プログレ/70年代ブリティッシュロック
〜PROGRESSIVE ROCK/70's BRITISH
                by Tosei Midorikawa

掲載バンドはABC順になっています

M YZ

■CDの評価に関しては、個人的嗜好が反映されることもあり、納得のいかない評価もあるかと思いますが、どうかご了承ください。

CDレビュートップ   ブリティッシュフォークCDレビュー




AARD VARK
ブリティッシュロックバンド、アードバークの1970年作
70年代ブリティッシュ・オルガンロックの名作のひとつとされるアルバムで、
音の方はプログレというよりは、ややハードでラフな部分があるサウンド。
STILL LIFEをたおやか系のオルガンロックとすれば、こちらはもう少し凶暴な雰囲気で、
唸りをあげるハモンドに、手数の多いロック的ドラム、エフェクトのかかったヴォーカルなど
この年代のブリティッシュロックとしては、勢いのある演奏を聴かせてくれる。
メロディアス度・・7 プログレ度・・6 ハモン度・・8 総合・・7
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ABSOLUTE ELSEWHERE 「In Search of Ancient Gods」
イギリスのプログレユニット、アブソリュート・エルスウェアの1976年作/邦題「古代宇宙人の謎」
シンセ奏者のポール・フィッシュマンによるプロジェクトで、本作は唯一のアルバム。
宇宙考古学者、Erich Von Danikenの著作を元にしたコンセプト作となっていて、
ドラムにはビル(ウィリアム)・ブラフォードが参加している。メロトロンやピアノを含むシンセワークに
やわらかなフルートの音色が重なり、随所にギターも加えたほどよいロック感触で優美なサウンドを描く。
オールインストで、初期Tangerine Dreamのようなスペイシーな世界観であるが、
5パートに分かれた11分の大曲は、メロトロンの美しさも含めてクリムゾン風の叙情も感じさせる。
ドラマティック度・・7 プログレ度・・7 スペイシー度・・8 総合・・8
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AFFINITY「Affinity」
ブリティッシュロックバンド、アフィニティーの1970作
キーフによるジャケが有名だが、音の方はリンダ・ホイルのヴォーカルを中心に、
やや無骨なギターに、ハモンドオルガン、サックスなどによるサイケ調なロック。
さすがに今聴くと、曲そのものに時代的な古さを感じざるをえないが
女性Voのブルージーなオルガンロックとして普通に聴け、当時の英国ロックの熱が感じ取れる。
リマスター盤には、ボーナストラックとしてアルバム発表前のデモなど、8曲を収録。
メロディアス度・・7 プログレ度・・6 英国度・・8 総合・・7.5
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Affinity 「Live Instrumentals 1969」
ブリティッシュロックバンド、アフィニティーのライブ音源。2003年作
1970年に唯一の作品を残したバンドの1969年の発掘音源。
リンダ・ホイルが不在のためオールインストによるライブ演奏で、オルガンが鳴り響く優雅で英国的なジャズロック。
公式アルバムでのブルージーな感触はなく、正統的なジャズロックをやっていて、
バンドとしての純粋な演奏が楽しめるという点で、これはこれでなかなかよろしい。
ライブ演奏・・8 ジャズロック度・・8 英国度・・8 総合・・7.5
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ANDROMEDA 「See Into The Stars」
イギリスのサイケロック、アンドロメダの1969年作
ギター、ベース、ドラムというトリオ編成で、わりと重めのギターリフに牧歌的な歌声を乗せた、
ユルさとハードさの同居したサウンド。ドカドカとしたドラムなども、時代を考えればけっこう激しさで、
英国初のヘヴィ・サイケというべきか。一方ではブルージーな渋さもあって、ハードロックとサイケ、
ブルーズの要素がほどよく混じった聴き心地。ギターのジョン・デュ・カンは後にアトミック・ルースターへ加入する。
Disc2には未発音源を収録していて、8分を超えるナンバーなど、むしろプログレ寄りのブリティッシュロックが楽しめる。
メロディック度・・7 プログレ度・・7 英国度・・8 総合・・7
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Annie Haslam「Annie in Wonderland」
RENAISSANCEアニー・ハズラムのソロ1977年作。邦題は「不思議の国のアニー」
当時恋人であったロイ・ウッドのプロデュースのもと作られた本作は、
やはりルネッサンスに通じる美しいアレンジと、キャッチーな聴きやすさが合わさった好作だ。
伸びやかなアニーの歌声がじつに素晴らしく、ルネッサンスでのクラシカルな構築性よりは、
英国フォーク的なやわらかな質感とともに、爽やかで自然体のサウンドとなっている。
ほのぼのとした童話的なジャケも楽しい。まさに彼女の絶頂期の作品といえるだろう。
メロディアス度・・8 プログレ度・・7 アニー度・・10 総合・・8
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ANTHONY PHILLIPS「THE GEESE & THE GHOST」
GENESISアンソニー・フィリップスの1st。1977作
この童話的な美しいジャケットのイメージ通りの、じつにたおやかなアルバムだ。
この作品を端的に表現するなら、繊細、幻想的、英国貴族的優雅さ、ということになるだろう。
自身のつまびくやわらかなアコースティックギターの音色、ピアノ、シンセなどに加え
フルート、チェロ、オーポエ等をゲストに迎え、英国中世風のクラシカルなイメージを
うっとりするくらいの繊細なサウンドで表現している。マイク・ラザフォードやフィル・コリンズが
参加していることもあり、曲によっては初期GENESISの幻想美をそのまま抽出したようなイメージ。
流行やコマーシャリズムとは無縁の、ゆるやかな時間に生きる繊細な感性の結晶がここにある。
2008年のエクスパンデッドエディションには、ボーナスDiscにデモ音源等を多数収録。
アコースティカル度・・9 英国貴族度・・10 しっとり繊細度・・10 総合・・8.5
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ANTHONY PHILLIPS「Private Parts & Pieces 1 & II」
アンソニー・フィリップスの1978/1980年作
彼のライフワークともいうべきPP&Pシリーズの最初の2作品のカップリング2CD盤。
1作目の方はピアノとアコーステイックギターを中心にした小曲集であるが、
優雅でやわらかな楽曲の中にアンソニーの繊細な感性が輝いている。
2作目「BACK TO THE PAVILION」の方は一転して、エレキギターも入って
メロウなフレーズとシンセを使ったシンフォニックロック的な感触も楽しめる。
もちろんアコースティカルな美しさもあり、ミニマムな手法で幻想的な世界観を聴かせる傑作だ。
アコースティカル度・・9 優雅度・・10 繊細度・・10 総合・・8
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ANTHONY PHILLIPS「WISE AFTER THE EVENT」
元GENESISのアンソニー・フィリップスのソロ。1978年作
可愛らしいジャケが印象的な作品だが、サウンドの方も繊細そのもの。やわらかな歌ものである。
ドラムにマイケル・ジャイルズ、ベースにジョン.G.ペリー、その他、ジェレミー・ギルバート、
メル・コリンズらを迎え、おとぎ話のようなしっとりと優しいサウンドが描かれる。
10分を超えるタイトル曲などもじつに美しく、アコースティカルな温かさに包まれつつ、
曲によってはうっすらとしたシンセやオーケストラアレンジも含んだ美意識にうっとりである。
再発盤の2CDには、デモ音源や別バージョンなど14曲を追加収録。
メロディアス度・・8 プログレ度・・7 繊細度・・9 総合・・8
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Anthony Phillips「SIDES」
アンソニー・フィリップスの1979年作
1977年にソロデビューしてから、現在まで一貫して作品を作り続けるアーティスト、
前作とは打って変わったジャケのように、サウンドの方もいくぶんポップ的な雰囲気が増している。
1曲めなどはキャッチーな歌メロにシンセアレンジも含めて、TOTOばりのプログレハードであるが、
それ以降は、彼らしい繊細な叙情もちゃんと残していて、全体的には違和感なく楽しめる。
ポップな曲も入りつつ、じつはかなりの好作品。再発盤のボーナスCDには別ミックスなどを12曲収録。
メロディアス度・・8 プログレ度・・7 繊細度・・8 総合・・8
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Anthony Phillips「1984」
アンソニー・フィリップスの1981年作
本作はジョージ・オーウェルの小説をテーマにした作品で、ポップなリズムの上に、
シンセをたっぷり使ったプログレ的な要素も感じさせる、なかなかシンフォニックな感触。
2パートに分かれた大曲を軸にした、ゆったりと優雅に聴かせるインストサウンドは、
ときにENIDを思わせるようなクラシカルさと、繊細な盛り上がりが随所に楽しめる。
派手さはないものの、ストーリー性を感じさせるドラマティックな雰囲気の好作品。
シンフォニック度・・8 プログレ度・・7 優雅度・・9 総合・・8
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Anthony Phillips「Invisible Men」
アンソニー・フィリップスの1983年作
「1984」にも参加していたリチャード・スコットとのユニットという形で発表された作品で、
のっけからいかにも80年代的なポップな歌ものという雰囲気が漂っている。
ビートミュージック的なノリの中にも、フルートの音色を取り入れるなど、
決してただの商業音楽にはならないところは、さすがというか、彼の繊細なセンスである。
3〜4分前後のキャッチーな曲がたっぷり楽しめるという点では、意外と好作かもしれない。
メロディック度・・8 プログレ度・・6 繊細度・・7 総合・・7.5
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Anthony PhillipsPRIVATE PARTS AND PIECES III & IV
アンソニー・フィリップスの1982/1984年作
彼のライフワークともいうべきPP&Pシリーズの3と4のカップリング盤で、
「III: Antiques」はアコースティックギターをメインにした小曲集。
つまびかれる繊細なギターの音色が、英国らしい優雅なサウンドを描いている。
「IV: A Catch At The Tables」も同様の作風だが、10分を超える大曲や、組曲形式の曲もあり、
随所にシンセを含んだ美しいアレンジも含めていくぶんのプログレらしさも感じさせる好作品だ。
ゆるやか度・・8 プログレ度・・7 繊細度・・9 総合・・8
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Anthony Phillips
PRIVATE PARTS AND PIECES V & VI
アンソニー・フィリップスの1985/1986年作
PP&Pシリーズの5と6のカップリング盤で、「V: Twelve」は美しいジャケのように12ヶ月をテーマにしたアルバム。
繊細なアコースティックギターのつまびきで、ゆるやかに聴かせる繊細な作品。
「VI: Ivory Moon」は打って変わって、ピアノの独奏による作品で、
15分の大曲や優雅な組曲など、ピアニストとしての彼のセンスが楽しめる。
ゆるやか度・・9 プログレ度・・5 繊細度・・9 総合・・7.5
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Anthony PhillipsPRIVATE PARTS AND PIECES VII & VIII
アンソニー・フィリップスの1987/1992年作
PP&Pシリーズの7と8のカップリング盤で、「VII: Slow Waves ,Soft Stars」
これまでのジャケとは雰囲気も異なるように、シンセの多重録音を使った
klaus Schulzeあたりにも通じるような神秘的でアンビエントな作風。
「VIII: New England」は、アコースティカルな素朴さと、英国的な牧歌的な叙情で、
初期を思わせるような雰囲気が戻ってきている。繊細な好作品です。
ゆるやか度・・9 プログレ度・・7 繊細度・・9 総合・・8
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Anthony Phillips「Missing Links Volume 1: Finger Painting」
アンソニー・フィリップスの1989年作
映画やテレビ用のサントラ音源などのアーカイブ集というべき作品で、
1〜3分台の小曲を中心にした22曲入り。デジタルなシンセをメインにしたサウンドは
ランドスケープ的なゆるやかな曲調が多いので、プログレリスナーにはちと退屈かもしれないが、
GANDALFなどにも通じる、ゆるやかなヒーリング系音楽としては楽しめる。
あるいはKlaus Schulzeなどのシンセ音楽が好きな方にもよいかもしれない。
ゆるやか度・・8 プログレ度・・6 シンセ音楽度・・8 総合・・7.5
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Anthony Phillips「Missing Links Volume 2: The Sky Road」
アンソニー・フィリップスの1994年作
未発曲やサントラ音源などのアーカイブ集というべき作品の2作目。
シンセによる打ち込み曲がメインなのは前作と同様ながら、テクノロジーの進歩によるデジタルな音質の向上が強く感じられる。
一方では、アコースティックギターでしっとりと聴かせる10分を超える曲もあったりとアンソニーらしいじつに繊細な音楽が楽しめる。
ゆるやか度・・8 プログレ度・・6 繊細度・・8 総合・・7.5
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ANTHONY PHILLIPS「SLOW DANCE」
GENESISの初代ギタリスト、アンソニー・フィリップスの1990年作
アンソニー・フィリップスというとアコースティックギターというイメージがあるのだが、このアルバムに関しては
壮麗なキーボード・オーケストレイションによるシンフォニック作品となっている。大曲2つの構成は
MIKE OLDFIELD
「OMMADAWN」のようだが、アコースティックや民族色は薄く、音だけをとれば現代的な印象のサウンド。
ゆるやかに流れてゆく楽曲はオールインストで、ときに重厚ときに優しげに重ねられるシンセをメインに、
ときおりフルートやオーボエなどが、たおやかでしっとりとした味わいを付け加えている。
ここにギターが加われば、THE ENIDなみの壮麗なシンフォニックロックになると思うのだが、
そうしなかったのは、やはりアンソニーの美意識が「大仰よりも繊細」に向いているからなのだろう。
2017年には、未発音源や、5.1chミックスを収録した2CD+DVDデラックスエディションで再発されている。
シンフォニック度・・8 プログレ度・・7 しっとり繊細度・・9 総合・・8
Amazon.co.jp で詳細を見る 2CD+DVDデラックスバージョン

Anthony Phillips 「Sail the World」
イギリスのミュージシャン、アンソニー・フィリップスの1994年作
世界一周ボートレース「THE WHITEBREAD ROUBD THE WORLD RACE」1993年大会のドキュメンタリー番組用に制作されたサントラ作品。
シンセとギターを中心に、デジタルなアレンジを施したサウンドで、1〜3分台の小曲を主体にしたいかにもサントラ的な内容。
きらびやかなシンセを軽快なリズムに乗せた、メロディックで爽快な楽曲が多く、リフレインされるギターのフレーズには
さすがにアンソニーという繊細なセンスも覗かせ、うっすらとしたシンセによる幻想的なナンバーなども耳心地よい。
ただ、基本は展開というものがほとんどない、BGMと言ってよい代物なので、プログレとして聴くには少しつらい。
全26曲のインスト曲を海とヨット、波間の夕日などの景色を想像しながら、のんびりと楽しむのがよいのだろう。
ドラマティック度・・6 プログレ度・・6 楽曲・・7 総合・・7
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Anthony Phillips & Harry Williamson 「Battle of The Birds & Gypsy Suite」
アンソニー・フィリップスとGONG関連で活躍するギタリスト、ハリー・ウィリアムソンとの2004年/1995年作のカップリング2CD。
「Gypsy Suite」は1975〜78年に録音された作品で、二本のアコースティックギターが絡む、素朴な叙情を描くサウンド。
アコギ以外の楽器はほぼ入っていいないので、非常にシンプルな聴き心地であるが、8分、10分という大曲を
ゆったりと優雅につむいでゆくのは、繊細な美意識のあるアーティストでなければできないだろう。
「Battle of The Birds」は、フルートが鳴り響き、物語的な語りによるイントロから始まるコンセプト的な作風。
12弦ギターのつまびきに艶やかなヴァイオリン、フルートやオーボエの優雅な音色に女性声のナレーションが重なり、
配役ごとの男性声がセリフを重ねてゆく。ほとんど音楽をバックにした物語朗読という聴き心地ですね。
ドラマティック度・・7 プログレ度・・6 物語度・・8 総合・・7.5
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Anthony Phillips
PRIVATE PARTS AND PIECES IX & X
アンソニー・フィリップスの1996/1999年作
PP&Pシリーズの9と10のカップリング盤。
「Dragonfly Dreams」はPart1、2に分かれたアコースティカルな組曲で、
タイトル通り、トンボの飛ぶ黄昏の空のような叙情美が耳に優しく美しい。
ルノワールのジャケが美しい「Soiree」は、ピアノによる優雅な小曲集で
英国というよりは、フランスを意識したような翳りと叙情が感じられる。
ゆるやか度・・9 プログレ度・・5 繊細度・・9 総合・・7.5
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ANTHONY PHILLIPS「ANTHOLOGY」
GENESISの初代ギタリストでもある、アンソニー・フィリップスのベスト。2001作
1977〜1994までの作品から集められた17曲を収録しています。
貴族的なイメージのつきまとうアンソニーらしい、とてもたおやか〜な音楽です。
アコースティックギター中心なので、ロック的な要素は希薄ですが、
まるで吟遊詩人が奏でる音色のように、しっとり、うっとりと耳に心地よく響きます。
中世やヨーロッパの秋を思わせる世界観で、まさに秋の夜長にぴったりの音楽。
amazonだとかなりの低価格なので、とりあえず聴いてみるのというのもよいかと。
メロディアス度・・8 ロック度・・5 たおやか度・・9 総合・・7.5
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Anthony Phillips「Field Day」
元GENESISのギタリスト、アンソニー・フィリップスの2005年作
PP&Pシリーズが10作を数え、そちらはひと段落したということか、
本作はアンソニーの繊細な感性がたっぷりと詰まったCD2枚組の大作となった。
12弦ギターのつまびきには、初期に感じられたようなどこか牧歌的な幻想性があり、
これまで以上にギターを愛するような一音ごとの響きは、どこまでも耳に優しい。
タイトルのように木々に囲まれた英国の草原や風を感じることができるような好作品。
ゆるやか度・・9 プログレ度・・6 繊細度・・9 総合・・8
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Anthony Phillips「WILDLIFE」
アンソニー・フィリップスの2007年作
1994〜2003年までにテレビ用に作られた楽曲集で、1、2分前後の小曲を連ねた全45曲を収録。
うっすらとしたシンセを中心にした神秘的で雄大な雰囲気は、自然番組のサントラという性質だからか。
ギターも随所に使っているので、決して退屈なシンセミュージックには陥っていないのはさすが。
テレビ音楽サイドの作品として聴けば、映像を想像しながらゆったりと楽しめる作品だ。
ゆるやか度・・8 プログレ度・・6 繊細度・・8 総合・・7.5
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Anthony Phillips & Andrew SkeetSeventh Heaven」
アンソニー・フィリップスの2012年作
映画やTV音楽をプロデュースするアンドリュー・スキートをコンポーサに迎えての作品で、
オーケストラによるクラシカルな優雅さとオペラティックな女性ヴォーカルの歌声も入った、しっとりと美しいサウンド。
12弦ギターの優しいつまびきにストリングスが絡むと、その繊細かつ優美な聴き心地にうっとりとなる。
CD2枚組で、2〜3分前後の小曲を連ねた作風ながら、流れるような美意識に浸り、じっくりと鑑賞できる。
たとえば、NEW TROLLSの「コンチェルト・グロッソ」などが好きな方にも聴いて欲しい逸品です。
シンフォニック度・・9 プログレ度・・7 優美度・・10 総合・・8.5
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ARC「...at this」
ブリティッシュロックバンド、アークの1971年作
邦題は「我が王国よ」。サウンドはやや古めかしいロックスタイルで
ブルージーでハードロック的なギターを中心に、3〜4分のコンパクトな楽曲で聴かせる。
ときおりオルガンやピアノが入ったりもするが全体的にはプログレ的な要素は低く、
英国ロックの黎明期を感じさせるような素朴な味わいがある。
ハードさよりも英国的な気品を感じるようなツインギターもなかなか。
メロディアス度・・7 プログレ度・・6 英国度・・8 総合・・7.5
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ARCADIUMBreathe Awhile」
ブリティッシュロックバンド、アルカディウムの1969年作
ブルージーなギターにオルガンがかぶさる、古き良き英国ロックの感触に、
神秘的な浮遊感もまじえたサウンドは、年代を考えればなかなか個性的。
ヴォーカルのユルさも含めたサイケな味わいは、初期のPINK FLOYD的でもある。
やわらかなオルガンの音色をたっぷりと含んだ聴き心地で、10分以上の大曲2曲を中心に、
当時としてはむしろ濃密な味わいの作風だろう。オルガンロックとしても楽しめる好作品。
ドラマティック度・・8 プログレ度・・7 英国サイケ度・・8 総合・・8
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Argent
「Argent / Ring Of Hands」
ブリティッシュロックバンド、アージェントの1st、2ndのカップリング。1969/70年作
Rod Argentが、THE ZOMBIES解散後UNIT 4+2のRuss Ballardと共に結成したバンド。
ブルースをルーツにしたくぐもったような渋さで、キャッチーなコーラスハーモニーを聴かせる1stは
これといった派手さはないが、湿り気を含んだ英国らしいサウンドが楽しめる。
ジャズタッチのピアノは大人の味わいで、随所にオルガンも入りつつ、アートロックとまではいかない、
むしろシンプルな聴き心地が魅力。2ndも基本的には同路線のブルージーかつキャッチーなロックであるが、
適度にエキセントリックな個性が見え隠れする。オルガン入りのプログレ的な曲などはなかなかよい感じです。
キャッチー度・・8 プログレ度・・6 英国度・・8 総合・・7.5
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Argent「In Deep + Nexus」
ブリティッシュロックバンド、アージェントの4th、5thのカップリング。1973/74年作
4th「In Deep」はハモンドが鳴り響く、ややブルージーなハードロックという感じだが、
いかにも70'sブリティッシュ然とした雰囲気は英国ロック好きにはたまらないだろう。
5th「Nexus」になるとのっけからメロトロン入りでクラシカルな雰囲気をかもし出す。
ELP的になったハモンドの音色とムーグシンセが合わさり、プログレ的な質感が増した。
5曲目後半などはGENESISにも通じる情感があり、明らかにジャケで損をしている好作だ。
プログレ度・・7 ハモン度・・8 英国度・・9 総合・・8
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ARGENT 「Encore」
ブリティッシュロックバンド、アージェントのライブ作品。1974年作
70年代英国ハードロックの中では比較的プログレ寄りのバンドであるが、このライブステージにおいても、
メロトロンを含んだアンサンブルで、クラシカルな要素とブルージーなロックが融合した演奏を聴かせる。
オルガンが鳴り響くところは、NICEをハードにしたような感触もあり、随所にギターの叙情メロディもいい感じだ。
ライブならではの即興も含んだ10分前後の大曲も含めて、熱気に満ちた演奏が楽しめる。
ライブ演奏・・8 プログレ度・・7 英国度・・8 総合・・8
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ARMAGEDDON
ブリティッシュロックバンド、アルマゲドンの1975年作
元YARDBIRDSのVo、キース・レルフと元CAPTAIN BEYONDのDr、ボビー・コールドウェルらによるバンドで、
キーボードなしのオーソドックスな4人編成のハードロックながら、8分、11分という起伏に富んだ大曲が中心。
いくぶんブルージーな感触を覗かせつつ、英国ハードロックの王道的な雰囲気であるが、
やはりCaptain Beyondの延長上のプログレッシブなアプローチも随所に聴ける。
やはり要となるのはボビー・コールドウェルの手数の多いドラムで、抜群のテクニックと
グルーブ感が素晴らしい。ヴォーカルのキースのやわらかな歌声も魅力的だ。
バンドは本作のみで解散、その後1976年にキースは感電死でこの世を去ってしまう。
ドラマティック度・・7 プログレ度・・7 英国度・・9 総合・・8
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ART BEARS「Hopes & Fears」
イギリスのチェンバーロック、アート・ベアーズの1st。1978年作
HENRY COWのクリス・カトラー、フレッド・フリス、ダグマー・クラウゼによるバンドで、
印象的なダグマーの歌声から始まる本作は、三人編成という必要最低限の表現手段により
より鋭角的な切り口で社会的メッセージ色の強いインパクトを与えようというバンドの意図が感じられる。
ピアノやヴァイオリンによる緊張感のある現代クラシック的な質感に、ダグマーの生々しい歌声が合わさり
ときにイタリアのOPUS AVANTRAを思わせるような、うす暗い芸術性が見え隠れする。
チェンバーロック的な静けさの中に、ジャズやクラシックをともなったフリーキーなセンスと
先鋭的なアヴァンギャルドさが混ざり合い、上品な毒ともいうべき感触で聴かせる音だ。
チェンバー度・・8 アヴァンギャル度・・8 女性声力度・・8 総合・・8
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ART BEARS「Winter Songs」
イギリスのチェンバープログレ、アート・ベアーズの2nd。1979年作
アヴァンギャルドなクラシカルロックという方向性はそのままに1stよりも音の焦点が絞れてきて、
同時に美しさと毒気が増した。ダグマー・クラウゼの歌声はときにオペラティックに
ときにヒステリックに響きわたり、その存在感とインパクトはものすごい。
暗がりの中の呪術性と、クラシカルな格調高さが混在しているようなサウンドは
より迫力ある強度をともなっている。濃密なる静寂。ジャズロック的な混沌。優雅な闇。
各メンバーの引き出しの多さが、無秩序の中にもひとつの引力をともなって音を組み立てている。
前作にも増してキレたような鋭い展開が痛快に思える、これは音による先鋭芸術だ。
チェンバー度・・9 アヴァンギャル度・・9 女性声力度・・9 総合・・8.5
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ART BEARS「The World As It Is Today」
アート・ベアーズの3rd。1980年作
ここにきて、ダグマー・クラウゼのヒステリックなヴォーカルは、ついに絶叫の域にまで達した。
ジャズロック的なけだるさのなかに、狂気をはらんだ歌声が響きわたる。それは恐ろしくも、艶めいており、
まるで世界の不条理に叫び続ける娼婦でもあるかのようだ。かと思えば、闇の静寂のごとき空気をともない、
激しさと静けさを対比させる、シアトリカルな音楽性もなんとも壮大で美しいのである。
これまで以上にシンセが使われていることで、ある種、夢の中にいるかのような幻想的な雰囲気も増している。
ピアノの不協和音が鳴り、遠くではけたたましくヴァイオリンが響いている。世界の裏側をさらけだすような
背徳的な快感がこの作品には詰まっている。2ndとのカップリング盤がお買い得です。
チェンバー度・・8 アヴァンギャル度・・10 女性声力度・・10 総合・・9
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ART BEARSRevisited
イギリスのチェンバーロックバンド、アート・ベアーズのリミックスプロジェクト作。2003年作
結成25周年を記念して制作されたリミックス34曲に、シングル曲、未発表再生曲を加えた2枚組で、
ジョン・ローズ、ジョン・オズワルド、大友良英/GROUND-ZERO、ザ・レジデンツ、宇都宮泰、
ジョスリン・ロベール、ボブ・ドレイク、バイオタ、トーマス・ディムジオ、クリスチャン・マークレイ他が参加、
原曲のクラシカルかつ不穏な世界観を、現代的なリミックスで再構成していて、
ダグマー・クラウゼの妖艶なヴォーカルがインダストリアルなサウンドと面白く融合している。
もともとアートでアヴァンギャルドなセンスが持ち味のサウンドであったが、
その前衛的な部分がモダンなリミックスで甦り、原曲とはまた違った味わいで楽しめる。
チェンバー度・・8 アヴァンギャル度・・9 リミックス度・・8 総合・・8
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Arthur Brown Kingdom Come 「Galactic Zoo Dossier」
奇才アーサー・ブラウン率いる、キンギダム・カムの1st。1971年作
「銀河動物園白書」の邦題が付けられた本作は、奇妙でアヴァンギャルドなコンセプト作。
オルガンが鳴り響くサイケなロックを基本に、シアトリカルなヴォーカルを乗せた濃密な作風であるが、
随所に叙情的な部分もあったりと、演劇的で破天荒、起伏に富んだ不思議なサウンドが楽しめる。
まさに天才と変人は紙一重というのを地で行くような作品。風変わりなサイケ・プログレが好きな方はぜひ。
メロディアス度・・7 プログレ度・・8 アヴァンギャル度・・9 総合・・8
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Arthur Brown's Kingdom Come「Kingdom Come」
鬼才アーサー・ブラウン率いる、キングダム・カムの2nd。1972年作
先に3rd「Journey」を聴いてあまりにもチープなリズムマシンの音に我慢ができなかったのだが、
本作はちゃんとバンド作品として聴ける。クラシカルなピアノに乗る語りのような演劇的なヴォーカルは、
フランスのANGEなどにも通じる雰囲気がある。唐突に入って来るオルガンや、変則リズム、ブレイクと、
アヴァンギャルドで予測不可能な展開はとても面白い。精神分裂的なプログレとでもいうのか、
当時の英国ではGENTLE GIANTなどとともに、飛び抜けた個性だったに違いない。
部分的にはキャッチーですらある70'sロックであるのだが、変態的サイケロックとしても成り立っている。
メロディアス度・・7 プログレ度・・8 アヴァンギャル度・・9 総合・・8
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Arthur Browns Kingdom Come 「Journey」
鬼才アーサー・ブラウンによるバンド、キングダム・カムの3rd。1972作
ドラムマシーンの無機質なリズムに乗る、スペイシーなシンセワーク。まるでジャーマン・エレクトロロックのようだが、それとも若干異なる。
サイケな香りをぷんぷんさせつつも、ブリティッシュロック的な素朴さとロマンティックな世界観も感じられ、
それが奇妙なテイストで混ざり合っている。プログレというよりはスペース・サイケロックとして楽しむのが正しいだろう。
メロディアス度・・7 プログレ度・・7 エレクトロ度・・8 総合・・7
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ASIA
ジョン・ウエットン、スティーブ・ハウ、カール・パーマー、ジェフ・ダウンズという
名うてのメンバーたちが集結したスーパーバンド、エイジアの1st。1982作
かつてのプログレッシブロックで培われたテクニックを駆使しつつ、
メロディはぐっとキャッチーで、明快なサウンドは多くのリスナーに支持を得た。
時代を代表するような1曲というべき“Heat of the Moment”をはじめとして、
透明感に溢れたきらびやかなプログレハードサウンドは今なお色あせない。
メロディアス度・・9 プログレ度・・7 キャッチー度・・9 総合・・8.5
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ASIA「GOLD」
エイジアの1st〜3rdまでの全曲をCD2枚組みにまとめたアルバム。
1st「ASIA」、2nd「ALPHA」、3rd「ASTRA」に、「THEN AND NOW」収録の未発曲、
それらが全て聴ける上、リマスターされて音質も向上…という、まさにお得盤!!
1stの楽曲はキャッチーながらも、プログレハードとしても聴けるドラマティックさもあり
とくにスティーブ・ハウのギターワーク、とジェフ・ダウンズのキーボードの重なりが美しい。
よりポップさを増した2ndも美しいコーラスハーモニーが気持ち良く、楽曲のクオリティも高い。
ハウ脱退後の3rdはいっそうポップでコンパクトになっていて、バンドのメジャー志向化がうかがえる。
ともかくも、プログレハードのスーパーバンド、エイジアの初期作がたっぷり味わえる2CDだ。
メロディアス度・・9 キャッチー度・・9 プログレ度・・6 総合・・8
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ASIA 「Phoenix」
イギリスのプログレハード、エイジアの2008年作
ジョン・ウェットン、スティーヴ・ハウ、カール・パーマー、ジェフ・ダウンズというオリジナルメンバーによる25年ぶりのアルバム。
ウェットン&ダウンズのユニット、アイコンの成功が復活の契機となったのだろう。
ジェフ・ダウンズのきらびやかなシンセとスティーブ・ハウの適度にハードなギター、
そしてジョン・ウェットンの枯れた味わいのヴォーカルで聴かせるサウンドは、
キャッチーでありながら厚みのあるシンフォニックな聴き心地で楽しめる。
ベテランらしい質の高さとかつてと変わらぬあくまでメロディにこだわる方向性で、
往年のファンはもちろん、若いリスナーなどにもアピールする好作品に仕上がっている。
メロディック度・・9 プログレハー度・・8 エイジア度・・8 総合・・8
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ASIA 「Spirit of the Night-Live in Cambridge 2009」
イギリスのプログレハード、エイジアのライブ作品。2010年作
ジョン・ウェットン、スティーヴ・ハウ、カール・パーマー、ジェフ・ダウンズというオリジナルメンバーで復活した
25年ぶりのアルバム「Phoenix」をひっさげてのツアーから、イギリス、ケンブリッジでのライブ音源を収録。
1曲目から“時へのロマン”で往年のエイジアファンは歓喜だろう。むしろ「フェニックス」からのナンバーが少ないのだが、
カール・パーマーのノリのよいドラムやジェフ・ダウンズのきらびやかなシンセ、ジョン・ウェットンの味わいのあるヴォーカルも含めて、
勢いある演奏からは再結成したバンドの確かな自信が感じられる。EL&Pでおなじみの“庶民のファンファーレ”をはさみ、
ラストはお約束の“Heat of the Morment”で締めくくる。音質も良好で、メロデッィクな好曲がたっぷり楽しめるライブ作品。
ライブ演奏・・8 新曲少ないが…度・・8 オリジナルASIA度・・9 総合・・8
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ASIA 「RESONANCE - The Omega Tour 2010」
フログレハードのベテラン、エイジアのライブ作品。2012年作
ジョン・ウェットン、スティーブ・ハウ、カール・パーマー、ジェフ・ダウンズというオリジナルメンバーで、
2010年作「Omega」のツアーからの、スイス、バーゼルでの公演を収録。初回盤は2CD+DVD。
きらびやかにシンセに、スティーブ・ハウの独特のギターと、ジョン・ウェットの味わい深いヴォーカルで、
往年のナンバーもたっぷり含めた全18曲を演奏。ドラマティックな味わいの近年のナンバーと、
キャッチーなポップ性の初期のナンバーが違和感なく連なって、バランスのよい流れになっている。
1stからの「時へのロマン」、「孤独のサヴァイヴァー」、そしてアンコールでの「ヒート・オブ・ザ・モーメント」などは
ファンには感涙ものだろう。DVDの映像は多数のカメラを使っていて、どことなくなつかしさを感じさせつつ、
年季を経たメンバーたちのオッサンぶりが哀愁をかもしだしている。故ウェットンの姿が見られるだけで嬉しい。
ライブ演奏・・8 ライブ映像・・7 往年のエイジア度・・8 総合・・8 
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ASIA 「XXX」
イギリスのプログレハード、エイジアの2012年作
復活後の3作目で、デビュー30周年となるアルバム。「ロマンへの回帰」と題された本作は
ロジャー・ディーンのアートワークからしていい感じだが、サウンドの方はより落ち着いた
アダルトなプログレハードとなっている。きらびやかなシンセアレンジとともに、
ジョン・ウェットンの味わいのある歌声で聴かせる、マイルドな聴き心地の楽曲は、
少々物足りなさもあるのだが、泣きの叙情を含んだラスト曲などは素晴らしいし、
エイジアらしい既定路線と思えば、普通に楽しめる質の高いアルバムだ。
メロディック度・・8 プログレハー度・・8 エイジア度・・8 総合・・8
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ASIA 「AXIS XXX」
イギリスのプログレハード、エイジアのライブ作品。2015年作
バンドの30周年記念ワールドツアーより、2012年サンフラシスコでのステージを収録した2CD+DVD。
2012年作「XXX」からのナンバーを含め、新旧のナンバーを織り交ぜた全19曲をCD2枚にに収録。
壮麗なイントロに続き、“時へのロマン”が始まると、キャッチーでありながら渋さも加わった聴き心地で、
深みを増したジョン・ウェットンの歌声に、バンドのへてきた30年の歴史を感じさせる。
中盤にはジョン・ウェットンがアコースティックギターをゆったりとつまびく素朴なナンバーや、
ジェフ・ダウンズのシンフォニックなシンセが美しいバラードなどもあり、じっくりと聴かせる構成で、
ラストの“Heat of the Morment”まで、大人のエイジアのステージがたっぷり楽しめる。
なお、2013年になってスティーヴ・ハウが脱退したため、オリジナルの編成としてはこれが最後のツアー音源となった。
ライブ演奏・・8 大人のASIA…度・・8 最後のオリジナルASIA度・・9 総合・・8
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Atomic Rooster
ブリティッシュロックバンド、アトミック・ルースターの1st。1970作
オルガンを中心にしたギターレスのトリオ編成ながら、ELPのようなクラシカル志向ではなくて、
こちらはあくまでもハードロック、そしてブルーズロック的な質感で聴かせるサウンドである。
ドラムを叩くのは後にELPに加入するカール・パーマーで、その手数の多いドラミングは
このサウンドの核をになっていると言ってもよい。朗々とした歌声にかぶさる、
どこかほのぼのとしたオルガンの音色という、そのギャップがある意味個性的で、
フルート入りの曲もあったりと、プログレとハードロックの狭間を行き来するような作品だ。
オルガン度・・9 プログレ度・・7 英国度・・8 総合・・7.5
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Atomic Rooster「Death Walks Behind You」
アトミック・ルースターの2nd。1971作
リーダーのヴィンセント・クレイン以外はメンバーが替わり、
サウンドの方もヴォーカル、ギター、ドラムの変化によりヘヴィーさとブルーズロック色が増した。
ハモンドのイメージが強かった1stよりもむしろピアノやギターリフが目立っていて、その分HR的になった印象だ。
オルガンにギターを絡めたアンサンブルも前作よりまとまってきており、
渋いながらもアルバムとしての完成度は高まった。プログレ/HR両対応作。
オルガン度・・7 プログレ度・・6 英国度・・8 総合・・7.5
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Atomic Roster「In Hearing of」
アトミック・ルースターの3rd。1971作
今作では新たにリードヴォーカルを迎えた4人編成となり、
それとともにサウンドにはブルージーなジャズロック色が加わっている。
ハードロック、プログレ、サイケ、ジャズ、クラシックと、雑多な要素が聴けるが、
プログレ寄りの1st、ハードロック寄りの2ndに比べて、ややインパクトに欠ける。
曲によってはジャジーなプログレサイケ風味でなかなか悪くないのだが、
全体的には方向性を定めきれていないような、微妙な散漫さも感じられる。
今作の後、ヴィンセントは他のメンバーを解雇し、ファンク色を増した4thを発表する。
オルガン度・・6 プログレ度・・6 英国度・・8 総合・・7
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AUTUMN「OCEANWORLD」
イギリス幻のシンフォニックロックバンド、オータムの未発表音源のCD化作品。1978作
正規にアルバムを発表することなしに消えていったこのバンドだが、メンバーには
THE ENIDのオリジナルドラマーに、後にスティーブ・ハケット・バンドに参加するキーボードなど
実力者がいることもあって、演奏、楽曲ともにレベルは高い。
サウンドはそのTHE ENIDにも通じるシンフォニック性とキャッチーな部分を併せ持った
爽快なシンフォニックロックで、HAPPY THE MANにも通じる軽快さが素晴らしい。
できれば正規録音のフルアルバムを聴きたかったと思わせるバンドである。
シンフォニック度・・8 テクニカル度・・7 楽曲・・8 総合・・7.5




Babe Ruth
ブリティッシュロックバンド、ベーブ・ルースの3rd。1975作
ハードロック的なギターとムーグの音色、そこにパワフルな女性Voが歌を乗せる。
ときに泣きのメロディを奏でるギターのセンスもかなりのものだし、
女性Voジャニタ・ハーン嬢の歌声はハスキーにして力強く、とても魅力的だ。
プログレ的なキーボードもときおりにやりとさせられ、ハードな雰囲気と
ノリの良い中にもちゃんとメロディがあり、聴き所の多いアルバムになっている。
メロディアス度・・8 プログレ度・・7 女性Vo度・・8 総合・・8
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Babe Ruth「GRAND SLAM」
ブリティッシュロックバンド、ベーブ・ルースのベストアルバム。2004作
197〜1975年の間に発表された1stから3rdまでの曲を中心に選曲されていて、
初期の曲はプログレというよりはブルーズがかったロックという雰囲気。
メロディという点でも曲の完成度でも、やはり3rdからの曲が図抜けている印象で、
ジャニタ嬢の歌唱に、テクニックと表現力を兼ね揃えたギターが素晴らしい。
メロディアス度・・7 プログレ度・・6 3rdがあればいいや度・・9 総合・・7.5
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BADGER 「One Live Badger」
ブリティッシュロックバンド、バジャーの1973年作
元YESのトニー・ケイが所属していことと、ロジャー・ディーンによる美しいジャケから話題となった作品。
デビュー作にしてライブ作品というのも異色であるが、サウンドの方はオルガンにメロトロンが鳴り響く、
しごく正統派のブリティッシュロック。ブライアン・パリッシュのギターには適度にブルージーな感触もありつつ、
ハードになりすぎないところもポイントで、Yesとはまったく異なるがプログレ的な味わいもちゃんとある。
やはり要はトニー・ケイの鍵盤で、やわらかなオルガンに、メロトロン、ときにエレピも含んだ優雅なセンスで、
ブルーズロックへ傾きそうなところを叙情的な聴き心地に戻してくれる。バンドはメンバーを替えて2作目を発表するが、
願わくばこのメンバーでもう一枚くらい作って欲しかった。ともかく、70's英国ロックの逸品です。
ドラマティック度・・7 プログレ度・・7 英国度・・8 総合・・8
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BADGER 「White Lady」
ブリティッシュロックバンド、バジャーの1974年作
デイヴ・フォスターとブライアン・パリッシュが脱退し、代わってジャッキー・ロマックスらが参加した2作目。
一聴して、ウエストコースト的なポップな感触が増しているが、オルガンが鳴り響き、ブラスアレンジや
女性コーラスなどを含んだポップロックの向こうには、しっかりとブリティッシュの空気が感じられる。
プログレ的な要素というのは、オルガン以外にはほとんどないのだが、ブルージーな感触に
ジャッキー・ロマックスのソウルフルな歌声を乗せた大人の味わいが楽しめる好作品ではある。
ジェフ・ベックがゲスト参加していることもあって、一般のロックファンにはむしろ受けがいいかもしれない。
ドラマティック度・・7 プログレ度・・5 英国度・・7 総合・・7.5
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Barclay James Harvest...Their First Album
英国叙情派バンドの代表、バークレイ・ジェームス・ハーヴェストの1st。1970年作
地道な長い活動に比して、知名度の点ではいま一つというのがもったいない。
このデビュー作では、まだやや粗削りな部分もあるが、メロトロンを含めてゆるやかで牧歌的な叙情は、
決して派手ではないがじんわりと耳に優しい。曲によってはオーケストラも使用していて、
クラシカルな質感で雄大に聴かせる12分の大曲などは、泣きのギターとともに耳を引く出来だ。
リマスター盤には、初期のBBC音源などをなんと13曲も追加収録。
叙情度・・8 クラシカル度・・8 英国度・・10 総合・・7.5
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Barclay James HarvestOnce Again
バークレイ・ジェームス・ハーヴェストの2nd。1971年作
のっけから溢れるメロトロンと泣きのギターで、叙情度が増したサウンドは、ロック的なダイナミズムと
オーケストラによる優雅なアレンジを加えて、1st以上にプログレらしい質感が強まっている。
いかにも英国的な気品とやわらかなメロディに包まれた、温かみのあるシンフォニックロックが楽しめる。
メロトロンに重なるしっとりとしたピアノも美しい。初期の代表作といえるアルバムだろう。
叙情度・・9 クラシカル度・・9 英国度・・10 総合・・8 ◆プログレ名作選入り
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Barclay James Harvest「And Other Short Stories」
バークレイ・ジェームス・ハーヴェスト
の3rd。1971年作
前作と並んで初期の代表作とされるアルバムで、1曲めの“Medicine Man”から
クラシカルなオーケストラルなアレンジが美しい、じつに感動的な仕上がりである。
やわらかなヴォーカルハーモニーに、英国らしい素朴な叙情が合わさったBJH節は、
ここに最初の全盛期を迎える。ラストの“After the Day”まで、うっとりと浸れる傑作だ。
次作「BABY JAMES HARVEST」とのカップリング盤がお得です。
叙情度・・9 クラシカル度・・8 英国度・・10 総合・・8
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BARCLAY JAMES HARVEST「BABY JAMES HARVEST」
英国の叙情派ロックバンドバークレイ・ジェームス・ハーヴェストの4th。1972作
本作では、これまでのオーケストラアレンジはやや薄まり、バンドサウンドが前に出た作風となった。
その分、クラシカルな叙情より、キャッチーなポップ性が強まったという印象だが、
英国的な素朴さとやわらかな叙情性はそのままで、むしろシンプルなメロディックロックとして楽しめる。
リマスター再発盤には、未発曲、バージョン違いなどを10曲追加収録。
叙情度・・8 クラシカル度・・7 英国度・・9 総合・・7.5
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BARCLAY JAMES HARVEST「...BBC IN CONCERT 1972」
バークレイ・ジェームス・ハーヴェストのライブアルバム。1972作
ロンドンでのオーケストラとの競演ステージの録音で、生オケ入りということで
このバンドのクラシカルで壮大な部分がいっそう強調されている。
CD2枚組なのだが、それぞれモノラル版、ステレオ版となっていてどちらも曲は一緒。
シンフォニック度・・8 叙情度・・9 ライブ演奏・・8 総合・・7.5
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BARCLAY JAMES HARVESTEveryone Is Everybody Else
バークレイ・ジェームス・ハーヴェストの5th。1974作/邦題は「宇宙の子供」
このバンドの音楽をひとことで言うのなら、それは「素朴な叙情」であろう。
テクニカルな部分は皆無であるから、そういう意味ではプログレではないかもしれない。
基本は暖かみのある歌と、素朴だが実にメロディアスなバックの演奏で、
キーボード群によるゆるやかなオーケストレイションが美しい。
古き良きイギリスの田園風景が目に浮かぶようである。ゆったりとなごめるやさしい作品です。
メロディアス度・・8 ゆったり素朴度・・8 英国度・・9 総合・・7.5
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Barclay James Harvest「Time Honoured Ghosts」
英国の叙情派バンド、バークレイ・ジェームス・ハーヴェストの6th。1975作
「神話の中の亡霊」という邦題とこの美しいジャケが印象的な本作は、
次作「Octoberon」とともに中期を代表する傑作。初期のクラシカルな作風よりも
だいぶポップな雰囲気が漂っているが、このバンドならではの牧歌的な叙情は健在。
やわらかなオルガンの音色にアコースティカルな素朴さも含んだ好作。
メロディアス度・・8 ゆったり素朴度・・8 英国度・・9 総合・・8
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Barclay James Harvest「Octoberon」
英国の叙情派バンド、バークレイ・ジェームス・ハーヴェストの7th。1976年作
この時期のBJHの作品はどれもが好きなのだが、とくに本作「妖精王オクトベロン」
ジャケの美しさからもお気に入りだ。ゆったりとした牧歌的な楽曲に、雄大なオーケストラ、
やわらかなヴォーカルと英国的なオルガン、ときに厳かな混声合唱も加わって
シンフォニックロック的な美しさもある。ジャケを眺めながらうっとりと鑑賞したい作品だ。
ラストの飛び下り自殺へ至るSEはある意味衝撃的。リマスター盤には未発音源を5曲収録。
メロディアス度・・8 ゆったり素朴度・・8 英国度・・9 総合・・8
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Barclay James HarvestGone to Earth
イギリスの叙情派バンド、バークレイ・ジェームス・ハーヴェストの8th。1977年作
英国きっての叙情派プログレバンド、本作はポップになり始めた時期のアルバムだが、
1曲目の“Hymn”は荘厳な美しさが素晴らしいシンフォニック曲でうっとり。
それ以降は素朴にして牧歌的なやわらかさのキャッチーなナンバーが中心で
初期のようなクラシカルな色合いは薄れたが、耳心地のいいメロディックロックが楽しめる。
次作「]U」まではバンドの黄金期の作品として、シンフォニック好きにもおすすめできる。
リマスター盤には、シングルバージョンや未発曲など5曲を追加収録。
メロディアス度・・8 プログレ度・・7 英国度・・8 総合・・8
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Barclay James Harvest「]U」
英国の叙情派バンド、バークレイ・ジェームス・ハーヴェストの9th。1978作
英国きってメロディ派として、1970年のデビューから毎年のように作品を発表、
本作はポップ化し始めてからの作品であるが、オルガンの音色とともに聴かせる
英国的な叙情は健在。やわらかなヴォーカルメロディとギターフレーズが合わさり、
3〜4分台のコンパクトな楽曲はとても聴きやすい。しっとりとしたピアノも美しい。
メロディアス度・・8 プログレ度・・7 英国度・・8 総合・・8
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Barclay James Harvest「Live Tapes」
バークレイ・ジェームス・ハーヴェストのライブ作。1978/2009作
WOOLLY在籍時の全盛期のライブ演奏で、メロトロンを含むしっとりとした美しいシンセワークと
牧歌的なヴォーカルメロディで、やわらかな英国シンフォサウンドが楽しめるライブアルバム。
叙情的かつシンフォニックなサウントがじつに耳心地がよく、メロウなギタープレイも
随所に光っているが、歪ませたときのギターのノイジーな音がやや耳障りなのが惜しい。
もともとCD2枚組で全13曲だったが、2009年リマスター盤にはボーナスが3曲追加収録。
シンフォニック度・・8 英国度・・8 メロウな叙情度・・9 総合・・7.5
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Barclay James HarvestEyes of the Universe」
イギリスのベテラン、バークレイ・ジェームス・ハーヴェストの1979年作
1970年にデビュー、英国らしい牧歌的な叙情美で聴かせるメロディックなサウンドで多くの作品を発表。
本作はおそらく10作目のスタジオアルバムで、一聴してぐっとポップな聴き心地になっている。
美しいシンセワークも以前よりもずいぶんとモダンになってきていて、やわらかな叙情も含ませながら、
全体的に80年代産業ロックに接近している作風だ。リマスター再発盤にはボーナス4曲収録
メロディック度・・8 プログレ度・・6 英国度・・7 総合・・7.5
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Barclay James Harvest 「A Concert for the People(Berlin)」
イギリスのメロディックロック、バークレー・ジェームス・ハーヴェストのライブ作品。1982年作
1980年、ベルリンの壁近くの国会前広場で行われた歴史的なライブの模様を収録。
ウーリー脱退後の1979年以降は、ぐっとポップ化が進んでゆくのだが、ドイツでのバンドの人気は高く、
じつに17万5千人の聴衆が集ったという、観客からの熱気と歓声が伝わってくるステージである。
メロウなギターに美しいシンセとキャッチーなヴォーカルメロディで聴かせる、繊細なメロディックロックはライブでも健在で、
ポップなナンバーの中にも、「One Again」収録曲“Mockingbird”の叙情性や、「Eyes of the Universe」収録“Rock N' Roll Lady”の
キャッチーな聴き心地などもも
よい感じだ。ラストは「Gone to Earth」収録の名曲“Hymn”で感動的に締めくくる。
メロディック度・・8 プログレ度・・7 ライブ演奏・・8 総合・・8
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Barclay James Harvest
Ring Of Changes」
イギリスのベテラン、バークレイ・ジェームス・ハーヴェストの1983年作
80年代に入ってからのBJHは聴いてなかったのだが、2012年の再発を機会に購入してみた。
優雅なストリングスの音色から始まる本作は、曲によってはだいぶポップにはなったものの、
美しいシンセアレンジなど彼ららしい叙情性は随所に残っており、やわらかなヴォーカルメロディとともに
むしろTOTOのようなキャッチーなプログレハード的にも楽しめる好作。リマスター再発盤にはボーナス3曲収録。
メロディック度・・8 プログレ度・・7 英国度・・8 総合・・8
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Barclay James Harvest「Victims Of Circumstance」
バークレイ・ジェームス・ハーヴェストの1984年作
いかにもポップな感じのジャケであるが、サウンドも前作同様80年代的な聴き心地。
キャッチーな女性コーラスの入れ方などはずいぶんアメリカナイズされていて、
BJHらしいオーケストラルなアレンジを含んだ繊細な叙情もかすかに残っているが、
もはやプログレというよりはポップなメロディックロックというべきサウンドである。
2012年再発盤は、1984年のライブ音源11曲入りのボーナスDisc付き2枚組。
メロディック度・・8 プログレ度・・6 英国度・・7 総合・・7.5
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BARCLAY JAMES HARVEST「25TH ANNIVERSARY CONCERT」
イギリスのメロディックロックバンド、バークレイ・ジェームス・ハーヴェストのDVD。1992作(2003年発売)
結成25周年を記念してのライブを収録。メロトロンやオーケストレイションを使用したシンフォニックな作風から
80年代に入るとポップ性を増した大衆寄りのロックに転換していったこのバンドだが、
根底にあるのはやはり英国的な感性に彩られた田園風のメロディックロックということになる。
このライブでの演奏では、「MEDICINE MAN」「HYMN」といった初期の名曲もやっているが、
かつてのアルバムにおける70年代英国の風はもはや感じられない。
ライブ映像・・7 ライブ演奏・・7  楽曲度・・6 総合・・6.5



Barclay James Harvest「“After the Day” The Radio Broadcasts 1974-1976」

イギリスのベテラン、バークレイ・ジェームス・ハーヴェストのライブ音源集。2008年作
新たに発掘された1974年と76年のBBCラジオでのライブ音源でCD2枚組。
音質もなかなか良好で、
メロトロンの音色を含め、バンド初期の牧歌的なゆったりとした叙情が楽しめる。ジョン・リーズのギターは
随所にメロウな泣きの旋律を奏で、ウーリーの弾くメロトロンの響きとともに、じつに英国らしい
やわらかなサウンドを描いてゆく。初期の傑作「And Other Short Stories」からの“Medicine Man”、
“After the Day”や、「ONCE AGAIN」からの叙情曲“She Said”あたりは、いま聴いてもなかなか感動的だ。
ライブ演奏度・・8 英国度・・8 牧歌的叙情度・・9 総合・・8
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John Lees' Barclay James Harvest「“Legacy”Live at Shepherds Bush Empire 2006」
イギリスの叙情派バンド、バークレー・ジェームス・ハーヴェストのライブ作。2007作
2006年ロンドンでのライブを収録。Les Holroydのバンドと二派に分かれたBJHだが、
音の叙情性においてはWooly Wolstenholmeのいるこちらに軍配が上がるだろう。
ジョン・リーズのメロディアスなギターワークに、ウーリーのメロトロンの音色が重なると
これぞ英国の叙情シンフォニックというサウンドが美しく響きわたる。
“Medicine Man”“Suicide”“Hymn”といった過去の名曲にはやはりぐっとくる。
音質も良好で、BJHファンとしては聴くべき内容だ。同タイトルのDVDもあり。
シンフォニック度・・8 ライブ演奏・・8 しっとり叙情度・・9 総合・・8
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John Lees' Barclay James Harvest 「North」
英国の叙情派バンド、バークレィ・ジェームス・ハーヴェストの2013年作
BJHとしては20年ぶりとなる作品で、美しいシンセワークとマイルドなヴォーカルで聴かせる
落ち着いた叙情美はかつてのまま。オーケストラルなアレンジも含めて雄大なスケールも感じさせるのは
ベテランならではのサウンドの説得力だろう。80年代的なポップ感覚も適度に含ませたまさに大人の味わいだ。
Woolly Wolstenholme亡きいま、ジョン・リーズ主導によるBJHがこうして活動を続けてくれるのは嬉しい限り。
デラックスエディションのボーナスDiscには2011年の英国ライブの音源を収録。
メロディック度・・8 プログレ度・・7 叙情度・・8 総合・・8
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Beckett
ブリティッシュロックバンド、ベケットの1974年作
本作が唯一の作品で、IRON MAIDENの候補にもなったというヴォーカルが在籍、
オールドな味わいのブルージーなロックサウンドを基本に、ストリングスなどを使った、
プログレ寄りの優美なアレンジも覗かせる。マイルドなヴォーカルの表現力もなかなかで、
随処に叙情的なギターとストリングスが重なると、シンフォニックな優雅さにも包まれる。
全体的にはハードロックとアートロックの中間という感じで、特別な個性というものは感じないが、
マイナー系バンドの中ではキャッチーな聴きやすもあって、わりと出来の良い一枚だと思われる。
ドラマティック度・・7 プログレ度・・7 英国度・・8 総合・・7.5
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Beggars Opera「Act One」
ブリティッシュロックバンド、ベガーズ・オペラの1st。1970作
宇宙飛行士ジャケで有名な3rdはヴァーティゴの裏名盤として一般的にも代表作とされるが、
ごった煮的な面白さからいえば本作だろう。キーフによるジャケからしてすでにキワモノだが、
サウンドの方はクラシックのメロディを大胆に取り入れた怪しげなオルガン入りロックで、
曲によってはNICETRACEなどにも通じる印象がある。ヴォーカルの微妙な力の抜け具合が
コミカルな雰囲気をかもしだしているが、トルコ行進曲のメロディに乗せた11分の大曲では
オルガンにサイケ的なギターが重なり、濃密かつマニアックなブリティッシュロックが楽しめる。
メロディアス度・・8 クラシカル度・・8 濃密度・・9 総合・・8
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BEGGARS OPERA「PATHFINDER」
英国のプログレバンド、ベガーズ・オペラの3rd。1972年作
英国プログレの裏名盤として知られる本作はクラシカルなメロディを取り入れたいかにも英国らしいロックで、
鳴り響くオルガンに荒々しく跳ねるリズム、そしてマーティン・グリフィスの力強いヴォーカルが個性的。
優雅なピアノやチェンバロの音色なども含んで、もっともプログレ的な聴き心地が味わえる。
一方ではアヴァンギャルドな展開力も含んでおり、ドラマティックかつ英国らしさを兼ね揃えた傑作だ。
リマスター&紙ジャケ盤では、この「馬に乗った宇宙飛行士」の6面開きのジャケも再現している。
メロディアス度・・8 クラシカル度・・8 英国度・・9 総合・・8
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Beggars Opera「Nimbus :The Vertigo Years Anthology」
イギリスのプログレバンド、ベガーズ・オペラのアンソロジー。2012年作
1970年の1st〜72年の3rdまでの全曲と、1974年の4thから数曲を収録した2枚組。
1st「Act One」は、クラシックの旋律を大胆に取り入れた、オルガン鳴り響く怪しげなサウンドが魅力。
2nd「Waters of Change」は、シリアスな感触を増し、メロトロンの響きも含んだミステリアスな感触と
英国的な叙情性が加わった好作。バンドの代表作とされる3rd「PATHFINDER」は、ドラマティックな展開力とともに
クラシカルなピアノにチェンバロなどが美しい、もっともプログレ的な聴き心地で楽しめる傑作だ。
メンバーチェンジののちに発表された4th「Get Your Dog Off Me!」は、楽曲はずっとシンプルになり、
プログレというよりはクラシカルな要素のあるロックという趣なのだが、収録されている曲に関してはそう悪くない。
ドラマティック度・・7 プログレ度・・7 英国度・・9 総合・・8
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Beggars OperaLose a Life」
イギリスのプログレバンド、ベガーズ・オペラの2011年作
1970年にデビュー、クラシカルな要素とオルガン入りのプログレッシブロックで多くのファンを魅了、
名作とされる3rd「PATHFINDER」以降はポップ化し、1980年までに7作を出すが、その後は解散、
しかし2007年に突如女性Key/Vo入りのバンドとなって復活、本作はそれに続くアルバムである。
のっけから11分の大曲で、ミステリアスなシンセワークと案外ヘヴィなギターが合わさり、
モダンなサウンドが展開される。シンセ奏者でもあるヴァージニア嬢のスキャット的な歌声を含み、
いわばジャーマンロック的な浮遊感のある反復とテクノ要素がシンフォニックに混ざったというべきか。
ART BEARSの現代版という雰囲気もある。かつてとは別物と認識すれば、それなりに楽しめると思う。
シンフォニック度・・7 プログレ度・・7 浮遊感・・8 総合・・7.5
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BIG SLEEPBluebell Wood
ブリティッシュロックバンド、ビッグ・スリープの1971年作
EYES OF BLUEのメンバーによる別名バンドらしいが、そちらは未聴なのであしからず。
しっとりとしたピアノでフォーク風に始まりつつ、艶やかなストリングスやオルガンの音色が合わさって、
いかにも英国風なゆるやかな叙情をが広がってゆく。アコースティックで牧歌的な素朴さと、
薄暗い湿りけを含んだサウンドは、よく言えば70年代特有のおおらかな空気が伝わってくるような雰囲気だ。
演奏力もかなりのもので、フォーク、サイケ風味も併せて、これぞ英国という好作品。
素朴度・・9 プログレ度・・7 英国度・・10 総合・・8
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BLACK WIDOWSacrifice
ブリティッシュロックバンド、ブラック・ウィドウの1st。1970年作
Dr.Zなどとともに、70年代英国ロックのアンダーグラウンドシーンで、
異彩を放った、いわば黒魔術系の世界観をもったバンドとして語られる。
BLACK SABBATHほどのヘヴィさはなく、妖しげに鳴り響くオルガンの音色に
サックスが絡み、フルートなども入った、いかにも英国らしい湿りけのあるサウンド。
幻想的な雰囲気が耳心地よく、薄暗いプログレとしても普通に楽しめる作品だ。
メロディアス度・・7 プログレ度・・7 英国度・・8 総合・・8
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BLACK WIDOW「Sacrifice」
ブリティッシュロックバンド、ブラック・ウィドウの1970年/2014年作
Dr.Zなどとともに、70年代の英国アンダーグラウンドシーンで異彩を放ったバンドの2CD+DVD限定盤。
Disc1にはオリジナル音源のリマスターを、Disc2には未発表の間奏(語り)入りバージョンを収録。
妖しく鳴り響くオルガンにメロトロン、サックスやフルートの音色にシアトリカルなヴォーカルを乗せて
黒魔術的なカルトな雰囲気を描き出す。英国らしいウェットな空気感とヴィンテージな味わいで、
Black Sabbathとともに、現在の多くの魔女系ロックバンドにも影響を与えたサウンドが楽しめる。
DVDには1970年の貴重なライブ映像を収録。年代を考えれば、映像、音質ともに良好で、
1stアルバムの全曲の丁寧な演奏が楽しめる。透け透け衣装の女性も踊ります。ファン必見のライブ映像。
ドラマティック度・・8 怪しげ度・・8 英国度・・8 総合・・8 
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BLACK WIDOW
ブリティッシュロックバンド、ブラック・ウィドウの2nd。1970年作
前作の妖しげな暗さがいくぶん薄れて、むしろ普通のブリティッシュロックになっている。
オルガン入りのブルージーなロックにサックスなどが加わった、けっこう軽快な作風で
1stのイメージで聴くとやや拍子抜けするが、70年代英国ハードロックとしては悪くはない出来だ。
メロディアス度・・7 プログレ度・・6 英国度・・8 総合・・7.5
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BLACK WIDOWIII
ブリティッシュロックバンド、ブラック・ウィドウの3rd。1971年作
サウンドに広がりが出てきて、ブリティッシュロックとしての普遍性がより感じられるようになった。
ギターにかぶさるオルガンの音色もいい感じで、メロディにはキャッチーさが増しており、
楽曲としてのドラマティックなメリハリがついた。妖しい世界観では1stだが、内容的には最高作といっていいだろう。
メロディアス度・・8 プログレ度・・6 英国度・・9 総合・・8
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Black Widow「Return to Sabbat」
ブラック・ウィドウの1999年作
1970年の1st「Sacrifice」以前のデモ音源で、前身バンドPesky Gee!の女性シンガー、ケイ・ギャレットが参加している。
音質はいかにもデモという感じのノイズまじりのものながら、70年代初頭の妖しげな空気感と
フルートやサックスがやわらかに鳴り響く、ユルめのサイケロックの感触がとても楽しめる。
男女ヴォーカルの歌声による牧歌的なフォーク要素も感じさせるという点でも、とても英国らしいサウンドだ。
正規アルバム「Sacrifice」に比べると粗さ…というかユルさが強いが、これはこれとしてよいですね。
ドラマティック度・・7 サイケ度・・8 妖しげ度・・8 総合・・7.5
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Black Widow「IV」
ブラック・ウィドウの1999年作
1972年に録音するもお蔵入りとなり、その後1999年に発表された4作目。
最高作となった「III」からの流れにあるキャッチーな聴き心地で、
やわらかなヴォーカルとともに牧歌的な叙情が楽しめる好作品。
オルガンを含めてプログレ的なシンセアレンジもよろしく、
フルートが鳴り響くかつての妖しい世界観も随所に覗かせる。
メロディアス度・・8 プログレ度・・7 英国度・・9 総合・・8
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Black Widow「Come to the Sabbat Anthology」
イギリスのカルト・ドゥームロック、ブラック・ウィドウのアンソロジー。2003年作
1970〜1971年までの3枚のアルバムからの選曲を中心に、前身であるPESKY GEE!の1969年の音源や
1972年に録音するもお蔵入りとなり、その後1999年に発表された4作目の音源などを収録した2枚組。
PESKY GEE!時代は女性ヴォーカルのけだるげな歌声と、サイケな浮遊感が合わさった雰囲気で、
COVENなどを思わせる妖しげなサウンドが楽しめる。BLACK WIDOW期になると演奏のレベルも上がって、
魔術的な世界観を含んだ、独自のドゥームロックが完成される。オルガンや妖しげなフルートの音色、
サバスをぐっとアンダーグラウンドにしたような聴き心地は、プログレリスナーにもHRリスナーにも楽しめる。
ときにはブギウギ調の曲もあるが、やはりキャッチーになり切れない垢抜けなさがこのバンドらしい。
ドラマティック度・・8 サイケ・ドゥーム度・・8 妖しげ度・・8 総合・・8
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Black WidowSleeping With Demons
イギリスのカルト・ドゥームロック、ブラック・ウィドウの2011年作
70年代に3作のアルバムを残し、その後、1972年に録音され1999年に発表された4作目に続く、
じつに39年ぶりとなる復活の5作目となる。フルートが鳴り響き、古き良きオルガンの音色とともに聴かせる
妖しげなドゥームロックサウンドはそのままで、70年代から変わらぬ聴き心地には思わずにんまりである。
前身バンドであるPesky Gee!の女性シンガー、ケイ・ギャレットが参加した曲や、
元BLACK SABBATHのトニー・マーティンがゲスト参加した曲などもあり、オールドなファンはもちろん
これからこのバンドを掘り下げてゆきたいという新しいリスナーにも楽しめるだろう好作です。
ドラマティック度・・8 サイケ・ドゥーム度・・8 妖しげ度・・8 総合・・8
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VA/King of the Witches BLACK WIDOW Tribute
英国伝説のプログレ・ドゥームバンド、ブラック・ウィドウのトリビュートアルバム。2000年作
まさしくこのバンドから生れたイタリアのBlack Widowレーベル主催のオムニバス。
参加バンドは、日本のARSNOVA、Euthering、Eternal Elysiumをはじめ、
イタリアのPresence、Death SS、Standarte他、マニアックなメンツが集結、
本家の黒魔術的な妖しさを強調した、おどろおどろしげな世界観で聴かせる。
ドラマティック度・・7 黒魔術度・・8 参加バンド・・7 総合・・7.5
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Bob Downes Open Music 「Electric City」
イギリスのサックス&フルート奏者、ボブ・ダウンズ率いるバンドの1970年作
軽快なリズムに、トランペット、サックスというブラスが鳴り響き、ポップな感触のヴォーカルを乗せた、
ファンキーな味わいのジャズロック。わりと弾きまくりのギターはロックな荒々しさで、
そこに絡む愉快なブラスのコントラストが面白い。奔放なフルートを乗せたナンバーでは、
FOCUSのようなプログレな雰囲気も覗かせつつ、全体的にはブラスをメインにした躍動感あるアンサンブルを聴かせる。
アートロック全盛の1970年に、ジャズ方面からのプログレ寄りのアプローチという点でも、本作の意義は大きいだろう。
ジャズロック度・・8 プログレ度・・7 ファンキー度・・8 総合・・7.5
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BRAM STOKER 「Heavy Rock Spectacular」
ブリティッシュロックバンド、ブラム・ストーカーの1972年作
オールドなオルガンがたっぷりと鳴り響き、適度なハードかつブルージーなギターを乗せた、
音数の多いアンサンブルで聴かせる。年代を考えれば、楽曲にはエキセントリックなセンスを感じさせ、
先の読めない展開のフックを含めて、アートロック的でもある怪しい雰囲気が楽しめる。
オルガンのフレーズには、THE NICEにも通じるようなクラシカルなテイストがあって、
インストパートだけでも魅力がある。一方では歌入りの曲での味わいも捨てがたい。当時の英国シーンの奥深さをうかがわせる傑作だ。
なお、1997年に「Schizo-Poltergeist」のタイトルでCD化された際にはジャケが変更されている。
オルガン度・・9 プログレ度・・8 英国度・・9 総合・・8
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BRAM STOKER 「NO REFLECTION」
イギリスのアートロックバンド、ブラム・ストーカーの2019年作
1972年に1作のみを残して消えるも、2014年に復活し、本作は復活後の2作目となる
オリジナルメンバーは、トニー・ブロンストンのみで、前作に参加していたトニー・ロウは不参加。
美しいシンセワークに叙情的なギターが絡み、ジェントルなヴォーカルを乗せたキャッチーなサウンドで、
オルガンを含むヴィンテージな味わいは、70年代英国アートロックを、現在形で構築とたという聴き心地。
曲によっては女性ヴォーカルを乗せたやわらかな優雅さに包まれ、軽やかなプログレハード的にも楽しめる。
ロバート・ロウのESPに比べると、楽曲にはやや野暮ったい所もあるが、ほどよいB級っぽさも魅力である。
ヴァイオリン鳴り響くケルティックなナンバーや、ラストのAOR風味など、新たな方向性も感じられる。
ドラマティック度・7 プログレ度・7 英国度・9 総合・7.5 
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Brand X 「Unorthodox Behaviour」
イギリスのジャズロックバンド、ブランド・エックスの1976年作
軽やかなフィル・コリンズのドラムに、技巧的なパーシー・ジョーンズのベースというリズム隊に
ロビン・ラムリーのエレピとジョン・グッドサルのギターが重なってゆく、インスト主体のテクニカルなサウンド。
手数の多い攻撃的なフィルのドラムはGenesisで見せるのは別の顔で、優雅さと技巧を併せ持つパーシーのベースと
バトルするようなアンサンブルは圧巻だ。硬派な演奏主義と、実力者らしい繊細な余裕を同居させたようなジャズロックの傑作。
メロディック度・・7 プログレ度・・8 テクニカル度・・8 総合・・8
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Brand X 「Moroccan Roll」
イギリスのジャズロック、ブランド・エックスの1977年作
2作目となる本作は、サンスクリット語を乗せた、異国的な牧歌性に包まれた味わいで始まり、
スタジオライブで録音された11分の大曲へとつながり、均整の取れたアンサンブルと、
優雅なテクニカル性で聴かせる、大人のジャズロックサウンドを聴かせる。
やわらかなエレピが美しいアンビエントな小曲から、テクニカルなフュージョンタッチのナンバーまで、
派手なインパクトはないのだが、フィル・コリンズ、パーシー・ジョーンズという強固なリズム隊を軸にした、
確かな演奏力はさすがというところ。大曲と小曲のバランスもよい優雅なる逸品です。
メロディック度・・7 プログレ度・・7 優雅度・・8 総合・・8
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Brand X 「Masques」
イギリスのジャズロック、ブランド・エックスの1978年作
3作目となる本作は、シンセとドラムが交代していて、作風的にもフュージョン的な味わいとともに、
きらびやかなシンセが前に出た、メロディックな聴きやすさが強まった。
2ndまでの、フリーキーな部分が影を潜めたので、全体的にカッチリとした印象であるが、
技巧的なギターを乗せたテクニカルな感触と、優雅な大人の叙情を含んだ作風で、
A面、B面それぞれのラストには10分を超える大曲が配置されているも聴きどころ。
メロディック度・・8 プログレ度・・7 優雅度・・8 総合・・8
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Brian Auger 「Definitely What!」
イギリスの鍵盤奏者、ブライアン・オーガーの1968年作
ビートルズ“A Day in the Life”のカヴァーで幕を開け、やわらかなオルガンの音色にストリングスやブラスが絡む
大胆なアレンジが楽しめる。2曲目以降もハモンドオルガンの音色を主体にのんびりとしたブラスが加わり、
ヴォーカルが加わったポップなナンバーなど、いかにも60年代的なおおらかな作風だ。
ジュリー・ドリスコールと共演したトリニティー名義の作品に比べると、ジャズ的なスリリングさは薄く、
オルガン入りのポップなブラスロックという趣ながら、曲によってはThe NICEのようなオルガンロックも味わえる。
紙ジャケ再発盤のボーナストラックには、未発表曲や1968年のライブ音源など10曲を収録。
メロディック度・・7 プログレ度・・6 オルガン度・・9 総合・・7.5
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Brian Auger & The Trinity 「OPEN」
イギリスの鍵盤奏者ブライアン・オーガー率いるトリニティの1967年作
女性シンガー、ジュリー・ドリスコールを迎えて作られたアルバムで、
やわらかなオルガンの音色にブラスが絡み、ブリティッシュロックの感触をジャズに融合させたというべき
味わいのあるサウンドである。オルガンを主体にした優雅な耳心地は、まぎれもなく英国の音で、
ファンキーなテイストもあるか、演奏のはじけ方はやはりロックでもある。ピアノの小曲なども美しく、
アルバム後半ではJulieのハスキーな歌声も加わって、歌ものとしても楽しめる。
なお、本作のジャケについては、どちらが表面かでいまだに意見が分かれているらしい。
ジャズ度・・8 ロック度・・7 英国度・・9 総合・・8
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Brian Auger & The Trinity 「StreetNoise」
イギリスの鍵盤奏者ブライアン・オーガー率いるトリニティの1969年作
女性シンガー、ジュリー・ドリスコールを迎えての2作目となる。鳴り響くオルガンは前作以上にプログレ的になり、
躍動感のあるアンサンブルとともに、ジャズとロックの境目をゆくような熱い演奏が繰り広げられる。
手数の多いドラムもほとんどロックのノリで、激しいオルガンがそこに重なるとNICEEL&Pにも近い感触すらある。
一方ではジュリーのハスキーな歌声で聴かせるナンバーも前作以上に魅力的で、張りつめた緊張感を含ませつつ、
ART BEARSばりにシアトリカルに歌い上げる2曲めなどは圧巻である。DOORSのカヴァーなども自分たちのアレンジにしていて、
LP時代は2枚組の大作ながら、どこを切っても勢いある演奏とテンションで、最後までぐいぐい耳を引きつけられる。
オルガンロックとしての躍動感と、優雅なジャズテイストを感性豊かに融合させたというべき大傑作である。
ジャズ度・・7 ロック度・・8 英国度・・9 総合・・8.5
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Brian Auger's Oblivion Express 「Straight Ahead」
イギリスの鍵盤奏者、ブライアン・オーガー率いる、オブリヴィオン・エクスプレスの1975年作
このバンド名義としては5作目となる作品で、やわらかなギターにエレピやオルガンを乗せ、
フュージョン的な軽やかさとジャズロックの優雅さを合わせたサウンド。マイルドなヴォーカルで聴かせる、
AOR的でもあるポップな感触もあって、いくぶんアメリカナイズされたファンキーなナンバーなどもありつつ、
インストパートにおけるアンサンブルの巧みさは、むしろカンタベリー的でもあったりする。
9分、10分という大曲も、プログレ寄りにならない、ある種のメジャーなポップ感があって、
フュージョンロックを好む多くのリスナーに楽しめるだけのクオリティの高さが素晴らしい。
メロディック度・・8 プログレ度・・7 優雅度・・9 総合・・8
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Brian Auger's Oblivion Express 「Here and Now / Keys to the Heart」
イギリスの鍵盤奏者、ブライアン・オーガー率いる、オブリヴィオン・エクスプレスの1982/1987年作
80年代のアルバム2作のカップリング盤で、1982年作は、ビート感を強めたポップなAORという感触。
キャッチーなヴォーカルを乗せ、80年代らしいデジタル寄りのシンセサウンドとやわらかなオルガンを加えた、
アメリカ寄りのポップロックという作風ながら、エレピを乗せたフュージョンロック的な軽妙なインストナンバーは、
かつてのように優雅な味わいで楽しめる。1987年作は、よりデジタルなモダンさを強めたサウンドながら、
ブラスを含んだアレンジと美しいシンセサウンドで、ヴォーカルも含めて、ポップなAORとしての完成度は上がっている。
一方では、オルガンにエレピ、サックスが鳴り響き、技巧的なギターで聴かせる、ジャズ調のナンバーもなかなか魅力的。
メロディック度・・8 プログレ度・・5 ポップ度・・8 総合・・7.5
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Brian Eno 「Here Come the Warm Jets」
ブライアン・イーノの1973年作
ROXY MUSICを抜けたイーノのソロとしての1作目。
のちの作品に比べるとロック色が強く、初期ロキシーの延長上にある風変わりなポップロックという趣。
基本は歌ものであるが、ロバート・フリップをはじめ、フィル・マンザネラ、ジョン・ウェットン、アンディ・マッケイなど、
名だたるアーティストが参加した演奏陣も一流で、随所にセンス溢れるギターやシンセワークなどが耳につく。
ロキシー時代からのファンはもちろん、キャッチーな英国ロックとしては、QUEENなどにも引けをとらない出来だ。
ポップ感覚度・・8 プログレ度・・7 ハイセンス度・・9 総合・・8
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BRIAN ENOTaking Tiger Mountain
元Roxy Musicのブライアン・イーノのソロ2作目。1974年作
のんびりとした牧歌性で聴かせる、ポップな歌もの作品であるが、
やはり随所にモダンで実験的な香りを漂わせているのが玄人好みである。
中国舞踏団の絵ハガキからインスパイアされたというように、曲によっては
オリエンタルな雰囲気を取り入れるなど、アレンジの幅の広さも光っている。
楽曲は3〜5分台と比較的コンパクトなので、気負わずに楽しめる好作品。
ポップ感覚度・・8 プログレ度・・7 ハイセンス度・・9 総合・・8
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BRIAN ENO「Another Green World」
元Roxy Musicのブライアン・イーノのソロ3作目。1975作
ノイジーなギターを取り入れながらも、やわらかな聴き心地を失わないセンスと、
ポップさとアヴァンギャルド性を内包しつつも、ニューエイジ的なモダンさも光る。
ヴォーカル曲におけるポップさと、バックのギターの鳴り具合の対比も面白い。
ジャーマンロック的な実験色をアンビエントな流暢さで包み込んだような傑作。
ポップ感覚度・・8 プログレ度・・7 ハイセンス度・・9 総合・・8
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BRIAN ENO 「Before and After Science」
ブライアン・イーノの1977年作
ポップとアンビエントが融合した前作の路線よりも、ポップロック的なキャッチーさが増している。
フィルコリンズ、フィル・マンザネラ、ロバート・フリップ、フレッド・フリス、ポール・ルドルフ、
パーシー・ジョーンズ、ビル・マコーミックという名うてのミュージシャンたちが参加して、
むしろ1作目の路線をよりモダンに再現するような作風が楽しめる。完成度の高さはピカイチの一枚。
ポップ感覚度・・8 プログレ度・・7 ハイセンス度・・9 総合・・8
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BRIAN ENO:Ambient 1 : Music for Airports
ブライアン・イーノの1978年作
空港施設内で、会話を邪魔しないような音楽を流すという目的で作られた作品で、
エレピのつまびきによるしっとりとした、タイトル通りアンビエントな雰囲気に包まれている。
単音メロディのループによるシンプルなサウンドは、疲れた耳や脳にも心地よく、
たとえば、仕事をしながらのBGMなどにも最適である。音楽は芸術であると同時に
人間の暮らしの中に溶け込むことでも、存在価値を生むことができるという、そんな作品である。
ロック度・・0 プログレ度・・5 アンビエント度・・9 総合・・8
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BRIAN ENO:Ambient 2 : Plateaux of Mirror」
ブライアン・イーノの1980年作
アンビエントシリーズの2作目で、やわらかなピアノのつまびきとうっすらとしたシンセに包み込まれる
文字通りアンビエントなミュージック。ハロルド・バットの弾くシンセをアレンジするという手法で作られた本作は
前作にくらべて1曲ずつが短くなり、気付くと曲が終わっているという、物足りなさもいくぶんあるのだが、
その分、むしろピアノの旋律の美しさが際立って、メロディの輪郭が楽しめる作風である。
押しつけのない音楽、自然体の優しいサウンドを愛する方には、心地よく楽しめる。
ロック度・・0 プログレ度・・5 アンビエント度・・9 総合・・8
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BRIAN ENO 「Ambient 4 : On Land」
ブライアン・イーノの1982年作
アンビエントシリーズの4作目で、これまでにない不穏な雰囲気に包まれたサウンドで、
Klaus Schulzeなどにも通じる、スペイシーでダークなシンセサウンドが広がってゆく。
展開やフックというものはほとんどなく、うっすらとした冷たいシンセをバックに、
ひたすらノイジーな風のような音や、SE的なパルス音が続いてゆくというもので、
音楽として聴くには少々つらいかもしれない。イーノが行き着いたアンビエントの果てというべき、
薄暗く荒涼とした世界を音で描く、抽象画のような作品である。
ロック度・・0 プログレ度・・5 ダーク度・・8 総合・・7.5
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Brian Eno 「Apollo」
ブライアン・イーノの1983年作
NASAの月面探査「アポロ計画」の記録映画用のサントラとして作られた楽曲で、
アンビエントなシンセアレンジで、スペイシーな空間を表現するようなサウンド。
ミステリアスな大宇宙の暗がりを描くには、こうしたイーノサウンドはまさにうってつけ、
曲というよりはBGM的なものが多いのだが、幻想的な音の重なりが視覚的イメージを刺激する。
アルバム後半には、ギターを加えたナンバーもあって、美しいシンセとの重ねで叙情的に楽しめる。
弟のロジャー・イーノ、ギターにダニエル・ラノワが参加している。
ロック度・・1 プログレ度・・5 アンビエント度・・8 総合・・7.5
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Brian Eno 「Thursday Afternoon」
ブライアン・イーノの1985年作
全1曲60分という異色の大作で、うっすらとしたシンセにゆったりとした単音のメロディがリフレインする、
これぞアンビエントの極地というべきサウンド。これという目だった展開などはないが、
ずぶずぶとシンセの海の中に溺れてゆくような、ひたすらやわらかで心地よい感覚に浸れる。
ふわふわとしたBGMとして聞き流すもよし、どっぷりとつかるのもよしという作品だ。
ロック度・・0 プログレ度・・5 アンビエント度・・9 総合・・8
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BRUFORD「Feels Good to Me」
イギリスのミュージシャン、ビル・ブラフォードのソロ。1977年作
ご存知、YESKING CRIMSONU.K.といったビッグバンドを渡り歩いた名ドラマー。
ソロ1作目の本作には、デイブ・スチュワート、アラン・ホールズワース、ジェフ・バーリンといった
名うてのプレイヤーが参加。テクニカルなアンサンブルで聴かせる、優雅なジャズロックに仕上がっている。
自身のドラムはもちろんのこと、ホールズワースの流麗なギタープレイに、デイブ・スチュワートのオルガン、
ジェフ・バーリンのベースもなにげに素晴らしい。女性シンガーのやわらかな歌声を乗せたナンバーなど、
アルバムとしてのメリハリもあって、演奏面での技巧のみならず楽曲やアレンジの面白さもあるのが見事。
ジャズロック度・・8 プログレ度・・7 優雅度・・8 総合・・8
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BRUFORD「Gradually Going Tornado」
イギリスのミュージシャン、ビル・ブラフォードのソロ。1980年作
ソロ3作目で、引き続きデイブ・スチュワート、ジェフ・バーリンが参加。のっけからヴォーカルを乗せたキャッチーな感触で、
シンセの音色にしても80年代的な雰囲気を感じさせる。一聴してポップな印象のナンバーでも、巧みなベースとドラムによる
心地よいリズムはさすが職人の技で、本作から参加したジョン・クラークのギターは、随所にホールズワースばりの旋律も奏でている。
もちろん、ジャズロック的なスリリングなアンサンブルも随所に垣間見せ、才人たちによる優雅な好作品といったところ。
メロディック度・・8 プログレ度・・7 優雅度・・8 総合・・8
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CAMEL
イギリスのプログレバンド、キャメルの1st。1973作
ブリュー(Brew)というブルースロックバンドで活動していた、アンドリュー・ラティマー、ダグ・ファーガソン、アンディ・ウォードが
メンバー募集の広告を出していたピーター・バーデンスとセッションをへて意気投合し、キャメルが誕生した。
やはり代表作となるのは次作以降だと思うが、この1stは2nd「MIRAGE」同様、躍動感のあるロック色が濃い作品だ。
アンディ・ラティマーの奏でるギターはじつにメロディアスで、ピーター・バーデンスのメロトロンが美しい名曲、
「NEVER LET GO」をはじめとしてメロディックロックとしての確かな息吹を感じさせる。リマスター盤にはボーナス2曲入り。
メロディアス度・・8 プログレ度・・7 ロック度・・8 総合・・8
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CAMELMirage」
イギリスのプログレバンド、キャメルの2nd。1974作
CAMELの最高作を挙げるなら、美しさでは次作「白雁」だろうが、メロディックロックとしてはダバコの絵柄でおなじみの本作だ。
アンドリュー・ラティマーのメロディアスなギターが鳴り響く躍動的な1曲目は、ギターフレーズで聴かせるプログレが好きな方なら
おもわずにんまりだろうし、しっとりとしたフルートの美しい2曲目や、ファンタジックな大曲“Nimrodel”など聴き所は多いのだが、
ラストには素晴らしき組曲“Lady Fantasy”が待ち構えている。繊細なメロディと英国ロックとしての魅力が合わさった初期の傑作。
リマスター盤のボーナスにはライブ音源3曲に、大曲“Lady Fantasy”のデモなどを収録。
メロディアス度・・9 ロック度・・8 たおやか度・・9 総合・・8.5◆プログレ名作選入り
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CAMELThe Snow Goose」
イギリスのプログレバンド、キャメルの3rd。1975年作
ポール・ギャリコの小説「白雁」をテーマにしたコンセプトな大傑作。
雁たちの鳴き声から静かに始まり、ピアノをバックに美しいフルートがメロディを奏で出す。
インストの小曲を連ねて情景を描き出し聴かせてゆくという手法ながら、メロディを大切にした作りなので
難解さはまったく感じられない。ラティマーのやわらかなギターメロディもじつに素晴らしい。
2nd「Mirage」のような躍動感は薄いが、その分丁寧にまとめられたアルバムともいえる。
これはまさに聴く小説作品だ。リマスターにより音の繊細な美しさが際立って聴こえる。
2009年デラックスエディションはDisc2に1975年のBBCでのライブ音源を12曲収録。
メロディアス度・・9 プログレ度・・7 繊細度・・10 総合・・8.5 ◆プログレ名作選入り
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CAMELMoonmadness」
イギリスのプログレバンド、キャメルの4th。1976年作
「月夜のファンタジア」というタイトル通り、ジャケの幻想性ということならなら本作が最高だろう。
サウンドの方も、シンセに絡むゆるやかなフルートの音色がとても美しく、ラティマーの泣きのギターと
しっとりと聴かせるヴォーカルメロディとともに、まさに月夜を眺めるような心地を味わえる。
シンフォニックでスタイリッシュにまとめられた音は、これ以降のシンフォバンドのお手本とするような部分もあるだろう。
このバンドの美しさをよく味わえる傑作だ。2009年デラックスエディションはDisc2に1976年のライブ音源をたっぷり収録。
大曲“Lady Fantasy”を含む素晴らしい演奏で、これは必聴級の音源です。
メロディアス度・・8 幻想度・・9 たおやか度・・9 総合・・8.5
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CAMEL「Rain Dances」
キャメルの5th。1977作/邦題は「雨のシルエット」
ベースのダグ・ファーガソンが脱退し、元CARAVAN、Hatfield and the Northのリチャード・シンクレアを迎えて作られた本作は
4thまでの幻想的な作風に、キャッチーなポップセンスが加えられたサウンドとなった。
次作「BREATHLESS」から正式メンバーとなるメル・コリンズのサックスも活躍していて、むしろCARAVANを思わせるような
ジャズ/フュージョン的な軽妙さも光る好作となっている。もちろん、アンドリュー・ラティマーのメロウなギターと、
ピート・バーデンスの美しいシンセも見事で、繊細でやわらかなメロディを乗せたとても聴きやすいアルバムだ。
リマスター盤のボーナスには1977年のBBC音源などを収録。
メロディアス度・・8 プログレ度・・7 軽快度・・8 総合・・8
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CAMEL「BREATHLESS」
イギリスのメロディックロックバンド、キャメルの6th。1978年作
初期のアルバムと比べるとずいぶんとソフトになった印象だが、メロディの良さは相変わらずで、
全体的にも非常に聴きやすいアルバムだ。どこかほのぼのとしたピーター・バーデンスのキーボードに、
アンディ・ラティマーのメロウなギターワークにたおやかなフルートもなかなか効いている。
歌メロなどはかなりポップで、もはやプログレというよりはソフトなメロディックロックという印象であるが、
代表曲“Echoes”でのラティマー節の泣きのギターにはやはりうっとりである。本作収録後、ピーター・バーデンスが脱退。
メロディアス度・・8 プログレ度・・7 たおやか度・・8 総合・・8
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CAMEL「A LIVE RECORD」
キャメルのライブアルバム。1978年作/邦題は「ライブ・ファンタジア」
CD2枚組。録音は1974〜1977までのもので、曲によってはやや参加メンバーが異なる。
しかし要はやはり、アンドリュー・ラティマーのメロウなギターフレージングで
高度なテクニックがありながらゆるやかな叙情を表現できるセンスはさすが。
目玉はDisk2における「THE SNOW GOOSE」の完全再現で、バックにオーケストラを交え、
静かに盛り上がりを見せる楽曲はギターメインのメロディック系シンフォとしては金字塔のひとつといっていい。
今は亡きピート・バーデンスのシンセも素朴でやさしげな音色を奏でている。傑作ライブアルバム。
メロディアス度・・8 プログレ度・・7 素朴度・・8 総合・・8
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CAMEL「I CAN SEE YOUR HOUSE FROM HERE」
キャメルの7th。1979年作。邦題は「リモート・ロマンス」
前作収録後、ピーター・バーデンスが脱退、本作ではHAPPY THE MANのキット・ワトキンスが参加している。
ベースにコリン・ベースが加わっている。ぱっと聴きには前作以上にポップになっているが、
アンドリュー・ラティマーの流麗なギターはやはり耳に心地よいし、ワトキンスのシンセワークも、
HTMを思わせるシンフォフュージョン風で、こちらもなかなか頑張っており、自身の作曲である3曲目などはとても美しい出来だ。
ラストの“Ice”は10分におよぶインスト曲で、ラティマーの泣きのギターがたっぷりと堪能できる。
メロディアス度・・8 プログレ度・・7 ポップ度・・8 総合・・7.5
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CAMEL 「Nude」
キャメルの8th。1981年作。邦題は「ヌード」
第二次大戦後、南海の島に取り残された日本兵(小野田氏)の実話を基にしたコンセプト作。
サウンドはやわらかなヴォーカルと、80年代的なシンセアレンジを含んだキャッチーな聴き心地で、
プログレというよりは歌もの曲を主体にインストも配したストーリーアルバムという趣だ。
そんな中でも、アンドリュー・ラティマーのギターは随所に叙情的な旋律を奏で
繊細なピアノやフルートの音色などとともに、作品にしっとりとしたドラマ性を付加している。
メロディアス度・・8 プログレ度・・7 キャッチー度・・8 総合・・8
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CAMEL 「The Single Factor」
キャメルの9th。1982年作
前作を最後にオリジナルドラマーのアンディ・ウォードが脱退し、いよいよアンディ・ラティマーのソロプロジェクト的な
色合いが強まった作品となっている。3、4分台の小曲中心で、いかにも80年代的なポップなビート感覚と、
キャッチーなやわらかさに包まれたサウンドであるが、随所にラティマーのメロウなギターワークと
きらびやかなシンセも美しく、わりとポップでありながらプログレハード的にも楽しめる内容だ。
メロディック度・・8 プログレ度・・6 キャッチー度・・8 総合・・7.5
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CAMEL 「STATIONARY TRAVELLER」
キャメルの10th。1984年作
東西の冷戦をテーマにしたコンセプト作で、のっけからラティマーのギターが叙情フレーズを奏で、
物悲しいドラマ性を感じさせる。KAYAKのトン・スケルペンツェルがシンセで参加しており、
随所に美麗なシンセアレンジを含ませつつ、ヴォーカルが入ったキャッチーなプログレハード的な感触で、
80年代らしいビート感も匂わせながら、やはり英国らしい聴き心地を残しているのがさすが。
本作を最後にバンドはいったん活動を休止、その後1991年に復活することになる。
メロディック度・・8 プログレ度・・7 キャッチー度・・8 総合・・8
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CAMELDust & Dreams
キャメルの1991年作
7年間の活動休止をへての復活作で、スタインベックの小説「怒りの葡萄」のストーリーに基づいたコンセプト作。
やわらかなシンセに優しいヴォーカルの歌声が重なり、静かに物語は始まってゆく、
カルフォルニアへの憧れと出発からその道のり、砂漠、辿り着いたカリフォルニアの農場…
といった場面場面を小曲を連ねて描いてゆく、そのやわらかで繊細な音作りは、このバンドならではだ。
そしてアンディ・ラティマーのメロウなギターはやはり素晴らしい。派手な展開やインパクトはさほどないが、
じわじわと胸に響いてくる。かつての名作「THE SNOW GOOSE」を思わせる、しっとりと美しい作品である。
KAYAKのシンセ奏者、トン・スケルペンツェルやスコットランドの女性シンガー、メイ・マッケンナが参加している。
ドラマティック度・・8 プログレ度・・7 繊細度・・9 総合・・8
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CAMEL 「Never Let Go」
キャメルのライブ作品。1993年作
「Dust and Dreams(怒りの葡萄)」の完成後の1992年に行われた結成20周年記念ワールドツアー、
そのオランダ公演を収録したCD2枚組。1st収録曲の“Never Let Go”で幕を開け、
アンディ・ラティマーの流麗なギタートーンを中心に、メロディアスかつ軽快なアンサンブルを繰り広げる。
名作「スノー・グース」からフルートが美しい“Rhayader”、「雨のシルエット」収録の叙情的な“Unevensong”、
「ブレスレス」収録の“Echoes”、そして「リモート・ロマンス」収録の大曲“Ice”といった魅力的な楽曲が
スタジオ盤以上の躍動感でもって演奏されてゆく。Disc2では「ダスト・アンド・ドリームス」の完全再現で、
しっとりとした美しさで描かれる繊細なドラマ性が素晴らしく、ラティマーのギターの泣きメロ満載だ。
ラストは「ミラージュ」収録の大曲“Lady Fantasy”で締めくくる。キャメルファンなら必聴のライブ作品だろう。
メロディック度・・8 ライブ演奏・・8 叙情度・・9 総合・・8
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CAMEL「HARBOUR OF TEARS」
キャメルの1996年作
「港町コーヴの物語」と題された本作は、アイルランドの歴史における英国からの侵略と
移民へと旅立つ人々たちの悲哀に包まれたストーリーにしたコンセプトアルバム。
前作にも参加したスコットランドの女性シンガー、Mae Mckennaの美しい歌声から始まり、
アイリッシュなメロディを奏でるギターとうっすらとしたシンセが合わさり、もの悲しくも叙情的なサウンドを描いてゆく。
全体的にはインストが主体であるが、人間的な情感を感じさせる優しいメロディとともに、
ゆるやかに哀愁のドラマを構築してゆくセンスは絶品である。後期の最高傑作だろう。
ドラマティック度・・8 プログレ度・・7 繊細度・・9 総合・・8.5
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CAMEL 「Coming of Age」
キャメルのライブ作品。1998年作
1997年ワールドツアーのステージを収録。「ムーンマッドネス」収録の“Lunar Sea”で幕を開け
アンディー・ラティマーの流麗なギターを中心に、軽妙なアンサンブルとベテランらしい表現力で
メロウで優雅なサウンドを描いてゆく。「スノー・グース」、「ヌード」からのメドレーなどを含めて、
このバンドの繊細かつメロディックな魅力をたっぷり伝えてくれるライブサウンドが味わえる。
Disc2は「ダスト・アンド・ドリームス」からの抜粋と、「ハーバー・オブ・ティアーズ」を全曲演奏。
ラティマーの泣きのギターとともに叙情豊かな聴き心地でしっとりと鑑賞できる。
メロディック度・・8 ライブ演奏・・8 叙情度・・9 総合・・8
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CAMEL 「Rajaz」
キャメルの1999年作
コンセプト作だった前2作に比べ、楽曲ごとのメロウな叙情が明快に描かれた好作品。
アンドリュー・ラティマーのメロディックなギターフレーズがたっぷり味わえるインストパートに、
渋みのあるヴォーカルを乗せてじっくりと聴かせるナンバーもあり、まさに大人の叙情ロックというべき聴き心地。
KAYAKでも活躍する、トン・スケルペンツェルの美麗なシンセアレンジも絶品で、随所にチェロの音色なども加わったり、
オーケストラルなアレンジやアラビックな音階を含んだギターメロディなどが、センスよく楽曲を彩ってゆく。
ジャケのイメージ通り、砂漠を行くキャラバンやラクダを思わせるような、味わい深いキャメルサウンドが楽しめる逸品だ。
メロディック度・・8 叙情度・・8 大人の味わい度・・9 総合・・8
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Camel 「The Paris Collection」
イギリスのプログレバンド、キャメルのライブ作品。2001年作
2000年フランスでの公演を収録。シンセに故ギー・ルブラン(Nathan Mahl)を迎えた編成で、
1曲目の“Ice”から、しっとりと美しいシンセアレンジに、アンディ・ラティマーのメロウなギターを乗せた繊細なサウンドが広がる。
2曲目は「MoonMadness」からのナンバーで、ゆったりとした叙情からの軽快なリズムチェンジで、初期キャメルのメロディックな作風が味わえる。
「Rajaz」からのナンバー“Sahara”でのラティマーのギターの卓越した表現力にうっとりしつつ、中盤には「怒りの葡萄」からのナンバーを連ねた、
大人の哀愁と叙情を組曲的に描いてゆく。ラストは大曲“Lady Fantasy”で、往年のファンも大歓喜。新ドラマーのプレイも見事で、
コリン・バースのベースのなにげない存在感もさすが。安定した演奏力で楽しめる好ライブです。
ライブ演奏・・8 大人の叙情度・・8 往年のキャメル度・・8 総合・・8 
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CAMEL 「The Snow Goose」
イギリスのプログレバンド、キャメルの2013年作
ポール・ギャリコの小説「白雁」をテーマにした1975年の傑作を新たにリレーコーディングした作品。
ギターのアンドリュー・ラティマーを中心に、コリン・ベース、デニス・クレメント、シンセには故ギー・ルブランが参加、
当時の作風そのままの作風で空気感も含めて忠実に再現された楽曲は、ファンにはたまらないだろう。
やわらかなフルートの音色にラティマーの泣きのギター、そしてギー・ルブランの美しいシンセワークも
オルガンを含めてかつての雰囲気をしっかりとよみがえらせている。流れるように連なってゆくインストによる小曲は、
優雅な叙情性とともに、物語的な映像を見せてくれるようだ。オリジナルと聴き比べるなどしても楽しめるだろう。
ドラマティック度・・8 優美度・・9 再現度・・9 総合・・8.5
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VA/A TRIBUTE TO CAMEL-HARBOUR OF JOY
イタリアのMELLOWレーベルによるキャメルトリビュートアルバム。
GLASS HAMMER、CAST、FINISTERRE、ZAUBER、CAP他、全20バンドが参加。
イタリアとアメリカのバンドが中心で、いわゆる有名どころはほとんどいない。もともとがメロディアスなだけに、
こうしたマイナー系のシンフォバンドがカヴァーしてもあまり違和感がないのがさすがCAMELといったところ。
耳を惹くテイクとしては、GLASS HAMMERによる“Air born”の美しさ、
FONYAによるシンフォニックなメドレーや、ZAUBERのたおやかなサウンド、
FINISTERREの“Nimrodel”はいかにもイタリアンシンフォ風な仕上がりがよいし、
GALAHADによる大曲“Lady Fantasy”やCAPの“Harbour of Tears”あたりもなかなか。
全体的には出来にバラつきがあるものの、CAMELへの愛情が感じられるトリビュートものだ。
メロディアス度・・8 キャメル愛度・・8 参加バン度・・7 総合・・7
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CAPABILITY BROWN「FROM SCRATCH」
イギリスのプログレバンド、キャパビリティ・ブラウンの1st。1972年作
一般的には「唇にチャック」ジャケが有名な2ndの方が人気のようですが、
本作もブリティッシュロックとしてはなかなか良質のアルバムです。
キャッチーなコーラスワークで聴かせる比較的シンプルなメロディックという趣で、
プログレ風味は薄いですが、いかにも70年代英国の牧歌性でのんびりと楽しめます。
ラストの9分超の大曲は、次作の20分の大曲というほどではないが、なかなかの出来。
メロディアス度・・8 プログレ度・・6 ブリティッシュ度・・8 総合・・7.5
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Capability Brown「Voice」
イギリスのプログレバンド、キャパビリティ・ブラウンの2nd。1973年作
これまでずっと聴きたかったが見つからない、貴重なアルバムであったが2008年に再発。
元HARMONY GLASSのメンバーによるバンドで、ヒプノシスによるジャケがインパクト大。
前半はポップな感触のキャッチーな英国ロックという感じで、正直、悪くはない程度なのだが、
旧B面にあたる20分の大曲は、チェンバロとリュートの音色で始まるクラシカルな雰囲気に
泣きのギターが合わさり、QUEEN風のコーラスにメロトロンまで加わった叙情派プログレの作風。
この曲の存在によってプログレ方面のリスナーにとって、幻の名作的な存在になったのだろう。
メロディアス度・・8 プログレ度・・7 ラストの大曲度・・9 総合・・8
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CAPTAIN BEYOND
DEEP PURPLEのロッド・エヴァンスらによるバンド、キャプテン・ビヨンドの1972年作
のっけから変拍子のリズムで始まる本作は、すべてのテクニカルロックの元祖というべき名盤だ。
今でいうとメタリックなハードなギターと、抜群のリズム、グルーブ感の素晴らしい演奏、
プログレッシブともいうべき複雑な楽曲構成には古くささは微塵も感じない。この細かなリズムアプローチと
部分ごとのキメの連続は、Deep Purpleを上回る緻密さでこの年代のバンドとしては見事という他はない。
むしろ、ロッド・エヴァンスのヴォーカルが一番英国的な雰囲気をただよわせている。
この後メンバーを変えながら1973年、77年に2作を発表するが、いずれも本作ほどのインパクトはなかった。
ドラマティック度・・8 プログレ度・・8 楽曲センス・・9 総合・・9
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Captain Beyond 「Sufficiently Breathless」
キャプテン・ビヨンドの1973年作
テクニカルロックの大傑作であった前作から、ドラムのボビー・コールドウェルが脱退し、
アコースティカルで牧歌的な雰囲気で始まる本作は、賛否両論のアルバムであるが、
じっくりと聴かせるブルージーな渋さと英国らしい叙情が合わさった好作品だと思う。
マイルドなロッド・エヴァンスの歌声とともに、フォークロック的なやわらかさが耳に心地よく、
前作のような強烈なインパクトはないが、むしろ別バンドと思えば普通に楽しめる。
ドラマティック度・・7 プログレ度・・6 英国度・・8 総合・・7.5
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CAPTAIN BEYOND 「LOST & FOUND 1972-1973」
イギリスのハードロック、キャプテン・ピヨンドの2017年作
ロッド・エヴァンス、ボビー・コールドウェル、ラリー・ライノ、リー・ドーマンというオリジナルメンバーによる
1972〜73年にかけての、スタジオで録音されたデモ音源。名作として名高い、1stアルバム収録曲を中心に
幻の未発曲も収録。ライノのギターの生々しさ、巧みなコールドウェルのドラム、そしてロッドの歌声と、
名手たちによる巧みな演奏が楽しめて、単なるデモ以上に完成度は高い。録音状態は曲によって
ややバラつきもあるが、おおむね良好で、現代のマスタリング技術の恩恵を感じさせる。
全29分という短さながら、バンドのファンにはたまらない貴重な発掘音源だろう。
演奏度・・8 音質・・7 貴重音源度・・9 総合・・7.5 
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CARAVAN
イギリスのカンタベリーロックバンド、キャラバンの1st。1968年作
カンタベリーを代表する存在となるこのバンドであるが、本デビュー作の段階では
ジャズロック風味はまだ薄く、むしろオルガン入りのソフトロックという趣のサウンド。
オルガンの歪ませ方も含めて、サイケロック的な雰囲気もあり、方向性の試行錯誤が感じられるが、
一方ではのちの作風にも共通する、やわらかで優雅な叙情という面では、その萌芽は確かに含んでいる。
ラストの9分の大曲などは、年代を考えればかなりプログレ的なサウンドを描いている。
2002年のリマスター盤には、モノラルとステレオの両バージョンが収録されている。
メロディアス度・・8 ジャズロック度・・6 英国度・・8 総合・・7.5
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CARAVAN「If I Could Do It All Over Again I'd Do It All Over You」
イギリスのカンタベリーロックバンド、キャラバンの2nd。1970年作
一般的には次作「グレイとピンクの地」が代表作とされるが、本作も決して劣らない。
カンタベリー的な軽やかさに、デイヴ・シンクレアのオルガンが重なると、
ジャズロックというよりは、ブリティッシュロックとしての湿りけをかもしだす。
牧歌的なヴォーカルメロディで聴かせる素朴な耳心地のよさと、
大曲における軽妙な展開力とテクニックもバランスがよくとれていて、
普通にメロディアスなプログレとして楽しめる。ピアノやフルートの音色も美しい。
メロディアス度・・8 ジャズロック度・・7 英国度・・8 総合・・8
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CARAVAN「In the Land of Grey and Pink」
「グレイとピンクの地」として知られるキャラバンの3rd。1971年作
前作で確立した、いわゆる“カンタベリー系”と呼ばれるサウンドをさらに追求し、
ジャズロックとしてのテクニックと牧歌的な世界観が合わさった軽やかな構築を聴かせる代表作。
ジャズとしてならむしろ次作「ウォータールー・リリー」が、プログレとしてなら「夜ごとに〜」の方が
分かりやすいと思うのだが、本作はそのどちらともいえないカンタベリーな雰囲気、つまりは
素朴な情緒が魅力なのだろうと思う。とくに旧LPのB面すべてを費やした22分の組曲は見事。
デイブ・シンクレア在籍最後のアルバムということで、オリジナルキャラバンが好きな方には一番だろう。
2011年のデラックスエデションは、Disc2に未発曲や別バージヨン、BBCのセッション音源を収録。
DVDにはスティーブン・ウィルソンによる5.1チェンネルミックスを収録していてファンは必聴。
プログレ度・・7 ジャズロック度・・7 カンタベリー度・・9 総合・・8
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CARAVAN「Waterloo Lily」
カンタベリー系を代表するバンド、キャラヴァンの4th。1972年作
前作を最後にデイブ・シンクレアが脱退、代わりにスティーヴ・ミラーが参加し、ジャズ色が強まった作品。
とはいっても軽やかなアンサンブルと、ある種のキャッチーな聴きやすさは健在で、
パイ・ヘイスティングズのギターにリチャード・シンクレアのベースの存在感、
そしてスティーヴの弾くピアノ、オルガンを含めたインスト部分はとても魅力的だ。
10分を超える長曲2曲なども、適度に力みの抜けた音に余裕を感じさせる。
プログレ度・・7 ジャズロック度・・8 軽やか度・・9 総合・・8
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CARAVAN「For Girls Who Grow Plump in the Night」
キャラヴァンの5th。1973年作。邦題は「夜ごと太る女のために」
一般的には、3rd「グレイとピンクの地」が代表作とされているが、メロディの魅力という点では、こちらを最高作にしてもよいと思う。
キャッチーでややポップな歌メロを乗せた軽やかなアンサンブルに、フルートなどのたおやかな叙情性も含んだ、
耳心地の良さで、ときにシンフォニックロック的にも楽しめる。アルバムラストのオーケストラ入りの大曲も素晴らしい。
ジャズロックとしての軽やかさとシンフォニックな美意識で構築された優雅な傑作だ。
メロディアス度・・8 プログレ度・・7 キャッチー度・・8 総合・・8◆プログレ名作選入り
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CARAVAN「Caravan & the New Symphonia」
キャラヴァンのオーケストラとの共演ライブ作。1974作
1974年、ロンドンのシアター・ロイヤルでのステージを収録。
時期的には「夜ごとに太る女のために」が発表された直後で、まさに全盛期のライブ。
ジャズロック風味もある軽やかな楽曲に生のオーケストラが加わり、サウンドにはシンフォニックな味わいと適度な優雅さが感じられる。
かといって、オケが前に出すぎることはなく、あくまでバンドの演奏がメインであるというバランスも見事。
プログレの傑作ライブアルバムというのはもちろんのこと、オーケストラ入りのロックアルバムとして見渡しても間違いなく上位にくる出来だ。
シンフォニック度・・8 ライブ演奏・・8 オケバランス度・・9 総合・・8
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CARAVAN「Live at the Fairfield Halls, 1974」
イギリスのカンタベリーロックバンド、キャラバンのライブアルバム。1974/2002作
1974年のFairfield Halls公演を収録したライブ作で、時期的に「夜ごと太る女のために」からの曲が中心。
音質も良好で、安定したリズムの上に乗るオルガンプレイや、エレクトリック・ヴィオラの音色など、
メロディとアンサンブルのバランスのとれたバンド絶頂期の素晴らしい演奏がたっぷり楽しめる。
テクニックあるインストから、キャッチーな歌ものまで、アルバム以上に魅力的な演奏だ。
メロディアス度・・8 ライブ演奏度・・8 音質・・9 総合・・8.5
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CARAVAN「Cunning Stunts」
キャラヴァンの6th。1975作。邦題は「ロッキン・コンチェルト」
ヒプノシスによるジャケがユニークだが、内容も彼らの代表作のひとつにしてもよい出来だ。
前作からの流れでわりとポップではあるものの、叙情的なギターの旋律に優美なシンセも効いていて、
オーケストラによるアレンジが加わった、美しいシンフォニックな曲にはうっとりとなる。
そして、後半の18分の組曲はリラックスしたメロディで聴かせる、シンフォニック・ポップというべき雰囲気で、
優雅でやわらかなサウンドの中にも、プログレ的な構成力が光っている。
メロディアス度・・8 プログレ度・・7 キャッチー度・・8 総合・・8◆プログレ名作選入り
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Carl Palmer 「PM」
EL&P、ASIAのドラマー、カール・パーマーのソロ。1980年作
カール・パーマー以外はアメリカのミュージャンによって作られたアルバムで、
ポップでキャッチーな歌ものロックという作風ながら、きらびやかなシンセアレンジなどには
のちのASIAを思わせるような雰囲気もある。パーマー自身のドラムについては、わりとオーソドックスにプレイしていて、
ソロというよりはバンドの一員という趣なので、プログレ的には取り立てて聴くべき所は少ない。
TOTOなどに通じる80年代的な産業ロックの雰囲気と、ファンキーな味わいなどが合わさった、ポップな作風であるが、
随所にブルージーなギタープレイや、やわらかなシンセワークなど、ファンには地味に楽しめる好作品ともいえる。
キャッチー度・・8 プログレ度・・5 英国度・・6 総合・・7.5
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Carl Palmer' ELP Legacy「LIVE」
EL&Pのカール・パーマーによるトリビュートライブ作品。2018年作
CDには2014年アメリカ、ニューヨークでのライブ音源を収録。ギターには若手のポール・ビーラトウィッツが、
ベースにはCelestial Fireのサイモン・フィッツパトリックが参加。ジャン-フィリップ・ラモーやワーグナー、バッハなど
クラシック曲のカヴァーで始まり、ホルストの「木星」に続いて、KING CRIMSON「21世紀の精神異常者」、
そして、EL&P「Tarkus」や、THE NICE「America」などを披露。シンセのフレーズを再現するギターの技術は見事で、
ドカドカと手数の多いパーマーのドラムもとてもパワフル。DVDには2016年フロリダでのキース・エマーソン追悼コンサートを収録。
Vanilla Fudge
のマーク・スタインをオルガン&ヴォーカルに迎えての「Karn Evil 9」、女性コーラス隊を加えての「聖地エルサレム」、
トリオで再現する「展覧会の絵」、スティーブ・ハケットがゲスト参加した「庶民のファンファーレ」と、見どころも多い内容です。
ライブ演奏・・8 ELP度・・7 パーマーのドラム度・・9 総合・・8
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Catapilla
ブリティッシュロックバンド、キャタピラの1971年作
二人のサックス奏者に、フルート&クラリネット奏者を含む7人編成で、
ハードな感触のギターにサックスが絡んで、フルートのも音色も含んだクリムゾン的な雰囲気に、
女性ヴォーカルの歌声が加わると、カーヴド・エアを思わせる妖しい聴き心地になる。
紅一点、アンナ嬢の歌声は、野太いパワフルさと、アニー・ハズラム的なやわらかさを同居させていて
B級のヘタウマ感とともにバンドのカラーに似合っている。2ndに比べるとサイケロック的なユルさが強く、
15分、24分という大曲も、フリーキーなおおらかさで押し切る感じが魅力といえるかもしれない。
サイケロック度・・7 プログレ度・・7 女性Vo度・・7 総合・・7.5

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Catapilla「Changes」
ブリティッシュロックバンド、キャタピラの2nd。1972作
変形紙ジャケを広げると、菜っ葉から顔を出したのは芋虫であった。
ジャズロックとサイケの中間のような、ぼやけた浮遊感のあるサウンドで、
けだるげなサックスの音色に女性ヴォーカルの歌声がアンニュイに響く。
ヨレ気味のギターといいスキャットぎみの女性Voといい、つかみ所のない危うさが
魅力といえば魅力か。はっきりとした音楽が好きな方は聴かない方がいいだろう。
ヒッピー気味の気だるげサイケ、ジャズロックとしてまったり聴くのが正解。
ジャズロック度・・7 気だるげ度・・8 女性Vo度・・7 総合・・7.5
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Cirkus「One」
イギリスのプログレバンド、サーカスの1971年作
美しいストリングスをバックにハモンドにメロトロンが鳴り響くという、いかにも英国的なサウンドで、
いわば元気のよいBJHという雰囲気か。曲は3〜5分台と割とコンパクトで、ドラマティックな叙情性と
キャッチーなメロディのバランスがとれていて普通に聴きやすい。随所に美しいストリングアレンジも入ってきて、
繊細な美しさとフォーキーな牧歌性が同居した作風。派手さはないがゆったりと楽しめる好作品だ。
リマスター盤には、ボーナストラック5曲を追加収録。
メロディアス度・・8 プログレ度・・7 英国度・・8 総合・・7.5
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Cirkus 「Page 12」
イギリスのプログレバンド、サーカスの2021年作
1973年に「One」という1作を残し、90年代に一時的に再結成するも解散したバンドが、2017年に復活、本作は復活後3作目となる。
オリジナルメンバーはシンセのみ、フルート、サックス奏者を含む7人編成で、優美なシンセワークにロックなギターを重ね、
やわらかなフルートやサックスが鳴り響く。ジェントルなヴォーカルも加わると、英国らしい牧歌的な叙情に包まれる。
曲によってはいくぶんモダンなアレンジも覗かせつつ、基本は優雅で素朴な味わいで、シンフォニックというよりは
英国的な哀愁の美学を感じさせる。繊細なピアノやフルーの音色、アコースティックギターなどもよい味わいで、
楽曲には派手さはないものの、優雅な大人の英国プログレというような味わい深い好作である。
ドラマティック度・7 プログレ度・7 英国の叙情度・8 総合・8 
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CLAIRE HAMILL「OCTOBER」
英国のフォーク系女性シンガー、クレア・ハミルの2nd。1973作
フォーク系といっても、本格派ではなくポップとフォークの中間的な立ち位置で
プログレ、フォークという垣根を超えてもっと多くに聴かれるべきアーティストである。
どこか可愛らしく、ときに浮遊感のある彼女の歌声は、しっとりとしながら哀愁も感じられ
自身の弾くピアノとともに古き良き英国の香りをかもしだしている。
またアコースティック一辺倒ではなく、プログレ的なメロトロンや美しいストリングスなども入って、
70'sブリティッシュロックのファンにも充分楽しめるだろう。ラストのブギウギ調の曲はなんだが。
英国度・・9 フォーク度・・7 女性Vo度・・8 総合・・8
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Clear Blue Sky
ブリティッシュロックバンド、クリアー・ブルー・スカイの1970年作
当時若干18歳だったという若手のトリオ編成で、ロジャー・ディーンのジャケのイメージよりは
もっと荒々しいサウンドで、時代的に聴けばかなりハードな歪んだギターが鳴り渡る、
奔放なインストハードロックというべき感触。それでいてまったくプログレでないというかというと、
随所にピアノも入ってきたり、サイケなユルさやブルーズな風味なども顔を覗かせる。
未整理の魅力と言おうか、いわば若さゆえの計算されていない荒削り感が面白い好作品。
メロディック度・・7 プログレ度・・7 英国度・・8 総合・・7
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Clear Blue Sky 「Cosmic Crusader」
ブリティッシュロックバンド、クリア・ブルー・スカイの1996年作
1970年に唯一の作品を残して消えたバンドの、じつに26年ぶりとなる復活作。
シンセ奏者に女性ヴォーカルが加わった編成で、オールドスタイルの70'sハードロックに
シンセアレンジを含んだサイケ寄りのスペイシーな浮遊感が加わったというサウンド。
女性ヴォーカルが艶めいた妖しさをかもしだしつつ、ギターはあくまでブルージーという、
なんとなく噛み合わないギャップが面白いというか、微妙というか…煮え切らない感触は
おおらかなB級ハードという言い方がぴったりくる。無駄に長いタイトル曲もいかがなものか。
メロディック度・・7 プログレ度・・6 サイケ&ブルーズ度・・8 総合・・7
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Clear Blue Sky 「Don't Mention Rock 'n' Roll」
ブリティッシュロックバンド、クリア・ブルー・スカイの2013年作
70年代に活動していたバンドが、人知れず1996年に再結成、本作は復活後の4作目となるアルバム。
ブルージーな感触を含んだ古き良きブリティッシュハードは健在で、さらにぐっと大人の渋さが加わったという印象。
味わいのあるギターサウンドはいかにも70年代テイストで、どこかなつかしいような聴き心地。
キャッチーなメロディアス性や女性コーラスなども含んだアレンジも随所にあって、
単に古臭いだけでない叙情的なブリティシュハードロックが楽しめる好作品です。
ドラマティック度・・7 プログレ度・・6 古き良き度・・9 総合・・7.5
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COLOSSEUMValentyne Suite
イギリスのジャズロックバンド、コロシアムの2nd。1969年作
プログレという言葉もなかった60年代に作られた傑作。前半こそ比較的オーソドックスなジャズロックという感じだが、
アルバム後半の17分にも及ぶ“ヴァレンタイン組曲”はやはり素晴らしい。
テクニックのあるメンバーたちによる緊張感のある演奏は、激しいリズム展開の中で、
デイブ・グリーンスレイドのハモンドオルガンが鳴り響くプログレッシブなアプローチに
激しめのギターとサックスが絡んで、ときにNICEばりのクラシカルさも聴かせる。
プログレッシブ・ジャズロックの最初の完成と言うべき作品だ。キーフによる神秘的なジャケも印象深い。
リマスター盤のDisc2には、アメリカ盤デビュー作のために録音された音源などを追加収録。
ドラマティック度・・8 プログレ度・・7 ハモン度・・8 総合・・8
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COLOSSEUM「Daughter of Time」
イギリスのジャズロックバンド、コロシアムの3rd。1970作
前作「ヴァレンタイン組曲」がバンドの代表作として名高いが、本作もひけをとらないばかりか
演奏のテンションの高さに関してはむしろ上回っている。ジョン・ハイズマンの激しいドラムに、
クリス・ファーロウの歌声がかぶさり、デイブ・グリーンスレイドのオルガンが鳴り響き、
吹き鳴らされるサックスなどが一体となった、じつに熱いプログレ・ジャズロックを繰り広げている。
また楽曲におけるドラマティックな構築性はいかにも英国的な雰囲気をかもしだしていて、
単なるジャズロックの枠を超え、ブリティッシュロックとしての普遍的なスケール感も感じさせる。
ドラマティック度・・8 プログレ度・・8 英国度・・8 総合・・8.5
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COLOSSEUM「Live」
イギリスのジャズロックバンド、コロシアムのライブアルバム。1971作
実質的にCOLOSSEUMのラスト作であり、ライブアルバムの名作とされている。
テクニックと重量感のあるドラムに、いかにもプログレ的でクラシカルなオルガンワーク、
やや暑苦しいヴォーカルと、けたたましく鳴り響くサックスという情熱的な演奏は、
いわゆるカンタベリー系のジャズロックバンドとはまったく違う濃密なアプローチ。
即興もまじえた楽曲構成は、アルバムでのドラマティックな構築性とは異なり、
じつにフレキシブルな雰囲気で、あらためてメンバーの演奏力の高さが伺える。
ドラマティック度・・7 テクニカル度・・8 ライブ演奏・・9 総合・・8
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COLOSSEUMU「Strance New Flesh」
イギリスのジャズロックバンド、コロシアムUの1976年作
COLOSSEUM解散後、ジョン・ハイズマンはTempestをへて、新たに本バンドを結成、
当時はまだ無名のギタリストだったゲイリー・ムーアが加入して制作されたこのアルバムは、
ブリティッシュロックの名盤としてのみならず、テクニカルロックの元祖としても名高い傑作だ。
ジョン・ハイズマンの叩きだす強力なリズムに、ドン・エイリーのカラフルなシンセワークが乗り、
ゲイリー・ムーアのハードかつ叙情的なギターが合わさって、プログレッシブな構築性と
ハードロックリスナーも楽しめる重厚さ、そしてメロディが合わさった、まさに奇跡的な均衡をなしている。
じ度・・8 プログレ度・・7 テクニカル度・・8 総合・・8
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COLOSSEUM II 「Electric Savage」
イギリスのジャズロックバンド、コロシアムUの2nd。1977年作
ヴォーカルが抜けて4人編成となったことで、本作ではフュージョン的な整合感が強まっていて、
凄腕メンバーたちの一糸乱れぬ軽妙なアンサンブルが楽しめる。
ゲイリー・ムーア自身はこのような方向性はあまり好んでいなかったようだが、
ロックとジャズを両立させる見事な感性で、巧みなフレーズを聴かせてくれる。
もちろんリズム面ではジョン・ハイズマンのドラムは見事の一言。テクニカルでありながら
しっかりとメンバーのバランスがとれたフュージョン・ジャズロックの高品質作。
メロディアス度・・8 プログレ度・・7 テクニカル度・・8 総合・・8
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COLOSSEUMU「Wardance」
イギリスのジャズロックバンド、コロシアムUの3rd。1977年作
本作も、強力なメンバーたちの演奏が堪能できる傑作。ジョン・ハイズマンのどっしりとしたドラムに、
ドン・エイリーのきらびやかなシンセとゲイリー・ムーアのギターもこれまで以上に軽やかでメロディアス。
かっちりとしたアンサンブルはテクニカルでありつつ、キャッチーな聴き心地を両立させているのも見事。
ジャズロックなのかフュージョンなのか、曲ごとに方向性が若干異なるが、その統一感のなさも含めて
凄腕メンバーたちのバトルを楽しめるという点では、ファンにはたまらないだろう。
本作を最後にゲイリー・ムーアがThin Lizzyに加入するため脱退、バンドは自然消滅となる。
メロディアス度・・8 プログレ度・・7 テクニカル度・・8 総合・・8
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COMUSSong to Comus」
英国のアシッド・フォークロックバンド、コーマスの1st、2ndカップリング盤
1971年の1stは、エキセントリックな女性ヴォーカルに男性ヴォーカル、ヴァイオリンやパーカッションなどが合わさって、
ある種呪術的でハイテンションな異色のフォークロックが繰り広げられる。一方では、女性声の美しさやフルートなどの
アコースティカルな美しさも持ち味で、そこに薄暗い幻想性が重なると、大変個性的な質感が現れる。
1974年の2ndでは、妖しさがやや薄れ全体的に牧歌的な聴きやすさが増す。しっとりとした男女ヴォーカルの歌声と、
夢見心地のやわらかさにブリティッシュロック的な湿りけを含んだフォークロック異形の好作。
メロディアス度・・8 妖しげフォーク度・・10 英国度・・9 総合・・8
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COMUS 「EAST OF SWEDEN」
イギリスのアシッド・フォークバンド、コウマスのライブ作。2011年作
70年代に2作のアルバムを残し、異形のアシッドフォークとして知られるこのバンドが復活。
本作は、G&Voのロジャー・ウートン、Gのグレン・ゴリング、ヴァイオリンのコリン・パーソン、
Bのアンディ・ヘラヴィ、そして女性Voのボビー・ワトソンと、かつてのメンバーによる編成で
2008年のスウェーデン公演を収録したライブ音源。1stの曲が中心で、アコースティカルでありながら、
呪術的な土着性をもったその個性的なサウンドが、長い年月をへて、まさにそのまま甦った。
ヴァイオリンやフルートが鳴り響き、ハイテンションなヴォーカルに美しい女性声が絡んで、
妖しくも魅力的なフォークサウンドを描いてゆく。バンドは2012年に来日も果たすことになる。
ライブテンション・・9 コーマス度・・9 土着度・・8 総合・・8
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Cressida
ブリティッシュロックバンド、クレシダの1st。1970年作
先に2nd「Asylum」を聴いていたが、こちらの1stもなかなかの出来。曲は2〜5分台とコンパクトながら、
ハモンドオルガンを中心としたいかにも英国然とした叙情的なメロディが素晴らしい。
リズムのハネ方はジャズロック的でもあり、マイルドなヴォーカルの歌声も
哀愁をただよわせていてよい感じだ。2ndに比べるとややおとなしめで
小粒な印象ながら、むしろやわらかみのある作風は万人向けかもしれない。
メロディアス度・・8 ハモン度・・8 英国度・・9 総合・・7.5
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Cressida「Asylum」
ブリティッシュロックバンド、クレシダの2nd。1971年作
キーフのジャケが印象的な、ブリティッシュオルガンロックの傑作。
鳴り響くハモンドとともに、ドラマティックに展開する楽曲構造が見事で、
美しいストリングスも加わって盛り上がる部分は繊細にして壮麗だ。
またオルガンだけでなく、泣きのメロディやときにブルージーなフレーズもこなす
ギターもなかなか魅力的で、サウンドに厚みと奥深さを巧みに作り出している。
オルガンロック云々というよりもブリティッシュロックの傑作と呼べるだけの内容だ。
メロディアス度・・8 ハモン度・・9 英国度・・9 総合・・8 ◆プログレ名作選入り
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Cressida「Trapped in Time」
ブリティッシュロックバンド、クレシダの未発音源集。2012年作
オルガンロックの名バンドとして、1970年、71年に2作を残したこのバンドのデビュー前
1969年のデモ音源のCD化。いくぶんサイケがかった英国ロックの初期のおおらかさを含みつつ、
やわらかなオルガンの鳴るサウンドは、まさにクレシダのプロトタイプという雰囲気で
音質的にはけっこう古めかしさはあるものの、ファンならば充分楽しめるだろう。
ドラマティック度・・7 英国度・・8 オルガン度・・8 総合・・7.5
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CRRIS SQUIRE「Fish out of Water」
YESのベーシスト、クリス・スクワイアのアルバム。1975作
ビル・ブラッフォード、パトリック・モラーツらが参加しており、サウンド的にもほとんどYesの延長上の作品という感じになっている。
やたら大きなベースの音は、本人のソロなのだからまあ仕方ないが、自身のヴォーカルも、どことなくジョン・アンダースンっぽい。
ギターが入っていない分、ロックというよりは、オーケストラの美しさや、シンセワークなどで聴かせる優雅さが前に出ている。
シンフォニック度・・8 プログレ度・・7 Yes度・・9 総合・・8
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CURVED AIR 「AIR CONDITIONING」
ブリティッシュロックバンド、カーヴド・エアの1970年作
女性シンガー、ソーニャ・クリスティーナを擁し、ヴァイオリンをロックに大胆に取り入れた最初のバンドともされる。
サウンドの方は、まだプログレというよりはサイケロック的な浮遊感をともなったアートロックという趣で、
艶めいたソーニャの歌声が魔女めいた幻想的な雰囲気を醸しだし、ダリル・ウェイのヴァイオリンが優雅に鳴り響く。
音質や楽曲の完成度はのちの作品には及ばないが、ヴァイオリン入りの女性声サイケという点ではなかなか楽しめる。
ドラマティック度・・7 プログレ度・・7 女性Vo度・・8 総合・・7.5
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CURVED AIR「PHANTASMAGORIA」
イギリスのプログレバンド、カーヴド・エアの3rd。1972年作
歌姫ソーニャ・クリスティーナを要するバンドで、一般的に最高作と言われるアルバム。
プログレというよりサイケロック気味のギターなどが以前はあまり気に入らなかったのだが、
サイケやフォークも聴くようになり、ヘタウマの良さも理解できる今あらためて聴くとこれが悪くない。
彼らの良さは英国フォーク色にサイケロック風味を加え、そこに女性ヴォーカルを乗せた
独特の浮遊感とやわらかな質感にあるので、構築的な完成度は求めてはいけないのだ。
フルートやヴァイオリンの音色も美しく、幻想性を感じさせるゆるやかな音で聴かせるアルバムだ。
メロディアス度・・8 ふんわりゆるやか度・・8 女性Vo度・・7 総合・・7.5
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CURVED AIR「AIR CUT」
イギリスのプログレバンド、カーヴド・エアの4th。1973作
いったんバンドを離れたダリル・ウェイに代わり、若き日のエディ・ジョブソンが参加。
サウンドは初期の頃に比べるとずいぶんすっきりと整理されてきていて
軽やかで優雅な演奏に乗るソーニャー・クリスティーナの歌声が美しい。
エディの艶やかなピアノはやはり素晴らしく、またヴァイオリンの方もダリルに負けじと
テクニカルに弾きまくっていて、このアルバムをクラシカルに彩っている。
前作「ファンタスマゴリア」とともにバンドの代表作と呼ぶにふさわしい出来だ。
メロディアス度・・8 クラシカル度・・8 女性Vo度・・7 総合・・8 ◆プログレ名作選入り
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CURVED AIR「LIVE」
イギリスのプログレバンド、カーヴド・エアのライブアルバム。1975作
選曲は1st、2ndの曲を3曲ずつに、3rdから1曲という構成。力強くシャウトするソーニャ・クリスティーナの歌声に、
ダリル・ウェイのヴァイオリンも艶やかで、アルバム以上にダイナミックな演奏を聴かせてくれる。
サイケ寄りの地味なイメージだった1st「Air Conditioning」からの曲も、ここで聴く方がむしろノリの良さが分かる。
やわらかなオルガンにかぶさるヴァイオリンにうっとり。当時のバンドとしての熱さが伝わってくる、出来のよいライブアルバムだ。
メロディアス度・・8 プログレ度・・7 アルバムより激しい度・・9 総合・・8
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CURVED AIR 「MASTERS FROM THE VAULTS」
イギリスのプログレバンド、カーブド・エアのライブアルバム。2003作
1972年のBBCのTV音源から4曲、計28分を収録。同タイトルのDVDも有り。
年代を考えれば音質も良好で、歌姫ソーニャ・クリスティーナの歌唱とともに、スタジオ盤に以上にハードでブルージーな演奏が聴ける。
PCで再生可能な同ライブ映像も収録していて、美しきソーニャのお姿や、大曲“Vivaldi”でのダリル・ウェイのヴァイオリンのキレっぷりなども必見。
メロディアス度・・7 プログレ度・・7 貴重度・・9 総合・・7.5

CURVED AIR「reborn」
英国のプログレバンド、カーヴド・エアの復活作。2008作
70年代に歌姫ソーニャ・クリスティーナを擁したクラシカルなヴァイオリンロックでを聴かせたこのバンドがまさかの復活。
新曲の3曲以外はすべて過去のリメイク曲であるが、なかなかモダンにアレンジされており、
ダリル・ウェイのヴァイオリンに乗るソーニャの歌声を再び聴けるというだけでも、
ファンには感涙ものだろう。3rd「Phantasmagoria」あたりからのナンバーはやはり美しく、
たとえばRENAISSANCEの優雅さとは別の、英国クラシカルロックを堪能できる。
メロディアス度・・8 プログレ度・・7 往年度・・8 総合・・8
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CURVED AIR 「NORTH STAR」
イギリスのプログレバンド、カーヴド・エアの2014年作
1970年デビューのベテラン。スタジオ作としては、2008年以来、7年ぶりの作品で、
ヴァイオリンとシンセに新メンバーを迎えた新編成で、艶やかなヴァイオリンにエレピを含むシンセを重ね、
傑作「AIR CUT」時代のメンバーである、カービィ・グレゴリーによるオールドな味わいのギターと、
ソーニャ・クリスティーナの妖艶な歌声を乗せた、70年代のスタイルをしっかりと受け継いだサウンドを聴かせる。
オールドロックにクラシカルな優雅さを加えた作風は、新鮮味はないものの、ほのかにただよう浮遊感とともに、
ゆったりとした大人の叙情で楽しめる。前作「Reborn」がリメイク中心であったので、新曲によるアルバムとしては、
1976年作「Airborne」以来、じつに38年ぶりとなる。バンドのファンには嬉しい復活作であるだろう。
ドラマティック度・・7 プログレ度・・7 オールドロック度・・8 総合・・8 
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Curved Air 「Tapestry of Propositions」
イギリスのプログレバンド、カーヴド・エアの2016年作
1970年デビューの大ベテラン。2008年に復活してからは、メンバーチェンジをへて旺盛にツアーをこなすなど活動を続けている。
本作は2012〜2014年のツアーの中から、1st収録のナンバー「Propositions」の即興パートを集めたという
変則的なライブ作品になっている。ソーニャ・クリスティーナのハスキーな歌声が乗るのは冒頭とラスト曲のみで、
あとは演奏陣によるインプロヴィゼーションになっていて、鳴り響くヴァイオリンにシンセとギターが重なり、
ブルージーでサイケでクラシカルという、フリーキーで躍動的な演奏を繰り広げている。ややラウドな音質も
むしろ生々しいライブ感になっていて、ドカドカとしたドラムをはじめ、アッパーなサイケロックとしても楽しめる。
60分強のインストは、コアなファンでないとついていけないかもしれないが、これもバンドの側面を表す作品である。
ライブ演奏・・8 サイケ度・・8 即興度・・9 総合・・7.5 
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Curved Air 「The Curved Air Family Album」
イギリスのプログレバンド、カーヴド・エアの2019年作
本作はバンドの歴史を紐解くように、ダリル・ウェイやソーニャ・クリスティーナをはじめとする歴代メンバーのソロや、
バンド音源に未発表曲8曲を含む、全26曲を2CDに収録した、まさにカーヴド・エア・ファミリーの作品集となっている。
バンドの曲はもちろん、ダリル・ウェイのモダンでキャッチーなソロ曲やフランシス・モンクマンによるクラシカルなチェンバロの独奏、
2008年作「Reborn」収録曲のオーケストラバージョンなども聴きどころ。Disc2では、ロバート・ノートンによる優美なピアノ曲や、
ソーニャの美しい歌声を乗せたアンビエントなナンバー、RFK名義の13分におよぶインプロ的なインストナンバーなども味があり、
クラシックやサイケなどの要素と、それぞれのメンバーのセンスや個性が持ち寄られたバンドであったことが、改めて窺い知れる。
ラスト曲のYESのカヴァー曲もじつに優雅で美しい。バンドの歴史とメンバーたちの変遷が俯瞰できるファンには嬉しい内容だろう。
バンドの歴史度・・9 プログレ度・・7 楽曲多様度・・9 総合・・8
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Curved Air 「Alive 1990」
イギリスのプログレバンド、カーヴド・エアのライブ。2019年作
デビュー、20周年記念となる、1990年の英国、ロンドンでのライブを収録。ダリル・ウェイを含む往年のメンバ―編成で、
1970年のデビュー作「AIR CONDITIONING」から、1972年作「PHANTASMAGORIA」まで、初期3作からのセットリスト。
1曲目のイントロ曲はモノラル音質で、ブートかと思いきや、2曲目すぐからステレオの音質になるのでご安心を。
艶やかなヴァイオリンをギターに重ね、ソーニャ・クリスティーナの妖艶な歌声が乗ると、そこはカーヴド・エアの世界観。
サイケとロックに女性声の妖しさを加えたという独自のサウンドには、70年代の瑞々しさから時を重ねた大人の味わいも加わっていて、
ソーニャの歌声も、いくぶん年季が入った感じになっているが、ダリルの奏でる優雅なヴァイオリンの音色は変わらず素晴らしい。
ライブ演奏・8 音質・7 優雅度・8 総合・7.5 過去作のレビューはこちら
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Curved Air 「Live at Under the Bridge: The 45th Anniversary Concert」
イギリスのプログレバンド、カーヴド・エアのライブ。2019年作
デビュー40周年を記念した、2015年イギリス、ロンドンでのライブを2CDに収録。
Disc1は、2014年作「NORTH STAR」からのナンバーを中心にしたセットで、優美なシンセに艶やかなヴァイオリン、
ソーニャ・クリスティーナの熟女風ヴォーカルを乗せ、キャッチーな優雅さとともに、軽妙な展開力で聴かせる。
随所にメロウなギターの旋律と、オルガンを含むシンセワークも効いていて、演奏面では往年以上の出来である。
Disc2では、ダリル・ウェイをゲストに迎えて、1970年作「AIR CONDITIONING」全曲を含むセットを披露。
ツインヴァイオリンで再現される初期ナンバーは優雅な味わいで、オールドファンにも嬉しい好ライブ作である。
ライブ演奏・8 音質・8 優雅度・8 総合・8
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CZAR
ブリティッシュロックバンド、ツァールの1970年作
メロトロン、オルガンがたっぷり鳴り響き、ブルージーなギターとともに英国らしい湿りけある叙情をかもしだすサウンド。
初期BLACK SABBATH的でもある妖しい薄暗さと、アンダーグラウンドな雰囲気に包まれながら、
美しい鳴り響くメロトロンにハモンドオルガン、そしてクラシカルなハープシコードが美しく、
ときにギター以上にキーボードが目立っていることもあって、いかにもプログレリスナー向きだ。
70年台初頭の英国ロックシーンの器の大きさを示す、ディープでマニアックな逸品といえる。
メロトロンとハモン度・・8 プログレ度・・7 英国度・・9 総合・・8
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Darryl Ways WolfCanis Lupis」
CURVED AIRを脱退したダリル・ウェイ率いる、ウルフの1st。1973作
本作はイアン・マクドナルドがプロデュースしたということで3作中では一番叙情的な作品。
軽やかなリズムにジャズロック風味のピアノと艶やかなヴァイオリンの音色がかぶさり、
キッャチーな歌メロとともに、ジョン・エスリッジのメロディアスなギターも光っている。
完成度では、次作「飽和点」のテクニカルなサウンドに軍配があがるが、
英国的なプログレとしては、やはり本作も捨てがたい好作である。
メロディアス度・・8 プログレ度・・8 ジャズロック度・・7 総合・・7.5
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DARRYL WAY'S WOLF「SATURATION POINT」
CURVED AIRを脱退したダリル・ウェイのバンド、ウルフの2nd。1973年作
前作「Canis-Lupus」よりさらにインスト重視で、テクニカル性が目立った作風。
のっけから炸裂するウェイの艶やかなヴァイオリンがサウンドを支配する。
叙情よりも押しの強さで勝負に出たアルバムという印象である。
こうなると2曲のみのヴォーカル曲もかえってコントラストになっていて、
1stで指摘されたVoの弱さ云々もここではさほど気にならない。傑作です。
メロディアス度・・8 アグレッシブ度・・8 ヴァイオリン度・・8 総合・・8
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DARRYL WAYS WOLF「Night Music」
Curved Airダリル・ウェイ率いるバンド、ウルフの3rd。1974作
邦題は「群狼の夜の歌」。前作「飽和点」はテクニカルにたたみかける内容の濃さで
バンドの最高作というべき出来であったが、この3作目はそれよりはやや落ち着いた印象で、
叙情性と硬質感のバランスがとれていることから、1stと2ndの中間といった感じだろうか。
ジャズロック的なアンサンブルと、古き良きブリティッシュロックのテイストがブレンドされ
適度な緊張感とともにヴァイオリン、シンセによるプログレ的な掛け合いが楽しめる。
メロディアス度・・7 プログレ度・・8 ジャズロック度・・7 総合・・7.5
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Dave Stewart & Barbara Gaskin 「Broken Records - The Singles」
デイヴ・スチュワート & バーバラ・ガスキンの1987年作
シングル6枚をまとめた作品で、前半にシングルA面のカヴァー曲、後半にB面のオリジナル曲という構成。
いかにも80年代的なビート感と、バーバラのキュートな歌声とともに聴かせるサウンドは、
もはやプログレやフォーク出身とは思えぬようなお洒落なポップ性に包まれている。
さまざまな経験から培っただろうデイヴのシンセアレンジは、素晴らしく完成度が高く、
玄人好みの大人のポップロックとして、一般のリスナーでも普通に楽しめるだろう。
2010年再発盤にはボーナスとして12インチEPから3曲、未発曲1曲を追加収録。
キャッチー度・・9 プログレ度・・6 女性Vo度・・8 総合・・8
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Dave Stewart & Barbara Gaskin「As Far As Dreams Can Go」
デイヴ・スチュワート & バーバラ・ガスキンの1988年作
アメリカ盤「Up From the Dark」に収録の日本未発表7曲と、86年のシングル「Locomotion」を含む全9曲入り編集アルバム。
リトル・エヴァの“The Locomotion”のカヴァーをはじめ、お洒落なポップセンスを巧みなアレンジで聴かせ、
どこかアンニュイなバーバラの歌声が耳に優しい。他にもテンプテーションズ“I'm Losing You”、
XTC“Roads Girdle The Globe”、ハニーバス“(Do I Figure)In Your Life”
などのカヴァーも収録。
2010年盤ボーナスには“The Locomotion”のシングルミックスと、2010年のリメイク曲を2曲追加収録。
プログレ度・・7 お洒落でアンニュイ度・・9 女性Vo度・・8 総合・・8
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Dave Stewart & Barbara Gaskin「The Big Idea」
デイヴ・スチュワート & バーバラ・ガスキンの1990年作
本作は10曲中の4曲がカヴァー、オリジナル曲が6曲という構成で、
サウンドはモダンでポップでありながら、随所にプログレらしさも感じられる。
バーバラの美しい歌声に、センスのあるデイヴのシンセワークも絶妙で、
ときにゴージャスに、ときにしっとりとやわらかにサウンドを彩っている。
フィメールポップとしても、ポップなプログレとしても楽しめる高品質な作品だ。
メロディック度・・8 プログレ度・・7 女性Vo度・・8 総合・・8
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Dave Stewart & Barbara Gaskin 「Spin」
デイヴ・スチュワート & バーバラ・ガスキンの1991年作
本作も10曲中の4曲がカヴァー、オリジナル曲が6曲という構成で、
これまで以上に60年代ポップスを意識したようなアレンジで聴かせる作風。
バーバラのヴォーカルもどこか古めかしい大衆性をかもしだしていて
モダンなデジタル要素や随所にロック的なギターを取り入れつつ、
あくまだ確信犯的なポップ性に包まれた、お洒落なサウンドが味わえる。
ポップ度・・8 プログレ度・・6 女性Vo度・・8 総合・・8
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Dave Stewart & Barbara Gaskin「Green and Blue」
英国カンタベリーシーンを代表する、デイヴ・スチュワート & バーバラ・ガスキンの2009年作
1991年「Spin」以来約18年振りとなる作品で、サウンドの方はポップな味わいのある歌ものながら、
デイヴのきらびやかなシンセワークと、大人の女性の魅力あるバーバラの歌声で、
耳心地のよいシンプルさの中にも奥深いアレンジと洒落たセンスを感じ取れる。
メロディアス度・・8 プログレ度・・7 女性Vo度・・8 総合・・8
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DAVID CROSS 「MEMOS FROM PURGATORY」
イギリスのミュージシャン、デヴィッド・クロスの1989年作/邦題「忘備録」
KING CRIMSONに参加したヴァイオリン奏者として知られる、ソロとしての1作目。
SF作家、ハーラン・エリスンの作品にインスパイアされたというコンセプト作品で、
わりとストレートなリズムの上に、シンセとサックス、艶やかなヴァイオリンが響き渡る。
80年代的なモダンなビート感と、どこか映画サントラ的なミステリアスな雰囲気が合わさり、
ときに優雅に、ときに不穏に鳴り響く、クロスのヴァイオリンがたっぷりと味わえる。
プログレ的な感触はあまりないが、フュージョン風味のヴァイオリン入りミュージツクというような好作。
ドラマティック度・・7 プログレ度・・6 ヴァイオリン度・・8 総合・・7.5
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David Cross 「Testing to Destruction」
イギリスのミュージシャン、デヴィッド・クロスの1994年作/邦題「破滅への試行 」
KING CRIMSONに参加したヴァイオリン奏者として知られる、ソロとしての3作目。
うねるようなベースにハードなギター、艶やかなヴァイオリンを乗せたアンサンブルに、
きらびやかシンセを加えたサウンドは、90年代型のモダンプログレというべき聴き心地。
第四期クリムゾンと時期的にかぶることもあって、どうしても比べてしまう作風だが、
ヴァイオリンを含む音のカラフルさや、アーティスティックなアヴァンギャルド性に、
キャッチーなナンバーなども含めた楽曲ごとの味わいでは、こちらをとる人もいるかもしれない。
味わいのあるヴォーカルもなかなか魅力的で、クリムゾン好きの方なら外せない力作でしょう。
ドラマティック度・・8 プログレ度・・8 クリムゾン度・・8 総合・・8 
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David Cross 「Exiles」
イギリスのミュージシャン、デヴィッド・クロスの1997年作
KING CRIMSONに参加したヴァイオリン奏者として知られるミュージシャン、ソロとしての4作目。
ロバート・フリップ、ジョン・ウェットン、ピーター・ハミル、ポール・クラークなどのメンバーが参加、
モダンなシンセアレンジにロックなギターを重ね、艶やかなヴァイオリンが鳴り響くサウンドは、
キャッチーなスタイリッシュ性と、かつてのクリムゾン的な雰囲気が同居したという作風。
随所にメロディックなギターなど、自身のヴァイオリンのみではなく、楽曲性を重視した作風で、
いかにもクリムゾン風のナンバーをはさみながら、ファンの求めるスタイルで仕上げられた力作だ。
ドラマティック度・・7 プログレ度・・7 クリムゾン度・・8 総合・・8 過去作のレビューはこちら
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David Cross / Robert Fripp「Starless Starlight」
KING CRIMSONのロバート・フリップとデヴィッド・クロスによるプロジェクト。2015年作
クリムゾンの名曲「スターレス」を拡大解釈し、アンビエントスタイルで表現したという作品で、
艶やかなヴァイオリンの音色が鳴り響き、それをランドスケープ的なシンセ、シーケンサーで包み込んだという作風。
8つの楽曲からなる組曲方式で、随所にスターレスからのフレーズを散りばめつつ、クロスの優雅なヴァイオリンが、
即興的な解放感とともに奏でられてゆく。ロック色はないので、プログレを期待して聴くと、いささか退屈かもしれないが、
クラシック/アンビエントのサイドからのクリムゾンへのアプローチとしてはとても楽しめるし、
なによりクロスのヴァイオリンをたっぷりと鑑賞できるので、ファンならば一聴の価値ありだ。
スターレス度・・9 プログレ度・・7 ヴァイオリン度・・10 総合・・8
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David Cross Band「Sign of the Crow」
元KING CRIMSONのヴァイオリニストとして知られるデヴィッド・クロス率いるバンドの2016年作
のっけからヘヴィなギターリフを乗せたテクニカルメタル風のサウンドでやや面食らうが、
ヴァイオリンが加わった音の厚みと、ヴォーカルを乗せたキャッチーなモダンさに包まれた
ダークなハードプログレが広がってゆく。現FROST*のドラムが叩き出すソリッドなリズムも含めて、
ときにDREAM THEATERなどにも通じるプログレメタル感触も含んだ、若いリスナーにも対応した聴き心地。
泣きのギターにヴァイオリンが重なる英国らしい叙情ナンバーもあり、モダンでヘヴィ寄りの作風の中に、
デヴィッドが描くクラシカルな美意識が見え隠れする。ハイブリッドなスタイルで作り込まれた力作だ。
ドラマティック度・・8 プログレ度・・7 モダン&ハー度・・8 総合・・8
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DAVID CROSS 「CROSSING THE TRACKS」
イギリスのミュージシャン、デヴィッド・クロスの2018年作
故Ofra Hazaをはじめ。元INVISIBLE LIMITSのMarion Kuchenmeister、ONE-EYED DOLLのKimberly Freeman、
PERSEFONEのSonja Kraushofer、元SKELETAL FAMILYのAnne-Marie Hurstといった女性シンガーを迎えての作品で、
アラビックな旋律を含む異国的なサウンドに、ヴァイオリンが鳴り響き、女性ヴォーカルを乗せて、ゆったりと優雅に聴かせる。
インスト曲と歌入りナンバーを交互に配していて、女性声の優美な歌声に、ヴァイオリンの旋律もじっくりと味わえて、
プログレ感触はあまりないものの、ときにゴシック風味も感じさせる耽美で幻想的な世界観がよいですね。
ドラマティック度・・7 プログレ度・・7 ヴァイオリン&女性声度・・8 総合・・7.5
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David Cross & Peter Banks 「Crossover 」
KING CRIMSONのヴァイオリニスト、デヴィッド・クロスと、YESの初代ギタリスト、故ピーター・バンクスのユニット。2020年作
2010年の二人のセッション音源を元にした作品で、元BRAM STORKER/ESPのトニー・ロウとの共同プロデュース、
トニー・ケイ、ジェフ・ダウンズ、ビリー・シャーウッドをはじめとしたYes関連メンバーや、オリヴァー・ウェイクマン、
KING CRIMSONのパット・マステロットなどが参加、優美なヴァイオリンにうっすらとしたシンセとギターを重ねて、
クリムゾン的でもあるスリリングなアンサンブルとともに、大人の叙情に包まれたサウンドを描く。
ピーター・バンクスのギターは決して前に出すぎず、メロウなフレーズとリフを使い分けていて、イエスというよりは
むしろクリムゾンっぽい。美麗なシンセをバックにヴァイオリンが鳴り響く優美なナンバーなども耳心地よい。
ドラマティック度・・7 プログレ度・・7 優美度・・8 総合・・8 

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David Gilmour 「Rattle That Lock」
PINK FLOYDのギタリスト、デイヴィッド・ギルモアの2015年作
フロイド名義での「The Endless River」にてギルモア健在を見せつけ、ソロとしては6年ぶりとなる本作が登場。
メロウなギターと美しいシンセによるしっとりとしたナンバーから、アダルトなポップ性が混在した作風で、
ギルモア自身の枯れた味わいの歌声も含めた、大人の叙情ロックが楽しめる。プログレ的に聴くにはやや厳しいが、
やわらかなギターの旋律はもちろん、オルガンなども加わった曲では、いくぶんフロイド的な雰囲気も垣間見え、
ストリングスアレンジも入った美しいナンバーもあったりと、ファンならばじっくり鑑賞できるだろう。
フィル・マンザネラをはじめ、ロバート・ワイアット、ロジャー・イーノなどがゲスト参加している。
ドラマティック度・・7 プログレ・・7 大人の渋さ度・・8 総合・・8
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DECAMERON「Mammoth Special」
イギリスのフォークロック、デカメロンの1974年作
アコースティックギターとエレキギターを重ね、ヴァイオリンやチェロも鳴り響く、牧歌的なフォークロック。
シンセにストリングスが重なった優美な味わいは、Barclay James Harvestなどに通じるところもあり、
エレキギターやドラムを使っているので、素朴なブリテイッシュロックとしてもわりと普通に楽しめる。
反面、フォークとしての土着的な部分は薄めなので、さらりと聴ける分、物足りなさもあるのだが
ゆったりとしたやわらかな英国フォークロックを味わえる好作品だ。
フォーク度・・7 素朴度・・8 英国度・・8 総合・・7.5
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DEEP FEELING
ブリティッシュロックバンド、ディープ・フィーリングの1971作
長く廃盤となっていた作品だが、韓国盤での紙ジャケ500枚プレスで再発。
オルガンやメロトロンが鳴る、いかにも70'sブリティッシュスタイルのサウンドながら、
このバンドの音は暗さよりもキャッチーな歌メロやコーラスが適度にスタイリッシュで、
アンダーグラウンドな雰囲気はあまり感じない。リズム面も含めて演奏力もしっかりしていて
クラシカルな叙情にも古くささはあまりない。MOODY BLUSEあたりと同じ感覚で聴ける好作です。
メロディアス度・・8 プログレ度・・7 英国度・・8 総合・・7.5
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Deep PurpleThe Book of Taliesyn
ブリティッシュロックバンド、ディープ・パープルの1968年作/邦題「詩人タリエシンの世界」
言わずと知れた英国ハードロックの元祖的な大御所バンドであるが、
この第一期のサウンドは、おおらかなアートロックというべきもので、オルガンが鳴り響き、
エフェクトのかかったヴォーカルとともにサイケ気味の浮遊感も感じさせる作風だ。
随所に感じさせるクラシカルな感触は、ときにプログレ的な香りも感じさせ、
ラストの10分を超える壮大な大曲も含めて、HRファンよりもむしろそちら向けかもしれない。
ドラマティック度・・7 アートロック度・・8 英国度・・8 総合・・7.5
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Deep Purple
ブリティッシュロックバンド、ディープ・パープルの1969年作
第一期メンバーによるラスト作で、日本盤では「III」のタイトルがつけられている。
ジョン・ロード主導のもとで、本作ではさらに全体が統一感のある気配に包まれていて、
いくぶん薄暗さのともなったアートロックが楽しめる。優雅なチェンバロの音色に、やわらかなオルガンの響き、
サイケやブルーズなどの質感も含みながら、しっかりとロックとしての躍動感と、売れセンを狙わない、
バンドとしての硬派なビジョンが伝わってくる。ラストの12分の大曲はクラシカルかつプログレ的な構築センスが見事。
ドラマティック度・・8 アートロック度・・8 英国度・・8 総合・・8
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Diamond Lil
イギリスのハードロック、ダイアモンド・リルの2013年作
70年代に活動していたバンドの1976〜78年にかけて録音された発掘音源で、
ブルージーなギターに、女性ヴォーカルの歌声で聴かせる、キャッチーなロックサウンド。
ハードロックというほどにはヘヴィさはないのだが、NWOBHMのムーブメントへとつながる、
その一歩手前というような、おおらかな70年代の香りが漂ってくる聴き心地である。
ヘタウマな感じの女性ヴォーカルも含めてマイナー臭さがよい味わいにもなっている。
ドラマティック度・・7 古き良き度・・8 女性Vo度・・7 総合・・7
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DRUID 「Toward the Sun」
イギリスのプログレバンド、ドゥルイドの1975年作
ジャケの美しさが印象的な本作は、YESフォロワータイプの好作として知られるアルバムだ。
やわらかなオルガンの音色と、適度にハードエッジなギターとともに、巧みなインストパートを構築、
ピアノとともに中性的な優しいヴォーカルの歌声が加わると、とたんに繊細な感触に包まれる。
随所に聴かせる叙情的なギターメロディとシンフォニックなシンセワークもなかなか見事で、
英国らしい牧歌性も含めて、いわば、イエスをより繊細に仕上げたというようなに耳心地のよいサウンドである。
ラストの2曲はいずれも10分を超える大曲で、美しくドラマティック。バンドは1977年に2作目を出したのちに消滅する。
メロディック度・・8 叙情度・・8 繊細度・・9 総合・・8
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Dr.Z「Three Parts To My Soul」Three Parts to My Soul
ブリティッシュロックバンド、ドクターZの1971作
ヴァーティゴレーベル随一のレアアイテムとされ、そのバンド名などからも
謎の多き1枚とされてきた本作であるが、観音開きの紙ジャケで見事に復刻。
クラシカルなチェンバロの音色と、ダミ声Voにドカドカのドラムが合わさって、
優雅なんだけどけたたましいという…なんだか不思議な感触のサウンドだ。
人の持つ魂をテーマにしているということで、内省的で神秘的な雰囲気があり、
サイケロック風の大仰さやどことなく未完成な感じには、聴くごとに引き込まれる。
このマニアックさは、ある意味ブリティッシュロックの奥深さを表した作品ともいえるかと。
クラシカル度・・8 サイケ度・・8 マニアック度・・9 総合・・7.5
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DUNCAN MACKAY「CHIMERA」
当時南アフリカに住んでおり、後に10ccに加入するシンセ奏者、ダンカン・マカーイの1974作
サウンドはNICEELPを思わせるクラシカルなキーボードロックで、
やわらかなオルガンの響きやムーグシンセの音色に、ジャズ風味のピアノも絡んでくる。
メロディアスな歌メロのおかげで、あまりマニアックさは感じさせないのもいい。
やわらかに鳴り響くハモンドなどはやはりブリティッシュロックの質感で聴け、
大曲3曲の構成もキーボードプログレ好きならにんまりとするだろう完成度だ。
ようやく2009年に正規盤でCD化された。音もよくなってボーナスも収録。
クラシカル度・・8 プログレ度・・8 キーボー度・・9 総合・・8
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Duncan Mackcay 「Score」
英国出身、南アフリカでも活動したキーボード奏者、ダンカン・マッケイの1977年作
Cockney Rebel10CCCAMELなどに参加したことでも知られ、1974年作「Chimera」に続く2作目のアルバム。
本作は英国に戻り、コックニー・レベルに参加していた時期の作品で、プロデューサーにはジョン・ウェットンを迎えての意欲作。
のっけからオーケストラアレンジを加えてのシンフォニックなナンバーで、優雅なクラシカル性に包まれたサウンドが広がる。
きらびやかなシンセワークによる鍵盤プログレとしての側面と、マニアックすぎないキャッチーなやわらかさが合わさって、
同時期の英国シンフォニックロックとしては、Mandalabandの2ndにも通じる感触がある。一方ではオルガン&ピアノを弾きならす、
EL&P的なナンバーもあり、ムーグシンセも使用したタイトル曲は、これぞキーボードプログレというスリリングな聴き心地だ。
ゲスト参加のメル・コリンズのフルートや、ジョン・ウェットンが歌うヴォーカル曲も味わいがある。この隠れた傑作が2016年ついにCD化!
クラシカル度・・8 プログレ度・・7 優雅度・・9 総合・・8
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Duncan Mackay 「Kintsugi」
英国出身のミュージシンャン、ダンカン・マッケイの2019年作
1974年作「Chimera」、1977年作「Score」はクラシカルなシンフォニック・プログレの名作であったが、
純粋なソロ名義としては「A PICTURE OF SOUND」(1992年録音)以来となる作品。
サウンドはオルガンを含むシンセの多重録音を中心にした、デジタリィなシンセミュージックで、
打ち込みによるリズム入るもののロック色は希薄。ときおり女性ヴォーカルも加わって、
アンビエントポップ的な感触もあったり、Klaus Schulzeあたりに接近したような雰囲気も。
3〜4分前後の小曲主体で、プログレとして聴くにはやや物足りなさもあるが、ファンならばどうぞ。
クラシカル度・・8 プログレ度・・7 キーボー度・・8 総合・・7.5 
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Eclection
イギリスのフォークロック、エクレクションの1968年作
後にFOTHERINGAY、FAIRPORT CONVENTIONに参加するトレヴァー・ルーカスとジェリー・コンウェイによるバンドで、
唯一の作品がリマスターで再発された。12弦ギターのつまびきにストリングスアレンジを重ね、男女ヴォーカルの歌声とともに、
牧歌的なフォークロックを聴かせる。ドラムやエレキギター、オルガンなども加わったわりとロック寄りの感触は、
のちのSPRIGUNSなどにも通じる雰囲気で、オーストラリア人の女性シンガー、Kerrilee嬢のやわらかな歌声も魅力的。
牧歌的でキャッチーなポップ性とともに、ときにRenaissanceにも通じるような優美なクラシカル性も感じさせる。
曲によってはブラスも入ったり、オーケストラルなアレンジも含めて厚みのあるサウンドが優雅なフォークロックの逸品。
アコースティック度・7 ロック度・7 英国度・8 総合・8
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Eddie Jobson 「Live」
イギリスのミュージシャン、エディ・ジョブソンのライブ作品。2020年作
エディ率いるU-Z Projectのポーランド、ロシア、アメリカ、日本での公演からセレクトされた音源で、
ジョン・ウェットンをはじめ、サイモン・フィリップス、マルコ・ミンネマン、マイク・マンジーニ、トニー・レヴィン、トレイ・ガン、
ビリー・シーン、アレックス・マカチェク、グレッグ・ハウ、マーク・ボニーラ、リック・フィエラブラッチ、T.J.ヘルメッチといった
錚々たるメンバーが参加。「In The Dead of Night」などU.K.のナンバーを中心に、自身のソロ作からのナンバーも披露。
きらびやかなシンセワークに卓越したメンバーたちのギター、メロディアスでテクニカルな楽曲の数々は、時代を超えて輝いている。
Disc2では、EL&P「Bitches Crystal」やKING CRIMSON「Red」「Starless」、さらにはビル・ブルーフォードのソロからのナンバーも演奏。
音質的にはレンジが狭く物足りなさもあるが、一流の演奏陣によるライブのスリリングな臨場感は伝わってくる。
ライブ演奏・・9 音質・・7 名曲度・・8 総合・・8
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egg
イギリスのプログレバンド、エッグの1st。1970作
EL&Pと同様にトリオ編成で、デイブ・スチュアートのハモンドオルガンをメインに、
少し古めかしいながらもクラシカルな鍵盤ロックを聴かせる。ヴォーカル曲のやぼったさや、
全体的に時代的な薄暗さも感じさせつつも、ジャズロック的な軽やかな聴き心地とともに、
後半の20分のインストの組曲などは、クラシカルな優雅さが詰まったプログレが楽しめる。
より演奏力と切れ味の増した、2nd「優雅な軍隊の出来にはおよばないが、
ELPとはまた違った、カンタベリー風味のハモンドロック作品として聴いてみて損はない。
クラシカル度・・8 プログレ度・・7 ハモン度・・8 総合・・7.5
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EGG「THE POLITE FORCE」
エッグの2nd。1970作。邦題は「優雅な軍隊」
カンタベリーシーンのバンドだが、EL&Pスタイルのキーボードトリオで、メロディにはクラシカルな要素がたっぷり。
デイブ・スチュワートのオルガン/ピアノプレイはクラシカルな上品さとともに、たおやかなメロディを奏でつつ、
ときにジャジーで前衛的なタッチまで、多彩で素晴らしい。タイトル通りの優雅な雰囲気でありながら、
変拍子リズムやアヴァンギャルドな要素も混ざり、年代を考えるとかなり先鋭的で、今聴いてもさほど古くささがない。
とくにB面全てを使った組曲が白眉。またブラス入りの曲もアルバムの中でいいアクセントになっている。
クラシカル度・・8 プログレ度・・8 アヴァンギャル度・・8 総合・・8 ◆プログレ名作選入り
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EGG「The Civil Surface」
名鍵盤奏者、デイヴ・スチュワート率いるプログレバンド、エッグの3rd。1974年作
アルバム2枚を残していったんは解散するが、その後に本作を発表する。
サウンドの方は、2nd「優美な軍隊」で聴かれたアヴァンギャルドな作風を残しつつ、
そこにカンタベリー調のジャズロックが合わさった雰囲気で、やはり質は高い。
NATIONAL HEALTHでも活躍する、デイヴのオルガンワークを軸に、
ピアノやフレンチホルンなどが楽曲にクラシカルな彩りを添える。
優雅で上品な室内楽的な質感と、鍵盤ロックとしての勢いが混在し、
全体的には方向性にバラつきはあるが、スタイリッシュな楽曲アレンジはさすがだ。
クラシカル度・・7 プログレ度・・8 ジャズロック度・・7 総合・・8
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ELO「ELDORADO」
エレクトリック・ライト・オーケストラの4作目。1974作。
彼らのもっともプログレッシヴな時期のトータルアルバムで、
大々的にオーケストレイションを取り入れた物語的なコンセプト作。
独自の親しみやすいポップメロディはそのままに、コンパクトさと幻想性が同居したバランスは見事。
けっしてマイナー臭くならず、あくまで大衆に向けた分かりやすさが好感触。
メロディアス度・・8 プログレ度・・6 ポップ度・・8 総合・・8
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EMERSON,LAKE & PALMER
イギリスのプログレバンド、エマーソン・レイク・アンド・パーマーの1st。1970年作
キース・エマーソンにとってはNICEというバンドでの下地があったからだろう、
ギターレスのキーボードトリオという特異な編成ながら、1stにしてすでに完成度は高い。
Atomic Roosterからカール・パーマーを、KING CRIMSONからグレッグ・レイクを迎え
それぞれの名前をバンド名にしたことからも、スーパーバンド的な自負が窺える。
歪んだベースにハモンドが鳴る、バルトークの「アレグロ・バルバロ」をアレンジした「未開人」、
たおやかなピアノにレイクの歌声が乗る大曲「石をとれ」、ヤナーチェクやバッハを取り入た「ナイフエッジ」
そしてチャーチオルガンの音色から始まり、エマーソンの卓越したピアノさばきが見事な
「運命の三人の女神」と、鍵盤ロックとしての可能性を見せつけるかのようなアルバムだ。
クラシカル度・・9 プログレ度・・7 キーボー度・・8 総合・・8
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EMERSON,LAKE & PALMER
イギリスのプログレバンド、エマーソン・レイク・アンド・パーマーの1st。1970/2012年作
オリジナルのリマスター音源に、スティーヴン・ウィルソンの手による2012年ニューリミックス音源、
さらにはDVDオーディオでの5.1chミックス、ハイレゾミックスも含む2CD+DVDという3枚組セット。
Disc1の通常のリマスター音源も、ピアノやオルガンの音色が鮮明になっていて迫力が増しているが、
Disc2の2012年ミックスでは、ソリッドなエッジが増していて、より攻撃的なサウンドとなっている印象だ。
また、スティーヴン・ウィルソンの趣味なのか、楽曲の並びや構成が変更されているのも面白い。
本作はのちの作品に比べると、エマーソンの奏でるピアノの美しさと、オルガンの攻撃性がより対比的で、
「タルカス」や「頭脳改革」よりも、ある意味ではクラシックに裏付けされたピュアなエマーソンの演奏が楽しめる。
傑作度・・8 リマスター度・・9 リミックス度・・8 総合・・8
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EMERSON,LAKE & PALMER「Tarkus」
エマーソン・レイク・アンド・パーマーの2nd。1971年作
アルマジロ戦車こと「タルカス」の組曲はELPの最高傑作である。
LPでいうA面すべてを費やした7パートに分かれた20分の長大な組曲は、
エマーソンのキーボードワークが縦横無尽に炸裂し、リズム面での緩急のつけ方や
ドラマティックな構成力が前作以上にプログレッシブロックとしての美学を感じさせる。
ムーグシンセを導入したことで、ハモンド、ピアノというそれぞれの異なる音を使い分け、
サウンドの幅が大きく広がっている。冒頭の組曲が凄すぎて2曲目以降の印象が弱いのだが、
後半もじっくりと聴けばクラシカルで優雅な味わいとともに、絶品の鍵盤さばきを堪能できる。
なんにしてもこのアルバムで聴ける世紀のキーボード大曲は、時代を超えて輝き続けている。
クラシカル度・・8 プログレ度・・9 キーボー度・・9 総合・・8.5 ◆プログレ名作選入り
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EMERSON,LAKE & PALMER「Tarkus」
エマーソン・レイク・アンド・パーマー
の2nd。1971/2012年作
オリジナルのリマスター音源に、スティーヴン・ウィルソンによる2012年ニューリミックス音源、
DVDオーディオには5.1ch、ステレオミックスを両収録した、2CD+DVDという3枚組セット。
「タルカス」は言わずと知れたELP最高の組曲で、鳴りり響くオルガンにムーグシンセが加わって、
1st以上にダイナミックなプログレが楽しめる。Disc1のリマスター音源でも充分素晴らしいのだが、
Disc2の2012年ミックスでは、オルガンをはじめとする鍵盤類とドラムとの分離がよくなって、
なんだかスッキリとした聴き心地になっている。どちらをとるかはおよそ好みの問題かと思うが、
興味のある方は聴き比べるなどして楽しむのも一興だろう。どうあっても名作であることに変わりはない。
傑作度・・9 リマスター度・・9 リミックス度・・8 総合・・8.5
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Emerson Lake & PalmerPictures at an Exhibition(Deluxe Edition)
エマーソン・レイク・アンド・パーマーのアルバム。1971/2008作
ムソグルスキーの「展覧会の絵」を独自の解釈でロック化したELPの名作のデラックスエディション。
元々が海賊対策としてライブ音源を廉価版でリリースしたもので、Disc1にはその正規音源である。
71年のニューキャッスル公演に加えて、ワイト島ライブでのメドレーをボーナス収録、
Disc2には、70年のライシアム公演を丸々収録したデラックスエディション。
パイプオルガン鳴り響くイントロから、テクニカルなリズムとともに緊張感のある演奏が始まり、
ハモンドやムーグを中心としたエマーソンの変幻自在の鍵盤使いが炸裂する。
クラシック曲をプログレとしてここまで上手くアレンジした作品というのはそうはあるまい。
SACDでないのは残念だが、リマスター効果で音の迫力も増している。
そしてDisc2での70年の音源は、バンドデビュー間もない頃ということで、
むしろ演奏の勢いではこちらに軍配が上がるかもしれない。聴く価値ありのボーナスだ。
クラシカル度・・8 プログレ度・・8 キーボー度・・9 総合・・8.5
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EMERSON,LAKE & PALMER「Trilogy」
エマーソン・レイク・アンド・パーマーの4th。1972年作
タルカスや頭脳改革の影に隠れて地味なイメージのある本作だが、じつは出来はすこぶる良い。
派手さはないものの、クラシカルな美しさとメロディの聴きやすさが組合わさり、バランスのとれた作風は、
バンドの全盛期における余裕を感じさせる。1stで聴けたようなエマーソンの繊細なピアノタッチが聴ける小曲や、
レイクの弾き語りのようなアコースティック曲、ライブでの代表曲となる軽やかなハモンド曲“HOEDOWN”、
美しいピアノから始まり、トリオとしての実力を巧みに見せつけるプログレナンバーの“トリロジー”、
そしてその名の通りボレロ風味の“奈落のボレロ”と、バラエティーに富んでいながらも、
バンドとしての成熟したセンス織り込んだ、聴き応え充分の好アルバムだ。
クラシカル度・・8 プログレ度・・7 キーボー度・・8 総合・・8
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EMERSON,LAKE & PALMER「Brain Salad Surgery」
エマーソン・レイク・アンド・パーマーの5th。1973年作。邦題は「恐怖の頭脳改革」
ギーガーの手によるジャケのインパクトもあいまって、一般的には最高作とされるアルバム。
パリーの讃美歌「エルサレム」をアレンジした“聖地エルサレム”の荘厳さに惹きつけられ、
アルベルト・ヒナステラのピアノ協奏曲第1番を元にした“TOCCATA”の迫力あるプログレぶりに悶絶しつつ、
3、4曲目でひと息ついていると、極めつけの大曲“悪の教典#9”が襲いかかってくる。LPでは、両面にまたがった
3部構成で、30分近くにおよぶこの長大な曲には、ELPというバンドの攻撃性とクラシカルな要素、
そしてハモンド、ムーグという鍵盤をロックのメイン楽器としたキース・エマーソンの野望、
そのすべてが詰まっており、まさにバンドとしての集大成的な作品である。
クラシカル度・・8 プログレ度・・8 キーボー度・・9 総合・・8.5 ◆プログレ名作選入り
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EMERSON,LAKE & PALMER「Ladies and Gentlemen」
エマーソン・レイク・アンド・パーマーのライブアルバム。1974年作
EL&Pのロックバンドとしての側面を伝えるという点で、まずオススメしたいのが本作なのである。
個人的にもこのバンドのもつ勢いとパワーを見直すきっかけとなったライブ作品である。
スタジオアルバムでのクラシカルなキーボードロックはそのままに、ライブでのバンドの演奏は
凄まじい勢いに満ちており、たった3人とは思えない突進力でで聴き手を圧倒する。
“聖地エルサレム”から始まり、アルバムよりもスピード感のある“タルカス”、
そして35分にも拡張された“悪の教典”と、CD2枚にわたって濃密な演奏が楽しめる。
バンドの絶頂期ライブというのはこれほど凄いのだということを知らしめる、必聴の作品である。
メロディアス度・・8 キーボー度・・10 ライブ演奏・・9 総合・・9 ◆プログレ名作選入り
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EMERSON LAKE & PALMER「WORKS Vol.1」
エマーソン・レイク・アンド・パーマーの1977年作/邦題「ELP四部作」
名作「恐怖の頭脳改革」から4年後、プログレッシブロックバンドとしてのアイデンティティを失いかけていた彼らは本作を発表する。
旧LP2枚組の片面ずつを、3人のメンバーそれぞれが受け持ち、最後にバンド編成での曲を加えるという、変則的な作品となった。
キース・エマーソンのパートは、オーケストラをバックにした美しいピアノコンチェルトで、もはやロックとは呼べないが、
キースのクラシカルで軽やかな鍵盤さばきが楽しめる。グレッグ・レイクのパートは、渋めのメロディックロックという感じで、
オーケストラも入っていてこれはこれで悪くはないが、ELPという観点からするとどうしても普通の歌もの曲に聴こえてしまう。
カール・パーマーのパートはオケをバックにドラムを叩きまくっていて、チェンバーロックみたいで案外面白いかも…と思っていたら、
残りはインストのポップスみたいな曲でこれはいただけない。バンド作の2曲はなかなか出来がよく、とくに“海賊”は
ELPらしいクラシカルな味わいの大曲。2枚通して聴くにはやや散漫な印象だが、70年代ELPの最後の輝きが感じ取れる。
クラシカル度・・8 プログレ度・・7 ELP度・・7 総合・・7.5
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EMERSON,LAKE & PALMER「Love Beach」
エマーソン・レイク・アンド・パーマーの1978年作/邦題「ラヴ・ビーチ」
バハマ諸島での休暇中に作られたという本作は、とかくプログレファンからは駄作呼ばわりされているが、
実際のところはどうなのかと聴いてみる。確かにこれまでのELPの攻撃的な鍵盤プログレからすると
ずいぶんとキャッチーであるが、完全なポップ作品ではなく、ASIAのようなプログレハードとして聴けるではないか。
随所に聴かせるエマーソンの鍵盤さばきはさすがだし、とくに20分を超える“将校と紳士の回顧録”は
クラシカルな美意識とPROCOL HARUMのようなゆったりとした英国的叙情が合わさった絶品の組曲だ。
全体としては作品として散漫な印象だった「WORKS」よりも、聴き心地の良いアルバムに思える。
メロディアス度・・8 プログレ度・・7 キャッチー度・・8 総合・・8
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EMERSON,LAKE & PALMER「Black Moon」
エマーソン・レイク・アンド・パーマーの1992年作
スタジオアルバムとしては、1978年の「ラヴ・ビーチ」以来14年ぶりとなる復活作で、わりとモダンなビートに
エマーソンの華麗なシンセと、グレッグ・レイクの渋めの歌声を乗せた、キャッチーな歌もの的サウンド。
オルガンなどの古き良き音色に、ときにオーケストラルなアレンジも重ねたインストパートもなかなか良い感じで、
ほどよく70年代風味も残しつつ、90年代型のモダンな作風にシフトした印象。アコースティックギターのつまびきに
ジェントルな歌声を乗せた牧歌的な小曲など、楽曲は3〜5分前後主体で、プログレ的な濃密な展開はあまりないが、
バレエ音楽「ロメオとジュリエット」のカヴァーや、壮麗なインストナンバーの6曲目あたりは、ELPファンには嬉しい作風だ。
ドラマティック度・・7 プログレ度・・7 キーボー度・・8 総合・・7.5
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EMERSON,LAKE & PALMER「Works Live」
エマーソン・レイク・アンド・パーマーのライブアルバム。1993年作
「Works」のツアーから1977年のカナダ公演を収録されたライブ盤、「In Concert」として発表されていたものに、
1993年に追加音源を加えて新装されたCD2枚組作品。大規模なオーケストラを引き連れてのコンサートで、
Disc1は「ワークス」1&2の楽曲を中心に演奏。楽曲、演奏ともに、全盛期のロックな攻撃性というものはなく、
総じてキャッチーな聴き心地であるが、オケ入りの“セ・ラ・ヴィ”などはとても美しいDisc2では“奈落のボレロ”や
“展覧会の絵”、そして“ ピアノ協奏曲第1番”などのクラシカルな楽曲が優雅なオーケストラアレンジによくマッチしている。
プログレ度・・7 ライブ演奏・・7 楽曲・・7 総合・・7.5
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EMERSON,LAKE & PALMER 「Live at the Royal Albert Hall」
エマーソン・レイク・アンド・パーマーのライブ。1993年作
再結成後「ブラック・ムーン」のツアーから、1992年ロンドンのロイヤル・アルバート・ホールでの演奏を収録。
のっけから“Karn Evil 9”の抜粋で幕を開け、“Tarkus”のメドレー、“Knife-Edge”へとつながる流れは
往年のファンにはなかなかたまらない。オルガンやムーグを含むエマーソンの華麗な鍵盤さばきと、
グレッグ・レイクの枯れた味わいのヴォーカルで、70年代の荒々しい演奏に比べるとぐっと優雅な感触で
どっしりとした安定感とともに、大人のELPが楽しめる。ラストは「Works」収録の壮麗な大曲“Pirates”、
そして“Fanfare For The Common Man”-“America”-“Rondo”というメドレーで締めくくる。
ライブ演奏・・8 音質・・8 キーボー度・・8 総合・・8
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EMERSON,LAKE & PALMER「Live at the Isle of Wight Festival 1970」
エマーソン・レイク・アンド・パーマーのライブ音源作品。1970/2005年作
1970年ワイト島でのデビューライブを収録。EL&Pのライブ作といえば、絶頂時の怒濤の演奏が楽しめる
「レディース&ジェントルメン」が名高いが、彼らのデビュー直後の瑞々しい演奏が楽しめるという点で本作の価値がある。
年代を考えれば音質も非常に良く、エマーソンのシンセワークやピアノの音色はもちろん、
カール・パーマーの勢いのあるドラミングも見事で、当時のバンドの熱気と臨場感が味わえる。
「展覧会の絵」もフルバージョンで演奏しており、後に出るアルバム盤と聴き比べるのもよいだろう。
ELPファンならば上記「レディース〜」とともに必携のライブ作品と言っていい。
ライブ演奏・・9 音質・・8 キーボー度・・8 総合・・8
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Emerson Lake & Palmer「A Time & A Place」 
大御所プログレバンド、EL&Pの未発ライブ音源集。CD4枚組。2010年作
Disc1は1970〜74年の音源で、デビュー直後の1970年のワイト島ライブから、1972、74年という、
まさにプログレ絶頂期の勢いある時期の音源を収録。大曲“Karn Evil 9”などは正規のライブ音源にも劣らぬ
迫力ある演奏が素晴らしい。Disc2は1977〜78年の音源を収録。バンドとしてはややポップ化している時期なので、
演奏の方も綺麗にまとまっている感じなのだが、“Pictures At An Exhibition”や“Tarkus”などが、
いくぶんモダンな感じで聴けて面白い。Disc3は1992〜98年の音源で機材的にもデジタル化が進んで、
サウンドの方もプログレというよりはキーボードロック。Disc4はリスナー録音によるブート音源。
70年代の録音が中心で音質もまずまず。ドラムソロを含む15分におよぶ“Toccata”は圧巻。ファンなら聴いて損のない音源だ。
ライブ演奏・・9 音質・・8 ファンなら買い度・・9 総合・・8
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EMERESON,LAKE & PALMER「Live at the Mar Y Sol Festival '72
エマーソン・レイク・アンド・パーマー
のライブ音源作品。1972/2011年作
ELPのライブ音源では、70年の「ワイト島」ライブと、74年の「レディース&ジェントルメン」がとくに素晴らしいのだが、
本作はプエルト・リコで行われた1972年のロックフェスティバルの音源で、まさにバンド全盛期のライブ演奏が楽しめる。
のっけからオルガン鳴り響く“Hoedown”で勢いよくスタート、23分におよぶ組曲“タルカス”の迫力ある演奏では、
オルガンとムーグシンセを楽しげに掻き鳴らすエマーソンの顔が目に浮かぶようだ。ピアノソロに続く“展覧会の絵”、
そしてNICE時代からの持ち曲“Rondo”まで、たたみかけるような熱く勢いある演奏に聴き入れる。ファンなら必聴の音源だ。
ライブ演奏・・9 音質・・8 全盛期度・・9 総合・・8
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EMERSON LAKE & PALMER 「Live at Nassau Coliseum '78」
エマーソン・レイク・アンド・パーマーのライブ音源。2011年作
「ラヴ・ビーチ」発表前、1978年ニューヨーク公演のステージを収録した公式音源。「Hoedown」で軽やかな幕を開け、
観客の歓声とMCに続いて「タルカス」に突入。70年代初頭のようなダイナミックな迫力には欠けるが、音質はなかなか良好で、
バンドらしい勢いと円熟味の同居した演奏が楽しめる。「石をとれ」から、「ピアノ協奏曲第1番 第1楽章」では、
エマーソンの卓越したピアノプレイを堪能、そして15分にまとめられた「展覧の絵」で前半のDisc1を締めくくる。
Disc2は、「WORKS」からの楽曲をメインに、ドラムソロをはさみ、「海賊」〜「庶民のファンファーレ」で華麗に盛り上げる。
70年代後半のEL&Pの公式フル音源は希少なので、ファンであれば聴いて損なしのCD2枚組ライブです。
ライブ演奏・8 音質・7 名曲度・8 総合・8 
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EMERESON,LAKE & PALMER「Live in California 1974」
エマーソン・レイク・アンド・パーマーのライブ音源作品。1974/2012年作
1974年のカルフォルニア公演を収録。先にDVDで「Beyond the Begining」として発表されていた音源のCD化で、
テープ一部消失しているため、楽曲は途中から始まったり、途中で終わったりと、完全版でないのが残念だが、
エマーソンの華麗なピアノの即興曲なども含めて、当時のEL&Pの勢いある演奏が楽しめるという点では価値があるだろう。
音質的にも上質のブート程度だが、当時の空気感がしっかり感じられるので、ファンであれば十分楽しめると思う。、
ライブ演奏・・8 音質・・7 全盛期度・・8 総合・・8
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EMERSON,LAKE & PALMER 「High Voltage Festival 2010」
イギリスのプログレバンド、エマーソン・レイク・パーマーのライブ。2012年作
2010年、ロンドンで行われたデビュー40周年の一夜限りの復活ライブを2CDに収録。
のっけから「悪の教典#9」の抜粋で始まり、オルガンをかき鳴らすエマーソンにドカドカと元気なパーマーのドラム、
いくぶんオヤジ臭くなったレイクの歌声で、かつてのサウンドを再現。エマーソンの鍵盤がいくぶんたどたどしく、
かつての勢いある演奏にはほど遠いのだが、それはそれ、40年をへたメンバーたちの味のある音が楽しめる。
とくにエマソーンもレイクも、これがELPとしての最後のプレイなのだから、二人亡きいまとなっては貴重な記録である。
「未開人」「ナイフ・エッジ」「石をとれ〜タルカス」といった初期のナンバーは、やはりファンには嬉しいところ。
Disc2では「展覧会の絵」も披露。演奏も音質も最高とは言い難いが、EL&Pの最後のライブとしてファンは聴いておくべき。
ライブ演奏・・7 音質・・7 最後のELP度・・9 総合・・7.5 
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VA /THE MANY FACES OF EMERSON LAKE & PALMER
イギリスのプログレバンド、EL&Pことエマーソン・レイク・アンド・パーマーのCD3枚組アンソロジー。2014年作
Disc1は「BEFORE & AFTER ELP」」と題し、THE NICEをはじめメンバーがELP結成前に在籍したバンド関連の楽曲を収録。
「ロンド」などのナイスの楽曲は、やはりELPのプロトタイプとして聴け、カール・パーマーが在籍したATOMOC ROOSTER
オルガン入りのブリティッシュ・ハードロックで、パーマーの手数の多いドラムはさすが。ピート・シンフィールドの楽曲には
グレッグ・レイクがヴォーカルで参加していて、マイルドな歌声を乗せた、初期クリムゾンにも通じる牧歌的な叙情に包まれる。
Disc2は「MANTICORE RECORDS & INFLUENCES」、PFMBANCOなど70年代のマンティコアレーベル所属バンドや、
エマーソンが影響を受けたアーティストの楽曲を収録。PFMの素晴らしさは言うに及ばず。Keith Christmasなどはだったが、
サイケな英国フォークロックでよい感じだし、黒人オルガン奏者、ジミー・スミスの11分におよぶジャズナンバーなども興味深い。
Disc3は「THE ORIGINALS」と題し、ELPが取り上げたクラシックやジャズのオリジナル楽曲を収録。「聖地エルサレム」や
「庶民のファンファーレ」「Hoedown」「展覧会の絵」など、馴染みのあるクラシック曲をまとめて聴けるのが良いですね。
ELPのルーツ度・9 プログレ度・7 新鮮度・8 総合・8 
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EMERSON,LAKE & POWELL
頭文字はELPながら、カール・パーマーではなく、コージー・パウエルが参加した、エマーソン・レイク・アンド・パウエルの1986年作
70年代のELPはまさしくプログレッシブ・ロックの偉大な旗手であったわけだが、80年代に入りプログレの衰退とともに、
彼らもポップな道を歩みはじめる。しかし、よくよく聴けば、この作品におけるエマーソンのプレイは、
結果として90年代以降のシンフォニックロック系のバンドに大きな影響を与えていることが聴きとれる。
ポップでありつつも華麗で現代的であるシンセの使用法は、かつてのプログレのイメージとは異なるが
しっかりとシンフォニックかつクラシカルなメロディを奏で、それはホルストの「火星」でも聴かれる
シリアスさと大衆向けのキャッチーさとの両立に現れている。またコージー・パウエルのドラムは、
まさしくハードロックサイドからのアプローチで、むしろモダン化の進んだこのサウンドにはぴったりとくる。
中盤はジャズタッチの軽やかな曲がやや凡庸だが、このアルバムの意義はやはり大きかったのだと思う。
シンフォニック度・・8 プログレ度・・7 キャッチー度・・8 総合・・8
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Emerson,Lake & Powell「Live in Concert」
エマーソン・レイク&パウエルのライブ音源。2010作
公式なライブ音源は残されず、わずか1年あまりの活動であったが、このメンバーで残した唯一のアルバムは、
EL&Pとハードロックの融合ともいうべき質の高い傑作としてファンから愛されている。
本作は1986年北米ツアーのステージを収録したいわばオフィシャルブートレグ音源である。
サウンドボード録音なので音質も良好、エマーソン御大のシンセプレイもさすがのひと言であるが、やはりなんといっても
故コージー・パウエルのプログレッシブ寄りのライブ演奏が楽しめる貴重な音源である。“Knife Edge”、“Pirates”、
“Lucky Man”といったEL&P名義のナンバーも、コージーのドラムとともによりロック的な躍動感で演奏されている。
プログレ度・・7 ライブ演奏・・8 音質・・8 総合・・8
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Emerson,Lake & Powell「The Sprocket Sessions」
エマーソン・レイク・アンド・パウエルのオフィシャルブートレッグ音源。2010作
EL&Powellの正規のライブ音源としては「Live in Concert」に続くものだが、
本作は、1986年のワールドツアーのためのリハーサル音源である。
故コージー・パウエルのタイトなドラムプレイと、きらびやかなエマーソンのシンセワーク、
従来のプログレ路線に、80年代的なキャッチーなポップ感覚をまとわせたサウンドは、
むしろ現在のシンフォニックロック系バンドにも大きな影響を与えている。
“Tarukus”や“Pictures at an Exhibition”といった、EL&P時代の大曲も演奏され、
リハーサルということで、ライブのような勢いや臨場感はないが、音質もまずまず。
プログレ度・・7 演奏・・7 音質・・7 総合・・7.5
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ENGLAND「GARDEN SHED」
イギリスのシンフォニックロック、イングランドのアルバム。1977年作
英国的なジャケと「枯れ葉が落ちる庭園」というロマンティックなタイトルで、日本でも人気の高い作品。
昔聴いたときさほど好きになれなかったのは、その頃はYES自体が苦手だったからで、
今になって改めて聴くと…これがやはりいいのだな。サウンドの雰囲気もそうだが、
とくにヴォーカルラインの優雅なキャッチーさは、YESを手本としたことが明らかで、
全体的にはライトで陽性の音ながら、そこに鳴り響くメロトロンの音などはやはりブリティッシュ。
A〜Bあたりのしっとりとした美しさは初期のGENESISにも通じる。あの頃の英国の音を封じ込めたアルバムとして、
しっとりと鑑賞したい作品だ。2CDのGolden Editionにはライブや別バージョンなどを収録。
メロディアス度・・8 プログレ度・・7 英国度・・9 総合・・8 ◆プログレ名作選入り
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England 「Live in Japan-KIKIMIMI
英国の伝説的シンフォニックロックバンド、イングランドのライブアルバム。2006作
1977年という、英国ではプログレに斜陽が射しはじめた時期に、「枯れ葉が落ちる庭園」というタイトルと、
美しいジャケで現れたこのバンドのサウンドはYesGenesisを手本にしながらもより繊細な感性が、
我々日本人の琴線に届いたのである。それが30年のときをへてこの日本の地で再現ライブを行った。
「聴耳」と題されたタイトルや、日本的なジャケのデザインもなかなか素晴らしいが、ハモンドやメロトロンを鳴らし
まるで70年代の空気まで蘇らせたかのような、温かみのあるレトロさなサウンドにゆったりと浸れる。
アルバムの曲をほぼ全曲再現し、さらに新曲や未発の大曲までも披露してくれていて、
ファンにはまさに感涙もののライブだったことだろう。テクニック的には決して突出したものはないが、
プログレを愛するものには愛しくてたまらぬ音が詰まっている。奇跡の来日を記録した作品だ。
メロディアス度・・8 ライブ演奏・・8 愛すべきイングラン度・・10 総合・・8
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The Enid「In the Region of the Summer Stars」
英国のシンフォニックロックバンド、エニドの1st。「夏星の国」1976年作
これまではLPでしか聴けなかった、幻のオリジナル音源が2010年についにCD化された。
これまでのCDで聴けた再録バージョンよりも、ずっと生々しく躍動感にあふれたクラシカルロックである。
ギターの旋律に絡む優美なピアノや、静と動のコントラスト、クラシック的な緊張感を漂わせつつ、
優雅なメロディがかぶさってゆく楽曲構造は、これまでのプログレ、ロックにはないもので、
このバンドのシンフォニーロックとしての原点を垣間見るような瑞々しいサウンドだ。
Inner Sanctum盤はLPからの盤おこし音源であったのに対し、その後に出たOperation Seraphim(EMI)盤は
正真正銘のオリジナルマスターからの音源で確かに音質良好ながら、 両方を聴き比べてみると、
Inner Sanctumの盤の方が、むしろアナログで聴いているに近い生々しい感動がある気がする。
日本盤の紙ジャケSHM-CD盤もオリジナルからのマスター音源で、優美で繊細なサウンドが素晴らしい。
シンフォニック度・・8 クラシカル度・・9 優雅度・・9 総合・・8.5
日本盤紙ジャケ Inner Sanctum盤  Operation Seraphim(EMI)盤

THE ENIDAerie Faerie Nonsense」
英国のシンフォニックロックバンド、エニドの2nd。1977年作
初期ENIDの最高傑作が、オリジナル音源でCD化された。前作よりもさらにクラシカルな優雅さに磨きがかかり、
1曲目の“Prelude”から心踊る。これまでの再録盤CDとは曲順も異なるため、印象もずいぶん違うように思う。
そして楽曲おけるダイナミックな感触は、音質の平坦さを差し引いてもこちらが上回る。
本作の最大の聴きどころである組曲“Fand”のじわじわとくる情感的な美しさと盛り上がりは、
筆舌に尽くしがたい。まさに一瞬の輝きを封じ込めたような奇跡的なアルバムであったのだ。
Inner Sanctum盤がLPからの盤おこし音源であったのに対し、その後に出たOperation Seraphim(EMI)盤は
正真正銘のオリジナルマスターからの音源で確かに音質良好であるのだが、 両方を聴き比べてみると、
むしろInner Sanctumの盤の方がアナログで聴いているに近い生々しい感動がある気がする。
シンフォニック度・・9 クラシカル度・・10 雄大かつ優雅度・・10 総合・・9
日本盤紙ジャケSHM-CD Inner Sanctum盤  Operation Seraphim(EMI盤) 

THE ENIDAerie Faerie Nonsense」
英国のシンフォニックロックバンド、エニドの2nd。1984年作
本作は再録バージョンであるが、それでも、このバンドのシンフォニーロックとしての素晴らしさは充分に味わえるわけで、
優雅でクラシカルで、そしてオーケストラのごとき雄大さをもった楽曲は初めて聴く方にはかなりの衝撃となるだろう。
簡単に言えば、バンド編成でオーケストラのシンフォニーを再現したといっていいスタイルで、とくに本作はは彼らのディスコグラフィー中でも
最もクラシカルな優雅さが顕著に出ている作品で、30分近くにも及ぶ長大な組曲“FAND”での高揚感はただごとではない。
エニドをまだ知らないシンフォニックファンは急いで手に入れてほしい。2002年盤には、組曲FANDの1999年バージョンがボーナス収録されている。
シンフォニック度・・10 クラシカル度・・9 雄大かつ優雅度・・10 総合・・9 ◆プログレ名作選入り
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THE ENID 「TOUCH ME」
英国のシンフォニックロックバンド、エニドの3rd。1979年作
70年代のエニドの作品はどれも素晴らしいのだが、2ndと並んで好きなのが本作。
オーケストラではなくバンド編成でやっているというのが信じがたいほどにじつに優雅なクラシカル・シンフォニーである。
ピアノも含めて厚みのあるシンセの重なりにメロウなギターが合わさり、ロックとしてのダイナミズムを決して無骨にならないくらいに
絶妙に盛り込んでいるのが奇跡的といえる。このバンドの前ではクラシカルロックと言われる
ほとんどのバンドがかすんでしまうだろう。格調高き英国の音にうっとりとなる。
クラシカル度・・9 シンフォニック度・・9 優雅度・・10 総合・・9
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THE ENIDSix Pieces
英国のシンフォニックロックバンド、エニドの4th。1980年作
タイトル通り6人のメンバーがそれぞれに持ち寄った楽曲からなる作品で、初期のクラシカル路線に加えて
よい意味でのダイナミックなキャッチーさが加わった傑作。クラシカルなシンセワークと抜群のギターワークで、
軽やかなアンサンブルと繊細さを同居させ、いわば、90年代以降の構築センスを感じさせる、楽曲ごとの濃密さが魅力。
むしろ、初期のエニドでは優雅すぎるという方にはお勧めの作品だ。
クラシカル度・・8 シンフォニック度・・8 楽曲度・・9 総合・・8.5
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THE ENID「Something Wicked This Way Comes」
英国のシンフォニックロックバンド、エニドの5th。「何かが道をやってくる」1983年作
壮麗なシンフォニック路線をドラマティックなコンセプトに昇華させた傑作。
これまでになくヴォーカルパートにこだわったサウンドは、キャッチーなコーラスなども含めて、
バランスのとれた作風で聴きやすい。ステファン・スチュアートの泣きのギターメロディも冴えていて、
シンフォニックロックの「ロック」としての叙情も本作の魅力となっている。
クラシカル度・・8 シンフォニック度・・8 ドラマティック度・・9 総合・・8.5
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THE ENID「The Spell」
英国のシンフォニックロックバンド、エニドの6th。1984年作
クラシカルなシンフォニー路線に回帰した作品で、シンセとオーケストレーションをメインにした
うっとりとするような優雅な作風。このバンドのクラシックへの憧憬がもっとも表れた1枚で、
いうなれば、2ndの組曲“Fand”の路線を受け継いだクラシック手法でのアルバムといえる。
ロック度は薄めながらも、シンフォニーとしての側面からいうとまぎれもない傑作であろう。
クラシカル度・・9 シンフォニック度・・9 優雅度・・9 総合・・8.5
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The Enid「Live At Hammersmith Vol 1」
英国のシンフォニックロックバンド、エニドのライブ作品。1984年作
1979年のロンドン、ハマースミス・オデオンでのライヴを収録。英国国歌「God Save the Queen」で幕を開け
優雅で壮麗なクラシカル・シンフォニーロックが広がってゆく。音質も良好で臨場感のあるダイナミックな演奏が楽しめる。
ラストは組曲「Fand」でドラマティックな盛り上がりにうっとり。往年のエニドのライブが味わえる必聴の作品だ。
同タイトルの「Vol2」や、ライブ映像を収録したDVDも発売されている。
クラシカル度・・9 シンフォニック度・・9 優雅度・・9 総合・・8.5
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The ENID(GODFREY & STEWART)「THE SEED AND THE SOWER」
ロバート・ジョン・ゴドフレイステファン・スチュワート名義のアルバム。1988作
このころのエニド自体が、この二人の音楽性が中心だったのだから、このアルバムもほぼエニドの音だ。
ゴドフリーのクラシカルなキーボードワークに、スチュワートの叙情に溢れたギターワークは鉄壁のコンビネーション。
ゆるやかに盛り上がる、ダイナミックさと繊細さを兼ねそろえたサウンドは格調高く、まさに「英国の音」だ。
同時期に出た、本家エニドの「SALOME」よりもずっとENIDらしい。なお、ジャケが何種類かあってまぎらわしい。
シンフォニック度・・9 クラシカル度・・9 ゆるやかで格調高し度・・9 総合・・8
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THE ENID「Tripping the Light Fantastic」
英国のシンフォニックロックバンド、エニドの1994年作
1986年作「Salome」のモダンなサウンドを引き継いで、デジタルなアレンジを含ませつつも、
メロディの流れにはこのバンドらしい優雅な美しさがあって、これがなかなか悪くないのである。
1曲目こそシンセを中心とした多重録音の作品であるが、2曲目以降は叙情的なギターも加わったバンドスタイルなので一安心。
やわらかなピアノやシンセアレンジでファンタジックな世界観を描くセンスは、やはりゴドフリー節である。
とくに9分を超えるタイトル曲や14分の大曲の優美さは白眉。あなどれない好作品です。
シンフォニック度・・8 クラシカル度・・8 モダンエニ度・・8 総合・・8
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THE ENID「WHITE GODDESS」
英国のシンフォニックロックバンド、エニドの1998年作
初期作のようなたたみかける大叙情はないものの、優雅でクラシカルな質感は彼らならでは。
ロバート・ジョン・ゴドフリーによるたおやかなシンセワークと、繊細なピアノの響きにうっとりしつつ、
ときおり聴かせるメロウなギターのフレーズも心地よい。初めて聴くのならまずは初期作を推すが、
こうして紙ジャケ再発されて、エニドの各アルバムが手に入るようになったのは喜ばしいことだ。
シンフォニック度・・8 クラシカル度・・9 たおやか度・・10 総合・・8
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The Enid「Something Wicked This Way Comes」
英国のシンフォニックロックバンド、エニドのDVD。1984/2004年作
以前ビデオで出ていた「Live at Claret Farm」「Stonehenge'84」の2つをカップリングしたもの。
壮麗な組曲“Fand”をはじめ、クラシカルな楽曲群がライブ演奏で再現されるのが楽しめる。
リーダーのロバート・ジョン・ゴドフリーは(BANCOのジャコモを思わせる)禿げ頭に髭面の小太りのおっさんで、
その情熱的なキーボードワークは、やや失笑ぎみながら元オーケストラ指揮者らしい手振りで演奏を司る。
アルバムでの数台のシンセでのオーケストレイションに比べれば、さすがにそこまで音は厚くはないが、
バンドの貴重なライブ演奏を聴けるだけでもファンには嬉しいだろう。元がビデオテープだけにあまり映像は綺麗ではないし、
曲の途中でインタビューが入ったり、あるいは映像に余計なエフェクトがかかったりしてやや見苦しいが
英国きってのカルト・シンフォニックロックバンドとしての側面をかいま見ることができる。
シンフォニック度・・8 ライブ映像・・6 ライブ演奏・・7 総合・・7
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THE ENID「AN ALTERNATIVE HISTORY」
英国のシンフォニックロックバンド、エニドの未発音源集。2007年作
もとは1000枚限定というレアなアナログ盤だったらしいが、今回の紙ジャケ再発で、1と2まとめてCD化。
VOL.1の方は1974〜1975年というバンド創成期の貴重な音源を収録。
後のアルバムバージョンのプロトタイプとしても、エニドファンならとても楽しめる。
VOL2の方は「THE STAND 1985」、「ANARCHY ON 45」と重複する楽曲があるが、
最大の目玉は、代表曲“FAND”のオリジナル・デモバージョンだ。この当時の瑞々しいデモ音源は
ファンにはまさに感涙もの。正規アルバムの綺麗な音よりもむしろ素朴さがあり、胸をうつ部分もしばしばである。
シンフォニック度・・8 音質・・7 希少価値度・・9 総合・・8
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The Enid 「The Stand Vol. 1-1984」
イギリスのシンフォニックロック、エニドの2009年作
1983年のイギリス公演の3日間からセレクトされたライブ音源を収録した、ファンクラブオンリー作品の再発盤。
同年発表の「Something Wicked This Way Comes」からの楽曲を中心にしつつ、70年代の名作…
「In The Region Of The Summer Stars」、「Aerie Faerie Nonsense」からのナンバーも含むセットで、
ダイナミックかつ優雅なシンフォニックロックを展開。とくにステファン・スチュワートの流麗なギターが冴えを見せる。
リマスターにより音質も良好、80年代エニドのパワーが感じられる演奏で、正規ライブ作品にも遜色ない内容だ。
ラストは何故か、ザ・ワイルド・ワンズ「Wild Thing」のカヴァー。むしろ、エニドの貴重音源というべきか。
ライブ演奏・・8 音質・・8 流麗度・・9 総合・・8
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The Enid 「The Stand Vol.2」
イギリスのシンフォニックロック、エニドの1985/2009年作
ファンクラブオンリーで発売された作品の再発盤で、80年代のシングルや未発曲を中心に収録。
70年代のクラシカルシンフォ路線に比べると、ややモダンなロック感触が強まった作風ながら、
ステファン・スチュアート、フランシス・リカーリッシュによるメロディックなギターワークはさすがで、
わりとキャッチーな楽曲においても、叙情的な旋律が光っている。もちろんこのバンドらしい
クラシカルな優雅さは随所に健在で、あらためて、80年代のエニドを再評価することができる。
小曲主体なので、正規アルバムに比べると物足りなさはあるが、貴重音源はファンには嬉しいところ。
クラシカル度・・8 シンフォニック度・・7 貴重音源度・・8 総合・・7.5
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The Enid 「Sheets of Blue: Anthology 1977-2008」
イギリスのシンフォニックロック、エニドのベストアルバム。2009年作
1977年〜1998年作「White Goddess」までのアルバムからの選曲と、2008年時点での新曲を、2CDに収録。
クラシカルなシンフォニーをバンド編成でやったらこうなる、という壮麗なシンフォニックロックを聴かせるこのバンド、
繊細なピアノやシンセワーク、流麗なメロディを奏でるギター、そして鳴り響くティンパニの雄大なダイナミクス…
とくに初期3作までの楽曲は、決して他のバンドでは聴けない、優美なるロマンの香りに包まれたサウンドで、
壮麗な組曲「FAND」のライブ音源などもじつに感動的。ラストは、2010年作「JOURNEY's END」収録の新曲で幕を閉じる。
2CDで143分、エニドの歴史をまとめて俯瞰できる、初心者にもお薦めの2枚組ベストです。
シンフォニック度・・9 クラシカル度・・9 エニ度・・9 総合・・8.5 
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The Enid「JOURNEY's END」
イギリスのシンフォニックロックバンド、エニドの2010年作
実に12年ぶりとなるバンドとしての新作で、いきなり歌入りのモダンな曲調に面食らうが、
その後はクラシカルな美意識もちゃんと残っていて、しっとりと優雅な叙情を織りまぜつつ、
思いの外ギターが前に出た現代的のロック風味とのよいコントラストになっている。
そして14分の大曲では、かれらのシンフォニーロックとしての美しさがたっぷり堪能でき、
バンドとしてのアップデートしたモダンなセンスをクラシカルな美意識と融合させた好作に仕上がっている。
クラシカル度・・8 優雅な叙情度・・8 エニ度・・8 総合・・8
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The Enid 「Live At Town Hall,Birmingham」
エニドのライブ作品、2010年作
2010年英国、バーミンガム公演の音源をCD2枚に収録。前半は2010年作「Journey's End」の曲を演奏。
序盤のモダンなアレンジを含んだ曲はやや違和感があるが、アルバムにおいても白眉だった大曲“Malacandra”は、
このバンドらしい優美なクラシカル性に包まれて、ライブらしい静と動のダイナミズムを描き出してゆく。
Disc1の残り2曲からは、初期作品からの選曲で、オーケストラルなシンセにメロウなギターが絡み、
絶品の美しさの“In The Region Of The Summer Stars”をはじめ、年月を超えた楽曲たちによる
壮麗なるシンフォニーロックが繰り広げられる。Disc2では、このバンドの初期の代表曲というべき、
“組曲Fand”も演奏、22分におよぶ優雅してダイナミックなそのサウンドは何度聴いても感動的だ。
シンフォニック度・・8 プログレ度・・8 ライブ演奏度・・8 総合・・8
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The Enid 「Live at Town Hall Birmingham」
イギリスのシンフォニックロック、エニドのライブ映像作品。2010年作
2010年英国、バーミンガム公演のステージを収録。前半は2010年作「Journey's End」からの曲を演奏。
まずステージに所狭しと並んだ楽器群が壮観だが、ジョー・ペイン加入前の専任ヴォーカルがいない編成なので、
ステージ中央にはギターのジェイソン・ダッカーが立ち、フロントマン的に目立ちながら、メロウな旋律を奏でる。
シンセを奏でるゴドフリーは、ときに指揮者のように手を動かし、アンサンブルを司り、クラシカルな大曲“Malacandra”をはじめ、
静と動のダイナミズムを優美に描き出す。後半は“In The Region Of The Summer Stars”をはじめとした初期作品からの選曲で、
かつてのメンバーであるフランシス・リカーリッシュも登場、大人数のブラスセクションも加わったオーケストラルな編成に、
扇情的なギターが重なり、ティンパニが重厚に打ちならされる、壮麗なるシンフォニーロックが繰り広げられる。
そして“組曲Fand”は、4人のギターにオケが重なって、優雅して壮麗、ダイナミックなサウンドが感動的きわまりない。必見!
シンフォニック度・・10 ライブ演奏・・8 ライブ映像・・8 総合・・8.5 
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The Enid 「Live With the City of Birmingham Symphony Orchestra」
エニドのライブ作品、2012年作
ハーミンガムシティ・オーケストラと共演した2011年英国ツアーの音源をCD2枚に収録。
Disc1では、“Judgement”、“In The Region Of The Summer Stars”といった初期の楽曲で始まり、
バンドとオーケストラ完璧に融合した“Childe Roland”、そして壮麗な大曲“組曲Fand”と、
かれらが目指す最高のシンフォニーロックサウンドが感動的な美しさで描かれる。
Disc2では、2010年作「Journey's End」を組曲方式でアレンジしていて、もとのアルバム以上に
優美でダイナミックな印象。オーケストラ入りシンフォニックロックバンドの到達点といえるライブである。
シンフォニック度・・9 プログレ度・・8 ライブ演奏度・・9 総合・・8.5
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The Enid 「Arise and Shine - Volume I & II」
イギリスのシンフォニックロック、エニドの2012年作
未発曲や過去の楽曲を現メンバーでリメイクした作品で、単体で出ていた1と2をカップリングしたCD2枚組。
「Vol.I」の方は未発表曲中心で、叙情的なギターにオーケストラルなアレンジが合わさった、
いかにも初期のエニドを思わせる優雅なシンフォニックロックが楽しめる。10分を超える大曲も多く、
未発といえども完成度の高さと楽曲の美しさは、正規アルバムと変わらない濃密な聴き心地である。
随所に既存曲を思わせるフレーズも出てくるのもファンにはにやり。「Vol.II」は22分の大曲“Fand”を含む
おなじみのナンバーの再録で、よりクリアに構築された演奏で、クラシカルな楽曲の美しさが再確認できる。
シンフォニック度・・9 クラシカル度・・9 楽曲・・9 総合・・8
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The Enid 「Arise and Shine III」
イギリスのシンフォニックロック、エニドの2012年作
過去の楽曲を現メンバーでリメイクしたシリーズの3作目。今作は70年代後半から80年代にかけての楽曲を取り上げていて
メロウなギターが心地よい“Gateway”、加入したばかりのジョー・ペインがヴォーカルをとる“Raindown”
“Tripping The Light Fantastic”、“Salome”といった当時いくぶんモダン化した作品の楽曲も、
現在のアレンジでよりモダンに聴こえて、これはこれで悪くない。“Summer”や“Something Wicked This Way Comes”
などの大曲も、QUEENを思わせるヴォーカルハーモニーとともに、より優雅な耳心地となっている。
ジョー・ぺインの歌声を活かした新生ENIDの方向性を示しながら、過去曲をスタイリッシュに仕上げた好作品だ。
シンフォニック度・・8 プログレ度・・7 優雅度・・9 総合・・8
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The Enid 「INVICTA」
イギリスのシンフォニックロック、エニドの2012年作
前作はいくぶんモダンなアプローチも取り入れた好作であったが、本作はそれから2年あまりで発表された。
イントロ曲に続くのは、女性ヴォーカルを乗せた美しいナンバーで、やわらかなピアノにフルートの音色、
しっとりとした繊細な優雅さでうっとりとなるような聴き心地である。その後は、男性ヴォーカルの入った
メロディアスな叙情と、クラシカルな美しさが融合したサウンドで、案外キャッチーに楽しめたりする。
前作に続きモダンなアレンジも含ませた楽曲は、現役バンドとして進化をいとわないアップデートを感じさせ、
結果として音の中にプログレとしてのスリリングさも生み出している。歌もの中心かと思いつつ、
往年を思わせる雄大なクラシカル曲もあり、シンフォニーロックとしての誇り高き美意識も健在だ。
クラシカル度・・8 プログレ度・・8 繊細度・・8 総合・・8
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The Enid「Hammersmith Odeon」
イギリスのシンフォニックロック、エニドのライブDVD。2013年作
先にCDで発売されていた、1979年、英国ロンドン、ハマースミス・オデオンでのライブ映像を収録。
英国国歌で壮麗に幕を開け、ロバート・ジョン・ゴドフリー&ウイリアム・ギルモアによるキーボードと、
ステファン・スチュアートとフランシス・リカーリッシュのツインギターが奏でる優美なメロディとともに、
バンド編成でのクラシカルなシンフォニーロックが、当時の映像で展開される様はまさに圧巻である。
「Judgement」、「In The Region Of The Summer Stars」といったデビュー作からのナンバーに、
同時期に発表されたアルバム「Touch Me」からのオーボエ奏者も加わっての優雅なナンバー、
そして、大曲「FAND」の壮大にして華麗なシンフォニーとダイナミクスはハイライトというにふさわしい。
また、若き日の(といっても風貌はすでに貫録だが)ゴドフリーのとぼけた味のMCや、要塞のようなシンセ群、
ドラムやティンパニを元気よく叩きまくる、デイヴ・ストーリーの(ソロタイム含む)ハジけっぷりも見どころだ。
客席の盛り上がりも素晴らしく(意外と女性客も多い)、ゴドフリーが「Wild Thing」を熱唱するアンコールはまあオマケとして、
年代を考えればカメラワークを含む映像も良好で(一部ノイズは入るが)、全盛期のエニドの姿を収めた必見のライブ作品である。
ライブ演奏・・9 ライブ映像・・8 壮麗度・・10 総合・・8.5
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The Enid 「The Bridge」
イギリスのシンフォニックロック、エニドの2015年作
70年代から活動するクラシカルロックのベテランで、2010年の復活以降は旺盛にライブをこなし作品も発表している。
ロバート・ジョン・ゴドフレイのソロ作をはさみ、3年ぶりとなる本作は、前作から加わったジョー・ペインのマイルドな歌声と
繊細なピアノ、そして優雅なオーケストレーションに包まれて、ゆったりとしたシンフォニー・ロックが広がってゆく。
リズム隊が入らないのでロック的な躍動感は希薄だが、随所にギターが加わると、ロックオペラ的なダイナミズムが現れる。
4〜5分台の楽曲中心であるから、プログレとしての壮大さは従来の作品に比べると少し物足りないか。
むしろクラシック寄りの優美さに、QUEEN的な歌もの感が合わさったというべきオペラティックな好作品である。
クラシカル度・・9 プログレ度・・7 優美度・・9 総合・・8
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The Enid 「Dust」
イギリスのシンフォニックロック、エニドの2016年作
2010年作「JOURNEY's END」、2012年作「INVICTA」から続く、3部作のラストを構成するアルバムで、
前作「The Bridge」のクラシカルオペラ的な作風から、シンフォニーロックとしてのスケール感が戻ってきた。
シンセの重ねによるオーケストラルな感触と、ティンパニを含んだリズム面での迫力あるダイナミクス、
そして、ジョー・ペインのオペラティックな歌声が合わさり、優雅な叙情と壮麗な空間美が描かれる。
往年のエニドを思わせる流麗なギターフレーズに、ドラムとベースによるアンサンブルが加わって、
ときにQUEENを思わせるキャッチーなロック性を含んだ、シンフォニックな美意識に包まれたサウンドに浸ることができる。
40年にわたりクラシカルロックとしての独自の構築性を追求してきたバンドの、優美なる完成形がここにある。
シンフォニック度・・9 プログレ度・・8 壮麗度・・9 総合・・8.5
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The Enid「Something Wicked This Way Comes」
イギリスのシンフォニックロック、エニドのライブ作品。1984/2016年作
1984年に収録した映像作品で、かつて単体でDVDが発売されていたが、今回はその音源を収録したCD2枚が加わった3枚組。
Disc1のクラレット・ファームはコミューン生活をしていた農場でのライヴで、のっけから20分の大曲「ファンド」で幕を開ける。
音質は良好なのだが、演奏の途中に唐突にメンバーのインタビューが入るのは以前のDVDと同じでちょっと残念。
その後は当時の新作「Something Wicked This Way Comes」からのナンバーを中心にした演奏が楽しめる。
Disc2はストーンヘンジにおける野外フェスでのライブを収録、1st「In the Region of the Summer Stars」からのナンバーを含め、
ノイズが入ったややラウドな音質ながら、シアトリカルなMCも含めて臨場感のあるライブ演奏が味わえる。
DVDには同ライブの映像を収録、バンドの往年の姿が見られる貴重な映像はファンには嬉しいだろう。
ライブ演奏・・7 音質・・7 エニドファン向け度・・9 総合・・7.5
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The Enid 「Live in Tokyo 2016」
イギリスのシンフォニックロック、エニドのライブ作品。2017年作
2016年の奇跡の東京公演の2日間を、4枚のSHM-CDに完全収録した、ファン必携の来日記念ボックス。
引退を表明していた、ロバート・ジョン・ゴドフリー最後のステージという触れ込みで、筆者も2日目に足を運んだ。
Disc1、2には、1976年作「In the Region of the Summer Stars(夏星の国)」を中心にした1日目のステージを収録。
美麗なシンセにクラシカルにピアノ、扇情的なギターの旋律が重なって、優雅で壮麗なシンフォニーロックが再現される。
ジェイソン・ダッカーのほどよくロックなギタープレイも見事で、「INVICTA」や「DUST」など近年のアルバムからのナンバーでは、
裏声を使い分けるジョー・ペインの表現豊かなヴォーカルも素晴らしい。そして御大による繊細なピアノの旋律にもうっとり。
Disc3、4には、1977年作「Aerie Faerie Nonsense」からの楽曲をメインに、色気のあるギタートーンとシンセの重ねに、
やわらかなフルートの音色、ここぞとティンパニが鳴り響く、典雅でクラシカルなダイナミズムに聴き入りつつ、
組曲「ファンド」の大盛り上がりでクライマックスを迎える。まさにエニドファンは必聴、感涙のライブ4枚組である。
クラシカル度・・9 壮麗度・・10 ライブ演奏・・9 総合・・9
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THE ENID 「RESURGENCY」
イギリスのシンフォニックロック、エニドの2017年作
バンドの創始者である、ロバート・ジョン・ゴドフリーが引退し、新たにトリオ編成となっての新作。
2010年作「JOURNEY's END」、2012年作「INVICTA」、2016年作「DUST」の楽曲を再録音したアルバムで、
のっけからハード寄りのギターにオルガンが鳴り響き、一味違ったプログレハードなエニドかと思いきや、
壮麗なオーケストレーションのアレンジも重なって来て、優雅なクラシカル性はしっかりと継承している。
これまでにないモダンなアレンジも加えた作風には、往年のファンには賛否があるだろうが、
ジェイソン・ダッカーの流麗なギターフレーズは、かつてのステファン・スチュアートを思わせ、
しっかりとその美意識を受け継いでいる。ゴドフリーが去ってのちの新たなエニドを作り出そうという、
若きメンバーの意気込みは評価したい。固定観念を捨てれば、素晴らしいシンフォニックロック作品だ。
クラシカル度・・8 優雅度・・9 新生エニ度・・9 総合・・8 
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Robert John Godfrey & The Enid 「Live at the Citadel」
イギリスのシンフォニックロック、エニドのライブ作。2017年作
いったんはバンドから引退した、ロバート・ジョン・ゴドフリーをゲストに迎えて、
ダブルキーボード+ギターという、3人編成で行われた、2017年のライブを収録。
ドラムが入らないのでロック色は希薄ながら、美しいシンセにギターが重なる優雅な旋律は、まさにエニドならではのもの。
繊細なピアノに、シンセによるトランペットなどの音が合わさり、ジェイソン・ダッカーによる叙情的なギターワークで、
最少人数でのシンフォニーというべき優美なサウンドを描いている。22分に及ぶ組曲「FAND」の再現も含め、
たおやかなクラシカル性の中にも、壮麗なダイナミズム溢れる演奏が素晴らしい。全76分にうっとり聴き入れます。
クラシカル度・・9 ロック度・・2 優雅度・・9 総合・・8 
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Robert John Godfrey with The Enid 「70th Birthday Concert」
イギリスのシンフォニックロック、エニドのライブ作。2017年作
ロバート・ジョン・ゴドフリー、自身の70歳を祝う、ロンドン、ユニオエン・チャペルのライブを2CDに収録。
前半は、初期のナンバーを主体にしたセットリストで、壮麗なツインキーボードに叙情的なギターが絡み、
ドラムを含めた4人編成とは思えない重厚なサウンドで、エニドの壮大華麗なシンフォニーを再現する。
「In the Region of the Summer Stars」のドラマティックな美しさに、ゴドフリーのソロ作からの繊細なピアノ曲にもうっとり。
Disc2では、1988年作「The Seed And The Sower」や、1986年作「Salome」からのナンバーも披露。
後半は1977年の名作「Aerie Faerie Nonsense」からの楽曲を並べ、おまちかねの組曲「FAND」では
優雅にそしてダイナミックに盛り上がる。ゴドフリー健在を嬉しく思う、ファン必聴のライブ作品だ。
シンフォニック度・・9 ライブ演奏・・8 壮麗度・・9 総合・・8.5
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THE ENID & ROBERT JOHN GODFREY 「The Music Of William Arkle And Other Recordings」
イギリスのシンフォニックロック、エニド、その総帥、ロバート・ジョン・ゴドフリーの2017年作
1986、1987年にファンクラブのみで販売された、カセットテープ作品をまとめて収録したアルバムで、
前半は、エニドの活動に参加していた映像作家、ウィリアム・アークルの手掛けた楽曲をゴドフリーが演奏。
ほぼシンセのみの演奏なのでロック色は皆無ながら、クラシカルな美意識とシンフォニ―のごとき優雅さは、
まさにエニドの世界観そのもの。後半は1987年作「REVERBERATIONS」からの、19分、18分というふたつの大曲で、
こちらもゴドフリー色の強い優美な旋律で描かれる、ロマンティックな味わいのサウンドだ。
シンフォニック度・・8 クラシカル度・・9 優美度・・9 総合・・8 
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The Enid 「U」
イギリスのシンフォニックロック、エニドの2020年作
一旦は引退を表明したロバード・ジョン・ゴドフリーが、ギターのジェイソン・ダッカーと組んで、新生エニドとして復活。
ゆったりとしたメロウなギターフレージングに、美麗なシンセを重ねた、オーケストラルな優雅さは本作も健在。
むしろ初期の頃に回帰したような、クラシカルなシンフォニーロックっぷりで、なにより色気のあるダッカーのギターは
その素晴らしさが際立っていて、ときにかつてのステフアン・スチュアートを凌駕するかというほどである。
前作「RESURGENCY」のモダンな進化の続きも見てみたかったが、原点回帰した今作こそ多くのファンが求めるものだろう。
美麗にして壮麗、ゴドフリーが追い求めた37年間のロマンの軌跡を描くような、これぞエニドというべき傑作である。
クラシカル度・・9 壮麗度・・9 エニ度・・10 総合・・8.5 
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ESPERANTO「DANSE MACABRE」
プログレバンド、エスペラントの2nd。邦題は「死の舞踏」1974作
2人のヴァイオリンにチェロを含む10人編成という大がかりなスタイルでイギリス、ベルギーなど多国籍のメンバーが織りなす名盤。
不穏なヴァイオリンの音色から始まり、ブレイクを多様した複雑な楽曲構成でテクニカルにたたみかける。
ピート・シンフィールドのプロデュースも相まって、1stに比べてメンバーの力量と奔放なセンスが遺憾なく発揮されている印象だ。
クラシカルな硬質さがプログレッシブロックとの融合を奇跡的に果たしており、絶妙の緊張感と均衡を生み出している。
この優雅なアヴァンギャルドさは必聴級といえるだろう。普通のプログレに飽き足らない方にはぜひおススメしたい。
クラシカル度・・9 プログレ度・・8 アヴァンギャル度・・8 総合・・8.5 ◆プログレ名作選入り
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ESPERANTO「LAST TANGO」
ベルギー、イギリス混合のプログレバンド、エスペラントの3rd。1975作
ビートルズの“ELEANOR RIGBY”の大胆なカヴァーで始まる本作は、前衛的だった前作に比べて歌もの度が増し、
ずいぶん聴きやすくなっている。ヴァイオリンとチェロによるクラシカルな部分と、リズム面でのシンプルなビートが合わさり
ロック色の点では前作よりも強まった。男女ヴォーカルの歌声も違和感なく溶け込んでいて
バンドサウンドとしてより成熟している印象だ。インパクトの点では前作に及ばないが、
ジャズやタンゴといった要素を大人のアレンジで組み入れたクラシカルロックである。
クラシカル度・・8 プログレ度・・7 アダルト度・・8 総合・・8
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FAMILY 「Entertainment」
ブリティッシュロックバンド、ファミリーの2nd。1969年作
シアトリカルなヴォーカルの歌声に、オルガンやピアノ、フルート、サックスなどを含んだ
いかにも60年代英国アートロックというサウンド。フォークやブルース、サイケなどの感触が合わさった
混沌とした濃密さに、初期のJethro Tullなどにも通じるブルージーな土着性も含んだ聴き心地だ。
ヴァイオリンが優雅に鳴り響き、どこか異国的なエキゾチックさもあったり、かと思うとブルージーで
ブギなノリもあったりと、なかなかとらえどころがない。奔放なセンスで描かれる英国サイケ・アートロック好作。
ドラマティック度・・7 プログレ度・・7 英国度・・8 総合・・7.5
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Fantasy 「Paint a Picture」
イギリスのシンフォニックロック、ファンタジーの1973年作
まず美しいジャケに目が行くが、サウンドの方もアコースティックギターにメロトロンが絡み、
マイルドなヴォーカルを乗せた、牧歌的で繊細なシンフォニックロックを聴かせる。
フォークロックテイストの英国らしい素朴さと、ジャケのような幻想的な世界観で、
ときにヴァイオリンも加わった叙情的なナンバーなど、ゆったりとした耳心地が楽しめる。
一方では、オルガン鳴り響きブルージーなギターを乗せたブリティッシュロック質感も魅力的。
シンフォニック度・・7 プログレ度・・7 英国度・・8 総合・・8
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Fantasy 「Beyond the Beyond Plus...」
イギリスのシンフォニックロック、ファンタジーの1974年作
1974年に録音された2作目となるはずだった未発音源で、1992年にCD化されたものをジャケを変え、
ボーナストラックを加えて1999年に再発されたもので、さらにそれが2015年にリマスター再発された。
やわらかなオルガンにメロトロンが鳴り響き、マイルドなヴォーカルを乗せた牧歌的なサウンドは、
アコースティックなフォークロック風味もありつつ、随所に泣きのメロディを奏でるギターも含めて、
GENESISを思わせるシンフォニックな感触もある。ときおり壮麗な盛り上がりを見せる楽曲は、
未発作とはいえ、むしろ1973年の1作目より上なのではと思わせる。英国らしいウェットな叙情と
バンド名通りに幻想的な雰囲気に包まれた、牧歌系シンフォニックロックの好作品である。
シンフォニック度・・8 プログレ度・・7 英国度・・8 総合・・8
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Fields
ブリティッシュロックバンド、フィールズの1971年作
やわらかなオルガンの音色ともに、軽やかに聴かせるメロディックなサウンド。
キャッチーなヴォーカルメロディには、洗練されたポップな感触があり、
ピアノを使った曲にはQUEENなどにも通じる優しい聴き心地もある。
ストリングスの美しいラスト曲などは、クラシカルな雰囲気が素晴らしい。
プログレ/アートロック全盛の時代に、あくまで3分前後のコンパクトな楽曲で
作品を作ったというのも、ある意味、珍しいかもしれない。力みのない好作である。
メロディアス度・・8 プログレ度・・7 英国度・・8 総合・・8
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Fields 「Contrasts - Urban Roar To Country Peace」
ブリティッシュロックバンド、フィールズの幻の2nd。1972/2015年作
元RARE BIRDのGraham Fieldを中心にして、1971年に唯一のアルバムを残して消えたこのバンドの
1972年に録音されていたという幻の音源が発掘CD化された。オルガンが鳴り響くレトロな味わいの、
かつてのブリティッシュロックそのままのサウンドで、リマスターされた音質も素晴らしい。
オルガンロックでありながら、歌が入るとキャッチーなポップさも覗かせて、1st同様に年代を考えても
とても洗練された作風である。曲によっては女性ヴォーカルやヴァイオリンなども入ったりして、
なかなか優雅な聴き心地。1stを好きな方はもちろん、フィールズを初めて聴く方にもオススメの好作品。
メロディック度・・8 オルガン度・・9 英国度・・9 総合・・8
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FLASH 「Our Of Our Hands」
ブリティッシュロックバンド、フラッシュの3rd。1973年作
Yesの初代ギタリスト、ピーター・バンクスが率いるこのバンド、
セールス的には恵まれず本作をもってラスト作となるのだが、サウンドの方はそう悪くない。
ピーターの絶妙のギターワークにうっすらとしたメロトロン、キャッチーなヴォーカルハーモニーで、
Yesをややラフにしたような叙情的な英国プログレハードが楽しめる。
メロディアス度・・8 プログレ度・・8 英国度・・8 総合・・8
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FRUUPP「Future Legends」
アイルランドのプログレバンド、フループの1st。1973年作/邦題「知られざる伝説」
ヴァイオリンによる優雅なイントロから始まりつつ、やわらかなピアノの音色にマイルドなヴォーカル、
ときにブルージーな泣きのギターとともに、ウェットな叙情性に包まれたサウンドを描いてゆく。
垢抜けないマイナーな空気感は、やはりイングランドのバンドとは若干異なる、
土着的な幻想性を感じさせ、キャッチーでありながらもどこか翳りを含んだサウンドが魅力的。
完成度としては、3rd「太陽の王子」、4th「当世仮面舞踏会」には及ばないものの、マイナーな味わいの好作品だ。
ドラマティック度・・8 プログレ度・・7 幻想度・・8 総合・・8
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FRUUPP「SEVEN SECRETS」
アイルランドのプログレバンド、フループの2nd。1974年作/邦題「七不思議」
ヴァイオリンとハープシコードによる典雅なイントロから始まり、オルガンにメロウなギター、
ジェントルなヴォーカルを乗せた優雅なアンサンブルで、リズムチェンジを含む展開力には、
前作に比べると軽妙なプログレらしさが備わっている。楽曲は7〜9分前後と長めで、アルバム中盤は
いくぶんもったりとした長尺感はあるが、繊細なピアノやヴァイオリンによる優美な叙情に包まれて、
ゆったりとした耳心地で楽しめる。傑作となる次作への橋渡し的な作品かもしれない。
ドラマティック度・・8 プログレ度・・8 ファンタジック度・・8 総合・・8
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FRUUPP 「The Prince of Heaven's eyes」
アイルランド出身のプログレバンド、フループの3rd。1974年作
私が無人島に持ってゆくとアルバムを選ぶとしたら、GENESISの「月影の騎士」とPFMの「友よ」と一緒にまず最初に選ぶのが本作だ。
邦題は「太陽の王子〜虹の果ての黄金伝説」。太陽を「Heaven's eye」と表したセンスもなんとなくグッとくるではないか。
当時の日本盤は今はなきテイチクの「ブリテイッシュ・プログレクラシックス」から出ており、ジャケに惹かれて本作を手にとったのが出会い。
ややチープな絵だが、いかにも少年の冒険を思わせるファンタジックな雰囲気と、帯に書かれた邦題が私の心をときめかせたのだ。
サウンドは、美しいストリングスシンセに導かれて、ジャケ通りの牧歌的な雰囲気のシンフォニックロックがゆるやかに展開されてゆく。
一聴した感じは地味ながらも、何度聴いても音の心地よさと涼やかな雰囲気から聴き疲れがまったくしないのが良い。
そうして聴き込んでいくうちに、脳裏にはジャケの少年が繰り広げる冒険の物語が浮かんでくるのである。
いかにも旅の始まりを感じさせるワクワクとするような1曲目、7曲め“Seaward Sunset”のピアノとコーラスによるしっとりとした美しさ、
そして“The Perfect Wish”での後半の大盛り上がりからラストへの展開などは、いつ聴いても素晴らしく感動的だ。
エンディング的な“Prince of Heaven”で幕を閉じるまで、淡い色をした幻想の物語にゆったりと浸れるじつに素敵なアルバムである。
メロディアス度・・8 ほのぼの度・・9 ファンタジック度・・9 総合・・8.5
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FRUUPP「Modern Masquerades」
アイルランド出身のプログレバンド、フループの4th。1975年作
イアン・マクドナルドがプロデュースした本作「当世仮面舞踏会」は、前作とともにバンドの代表作として名高い傑作だ。
冒頭の泣きのギターメロディからしてもうたまらない。アコースティカルな響きにかぶさるメロトロンやソリーナのシンセ、
この繊細な叙情美にはただもう涙あるのみである。初期の2作に比べるとずいぶん洗練されてきて、
メロディを活かすコンパクトな楽曲アレンジが全体としての聴きやすさにつながっている。素朴な田舎っぽさを残しつつ、
たおやかなピアノの音色やキャッチーなコーラスなどには、70年代ロックのやわらかなメロディアスさがあり、耳心地の良さも抜群。
メロディアス度・・8 ほのぼの度・・9 ファンタジック度・・8 総合・・8.5
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FRUUPP「IT'S ALL UP NOW ANTHOLOGY」
イギリス、アイルランド出身のプログレバンド、フループの2枚組ベストアルバム。2004年作
CD2枚組で、DISC1に1stと2nd、DISC2に3rdと4thの楽曲が収録されたお得な作りである。日本盤での邦題を挙げてゆくと、
1st「FUTURE LEGENDS/知られざる伝説」、2nd「SEVEN SECRETS/七不思議」、3rd「THE PRINCE OF HEAVENS EYE/太陽の王子」
4th「MODERN MASQUERADES/当世仮面舞踏会」と、なかなか気の利いた邦題がつけられている。
1stの頃はやや粗削りな感じだか、傑作3rdへと続くメロディの原石が所々に光っていて、素朴な味わいがある。
2ndは躍動感という点では1番か。ロック的な熱情とアイルランドを感じるメロディが融合していて、曲を盛り上げるヴァイオリンの音色も美しい。
一転して優しげな歌メロが胸にしみるこれも好盤。3rdは少年の冒険を描いたコンセプト作で、繊細でほのぼのとした雰囲気が耳に優しい。
いかにも旅の始まりを予感させるように軽快に始まり、シンフォニックに盛り上げて締める構成も素晴らしい。
決してテクニックのあるバンドではないが、聴く者の感性にやわらかに触れてくる、じわじわとくるタイプの音楽だ。
無人島にゆくならぜひこれを持ってゆきたい。4thはイアン・マクドナルドプロデュースで、一番優雅なアルバム。
メロディアス度・・8 英国度・・9 ほのぼの度・・9 総合・・8.5
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Fusion Orchestra「Skeleton in Armour」
イギリスのロックバンド、フュージョン・オーケストラの1973作
ジャズロックとハードロックを合体させたようなガチャガチャとしたサウンドに、エキセントリックな女性ヴォーカルが絡む。
唐突にブラスやピアノ、フルートなどが入ったりする展開は、ESPERANTOなどにも通じる
ミクスチャー感覚だが、こちらはもっとブルーズ色が強く、ジャジーなハードロックが基本にある。
一方ではハモンドが鳴り響く英国らしいナンバーもあり、アルバムとしても飽きさせない。
ジャケットの「死の舞踏」の版画といい、時代を考えるとかなり先鋭的なセンスを持ったバンドだった。
メロディアス度・・7 プログレ度・・8 ミクスチャー度・・8 総合・・7.5
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GENESIS 「From Genesis to Rebelation」
ジェネシスの1969年作 邦題「創世記」
From Genesis to Rebelationというバンド名兼タイトルで作られた、幻のデビュー作。
当時平均18才だったメンバーたちがたった1日で録音したという作品で、
のちのようなプログレ/シンフォニックロックを想像すると当てが外れるが、
ピーター・ガブリエルの歌声と、アンソニー(トニー)・バンクスの繊細なピアノ、
そしてストリングスによるアレンジも含んだ、キャッチーで瑞々しいサウンドが楽しめる。
プログレ前夜のアートロック風味と、ポップ、フォークなどの要素が混じり合った聴き心地からは
英国独特の優雅な気品とサイケな奔放さがすでに感じとれる。若さと希望の詰まった好作品です。
メロディック度・・8 プログレ度・・7 英国度・・8 総合・・7.5
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Genesis「Trespass」
ジェネシスの2nd。1970年作
プログレバンドとしてのGENESISの歴史は本作から始まったと言っていいだろう。
スティーブ・ハケット加入前ということで、アンソニー・フィリップスの繊細なギターが鳴り響き、
ハモンド、メロトロン、そしてたおやかなピアノと調和していて素朴な味わいを出している。
楽曲面でのドラマティックさはすでに完成されつつあり、ガブリエルの歌声も映えている。
繊細なフルートの音色やアコースティックな部分も魅力的で、名曲“Visions of Angels”をはじめ、
楽曲の魅力という点でも、決して次作以降の名作たちに引けをとらない。
メロディアス度・・8 プログレ度・・7 繊細&素朴度・・9 総合・・8
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Genesis「Nursery Cryme
ジェネシスの3rd。1971年作
新たにステファン(スティーブ)・ハケットとフィル・コリンズを迎え、黄金の体制となったバンドは、
物語性をともなった強固な世界観を構築、冒頭を飾る名曲“The Musical Box”の妖しげな世界観は、
ハケットのメロウなギターと、ガブリエルの濃密な歌声とともに、この時代でしかなしえない空気を作り出している。
とくに後半からラストへのダイナミックな流れなどは泣きの叙情が押し寄せてくるじつに感動的なものだ。
全体的な完成度からすれば、「Foxtrot」、「Selling England〜」の方が上かもしれないが、この幻想的な物語世界は
GENESISの作品中でも最高のものだろう。「怪奇骨董音楽箱」という当時の邦題にもしびれたものだ。
メロディアス度・・8 プログレ度・・8 幻想度・・10 総合・・8.5
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Genesis「Foxtrot
ジェネシスの4th。1972年作
1曲め“Watcher of the Skies”のイントロのメロトロンからもう胸が踊る。
サウンドにはダイナミックさが加わり、プログレとしてのインパクトの点では
本作を次作とともにGENESISの代表作と位置づけることにもうなずける。
バンドとしての黄金期を感じさせる迷いのなさが、ドラマティックな世界観を強固にする。
そしてラストの大曲“Supper's Ready”は、プログレ的な緩急をつけた展開とストーリー性で
聴かせる22分を超える見事な大曲。前作、次作とともにGENESISの傑作三部作と呼びたい。
メロディアス度・・8 プログレ度・・8 ドラマティック度・・9 総合・・8.5
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Genesis「Selling England by the Pound
ジェネシスの5th。1973年作/邦題は「月影の騎士」
GENESISの最高作をあえて選ぶなら本作となるだろう。彼らの世界観である幻想美と、楽曲におけるドラマティックさが結実、
それがバンドの成熟とともに最高の形で組合わさったのが本作だ。ガブリエルのヴォーカルの表現力も増し、
ハケットの奏でるメロウなギターにトニー・バンクスのシンセワークがもっとも素晴らしいのもまた今作。
そして最高の名曲“Firth of Fifth”はイントロのピアノから感涙必至。ロマンに満ちた当時の空気すらも運んでくるようだ。
これぞ英国が生んだ幻想のシンフォニックロック。繊細にして感動的な名作。
シンフォニック度・・8 プログレ度・・8 幻想度・・9 総合・・9
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Genesis「The Lamb Lies Down on Broadway
ジェネシスの6th。1974年作/邦題「眩惑のブロードウェイ」
CD2枚組のコンセプト作で、ファンの間では意外と評価の分かれるアルバム。
それもそのはず。バンド自体も黄金期の終焉を思わせるゴタゴタがあったらしい。
ともあれ、シアトリカルなドラマ性とともにガブリエルの歌声がもっとも生き生きとして
また、1曲ごとはコンパクトなので、聴きやすくキャッチーな作品と言えるだろう。
じつのところ、このアルバムは歌ものメインの長尺なイメージであまり好きではなかったのだが、
シンセとギターを中心とした楽曲アレンジの細かさに注目すると、プログレ作品としてちゃんと楽しめる。
じっくりと聴き込めば感動的なラストが待っている。やはりこれも名作といってよいですな。
メロディアス度・・8 プログレ度・・7 ドラマティック度・・8 総合・・8.5
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Genesis「Trick of the Tail
ジェネシスの7th。1976年作
フロントマンであったピーター・ガブリエルが脱退し、ドラムのフィル・コリンズがヴォーカルを兼任、
初期の妖しい幻想性が薄れ、より強固になったアンサンブルと英国的な叙情とのバランスがとれたサウンドは、
良い意味で垢抜けてきていて、むしろ初期の作品が苦手なリスナーには本作を好む向きも多いようだ。
MEKONG DELTAもカヴァーした冒頭の7拍子の名曲“Dance on a Volcano”のタイトな恰好良さ、
そしてラスト曲“Los Endos”の叙情あふれるダイナミズムは白眉です。中期の傑作というべき内容です。
メロディアス度・・8 プログレ度・・8 ドラマティック度・・7 総合・・8
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Genesis「Wind & Wuthering
ジェネシスの8th。1977年作/邦題「静寂の嵐」
ジャケの美しさもさることながら、サウンドの方も泣きの叙情にあふれた傑作。
前作ではやや抑え気味であったスティーブ・ハケットのメロウなギターが炸裂し、
トニー・バンクスの美しいシンセワークとともに、かつてのGENESISサウンドを甦らせている。
フィル・コリンズのヴォーカルも前作よりずいぶんこなれてきていて、すでにバンドサウンドと
違和感なく溶け込んでいる。一方では後の作品につながるキャッチーなメジャー感覚もあって、
プログレハード的な聴き方もできるかもしれない。シンフォニックという点では本作が最後の輝きであった。
メロディアス度・・8 プログレ度・・8 ドラマティック度・・8 総合・・8
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GENESIS 「Seconds Out」
ジェネシスのライブアルバム。1977年作
ピーター・ガブリエル脱退後に行われたライヴで、ビル・ブラッフォードが参加してのダブルドラムという
珍しい編成での演奏が聴ける。ブラッフォードとチェスター・トンプソンによる 二台のドラムの迫力は大きく、
“Firth of Fifth”、“Supper's Ready”などのかつての名曲もなかなか新鮮に聴こえる。
私のような初期のファンからすれば、フィル・コリンズがヴォーカルをとりだしたこの中期以降は
サウンドの輪郭がややはっきりとしてきて、あまり好みではないのだが、4枚組みアーカイブを除けば、
ジェネシスのライブアルバムのベストに本作を選んでもかまわないくらいにはクオリティが高い。
メロディアス度・・8 プログレ度・・7 ライブ演奏・・8 総合・・8
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GENESIS「and then there were three...」
ジェネシスの9作目。1978作/邦題「そして三人が残った」
ハケットが脱退しメンバーは、フィル・コリンズ、トニー・バンクス、マイク・ラザフォードの3人となった。
「そして、3人が残った」というタイトルは皮肉めいているが、サウンドの方はややポップになったとはいえ、
プログレ的なテクニカル性は失われておらず、オルガンなどを含んだ美しいシンセワークと、
コリンズのヴォーカルとともに、ジェネシスらしいメロディックな聴き心地が楽しめる。
モダンでキャッチーなプログレロックという点では、むしろ現在の英国プログレ勢に通じるサウンドだろう。
メロディアス度・・8 プログレ度・・7 ドラマティック度・・7 総合・・8
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GENESIS「DUKE」
3人組ジェネシスの2作目。通算10作目のアルバム。1980年作
ハケットの抜けたジェネシスということで、メロウなギターワークを楽しむことはできませんが、
サウンドはより爽快になり、フィル・コリンズの歌声も含めてキャッチーでメロディアス。
シンフォニックなシンセアレンジがゴージャスな聴き心地になっていて、
かろうじて往年のファンにもアピールできる好作品だと思います。
メロディアス度・・8 プログレ度・・7 ドラマティック度・・7 総合・・7.5
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GENESIS「abacab」
ジェネシスの11th。1981年作
最近は「DUKE」もまあ悪くないかな、と思えるようになったので本作も聴いてみた。
当然ながらサウンドはもはやプログレとは呼べないが、キーボード入りのメロディックロックとして聴けば
これがなかなか悪くない。キャッチーでポップでデジタルな雰囲気もあるが、トニー・バンクスのシンセは
それでもまだ瑞々しさを失っていないし、楽曲には爽快なメロディアスさがあって、それなりに楽しめる。
メロディアス度・・8 プログレ度・・6 ポップ度・・8 総合・・7.5
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GENESIS「GENESIS」
ジェネシスの12th。1983年作
ポップ化して以降のアルバムとしては比較的評価の高いアルバムのようだが、
個人的には前作「abacab」の方が良かった。シングル曲の「ママ」にしろ何が魅力なのかよく分からない。
前作に比べるとシンセアレンジも曲によってはシンプルになり、どうしてもサウンドが薄く感じられてしまうのだ。
往年のファンが考えるところのプログレッシブな雰囲気はほぼ皆無になり、
いかにも80年代らしいビートミュージック的なドラムサウンドもどうにも気に入らない。
メロディアス度・・7 プログレ度・・3 ポップ度・・8 総合・・7
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Genesis「Invisible Touch」
ジェネシスの13th。1986年作
前作のポップ路線の延長であるが、キャッチーで爽快なメロディアス性という点では本作の方が良い。
なにより、トニー・バンクスのきらびやかなシンセが、息を吹き返したようにサウンドを彩っている。
フィル・コリンズのヴォーカルもドラマティックな抑揚をもって楽曲を濃密に彩っていて、
部分的には黄金期のような高揚感も現れる。80年代の産業ロック路線をジェネシス流に追求したという好作品だ。
メロディアス度・・8 プログレ度・・6 ポップ度・・8 総合・・7.5
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Genesis「We can't Dance」
ジェネシスの14th。1991年作
個人的には彼らをプログレとして聴けるのは、1981年作「ABACAB」までがぎりぎりで、
以降のヒット路線には興味もなかったのだが、あらためて本作を聴き直すと、これが…なかなか悪くない、のである。
フィル・コリンズのヴォーカルで聴かせるキャッチーなポップさとともに、しっとりとした叙情的なメロディが合わさった、
大人のメロディックロックというべきサウンド。とくにトニー・バンクスの美しいシンセワークは絶品だ。
メロディアス度・・8 プログレ度・・6 ポップ度・・8 総合・・7.5
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GENESIS
「The Way Walk」
ジェネシスのライブ作品。1992/1993年作
「Vol 1:The Shorts」、「Vol 2:The Longs」という2枚に分けられた作品をまとめてレビュー。
Vol1は「シングル・ヒッツ・コレクション」ということで、1997年の「We Can't Dance」、
1986年の「Invisible Touch」からの曲を中心に、ポップでモダンなメロディックロックを収録。
Vol2は「もうひとつのジェネシス」と題された通り、プログレサイドを含めた長曲を収録、
とくに“Old Medley”と題された、70年代の名曲メドレーは、オールドファンには感涙もの。
キャッチーなポップ性を含んだベテランバンドの安定した演奏が楽しめるライブ盤です。
メロディック度・・8 プログレ度・・7 ライブ演奏・・8 総合・・7.5


GENESIS「Calling All Stations
ジェネシスの1997作
脱退したフィル・コリンズに代わり、ヴォーカルにレイ・ウィルソンが加わった本作は
当時さほど評価の高くなかったアルバムなのだが、個人的にはモダンさの中にも
かつてのシリアスなプログレ感触をいくぶん取り戻していて、なかなか悪くないと思う。
肝心のヴォーカルも、若手にしては落ち着いた歌声で、大人のジェネシスサウンドに
貢献している。トニー・バンクスのうっすらとした叙情シンセのセンスはやはり素晴らしく、
マイク・ラザフォードのギターもメロウなフレーズが耳心地がいい。アルバム後半はやや退屈だが。
メロディアス度・・8 プログレ度・・7 落ち着き度・・9 総合・・7.5
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GENESIS「ARCHIVE 1967-1975」
英国プログレの大御所、ジェネシスの初期ライブなどを集めたアーカイブ。CD4枚組み。
ジェネシスマニアにはたまらない全盛期のライブを堪能できるこの4枚組みボックスセットであるが、
disc1、2には1974年の「The Lamb Lies Down On Broadway」完全再現ライブを収録、disc3には1971〜1973年のライブ音源に、
当時のシングル曲などを加え、disc4には60年代後半の初期メンバーによるデモを収録、という豪華な内容。
disc1、2のライブは確かに音質がいいのだが、「ブロードウェイ〜」にはさして思い入れがないので、
個人的にはこのセットのハイライトは間違いなくdisc3。全盛期メンバーによる“Dancing With the Moonlit Knight ” “Firth of Fifth ”
そして “ Supper's Ready ”はまさに感動もの。少々値が張る代物だが、GENESISはガブリエル在籍時に限るという方は聴くべきブツですね。
資料価値満載の豪華大型ブックレットもファンにはたまらないことでしょう。
メロディアス度・・8 ライブ演奏・・8 初期ジェネシス好きなら度・・9 総合・・8
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GENESISLive Over Europe 2007
10年ぶりに復活したジェネシスのライブアルバム。2007作
2007年のヨーロッパツアーから集めたライブテイクをCD2枚組で収録。
フィル・コリンズ、マイク・ラザフォード、トニー・バンクスの3人編成時代の曲を中心に、
ガブリエル時代の曲も何曲か披露。演奏は年季を感じさせる枯れた味わいとともに
年を経てもなおロックとしての瑞々しさとダイナミズムもあり、なかなか楽しめる。
かつての幻想プログレ時代をへて、こうしたマイルドなメロディックロックへと辿り着いた。
大人の演奏を聴かせる大人のジェネシス。肩の力の抜けた自然体の味わいだ。
プログレ度・・7 ライブ演奏・・9 楽曲・・8 総合・・8
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GENESIS 「THE LAMB LIES IN ROCHESTER」
イギリスのプログレバンド、ジェネシスのライブ音源。2CD/2020年作
1974年、アメリカ、ニューヨークでのライブで、「THE LAMB LIES DOWN ON BROADWAY」の完全再現を含むステージ。
70ンダイジェネシスのブート音源の中ではわりと音質が良く、何度かタイトルが変わって再版されてきているが、
この2020年版では、サウンドがよりダイナミックになっていて、全盛期のジェネシスの演奏として聴く価値がある。
ピーター・ガブリエルの歌声に、スティーブ・ハレーケットの叙情的なギター、トニー・バンクスの優美なシンセ、
そしてフィルコリンズの巧みなドラムが織りなす、ドラマティックな世界観が、躍動的な演奏で楽しめる。
ラストの「The Musical Box」まで、2CDで約110分、サウンドボード録音の臨場感あるライブ音源です。
ライブ演奏・8 音質・7 往年のジェネシス度・9 総合・8 
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RIVER OF CONSTANT CHANGE - A TRIBUTE TO GENESIS
イタリアMellowレコード主催のオムニバス、ジェネシスのトリビュート。1995年作
Moongarden、Finisterre、Men of Lake、Submarine Silence、The Ancient Veil、といったイタリア勢から、
Final Conflict、Galahad、Legend、といったイギリスのシンフォ系バンドなど、全27アーティストが参加した2CD。
Notturno Concertanteによる優美な「The Carpet Crawlers」、Legendは女性ヴォーカルで聴かせる「The Day The Light Went Out」、
Germinaleはオルガンを使ったオールドな味わいの「The Knife」、Dracmaによるスペインなまりの「The Light Dies Down On Broadway」
Seconds Outはヴォーカルのガブリエル感も含めて「Watcher Of The Skies」ほぼ完コピで、どれもなかなか面白かった。
全体的に落ち着いた味わいのナンバーが多く、さほど意外性はないが、ゆったりと楽しめるトリビュート作品ですな。
プログレ度・・7 叙情度・・8 アレンジ度・・7 総合・・7.5
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GENTLE GIANT「GENTLE GIANT/ACQUIRING THE TASTE」
イギリスのプログレバンド、ジェントル・ジャイアントの1st&2ndのカップリング。1970/71年作
1970年のデビュー作は、オルガンやサックスを乗せた軽やかなアンサンブルで、
キャッチーな感触の中にも知的な展開力で聴かせるサウンドは、すでに確立している。
4th以降に比べると、牧歌的で素朴なやわらかさを残していて、ヴァイオリンや12弦ギターによる
繊細な叙情性で、マイルドなヴォーカルを乗せたアコースティックなナンバーも耳心地良い。
71年の2作目は、メロウなギターにメロトロン、オルガンを含むシンセに、ホイッスル、サックスが優雅に絡む
音の重ねがよりスタイリッシュになり、厚みのあるコーラスとともに、シンフォプログレ的な美しさもある。
派手さはないが、フォークやクラシックの要素も含んで、じっくりと楽しめる叙情的な逸品です。
メロディアス度・・8 プログレ度・・8 やわらか度・・8 総合・・8
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GENTLE GIANT「Three Friends」
イギリスのプログレバンド、ジェントル・ジャイアントの3rd。1972年作
英国プログレを代表するバンドであり、そのテクニカルでありつつもどこかとぼけたサウンドは
通好みのバンドとして人気が高い。本作は三人の幼なじみの歩んでゆく人生を描いた、
トータル作で、5〜7分台の曲を中心に、よく練られたセンスたっぷりの楽曲を聴かせる。
ギターもシンセも決して前に出すぎることなく、ぱっと聴きには地味ながらも
アンサンブルの中ではさりげないテクニックを見せつけている。牧歌的なやわらかなさと、
キャッチーなコーラスークなども含めて、柔軟性の高さでは当時ピカイチのバンドだったことが察せられる。
メロディアス度・・7 プログレ度・・8 やわらか度・・8 総合・・8
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GENTLE GIANT「Octopus」
ジェントル・ジャイアントの4th。1973年作
GGの代表作として人気のアルバム。サウンドに流れるようなスタイリッシュさが出てきて、
それとともにキャッチーな歌メロと、テクニカルなアンサンブルの対比もくっきりとなった。
ピアノやオルガンなどの使い方も効果的で、ときにジャズタッチだったり、哀愁溢れる叙情味を感じさせたりと、
いろいろな要素を聴かせてくれる。クラシカルなヴァイオリンの音色が加わったと思えば、ファンキーなパーカションや、
サックス、トランペットなどの管楽器が鳴り出し、また繊細なピアノと、曲は3〜4分台ながら
まるで万華鏡のように色の変わってゆく、濃密で構築的なプログレがたっぷり堪能できる。
メロディアス度・・8 プログレ度・・9 構築度・・9 総合・・8 ◆プログレ名作選入り
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GENTLE GIANT「In a Glass House」
ジェントル・ジャイアントの5th。1974年作
一般的には、前作「オクトパス」の人気が高いが、よりテクニカル志向で日本人好みなのはむしろ本作。
ガラスの壊れる音がしだいにリズムになってゆくイントロから惹きつけられるが、
演奏もエッジの立った硬質さが増し、ハードなたたみかけと小洒落たユーモア、そして叙情性とが、
それぞれに際立って聴こえる。曲も7〜8分台と長めになり、より我々の想像するプログレをやってくれていて、
「ガラスの家」というタイトル通り、涼やかな心地よさが作品に統一感を持たせている。
知性をともなった演奏力と、構築センスが見事に一体となった見事な傑作だ。
メロディアス度・・8 プログレ度・・9 構築度・・9 総合・・8.5 ◆プログレ名作選入り
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GENTLE GIANT「The Power and the Glory」
ジェントル・ジャイアントの6th。1975年作
一聴してややポップになった雰囲気だが、本質はやはり複雑音楽なのである。
1曲目は軽やかなエレピにキャッチーなコーラスが重なりつつ、
予想に反してそこにヘヴィなギターが加わってくるという意外性がなかなかニクい。
前2作での緻密な構築性よりも、さらに余分な力を抜いた柔軟な曲作りである。
全体的には明るめの雰囲気ながら、ときおり奇妙な展開を盛り込むなど、余裕の遊び心は
さすがのGGである。聴きやすさとひねくれ者加減を巧みに両立させている好作品だ。
メロディアス度・・7 プログレ度・・8 構築度・・8 総合・・8
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GENTLE GIANT「FREEHAND」
ジェントル・ジャイアントの7th。1975年作
前作あたりからキャッチーなポップさが強まっているが、それでいてしっかりとテクニカルな側面を覗かせる傑作。
初期の数作よりもずいぶん録音もよくなって、シンセによるコミカルな味わいも強調されつつも
超絶なテクニックをさらりと聴かせる楽曲アレンジが、ここではいよいよその冴えを見せている。
多重に重なるコーラスハーモニーや、対位法的なメロディの重ねなど、さまざまな手法が散りばめられている。
軽やかな聴き心地ながらも叙情的な曲もあり、プログレとしての楽しみ所満載という、GG節がたっぷりと味わえる。
ちなみに本作以降の6作品は「I Lost My Head-the Chrysalis Years」4枚組に全収録されていてお得です。
メロディアス度・・8 プログレ度・・9 アレンジセンス・・9 総合・・8.5
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GENTLE GIANT「INTERVIEW」
ジェントル・ジャイアントの8th。1976年作
4th「Octopus」から本作あたりまでは、どれもが見事な傑作といっていいだろう。
耳触りの良さとテクニカルで変態的な展開力が同居したGGサウンドは、本作でも炸裂している。
オルガンを含めたプログレ的なシンセと、キャッチーなメロディ、変則リズムを含んだ軽やかな技巧、
それらがバランス良く合わさったことで、結果として爽快なひねくれサウンドを描いている。
次作以降はややモダン化してゆくことを考えれば、本作までがプログレとしてのGGの全盛期であったといえる。
メロディアス度・・8 プログレ度・・8 アレンジセンス・・9 総合・・8
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GENTLE GIANTPlaying the Fool」
ジェントル・ジャイアントのライブアルバム。1977年作
1976年のヨーロッパツアーからの音源で、正規のライブ音源としては唯一の作品。
多くのブートやレア音源などが発掘されているGGだが、まずはこの定番ライブ作を聴くべし。
音質もなかなか良好で、スタジオ盤以上にダイレクトにそのテクニカルな演奏が伝わってくる。
難解な楽曲をいとも簡単に…むしろ余裕をもってこなしており、やはり彼らの演奏力はただごとではないと再確認できる。
キャッチーなコーラスワークとどこかとぼけた軽やかな曲展開には、楽しみながらも唖然と出来ること請け合い。
GG絶頂期の超絶なライブの記録である。なお、35周年バージョンはCD2枚組で、ボーナスに1974年のライブ映像が1曲収録されている。
メロディアス度・・8 プログレ度・・9 ライブ演奏・・10 総合・・8.5
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GENTLE GIANT「The Missing Piece」
ジェントル・ジャイアントの9th。1977年作
一聴して軽やかなポップ性に包まれたサウンドながら、軽妙なセンスに彩られたアレンジはやはりGGのものだ。
シンセの音色もいくぶん80年代を見据えた感じになりつつ、時代を映したモダンなプログレロックといような感触で、
これまでのひねくれたような展開は薄まり、じっくりとメロディを聴かせる曲が増えているが、これはこれで楽しめる。
これまでにないノリのロック的な曲もあったりして面食らうが、アルバムの出来自体は決して悪くない。
メロディアス度・・8 プログレ度・・7 アレンジセンス・・8 総合・・8
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GENTLE GIANT「Giant for a Day」
ジェントル・ジャイアントの10th。1978年作
前作よりさらにコンパクトかつキャッチーなロックになり、80年代的なモダンな質感が強まった。
同年に登場するU.K.とはアプローチの方法論は違うが、プログレ感覚を残した技巧派ロックという点では
相通じるような瞬間もある。プログレとしての代表作たちと比べれば、ファンは物足りないだろうが、
高い演奏力で聴かせるメロディックロックとしては充分質は高い。むしろ普遍的に楽しめる好作品だ。
メロディアス度・・8 プログレ度・・7 アレンジセンス・・8 総合・・8
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GENTLE GIANT「Civilian」
ジェントル・ジャイアントの11th。1980年作
サウンドはぐっとモダンになり、これまでになくハードなギターと80年代らしいビート感の効いたリズムで、
メロディックなロックを聴かせる。元々テクニックは抜群のバンドであるから、こうしたハードな路線をやっても、
シンプルでありながらしっかりと味のあるフックを描いていて、プログレと思わなければとても質は高い。
オルガンを含むシンセに、適度にブルージーで渋みも含んだギターとともに、英国らしい哀愁の叙情も感じさせる。
曲によってはAISIAのようやキャッチーなプログレハードとしても楽しめる。なにげに好作品である。
メロディアス度・・8 プログレ度・・6 けっこうハー度・・8 総合・・8
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Gentle Giant 「The Last Steps」
イギリスのプログレバンド、ジェントル・ジャイアントの1996年作
バンドの解散直前、1980年のアメリカでのライブを収録。1980年作「Civilian」からのナンバーを主体に、
キャッチーなメロディックロック路線のサウンドの中に、テクニカルな演奏力をまぶしたセンスが光る。
「Free Hand」や「Playing The Game」など往年の傑作からのナンバーも挟んで、軽快な歌もの感と
かつてのプログレらしさを融合させた、70年代を締めくくるかのようなステージを再評価。
音質はいくぶんラウドながら、全79分、バンドの晩年のライブサウンドが詰まった1枚です。
ライブ演奏・8 プログレ度・7 音質・7 総合・7.5
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GENTLE GIANT「Out of the Woods」
イギリスのプログレバンド、ジェントル・ジャイアントのBBCのライブ音源集。2000年作
1970〜75年の録音で、1枚ものと完全版の2枚組みが別にあってジャケも若干異なる。
5人全員がヴォーカルをとり、楽器を持ち替えるテクニシャン揃いなので、
ライブ演奏においてはスタジオ盤以上に躍動感のあるサウンドが楽しめる。
鳴り響くハモンドにピアノ、フルート、巧みなリズムチェンジ、シリアスとユーモアの境界を
行き来するような余裕とともに、メンバー自身が音楽というものを楽しんでいるのがまた凄い。
PFMにも通じる軽やかな演奏力と、英国特有のウィットに富んだ土着性で聴かせる楽曲たちは、
ときにメロディアスでときにポップですらあるが、そこには何度聴いても飽きない奥深さがある。
音質もおおむね良好で、これは全盛期のGGの素晴らしいライブ演奏が楽しめる必携盤だ。
プログレ度・・9 ライブ演奏・・10 音質・・8 総合・・8.5
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GENTLE GIANT「EDGE OF TWILIGHT」
イギリス70年代を代表するプログレバンド、ジェントル・ジャイアントの2枚組ベスト。
1st〜6thまでのアルバムから大半の曲が収録されており、GG初心者にもうってつけ。
リマスターされて音質もよいので、70年代初期の録音のショボさも多少は改善され、
技巧的でありながらどこかとぼけた味のある彼らの演奏がたっぷり楽しめる。
メロディアス度・・7 プログレ度・・9 たっぷり31曲度・・9 総合・・8
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GENTLE GIANT 「LIVE IN STOCKHOLM '75」
イギリスのプログレバンド、ジェントル・ジャイアントのライブ。2009年作
1975年スウェーデンでのラジオ放送用のライブを収録。1975年作「The Power and the Glory」、
同年「FREEHAND」からのナンバーを主体に、1974年作「In a Glass House」のメドレーや
1971年作「Acquiring The Taste」からのナンバーも披露。音質もまずまず良好で、
巧みで軽やかなアンサンブルに、とぼけた味わいのヴォーカルメロディで描かれるサウンドは、
当時としてはおそろしく斬新なスタイルだったろう。即興を含む余裕ある演奏が楽しめる発掘ライブ音源。
プログレ度・8 ライブ演奏・8 音質・8 総合・8
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GENTLE GIANT「LIVE AT THE BICENTENNIAL 1776-1976」
イギリスのプログレバンド、ジェントル・ジャイアントのライブ。2014年作
1976年のアメリカツアーを2CDに収録。1975年作「FREEHAND」、1976年作「IN'TERVIEW」からのナンバーを主体に
1974年作「In a Glass House」、1975年作「The Power and the Glory」からのメドレーなども披露。
音質も良好で、巧みなアンサンブルとキャッチーなヴォーカル&コーラスハーモニーで、どこかとぼけた味わいの
軽妙なサウンドを聴かせる。優雅なフルートやヴァイオリンなど、アコースティックパートを取り入れつつ、
客席からの大歓声や、MCなども含めた、ライブならではの臨場感もあって、GGファンにはとても楽しめる。
Disc2では「Octopus」からのメドレーも披露するなど、全盛期の発掘音源としては必聴級の内容だろう。
プログレ度・8 ライブ演奏・9 音質・8 総合・8
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Giles,Giles & Fripp「The Cheerful Insanity of
ジャイルズ、ジャイルズ&フリップの1968年作
マイケル&ピーターのジャイルズ兄弟と、ロバート・フリップによるユニットで、
のちのKING CRIMSONへとつながる、そのスタート地点と言うべき作品。
1〜2分前後の小曲と、合間にストーリー的な語りを挟んだ前半の構成は、
ビートルズの「サージェント・ペパーズ」に影響を受けたとおぼしき牧歌的なサウンド。
フォークロック、ジャズ、サイケなどの要素を盛り込んだ微笑ましいアートロックというべきか、
ポップな中にもメロトロンなどを含んだやわらかな叙情性はじつに英国らしい。
ドラマティック度・・7 プログレ度・・6 英国度・・8 総合・・7
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Giles,Giles & Fripp 「The Brondesbury Tapes
ジャイルズ、ジャイルズ&フリップの未発音源集。
「The Cheerful Insanity of」発表後の貴重なセッション音源などを収録した未発音源集。
牧歌的なポップロックであった前作品の作風に、クラシックやジャズの要素をよりシリアスに取り込んでいて、
のちのKING CRIMSONへの萌芽が感じ取れる。イアン・マクドナルドが参加してからの音源になると、
フルートやピアノ、サックスなどが加わったことでやわらかな叙情性が増し、当時彼の恋人であった
Fairport ConventionのJudy Dybleが歌う“風に語りて”のフォーキーなバージョンなども耳に優しい。
後半には、クリムゾンばりのヘヴィなジャズロック風プログレナンバーもあり、KCファンならかなり楽しめる内容だ。
ドラマティック度・・7 プログレ度・・7 英国度・・8 総合・・7.5
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Gilgamesh
イギリスのジャズロックバンド、ギルガメッシュの1st。1975年作
のちにNational Healthにも参加する鍵盤奏者アラン・ゴウエンを中心に結成されたバンド。
テクニカルでありながら、どこかユーモラスな旋律を含んだプログレ・ジャズロックで、
優雅なピアノやシンセを奏でるアラン・ゴウエンのセンスと、ときにメロウな叙情も含ませたギターが素晴らしい。
女性のスキャットヴォーカルも随所にやわらかな聴き心地となっていて、作品としての完成度はとても高い。
たとえばオランダのFOCUSにも通じるような、引き出しの多さと大人のアンサンブルが楽しめる傑作だ。
メロディアス度・・8 プログレジャズロック度・・8 優雅な叙情度・・8 総合・・8
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GILGAMESH「Another Fine Tune You've Got Me Into」
イギリスのジャズロックバンド、ギルガメッシュの2nd。1978作
1st発表後にNational Healthに吸収合併という形でバンドは消滅するが、
その後SOFT MACHINEのヒュー・ホッパーが加わり再結成され、発表されたのが本作ということになる。
インスト主体のサウンドは、アラン・ゴウエンの優雅なピアノタッチで聴かせるやわらかなジャズロック。
Hatfield and the North
のようなスケール感はないのだがこちらはゆったりと耳を傾けられる、落ち着きのある雰囲気が魅力。
メロディアス度・・8 ジャズロック度・・8 優雅な叙情度・・8 総合・・8
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GNIDROLOG「In Spite Of Harry's Toe-Nail/Lady Lake」
イギリスのプログレバンド、ニドロローグの1st、2ndカップリング。1972/2004作
クリムゾンあたりを思わせるややダークめでヘヴィなジャズロック的な質感と、
フルートなどによる古楽的な叙情が合わさって、時代を考えればかなり個性的な音作りだ。
唐突とも思えるせわしない展開の仕方はかなり変態がかってもいて、
7〜9分台の曲を中心に聴かせつつ、先の予測できないような楽しさがある。
同年に出た2ndになると、美しいジャケのように叙情性が引き立ってきていて
楽曲の整合性も向上し、やや風変わりなシンフォニック系としても聴ける。
フルートの音色はやはりKING CRIMSONJETHRO TULLなどを思い出させる。
ただのプログレに飽き足らないという通好みな方には、ぜひ一聴をお勧めする。
メロディアス度・・7 プログレ度・・8 けっこう変態度・・8 総合・・8
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GNIDROLOG 「LIVE 1972」
イギリスのプログレバンド、ニドロローグのライブ音源。1972/1999年
1972年に2作を残した、英国プログレの知られざる実力派バンド、本作は1stと2ndの間の時期に行われたライブで、
デビュー作「...In Spite Of Harry's Toe-Nail」からの楽曲に、2nd「Lady Lake」からのナンバーや未発曲も披露。
MCによるイントロから、サックスが鳴り響き、ジャズロック色とインプロヴィゼーション色の強い演奏が繰り広げられる。
やわらかなフルートが鳴り響く、初期クリムゾン的な叙情とともに、混沌としたサイケな雰囲気も感じさせつつ、
全体的にフリーキーなユルさのアートロックという趣で、当時の生々しいステージがそのまま封じ込められている。
ボーナスに同年、別会場で行われたライブからの未発楽曲を収録。全70分の貴重音源です。
プログレ度・7 ライブ演奏・7 音質・7 総合・7 
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The Gods 「Genesis」
ブリティッシュロックバンド、ゴッズの1968年作
のちにURIAH HEEPに加入する、ケン・ヘンズレーとリー・カークスレイク等が参加していることでも知られる1枚。
サウンドの方はオルガンが鳴り響き、キャッチーなヴォーカルメロディとともに、牧歌的なおおらかさを感じさせる
王道の英国ハードロック。DEEP PURPLEの2ndあたりに通じる、アートロックやサイケの香りも含んだユルさが魅力で、
ケン・ヘンズレーのオルガンワークはもちろん、そのマイルドな歌声もよくマッチしている。英国ロック黎明期の好作品。
ドラマティック度・・7 プログレ度・・7 英国度・・8 総合・・7.5
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GORDON GILTRAP 「VISIONARY」
イギリスのミュージシャン、ゴードン・ギルトラップの1976年作
フォークとプログレの中間をゆくという、通好みのギタリストでありミュージシャンで、
本作は英国を代表する詩人、ウィリアム・ブレイクの詩篇にインスパイアされたというアルバム。
ストリングスによるアレンジを取り入れ、プログレ的なシンセに12弦ギターの優美な音色が重なる、
シンフォニックロック的なインストは、Anthony Phillipsにも通じる優雅で繊細な空気と、
フォーク、トラッドルーツの牧歌的な英国らしさに包まれている。ドラムにはサイモン・フィリップスが参加。
オーケストラルな美麗さとアコースティックが融合した、耳心地の良い優雅なる傑作です。
シンフォニック度・・8 プログレ度・・7 優雅度・・9 総合・・8
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GORDON GILTRAP 「PERILOUS JOURNEY」
ゴードン・ギルトラップの1977年作
アコースティックギターの優雅な音色と、美しいシンセにピアノ、オーケストラアレンジを加えた、
シンフォニックロックは前作からの延長上で、繊細で典雅なインストサウンドを描いている。
サイモン・フィリップスのドラムは前作以上に楽曲にフィットしていて、クラシカルな美意識に包まれた
優雅なダイナミズムというべき空気感にうっとりと浸れる。サックスなども加わった大人の哀愁や、
アコースティック主体のパートも挟んだりと、オールインストでありながら飽きさせない構成も見事。
次作とともに、彼のキャリアの中でも最高作のひとつと言えるだけの仕上がりだ。
シンフォニック度・・8 プログレ度・・7 優雅度・・9 総合・・8
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GORDON GILTRAP 「FEAR OF THE DARK」
ゴードン・ギルトラップの1978年作
本作も、雅やかなアコースティックギターとシンセ入りのプログレ感触が融合した、
英国らしい優美な味わいのサウンドを聴かせる。やわらかなピアノにアコギのつまびき、
随所にオーケストラアレンジも加えた、シンフォニックな感触がよりスタイリッシュに合わさり、
ほぼオールインストであるが展開力のある、ゆったりとした繊細なドラマ性を描いている。
前半はアコーステッィクメインながら、4曲目からはサイモン・フィリップスのドラムとともに、
叙情的なエレキギターも加わった、大人のメロディックロックという趣のナンバーも含め、
70年代の隠れたシンフォニックロックの傑作と言ってもよいアルバムに仕上がっている。
シンフォニック度・・8 プログレ度・・7 優雅度・・9 総合・・8
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GORDON GILTRAP「LIVE AT OXFORD」
イギリスのミュージシャン、ゴードン・ギルトラップのライブ。1980年作
1979年のライブ音源で、ベースはROXY MUSICのジョン・グスタフソン、ドラムにMARILLIONのイアン・モズレイが参加、
ツインキーボードによるシンフォニックな味わいと、メロウなギターに、随所にアコースティックギターも加えた、
英国らしい優雅な叙情性に包まれたサウンド。リズム隊をはじめ確かな演奏力のあるアンサンブルによる、
インストナンバーを主体にしつつ、ときに女性ヴォーカルを乗せたしっとりと優美なパートもなかなか魅力的。
プログレ的な展開力というのはさほどないが、美しいシンセワークとともに繊細で優美な演奏が楽しめる。
ライブ演奏・・8 プログレ度・・7 優雅度・・8 総合・・7.5 
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Gracious!
ブリティッシュロックバンド、グレイシャスの1970年作
!マークのジャケからしてインパクト大だが、内容的にもVERTIGOレーベルのマニアックな側面を代表するようなバンド。
ややハードなギターとエフェクトのかかったドラムで粗野にたたみかけながらも、
クラシカルなチェンバロやメロトロンの響きには、ブリテイッシュプログレ好きなら引き寄せられる。
2曲目の美しさはこのバンドの繊細な側面を表しているし、ギターとチェンバロによる4曲目もなかなか
味わいがある。そして、ラストは16分という大曲で、ベートーベンの“月光”のフレーズを取り入れつつ、
サイケロック的なごった煮感で展開してゆく。昔聴いたときには音の粗さが気に入らなかったのだが
今聴き直すと、むしろこの売れ筋から顔をそむけた、ある種の潔さに好感を抱くのだ(笑)
クラシカル度・・8 プログレ度・・7 英国度・・9 総合・・8
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Graeme Edge Band「Kick off Your Muddy Boots
The Moody Bluesのグレアム・エッジを中心にしたバンドの1975年作
GUN〜Three Man Armyのガーヴィッツ兄弟、シンセ奏者、ミッキー・ギャラガーが参加していて、
サウンドの方は年代を考えれば、かなり洗練されたメロディックなロックをやっている。
エイドリアン・ガーヴィッツのやわらかなヴォーカルに巧みなギタープレイを中心にしつつ、
シンセや美しいオーケストレーションも入ってきて、プログレハード的にも楽しめる。
随所にいかにもブリティッシュな哀愁を感じさせるギターフレーズも聴かせてくれ、
ガーヴィッツ兄弟関連作の中ではハードさが抑え目な分、プログレリスナーにも楽しめるだろう。
この後、カーヴィッツ兄弟は、CREAMのジンジャー・ベイカーとBaker Gurvitz Armyを結成することになる。
メロディック度・・8 プログレハー度・・7 英国度・・8 総合・・8
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Gravy TrainBallad of a Peaceful Man」
ブリティッシュロックバンド、グレイヴィ・トレインの2nd。1971作
ブルース風味のハードロックというイメージであったが、本作では壮麗なオーケストラを導入した作風で
たおやかなフルートの音色とともにプログレ的な美しさで聴かせる。
後半はややハードで、JETHRO TULLなどにも通じる雰囲気になる。
ヴォーカルの力み具合が好みを分けるところだが、フルートの大活躍という点では
ヴァーティゴレーベルの中でも個性的なバンドといえるだろう。
メロディアス度・・7 プログレ度・・7 フルート度・・8 総合・・7.5
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The Greatest Show on Earth 「Horizons」
イギリスのプログレバンド、グレイテスト・ショウ・オン・アースの1970年作
ヒプノシスによるアートワークが印象的だが、サウンドの方はオルガンが鳴り響き
ブルージーな哀愁を含んだヴォーカルとギターに、サックスやトランペットが加わり、
ブラス入りのサイケロックというような趣。英国的な素朴な牧歌性も感じさせつつ
ジャズロック的な優雅さも覗かせたり、クラシカルなハープシコードが現れたりと
当時にして非常にボーダーレスなサウンド。このメジャー感のなさと怪しげな聴き心地は、
まさにプログレ以前のアートロックというべきか。こういうのけっこう好きです。
ドラマティック度・・8 ある意味プログレ度・・8 英国度・・8 総合・・8
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The Greatest Show on Earth 「The Going's Easy」
イギリスのプログレバンド、グレイテスト・ショウ・オン・アースの1970年作
1作目はオルガンやブラスの入ったアートな感性のサイケロックという趣だったが、
本作はもブルージーなギターとオルガンが鳴り響くアートロックが楽しめる。
ときにLED ZEPPELINを思わせるような、ハードロック的な感触も強まっているが、
サックスがフリーキーに鳴り響き、どこかエキセントリックなマイナー感性に包まれている。
ときに牧歌的な叙情も漂わせつつ、ブラスロック的な愉快さもあるという、とりとめのない好作。
ドラマティック度・・7 プログレ度・・7 英国度・・8 総合・・7.5
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Greenslade
デイヴ・グリーンスレイド率いる英国ロックバンド、グリーンスレイドの1st。1973年作
ギターレス、ツインキーボードという編成で、レトロなオルガンを鳴らしながら
軽やかに聴かせるサウンドで、英国らしい湿りけとキャッチーな聴き心地が魅力的。
クラシカルな優雅さを含みつつも、大仰にはならないシンプルなポップ感覚というものがあって、
濃密にプログレ、プログレしていないところが70年代前半の作品ではかえって珍しい。
オルガンにかぶさるメロトロンの響きも美しい。英国鍵盤ロックの名バンドである。
メロディアス度・・8 プログレ度・・7 オルガン度・・8 総合・・8
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GreensladeBeside Manners Are Extra
グリーンスレイドの2nd。1973年作
ブリティッシュの香り漂うメロディアスかつやわらかみのあるサウンドは
前作以上に洗練され、クラシカルなピアノとハモンドオルガンがしっとりと美しい。
幻想的なメロトロンの響きにたおやかなフルートの音色、プログレ的に鳴り響くオルガンとともに、
楽曲におけるメリハリとシンフォニックな質感という点でもバンドの最高傑作だろう。
メロディアス度・・8 プログレ度・・8 オルガン度・・8 総合・・8 ◆プログレ名作選入り
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Greenslade「Spyglass Guest」
グリーンスレイドの3rd。1974年作
1曲めはクラシカルなオルガンで軽快に聴かせつつ、ムーグシンセやメロトロンを絡ませて、
これまで以上に鍵盤を意識した楽曲はオランダのTRACEあたりを思わせる作風。
一方で、歌入りの曲ではよりポップな質感も増していて、ゲストによるギターも入ってきて
新たな方向性の模索が感じられる。5曲めでは艶やかなヴァイオリンとオルガンの絡みが美しい。
ただ全体として決して悪い出来ではないが、作品としてはまとまりきれていない印象もしてしまう。
メロディアス度・・8 プログレ度・・7 オルガン度・・8 総合・・7.5
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Greenslade「Time & Tide」
グリーンスレイドの4th。1975年作
ベースのトニー・リーヴスが去り、ギターとベースを弾くマーティン・ブライリーが加入、
サウンドはぐっとポップなロック色が強まり、2ndまでの英国的な鍵盤ロックからは脱却している。
曲によってはクラシカルなプログレ風味も残しているが、全体的には大人のロック風味で、
モダンで軽妙なアレンジはお洒落ですらある。本作を最後にバンドは解散、2000年の復活を待つことになる。
メロディアス度・・8 プログレ度・・7 オルガン度・・7 総合・・7.5
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GREENSLADE 「Large Afternoon」
イギリスのプログレバンド、グリーンスレイドの2000年作
1973〜75年までに4作を残して消えたバンドの、じつに25年ぶりとなる復活作。
ツインキーボードの4人編成で、シンフォニックなシンセの重ねで聴かせる優美なサウンドで、
ジェントルなヴォーカルを乗せた、大人の歌ものナンバーも含めて、ゆったりと落ち着いた作風。
プログレ的な展開力や躍動感はあまりなく、インストの曲はシンセをメインにしたフュージョン風味で、
耳触りの良いBGMになりがちなのが好みを分けるところ。オルガンはほとんど使われないので、
70年代のスタイルとは異なるが、むしろ現代的で優雅なキーボードロックを味わえる好作品だ。
ドラマティック度・・7 プログレ度・・6 キーボー度・・8 総合・・7.5 
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Greenslade 「2001 - Live」
イギリスのプログレバンド、グリーンスレイドのライブ。2001年作
鍵盤奏者のデイヴ・グリーンスレイドを中心に、1973年にデビュー、1975年までに4作を残して解散するが、
2001年に復活作「Large Afternoon」を発表、本作はそのメンバーを軸とした2001年のライブを収録。
同作からのナンバーを主体に、過去の楽曲も演奏。壮麗なツインキーボードをメインにした優雅なサウンドで、
随所にオルガンを含むきらびやかなシンセワークとともに、かつての楽曲もわりとキャッチーな感触だ。
シンセも兼ねるジョン・ヤングの歌声は、ジョン・ウェットンを思わせるようなジェントルな声質で、
英国らしい叙情ロックによくマッチしており、3rd収録の大曲「Joie De Vivre」なども古き良き味わいで楽しめる
ライブ演奏・8 プログレ度・7 優雅度・8 総合・7.5 
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GREENSLADE 「Live in Stockholm-March 10th 1975」
イギリスのプログレバンド、グリーンスレイドのライブ音源。2013年作
1975年、スウェーデンでのラジオ放送用スタジオライブを収録。同年発表の「Time And Tide」から4曲、
2nd「Bedside Manners Are Extra」から3曲、3rd「Spyglass Guest」からの2曲を演奏。全56分。
デイヴ・グリーンスレイドのオルガンを中心に、メロトロンも加わったツインキーボードで、
デイヴ・ローソンの味のあるヴォーカルとともに、軽やかなアンサンブルの鍵盤プログレを聴かせる。
音質もまずまず良好で、全盛期の貴重なライブとしてファンであれば十分楽しめる。
ライブ演奏・8 音質・8 キーボー度・8 総合・8 
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GRYPHON「GRYPHON/MIDNIGHT MUSHRUMPS」
中世音楽をロック的に解釈した英国のグリフォンの1st+2ndカップリング。1973/1974作。
1stはリコーダーやマンドリンを駆使した本格的中世古楽で、ロック色はまだ少ない。
2ndではキーボードを効果的に導入し、リズム面においてもダイナミックさが増している。
古楽器とロックの融合が見事になされ、適度に疾走感もありメロディアスな聴き心地。
たおやかで格調高い中世的サウンドが満喫できる。特に19分にもおよぶタイトル曲は華麗で劇的。
バンドはこの後3rd「女王失格」で古楽ロックとしての頂点をきわめる。
メロディアス度・・8 中世音楽度・・9 古楽&ロック融合度・・10 総合・・8
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GRYPHONRed Queen to Gryphon Three/Raindance
イギリスの古楽プログレバンド、グリフォンの3rd、4thカップリング。1974/1975作
トラディショナルな古楽をロックと融合させるという個性的なサウンド。1stの時点ではまだアコースティックな色が強かったが
3rd「女王失格」では、プログレ的なシンセにテクニカルな展開力が加わり、やわらかなリコーダーの響きがロックと融合。
4曲の大曲で聴かせるサウンドは優雅でありながらじつに奥深く、2nd「真夜中の饗宴」とともにバンドの代表作といえる完成度である。
4th「レインダンス」になると古楽色が薄れ、キャッチーなキーボードが前に出たずいぶんとコンパクトなサウンドになっているが、
優雅な繊細さは残っていて土着的な音が苦手な方には、むしろ普通にプログレとして楽しめかもしれない。
中盤はやや散漫だが、ラストの15分の大曲は前作に通じる圧巻のプログレ曲だ。
プログレ度・・8 古楽度・・8 英国度・・9 総合・・8
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GRYPHON 「Treason」
イギリスの古楽プログレ、グリフォンの1977年作
1973年にデビュー、初期はリコーダーやマンドリンを使ったアコースティックな古楽サウンドだったが、
2作目以降はロック色を増し、中世古楽プログレというべき独自のサウンドを確立してゆく。
本作は5作目にしてバンドの最終作。前作でのキャッチーな志向性を土台にした、
美しいキーボードワークとともに、リコーダーの音色などが合わさった繊細なシンフォニックロックを聴かせる。
当時はポップになったと批判されたようだが、あらためて聴き直すと、楽曲のクオリティの高さと
やわらかなメロディアス性が心地よく、むしろより多くのリスナーが楽しめるような傑作と言える。
メロディック度・・8 プログレ度・・8 古楽度・・7 総合・・8
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GRYPHON「ABOUT AS CURIOUS AS IT CAN BE」
イギリスのトラッドロックバンド、グリフォンのライブ音源。2002年作
1974と1975に録音された、ラジオ放送用の音源のCD化だが、音質はまず良好で、
古楽を現代的に取り入れロックと融合させた、独自の中世古楽ロックのライブ演奏が楽しめる。
楽曲は2nd「MIDNIGHT MUSHRUMPS」、4th「RAINDANCE」からのものが中心で、
アコースティック楽器のみを用いていても、メンバーの技量の高さと動感のある演奏が耳に楽しく(フルートぴーひゃら♪)、
トラッドプログレとして純粋に楽しめる。欲を言えば、最高作「RED QUEEN TO GRYPHON THREE」からの曲も聴きたかった。
メロディアス度・・8 トラッ度・・9 ライブ演奏・・9 総合・・8
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GRYPHON「Glastonbury Carol」
英国の古楽プログレバンド、グリフォンの未発ライブ音源集。2003作
先に出ていた「About as Curious as It Can Be」の音源よりも古く、
1972年、74年のBBCラジオでのセッションライブ音源を収録。72年の音源では
トラッド曲を基本にしつつ、まだロック色は皆無で、リコーダーとアコギを中心に、
AMAZING BLONDELにも通じる雅やかな古楽を展開している。
74年の音源は、2nd「真夜中の狂宴」から大曲“Midnight Mushrumps”を収録。
ドラムが加わり、よりプログレらしくなった抜群の演奏を聴かせる。
音質は良好で、グリフォンファンなら聴いて損のない音源だ。
メロディアス度・・8 プログレ度・・7 古楽度・・9 総合・・7.5
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Gryphon 「Raindances - The Transatlantic Recordings 1973-1975」
イギリスの古楽ロックバンド、グリフォンのアンソロジー。2018年作
Disc1には、1973年作「GRYPHON」、1974年作「MIDNIGHT MUSHRUMPS/真夜中の饗宴」
Disc2には、1974年作「Red Queen to Gryphon Three/女王失格」、1975年作「Raindance」を
それぞれのリマスター音源を収録。初期グリフォンの作品が通して楽しめるお得な再発盤です。
1stは、リコーダーやマンドリン、ハープシコードが典雅に鳴り響く、アコースティックな中世古楽。
2ndではシンセを加えて、古楽とロックを大胆に融合、19分におよぶタイトル組曲はじつに優雅な聴き心地。
3rdは、躍動感あるアンサンブルを強め、シンフォニックロックとしても味わえる。バンドを代表する傑作。
4thになると、古楽色がやや薄れ、シンセを前に出したキャッチーなプログレとしても楽しめる。
リマスターにより音質も向上していて、バンドの入門用にもうってつけの2枚組ですね。
優雅度・・9 プログレ度・・8 古楽度・・9 総合・・8.5
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GRYPHON「Reinvention」
イギリスの古楽プログレ、グリフォンの2018年作/邦題「再確立」
古楽とロックを優雅に融合させたスタイルで、1973〜77年までに5枚のアルバムを残したバンドが、
じつに40年ぶりに復活を遂げた。やわらかなリコーダーにクルムホルンの音色に、アコースティックギターと
マンドリンの典雅なつまびきを重ね、クラリネットやサックス、ヴァイオリン、バスーンなどが彩りを添える。
中世古楽とフォーク色をたっぷりと聴かせつつ、ドラムにシンセ、エレキギターも加えたロック感触も覗かせる。
ジェントルな歌声を乗せた牧歌的な味わいは、AMAZING BLONDELなどにも通じる雰囲気もあり、
全体的には、あくまで古楽の優美さをメインにした作風で、かつての1stと2ndの中間という感じだろうか。
もう少しプログレ色が強いと嬉しかったが、ともかく個性派バンドの意義深い復活作と言えるだろう。
古楽度・・8 プログレ度・・7 優雅度・・8 総合・・8
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GUN「THE GUN/GUNSIGHT」
ブリティッシュロックバンド、ガンの1st/2ndカップリング。1968/1969年作
ポールとエイドリアンのガーヴィッツ兄弟は、のちにTHREE MAN ARMYを結成するわけだが、
このバンドは、その前身というべき英国ハードロックの源流を感じさせるサウンドが楽しめる。
粗削りながらセンスを感じさせるエイドリアンのギターワークに加え、随所にホーンセクションや
オーケストラルなアレンジを取り入れたスケール感とともに、当時の英国ロックの深みを感じさせる。
とくに1stのラスト11分の大曲などはフリーキーな勢いに溢れたインストパートが圧巻だ。
2作目の方は、ブルースロック的な質感も加わりながら、じっくりと聴かせる部分が増えているが、
ツインギターの重なりは当時にしては、素晴らしく格好よく、ハードロックとしてもやはり見事な出来だ。
メロディック度・・7 アートロック度・・8 英国度・・8 総合・・8
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Hatfield and the North
イギリスのジャズロックバンド、ハットフィールド・アンド・ザ・ノースの1st。1973年作
基本は上品で軽やかなジャズロックながら、リチャード・シンクレアの歌には、キャッチーなポップセンスがあり、
バックの高度な演奏をやわらかに緩和している。2、3分台の小曲を連ねつつ、8分、10分という大曲では、
ジャズロックの中にプログレッシブな質感と、幻想的な世界観を織り込んで聴かせてくれる。
デイブ・スチュワートの繊細なピアノ、オルガンワークも素晴らしく、美しい女性コーラスやフルートなども
じつに効果的に使われている。テクニカルな演奏力の中にも、やわらかみのある叙情が光る傑作だ。
ジャズロック度・・8 やわらか叙情度・・8 優雅で軽やか度・9 総合・・8 ◆プログレ名作選入り
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Hatfield and the North 「The Rotters' Club」
カンタベリー系ジャズロックバンド、ハットフィールド・アンド・ザ・ノースの2nd。1975年作
前作よりもさらに整合感が増し、リチャード・シンクレアの歌うメロディもより明快になっていて、
むしろジャズロック的な歌もの曲としても楽しめたりする。デイブ・スチュワートのシンセワークはプログレ的で、
フィル・ミラーのギターとともにややもすると地味になりがちな軽やかなアンサンプルに彩りを与えている。
テクニカルな構築感をさりげなく聴かせつつ、決して力まない上質のセンスがさすがで、ラストの20分の組曲では
見事なプログレ・ジャズロックを繰り広げる。カンタベリーサウンドを代表する1枚として語り継がれるに足る作品だ。
ジャズロック度・・8 やわらか叙情度・・8 優雅で軽やか度・9 総合・・8 ◆プログレ名作選入り
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HAWKWIND「In Search of Space」
イギリスのサイケロックバンド、ホークウインドの2nd。1971作 
Amon duulUのデイヴ・アンダーソンをベースに迎えた本作は、「宇宙の探究」というタイトル通り、
スペイシーな浮遊感とサイケロック的なドライブ感覚で聴かせる、バンドの初期の好作。
ヨレ気味のギターと、ドカドカとした粗野なドラム、そしてややチープなピコピコとしたシンセが合わさり
一種独特な、B級SF映画めいた世界観が面白い。そこに宇宙をイメージさせるロマンを感じるかどうかで、
こうしたアルバムへの評価はまったく変わるのだろう。スペースサイケの完成の瞬間である。
メロディアス度・・7 サイケ度・・9 スペース度・・8 総合・・7.5
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HAWKWINDDoremi Fasol Latido
イギリスのサイケロックバンド、ホークウインドの3rd。1972作
「ドレミファソラシド」という、ふざけたタイトルの本作であるが、サウンドの方は
前作で確立されたバンドの方向性をさらに確かにしたという傑作に仕上がっている。
後にMotorheadを結成するレミーのベースとともにドライブ感を増したサウンドで、
いかにもサイケらしいギターの反復コードで突き進むノリの良さは、プログレというよりはむしろハードロック的でもある。
チープなシンセ音が不思議と壮大な宇宙を感じさせるのも見事。サイケとしては次作「Space Ritual」で頂点を迎える。
メロディアス度・・7 サイケ度・・9 スペース度・・8 総合・・8
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HAWKWINDSpace Ritual」
イギリスのサイケロックバンド、ホークウインドの1973作 「宇宙の祭典」
個人的には次作「Hall of the Mountain Grillのメロディアスさが好きなのだが、
サイケとしての押しの強さなら間違いなくライブ録音である本作だろう。
ヨレ気味のギターに浮遊感をかもしだすシンセ、フルート、サックスなどが、
得体の知れない音の塊となって押し寄せてくる。これでCD2枚は濃すぎる…(笑)
音楽的うんぬん、楽曲うんぬんではなく、このトリップ感覚を味わうのが正しい作品。
ブックレット内の写真も含めて、すべてが宇宙的なまでにサイケしている。
サイケ度・・10 スペース度・・9 トリップ度・・9 総合・・8
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HAWKWIND「Hall of the Mountain Grill
イギリスのサイケロックバンド、ホークウインドの1974作 「永劫の宮殿」
「Space Ritual」の勢いある濃厚なサウンドから、本作ではだいぶ整合感が増した印象で、
とても聴きやすくなっている。スペイシーなシンセワークに艶やかなヴァイオリンも美しく、
サイケロックとしての空間的美意識のようなものが感じられるようになった。
広がりのあるメロトロンの使い方などはシンフォニックですらありますな。
シンフォニック度・・7 スペイシー度・・8 サイケ度・・8 総合・・8
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HAWKWIND
Warrior on the Edge of Time」
イギリスのサイケロックバンド、ホークウインドの1975年作
邦題「絶対絶命」、マイケル・ムアコックのファンタジー小説を題材にしたバンドの代表作が、リマスター再発。
以前に出ていたCDよりも、今回のオリジナルマスター音源の方が、やわらかみがあって美しい音である。
もともとがメロトロンやフルートの鳴り響くシンフォニック色の強い作品であったが、よりダイナミックな音像で楽しめる。
サイケな浮遊感の中にも幻想的な雰囲気を漂わせた作風は、「Space Ritual」の頃のドラッギーな高揚感は薄れたものの、
エコーのかかったヴォーカルとうっすらとしたシンセを中心に、スペイシーな壮大さは残していて、
いわば、前作のシンフォ路線を進めたというバンドの歴史においても異色の傑作である。
シンフォニック度・・8 サイケ度・・8 リミックス度・・8 総合・・8
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HAWKWIND「Astounding Sounds, Amazing Music」
イギリスのサイケロック、ホークウインドの1976年作
シンフォニック・サイケな傑作「Warrior on the Edge of Time」に続く作品であるが、
レーベルも変わった影響があってか、本作で聴けるのはいくぶんシンプルになったスタイルで、
これまでのスペイシーなサウンドに若干ポップな要素が加わってきている。
歌メロのキャッチーさや、随所にオルガンやヴァイオリンなどの音色が加わって、
サイケというよりはむしろ普遍的なアートロックに近づいたという印象だ。
ドラマティック度・・7 サイケ度・・7 スペイシー度・・7 総合・・7.5
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HAWKWIND 「Quark Strangeness and Charm」
ホークウインドの1977年作
ヒプノシスによるジャケがSF的な世界観を感じさせるが、サウンドの方も彼ららしいスペースサイケの王道。
前作の流れにある軽快なキャッチーさも含ませながら、SFコンセプト的な流れが感じられるのがよい。
随所に叙情的なヴァイオリンの音色も加わって、シンフォニックな味わいもある好作品です。
再発盤は、スタジオセッション音源を収録したボーナスDisc付きの2枚組となっている。
ドラマティック度・・8 サイケ度・・8 スペイシー度・・8 総合・・8
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HAWKWIND「Levitation」
イギリスのサイケロック、ホークウインドの1980年作 「宇宙遊泳」
元CREAMのジンジャー・ベイカーをドラムに迎えた作品で、80年代の好作のひとつといってよい作品。
スペイシーなシンセが鳴り響くサイケハードの質感を保ちつつ、80年代的なポップ性も有した作風。
キレのあるドラムはさすがという感じで、それがユルめのヴォーカルとの面白いコントラストになっている。
再発の限定盤(紙ジャケの日本盤)はCD3枚組で、Disc1のボーナスにはシングルバージョンや、
Hawklords名義での1979年のライブ音源を、Disc2、3には1980年のライブ音源を収録。
ドラマティック度・・7 サイケ度・・8 重厚度・・7 総合・・7.5
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HAWKWIND「Chronicle of the Black Sword」
イギリスのサイケロック、ホークウインドの1985年作 「黒剣年代記」
マイケル・ムアコックのファンタジー小説「エルリック・サーガ」を題材にした作品で
美しいシンセワークとともに、軽快なサイケロックが楽しめる好作である。
随所にメロディックなギターも聴かせるなど、ハードロック的な方法論と、
シンフォニックな味わいも含めて、初心者にも聴きやすいアルバムだろう。
ドラマティック度・・8 サイケ度・・7 ファンタジック度・・8 総合・・7.5
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HAWKWINDLive Chronicles」
イギリスのサイケロック、ホークウインドのライブ作品。1986年作
マイケル・ムアコックの小説をテーマにした「黒剣年代記」ツアーのライブ作品で、
アナログ時代よりも曲数を増やし、CD化にともなって完全版というべき2枚組となっている。
ムアコック本人がナレーションで参加していて、その語りから一気に世界に引きこまれる。
演奏の方はスペイシーなシンセワークとともに、スタジオ盤以上にノリのよい、
彼ららしいスペースサイケが繰り広げられ、全盛期の他のライブ作とも遜色ないテンションである。
ドラマティック度・・8 スペース度・・8 ファンタジック度・・8 総合・・8
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HAWKWIND 「Space Bandits」
イギリスのサイケロック、ホークウインドの1990年作
女性ヴォーカル、ブリジット・ウィスハートを迎えての作品で、
1曲めはスペイシーなサイケロックに女性の歌声が乗るというこれまでにない作風であるが、
これがミステリアスでありながら、キュートでお洒落な聴き心地になっている。
アルバム後半は男性声メイン。個人的には全編女性ヴォーカルで作って欲しかった気もするが、
まあサイケロックとして普通に楽しめるし、ヴァイオリンが響くところはいい感じだ。
ドラマティック度・・7 サイケ度・・8 トリップ度・・7 総合・・7.5
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HAWKWIND「Electric Tepee」
イギリスのサイケロック、ホークウインドの1992年作
ライブでの定番曲“LSD”から始まり、のっけからトリップ感全開ですわ〜♪
サイケな浮遊感と幻覚まみれの視界の中を突き進むようなノリがじつに楽しい。
包み込むようなシンセアレンジが幻想性を強めていて、シンフォニックな要素とともに
やわらかな耳心地で楽しめる。一方では90年代的なアンサンブル志向も感じさせ、
そういう点ではOZRIC TENTACLESにも通じる雰囲気も強まった。これはなかなかの力作。
ドラマティック度・・8 サイケ度・・9 トリップ度・・8 総合・・8
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HAWKWIND「Alien 4」
イギリスのサイケロック、ホークウインドの1995年作
タイトル通り、いかにもベタなSFストーリーをコンセプトにした作品で、
ヴォーカルにロン・トゥリーを迎えた本作は、適度なモダンさの中にも
往年のダイナミズムとサイケハードとしての浮遊感をしっかり表現している。
うっすらとしたシンセアレンジに、メロディックなギターフレーズが重なって、
スペイシーな世界観とともに、重厚かつドラマティックな聴き心地の力作だ。
ドラマティック度・・8 サイケ度・・8 重厚度・・8 総合・・8
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HAWKWIND「Love in Space」
イギリスのサイケロック、ホークウインドの1996年作
前作「エイリアン4」のSFストーリーを増強、それを再現したCD2枚組のライブ作品で
サイケデリックなスペイシーサウンドという点では、まさに彼らの本領が発揮された力作。
ライブならではの勢いあるリズムに乗る、反復されるリフとスペイシーなシンセとともに、
かつての「Space Ritual」ばりのテンションでたたみかける。もちろん適度なユルさも耳心地良く、
のんびりと楽しめるのも魅力。カラフルでシアトリカルなステージが目に浮かぶようだ。
ドラマティック度・・8 サイケ度・・9 ライブ度・・9 総合・・8
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HAWKWINDDream Goes On: From Black Sword to Distant Horizon
イギリスのサイケロック、ホークウインドのアンソロジー。
1985年の「Chronicle of the Black Sword」から、1997年の「Distant Horizons」までの作品から
46曲をCD3枚に収録した、バンド後期のベストアルバムというべき内容。
こうして聴くと90年代の作品も、サイケロックとしての世界観は一貫しており、
「Space Bandits」や「Palace Springs」、「Electric Tepee」あたりの作品は、
シンセを多用したエレクトロなスペースサイケとしては充分魅力的だ。
この時代のホークスを見直すきっかけになる、ボリュームたっぷりのアンソロジーである。
ドラマティック度・・8 サイケ度・・9 ホークウイン度・・9 総合・・8
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HAWKWIND 「Blood of the Earth」
イギリスのサイケロック、ホークウインドの2010年作
1970年デビュー、活動40年を超えて現在も旺盛に活動を続ける大ベテラン。
本作はコンセプトストーリー的なSEから始まり、スペイシーなシンセアレンジに
グルーヴィなベースとハードなギターを重ねた厚みのあるサウンドで、
スケール感のあるサイケロックを展開する。アッパーなノリの一方では、
メロウなギターを奏でるシンフォニック寄りの叙情的な部分もあって、
往年の世界観を思わせる音の強度が味わえる。これぞホークスという快作です!
ドラマティック度・・7 スペイシー度・・8 壮大度・・8 総合・・8
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HAWKWIND 「ONWARD」
イギリスのサイケロック、ホークウインドの2012年作
1970年デビューの大ベテラン、いくぶんハードでモダンにはなっているが、40年以上のキャリアをへても、
スペイシーな浮遊感を描く彼らのサウンドは健在だ。うねりのあるベースに、スペイシーできらびやかなシンセアレンジ、
適度にハードなギターを乗せた、躍動的なサイケロックが楽しめる。彼ららしいアッパーなノリの良さはもちろんだが、
随所にアコースティックを含む英国らしい牧歌的な叙情も覗かせ、バンドとしての成熟した自信とスケールの大きさを感じさせる。
コンセプト的なSEなども挿入しつつ、決して壮大にはなり過ぎず、エレクトロなナンバーなども含んだ、適度に脱力した聴き心地にもニヤリ。
ボーナスに過去曲のリメイクも含んだ全17曲、CD2枚組の大作。ベテラン健在ですな。
ドラマティック度・・7 スペイシー度・・8 壮大度・・8 総合・・7.5
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Hawkwind 「All Aboard the Skylark」
イギリスのサイケロック、ホークウインドの2019年作
1970年にデビュー、本作はすでに何枚目なのかも分からないが、おそらくは30作前後だろうか。
ほどよくハードなギターにスペイシーなシンセを重ね、デイヴ・ブロックの枯れた味わいのヴォーカルで、
70年代風のアナログ感も随所に残した、往年のホークスらしいスペース・サイケロックは健在。
優美なシンセアレンジによる耳心地の良さは、1975年の代表作「絶体絶命」の頃を思わせつつ、
アコースティックを含んだナンバーや、ジャズタッチのピアノの入った優雅さなど、幅のあるアレンジで
カラフルなサウンドが楽しめる。ラストの9分のナンバーでは緩急あるドラマティックな展開も見事。
Disc2には、過去曲をアコースティックにアレンジした11曲を収録。牧歌的な仕上がりながら格好良いです。
ドラマティック度・8 サイケ度・8 優雅度・8 総合・8 
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HAWKWIND 「SOMNIA」
イギリスのサイケロック、ホークウインドの2021年作
1970年にデビュー、スケールの大きなアッパーな浮遊感に包まれたスペースサイケというスタイルを確立したベテラン、
本作はローマ神話に伝わる睡眠の神、ソムナス由来する、不眠時の幻覚や発熱時にみる夢などをテーマにしている。
のっけから10分を超える大曲で、オルガンなどのシンセにサステインの効いたギター、ジェントルなヴォーカルを乗せ
いかにもスペイシーなサイケロックを展開。2曲目は、きらびやかなシンセとともアッパーなノリのカラフルなナンバーで、
往年のファンもニンマリだろう。ほどよいキャッチーな部分や、デジタルでモダンなアレンジなども覗かせつつ、
語りを含んだシネマティックな流れや、御大、デイヴ・ブロックの枯れた味わいの歌声も含めて、ベテラン健在の力作です。
ドラマティック度・8 プログレ度・7 サイケ度・8 総合・8 
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Henry Cow「Leg End」
イギリス、カンタベリー系を代表するバンド、ヘンリー・カウの1st。1973年作
ケンブリッジ大学の学生であったフレッド・フリス、ティム・ホジキンソンによって結成、
その後、ジョン・グリーブス、クリス・カトラーらが加わり本格的に活動を開始し、
アンサンブルを重視したフリーキーな演奏と、思想的な側面を併せ持った独自の音楽性を作り上げてゆく。
本作はジャズロック的なサックスが鳴り響く優雅な感触ながら、アヴァンギャルドかつフリーキーな展開を垣間見せ、
緻密なスコアをあえて壊すような作風がとてもスリリングだ。いうなれば、ジャズロックと現代音楽を合わせて、
鋭敏な知性と衝動的感覚を総動員したというような、年代を考えればえらく先鋭的な仕上がりの傑作だ。
プログレ度・・8 ジャズロック度・・8 アヴァンギャル度・・8 総合・・8.5
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Henry CowUnrest
イギリスのアヴァン・プログレバンド、ヘンリー・カウの2nd。1974年作
2作目となる本作ではサックス奏者のジェフ・リーに代わり、バスーン、オーボエ奏者のリンゼイ・クーパーが加入、
前作でのフリーキーなジャズロック風味に加え、より現代音楽的な複雑さを際立たせた、唯一無二の演奏を聴かせる。
優雅なクラシカルさと、毒気をはらんだ底のしれない不気味さは、チェンバーロック的な聴き心地を強めていて、
ART BEARSやSLAPP HAPPYなどと同様に、芸術性を備えた遊び心がたっぷりのおそるべき傑作である。
クラシカル度・・8 ジャズロック度・・7 アヴァンギャル度・・9 総合・・8.5
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Henry Cow 「In Praise of Learning」
ヘンリー・カウの3rd。邦題「傾向賛美」1975年作
スラップ・ハッピーとの合体をはたしたことで、ダグマー・クラウゼという個性的な女性ヴォーカルが加わり、
先鋭的なジャズロックに偏屈な歌のパワーが上乗せされ、ART BEARSにも通じる感触にもなった。
尖ったギターの音色に優美なピアノ、不穏なベースラインが重なり、浮遊感のあるダグマーの歌声が響いて、
とても個性的なサウンドを描いてゆく。チェンバーロックの緊張感とエキセントリックな優雅さが合わさった傑作。
クラシカル度・・7 ジャズロック度・・7 アヴァンギャル度・・9 総合・・8.5
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Henry Cow「Western Culture」
イギリスのチェンバーロック、ヘンリー・カウの1978年作
ジョン・グリーヴスは脱退し、フレッド・フリス、ティム・ホジキンソン、クリス・カトラー、リンゼイ・クーパーという
四人編成で作られたバンドの最終作。ジャケの雰囲気がこれまでとは異なるが、ヴァイオリンが鳴り響き、
硬質なドラムの上に、オルガン、バスーン、オーボエ、クラリネット、サックスなどが重なる、
緊張感に包まれたアンサンブルは、まさにチェンバーロックのお手本というべきサウンドである。
3作目までのような、ほとばしるようなアヴァンギャルド性というよりは、構築されたチェンバーロックであり、
とくに前半は、UNIVERS ZEROなどのファンにも楽しめるだろう。アルバム後半は、ジャズロック的な優雅さも含んでいて、
カンタベリー的な雰囲気も覗かせる。聴きやすさの点では一番の作品かもしれない。
スリリング度・・9 チェンバー度・・10 アヴァンギャル度・・8 総合・・8.5
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Henry Cow 「Late」
イギリスのチェンバーロック、ヘンリー・カウのライブ音源。
結成40周年を記念して発売された2009年のボックスセットから、未発ライブの単独CD化。
1978年のイタリアでのライブと、同年のイギリス「Rock in Opposition Festival」でのライブ音源を収録。
1978年作「WESTERN CULTURE」時期のライブで、フレッド・フリス、ティム・ホジキンソン、クリス・カトラー、
リンゼイ・クーパーの四人に加え、女性ベース&チェロのジョージィ・ボーンが参加した5人編成でのステージ。
サックスやバスーンが鳴り響き、ギターにヴァイオリンが絡む即興的なチェンバーロックを演奏。
メインは17分に及ぶその名も「RIO」という即興曲か。媚びの無い硬派でフリーキーな聴き心地は、
初心者にはややきついかもはれない。全体的にも全35分とやや短いが、バンドのファンであればぜひ。
ライブ演奏・・8 チェンバー度・・9 音質・・8 総合・・7.5
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High TideSea Shanties」
ブリティッシュロックバンド、ハイ・タイドの1969年作
ヘヴィなギターが鳴り響くブルーズロックに英国的な雰囲気をただよわせたサウンド。
のちにサード・イヤー・バンド、ホークウインドに加入するサイモン・ハウスのオルガン、
そして鳴り響くヴァイオリンが、うねりをあげる凶暴なギターとのコントラストになっている。
荒々しくも叙情的で、ブルージーなサイケロックというべき異色の傑作です。
メロディアス度・・7 プログレ度・・7 英国度・・8 総合・・8
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HIGH TIDE
ブリティッシュロックバンド、ハイタイドの1970年作
1作目はブルージーなサイケハードの傑作として名高いが、2作目となる本作は8分、9分、14分と
大曲志向に拍車がかかり、ブルージーなギターにオルガンとヴァイオリンが絡んで、
フリーキーにリフレインされるサイケな浮遊感と英国らしい牧歌的な感触を同居させた、
個性的なサウンドが楽しめる。14分の大曲では、リズムチェンジや歌が入ったりと、
いくぶんエキセントリックな展開でメリハリのあるアンサンブルでたたみかける。
後にHAWKWINDへ加入する、サイモン・ハウスのヴァイオリンも前作以上に暴れている。
リマスター再発盤では、1970年に録音された未発の15分の大曲(1st収録の拡大版)を含む4曲をボーナス収録。
ドラマティック度・・8 プログレ度・・8 英国度・・8 総合・・8
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HOME「The Alchemist」
イギリスのプログレバンド、ホームの1973年作
後にWISHBONE ASHへ加入するローリー・ワイズフィールドが在籍していたことで知られる、
バンドの3作目にしてラスト作。サウンドは、ゆったりとした牧歌的な叙情で聴かせる
キャッチーなもので、MOODY BLUESあたりに通じるやわらかな雰囲気もありつつ、
ときおりハードロック的なギターも顔を覗かせる。いかにも70年代英国らしい音だ。
たおやかなピアノやオルガン、メロトロンも美しい。ブリティッシュロックファンは要チェック。
メロディアス度・・8 プログレ度・・7 英国度・・9 総合・・8
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THE HUMAN BEAST「Volume One」
ブリティッシュロックバンド、ヒューマン・ビーストの1970年作
ギター、ベース、ドラムというトリオ編成で、いくぶんヨレ気味のギターを乗せた、
フリーキーな味わいのサイケロックサウンド。ときおりヴォーカルも加わるが
前半はトリオでのインストパートがメインで、手数の多いドラムとともに
ブルージーな香りも覗かせながら、自由に弾きまくるギターが持ち味である。
アルバム後半では歌入りのパートでのけだるげな妖しさがいい味を出していて、
この路線でより濃密な作風になっていたらもっと面白かったかも。
ドラマティック度・・6 プログレ度・・7 サイケ度・・8 総合・・7
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I

IAN MACDONALD「DRIVERS EYES」
KING CRIMSONの初代キーボーディスト、イアン・マクドナルドのソロアルバム。1999作
KC脱退後はマクドナルド&ジャイルズフォーリナーなどの活動やプロデュースを手がけた彼だが、
キャリアの割には意外にもソロ作はこれが初めてとなる。ゲストにはジョン・ウェットンスティーブ・ハケットをはじめ
そうそうたる顔ぶれが名を連ねるが、自身がシンセに加え、ギター、サックス、フルート、ヴォーカルまでもこなすマルチプレイヤーだけに、
あくまで楽曲においては彼の色が全てであり、全編センスの良い音の重ねが心地よい。Keyやピアノによるシンフォニックなものから
軽快なロックナンバーまで、全てにおいて細密な音作りと大人の落ち着きと余裕が感じられる。
プログレというよりは、アダルトでゆるやかなメロディックロックという趣の好作品です。
メロディアス度・・8 プログレ度・・5 落ち着き度・・8 総合・・7.5
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ILLUSION「Out of the Mist」
イギリスのクラシカルロックバンド、イリュージョンの1977年作。邦題は「醒めた炎」
元ヤードバーズのキース・レルフとジム・マッカーティを中心に、キースの妹ジェーン・レルフも加わって結成された
オリジナル・ルネッサンスは短命に終わり、その後キースはアルマゲドンへ加入、さらにはルネッサンスを復活させようとして、
ナウとして活動を始めるが、ギターの感電によって死去、残されたジムとジェーンはキースの意志を引き継いでイリュージョンを結成する。
美しいピアノとともに男女ヴォーカルの歌声でしっとりと聴かせるそのサウンドは、まさしく初期のオリジナル・ルネッサンス。、
湿りけのある叙情が耳に優しく、ややブルージーなギターの音色と哀愁を感じさせるメロディは、ほのかに翳りを含んだ質感で、
落ち着いた大人の雰囲気をかもしだしている。ストリングス入りのクラシカルなラスト曲も素晴らしい。次作「幻想の翼」も同様の傑作。
メロディアス度・・8 シンフォニック度・・7 しっとり繊細度・・9 総合・・8
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ILLUSION
イギリスのクラシカルロックバンド、イリュージョンの1978年作。邦題は「幻想の翼」
まずこの美しいジャケに目を引かれるが、内容もじつに優美なブリティッシュロック。
前作同様に、艶やかなピアノの音色と男女ヴォーカルの歌声で、やわらかみのある
繊細なサウンドを聴かせつつ、本作ではクラシカルな雄大さも増している。
ときにメロウなフレーズを奏でるギターに、メロトロンなどのシンフォニックな味わいもあって、
第二期のルネッサンスにも決して負けないほどの叙情美が素晴らしい。
アコースティカルな牧歌性もほのかに残していて、たおやかな優美さが光る傑作だ。
メロディアス度・・8 シンフォニック度・・8 しっとり繊細度・・9 総合・・8
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ILLUSION 「Enchanted Caress」
イギリスのクラシカルロック、イリュージョンの未発音源。1989/2008年作
オリジナルRENAISSANCEとして2作を残し、その後ILLUSION名義で2作を残して消えたバンドの幻の3作目の発掘音源。
1979年に3rd用のデモ音源として録音されたもののお蔵入りとなり、その後1989年に発表されたものの再発盤である。
ジェーン・レルフとジム・マッカーシーを中心に、前2作に比べてよりキャッチーでソフトな味わいのサウンドになっている。
やわらかなエレピの音色に男女ヴォーカルの歌声を乗せた素朴な味わいは、かつてのオリジナル・ルネッサンスを思わせ、
とくにジェーンが単独で歌う曲はしっとりとした聴き心地でじつに美しい。全体的にキャッチーな感触でありながらも、
英国らしい香りと湿り気をしっかりと残した好作である。本音源を正式アルバムとして聴きたかったものだ。
メロディアス度・・8 英国度・・8 しっとり繊細度・・8 総合・・7.5
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Indian Summer
ブリティッシュロックバンド、インディアン・サマーの1971年作
キーフによるジャケが印象的であるが、サウンドの方はオルガンが鳴り響く
比較的オーソドックスなブリティッシュロック。いくぶんのハードな質感と
ブルージーなヴォーカルの歌声とともに、いかにも英国らしい叙情を聴かせてくれる。
ギターが前に出過ぎることなく、あくまで優雅なオルガンの音色が心地よく広がってゆく。
ときにメロトロンも響かせつつ、派手さはないが哀愁を感じさせる好作品である。
ドラマティック度・・8 プログレ度・・7 英国度・・9 総合・・8
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Jade Warrior 「Floating World」
イギリスのアンビエント・サイケロック、ジェイド・ウォリアーの1974年作
1971年にデビュー、本作は4作目。日本的なジャケが印象的であるが、サウンドの方はうっすらとしたシンセに、
アコースティックギター、パーカッションの響きとやわらかな笛の音色に、ベースとドラムのアンサンブルが加わった、
民族調のアンビエントロックという趣。無国籍なワールドミュージック風の空気が、不思議な浮遊感となって包み込み、
エレキギターが叙情的な旋律を奏でると、ブリティッシュロックとしてアイデンティティもにじみ出す。
パーカッションや笛の音が鳴り響く怪しく東洋的な雰囲気と、ときにヘヴィなギターが加わったサイケロックが、
やや強引に合わさりつつ、そのアーティスティックなセンスとやわらかなスケール感にしだいに引き込まれる。
ドラマティック度・・7 プログレ度・・7 民族ロック度・・8 総合・・8
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JACKSON HEIGHTS 「Bump 'n' Grind」
イギリスのプログレバンド、ジャクソン・ハイツの1973年作
NICEのリー・ジャクソン率いるバンドで、本作は4作目にしてラストアルバム。
セクシーなジャケに目が行くが、サウンドの方は優美なピアノに壮麗なストリングスオーケストラ、
マイルドなヴォーカルを乗せた、英国らしい上品な味わいのキャッチーな叙情ロックを聴かせる。
メロトロンやオルガン、ハープシコードなど、典雅なシンセワークーも秀逸で、ほどよいポップ性も含めて
PROCOL HARUMStackridgeBarclay James Harvestなどのファンにも楽しめるだろう。
マイケル・ジャイルズ、イアン・ウォレスなどがゲスト参加。
キャッチー度・・8 プログレ度・・7 英国度・・8 総合・・8
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JERUSALEM
ブリティッシュロックバンド、エルサレムの1972年作
Deep Purpleのイアン・ギランによるプロデュースという話題性も含めて、
70年代英国ロックの裏傑作として知られる作品。サウンドはツインギターのリフと
ブルージーなフレーズを織り交ぜた、勢い溢れるシンプルなハードロックであるが、
ヴォーカの歌いまわしなどにはブギウギ調のおおらかなユルさもあったりする。
ドカドカとしたドラムなどはいかにもアマチュア臭く、DEEP PURPLEとは到底比べ物にならないのだが、
随所に聴かせるツインギターによる叙情的なフレーズなどには味わいがある。ジャケのイメージも含めて
少々過大評価されてはいる作品であるが、当時の英国70'sB級ハードロックの底力が感じられる。
ドラマティック度・・7 演奏度・・7 英国度・・8 総合・・7
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Jerusalem 「Escalator」
ブリティッシュロックバンド、エルサレムの2009年作
1972年に一作を残して消えたバンドの37年ぶりの復活作。オリジナルメンバーはヴォーカルのみだが、
サウンドは古き良きギターリフにオルガンが鳴り響く、いかにも70年代スタイルの英国ハードロック。
ブルージーなギターフレーズに、リンデン・ウィリアムズのヴォーカルはまさに当時を思わせ、
1972年作からのリメイク3曲を含みつつ、新たな曲も英国らしい湿り気のある叙情性を含んだ感触で、
かつてのアルバムの続編といった聴き心地だ。オールドスタイルの英国ハードロックが好きな方はぜひ。
シンセにジェフ・ダウンズ、ベースとドラムにSPOCK'S BEARDのデイヴ・メロスとニック・ディヴァージリオが参加。
ドラマティック度・・7 古き良き度・・9 英国度・・8 総合・・7.5
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Jerusalem 「Cooler Than Antarctica」
ブリティッシュロックバンド、エルサレムの2016年作
2009年にじつに37年ぶりとなる復活作を発表して驚かせたが、本作は復活後の3作目となる。
今作でもジェフ・ダウンズ(ASIA)、ニック・ディヴァージリロ(SPOCKS BEARD)が参加していて、
古き良き感触のギターに、唯一のオリジナルメンバーであるリンデン・ウィリアムズの味わいのある歌声を乗せた
渋みのあるハードロックサウンドを聴かせる。70年代英国らしいオルガンの響きに、随所にウェットな叙情も含んだ
キャッチーなナンバーもあって、ゆったりと味わえる優しい耳心地である。オールドな空気感を再現しつつも、
随所にゲストによるヴァイオリンや女性コーラスを含む厚みのあるサウンドに適度なモダンさもあって、
バンドとしての新たな息吹をちゃんと感じさせる。そういう点でも意義ある復活といえるだろう。
メロディック度・・8 古き良き度・・8 英国度・・8 総合・・8
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JETHRO TULL「This Was」
ブリティッシュロックバンド、ジェスロ・タルの1st。1968作
英国を代表するバンドのひとつ、記念すべきデビューアルバムの2枚組コレクターズエディション。
ディスク1には初CD化であるモノ・ミックスに68年のBBC音源を9曲収録。
ディスク2はPeter Mewによるニュー・ステレオ・ミックスと同時期のシングルのモノ・ミックスを収録。
やはりモノラルよりはステレオ音源の方が耳心地がよい。後のアルバムに比べプログレ要素は薄いが、
イアン・アンダーソンのフルートが舞う、ブルージーで土の香りのするブリティッシュロックを味わえる。
ブルーズロック度・・8 プログレ度・・6 英国度・・8 総合・・7.5
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JETHRO TULLStand Up
ブリティッシュロックバンド、ジェスロ・タルの2nd。1969作
4th以降に比べて、本作はまだブルーズ色のあるブリティッシュロックというような趣で、
たとえば、URIAH HEEPの1stあたりに通じるようなハードな質感の中に、
イアン・アンダーソンのフルートがやわらかに鳴り響くというようなスタイル。
一方で、後のトラッド風味の萌芽を感じさせる牧歌的なナンバーもあり、
いかにも英国的な雰囲気が楽しめる、なかなか味わいのある好作だ。
牧歌度・・7 プログレ度・・7 英国度・・9 総合・・8
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JETHRO TULL
Benefit

ブリティッシュロックバンド、ジェスロ・タルの3rd。1970作
本作はのっけから美しいフルートの音色が鳴り響く、フォーキーな叙情性が前に出ている。
アコースティカルな牧歌性と、ブルーズロックの融合という点では前作よりもひとつ洗練されていて、
いわばキャッチーといってよい軽妙な感触は、プログレファンがより楽しめるようになった。
美しいピアノに絡むフルートなど、繊細な美しさが光る好作品である。
牧歌度・・9 プログレ度・・7 英国度・・9 総合・・8
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JETHRO TULLAqualung
ブリティッシュロックバンド、ジェスロ・タルの4th。1971作
一般的に代表作との呼び声も高い傑作。ブルーズロック的な渋さを残しつつ
ハードさのあるブリティッシュロックとアコースティカルな牧歌性が融合され、
楽曲の構成力の点でもまたひとつ階段を上ったというべき作品である。
プログレとして聴くなら、次作の「Thick As A Brick」の方がより好みなのだが、
ジャケのイメージも含めて、最初のコンセプトアルバムとしての本作の歴史的価値は高い。
牧歌度・・8 プログレ度・・7 英国度・・9 総合・・8
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JETHRO TULL「Thick As A Brick」
ブリティッシュロックバンド、ジェスロ・タルの5th。1972作
邦題は「ジェラルドの汚れなき世界」。20分以上の大曲が2曲というコンセプトアルバム。
アコースティックギターとともに、イアン・アンダーソンのフルートの音色がしっとりと美しい。
案外ヘヴィなベースと時にハードなギターが合わさり、曲はドラマティックに進行してゆく。
ピアノやハモンドも効果的に使われていて、ヴォーカルメロディの叙情性を助長しつつ、
アコギとフルートによるフォーキーなパートでは牧歌的なやわらかみが耳に心地よい。
初期のアルバムよりもずっとプログレしていて、まさにバンドの代表作と呼ぶにふさわしい出来だ。
メロディアス度・・8 プログレ度・・8 フルート度・・8 総合・・8 ◆プログレ名作選入り
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JETHRO TULL「A PASSION PLAY」
ブリティッシュロックバンド、ジェスロ・タルの6th。 1973作
傑作と名高い「THICK AS A BRICK」に続くコンセプト作で、全2曲という異色の作品。
ストーリーについては輸入盤ですので、よく分かりませんが、曲だけを聴いていても、
初期の頃よりはずっとプログレしている印象で、イアンのフルートはもちろん全体のアンサンブルも技巧的で、
構成もよく練られたものです。途中セリフが入ったりして、演劇的な要素が高く、やや難解な気もしますが、
個人的には、ハードロック色が強い「AQUALUNG」あたりよりもむしろ気に入りました。
メロディアス度・・7 プログレ度・・8 楽曲・・8 総合・・8 ◆プログレ名作選入り
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Jethro Tull 「Warchild」
ジェスロ・タルの7th。1974年作
アーティスティックでやや難解さのあった前作「パッション・プレイ」に比べて
楽曲はコンパクトで分かりやすくなった。ジェントルなヴォーカルで聴かせるキャッチーな感触に、
ピアノやサックス、クラシカルなストリングスなども入ったアレンジは十分プログレ的でもある。
哀愁を感じさせるアコーディオンや英国的な土着性を含んだ聴き心地で、
バンドの方向性を難解さよりも大衆的な作風へと舵をきったことが成功している。
フルートやアコースティックギターの叙情も美しい。聴きやすさとプログレのバランスのとれた好作品。
メロディアス度・・8 プログレ度・・8 叙情度・・8 総合・・8
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JETHRO TULL「MINSTREL IN THE GALLERY」
ジェスロ・タルの8th。邦題「天井桟敷の吟遊詩人」1975作。
本作をひと言でいうと、ジャジーかつフォーキーなアルバムである。
アコースティックギターを効果的に使用し、タイトル通り中世の吟遊詩人のように
肩の力を抜いた曲調で、楽しげに演奏しているという印象が伝わってくる。
所々でストリングスなども使用して、雰囲気を盛り上げつつ、
この後の英国トラッド調への傾倒を予感させる部分もある。
メロディアス度・・7 プログレ度・・7 トラッ度・・7 総合・・7.5
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JETHRO TULL「Too Old to Rock: Too Young Die」
ブリティッシュロックバンド、ジェスロ・タルの9th。1976作
次作「神秘の森」でトラッド色が全面開花する、その一歩前の作品というべきか。
「ロックンロールにゃ老(とし)だけど死ぬにはチョイと若すぎる」という邦題もイカすが、
前作「天井桟敷の吟遊詩人」からの流れの、肩の力の抜けた牧歌的な雰囲気で
アコースティックギターにフルート、サックスが絡み、バンドとしての円熟期を感じさせる音だ。
メロディアス度・・7 プログレ度・・7 トラッ度・・7 総合・・7.5
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JETHRO TULL「SONGS FROM THE WOOD」
ジェスロ・タルの10th。邦題は「神秘の森」1977年作。
ここにきてついにトラッド色が全開。アコギのつまびきにフルートがぴーひゃら鳴り響く。
田舎くさいメロディを織りまぜつつ、演奏はかっちりとしていて非常に高品質のトラッドロックになっています。
リズムには躍動感もあり、効果的にシンセも活躍していて、非常に美しく心地よい音像。
トラッド・プログレ好きにはぜひ聴いて欲しい、牧歌的な傑作アルバムです。
メロディアス度・・8 プログレ度・・8 トラッ度・・8 総合・・8 ◆プログレ名作選入り
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JETHRO TULLHeavy Horses
ジェスロ・タルの11th。1978作
邦題は「逞しい馬」。サウンドは前作「神秘の森」の延長上のもので、
アコースティックなフォークテイストを前面に出した作品になっている。
艶やかなヴァイオリン、フルートの音色と、ロック的リズムが融合し、
愉快なノリの良さとハードエッジな部分とを同居させた聴きやすさがある。
古き良きイングランドの田園風景を感じさせるトラッドプログレは、このアルバムで極まったといえる。
メロディアス度・・8 プログレ度・・7 フォーク/トラッ度・・8 総合・・8
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Jethro Tull 「Live Bursting Out」
ブリティッシュロックバンド、ジェスロ・タルのライブ。1978年作
バンドとしては最初のライブ作品で、時期としてはフォーク/トラッド路線を強めていたスタジオ盤以上に
躍動感あるアンサンブルを聴かせる、CD2枚組の傑作ライブアルバム。手数の多いドラムに
ブルージなギターとオルガンが絡み、フルートが吹き鳴らされる、厚みのある演奏も素晴らしく、
イアン・アンダーソンの存在感あるヴォーカルも含めて、まさにバンドの全盛期の勢いが伝わってくる。
アコースティックギターにアコーディオンも用いた、英国フォークルーツの牧歌性も覗かせつつ、
ハードな部分はノリがよい多様な音楽性がよく表現されている。12分を超える「Thick As A Brick」も圧巻だ。
楽しげなMCも含めてライブとしての臨場感も伝わってくる。音質も抜群の傑作ライブアルバムである。
ライブ演奏・・9 音質・・8 英国度・・9 総合・・8.5
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JETHRO TULLStormwatch
ジェスロ・タルの12th。邦題「北海油田の謎」。1979作
今作は、イアン・アンダーソン船長が北海油田を探しにゆくという、コンセプトストーリーもので、
当時すでに問題になりだしていた天然資源、環境問題などへの警鐘的な色合いもある。
サウンドの方は、これまでのトラッド/フォークロックとしての本質はそのままに、
よりドラマ性を感じさせるメリハリがあって、全体的にも濃密な作品となっている。
楽曲によって愉快なフルートの音色や、叙情的なオーケストラアレンジなども聴かせてくれ
バンドとしてのスケールの大さを示した、中期タルの集大成的なアルバムと言ってもよい。
メロディアス度・・8 プログレ度・・8 フォーク/トラッ度・・7 総合・・8
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Jethro TullA
ジェスロ・タルの13th。1980年作
エディ・ジョブソンが参加していることから、U.K.好きの日本のリスナーには受けがいい作品。
サウンドの方は80年代的なポップ感が前に出ていて、キャッチーなプログレハード的である。
そんななか、イアン・アンダーソンのヴォーカルとメロディには、ちゃんとタルらしさは感じられ、
随所にアコースティカルな素朴さも残っていて、前作までの土臭さをモダンさで包み込んだという感じが面白い。
フルートに絡むエディ・ジョブソンのきらびやかなシンセワークは本作の聴きどころで、
いわば、「U.K.化したタル」というような感触で楽しめる、完成度の高い好作である。
メロディアス度・・8 プログレ度・・8 モダン度・・8 総合・・8
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JETHRO TULLThe Broadsword and the Beast
ジェスロ・タルの14th。1982作
前作からモダンなアプローチを取り入れ始め、今作では中期のトラッド要素と
シンセを含む現代的なサウンドとがさらにポップに融合されている。
メロディそのものは人懐こいので、ポップ化したとはいえ非常に聴きやすい。
初期から中期のファンには、あまり好ましくない作品かもしれないが、
むしろハードロック、ハードポップ系のリスナーには受け入れられる音かもしれない。
メロディアス度・・8 プログレ度・・6 ポップ度・・7 総合・・7.5
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Jethro Tull 「Thick As a Brick 2」
イギリスのベテランプログレバンド、ジェスロ・タルの2012年作
実質的には、イアン・アンダーソンのソロ名義であるが、内容はかつての名作、
「ジェラルドの汚れなき世界」の続編というべきもので、フルートの音色とともに
このバンドらしい牧歌的な味わいと、小曲を連ねたコンセプチュアルな聴き心地が楽しめる。
随所にプログレ的なオルガンも加わり、70年代の作品のようなアートロック的な美学と、
いまのバンドが忘れかけている、ブルージーで素朴な叙情が垣間見えて、なかなか楽しめる。
名作の続編ということは別にしても、枯れた味わいの大人のプログレ作品というべき好作だ。
ドラマティック度・・8 プログレ度・・7 コンセプト度・・・8 総合・・8
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IAN ANDERSON「Homo Erraticus」
Jethro Tullのイアン・アンダーソンのソロ。2014年作
1972年の名作「ジェラルドの汚れなき世界」の3作目として作られた作品で
前作となる2012年の「TAAB2」も大人の味わいの好作であったが、本作ものっけからフルートが鳴り響き、
マイルドなイアンのヴォーカルとともに、いかにもタルらしい英国の牧歌的な叙情が広がってゆく。
John O'Haraによるオルガンを含んだキーボードアレンジや随所に聴かせるアコーディオンなども、
じつによい雰囲気を醸し出していて、往年のジェスロ・タルファンも大いに喜ばせるサウンドになっている。
プログレというよりはスリリングさはあまりない大人の味わいの牧歌ロックという感触ではあるが、
表現力ある歌声と確立した世界観の構築は見事で、まさにイアンこそタルそのものと再認識できる好作品だ。
ドラマティック度・・8 プログレ度・・7 ジェスロタル度・・8 総合・・8
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John Lodge 「10,000 Light Years Ago」
The Moody Bluesのベーシストとして知られる、ジョン・ロッジのソロ。2015年作
ソロ作品としては1977年作「NATURAL AVENUE」以来、じつに38年ぶりとなる。
うっすらとしたシンセに、メロウなギターが鳴り響き、ジョン・ロッジの味わいのあるヴォーカルを乗せた、
大人のシンフォニックロックというような1曲目からして素晴らしい。元ムーディーズのレイ・トーマスのフルートに、
マイク・ピンダーの奏でるメロトロンも随所に入って、ブライアン・プライスのギターが叙情的な渋いフレーズを奏でる。
キャッチーな歌もの的ナンバーも、古き良き英国の味わいをかもしだしていて、ストリングスによるアレンジも美しい。
30分弱という短さが、少し物足りないが、ムーディーズのファンであれば、大いに楽しめる好作品だろう。
メロディック度・・8 プログレ度・・7 英国度・・8 総合・・8
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JON ANDERSON 「1000 HANDS - CHAPTER ONE」
イギリスのミュージシャン、ジョン・アンダーソンの2019年作
YES脱退後は、ソロ活動を主体に、リック・ウェイクマンやロイネ・ストルトなどとコラボ作なども発表していたが、
純粋なソロ名義としては2011年以来となる。アラン・ホワイト、クリス・スクワイア、スティーヴ・ハウ、トレヴァー・ラヴィンといった
YES関連メンバーから、イアン・アンダーソン、スティーヴ・モーズ、チック・コリア、ボビー・キンボール、ラリー・コリエル、
パット・トラヴァース、ロビー・スタインハート、ジェリー・グッドマン、ビリー・コブハム等々、名だたるミュージシャンが参加して、
まさに1000の手で作られたというアルバム。聴いた瞬間にそれと分かる、ジョンのハイトーンヴォーカルは健在で、
わりとポップでキャッチーな感触ながら、ヴァイオリンなどのストリングスやフルートも入った優雅なパートも多く、
やわらかなジョンの歌声がたっぷりと楽しめる。プログレ度はさほど高くないが、イエスのファンなら聴いて損のない出来だ。
ドラマティック度・7 プログレ度・7 優雅度・8 総合・7.5
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Jonesy 「No Alternative」
ブリティッシュロック、ジョーンズィーの1972年作
一般的には2ndの方が代表作とされているようだが、本作はトランペット奏者が加入前で
古き良き感触のブルージーなギターをメインにした1曲目は、KING CRIMSON的な感触でもある
ジャズロック風味のアンサンブルとハードロック的な荒削り感が合わさったような聴き心地。
8分前後の長曲がメインで、同じフレーズの繰り返しはやや単長なところもあるなど、
正直、B級の域は出ないのだが、メロトロン入りの叙情曲も含めて、いかにも70年代英国らしい雰囲気が味わえる。
ドラマティック度・・7 プログレ度・・7 英国度・・8 総合・・7.5
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Jonesy「Keeping Up...」
イギリスのプログレバンド、ジョーンズィーの2nd。1973作
ゆるやかに鳴り響くメロトロンをバックに、初期クリムゾンに通じる70年代的な叙情を聴かせる。
ギターはややガチャガチャとした印象だが、美しいピアノにかぶさる特徴的なトランペットの音色や、
随所に聴かせる艶やかなストリングスなどが、哀愁ただよう雰囲気をかもし出している
楽曲のインパクトや個性には欠けるものの、とても英国らしい叙情に溢れたアルバムだ。
メロディアス度・・7 メロトロン度・・8 英国度・・8 総合・・7.5
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Jon lord「Gemini Suite」
イギリスのミュージシャン、ジョン・ロードの1971年作/邦題「ジェミニ組曲」
DEEP PURPLEのオルガン奏者として知られる彼の、70年代のソロ三部作が紙ジャケで再発された。
本作はロンドン・シンフォニーオーケストラとの共演作で、ロジャー・グローヴァーとイアン・ペイスが参加、
曲ごとに、ギター、ピアノ、ドラム、ヴォーカル、ベース、オルガンがソリストとして加わるという構成で、
壮麗なオーケストラにアルバート・リーのロックギターが重なる1曲目から、ピアノとドラムを加えた2、3曲目、
男女ヴォーカルを乗せた4曲目、ベースを乗せた5曲目、そしてお待ちかねのオルガン入りのラスト曲と、
それぞれに異なる味わいで、ロックとクラシックを大胆に融合している。全体的にも優雅な聴き心地で、
ロック度はさほど強くない分、シンフォニーロックとして、プログレファンにこそ楽しめる内容である。
クラシカル度・・9 ロック度・・5 壮麗度・・8 総合・8
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Jon lord「Windows」
イギリスのミュージシャン、ジョン・ロードの1974年作/邦題「バッハ未完成フーガ」
ドイツの作曲家、エバーハルト・シューナーとの共作で、1974年ドイツでのオーケストラとの共演ライブを収録。
前半は、バッハ「未完成フーガ」をモチーフに、オルガンやギターを含むロックアレンジとオーケストラが合わさった、
クラシカルなシンフォニーロックを展開。ヴァイオリンが鳴り響き、ホーンセクションも加わるなどゴージャスな味わいで、
レイ・フェンウィックのギターとピート・ヨークのドラムも随所に活躍している。後半は32分を超える「ウインドウ組曲」で、
オルガンをたっぷり使いながら、女性ヴォーカルが加わり、DEEP PURPLEのデヴィッド・カヴァデール、グレン・ヒューズが参加し、
その歌声で楽曲に彩りを加えている。中盤に「ジェミニ組曲」の一部を盛り込みながら、よりロックとの自然体の融合がなされている。
クラシカル度・・9 ロック度・・7 壮麗度・・8 総合・8
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Jon lord「Lord Sarabande」
イギリスのミュージシャン、ジョン・ロードの1976年作/邦題「スペインの哀愁」
本作はバロックの舞踏曲をテーマに、フィルハーモニー・フンガリカを迎えて録音された作品。
壮麗なオーケストラによる序曲から、ドラムとベース、ピアノによる優雅なアンサンブルにギターがかぶさり、
そこにオーケストラが加わると、シンフォニックな華やかさに包まれる。本作ではシンセを使っていることもあり、
過去2作に比べるとさらにプログレ的なアプローチがなされていて、優美なピアノによるクラシカルな小曲をはさみつつ
11分の大曲では、オルガンも加わって、華麗なオケとロック色をわりとキャッチーに融合させたスタイルで、
典雅なシンフォニーロックが楽しめる。70年代のソロ三部作では、もっとも完成度の高い傑作といえるだろう。
シンフォニック度・・9 ロック度・・7 壮麗度・・9 総合・・8
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JUDY DYBLE 「Enchanted Garden」
英国のフォークシンガー、ジュディ・ダイブルの2004年作
Fairport Conventionのオリジナルシンガーである彼女の、じつに34年ぶりとなる復活作。
ファンタジックなジャケのイメージ通り、幻想的な味わいのアシッド・フォークロックで、
アコースティックギターにうっすらとしたシンセが重なり、ゆるやかなサイケ的でもある浮遊感とともに、
かつてと変わらぬジュディの伸びやかな歌声が楽しめる。フルート、サックスなども加えた英国らしい牧歌性に
エレキギターも使ったロック色はSPRIGUNSなどにも通じる感触ながら、曲によってはニューエイジ風味の
モダンなアレンジも取り入れていて、ゆったりとした女性声アンビエント的にも味わえる。
ドラマティック度・・7 英国度・・8 女性Vo度・・8 総合・・7.5
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「Spindle」
Fairport Conventionのオリジナルシンガーである、ジュディ・ダイブルの2006年作
Fairport Convention脱退後はTrader Horneに参加、その後30余年をへてソロで復活、
本作は復活2作目で、KING CRIMSONのロバート・フリップなども参加している。
シーケンサーなども使ったデジタリイでモダンなアレンジに、浮遊感のある女性ヴォーカル、
艶やかなストリングスなどを含めて、たんなるフォークではない厚みのあるサウンドである。
随所に70年代風味の英国ロック/フォーク色も感じさせ、プログレリスナーにも楽しめると思う。
英国度・・8 プログレ度・・7 女性Vo度・・8 総合・・7.5
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Judy Dyble 「Talking with Strangers」
英国のフォークシンガー、ジュディ・ダイブルの2009年作
Fairport Conventionのオリジナルシンガーである彼女が、本作はNO-MANのTim Bownessとコンビを組み、
ロバート・フリップ、パット・マステロト、イアン・マクドナルドのKING CRIMSON組に、
FAIRPORT CONVENTION
のサイモン・ニコル、PENTANGLEのジャッキー・マクシー、
ALL ABOUT EVEのジュリアンヌ・リーガン、TREESのセリア・ハンフィリスらをゲストに迎え、
より70年代英国の世界に回帰したような、幻想的なアシッド・フォークを聴かせる。
ゆるやかに響くフルートの調べに、しっとりとしたシンセ、ときにメロトロンなども使いながら
KING CRIMSONの叙情部を思わせる美しさと、儚く夢見ごちの歌声でやわらかなサウンドを描いてゆく。
ラストにいたっては19分の大曲で、サックスも含んで変拍子アレンジのクリムゾン的なプログレ曲が炸裂。
英国度・・8 プログレ度・・8 女性Vo度・・8 総合・・8.5
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JUDY DYBLE 「Flow and Change」
英国のフォークシンガー、ジュディ・ダイブルの2013年作
Fairport Conventionのオリジナルシンガーとしても知られる、英国フォーク界伝説の女性シンガー。
本作はTHE CURATORのAlistair Murphyとコンビを組み、よりシンフォニックロック色が強まったサウンドを聴かせる。
ジュリアンヌ・リーガン、パット・マステロット、マーク・フレッチャー、ジェレミー・サルモンといった顔ぶれが参加し、
英国らしい湿り気を感じさせるジュディの歌声と、優美なピアノやシンセ、ストリングスも入ったアレンジで、
トラッドベースの素朴さを現代風味に巧みに構築している。クラシカルな優雅さとブリティッシュフォークの融合というべきか、
前作のプログレ路線に比べるとゆったりとした優美な雰囲気が強まっていて、ラストの11分の大曲までしっとりと味わえる。
クラシカル度・・8 優雅度・・9 女性Vo度・・8 総合・・8
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JUDY DYBLE 「Live at WM Jazz」
イギリスの女性シンガー、ジュディ・ダイブルのライブ。2014年作
FAIRPORT CONVENTION、初期のKING CRIMSON、TRADER HORNなどに参加したシンガーで、
本作は、2013年のイギリスでのステージを収録。THE CURATORのアリスター・マーフィをはじめ、
スタジオ作にも参加する、ジェレミー・サルモンらをバックに、近年の傑作ソロ「TALKING WITH STRANGERS」
「FLOW AND CHANGE」からのナンバーを主体に、FAIRPORT CONVENTIONやTRADER HORNのナンバーも披露。
年齢をへてもその美しい歌声は不変、やわらかなシンセをバックにヴァイオリンなども加わって、英国フォークルーツの
優雅な叙情を優しい歌声で聴かせてくれる。彼女のMCも含めてアットホームな雰囲気で、自然体のライブが楽しめます。
優雅度・・8 ロック度・・2 ジュディの歌声度・・9 総合・・8 
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JUDY DYBLE 「EARTH IS SLEEPING」
英国のフォークシンガー、ジュディ・ダイブルの2018年作
Fairport Conventionのオリジナルシンガーとしても知られる、英国フォーク界伝説の女性シンガーのソロ。
前作に続きTHE CURATORのアリスター・マーフィがプロデュース、パット・マステロット、マーク・フレッチャー、ジェレミー・サルモンなど、
多くのメンバーが参加している。アコースティックギターのつまびきに、しっとりとした歌声を乗せた叙情ナンバーで幕を開け、
ドラムにエレキギター、シンセも加えた、どこかなつかしい70年代風のキャッチーなナンバーでは、あの頃の英国の香りが蘇るかのよう。
ヴァイオリンやチェロなどのストリングスを加えた優美なアレンジに、年を経ても魅力的なジュディの優しい歌声にウットリとなる。
フルートやシンセが入ると、KING CRIMSONの1stにも通じる幻想的な翳りに包まれる。これぞ英国の空気。繊細にして優美な傑作だ。
繊細で優美度・・9 英国度・・9 女性Vo度・・9 総合・・8.5 
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JUDY DYBLE 「Weavings Of A Silver Magic」
イギリスの女性シンガー、ジュディ・ダイブルのライブ。2020年作
Fairport Conventionのオリジナルシンガーで英国フォーク界を代表するシンガー、本作は2016年の英国でのライブを収録。
THE CURATORのアリスター・マーフィに、マーク・フレッチャー、ジェレミー・サルモンといったメンバーが参加し、
優美なシンセやストリングス隊をバックに、しっとりと優しいジュディの美声が響き渡る。艶やかなヴァイオリンの音色に、
クラシカルなピアノを重ねた優雅なナンバーも耳心地よく、2013年作「Flow And Change」からの楽曲を主体に、
2018年作「Earth Is Sleeping」からのナンバーや、ラストはKING CRIMSON「風に語りて」も披露。
年を経ても変わらぬその歌声にウットリと浸れる。2020年にこの世を去った彼女の、最後のライブ音源である。
優雅度・9 プログレ度・7 女性Vo度・9 総合・8 
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JUDY DYBLE & ANDY LEWIS 「Summer Dancing」
英国の女性シンガー、ジュディ・ダイブルとSSWのアンディ・レヴィスのユニット。2017年作
初期FAIRPORT CONVENTIONTRADER HORNなどに参加した女性シンガーで、
本作はアコースティックギターにシンセアレンジ、ベース、ドラムを加えた叙情的なフォークロック。
ジュディのやわらかな歌声の魅力は歳を経ても健在で、英国らしい牧歌的な空気感と
ユルめのサイケ感触も含んだサウンドによくマッチしている。楽曲は2〜3分前後が主体で
シンプルな聴き心地であるが、60〜70年代を思わせるおおらかな雰囲気にのんびりと浸れる。
どこかくぐもったような音質もよい感じで、優雅なピアノやメロトロンのようなシンセも加わって、
プログレファンもにんまりだ。ジュディの魅力が存分に活かされたアシッド・フォークの傑作です。
古き良きフォークロック度・・9 英国度・・9 女性Vo度・・8 総合・・8
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Dyble Longdon 「Between a Breath and a Breath」
英国の女性シンガー、ジュディ・ダイブルとBIG BIG TRAINのデヴィッド・ロングドンによるユニット。2020年作
初期FAIRPORT CONVENTION、TRADER HORNなどへの参加で知られる、ジュディのやわらかな歌声を中心に、
美しいシンセアレンジや叙情的なギターに、デヴィッドのジェントルな歌声も加わり、しっとりと優美なサウンドを聴かせる。
アコースティック含む英国フォークルーツの牧歌性に、シンフォニックロックとしての味わいが同居し、ときにフルートの音色や
ヴァイオリン、トランペットなどが加わった、優雅な大人のアレンジがじつに耳心地よい。うっすらとしたメロトロンをバックに、
二人の歌声が優しく響くナンバーや、3拍子のリズムとともに哀愁の叙情に包まれる、11分の大曲も素晴らしい。
リカルド・ショーブロム、ニック・ディヴァージリオといった、BIG BIG TRAINのメンバーや、ISLDURS BANE、GONG、
JADE WARRIORのメンバーなども参加。ジュディは本作の完成を見る前に、2020年7月に逝去している。
ドラマティック度・8 ジュディの歌声度・8 優雅度・9 総合・8
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Julian's Treatment「A Time Before This」
ドミニカ共和国出身の小説家、ジュリアン・ジェイ・サバリンを中心にしたバンドで、
自身のSF小説を題材にしたコンセプト作。クラシカルなオルガンの優雅な響きに、
メロウなギターと女性ヴォーカルが重なり、妖しいサイケロック風味と英国的な情緒が混ざった幻想的なサウンド。
1970年作というから英国シンフォの先駆けだろう。牧歌的なフルートの音色もよい感じだ。
本作のあと、1973年にJulian Jay Savarin名義で2ndを発表。そちらも同傾向の好作である。
以前は、1stの2ndの音源を加えた、2 in 1仕様でジャケも変えた日本盤も出ていた。マニア好みの逸品。
シンフォニック度・・7 オルガン度・・8 女性Vo度・・7 総合・・7.5
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Julian Jay Savarin「Waiters on the Dance」
ドミニカ共和国出身の小説家、ジュリアン・ジェイ・サバリンは自身のSF小説を題材にした音楽を作ろうと、
英国でJulian's Treatmentを結成、1970年に「A Time Before This...」を発表し、その翌年にソロ名義で出したのが本作。
サウンドは鳴り響くオルガンとメロトロン、美しい女性ヴォーカルによる幻想的なブリティッシュロック。
いかにもロック的なギターとやわらかなハモンドの音色が好対照で、そこに歌を乗せる
Catapillaの女性ヴォーカルは、歌唱力というよりもその物憂げな雰囲気の声質がとてもよろしい。
実は大半の曲は「A Time Before This」のフランス盤に収録されていて、すでに聴いていたが、
こうして単体で聴いてみると、やはり今作の方が英国然としたファンタジックな音作りが素敵です。
シンフォニック度・・8 ハモン度・・8 女性Vo度・・8 総合・・8
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KEITH EMERSON BAND 
イギリスのシンセ奏者、キース・エマーソンのソロ。2008年作
ギター、ベース、ヴォーカルをこなすマルチプレイヤー、マーク・ボニーラを迎えてのアルバムで、
オルガンを含んだシンセワークには、かつてのEL&Pを思わせるプログレ的なテイストが感じられる。
1、2分前後の小曲を連ねた組曲方式の作風には、往年のような緊張感と構築美を漂わせていて、
クラシカルなピアノタッチなどね含め、エマーソンファンには溜飲を下げるサウンドと言えるだろう。
マーク・ボニーラの歌声はジョン・ウェットン的で、いかにも英国プログレ的な雰囲気を醸し出している。
適度にモダンでキャッチーな要素も感じさせつつ、それに古き良きELP風味が融合したような好作品である。
ドラマティック度・・8 プログレ度・・8 キーボー度・・9 総合・・8
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The Keith Tippett Group 「Dedicated to You, But You Weren't Listening」
イギリスのミュージシャン、キース・ティペット率いるバンドの1971年作
初期のKING CRIMSONにも参加したピアニスト。本作は2作目で、エルトン・ディーン、ニック・エヴァンス、
ロバート・ワイアットなどが参加。サックスやトロンボーンが鳴り響き、優雅なピアノを絡めた軽快なジャズロックを聴かせる。
ブラスが前に出ている分、ロック色は控えめながら、フリージャズ的な先の読めないスリリングな雰囲気が、
アヴァンギャルドなアートロック感触と混ざり合い、部分的にはクリムゾンにも通じる知的な叙情性を感じさせる。
ちなみにキースの奥さんは、Brian Auger & The Trinityに参加していたジュリー・ドリスコールである。
ジャズロック度・・9 プログレ度・・8 優雅度・・8 総合・・8
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Kevin Ayers 「Joy of a Toy」
SOFT MACHINEのケヴィン・エアーズのソロ。1969年作/邦題「おもちゃの歓び」
バンド脱退後のソロ1作目で、ロバート・ワイアットをはじめ、当時のソフト・マシーンのメンバーが参加している。
サウンドはポップな味わいの、ユルめのサイケ・ロックという感触で、優雅なクラリネットの音色に
ジェントルなヴォーカルで聴かせる叙情的なナンバーなど、いかにも英国的な優雅さに包まれている。
やわらかなピアノに繊細な歌声を乗せるあたりは、ロバート・ワイアットのソロ作にも通じるが、
ケヴィンの方はもっと楽しげでキャッチーな雰囲気を漂わせている。いわば陽性の芸術家というべきか。
オルガンやフルートを乗せ、マイルドな歌声とともに、安心して音に浸れる。優雅な安らぎがそこにある。
メロディック度・・8 プログレ度・・7 優雅度・・9 総合・・8
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Kevin Ayers and The Whole World 「Shooting at the Moon」
ケヴィン・エアーズの1970年作/邦題「月に撃つ」
バンド名義でのソロ2作目で、ジェントルな歌声を乗せた牧歌的な1曲目から、
2曲目は、バンドらしいアンサンブルのなか、いきなりテープの早回しで一転アヴァンギャルドに。
オルガンにギターが重なるサイケな味わいと、ほどよくポップな味わいがブレンドしつつ、
フリーキーでアンビエントな大曲「ヴァイオリンにお漏らし」、男女ヴォーカルを乗せた
フォークタッチの小曲「カキとトビウオ」など、いかにもケヴィンらしい奔放な作風が楽しめる。
若き日のマイク・オールドフィールドの存在感あるベースなども、なにげに光っている。
メロディック度・・7 プログレ度・・7 アヴァンギャル度・・8 総合・・8
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Kevin Ayers 「Whatevershebring」
ケヴィン・エアーズのソロ3作目。1972年作/邦題「彼女のすべてを歌に」
不気味なジャケから、プログレ初心者は敬遠してしまいそうだが、ブラスが鳴り響くイントロから、
オーケストラルな優雅さとジャズロック的な軽妙なアンサンブルに、ユルめの浮遊感が加わった、
これぞケヴィン・エアーズというサウンドが広がってゆく。ストリングスがスリリングに鳴り響き、
先の読めないエキセントリックな展開とともに、濃密なサイケ・ジャズロックを聴かせてくれる。
ジェントルなヴォーカルを乗せたユルめの歌モノや、怪しげなアヴァンギャルド性も垣間見せ、
幅広い曲調が楽しめる。まさにアーティストとしての懐の深さを体現したような傑作といえる。
メロディック度・・8 プログレ度・・8 優雅度・・9 総合・・8
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Kevin Ayers 「Confessions of Doctor Dream & Other Stories」
ケヴィン・エアーズのソロ5作目。1974年作/邦題「夢博士の告白」
マイケル・ジャイルズ、マイク・オールドフィールド、マイク・ラトリッジをはじめ、豪華なメンバーがゲスト参加。
ファンキーなナンバーで幕を開けつつ、2曲目以降は肩の力が抜けたエキセントリックなソフトロックに、
男女コーラスやブラスを加えたゴージャスなアレンジが耳を引く。オリー・ハルソールのギターセンスも素晴らしい。
お洒落でカラフルな英国ロックが味わえる一方で、4パートに分かれた19分におよぶ組曲では、ややダークな雰囲気で、
歪んだギターに語りのような男女声を乗せたアヴァンギャルドな怪しさから、浮遊感に包まれたサイケロックへと展開する。
ケヴィンらしい自由な「何でもあり」感が発揮された、ユルめのコンセプトアルバムというべき好作品。
メロディック度・・7 プログレ度・・8 英国度・・9 総合・・8
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KEVIN AYERS-JOHN CALE-ENO-NICO「JUNE 1,1974」
ケヴィン・エアーズのアイランドレーベル移籍を記念して行われた1974年のライブ音源で、
ジョン・ケイル、ブライアン・イーノ、ニコ、ゲストにマイク・オールドフィールド、ロバート・ワイアットが参加。
怪しいシンセにフリーキーなヴォーカルを乗せる、イーノによるサイケなナンバーから、
ジョン・ケイルによるプレスリーのカヴァー「ハートブレイク・ホテル」はえらくヨレた哀愁に包まれる。
魔女めいたニコの語りのような歌声を乗せたダークなアンビエントナンバーは妖しさたっぷり。
後半は、ケヴィン・エアーズのバンド演奏で、ジェントルな歌声に、オリー・ハルソールの巧みなギターでじっくり楽しめます。
プログレ度・・7 ライブ音質・・8 ライブ演奏・・8 総合・・8
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KHAN 「SPACE SHANTY」
ブリティッシュロックバンド、カーンの1972年作
のちにGongに参加するスティーヴ・ヒレッジのキャリアのスタートとなった作品で、
Eggの前身バンドからの盟友であるデイヴ・スチュワートが参加していることでも知られる。
のっけから9分の大曲で幕を開け、オルガンが鳴り響く牧歌的でスペイシーな雰囲気と、
変則リズムを多用したエキセントリックなセンスにサイケ気味のスケール感を合わせたようなサウンドが広がる。
メロハリのあるドラマティックな構成は現在聴いても面白く、カンタベリー系の軽妙な優雅さも垣間見せる。
全体的には方向性が定まり切れていない感じもあるが、その曖昧さが魅力ともいえる。オルガンプログレの隠れた好作。
ドラマティック度・・8 プログレ度・・8 オルガン度・・8 総合・・8
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KING CRIMSON「IN THE COURT OF THE CRIMSON KING」
キング・クリムゾンの1969年作
「クリムゾン・キングの宮殿」として知られる、言わずと知れたロック史上に燦然と輝く名作。
ともかく、1曲目“21世紀の精神異常者”からして、そのインパクトたるやハンパではない。
サックスが不穏に鳴り響き、叫びのような歌声が狂気を振りまく、この始まりとジャケのインパクトがリンクして
1度聴いたらもう誰も忘れられない作品となる。続く“風に語りて”では、美しいフルートの音色とともに素朴な叙情を聴かせ、
名曲“エピタフ”の壮大かつ静謐な世界観にうっとりとなる。“ムーンチャイルド”でひと休みさせておいて、
ラストのタイトル曲のメロトロンの盛り上がりで圧倒される。楽曲ごとの不思議な魅力と、アルバムとしての構成も含め、
飽きることのない名盤に仕上がっている。60年代末に来た最初の衝撃。すべてはここから始まった!
*以下は2009年の40周年記念エディションのレビュー
いったい何度再発すれば気が済むのかという気分にもなるのだが、今回は40周年エディションのCD2枚組。
現在のところ2004年の発掘された新たなマスターによる盤が最高であることは変わらないが、
今回のDisc1には2009年のステレオミックス音源を収録、Porcupine Treeのスティーブ・ウィルソンによる
このニューミックスがなかなか面白い。音の迫力が増しているのはもちろん、これまで聴こえなかった
細部での楽器音が鳴っていたり、全体的にもダイナミックなメリハリが効いていて、新鮮な発見がそこかしこにある。
ボーナスには“Moonchild”のフルバージョンや“風に語りて”の別バージョンなど5曲を収録。Amazon.co.jp で詳細を見る
Disc2には現行の2004年のリマスター盤音源に加え、BBCセッションの音源とシングルのモノラル音源など5曲をボーナス収録。
5.1chミックスの入ったDVD付きの盤などもあるので、予算に合わせてどうぞ。
ドラマティック度・・9 プログレ度・・9 名盤度・・10 総合・・9 ◆プログレ名作選入り
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KING CRIMSON「In the Wake of Poseidon」
キング クリムゾンの2nd。1970作
本作「ポセイドンのめざめ」はやはり基本的には1stの延長的に作られているという印象であるが
脱退したイアン・マクドナルドに代わって加入した、キース・ティペット(piano)、メル・コリンズ(sax)の色もあり
前作の雄大な雰囲気よりはジャジーなアプローチが増している。フルートやメロトロンなどの美しい叙情も含んで、
歌もの曲ではグレッグ・レイクの歌唱が時代的な懐かしさを感じさせ、4曲目のタイトル曲なども美しい。
11分超の組曲もなかなか圧巻であるが、全体的にはあの奇跡の1枚に手が届きそうで届いていない。
ドラマティック度・・8 プログレ度・・8 ジャズロック度・・8 総合・・8
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KING CRIMSONLizard: 40th Anniversary Series
キング・クリムゾンの1970年作/40周年記念エディション
正直、この「リザード」はクリムゾンの作品群の中でもどうも煮え切らないイメージだったのだが、
スティーブ・ウィルソンの手によるニューミックスとDVDの5.1chミックスが良いらしいので聴いてみる。
CDの方は、各楽器の音の分離が鮮明になり、ぼやけていた輪郭がはっきりした分、
ずいぶんとダイナミックなサウンドになった。静寂の中の美しいメロトロンや、ピアノの音色に
メル・コリンズのサックスが重なってゆくと、音の厚みもたっぷりで、とても重厚に聴こえる。
シンバル類を含めてドラムの音にも臨場感が増した。ジャズロック色の強い曲はさほど好みではないが
23分を超えるタイトル組曲は、管楽器類を取り込んだゆったりとした叙情美に聴き惚れる。
ドラマティック度・・8 プログレ度・8 DVD5.1は必聴・・9 総合・・8.5
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KING CRIMSON「ISLANDS」
キング・クリムゾンの4th。1971作
本作「アイランズ」は、いわゆる「叙情クリムゾン」としての最後のアルバムで
ピート・シンフィールドが在籍していた、本作までが好きというファンも多いだろう。
不穏なチェロの音色に、美しいピアノとフルートがかぶさり、ほの暗い叙情とともに、
しっとりと聴かせる1曲めは素晴らしい。サックスの音色を含めジャジーなフリーキーさも混在していて
ユルさの中にある静かなる緊張というべきものが、じわじわと広がってゆく。
プログレ=テクニカルというリスナーは眠くなるかもしれないが、これも好アルバム。
ドラマティック度・・7 フリーなプログレ度・・8 静寂と叙情度・・9 総合・・8
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KING CRIMSON「Earthbound」
キング・クリムゾンのライブアルバム。1972作
カセットレコーダーによる録音ということで、音質の悪さが物議をかもすライブ作品。
今回の30周年リマスターとなって、音の分離はだいぶ改善されているが、
それでも歪みやノイズまじりのサウンドは、言い換えれば臨場感たっぷり。
“21世紀の精神異常者”からして、まさにタガが外れた獣のように暴れまくっている。
とくに、イアン・オォーレスのドラムとメル・コリンズのサックスの荒々しい勢いは、
かえって音質の悪さが強力な迫力を生み出しているという気もする。
このパワフルな演奏の前には、正直、途中から音の悪さもさほど気にならなくなる。
ライブ演奏・・9 暴れ度・・9 音質・・5 総合・・8
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KING CRIMSON「LARKS' TONGUES IN ASPIC」
キング・クリムゾンの5th。1973年作/2013年エディション
ジョン・ウェットン、ビル・ブラッフォード、デヴィッド・クロスというメンバーが集った、「太陽と戦慄」の邦題で知られる第二期クリムゾンの傑作。
40周年エディションのDisc1には、スティーヴン・ウィルソンとロバート・フリップによる2012年リミックス、Disc2には、オリジナルの2000年のリマスター音源を収録。
不穏なイントロから、緊張感のあるヴァイオリンとヘヴィなギターの音が入ってくると、その迫力にまず聴き手は圧倒されるだろう。
変拍子を力強く叩くブラッフォードのドラムは、重厚なバンドサウンドの核になっていて、変則的なギターリフをまとわせたアンサンブルは、
1973年という時代を考えればおそろしく革新的だ。今作ではキーボードパートは大幅に減っているが、
随所にメロトロンもうっすらと使われ、張りつめたヴァイオリンの音色がさえざえと響き渡る。
ジョン・ウェットンの歌声で聴かせる叙情的なパートもあって、決して難解すぎない作品だ。
クリアな音による迫力あるダイナミズムと繊細な部分の美しさを際立たせたリミックスである。
重厚度・・9 プログレ度・・9 演奏度・・9 総合・・8.5
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KING CRIMSON「Starless and Bible Black」
キング・クリムゾンの6th。1974年作/邦題「暗黒の世界」
前作「太陽と戦慄」と同じメンバーで作られたアルバムで、今後ライブでよく演奏されるようになる1、2曲目がスタジオ録音
3曲目以降はほぼライブ録音、という変則的な構成となっている。おそらく、この時期はライブでのテンションの高さが
スタジオ制作の緻密さを上回っていたということなのだろう。“We'll Let You Know”では即興的な緊張感をはらみつつ、
一転して“The Night Watch”では美しいヴァイオリンとやわらかなウェットンのヴォーカルが素晴らしい。
後半の大曲“Starless and Bible Black”、“Fracture”のスリリングな演奏表現バンドのひとつの到達点だろう。
プログレ初心者の頃に聴くとただ散漫な印象であったのだが、張詰めたパワーがひしひしと伝わってくるという点で、
クリムゾン中級者以上を唸らせる作品と言えるかもしれない。初心者の方はまずは「宮殿」「レッド」「太陽と戦慄」をどうぞ。
重厚度・・8 プログレ度・・8 演奏度・・9 総合・・8
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KING CRIMSON
「RED」
キング・クリムゾンの7th。1974作
黄金期クリムゾンの最後を飾る一枚。ギター、ベース、ドラムという編成による、シンプルながら
重厚かつヘヴィな曲で幕を開け、最後には初期を思わせる叙情曲で閉めるという構成が、
70年代クリムゾンの終焉をしみじみと感じさせる。「宮殿」から生まれ、「太陽と戦慄」で頂点を極め、
そして本作にて<バンドはこの時期のプログレスを完了することになったわけである。
最終曲“STARLESS”のリフレインされるメロディが、実にもの悲しく、また美しい。
2013年のニューリミックス盤はより、ヘヴィでダイナミックな仕上がりになっている。
重厚度・・8 プログレ度・・8 楽曲・・8 総合・・8.5 ◆プログレ名作選入り
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KING CRIMSON「USA」
キング・クリムゾンのライブアルバム。1975作
もとは海賊盤対策として発表されたアルバムで、綿密にオーバーダビングされた音は、やや荒々しいのだがスタジオテイク以上に迫力がある。
やはりウィリアム(ビル)・ブラッフォードのドラムは素晴らしく、ハイハットの一音までが「立って」聴こえる。
“21st CENTURY SCIZOID MAN”、“STARLESS”等のバンドを代表する名曲も収録、70年代クリムゾンの正規ライブ作品として、まず手に入れるべき。
重厚度・・8 プログレ度・・9 演奏・・9 総合・・8
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KING CRIMSON「Discipline」
キング・クリムゾンの8th。1981作
いわゆる「80年代クリムゾン」として活動を再開した1作目で、
エイドリアン・ブリューをギタリストに迎え、メカニカルな緻密さを押し出し始めた作風。
バンドしての機能を重視してか、メンバーの誰一人もでしゃばることなく、
整然とした演奏で、楽曲を構築している。よくよく聴けば複雑なリズムパターンに、
変拍子の取り入れかたなども高度なのだが、案外メロディアスな要素もあり、
ロック的なヴォーカルラインや聴き応えのあるギターの絡みなど、難解すぎるという印象はない。
実験的でありつつも、メカニカル化とプログレ、ロックサウンドをバランス良く両立させた作品。
メロディアス度・・7 プログレ度・・8 テクニカル度・・8 総合・・8
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KING CRIMSON「Beat」
キング・クリムゾンの9th。1982作
80年代クリムゾンの2作目で、タイトル通りリズムに重点をおいた作品。
楽曲はぐっとポップになり、一聴してプログレとはほど遠い音にも思えるが、
テクノ的な質感を取り入れて、クロスオーバーというべき聴き心地の中にも、
ポリリズムや複雑な音の重ねをスタイリッシュに構成している。その実験精神はやはりクリムゾン。
エイドリアン・ブリューのギターワークもロバート・フリップに負けじとそのセンスを発揮している。
メロディアス度・・8 プログレ度・・8 ポップ度・・8 総合・・8
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KING CRIMSON「Three of a Perfect Pair」
キング・クリムゾンの10th。1984作
「Discipline」、「Beat」から続く三部作にして、第三期クリムゾンのラスト作。
メカニカルな緻密さを押し出した「ディシプリン」、ポップ性とポリリズムを突き進めた「ビート」、
そして本作では、ヴォーカルの歌声とともに一聴してこれまでにないキャッチーな曲調が耳を引く。
クリムゾンがポップな歌ものを?…と、思いきや、よくよく聴けば、リズム面でのアプローチもあるし、
ブラッフォードのドラムとレヴィンのベースもさすがの存在感。エイドリアン・ブリューの歌もなかなかいい。
後半はうって変わって実験色が強くなり、前半との対比でより緊張感が際立って聞こえる。
メロディアス度・・8 プログレ度・・7 楽曲センス・・8 総合・・8
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KING CRIMSON「THRAK」
キング・クリムゾンの1995年作
1994年のミニアルバム「VROOOM」に続き、姿を現した第四期クリムゾンの全貌。
ロバート・フリップ、エイドリアン・ブリュー、トニー・レヴィン、ビル・ブラッフォードに加え、
トレイ・ガンとパット・マステロットを加えた6人編成で、リズム隊が4人もいるという
ダブル・トリオと呼ばれる面白い編成で作られた。硬質感を重視したサウンドは
いわゆる「メタルクリムゾン」などともと言われるが、中盤以降には、ゆったりと聴かせる叙情ナンバーもある。
随所にサウンドスケープ的なシンセやメロトロンの音色が散りばめられ、ヘヴィなダークさを緩和させながら、
2〜5分台のコンパクトな楽曲を連ねてゆく感じだ。エイドリアン・ブリューの歌も80年代作品で聴かれた
キャッチーな雰囲気とともに、立派に作品の世界観に貢献している。かつての名作「Red」や
「太陽と戦慄」あたりの感触を垣間見せつつ、90年代という時代に対応させたプログレ作品である。
メロディアス度・・7 プログレ度・・8 楽曲センス・・8 総合・・8
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KING CRIMSON「EPITAPHVOLUMES ONE & TWO」
キングクリムゾン第一期(1969年)のオフィシャルブートレッグ。CD2枚組。1997年作
「KCのアルバムは色々聴いたが結局一番好きなのは宮殿なんだよなぁ」
…という私のようなファンにはうってつけ第一期のメンバーによる当時のライブ音源がよみがえった。
タイトルでもある名曲“EPITAPH”は3音源を収録し、どれもアレンジが違うという凝りよう。
グレッグ・レイクのVoにイアン・マクドナルドのフルート&メロトロン!すべてはここから始まった。
音質も年代を考えれば思いのほか良好で、臨場感溢れる演奏に涙。
叙情度・・9 プログレ度・・9 音質・・7 総合・・9
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KING CRIMSON「EPITAPHVOLUMES THREE & FOUR」
キングクリムゾン第一期(1969年)のオフィシャルブートレッグ第二弾。「続・エピタフ」
さて、第一期クリムゾンのファンにとっては垂涎のこのシリーズ。1969年のライブ音源満載。
音質的にはやや難があるが(とはいってもこのへん年代のブートにしてはかなり上質)、
当時のバンド勃発期の力強く熱いエネルギーは十分に伝わってくる。イアン・マクドナルドのフルート&メロトロンが美しい。
マイケル・ジャイルズ
のトラムも切れ味鋭く、そしてロバート・フリップのギターにグレッグ・レイクのヴォーカル。
歌詞と演出を担当するピート・シンフィールドという第五のメンバーがいたことも今となっては興味深い。
たった一年で分散したこの最高のメンバーが、一つになっていたこの瞬間に創造された壮絶な音の記録。
「21世紀の精神異常者」「エピタフ」「クリムゾンキングの宮殿」はライブごとにプログレスしてゆく。
そのアレンジの変遷、即興性、すべてを含めて「真のプログレ」を体現していたバンドであった。
叙情度・・8 プログレ度・・10 音質・・6 総合・・8
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KING CRIMSONThe Night Watch
「太陽と戦慄」クリムゾンの伝説のライブ、1973.11.23アムステルダムライブの完全版。CD2枚組。1998作
アルバム「STARLESS AND BIBLE BLACK」はこの時の音源が元になっているというのは有名な話。
メンバーは、ロバート・フリップ他、ジョン・ウェットン、ビル・ブラッフォード、デイビィッド・クロス
演奏的にはブラッフォードのドラムとウェットンのベース、そこに重なるロバート・フリップのギター
によるインプロバトルが聞きどころ。ゆるやかな即興パートでの余裕と圧倒的な突進力の演奏は
まさにバンドの黄金期を感じさせる。ヴァイオリン&メロトロンのデイビッド・クロスの演奏は
それほど目立たず、他の3人の邪魔をしないように無難に弾いているという印象。
この頃の音楽性を好むかどうかによって、同時期のアルバムへの人それぞれの評価も変わるのだと思う。
ライブ演奏・・9 プログレ度・・8 音質・・8 総合・・8
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KING CRIMSON 「Absent Lovers」
キングクリムゾンのライブ作品。1998年作
1984年、カナダのモントリオールで行なわれた第4期クリムゾンのラストライヴを収録した2枚組。
エイドリアン・ブリュー、ロバート・フリップ、トニー・レヴィン、ビル・ブラッフォードの4人編成で
「Discipline」「Beat」「Three of a Perfect Pair」という、80年代の3部作からの楽曲を中心に、
モダンなビート感覚の中に、計算されたポリリズムなどを盛り込んだ、アンサンブルの妙が
アルバム以上の躍動感で伝わってくる。“レッド”や“太陽と戦慄 パート2、3”なども演奏しているが、
それらの曲も、どことなくモダンなアレンジで、80年代の楽曲の中にあっても違和感のない仕上がりだ。
賛否両論のあった、いわゆる80年代クリムゾンであるが、3作を聴いたのちに本ライブを鑑賞すれば
当時のKCの表現しようとした、ポップ性と実験的リズムの融合のようなものが、より明確に楽しめる。
ライブ演奏・・9 プログレ度・・8 モダン度・・8 総合・・8
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KING CRIMSON「the construKtion of light」
キング・クリムゾンの2000年作
前作「THRAK」のあと活動休止に入ったが、バンド30周年を記念して活動を再開、
ロバート・フリップ、エイドリアン・ブリュー、パット・マステロット、トレ・イガンの4人編成で
第六期クリムゾンは始動。サウンドは90年代の作品に比べ、よりモダンなアプローチがなされており、
ドラムとベースを中心にしたポリリズムの中に、浮遊感のあるギターが乗せられ、
一聴した感じはダークなものだが、どの楽曲も緻密きわまりないアプローチがなされている。
タイトル曲はもちろん、“太陽と戦慄パートW”や、パートXとなるほずだった、“フラクチャード”など、
聴き応えのあるナンバーが揃っている。全体像としては、まだ過渡期というようなバラつきも感じ取れるが、
新世紀を迎えようとするクリムゾンの新しい形が見え始めた作品なのは確か。
メロディアス度・・7 プログレ度・・8 楽曲センス・・8 総合・・8
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KING CRIMSON「The Power To Believe」
キング・クリムゾンの2003年作
ロバート・フリップのかがげる“ヌゥオヴォ・メタル”というコンセプトによって作られた本作は、
「the construKtion of light」から続くメンバーによって、より熟成されたメタル・クリムゾンを聴かせる。
インダストリアルな無機質さを加えたリズムは、ずっしりとしてヘヴィで重く、
そこに乗るギターサウンドもいつになくハードで、楽曲に硬質な緊張感をもたらしている。
一方では、薄暗い叙情をともなったヴォーカルナンバーは、モダンな雰囲気で
先端をゆくロックバンドとして、常に時代の変化とともにあることを感じさせる。
奥行きのあるサウンドプロダクションも見事で、前作よりも統一感のある作品に仕上げている。
メロディアス度・・7 プログレ度・・8 時代のクリムゾン・・9 総合・・8
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KING CRIMSON「The Great Deceiver:Part One/Part Two
かつて4枚組ボックスで発売されていた第二期クリムゾンのライブ音源の再発盤。2007作
「太陽と戦慄」〜「レッド」期のクリムゾンが最も好きだというファンも多いだろうが、
本作でのライブ演奏の勢いを聴けば、さらにその思いを強くするかもしれない。
Part One、TwoともDisc1は1974年の音源で、録音もなかなか良好。
ブラッフォードのドラムのさすがの躍動感と、ジョン・ウェットンの歌声も絶好調、
そしてデビッド・クロスの弾くメロトロンも効いていて、ときに即興演奏をまじえながら、
熱情的な激しさとともに叙情性もしっかりとある、バランスのとれた演奏が見事。
Disc2で聴ける1973年の音源では、より張りつめた緊張感が炸裂していて、
同時期のライブ音源であるThe Night Watchと聴き比べてみるのも面白い。
ライブ演奏・・9 プログレ度・・8 音質・・8 総合・・8
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KING CRIMSON 「EleKtriK」
キング・クリムゾンのライブ作品。2008年作
2003年4月に行われた日本公演の音源を収録。サウンドスケープ的なイントロから、
“Lebel Five”の重厚な演奏が始まると、パット・マステロットのドラムに、エイドリアン・ブリュー、ロバート・フリップのギター、
トレイ・ガンのウォーギターも加わると、ときにトリプルギタースタイルともなる編成で、強力なアンサンブルを展開する。
「The Power To Believe」からの曲を中心にしつつ、「太陽と戦慄パート4」の迫力あるダイナミックな演奏も素晴らしい。
アルバム以上の躍動感でヘヴィなクリムゾンサウンドが楽しめるライブ音源です。
ライブ演奏・・9 重厚度・・9 叙情度・・6 総合・・8
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King Crimson 「Live at the Orpheum」
キング・クリムゾンのライブ作。2015年作
2014年のアメリカでのライブをCD+DVD(Audio)に収録。パット・マステロット、ギャヴィン・ハリソン、ビル・リーフリンを擁する
「トリプルドラム」の編成で、ロバート・フリップ、メル・コリンズ、トニー・レヴィン、ジャッコ・ジャクジクという7人編成。
イントロに続くのは「RED」収録の「One More Red Nightmare」で、CDの方は音質的にはいくぶんこもった感じもあって、
ゆったりとした大人のクリムゾンという雰囲気ながら、巧みなリズム隊にコリンズのサックスの表現力はさすがで、
「Sailor's Tale」でのスリリングなアンサンブルから、ラストの「Starless」での叙情にはやはりぐっとくる。
全40分とライブしてはやや物足りない尺であるが、この編成でのお披露目という意味合いのライブなのだろう。
DVDの方は音質がとても良く、各楽器の音の分離やドラムも音のキレも含めて、よりバンドの神髄を楽しめる。
ライブ演奏・・8 CD音質・・7 DVD音質・・9 総合・・8 
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King Crimson 「Live in Toronto」
キング・クリムゾンのライブ作。2016年作
2015年カナダ、トロント公演のステージを2CDに収録。トリプルドラム編成を映したジャケのインパクトもなかなかだが、
イントロに続く「太陽と戦慄パート1」では、迫力あるドラムサウンドにハードなギターが重なり、一気に引き込まれる。
メル・コリンズのフルートやサックスも楽曲における優雅なアクセントになっていて、重厚なドラムを中心にした
バンドとしてのアンサンブルも研ぎ澄まされて、スリリングな緊張感と叙情が同居した、まさに新時代のクリムゾン。
ツーバス踏みまくる迫力たっぷりの「Red」、Disc1ラストの「Epitaph」では、ジャコのヴォーカルもいい味を出している。
Disc2は、「Easy Money」、スリリングな「Level Five」、レヴィンのベースが恰好いい「Sailor's Tale」、名曲「Starless」、
「The Court Of The Crimson King」、ラストは「21世紀の精神異常者」オールドファンは感涙。2CDで125分の必聴ライブです。
ライブ演奏・・9 音質・・8 重厚度・・9 総合・・8.5
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Schizoid Dimension - A Tribute to King Krimson
クレオパトラ・レーベル制作によるキング・クリムゾンのトリビュートアルバム。1997年作
参加しているバンドでプログレ方面で有名なのは、David Cross、Brand Xくらいのもので、あとはまったく無名。
当然ながら、ディヴィッド・クロスによる“Exiles”、ブランドXによる“Red”などは普通によい出来であるが、
Pressurehedによるスペースサイケ風の“21世紀の精神異常者”や、Astralasiaによる女性声入りテクノ風の“風に語りて”
Solid Spaceによる叙情的な“ポセイドンの目覚め”など、けっこう楽しめる。初期クリムゾンのファンなら聴いて損はないだろう。
演奏度・・8 再現度・・7 バンド知名度・・7 総合・・7.5
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JAKSZYK,FRIPP and COLLINS 「A Scarcity of Miracles」
ジャコ・ジャクジク、ロバート・フリップ、メルコリンズによるクリムゾン・プロジェクトユニットの2011年作
ジャケの雰囲気やトニー・レヴィンも含んだメンツからして、次なる新生クリムゾンの布石となるプロジェクトかと思いきや、
実質はギター&ヴォーカルのジャジクを中心にした歌もの寄りのやわらかなサウンドで、プログレ的な雰囲気というのは薄い。
フリップのギターは、ゆるやかに奏でられるサウンドスケープ風の奏法中心でスリリングなところはあまりないのだが、
メル・コリンズの方はサックスがソロをとる部分も多く、ときおりクリムゾン風味のメロディもあったりと楽曲のアクセントになっている。
存在感のあるレヴィンのベースや、ジャジクの渋い歌声も含めてじんわりと楽しめる、大人の味わいの落ち着いた聴き心地だ。
ドラマティック度・・7 プログレ度・・7 クリムゾン?度・・7 総合・8
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21st Century Schizoid Band 「Official Bootleg Vol 1」
マイケル・ジャイルズ、イアン・マクドナルド、メル・コリンズ、ピーター・ジャイルズ、ジャコ・ジャクジクというメンツによる
キング・クリムゾンのトリビュートバンド、21st・センチュリー・スキッツォイド・バンドのスタジオライブ音源。2002年作
全7曲中、1st「クリムゾン・キングの宮殿」から3曲、2nd「ポセイドンのめざめ」から1曲、4th「アイランズ」から2曲を収録。
マイケル・ジャイルズの手数の多いドラムに、落ち着いたピーター・ジャイルズのベース、鳴り響くメル・コリンズのサックス、
そしてイアン・マクドナルドはサックス、フルート、シンセと大活躍…まさに「あの頃のクリムゾン」が甦ったという聴き心地だ。
いくぶんこもり気味の音質も70年代の音源のようでよろしいですわ。ジャコ・ジャクジクのギターとヴォーカルもなかなか再現度が高い。
“In the Court of the Crimson King”はメロトロンが本物でないのが残念だが、やわらかなフルートの音色はまさにあのまま。
ラストは爽快にサックスが鳴り響く“21st Century Schizoid Man”で締めくくる。往年のクリムゾンファンはまず必聴ですな。
演奏度・・8 再現度・・8 あのころのクリムゾン度・・9 総合・・8
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21st Century Schizoid Band 「Live in Japan」
キング・クリムゾンのトリビュートバンド、21st・センチュリー・スキッツォイド・バンドのライブ音源。2003年作
マイケル・ジャイルズ、イアン・マクドナルド、メル・コリンズ、ピーター・ジャイルズ、ジャコ・ジャクジクというメンツによる
2002年の来日公演のステージを収録。叙情的なイントロに続き、ツインサックスが鳴り響く“A Man,A City”から、
いかにもファンが求めるクリムゾンらしさが炸裂。ジャコジクの歌声は、どことなくかつてのグレッグ・レイクを思わせ、
マイケル・ジャイルズのドラムは、とくにジャズ風味の強いナンバーは絶品で、軽やかなアンサンブルの核を担っている。
マイケル自身のソロからのナンバー“Progress”も披露。1stの定番曲、“クリムゾン・キングの宮殿”、“エピタフ”
さらには、マクドナルド&ジャイルズからのナンバー“BirdMan”なども聴きどころ。ラストはお約束の“21世紀の精神異常者”で、
往年のクリムゾンファンは大満足の内容だろう。日本盤にはDVDも付属していて、CDより2曲多い14曲のライブ映像が楽しめる。
ドラマティック度・・8 ライブ演奏・・8 往年のクリムゾン度・・9 総合・・8
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21st Century Schizoid Band 「Live in Italy」
キング・クリムゾンのトリビュートバンド、21st・センチュリー・スキッツォイド・バンドのライブ音源。2003年作
2003年イタリア公演を収録。うっすらとしたイントロから、ツインサックスが鳴り響く“A Man,A City”への流れは
日本公演と同様。ただドラムがマイケル・ジャイルズからイアン・ウォーレスに替わっているのが、個人的には残念。
演奏自体もどこかのんびりとしていて、ぼやけた音質も含めて、ブートレグ感のただよう雰囲気である。
イアン・マクドナルドのフルートが牧歌的に鳴り響く、“クリムゾン・キングの宮殿”に、サックスにエレピを含んだ
ジャズ風味の軽やかなインプロヴィセーションから“Sailors Tale”という優雅な感触も、このメンツならではだろう。
マクドナルド&ジャイルズからの優美なナンバー“BirdMan”、そしてラストは“エピタフ”で締めくくる。
音質度・・7 ライブ演奏・・7 あの頃のクリムゾン度・・8 総合・・7.5
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21st Century Schizoid Band 「Pictures of a City: Live in New York」
キング・クリムゾンのトリビュートバンド、21st・センチュリー・スキッツォイド・バンドのライブ音源。2006年作
2004年ニューヨークでの公演をCD2枚に収録。のっけからメル・コリンズとイアン・マクドナルドによるツインサックスが鳴り響く
緊張感ただよう演奏はこれぞクリムゾン。メロトロンの音色も含んだイアン・マクドナルドのシンセワークにフルートなども随所に美しく、
1stの名曲“The Court of the Crimson King”にはやはりぐっとくる。Disc2では“Epitaph”、“21st Century Schizoid Man”、
“Starless”といった往年の名曲が並び、まさに「あの頃のクリムゾン」のウェットな空気がよみがえる。
プログレ度・・8 ライブ演奏・・8 あの頃のクリムゾン度・・9 総合・・8
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THE CRIMSON PROJEKCT 「LIVE IN TOKYO」
エイドリアン・ブリュー、トニー・レヴィンらによる、クリムゾン・プロジェクトのライブ。2014年作
2013年の来日公演のステージを収録。パット・マステロットとトビアス・ラルフによるツインドラムに、
トニー・レヴィンと女性奏者のツインベースを含む編成で、「ブルーム」や「スラック」、「ディシプリン」など、
KING CRIMSON
の80年代以降のナンバーを主体に演奏、ツインドラムのリズムと歪んだベースを重ねた、
スリリングで硬質なサウンドを描いてゆく。エイドリアン・ブリューのギターにヴォーカルも加わると、
「クリムゾンのあの曲だ」とやっと認識できるのだが、これも新たなクリムゾンの実験精神の形というべきだろう。
後半には「太陽と旋律Pt2」や「レッド」も披露。ツインドラムによる迫力ある演奏はなかなか圧巻である。
ライブ演奏・9 重厚度・9 クリムゾン度・8 総合・8
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Lady June 「Hit & Myth」
イギリスの女流詩人、レディ・ジューンの1996年作/邦題「あてこすりとつくりばなし」
カンタベリー方面に関係の深いアーティストで、1974年作「堕落詩人」はケヴィン・エアーズが全面参加していたが、
本作はじつに22年ぶりとなる作品。語りを含む魔女めいた歌声を乗せた、幻想的なサイケ・フォークという作風で、
アコースティックな牧歌性とともに、GONGにも通じるサイケな浮遊感が同居した聴き心地。
ヴァイオリンが鳴り響く、英国らしいアシッドフォーク風味もありつつ、詩の朗読などの独自の寓話的な世界観は、
やや聴き手を選ぶかもしれないが、これもカンタベリーから生まれた音楽芸術のひとつというべきだろう。
なお、本作を残したあと、彼女は1999年に死去している。
ドラマティック度・・7 プログレ度・・7 サイケ・フォーク度・・8 総合・・7
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Linda Hoyle「Pieces of Me」
AFFINITYの女性Vo、リンダ・ホイルの1971年作
プログレのフィールドで語られるAFFINITYに比べ、ここではもっとジャズ寄りのサウンドで、
軽やかなピアノとブルージーなギターに、力強いリンダの歌声がソウルフルに響きわたる。
バックの演奏陣もカール・ジェンキンズやクリス・スペディングなど実力者ぞろいで、
プログレではまったくないが、リンダの歌唱が最大限に活きたアルバムとなっている。
プログレ度・・6 ジャズ&ブルーズ度・・8 女性Vo度・・8 総合・・8
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LINDA HOYLE 「The Fetch」
イギリスの女性シンガー、リンダ・ホイルの2016年作
AFFINITYのヴォーカルとして知られる彼女の、ソロとしては1971年作以来、44年ぶりとなるとなる2作目。
アフィニティーのモ・フォスターをはじめ、元CARAVANのダグ・ボイル、元STACKRIDGEのピーター・ヴァン・ホーク
さらには、ゲイリー・ハズバンドなどが参加。彼女のやわらかな歌声を中心に、ジャズやアンビエントな感触を含んだ
大人の叙情に包まれたしっとりとした聴き心地で、アコースティックギターにヴァイオリンの音色を乗せた、
英国らしいフォーク風味のナンバーなども魅力的。オルガンが鳴り響く70年代風のナンバーもよいですね。
ロジャー・ディーンのジャケも嬉しいが、内容も深みを増した彼女の歌声を楽しめる好作品です。
プログレ度・・6 大人のアンビエントジャズ度・・8 女性Vo度・・8 総合・・8
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MABEL GREER'S TOYSHOP 「New Way of Life」
イギリスのメロディックロックバンド、マーベル・グリールズ・トイショップの2014年作
YES最初期のメンバーである、クライブ・ベイリー、ボブ・ハガーを中心に60年代に結成され、Yesの母体ともなったバンドで、
本作には元YESのトニー・ケイ、ビリー・シャーウッドが参加している。70年代的な古き良きアンサンブルで、
オルガンが鳴り響きキャッチーな歌メロを乗せたブリティッシュロック・サウンド。60年代的なおおらかな牧歌性と
ときにサイケロック的な浮遊感もにじませつつ、大人の味わいのメロディックな聴き心地で楽しめる。
プログレというにはやや物足りないのだが、Yesの1stに収録されたナンバーのリメイクなどはファンには嬉しいだろう。
全体的には、STRAWBSあたりに通じるポップな英国ロックが好きな方にお薦めの好作品です。
ドラマティック度・・7 プログレ度・・7 古き良き英国度・・8 総合・・7.5
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Magna Carta 「Las Tierras Del Viento」
イギリスのフォークロック、マグナ・カルタの1995年作
1983年作「Sweet Deceiver」と、1988年作「One To One(Northlands)」をカップリングした2CD。
1969年デビューのベテラン。初期の頃は英国らしい牧歌的なフォークロックサウンドであったが、
80年代の作品は、ギターとシンセを乗せたロック的なビートに、マイルドなヴォーカルで聴かせる、
キャッチーなポップ性に包まれた聴き心地。繊細なピアノの音色や、女性ヴォーカルを加えての
優雅な叙情も覗かせつつ、牧歌的なアコースティックナンバーでは英国フォークルーツの名残も感じさせる。
1988年作は、女性ヴォーカルがフロントをとる曲が増えて、男女Voにアコースティックギター、シンセを加えた
やわらかなフォークロック色と、ほどよいポップな味わいで、ゆったりと楽しめます。
アコースティック度・・7 英国フォーク度・・7 叙情度・・8 総合・・7.5

Magna Carta 「In Tomorrow」
イギリスのフォークロック、マグナ・カルタの2005年作
スタジオアルバムにライブCD、DVDも付いた3枚組。クリス&リンダのシンプソン夫妻を中心に、
アコースティックギターに男女ヴォーカル、ときおりドラムも入って、ハーモニカも鳴り響く、
カントリー調の牧歌的なフォークロック。ピアノをバックに、しっとりとした女性ヴォーカルで聴かせる
優美なナンバーはカーペンターズのような感触で、アダルトなジャズタッチのナンバーなども含めて
年季を経た枯れた魅力を感じさせる。ライブの方は、夫妻によるシンプルなデュオのスタイルで、
二人のアコギと歌声でゆったりと聴かせる。あとどうでもいいけど、奥さん、ジャケでチクビ透けてますよ!
アコースティック度・・8 英国度・・8 素朴度・・8 総合・・7
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Magna Carta 「Backroads」
イギリスのフォークロック、マグナ・カルタの2006年作
1969年デビューのベテラン。ライブや未発音源を主体にしたアルバムで、アコースティックギターに
ピアノやドラムを加え、男女ヴォーカルを乗せた、牧歌的なフォークサウンドを聴かせる。
女性ヴォーカルがメインのナンバーは、英国フォークらしい優美な味わいで楽しめるが、
アコギと歌のみによる弾き語り的なライブナンバーも多く、カントリー調の曲など、
音質的にもややバラつきがあって、熱心なファン向けのアイテムかもしれない。
アコースティック度・・8 英国度・・8 素朴度・・8 総合・・7 
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Magna Carta 「The Fields of Eden」
イギリスのフォークロック、マグナ・カルタの2015年作
1969年デビューのベテラン。スタジオ作としては9年ぶりとなる。アコースティックギターにマンドリン、
バンジョーなどの素朴なつまびきに、ヴァイオリンの音色が鳴り、枯れた味わいのヴォーカルを乗せた
カントリー風のフォークロックを聴かせる。16分という大曲では、繊細なピアノにヴァイオリンを重ねた優雅さと、
アコースティックギターに語りのようなジェントルな歌声で、ジャケのイメージのような英国の古き良き田園風景を
じっくりと描き出すかのようだ。派手さは皆無だが牧歌的な大人の味わいに包まれた、素朴なフォークサウンドです。
アコースティック度・・8 英国度・・8 素朴度・・8 総合・・7
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MAINHORSE
ブリティッシュロックバンド、メインホースの1971年作
のちにRefugeeYesへ加入するパトリック・モラーツが在籍したバンドで、本作が唯一の作品。
サウンドはELPばりにオルガンを鳴り響かせつつ、ブルージーなギターとバトルするような
勢いのあるハードロックであるが、やはりモラーツのクラシカルな鍵盤さばきがアクセントになっている。
10分を超える大曲も2曲あり、プログレ的にも楽しめる。やわらかなオルガンの響きが素敵な逸品です。
ドラマティック度・・8 プログレ度・・8 英国度・・9 総合・・8
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Mandalaband
イギリスのシンフォニックロック、マンダラバンドの1st。1975年作
異色にして壮大なるスケール感。この大曲を演奏するためにバンドが結成されたという
その“曼陀羅組曲”は、4部構成に分かれた、まさに一大叙事詩ともいうべき濃密な完成度を誇る。
泣きのギターと壮麗なるシンセ、オーケストレーションが重なって、チベット語で歌われる歌唱と
混声コーラスなどが一体となった重厚なるシンフォニックロックを展開。また押しだけではなく、
クラシカルなピアノの響きなど、繊細な叙情美も兼ね揃えていて、感動的なまでに美麗なサウンドだ。
バンドは、1978年に2作目となる「The Eye of Wender」を発表、こちらもファンタジックな傑作である。
シンフォニック度・・9 壮大度・・9 美麗度・・9 総合・・9
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Mandalaband「The Eye of Wendor : Prophecies」
イギリスのシンフォニックロック、マンダラバンドの2nd。1978年作
圧倒的な完成度を誇った、1st「曼陀羅組曲」からはメンバーが大幅に入れ替わり、
「魔石ウェンダーの伝説」はオリジナルのファンタジーストーリーによるコンセプトアルバムとなった。
前作の濃密なるシンフォニック路線から一転、繊細かつメロディックな爽やかなサウンドで、
牧歌的なやわらかさと、オーケストレーションを含めた壮大な美しさが合わさった、
前作に勝るとも劣らぬ傑作だ。Woolly Wolstenholmeの美麗なシンセワークも素晴らしく、
流れるように曲が連なってゆく構成には、ついつい引き込まれてしまう。壮麗なるシンフォ傑作。
シンフォニック度・・8 ファンタジック度・・9 壮大度・・9 総合・・9
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Mandalaband「III (Bc-Ancestors)」
イギリスのプログレバンド、マンダラバンドの2009年作
70年代に「曼陀羅組曲」「魔石ウェンダー」という素晴らしい完成度の2作品を発表後
すっかり音沙汰のとぎれていたこのバンドが、なんと30年ぶりとなる復活作を発表。
Barclay James Harvest〜Maestosoのウーリー・ウォルステンホルムをはじめ、
かつてのメンバーに加え、元IONAのトロイ・ドノックリーやCARAVANのヴァイオリニストなども参加、
エジブトやギリシャ、ヒマラヤなどの古代文明、神話などをテーマにしたミステリアスな作品を作り上げた。
壮麗かつ濃密なかつてのシンフォニックサウンドとはやや異なり、パイプの音色なども含めてときにケルティックな質感や
神秘的な女性コーラスなども入った作風は、GANDALFMIKE OLDFIELDなどに通じる雄大な自然派プログレの感触もある。
もちろん、ASHLEY MULFORDの泣きのギターやウーリーのメロトロンなど、シンフォニックな要素も健在の力作である。
シンフォニック度・・7 プログレ度・・7 神秘的度・・8 総合・・8
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Mandalaband「Resurrection」
イギリスのシンフォニックロックバンド、マンダラバンドの1975/1978/2010年作
1975年の1st「曼陀羅組曲」と、1978年の2nd「The Eye of Wender」を新たにリミックス
2枚組として再発したもの。あの感動的なまでの名作がいかに甦ったのか、さっそく聴いてみる。
かつては曲が始まったとたんに圧倒的なダイナミズムがあふれだすような迫力だったのが、
今回のリミックスでは、ドラムやギターの音が丸くなり、ずいぶんと優雅な雰囲気になったという印象。
シンセによるオーケストレーションや雄大なコーラスワークなど、壮大な世界観はそのままに
よりマイルドな仕上がりだ。音の迫力ではオリジナルに劣るが耳心地の良さは本盤というところか。
もともとが優雅な作風だった「魔石ウェンダー」の方は、このマイルドなリミックスがよく合っている。
美麗な美しさとファンタジックな世界観にうっとりとなる。ともかく、これまで廃盤状態だったものが再発され、
はじめて耳にするリスナーにも、この伝説的なプロジェクトバンドの凄さを知ってもらえるのではないだろうか。
シンフォニック度・・9 ダイナミック度・・8 壮大度・・9 総合・・8.5
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Mandalaband「VI (AD - Sangreal)」
イギリスのシンフォニックロック、マンダラバンドの2011年作
考古学者でもあるシンセ奏者、デヴィッド・ロールを中心に復活した2作目で
古代文明をテーマにした前作と対になる作品。本作はキリストの聖杯伝説をテーマに
オーケストラルな優雅さと、物語的な歌詞のヴォーカルに美しいコーラスが重なる雄大なサウンドで、
随所に民族的な色合いも含んだ聴き心地は、ときにSAGRADOあたりに通じるところある。
前作から参加のトロン・ドノックリーのパイプやホイッスル、そしてオリジナルメンバーである、
アシュリー・マルフォードのメロウなギタープレイも随所に光っている。プログレとして聴くには
リズム面などはシンプルで、曲によってはポップなビート感もあるのだが、力作であるには違いない。
シンフォニック度・・8 プログレ度・・7 雄大度・・9 総合・・8
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Mandy Morton Band「Valley Of Light」
イギリスの女性シンガー、マンディ・モートン率いるバンドの1983年作
SPRIGUNSのシンガーとしても知られる彼女だが、本作のサウンドはフォーク色は薄めの、
わりとキャッチーなノリのメロディックロック。そんな中でも、マンディのけだるげな歌声は、
英国らしいウェットな空気を感じさせ、ポップで牧歌的でありながら、曲によってはプログレ的なシンセや
ハードなギターも覗かせる。ラスト曲はアコースティカルなフォークロック風味で、美しい歌声をしっとりと楽しめる。
メロディック度・・7 英国度・・8 女性Vo度・・8 総合・・7.5
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Manfred Mann's Earth Band「Solar Fire」
ブリティッシュロックバンド、マンフレッド・マンズ・アース・バンド の1973年作
南アフリカ出身の鍵盤奏者、マンフレッド・マン率いるバンドの4作目で、プログレ方面から評価の高いアルバム。
オルガンやうっすらとしたメロトロンに、叙情的なギターにジェントルなヴォーカルを乗せた、
スペイシーな雰囲気に包まれたシンフォニックなサウンド。70年代らしい牧歌的なユルさの中、
メロウな泣きのギターは魅力的で、女性コーラスも加わったキャッチーなヴォーカルパートと、
ムーグシンセを含むスペースサイケ的な浮遊感が同居した、アートロック的なスケール感も素晴らしい。
ドラマティック度・・7 プログレ度・・7 スペース度・・8 総合・・8
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Marsupilami
ブリティッシュロックバンド、マルスピラミの1st。1970作
2nd「ARENA」はブリティッシュプログレの裏名盤とも言うべき傑作だが、その彼らの1stがこれ。
オルガン、フルート奏者を含む5人組で、ややダークめのブリティッシュロックをやっている。
鳴り響くオルガンに絡むギターとフルートがどこか妖しげな雰囲気をかもし出し、
どこかサイケロック的な底知れなさを感じさせるサウンドがなかなか通好みである。
古代ローマをテーマにした2ndほどの完成度と壮大さはないものの、おどろおどろしいオルガンの音色に、
シアトリカルなヴォーカルも含めて、英国のダークサイドというべき独特の世界観は充分に楽しめる。
メロディアス度・・7 プログレ度・・8 英国度・・9 総合・・8
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MARSUPILAMI「Arena」
ブリティッシュロックバンド、マルスピラミの2nd。1971年作
英国プログレの裏名盤ともいうべき完成度を誇る歴史的傑作。2007年リマスター盤に買い換え。
本作は古代ローマを舞台にした壮大なコンセプト作で、まだ粗削りだった1stに比べ
サウンドの輪郭がはっきりしてきており、楽曲におけるメリハリのつけ方もドラマティックになった。
ヴォーカルはときに物語を語るように静かで、かと思うと戦闘をする戦士のように激しくもなる。
たたみかけるドラムに、ハモンドオルガン、それにメロトロンやフルートを聴かせる叙情パートもあり、
息つかせる暇もなく楽曲は展開してゆく。ジャズロック的な軽やかさと、ハードな質感が同居し、
シンフォニックな要素がなくとも、不思議と音には広がりと壮大さを感じるのが凄い。
ある意味これも英国からしか出て来ない音。普通のプログレで飽き足らない方にお勧め。
ドラマティック度・・9 プログレ度・・8 英国度・・9 総合・・8.5◆プログレ名作選入り
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Matching Mole
カンタベリーロックバンド、マッチング・モウルの1st。1972作/邦題は「そっくりモグラ」
SOFT MACHINEを脱退したロバート・ワイアットが、元CARAVANのデイヴ・シンクレア
フィル・ミラーらと結成したこのバンド。サウンドの方はしっとりとしたメロトロンが鳴り響く中
ワイアットの優しい歌声で聴かせる1曲目から、カンタベリーな優雅な叙情性を感じる。
大半の曲をワイアットが作っていることから、当然ながらワイアットのソロ色が強い。
半身不随となって後の「Rock Botom」などにも通じる繊細な感性がここでも光っている。
もちろんテクニカルな要素もあるが、むしろユーモアと哀愁を漂わせた雰囲気が魅力。
メロディアス度・・8 ジャズロック度・・7 繊細叙情度・・8 総合・・8
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MATCHING MOLE 「Little Red Record」
カンタベリーロックバンド、マッチング・モウルの1972年作/邦題は「そっくりモグラの毛語録」
2作目となる本作は、ロバート・フリップがプロデュース、脱退したデイヴ・シンクレアに替わり、デイヴ・マクレエが参加、
ロバート・ワイアットのソロに近かった前作に比べて、ジャズロック的なアンサンブルを強めたサウンドとなった。
躍動的なワイアットのドラムとフリーキーなフィル・ミラーのギターに、デイブ・マクレエのピアノとオルガンが重なり、
優雅でありながら、アヴァンギャルドな奔放さも感じさせるスリリングなサウンドで、ときにクリムゾンを思わせる部分もある。
いわばワイアットとフリップの世界観の融合というべき作品かもしれない。ブライアン・イーノがシンセでゲスト参加している。
メロディアス度・・7 ジャズロック度・・8 優雅度・・8 総合・・8
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McCULLY WORKSHOP 「McCULLY WORKSHOP INC」
南アフリカのサイケポップロック、マコーリー・ワークショップの1969年作
バンド名通り、マコーリー兄弟を中心に南アフリカで活動したバンドで、本作はそのデビュー作。
鳴り響くオルガンにキャッチーなコーラスワーク、随所に叙情的なギターも入ったそのサウンドは、
いま聴いても十分質が高く、ビートルズやプロコル・ハルムといった英国のバンドの雰囲気に近い。
ポップでありつつも、やわらかなフルートの音色も顔を出したり、繊細な情緒と哀愁を感じさせるという点では
プログレリスナー向きの作風と言えるだろう。2〜4分というコンパクトな楽曲だが、メロディのフックとアレンジの巧みさで、
どれもが完成度高く仕上げられている。サイケポップ好きはもちろん、英国アートロック的にもオススメの傑作です。
メロディック度・・8 プログレ度・・7 むしろ英国風度・・9 総合・・8
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McCULLY WORKSHOP 「Genesis」
南アフリカのサイケロック、マコーリー・ワークショップの1971年作
「創世記」と題された本作は、ぐっとプログレ的なスケール感が加わった作風で、
キャッチーなコーラスワークはそのままにドラマティックな雰囲気が強まっている。
前作からギタリストが代わり、女性オルガン奏者が脱退しているが、その分トランペットや
フルートの活躍が増えていて、リズムチェンジなどを含むメリハリある構成とともに
7分、9分という大曲を描いてゆく。その演奏力とセンスは英国の一線級バンドにも引けを取らない。
オルガン鳴り響く英国風味では前作だが、プログレ的な聴き方では本作、ということになるだろう。
メロディック度・・8 プログレ度・・8 むしろ英国風度・・8 総合・・8
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MCCULLY WORKSHOP「BUCCANEER」
南アフリカのアートロックバンド、マコーリー・ワークショップの1998年作
1970〜75年に3作を残したバンドの復活作で、過去曲のリメイクをメインにした12曲を収録。
オールドな味わいのギターに渋めのヴォーカル、キャッチーなコーラスを重ねて、
哀愁を感じさせる70年代ルーツのロックを聴かせる。リメイクはシングル曲が主体なので、
70年代のサイケな雰囲気よりは、よりポップでアダルトな渋みを増した作風であるが、
オルガンが鳴り響き、叙情的なギターとともにフックのある歌メロを乗せるところは、かつての雰囲気も覗かせる。
キャッチー度・8 プログレ度・5 大人のロック度・8 総合・7.5 
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McCULLY WORKSHOP 「Ages」
南アフリカのサイケロック、マコーリー・ワークショップの2010年作
1969年の1作目、1971年の2作目続く3作目としてレコーディングされながら、長らく日の目を見なかった作品のCD化。
メロトロン、オルガンを含むシンセに、わりとハード寄りのギターとマイルドなヴォーカルを乗せたキャッチーな感触に、
サイケロックとしての浮遊感と美しいコーラスなども加わった独自のサウンド。叙情的なフレーズを奏でるギターのセンスや
ヴァイオリンが鳴り響くクラシカルなテイストを大胆に盛り込むなど、3分前後の小曲が主体ながら、聴きごたえがある。
英国的で牧歌的なナンバーなどは、Barclay James Harvestあたりにも通じる雰囲気でのんびりと味わえ、
カントリー風味のポップ調もありつつ、アーサー王伝説「王女グイネヴィア」のようなドラマティックなナンバーまで、
サイケというよりはむしろ英国叙情ロックという内容で楽しめる好作品である。CD化にあたってボーナス7曲を追加収録。
メロディック度・・8 プログレ度・・7 叙情度・・8 総合・・8 
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McDONALD AND GILES
KING CRIMSONのイアン・マクドナルドとマイケル・ジャイルズによるアルバム。1971作
ロック史に燦然と輝く世紀の傑作「クリムゾンキングの宮殿」発表後、
バンドを脱退した二人が生み出したのは、「宮殿」とは似て非なるたおやかさと叙情に溢れた本作であった。
ここには静寂に彩られた緊張感の代わりに、自然体である喜びが優しく存在している。
マクドナルドのフルートやサックスの音色にも自由の息吹が感じられ、
ジャイルズ兄弟のリズム隊は堅苦しさとは無縁のロックの楽しさを表している。
美しきストリングス、ピアノ、ハモンドに彩られた“組曲ハ長調”、
繊細な小曲“アイビスの飛行”、20分を超える大曲“バードマン”、
どれもが英国の叙情と、音楽への愛情、温かみ、繊細なる息吹に満ちている。
メロディアス度・・7 プログレ度・・7 自然体度・・10 総合・・8
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MIKE OLDFIELD「TUBULARBELLS」
マイク・オールドフィールド
の記念すべき1st。1973年作
初期のマイクの最高作といえば、「OMMADAWN」だと思うし、それは今でも変わらないが、
改めてこの作品を聴くと1973年という時代を考えれば、これはまぎれもなく彼の金字塔であり、
ロック史、プログレ史に名を残すものであると思える。それぞれ25分、23分の全2曲という構成は
LP時代を考えれば最大の長さであり、そこに自身の内的世界と、世界への共感とを音楽にして詰め込んだ楽曲は
ロック、プログレ、フォーク、クラシック、ジャズといったさまざまな要素を混在させてひとつの宇宙ともいうべき空間を作り出している。
楽曲としての完成度では「オマドーン」には及ばないが、マイク・オールドフィールドという一人のアーティストの瑞々しい感性の結晶として、
時代を超えて輝き続けるものが確かにここには存在している。のちにリミックスされる2009年盤と聴き比べるのもよし。
メロディアス度・・7 プログレ度・・7 内的世界度・・9 総合・・8 ◆プログレ名作選入り
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MIKE OLDFIELD「Tubular Bells」
マイク・オールドフィールドの記念すべき1st。1973/2009年作
25分、23分の全2曲という構成の中にロック、フォーク、クラシック、ジャズといった要素を混在させ、
個人で完成させた内的宇宙ともいうべき歴史的な1枚が、2009年最新リミックス音源で甦った。
正直なところ、今までのリマスターでは、よくも悪くも年代性を感じさせる古めかしいサウンドであったのだが、
この新たなステレオリミックスでは原曲の素朴さを残しながら、よりクリアな音が楽曲の流れの中で輝いている。
これまでにもSACD盤や2003年の新録盤などがあったのだが、オリジナルバージョンのリミックスとしては
これが最高の内容と言っていいだろう。本作があったからこそ、現在のマイクの成功があったというべき名作だ。
1973年のオリジナルマスターCDと5.1サラウンド音源入りDVD付きの3枚組限定盤もあり
メロディアス度・・7 プログレ度・・7 内的世界度・・9 総合・・8.5
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MIKE OLDFIELD「Hergest Ridge」
マイク・オールドフィールドの2nd。1974年作
以前所有していた旧日本盤を売って、この2000年リミックスのHDCD盤に買い換えてみたのだが…
なんということだ、大幅なリミックスが行われていて前に聴いたものとは別物になっておるとは。
慌ててLP盤で聴き直してみたら、明らかに本CDよりも音数が多く、じつに感動的なサウンドである。
作品としての素晴らしさは、前作「チューブラーベルズ」以上で、牧歌的な叙情という点では
マイクの全作品中でも最高のアルバムなのだ。それだけにこの無粋なリミックスは残念…
もちろん、リミックス盤でも、その魅力のいったんである美しさは充分に堪能できる。
ただ、やはりこれを聴いてからでいいので、オリジナルLPの方をぜひとも聴いていただきたい。
オリジナルは地味に手直しされた本CDに比べて、すべての音が遥かに生き生きとしている。
このリミックス盤は、まるで生け捕りにして無理やり餌を与えられた小鳥のようだ。
メロディアス度・・8 プログレ度・・7 牧歌的度・・9 総合・・8
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MIKE OLDFIELD「Hergest Ridge」
マイク・オールドフィールドの2nd。1974/2010年リミックス盤
2000年のリミックス版は、LP版の良さを消してしまっていたのだが、今回の最新リミックスでは、
オリジナルバージョンが使用されていて、以前のCDよりもはるかにひとつひとつの音が自然で生き生きとしている。
アコースティカル牧歌的な叙情性という点では、前作「Tubular Bells」以上に素晴らしい作品で、
ギターやマンドリン、管楽器音などの重ね方、やさしいメロディの美しさなど、どれもが繊細にして細密。
次作「Ommadawn」とともに必聴の名作といえる作品だ。1974年のオリジナルマスターと5.1サラウンド音源入りDVD付きの3枚組限定盤もあり
オリジナルリミックス度・・9 繊細度・・10 牧歌的叙情度・・10 総合・・9
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MIKE OLDFIELD「OMMADAWN」
マイク・オールドフィールドの3rd。1975/2000年リミックス盤
MIKE OLDFIELDの作品の中でも傑作中の傑作。初期の4枚のアルバムはどれも素晴らしいのだが、
中でもとくにメロディの美しさと幻想的な牧歌性、民族音楽とロックの融合、大曲としての完成度、
そのすべての部分で奇跡的な結合を生み出しているのが本作である。
このアルバムのあと、精神的な疲労から次作「呪文」を発表するまで3年のブランクが
あったというのもうなずける。それだけの力を注ぎ完成された世界観がこの作品にはあったのだ。
サウンドの方は、ケルティックなメロディや、アフリカンなパーカッションなど、民族色が濃いもので
そこに幻想的なキーボード類と、繊細なギターを重ねて、ときにシンフォニックに聴かせる。
全体的に当時の彼の精神状態が窺い知れるような、靄のかかったようなほの暗く、湿った質感があり、
19分、17分というふたつの大曲の中で、何度も高揚と降下を繰り返しながら、音そのものとしての緊張感は
「チューブラー・ベルズ」に譲るが、幻想世界と現実、自然とが一体となった彼の世界観が織り込まれてゆく。
子供達の歌声が響きわたるラストの大団円は、マイク自身の世界との出会いを示しているかのようで、
何度聴いても感動的だ。商業音楽にとらわれない音楽を愛する人間なら必ず聴くべき名作である。
民族シンフォニック度・・9 ドラマティック度・・9 世界融合度・・10 総合・・9 ◆プログレ名作選入り
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MIKE OLDFIELD「Ommadawn」
マイク・オールドフィールドの3rd。1975/2010年リミックス盤
とにかく、ここまで感動的な音楽というのは世界中探してもなかなかありはしない。
ただのロックでもトラッドでもない。ましてや流行りのポップソングでもありはしない。
商業音楽に敢然と背を向け、自らの繊細な内的感性を見つめて生み出した、孤高の傑作。
オリジナルのLP版やCDでのリミックス版、結局どう形を変えても素晴らしい名作であったのだが、
これはオリジナル音源をもとにした2010年の最新リミックス版。音はよりクリアに、鮮明になっているが、
素朴な美しさはそのままで、まさに名作が「究極の名作」となったといってもいいだろう。
前作よりもさらに民俗音楽を色濃く取り入れつつ、シンフォニックな音の重ねにも磨きがかかり、
牧歌的にして壮大…世界すべてを包み込むような大きさと、人間的な優しさにあふれている。
19分、17分という大曲2曲の構成の中に、当時のマイクの瑞々しい感性がすべて詰まっている。
アコースティック楽器に、ギターとシンセを巧みに融合させ、伝統的なトラッドを盛り込んだ楽曲は
希望に満ちた子供たちの歌声が加わってラストを迎える。泣かずにはいられない必聴作。
1975年のオリジナルマスター(ボーナスにデモ音源収録)と5.1ch音源入りDVD付きの3枚組限定盤もあり。
オリジナルリミックス度・・10 繊細にして壮大度・・10 牧歌的叙情度・・10 総合・・10
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MIKE OLDFIELDIncantations
マイク・オールドフィールドの4th。1978年作
マイクのアルバムでどれか一枚をお勧めするとしたら、前作「OMMADAWN」と本作「呪文」とで迷った後に、
この作品のリマスター盤を差し出すだろう。たおやかなフルートの音色に、美しいシンセ、メロウなギターワークが重なって
絶品の叙情を聴かせるサウンドは、リマスター効果で素晴らしい音質となっている。
LPでは2枚組みであった全4曲の大曲は、そのどれもが濃密にして清涼、
まるで爽やかな風のように、暖かで素朴なメロディが耳に優しく響いてくる。
メロディアス度・・9 プログレ度・・8 叙情度・・9 総合・・9
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MIKE OLDFIELDIncantations: Deluxe Edition
マイク・オールドフィールドの1978年の名作「呪文」の2011年デラックスエディション
2CD+DVDの3枚組で、Disc1にはオリジナル音源の通常リマスター音源、Disc2には新規リミックス音源を収録。
繊細な美しさという点ではもともとマイクの作品中でも随一だったのだが、鮮明なリマスターによりさらにその叙情美が際立った。
美しいフルートがゆるやかに鳴り響き、ケルティックなメロディをたっぷり取り入れたサウンドは、70年代のマイクの作品路線を集約したような味わいで、
アコースティカルな素朴さや神秘的な女性ヴォーカルの歌声も含み、4曲の大曲はそれぞれにやわらかな輝きを放っている。
Disc2の音源に関しては本編とは別物のレアトラックスとして楽しむのが良い。素朴なサウンドは「Ommadawn」のリミックスに比べるとインパクトはやや薄い。
DVDにはDisc2のマテリアルの5.1chバージョンと、「Exposed」と同時期の1979年の「Incantations」再現のライブ映像を収録。
叙情度・・9 プログレ度・・7 リマスター度・・9 総合・・8.5
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MIKE OLDFIELD「Exposed.」
マイク・オールドフィールドのライブアルバム。CD2枚組み。1979年作
DISC1では中期の傑作「INCANTATIONS」をすべて演奏、DISC2では「TUBULAR BELLS」を完全再現している。
初期作における特徴でもある伸びやかなギターに、オーケストラ、混声合唱団が加わり、
アルバム盤以上の説得力と雄大さをもって繰り広げられる楽曲は、壮大このうえない。
雄大な大地との融合を思わせるサウンドは、メロディアスかつシンフォニックでありながらどこか牧歌的で、
心をなごませてくれるものがある。最近の作品しか知らないリスナーにはぜひとも聴いて欲しい。
メロディアス度・・8 壮大度・・9 ライブ演奏・・8 総合・・8
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MIKE OLDFIELD「Five Miles Out」
マイク・オールドフィールドの1982年作
2013年リマスター盤で再発。ともかく、1曲目の24分を超える大曲“TaurusU”の素晴らしさ。
モダンなビート感覚の中に、かつてのトラッドロックの叙情をしっかりと残していて、
ケルティックなフレーズを織り込みんだメロウなギターの旋律を響かせながら、
80年代的なポップ性と伝統的なプログレ性を融合させた絶妙なアレンジが光っている。
その後もマギー・ライリーの歌声も美しいポップな小曲や、13分の大曲などもあり、
なかなか聴きどころの多い好作である。リマスターにより音質もくっきりクリアになった。
2013年盤のボーナスには、シングルB面曲と“Five Miles Out”のデモを収録。どちらも美しい。
メロディアス度・・8 プログレ度・・7 アレンジ度・・8 総合・・8
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Mike Oldfield 「Amarok」
マイク・オールドフィールドの1990年作
再びトム・ニューマンをプロデュースに迎え、全1曲60分という大作で、
初期の作風へ原点回帰、まさに「オマドーン」の続編というべき内容に仕上がっている。
マイクらしいケルティックな味わいのギターの旋律が響き渡り、アコースティック楽器を含む
民族音楽のテイストを取り入れつつ、90年代らしいテダジタルなアレンジを駆使しながら、長大な楽曲を構築してゆく。
リリカルで繊細な叙情と、「チューブラーベルズ」のようなエキセントリックな展開が交差し、
牧歌的でありながらもスリリングな空間性を描き出す。女性コーラスを加えて盛り上がるラストも感動的。
ドラマティック度・・8 プログレ度・・7 叙情度・・8 総合・・8
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Mike Oldfield 「Tubular Bells II」
マイク・オールドフィールドの1992年作
1973年のデビュー作「チューブラー・ベルズ」シリーズの2作目として作られたアルバムであるが、
デジタルなシンセサウンドを使ったモダンなサウンドは、かつての作品とは別物と言ってよい。
土着的な香りを感じさせるギターのフレーズなどには、初期からの繊細な感性を受け継いでいて、
女性スキャットを取り入れた美しさは、アディエマスあたりにも通じるヒーリングな感触もある。
1作目に合ったアーティスティックなごった煮感は薄れた分、プログレとしての魅力は少ないが、
優美なシンフォニック性をまとったスタイリッシュな構築力で、ゆったりと楽しめる好作品だ。
ドラマティック度・・7 プログレ度・・7 優美度・・8 総合・・8
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MIKE OLDFIELD「The Songs of Distant Earth」
マイク・オールドフィールドの1994年作
アーサーCクラークの小説「遥かなる地球の歌」を題材にしたコンセプト作品で、
小曲の連なりによつて、ひとつの大きなシンフォニーを描き出すという構成である。
シンセによる美しさとデジタルなアレンジに女性コーラスなどが加わった雄大な作風で
ADIEMUSなどにも通じる聴き心地もありつつ、メロディラインにはかつてのマイクを思わせる
トラッド的な旋律も入ってくる。全体的にモダンにはなったが、初期のファンにも充分楽しめる好作品だ。
シンフォニック度・・8 プログレ度・・7 雄大度・・9 総合・・8
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Mike Oldfield 「Voyager」
マイク・オールドフィールドの1996年作
バグパイプやフルート、そしてギターの旋律がゆったりとケルティックなメロディをつむいでゆく、
やわらかなハープの音色にシンフォニックなシンセアレンジも加わって、雄大な叙情を描き出す。
ケルティックな叙情性という点では、かつての傑作Incantationsにも通じる感触があるが、
こちらはもう少し落ち着いた大人の叙情性に包まれていて、素朴で優雅なケルト風味と
90年代的なモダンなアレンジとのほどよいバランスが絶妙である。艶やかなヴァイオリンに
ホイッスルの音色、アコースティックギターによる繊細なナンバーから、バグパイプが鳴り響き
女性ヴォーカルを乗せた壮麗なシンフォニック性もあり、悠久のスケール感に包まれた傑作だ。
シンフォニック度・・8 プログレ度・・7 雄大度・・9 総合・・8
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Mike Oldfield 「Tubular Bells III」
マイク・オールドフィールドの1998年作
出世作となる「チューブラー・ベルズ」シリーズの3作目。デジタルなリズムとシンセを重ね、
ときに神秘的な女性スキャットを乗せた、打ち込み系のモダンなアンビエント作品という趣であるが、
随所に聴かせるメロウなギターのフレーズなどには、マイクらしい美意識と繊細なセンスとが感じられる。
一方ではややハードなギターを重ねたロック色の強いパートもあったりと、組曲としてのメリハリある構成もさすが。
Cara Dillonが参加した、瑞々しい女性ヴォーカルナンバーもよいですな。全体的にはややモダンにはなったが、
ケルティックな叙情性とスケール感をともなったサウンドは、ファンであれば十分楽しめるだろう。
ドラマティック度・・8 プログレ度・・7 壮大度・・8 総合・・8
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MIKE OLDFIELD「Tubular Bells 2003」
マイク・オールドフィールドの2003年作。
1973作の記念すべき1stを30年後に新たに録音した作品。かつての素朴なアナログ感覚は薄れて、
デジタル処理された美しさがいわばヒーリング系ミュージックの感触になっているという点で、
オリジナルとは別物ととらえた方がプログレファンにはよいだろうと思う。
ギターの音もシンセも現在の音になり、重厚なサウンドで、かつての野暮ったさは消えた。
作品としての完成度は明らかに上がっているが、その反面、当時の青臭いような爽やかさ、
若きマイクの描く精一杯の表現の魅力という点では、やはりオリジナルの方をとりたい。
メロディアス度・・8 プログレ度・・7 雄大度・・8 総合・・8
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MIKE OLDFIELD「Music of the Spheres」
マイク・オールドフィールドの2008年作
「天上の音楽」と題された本作は、近年のモダンなアプローチから一転、
カール・ジェンキンス指揮による壮麗なオーケストラで聴かせるアルバム。、
雅びやかなストリングスに、たおやかなピアノやアコースティックギターが加わり、
ADIEMUSに通じる大自然との融合を思わせる優しい質感に聞き惚れる。
オペラティックな女性ヴォーカルもじつに美しい、クラシカルなヒーリングサウンド。
シンフォニック度・・9 プログレ度・・6 雄大自然度・・10 総合・・8
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MIKE OLDFIELD 「MAN ON THE ROCKS」
イギリスのミュージシャン、マイク・オールドフィールドの2014年作
今作は、THE STRUTSのルーク・スピラーが参加して、全編でヴォーカルを乗せていることもあり、
キャッチーなロック感触に包まれている。マイクのギターもいつになくロックしているが、
肩の力の抜けた楽し気なポップ色の中に、繊細な叙情性を織り込むセンスはさすが。
シンフォニックなシンセアレンジとともに、表現力あるヴォーカルと泣きのギターフレーズで、
ゆったりと盛り上げるナンバーも素晴らしい。上質のメロディックロックでありながら、
しっかりとマイク・オールド・フィールドらしさに包まれている。これ普通に傑作ですよ。
メロディック度・・8 プログレ度・・6 叙情度・・8 総合・・8 
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MIKE OLDFIELD「RETURN TO OMMADAWN」
イギリスのミュージシャン、マイク・オールドフィールドの2017年作
近年はヒーリング系やポップな作品のイメージだが、本作は、1975年の名作「オマドーン」への回帰を謳うタイトルと、
20分を超える大曲2曲という構成からして期待を抱かせる。ホイッスルのやわらかな音色にアコースティックギターや
マンドリンが牧歌的に絡み、うっすらとしたシンセにエレキギターが加わると、ケルティックな味わいとともに、
かつての幻想的な空気感が広がってゆく。前半はアコースティックな素朴さに包まれた作風であるが、
後半では、エレキギターによるメロディにマンドリンの音色で、かつてのような祝祭感とともに幕を閉じる。
オリジナルを超えるものではないが、円熟した大人の叙情性でゆったりと鑑賞できる好作品といえる。
ドラマティック度・・8 プログレ度・・7 幻想度・・8 総合・・8 
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Mike Oldfield 「Live Knebworth 1980」
マイク・オールドフィールドのライブ音源。2020年作
かつて「The Essential Mike Oldfield」のタイトルで映像でリリースされていた、1980年イギリスでのライブ音源。
Pierre Moerlen' Gongのメンバーを中心にした編成で、女性シンガーに、マギー・ライリーも参加。
1979年のシングル「Guilty」で軽快にスタート。きらびやかなシンセにサックスが鳴り響くゴージャスな聴き心地で、
マイクのギターワークも流麗に響き渡る。「チューブラー・ベルズ」もライブ用にアレンジされ、ビート感のあるノリと、
優美な叙情パートとのメリハリで、アルバムとはずいぶん印象が変わる。「オマドーン」パート1の美しさと
ダイナミックな展開に、後半のピエール・ムーランのドラムソロなど聴きどころも多い。音質もまずまず良好。
ライブ演奏・8 プログレ度・7 音質・7 総合・8 
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THE MOODY BLUES「Days of Future Passed」
「サテンの夜」で有名な、ムーディ・ブルースの2nd。1967年作。
1965年のデビュー作は、ごく普通のR&Bという作品であったが、ジョン・ロッジとジャスティン・ヘイワードが加わって
本作から、プログレッシブなサウンドへと舵を切る。クリムゾンもデビュー前のこの当時、プログレという言葉はなかったであろうが、
現在でもプログレファンから愛聴されているのは、この新生ムーディーズとして2作目以降だろう。
本作は、ロックバンドのオーケストラとの競演アルバムとしては、もっとも古いもののひとつで、
今聴いても、この作品でのオケの美しさは素晴らしいものがある。反面バンドとしての持ち味はやや薄く、
本来の彼らの魅力を知るには次作以降を聴くべきだろう。オケをバックにした歌もの曲には、しっとりとしたたおやかな情感と
メロディアスな聴きやすさがあり、古めかしさを超えてこのアルバムの魅力となっている。
メロディアス度・・8 ロック度・・7 オーケストラ度・・9 総合・・8
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THE MOODY BLUES「IN SEACH OF THE LOST CHORD」
イギリスのフログレバンド、ムーディ・ブルースの1968年作
プログレッシブロックの創世記を支えたバンドの初期の傑作。邦題は「失われたコードを求めて」
プログレというよりは、やはり年代的にもブリティッシュロックとしてとらえる方がいいだろう。
英国らしい湿りけとともに、キャッチーなメロディセンスを含んだ牧歌的なサウンドは
かすかな薄暗さを感じさせながら、ゆったりと聴き入ることができる。
バックのピアノやメロトロンも美しい。初期の傑作といえるだろう。
メロディアス度・・8 プログレ度・・7 英国度・・8 総合・・8 ◆プログレ名作選入り
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THE MOODY BLUES「On the Threshold of a Dream
ムーディ・ブルースの1969作
前作「失われたコードを求めて」で、ブリティッシュロックとしての地位と独自のプログレッシブな方向性を確立して、
続く本作もその延長上のサウンド。やわらかでキャッチーなコーラスワークやしっとりとしたフルートの音色、
ほのぼのとした牧歌的な味わいで、英国ロックのおだやかな叙情が楽しめる。
全体的にはやや地味な雰囲気ではあるが、後半の組曲は前作を思わせる壮大さがあり、
メロトロンの響きとともに、ゆるやかに聴かせる音作りはやはりとても耳心地がいい。
ボーナスにはバージョン違いやBBCラジオの音源などを9曲収録。
メロディアス度・・8 プログレ度・・7 英国的叙情度・・9 総合・・8
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THE MOODY BLUES「To Our Childrens Children」
ムーディ・ブルースの1969作
5作目の本作は、いったい何事かと思うような大仰なイントロで始まるが、
ムーディブルースのアルバムにはこうしたコンセプト的な作品が多く、
60年代のイギリスのバンドの中でもユニークな存在だったことだろう。
やはりゆったりとした曲での歌メロの美しさは彼らならではで、
しっとりとしたアコギの音色などは、英国的な優雅さも感じさせる。
メロディアス度・・8 プログレ度・・7 英国度・・8 総合・・8
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THE MOODY BLUESQuestion of Balance
ムーディ・ブルースの1970作
傑作2作にはさまれて、地味な印象の本作であるが、内容は決して悪くない。
英国的な牧歌性にアコースティカルな叙情をまじえて、素朴な味わいが楽しめる。
コーラスワークのキャッチーな聴き心地に、哀愁を感じさせるゆるやかな作風の好作。
メロディアス度・・8 プログレ度・・7 英国度・・8 総合・・7.5
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THE MOODY BLUES「every good boy deserves favour」
ムーディ・ブルースの1971作。
「童夢」の邦題で知られるアルバム。幻想的なジャケのおかげもあって、日本でも人気が高い作品である。
昔聴いたときは自分の想像していたプログレの音とは違っていたので、拍子抜けしたものだが、
改めてリマスター盤を聴いてみると、やはりけっこういい作品ですな。なにやら意味ありげなイントロから、
曲が始まると軽やかなロック調なって…きっと昔はこれがダメだったのだな…ブルージーなロック風のギターが
やや無骨な感じもするのが、歌メロ自体はキャッチーで、メロトロンなどのシンセも美しい。
メロディアス度・・8 プログレ度・・6 英国度・・8 総合・・8
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THE MOODY BLUES「SEVENTH SOJOURN」
ブリティッシュ・プログレバンド、ムーディー・プルースの1972年作
デビュー作が1965年というから、プログレとして語られるバンドの中では最古参のひとつ。
のっけからメロトロンをバックにしたコーラスハーモニーが美しく、胸にしみます。
プログレっぽさはさほどないですが、本格的にオーケストラを導入するなど、
雄大でしっとりとした雰囲気が味わえる、優雅でメロディアスなアルバムです。
メロディアス・・8 シンフォニック度・・8 プログレ度・・6 総合・・8 ◆プログレ名作選入り
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THE MOODY BLUES「Octave」
ムーディー・プルースの1978作
前作から5年のブランクの後発表された本作は、一般的には評価は高くないらしいが、
やわらかみのある音作りは往年からまったく変わらず、メロディアスという点ではむしろ上回っている。
オーケストラ入りで繰り出される英国らしい優雅さと、しっとりと聴かせるメロディはやはり耳に心地よく、
とくにゆったりとしたバラード曲においては、広がりのある雄大な叙情美を聴かせてくれる。
この感触は、あるいはBarclay James Harvestあたりにも通じるものもある。
メロディアス度・・9 プログレ度・・7 叙情度・・9 総合・・8
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THE MOODY BLUES「Long Distance Voyager」
ムーディー・プルースの10th。1981作
前作の流れから、さらに80年代らしいキャッチーなポップ感を増した作品。ただし、モダンにはなっても、
元YESのパトリック・モラーツが参加したことで、プログレ的なシンセワークはしっかりと残しつつ、
ストリングスの美しさとともに、やわらかな叙情が合わさったサウンドは非常に高品質だ。
プログレハード的な軽快さの中にも、哀愁を漂わせるメロディを盛り込むのはさすが。
適度なポップさとメロディアスな聴きやすさでバランスのとれた好作である。
メロディアス度・・8 プログレ度・・7 叙情度・・8 総合・・8
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The Moody Blues 「Present」
ムーディ・ブルースの1981年作
80年代以降はポップになったとはいえ、前作「Long Distance Voyager」はバランスの良い好作だった。
11作目となる本作も、80年代的なポップなビート感に、レイ・トーマスのジェントルなヴォーカルを乗せ、
前作から参加するパトリック・モラーツの優美なシンセとともに、キャッチーなサウンドを描く。
ジャスティン・ヘイワードの奏でる叙情的なギターも随所によい味わいで、ポップさの中にも
英国らしいウェットな美学をいくぶん残していて、優雅なメロディックロックとしてはなかなか楽しめる。
キャッチー度・8 プログレ度・6 叙情度・8 総合・7.5
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MORGAN「Nova Solis」
THE LOVE AFFAIRのシンセ奏者、モーガン・フィッシャー率いるバンドの1st。1972作
きらびやかなシンセ、ピアノなどを軸にしたクラシカルなサウンドで、
英国というよりも、どことなくイタリアンロック的な濃密でバロック的なものを感じさせる。
QUEENの前身バンド、SMILEに在籍していたティム・スタッフェルの歌声は、
フレディ・マーキュリーを思わせるような、やや独特の押しの強さがある。
ラストは20分の大曲で、ホルストの「惑星」のテーマとともにクラシカルに聴かせる。
シンセの音がやや古めかしいものの、時代的に考えればなかなかの好作だ。
シンフォニック度・・7 クラシカル度・・8 英国度・・7 総合・・7.5
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NARNIA「Aslan Is Not A Tame Lion」
イギリスのフォークロックバンド、ナルニアの1974年作
近年映画にもなった「ナルニア国物語」をコンセプトにした作品で、
女性ヴォーカルの歌声で聴かせる、キャッチーなフォークロックサウンド。
うっすらとメロトロンも響き、ファンタジックな雰囲気も漂わせつつ
オランダのEarth and Fireあたりに通じるやわらかな聴き心地だ。
自主制作盤ということで手に入りにくいが、英国の隠れた逸品として愛聴したい作品。
メロディアス度・・8 プログレ度・・7 女性Vo度・・7 総合・・7.5
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NATIONAL HEALTH
イギリスのジャズロックバンド、ナショナル・ヘルスの1978作
Hatfield and the Northのデイブ・スチュワートとフィル・ミラー、GILGAMESHのアラン・ガウエンを
中心に結成された、まさにカンタベリーシーンのスーパーグループともいうべきバンド。
軽快なリズムの上を、デイヴのオルガン、ガウエンのシンセが鳴り響き、テクニカルなインストを聴かせつつ
途中にはしっとりと美しいピアノに女性ヴォーカルも入ってきたりと、展開力も見せつける。
クラシックの要素もあったEGGをさらに優雅に繊細にしたという雰囲気もあり、
ジャズロックとしての名作という以上にメロディアスな美しさがあるのが素晴らしい。
メロディアス度・・8 プログレ度・・8 ジャズロック度・・8 総合・・8.5
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National Health「Of Queues And Cures」
イギリスのジャズロックバンド、ナショナル・ヘルスの2nd。1979作
Hatfield and the Northのデイブ・スチュワートとフィル・ミラーを中心に結成された、
カンタベリーシーンのスーパーグループ。その2作目にしてラスト作である。
ジャズロック的な軽やかなリズムの上に、クラシカルな素養を感じさせるデイブのオルガン、
シンセワークが鳴り響き、そこにセンスあるギターフレーズが重なって、じつに優雅で
メロディアスなサウンドを構築してゆく。1作目に比べていっそう肩の力が抜けたような
自然体のアンサンブルが、むしろテクニカルなフュージョン的な味わいで楽しめる。
個人的には女性声入りの1stが好きなのだが、完成度ではこちらも勝るとも劣らない。
メロディアス度・・8 プログレ度・・8 ジャズロック度・・8 総合・・8.5
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National HealthMissing Pieces」
イギリスのジャズロックバンド、ナショナル・ヘルスの未発音源集。1996年作
1st発表前、1975〜76年の音源であるが、バンドとしての方向性はすでに固まっていて、
未発というには惜しいほどのクオリティの高い演奏が楽しめる。デイブ・スチュワートとアラン・ゴウエンの
巧みなシンセワークとフィル・ミラーのギターが絡み、ジャズロックでありながらファンタジックな世界観を感じさせる、
このバンド特有の聴き心地はすでにある。正規音源ではないので、やはり音質的な部分でのもの足りなさはあるものの、
2枚の傑作アルバムを聴いたあとで、オマケ的に鑑賞するとよいかもしれない。
メロディアス度・・8 プログレ度・・8 ジャズロック度・・8 総合・・8
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National Health 「Playtime」
ナショナル・ヘルスの未発ライブ音源2001年作
バンド活動末期の1979年の、フランスとアメリカでの発掘ライブ音源を収録。脱退したデイブ・スチュワートに替わり、
シンセにはアラン・ゴウエンが参加、ドラムにはゲスト扱いでピップ・パイルが参加している。
やわらかなエレピに、フィル・ミラーの巧みなギターを重ね、ジャズ色の強い軽やかなアンサンブルを聴かせる。
音質もまずまず良好で、ソロパートを含む即興的な演奏の優雅さは、さすがの実力者たちである。
2ndからのナンバーがないのが残念だが、1stからは数曲を披露していて、ファンには嬉しい。
バンドの晩年の貴重なライブ音源が味わえる、コアなファン向けのアイテムだろう。
ライブ演奏・8 ジャズロック度・8 音質・7 総合・7.5
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NECROMANDUS 「Orexis of Death & Live」
ブリティッシュロックバンド、ネクロマンドゥスの2010年作
トニー・アイオミのプロデュースで1972年に録音するも、バンド解散によりお蔵入りになった音源が1996年にCD化、
本作はジャケを変えての2010年の再発盤で、ボーナスとして1973年のライブ音源を8曲収録している。
どことなくオジーを思わせるヴォーカルに、ブルージーな質感も含んだギターを乗せたサウンドは、
いくぶんサバス的な感触もあるが、むしろもっと牧歌的な叙情が感じられて、ジャケやバンド名ほどにはダークな雰囲気はない。
楽曲は尻切れで終わってしまうデモ的な感じのものもあるのが残念だが、70年代英国ハードロックの息吹が感じられる一枚だ。
ライブ音源も年代を考えれば音質はまずまずで、アルバム収録のほぼ全曲に加え未発曲も演奏している。
ドラマティック度・・7 サバス度・・7 70'sブリティッシュ度・・9 総合・・7.5
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NECROMANDUS
ブリティッシュロックバンド、ネクロマンドゥスの2017年作
1972年にレコーディングした唯一の音源を残して消えた、伝説の英国ハードロックバンド、
本作はなんと、35年ぶりとなる正規作品である。サウンドは、往年のBLACK SABBATHに通じる
翳りを含んだヴィンテージなハードロックで、新作と知らなければ当時の発掘音源と勘違いしそう。
うっすらとオルガンが鳴り、古き良き感触のギターと、ジェントルなヴォーカルで聴かせる
なつかしさたっぷりの味わいににんまりである。ブルージーな渋さと英国らしい叙情性も覗かせつつ、
わりとキャッチーーなナンバーなどもあって、案外幅広い曲調が楽しめる。価値ある復活作だ。
ドラマティック度・・7 古き良き度・・9 英国ハー度・・9 総合・・8 
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NEKTARJourney to the Centre of the Eye
イギリス出身、ドイツで活躍するプログレバンド、ネクターの1st。1971年作
NEKTARといえば、6作目の「Recycled」はシンフォニックの傑作として名高いが、
本作はまだ古めかしいサイケ風味のブリティッシュロックというサウンドで、ハモンドやメロトロンの叙情と、
サイケロックがかったギターが合わさり、程よく荒削りの魅力が英国らしい牧歌的な空気感と融合。
コンセプト的につながってゆく楽曲構成で、ドラマティックなスケール感とともに最後までじっくりと聴け、
とくにSACD盤では、アナログシンセの音などは、高音質による臨場感が味わえる。
ポップ化した後期の作品に比べ、サウンドに英国めいた翳りがあるのもよいですね。
ドラマティック度・・8 プログレ度・・7 レトロな叙情度・・8 総合・・8
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NEKTAR「Tab in the Ocean」
イギリス出身ドイツで活動するプログレバンド、ネクターの2nd。1972年作
サイケロックぎみだった1stから、大きく変化したサウンドになっていて、1曲めのタイトル曲からして
ハードロック的方法論で構築された16分の大作。ギターとオルガンを中心に、山あり谷ありの展開でドラマティックに聴かせる。
後にIRON MAIDENがカヴァーする名曲“King of Twilight”を含め、アルバムとしての完成度はかなり高く、
本作は初期の最高傑作といえるだろう。リマスター盤には1976年のニューミックスバージョンを全曲追加収録。
ドラムの音がパワフルになり、シンセやギターもややモダンな感じになっています。
ドラマティック度・・8 プログレ度・・7 楽曲・・8 総合・・8
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NEKTAR 「Sounds Like This」
イギリス出身ドイツで活動するプログレバンド、ネクターの3rd。1973年作
前作や次作に比べると地味なイメージの本作だが、サウンドの方は前作からの流れのドラマティックなハード路線で
ブルージーな感触も含んだ奔放なギターとオルガンなどのやわらかな鍵盤とマイルドなヴォーカルで描かれる、適度なユルさが心地よい。
キャッチーなメロディを効果的に聴かせる楽曲におけるメリハリの付け方はドラマティックで、HRリスナーにも楽しめるだろう。
ヴギウギ調の曲なども入りつつ、10分を超える大曲も数曲あったりと、全体的にはいくぶん散漫な長尺感もあるが、
自由に作られた大作というべきだろう。リマスター盤は2枚組仕様で、Disc2にはラジオバージョンと1971年のライブ音源を収録。
メロディアス度・・8 ドラマティック度・・8 奔放度・・8 総合・・7.5
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NEKTAR「Remember the Future
イギリス出身ドイツで活動するプログレバンド、ネクターの4th。1973年作
Part1、2に分けられた大曲で構成されたトータルアルバムで、初期の代表作とされている。
1stの頃のサイケ寄りのサウンドに比べると音がだいぶやわらかくなり、キャッチーなヴォーカルメロディとともに、
ゆったりと聴かせるマイルドな作風で、たとえばドイツのELOYをよりシンフォ寄りにしたというような、
ソフトなユートピア志向を感じさせる世界観。後の英国プログレハードにつながるような、
適度にポップ、適度にドラマティックな雰囲気でバンラスのよい仕上がりだ。曲は長いが難解さはないので、
あまり身構えずに、この牧歌的なゆるやかさを楽しみつつのんびり鑑賞するが正しいのだろう。
メロディアス度・・8 プログレ度・・7 のんびり度・・8 総合・・8
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NEKTARDown to Earth」
イギリス出身ドイツで活動するプログレバンド、ネクターの5th。1974年作
傑作「Recycled」の前作にあたり、それまでドイツを拠点としていたバンドがアメリカ進出を狙ったアルバムということで、
のっけからこれまでになくポップな印象。キャッチーな歌メロなどはいかにも脱プログレしているようだが、
じっくり聴けば彼ら特有の屈折感というか、どこかポップになりきれないマイナーな香りが漂っている。
ジャケのようにサーカスをテーマにしているということもあって、哀愁を感じさせる叙情とともに
メロディアスなプログレ風ロックとして聴けばそれなりに楽しめる。リマスター盤には別ミックス音源など7曲を追加収録。
メロディアス度・・8 プログレ度・・7 キャッチー度・・8 総合・・7.5
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NEKTAR「Recycled」
イギリス出身ドイツで活動するプログレバンド、ネクターの6th。1975年作
欧米においては前々作「Remember the Future」の人気が高いらしいが、シンフォニックロックの点では、
本作の出来がずば抜けて素晴らしい。11パートに分かれた組曲方式の大作で、シンフォニックなシンセとギターが
絶品のバランスで組合わさり、そこにヴォーカルキャッチーかつドラマティックに歌を乗せる。
テーマや曲をつなげるプログレ的なアイディアも多く、たくさんのパートがやがてスケールの大きな流れを生み出してゆく様は圧巻だ。
適度な緊張感とともに、濃密に聴かせる理想的なハードシンフォニックサウンドが繰り広げられる。
リマスター盤にはジェフ・エメリックによる別ミックス音源を全曲収録。
メロディアス度・・8 ドラマティック度・・9 壮大度・・9 総合・・8.5
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NEKTAR「SUNDAY NIGHT AT THE LONDON ROUNDHOUSE」
ネクターのライブアルバム。1974作。CD2枚組。
2002年に復活ライブを果たし往年のファンを喜ばせたが、これはその彼らの全盛期のライブ音源。
おそらく3rd「REMEMBER THE FUTURE」発表後のステージで、
IRON MAIDENもカヴァーした初期の名曲“KING OF TWILIGHT”で幕を開ける。
年代を考えれば音質も良好で、2nd収録のメロディアスな佳曲“DESOLATION VALLEY”や、
CD2には、大曲“REMEMBER THE FUTURE”PART ONE、PART TWOを収録。
やや長尺感はあるものの、アルバム以上に躍動感に溢れた演奏が楽しめる。
メロディアス度・・8 ライブ演奏・・8 音質・・8 総合・・7.5
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NEKTAR「Live in New York」
ネクターのライブアルバム。1977作
1974年アメリカ、ニューヨークでのライブを収録した2枚組。
4th「Remember the Future」の成功を受けてのアメリカ進出ということらしいが、
演奏そのものもバンドの全盛期らしく、スタジオ盤以上にノリがよく、ロックとしての勢いが感じられる。
こういう生音のライブこそSACDだと臨場感が増してよいのである。とくにDisc2での“Desolation Vally”や
“Cryng the Dark”〜“King of Twilight”あたりの流れはドラマティックだ。
メロディアス度・・8 プログレ度・・7 ライブ演奏・・8 総合・・8
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NEKTAR「GREATEST HITS LIVE」
イギリス出身のバンド、ネクターのライブ作。
2002年アメリカ、Nearfestでの復活のライブステージを収録したCD2枚組。同タイトルのDVDもあり。
初期のアルバムから多く選曲されたこの復活ライブ作は、往年のファンにとってもまさに感動もの。
初期の彼らは、いうなればGENESIS的なメロディックな楽曲に、ハードロック的な感性をまぶし
聴きやすくブレンドしたという音楽性で、おそらく現在のHR好きにもアピールすることをやっていた。
IRON MAIDENがカヴァーした“KING OF TWILIGHT”を含め、名曲多数。
大作の「RECYCLED」はやはり見事で、構築されたシンフォニックかつハードロック的な楽曲は
70年代当時の作曲と考えれば素晴らしいクオリティ。ちなみに彼らのデビューは1971年。
キャリアではGENESISあたりと充分タメが張れるのだが、案外に知名度が低いのが惜しい。
シンフォニック&プログレハードの隠れたる名バンド。時を超えて2002年に復活音源が聴けるとは!
メロディアス度・・8 シンフォニック度・・8 HR好きにもお薦め度・・9 総合・・8.5
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NEKTAREvolution」
イギリス出身ドイツで活動するプログレバンド、ネクターの2004年作
主要メンバーの脱退などもあり80〜90年代は活動休止していたこのバンドが、
2001年になって突如新作を出してファンを驚かせたが、本作はその復活2作目となる。
サウンドの方は、さすがに枯れた味わいのメロディックなロックという雰囲気ながら、
随所にかつてのプログレ的な雰囲気を甦らせている。誤解を恐れずにいえば、
アメリカ的なキャッチーさとヨーロピアンな質感の合わさった世界観は、
KANSASあたりと同様の聴き心地で、まさにベテランならではの好作である。
メロディアス度・・8 プログレ度・・7 大人の味わい度・・8 総合・・7.5
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Nektar 「Book Of Days」
ドイツで活動する英国人バンド、ネクターの2008年作
1971年デビュー、1980年までに8作を残して消えるも、2001年に20年ぶりに復活、本作は復活後の3作目となる。
ほどよくハードなギターにオルガンなどのシンセを重ね、いくぶんブルージーな感触も含んだ
古き良き味わいのハードプログレを聴かせる。アルバム中盤からは10分を超える大曲が続き、
キャッチーなオールドロック感の中に、ときに初期の頃を思わせるウェットな雰囲気も覗かせる。
派手な展開はさほどないが、大人のプログレハードが楽しめる好作品だ。2020年デラックスエディションには、
2016年に死去した、故ロイ・アルブライトンの2005年のソロ作、「THE FOLLIES OF RUPERT TREACLE」を収録
ドラマティック度・・8 プログレ度・・7 古き良き度・・8 総合・・8 
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NEKTAR 「Spoonful of Time」
イギリス出身でドイツで活動するプログレバンド、ネクターの2012年作
70年代から活動するベテランバンドによるカヴァーアルバムで、Alan Parsons Project、
RUSH、PINK FLOYD、ROXY MUSIC、10CC、TOTO…といったバンドの曲をカヴァー。
ゲスト参加として、スティーヴ・ハウ、リック・ウェイクマン、ジェフ・ダウンズ、パトリック・モラーツ、
マーク・ケリー、エドガー・フローゼ、デレクシェリニアン、メル・コリンズ、ビリー・シーン、
ロッド・アージェント、イアン・ペイス、デヴィッド・クロスといった豪華な顔ぶれが参加している。
MARILLIONのマーク・ケリーがシンセを弾く、RUSHの“Spirit of Radio”をはじめ、
PINK FLOYD“Wish You Were Here”ではエドガー・フローゼ(TANGERINE DREAM)のシンセワークが
なかなかハマっているし、TOTOの名曲“Africa”では、パトリック・モラーツのシンセが聴ける。
元曲の雰囲気を大事にしながら、どれも味わいのある大人のカヴァーが楽しめる作品です。
プログレ度・・7 楽曲度・・8 カヴァー度・・8 総合・・7.5

NEKTAR 「Time Machine」
イギリス出身でドイツで活動するプログレバンド、ネクターの2013年作
70年代から活躍するベテランで、2001年に復活してから4作目となる。
ジャケのイメージも壮大さを感じさせるが、のっけから映画的なSEから始まる大曲で、
美しいシンセにメロディックなギターで聴かせる、かつてのプログレスタイルが戻ってきた。
その後は、キャッチーなヴォーカルメロディと、枯れた味わいの大人の情感を含んだ
ゆったりとしたメロディックロックという趣の曲が中心ながら、9分、10分という大曲では
ベテランらしい構築性を覗かせる。大人のプログレハードとして楽しめる好作品だ。
メロディック度・・8 プログレ度・・7 オヤジ度・・8 総合・・7.5
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NEKTAR 「THE OTHER SIDE」
イギリス出身、ドイツとアメリカで活動するプログレバンド、ネクターの2020年作
1971年デビューの大ベテラン、2001年に20年ぶりに復活を遂げるも、2016年に中心人物のロイ・アルブライトンが死去、
バンドは解散状態になるが、残ったオリジナルメンバー3人を中心に再結成、元FIREBALLETTのギターも参加して
7年ぶりとなる通算13作目の本作を完成させた。サウンドの方は、ほどよくハードでメロディックなギターに
オルガンなどのやわらかなシンセを重ね、ジェントルなヴォーカルで聴かせる、往年のネクターを思わせる作風。
70年代の未発曲をアレンジしたものが中心らしいので、まさしくあの頃のネクターを甦らせたという聴き心地で
ヴァイオリンの音色が入ってくると、KANSASなどにも通じる雰囲気もありつつ、17分という大曲も、あくまでキャッチーで
優雅な味わいに包まれる。枯れた味わいのヴォーカルも含めて、大人の叙情プログレを楽しめる充実の傑作です。
ドラマティック度・・8 プログレ度・・7 ネクター度・・9 総合・・8 
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News From Babel「Sirens and Silences・Work Resumed on the Tower
ニューズ・フロム・バベルの1984年作
ART BEARS解体後、ダグマー・クラウゼ、クリス・カトラーに、元Henry Cowのリンゼイ・クーパー、
ゼナ・パーキンスによって結成。チェンバーロック的なピアノやバスーンが鳴り響き、
ダグマーのエキセントリックな歌声とともに、先の読めない緊張感とアヴァンギャルドな展開を描き出す。
アート・ベアーズに比べると80年代的なスタイリッシュな軽妙さが強まっている分、
ミステリアスではあってもどろどろとした混沌ではなく、どこかドライな聴き心地だ。
ドラマティック度・・7 プログレ度・・8 アヴァンギャル度・・8 総合・・8
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News From Babel「Letters Home」
ニューズ・フロム・バベルの1986年作
ダグマー・クラウゼが離脱し、ゲストヴォーカルとして、ロバート・ワイアットなどが参加している。
前作のアヴァンギャルド性はいくぶん薄まり、サックスやバスーン、ハープ、アコーティオンなどが、
内省的でやわらかなチェンバーロックのアンサンブルを描いてゆく。マイルドなヴォーカルは聴き心地よく、
張りつめた緊張感がない分、肩の力を抜いて鑑賞できる作品になっている。
ドラマティック度・・7 プログレ度・・7 アヴァンギャル度・・7 総合・・8
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The Nice
イギリスのクラシカルロックバンド、ナイスの3rd。1969年作
ご存じの通り、後にELPを結成するキース・エマーソンが在籍していたバンド。
当初は女性シンガーのバックバンドとして結成され、ギター入りの4人編成であったが、
キーボードトリオとなった本作では、「ELP前夜」というべき演奏を聴かせてくれる好作。
若きエマーソンのクラシカルなピアノ、そしてオルガンプレイはさすがであるが、
やや粗雑なヴォーカルや、ジャズ、クラシック風味の混ざったごった煮感が
楽曲としてまだ焦点のしぼりきれていないような感じもする。
逆に言うと、このバンドでの下地が後のELPに活かされたということだろう。
クラシカル度・・7 プログレ度・・7 キーボー度・・8 総合・・7
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THE NICE「Five Bridges」
イギリスのクラシカルロックバンド、ナイスの4th。1970年作
ご存じの通り、後にELPを結成するキース・エマーソンが在籍していたバンド。
本作はバンドのラスト作であり、1969年のFairfield Halls公演を収録したライブ作。
オーケストラとの競演によるステージで、タイトル組曲をはじめ、クラシカルな優雅さに
バンドサウンドが加わったサウンドで、エマーソンの巧みなオルガンプレイはすでにELP的だ。
クラシックとジャズ、ロックの融合をなしとげ、鍵盤に焦点をあてたこのバンドの意義は
ELPへと受け継がれてゆく。本作はオーケストラ入りロック作品の最初の輝きとも言えるだろう。
クラシカル度・・8 オーケストラ度・・9 オルガン度・・8 総合・・7.5
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THE NICE 「ELEGY」
ナイスの1971年作
スタジオ録音、ライブ録音の2曲ずつの未発音源を収録した変則的なアルバムで、
本作発表時はすでにナイスは解散し、EL&Pとして人気を博している時期なのだが、
エマーソンの巧みな鍵盤さばきが楽しめるという点では、ファンにはたまらない内容だ。
1曲目は3rd収録のティム・ハーディン作曲のナンバーを12分を超える長さに拡大し、
クラシカルなピアノを乗せ、エキセントリックなセンスを描くところは後のEL&Pに通じる雰囲気がある。
2曲目はボブ・ディランのカヴァーで、キャッチーなヴォーカルパートを含んだオルガン入りの大曲。
3曲目はチャイコフスキーの「悲愴」のアレンジで、TRACEばりのクラシカルなオルガンロックが楽しめる。
4曲目は、ウエストメサイド・ストーリーの名曲をアレンジしたおなじみのナンバー。
ライブ演奏での激しいオルガンプレイには、すでにEL&Pに通じる萌芽が感じ取れる。
クラシカル度・・8 プログレ度・・7 すでにELP度・・8 総合・・8
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The Nice 「Autumn '67 - Spring '68」
イギリスのクラシカルロックバンド、ナイスの1972年作
バンドの解散後、1972年に発表されたベストアルバムで、デビュー作「ナイスの思想」からのナンバーを中心に、
シングルB面曲、未発曲や別テイクなど貴重な音源も収録。初期のナンバーは、キャッチーなコーラスを乗せた、
鍵盤の美しいブリティッシュロックという趣。The Beatlesからの流れをよりクラシカルにしたという味わいながら、
エマーソンのオルガンやピアノが加わると、とたんにプログレ的な匂いにも包まれる。
SACD盤では、当時の空気感も感じ取れる高音質のサウンドが楽しめます。
キャッチー度・・8 プログレ度・・6 鍵盤度・・8 総合・・7.5
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Pesky Gee! 「Exclamation Mark」
イギリスのサイケロック、ペスキー・ジー!の1969年作
オルガンやサックスが鳴り響く、いかにも60年代らしいおおらかなサイケロックで、
のちのBlack Widowへとつながるバンドにしては妖しさはあまり感じない。
ブルージーなギターを乗せたインストのナンバーなどは正直退屈なのだが、
女性シンガー、ケイ・ギャレットが歌うナンバーは、魔女めいた聴き心地でこれがじつによい。
むしろ彼女に全曲歌わせて欲しかった。一方では、Steppenwolf“Born to be Wild”や
Vanilla Fudge “Where Is My Mind ”のカヴァーなどもサイケな仕上がりでなかなか楽しめる。
ドラマティック度・・7 妖しげ度・・7 魔女度・・7 総合・・7.5
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Pete Bardens 「HEART TO HEART」
元CAMELのシンセ奏者、ピーダー・バーデンスのソロ。1979年作
本作は、キャメル脱退後の作品で、ソロとしては3作目にあたる。サウンドは自身のマイルドなヴォーカルを乗せた
キャッチーなポップロックという趣。80年代的なAOR色を含んだ感触と、優雅な叙情が合わさった感触で、
全体的にポップな作風ではあるが、英国ルーツのしっとりとウェットな空気感を漂わせている。
サックスが鳴り響くヴギウギ調のナンバーもありつつ、美しいシンセワークやフルートも加わった、
繊細な美意識というのも随所に感じさせ、牧歌的な古き良き英国ロックが楽しめるナンバーもよいですね。
プログレ要素はあまりなく、楽曲に派手さもないが、じっくりと楽しめるキャッチーな好作品だ。
メロディック度・・8 プログレ度・・6 優雅度・・8 総合・・7.5
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PETER BLEGVAD/JOHN GREAVES 「Kew. Rhone.」
イギリスのミュージシャン、ピーター・ブレグヴァドとジョン・グリーヴスによる1977年作
SLAPP HAPPYとHENRY COWの合体後、バンドを脱退した2人に、女性シンガー、リサ・ハーマンを加えて制作したアルバム
サックスやトランペット、フルートにピアノの旋律、コケティッシュな女性ヴォーカルを乗せた軽妙なサウンドで、
HENRY COWの即興性とアヴァンギャルドな香りをいくぶん残しつつ、よりジャズ寄りの優雅な感触に包まれている。
ダグマー・クラウゼ風の歌ものナンバーから、ヘンリー・カウ風味まで、3分前後の小曲主体ながら、なかなか楽しめる。
ジャズ度・8 プログレ度・7 アヴァンギャル度・7 総合・8
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Peter Gabriel
ピーター・ガブリエルの1stソロアルバム。1977作
「眩惑のブロードウェイ」を最後にGENESISを脱退したガブリエルは、
しばしの沈黙の後にソロ活動を開始。本作にはロバート・フリップ、トニー・レヴィンなども参加。
GENESIS時代の面影をいくぶん残しながら、よりモダンでポップな感覚をセンスよく取り入れ、
独自の世界観を描いてみせている。アレンジ面でも、オーケストレーションなどを含めて、
随所に細やかな繊細さが感じられ、既存のプログレ、ロックにとらわれない伸びやかさを感じる。
自身のヴォーカルはもちろん、フルートの美しい音色も、彼の新たな出発を告げるように輝いている。
メロディアス度・・8 プログレ度・・7 内的叙情度・・8 総合・・8
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Peter Gabriel「V」
ピーター・ガブリエルの3rdソロアルバム。1980作
一般的にガブリエルのソロ代表作とされているのが本作だろう。
サウンドはより表現志向が強まり、ビートリズムの上にのるガブリエルの歌声も、
いよいよ力強さ増し、アレンジ面での思い切った仕掛けやダイナミズムとともに
作品としての強度が強まっている。ここにきてGENESISの影を完全に払拭し、
アフリカンなトラッドテイストも含めてワールドミュージックへの傾倒も感じさせる、
アーティスト、ガブリエルとしての己の求める音楽を確立させたというべき作品。
ロバート・フリップ、トニー・レヴィン、フィル・コリンズ、ケイト・ブッシュらがゲスト参加。
メロディアス度・・8 プログレ度・・6 音楽表現度・・9 総合・・8
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Peter Gabriel「4」
ピーター・ガブリエルの4thソロアルバム。1982作
前作で聴けたワールドミュージックへの傾倒を、より内省的なサウンドの中に取り入れ、
あくまでポップな楽曲の中に、翳りあるモダンさというべき質感が内包されている。
80年代ロックへの回答というような、ガブリエル流の産業ロックという作風だ。
トニー・レヴィン、デビッド・ローズ、ピーター・ハミルらがゲスト参加。
メロディアス度・・7 プログレ度・・6 音楽表現度・・8 総合・・7.5
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Peter Gabriel 「Birdy」
ピーター・ガブリエルの1985年作
アラン・パーカー監督作品の同名映画のサントラとして作られた作品。
2〜3分前後の小曲が主体ながら、美しいシンセアレンジに薄暗い幻想性に、
デジタルなアレンジによるモダンな感触が合わさった聴き心地。
1曲ごとの展開というのはあまりないのだが、アンビエントなナンバーから
わりとロック寄りのナンバーまで、それぞれにミステリアスな空気感が感じられて、
サントラ系のプログレが好きな方なら、楽しめるのではないかと思う。
ドラマティック度・・7 プログレ度・・7 ミステリアス度・・8 総合・・7.5
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Peter Gabriel 「UP」
イギリスのミュージシャン、ピーター・ガブリエルの2002年作
前作「US」から10年ぶりとなるアルバムで、前作のポップ性に比べると、ぐっとシリアスな空気をまとい、
インダストリアルなデジタルさをロックサウンドに融合させつつ、味わいのある歌声を乗せた、
ふわりとやわらかな叙情に包まれる。モダンでエレクトロな雰囲気や、ポップなビート感の中にも
ときおりプログレッシブな香りが感じられ、優雅な構築力とともに独自の世界観を描いている。
繊細な歌ものナンバーは、シンセやピアノのアレンジとともに、ポストプログレ的な聴き心地で、
翳りを含んだ空気にしっとりと浸れ、ストリングスを加えて壮麗に盛り上がるナンバーなども見事。
ドラマティック度・7 プログレ度・7 優雅度・9 総合・8 過去作のレビューはこちら
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Peter Gabriel「Scratch My Back」
ピーター・ガブリエルの2010年作
David Bowie、Bon Iver、Talking Heads、Lou Reed、Neil Young、Radioheadといったアーティストの
カヴァーアルバムで、どの曲も美しいシンセやピアノ、ストリングスアレンジをバックに、
ガブリエルがその枯れた味わいの歌声を響かせるという、じつにしっとりとした作風。
ロックでもポップでもない、アンビエントな作品ながら、年齢をへた表現者にしか出し得ない
深みのある歌声が優しく耳に響く。一人の歌い手としての崇高な純粋さが伝わってくる音楽だ。
ドラマティック度・・7 ロック度・・1 ガブリエルの歌声度・・9 総合・・8
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Peter Gabriel「New Blood」
ピーター・ガブリエルの2011年作
本作はオーケストラ編成によるセルフカヴァーアルバムで、
往年を思わせるガブリエルの表現豊かな歌声を中心にしながら、
オーケストラによる静かな緊張感を漂わせた美しさが素晴らしい。
インスト部分などは、ほんどクラシックといってもよい雰囲気なのだが、
ギターもドラムもなくとも、静と動のメリハリをつけるアレンジはさすがである。
随所に現れる女性ヴォーカルの歌声も爽やかに楽曲を彩っている。
ドラマティック度・・8 ロック度・・2 ガブリエルの歌声度・・9 総合・・8
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Phil Manzanera 「Diamond Head」
ROXY MUSICのギタリストとして知られる、フィル・マンザネラの1975年作
ロバート・ワイアット、ブライアン・イーノ、ジョン・ウェットン、エディ・ジョブソン、イアン・マクドナルド、アンディ・マッケイ、
さらには、ビル・マコーミック、チャールズ・ヘイワードら、Quiet Sunのメンバーも参加しているという豪華な作品。
インスト曲が主体ながらも、楽曲によって、ワイアットや、イーノ、ウェットンのヴォーカルが味わい深く、
マンザネラのギターも技巧のみに頼らず、おおらかな叙情を描くような自然体の作りが耳に心地よい。
適度なポップ性と、ジャズやファンクなども取り込んだ幅の広い曲調で、お洒落なセンスを漂わせるところは、
やはり、ロキシーで学んだ部分なのだろう。ロキシー系モダン・ポップロックの好作品。
メロディック度・・7 プログレ度・・7 楽曲センス・・8 総合・・8
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PINK FLOYDPiper at the Gates of Dawn
ピンクフロイドの1st。1967年作/邦題「夜明けの口笛吹き」
シド・バレットを中心にしたオリジナル・ピンク・フロイドの唯一のアルバムで、
サウンドはサイケ色の強い奇妙なポップロックという雰囲気で、
コーラスハーモニーはキャッチーであるのだが、どこか妖しい緊張感がある。
リック・ライトのオルガンがいかにもブリティッシュロック的に響きわたり、
狂気を含んだシドの声にはドラッグの香りが漂う。サイケとしての傑作。
英国度・・8 プログレ度・・7 サイケ度・・9 総合・・8
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PINK FLOYD「A Saucerful of Secrets
ピンクフロイドの2nd。1968年作/邦題「神秘」
前作のポップサイケ路線から打って変わり、12分のタイトル曲をはじめとして
じわりとプログレ的な雰囲気が増した作品。東洋思想を思わせる観念的な静謐感と、
サイケロック寄りの浮遊感が融合し、しっとりとしたピアノやメロトロンなども美しい。
本作のレコーディング途中でシド・バレットがノイローゼのためグループを去り
デヴィット・ギルモアがグループに加入している。いわば新生フロイドとしての
生まれ変わりの途中のアルバムといえるだろう。地味ながら味わいのある好作だ。
英国度・・8 プログレ度・・8 サイケ度・・8 総合・・8
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PINK FLOYD 「More」
ピンク・フロイドの3rd。1969年作
映画のサウンドトラックに使われた音源で、鳥の鳴き声をバックにした
アコースティックな牧歌性と、サイケロック風味が合わさった作風は、
いくぶん統一感には欠けるものの、これはこれでフロイドらしくもある。
2、3分台の短い曲が多いのがいかにもサントラという感じで、物足りなさはあるが。
英国度・・8 プログレ度・・7 サイケ度・・8 総合・・7.5
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PINK FLOYD「Ummagumma」
ピンク・フロイドの4th。1969年作/邦題「ウマグマ」
スタジオアルバムとライブ音源の2枚組という変則的な作品で、初期の実験的な精神性の集大成ともいえるアルバム。
Disc1はライブで、1st、2ndからの4曲を演奏。スケール感のある“太陽賛歌”をはじめ、
スタジオ盤以上にサイケとしての迫力と躍動的な演奏が楽しめる。Disc2のスタジオ音源の方は、
のっけから妖しげなメロトロンが鳴り響き、続いて美しいピアノの音色がやがてアヴァンギャルドな不協和音へと変わる。
鳥の鳴き声などが聞こえるサイケロック的なピクニック感覚と、神秘的な静謐感が合わさった音作りは
聴き手をぐいぐいと引き込んでしまう深みがある。幻想的なメロトロンの音色も美しく、
アコースティカルなフォーク的な牧歌性もいかにも英国的な情緒をかもしだしている。
英国度・・9 プログレ度・・8 幻想度・・9 総合・・8.5
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PINK FLOYDAtom Heart Mother」
ピンク・フロイドの5th。1970年作/邦題「原子心母」
初期のサイケ路線から方向性を模索したバンドが、オーケストラを導入した最高のシンフォニック作を作り出した。
有名な「狂気」のイメージが強いこのバンドだが、筆者が最初に好きになったのは何を隠そう本作であり、
オールインストの23分のタイトル曲はオーケストラルな雄大さとドラマティックな美しさに満ちた見事な大曲だ。
もちろんフロイドらしい内的な情緒もあって、深みのあるコーラスワークにオルガンの音色が絡む部分などは、
厳かな空気すらただよわせている。実際のレシピが付いた“アランのサイケデリック・ブレックファスト”などもじつに洒落が効いている。
シンフォニック度・・8 プログレ度・・8 壮大度・・9 総合・・9
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PINK FLOYD 「Meddle」
ピンク・フロイドの6th。1971年作/邦題「おせっかい」
プロレスファンにはブッチャーの入場曲として知られる“吹けよ風、呼べよ嵐”で幕をあけ、
ラストには23分の大曲“エコーズ”が待っているという本作は、フロイドの代表作のひとつともされる。
ほの暗い叙情と英国フォーク風味の牧歌性を含んだサウンドは、耳には優しいものの、
A面2曲め以降はプログレとしての刺激はあまりないのだが、やはり聴き所は“エコーズ”だろう。
ゆったりと静かに始まりながら、メロウなギターとオルガン、キャッチーな歌メロが合わさって
楽曲はゆるやかに盛り上がる。後半のサイケ気味のパートも含めて、このバンドらしい好曲だ。
英国度・・8 プログレ度・・7 牧歌的度・・8 総合・・8
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PINK FLOYD「Obscured By Clouds
ピンク・フロイドの7th。1972年作/邦題「雲の影」
「ラ・ヴァレー」という映画のサウンドトラック作品で、
ギターをメインにしたロック寄りの作風は「モア」に比べると分かりやすく、
牧歌的な叙情も含んだ耳心地の良さで普通に楽しめるアルバムだ。
かつてのサイケ的な感触が希薄な分、初期が好きな方には退屈かもしれない。
英国度・・8 プログレ度・・7 叙情度・・8 総合・・7.5
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PINK FLOYDDark Side of the Moon
ピンク・フロイドの8th、1973年作/名作、「狂気」SACD
かつてプログレ初心者の頃、本作を聴いて、いったいこれのどこが名作なのだろうかと
さっぱり分からず売ってしまった記憶があるが、本作の真の魅力はLPで聴くか、
あるいはそれに匹敵する自然なフォーマットの音で聴かないと分からなかったのだ。
このSACDでは、この作品の本来の精細なダイナミズムというべきものが存分に味わえる。
とくにリチャード・ライトのシンセサウンドのこだわりは見事で、作品世界形成の核をになっている。
曲間の静かな部分にすら、なんらかの空気がただよっている。これはこれまでの通常CDでは
なかなか感じ取れなかったものだ。音を通じて作品そのものに引き込まれるような感覚…
これが名作たるゆえんだったのだ。そう理解出来る。まさにSACDで聴くべきアルバムだ。
プログレ度・・8 ドラマティック度・・9 世界観度・・10 総合・・9
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PINK FLOYDWish You Were Here
ピンク・フロイドの9th。1975年作/邦題「炎」
ベストセラーとなった「狂気」に続くアルバムで、こちらも負けずにファンの多い傑作。
なんといっても、このアルバムの聴きどころといえば、2部に分かれた計26分におよぶ
“クレイジー・ダイアモンド”だろう。シド・バレットに捧げたといわれるこの大曲は、
美しいシンセワークともの悲しいギタートーンとともにゆるやかに始まり、
哀愁と泣きの叙情を含んで、やわらかなヴォーカルメロディでじわりと盛り上がる。
リックライトのシンセが光る佳曲“ようこそタイムマシーンへ”、そしてタイトル曲である
“あなたがここにいてほしい”と、曲ごとの魅力は「狂気」以上ともいってよいかもしれない。
英国度・・8 プログレ度・・8 叙情度・・9 総合・・8
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PINK FLOYD「ANIMALS」
ピンク・フロイドの10th/1977年作
「資本家」「インテリ」「小市民」を豚・犬・羊に例えるという、痛烈な社会批評が込められた作品だが、
サウンドの方には難解さはなく、おだやかな薄暗さというものが感じられるメロディアスなアルバム。
とくにデイブ・ギルモアの流麗なギターワークが全編楽しめるという点では一番かもしれない。
ヒプノシスの手によるジャケットも、広げて見るとまた素晴らしい出来栄えだ。
最初とラストの小曲では、その優雅に空を飛んでゆくブタの光景が見えるようだ。
「炎」ではソフトすぎ、「狂気」では難解すぎ、という方にはうってつけの作品。
むしろPORCUPINE TREEなどを好む若いリスナーなどは本作から入るのもいいだろう。
曲で聴かせるコンセプト作としては、次作「The Wall」と並ぶ出来だと思う。
メロウ度・・8 プログレ度・・7 薄暗度・・8 総合・・8
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PINK FLOYD「The Wall」
ピンク・フロイドの11th/1979年作
「狂気」のブレイクにより、しだいにバンド内での立場を強めたロジャー・ウォーターズが
自身の考えたコンセプトに基づいて作り上げた、2枚組の壮大なロックオペラ作品。
薄暗い叙情の好作「Animals」に続くアルバムとしては妥当な内容だと思うが、
初期のフロイドが好きな人間には、評価の微妙なアルバムのようでもある。
「聴衆との間に存在する壁」という、コンセプトとしては難解なテーマかもしれないが、
曲単位で聴けばむしろメロディアスな小曲の連続として、叙情的なサウンドが楽しめる。
重厚なシリアスさと、アコースティカルな素朴さを同居させた楽曲は、決して派手なものではないが、
ゆるやかなギターフレーズによる泣きのメロウさ加減や、うっすらとした美しいシンセ、オルガンに包まれて、
ウォーターズのメッセージ的な歌声がやわらかに響いてゆく。70年代最後のコンセプト傑作である。
メロウ度・・8 壮大度・・9 コンセプト度・・9 総合・・8.5
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PINK FLOYDFinal Cut
ピンク・フロイドの12th。1983年作
傑作「The Wall」の大成功の影で、バンド内では亀裂が大きくなり、リック・ライトが脱退し、
本作はロジャー・ウォーターズ主導により「ザ・ウォール」からの連続した作品として発表された。
歌ものとしてのキャッチーさとメロウな叙情性を含んで、ゆったりと聴かせるサウンドは、
やはり「The Wall」に通じるような雰囲気で、地味ながらもじっくりと味わえる。
本作を残してウォーターズは脱退。バンドはデイブ・ギルモアを中心に存続してゆくことになる。
メロウ度・・8 プログレ度・・7 叙情度・・8 総合・・8
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PINK FLOYDMomentary Lapse of Reason
ピンク・フロイドの13th。1987年作/邦題「鬱」
ロジャー・ウォーターズの脱退もありながら、バンドはデイブ・ギルモアを中心に存続、
本作ではゲスト扱いながらもリック・ライトが復帰し、他にも多くのゲストを迎えた内容になっている。
うっすらとした美しいシンセワークに、繊細なギターのトーン、日本盤タイトルから連想される暗さよりも、
むしろ、ゆるやかな曲調の中には随所に光があり、ギルモアのギターがメロディックに奏でられる。
社会的な大きなテーマを含んだロジャー時代の作風に比べると、いくぶんライトなというか、
コンセプトよりも音そのものが音楽であるという雰囲気に、過去のファンは物足りないかもしれないが、
ロックとしては普通に聴きやすい。次作「対」はよりメロウな美しさが際立った傑作となる。
メロウ度・・7 プログレ度・・7 叙情度・・7 総合・・7.5
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PINK FLOYD
「Division Bell
「対」のタイトルで知られる、ピンク・フロイドの1994年作
しっとりとした美しいピアノの音色にかぶさる、デイブ・ギルモアの繊細なギタートーン、
静謐感に包まれたその作風は、ロックとしてのダイナミズムをモダンな翳りの中に紛れ込ませて、
オーケストレーションや女性コーラスなどを含んだ、広がりのある空間的な音作りにより、
しだいにその叙情世界に引き込まれてゆく。印象的なジャケに目を奪われがちだが、
やわらかな歌声も含めて音自体に難解さはなく、ゆったりと鑑賞できる耳心地の良さが素晴らしい。
美しいシンセの重なりの中に響きわたる、ギルモアのメロウな泣きのギターが存分に味わえる傑作だ。
メロウ度・・9 プログレ度・・7 薄暗叙情度・・8 総合・・8
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PINK FLOYD「PULSE」
1994年の「対」ツアーの公演を収録したピンク・フロイドの2枚組ライブアルバム。1995作
ロジャー・ウォータース脱退後のフロイドには賛否両論があるようだが、
伸びやかに弾きまくるギルモアのギターが魅力的な「対」はじつにいい作品だったと思う。
本作でのライブ演奏でも、ギルモアのギター、ヴォーカルを中心に、リック・ライトの絶妙のシンセワークや、
多数のゲストコーラスを加えてのベテランらしい気負いのないアンサンブルでじっくりと聴かせてくれる。
Disc2には名作「狂気」の完全再現を収録。これだけでも本作を聴く価値はあるだろう。
また、本ツアーの映像を収録したDVD「驚異」も必見だ。
プログレ度・・7 ギルモア度・・9 ライブ演奏・・8 総合・・8
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PINK FLOYD「Is There Anybody out There? The Wall: Live 1980-1981」
ピンク・フロイドの代表作「The Wall」を完全再現したライブ作。2000年作
1980年から1981年にかけて行われたツアーから、イギリスのアールズ・コートでのライヴを収録。
時間をかけた壮大なステージセットや、アルバムの世界観を再現する演出の数々は
ブックレットの写真を見るだけでも感心するが、おそらくこの当時だからこそできたものだろう。
サウンドもステージの大きさに負けぬくらいに見事なもので、ゆったりとした曲調の中にも
緊張感と静寂の叙情があふれ、4人編成とは思えぬ濃密な空間を描き出している。
アルバム盤以上に楽しめるスケールの大きなライブ作品だ。
メロディアス度・・8 壮大度・・10 ライブ演奏・・8 総合・・8.5
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PINK FLOYD「ECHOESTHE BEST OF PINK FLOYD」
ピンク・フロイドの2枚組みベストアルバム。2001年作
メンバー自身の選曲と、新たなリマスタリングがほどこされた楽曲の数々は、
単なるベスト盤というよりは編集し直されたひとつの作品として聴き通すことができる。
コンセプト作である「The Wall」「狂気」、そしてシンフォニックな異色作「原子心母」
オリジナルアルバムで聴くべき作品だが、これからこのバンドの全貌を知りたいという方には
駆け足のベストとして機能するだろう。このバンドの持つゆるやかな叙情と独特の薄暗さ、
プログレ黎明の60〜70年代の空気を俯瞰して味わえる、なかなかお得な企画ものだと思う。
プログレ度・・7 フロイ度・・9 ベスト度・・8 総合・・8
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Pink Floyd 「The Endless River」
イギリスのプログレッシブロック、ピンク・フロイドの2014年作
1994年作「対」以来20年ぶりとなるアルバムで、故リック・ライトへのトリビュートという意味も込められた作品。
オルガンなどのシンセはほぼすべてがリックが残していた音源を使用し、サウンドスケープ的なやわらかな雰囲気に、
デイヴィッド・ギルモアのメロウなギターが加わり、ベースとドラムのリズムとともにフロイドらしい叙情的なサウンドが描かれる。
映画のサウンドトラックとして作っていたという音源なので、中盤以降は1〜3分台の小曲が中心でいくぶん物足りなさもあるが、
美しいリックのシンセワークとギルモアの泣きのギターだけで、そこはもうファンならば十分楽しめるだろう。
繊細なシンフォニック性という点では、むしろ最近のポストプログレ系のファンなどにも聴けるのではないかと思う。
ドラマティック度・・7 プログレ度・・7 メロウな叙情度・・8 総合・・8
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Pink Floyd 「Cre/Ation - The Early Years 1967-1972」
ピンク・フロイドの初期音源集。2016年作
バンド最初期の音源集で、BBCラジオの音源や、リミックス、シングル曲などを2CDに27曲収録。
先に発売された27枚組の同タイトルのダイジェスト的な編集版であるが、コアなファンでなければこれでOK。
シド・バレット時代のキャッチーなサイケロックから、デヴィッド・ギルモアが加入しての黄金期のへと至る、
バンドとしての裏音源的な楽しみ方ができる。年代を考えれば音質も良好で、リック・ライトのオルガンとともに、
ユルめのサイケ感が心地よい前半から、Disc2での18分に及ぶ「Atom Heart Mother」のライブも聴きどころ。
フロイドの正規アルバムを聴いてから手を付ければそれなりに楽しめる。話題の27枚組ボックスセットはこちら
初期フロイ度・・9 プログレ度・・7 音質・・7 総合・・8 
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Signs of Life - A Tribute To Pink Floyd
Angularレコード主催のオムニバス、ピンク・フロイドのトリビュート。2000年作
参加バンドは、Sylvan、RPWL、Solar Projectといったドイツ勢から、イギリスのPendragonや、
カナダのMystery、さらにはTiamat、Vanising Point、Angel Dust…といったメタル系バンドも参加。
SYLVANRPWLなどは、さすがにルーツというべきリスペクトとともに叙情的にカヴァーしていて素晴らしい。
同じくドイツのZIFFの男女ヴォーカルを乗せたシンフォニックな「Wish You Were Here」もなかなか魅力的だし、
Ground Crossの「Shine On You Crazy Diamond」や、Solar Projectの「Pigs」も、ダイナミックなプログレ感がよい。
PENDRAGONは安定のシンフォニック印で、一方では、Das Zeichenのゴシック風や、Vanising Pointのメロハー風、
TIAMATのヴィンテージロックなカヴァーや、女性ヴォーカルの妖しさが際立つ、Megaceのアレンジなども面白い
それぞれのバンドのカラーが現れた、プログレ、メタル両方から楽しめる個性的なトリビュート作品です。
プログレ度・・7 フロイ度・・8 アレンジ度・・8 総合・・8
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Procol Harum
英国のロックバンド、プロコル・ハルムの1967年作
名曲“青い影”で有名なこのバンドのデビュー作、その40周年記念エディション。
まず、かつての日本盤と異なり“青い影”がボーナストラック扱いとなっているのに驚くが
もともとオリジナルはそうだったのだろう。ブルージーなギターとハモンドオルガンの音色で
優雅に牧歌的に聴かせるサウンドは、いかにも英国の60年代という素朴さに溢れている。
プログレとして聴くには、よりクラシカルな傑作である次作「月の光」の方を薦めるが、
英国クラシカルロックの源流たる雰囲気をじっくり味わえる作品である。
クラシカル度・・7 プログレ度・・6 英国度・・9 総合・・7.5
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Procol Harum「Shine on Brightly」
英国のロックバンド、プロコル・ハルムのアルバム。1968年作
プロコルハルムといえば「青い影」の入った1stと、中期の傑作「グランド・ホテル」が有名だが
プログレッシブロックとして聴くとなると、本作「月の光」こそが最高傑作であると思う。
エレガントなハモンドオルガンの響きに、クラシカルな要素をもったコード進行、
どこをとっても英国らしさを感じる、気品と情緒に溢れたサウンドはじつに耳に心地よい。
アルバムのハイライトは17分にもおよぶ大作“IN HELD 'Twas IN I”
プログレッシブな感性とクラシックのフレーズなどを取り入れた大胆な展開が素晴らしい。
TRANSATLANTICがカヴァーしたこの曲を含め、シンフォニックファンにもお薦めしたい作品だ。
40周年記念エディションには別バージョンやシングルなど11曲をボーナス収録。
クラシカル度・・8 プログレ度・・7 英国度・・9 総合・・8 ◆プログレ名作選入り
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PROCOL HARUM「A SOLTY DOG」
ブリティッシュロックバンド、プロコル・ハルムの3rd。1969年作
クラシカルな傑作であった前作の流れを引き継ぐしっとりと優雅な1曲目から、
牧歌的なポップさの漂うカントリー調の2曲目という構成には、ややギャップを感じるが、
船乗りをテーマにした作品ということや、アメリカの市場を意識してのサウンドなのかもしれない。
もちろん英国らしい叙情性やオーケストラ入りの曲もあるが、前作「SHINE ON BRIGHTLY」に比べると
サウンドがシンプルに、より大衆的になったという印象で、アダルトな渋い味わいが光っている。
プログレファン以外はむしろ本作を気に入るかもしれない。リマスター盤には別テイクなどのボーナス5曲入り。
メロディアス度・・7 クラシカル度・・7 英国度・・7 総合・・7.5
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Procol Harum「Home」
ブリティッシュロックバンド、プロコル・ハルムの4th。1970年作
オルガン奏者のマシュー・フィッシャーが脱退し、サウンドはギターの比重がいくぶん強まった印象。
2作目までが英国のオルガンロックだとすると、前作〜本作にかけてはハードロック的な曲もあるのだが、
もちろんオルガンやピアノを使ったで曲は、彼ららしい叙情性も聴けるので、ファンはひと安心である。
全体的にはやや地味な印象だが、じっくり聴けばそう悪い作品でもない。リマスター盤にはボーナス2曲を追加。
メロディック度・・7 プログレ度・・6 英国度・・7 総合・・7.5
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PROCOL HARUM「Live〜In Concert With The Edmonton Symphony Orchestra」
ブリティッシュロックバンド、プロコル・ハルムのライブアルバム。1972年作
1971年、カナダはエドモントンでのライブ音源で、地元のオーケストラとの競演作。
オルガンの響きに優雅なオーケストラが合わさったことで、アルバム曲が壮大かつ
格調高い音
に生まれ変わり、このバンドのクラシカルな側面がいっそう助長されている。
圧巻はやはり2nd「SHINE OF BRIGHTLY」収録の組曲、“In Held'Twas In I”で、
これがまたオケと絶妙にマッチしていて、クラシカルかつ壮大な一大組曲になっている。
40周年記念エディションには、ボーナスにシングルやリハーサル音源など3曲を追加収録。
クラシカル度・・9 英国度・・8 ライブ演奏・・8 総合・・8
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Procol Harum「Grand Hotel」
英国のロックバンド、プロコル・ハルムの1973年作
本作はポップ化の始まった時期のアルバムと言われるが、たおやかなピアノに絡む
ストリングスが美しいタイトル曲は、シンフォニックでじつに優雅な絶品の名曲。
2曲目以降も、確かにポップにはなっているが、英国ロックとしての質感は不変で、
ハモンドオルガンの音色にオーケストラ、しっとりとしたピアノのバラードなど、叙情性はたっぷり。
Srackridgeなどを思わせるユーモアのあるポップロック曲もあるが、それもなかなか味わいがある。
40周年記念エディションには、ボーナスに別バージョン2曲を追加収録
メロディアス度・・8 プログレ度・・6 英国度・・9 総合・・8
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Procol Harum「Exotic Birds and Fruit」
英国のロックバンド、プロコル・ハルムのアルバム。1974年作
「異国の鳥と果物」というタイトルとこの美しいジャケがとても印象的だが、
内容も前作「グランド・ホテル」にさほど劣らない。いくぶんポップなテイストを含みつつ
オルガンやピアノがクラシカルに鳴らされ、バックにはオーケストラも美しい。
インパクトは薄いが、バンドとしての成熟がうかがえる安定したサウンドが楽しめる。
40周年記念エディションには、ボーナスに別ミックス曲など2曲を追加収録
メロディアス度・・8 プログレ度・・6 英国度・・9 総合・・7.5
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PROCOL HARUM「Something Magic」
英国のメロディックロックバンド、プロコル・ハルムの1977年作
プログレ的に見るとこのバンドの最高作は2nd「月の光」だと思うが、
あるいはそれに続くのは、18分の大曲を含む本作「輪廻」かも知れない。
中期の傑作「グランド・ホテル」以降のキャッチーなポップ感覚を残しつつ、
美しいオーケストラアレンジをバックに哀愁のメロディを聴かせてくれる。
そしてラストは、クラシカルなピアノの響きとともにシリアスに展開してゆく組曲で、
仏教の輪廻からテーマをとった壮大なシンフォニックロックが楽しめる。
クラシカル度・・8 プログレ度・・7 英国度・・9 総合・・8
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Procol Harum 「The Prodigal Stranger」
ブリティッシュロックのベテラン、プロコル・ハルムの1991年作/邦題「放蕩者達の絆」
1967年にデビュー、1977年までに9作のアルバムを残して解散。本作は14年ぶりとなる復活作で、
3rd以来のオリジナルメンバーが集結、優美なシンセをギターに重ね、枯れた味わいのヴォーカルで、
大人の叙情ロックを聴かせる。オルガンが鳴り響くところは、かつてのプロコル・ハルムを思わせるが、
モダンなビート感による80年代的な雰囲気も感じさせる。オールドな味わいとキャッチーな部分のバランスもよく、
ロビン・トロワーの奏でるギターの旋律も随所に光っている。本作ののちバンドは再び沈黙。2003年の再復活を待つことになる。
メロディック度・7 プログレ度・5 大人の叙情度・8 総合・7.5 
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Procol Harum 「Well's on Fire」
ブリティッシュロックバンド、プロコル・ハルムの2003年作
1991年作「放蕩者達の絆」以来の12年ぶりとなるアルバムで、ピアノやオルガンの音色に
枯れた味わいのヴォーカルを乗せた、大人の哀愁を感じさせるメロディックロック。
ギターは適度にハードに、そしてメロウに、英国の70年代を通り抜けてきたバンドらしい
大衆的なぬくもりを含んだ聴き心地で、オールドなファンも納得のサウンドだろう。
楽曲そのものはシンプルで、適度にノリのよいポップ性と、渋みのあるナンバーが同居していて、
70年代を思わせる古き良き感触が楽しめる8曲目、クラシカルな10曲目あたりは嬉しいところ。
60年代から活動する大ベテランバンドの現在形を伝えるには十分な内容だろう。
ドラマティック度・・7 古き良きプロコル度・・8 大人の哀愁度・・8 総合・・7.5
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QUATERMASS
ブリティッシュロックバンド、クォーターマスの1970年作
ヒプノシスによるこのプテラノドンジャケが有名だが、内容はハモンドオルガンが鳴り響くプログレ風味のハードロック。
ギターレスのトリオ編成でありながら、同じスタイルのELPとは違いあくまでヴォーカル重視で聴かせる分かりやすいサウンドだ。
オルガンをバックに歌われるパワフルな歌唱にはマイナー臭さはなく、9分、10分という大曲では
英国的な哀愁と叙情とを含んだ、プログレ的な展開美も楽しめる。年代を考えればかなりの傑作だろう。
オルガン度・・9 プログレ度・・7 英国度・・9 総合・・8
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QUATERMASS
ブリティッシュロックバンド、クォーターマスの1970/2013年作
2013年のリミックスによる新バージョンで、ジャケのプテラノドンも一部カラーになっている。
ギターレスのトリオ編成でオルガンが鳴り響き、ハードロック寄りのヴォーカルを乗せたスタイルながら、
プログレ、アートロック的な混沌とした空気感にも包まれたサウンドで、新たなリミックスにより
ベースとドラムの迫力がぐっと増している。クラシカルなハープシコードにストリングスが重なる
叙情ナンバーなども含め、70年代初頭のアルバムとしては聴きごたえのある傑作だろう。
2013年盤は、ボーナスにシングル曲やライブ音源を収録、5.1chのサラウンド音源収録のDVD付き。
ドラマティック度・・8 プログレ度・・7 リミックス度・・9 総合・・8
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Quicksand 「Home Is Where I Belong」
ブリティッシュロックバンド、クイックサンドの1974年作
キャッチーなメロディと牧歌的な素朴さで聴かせる英国らしいサウンド。
オルガンにかぶさるギターの音色もどこか田舎っぽいやわらかさで、
マイルドな歌声とともに、耳心地よく楽しめる。曲によってはリズムチェンジも含めた
プログレとしての味わいもあって、マイナーなバンドとしてはなかなかの好作である。
メロディック度・・8 プログレ度・・7 英国度・・9 総合・・7.5
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Quiet Sun「Mainstream」
イギリスのジャズロックバンド、クワイエット・サンの1974年作
ROXY MUSICのフィル・マンザネラを中心に、チャールズ・ヘイワード、ビル・マコーミックらが参加、
ジャズロック的なアンサンブルの上にエッジの立ったギターが重なり、
緊張感のあるインストサウンドを展開。やわらかなエレピの音色はカンタベリー的だが、
案外ヘヴィなギターワークがサウンドに攻撃的な迫力を生み出している。
一方ではフリーキーな感性によるアヴァンギャルドな感触も入り交じる。
ジャズロック度・・7 プログレ度・・8 アンサンブル度・・8 総合・・8
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Quiet World 「The Road」
イギリスのアートロック、クワイエット・ワールドの1970年作
のちにGENESISに加わるスティーヴ・ハケットが参加していることでも知られる作品で、
大胆にオーケストラを取り入れ、物語的な語りなどシアトリカルな世界観に包まれたコンセプト作品。
優雅なアコースティックギターに艶やかなストリングス、キャッチーなヴォーカル&コーラスを乗せ、
2〜3分前後の小曲を連ねた、いわばThe Beatlesをアートロック化したような感触で楽しめる。
オーケストラによるシンフォニック性と、THE MOODY BLUESあたりにも通じる牧歌的な味わいが、
湿り気を含んだ英国の空気感を描き出す。プログレ以前の英国アートロックの逸品です。
リマスター盤には、1969〜71年までのシングル曲6曲をボーナス収録。
ドラマティック度・・8 プログレ度・・6 英国度・・9 総合・・8
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Quintessence 「Infinite Love: Live at Queen Elizabeth Hall 1971」
イギリスのサイケロック、クインテセンスのライブ作品。1971/2009年作
1969年に結成されたバンドで、ヒッピーがかったサイケ性と、東洋思想を織り込んだ神秘的な世界観で、
アンダーグラウンドな香りを漂わせたサウンド。本作は1971年のライブをCD2枚組に収録している。
初期のPINK FLOYDを思い切りユルく、フォーク風味にしたような素朴な味わいで、やわらかなフルートが鳴り響き、
マイルドなヴォーカルとともに牧歌的な空気に包まれた聴き心地。10分、15分という大曲も多数あるが、
ギターもベースものんびりとした演奏なので、プログレ的な構築性や緊張感などはほぼ皆無。
まどろみながら聞き流せる、ユル系サイケフォークです…zzz
ドラマティック度・・7 プログレ度・・7 ゆったりのんびり度・・8 総合・・7.5
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QUINTESSENCE 「Spirits from Another Time」
イギリスのサイケロック、クインテセンスの2016年作
1969年に結成、HAWKWINDとともに70年代の英国サイケロックを代表するバンドで、
本作は1969〜71年の作品から選曲された、シングル曲や未発曲を含む、CD2枚組のベスト。
アコースティックギターにシタール、フルートの音色が重なり、詠唱的な感じのヴォーカルを乗せた、
ユルめのサイケロックサウンド。スペイシーなホークウインドに比べて、こちらは東洋的な神秘性を感じさせ、
11分を超える大曲なども、盛り上がり過ぎず、あくまでオリエンタルなサイケ感をゆったりと描いている。
適度にアッパーでありながら、70年代初頭のおおらかな空気感のサイケロックが楽しめます。
ドラマティック度・・7 サイケ度・・9 ユル度・・8 総合・・7.5
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RARE BIRDAs Your Mind Flies By
ブリティッシュロックバンド、レア・バードの2nd。1970作
ギターレスのツインキーボードという個性的な編成で、ハモンドオルガンの鳴り響く
叙情的なブリティッシュロックを聴かせる。年代的にもプログレ前夜の牧歌的な味わいがあり、
ヴォーカルの粗さも含めてレトロな時代性を感じさせる音だ。オルガンを含めたクラシカルな質感は
PROCOL HALMあたりにも通じるものがあり、とくに19分の組曲“Flight”は構成力の光る見事な出来である。
2007年リマスター盤にはシングル曲など3曲をボーナス収録。
クラシカル度・・8 プログレ度・・7 英国度・・9 総合・・7.5
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Rare Bird 「Epic Forest」
ブリティッシュロックバンド、レアバードの1972年作
1969年のデビュー作、1970年の2作目は、英国オルガンロックの好作とされるが、
3作目の本作ではポップな感触が増していて、ビート感のあるキャッチーな作風になっている。
一方では英国らしい牧歌的な叙情性も残っていて、オルガンなどは使っていないが、
エレピを使ったカンタベリー的な味わいも感じさせる。ツインギターによるWishbone Ashばりの音の厚みと
ブルージーな大人の構築性は、プログレとは言えないかもしれないが、これはこれで悪くない。
メロディック度・・7 プログレ度・・6 英国度・・8 総合・・7.5
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Refugee
イギリスのプログレバンド、レフュジーの1974年作
後にYESに加入するパトリック・モラーツと元NICEのメンバーによる唯一のアルバム。
きらびやかなモラーツのシンセワークを中心にした、NICEやELPを思わせるクラシカルな鍵盤プログレ。
いくぶんドタドタとしたドラムに、強引なまでにムーグシンセで押しまくりつつ、オルガンやピアノも鳴り響き
ときに歌もので盛り上げたりもするサウンドは、オランダのTRACEをやや粗削りにしたという雰囲気もある。
とくに長い組曲の出来が白眉で、クラシカルな優雅さと暑苦しい濃密さが同居した傑作である。
クラシカル度・・8 プログレ度・・8 キーボー度・・8 総合・・8
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Refugee「Live in Concert-Newcastle City Hall 1974
レフュジーのライブアルバム。2007作
1974年のニューキャッスルでのライブ音源を収録。
ハモンドとムーグを掻き鳴らす、クラシカルな繊細さとELPばりの勢いで
濃密に聴かせるライブ演奏は臨場感もあって、音質もなかなか良好。
クラシカル度・・8 ライブ演奏・・8 音質・・7 総合・・7.5
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RENAISSANCE
元ヤードバーズのキース・レルフとジム・マッカーティを中心に結成された、オリジナル・ルネッサンスの1969年作
クラシカルなピアノが鳴り響き、キース・レルフの歌声とともに、フォークルーツの牧歌的なサウンドを聴かせる。
妹ジェーン・レルフの美しい歌声と、優雅なピアノの旋律は、のち新生ルネッサンスの原点をすでに感じさせるが、
いくぶん翳りを帯びた雰囲気は、アートロック黎明期らしいの味わいがある。ハープシコードの典雅な響きに、
ジェーンのヴォーカルが映えるナンバーも耳心地よく、ラストの11分の大曲は、プログレ・ジャズロック的な感触も覗かせる。
のちに「Innocents & Illusions」というタイトルで、2作目とのカップリング2CDで再発されている。
クラシカル度・・8 優雅度・・8 英国度・・9 総合・・8
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RENAISSANCE「Illusion」
元ヤードバーズのキース・レルフとジム・マッカーティを中心に結成された、オリジナル・ルネッサンスの2作目。1971年作
キースの妹であるジェーン・レルフとの兄妹の男女ヴォーカルとアースティカルな牧歌性、
そしてピアノを含んだクラシカルな優美さは、後の第二期ルネッサンスにも通じる雰囲気がある。
フォークロック的な素朴さと英国らしい湿り気のある薄暗い叙情性は、プログレファンにもとても楽しめる。
本作のレコーディング後、キースやジムが相次いで脱退、バンドはマイケル・ダンフォードを中心にした、
第二期ルネッサンスへと続いてゆくことになる。1976年キースの死去を受けて、ジムとジェーンはバンドを復活させようとするが、
すでにルネッサンスの名前は使えなかったため、イリュージョンの名義でアルバムを1977年、78年に作っている。
クラシカル度・・7 優雅度・・8 英国度・・9 総合・・8
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Renaissance「Prologue」
英国のクラシカルロックバンド、ルネッサンスの1972年作
第一期ルネッサンスの2作目のレコーディングを手掛けたマイケル・ダンフォードを中心に結成。
希代の女性シンガーアニー・ハズラムをヴォーカルに迎えた、新生ルネッサンスの1作目である。
契約の関係でダンフォードはこの時点ではバンドメンバーにはならず、作曲のみの参加となった。
美しいピアノのつまびきにハミングが重なり、軽やかに始まる1曲めからこのバンドらしい優雅な聴き心地で、
黄金期の到来を告げる作品という感触だ。次作以降に比べると、楽曲には素朴な牧歌性を感じさせるのだが、
初々しいアニーの歌声に聴き惚れつつ、クラシカルな美意識を含んだ構築力はさすがで、
11分を超えるラスト曲にはラヴェルのボレロのフレーズを取り入れるなどのセンスも素晴らしい。
クラシカル度・・9 優雅度・9 女性Vo度・・8 総合・・8
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Renaissance「Ashes Are Burning」
英国のクラシカルロックバンド、ルネッサンスの1973作
「燃ゆる灰」のタイトルで知られるバンドを代表する傑作。美しいピアノが鳴り響く、
1曲目の“Can You Understand”のイントロからして、このバンドのクラシカルな叙情美がすべて味わえる。
そこに瑞々しいアニー・ハズラムの歌声が加わると、世界はしっとりとした優しさに包まれる。
どこかまだフォーク的な牧歌性を残したメロディに、艶やかなストリングスが重なって
雄大でありながらも、英国の優雅な土臭さともいうべき感触がとても耳に優しい。
ライブでの定番曲“Carpet of the Sun”の爽やかさにはうっとりと聞き入ってしまうし、
11分に及ぶラストのタイトル曲は、フォーキーなやわらかさで始まりつつ、
クラシカルな間奏部をはさんでラストに向かって盛り上がる感動的な名曲だ。
クラシカル度・・9 優雅度・・9 女性Vo度・・9 総合・・9
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Renaissance「Turn of the Cards」
イギリスのクラシカルロックバンド、ルネッサンスの1974作
「運命のカード」のタイトルで知られる名曲多数の傑作。名作「燃ゆる灰」と「シェラザード夜話」にはさまれ、
いまひとつ注目度の低いアルバムだが内容では決して引けをとらない。艶やかなピアノによるクラシカルなイントロから、
軽快なリズムで始まる“Running Hard”は、典雅なハープシコードがオーケストラと合わさって、シンフォニックに聴かせる屈指の名曲。
アニー・ハズラムの瑞々しい歌声も素晴らしい。“Things I Don't Understand”はクラシカルで叙情味豊か、
ドラマティックな大曲で、ラスト曲の“Mother Russia”の雄大な美しさとともにこのアルバムの核をなしている。
この時代のルネッサンスに外れなし。本作からマイケル・ダンフォードが正式メンバーに名を連ねている。
シンフォニック度・・8 クラシカル度・・9 壮麗度・・8 総合・・8.5
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Renaissance 「Scheherazadeand other stories」
イギリスのクラシカルロックバンド、ルネッサンスの1975作
第二期Renaissance初期4作はどれもが必聴の傑作なのだが、中でもクラシカルな壮大さの点では
「シェエラザード夜話」のタイトルで知られる、本作こそが最高傑作であると断言できる。
クラシカルなピアノのイントロから、アニー・ハズラムの艶やかな歌声が加わると、
ファンタジックなシンフォニックロック風の優美な質感にぐいぐいと引き込まれてゆく。
名曲“Ocean Gypsy”の泣きの叙情で軽く昇天した後は、24分を超える組曲“Song of Scheherazade”で
まさに本作のハイライトというべき、ドラマティックかつ壮麗なクラシカルロックサウンドで感動させてくれます。
往年のライブ映像を収録した、DVD付きのリマスター盤もお薦めです。
シンフォニック度・・8 クラシカル度・・9 壮麗度・・9 総合・・9
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Renaissance「Live at Carnegie Hall」
英国のクラシカルロックバンド、ルネッサンスのライブアルバム。1976作
バンド全盛期の1975年に行われたアメリカ、ニューヨークでのオーケストラとの共演ライブを収録。
一般的には後から出た「キングビスケット」ライブの方が評価が高くなってしまったが、
個人的にはこちらの音源の方が、音の湿りけがあるような感じで気に入っている。
“Prologue”からスタートして“Ocean Gypsy”、“Can You Understand”という流れは、
まさにこのバンドの美味しいところをすべて含んだ選曲で、クラシカルなピアノの響きと
アニー・ハズラムの絶品の歌声には何度聴いてもうっとりとなる。バックのストリングスの音が
少しくぐもっているのも、むしろメロトロン風味に聴こえたりしてシンフォニックでよろしいかと。
CD2は“Scheherazade”、“Ashes are Burning”という大曲2曲だけという構成も心憎い。
なんにしても、英国クラシカルロックバンドの必聴のライブアルバムである。
クラシカル度・・9 ライブ演奏度・・9 女性Vo度・・9 総合・・9
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Renaissance「Novella」
イギリスのクラシカルロックバンド、ルネッサンスの1977年作/邦題「お伽噺」
最初に聴いたRenaissanceのアルバムがこれ。今では「シェラザード〜」と「燃ゆる灰」が一番のお気に入りだが、
幻想的なジャケや「お伽話」というタイトルを含めて、本作は最初に聴くときにはとてもワクワクしたものだ。
壮麗なオーケストラから幕をあけ、アニー・ハズラムの絶品の歌声が響きわたる“Can Tou Hear Me?”、
クラシカルな“Midas Man”にうっとりし、ラストを締めくくる壮麗な“Tuching Once”まで、優しいお伽話に浸れる。
初期のようなフォークっぽさが薄れ、スタイリッシュな作風になった点で、一般のリスナーにも人気の高い一枚だ。
クラシカル度・・8 美麗度・・8 女性Vo度・・8 総合・・8
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RENAISSANCEA Song for All Seasons
英国のクラシカルロックバンド、ルネッサンスの1978年作
ルネッサンスの傑作というと「プロローグ」から「ノヴェラ」まで、という思い込みがあったのだが
本作の素晴らしさは予想以上で、雄大なオーケストラをバックに、初期よりもキャッチーになったメロディと、
歌姫アニー・ハズラムの美声がじつに耳に優しく響きます。クオリティの高さはむしろ前作以上かもしれない。
「四季」というタイトルのように、自然体の美しさとやわらかさで聴かせる好作品です。
シンフォニック度・・8 クラシカル度・・8 女性Vo度・・9 総合・・8
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Renaissance 「Azure d'Or」
ルネッサンスの1979年作/邦題「碧の幻想」
前作「四季」でのキャッチーな作風をさらにスタイリッシュにしたというサウンドで、
アニー・ハズラムの伸びやかな歌声と、バンドサウンドが一体となったなかなかの好作品。
これまでのオーケストラアレンジではなく、バンドとしてのグルーブ感がより強調されていて、
シンセによる美しいアレンジが効いていることもあって、クオリティの高さという点では、
これまでのアルバムにも決して引けを取らない。3〜5分にコンパクトにまとめられた楽曲は、
無駄をそぎ落とした抜けの良さがあり、プログレとしての物足りなさを差し引いても完成度は高い。
シンフォニック度・・8 クラシカル度・・8 女性Vo度・・9 総合・・8
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Renaissance 「Tales of 1001 Nights Vol. 1」
イギリスのクラシカルロック、ルネッサンスのベスト。1990年作
1975年のニューヨーク、カーネギー・ホールでのライブ音源から始まり、大曲「Can You Understand」など3曲、
中盤は、1974年作「運命のカード」から4曲、後半には1975年作「シェエラザード夜話」から4曲と、
ベストとしてやや変則的な内容。おそらく「Vol.2」を含めて作品を網羅できるということなのだろう。
クラシカルなピアノにアニー・ハズラムの伸びやかな歌声に、随所に壮麗なオーケストラも加えた
優雅なサウンドは唯一無二の存在だろう。「Mother Russia」や「Ocean Gypsy」など名曲も多数で、初心者もぜひ。
クラシカル度・・8 壮麗度・・9 女性Vo度・・8 総合・・8
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RENAISSANCE「BBC SESSIONS」
ルネッサンスのライブ作品。
1975〜1978の間に英国BBCテレビ用に録音された音源をCD2枚に収録。
オーケストラなしのバンドのみでの演奏なので、よりバンドとしての生の音を感じることができる。
初期の名作「プロローグ」から「四季」までのベスト的な選曲で、音質も良好。
アニー・ハズラムの美声は言うに及ばず、バックのリズムセクションの切れもよく、
オケなしでも楽曲の優雅な雰囲気はまったく損なわれていない。必聴のライブ音源です。
音質・・8 演奏・・9 クラシカル度・・9 総合・・9
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RENAISSANCE「KING BISCUIT FLOWER HOUR PRESENTS
英国が誇るクラシカルロックバンド、ルネッサンスのライブアルバム。1997年作
1977年、ロイヤルアルバートホールでの録音をCD2枚組に収録。
これまでルネッサンスのライブCDといえば、「カーネギーホール」だったが、本作は録音的にはそれを上回る。
バックのピアノ、オケの音が鮮明で、荘厳なオーケストラをバックに美しくも堂々としたアニー・ハズラムの歌唱が響き渡る。
Disc1ラストの「Song of Scheherazade」組曲のオケ入り再現はじつに感動的である。Disc2では名曲「燃ゆる灰」
名作「運命のカード」からの楽曲がやはり素晴らしい。ルネッサンスファンは必聴のライブ音源だ。
メロディアス度・・9 クラシカル度・・9 オーケストラ度・・9 総合・・9
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Renaissance 「The Other Woman」
マイケル・ダンフォードを中心に、ヴォーカルにステファニー・アドリントンを迎えての、
「別働ルネッサンス」というべきプロジェクトの1作目。1995年作
伸びやかな女性ヴォーカルを中心にしたキャッチーなサウンドで、全盛期のルネッサンスの頃にあった
クラシカルなテイストは薄めなので、プログレファンにはやや微妙な作風なのだが、
メジャー感ただようポップ性とともに、クオリティはなかなか高いと思う。とくにしっとりとしたバラード曲などでは
彼女の歌声にうっとりとなるし、1978年作「四季」収録の“Northern Lights”のリメイクも嬉しい。
ルネッサンスという名前を別にすれば、良質の女性声メロディックポップとして楽しめる。
メロディック度・・8 プログレ度・・5 女性Vo度・・8 総合・・7.5
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Renaissance 「Ocean Gypsy」
マイケル・ダンフォードを中心にした、別働ルネッサンスというべきプロジェクトの2作目。1997年作
ステファニー・アドリントンをフロントに、かつてのルネッサンスの楽曲を中心にしたアルバムで、
アコースティックギターに艶やかなストリングス、ピアノ、フルートなどのクラシカルな響きに、
アニー・ハズラムとはまた異なる味わいの伸びやかな女性ヴォーカルでしっとりと聴かせる。
アルバムタイトルの名曲“Ocean Gypsy”をはじめ、“Carpet of the Sun”、“Trip to the Fair”など、
往年のルネッサンスファンにもたまらないナンバーが新たなアレンジで楽しめる。
反面、バンド名が足かせになり、ダンフォードの新たなプロジェクトとしては発展できずに終わる。
クラシカル度・・8 優美度・・9 女性Vo度・・8 総合・・8
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Renaissance「Tuscany」
英国クラシカルロックバンド、ルネッサンスの復活作となる2001年作
アニー・ハズラムの美しい歌声に、クラシカルなピアノ、シンセワーク、
これぞルネッサンス節という往年を思わせるサウンドで聴かせる好作。
楽曲自体はコンパクトなものが中心ながらも、元CAMELのMickey Simmonsによる
美しいシンセアレンジも随所に効いていて、ゆるやかな美意識に包まれた音にうっとりとできる。
クラシカル度・・8 プログレ度・・7 アニーハズラム度・・8 総合・・8
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Renaissance「In The Land of the Rising Sun」
英国のクラシカルロックバンド、ルネッサンスのライブアルバム。2002作
2001年の「Tuscany」で復活を果たし、待望の来日公演を成功させたこのバンド、
その来日ステージをCD2枚に収録。1曲目の“Carpet pf the sun”から往年を思わせる
アニー・ハズラムの歌声にうっとり。続くのは「四季」の1曲目“Opening Out”、
シンセによるオーケストレーションも美しい。「NOVELA」からの“Midas Man”、
アルバム「トスカーナ」からの楽曲も素朴でいい感じだしMIKE OLDFIELDのカヴァー
“Moonlight Shadow”もアニーの歌声にマッチしている。Disc2は「運命のカード」からの
クラシカルな大曲“Mother Russia”〜「シェラザード夜話」の“Trip to the Fair”の流れで
いきなり感涙。そしてラストは20分におよぶ“Ashes are Burning”で感動的に幕を閉じる。
まさに往年のファンも感動もののライブステージであったろう。これは生で見たかった!
シンフォニック度・・8 クラシカル度・・8 ルネッサンス度・・9 総合・・8
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RENAISSANCE「Dreams & Omens"Live" at the Tower Theatre 1978」
イギリスのクラシカルロックバンド、ルネッサンスのライブ音源。2008年作
アメリカ、フィラデルフィアでの1978年のライブ音源を収録。「お伽話」からの“Can You Hear Me”で幕を開け
定番曲ながら、歌姫アニー・ハズラムの瑞々しい歌唱はやはり素晴らしい。
「燃ゆる灰」からの“Carpet of the Sun ”をはさんで、「四季」からのダイナミックな大曲“Day of the Dreamer ”へと続いてゆく。
オーケストラはなくとも、美しいピアノの音色やバンド自体の演奏も安定しており、発掘音源にしては音質も良好だ。
ラストは「運命のカード」収録の“ Things I Don't Understand ”。ファンならば聴いて損のないライブ音源だろう。
ライブ演奏・・8 音質・・8 ルネッサンス全盛期度・・9 総合・・8
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Renaissance「Live in Chicago」
英国クラシカルロックの代表格、ルネッサンスのライブアルバム。2010作
タイトル通り1983年のアメリカ、シカゴでのライブ音源で、時期的にはバンドとして
ポップになってきた頃なので、音にもクラシカルな優雅さよりもキャッチーな雰囲気が強い。
これまでの公式音源に比べると音質はやや落ちるので、ファン向けのアイテムだろうが、
“Ocean Fypsy”、“Ashes Are Burning”といった代表曲にはやはりうっとりである。
クラシカル度・・7 ライブ演奏・・7 音質・・6 総合・・7.5
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Renaissance 「The Mystic And The Muse」
イギリスのクラシカルロック、ルネッサンスの2010年作
2010年の来日記念の3曲入りEPで、1曲目のタイトル曲は、アニー・ハズラムの美しい歌声に
クラシカルなピアノ、オーケストレーションも加えた、往年を思わせるシンフォニックなサウンドで、
まさにルネッサンス完全復活を思わせる、8分近くの大曲。キャッチーで優美な感触の2曲目や、
繊細なピアノとオーケストラアレンジをバックに、しっとりと美しい歌声が楽しめる3曲目もウットリです。
タイトル曲は、2013年のアルバム「Grandine Il Vento(消ゆる風)」にも収録されるのだが、
「消ゆる風」未聴の方は、日本限定の本EPを入手して、ぜひ聴いていただきたい。
クラシカル度・・8 優美度・・9 アニーの歌声度・・9 総合・・8
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Renaissance 「Tour 2011 - Live in Concert」
イギリスのクラシカルロック、ルネッサンスのライブ。2011年作
1974年作「運命のカード」、1975年作「シェエラザード夜話」を完全再現したライブステージを、2CD+DVDに収録。
かつてのメンバーはアニー・ハズラム、マイケル・ダンフォードのみであるが、クラシカルなピアノに
やわらかなアニーの歌声を乗せ、ゆったり優雅な大人のルネッサンスというべき演奏を聴かせる。
かつてのような躍動的なリズムや瑞々しさはなくなっているが、落ち着いたアンサンブルをバックに
じっくりと歌い上げるアニーの歌唱はやはり唯一無二。大曲「マザー・ルシア」もしっとりとした仕上がりだ。
楽曲的には、より優雅な「シェエラザード夜話」の方が引き立っている。名曲「オーシャン・ジプシー」も美しい。
ラストは新編成で2010年に発表された新曲「The Mystic And The Muse」を披露。DVDのカメラワークはやや凡庸だが
アニー・ハズラムの元気な姿と、故マイケル・ダンフォードの最後のライブ映像が見られるという点ではファン必見です。
ライブ演奏・・8 クラシカル度・・8 アニーの歌声度・・8 総合・・8 
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Renaissance「Symphony of Light
英国のクラシカルロック、ルネッサンスの2014年作
2013年作「Grandine Il Vento(消ゆる風)」にボーナスを追加した新装版で、故マイケル・ダンフォードに捧げられた曲などを追加収録。
アニー・ハズラムの変わらぬ美声とシンフォニックな美意識に彩られたアレンジで聴かせる、
これぞルネッサンスという優雅なサウンド。プログレ的な構築美が素晴らしい12分のタイトル曲をはじめ、
やわらかなピアノやオーケストラアレンジを含んだクラシカルな感触と雄大なスケール感を
涼やかな風で包み込んだというべき耳心地で、うっとりと楽しめる。往年のファンも必聴の傑作でしょう。
シンフォニック度・・8 優雅度・・9 アニーの歌声度・・9 総合・・8
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Renaissance 「De Lane Lea Studios 1973」
イギリスのクラシカルロック、ルネッサンスの未発ライブ音源。2015年作
1973年、BBC放送用に録音されたスタジオライブの音源で、名作「燃ゆる灰」の時期のバンド全盛期の演奏が楽しめる。
1曲目の“Can You Understand”の躍動的なアンサンブルから惹きつけられるが、そこに乗るアニー・ハズラムの
瑞々しい歌声にはうっとりとなる。MCでのアニーの楽しげな笑声などからも、当時のバンドの空気感が伝わってくる。
大曲“Ashes Are Burning”にはWishbone Ashのアンディ・パウエルとアル・スチュワートがゲスト参加している。
音質的には、いくぶんノイズが入ったりと最高と言うわけではないが、上等のブートレグと思えば問題なく聴ける。
ライブ演奏・・8 音質・・7 瑞々しい度・・9 総合・・8
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Renaissance 「Live at the BBC - Sight & Sound」
イギリスのクラシカルロック、ルネッサンスのライブ音源集。2016年作
本作は以前にもCD化されていた「BBC Sessions」の拡大版で、3CD+DVDというボックスセット。
Disc1は1977年のライブ音源を68分収録。編集版だったBBCセッション版に比べて、前説のMCも含めて
ライブとしての流れで楽しむことができる。モノラルながら音質も良好で、伸びやかなフニー・ハズラムの歌声が
魅力たっぷりに響き渡る。オーケストラアレンジはないものの、純粋なバンド演奏による大曲「Mother Russia」や
代表曲「Ocean Gypsy」などもじつに優美な仕上がりだ。Disc2は1975年のライブ、1978年8月のスタジオセッションを収録、
Disc1とけっこう曲はかぶるが、18分に拡大された大曲「Ashes Are Burning」などはシンフォニックなスケール感が感動的。
Disc3は、1976年のライブ音源を収録。25分におよぶ壮麗なシンフォニック大曲「Song of Scheherazade」も披露してくれる。
DVDにはDisc1と同じ、1977年のライヴ映像を収録。TV用なので画質も良好。若き日のアニーの姿にウットリです。
クラシカル度・・9 優美度・・9 アニーの歌声度・・9 総合・・9 
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RICK WAKEMAN「Six Wives of Henry VIII」
YESのキーボード奏者、リック・ウェイクマンのソロ作。1973作
「ヘンリー八世の六人の妻」という、いかにもリックの時代的なロマン主義が反映された本作は
鍵盤の魔術師リックのピアニストとしての魅力もたっぷりと味わえる逸品だ。
ムーグやハモンドなどの時代的な音色と、クラシカルなピアノの音色がゆるやかに交差し、
中世を思わせるロマンティックな世界観と、格調高い英国の気品が凝縮されている。
“Catherine Howard”の優雅なピアノの旋律には、誰もがうっとりとなるだろうし、
“Jone Seymour”での荘厳なパイプオルガンやハープシコードの雅びな響きも格別、
そして彼の代表曲ともなる“Catherine Parr”のハモンドの早弾きは圧巻である。
クラシカル度・・9 プログレ度・・8 英国度・・9 総合・・8.5
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RICK WAKEMAN「Journey to the Centre of the Earth」
YESのキーボード奏者、リック・ウェイクマンのソロ作。1974作
「ヘンリー八世〜」に続くソロ2作目は、ジュール・ヴェルヌの「地底探検」をテーマにした作品である。
壮麗なオーケストラとコーラス隊をバックにしたがえ、リックのきらびやかなシンセワークが鳴り響き、
本家YES以上にクラシカルなサウンドが描かれてゆく。またキャッチーなメロディで歌われる
ヴォーカルパートは、物語を語るようなナレーションとともにロマンティックな趣で聴かせてくれる。
ライブ録音ということで音質は完璧ではないのだが、かえってそれが臨場感を高めている。
次作「アーサー王と円卓の騎士たち」を含め、文芸三部作とも呼ばれるリックの代表作である。
クラシカル度・・8 プログレ度・・7 壮大度・・8 総合・・8
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RICK WAKEMAN 「Myths & Legends Of King Arthur & The Knights Of The Round Table」
YESのキーボード奏者、リック・ウェイクマンのソロアルバム。1975年作
「ヘンリー八世と六人の妻」、「地底探検」と、クラシカルで幻想的な作品を作り出してきた
ウェイクマンの極めつけのアルバム。「アーサー王と円卓の騎士たち」というタイトル通り、
アーサー王伝説をモチーフにしたファンタジックなシンフォニックロック作品である。
壮麗なオーケストラとともに、雄大でエピックな世界を描き出す手法は今作で完成されたといっていい。
中世を思わせる優美なチェンバロの音色や、リックの奏でるたおやかなピアノも美しい。
ヴォーカルパートのバランスもよく、いわゆる初期の文芸三部作の中では一番の完成度だろう。
クラシカル度・・8 プログレ度・・7 ファンタジック度・・9 総合・・8.5
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RICK WAKEMAN 「NO EARTHLY CONNECTION」
イギリスのシンセ奏者、リック・ウェイクマンの1976年作/邦題「神秘への旅路」
「ヘンリー八世〜」、「地底探検」、「アーサー王〜」という文芸三部作に続く作品で、アシュリー・ホルト、トニー・フェルナンデスら、
English Rock Ensembleとのバンド編成。フランスのウルヴィル城で録音されたという作品で、オーケストラは用いずに、
オルガンやクラヴィネット、ムーグ、メロトロンなど多彩なシンセをたっぷりと使った、優雅なシンフォニックロックを展開。
味わいのあるヴォーカルに、クラシカルなピアノ、ときにトランペットやホルンなども加えて、ゆったりとした耳心地の良さと、
キャッチーなメロディアス性に包まれる。バンド編成という点ではロックとしてのプログレらしいノリも感じられる。
三部作の陰に隠れた逸品だろう。2016年の再発盤は、Disc2に、1976年のBBCライブを収録した2枚組仕様。
シンフォニック度・8 プログレ度・8 キーボー度・9 総合・8 
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RICK WAKEMAN「"THE KING ARTHUR "CONCERT」
YESのキーボード奏者としておなじみ、リック・ウェイクマンのライブ(おそらくブート)アルバム。1976録音
ソロ作として数えきれないほどの膨大なアルバムを作り続けているウェイクマンだが、
やはり私としては初期のいわゆる文芸三部作("地底探検""ヘンリー八世""アーサー王")が思い入れ深い。
このCDはそのひとつ「アーサー王と円卓の騎士たち」の曲をメインにしたライブアルバムである。
ブートだと思われるが音質は年代を考えれば良好で、当時の生のライブサウンドを楽しめる。
クラシカルなメロディとでドラマ性に富んだ楽曲は、中世の世界を脳裏にかいま見せてくれる。
こうしたシリアスさ、シアトリカルなイメージが彼の鍵盤さばきと見事にマッチしていたと感じる音源だ。
クラシカル度・・8 キーボー度・・9 音質・・7 総合・・8

RICK WAKEMAN「Criminal Record」
イエスの鍵盤奏者、リック・ウェイクマンのソロ作。1977年作
邦題の罪なる舞踏」という通り、犯罪をテーマにした作品であるが
美しいピアノやパイプオルガンなどクラシカルで優雅な美麗さと
オーケストラをバックにしたムーグシンセの軽やかな鍵盤さばきは
「地底探検」など初期の作風に近い。さすがという、きらびやかな鍵盤ロックである。
クラシカル度・・8 プログレ度・・7 キーボー度・・9 総合・・8
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RICK WAKEMAN「WHITE ROCK」
イエスの鍵盤奏者、リック・ウェイクマンのソロ作。1977作
ソロ作は膨大な数にのぼるウェイクマンだが、やはり70年代の作品はどれもいい。
これは1976年オーストリアで行われた冬季オリンピックのための記録映画用の作品であるが、
いかにもウェイクマンらしい縦横無尽のシンセワークが楽しめる。きらびやかでありながら、
ときにしっとりとした幻想的な美しさもあり、ピアノも含めた巧みなシンセアレンジはさすが。
シンフォニック度・・8 プログレ度・・7 キーボー度・・9 総合・・8
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RICK WAKEMAN 「1984」
イエスの鍵盤奏者、リック・ウェイクマンのソロ作。1981年作
ジョージ・オーウェルの小説をモチーフにしたコンセプト作で、これは隠れた傑作。
華麗でクラシカルな序曲で幕を開けつつ、ヴォーカルの入ったキャッチーな感触と
80年代的なモダンなポップさが融合されたサウンドは、いま聴いてもじつに質が高い。
ウェイクマンの優雅な鍵盤さばきに、ゲスト参加のチャカ・カーンの伸びやかな歌声がまじり
シンフォニックな叙情性も含んでしっとりと耳心地がよい。次にジョン・アンダースンが歌いだすと
とたんにYESっぽくなるが、あくまでシンセワークが前に出ているのがやはりウェイクマン。
壮麗に盛り上がるラスト曲も素晴らしい。トータルな世界観を構築する力作である。
メロディアス度・・8 プログレ度・・7 しっとり優雅度・・8 総合・・8
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RICK WAKEMAN「THE VERY BEST OF RICK WAKEMAN(1973-1979)」
リック・ウェイクマンのベストアルバム。
YES在籍時からソロ作を発表し続け、現在にいたるまでに100枚近くのアルバムを出している大多作家キーボーディスト
そのリックの、70年代の曲を集めたベスト作がこれ。やはり、「ヘンリー八世の六人の妻」、「地底探検部」、「アーサー王と円卓の騎士たち」
あたりの楽曲はクラシカルかつ優雅なシンフォニックとして素晴らしい。「ホワイトロック」、「罪なる舞踏」といったアルバムからの曲も
こうして聴くとクラシカルで繊細なピアノの響きにはリックらしいメロディセンスを感じる。
おそらく選曲的にもベストでリック・ウェイクマンを初めて聴くという方にもオススメ。
シンフォニック度・・8 クラシカル度・・8 キーボー度・・9 総合・・8
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RICK WAKEMAN「LIVE」
リック・ウェイクマンのライブアルバム。1995作
曲順からすると「IN CONCERT」というタイトルで出ているキングビスケットの音源と
同一であると思われる。とすると1975年の録音。amazonでとんでもなく安く買える。
「地底探検」、「ヘンリー八世〜」、「アーサー王〜」という往年の名作からセレクトされた楽曲は、
リックのクラシカルなキーボードとともに、ライブでのロックアレンジもされていて
この頃のアルバムが好きだった私のようなファンからすると嬉しいかぎり。
音質もなかなか良好で、70年代のウェイクマンの音楽性をしっかりと伝えてくれる。
シンフォニック度・・8 プログレ度・・7 音質・・7 総合・・7.5
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RICK WAKEMAN AND THE ENGLISH ROCK ENSEMBLE「LIVE IN BUENOS AIRES」
YESリック・ウェイクマンが自身のバンドイングリッシュ・ロックアンサンブルを率いてのライブ。2001年作
アルゼンチンはブエノスアイレスでのライブの模様を収録したDVD+CDで、「アーサー王と円卓の騎士たち」「地底探検」
「ヘンリー八世と六人の妻」
等かつての名作からのセレクションとなっていて、シンフォニック・プログレファンには嬉しい選曲。
ギターにヴォーカル入りのバンド形態ということで、アルバム版よりもロック的なノリの良さがあり、単なるソロにとどまらない
「バンドのライブ」として楽しめる。正確な高速アルペジオて弾きまくるリックの鍵盤さばきはやはり見事で、
息子であるアダム・ウェイクマンとのツインキーボードの競演は世代を超えたエンターテメント性を感じさせる。
1997年のライブCDがセットになっているが、こちらは録音等が平坦で、あくまでオマケとしてとらえたほうがいいだろう。
ライブ映像・・7 ライブ演奏・・8  キーボー度・・9 総合・・7
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Rick Wakeman and The New English Rock Ensemble 「Out There」
イギリスのシンセ奏者、リック・ウェイクマンの2003年作
ヴォーカルはダミアン・ウィルソン、ベースにリー・ポメロイ、ドラムにトニー・フェルナンデスが参加しての、
バンド編成による作品で、きらびやかなシンセワークに適度にハードなギターを重ね、
スペイシーなスケール感に包まれたシンフォニックロックを聴かせる。組曲方式の1曲目の大曲から、
かつての「地底探検」などに通じる壮麗な作風が戻ってきていて、伸びやかなヴォーカルとともに、
ドラマティックに盛り上げる。歌入りパートではわりとキャッチーなプログレハード風の感触であるが、
オルガンやピアノを含む、ウェイクマン先生のほどよくヴィンテージなシンセがたっぷりと楽しめる。
シンフォニック度・・8 プログレ度・・7 壮大度・・9 総合・・8 
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RICK WAKEMAN 「Retro」
YESの鍵盤奏者、リック・ウェイクマンの2006年作
タイトル通り、ハモンドやムーグ、クラヴィネット、メロトロンなど、ヴィンデージな機材を使いまくった、
レトロなプログレアルバムで、まるで70年代に戻ったかのような作風に思わずにやにやします。
かつての名作「アーサー王」あたりで聴いたようなフレーズなども顔を覗かせ、
ヴォーカルにかつての盟友、アシュレー・ホルトが参加している点も大きいですね。
懐古主義と言われればそれまでですが、この古き良きサウンドはやっぱ心地いいんです。
クラシカル度・・8 古き良き度・・9 キーボー度・・9 総合・・8
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Rick Wakeman 「Retro 2」
英国を代表するプログレキーボーディスト、リック・ウェイクマンのソロ作。2007年作
前作「1」は未聴だが、引っ越しの整理中に古めかしい機材を発見した
ウェイクマンが思い立って作ったところ、好評だったということで、これはその続編となる作品。
タイトル通り、ハモンドオルガン、ムーグ、クラビネット、メロトロンといった、ヴィンテージなシンセを使ったアルバムだが、
鍵盤メインのソロ作というよりは、ギターやヴォーカルも活躍する、意外とバンド編成の音になっている。
全体的に派手なプレイはないものの、曲によっては「ヘンリー八世〜」や「アーサー王〜」の頃を思わせる
クラシカルな優雅さに包まれる。女性ヴォーカルを加えた繊細な大曲もよいですね。
そして独特のムーグの音色を聴いていると、それら初期の名作たちがなつかしくなる。
メロディアス度・・8 プログレ度・・7 レトロシンセ度・・8 総合・・7.5
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Rick Wakeman「The Six Wives of Henry VIII: Live at Hampton Court Palace」
プログレ界を代表する鍵盤弾き、リック・ウェイクマンのライブアルバム。2009作
歳をへてもなお多作ぶりは変わらず、ヴィンテージ楽器をふんだんに使用したアルバム「Retro」で
プログレファンをまた喜ばせたと思ったら、なんと今回はあの名作「ヘンリー八世と六人の妻たち」
完全再現ライブときた。壮麗なオーケストラを従えて、あの名曲たちが時代を超えて蘇る。
当時を思わせるムーグやハモンドの音色にオーケストラが加わり、クラシカルな楽曲たちが再現されてゆく。
早弾き部分でのプレイなどには、さすがに往年のような輝きはないが、ロマンに満ちた優雅さはこれぞR.W!
クラシカル度・・8 ライブ演奏・・7 名作再現度・・8 総合・・8
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RICK WAKEMAN 「IN THE NICK OF TIME - LIVE 2003」
イギリスのキーボーディスト、リック・ウェイクマンのライブ。2012年作
自身のバックバンド、THE NEW ENGLISH ROCK ENSEMBLEを率いて行われた2003年英国ツアーの音源を収録。
のっけから名曲「Catherine Parr」で、オルガンやムーグを含む、ウェイクマンの華麗な鍵盤メロディが溢れ出す。
2003年作「Out There」、1976年作「神秘への旅路」、1999年作「地底探検・完結編」、1977年作「ホワイト・ロック」など、
わりとマニアックな選曲なので、コアなファンには嬉しいだろう。手数の多いトニー・フェルナンデスのドラムも含めて、
演奏陣も充実しており、アシュレイ・ホルトのヴォーカルも力強い。ラストはYES「Starship Trooper」から「WURM」で幕を閉じる。
音質も良好なので、ウェイクマンのファンなら聴いて損のないライブ音源だろう
ライブ演奏・8 音質・8 キーボー度・8 総合・8
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Rick Wakeman 「Journey to the Centre of the Earth」
元Yesの鍵盤奏者、リック・ウェイクマンの2014年作
「地底探検」の名で知られる1974年の代表作品を、あらたに2012年にリメイクした作品で、
これまでファンクラブ限定だったものが、ロジャー・ディーンのジャケとともに一般発売された。
ジュール・ヴェルヌの小説をモチーフに、壮麗なオーケストラとともに描かれる世界観は、
物語を語るナレーターに導かれ、新たに参加した女性ヴォーカル、ヘイリー・サンダーソンの美しい歌声と、
当時のヴォーカルであった、アシュレイ・ホルトも加わって、ダイナミックかつ繊細なサウンドを描いてゆく。
ベースにリー・ポメロイ(IT BITES)、ドラムにトニー・フェルナンデスが参加、バンドサウンドとオケを融合させ、
54分に拡大された映画のように壮大な作品をを見事に構築している。当時は、予算や技術も含めて、
不満が残ったとウェイクマン本人に言わしめた作品が、まさにここに完全版として甦った。
ドラマティック度・・8 プログレ度・・7 壮大度・・9 総合・・8.5
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RICK WAKEMAN 「アーサー王と円卓の騎士たち 2016」
イギリスのシンセ奏者、リック・ウェイクマンの2020年作
ご存知、Yesのシンセ奏者。本作は1975年のソロ作を、2016年にリレコーディング、CD2枚組に拡張させた完全版。
壮麗なオーケストラとバンドサウンドが見事に融合した、ファンタジックな世界観はかつてのイメージのまま、
ウェイクマンの華麗なキーボードメロディが名作の香りを蘇らせる。アシュリー・ホルトのジェントルな歌声に、
「地底探検」再録版にも参加した女性シンガー、ハーレイ・サンダーソンの歌声も楽曲を華やかに彩り、
随所に混声合唱を加えた壮大なシンフォニックサウンドを描き出す。Disc1、41分、Disc2、42分という構成で
新たに書き下ろされた楽曲も流れの中に違和感なく溶け込んでいる。エッジが立ちすぎない音質もちょうどよい感じで、
オリジナル版と聴き比べるなどしても楽しめるだろう。ロジャー・ディーンによる新たなジャケも美しい。
シンフォニック度・・9 壮麗度・・9 名作度・・9 総合・・8.5 
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RICK WAKEMAN 「THE RED PLANET」
イギリスのキーボーディスト、リック・ウェイクマンの2020年作/邦題「火星探検」
YESやソロ作品など、手掛けた作品は膨大な数に及ぶ、まさにプログレ界きってのシンセ奏者。
本作は火星をテーマにしたコンセプト作で、自身のバックバンド、English Rock Ensembleが参加、
往年を思わせるきらびやかなシンセワークをメインに、優雅でクラシカルなサウンドを描いてゆく。
アスクレウス山、オリンポス山など、楽曲ごとに火星の地名を使って、聴き手に雄大なイメージを膨らませる。
プログレらしい軽妙なリズムとともに、オルガンやムーグ、メロトロンなどのヴィンテージなシンセを使いつつ、
随所にギターが加わったロック感触も覗かせる。ウェイクマンの往年のソロ作に近い味わいの逸品だ。
ブックレットには、火星の探査機やクレーターなど、マニアックな写真やCGでの解説があって興味深い。
ドラマティック度・8 プログレ度・8 キーボー度・8 総合・8 
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Rick Wakeman 「A Gallery Of Imagination」
イギリスのキーボーディスト、リック・ウェイクマンの2023年作
近年も旺盛な活動を続ける、元YESのシンセ奏者、本作は2020年作に続くアルバムで、幼少期のピアノ講師の教えである、
「楽器を持ったミュージシャンは絵の具を持ったアーティストのようなもの」という言葉にインスピレーションを受けたという作品。
CARAVAN、IT BITESのリー・ポメロイや、女性シンガー、ヘイリー・サンダーソンなどが参加、優雅なピアノの旋律から、
ドラムとギターが加わったロックアンサンブルに、オルガンやムーグを含むキーボードを乗せて、美しい女性ヴォーカルとともに、
優雅でクラシカルなサウンドを聴かせる。随所に初期のソロ作のような雰囲気も覗かせつつ、全体的にはゆったりとした味わいで
優美なピアノをバックに女性シンガーの歌声を乗せた繊細なナンバーから、ラテン風のノリのナンバーなど、カラフルな聴き心地。
キーボー度・8 プログレ度・7 優雅度・8 総合・7.5
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ROBERT JOHN GODFREY「FALL OF HYPERION」
ENIDのリーダーである、ロバート・ジョン・ゴドフリーのソロ、1973年作
かつては長らく廃盤状態が続いており、高額な値で取引されていたアルバム。
ゴドフリーの求めるクラシカルロックをそのまま体現したような音で、繊細なピアノタッチに、やわらかなヴォーカル、
そして壮大なシンセ群とめくるめくようなオーケストレイションによるじつに優雅なクラシカルシンフォニック。
本物のオケを使わずともここまで美しく壮麗なサウンドを作れるのだという、
クラシックを愛するゴドフリーの理想の追求ともいうべき美意識と瑞々しさが音の端々に感じられる。
ヒプノシスによる印象的なアートワークもこの音楽の世界観を見事に表現している。
2006年の紙ジャケ再発盤は既存のCDからの盤起こしで音質はいまひとつであったが、
2013年盤はオリジナルからのリマスター音源のようで、ようやくこの傑作がちゃんと楽しめるようになった。
シンフォニック度・・9 クラシカル度・・10 壮麗度・・10 総合・・8.5
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ROBERT JOHN GODFREY 「THE ART OF MEMORY: ROMANTIC PIANO MUSIC BOOK 1」
The Enidを率いる鍵盤奏者、ロバート・ジョン・ゴドフレイのソロ。2013年作
エニドの新作から1年ほどで自身のソロも出すのだから、ゴドフレイ氏の充実した創作ぶりが窺える。
ソロ名義としてはおそらく、1973年の傑作「FALL OF HYPERION」以来になるだろう、
繊細なピアノを中心にオーケストラアレンジを加えた優雅な作風で、雰囲気としてはエニドの美意識を
そのまま移行したという感触である。クラシカルでありながら、どこかぬくもりを感じる優しいメロディは
まさしくゴドフレイ節といってよく、エニドの雅やかな旋律が好きな方なら、間違いなくうっとりとなる。
クラシカル度・・9 プログレ度・・7 繊細度・・9 総合・・8
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ROBERT WEBB 「Liquorish Allsorts」
イギリスのミュージシャン、ロバート・ウェッブの2014年作
ENGLANDのシンセ奏者として知られるアーティスト、1974〜2014年までの間に録音された楽曲を収録。
オルガンやメロトロン、ムーグなどの古き良きシンセに、やわらかなヴォーカルを乗せた、
Barclay James Harvestあたりを思わせる牧歌的な叙情性に包まれた聴き心地
2〜4分の小曲を中心に、シンフォニックな叙情ナンバーから、ミニマムなインスト曲、
女性声入りのアダルトなポップナンバーなど、統一感はさほどないが、優雅で繊細な感触は、
やはりイングランドに通じる部分もある。プログレというよりは、英国の鍵盤奏者の小品集という趣か。
世界各国のゲストが多数参加しており、その中にはKENSOの清水氏の名前もある。
ドラマティック度・・7 プログレ度・・7 イングラン度・・8 総合・・7.5
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Robert Wyatt「The End Of An Ear 」
イギリスのミュージシャン、ロバート・ワイアットの1971年作
SOFT MACHINEを正式に脱退する直前に発表されたファースト・ソロアルバムで、
即興的なドラムに軽やかなピアノ、エフェクトを含んだヘンテコな歌声を乗せた、
アヴァンギャルドなサウンドを聴かせる。エルトン・ディーン、デヴィッド・シンクレアなどが参加、
フリーキーなサックスにクラシカルなピアノが絡む、チェンバーロック的なスリリングな空気感もあり、
ジャズとクラシックをフリーミュージックに仕立てたような、アーティスティックな異色作である。
ジャズ度・・7 プログレ度・・7 アヴァンギャル度・・8 総合・・7.5
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Robert Wyatt「Rock Bottom」
イギリスのミュージシャン、ロバート・ワイアットのソロ作。1974年作
SOFT MACHINEMatching Moleとドラマーとして活躍してきた彼が、
事故による下半身不随を乗り越えてヴォーカリストとして復帰を果たしたアルバム。
リチャード・シンクレアやヒュー・ホッパー、フレッド・フリス、マイク・オールドフィールドといった
名うてのミュージャンが参加していることで、演奏的にも抜群で説得力があるのだが、
それ以上に、 悲しみと哀愁を感じさせながらも、どこかにやわらかなまなざしと
人間への希望が込められたようなこのサウンドには、とても暖かな深みがある。
プログレとして聴いて少々物足りないと思われた若いリスナーの方は、
人生の悲しみを味わった大人になったとき、もう一度聴き返してみて欲しい。
プログレ度・・7 悲しみ度・・9 優しさ度・・10 総合・・8
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Robert Wyatt「Cuckooland 」
イギリスのミュージシャン、ロバート・ワイアットの2003年作
SOFT MACHINE、MATCHING MOLEでドラマーとして活躍、事故による下半身不随となってからは、
ヴォーカリストとして、ソロはもちろん、政治的なメッセージを含む作品に参加するなど、独自の活動を続ける。
本作は、うっすらとしたシンセにサックス、トランペットが鳴り響き、どこかけだるげなワイアットのヴォーカルが
優しい耳心地となっていて、大人のジャズソング風のナンバーなど、ゆったりと落ち着いた耳心地である。
前半と後半の2パートに分かれた、計75分。「ロック・ボトム」から30年。自身の音楽ルーツでもあるジャズの要素とともに、
深みを増した世界観が味わえる好作品。ブライアン・イーノ、デヴィッド・ギルモア、フィル・マンザネラをはじめ、多くのゲストが参加。
ジャズ度・・8 プログレ度・・6 優雅度・・8 総合・・8
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Roger Waters 「Amused to Death」
PINK FLOYDのロジャー・ウォーターズのソロ。1992年作/邦題「死滅遊戯」
ジェフ・ベックが参加してることでも話題となった作品、2015年リマスター&SACD盤でリリースされた。
TVを見ている猿のジャケが幼児に変更されているのが、ぐっと現代的なイメージになっているが、
世界で起きる事件や戦争などを、テレビを通して娯楽的に眺める人類に警鐘を鳴らすというシリアスなテーマ性は、
20年以上をへても古臭さは感じない。枯れた味わいのロジャーのヴォーカルに女性コーラスが絡んで、
歌もの的な作風をメインにしながら、随所にブルージーなギターを聴かせるジェフ・ベックのプレイもさすが。
パトリック・レナードのシンセワークはさほど目立たないのだが、ヴォーカルを引き立てるようなピアノや、
ときにオルガンも鳴らしてサウンドを彩っている。新規リマスターとSACDによるくっきりとした音質もGood。
コンセプトアルバムという点では、PINK FLOYD「The Wall」あたりと比較して楽しんだりもできるだろう。
ドラマティック度・・8 プログレ度・・7 壮大度・・8 総合・・8
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Roger Waters 「The Wall」
PINK FLOYDのロジャー・ウォーターズのライブ作品。2015年作
2010〜2013年にかけて行なわれた「The Wall Live」ツアーのライブ音源をCD2枚に収録。
1975年の名作「ザ・ウォール」の完全再現で、トリプルギターにツインキーボードの編成で、
多数のコーラスを含む厚みのあるサウンドで、かつての名作を再アレンジしている。
やわらかなオルガンにメロウなギター、自身の渋みのあるヴォーカルにコーラス隊や、
ときにストリングスも加えた壮大なドラマ性は、時代を超えるダイナミックな味わいである。
同DVDの映像からは、反戦主義と共産主義への傾倒という彼の思想が強くにじみ出ているらしいが、
CDで音のみを聴くには、歴史的名作の壮麗な再現という素直な楽しみ方が出来るだろう。
ドラマティック度・・8 プログレ度・・7 ライブ演奏・・8 総合・・8
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ROOM 「Pre-Flight」
ブリティッシュロックバンド、ルームの1970年作
プログレ黎明期に録音されたバンド唯一の作品で、ブルージーな感触のギターに
ジャズロック的でもあるアンサンブル、そこに女性ヴォーカルの歌声を乗せたサウンド。
オルガンなどの鍵盤は使わずに、曲によってはストリングスやトランペット、それにピアノが多少入る程度で、
基本的には2本のギターとベース、ドラムをメインにした演奏なので、COLOSSEUMなどに比べると
プログレ的な感触はやや弱いのだが、女性ヴォーカルとの組み合わせが優雅な浮遊感になっている。
初期のCURVED AIRなどが好きな方にもけっこう楽しめるのではないかと思う。
ドラマティック度・・7 プログレ度・・7 女性Vo度・・7 総合・・7.5
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ROXY MUSICFor Your Pleasure
イギリスのロックバンド、ロキシー・ミュージックの2nd。1973年作
ヴォーカルのブライアン・フェリーを中心に、シンセにはブライアン・イーノ
1972年にフィル・マンザネラがギターとして正式参加し、バンドはデビュー。
サウンドの基本はブライアン・フェリーの個性的な歌声で聴かせるポップなロックであるが、
サックスが鳴り響き、いくぶんプログレ的なシンセも重なった、混沌とした聴き心地はなんとも面白く、
どことなく、シアトリカルなヴォーカルの感性は、「ピーター・ハミルのグラムロック版」という感じもする。
プログレ全盛の英国の怪しさを、お洒落なセンスで包み込んだような、初期の傑作として名高いアルバムです。
メロディック度・・7 プログレ度・・7 風変わり度・・8 総合・・8
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ROXY MUSIC
Stranded」
ロキシー・ミュージックの3rd。1973年作
前作を最後にブライアン・イーノが脱退し、代わってエディ・ジョブソンが加入、
サウンドはいくぶんポップに、そしてゴージャスな雰囲気へと変化してきている。
そんななかでも、ブライアン・フェリーの独特の歌声は健在で、ピアノをバックに、
QUEENのフレディ・マーキュレリーばりに裏声を使って聴かせる曲調もあったり、
ホップなのにどこかヘンテコな味わいがあるのは、やはりこのバンドならでは。
多彩なシンセアレンジやスケール感のあるシアトリカルな雰囲気と、
ビビッドなジャケのインパクトも含めて傑作に値する内容です。
メロディック度・・8 プログレ度・・7 風変わり度・・7 総合・・8
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ROXY MUSIC
「Country Life」
ロキシー・ミュージックの4th。1974年作
セクシーなジャケもさることながら、内容の方もバンドの代表作というべき傑作。
グラムロック的なノリのよさとキャッチーなポップ性が一体となり、1曲めから勢いのある演奏が楽しめる。
エディ・ジョブソンの奏でるヴァイオリンや、アンディ・マッケイのサックスが随所に効いていて、
フィルマンザネラのギターも前作以上の多彩な仕事ぶりだ。一方ではソフトなポップ性がさらに強まり、
シアトリカルな怪しさは減退しているので、プログレリスナーには前作の方が受けがよいかもしれない。
メロディック度・・8 プログレ度・・6 風変わり度・・6 総合・・8
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ROXY MUSIC
「Siren」
ロキシー・ミュージックの4th。1975年作
ビートミュージック的なポップ感はさらに強まり、一聴してキャッチーな爽快さが前に出ている。
それでいて英国ロック的な深みがなくなったかというとそうでもなく、曲によっては前作以上に
プログレ要素を感じさせる部分もある。絡みつくようなブライアン・フェリーの歌声は、
やはりただのポップには収まらない。「怪しくなったQUEEN」というような雰囲気もある。
本作をもってバンドはいったん解散、1979年の復活を待つことになる。
メロディック度・・8 プログレ度・・7 風変わり度・・7 総合・・8
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ROXY MUSIC「Manifesto」
ロキシーミュージックの1979年作
活動再開した第二期ロキシーの1作目。
80年代的なポップなビート感覚と、オルガンや美しいシンセアレンジが合わさったサウンドで、
そこに乗るブライアン・フェリーのアダルトな歌声が、やはりこのバンドならではのカラーとなっている。
ファンキーな曲などはアメリカナイズされかかった音にも思えるが、ソフトなキャッチーさの中にも
仮面をかぶったような毒気はかすかに残していて、単なるポップロックとも一線を画する聴き心地である。
第一期の怪しさは減退しているが、大人のモダンロックというべき好作品だ。
メロディック度・・8 プログレ度・・6 怪しさ度・・6 総合・・8
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ROXY MUSIC「Flesh & Blood」
ロキシーミュージックの1980年作
復活2作目である本作だが、ドラムのポール・トンプソンが交通事故により脱退しており、
バンドはブライアン、マンザネラ、アンディの3人のメンバー名義となった。
前作のキャッチーな爽やかさを押し進めたサウンドで、ほぼ完全なるポップロック。
セッションミユーシシャンである、アンディ・ニューマークのドラムは機械のように正確で、
80年代的なビート音楽にぴったりマッチしている。かつての個性的な英国ロック色が希薄となり、
ただただ耳心地のよい作風は、バンドとしての意義を無くし、次作「Avalon」で最後を迎える。
メロディック度・・8 プログレ度・・5 爽やか度・・8 総合・・7.5
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ROXY MUSIC「Avalon」
ロキシーミュージックの1982年作
ファンタジックなジャケにそそられるが、サウンドは前作の延長上の
じつに爽やかきわまりないポップロック。ブライアン・フェリーの歌声は、
初期のシアトリカルな雰囲気はどこへやら、裏声を使った優しい響きで、
やわらかなシンセアレンジとともに、80年代的なビートポップを聴かせる。
音質面での見事な仕事も含めて、とても綺麗で耳触りのいい作品だ。
完成度は高いけれどもプログレファンには磨きすぎた音楽に思えてしまう。
メロディック度・・8 プログレ度・・5 爽やか度・・9 総合・・8
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Sally OldfieldWater Bearer」
MIKE OLDFIELDの姉、サリー・オールドフィールドの1978作
水音から始まる本作は、しっとりとしたアコースティカルな風味とサリーの美しい歌声で聴かせる耳に優しいサウンドだ。
指輪物語をモチーフにした12分の組曲をはじめ、ファンタジー性に溢れた作品で、やはりMIKE OLDFIELDにも通じる、
自然との融合を感じさせる音作りで、おおらかな質感と女性らしい繊細さが合わさった、実に優雅な味わいの作品だ。
ゆったりとまどろみながら、いつまでも聴いていたい。やさしい美しさに浸れる好作品だ。
メロディアス度・・9 しっとり繊細度・・10 女性Vo度・・9 総合・・8
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SAVAGE GRACE「The Complete
アメリカのロックバンド、サヴェージ・グレイスの1970/71年作のカップリング2CD
同名のメタルバンドもいるが、こちらはアメリカのプログレ風ロックバンド。
キーボードを含む4人組で、70年作の方は、ブリティッシュロック的な牧歌性を
アメリカらしいおおらかなキャッチーさで包み込んだようなサウンド。
クラシカルなピアノの響きなど、PROCOL HARUMを思わせるような部分もあり
70'ロックとしての魅力はたっぷり。2ndになると、いくぶんハードなR&B色が強くなる。
メロディアス度・・8 プログレ度・・7 叙情度・・8 総合・・7.5
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Second Hand 「Death May Be Your Santa Claus」
イギリスのプログレバンド、セカンド・ハンドの1971年作
オルガンやメロトロンが鳴り響く優雅な味わいに唐突なリズムチェンジ、怪しげなヴォーカルを乗せ
エキセントリックな展開で聴かせる、時代を考えれば大変斬新なサウンドである。
クラシカルな要素のあるサイケロックであるが、今でいうアヴァンプログレの屈折感で、
ときにキャッチーなポップ性も覗かせつつ、知的なセンスが散りばめられた楽しさがある。
ジャケのインパクトも含めて、英国プログレ黎明期の裏傑作というべき一枚だろう。
本作ののち、主要メンバーであるケン・エリオットとキーラン・オーコナーはSeventh Waveを結成する。
メロディック度・・8 プログレ度・・8 優雅に屈折度・・9 総合・・8
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Seventh Wave 「Things to Come」
イギリスのプログレポップ、セヴンス・ウェイヴの1974年作
SECOND HANDのケン・エリオットとキーラン・オコナーによるユニットで、
美麗なシンセアレンジをスタイリッシュなアレンジで昇華した、モダンなシンフォニックロックサウンド。
ポップな味わいのハイトーンヴォーカルやコーラスなどは、QUEENあたりにも通じる感触で、
キャッチーかつクラシカルな優雅さに包まれている。楽曲は2〜4分前後と短めながら、
インストパートも含めてコンパクトに仕上げられたモダンなセンスは、当時としては新鮮だったろう。
なにより、ムーグやクラヴィネット、メロトロンなどの厚みのあるシンセアレンジは、シンフォ好きにはたまらない。
シンフォニック度・・8 プログレ度・・7 スタイリッシュ度・・8 総合・・8
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SEVENTH WAVE 「PSI-FI」
イギリスのプログレバンド、セヴンス・ウェイヴの1975年作
SECOND HANDのケン・エリオットとキーラン・オコナーによるユニットで、本作は2作目。
前作のキャッチーなシンフォニックロックから、よりスタイリッシュでポップな作風へと深化、
シンブルなリズムに、カラフルなシンセとキャッチーなヴォーカルメロディを乗せたサウンドで、
どこか確信犯的な色モノ感がある点では、ROXY MUSICあたりにも通じる感触がある。
よく聴けば、オルガンやムーグを使ったシンセアレンジにはプログレ感もしっかり残していて、
シンフォニックな音の重ねや、やわらかなビアノの旋律などにはクラシカルな美意識も感じられる。
いわばQUEENのような優雅なポップ性と、隠れプログレ要素が見え隠れするハイセンスな逸品。
メロディック度・・8 プログレ度・・7 優雅度・・9 総合・・8 
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SKY「Squared」
イギリスのクラシカル・フュージョンバンド、スカイの2枚組ベストアルバム。1998作
クラシック・ギター界の貴公子と言われるジョン・ウィリアムスを中心に、
元CurvedAirのフランシス・モンクマンなども参加してデビューを飾ったバンド。
本作は1978年の1stから1984年の6thまでの曲を順番に収録したベスト盤だ。
クラシックギターの音色と、シンセなどによるフュージョン感覚が合わさって、
素朴なのだがモダンさもあるという不思議な質感を生み出している。
本格的にエレキギターを取り入れた2ndからは、プログレフュージョン的な色合いが増し
アレンジ的にもぐっとこなれて、やわらかなメロディが楽しめる優雅なサウンドとなっている。
クラシカル度・・8 プログレ度・・7 フュージョン度・・7 総合・・7.5
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SLAPP HAPPY 「Sort Of」
スラップ・ハッピーの1972年作
アンソニー・ムーア、ピーター・ブレグヴァッド、ダグマー・クラウゼの3人によって1971年にドイツで結成され、
本デビュー作もドイツで録音されている。アコースティックギターにダグマーの初々しい歌声を乗せた、
フォークや風味の牧歌的なサウンドであるが、ブレグヴァッドの低めのヴォーカルにサックスが絡む、
ブギ調の怪しいナンバーなど、すでに十分とぼけた味わいがある。サイケやカントリーなどの要素を
知的なポップに昇華するというお洒落な企みは、まだ素朴で荒削りな音の中にも、しっかりと垣間見える。
おとぼけ度・・8 プログレ度・・6 女性Vo度・・7 総合・・7.5
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SLAPP HAPPY「Casablanca Moon/Desperate Straights」
スラップ・ハッピーの1974/75年作
のちに「Acnalbasac Noom」のタイトルで発表される2ndlの楽曲を録り直した「Casablanca Moon」は、
オシャレなタンゴ調で始まり、ダグマー・クラウゼの美しい歌声を中心に、カフェミュージックのポップ感覚や
チェンバーロック、牧歌的なカントリー風味などを感じさせながら、ゆったりと聴かせるサウンド。
Henry Cowと合体して作られた、3rd「Desperate Straights」になると、
シリアスなアヴァンギャルド性がより強く出ていて、プログレとしてもとても楽しめる。
チェンバーロック的な不穏な空気と、ジャズロック的な演奏が合わさり、ダクマーの歌唱にも力が入る。
おとぼけ度・・8 プログレ度・・7 女性Vo度・・8 総合・・8
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SLAPP HAPPYAcnalbasac Noom
スラップ・ハッピーの1973/80年作
1973年に録音されたがポリドールから発売を拒否されたといういわくつきのアルバムで、
これを録音し直した「Casablanca Moon」の方が一般的には認知度が高い。
同じ曲であるのに、こちらの方は飾らない素朴さが、音のエッジを引き立てていて、
優雅でポップな印象の再録版に比べると、ぐっと玄人好みの雰囲気である。
ドイツのFAUSTのメンバーが参加していることもあり、演奏自体にいくぶんロック色が強まっている。
シャンソン風味のお洒落な軽やかさでは再録版を、バンドとしての方向性ではこちらを選びたい。
おとぼけ度・・8 プログレ度・・7 女性Vo度・・8 総合・・8
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SLAPP HAPPY / Henry Cow 「Desperate Straights」
スラップ・ハッピーヘンリー・カウの合同アルバム。邦題「悲しみのヨーロッパ」1975年作
Henry Cow名義の合同作「In Praise of Learning」よりも先に録音された作品で、
スラップ・ハッピーの優雅な軽妙さと、ヘンリー・カウのアヴァンギャルドでアーティスティックな作風が融合されたサウンド。
1〜3分台の小曲が中心で、ダグマー・クラウゼのシアトリカルなヴォーカルを中心に、緊張感漂うヴァイオリンの音色と
優雅なピアノ、トランペットなどが鳴る、チェンバーロック要素がミニマムな形で構築されている。
いわば、聴きやすいヘンリー・カウというべきか。スラップ・ハッピーだけのファンには難解に映るかもしれない。
優雅度・・8 ヘンリーカウ度・・8 アヴァンギャル度・・8 総合・・8
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Dagmar Krause, Anthony Moore,Peter Blegvad 「Camera」
ダグマー・クラウゼ、アンソニー・ムーア、ピーター・ブレグヴァドというSLAPP HAPPYのメンバーによる、
イギリスのテレビ番組「Camera」のサントラとして作られた作品。1993年録音
オーケストラを使用したバックに、ダグマーを含む4人の男女ヴォーカルがオペラティックな歌声を響かせる。
サントラということで、曲自体は1〜4前後と短めであるが、ダグマーのシリアスな歌の表現力とともに
チェンバー風味のミュージカルのような味わい。アンソニー・ムーアは作曲、ピーターは詞を担当で演奏はしていないが、
この作品で再会した3人が、SLAPP HAPPY再結成へと動くのだから、本作の意義はけっこう深いのだろう。
オペラ風味度・・8 ロック度・・1 チェンバー度・・6 総合・・7.5
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SLAPP HAPPY「CAVA」
英国のアヴァン・ポップバンド、スラップ・ハッピーの1997作
アンソニー・ムーア、ピーター・ブレグヴァド、ダグマー・クラウゼの3人が再び集った、
単独名義のアルバムとしては24年ぶりとなる作品。ダグマー・クラウゼの艶やかな歌声を中心に、
かつてを思わせるポップとエキセントリックの狭間を優雅に歩くような独自のサウンドが楽しめる。
基本的には聴き安いキャッチーさが前に出ているが、たゆたうような翳りの中にある不思議な浮遊感…
その個性的な世界観は健在だ。静かに己の内側に向かうかのようなダグマーの情感的な歌唱が素晴らしい。
メロディアス度・・8 プログレ度・・7 女性Vo度・・8 総合・・8
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SLAPP HAPPY 「Live in Japan」
英国のアヴァン・ポップバンド、スラップ・ハッピーのライブ作品。2001年作
アンソニー・ムーア、ピーター・ブレグヴァド、ダグマー・クラウゼの3人が再び集い、1997年に24年ぶりとなるアルバム「CAVA」を発表。
その後、2000年に実現した日本公演のライブ音源を収録している。ダグマー・クラウゼの独特の艶のある歌声はライブでも健在で、
ギターとシンセによるシンプルな演奏をバックに圧倒的な存在感をはなっている。ときに日本的な情感も織り込みつつ、
ジャズ風味の優雅さとエキセントリックなお洒落さをさりげなく感じさせる、キャリアとセンスに裏打ちされた表現力はさすがのひと言。
代表曲“カサブランカ・ムーン”も年季を経たじつに味わいがある歌声である。ファンならば要チェックのライブですよ。
ライブ演奏・・8 優雅でお洒落度・・9 ダグマーの歌唱度・・9 総合・・8 
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The Soft Machine
イギリスのサイケ・ジャズロックバンド、ソフト・マシーンの1968年作
デヴィッド・アレン、マイク・ラトリッジ、ロバート・ワイアット、ケヴィン・エアーズの4人で結成されたが、
ビザの問題でイギリスに戻れなかったアレンが離脱、他の3人によって作られた記念すべき1作目。
のちに聴かれるジャズロックとしてのサウンドよりも、ぐっとサイケ寄りのサウンドで、
フリーキーに鳴らされるオルガンやギターに、浮遊感ただよわせるヴォーカルが合わさった
いわばユルめのサイケ・ジャズロック。アヴァンギャルドなポップ性が気持ちよい好作。
ジャズロック度・・6 プログレ度・・7 サイケ度・・8 総合・・7.5
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The Soft Machine 「Volume 2」
ソフト・マシーンの1969年作
脱退したケヴィン・エアーズに代わってヒュー・ホッパーが正式加入しての2作目。
前作でのポップなアヴァンロック路線も残しつつ、ジャズロック的な構築性も覗かせるとともに、
演奏面での整合感がぐっと増してきている。やわらかなオルガンを含んだ優雅な感触は、
カンタベリー的な最初のスタイルと言ってよいかもしれない。1、2分の小曲を連ねてゆく作風で、
楽曲ごとの濃密さはあまりないのだが、サイケなジャズロックとして全体で聴いて楽しめるアルバムだ。
ジャズロック度・・7 プログレ度・・8 サイケ度・・8 総合・・8
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SOFT MACHINE「THIRD」
ソフト・マシーンの3rd。1971年作
ロバート・ワイアット、ヒュー・ホッパー、マイク・ラトリッジの3人が中心となり、「The」がとれて新たなバンドとしてスタート。
硬派なジャズロック的側面と、サイケがかったアヴァンギャルドな要素が交錯した濃密な作風で聴かせる。
エルトン・ディーンのサックスがメロディを重ねると、シリアスな構築型ジャズロックとしての整合感が現れる。
フリージャズ的な緊張感がサウンドの硬質感を高めていて、18分以上の大曲が4曲という凄い構成も含めて、聴き手をぐいぐい惹きつける。
2007年の再発盤には1970年のライブ音源を収録したボーナスDiscが付いていて、音質も良好な素晴らしいライブテイクとなっている。
ジャズロック度・・8 プログレ度・・8 硬派度・・9 総合・・8 ◆プログレ名作選入り
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SOFT MACHINE「4」
イギリスのジャズロックバンド、ソフト・マシーンの4th。1971作
エルトン・ディーンが正式加入し、サウンド的には前作にもあったフリージャズ要素が
さらに強くなっている。軽やかなリズムの上に鳴り響くサックスはジャズそのもの。
個人的にはプログレ的なスケールの大きさを感じた前作の方が好みだが、
バンドにとってはジャズへの傾倒を極めることも深化の過程に必要だったのだろう。
本作を最後にロバート・ワイアットはバンドを脱退する。
ジャズ度・・9 プログレ度・・7 硬派度・・8 総合・・7.5
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SOFT MACHINE「5」
イギリスのジャズロックバンド、ソフト・マシーンの5th。1972作
前作で見せたジャズへの傾倒をさらに押し進めた作品で、冒頭からエルトン・ディーンのサックスがフリーキーに鳴り響く。
ドラムにエレピが加わって、緊張感を漂わせたアンサンブルが広がってゆく。
ドラムソロ的な小曲も含めて、フリーキーな奔放さが際立った内容で、
硬派なジャズロックとしてのバンドの頂点は本作だったといえるかもしれない。
ジャズ度・・9 プログレ度・・7 緊張感度・・9 総合・・8
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SOFT MACHINE「6」
イギリスのプログレ・ジャズロックバンド、ソフト・マシーンの6th。1973年作
新たに鍵盤奏者としてサックスにオーボエもこなすカール・ジェンキンスが加入。
サックスに絡むエレピが美しく、また同時にフリーキーなジャズロックの中に
プログレッシブなスリリングさが戻ってきていて、雰囲気としては3rdに近いか。
ライブ録音とスタジオ録音の混合という形は、バンドとしての不安定な模索を感じさせるが
その中で出てきた緊張感が上手く音に現れているという言い方もできるかもしれない。
これまで以上にテクニカルなリズムが強調され、その点では最もプログレリスナーに
楽しめるアルバムかもしれない。個人的にもこれと3rdが初期〜中期ソフツのお気に入り。
ジャズロック度・・8 プログレ度・・8 硬派度・・8 総合・・8 ◆プログレ名作選入り
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SOFT MACHINE「Seven」
イギリスのプログレ・ジャズロックバンド、ソフト・マシーンの7th。1973作
オリジナルメンバーはマイク・ラトリッジのみとなり、サウンドはフュージョン化が進み、
それとともに、これまでにあったような大曲は影を潜めてコンパクトになっている。
カール・ジェンキンスのシンセワークが前に出てきていることもあって、
これまでにないメロディアスな聴きやすさが本作の特徴だろう。
プログレ・フュージョン的な軽やかな質感が好みを分けるかもしれないが、
ジャズ、フュージョン、ロックをセンスよくクロスオーヴァーさせた好作である。
フュージョンロック度・・8 プログレ度・・7 硬派度・・7 総合・・8
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SOFT MACHINE「Bundles」
イギリスのプログレ・ジャズロックバンド、ソフト・マシーンの8th。1975作
長く廃盤だった本作が2010年リマスター再発された。日本でも人気の高いこのアルバムは、
ギタリストにアラン・ホールズワースが加わり、テクニカルなフュージョン風味がいっそう強まった作品。
前作「seven」より顕著になったカール・ジェンキンスのシンセを主導にしたフュージョン路線は、
テクニカルなホールズワースのギターと組み合わさることで、よりその密度を濃くしている。
インストのダイナミズムは、これまでのフリーキーなジャズロックのはるかに上をゆくもので、
聴き応えの点ではバンドの作品中でも次作「Softs」と並ぶ出来だろう。フュージョン・ジャズロックの傑作。
フュージョンロック度・・8 プログレ度・・7 テクニカル度・・8 総合・・8
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SOFT MACHINE「SOFTS」
イギリスのプログレ・ジャズロックバンド、ソフト・マシーンの9th。1976作
前作「Bundles」とともに長く廃盤であった本作は、アラン・ホールズワースに代わって
元WOLFのジョン・エスリッジを迎えて作られた、プログレッシブ・フュージョンロックを極めた1枚。
ジョン・マーシャルの抜群のドラムとエスリッジのセンスあふれるテクニカルなギターワーク、
カール・ジェンキンスのシンセも楽曲をゆるやかに構築し、軽妙さと緊張感がせめぎ合う
見事なサウンドを描き出している。スケール感を感じさせる演奏という点では前作以上で
バンドとしてのひとつの到達点でもあるだろう。フュージョン・ジャズロックの最高傑作。
メロディアス度・・7 テクニカル度・・9 プログレ・フュージョン度・・9 総合・・8
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SOFT MACHINE 「ALIVE & WELL RECORDED IN PARIS
ソフト・マシーンのライブ作品。1978年作
フュージョン色を強めた傑作「ソフツ」後のライブで、1977年、フランス、パリでのライブ音源を収録。
GILGAMESHのスティーブ・クック、ALBION BANDのリック・サンダースが加わった編成で、
ジョン・エサリッジの奏でる流麗なギターとともに、質の高いフュージョン・ジャズロックを聴かせてくれる。
ジョン・マーシャルの軽やかなドラムとカール・ジェンキンスのシンセワークも素晴らしい。
ジャズロックの緊張感よりも、むしろソフトなモダンフュージョン色が強まったサウンドが楽しめる。
再発盤のボーナスCDにはライブのアウトテイクス音源を収録。
ジャズロック度・・8 フュージョン度・・8 ライブ演奏・・8 総合・・8
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SOFT MACHINELand of Cockayne
イギリスのジャズロックバンド、ソフト・マシーンの1981年作
ほぼKARL JENKINSのソロプロジェクトとなったラスト作の、2010年リマスター再発盤。
John Marshall、Jack Bruce、Alan Holdsworthなど、名うてのメンバーが参加しているが、
サウンド自体は、緊張感の薄い、ゆったりとしたフュージョン風味のジャズロック。
ジェンキンスの美しいシンセにサックスが絡み、ときおり女性コーラスなども入ってきて、
のちのアディエマスに通じるようなアンビエントな質感もある。プログレとして楽しむには厳しいが、
これはこれとしてのんびり鑑賞できるし、よく言えば優雅でお洒落なモダンさが耳心地よい作品だ。
メロディアス度・・8 ジャズロック度・・7 フュージョン風度・・8 総合・・7.5
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SPRIGUNS「Revel Weird and Wild」
イギリスのフォークロック、スプリガンスの1st。1975年作
2nd「時空綺譚」、3rd「マジック・レディ」はブリティッシュフォークロックの傑作で、
その中世や騎士などを歌った幻想的な歌詞、世界観なども非常に好みであった。
この1stは、オーケストレイションなどを使った2ndのような壮麗さはなく、
アコースティックギターとヴァイオリンを中心に、まだ素朴なトラッド然としている。
サンディ・デニーからの影響を感じさせるマンディ・モートンの翳りを帯びた歌声とともに、
ただのフォークバンドとは違う、どこかファンタジックな感触と耳心地の優しい好作品である。
アコースティカル度・・8 幻想フォーク度・・8 女性Vo度・・8 総合・・7.5
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SPRIGUNS「Time Will Pass」
イギリスのフォークロック、スプリガンスの2nd。1977年作
サンディ・デニーに影響を受けたという女性シンガー、マンディ・モートンの伸びやかな歌声に
ロック的なドラムとエレキギター、ストリングスなども加わり、ドラマティックなサウンドを作り出している。
中世の魔女や騎士などを歌った世界観もファンタジックで魅力的だ。
フォーク的な土臭さが薄いのでプログレリスナーにもお勧めできる英国フォークロックの逸品。
アコースティカル度・・7 幻想フォーク度・・9 女性Vo度・・8 総合・・8
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SPRIGUNS「Magic Lady」
イギリスのフォークロック、スプリガンスの3rd。1978年作
アコースティックギターのつまびきにマンディ・モートンの美しい歌声を乗せ、
英国フォークの牧歌性に、ドラムやエレキギターも加わった適度なロック色が心地よい。
随所にヴァイオリンも入ったりと、前作同様にプログレ寄りの感触もあって、
しっとりとした幻想性に包まれているのがこのバンドの魅力だろう。ラスト作にして最高傑作。
アコースティカル度・・8 幻想フォーク度・・8 女性Vo度・・8 総合・・8
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Spring
イギリスのプログレバンド、スプリングの1971年作
トリプルメロトロンという触れ込みに、心踊らせて聴いてみたけれども、当時は牧歌的すぎてあまりピンと来なかったのですが、
あらためて聴くと、ゆったりとした情緒が心地よいですね。もちろんバックに鳴り響くメロトロンにもうっとりですが、
美しいピアノやアコースティカルなギターワークもいかにも英国的。ブルージーなギターにハモンドなども重なって、
70年代ロックとしての躍動感もあります。まさに英国らしい逸品。リマスター盤には、ボーナス3曲を収録。
牧歌的度・・8 プログレ度・・7 メロトロン度・・8 総合・・7.5
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Spring 「Second Harvest」
イギリスのプログレバンド、スプリングの未発音源集。2008年作
1971年に唯一のアルバムを残して消えたバンドの2作目用の未発音源のCD化。
「トリプルメロトロン」のうたい文句でマニアに支持された1作目に比べると
本作のサウンドは、オルガンをメインに使用した、ブリティッシュロックになっている。
メロトロンの使用は控えめながら、やわらかなピアノにフルートの音色、
随所にブラスやストリングスも加わった優雅なアレンジで、英国らしい良質のオルガンプログレが楽しめる。
日本盤では「ジ・アンタイトル2」としてジャケ違いで先に発売されている。
ドラマティック度・・7 プログレ度・・7 英国度・・8 総合・・7.5
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STACKRIDGE
英国のプログレポップバンド、スタックリッジの1st。1971年作
このバンドの音は、基本はビートルズ的なキャッチーなポップミュージックなのだが、
音がかもしだす雰囲気、曲のアレンジにはプログレファンにアピールするものがある。
ポップさの中にも皮肉めいたしたたかさや、ときおり聴かせるシンフォニックな音の重ねに
ついつい嬉しくなるとき、このバンドのセンスの良さをしみじみと感じるのである。
メロディアス度・・8 キャッチー度・・9 隠れプログレ度・・8 総合・・8
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STACKRIDGE「FRIENDLINESS」
英国のプログレポップロックバンド、スタックリッジの2nd。1972年作
ポップでキャッチーでありながら、時折見せる凝ったアレンジの曲つくりから、
「プログレファン向けのビートルズ」という評価もあるバンド。2作目の本作も見事な出来。
やわらかみのあるヴォーカルメロディはまさに「英国」らしいフォークルーツの牧歌性で、
陽気なロックナンバーからストリングス入りのシンフォニックなアレンジのナンバーまで、
すべてがセンス良くまとめられ、力まずに聴けるくせに、隠されたプログレ味に思わずにやりとする。
メロディアス度・・8 ポップ度・・8 隠れプログレ度・・8 総合・・8 ◆プログレ名作選入り
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Stackridge「The Man in the Bowler Hat」
イギリスのメロディックロックバンド、スタックリッジの3rd。1973年作
「山高帽の男」の邦題で知られる3作目にしてバンドの代表作。
まるでビートルズのようなポップなメロディに、プログレ的な感覚をまぶしたサウンドは、
まさに知的なメロディックロック。美しいヴァイオリンの音色を響かせながら、
キャッチーなコーラスハーモニーとともにやわらかに聴かせてくれる。
ジャケやタイトルを含めて、英国的なウイットに富んだ見事な傑作だ。
メロディアス度・・8 キャッチー度・・8 英国度・・8 総合・・8
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STACKRIDGE「BBC RADIO 1 LIVE IN CONCERT」
イギリスのメロディアスロックバンド、スタックリッジのライブ音源。
1972〜1975年までのBBCラジオでのスタジオライブの音源で、音質もまず良好。
たおやかなフルートが美しいナンバー、“God Speed The Plough”から始まり、
キャッチーで軽快な“Lummy Days”での、楽しいメロディとヴァイオリン、メロトロンの音色にうっとりとなる。
この手のポップセンスのあるロックバンドとしては演奏力も抜群で、そういう点でもプログレファン向きだ。
メロディアス度・・8 キャッチー度・・8 ライブ演奏・・8 総合・・8
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STACKRIDGE「Extravaganza」
英国メロディアスロックバンド、スタックリッジの4th。1975年作
4人の新メンバーを迎えて、バンドの再始動となった作品で、初期の3枚に比べると、
サウンドはさらにポップでキャッチーになっており、大曲もなくコンパクトにまとまっているという印象。
初期の魅力であった牧歌的な雰囲気もやや薄れていて、普通のソフトロックとしてさらりと聴ける。
美しいピアノやヴァイオリンなども含め、演奏力の高さはさすがだが、プログレリスナーにとってはやや物足りないかもしれない。
メロディアス度・・8 ポップ度・・8 プログレ度・・6 総合・・7.5
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STACKRIDGE「MR.MICK」
イギリスのメロディック・ロックバンド、スタックリッジの5th。1976年作
1st〜3rdあたりまでは、「作り込まれたキャッチーなロック」という雰囲気の質の高いアルバムだったが、
このアルバムでは意外とインストパートが多く、メロトロンやピアノ、ハープシコードなどが多く使用されていて、
サウンドにコンセプト的な色合いが強く出ている。ところで、この作品自体は、1曲目がビートルズのカヴァーであるなど、
レコード会社による介入がバンド側としては気に入らなかったらしく、2000年には曲順を変えた完全版が発表された。
メロディアス度・・8 キャッチー度・・8 プログレ度・・7 総合・・7.5
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STACKRIDGE「SOMETHING FOR THE WEEKEND」
イギリスのポップ・ロックバンド、スタックリッジの1999年作
70年代に5枚のアルバムを残したあのスタックリッジのなんと新作である。
かつて「プログレ化したビートルズ」と形容された雰囲気はそのままに、
ブリティッシュロックの叙情と、キャッチーなポップセンスを今なお伝えてくれる。
マイク・エヴァンスのやわらかな歌声、楽しげなヴァイオリンやピアノの音色は
ソフトロックとして時代を超えてきたバンドとしての変わらぬ魅力に溢れている。
メロディアス度・・8 ポップでソフト度・・8 プログレ度・・6 総合・・7.5
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STACKRIDGE「Pick of the Crop」
復活したスタックリッジのライブアルバム。2000年作
ポップだがけっこうプログレ受けする作品を70年代に何枚も発表していたこのバンドが
1999年に新作を出して復活、これはそれにともなうライブアルバムである。
もともと演奏力は抜群で、キャッチーな中にも楽曲にはひとひねりが加わっているので、
のんびりと耳を傾けられつつ、しかも案外飽きさせないアレンジセンスが見事。
ゲストによるヴァイオリン、フルート、アコーディオンなども加わり、じつに楽しげな演奏だ。
メロディアス度・・8 ポップでキャッチー度・・8 ライブ演奏・・8 総合・・7.5
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STACKRIDGEThe Original Mr. Mick
イギリスのメロディックロックバンド、スタックリッジの1976/2000年作
1976年に発表されたアルバムは、レーベル側に編集されたものであったとして、
その24年後にバンド側が自分達の希望していたオリジナルな形で蘇らせた作品。
ビートルズのカバーで始まったレーベル版に比べると、コンセプト作ということで
曲順はもちろん曲そのものも多くが差し替えられていて、かなり印象が異なる。
正直なところを言えば、彼らの持つやわらかでキャッチーな音楽性の魅力を考えると、
つかみのインパクトはやや弱く、ちゃんと聴き込まないと良さが分かりにくい気がする。
熱心なファンなら両方のバージョンを聴き比べるなどして楽しめるとは思うが、
ジャケを含めて考えると、個人的にはレーベル版の方が聴きやすくて好きかもしれない。
メロディアス度・・7 コンセプト度・・8 ジャケ・・1 総合・・7.5
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Stackridge「The Final Bow ,Bristol 2015」
ブリティッシュロックバンド、スタックリッジのライブ作品。2017年作
1971年にデビュー、1976年までに5作を残して消えるも、1999年に復活、2009年にも作品を発表しながら、
その後、再び解散を表明、本作は、バンドのラストツアーとなった、2015年のライブを2CDに収録。
アンディ・デーヴィス、ジェームズ・ウォーレンの2人のオリジナルメンバーを中心に、女性ヴァイオリン&Voを含む
5人編成で、やわらかなピアノに女性ヴォーカルの歌声を乗せてしっとりと幕を開け、やわらかなシンセに
ヴァイオリンが鳴り響き、ジェントルなヴォーカルを乗せた、牧歌的な味わいのサウンドが広がってゆく。
英国フォークをルーツにした素朴な叙情と、ビートルズ以降のキャッチーなポップセンスが融合した、
聴き心地の良さは最後まで不変。オリジナルフルート奏者のマター・スレーターがゲスト参加、
70年代の初期のナンバーもたっぷり含んだ、オールドファンも必聴のライブ作品です。
ライブ演奏・・8 プログレ度・・7 英国度・・9 総合・・8 
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STEVE HACKETT「Voyage of the Acolyte」
元GENESISのギタリスト、スティーブ・ハケットのソロ1作目。1975年作
キム・プーアの幻想的なジャケに包まれたこの作品は、ハケットの初期の最高作と名高い。
アルバム制作時はまだGENESISに在籍していたこともあり、フィル・コリンズ、マイク・ラザフォードらも参加していて、
初期GENESISの面影を感じさせるものとなっている。軽やかでメロディアスな1曲目から、2曲目以降は
しだいにしっとりとした雰囲気となりたおやかなフルートの音色に、つまびかれるアコースティックギター、
ゆるやかなメロトロンなどがジャケのような幻想的な美しさをかもし出す。リマスター盤のボーナストラックには、
1曲目“Ace of Wands”のライブバージョンと、大曲、“Shadow of the Hierophant”のロングバージョンを収録。
メロディアス度・・8 プログレ度・・7 しっとり優美度・・9 総合・・8 ◆プログレ名作選入り
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STEVE HACKETT「Please Don't Touch!」
英国を代表するプログレギタリスト、スティーヴ・ハケットのソロ2作目。1978年作
静かで幻想的な作風だった前作に比べ、KANSASのスティーブ・ウォルシュをはじめ
多くのゲストを迎えて制作された本作は、キャッチーでコンパクトなサウンドが目立つ。
「ナルニア国物語」をテーマにした1曲目をはじめ、歌もの的で聴きやすい曲が多く、
アコースティカルな部分と、シンセなどのエレクトリックな要素がバランスよく使われている。
タイトル曲では優雅なプログレ性をしっかりと発揮していてさすが。全体的に肩の力を抜いて、
メリーゴーランドのように楽しめるアルバムだ。2005年リマスター盤には、ボーナストラック3曲を追加収録。
メロディアス度・・8 プログレ度・・7 幻想度・・7 総合・・8
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STEVE HACKETT「Spectral Morning」
スティーブ・ハケットのソロ3作目。1979年作
全体的には、ややモダンになって、プログレというよりは、聴きやすいキャッチーなメロディックロックであるが、
ハケットの繊細なギタープレイと、ピート・ヒックスやわらかなヴォーカルは、プログレハード風の質感もあり、
ニック・マグナスの美しいシンセもあいまって、シンフォニック性ではおそらく同時期のGENESISのアルバムより上だろう。
アコースティカルな叙情曲や、民族テイストも取り入れた旋律など、アレンジ面での広がりも感じさせる。
2005年リマスター盤には、ボーナストラックにシングルや別バージョンなど7曲を追加収録。
メロディアス度・・9 シンフォニック度・・8 プログレ度・・6 総合・・8 ◆プログレ名作選入り
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STEVE HACKETTDefector
スティーブ・ハケットのソロ4作目。1980年作
ハケットの初期4枚はGENESISフリークにとっては、どれも聴いて損のないアルバムだろう。
ゆったりとしたテンポの上にギターのアラビックなメロディが乗る1曲目は、ややダークな雰囲気ながら、
ニック・マグナスによるシンセワークも美しく、ハケット節ともいえる繊細なフレージングが楽しめる。
続く2曲目は歌入りでキャッチーかつ爽やかな雰囲気だが、プログレ的な展開を聴かせる3曲目から、
それ以降も小曲中心ながら、内省的なゆるやかな質感と適度なプログレ感覚を巧みに織り込んでいる。
アコースティカルな美しさとたおやかなフルート、メロトロンも鳴りだす6曲目あたりも聴きどころ。
リマスター盤のボーナストラックにはライブ音源4曲を含む5曲を収録。
メロディアス度・・8 プログレ度・・7 ゆるやか繊細度・・8 総合・・8
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Steve Hackett「Cured」
スティーブ・ハケットのソロ5作目。1981年作
このジャケからしてなんだかトロピカルな感じであるが、サウンドの方もポップな色が強まった。
80年代的なキャッチーなヴォーカルハーモニーとともに、楽曲はいたってシンプル。
もちろんハケットらしいメロウなギターも随所にあるし、ニック・マグナスのシンセワークも、
きらびやかで耳心地がよい。あながちポップだからダメ、という作品でもないのである。
なにげに曲の出来がよいのであなどれない、「ハケット版ラヴ・ビーチ」というべき好作ですな。
メロディアス度・・8 キャッチー度・・8 プログレ度・・6 総合・・8
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Steve HackettHighly Strung
スティーブ・ハケットの1982年作
ソロ6作目となる本作は、前作「CURED」での80年代ポップ感覚を上手く昇華して
歌を含めてキャッチーなメロディをロックとしての躍動感に溶け込ませている。
伸びやかなハケットのギターはもちろん、ニック・マグナスのシンセワークも
きらびやかに輝いていて、随所にプログレ風味も感じさせてくれるのが嬉しい。
メロディアス度・・8 キャッチー度・・8 プログレ度・・7 総合・・8
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STEVE HACKETTGuitar Noir & There Are Many Sides to the Night
1993年のアルバム「Guitar Noir」と、1995年のライブ作「There Are Many Sides〜」をカップリングした2枚組。
Guitar Noir」は、ゆるやかなシンセをバックにハケットらしい繊細なトーンのギターが鳴り響く、
耳に心地よいサウンド。意外性やプログレ的な部分は少ないが、エレガントなギターの音色に
やわらかなヴォーカルメロディが上品でしっとりとした空気を運んでくる。
There Are Many Sides〜」はギターとキーボードによる二人のみのライブ演奏であるが、
アコースティックギターの音色がとても美しく、静かでありながらも空間的なサウンドを聴かせてくれる。
自身のソロ曲をメインに、GENESISのナンバーも取り上げていて、優雅でゆったりとした音に浸れる。
メロディアス度・・8 プログレ度・・7 ゆったりエレンガン度・・9 総合・・8
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STEVE HACKETT 「THE TOKYO TAPES」
スティーブ・ハケットの1996年日本公演のライブアルバム。CD2枚組。
メンバーは、ジョン・ウエットンイアン・マクドナルドらの豪華布陣。
まずのっけから「WATCHER OF THE SKIES」で往年のGENESISファンの心を鷲づかみ。
ハケット自身のソロ作からの曲に加え、ASIAKING CRIMSONの曲も披露。
とくに「THE COURT OF THE CRIMSON KING」はイアン・マクドナルドの存在も相まって
じつに素晴らしい演奏だ。「GENESIS REVISITED」に感激した往年のファンは必聴。
メロディアス度・・8 ライブ演奏・・8 名曲度・・9 総合・・8
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STEVE HACKETT「GENESIS FILES」
スティーブ・ハケットのGENESIS時代の曲のリアレンジをメインとしたアルバム。
CD2枚組みで全20曲収録だが、多くが1996年の「GENESIS REVISITED」とかぶるので、
あくまでファン向けのコンピレーションといったところだろうか。
その他にも近年のライブ作「TOHYO TAPES」からや、自身のソロ作からも収録された楽曲は
どれもがハケットらしい英国的な優雅さとメロディに満ちていて、かつてのGENESISファンには楽しめると思う。
メロディアス度・・8 GENESIS度・・8 GENESIS REVISITEDを持ってなければ買い度・・9 総合・・7.5
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STEVE HACKETT「Darktown」
スティーブ・ハケットの1999年作
のっけからビートロック調の曲で始まって驚くが、続くタイトル曲では
低い囁き声のようなエフェクトの入ったヴォーカルに、ダークな音色のギターで、
メロディアスでありつつも陰鬱であるという、異色な質感を聴かせる。
4曲めはオーケストレーションに加え、やわからみのあるヴォーカルが優しく歌を乗せる。
アルバム中盤以降は、ゆるやかなメロディとハケット節のメロウなギターが堪能できてひと安心。
全体的にはハケット自身の内的な世界観を表現した、やや暗めの叙情に包まれていて
とっつきは悪いかもしれないが、ディープな部分での彼の作り出す音がうす闇の中に見えてくる。
メロディアス度・・7 プログレ度・・7 暗がりの叙情度・・8 総合・・7.5
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STEVE HACKETT「To Watch The Storms」
スティーブ・ハケットの2003年作
これはかなりの傑作だ。アコースティカルな音色も聴かせる繊細なギターワークと
全体的にしっとりとしたシンフォニックな雰囲気は、黄金期のGENESISを思わせ、
そこにやわらかなヴォーカルラインが重なって、英国的な情感を作り上げている。
ロジャー・キングのキーボードワークも見事で、盛り上がる場面でのハケットのギターとの絡みは白眉。
「21世紀の精神異常者」へのオマージュを思わせるFなど、様々な曲調の詰まったアルバムだが、
翳りと湿りけを含んだ、ハケットらしいメロディアスロックというべき好作品だ。
メロディアス度・・8 シンフォニック度・・7 しっとり繊細度・・9 総合・・8
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STEVE HACKETT「Metamorpheus」
元GENESISのギタリスト、スティーブ・ハケットの2005年作
オーケストラとの共演作品で、アコースティックギターの繊細なつまびきに、
クラシカルなオーケストラが重なる、しっとりと優美なサウンドを聴かせる。
ハケットらしい叙情豊かなギターの旋律が、シンフォニーの一部のように溶け込んで、
格調は高くても難解さのない、人の手による暖かみが感じられるのが素晴らしい。
一方では、オーケストラのメロディを主旋律にした優雅な聴き心地もありつつ、
単なるクラシックという以上の、甘美なギターとの融合にゆったりと浸れる逸品です。
アコースティック度・・9 ロック度・・1 優雅度・・9 総合・・8
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STEVE HACKETTWild Orchids
英国を代表する叙情派ギタリスト、スティーブ・ハケットの2006年作
今作はのっけからオーケストラ入りでぐっとシンフォニックに聴かせてくれる。
2曲目以降はエスニック音楽をモダンに取り入れた曲や、アコースティカルな歌ものなど
楽曲の幅の広さは前作以上で、音楽家ハケットの懐の広さを改めて思い知らされる。
プログレ的なまとまりのある完成度では前作に軍配を上げるところだが、
今作ではひとつところにとどまらないハケットの音楽探究の精神を垣間見る思いがする。
シンフォニック度・・7 しっとりメロウ度・・8 多様度・・8 総合・・8
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Steve Hackett「Out of the Tunnel's Mouth」
英国を代表する叙情派ギタリスト、スティーブ・ハケットの2009年作
前作から3年ぶりのアルバムで、シンフォニックかつ繊細なアレンジと、ハケットの流麗なギタープレイが光る
前作以上にメロウなサウンドが楽しめる。35年以上もここまで叙情にこだわり続けているのが素晴らしい。
前作で聴かれたモダンなリズムアプローチなど、曲のバラエティも豊富で飽きさせない。
ゆったりとしたアコースティックなナンバーも含めて、まさに円熟の極みという作品だ。
ボーナスDisc付きの2枚組には、Genesisのナンバーも含む2009年のライブ音源を収録。
メロディアス度・・8 しっとりメロウ度・・8 繊細叙情度・・9 総合・・8
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Steve HackettLive Rails
元GENESISのスティーブ・ハケットのライブアルバム。2011年作
アルバム「Out of the Tunnel's Mouthにともなう2009〜2010年の欧州ツアーのステージを収録。
スタジオアルバムでは、年月をへてもそのハケット節ともいうべきメロウなサウンドは不変であったが、
ライブにおいても同様で、よい意味でのマイナー感覚を残して、決してポップへと逃げない姿勢は素晴らしい、
ハケット自身の泣きのギターは当然のように素晴らしく、味わいのあるヴォーカルも含めて叙情派メロディックロックとしての
ひとつの理想郷を描いている。ロジャー・キングの美しいシンセワークも、シンフォニックな味わいをサウンドに付加しているし、
コーラスもこなす女性ギタリスト、アマンダ嬢の存在もなにげに効いている。Disc2では“Firth of Fifth”、“Los Endos”といった
GENESIS時代のナンバーも披露。ファン思いのハケットらしい、優しく優雅なライブアルバムである。叙情派の方々は必聴!
メロディアス度・・8 ライブ演奏・・9 メロウ度・・9 総合・・8.5
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Steve HackettBeyond the Shrouded Horizon
元GENESISのギタリスト、ステーブ・ハケットの2011年作
ライブアルバムに続き、ここのところ活発な活動をしているハケット先生、その作品にハズレなしという通り、
本作も繊細な叙情美に彩られた傑作。つまびかれるアコースティックギターに、やわらかなヴォーカルとコーラスメロディ
どこか東洋的な色合いを感じさせる旋律とともに、幻想的な世界が広がってゆく。年月をへても失わない瑞々しい感性が、
楽曲の端々にきらめいていて、ギタリストというよりも作曲家としてのトータルな雰囲気作りが素晴らしい。
もちろんメロウなギターもたっぷりで、女性ヴォーカルやオーケストレーションも含めて
作り込まれたアイデアの多さに感心しながら、泣きの叙情にうっとりとなる。
メロディアス度・・8 叙情度・・9 繊細度・・9 総合・・8.5
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Steve Hackett 「Genesis Revisited II」
スティーブ・ハケットによるジェネシスのセルフカヴァーアルバム。2012年作
1996年発表の「Genesis Revisited」の続編ということで、選曲もかぶらないようにされているが、
繊細な叙情美とともに、ハケットのメロウなギターがかつてのGENESISの旋律を奏でるというだけで、もううっとりなのである。
ジョン・ウェットン、ロイネ・ストルト、ロジャー・キング、スティーブ・ロザリー、ニール・モーズ、スティーブン・ウィルソン、
フランシス・ダナリー、ニック・カーショウ、サイモン・コリンズ、など数多くのゲストが参加していて、
この曲で歌っているのは誰だとか、これ弾いているのは誰だとか、調べるのも楽しい。とくに、大曲“Supper's Ready”や、
フランシス・ダナリー(元IT BITES)が歌う“Dancing With The Moonlit Knight”、そして初期の名曲“The Musical Box”あたりは
個人的にとても嬉しい。にしても、ナッド・シルヴァン(Agents of Mercy)の声はピーガブそっくりですな。
アレンジも比較的元曲に忠実なので違和感がない。GENESISファン、ハケットファンの双方ともに必聴というべきCD2枚組。
ドラマティック度・・9 メロウな叙情度・・9 GENESIS度・・9 総合・・8.5
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Steve HackettGenesis Revisited: Live At Hammersmith
イギリスのギタリスト、スティーヴ・ハケットのライブ作品。2013年作
ジェネシスをセルフカヴァーした2012年作にともなうツアーから、イギリス、ハマースミスでの公演を3CD+2DVDに収録。
ヴォーカルには、ナッド・シルヴァン(Agents of Marcy)、ベースにリー・ポメロイ、シンセにはロジャー・キング
ドラムはゲイリー・オトゥール、フルート&サックス、ロブ・タウンゼンドというメンバーで、1曲目から名曲“Watcher of the Skies”で
艶のあるハケットのギターワークに、美しいシンセワーク、そしてピーター・ガブリエルを思わせるナッドのヴォーカルで、
まさに往年のGENESISの世界観を見事に蘇らせている。ゲイリー・オトゥールのタメの効いたドラムも見事でアンサンブルの核を担う。
ゲストヴォーカルにニック・カーショウ、ジョン・ウェットン、ジャッコ・ジャクジクが参加、さらにはスティーブ・ロザリー(ずいぶん太ったな)、
女性ギター奏者のアマンダ・レーマンがステージに華を添える。“月影の騎士”や“The Musical Box”といった往年の名曲にはやはりぐっとくる。
そしてこれぞ英国というべきディープなウィットと幻想に包まれたの大曲“Supper's Ready”でステージはクライマックスを迎える。
アンコールでは“Firth of Fifth”、“Los Endos”を披露、2時間40分におよぶステージが幕を閉じる。まさにGENESISファンは必見のライブである。
ライブ演奏・・9 ライブ映像・・9 GENESIS度・・9 総合・・8.5
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Steve Hackett「Genesis Revisited: Live At The Royal Albert Hall
スティーヴ・ハケットのライブ作品。2014年作
2013年イギリス、ロンドンのロイヤル・アルバート・ホールでのステージを2CD+DVDに収録。
前回のハマースミスは5枚組というボリュームだったが、今作は3枚組とコンパクトにまとめられている。
メンバーは同じく、ナッド・シルヴァン、リー・ポメロイ、ロジャー・キング、ゲイリー・オトゥール、ロブ・タウンゼンドというメンツで
今回は1曲目から7拍子の名曲“Dance on a Volcano”でアグレッシブにスタート。円形状のアルバートホールの厳かな雰囲気のなか、
メンバーの巧みな演奏が繰り広げられる。続いて“Dancing with the Moonlit Knight”で早くもステージは最高潮、
The Flower Kingsのロイネ・ストルトがギターで参加、ハケットとの夢のツインギターが実現した“The Return of the Giant Hogweed”、
続く“The Musical Box”が前半のハイライト。後半は、“Firth of Fifth”、“サルマシスの泉”、そして大曲“Supper's Ready”という、
往年の名曲による濃密な流れがじつに圧巻だ。アンコールはお待ちかね“Watcher of the Skies”〜“Los Endos”で締めくくる。
ゲストヴォーカルにレイ・ウィルソン、アマンダ・レーマン、ジョン・ウェットンが参加。ハマースミスに続きGENESISファンはマスト。
ライブ演奏・・9 ライブ映像・・9 GENESIS度・・9 総合・・8.5
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Steve Hackett「Wolflight」
イギリスのギタリスト、スティーブ・ハケットの2015年作
前作がGENESISのセルフカヴァーアルバムだったので、オリジナルとしては2011年作以来となる。
オーケストレーションを含んだ優美なアレンジにハケットの泣きのギターが響き渡る1曲目からしてもう素晴らしい。
今作ではエレキギターのパートが増えたことで、往年のロック色とプログレ感がずいぶん復活し、
コンビを組むロジャー・キングのシンセとともに、重厚かつシンフォニックな味わいが楽しめる。
自身のヴォーカルを乗せたマイルドな歌ものパートや、アコースティックな繊細さもたっぷり含ませて
優雅な美意識に包まれたハケット節のサウンドにうっとりと聴き入れる。円熟の極致というべきさすがの傑作だ。
ドラマティック度・・8 プログレ度・・7 繊細で優雅度・・9 総合・・8
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Steve Hackett 「The Total Experience Live in Liverpool」
イギリスのギタリスト、スティーヴ・ハケットのライブ作品。2016年作
2012〜13年の「Genesis Revisited」のツアーをへて、本作は2015年、リバプールでの公演を2CD+2DVDに収録。
シンセにロジャー・キング、ドラムのゲイリー・オトゥール、サックス&シンセのロブ・タウンゼンドというこれまでのツアーメンバーに加え、
ベースにはなんとThe Flower Kingsのロイネ・ストルトが参加しての編成。「Voyage of the Acolyte」、「Spectral Mournings」など、
初期のソロ作から、最新作「Wolflight」のナンバーまで、ハケットの歴史を俯瞰するようなセットリストで、美しいシンセアレンジに
メロウなギターが響き渡る、優美なサウンドにうっとりと聴き入れる。ハケット先生の繊細なギタートーンはもちろん衰え知らず、
自身のマイルドなヴォーカルも味わいがあり、ゲストのアマンダ・レーマンが加わっての男女ヴォーカルの掛け合いも楽しげだ。
弟であるジョン・ハケットがフルートで加わった優美なアコースティックナンバーや、ハケット&ロイネの夢のツインギターが楽しめる“After the Ordel”、
そしてナッド・シルヴァンをヴォーカルに迎え、“The Cinema Show”、“The Musical Box”、“Firth of Fifth”といったGENESISの代表ナンバーも演奏。
それにしても、サックス、クラリネット、フルート、シンセ、ベースペダルと、八面六臂のロブ・タウンゼントがなにげに凄いという。
DVDのカメラワークも抜群で、飄々としたロイネと泰然としたハケット御大の対比も面白い。至福の2時間半が味わえる。当然のようにファンはマストです!
ライブ演奏・・9 ライブ映像・・9 ハケット&ロイネ度・・10 総合・・8.5
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Steve Hackett 「The Night Siren」
元Genesisのギタリスト、スティーヴ・ハケットの2017年作
ジェネシスのセルフカヴァー以降、ライブ作品を含めて旺盛な活動を続けるハケット先生、2年ぶりとなる本作は、
適度にモダンな感触とメロウなギターワークに自身のヴォーカルを乗せ、かつての「Darktown」あたりを思わせるウェットな感触の1曲目から、
キャッチーで軽快な2曲目へと続く、メリハリある流れがいつになく面白い。盟友、ロジャー・キングによる美しいピアノやシンセアレンジ、
ときにストリングスを含むオーケストラルなアレンジが、シンフォニックなスケール感を生み出し、ツアーでおなじみアマンダ・レーマンによる女性声も
華やかなアクセントになっている。一方では、アコースティックな叙情美や、キャッチーなポップ性も含んだナンバーなど、さすがの引き出しの多さ。
ジョン・ハケット、ゲイリー・オトゥール、ロブ・タウンゼンド、ナッド・シルヴァン、ニック・ディヴァージリオ、トロイ・ドノックリーなど多彩なゲストが参加、
ゴージャスで重厚な雰囲気に包まれつつ、ハケット印の優美なギターフレーズに酔いしれることもできるという。先生、やっぱり傑作です!
ドラマティック度・・8 重厚度・・8 叙情度・・8 総合・・8.5
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Steve Hackett 「Wuthering Nights: Live in Birmingham」
スティーヴ・ハケットのライブ作品。2018年作
2017年イギリス、バーミンガムでのステージを2CD+DVDに収録。GENESISの1976年作「静寂と嵐」40周年記念のツアーで、
ロジャー・キング、ゲイリー・オトゥール、ロブ・タウンゼンド、ニック・ベッグスに、女性ギタリストのアマンダ・レーマンを加えた編成で、
ジョン・ハケットがゲスト参加。ソロ作「Spectral Mornings」からのナンバーで幕を開け、2017年作「The Night Siren」からのナンバーに、
1980年作「Defector」や、アマンダの美しい歌声を乗せてのソロデビュー作「Voyage Of The Acolyte」のナンバーも演奏。
バックのうるさすぎない安定した演奏で、ハケットの繊細なギターワークを引き立てる。後半からは、ナッド・シルヴァンをヴォーカルに、
「Wind And Wuthering」からの5曲を披露。「Dance on A Volcano」から、ラスト3曲は、「Firth Of Firth」、「The Musical Box」、
「Los Endos」という流れで、ジェネシスファンも大満足。DVDの映像はカメラワークがやや凡庸ながら、やはり必見のライブです。
ライブ演奏・・9 ジェネシス度・・9 優美度・・9 総合・・8.5 
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Steve Hackett 「At The Edge Of Light」
イギリスのギタリスト、スティーブ・ハケットの2019年作
ここ近年は充実の傑作を作りづけているハケット先生。本作も円熟の極みというべきギタープレイを中心に、
ロジャー・キングのシンセによるシンフォニックな味わいが合わさった、流麗な叙情に包まれたサウンドを聴かせる。
繊細なアコースティックパートや壮麗なオーケストラアレンジ、弟、ジョン・ハケットのやわらかなフルートが鳴り響き、
自身の味わいのあるヴォーカルが哀愁をかもしだし、メロウな泣きのギターが全てを包み込んでゆく。
一方では、ヨナス・レインゴールド、サイモン・フィリップス、ニック・ディヴァージリオらが参加しての、
軽やかなアンサンブルもさすがで、キャッチーな曲の中にも英国的な優雅な空気を描くハケットのセンスが光る。
アコースティックとエレキのバランスもよく、11分の壮麗な大曲も素晴らしい。まさに衰え知らずの傑作である。
ドラマティック度・・8 プログレ度・・8 叙情度・・10 総合・・8.5
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Steve Hackett「Genesis Revisited Band & Orchestra」
スティーヴ・ハケットのライブ作品。2019年作
2018年、ロンドン、ロイヤル・フェスティバル・ホールでの、オーケストラとの共演ステージを2CD+DVDに収録。
ロジャー・キング、ゲイリー・オトゥール、ロブ・タウンゼンド、ナッド・シルヴァンという、いつものメンバーに加え、今作ではベースに
THE FLOWER KINGSのヨナス・レインゴールドが参加。「Dance on A Volcano」や「Firth Of Firth」など、往年のGENESISナンバーに、
ソロからのナンバーも披露。バックのオーケストラがバンドサウンドをシンフォニックに包み込み、「Dancing With The Moonlit Knight」や
デビューソロからの大曲「Shadow Of The Hierophant」も実に優雅な聴き心地。映像では、ギター&ベースのダブルネックで活躍する
ヨナス・レインゴールドや、オーケストラを含めた豪華なステージで、カメラワークも秀逸。ラストは大曲「Supper's Ready」をオケ入りで演奏、
優美でドラマティックな盛り上がりに感動しきり。アンコールの「The Musical Box」までお腹いっぱい。2時間超のシンフォニーなライブ作品です。
ライブ演奏・・9 シンフォニック度・・9 壮麗度・・10 総合・・8.5
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Steve Hackett 「Under A Mediterranean Sky」
イギリスのギタリスト、スティーブ・ハケットの2021年作/邦題「紺碧の天空」
本作は、自身が2019年に地中海を旅したときの景色にインスパイアされて作られた作品で、
アコースティックギターにオーケストラアレンジを加えた、壮麗にして優雅なサウンドを描いている。
12弦ギターを含む繊細なギターのつまびきに、ロジャー・キングによるオーケストレーションが重なり、
シンフォニックにして異国的な詩情に包まれた、典雅なインストサウンドをゆったりと楽しめる。
ジョン・ハケットやロブ・タウンゼントが参加して、やわらかなフルートの音色も聴かせてくれる。
地中海諸国のフォトが美しいブックレットも含めて、じつに優美な作品に仕上がっている。
シンフォニック度・・8 ロック度・・1 優雅度・・9 総合・・8 
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Djabe and Steve Hackett 「Life Is A Journey - The Budapest Live Tapes」
ハンガリーのエスノ・フュージョンバンド、ジャベとスティーブ・ハケットがコラボしたライブ作品。2018年作
2017年のハンガリーのステージをCD+DVDに収録。アコースティックギターにシンセを重ね、トランペットも鳴り響き、
軽やかなドラムとスラップの効いたベースとともに、インストをメインにした優雅なフュージョンロックを聴かせる。
ジャズタッチのエレピからプログレ寄りのオルガンまで、シンセワークもセンス良く、アンサンブルも含めてさすがの演奏力。
ハケットの登場は30分過ぎたあたりから。「Los Endos」、「Firth of Fifth」など、Genesisからのナンバーも披露。
これぞハケット節というメロウなギターの旋律に、トランペットが重なるという、なかなか新鮮な味わいで楽しめる。
全体的には、優雅なフュージョンロックという趣ながら、随所にプログレ感触もあるので、耳心地よく鑑賞できます。
ライブ演奏・8 プログレ度・7 優雅度・9 総合・8 
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VA/Steppes Beyond The Colossus - Steve Hackett
イタリアMellow Records主催のスティーブ・ハケット、トリビュート作品。2014年作
CLARION、CONQUEROR、LEVIATHAN、NARROW PASS、PENSIERO NOMADEなど、
イタリアのバンドに加え、KARDA ESTRA、SPIRITS BURNINGなど、意外なアーティストも参加。
初期のソロ作「Voyage of the Acolyte」、「Please Don't Touch!」、「Spectral Morning」、「Defector」
あたりからの楽曲を中心に、2006、2009年作あたりの比較的新しいところも取り上げている。
女性ヴォーカルでしっとりと聴かせる、CONQUERORの優美なシンフォニックアレンジや、
KARDA ESTRAによるクラシカルなチェンバーロック風のカヴァーなどが魅力的ですね。
シンフォニック度・・7 プログレ度・・7 優美度・・9 総合・・7.5
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Steve Hillage 「Fish Rising」
イギリスのギタリスト、スティーヴ・ヒレッジのソロ。1975年作
GONGにも参加したギタリストとして知られるミュージシャンで本作はソロ1作目。
当時、分裂しかけていたゴングのメンバーが参加していることから、サウンドの方も、ユルめのサイケ路線で、
スペイシーなシンセにやわらかなギター、男女ヴォーカルの歌声を乗せた、ゆったりとしたおおらかな聴き心地。
ヒレッジのギターは決してテクニカルではないが、ゆるやかにメロウなフレーズを乗せて、
ヒッピー的なサイケ感の中にも、プログレッシブな展開力で17分におよぶ組曲を構築する。
盟友デイヴ・スチュアートも参加して、随所にオルガンやピアノでらしいプレイを聴かせてくれる。
単なるサイケでもない、牧歌的なユルさとプログレな楽曲性が絶妙に交差する傑作である。
ドラマティック度・・8 プログレ度・・8 サイケ度・・8 総合・・8
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Steve Hillage「L」
元GONGのギタリスト、スティーヴ・ヒレッジのソロ。1976年作
トッド・ラングレンがプロデュース、ユートピアのメンバーがバックを務めたアルバムで
DONOVAN、THE BEATLES(ジョージ・ハリスン)のカヴァーを含む、サイケ風味のメロディックロック。
スペイシーなシンセアレンジに、随所にメロディックなギターフレーズも含ませて
GONGの延長上だった前作の流れを汲みつつ、よりアッパーなノリのアンサンブルで、
後のOZRIC TENTACLESにも通じる聴き心地もある。歌ものとしてキャッチーな感触に、
優雅なギタープレイも前作以上に光っていて、女性ヴォーカルを加えての東洋的なナンバーや
トランペットが鳴り響く妖しくサイケな12分の大曲も面白い。ヒレッジの初期の代表作というべき内容だ。
メロディック度・・8 プログレ度・・7 サイケ度・・8 総合・・8
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Steve Hillage「Green」
スティーヴ・ヒレッジのソロ。1978年作
ソロ4作目の本作には、PINK FLOYDのニック・メイスンをプロデュースに迎えている。
スペイシーなシンセを乗せたゆったりとしたアンサンブルに、ユルくて渋くてメロウなギターを乗せた、
GONGルーツのサイケロックサウンドは本作でも健在。派手さはないが耳に心地よいギターワークと
味のあるヴォーカルも含めて、ソロアルバムとしての自身の世界観を描く音の説得力は、ますます高まっている。
のちの作風へとつながるアンビエントな部分も覗かせつつ、全体的に肩の力の抜けた自然体の作風で、
PINK FLOYDを思わせるゆったりとした雰囲気も耳に優しい。打って変わって、ラスト曲でのスリリングな演奏、
本気のサイケロックぶりはこのアルバムの価値をぐっと高めている。ロック、サイケ、アンビエントをミックスした見事な力作だ。
メロウ度・・8 プログレ度・・7 サイケ度・・9 総合・・8
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Steve Howe 「The Steve Howe Album」
Yesのギタリスト、スティーヴ・ハウのソロ。1979年作
ソロとしては2作目で、アラン・ホワイト、ビル・ブラフォード、パトリック・モラーツといった、
イエス関連ミュージシャンがゲスト参加。メロディックなギターを乗せた軽妙なインストサウンドで、
キャッチーなフュージョン風味から、バンジョーを用いたカントリー風味、スパニッシュギターにマンドリンや
シタールのつまびき、さらにはクレア・ハミルが美しい歌声を乗せるナンバーなども魅力的だ。
アルバム後半はアコースティックを盛り込んで、クラシックのカヴァーを優雅に聴かせてくれる。
まさに自身のギターへのこだわりを存分に詰め込んだような好作品だ。
メロディック度・・8 プログレ度・・7 ギター度・・8 総合・・8
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STILL LIFE
イギリスのプログレバンド、スティル・ライフの1971年作
怪盤の宝庫として知られる英ヴァーティゴレーベルの作品、英国ハモンドロックの名盤とされる。
その内容はこれ全篇オルガン鳴りっぱなし。曲自体は特異な展開もないオーソドックスで
なかなか渋い感じのブリティッシュロックなのだが、聴き所はやはりハモンドオルガン!
懐かしくやわらかなこの音色はじつに耳に心地よく、何か古きよき郷愁を誘うのである。
また、エモーショナルなヴォーカルのせいもあって、音にはマイナー臭さがさほどない。
そしてこの美しいジャケだが、広げると花びらの下に現れる骸骨というセンスもお見事。
メロディアス度・・7 英国度・・9 ハモン度・・9 総合・・8◆プログレ名作選入り
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STRAWBSJust a Collection of Antiques and Curios
ブリティッシュロックバンド、ストローブスの3rd。1970年作
ジャケのように古楽器を用いて録音されたアコースティックなアルバムで、
前作のゲストであったリック・ウェイクマンが加入しての初の作品となる。
典雅なチェンバロの音色で聴かせる中世風味のフォークサウンドに、
リックの奏でるオルガンやクラシカルなピアノも素晴らしい。
メロディアス度・・8 プログレ度・・7 優雅度・・9 総合・・8
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STRAWBS「From the Witchwood」
英国ロックバンド、ストローブスの4th。1971作/邦題は「魔女の森から」
前作「骨董品」から参加したRICK WAKEMANが正式加入してのアルバム。
ゆるやかな叙情で聴かせる、アコースティカルで牧歌的なフォークロック風味のサウンド。
哀愁ただよわせるトラッド風のメロディや典雅な雰囲気には古楽的な香りもただようが、
リックのオルガンが入るとプログレらしさも現れ、MOODY BLUESあたりに通じる味わいもある。
メロディアス度・・8 プログレ度・・7 英国度・・8 総合・・7.5
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STRAWBS「Grave New World」
英国ロックバンド、ストローブスの5th。1972作
前作を最後にウェイクマンは脱退したが、今作はストーリー的なコンセプト作ということで、
プログレ度はむしろ高まっている。オルガンの音色に絡むメロウなギターワーク、
クラシカルなピアノやメロトロンが鳴り、シンフォニックな美しさも聴かせてくれる。
英国らしい優雅さと素朴な叙情が合わさった傑作。BJHあたりが好きな方にもお薦め。
メロディアス度・・8 プログレ度・・8 英国度・・8 総合・・8
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STRAWBS「Hero and Heroine」
英国ロックバンド、ストローブスの6th。1974作
本作もコンセプト的な流れで聴かせるじつに美しいアルバム。
メロトロンが鳴り、たおやかなピアノにやわらかなコーラスワークなど、
叙情的で繊細な質感が増し、やわらかみのあるサウンドが耳に優しい。
一方ではポップなロック色もあり、初期のフォーク色は薄まってきている。
キャッチーな大衆性をしっとりとした情緒と融合させた好作だ。
メロディアス度・・8 プログレ度・・7 英国度・・8 総合・・8
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STRAWBS「Ghosts」
英国ロックバンド、ストローブスの7th。1974作
前作からの流れで、サウンドはよりキャッチーになり、ポップなブリティッシュロックという雰囲気が強まった。
もちろん、彼らの持ち味である牧歌的なやわらかさは残っていて、
アコースティカルな情緒を折り込んだ優しいメロディックロックとなっている。
曲によってはメロトロンが鳴り響くドラマティックな要素もある好作。
メロディアス度・・8 プログレ度・・6 英国度・・8 総合・・7.5
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STRAWBSHero & Heroine In Ascencia
ブリティッシュロックバンド、ストローブスの2011年作
デビューは1969年という古株バンドで、本作は1974年作のリメイクアルバム。
枯れた味わいのヴォーカルと、よりシンフォニックな感触のシンセアレンジで、
しっとりとした叙情を描き出す、いかにも英国らしい牧歌的な雰囲気に包まれている。
ピアノやオルガンなどの優雅な鍵盤に、随所にギターのメロウな旋律もよろしく
キャッチーなポップ性も含めて、あの頃の英国の空気を甦らせるような音である。
メロディック度・・8 プログレ度・・7 英国度・・9 総合・・7.5
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Syd Barret「The Madcap Laughs」
元PINK FLOYDのシド・バレットの1970作。邦題は「帽子が笑う…不気味に」
彼の飼っていた「ピンク」と「フロイド」という二匹のネコからバンド名をとり、PINK FLOYDを結成、
だが皮肉にもバンドの人気が増すにつれ、精神的な疲れからシドはドラッグに浸るようになり
2nd「神秘」の制作途中に脱退を余儀なくされる。それから1年のブランクののちに発表された本作は、
SOFT MACHINEのメンバーが参加、ロジャー・ウォーターズ、デイブ・ギルモアのプロデュースで話題を呼ぶ。
サウンドの方はシドの内的な世界を映すような、孤独や愛への渇望などを綴った歌を中心にしたもので
初期フロイド的な浮遊感とサイケロック風味を含みながら、独自のポップ感性が光っている。
2006年にこの世を去った、「狂ったダイアモンド」ことシド・バレット。彼の残したソロ2作は今も語り継がれる。
メロディアス度・・7 内的度・・8 サイケ度・・7 総合・・8
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Syd Barret「Barret」
シド・バレットの1970作。邦題は「その名はシド・バレット」
プロデュースは前作に引き続きデイブ・ギルモアと、離れていったロジャー・ウォータースに代わり
リチャード・ライトが参加。1st「帽子が笑う〜」同様に、浮遊感のあるサイケ風の感触に、
キャッチーで牧歌的なメロディを乗せた、ゆるやかな作風である。
シドの歌声は、ときにやわらかな優しさで愛を歌い、ときに不気味な怪しさで
人生の不条理を口ずさむ。愛に飢えた狂人。あるいは人はみなそうなのかもしれない。
本作の後、シドは公の音楽活動から離れ、二度と作品を発表することはなかった。
メロディアス度・・7 内的度・・8 サイケ度・・7 総合・・8
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T.2「It's All work Out In Boomland」
ブリティッシュロックバンド、ティー・ツーの1970年作
ギター、ベース、ドラムという三人編成で、ブルージーなギターとドカドカとした手数の多いドラムでたたみかける、
ハードロック風の勢いのあるサウンド。ドラムがヴォーカルをとるのも個性的であるが、奔放なフレーズを乗せる
ギタリストのテクニックもかなりのもの。クラシカルなピアノやメロトロンなどのシンフォニックな味わいや、
トランペットを加えた優雅な感触もありつつ、21分におよぶ大曲では、プログレ的な展開力でドラマティックなサウンドを聴かせる。
マイナー系のハードなブリティッシュ・プログレとしては、Marsupilamiあたりにも通じるような力作だ。
ドラマティック度・・8 プログレ度・・7 英国度・・8 総合・・7.5
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Tempest
ブリティッシュロックバンド、テンペストの1973年作
COLOSSEUMのジョン・ハインズマンがアラン・ホールズワース、マーク・コラークらと結成したバンドで、
ジャズロックのメンツでハードロックをやっているというサウンドが新鮮だ。シンセやブラスなどは使わず、
ギター主導のオーソドックスな編成なので、ジャズロック的な軽やかさとブルージーな英国らしさを合わせた
正統派のブリテイッシュロックとしても楽しめる。ポール・ウィリアムズのソウルフルな歌声に、
流麗なフレーズを奏でるホールズワースの巧みなギタープレイはもちろん、彼の弾くヴァイオリンも本作の聴き所だろう。
メロディアス度・・8 プログレ度・・7 英国度・・8 総合・・8
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TEMPESTLiving in Fear」
ブリティッシュロックバンド、テンペストの2nd。1974年作
アラン・ホールズワースとポール・ウィリアムズが脱退し、2作目となる本作では、ギターにオリー・ハルソールが加入。
テクニカルな正統派の英国ロックであった前作に比べてブルージーな部分は後退、トリオ編成となったことで、
ヴォーカルを兼任するハルソールの多彩なギターワークとともに、キャッチーなポップ感覚がいくぶん増している。
歌もの的なハードロック色が強まっているが、アンサンブルの要となるハインズマンのドラムテクニックはやはり素晴らしい。
メロディアス度・・8 プログレ度・・7 英国度・・8 総合・・8
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Third Ear Band「Alchemy
イギリスのサイケ・チェンバーロック、サード・イアー・バンドの1969年作
タイトル通り「錬金術」をテーマにした作品で、妖しげなパーカッションの上に、
間の抜けたオーボエや不気味なチェロ、ヴィオラなどの音色が鳴り響く。
フリーキーなジャズをアンダーグラウンドな魔術性とともにプレイしたというような雰囲気で
整合性や楽曲性というものはほぼ皆無。この妖しい世界を楽しめるかどうかが全てだ。
感覚で鑑賞すれば、音の中に中世を思わせる優雅な部分も感じられ、じわじわと入り込める。
ドラマティック度・・7 フリーキー度・・9 妖しげ度・・9 総合・・8
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Third Ear BandElements
サード・イアー・バンドの1970年作
地火水風の四元素を表現した4つの大曲からなるコンセプトアルバムで、
呪術的だった前作に比べ、フリーキーではあるもののいくぶん聴きやすい。
民族的なパーカッションのリズムに、オーボエやリコーダーが素朴な音色を奏で、
チェロ、ヴァイオリンが鳴り響く、牧歌的な中世音楽風味のサウンドが楽しめる。
ドラマティック度・・7 フリーキー度・・9 妖しげ度・・8 総合・・7.5
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Third Ear Band「Macbeth」
イギリスのサイケ・チェンバーロック、サード・イアー・バンドの1972年作
ロマン・ポランスキーの映画「マクベス」のために作られたサントラ作品であるが、
音楽の雰囲気自体は、前2作で聴けたサウンドの延長で、オーボエやリコーダー、パーカッションが鳴り響く
不穏で妖しげな世界観をかもしだしている。一方では、前2作の様なフリーキーな浮遊感よりも、
ヴァイオリンの鳴り響くクラシカルな美しさも含んで、曲ごとに場面のイメージを抱かせるような
繊細な部分が聴かれる。その点では音楽的には彼らの最高作といってもよいだろう。
ドラマティック度・・8 フリーキー度・・8 妖しげ度・・9 総合・・8
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Third Ear Band 「Magic Music (New Age Magical Music)」
サード・イアー・バンドの1997年作
60年代から70年代にかけて活動し、怪し系チェンバーロックの元祖とされる。
バンドは1988年に復活し、90年代になってからもアルバムを作り続けている。
本作は「人外魔境」という邦題からして怪しげだが、サウンドの方も初期を思わせる、
ミステリアスな浮遊感に包まれている。パーカッションによるリズムの上を
ゆるやかにサックス、ヴァイオリンが鳴り響き、うっすらとしたシンセによるぼやけたような空気感とともに、
魔女や錬金術といった中世の世界観を表現している。サイケ寄りのフリーキーさも感じさせる力作。
ドラマティック度・・7 フリーキー度・・9 妖しげ度・・8 総合・・7.5
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Three Man ArmyThird of a Lifetime」
ブリティッシュロックバンド、スリー・マン・アーミーの1st。1971年作
GUNのガーヴィッツ兄弟が、元SPOOKY TOOTHのドラムを迎えて結成したバンドで、
トリオ編成ながらも音の薄さはまったく感じさせず、のっけからハードに弾きまくるギターで
軽快にたたみかける。曲によってはWISHBORN ASHばりにツインギターの格好よさも聴かせつつ、
ストリングス、メロトロンが鳴り響く叙情的なバラード曲も美しい。70年代英国ハードロックの傑作である。
メロディアス度・・8 スリリング度・・8 英国度・・8 総合・・8.5
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Three Man Army
ブリティッシュロックバンド、スリー・マン・アーミーの2nd。1973年作
ドラムが、トニー・ニューマンに交替しているが。抜群のギターワークで聴かせる、
えらく格好いいブリティッシュ・ハードロックサウンドは1stの延長の感触。
ときにブルージーな質感をかもしだしつつも、LED ZEPPELINなどとはまた違った、
ドラマティックなロックスタイルで、70年代の英国の音が好きなら問答無用で楽しめる。
ちなみに、ドイツ盤はジャケも違い、タイトルも「Mahesha」と変更されている。
メロディアス度・・8 スリリング度・・7 英国度・・8 総合・・8.5
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Three Man Army 「Two」
ブリティッシュロックバンド、スリー・マン・アーミー。1974年作
GUNのガーヴィッツ兄弟によるバンドの3作目で、タイトルは何故か「ツー」というのがまぎらわしいが、
1曲目から、恰好いいギターリフを乗せた王道のブリティッシュ・ハードロックが味わえる。
ブルージーな大人の哀愁をかもしだすスローなナンバーや、ピアノやストリングスアレンジを加えた
バラード曲なども魅力的で、単なるハードロックというには、プログレ寄りのリスナーにもとても楽しめる。
過去2作に比べると、ゆったりとした叙情ナンバーが増えたこともあり、じっくりと味わえる逸品だ。
ドラマティック度・・8 スリリング度・・7 英国度・・8 総合・・8
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TIME
イギリスのプログレバンド、タイムの1975年作
SPONTANEOUS COMBUSTIONのメンバーによるバンドで、本作が唯一のアルバム。
ハードロック的でもあるギターにハイトーンヴォーカルを乗せ、RUSHにも通じる軽妙なアンサンブルと、
YESのようなキャッチーなメロディアス性で聴かせるサウンド。フリーキーなツインギターの絡みは
有機的な面白さになっていて、むしろ70年代初頭のアートロックのような味わいでも楽しめる。
変則リズムを含む複雑な展開力も覗かせつつ、英国らしい翳りと素朴な叙情に包まれていて、
全体的にはプログレ一歩手前にとどまっている印象。ともかく幻の逸品というべき好作品です。
メロディック度・・7 プログレ度・・7 英国度・・8 総合・・7.5
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Titus Groan
イギリスのプログレ・ジャズロック、タイタス・グローンの1970年作
本作が唯一の作品で、軽やかなドラムに、サックスが鳴り響き、ギターにオルガンも加わった
優雅なジャズロックサウンドで、英国らしいウェットな感触はKING CRIMSONにも通じるところもある。
フルートによる牧歌的な味わいやブルージーなギター、どことなくマイナー感のあるヴォーカルも含めて、
ブリティッシュロック好きの耳をくすぐる魅力がある。全体的に派手なところはないものの、
ほどよいプログレ感と叙情性もあり、難解なところもないので、ジャズロックが苦手な方でも楽しめるだろう。
ドラマティック度・・7 プログレ度・・7 英国度・・8 総合・・8
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TOMORROW
ブリティッシュロックバンド、トゥモロウの1968年作
YESのスティーブ・ハウが在籍していたことでも知られるバンドで、
サイケロック的な浮遊感とThe Beatlesのキャッチーなポップ性を合わせたようなサウンド。
おおらかな牧歌的な味わいのある耳心地だが、演奏陣の確かな力量がときに
ドラマティックな感触を生み出している。年代的に音質面での聴き苦しさはあるが、
英国サイケロック、プログレ以前のアートロックなどに興味があるなら聴いて損はない。
キャッチー度・・8 プログレ度・・7 サイケ度・・7 総合・・7.5
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TOM NEWMANFaerie Symphony
イギリスのミュージシャン、トム・ニューマンの1977年作
MIKE OLDFIELDの名作「Tubular Bells」のエンジニアとしても知られ、ソロとしてはこれが2作目。
ジャケの美しさもさることながら、サウンドの方も素朴な情緒に彩られた繊細なもの。
牧歌的なマンドリンにフルートの美しい調べ、しっとりと優しいアコースティックサウンドは、
Anthony Phillipsを思わせるような、中世の世界観を幻想的に甦らせる。
ケルティックなトラッド要素はやはりMIKE OLDFIELDにも通じる作風だ。
アコースティカル度・・8 幻想度・・8 繊細度・・9 総合・・8
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Tom Newman 「Dance Of The Stems」
イギリスのミュージシャン&コンポーザー、トム・ニューマンの2021年作
1975年作「FINE OlLD TOM」収録曲、1977年作「FAERIE SYMPHONY」収録曲のニューミックスに、
MAGENTAのRobert Reed、ホイッスル奏者のLes Penningを迎えて作られた新曲を含む、6曲入りのEP。
アメリカ民謡の「シェナンドー」の雄大な牧歌性から、「妖精交響曲」収録「Dance Of The Daonie Sidhe」の
ケルティックなギターにヴァイオリンを加えた、MIKE OLDFIELD的な優雅な叙情性にウットリとなる。
デビュー作収録曲は、カントリー的なポップな味わいで、「シェナンドー」の別ミックスをはさみ、ラストは2曲目「Dane Of〜」、
20分に及ぶ拡大バージョンで、のんびりとしたドリーミィな幻想に包まれる。EPながら、全45分と聴きごたえがある内容だ。
ドラマティック度・7 プログレ度・7 優雅度・8 総合・7.5
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Tom Newman 「A Faerie Symphony II」
イギリスのミュージシャン&コンポーザー、トム・ニューマンの2021年作
1977年作「妖精交響曲」から、じつに44年ぶりとなる続編で、EPに引き続き、MAGENTAのロブ・リードが参加。
アコースティックを含む繊細なギターのつまびきにベースを重ね、奇妙なボイスやシンセの味付けと共に、
静謐感のあるエキセントリックでドリーミィなサウンドを描きだす。曲というよりは、奇妙なサントラ的な感じもあり、
プログレらしさや構築性を求める方には向かないだろうが、アーティスティックな感性で、映像を描くような作風は、
70年代の英国らしさを残した、イマジネーション豊かなサウンドである。中盤には、叙情的なギターやフルートとともに
Mile Oldfield的な雰囲気の繊細な優雅さに包まれつつ、Anthony PhillipsGANDALFともまた異なる、
独自の内的世界観を作りだしている。霧の向こうにある、かつての幻想の続きを楽しみたい方にはお薦めだ。
ドラマティック度・7 プログレ度・7 優雅でエキセントリック度・8 総合・7.5
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Tonton Macoute
イギリスのプログレバンド、トントン・マクートの1971年作
やわらかなフルートの音色にエレピやオルガン、サイケがかったギターで軽やかなアンサンブルを描きつつ、
フリーキーなユルさとジャズロック的な感触が同居したようなサウンド。70年代初頭のアートロック的なセンスに
難解過ぎない構築性が加わったようなイメージで、サイケとジャズロックの中間というどっちつかずの聴き心地が、
絶妙の浮遊感を生み出している。ブリティッシュプログレ黎明期のマイナーな好作といってよい。
メロディアス度・・8 プログレ度・・7 サイケ/ジャズロック度・・8 総合・・7.5
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Tony BanksA Curious Feeling
GENESISのシンセ奏者、トニー・バンクスのソロ作。1979年
2009年リマスター再発盤。かつてのジェネシスがポップ化した時期に出された本作は、
「GENESISよりもGENESISらしい」とファンの間でも長く人気の1作だ。
繊細かつ美しいシンセワークで、うっとりとするようなサウンドが楽しめる一方で
爽やかなヴォーカルの入ったメロディアスな歌もの曲にも味わいがある。
やはりこの人のシンセは耳に優しくて、実に気持ちいいのだなあ。
メロディアス度・・8 プログレ度・・7 繊細度・・9 総合・・8
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U.K.
イギリスのプログレバンド、UKの1st。1978年作
プログレッシブロックに斜陽が差しはじめた70年代末に、ジョン・ウェットン、ビル・ブラッフォード、エディ・ジョブソン、
アラン・ホールズワースという名うてのミュージシャン四人が終結し、ここにスーパーバンドを立ち上げた。
そのサウンドは、モダンなキャッチーさとテクニカルな構築性を有した現代のプログレハード系バンドにも通じるような
スタイリッシュさを感じさせ、きらびやかなシンセと聴きやすい歌メロを軸に、さりげなくテクニックを織り込んだ構成には、
大衆受けを狙いながらも、音楽的な高度な追求を成し遂げようとする意気込みがここにある。
しかし、ソロ志向の強かったブラッドフォードとホールズワースは本作かぎりで脱退、
結局、四人編成のスーパーバンドは奇跡的な1枚限りでの邂逅となった。
メロディアス度・・8 プログレ度・・7 スタイリッシュ度・・9 総合・・8
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U.K.「Danger Money」
イギリスのプログレバンド、UKの2nd。1979作
ブラフォードとホールズワースがバンドを去り、テリー・ボジオを迎えて三人編成となったことで、
方向性が明確化するとともにエディ・ジョブソンの役割が相対的に大きくなったのは必然だろう。
きにオルガンも含めた絶品のシンセワークをバックに、キャッチーなヴォーカルメロディを聴かせる楽曲は、
GERARD
VIENNAなど日本のプログレバンドたちにも大きな影響を与えたに違いない。
過去のプログレ感覚を要素のひとつとして取り入れたこのサウンドの心地よさは、
プログレ好きのためのプログレといえるだろう。きらびやかさでは前作以上の出来だ。
しかし、やはり本国においては日本ほどの人気は得られず、バンドは伝説的なライブアルバムを残して終焉を迎える。
メロディアス度・・8 プログレ度・・8 ジョブソン度・・9 総合・・8.5 ◆プログレ名作選入り
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U.K.「NIGHT AFTER NIGHT」
イギリス伝説のプログレバンド、UKのライブアルバム。1979年作
ジョン・ウェットン、エディ・ジョブソン、テリー・ボジオの3人編成となっての大傑作ライブ。
79年というプログレ衰退のこの時期に、堂々と変拍子を用いてテクニカルな演奏を見せつけつつ
ELP風味のいかにもなキーボードを曲に取り入れていたりと、確信犯的なプログレをしています。
この軽やかなセンスさは曲によっては日本のGERARDなどを連想するほどで、
エディのヴァイオリンも切れ味鋭く、楽曲、演奏共に超A級のライブアルバムの名盤です。
メロディアス度・・8 プログレ度・・8 ライブ演奏・・9 総合・・8.5 ◆プログレ名作選入り
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UKZ「Radiation」
エディ・ジョブソンを中心に、アレックス・マクヘイサック、トレイ・ガン、マルコ・ミネマン、アーロン・リッパート
という凄腕のメンバーが集結。バンド名からはどうしてもかつてのU.K.のような音を想像してしまうが、
実際はもっとヘヴィでモダンなサウンド。ダークめの質感にはKING CRIMSON色をいくぶん含みつつ、
随所にテクニカルなインタープレイを聴かせるあたりはさすが。メロディアスなプログレを期待すると
やや肩すかしだが、現代におけるプログレッシブロックのひとつの存在の仕方を提示しているという点では
大きな意義がある。4曲入りで21分という長さはやや物足りないが、フルアルバムに期待したい。
メロディアス度・・7 プログレ度・・8 モダン度・・8 総合・・8
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Eddie Jobson 「Ultimate Zero Tour - Live」
U.K.のエディ・ジョブソン率いるプロジェクト、U-Z Projectのライブ音源。2010年作
2009年のポーランド公演の音源を中心に収録した2枚組で、ジョン・ウェットン、トニー・レヴィン、グレッグ・ハウ、
トレイ・ガン、サイモン・フィリップス、マルコ・ミネマンといった実力派のメンバーを揃えたステージで、
U.K.やKing Crimsonからのナンバーをたっぷり含んだセットリストを聴かせてくれる。
のっけから“アラスカ”〜“イン・ザ・デッド・オブ・ナイト”という流れはファンには感涙ものだろうし、
“スターレス”、“レッド”といったクリムゾンの名曲が、優れた演奏者たちの手で再現されてゆく。
いくぶんこもり気味の音質であるが、演奏の素晴らしさもあって問題なく楽しめるし、
各メンバーのソロなども含めた、濃密で聴きごたえのある2枚組ライブ作品だ。
ライブ演奏・・9 音質・・8 UK&クリムゾン度・・8 総合・・8
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UK 「Reunion - Live in Tokyo」
イギリスのプログレバンド、UKのライブ作品。2013年作
70年代後半に2枚の傑作を残し日本でも依然人気の高いこのバンド、2011年になってUK名義では32年ぶりとなる来日公演を行った。
ジョン・ウェットン、エディ・ジョブソン、アレックス・マカチェク、マルコ・ミンネマンというメンバーでのステージを2CDに収録。
1曲目の“In The Dead of Night”から、ジョブソンのきらびやかなシンセワークに、マカチェクの惚れ惚れするような流麗なギターに聴き入る。
ウェットンのヴォーカルは、こもり気味の音質のせいもあってか最高とはいいがたいが、なんにせよUKとして来日した貴重なライブ音源を
ファンなら感涙とともに楽しめることだろう。11分を超える壮麗なプログレナンバー、“Carrying No Cross”あたりはやはり興奮しますな。
KING CRIMSONの“Starless”、“One More Red Nightmare”といったナンバーも披露、あらためてメンバーの演奏力の高さをうかがわせる。
ライブ演奏・・8 ライブ音質・・7 奇跡のUK度・・9 総合・・8
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URIAH HEEPVery 'Eavy...Very 'Umble」
ブリティッシュロックバンド、ユーライア・ヒープの1st。1970作
オルガン入りのハードロックということで、プログレファンからも評価が高いこのバンドだが、
この1stの時点では、後のプログレッシブな構築性よりは、むしろ暴れ回るオルガンに
ヘヴィなギターで聴かせる、ときにBLACK SABBATHをも思わせる薄暗さを感じるスタイルで、
ほのかにブルージーな香りも残している。未完成な荒さの中にも英国然とした質感が魅力的だ。
リマスター盤には、未発音源やBBCセッションの音源など8曲をボーナス収録。
メロディアス度・・7 プログレ度・・7 英国度・・9 総合・・8
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URIAH HEEP「Salisbury
ブリティッシュロックバンド、ユーライア・ヒープの2nd。1971作
粗削りだった前作よりも楽曲の構築力が上がり、プログレ的な雰囲気が増している。
うなりを上げるギターにオルガンの音色、さらにはメロトロンが美しく響く、
まさにブリティッシュロックのすべてがここに詰まっているというようなサウンドである。
歌メロやコーラスワークなどには、当時の英国らしいキャッチーな美しさもあり、
アコースティカルなパートでの楽曲のメリハリなども含めて、よりプログレ的に洗練されている。
とくに15分を超えるタイトル曲はドラマティックなアレンジが見事。バンド初期の代表作といえる。
リマスター盤には、未発音源やシングルバージョンなど6曲をボーナス収録。
ドラマティック度・・8 プログレ度・・8 英国度・・9 総合・・8
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URIAH HEEPLook at Yourself」
ユーライア・ヒープの3rd。1971作
「対自核」という邦題で有名なバンドの代表作。GAMMA RAYもカヴァーしたタイトル曲をはじめ、
いかにも英国らしい叙情と、勢いのあるオルガン入りのハードロックが楽しめる傑作。
ギターリフ、メロディの格好よさに磨きがかかり、まさにバンドの絶頂期というべき音が溢れており、
前作までの土臭さが薄らぎ(それも好きなのだが)スタイリッシュになった分とっつきがよくなった。
ブリティッシュロックとしての代表作が前作なら、本作はハードロックとしてのヒープの代表作だろう。
リマスター盤には、別バージョンやBBCセッションの音源など7曲をボーナス収録。
ドラマティック度・・8 プログレ度・・7 英国度・・9 総合・・8
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URIAH HEEPDemons and Wizards」
ユーライア・ヒープの4th。1972作
「悪魔と魔法使い」というタイトルとロジャー・ディーンによる美しいジャケが印象的。
サウンドも前作とはうって変わり、アコースティカルで牧歌的な“The Wizard”で幕を開ける。
全体的には、後のポップ化の萌芽もかすかに感じられる聴きやすいキャッチーさと、
コンパクトにまとまった曲が多く、前2作に比べると濃密さではやや聴き劣りはするが、
もちろん彼ららしいオルガン鳴り響くハードなナンバーもあり、バランスのとれた好作である。
リマスター盤には、未発音源や別バージョンなど5曲をボーナス収録。
ドラマティック度・・7 プログレ度・・7 英国度・・8 総合・・8
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URIAH HEEP「The Magician's Birthday」
ユーライア・ヒープの5th。1972作
邦題は「魔の饗宴」、一般の評価としては前作に劣るということだが、個人的には前作の続編的に楽しめるアルバムだと思う。
曲によってはよりキャッチーでシンプルなものもあるが、英国的な叙情とドラマティックな雰囲気はまだ充分に残っているし、
とくにヴォーカルのデビット・バイロンの歌声は今作がとくに素晴らしい。リマスター盤には、未発音源や別バージョンなど9曲をボーナス収録。
ドラマティック度・・7 プログレ度・・7 英国度・・8 総合・・7.5
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URIAH HEEP「Sweet Freedom」
ブリティッシュロックバンド、ユーライア・ヒープの6th。1973作
「悪魔と魔法使い」、「魔の饗宴」の成功で勢いを得たバンドが、アメリカ進出を狙った1作。
前作までの幻想的な世界観は薄まり、キャッチーなメロディで聴かせるサウンドは
一聴してポップになった風にも感じるが、ヘヴィなギターに絡むケン・ヘンズレーのオルガンは
いかにも英国的で、全体的にもブリティッシュロックとしての質感はちゃんと残っている。
メロディアスなヒープという点では、むしろ代表作にもなりうる傑作だと思う。
メロディアス度・・8 キャッチー度・・8 英国度・・9 総合・・8
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URIAH HEEP「Live '73」
ユーライア・ヒープのライブアルバム。1973作
4thDemons and Wizards」以降、メロディックでキャッチーな作風へと変化してきた彼らだが、
ここで聴けるのは、まさしく初期を思わせるブリティッシュ・オルガンハードロックで、
スタジオ作以上熱気を帯びた演奏が楽しめる。掻き鳴らされるケン・ヘンズレーのオルガンの音色に、
デヴィッド・バイロンのヴォーカルの存在感も素晴らしい。英国を代表するバンドの熱きライブ作だ。
リマスター盤のボーナスDiscには、ラジオ音源などを12曲収録。
ドラマティック度・・7 プログレ度・・7 ライブ演奏・・8 総合・・8
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URIAH HEEP 「Wonderworld」
ブリティッシュロックバンド、ユーライア・ヒープの7th。1974作
アメリカ進出を狙った前作のキャッチーさを引き継ぎつつも、プログレハード的な聴き心地を残した好作。
1曲めのタイトル曲のバラードはしっとりした英国的な聴き心地の佳曲。
その後はブルージーなハードロックにキャッチーなヴォーカルメロディを乗せた、
比較的シンプルな曲が多くインパクトには欠けるが、総じて出来はそう悪くない。
メロディアス度・・8 キャッチー度・・8 英国度・・8 総合・・7.5
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URIAH HEEP 「Return to Fantasy」
ブリティッシュロックバンド、ユーライア・ヒープの1975年作/邦題「幻想への回帰」
KING CRIMSON解散後のジョン・ウェットンが参加したことでも知られるアルバムで、
叙情的なシンセから始まる、タイトル曲は、サビのメロディが印象的なドラマティックな好曲。
2曲目以降は、アメリカン寄りのキャッチーなロックナンバーから、ブラス入りのゴージャスなナンバー、
ゆつたりとしたバラードなど、バラエティに富んだ内容。ロバート・バイロンの表現豊かな歌声に、
ケン・ヘンズレーのオルガンを含むシンセワークもよろしく、派手さはないものの肩の力を抜いて楽しめる。
ドラマティック度・7 キャッチー度・8 英国度゜・8 総合・7.5
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URIAH HEEP 「Innocent Victim」
ブリティッシュロックバンド、ユーライア・ヒープの11th。1978作
ヴォーカルにジョン・ロートンを迎えての2作目。ポップな印象の前作の流れをくみつつも
より洗練されたキャッチーさでハードポップとしての醍醐味を味わえる好作に仕上がっている。
ジョン・ロートンの伸びやかな歌声に、やわらかなオルガンの音色が交差して、
やはりどう聴いても英国からしか出て来ないサウンドである。これぞ中期の傑作。
メロディアス度・・8 キャッチー度・・9 英国度・・8 総合・・8
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URIAH HEEP 「Fallen Angel」
ブリティッシュロックバンド、ユーライア・ヒープの12th。1978作
かつてクリス・アチレオスのファンタジックなジャケに惹かれて買ったアルバムだが、
内容の方も今聴くと、アダルトなブリティッシュハードとして普通に楽しめる。
キャッチーなコーラスハーモニーや、オルガンを含むシンセアレンジで、
耳心地のよい英国ハードロックを聴かせてくれる。派手さはないがなかなかの好作だ。
メロディアス度・・8 キャッチー度・・8 英国度・・8 総合・・7.5
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URIAH HEEP 「CONQUEST」
ユーライア・ヒープの13th。1980年作
前作のポップ路線をさらに強めたサウンドで、1曲目などはTOTOあたりを思わせるアレンジで、
キャッチーなポップロックという印象だが、ジョン・スローマンの繊細なハイトーンヴォーカルが
この路線にはけっこうマッチしていて、聴き心地はなかなかいい。英国らしい空気感は薄れたが、
オルガンも鳴り響くハードポップ的に楽しめる好作ではある。本作はケン・ヘンズレー在籍最後の作品。
メロディアス度・・8 キャッチー度・・8 英国度・・7 総合・・7.5
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URIAH HEEP 「Abominogl」
ブリティッシュロックバンド、ユーライア・ヒープの14th。1982年作
前作を最後にミック・ボックスを残して、ケン・ヘンズレー、トレヴァー・ボルダー、ジョン・スロマン、クリス・スレイドの4人が脱退、
本作ではドラムのリー・カスレイクが復帰し、新たにピーター・ゴルビー、ボブ・ディズリー、ジョン・シンクレアという布陣で作られた。
サウンドの方は、メンバーチェンジが功を奏してか、1曲目から往年のブリティッシュハードらしさが復活、
ピーター・ゴルビーの歌声もパワフルでバンドサウンドによくマッチしていて、ジョン・シンクレアのオルガンもなかなかいい。
2曲目以降は80年代らしいキャッチーな感触に包まれているが、軟弱になったというわけではなく、
楽曲の質自体が高いので、むしろ多くのメロディアス・ハード好きに楽しめる好作品になっている。
メロディアス度・・8 キャッチー度・・9 英国度・・8 総合・・8
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URIAH HEEPWake the Sleeper
ブリティッシュロックバンド、ユーライア・ヒープの2008年作
1998年の「SONIC ORIGAMI」以来10年ぶりのアルバムであるが、のっけから激しく疾走する勢いの良さに、
オールドなオルガンの音色が絡む、まさに全盛期のヒープサウンドを彷彿とさせる作風で、むしろびっくりである。
古き良きブリティッシュハードの香りをしっかりと残しつつ、ただ古臭いだけではない、パワフルな演奏はさすがベテランである。
メロディアス度・・8 古き良き度・・8 ヒープ度・・9 総合・・8
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Uriah Heep
「Celebration」
ブリティッシュ・ハードのベテラン、ユーライア・ヒープの2010年作
2008年の復活作に続く本作は、過去曲のセルフカヴァーをメインにしたアルバム。
1st収録の“Gypsy”や、2nd収録の“Bird Of Prey”、“Lady in Black”をはじめ、
代表作である3rdからの、“Look at Yourself”、“July Morning”、4thの“The Wizards”など、
70年代ヒープの魅力が詰まったナンバーを再現。オリジナルメンバーはギターのミック・ボックスのみだが、
バーニィ・ショウの力強い歌声とともに、オルガン鳴り響く古き良きブリティッシュハードサウンドが楽しめる。
往年のヒープファンはもちろん、若いリスナーの入門用にもうってつけの作品だろう。
メロディック度・・8 英国度・・8 ヒープ度・・9 総合・・8
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URIAH HEEP「Into The Wild」
ブリティッシュ・ハードのベテラン、ユーライア・ヒープの2011年作
復活作である2008年の「Wake the Sleeper」から、さらにレイドバックしたようなサウンドで、
鳴り響くオルガンとともに、まさに70年代を思わせる古き良きヒープ節が炸裂している。
唯一のオリジナルメンバーはギターのミック・ボックスのみだが、そのアナログ感たっぷりのギターワークと
バーニー・ショウの朗々たる歌声がよくマッチしており、これぞブリティッシュ・ハードロックという聴き心地だ。
全体の完成度という点では、彼らの歴史の中でも屈指の出来と言ってよいだろう。
メロディック度・・8 王道HR度・・8 ヒープ度・・9 総合・・8
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URIAH HEEP 「Outsider」
ブリティッシュ・ハードのベテラン、ユーライア・ヒープの2014年作
復活した2008年以降、旺盛な活動で質の高い作品を出し続けている大ベテランバンド、
見事な傑作であった前作に続き、今作もまたオルガンが鳴り響く古き良きスタイルで、
唯一のオリジナルメンバーであるミック・ボックスのブルージーなギターワークと
味わいのあるバーニー・ショウのヴォーカルとともに、新生ヒープの美学を貫くサウンドが楽しめる。
前作に比べるといくぶんストレートな印象で、HRリスナー向きの分かり安い曲が多いのも受けるだろう。
キャッチーなメロディとオールドなハードロック感触を同居させた、バンドとして新たな安定期を感じさせる好作品。
キャッチー度・・8 ヒープ度・・8 英国ハー度・・8 総合・・8
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Uriah Heep 「Living the Dream」
ブリティッシュ・ハードのベテラン、ユーライア・ヒープの2018年作
1970年デビューのベテラン、オリジナルメンバーは、ギターのミック・ボックスのみであるが、
適度なハードなギターにオルガンが鳴り響き、バーニー・ショウの味のあるヴォーカルを乗せて、
往年のヒープをしっかりと受け継いだサウンドは本作も健在。反面、これだという目新しさはないのだが、
ドラムを中心にした演奏陣の安定感はさすがで、ミックによる泣きのギタープレイも随所に覗かせつつ、
哀愁の叙情を含んだ大人の英国ハードに浸れる。オールドファンからヒープ初心者にも楽しめる好作品。
ドラマティック度・8 古き良き度・8 英国ハー度・8 総合・8 
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Uriah Heep 「Chaos & Colour」
イギリスのハードロック、ユーライア・ヒープの2022年作
1970年デビューの大ベテラン。本作は通算25作目あたり。メンバーは前作から変化なしで、サウンドの方も、ほどよくハードなギターにオルガンを重ね、バーニー・ショウの伸びやかな歌声とともに、キャッチーなノリのあるヒープらしいハードロックは健在。
叙情的な
ミック・ボックスの奏でる叙情的なギタープレイも随所にアクセントになっていて、フィル・ランゾンのオルガンも、もはやヒープの一部というべき見事なアレンジで楽曲を彩っている。
ヴィンテージなスタイルであるが、古めかしさではなく現在形のレイドバックというような、大人の優雅さに包まれていて、今作はどの曲もメロディのフックが秀逸だ。ここにきて最高のアルバムが完成。
ドラマティック度・8 ヴィンテージ度・8 英国度・9 総合・8.5 
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VAN DER GRAAF GENERATOR「The Least We Can Do Is Wave to Each Other」
イギリスのプログレバンド、ヴァン・ダー・グラフ・ジェネレーターの2nd。1970作
派手さはないが通好みのバンドとして評価が高い彼らの初期の傑作。
ゆるやかなベースのグルーブ感に、ピアノやサックス、メロトロンが重なり
薄暗い叙情をかもしだすサウンドに、ピーター・ハミルの歌声が乗る。
インスト部分はジャズロック的な質感もあるが、軽やかでもテクニカルでもなく、
もっと内的表現的な穏やかなやわらかみがあるのが特徴。ハミルの歌声はときにじつに繊細に、
優しく詩を歌い上げるかのようで、クリムゾンの宮殿にも通じる叙情美はじつに耳に心地よい。
メロディアス度・・8 プログレ度・・7 叙情度・・8 総合・・8
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VAN DER GRAAF GENERATOR「H to He Who Am the Only One」
ヴァン・ダー・グラフ・ジェネレーターの3rd。1970作
一聴して演奏面でのまとまりが増し、バンドサウンドとして完成された印象。
プログレッシブな構成力が強まったことで、シンセやサックスの役割がはっきりとなり
楽曲自体が生き生きとしてきた。変即リズムを取り入れたテクニカルな要素も増え、
しっとりしたフルートやハミルの歌声を聴かせる叙情曲とのメリハリがついた。
スケールの大きな大作志向も顕著になってきたが、楽曲の密度も上がっている。
プログレという点に関しては、本作と次作「Paun Hearts」が最高であろう。
2005年リマスター盤には、15分の未発曲やバージョン違い曲をボーナス追加。
メロディアス度・・8 プログレ度・・8 叙情度・・7 総合・・8
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VAN DER GRAAF GENERATOR「Pawn Hearts」
イギリスのプログレバンド、ヴァン・ダー・グラフ・ジェネレーターの4th。1971作
一般的にVDGGの最高作とされるアルバム。どこかスペイシーなハモンドの音色に、
ピーター・ハミルの個性的な歌声が響きわたり、不思議な壮大さが広がってゆく。
サックスも入ってジャズロック的な要素もありながら、絡みつくような濃密さが音にあり、
気持ち悪い一歩手前という雰囲気が、つまりはとても個性的でもある。
KING CRIMSONにも匹敵する音の強度と、アヴァンギャルドな感覚を有して
たたみかけるこの質感は、後のイタリアのヘヴィプログレなどにも影響を及ぼしたと思われる。
全3曲という大作志向のアルバムで、とくに後半の23分の組曲が圧巻だ。
2005年リマスター盤には、未発曲やバージョン違いなど5曲をボーナス追加。
プログレ度・・9 濃密度・・9 壮大度・・9 総合・・8.5 ◆プログレ名作選入り
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VAN DER GRAAF GENERATOR「Godbluff」
ヴァン・ダー・グラフ・ジェネレーターの5th。1975作
いったんはソロ活動に身を置いていたピーター・ハミルが4年ぶりにVDGGとしての
活動を再開。バンド第二期のスタートを告げるのが本作である。
サウンドの方は、初期の雑多な音楽性からはいくぶん整理され、ずいぶんとスマートになっている
ハモンドとフルートが美しく鳴る中をハミルの歌声が詩情豊かに重なって、じつに叙情的な雰囲気だ。
プログレ的な展開力もしっかりと随所で聴かせてくれ、ボーナスを除くと4曲32分という短さであるが完成度の点でも隙がない。
メロディアス度・・8 プログレ度・・8 叙情度・・9 総合・・8
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VAN DER GRAAF GENERATOR「Still Life」
ヴァン・ダー・グラフ・ジェネレーターの6th。1976年作
よりメロディアスに聴きやすくなり、ピーター・ハミルの歌ものとしての最高作といえる。
ハモンドやシンセの美しい音色にサックスが絡み、厚みを増したサウンドがハミルの歌唱を感動的なまでに盛り上げる。
ときに少年のようにやわらかく繊細にときに狂気をはらんでガナりたてるその歌の表現力は、いよいよ孤高の域にまで高まっており、
楽曲の説得力を否が応にも引き立てる。しっとりと聴かせながらもどこか張りつめた彼の心の緊張感がただようような、じつに美しい作品だ。
メロディアス度・・8 プログレ度・・7 叙情度・・10 総合・・8.5
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Van der Graaf GeneratorWorld Record」
イギリスのプログレバンド、ヴァン・ダー・グラフ・ジェネレーターの7th。1976作
1975年の「Godbluff」、76年の「Still Life」と素晴らしい完成度のアルバムを立て続けに発表し、
本作が全盛期のVDGG名義としてはラスト作となる。ハミルの歌唱がメインであった前作に比べ
今作はより楽曲志向の構成になっていて、オルガンに絡む大胆にサックスの使い方など、
ジャズロック的なアプローチもかいま見せつつ、スペースサイケ風の壮大さとともに
ごった煮的なアヴァンギャルド要素を炸裂させて濃密に聴かせる。20分を超える大曲“MeuglysV”も圧巻。
叙情性の点では前2作に軍配が上がるが、プログレッシブということでは本作が一番かもしれない。
メロディアス度・・7 プログレ度・・8 叙情度・・7 総合・・8
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Van Der Graaf「Quiet Zone/Pleasure Dome」
ヴァン・ダー・グラフの1977年作
ヒュー・バントンとデヴィッド・ジャクソンが脱退し、ニック・ポッターとグラハム・スミスを迎え、
バンド名を短縮して発表された作品。A面、B面が別のタイトルがつけられたアルハムで
ヴァイオリンが鳴る軽やかなジャズロック風味と、ピーター・ハミルの独特の歌声で
適度な緊張感とユルさの同居した作風で、これはこれでなかなか味がある。
メロディアス度・・7 プログレ度・・8 叙情度・・7 総合・・7.5
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Van Der Graaf 「Vital」
イギリスのプログレバンド、ヴァン・ダー・グラフのライブ作。1978年作
バンド名が短縮された1977年作に続いてのライブ作品。デヴィッド・ジャクソンが復帰し、
チェロ&シンセのチャールズ・ディッキーが新たに加入し、6人編成でのステージ。
ハードなギターといつになくヘヴィにうねるベースに、ヴァイオリンやチェロが絡み、
ときにクリムゾンばりの硬質感と、いくぶんダーティなハミルの歌声も含めて、
気合の入った演奏を聴かせる。初期の傑作「H to He Who am the Only One」や
「Pawn Hearts」からの大曲も含め、CD2枚組で濃密な演奏がたっぷり楽しめる。
ドラマティック度・・8 プログレ度・・8 ライブ演奏・・・8 総合・・8
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Van Der Graaf Generator「Present」
イギリスのプログレバンド、ヴァン・ダー・グラフ・ジェネレーターの復活作。2005作
1977年の「The Quiet Zone/The Pleasure Dome」以来、じつに28年ぶりとなるアルバムで、
歌入り6曲とインプロで聴かせるインスト10曲を分けたCD2枚組という編成。
サックスが鳴り響き、レトロなオルガンの音色がかぶさる中を、ゆったりとそして朗々と
ピーター・ハミルの歌声が響きわたると、それだけでもうかつてのVDGGが甦るようだ。
この声に秘められた思いそのものがハミルの表現なのだ。70年代のサウンドを色濃く残しつつ
いくぶんモダンでヘヴィな質感も取り入れている。歌もののDisc1に対してDisc2での演奏は、
ジャズロック的な優雅な軽やかさと、即興的な自由度と大人の余裕を聴かせる演奏が素晴らしい。
メロディアス度・・7 プログレ度・・8 VDGG度・・9 総合・・8
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Van Der Graaf Generator 「Trisector」
イギリスのプログレバンド、ヴァン・ダー・グラフ・ジェネレーターの2008年作
2005年の「Present」に続く復活2作目で、前作からデヴィッド・ジャクソンが脱退し
ピーター・ハミル、ヒュー・バントン、ガイ・エヴァンスのトリオ編成となった。
オルガンが鳴り響く70年代テイストのレトロなサウンドは、よりシンプルな音数になったが、
その分、彼らの核となる音の強固さが感じられる。ピーター・ハミルの風変わりでシアトリカルな
その歌声はかつての趣のまま、変則リズムの浮遊感あるアンサンブルに溶け込み
奇妙な緊張感を漂わせている。一方ではピアノの美しい叙情性もあったり、じっくり楽しめる作品だ。
ドラマティック度・・7 プログレ度・・8 レトロ度・・8 総合・・8
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Van Der Graaf Generator 「A Grounding In Numbers」
イギリスのプログレバンド、ヴァン・ダー・グラフ・ジェネレーターの2011年作
復活3作目で、前作から続くトリオ編成でのアルバム。3〜5分台の小曲を中心にした作品で
やわらかなオルガンの音色とハミルの歌声で聴かせる、落ち着いた大人の叙情が広がってゆく。
全体的にも歌もの的な色合いが強まっているので、プログレ的な演奏の緊張感という点では
いくぶんの物足りなさはあるが、これもまたVDGG=ハミルの音楽なのは間違いない。
ドラマティック度・・7 プログレ度・・7 大人の叙情度・・8 総合・・8
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Van Der Graaf Generator 「ALT」
イギリスのベテラン、ヴァン・ダー・グラフ・ジェネレーターの2012年作
2006年の「Trisector」録音時から近年のマテリアル音源をまとめた作品。
歌もの的であった前作に比べると、即興的な演奏が中心の真逆の作風で、
鳥の鳴き声とドラムだけの1曲めから面食らうが、ある種、チェンバーロック的で
先の読めない緊張感を含んだ面白さはある。一般のプログレファンには向かないのだが、
VDGGGというバンドのアーティスティックなセンスは感じ取ることができるだろう。
ドラマティック度・・6 プログレ度・・7 即興度・・8 総合・・7.5
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VAN DER GRAAF GENERATOR 「Live In Concert At Metropolis Studios, London」
イギリスのプログレバンド、ヴァン・ダー・グラフ・ジェネレーターのライブ。2012年作
2010年、TV放送用に収録されたロンドン、メトロポリス・スタジオでのライブを2CD+DVDに収録。
ピーター・ハミル、ヒュー・バントン、ガイ・エヴァンスのトリオ編成で、オルガン、ピアノが鳴り響き、
ハミルの独特の歌声を乗せた優雅な演奏は、まさに往年のVDGGを思わせる生々しいサウンド。
2008年作「TRISECTOR」からのナンバーを中心に、過去作からの楽曲も演奏していて、
“Lemmings”でのでスリリングなアンサンブルは素晴らしい。ときに優しく、ときにダーティにガナリ立てる、
ヴォーカルのキレっぷりもいいですね。DVD映像では、シンセからギターに持ち替えながら熱唱する
ハミル先生のお姿がとても恰好よいです。音質も良好、ファンなら必携のライブ作品ですな。
ライブ演奏・・9 プログレ度・・8 優雅度・・8 総合・・8
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VAN der GRAAF GENERATOR 「Merlin Atmos - Live Performances 2013」
イギリスのプログレバンド、ヴァン・ダー・グラフ・ジェネレーターのライブ作品。2015年作
60年代から活動する英国プログレの裏の帝王というべきバンド、2005年の復活以後は精力的にアルバムやライブ作品を発表、
本作は、2013年の欧州ツアーからのステージを収録。ピーター・ハミルの深みのある歌声に、ヒュー・バントンのオルガン、
ガイ・エヴァンスのドラムによって生み出される湿り気を帯びたサウンドは、まさにVdGGにしかなしえぬ世界観。
トリオ編成ながら、ときにツインシンセになったり、ハミルのギターや、ヒュー・バントンのベースペダルによって、
楽曲ごとに巧みに編成を変化させるメンバーシップもさすが。70年代の空気感を再現させながらスリリングな緊張感を描く、
ベテランらしい堂々たる表現力も素晴らしい。それぞれ20分を超える大曲“Flight”、“A Plague of Lighthouse Keepers”を
完全な形で再現しているのもファンには嬉しいだろう。2CDの限定盤は、Disc2に7曲を70分超を収録、まさに完全版ライブが楽しめる。
プログレ度・・8 ライブ演奏・・8 スリリング度・・9 総合・・8
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VAN DER GRAAF GENERATOR 「DO NOT DISTURB」
イギリスのプログレバンド、ヴァン・ダー・グラフ・ジェネレーターの2016年作
2005年に28年ぶりに復活し、本作は復活後5作目となる。ピーター・ハミル、ヒュー・バントン、ガイ・エヴァンスのトリオ編成で、
前作「ALT」は即興的な味わいの小品であったが、本作もハミルの味わいのあるヴォーカルを主体にゆったりと聴かせつつ、
やわらかなオルガンの音色やピアノを乗せた優雅なアンサンブルが楽しめる。楽曲は5〜7分前後を主体に、
シンプル過ぎず複雑すぎず、随所にリズムチェンジを含むプログレ的な展開力も健在で、かつてを思わせる屈折感のある
知的なアレンジセンスも光っている。即興的なジャズ風のパートなど、聴き手に媚びないアーティスティックな姿勢など、
ここにきてぐっとVDGGらしさが戻ってきた。優雅さと屈折したセンスの同居…まさに大人のプログレというべき逸品です。
ドラマティック度・・7 大人のプログレ度・・9 優雅度・・9 総合・・8.5 
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PETER HAMMILL「FOOL'S MATE」
ヴァン・ター・グラフ・ジェネレーターの、ピーター・ハミルのソロアルバム。1971作
4th「Paun Hearts」でVDGGの活動に一区切りをつけたピーターはソロに転じ本作を発表。
ここで聴けるのは、VDGGの大作志向とはやや異なり、3〜4分台のコンパクトな曲ばかりで、
明るめのロックナンバーから、薄暗い叙情曲などさまざまだが、結局はハミルの歌声が入ると
どれもが彼の楽曲になる。ピアノやシンセのアレンジなどにクラシカルな素養を覗かせながら、
味わいのある小曲が続く。VDGGのような壮大さはないので、肩の力を抜いて聴けるアルバムだ。
メロディアス度・・8 プログレ度・・6 ハミル度・・9 総合・・8
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Peter Hammill「The Silent Corner And The Empty Stage
VDGGのピーター・ハミルのソロ3作目。1974年作
バンド解散中に作られたアルバムで、次作の「In Camera」と並んで評価の高いアルバム。
アコースティカルな素朴さの中に、己の内面をえぐりだすようなハミルの歌声に引き寄せられる。
不穏なギターの響きやダークな世界観は、VDGGにも通じるものだが、より私的で繊細な感情が
ここには込められている。ラストの12分の大曲もプログレッシブな構成で圧巻の出来だ。
メロディアス度・・7 プログレ度・・8 薄暗度・・8 総合・・8
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PETER HAMMILL「In Camera」
ピーター・ハミルのソロ4作目。1974年作
VDGGのいったんの解散後に作られた3作目のアルバムで、ファンの間ではハミルの最高作とされる。
確かに、静かな叙情性と薄暗さの同居した世界観という点で、ディープなアルバムだ。
美しいピアノに重なる、詩人ハミルの歌声には、どこか厳かな悟りのようなものも感じられ
作品全体に静かなるパワーのようなものがある。効果的に使われるムーグシンセの音も
プログレファンには受けるだろう。後半の2つの大曲も聴きどころ。濃密なアルバムだ。
メロディアス度・・7 プログレ度・・8 薄暗度・・8 総合・・8
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PETER HAMMILL「Over」
ピーター・ハミルの1977年作
長年のパートナートの別れを感情で表現するようなハミルの歌声が響きわたる。
VDGGのメンバーが録音に参加しているので、ロック/プログレ色もけっこうあり、
テーマを気にせずに聴いても普通に楽しめる。ヴァイオリンやピアノが美しい
しっとりとした曲では、己の内なる悲しみを吐露するような歌声がまたよいんです。
一転、アコースティックギターの音色とともにハミルの感情が爆発する曲もステキです。
メロディアス度・・7 プログレ度・・7 悲しみの情感度・・8 総合・・8
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Peter Hammill「The Future Now」
ピーター・ハミルの1978年作
以前の薄暗い作風に比べて、楽曲はいくぶんポップになった感触だが、
ハミルの歌声の個性があれば根幹の世界観は変わらず。
アコスーティックギターにサックスとピアノがかぶさり、楽しげなノリの中にも
どこか哀愁を漂わせた、道化師めいた自虐的な雰囲気も感じさせる。
アルバム中盤からは、ハミル節ともいうべきほの暗さもしっかり残っています。
メロディアス度・・7 プログレ度・・7 哀愁度・・8 総合・・7.5
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WALLY
イギリスのプログレバンド、ウォーリーの1974年作
優美なハープシコードとヴァイオリンの音色に導かれて
幻想的なサウンドを描き出す。
繊細なピアノにメロトロン、オルガンの響きはいかにも英国的で、アコースティカルな素朴さや
牧歌的な聴き心地は、Barclay James Harvestなどにも通じる味わいもある。
泣きのギターにかぶさるヴァイオリンの美しさにはうっとり。繊細系プログレや、
クラシカルな叙情の英国シンフォニックがお好きな方にはぜひ聴いて欲しい逸品。
ちなみに本作の楽曲のアレンジにはRICK WAKEMANも関わっている。
メロディック度・・8 優雅度・・9 英国度・・9 総合・・8
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WALLYValley Gardens」
イギリスのプログレバンド、ウォーリーの1975年作
優雅でメロディックな70's英国シンフォニックロックの感触は前作同様ながら、
よりしっとりとした洗練を感じさせる。やわらかなヴォーカルにピアノのつまびき
メロトロンやムーグシンセなども使ったアレンジも濃密すぎず、軽やかなアンサンブルで聴かせる。
泣きのヴァイオリンの叙情にうっとりと癒される一方では、18分の大曲ではプログレ的なスケール感と
展開力で構築されるサウンドはなかなか圧巻だ。70年代中盤の隠れた好作品というべき内容です。
メロディック度・・8 優雅度・・8 英国度・・9 総合・・8
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WALLEY「TO THE URBAN MAN」
イギリスのプログレバンド、ウォーリーのライブ作品。2011年作
70年代に2作を残して消えたこのバンドであるが、2010年に35年ぶりとなる復活作「MONTPELLTER」を発表、
本作はその2010年4月の英国でのライブを収録したCD2枚組。やわらかなピアノにヴァイオリンが絡み、
繊細にしてシンフォニックな聴き心地で、オルガンを含んだいかにも英国らしい叙情サウンドが楽しめる。
上記復活作からの楽曲を中心に、1st、2ndの曲も演奏していて、古き良き英国プログレの牧歌性を、
しっかりと現在に甦らせている。いわゆる非シンフォ系のメロディアス系バンドとして意義ある復活であろう。
ライブ演奏・・8 叙情度・・8 英国度・・9 総合・・8
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web「i spider」
イギリスのジャズロックバンド、ウェブの1970作
このジャケのインパクトがなかなか強烈なwebのサードアルバム。
基本はサックス入りのジャズロックなのだが、サイケがかった妖しさと、
ブリティッシュロック的な湿りけが感じられるので、プログレとしても楽しめる。
いくぶんアクのあるヴォーカルとともに押しの強い演奏に気押されていると、
優雅なピアノが鳴りだして繊細なパートがしっかりあるのがなかなか心憎い。
まさにマニア好みのブリティッシュロックのレアアイテムというべき作品。
ジャズロック度・・7 プログレ度・・7 英国度・・8 総合・・7.5
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The Who「Tommy」
ザ・フーのアルバム。1969作
LP2枚組のロックオペラとして作られた本作は、少年の頃の事件をきっかけに
なにも見えず、聴こえず、話せなくなってしまったトミーという名の若者が
苦難のはてに、やがて心の自由を得るまでを描いた壮大なコンセプト作。
基本は牧歌的な温かみのある古き良きメロディックロックの質感でありながら、
曲間をつなげるプログレ的な構成で、壮大なストーリーを感じさせる作りが見事。
デラックスエディションのDisc2にはデモや未発曲などを収録。
メロディアス度・・8 プログレ度・・7 ドラマティック度・・8 総合・・8
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WISHBONE ASHPilgrimage
ブリティッシュロックバンド、ウィッシュボーン・アッシュの2nd。1971作
「巡礼の旅」と題された本作は、名盤「百眼の巨人アーガス」へとつながる作品であるが、
次作のような流麗なツインギターはさほど聴かれず、ややブルージーな感触の
ブリティッシュロックという趣だ。8分、10分という大曲ではプログレ的な展開力と
英国らしい叙情性も盛り込んで、なかなか楽しませてくれる。
メロディアス度・・7 プログレ度・・7 英国度・・8 総合・・7.5
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WISHBONE ASH「ARGUS」
ブリティッシュロックバンド、ウィッシュボーン・アッシュの3rd。1972作
「百眼の巨人アーガス」という邦題でおなじみの名作。
イントロのアコースティックギターの音色からもう哀愁を誘いますが、
楽曲の方もいくぶんブルージーな色を残しながら、前作よりもさらに洗練された雰囲気で、
ツインギターによるメロディがとても美しい、いかにも英国然としたロックサウンドです。
とくにラスト曲の美しさは絶品。ブリティッシュロックの名作として扱われるのが分かります。
ドラマティック度・・8 プログレ度・・6 英国度・・9 総合・・8
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YZ

YES「YES」
英国プログレを代表するバンド、イエスの1st。1969作
プログレッシブロックとして語られる3rd以降よりは、まだぐっと“ロック”しているアルバム。
それでいながら、同世代のブリティッシュロックバンドのどれよりも、音には構築性が感じられる。
演奏には素朴な温かみがあり、ピーター・バンクスのギターはオールドなブリティッシュロック的味わいがあるし、
トニー・ケイのキーボードワークは技巧的というよりは叙情的に響く。
歌メロや美しいコーラスハーモニーには、後の黄金期への萌芽が見られ、
この年代のデビュー作としては、クリムゾンの「宮殿」と同様突出したクオリティだ。
2003年リマスターには、シングルやデモバージョンなどボーナス6曲収録。
メロディアス度・・8 プログレ度・・7 ブリティッシュ度・・8 総合・・8
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YES「TIME AND A WORD」
イエスの2nd。邦題は「時間と言葉」。1970作
この時点ではまだ、プログレというよりはブリティッシュ・アートロックという音の質感で、
スティーブ・ハウの加入前なので、演奏自体にはあまり派手さはないのだが、
所にオーケストラを導入していて、楽曲にかぶさるストリングスの響きが美しい。
本作リリース前に脱退するピーター・バンクスのギターは随所によい味わいを出しているのだが、
むしろオーケストラアレンジによって活躍する部分が減っている感じもする。一方ではオルガンを含む
トニー・ケイのやわらかなキーボードと、ビル・ブラッフォードの緻密なドラムはさすがというプレイで、
前作以上にプログレ的な壮大さを描くことに成功している。プログレ前夜の好作品だ。
2003年リマスター盤には、別バージョン等、4曲のボーナストラックが追加されている。
シンフォニック度・・8 プログレ度・・7 ブリティッシュ度・・8 総合・・8
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YES「The Yes Album」
イエスの3rd。1971作。邦題は「サードアルバム」
本作は人気の高い次作「こわれもの」に比べると、まだ完成されていない分、ロックとしての本質的な温かみと躍動感に満ちている。
初期の名曲というべき“Your is no Disgrace”も含んだ個人的にもとても好きなアルバムであるし、
リマスターの音質向上により、スティーブ・ハウの細やかなギターワークがクリアに聴こえ、ビル・ブラッフォードのダイナミックなドラムも素晴らしい。
リック・ウェイクマン加入前ということで、トニー・ケイの素朴なシンセワークもむしろブリティッシュロック的なソフトな質感で
このサウンドにはよくマッチしている。完全なメジャーバンドとなる一歩手前の、プログレバンドとしての本質が聴ける素晴らしい作品だ。
リマスター盤のボーナスには、代表曲“Starship Trooper”のシングルバージョンを含む3曲を収録。
メロディアス度・・8 プログレ度・・8 楽曲度・・8 総合・・8
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YES「FRAGILE」
イエスの4th。1972作。邦題は「こわれもの」
本作は、個人的には「危機」や「サードアルバム」に比べるとポップなメロディが耳についてあまり好きではなかったのだが、
音質が大幅向上したリマスター盤で聴くと、サウンドの鮮明さが段違いに良くて、印象がやや変わる。
シンセにリック・ウェイクマンが加わったことで黄金期のメンバーが勢ぞろい、サウンドには堂々たる自信がみなぎり、
キャッチーなメロディとテクニカルさとのバランスがとれた細かなアレンジセンスにはすでに職人的な繊細さを感じさせる。
レコーディングのスケジュールがとれなかったことで、メンバーがソロ用に書いた曲も混在させることとなったという点では、
やはり次作「危機」に比べると完成度は落ちるかみしれないが、ラスト曲「燃える朝焼け」はダイナミックな展開力が素晴らしい。
リマスター盤はボーナストラック入りで、完全再現された紙ジャケもいい感じです。
メロディアス度・・8 プログレ度・・7 リマスター度・・9 総合・・8
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YES「CLOSE TO THE EDGE」
イエスの5thアルバム。「危機」のタイトルで知られる1972年作の名作。
言わずと知れたYESの最高傑作であり、18分にもおよぶタイトル曲の素晴らしさは彼らの絶頂期の勢いと
あふれ出すセンスをすべて凝縮したものである。張りつめた緊張感と演奏のテンション、
そこにドラマティックな展開美と、爽快なメロディを盛り込んで練り上げたこの大作は、
このアルバム全体のの価値となっている。12分過ぎに鳴り響く荘厳なチャーチオルガン、
リック・ウェイクマンのソロパートを含めて、盛り上がりを見せる間奏部は圧巻のひとこと。
また本作の魅力として、もうひとつの大曲“And You And I”の美しい牧歌性も見逃せない。
2003年のリマスター盤は音質がぐっと向上。ボーナストラックとして別バージョン等4曲を追加収録。
シンフォニック度・・9 名作度・・10 音質UP度・・10 総合・・9 ◆プログレ名作選入り
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YES「YES SONGS」
イエスの2枚組ライブアルバム。1973作
名盤である「危機」を筆頭にして、スタジオアルバムにおいて緻密な構築力を持つこのバンドであるが、
それはライブにおいても同様で、本作で聴ける演奏は、じつに緻密でダイナミックである。
King Crimson加入のためバンドを離れることになったビル・ブラッフォードの代わりに、急遽アラン・ホワイトが呼ばれて、
なんとか1972年のアメリカ公演をこなした。その音源を中心にしながら、ブラッフォード時代のテイクなども含まれた、
バンドとしては苦労の末に作られたライブ作品なのだが、そうしたものも含めた緊張感も確かに感じられる。
ジョン・アンダースンの伸びやかなヴォーカルとスティーブ・ハウのセンス抜群のギターフレージング、
そしてリック・ウェイクマンのクラシカルなキーボードプレイはやはり抜群だ。初期の名曲を網羅しながら、
それを最高の演奏力で再現したこのライブアルバムは、バンドの代表作とも言える完成度であろう。
Disc2の“Close To The Edge”完全再現は感動的だし、個人的には“Your Is No Disgrace”も名曲。
メロディアス度・・9 ドラマティック度・・9 ライブ演奏・・10 総合・・9 ◆プログレ名作選入り
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YES「Tales From Topographic Oceans」
イエスの6th。1973作。邦題は「海洋地形学の物語」
LP時代から2枚組の大作として賛否両論のあった本作で、かくいう私自身も
最初にこのアルバムを聴いたときは、ただ静かで単長という印象しかもたなかった。
今回の最新リマスター盤で改めて聴いてみるに、それぞれ20分におよぶ大曲には、
ゆったりとした美しさの中にも、それぞれに神秘的で深遠なテーマが感じられ
前作「危機」の濃密な作風とは違った、力まないゆるやかな叙情美が楽しめる。
3曲目にはYESらしからぬアヴァンギャルドな風味もあって、これはこれで面白いし、
ラストの4曲目のシンフォニックロックとしての美しさには思わずうっとりだ。
ボーナスに収録の、アルバム1、3曲目のラフテイクはファンにとって嬉しい貴重音源。
しかし本作の出来に不満だったウェイクマンはツアー終了後にバンドを脱退する。
シンフォニック度・・8 プログレ度・・8 ゆったり叙情度・・9 総合・・8
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YES「RELAYER」
イエスの7thアルバム。1974年作
個人的なYES評価を述べさせていただくと、Yesの私的アルバムランキングでは、
1「イエスソングス」、2「危機」、3「サードアルバム」となり、それに続くのこの「リレイヤー」。
リック・ウェイクマン好きな私としては、リック脱退後のこのアルバムを手にとるきっかけは
この美しいジャケット(ロジャー・ディーン)のおかげに他ならなかった(YESのジャケで一番好き)。
あらためて聴くと、パトリック・モラーツのキーボードはリックのクラシカルな感じとはまた異なり、
いかにも70'sプログレ然としていて悪くない。リックが嫌いだったというメロトロンもかなり使っている。
そして演奏は緊張感に溢れていて、楽曲自体も「危機」ばりの構築性も感じさせる。
とくに1曲目“錯乱の扉”は素晴らしい。リマスター盤は音質も向上しているのでぜひ聴いてみて欲しい。
シンフォニック度・・8 プログレ度・・8 演奏・・9 総合・・8.5 ◆プログレ名作選入り
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YES「GOING FOR THE ONE」
イエスの8th。邦題は「究極」1977作
ジャケもロジャー・ディーンからヒプノシスに変わり、音の方も若干ポップになっている。
復帰したリック・ウェイクマンのキーボードが大活躍で、リマスター効果も手伝って、
チャーチオルガン、ピアノの音色もとても綺麗。スティーブ・ハウのギターも冴え渡っており、
全体的にバンドとして、もはやプログレ云々の呪縛から解かれたような、伸びやかさが音に現れている。
演奏と楽曲のバランスという点では、最も良いアルバムといっていいかもしれない。
ボーナスのリハーサル音源やデモバージョンも興味深い。
メロディアス度・・8 プログレ度・・7 伸びやか度・・9 総合・・8
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YES「TORMATO」
イエスの9th。1978作。
前作「究極」で吹っ切れたのか、「ポップでもよいのだ」という開き直りが音に感じられる。
相変わらず見事なスティーヴ・ハウのギターワークとウェイクマンのキーボードが冴える。
キャッチーさとポップな雰囲気の中にもしっかりとプログレッシブな色が感じられ、
きらきらとしたイエスサウンドが堪能出来る。やはり黄金メンバーの演奏はよいですな。
たぶんプログレとしてイエスを聴けるのはこのアルバムまでかもしれない。
2003年リマスターには、ボーナストラックにデモや未発表曲など9曲を収録。
メロディアス度・・8 プログレ度・・7 ポップ度・・8 総合・・7.5
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YES「DRAMA」
イエスの10th。1980作
ジョン・アンダースンもリック・ウェイクマンも抜け、ジェフ・ダウンズトレヴァー・ホーンが加入。
のっけからややヘヴィなギターで幕を明け、リズムセクション的にもかなりカッチリとしている。
トレヴァー・ホーンのヴォーカルは、ジョン・アンダースンを意識したのか以前のYESとさほど違和感がない。
やはりバグルスにおけるポップでキャッチーなものが強く出たような曲もあるが、
ときおり大御所バンドとしての格調を保ったドラマティックな雰囲気もしっかりかもしだしており、
なかなかあなどれない好作アルバムだと思う。ベースの充実ぶりも見事な仕事だ。
メロディアス度・・8 キャッチー度・・8 プログレ度・・7 総合・・7.5
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YES「90125」
イエスの11th。1983作
いわゆるポップ期の代表作で、邦題は「ロンリーハート」
商業的には最も成功したアルバムで、1曲目はTV、CMなどでたくさん流れていた。
今作ではすでにウェイクマンもハウもいないので、当然ながらプログレ色は薄く、
これでジョン・アンダーソンが歌っていなかったらYESとは思えなかったかもしれない。
しかしながら、あくまでキャッチーなメロディを聴かせるというトレヴァー・ホーンのプロデュース
見事に成功しており、モダンなシンセワークもこのサウンドにはぴったりハマっているが、
トニー・ケイはサンプラーを多用したアレンジが不満で、のちに脱退する要因になる。
プログレとして聴くのはつらいが、むしろ出来の良い商業ロックサウンドしてなら充分に楽しめる。
リマスターにより音質も格段に向上。ボーナスにはリミックスや別バージョンなど6曲を収録。
メロディアス度・・8 プログレ度・・6 キャッチー&ポップ度・・8 総合・・8
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YES「Big Generator」
イエスの12th。1987年作
トレヴァー・ラビンのプロデュースによるアルバムで、前作のキャッチーなポップ性をより80年代的なモダンさで
アプローチしたという内容。シンプルなビート感に包まれたドラムに、ジョン・アンダースンの歌声が爽やかな響き渡り、
ややファンキーなナンバーなども入りつつ、あくまでイエスとしての感触を失っていないのはさすがというべきか。
トレヴァー・ラビンのギターもこの作風にはよくマッチしていて、トニー・ケイのシンセワークの美しさも耳心地よい。
前作同様に質の高い好作品である。しかしながら、本作の方向性による違いから、ジョン・アンダースンが脱退、
のちのABWH結成へとつながってゆく。SACD盤の高音質で聴くと、抜けの良いキャッチーな爽快感がより味わえる。
メロディアス度・・8 プログレ度・・6 キャッチー&ポップ度・・8 総合・・8
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Anderson ,Bruford,Wakeman,Howe
アンダーソン・ブラッフォード・ウェイクマン・ハウの1989年作/「閃光」
権利の問題からYESを名乗れなかったようだが、メンバーがメンバーだけにこれはまさしくイエスそのもの
リック・ウェイクマンのきらびやかなシンセワークに、スティーブ・ハウのギター、そして衰えを知らないジョン・アンダースンのヴォーカルと、
全体的にキャッチーではあるが、この時期のYESよりもイエスらしいサウンドを楽しめる。
10分近い大曲をいくつか含みつつ、プログレというよりはゆるやかなメロディで聴かせ、
5のようなピアノの美しいバラード曲などとともに、ゆったりと和める。そんな作品です。
メロディアス度・・8 プログレ度・・7 イエス度・・9 総合・・8
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YES「TALK」
イエスの1994年作
ABWHとYESが合体した「UNION」の体制は長くは続かず、ビル・ブラッフォード、スティーヴ・ハウ、リック・ウェイクマンは脱退、
トレヴァー・ラビン主導のもと、本作はいわゆる「90125」期のメンバーで制作された。ジャケはシンプルそのものだが、
サウンドの方はキャッチーなヴォーカルハーモニーが引き立つ、80年代以降のポップ路線のイエスの王道という聴き心地。
トニー・ケイのオルガンにラビンの奏でるメロウなギターもよい感じで、音質の良さも含めて90年代的なモダンな構築性も覗かせている。
15分を超える大曲では、久しぶりにプログレ的なダイナミックな雰囲気も味わえる。
メロディアス度・・8 プログレ度・・7 キャッチー&ポップ度・・8 総合・・8
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YES 「Keys to Ascension」
イエスの2枚組ライブ作品。1996年作
1994年作「TALK」発表後、スティーブ・ハウとリック・ウェイクマンがバンドに復帰、
ウェイクマンは次作「Open Your Eyes」制作前には再び脱退してしまうのだが、
ともかく黄金期の5人が揃ったライブ音源ということで、ファンにはたまらないだろう。
おなじみの“シベリアン・カートゥル”で幕を開け、クリス・スクワイアの存在感あるベースにスティーブ・ハウのギター、
オルガンを含むリックの鍵盤とジョン・アンダースンの歌声が重なると、そこはもうあの頃のイエスである。
「海洋地形学の物語」収録の大曲“神の啓示”では、現在のバンドにぴったりなゆったりとした大人の叙情が楽しめ、
「究極」収録の大曲“悟りの境地”も素晴らしい。Disc2ではお約束の“ランド・アバウト”〜“スターシップ・トゥルーパー”で締めくくる
Disc2最後に収録された2曲の新曲もよい出来だが、この後ウェイクマンが抜けることを思うと、いまとなってはやや中途半端な作品という感も。
ライブ演奏・・8 往年のイエス度・・8 楽曲・・8 総合・・8
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YES「THE LADDER」
イエスの1999年作
前作「Open Your Eyes」の不評から一転、本作は往年を思わせる傑作となった。
最初の1曲でもう、あの頃のシンフォニックなイエスが戻ってきたと嬉しくなる。
ジョン・アンダースンの歌声に、スティーブ・ハウの巧みなギターワークはもちろん
前作から加わったイゴール・コロシェフのシンセワークも、美麗なサウンドを作るひとつの要素となっている
80〜90年代のアプローチであったキャッチーなポップさも残しつつ、シンフォニックな質感を融合させたことで、
ベテランバンドとしてのひとつの解答を示したといえるだけの作品に仕上がっている。
シンフォニック度・・8 メロディアス度・・8 プログレ度・・7 総合・・8
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YES「MAGNIFICATION」
イエスの2001年作
キーボードの代わりにオーケストラを全面的に融合させた作品で、シンフォニックで優雅なサウンドが楽しめる。
オケをバックに弾きまくるスティーブ・ハウのギターはいつになく楽しそうだし、
キャッチーなメロディを歌い上げるジョン・アンダースンの歌唱も往年となんら変わらない。
これをプログレと呼ぶにはどうかと思うが、オーケストラ入りのメロディックロックとして聴けばよく出来ているし、
後半の10分を超える大曲2曲もなかなか素晴らしい。2004年の再発盤には、“Close to the Edge ”
“ Gates of Delirium”といった往年の名曲の含む2000年のライブ音源を収録した2CDでお買い得。
シンフォニック度・・8 メロディアス度・・8 プログレ度・・7 総合・・8
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YES 「FLY FROM HERE」
イギリスのプログレバンド、イエスの2011年作
2001年以来となる10年ぶりのアルバムで、健康に問題を抱えるジョン・アンダースンに代わって
ヴォーカルにカナダ人のベノワ・ディヴィッドを迎え、クリス・スクワイア、スティーヴ・ハウ、
アラン・ホワイト、ジェフ・ダウンズというメンバーで、トレヴァー・ホーンがプロデュース。
バグルス組が加わっていた「DRAMA」の頃には出来上がっていたというタイトル組曲は、
ポップな感触の中にも、優雅できらびやかなアレンジとドラマティックな展開力も覗かせる力作。
新ヴォーカルの歌声も、マイルドな声質がやわらかなサウンドにマッチしていて違和感はない。
アルバム後半はポップな曲やアコースティカルな小曲など、いくぶん落ち着いた内容だが、
現在形のイエスとしては、充分すぎるほどにプログレだし、高品質な作品であると思う。
ドラマティック度・・8 プログレ度・・8 高品質度・・9 総合・・8
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Yes 「Heaven & Earth」
イギリスのベテランバンド、イエスの2014年作
前作「Fly From Here」発表後、ヴォーカルのベノワ・デイヴィッドが体調の問題で脱退し、
本作ではGLASS HAMMERのジョン・デイヴィソンが新たにヴォーカルとして参加している。
1曲目からジャケのイメージのようなシンフォニックでやわらかなサウンドで、ジョン・デイヴィソンの歌声も、
かつてのジョン・アンダーソンを思わせる雰囲気がある。ジェフ・ダウンズのシンセワークもオルガンやピアノなど
適度にプログレ寄りの感触で、スティーヴ・ハウのギターも前に出すぎず随所に巧みなフレーズを聴かせてくれる。
2曲目以降はわりとシンプルな大人のポップロックも続くが、ラストは9分の大曲で、これもいい感じのナンバー。
全体的にはこれだというインパクトはないので少し物足りなさもあるが、イエスらしさは残した好作に仕上がっている。
メロディアス度・・8 プログレ度・・7 イエス度・・8 総合・・7.5
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YES「Like It Is: Yes Live at Mesa Arts Center」
イエスのライブ作品。2015年作/邦題「゛危機”&“こわれもの”完全再現ライヴ - ライヴ・イン・アリゾナ 2014」
スティーヴ・ハウ、アラン・ホワイト、ジェフ・ダウンズ、クリス・スクワイア、ジョン・デイヴィソンという編成で、
名作「危機」&「こわれもの」を完全再現した、2014年アメリカでの公演を収録。初回盤は2CD+DVD。
アルバム版に比べると、「危機」イントロからして落ち着いた大人の雰囲気で、スリリングな部分はやや希薄ながら、
当時のメンバーはハウとスクワイアだけなので、完全なセルフカヴァーというわけではないのは仕方なし。
ただ、GLASS HAMMERでも活躍したジョン・デイヴィソンの歌声は、往年のジョン・アンダーソンにもひけをとらないし、
全体的にも優雅な大人の演奏でゆったりと楽しめる。「こわれもの」の方は、「ランドアバウト」をはじめ、キャッチーなナンバーは、
このメンバーにもマッチしていてよい感じですね。ちなみに、故クリス・スクワイアの最後の公式ライブ映像作品でもある。涙
ライブ演奏・・7 完全再現度・・8 往年のイエス度・・7 総合・・8 
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Yes 「The Quest」
イギリスのベテランバンド、イエスの2021年作
7年ぶりとなるアルバムで、スティーヴ・ハウ、アラン・ホワイト、ジェフ・ダウンズ、ビリー・シャーウッド、ジョン・デイヴィソンという
前作と同様のラインナップ。きらびやかなシンセに味わいのあるハウのギターを重ね、デイヴィソンの伸びやかなヴォーカルとともに、
イエスらしい優雅でキャッチーなサウンドを展開。アコースティックも含めたハウのギタープレイの繊細さが際立つ部分も多く、
シャーウッドの巧みなベースプレイとともにサウンドの核を担っている。ときに壮麗なオーケストラアレンジも加わりつ、
ゆったりとした叙情美がじつに耳心地よく、琴を使った意外なアレンジなども覗かせて、全体的にもスリリングさよりも、
大人の優雅さに包まれて、インストパートの細部まで楽しめるのはさすが。優美なコーラスとデイヴィソンの歌メロの美しさは、
しっかりとイエスしているので、安心して鑑賞できる出来栄えだ。アラン・ホワイトは今作を最後に、2022年に死去している。
メロディック度・8 プログレ度・7 優雅度・9 総合・8 
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ZAKARRIAS
ブリティッシュロックバンド、ザカリアスの1971年作
70's英ロックの中でも謎めいたアルバムとされる本作は、プログレともサイケともハードロックとも言えない
いわばその曖昧さが逆に個性的だ。うねるように太いベースとオルガンを中心に聴かせるサウンドで、
決してうるさい音ではないのだが、そこには知的な主張と静謐感とが不思議に共存している。
アコースティックギターやフルートをバックに哲学的な恋の歌を乗せる、ザカリアスとはいったい何者なのだろう?
後半にはストリングスも加わって、音のシリアスさが増す。ほのかにヒッピーとサイケの香りも漂う逸品である。
メロディアス度・・7 静謐サイケ度・・8 英国度・・8 総合・・7.5
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Zior
ブリティッシュロックバンド、ズィオールの1970年作
60年代的なヒッピーなサイケ感と、渋みのあるブルージーな味わいが同居したサウンドで、
楽曲は3〜4分前後とわりとシンプル。一聴してプログレ感触は薄めなのだが、オルガンが入る曲は、
BRAM STOKERなどにも通じる感触で、フルートの音色も加わってサイケなアートロックという感じで楽しめる。
本作の後、バンドはMONUMENTと名を変えて、1971年にアルバムを発表し、その後レーベルを移籍して、
ZIOR名義の2作目を発表する。リマスター盤には、その1973年作「EVERY INCH A MAN」からの8曲をボーナス収録。
ドラマティック度・・7 プログレ度・・6 英国度・・8 総合・・7.5
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