコリック性に包まれたサウンドを描く。泣きのギターメロディにシンセが重なる
シンフォニックといってよい美麗な質感と、メロデスとしてのアグレッシブな激しさがほどよく同居していて、
ゆったりとした土着的な叙情を描くナンバーなどは、AMORPHISなどに通じる部分もある。
全体的には、激しさよりは北欧らしい物悲しい叙情に包まれた優雅な味わいで、メロウなギターの旋律が
これまで以上に前に出ている印象。インストによるラストナンバーもじつにメランコリックである。
ドラマティック度・8 暴虐度・6 北欧叙情度・9 総合・8 
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Inter Arma 「Sky Burial」
アメリカのスラッジ系ブラックメタル、インター・アルマの2013年作
激しいブラストビートにアナログ感のある重厚なギターと語りのような低音ヴォイスを乗せて、
ダークで不穏な空気を感じさせるサウンド。ドゥームメタル的なスローパートも盛り込みながら、
緩急に富んだ展開とともに、神秘的な暗黒性に包まれた世界観をヘヴィに描いてゆく。
一方ではPINK FLOYDを思わせるような、浮遊感のあるサイケプログレ的ナンバーもあったりと、
スラッジにブラックメタル、ドゥームに、プログレ、ポストロックと、いろいろなアプローチが面白い。
混沌としたサイケデリック要素を、重厚なスラッジと暗黒のブラックで仕上げたというべき力作だ。
ドラマティック度・・8 重厚度・・8 暗黒度・・8 総合・・8
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INTER ARMA 「The Cavern」
アメリカのスラッジ・ブラックメタル、インター・アルマの2014年作
2010年にデビューし、3作目となる。本作は全45分という長大な楽曲を1曲のみ収録。
ギターとストリングスによる叙情的な導入から、ヘヴィなギターの轟音にわめき声ヴォーカルも加え
重厚なスラッジブラックを展開。殺伐としたリフレインによるドゥーム感触に不穏なヴァイオリンの音色、
ときにツインギターによる叙情的な旋律も含ませて、緩急あるプログレッシブな展開で大曲を構築する。
マイルドなヴォーカルを乗せたところでは、ポストロック的なスケール感もただよわせていて、
とにかく曲は長いのだが、暗黒性は控えめなのでわりと聴きやすかったりする。長い曲OKな方はどうぞ。
ドラマティック度・7 暗黒度・7 重厚度・8 総合・8 
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INTER ARMA 「Paradise Gallows」
アメリカのスラッジ系ブラックメタル、インター・アルマの2016年作
2010年にデビューし4作目。前作は全45分1曲という異色の力作であったが、、
本作はブラックメタルとしての暗黒性を残しつつ、スラッジ寄りのアプローチで表現した重厚なサウンドを聴かせる。
ドローン気味に反復するギターリフに、低音のデスヴォイスが響き渡り、アナログ的な音質の絶妙なこもり具合も
ミステリアスで不穏な空気感をかもしだす。10分前後の大曲を多数含み、ドゥームメタル的なスローパートから
激しいブラックメタル要素まで、自然な緩急をつけながらスケール感ある構築力と知的なセンスを覗かせる。
曲によってはゆったりとした叙情性も含ませながら、じっくりと暗黒の美学を描くような力作である。
ドラマティック度・・8 重厚度・・8 ミステリアス度・・9 総合・・8
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INTER ARMA「SULPHUR ENGLISH」
アメリカのスラッジ系ブラックメタル、インター・アルマの2019年作
2010年にデビュー、本作は5作目で、ミステリアスで不穏なイントロから、ヘヴィなギターがドゥーミィに重なり、
低音デスヴォイスを乗せてブラスト疾走する、ブラッケンな暗黒スラッジサウンドが広がってゆく。
激しいブラックメタル感触もありつつ、こもり気味の音質がアナログな空気感をかもしだしていて、
スローテンポのドゥームメタルパートとともに、重厚でありながら靄のかかったような神秘性を描き出す。
ゆったりとしたナンバーと激しいブラックメタル風ナンバーがわりとはっきりしていて、10分前後の大曲も多いので
全体的には長尺感はあるのだが、ダークなスケール感に包まれた強力な作品であるのは確かだろう。
ドラマティック度・・7 暗黒度・・8 重厚度・・9 総合・・8 
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INTER ARMA 「Garbers Days Revisited」
アメリカのスラッジ・ブラックメタル、テンター・アルマの2020年作
いまや暗黒スラッジの中堅バンド。6作目となる本作は、わりとオールドなギターに吐き捨てヴォーカルを乗せた
ヴィンテージなスラッジ・ドゥームという感触で、スペイシーなシンセアレンジを加えるなど、新たな方向性も感じさせる。
全体的にはブラックメタル要素はやや減退してはいるが、絶叫するヴォーカルにはその名残を残していて、
サイケな浮遊感とオールドなドゥーム要素を無機質に同居させたという作風で、唐突に現れるブラストビートなど、
アヴァンギャルドなセンスは健在。いくぶんこもり気味の音質もアナログ的で、ミステリアスな不穏さを演出している。
全37分というのもやや物足りないのだが、バンドの深化を感じさせる異色のサウンドが楽しめる。
ドラマティック度・7 暗黒度・7 重厚度・8 総合・8
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IN THOUSAND LAKES「LIFELESS WATERS・・・」
スペインのメロデスバンド、イン・サウザンド・レイクスの1st。
最初は音が軽めなのでデスに聴こえず、なんかVoがダミ声のメタルだな、と思っていたら・・・
数曲聴いてやっと、これはどうやらメロデスらしいぞと認識(笑)。が、どうにも中途半端。
全然暴虐じゃない。聴きやすいし。別にこれなら普通の声で歌っても・・・
ただメロディはクサめでけっこういいものを持っているけれど。
メロディアス度・・7 デスメタル度・・3 スペイン度・・1 総合・・7


IN TORMENTATA QUIETE 「Teatroelementale」
イタリアのプログレッシブ・ブラックメタル、イン・トーメンタータ・クイーテの2009年作
イタリア語の語りとピアノによるイントロから、マイルドなノーマル声とダミ声の男性ツインヴォーカルを乗せ、
美麗なシンセアレンジを含んだシンフォニック性と、知的な展開力で個性的なプログレ・ブラックが広がってゆく。
ときにブラストで疾走する激しさも垣間見せるが、暴虐さよりもクラシカルな優雅さが前に出ており、
イタリア語によるヴォーカルの感触も含めて、これはプログレリスナーにも十分楽しめるサウンドだろう。
ゲストによるサックスや、ときに女性ヴォーカルも加わった、先の読めない展開と小曲を挟んだ構成などにも
シアトリカルなドラマ性を感じさせる。アーティスティックなセンスと随所にイタリアンプログレのテイストを感じさせる傑作!
ドラマティック度・・9 プログレ度・・8 楽曲センス・・9 総合・・8
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IN TORMENTATA QUIETE 「Cromagia」
イタリアのプログレッシブ・ブラックメタル、イン・トーメンタータ・クイーテの2014年作
本作では女性Voが正式に加わり、男性ノーマルVo+ダミ声Vo+女性Voという3人のヴォーカルをフロントに、
美麗なシンセアレンジによるシンフォニックなテイストと、ゴシック的なメランコリック性を強めた作風となった。
ヴァイオリンの艶やかな音色にマイルドな男性ヴォーカルの歌声で聴かせるやわらかな叙情性に、
女性ヴォーカルが加わるとますますゴシックメタル風味が強くなる。前作のアヴァンギャルドな路線も良かったが、
よりスタイリッシュになった展開美はこのバンドのセンスの良さを物語っている。
ラスト近くのにはプログレブラックらしい激しさもしっかり垣間見せる。やはり力作デス。
ドラマティック度・・8 プログレ度・・7 ゴシック寄り度・・8 総合・・8
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In Tormentata Quiete 「Finestatico」
イタリアのプログレッシブ・ブラックメタル、イン・トーメンタータ・クイーテの2017年作
2005年にデビュー、本作は4作目で、スペイシーなシンセとダミ声ヴォーカルを乗せて激しくブラスト疾走、
美しい女性ヴォーカルも加わって、ミステリアスなスケール感に包まれたサウンド聴かせる。
リズムチェンジを含む緩急ある構築力と、随所にプログレ的なシンセアレンジも覗かせつつ、
ダミ声、ノーマル男声、女声という3人のヴォーカルを重ねながら、壮大な世界観を描き出す。
全体的には激しさは控えめで、THERIONあたりにも通じるシンフォニックなゴシック・ブラックという感じもありつつ、
変拍子やイタリア語の歌声は、すでに十分プログレしている。個人的にはもっとアヴァンギャルドになっちゃって欲しい。
ドラマティック度・・8 壮大度・・8 アヴァンギャル度・・7 総合・・8 
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IN VAIN 「AENIGMA」
ノルウェーのプログレッシブ・ブラックメタル、イン・ヴェインの2013年作
本作が3作目で、ツインギターのメロデス的なリフとダミ声ヴォーカルを乗せ、
随所にノーマルヴォイスを含んだ緩急のついた知的な構成力で聴かせるサウンドは、
Solefaldあたりに通じるプログレッシブな感触があるが、こちらはよりメロディックな叙情が強く聴きやすい。
ときにトランペットやヴァイオリン、チェロ、サックスなども加わったり、シンセをバックに朗々としたコーラスが重なる
厚みのあるスケール感もよろしい。適度にモダンな重厚さとミステリアスな空気を融合させたような力作です。
ドラマティック度・・8 重厚度・・8 構築度・・8 総合・・8
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IN VAIN 「Currents」
ノルウェーのプログレッシブ・デスメタル、イン・ヴェインの2018年作
モダン化したSolefaldという力作であった前作に続き、4作目となる本作はテクニカルな展開力と、
低音デスヴォイスを乗せたダークな迫力が、寒々しいノルウェイジャンな空気感と融合した、
重厚でプログレッシブなサウンドが広がってゆく。かつての北欧メロデス的なギターフレーズとともに、
ときにノーマル声のヴォーカルを乗せ、ゴシック的でもあるメランコリックな叙情性も随所に覗かせる。
北の大地を感じさせる神秘性と、どっしりとしたヘヴィネスが合わさりながら、メロディックなフックもある、
その激し過ぎないバランスも絶妙だ。ペイガンな雰囲気と荘厳なスケール感も併せ持つ、強力作です。
ドラマティック度・・8 メランコリック度・・8 重厚度・・8 総合・・8.5 
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Iotunn 「Access All Worlds」
デンマークのプログレッシブ・デスメタル、イオトゥンの2021年作
叙情的なギターの旋律で幕をあげ、メタリックなギターリフに低音デスヴォイスとノーマルヴォーカルもまじえ、知的でスタイリッシュなサウンドを聴かせる。
ミドルテンポを主体に随所にアグレッシブなパートを織り込みつつ、10分を超える大曲をどっしりと構築するところは、OPETHなどにも通じるだろう。
叙情的なギターにシンセアレンジが重なり、ときに北欧らしいメランコリックな空気を覗かせ、スペイシーなスケール感に包まれた重厚な作風から、トレモロのギターのブラックメタル寄りのナンバーなどもあって、楽曲ごとに確かな構築センスを感じさせる。
ラストは13分を超える大曲で、ゆったりとした叙情パートとともにノーマルヴォーカルをメインにじっくり聴かせ、後半は激しいブラスト疾走も入って盛り上げる。
ドラマティック・8 暴虐度・7 知的デス度・8 総合・8
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Ipsissimus「Way of Descent
アメリカのブラックメタル、イプシシムスの2011年作
ツインギターのリフで聴かせるオールドスタイルのブラックメタル。
激しい疾走を含みつつミドルテンポの展開もあって、曲は6〜9分と長め。
決して一本調子ではない作風であるが、演奏力も含めてどこか90年代の
B級ブラック的な感触もある。ここにもう少し叙情的な要素があればよいのだが、
メロディックな聴き心地は薄く、かといって突進する迫力もさほどではないという中庸の作品。
ドラマティック度・・7 暴虐度・・7 楽曲・・7 総合・・7
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Irdorath 「Denial of Creation」
オーストリアのブラックメタル、イルドラスの2017年作
ザクザクとしたギターリフにダミ声ヴォーカルを乗せて疾走する、スラッシュ風味のブラックメタルというサウンドで
トレモロを含むギターフレーズに甘すぎない程度の叙情も覗かせながら、激しいブラストでたたみかける。
スローからミドルテンポを含むどっしりとしたところは、オールドなスラッシュメタルの雰囲気を感じさせ、
重すぎない暴虐過ぎないという感じで、ブラックメタルとスラッシュの両方の耳で楽しめる。
演奏力も高いので全体的にカッチリとした硬質感があるのだが、ヴォーカルがやや一本調子で、
中盤で少し聴き飽きてくる。ギターリフもわりと普通なので、耳を引くインパクトがもう少し欲しい。
ドラマティック度・・7 重厚度・・7 暗黒度・・7 総合・・7.5
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ISHTAR「KRIG」
スウェーデンのブラックメタルバンド、イシュターのアルバム1998/2005作
音の方は初期EMPERORを思わせる、美しいシンセをバックに疾走するタイプ。
音はややこもりがちで(これでもリマスターされたらしいが)、
いかにもマイナー系のブラックメタルといった雰囲気が全体から漂っている。
今となってはとりわけ個性的というほどのものでもないが、
アトモスフェリックなブラックサウンドが好きならチェックしてみてもよいかと。
シンフォニック度・・7 暴虐度・・8 ああ、ブラックだねえ度・・9 総合・・7


ISKALD「Shades of Misery」
ノルウェーのメロディックブラックメタル、イスカルドの2006年作
ドラム&ヴォーカル、ギター&ベース&シンセという二人組ユニットで、
エッジの効いたギターリフとともに激しくブラスト疾走するわりとオーソドックスなスタイル。
随所に正統派寄りのメロディックなテイストもあるのだが、メロデス的にも聴きやすい分だけかえって暴虐性の点では
やや物足りなさも感じてしまう。二人組という利点を活かして、Solefaldのようにもっと自由度の高いサウンドにするか、
あるいは、よりプリミティブな激しさを追及するのか、現時点ではどっちつかずの印象だ。それなりにクオリティは高いのだが。
ドラマティック度・・7 暴虐度・・7 楽曲・・7 総合・・7.5
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I Spit Ashes 「Inhaling Blackness - Reflecting Light」
ドイツのメロディック・デスメタル、アイ・スピット・アッシイズの2012年作
ヘヴィなギターリフにモダンなシンセアレンジを重ね、グロウルヴォーカルとともに、緩急あるリズムの
スタイリッシュなデスメタルを展開する。ギターは硬質なリフ主体なので、いわゆる北欧メロデス糸とは異なる
シンセ入りのデスコアという雰囲気が前に出ているが、ときに優美なシンセとともに叙情的なフレーズも覗かせる。
全体的には、もう少しストレートな疾走感や、扇情的なメロディが欲しいか。ジャケ買いにはご用心。
ドラマティック度・7 暴虐度・7 モダンデス度・8 総合・7
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Istapp「Blekinge」
スウェーデンのペイガン・ブラックメタルバンド、イースタップの2010年作
ヴォーカル、ギター、ベースというトリオ編成で、サウンドは激しいブラストで疾走する
比較的オーソドックスなメロブラスタイルに、随所にペイガンな土着性を加えた感触。
ギターリフにはヘヴィさはあまりなく、古き良き正統派の感触も残していて、シンセが入らない分
シンプルな音の印象を受ける。母国語で絶叫するヴォーカルに詠唱的なコーラスなども含めて、
北欧的なヴァイキングメタル風味も感じられて、激しさを残した正統派ペイガン・ブラックとして楽しめる。
メロディアス度・・7 暴虐度・・7 北欧度・・8 総合・・8
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Ithilien 「From Ashes to Frozen Land」
ベルギーのフォーク・デスメタル、エティーリーエンの2013年作
バグパイプ奏者を含む5人編成で、バグパイプの音色によるイントロから、メロタリックなギターにデスヴォイスを乗せて疾走、
メロデス風味のほどよい叙情性とブラストを含む激しさが合わさりつつ、随所にフォーキーな旋律も覗かせる。
きらびやかなシンセアレンジも加えつつ、適度な土着性とスタイリッシュな感触が同居したフォーク・メロデスという作風で、
わりとクサメロ感もあるので激しくとも聴きやすい。疾走ナンバーを主体にしつつ、いかにもペイガンメタルらしい三連リズムの
勇壮なナンバーなどもなかなか良いですね。バグパイプの牧歌的な音色とアグレッシブな激しさのコントラストで楽しめる好作デス。
ドラマティック度・7 疾走度・8 フォーキー度・7 総合・7.5
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Iuvenes 「Towards Sources of Honour And Pride」
ポーランドのペイガンブラックメタル、イウヴェネスの2005年作
2000年にデビュー、本作が3作目となる。ノイジーなギターにうっすらとしたシンセを重ね、
ダミ声ヴォーカルとともに聴かせる、エピックな雰囲気のペイガンブラックメタル。
美しいシンセアレンジはときにシンフォニックでもあり、アコースティックギターを使ったパートなど、
ラウドな音質も含めたマイナー臭さの中にも、翳りを帯びた幻想的な空気感を描いている。
激しい疾走パートというのはないので、7〜8分と長めの楽曲はもったりとした感触で、
リフやメロディにもフックが弱いため、辺境ペイガンブラックマニア向けの作品です。
ドラマティック度・・7 暴虐度・・6 ペイガン度・・7 総合・・7
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JANUS 「Nigredo」
イタリアのポストブラックメタル、ヤヌスの2014年作
ジャケの感じからしてセンス良さそうな雰囲気であるが、うっすらとしたシンセにトレモロのギター、
ダミ声ヴォーカルを乗せた暴虐さよりも叙情性が前に出た作風。楽曲はスローからミドルテンポ主体で、
激しい疾走感というのはあまりなく、メロウで神秘的な感触は悪くないのだが、同じフレーズが延々と
リフレインされるのはいささかスリリングさに欠ける。ラストは12分の大曲で、リズムチェンジを含んだ展開や
暴虐に疾走するパートも出てきてそれなりに楽しめるのだが、やはりもう一味足りない。
ドラマティック度・・7 暴虐度・・6 楽曲・・7 総合・・7
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K

KALMAHSwamplord
フィンランドのメロデスバンド、カルマーの1st。2000作
じつのところこのバンドの2nd以降のアルバムは、メロディアスなあざとさが強すぎて
あまり好きになれなかったのだが、この1stはギターフレーズに哀愁を感じさせる
北欧オールドメロデスの泣きがあっていい感じです。やや土着的な香りのするメロディと、
ブラックメタル風の絶叫ヴォーカルが合わさって、暴虐に疾走しつつも、とても聴きやすい。
シンセに頼りすぎないことで、メロデスとしての格好良さが損なわれていないのだな。
今や、フィンランドを代表するメロデスバンドとなった彼らだが、むしろ最高傑作は本作か。
メロディアス度・・8 暴虐度・・7 北欧度・・8 総合・・8
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KALMAH「THEY WILL RITURN」
フィンランドのメロデスバンド、カルマーの2nd。2002作
きらきらとした美麗なキーボードが印象的なメロデスサウンドで、
時折ヴァイキング風の勇壮メロが顔を出すのもポイント。
聴きやすく、それでいて適度にヘヴィさとアグレッシブさを保っており
その辺の良いバランスが安定した人気につながっているのだろう。
取り立てて個性的な部分は感じない音だが、よくできたアルバムだとは思う。
メロディアス度・・7 暴虐度・・7 楽曲・・7 総合・・7.5

KALMAH「SWAMPSONG」
フィンランドのメロデスバンド、カルマの3rd。2003作
ETERNAL TEARS OF SORROWCATAMENIAのメンバーらによるバンド。
キーボードはきらきらしていてシンフォニック、これは確かにEToS的だが
ギターリフはけっこう正統派っぽくてなかなか力強く、時折ヴァイキング風のメロが現れる。
全体としては、シンフォニックでヴァイキングなメロデスで時々チルボド風という印象。
悪くはないが…むしろ好きだが、新鮮味は薄いかもしれない。
メロディアス度・・7 暴虐度・・7 楽曲・・7 総合・・7.5
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Kalmah「12 Gauge」
フィンランドのメロデスバンド、カルマの6th。2010作
毎作質の高いアルバムで、フィンランドメロデスのトップに位置するこのバンド。
正直なところ、個人的には綺麗にまとまりすぎていて、いま一つのめり込めないバンドなのだが、
ともかく本作もクオリティの高い作品だ。今作はギターフレーズにフォーキーな雰囲気も取り入れつつ
美麗なシンセとともに疾走するスタイルで、いわゆるキラデス系のサウンドには暴虐さはあまり感じない。
かつてのイエテボリ系メロデスのようなリフの格好よさで聴かせるのではなく、モダンな構築性と疾走の中で
聴きやすいメロディとシンセで表現するメタルコア世代のメロデスというべきか。質は高いが深みに欠ける。
メロディアス度・・8 暴虐度・・7 新鮮度・・7 総合・・8
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Kalmah「Seventh Swamphony」
フィンランドのメロデスバンド、カルマの2013年作
毎作、質は高いのだが深みに欠ける作品で、正直好みではないバンドなのだが、
7作目の本作は、のっけから激しくブラスト疾走、美麗なシンセアレンジと、
メロディックなギターを乗せて、北欧メロデスの王道ともいうべきサウンドを聴かせる。
咆哮するデスヴォイスは強力だが、ダークな要素よりもメロディックな部分が前に出ているので
暴虐さはさほど感じない。それなりに聴きやすいのだが、耳に残るメロディや新鮮味は薄く、
これだというインパクトはない。初期チルボドや、初期ノーサー、ETosあたりが好きな方はどうぞ。
メロディック度・・8 暴虐度・・7 新鮮度・・7 総合・・8
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Kalmah 「Palo」
フィンランドのメロディック・デスメタル、カルマの2018年作
2000年にデビューし、8作目となる。甘すぎないメロディを含んだツインギターにグロウルヴォーカルを乗せて
激しく疾走する北欧メロデスの王道スタイル。ヴァイキング寄りの勇壮な感触とともに、涼やかな土着性を
メロディアス取り込みつつも、重厚な迫力をしっかり残している、キャリアのあるバンドらしい質の高さが光る。
楽曲も、4〜5分前後と短すぎず長すぎずで、ときにAT THE GATES風、ときにAMORPHIS風というような
確信犯的なギターフレーズも冴えを見せ、ゆったりとしたスローテンポのナンバーは、ほぼ初期アモルフィスのよう。
美しいシンセアレンジは、ETERNAL TEARS OF SORROWのようでもあり、正統派メロデスの生き残りとして
同郷バンドのエッセンスをすべて吸収しているような感じもある。新鮮味はないが高品質な作品デス。
ドラマティック度・・8 暴虐度・・7 北欧メロデス度・・9 総合・・8 
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KAMBRIUM「Shadow Path」
ドイツのエピックメロデス、カンブリウムの2011年作
ツインギターにシンセを含む5人編成で、ペイガン風味を含んだ勇壮さと
モダンなヘヴィさが合わさった、シンフォニックなデスメタルサウンド。
暴虐な疾走感はあまりなく、メロデスと言うにはギターフレーズにも魅力が足りない。
エピックな雰囲気は悪くないのだが、楽曲がいまひとつ突き抜けきらないのが残念。
ドラマティック度・・7 暴虐度・・7 エピック度・・7 総合・・7.5
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KAMPFAR「Heimgang」
ノルウェーのペイガンブラック、カンプファーの2008年作
北欧らしい土着的なギターフレーズを乗せて、古めかしいブラックメタルスタイルで疾走。
音質のぼやけ方も含めて、所期のBURZUMとか、90年代ブラックの薄暗い感触がある。
媚びのないプリミティブな雰囲気と、マイナー臭さも含めてマニア向けのアルバムだろう。
ドラマティック度・・7 暴虐度・・7 北欧度・・8 総合・・7.5
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KAMPFAR「Mare」
ノルウェーのペイガンブラックメタル、カンプファーの2011年作
神秘的なジャケが印象的だが、サウンドの方も前作以上に音の厚みが増し、
シンフォニックな要素も加わった、ミスティックなメロディックブラックを聴かせてくれる。
プリミティブな勢いでは前作だが、サウンドの説得力と完成度はずっと上がっており、
疾走する曲などはEMPERORあたりにも通じるだろう。キターのリフも魅力的になり、
北欧らしい土着的な雰囲気とともに、ミステリアスな美しさが楽しめる力作です。
ドラマティック度・・8 暴虐度・・7 北欧度・・8 総合・・8
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KAMRA 「CEREBRAL ALCHEMY」
スロヴェニアのブラックメタル、カムラの2022年作
不穏なギターが鳴り響くイントロから禍々しさを漂わせ、激しく疾走するドラムにトレモロのギターリフ、邪悪な吐き捨てヴォーカルで、荒涼とした空気に包まれたブラックメタルを聴かせる。
過剰な装飾を排したソリッドなスタイルであるが、アナログ感ある生々しさと、ヨーロピアンな暗がりを思わせるミステリアスな雰囲気に包まれる。
9分という大曲では、スローパートを挟んだ緩急あるドラマティックな展開で、プリミティブな迫力の幻想的なブラックメタルが味わえる。
ドラマティック度・8 暴虐度・7 プリミティブ度・8 総合・8
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Kathaarsys 「Verses in Vain」
スペインのペイガン・ブラックメタル、カタールシスの2008年作
女性ベース奏者を含む3人編成で、本作は、ACT I & II に分かれたCD2枚組の大作。
Discは19分、16分、13分、Disc2は15分、20分という、大曲5曲の構成で、語りの入った怪しげなイントロから、
ドゥーミィなギターリフと男性デス声&ノーマルヴォーカルを乗せ、ゆったりとゴシックメタル的に始まりつつ、
しだいにデスメタル的な激しい疾走パートが現れて、フォーキーとまではいかない叙情性も含んだ緩急ある展開力で聴かせる。
随所にブラストするブラックメタル要素もあるのだが、邪悪な暴虐性は薄めで、さりとてペイガンメタルというほどの土着性もないので、
悪く言えばどっちつかずの方向性。曲が無駄に長いわりにはメロディの魅力が乏しいので、盛り上がりにも欠けるという。
大作を作り出した意気込みは買うが、楽曲の練り込みとともに、リフやフレーズひとつひとつの扇情力を高めてもらいたい。
ドラマティック度・・7 暴虐度・・6 叙情度・・7 総合・・7.5
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KEEP OF KALESSINAgnen-a Journey through the dark
ノルウェーのメロブラバンド、キープ・オブ・カレッシンの2nd。2000作
先に聴いていた3rd、4thがかなり良かったのでこちらも。
3rd以降のかっちりとしたスタイリッシュなサウンドに比べるとまだ若干粗削りで、
ヴォーカルの邪悪な絶叫に音質のラウドさも手伝って、より真性の雰囲気が漂っている。
暴虐に疾走しつつも、やはりギターワークには北欧的なメロディのセンスが感じられ、
EMPERORの2ndからシンセを抜いた感じ…ともいえる勢いのあるブラックメタルが楽しめる。
総合的な質の高さでは3rd以降だが、本物の香りが味わえるノルウェイジャンブラックならこちらか。
メロディアス度・・7 暴虐度・・8 音質・・7 総合・・7.5
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Keep of Kalessin 「Reclaim」
ノルウェーのメロブラバンド、キープ・オブ・カレッシンのミニアルバム。2003作
2nd発表の後メンバーを一新し、次作までのつなぎ的な意味合いで制作されたのかもしれないが、
本作にはドラムにSATYRICONのFROST、ヴォーカルにMAYHEMのATTILAを迎えた豪華な布陣。
激烈に疾走する暴虐なサウンドは、傑作となる3rd以降のドラマティックさに比べると
メロディアスさでは物足りないが、より原初的なブラックメタルの激しさがあって激烈きわまりない。
この布陣でフルアルバムを聴いてみたかったという気もする。ミニなのがやや物足りない。
ドラマティック度・・7 暴虐度・・8 激烈度・・9 総合・・7.5
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KEEP OF KALESSINArmada
ノルウェーのメロブラバンド、キープ・オブ・カレッシンの3rd。2006作
とてもクオリティの高いメロブラだ。メロディックなギターリフで暴虐に疾走するスタイルで、
昨今のバンドのようなシンセに頼ることはせず、ギターのみの叙情で勝負する
オールドスタイルなサウンドが潔い。激烈にブラストを叩くドラマーの技量も凄い。
ときおり入ってくるアコースティカルなパートも効果的で、
暴虐パートとのコントラストでドラマティックな世界観を見事に描き出している。
ギターのセンスが良いのだろう、メロディとリフにおける楽曲との融合度も抜群だ。
メロディアス度・・7 暴虐度・・8 ドラマティック度・・8 総合・・8
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KEEP OF KALESSINKolossus」
ノルウェーのブラックメタルバンド、キープ・オブ・カレッシンの4th。2008作
今作もハイクオリティな傑作。コンセプトからくるドラマティックな雰囲気が格段に増し、
激烈に疾走、ブラストしつつも、センスあるギターリフとフレーズで
メロディと世界観を構築してゆく手法はさらに磨きがかかっている。
シンセに頼りがちな昨今のバンドと違い、あくまでギターサウンドにこだわる姿勢が硬派でよいのだ。
演奏においては、とくにドラムの凄さがバンドの核になっていて、7分、8分という曲でも
ダレることなく聴けるのは、パワフルな勢いと強固な構築力とがあるからだろう。
また、曲によってピアノやストリングス、アコギなどの音色を効果的に挿入するなど、
ドラマ性の点でも聴かせどころを増やしていて、激烈なパートをひときわ際立たせている。
ボーナスDVDには、インタビューやドキュメンタリー、アルバムメイキングなどを収録。
メロディアス度・・7 暴虐度・・8 ドラマティック度・・9 総合・・8
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Keep of Kalessin「Reptilian」
ノルウェーのブラックメタルバンド、キープ・オブ・カレッシンの2010年作
前作Kolossus」も非常に質の高い作品であったが、本作もコンセプチュアルなドラマティックさと
激しい疾走を含んだ展開力で聴かせる、なかなか濃密な力作に仕上がっている。
クリアなサウンドにはモダンなメタルとしての聴きやすさもあって、メロブラというには
メロディ自体は甘すぎないのだが、強烈なブラストを聴かせても暴虐すぎないのがポイント。
緩急を盛り込んだ長めの楽曲構成には知的さを漂わせ、シンセによる美しい味付けがあるのもいい。
ミステリアスな幻想性は薄いが、初心者にも分かりやすく高品質なドラマティック・ブラックメタルである。
ドラマティック度・・8 暴虐度・・7 モダンブラック度・・8 総合・・8
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KEYS OF ORTHANC「A Battle in the Dark Lands of the Eye...」
カナダのエピック・ブラックメタル、キーズ・オブ・オルサンクの2019年作
バンド名の「オルサンク」とは、「ロード・オブ・ザ・リング」に登場する魔法使いサルマンの居城。
当然ながら「指輪物語」をコンセプトにしていて、SEやケルティックな旋律を含んだイントロから、
ノイジーなギターに優美なシンセとダミ声&低音グロウルヴォーカルを乗せて、激しいブラスト疾走を含んだ
緩急あるブラックメタルを展開。美麗なシンセアレンジによるシンフォニックブラック的な聴き心地と、
アトモスフェリックで神秘的なスケール感が同居しているが、ギターリフがやや単調だったりと、
もう少し楽曲に明快な盛り上がりが欲しい。むしろ雰囲気モノとして楽しむのがよいのかも。
ドラマティック度・・7 暴虐度・・7 壮大度・・8 総合・・7.5
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Khazad Dum 「Hymns from the Deep」
イギリスのドゥーム・ブラックメタル、カザド・ダムの2020年作
トールキンの「指輪物語」をコンセプトにした作品で、詠唱のようなイントロから、唸るような低音デスヴォイスと
ゆったりとしたギターリフが重なって、妖しくも重厚な空気に包まれたフューネラルなドゥームメタルが広がってゆく。
12〜13分という大曲をメインにした全5曲という構成で、スローテンポを主体にしつつ、トレモロのギターを乗せた
ほどよいノリからブラックメタルばりのブラスト疾走も覗かせるなど、緩急のついた流れはなかなかドラマティック。
うっすらとしたシンセの味付けも幻想的な空気感に一役かっている。曲が長いので気が短い方には向かないが、
浸れる方にはこの暗黒サウンドが心地よく楽しめるだろう。AHABなどの絶望系ドゥームが好きな方もぜひ。
ドラマティック度・8 フューネラル度・9 重厚度・8 総合・8
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Killing Gandhi 「Aspirations of Failure」
デンマークのメロディック・デスメタル、キリング・ガンディの2018年作
2015年にデビューし、2作目となる。元Manticora、Wuthering Heightsのメンバーを含むバンドで、
適度にメロディックなギターに吐き捨てヴォーカルを乗せて疾走する、90年代スタイルを基本にしたメロデスサウンド。
楽曲は3〜4前後が主体で、エッジの効いたリフとともに疾走するデスラッシュ風味のストレートな聴き心地であるが、
モダンなシンセアレンジや北欧らしい叙情性、ときに女性コーラスも加わったりと、スタイリッシュな雰囲気も覗かせる。
シンフォニック・デス的な壮麗なラストナンバーも良い感じで、激しすぎない、甘すぎないメロデスが楽しめる強力作。
ドラマティック度・8 暴虐度・7 オールドメロデス度・8 総合・8
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Kimaera 「The Harbinger of Doom」
レバノンのゴシックデスメタル、キマエラの2013年作
ツインギターによる重厚なリフに美しいシンセアレンジ、そこにデスヴォイスを乗せたサウンドで、
随所にブルータルな激しさも含んだ感触は、イスラエルのSALEMあたりにも通じる雰囲気。
辺境的なミステリアスさも感じさせる荘厳な世界観で、デスメタル的な音圧の中にも、
随所に女性ヴァイオリン奏者の奏でる美しい旋律によるメランコリックな叙情性や
女性ヴォーカルが加わったゴシック的な耽美さもある。重厚なる中東ゴシックデスの力作。
MY DYING BRIDEっぽい感じもあるなと思っていたら、ラストはANATHEMAのカヴァー。やりおるな。
ドラマティック度・・8 重厚度・・8 ゴシックデス度・・8 総合・・8
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KING 「Reclaim The Darkness」
オーストラリアのペイガン・ブラックメタル、キングの2016年作
ギター、ベース、ドラムというトリオ編成で、ヴァイキングメタル寄りのギターフレーズにグロウルヴォーカルを乗せ、
涼やかな叙情性を含んだ重厚なサウンドを聴かせる。ミドルテンポを基本に随所に激しい疾走パートも折り込みつつ
ミステリアスな土着性を描くところは、MOONSORROWをアグレッシブにしような雰囲気もある。
楽曲は4〜6分前後と長すぎず、リズムチェンジなどの緩急ある構築力も含めて完成度は高い。
ブラックメタルとしての暴虐性とペイガンな叙情が同居したという強力なアルバムです。
ドラマティック度・・8 暴虐度・・7 重厚度・・8 総合・・8
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KING 「Coldest of Cold」
オーストラリアのペイガン・ブラックメタル、キングの2019年作
2作目となる本作はのっけから暴虐に疾走、クールなギターリフに迫力あるデスヴォイスで、
スケール感のあるブラックメタルを展開する。知的なセンスを感じさせるギターフレーズと
激しい疾走感とどっしりとしたミドルテンポの緩急あるリズムチェンジで、重厚なサウンドを描き出す。
前作に比べて、ヴァイキングメタル色は薄まっているが、激しさが増した分、ミステリアスで荘厳な空気が強まり、
硬派なペイガンブラックを聴かせてくれる。プログレッシブなブラックメタルが好きな方にもお薦めの強力作デス。
ドラマティック度・・8 暴虐度・・8 重厚度・・8 総合・・8
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Kivimetsan DruidiShadowheart」
フィンランドのフォーキー・ブラックメタル、キヴィメトサン・ドルイディの2008年作
ブラックメタルばりの激しいブラストビートに、フォーキーなメロディが絡み、
絶叫する男性ダミ声と、オペラティックな女性ヴォーカルが歌を乗せるというスタイル。
ブラックメタル化したNightwishというか…そんな感じでドカドカとせわしない曲調に、
ときおりシンフォニックなパートも入ってきたりと、なかなか濃密な作風だ。
フォーキーな土着性もいくぶん垣間見せる。シンフォニックなヴァイキングブラック作品。
シンフォニック度・・7 暴虐度・・7 フォーキー度・・7 総合・・8
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Kivimetsan Druidi「Betrayal Justice Revenge」
フィンランドのフォーキー・ブラックメタル、キヴィメトサン・ドルイディの2nd。2010作
ブラックメタル化したNightwishという雰囲気でもあった前作は、ややゴチャゴチャしていたのだが、
本作ではシンフォニックな美麗さと、オペラティックな女性ヴォーカルの歌唱をより前に出してきた。
ブラスト入りで男性ダミ声とともに激しく疾走する部分は、メロデスリスナーでも普通に聴けるサウンドだと思う。
一方で母国語で歌われる曲は土着性があっていかにもフィンランド的だ。楽曲、アレンジの面で成長の跡が窺える力作。
シンフォニック度・・8 暴虐度・・7 女性Vo度・・8 総合・・8
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KOROVA「A Kiss in the Charnel Fields」
オーストリアのプログレ・ブラックメタルバンド、コロヴァの1st。1995作
のっけからドイツ語の男Voと女性スキャット、それに民族調のメロディで始まり
ただならぬ幕開けににやにやしていると、やはり始まったアヴァンギャルド絵巻…
SOLEFALDをもっとぐちゃぐちゃにしたような感じといえばいいのか、
2ndで聴けたセンスある知的さよりも、もっと混沌とした勢いまかせの変態ブラックですね。
ノイジーなギターに咆哮をはじめるヴォーカル、ブラストビートもときおり入ってきて
やかましいのだけど、どこかローカルで田舎めいた感じがするのはENIDなどと同様。
ときおりギターがクサメロを弾いたり、クラシカルなピアノやオーケストレーションなどの使用も
プログレ好きの変態音楽愛好家にはタマランです(笑)SOLEFALDSIGHなどが好きな方はぜひ!
メロディアス度・・7 暴虐度・・7 変態度・・9 総合・・8
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KOROVADead Like an Angel
オーストリアのアヴァンギャルドブラックメタルバンド、コロヴァの2nd。1998作
メンバーは、女性ヴォーカルに、女性テルミン奏者(!)を含む6人で、
インダストリアルな雰囲気と朗々としたドイツ語のヴォーカルはRAMMSTEINなどを思わせるが、
ギターリフのバックには荘厳なオーケストレイションが鳴り響き、壮大かつ変態的な世界観を覗かせる。
さらにオペラティックなソプラノヴォーカルも加わって、クラシカルな質感を増しつつ
アヴァンギャルドな要素が交差してSOLEFALDあたりにも通じる芸術性が現れる。
テルミンやグラスオルガンなど変わった楽器も登場したりと、一筋縄ではいかないアートで
個性的なメタルサウンドを繰り広げている。プログレッシブな音楽が好きな方なら必聴。
メロディアス度・・7 暴虐度・・7 プログレッシブ度・・9 総合・・8
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Covenant (The Kovenant) 「Nexus Polaris」
ノルウェーのサイバー・ブラックメタル、コヴナントの2nd。1998作
3rd以降は「The Kovenant」とバンド名を変えるが、本作はバンドの評価を高めた傑作として名高い。
ギターのブラックハートと、元Dimmu Borgirのナガッシュを中心に、ドラムにMAYHEM、ARCTURUSのヘルハマー、
シンセは同じくARCTURUSのスヴァード、Cradle of Filthなどにも参加した女性シンガー、サラといったメンバーが集った、
いわばブラックメタル界のスーパーバンドである。サウンドの方は、美麗なシンセアレンジとミステリアスな雰囲気に包まれた
シンフォニックブラックメタルであるが、激しいブラストビートなどはあまりなく、ARCTURUSなどにも通じる浮遊感を感じさせる。
ヘルハマーのドラムを中心とした安定した演奏技術とともに構築される楽曲は、耽美でメロディック、
サラ嬢のフィメールヴォイスも含めてダークなゴシックブラックという趣もある力作だ。
シンフォニック度・・7 暴虐度・・6 ミステリアス度・・8 総合・・8
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THE KOVENANTAnimatronics
ノルウェーのサイバー・ブラックメタルバンド、コヴナントの3rd。1999作
COVENANT名義の2ndはノルウェーブラックメタルシーンの名だたるメンバーが集結した傑作として名高いが、
頭文字を「K」に変え、それとともにモダンでサイバーなインダストリアル寄りのサウンドに変化してゆく。
本作の時点では、まだわめきヴォーカルに女性コーラス入りで、メタリックなギターに絡む
シンフォニックなシンセもよい感じだし、リズムが若干デジタリィな感じになっているが、
2ndの頃の耽美な雰囲気をちゃんと残している。メンバーは名前を変えていますが、
Voは元DIMMU BORGIRのナガッシュ氏、ドラムはARCTURUSのヘルハマー先生です。
シンフォニック度・・8 暴虐度・・6 サイバー度・・8 総合・・8
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THE KOVENANT「SETI」
ノルウェーのサイバー・ブラックメタルバンド、コヴナントの4th。2003作
サウンドはさらにインダストリ寄りになり、歌もほとんどノーマル声になっています。
メンバー様はド派手なサイバーなメイクとコスプレをしていて、ヘルハマー先生にいたっては仮面をかぶっておられます(笑)
シンフォニックなシンセにはピコピコ系のテクノタッチをまじえつつも、女性コーラスなどで彩られたサウンドは、
なかなか厚みがあって悪くないです。エフェクトをかけていても、やはりヘルハマーさんのドラムは見事だし、
デジタリィであってメロディを感じさせるシンセのセンスが抜群によいので、根底ではちゃんとメタルしているわけです。
シンフォニック度・・7 暴虐度・・5 サイバー度・・9 総合・・8
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Krallice
アメリカのブラックメタル、クラリスの2008年作
トレモロのギターリフに絶叫するヴォーカルを乗せて激しくブラスト疾走しつつ、アヴァンギャルドな展開力と、
メロディックな優雅さを覗かせて、ネイチャーな神秘性を描くところは、Wolves in the Throne Roomも通じるだろう。
次作以降に比べると、ややこもり気味の音質も含めて、マイナーな香りと荒々しいプリミティブ性に包まれていて、
ブラックメタルとしてのダークな妖しさもしっかりと残している。10分前後の大曲も多く、どうしても長尺な感じはあるが、
激しさよりも雰囲気モノとしての空気を楽しめる方ならイケるかと。優雅な叙情性が好きな方は2作目以降をどうぞ。
ドラマティック度・・7 暴虐度・・7 叙情度・・7 総合・・7.5 
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Krallice「Dimensional Bleedthrough」
アメリカのポストブラックメタル、クラリスの2009年作
トレモロを含むツインギターの叙情的なリフを乗せて疾走しつつ、リズムチェンジを含む展開力で
激しくとも優雅といってもよいブラックメタルを聴かせる。随所にブラストビートによる激しさも覗かせ、
ダミ声ヴォーカルを乗せてもさほどダークにはならないところは、ギターフレーズの泣きのためだろう。
10分を超える大曲を中心に、インストパートが多いので、一般のリスナーには長尺感があるだろうが、
トレモロなギターが好な人なら、わりとじっくりと鑑賞できるだろう。にしても、さすがに全77分は長いが。
ドラマティック度・・7 暴虐度・・7 優雅な叙情度・・8 総合・・8
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KRALLICE 「DIOTIMA」
アメリカのブラックメタル、クラリスの2011年作
2008年にデビュー、本作は3作目で、トレモロのギターと低音デスヴォイスを乗せて激しくブラスト疾走、
リズムチェンジを含む緩急ある構築力とともに、10分を超える大曲でも淡々とした叙情を描き出す。
激しくたたみかけながらも、ツインギターによるメロディックな味わいが、このバンドの最大の魅力で、
アナログ感触ただよう、こもり気味の音質も含めて、かつての北欧メロディックブラックメタルを基盤にしながら、
Wolves in the Throne Room以降の自然崇拝的な神秘性を加えて、ある意味では優雅な聴き心地である。
12分、13分という大曲も多く、全68分という長尺な感じはあるが、トレモロ好きのトレモラーな方にはお薦めです。
ドラマティック度・・8 激しさ度・・8 叙情度・・8 総合・・8
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KVALVAAG「SEID」
ノルウェーのブラックメタル、クヴァラーグの2018年作
ギター&ベース&ヴォーカルとドラムの二人組で、2014年にデビュー、本作は3作目となる。
シンセを使った幻想的なイントロから、トレモロを含むノイジーなギターを乗せて激しくブラスト疾走、
絶叫するダミ声ヴォーカルにうっすらとしたシンセを加えたスタイルは、初期EMPERORにも通じる、
古き良き北欧ブラックメタルの世界観。随所にリズムチェンジや朗々としたノーマルヴォイスも覗かせて、
激しいだけでないダークな叙情性を感じさせるところもよいですね。シンセアレンジの美しさも含めて、
初心者にも聴きやすいだろう。寒々しくも幻想的なノルウェイジャン・ブラックの醍醐味が味わえる強力作だ。
ドラマティック度・・7 暴虐度・・7 北欧ブラック度・・9 総合・・8
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L

Lantlos
ドイツのポストブラックメタル、ラントロスの2008年作
2nd以降は、AlcestのNeigeが加入することでバンドの存在が知られるようになるのだが、
本作の時点はノイジーなギターとダミ声ヴォーカルを乗せて、随所に激しいブラストも含んだ、
オールドスタイルのブラックメタルで、ややこもり気味の音質がプリミティブな妖しさをかもしだす。
絶叫Voにノーマル声も交えつつ、ディプレッシブ・ブラック的でもあるダークで物悲しい叙情性と、
緩急ある展開で、8分、9分という大曲を構築するセンスは、本作においても十分魅力的だ。
再発盤のボーナスDiscには、デビュー前のデモ音源と未発曲を収録。
やや荒削りながら、よりプリミティブな叙情ブラックメタルが楽しめる。
ドラマティック度・・7 暗黒度・・8 叙情度・・7 総合・・7.5
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Lantlos 「Agape」
ドイツのポストブラックメタル、ラントロスの2011年作
本作は3作目で、妖しげなイントロから、ヘヴィなギターを乗せたドゥーミィな感触で始まり、
AlcestのNeigeのマイルドヴォーカルを乗せた、ゆったりとしたアンビエントなパートへと移行、
ダミ声ヴォーカルを交えつつ、適度なヘヴィさとアンニュイな浮遊感を同居したサウンドを聴かせる。
今作では、激しい疾走パートと静寂感のあるパートとが、いくぶん極端なコントラストになっていて、
Alcestとの差別化を図ろうとしているからか、トレモロ系のギターが少ないので泣きの叙情はやや薄めか。
全体的には、スローパートも多いのでわりと淡々としていて、もう少しドラマティックな盛り上がりが欲しかった気もするが、
激しさ控えめのドゥーム・ブラックとしても楽しめるかもしれない。ボーナスDiscには本作のデモ音源を収録。
ドラマティック度・・7 暗黒度・・7 叙情度・・7 総合・・7.5
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LANTLOS 「Melting Sun」
ドイツのポストブラックメタル、ラントロスの2014年作
なにやらサイケデリックな色彩のジャケがインパクト大だが、サウンドの方はシューゲイザー風味の
浮遊感あるギターワークにヘヴィなベース、そしてマイルドなヴォーカルで、ブラックというよりは
むしろドゥームメタル的な雰囲気に加えて、Anathemaのようなプログレ風な知的さを感じさせる。
6〜9分という長めの楽曲を連ねてゆく構築力もあり、ゆったりとした聴き心地ながらも
適度なヘヴィさもあって、全体的には意外とメリハリのある作品になっている。
ポストプログレやサイケドゥームのリスナーにも楽しめる力作だと思う。
ドラマティック度・・7 叙情度・・8 プログレな知的度・・8 総合・・8
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LASTER 「DE VERSTE VERTE IS HIER」
オランダのポストブラックメタル、ラスターの2014年作
10分を超える大曲3曲を含む、全4曲という構成で、不穏なギターフレーズに疾走するドラムを重ね、
ダミ声ヴォーカルが絶叫する、ダークで妖しい浮遊感で描かれるブラックメタルサウンド。
こもり気味の音質がプリミティブな香りを感じさせつつ、プラストを含む激しさがあっても、
暴虐さよりも物悲しい味わいに包まれていて、霧の向こうの幻想を見るかのようなイメージだ。
ゆったりとした叙情的なパートも随所に含みつつ、ブラックメタルとしての暗黒性を保ちながら、
優雅な激しさというべき作風を描いてゆく。2作目以降はよりエクスペリメンタルに進化する。
ドラマティック度・・7 暴虐度・・7 アヴァンギャル度・・7 総合・・8
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LASTER 「Ons Vrije Fatum」
オランダのポストブラックメタル、ラスターの2017年作
2014年にデビューし、2作目となる。トレモロを含むギターにダミ声ヴォーカルを乗せて疾走する激しさに、
リズムチェンジを含む知的な構築力と、ミステリアスな叙情性が同居した、スタイリッシュなブラックメタル。
随所にシンセアレンジを加えて、幻想的な雰囲気をかもしだしつつ、10分を超える大曲などでは、
ブラメタらしからぬサックスを使ったパートもあったりと、独自のセンスを感じさせるところも多い。
ブラスト疾走する激しさを残しつつ、モダンな解釈で新世代のポストブラックを提示する強力作だ。
再発盤のDisc2には、2016年のスプリットアルバムに収録された17分の大曲を収録。
ドラマティック度・・7 暴虐度・・7 叙情度・・8 総合・・8 
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LASTER 「Het Wassen Oog」
オランダのポストブラックメタル、ラスターの2019年作
2012年にデビューし、本作は3作目となる。叙情的なギターにうっすらとしたシンセを重ね、
ダミ声&ノーマルヴォーカルを乗せて、スペイシーでミステリアスなサウンドを描く。
激しさは控えめであるが、リズムチェンジを含む知的な構築力に、ときにブラスト疾走もまじえ、
シンセやピアノ、優雅なスパニッシュギターが加わると、プログレッシブな味わいに包まれる。
グルーヴィなベースとドラムのリズムや、不穏な空気を誘うようなギターリフもなかなか秀逸。
適度にアヴァンギャルドで、エクスペリメンタルなポストブラックが楽しめる異色作です。
ドラマティック度・・7 暴虐度・・6 アヴァンギャル度・・8 総合・・8
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LASTER 「Andermans Mijne」
オランダのポストブラックメタル、ラスターの2023年作
2012年にデビューし、本作は4作目となる。不穏なギターフレーズに母国語による語りのような歌声を乗せ、随所に激しい疾走パートも含んだ緩急あるサウンドを展開。
楽曲は3〜5分前後が主体でわりとシンプルではあるが、ブラックメタルをルーツにしたミステリアスな空気感にとぼけたような優雅さも漂わせ、ときにデジタルでスタイリッシュなアレンジも覗かせる。
唐突でアヴァンギャルドな展開も確信犯的で、単なるポストブラックというよりは、プログレッシブな香りが漂う異色作である。
ドラマティック度・7 激しさ度・6 スタイリッシュ度・8 総合・8 
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LEBENSNACHT 「THE REALM BEYOND」
フィンランドのブラックメタル、レベンスナクトの2021年作
2人組のユニットで、2012年にデビューし5作目となる。荒々しいギターにスペイシーなシンセを重ね、
ダミ声ヴォーカルを乗せて暴虐にブラスト疾走する、いかにもオールドスタイルのブラックメタル。
わりとスカスカのドラムが初期の北欧ブラックメタルを思わせるが、トレモロのギターリフに重なる
美しいシンセアレンジがシンフォニックブラック的な味わいになっていて、案外に聴きやすい。
ゆったりとした静寂パートも挟みつつ、激しさと叙情が交差する緩急ある展開力もいいですね。
北欧らしい涼やかな空気感とともに、90年代ルーツのアナログ感あるブラックメタルが楽しめる。
ドラマティック度・8 暴虐度・7 プリミティブ度・8 総合・8
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LEGENDA「AUTUMNAL」
フィンランドのメロディックブラックメタルバンド、レジェンダの1st。
先に2ndを聴いていたが、このバンドの方向性は今風のシンフォブラとは違い、
疾走やメロディのみに頼らないサウンドは、いわゆるアトモスフェリック系といってよいものだ。
インパクトや曲の密度という点では物足りなさがあるが、どこかもの悲しい哀愁を感じさせる
不思議な浮遊感がある音作りには、他のバンドにはない趣がある。
音を詰め込みすぎない方法論は、ある意味で癒し系ブラックともいえるかもしれない。
シンフォニック度・・8 暴虐度・・6 哀愁度・・8 総合・・7.5
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LEGENDA「Eclipse」
フィンランドのメロディックブラックメタルバンド、レジェンダの2nd。1998作
シンフォニックなキーボードやときにメロディアスなギターリフなども聴かせる
暴虐な疾走に頼らず雰囲気で聴かせるタイプ、いわゆるアトモスフィリック系のサウンドだ。
スペイシーな音作りはなかなか悪くはないが、整然とした演奏はややインパクトに欠けるか。
メロディアス度・・7 シンフォニック度・・7 暴虐度・・7 総合・・7


The Legion「Unseen to Creation」
スウェーデンのブラックメタルバンド、ザ・リージョンの2004作
MARDUKのドラマーを中心としたバンドで、サウンドの方もマーダックばりの
ファストで激烈な疾走ブラックをやっている。演奏力も非常に高くブラストビートに乗るギターリフは
ときにテクニカルであったり、BEHEMOTHなどを思わせるブルータルな重厚さも見せつける。
激しいだけでなくドラマティックな暗黒美も含めて、クオリティの高い作品だ。
ドラマティック度・・8 暴虐度・・8 激烈度・・9 総合・・8
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The Legion「Revocation
スウェーデンのブラックメタルバンド、ザ・リージョンの2006年作
MARDUKのドラマーが在籍するバンドで、激しくたたみかける突進力と
巧みなギターリフで構築されるドラマティックな展開力も見事なサウンド。
ブラスト入りの強烈なブルータリティの中にも、ツインギターの絡む有機的なフレーズは
随所にメロディックな味わいとなっていて、単なる暴虐ブラックとは異なる、いわば
「知的な荘厳さ」というような雰囲気を感じさせる。テクニカルな構築センスも光る濃密作。
ドラマティック度・・8 暴虐度・・8 荘厳度・・8 総合・・8
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LEMURIA 「The Hysterical Hunt」
ベルギーのシンフォニック・ブラックメタル、レムリアの2018年作
18世紀フランスの伝説の獣とされる「ジェヴォーダンの獣」をテーマにしたコンセプト作で、
荘厳なイントロから、シンフォニックなアレンジとダミ声ヴォーカルを乗せて疾走する、
CRADLE OF FILTHにも通じるスタイルで、随所に語りやSEなどを盛り込んで、
シアトリカルなドラマ性を描き出す。激しい疾走パートだけでなく、緩急ある展開力に、
随所にメロディックなギターや女性コーラスなどを加えた優美な聴き心地も日本人好み。
エピックな雰囲気も感じさせる、高品質なシンフォニック・ブラックメタルの力作デス。
シンフォニック度・・8 暴虐度・・7 壮麗度・・8 総合・・8
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Lesath 「Sacred Ashes」
ロシアのブラックメタル、レサスの2020年作
ATLANTEAN KODEXにも使われた、アルノルト・ベックリンの絵画をあしらったジャケが良い感じだが、
サウンドの方は、アコースティックギターによる叙情的なイントロナンバーから、ノイジーなギターと
ダミ声ヴォーカルを乗せて疾走するプリミィブなブラックメタルを聴かせる。ほどよくスカスカなサウンドとともに、
激しすぎない、暗黒過ぎない叙情性に包まれていて、ミステリアスな雰囲気ながらもわりと聴きやすい。
シンセアレンジを加えた優雅な味わいも覗かせるなど、全体的にはもう少し激しさと迫力が欲しいような。
ドラマティック度・7 暴虐度・7 ミステリアス度・8 総合・7.5
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Les Chants Du Hasard
フランスのゴシックブラック、レス・チャンツ・ドゥ・ハサードの2017年作
ハザード氏による独りユニットで、シンセとオーケストレーションによる壮麗なサウンドに、
ダミ声ヴォーカルが響き渡る、ELENDを思わせる荘厳なゴシック&ネオクラシカルを聴かせる。
ギターやドラムなどは一切入らないので、闇のサントラか暗黒の交響曲かという雰囲気で、
この手の世界観が苦手な方には薦められないが、大仰なダークミュージックか好きならば、
心地よく耽溺できるだろう。ただ、エレンドのフォロワーという以上の個性はまだないか。
シンフォニック度・・8 メタル度・・3 暗黒度・・7 総合・・7.5
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LES DISCRETS 「Septembre Et Ses Dernieres Pensees」
フランスのポスト・ブラックメタル、レス・ディスクレッツの2010年作
AMESOEURSのFursy Teyssierを中心にした3人組で、物悲しイントロから始まり、
叙情的なギターにフランス語のヴォーカルを乗せた、アンニュイな翳りを帯びたサウンド。
ブラックメタルというほどには激しさはないが、美しいシンセにトレモロのギターが重なり、
疾走パートもまじえた緩急ある作風で、Alcestなどにも通じる優雅なポストブラックを聴かせる。
一方では、随所にアコースティックギターによる繊細な叙情も覗かせて、むしろゴシック的でもある
メランコリックな倦怠の美学を感じさせる。2作目以降は、ポストプログレ的な作風が強まってゆく。
ドラマティック度・・8 激しさ度・・6 叙情度・・8 総合・・8 
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Les Discrets「Ariettes Oubliees
フランスのポスト・ブラックメタル、レス・ディスクレッツの2012年作
AMESOEURSのFursy Teyssierを中心にした3人組で、ゆったりとした叙情性と
男女ヴォーカルのフランス語の歌声で聴かせる、アンニュイなポストロック風サウンド。
激しい疾走は少ないが、薄暗い翳りを含んだ世界観とメロウなギターのフレーズが
メランコリックな味わいをかもしだしていて、Alcestにも通じるやわらかな聴き心地だ。
一方では、ギターリフの組み立て方にはオールドスタイルのアナログ感覚があり、
プログレ、ポストロックのリスナーにも楽しめるかもしれない。
メロウ度・・8 激しさ度・・5 アンニュイ度・・9 総合・・8
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Les Discrets 「PREDATEURS」
フランスのシューゲイザー・ポストロック、レス・ディスクレッツの2018年作
ALCESTのジャケを手掛け、AMESOEURSにも参加したアーティスト、Fursy Teyssierのユニットで、
本作が3作目となる。マイルドなフランス語の歌声を乗せた、メランコリックな味わいのポストロックで、
機械的なシンプルなドラムパターンや、ギターの単音の旋律が物悲しい哀愁の叙情を感じさせる。
美しいシンセアレンジとゆったりとした浮遊感は、ANATHEMAなどにも通じる優しい空気感で、
トレモロのギターも現れて、Alcestの叙情性を思わせるところもある。繊細な聴き心地の好作品です。
ドラマティック度・・7 メランコリック度・・8 薄暗度・・9 総合・・7.5
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LEVIATHAN 「Of Origins Enearthed」
ドイツのメロディック・デスメタル、リヴァイアサンの2018年作
メタリックなギターに女性のグロウルヴォーカルを乗せて激しく疾走しつつ、
随所に流麗なギターフレーズも含ませた、わりとキャッチーなメロデスサウンド。
アグレッシブなサウンドの中に、ペイガンメタル寄りのクサメロ感も漂わせるところは、
なかなか日本人好みで、基本は男女のデス声ながら、ときにストレート女性声も用いるなど、
単なるメロデス以上の優雅な雰囲気を感じさせる、ギターメロのセンスが良いので、インストパートの魅力もたっぷりで、
アコースティックなパートもあったりと、緩急ある構築力にエピックな叙情性を盛りこませた、なかなかの強力作デス。
ドラマティック度・8 暴虐度・7 クサメロデス度・8 総合・8


L'HOMME ABSURDE 「SLEEPLESS」
ロシアのポストブラックメタル、ルオーム・アブサーデの2018年作
トレモロを含むギターリフにダミ声ヴォーカルを乗せ、適度に激しい疾走パートに、
リズムチェンジなどのモダンな展開力も覗かせるサウンド。デジタル風味のアレンジには
ブラックメタルとしての暗黒性はあまりなく、モノトーンをイメージさせるインダストリアルな感触は、
新たなポストブラックの深化の形というべきか。全体的にはわりとミドルテンポのパートが多く、
激しい疾走面での迫力のもの足りなさと、叙情性という面でも泣ききれない中庸感があるので、
現時点ではどっちつかずの煮え切らない聴き心地。今後はより方向性を明確にして欲しい。
ドラマティック度・・7 激しさ度・・6 モダン度・・8 総合・・7
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LIMBONIC ARTAd Noctum Dynasty Of Death
ノルウェーのシンフォブラックメタルバンド、リンボニック・アートの3rd。1999作
美麗なシンセアレンジを乗せて、激しくブラスト疾走するサウンドながら、
ドラムが打ち込みのため暴虐な迫力はあまり感じない。
6〜11分と大曲志向で、知的な展開力も持ち合わせた構築センスがあり、
スペイシーで荘厳な雰囲気で楽しめるシンフォニックブラックの好作だ。
シンフォニック度・・8 暴虐度・・7 荘厳度・・8 総合・・7.5
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LIMBONIC ARTUltimate Death Worship
ノルウェーのシンフォブラックメタルバンド、リンボニック・アートの4th。2002作
今作では二本のギターによるリフが前に出てきていて、音が厚くなっている。
うっすらとした神秘的なシンセワークとともに、メロブラ的なギターで疾走する。
リズムはやはり打ち込みだが、以前ほどその軽さが気にならないので、
彼らの標榜する宇宙的な世界観には説得力のようなものが出てきていて、
6〜10分という大曲中心のアルバムでも、さほどだれることなく聴き通せる。
このアルバムを最後にいったん解散するが、2007年には復活作を発表。
シンフォニック度・・7 暴虐度・・7 スペイシー度・・8 総合・・7.5
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The Lion's Daughter 「Existence Is Horror」
アメリカのスラッジ・ブラックメタル、ライオンズ・ドウターの2016年作
ジャケからしてすでに妖しさぷんぷんだが、サウンドの方もなかなかすごい。
ドゥーミィな重厚さにブラックメタルの激しさを合わせた濃密な聴き心地で、
不穏なギターフレーズに咆哮するダ声ヴォーカルを乗せて、随所にブラスト疾走を含みつつ、
闇に包まれた空気とアヴァンギャルドなセンスで描かれる強力なサウンドが楽しめる。
楽曲自体は3〜5分前後とわりと短いので、個人的にはもう少し壮大な大曲もあればと思うが、
スラッジ・系ブラックメタルとしては、Inter Armaをさらに激しくしたような力作である。
ドラマティック度・・8 暗黒度・・8 重厚度・・8 総合・・8
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LLOTH 「ATHANATI (IMMORTAL) 」
ギリシャのエピック・デスメタル、ロスの2017年作
ヴァイキングメタル風のギターフレーズにデスヴォイスを乗せた重厚なサウンドで、
ブラスト疾走する激しさも含みつつ、基本はミドルテンポで、どっしりとしたデスメタルを聴かせる。
ギリシャ神話をテーマにした神秘的なスケール感に包まれながら、ほどよくメロディックな叙情性もあるので
全体的にわりと聴きやすく、SEPTIC FLESHなどに比べると、より正統派の雰囲気があって、
メロデス寄りのダークメタルとしても楽しめる。Rotting ChristのSAKIS、NIGHTFALLのEfthimis Karadimas、
CHAOSTARのアンドロニキ嬢が、それぞれ1曲ずつヴォーカルでゲスト参加している。
ドラマティック・・8 暴虐度・・6 重厚度・・8 総合・・8
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Lord BelialBlack Curse
スウェーデンのブラックメタルバンド、ロード・ベリアルの2008年作
デビューは1995年と、ブラックメタルとしては中堅というべきキャリアがありつつも、
日本ではなかなか知名度が上がらないこのバンド。本作は7作目くらいだろうか、
サウンドは暴虐に疾走しつつも、いかにもオールドメタル的なギターリフと、
ダークな世界観を感じさせるドラマティックな展開などはなかなか魅力的だ。
MARDUKあたりと比べると激烈さは抑え目で、その分初心者にもとっつき安い。
ときおり聴かせる叙情的なギターフレーズもいいですね。
メロディアス度・・7 暴虐度・・7 ドラマティック度・・8 総合・・8
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Lord Wind 「Rites of the Valkyries」
ポーランドのペイガンフォーク、ロード・ウインドの2001年作
ブラックメタルバンドGravelandのメンバーによる個人ユニットで、打ち込みによるリズムにシンセを重ね、
詠唱のような歌声を乗せた幻想的なサウンド。ギリシャ神話や北欧神話をイメージさせる世界観で、
シンセをメインにしたいくぶんチープな聴き心地は、SUMMONINGや刑務所時代のBURZUMを思わせる。
メタル感はほとんどなく、リフレインの多いサントラ的な作風なので気が短い方には向かないが、
ストリングスなども加えたシンフォニックなテイストや、ラストの17分という大曲では、神秘的なパーカッションや
アコースティックギターなどの土着性を含んだ壮大な味わいで、幻想イメージ音楽としてはなかなか楽しめる。
ドラマティック度・・7 メタル度・・3 幻想度・・8 総合・・7.5
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LOSS「Verdict of Posterity
スウェーデンのメロデスバンド、ロスのアルバム。2001作
ツインギターのメロディアスなリフを乗せてブラストビートで疾走、
ヴォーカルはブラックメタル風のわめき声と、低音のデス声を使い分けていて、
サウンド的にもメロデス、デスラッシュ、ブラックの中間という雰囲気だ。
展開はあまりなく基本的に曲調はストレートで分かりやすく、ギターの叙情メロディもなかなかいい。
メロディアス度・・7 暴虐度・・8 疾走度・・8 総合・・7.5
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LOTHLORIEN「THE PRIMAL EVENT」
スウェーデンのメロデスバンド、ロスローリエンの1998年作
ジャケだけ見るとプログレメタルかなにかのようだが、れっきとしたメロデスです。
これがかなり出来が良く、初期のIN FLAMESAT THE GATES をクサメロ&シンフォニックにした感じで、
激しく疾走しつつもバックには美麗なキーボードの音色がかなりの割合でフィーチャーされている。
ギターの方も北欧的なメロウなリフを奏でていて、全体的に暴虐さよりはメロディアスさ、
シンフォニックな叙情性を重視していてとても聴きやすい。美しいメロデスが好きな方にかなりお勧めの逸品。
メロディアス度・・9 シンフォニック度・・8 暴虐度・・7 総合・・8
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LUCIFERION「The Apostate」
スウェーデンのブラック・デスメタルバンド、ルシフェリオンの2nd。2003作
LOST HORIZONのヴォイテック・リシキ、DARK TRANQUILLITYのマイケル・ニクラソン
を中心にしたバンドで、ブルータルに疾走するオールドな感じのデスメタルサウンド。
うっすらとしたキーボードをバックにチリチリとしたギターリフで無慈悲に突進する様は
ブラックメタル風味のデスラッシュという質感も。ときおりツインギターのメロディを聴かせるが、
基本はあくまでもブラス入りで突進しまくりのスタイルで、これといった新鮮味は感じられない。
シンセによるミスティックな雰囲気は悪くないのだが、曲の構成やアレンジなどにおいて
それを活かし切れていない。アルバム後半は1994年のデモ音源という変則的な構成もどうかと。
メロディアス度・・6 暴虐度・・8 楽曲・・7 総合・・7
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Lucifer's Child 「The Order」
ギリシャのブラックメタル、ルシファーズ・チャイルドの2018年作
2015年にデビューし、2作目となる。ノイジーなギターに絶叫ヴォーカルを乗せて激しく疾走しつつ、
甘すぎない叙情メロディも随所に覗かせる、サタニックな迫力に包まれたブラックメタルを聴かせる。
ミドルテンポのパートにも荘厳な雰囲気を漂わせ、ときにブラッケンロール的な味わいも覗かせるなど、
全体的には暴虐な激しさよりは、どっしりとした暗黒性に浸れる作風ながら、トレモロのギターで疾走する
オールドスタイルのブラックメタルナンバーはやはり痛快だ。ラストはフューネラルなスローナンバーで締めくくる。
ドラマティック度・7 暴虐度・7 暗黒度・8 総合・7.5
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LUCTUS 「UZRIBIS」
リトアニアのブラックメタル、ラクタスの2020年作
2003年にデビューし、本作は4作目。ミステリアスなイントロからトレモロのギターを乗せて激しくブラスト疾走、
低音グロウルヴォイスとともに、荘厳な闇を感じさせる迫力あるブラックメタルを聴かせる。
ギターリフにはほどよい叙情も感じさせるので、ときにメロブラ的な感触でも楽しめつつ、
シンセを使った幻想的なパートなども含めて、ミスティックな神秘性が同居した味わいだ。
ブラッケンロール的なミドルの疾走感やスローパートも効果的に使った緩急ある聴き心地は、
さすがキャリアのあるバンドらしい説得力で、ダーティなゲボ声ヴォーカルも迫力たっぷり。
ドラマティック度・・8 暴虐度・・8 神秘的度・・8 総合・・8
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Ludicra「Tenant」
アメリカのブラックメタルバンド、ルディクラの2010作
ヴォーカルとギターの女性2人を含む5人組で、オールドなスタイルのサウンドは、
激しい疾走を含みつつも、倦怠をともなったの浮遊感と叙情性を感じさせる。
Alcestなどに通じる、いわゆる癒し系ブラックの作風であるが、
アナログ的な音の生々しさがプリミティブな神秘性をかもしだしている。
トレモロリフで疾走するブラストビートに乗る女性ブラック声もなかなかのもので、
ときに女性コーラスをまじえつつ、ヘヴィすぎない耳心地の良さが特徴的だ。
メロディアス度・・7 暴虐度・・6 叙情度・・8 総合・・7.5
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LUNAE ORTUS 「White-Night-Wropt」
ロシアのシンフォニック・ブラックメタル、ルナ・オルタスの2018年作
壮麗な雰囲気のイントロから、シンフォニックなアレンジをメタリックなギターに重ね、ダミ声ヴォーカルとともに
エピックなスケール感に包まれた緩急ある展開力で、Dimmu Borgirスタイルのサウンドを描いてゆく。
激しいブラスト疾走も含みつつ、メロディックなギターとオーケストラルな美麗さに、ときに女性コーラスも加わって
全体的にも優雅な味わいが前に出ているので、暴虐な暗黒性というのはさほど感じず、あくまで壮麗な耳心地。
演奏力も含めて、完成度の高さという点では、シンフォニック・ブラックの一線級バンドに引けを取らない。
シンフォニック度・8 暴虐度・7 優雅度・8 総合・8
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LUNA FIELD 「DIVA」
ドイツのデス/ブラックメタルバンド、ルナフィールドの2nd。2005作
このジャケと、ビザールというか、やや変態ぎみのメンバーのファッションからして、
ブラックメタルというよりは、後期ATROCITYのようなビジュアル面重視のスタイルなのだろうか。
音の方は、シンセは控えめのギターリフをメインにしたブラックメタルで、そこに低音のデス声が乗る。
雰囲気的には「ややマトモになったAKERCOCKE」という感じで悪くないのだが、
もう少し変態寄りにいくのか、メロディアス路線に行くのかをはっきりして欲しい。
メロディアス度・・7 暴虐度・・7 変態度・・7 総合・・7.5
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Lux Divina 「Possessed By Telluric Feelings」
スペインのブラックメタル、ラックス・ディヴィナの2013年作
ツインギターのトレモロリフを乗せて疾走する古き良きメロブラのスタイルを基本に、
クリーンヴォーカルなどを取り入れた緩急のついた展開で、激しくもドラマティックな聴き心地。
ブラストする激しさの中にも甘すぎない叙情性とミステリアスな雰囲気が感じられて、
EMPERORのような知的な構築美も素晴らしい。ペイガン・ブラック的な香りも漂わせた傑作。
ドラマティック度・・8 暴虐度・・8 ミステリアス度・・8 総合・・8
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LYZANXIA「EDEN」
フランスのメロディック・デス/スラッシュメタルバンド、リザンクスィアの1st。2001作
フランスのメロデスということで非常に珍しいが、音的にはAT THE GATES的な北欧系メロデスに近い。
突進するスラッシュサウンドにツインギターによる流麗なメロディが顔を出す。
刻まれるギターリフはへヴィで、甘すぎないメロディアスさがやはりアット・ザ・ゲイツ的。
曲自体の面白みには欠けるが、演奏レベルもなかなか高く、
この手の疾走スラッシュとしては平均レベルは超えていると思う。
メロディアス度・・6 スラッシュ度・・8 デスメタル度・・7 総合・・7

LYZANXIA「unsu」
フランスのメロデスバンド、リザンクシアの3rd。2006作
以前に1stを聴いたときには、北欧デスラッシュ的な平均作という感じであったが、
本作もいぶんモダンな硬質感で疾走するメロデス/デスラッシュサウンドだ。
SOILWORK的な展開力も覗かせつつ、曲調はそこまでマイルドではなく
あくまでザクザクのリフでソリッドにたたみかける硬派なイメージ。
決定的な個性はないものの、甘くなりすぎない叙情を効かせた高品質な作品である。
メロディアス度・・7 疾走度・・8 モダンソリッ度・・8 総合・・8
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Maelstrom 「Sunlight」
イギリスのモダンブラックメタル、メイルストロムの2015年作
シンセを含む5人組で、ジャケ裏の全員ネクタイ姿のメンバー写真が異様だが、サウンドの方は、
モダンなヘヴィネスを含んだギターに、美しいシンセアレンジとダミ声ヴォーカルを乗せて、
変則リズムとともに聴かせるというスタイルで、むしろカオティックコア風味の聴き心地である。
ノーマル声も絡ませたメタルコア的な質感と、邪悪なブラックメタルを要素として融合させた感じで、
随所にブラストビートも入った激しさもあるのだが、本物の暗黒性というものを感じない。
いわば、若手らしいミクスチャー感覚でブラックメタル要素を取り込んだサウンドと言えるだろう。
どうせならさらにアヴァンギャルドに、いっそプログレ・ブラック化してもよいのではと思う。
ドラマティック度・・7 暴虐度・・7 モダンセンス・・8 総合・・7.5
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MALADIE 「OF HARM & SALVATION」
ドイツのアヴァン・ブラックメタル、マラディーの2018年作
トレモロのギターリフと絶叫ヴォーカルを乗せて激しくブラスト疾走する暴虐な感触に
エキセントリックな展開力とともにいくぶんモダンな叙情性も感じさせるアヴァンブラックメタル。
ときにサックスが鳴り響いたり、随所にメロディックなギターフレーズを覗かせつつ、
唐突なリズムチェンジなどのアヴァンギャルド性には、カオティックコアやテクニカルデス風味もある。
10分を超える大曲を緩急ある展開で構築するが、全体的にここぞという聴かせどころが弱いのと、
アヴァンギャルドな世界観を描くには、もうひとつ迫力に物足りなさがある。今後に期待です。
ドラマティック度・・7 暴虐度・・7 アヴァンギャル度・・8 総合・・7
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MARDUK「Heaven Shall Burn...When We Are Gathered」
スウェーデンのブラックメタルバンド、マーダックの4th。1996年作
1992年にデビュー、DARK FUNERALらとともにスウェディッシュブラックメタルを代表するバンド。
本作は初期の中でも最高作と名高いアルバムで、そのサウンドは激烈に疾走しつつも
いくぶんの叙情を感じさせるギターリフとともに、ドラマティックな気配を漂わせている。
ムソグルスキーの「はげ山の一夜」のフレーズを取り入れた曲なども面白い。
近作のようなすさまじいまでの迫力と荘厳さはまだないが、リフにおける叙情性という点では、
本作と次作あたりが強いだろう。90年代の北欧ブラックメタルとしては外せない傑作だ。
ドラマティック度・・7 激烈度・・8 暗黒度・・8 総合・・8
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MARDUK 「Germainia」
スウェーデンのブラックメタルバンド、マーダックのライブアルバム。1997作
1996年のドイツでのステージを収録したDVD付きの再発盤。
楽曲としてはやはり4thあたりからの選曲が多く、バンド初期の荒々しさと
スウェディッシュブラック特有の湿りけのある禍々しさが演奏ににじみ出ている。
ややこもり気味の音質もかえってブラックメタルらしくていい雰囲気だ。DVDは1994年のノルウェーでの公演を収録。
暴虐度・・8 ライブ演奏・・8 音質・・7 総合・・7.5
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MARDUK「Nightwing」
スウェーデンのブラックメタル、マーダックの5th。1998年作
初期の傑作として知られる4thに続く本作は、彼らの作品中では最もメロディアスな1枚と言ってもよいだろう。
強烈に疾走しながらも、ギターのリフには北欧的なメロディがあり、暴虐一辺倒のアルバムよりも聴きやすい。
EMPERORなどを思わせる荘厳な叙情が光る力作だ。激烈なメロディックブラックとしても一級品である。
今作以後は激しいブルータル性を強めてゆく彼らだが、初心者には本作から入るのもいいかと。
リマスターで音質も向上し、暗黒の世界観が眼前に迫ってくるようだ。DVDには1998年オランダでのライブを収録。
ドラマティック度・・8 暴虐度・・9 暗黒度・・9 総合・・8
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MARDUK「Panzer Division」
スウェーデンのブラックメタルバンド、マーダックの6th。1999作
前作のメロディック路線から一転、今作は激烈にブラスト疾走する激しいサウンドで、
無慈悲なまでの突進力で聴き手を蹂躙するかのような、圧殺ブラックメタルが繰り広げられる。
楽曲は4〜4分台とシンプルで、とにかく疾走、とにかくブラスト…という、痛快な聴き心地。
ドラマティックな荘厳さでは次作以降に及ばないが、激烈に突進するという点では一番のアルバムだ。
ドラマティック度・・7 暴虐度・・9 突進度・・9 総合・・8
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MARDUK「World Funeral」
スウェーデンのブラックメタルバンド、マーダックの8th。2003作
スウェディッシュブラックの大御所、日本デビュー盤となる本作は、激烈なブラストで疾走しながら、
初期よりも骨太になったブルータルな作風で、ミドルテンポなども取り入れながら曲調にはいくぶん余裕が出てきている。
次作の圧倒的な荘厳さに比べると暗黒度はやや弱くデスメタル的なドライさが好みを分けるところか。
ドラマティック度・・7 暴虐度・・8 暗黒度・・8 総合・・7.5
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MARDUK「PLAGUE ANGEL」
スウェーデンのブラックメタルバンド、マーダックの9th。2004作
前作、前々作では、激烈さの点でやや物足のなさもあったのだが、本作は無慈悲なまでの暴虐性が復活。
演奏レベルの向上もあって初期の作品に比べると音の説得力も相当上がってきている。
中世の暗黒時代…死の舞踏、チェコやポーランドの暗い歴史などを題材にしていることもあり、
いつになく重厚で、重みのある暗黒性ともいうべきサウンドは激烈この上ない。
もちろん北欧のバンドらしく、リフには多少メロディを感じる部分があるので案外聴きやすく、
同じく真性系ブラックの仲間達…SATYRICONDARK FUNERALなどともに
クオリティの高い演奏、楽曲が堪能できる。しかし…このドラムは速いだけでなく音が格好いいね!
ドラマティック度・・8 暴虐度・・10 暗黒度・・9 総合・・8.5
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MARDUK 「BLOOD PUKE SALVATION」
スウェーデンのブラックメタル、マーダックのライブDVD。2006年作
1992年にデビュー、名実ともにスウェディッシュ・ブラックメタルを代表するバンド。
本作は2004年、オランドとベルギーでのステージを収録。激烈なブラストビートを刻むドラムに、
ノイジーなギターとがなり立てるヴォーカルを乗せて、暴虐なブラックメタルを聴かせる。
画面は4:3で、画質はさほど良いとはいえないが、ラウドな音質には物凄い迫力があって、
ドラムカメラも含めて、たたみかける無慈悲な激しさをしっかりと映像として映し出している。
2ステージ合計で、全20曲鑑賞するとヘトヘトになるが、禍々しく荘厳な暗黒性とともに、
これぞブラックメタルという激しさに浸ることができる。それにしても、Emilのブラストは強烈ですな。
ライブ演奏・8 ライブ映像・7 暴虐度・9 総合・8 
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MARDUKWarschau」
スウェーデンのブラックメタルバンド、マーダックのライブアルバム。2007作
タイトルのように2005年ポーランド、ワルシャワでのライブを収録。
名実共にスウェディッシュブラックの頂点に君臨するこのバンド、本ライブ作においても、
激烈な疾走でたたみかけ聴き手を圧倒する、強力な演奏を見せつけている。
2004年の傑作「Plague Angel」からの楽曲を中心に、全17曲、暴虐かつ暗黒の空気を振りまきながら、
禍々しいブラックメタルを炸裂させる。ワルシャワ市街戦の写真を使ったジャケやブックレットも含めて、
歴史的な重みを含んだ怒りと悲しみに満ちた圧殺感が、ある意味たまらない。
ライブ演奏・・8 暴虐度・・9 音質・・7 総合・・8
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MARDUKRom 5: 12
スウェーデンのブラックメタルバンド、マーダックの10th。2007作
前作「Plague Angel」は凄まじいまでの完成度だったが、続く今作も同路線の傑作。
新約聖書の一文からインスパイアされた内容をテーマに、生と死、神と悪魔という宗教的な
ある種の暗闇を濃密に描き出したサウンドは歴史的な重みとモノクロームの暗黒美をそこかしこに感じさせる。
暴虐な疾走感では前作に譲るが、コンセプチュアルなバランス感と
ジャケを含めたトータルな雰囲気作りでは勝るとも劣らない出来だ。
逆にミドル系の曲があるおかげで、ファストな部分の激烈さが際立って聴こえる。
無慈悲な闇の中に、深遠なドラマを封じ込めた見事なブラックメタル作品である。
ドラマティック度・・8 暴虐度・・8 暗黒度・・8 総合・・8
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MARDUK「Wormwood」
スウェーデンのブラックメタルバンド、マーダックの11th。2009作
前作「Rom 5: 12、前々作「Plague Angel」と激烈かつ荘厳なるブラックメタル作品で
名実共にスウェディッシュ・ブラックのトップに君臨するこのバンド。
本作も強烈な負のオーラと禍々しい暗闇をまとった暴虐ブラックサウンドが素晴らしい。
歴史的なコンセプトを含めて、ただ激しいだけでなく重厚なるドラマ性を感じさせる音作りで
緩急をつけた楽曲構成とともに、聴き手を闇の世界に引きずり込むような迫力がある。
モダン化の傾向にある昨今のバンドたちをあざ笑うように、生々しいサウンドが耳を刺激する。
ブラックメタルとしての原初的な迫力と高度な演奏力、表現力が合致した強力なアルバムだ。
ドラマティック度・・8 暴虐度・・9 暗黒度・・10 総合・・8.5
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MARDUKSerpent Sermon
スウェーデンのブラックメタル、マーダックの2012年作
スウェディッシュブラックの重鎮たるこのバンド、前作もすさまじい傑作であったが、
本作もまた圧巻。衰えを知らぬかのような暗黒のパワーで強烈にブラスト疾走する、
その荘厳なる迫力の前にはただ我々はひざまずくのみ。アナログ的なうねりを含んだリフが
ドラマティックな闇を描き出す、その音の説得力はベテランにしか出せないものだろう。
ずるずると漆黒の闇に引きずり込まれるような前作に比べて、今作は聴き手を突き放すような
無慈悲なブルータリティと圧殺感が、ヘヴィネスを通して伝わってくる力作に仕上がっている。
ドラマティック度・・8 暴虐度・・8 暗黒度・・9 総合・・8
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Marduk 「Frontschwein」
スウェーデンのブラックメタル、マーダックの2014年作
キャリア20年を超えるスウェディッシュ・ブラックの重鎮たるバンドの13作目。
今作も激烈に疾走する暴虐ブラックメタルサウンドであるが、邪悪で激しくありながらも
変にモダン化しない、オールドスタイルの聴き心地をしっかり守っているのが素晴らしい。
メロディアスな要素はほとんどないのだが、絡みつくようなギターリフはじつに恰好良く、
ベテランでしか出し得ない荘厳な空気に満ちている。スピード一辺倒ではなくスローな部分すらも
作品の世界観に取り込める説得力をもっているのがさすが。今回も有無を言わせぬ強力作です。
ドラマティック度・・8 暴虐度・・9 邪悪度・・8 総合・・8
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MARDUK 「VIKTORIA」
スウェーデンのブラックメタル、マルドゥクの2018年作
1992年にデビュー、名実ともにスウェディッシュ・ブラックメタルを代表するバンドの14作目。
第二次世界大戦をテーマにしたアルバムで、オールドスタイルのギターリフにダミ声ヴォーカルを乗せ、
激しいブラスト疾走とともに激烈な突進力で、無慈悲なまでの正統派ブラックメタルを聴かせる。
ベテランならではの音の迫力が強固な説得力となっていて、どっしりとしたスローパートなども含めて、
ダークで荘厳な空気感に包まれる。楽曲は3〜4分前後とシンプルで、全33分という潔さ。
ドラマティック度・・7 暴虐度・・8 荘厳度・・8 総合・・8 
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MARE COGNITUM 「Phobos Monolith」
アメリカのブラックメタル、マレ・コグニタムの2013年作
10分以上の大曲を中心にした全4曲という構成で、スローからファストへと緩急のついた展開と
ギターのトレモロリフを乗せた叙情性で聴かせるサウンド。激しくブラスト疾走しつつも暴虐さよりも
アトモスフェリックな神秘性を感じさせるところは、Wolves in the Throne Roomなどにも通じる雰囲気であるが、
こちらはうっすらとしたシンセアレンジに包まれて、ジャケのようなスペイシーな妖しさをかもしだしている。
曲によってはメロディックといってもよい美しさもあって、カスカディアン・ブラック系初心者にも楽しめるでしょう。
ドラマティック度・・8 暴虐度・・7 叙情度・・8 総合・・8
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MaYaNQuarterpast」
オランダのデスメタルバンド、マイアンの2011年作
EPICAのマーク・ヤンセンとAFTER FOREVERのメンバーによって作られたバンドで、
現在ではそのEPICAのメンバーに加えOBSCURAのベースが参加している。
シンフォニックな壮麗さと、デスメタルとしてのアグレッションが融合したサウンドで、
プログレッシブな展開力もある。低音のデスヴォイスとヘヴィなギターリフ、
そこにEPICAばりのシンセとオーケストレーション、女性Voも加わって、重厚に聴かせる。
ゴシックメタル的な耽美さもいくぶんあり、デスメタル化したEPICAという感じでも楽しめる。
フロール・ヤンセン(AFTER FOREVER)、シモーネ・シモンズ(EPICA)がゲスト参加。
シンフォニック度・・8 暴虐度・・7 重厚度・・8 総合・・8
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MAYAN 「Antagonise」
EPICAのマーク・ヤンセンのプロジェクトバンド、マイアンの2014年作
デスメタル化したエピカ、というような力作であった前作に続き、今作も重厚なヘヴィネスに包まれたサウンドで、
デスヴォイスを含んだメタルコア風味のモダンな硬質観と、シンフォニックな壮大さが融合した聴き心地だ。
ヴォーカルは前作にも参加していた、Henning Basse(Sons of Seasons)が男性ノーマルヴォイスを担当、
イタリア人女性シンガー、Laura Macriや、フロール・ヤンセン(After Forever〜Nightwish)が今作でもゲスト参加し、
随所に男女ヴォーカルの絡みも聴かせる。アグレッシブな作風の中にもゴシックメタル的な感触もあって、
個人的にはこうしたシンフォニックな美しさをさらに求めたいのだが、そうなるとEPICAと同じになってしまうということか。
ゴシック・デスメタルというか、シンフォニックデスメタルというか、ともかく激しくも重厚な力作ではあります。
ドラマティック度・・8 デスメタル度・・7 重厚度・・8 総合・・8
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MAYAN 「Dhyana」
オランダのシンフォニック・デスメタル、マイアンの2018年作
EPICAのマーク・ヤンセン率いるバンドで2011年にデビュー、本作は4年ぶりの3作目となる。
今作には、元STREAM OF PASSIONのマルセラ・ボヴィオも参加し、男女4人のVo含む10人編成となり、
オーケストラルなアレンジにメタリックなギター、ダミ声ヴォーカルを乗せて激しくブラスト疾走しつつ、
女性ヴォーカルを加わった耽美なゴシックメタル要素が同居したスタイルで、重厚にして壮麗な聴き心地。
激しいナンバーを主体にしつつ、女性ヴォーカルによる優美な小曲がアクセントになっていて、
重厚でありつつも耽美なデスメタルという点では、SepticFleshなどが好きな方にも楽しめるだろう。
シンフォニック度・・8 暴虐度・・7 重厚度・・8 総合・・8 
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MAYHEM 「Live in Leipzig」
ノルウェーのブラックメタル、メイヘムのライブ作品。1993年作
1stアルバム発表前に自殺を遂げた初代ヴォーカル、デッド在籍時の1990年のライブ音源。
ノイジーなギターと何かに取りつかれたかのような絶叫ヴォーカルを乗せて疾走するさまは、
スカスカの録音も含めて臨場感たっぷり。これぞブラックメタルという凶悪ぶりである。
昨今のクオリティの高いバンドに慣れたリスナーには、観客の歓声や当時の空気感までも伝わってくる
本作の迫力というのはけっこうな衝撃であるだろう。音質の悪さや、演奏の荒々しさも含めて伝説の一枚である。
ライブ演奏・・8 暴虐度・・8 音質・・6 総合・・8
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MAYHEMDe Mysteriis Dom Sathanas
ノルウェーのブラックメタルバンド、メイヘムの1st。1994年作
ノルウェーにおけるブラックメタルムーブの火付け役ともいうべきバンドで、前ヴォーカルのデッドは本作の前にすでに自殺を遂げており、
ギターのユーロニモスを中心に、ベースにはBURZUMカウント・グリシュナック、ヴォーカルにアッティラ、ドラムにヘルハマーというメンバーで録音された作品。
しかしながら、本作の発売前にユーロニモスはカウントに刺殺されてしまい、まさしくいわくつきの伝説の一枚というべき作品となった。
狂気に取りつかれたかのようなヴォーカルを乗せて、ノイジーなギターリフとともに疾走するサウンドは、ブラックメタルとしての暗黒性と激しさを
過不足なく体現したというべきもので、メロディックな愛想は薄いが、メンバーたちの描き出す狂気じみた迫力には圧倒される。
とくにヘルハマーの叩き出すブラストを含んだ強烈なドラムと、アッティラの怨念的なヴォーカルのインパクトは強烈きわまりない。
ドラマティック度・・7 暴虐度・・8 狂気度・・9 総合・・8
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MAYHEM 「Mediolanum Capta Est」
ノルウェーのブラックメタル、メイヘムのライブ作品。1999年作
1998年イタリアでのライブを収録。ライブ作品としては「Live in Leipzig」に続く2作目で、
1997年のミニアルバム「Wolf's lair abyss」からの楽曲を中心にしつつ初期のナンバーも演奏。
ヘルハマーの叩き出す強力なドラムに、ノイジーなギターと偏執狂的なマニアックのヴォーカルを乗せた
まさに荒ぶる演奏が楽しめる。音質的には質のいいブート程度なのだが、スカスカに突進する迫力は
これぞブラックメタルというものである。ノリのよいブラッケン・ロール調のナンバーも含めて、
このバンドの荒々しくラウドな側面がたっぷり味わえるライブ作品だ。
ライブ演奏・・8 暴虐度・・8 音質・・6 総合・・7.5
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Mayhem 「Grand Declaration of War」
ノルウェーのブラックメタルバンド、メイヘムの2nd。2000年作
ブラックメタルの伝説的アルバムとなった1stから6年、メンバーも変化し、サウンド的にもずいぶん変化している、
まず音がずいぶんクリアになり、ギターリフにはテクニカルな切れ味が加わった。ヘルハマーの叩き出す激しくも知性的なドラムは素晴らしく、
インストパートでの大きな説得力となっている。マニアックの爬虫類的なヴォーカルは邪悪な香りをサウンドに付加し、
随所に入ってくる激しいブラストビートや変則リズムを含んだ展開力とともに、メリハリのついた聴き心地となっている。
中盤のインダストリアルな風味はTHE KOVENANTにも通じる感触もある。全体的には前作の強烈なまでのストレートな邪悪臭はなくなっているが、
モダンでテクニカルなブラックメタルとしては十分力作とするに足る出来だと思う。
ドラマティック度・・7 暴虐度・・7 邪悪度・・8 総合・・8
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MAYHEM 「Chimera」
ノルウェーのブラックメタル、メイヘムの3rd。2004年作
前作は実験的な作風で賛否両論であったようだが、本作はのっけから激しくブラスト疾走、
これぞブラックメタルという聴き心地にひと安心。ヘルハマーの叩き出す強烈なリズムの迫力と
マニアックの邪悪なヴォーカル、そしてスローパートではブラスフェマーのギターリフが不穏に響き渡る。
ブラックメタル=暗黒の美学というものを体現するような媚びの無さと、スピードだけにこだわらない
楽曲ごとの緩急の付け方、音を包む荘厳な迫力というのは、さすがキャリアを経てきたバンドである。
邪悪にしてダークという点では、本作も傑作と呼ぶにふさわしい作品だと思う。
ドラマティック度・・8 暴虐度・・8 暗黒度・・8 総合・・8
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MAYHEMOrdo Ad Chao」
ノルウェーのブラックメタルバンド、メイヘムの4th。2007作
豪華な金属ケース入りで、取り出すと真っ赤なプラケースという凝った仕様。
音質の方は相変わらずこもり気味ながら、そのアンダーグラウンド臭さに加え、1stで歌っていたアッティラが復帰し、
かつての邪悪さがよみがえった。Hellhammerの強力なドラムワークも、激速ブラストを含めてやはり見事だ。
この本物の邪悪さと媚びのなさ、音質も含めてのマイナー志向はやはり真性ブラックメタルのファン向けの作品ではある。
ドラマティック度・・7 暴虐度・・8 音質・・6 総合・・7.5
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Mayhem 「Esoteric Warfare」
ノルウェーのブラックメタル、メイヘムの2014年作
ヴォーカルにアッティラが復帰しての2作目で、ヘルハマーの叩き出す強烈なツーバスのドラムに
絶叫するアッティラの歌声も邪悪な迫力十分。リフを含めたギターワークの巧みさは、
いくぶん中途半端に思えた前作よりずっと際立っていて、こもり気味の音質の中に、
かつてのメイヘムが持っていたアンダーグラウンドな妖しさをしっかり残しつつ、
よりプログレッシブというか、いわばスタイリッシュな構築へとシフトしてきたような、
ある種の知的な聴きやすさがある。狂気と暴虐性をアーティスティックな表現で仕上げた力作だ。
ドラマティック度・・8 暴虐度・・8 ダークな湿り気度・・8 総合・・8 
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MAYHEM 「Live In Leipzig」
ノルウェーのブラックメタル、メイヘムのライブ作品。2015年作
1990年東ドイツでに行われたこの伝説のライブ作品が25周年を記念して、リマスター再発された。
元の音質は劣悪だったのだが、その圧倒的な邪悪な気配と、荒々しい演奏によるインパクトから、
これぞブラックメタルという迫力に包まれている。ノイジーなギターリフは音質が良くなったことで
よりザリザリとした生々しさで、発狂したようなデッド氏のヴォーカルの臨場感もものすごい。
ボーナスのDisc2には、ブートレグで出回っていた「Live In Zritz」の音源を収録。
こちらの音質はさらにこもり気味でほぼノイズなのだが、なんだか凄さは伝わってくる。
ファンにとっても、ブラックメタルの歴史としても、当時の貴重な記録であろう。
ライブ演奏・・8 暴虐度・・9 音質・・7 総合・・8
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MEFISTO 「PHOSPHORUS」
スウェーデンのデスメタル、メフィストの2022年作
結成は80年代で、2016年にアルバムデビューし、4作目となる。シンセによる不穏なイントロから、
メロデス的なギターリフにデスヴォイスを乗せ、オルガンなどのシンセを重ねて疾走する、
AT THE GATESEDGE OF SANITYなどをルーツにした、オールドな北欧デスメタルを聴かせる。
リズムチェンジなどの展開力や、スローテンポでのどっしりとしたドゥーミィ禍々しさもあって、
激しすぎないデスメタルが好きな方にも薦められる。全体的にはミドルテンポが主体なのだが
後半にはスラッシーな疾走ナンバーもあり、ほどよいメロディアス性とともに重厚なサウンドが味わえる。
ドラマティック度・8 暴虐度・7 北欧デス度・7 総合・8
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Mek Na Ver「Heresy」
イタリアのブラックメタル、メク・ナ・ヴァーの2011年作
FORGOTTEN TOMBのメンバーを含むバンドで、ミステリアスなダークさに包まれた世界観に
トレモロリフとかすれ気味のヴォーカルを乗せて疾走する、ブラッケン・ロール的な感触も含んだサウンド。
甘すぎないオールドスタイルの激しいブラックメタルに、うっすらとしたシンセによる味付けも加えて
モノトーンの寂寥感に包み込んだというような聴き心地だ。ただ全32分というのはアルバムとしてはやや物足りないか。
ドラマティック度・・7 暴虐度・・7 ミステリアス度・・8 総合・・7.5

Mencea 「Dark Matter-Energy Noir」
ギリシャのプログレッシブ・デスメタル、メンセアの2008年作
ヘヴィなギターリフにシンセを絡ませ、低音デスヴォイスを乗せて疾走する重厚な迫力と、
リズムチェンジを含む知的な展開力で聴かせる、モダンでスタイリッシュなデスメタルサウンド。
適度なメロディアス性と暴虐過ぎない疾走感は、むしろメロデス的な感触でも楽しめるかもしれない。
センスのよいプログレッシブ・デスメタルという点では、EXTOLなどが好きな方にもお薦めだ。
展開にもう少し意外性が欲しい気もするが、楽曲そのものにさらに荘厳な迫力が増せば、
よいバンドになるだろう。2008年ドイツでのライブを収録したDVD付きの2枚組。
ドラマティック度・・7 テクニカル度・・8 重厚度・・8 総合・・8
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MERCENARY「11 DREAMS」
デンマークのメロデスバンド、マーセナリィの3rd。2004作
昨今流行りのモダンでヘヴィな雰囲気に、ヨーロピアンな叙情を加味したサウンドで、
メロデスというよりは、デス風味のあるダークなメランコリックメタルと言うべきか
キーボード、ピアノによる悲しみの叙情性がなかなか美しい。
歌はやや荒々しいノーマル声がメインで、時折デス声にもなる。演奏の重厚さもあり、
ゴシック風の雰囲気もかもしだす。マイナー調のメランコリックなメタルが好きな方にはお勧め。
メロディアス度・・7 メランコリック度・・8 重厚度・・8 総合・・7.5
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METHOD 「Abstract」
韓国のメロディックデスメタル、メソッドの2015年作
スラッシーなギターリフとダミ声ヴォーカルを乗せて疾走するオールドスタイルのサウンドで、
かつてのAT THE GATESを思わせる、甘すぎないメロディアス性を乗せたスタイルだ。
サウンドプロダクションの軽さも含めて、90年代風味のアナログ感に包まれた聴き心地で、
ときに初期のIN FLAMESのようなツインギターの叙情フレーズも覗かせる。
全体的にはこれという新しさというはないのだが、重すぎない聴きやすさは好感が持てるし、
オールドなメロデス、デスラッシュが好きならとても楽しめると思う。
ドラマティック度・・7 疾走度・・8 デスラッシュ風度・・8 総合・・7.5
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MIASMATA「Unlight: Songs of Earth and Atrophy」
ニューランドのブラックメタル、ミアスマタの2021年作
Mike Wilsonによるソロプロジェクトで、ほどよくラウドなギターにデスヴォイスを乗せて激しく疾走しつつ、
随所に叙情的なメロディアス性も覗かせるという、スラッシーでメロデス的なブラックメタルサウンド。
ブラストビートを含む激しさと、デスラッシュ風味の疾走感に、トレモロを含む叙情的なギターフレーズが、
ときにクサメロ気味の味わいにもなっていて、ダークさは控えめで爽快に楽しめるというのが新鮮である。
ブラックメタルとしての激しさはしっかりと残しながら、ギターのメロディアスなセンスが冴えている。
激しくも泣きメロたっぷりの40分、メロデス好きも、メロブラ好きも寄ってらっしゃいの逸品デス。
メロディック度・8 暴虐度・7 暗黒度・7 総合・8
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Midwinter 「Astral Mirrors」
ドイツのシンフォニック・ブラックメタル、ミッド・ウインターの2003年作
女性ギタリストを含む5人編成で、美しいシンセアレンジとメロディアスなギター、
ダミ声ヴォーカルを乗せて疾走する、正統派のシンフォニック・ブラックメタル。
暴虐な激しさよりも、欧州的なロマンを漂わせた優雅さを含んだ感触で、
随所に耳を惹くギターの叙情フレーズや、シンセによる美しいメロディが顔を覗かせる。
ジャケはひと昔前のB級ブラックメタルみたいだが、なかなか楽しめるシンフォブラの好作です。
ドラマティック度・・8 シンフォニック度・・8 暴虐度・・7 総合・・7.5
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Midwinter 「Between Wisdom and Lunacy」
ドイツのシンフォニック・ブラックメタル、ミッド・ウインターの2006年作
美麗なシンセアレンジとともに疾走するシンフォニック・ブラックメタルは前作同様ながら、
女性ギタリストの奏でるリフはよりパワフルになって、サウンドの説得力が増している。
ときにブラスト入りの激しさもあるが、全体的には邪悪というよりは、むしろエピックな世界観に包まれていて、
随所にペイガン的な雰囲気も覗かせる。どこかシアトリカルなダミ声ヴォーカルも、ドラマ性をかもしだしていて
美しいシンセメロディが優美に包み込む。ヨーロピアンな感性のシンフォ・ブラックの好作だ。
ドラマティック度・・8 シンフォニック度・・8 暴虐度・・7 総合・・7.5
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Miellnir 「Incineration Astern」
ウクライナのペイガン・ブラックメタル、ミエルニアの2014年作
ツインギターにシンフォニックなアレンジと、ダミ声ヴォーカルを乗せた壮麗なペイガンブラックメタル
随所にノーマル声を乗せた勇壮な雰囲気や、ブラスト疾走する激しさも覗かせつつ、
メロディアスなギターフレーズやシンセによるフォーキーなメロディで、あまり暴虐さは感じさせない。
ジャケのようなヴァイキング色は希薄で、フォークメタル的な愉快なノリのナンバーもあったりと、
方向性的にはやや散漫な印象であるが、ほどよく辺境的で甘すぎないフォーク・ブラックメタルが楽しめる。
ドラマティック度・・7 勇壮度・・7 フォーキー度・・7 総合・・7.5
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Mirrorthrone「Of Wind and Weeping」
スイスの一人シンフォブラックメタル、ミラースローン
2003年作
Vladimir氏のソロプロジェクト作品で、クラシカルなテイストもあるシンフォニックなシンセワークに
メロディアスなギターワークが重なり、リズムは打ち込みながら、展開に富んだ楽曲は、
耽美な世界観を表現していて、サウンドのクオリティはなかなか高い。
ブラックメタル的なわめき声や疾走パートもあるものの、総じて激しさよりも美しさが前に出ている。
シンフォニック度・・8 暴虐度・・6 耽美度・・8 総合・・7.5
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MirrorthroneCarriers of Dust
スイスの一人シンフォブラックメタル、ミラースローン2006年作
Vladimir氏のソロプロジェクト作品で、クラシカルなシンセワークをふんだんに重ねた
美麗なシンフォブラックサウンド。リズムは打ち込みであるが、ブラストで激しく疾走する部分でも
以前の作品よりも音の荘厳さが増してきていて、安っぽさはなくなった。
ブラック声にノーマルヴォイスを巧みに絡ませることで、ゴシック的な耽美さもかもしだしていて
全4曲でラストは20分以上という大曲であるが、アレンジや構成力の確かさで充分聴き通せる。
シンフォニック度・・8 暴虐度・・7 耽美でクラシカル度・・8 総合・・8
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MIRZADEH 「Desired Mythic Prid」
フィンランドのシンフォニックブラックメタル、ミルザデアの2014年作
美麗なシンセアレンジとダミ声ヴォーカルを乗せたサウンドで、ミドルテンポを主体にした
あまり激しさのないシンフォニックブラック。ギターのフレーズは随所にクサメロを奏で、
シンフォニックなシンセとともに聴かせる、暴虐さよりもあくまでメロディ重視のスタイルである。
ヴォーカルはときおりノーマル声で歌を乗せたりと、正統派シンフォメタルの質感もあり、
やや単調なドラムが惜しいが、曲によってはときどきブラスト入りの疾走パートもある。
楽曲は3〜4分台と比較的シンプルで、全体的にもメロディアスな聴きやすさに包まれた好作デス。
メロディック度・・8 暴虐度・・6 美麗度・・8 総合・・7.5
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MISANTHROPE
「Visionnaire」
フランスのプログレ・デスメタル、ミサントロプの4th。1998年作
日本盤タイトルは「誇大妄想者」。吐き捨てヴォーカルも含めてメロデス的な質感と、効果的にシンセを使った美意識と、
プログレッシブな楽曲構造が個性的。フランス語特有の優雅さが、クラシカルなメロディと合わさると、
シンフォニックな美しさも前に出てくる。声を使い分けるヴォーカルなどシアトリカルな要素と、
いくぶん風変わりで変態的な展開も面白い。HOLYレーベル代表のバンドとしても知られる。
メロディアス度・・7 フランス度・・8 変態度・・8 総合・・7.5

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MISANTHROPE「Immortal Misanthrope」
フランスのメロディック・プログレ・デスメタルバンド、ミサントロプの5th。2001作
このバンドのアルバムを聴くのは久しぶり。初期はもっと変態的でプログレ寄りのスタイルだと思ったが
今作では、いわゆるチルボド風のキラメロデススタイルを取り入れていて、聴きやすくなっている。
これなら一般のメロデスファンが聴いても「ちょっと変なバンド」程度で済むかもしれない。
ヨーロピアンな混沌とドロドロ感を求める変態系リスナーにはやや中途半端かもしれないが、
“両性具有の夜”“情熱の大富豪”等、歌詞や曲名などには誇大妄想的な世界観があり、
日本盤ボーナストラック曲でのフランス語ヴォーカルのインパクトなど、捨てがたいセンスも健在。
メロディアス度・・7 変態度・・7 奇妙なフレンチ度・・8 総合・・7.5
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Misanthropia 「Convoy of Sickness」
オランダのシンフォニック・ブラックメタル、ミサントロピアの2020年作
2006年にデビューし、本作は4作目となる。ツインギターにダミ声ヴォーカルを乗せ、オーケストラルなアレンジを加えた
オールドスタイルのブラックメタルで、Dimmu BorgirCradle of Filthに通じるような耽美な世界観とともに、
激しいブラスト疾走でたたみかけつつ、緩急あるリズムチェンジで楽曲を構築する、クオリティの高いサウンドだ。
メロディアスなギターフレーズやシンフォニックなアレンジが激しい疾走感と同居していて、激しく暴虐ながらも
どこか優雅な聴き心地なのが特徴だろう。クレイドル、ディムボルとも遜色ないシンフォブラックの高品質作。
ドラマティック度・・8 暴虐度・・8 耽美度・・8 総合・・8
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Misanthur 「Ephemeris」
ポーランドのブラックメタル、マイサンスアーの2021年作
叙情的なギターに語るようなヴォーカルを乗せたイントロから、ドゥーミィなリフに吐き捨て声のダークさに
うっすらとしたシンセによる静寂パートをはさんでのブラスト疾走と、起伏のある展開を見せてゆく。
暴虐な激しさとスローパートが自然と同居していて、7〜9分前後の長めの楽曲を中心に構築するところは、
いわば、プログレッシブなデプレッシブ・ブラックメタルという印象。トレモロのギターリフにダミ声ヴォーカルで、
激しく疾走する王道のブラックメタルスタイルから、ノーマル声を乗せた叙情的なスローパートなど、
甘すぎないメロディアス性も含めて日本人好みの作風だ。女性声を乗せたメランコリックなナンバーもあり、
耽美で神秘的な空気感は、カスカディアン・ブラック系のリスナーにも楽しめる。
ドラマティック度・8 暴虐度・8 デプレッシブ度・8 総合・8
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MISERATIONYour Demons Their Angels
スウェーデンのデスメタルユニット、ミザレーションの2006年作
DIVINEFIREのヤニ・ステファノヴィックと、元Scar Symmetryのクリスチャン・アルヴェスタムによるユニットで、
ヘヴィなギターと低音デスヴォイスで疾走するブルータルなサウンドで、随所にメロデス的な要素もある。
デスコア的なモダンなヘヴィネスとノーマルヴォイスなども取り入れたSOILWORK的な聴き心地もあり、
新鮮味はさほどないものの、総じてクオリティの高い作品である。
ドラマティック度・・7 暴虐度・・8 モダンデス度・・8 総合・・7.5
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Mongol 「The Return」
カナダのフォークデスメタル、モンゴルの2018年作
2012年にデビューし、本作は3作目。バンド名通り、モンゴル帝国の歴史をテーマにした作品で、
東洋的な旋律に語りを乗せたイントロから、二胡や馬頭琴を思わせる民族的な音色にヘヴィなギター、
低音デス声ヴォイスを乗せて、勇壮なコーラスとともに重厚なフォーク・デスメタルを聴かせる。
Tengger Cavalryに比べると、わりとデスメタル色も強いのだが、ときおりシンセアレンジを加えた
シンフォニックデス風の壮麗さや、アジアンな旋律も随所に覗かせ、激しさと民族性のバランスも良いあんばいだ。
「ジンギス・カン」のカヴァーなどもなかなかハマっている。オリエンタルなメロデスとしても楽しめる強力作デス。
ドラマティック度・・7 フォーキー度・・7 重厚度・・8 総合・・8
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MONTE PENUMBRA 「AS BLADES IN THE FIRMAMENT」
ポルトガルのブラックメタル、モンテ・ぺヌンブラの2021年作
マルチミュージシャンとドラムという2人組のユニットで、2013年にデビューし2作目となる。
不穏なギターリフにダミ声ヴォーカルを乗せて激しく疾走する、邪悪な暗黒性に包まれたサウンド。
ときに詠唱のような歌声を含んだ、妖しい神秘性も覗かせつつ、2ビートの疾走感とともに
手数の多いドラムにスラッジ風のザラついたギターが、モノクロームの世界観を描き出す。
ラストは11分という大曲で、激しいブラスト疾走からスローテンポの荘厳なパートをはさんで
叙情的なギターフレーズとともにじわりと盛り上げつつ、後半はアンビエントに締めくくる。
ドラマティック度・7 暴虐度・8 暗黒度・9 総合・8
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Moonloop 「Deeply from the Earth」
スペインのプログレッシブ・デスメタル、ムーンループの2012年作
スパニッシュなテイストを含んだイントロで始まり、ヘヴィネスの中にも浮遊感を描くような聴き心地で、
テクニカルな切り返しを含んだモダンな硬質感と、知的な構築センスが光るサウンドだ。
ヴォーカルは迫力ある低音のデスヴォイスで、随所にブルータルな激しさも加わった楽曲に、
適度にオールドスタイルのデスメタル感触を乗せている。ツインギターはリフ主体ながら、
甘すぎない程度にメロディックなフレーズも織り込んで、ノーマル声を使った叙情パートなど、
かつてのOPETHあたりに通じるような雰囲気もある。全体的にはいくぶん荒削りながら、
ラストの11分の大曲など、デビュー作としては濃密で重厚なプログレ・デスの力作である。
ドラマティック度・・7 テクニカル度・・7 デスメタル度・・8 総合・・8
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Moonloop 「Devocean」
スペインのプログレッシブ・デスメタル、ムーンループの2017年作
前作はOPETHにも通じる知的で重厚な力作であったが、続く本作では一聴してテクニカルに始まる
プログレッシブな感触が強まっている。変則リズムに乗せるクールなギターリフに低音デスヴォイスで、
かつてのDEATHや、ATHEISTあたりを思わせる、オールドなテクニカルデスメタルの要素に加え、
スパニッシュ特有の音階を用いたフラビックなフレーズなどを盛り込んだ、個性的な構築センスが光る。
8分、9分という大曲も、ギターリフ主体の展開力で叙情性は控えめの、わりと硬派な聴き心地であるが、
ラスト曲などはノーマル声を使ったメロディックな美しさが前に出ていて、懐の深いセンスを感じさせる。
日本盤のボーナストラックにはアコースティックのライブ音源を2曲収録。
ドラマティック度・・8 テクニカル度・・8 知的センス・・8 総合・・8
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Moonlyght「PROGReSsivE DARKNESS」
カナダのヴァイキング・メロデス、ムーンライトの2002年作
ポーランドにはMOONLIGHTというゴシックメタルバンドがいるが、こちらは「i」を「y」に変えている。
メンバーを見るとまだ若そうな5人組みで、基本は男性ヴォーカルだがときに女性Voのコーラスも入る。
サウンドはゴシックメタル風だったり、メロデス風に疾走したりと、やや節操がない感じで、
ケルティックなメロディが出てくると、ゴシックというよりはむしろヴァイキングメタル風になる。
ギターの奏でるクサメロがなかなかツボをついてきて、耽美な雰囲気はあまりないが、
シンフォニックなメロデス風ゴシックとしても楽しめる。今後の成長に期待したい。
メロディアス度・・8 ゴシック度・・6 ヴァイキング度・・7 総合・・7.5
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Moonlyght 「Return to Desolation」
カナダのヴァイキング・メロデス、ムーンライトの2015年作
2002年にデビュー、本作は7年ぶりの3作目となる。壮麗なシンセアレンジに、叙情的なツインギターと
ダミ声ヴォーカルを乗せた、疾走感のあるシンフォニックなヴァイキングメタルを聴かせる。
ノーマル声の男女コーラスを加えたエピックなスケール感と、メロウなギターフレーズとともに、
優美な叙情性に包まれて、8分、9分という大曲を緩急ある展開で、ドラマティックに構築する。
激烈にブラスト疾走するペイガンブラック的なパートもありつつ、あくまで美しいシンセワークと、
泣きのギター、艶やかなヴィオラの音色や美しい女性声が、扇情的なメロディとともに楽曲を彩る。
美麗なシンフォニック性と泣きメロたっぷりで描かれる、ヴァイキングメロデスの傑作です。
シンフォニック度・・8 ヴァイキング度・・7 叙情度・・8 総合・・8.5
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Moonreich 「Pillars of Detest」
フランスのブラックメタル、ムーンレイクの2015年作
THE NEGATIONのWeddiによるバンドで、媚びのないギターリフに咆哮するヴォーカルを乗せて暴虐に疾走する、
ダークで不穏な気配に包まれたブラックメタル。激しさだけでなく、リズムチェンジを含む知的な構築力も感じさせ、
ブラッケン・ロール的なアナログ感覚とともに、いわば硬派な暗黒美を描くような聴き心地である。
メロディックな感触というのはほぼ皆無なので、ブラック初心者にはとっつきづらいかもしれないが、
Deathspell Omegaあたりがイケる方ならば、普通に楽しめるのではないかと思う。
本格派の暗黒臭に覆われた甘さなしのブラックメタルがお好きな方はいかが。
ドラマティック度・・7 暴虐度・・8 暗黒度・・9 総合・・7.5
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MOONSTRUCK「FIRST LIGHT」
イタリアのメロデスバンド、ムーンストラックの1st。1999作
ツインギターの扇情的なフレーズをメインに、IRON MAIDENや初期IN FLAMESに通じるクサメロが満載。
デスとしての要素はVoくらいのもので、あとはほとんど正統派クサメタルといっていいようなサウンド。
曲としての完成度は高くないが、やはり次々に繰り出されるツインリードの叙情メロディには聴くべきものがある。
ツインギターのクサメロ度・・9 暴虐度・・6 楽曲・・7 総合・・7
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MORK 「Det Svarte Juv」
ノルウェーのブラックメタル、モークの2019年作
Thomas Eriksen氏による独りブラックメタルで、2007年にデビュー、本作は4作目になる。
ノイジーなギターにうっすらとしたシンセ、恐ろしげなダミ声ヴォーカルを乗せてブラスト疾走、
BURZUMを受け継ぐような、アンダーグラウンドな空気に包まれたブラックメタルを聴かせる。
いくぶんこもり気味の音質もいかにもプリミティブな感じであるが、ギターのリフやフレーズには適度な叙情もあり、
寒々しい北欧の土着感が味わえる。ミドルテンポのパートもわりと多く、全体的にも暴虐すぎず、演奏力の点でも
しっかりしているので、プリブラ初心者でも楽しめるだろう。なかなかドラムが上手いと思ったら、ドラマーだけは別の人らしい。
ドラマティック度・・8 暴虐度・・7 プリミティブ度・・8 総合・・7.5
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MORK 「Katedralen」
ノルウェーのブラックメタル、モークの2021年作
トーマス・エリクソンによる独りブラックメタルで、2007年にデビューし、本作は5作目となる。
北欧ブラックらしいギターリフと絶叫ヴォーカルを乗せてブラスト疾走する、プリミティブなスタイルで、
ほどよくノイジーで地下臭ただよう、いかにも初期ノルウェイジャン・ブラックメタルらしいサウンド。
随所にスローパートを盛りこみつつ、叙情的なギターの旋律やときにエピックなコーラスも加わって、
全体的に暴虐すぎない聴きやすさがあるので、BURZUMなどに比べて初心者にも楽しめるだろう。
オールドスタイルのブラックメタルに、北欧らしい寒々しくメランコリックな空気を封入した強力作。
ドラマティック度・8 暴虐度・7 プリミティブ度・8 総合・8
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MORS PRINCIPIUM EST「INHUMANITY」
フィンランドのメロデスバンド、モルス・プリンシピアム・エストの1st。2003作
基本はCHILDREN OF BODOMタイプで、疾走しながらもメロディアスなフレーズを奏でる
キーボード入りのメロデススタイルで、とても聴きやすく、演奏力もある。ただメロディにしろ楽曲構成にしろ、
個性的というにはあと一歩で、若手にしてはそれなりにセンスはありそうなので今後に期待したい。
メロディアス度・・8 暴虐度・・7 楽曲・・7 総合・・7.5
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MORS PRINCIPIUM EST「THE UNBORN」
フィンランドのメロデスバンド、モルス・プリンシピアム・エストの2nd。2005作
一聴して音の広がりがダイナミックになった。女性コーラスの導入や、シンセのアレンジが
スケール感のあるサウンドをかもし出し、音には大幅に説得力が増している。
そして、大きいのは疾走だけに頼らない曲作りで、センスあるギターリフにメロディ、
さらに様々なエフェクトを効果的に取り入れるなど、楽曲には工夫とアイディアが多い。
そして疾走するところは暴虐に突進する、細部までアレンジの練られた高品質なメロディックデスメタルサウンド。
これまでのバンドの良い要素を巧みに取り入れながら、二作目にしてここまでのクオリティに持ってきた実力は凄い。
メロディアス度・・8 暴虐度・・8 クオリティ・・9 総合・・8
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MORS PRINCIPIUM ESTLiberation=Termination
フィンランドのメロデスバンド、モルス・プリンシピアム・エストの3rd。2007作
前作2nd「THE UNBORN」で実に高品質なロデスサウンドを完成させたこのバンド
続く本作もヘヴィさの中にツインギターのメロディを融合させたクオリティの高さが光る。
今作では随所にモダンなシンセアレンジを取り入れたり、疾走に頼らないヘヴィロック風味など、
いわばメタルコア的な感触を強めている。正直、好みの作風ではなくなったが質は高いと思う。
メロディック度・・7 暴虐度・・7 モダンヘヴィ度・・8 総合・・7.5
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Mors Principium Est「…And Death Said Live」
フィンランドのメロデスバンド、モルス・プリンシピアム・エストの2012年作
前作はメタルコア風味を強めたような作風だったが、ギタリストが交代した本作では、
突進するような激しい疾走感とともに、王道のメロデス路線に回帰している。
ツインギターのリフはデスラッシュ風味もありながら、随所に流麗なフレーズを奏で、
うっすらとしたシンセが楽曲を荘厳に彩ってゆく。軟弱すぎない硬質感と音の迫力は中堅バンドとしての
堂々たる自信に溢れていて、全盛期のDARK TRANQUILLITYAT THE GATESすら思わせる。
古き良きメロデスの感触を激しくもドラマティックに仕上げたという、まさに強力な傑作である。
ドラマティック度・・8 突進度・・9 王道メロデス度・・9 総合・・8.5
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Mors Principium Est 「Dawn of the 5th Era」
フィンランドのメロディック・デスメタル、モルス・プリンシピウム・エストの2014年作
2003年にデビュー、Omnium GatherumNORTHERらとともに北欧メロデス第二世代の高品質バンド。
本作は5作目で、ツインギターのクールなリフを乗せて激しく疾走する、王道のメロデスサウンド。
モダンなヘヴィネスを適度に含ませつつ、ブラストする激しさと叙情メロディを両立させた聴き心地は、
キャリアのあるバンドらしい迫力に包まれている。ダミ声ぎみのデスヴォイスも、勢いあるサウンドにマッチしていて、
ときにDark Tranquillityのミカエルを思わせるほどだ。楽曲は4〜5分前後と長すぎず短すぎず、
前作同様のクオリティの高さで、新鮮味云々を議論させないレベルを維持している。さすがの強力作デス!
メロディック度・・8 暴虐度・・8 クオリティ度・・9 総合・・8
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Mors Principium Est 「Embers of a Dying World」
フィンランドのメロディック・デスメタル、モルス・プリンシピウム・エストの2017年作
2003年にデビュー、本作は6作目。壮麗なイントロから、メロディックなギターにダミ声ヴォーカルを乗せ
きらびやかなシンセアレンジを加えた、シンフォニックなメロデスサウンドを聴かせる。
暴虐な激しさはさほどなく、むしろ北欧メロパワを激しめにしたような味わいで、ほどよい疾走感と
流麗なギタープレイとともに、CHILDREN OF BODOM系の美麗メロデスが楽しめるのだが、
モダンなヘヴィネスや、シンセの使い方などは、デスメタルというよりはメタルコア寄りかもしれない。
女性Voの入った優美なナンバーなどは、フィンランドらしいメランコリックな味わいで良いのだが、
全体的には、もっと慟哭系や悲哀系のメロデスらしい叙情と激しさが欲しい気もする。
ドラマティック度・7 暴虐度・6 モダンデス度・8 総合・7.5 
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Mourning Mist
イタリアのドゥーム・ブラックメタル、モーニング・ミストの2015年作
ヴァイオリンが妖しく鳴り響き、ドゥーミーなダークさで聴かせる、妖しげでカルトなサウンドだが、
淡々と歌っていたヴォーカルが絶叫しだすと、とたんにブラックメタル寄りの雰囲気になる。
激しいブラスト疾走というものはほとんどないが、ときに変則リズムを含んだプログレッシブな感触と
ヴァイオリンによるクラシカルな旋律がアクセントになっていて、なかなか一筋縄ではいかない。
暴虐でもなく、暗黒度もそこそこでメロディックでもないという、正直、聴かせ所がどこなのかとても微妙な作品。
ドラマティック度・・7 暴虐度・・6 ミステリアス度・・8 総合・・6.5
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MOURN IN SILENCE 「LIGHT OF MISERY」
イタリアのシンフォニック・ブラックメタル、モーン・イン・サイレンスの2001年作
美麗なシンセとメロディックなギター、ダミ声&低音デス声ヴォーカルを乗せた、
わりと正統派のシンフォニック・ブラックメタル。ドラムが打ち込みなので、
暴虐な感触というのはあまりないのだが、Cradle of Filthなどにも通じる耽美な世界観と、
緩急の付いた楽曲展開で、この手の美麗系シンフォブラックが好きなら、そこそこ楽しめるだろう。
シンフォニック度・・8 暴虐度・・7 美麗で耽美度・・8 総合・・7

Movimento d'Avanguardia Ermetico 「Torri Del Silenzio」
イタリアのプログレッシブ・ブラックメタル、モヴィメント・ド・アヴァンガーディア・エルメティコの2015年作
イタリア語の語りによるイントロから、曲が始まるとダミ声ヴォーカルとトレモロのギターリフを乗せてブラスト疾走、
荒涼とした叙情性とミステリアスな空気感に包まれたサウンドは、Wolves in the Throne Roomなどに通じる
ネイチャーブラック系ともいうべき質感である。10〜16分の大曲4曲という構成で、随所にイタリア語の語りも入ったり、
長尺ながらも適度に緩急の付いた構成には、プログレッシブで知的なセンスも感じさせる。
もう少しドラマティックな盛り上がりや、フックのある展開があればよいとも思うが、
この淡々とした感じがうるさすぎずに良いのかもしれない。神秘的な世界観に浸れる方へ。
ドラマティック度・・7 暴虐度・・7 ミステリアス度・・9 総合・・8
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MUTANT「THE AEONIC MAJESTY」
スウェーデンのテクニカルデスメタルバンド、ミュータントの1st。
THEORY IN PRACTICEのメンバーによるプロジェクトで、つまりはブラックメタル版のセオリー・イン・プラクティスということか?
ブラストビート込みで激走するドラムに、バックにはキーボード、Voはダミ声ブラック。
意外にメロディアスでドラマティックな楽曲展開も多く、T.I.P同様に変拍子も使用したりしているが、
音像的にはしごくシンフォニックなブラックなので、激しくはあるが非常に聴きやすいサウンドだ。
テクニカル・シンフォニック・ブラック、という意外とありそうでない新鮮な部分を突いている。
シンフォニック度・・7 暴虐度・・7 テクニカル度・・8 総合・・8
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Myhrding 「Morkaste Kapitel」
スウェーデンのペイガンブラックメタル、ミーアディングの2014年作
ギター、ベース、ドラム&ヴォーカルという三人編成で、メロディックなギターとダミ声ヴォーカルを乗せた
メロデス風味もあるペイガン・ブラックメタル。こもり気味のチープな音質がプリミティブ臭をかもしだしつつ
ギターのフレーズはあくまで叙情たっぷりなのでけっこう聴きやすい。随所にトレモロのリフなども含んだ
いかにも北欧らしい涼やかで土着的な感触は、ペイガンブラックの元祖であった、Dawnあたりを思わせる、
ブラストするような暴虐な疾走感はないので、激しさを求める方にはやや物足りないかもしれないが、
とにかくギターの奏でる泣きの叙情メロと土着フレーズの耳心地の良さで十分に楽しめてしまう好作だ。
メロディック度・・8 暴虐度・・6 北欧度・・8 総合・・8
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MYRKUR 「Mareridt」
アメリカのポストブラックメタル、ミシュクルの2017年作
デンマーク出身のアマリエ・ブルーン嬢による女性の独りブラックメタルユニットで、本作が2作目となる。
うっすらとしたシンセアレンジに美しい歌声を響かせる、北欧トラッド的な涼やかな空気感に包まれつつ、
突然人が変わったように絶叫ヴォイスとともに激しくブラスト疾走。確かにこれはブラックメタルですよ。
そうはいいつつも、また美しい女性声に戻ったり、ヴァイオリンが鳴り響くトラッド風味のナンバーもあって、
その極端な二面性はなかなかのインパクト。ゆったりとしたナンバーでは、ゴシックメタル的な耽美さもあって、
女性Voのトラッドロックやゴシック好きにも対応。はかなく神秘的な空気感に包まれた世界観とともに、
いままでになかった女性によるブラックメタルという点でも、注目のアーティストですな。
ドラマティック度・・8 神秘的度・・8 女性Vo度・・8 総合・・8
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Myrkur 「Folkesange」
アメリカのアンビエント・ポストブラック、ミシュクルの2020年作
デンマーク出身のアマリエ・ブルーン嬢による女性の独りユニットで、2014年にデビューし、本作は3作目。
美しいジャケのイメージのように、やわらかな女性ヴォーカルとシンセによるネオフォーク風の作風で、
素朴なマンドラのつまびきに、チェロやヴィオラなどの音色を重ね、クラシカルな優雅さに包まれる。
デンマーク語の歌声による、涼やかな味わいのトラッド風ナンバーも、神秘的な空気を描き出し、
楽曲は3分前後が主体で、メタル色は皆無。前作のブラックメタル要素を期待すると肩透かしであるが、
幻想的なネオフォークが好きな方なら、わりと普通に楽しめるかと。次作はブラックが復活するのかな。
アコースティック度・・8 メタル度・・0 女性Vo度・・8 総合・・7.5
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Mystical Fullmoon 「Chthonian Theogony」
イタリアのシンフォニック・ブラックメタル、ミスティカル・フルムーンの2014年作
Vo&B、G、Keyというトリオ編成で、打ち込みによるドラムの上にシンフォニックなシンセアレンジと
ダミ声ヴォーカルを乗せて激しく疾走しつつ、リズムチェンジを含むプログレッシブな構築力で聴かせる。
リズムが打ち込みのスペイシーなシンフォブラックという点では、Limbonic Artにも通じるだろうか。
個人的には、やはりドラムが軽いこともあって、暴虐な暗黒美と迫力に物足りなさを感じてしまう。
8分、9分という大曲を描くには、もっとドラマティックな展開力も欲しいかな。
シンフォニック度・・8 暴虐度・・7 構築度・・8 総合・・7.5
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Mystic Circle
ドイツのブラックメタル、ミスティック・サークルの2022年作
1996年にデビュー、2006年までに7作を残して消えたバンドが、じつに16年ぶりに復活した。
メンバーは、A.Blackwar (Sven Meesters) 、Beelzebub (Marc Zimmer)の2人のみとなったが、
ほどよい叙情を含んだギターにうっすらとしたシンセと喚き声ヴォーカルを乗せてブラスト疾走する、
DIMMU BORGIRにも通じるシンフォニックなブラックメタルは健在。激烈なドラムに迫力あるヴォーカル、
トレモロのギターリフにメロディックな味わいも覗かせながら、荘厳な暗黒美に包まれたサウンドを描いてゆく。
美麗すぎないダークな邪悪さは、EMPERORなど北欧ブラックメタルのファンにも楽しめるだろう。
元祖デスメタル、Possessedのカヴァーもなかなかハマっている。まさに復活の強力作だ。
ドラマティック度・8 暴虐度・8 暗黒度・8 総合・8
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Mystic Circle 「Erzdamon」
ドイツのブラックメタル、ミスティック・サークルの2023年作
1997年にデビューし、9作目。16年ぶり復活作となった前作に続く復活2作目で、メロディックなギターに壮麗なシンセアレンジ、吐き捨てヴォーカルを乗せて、王道のシンフォニック・ブラックメタルを聴かせる。
随所に激しいブラスト疾走も覗かせつつ、悪魔をテーマにしたジャケのイメージに比べて、サウンドは全体的にメロディアスな聴きやすさが前に出ている。
一方では、荘厳な邪悪さが希薄なため、ブラッケンな迫力という点では少し物足りなさも。メロプラとしては普通にクオリティは高いです。
ドラマティック度・8 暴虐度・7 暗黒度・7 総合・8 
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Mystic Forest 「Welcome Back in the Forest」
フランスのメロディック・ブラックメタル、ミスティック・フォレストの2002年作
1999年にデビュー、本作は2作目となる。メロディックなギターフレーズを乗せて激しく疾走、
シンセによる美しいアレンジに絶叫するようなヴォーカルを重ね、ノイジーな音質でたたみかける。
ラウドな迫力と優雅なメロディが混然となった、プリミティブなメロブラという聴き心地もありつつ、
ときに女性コーラスが加わったり、シンセやギターがクサメロ感ある旋律を奏でるのもよいですね。
本作の時点では、楽曲構成にしろ演奏にしろ粗さが目立つのだが、きらりと光るこのメロディセンスは4作目で結実する。
メロディック度・・8 暴虐度・・7 優雅でラウ度・・8 総合・・7.5
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MYSTIC FOREST「ROMANCES」
フランスのメロディック・ブラックメタル、ミスティック・フォレストの4th。2004年作
メロディックなギターに美麗なシンセアレンジ、フランス語によるダミ声ヴォーカルを乗せて疾走するサウンドで、
2ndの頃に比べるとぐっとスタイリッシュな聴き心地になった。アコーディオンやフルートの音色を加えたり、
ピアノによるクラシックのメロディを導入したりと、なかなかアイディアも豊富で、アーティスティックな感性を感じさせるところは、
むしろプログレ・ブラック的なサウンドといえるだろう。ゆったりとした部分でのギターのメロウなフレージングも実に心地よく、
ときに演歌泣きのクサメロに軽く悶絶する。クラシカルなピアノの音色に女性声によるフランス語の囁きなども含めて、
いかにもフレンチらしい優雅さと適度な激しさが融合された、メロディック・ブラックメタルの好作品だ。
メロディック度・・8 暴虐度・・7 優雅度・・9 総合・・8
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Nachtmystium 「The World We Left Behind」
アメリカのブラックメタル、ナクトミスティアムの2014年作
2002年にデビュー、本作は8作目にして解散前のラストアルバム。軽めのドラムに適度に叙情的なギターと
ダミ声ヴォーカルを乗せた、わりとキャッチーなサウンドで、序盤のミドルからスローテンポのナンバーには
ブラックメタルとしての激しさや暗黒性はさほど感じない。ブラスト疾走するナンバーでは、プリミティブな匂いも残すが、
XASTHURなどに比べると地下臭さもあまりなく、メロディックなギターフレーズやうっすらとしたシンセアレンジとともに
ウェットな叙情に包まれるところは、むしろポストブラックに接近したような聴き心地。リフレインの多い所はやや長尺な感じだが、
激しさは控えめでゆったりと聴けるブラックが好きな方はどうぞ。バンドはメンバーを交替して2018年に復活する。
ドラマティック度・・7 暴虐度・・7 叙情度・・8 総合・・7.5
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NAGLFAR「SHEOL」
スウェーデンのメロブラバンド、ナグルファーの3rd。2003作
専任キーボードを入れず、昨今流行りのシンフォブラックとは一線を画した、ある種硬派なメロブラで、
聴きやすさよりも暴虐さ重視、激しく疾走しながら2本のギターリフのみで叙情性を表現しているという点では
あるいはDISSECTIONの後継者という位置づけもできるバンドかもしれない。
甘めのメロブラ好きにはやや辛口のサウンドかもしれないが、本格派メロディックブラックとしての
暴虐さを継承する高品質バンドとして、その存在価値は高いバンドであろう。
メロディアス度・・7 暴虐度・・8 王道メロブラ度・・9 総合・・8 ◆メタル名盤特選入り
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NAGLFAR「PARIAH」
スウェーデンのメロディック・ブラックメタルバンド、ナグルファーの4th。2005作
王道の激烈ブラックスタイルを貫きつつも、適度にメロディアスで、非常にバランスのいいサウンドは、
MARDUKあたりよりもずっと聴きやすいし、かといって軟弱でもない「本物」の香りも有している。
今作もそれは同じで、ツインギターによるリフ構造でメロディを表現できるところが、
最近のキーボードにばかり頼るシンフォブラ系バンドとは違うのだ。メロディ派のリスナーにとっては、
少々硬派すぎるかもしれないが、ブラックメタルの暴虐性と、甘すぎないメロディを楽しめる方には今回も傑作である。
メロディアス度・・7 暴虐度・・8王道メロブラ度・・9 総合・・8
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NAGLFAR「Harvest」
スウェーデンのメロディック・ブラックメタルバンド、ナグルファーの5tn。2007作
キーボードをほとんど使わないあくまで二本のギターの絡みによって叙情性を生み出す、
いわばDISSECTIONスタイルのサウンドは今作も不変。暴虐にブラスト疾走しつつも、
ミドルパートにおけるグルーブ感も加わって、緩急ある構築力で迫力あるメロブラを聴かせる。
甘くなりすぎない程度のツインギターのフレーズも、ときおりもの悲しい美しさをかもし出し
北欧の寒々しさと、暗闇の不気味さを伝える激烈なサウンドは、やはり非常に高品質だ。
メロディアス度・・7 暴虐度・・8 暗黒度・・8 総合・・8
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NAGLFARTeras
スウェーデンのメロディック・ブラックメタルバンド、ナグルファーの6tn。2012年作
シンセに頼らない正統派のメロディック・ブラックメタルを受け継ぐこのバンド、
本作はツインギターのリフとメロディックなフレーズを軸にしたスタイルながら、スローからミドルテンポでの
重厚な雰囲気が強まったという印象。随所に激しく疾走するパートをまじえつつ迫力あるデスヴォイスと
どっしりとしたダークな世界観とともに、ドラマティックなデスメタルとしても楽しめるようになった。
甘すぎない叙情性と暴虐性のバランスもよく、さほど新鮮味はないが高品質な作品に仕上がっている。
メロディアス度・・7 暴虐度・・8 暗黒度・・8 総合・・8
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NAGLFAR「CERECLOTH」
スウェーデンのメロディック・ブラックメタル、ナグルファーの2020年作
1995年にデビュー、本作は8年ぶりとなる7作目。叙情的なギターフレーズにダミ声ヴォーカルを乗せて
激しく疾走するスタイルは、かつてのDISSECTIONを思わせる王道の北欧メロブラのスタイルで、
いくぶんこもり気味の音質も含めて、まるで90年代に原点回帰したような聴き心地だ。
スローからミドルテンポにおける叙情的なメロディや不穏なギターフレーズなども魅力的で、
北欧ブラックらしい涼やかな空気感と暗黒性が同居したサウンドをじっくりと味わえる。
重すぎない暴虐過ぎないという、いわば古き良き正統派メロブラを楽しめる強力作だ。
ドラマティック度・・8 暴虐度・・8 王道メロブラ度・・9 総合・・8 
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NaildowNWorld Domination
フィンランドのメロデスバンド、ネイルダウンの1st。2006作
きらきらとシンセワークで聴かせる、モダンなメロデスサウンドは
一聴して、CHILDREN OF BODOM + SOILWORKという雰囲気。
ノーマルヴォイスもまじえて流麗なギターとシンセが絡むスタイルは、暴虐さよりも
若者らしい勢いが前に出ていて、メロディの聴かせどころもなかなかセンスが良い。
メロデスというよりもスラッシーなナンバーもあったり、いかにもニュースクール的な
ボーダーのなさを感じさせつつ、ギターフレーズにはちゃんとツボを突く部分が多い。
この手の若手バンドにしては完成度の高いアルバムだろう。
メロディアス度・・7 暴虐度・・7 モダン度・・8 総合・・8
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NARJAHANAM「Undama Tath'hur Al Shams Mn Al Gharb」
バーレーンのブラックメタル、ナルジャハナムの2007年作
ミスティックなイントロから、アラビックなギターのメロディにデスヴォイスが重なり、
暗黒の世界を描き出す。ときにシンセによる美しさもあって、神秘的な宗教色も感じさせつつ、
中近東的な雰囲気をうねりのある邪悪さで表現してゆく、その世界観はなかなか荘厳だ。
音質の荒さもプリミティブに作用していて、こもりがちなドラムのブラストビートも
かえって太古の邪悪さを思わせる。異国的な闇の美学が詰まった中近東ブラックメタルだ。
ドラマティック度・・8 暴虐度・・7 神秘的度・・9 総合・・7.5


NATTEHIMMEL 「Mourningstar」
ノルウェーのブラックメタル、ナッテヒンメルの2023年作
In the Woods...のメンバー3人を擁するバンドで、アナログ感を感じさせる90年代風のギターリフに朗々としたヴォーカルとダミ声を乗せ、うっすらとしたシンセアレンジに包まれた、EMPERORにも通じる荘厳で叙情的なサウンドを聴かせる。
ミドルテンポを主体に、随処に激しいブラスト疾走も覗かせつつ、ノーマル声の割合が高いこともあってさほど暴虐性は感じさせない。
緩急ある展開力の中に、スペイシーな神秘性とスケール感のある重厚な聴き心地は、ARCTURUSあたりに通じるところもある。
ドラマティック度・8 暴虐度・7 荘厳度・8 総合・8
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NATTSOLStemming
ノルウェーのペイガン・ブラックメタル、ナットソルの2010年作
二人のメンバーによるユニットで、土着的な叙情性を含んだブラックメタルサウンド。
昨今のバンドのようにシンセを使わず、あくまでギター主導で疾走しつつメロディを聴かせる
古き良きスタイルを踏襲しつつ、静と動の緩急をつけた構築性もなかなか見事で
白夜に包まれた北欧の森を思わせる、幻想的な神秘性が音には感じられる。
詠唱のような男性コーラスもいい雰囲気で、初期EMPERORばりの幻想ブラックを聴かせる傑作だ。
ドラマティック度・・8 暴虐度・・7 土着度・・8 総合・・8
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Necrophobic 「Dawn of the Damned」
スウェーデンのブラック・デスメタル、ネクロフォビックの2020年作
1993年にデビュー、本作は9作目となる。メロディックなギターのイントロから幕をあげ、トレモロを含む適度に叙情的なギターに吐き捨てヴォーカルを乗せて疾走する、ブラックメタル寄りのイーヴルな雰囲気に包まれたサウンド。
随所に流麗なギタープレイも覗かせて、ブラスト疾走する激しさの中にも、メロディアスな聴きやすさがあるのが日本人好みと言える。
ベテランらしいブラッケンな荘厳さを描きつつ、7分前後の長めの楽曲を構築する力量はさすがで、オールドなメロブラとメロデスの中間のような味わいで楽しめる力作デス。
ドラマティック・8 暴虐度・8 暗黒度・8 総合・8
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NECRONAUTICAL「APOTHEOSIS」
イギリスのブラックメタル、ネクロナウティカルの2019年作
2014年にデビューし、3作目となる。ほどよい叙情を含んだギターフレーズにダミ声ヴォーカルを乗せて
激しく疾走するスタイルで、メロデス寄りの感触も含んだ、適度にメロディックなブラックメタルを聴かせる。
楽曲は6〜8分で、ミドルやスローテンポも含んだ緩急ある構築力で、暴虐性がさほど強くない分、
わりと初心者にも楽しめるだろう。美しいシンセアレンジも加えて、EMPERORあたりに通じるような、
激しく幻想的なナンバーもあり、ほどよく聴きやすいのだが、暗黒寄りの荘厳さがもう少し欲しいか。
ドラマティック度・・7 暴虐度・・7 暗黒度・・7 総合・・7.5
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The Negative Bias 「Narcissus Rising - A Metamorphosis In Three Acts」
オーストリアのブラックメタル、ネガティブ・バイアスの2019年作
2017年にデビューし、本作は2作目。21分、20分という大曲2曲の構成で、トレモロを含むギターリフに、
咆哮するデスヴォイスを乗せて激しくブラスト疾走、禍々しくもスペイシーなスケール感に包まれた、
神秘的なブラックメタルを展開する。随所にシンセを加えた厚みのあるサウンドの迫力と、
ダークな静謐パートやスローテンポなどの緩急ある構築力で、ドラマティックな世界観を描く。
手数の多いドラムの演奏力もかなりのもので、暴虐な激しさと知的な展開美が同居した、
プログレッシブなブラックメタルが好きな方にも楽しめる。ラストはアンビエントなパートが続きます。
ドラマティック度・・8 暴虐度・・8 神秘的度・・8 総合・・8
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Negura Bunget 「Zirnindu-Sa」
ルーマニアのブラックメタルバンド、ネグラ・バンゲットの1996/2010年作
1996年のデビュー作に、全曲のリミックス音源を収録したCDを追加した再発盤2CD。
うっすらとしたシンセにノイジーなギターリフとダミ声ヴォーカル乗せて疾走するサウンドで、
いくぶんこもり気味の音質も含めて、のちの作品よりもプリミティブな味わいが楽しめる。
初期BURZUMを聴きやすくしたようなイメージであるが、暴虐さや狂気よりも、むしろ物悲しさや
ミステリアスかつ辺境的な雰囲気に包まれていて、シンセによる叙情的な美しさも強い。
リミックス音源の方は、ドラムの音を含めて全体的に音がクリアになった分、聴きやすいが
ミステリアスな幻想性という点ではやはりオリジナルに軍配が上がるか。
ドラマティック度・・7 暴虐度・・7 幻想度・・8 総合・・7.5
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NEGURA BUNGET「Maiestrit」
ルーマニアのブラックメタル、ネグラ・バンゲットの2008年作
本作は、2000年発表の2nd「MAIASTRU SFETNIC」のリレコーディングアルバムである。
サウンドはブラックメタルの初期の暗闇を残したアトモスフェリックな雰囲気で、激しく疾走するスタイル。
ノイジーなギターに絡むうっすらとしたシンセの美しさはEMPERORの1stあたりに通じるものも感じさせる。
また、激しいだけでなく緩急をつけたドラマティックな構築性と、ミスティックな妖しさがあるのもいい。
ドラマティック度・・8 暴虐度・・8 アトモスフェリック度・・8 総合・・8
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NEGURA BUNGET「Virstele Pamintului」
ルーマニアのブラックメタルバンド、ネグラ・バンゲットの2010作
女性シンセ奏者を含む6人組で、デビューは1998年という中堅バンド。
縦笛の音色とともに始まる本作は、土着的な怨念のようなものを感じさせるプリミティブな質感と
美しいシンセをバックにメロウなギターリフで聴かせるサウンド。以前の作品に比べると、暴虐性よりもむしろ
ドラマティックな叙情性が前に出ていて、ずいぶんと聴きやすくなっている。母国語による歌声や、
笛の音が絡むフォーキーな雰囲気も面白い。ペイガンブラック的にも楽しめる高品質なアルバムだ。
ドラマティック度・・8 暴虐度・・7 土着度・・8 総合・・8
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Negura Bunget「Focul Viu」
ルーマニアのブラックメタルバンド、ネグラ・バンゲットのライブアルバム。2011年作
すでに活動は10年以上におよぶ中堅バンドであるが、日本での知名度はまだ低い。
このライブ作でも、うっすらとした美しいシンセとパイプの音色でミステリアスな世界観を演出、
プログレッシブともいえる神秘的なペイガン風味のサウンドを聴かせる。
シンフォブラック的に激しく疾走する部分と、パーカッションも含んだフォーキーな土着性が
ほどよいコントラストになっていて、プリミティブな薄暗さをもった雰囲気にうっとりである。
軽く10分を超える曲がいくつもあるので、曲数は少ないがCD2枚で90分超のボリュームだ。
シンフォニック度・・8 ライブ演奏・・8 幻想美度・・9 総合・・8
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Negura BungetPoarta De Dincolo
ルーマニアのブラックメタルバンド、ネグラ・バンゲットのミニアルバム。2011年作
うっすらとしたシンセに母国語の歌声とともに、プリミティブな神秘性を描き出す
独特のブラックメタルサウンド。ときおり激しい疾走もまじえた、緩急のついた展開に
笛の音やダルシマーなどによる土着的な雰囲気も加わって、なかなか個性的な聴き心地。
全4曲ながら、7分、8分と曲は長めで、シンセによるサウンドスケープ的な曲もあって
退屈な人にはつらいかもしれない。フルアルバムを気に入ったバンドのファン向け。
ドラマティック度・・8 暴虐度・・7 神秘的度・・8 総合・・7.5
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Negura Bunget 「Tau」
ルーマニアのブラックメタル、ネグラ・バンゲットの2015年作
1996年デビューという、キャリアのあるバンドで、フルートを含んだ妖しげなイントロに続き、曲が始まると、
重厚なギターリフを乗せたブラックメタル的な激しさと、緩急ある展開とともに、土着的な神秘性を描くような
ミステリアスな空気感に包まれる。ヴォーカルは低音のデスヴォイスであるが、随所にノーマル声のコーラスが勇壮に絡み、
北欧ブラックメタル風でもある涼やかな空気をまとわせる。ときにシンフォニックなシンセアレンジが加わると、
いわば「Dimmu Borgirの辺境版」という味わいにもなったりする。暴虐さはさほどないので、激しいブラックが苦手な方や、
プログレッシブなブラックが好きな方にも対応。知的な構築力とペイガンブラックの辺境性を融合させた強力作である。
ドラマティック度・・8 暴虐度・・7 ミステリアス度・・8 総合・・8
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NEGURA BUNGET 「ZI」
ルーマニアのブラックメタル、ネグラ・バンゲットの2016年作
1996年デビューという、キャリアのあるバンドであるが、前作から1年でもう新作を出してきた。
フォーキーな土着性を感じさせるイントロ曲からして、本作は何やら異色な雰囲気であるが、
2曲目以降は激しいブラスト疾走も加わった、ペイガン寄りのブラックメタルでひと安心。
バンドの描く神秘的な世界観はさらに強まっていて、パンパイプが鳴り響くアコースティックなパートや
朗々としたノーマルヴォーカルを乗せた雄大なスケール感に、聴き手はじわじわと引き込まれる。
楽曲によっては唐突なテンポチェンジなどの知的な展開力も覗かせる。バンドとしてのキャリアが
堂々たる音の説得力となって、ダークな空気感と迫力を生み出している。さすがの力作だ。
ドラマティック度・・8 暴虐度・・7 神秘的度・・9 総合・・8 
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Negura Bunget 「Zau」
ルーマニアのブラックメタル、ネグラ・バンゲットの2021年作
1998年にデビュー、ペイガンな土着性とアトモスフェリックな幻想性を含んだ独自のブラックメタルを描くバンド、
リーダーでドラムのNegru氏の死去により解散するも、未発アルバムのドラムテイクが発見され、
本作は、それを残されたメンバーが完成させたもの。のっけから16分に及ぶ大曲で、うっすらとしたシンセに
パンパイプの牧歌的な音色、男性声の囁きや女性ヴォーカルとともに、しっとりとした幻想性に包まれつつ、
ドラムとギターが加わって、ポストブラック的なサウンドを描いてゆく。美麗なシンセアレンジよるシンフォニックな感触と
スローテンポのパートでは耽美なゴシックメタル風味も覗かせつつ、随所にほどよい激しさもしっかりと残している。
ドラマティック度・7 暴虐度・7 幻想度・8 総合・8 
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Ne Obliviscaris 「Portal of I」
オーストラリアのプログレ・ブラックメタル、ネ・オブリヴィスカリスの2012年作
のっけから激しいブラストビートが炸裂、ツインギターのリフを乗せてたたみかけ
デスヴォイスとノーマルヴォイスか絡む、重厚なサウンドに圧倒される。
美しいヴァイオリンが鳴り響いたり、メロディックな叙情パートも含んだ極端なまでに
緩急のついた楽曲展開と、ミクスチャーメタル的でもあるモダンなセンスとともに、
知的な構築力を見せつける。そういう点では、Between The Buried And Meなどにも
通じる感触もあるかもしれない。全7曲中、6曲が9分以上という大作志向で聴き応え充分。
ドラマティック度・・8 モダンセンス度・・9 プログレブラック度・・8 総合・・8


NE OBLIVISCARIS 「Citadel」
オーストラリアのプログレ・デスメタル、ネ・オブリヴィスカリスの2014年作
前作も激しくも知的な力作であったが、今作は壮大な雰囲気のイントロから始まり、続く16分の組曲では、
咆哮するデスヴォイスとヘヴィなギターリフを乗せてブラストを含む激烈さでたたみかけつつ、
艶やかなヴァイオリンが鳴り響く唐突なクラシカルパートなども含めて、じつにプログレッシブな味わいだ。
クリーンヴォーカル出てくるメタルコア的なモダンさも含めて、やはりBetween the Buried and Meにも通じる
濃密かつエキセントリックなセンスに包まれている。この路線であれば、個人的にはデス声は減らしてもいいような気もする。
大曲中心の作品なので、プログレッシブな構築性が楽しめる方でないと、ややつかみづらいかもしれない。今回も力作デス。
ドラマティック度・・8 プログレッシブ度・・8 濃密度・・8 総合・・8
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NE OBLIVISCARIS「URN」
オーストラリアのプログレッシブ・デスメタル、ネ・オブリヴィスカリスの2017年作
アグレッシブな激しさと知的な構築力を合わせたモダンなプログレッシブ・デスメタルを聴かせるこのバンド、
3作目となる本作も、ヘヴィなギターリフを乗せた激しい疾走感に、クリーンヴォーカル&デスヴォイスを乗せ、
重厚な迫力に包まれたサウンドを描き出す。随所にヴァイオリンが鳴り響く優雅な叙情性も覗かせつつ、
テクニカルなリズムチェンジを含むインストパートの知的な展開力は、よりスタイリッシュな聴き心地になった。
一方では、デスメタルとしてのブルータルな激しさもしっかり残していて、メリハリのあるアレンジ力も見事。
ヴァイオリンの活躍が多いので、今作はクラシカルな美意識を強めた感触で、じっくりと聴かせる部分もしばしば。
優雅背な構築力をデスメタルサウンドと巧みに融合させた、まさにハイブリッドなプログレデス強力作です。
ドラマティック度・・8 重厚度・・9 構築度・・9 総合・・8.5 
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Nifrost 「Blykrone」
ノルウェーのペイガン・ブラックメタル、ニフロストの2019年作
2016年にデビューし2作目。土着的なギターリフに武骨なヴォーカルを乗せ、
北欧神話的な荘厳な空気に包まれた、ヴァイキング風のブラックメタルを聴かせる。
ミドルテンポを主体にしたナンバーから、ブラスト疾走する激しいナンバーもあって、
サウンドの迫力という点でも申し分ない。全体的に、甘すぎない硬派な作風なので、
もう少し叙情性が欲しい気もするが、ラストの8分超えの大曲ではトレモロのギターとともに
激しいブラストでたたみかける、ドラマティックなペイガンブラックが炸裂する。
ドラマティック度・7 暴虐度・7 ペイガン度・8 総合・7.5
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Nifrost 「Orkja」
ノルウェーのペイガン・ブラックメタル、ニフロストの2021年作
3作目の本作は、不穏なギターリフにダミ声ヴォーカルを乗せて激しく疾走する、
ザラついた感触のオールドスタイルのペイガン・ブラックメタルを聴かせる。
トレモロのギターリフを含むほどよい叙情と、朗々としたコーラスによる神秘的な空気が
北欧らしい土着性を感じさせる。全7曲、38分というのが、やや物足りない感じだが、
ラストは9分の大曲で、激しくも幻想的なペイガン・ブラックメタルが味わえる。
ドラマティック度・7 暴虐度・7 ペイガン度・8 総合・7.5
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Nightbringer 「Death and the Black Work」
アメリカのブラックメタル、ナイトブリンガーの2008/2012年作
2008年のデビュー・フルアルバムの再発盤で、未発音源を加えてのCD2枚組仕様になっている。
不穏でミステリアスなイントロから、ノイジーなギターにオーケストラルなアレンジを重ねてブラスト疾走、
唸るようなヴォーカルとともに、禍々しくも荘厳な幻想性に包まれた本格派のブラックメタルを展開する。
7〜10分台の長めの楽曲を、雰囲気たっぷりに描いてゆく暗黒美は、初期のEMPEROR以上のものがある。
14分におよぶ大曲も、激烈な疾走パートに、トレモロのギターリフによる叙情性を含んだ緩急ある展開で
ダークサイドの迫力に覆われたドラマティックなブラックメタルが味わえる。1stからこんなに凄いバンドだったのね。
ドラマティック度・・8 暴虐度・・8 幻想度・・9 総合・・8.5
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NIGHTBRINGER 「Apocalypse Sun」
アメリカのブラックメタル、ナイトブリンガーの2010年作
本作は2作目で、トレモロのギターに喚き声ヴォーカルを乗せて激しくブラスト疾走する、
ミステリアスなブラックメタルサウンド。適度にウェットな湿り気を感じさせつつも、
媚びの無いアンダーグラウンドな香りは、本格派のブラックメタル好きにも対応。
7、8分という長めの曲でも、漆黒の闇に包まれたダークで妖しい世界観と緩急ある展開力で
濃密に聴かせてくれる。後の圧倒的な作品に比べると、荘厳な迫力の点ではまだ及ばないが
本作の時点でも十分なクオリティの、暗黒系本格派ブラックメタルの力作だ。
ドラマティック度・・8 暴虐度・・8 暗黒度・・9 総合・・8 
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Nightbringer 「Hierophany of the Open Grave」
アメリカのブラックメタル、ナイトブリンガーの2011年作
2008年のデビューから、本作は3作目。不穏なギターフレーズに咆哮するヴォーカルを乗せて、
激しくブラスト疾走する荘厳なブラックメタルサウンド。暗黒の世界観と音の迫力に磨きがかかり、
ミステリアスな神秘性をまとわせた空気感は、のちの傑作に引けを取らないくらいの聴き心地である。
適度な叙情性を含んだギターフレーズとともに、北欧ブラックとはやや異なるウェットな妖しさに包まれて、
激しいだけでない緩急ある展開とともに、6〜7分台のわりあい長めの楽曲を濃密に構築してゆく。
漆黒の闇を描くようなサウンドで、アメリカを代表する本格派ブラックメタルとなった強力なアルバムだ。
ドラマティック度・・8 暴虐度・・8 ミスティック度・・9 総合・・8 
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NIGHTBRINGER 「Ego Dominus Tuus」
アメリカのブラックメタル、ナイトブリンガーの2014年作
ミステリアスなイントロから、曲が始まるとトレモロのギターリフを乗せて激しくブラスト疾走、
ヴォーカルのわめき声も雰囲気たっぷりで、アンダーグラウンドな妖しさとカルトな世界観に包まれた、
神秘的なブラックメタルが広がってゆく。いくぶん叙情を感じさせるギターリフが北欧ブラック的でもあり
激しさの中にも湿り気を帯びた感触がなかなか耳心地よい。MARDUKなどにもひけをとらない迫力と説得力、
アメリカのブラメタもここまできたか、というような、硬派な激烈さと闇の幻想性に覆われた力作である。
ドラマティック度・・8 暴虐度・・9 ミステリアス度・・9 総合・・8.5
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NIGHTBRINGER「Terra Damnata」
アメリカのブラックメタル、ナイトブリンガーの2017年作
前作はMARDUKばりの素晴らしい傑作であったが、5作目となる今作も暴虐にブラスト疾走する迫力に、
EMPERORなどに通じるオールドスタイルのミスティックな神秘性を描き出す強力なサウンドだ。
緩急の付いた展開力やシンセによるアレンジには、適度に知的でプログレッシブな香りも漂わせつつ、
たたみかけるような疾走パートは迫力たっぷり。随所に聴かせるメロディックなギターフレーズは
北欧ブラックメタル的な薄暗い叙情をかもしだし、暴虐なサウンドなのにダークな世界観に浸れるという。
まさに幻想型ブラックメタルのひとつの理想形というべき作風である。新世代のエンペラーというべき傑作だ。
ドラマティック度・・8 暴虐度・・8 ミスティック度・・9 総合・・8.5
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Night in Gales 「Towards the Twilight」
ドイツのメロデスバンド、ナイト・イン・ゲイルスの1997作
のっけから叙情的なツインギターで疾走。デスメタルというよりは、むしろBlind Guardianのような、
ジャーマンメタル的なメロディアスさを全面に出したサウンドには思わずにんまり。
楽曲自体は類型的で、とくに突出した個性はないのだが、とにかく、
このクサイまでの叙情メロディ、そしてツインギターの悶絶フレーズの連発はたまらない。
次作以降は硬質感をともなったややスラッシーな方向へいってしまい、
それもそれで質は高いのだが、クサメロのメロデスが好きなら本作だろう。
メロディアス度・・8 暴虐度・・7 クサメロ度・・9 総合・・7.5
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Night in Gales「Nailwork」
ドイツのメロデスバンド、ナイト・イン・ゲイルズの3rd。2000作
1st「Towards the Twilight」はクサメロのツインリードで聴かせるメロデスの悶絶盤であったのだが、
2ndから脱クサメロをし始め、さらに本作ではより硬派でスラッシーなサウンドと変貌をとげている。
ザクザクとしたツインギターのリフに乗せて、低音デスヴォイスが咆哮し、
叙情的なフレーズもまじつつ、よりソリッドになったサウンドでたたみかける。
AT THE GATES的な勢いと、ノーマル声を取り入れるなどモダンなメロディアス感覚が合わさり、
デスラッシュとメロデスの中間という雰囲気が格好いい。総合的なクオリティでは最高作。
メロディアス度・・7 疾走度・・8 デスラッシュ風味度・・8 総合・・8
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Night in Gales「Five Scars」
ドイツのメロディック・デスメタル、ナイト・イン・ゲイルスの2011年作
1stの時点ではツインギターのメロディを聴かせる正統派のメロデスであったが、
2nd、3rdとデスラッシュ的なサウンドへシフト、2001年の4th「Necrodynamic」を最後に
それ以降音沙汰がなかったのだが、なんと10年ぶりとなる復活作を出してきた。
もの悲しいイントロに続き、メロディックなギターで疾走するメロデスサウンドが甦る。
ツインギターのフレーズはいかにも往年のメロディックデスの雰囲気で叙情味たっぷり。
Voの迫力不足が惜しいが、初期のIN FLAMESなどが好きな方にもたまらないなかなかの好作デス。
ドラマティック度・・8 暴虐度・・7 往年のメロデス度・・8 総合・・8
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Night In Gales 「The Last Sunsets」
ドイツのメロディック・デスメタル、ナイト・イン・ゲイルスの2018年作
1997年にデビュー、2011年に10年ぶりの復活を遂げ、本作は復活2作目となる通算6作目のアルバム。
ほどよく叙情的なツインギターにデスヴォイスを乗せて疾走する、かつてのAT THE GATESDARK TRANQUILLITYなどにも通じる、オールドなメロデスサウンド。
扇情的なギターフレーズを随所に奏でつつも、甘すぎないメロディアス性と激しい疾走感が同居したスタイルは、初期のスタイルを受け継ぎながらもよりパワーアップした感触で、往年のメロデス好きにはたまらないだろう。
楽曲は3分前後がメインで、ストレートで爽快であるが、贅沢を言えばもう少しドラマティックな展開なども欲しいか。
メロディック度・8 疾走度・8 オールドメロデス度・9 総合・8 
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Night In Gales 「Dawnlight Garden」
ドイツのメロディック・デスメタル、ナイト・イン・ゲイルスの2020年作
通算7作目のアルバムで、ほどよく叙情的なツインギターに吐き捨てヴォーカルを乗せて疾走する、オールドスタイルのメロデスサウンドは本作も健在。
スローテンポを挟んだ緩急ある流れも覗かせつつ、咆哮するデスヴォイスは、DARK TRANQUILLITYのミカエルを思わせるときもあり、随所に聴かせる扇情的なギターフレーズもメロデス好きのツボをつく。
激しく疾走するナンバーが多いものの、ギターは常に叙情的なので暴虐さはさほど感じない。爽快に楽しめるオールドメロデスの強力作。
メロディック度・8 疾走度・8 オールドメロデス度・9 総合・8
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NIGHTLAND 「OBSESSION」
イタリアのシンフォニック・デスメタル、ナイトランドの2017年作
もともとは2015年にデジタル販売のみで発表されたものが、2017年にCD化されたという作品で、
オーケストラルなアレンジと突進する激しさを同居させた、壮麗なシンフォニック・デスメタル。
緩急の付いたリズムチェンジと、クラシカルなピアノを乗せた優雅な感触も含みつつ、
FLESHGOD APOCALYPSEDIMMU BORGIRなどにも通じるスケール感を描き出す。
激しいだけでなく、EPICAのようなシンフォニックメタル的でもある優雅な空気感もあり、
ヴォーカルは低音ダミ声ながら、随所に混声コーラスなども加わって美しく盛り上げる。
シンフォニック要素が強いので、デスメタルが苦手な方にも楽しめるだろう強力作デス。
シンフォニック度・・8 疾走度・・8 クラシカル度・・8 総合・・8
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NightrageSweet Vengeance
ギリシャのメロデスバンド、ナイトレイジのアルバム。2003作
EXHUMENTIONのGに、元DREAM EVIL〜FIRE WINDのガス.G
さらには元AT THE GATESのVo、The HauntedのDrが参加したバンドで、
さすがに名うてのメンバーたちによる、安定した演奏力のサウンドを聴かせる。
メロデスというにはもっとザクザクとしたスラッシーでコアな質感と
北欧デスラッシュ的な硬派さで、楽曲は比較的シンプルな突進型。
これといった個性的なものはないのだが、音の説得力はさすが。
ときおり聴かせる叙情ギターには、さすがガス.Gのセンスが光る。
メロディアス度・・7 デスラッシュ度・・8 楽曲・・7 総合・・7.5
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Nightrage「Descent into Chaos」
ギリシャのメロデスバンド、ナイトレイジの2nd。2004作
EXHUMENTIONのGに、元DREAM EVIL〜FIRE WINDのガス.Gが参加、
激烈に疾走するデスラッシュぎみのサウンドにメロディアスなギターフレーズを織り込み、
さすがに高品質なサウンドを聴かせる。安定感抜群のリズムとザクザクのギターに
元The CROWNのトーマスのスクリームヴォイスが激しく咆哮する。
1stのサウンドよりもバンドとしての迫力が一段増しているという印象だ。
メロディアス度・・7 デスラッシュ度・・8 演奏・・9 総合・・8
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Nightrage「A New Disease Is Born」
元EXHUMENTIONのGを中心としたメロデスバンド、ナイトレイジの3rd。2007作
1stは比較的シンプルな突進型メロデスラッシュという雰囲気だったが、
本作ではメロディアスな部分はノーマルヴォイス入りでよりメロディアスになり、
疾走だけに頼らない、北欧風のギターフレーズがじつに効果的な作品になっている。
ガス.Gは脱退したものの、むしろギターにおけるメロディの充実度は上がっていて、
古き良きメロデスの質感を残しながら、SOILWORK的なモダンさを適度に融合させている。
アメリカのメタルコア連中には決してマネできない煽情的なメロが満載。これは見事なアルバムだ。
メロディアス度・・8 暴虐度・・7 楽曲・・8 総合・・8
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Nightrage「Wearing a Martyr's Crown」
ギリシャのメロデスバンド、ナイトレイジの4th。2009作
スラッシーな疾走感とメロディアスなギターフレーズで聴かせる高品質サウンドはこれまで通り、
本作ではよりモダンなメタルコア的感触が増したことで、若いリスナーも惹きつけるだろう。
メタルコアが苦手な自分でも、このバンドに関してはアメリカのバンドとは異なるメロディの魅力と
デスラッシュ風味の硬質さがなかなか耳に心地よい。なによりリフと楽曲展開にセンスがあり、
モダンさうんぬんよりも、純粋にギターフレーズのメロディの魅力が上回っている。
メロディアス度・・8 疾走度・・8 モダンメロデス度・・8 総合・・8
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NightrageInsidious
ギリシャのモダンメロデスバンド、ナイトレイジの2011年作
3rdあたりからぐっとメロディの魅力を上げ、質の高いモダン派メロデスを聴かせるこのバンド、
5作目となる本作もツインギターのリフと叙情フレーズが気持ち良い爽快なメロデスサウンド。
シンセに頼らずあくまで二本のギターの重ねで勝負しているのが正統派としての誇りを感じるし、
メロディに北欧的な泣きが加わってきているのも嬉しい。オールドスタイルとモダンな硬質感をミックスさせ
随所に激しい疾走感を盛り込みつつ、メロディックな聴き安さとのバランス感覚が見事な高品質作である。
メロディアス度・・8 疾走度・・8 正統派メロデス度・・8 総合・・8
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NIGHTSHADE「WIELDING THE SCYTHE 」
スウェーデンのメロデスバンド、ナイトシェイドの2001作
ジャケはかなりB級っぽいが、内容は非常にメロディックで聴き易いメロデスサウンドです(笑)
基本は以前のIN FLAMESタイプで、ツインギターにきらきらとしたキーボード、
3拍子の曲になるといかにも、という感じでなかなか気持ちよく聴かせてくれる。
Voねのがなり声がやや一本調子だが、バックの奏でるフレーズの煽情度はかなりのもの。
ときおり、ヴァイキング風のメロディが顔を出すのもいい感じ。
ただ全8曲40分弱はやや物足りないか。あと1曲くらい入れて(笑)
メロディアス度・・8 暴虐度・・7 楽曲・・7 総合・・7.5


Nocte Obducta 「Galgendammerung Von Nebel, Blut und Totgeburten」
ドイツのブラックメタル、ノクテ・オブドゥクタの2002年作
うっすらとしたシンセアレンジにドイツ語によるダミ声ヴォーカルを乗せて激しくブラスト疾走、
プリミティブな暴虐ブラックサウンドを基本にしつつ、随所に知的な展開力を含んだ聴き心地は、
ABIGORなどにも通じる雰囲気もある。個人的にはもう少し楽曲アレンジに思い切りというか、
ヘンタイ的な唐突さなどがあればなお楽しめる気がする。9分、10分という大曲を含んだ力作ではある。
ドラマティック度・・7 暴虐度・・8 楽曲・・7.5 総合・・7.5
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NOCTES「PANDEMONIC REQUIEM」
スウェーデンのシンフォニック・ブラックメタル、ノクテスの1st。1997年作
ツインギターにキーボード入りで、シンフォニックかつ暴虐性もあるサウンドは、
初期のEMPERORをやわらかくしたような、なかなか聴きやすいブラックです。
音質などからB級っぽさが残りますが、それがかえってエッジを押さえた印象。
ギターリフにゴリゴリした部分が少ないので、マイルドな感じに心地よく聴けたりします。
曲やメロディにさほど個性は感じませんが、ギターリフはいちいちクサメロで北欧的叙情満載。
暴虐すぎず怖すぎない、マイナーなシンフォニックブラックを聴きたい方には良い作品ですな。
シンフォニック度・・8 暴虐度・・7 北欧度・・9 総合・・8
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NOCTES「Vexilla Regis Prodeunt INFERNI」
スウェーデンのシンフォニック・ブラックメタルバンド、ノクテスの2nd。1999作
1stもややマイナー臭いながらもシンフォニックな叙情メロ満載の好盤であったが、
今作も初期EMPEROR + 北欧メロディを強化、というようなサウンドは健在。
ブラストで突進しつつも、ギターの奏でる流麗なリフには北欧らしい土着性を感じるし
バックのキーボードもいかにも一昔前のシンフォブラック的で、そのこけおどし感がたまらない。
音質的にもやや薄いので、そうしたマイナー臭さを含めての質感がとてもよろしい。
北欧感たっぷりのメロディが気持ち良く、ヴァイキングメタルフリークにもオススメできる。
メロディアス度・・8 暴虐度・・7 北欧度・・9 総合・・7.5
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NOCTURNO CULTO 「THE MISANTHROPE」
ノルウェーのブラックメタル、ノクターノ・カルトの2007年作
初期DARKTHRONEのメンバー、Ted Skjellumによるプロジェクトで、CDの方は全20分のEPボリューム、
ノイジーなギターやシンセ、エフェクトを効かせたギターなどによる、スペイシーなインストサウンド。
ドラムなどは入らないのでメタル感触はゼロ。ほとんど曲にもなっていないので、ブラックメタルというよりは、
インプロ系のアンダーグラウンドな即興作品という味わいだ。DVDにはドキュメタンリー映像やスタジオセッション、
初期DARKTHRONE関連の映像などを収録。雪深いノルウェーの日常の景色から、来日時の東京での様子、
日本の女性ブラックメタル、GALLHAMMERや、AUR NOIRのステージ映像なども含む、なかなかレアな内容です。
ブラックメタル度・・6 マニア向け度・・9 CDはオマケ度・・8 総合・・6
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NOKTURNAL MORTUM「LUNAR POETRY」
ウクライナのブラックメタルバンド、ノクターナル・モータムのアルバム。
1st前のデモをCD化したもので、ツインキーボードによるシンフォニックな音像と
こもり気味の音質とが一種幽玄な雰囲気をかもしだしている。
EMPERORの1stあたりにも似た、チープだがどこか土着的な禍々しさを感じるが
こちらの方がより民族的な土臭さが漂っていて、そこが魅力なのだと思う。
シンフォニック度・・7 暴虐度・・7 音質・・4 総合・・7

NOKTURNAL MORTUM「GOAT HORNS」
ウクライナのブラックメタルバンド、ノクターナル・モータムの1st。1996作
ツインキーボードの美しい旋律に、どこか土着的な民族エッセンスを織りまぜたブラックメタルサウンドは、
やはりどこかヨーロッパのバンドたちとは質感が異なる。疾走してもさほど暴虐にはならず、
むしろ目立つのはキーボードの美しさ。音質の悪さもかえってミステリアスな雰囲気をかもしだしていて、
マイナー系のシンフォブラック好きにはたまらない世界観かもしれない。
背表紙の表記が「NOCTURNAL」と間違っているのも辺境的か。
シンフォニック度・・8 暴虐度・・7 音質・・6 総合・・7.5
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NOKTURNAL MORTUM「TO THE GATES OF BLASPHEMOUS FIRE」
ウクライナのブラックメタルバンド、ノクターナル・モータムの2nd。1997作
今回は1曲目からバトルな雰囲気で、アグレッシブ度がアップ。いかにもブラックメタル的に疾走していて、かなりEMPERORっぽい。
音質の悪さは相変わらずで、EMPERORの1st並み(かそれ以下)だが、このかもしだす「本物」の雰囲気こそ何にも変えがたい魅力となっている。
とんでもなくチープなジャケと怪しいメンバーのイラストが、いかにもアンダーグラウンドで健常なリスナーからは嫌悪の対象となるかもしれないが、
シンフォブラックとしてのクオリティは(音質を除いて)かなり高いと思われる。
シンフォニック度・・7 暴虐度・・8 音質・・5 総合・・7.5
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NORDHEIM 「Rapthor」
カナダのフォーク・デスメタル、ノルドヘイムの2017年作
ヘヴィなギターとダミ声ヴォーカルを乗せて激しく疾走するアグレッジブなサウンドに、
いくぶんフォーキーなメロディを加えた作風で、ときにブラストビートも含んだ激しさは、
いわばフォーク・メロデス的な聴き心地。トレモロのリフなどとともに、メロディック・ブラック的な味わいもあり、
随所にシンセによる美麗なアレンジや、クサメロ感のあるギターフレーズもなかなかよい感じだ。
全体的には、フォーキーな要素は薄めでヘヴィな疾走感が強く、激しいメロブラ路線でゆくのか、
フォークメタルでゆくのか、どっちつかずという印象も感じる。今後のさらなる深化に期待したい。
メロディック度・・7 フォーキー度・・6 激しさ度・・8 総合・・7.5
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Nordvrede 「Monument Viktoria」
ノルウェーのブラックメタル、ノルドブレードの2013年作
ヒステリックなダミ声ヴォーカルとトレモロのギターリフを乗せて激しく疾走するスタイルで、
えらくこもり気味の音質も含めて、初期MAYHEMやかつてのDarkthroneなどを思わせるようなサウンドだ。
ブラックメタルの原初的な激しさを甦らせるような暴虐性とともに、随所にメロディックなリフの流れもあって、
あるいはDissectionなどが好きな方でも楽しめるだろう。音質はもやっとしているが、演奏力もしっかりとある。
初期ノルウェイジャンブラックのアンダーグラウンドな怪しさ、いかがわしさを継承する強力作です。
全6曲34分弱というのもなんだかとってもアナログ的ですな。
ドラマティック度・・7 暴虐度・・8 怪しさ度・・8 総合・・8


NORTHER「DREAMS OF ENDLESS WAR」
フィンランドのメロディックデスメタルバンド、ノーサーの1st。2002作
一聴したところ、さらに聴きやすくしたCHILDREN OF BODOMという雰囲気で演奏といい曲といいなかなか綺麗にまとまっている。
とくにギターのメロディフレーズはクサメロリスナーにはたまらないメロディアスさでおよそデスメタルには似つかわしくないほどキャッチー。
時折出てくるフォーキーなフレーズもフィンランドらしくて良いが、キーボードの音がぴこぴこと軽かったり、
全体的にメロデスの暴虐性よりは普通の北欧メロディックメタルを目指しているようにも聴けてしまう。
EUROPEの名曲「FINAL COUNTDOWN」のデス声カヴァーがなかなかカッコいい。
メロディアス度・・8 暴虐度・・6 チルボ度・・8 総合・・8
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NORTHER「Mirror of Maddness」
フィンランドのメロデスバンド、ノーサーの2nd。2003作
チルボドフォロワー丸出しだった1stを聴いて、もういいや…と思っていたが、気が向いたので
また聴いてみる。キラキラのシンセで軽めに疾走するスタイルはやはりどう聴いても
CHILDREN OF BODOMの影響下にあり、まったくもって個性的ではないのだが、
逆に言うとこの軽快さこそが、メロデス初心者には心地よい音なのだろう。
あくまでメロディにこだわるという点では評価もできるし、演奏の質もそこそこ高い。
むしろデス声入りの疾走メタルとしてライトに楽しむべきバンドなのだろう。
メロディアス度・・8 暴虐度・・7 チルボ度・・9 総合・・8
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NORTHERTill Death Unites Us
フィンランドのメロデスバンド、ノーサーの4th。2006作
2ndまでの軽めのキラデスサウンドから本作ではずいぶん重厚な雰囲気になり
初期チルボドフォロワー路線からずいぶんと脱却しつつあるのが伺える。
モダンなヘヴィさの中にも流麗なギターメロディと美しいシンセワークは健在で、
やはりクオリティの高さでは一線級のバンドであろう。ただ、これだというメロディなり
楽曲の個性という点でいえばやはり物足りないか。出来のいいアルバムだとは思う。
メロディアス度・・8 暴虐度・・7 重厚度・・8 総合・・8
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NORTHER「N」
フィンランドのメロデスバンド、ノーサーの5th。2008作
初期チルボドのフォロワーだったこのバンドだが、久々に聴いてみたら
よりヘヴィでダークなモダンさに包まれたサウンドへと変化していた。
それまでのキラキラ系メロデスから、エクストリームな重厚さをともなった質感と
ノーマルヴォイスを取り入れるなど、モダンなメタルとしての作風へ進化している。
ENSIFERUMのメンバーでもあるペトリのヴォーカルにも迫力が増していて、
北欧メロデス的なメロディはやや薄らいだが、SOILWORKなどと同様に、
若いコア系リスナーにも受け入れられる作品だろうと思う。
メロディアス度・・7 暴虐度・・7 モダンヘヴィネス度・・8 総合・・7.5
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NORTHERCircle Regenerated
フィンランドのメロデスバンド、ノーサーの6th。2011年作
2002年にデビューし、初期CHILDLEN OF BODOMタイプのメロデスとして
それなりに人気を得ながら、4th以降はフォロワーを脱却し、モダンなヘヴィネスを押し出した
作風へと変化しつつあったが、ENSIFERUMと掛け持ちしていたフロントマンのペトリが脱退し、
本作ではむしろそれがいい方向に作用している。モダンなエクストリームメタルとしての質感と
初期の頃のメロディックな要素が合わさり、北欧らしいサウンドが戻ってきている。
シンセを含んだシンフォニックさとともに、随所にメロウなギターフレーズも聴かせてくれ、
なおかつチルボドフォロワーとはもはや言わせない、バンド独自の方向性が感じられる。
激しさに頼らないやわらかみのある叙情も含ませつつ、ドラマティックに仕上げた力作である。
メロディック度・・8 暴虐度・・7 北欧度・・8 総合・・8
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NOTHGARD 「Age of Pandora」
ドイツのメロディック・デスメタル、ノスガルドの2014年作
モダンなヘヴィネスを含んだギターワークとダミ声ヴォーカルを乗せて激しく疾走する、
ペイガン風味も含んだメロデスサウンド。シンセによる美麗なアレンジと、リズムチェンジを含んだ展開力などは
初期のCHILDLEN OF BODOMにも通じる雰囲気もあって、随所に流麗なギターフレーズなども覗かせて
激しくはあるがメロディックな聴きやすさが前に出ている。ヴァイキングメタル寄りの勇壮な雰囲気もあるが、
サウンドがモダンな硬質感に覆われているので、むしろスタイリッシュな聴き心地である。
個人的にはもう少しクサメタル要素があればとは思うが、なかなかクオリティの高い作品デス。
メロディック度・・7 疾走度・・8 モダン・メロデス度・・8 総合・・8
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NOTRE DAME「VOL1:LE THEATRE DU VAMPIRE」
ノートルダムとバンド名を聞いてもピンとこないでしょうが、実は元KING DIAMONDのDrのバンド。
一言でいうと、シアトリカル・ヴァンパイア・ブラックメタル。ときおりデヴィルドール状態。
ええとですね、ジャケットにオールヌードの女性が写っておりますが、彼女がVAMPIRELLA嬢。
つまり女性版ヴァンパイアを名乗って、ヴァンピレラのコスチュームを着てステージで踊っているらしいのです。
例えばクレイドルオブフィルスとの違いは、彼らが暴虐音楽のテーマとしてのヴァンパイアを
イメージしているのに対して、こちらはもうバンドの存在意義自体がヴァンパイアなのです。
ジャケットもインナーのイラストも意図的にB級ホラーっぽい仕上がり。曲の方はけっこう普通のブラックメタル。
野郎声の合間に例のヴァンピレラ嬢の囁くようなセクシーな歌声が世界観を演出します。全然怖くない。
つまりはパフォーマンスとしての演劇性が彼らの「ギャグとホラーの微妙な世界観」を成立させているようです。
ブラックメタル度・・7 演劇度・・8 ヴァンパイア度・・10 総合・・7
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Notre Dame 「Coming Soon To A Theatre Near You」
イギリスのシアトリカル・ヴァンパイア・ブラックメタル、ノートル・ダムの2002年作
元KING DIAMONDのドラムで、DREAM EVIL、DIMMU BORGIRにも参加する、スノーウィ・ショウに、
紅一点、VAMPIRELLA嬢を含む編成で、ダミ声ヴォーカルを乗せたインダストリアルなブラックメタル。
ヴァンパイアをテーマにしているという点では、CRADLE OF FILTHにも通じるホラーな世界観であるが、
激しいブラスト疾走はほとんどなく、ダークなインダストリアル・メタルというような聴き心地。
曲によっては、女性声を乗せた耽美な雰囲気やメロディックなギターによる叙情性も覗かせ、
シアトリカルなヴォーカルの歌声は、どことなくVDGGのピーター・ハミルっぽさも感じさせる。
シアトリカル度・・8 暴虐度・・6 ヴァンパイア度・・8 総合・・7.5
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Nullingroots 「Malady's Black Maw」
アメリカのブラックメタル、ナリングローツの2019年作
2014年にデビューし、5作目。トレモロのギターリフにダミ声ヴォーカルを乗せてブラスト疾走しつつ
緩急ある展開力とともに聴かせる、カスカディアンブラック寄りのサウンド。8〜11分という大曲を主体に
随所に流麗なギターフレーズを盛り込んで、激しさの中に泣きの叙情をたっぷりと描くところは、
KRALLICEなどにも通じるだろう。ほどよくこもり気味の音質も、神秘的でミステリアスな空気感になっていて、
土着性を感じさせる自然派ブラックメタルとしては、Wolves in the Throne Roomあたりのファンにも楽しめるだろう。
ドラマティック度・8 暴虐度・7 神秘的度・8 総合・8
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NUMENOR「Colossal Darkness」
セルビアのシンフォニック・ブラックメタル、ナメノールの2013年作
美麗なシンセアレンジとダミ声ヴォーカルを乗せた、メロパワ的なシンフォニック・ブラックメタル。
STORMLORDあたりに通じるエピックな世界観を感じさせつつ、ノーマルヴォイスで歌うパートも多く、
暴虐な激しさというものはあまりない。ギターのメロディもときにメロパワ的であったり、
適度な疾走感も含んだ楽曲は、むしろダークなシンフォニックメタルとしても聴けるだろう。
全8曲、35分というのはいくぶん物足りないが、この手のエピック・ブラックメタルが好きな方ならいかが。
シンフォニック度・・7 暴虐度・・5 エピック度・・8 総合・・7
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Numenor 「Chronicles」
セルビアのシンフォニック(ブラック)メタル、ナメノールの2017年作
2013年のデビュー作は、メロパワ風のシンフォニック・ブラックメタルという感触であったが、
3作目の今作はメロパワ要素が強まっていて、美麗なシンセにメロディックなギターフレーズを絡め、
パワフルなヴォーカルで聴かせる、エピックな味わいの正統派メロディックメタルになっている。
随所にダミ声ヴォーカルも出てくるが、クサメロなギターとややローカルな雰囲気も含めて、
初期のNOCTURNAL RITESなどにも近いイメージ。一方では、ダミ声ヴォーカルを乗せて激しく疾走する
ブラックメタル的な雰囲気や、女性ヴォーカルを加えた耽美なコシック風味など、いったいどれがやりたいのだろう…という。
楽曲は3〜4分前後、全9曲34分という短さながら、ラストは、BLIND GUARDIAN「Valhalla」のカヴァーでなかなか恰好よかったりする。
メロディック度・・8 メロパワ度・・7 シンフォブラック度・・7 総合・・7.5
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NumenoR 「Draconian Age」
セルビアのメロディック(ブラック)メタル、ヌメノールの2021年作
2013年デビュー、初期はブラックメタル寄りの世界観と、シンフォニックなメロパワ要素が同居したスタイルであったが、
4作目となる本作では、BLIND GUARDIANのハンズィ・キアシュがゲスト参加し、ダミ声&ストレートヴォーカルを乗せた
軽やかに疾走するメロスピ寄りのスタイルで、キャッチーなクサメロ感とともに、ほどよくマイナーな味わいに包まれる。
曲によってはシンフォニック・ブラックメタルの名残や、いくぶんメロデス風味もあるが、そこまで激しくはなく、
随所にクラシカルなシンセアレンジやクサメロなギターフレーズも覗かせるなど、ダミ声Voを除けばわり優雅に楽しめる。
楽曲は3〜4分前後と、わりとシンプルなので、もう少し濃密な展開などが欲しい気もするが。
ドラマティック度・7 疾走度・7 辺境度・8 総合・7.5
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Nyrst 「Orsok」
アイスランドのブラックメタル、ニルストの2020年作
ノイジーなギターにうっすらとしたシンセを重ねて、絶叫するヴォーカルとともに疾走しつつ、
妖しくも寒々しい空気に包まれた、ミステリアスなプリミティブ・ブラックメタルを聴かせる。
9分、10分という大曲もあり、ときにトレモロを含むギターリフがほどよい叙情を描きながら、
ミドルテンポによるどっしりとしたパートでは、ダークで荘厳な雰囲気に包まれる。
派手な展開などはあまりないが、ブラックメタルとしてのツボを押さえた聴き心地で、
甘すぎない暗黒美と荒涼とした北の大地を思わせる幻想的なサウンドが味わえる。全41分。
ドラマティック度・7 暴虐度・7 プリミティブ度・8 総合・7.5
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OATHEAN「The Last Desperate 10 Years As Ever」
韓国のメロディックデス・ブラックメタル、オーディンの2003年作
SAD LEGENDと並び90年代から活動する、韓国を代表するブラックメタル系バンド。本作は
結成10周年記念のアルバムで、新曲3曲、再録1曲、リマスター2曲、デモ3曲、ライブ1曲を収録。
以前に聴いた1stよりも美麗なシンセワークが増していて、ダミ声ヴォーカルの他に、
女性コーラスや韓国語によるノーマルな語りなども入って、もの悲しいメロディには
ゴシック的な耽美さも感じられる。笛やヘグムの音色なども含めて、もの悲しい美しさがよいですね。。
ドラマティック度・・8 暴虐度・・7 耽美度・・8 総合・・7.5

Oathean「Fading Away Into the Grave of Nothingness
韓国のメロディックデス・ブラックメタル、オーディンの4th。2004年作
女性シンセ奏者を擁する5人組で、シンフォニックなシンセワークと
古き良きメロデスを思わせるギターリフで疾走するサウンド。
初期CHILDLEN OF BODOMなどからの影響も匂わせつつ、よりメロウ質感で、
ときに艶やかなヘグムの音色も含みながらクラシカルな優雅さも聴かせてくれる。
うっすらとしたシンセをバックにしたギターのフレーズもとても煽情的で、
そこいらの北欧メロデスよりもはるかに日本人の琴線に触れるだろう。
メロディアス度・・8 暴虐度・・7 美旋律度・・9 総合・・8
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Oathean「 Vol. 5
韓国のメロディックデス・ブラックメタル、オーディンの5th。2010年作
美麗なシンセアレンジはやや控えめになり、メロディ主体だったギターが
鋭角的なリフの感触を強めたことで、よりヘヴィで重厚な仕上がりになっている。
6〜8分台の楽曲は、疾走とスローパートの緩急を付けたアレンジが光っていて、
激しさだけではないしっとりとした叙情パートなども盛り込みながら、
随所に聴かせるメロウなフレーズやアコースティカルな要素を引き立たせている。
シンフォニック性は薄まったが知的な構築センスが素晴らしい、ドラマティックな傑作である。
ドラマティック度・・8 暴虐度・・7 知的アレンジ度・・9 総合・・8
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OBSCURITY 「Vintar」
ドイツのペイガンデスメタル、オブスキュリティーの2014年作
90年代から活動するバンドで、本作がすでに7作目となる。ツインギターのリフとダミ声ヴォーカルを乗せ
激しい疾走感で聴かせるメロディックデスメタル的なスタイル。AMON AMARTHなどに通じるエピックな雰囲気と
ドイツ語による低音グロウル&ダミ声という、男性ツイン・デスヴォーカル的な迫力を含んだ重厚な聴き心地。
ときにトレモロのギターリフを乗せて疾走するブラックメタル的な感触に、リズムチェンジを含んだ展開力や
メロディックなフックもありつつ、全体的には甘すぎない硬派なペイガン・デスメタルサウンドを描いている。
個人的にはもう少しメロディックだったり、勇壮な雰囲気があると嬉しいのだが。クオリティは高いデス。
ドラマティック度・・7 重厚度・・8 ペイガン度・・7 総合・・7.5
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OBSIDIAN GATE「COLOSSAL CHRISTHUNT」
ドイツのシンフォニックブラックメタル、オブシディアン・ゲートの2nd。2004年作
このバンドの特徴はやりすぎなまでにシンフォニックなキーボードが美しいところ。
ゴージャス、メロディアスでセンスの良いシンセが、時に重厚に時に華麗に鳴りまくる。
激しさの点ではほぼ真性のブラックメタルサウンドだが、このシンセとの合体で凶悪度は中和され、
結果として、非常に聴きやすいドラマティックなシンフォニック・ブラックメタルが楽しめる。
初期EMPERORをさらに美麗にメロディアスにするとこうなるという具合の大傑作。
シンフォニック度・・9 暴虐度・・8 楽曲・・8 総合・・8.5 ◆メタル名盤特選入り
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October Falls「The Womb of Primordial Nature」
フィンランドのフォーク・ブラックメタルバンド、オクトーバー・フォールズの2008年作
ブラスト入りで激しめに疾走しつつも、ギターはあくまで叙情的なフレーズを奏で
邪悪な雰囲気はあまり感じないという、いわばネイチャー・ブラックメタル。
曲の長さの点でもWolves in the Throne Roomに通じるものがあり、そこににもう少し
北欧のフォーキー要素を加えたという感じか。アコースティカルなパートを盛り込みながら、
無理に盛り上げることもなく、むしろゆったりと幻想的に聴かせる作風が耳に心地よい。
メロディアス度・・8 暴虐度・・7 自然派度・・8 総合・・7.5
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October FallsCollapse of Faith
フィンランドのネイチャーブラック、オクトーバー・フォールズの2010年作
北欧の土着的な叙情を感じさせる、フォーキーなブラックメタルサウンドで、
本作は全3曲、それぞれ18分、17分、5分という大作志向のアルバムになっている。
激しい疾走もありながら、メロディックなギターフレーズとアコースティカルな要素も含んで
暴虐さよりも耳触りの良さが前に出ている。北欧の森を思い起こさせる自然派ブラックの力作。
ドラマティック度・・8 暴虐度・・7 北欧土着度・・8 総合・・8
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