ヴァイキングメタル/フォークメタル/ペイガンメタル
~viking metal/fork metal/pagan metal
                by Tosei Midorikawa

掲載バンドはABC順になっています

M YZ

■CDの評価に関しては、個人的嗜好が反映されることもあり、納得のいかない評価もあるかと思いますが、どうかご了承ください。

*フォークメタル/ヴァイキングメタル傑作選   
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Abinchova「Versteckte Pfade」
スイスのフォークメタル、アビンコヴァの2011年作
女性シンセ、女性ヴァイオリン奏者を含む7人編成で、アコースティカルな牧歌性を含ませつつ
辺境的な土着性で聴かせるフォークメタル。ダミ声ヴォーカルによる荒々しさと、
艶やかなヴァイオリン、アコーディオンの音色が重なりながら、ときに激しい疾走感もあって、
FINNTROLLを勇ましくしたような感触だ。随所にギターがクサメロを奏でたりするのもよろしく、
楽曲、世界観ともにクオリティの高さはなかなかのもの。同郷のELUVEITIEにも負けていませんぜ。
ドラマティック度・・8 フォーキー度・・8 辺境度・・8 総合・・8




ABINCHOVA 「WELTENWANDERER」
スイスのフォークメタル、アビンコヴァの2018年作
女性シンセ、女性ヴァイオリン奏者を含む7人編成で、本作が3作目となる。
ツインギターにダミ声ヴォーカル、艶やかなヴァイオリンの音色とともに聴かせる、
土着的な叙情性とアグレッシブなメロデス感触が同居した、フォークメタルサウンド。
ときに女性ヴォーカルも加えた優雅さに、ドイツ語の男女声によるゲルマンな雰囲気と
随所にアグレッシブな疾走パートも含んだ、起伏に富んだ構築力もなかなかのもの。
優雅なヴァイオリンの音色と武骨なダミ声のコントラストでも楽しめる強力作です。
ドラマティック度・・7 フォーキー度・・7 武骨で優雅度・・8 総合・・7.5
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ADARO 「Minnenspiel
ドイツの中世トラッドロック、アダロの2002年作
男女ヴォーカルの歌声に、オルガンを含むシンセとバグパイプ、ハーディ・ガーディなどの音色で、
キャッチーなトラッドロックを聴かせる。ギターやドラムが入っていることもあって比較的ロック色もあり、
ドイツ語の歌声も含めて、SUBWAY TO SALLYやSALTATIO MORTISがぐっとマイルドになったという感触。
女性ヴォーカルがメインの曲はしっとりと美しく、一方ではエレクトロなモダンさを取り入れたナンバーもあったりと、
適度にノリのよいポップ性も感じさせる。個人的には女性声の曲をもっと増やして欲しいものだ。
ドラマティック度・・7 古楽トラッ度・・8 ゲルマン度・・8 総合・・7.5
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Adorned Brood「Asgard」
ドイツのヴァイキングメタル、アドーンド・ブロードの2002年作
女性フルート奏者を含む5人組で、美しいフルートの音色とアコースティックギターのイントロから
曲が始まると、ダミ声ヴォーカルを乗せて疾走、重厚に聴かせるヴァイキングメタルとなる。
ツインギターのリフにフルートが絡み、ジェントルな男性コーラスが朗々と雰囲気を盛り上げる。
ブラックメタルばりの激しさもありながら、そこに牧歌的なフルートや女性コーラスなどが合わさって、
ほどよい粗さも含めて、メリハリのついたサウンドのなかに、土着的な幻想性も感じられる。
ドラマティック度・・8 ヴァイキング度・・8 ファンタジック度・・8 総合・・7.5
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Adorned BroodHammerfeste
ドイツのヴァイキングメタル、アドーンド・ブロードの2010年作
4分近くもある壮麗なイントロから、曲が始まると激しく疾走開始、
勇ましい勢いの良さでたたみかけ、随所に美しいフルートの音色を響かせる。
辺境的な土着性が薄い分、エピックなメロデスという感じでも楽しめたりする。
激しい疾走感と、フルート、アコーディオンなどのフォーキーな牧歌性が極端で、
ヴァイキングというよりはもパワー・フォークメタルという方が正しいかもしれない。
メロディの濃密さという点では物足りないが、クオリティは高いので安心して聴ける。
ドラマティック度・・8 ヴァイキング度・・7 勇壮度・・8 総合・・7.5
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Adorned Brood「Kuningaz」
ドイツのヴァイキングメタル、アドーンド・ブロードの2012年作
デビューは90年代というから、すでにベテランの部類となるバンド。本作は7作目くらいだろうか。
シンセに女性フルート奏者を含む6人編成で、フルートがやわらかに鳴り響く美麗なイントロから始まり、
激しい疾走感とともに勇壮なヴァイキングメタルが繰り広げられる。ヴォーカルはダミ声だが、
勇ましいコーラスにきらびやかなシンセアレンジ、適度にモダンな構築性も含んだ聴き心地で、
やわらかな叙情パートなども折り込みながら、ファンタジックな世界観を描いている。
美しいフルートの音色とともに、シンフォニックかつドラマティックなサウンドが楽しめる力作だ。
ドラマティック度・・8 ヴァイキング度・・8 ファンタジック度・・8 総合・・8
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Aeterna 「The Legend Begins (Легенда Начинается)」
ロシア、シベリアのフォークメタル、エテルナの2019年作
女性Voに、女性ヴァイオリン、女性フルート&ハープ奏者を含む編成で、やわらかなフルート、ホイッスルに
バグパイプの音色を、メタリックなギターに重ね、ロシア語の女性ヴォーカルで聴かせるフォークメタル。
中音域から美しいソプラノまで使い分ける、アナスタシア嬢の歌声もなかなか魅力的で、
ゆったりとしたナンバーではゴシックメタル的でもあるような耽美な雰囲気も感じさせる。
優雅なハープの音色も美しく、北欧とはまた異なる、辺境的な涼やかな土着性に包まれながら、
モダンなヘヴィネスを融合させ、神秘的でスタイリッシュな女性声フォークメタルが楽しめる逸品です。
ドラマティック度・・8 フォーキー度・・8 女性Vo度・・8 総合・・8
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AGALLOCH 「PALE FOLKLORE」
アメリカのフォーク・ブラックメタル、アガロクの1999年作
カスカディアンブラックの元祖のひとつともされるバンドで、本作はデビュー作であるが、
のっけから3部構成の18分を超える組曲で、メロウなギターの旋律を乗せた物悲しい世界感が広がってゆく。
ダミ声ヴォーカルに女性コーラスが絡むなど、本作の時点ではのちのアルバムに比べてより耽美な雰囲気で、
随所にブラックメタルらしい激しさもしっかり覗かせる。アコースティックギターを含んだフォーキーな土着性と
自然崇拝的な神秘的な世界観に、ツインギターによるクサめの叙情フレーズもじつによい味わいです。
全体的にも静と動の起伏のある構成で楽しめる。2016年の再発盤ではリマスターで音質も向上。
ドラマティック度・・8 ブラック度・・7 ミステリアス度・・8 総合・・8
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AgallochMantle」
アメリカのフォーク・ブラックメタル、アガロクの2002年作
アコースティックギターの音色とともにゆったりと始まり、ヴォーカルはブラックメタル風だが
あまり邪悪さはなく、メロウなギターのフレーズで聴かせる素朴なサウンド。
楽曲にはあまり派手な起伏はなく、雰囲気で聴かせるタイプなのであるが、
暗さやもの悲しさも北欧のバンドなどに比べるとやや薄い感じがする。
曇りの日にでものんびり、まったりと鑑賞するにはいい作品だと思う。
メロディアス度・・7 フォークゴシック度・・7 素朴度・・8 総合・・7.5
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AGALLOCH 「THE SERPENT & THE SPHERE」
アメリカのフォーク・ブラックメタル、アガロクの2014年作
1999年にデビュー、まだ「ポストブラック」、「カスカディアン・ブラックメタル」という呼び名もない頃から
自然崇拝的な世界観をブラックメタル、フォーク、ゴシック要素に合せて表現していたバンドである。
5作目となる本作も、アコースティックなフォーク要素とダークな翳りと、重厚な雰囲気を匂わせた
幻想的でメランコリックなサウンドを描いている。ダミ声のヴォーカルはいかにもブラックメタル風であるが、
ドゥーミィなギターを乗せたスローなテンポを主体に、10分を超える大曲をじっくり聴かせつつ、
ミドルテンポのペイガンメタル風味や、激しめの疾走ナンバーもあったりと、なかなか起伏のある作風だ。
ドラマティック度・・8 暗黒度・・7 ミステリアス度・・8 総合・・8
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ALESTORM 「CAPTAIN MORGAN'S REVENGE」
イギリス(スコットランド)のパイレーツメタル、エイルストームの2008年作
ジャケットや「モルガン船長の航海日誌」という日本盤タイトルからも、
いかにも海賊映画的な雰囲気が漂っている。これまで海賊をテーマにしたバンドというと
ドイツのベテランRUNNING WILDが有名だが、このバンドの方はシンセ入りで
ヴァイキングメタル的なメロディを取り入れたメロパワという感じだ。
ダミ声ヴォーカルとともにバワフルに聴かせる正統派のスタイルながら、
アコーディオンの音も含めてシンセの音色がどことなくチープな印象で、
無理にフォーキーにしようとしているところが、曲にいまひとつ合っていない気がする。
世界観、雰囲気としては悪くないが、楽曲そのものの魅力とアレンジの点ではまだ弱いか。
メロディアス度・・7 疾走度・・7 楽曲・・7 総合・・7.5
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ALESTORM「Leviathan」
スコットランドのメタルバンド、エイルストームのミニアルバム。2008作
海賊をモチーフにした世界観から、パイレーツメタルと呼ばれるこのバンド、
本作は2nd発売前の4曲入り(2nd未収録曲3曲を含む)ミニアルバム。
アコーディオンの音色によるフォーキーな質感と、壮麗なシンセワークが合わさった
シンフォニックな質感と、RUNNING WILD風味のパワフルを同居させたアレンジで聴かせる。
とくにタイトル曲では、海の怪物との戦いを思わせる冒険活劇的なドラマティックな世界観に
聴いていて胸が踊る。傑作となる2nd「Black Sails at Midnight」への布石として鑑賞できる。
ドラマティック度・・8 フォーキー度・・7 海賊度・・9 総合・・8
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ALESTORM「Black Sails at Midnight」
スコットランドの海賊メタルバンド、エイルストームの2nd。2009年作
海賊をキャラクターに、“パイレーツメタル”なる肩書でデビューしたこのバンドであるが、
前作はまだまだサウンド自体の方向性が中途半端であるような感じがあった。
ミニアルバムに続く今作では、楽曲の魅力が増すと同時に、勇壮な雰囲気に磨きがかかって
バンドとしての確かな成長を遂げている。フォーキーなメロディを正統的なメタルに上手く融合させ、
ときにシンフォニックメタル的な華麗さも覗かせるサウンドには、確かな説得力がついてきた。
ジャケやブックレットの作りも含めて物語風に聴かせる手法も、そのイメージとしての強度が増し
男たちの冒険活劇が目の前に見えるようだ。そういう点ではTURISASなどにも通じる雰囲気である。
ドラマティック度・・8 勇壮度・・8 海賊度・・9 総合・・8
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ALESTORM「Back Through Time」
スコットランドのパイレーツメタル、エイルストームの2011年作
海賊をモチーフにしたその世界観から、パイレーツメタルと呼ばれるこのバンド
3作目となる本作も、海賊船の冒険活劇が愉快に繰り広げられる。
サウンドにはむしろキャッチーな聴き安さがあって、そこにフォーキーなアコーディオンの音色と
ヴァイオリン、さらにはトランペットやトロンボーンなども加わってきらびやかに盛り上げる。
エピックかつコミカルな世界観で、お子さまから大人まで安心して楽しめる娯楽メタル作品だ。
ドラマティック度・・8 フォーキー度・・8 海賊度・・9 総合・・8

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ALESTORM 「Sunset On The Golden Age」
スコットランドのパイレーツメタル、エイルストームの2014年作
2008年にデビューし、本作は4作目。正統派のギターにキャッチーなメロディを奏でるシンセを重ね、
ダミ声ヴォーカルを乗せた、ほどよい疾走感のあるフォーキーなメロパワサウンドは本作も健在。
海賊をテーマにした冒険活劇的な世界観と、パワフルな勇壮さにかすかにコミカルな感触も加えた
独自の作風はその強度を増して、ドラマティックなフォーク・パワーメタルというべき聴き心地に。
ギターに重なるアコーディオンの音色も含めて、メロパワ化したTURISASというような感じもあり、
11分を超えるタイトル曲は、壮大なヴァイキングメタルの味わいで楽しめる。
ドラマティック度・・8 勇壮度・・8 フォーキー度・・7 総合・・8 
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ALESTORM 「NO GRAVE BUT THE SEA」
スコットランドのパイレーツメタル、エイルストームの2017年作
5作目の本作も、勇壮かつフォーキーなメロディとパワフルなダミ声ヴォーカルを乗せた、
ほどよくキャッチーな海賊パワーメタルが炸裂。ファミコン的なチープなシンセ音を取り入れるなど
ときにゲーム的なコミカルな味わいも覗かせつつ、勇壮なコーラスやアコーディオンの音色とともに、
TURISASにも通じるヴァイキングメタル寄りの雰囲気も味わえる。クサメロなギターも含めて、
フォーキッシュなメロディアス性が増したことで、楽曲に哀愁の叙情も感じられるようになった。
アコースティックによる牧歌性や、愉快な酒飲み系ナンバーなどもアクセントになっている。
ドラマティック度・・8 勇壮度・・8 フォーキー度・・8 総合・・8
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ALESTORM 「Curse Of The Crystal Coconut」
スコットランドのパイレーツメタル、エイルストームの2020年作
6作目となる本作は、80年代のMANOWARを思わせる正統派メタルナンバーで幕を開けるが、
キャッチーかつ勇壮なスタイルにはまったくブレがない、冒険活劇的な海賊メタルを展開。
肩の力が抜けたキャッチーなナンバーの一方で、パンキッシュな疾走曲や、ラップ的な歌声を乗せた
異色のナンバーなどもわりとハマっていて、女性ヴォーカルを加えた優雅なパートもあったりと、
これまでのアルバムよりもバラエティに富んだ内容に。その反面、勇壮なメタル感はやや薄まったので
そこは痛しかゆしだが、日本語のナレーションが入った8分の大曲も含めて、聴きごたえのある力作です。
ドラマティック度・・8 勇壮度・・7 フォーキー度・・8 総合・・8
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ALKONOST
ロシアのフォークメタル、アルコノストの2004年作
ARKONAとともに、ロシアのペイガン/フォークメタルを代表するバンドのひとつ。
2000年のデビュー作「Songs Of The Eternal Oak」に、2001年のデモ音源を加えたCD再発盤。
土着的なギターフレーズに男性ダミ声ヴォーカルを乗せた、ペイガンブラックメタル風のサウンド。
まだ女性シンガーが加入する前なので、のちの作品のような優雅な雰囲気はあまりないが、
うっすらとしたシンセに叙情的なギターを重ね、ときにリコーダーの音色も加わった牧歌的な味わいで、
ローカルなペイガンメタルとしても楽しめる。粗削りではあるが、幻想的な土着性はしっかりと感じられる。
ドラマティック度・・7 フォーキー度・・7 ローカル度・・8 総合・・7.5 

Alkonost「Mezhmire (Between the Worlds」
ロシアのペイガンメタルバンド、アルコノストの2005作
女性Vo、女性シンセ奏者を含む6人組で、本作が2作目。いかにも辺境的な土着性と
フォーキーなメロディで聴かせるスタイル。オペラティックな女性ヴォーカルは美しく
うっすらとしたシンセとともにシンフォニックな美麗さをかもしだしている。武骨さよりもむしろ
優雅な聴き心地が勝っていて、ジャケのイメージよりはずっとやわらかなサウンドだ。
メロディアス度・・8 フォーキー度・・8 女性Vo度・・8 総合・・8
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ALKONOST「Put Neprojdennyj」
ロシアのペイガンメタルバンド、アルコノストの3rd。2006作
美しい女性ヴォーカルと、シンセによる美麗さと、ギターの奏でる土着メロ、
男性デスヴォイスもまじえた、シンフォニック・フォーキーメタル作品。
これだというインパクトはさほどないが、クオリティの高さで安心して聴ける。
メロディアス度・・8 フォーキー度・・8 女性Vo度・・8 総合・・8
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Alkonost「Песни Вечного Древа(Songs of the Eternal Oak)」
ロシアのペイガンメタルバンド、アルコノストの2006作
4作目の本作は、バンド初期の音源も含んでいて、フォーキーな牧歌性とともに、
メタリックな粗さがまだいくぶん感じられる。女性ソプラノヴォーカルの活躍は控えめで、
男性ダミ声の曲がメインとなっている。メロディアスなギターと、シンセによる味付けで
ゆったりと聴ける作品になっているが、曲そのもののインパクトはやや弱いか。
メロディアス度・・8 フォーキー度・・7 女性Vo度・・7 総合・・7.5
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Alkonost「Stone Heart Blood」
ロシアのペイガンメタルバンド、アルコノストの5th。2007年作
ギターの奏でる土着的メロディとともに、よりサウンドの質が上がってきている。
ロシア語による女性ヴォーカルも相変わらず優雅で美しく、デスヴォイスやコーラスと合わさり
シンセによる味付けも絶妙で、これまで以上に重厚な雰囲気で聴かせてくれる。
フォーキーな幻想美と崇高な世界観にうっとりとなる。過去最高の仕上がりだ。
メロディアス度・・8 フォーキー度・・8 女性Vo度・・8 総合・・8.5
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ALKONOSTOn the Wings of the Call/На Крыльях Зова」
ロシアのペイガンメタルバンド、アルコノストの2010年作
女性Vo、女性シンセ奏者を含む6人組で、ロシアのバンドとしてはトップクラスのバンドのひとつ。
6作目の本作も男女ヴォーカルによるロシア語の歌声と、土着的なメロディをたっぷり盛り込んだ
辺境的なフォークメタルを聴かせてくれる。ヘヴィさよりも田舎臭いフレーズをメインに奏でるギターに
たおやかな女性声に男性デス声が絡みながら、うっすらとしたシンセによるアレンジも美しい。
ARKONAほどにドラマティックな壮大さはないが、メロディ充実のクオリティはさすがの出来だ。
メロディアス度・・8 フォーキー度・・8 辺境度・・8 総合・・8
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ALKONOST「Сказки Странствий(Tales of Wandering)」
ロシアのペイガンメタルバンド、アルコノストの2013年作
ロシアのフォークメタル/ペイガンメタル系としてはトップクラスのひとつというべきこのバンド。
7作目の本作も美しい女性ヴォーカルの歌声とシンフォニックなアレンジで聴かせる、
ゆるやかなフォークメタルが楽しめる好作品。クサメロを奏でるギターに、
ときに男性デスヴォイスも加わりつつ、あくまで叙情豊かで幻想的な耳心地です。
メロディック度・・8 フォーキー度・・7 女性Vo度・・8 総合・・8
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ALKONOST 「Песни Белой Лилии(Songs of the White Lily)」
ロシアのペイガンメタル、アルコノストの2016年作
2004年にデビュー、ARKONAとともにロシアのペイガンメタルを代表するバンド。
本作は8作目で、美麗なシンセアレンジとフォーキーなメロディをメタリックなギターに重ね、
ロシア語による美しい女性ヴォーカルで聴かせる、優雅な味わいのペイガンメタルサウンド。
初期の頃よりもぐっとスタイリッシュになった聴き心地で、魅力的な女性声とフォーキーなクサメロ感で
デス声が入らないところも優美でよいですね。シンフォニックな女性声ペイガン・フォークメタルの傑作。
シンフォニック度・・8 フォーキー度・・7 女性Vo度・・8 総合・・8 
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ALKONOST 「ОКТАГРАММА(Octagram)」
ロシアのペイガンメタル、アルコノストの2018年作
前作に続き自主リリースとなった9作目。美麗なシンセに女性声を乗せたイントロ曲から、幻想的な世界観に包まれる。
ヘヴィ過ぎないギターとシンフォニックなアレンジに、ロシア語の女性ヴォーカルが美しく響き渡る。
全体的にもゆったりと優雅な感触で、神秘的なフォーク・ゴシックメタルとしても楽しめる作風だ。
ギターの奏でるフォーキーなクサメロ感も前作同様に魅力的で、なよやかな女性声が引き立つような
ゆったりとしたナンバーを主体にした、優美で幻想的なサウンドが楽しめる。新鮮味は薄いがさすがの出来です。
シンフォニック度・・8 フォーキー度・・7 女性Vo度・・8 総合・・8
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ALMORA 「Kalihora's Song」
トルコのフォーキーメタルバンド、アルモーラの2nd。2003年作
ヴァイオリン、フルートのフォーキーな質感に母国語による女性ヴォーカルの歌声で、
辺境的なサウンドを聴かせる。むしろ次作以降よりも土着的な質感が強く良い感じだし、
独特のアラビックな世界観と、案外正統派メタル的なギターが合わさっていて、
その洗練されきらなさが味わいなのだろう。不満なのは男ヴォーカルの曲があることか。
メロディアス度・・7 フォーキー度・・8 女性Vo度・・8 総合・・7.5
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ALMORA「SHEHRAZAD」
トルコのフォーキーメタルバンド、アルモーラの3rd。2004年作
女性Voとフルート奏者がパーマネントメンバーにいるのがポイントで、
のっけから、疾走サウンドに乗せて「ぴーひゃら~♪」と奏でられるフルートの音色が素敵。
曲の方は比較的普通で、ギターのリフなども正統メタルっぽくてわりとありがちなのだが、
優美なフルートとヴァイオリン、女性ヴォーカルという要素はとても美味しいので、
今後はもう少し民族メロを増やして欲しい。管弦楽カルテットを迎えた④、⑤あたりの
クラシカルさはなかなか良い感じだし、母国語で歌う⑥の雰囲気も異国的でよろしい。
メロディアス度・・7 フルート活躍度・・8 女性Vo度・・8 総合・・7.5
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ALMORA「1945」
トルコのフォーキーメタルバンド、アルモーラの4th。2005年作
今作ではのっけからヴァイオリンやフルートが奏でる響きに耳を惹きつけられる。
フォーキーな要素をいっそう前に出してきた感じで、こうなるとやや弱々しい女ヴォーカルも
案外魅力的に聴こえるもので、雰囲気的にはスペインのMAGO DE OZなどにも近くなった。
トルコ語で朗々と歌いあげる男性ヴォーカルの歌声にも、民族的な部分が色濃く感じられて、
このバンドの個性的なサウンドを浮き彫りにしている。辺境好きリスナーはチェック。
メロディアス度・・8 フォーキー度・・8 女性Vo度・・7 総合・・7.5
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ALMORAKiyamet Senfonist」
トルコのフォーキーメタルバンド、アルモーラの5th。2008年作
おそらくこれが5作目で、前作は日本盤もあったようだが、今回はいつのまにか出ていた。
美しいシンセにいくぶんヘナちょこなギター、女性ヴォーカルの歌声を乗せた、やわらかな感触で聴かせる
田舎臭い辺境メタルは相変わらず。シンフォニックなアレンジに加え、フルートなどの音色も牧歌的。
男性ヴォーカルのいくぶんモダンな曲もあるが、母国語のヴォーカルには辺境臭さがぷんぷんなので、
そうヘヴィな感じにもならない。まったりやわらか系のちょいフォーキーなシンフォメタルです。
シンフォニック度・・7 フォーキー度・・7 辺境度・・8 総合・・7.5
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ALOR 「Haerfest」
ウクライナのフォークメタル、アロアの2013年作
ギターのアルペジオに囁くようなヴォーカルを乗せて、ゆったりとした叙情に包まれつつ、
ネイチャーな神秘性を感じさせる世界観を描いてゆく。アコースティックギターによる素朴な小曲など、
幻想ネオフォークというようなメタル感の薄いパートも多いので、激しさを期待すると肩透かしを食うが、
メロウなギターの旋律とともに随所に土着性も覗かせる。全体的にもヴォーカルはオマケ程度なので、
インスト主体の物足りなさもあるが、オータムなジャケのイメージのように、物悲しい叙情サウンドに浸れる。
ドラマティック度・・7 幻想度・・8 メランコリック度・・8 総合・・7.5
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ALVENRAD 「Habitat」
オランダのフォークメタル、アルヴェンラッドの2014年作
Vo&G、Keyの二人組ユニットで、母国語のヴォーカルにオルガンなどのシンセを重ねた、
土着的でマイナー臭いフォークメタル。ギターはむしろ古き良き正統派メタルの感触で
随所に激しく疾走したりする、いくぶん唐突なリズムチェンジとともに、ユルめの牧歌性を表現している。
デスヴォイスも使っているのだが、オルガン主体のやわらかなシンセのおかけであまり激しさを感じない。
初期のFinntrollのような愉快な雰囲気もあって、軽めのフォークメタルが好きな方にはけっこう楽しめるだろう。
曲によってはフルートやゲストの女性ヴォーカルも入ってきて、けっこう好きな感じです。ユル系フォークメタルの好作。
ドラマティック度・・7 フォーキー度・・8 ユル度・・8 総合・・7.5
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Alvenrad 「Heer」
オランダのフォークメタル、アルヴェンラッドの2017年作
艶やかなヴァイオリンが鳴り響くイントロから、オルガンが鳴り響き、メタリックなギターに、
かすれた味わいのヴォーカルを乗せて、70年代風味のヴィンテージなハードロックに
フォークメタルが融合したようなサウンドを描く。ブルージーなフレーズを奏でるギターに、
やわらかなオルガン音色がよくマッチしていて、この牧歌的な土着性は、なんというか、
Jethro Tullがメタルになったような雰囲気もあるという。曲によっては、まるでビートルズのような
キャッチーな歌メロも出てきて、70年代オールドロック感がますます強まる。この極端な深化はけっこう楽しい。
ドラマティック度・・8 フォーキー度・・7 ヴィンテージロック度・・8 総合・・8
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Amber Tears「The Key to December」
ロシアのフォーキー・ドゥームメタル、アンバー・ティアーズの2011年作
うっすらとしたシンセアレンジと低音ダミ声ヴォーカルを乗せた、ゆったりと重厚なサウンド。
ギターは随所にメロウなフレーズを奏で、ときにバグパイプ的なフォーキーな旋律も入ってきて
いわば、フォーキー・ドゥームメタルというべき聴き心地。美しいシンセとともに、
寒々しい北の大地を感じさせる雄大な神秘性もあって、なかなか魅力的な作品である。
ドラマティック度・・8 フォークドゥーム度・・8 雄大度・・8 総合・・8


Ambehr (Амбер) 「Чёрная Дорога 」
アルメニアのペイガンメタル、アンベアーの2007年作
2005年にデビュー、本作は3作目となる。ヘヴィ過ぎないギターに女性ヴォーカルの母国語の歌声に、
男性ダミ声も絡んで、ローカルな辺境性に包まれたサウンドを描く。ギターはわりとブルージーな味わいで、
フォーキーな感触はさほどなく、ほどよい疾走感もありつつ、アコースティックなパートなども含めて、
どこかユルめの牧歌的な聴き心地。うっすらとしたシンセも加わるが、派手さやクサメロ感は薄めで、
楽曲は3~5分前後とわりとシンプルで盛り上がりに欠けるところも、ローカルなマイナーさを感じさせる。
ドラマティック度・・7 ペイガン度・・7 辺境度・・8 総合・・7
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AMORPHIS
 「Tales From the Thousand Lakes」

フィンランドのトラッドメタルバンド、アモルフィスの2nd。1995年作
1stの頃は激しいデスメタルサウンドをやっていた彼らが、土着的な旋律を大胆に取り入れた傑作を作り出した。
ちょうどこの頃、北欧ではIN FLAMESやDARK TRANQUILLITYなどのメロデスバンドたちが次々に現れていたので、
初期のAMORPHISもそれらのバンドと同義に扱われていたが、むしら彼らの根本とするのは
もっとフィンランドのトラディショナルに基づいた音楽で、それは後のミニアルバム「My Kantele」でも
明らかだ。まだ本作の時点ではヴォーカルこそデスヴォイスであるが、ギターのリフ、メロディには、
フォーキーな香りとサイケな浮遊感が強く、それが当時はえらく個性的に感じられた。
このバンドの成功が、後のトラッドメタルバンドへ大きな影響を与えたのは間違いない。
メロディアス度・・8 トラッ度・・7 フィンラン度・・9 総合・・8
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AMORPHIS「Elegy」
アモルフィスの3rd。1996作
前作の土着性をやや薄めて、スタイリッシュな聴きやすさが増している。
オリエンタルなメロディを取り入れたり、デス声とノーマル声を使い分けるなど、
バンドとしての後につながってゆくアプローチが1曲目から見え隠れする。
いくぶんメロデス的なギターフレーズを残した2曲目や4曲目あたりは
なかなか印象的な佳曲。叙情的なギターメロディの繰り返しという手法は、
本作が最後となり、バンドはこの後いったんサイケなプログレ性を増してゆく。
メロディアス度・・8 トラッ度・・7 フィンラン度・・8 総合・・8
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AMORPHIS「Tuonela」
フィンランドのトラッドメタルバンド、アモルフィスの4th。1999作
前作「ELEGY」まではギターのフレーズなどにかろうじてメロデス的な要素を残していたが、
本作では一部を除き、ヴォーカルはほぼノーマルヴォイスとなり、ゆったりとした叙情とともに
彼らの標榜するトラッドメロディとプログレ、サイケ的な雰囲気が自然に融合している。
うっすらとしたシンセワークもハモンド風味のレトロなプログレ感触であったり、
同郷の先人であるKINGSTON WALLを思わせるような中近東的なサイケ感覚も面白い。
初期のファンからすると拍子抜けだろうが、トラッド風味のサイケメタルとして聴けば楽しめる。
メロディアス度・・8 トラッ度・・7 サイケメタル度・・8 総合・・8
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AMORPHIS「Am Universum」
フィンランドのトラッドメタルバンド、アモルフィスの5th。2001作
前作からの流れである、トラッド風サイケメタルはさらなる自然体のサウンドとなっている。
いかにもフィンランドのバンドらしいゴシックメタル的な倦怠感と薄暗い叙情性、
いくぶんモダンになったアレンジも含めて、バンドとしてのゆるやかな深化を覗かせる。
マイルドすぎて音のインパクトが薄い点が惜しいが、逆に言うと力まずに聴ける作品である。
メロディアス度・・8 トラッ度・・7 ゴシック的倦怠度・・8 総合・・7.5
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AMORPHIS「CHAPTERS」
フィンランドのメロディック・(元デス)メタルバンド、アモルフィスのベストアルバム。2003作
2000年までに発表された5枚のアルバムとミニアルバムから数曲ずつを収録した17曲入りCDに
これまでのビデオクリップをまとめたDVD付き。いわばアモルフィスの集大成。
1st「THE KARELIAN ISTHMUS」の頃はデスメタル色がまだ強かったが、
フィンランド特有の土着メロディをちりばめた2nd「TALES FROM THE THOUSAND LAKES」
において、その名を広く知らしめた。続く「ELEGY」ではさらにメロディアスに、そしてサイケ色もまじえ、
「TUONELA」以降は完全に脱デス化し、その後サイケロック色と70年代的な雰囲気を増してゆく。
バンドの変遷を考えると、実に面白く、よく聴けばすでに初期の頃からそのメロディには
サイケ的な色合いが出ていたこと、むしろデス声のせいでそれが隠されていたことなどが
あらためて確認できる。これはおそらくフィンランドからしか出て来なかったサウンドであろう。
サイケ度・・8 歴史度・・9 フィンラン度・・10 総合・・8
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AMORPHIS「FAR FROM THE SUN」
フィンランドのトラディショナルメタルバンド、アモルフィスの6th。2003作
3作目まではメロデス的な要素もあったが、4作目から完全に脱デス化、
北欧のトラディショナルなメロディを大胆に取り入れたサウンドを推し進め、
このアルバムではついにサイケロック風のトラッドメタルと化している。
2ndの頃の慟哭メロディが好きだった方には「もはやメタルではない」と思われそうだが、
よくよく聴けばこのトラディシュナルなメロディが耳に心地よくも響く。
なんにしても北欧からしか出て来ない音楽であるのは確か。
メロディアス度・・7 トラッ度・・7 サイケ度・・8 総合・・7.5
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AMORPHISEclipse
フィンランドのトラディショナルメタルバンド、アモルフィスの7th。2006年作
前作で民族メタルとしてのスタイルを取り戻し、続く今作でもその延長上の路線になっている。
これまでの北欧民族調の雰囲気はそのままに、今回は曲によってはデス声を復活させたり、
メランコリックなゴシックメタル風の要素も取り入れるなど、初期AMORPHIS好きにも充分アピールする内容だ。
ギターによる煽情メロディも耳に心地よい。もちろん、かつてよりはずっとモダンな音になっていて、ある意味スタイリッシュなのだが、
彼らの母国であるフィンランドの土着性は、しっかりとそのサウンドの奥底に残っている。
メロディアス度・・8 メランコリック度・・8 フィンラン度・・9 総合・・8
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AMORPHISSilent Waters」
フィンランドのトラッドメタルバンド、アモルフィスの8th。2007年作
前作では重厚なサウンドを復活させ、北欧土着メタルとしての傑作を作り上げた。
続く今作もおおかたのファンを裏切ることなく、メランコリックな北欧的なメロディとともに
しっかりとメタルとしての完成度を保った作風だ。いつになく聴きやすいシンセアレンジや
美しいピアノなども取り入れていて、全体的にマイルドなゴシックメタル風のサウンドに接近しているが、
土着的なトラッドフレーズもしっかりと残していて、ウェットな叙情性とドラマテイックな味わいでは前作以上の出来である。
メロディアス度・・8 メランコリック度・・8 フィンラン度・・8 総合・・8
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AMORPHIS「Skyforger」
フィンランドのトラッドメタルバンド、アモルフィスの2009作
9作目の本作は、フィンランドの民族叙事詩「カレワラ」を題材にしていて、
サウンド的には前作Silent Waters」の延長上の音ながら、よりフィンランドらしいメランコリックなメロディと、
マイルドなヴォーカルの歌唱で聴かせる、ゆったりとした作風となっている。前々作Eclipseあたりが
好きな方にとっては、今作の音はやわらかすぎて、あるいは軟弱に思えるかもしれないが、
この力みのなさこそがむしろ魅力でもあり、前作から派手さを取り除いた分だけ、
このバンドの本質がしっかりと再確認できるというサウンドになっているともいえる。
トラッドメタルというよりは、土着的なメランコリックロックとして聴くとより楽しめると思う。
メロディアス度・・8 土着度・・7 フィンラン度・・8 総合・・8
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AMORPHIS「Magic And Mayhem」
フィンランドの土着メタルバンド、アモルフィスの2010年作
バンド20周年を記念しての初期アルバムからの楽曲をリメイクした作品で、
1st「Karelian Isthmusから3曲、「Tales From the Thousand Lakesから5曲、
3rdElegy」から4曲を、リアレンジした2010年バージョンとして収録。
とくに1s、2ndの頃にはデスメタル色がまだ残っていて、土着的な雰囲気とともに
重厚なトラッドデスメタルが炸裂、リメイクされてさらにその迫力が増している。
ギターが奏でる北欧のトラッドメロディ、その叙情と反復するフレーズによるサイケなノリが
この頃の彼らの持ち味であった。プログレ的なシンセワークもなにげに効いている。
最近のAMORPHISしか知らない方にも新鮮に聴けるだろう。意義あるリメイクアルバムだ。
ドラマティック度・・8 北欧度・・9 トラッ度・・8 総合・・8
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AMORPHIS「Forging the Land of Thousand Lakes」
フィンランドのトラッドメタル、アモルフィスのライブ作品。2010年作
1992年にデビュー、北欧らしい土着的なメロディに、デスメタル、ゴシック、トラッド、サイケなどの要素を取り込んだ
独自のメランコリックなメタルサウンドで深化を続けるこのバンド、本作は、2009年のライブを収録した、2DVD+2CD。
ツインギターの奏でる叙情的なギターの旋律に、咆哮するデスヴォイス、随所にノーマルヴォーカルもまじえて、
涼やかな哀愁の空気に包まれたサウンドは、ベテランらしい確かな演奏力とともに、アルバム以上に重厚な聴き心地。
ときにオルガンなどのシンセを重ねたプログレッシブな雰囲気も覗かせて、初期のナンバーなども味わい深く楽しめる。
ロン毛のドレッドヘアを振り乱すヴォーカルのヴィジュアルも含めて、ステージ映像も迫力たっぷりだ。
DVD1にはフィンランドのライブを全16曲、DVD2にはドイツでの野外フェスライブ12曲に、歴代のPVを13曲収録。
ライブ演奏・8 ライブ映像・8 重厚な叙情度・9 総合・8.5 
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Amorphis「Beginning Of Times」
フィンランドのトラッドメタルバンド、アモルフィスの2011年作
前作の初期のセルフカヴァー作も興味深い内容だったが、本作はフィンランド神話に伝わる
世界の起源をテーマにしている。海を漂っていた賢者ワイナミョイネンの膝の上に鳥が卵を産み、
その卵の破片から世界は生まれ、黄身は太陽になったという物語を、壮大なトラッドメタルで表現、
ゆるやかな土着メロディとエピックな勇壮さは、MOONSORROWなどにも通じる重厚さで展開、
じつにドラマティックな聴き心地だ。ノーマルヴォイスやアコースティックなパートを絶妙に配しつつ、
メロウなギターフレーズの向こうでは、プログレ的でもあるシンフォニックなシンセワークが効いている。
ベテランでしか出せない音の説得力と神秘的な世界観、そしてメロディの充実ぶりも見事な傑作である。
ドラマティック度・・9 エピック度・・9 フィンラン度・・10 総合・・8.5
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AMORPHIS「Circle」
フィンランドのトラッドメタル、アモルフィスの2013年作
前作はフィンランド神話をモチーフにした重厚な傑作であったが、11作めとなる本作も、
ベテランらしいアレンジセンスが光る力作だ。トラッド的なギターフレーズとともに描き出すミステリアスな世界観に、
マイルドなヴォーカルの歌声を乗せて、適度にモダンな聴き心地を含んだサウンドは、まさに円熟の域にある。
随所に知的でプログレッシブなアプローチも感じさせる展開力も見事。一方ではキャッチーなゴシックロック的な曲もあり、
全体的にメロディアスな聴き安さが前に出た作品となっている。新鮮味はないが安心して楽しめる質の高さです。
ドラマティック度・・8トラッドメタル度・・8 フィンラン度・・9 総合・・8
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AMORPHIS 「Under the Red Cloud」
フィンランドのトラッドメタル、アモルフィスの2015年作
90年代にデビュー、北欧らしい土着性をメタルに融合させたサウンドで深化を続けるバンド。
12作目となる本作も、フィンランドの伝統的叙事詩「カレワラ」をテーマにしたアルバムで、
優雅なピアノの音色から始まり、土着的なギターフレーズとノーマルヴォイスの歌声を乗せ、
厚みのある叙情的なサウンドを描いてゆく。前作からの流れのメロディックな作風であるが、
随所にデスヴォイスも含んだ重厚さと、リズムチェンジを含む知的なアレンジセンス、
そしてドラマティックなスケール感などは、やはりベテランならではの説得力である。
ときにシンフォニックに、ときにペイガンメタルばりに勇壮に、壮大な叙事詩を物語るような力作だ。
ドラマティック度・・8 重厚度・・8 北欧度・・9 総合・・8
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AMORPHIS 「Queen of Time」
フィンランドのトラッドメタル、アモルフィスの2018年作
13作目となる本作は、女性スキャットを乗せた妖しいイントロから、オリエンタルなギターフレーズに、
デスヴォイス&ノーマル声を乗せ、ORPHANED LANDにも通じる重厚なサウンドを描いてゆく。
一方では、TURISASなどにも通じるバトルメタル的なエピックな勇壮さや、初期の作風を思わせる
北欧らしいトラッドメロディを盛り込んだ叙情性も残していて、ベテランらしい音の説得力も素晴らしい。
オーケストラアレンジを加えたシンフォニック性や、アコースティックパートなどを含むアレンジセンスもさすがで、
全体的にも重厚なヘヴィさとメロディックな叙情のバランスがとれた聴き心地。全69分の見事な力作デス。
ドラマティック度・・8 重厚度・・8 叙情度・・8 総合・・8 
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ANABIOZ「...To Light」
ロシアのフォークメタルバンド、アナバイオスの2009年作
女性Vo/Vln奏者を含む5人組で、男性デス声をメインに、女性声の歌声と、
土着的な旋律で聴かせる、けっこうヘヴィめのフォークメタルサウンド。
ときおり絡むヴァイオリンの音色や美しい女性ヴォーカルはなかなかいい感じで
楽曲に幻想的な彩りを添えている。全体的には武骨な辺境臭さが強い感じ。
メロディアス度・・7 フォーキー度・・7 辺境度・・8 総合・・7.5
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ANABIOZ 「There the Sun Falls」
ロシアのフォークメタルバンド、アナバイオスの2014年作
女性Vo&Vln奏者を含む5人組で、わりとハード寄りのギターリフにヴァイオリンの音色、
低音デスヴォイスにソプラノ女性ヴォーカルが加わった、勢いのあるフォークメタルサウンド。
ブラックメタルばりの激しいブラストパートなども含む緩急のある楽曲構築力と、
艶やかなヴァイオリンによるフォーキーなテイストが鮮やかなコントラスとなっていて、
激しくも軽快な聴き心地となっている。個人的には、もっと女性声パートが多いとよいのだが
ラストのAmorphisのカヴァーは男女声の美しいアレンジでなかなか恰好いいです。
ドラマティック度・・8 フォーキー度・・7 女性Vo度・・7 総合・・8
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ANDRAS 「Warlord」
ドイツのペイガンメタル、アンドラスの2010年作
ツインギターにシンセを含む5人編成で、シンフォニックなシンセアレンジと
ダミ声ヴォーカルを乗せて、ペイガンブラック的な激しい疾走も含んだサウンド。
ツインギターによる厚みのある音作りに壮麗なシンセが合わさって、
緩急のメリハリのある楽曲とともに、激しくも濃密な聴き心地が楽しめる。
ときに朗々としたノーマルヴォイスによる勇壮な味わいもよろしく、
エピック・ヴァイキングメタルとしてなかなかのクオリティです。
ドラマティック度・・8 ペイガン度・・8 勇壮度・・8 総合・・8
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Angeli Di Pietra 「Storm Over Scaldis
ベルギーのフォークメタル、エンジェリ・ディ・ピエトラの2009年作
男女Voを含む6人編成で、デスヴォイスを乗せてけっこう激しく疾走しつつ
土着的なギターフレーズと美しい女性ヴォーカルの歌声が絡むサウンド。
随所にネオクラ気味のギターも聴かせたりと、いくぶん唐突な展開も含めて、
B級メタルの香りも漂っているが、その垢抜けなさも味になっている。
フォーキーな質感は控えめだが、辺境メタルファンならそこそこ楽しめるだろう。
メロディアス度・・7 フォーキー度・・7 女性Vo度・・7 総合・・7.5
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Angeli Di Pietra 「Anthems of Conquest」
ベルギーのエピック・フォークメタル、エンジェリ・ディ・ピエトラの2011年作
男女ヴォーカルの歌声をクサメロのギターに乗せ、デスヴォイスを含むアグレッシブなノリと
キャッチーなメロディで、ファンタジックな世界観を描く、辺境風味のローカルな聴き心地。
曲によっては異国的な土着感がミステリアスな空気感にもなっていて、アラビックな旋律とともに、
ORPHANED LANDあたりに通じるナンバーもあったり、適度にシンフォニックなアレンジで、
男女ヴォーカルのエピックなファンタジックメタルとしても楽しめる。疾走するメロスピナンバーも、
パワフルすぎないクサメタル感がGoodです。辺境でもいい…クサメロならば、という方はチェック。
ドラマティック度・・8 フォーキー度・・7 辺境度・・8 総合・・7.5
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ARKONAVosrozdenie/Возрождение
ロシアのシンフォニック・ぺイガンメタルバンド、アルコナの2004年作
キーボード入りで疾走する楽曲に、ノーマルとデスヴォイスを使い分ける女性ヴォーカルを乗せ、
メロディやロシア語の歌唱には強い土着性が感じられ、そこがヴァイキング風味になっている。
デス声以外は非常に聴きやすく、シンフォニックなメロパワといった感じなので
案外この手の辺境ものに免疫がない方でも聴けるかもしれない。
シンフォニック度・・8 疾走度・・8 土着度・・8 総合・・8
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ARKONAЛепта
ロシアのシンフォニック・ペイガンメタルバンド、アルコナの2nd。2004作
いかにもな民族メロディと疾走シンフォブラックメタルとの融合は今作も健在で、
暴虐なんだか和み系なんだかという微妙なはざまで楽しめる(笑)
女性Voパートとデス声パートがあるのですが、どうもこの咆哮デスは
女性声担当のMashaさんがARCH ENEMYのアンジェラ嬢よろしく絶叫しているらしいのです。
音のほうは案外薄っぺらなので、深く聴き込むまでもないサウンドなんですが、
この手のフォーキーメタル好きにはアピールするバンドなのは確かでしょう。
シンフォニック度・・7 民謡メロ度・・9 女性Vo度・・7 総合・・7.5
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Arkona「Vo Slavu Velikim」
ロシアのシンフォニック・ぺイガンメタルバンド、アルコナの3rd。2005年作
土着的な笛の音色と、女性ヴォーカルによるロシア語の歌声、
牧歌的なパイプなどを激しいメタルサウンドと融合させたサウンドは
ロシアのバンドの中でもそのクオリティの高さはトップクラスだろう。
今作では疾走感は控えめで、代わりにフォーキーな土着性が強まっている。
メロディアス度・・8 暴虐度・・7 フォーキー度・・8 総合・・8
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ARKONA 「Live in Glory」
ロシアのペイガン・フォークメタルバンド、アルコナのライブ作。2006作
これが初のライブ作ということだが、演奏力もなかなかしっかりしていて安心して聴ける。
フォーキーなメロディをふりまきながら疾走するスタイルで、
ときにフルートやヴァイオリンなどの音色を用いて民族色を盛り上げる。
女性声のMashaさんはアンジェラ嬢なみに絶叫するのがなかなかのインパクト。
母国語による歌唱も異国的ながら、サウンドはメロディアスで総じて聴きやすい。
メロディアス度・・8 疾走度・・8 フォーキー度・・8 総合・・8
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ARKONAOT SERODCA K NEBU
ロシアのペイガンメタルバンド、アルコナの2008年作
4作目となる本作では、アコーディオンやパイプの音色による土着的な質感が
さらに増していて、エピックなフォーキーメタルとしてより濃密な作風になった。
咆哮するデスヴォイスと女性声を使い分けるヴォーカルに、ときに勇壮なコーラスも加わり
コンセプト的に展開してゆく楽曲にはシンフォニックさとアコースティカルな部分のメリハリもついていて
なかなか飽きさせない。辺境ペイガンメタル好きであれば外せない内容だろう。
シンフォニック度・・7 暴虐度・・7 フォーキー度・・8 総合・・8
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ARKONA 「Noch Velesova」
ロシアのペイガンメタル、アルコナのライブ作品。2009年作
2004年にデビュー、いまやロシアを代表するペイガンメタル。本作は2007年モスクワでのステージを2CD+DVDに収録。
激しいブラスト疾走を含むブラックメタル風味に、迫力あるグロウルを使い分けるマーシャ嬢の歌声を乗せ、
ホイッスルやイーリアンパイプの牧歌的な音色とともに、重厚なペイガン・フォークメタルを聴かせる。
女性コーラスを加えての詠唱的な歌声には神秘的な世界観も感じさせ、メタルとしてのアグレッシブなヘヴィさと
土着的なフォーク要素を融合させたサウンドの説得力はさすがというところ。とくにフロントを務めるマーシャ嬢は
デス声&ノーマル声の使い分けとともに、バンドの核となる存在感を放っている。全140分、濃密なライブが味わえます。
ライブ演奏・・8 ペイガン度・・9 重厚度・・8 総合・・8
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ARKONA「Go Rode Go」
ロシアのペイガンタルバンド、アルコナの5th。2009作
フォーキーな土着性とエピックな壮大さを併せた作風で、前作は見事な傑作であったが、
本作も期待通りの出来。シンフォブラック的な疾走に、スクリームヴォイスを使い分ける
女性ヴォーカルの歌声、そしてパイプや笛などによるフォーキーな音色が融合し
牧歌的でありながら迫力のあるペイガンメタルの世界を構築している。
疾走する激しいパートから女性声で聴かせるゆるやかなパートまで、
起伏のある楽曲展開も見事。土着的で神秘的なエピック・ペイガンメタルの傑作だ。
シンフォニック度・・8 ドラマティック度・・8 フォーキー度・・8 総合・・8
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Arkona「Slovo」
ロシアのペイガンメタル、アルコナの2011年作
6作目となる今作は、壮大なイントロからして、これまで以上にドラマティックな香りを漂わせているが、
楽曲が始まるとブラックメタルばりに激しく疾走、女性Voマーシャ嬢のスクリームを含めたヴォーカルに、
ヴァイオリンやアコーディオン、ガイタ、ハーディ・ガーディなどのフォーキーな音色がかぶさり、
シンフォニックな美麗さと土着性を融合させた、見事なペイガン・フォークメタルを展開する。
荘厳なコーラスにヴァイオリンの艶やかな響き、随所に叙情性を織り込みながら疾走感を同居させた
楽曲のアレンジもさすがという隙のなさだ。物語的なエピックな世界観も感じさせる見事な傑作。
シンフォニック度・・8 フォーキー度・・8 壮大度・・8 総合・・8
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ARKONA「Decade of Glory」
ロシアのペイガンメタル、アルコナのライブアルバム2013年作
ロシアを代表するペイガンメタルバンドの10周年ライブの模様をCD2枚に収録。
ストリングスカルテットやソプラノヴォーカル隊などを含んだ大がかりなステージで、
ガイタやホイッスルがフォーキーに鳴り響き、厚みのあるシンフォニックなアレンジと
エピックな勇壮さで聴かせるサウンドをアルバム以上に壮麗に再現してゆく。
猛々しいスクリームとノーマル声を歌い分けるマーシャ嬢のヴォーカルも存在感たっぷりで、
牧歌的な叙情パートや激しい疾走パートを含めて、バンドとしての独自の世界を作り出している。
キャリアに裏打ちされた説得力をにじませる、濃密なるライブサウンドです。
ドラマティック度・・8 ライブ演奏・・8 勇壮度・・9 総合・・8
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ARKONA 「YAV]
ロシアのペイガンメタル、アルコナの2014年作
ロシア最高のペイガンメタルバンドの7作目。デスヴォイスと美声を使い分けるマーシャ嬢の歌声を乗せて
ときにブラックメタルばりに激しく疾走、ときにヴァイオリンやホイッスルとともに土着的な叙情を描き出すサウンドは、
バンドのキャリアを感じさせる安定した説得力に包まれていて、やはり今作も期待を裏切らない。
音質面でのクオリティアップも作品としての迫力を増していて、楽曲が生み出す幻想的な神秘性が
よりダイナミックに感じられる。まさにロシア最高のペイガンメタルバンド。13分を超える大曲も含めて、
格の違いを見せつけるような傑作だ。ボーナスDVDにはモスクワでの10周年記念ライブのステージ映像をたっぷり収録。
ドラマティック度・・8 ペイガン度・・8 幻想&神秘的度・・8 総合・・8 
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ARKONA 「Vozrozhdenie」
ロシアのペイガンメタル、アルコナの2015年作
いまやロシアを代表するバンドのひとつ。2004年のデビュー作をリレコーディングした作品で、
牧歌的なホイッスルが鳴り響き、美麗なシンセアレンジにクサメロなギターで疾走、
女性声&グロウルを使い分けるマーシャ嬢の歌声を乗せた、幻想的なペインガンメタル。
ブラストビートを含むエクストリームな激しさに、土着的でミステリアスな空気感を同居させ、
オリジナルの魅力を残した迫力あるサウンドに仕上げている。緩急あるリズムチェンジに、
フォーキーな牧歌性と神秘的なダークさが、よりダイナミックな演奏で蘇ったという強力作だ。
ドラマティック度・・8 ペイガン度・・9 神秘度・・8 総合・・8
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ARKONA 「KHARM」
ロシアのペイガンメタル、アルコナの2018年作
2004年にデビュー、いまやロシアを代表するエクストリーム系バンド。デビュー作のリレコーディングに続き、
オリジナルとしては8作目となるアルバム。今作はジャケからして魔女めいた妖しさを感じさせるが、
内容の方も、しわがれた声のマントラの詠唱から始まって、すでにいかがわしさがぷんぷん。
ヘヴィなギターにホイッスルやパイプの音色が絡み、スクリーム&ノーマルを使い分けるマーシャ嬢の歌声を乗せて、
ミステリアスなペイガンメタルを描いてゆく。初期に比べると、メロデスやブラックメタル寄りの感触も強まってはいるが
怨念めいた土着性はこのバンドならではで、その辺の若手バンドでは到底描けない強固な説得力に包まれている。
10分前後の大曲も多く、ときにプログレッシブで展開力のあるインストパートも充実。ダークで重厚な全74分。
ドラマティック度・・8 ペイガン度・・7 妖しく重厚度・・9 総合・・8 
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Ars AmandiAutoctono
スペインのフォークメタルバンド、アルス・アマンディの1st。2003作
やわらかなフルートの音色にアコースティックギターのつまびき、
鳴らされるパイプの響きで軽快に聴かせる、フォークメタルサウンド。
スペイン語の歌唱も含めて、MAGO DE OZを思わせる雰囲気もあり、
キャッチーなメロディがなかなかいい。牧歌的なB級臭さになごめます。
メロディアス度・・8 フォーキー度・・8 スペイン度・・8 総合・・7.5
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Ars Amandi「En Tierra Firme」
スペインのフォークメタルバンド、アルス・アマンディの2nd。2004作
牧歌的な笛の音色にスペイン語の歌唱でゆるやかに聴かせるフォークメタル。
感触としてはやはり同郷の大御所、MAGO DE OZに通じる雰囲気があるが、
こちらの方がさらにのんびりとしている。ヴォーカルの歌うキャッチーなメロディは
クサメロ愛好家にはにんまりだろう。やわらかで牧歌的なスパニッシュ・フォークメタル作。
クサメロ度・・8 フォーキー度・・7 のんびり牧歌度・・8 総合・・7.5

Ars AmandiCamino Al Destino」
スペインのフォークメタルバンド、アルス・アマンディの3rd。2005作
スペイン語の歌声と牧歌的なメロディで聴かせるサウンドは、
優しい笛の音もあいまって、一聴してMAGO DE OZを思わせるが、
こちらはもっとソフトなメロハー風味がある感じで、とても耳心地がよい。
フォーク風味は薄めなので、キャッチーなスパニッシュHRとしても鑑賞可能。
メロディアス度・・8 フォーキー度・・7 スパニッシュ度・・8 総合・・7.5
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Ars Amandi「El Rincon de los Deseos」
スペインのフォークメタルバンド、アルス・アマンディの2010年作
2003年にデビュー、本作は5作目で、フォーキーなパイプや笛の音色も含んだ
やわらかなメロディで聴かせる、キャッチーなスパニッシュメタル。
牧歌的な優しいサウンドながら、楽曲的にずいぶん洗練されてB級臭さがなくなり、
これまで以上にクオリティの高さが光る。たとえば、MAGO DE OZなど、
他のスパニッシュ系フォーキーメタルバンドと比べても遜色のない仕上がりだ。
メロディアス度・・8 フォーキー度・・7 スパニッシュ度・・8 総合・・8
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ARSTIDIR LIFSINS「Jotunheima Dolgferd」
アイスランドのフォーク・ブラックメタル、アルスティディア・リフシンスの2010年作
映画的な語りによるイントロから、曲が始まるといかにもペイガン的な世界観で
ブラスト入りで激しい疾走もしつつ、メロディはあくまで勇壮で土着的。
ダミ声ヴォーカルとジェントルな歌をまじえつつ、プログレッシブな感触で展開する様は
ノルウェーのSolefaldあたりを思わせ、 土着性のあるゲルマンな感じはENIDなどにも近いか。
詠唱のようなコーラスなども秘教的で、アコースティカルな要素なども随所に盛り込んで
まるでひとつの物語を描くように聴かせる力作だ。中世の書物のような豪華なブックレットもよいね。
ドラマティック度・・8 ペイガン度・・9 土着度・・8 総合・・8
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Arstidir Lifsins 「Vapna Laekjar Eldr」
アイスランドのペイガン・ブラックメタル、アルスティダー・リフシンズの2012年作
2010年にデビュー本作は2作めとなる。波の音とヴァイオリンによる物悲しいイントロから、
土着的なギターの旋律にダミ声ヴォーカルを乗せた、寒々しいペイガンメタルが広がってゆく。
アコースティックギターにヴァイオリンが重なる叙情性と、神秘的な幻想性が合わさった
本格派のペイガニズムに包まれた空気感に、激しいブラスト疾走によるブラックメタル感触も覗かせる。
8~14分の大曲を主体に、硬派な重厚さと壮大なドラマ性に、フォーキーなトラッド感触を盛り込んだ、
全77分の力作です。ジャケの感じが次作とよく似ているので間違えないように。笑
ドラマティック度・・8 ペイガン度・・9 神秘的度・・9 総合・・8.5 
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Arstidir Lifsins 「Aldafoor Ok Munka Drottinn」
アイスランドのペイガン・ブラックメタル、アルスティダー・リフシンズの2014年作
2010年にデビュー、本作は3作めでCD2枚組の大作。ストリングスが鳴り、神秘的な語りを乗せたイントロから、
重厚なギターにダミ声ヴォーカルを乗せ、荘厳でミステリアスなペイガン・ブラックメタルを聴かせる。
激しいブラスト疾走を含む緩急ある流れで、10分前後の大曲を主体に、じっくりと展開してゆくサウンドには、
メロディックな要素や派手さはほとんどないのだが、どっしりとした硬派な作風は迫力たっぷりである。
Disc2にはメタル色のないトラッド的なナンバーもあったりと、寒々しいアイスランドの空気を漂わせる。
単なるブラック、ペイガンの枠を超えた、濃密な土着メタルというべきか。CD2枚、80分を超える力作デス。
ドラマティック度・・8 ペイガン度・・9 重厚度・・9 総合・・8
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ARSTIDIR LIFSINS 「HELJARKVIDA」
アイスランドのペイガン・ブラックメタル、アルスティダー・リフシンズの2016年作
20分、24分という大曲2曲の構成で、今作もストリングスによるイントロからミステリアスな空気感を漂わせ、
重厚なギターに低音ダミ声ヴォーカルを乗せて激しく疾走する、ペイガンブラックメタルが広がってゆく。
荘厳なコーラスも加わったヴァイキングメタル的な勇壮な世界観と、硬派な土着性に包まれたサウンドは、
MOON SORROWあたりにも通じる本格派の聴き心地。荒涼とした北の大地を感じさせる空気感は、
まさに本物のペイガンメタルの味わいである。なにせ曲が長いので、気の短い方には向かないが、
じっくりと描かれるドラマティックな音の説得力は見事で、世界に浸れるタイプのリスナーには傑作です。
ドラマティック度・・8 ペイガン度・・9 重厚度・・9 総合・・8
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ARSTIDIR LIFSINS 「Saga A Tveim Tungum I: Vapn Ok Vior」
アイスランド、ドイツ混成のペイガン・ブラックメタル、アルスティディル・リフシンスの2019年作
2010年にデビュー、5作目となる。中世アイスランドの散文である「サガ」をテーマにした作品で、
のっけからダミ声ヴォーカルを乗せて暴虐に疾走する、迫力あるブラックメタルが炸裂する。
アコースティックギターに語りを乗せたパートも含みつつ、激しいブラスト疾走やトレモロを含むギターリフ、
全体的に叙情は控えめの硬派な作風で、メロディアスな部分は少ないのだが、10分を超える大曲では、
緩急ある構築力とともに、神秘的なスケール感に包まれる。おそらく古代アイスランド語のヴォーカルも迫力十分。
本作だけでも全69分の力作であるが、コンセプトは後編となる2020年作へと続いてゆく。
ドラマティック度・・8 暴虐度・・8 神秘的度・・9 総合・・8 
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ARTAIUS 「TORN BANNERS」
イタリアのフォークメタル、アルタイウスの2015年作
2013年にデビュー、本作は2作目。男女Voにシンセ奏者を含む編成で、ヘヴィなギターに
やわらかなフルートの音色が絡み、美しい女性ヴォーカルと男性デスヴォイスを乗せた、重厚なフォークメタル。
ときにアグレッシブに疾走する激しさとモダンなヘヴィネスには、フォーク・メロデス的な感触もあるが、
ホイッスルにヴァイオリンが鳴り響く、ケルティックな牧歌性が同居していて、オルガンなどを含むシンセとともに、
優美で幻想的な雰囲気を描いている。SARA嬢の伸びやかな歌声も魅力的で、むしろデス声はなくてもいいかも。
激しさと優雅さのバランスのとれた、ドラマティックなフォークメタルを楽しめる力作です。
ドラマティック度・・8 フォーキー度・・8 重厚度・・8 総合・・8
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Asgard 「Ragnarokkr」
イタリアのフォークメタル、アスガルドの2020年作
イタリア、ドイツ混成のプログレバンドとして、1991~2000年までに5作を残して消えたバンドの20年ぶりとなる復活作。
オリジナルメンバーはキーボードだけのようで、サウンドの方もがらっとメタリックな感触が強まっていて、
オルガンなどのシンセにメタリックなギターを重ね、フルートなどが鳴り響くフォークメタルになっている。
北欧神話をテーマにしたフォークメタルという点では、バンド名にぴったりだが、まさかここまで変わるとは。
優美なシンセワークは随所にプログレ的な優雅さがあって、11分の大曲ではシンフォプログレ的な展開力も覗かせる。
ドラマティック度・8 フォーキー度・7 優美度・8 総合・7.5
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ASMEGINHin Vordende Sod and So
ノルウェーのフォーキー(ヴァイキング)メタルバンド、アスメギンの2003作
ブラックメタル的なわめき声と、ヴァイキング風の勇壮パート、そして
女性Voやフィドルの音色による和み系フォーキーパートが合わさったサウンド。
アコーステイックギターやフルートの美しい部分はけっこう本格的なトラッドの雰囲気で、
そこに女性Voが絡むと、いかにもノルウェーらしい叙情美がとてもよろしい。
ブラックばりの疾走パートもあり、全体的にややがちゃがちゃした感じだが、
飽きさせないという点ではなかなか面白いし、この手のフォークメタル好きなら気に入るだろう。
メロディアス度・・7 ヴァイキング度・・7 フォーキー度・・8 総合・・7.5
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ASMEGIN「Arv」
ノルウェーのフォークメタルバンド、アスメギンの2nd。2009作
前作はブラックメタル風味もあるフォークメタルとしてなかなか面白い作品だったが、
今作も男女ヴォーカルに、ヴァイオリンなどを取り入れて土着的な楽曲で聴かせる。
メタリックなリフ自体にはさほどフォーキーな要素は感じないが、それに絡むヴァイオリン、
女性ヴォーカルの歌声などには、LUMSKあたりを思わせるしっとりとした質感がある。
がなり声でたたみかける無骨さも含めて、アルバム全体としてはややとっつきにくいのだが、
垢抜けきらないノルウェイジャン・フォークメタルが好きなら、それなりに楽しめるだろう。
メロディアス度・・7 フォーキー度・・8 ノルウェイ度・・9 総合・・7.5
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Atlas Pain 「Tales of a Pathfinder」
イタリアのフォーク・パワーメタル、アトラス・ペインの2019年作
2017年にデビューし2作目となる。物語的なコンセプトを感じさせるイントロから幕を開け、
フォーキーなシンセメロディをギターに重ね、ダミ声ヴォーカルを乗せて疾走、勇壮なコーラスとともに、
エピックでシンフォニックなフォークメロパワを聴かせる。随所にイタリアらしいクサメロ感も含ませて
RHAPSODY+TURISASというような、土着的ながらキャッチーかつ壮麗なサウンドが展開される。
激しく疾走パートでも、あくまで華麗な優雅さに包まれているので、ダミ声ヴォーカルを除けば、
クサメタラーにもイケるだろう。11分という大曲もドラマティックに構築する。これぞシンフォークメロパワ!
メロディック度・8 フォーキー度・7 壮麗度・9 総合・8
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ATROCITY「After The Storm」
ドイツのゴシック(デス)メタルバンド、アトロシティの2010年作
音楽性の変節ぶりとディスコグラフィーの多さから最近の作品は追いきれていないのだが、
本作は1995年作の「CALLING THE RAIN」に参加した女性Vo、Yashminが再び参加し、
フォーク/トラッドメタル的な雰囲気の作品になっている。女性ヴォーカルの歌声に
男性声が絡み、土着的な幻想美とともに聴かせるサウンドは、メタル度は抑え目で
パーカッションやホイッスル、チェロなどのアコースティックな叙情が前に出ている。
ATROCITYの名前で聴くと違和感がなくもないが、出来としては悪くない。
ドラマティック度・・8 トラッドメタル度・・8 女性Vo度・・7 総合・・7.5
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Aura Shining Green「Green Man And The White Witch」
フィンランドのネオフォーク、オーラ・シャイニング・グリーンの2016年作
うっすらとしたシンセにマイルドな男性ヴォーカルを乗せ、ゆったりとした静謐感に包まれた
アンビエントなネオフォークを聴かせる。アコースティックギターの弾き語りによる素朴な感触と
ピアノやフルートなどのしっとりとした叙情性で、ネイチャーな北欧の空気を描き出す。
曲によってはエレキギターも加わって、ゴシックフォーク的な物悲しさも感じさせる。
それぞれにタイトルの付けられたCD2枚組で、Disc2では、ヴァイオリンやチェロも加えた、
牧歌的な叙情とともに、派手さはないが幻想的なフォークサウンドが楽しめる。
ドラマティック度・・7 涼やか度・・8 物悲しい度・・8 総合・・7
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AURI
フィンランドのフォークロック、アウリの2018年作
NIGHTWISHのツォーマス・ホロパイネン、トロイ・ドノックリーと女性シンガー、ジョアンナ・カーケラによるユニットで、
ドラムとベースのリズムに美しいシンセを重ね、しっとりとした女性ヴォーカルの歌声で聴かせるサウンド。
ヘヴィなギターが入らないので、メタル色はほとんどないが、ストリングスによる優美なアレンジなど、
このシンフォニックで幻想的な世界観は、Nightwishのリスナーであれば、わりとすんなりと楽しめるだろう。
イーリアンパイプやホイッスルなどのケルティックな味わいと、ピアノやシンセによるクラシカルな優雅さが合わさり、
コンテンポラリーなシンフォニック・ネオフォークといった聴きやすさになっている。たおやかな女性声も魅力的だ。
シンフォニック度・・8 メタル度・・1 女性Vo度・・8 総合・・8
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AURI 「II -Those We Don't Speak Of」
フィンランドのケルト/フォークロック、アウリの2021年作
NIGHTWISHのツォーマス・ホロパイネン、トロイ・ドノックリーと女性シンガー、ヨハンナ・クルケラによるユニットの2作目、
前作に続き、IONAのフランク・ヴァン・エッセンがヴァイオリンでゲスト参加。艶やかなストリングスにうっすらとしたシンセを重ね、
美しい女性ヴォーカルを乗せた、ドリーミィなネオフォークで、イーリアンパイプやホイッスルが鳴り響く、ケルティックな味わいも含んだ
幻想的なサウンドを描く。ツォーマスの奥さんでもあるヨハンナのやわらかな歌声を、優美なシンセやピアノが包み込み、
土着性控えめのコンテンポラリーな作風は、ケルティック・ウーマンなどが好きな方にも楽しめるだろう。
これという派手さはないが、やったりと夢見心地に楽しめる、シンフォニックなネオフォーク作品です。
ドラマティック度・7 しっとりネオフォーク度・9 女性Vo度・8 総合・8 
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Avven 「Pantarhe」
スロベニアのフォークメタル、アヴェンの2006年作
女性ヴァイオリン奏者を含む7人編成で、朗々とした男性ヴォーカルの歌声に
トランペットやアコーディオンが絡む、辺境的な田舎臭さの強いサウンド。
ヘヴィさよりもほのぼのとした牧歌性が強く、やわらかなフルートの音色やヴァイオリン、
ときおり女性ヴォーカルが絡んだり、シンフォニックな美しさもあって、
派手なインパクトはないものの、なかなか耳心地のよい作品だ。
ドラマティック度・・7 フォーキー度・・8 辺境度・・9 総合・・7.5




BARBARIANS 「Dawn of Brotherhood」
イタリアのエピックメタルバンド、バーバリアンズの2009年作
ジャケからしていかにもな感じですが、ブックレットの写真も戦士で溢れています。
しかし、鎖帷子を着てドラムを叩いているのはやりすぎだろう…笑
サウンドの方はMITHOTYNを正統派にした感じのエピックな雰囲気で
ミドルテンポを中心にした勇壮な曲調にダミ声のヴォーカルが歌を乗せる。
ギターは随所にメロディックなフレーズも奏でており、なかなかいい感じだ。
シンセによる味付けがない分、この武骨な感じがむしろ新鮮かもしれない。
メロディアス度・・7 疾走度・・7 戦士度・・9 総合・・7.5
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Barka Vall 「Skogsfelot」
フィンランドのフォークロック、バルカ・ヴァルの2000年作
フィドルが鳴り響き、ハード過ぎないギターに母国語による2人の女性ヴォーカルの歌声を乗せて
オルガンなどのシンセとともに、ペイガンな味わいの土着的なフォークロックを聴かせる。
メタル的な激しさはないので、あくまで優雅な聴き心地で、北欧らしいトラッドメロディと
重すぎないロック感触が融合されている。男性声による勇壮なナンバーもアクセントになっていて、
キュートな女性声トラッドロックをメインに、ほどよいハードさも覗かせてフォークメタル好きにも楽しめる。
ドラマティック度・7 トラッ度・8 女性Vo度・8 総合・7.5
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BEER BEAR 「Honey(Мёд)」
ロシアのフォークメタル、ビアー・ベアーの2010年作
女性ヴァイオリン、女性フルート奏者を擁する6人編成で、ラウドなギターにフルートやヴァイオリンが鳴り響き、
ダミ声ヴォーカルを乗せた陽気なノリのフォークメタル。初期のFINNTROLLKORPIKLAANIにも通じるスタイルで、
酒を飲んで踊り騒ぐ蛮族の姿が目に浮かぶようだ。母国語による朗々としたヴォーカルや女性ヴォーカルも加わって、
アグレッシブなダミ声との掛け合いに、艶やかなヴァイオリンの音色が重なって、キャッチーな優雅さとメタリックな激しさが同居する。
哀愁を漂わせるスローテンポのナンバーでは、幻想的な土着感も漂わせつつ、エピックで重厚なナンバーもあって、
決して軽すぎない本格派のフォークメタルが楽しめる。ヴァイオリンとフルートの活躍が多いのも良いですね。
ドラマティック度・8 フォーキー度・8 優雅度・8 総合・8
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BEER BEAR 「BEYOND THE INVISIBLE LINE」
ロシアのフォークメタル、ビアー・ベアーの2012年作
2作目となる本作は、ファンタジックなジャケの雰囲気が良い感じだか、バグパイプが鳴り響くイントロから、
ウェディングのテーマが始まり、続いてラウドなギターにヴァイオリンを重ねて、ダミ声ヴォーカルとともに
ほどよい疾走感と優雅さと武骨が同居した、ノリのよいフォークメタルを展開する。
女性ヴォーカルを乗せたナンバーは、Kalevalaなどに通じる優雅な雰囲気もある。
8分、9分という大曲では、優美なフルートやヴァイオリンの音色とともに、エピックな叙情性に包まれて
優美な哀愁を描いてゆく。重厚にして優雅な本格派フォークメタルの逸品だ。
ドラマティック度・8 フォーキー度・8 優雅度・8 総合・8
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Bifrost「Heidenmetal」
オーストリアのペイガン/ヴァイキングメタル、ビフロストの2010年作
北欧神話のアースガルドとミッドランドをつなげる「虹の橋」を意味するバンド名で、
ツインギターの土着的な旋律で聴かせる、正統派のヴァイキングメタルサウンド。
うっすらとしたシンセアレンジもシンフォニックすぎることなく、
あくまで初期のMITHOTYNに通じる武骨な勇壮さを前に出しているのがよろしい。
牧歌的なクサメロやヴァイオリンの旋律が入ったフォーキーな味わいもあって、
全体的なクオリティもなかなか高い。北欧神話のエピカルな幻想美を感じさせる力作。
ドラマティック度・・8 フォーキー度・・8 エピック度・・8 総合・・8
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Bifrost 「Mana Ewah」
オーストリアのペイガン・ブラックメタル、ビフロストの2016年作
ツインギターのリフとダミ声ヴォーカルを乗せ激しくブラスト疾走、フォーキーなメロディを盛り込んだ
牧歌的なクサメロ要素と武骨な辺境性が、よいあんばいで合わさった、ペイガン・フォークメタルを聴かせる。
シンセをあまり使わずあくまでギターをメインにしたサウンドで、ブラックメタルとしての激しさを随所に覗かせつつ、
一方では、メロデス的な聴きやすいミドルテンポのナンバーもあって、マニア向け過ぎないのもよろしい。
個人的には、もう少し神秘的なスケール感があればと思うが、ツインギターの叙情メロディをたっぷり含んだ
フォーキーなメロデスというふうにも楽しめる。全体的にもクオリティの高さが光る好作だ。
メロディック度・・8 暴虐度・・7 ペイガン度・・7 総合・・8
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Black Kirin 「箫韶 (Xiao Shao)」
中国の民俗・メロディック・デスメタル、ブラック・キリンの2016年作
2015年にデビューし、本作が2作目となる。水墨画のようなジャケからして素朴だが、
本作は、前作「哀郢」の楽曲をアコースティックでアレンジした作品。牧歌的な二胡の音色に
アコースティクッギターに絡む筝のつまびきで、中華の空気を感じさせるフォークサウンドを聴かせる。
メタル色はほぼ皆無なので、アコースティックものが苦手なメタラーにはちとつらいかもしれぬが、
中国本土からこのような本格派の民俗要素をもったメタルバンドが現れたのはとても興味深い。
ドラマティック度・・7 メタル度・・1 中華度・・8 総合・・7.5
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BLACK KIRIN 「金陵祭 (NANKING MASSACRE)」
中国の民俗メロディック・デスメタル、ブラック・キリンの2017年作
前作アコースティックアルバムに続く3作目で、二胡、筝、琵琶などの音色にヘヴィなギターと
ダミ声ヴォーカルを乗せた、民俗的でフォーキーな味わいのデスメタルサウンドを聴かせる。
ブラストビートを含むアグレッシブなパートから、ノーマル声ヴォーカルや女性声をなど加えた
牧歌的な叙情を感じさせる展開など、緩急あるアレンジでスケール感のあるサウンドが楽しめる。
優雅な筝のつまびきをメインにしたナンバーなど、アコースティックな民俗調パートとの落差も含めて、
まさに中華な世界観に包まれた異色のメタルバンドたる個性を有している。
ドラマティック度・・8 暴虐度・・7 中華度・・8 総合・・8
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BLACK MESSIAHOath of a Warrior
ドイツのペイガン・ヴァイキング・ブラックメタル、ブラック・メサイアの2nd。2005年作
シンフォニックなシンセと、クサメロフレーズを掻き鳴らすギターで疾走しつつ、ヴァイキングでフォーキーな、
田舎臭い悶絶クサメロディを連発する。ブラストの疾走パートにはプリミティブなブラックメタルの雰囲気が漂い
音質の悪さも手伝って、どこか古き良き幻想性を内包しているのが耳に心地よい。ヴァイオリンやマンドリンなど、
フォーキーな要素も効果的で、ローカルなマイナー質感を上手く魅力にしている点も見事。
ベルギーのANCIENT RITESよりさらにクサいという、もはや笑うほどクサメロな強力作。
クサメロディアス度・・9 暴虐度・・7 ヴァイキング度・・8 総合・・8
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Black MessiahOf Myths and Legends
ドイツのペイガン・ヴァイキング・ブラックメタルバンド、ブラック・メサイアの3rd。2007年作
クサクのメロディをまき散らして疾走する前作のサウンドはかなりのインパクトだったが、
今回もシンフォニックなシンセとともにクサ~く疾走しております。
前作よりも土着的なクサメロは若干後退し、武骨なヴァイキング風味が増していますが、
ときおり鳴り響くヴァイオリンやマンドリンなどの音色は、とても牧歌的でいいい感じです。
勇壮なメロディを聴かせつつも、さほど骨太さを感じないのが、ややB級的な味わいですな。
クサメロ度・・8 ヴァイキング度・・8 暴虐度・・7 総合・・7.5
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Black Messiah「First War of the World」
ドイツのペイガン・ヴァイキング・ブラックメタルバンド、ブラック・メサイアの4th。2009作
土着的なメロディで疾走する、クサメタラー対応の悶絶サウンドで人気の高いこのバンド、
本作もフィドルやフルートの音色をまじえつつ、惜しげもないクサ叙情メロディとともに
フォーキーかつシンフォニックに聴かせてくれる。かつてのようなブラックメタル的な激しさは薄れ、
もはやヴァイキングメタルというよりもフォーキー・クサメタルというべきサウンドだ。
あまりのクサさに笑うか、それとも涙するかはアナタ次第。ある意味すごい傑作。
クサメロ度・・9 フォーキー度・・8 暴虐度・・6 総合・・8
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BLACK MESSIAH「The Final Journey
ドイツのペイガン・ブラックメタル、ブラック・メサイアの5th。2012年作
ブックレットのゾンビ化したメンバー写真も笑えますが、サウンドの方も
相変わらずクサメロたっぷりで疾走する、シンフォニックなペイガンブラックです。
きらびやかなシンセとエピックなギターメロディがファンタジックな雰囲気を盛り上げ、
咆哮するダミ声ヴォーカルを除けば、ブラックというよりはメロスピのようなモンです。
フォーキーなヴァイオリンの音色やオーケストラルなアレンジなど、そのクオリティはもはや
笑えないくらい高くなってきました。4部構成の組曲も含め、クサくてドラマティックな力作ですよ。
クサドラマティック度・・9 疾走度・・8 ペイガン度・・7 総合・・8
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Black Messiah 「Heimweh」
ドイツのペイガン・ブラックメタル、ブラック・メサイアの2013年作
クサメロ系のペイガンメタルでは最高峰というべきこのバンド、6作目の本作は
なにやら壮大な雰囲気のイントロ曲から幕を開け、ギターのクサメロフレーズとともに疾走開始。
メロスピばりに軽めの疾走感に、美麗なシンセアレンジとダミ声ヴォーカルを乗せ、
そしてクサいギターメロをまき散らす、これぞ黒メサである。ブラストを入れてもちっとも迫力がない。
とにかくいちいちクサい…クサメタル以外のなにものでもないという点では、Derdianなどにも通じるかも。
いっそのことヴォーカルをクリーンにすればクサメロスピとしても楽しめるのではないかと。
クサメロ度・・9 疾走度・・8 ペイガン度・・7 総合・・8


Black Messiah「Walls of Vanaheim」
ドイツのペイガンブラックメタル、ブラック・メサイアの2017年作
1998年にデビュー、クサメロたっぷりのペイガンブラックで毎作楽しませてくれるこのバンド、
7作目となる本作は、語りによる映画的なイントロで幕を開け、メロディックなギターワークに
ダミ声ヴォーカルを乗せて疾走する、ほどよく武骨なペイガンメタルが広がってゆく。
随所に美麗なシンセアレンジやヴァイオリンも加わって、クサメロのギターとともに聴かせる
メロスピ的なナンバーなど、適度に激しく、フォーキーな叙情性とエピックなスケール感も含んで、
多くのペイガンメタルリスナーに楽しめる内容だ。TURISASEQUILIBRIUMあたりのファンもどうぞ。
ドラマティック度・・8 ペイガン度・・8 クサメロ度・・8 総合・・8 
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Bluehorses「Thirteen Fires」
イギリスのケルトロックバンド、ブルーホーセズの2007年作
ヴァイオリンやハープなども弾きこなすジャケ写の女性ヴォーカルと、
ギター、ベースにシンセもこなすマルチプレイヤーを中心にしたバンドで、
適度にハードロック色もあるケルティックロックをやっている。メタルというほどにはヘヴィではないが、
ドラムはときどきツーバスだし、女性ヴォーカルの歌声も、少し前の女性HRバンドのようなハスキーな感じで
なんというか、ロックとしての古くささと、ケルト色が微妙…というか絶妙な味をかもしだしている。
イギリスにはThe Morriganというケルトロックバンドがいたが、こちらはそのハード版という感じか。
いくぶんさびれたような叙情がいかにも英国的という気もする。マイスペはこちら
メロディアス度・・8 ケルティック度・・7 女性Vo度・・7 総合・・7.5
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Borknagar 「Quintessence」
ノルウェーのペイガン・ブラックメタル、ボルクネイガーの2000年作
1996年にデビュー、本作は4作目で、ヴォーカルにはDimmu BorgirのVortexが参加。
オルガンを含むシンセに、ツインギターとダミ声ヴォーカルを乗せ、激しくも展開力のあるサウンドで、
ARCTURUSなどにも通じる、プログレッシブな味わいのペイガンブラックを聴かせる。
激しくブラスト疾走するナンバーは、北欧らしいシンフォニック・ブラックとしても楽しめ、
朗々としたノーマル声によるエピックな味わいのヴァイキングメタル風味もある。全体的にメロディックな感触で、
シンセ奏者のセンスが素晴らしい…と思ったら、SOLEFALDのLars Nedlandだったのね。納得!
ドラマティック度・・8 暴虐度・・7 ヴァイキング度・・7 総合・・8 
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BORKNAGAR「EMPIRICISM」
ノルウェーの、ヴァイキング・ブラックメタルバンド、ボークナガーの5th。2001作
今作から北欧トラッドデスメタルの第一人者たる、VINTERSORGが参加している。
Bには元EMPERORのTyrが参加、のっけからブラストビート炸裂のシンフォブラックサウンドであるが、
メロディには北欧らしい土着的なヴァイキング的要素が強く、暴虐に疾走しながらも
ダミ声ヴォーカルにVINTERSORGのマイルドな歌声が重なり、ある意味でかなりメロディアスである。
ヴィンテージ的なシンセもけっこう使っていて、時折北欧プログレ的な音像も垣間見せる。
押しと引きの妙も効いていて、これでプロダクションが良ければ傑作となっていただろう。
シンフォニック度・・7 暴虐度・・8 ヴァイキング度・・8 総合・・7.5
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BORKNAGAR「EPIC」
ノルウェーのシンフォ/フォーク・ブラックメタルバンド、ボークナガーの2004作
一聴して前作より音質も良くなり、それにともなってサウンドのマイナー臭さもなくなっている。
疾走するシンフォニックブラックスタイルに、北欧的な土着メロディを盛り込んで、
聴きやすく仕上げている。Vintersorgによるフォーキーなコーラスワークもよい味だ。
暴虐に疾走しつつもとてもマイルドな音なので、この手の初心者にも勧められる。
メロディアス度・・8 暴虐度・・7 フォーキー度・・7 総合・・8
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BORKNAGAR「Origin」
ノルウェーのフォーク・ブラックメタルバンド、ボークナガーのアコースティックアルバム。2004作
この手のバンドは、FFINNTROLLしかり、Eluveitie、ELVENKING、MANEGARMなど、
アコースティックなアルバムを出すものと半ば相場が決まっているのだが、
本作も彼らの正規アルバムの激しさからは考えられないような静かでフォーキーな作品。
アコースティックギターにフルートが鳴り響き、そこにVintersorg氏のマイルドな歌声が重なる、
そのサウンドはトラッドな土臭さよりも、むしろ素朴な繊細さが強いか。
オルガンの音色がやわらかに加わるあたりはプログレ的な色合いもある。
フォーキー度・・7 アコースティック度・・8 素朴度・・8 総合・・7.5
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Borknagar「Universal」
ノルウェーのフォーク・ブラックメタルバンド、ボークナガーの7th。2010年作
アコースティックアルバムやベストアルバムをはさんで、6年ぶりとなるアルバムである。
アコースティカルなイントロから曲に入ると、いつになくシンフォニックな質感で疾走する。
壮麗なコーラスはどことなくTHERION的でもあり、重厚なサウンドは説得力充分。
デスヴォイスと対をなすVintersorgのマイルドな歌声も、今作でも楽曲に彩りを添えていて
曲間にアコースティカルな静寂パートを折り込むなど、アレンジ面での工夫も素晴らしい。
ややレトロなシンセの音色なども確信犯的で、ほのかにプログレッシブな雰囲気を匂わせる。
シンフォニック度・8 暴虐度・7 フォーキー度・7 総合・8.5
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Borknagar「URD」
ノルウェーのペイガンブラック、ボークナガーの2012年作
この手のバンドとしてはすでにベテランの部類となるだろう彼らの8作目。
激しく疾走も含みつつ、マイルドな歌声とともに叙情的に聴かせるスタイルで
フォーキーな土着性はスタイリッシュになり、よりVintersorg色が強くなった印象だ。
シンセによる美しいアレンジも随所に効いていて、デズヴォイスが控えめなこともあって
これまで以上に耳触りがよい。ピアノやオルガンも使ったプログレ風味の感触など、
ドラマティックな構築センスもさすが。ただこうなると、正直、Vintersorgのソロと
差別化できてない感じもするのだが、クオリティは高いのでまあいいか。
メロディック度・・8 暴虐度・・7 フォーキー度・・7 総合・・8
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Borknagar 「Winter Thrice」
ノルウェーのペイガン・ブラックメタル、ボルクネイガーの2016年作
デビューは1996年というすでにベテランバンドで、本作は通算で10枚目のアルバムとなる。
ARCTURUSでも活躍するVortexと、Vintersorgによるツインヴォーカルを乗せ、フォーキーな牧歌性と、
ブラックメタルの激しさを併せ持った、メリハリのある展開で濃密に描かれるサウンドは今作も健在。
ヴィンターソーグのマイルドな歌声はすでにバンドの顔というべき雰囲気で、正直、もはや新鮮味はないのだが、
緩急のあるプログッシブなアレンジ力と演奏力の高さで、ドラマティックな聴き心地を生み出すセンスはさすが。
随所にブラスト疾走を含んだ暴虐性も残しつつ、シンフォニックな音の厚みとともに構築された高品質作品。
ドラマティック度・・8 暴虐度・・7 フォーキー度・・7 総合・・8 
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Borknagar 「True North」
ノルウェーのフォーク・ブラックメタル、ボルクネイガーの2019年作
1996年にデビュー、本作ですでに11作目となる。前作を最後にVintersorgは脱退したようだが、
マイルドなノーマル声とARCTURUSでも活躍するVortexのダミ声ヴォーカルを乗せ、土着的なギターフレーズに
シンセを重ねて激しく疾走するスタイルはそのまま。北欧らしい涼やかな叙情性を含んだ緩急ある構築力で、
今作ではスローやミドルテンポのキャッチーなナンバーやプログレッシブな展開なども随所に覗かせる。
9分の大曲も、ゆったりとした叙情と激しい疾走感が同居した聴き心地で、メロディックなギタープレイも光る。
これまで以上の何かがあるというわけではないが、ベテランらしい自然体と説得力が感じられる力作だ。
ドラマティック度・・8 暴虐度・・7 叙情度・・8 総合・・8 
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BRAN BARR「Sidh」
フランスのフォーク・ブラックメタル、ブラン・バールの2010年作
ホイッスル奏者を含む6人組で、イントロからボドラムの響きとともに素朴なハーディーガーディの音色、
ホイッスルやフルートが絡み、牧歌的なパイプを鳴らしながら、本格的なフォークメタルが展開される。
ブラックメタルばりの激しい疾走感の中を、ホイッスルが響きわたるさまはなかなか圧巻。
アコースティカルな叙情パートとブラスト入りの激しさのコントラストが見事な力作だ。
ドラマティック度・・8 フォーキー度・・8 ホイッスル度・・9 総合・・8
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BUTTERFLY TEMPLE「ON A BLOOD RED PATH BY THE WILL OF ROD」
ロシアのペイガン・フォークメタル、バタフライ・テンプルの4th。2003年作
美麗なシンセアレンジにロシア語の歌声とクサいギターフレーズで聴かせる辺境フォーク・ペイガンメタル。
ジェントルな巻き舌ヴォーカルに女性ヴォーカルも加わりオペラティックな雰囲気と、軽めのリズムが合わさって、
パワフルになりきれない感じがマイナー臭をかもしだす。ときどき出てくるコロコロとした可愛いシンセアレンジが
なんとなくミスマッチで、勇壮なパートとの極端なコントラストも含めて、クセの強いサウンドを形成している。
メロディアス度・・7 フォーキー度・・7 辺境度・・8 総合・・7.5
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BUTTERFLY TEMPLE 「THE TIMES OF MARA」
ロシアのペイガン・フォークメタル、バタフライ・テンプルの5th。2005年作
シンフォニックなシンセアレンジと、ヘヴィなギターに、ダミ声のロシア語ヴォーカルで
勇壮に聴かせるペイガンメタルサウンドは、前作よりいくぶんシリアス度が強まった印象。
ノーマル男性声で聴かせる勇壮なパートのエピックな説得力が増して
女性ヴォーカルも加わった優雅さや、フルートなどのフォーキーな要素も含めて、
辺境フォークメタルとしての濃密さはこれまで以上の仕上がりだ。
メロディアス度・・8 フォーキー度・・8 辺境度・・8 総合・・7.5
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Butterfly Temple 「За Солнцем Всле」
ロシアのフォークメタル、バタフライ・テンプルの2006年作
1999年にデビューして、本作がすでに6作目。シンセを含む5人編成で
ロシア語のダミ声&ノーマルヴォーカルと美しいシンセアレンジを含んだサウンド。
辺境的ともいうべきローカルさと楽曲の煮え切らなさはこれまで通りなのだが、
ヴァイオリンやホイッスルの鳴り響くフォーキーな叙情でけっこう楽しめる。
ドラマティック度・・7 フォーキー度・・7 辺境度・・8 総合・・7.5
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Butterfly Temple 「Eternity」
ロシアのペイガン・フォークメタル、バタフライ・テンプルの2015年作
1999年デビューと、ロシアン・フォークメタルの中でも最もキャリアのあるバンド。本作は9作目で、
シンフォニックなシンセアレンジにヘヴィなギターを重ね、迫力あるダミ声ヴォーカルで聴かせる、
重厚なペイガンメタルサウンド。土着的なシンセのメロディに、朗々としたノーマルヴォーカルによる、
エピックメタル的な雰囲気もありつつ、デス声による武骨な激しさとのコントラストになっていて、
ほどよい辺境臭さとともにミステリアスなスケール感に包まれる。ゲストによる女性ヴォーカルも加わった
壮麗なナンバーもなかなか魅力的。DVDにはバンド20年の歴史を振り返る、インタビューやPV、ライブ映像を収録。
ドラマティック度・・8 フォーキー度・・7 重厚度・・8 総合・・8 
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CELTACHOR 「FIANNAIOCHT」
アイルランドのペイガン・ブラックメタル、セルタコーアの2018年作
2012年にデビューし、3作目となる。女性ドラム、ヴァイオリン奏者を含む6人編成で、
ツインギターのトレモロのリフにダミ声ヴォーカルを乗せて激しくブラスト疾走しつつ、
ホイッスルやホルン、ヴァイオリンやハープの音色が随所にケルティックな香りを加える、
優雅で土着的なブラックメタルサウンドを聴かせる。素朴なブズーキに朗々とした歌声を乗せた
アコースティックなナンバーなどもアクセントになっていて、緩急ある展開で構築する知的なセンスも覗かせる。
アイリッシュの神秘性に包まれた幻想的なケルティック・ブラックメタルが楽しめる力作です。
ドラマティック度・・8 暴虐度・・7 神秘的度・・8 総合・・8
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Celtian 「En Tierra de Hadas」
スペインのシンフォニック・フォークメタル、セルティアンの2019年作
2018年にデビューし、2作目となる。優美なシンセに素朴なガイタの音色、メタリックなギターにヴァイオリンやフルートを加え、なよやかな女性ヴォーカルを乗せて疾走する、MAGO DE OZを女性Voにしたような幻想的なフォーク・メロパワを聴かせる。
キャッチーなクサメロ感とスペイン語によるキュートな女性Voは大変魅力的で、元MAGO DE OZのフルート&ホイッスル奏者の優雅なプレイも楽曲を彩る。
本格派のケルト&フォーク要素と、シンフォニックなメタル感触が自然体で融合しており、重すぎず軽すぎず、サウンドのバランス感も見事だ。
スパニッシュなフォークメタルとしても、女性声シンフォニックメタルとしても期待の逸材が登場したといえる。
メロディック度・8 フォーキー度・8 女性Vo度・8 総合・8
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Celtian 「Sendas De Leyenda」
スペインのシンフォニック・フォークメタル、セルティアンの2021年作
3作目となる本作も、幻想的なジャケのように、しっとりとしたピアノやシンセをギターに重ね、フルートやガイタのフォーキーな響きに、スペイン語の女性ヴォーカルで、優美なフォーク・メロパワを展開する。
キャッチーなメロディのフックがスペイン語の響きに良くマッチしていて、Xana嬢のフェミニンな声質にも、フィメールメタル好きなら萌えだろう。
サウンド的には壮麗なアレンジとともに、NightwishWithin Temptationにも通じるような重厚な説得力も備わって、そこにフォーキーな牧歌性が優雅な彩りを添える。
フォーキーなシンフォニックメタルとしても、多くのリスナーを虜にするだけの高品質な壮麗作です。
シンフォニック度・8 フォーキー度・8 女性Vo度・8 総合・8.5
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Celtica Pipes Rock! 「Legends and Visions」
スコットランド、オーストリア、ブルガリア、アメリカ出身のメンバーによる、トラッドロックバンドの2014年作
男女のバグパイプ奏者に、女性ヴァイオリン奏者を含む編成で、ジャケの雰囲気のようにSF的なイントロから始まり、
シシンフォニックなシンセアレンジにハードなギター、そしてバグパイプが鳴り響く、モダンなケルトロックが広がってゆく。
基本はオールインストであるが、随所にコーラスや掛け声などが入って来て、わりとメタル寄りのギターのおかげで、
愉快でノリのよいバグパイプ・ロックとして楽しむことができる。曲によっては叙情的なギターフレーズも覗かせたり、
美麗なシンセアレンジとともに、パイプ入りのシンフォニックメタル的な味わいも。個人的には女性Voがいたらもっと嬉しいのだが。
ドラマティック度・・7 メタル度・・7 バグパイプ度・・8 総合・・7.5
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Claim the Throne 「Triumph And Beyond/Aletales」
オーストラリアのヴァイキングメタル、クライム・ザ・ソーンの2010年作
2008年にデビューし、2作目となる。女性シンセ奏者を含む5人編成で、シンフォニックなアレンジにギターを重ね、
ダミ声ヴォーカルに勇壮なコーラスも乗せた、エピックな世界観のヴァイキング・メタルサウンド。
フォーキーなメロディも含んだ美麗なシンセワークに、クサメロ入りのギター、ときに女性コーラスも加わって
激しく疾走する様は、ENSIFERUMなどを思わせる。楽曲の質も高く、豪州産とは思えない本格的のスタイルの
ヴァイキング/フォークメタルの力作である。2009年のEPとのカップリングで再発されている。
シンフォニック度・・8 疾走度・・8 ヴァイキング度・・8 総合・・8
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Cnoc an Tursa 「Giants of Auld」
スコットランドのヴァイキングメタル、ノック・アン・トゥルサの2013年作
フォーキーなメロディを奏でるツインギターにシンセを含んだアレンジで、重厚かつシンフォニックに聴かせるヴァイキングメタルサウンド。
ダミ声ヴォーカルを乗せて疾走しながら、メロディのフックはわりとキャッチーで
ケルティックなテイストを含んだ感触は、ジャケのようなダークな神秘性はあまりない。
全体的にはむしろメロデス的でもある綺麗な構築性が強いため、聴き心地はよいのだが、
武骨な本格派が好きな方にはやや物足りないかも。クオリティは高いので安心して楽しめる好作です。
メロディック度・・8 フォーキー度・・8 新鮮度・・7 総合・・8



Conorach 「Through the Ages」
オランダのエピック・フォークメタル、コノラクの2014年作
ツインギターにシンセを含む6人編成で、シンフォニックなアレンジに正統派のギターリフと
ジェントルなヴォーカルを乗せた、ほどよくローカルでエピックな味わいのメタルサウンド。
土着的な感触のメロパワという点では、FALCONERあたりに通じる聴き心地もあり、
ほどよい疾走感とツインギターによる甘すぎない程度のクサメロ感もよいですね。
アコーディオンやティンホイッスルなどの入った、フォーキッシュな叙情も覗かせつつ、
エピックな勇壮さとともに、正統派メロパワのリスナーにも楽しめる好作品だ。
ドラマティック度・・8 エピック度・・8 フォーキー度・・7 総合・・8
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Corvus CoraxVenus Vina Musica
ドイツの古楽バンド、コーヴス・コラックスの2006年作
デビューは1989年というベテランであるが、情報もあまりない、謎に包まれたバンド。
本作では、ドイツ語による詠唱のようなイントロから、パイプの音色が鳴り響き、
パーカッションのリズムとともに、中世の祝祭を思わせるサウンドを繰り広げる。
ギターやドラムなどは入らないので、メタルというよりは、激しめの中世音楽という趣だ。
修道士を思わせる滔々とした歌声や、パイプの響きに中世のロマンを感じる世界観である。
ドラマティック度・・7 メタル度・・1 中世度・・9 総合・・7.5
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Corvus Corax
「SVEAKER」
ドイツの古楽バンド、コーヴス・コラックスの2012年作
バグパイプやホルンの音色が鳴り響き、朗々としたコーラスを乗せて、
中世を思わせるような神秘的で幻想的な世界観が広がってゆく。
ギターやドラムがいないので、メタルとして聴くのは厳しいが、パーカッションの響きと、
牧歌的なパイプの重なりにのんびりと耳を傾けて、この雰囲気に浸るのもよいか。
ドラマティック度・・7 メタル度・・1 中世古楽度・・8 総合・・7.5
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CRAVING 「At Dawn」
ドイツのヴァイキング・デスメタル、クラヴィングの2013年作
ブラストを含む激しい疾走感に、ヘヴィなギターリフと低音のデスヴォイスで聴かせるサウンド。
楽曲はブルータルな激しさに包まれていて、ほとんどデスメタルのような雰囲気なのだが、
随所にツインギターの叙情フレーズやノーマル声によるパートも挿入されて、
ケルティックなフォークメタル風味も覗かせる。武骨な荒々しさで突進する迫力は
この手のバンドの中でも強力な部類だろう。暴虐なペイガンデス。
ドラマティック度・・7 暴虐度・・8 ヴァイキング度・・7 総合・・7.5
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Craving 「By The Storm」
ドイツのヴァイキング・デスメタル、クラヴィングの2016年作
フォーキッシュなイントロから、ツインギターにダミ声ヴォーカルを乗せて激しく疾走、
重厚なヘヴィネスとメロディックな叙情性が合わさったペイガンなメロデスサウンド。
前作よりもヴァイキングなクサメロ感が強まった分、激烈な疾走パートであっても
勇壮なコーラスなども含めたエピックなスケール感が増している。8分を超える大曲もあり、
メロディのフックーやリズムチェンジを含む楽曲の構築性とアレンジの力量も着実にアップした。
ボーナストラックを入れて全78分、迫力たっぷりのヴァイキング・メロデスが味わえる濃密作。
ドラマティック度・・8 暴虐度・・8 ヴァイキングデス度・・8 総合・・8
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Crimfall「As the Path Unfolds...」
フィンランドのフォークメタルバンド、クリムフォールの2009作
シンフォニックかつエピックなイントロから、なにやら期待させるが、
この手のバンドには珍しい女性ヴォーカルをフィーチャーしたサウンドは、
さながらフォーキーなNightwishという雰囲気か。シンセに絡むヴァイオリンもいい感じで、
シンフォメタル的な華麗さに土着要素を取り入れようとする試みはなかなか面白い。
アコーディオンの音色も入ってきて、ダミ声ヴォーカルで聴かせるあたりはKORPIKLAANI風だったり、
TURISASに通じるシンフォニックな壮大さもあって、その手のバンドが好きなら楽しめる。
現段階だと、同郷バンドのいいトコ取りという感もあるので、今後はどう個性をつけてゆくかだろう。
シンフォニック度・・8 エピック度・・8 フォーキー度・・8 総合・・8
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CrimfallThe Writ of Sword
フィンランドのシンフォニック・ヴァイキングメタルバンド、クリムフォールの2011年作
まるでNightwishTURISAS化したような前作もなかなかの好作であったが、
本作も女性ヴォーカルとデスヴォイスが絡みながら、前作以上に力強い激しさと勇壮な雰囲気で
むしろメロデス風味が増したような印象もある。一方ではシンセによるシンフォニックなアレンジや、
随所にヴァイキング風味とフォーキーな土着性も織り込みつつ、エピックかつドラマティックな世界観を
描いてゆく様はなかなか圧巻である。前作に比べより重厚な作風で、これは見事な力作となった。
シンフォニック度・・8 エピック度・・9 フォーキー度・・7 総合・・8
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CRIMFALL 「AMAIN」
フィンランドのシンフォニック・ペイガンブラックメタル、クリムフォールの2017年作
6年ぶりとなる3作目で、壮麗なイントロから始まり、オーケストラルなアレンジに女性ヴォーカルの歌声に
男性デスヴォイスが絡む、シンフォニックなペイガンメタルサウンドは、さらにエピックかつ壮大なサウンドに。
ヴァイキングメタル風味の土着的な感触もいくぶん残しつつ、RHAPSODYあたりを思わせる勇壮なクワイアとともに、
今作ではシンフォニックメタルとしてのシネマティックなスケール感にいっそう磨きがかかっている。
4パートに分かれた16分を超える組曲は、しっとりとしたフォーキーな叙情やキャッチーなメロディアス性も含む、
メリハリある構築力でじっくりと聴かせ、映画「ランボー」のテーマ曲も、シンフォニックなバトルメタルになっていて
これが案外ハマっている。TURISASあたりが好きな方にも対応。壮麗なるエピック・ペイガンメタルの傑作。
ドラマティック度・・8 ペイガン度・・7 壮麗度・・9 総合・・8 
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Crom「Of Love and Death」
ドイツのペイガンメタル、クロムの2011年作
DARK FORTRESSのメンバーでもある、Walter"Crom"Grosse氏によるプロジェクトバンドで、
メロディアスなギターと朗々とした歌声で聴かせるサウンドは、むしろ正統派メタルの感触だ。
適度な土着性を含んだ耳心地は、FALCONERあたりにも近いマイルドな感じで、勇ましさよりもむしろ
ゆるやかな叙情が前にでている。反面、大仰さや緊張感はやや足りないか。どちらにしてもマニア向け。
ドラマティック度・・7 ペイガン度・・7 正統派度・・8 総合・・7
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Crom 「When Northmen Die」
ドイツのヴァイキングメタル、クロムの2017年作
ギター、ベース、ヴォーカルをこなすクロム氏(元DARK FORTRESS)による独りヴァイキングメタルで、
前作から6年ぶりの3作目。パワフルなギターリフに朗々としたヴォーカルを乗せた、
正統派メロパワ寄りのサウンドで、勇壮でメロディックなスタイルは、FALCONERTYRなどにも通じる聴き心地。
叙情的なギターフレーズやエピックなコーラスなどを重ねた、ドラマティックな味わいとともに、
北欧神話的なスケールの大きな世界観は、MANOWARが好きな方にも薦められるだろう。
重厚さと涼やかな叙情が同居したサウンドは、表現力あるヴォーカルも含めて、幻想的な説得力に包まれる。
ドラマティック度・・8 正統派度・・8 エピック度・・9 総合・・8
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Cronian「Terra」
BorknagarのメンバーでもあるVintersorgとギタリストのユニット、クロニアンの2006年作
フォーキーな土着性とシンフォニックなアレンジで聴かせながら、ARCTURUSあたりを思わせる
知的なセンスが光るサウンド。ドラムが打ち込みであることもあり音自体に激しさはあまりなく、
北欧の氷河を思わせる涼やかな世界観を描き出す、シンセを中心にしたシンフォニックな楽曲に
Vintersorgのマイルドな歌声とデスヴォイスが乗る。なかなかジャンル分けの難しい作品だが、
ARCTURUSのようなプログレッシブなサウンドが好きな方は気に入るのではないだろうか。
シンフォニック度・・8 北の叙情度・・8 幻想度・・8 総合・・8
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Cronian 「Erathem」
ノルウェーのフォークブラックメタル、クロニアンの2013年作
BORKNAGARのOystein Garnes BrunとMr.V…Vintersorgによるユニットで、
北欧らしい土着的な旋律にダミ声とマイルド声のヴォーカルを乗せて聴かせるサウンドで、
今作ではフォーキーなメロディと適度な疾走感が合わさった濃密な作風になっている。
やはりヴィンターソーグに通じるマイルドな感触と、優雅なクサメロが際立っていて、
シンフォニックな美しさも含めて、激しさよりもあくまでメロディアスな聴き心地が楽しめる。
メロディック度・・8 フォーキー度・・8 優雅度・・8 総合・・8
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Cross Borns 「Tales Of a Winter Night」
ハンガリーのフォーキー・シンフォニックメタル、クロス・ボーンズの1st、2ndカップリング。2000作
1999年の「Legend Of The Four Rings」と2000年の2nd「Tales~」のCD2枚組。
1stはショボめの音質で疾走し、ややつたない英語歌詞のヴォーカルに、女性Voが絡むスタイル。
楽曲はメロスピなのかシンフォメタルなのか、エピックメタルなのか、どうも中途半端で
メロディや展開に聴きどころとなる魅力がないのもつらい。2ndになると音質が少し向上、
メロディにはフォーキーな雰囲気が増し、アコースティカルなパートを取り入れたり、
メロウなギターフレーズとシンセが絡むシンフォニックな質感も強まってきている。
シンフォニック度・・7 フォーキー度・・7 辺境度・・8 総合・・7
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CROSS BORNS「A Gyuruk Ura-Kalandozas Kozepfolden」
ハンガリーのフォークメタル、クロス・ボーンズの2001年作
CD2枚組の大作で、「指輪物語」をテーマにしたメタルオペラということらしい。
多数のゲストヴォーカルを迎えて作られた壮大なアルバム…のはずなのだが、
どう聴いてもB級のヘナチョコ系フォークメタルである。フォーキーというよりは田舎臭い情緒で、
さしてクサメロがあるわけでもない微妙なメロディと男女ヴォーカルのヘタウマな歌声で聴かせる、
なんとも煮え切らないサウンド…であるが、どこかこの牧歌的な垢抜けなさが愛らしくもあるという、
いわば本物の辺境メタル。アコースティカルなやわらかみが随所にいい感じであるが。
フォーキー度・・7 田舎度・・7 辺境度・・9 総合・・7
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Cross Borns「Fiu Es A Sarkany」
ハンガリーのフォークメタル、クロス・ボーンズの2009年作
以前にも何作か聴いていたが、田舎臭すぎるB級バンドという印象しかなかったが、
本作は叙情的なイントロに続き、シンフォニックな美麗さと男女ヴォーカルの歌声で
以前よりもずいぶん聴けるサウンドになっている。ファンタジックでエピックな雰囲気も
なかなかいい感じで、母国語の歌声や古き良きHR風味のフレーズを奏でるギターも含めて、
そのダサめの辺境臭さがよい味わいになっている。ハンガリー語verと英語verの入った2枚組
シンフォニック度・・7 フォーキー度・・7 辺境度・・9 総合・・7.5


CRUACHAN「TUATHA NA GAEL」
アイルランドのケルトメタルバンド、クルアチャンの1st。1995作
この手のフォーキーメタルの元祖はやはりSKYCLADだと思うが、
このバンドの場合はそれをさらに極端にしたようなサウンドだ。
曲によってはブラックメタル色もあり、疾走しながらも時にマンドリン、ブズーキ、フルートに
ホイッスルといった古楽器がアイリッシュなメロディを奏でる様はかなりインパクトがある。
キワモノ色が濃いというのか、曲の整合感のなさがかえって魅力かもしれない。
メロディアス度・・7 トラッ度・・8 優雅度・・7 総合・・7
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CRUACHAN「THE MIDDLE KINGDOM」
アイルランドのフォークメタルバンド、クルアチャンの2rd。1999年作
この2ndから女性Voがメインになり、ホイッスルやリコーダー、バグパイプなど、古楽器による
トラッド/フォーク色を本格的に取り入れた女性声ケルティック・メタルをやっている。
ギターはさほどヘヴィではなく、むしろ美しいシンセアレンジが前に出たナンバーなど、優雅な感触で
メタル部分よりは顕著に前に出てくるケルト/トラッド色に魅力があるので、これでよし。
メタル感触との融合が大雑把にも思えるが、幻想的なアイリッシュなケルトの空気が感じられて
この手の田舎風フォーク・メタルが好きであれば、なかなか楽しめるはず。
ドラマティック度・・7 トラッ度・・8 優雅度・・8 総合・・7.5
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CRUACHAN「FOLK-LORE」
アイルランドのフォークメタルバンド、クルアチャンの3rd。2002年作
前作から女性Voが加わり、3作目の本作では曲のアレンジもぐっとフォーク寄りになった。
牧歌的なホイッスルやリコーダーの音色にヴァイオリン、女性ヴォーカルの歌声にシンセアレンジも加えて、
優雅なケルティックメタルを聴かせる。このバンドの場合、SKYCLADのようにメタル部分とフォークとの対比が
鮮やかなわけではなく、ブズーキやバンジョーなどの古楽器を用いての伝統的なケルト/トラッドの雰囲気に
武骨なメタル感を融合したという印象もある。女性Voをメインにしつつ、ときおり男性声も加わって、
とくにゆったりしたナンバーでは、歌、演奏ともに幻想的な雰囲気があっていい味を出している。
メロディアス度・・8 フォーク度・・8 優雅度・・8 総合・・8
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CRUACHAN「PAGAN」
アイルランドのフォークメタルバンド、クルアチャンの4th。2004年作
フルートやフィドルなどのアイリッシュメロディに女性ヴォーカルの歌声を乗せたフォーキー・メタルで
今作ではメタル部分の音圧もややマイルドになり、アレンジ的にも唐突な印象はなくなった。
自然な感じのフォークメタルとして聴けるが、ときに激しいパートもあって、メリハリになっている。
女性ヴォーカルを中心にしつつ、男性Voとの絡みもあり、そのおかげかはかなげな女性の歌声も
男性声とのコントラストでそれなりに気持ち良く聴ける。煮え切らないユルめの牧歌性も含めて楽しめる。。
メロディアス度・・8 トラッ度・・8 優雅度・・8 総合・・8
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CRUACHAN 「The morrigans call」
アイルランドのフォークメタルバンド、クルアチャンの5th。2006年作
ケルティックな要素を取り入れたバンドとしてはすでに古い部類に入る彼ら、
毎回やや脱力ぎみのマイナー臭さがなかなか好もしいのだが、今作も方向性は同様。
メタリックな楽曲に唐突にヴァイオリン、フィドルの音色とともに、愉快なフォークメロディが分け入って来る。
あまり上手くない女性ヴォーカルとデス声の掛け合いもどこか田舎くさく、この垢抜けなさがまたいい(笑)
ゲストによるアイリッシュフルート、ティンホイッスル、アイリッシュハープなどもマニアックな聴き所で、
真剣に聴くよりはややゆるい感じでのんびり楽しむようなサウンドだ。日本盤はジャケが変更されている。
メロディアス度・・7 フォーキー度・・8 アイルラン度・・9 総合・・8
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CRUACHAN「A CELTIC LEGACY」
アイルランドのフォークメタルバンド、クルアチャンのベストアルバム。2007作
ケルティックなサウンドをメタルに融合させる試みは、最近では珍しくもないが、
彼らは最も早くからそれをやっていたパンドで、すでにアルバムも5枚出している。
ヨレ気味のホイッスルや女性Voなどを、やや武骨なメタル演奏に取り入れた彼らのサウンドは
間違いなくB級臭いしマイナー臭がぷんぷんなのだが、そのあたりも含めてけっこう好きなのだ。
そんなわけでこれも買ってはみたが、彼らのアルバムは全部聴いているので、既存曲ばかりでは
新鮮味はなにもない。初期の曲は音も悪くヴォーカルが男のダミ声メインなのであまり楽しくないが、
3作目の曲くらいからは演奏も少しだけまともになってきて、女性声入りのケルトメタルが耳に心地よい。
このバンドをまだ聴いたことがない人で、アイリッシュフルートやパイプ、ティンホイッスルなどを用いた
ケルトメタルに興味がある方にはベスト盤として勧めてみてもいい。
ケルティック度・・8 メタル度・・7 楽曲・・7 総合・・7.5
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CRUACHANBlood on the Black Robe
アイルランドのフォークメタルバンド、クルアチャンの6th。2011年作
前作から5年ぶりとなる本作は、ヴォーカルが女性から男性に変わり、
これまでよりもいくぶんパワフル路線のフォークメタルになっている。
ギターに重なるヴァイオリン、ブズーキがフォーキーなメロディを奏で、
ホイッスルやマンドセロなどを響かせつつ、野卑な男性ヴォーカルが歌い上げる。
ときに激しくい疾走もあったり、重厚なギターリフで聴かせるドラマティックな質感と
本格派のケルティックメタルとしての辺境的でダークな部分も強まってきて、
同郷のWaylanderと同様に、通好みで楽しめるバンドになった。
ドラマティック度・・8 ケルティック度・・8 重厚度・・8 総合・・8
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CRUACHAN 「NINE YEARS OF BLOOD」
アイルランドのフォークメタル、クルアチャンの2018年作
1995年デビューと、この手のバンドではベテラン。本作は8作目で、男性Voとなっての3作目。
土着的なギターリフにうっすらとしたシンセとダミ声ヴォーカルを乗せ、重厚なペイガンメタルを聴かせる。
ときにブラックメタルばりの激しさも覗かせつつ、ダークでミステリアスな神秘性に包まれたサウンドで
ヴァイオリンやホイッスルの音色が鳴り響く、フォーキーな味わいもしっかりと残している。
初期のヘナチョコなクサフォークメタルとはもはや別バンド。どっしりとした硬派な音の説得力が魅力です。
ドラマティック度・・8 フォーキー度・・7 重厚度・・8 総合・・8 
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Curare「Radical Accion」
エクアドルのフォークメタル、クラーレの2008年作
南米のフォークメタルの中でもエクアドルのバンドというのは珍しいと思うが、
サウンドの方は、案外しっかりとヘヴィなギターを中心に激しく疾走する曲もありつつ、
ダミ声のスペイン語ヴォーカルに笛の音が絡み、野卑なフォークメタルを描いている。
ギターは古き良きHR風なのだが、フォルクローレを思わせるケーナのメロディが牧歌的な雰囲気をかもし出し、
何故かラップ風になったりするとりとめのなさも含めて、独特の辺境臭さに包まれた異色作。
ドラマティック度・・7 フォーキー度・・7 辺境度・・9 総合・・7
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ECHO of DALRIADA「FERGETEG」
ハンガリーのフォークメタルバンド、エコー・オブ・ダルリアダの1st。2004年作
のっけからいかにも辺境臭いフルートの音色、マイナー系特有の音質、そして
クサメロに乗って歌う母国語の女性ヴォーカルと、まさに誰もが望むサウンド(笑)
シンセ入りで疾走しだすと、壮麗なクサシンフォメタルへと早変わり。
「ららら~ななな~」と、適当に歌っている感じの女性声スキャットもたまらない。
先に2ndを聴いていたが、土着的なクサさではむしろこちらが上だろう。
クサメロ度・・9 フォーキー度・・8 女性Vo度・・7 総合・・8
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ECHO OF DALRIADA 「jegbonto」
ハンガリーのフォークメタルバンド、エコー・オブ・ダルリアダの2nd。2005年作
女性Voを含む5人組みで、女性ヴォーカルの母国語の歌唱とクサメロたっぷりのギター、
適度に美しいシンセアレンジで聴かせる、辺境的なフォークメタルサウンド。
曲のアレンジのこなれなさもいかにもB級バンドといった感じで、音質もけっこうチープなのだが、
それを上回るメロディのクサさが最大の魅力。ヘタウマな女性Voの歌声もとても辺境的だし、
いちいち泣きのフレーズを奏でようとするギターも、ある意味相当なやり手といえる(笑)
B級でもいいからクサメロが聴きたいという方には、買って損はない。
クサメロ度・・10 フォーキー度・・7 辺境度・・8 総合・・7.5
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DALRIADA「Kikelet」
ハンガリーのフォークメタルバンド、ダルリアダの2007年作
ECHO OF DALRIADAから改名しての1作目であるが、サウンドの方に変化はなく、
男女ヴォーカルの歌声と土着的な叙情メロディで聴かせる、辺境型フォークメタル。
艶やかなヴァイオリンの音色に美しくシンセが絡み、疾走感とエピックな勇壮さもあって、
これまで以上に洗練されてきた印象だ。シンフォニックな壮麗さと母国語による味わいが合わさり、
内容的に最高作といってよい出来である。TURISASあたりのリスナーにも楽しめるレベルにきている。
シンフォニック度・・8 フォーキー度・・8 辺境度・・7 総合・・8
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DALRIADA「Szelek」
ハンガリーのフォークメタルバンド、ダルリアダの4th。2008作
相変わらずクサメロたっぷりのメロディで、男女ヴォーカルの歌声とともに疾走、
ハンガリー語の響きもさることながら、無骨なはずの土着メロをここまでやわらかに仕上げるセンスはある意味絶品だ。
ホイッスルの音色にはケルティックな雰囲気もあって、シンフォニックなシンセアレンジにギターによるクサフレーズが重なると
悶絶するクサメタラーも多いだろう。女性ヴォーカルのヘタウマ加減もむしろ味になっている。
メロディアス度・・8 フォーキー度・・8 辺境度・・9 総合・・8
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DALRIADA 「Arany-Album」
ハンガリーのフォークメタルバンド、ダルリアダの2009年作
ECHO OF DALRIADA名義から数えると5作目となる本作は、歴史上の人物がコンセプトらしい。
女性ヴォーカルの歌声とフォーキーなメロディで疾走するスタイルは、いくぶんB級気味の音の軽さとともに
相変わらずなかなかマイナー臭いのだが、きらびやかなシンセや、妙にクサメロフレーズを連発するギター、
ブラストに乗るヴァイオリンのヤケクソ気味のミスマッチなども微笑ましい。5作目にしてなにも変わらない辺境精神は、
ある意味ではフォークメタルの鑑である。このエピックな叙情性には捨てがたい魅力がある。素敵な力作です。
クサメロ度・・8 フォーキー度・・8 辺境度・・8 総合・・8
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DALRIADA「Igeret」
ハンガリーのフォークメタルバンド、ダルリアダの2011年作
2004年にECHO ofDALRIADAとしてデビューしてからすでに通算6作目。
本作もフィドルの音色が鳴り響くイントロから、女性ヴォーカルの母国語の歌声を乗せて疾走、
ローカルさを漂わせた辺境的フォークメタルが楽しめる。リズム的にはけっこう激しいところもあるのだが、
アコーディオンやフィドルの牧歌的なメロディが脱力気味に加わると、微笑ましい愉快さに包まれる。
本作ではゆったりとしたトラッド的な叙情美も増しているが、ファンにはまず期待通りのサウンドだろう。
メロディアス度・・8 フォーキー度・・8 辺境度・・9 総合・・8
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DALRIADA 「Napisten Hava」
ハンガリーのフォークメタルバンド、ダルリアダの2012年作
2004年に、ECHO of DALRIADAとしてデビューしてから通算7作目となる。
フィドルが鳴り響く優雅なイントロから、曲に入ると、女性ヴォーカルの歌声とフィドルの音色を鳴らしつつ
辺境的な土着性を感じさせる、神秘的なトラッド・フォークメタルが広がってゆく。
随所に疾走パートや男性ダミ声ヴォーカルも入りつつ、武骨さよりもむしろ優雅な感触で、
メロディはとてもキャッチーである。本格トラッドを下地にしたような牧歌的な雰囲気が魅力的だ。
魅力的なメロディの流れと、適度な激しさも含んだ楽曲の完成度という点では、バンドの最高傑作だろう。
メロディック度・・8 フォーキー度・・8 女性Vo度・・8 総合・・8.5
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Dalriada 「Aldas」
ハンガリーのフォークメタル、ダルリアダの2015年作
2004年に、ECHO of DALRIADA名義でデビューしてから通算8作目。最高傑作となった前作の流れを受け、
艶やかにフィドルが鳴り響くイントロから、美麗なシンセアレンジに母国語の女性ヴォーカルを乗せた、
優雅なフォークメタルが広がる。適度にメタリックな激しさも含みつつ、ギターに重なるホイッスルやフィドルの
土着的なメロディと牧歌性が耳心地よく、この自然なメタルとフォークの融合はすでに職人技の域に達している。
速弾きギターを乗せたメロスピ的な疾走パートや、男性声を効果的に使ったエピックな勇壮さも覗かせるなど、
緩急ある展開力も冴えている。ジャケのイモ臭さに反して内容はきらびやか。辺境フォークメタルの枠を超えた傑作だ。
メロディック度・・8 フォーキー度・・8 女性Vo度・・8 総合・・8.5 
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Dalriada 「Nyaruto」
ハンガリーのフォークメタル、ダルリアダの2018年作
Echo of Dalriada名義で、2004年にデビューしてから通算で10作目となる。
ほどよくメタリックなツインギターのフォーキーな旋律にフルートの音色が絡み、
母国語の女性ヴォーカルを乗せた、叙情的なフォークメタルはすでに説得力十分。
オルガンを含むシンセがやわらかに楽曲を彩り、随所に男性声やデス声も絡みながら、
辺境的な牧歌性と重たすぎない優雅な土着感に包まれたサウンドが楽しめる。
曲によっては激しい疾走パートもあって、キャッチーなクサメロを乗せたルロスピ風味など、
多くのリスナーにアピールする感触で、キャリアのあるバンドらしいクオリティの高さが光る傑作だ。
メロディック度・・8 フォーキー度・・8 女性Vo度・・7 総合・・8.5
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ⅩⅣ Dark CenturiesDen Ahnen Zum Grusse」
ドイツのシンフォニックペイガンメタル、ⅩⅣダーク・センチュリーズの2003年作
アコギとフルートによるイントロから曲が始まると、土着的なクサメロを奏でるギターとシンフォニックなシンセに
ダミ声ヴォーカルと勇壮なコーラスを乗せて聴かせる。エピックな香りをぷんぷんと匂わせるサウンドは、
この手のペイガンメタル好きにはたまらないだろう。メンバー写真も含めて、中世の世界観を描き出そうとする
意気込みがあり、音質自体はややこみりぎみながら、それもかえって幻想的な雰囲気を強くしている。
まさに14世紀…中世のゲルマン戦士たちが森の中で戦うような、そんな光景が目に浮かぶようだ。
シンフォニック度・・7 クサメロ度・・8 エピック度・・8 総合・・8
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ⅩⅣ Dark Centuries「JUL」
ドイツのペイガンメタルバンド、ⅩⅣダーク・センチュリーズのミニアルバム。2005作
クサメロを奏でるギターとシンフォニックなシンセとともに疾走、たおやかなフルートの音色や勇壮なコーラスなど、
中世の世界観をシンフォニックなペイガンメタルサウンドで濃密に表現している。
ときにアコースティカルなトラッド色も覗かせるあたりは、なかなか懐の深さも感じる。
ミニなので収録時間が少ないのが残念だが、フルアルバムも聴いてみたくなる。
シンフォニック度・・8 疾走度・・7 ペイガン度・・8 総合・・7.5
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XIV Dark Centuries「Skithingi
ドイツのペイガン・フォークメタル、XIV ダーク・センチュリーズの2006年作
楯や剣を持った中世ヲタ風のメンバー写真がイカすが、サウンドの方も
まさに14世紀…中世の戦士たちの姿を思い起こさせるようなエピックな雰囲気だ。
かつてのMITHOTYNのように、ダミ声ヴォーカルとギターフレーズを中心にした武骨さに、
随所にアコースティカルな叙情やシンセアレンジも含んで、なかなかドラマティックに聴かせる。
笛の音の響く愉快な曲もありつつ、戦士たちの日常と戦いの日々を見ているような気分で楽しめる。
ドラマティック度・・8 ペイガン度・・8 エピック度・・8 総合・・8
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XIV Dark Centuries 「Gzit Dar Faida」
ドイツのペイガンメタル、14・ダーク・センチュリーズの2012年作
フルアルバムとしてはおそらく3作目で、壮麗な雰囲気のイントロから期待させるが、
激しく疾走する武骨さと、クサメロなギターフレーズが合わさったサウンドもなかなか。
いくぶんB級気味の感触も残しつつ、中世の戦士たちを思わせるエピックな勇壮さで、
シンセによる派手すぎないアレンジもよいカンジです。低音のダミ声ヴォーカルは、
かつてのMITOTYNあたりを思わせるが、よりメロディックな要素が強いのが魅力だろう。
メロディック度・・8 ペイガン度・・8 エピック度・・8 総合・・8
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XIV Dark Centuries 「Waldvolk」
ドイツのペイガンメタル、14ダーク・センチュリーズの2020年作
1999年にデビュー、本作は9年ぶりとなる7作目。美麗なシンセにヴァイオリンが鳴り響くイントロから、
メタリックなギターリフとダミ声ヴォーカルを加えて、Ensiferumにも通じる勇壮なペイガンメタルを聴かせる。
叙情的なギターフレーズとメロスピ的な疾走感という点では、Equilibriumにも通じる雰囲気があるが、
こちらりよりオールドスタイルのエピックなヴァイキングメタルを踏襲した、幻想的な土着感に包まれている。
クサメロ感たっぷりながら、サウンドは軟弱にはならず、キャリアのあるバンドらしい説得力があって、
ペイガンメタルとしては理想的なバランスだろう。ほどよい激しさと土着的な叙情メロが同居した高品質作。
ドラマティック度・・8 ペイガン度・・8 クサメロ度・・8 総合・・8 
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Darkest Era「Last Caress of Light」
ウェールズのケルティックメタルバンド、ダーケスト・エラの2011年作
ツインギターの片割れは女性で、ドラムも女性という珍しい編成の5人組。
マイルドな男ヴォーカルの歌声と、比較的正統派のメタル質感に、土着的なギターフレーズと
アコースティカルな要素も含んで聴かせるサウンド。昨今のキラキラ系のフォーカメタルとは異なり、
シンセが入らない分、安易なクサメロや派手さはなく、むしろ硬派な雰囲気が漂う本格派。
メロディアス度・・7 フォーキー度・・7 硬派・・8 総合・・8
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Darkest Era 「Severance」
ウェールズのペイガンメタル、ダーケスト・エラの2014年作
女性ギタリストを擁する5人編成で、前作は硬派な感触の土着的ペイガンメタルであったが、
本作も重厚なツインギターのリフに朗々とした男性ヴォーカルで、神秘的な香りを漂わせたサウンドで、
甘すぎないメロディアス性とともに、湿り気のある寒々しくも土着的な空気感を描いてゆく。
いくぶん辺境がかったケルティックなテイストというのも持ち味で、ツインギターによる叙情フレーズが
牧歌的な味わいを醸し出しつつ、かつてのMithotynのような武骨な荒々しさも垣間見せる。
MOONSORROWのような本物の雰囲気に包まれつつ、ヴォーカルがデス声でないので、
一般のエピックメタラーにも楽しめるのではないかと思う。重厚にして硬派の力作デス。
ドラマティック度・・8 ペイガン度・・8 重厚度・・8 総合・・8
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Dark Reality 「Oh Precious Haze Pervade The Pain」
スイスの古楽メタルバンド、ダーク・リアリティの1997年作
アコースティックギターにリコーダーの音色、そしてドイツ語の歌声で、
GRYPHONを思わせるような中世音楽風味とメタルを融合させたサウンド。
近年では古楽とメタルを融合させたバンドはけっこういるが、当時はとても珍しかったことだろう。
全体的にメタル度は低めで、クラシカルな優雅さが個性的なサウンドだ。
メロディアス度・・7 メタル度・・7 古楽度・・8 総合・・7.5


DEPRESSIA「K Zvezdam Na Karuseli」
ロシアのフォークロック(メタル)、デプレシアの2005年作
フォークというよりは、なにやらスペイシーなジャケなのだが、
デス声入りで疾走するイントロ曲から、2曲めになるとヴァイオリンの音色が入って、
アコーディオンの音色と女性ヴォーカルの歌声を乗せて疾走するサウンドになる。
フォークメタルというよりは、ロシア語のメロスピにアコーディオンを入れてみたという感じで
パンキッシュなロック性と、若者らしいミクスチャーなごった煮感が漂っているのが面白い。
メロディアス度・・7 フォーキー度・・7 女性Vo度・・7 総合・・7.5

DIABOL BORUTA 「WIDZIADLA」
ポーランドのフォークメタル、ディアボル・ボルタの2016年作
ツインギターにシンセを含む5人編成で、美麗なシンセアレンジと、正統派寄りのギターを乗せて疾走する、
わりとメロパワ寄りのフォークメタル。母国語のヴォーカルにアコーディオンのフォーキーな音色が、
辺境臭さをかもしだしつつ、適度にパワフルな疾走感があるので、一般のメロスピファンなどにも楽しめる。
ときにデスヴォイスも加わったダークでミステリアスな空気感も覗かせたり、牧歌的なアコースティックパートや、
一転してややモダンなヘヴィロック要素などもあったりと、激しさとユルさのバランスもなかなか心憎い。
全体的には、フォーキーなクサメロでもっと盛り上げるパートがあればいいかなと思う。
ドラマティック度・・7 フォーキー度・・7 辺境度・・8 総合・・7.5
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DIABULA RASA 「Ars MedioHeavy」
イタリアのフォークメタル、ディアブラ・ラサの2013年作
女性ギター、女性ベース、女性シンセ奏者を含む6人編成で、適度にヘヴィなギターと
女性ヴォーカルの歌声に、マンドリンやブズーキ、バグパイプなどの素朴な音色が加わった、
いわばモダンとトラッドが合わさったような聴き心地のサウンド。野卑な男ヴォーカルが入ってくると、
武骨な垢抜けなさが現れて、いわばそれが女性声の優雅さとのコントラストになっている。
全体的には女性ヴォーカルメインなので、個人的にはとても嬉しい。オルガンを含んだシンセアレンジも
邪魔にならないくらいに楽曲を幻想的に彩っている。どことなく辺境臭さの残った好作品です。
メロディック度・・7 フォーキー度・・8 女性Vo度・・7 総合・・7.5
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Dornenreich「Hexenwind」
ドイツのアコースティカル(ブラックメタル)バンド、ドルネンレイクの4th。2005作
元々はブラックメタルをやっていたらしいが本作で聴けるのは
アコースティックを取り入れた、ゴシック的なゆっくりめのリズムに囁きのような
ドイツ語の歌声が乗るというもので、いくぶんインダストリアルな質感もある。
あまり盛り上がったり印象的なメロディを聴かせるような部分は少なく、
ゆったりとした幻想的な雰囲気を楽しむような作品だ。
メロディアス度・・7 アコースティカル度・・7 ドイツ度・・8 総合・・7.5
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Dornenreich「Flammentriebe
ドイツのネイチャー・ブラックメタル、ドルネンレイクの4th。2011年作
以前に聴いた2005年作はアコースティカルなゆったりとした作風だったが、
本作はトレモロなギターリフで疾走するブラックメタル要素が戻っていて、
ドイツ語による絶叫ヴォーカルで聴かせるサウンドだ。アナログなメロブラの質感に、
アコースティカルな優雅さ、美しいヴァイオリンの音色やミスティックな神秘性も合わさり、
Drudkhあたりにも通じる、幻想的なアトモスフェリック・ブラックとして楽しめる。
ドラマティック度・・7 ネイチャーブラック度・・8 ゲルマン度・・8 総合・・7.5
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Dornenreich 「Freiheit」
ドイツのポスト・フォーク・ブラックメタル、ドルネンレイクの2014年作
アコースティックギターに艶やかなヴァイオリンの音色に、ドイツ語のヴォーカルで聴かせる、
アコースティカルなネオフォークサウンド。以前のようなブラックメタル的な面影は薄いのだが、
4曲めあたりからペイガンメタル風味の激しさも顔を覗かせる。アコースティックとメタルのヘヴィさを融合させた
フォークメタルというか、幻想的なゲルマン系ぺイガン・フォークとしてもゆったりと楽しむことができる作品だ。
ドラマティック度・・7 メタル度・・5 アコースティック度・・8 総合・・7.5
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Dornenreich 「Du Wilde Liebe Sei 」
オーストリアのペイガン・フォーク、ドルネンレイクの2021年作
1997年にデビュー、本作は7年ぶりの9作目。民族的なパーカッションにギターを重ね、
ドイツ語によるヴォーカルを乗せた、神秘的でトライバルなサウンドを聴かせる。
ダミ声で歌うところは、ブラックメタル寄りのダークな世界観も匂わせつつ、
艶やかなヴァイオリンが鳴り響くと、優雅なクラシカル性にも包まれる。
エレキギターも使っているので、アコースティカルだけではないロック感触もあって、
わりとメリハリが効いている。ドイツ語によるゲルマンな勇壮さも含んだペイガンフォークの好作だ。
ペイガン度・8 ロック度・5 幻想度・8 総合・7.5 
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DraugnimNorthwind's Ire」
フィンランドのシンフォニック・ヴァイキングメタル、ドラウグニムの2008年作
うっすらとしたシンセアレンジと適度な重厚さで聴かせる、王道のヴァイキングメタルサウンド。
ミドルテンポを主体にじっくりと聴かせる作風は、MOONSORROWに近いだろう。
トレモロリフや土着的なギターフレーズと、シンフォニックなシンセが合わさって
ときにブラックメタルばりに疾走する迫力は聴き応えがある。本格派の力作だ。
ドラマティック度・・8 ヴァイキング度・・8 重厚度・・8 総合・・8
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DRAUGNIMHorizons Low
フィンランドのシンフォニック・ヴァイキングブラック、ドラウグニムの2010年作
シンフォニックな壮麗さと、ヴァイキング風味の勇壮さも含んだサウンドで、
随所にブラックメタル的な疾走感もある。6~10分の比較的長めの曲で、
MOONSORROWをシンフォブラック寄りにした感じのドラマティックな作風。
楽曲にいくぶん長尺感はあるものの、音の厚みは充分の質の高い作品だ。
シンフォニック度・・8 暴虐度・・7 ヴァイキング度・・7 総合・・8
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DRAUGNIM 「Vulturine」
フィンランドのヴァイキングブラックメタル、ドラウグニムの2016年作
前作までのMOONSORROWを思わせる重厚なヴァイキングメタル路線を引き継ぎつつ、
強烈なグロウルヴォイスの迫力と、ダークな闇の気配がサウンドに説得力を強めている。
シンフォニックなアレンジによるエピックなスケール感に包まれた荘厳な聴き心地と、
寒々しい大地を思わせるペイガンな叙情が硬派に融合した、そのクオリティの高さに引き込まれる。
楽曲は7~8分前後と、長すぎない点も好ポイントで、ときにブラックメタル的な激しいブラスト疾走も覗かせる。
ミステリアスな神秘性と重厚かつシンフォニックなドラマティック性を備えた、まさに強力な傑作である。
ドラマティック度・・8 ヴァイキング度・・8 重厚度・・9 総合・・8.5
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DUSIUS 「MEMORY OF A MAN」
イタリアのフォークメタル、デュシウスの2017年作
シンセにフルート&バグパイプ奏者を含む7人編成で、シンフォニックで美麗なアレンジと
低音デスヴォイスを乗せてたたみかける激しさに、フルートとパイプによる牧歌的でフォーキーな旋律と
ノーマルヴォイスを乗せた叙情的な味わいも覗かせる。ツインギターとシンセによる重厚な聴き心地と、
武骨で勇壮な着性が合わさり、ときにメロデスばりにアグレッシブな感触も含んだパワフルなサウンドだ。
個人的にはクサメロ的な幻想性がもう少し欲しい気もするが、甘すぎない本格派のフォークメタル作品である。
ドラマティック度・・8 フォーキー度・・7 重厚度・・8 総合・・8
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DVALIN 「Aus Dem Schatten」
ドイツのフォークメタル、ドヴァリンの2016年作
ツインギターにシンセ、バグパイプ&ハーディ・ガーディ奏者を含む7人編成で、
ヘヴィなギターリフにバグパイプの音色が重なり、低音デスヴォーカルを乗せて疾走する、
激しめのフォーク・デスメタルというサウンド。ギターリフにはメロデス的な硬質感もあって、
ヘヴィでスラッシーな感触と牧歌的なフォーク要素のコントラストがなかなか面白い味わいだ。
ヴォーカルはドイツ語で歌っているようだが、デス声なのでよく分からないという。笑
アコーディオン的なシンセの音色に素朴なハーディ・ガーディの響きは、わりと本格派のフォーク風味で
曲によってはここまでデスメタル寄りにしなくてもいい気もするのだが、ともかく重厚な硬派のフォークメタルデス。
ドラマティック度・・7 激しく重厚度・・8 フォーキー度・・7 総合・・7.5
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Dyrathor「Sacred Walcraft of Hel」
ドイツのヴァイキングメタル、ダイラソアーの2010年作
ツインギターにヴァイオリンを含む5人組で、ブラストを含んで激しく疾走しながら
うっすらとしたシンセやヴァイオリンの音色を含ませた叙情も聴かせる。
ダミ声ヴォーカルを基本にしながら、ときおり勇壮なコーラスなどもあって
エピックな雰囲気はなかなかよろしいのだが、楽曲、メロディともに
このバンドならではの個性はまだ感じられない。今後の成長に期待。
ドラマティック度・・7 ヴァイキング度・・7 楽曲・・7 総合・・7
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EINHERJERDragons of the North
ノルウェーのヴァイキングメタル、エインヘリヤルの1996年作
北欧の本格派ヴァイキングメタルの元祖というべきこのバンドのデビュー作。
土着的なギターリフと野卑なダミ声ヴォーカルで描き出すサウンドは、
辺境的な情緒を含んで勇壮で神秘的な世界観を構築してゆく。
いまのバンドのようなスタイリッシュさやきらびやかさとは無縁で、
あくまで武骨に北欧のヴァイキングたちの世界を語り描いている。
ドラマティック度・・8 ヴァイキング度・・8 ノルウェイジャン度・・10 総合・・8
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EINHERJER「Norwegian Native Art」
ノルウェーのヴァイキングメタルバンド、エインヘリヤルの3rd。2000年作
北欧ヴァイキングメタルの元祖というべきバンド。本作はシンセの加わったアレンジで、
初期に比べるとなかなかスタイリッシュなヴァイキングサウンドになっている。
武骨なダミ声Voの歌唱に、煽情的なギターフレーズを奏でるギターと美麗なシンセが絡み
ときにピアノやチェンバロの音色まで入っていたりして、楽曲アレンジにも細やかさが垣間見える。
血みどろのメンバー写真とは裏腹に、じつに聴きやすいシンフォヴァイキングサウンドだ。
MOONSORROWあたりに通じる質感に、ノルウェイジャンらしい土着性をまじえた好作品。
ドラマティック度・・8 ヴァイキング度・・8 ノルウェイ度・・8 総合・・8
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EINHERJER「Blot」
ノルウェーのヴァイキングメタルバンド、エインヘリヤルの4th。2004年作
シンフォニックなイントロに続き、土着的なギターフレーズに導かれて
ダミ声ヴォーカルとともにミドルテンポで勇壮に聴かせるヴァイキングサウンド。
昨今のバンドに比べるとやや地味であるが、ギターの奏でる煽情的なフレーズはぐっとくるし、
なにより、この硬派なるサウンドには本物のペイガンな香りがただよっている。
全体的にはシンセのアレンジも含めてけっこうモダンな印象もありつ、
ときおり聴かせるテクニカルなギターフレーズなどもアクセントになっている。
ドラマティック度・・8 ヴァイキング度・・8 ノルウェイ度・・7 総合・・8
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Einherjer「Norron」
ノルウェーのヴァイキングメタル、エインヘリヤルの2011年作
2004年の4thを最後に解散したと思っていたヴァイキングメタルの元祖のひとつというべきこのバンドが復活、
ここに新作が完成した。全6曲と少なめだが、1曲めはなんと12分の大曲で、母国語のダミ声ヴォーカルと
土着的なギターフレーズを乗せて怪しく聴かせるエインヘリヤル節は健在。昨今のバンドのようにシンセに頼らず
粘りつくようなギターのリフで本物の辺境性を表現するところは、さすがノルウェイジャンヴァイキングの元祖。
派手さや安易なインパクトはないものの、むしろプログレッシブというようなじわじわと聴かせるサウンドである。
ドラマティック度・・7 ヴァイキング度・・7 ノルウェイジャン度・・10 総合・・8
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EINHERJER 「Av Oss, for Oss」
ノルウェーのヴァイキングメタル、エインヘリヤルの2014年作
北欧ヴァイキングメタルの元祖というべきバンド、復活後の2作目となる本作も
ジャケのイメージ通り、神秘的な辺境性に包まれたヴァイキングメタルを聴かせる。
ダミ声ヴォーカルに勇壮なコーラス、オールドスタイルの硬派なギターリフとともに、
武骨な荒々しさとミステリアスな空気感を重厚に描いてゆく。随所に甘すぎない程度に
メロディックなフックや叙情パートもあるのだが、あくまで基本は武骨な無愛想な作風なので、
メロディ好きの方には物足りないかもしれない。ただ、これこそがホンモノの神秘性であって、
媚びないサウンドを楽しめる方にはお薦めしたい。ベテランらしい枯れた味わいの好作品。
ドラマティック度・・7 ヴァイキング度・・8 重厚度・・8 総合・・8
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EINHERJER「Dragons of the North XX」
ノルウェーのヴァイキングメタル、エインヘリヤルの2016年作
北欧ヴァイキングメタルの元祖というべきバンド、1996年のデビュー作をリレコーディングした作品。
オリジナルメンバーで残っているのは2人のみだが、ツインギターのリフと土着的なフレーズに
ダミ声ヴォーカルを乗せた、いかにも古き良き王道のヴァイキングメタル・サウンドが再現される。
現在のバンドとは異なり、シンセは使わない硬派のスタイルなので、若いリスナーには物足りなさもあるだろうが、
この武骨さこそが本物のヴァイキングメタルであり、ノルウェイジャンの寒々しい空気感なのだ。
随所にツインギターによるメロディックなフレーズも覗かせ、曲によっては適度に疾走感も含んだサウンドは、
飾り気がない分、シンプルな勇壮さを味わえる。デビュー20周年を記念した意義ある完全リメイクだ。
ドラマティック度・・7 ヴァイキング度・・8 再現度・・8 総合・・8
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Einherjer「Norrone Spor」
ノルウェーのヴァイキングメタル、エインヘリヤルの2018年作
1996年にデビュー、本作は8作目となる。前作が1stのリメイクだったので、オリジナルとしては4年ぶり。
オールドな味わいのギターリフにダミ声ヴォーカルを乗せた、硬派なペイガンメタルを聴かせるのはこれまで通り。
甘すぎない程度の叙情的なフレーズとともに、荒涼とした寒々しさをまとわせた土着性を感じさせるサウンドだ。
派手な展開やメロディックな部分はさほどないので、わりと地味な聴き心地であるが、キャリアのあるバンドらしい
どっしりとした重厚感に包まれている。北欧らしい涼やかな神秘性を感じさせるラストナンバーもGoodです。
ドラマティック度・・7 フォーキー度・・6 勇壮度・・8 総合・・8 
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Einherjer 「North Star」
ノルウェーのヴァイキングメタル、エインヘリヤルの2021年作
1996年にデビュー、ヴァイキングメタルとしては元祖のひとつというべきバンドで、本作は8作目となる。
甘すぎない叙情を含んだ重すぎないギターリフにダミ声ヴォーカルを乗せて、涼やかな空気感とともに
どっしりとした正統派のペイガンメタルを聴かせる。今作はよりオールドメタル的なギターリフが目立っていて、
曲によってはMETALLICAのようでもある。ミドルテンポを主体にしたスラッシュメタル風というか。
全体的にもヴァイキングメタル的な土着性は薄まっていて、全42分というのもわりとあっさりしている。
ドラマティック度・7 ヴァイキング度・6 勇壮度・7 総合・7.5 
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Elivagar 「Heirs Of The Ancient Tales」
ドイツのフォークメタル、エリヴァガーの2008年作
牧歌的なホイッスルの音色に導かれて、低音デスヴォイスとともに疾走する
フォーキーなデスメタルという質感。この手にしてはギターリフがしっかりしていて
クリーンヴォイスによるドイツ語の歌声や随所に美しいシンセワークも含んで、
緩急の効いたアレンジとドラマティックな重厚さが光る、なかなか濃密な作風だ。
ホイッスルやヴァイオリンの鳴り響くフォーキーな情緒と、エピックなパワフルさが合わさった力作。
ドラマティック度・・8 フォーキー度・・8 ゲルマン度・・8 総合・・7.5
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ELIWAGAR 「Fra Hjertet Av Norden」
ノルウェーのペイガン・ネオフォーク、エリワガーの2012年作
女性アーティスト、Runahild Kvitbjarkan Tyrsdottirによる個人プロジェクトで、
艶やかなハーディング・フェーレ(フィドル)にアコースティックギター、フルートなどの素朴な音色に、
母国語の女性ヴォーカルを乗せた、幻想的なネオフォーク。アコースティック主体なので派手さはないが、
民俗的なパーカッションにフルートが鳴り響き、ペイガンな神秘性に包まれた世界観を描き出す。
北欧らしい涼やかな空気感に包まれた、女性声幻想トラッド・フォークの好作品です。
幻想度・・8 ペイガンフォーク度・・9 女性Vo度・・7 総合・・7.5
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ELUVEITIE 「Spirit」
スイスのフォークメタルバンド、エルヴェイティの2006作
鳴り響くフィドル(ヴァイオリン)に笛とパイプの音色、そこにヘヴィギターと絶叫Voが重なり、
田舎臭いフォーキーメロとヴァイキングメタル風の勇壮さが一体となったサウンド。
メンバーは大所帯で、ツインギターに女性二人のフィドル隊(!)を含む9人編成。
使用する楽器もアイリッシュフルート、ハーディガーディ、アコーディオンなど、かなり本格的だ。
曲は田舎メロをまった聴かせつつも、ときおりブラックメタル的に疾走したりもする。
この手としては曲の完成度、土着的な説得力ともに相当に高く、
濃密かつフォーキーなメタルサウンドがこれでもかとばかりに繰り出される。
メロディアス度・・8 フォーキー度・・8 ブラック/ヴァイキングも有り度・・8 総合・・8
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ELUVEITIE 「Slania」
スイスのフォークメタルバンド、エルヴェイティの2nd。2008年作
前作はフォーキーなメロディを巧みにヴァイキングメタル的な楽曲に取り入れた、濃密なアルバムであったが、
今作も基本はその延長上の作風。フィドル、ハーディガーディ、ホイッスル奏者を含む8人組で、
ヘヴィなギターに絡む民族楽器が土着的な音色を奏でる。ヴォーカルががなりたてるブラック声であることもあって、
この手のフォークメタルとしてはけっこうアグレッシブなサウンドだ。前作にあった牧歌的な部分が薄れているのがやや残念だが、
女性ヴォーカルによるナンバーは幻想的だ。全体的にはメロデス的要素を強くしたことで、一般のリスナーにも聴きやすくなった。
メロディアス度・・7 フォーキー度・・8 ブラックメタル度・・7 総合・・8
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ELUVEITIE「Evocation I」
スイスのフォークメタルバンド、エルヴェイティの2009年作
過去2作はブラックメタル的なアグレッションとフォーキーな牧歌性を融合させた完成度の高いアルバムであったが、
本作はアコースティカルな部分を全面に出したトラッドロック的な作品となっている。鳴り響くバグパイプの音色、
マンドリンにフィドル、ハーディ・ガーディ、フルート、ティンホイッスルといったケルティックな楽器の響きに、
ラテン語なのかロマンシュ語なのか異国的な女性ヴォーカルの歌声が重なる。前作のファンは、このサウンドに面食らうかもしれないが、
トラッド/ケルト音楽が大好きな私のようなリスナーにはまったく問題なし。むしろ、このバンドがアコースティックでも
ここまで説得力あるサウンドを描けるということに感心する。限定盤には2008年のライブ映像を収録したDVD付き。
メロディアス度・・8 トラッ度・・9 女性Vo度・・8 総合・・8
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Eluveitie「Everything Remains」
スイスのフォークメタルバンド、エルヴェイティの2010年作
前作がアコースティカルなアルバムだったので、今作はどうなるかと思ったら、2ndのようなメタリックな激しさを取りもどしている。
もちろん、フィドルやハーディガーディ、ホイッスルなどによるフォーキーな土着性もしっかりあって
それらとメロデス的な疾走感と要素が絶妙に融合しているのがこのバンドの凄いところ。
ただ、ギターのリフ自体にはさして新鮮味はなく、ヘヴィな部分にはいくぶんモダンさが混じっており、
個人的にはそのあたりは不満なのだが…メロデスリスナーにも聴きやすいフォークメタルなのは確かであろう。
メロディアス度・・7 フォーキー度・・8 メロデス風味度・・8 総合・・8
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Eluveitie「Helvetios」
スイスのフォークメタル、エルヴェイティの2012年作
毎作質の高いフォークメタル作品でファンも多いこのバンド、5作目となる本作は
ローマ時代の「ガリア戦争」をテーマに、より壮大でドラマティックなサウンドを描き出している。
ヘヴィなギターとガナりヴォーカルを乗せて、メロデスばりに激しく疾走しつつ、
艶やかなフィドルの音色がかぶさり、フォーキーな土着性を融合させた作風は前作と同様であるが、
今作では物語的でエピックな世界観をさらに強めている。ハーディガーディなど古楽器によるトラッド感触や、
効果的に絡む女性コーラスなど、メリハリのあるアレンジ面での仕上がりもさすがで隙がない。
疾走する激しさが際立ったことで、フォーキッシュ・メロデスという雰囲気の力作となっている。
ドラマティック度・・8 フォーキー度・・8 エピック度・・8 総合・・8

Eluveitie「Live On Tour」
スイスのフォークメタル、エルヴェイティのライブアルバム。2012年作
2006年のデビューから現在までに5作を出し、人気も上がっているこのバンド、
本作は2012年のオランダでのステージをCD2枚に収録。ヘヴィなギターリフに鳴り響くフィドル、
ホイッスルやハーディ・ガーディのフォーキーな音色とともに、重厚なフォークメタルを聴かせてくれる。
咆哮するデスヴォイスとともにメロデスばりに疾走する激しさと、牧歌的な土着性を融合させたサウンドは、
ライブにおいてもその神秘的な世界観を描いていて、あらためて演奏におけるメンバーの力量の高さが知れる。
美しい女性ヴォーカル曲もよいアクセントになっており、個人的にはもっと叙情曲が多くてもよいなと思うが。
ライブ演奏・・8 フォーキー度・・8 ヘヴィ度・・8 総合・・8
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ELUVEITIE 「The Early Years」
スイスのフォークメタル、エルヴェイティの2012年作
本作は1stミニの再録と1stフルアルバムのリマスター音源を収録した作品。
フィドルにホイッスル&バグパイプ、ハーディガーディ奏者を含む8人編成で、
ダミ声ヴォーカルとヘヴィなギターに、アコースティカルな民族楽器を融合、
随所に女性ヴォーカルの歌声も加わったクオリティのサウンドが楽しめる。
激しい疾走感も含みつつ、神秘的な土着性とともに聴かせるフォークメタル。
最近のモダンな作風よりも、やはり初期の楽曲がよろしいですな。全17曲入り。
ドラマティック度・・8 フォーキー度・・8 神秘的度・・8 総合・・8


Eluveitie 「Origins」
スイスのフォークメタル、エルヴェイティの2014年作
2004年にデビューし、その質の高いフォークメタルサウンドで日本にもファンが多いこのバンド、
6作目となる本作も、8人編成の大所帯で、牧歌的なフィドルにバグパイプの音色が鳴り響き、
エピックな世界観とともに重厚なフォークメタルが広がってゆく。ヘヴィなギターにダミ声ヴォーカルを乗せ
激しい疾走パートも含んだメタリックな勢いと、ハーディガーディなどの素朴な音色が合わさった土着性で、
キャリアのあるバンドらしい説得力のあるサウンドを描いてゆく。随所に女性ヴォーカルも加わった華やかさや
アコースティカルな叙情性も覗かせつつ、その一方ではメロデス的なギターリフを乗せた疾走パートなど、
楽曲ごとのふり幅の大きさも魅力的だ。ドラマティックな空気感と濃密な楽曲構築が楽しめる強力作だ。
ドラマティック度・・8 フォーキー度・・8 重厚度・・8 総合・・8 
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Eluveitie 「Evocation II - Pantheon」
スイスのフォークメタル、エルヴェイティの2017年作
タイトル通り、2009年作の続編で、メタル要素のないケルト/フォークロック寄りの作品。
アコースティックギターにホイッスル、バグパイプ、フィドルにハーディ・ガーディなどの素朴な音色に
女性ヴォーカルを乗せた優美なフォークロックサウンド。エレキギターは使われていないのだが、
躍動感あるドラムに、多数のアコースティック楽器を乗せた音の厚みと説得力はさすがというところ。
2~4分前後の小曲をメインに、SEや語りなどを挿入しながら、コンセプト的な流れで連なる構成もよいですね。
ファビエネ嬢の歌唱の表現力も含めて、メタルに疲れた耳にはうってつけの幻想フォークロックの傑作。
ドラマティック度・・8 メタル度・・5 フォークロック度・・9 総合・・8 
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Eluveitie「Ategnastos」
スイスのフォークメタル、エルヴェイティの2019年作
2004年にデビュー、すでにキャリア20年を数えるフォークメタル界の中堅バンド、8作目となる本作は、シネマティックな語りの入ったSEで幕を開け、うっすらとしたシンセにホイッスルが鳴り響き、ハーディ・ガーディの素朴な音色にギターが重なり、女性スキャットとともに幻想的な空気を描きつつ、デスヴォイスを乗せたアグレッシブなメロデス風味が現れる。
艶やかなフィドルにバグパイプ、ホイッスルがケルティックなフォーク感触を描きながら、激しさと優雅さの緩急ある展開で、濃密なサウンドを描いてゆく。
随所に、疾走メロパワや正統派メタル的な雰囲気も覗かせつつ、神秘的な土着性にしっかりと説得力があるのは、キャリアのあるバンドならではだろう。
ファビエンヌのフェミニンな歌声が映える優美なナンバーなど、キャッチーなメロディアス性と激しさがバランスよく配合された高品質作である。
ドラマティック度・8 フォーキー度・8 重厚度・8 総合・8 
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ELVARHOI 「Dansen Later Fra Graven Ater」
ノルウェーのフォークメタル、エルヴァラオイの2019年作
艶やかなフィドル、ホイッスルやリコーダーの音色にギターを重ね、朗々としたヴォーカルで、
牧歌的な味わいに包まれたフォークメタルを聴かせる。母国語による哀愁を含んだ歌声と、
土着的なフィドルの旋律が、北欧の涼やかな空気を描き出し、トラッド的な素朴な叙情とともに
ほどよいメタル感触とが合わさったスタイルで、あまりシンセを使っていない分、わりと武骨な味わいながら、
本格派の北欧トラッドメタルが楽しめる。ヴィンテージな雰囲気のメンバーの写真も良いですね。
ドラマティック度・・8 フォーキー度・・8 北欧トラッ度・・8 総合・・8
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ELVENKING「HEATHENREEL」
イタリアのフォーキーメタルバンド、エルヴェンキングの1st。2001年作
いきなりフォーキーなフルートで始まり、三連リズムのいかにもイモクサ系の曲が始まると弱々しいVoが歌いだします。
曲自体は比較的まともで、フォーキーなメロディなどはSKYCLADに通じるものもあり、時折挿入されるアコースティックパートやコーラスなんかもなかなか悪くないです。
田舎くさいフォーク/トラッド好きメタルファンは聴いてもさほど損はしないかと。あとは全体的に音の密度と説得力を上げることでしょう。
クサメロ度・・8 フォーキー度・・8 楽曲・・7 総合・・7.5
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ELVENKING「WYRD」
イタリアのフォーキーメタルバンド、エルヴェンキングの2nd。2003作
のっけから、ヴァイオリンがフォーキーなメロを奏で、女性Voの歌声で優雅に始まります。
2曲目はけっこう疾走していて、メタルっぽい。ですがもちろんフォークメロは満載。
前作からはVoが代わっています。以前のヘナチョコヴォーカルもなかなかいい味出していたのですが、今度のVoはマイルドな声質から、ガナリ声までこなせるようです。
また、前作のような曲の唐突感はなくなっていて、フォークメロを上手く取り込んでいて、アレンジ的にも無理がなくなり、なかなか美しくまとまっている印象です。
メロディアス度・・8 フォーキー度・・8 楽曲・・7 総合・・7.5
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ELVENKING「The Winter Wake」
イタリアのフォークメタルバンド、エルヴェンキングの3rd。2006作
4thではパワフルなメタル路線にシフトするが、本作ではまだフォーキーな叙情とやわらかさのあるサウンドで、力強くないヴォーカルの歌声と、ヴァイオリンやチェロなども含めた愉快な土着メロディが耳に心地よい。
一方でメタルらしいギターリフ、フレーズの存在感もしっかりとあり、バンドの最高傑作というにふさわしい出来である。
メロディアス度・・8 フォーキー度・・8 愉快度・・8 総合・・8
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ELVENKINGThe Scythe
イタリアのフォークメタルバンド、エルヴェンキングの4th。2007年作
本作はいつになくヘヴィなギターリフにヴァイオリンを重ね、ハイトーンヴォーカルとともに聴かせる、正統派メロパワ寄りとなったサウンドを聴かせる。
曲によってはデス声も加わってのメロデス的なアプローチもあったりと、重厚なメタル感触が強まっているが、フォーキーな部分も残しながら、より多くのメタラーにアピールする内容といえる。
メロディックなギターの旋律と共に、キャッチーな優雅さも覗かせる。まさにフォーク・メロパワというべき力作だ。
メロディアス度・・8 フォーキー度・・7 パワフル度・・8 総合・・8
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ELVENKING「Two Tragic Poets」
イタリアのフォークメタルバンド、エルヴェンキングの2008作
前作である4th「The Scythe」にて、初期の軟弱フォークメタル路線から一転、ぐっとパワフルなメタリックさを増してきていたが、本作はその反対にアコースティックなパートを前面に出したアルバムとなっている。
軽快なリズムの上に鳴り響くヴァイオリン、アコースティックギターの音色とマイルドなヴォーカルの歌声で、繊細に聴かせるサウンドは耳心地がよく、初期からのファンには、むしろこのゆるさがたまらないかもしれない。
メロディアス度・・8 フォーキー度・・8 アコースティック度・・8 総合・・7.5
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ElvenkingRed Silent Tides」
イタリアのフォークメタルバンド、エルヴェンキングの2010年作
前作のアコースティックアルバムを入れると、これが6作目となる。
ヴァイオリン奏者を含む6人編成で、今作ではフォーキーな牧歌性とメロディックな正統派メタルを自然に融合させたサウンドとなっている。
ヘヴィすぎた4thの反省からか、3rdの頃の路線に戻りつつあるのが嬉しい。
美しいヴァイオリンの音色に、キャッチーなヴォーカルメロディが耳に優しい。
やわらかで爽快な聴き心地は、普通の叙情派HRとしても楽しめる好作だ。
メロディアス度・・8 フォーキー度・・7 爽快度・・8 総合・・8
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Elvenking 「Era」
イタリアのフォークメタルバンド、エルヴェンキングの2012年作
2001年にデビューしてから7作目となる。のっけからパワフルなシンフォメタル風味で、
激しい疾走感もある作風は一聴して4thの頃の作風にも近いが、ヴァイオリンが鳴り響く
牧歌的なフォーキーな味わいもちゃんとブレンドされていて、これはこれで悪くない。
ギターは随所に正統派メタル的なフレーズを奏でつつ、唐突にアコースティカルなパートを盛り込むなど、
思い切ったアレンジが楽曲のメリハリとなっている。キャッチーなメロディアスさと適度なヘヴィさに、
バンドの持ち味である土着的な軽妙さを、ほどよいバランスで仕上げた好作品だ。
メロディック度・・8 フォーキー度・・8 メロパワ風度・・8 総合・・8
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Elvenking 「The Pagan Manifesto」
イタリアのフォークメタル、エルヴェンキングの2014年作
2001年にデビューしてからすでに8作目。本作ではツインギターにヴァイオリン奏者を含む6人編成で、
牧歌的なイントロから、曲に入るといつになくメロスピばりの激しい疾走。正統派メロパワ的なギターリフと、
ハイトーンヴォーカルを乗せ、随所にフォーキーな叙情性も含ませる。ときにシンフォニックなアレンジも入りつつ、
12分の大曲を緩急をつけて構築する。初期のヘナチョコさはどこへやら、ずいぶんあか抜けたメンバー写真も含めて、
サウンドにも堂々たる説得力が備わっている。ドラマティックな流れと壮麗かつ濃密な世界観に包まれた傑作ですわ。
マイケル・キスクとのユニットやTrilliumなどで活躍する、アマンダ・ソマーヴィルがゲスト参加。
ドラマティック度・・9 フォーキー度・・8 壮麗&濃密度・・9 総合・・8.5
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Elvenking 「The Night Of Nights - Live」
イタリアのフォークメタル、エルヴェンキングのライブ作品。2015年作
2001年にデビュー、現在までに8枚のアルバムを発表している、フォークメタル勢の中でもキャリアのあるバンド。
本作は2015年、地元イタリアでのライブを2CD+DVDに収録。アコースティックなイントロから始まり、
ツインギターにヴァイオリン奏者を含む編成で、キャッチーなクサメロ感と適度なヘヴィさを融合させた、
爽快なフォークメタルを聴かせる。やや線の細いハイトーンヴォーカルも幻想的なサウンドによくマッチしていて、
パワフル過ぎない程よいマイナー感触がまた魅力である。初期からのナンバーも含めた選曲で、2CDに合計25曲を収録。
正直、演奏力は普通なのだが、キャッチーなコーラスも含めた陽性のノリのフォークメタルがたっぷり楽しめる。
メロディック度・・8 フォーキー度・・7 ライブ演奏・・7 総合・・8 
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Elvenking 「Secrets of the Magick Grimoire」
イタリアのフォークメタル、エルヴェンキングの2017年作
2001年にデビューしてからすでに9作目。フォークメタルとしてはベテランのキャリアを誇るバンド。
物語的なスケール感を感じさせるイントロから、ツインギターのフォーキーなフレーズと
ハイトーンヴォーカルを乗せて、適度な疾走感を含んだエピックなフォークメタルを展開。
厚みのあるサウンドにはかつてのマイナー臭さはみじんもなく、壮麗なシンフォニック性と
勇壮なコーラスなどは、RHAPSODYをフォークメタル化したような雰囲気も感じさせる。
もちろん彼らの魅力である、フォークメタルとしての牧歌的なクサメロ感も残していて、
ベテランならではの安定感と説得力はさすが。キャッチーかつ重厚な楽曲充実の力作です。
ドラマティック度・・8 フォーキー度・・8 壮麗度・・8 総合・・8 
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ELVENKING 「Reader of the Runes - Divination」
イタリアのフォークメタル、エルヴェンキングの2019年作
2001年にデビュー、10作目となる本作は、壮大なストーリーを基にしたコンセプト作品となっている。
物語的なイントロで幕を開けつつ、メロディックなギターとともに疾走、艶やかなヴァイオリンを含む、
フォーキーなクサメロを配した、キャッチーな味わいのフォーク・パワーメタルが広がってゆく。
従来のファンタジックな世界観にも磨きがかかり、正統派メロパワとしてのどっしりとした聴き心地と
牧歌的なフォーク要素のバランスもとれた、ベテランらしい構築力とアレンジセンスも光っている。
メロデスばりの疾走ナンバーや、初期を思わせるキャッチーなナンバーなど、メリハリのある流れで、
ときに重厚にときに優雅に、物語的なストーリーを描いてゆく。ラストは10分を超える大曲でまさに力作。
ドラマティック度・・8 フォーキー度・・7 ファンタジック度・・8 総合・・8 
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EMERALD NIGHT 「 Во мраке (Per Umbras) 」
ロシアのペイガンブラックメタル、エメラルド・ナイトの2015年作
美しい女性ヴォーカルと、ダミ声&ノーマル男性ヴォーカルのロシア語の歌声が絡み、
適度なシンフォニック性と垢抜けない辺境性を同居させた、ペイガン・ブラックサウンド。
随所に疾走パートもあるが邪悪な激しさというよりは、ローカルな牧歌性に包まれた雰囲気で、
案外ゆったりと楽しめる。ギターはクサメロ的なフレーズも奏でたり、重すぎない聴き心地が
むしろ幻想的な田舎臭さを描いていて、フォーキーなメロディと女性声の味わいもよいですな。
ラスト曲は何故かMercyful Fateのカヴァーだが、これが妖しい仕上がりでなかなか悪くない。
ドラマティック度・・7 暴虐度・・7 ローカル度・・8 総合・・7.5
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EMERALD NIGHT 「Magna Voice Ab Oblivione」
ロシアのペイガン・ブラックメタル、エメラルド・ナイトの2021年作
2008年にデビューし、5作目となる。美麗なシンセに叙情的なギターを重ねたイントロから、
ダミ声ヴォーカルを乗せて激しく疾走しつつ、英語&ロシア語の艶めいた女性ヴォーカルが加わって
幻想的なペイガンブラックを展開。激しい疾走パートでもメロディックなギターフレーズと
優美なシンセアレンジ、ソプラノもこなす美しい女性声を含めた耽美な世界観に包まれて、
暴虐さよりも優雅さが前に出ているので、男女声のゴシック・ブラック的にも楽しめる。
KING DIAMOND「Eye Of The Witch」のロシア語カヴァーもなかなかハマっている。
ドラマティック度・8 ペイガン度・7 耽美度・8 総合・8
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EMPYRIUM「A WINTERSUNSET...」
ドイツのフォーク・ゴシックメタルバンド、エムピリウムの1st。1996年作
イントロの美しいピアノとフルート、そしてアコギとキーボードが合わさった
静かなる叙情美に引き込まれる。フォーキーな要素とプログレ的な叙情が合わさった構築センスで、
暗黒性よりもゆったりとした素朴な味わいのあるシンフォニック・ゴシックといった趣である。
静かめでデス色のないフォーキーなゴシックメタルが聴きたい方には最高のバンドだろう。
シンフォニック度・・8 暗黒度・・5 静謐の叙情度・・9 総合・・8
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EMPYRIUM「SONGS OF MOORS & MISTY FIELDS」
ドイツのフォーク・ゴシックメタルバンド、エンピリウムの2nd。1997年作
ゆったりとしたメロウなギターフレーズとピアノ、キーボードで味付けされた物悲しいサウンド。
ヴォーカルはダミ声とノーマル声を使い分けており、メロディにはフォーキーな土着性もある。
プログレ的な感性という点ではノルウェーのIN THE WOODSあたりにも通じるところはあるが、
こちらはデスメタル的な暗黒度は控えめで、どちらかというとゆったりとしたシンフォニックな音像。
とくにアコースティックギターやフルートの音色がゆるやかに響く静寂パートなどは、
一瞬、KING CRIMSONをさえ思わせるほど、美しくもはかない叙情に溢れている。
メロディアス度・・8 シンフォニック度・・8 メランコリック度・・9 総合・・8 
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EMPYRIUM 「Weiland」
ドイツのフォーク・ゴシックメタル、エンピリウムの2002年作
1996年にデビューして本作が4作目となる。ジェントルなドイツ語の歌声にアコースティックギターのつまびき、
随所にフルートやチェロの音色も含んだ、クラシカルなゴシック・フォークサウンドである。
初期のようなメタル色はほぼ皆無であるが、うっすらとしたメロトロンが鳴り響くと
プログレ的な心地よさもあって、薄暗い叙情美に包まれた繊細な聴き心地が楽しめる。
ペイガン的でもある幻想的な雰囲気もよい感じで、ときにダミ声ヴォーカルが入ってくると、
メタルルーツの名残を垣間見せる。ゲルマンなネオフォークというべき好作品だ。
ドラマティック度・・8 メタル度・・3 薄暗度・・9 総合・・8
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EMPYRIUMA Retrospective
ドイツのフォーク・ゴシックメタル、エンピリウムのベストアルバム。2006年作
1996~2002年までに出した4作から13曲を収録。シンフォニックといってもよい
美しいシンセワークに、アコースティカルな情緒も含んだしっとりとした聴き心地で、
8分、9分、13分という大曲もあって、むしろプログレのリスナーにも楽しめるサウンドだ。
男性ヴォーカルのドイツ語をまじえたジェントルな歌声をうっすらとシンセが包み込み、
フルートやチェロ、ヴァイオリンなどの音色も加わって、ゆったりとした幻想的な世界観を描いてゆく。
自然を感じさせる土着的な素朴さを含んだフォークメタルとしても楽しめる素敵なバンドであった。
シンフォニック度・・8 メタル度・・6 幻想度・・9 総合・・8
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Empyrium 「Turn of the Tides」
ドイツのゴシック・フォークメタル、エムピリウムの2014年作
1996年にデビュー。初期はわりとゴシックメタル的であったが、3作目以降はメタル色を薄め、
本作は美麗なシンセアレンジに包まれた、優雅なネオフォークというサウンドとなっている。
ジェントルな男性ヴォーカルの歌声に、アコースティックな繊細さも含んだギター、
そしてうっすらとしたシンセとともに、メランコリックな物悲しさをたたえた世界観が広がる。
ときにダミ声ヴォーカルや女性ヴォーカルも加わったり、曲によってはいくぶんメタル要素が戻ってきていて、
ゆったりとした聴き心地の中にも、重厚な味わいと、ドラマティックなメリハリを感じさせる。
シンフォニック度・・8 ゴシック度・・8 フォーク度・・7 総合・・8 
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Empyrium 「Uber Den Sternen」
ドイツのゴシック・フォークメタル、エムピリウムの2021年作
1996年にデビュー、7年ぶりとなる6作目。3作目以降はメタル色の薄いペイガン・フォーク路線となっていたが、
本作もアコースティックギターのつまびきから、チェロやヴァイオリンの物悲しい音色や優美なフルートにシンセを重ね、
ジェントルなヴォーカルとともに、幻想的なフォークロックを聴かせる。エレキギターやダミ声ヴォーカルも加わると、
初期のようなフォーク・ゴシックメタルの感触も覗かせて、ここ数作ではメリハリのあるプログレッシブな展開が楽しめる。
叙情的なアコースティックパートと、ほどよいメタル感とがドラマティックな多重構造となっていて、振り幅のある構成は
OPETHのフォーク版という感じもあり、ラストは10分の大曲で、神秘的な空気と重厚さが同居した見事なサウンドを描く。
ドラマティック度・8 メタル度・7 幻想フォーク度・8 総合・8 
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Encorion 「Facing History and Ourselves」
オランダのフォークメタル、エンコリオンの2010年作
女性ヴァイオリン奏者を含む5人編成で、ヘヴィなギターに低音デスヴォイスを乗せた武骨な荒々しさに、
随所にヴァイオリンの音色が鳴り響く、どこかミステリアスなフォークメタルサウンド。
スカスカの音質がいかにも自主制作っぽいのだが、そこが辺境臭い味わいにもなっていて、
ときおりクサメロを奏でるギターもなかなかよろしい。適度に勇壮なヴァイキング風味もありつつ、
優雅なヴァイオリンの響きとともに、激しすぎない聴きやすさがポイントかもしれない。
ドラマティック度・・7 フォーキー度・・7 辺境度・・8 総合・・7.5
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Encorion 「Our Pagan Hearts Reborn」
オランダのフォークメタル、エンコリオンの2013年作
艶やかなヴァイオリンが鳴り響き、メタリックなギターとダミ声ヴォーカルを乗せたサウンドで、
随所に激しい疾走感もある。勇壮なコーラスがエピックな世界観を描き出し、
ヴァイオリンとホイッスルの音色が優雅に響き渡る。前作に比べて音質も向上したことで、
サウンドそのものに説得力が加わり、重厚でダイナミックな聴き心地となった。
アコースティックなパートも含めてフォーキーな部分の旋律も魅力的になったことで、
メタリックなヘヴィさとのコントラストがよりくっきりとして、幻想的フォークメタルの力作に仕上がっている。
ドラマティック度・・8 フォーキー度・・7 辺境度・・8 総合・・8
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ENSIFERUM
フィンランドのヴァイキングメタルバンド、エンシフェルムの1st。2001作
トラッド的な北欧メロディを疾走メロデスに融合させた、スピード系ヴァイキングメタル。
ツインギターのメロディアスなバックに、キーボードも若干加わり、音に厚みのある疾走サウンドだ。
デス的な暗黒さはほとんど無く、ジャーマンクサメタル系のリスナーなら喜んで聴けるだろう。
勇壮な野郎コーラスも曲を盛り上げ、勇ましい戦士たちの世界へ誘われる。
ドラマティック度・・8 疾走度・・8 ヴァイキング度・・8 総合・・8 ◆メタル名盤特選入り
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ENSIFERUM「IRON」
フィンランドのヴァイキングメタルバンド、エンシフェルムの2nd。2004作
激しく疾走しつつフォーキーなクサメロを撒き散らすという、基本は1stの延長線上の作りだが、
今回はよりスタイリッシュになり、暴虐さをやや抑え気味に楽曲がすっきりとしたように思える。
ギターのフレーズにはトラッド・フォークからの色が強く、土着メロが好きなファンには嬉しいかぎり。
女性奏者の奏でるきらびやかなシンセの音色もサウンドに華やかな彩りを添えている。
日本盤ボーナスにはMETALLICAの“BATTERY”のカヴァーを収録していて、これがなかなか格好いい。
尚、このアルバムを最後にリーダーでVoのヤリがWINTERSUNに専念するために脱退している。
メロディアス度・・8 暴虐度・・7 ヴァイキング度・・7 総合・・8
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ENSIFERUM「10th Annibersary Live」
フィンランドのヴァイキングメタルバンド、エンシフェルムのライブDVD。2006作
バンド結成10周年記念に行われた、母国ヘルシンキでのライブを収録。
ヤリ脱退後に加入したNORTHERのPetri Lindroosを含めて、フロントに立つ三人は皆上半身裸。
ほっそりとした美形のペトリ青年はヴァイキングというよりは、むしろ貴公子のようだが、
ギターを弾きながら勇ましく歌う様は、すでにこのバンドの顔になりつつあるようだ。
紅一点の女性Key奏者も、淡々と弾きながらもヘドバンをかますなど、なかなか頑張っている。
フォーキーなメロディを乗せて疾走するサウンドは、この手のバンドの中でも聴きやすく、
歌はデス声であるが重苦しさはないので、案外普通のメロスピファンにもアピールしそうだ。
途中、ゲストの女性Voを迎えてフィンランドのトラッド曲を演奏したり、(これがなかなかはまっている)
さらには同郷のAMORPHISのVoをゲストに迎えて曲をカヴァーするなど、ファンなら楽しめる内容だ。
ヴァィキング度・・7 ライブ映像・・7 ライブ演奏・・8 総合・・8
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ENSIFERUM「Victory Songs」
フィンランドのヴァイキングメタルバンド、エンシフェルムの3rd。2007年作
フロントマンであったヤリが脱退し、NORTERのペトリが加入しての初めてのアルバムとなる。
ファンの心配をよそに、サウンドのクオリティはしっかりと保たれており、
フォーキーな叙情的メロティを乗せて疾走するスタイルは、より聴きやすくなっている。
1stにおける土着性の高さに比べて、やや北欧メロデス風の綺麗さが前に出ているので
初期のファンからすると多少すっきりしすぎる音に思えるかもしれないが、
より一般的なファンにアピールするという点では、このくらいでよいのかもしれない。
今やヴァイキングメタル、フォークメタル大国になったフィンランドであるが、その中でも
メロディアスに疾走する部分での質の高さでは、彼らがひとつ抜けているといってもよいだろう。
メロディアス度・・8 疾走度・・8 勇壮度・・7 総合・・8
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ENSIFERUM「From Afar」
フィンランドのヴァイキングメタルバンド、エンシフェルムの4th。2009作
デビュー作から質の高い疾走ヴァイキングメタルを聴かせてくれていたこのバンド、
今作も前作同様に、フォーキーなメロディを乗せて華麗に疾走する好アルバム。
美しいシンセアレンジも含めて、ずいぶんとスタイリッシュで綺麗になっているが、
個人的にはヤリ脱退後の作品は、無骨な土着性が薄れてしまっていまひとつな感がある。
本作もヴァイキングというよりは、シンフォニックなメロデスという作風といってよいだろう。
エピックな雰囲気で疾走するメロスピという感じで、初心者にも安心して楽しめる出来だ。
メロディアス度・・8 疾走度・・8 ヴァイキング度・・7 総合・・8
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Ensiferum「Unsung Heroes
フィンランドのヴァイキングメタル、エンシフェルム2012年作
2001年のデビューから高品質な疾走型ヴァイキングメタルを作り続けるこのバンド、、
5作目となる本作も期待通りの出来ばえだ。シンフォニックといってもよいイントロに続き、
三連リズムの勇壮なサウンドが炸裂、荒々しいヴォーカルとギターの奏でる土着的フレーズに
女性シンセ奏者の奏でる美麗なシンセワークが合わさり、じつに重厚な聴き心地である。
ギターは随所ににメロディックなフレーズを折り込み、勇壮なコーラスがエピックな高揚感をあおる。
女性ヴォーカルで聴かせるフォーキーなナンバーや、ラストの大曲ではプログレッシブな展開が圧巻。
疾走感はやや抑えめながら、音の力強さと雄大なスケール感が合わさったドラマティックな傑作だ。
ドラマティック度・・8 ヴァイキング度・・8 フィンラン度・・8 総合・・8.5
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Ensiferum 「One Man Army」
フィンランドのヴァイキングメタル、エンシフェルムの2015年作
2001年にデビュー、キャリア15年を数える、MOONSORROWとともにヴァイキングメタルの代表格。
6作目となる本作も、エピックでフォーキーな雰囲気のイントロからして期待させるが、
曲が始まるとダミ声ヴォーカルを乗せて激しく疾走する、正統派のヴァイキングメタルが炸裂。
女性シンセ奏者による美麗なアレンジとフォーキーで土着的なメロディをまじえつつ、
クサメロ過ぎずシンフォニック過ぎないという硬派さを保った聴き心地は、さすがの説得力である。
随所に勇壮なコーラスが楽曲を盛り上げる、重厚かつドラマティックなスケール感も素晴らしい。
アルバム後半の、2パートに分かれた15分に及ぶ大曲も圧巻だ。またもや最高傑作更新か。
ドラマティック度・・8 重厚度・・8 勇壮度・・8 総合・・8.5
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Ensiferum 「Two Paths」
フィンランドのヴァイキングメタル、エンシフェルムの2017年作
2001年にデビュー、MOONSORROWらとともに北欧ヴァイキングメタルを代表するバンド。
7作目となる本作も、壮麗なイントロからして、エピックなスケール感を漂わせ、クサメロのギターが加わり、
ダミ声ヴォーカルを乗せた武骨さと勇壮なコーラスとともに、重厚なヴァイキングメタルが広がってゆく。
女性アコーディオン奏者の奏でるフォーキーなメロディも取り入れながら、北欧らしいペイガンな神秘性と
激しくもパワフルなノリにメロディックなフックを同居させたアレンジは、さすがベテランの説得力である。
一方では、壮麗に疾走するナンバーなどは、Equilibriumにも通じるシンフォニックなメロスピ感触で楽しめる。
女性ヴォーカルをフロントにしたフォーキーなナンバーなど、メリハリある構成で最後まで捨て曲なしの傑作です。
ドラマティック度・・8 ヴァイキング度・・8 重厚度・・9 総合・・8.5 
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Ensiferum 「Thalassic」
フィンランドのヴァイキングメタル、エンシフェルムの2020年作
2001年にデビュー、本作は8作目となる。アコースティックギターに壮麗なオーケストレーションを加えたイントロから、
物語の始まりを予感させるが、メロディックなギターとともに疾走する2曲目は、激しくもフォーキーな牧歌性が交差する、
まさにペイガン・メロデスというサウンド。随所にクリーンヴォーカルも取り入れた正統派メロパワ風味も覗かせつつ、
楽曲ごとに神話や伝説をテーマに、オーケストラルなシンフォニック性とペイガンな勇壮さが合わさったドラマティックな聴き心地。
ヴァイキングメタルとしてのディープな世界観という点では、いくぶん薄まった感じもあるが、その分、より多くのリスナーに
楽しめるスタイルにはなったと思う。8分を超えるラスト曲は、シンフォニック・ペイガンメタルの本領発揮というところ。
ドラマティック度・・8 フォーキー度・・7 勇壮度・・8 総合・・8 
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EQUILIBRIUM「TURIS FRATYR」
ドイツのシンフォニック・ヴァイキングメタルバンド、エクリブリウムの1st。2005年作
フォーキーなメロディを乗せて壮麗なキーボードで疾走、壮麗で派手派手しいサウンドと、
ヴァイキング的な勇壮さが一体になった、ある意味「やりすぎ系ペイガン」メタルのひとつ。
このインパクトはかなりのものだ。ヴァイキングメタルというにはキーボードに頼りすぎている気もするし
サウンド的にもギターリフの重要度が低くなっている点で、華麗なシンフォニック性は耳心地よいが
土着的な無骨さに欠けるきらいもある。言うなれば「シンフォニックなメロスピ、ヴァイキング風味」といったところ。
とにかく「シンフォニックかつ大仰」なメタルを求める向きは必聴ですな。
シンフォニック度・・8 ヴァイキング度・・7 壮麗度・・9 総合・・8
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EQUILIBRIUMSagas
ドイツのシンフォニック・ヴァイキングメタルバンド、エクリブリウムの2nd。2008作
今作ものっけから、ドシンフォニックなイントロに胸踊る。一聴して、フォークメタルとしての本気度が増し、
それとともに前作の作り物めいたきらびやかさがそのまま壮麗なる世界観を構築する強固な音圧へと格上げされた印象。
BAL-SAGOTH級のシンフォニックなクサメロに、ときにRHAPSODY的な勇壮さと、FINNTROLLにも通じるフォーキーメロディが合わさって、
濃厚サウンドでたたみかける。美麗なシンセにアコーディオンの音色で疾走する様は、暴虐さよりもひたすらメロディックで、
むしろ愉快な雰囲気だ。ただこのバンドの場合、本物の土の香りというよりも、作られたファンタジー世界を思わせるので、
硬派なヴァイキングメタル好きにはあるいは軟弱にも聴こえるかもしれない。むしろフォーク風味のシンフォニックメタルとして聴くべきだろう。
ラストは16分の大曲で、全79分の濃密絵巻。ともかく素晴らしき力作であるに違いない。
シンフォニック度・・9 ヴァイキング度・・7 壮麗度・・9 総合・・8.5
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Equilibrium「Rekreatur」
ドイツのシンフォニック・ヴァイキングメタルバンド、エクリブリウムの2010年作
ヴァイキングメタルと呼ぶにはあまりにも壮麗なサウンドで、多くのリスナーを驚愕させたこのバンド、
濃密な傑作であった前作「Sagas」に続く本作ではドラマーとシンガーが交代しているが、
シンフォニックなイントロの大仰さからもう、すでに変わらぬエクリブ節が全開である。
美麗なシンセ、大仰なオーケストレーションとともに、新Voのよりグロウルなヴォイスを乗せてメロスピばりに疾走。
土着感はいくぶん薄らいではいるが、もともとがシンフォニックな方向に傾倒していた作風であるから問題はなし。
普通のメロデス、キラデスファンにも楽しめる。ラストの大曲も圧巻。ボーナスDiscのアコースティック曲では本編以上のトラッド要素を満喫できる。
シンフォニック度・・8 ヴァイキング度・・7 壮麗度・・8 総合・・8
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Equilibrium 「Waldschrein」
ドイツのシンフォニック・ペイガンメタル、エクリブリウムの2013年作。邦題「神碧の社」
新曲に別バージョン、未発曲、カヴァーなどを収録した、ボーナスを入れて5曲入りのEP。
4th「Erdentempel」にも収録されるタイトル曲は、フォーキーなクサメロを含んだギターに美麗なシンセを重ね、
ダミ声ヴォーカルを乗せて華麗に疾走する、シンフォニック・メロスピフォークメタルという聴き心地。
2曲目は1st「Turis Fratyr」収録の別バージョン。ミドルテンポの勇壮なヴァイング・メタルナンバー。
未発曲もメロスピ的な疾走感もある壮麗なナンバーで、クサメロ具合も含めて普通に出来がよい。
ゲーム音楽のカヴアー曲は、短いナンバーながらシンフォニックなインストが楽しめる。
シンフォニック度・・8 ペイガン度・・7 壮麗度・・8 総合・・7.5
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Equilibrium 「Erdentempel」
ドイツのシンフォニック・ヴァイキングメタル、エクリブリウムの2014年作
フルアルバムとしては4作目となる本作も、大仰なイントロから始まり、美麗なシンセアレンジとともに疾走する、
シンフォニックでクサメロたっぷりのペイガンメタルが炸裂する。ヴォーカルはダミ声ながらも、
聴き心地としては、フォーキーなメロディを乗せたメロスピ/シンフォメタルといってもほぼ差支えない
映画のような壮大さとエピックな世界観であるが、実写というよりはアニメ的というか、
重厚な神秘性とは反対の、壮麗なファンタジー性を描いているという点がこのバンドの特徴だろう。
いくぶんコミカルな楽曲やオーケストラルなシンフォニック性も含めて、むしろダミ声ヴォーカルが邪魔に聴こえることも。
シンフォニック度・・8 ペイガン度・・7 ファンタジック度・・9 総合・・8
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EQUILIBRIUM 「ARMAGEDDON」
ドイツのシンフォニック・ヴァイキングメタル、エクリブリウムの2016年作
2005年にデビュー、フルアルバムとしては本作で5作目となる。ドイツ語による語りの入ったイントロから、
オーケストレーションを含んだ壮麗なアレンジとともに、メロディックなギターと低音のダミ声ヴォーカルを乗せた、
大変シンフォニックなメタルサウンドが広がってゆく。ペイガン/ヴァイキング的な土着的な雰囲気も感じさせつつ、
あくまで美麗な感触なので、ヴォーカルを除けば一般のメロパワ&シンフォニックメタルファンにも楽しめそう。
TURISAS的でもあるエピックな勇壮さも覗かせつつ、全体的には綺麗に作られたモダンなシンフォメタル感が強い。
きらびやかで大仰なメタルが好きな方にはもってこいの力作。限定盤ボーナスDiscにはインストバージョンを収録。
シンフォニック度・・8 ヴァイキング度・・7 壮麗度・・9 総合・・8 
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Equilibrium 「Renegades」
ドイツのシンフォニック・ペイガンメタル、エクリブリウムの2019年作
2005年にデビュー、6作目の本作は、新たに女性シンセ奏者を加えた6人編成となった。
硬質なギターリフにモダンなシンセアレンジを重ね、ダミ声ヴォーカルを乗せたサウンドは、
エレクトロなビート感とペイガンメタルの融合というスタイルで、初期のファンは面食らうかもしれない。
ノーマルヴォーカルで聴かせる正統派メロパワ的な部分と、ダミ声入りのアグレッシブな要素が合わさって、
きらびやかなシンセも含めて、むしろCHILDREN OF BODOMあたりに通じる雰囲気もあるかもしれない。
爽やかな疾走メロスピナンバーでは、デス声とのミスマッチ感が面白く、この路線もありかなと思わせる。
一方ではブルータルなデスメタルナンバーもあったりと、楽曲ごとの幅の広さも今作の特徴だろう。
フォーク要素は薄れたが、モダンでスタイリッシュに生まれ変わったバンドに、これからも注目してゆきたい。
シンフォニック度・・8 ペイガン度・・5 スタイリッシュ度・・8 総合・・8 
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EQUINOX 「SWITEZ」
ロシアのフォークメタル、イクイノクスの2015年作
美麗なシンセとバグパイプが鳴り響くイントロから、ほどよくヘヴィなギターにヴァイオリンを重ね、
伸びやかな女性ヴォーカルの母国語の歌声で聴かせる、キャッチーな味わいのフォークメタル。
随所に激しい疾走感もあって、ときにソプラノも使い分けるAlla嬢の凛とした歌唱力とともに、
パワーメタル的なフォークメタルという、ノリのよいサウンドが楽しめる。9分の大曲ではどっしりとした
シンフォニックメタル的な雰囲気もあり、アコースティックを含むギターのセンスもなかなかのもの。
表現力ある女性声が素晴らしい、パワフルなメタル感触と幻想的な土着性が同居した好作品だ。
メロディック度・・8 フォーキー度・・7 女性Vo度・・8 総合・・8
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Ereb Altor「By Honour」
スウェーデンのヴァイキングメタルユニット、エレブ・アルターの2008年作
美しいピアノのイントロから始まりつつ、ヘヴィなギターリフと母国語による朗々としたヴォーカルで、
ドゥーミィな薄暗さとともに土着的なサウンドを描いてゆく。アコースティカルな素朴さを含ませつつ
寒々しく荒涼としたもの淋しさを感じさせる作風は、ある意味エピカルで幻想的な聴き心地でもある。
土着的なドゥームメタル、あるいは本格派で硬派のペイガン系マニアにお勧めしたい作品だ。
ドラマティック度・・7 土着度・・8 辺境度・・8 総合・・7.5
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Ereb Altor「The End」
スウェーデンのヴァイキングメタルユニット、エレブ・アルターの2010年作
ギター、ベース、ドラム、シンセをこなすマルチプレイヤーとヴォーカルの2人組で、
ゆったりとしたドゥーム/ゴシック風味と、土着的な世界観が合わさったサウンド。
いわゆるヴァイキングメタル的なhxめのメロディというものはさほど聴かれず、
ヘヴィなギターリフをメインに、うっすらとしたシンセを重ねた重厚な質感は
エピック風味のドゥームメタルというべきか。幻想的な雰囲気はなかなかいい。
むしろ、この硬派な感触は、AMON AMARTHのドゥーム版というような感じもする。
ドラマティック度・・7 ヴァイキング度・・7 ドゥーム度・・8 総合・・7.5
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ereb altor「Gastrike」
スウェーデンのヴァイキング・ブラックメタル、エレブ・アルターの2012年作
3作目の本作は、土着的な旋律を含んだヘヴィなギターにダミ声ヴォーカルを乗せ、
激しい疾走感も盛り込みながら、これまで以上にドラマティックなサウンドを聴かせる。
どちらかというと硬派な感触であるが、うっすらとしたシンセアレンジを含んだミステリアスな世界観と、
ブラックメタルの禍々しさが合わさって、随所にペイガン的な勇壮なコーラスなども入るのがよい感じだ。
土着的なブラックメタルとしても楽しめる、重厚な迫力に包まれた聴き応えのある強力な1枚。
ドラマティック度・・8 重厚度・・8 ミステリアス度・・8 総合・・8



Ereb Altor 「Fire Meets Ice」
スウェーデンのヴァイキング・ブラックメタル、エレブ・アルターの2013年作
前作も重厚かつミステリアスな素晴らしい出来であったが、4作目の本作は美しいピアノによるイントロから、
ゆったりとしたギターリフが鳴り響き、MOONSORROWのような雄大なヴァイキングメタルが広がってゆく。
土着的な神秘性に包まれた北欧らしい空気感もよろしく、朗々としたヴォーカルを乗せじっくりと世界観を描き出す、
音の迫力と強度に惹きこまれる。スローからミドルテンポを中心にしつつ、随所にダミ声ヴォーカルを乗せた
プラックメタル的な激しさもあり、アコースティカルなパートも含む、メリハリのある楽曲アレンジも見事。
メロディアスすぎない硬派な作風と、ダークな叙情性がサウンドの説得力となっている。聴きごたえ十分の傑作だ。
ドラマティック度・・8 ヴァイキング度・・8 重厚度・・9 総合・・8 
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Ereb Altor 「Nattramn」
スウェーデンのヴァイキング・ブラックメタル、エレブ・アルターの2015年作
今作から専任ベースが加わって四人編成となり、いよいよバンドとしての体制が強固になった。
ミステリアスなイントロに続き、ツインギターの重厚なリフとうっすらとしたシンセが重なり、
北欧の空気を含んだ土着的なヴァイキングメタルが描かれる。どっしりとした幻想的な聴き心地は
MOONSORROWに通じる感触であるが、一方ではダミ声Voを乗せたブラックメタル要素も残していて、
ドゥーミィなヘヴィネスと暴虐性とが融合された迫力あるサウンドには磨きがかかっている。
勇壮な力強さと涼やかな叙情が一体となった、重厚なるドラマテイック・ヴァイキングメタル!
ドラマティック度・・8 ヴァイキング度・・8 重厚度・・9 総合・・8 
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Ereb Altor「Ulfven」
スウェーデンのヴァイキング・ブラックメタル、エレブ・アルターの2017年作
2008年にデビューし、本作がすでに6作目となる。女性声の語りによるイントロから始まり、
重厚なギターリフを乗せ、シンセによる土着的なメロディに朗々としたヴォーカルとともに、
迫力あるペイガンメタルを展開。適度なメロディアス性と甘すぎない叙情性を含みながら、
どっしりとした硬派な味わいは、MOONSORROWや、THYRFINGなどにも通じるだろう。
ダミ声ヴォーカルにトレモロのギターを乗せて激しく疾走する、ブラックメタル的な感触もありつつ、
北欧の寒々しい空気とペイガンな世界観にじっくりと浸れる。ラストは10分を超える大曲で、
キャリアのあるバンドらしい荘厳でシリアスなサウンドが味わえる、見事な力作だ。
ドラマティック度・・8 ヴァイキング度・・8 重厚度・・8 総合・・8
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EREB ALTOR 「JARTECKEN」
スウェーデンのヴァイキング・ブラックメタル、エレブ・アルターの2019年作
2008年にデビュー、本作は7作目となる。北欧のペイガンメタルとしてはすでに中堅の存在。
重厚なギターリフにうっすらとしたシンセ、ダミ声ヴォーカルを乗せた本格派のヴァイキングメタルで、
涼やかで土着的な空気感と、甘すぎないほどよい叙情を含んだ神秘的なサウンドが楽しめる。
ときにブラックメタル的なアグレッシブな疾走パートも覗かせつつ、ノーマル声を使ったヴォーカルや
勇壮なコーラスなどがかつてのBATHORYにも通じる、幻想的でペイガンな雰囲気をかもしだす。
全体的にメロディックな要素は薄いので、あくまで硬派なペイガンブラックが好きな方へお薦めだ。
ドラマティック度・・7 勇壮度・・8 重厚度・・8 総合・・8 
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EREB ALTOR 「VARGTIMMAN」
スウェーデンのペイガンメタル、エレブ・アルターの2022年作
2008年にデビュー、本作は9作目となる。土着的なギターの旋律に朗々としたヴォーカルを乗せ、北欧神話をテーマに
涼やかな空気に包まれた重厚なペイガンメタルを聴かせる。叙情的なギターの旋律にうっすらとしたシンセを重ねた、
いつになくメロディックな感触に、ダミ声ヴォーカルも加えて、ときにブラックメタル寄りの激しい疾走パートも覗かせる。
エピックな勇壮さと、ダークな神秘性に包まれたサウンドは迫力充分で、どっしりとしたベテランらしい説得力をかもしだす。
武骨で不愛想なナンバーも本格派の証だろう。暗黒のヴァイキングメタル、ペイガンブラックメタルとしても見事な力作だ。
ドラマティック度・8 ペイガン度・8 重厚度・8 総合・8 
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FALCHION「Legacy of Heathens」
フィンランドのヴァイキングメタルバンド、ファルシオンの2005作
三拍子系の楽曲とギターリフによる民謡メロディ、そしてダミ声ヴォーカル、
というお約束のヴァイキングメタルサウンドは正統派でやや定型的。MITHOTYN
THYRFING
などにも通じる雰囲気がありつつ、メロデス風に疾走する部分はENSIFELM的か。
本格派というには説得力がもうひとつだし、キラキラ系でもないので地味な印象はぬぐえないが、
この手のフォーキーメロ入りメタルが好きな方ならそこそこ楽しめるだろう。
メロディアス度・・7 ヴァイキング度・・7 新鮮度・・7 総合・・7


FALCONER
MITHOTYNのGによるスウェーデンのヴァイキングメタルバンド、ファルコナーの1st。2001作。
MITHOTYNの1stをさらに一般よりに聴きやすくしたサウンドで、デス声でなくノーマルな歌声なので、
一聴くしてただの正統派寄りのメタルにも聞こえるが、やはり北欧的な三拍子系のメロディなどには
トラッド的な牧歌性が垣間見える。もう少しこうしたトラッド的な要素を増してもらいたい気がするが、
今のままでも十分面白みはある。MANOWARなどと同様、古臭いはずの音なのに意外と心地よい。
メロディアス度・・7 正統派度・・8 ヴァイキング度・・6 総合・・8
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FALCONER「CHAPTERS FROM A VALE FORLORN」
スウェーデンのヴァイキングメタルバンド、ファルコナーの2nd。2002作
デス声ではなくノーマル声の聴きやすいヴァイキングメタルとして、1stはなかなかの出来だった。
続くこの2ndも同路線。ギターのみによるシンプルな音像ながらメロディは土着的で人懐こく、
マイルドな声質のヴォーカルも、この音楽にはよくマッチしている。
トラッド音階のメロディは疲れた耳にも優しく、疾走してもけっしてやかましくならないのがよろしい。
キーボードキラキラのクラシカルなメロスピが増える中、こうしたバンドは貴重な存在だと思う。
メロディアス度・・8 ヴァイキング度・・7 マイル度・・9 総合・・8
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FALCONER「THE SCEPTRE OF DECEPTION」
スウェーデンのヴァイキングメタルバンド、ファルコナーの3rd。2003作
今作からVoが変わり、全体としてクセがなくなりスッキリとした雰囲気になっている。
ギターの奏でるトラッド音階のリフは相変わらずなかなか効果的だし、
疾走しながらもトゲトゲしくならないマイルドさをもったサウンドは好感が持てるが
完成度としては前2作から進歩していない。全体的に音が一本調子なのもつらい。
メロディアス度・・7 トラッ度・・7 楽曲・・7 総合・・7.5
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FALCONER 「GRIME vs. GRANDEUR」
スウェーデンのヴァイキングメタルバンド、ファルコナーの4th。2005年作
1st、2ndほどの新鮮さはないものの、ぐっと聴きやすくやや無骨なメタルサウンドに
北欧のフォーキーなメロディを融合した彼らの個性はしっかり発揮されていて、
昨今流行りのキラキラ系ではなく、ギターリフのみで土着性を表現しているところは好感が持てる。
しっかりとメタル魂を持ったヴァイキング野郎たち。男臭くてよろしい。正統派メタルとしての格好良さもある。
メロディアス度・・7 ヴァイキング度・・7 メタル度・・8 総合・・7.5
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FALCONER「NORTHWIND」
スウェーデンのヴァイキングメタルバンド、ファルコナーの5th。2006作
今作では初代のVoであったマティアス・ブラッドが復帰し、サウンドには初期のマイルドさが戻って
前作のメタリックな作風に比べるとわらかな質感になった気がする。初心者には聴きやすい音であるが、
楽曲の魅力の点では、やはり1st、2ndを上回ってはおらず、やや中途半端なもどかしさが残る。
メロディアス度・・7 フォーキー度・・7 マイル度・・8 総合・・7.5
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FALCONERAmong Beggars and Thieves
スウェーデンのヴァイキングメタルバンド、ファルコナーの6th。2008年作
本作はいきなりのメロスピ風疾走サウンドに驚くが、マイルドな声質のヴォーカルと、
適度なトラッド感覚を感じさせるメロディで聴かせる、独自のサウンドは健在だ。
温かみのあるフォーキーでファンタジックな質感は耳に心地よく、いくぶんメロパワ的な普遍性を増しつつも、
母国語で歌われる土着的なナンバーやかつてのMITHOTYNを思わせるようなヴァイキングメタル曲もあり、
ここ数作の中では一番充実したアルバムといってもよいだろう。
メロディアス度・・8 フォーキー度・・8 メロパワ度・・8 総合・・8
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FALCONER「Armod」
スウェーデンのヴァイキングパワーメタル、ファルコナーの2011年作
元MITHOTYNの…などという呼称はもう不要だろう、すでに10年目にして7作目となる。
いつになくザクザクとしたヘヴィなギターリフで、土着的なメロディを奏でるサウンドは
基本的にはデビュー時から不変。前々作から復帰したマティアス・ブラッドのマイルドな歌声と
女性コーラスも含んだ牧歌性で、メリハリのある楽曲アレンジがじつにドラマティックだ。
北欧の風を感じさせるトラッド的な叙情とメタルとしてのパワフルさを両立させた力作である。
メロディアス度・・8 重厚度・・8 北欧叙情度・・8 総合・・8
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FALCONER 「Black Moon Rising」
スウェーデンのヴァイキングパワーメタル、ファルコナーの2014年作
元MITHOTYNのメンバーによるこのバンドも、本作ですでに8作目となる。
正統派メタル的なパワフルな疾走感にマティアス・ブラッドのマイルドな歌声を乗せ、
土着的な旋律を織り交ぜた、これぞ北欧エピック・パワーメタルというサウンドである。
自体に流されないあくまでアナログ的な耳心地もよいですね。安心して楽しめる傑作。
メロディック度・・8 正統派度・・8 ヴァイキング度・・7 総合・・8
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Falconer 「From A Dying Ember」
スウェーデンのヴァイキングメタル、ファルコナーの2020年作
2001年にデビュー、ヴァイキング・パワーメタルの元祖というべきバンドの、6年ぶりとなる通算9作目。
メロディックなギターにマティアス・ブラッドの朗々とした歌声を乗せた、勇壮で土着的なサウンドは健在。
今作ではオルガンなどを使ったアレンジや、ギターリフにもオールドなメタル感触も覗かせていて、
トラディショナルメタル的にも楽しめるかもしれない。キャッチーな疾走ナンバーなども優雅な聴き心地で、
アコースティックパートなども含めて、ほどよいダサさが牧歌的な味わいになっており、激しすぎずヘヴィ過ぎずという
なかなか絶妙の作風である。フォーキーなクサメロ感もいいあんばいで、バンドとしての成熟を感じさせる力作だ。
メロディック度・8 ヴァイキング度・7 北欧度・8 総合・8 
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Falkenbach「Ok Nefna Tysbar Ty」
ドイツのフォークメタルバンド、ファルケンバックの3rd。2003作
シンフォニックなシンセに導かれた、幻想的な雰囲気の楽曲にフルートの音色とマイルドなヴォーカルの歌声。
ブラックメタル風のダミ声も入って来るが、曲は激しく疾走することはなく
メタル的な無骨さよりは、むしろ薄暗い牧歌性というべきやわらかさがある。
曲が長い割りには派手な展開はあまりないので、気の短い人には向かないが、
ジャケも含めて幻想的世界観の強度が強いのが、とても私好みのサウンドだ。
ドラマティック度・・7 フォーキー度・・7 幻想度・・9 総合・・8
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Falkenbach「Heralding the Fireblade」
ドイツのペイガン・フォークメタルバンド、ファルケンバックの4th。2005作
波の音に重なるシンセによるイントロから、もうその世界に引き込まれる。
前作同様、マイルドな歌声、フルート、シンセが牧歌的な土着性とともに
幻想的な世界観を描き出す。激しくもない、暗くもない、派手さもない音ながら
フォークメタルとしての強い説得力をともなっているのがじつに見事である。
今作では疾走するパートも入ってきたり、ときおりギターが煽情的なフレーズを奏でたりと
楽曲にはいくぶんメリハリが加わったことで、作品としての完成度も増している。
ドラマティック度・・8 フォーキー度・・7 幻想度・・9 総合・・8
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Falkenbach「Tiurida」
ドイツのフォークメタルバンド、ファルケンバックの2011年作
これまでも幻想的なサウンドで我々を魅了してきたこのバンドの5年ぶりとなる5作目で、
ドイツ語の歌声で聴かせる相変わらず牧歌的なヴァイキング/フォークメタルを聴かせる。
中世を思わせるような世界観と、土臭さのただようやわらかなメロディを乗せ、
スリリングさのないゆったりとした楽曲は、おおらかでのんびりとした聴き心地だ。
気の短いリスナーには合わないが、MOONSORROWなどが好きな方なら気に入るはず。
ドラマティック度・・7 フォーキー度・・8 ヴァイキング度・・8 総合・・8
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Falkenbach「Asa」
ドイツのフォークメタルバンド、ファルケンバックの2013年作
ペイガンフォークメタルとしてはすでに中堅のキャリアをもつこのバンド、6作目となる本作も、
うっすらとしたシンセアレンジに朗々としたヴォーカルを乗せ幻想的な世界観を描き出す。
じわじわとそのサウンドに引き込まれるような、神秘的でゆったりとした聴き心地から、
ときにペイガンブラック的な激しいブラスト疾走も含んだ、メリハリのある構築力も魅力。
牧歌的なフォーク感触を中世を思わせる暗がりで包み込んだというような雰囲気は、
昨今の派手なペイガン系バンドとは一線を画す。どっしりとした説得力のある力作である。
ドラマティック度・・8 フォーキー度・・7 幻想度・・8 総合・・8
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Fangorn 「Where the Tales Live On」
ロシアのフォークメタル、ファンゴルンの2012年作
ファンタジックな世界観にエピックな雰囲気を漂わせた、シンフォニック・フォークメタル。
美麗なシンセアレンジとクサメロ属性のフォークメロディがなかなか耳に心地よく、
ダミ声&ノーマル声のヴォーカルとともに、疾走する部分はむしろメロスピ的でもある。
英語で歌われる曲が多いので辺境臭さはさほどはないが、それがかえって物足りないというか、
エピックにするならより大仰にしてもらいたい気がする。雰囲気や世界観は好きなので今後に期待。
メロディック度・・8 フォーキー度・・7 辺境度・・7 総合・・7.5
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FEDRESPOR「TID」
ノルウェーのフォークユニット、フェドレスパーの2018年作
アコースティックギターにピアノやシンセなどを重ね、詠唱のような歌声を乗せた、
神秘的な聴き心地のトラッド・フォークサウンド。北欧らしい涼やかな土着性を、
スタイリッシュなセンスで昇華していて、淡々とした静寂感の中に優雅なものを感じさせる。
全体的にもダークな妖しさよりも、優しい牧歌性に包まれた世界観で、ゆったりと楽しめる。
一曲ごとの濃密さの点では物足りなさもあるが、夢見心地でまどろめる北欧ネオフォークです。
アコースティック度・・8 幻想度・・8 北欧度・・8 総合・・7.5
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Fejd「Eld
スウェーデンのフォークメタルバンド、フェイドのミニアルバム2006年作
先に2枚のフルアルバムを聴いて、その素晴らしき本格派トラッドメタルに感動したのだが、
おそらくこれがデビューミニ。艶やかなフィドルの音色と母国語による歌声で、
土着的で素朴な味わいのあるフォークメタルである。後のアルバムに比べると
やや淡白な感触であるが、ともかく本物の北欧トラッドの素養がなくてはこんな音は作れない。
まずはド傑作アルバム「STORM」Eifur」をぜひ聴いて欲しい。
ドラマティック度・・7 フォーキー度・・8 北欧トラッ度・・9 総合・・8
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FEJD「Storm」
スウェーデンのフォークメタルバンド、フェイドの2009年作
のっけから幻想的な縦笛の音色に引き込まれるが、ブズーキやバグパイプ、
ハーディガーディ、ニッケルハルパなどを使用した、これは本格派のトラッドメタルだ。
母国語による歌声と伝承的な北欧トラッドの質感が合わさったサウンドは雰囲気たっぷりで、
まるで吟遊詩人の歌うサーガを聴いているような気分に浸れること請け合い。
フィドルにも似たハーディガーディ、ニッケルハルパの素朴な音色に耳を傾けると、
寒々しい北欧の森を吹き抜ける風を感じられるようだ。ゲストによる女性コーラスなども美しく、
幻想的な土着性をたっぷり楽しめる見事なフォークメタル傑作だ。マイスペでぜひチェック!
メロディアス度・・8 メタル度・・7 本格トラッ度・・9 総合・・8.5
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FEJDEifur」
スウェーデンのフォークメタルバンド、フェイドの2010年作
前作「Storm」が本格派の北欧トラッドメタルとして大変な傑作であったが、
本作も、ブズーキやバグパイプ、ハーディガーディ、ニッケルハルパなど
古楽器の素朴な音色をメタルサウンドに巧みに融合させた力作に仕上がっている。
サーガを語るかのような母国語による歌声と、フォーキーな土の香り、
北欧の風を運んでくるような心地よい音である。メタル的な武骨さは薄いので
むしろプログレ/トラッドのリスナーにも勧められるかもしれない。これも見事な傑作。
ドラマティック度・・8 メタル度・・7 本格トラッ度・・9 総合・・8.5
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FEJD「Nagelfar」
スウェーデンのフォークメタル、フェイドの2013年作
過去2作はかなりの出来のアルバムであったが、3作目の本作も素晴らしい。
ブズーキやバグパイプ、ハーディガーディ、ニッケルハルパといった、
アコースティカルな楽器が奏でる土着的な旋律が見事にメタルサウンドと融合、
朗々とした母国語の歌声とともに、素朴で神秘的なフォークメタルが広がってゆく。
マイルドな耳心地でありながら、寒々しくも雄大な北欧の空気が伝わってくるようだ。
これぞ、本物の北欧トラッド系フォークメタル!じつに見事な傑作です。
ドラマティック度・・8 フォーキー度・・8 北欧度・・9 総合・・8.5
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Fejd 「Trolldom」
スウェーデンのフォークメタル、フェイドの2016年作
本格派のトラッドを取り入れたサウンドが過去4作も素晴らしい出来であったが、5作目となる本作も
北欧らしい土着的な旋律を取り入れた、重厚なフォークメタルが炸裂。母国語のヴォーカルと
メタリックなギターリフに、うっすらとしたシンセアレンジでエピックかつ幻想的なサウンドを描いてゆく。
今作でも、ブズーキやバグパイプ、ハーディガーディ、ニッケルハルパといった、古楽器を使用しつつ
涼やかな土着性と素朴なフォーク要素を、エピックなドラマ性にスムーズに融合させている。
女性ヴォーカル入りのナンバーなども優雅な聴き心地で、適度なノリも含んだ激しさと
ゆったりとした牧歌的な感触が合わさった、バランスのとれた作品に仕上がっている。
ドラマティック度・・8 エピック度・・8 北欧度・・9 総合・・8 
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Fenrir 「Legends Of The Grail」
フランスのフォークメタル、フェンリルの2019年作
2007年にデビュー、フルアルバムとしては2作目となる。艶やかなヴァイオリンが鳴り響き、美しい女性ヴォーカルの歌声を乗せた、
幻想的なフォークメタルを聴かせる。ときに激しめの疾走パートも覗かせつつ、ギターはヘヴィ過ぎない耳心地で、
アコースティックパートもまじえて、ブズーキやリコーダーなどの素朴の音色とともに、ジャケのイメージのような
メディーヴァルな世界観を描いてゆく。曲のタイトルからアーサー王伝説をコンセプトにしているようで、
中世風のコスプレに身を包んだメンバー写真も含めて、ファンタジー好きのメタラーにも美味しいだろう。
ほどよくマイナーな空気感もヨーロピアンな幻想の香りを感じさせる。優美なフォークメタルが楽しめる逸品です。
ドラマティック度・・8 フォーキー度・・8 女性Vo度・・8 総合・・8
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Fferyllt 「Dance of Druids」
ロシアのフォークメタルバンド、フェリィルトの2009作
ケルティックなパイプの音色とギターが絡み、牧歌的なイントロ曲から
ダミ声ヴォーカルとフルートが入り、続いて女性ヴォーカルが加わると、
雰囲気としてはペイガンというよりはアイルランドのCRUACHANあたりに近いか。
女性Voが歌い上げる3曲目などは神秘的な感じがとてもよろしく、
フィドルやホイッスルの音色も上手く取り入れた4曲目あたりもなかなかのもの。
辺境的な薄暗さとケルト的な神秘性が合わさったフォークメタルの好作。
ラスト2曲はENSIFERUMELUVEITIEのカヴァーというのもマニアック!
メロディアス度・・8 ケルティック度・・8 辺境度・・8 総合・・7.5
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FFERYLLT 「Прорицание」
ロシアのフォークメタル、フェリールトの2012年作
前作は辺境的な神秘性がなかなか魅力的な作品であったが、
本作も女性ヴォーカルの母国語の歌声に低音デスヴォイスが絡み、
バグパイプやハーディガーディなどの土着的な音色が合わさった、
本格的なケルティック・ペイガンメタルが楽しめる。北欧神話をテーマにした壮大なドラマ性と、
ヴァイオリンやチェロなどのストリングスも含んだシンフォニックな美麗さも素晴らしい。
適度に激しさもある楽曲は壮麗にして重厚な聴き心地で、見事な力作に仕上がっている。
ドラマティック度・・8 フォーキー度・・8 辺境度・・8 総合・・8
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FFERYLLT 「Achanterez」
ロシアのフォークメタル、フェリールトの2015年作
前作はシンフォニックかつ重厚な力作だったが、3作目となる本作もケルティックなバグパイプの音色から始まり、
優美なホイッスルの音色にシンセが重なる幻想的なイントロから引き込まれる。美しい女性ヴォーカルの歌声に
迫力あるデスヴォイスが絡み、ほどよいヘヴィさとシンフォニックな味わいの美麗なペイガンメタルを展開する。
ストリングスによるアレンジなども含めて、スケール感のあるドラマ性も感じさせ、パイプやホイッスルによる
本格派のフォーク要素が見事に融合されたクオリティの高さは、この手のバンドの中では屈指といってよい。
男性デス声メインの勇壮な重厚さと、女性声メインの優美さとのコントラストも含めて、聴きごたえのある力作だ。
ドラマティック度・・8 フォーキー度・・8 女性Vo度・・8 総合・・8 
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FIMBULVET 「HEIDENHERZ」
ドイツのペイガン・ブラックメタル、フィンバルヴェットの2016年作
2006年作「Ewiger Winter」 と2008年作「Der Ruf In Goldene Hallen」をカップリング、ボーナスを加えた2枚組。
フォーキーなギターフレーズにダミ声ヴォーカルを乗せて激しく疾走するペイガンなブラックメタルで、
2006年作は、ややスカスカ感のあるプリミティブなサウンドながら、ゲルマンらしい勇壮さを含んだ聴き心地。
ドイツ語によるダミ声ヴォーカルも独特の味わいで、ほどよく武骨なギターのクサメロ感とともに、
随所にアコースティックパートやノーマル声も含みつつ、ドカドカとしたドラムがB級臭さをかもしだす。
2008年作になると、サウンドにスケール感が加わっていて、激しく疾走パートを含む緩急ある展開力と、
ヴァイキングブラックとしての重厚な迫力に包まれている。ボーナスのリレコーディングVerも良いですね。
ドラマティック度・・7 ペイガン度・・8 ゲルマン度・・8 総合・・7.5
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Finisterra「Kein Evoe Kein Requiem」
ドイツのフォークメタルバンド、フィニステッラの2002作
女性ヴォーカルに女性フィドル奏者、女性パイプ奏者を含む6人組で。
メタルというには軽く、ヘナチョコ気味のフォークメタルをやっている。
まったく迫力のないドラムの上に、ヨレ気味のギターが乗り、田舎臭いフィドルの音色とともに、
女性ヴォーカルのドイツ語の歌声が加わる。「バ~ビ~ロ~ン♪」の愉快さはある意味聴きもの。
全体的にやわらかみがあるフォーキーサウンドで、のんびりとしたパイプの音にもなごめます。
フォーキー度・・8 メタル度・・6 ヘナチョコ度・・8 総合・・7
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FINNTROLL「MIDNATTENS WIDUNDER」
フィンランドのフォークメタルバンド、フィントロールの1st。1999作
この1stの段階ではシンフォニックなヴァイキングメタルという印象で
2nd以降のやりすぎなまでのキャッチーな(?)ボルカメロディはまだない。
しかし、それでも聴き易いことに変わりはなく、キーボードの入った3拍子系の曲は
思わずゆったりと頭を振りたくなる(笑)ただ…全9曲30分は、ミニアルバム並みに短い。
メロディアス度・・8 暴虐度・・6 楽曲・・7 総合・・7.5
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FINNTROLL「JAKTENS TID」
フィンランドのフォークメタルバンド、フィントロールの2nd。2001作
二人のメンバーが酔いすぎて翌日スタジオで適当にジャムったことで始まったというこのバンド。
ヨーロッパの伝統古楽ポルカをデス/ブラックサウンドに導入している。
確かに曲を聴いていると、これはギャグなのか本気なのか少々迷う。
たぶん「本気のギャグ」なのだろうが、ポルカちっくなコロコロしたメロディ
が激速に疾走する様は、ある意味では圧巻といえなくもない。
歌がデス声なだけに、あっけらかんとした舞踏メロディとのギャップが激しい・・
シンフォニック度・・7 デスメタル度・・7 民族度・・8 総合・・7.5
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FINNTROLL「Visor Om Slutet」
フィンランドのフォークメタルバンド、フィントロールのアコースティックアルバム。
なにやら壮大なイントロで幕を開け、重々しいチェロの音色に太いヴォーカルの語り、
そこにシンセとアコーディオンも加わって、森の獣たちの宴のような世界観にうっとり(笑)
メタルギターが入って来ないので、純粋に愉快な土着音楽が繰り広げられますが、
ダミ声ヴォーカルやシンフォニックなシンセも入り、FINNTROLLらしさは充分に出ています。
むしろ彼らの持つファンタジーな世界観が満喫できて、自分は好きですね。
獣どもの陽気な叫びや手拍子、楽しげな笛とアコーディオンの音色に耳を傾けていると、
森の中でたき火を囲んで酒を飲み、踊り騒ぐ彼らの映像が頭に浮かんでくるようです。
SEの使い方なども含めて、映画的な作りはMOONSORROWにも通じる質感があります。
メタル度・・3 フォーキー度・・8 幻想度・・9 総合・・8
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FINNTROLL「NATTFODD」
フィンランドのフォークメタルバンド、フィントロールの3rd。2004作
北欧民謡である舞踏音楽ポルカをデス・ブラックサウンドと融合させるという
メンバー自身が酔った勢いで出したという無茶なアイデアを実践してしまったこのバンド。
サウンドはこの3rdにしてますますシンフォニックになり、ひどく完成度が高まっている(笑)
曲の途中で唐突に現れるコミカルとさえいえる陽気なメロディの上にダミ声ヴォーカルが乗るさまは、
初めてこのバンドを聴く者にはかなりのインパクトだろう。今作ではポルカメロディのアレンジ、
シンフォニックな音の重ねにいっそうの説得力が感じられ非常に聴き易い…というか
正直心地よいまでのクオリティになっている。この一聴してギャグのようなサウンドに
「彼らの本気」が感じられたときこのバンドの音にハマっているアナタがいる違いない(笑)。
シンフォニック度・・8 暴虐度・・7 陽気で楽しいポルカ度・・9 総合・・8.5 ◆メタル名盤特選入り
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FINNTROLL「Ur Jordens Djup」
フィンランドのフォークメタルバンド、フィントロールの4th。2007作
飲んだくれの愉快な酔どれポルカメタルを標榜してきたこのバンドだが、
前作はシンフォニックなアレンジと音の説得力をまとった最高傑作であった。
なにやら映画的な雰囲気のイントロで幕を開ける今作は、フォーキーなメロディはそのままに、
全体的にシリアスな空気に包まれている。たとえばKORPIKLAANIあたりよりもヴァイキング的な勇壮さが強く
ポルカのメロディで疾走しながらも、しっかりとメタルとしての力強さがある。シンセによるアレンジも、
ときにMOONSORROWばりに壮麗で、フォーキーかつシンフォニックな要素と武骨で勇壮な世界観を両立させている。
メロディアス度・・7 フォーキー度・・8 勇壮度・・8 総合・・8.5
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FINNTROLL「Nifelvind」
フィンランドのフォークメタル、フィントロールの2010作
ポルカとメタルとの愉快な融合という無茶なサウンドでデビューしたこのバンドも、早5作目。
前作から強まってきた重厚なサウンドに、今作では2ndあたりの頃のポルカメロが蘇り
「アイヤイヤー」という愉快な掛け声とともに疾走、相変わらずの楽しさに嬉しくなります。
ヘヴィさと土着性のバランスもよく、フォークメタルとしての幻想的美も有していて
バンドとしての世界観の表現力も確実に高まってきています。やはり今回も傑作。
ドラマティック度・・8 フォーキー度・・8 愉快なポルカ度・・8 総合・・8
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FINNTROLL「Blodsvept」
フィンランドのフォークメタル、フィントロールの2013年作
1999年にデビューしてからこれが6作め。とくに3rd以降の完成度の高さは素晴らしかったが、
本作ではここ数作でのエピックさよりも、初期の頃の荒々しいポルカメタルに戻っている。
ヘヴィなリフにダミ声ヴォーカルが唸りを上げ、北欧の蛮族を思わせる重厚なサウンドとともに、
随所に美しいシンセアレンジや哀愁を漂わせたフォーキーな叙情も巧みに含ませている。
ファンタジックな幻想性と武骨な土着性を融合させた、バンドの本質に立ち返ったような力作だ。
ドラマティック度・・7 フォーキー度・・7 重厚度・・8 総合・・8
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FINNTROLL 「Natten Med De Levande Finntroll」
フィンランドのフォークメタル、フィントロールのライブ作品。2014年作
1999年にデビュー、KORPIKLAANIとともに北欧フォークメタルシーンを代表するバンド。
本作はオランダでの2008年のライブを収録した全19曲、78分という濃密な内容。
ヘヴィでメタリックなギターに愉快なポルカメロディを大胆に融合させたサウンドは、
ライブステージではラウドな音質も加わって、より激しく躍動的な勢いを感じさせる。
デスヴォイスも迫力たっぷりで、MOONSORROWのメンバーなどもいるだけあって、
ヴァイキングメタル的でもあるエピックで重厚な本格派の香りをまとわていてる。
ライブ演奏・・8 フォーキー度・・7 重厚度・・8 総合・・8  
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FINNTROLL 「VREDESVAVD」
フィンランドのフォークメタル、フィントロールの2020年作
1999年にデビュー、Korpiklaaniとともにフォークメタルの代表格で、本作は7年ぶりとなる8作目。
オーケストラルなイントロで幕を開け、ダミ声ヴォーカルを乗せて暴虐にブラスト疾走するブラックメタル風味と、
シンフォニックなアレンジに土着的な旋律が合わさった、アグレッシブなフォーク・デスメタルを聴かせる。
楽曲も3~4分前後が主体で、いつになくストレートで激しい作風であるが、シンセやヴァイオリンによる
フォーキーなメロディを随所に盛り込みつつ、エピックなコーラスや優雅さと重厚な迫力が同居したサウンドは、
ベテランらしい説得力に包まれている。シンフォニックなペイガンメタルとしても楽しめる見事な力作です。
ドラマティック度・8 フォーキー度・7 激しく重厚度・8 総合・8 
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Finsterforst 「Weltenkraft
ドイツのフォークメタルバンド、フィンスターフォルストの2007年作
アコーディオンの愉快な音色とダミ声ヴォーカルを乗せて疾走するサウンドで、
感触としてはポルカメタルとして話題になった頃のFINNTROLLなどを思わせる。
ときに激しいブラストも入るが、美麗なシンセも含めて初心者にも聴きやすい疾走型フォークメタルで、
哀愁を感じさせるアコーデイオンのメロディが良いですね。10分以上の大曲も含めて全77分という力作。
2ndではさらにエピック寄りの作風になるので、そちらもチェック。ボーナスのDisc2には2006年のEPを収録。
ドラマティック度・・7 疾走度・・8 フォーキー度・・8 総合・・8
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Finsterforst「Zum Tode Hin」
ドイツのフォークメタルバンド、フィンスターフォルストの2009年作
1stはアコーディオン入りで軽快に疾走する作風だったが、本作はぐっとエピックな質感が強まり、
全5曲ながら全てが10分以上、ラスト曲にいたっては20分という大作指向の作品だ。
アコーディオンの音色に重なるガナり声ヴォーカルは、FINNTROLL風味なのだが、
ツインギターにシンセが加わると、MOONSORROWあたりを思わせる重厚な質感になる。
アコースティカルなパートやブラックメタルばりの激しい疾走もあり、曲は長いのだがドラマティックで
幻想的な世界観にたっぷり浸ることができる。ゲストによるティンホイッスルの音色もいい感じだ。
メロディアス度・・8 フォーキー度・・8 エピック度・・8 総合・・8
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Finsterforst「Rastlos」
ドイツのフォークメタル、フィンスターフォルストの2012年作
アコーディオン入りのフォークメタルとして過去2作も高品質だったが、3作目めとなる本作は
ずいぶんと壮大なエピックメタル要素が増していて、10分以上の大曲をメインに重厚に聴かせる。
ヘヴィなギターリフにシンフォニックなアレンジが重なり、咆哮する低音デスヴォイスとともに
勇壮なコーラスなども含みながら、MOONSORROWなどを思わせる勇ましさと、
アコーディオンが鳴り響くフォーク要素が融合。ときに激しい疾走パートもあったりと、
長い曲でも確かなアレンジ力で聴き通せる。まさに壮大な力作というべき内容だ。
ドラマティック度・・9 フォーキー度・・8 壮大度・・9 総合・・8.5
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FINSTERFORST 「ZERFALL」
ドイツのペイガン・フォークメタル、フィンスターフォルストの2019年作
2007年にデビュー、本作は5作目となる。のっけから13分の大曲で、重厚なギターにうっすらとしたシンセを重ね、
迫力あるダミ声ヴォーカルとともに、荘厳なスケール感に包まれたサウンドを聴かせる。アコーディオンの音色が加わると、
ぐっとフォーク風味が増すが、全体的には勇壮なペイガンメタル感触が強く、涼やかで神秘的な空気感は、
MOONSORROWなどにも通じるだろう。随所に叙情的なギターの旋律やオーケストラルなアレンジも覗かせ、
ドイツ語による勇壮なコーラスや、ブラックメタルばりの激しい疾走パートなどもあって迫力もたっぷりだ。
ラストは36分という超大曲で、フォーキーなパートを含めた緩急ある展開で盛り上げる。全79という大変な力作デス。
ドラマティック度・・8 フォーキー度・・7 重厚度・・9 総合・・8.5 
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FIREBIRD「Soul Warming Rage(Душу греет ярость)」
ロシアのペイガン・シンフォニックメタル、ファイアバードの2011年作
クサメロのギターとダミ声のロシア語ヴォーカルを乗せて疾走するサウンドで、
ときおり女性ヴォーカルも加わって、クサシンフォニックな味わいがなかなかいい。
ペイガンなヴァイキング風味も一応はあるが、むしろエピックなファンタジー性で
軽めに聴かせるクサメタルといえる。ほとんどの曲が3分台とわりあいあっさりとしているのだが、
メロディアスなギターのフレーズにはにんまりで、B級の辺境シンフォメタルとして充分楽しめる出来だ。
シンフォニック度・・7 ペイガン度・・7 辺境度・・8 総合・・7.5


Folkearth 「A Nordic Poem」
多国籍のフォークメタルプロジェクト、フォークアースの2004年作
Yggdrasilのマグナス・ウォルハートを中心に、スウェーデン、ギリシャ、リトアニア、イギリス、スイス、オートスリアと
世界各国からメンバーが参加、バグパイプが鳴り響くイントロから、クサメロなギターにシンフォニックなシンセ、
ダミ声ヴォーカルを乗せて疾走する、幻想的なフォーク・ブラックメタルを聴かせる。ホイッスルやフィドル、
パイプの音色がフォーキーな旋律を奏でつつ、ほどよい激しさと疾走感に美麗なシンセアレンジ、ときに女性コーラスも加わって
ややこみりぎみの音質も幻想的な味わいになっている。優雅に楽しめる記念すべき1作目である。
幻想度・8 疾走度・8 フォーキー度・8 総合・7.5 

Folkearth 「By The Sword of My Father」
フォーク/ペイガンメタルプロジェクト、フォークアースの2作目。2006年作
世界中から集まった30名以上のメンバーによる大がかりなプロジェクトで、
3作目は日本盤も出たので、ファンの間では知名度も上がっただろう。
今作も土着的なフォークメロディを乗せてブラックメタル的に疾走しつつ、
田舎くささ満載の幻想的なペイガンメタルサウンドを聴かせてくれる。
女性コーラスを含めて、美しいシンセやフルート、ハープなどの音色もよろしく、
アコーディオンやフィドルとともに愉快に疾走するナンバーなどもあり、
曲ごとにバラつきはあるものの、総じてフォークメタル好きなら楽しめる内容だ。
メロディアス度・・8 ヴァイキング度・・7 フォーキー度・・8 総合・・7.5
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FOLKEARTH「Drakkars in the Myst」
フォーク/ペイガンメタルプロジェクト。フォークアースの2007年作。
世界中から集まった30名ものメンバーが参加したプロジェクト。これが3作目。
クサクサのギターリフを乗せて疾走するサウンドは、辺境的な雰囲気がぷんぷん。
シンセによるシンフォニックなアレンジもなかなかツボを押さえていて、曲間のSEや語りなどもエピックかつドラマティックな空気をかもしだす。
ギリシャ、スペイン、イタリアをはじめ、ベルギー、ドイツ、ロシア、スウェーデン、ノルウェーアメリカ他、多くの国から参加者がいるためか、
異国的な情緒がふんだんに感じられ、アコースティックギターやフルートなどの素朴な音色と、暴虐なデス声などが混濁して合わさり、
音質のラフさも手伝ってかそのB級的な迫力がなかなかたまらない。辺境ヴァイキングメタルマニアならきっと満足の一枚だろう。
ヴァイキング度・・8 暴虐度・・7 辺境ペイガン度・・10 総合・・7.5
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Folkearth 「Father of Victory」
世界規模のフォーク/ペイガンメタルプロジェクト、フォークアースの4作目。2007作
前作では日本盤も出て、コアなフォーキーメタル、ヴァイキングメタルファンから人気を博したが、
今作もアメリカ、イタリア、アランス、ギリシャを中心に、各国から20人のメンバーが参加し、
ヴァイオリンやフルート、チェロなどの音色に、ブラックメタル風のダミ声を乗せて疾走、
ひなびた感のあるローカルさと、ほどよいゆるさで聴かせるフォークメタルを展開している。
正直、前作ほどの幻想性やメロディの充実は感じられず、質的にはやや下がったか。
フォーキーなメロディにときおり女性ヴォーカルも入ってきて、嫌いではないのだが…
音の軽さや演奏力も含めて、やはりどう考えてもマニア向けの作品だ。
メロディアス度・・7 フォーキー度・・8 楽曲・・7 総合・・7
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Folkearth「Songs of Yore」
多国籍のフォークメタルプロジェクト、フォークアースの2008年作
本作はアコースティックアルバムで、やわらかなフルート、ハープの音色に女性ヴォーカルを乗せたイントロ曲から
優雅な美しさに包まれる。アコースティックギターのつまびきにアコーディオンの奏でるフォーキーなメロディ、
ソロでも活躍するHildr Valkyrie嬢の妖しい歌声とともに、神秘的なネオフォークサウンドが広がってゆく。
男性声によるナンバーもあるが、勇壮なメタル感触はなく、素朴な牧歌性に包まれていて、のんびりと味わえる。
艶やかなヴァイオリンや物悲しいチェロが鳴り響き、美しい女性声でしっとりと聴かせる
アコースティック度・9 メタル度・1 優雅で牧歌的度・8 総合・7.5
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Folkearth「Fatherland
フォーク/ペイガンメタルプロジェクト、フォークアースの6作目。2008年作
今作は7ヶ国11名のメンバーが参加し、相変わらず辺境的なフォークメタルを聴かせてくれる。
フィドルや笛の音などを響かせながら、曲によってはブラックメタル風味に疾走したりと、
曲ごとにバラツキがあるのも変わらず。女性声もけっこう入っていて、こもり気味の音質も含めて
幻想的な世界観が楽しめます。マニアックなペンガンメタラーはチェックしてください。
メロディアス度・・7 フォーキー度・・8 辺境度・・9 総合・・7.5
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Folkearth 「Rulers of the Sea」
フォーク/ペイガンメタルプロジェクト、フォークアースの2009年作
2004年に結成された多国籍のメンバーによるフォーク・メタルプロジェクトの7作目。
のっけから激しい疾走ナンバーで、牧歌的なホイッスルやフィドルの音色にダミ声ヴォーカルを乗せた
武骨なペイガン・フォークメタルが広がってゆく。辺境ぎみの幻想性と程よいクサメロ感も含んだ感触で、
中世のヴァイキングたちを描き出すような、荒削りのサウンドもまた魅力のひとつとなっている。
ギターのリフやフレーズなどがヨレ気味なところがいかにもマイナー臭いのだが、それもまあ辺境の味わいということで。
ときに女性ヴォーカルも加わった美しい叙情性も現れて、メリハリのあるドラマティックな聴き心地が楽しめる力作だ。
ドラマティック度・・8 フォーキー度・・8 辺境度・・9 総合・・7.5 
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FolkearthViking's Anthem
多国籍フォークメタルプロジェクト、フォークアースの2010年作
8作目となる本作も、土着的なメロディを乗せて聴かせるペイガン魂あふれるサウンドを展開、
ダミ声の男ヴォーカルにときに女性ヴォーカルの歌声も加わり、勇壮なコーラスとクサめのフレーズで
エピックな世界観を描いてゆく。以前の作品に比べると、サウンドがよりパワフルになっていて、
チェロやヴァイオリン、フルート、ホイッスル、リコーダーなどのフォーキー音色とともに
辺境的なフォークメタルが楽しめる。土着性と勇壮さを含んだ好作品だ。
ドラマティック度・・8 フォーキー度・・8 エピック度・・8 総合・・8
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ForlkearthSons of the North
多国籍フォークメタルプロジェクト、フォークアースの2011年作
すでに9作目となる今作は、のっけからメロブラ風に激しく疾走します。
もちろん、しっかりとフォーキーなメロディを盛り込んで土着性もたっぷり。
ヴァイオリンやホイッスルの音色とともに、クサメロのギターフレーズ、
それに女性ヴォーカルも参加していて、しっとりとした叙情パートもよろしいです。
全体的に勇壮なエピックな雰囲気が強く、濃密なアルバムになっています。
メロディアス度・・8 フォーキー度・・8 エピック度・・8 総合・・8
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FOLKEARTH「Minstrels By The River」
多国籍フォークメタルプロジェクト、フォークアースの2011年作
2004年に始まったこのプロジェクトも本作ですでに10作目となる。
本作はアコースティック主体の作品となっていて、鳴り響くフィドルやチェロに、リコーダーや
マンドリンの素朴な音色と女性ヴォーカルの歌声で、幻想的なネオフォークとして楽しめる。
メタル度は薄めながら、辺境的な神秘性は健在で、ゆったりと鑑賞できる好作品ですな。
アコースティック度・・9 メタル度・・1 神秘的度・・8 総合・・7.5
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Folkearth 「Valhalla Ascendant」
多国籍フォークメタルプロジェクト、フォークアースの2012年作
2004年に始まったプロジェクトで、本作は11作目。今作も、ギリシャ、モナコ、イタリア、フランス、スイス、ドイツ、ロシア
ポーランド、リトアニア、アルゼンチンなどから多数のメンバーが集結。牧歌的なホイッスルやアコーディオンの音色を乗せて
激しくブラスト疾走、低音デス声ヴォーカルに朗々としたコーラスを加えた、勇壮なペイガンメタルを聴かせる。
本作はわりとアグレッシブなメロデス風味の感触もあるが、随所にクサメロを奏でるギターもよい感じで、
ときに女性ヴォーカルも加わったりと、ほどよく辺境的なマイナー臭さも相変わらずよい味わいとなっている。
今作は、激しめのナンバーが多いので、ぺイガン・ブラックメタルが好きな方にも対応するかと。
ドラマティック度・・8 ペイガン度・・8 わりとアグレッシブ度・・8 総合・・8 
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Folkearth 「Balder's Lament」
多国籍フォークメタルプロジェクト、フォークアースの2014年作
2004年に始まったこのプロジェクトも、すでに10年をかぞえ、すでに12作目となる。
クサメロなギターにダミ声ヴォーカルを乗せて疾走する、アグレッシブなサウンドに
勇壮なコーラスや女性ヴォーカルが加わって、ENSIFERUMあたりにも通じる聴き心地。
随所にアコーディオン、ヴァイオリン、リコーダーなどのフォーキーな音色もアクセントになっていて、
激しくもエピックなスケール感を匂わせる。このシリーズの中でもかなりクオリティの高い部類だろう。
ドラマティック度・・8 ペイガン度・・9 クサメロ度・・8 総合・・8 
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FOLKODIAIn A Time Of Legends
リトアニアのフォーク・ペイガンメタル、フォーコディアの2nd。2009年作
FOLKEARTHにも参加しているメンバーたちが集ったプロジェクトバンドで、
メロブラ風味のリフを乗せて激しく疾走しつつ、フルートやホイッスル、パイプ、ヴァイオリンなどの
フォーキーな音色と、朗々とした男性ヴォーカルの歌声とコーラスが響きわたる。
いかにも武骨で辺境的なローカルさと土着的な雰囲気が合わさって、
マニア好みのフォークメタルを聴かせてくれる。垢抜けなさはフォークアースと同様だ。
メロディアス度・・7 フォーキー度・・8 辺境度・・8 総合・・7.5
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Folkodia「Battlecry」
リトアニアのフォーク・ペイガンメタル、フォーコディアの2010年作
FOLKEARTHのメンバーによるユニットで、本作が3作目となる。ヘヴィなギターにダミ声ヴォーカル、
ハープやホイッスル、バグパイプの牧歌的な音色を乗せた、辺境的なフォークメタルサウンド。
随所に激しい疾走感も含ませつつ、クサメロのギターやときに女性ヴォーカルの歌声も加わって、
荒々しく武骨でありながらも、フォーキーな叙情性もたっぷりで、やわらかな聴き心地で楽しめる。
重すぎず軽すぎず、適度にマイナー臭さも残したペイガンなフォークメタルが好きな方はぜひ。
ドラマティック度・・8 フォーキー度・・8 辺境度・・8 総合・・7.5 
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Folkodia 「Battles and Myths」
リトアニアのフォーク・ペイガンメタル、フォーコディアの2012年作
FOLKEARTHのメンバーによるユニットで、本作がすでに5作目となる。
ダミ声ヴォーカルを乗せて疾走する、メロデス、ブラックメタル的な激しさと、
土着的でメロディックな感触が合わさったスタイルで、クオリティもずいぶん上がってきている。
随所にクサメロのギターフレーズも聴かせ、勇壮なコーラスや女性ヴォーカルも含みつつ、
アコーディオンやリコーダの音色など、フォーキーな牧歌性を激しい疾走感に取り入れた作風は、
より多くのヴァイキングメタルファン、フォークメタルのファンに楽しめる出来だろう。
メロディック度・・8 疾走度・・8 ペイガン度・・8 総合・・8
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Folkodia 「The Fall of the Magog」
多国籍のフォーク・ペイガンメタル、フォーコディアの2013年作
今作も、ギリシャ、フランス、リトアニア、イタリア、モナコ、アルゼンチン、ドイツといった
多国籍のメンバーが参加。ブラスト入りで激しく疾走するペイガンブラック風味に、
低音デスヴォイスとクサメロをまき散らすギターを乗せて濃密に聴かせる。
随所に女性ヴォーカルやフォーキーな牧歌性も含ませて、辺境的でありながらも
しっかりとしたメロディのフックと展開もある、前作同様に質の高いサウンドに仕上がっている。
メロディック度・・8 疾走度・・8 ペイガン度・・8 総合・・8



Folkodia 「Battle of the Milvian Bridge」
多国籍フォークメタルプロジェクト、フォーコディアの2017年作
モナコ、ギリシャ、イタリア、アルゼンチン、ドイツ、リトアニア、フランスと世界各国のメンバーが集結。
Folkearthとメンバーがかぶるので、もはや区別しなくてもよい気もするが…ともかく、7作目となる本作も
クサメロ寄りのギターに、男性デス声&女性ヴォーカルを乗せた、勇壮なエピック・ペイガンメタルで、
随所にヴァイオリン、アコーディオン、リコーダーなどのフォーキーな音色が鳴り響く。
今作は、比較的正統派のメロパワ要素が前に出ているが、曲によってはアグレッシブなメロデス的なナンバーもあり、
全体的にも重厚な迫力と疾走感でたたみかける。クオリティ的にも高品質なペイガンメタル作品です。
ドラマティック度・・8 ペイガン度・・7 わりと正統派度・・8 総合・・8 


Forlorn 「The Crystal Palace」
ノルウェーのヴァイキングメタル、フォーローンの1st。1998年作
うっすらとしたシンセとギターの奏でるメロウなフレーズ、そして母国語の歌声で
土着的な美しいヴァイキングメタルを聴かせる。朗々としたコーラスもよい感じで
北欧神話のエピック性を表現するような作風で、同時期のEINHERJERに比べると
こちらはもっとやわらかな牧歌性が強い。ゆったりとした聴き心地の北欧土着メタルが楽しめる。
2nd以降は方向性が変わってゆくようで、ヴァイキングメタルとしては本作が代表作だろう。
ドラマティック度・・8 ヴァイキング度・・7 北欧度・・9 総合・・8
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FORLORN「AD Caelestis Res」
ノルウェーのヴァイキングブラックメタル、フォーローンの2000年作
2作目となる本作は、前作のようなエピックなヴァイキングメタルサウンドからいくぶん変化していて
むしろメロディックブラック寄りの聴きやすさが増している。ツインギターによる叙情フレーズと
ダミ声ヴォーカルを乗せて、随所に激しい疾走感も含んだ楽曲は、これはこれで悪くない。
曲によってはシンセによる味付けもあって、ぐっとスタイリッシュな聴き心地であるが、
激しさとメロディアスさのバランスがとれている分、やや迫力にかけるきらいがある。
ヴァイキングメタルとしては勇壮さが物足りないし、シンフォブラックとしては派手さが足りないという。
全体的には悪くないのだが、どっちつかずの好作品にとどまってしまっているのが惜しい。
ドラマティック度・・7 暴虐度・・7 ヴァイキング度・・7 総合・・7.5
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Frosttide 「Blood Oath」
フィンランドのシンフォニック・フォークメタル、フロストタイドの2015年作
シンセ奏者を含む5人編成で、シンフォニックで美麗なアレンジで疾走するスタイル。
随所に激しいブラスト疾走も含みつつ、ギターはあくまでクサメロを奏でていて
ヴォーカルは低音のダミ声であるが、暴虐さよりもメロディアス性が勝った聴き心地。
EQUILIBRIUMENSIFERUMなどに通じるファンタジックな感触と、エピックなコーラスを含んだ
ドラマティックなスケール感もよろしく、ギターが奏でるフォーキーなメロディとともに、
美しい優雅なサウンドが楽しめる。一方ではフォーキーな土着性というのはやや薄めで、
ペイガン寄りのシンフォニックメタルとして聴くべきサウンドかもしれない。ともかく高品質な出来です。
シンフォニック度・・8 疾走度・・8 フォーキー度・・7 総合・・8
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Funeral Moon「Явь」
ロシアのフォークメタルバンド、フューネラルムーンの2011年作
美しいフルートの音色にメロディアスなギター、全体的にはやや軽めのサウンドで、
ギターのフレーズ自体は普通のメタルで、フォーキーな土着性はさほどないが、
女性ヴォーカルの母国語の歌声が絡むとなかなか耳心地のいい音になる。
ノーマル声とダミ声の男性ヴォーカルメインの曲もあり、個人的にはいらない気もする。
フルート、パイプなどの叙情性は悪くないし、ゆったりとした楽曲にときおり疾走をまじえたり
決して一本調子になっていないが、どこか盛り上がりきらない煮え切らなさを感じてしまう。
メロディアス度・・8 フォーキー度・・7 女性Vo度・・7 総合・・7.5


Furor Gallico
イタリアのフォークメタル、フロー・ギャリコの2011年作
女性ヴァイオリン、女性ハープ奏者を含む8人編成で、バウロンの響きにホイッスルが吹き鳴らされ、
牧歌的な雰囲気で始まりつつ、低音デスヴォイスとノーマル声が絡んで、適度な激しさと
ときにペイガンブラック的な疾走もあったりする。ヴァイオリンやハープの美しい音色も含んで、
FINNTROLLあたりを思わせるエピックな世界観も覗かせながら、フォーキーな土着性を聴かせてくれる。
同じイタリアのELVENKINGに比べると、より辺境的な味わいで、つまりは本格派のフォークメタルである。
ドラマティック度・・8 フォーキー度・・8 辺境度・・8 総合・・8
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FUROR GALLICO 「Songs from the Earth」
イタリアのフォークメタル、フロー・ギャリコの2015年作
艶やかなヴァイオリンにホイッスル、ケルティックハープの牧歌的な音色に重厚なギターリフが重なり、
低音のデスヴォイスを乗せた、本格派のフォークメタルサウンド。バグパイプが鳴り響くケルト風味と、
野卑なデス声の対比がコントラストになっていて、ときに激しく疾走するパワフルな部分も覗かせる。
一方では、イタリア語で歌われるナンバーなどは、ぐっと異国的な味わいで新鮮に楽しめる。
ヴァイオリンとホイッスルの旋律が優雅な叙情を描きつつ、そこに勇壮なメタル感触が融合し、
エピックで幻想的な空気感に包まれた、これぞヨーロピアンなフォークメタルの強力作だ。
ドラマティック度・・8 フォーキー度・・8 幻想度・・8 総合・・8
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FUROR GALLICO 「Dusk of the Ages」
イタリアのフォークメタル、フロー・ギャリコの2019年作
女性ハープ奏者を含む5人編成で、ヴァイオリンが優雅に鳴り響くイントロから、幻想的な雰囲気に包まれ、
メロデス的なギターリフに低音デスヴォイスを乗せて疾走する、アグレッシブなサウンドが広がってゆく。
艶やかなヴァイオリンにケルティック・ハープ、美しい女性ヴォーカルの歌声も加えた優美な叙情性と、
デスメタル風味の激しさが同居していて、リズムチェンジを含むメリハリのある展開力でドラマティックに聴かせる。
ハープの音色にホイッスルやヴァイオリンが重なる、ケルティックな味わいもこれまで以上に説得力がともなっており、
迫力たっぷりのデス声とのコントラストが際立っている。重厚で優雅な本格派フォークメタルの傑作です。
ドラマティック・・8 ケルティック度・・8 重厚で優雅度・・9 総合・・8.5 
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Gernotshagen 「Wintermythen」
ドイツのペイガン・ブラックメタルバンド、ゲルノットシャゲンの2002年作
ツインギターにシンセを含む6人編成で、メロディックなギターとうっすらとしたシンセアレンジによる、
美しいブラックメタルサウンド。土着的な雰囲気はまださほど強くなく、
シンフォニックブラックとして普通に楽しめる作風だ。基本は男性ダミ声だが、
女性声による語りなども入ったり、こもり気味のドラムも含めて、疾走する激しさよりも、
ぼんやりとしたアトモスフェリックな神秘性が強い。ゲルマン・シンフォ・ブラックとしては好作だ。
ドラマティック度・・7 暴虐度・・7 ゲルマン度・・8 総合・・7.5
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Gernotshagen「Mare aus waldernen Hallen」
ドイツのペイガン・ブラックメタルバンド、ゲルノットシャゲンの2007年作
シンフォニックなイントロからドイツ語による男臭い歌声で始まり、アコースティカルな土着性もまじえつつ
ブラックメタル的ながなり声ヴォーカルが加わってくる。疾走感もそれなりにあるが激しさよりも
むしろ牧歌的なやわらかさと、シンセによるふんわりとした幻想的なイメージが全体を包んでいる。
ギターもそれなりにメロディを奏でているのだが、それがあまり前に出すぎない。
アトモスフェリック系ペイガン・ブラックメタルというべきか。ときおり激しく疾走もする。
シンフォニック度・・8 フォーキー度・・7 ふんわり度・・8 総合・・7.5
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GJALLARHORN「NORDHEIM」
イタリアのヴァイキングメタルバンド、ヤァラルホーンの2005作
DOOMSWORDのメンバーによるバンドらしいが詳細は不明。
バンド名や曲名から北欧神話を題材にした楽曲のようで、正統派メタル調のギターリフに、
あまり迫力のないノーマル声と男臭いコーラス。曲間にSEを使用したりして本気度はそれなりに高いのだが、
メロディの点でもいまひとつだし、ジャケの雰囲気ほどには音に土着性があまり感じられないのが残念。
メロディアス度・・6 ヴァイキング度・・7 楽曲・・6 総合・・6.5

Gjenferdsel 「Varde」
ノルウェーのペイガンブラックメタル、ギエンフェードセルの2010年作
二人組のユニットで、土着的なギターフレーズにダミ声ヴォーカルを乗せた、
ローカルな味わいのペイガンブラックメタル。こもり気味の音質もプリミティブな雰囲気で、
激しいブラスト疾走も入りつつ、暴虐性よりは荒涼とした寒々しさに包まれている。
楽曲は3~4分前後と比較的シンプルな味わいで、叙情的過ぎない素朴な硬派さは、
初期のWINDIRあたりが好きな方にもお薦めできる。トレモロのギターフレーズも心地よく、
北の大地を感じさせる、オールドスタイルのヴァイキング・ブラックが楽しめる好アルバムです。
ドラマティック度・・7 暴虐度・・7 ペイガン度・・9 総合・・7.5
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GLITTERTINDEvige Asatro
ノルウェーのフォークメタルプロジェクト、グリッターティンドの2004作
ヴォーカルも含めてすべての演奏はTorbjorn Sandvikによるもので、
のっけからもうギターの奏でるクサくて叙情的な民族メロでバンザイ。
メタルというには少々軽めだが、KORPIKLAANIあたりを思わせる陽気な雰囲気で、
2~4分台の曲で聴かせる感じは、さしずめフォーキーなパンクという印象もある。
ときにメロスピのように疾走したり、かと思えばヴァイキングメタル風の曲もあったりと
ややとりとめがないが、昨今のリスナーならば、クサメロ満載の民族メタルとして楽しめるだろう。
クサメロ度・・8 疾走したりも度・・8 ヴァイキング風味も度・・8 総合・・7.5
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Glittertind「Landkjenning」
ノルウェーのフォークメタルプロジェクト、グリッターティンドの2009作
Torbjorn Sandvik氏による一人プロジェクトで、メタリックな激しさよりもむしろ
母国語によるほのぼのとした牧歌的な歌をメインに聴かせる作風だ。
パンキッシュなメロスピ風味もあった前作に比べると、ぐっと土着的で叙情味豊かな
サウンドになっていて、フィドルや縦笛などの音色もフォーキーでいい感じだ。
ヴァイキング的世界観を描く幻想性が増したことで、音の説得力が強固になった。
その一方で、陽性の愉快なフォーキーパンク的なノリの良さも健在。
メロディアス度・・8 フォーキー度・・8 牧歌的度・・9 総合・・8
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Glittertind 「Djevelsvart」
ノルウェーのフォークメタル、グリターティンドの2013年作
Torbjorn Sandvik氏による一人プロジェクトであったのだが、今作ではギター、ベース、ドラムに加え
ピアノ&アコーディオン奏者も加わったバンド編成になっている。母国語によるヴォーカルにフルートが鳴り響く、
北欧らしい土着的なトラッド感触に包まれたフォークメタル。ノーマルヴォイスとデスヴォイスが交互に現れながら、
ミドルテンポを主体にした楽曲は、牧歌的な味わいが前に出た聴き心地で、アコースティカルな小曲なども含めて
メタル的な激しさが苦手な方にも楽しめるだろう。楽曲は3~4分台で比較的シンプルであるが、
涼やかで素朴な叙情性に包まれた耳心地よい作風がよろしい。北欧トラッド・フォークメタルの好作品。
ドラマティック度・・7 フォーキー度・・8 北欧度・・9 総合・・8
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Goverla「Between Past and Present」
ウクライナのペイガンメタル、ゴヴェルラの2012年作
勇壮でエピックなイントロから曲がはじまると、武骨なダミ声ヴォーカルにクサメロなギター、
うっすらとしたシンセアレンジとともに、随所にペイガンブラック的な激しさも覗かせる。
パイプやホイッスル、アコーディオンなどが鳴り響くフォーキーな牧歌性も含んでいて、
随所に適度なクサメロも入りつつ、軽すぎないフォークメタルとしても楽しめる。
エピックでファンタジックな雰囲気に包まれたペイガン・フォークメタルの好作品だ。
ドラマティック度・・8 ペイガンフォーク度・・8 エピック度・・8 総合・・8
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GRAI (Грай)「Sagebrush-Grass (Полынь-Трава)」
ロシアのタタールスタン出身のフォークメタル、グライの1st、2008年作の再発盤
やわらかなフルートの音色に、メタリックなギターが合わさり、美しい女性ヴォーカルの歌声に
ときに男性ダミ声が絡む、牧歌的な叙情と適度なアグレッシブさが合わさったフォークメタル。
このバンドの場合は、どちらかというと女性声の母国語の歌声が前に出ているので、
全体的に優雅な美しさに包まれている。フォーキーなフルートに、随所にギターの叙情フレーズが
垢抜けないクサメロ感をかもしだし、草原の風を感じるようにゆったりと楽しめる作品だ。
メロディック度・・8 フォーキー度・・8 女性Vo度・・8 総合・・8
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GRAI「O Zemle Rodnoy」
タタールスタン共和国(ロシア)のフォークメタル、グライの2011年作
女性ヴォーカル、女性シンセ奏者、女性フルート奏者を含む6人組で、フルートの音色を乗せて
メロスピばりに疾走、母国語による女性ヴォーカルの歌声で聴かせる、異国情緒漂うサウンド。
三人の女性によるコーラスワークも美しく、たおやかなフルートの音色が優しく包み込み
じつに耳心地のいいフォークメタルである。しっとりとした叙情と魅力的な女性声にフルート、
疾走するメロスピ要素を融合させた、新しくも美しい土着メタルの傑作。マイスペはこちら
メロディアス度・・8 フォーキー度・・8 女性Vo度・・8 総合・・8
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GRAI (Грай) 「MLADA」
ロシアのタタールスタン出身のフォークメタル、グライの2014年作
2009年にデビュー、本作は3作目となる。メタリックなギターにやわらかなフルートが重なり、
男性グロウルに母国語によるなよやかな女性ヴォーカルを乗せた、牧歌的なフォークメタル。
ほどよくアグレッシブな激しさと辺境的な土着性に、リコーダーやバグパイプ、ヴァイオリンなどの
フォーキーな優雅さと、ヘヴィなメタル感触が同居していて、幻想的な空気をかもしだす。
楽曲は3~4分前後とわりとシンプルなので、もう少し濃密な展開があればとは思うが、
さらりと聴ける優雅さという点ではこれでよいのかもしれない。女性声フォークメタル好きはどうぞ。
優雅度・・8 フォーキー度・・8 女性Vo度・・8 総合・・8 
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GRAI 「Ashes」
ロシア連邦、タタールスタン共和国のフォークメタル、グライの2017年作
2009年にデビュー、本作は4作目となる。牧歌的なリコーダーの音色にギターが重なり、
なよやかな女性ヴォーカルの歌声を乗せた、幻想的なフォークメタルを聴かせる。
今作はジャケのイメージのように、わりとダークな妖しさも感じさせる作風で、
ゴシックメタル風の耽美さと、魔女めいた神秘性に包まれた世界観が楽しめる。
曲によっては男性デスヴォイスを乗せたアグレッシブなヘヴィネスも含みつつ、
シンフォニックなきらびやかさやメロディのフックという点ではやや物足りなさも。
ドラマティック度・・7 フォーキー度・・7 女性Vo度・・8 総合・・8 
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GRIMA 「Will of the Primordial」
ロシアのペイガン・ブラックメタル、グリマの2020年作
2015年にデビューし、3作目となる。やわらかなアコーディオンの音色から叙情的なギターとシンセが加わり、
ダミ声ヴォーカルを乗せてブラスト疾走する、ペイガン&フォークブラック的な土着性を感じさせるサウンド。
クリーントーンのギターにアコーディオンを乗せた叙情性と、トレモロのギターで疾走する激しさが同居して
緩急ある構築力とともに、幻想的なペイガン・ブラックメタルが楽しめる。迫力ある低音グロウルのヴォーカルなど、
美しいシンセアレンジやメロディックなギターとのコントラストで、ドラマティックで重厚な音の説得力も素晴らしい。
物悲しいトレモロギターやアコーディオン、激しくも涼やかで優美なサウンドに浸れる傑作です。
ドラマティック度・・8 暴虐度・・7 叙情度・・9 総合・・8.5
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GRIMNER 「BLODSHYMNER」
スウェーデンのヴァイキング・フォークメタル、グリムナーの2014年作
ツインギターに、シンセ、フルート奏者を含む6人編成で、デス声を乗せて激しく疾走する勢いの良さと
フルートが吹き鳴らされるフォーキッシュなメロディを融合したスタイル。牧歌的なフォークメタルと
ヴァイキングメタルの勇壮さを合わせたというべき、激しくも牧歌的な聴き心地がなかなか面白い。
ヘヴィすぎないサウンドが本格的なフォーク風味とよくマッチしていて、ローカルな幻想性に包まれた雰囲気が
コアなフォークメタル好きにはたまらないかもしれない。とにかくフルートがこれでもかと活躍しているのも楽しく、
フルート奏者はマンドラ(マンドリンの仲間)やホルンも演奏。初期のFinntrollあたりが好きな方にもオススメです。
ドラマティック度・・8 フォーキー度・・8 フルート度・・8 総合・・8
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GRIMNER 「Vanadrottning」
スウェーデンのフォークメタル、グリムナーの2018年作
2014年にデビューして3作目となる。フルート&マンドリン&バグパイプ奏者を含む編成で
ツインギターにシンセを重ね、ダミ声ヴォーカルを乗せて激しく疾走しつつ、ノーマル声もまじえて
やわらかなフルートの音色がフォーキーな優雅さをかもしだす。アグレッシブな疾走感はありつつ、
ペイガンなダークさよりは、フルートやバグパイプなどのキャッチーな土着性が前に出ていて、
KORPIKLAANIあたりにも通じるわりと陽性の聴き心地。一方ではヴァイキングメタル的な勇壮さもあって、
エピックでメディーヴァルな世界観に包まれた、ほどよく激しいフォークメタルが楽しめる好作品。
ドラマティック度・・8 暴虐度・・7 フォーキー度・・8 総合・・8
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GWYDIONYnys Mon
ポルトガルのヴァイキングメタル、グウィディオンの2008年作
ツインギターにシンセを含む6人組で、フォーキーなメロディを鳴らしつつ
エピックな世界観を聴かせる、神秘的な辺境ペイガンメタルサウンド。
武骨な歌声に絡むアコーディオン風のシンセの音色はなかなかいい感じだが、
全体的にはメロディや楽曲にインパクトが薄く、中庸の出来どまりか。
ドラマティック度・・7 フォーキー度・・7 辺境度・・8 総合・・7
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Gwydion
ポルトガルのペイガン/フォークメタル、グウィディオンの2020年作
2008年にデビュー、本作は5作目となる。ほどよい叙情を含んだギターにシンセを重ね、
武骨なダミ声ヴォーカルとともに、重厚なペイガン・フォークメタルを聴かせる。
ときに激しい疾走感も現れつつ、優美なシンセアレンジが包み込み、リズムチェンジなどの
わりと唐突な展開力も含めて、どことなくマイナーで神秘的な辺境感をかもしだしている。
メロディックなギターフレーズに、TURISASのようなバトルメタル寄りの勇壮さも覗かせて、
ストーリー的な流れを感じさせるエピックなヴァイキングメタルとしても楽しめる。全68分の力作。
ドラマティック度・・8 勇壮度・・8 辺境度・・8 総合・・8
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HAGEN 「CORRIDORS OF TIME」
スウェーデンのフォークロック、ハゲンの1999年作
KAIPAのシンセ奏者、ハンス・ルンディンが参加、1曲目からからKAIPAの3rd「SOLO」からのカヴァーで、
美麗なシンセにフルートを重ねたゆったりとした叙情に包まれる。2曲目からはからはぐっとメタリックな感触になり、
美しいキーボードをバック疾走しつつ、北欧らしい土着的なメロディをたっぷり含みながら、
メタル的なヘヴィさとフォークメロディが一体になった優雅なサウンドを展開する。
これはSKYCLADの北欧版…いやむしろこちらの方が完成度は高いかもしれない。
フォーキーメタル好き、北欧の土着メロ好きにはぜひとも聴いてほしい作品だ。オフィシャルページで試聴できます
メロディアス度・・8フォーキー度・・9 北欧度・・10 総合・・8
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HAMMER HORDE「Under the Mighty Oath」
アメリカのヴァイキングメタル、ハンマー・ホードの2009年作
うっすらとしたシンセアレンジとツインギターのフレーズを乗せて疾走するサウンドで、
メロディ重視の感触はENSIFERUM的であるが、やはり北欧のバンドに比べるとスタイリッシュで、
辺境的な味わいよりは、カッチリとしたメロデス/シンフォブラック寄りのスタイルといってよいだろう。
メロディアスでそれなりに勇壮な世界観ではあるが、本格派のペイガン系が好きな方には少し物足りないか。
なんにしても、最近はアメリカからもこのようなバンドが出てくるのだから面白い。
ドラマティック度・・7 ヴァイキング度・・7 新鮮度・・7 総合・・7.5
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Hantaoma 「Malombra」
フランスのフォークメタル、ハンタオマの2005年作
ツインギターの土着的なリフに武骨なダミ声ヴォーカルを乗せた、ローカルな味わいのフォークメタルで、
ブズーキやマンドリン、フルートにヴァイオリンなどを用いた、わりと本格派のフォーク要素も覗かせる。
アグレッシブにたたみかける疾走感もありつつ、牧歌的な土着性に包まれるところは、
粗削りの辺境フォークメタルという聴き心地。クサメロ感がさほどないので全体的には硬派な印象ながら、
フランス語によるヴォーカルが独特の味わいになっていて、荒々しさの中にもそこはかとない優雅さを感じさせる。
勇壮なコーラスもいい感じで、蛮族系のフォークメタル、ヴァイキングメタルが好きな方なら、けっこう楽しめるでしょう。
ドラマティック度・・7 フォーキー度・・7 武骨度・・8 総合・・7.5
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hardingrock「grimen」
EMPERORIhsahn夫妻参加のフォークメタルユニット、ハーディングロックの2007年作
ゆるやかなフィドルの音色と物語的な語り、そこに女性ヴォーカルが重なってしっとりと聴かせつつ、
2曲目ではエレキギターも加わって一気にメタル色が濃くなる。そこにイーサーンのヴォーカルが入ると、
やはり彼の色が強くなり、プログレッシブな味わいのあるフセラックメタル風味のフォークメタルが炸裂。
ダミ声入りのアグレッシブさと、本物のトラッド色が合わさった、一種独特の世界観が面白く
いわば、フォークメタルと北欧トラッドを交互に聴いている気分になる。
奥方Starofash(Ihriel)さんの可憐な歌声も、サウンドの中でよいアクセントになっており、
ゴシック風味とフォーク/トラッドが入り交じり、そこに暗黒ブラック風味をかすかに加えたような
不思議なサウンドが楽しめる。フォークメタル好き、イーさん好きは要チェックの作品だ。
メロディアス度・・8 メタル度・・7 北欧トラッ度・・8 総合・・8
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HARPYIE「BlindFlug」
ドイツのフォークメタル、ハーピィの2012年作
バグパイプ、女性ヴァイオリン奏者を含む7人編成で、適度にモダンなヘヴィさと、
ドイツ語による歌声で聴かせる、ゲルマンなトラッドメタル。ヴァイオリンやパイプが鳴り響く、
中世トラッド風味の雰囲気は、Subway To SallyやSaltatio Mortisにも通じる感触で、
サウンドのバランスもよくなかなかクオリティが高い。ただ上記の2バンドを超えるには、
楽曲そのものの魅力と個性がまだ足りないか。今後の成長に期待したいですな。
メロディアス度・・8 トラッドフォーク度・・8 ゲルマン度・・8 総合・・7.5




HEATHEN FORAY「The Passage」
オーストリアのペイガンメタル、ヒーゼン・フォレイの2009年作
ツインギターの勇壮なフレーズとダミ声ヴォーカルで聴かせるサウンドは、
かつてのMITHOTYNなどに通じるヴァイキングメタルスタイルだが、
こちらはよりギターのメロディアスさが前に出ていて、いい意味で聴きやすい。
クサメロで疾走する部分などはにんまりだし、ネオクラ気味のフレーズも出てきたりと
いわばB級メロスピ風の勢いのよさと「ダサカッコよさ」が魅力であったりする。
メロディアス度・・8 ペイガン度・・8 ダサクサ度・・8 総合・・7.5
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HEATHEN FORAY「Armored Bards」
オーストリアのペイガンメタル、ヒーゼン・フォレイの2010年作
クサメロまくりのギターフレーズとダミ声ヴォーカルで疾走するスタイルは前作と同様。
勇壮なペイガン風味もあるが、むしろクサメロのメロデスという感じでも楽しめる。
重厚なギターリフとピロピロ系のフレーズが両方あるので、武骨な質感が抑えられていて
メロパワ、メロスピ系のリスナーにも楽しめるだろう。個人的にはもっと濃密な土着メロが欲しいが。
メロディアス度・・8 ペイガン度・・7 クサメロ度・・8 総合・・7.5
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Heathen Foray 「Into Battle」
オーストリアのペイガンメタル、ヒーゼン・フォレイの2015年作
クサメロたっぷりのメロスピ系ペイガンメタルというスタイルのこのバンド、
4作目となる本作も、低音デスヴォイスとノーマルヴォイスを乗せて軽やかに疾走する。
ツインギターのリフとメロディはほとんど正統派メロパワの感触なので、
デス声を除けば普通のメタルリスナーにも十分楽しめるサウンドだろう。
反面、ペイガンメタルとしてのミステリアス性や土着性という点では物足りないのだが、
そこは随所に挿入される泣きのメロディとクサフレーズがカヴァーということか。
相変わらずこれといったキラーチューンが少ないという、煮え切らなさが惜しい。
メロディック度・・8 ヴァイキング度・・7 正統派寄り度・・8 総合・・7.5
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HEATHEN FORAY 「WELTENWANDEL」
オーストリアのペイガンメタル、ヒーゼン・フォレイの2020年作
2007年にデビューし、本作は5作目となる。ヘヴィなギターに迫力あるグロウルヴォーカルで
重厚なペイガン・デスメタルを聴かせる。甘すぎない叙情を含んだギターメロディに
随所に美麗なシンセも重なって、ほどよい激しさとともに勇壮な土着性にも包まれる。
過去の作品よりモダンなヘヴィネスが強まっていて、激しい疾走ナンバーはメロデスのようでもある。
全体的には、ペイガンな雰囲気より、スタイリッシュなデスメタル感が上回っているのが好みを分けるところ。
ドラマティック度・7 ペイガン度・7 重厚度・8 総合・7.5 
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HEAVY METAL PERSE「Eripura」
フィンランドのフォークメタルバンド、ヘヴィ・メタル・パースの2008作
クサメロを効かせた土着的なギターフレーズでパワフルに聴かせるサウンドは
アコースティックな要素とともに、フィンランド語によるヴォーカルが特徴的。
陽性のメロディはキャッチーですらあって、田舎臭いコーラスなども含めてとてもノリがよく、
うっすらとしたシンセも美しくサウンドを彩っている。辺境的でありながらも、オーセンティックなメタルとして
充分楽しめるくらいの出来だ。ギターフレーズの魅力の点ではKORPIKLAANIの上をゆく。
むしろこのクサメロぶりはスペインのMAGO DE OZあたりを思わせるもの。これは大穴的好作。
メロディアス度・・8 フォーキー度・・7 フィンラン度・・8 総合・・8
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HEIDEVOLK「De Strijdlust Is Geboren」
オランダのヴァイキング・フォークメタルバンド、ハイデヴォルクの1st。2005/2008作
2005年に自主リリースされた1stの再発盤。母国語による男臭い歌声と牧歌的な雰囲気に、
ブラックメタルばりの激しい疾走を組み合わせたサウンドはいかにも辺境的で
マイナー臭いのだが、音質の弱さも含めてこのローカルさが魅力であるともいえる。
土着メロディはあくまでギターがメインで、フィドルやホイッスルなどが入るわけでもなく
フォークメタルとしてはやや単調なサウンドか。一本気な田舎臭さが硬派っぽい。
メロディアス度・・7 ヴァイキング度・・7 フォーキー度・・8 総合・・7.5
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HEIDEVOLK「Walhalla Wacht」
オランダのヴァイキング・フォークメタルバンド、ハイデヴォルクの2nd。2008作
内ジャケの写真を見ると、いかにも屈強な戦士めいた雰囲気だが、
サウンドの方は牧歌的なメロディで聴かせるフォークメタル。
男らしい勇壮なコーラスなども入りつつも、なかなか武骨になりきれない感じが
田舎の兄ちゃん的で微笑ましくもある。ヴァイオリンやホイッスルなども入ってくるが、
基本的にはギターリフ中心のシンプルなスタイルで、曲調がどれも似ているので少し飽きる…
と思いきや、唐突にブラックメタル風に疾走したりして、なかなか節操がない(笑)
泥臭い田舎っぽさではKORPIKLAANIなどよりも上かもしれない。その分マニア向けか。
メロディアス度・・7 ヴァイキング度・・7 フォーキー度・・8 総合・・7.5
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Heidevolk「Uit Oude Grond」
オランダのヴァイキング・フォークメタルバンド、ハイデヴォルクの3rd。2010作
朗々とした歌声とギターリフを中心にした無骨なフォークメタルで、
昨今のバンドのようなシンフォニックな華麗さというものはほとんどない。
母国語による歌声がいかにも辺境的な雰囲気をかもしだしていて、
そのとっつきの悪さが案外魅力でもあったりする。無骨系フォークメタル。
メロディアス度・・7 ヴァイキング度・・7 フォーキー度・・8 総合・・7.5
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HeidevolkBatavi
オランダのペイガン・フォークメタルバンド、ハイデヴォルクの4th。2012年作
ヘヴィなギターと母国語によるヴォーカルで聴かせる、武骨系のフォークメタルは本作も健在。
シンフォニックでもクサメロでもない、いわば本物の硬派の味わいの土着性で
ミスティックな世界観を重厚に描いている。以前の作品よりもギターがメロディを奏でる叙情性が増し
勇壮な迫力とともに、ヴァイキング/ペイガンブラック系といってもよい激しい疾走パートもある。
FALKENBACHなどのエピックな雰囲気にも近くなったか。通好みの力作である。
ドラマティック度・・8 勇壮度・・8 フォーキー度・・7 総合・・8
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HEIDEVOLK 「Velua」
オランダのペイガンメタル、ヘイデヴォルクの2015年作
武骨なる本格派フォークメタルを聴かせるこのバンド、5作目となる本作もツインギターの重厚なリフに
男くさい朗々としたヴォーカルに低音デスヴォイスが絡む、どっしりと硬派なペイガンメタルが楽しめる。
今作は、適度に激しく疾走する曲や、ゆったりとした牧歌的な叙情を描く曲など、メリハリのある構成で、
中世の空気を感じさせるミステリアスな雰囲気もよろしい。メロディックな即効性は少ないのだが、
重厚な世界観がサウンドの説得力となっていて、じっくりと鑑賞できるサウンドに仕上がっている。
ドラマティック度・・8 重厚度・・8 ペイガン度・・8 総合・・8
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Heidevolk 「Vuur Van Verzet」
オランダのペイガンメタル、ヘイデヴォルクの2018年作
2005年にデビュー、硬派で本格派のペイガン・フォークメタルを聴かせるバンドの6作目。
ヘヴィなギターリフに低音のヴォーカルを乗せ、どっしりと重厚なサウンドを描きつつ、
勇壮なコーラスやヴァイオリンなどが、エピックで土着的な空気をかもしだす。
ときに激しい疾走パートも現れつつ、ギターが奏でるメロディックなフレーズが
随所にアクセントになっていて、叙情性という点でもこれまで以上に楽しめる。
中世の闇と幻想的な世界観を描く、説得力たっぷりの傑作に仕上がっている。
ドラマティック度・・8 ペイガン度・・9 重厚度・・8 総合・・8.5 
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Heidra 「Awaiting Dawn」
デンマークのヴァイキングメタル、ハイドラの2014年作
ツインギターにシンセを含む6人編成で、壮麗なイントロから始まり、土着的なギターフレーズと美麗なシンセに
ダミ声ヴォーカルに朗々としたノーマルヴォイスを絡めた、シンフォニックなヴァイキングメタルが広がってゆく。
ミドルテンポを主体にしながら、ゆったりとした叙情性と勇壮な重厚さを同居させた世界観は、
MOONSORROWなどにも通じるだろう。ギターやシンセの奏でる牧歌的なクサメロ感もなかなかよろしく、
全体的にも激しさよりもウェットなメロディが前に出ていて、ヴァイキングメタルの初心者にも楽しめるだろう。
反面、コアなリスナーにはもう少しインパクトが欲しいという気もするので、今後に期待したい。
ドラマティック度・・8 ヴァイキング度・・8 クサメロ度・・8 総合・・7.5
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Heimsgard 「Ordrag」
フランスのペイガンメタル、ヘイムスガルドの2016年作
土着的なツインギターにダミ声ヴォーカルを乗せ、フォーキーなメロディとともに疾走する、
ENSIFERUMなどに通じるサウンド。美麗なシンセアレンジに、優美な叙情を含ませた
緩急ある展開力で、クサメロ感漂う感触とともに高品質なペイガンメタルを聴かせる。
勇壮なコーラスなどヴァイキングメタルとしての幻想性も感じさせつつ、重厚な迫力は薄い分、
あくまでメロディ重視の作風で、ペイガンメタル初心者にも聴きやすいだろう。
メロディック度・・8 ペイガン度・・8 重厚度・・7 総合・・8
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Heldentum 「Waffenweihe」
ドイツのペイガンブラックメタル、ヘルデンタムの2003年作
ドイツ語による耳障りなガナリヴォーカルで疾走するサウンドは、
ブラックメタルというには激しさもなく、ペイガン的な神秘性もあまり感じられない。
むしろギターリフやフレーズはB級ジャーマンメタル的であり、
音質のチープさもあって迫力というものがまったくない。マニア向けです。
メロディック度・・7 疾走度・・8 チープ度・・8 総合・・6

HELENGARD 「FIREBIRD」
ロシアのフォークメタル、ヘレンガルドの2017年作
2010年にデビューし、2作目となる。重厚なギターにやわらかなフルート、バグパイプの音色も加わり、
男性デスヴォイスに母国語による美しい女性ヴォーカルが絡む、牧歌的なサウンドを聴かせる。
8分、9分という大曲では、ペイガンメタル的な勇壮なコーラスにバグパイプが鳴り響き、
美しい女性声とともに幻想的な土着性に包まれる。本格派のフォークメタルとしての神秘性と、
幻想的な世界観は好みだが、語りを含む小曲が5曲あって、全9曲で35分というのがやや物足りないか。
ドラマティック度・8 フォーキー度・8 幻想度・8 総合・7.5
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HEOROT「RAGNAROK」
フィンランドのヴァイキング・フォークメタル、ヘオロットの2007年作
フォーキーな笛とアコースティックギターのイントロから、曲が始まると、武骨なダミ声ヴォーカルとともに疾走、
ときおりブラストも入りつつ、激しさと愉快なフォーク風味が同居したスタイルで、
いうなれば「ときどき戦士にもなる森の木こり」というようなイメージだろうか。
ぴーひゃらと鳴り響く笛を乗せて疾走するところは、どことなく可愛い感じもありますが、
曲によってはMOONSORROWのような勇壮さも聴かせてくれる、なかなかの好作です。
メロディアス度・・8 ヴァイキング度・・7 フォーキー度・・8 総合・・7.5
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Heralder 「Twilight Kingdom」
ドイツのフォークメタルバンド、ヘラルダーの2007作
女性Voを含む8人組みで、シンフォニックなイントロから曲が始まると
クサメロのギターを乗せてドコドコと疾走。田舎臭い男女ヴォーカルが歌い上げつつ、
ときおりシンセで盛り上げたり、とてもクサいギターフレーズが炸裂したりする。
フォーキーな土臭さはあまり強くないので、田舎っぽいクサメタルとしても楽しめる。
音のこもり方も含めて、このB級っぽい感じがマニアにはたまらないかもしれない。
クサメロ度・・8 フォーキー度・・7 田舎度・・9 総合・・7.5
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Heulend Horn「The Saga Of The Draugr」
アルゼンチンのペイガンメタル、ヒューレンド・ホーンの2003年作
朗々とした歌声とブラックメタル的なダミ声が絡み、安っぽい打ち込みのドラムに
ぼんやりとしたシンセアレンジで聴かせる、いわゆる独りペイガンサウンド。
神秘的な世界観を描こうと頑張っているのは分かるが、どうにも独りよがりなチープさが漂っていて、
10分、12分という大曲もいかにも退屈だ。相当なマニアでないとキツい、自己満足レベルの作品。
ドラマティック度・・7 ペイガン度・・7 楽曲・・6 総合・・6



Hildr Valkyrie 「Revealing The Heathen Sun」
ギリシャのペイガンメタル、ヒルダー・ヴァルキリアの2017年作
Folkearth、Folkodiaにも参加していた女性ミュージシャンで、2004年にデビューし、本作は9年ぶりとなる3作目。
土着的なイントロナンバーから、打ち込みのドラムにギターを重ね、フォーキーなシンセのメロディに、女性ヴォーカルを乗せた、神秘的なペイガンメタルを聴かせる。
優美なシンセアレンジと叙情的なギター、なよやかな女性声による幻想的な味わいに、ときおり自身によるデスヴォイスも入った勇壮なパートや、ブラックメタル寄りのブラスト疾走も覗かせる。
ホイッスルが鳴り響く牧歌的なラスト曲も含めて、ネオフォークがメタル化したような感じもあり、女性Voのフォークメタルが好きな方にもお薦めです。
ドラマティック度・8 ペイガン度・8 女性Vo度・7 総合・7.5
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Hjelvik  「Welcome to Hel」
ノルウェーのヴァイキング・ブラックメタル、イェルヴェックの2020年作
Kvelertakのアーランド・イェルヴィック率いるバンドで、ほどよくオールドなギターにダミ声ヴォーカルを乗せ、
武骨で北欧らしい土着性を含んだ、ペイガン寄りのブラックメタルを聴かせる。サウンドはヘヴイ過ぎず、
あえてスカスカ感を含んだ、Bathoryをはじめとした90年代北欧ブラックメタルの感触を残している。
楽曲は3~4分前後とわりとシンプルで、ときおりプラストビートで激しく疾走しつつ、北欧神話をテーマにした世界観や
メロディアスなギターフレーズが勇壮な正統派ヘヴィメタルとしての味わいをかもしだし、さほど暴虐性は感じない。
派手なインパクトはないが、このままバソリーのような独りヴァイキング・ブラックの道を突き進んでいってもらいたい。
ドラマティック度・7 ヴァイキング度・7 古き良き度・8 総合・7.5
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HOLY BLOODThe Wanderer
ウクライナのペイガンメタルバンド、ホーリィ・ブラッドの1st。2002作
絶叫するダミ声ヴォーカルとノイジーなギターで聴かせる武骨なペイガンメタルサウンド。
随所に美麗なシンセアレンジも加わるが、基本は蛮族的な荒々しさでたたみかけるB級ブラックメタルがかった作風。
そこに笛の音が入ってくると、いい感じの辺境ペイガンの叙情性が楽しめるが、いかにもチープな耳心地はマニア向けだろう。
メロディアス度・・7 ペイガン度・・8 辺境度・・8 総合・・7
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HOLY BLOODWaves Are Dancing
ウクライナのペイガンメタルバンド、ホーリィ・ブラッドの2nd。2006作
武骨な荒々しさと民族調の雰囲気が合わさったサウンドで、適度にブラックメタル調の質感もある
三連リフとピアノの絡みに、のどかな笛の音色もフォーキーでなかなかよろしい。
絶叫するヴォーカルの(弱そうな)声質がいかにも辺境的であるが、
この本物っぽい辺境っぷりに、チープさ以上の空気を感じられる方にはお勧めできる。
メロディアス度・・8 暴虐度・・7 ペイガン度・・8 総合・・7.5
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HOLY BLOOD「Shining Sun」
ウクライナのフォークメタルバンド、ホーリィ・ブラッドの2010年作
土着的なクサメロと男女ヴォーカルの歌声で聴かせる、辺境的なペイガンメタル。
牧歌的に鳴り響くフルートの音色とともに、勇壮さよりは愉快なフォーク風味が勝っていて、
雰囲気としてはトルコのALMORAあたりにも通じるか。軽めのサウンドも含めて
B級的な田舎臭さが好みを分けるかもしれない。辺境ペイガンマニアはどうぞ。
メロディアス度・・8 フォーキー度・・8 辺境度・・8 総合・・7.5
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HOLY BLOOD 「Day of Vengeance」
ウクライナのペイガンメタルバンド、ホーリィ・ブラッドの2015年作
過去のアルバムはいかにも辺境的なB級フォークメタルという印象であったが、
本作もややラウドな音質で、低音デスヴォイスにクサメロのギターを含んで、
そこそこ激しさもあるというサウンド。フォーキーなメロディも多少は出てくるが、
全体的にはむしろ、ミドルテンポのペイガンブラックという感触が強いか。
ローカルな武骨さと音の粗さが辺境臭さをかもしだしていて、空気感はいいのだが、
やはり楽曲とメロディのフックにもう少し魅力とインパクトが欲しい。
ドラマティック度・・7 ペイガン度・・7 辺境度・・8 総合・・7
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I

Ildra 「Edelland (Eðelland)」
イギリスのペイガンメタル、イルドラの2011年作
アコースティックなイントロ曲から、ノイジーなギターリフにダミ声ヴォーカルを乗せて、
土着的な空気に包まれた、ヴァイキング・ブラックメタルを聴かせる。粗削りな武骨さは、
MITHOTYNあたりにも通じるが、こちらはネイチャーブラック寄りの神秘性も感じさせる。
激しい疾走感はなく、基本的にミドルテンポ主体なので、強烈なインパクトはないのだが、
随所にメロディックなギターフレーズや土着リフを含んだ、ほどよい叙情性も含めて、8分、10分という
大曲もじっくりと聴かせる。派手さはないが、甘すぎない硬派なペイガンメタルを聴かせる好作品。
勇壮度・・8 疾走度・・5 ペイガン度・・8 総合・・7.5
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Incursed 「Fimbulwinter」
スペインのフォークメタル、インカーストの2012年作
シンセ&アコーディオン奏者を含む5人編成で、美麗なイントロから始まり、土着的なギターの旋律に
アコーディオンの音色がゆるやかに鳴り響き、ダミ声ヴォーカルが武骨な歌を乗せる、
メロディックなペイガン/フォークメタル。随所に朗々としたクリーンヴォーカルも入って、
エピックな雄大さをかもしだしつつ、シンセのアレンジはときにシンフォニックですらあり、
キャッチーなきらびやかさがある。きらきらシンセ入りのフォークメタル高品質作。
メロディック度・・8 フォーキー度・・7 ペイガン度・・8 総合・・8
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Incursed 「Baskavigin」
スペインのフォークメタル、インカーストの2021年作
2010年にデビューし、5作目となる。優美で牧歌的なイントロから、メロディックなギターにダミ声ヴォーカルを乗せて疾走する
メロスピ的なフォークメタルを展開。艶やかなヴァイオリンやきらびやかなシンセアレンジ、朗々としたコーラスなども加わって
幻想的な優雅さに包まれつつ、ペイガンメタル寄りの勇壮な土着性やブラックメタルばりのブラスト疾走も覗かせるなど、
楽曲ごとに緩急あるサウンドが楽しめる。鳴り響くヴァイオリンとともに、Korpiklaani風の愉快なナンバーもあったり、
キャッチーなメロディアス性と激しさがバランス良く融合されていて、フォークメタル初心者にも薦められるだろう。
後半には10分を超える大曲もあり、勇壮な空気にアコースティックパートを含め、スケールの大きなサウンドを描き出す。
ドラマティック度・8 フォーキー度・8 優雅度・8 総合・8 
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IN EXTREMO「WECKT DIE TOTEM!」
ドイツの古楽トラッドメタルバンド、イン・エクストレモの3rd。1999作
メタリックなギターとバグパイプが合わさり、しわがれた声のヴォーカルとともに、
一種異様なトラッドメタルが展開する。中世を思わせるシアトリカルな要素が面白い
メロディアス度・・7 古楽トラッ度・・7 ゲルマン度・・8 総合・・7.5
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IN EXTREMO「VEREHRT UND ANGESPIEN」
ドイツの古楽トラッドメタルバンド、イン・エクストレモの4th。2000年作
のっけから美しいハープの音色、そして無骨な野郎Voの語りで始まり、バックにはうっすらとシンセが美しい。
曲に入るとヴァイキングメタル的な勇壮さが現れ、メタリックなギターとハープ、バグパイプなどとの音色が対照的で、
そのメリハリというか、デジタリィなインダストリアル要素とともに、中世と現代の音の融合というべき質感が面白い。
やはり全体的にはケルテイックな繊細さよりは、ゲルマン的な無骨さが持ち味かと思う。
ボーナスCDにはリミックスバージョンや、PCで見られるビデオクリップ等を収録していて、
中世風の衣装を着込んでのパフォーマンスや(火を吹いたり…)演劇的なステージは面白そう。
メロディアス度・・8 メタル度・・7 トラッ度・・9 総合・・8
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IN EXTREMO「Sunder Ohne Zugel」
ドイツの古楽トラッドメタルバンド、イン・エクストレモの2001作
おそらく5作目あたりだろうか。ザクザクとしたギターリフで聴かせる、
Rammsteinあたりにも通じるインダストリアルでモダンなヘヴィロック風の雰囲気と
ドイツ語の歌声、そこに重なるバグパイプの響きがなかなか個性的だ。
個人的にはもっとフォーキーな牧歌性を追求してもらいたいが。
メロディアス度・・7 民族度・・7 ゲルマン度・・8 総合・・7.5
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IN EXTREMO「LIVE 2002」
ドイツの古楽メタルバンド、イン・エクストレモのライブアルバム。2002作
スタジオ盤はけっこう出していて、ヨーロッパでの知名度はそれなりに上がっていると思われる。
さて、このライブ盤でのメンバークレジットは11人。多いなあ。
メタリックなギターにハープやバグパイプを融合させ、古楽をメタル化するという発想は
CRUACHANなどにも通じるが、ここのVoはダミ声の野郎Voが一人でやっている。
また、メタルとしては単調な感も否めず、おそらく大人数の派手なステージなのだろうが
音だけを聴くとさほど面白く感じない。もう少し古楽の叙情性をピックアップするとよいのかも。
メロディアス度・・7 古楽度・・7 メタル度・・7 総合・・7

In ExtremoRaue Spree 2005
ドイツの古楽メタルバンド、イン・エクストレモのライブ作品。2006年作
SUBWAY TO SALLYとともに、ゲルマン系中世古楽メタルを盛り上げるこのバンド、
本ライブでも武骨なドイツ語の歌声に、ヘヴィなギターとバグパイプが絡むノリのいいゲルマン・トラッドメタルを聴かせる。
初期の頃よりもずいぶんメタル度が上がって重厚なサウンドになり、中世ヨーロッパの土着的な雰囲気を満喫できる。
同タイトルのDVDもあり、そちらは全24曲をたっぷり収録(CDは全17曲)のステージです。
メロディアス度・・7 ライブ演奏度・・8 ゲルマン度・・9 総合・・8
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IN EXTREMO「Kein Blick Zuruck」
ドイツの古楽メタルバンド、イン・エクストレモのベストアルバム。2007作
すでに活動は10年以上で、この手の民族メタルバンドとしてはベテランの部類だろう。
ザクザクとしたメタリックなギターにバグパイプの音色が重なり、
ドイツ語のヴォーカルが武骨に歌い上げる。曲にはインダストリアル色とともに、
Rammsteinあたりにも通じるモダンなヘヴィロック風の雰囲気もある。
全15曲入りで、このバンドを初めて聴く方には入門用によろしいかと。
メロディアス度・・7 民族度・・7 ゲルマン度・・8 総合・・7.5
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INGRIMM「Ihr Sollt Brennen」
ドイツのフォークメタル、イングリムの1st。2007年作
比較的オーソドックなメタルサウンドを基本に、ドイツ語の歌声と、ときおりパイプや笛の音色が絡む、
いわばフォーク気味のゲルマンメタル。垢抜けない質感は初期のIn Extremoに近いかもしれないが、
こちらはそこにパワフルなジャーマンメタル要素が加わっている。フォーク要素がもっと増えるとよいね。
ドラマティック度・・7 フォーキー度・・7 ゲルマン度・・8 総合・・7.5
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INGRIMM「Boses Blut」
ドイツのフォークメタル、イングリムの3rd。2010年作
フォーキーなパイプの音色とヘヴィなギターが合わさり、ドイツ語の歌声で聴かせる
パワフルなフォークメタルは、デビュー時よりもぐっとメロディアスに洗練されてきて、
メタル的な激しさと牧歌性のコントラストがよりくっきりとなった。重厚なヘヴィさと、
ゲルマンな民族性が上手く融合され、サウンドの説得力が高まってきている。
ドラマティック度・・8 フォーキー度・・7 ゲルマン度・・8 総合・・8
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Iron Clad 「Lost in a Dream」
ベルギーのペイガンメタル、アイアン・クラッドの2002年作
ANCIENT RITESのVoが参加するバンドで、ジャケはわりと地味ながら、壮麗なイントロで始まり、
クサメロ気味のギターにシンセを重ね、ダミ声のヴォーカルを乗せた、ほどよくローカルな味わいの
シンフォニックなペイガンメタルを聴かせる。ややラウドな音質も含めて、田舎臭いマイナー感に包まれているが、
リコーダーやフルートの優美な音色にやわらかなシンセのメロディで、メディーヴァルな味わいも覗かせる。
楽曲はミドルテンポ主体で激しさはあまりないが、中盤には疾走するエピックなペイガンメタルナンバーもあったり、
初期のMITHOTYNのようなヴァイキングメタル的な勇壮なクサメロ感もなかなか良い感じだ。
勇壮度・・7 疾走度・・6 クサメロ度・・8 総合・・7.5
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Isen Torr 「Mighty & Superior」
イギリスのエピックメタルバンド、アイセン・トールのシングル。2003年作
UKエピックドゥームメタルSOLSTICE、NWOBHMバンドPAGAN ALTARのメンバーによるバンドで
正規音源としてはこれが唯一のものらしい。2曲+デモの全3曲入り、27分。
ツインギターの勇壮なフレーズによる、ペイガンメタル風味のサウンドで、
中世を思わせるエピックな世界観と、随所に織り込んだクサいメロディもなかなか。
正統派メタル的な力強さもあるのがいい。フルアルバムがぜひ聴いてみたいものだ。
メロディアス度・・8 エピック度・・8 もっと聴きたい度・・9 総合・・7.5
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Istapp「Blekinge」
スウェーデンのペイガン・ブラックメタルバンド、イースタップの2010年作
ヴォーカル、ギター、ベースというトリオ編成で、サウンドは激しいブラストで疾走する
比較的オーソドックスなメロブラスタイルに、随所にペイガンな土着性を加えた感触。
ギターリフにはヘヴィさはあまりなく、古き良き正統派の感触も残していて、シンセが入らない分
シンプルな音の印象を受ける。母国語で絶叫するヴォーカルに詠唱的なコーラスなども含めて、
北欧的なヴァイキングメタル風味も感じられて、激しさわを残した正統派ペイガン・ブラックとして楽しめる。
メロディアス度・・7 暴虐度・・7 北欧度・・8 総合・・8
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Ivar Bjornson & Einar Selvik’s Skuggsja 「Skuggsja」
ENSLAVEDのイヴァー・ビヨンソンとWARDRUNAのエイナー・セルヴィクによるユニットの2016年作
アコースティックギターのつまびきに、牧歌的なフルートの音色、パーカッションのリズムにフィドルが絡み、
母国語によるヴォーカルを乗せ、ミステリアスで寒々しい空気感を描くトラッド・フォークサウンド。
ギターとドラムが加わると、ぐっとペイガンメタル的な世界観が現れ、勇壮なコーラスなどとともに
土着的な神秘性に包まれた重厚なサウンドが味わえる。ダミ声ヴォーカルを乗せて疾走する、
ペイガン・ブラック的な激しさや、ホルンの音色を乗せてブラスト疾走するナンバーなども恰好いい。
本格派のトラッド要素と知的なメタル性の融合という点では、Solefaldなどに通じるセンスも感じさせる力作だ。
ドラマティック度・・8 トラッドメタル度・・8 ノルウェーの空気度・・9 総合・・8
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IVAR BJORNSON & EINAR SELVIK 「HUGSJA」
ENSLAVEDのイヴァー・ビヨンソンとWARDRUNAのエイナー・セルヴィクによるユニットの2018年作
前作も神秘的なトラッドメタル作品であったが、2作目となる本作もジャケからしてノルウェイジャンな雰囲気。
アコースティックギターに詠唱のような歌声を乗せ、フルートやフィドル、角笛の音色とともに、
本格派のトラッドサウンドを展開。うっすらとしたシンセにドラムを加えたロック色もいくぶんありつつ、
基本はアコースティック主体で、寒気しいノルウェーの空気を描くような土着性に包まれた聴き心地。
前作に比べるとメタル色は薄まったが、涼やかで幻想的なトラッドロックが楽しめる逸品です。
ドラマティック度・・8 メタル度・・2 北欧トラッ度・・9 総合・・8
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Jaldaboath「The Rise of the Heraldic Beasts」
イギリスの騎士メタルバンド、ジャルダボースの2010作
十字軍遠征のテンプル騎士団の精神にのっとった、その名も“テンプラーメタル”が登場!
CDケースのシールには「ALESTORMとモンティ・パイソンのファンへ」とただし書きが。爆
メンバーは、“グランドマスター”ジャルダボースを中心に、サー・ボドリック、マッド・モンクの3人。
なにやら愉快で陽気な始まりから、適当なヘヴィさと怪しいフォーク風味をまじえつつ、
騎士たちの繰り広げるロマンとギャグの狭間というべき世界が、微笑ましく広がります。
勇壮さのかけらもない弱さと、戦いに赴いては敗北しそうなカンジがじつに楽しそうであります。
音楽的にどうこうなどとは無粋なことは言いません。ただユルさを愛する方だけ聴いてください。
ドラマティック度・・7 フォーキー度・・7 陽気な騎士度・・9 総合・・8
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KAIRA (Каира)「Время Тёмных」
ベラルーシのシンフォニック・ペイガンメタル、カイラの2021年作
女性シンガーKairaをフロントに、2006年にデビュー、本作は7作目となる。女性シンセ奏者を含む編成で、
壮麗なイントロから、メタリックなギターにきらびやかなシンセを重ね、女性ヴォーカルの母国語の歌声を乗せた
ペイガン寄りの妖しさを含んだシンフォニックメタル。スクリームとストレートを使い分ける、カイラ嬢の歌声とともに
モダンなヘヴィネスとペイガンな土着性が同居した、重厚にして神秘的な聴き心地で楽しめる。
ロシアのARKONAにも通じる雰囲気があるが、こちらは激しさよりも壮麗な感触で、シンフォニックなペイガンメタルという趣だ。
全体的には、メロディのフックなり華麗な盛り上がりが、もう少し欲しい気もするが、どっしりとした迫力ある力作です。
シンフォニック度・7 ペイガン度・7 重厚度・8 総合・7.5


Kalevala「Kudel' Belosnezhnogo L'na」
ロシアのフォークメタルバンド、カレヴァラの2008年作
アコーディオンのやわらかな音色とともに疾走するKORPIKLAANIタイプのサウンドに、
女性ヴォーカルが母国語の歌声を乗せる。フォーキーな愉快さと哀愁を感じさせるメロディに、
アコースティカルな要素も取り入れた、適度なヘヴィさのサウンドはとても聴きやすい。
楽曲そのものは比較的コンパクト。軽快なノリのアコーディオン入り、女性声フォークメタルの好作。
メロディアス度・・8 フォーキー度・・8 女性Vo度・・8 総合・・8
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Kalevala「Кукушкины дети」
ロシアのフォークメタルバンド、カレヴァラの2009年作
前作同様、アコーディオンをたっぷりと使った軽快なサウンドに、
女性ヴォーカルの歌声で聴かせる、メロディアスなフォークメタル。
ギターのフレーズ自体は正統派のメタル、ハードロック的で随所に疾走感もある。
ジャケのイメージほどには妖しさはなく、全体的にも辺境臭すぎない雰囲気で楽しめるが、
反面、もう少しエピックな幻想性があればもっと嬉しい気もする。
メロディアス度・・8 フォーキー度・・8 女性Vo度・・8 総合・・8
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Kalevala 「ВЕДЬМА」
ロシアのフォークメタルバンド、カレヴァラの2010年作
牧歌的なパイプの音色とやわらかなアコーディオンのメロディで疾走、
女性ヴォーカルが母国語の歌声を乗せる、軽快なフォークメタルサウンド。
土着的な感触とともに、ギターには正統派メタル的な聴き心があるので、
辺境バンドが苦手な方にも楽しめるだろう。ロシア版KORPIKLAANIという雰囲気の好作。
メロディアス度・・8 フォーキー度・・8 女性Vo度・・8 総合・・8
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KALEVALA「Osen' V Stile Folk」
ロシアのフォークメタル、カレヴァラのライブアルバム。2012年作
2011年モスクワでのライブ音源で、過去曲をアコースティックにアレンジしたステージ。
女性ヴォーカルの母国語の歌声と、アコースティックギターやマンドリン、
アコーディオンなどの素朴な音色で聴かせる演奏は、メタル色はほぼ皆無。
のんびりとしたフォーキーな響きにまったりと耳を傾けられる。
ライブ演奏・・7 フォーキー度・・8 メタル度・・1 総合・・7.5
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KALEVALA 「Blizzard (Метель)」
ロシアのフォークメタル、カレヴァラの2017年作
2008年にデビューし、すでにロシアを代表するフォークメタルのバンドのひとつとなった。
本作は5作目で、アコーディオンの音色にヘヴィなギターを重ね、母国語の女性ヴォーカルの歌声で聴かせる、
キャッチーなノリのフォークメタルサウンドはこれまで通り。マンドリンやホイッスルなどの牧歌的な音色を乗せ、
ほどよく激しい疾走感も覗かせながら、ファンタジックでメディーヴァルな世界観を描き出す。
楽曲は3~4分前後が主体で、わりとシンプルながら、いくぶんハスキーな女性声の魅力とともに、
キャリアのあるバンドらしい音の説得力で、幻想的なフォークメタルが楽しめる。充実の力作である。
メロディック度・・8 フォーキー度・・8 女性Vo度・・8 総合・・8 
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KALEVALA 「Path of Gamayun」
ロシアのフォークメタル、カレヴァラのライブアルバム。2018年作
デビュー10周年記念となる、2017年のライブを収録した2CD+DVD。
シンフォニックで壮麗なイントロから、ヘヴィなギターとアコーディオンの音色を乗せ、
紅一点、Ksenia嬢の艶めいたなよやかな歌声で、優雅なフォークメタルサウンドを展開。
わりと激しめのドラムも含めて、勢いあるノリの良さと、キャッチーな牧歌性がバランスよく同居し、
ラウドで生々しい音質も臨場感がある。ときにギターよりも前に出るアコーディオンや、
デス声がいっさい入らないこともあって、ロシアン・フォークメタル初心者にも薦められる。
2CDに全28曲、120分のボリュームでお腹いっぱい。DVDの映像もファンは必見だ。
ライブ演奏度・・8 フォーキー度・・8 女性Vo度・・8 総合・・8
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KAZKARIV 「Forest Spell」
オーストラリアのフォークロック、カズカリヴの2018年作
アコースティックギターのつまびきにマイルドなヴォーカルを乗せた叙情的なイントロから、
牧歌的なホイッスルの音色も加えた、素朴なフォークロックサウンドを聴かせる。
優雅なピアノにトランペットも鳴り響く、スカやジャズロック的なアプローチもあったり、
シアトリカルなヴォーカルも含めたコミカルな雰囲気や、とりとめのなさが面白いと言えなくもない
一方では、しっとりと聴かせる「スカー・ボローフェア」のカヴァーなど、哀愁の叙情も感じさせる。
全32分のミニアルバムということで、方向性も含めて今後の深化に期待したい。
ドラマティック度・・7 フォーキー度・・7 叙情度・・8 総合・・7
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「Fi'Mbulvntr」
スウェーデンのヴァイキングメタル、キング・オブ・アスガルドの2010年作
ギター、ベース、ドラムというシンプルなトリオ編成で、かつてのMITHOTYNを思わせる
オールドスタイルのヴァイキングメタルサウンド。古き良き質感のギターリフ、フレーズと
ダミ声ヴォーカルを乗せて勇壮な世界観を描き出しつつ、どこか牧歌的な田舎臭さもまた魅力。
今となっては新鮮味はないが、むしろモダンさに反骨するこのサウンドはとても耳心地がいい。
ドラマティック度・・8 暴虐度・・7 古き良きヴァイキング度・・9 総合・・8
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King of Asgard「To North
スウェーデンのヴァイキングメタル、キング・オブ・アスガルド2012年作
前作はかつてのMITHOTYNから引き継いだような正統派のヴァイキングメタルを聴かせてくれたが、
2作目となる本作は、激しく疾走するペイガンブラック風味をいくぶん強めている。
ツインギターの古き良きリフとダミ声ヴォーカルとともに、ときに勇壮なコーラスもかぶさり、
ダークな世界観を描いてゆく。ときおり聴かせるギターの土着的なフレーズなどは
いかにも北欧トラッド風味で、硬派な叙情性を感じさせる。甘すぎないペイガンメタルがお好きな方へ。
ドラマティック度・・7 ヴァイキング度・・7 北欧度・・8 総合・・8
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King of Asgard「Karg」
スウェーデンのヴァイキングメタル、キング・オブ・アスガルドの2014年作
3作目となる本作も、硬派な力作であった前作からの流れで、シンセなどはほとんど使わず
ツインギターのリフとダミ声ヴォーカルを乗せた、武骨なヴァイキングメタルを聴かせる。
昨今の主流であるきらびやかなスタイルではなく、あえてギターのフレーズのみで
寒々しい北欧の雰囲気を描き出すサウンドは、じつに重厚かつ勇壮な聴き心地である。
ペイガンブラック的な神秘性にも包まれた、硬派系ヴァイキングメタルの力作です。
ドラマテイック度・・8 ヴァイキング度・・8 硬派度・・9 総合・・8
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King Of Asgard 「Taudr」
スウェーデンのヴァイキングメタル、キング・オブ・アスガルドの2017年作
2010年にデビュー、本作は4作目となる。シンセを使わず、ギターリフとダミ声ヴォーカルで聴かせる硬派なサウンドは、
殺伐とした闇を描くブラックメタル寄りの感触を強めている。ギターは随所に北欧らしい叙情的なフレーズを奏でつつ、
土着的なパートでもペイガンメタルとしての重厚な漆黒をまとっていて、咆哮するヴォーカルの迫力もなかなかのもの。
いかにもヴァイキングメタルらしい三連リズムから、激しく疾走するブラッケンな暴虐性も覗かせて、
ときに勇壮なコーラスも加わると、北の大地を思わせるような荘厳な空気に包まれる。全5曲33分という短さだが、
媚びのない硬派さが潔い。ラスト曲は、同郷の元祖ヴァイキングメタル、MITHOTYNのカヴァーで、さすがにハマってます。
ドラマティック度・・7 ペイガンブラック度・・8 重厚度・・8 総合・・8 
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King of Asgard 「Svartrvidr」
スウェーデンのヴァイキングメタル、キング・オブ・アスガルドの2021年作
2010年にデビュー、5作目となる本作は、土着的なギターの旋律に低音のダミ声ヴォーカルを乗せ、
北欧らしい空気に包まれた重厚なペイガンメタルを聴かせる。シンセをほとんど使わない硬派な作風で、
あくまでギターの旋律による涼やかな叙情に、ときに暴虐なブラスト疾走もあって、迫力充分である。
8分、9分という大曲も、どっしりとした武骨な味わいと疾走感、甘すぎない土着メロディのバランスも見事で、
緩急ある構築力とともに、ヴァイキング・ブラック的にも鑑賞可能。勇壮なコーラスなども加わった
エピックな雰囲気も覗かせつつ、物悲しいラストのインスト曲まで、北欧の寒々しい世界観を描く力作だ。
ドラマティック度・8 ヴァイキング度・8 重厚度・8 総合・8.5 
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KONETS LETA (КОНЕЦ ЛЕТА)「Listen to the Thunder! (Слушайте Гром!)」
ロシアのフォークメタル、コネッツ・レタの2009年作
優雅なチェンバロの音色に、リコーダー、ヴァイオリン、パイプなどが重なり、
女性ヴォーカルの母国語の歌声を乗せた、素朴で土着的なサウンドを聴かせる。
ときに粗めのエレキギターも加わった、いくぶんのメタル色もあるが、激しさよりもヨレ気味の牧歌性が強く、
そういう点ではCruachanあたりをさらにフォーク寄りにした感じともいえる。
こもり気味の音質が辺境臭さを醸し出しているが、それが神秘性にもなっていて、
上手すぎない女性ヴォーカルも含めて、このローカルさが楽しめる方にはお薦めかも。
ドラマティック度・・7 辺境度・・8 女性Vo度・・7 総合・・7.5
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KORPIKLAANI「SPIRIT OF THE FOREST」
フィンランドのフォークメタルバンド、コルピクラーニの1st。2003作
無骨なメタルサウンドと、フォーキーな要素を強引に融合させた、やりすぎ感…
このギャグと本気をまぜこぜにした感性はFINTROLLなどに近いものがある。
ブックレットの写真にある、掘っ建て小屋の前に勢ぞろいした原住民風の姿のメンバー達が
そのまま音になったような(笑)ヴァイオリンやアコーディオンのメロディが心なごませてくれるが、
フォーキーな面白さに反して、メタル部分がややつまらないのが惜しいか。
メロディアス度・・7 フォーキー度・・8 楽曲・・7 総合・・7.5
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KORPIKLAANIVoice of Wilderness
フィンランドのフォークメタルバンド、コルピクラーニの2nd。2005作
邦題は「荒野のコルピクラーニ」。飲めや歌えや愉快な野郎達の2枚目で、
日本での知名度を上げたのがこのアルバム。ギターに絡むフィドルの音色に、
ダミ声ヴォーカルを乗せて疾走するサウンドは、フィンランドの土着性に満ちていて、
なかなかインパクト大だ。1stや3rdに比べても出来はこちらの方がよいと思う。
“サウナでひとっ風呂”、“ビール飲み放題”など無茶な曲タイトルに笑いながらも、
ときに哀愁も感じさせるフォークメタルは、どこか我々日本人の琴線に触れるものがある。
メロディアス度・・8 フォーキー度・・8 哀愁度・・8 総合・・8
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KORPIKLAANI「TALES ALONG THIS ROAD」
フィンランドのフォークメタルバンド、コルピクラーニの3rd。2006作
今回のアホな邦題は「世にもコルピな物語」…なんでも一般公募で決まったとか。
サウンドの方は、愉快なフォークメロディを取り入れた森の仲間によるメタル音楽で、
アコーディオンやリコーダー、ヴァイオリンなどが大活躍している。
音楽的には、似たような方向性のFINNTROLLの方が好みなのだが、
この手のやりすきフォークメタルを聴いたことがない人にはかなりのインパクトだろう。
メロディアス度・・8 メタル度・・7 フォーキー度・・8 総合・・7.5
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KORPIKLAANITervaskanto
フィンランドのフォークメタルバンド、コルピクラーニの4th。2007作
邦題は「コルピと古の黒き賢者」、今作はかつてのFINNTROLLにも接近した雰囲気で
メタリックな部分とフォーキーな要素のコントラストがくっきりしてきたように思う。
アコーディオン、フィドルによる民族要素も、土着メロディを際立たせることで
陽気で愉快でありながら、哀愁の叙情を感じさせてくれるようになった。
ここにきて彼らはついに本格派のフォークメタルとなった。それだけの力作である。
メロディアス度・・8 フォーキー度・・8 勇壮度・・6 総合・・8
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KORPIKLAANI「Korven Kuningas」
フィンランドのフォークメタルバンド、コルピクラーニの5th。2008年作
今作も期待にたがわぬ出来だ。メインの旋律を奏でるアコーディオンの音色とともに愉快に疾走しつつ、
初期の頃よりもぐっとメタリックな力強さを増したサウンドは「森界の王」という邦題通り、
もはや単なる酒飲みメタルではない、ファンタジックな世界観を描くだけの説得力とをまとわせている。
今後もFINNTROLLとともに森の住人メタルを突き進んでいってもらいたい。
メロディアス度・・8 フォーキー度・・8 幻想度・・8 総合・・8
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KORPIKLAANI「Karkelo」
フィンランドのフォークメタルバンド、コルピクラーニの2009作
「コルピの酒盛り」というタイトル通り、飲んだくれ野郎たちの愉快なフォークメタル。
前作、前々作の濃密さに比べて今回はノリ重視という感じで、叙情よりも勢いで聴かせる。
ザクザクのギターにはいくぶんのモダンさと、田舎臭さをヘヴィネスと融合させて疾走する
パンク的な感触もある。個人的にはややドライになったこのサウンドにあまり幻想性を感じない。
メロディアス度・・7 フォーキー度・・7 幻想度・・7 総合・・7.5
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KorpiklaaniUkon Wacka
フィンランドのフォークメタルバンド、コルピクラーニの2011年作
本作は早くも7作目。前作のヘヴィさを残しつつ、アコーディオン、ヴァイオリンによる
フォーキーな土着性が戻ってきていて、ノリノリで疾走する愉快な雰囲気と、
メタルとしてのパワフルさが両立されている。その点ではFINNTROLLにも通じる質感であるが、
彼らはもう少しエピック寄りで、こちらはあくまで陽気で明快なフォークメタル。
正直、新鮮味は薄れてきたが、定番というべき「よい子の土着メタル」を楽しもう。
メロディアス度・・8 フォーキー度・・8 新鮮度・・7 総合・・8
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KorpiklaaniManala
フィンランドのフォークメタル、コルピクラーニ2012年作
2003年にデビューしたからすでに8作目、その愉快なフォークメタルは本作も不変であるが、
アコーディオンの音色と森の蛮族めいた歌声で聴かせるサウンドはよりパワフルになっていて、
本作ではフィンランドの叙事詩「カレワラ」をテーマにしたエピックな雰囲気も強く出ている。
バンドの看板であったフィドル奏者のヒッタヴァイネンが脱退したことも影響してか、
ヴァイオリンパートがやや減っているのだが、その分ギターのヘヴィさが前に出て、
サウンドの迫力が増している。随所に激しい疾走も含んだこれまで以上に重厚なアルバムだ。
ドラマティック度・・7 フォーキー度・・7 フィンラン度・・8 総合・・8
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KORPIKLAANI 「Noita」
フィンランドのフォークメタル、コルピクラーニの2015年作
2003年にデビュー、すでに北欧フォークメタルの代表格といってもよいこのバンド、
9作目となる本作もアコーディオンとフィドルが鳴り響き、フィンランド語の武骨な歌声を乗せ
酒飲みたちの宴のような土着的サウンドが繰り広げられる。ノリのよい愉快なナンバーから、
一方ではどっしりとした重厚なナンバーもあって、シリアスとコミカルのバランス感覚も見事。
ベテランらしいクオリティの高さが光る力作であるが、このバンドのスタイルが確立されてしまった分、
新鮮な驚きというのはほとんどないのも事実。まさに安心の好作というべき出来ですな。
メロディック度・・8 フォーキー度・・8 新鮮度・・7 総合・・8
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KOT BAYUN 「Сильнее зла(STRONG THAN EVIL)」
ロシアのフォークメタル、コト・バユンの2016年作
美しい女性ヴォーカルの歌声に、アコーディオンの音色、適度にヘヴィでメロディックなギターで聴かせる、
KALEVALAを思わせるキャッチーなサウンド。哀愁を含んだ土着的な叙情性に包まれつつ、
ギターはわりと正統派メタル寄りの感触で、随所にクサメロを奏でてサウンドを彩っている。
楽曲は2~4分前後が主体で、全体的にシンプルな聴き心地であるが、女性声の魅力を前に出した
優雅な作風という点での方向性は絞れている。濃密すぎないバランスのとれた好作といえる。
メロディック度・・8 フォーキー度・・7 女性Vo度・・8 総合・・8
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KRAYENZEIT 「Saitentaenzer」
ドイツのフォークメタル、クライエンツェイトの2019年作
2015年にデビュー、本作は4作目。女性ヴァイオリン、女性ハーディガーディ奏者を含む7人編成で、
メタリックなギターにモダンなシンセアレンジ、ヴァイオリンが艶やかに鳴り響き、ドイツ語によるヴォーカルを乗せた、
わりと正統派寄りのサウンドを聴かせる。ハーディ・ガーディの素朴な音色が加わると、ぐっとトラッドメタル的な味わいになって、
SALTATIO MORTISなどゲルマン系らしい雰囲気も漂わせるが、一方、キャッチーなメロディアス性は
Mago De Ozあたりにも通じるかもしれない。3~5分前後の楽曲は比較的シンプルで、激しさはあまりないが、
ゆったりしすぎもせず、ほどよく聴きやすい。フォーキーな旋律と哀愁の叙情を優雅に包み込んだ好作品だ。
ドラマティック度・・7 フォーキー度・・7 ゲルマン度・・8 総合・・8
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KROMLEKFinis Terrae
ドイツのモダン・ヴァイキングメタル、クロムレクの2011年作
自らアーバン・ペイガンメタルと名乗るように、森の中ではなく都会派の戦士たちということだろう、
そのサウンドは、エピックな勇壮さとモダンな展開力を併せ持っていて、
ツインギターのヘヴィなリフとフレーズは、土着的というよりはソリッドな硬質感があり、
シンセによるアレンジにもどこかスタイリッシュなセンスを感じさせる。
ブラスト入りの激しい疾走パートもあり、ペイガン風味のメロデスとしても楽しめる。
ラストの15分の大曲はドラマティックでなかなか圧巻。高品質な作品です。
ドラマティック度・・8 ヴァイキング度・・7 モダンセンス度・・8 総合・・8
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LADUSHKA / Ладушка 「SUNRISE /Солнцеворот
ロシアのフォークメタル、ラドゥシュカの2018年作
アコーディオンの音色にロシア語の女性ヴォーカルを乗せて疾走する、キャッチーなノリの良さに包まれた、
陽気なフォークメタルサウンド。メロディには哀愁を感じさせる叙情や、メディーヴァルな幻想性も感じられ、
伸びやかな女性ヴォーカルもなかなか魅力的。楽曲は3~5分前後と比較的シンプルで、
重厚すぎない聴きやすさがあって、わりと初心者にも楽しめるだろう。
愉快な牧歌性と適度な疾走感が合わさった、ロシアン・フォークメタルの好作品。
ドラマティック度・・8 フォーキー度・・8 女性Vo度・・8 総合・・8
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Landevir「Leyendas Medievales」
スペインのフォークメタル、ランデヴァーの2003年作
フルート、ヴァイオリン奏者を擁する6人編成で、スペイン語の歌声を乗せて軽快に疾走、
クサメロのギターにフルートやヴァイオリンが絡むサウンドは、MAGO DE OZを思わせる。
随所にクラシカルな旋律も取り入れたやわらかな耳心地で、アコースティカルな叙情性もあり、ゆったりと楽しめる。
やわらかなフルートの音色と、美しいヴァイオリンに彩られた優雅なメロディックメタルとしても楽しめる好作。
メロディック度・・8 フォーキー&クラシカル度・・8 スペイン度・・7 総合・・7.5


Last Wail 「The Tale of Endless Night」
ロシアのペイガンメタル、ラスト・ワイルの2011年作
ツインギターにシンセ、女性Voを含む6人編成で、美麗なシンセアレンジに吐き捨て型の女性ヴォーカルを乗せ
男性のデスヴォーカルが絡みながら、フォーキーなメロデイとともに疾走する、Arkonaあたりに通じるサウンド。
牧歌的な笛の音色も響かせつつ、エピックな勇壮さも合わさった感触で、激しく疾走するところなどは
Ensiferumあたりにも近い雰囲気かもしれない。メロディのフックやフォーク要素が、いまひとつ抜け切れていないので
ヴァイキングメタルなのか、フォークメタルなのかが曖昧で、聴いていても盛り上がりきらないのが残念。
全10曲ながらインストの小曲が3曲で、35分弱というのも、ややボリューム不足かと。
ドラマティック度・・7 疾走度・・8 ペイガン度・・7 総合・・7.5
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LLVME「Yia De Nuesu」
スペインのペイガンブラックメタル、ルヴメの2012年作
うっすらとしたシンセをバックに、ダミ声ヴォーカルを乗せたブラックメタル的な感触と、
ドゥーミーなダークさも含んだ世界観で、ときに女性コーラスが入ったり、ヴァイオリンやバグパイプの音色が
フォーキーな叙情性をかもしだす。疾走する部分もあるが暴虐というほどでもなく、
90年代のブラックメタル的なローカルさを感じさせ、それが神秘的な味わいになっている。
派手さや激しさはないが、異国的でミステリアスなペイガン・フォークブラック作品。
ドラマティック度・・7 ペイガン度・・7 ダーク度・・8 総合・・7.5
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LOST IN GREY 「The Grey Realms」
フィンランドのシンフォニック・フォークメタル、ロスト・イン・グレイの2017年作
女性Vo、女性ヴァイオリン奏者を含む6人編成で、美麗なシンセアレンジに男女ヴォーカルを乗せて、
ゴシックメタル的でもある耽美な世界観に包まれた、シンフォニックメタルを描いてゆく。
随所に激しい疾走パートも含みつつ、美しい女性ヴォーカルによる優美な聴き心地は、
EPICAあたりにも通じるか。ヴァイオリンの音色も加わったペイガンメタル的な感触と、
適度にフォーキーな味わいとともに、12分を超える大曲をドラマティックに構築する力量も見事。
女性声の壮麗なシンフォニック・ゴシック・ペイガンメタルとして、今後も期待のバンドです。
シンフォニック度・・8 ペイガン度・・7 女性Vo度・・8 総合・・8
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Lost In Grey 「Under The Surface」
フィンランドのシンフォニックメタル、ロスト・イン・グレイの2021年作
2017年にデビューし、3作目となる。ツインギターに男女Vo、ヴァイオリン奏者を含む編成で、オーケストラルなイントロから、
メタリックなギターにシンセを重ね、美しい女性ヴォーカルの歌声とともに、Nightwishを思わせる壮麗なサウンドを描く。
女性奏者によるヴァイオリンの音色や、アン嬢のキュートな歌声も魅力的で、随所に男性デス声も加わったり、
激しい疾走パートも覗かせつつ、総じて美麗な耳心地に包まれる。母国語で歌われるフォーキーなナンバーから、
SIRENIAのエマニュエル嬢や、Thaurorodのシンガーなどがゲスト参加したオペラティックな大曲も圧巻だ。
後半には3パートに分かれた20分超の組曲で、激しい疾走感も含む緩急ある展開で構築される。まさに壮麗な傑作。
シンフォニック度・8 美麗度・・9 女性Vo度・8 総合・8.5
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Lou Quinse 「Lo Sabbat」
フランスのフォークメタル、ロウ・クイネスの2018年作
2008年にデビューし、2作目。バグパイプの音色にアコーディオン、メタリックなギターを重ね、
オック語によるダミ声ヴォーカルで聴かせる、メディーヴァルな味わいのフォークメタル。
激しく荒々しい疾走感の中にも、フルートやアコーディオンが優雅な旋律を奏でながら、
ポルカ風の愉快なノリとともに、牧歌的な感触で楽しめる。随所に叙情的なギターフレーズも覗かせつつ、
しつかりとヘヴィなメタル感触と、トラディショナルな本格派のフォーク要素を見事に融合させている。
ブラックメタルばりの激しさから、女性声を加えた優雅なナンバーまで、起伏に富んだ強力な作品だ。
ドラマティック度・・8 フォーキー度・・9 優雅で牧歌的度・・8 総合・・8
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LUMSK「ASMUND FRAGDEGIEVAR」
ノルウェーのトラッドメタルバンド、ラムスクの2003年作
女性Vinを要する7人組みで、キーボード入りのゴシック的メタルサウンドに、男女Voが母国語で歌を乗せる。
ヴァイキングメタル的な無骨さを感じさせつつも、北欧の伝説をもとにしているので、音に攻撃性はない。
ゲストにヴァイオリン、チェロ、フルート、女性コーラスなどを用い物語にそって組曲的に曲を連ねてゆくのだが
大仰というよりはむしろ素朴な雰囲気なので、一聴した印象はけっこう地味かもしれない。
メタリックな普通の部分よりは、女性Voの歌や、ヴァイオリン、フルートといったトラッド部分の方に聴くべきものが多い。
かみしめるようにゆっくりと耳を傾ければ、そこに北欧の寒々しい大地と海を感じられるような、そんなサウンドである。
メロディアス度・・7 メタル度・・7 北欧トラッ度・・8 総合・・7.5
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LUMSK「TROLL」
ノルウェーのトラッドメタルバンド、ラムスクの2nd。2005年作
女性Voに女性ヴァイオリン奏者を含む7人組みで、北欧の土着的な要素を強く打ち出したサウンド。
メタル的な攻撃性よりは、トラッド的なメロディと北欧の寂寥感を聴かせるバンドで、
今回は前作よりも聴きやすく、ぐっとやわらかみのある叙情を描く作風になっている。
女性ヴォーカルの活躍頻度も大幅に増し、チェロやフルートなどの管弦楽隊もゲストに
ある種シンフォニックですらある、北欧プログレ的なものも感じさせてくれる聴き心地である。
激しさよりもゆったりとした涼しげな北欧の風景…それらが目に浮かぶ幻想フォークメタルの傑作だ。
シンフォニック度・・8 トラッ度・・8 ゆったり北欧度・・9 総合・・8
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LUMSKDet Vilde Kor」
ノルウェーのトラッドメタルバンド、ラムスクの3rd。2007作
女性Vo、女性Vlnを含む7人組で、1stの時点から本格的な北欧トラッドの香り漂う
作品で話題をよんでいたが、今作ではメタル色をぐっと抑えた作風の傑作だ。
北欧的なものがなしいメロディを奏でるギターに、しっとりとしたシンセワーク、
そこに乗る女性ヴォーカルの歌声も、まるでPAATOSWHITE WILLOWあたりを思わせるような
たゆたうような美しさを感じさせる。薄暗い叙情性はノルディックの風を運んでくるかのようで、
メタリックなエッジがない分、聴いていてゆるやかに音世界に埋没できる。
メロディアス度・・8 メタル度・・3 北欧度・・9 総合・・8
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LUMSK 「Fremmede Toner」
ノルウェーのトラッドプログレ、ラムスクの2023年作
2003年にデビュー、本作は16年ぶりとなる4作目。女性シンガーが交替したが、それ以外のメンバーはそのままで、うっすらとしたシンセとピアノに美しい女性ヴォーカルを乗せ、いくぶんハードなギターとともに、涼やかな土着性に包まれたサウンドを描く。
プログレ的な構築性も覗かせつつ、北欧らしい翳りを描くあたりは、WHITE WILLOWにも通じるが、より神秘的な空気感が味わえるという点では、ANGLAGARDなどが好きな方にもお薦めだ。
艶やかなヴァイオリンに優美なピアノ、ヴォーカル嬢の初々しい歌声もよろしく、トラッド/フォーク風の歌ものナンバーにも味わいがある。
いくぶんのメタル感触も覗かせるが、全体的には北欧プログレ寄りに鑑賞できる。全59分の力作です。
ドラマティック度・8 プログレ度・7 北欧度・9 総合・8 
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LUNARIUM「Journeys Fables & Lore」
アメリカのフォークメタルバンド、ルナリウムの008作
ブックレットの写真を見るに、コスプレまがいの中世風衣装を着た4人組みで、
サウンドはフォーキーなクサメロを乗せて疾走するENSIFERUMタイプ。
勇壮なコーラスやファンタジックな世界観などはなかなかのものだが、
いかんせんこもり気味の音質も含めて音がいかにもマイナー臭い。
シンセなしでギターのみという無骨さも嫌いではないので、今後の成長に期待。
フォーキー度・・7 エピック度・・8 音質・・6 総合・・7
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Lutavierje 「Songs of Poured Clouds」
ベラルーシのフォークメタル、ルタヴィエルジェの2012年作
ヴァイオリにフルートが鳴り響き、女性ヴォーカルの母国語の歌声を乗せた軽やかなフォークメタル。
メタリックなヘヴィさが希薄な分、優雅な感触が前に出ていて、むしろトラッドロックにも近い聴き心地。
男性ヴォーカル(たまにデス声)が重なってもさほど勇壮にはならず、フォーキーなメロディを主体にした、
辺境的なクサメロ感が心地よい。楽曲は3~4分前後とわりとシンプルで、濃密さの点ではやや物足りないのだが、
はかなげな女性声の美しさも含めて、激しさ控えめのサウンドはメタル系が苦手なリスナーにも楽しめるだろう。
ドラマティック度・・7 フォーキー度・・8 女性Vo度・・7 総合・・7.5
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LYRIEL「Prisonworld」
ドイツのフォーク・ゴシックメタルバンド、リリエルの1st。2005年作
壮麗なオーケストレーションで幕を開け、キュートな女性ヴォーカルの歌声にヴァイオリン、チェロも加えた
シンフォニックなサウンドが繰り広げられる。美しいシンセワークやピアノなど、クラシカルな優美さと
リリカルな可愛らしさが合わさって、牧歌的でファンタジックな女性声ゴシックメタルとして楽しめる好作だ。
シンフォニック度・・8 フォーキー度・・7 女性Vo度・・8 総合・・8
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LYRIEL「Autumntales」
ドイツのフォーク・ゴシックメタルバンド、リリエルの2006年作
艶やかなヴァイオリンの音色に可憐な女性ヴォーカルの歌声で聴かせるフォークメタル。
演奏はやややぼったく田舎臭いのだが、好きな人にとってはそこもむしろ魅力かもしれない。
ときに男性Voとの絡みや、チェロ兼コーラス担当の女性声も加わって美しく聴かせる。
メタル的な重厚さやドラマティックさはあまりなく、LUMSKあたりが好きな人にもお勧めできる。
録音面での弱さや演奏、曲におけるマイナー臭さはあるが、それを上回る優美なメロディと
美しい女性ヴォーカルが味わえるので、その手が好きな方は充分聴く価値ありだ。
メロディアス度・・8 フォーク/トラッ度・・8 女性Vo度・・9 総合・・8
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LYRIEL「Paranoid Circus」
ドイツのフォーク・ゴシックメタルバンド、リリエルの2010年作
前作「Autumntales」はフォーキーな素朴さと可憐な女性Voで聴かせる、じつに美しい作品であったが、
3作目となる本作は、いくぶんモダンなヘヴィさが増しており、前作までの土着的な雰囲気は薄れている。
キュートな女性ヴォーカルの歌声をメインに、シンフォニックなアレンジとほのかに感じさせるフォーキーな感触や
クラシカルなヴァイオリンやチェロの響きなどは依然として美しく、架空のサーカスをテーマにした幻想的な世界観が楽しめる。
むしろ一般的には、叙情的なゴシックメタルとして聴きやすくなったと言えるかもしれない。
シンフォニック度・・8 フォーキー度・・7 女性Vo度・・8 総合・・8
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LYRIEL「Leverage」
ドイツのフォーク・ゴシックメタルバンド、リリエルの2012,年作
4作目となる本作は、初期のフォークメタル路線から脱却した、モダンな感触が強まった。
こうなると女性ヴォーカルの歌声で聴かせるキャッチーなゴシックロックという趣で、
より一般受けしそうな作風である。ヴァイオリンやチェロの音色も含んだフォーキーな部分も残しながら、
美しいシンセアレンジとヘヴィなモダンさを上手く融合させていて、この路線も決して悪くない。
ドイツ語で歌われる曲などはエピックな感触で、シンフォニックなゲルマン・フィメールメタルというべき好作です。
メロディック度・・8 フォーク/ゴシック度・・7 女性Vo度・・8 総合・・8
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LYRIEL 「Skin & Bones」
ドイツのゴシックフォーク・メタル、リリエルの2014年作
2004年にデビュー、5作目となる本作は、女性Vo、女性チェロ奏者、男性ヴァイオリン奏者を含む6人編成で、
モダン化した前作の流れを受け継いだスタイリッシュな感触に、女性ヴォーカルの歌声とヴァイオリンが鳴り響く
フォーキーな感触が合わさったサウンド。メタリックなヘヴィネスとキャッチーな聴き心地のバランスのとれた作風で、
一聴して新鮮なインパクトはないのだが、フォークメロディの入ったモダンな女性声ゴシックロックという感じに、
曲によっては疾走するパートや男性デス声も加わったりと、なかなかメリハリに富んだアレンジで楽しめる。
反面、ゴシックなのかフォークなのか中途半端さも感じられるのだが、個人的にはドイツ語で歌われるナンバーは
ゲルマンな雰囲気が魅力的に思えるし、ラストのしっとりとしたバラードも良い。今後の方向性の進化に期待したい。
ドラマティック度・・7 フォーキー度・・7 女性Vo度・・8 総合・・8 
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MAGO DE OZ
スペインのフォーキーメタルバンド、マゴ・デ・オズの1st。1994作
地元スペインやヨーロッパでの人気はかなりのものを誇る(らしい)。
3rd以降に比べると、まだメタル度は低く、陽気なスパニッシュロックという印象で
ブラガーやハロウィン的な疾走はここでは見られない。ただ、曲によっては哀愁メロディただよう
格好いいハードロックが聴け、このバンドのメロディセンスの一端をかいま見ることができる。
「オズの魔法使い」に扮したジャケ(おそらくメンバー)がバカすぎ…(笑)
ロディアス度・・7 メタル度・・5 フォーキー度・・7 総合・・6.5



MAGO DE OZ「LA LEYENDA DE LA MANCHA」
スペインのフォーキーメタルバンド、マゴ・デ・オズの3rd。1997作
「オズの魔法使い」という名前を持つこのバンド、本作から彼ららしいおちゃらけジャケになり、いよいよ本領発揮。
疾走する正統派メタルと、フォークなメロディのコントラストが融合されはじめ、
野暮ったくも情緒あるスペイン語の歌唱に、バックではヴァイオリンが優雅に鳴り響く。
これがマゴ・デ・オズサウンド。随所に聴かせるツインギターの旋律がとても気持ちいい。
メロディアス度・・8 疾走度・・7 フォーキー度・・7 総合・・7




MAGO DE OZ「FINISTERRA」
スペインのフォーキーメタルバンド、マゴ・デ・オズの4th。2000作
人を舐めたようなジャケ絵だが音楽性の基本はレインボー、メイデン
それにハロウィン、ブラインドガーディアン。疾走曲の合間にケルティックなメロディが顔を出す。
古楽器のフィドルをほとんどメイン楽器並に多用。民族調が濃いが、それでも基本がブラガー系なため
楽曲は非常に分かりやすくメタルの王道をいっている。良く言えば古楽器と様式美メタルが上手く融合されているのだが、
悪く言えば、民族色をとったらさほど魅力のないメイデン/ブラガーということ。CD2枚組もやや散漫な印象か。
メロディアス度・・8 様式度・・7 フォーキー度・・7 総合・・7.5



MAGO DE OZ「FOLKTERGEIST」
スペインのフォーキー・メタルバンド、マゴ・デ・オズのライブアルバム。CD2枚組。2002作
日本ではまだマニアックなバンドだが、母国やヨーロッパでの人気は相当高いらしい。
BLIND GUARDIAN的な疾走曲に大胆にフォーク要素を取り入れたサウンドは、
スペイン語の歌詞も相まって、田舎臭いクサ様式美メタルなるものを構築してしまっている。
ヴァイオリン、フルートを含む8人組の熱い演奏は、観客の盛り上がりもあってとてもノリノリだ。
一歩間違えばギャグになりそうな牧歌的なフルートにギターがユニゾンしたり、
フォーキーメタルという点ではSKYCLADを超えようか、という分かりやすさである。
相変わらずジャケはアメコミ調のホラーまんがノリで、このバンドの愉快な本気度が分かる(笑)
クサメロ度・・8 フォーキー度・・8 熱演度・・8 総合・・7.5

MAGO DE OZ「Gaia」
スペインのフォーキー・メタル、マゴ・デ・オズの2003年作
正直、これまではまだB級バンドの域を出なかった感があるが、本作ではコンセプト的な世界観とともに
ドラマティックな壮大さが飛躍的に強まり、作品としてのクオリティがひとつ上がってきた。
シンフォニックで壮麗なイントロから曲に入ると、スペイン語による情感たっぷりのヴォーカルと
古き良きHR色を感じさせるギター、ピアノやオルガンを含んだシンセに、ヴァイオリン、フルートも加わった、
厚みのあるサウンドが展開される。正統派メタルの感触にフォーキーな要素を加えて仕上げた楽曲は
これまで以上にメロディックでキャッチー、そしてフックのあるアレンジがレベルを上げている。
バンドとしての最初の傑作が完成だ。インタビューなどを収録したDVD付きのトールボックス仕様。
メロディアス度・・9 シンフォニック度・・8 フォーキー度・・8 総合・・8.5

MAGO DE OZ「A COSTA DA ROCK」
スペインのフォーキーメタルバンド、マゴ・デ・オズのライブDVD。2003作
正統派のメロディックメタルにフォークの要素を大胆に取り入れ、スペイン語で歌われる歌詞とともに聴かせる濃密なサウンドは、
このライブ映像でも同じで、大きなステージに満員の観客を集め、非常に熱気と彼らの人気ぶりが伝わってくる。
ツインギターにフルート、ヴァイオリンが重なり、フォークなメロディを奏でながら、
濃い目の顔のヴォーカルがスペイン語のハイトーンで熱唱すると客は大盛り上がり。
後半ではそこにさらにアコーディオンも加わり、ステージには×××の着ぐるみが出現(笑)
ただし、曲の方はフォーキーな要素を除けばごく普通の正統派メタルなので
演奏パフォーマンスとしてはそう見るべき部分は少ないが、この陽気さとノリはスペインならでは。
DVD2枚組で、DISK2にはビデオクリップやバックステージ映像などが収められている。
ライブ映像・・7 ライブ演奏・・8 スペイン度・・9 総合・・7.5

MAGO DE OZ「Madrid Las Ventas」
スペインのフォークメタルバンド、マゴ・デ・オズのライブアルバム。2005年作
2004年スペインでのライブを収録したCD2枚組。大仰なイントロからすでに観客の熱気はむんむん、
曲が始まると、スペイン語の歌声と美しいシンセワークで疾走、ヴァイオリン、フルートが加わって
フォーキーな味わいのメロディックメタルが展開してゆく。古き良きハードロックの味わいと、
エピックな勇壮さ、そして陽気な愉快さが一体となった、マゴ・デ・オズ節に思わずにやにや。
年季の入ったバンドらしい余裕ある演奏と、観客を楽しませようとするパワーはさすがである。
パワフルな疾走曲が増えたのはアルバム「GAIA」後のライブだからだろう。初期よりずっといい。
メロディアス度・・8 ライブ演奏・・8 スペイン度・・9 総合・・8
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MAGO DE OZ「GAIA Ⅱ」
スペインのフォーキーメタルバンド、マゴ・デ・オズの6th。2005作
相変わらずのおちゃらけ&お下品ジャケ(一部モザイク必要)であるが内容は素晴らしい。
のっけから、今までにないシリアスかつ壮大なイントロが荘厳に響きわたり「おおっ」と唸る。
美しいヴァイオリンに女性コーラスが絡み、シンフォニックして大仰な雰囲はRHAPSODYのようだ。
楽曲は力強さと疾走感をともない、メタリックなギターリフにスペイン語の歌唱が映える。
バンドの特徴であるフルート、ヴァイオリンの音色も、以前よりもずっとシリアスな雰囲気で
フォーキーな脱力メロはいくぶん抑え気味となったぶん、シンフォニックメタルとしての質感が増した。
疾走曲での高揚感は彼ら史上最高で、スパニッシュでキャッチー、フォーキーでいながら壮大。
CD2枚組みのラストは21分の大曲だ。これは胸を張って「傑作」と言えるアルバムかもしれない。
メロディアス度・・9 シンフォニック度・・8 フォーキー度・・8 総合・・8.5
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MAGO DE OZ「La Ciudad De Los Arboles」
スペインのフォーキーメタルバンド、マゴ・デ・オズの2008作
のっけから女性ヴォーカルの歌声で始まると、すぐにその世界観に引き込まれる。
前作で見せたシンフォニックなアプローチはそのまま引き継ぎつつ、フルート、ヴァイオリン、
アコーディオンなどによる愉快な土着性が、ベテランらしい力の抜け具合と巧みな楽曲構成の中で光っている。
スペイン語による男性Voの歌唱もフォーキーなメロディとじつにマッチしていて、
このバンドにしか作り出せない哀愁と叙情のサウンドをしっかり構築している。
全体的にメタリックな疾走は控えめで、牧歌的なやわらかさが際立ったアルバムだ。
メロディアス度・・8 フォーキー度・・8 スパニッシュ度・・9 総合・・8


MAGO DE OZBarakaldo D.F
スペインのフォークメタルバンド、マゴ・デ・オズのライブアルバム。2008作
1995年のデビュー以来、本国のみならずヨーロッパで不動の人気を誇るこのバンド。
本作は2006年のスペイン、バラカルドとメキシコシティーでのステージを収録。
トリプルギターにシンセ、フルート、ヴァイオリン入り、男女コーラスも含めると
総勢12人という大所帯で、大観衆の声援のもと圧巻の演奏を繰り広げています。
フォーキーなメロディと熱きスペイン語の歌唱を乗せて疾走、
濃密きわまりないサウンドで、11曲、77分を駆け抜けます。
ライブ演奏・・8 スパニッシュ度・・9 濃密度・・10 総合・・8


MAGO DE OZ「Gaia III - Atlantia」
スペインのフォーキーメタルバンド、マゴ・デ・オズの2010作
活動15年を超えるスペインを代表するバンド。今作は傑作「Gaia」シリーズの続編だ。
なにやら映画的な語り入りのイントロは、いくぶんモダンなシンセアレンジに大仰なコーラス、
一転して、しっとりとしたフルートと、スペイン語の叙情的な歌声で楽曲は始まり、疾走開始。
クサメロのギターが鳴り響き、フォーキーな質感とともに濃密に聴かせるサウンドににんまりだ。
ヴァイオリンやフルート、ホイッスルが絡みながら、陽性のメロディとエピックなコーラスが盛り上げる。
ときにシンフォニックに、そしてきらびやかに曲を彩るシンセワークもなかなか見事で、
効果的に重なる女性ヴォーカルなどとともに、厚みのあるサウンドを形成している。
もちろんフォーキーな質感も絶妙に加わっていて、スパニッシュ・シンフォニック・フォークメタルとして
他の追随を許さない出来だ。今回も2枚組の力作、ラストは19分の大曲で大団円を迎える。最高です。
シンフォニック度・・8 スパニッシュ度・・9 濃密度・・9 総合・・8.5
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MAGO DE OZGaia Epilogo
スペインのフォーキーメタルバンド、マゴ・デ・オズの2011年作
2010年に完結した名作「Gaia」シリーズのエピローグ的なアルバム。
シンフォニックなシンセアレンジにメロディックなギターフレーズをまぶし、
スペイン語による歌声で聴かせる濃密なサウンドは相変わらず格好いい。
古き良きHR風味にヴァイオリンの音色が重なり、メロディアスさと重厚さが一体となった感触は、
やはりこのバンドならではだろう。叙情的なバラード曲などもスパニッシュな哀愁たっぷりで感動的だ。
今作はフォーキーな部分は控えめで、キャッチーな曲が多いのでMedina Azaharaなどのファンもぜひ。
メロディアス度・・8 フォーキー度・・7 スパニッシュ度・・9 総合・・8
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MAGO DE OZ「Hechizos Pocimas Y Brujeria」
スペインのフォーキー・メタル、マゴ・デ・オズの2012年作
1995年にデビュー、いまやスペインの国民的メタルバンドといってもよいだろう。
本作はのっけからクサメロのフレーズとともに疾走、スペイン語の歌声を乗せたほどよい脱力感に、
ヴァイオリンやフルート、アコーディオンなどによるフォーキーな味わいもステキです。
メタルとしての激しさをここまで牧歌的に解釈できるとは、まさにこのバンドならではの聴き心地であるが、
一方では古き良き正統派HR/HM的な感触も残しており、そのあたりのバランス感覚とアレンジセンスも見事。
メロディックにしてキャッチー、牧歌的で濃密…という、問答無用の傑作です。
メロディック度・・8 フォーキー度・・8 スパニッシュ度・・9 総合・・8.5


Mago de Oz 「Celtic Land」
スペインのフォーキーメタル、マゴ・デ・オズの2013年作
結成25周年記念のCD2枚組のベストアルバムで、Disc1には英語によるバージョンを収録。
ラルフ・シーパーズ(PRIMAL FEAR)、ヨラン・エドマン、ダーレン・ワートン(DARE)、エリック・マーティン(Mr.Big)、、
ポール・ショーティノ(King Cobra)、さらにはElvenking、Korpiklaani、To.Die/Forといったバンドのメンバーも参加、
ヴァイオリンやフルート、アーディオンが鳴り響き、愉快なクサメロとともにキャッチーに聴かせるサウンドは、
英語歌詞による聴きやすさもあって、それぞれのヴォーカルの味わいも含めて違和感なく楽しめる。
Disc2はスペイン語によるナンバーとカヴァー曲を収録、WARCRY、SARATOGA、SANTELMOなどのメンバーが参加。
哀愁漂うスペイン語の歌声を乗せ、クサメロな疾走曲からバラードまで14曲たっぷり収録。
女性ヴォーカルによる美しいナンバーもよいですね。2CDで合計25曲、濃密なベストアルバムです!
メロディック度・・8 フォーキー度・・8 豪華ヴォーカル度・・9 総合・・8.5
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Mago de Oz 「Ilussia」
スペインのメロディックメタル、マゴ・デ・オズの2014年作
デビューから20年を数えるベテランバンド。11作目となる本作は男女Voにフルート、ヴァイオリン奏者を含む9人編成で、
いつになくシンフォニックメタル風のイントロから始まり、クサメロのギターを乗せて疾走開始、
スペイン語の男性ヴォーカルに美しい女性ヴォーカルが絡み、濃密かつ壮麗なサウンドを描いてゆく。
きらびやかなシンセアレンジとツインギターのメロディに、ヴァイオリンも加わった厚みのある聴き心地と
あくまでキャッチーな爽快さに包まれた楽曲は、ベテランらしい説得力と優雅な叙情性を同居させている。
フルートやホイッスルが鳴り響くフォーキーなメロディと、スパニッシュメタルとしての哀愁も随所に感じさせながら、
全体的には正統派のメロディックメタルとしても、多くのリスナーに楽しめるだけの見事な傑作に仕上がっている。
メロディック度・・9 スパニッシュ度・・8 壮麗度・・9 総合・・8.5
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MANEGARM 「Nordstjarnans Tidsalder」
スウェーデンのヴァイキング・ブラックメタル、マネガルムの1998年作
いまや北欧ヴァイキングメタルの筆頭級のバンドであるが、デビュー作である本作の時点では、
ダミ声ヴォーカルとツインギターのメロデス風のフレーズを乗せて激しく疾走するスタイルで、
現在のような重厚なヴァイキングメタル風味はさほどでもない。うっすらとしたシンセアレンジを含んで
北欧らしい叙情性をともなったメロディは感じられるので、むしろ荒削りのペイガン・デスメタル的に楽しめる。
やや唐突な緩急のついたリズムチェンジも含めて、バンドの初期の勢いとパワーが伝わってくる。
ブラスト疾走たっぷりのブラックメタル的なナンバーもあって、北欧ブラック好きにも対応した力作デス。
ドラマティック度・・8 ヴァイキング度・・7 北欧度・・9 総合・・8
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MANEGARM「HAVETS VARGAR」
スウェーデンのヴァイキングメタルバンド、マネガームの2nd。2000年作
三連リスムに乗せる土着的なリフやフォーキーなメロディを聴かせつつ、ブラックメタルばりに疾走、
キーボード類は使わずにギターリフのみで雰囲気を出しているところも硬派な印象。
ところによりフルートやヴァイオリン、アコギなども顔を覗かせ、やわらかな音色を聴かせてくれます。
かつてのMITHOTYNを激しくしたという感じもあり、正統派のヴァイキングブラックが楽しめる好作。
メロディアス度・・7 暴虐度・・8 ヴァイキング度・・8 総合・・7.5
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MANEGARMDODSFARD
スウェーデンのヴァイキングメタルバンド、マネガームの3rd。2003作
フォーキーなヴァイオリンが絡む、のっけから音の説得力が増している。
前作までにあったブラックメタル的な暴虐さはやや影をひそめ、
いっそう正統派のヴァイキングメタルに深化をとげたという印象だ。
繰り出される勇壮なギターリフと、戦士の雄叫びのように咆哮するヴォーカルはかなりの迫力。
そして、ときおりはっとなるようなフォーキーな叙情性が耳を惹きつける。
アルバムとしては32分という短さだが、本格派のヴァイキングサウンドがめいっぱい詰まっている。
メロディアス度・・7 暴虐度・・7 ヴァイキング度・・9 総合・・8
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Manegarm 「Vargaresa - The Beginning」
スウェーデンのヴァイキング・ブラックメタル、モーネガルムの2005年作
北欧ヴァイキングメタルを代表するバンドの、デビュー前、1996~1997年のデモ音源を収録。
1996年のデモは、ノイジーなギターにダミ声ヴォーカルを乗せてブラスト疾走するブラックメタルで、
随所にゆったりとしたスローパートや、北欧らしい土着的なギターフレーズを覗かせる。
1997年の音源も、基本的には同傾向で、ヴァイキングというよりペイガンなブラックメタルというスタイルであるが、
メロディックなフレーズがより効果的になり、DISSECTIONなどにも通じるようなメロブラ的な雰囲気に、
ときにヴァイオリンの音色も加えた叙情性とともに、激しくも幻想的なペイガンブラックメタルが楽しめる。
ドラマティック度・・8 ペイガンブラック度・・8 勇壮度・・7 総合・・8
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MANEGARM「Vredens Tid」
スウェーデンのヴァイキングメタルバンド、マネガームの4th。2005作
初期はブラックメタル的な要素もあったが、前作あたりからより本格派のヴァイキングメタルとなり、
続く本作ではさらに重厚な雰囲気を増した。MITHOTYNの3rdあたりに近い、蛮族の戦いのような
荒々しい世界観に、ギターリフに絡むフィドルの音色やアコースティカルなパートも盛り込んで
フォーキーな要素も巧みに取り入れている。女性声の使い方も効果的だ。
次作「Vargstenen」は決定打となるヴァイキングメタルの傑作となる。
メロディアス度・・7 ヴァイキング度・・8 ドラマティック度・・8 総合・・8
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MANEGARM「Urminnes Havd」
スウェーデンのヴァイキングメタルバンド、マネガームのミニアルバム。2006作
アルバムでは勇壮なる重厚なヴァイキングメタルを聴かせる彼らだが、
今作はなんとアコースティックアルバムである。艶やかなヴァイオリンの音色に
パーカッションのリズム、そこに男女ヴォーカルが歌を乗せ牧歌的に聴かせる作風。
メタル色はほぼ皆無なので、無骨でエピックなアルバムとのギャップに驚くだろうが
これはこれで悪くはない。ただ7曲で26分というのはちっょと物足りないか。
メロディアス度・・7 メタル度・・2 フォーキー度・・8 総合・・7.5
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MANEGARM「Vargstenen」
スウェーデンのヴァイキングメタルバンド、マネガームの5th。2007作
今作も、のっけから土着性ぷんぷんの重厚なギターメロディで幕を開け、
期待通りのヴァイキングサウンドが炸裂する。かつてのMITHOTYNを思わせる
猛々しいヴォーカルの咆哮と、勇ましくも哀愁を含んだトラッド音階のメロディが胸にしみる。
また、アコースティカルな小曲やノーマル声に女性コーラスも入った静のパートなど、
楽曲としてのメリハリも付けられて、ドラマ性の向上に大いに貢献している。
フォーキーな要素と、武骨で勇壮な迫力を併せ持っているのが素晴らしく、
世界観と音の説得力をともなった、これは本格派のヴァイキングメタル傑作だ。
メロディアス度・・8 ヴァイキング度・・9 ドラマティック度・・9 総合・・8.5
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Manegarm「Nattvasen」
スウェーデンのヴァイキングメタルバンド、マネガームの6th。2009作
前作Vargstenenの圧倒的なまでの完成度から大いに期待していたが、
今作も重厚さと激しさを同居させた、ドラマティックな力作に仕上がっている。
前作以上に激しさを増した疾走感と、迫力あるヴォーカルのダミ声、
そこに勇壮な土着的なメロディを合わせたサウンドは、まさに説得力充分だ。
ドラマティック度・・8 暴虐度・・7 ヴァイキング度・・8 総合・・8
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MANEGARM 「Legions of the North」
スウェーデンのヴァイキングメタル、マネガームの2013年作
デビューは90年代で、本作はすでに7作目というキャリアのある中堅バンド。
本作はブラックメタルばりの激しさでたたみかける強力なサウンドで、
昨今のバンドのようにきらきら系のシンセなど入らない硬派なスタイルである。
重厚な激しさの中にも、随所にフォーキーなフレーズもしっかり盛り込んで、
神秘的で勇壮な世界観を描いてゆく。蛮族的な武骨さと北欧らしい土着性に包まれた力作だ。
ドラマティック度・・8 ヴァイキング・ブラック度・・8 勇壮度・・8 総合・・8
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Manegarm
スウェーデンのヴァイキングメタル、マネガルムの2015年作
デビューは90年代で、いまや北欧を代表するヴァイキングメタルバンドの8作目。
重厚なギターリフと母国語によるダミ声ヴォーカルを乗せたどっしりとした聴き心地で、
フォーキーなヴァイオリンの旋律も含んだ、本格派のペイガンメタルが描かれてゆく。
北欧らしいトラディショナルな土着性と武骨な勇ましさを同居させつつ、
今作では女性コーラスを含んだアコースティックなパートもあったりと、
なかなかメリハリに富んだ構成である。曲によっては疾走する激しさも含んだ力作だ。
ドラマティック度・・8 ヴァイキング度・・8 重厚度・・8 総合・・8
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MANEGARM 「Fornaldarsagor」
スウェーデンのヴァイキングメタル、モーネガルムの2019年作
1998年にデビューし、本作は9作目。今作はのっけからトレモロのギターにダミ声ヴォーカルで、
激しく疾走するブラックメタルばりの感触から、勇壮なコーラスやアコースティックパート、
北欧ペイガンらしい土着的なフレーズを盛り込みつつ、緩急ある展開でたたみかける。
母国語による歌声がミステリアスな神秘性をかもしだし、随所に叙情的なメロディを含んだ
本格派の北欧ヴァイキングメタルが味わえる。激しい疾走ナンバーがけっこう多めながら、
女性声を加えたどっしりとしたミドルテンポや、ケルティックなメロディを乗せたナンバーなど、
キャリアのあるバンドらしい確かな説得力で構築する。涼やかな土着感と激しさが同居した力作デス。
ドラマティック度・・8 ヴァイキング度・・8 勇壮度・・8 総合・・8
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MANEGARM 「Ynglingaattens Ode」
スウェーデンのヴァイキングメタル、モーネガルムの2022年作
1998年デビュー、本作は10作目となる。土着的なギターの旋律にダミ声ヴォーカルを乗せて疾走する、
迫力たっぷりのペイガンメタルで、トレモロを含むメロディックなギターや母国語のノーマルヴォーカルとともに、
涼やかな叙情性に包まれながら、ときにブラストビートを含むブラックメタル的な激しさも覗かせつつ、
10分を超える大曲もドラマティックに構築する。ヴァイオリンが鳴り響くフォーキーな感触や、
叙情的なギターメロディが随所にサウンドを彩り、女性ヴォーカルによる優雅なナンバーもアクセントになっている。
キャリアのあるバンドらしい堂々たる音の説得力が、神秘的な世界観を描き出す。これぞペイガンな傑作である。
ドラマティック度・8 ペイガン度・9 勇壮度・8 総合・8.5 
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Menhir 「Die Ewigen Steine」
ドイツのペイガン・ヴァイキングメタル、メンヒルの1st。1996年作
年代的に考えれば、ゲルマンペイガンメタルの元祖のひとつとも言えるだろう。
女性シンセ奏者を含む4人編成で、うっすらとしたシンセとクサメロのギターフレーズ、
そしてドイツ語の歌声を乗せて疾走する、軽めのシンフォニック・ヴァイキングメタルサウンド。
ダミ声とノーマル声の両方を使ったり、エピックな勇壮さとともに楽曲には緩急のついた展開もある。
フックのあるメロディラインなどは、いかにもジャーマン的で、ローカルなチープさもあるのだが、
後のBLACK MESSIAHにも通じるような雰囲気だ。クサメロ好きならば外せないバンドだろう。
クサメロ度・・8 エピック度・・8 ゲルマン度・・8 総合・・7.5
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Menhir「Thuringia
ドイツのペイガン・ヴァイキングメタル、メンヒルの3rd。1999年作
クサメロたっぷりのギターフレーズで聴かせるシンフォニック・ヴァイキングメタルサウンドは、
1stの頃よりも音の説得力が増していて、ドラマティックな重厚さが備わってきた。
ダミ声ヴォーカルと朗々としたドイツ語のノーマルヴォーカルの掛け合いや
リズムチェンジによる楽曲アレンジなどもなかなかツボをついている。
美しいシンセに加え、随所にアコースティカルな牧歌性も取り入れていて
メリハリのある音作りでエピックな幻想美を描き出す。ゲルマン系ペイガンの傑作。
クサメロ度・・8 エピック度・・8 ゲルマン度・・8 総合・・8
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Menhir 「Ziuwari 」
ドイツのペイガン・ヴァイキングメタル、メンヒルの4th。2001年作
美麗なシンセアレンジとクサメロのギター、朗々としたドイツ語のヴォーカルで聴かせる
大仰かつエピックな世界観のヴァイキングメタル。随所に激しく疾走するパートや、
ダミ声の入ったペイガンブラック色もあるが、あくまで叙情的な雰囲気に包まれて、
北欧神話的でゲルマンな幻想性を描いている。クサメロ系ヴァイキングメタルの好作。
クサメロ度・・8 エピック度・・8 ゲルマン度・・8 総合・・8




Menhir 「Hildebrandslied」
ドイツのペイガン・ヴァイキングメタル、メンヒルの2007年作
1996年にデビュー、本作は4作目で、土着的でメロディックなギターにシンセを重ね、
ドイツ語による朗々としたヴォーカルで聴かせる、勇壮なヴァイキングメタルサウンド。
ときにダミ声ヴォーカルを乗せて疾走する、ブラックメタル的な激しさも覗かせつつ、
エピックで幻想的な空気感を描くのがこのバンドの魅力だろう。2パートに分かれた計142分の大曲では、
シンフォニックなシンセアレンジとともに、じっくりとした叙情性でスケール大きなサウンドを描き出す。
これぞゲルマンなヴァイキングメタル。再発盤のDisc2には、1996年のカセットによるデモ音源を4曲収録。
ドラマティック度・・8 勇壮度・・8 ゲルマン度・・8 総合・・8
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Metsatoll「Curse Upon Iron」
エストニアのペイガン/フォークメタルバンド、メトサトルのライブアルバム。2006作
エストニア男声合唱団をバックにしたライブステージを収録したDVD付き。
勇壮な男声コーラスが響く中、リコーダーやパイプが牧歌的な音色を奏で、
そこにバンド演奏が重なって、辺境臭さぷんぷんのサウンドを聴かせる。
この垢抜けない土着的な田舎臭さはかなりのマニア向けではあるが、
シアトリカルな雰囲気といい、合唱入りのトラッドメタルとしてはなかなか個性的だ。
メロディアス度・・7 辺境度・・9 ライブ演奏・・7 総合・・7.5
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Metsatoll「Aio」
エストニアのペイガン/フォークメタルバンド、メトサトルの2010作
母国語の歌声と無骨な辺境臭さで聴かせるペイガンメタルで、
けっこうヘヴィなギターリフを中心にしながら、笛やパイプの音色が絡むスタイル。
シンセはないので派手さやクサメロはあまりないが、勇壮にかぶさるコーラスなど、
いかにも田舎めいた雰囲気がある意味魅力となっている。この手のバンドの中では
メタリックなパワフルさがあって、パワフルなフォークメタル=「パワフォー」として楽しめる。
メロディアス度・・7 フォーキー度・・8 辺境度・・8 総合・・8
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Metsatoll「ULG」
エストニアのペイガン/フォークメタルバンド、メトサトルの2011年作
アコースティカルなイントロから、ドラムの音が鳴り響き、ヘヴィなギターリフが加わって
強烈にブラスト疾走開始。前作もフォークメタルとしてはかなりパワフルな力作だったが、
今作ではさらに激しいペイガンブラック的な質感が強まったサウンドになっている。
辺境感を漂わせる母国語の歌声と勇壮なコーラスで、男臭くたたみかけつつ
牧歌的なパイプや笛の音色もまじえて、濃密で荒々しく、重厚な土着メタルを聴かせてくれる。
ドラマティック度・・8 パワフル度・・8 辺境度・・9 総合・・8
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Metsatoll 「Karjajuht」
エストニアのペイガン/フォークメタル、メトサトルの2014年作
前作は荒々しくも重厚な力作であったが、本作もヘヴィなギターリフに素朴なバグパイプの音色が重なり、
母国語のダミ声ヴォーカルを乗せて、アグレッシブにたたみかける激しめのフォークメタル。
カンテレやフルートやバグパイプなどのフォーキーな牧歌性も加わりつつ、荒々しく疾走するという武骨な感触で、
森の中の蛮族を思わせる雰囲気である。この手にありがちなクサメロ感というものはほとんどなく、
どっしりとした土着性とパワフルな野蛮さに包まれた世界観で、メタルとしての激しさをしっかりと体現している。
これぞ本物の漢のペイガンメタル。軟弱なフォークメタルは好かん!という硬派のアナタへ。
ドラマティック度・・7 フォーキー度・・7 パワフル度・・8 総合・・8
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MILETH 「Catro Pregarias no Albor da Lúa Morta」
スペインのフォークメタル、ミレスの2019年作
ガリシア地方のバンドで、艶やかなヴァイオリンが鳴り響き、ガリシア語による女性ヴォーカルと
迫力あるデスヴォイスが絡む、土着的な味わいのトラッド・フォークメタルを聴かせる。
アコースティックギターにマンドリン、ブズーキなどの素朴な音色とメタル感触が絶妙に融合していて、
説得力のあるケルティックなトラッド要素が、本格派としての重厚な説得力を生み出している。
ときに激しい疾走パートも現れて、優雅さとアグレッシブ加減のメリハリあるアレンジセンスなどは、
新鋭のフォークメタルとしては大変な有望株。いにしえのガリシアの風を感じるような強力作だ。
ドラマティック度・・8 フォーキー度・・8 土着度・・8 総合・・8
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Minotaurus 「The Call」
ドイツのフォークメタル、ミノタウラスの2013年作
男女ヴォーカルにツインギターの6人編成で、パワフルな正統派メタルを基本にした勇壮なサウンド。
ときにヴィオラやフルートの音色も入ったケルティックな質感と、野太い男性声と可憐な女性声のコントラストに、
牧歌的なコーラスなども加わった叙情性もいい感じだ。中世を感じさせる神秘性とともに、
全体的にはキャッチーな聴き心地で、ときにドイツ語の歌声も入ってきてゲルマンなトラッドメタルが楽しめる。
メロディック度・・8 フォーキー度・・7 牧歌的度・・8 総合・・7.5
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MISTUR「Attende」
ノルウェーのペイガン・ブラックメタルバンド、ミスターの2009作
シンセ入りで疾走するブラックメタルサウンドに、幻想的な世界観が合わさった雰囲気。
ペイガンメタルというには土着的な部分は薄めで、WINDIRあたりに近い作風かもしれない。
叙情パートで聴かせる泣きのギターフレーズなどはなかなかいい感じだし、
シンフォニックな美しさで聴かせる曲もあって、全体的にも質の高いアルバムだ。
シンフォニック度・・7 暴虐度・・7 ペイガン度・・7 総合・・8
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MITHOTYN 「In the Sign of the Ravens」
スウェーデンのヴァイキングメタルバンド、ミソティンの1st。1997年作
剣を手に中世風のコスチュームに身を包んで、イメージ的にも本格的なヴァイキングメタルを
作り上げたのはこのバンドといってよいだろう。牧歌的で土着的なメロディをギターフレーズで奏で
ダミ声による猛々しいヴォーカルを乗せたサウンドは、後のバンドの規範ともなった。
男臭い勇壮なコーラスに哀愁を漂わせた雰囲気は、戦士のロマンに満ちている。
初期ヴァイキングメタルを代表する傑作である。再発盤ではジャケが左のものに変更されている。
メロディアス度・・8 暴虐度・・6 ヴァイキング度・・9 総合・・8
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MITHOTYNKing of the Distant Forest
スウェーデンのヴァイキングメタルバンド、ミソティンの2nd。1998年作
1stではミドルテンポ主体の素朴なヴァイキングメタルだったのが、
本作ではブラックメタル的な疾走感を強めている。ツインギターの土着的なフレーズと
ダミ声ヴォーカルで聴かせるサウンドは、後のENSIFERUMなどの手本のようなスタイル。
ギターの奏でるクサメロはいま聴いてもなかなか悶絶もの。再発盤は左にジャケが変更された。
メロディアス度・・8 疾走度・・8 ヴァイキング度・・8 総合・・8
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MITHOTYNGathered Around the Oaken Table
スウェーデンのヴァイキングメタルバンド、ミソティンの3rd。1999作
現在はFALCONERで活動するメンバーによる、ヴァイキングメタルの元祖ともいうべきバンド。
土着的なギターリフと吐き捨て型の粗野なヴォーカルを乗せて疾走するサウンドで、
名盤である1stIn the Sign of the Ravensに比べるとさらに無骨で荒々しさが強い。
本作を最後にバンドは解散、メンバーは新たにFALCONERを結成する。
メロディアス度・・7 暴虐度・・7 ヴァイキング度・・8 総合・・7.5
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MITHOTYN「Carved In Stone」
スウェーデンのヴァイキングメタル、ミソティンの3CDボックス。2013年作
FALCONERの前身であり、エピック・ヴァイキングメタルの元祖というべきこのバンド、
本作は、彼らが1997~1999年までに残した3作をリマスターした3枚組セットである。
土着的なギターフレーズとともに、牧歌的な叙情とダミ声ヴォーカルを乗せて聴かせるサウンドは、
デスともブラックとも異なるエピカルな世界観で、そのいかにも北欧らしい感触はとても新鮮だった。
激しい疾走感を強めた2nd、より武骨な荒々しさで聴かせる3rdと、濃密で勇壮なメタルがたっぷり味わえる。
昨今のバンドとは違い、シンセに頼らず、あくまでツインギターのリフとメロディで描かれる戦士たちの世界、、
初期のヴァイキングメタルサウンドを楽しんで欲しい。リマスターで音質も向上している。
ドラマティック度・・8 ヴァイキング度・・9 エピック度・・9 総合・・8
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Mjod 「The Ash of Times /Пепел Времён」
ロシアのペイガンメタル、ムヨードの2018年作
女性パイプ奏者を含む5人編成で、重厚なギターにバグパイプの音色が重なり、
武骨な低音ヴォーカルを乗せた、オールドスタイルのヴァイキングメタルを聴かせる。
シンセが入らない分、武骨な荒々しさに包まれた感触で、激しい疾走パートもありつつ、
常に鳴らされるバグパイプの響きが、フォーキーで牧歌的な空気をかもしだしている。
クサメロや壮麗さはあまりないが、硬派な土着感は本格派の味わい。
媚びの無い本物のペイガン&ヴァイキングメタルが好きな方はいかが。
ドラマティック度・・7 ヴァイキング度・・8 重厚度・・8 総合・・7.5
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MOONSORROW「SUDEN UNI」
フィンランドのヴァイキングメタルバンド、ムーンソロウの1st。2001年作
2001年発表のデビュー作をリマスター、ボーナストラックに、DVDまで加えて再発したもの。
3rd「KIVENKANTAJA」でヴァイキングメタルとしての頂点を極める傑作を提示した彼らだが
この1stにおいても、勇壮なメロディにキーボードによるシンフォニック性という
ムーンソロウ節はすでに出来上がっている。基本はミドルテンポだが時には疾走もして、
非常に聴き易いフォーキーなメロディをそこに馴染ませる方法論はFINTROLLにも通じる部分がある。
DVDにはプロモ2曲に、2003年のヘルシンキでのライブが4曲入っていて、2nd、3rdの曲を演奏している。
血まみれのメンバーたちは凶悪そうだが、アルバムのままのシンフォニック・ヴァイキングメタルが楽しめる。
シンフォニック度・・8 暴虐度・・7 ヴァイキング度・・9 総合・・8
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MOONSORROW「VOIMASTA JA KUNNIASTA」
フィンランドのヴァイキングメタルバンド、ムーンソロウの2nd。2001年作
フォーク/トラッド風味もある土着的なギターリフとダミ声で絶叫するヴォーカル、
キーボードをバックにしたシンフォニックな味付けと勇壮なコーラスなどが中世のヴァイキング戦士たちを描き出す。
メンバー写真もいかにもそれっぽい。すべてが10分近い大曲ということもあり、気の短い方には向かないが、
随所にアコースティックギターを用いたり、静寂パートを含めて起伏に富んだ展開が楽しめる。
MITHOTYN
の1stをシンフォニックにしたようなイメージもある。ヴァイキングメタルの力作。
シンフォニック度・・8 ドラマティック度・・8 ヴァイキング度・・8 総合・・8
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MOONSORROW 「Tama Ikuinen Talvi」
フィンランドのヴァイキングメタル、ムーンソロウの2003年作
2001年にデビュー、北欧ヴァイキングメタルを代表するバンドの、1999年に作られたデビュー前のデモ音源。
美しいシンセによるイントロから、ノイジーなギターとダミ声ヴォーカルを乗せ、シンフォニックなアレンジとともに
ブラストビートを含む激しさで、ヴァイキングというよりはブラックメタル寄りのサウンドを聴かせる。
5曲入り全42分で、曲が長いのはこのバンドらしいが、トレモロのギターと涼やかなシンセで疾走するところは、
初期EMPERORのようでもあり、絶叫するダミ声ヴォーカルはまさにブラックメタルのそれだ。
のちのどっしりとした硬派な土着性に比べ、北欧らしいシンフォニック・ブラックメタルとして楽しめる音源です。
ドラマティック度・8 ヴァイキング度・7 むしろブラックメタル度・8 総合・7.5 
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MOONSORROW 「KIVENKANTAJA」
フィンランドのヴァイキングメタルバンド、ムーンソロウの3rd。2003年作
ここに来て彼らはついに辿り着いた…最初の音を耳にした瞬間そう思った。
シンフォニックメタルとさえ言ってもいいほどの音像に、ゆったりとしたヴァイキングメロディ、
曲は長いながらもアコースティックを効果的に取り入れるなど静と動のメリハリもあり、
なにより音の重ねに説得力があるので、聴いていてその世界観にぐいぐい引き込まれる。
普通声とダミ声を使い分け、勇壮な男コーラスに加え、ここぞという場面ではシンセで盛り上げる。
母国語の歌唱もとても音に調和していて、メロディには北欧の寒々しさが込められている。
これぞシンフォニック・ヴァイキングメタルの歴史的傑作と断言できる。
シンフォニック度・・9 ドラマティック度・・9 ヴァイキング度・・9 総合・・8.5 ◆メタル名盤特選入り
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MOONSORROW「VERISAKEET」
フィンランドのヴァイキングメタルバンド、ムーンソロウの4th。2005作
シンフォニックな路線をやや後退させ、その代りに、フォーキーな部分での荒々しさを押し出してきたという印象。
がなりたてるヴォーカルの叫びが禍々しい攻撃性をたたえながら、トラッドメロディが土の匂いを運んでくる。
もちろん勇壮な漢コーラスもあるが、前作は雪の中の戦士たちであったのに対し
今回はもう少し土臭い、そう…北欧の森に住む蛮族といった趣かもしれない。
全5曲70分(5曲めは延々と森の音が続く)は聴き方によっては単長にも思えるが、
音に封じ込められた北欧の森の空気が感じられるような方であれば今回も大いに楽しめるはず。
ドラマティック度・・8 ヴァイキング度・・10 総合・・8.5
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MOONSORROW「Viides Luku-Havitetty」
フィンランドのヴァイキングメタルバンド、ムーンソロウの5th。2006作
前作あたりから映画的な手法を取り入れだし、ついに今作はその大作志向を極めた。
30分、26分という大曲2曲という構成からして相当の覚悟が必要なはずだが、
内容の方も気合の入った劇的サウンドだ。まず、曲のイントロだけで4分近くもあり、
さらにメタリックな激しさが始まるのは6分過ぎから…気の短い人には向かない(笑)
しかし、この大仰かつ長尺なドラマ性たるや、それに浸れる種類の人間にはたまらない。
北欧の暗黒の森と山の中で、蛮族の戦士たちが燃えさかる炎を囲んで集い、
やがて戦いに赴いてゆくという幻想的な映像が、脳裏に繰り返し浮かび上がってくるのだ。
もちろん盛り上がりの場面では、これぞヴァイキングメタルという勇壮さでたたみかける。
まさに闇のファンタジー世界を楽しむための56分間。決して一般受けはしないだろうし、
そして売れないだろうが…これこそヴァイキングメタル史に残る凄まじいばかりの大作である。
シンフォニック度・・7 ドラマティック度・・10 ヴァイキング度・・9 総合・・8.5
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MOONSORROWTulimyrsky EP
フィンランドのヴァイキングメタルバンド、ムーンソロウのミニアルバム。2008作
前作は大曲2曲という構成の力作だったが、今作のタイトル曲も30分の長曲で、
物語的な語りから始まり、ブラックメタル的に疾走を開始。絶叫するヴォーカルと
甘すぎない土着フレーズを奏でるギターが絡み、武骨で暴虐、そしてドラマティックな
ヴァイキングメタルが展開する。2曲目はMETALLICAの“For Whom The Bell Tolls”の
ヴァイキングバージョンで、これが長尺ながら三連リズムのアレンジがなかなかハマっている。
3、4曲目は過去のデモの新録で、ヴァイキングというよりはシンフォブラック的な疾走曲。
5曲目はスウェーデンのデスメタルバンド、MERCILESSのカヴァー。マニアックなところをついている。
EPといっても全5曲で68分の長さというのが、いかにもこのバンドらしい(笑)
メロディアス度・・7 今回は暴虐度・・8 ヴァイキング度・・7 総合・・8
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MOONSORROWVARJOINA KULJEMME KUOLLEIDEN MAASSA」
フィンランドのヴァイキングメタル、ムーンソロウの2011年作
フルアルバムとしては6作目となる本作は、立ち上がりからヘヴィなギターリフで
重厚に聴かせつつ、うっすらとシンセを含んだ叙情性と母国語による土着的な感触で、
見事な世界観を作り出している。ゆったりとした曲調で音を連ねてゆく反復的な手法は
気の短いリスナーには向かないのだが、じっくりとハマれる人には気持ちいいことこのうえない。
シンセに頼らずギターのリフとフレーズでエピックな勇壮さとフォーキーな質感を生み出すのはさすがであるし、
10分以上の4つの大曲を映画的なSEではさんだ構成も心憎い。これぞ本格派のヴァイキングメタル傑作。
ドラマティック度・・9 ヴァイキング度・・8 壮大度・・9 総合・・8.5
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Moonsorrow 「Jumalten Aika」
フィンランドのヴァイキングメタル、ムーンソロウの2016年作
2001年にデビュー、いまや北欧ヴァイキングメタルを代表するバンドで、本作は7作目となる
10分を超える大曲をメインに、迫力あるダミ声ヴォーカルのツインギターの重厚なリフを乗せて、
美しいシンセアレンジをバックに、北の大地を感じさせる寒々しくも土着的な世界観を描いてゆく。
かつての傑作「Kivenkantaga」に通じる壮大なスケール感と、幻想的なまでの濃密なサウンドは、
このバンドにしか作れぬ聴き心地で、三連リズムのどっしりとしたリズムを基本にしながら、
適度に激しい疾走パートも盛り込んだメリハリのある展開は、ドラマティックでじつに素晴らしい。
ときに詠唱のようなコーラスがミステリアスな荘厳さをかもしだし、勇壮にして叙情的な世界に浸れる
音の強度をともなった見事な傑作だ。限定盤のボーナスDiscには、GRAVEとROTTING CHRISTのカヴァーを収録。
ドラマティック度・・9 重厚度・・9 壮大度・・9 総合・・8.5
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Morgenstern 「Heuteist Die Rache Mein」
ドイツのトラッドメタル、モルゲンステルンの2001年作
バグパイプが鳴り響き、適度にヘヴィなギターとドイツ語によるヴォーカルを乗せた
ゲルマンなトラッドメタルサウンド。牧歌的な聴き心地ながら激しく疾走するパートもあったりと、
わりとノリのよいナンバーも多く、女性声も加わったやわらかな感触と武骨なマイナー臭さが同居して、
中世的でもあるエピックな味わいも悪くない。フォーキーなメロディの魅力がもっとあればよいかなとは思う。
ドラマティック度・・7 トラッ度・・7 ゲルマン度・・8 総合・・7.5
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Morgenstern「Fuego」
ドイツの古楽メタルバンド、モルゲンステルンの4th。2004年作
ヘヴィなギターにバグパイプの音が愉快に絡み、そこにドイツ語の歌唱が乗るスタイルは、
IN EXTREMOあたりよりもずっとメタル寄りで、ゲルマン古楽メタル初心者にも勧められる。
途中から女性ヴォーカルも加わって、なかなか幻想的に聴かせてくれるのだが、
楽曲そのものはやや一本調子で、SUBWAY TO SALLYなどに比べると、トラッド部分がやや淡白か。
ドラマティック度・・7 トラッ度・・7 ゲルマン度・・8 総合・・7.5
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Nachtgeschrei「Hoffnungsschimmer」
ドイツのフォークメタルバンド、ナハトゲシュレイの2008年作
フォーキーなパイプとアコーディオンの音色に、適度にヘヴィなギターとドイツ語による歌声が
加わったそのサウンドは、エピックな世界観を匂わせた本格派のフォークメタルだ。
ヴァイキングメタルとまではいかないが、勇壮な雰囲気が牧歌性と混じり合い
中世を思わせるロマンと叙情を感じさせてくれる。軽すぎないフォークメタルの力作。
ドラマティック度・・8 フォーキー度・・8 エピック度・・8 総合・・8
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NachtgeschreiAm Rande der Welt
ドイツのフォークメタルバンド、ナハトゲシュレイの2009作
アコーディオン、フルート奏者を含む7人組で、重厚でドラマティックなフォークメタルをやっている。
ゆるやかなアコースティックギターのイントロから、メタリックなギターリフにパイプの音色が絡まり、
ドイツ語のヴォーカルが歌を乗せる。雰囲気としてはSUBWAY TO SALLYに近いが、
こちらの方がエピックなメタル質感が強く、好みかもしれない。やわらかなアコーディオンの音色が
ツインギターと自然に融合されていて、厚みのあるサウンドはこの手のバンドの中でも素晴らしい。
メロディアス度・・8 フォーキー度・・8 エピック度・・8 総合・・8
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Nachtgeschrei「Ardeo」
ドイツのフォークメタルバンド、ナハトゲシュレイの2011年作
以前のアルバムもエピックな世界観のなかなか見事なフォークメタルであったが、
本作も牧歌的なパイプやアコーディオンの音色とドイツ語によるヴォーカルで聴かせる、
いかにもゲルマンな感じのサウンドだ。これまでの作風よりはスタイリッシュになって
幻想的な雰囲気はやや薄まったが、その分、やわらかな聴きやすさで楽しめるようになった。
SUBWAY TO SALLYSALTATIO MORTISなどがお好きなら、このバンドもチェック。
ドラマティック度・・7 フォーキー度・・8 ゲルマン度・・9 総合・・8
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Nachtgeschrei「Aus Schwaster Nacht」
ドイツのフォークメタルバンド、ナハトゲシュレイの2013年作
ゲルマン系のフォークメタルとしてはクオリティの高いこのバンド、
本作もアコーディオンが鳴り響き、ドイツ語による歌声とともに、
適度に重厚かつメロディックなサウンドを聴かせてくれる。
ツインギターのリフはこれまでよりもぐっと正統派メタル的になり、
全体的にどっしりとした聴き心地の中に、エピックな勇壮さと叙情性を含ませた好作品だ。
メロディック度・・8 フォーキー度・・8 ゲルマン度・・8 総合・・8
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Nachtgeschrei 「Tiefenrausch」
ドイツのフォークメタル、ナハトゲシュレイの2017年作
2007年にデビュー、本作は6作目。叙情的なギターにシンセを重ね、ドイツ語のヴォーカルを乗せた、
ゲルマンなフォークメタルサウンド。バグパイプの音色や、やわらかなフルートが優美な牧歌性を描きつつ
今作ではキャッチーなノリのナンバーや、いくぶんモダンなヘヴィネスも含んだ適度な重厚さとともに
キャリアのあるバンドらしい説得力あるサウンドを聴かせる。メディーヴァルな勇壮さと哀愁の叙情が
バランス良く同居した感触は、Saltatio Mortisなどのゲルマン・トラッドメタルが好きな方にもお薦めできる。
ドラマティック度・・8 フォーキー度・・7 ゲルマン度・・9 総合・・8 
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NATURAL SPIRIT「Ruskolun」
ウクライナのフォークメタル、ナチュラル・スピリットの2004年作
土着フレーズを含んだギターに、ダミ声男ヴォーカルと女性ヴォーカルの歌声で聴かせる、
いかにも辺境臭いフォークメタル。よく言えば神秘的、悪くいうと垢抜けないという、
土臭さに包まれた作風であるが、チェンバロのような古楽的なシンセアレンジも面白く、
そこに女性Voが加わると優雅な叙情も出るので、辺境ペイガン好きならけっこう楽しめます。
ドラマティック度・・7 フォーキー度・・8 辺境度・・9 総合・・7.5

NATURAL SPIRIT「Sita Rosa
ウクライナのフォークメタル、ナチュラル・スピリットの2009年作
「指輪物語」のサルマンのようなジャケがいい感じですが、サウンドの方もまたステキです。
美麗なシンセアレンジに土着的なギターメロディ、パイプやヴァイオリンの音色に
男女ヴォーカルが歌を乗せる、優雅でファンタジックなフォークメタルになっています。
ケルティックなメロディにはクサさが増し、ダミ声ヴォーカルと美しい女性ヴォーカルの対比もよい感じです。
ドラマティック度・・8 フォーキー度・・8 辺境度・・9 総合・・8
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NATURAL SPIRIT「The Price of Freedom
ウクライナのフォークメタル、ナチュラル・スピリットの2011年作
ヴァイオリンやホイッスルが鳴り響き、ダミ声男Voと女性Voが絡む、
辺境的なフォークメタルサウンド。よい意味での垢抜けない土着性は変わらず
アコースティック楽器の頻度が増したことで、より音に説得力が加わっている。
ヴァイオリンに絡むギターもいい感じで、女性ヴォーカルの活躍が増えたのも嬉しい。
ドラマティック度・・7 フォーキー度・・8 辺境度・・9 総合・・8
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Nebelung 「Palingenesis」
ドイツのネオフォーク、ネベロングの2014年作
クラシックギターのつまびきに物悲しいチェロの音色が重なる、メランコリックなサウンド。
ときおりシンセやピアノ、ハープなども加わるが、基本はアコースティックギターが中心で、
囁くようなジェントルな男性ヴォーカルが加わることもあるが、ほとんどはインストが中心。
9分、14分という大曲もとくに盛り上がるでもなく、あくまで淡々とした聴き心地なので、
気の短い方にはお薦めできない。媚びの無い本格派という点と、薄暗い世界観に包まれた
ゴシック寄りのネオフォークとしては、TENHIあたりが好きな方にもいいかもしれない。
ドラマティック度・・7 ゴシック度・・7 メランコリック度・・8 総合・・7
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NEUN WELTEN 「Vergessene Pfade」
ドイツのネオフォーク、ノイン・ウェルテンの2006年作
アコースティックギターにヴァイオリン、チェロ、フルートの音色がまじわり、
ドラムによるリズムが加わって、幻想的なネオフォークサウンドを描いてゆく。
アコースティック楽器がメインながら、ドラムによる適度なロック色があるので、
静かすぎないメリハリのある感触だ。女性ヴォーカルを乗せたナンバーもありつつ、
基本はインスト中心なので、わりとあっさりとした感触で、暗すぎないところも聴きやすい。
ドラマティック度・・7 ネオフォーク度・・8 幻想度・・8 総合・・7.5
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NEUN WELTEN 「DAMMERUNG Die Destrunken Demos」
ドイツのネオフォーク、ノイン・ウェルテンの2009年作
2009年作「Destrunken」のデモ音源を収録したミニアルバムで、
アコースティックギターのつまびきに、ヴァイオリンが鳴り響く、物悲しい叙情のネオフォーク。
わりと激しいドラムが入った2曲目などは、フォークメタルファンにも鑑賞できそう。
スタジオデモ的な一発録りの空気感が、むしろ緊張感あるアンサンブルになっていて、
アコースティックの生々しさも含めてなかなか楽しめる。男女ヴォーカルを乗せたナンバーも
幻想的な味わいに聴き入れる。どうせならフルアルバムの長さでも聴きたかった。
ドラマティック度・・7 ネオフォーク度・・8 幻想度・・8 総合・・7.5
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Neun Welten 「The Sea I'm Diving in」
ドイツのゴシック・ネオフォーク、ノイン・ウェルテンの2017年作
2006年にデビュー、フルアルバムとしては3作目となる。艶やかなヴァイオリンの音色に、
けだるげな男性ヴォーカル&女性ヴォーカルが絡み、薄暗くも幻想的なサウンドを聴かせる。
優雅であるが厚みのある音の重ねで、これまでの作品以上に強固な世界観を描き出していて、
ときにギターにドラムも加わった適度なロック色とダイナミズム、ゴシック的でもある耽美な空気感と、
美しいシンセによる北欧プログレ的な涼やかさが合わさった、素晴らしい幻想フォークロックが味わえる。
たとえば、Anathemaや、Katatoniaを涼やかな北の空気で包み込んだような傑作です。
ドラマティック度・・8 耽美度・・9 幻想度・・9 総合・・8.5
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NEVID「Ярга」
ロシアのペイガン・フォークメタル、ネヴィド(НЕВИДЬ)の2007年作
BUTTERFLY TEMPLEのメンバーが結成したバンドで、
美しい女性ヴォーカルの歌声と、優雅な笛の音色を乗せて疾走するサウンド。
けっこう正統派のフレーズを奏でるギターと美麗なシンセアレンジで、
なかなかクオリティの高い演奏を聴かせてくれる。ダミ声ヴォーカルもまじえて
ときおりペイガンブラック的な激しい疾走もあるが、音自体にあまりヘヴィさはなく、
あくまでメロディックな聴き心地だ。シンフォニックでエピックな雰囲気もよろしい。
メロディアス度・・8 フォーキー度・・7 辺境度・・8 総合・・8

NEVID (Невидь )「AGARTA」
ロシアのペイガンメタル、ネヴィドの2011年作
2005年にデビュー、本作は4作目。フォーキーなイーリアンパイプにヴァイオリンの音色、
母国語による武骨な男性ヴォーカルに女性声が絡む、適度にアグレッシブなペイガンメタル。
楽曲は3~4分前後が中心で、わりとストレートなノリで楽しめ、随所に叙情的なギターや
ストリングスによるクラシカルなアレンジ、フルートなどのアコースティックな牧歌性も覗かせながら、
女性ヴォーカルがメインのナンバーでは、Kalevalaなどにも通じるキャッチーな優雅さに包まれる。
一方では、ブラックメタルばりの激しい疾走パートもあり、振り幅の大きなコントラストも特徴だろう。
ボーナスに、2010年のEP「Рассвет Заратустры」を追加収録。
ドラマティック度・・7 ペイガン度・・8 武骨で優雅度・・8 総合・・8
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9mm 「Volle Kraft Voraus」
ドイツのロックン・メタルバンド、9mmの2012年作
ジャケを見ると新手のパイレーツメタルかなんかかと思ったが、
実際は、パンキッシュなノリとロックンロールを合わせたような雰囲気で、
けっこうキャッチーなメロディとドイツ語の歌声を乗せて疾走するサウンド。
2、3分台の楽曲はしごくシンプルで、ギターは随所にクサメロ的なフレーズを奏でつつ、
ヴォーカルはダーティなダミ声なので、メタルとしてのパワフルさもちゃんと感じさせる。
いわば、モーターヘッドを愉快にして、ビール大好きゲルマン人が合体したというべきか。
ノリノリの疾走感とオバカな陽気さでロケンロー!「ビア・メタル・ロール」とでも命名してみよう。
メロディック度・・7 ビア・メタル・ロール度・・8 ゲルマン度・・8 総合・・7.5


Nomans Land 「Hammerfrost」
ロシアのペイガンメタルバンド、ノーマンズ・ランドの2005年作
女性シンセ奏者を含む6人編成で、軽めのクサメロたっぷりでフォーキーに聴かせる、
ペイガンメタルサウンド。ダミ声ヴォーカルにジェントルなノーマル声が重なって、
ギターの奏でる牧歌的なフレーズとともに、エピックな世界観を描いてゆく。全体的には
ケルティックなメロディアスさが前に出ていて、激しさや重厚さに関してはやや物足りないか。
ドラマティック度・・7 フォーキー度・・7 エピック度・・7 総合・・7.5
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Nomans Land「Raven Flight」
ロシアのペイガンメタルバンド、ノーマンズ・ランドの2006作
無骨なヴァイキングメタルに、フォーキーなメロディを取り入れてエピックな世界観を
描き出すサウンドは、ARKONAとはまた違った方向でなかなかの高品質。
ヴォーカルはかつてのMITHOTYNを思わせるようなダミ声で、
ときにジェントルなノーマルヴォイスもまじえつつ勇壮に聴かせる。
フォーキーメタルとして聴くと土着メロの点でやや物足りないかもしれないが、
むしろ普通にエピックメタルのリスナーが楽しめるくらいの普遍性もある。
メロディアス度・・7 ヴァイキング度・・8 エピック度・・8 総合・・8
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NOMANS LAND 「Last Crusade」
ロシアのペイガンメタル、ノーマンズ・ランドの2015年作
前作から6年ぶりとなる5作目で、ツインギターのリフと叙情的なフレーズにダミ声ヴャーカルを乗せて、
勇壮なサウンドを描く、かつてのMITHOTYNにも通じる正統派のペイガン/ヴァイキングメタルサウンド。
ほとんどシンセを使わないギター主導のスタイルなので、むしろ90年代を思わせる古き良き感触で、
オールドなメロパワ的にも楽しめる聴き心地だ。適度なクサメロ感と辺境らしさもよい感じで、
エピックなコーラスなども含めて、いまどきのきらびやかなバンドに飽きている方にもお薦めしたい。
ドラマティック度・・8 ペイガン/ヴァイキング度・・8 勇壮度・・9 総合・・8
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NORDHEIM 「Lost In The North」
カナダのペイガンメタル、ノルドヘイムの2011年作
シンセを含む5人編成で、ダミ声ヴォーカルを乗せていくぶん軽めながら激しく疾走、
武骨な感触の中にも、随所にクサメロを含んだギターに美しいシンセアレンジも入ってきて
ペイガン好きのクサメタラーにはなかなか楽しめるだろう。ヴァイキング的な勇ましさというよりは、
アコーディオンの音色などフォークメタル風味の感触が前に出ていて、曲調は激しくともライトな雰囲気。
重厚なバンドが好きな方にはやや物足りないか。反対に軽めの音でもOKなクサメタ諸君はどうぞ。
ドラマティック度・・7 フォーク&ペイガン度・・7 勇壮度・・7 総合・・7.5




NOW「NOWIA」
ポーランドのペイガンメタルバンド、ナウの2004年作
ポリッシュ・ペイガンというのは珍しいが、フルートにコーラスも兼ねる女性シンセ奏者がいる
4人組でなかなかエピックな雰囲気のペイガン・ブラックメタルをやっている。
男性声はマイルドなノーマルヴォイスで、うっすらとしたシンセとギターリフで疾走するサウンドは
なかなか格好いい。演奏的にはそうレベルは高くないのだが、それがむしろイモ臭さをかもしだし
辺境っぽさを感じさせる。ペイガンメタルマニアならば聴いて損のない作品だ。
メロディアス度・・7 エピック度・・8 辺境ペイガン度・・8 総合・・7.5


Nucleus Torn「Andromeda Awaiting」
スイスのゴシック・フォークバンド、ニュークリアス・トーンの2010年作
男女Voにヴァイオリン、チェスロ、フルートを含む7人組で、中心人物のFredy Schnyderは、
ギターにベース、ピアノ、マンドリン、ブズーキ、ハンマーダルシマーまで弾くというマルチプレイヤー。
美しいピアノの調べにフルートが重なり、はかなげな女性ヴォーカルの歌が乗る。
ダークな暗黒性は薄く、艶やかなヴァイオリンの音色など、クラシカルで優雅なサウンドだ。
中世的な世界観も魅力的で、静寂感ただよわせる幻想的な雰囲気にうっとりです。
クラシカル度・・8 ロック度・・1 幻想度・・9 総合・・8
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Travellers」
スイスのゴシック・フォークバンド、ニュークリアス・トーンの2010年作
1997、98年に録音され2004年にリリースされた作品を、2009年に新たにリミックスしたもの。
素朴なアコースティック風味で聴かせる、トラッド風味で、ロック色は皆無。
前半はアコギだけの純トラッド風で、歌もなにも入らないので、ややきつい
後半からは歌も入って、いくぶんメタリックな質感やプログレ風味を聴かせる曲もあり、
自然の空気を感じさせるトラッド・フォークロックを楽しめる。こちらはややプログレファン向けか。
アコースティック度・・9 ロック度・・3 幻想度・・8 総合・・7.5
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Nucleus Torn「Golden Age
スイスのゴシック・フォークバンド、ニュークリアス・トーンの2011年作
アコースティカルな素朴さに、クラシカルなピアノにヴァイオリン、チェロが響き、男女ヴォーカルの歌声でしっとりと聴かせる、
幻想的なフォークロックサウンド。本作から、ELUVEITIEのAnna Murphyも加わり、女性2人、男性1人の3人ヴォーカルとなった。
プログレとフォークの中間的な雰囲気は、WHITE WILLOWあたりにも通じるもので、ゴシック的なシンフォニックロックとしても楽しめる。
やわらかなフルート、オーボエなどの音色も美しい。以前の作品よりも楽曲にメリハリがついて、後半にはメタル色もあったり
ラスト曲はデス声入りと、最後まで飽きさせない。神秘的な世界観と薄暗い叙情にうっとりの力作です。
ドラマティック度・・8 プログレ度・・7 幻想度・・9 総合・・8
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NUCLEUS TORN 「STREET LIGHTS FAIL」
スイスのゴシック・フォーク、ニュークリアス・トーンの2014年作
マルチプレーヤーのFredy Schnyderと、ELUVEITIEのAnna Murphyによるユニットで、
19分の大曲を含む全3曲という構成。うっすらとしたシンセにピアノのつまびき、
はかなげな女性ヴォーカルを乗せた繊細で薄暗いサウンドから、2曲目の大曲では
ハードなギターも加わりつつ、アコースティックパートを含む起伏のある展開力とともに、
単なるネオフォークという以上のプログレ的なセンスも覗かせる。やわらかなフルートが鳴り響く
涼やかな叙情性は、WHITE WILLOWなどの北欧プログレの世界観にも通じるだろう。
ドラマティック度・・8 北欧プログレ?度・・8 薄暗叙情度・・9 総合・・8
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Nucleus Torn 「Neon Light Eternal」
スイスのゴシック・フォーク、ニュークリアス・トーンの2015年作
Fredy Schnyderと、ELUVEITIEのAnna Murphyによるユニットで、本作は前作と対になる作品。
女性ヴォーカルの歌声にアコースティックギターのつまびきで、静寂感を感じさせるサウンドに、
オルガンやメロトロンなどのシンセが加わると、北欧プログレ的な薄暗い叙情性に包まれる。
クラシカルなハープシコードの響きにうっとりしつつ、ときにヘヴィなギターが入ってくるという、
メタル寄りの質感もあなどれない。やわらかなフルートも加わって、この土着的で幽玄な世界観は、
AnglagardWhite Willowなどのファンにもアピールするだろう、22分、10分、7分で全3曲という構成で、
1曲目北欧プログレ路線から、一転して2曲目は激しいメタルに。このアヴァンギャルドな感性も素晴らしい。
ドラマティック度・・8 むしろ北欧プログレ?度・・9 いきなりメタル度・・8 総合・・8
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Oakenshield 「Legacy」
イギリスのペイガンメタル、オーケンシールドの2012年作
マルチミュージシャン、Ben Corkhill氏による一人ユニットで、スコットランドやアイルランド、
ノルウェーなどのトラッドソング取り入れて、勇壮なペイガンメタルにアレンジした作品。
ヴァイオリンにホイッスルが鳴り響き、うっすらとしたシンセにクサメロなギターと、
ダミ声ヴォーカルを乗せた、土着的なペイガン/ヴァイキングメタルを聴かせる。
各国のトラッドやケルトがベースなので、耳馴染みのよいメロディで、クサメロ好きにも対応。
アコースティックギターやマンドリンなどの牧歌的なパートも含みつつ、そこにほどよく武骨な
ペイガンなメタル色が良い具合にブレンドされた、幻想的な味わいで楽しめる。
ドラマティック度・・8 ペイガン度・・8 トラッド&ケルト度・・8 総合・・8
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Oakhelm「Betwixt & Between」
アメリカのペイガンブラック、オークヘルムの2006年作
土着的なギターリフとダミ声ヴォーカルを乗せて激しく疾走するスタイルで、
緩急をつけた楽曲に、マイルドな声のノーマルヴォーカルも含んだ叙情性もある。
ツインギターのトレモロのフレーズは北欧的な雰囲気で、MITHOTYNあたりを思わせる
武骨な味わいとともに、全体的にも正統派のヴァイキングメタルといってよい印象だ。
アコースティカルな小曲を挟みつつ、9分、10分という大曲もなかなかドラマティックに聴かせる。
ドラマティック度・・8 ヴァイキング度・・8 B級ペイガン度・・8 総合・・7.5
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OBTEST 「Auka Seniems Dievams」
リトアニアのペイガン・ブラック、オブテストの2001/2011年作
2001年の作品の再発したもので、ノイジーなギターリフとともに激しく疾走しつつ、
母国語の歌声とともに、辺境的な土着性も強く感じさせるペイガン・ブラックサウンド。
ギターのフレーズにはどことなくクサメロな感触もあり、勇壮なコーラスなども含めて
エピカルな世界観がなかなかよろしい。音のラウドさも粗削りな迫力になっていて、
プリミティブなブラックメタルが好きな方にも楽しめるだろう。辺境ペイガンの好作品。
ドラマティック度・・8 ペイガン度・・8 辺境度・・8 総合・・8
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OBTEST「Gyvybes Medis」
リトアニアのペイガンブラック、オブテストの2007年作
メロディックなギターリフと、ダミ声ヴォーカルを乗せて激しく疾走。
オールドな北欧メロブラ的スタイルに土着的な神秘性を含ませたサウンドで、
随所にピロピロ系のギターやクサメロを含んだ聴き心地もなかなかいい。
母国語の歌声とともに辺境的な味わいを感じさせつつ、サウンド自体は粗すぎず、
しっかりとした演奏力とメロディの魅力があり、質の高いペイガン・ブラックが楽しめる。
ドラマティック度・・8 ペイガンブラック度・・8 辺境度・・7 総合・・8
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ODROERIR「Last Euch Sagen Aus Alten Tagen」
ドイツのフォーク・ペイガンメタルバンド、オドロエリアーの2002年作
いかにも田舎臭いフォークメタルで、無骨なギターリフとともに、
朗々としたドイツ語の歌声にデスヴォイス、ときに女性ヴォーカルが絡み、
中世の山林を感じさせるようなアコースティカルな牧歌性も覗かせる。
辺境的なマイナー臭さを好む方には、なかなか楽しめるバンドかもしれない。
メロディアス度・・7 土着度・・8 田舎度・・9 総合・・7.5

ODROERIR「Goetterlieder」
ドイツのフォーク・ペイガンメタルバンド、オドロエリアーの2005年作
ジャケからしてもうフォーキーな香りぷんぷん。アコースティックギターに女性ヴォーカルの歌声でゆったりと始まり
男性声も混じって、ドイツ語による混声コーラスとともにほのぼのと聴かせます。メタリックなテイストは薄めで
のんびりとした田舎臭さで牧歌的な世界観を描き出している感じ。男性の歌唱にはゲルマン的な勇壮さもあり、
フィドルやチェロなどの音色や、ときおりメロウなフレーズを奏でるギターもいい味を出している。
フォーキー度・・8 メタル度・・6 ほのぼの度・・8 総合・・7.5
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ODROERIR「Gotterlieder II」
ドイツのフォーク・ペイガンメタルバンド、オドロエリアーの2010年作
フォーキーなフィドルに笛の音色、そしてドイツ語の歌声で牧歌的に聴かせる
なごみ系フォークメタル。アコースティカルなのんびりとした叙情はまさに森の音楽。
音に派手さはないのだがまったりと楽しめます。ときおり絡む女性ヴォーカルもいい感じ。
ラストは19分の大曲で、本格派のトラッド質感から、メタル色が加わってドラマティックに盛り上げる。
メロディアス度・・7 フォーキー度・・8 森の叙情度・・9 総合・・8
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Orkrist「Reginae Mysterium」
スロバキアのフォークメタル、オークリストの2002年作
先に聴いていた2ndは、やや田舎臭いファンタジックなシンフォメタルという感じであったが、
本作も、うっすらとしたシンセの幻想的な曲調に、男女ヴォーカルが歌を乗せる
牧歌的なペイガンメタルという趣。女性ヴォーカルの歌声にやわらかなフルートの音色も美しく、
しっとりとした優美なナンバーもよい味わいになっている。辺境の香りを漂わせる幻想作。
シンフォニック度・・8 ファンタジック度・・8 辺境度・・9 総合・・7.5
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ORKRIST「Grond」
スロバキアのフォークメタルバンド、オークリストの2nd。2003年作
シンフォニックなシンセによるフォーキーな雰囲気とともに、映画的に幕を開け、美しい女性ヴォーカルやフルートとともに、
やわらかな質感で聴かせるサウンド。デス声も若干入るが、おおむね女性声メインでデスメタル的な暴虐性は薄く、
疾走するパートにしても、音自体が軽いため牧歌的に聴けたりする。全体的にややもったりとしている雰囲気がいかにもマイナー臭いが
この辺境っぽさが幻想的ファンタジー世界にとてもマッチしている。ギターよりもむしろ美麗なシンセやフルートの音色が前に出ているので、
まっとうなメタラーよりも、シンフォニック、やわらかなゴシックメタル好きにもオススメできる好作品だ。
シンフォニック度・・8 ファンタジック度・・9 辺境度・・9 総合・・8
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Oskord 「Weapon of Hope」
ウクライナのフォークメタル、オスコードの2011年作
フルート&ホイッスル奏者を含む6人編成で、やわらかな笛の音色が鳴り響き、
重厚なギターリフに迫力ある低音のデスヴォイスを乗せた本格派のフォークメタル。
フルートやホイッスルが常に鳴り響いていて、土着的なクサメロ感を含んだ辺境性もいい感じだし、
ヴォーカルはデス声ながら、随所にキャッチーなコーラスなども加わって、けっこう聴きやすい。
牧歌的なフォーク要素とメタルとしての重厚さが合わさった、クオリティの高いサウンドだ。
本作は6曲入りのミニアルバムなので、フルアルバムが聴きたいですな。
ドラマティック度・・7 フォーキー度・・8 重厚度・・8 総合・・7.5
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OTYGAlvefard」
VINTERSORG率いるトラッドメタルバンド、オティグの1st。
男女ヴォーカルの牧歌的な歌声に、鳴り響くヴァイオリンの音色。
メタル度は抑えめなサウンドはその分土着性が高く、
たとえばKORPIKLAANIなどに比べるとずっと土臭く、本格派だ。
フォークメタル、トラッドメタルのコアなファンは必聴。2ndも同様に出来がいい。
メロディアス度・・7 メタル度・・7 土着度・・8 総合・・8
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OTYG「SAGOVINDARS BONING」
スウェーデンのトラッドメタルバンド、オティグの2nd。
リーダーでヴォーカルのVINTERSORGは、同名のフォークメタルバンドを率いているが、
こちらの方はさらにトラッド質感が強いサウンドだ。フルートの音色にヴァイオリンが奏でる
民族メロディには不思議な浮遊感があり、ギターのフレーズにはほのかに中近東色もある。
VINTERSORGのマイルドなクリーンヴォーカルはトラッドメロディによく合っていて、
時折絡む女性Voも土臭い楽曲の中でいいアクセントになっている。
メタラーのみならず民族サイケプログレが好きな方にも勧められる作品だ。
メロディアス度・・7 メタル度・・7 トラッ度・・8 総合・・8
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Pagan Reign「Древние Воины」
ロシアのペイガンメタル、ペイガン・レインの2002/2004年作
シンセによる優美なイントロから、土着的なギターフレーズにダミ声ヴォーカルを乗せた
フルートやパイプのフォーキーな音色とともに、牧歌的なペイガンメタルが広がってゆく。
ときに激しい疾走感も覗かせつつ、暴虐性よりも辺境的なクサメロ感に包まれていて、
シンセによるシンフォニックな感触も現れたりと、粗削りながらも和めるサウンドです、。
7分を超える長めの曲も多く、緩急ある展開と叙情メロディをほどよい激しさで楽しめる。
ドラマティック度・・8 クサメロ度・・8 辺境ペイガン度・・8 総合・・8 
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PAGAN REIGN「Отблески Славы и Возрождение Былого Величия」
ロシアのヴァイキング(ペイガン)メタルバンド、ペイガン・レインの2003年作。
2作目の本作も、無骨で土着的なギターにシンセを加えたローカルなシンフォニック性で疾走する、
辺境ペイガンメタルを展開。ややバタバタとしたドラムも微笑ましく、演奏もサウンドもいかにも辺境的なのだが、
ギターによるいかにもなクサメロフレーズが顔を覗かせると思わずにやりとなる。
イモ臭くてもとにかくクサいメロのペイガンが聴きたいという方は必聴…かも。
クサメロ度・・8 勇壮度・・7 辺境度・・9 総合・・8
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PAGAN REIGN「Уделы Былой Веры」
ロシアのヴァイキング(ペイガン)メタルバンド、ペイガン・レインの3rd。2004作
前作よりもサウンドのクオリティが上がり、音に説得力が増してきている。
それによって初期MITHOTYN的な土着性が、寒々しい北の大地の薄暗い叙情とともに
目の前に広がるような印象を受ける。ドラムの演奏力も向上して、ブラックメタル的な疾走感も
前作以上にシリアスな音像で迫力がある。もちろん牧歌的なクサメロのフレーズも随所に聴け、
激しく疾走する部分はENSIFERUMを思わせるくらいの完成度がある。イモ臭さでは前作ですが。
クサメロ度・・8 勇壮度・・8 辺境度・・8 総合・・8
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PAGAN REIGNТвердь
ロシアのヴァイキング(ペイガン)メタルバンド、ペイガン・レインの4th。2006作
のっけからいきなりケルト調で始まり、あまりメタルっぽくないな…と思っていると、曲が始まると疾走開始。
フォークメロを乗せてブラック声入りでドカドカとブラストもかまします。ヴァイキングといういうよりは、
ケルト風味のブラックメタルという方が正しいかも。爆走しつつも時折唐突に脱力な田舎メロが入ってきて、ちょっと笑えます。
フルートやマンドリンの音色が入ってきてもうっとりとならないのが辺境的で、サウンドとしては勇ましいんだか、
田舎臭いのだが微妙な路線ですが、うるさめのフォークメタルが好きな方ならそこそこ楽しめるかもしれません。
メロディアス度・・7 疾走度・・8 フォーキー度・・8 総合・・7.5
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THE PRIVATEER 「THE GOLDSTEEN LAY」
ドイツのフォーク・パワーメタル、プライヴェーターの2017年作
艶やかなヴァイオリンの音色にヘヴィなギターとノーマル&ダミ声ヴォーカルを乗せた、
フォークメタル風味の重厚なメタルサウンドを聴かせる。「私掠船」というバンド名からも、
海賊的なイメージを世界観にしているのだろう、勇壮な男女コーラスにフォーキーなヴァイオリンのメロディ、
随所にアコースティックなパートやブラックメタルばりの激しい疾走パートも含んだ緩急のある展開で、
暗黒の航海に挑むようなドラマティックなサウンドを構築してゆく。ALESTORMなどが好きな方にもお薦めの強力作。
ドラマティック度・・8 フォーキー度・・7 勇壮度・・8 総合・・8
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Protokult 「No Beer in Heaven」
カナダのフォークメタル、プロトカルトの2014年作
牧歌的なリコーダーの音色が響きながら、男性ダミ声ヴォーカルに女性ヴォーカルが絡み
アコーディオン的なシンセとともに適度な疾走感も含んだフォークメタルサウンド。
紅一点、エカテリーナ嬢の歌声は、オペラティックなソプラノから中音域まで使い分け、
やわらかなリコーダーとともに武骨な男性声に対する美しいコントラストになっている。
曲によってはクサメロ入りの疾走感も楽しめて、メロディのフックという点でもなかなか質が高い。
あとは、作品全体を通しての世界観の強度が加われば、かなりいいバンドになりそうだ。
メロディック度・・8 フォーキー度・・8 女性Vo度・・7 総合・・7.5
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RAGNAROEK「RACHE」
ドイツのフォークメタル、ラグナロクの2009年作
鳴り響くパイプの音色にドイツ語の歌声で、SUBWAY TO SALLY
SALTATIO MORTISなどに通じる雰囲気のゲルマン・トラッドメタル。
ヘヴィなギターと土着的なメロディに、ダミ声のヴォーカルが合わさった武骨な味わいとともに、
ときおりアコースティカルな叙情とともに、中世を思わせるロマンも感じさせるサウンドだ。
メロディアス度・・7 中世トラッ度・・8 ゲルマン度・・8 総合・・7.5


RAGNAROK「TO MEND THE OAKEN HEART」
イギリスのケルト・ブラックメタルバンド、ラグナロクの1st。
裏ジャケの白塗りメイクで暴虐そうなメンバー写真からはとてもケルトメロディを取り入れているようには思えない。
しかし曲を聴いてみると、確かにフィドルの音色がケルトしている。なんとギタリストが弾いているらしい。
しかし、どこがブラックメタルなんだ?暗黒性もほとんどない。音も軽い。まあVoは確かにがなり声だが。
意外と目新しくなかった。スカイクラッドミソティンの1stなどが好きな人はまあまあ楽しめるだろう。
メロディアス度・・7 ケルティック度・・6 ブラックメタル度・・3 総合・・7


RAKOTH「Jabberworks」
ロシアのフォーキー・ブラックメタルバンド、ラコスの2000年作
詳細は不明だが、本作は1997~2000年までの音源をまとめたものらしい。
しっとりとしたフルートにピアノ、シンセ、トランペットなどの音色と、ゆったりとしたバンドサウンドが重なり、
メタリックな激しさよりもゆるやかなフォークメタル風味で、静かな場面ではノーマルヴォイスでマイルドに聴かせつつ、
ときおりブラック声もまじったり、唐突にブラストが入ったりと、油断しているとなかなかアヴァンギャルドな展開に驚くが、
クラシカルな要素やオーケトラルなアレンジも含めて、プログレッシブな感性を有した世界観はなかなか好みである。
ギターのメロウなフレーズやフルートの牧歌性も魅力。独自の浮遊感と叙情性をともなったサウンドはけっこう奥が深い。
メロディアス度・・7 クラシカル度・・8 プログレ度・・8 総合・・7.5
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Rakoth 「Tiny Deaths」
ロシアのフォークブラックメタル、ラコスの2004年作
アコースティックギターに笛の音が絡み、エレクトロ風味のシンセアレンジとともに
中世音楽を思わせる世界観を描き出す。朗々としたノーマルヴォーカルにダミ声ヴォーカルも含んで、
ときにブラックメタル的なトレモロリフも入りつつ、それでいて疾走する激しさはあまりなく、
むしろSolefaldあたりに通じるシアトリカルなセンスが面白い。フルートが鳴り神秘的に歌声が響く、
トラッド的な叙情性もどこか妖しげである。全体的には激しさもメロディアスさもさほどないので、
一般の方々には退屈かもしれないが、アヴァンギャルドな作品を好む方には一聴の価値ありだ。
ドラマティック度・・7 暴虐度・・5 アヴァンギャル度・・8 総合・・7.5


RAKOTH 「Ars Compilata」
ロシアのアヴァン・ブラックメタル、ラコスの2015年作
90年代から活動するバンドで、本作は前作から11年ぶりとなる3作目となる。
どこかコミカルなイントロから、曲に入るとモダンなシンセアレンジにヘヴィなギター、フルートが鳴り響き、
ロシアなまりの英語のヴォーカルを乗せた、シアトリカルなアヴァンメタルが広がってゆく。
どこか風変わりで濃密な感触は、ドイツのDie Apokalyptischen Reiterあたりにも通じる雰囲気があり、
ときにダミ声ヴォーカルも加わるが、全体的にもかつてのようなブラックメタル的な激しさはさほどない
フォーキーな要素はフルートくらいなのだが、重厚なシアトリカルメタルとしてわりと普通に楽しめる。
ドラマティック度・・8 フォーキー度・・6 重厚度・・8 総合・・7.5 
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RAROG「Vzoydi solntse/Взойди Солнце」
ロシアのペイガンメタル、ラロッグの2011年作
ダミ声男性ヴォーカルに、女性ヴォーカルも絡んで激しく疾走しつつ、シンフォニックなアレンジやフルートやヴァイオリンなどのアコースティックな叙情性も含んだ緩急ある展開で聴かせる。
バグパイプの牧歌的な音色も含めて、どこか愉快な感じもあるので、ブラストパートなどでも暴虐性はあまり感じない。
KALEVALAが激しくなった感じという雰囲気もあり、ロシアのフォークメタルシーンのクオリティの高さを窺わせる作品だ。
ドラマティック度・・8 フォーキー度・・8 女性Vo度・・7 総合・・8
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RAROG(Рарогъ)「SYNY SOKOLA(Сыны Сокола)」
ロシアのペイガンメタル、ラロッグの2012年作
ダミ声男性ヴォーカルを乗せて激しく疾走する武骨な辺境性に、女性ヴォーカルやヴァイオリン、バグパイプ音色が絡む土着的なサウンド。
ロシア語女性Voのヘタウマ感がむしろ神秘的な雰囲気をかもしだしていて随所にブラスト疾走も含んだ楽曲は、
ただのマイナー系ペイガンメタル以上の迫力を感じさせる。
ギターとヴァイオリンが北欧トラッドにも通じる叙情的な旋律を奏でるところもよい感じだ。
今作のカヴァー曲は、MANOWAR“Blood of My Enemies”ペイガンなマノウォーになっています。
ドラマティック度・・8 フォーキー度・・8 辺境度・・9 総合・・8
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Rauta「Haudanmaa」
フィンランドのトラッド/フォークロック、ラウタの2007年作
女性ヴァイオリン奏者、アコーディオン奏者を含む6人組で
のっけから優雅なアコーディオンの音色に、ギターとヴァイオリンが重なり、
北欧トラッド調のメロディを奏でてゆく、やわらかなフォークロックサウンド。
母国語で歌うヴォーカルはマイルドなノーマルヴォイスで、
この軽やかな聴き心地は、むしろプログレファンなどでも楽しめそう。
激しさよりも優雅なアンサンブルで、北欧土着メロディが楽しめる傑作です。
メロディアス度・・8 トラッ度・・8 北欧度・・9 総合・・8
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RAXA「MEZOVEDIC」
ロシアのペイガン・ゴシックメタル、ラクサの2008年作
ジャケのイメージのようにアステカ文明をテーマにした作品のようで、打ち込みのドラムの上に
スペイシーなシンセアレンジと低音ダミ声を乗せた、ミドルテンポのシンフォブラック的なサウンド。
ギターは随所にメロディックであったり、ペイガンメタル的な土着的なフレーズもありつつ、
全体的にシンフォニックなアレンジに包まれた作風は、ミステリアスな神秘性を目指した聴き心地。
やはりリズムが打ち込みのため重厚さの点ではやや物足りないのだが、この世界観は好みです。
ドラマティック度・・8 ペイガン度・・7 ミステリアス度・・8 総合・・7.5


REANIMACIA(Реанимация)「HARAKTERNIK」
ロシアのペイガン・メロパワバンド、リアニマシアの2008年作
アルバムのロシア語表記は「Характерник」
男臭いコーラスから、曲に入ると普通のメロパワという感じで疾走、
朗々とした母国語のヴォーカルとけっこう正統派のギターリフで聴かせる。
ときおりメロディにはフォーキーな味わいもあるが、あくまで味付け程度。
ギターフレーズのセンスはなかなかで、辺境臭いドラマティックな漢メタルとしても楽しめる。
ドラマティック度・8 案外正統派度・・8 ロシア度・・8 総合・・7.5


Rodogost(Родогост) 「Zachin」
ベラルーシのフォークメタル、ロドゴストの2013年作
ノリのよいリズムに、適度にハードなギターと母国語によるマイルドなヴォーカルを乗せた、
エピックな雰囲気フォークメタル。随所にホイッスルの音色やシンセによるアレンジも加わり
デス声や女性ヴォーカルも入ってきたりと、音の厚みとともにきらびやかな雰囲気もある。
リズムチェンジによる展開にギターがクサメロを奏でる、なかなかメリハリのある聴き心地で
辺境的であるがドラマティックなスケール感を描いている。優美なダルシマーの音色も響かせる
フォーキーな土着性も耳心地よく、ペイガン系フォークメタラーならかなり楽しめる力作だろう。
ドラマティック度・・8 ペイガン度・・8 辺境度・・9 総合・・7.5
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RUMAHOY 「The Triumph of Piracy」
アメリカのフォークメタル、ラマホイの2018年作
スコットランドのALESTORMのように、自らパイレーツメタルを名乗るバンド。
フォーキッシュなメロディにダミ声ヴォーカルを乗せ、随所に激しい疾走パートも含んだサウンドで
男臭く勇壮なコーラスとともに、TURISASなどにも通じるバトルメタルの雰囲気もある。
基本は3分前後のシンプルな作風なので、ドラマティックな展開力というのはあまりなく、
Korpiklaaniのような愉快さで、荒くれた酒飲み海賊の世界観を楽しむというのがよいだろう。
あとは、フォーク要素で生楽器を使ったりして、さらに音の説得力を高めていってもらいたい。
ドラマティック度・・7 フォーキー度・・7 海賊度・・8 総合・・7.5
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RUNIC「LIAR FLAGS」
スペインのフォークメタルバンド、ルーニックの2006年作
情熱のスペインから現れたのは、フィンランドのKORPIKLAANIを思わせる愉快な森のメタル野郎ども。
耳障りなダミ声ヴォーカルに、けっこうメタリックでまともなギターリフ、バックにはうっすらとしたシンセ、
そしてそこに絡むフルートやバグパイプが、ミスマッチな感触とともにフォーキーな雰囲気をかもしだす。
曲によってはギターリフのフレーズが普通に格好良く、案外シンフォメタル的な部分もあったりして
そのあたりはコルピよりもしっかりとメタルとして楽しめるのが嬉しい。なかなかの力作だ。
メロディアス度・・8 フォーキー度・・7 案外ちゃんとメタル度・・8 総合・・8
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RUSSKAJA 「Peace, Love & Russian Roll」
オーストリアのポルカロック、ロスカージャの2015年作
ロシアのポルカ民謡を取り入れた、「ロシアン・ターボ・ポルカ」を標榜するバンドで、
トランペットやホルン、女性ヴァイオリン奏者などを含む多人数の編成。
パンキッシュに疾走する勢いの良さに、牧歌的なポルカのメロディを乗せたサウンドで、
愉快なフォークメタル的にも楽しめる。野太いヴォーカルの声質はメタルそのものであるが、
ヘヴィさよりも愉快なノリが前に出ているので、メタルとして聴くには少し軽いかもしれない。
アコースティカルな叙情パートもなどもあり、バンドとして本気でこの音楽を追及する姿勢が感じられる。
ドラマティック度・・7 フォーキー度・・8 メタル度・・7 総合・・7.5
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RUYAN「Heritage」

ロシアのタタールスタン共和国出身のフォークメタル、ルーヤンの2010年作
フルートの鳴る異国的なイントロから、曲が始まるとけっこうヘヴィに疾走、
美しいソプラノとスクリームを使い分ける女性ヴォーカルの歌声が響きわたる。
牧歌的なガイタの響きと武骨なギターリフが合わさり、艶のある女性声の母国語の歌声で
メロディアスに聴かせつつも、サウンドには幻想的でミステリアスな土着性が感じられて
けっこう新鮮な耳心地である。女性でありながらグロウルの迫力もなかなかすごいが、
あくまで辺境的な牧歌性がヘヴィさを上回っていて、のんびりと聴けるのが魅力。
メロディアス度・・8 フォーキー度・・8 女性Vo度・・8 総合・・8
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RUYAN 「White Swan (Лебедь Белая)」
ロシアのタタールスタン共和国出身のペイガンメタル、ルーヤンの2014年作
前作もなかなか幻想的な好作品であったが、2作目となる本作もブラスト疾走する激しさに、
うっすらとしたシンセに母国語の女性ヴォーカルを乗せた、神秘的な辺境感に包まれたサウンドを聴かせる。
トレモロのギターリフに男性デス声で疾走するブラックメタル風味に、随所に静謐な叙情パートも含んだ
緩急ある展開とともに、薄暗く幻想的でドラマティックな世界観を描いている。しっかりとした演奏力に加え、
適度にモダンなヘヴィネスが迫力あるサウンドとなっていて、全体的にもマイナー臭さはさほど感じない。
ときに激しい暴虐性も見せるふり幅の大きさと、重厚かつミステリアスな空気感に包まれた強力作。
ドラマティック度・・8 ペイガン度・・8 重厚度・・8 総合・・8
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RVI MEKHA (Рви Меха) 「SKYLARK (Жаворонок)」
ロシアのフォークメタル、リヴィ・メクハの2017年作
現在は、PLAMYA V MAS (Пламя в Нас)へと改名。ほどよくヘヴィなギターに牧歌的なアコーディオン、
母国語による美しい女性ヴォーカルを乗せて、優雅な耳心地のフォークメタルを聴かせる。
楽曲は3~4分前後で、キャッチーなノリの良さがあって、ときに愉快なアコーディオンの旋律と共に
コルピクラーニの女性声版という感じでも楽しめる。シンセがないぶんシンフォニックな感触は薄いが、
なよやかな女性声の魅力が前に出ていて、メロディックなフックも含めて耳心地の良さが光る好作品。
メロディック度・8 フォーキー度・7 女性Vo度・8 総合・8
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Saltatio MortisDas Zweite Gesicht
ドイツの古楽メタルバンド、サルタティオ・モーティスの2nd。2002作
ドイツにはIN EXTREMOSUBWAY TO SALLYといった古楽とメタルを融合させたバンドがいるが、
このバンドはもっとインダストリアル色が強く、デジタリィなアレンジを取り入れている。
四つ打ちのリズムの上をバグパイプが鳴り響き、ドイツ語のヴォーカルが歌を乗せる。
メタル度はあまり高くなく、むしろRammsteinあたりに通じるインダストリアルロックといえる。
古楽度・・7 メタル度・・4 インダストリアル度・・8 総合・・7
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Saltatio Mortis「Erwachen」
ドイツの古楽メタルバンド、サルタティオ・モーティスの4th。2004作
デジタルなアレンジを含んだモダンな雰囲気と、中世を思わせる古楽が合わさったスタイルで、
IN EXTREMOSUBWAY TO SALLYとともにゲルマン・トラッドロックを体現するバンド。
鳴り響くパイプの音色にドイツ語のヴォーカル、ときにエピカルな世界観を覗かせつつ、
哀愁の叙情を聴かせてくれる。本作ではまだインダストリアル色が残っているが、
初期に比べるとしだいにメタリックな色が濃くなってきていて、楽しめるようになった。
古楽度・・7 メタル度・・7 ゲルマン度・・9 総合・・7.5
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Saltatio MortisDes Koenigs Henker
ドイツの古楽メタルバンド、サルタティオ・モーティスの2005年作
IN EXTREMOSUBWAY TO SALLYとともにゲルマン・トラッドメタルの中心バンドで、
初期はインダストリアル色が強かったが、前作あたりからメタリックな重厚さが増してきて、
ギターリフに牧歌的なパイプの音色が絡み、ドイツ語の歌唱で聴かせるゲルマントラッドメタルは
その説得力をさらに強めている。随所にアコースティカルな叙情も織りまぜられ、
その巧みなアレンジは、バンドとして円熟の域に差しかかっていることを物語っている。
古楽度・・7 メタル度・・7 ゲルマン度・・8 総合・・8
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Saltatio Mortis「Aus der Asche」
ドイツの古楽メタルバンド、サルタティオ・モーティスの6th。2007年作
今作は、初期に比べるとぐっとメタリックな質感が増している。ギターに絡むバグパイプの音色と
ドイツ語ヴォーカルが、哀愁の情感を漂わせつつ、メタルとしてのヘヴィさもついてきていて、
初期のインダストリアルロック風味よりもずっと楽しめるサウンドになった。
クオリティ的にも、同郷であるSUBWAY TO SALLYに匹敵する出来だろう。
古楽度・・7 メタル度・・7 ゲルマン度・・9 総合・・8
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Saltatio Mortis「Wer Wind Sat」
ドイツの古楽メタルバンド、サルタティオ・モーティスの2009作
インダストリアル色の強かった初期の作風から、2007年の「Aus der Asche」では
メタリックな部分が強まり、SUBWAY TO SALLYに並ぶくらいのレベルにきた。
本作もモダンなヘヴィさと土着的な旋律、ドイツ語による歌唱のバランスのとれた作風で
独特の叙情表現に磨きをかけている。勇壮なコーラスにかぶさるパイプの音色、
そしてエピックな雰囲気をかもしだす世界観で、フォーキーなゲルマンロックを作り上げている。
エピック度・・8 メタル度・・7 ゲルマン度・・9 総合・・8
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Saltatio Mortis「Manufactum II」
ドイツの古楽メタルバンド、サルタティオ・モーティスのライブアルバム。2010年作
これまでにアルバム7作を発表、IN EXTREMOSUBWAY TO SALLYとともに
ゲルマン・トラッドメタルを体現するこのバンド。ライブにおいてもバグパイプが鳴り響き、
ドイツ語の歌声とともに勇壮に聴かせる、中世を思わせる古楽ロックサウンドが炸裂する。
ただしメタル的なハードさは薄めなので、あくまでゲルマンロックとして楽しむ内容だろう。
ライブ演奏・・7 メタル度・・7 古楽度・・8 総合・・7.5
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SALTATIO MORTISSturm Aufs Paradies
ドイツの古楽フォークメタル、サルタティオ・モーティスの2011年作
SUBWAY TO SALLYと並ぶ、ゲルマン・トラッドメタルを代表するこのバンド、
8作目となる本作も、ドイツ語のヴォーカルとフォーキーなパイプの音色を響かせつつ
適度なヘヴィさを盛り込んで、勇壮かつエピックな世界観を聴かせてくれる。
武骨さの中にある叙情的な気心地がこのバンドの持ち味で、そのバランスの良さが
サウンドの質の高さとなっている。中世を思わせるゲルマン・トラッドメタルの傑作です。
エピック度・・8 メタル度・・7 ゲルマン度・・9 総合・・8
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Saltatio Mortis 「Manufactum III」
ドイツのフォークメタル、サルタティオ・モーティスのライブ作品。2013年作
2001年にデビュー、SUBWAY TO SALLYと並ぶ、ゲルマン・トラッドメタルを代表するバンドである。
バグパイプが鳴り響き、ドイツ語のヴォーカルを乗せた、メディーヴァルな世界観に包まれたサウンドで、
ときに疾走するナンバーもありつつ、ヘヴィすぎないサウンドながら、ベテランらしい音の説得力はさすが。
アコースティックな素朴さも覗かせながら、ゲルマンな中世トラッドをロックに融合させた自然体のノリで
力み過ぎない味わいで楽しめる。全15曲、64分という濃密なステージでMCも含めた臨場感もばっちり。
ライブ演奏・・8 トラッ度・・8 ゲルマン度・・8 総合・・8 
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SALTATIO MORTIS 「Zirkus Zeitgeist」
ドイツのフォークメタル、サルタティオ・モーティスの2015年作
SUBWAY TO SALLYと並ぶ、ゲルマン・トラッドメタルを代表するこのバンド、2001年にデビューしてから、
おそらく本作で9作目。ドイツ語のヴォーカルにバグパイプの音色を乗せて軽快に聴かせるサウンドで、
本作では中世トラッド風味が減退した代わりに、キャッチーなハードロック風味が強まっていて、
一般のリスナーにもぐっと聴きやすくなっている。反面、楽曲は3~4分前後とシンプルなので、
濃密さの点では物足りなさもあるが、メロディアス性という点では気軽に楽しめる。ピエロのジャケのように、
随所に哀愁を感じさせる叙情性も含んでいて、フォーキーなゲルマン・ハードロックというべき好作品である。
メロディック度・・8 フォーキー度・・7 ゲルマン度・・8 総合・・8
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Saltatio Mortis 「Brot Und Spiele」
ドイツのフォークメタル、サルタティオ・モーティスの2018年作
2001年にデビュー、SUBWAY TO SALLYとともに、ゲルマン・トラッドメタルの代表格というべきバンド。
優美なピアノにバグパイプが鳴り響くイントロから、ドイツ語のヴォーカルを乗せたキャッチーなハードロックを展開。
楽曲は3~4分前後と比較的シンプルで、前作の路線を受け継ぐメロディックな抜けの良さとともに、
随所にシンセや女性コーラスなどを加えた、厚みのあるゴージャスなアレンジもさすがというところ。
ゲルマンロックとしての勇壮さに、哀愁を含んだ叙情も覗かせつつ、どっしりとした音の説得力はベテランならでは。
かつてのような古楽的なアプローチは薄まったが、バグパイプ入りのゲルマン・ハードロックとしてはとても楽しめる。
メロディック度・・8 フォーキー度・・7 ゲルマン度・・8 総合・・8 
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Satanakozel (СатанаКозёл)「Rogatiya (Рогатыя)
ロシア、カレリア共和国のフォークメタル、サタナコツェルの2008年作
メタリックなギターに武骨なデスヴォイスを乗せた、辺境感のあるペイガンメタルで、
アコーディオンの音色も加わりつつ、ときにデスメタル的な激しい疾走感も覗かせる。
朗々としたコーラスやうっすらとしたシンセとともに、幻想的な空気感に包まれながら、
Finntrollあたりに通じるポルカ風の愉快なノリや、クサメロなギターの旋律も現れる。
これという新鮮味はないが、ほどよくアグレッシブな武骨系フォークメタルが好きならいかが。
ドラマティック度・・7 フォーキー度・・8 武骨度・・8 総合・・7.5
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Satanakozel (СатанаКозёл)「The Sun of The Dead (Солнце мёртвых)
ロシア、カレリア共和国のフォークメタル、サタナコツェルの2010年作
メタリックなギターリフにホイッスルの音色を重ね、武骨なダミ声ヴォーカルで聴かせる、
重厚なペイガンメタルサウンド。朗々とした勇壮なコーラスや土着的なギターの旋律が、
寒々しく神秘的な世界観を描き出しつつ、アコーディオンの音色とともに激しく疾走する
Finntrollあたりに通じるような雰囲気もある。一方では、シンセを加えた壮麗なアレンジも覗かせて、
辺境的な武骨さと、ビアーメタル系の愉快さがほどよくブレンドされたサウンドが楽しめる。
ドラマティック度・・7 フォーキー度・・8 武骨度・・8 総合・・7.5
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SATARIAL「THE QUEEN OF THE ELVES' LAND」
ロシアのフォーク・ブラックメタルバンド、サタリアルの1st。1999作
とにかくまずこのジャケ。それにインナーの儀式風の裸の女性の妖しいステージ写真に唸る(笑)
音楽の方は女性Vo(ジャケの方?)をメインにした比較的聴きやすいサウンドで、
キーボード(これも女性)にフルート、ヴァイオリンまでいて、シンフォニックなメタルパートと
トラッド(ロシア民謡?)的な田舎パートの対比が面白い。ぎゃあぎゃあと叫んでいる男声の他は
ブラック色は薄く、全体的に比較的まったりしているのが部分的に退屈に感じなくもない。
シンフォニック度・・7 暴虐度・・6 民族度・・7 総合・・7.5
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SATARIAL「HEIDENLARM」
ロシアのフォーク・ブラックメタルバンド、サタリアルの2nd。2001作
今回もインナーには裸満載!!(爆)十字架でオ○ニーする全裸の女性の連続ショットが!!(ボカシ有り)
…それはさておき(笑)。肝心の音の方ですが、おや、けっこう品質向上~。
のっけから前回で散漫な感じだった民族色が見事にメタルサウンドにはまり、
ギター、シンセに絡むフルートがじつに自然に融合。ぴーひゃらしてます。
美しい女性ヴォーカルと野郎のわめき声の対比もくっきりと見事になった。
曲間に入る女性声のロシア民謡独唱もなんだか説得力を帯びてます。
ううむ・・しかしこの裸のおねえさんが踊り狂うステージを生で見てみたいものです。
シンフォニック度・・7 暴虐度・・6 民族度・・8 総合・・8
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SAUROM LAMDERTH「EL GUARDIAN DE LAS MELODIAS PERDIDAS」
スペインのフォーキーメタルバンド、サウロム・ラムダースの1st。2001作
鳴り響くヴァイオリンにスペイン語の歌唱。基本はMAGO DE OZタイプのサウンドだが
こちらの方がヒロイックな雰囲気が強く、楽曲に物語的な勇壮感がある。
ツインギターの重なりも、時にBLIND GUARDIAN的に(というと言い過ぎか)思えたり
疾走することは少ないものの、ファンタジックな質感と壮大な作風が楽しめる。
バグパイプの響きも美しく、フルート、ヴァイオリンなどがギターと交じり
なかなか気持ち良い融合がされていて、この手としては楽曲アレンジのセンスもある。
MAGO DE OZがイマイチと思った方でもこちらは聴いてみる価値はありますぜ。
これはフォーキーメタルの傑作といってよいかも。2ndも出ているがまずはこちらから。
シンフォニック度・・8 フォーキー度・・8 けっこう壮大度・・8 総合・・8
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SAUROM LAMDERTH「SOMORAS DEL ESTE」
スペインのフォーキーメタルバンド、サウロム・ラムダースの2nd。2002年作
大仰なイントロからフルートがぴーひゃら入ってフォーキーに曲が始まると、
スペイン語の歌唱もあいまって、田舎くさいトラッド&フォークメタルが全開。
楽曲のアレンジやプロダクションの甘さはあるものの、泣きのヴァイオリンなども加わり、
サウンドのドラマティックさにはクサメタルファンは悶絶する場面も多数。
指輪物語をテーマにしたファンタジックさという点においても、その手のマニアには受けるだろう。
情熱的な女性ヴォーカル入りの曲もあり、CD2枚組で長尺ながらも盛り上がりどころは多い。
メロディアス度・・8 フォーキー度・・8 ドラマティック度・・8 総合・・8
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SAUROM LAMDERTH「LEGADO DE JUGLARES」
スペインのエピック・フォーキーメタルバンド、サウロム・ラムダースの3rd。2004年作
ファンタジックな世界観と、フォーキーなメロディをメタルに融合させたサウンドを描くこのバンド。
今作はヴァイオリンが正式メンバーに加わり、フルートにアコギ、女性コーラスによる牧歌的なイントロから
どっぷりとファンタジーの世界に入り込める。同郷のMAGO DE OZよりはシリアスでエピックな雰囲気が強く、
まるで物語を読んでいるような幻想空間へと、聴き手をいざなってくれるのが魅力なのである。
メロディにはスパニッシュ特有のやわらかな哀愁があり、スペイン語の歌唱を乗せて疾走しつつ
ときに壮大なコーラスワークやヴァイオリン、フルートによるフォークメロディが心地よく耳に響く。
スパニッシュな叙情性と優雅さに、エピックなファンタジー性を付加した、幻想的なフォークメタルの傑作だ。
メロディアス度・・8 疾走度・・7 フォーキー度・・8 総合・・8
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SAUROM「Juglarmetal」
スペインのフォークメタルバンド、サウロンの2006作
SAUROM LAMDERTHからSAUROM名義へと変わっての1作目。
指輪物語などのファンタジックなコンセプトに、フォーキーなメロディを取り入れた
質の高い作品で、マニアからも評価が高いこのバンドであるが、
今作では、土着的な部分をやや薄めてシンフォニックメタル的な質感が増している。
ツインギターのメロディとシンフォニックなシンセ、ときに壮大なクワイアや女性ヴォーカル、
さらにはデス声までも導入し、そのドラマティックなサウンドに磨きをかけている。
もちろんスペイン語の歌唱とともにヴァイオリンを取り入れたフォーキーな要素もあり、
堂々たるサウンドのクオリティは、さらにリスナーの間口を広げるだけの力作といってよい。
シンフォニック度・・8 フォーキー度・・7 ドラマティック度・・8 総合・・8
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SAUROM「Once Romances」
スペインのフォーク・メロパワバンド、サウロンの2008年作
フォーキーな土着性を取り入れた正統派メロパワサウンドと、ファンタジックな世界観で
毎回マニア好みの好作を出してきたこのバンド、今回はヴァイキングメタル風の勇壮さを増し、
のっけからパワフルに疾走。いつになくシリアスな雰囲気をまといつつ、RHAPSODYばりの
壮大なシンフォニックメタルを展開する。スペイン語の歌唱とともに濃密なサウンドを描きつつ、
土着メロディの取り入れ方もクサすぎないくらいにこれがなかなか絶妙で、
普通のシンフォメタルとしても充分楽しめる。勇壮でドラマティックな力作に仕上がっている。
シンフォニック度・・8 フォーキー度・・7 ドラマティック度・・8 総合・・8
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SAUROM「Vida」
スペインのフォークメタルバンド、サウロンの2012年作
SAUROM LAMDERTH名義から数えると7作目となる。
パイプやフルートの音色が鳴り響き、スペイン語の歌声とともに牧歌的なサウンドを聴かせる。
フォークメタルといっても、このバンドの場合は武骨さよりもキャッチーなメロディを含んだ
やわらかな優雅さが前に出ていて、幻想的な雰囲気とともに耳心地のよい音が楽しめる。
楽曲は3、4分台が中心で、シンプルな分かりやすさもまた魅力となっている。
メロディック度・・9 フォーキー度・・8 スパニッシュ度・・8 総合・・8
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SAUROM 「SUENOS」
スペインのフォーク・メロパワ、サウロムの2015年作
SAUROM LAMDERTH名義で2001年にデビュー、7作目となる本作はCD2枚組の大作で、
ケルティックなパイプにアコースティックギターとマンドリン、フルートの音色で牧歌的に始まり、
ハードなギターとスペイン語のマイルドなヴォーカルが加わって、叙情的なフォークメタルを展開。
アコーディオンの音色とともに疾走するキャッチーな陽気さと、スパニッシュな哀愁が同居していて、
ときに女性コーラスや美麗なシンセを加えた、キャリアのあるパンドらしい繊細なアレンジも見事。
楽曲自体は、3~4分台とわりとシンプルで、ファンタジックな世界観を優雅なメロディアス性で描く力作だ。
ドラマティック度・・8 キャッチー度・・8 叙情度・・8 総合・・8 
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Saurom 「La Magia De La Luna」
スペインのフォークメタル、サウロムの2017年作
Saurom Lamderth名義で2001年にデビュー、アルバム3枚残したのちに、バンド名をSAUROMに改名する。
本作はアコースティックアルバムで、アコースティックギターにマンドリンのつまびき、ガイタにヴァイオリン、フルートなどの優雅な音色を加え、スペイン語のマイルドなヴォーカルで牧歌的なサウンドを聴かせる。
3~4分前後の楽曲を主体に、メタル感触は薄いものの、ドラムなどのリズムは入るので、幻想的なフォークロックとして優雅に楽しめる。
女性ヴォーカルメインにしたナンバーなどもしっとりと優しい聴き心地。フォーク要素にしっかりと説得力があるのが素晴らしい。
フォーキー度・8 メタル度・2 優雅度・8 総合・8 
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Saurom 「Musica」
スペインのフォークメタル、サウロムの2020年作
優美なフルートやホイッスル、アコースティックで牧歌的なイントロから、ガイタやヴィイオリンの音色をギターに重ね、スペイン語のヴォーカルにシンセを重ねて、壮麗なフォークメタルを展開。
今作ではメロハー寄りのキャッチーなナンバーもあったり、曲によってはバンジョーを使ったカントリー調の雰囲気や、キュートな女性ヴォーカルが加わったりと、全体的に明るめのナンバーが多く、初期のようなエピックな部分は薄めながら、メディーヴァルな世界観が味わえる。
フォーキー度・8 メタル度・7 優雅度・8 総合・8
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ScarcrossFreidenker
ドイツのプログレッシブ・ペイガンブラック、スカークロスの2011年作
シンセを含む4人組で、ペイガンブラック的な土着性とプログレッシブな大作志向のサウンド。
激しく疾走するだけでなく、メロディックなギターフレーズやアコースティックな叙情も盛り込んだ
静と動の緩急をつけたアレンジで、16分、12分という大曲を構築してゆくセンスはなかなかのもの。
基本はダミ声ヴォーカルながら、ときおりドイツ語による勇壮な歌声も聴かせるなど、
ゲルマンメタルとしての世界観もよい感じだ。総じてドラマティックで好みのサウンドであるが、
現時点ではまだ楽曲と演奏にやや粗さがあるので、今後のさらなる成長に期待したい。
ドラマティック度・・8 暴虐度・・7 ゲルマン度・・7 総合・・7.5
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Schandmaul「Wie Pech Und Schwefel」
ドイツのフォークメタルバンド、シャンドマウルの2004年作
女性フルート、ヴァイオリン奏者を含む6人組で、SUBWAY TO SALLYSaltatio Mortisなどと同じく
中世音楽的な優雅さをただよわせたトラッドメタルをやっている。ドイツ語による男性ヴォーカルに
ヴァイオリンやパイプの音色がフォーキーに絡み合い、なかなか聴き心地のいいサウンドだ。
メタル的なヘヴィさはあまりなく、むしろキャッチーな質感はゲルマン・トラッドロックという感じである。
メロディアス度・・8 フォーキー度・・8 ゲルマン度・・8 総合・・7.5
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Schandmaul「Anderswelt」
ドイツのフォークメタルバンド、シャンドマウルの2008年作
ドイツにはSUBWAY TO SALLYやIN EXTREMO、SALTATIO MORTISなど、
古楽を取り入れたメタルバンドがけっこういるのだが、このバンドもまたそのひとつ。
ヘヴィすぎないギターに、ヴァイオリンや笛の音色が重なり、朗々としたドイツ語の歌声で、
メタリックな激しさのあまりない、マイルドでやわらかなサウンドを聴かせてくれる。
アコースティカルな牧歌性の中に、物語的な幻想美を感じさせる耳心地のよいアルバムだ。
牧歌度・・8 メタル度・・7 ゲルマン度・・8 総合・・8
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SCHANDMAUL 「Sinnfonie」
ドイツのフォークメタル、シャンドマウルのライブ作品。2009年作
女性リコーダー、女性ヴァイオリン奏者を含む6人組で、2008年のミュンヘンでのステージを2CDに収録。
適度にメタリックなギターにヴァイオリンやバグパイプの音色が絡み、男性ヴォーカルのドイツ語の歌声を乗せた
いかにもゲルマンな空気感のフォークメタルで、やはりSUBWAY TO SALLYSALTATIO MORTISなどに通じる、
中世トラッド風味も感じさせるサウンドだ。アコーディオンやリコーダーの素朴な音色に武骨な男ヴォーカルと、
ときに女性コーラスも加わり、全体的にはメタル的なヘヴィさは控えめながら、キャッチーなノリの良さを含んだ
厚みのある演奏を繰り広げる。CD2枚組で120分を超える濃密なゲルマン・フォークメタルが楽しめるライブ作品である。
ライブ演奏・・8 フォーキー度・・8 ゲルマン度・・8 総合・・8
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ScythiaOf Exile」
カナダのフォークメタル、シシアの2011年作
シンセに女性オーボエ奏者を含む5人組で、ファンタジックな世界観で聴かせる
幻想的なフォークメタル。男女ヴォーカルの歌声が響き、牧歌的なオーボエの音色や
ギターがクサいフレーズを奏で、サウンドは適度な田舎臭さのある牧歌性に包まれている。
ときにシンセはプログレ的であったりして、全体的にあくまでメロティ重視なので耳心地がよい。
クサメロ好きのフォークメタラーにとっては掘り出し物の一枚といってよいだろう。
メロディック度・・8 フォーキー度・・7 ファンタジック度・・9 総合・・7.5
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Sechem 「Disputes With My Ba」
スペインのゴシック・フォークメタル、セケムの2018年作
女性Vo、女性リコーダー奏者を含む6人編成で、ヘヴィなギターリフに牧歌的なリコーダーの音色、
女性ヴォーカルの歌声に男性デスヴォイスを乗せた重厚なサウンドで、モダンなヘヴィネスと
ゴシックメタル的な雰囲気も覗かせる。バックの演奏にはわりとアグレッシブな激しさもあるのだが、
素朴なリコーダーの音色がややミスマッチな感じで、そこが面白いといえば面白い。
女性ヴォーカルの歌声は淡々としていて、翳りを帯びたミステリアスな雰囲気に包まれつつ、
曲によってはアラビックなテイストもあったりと、エスノゴシックメタル的にも楽しめる。
ドラマティック度・・7 フォーキー度・・7 女性Vo度・・7 総合・・7.5
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SHADYGROVE「 In The Heart Of Scarlet Wood」
イタリアのネオフォーク、シェイディーグローブの2018年作
EVENOIREの女性シンガーと、ELVENKINGのヴァイオリン奏者を中心に、SOUND STORMの女性シンセ奏者も参加。、
アコースティックギターにパーカッション、艶やかなヴァイオリンの音色に女性ヴォーカルで聴かせる、
Blackmore's Nightにも通じる、優雅でメディーヴァルなトラッド・フォークサウンド。
ロリーナ・マッケニットを敬愛するという、リシー・ステファノーニ嬢のフェミニンな歌声は、
アコースティック主体の演奏によく映えて、しっとりとした翳りを含んだ表現力にウットリとなる。
クラシカルなピアノやシンセアレンジが加わると、ゴシック・フォーク的な味わいにもなって、、
メタル色をほぼないが、FAUNなどの幻想系中世フォークが好きな方なら、とても楽しめるだろう。
幻想フォーク度・・8 メタル度・・1 女性Vo度・・8 総合・・8
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ShamblesS 「apkas itulia」
ブルガリアのフォークメタルユニット、シャンブレスのアルバム。
バンドというか、Arvelss Elfaros氏の一人プロジェクトらしい。
ぼんやりとしたシンセに、民族メロをたたえて、ブラック声が乗る。
曲は10分台のものが3曲もあり、楽曲よりも雰囲気志向なのが窺える。
のんびりと聴いていると、ときおりはっとするような美しいシンセが出てきたりして、
なかなかのクサメロぶりがあなどれない。アルヴェルス氏にはぜひお友達を作ってもらって、
フィドルやパイプなど本物の楽器を使ってアルバムを作って欲しい。
クサメロ度・・8 フォーキー度・・8 楽曲・・7 総合・・7.5


SHEXNA 「LET THE WINDS BLOW」
ロシアのフォーク・ドゥームメタル、シェクサナの2016年作
重厚なギターに朗々とした母国語のヴォーカルを乗せ、ダークな叙情を含んだ
ゴシック質感もあるドゥームメタルサウンド。土着的な神秘性を感じさせる空気感と、
ときにデスヴォイスも加わったフューネラルな迫力が、説得力ある世界観を描き出す。
フルートの音色やアコースティックギターなどによるフォーキーな要素も随所にアクセントになっていて、
ギターのメロウなフレーズも含めて、重さと叙情性のバランスもよい。重厚な土着ドゥームという力作だ。
ドラマティック度・・8 重厚度・・8 土着ドゥーム度・・9 総合・・8
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Sig:Ar:Tyr「Sailing the Seas of Fate」
カナダのペイガンメタル、シグ・アー・ティアの2005年作
波のSEのイントロから、壮大な雰囲気を感じさせるが、アコースティックギターを取り入れた楽曲は
涼やかで神秘的な空気感に包まれた聴き心地。叙情というよりは荒涼とした物悲しさで、
ヴォーカルらしいヴォーカルはほとんど入らず、淡々と物語を描くようなサントラ的な感触でもある。
アコースティックのパートが多いこともあって、重厚なペイガンメタルを期待すると肩透かしだが、
暗黒の海のイメージを想像しながら、茫漠とした寂寥感に浸れるような作品である。
ドラマティック度・・7 ペイガン度・・7 重厚度・・7 総合・・7.5
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SIG:AR:TYR 「Northen」
カナダのペイガンメタル、シグ・アー・ティアの2016年作
中世ヴァイキングのエリクソンが発見したとされるヴィンランド(現在の北米)をテーマにした作品で
寒々しい土着性を感じさせるギターリフとダミ声ヴォーカルを乗せた、硬派なペイガンメタルサウンド。
シンセなどのアレンジがほとんどないため派手さはないのだが、古き良き北欧ヴァイキングメタルの
武骨な雰囲気をしっかりと残していて、ミステリアスで荒涼とした大地の空気感が伝わってくる。
ペイガンブラック的でもあるプリミティブなダークさと、ネイチャーな幻想性が合わさった聴き心地で、
随所にメロディックなギターフレーズもアクセントになっている。スケール感のある本格派ペイガンメタルの力作。
ドラマティック度・・8 ヴァイキング度・・8 ミステリアス度・・8 総合・・8
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Skalmold「Born Loka」
アイスランドのペイガンメタルバンド、スカルモルドの2012年作
女性声を含む壮麗なクワイアのエピックなイントロから、曲が始まると
武骨なダミ声男ヴォーカルの歌声で聴かせるヴァイキングメタル風味に。
随所にツインギターの叙情メロディを聴かせつつ、辺境的な荒々しさが持ち味で、
唐突にスラッシュ風味に疾走したりと、とりとめのなさもB級感を漂わせている。
蛮族的なペイガン/ヴァイキングか楽しめるディープなリスナーはどうぞ。
ドラマティック度・・7 ペイガン度・・7 エピック度・・7 総合・・7.5
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Skalmold 「Med Vaettum」
アイスランドのペインガンメタル、スカルモルドの2014年作
前作は荒々しい蛮族的なヴァイキングメタルであったが、本作も武骨なダミ声ヴォーカルを乗せ
勇ましくも荒々しい正統派のペイガンメタルを聴かせる。随所にメロディックなギターフレーズが入ったり、
エピックなコーラスなどとともに、サウンドにスケール感が出てきたことで、ずいぶんと迫力が増している。
ときに激しい疾走パートや、フォーキーなメロディを牧歌的に聴かせるところもあったりと、なかなかメリハリある聴き心地。
適度に硬派で適度にメロディアス、そして男臭いペイガン・バトル・フォークメタルが好きな方はどうぞ。
ドラマティック度・・8 勇壮度・・8 辺境度・・8 総合・・8
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SKALMOLD 「VOEGGUVISUR YGGDRASILS」
アイスランドのペインガンメタル、スカルモルドの2016年作
前作は武骨なペイガン・バトルメタルの力作であったが、4作目となる本作は北欧神話をテーマにした内容で、
ダミ声ヴォーカルを乗せた荒々しさとツインギターにシンセアレンジを加えた、重厚なペイガンメタルを聴かせる。
ときにシンフォニックなアレンジや勇壮なコーラスなども加わり、TURISASあたりにも引けを取らない世界観であるが、
こちらはより硬派な感触で、甘すぎないメロディアス性という点では、AMON AMARTHにも通じるかもしれない。
随所にフォーキーなフレーズも含んだ土着性とバトルメタルの荒々しさが合わさったサウンドの説得力も十分である。
ボーナスDiscには、ALESTORM、SIGUR ROS、FINNTROLL、THORといったバンドのカヴァーにライブ音源を収録。
シガー・ロスは意外な選曲だが、同郷というつながりなのだろう、しっかりとペイガンメタルになっている。
ドラマティック度・・8 フォーキー度・・7 勇壮度・・8 総合・・8 
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SKILTRONThe Clans Have United
アルゼンチンのフォークメタル、スキルトロンの2006年作
バグパイプが鳴り響きながら、パワフルに疾走するメロパワサウンドで、
随所にフィドルやティンホイッスル、アイリッシュフルートなども使っていて、
ケルティックなテイストを正統派の疾走メタルに乗せたという作風。
いくぶんのB級臭さとクサメロの具合も良い感じで、ときおりダミ声ヴォーカルも入るが
さほど武骨な感じはなく、ホイッスルの音色になごみつつのんびり聴けたりする。
メロディアス度・・7 疾走度・・8 ケルティック度・・7 総合・・7.5
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Skiltron 「Beheading the Liars」
アルゼンチンのフォークメタル、スキルトロンの2nd。2008年作
ケルティックなバグパイプの音色と、正統派寄りのギターリフを乗せて疾走する、
メロパワ風のフォークメタル。パワフルなヴォーカルに男臭いコーラスなども含めて、
RUNNING WILDあたりをフォーキーにしたというような聴き心地であるが、
ホイッスルやブズーキといった楽器を使ったトラッド要素もけっこう本格派で嘘くさくない。
メタルとしてのエピックな勇壮さと、フォーキーな叙情が合わさった好作品です。
再発盤のボーナストラックには、未発曲、デモ、ライブ音源など7曲を追加収録。
ドラマティック度・・7 フォーキー度・・8 正統派度・・8 総合・・8
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SKILTRON「The Highland Way」
アルゼンチンのフォークメタル、スキルトロンの2010年作
バグパイプ&ティンホイッスル奏者を含む6人編成で、フォーキーなパイプの音色とともに
メロパワばりに疾走もするエピックな力強さが持ち味。フォーク要素を含みながらも、
あくまで正統派メタル寄りのスタイルなので、一般のメタルリスナーにも聴きやすいだろう。
ただパワフルになった反面、メロディや曲のインパクトは過去作の方が上だった気もするが。
2枚組のDVDの方には2009年のライブを収録。
ドラマティック度・・7 フォーキー度・・7 正統派度・・8 総合・・7.5
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Skiltron 「Into the Battleground」
アルゼンチンのフォークメタル、スキルトロンの2013年作
エピックな雰囲気のイントロから、曲が始まるとバグパイプが高らかに鳴り響き、
ダーティなヴォーカルとギターを乗せて疾走する、メロパワ系フォークメタルが広がってゆく。
4作目である本作は、RUNNING WILD色を感じさせる正統メタルとケルティック要素の融合も含めて
演奏面の力強さもいくぶん上がってきているのだが、楽曲自体にはややバラつきがあって、
ミドルテンポのナンバーがやや煮え切らなかったりと、メロメディのフックがいま一歩な感じが惜しい。
ドラマティック度・・7 フォーキー度・・8 正統派度・・8 総合・・7.5
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SKYCLAD「IRRATIONAL ANTHEMS」
イギリスのトラッドメタルバンド、スカイクラッドの6th。1996作
ヴァイオリン入りのトラッドメロディをメタルに融合させた元祖というべきバンド。
本作では初期のメタリックな粗雑さは薄れ、本格的なトラッドメタルとしての
雰囲気を漂わせており、マーティン・ウォルキーアの歌声もかつてのダミ声よりも
ずっと聴きやすく歌っていて、牧歌的なバンドのイメージを確かなものにしている。
曲によってはシンセを取り入れていて、現在のフォークメタルへとつながる質感
何故か、ハチャトゥリアンの“剣の舞”のカヴァーも収録。クラシックも好きとか?
メロディアス度・・7 フォーキー度・・7 楽曲・・7 総合・・7.5
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SKYCLAD「FOLKEMON」
イギリスのフォーキーメタルバンド、スカイクラッドの9th。2000作
さてフォークとメタルを融合させるという試みを最初に行ったこのバンド、今作はジャケとタイトル通り、
海外でも人気のアニメ「ポケモン」をもじってテーマにしたという(おいおい・・笑)アルバムである。
曲を聴いても、いったいどのあたりが「ポケモン」なのかは分からないが、そんなもの抜きにしても
今回は純粋にかっこいい。疾走感溢れる楽曲にときおり効果的にのぞかせるフォーキーな風味が絶妙。
ダミ声で不評なマーティン・ウォルキーアもやはりテーマが「フォーケモン」なだけに
今回は意外とさわやか(・・でもないが)な歌唱で悪くない。マーティンは本作を最後に脱退。
メロディアス度・・7 フォーキー度・・8 楽曲・・8 総合・・8
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SKYCLAD「No Daylights Nor Heeltaps」
イギリスのフォークメタルバンド、スカイクラッドの2002作
1991年にデビューした、元祖フォーキーメタルというべきベテランバンド。
バンドの初期の中心人物、Martin Walkyierが脱退し、新ヴォーカルにKevin Ridleyを迎えての
最初のアルバムで、全曲が過去曲のリレコーディング・ヴァージョンとなっている。
フィドルが鳴り響く軽やかな楽曲は、ダミ声の前任者と違い爽やかな歌声のおかげか、
アクがとれてだいぶ雰囲気が明るくなっている。土着的な濃厚さが薄れた分、
アイリッシュパブにでもいるかのように、ゆったりと愉快に楽しめるサウンドになった。
メロディアス度・・8 フォーキー度・・8 軽やか度・・8 総合・・8
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SKYCLAD「A SEMBLANCE OF NORMALITY」
イギリスのトラッドメタルバンド、スカイクラッドの2004作
本作は初期における曲作りのキーマンであったマーティン・ウォルキーアが脱退してからの2作目となる。
このVoはマーティンのようなダミ声タイプではなく、力まずに歌う無難な声質なので
初期にあった無骨さが取り払われており、以前よりもずっと聴きやすくなっている。
曲の方もケルトな雰囲気はそのままに、効果的にシンセを使用したり
オーケストラの導入などで、音が厚く、ある種シンフォニックにもなっている。
ギターも今風にヘヴィなリフを弾いたり、全体的にイモ臭さが減りややモダンな印象だが、
このバンドにとってはこれはかなりの前進であると思う。ヴァイキングメタルファンなどにも勧めたい。
メロディアス度・・7 フォーキー度・・8 新生スカイクラッ度・・8 総合・・8
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SKYCLAD「In the... All Together」
イギリスのフォーキーメタルバンド、スカイクラッドの2009作
フォークメタルの元祖ともいうべきベテランバンド、本作は5年ぶりとなる12作目だ。
前作「A SEMBLANCE OF NORMALITY」は勇壮なメロディにシンフォニックな音の厚みを加えた
かなりの傑作であったのだが、本作のサウンドはむしろそれよりも昔に戻ったようなイメージだ。
マーティン・ウォルキーアのいた頃のやや荒々しいような土臭さが復活し、
鳴り響くフィドルの音色とともに、土着的なハードロック/メタルサウンドを繰り広げている。
とくにギターのリフの感触は70~80年代の英国ハードロックを思わせる質感で
どこかなつかしいようなレトロな躍動感が感じられる。いわばアイリッシュパンクにも通じる酒場のような
愉快なノリと、あえてモダンから背を向け、レイドバックしたような無骨さが面白い味になっている。
メロディアス度・・7 フォーキー度・・7 レトロな無骨度・・8 総合・・8
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SKYCLAD 「FORWARD INTO THE PAST」
イギリスのフォークメタル、スカイクラッドの2017年作
1991年にデビュー、フォークメタルというジャンルもない時代から、ヴァイオリンを取り入れた土着性で、
独自のサウンドを聴かせるこのバンド。本作は8年ぶりとなる14作目。古き良き味わいのギターリフに
ジェントルなヴォーカルを乗せた、前作からのヴィンテージなロック感触に、フィドルの音色が鳴り響き、
英国らしい牧歌性に包まれたフォークメタルを聴かせる。随所にメタルらしい激しい疾走感も加えつつ、
マンドリンなどの素朴な味わいが、英国フォークに通じる哀愁をかもしだし、艶やかなフィドルの音色が
メディーヴァルで優雅なアイリッシュ風味も含んだ空気を描いてゆく。フォーク要素が前に出すぎないので、
全体的には、70~80年代スタイルのほどよくキャッチーなオールドな英国メタルとしても楽しめるだろう。
ドラマティック度・・8 フォーキー度・・7 英国度・・8 総合・・8 
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Skyforger 「Thunderforge」
ラトビアのペイガンメタル、スカイフォージャーの2003年作
1998年にデビューして本作が3作目となる。母国語による朗々とした歌声から始まり、わりと正統派寄りのギターに
武骨なヴォーカルを乗せ、やわらかなフルートの音色も加わった、いかにも辺境的なペイガン・フォークメタル。
ジャケやタイトルから察するに、おそらく北欧神話、雷神トールをテーマにしているのだろう。
トレモロのギターリフによる、北欧らしい空気感を描くパートなど、エピックな雰囲気もなかなかよろしく、
ブラックメタル的な激しい疾走ナンバーもあったりと、ミステリアスなペイガンブラック的な味わいも楽しめる。
フルートにバグパイプが鳴り響くケルティックな要素と、武骨な土着メタルが融合した辺境ペイガンの力作だ。
ドラマティック度・・8 ペイガン度・・8 辺境度・・8 総合・・7.5
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Skyforger「Kurbads」
ラトビアのペイガンメタルバンド、スカイフォージャーの2010作
デビューは1998年とけっこうキャリアのあるバンド。本作はおそらく6作目くらいだろうか。
サウンドの方は比較的オーソドックスなギターリフを中心に聴かせる無骨なメタルで、
ジャケのイメージのようにエピックでファンタジックな雰囲気はあまりない。
ときおり現れるフォーキーな土着性には辺境的な味わいがあってよいのだが、
楽曲自体にメロディや展開の魅力がさしてないので、あくまでマニア向けという作品だ。
ドラマティック度・・6 ペイガン度・・7 無骨度・・8 総合・・7
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Sleeping Woodland 「TO THE NORTHERN SEAS/К северным морям」
ロシアのフォークメタル、スリーピング・ウッドランドの2017年作
二人組のユニットで、オーケストラルなイントロから始まり、シンフォニックなアレンジに包まれた壮麗さと
ダミ声ヴォーカルを乗せた武骨さが合わさったサウンドで、随所に波の音などのSEを含んだ幻想的な世界観に、
ホイッスルの音色などフォーキーな牧歌性を含んだ聴き心地。オーケストラルなアレンジに包まれた楽曲は、
ときにサントラのような壮大さで、ゆったりとしたリズムとともに重厚で勇壮な空気を描いてゆく。
反面、ギターフレーズなどバンドサウンドとしての魅力的な展開というのはあまりないので、
むしろペイガンな雰囲気モノとして、のんびりと浸るのがよいのかもしれない。
ドラマティック度・・8 シンフォニック度・・8 ペイガン度・・8 総合・・7.5
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SMUTA (Смута) 「Mor (Мор)」
ロシアのフォークメタル、スムタの2010年作
美しい女性ヴォーカルのロシア語の歌声にデスヴォイスが絡み、シンフォニックなアレンジで聴かせる、
壮麗なペイガン・フォークメタル。やわらかなフルートの音色など、フォーキーな土着性とエピックな勇壮さを含んだ
幻想的な世界観で、適度に辺境的なクサメロ感も含めて、この手のバンドとしてはクオリティの高い部類だろう。
楽曲は3~4分前後とわりとコンパクトなので聴き疲れしない。個人的には男性声メインの曲はなくてもいいような。
本作はすでに3作目とのこと。全体的な完成度は次作ほどではないが、フォークメタル初心者でも楽しめる好作品だ。
メロディック度・・8 フォーキー度・・7 女性Vo度・・8 総合・・7.5 
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SMUTA (Смута)「На Север」
ロシアのフォークメタル、スムタの2013年作
美しい女性ヴォーカルの歌声に男性デス声が絡み、牧歌的な笛の音が響き渡る、
ヘヴィさとシンフォニック性のバランスの取れた、高品質のフォークメタルサウンド。
随所に激しい疾走感もありつつ、ホイッスルによるフォーキーな土着性がアクセントになっていて
センスあるアレンジ面も含めて、ARKONAあたりにも通じるクオリティの高さが感じられる。
これだというインパクトやメロディのある楽曲を増やせば、より良いバンドになるだろう。
メロディック度・・7 フォーキー度・・8 辺境度・・8 総合・・8
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SMUTA (Смута) 「The Way (Путь)」
ロシアのフォークメタル、スムタの2015年作
女性Voに女性シンセ奏者を含む6人編成で、男性デスヴォイスに美しい女性ヴォーカル、
シンフォニックなシンセアレンジにホイッスルが鳴り響く、重厚なフォークメタルサウンド。
ドラマティックな幻想性に包ませた作風はARKONAあたりにも通じる雰囲気で、
適度に疾走感を含みつつ、激しさと叙情性のバランスがとれたクオリティの高さは見事。
ロシア語による女性ヴォーカルメインの曲などは、フィメールシンフォニックメタル好きにもアピールするだろう。
楽曲自体は3~4分台なので、個人的には1、2曲くらい大曲があればより作品としてのボリュームができると思う。
ドラマティック度・・8 重厚度・・8 ペイガン度・・8 総合・・8
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SOJOURNER 「The Shadowed Road」
アメリカのペイガンブラックメタル、ソジョーナーの2018年作
ファンタジックなジャケもいい感じだが、サウンドの方もメロディックなツインギターを乗せて疾走する、
ウェットな叙情性に包まれていて、うっすらとしたシンセアレンジやときにホイッスルが鳴り響き、
ダミ声ヴォーカルに美しい女性ヴォーカルも加わって、激しくも優美な幻想性に包まれる。
トレモロのギターリフで疾走するブラックメタル要素に、フォークメタル的な土着フレーズも覗かせて
全体的にはツインギターによる優雅な叙情性に包まれる。ちなみにギターの片割れは女性で、
ヴォーカル&ホイッスルも担当。激しさは控えめで幻想的な美しさに浸れる逸品です。
ドラマティック度・・8 暴虐度・・6 幻想の叙情度・・9 総合・・8.5
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Sojourner 「Premonitions」
ニュージーランドなど多国籍メンバーによる、ペイガン・ブラックメタル、ソジョーナーの2020年作
2016年にデビユーし、3作目となる。美麗なシンセアレンジをギターに重ね、やわらかな女性ヴォーカルに
ダミ声ヴォーカルが絡む、神秘的なフォーク・ブラックメタル。ティン・ホイッスルの優雅な音色をまじえた
ケルティックな土着性も覗かせつつ、シンフォニックなシンセがサウンドを幻想的に包み込む。
ときに激しい疾走パートも含みつつ、暴虐さよりはあくまで優美な叙情性が前に出ていて、
男女声の壮麗なシンフォニック・ブラックメタルとしても楽しめる。楽曲は7~8分前後が主体で、
わりと長めではあるが、緩急ある構築力と神秘的な空気感でじっくりと鑑賞できる。
シンフォニック度・8 ペイガン度・7 幻想度・8 総合・8 
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SONER CANOZER「Masalci Nin On Bes Yili
トルコのフォークメタルALMORAのギタリスト、ソネル・カノゼルの2009年作
プラハ市交響楽団を迎えて、ALMORAの楽曲をシンフォニックにアレンジした作品で
オーケストラをバックに美しい女性ヴォーカルの歌声で優雅に聴かせるサウンド。
バンドではなく、あくまでオケものなのでメタル要素は皆無ですが、
元曲の美しいメロディがやわらかく表現されていて、しっとりと鑑賞できます。
シンフォニック度・・9 メタル度・・1 女性Vo度・・8 総合・・8
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Sons of Crom 「The Black Tower」
スウェーデンのエピック・ヴァイキングメタル、サンズ・オブ・クロムの2017年作
ギター&ベース&シンセとドラムの2人組ユニットで、シンフォニックで壮麗なイントロから始まり、
トレモロのギターリフにダミ声ヴォーカルを乗せて激しくブラスト疾走、勇壮なコーラスなどを重ねた
エピックな味わいとともに、ときにブラックメタル要素もある幻想的なサウンドを聴かせる。
メロディアスなギターフレーズやノーマル声で歌われるところなどは、正統派メロパワ寄りの感触で、
アコースティックによるバラッドナンバーもあったりと、全体的には激しいパートはさほど多くなく、
ヴァイオリンの旋律も含んだフォーキーなメロディとともに、TURISASなどにも通じる雰囲気もある。
土着感よりは壮麗な味わいが前に出た、シンフォニックなヴァイキングメタルが楽しめる強力作だ。
ドラマティック度・・8 ヴァイキング度・・7 壮麗度・・8 総合・・8
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Steignyr 「Tales of a Forgotten Hero」
スペインのフォークメタル、ステイグニルの2014年作
シンフォニックなイントロから幕を開け、ヘヴィなギターと土着的なシンセのメロディに、
粗野なダミ声と美しい女性ヴォーカルが重なる、疾走感のあるフォークメタルを聴かせる。
きらびやかなシンフォニック性と辺境的なクサメロ感が同居したフォーク・メロスピ的でもあったり、
男声メインの曲ではヴァイキングメタル的な勇壮な武骨さに包まれる。エピックなスケール感に、
フォーキーな土着性と疾走感を含んだ起伏のある展開力で、ファンタジックな世界観を描き出す。
女性シンセ奏者による壮麗なアレンジセンスも魅力的で、粗削りながらも聴きどころの多い好作品だ。
ドラマティック度・・8 フォーキー度・・7 エピック度・・8 総合・・7.5
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STEIGNYR 「The Prophecy of the Highlands」
スペインのフォークメタル、ステイグニルの2016年作
女性シンセ奏者を含む5人編成で、美麗なシンセにホイッスル、バグパイプが鳴り響き、
重厚なギターリフに低音デスヴォイスを乗せた、厚みのあるフォークメタルサウンドを聴かせる。
随所に女性ヴォーカルも加わったリリカルな感触と、迫力あるデス声とヘヴィなギターが重なり、
ジャケのイメージのように、勇壮でファンタジックな世界観を説得力ある力強さで描いてゆく。
ときにアグレッシブにたたみかける迫力あるパートなども含みつつ、TURISASなどにも通じる
ヴァイキングメタル的な重厚さとエピックなスケール感に、幻想的なフォーク要素を融合させた力作だ。
ドラマティック度・・8 フォーキー度・・8 重厚度・・8 総合・・8
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STOZHAR(Стожар) 「GLORY TO PERUN!」
ロシアのペイガンメタル、ストジュアーの2014年作
美麗なシンセによるシンフォニックなアレンジとブラックメタルばりの激しいブラスト疾走に、
男性デス声と美しい女性ヴォーカルを乗せた、きらびやかなペイガンメタルサウンド。
優雅なヴァイオリンやフルートのも色も加わった叙情性も覗かせつつ、フォーキーな牧歌性を
迫力ある疾走感に融合させた作風は、ARKONAなどにも通じる完成度といえるだろう。
やわらかなソプラノヴォーカルとともに疾走する優美なペイガン・フォークメタルの力作です。
ドラマティック度・・8 ペイガン度・・8 疾走度・・8 総合・・8
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STRIBOG「U Okovima Vjecnosti
クロアチアのペイガン・ブラックメタル、ストリボーグの2010年作
男女Voにホイッスル奏者を含む8人編成で、ドラマ性を感じさせるアコースティックなイントロから、
流麗なツインギターにシンセが重なり、ファンタジックで重厚な世界観を描いてゆく。
スクリームするヴォーカルを乗せて激しく疾走する部分と、フォーキーな土着性を含めた叙情に、
女性ヴォーカルの母国語の歌声もまじえて、辺境的な味わいのペイガン・ブラックメタルを形成している。
シンフォニックなシンセアレンジもよろしく、いくぶんこもり気味の音質も神秘的な雰囲気をかもし出している。
ドラマティック度・・8 ペイガン度・・8 辺境度・・8 総合・・7.5
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SUBWAY TO SALLY 「MCMXCV」
ドイツの古楽メタルバンド、サブウェイ・トゥ・サリーの2nd。1995作
すでにアルバム10枚以上のキャリアを持つこのバンド、ドイツ語の歌声に、
ヴァイオリンなどのフォーキーな要素を融合したサウンドは初期作も同じだが、
本作ではまだ比較的普通のハードロック色が強く、ギターもけっこう弾きまくっている。
のちの作品のような中世風味の世界観は薄く、愉快なゲルマンフォークロックという感じだ。
メロディアス度・・7 トラッ度・・7 ゲルマン度・・8 総合・・7.5
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Subway to Sally 「Foppt Den Damon!
ドイツの古楽メタルバンド、サブウェイ・トゥ・サリーの3rd。1996作
ヘヴィなギターに絡む笛の音色と、ドイツ語の歌声で聴かせるサウンドは
中世のドイツを思わせる世界観。アコースティカルな味わいをメタルと巧みに融合させている。
おそらく90年代半ばにこうした音楽をやっているバンドというのは他にはあまりなかっただろう。
後の作品ほどの凄味はまだないが、この時点ですでに充分個性的である。
メロディアス度・・7 トラッ度・・7 ゲルマン度・・8 総合・・8
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SUBWAY TO SALLY「BANNKREIS」
ドイツの古楽メタルバンド、サブウェイ・トゥ・サリーの4th。1997作
メタリックな楽曲にトラッド的なアプローチを混ぜ合わせる手法を取り入れたバンドとしては
すでにベテランの域にあるこのバンド。N EXTREMOなどが好きなリスナーであればこちらもぜひ。
二人のギターが奏でるリフは重厚で、そこにヴァイオリンとドイツ語のヴォーカルが絡むと
ヘヴィさと優雅さ、現代的な部分と、古めかしさが同居する不思議な質感となる。
時折現れる中近東的フレーズやアコースティックギターの音色もサウンドの幅を広げているし
バンドとしてのアレンジセンスにも優れている。古楽やトラッドとメタルの融合のさせ方が見事だ。
メロディアス度・・7 トラッ度・・8 アレンジセンス・・8 総合・・8
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SUBWAY TO SALLY「HOCHZEIT」
ドイツのトラッドメタルバンド、サブウェイ・トゥ・サリーの5th。1999作
女性Vinを含む7人組みで、ヘヴィなギターリフに古楽的なトラッド色のあるメロディ、
そして現代的なデジタリィな感覚のリズムなどが合わさったサウンド。
ドイツ語の歌唱などからRAMMSTEINあたりにも通じる部分があり、
フォーキーな田舎臭さとデジタルなメタリック感覚の同居がなかなか面白い。
同路線のIN EXTREMOあたりよりもむしろ聴きやすいかもしれない。
メロディアス度・・7 トラッ度・・8 ドイツ度・・8 総合・・7.5
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SUBWAY TO SALLY「SCHREI!」
ドイツの古楽メタルバンド、サブウェイ・トゥ・サリーのライブアルバム。2000作
1999年にドイツで行われたライブの録音らしい。ジャケ内の写真を見ると、
メンバーは皆上半身裸で(女性Vln以外)、口から火を吹いたりとなかなか楽しそうである。
バグパイプとヴァイオリンの音色に、メタリックなギターが合わさり、ドイツ語のヴォーカルが乗ると、
ミスティックな古楽メタルサウンドとなって、違和感無く聴けるのだから不思議である。
同じタイプのIN EXTREMOに比べると、こちらの方が楽曲のアレンジがスムーズで、
全18曲、プログレッシブなトラッドメタルの熱きライブ演奏が楽しめる。
2009年のライブDVD「Engelskrieger in Berlin」とのカップリング限定盤もお得です。
メロディアス度・・8 トラッ度・・8 ライブ演奏・・8 総合・・8
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SUBWAY TO SALLYDie Rose im Wasser
ドイツの古楽メタルバンド、サブウェイ・トゥ・サリーのベストアルバム。2001作
ヴァイオリンやフルートなどによるトラッド要素と、メタリックなテイストを上手く融合させ
朗々としたドイツ語の歌唱とともに聴かせる彼らのサウンドは、この手のバンドの中では楽曲、
アレンジセンスともに頭ひとつ抜けている。アルバムを重ねるごとに、メタル部分の説得力を増してゆき、
バンドとしての進化が聴いてとれる。 1996年~2001年までの全16曲を収録。
初期のアルバムは入手しずらいので、ここで聴けるのは貴重かもしれない。
メロディアス度・・8 トラッ度・・8 ドイツ度・・9 総合・・8
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SUBWAY TO SALLY「Nord Nord Ost」
ドイツの古楽メタルバンド、サブウェイ・トゥ・サリーの8th。2005作
ヘヴィなリフに重なる勇壮なドイツ語の歌唱の響きに、のっけから胸がときめく。
そこへ美麗なシンセと、ヴァイオリンが加わって、サウンドをシンフォニックに彩りだす。
モダンでヘヴィな質感と、トラディショナルで土着的な要素が見事に融合し、
楽曲は過去最高のアレンジで、オーケストラルな重厚さとともに説得力を帯びる。
トラッドメタルというよりは、もはや壮大なシンフォニックメタルとしても聴ける傑作だ。
シンフォニック度・・8 トラッ度・・7 壮大度・・9 総合・・8.5
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SUBWAY TO SALLY「Nackt」
ドイツのトラッドメタルバンド、サブウェイ・トゥ・サリーのライブアルバム。2007年作
今作はアコースティックをメインにしたライブアルバムとなっていて、
フルートにバグパイプ、ヴァイオリン、ハーディガーディ、リュートにマンドリンなどが
アコースティックギターと雅びやかに絡み、そこにドイツ語のヴォーカルが歌を乗せる。
ときにアラビックな質感もかもしだしつつ、中世古楽のロマンティシズムが再現され、
素朴な音でありながらもしっかりと世界観を聴かせる技量はさすがである。
はじめてこのバンドを聴く方にはまずはスタジオ盤の近作を勧めるが、
こうしたアコースティックサウンドにこそ彼らの本質がかいま見えるようだ。
メロディアス度・・8 メタル度・・3 トラッ度・・9 総合・・8
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SUBWAY TO SALLY「Bastard」
ドイツの古楽メタルバンド、サブウェイ・トゥ・サリーの9th。2007年作
前作「Nord Nord Ost」はバンドの集大成的な壮大さを有した傑作だったが、
本作はシンフォニックなシンセをバックにしつつ、ヘヴィなギターリフと
ドイツ語によるヴォーカルで聴かせる、むしろヘヴィロック的な雰囲気で始まる。
もちろんヴァイオリンなどが鳴り響く、トラッド要素もしっかりとあり、
それが楽曲の中に自然に溶け込んでいるのが、さすがにベテランバンドらしい。
メロディアス度・・7 トラッ度・・7 ドイツ度・・9 総合・・8
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SUBWAY TO SALLY「Schlachthof」
ドイツの古楽メタルバンド、サブウェイ・トゥ・サリーのライブアルバム。2008作
2007年のアルバム「Bastard」のツアー音源で、DVD付きの2枚組み。
基本的には女性Vln奏者を含む7人組みで、このライブ演奏においても、
ヘヴィなツインギターによるメタリックなリフと、ドイツ語ヴォーカルの歌唱を中心に、
なかなか重厚に聴かせてくれる。鳴り響くヴァイオリンに、勇壮なコーラスが加わると
トラッドメタル的でありながら、むしろTHERIONあたりを思わせるシアトリカルな質感もある。
アコーステイックギターも効果的に使用され、さすがベテランという説得力のある演奏だ。
ライブ演奏・・8 トラッ度・・7 ゲルマン度・・8 総合・・8
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SUBWAY TO SALLY「Kreuzfeuer」
ドイツの古楽メタルバンド、サブウェイ・トゥ・サリーの2009作
メタリックな楽曲にトラッド的なアプローチを融合し、すでにベテランの域にあるこのバンド。
10作目を数える今作も充実の力作だ。艶やかなヴァイオリンにシンセとギターが絡む厚みのある演奏の上に
ドイツ語によるエピックな歌声が乗ると、これぞゲルマントラッドメタルという独自の音になる。
前作がややモダンなヘヴィネスを取り入れていたのに対し、本作では土着的な哀愁や
アコースティカルな叙情もしっかり残している。デビューから15年。トラッドとメタルの融合は円熟の境地に達した。
メロディアス度・・8 トラッ度・・8 ゲルマン度・・9 総合・・8
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SUIDAKRA「LAYS FROM AFAR」
ドイツのメロディック(ヴァイキング)デスメタルバンド、スイダクラの3rd。1999作
次作以降はよりヴァイキング色を強めてゆくことになるが、この時点では
まだ“疾走メロデスややヴァイキングメタル風”というくらいの印象。
後のアルバムに比べてサウンドが薄く、全体的にチープな雰囲気は否めない。
女性Keyの弾くシンセのフューチャー度もどことなく中途半端に感じる。
メロディアス度・・7 暴虐度・・7 ヴァイキング度・・7 総合・・7
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SUIDAKRA「THE ARCANUM」
ドイツのヴァイキングメタル、スイダクラの4th。2000年作
初期のIN FLANESにも通じる土着的なメロデス感覚に、MITHOTYNのような武骨なヴァイキングメタルを合わせたスタイルで
ギターの奏でるメロディにはトラディショナルな要素が強く、シンセを重ねて奏でられる三連/三拍子系の叙情フレーズは、
なかなか耳心地が良く、フォーキーな伝統美すら感じさせる。なおかつ曲展開や演奏のクオリティもしっかりとしていて
B級臭さはあまり感じない。なによりこの田舎くさい哀愁メロディは非常に日本人好みである。SKYCLADのカヴァーもGoodです。
メロディアス度・・8 ヴァイキング度・・8 叙情度・・8 総合・・8
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SUIDAKRA「EMPRISE TO AVALON」
ドイツのヴァイキングメタルバンド、スイダクラの5th。2002作
前作まではヴァイキング的なメロデスだったが、「アーサー王伝説」をモチーフにした今作は、
デスメタル色が亡くなり、ほぼ完全なヴァイキングメタルサウンドになった。
かつてのMITHOTYN的な田舎くさいギターリフが全編をしめ、これは意図したところなのか
アレンジ的にもスカスカ感を強調したような印象であるが、このクサメロ感がわりと心地よい。
MITHOTYNなき後、FALCONER、ENSITERUMらとともに頑張っていってもらいたい。
シンフォニック度・・6 ヴァイキング度・・8 重厚度・・7 総合・・7.5
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SUIDAKRA「Signs For The Faller」
ドイツのヴァイキングメタルバンド、スイダクラの6th。2003作
のっけからメロデス風に疾走開始でびっくり。ヴァイキングからメロデスにまた戻ったか?
…と思ったが、その後にしっかりとクサ系三拍子リフも出てきて、一安心。
荒々しさと田舎臭さの同居という点では、MITHOTYNの3rdあたりに近いだろうか。
ただ、やはり今回は全体的に疾走パートが増えていて、メリハリがついているので
もったりしたヴァイキングメタルが苦手な方にも聴ける出来といっていいだろう。
FALCONERほどは聴きやすくはないが、勇壮な中世風の雰囲気が楽しめる。
メロディアス度・・7 暴虐度・・7 ヴァイキング度・・7 総合・・7.5
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SUIDAKRA「COMMAND TO CHARGE」
ドイツのヴァイキングメタルバンド、スイダクラの7th。2005作
5thあたりから比べるといくぶんモダンなサウンドになっている。
ギターリフのヴァイキング調メロディは相変わらずの持ち味で、牧歌的な田舎臭さを漂わせていて耳に心地よいが、
そこに現代的なメタルアレンジを融合させたという音作りは、案外新機軸かもしれない。
ここまで来るとなかなかジャンル分けの難しいサウンドであるが、ヴァイキングメロ入り重厚メロパワとしても楽しめる。
隠しトラックには、SKYLARKもカヴァーしたMIKE OLDFILEDの“Moonlight Shadow”を女性Voで収録。
メロディアス度・・7 ヴァイキング度・・7 重厚度・・8 総合・・7.5
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Suidakra「Caledonia」
ドイツのヴァイキングメタルバンド、スイダクラの2006年作
デビューは90年代というキャリアのあるバンドで、本作はすでに8作目となる。
本作ではジャケの雰囲気の通り、ケルティックな雰囲気がぐっと増していて、
これまでにないフォーキーなメロディがたっぷりの仕上がりとなっている。
ストーリー的なドラマティックさと、アコースティカルなパートなどを折り込んで
本格派のトラッドメタルを聴かせてくれる。これまでのイメージを脱皮した傑作だ。
メロディアス度・・8 ドラマティック度・・8 ケルティック度・・8 総合・・8
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SUIDAKRA13 Years of Celtic Wartunes
ドイツのヴァイキングメタルバンド、スイダクラのライブDVD&ベストCD。2008年作
DVDには2007年のWackenでのライブと、アコースティックライブを収録。
キャリアもあるバンドなので演奏も安定しており、案外イケメンなメンバーたちが
勇壮なヴァイキングメタルを繰り広げる。途中からバグパイプ奏者も加わって、
ケルティックな質感もよろしい。カメラワークも良好でライブを見た気分で楽しめる。
アコースティックライブの方は、メタル色のないしっとりとした演奏で、哀愁の叙情を聴かせる。
メンバーたちがしっかりとした音楽的素養と演奏技術を有していることが察せられる内容だ。
CDには、1997年のデビュー作から2006年までの楽曲を、リレコーディングを含めて収録、
初期はけっこうアグレッシブなメロデス風だったのだなと、バンドの歴史を知る上でも興味い。
ライブ映像・・8 ライブ演奏・・8 ケルティック度・・8 総合・・8
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SuidakraCrogacht」
ドイツのヴァイキングメタルバンド、スイダクラの9th。2009作
本作はのっけから強烈なヴァイキングメタルサウンドが炸裂。物語的なコンセプトがあるのだろう、
いつになくエピックな壮大さと勇ましいコーラス、ときに激しい疾走をまじえ、パワフルかつ土着的なギターリフで聴かせる、
本格派のスタイルだ。バグパイプやホイッスルなどによるフォーキーなパートや女性ヴォーカルなども使われていて、
作品としての深みを増している。安易にシンセに頼らないアレンジにも好感が持て、
THYRFINGなど北欧のバンド勢にも負けないくらいの説得力が音にはある。
メロディアス度・・8 エピック度・・8 ヴァイキング度・・9 総合・・8
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Suidakra「Book of Dowth」
ドイツのヴァイキングメタル、スイダクラの2011年作
前作Crogacht」はエピックな壮大さを漂わせた傑作であったが、今作も期待通りの力作。
いくぶんメロデス的な質感もあるツインギターの重ねとケルティックな叙情メロディを合わせた作風は、
ファンタジックな世界観を含みつつ適度に激しい疾走感とともに、この手のバンドの中ではずいぶん洗練されている。
土着的な感触もイモ臭ささがない分、一般のリスナーにも楽しめるくらいの普遍性があり、
やや方向性は異なるがENSIFERUMなどと同様のクオリティを有しているといっていいだろう。
ゲストの女性ヴォーカルやアコースティカルな要素も効果的で、サウンドを叙情的に彩っている。
ドラマティック度・・9 エピック度・・9 ケルティック度・・8 総合・・8.5
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Suidakra「Eternal Defiance」
ドイツのペイガンメタル、スイダクラの2013年作
デビューは90年代で、本作はすでに11作目という、なにげにベテランバンド。
オーケストラルな壮麗さで始まるイントロから、勇壮な戦いの世界が広がってゆく。
シンフォニックなアレンジを強めた本作は、まるで映画のようなドラマティックな迫力で、
剣を手にした戦士たちを描き出すような世界観が楽しめる。ダミ声ヴォーカルが基本ながら
曲によっては女性ヴォーカルを導入したり、パイプやヴァイオリンなどのフォーキーなアレンジも加わって、
厚みのあるサウンドを展開。勇ましい激しさと叙情のメリハリのついた、濃密な力作に仕上がっている。
ドラマティック度・・8 ペイガン度・・8 勇壮度・・9 総合・・8
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SUIDAKRA 「Emprise To Avalon」
ドイツのペイガンメタル、スイダクラの2014年作
1997年にデビューし、本作は5作目となる。2002年作のジャケを変更してボーナスを追加した再発盤。
アーサー王伝説をテーマにしたコンセプト作で、叙情的なギターフレーズに吐き捨てヴォーカルを乗せた、
武骨で勇壮なヴァイキングメタルを聴かせる。随処にノーマル声を乗せたメロパワ寄りのドラマティック性と
アコースティックパートを含む土着的なメロディが合わさって、MITHOTYNをより幻想的にしたような作風だ。
シンセアレンジを使った優美なパートなどもアクセントになっていて、シネマティックな流れを感じさせる点では、
Blind Guardianあたりにも通じるところもある。ボーナスにはライブ音源を2曲と、オーケストラバージョン1曲を収録。
ドラマティック度・8 ペイガン度・8 幻想度・8 総合・8
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Suidakra 「Realms Of Odoric」
ドイツのヴァイキングメタル、スイダクラの2016年作
1997年にデビュー、本作は12作目となる。シンセとアコースティックギターによるイントロから、
ヘヴィなギターにデスヴォイス、マイルドなノーマル声と、オーケストラルなアレンジもまじえて
エピックで勇壮な世界観を描いてゆく。今作はわりとアグレッシブな激しさが強めで、
クサメロやシンフォニックな美しさよりは、全体的に武骨なバトル感に包まれた作風であるが、
ときにアジアンな旋律やバグパイプ、ヴァイオリンの音色など、フォーキーな土着性もしっかり残している。
楽曲自体は3~4分前後と比較的シンプルながら、女性声を乗せた優美なナンバーなど緩急ある構成とともに
壮大でドラマティックな聴き心地が楽しめる。ベテランらしい迫力に包まれた重厚な力作だ。
ドラマティック度・・8 フォーキー度・・7 勇壮度・・9 総合・・8 
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SUIDAKRA 「CIMBRIC YARNS」
ドイツのヴァイキングメタル、スイダクラの2018年作
1997年にデビュー、本作は13作目となるベテランバンド。本作はメタル色のないアルバムで、
アコースティックギターにオーケストラを重ねた、ヴァイオリンが鳴り響く優雅な叙情性に
美しい女性ヴォーカルを乗せて、繊細でシンフォニックなサウンドが広がってゆく。
アコースティックギターにマイルドな男性ヴォーカル、やわらかなフルートの音色とともに、
牧歌的な空気感に包まれる。メタル要素がほぼないので、ヴァイキングメタルとしては物足りなさもあるが、
シネマティックなスケール感を描き出す作風には、バンドとしての懐の深さを感じさせる。
ドラマティック度・・8 メタル度・・1 優美度・・8 総合・・8 
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SUIDAKRA 「ECHOES OF YORE」
ドイツのペイガンメタル、スイダクラの2019年作
ヴァイキングメタル系バンドとしては、すでにベテランの域となる。本作は活動25周年を記念してのベストアルバムで、
全曲をリレコーディングした全10曲入りのベスト。メロデス寄りのギターリフにダミ声ヴォーカルを乗せた初期のナンバーは、
ほどよい疾走感と土着的なクサメロが同居した作風で、初期IN FLAMES + MITHOTYNというような味わいであるが、
しだいにペイガンメタルとしての勇壮さが加わって、ドラマティックな幻想性とともにサウンドの説得力が加わってゆく。
ブラックメタルばりの激しい疾走から、ケルティックなアコースティックナンバー、これぞヴァイキングというナンバーまで
叙情的なメロディを盛りこんだスタイルは日本人好みだろう。ペイガンメタル入門用にも最適の一枚です。
ドラマティック度・8 ペイガン度・8 幻想度・8 総合・8
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SUIDAKRA 「Wolfbite」
ドイツのペイガンメタル、スイダクラの2021年作
14作目となる本作は、どこかシネマティックに幕を開け、叙情的なギターにダミ声ヴォーカルを乗せ、激しい疾走感とともに、
エピックな世界観のペイガンメタルを展開。ときに女性ヴォーカルや、ゲストによるヴァイオリン、バグパイプ、フルートなど
ケルティックな音色も加わった優雅な味わいに、ブラックメタルばりのブラスト疾走など、緩急あるサウンドを構築する。
随所にメロスピ的なクサメロ感も見せながら、ペイガンメタルとしての武骨な迫力も残していて、
タイトなリズムがモダンな硬質感にもなっている。幻想的な叙情と激しい疾走感が合わさった強力作です。
ドラマティック度・8 ペイガン度・8 幻想度・8 総合・8
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SURTURS LOHE 「SEELENHEIM」
ドイツのペイガン・ブラックメタル、サーターズ・ローの2016年作
ドイツ語の語りの入ったイントロで幕を開け、ダミ声ヴォーカルを乗せて激しくブラスト疾走、
クサメロ気味のギターフレーズとともに、いくぶんローカルな味わいに包まれた聴き心地。
アコースティックギターにフルートや美しい女性ヴォーカルを乗せた優美な感触と、
激しいブラックメタルが融合した作風であるが、ゆったりとした叙情ナンバーや、
朗々としたノーマル声を乗せたナンバーもあり、優雅なフォークメタルとしても楽しめる。
神秘的な土着性とゲルマンな勇壮さ、アコースティックな繊細さが合わさった、幻想的な好作品。
ドラマティック度・・7 フォーキー度・・7 幻想度・・8 総合・・7.5
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SVARTBY「Riv Hugg Och Bit
ロシアのフォークメタル、スヴァートビィの2009年作
ツインギターにシンセを含む5人編成で、土着的なクサメロを奏でるギターと
低音のデスヴォイスを乗せて疾走する、なかなかヘヴィなフォークメタル。
美麗なシンセアレンジも含めて辺境臭さはあまりなく、フォーキーでありつつも、
適度にモダンなスタイリッシュさを感じさせるサウンドだ。個人的にはもっと土臭さが欲しいが、
クオリティはそれなりに高いので、FINNTROLLあたりが好きな方でも楽しめるだろう。
ドラマティック度・・7 フォーキー度・・7 辺境度・・7 総合・・7.5
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Svartby 「Big Boss」
ロシアのフォークメタル、スヴァートビィの2019年作
2007年にデビューし、本作は5作目で、インスト2曲を含む全7曲で、22分というEP的な内容。
優美なシンセによるイントロから、ヘヴィなギターにダミ声ヴォーカルを乗せ、適度に疾走感のある武骨なサウンド。
モダンな硬質感とキャッチーな軽快さが同居したスタイルは、Finntrollをルーツに、よりスタイリッシュな味わい。
クサメロ感やフォーキーな土着性という点では、さほど高くないので、わりとあっさりとした聴き心地。
楽曲も3~4分前後とシンプルかつストレートで、もう少し濃密な展開やメロディのフックが欲しい。
ドラマティック度・7 フォーキー度・7 武骨度・8 総合・7
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SVARTSOT「Ravnenes Saga」
デンマークのヴァイキングメタルバンド、スヴァートソットの2007年作
ホイッスル奏者を含む6人組で、武骨なデス声入りのフォークメタルサウンド。
ザクザクのギターリフが古き良きメタリックな質感を覗かせつつ、
ぴーひゃら笛入りのトラッドメロディがじわじわと朴訥に攻めてくる。
曲調はやや一本調子ながら、骨太のサウンドが本気度を感じさせてくれ、
軟弱系のフォークメタルとは一線を画すような力強さがある。「ぐおぉー」系の
低音デスヴォイスに慣れれば、戦斧と笛を手にした戦士の姿が見えてくる(笑)
メロディアス度・・7 骨太フォークメタル度・・8 笛度・・8 総合・・8
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Svartsot「Mulmets Viser」
デンマークのフォークメタルバンド、スヴァートソットの2010作
ホイッスル/アコーディオン奏者を含む6人組で、低音のデスヴォイスと
ヘヴィなギターリフによるサウンドに、フォーキーな笛の音色が絡みつく。
楽曲自体は比較的シンプルで、このバンドならではの目新しさはあまりないのだが、
やはりホイッスルの響きに、アコーディオンやマンドリンなどもアクセントになっていて
猛々しい森の住人たちの音楽が楽しめる。ヘヴィめのフォークメタルが聴きいた方へ。
メロディアス度・・7 ヘヴィ度・・8 フォーキー度・・7 総合・・7.5
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Svartsot 「Maledictus Eris
デンマークのフォークメタル、スヴァートソットの2011年作
ホイッスル/バグパイプ奏者を含む5人組、前作は正直いまひとつの出来であったが、
本作はコンセプト的な雰囲気で聴かせる、重厚かつドラマティックな力作となった。
ヘヴィなギターリフとデスヴォイスに、牧歌的なホイッスルやパイプ、マンドリンの音色が合わさって、
力強いエピックさと土着性を濃密に融合させている。ゲボゲボ系のデス声はなかなか強烈だし、
デスメタル並にヘヴィであるから、軽めのフォークメタルが好きな方にはややつらいかもしれないが、
武骨な戦士たちの姿を思い起こさせるようなパワフルなサウンドこそがこのバンドの持ち味なのだ。
ドラマティック度・・8 重厚度・・9 フォーキー度・・7 総合・・8
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SVENTOYAR(Свентояр)「Unity (Eднсть)
ウクライナのフォークメタル、スヴェントヤーの2013年作
牧歌的なマンドリンの響きに、ソピルカ(縦笛)の音色から始まり、ヘヴィなギターにドラムガ加わって
女性ヴォーカルの母国語の歌声を乗せた、辺境的な味わいのフォークメタルが広がってゆく。
適度な疾走感も含んだ本格派のフォークメタルでありながら、随所に魅力的なメロディのフックと
キャッチーなクサメロ感というべき爽快な聴き心地があり、女性声のキュートさも含めてとても楽しめる。
辺境フォークメタル好き、女性声フォークメタル好きは、きっと満足できる充実の逸品です。
メロディック度・・8 フォーキー度・・9 女性Vo度・・8 総合・・8
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SYMON MUZYKA (Сымон-Музыка)
ベラルーシのフォークメタル、シモン・ムジカの2011年作
そこそこヘヴィなギターリフに、アコーディオンやヴァイオリンが鳴り響き、
女性ヴォーカルのロシア語の歌声に男性デスヴォイスが絡む、
辺境的な味わいのフォークメタルサウンド。荒々しい激しさもありながら、
ときにスラップベースを聴かせたり、素朴なフルートの音色も入ってきたり
牧歌的な世界観も楽しめる。辺境フォークメタル愛好家はチェックしてみてください。
ドラマティック度・・7 フォーキー度・・8 辺境度・・8 総合・・7.5




TEMNOZOR (Темнозорь)「Folkstorm of the Azure Nights(Вольницей в Просинь Ночей)」
ロシアのペイガンブラック、テムノゾールの2005年作
シンセを含んだ美麗なアレンジと、ロシア語による朗々としたヴォーカル、
随所に激しい疾走感も含みつつ、むしろ浮遊感のあるミスティックな聴き心地である。
随所に素朴なフルートの音色も入ったり、土着的な叙情性もよい感じで、
いくぶんこもり気味の音質も含めて、神秘的なペイガン・ブラックが楽しめる。
ドラマティック度・・8 ペイガン度・・8 ミスティック度・・8 総合・・7.5

Tengger Cavalry 「Sunesu Cavalry」
中国出身のペイガン・フォークメタル、テンガー・カヴァリーの2011年作
モリンホールとも呼ばれる馬頭琴の音色を大胆に取り入れ、ヘヴィなギターとともに疾走する、
ペイガン・フォークメタルで、モンゴルの伝統的歌唱法である、ホーミーによる個性的な聴き心地。
ダミ声ヴォーカルとともにブラスト疾走するペイガン・ブラックメタル的な激しさもありつつ、
馬頭琴が牧歌的に鳴り響く楽曲のメリハリも含めて、単なる民族メタルとして以上に楽しめる。
曲によっては我々日本人にも親しみやすい、中華メロ的なアジアンなクサメロ感も覗かせる。
ボーナストラックには、同郷のEGO FALLと、何故かARCH ENEMYのカヴァーを収録。
なお、2枚組の限定盤「Cavalry Folk」には「The Mantra」と題されたアコースティック作品がカップリングされている。
ドラマティック度・・8 重厚度・・8 民族度・・8 総合・・8
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TENGGER CAVALRY 「The Expedition」
テンガー・カヴァリーの2013年作
重厚なギターにダミ声ヴォーカルのヘヴィなメタルサウンドに、馬頭琴の牧歌的な音色が響き渡る、
ペイガン・フォークメタルというよりは、独自の民族色を取り込んだモンゴリアン・メタルというべきサウンドで、
激しい疾走感と適度なモダンさを含んだ、新時代のアジアン・メタルのひとつの形を描いている。
前作に比べて、アジアンなクサメロ感がやや後退した感はあるが、特徴的なホーミーの歌唱に、
伝統的な馬頭琴の音色とエクストリームなヘヴィネスの対比がより際立ったともいえるかもしれない。
メンバーはまだ若そうだが安定した演奏力と楽曲アレンジのセンスは、すでにマイナーレベルを超えている。
ドラマティック度・・7 重厚度・・8 民族度・・7 総合・・8
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TENGGER CAVALRY 「Ancient Call」
テンガー・カヴァリーの2014年作
アコースティックなイントロから、続く2曲目はヘヴィなギターリフと馬頭琴の音色を乗せて激しく疾走、
アジアンなフォーキー感触と疾走感が合わさったスタイルは、前々作に戻ったような聴き心地だ。
エピックな哀愁を含んだ草原を疾走するような空気感は、モンゴリアン・メタルならではで、
勇壮なコーラスなども含めて、過去のアルバム以上にスケールの大きさを感じさせる。
一方ではどっしりとしたドラムとベースを中心にしたメタルとしてのアンサンブルもしっかりしていて、
ただの色モノにはなっていない音の説得力がある。随所にアコースティックパートを挿入したメリハリも見事な力作。
ドラマティック度・・8 重厚度・・8 民族度・・8 総合・・8
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Tengger Cavalry 「Blood Sacrifice Shaman」
テンガー・カヴァリーの2015年作
バンド名義となっているが、本作はリーダーのNature氏による個人作品のようで、
ヘヴィなギターに馬頭琴の音色を乗せた、インストサウンドが中心になっている。
ときおりホーミーの歌声は入るものの、リズムが打ち込み風なのでグルーブ感がなく、
随所に疾走する激しさもあるのだが、どことなくサントラ風の聴き心地である。
本質的な方向性は変わっていないので、これはこれで悪くはないのだが、
やはり迫力の点では物足りない。メンバーみんないなくなってしまったのかな。
ドラマティック度・・7 重厚度・・7 民族度・・7 総合・・7.5
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TENGGER CAVALRY 「Die on My Ride」
中国出身のペイガン・フォークメタル、テンガー・カヴァリーの2017年作
前作はリーダーのNature氏によるソロ作品という内容であったが、活動をアメリカに移し、
今作は新たにアメリカ人メンバーを含む編成となった。モリン・ホール(馬頭琴)の素朴な音色に
ヘヴィなギターが重なり、朗々としたヴォーカルを乗せた、アジアンなペイガンメタルは健在。
楽曲は2~3分前後とわりあいシンプルで、適度に激しさもあるのだが、ドゥーム寄りのスローテンポや、
モリン・ホールにイギルが鳴り響くアコースティックなナンバーなど、全体的には勢いは抑え目か。
ヴォーカルは英語なのだが、ホーミーに通じる唸るような独特の歌い方は、やはりモンゴル的でもある。
ドラマティック度・・7 ペイガン度・・7 アジアン度・・8 総合・・7.5
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TENGGER CAVALRY「CIAN BI」
中国出身のペイガン・フォークメタル、テンガー・カヴァリーの2018年作
活動をアメリカに移しての2作目で、ヘヴィなギターを乗せたモダンな感触と、
モリン・ホール(馬頭琴)の素朴な音色を重ねた、オリエンタルなメタルサウンド。
淡々としたダミ声ヴォーカルはあまり迫力はなく、楽曲はほとんど2~3分台で、
1曲ごとの魅力やインパクトの点では物足りなさも。バンドの個性が馬頭琴というだけでは苦しい。
もっとヘヴィにするのか、よりフォーキーにするのか、停滞感を打破するような進化に期待したい。
ドラマティック度・・7 民族度・・7 楽曲度・・7 総合・・7.5 
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Tengwar 「The Halfling Forth Shall Stand」
アルゼンチンのフォークメタル、テングウォーの2011年作
バグパイプ、リコーダー&ホイッスル、フィドル奏者を含む9人編成という大所帯で、
ケルティックな味わいのイントロから、ホイッスルが鳴り響きツインギターのリフとともに疾走、
朗々としたヴォーカルに勇壮なコーラスが重なるエピックな雰囲気と、フィドルの音色などの
フォーキーなクサメロ感が合わさって、RHAPSODYThy Majestieなどを思わせるファンタジックな世界観を描き出す。
ときにデスヴォイスや女性ヴォーカルも加わった、ドラマティックなスケール感と、ケルティックなやわらかさが絶妙に溶け合い、
歌の弱さも含めての程よいマイナー系クサメタルの質感にもニンマリだ。エピック・フォークメタルの濃密作。
ドラマティック度・・9 フォーキー度・・8 エピック度・・9 総合・・8
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TENHI 「Kauan」
フィンランドのゴシックフォーク、テンヒの1999年作
アコースティックギターのつまびきにうっすらとしたシンセ、ドラムのリズムが入った
いくぶんのロック色とともに、素朴で薄暗い叙情を描く幻想系フォークサウンド。
ときおり淡々とした男性ヴォーカルも入ってくるが、基本的にはインストが主体で、
アコースティックなナンバーや、シンセによるシンフォニックなアレンジのナンバーなど、
7分、8分という比較的長めの曲でも、フォークロック、プログレ・フォーク的な味わいで、
案外に一本調子にならずに楽しめる。中世トラッド要素も感じさせる世界観にも浸れます。
ドラマティック度・・7 薄暗度・・8 叙情度・・8 総合・・8
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TENHI 「Folk Aesthetic 1996-2006」
フィンランドのゴシック・フォーク、テンヒの2007年作
1999年にデビュー、本作は初期のデモやミニアルバム、未発音源などをCD3枚に収録。
Disc1は初期のデモ音源で、アコースティックギターにうっすらとしたシンセ、囁くようなヴォーカルによる、
物悲しいフォークロックサウンド。プリミティブな幻想性という点では、すでにその世界観は確立されていて、
こもり気味の音質にブラストビートなども入ってきて、デプレッシブ・ブラック的な雰囲気もある。
Disc2の未発曲や別バージョン音源は、ピアノやヴァイオリンなどのクラシカルな美しさと、
しっとりとした繊細で幻想的な叙情に包まれている。Disc3は、わりと音数を絞ったシンプルなサウンドで、
よりプリミティブなダークアンビエント・フォークが味わえる。ディープなゴシックフォークを愛する方はぜひ。
幻想度・・9 ゴシックフォーク度・・9 耽美度・・9 総合・・8 
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Tenhi「Saivo」
フィンランドのゴシック・フォークバンド、テンヒの2011年作
うっすらとしたシンセをバックに、北欧の暗がりを思わせる静謐感の中、
ピアノの音色が響き、フィンランド語による男性ヴォーカルの歌声が加わる。
暗鬱としたダークさとアコースティカルでマイルドな叙情性が合わさり、
幻想的な世界観を聴かせつつ、ヴィオラやフルート、チェロなどが入った
クラシカルな美しさもあって、耳心地はとてもよい。北欧の土着的な空気を感じさせる
フォーク・ゴシック、あるいはプログレ・フォーク的にも楽しめる傑作です。
ドラマティック度・・8 北欧度・・8 幻想度・・9 総合・・8
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Teurgia 「With True Faith」
ハンガリーのペイガンブラック、テアーギアの2008年作
エピックな雰囲気のイントロから、曲が始まると武骨なギターリフと
デスヴォイスで疾走する、かつてのMITHOTYNあたりを思わせるサウンド。
ブラスト入りのブラックメタル的な激しさ、土着的なフレーズを含んだギターで
いくぶんの辺境臭さとともに、荒々しい迫力のヴァイキングブラックを繰り広げる。
ドラマティック度・・7 ヴァイキングブラック度・・8 辺境度・・8 総合・・7.5


Thrudvangar「Ahnenthron」
ドイツのペイガンメタルバンド、サルドヴァンガーの2004年作
アコースティカルな美しいイントロから曲が始まると、ENSIFERUMばりに激しく疾走するヴァイキングメタル。
シンセによるシンフォニックさもあって、けっこう耳心地がよい。ヴォーカルはけっこうなデス声なのだが、
メロディにはフォーキーなやわらかさもあって、武骨すぎないところが聴きやすさになっている。
メロディアス度・・8 重厚度・・7 ヴァイキング度・・8 総合・・8
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Thrudvangar「Walhall」
ドイツのペイガンメタルバンド、サルドヴァンガーの2nd。2006年作
疾走タイプのゲルマン系ヴァイキングメタルとしてはトップクラスのこのバンド、
本作も美麗なイントロに続き、シンフォニックかつエピックな香りをまき散らして疾走、
ダミ声のドイツ語ヴォーカルと土着的なメロディで濃密に聴かせてくれます。
ペイガンブラック的な激しさとフォーキーなクサメロたっぷりで満足度の高い音ですが、
他のアルバムに比べるとやや楽曲のインパクトが弱いか。それでも充分質は高いですが。
ドラマティック度・・8 ヴァイキング度・・8 エピック度・・8 総合・・7.5
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ThrudvangarZwischen Asgard Und Midgard」
ドイツのペイガンメタルバンド、サルドヴァンガーの2007年作
ツインギターによる重厚さとうっすらとしたシンセを乗せて疾走、ダミ声ヴォーカルとともに武骨な世界観を描き出す。
メタルとしての激しさと重さを持ったまま、エピックな幻想性と戦士のような勇壮さを併せ持ったサウンドで
ヴァイキング系のペイガンメタルとして前作以上に高品質な作品だ。
メロディアス度・・7 重厚度・・8 ヴァイキング度・・8 総合・・8
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Thrudvangar「Durch Blut Und Eis」
ドイツのペイガンメタルバンド、サルドヴァンガーの2010年作
シンフォニックで大仰なイントロからしてまるで映画のような壮大さだが、曲が始まると
ブラストビートで激しく疾走、シンセを含んだ重厚なアレンジで、これまで以上にドラマティックな雰囲気である。
このバンドの場合、ギターリフにしっかりとヘヴィさがあるので、正統派メタルの男臭さを随所に漂わせているがよいのだ。
旅の休息を感じさせるような静かなパートやミドルテンポでの格好よさにもセンスを感じる。
ENSIFERUMTURISASにも負けないクオリティの、疾走系ヴァイキングメタル傑作である。
ドラマティック度・・8 疾走度・・8 ヴァイキング度・・8 総合・・8.5
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THRUDVANGAR 「VEGVESIR」
ドイツのペイガンメタルバンド、サルドヴァンガーの2020年作
2004年にデビュー、本作は7年ぶりとなる6作目。幻想的なイントロから、叙情的なギターにシンセを重ね、
ダミ声ヴォーカルとともに、壮麗なヴァイキングメタルを展開。勇壮なコーラスやシンフォニックなアレンジは
MOONSORROWなどにも通じる世界観で、勇壮な3連リズムのナンバーなどは、これぞヴァイキングメタルという味わい。
喉に絡むようなグロウルがやや耳障りであるが、ほどよい激しさとメロディック性が同居していて、初心者にもわりと聴きやすく、
朗々としたノーマルヴォーカルを使ったエピックなラストナンバーなどもよい感じだ。ペイガン中堅バンドとしての存在感ですな。
ドラマティック度・8 ペイガン度・8 重厚度・8 総合・8 
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THYRFING
スウェーデンのヴァイキングメタルバンド、ティルフィングの1st。1998年作
ツインギターのリフとダミ声ヴォーカルにうっすらとしたシンセアレンジで聴かせる
正統派のヴァイキングメタル。メロディはクサすぎず、武骨な荒々しさで勇壮な世界観を描き出す。
ときに激しい疾走も含めたペイガン・ブラック的な感触もありつつ、シンセによる幻想的な美しさが
全体を包み込んでいて、硬派すぎないところがミソ。北欧らしい神秘性を表現するような好作品だ。
メロディアス度・・7 ヴァイキング度・・8 勇壮度・・8 総合・・7.5





THYRFINGHednaland
スウェーデンのヴァイキングメタルバンド、ティルフィングの1996年作
正統派ヴァイキングメタルとしては中堅のバンドだが、これは1st以前のデモ音源を収録したもので全10曲27分を収録。
うっすらとしたシンセにダミ声ヴォーカルと、勇壮なコーラスなどで聴かせるゆったりとした牧歌的なサウンドは、
今となっては素朴に感じられるが、音には幻想的な雰囲気が感じられ、これはこれで悪くない。
1995~1996年の楽曲ということで、ヴァイキングメタルの初期作品として味わいがある。
メロディアス度・・7 ヴァイキング度・・8勇壮度・・8 総合・・7.5
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THYRFING
スウェーデンのヴァイキングメタルバンド、ティルフィングの1st。1998年作
ツインギターのリフとダミ声ヴォーカルにうっすらとしたシンセアレンジで聴かせる
正統派のヴァイキングメタル。メロディはクサすぎず、武骨な荒々しさで勇壮な世界観を描き出す。
ときに激しい疾走も含めたペイガン・ブラック的な感触もありつつ、シンセによる幻想的な美しさが
全体を包み込んでいて、硬派すぎないところがミソ。北欧らしい神秘性を表現するような好作品だ。
ドラマティック度・・8 ヴァイキング度・・8 勇壮度・・8 総合・・8
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THYRFING 「VALDR GALGA」
スウェーデンのヴァイキングメタルバンド、ティルフィングの2nd。1999年作
ジャケからして、いかにも「ヴァイキングたちの晩餐」という感じで、じつによい感じですが、
サウンドの方は、美しいシンセにヘヴィなギターリフ、武骨なダミ声ヴォーカルを重ねた、
のちのTURISASにも通じるようなシンフォニックなヴァイキングメタル。マイナー粗削り感と
美麗なシンセワークのミスマッチがむしろ辺境的な味わいになっていて、ギターリフなどの格好良さでは次作に譲るが、
MOONSORROWなどの幻想的な叙情性が好きな方にはわりと本作をお勧めしたい。
ドラマティック度・・8 ヴァイキング度・・8 勇壮度・・8 総合・・8
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THYRFING「UNKRAFT」
スウェーデンのヴァイキングメタルバンド、ティルフィングの3rd。2000作
田舎臭いフォーキーなギターリフにデス声ヴォーカルという、まさに王道のヴァイキングメタルサウンドだが、
本作に関しては、壮麗なキーボードの絡みを含めたキャッチーなほどのメロディアスさが心地よいのである。
かつてのMITHOTYNを思わせる武骨な勇壮さを含みつつ、メロディはそれ以上の聴きやすさで、サウンドの質も良好。
アコースティックギターやノーマル声も効果的に折り込むなどメリハリも効いていて、ヴァイキングメタル初心者にもお薦めの傑作。
メロディアス度・・8 田舎メロ度・・9 勇壮度・・8 総合・・8
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THYRFINGVansinnesvisor
スウェーデンのヴァイキングメタルバンド、ティルフィングの4th。2002年作
基本路線は前作から変わらず、ミドルテンポ中心でギターが民謡系リフを奏でるサウンド。
曲がやや地味になっているという見方もあるが、ヴァイキングメタルというものは
もとから地味で田舎くさいものだと思っているので、個人的にはさして問題はない。
MITHOTYNなきあと、王道系のヴァイキングメタルを聴かせるバンドは少なくなっているので、
このバンドにはこの中庸を行く、聴きやすい民族サウンドのまま頑張っていって欲しい。
メロディアス度・・7 ヴァイキング度・・8 土着メロ度・・8 総合・・7.5
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THYRFINGFARSOTSTIDER
スウェーデンのヴァイキングメタルバンド、ティルフィングの5th。2005年作
1996年にデビュー、作品ごとにしだいに、ヴァイキングメタルとしての迫力を増し、5作目となる本作では、ついに孤高の域に。
よく言えば媚びの無い硬派なサウンドで、原初的な質感はプリミティブ・ヴァイキングとも呼びたくなるスタイルだ。
気合の入ったヴォーカルの咆哮に、闇を感じるドゥーミーでヘヴィなギターリフ…雰囲気ものとしての説得力はぐぐんと上がっている。
安易なキーボードで飾るのではなく、徹底した重厚さと、暗黒の表現…さりげなく使用されるピアノも美しい。
ヴァイキング初心者にはお勧めできないが、シンプルさの中にもぎらりと光る、このバンドの本気度に敬意を表したい。
ドラマティック度・・8 ヴァイキング度・・7 暗黒度・・9 総合・・8
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THYRFING「Hels Vite」
スウェーデンのヴァイキングメタルバンド、ティルフィングの2008年作
前作も雰囲気のある重厚な作風であったが、本作も暗闇を感じさせる重々しさがサウンドの説得力に反映している。
土着的なメロディはやや抑え目で、むしろ硬派の音作りは初心者にはとっつきづらいだろうが、
活動10年をこえる中堅バンドだからこそかもしだせる強固な世界観が魅力だ。
うっすらとしたシンセは寒々しい荒涼とした大地を思わせるようで、咆哮するデス声には
悲しみの響きが感じられる。ドラマティックな迫力が見事なヴァイキングデス。
メロディアス度・・7 ヴァイキング度・・7 重厚度・・8 総合・・8
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THYRFING 「Vanagandr」
スウェーデンのヴァイキングメタル、ティルフィングの2021年作
1998年にデビュー、本作は8年ぶりとなる8作目。わりと正統派メタル寄りのギターにうっすらとしたシンセを重ね
グロウルヴォイスを乗せて、エピックな神秘性に包まれた、重厚なヴァイキングメタルを聴かせる。
激しくブラスト疾走するパートも覗かせつつ、叙情的なギターやときにシンフォニックなシンセアレンジで、
MOONSORROWにも引けを取らない、ドラマティックでスケール感のあるサウンドを展開する。
いつになくオーケストラルなアレンジも加わるが、以前のような硬派な迫力もしっかり残していて、
甘すぎない涼やかな叙情とともに、随所にペイガンブラック的な激しさも含んだ強力作だ。
ドラマティック度・8 ヴァイキング度・8 重厚度・8 総合・8 
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Thyrien 「Hymns Of The Mortals- Songs From The Nort」
フィンランドのヴァイキング・メロデス、ザイリエンの2014年作
シンセによる幻想的なイントロから、ツインギターにダミ声ヴォーカルを乗せて激しく疾走する、
エピックなメロデスサウンドを聴かせる。涼やかな叙情性と流麗なギターメロディが同居した感触は、
初期のCHILDREN OF BODOMとヴァイキングメタルのENSIFERUMを足したようでもある。
随所にシンセによるシンフォニックなアレンジもあって、勇壮な武骨さと美しさがバランスよく融合し、
ギターやシンセのフォーキッシュなメロディとともに、TURISASなどを思わせる幻想的な土着性に包まれる。
ミドルテンポの叙情的なナンバーもあり、全体的にも激しすぎない聴き心地で楽しめる高品質な作品デス。
ドラマティック度・・8 ヴァイキング度・・7 叙情度・・8 総合・・8
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Tin Sontsia「Polum Jana Ruta」
ウクライナのフォークメタル、ティン・ソンツィア(Sun Shadow)の2007作
ギターリフに艶やかなヴァイオリンの音色が絡み、母国語の男性ヴォーカルが歌を乗せる。
アコースティカルな叙情性もあり、異国的な雰囲気がなかなかいい感じで、
メタリックなヘヴィさはさほどなく、マイルドで聴き心地の良いフォークメタル作だ。
メロディアス度・・8 フォーキー度・・8 異国的牧歌度・・9 総合・・8


TIWAZ 「Rune of Victory」
ブラジルのペイガンメタル、ティワズの4曲入りミニ。2004年作
ダミ声ヴォーカルに勇壮なコーラス、シンセを含んだミスティックな聴き心地で、
土着的なギターリフとともに激しく疾走する部分もある。FOLKEARTHなどの、
辺境的ペイガンメタルが好きな方なら、そこそこ楽しめるだろう。
ドラマティック度・・7 ペイガン度・・8 辺境度・・8 総合・・7


Trelleborg  「Lands of Njord」
ロシアのペイガンメタル、トレルボーグの2010年作
シンセによる美麗なイントロから、クサメロのギターと勇壮なヴォーカルにダミ声を交え、
ほどよくローカルでエピックな味わいの、シンフォニックなペイガンメタルを聴かせる。
どっしりとしたミドルテンポから、ブラスト入りで激しく疾走するナンバーまで、
全体的にシンセのメロデイが前に出ているので、わりとキャッチーな感触で楽しめて、
女性奏者が奏でるアコーディオンの音色を乗せた、FINNTROLLを思わせる愉快な雰囲気もある。
TURISASなどにも通じる勇壮な部分はなかなかよい感じなので、今後は音の説得力を高めていって欲しい。
ドラマティック度・・7 ペイガン度・・7 重厚度・・7 総合・・7
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TRIDDANA 「The Power & the Will」
アルゼンチンのフォーク・メタル、トリダナの2015年作
SKILTRONのメンバーを含むバンドで、ケルティックなバグパイプが鳴り響きつつ、
パワフルなヴォーカルとギターリフで聴かせる、フォーキーなパワーメタルサウンド。
ティンホイッスルの優雅な音色も入りつつ、楽曲自体は正統派のメロパワスタイルで、
歌詞が英語ということもあって、普通のメタルファンにも楽しめる作風である。
むしろ正統派寄り過ぎて、コアなフォークメタラーなは物足りないかもしれないが、
後半にはバグパイプをメインにしたインストナンバーなどもあって、なかなか楽しめます。
メロディック度・・8 フォーキー度・・8 正統派度・・8 総合・・7.5
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TROIN 「С другой стороны земли」
ロシアのフォークメタル、トロインの2017年作
武骨なロシア語のヴォーカルにバグパイプが鳴り響く、ノリのよい陽気なフォークメタル。
ほどよくメタリックなギターに、愉快なコーラスと掛け声を乗せたキャッチーな聴き心地で、
適度な疾走感とともに、エピック系とは反対の酒飲み系フォークメタルの楽しさに包まれている。
ヴァイオリンの音色も加わると、Korpiklaaniなどにも通じる感触になるが、こちらの方がもっとライトで
アイリッシュパンクにも通じるようなポップ性がある。本格派のフォークメタル好きにはやや物足りないかもしれないが、
重厚な感触がない分、シンプルな聴きやすさで、アコースティックな部分も含んだ哀愁も漂わせた好作といえる。
ドラマティック度・・7 フォーキー度・・8 愉快でキャッチー度・・8 総合・・7.5
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TrollfesT 「Kaptein Kaos」
ノルウェーのフォークメタル、トロルフェストの2014年作
PANTHEON Iのメンバーが参加するバンドで、ジャケやメンバー写真もじつにおちゃらけているが、
マッドサイエンティストがタイムマシンに乗って時空を旅をするという、壮大なギャグ的なストーリーらしい。
サウンドの方は、野卑なダミ声ヴォーカルと愉快なポルカ風メロディを乗せて、わりと激しいノリで聴かせる、
いわば初期のFinntrollをぐっとコミカルにしたようなイメージ。フォークメタルというよりはむしろパンク的な勢いと
能天気に突進するような曲調なのだが、随所に北欧らしい土着メロディを含ませるあたりが憎めない。
楽曲は3~4分台中心で、個人的にはコミカルをドラマティックに変えるような濃密さがもっと欲しい。
ドラマティック度・・7 フォーキー度・・7 コミカル度・・8 総合・・7.5
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Troll Gnet El 「Hangoverlainen Juhlat」
ロシアのペイガンメタル、トロル・ネット・エルの2005年作
愉快な笛の音色にフィドルの音色が加わり、ダミ声ヴォーカルの歌声で
軽快に聴かせる楽しいフォークメタルサウンド。随所に女性ヴォーカルも加わって、
武骨さよりもキャッチーな質感が前に出ると、ケルティック・パンクの雰囲気にも通じる。
鳴り響くホイッスルに素朴なマンドリンの音色も優しく叙情的で、やわらかな耳心地である。
マイルドな男性ヴォーカルも含めて、ロシア語の響きとともにのんびりと楽しめる作品だ。
ドラマティック度・・7 フォーキー度・・8 愉快で軽快度・・8 総合・・8

Tsar Stangra(Цар стангра) 「Небесният ковач」
カナダのペイガンメタル、ツアー・スタングラの2017年作
バンド名や曲名がキリル文字になっているのは、ブルガリア系メンバーのバンドということらしい。
うっすらとしたシンセアレンジにツインギターとダミ声ヴォーカルを乗せた、辺境的なペイガンメタルで、
激しすぎない適度な疾走感を含んだ楽曲には、美しいシンセのメロディとともに、
ほどよいクサメロ感を漂わせつつ、マイナーな味わいと神秘的な空気感も感じさせる。
ラストは14分の大曲でブラスト疾走を含む緩急ある展開で、土着的なペイガンブラックが炸裂する。
ドラマティック度・・7 暴虐度・・7 ペイガン度・・8 総合・・7.5
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TUATHA DE DANANN
ブラジルのフォークメタル、トゥアサ・デ・ダナンの1999年作
デビュー作となるミニアルバムで、アコースティックギターに牧歌的なフルートの音色、
マイルドなヴォーカルを乗せた素朴な味わいのイントロ曲から、シンセとエレキギターが加わり、
エピックな雰囲気のフォークメタルを展開。12弦ギターなどのアコースティックな優雅さと、
ヘヴイ過ぎないメタル色が合わさったところは、初期のElvenkingあたりにも通じるローカルな味わいで、
唐突にダミ声ヴォーカルも入って疾走したりと、B級臭い無理やり感も微笑ましい。素朴さとクサメロ、強引な展開が楽しい好作品。
ドラマティック度・・7 フォーキー度・・8 牧歌的度・・8 総合・・7.5

Tuatha De Danann「Tingaralatingadun」
ブラジルのフォークメタルバンド、トゥアサ・デ・ダナンの2nd。2001作
フルートやホイッスルが鳴り響き、陽気なヴォーカルが歌う愉快系のフォークメタル。
クサメロを奏でるややヨレ気味のギターやマンドリンに、うっすらとシンセもかぶさり、
南米版MAGO DE OZというサウンドは、脱力気味の弱さも含めてマニア向け。
本作ではまだデス声もときおり入るが、これが3rdになるとさらにやわらかな音になる。
メロディアス度・・7 フォーキー度・・8 陽気度・・8 総合・・7
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Tuatha De Danann「The Delirium Has Just Began..」
ブラジルのフォークメタルバンド、トゥアサ・デ・ダナンのミニアルバム
もうジャケからして愉快なフォークメタル野郎どもなのだが、
サウンドの方もシンセをバックにピーヒャラと笛が吹き鳴らされる。
ときどきデス声が入ってもちっとも怖くない(笑)むしろメタル感触は抑えめで、
やわらかな音像だ。そういう点ではイタリアのELVENKINGあたりに近いか。
ミニとはいえ6曲入りで37分収録。コアなフォーキーメタル好きは聴くべし。
メタル度・・6 フォーキー度・・8 ほのぼの度・・8 総合・・7.5
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Tuatha De Danann 「Trova Di Danu」
ブラジルのフォークメタルバンド、トゥアサ・デ・ダナンの3rd。2004年作
きらきらとしたシンセに、軽やかなホイッスルの音色、そこにキャッチーな歌メロが重なり
イタリアのELVENKINGをさらに軽くしたような、とても愉快な雰囲気のフォークメタルを聴かせる。
メタリックな力強さはあまりないですが、マンドリンにフルート、ヴァイオリンなどの優雅な音色に、
ときに女性ヴォーカルも加わって、南米的なフォルクローレを思わせる、楽しげな土着ロックが繰り広げられる。
この穏やかでアコースティカルな叙情性は、メタルが苦手な方でも聴けるでしょう。
メロディアス度・・8 フォーキー度・・8 優雅度・・9 総合・・8
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TUATHA DE DANANN
ブラジルのフォークメタル、トゥアサ・デ・ダナンの2016年作
1999年のEPと、その再録版を収録。元音源は演奏力も含めてユルめのローカルさが面白かったが、
新たに録音された本作は、録音と演奏力の向上もあって、よりダイナミックな説得力が加わった。
フォーキーな牧歌性と、ノーマル声&デス声を絡めた、エピックな世界観に包まれたサウンドで、
随所に疾走するパートも含んだメリハリある展開力で楽しめる。バンドとしての成長が感じられる音源で、
初期のElvenkingのようなヘナチョコなクサメロ感が魅力だった、かつてのオリジナル音源と聴き比べるのもよいだろう。
ドラマティック度・・8 フォーキー度・・7 エピック度・・8 総合・・8 
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Tumulus 「Sredokresie (Средокресие)」
ロシアのフォークメタル、タマラスの2005年作
女性シンセ奏者を含む5人編成で、牧歌的なホイッスルの音色に、クサメロのギターとシンセを重ね、
母国語による男女ヴォーカルを乗せた、ほどよくローカルな味わいのペイガン・フォークメタルを聴かせる。
粗削りの土着性が辺境的な味わいになっていて、重厚すぎないマイナー臭さも微笑ましく、
男性Voもマイルドな声質なので、わりと初心者でも楽しめるだろう。ARKONAなどに比べると、
フォーキーなクサメロ度が強く、やわらかなシンセアレンジや吹き鳴らされるホイッスルがよい味を出している。
女性声がもっと活躍してくれればうれしかったが、B級ながらも優雅な叙情に包まれた好作品です。
ドラマティック度・・8 フォーキー度・・8 ローカル度・・8 総合・・7.5
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TURISAS「BATTLE METAL」
フィンランドのヴァイキングメタルバンド、チュリサスの2004年作
ブックレットのメンバー写真が剣を手にそれぞれに敵と闘っているのが可笑しいが、
サウンド自体は、やりすぎな程にシンフォニックで、ヴァイキング云々というよりは
もはやRHAPSODY系のファンタジー属性の大仰シンフォメタルともいってよいほどだ。
壮麗なシンセアレンジに加え、ヴァイオリンや曲によりアコーディオン、バグパイプ等も使用。
もちろんVoはダミ声ですが、ノーマル声のパートや女性コーラスなどもあり、
全体的に暴虐さよりは華麗さ重視で、ヴァイキング初心者にも対応しています。
さあ、男臭い勇壮なコーラスに導かれ、戦いの物語にいざなわれましょう。
シンフォニック度・・9 フォーキー度・・8 勇壮度・・8 総合・・8
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TURISAS「Varangian Way」
フィンランドのヴァイキングメタルバンド、チュリサスの2nd。2007年作
今回はスカンジナヴィアからミクラガルド(コンスタンティノープル)までの旅をたどる壮大なコンセプト作。
前作にあったRHAPSODYばりの壮麗なシンフォニック性を引き継ぎつつ、今作はむしろ、MOONSORROWにも通じるような
雰囲気ものとしての「世界観の空気」を大切にしたという印象で、パッと聴きには地味に感じるかもしれない。
男達の勇壮なコーラスや、旅の途中での出来事をつづる旅行記のような雰囲気でイメージ音楽としての要素もあって、
派手すぎないアレンジが逆に説得力を生み出している。ヴァイオリン、アコーディオンなどのフォーキーな音色も、
戦いの勇壮さとの対比として効果的に使用され、大団円にいたるまでの過程を濃密に描き出す役目を果たしている。
1曲ごとのインパクトや派手さはないが、トータルに描かれた作品世界に浸って聴くべき作品だ。
シンフォニック度・・7 ヴァイキング度・・8 勇壮度・・9 総合・・8
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Turisas「Stand Up And Fight」
フィンランドのヴァイキングメタル、チュリサスの2011年作
コンスタンティノープルまでの旅を壮大に描いた前作からの続編で、本作もシンフォニックな壮麗さに彩られた力作に仕上がっている。
勇壮なコーラスとオーケストレーションによるエピックな世界観はRHAPSODYばりに映画的で、視覚的なイメージを想像させてくれる。
アコーディオンなどのフォーキーな要素もちゃんと残っているが、サウンドはずいぶん洗練されてきて、
濃密な土着性が薄まったため、1stからのファンにとっては物足りなさもあるかもしれない。
エピックなシンフォニックメタルとしての普遍性が強まったことで一般のリスナーには聴きやすいだろう。
シンフォニック度・・8 フォーキー度・・7 壮大度・・9 総合・・8
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TURISAS 「2013」
フィンランドのエピック・ヴァイキングメタル、チュリサスの2013年作
シンフォニックメタル要素を強めた前作に続く4作目は、ジャケやタイトルは非常にシンプルな雰囲気。
サウンドの方も、初期のバトルメタル路線からい変化していて、スタイリッシュなシンセアレンジとともに
より正統派のメロディックメタルへと接近している。勇壮でありながらキャッチーなコーラスワークや
無駄のない効果的な楽曲構成などは、世界進出のための普遍的なメジャー感に包まれた印象だ。
もちろん、彼らの持ち味であるエピックな世界観と勇壮な味わいは随所に残していて、
いわば、武骨なはずのヴァイキングメタルをここまでモダンに仕上げた新たな試みともいえる。
メロディック度・・8 ヴァイキング度・・7 勇壮度・・7 総合・・8 
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TVERDFollow the Suns Way
ロシアのフォークメタルバンド、トヴァードの2009年作
男女ヴォーカルを含む6人組で、牧歌的なフォークメロディを取り入れた田舎臭さたっぷりのサウンド。
朗々とした歌声に絡むパイプや笛の音もよろしく、ときおり武骨なダミ声も入ったり女性声が加わったりして、なかなか飽きさせない。
そこそこヘヴィなギターによるメタリックな部分もちゃんとあるので、陽気な曲でも軽すぎることなく、適度に勇壮さもある。
マンドリンなどのアコースティックな要素も含め、フォーキーで辺境的でありつつ、バランスがとれた味わいの好作品だ。
メロディアス度・・8 フォーキー度・・8 辺境度・・8 総合・・8
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TYR「ERIC THE RED」
フェロー諸島出身のヴァイキングメタルバンド、テュールの2nd。2006年作
ノルウェーとアイスランドの中間に位置する島国から、こうした本格派のバンドが出てくるとは。
重厚でパワフルなヘヴィメタルに、朗々としたヴォーカルが歌い上げるそのスタイルは、
FALCONERあたりに通じる感触があるが、トラッド音階のメロディには辺境的な味わいがあり、
それが彼らのサウンドをどこか神秘的にしている。エピックなコーラスワークなども良いし、
ときにギターがテクニカルなフレーズを奏でたりと、案外練られたアレンジが心憎い。
ドラマティック度・・8 ヴァイキング度・・8 重厚度・・8 総合・・8
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TYR「LAND」
フェロー諸島出身のヴァイキングメタルバンド、テュールの4th。2008作
エピックな語りの入ったイントロから、朗々としたコーラスとともに楽曲が始まり
トラッド音階のギターリフによる正統派のヴァイキングメタルを聴かせる。
母国語の歌声が神秘的な土着性を高めていて、中世のヴァイキング戦士たちの航海の姿が
眼前に浮かんでくるようだ。シンセによる味付けはなく、あくまでギター主導のスタイルであるが、
武骨すぎないメロディアスさがあって案外聴き心地がいい。15分を超える大曲も圧巻。
ドラマティック度・・8 ヴァイキング度・・9 重厚度・・7 総合・・8
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TYR「By the Light of the Northern Star」
フェロー諸島出身のヴァイキングメタルバンド、テュールの5th。2009作
ヴァイキングメタルといってもこのバンドの場合はデス色はなく、
パワーメタル的な正統派メタルサウンドに、土着的なフレーズを織り込んだもの。
男臭いコーラスに、ジャケの戦士のイメージのようなエピックな世界観を漂わせ
パワフルかつドラマティックに聴かせる。ヴァイキング・パワーメタルの力作。
ドラマティック度・・8 ヴァイキング度・・8 重厚度・・8 総合・・8
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TYR「The Lay of Thyrm
フェロー諸島のヴァイキング・メロパワバンド、テュールの6th。2011年作
北欧神話、雷神トールのハンマーを盗んだ巨人族の王、スリュムが横たわるジャケからして
漢萌え~なのだが、サウンドの方もエピックな香りをただよわせたメロパワで、
随所にヴァイキングメタル的な勇壮さを織り込みながら、あくまで正統派の誇り高さを聴かせる。
歌メロにはマイルドな聴き心地があり、ヘヴィすぎない楽曲もある意味絶妙だ。
日本盤のボーナスにはBlack Sabbathの“I”、RAINBOWの“Stargazer”のカヴァーを収録。
ドラマティック度・・8 エピック度・・8 ヴァイキング度・・7 総合・・8
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TYR 「Valkyrja」
フェロー諸島のペイガンメタル、テュールの2013年作
2002年にデビューしてから、本作はすでに8作目となる。ドラムが抜けて正規メンバーは3人となり
パワフルなメタルにペイガン風味を加えた勇壮なサウンドは、今作ではより正統派の感触に近づいた。
3、4分台がメインの楽曲はこれまでよりもぐっとシンプルになり、神秘的な土着性はやや薄れているが、
BLIND GUARDIANを思わせるエピックなコーラスや、ツインギターの絡みはむしろ力強さを増している。
Leaves' Eyesのリブ・クリスティンをゲスト迎えてのバラードなどもあり、ラストのドラマティックなタイトル曲まで
全体的に重厚さと叙情性のバランスもとれた、質の高いエピックなメロパワ作品である。
ドラマティック度・・8 正統派度・・8 ペイガン度・・7 総合・・8
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VALFREYA「Path To Eternity」
カナダのペイガンメタル、ヴァルフレヤの2012年作
ジャケはえらくB級臭いのだが、サウンドの方は美しいシンセアレンジに、女性ヴォーカルの歌声を乗せた、
なかなかよい感じのペイガンフォークメタル。ローカルなクサメロも顔を覗かせたり、ペイガンブラック的な激しさもあり、
フィメールな美声とダミ声ヴォーカルを使い分けるCrook嬢の存在感を含めて、ロシアのARKONAをB級にしたような雰囲気というか、
あか抜けなさが魅力と言えば魅力であろう。随所にフルートやアコースティックギターによる牧歌性もあり、
美しい女性声で聴かせる部分などはなかなかよい感じ。サウンドの迫力や説得力が上がると、よいバンドになるかもしれない。
メロディック度・・8 ペイガン度・・8 女性Vo度・・7 総合・・7.5
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VALKYRIA「SORFADERS STAMMOR」
スウェーデンのヴァイキングメタルバンド、ヴァルキリアの2004作
森の中の少女のセミヌード、という微妙な萌えジャケが少々怪しげ…(笑)
音の方は、ヴァイキング系といってもあまり高揚感はなく、ややのんびりとしたフォーキーな雰囲気で
そこそこシンフォニックな雰囲気です。アンニュイ系の女性Voの歌が加わるとさらに眠くなります。
歌詞は全部スウェーデン語のようで、北欧の山の中でまどろむ感じにひたれます。
シンフォニック度・・7 ヴァイキング度・・7 ゆったり北欧度・・8 総合・・7


Vallorch 「Neverfade」
イタリアのフォークメタル、ヴァローチの2012年作
女性Vo、ヴァイオリン奏者を含む編成で、ヴァイオリンやバグパイプ、ホイッスルが鳴り響き、
ハスキーな女性ヴォーカルに男性デス声が絡む、適度に激しいノリもあるフォークメタル。
アイルランドのCRUACHANあたりに通じる辺境性に、アコーディオンの素朴な音色に包まれた、
FINNTROLLやKORPIKLAANIのような愉快な牧歌性も含んだ感触で、粗削りながらなかなか楽しめる。
軽すぎず重すぎず、メタル的なパワフルさもちゃんと残していて、女性Voの適度なヘタウマ感も含めて、
マイナー臭い浮遊感が案外よい味わいにもなっている。男声メインの曲もあるが個人的には女声だけでいい。
ドラマティック度・・8 フォーキー度・・8 辺境度・・8 総合・・7.5
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Vallorch 「Until Our Tale Is Told」
イタリアのフォークメタル、ヴァローチの2015年作
今作ではヴァイオリン奏者が女性に替わったが、サウンドは前作の延長上で、ホイッスルにバグパイプが鳴り響き、
艶やかなヴァイオリンの音色に女性ヴォーカルの歌声で聴かせる、ファンタジックなフォークメタル。
いくぶん荒削りだった前作から、楽曲アレンジや音作りがずいぶんスタイリッシュになってきていて、
ギターやドラムなどのメタル部分がモダンな感触を強めたことで、多くのリスナーが楽しめるレベルまで来ている。
SARA嬢のヴォーカルは依然としてヘタウマな不安定さがあるのだが、武骨な男性デス声との絡みで、
やわらかな美しさが引き立っている。今作では随所にヴァイキングメタル的でもある勇壮な雰囲気も加わって、
前作の牧歌的な浮遊感が薄まったのは痛しかゆしであるが、シンフォニックな音の厚みは増している。
ドラマティック度・・8 フォーキー度・・8 辺境度・・7 総合・・7.5
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Valuatir
フランスのペイガン・ブラックメタル、ヴァルアティアの2008年作
牧歌的なバグパイプの音色にギターが重なり、ダミ声ヴォーカルを乗せて激しく疾走。
ブラスト入りでブラックメタルばりに激しいのだが、ドラムの音がスカスカなのと、
なによりギターよりもパイプの音が目立つせいで、むしろほのぼのとした聴き心地だ。
曲は7~8分台とけっこう長めなのだが、さほどドラマティックなフックがあるわけでもなく、
バグパイプ以外の聴き所はあまりない。ローカルな雰囲気のB級ペイガンが許せる方へ。
ドラマティック度・・7 ローカル度・・8 B級ペイガン度・・8 総合・・7.5


VANIR 「Aldar Roek」
デンマークのヴァイキングメタル、ヴァニルの2016年作
2011年にデビューし、4作目。ヘヴィなギターにオーケストラルなシンセアレンジを重ね、
ダミ声ヴォーカルで聴かせる、ほどよくアグレッシブで武骨なヴァイキングメタルを聴かせる。
クサメロ感のあるギターフーレズとともに、随所にフォーキーな土着性も覗かせつつ、
全体的に硬派なペイガンメタル感触に包まれていて、雰囲気は悪くないのだが、
盛り上がりそうで盛り上がり切らないのがもどかしい。ボーナス入れて全31分なので、
本作はミニアルバムという扱いだろうか。日本盤の出る次作に比べるとやや中途半端か。
ドラマティック度・・7 ペイガン度・・7 重厚度・・7 総合・・7.5 
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VANIR 「Allfather」
デンマークのヴァイキングメタル、ヴァニルの2019年作
2011年にデビューし、本作はすでに5作目となる。北欧神話の世界とデンマーク王スヴェン一世をコンセプトに、
ツインギターによる土着的なリフにシンセを重ね、迫力あるダミ声ヴォーカルで聴かせるヴァイキングメタルサウンド。
勇壮な戦いを描くような硬派な雰囲気と寒々しい北の空気感は、同郷のSVARTSOTあたりにも通じるが、
メロデスばりの激しい疾走ナンバーもあったりと、全体的にもメリハリのある流れで楽しめる。
MANOWAR「THOR-The Powerhead」のカヴァーもなかなかハマっていて、エピックな迫力に包まれる。
AMON AMARTHなどに比べると、ほどよい叙情性と土着性もあって、ドラマティックな味わいの力作です。
ドラマティック度・・8 ヴァイキング度・・8 重厚度・・8 総合・・8
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VARG「Blutaar」
ドイツのヴァイキングメタル、ヴァーグの2010年作
土着的なクサメロをたっぷり含んだギターフレーズで聴かせる、
かつてのMITHOTYNをよりヘヴィにゲルマン風にしたようなサウンド。
正統的なパワーメタル風味もある重厚な作風と、ドイツ語のデスヴォイスで、
ときに激しい疾走も含んで、猛々しい戦士の姿を迫力たっぷりに描き出してゆく。
ENSIFERUMあたりを思わせるフォーキーなメロもなかなかいい感じだ。
ドラマティック度・・8 ヴァイキング度・・8 勇壮度・・9 総合・・7.5
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VARG「Wolfskult」
ドイツのヴァイキングメタル、ヴァーグの2011年作
ジャーマン・ヴァイキング系の中では本格派といってよいこのバンド、
本作もよい意味での荒々しさと蛮族臭さが感じられる重厚なサウンドで、
ドイツ語によるダミ声ヴォーカルとヘヴィなギターリフは、MITHOTYNの3rdあたりを思わせる。
あくまでギターリフ主導のため、メロディックな媚びというものが薄い分、楽曲ごとのインパクトはさほどでもない。
後半にはブラックメタルばりの激しい疾走もある。硬派なペイガンブラック/ヴァイキングメタル作。
ドラマティック度・・7 ヴァイキング度・・7 重厚度・・8 総合・・7.5
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VARG「Guten Tag」
ドイツのペイガン・バトルメタル、ヴァーグの2012年作
4作目なる本作では、前作までのペイガン色はずいぶん薄まっていて
1曲めなどはほとんどモダンなメロデスと化している。2曲め以降になると、
土着的なツインギターのメロディも出てきて、ドイツ語のダミ声ヴォーカルとともに、
ペイガン的な雰囲気も残しているが、やはりソリッドな硬質感が強まっている。
同郷のKROMLEKなどと同様に、「都会派バトルメタル」とでもいうべき作風かもしれないが、
魅力的なメロディがもっとないことには、中の上クラスのバンドは脱せられないと思う。
ドラマティック度・・7 ペイガン度・・7 ゲルマン度・・8 総合・・7.5


Varg 「Das Ende Aller Lugen」
ドイツのペイガン・ヴァイキングメタル、ヴァーグの2016年作
本作はおそらく5作目あたり、TURISASばりの黒と赤のメイクをしたメンバーのジャケがインパクト大だが、
ドイツ語の語りの入ったイントロから、メロディックなギターフレーズと絶叫するヴォーカルを乗せて激しく疾走、
ヴァイキング&バトルメタル的な勇壮さとメロデス的な質感が合わさったという感触で、モダンなヘヴィネスも含ませつつ
ときに叙情的なパートがふっと現れたりもする。女性声が加わったフォーキーなナンバーなどもあり、メリハリのある聴き心地で、
ドイツ語を使ったゲルマンな雰囲気もよい感じです。全体的には甘すぎないメロディアス性で、
アグレッシブな勢いに包まれた、重厚かつ硬質なヴァイキング・デスメタルというべき力作である。
ドラマティック度・・7 ヴァイキング度・・7 重厚度・・8 総合・・8 
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VARG 「Zeichen」
ドイツのヴァイキング・デスメタル、ヴァーグの2020年作
2007年にデビュー、本作は7作目となる。硬派なギターリフにドイツ語による低音デスヴォイスを乗せて
随所に激しい疾走感を含んだ、アグレッシブな本格派のヴァイキング・デスメタルを聴かせる。
アコースティックなパートなどを含む緩急ある展開や、ときに美しい女性ヴォーカルも加わって、
これまで以上に幻想的なドラマ性を感じさせ、ギターが叙情的なフレーズを奏でるところも、
なかなか魅力的であるが、全体的には盛り上がりきらないのが惜しい。全41分というのもやや物足りないか。
ドラマティック度・・8 勇壮度・・8 重厚度・・8 総合・・7.5
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VEDA(Веда)「TAJNYH DOROG POZABYTY SLEDY(Тайных дорог позабыты следы)」
ロシアのフォークメタル、ヴェーダの2012年作
女性Voにシンセを含む6人編成で、ダミ声男ヴォーカルに美しい女性ヴォーカルが絡み、
メロディックなギターフレーズを乗せて疾走、やわらかなフルートの音色とともに
土着的な牧歌性をかもしだす、なかなか高品質なフォークメタルサウンドである。
美麗なシンセワークも含めて優雅な聴き心地で、ときにシンフォブラック的な激しさもありながら
メロディの流れやアレンジのセンスがあるので、ファンタジックな幻想性も感じさせてくれる。
個人的には、せっかくキュートな女性声なので、もっと彼女の出番を増やして欲しい。
メロディック度・・8 フォーキー度・・8 優雅度・・8 総合・・8
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VEDA (Веда)「Under the Shelter of Battle Flags」
ロシアのフォークメタル、ヴェーダの2014年作
女性Voにシンセを含む6人編成で、前作はブラックメタルばりの激しさも含んだ力作だったが、
本作も美しい女性ヴォーカルのロシア語の歌声にダミ声ヴォーカルが絡み、アコーディオンやフルートの音色、
シンフォニックなシンセアレンジを乗せ、ときに激しい疾走も含んだメリハリのあるフォークメタルが楽しめる。
クラシカルなピアノによる優雅な感触や、やわらかな女性声の美しさも前作以上に際立っていて、
ダミ声ヴォーカルを乗せた武骨な疾走パートとの程よいコントラストになっている。
女性声ペイガンメタル、激しめのフォークメタルが好きな方にもオススメできる強力作。
ドラマティック度・・8 フォーキー度・・8 女性Vo度・・8 総合・・8
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VEDA (Веда)「В краях былин」
ロシアのフォークメタル、ヴェーダの2017年作
女性Voにシンセを含む6人編成で、過去2作も優雅さと激しさが同居した力作であったが
3作目となる本作も、美麗なシンセにロシア語の女性ヴォーカルを乗せたシンフォニックな壮麗さと
武骨なデスヴォイスを加えた重厚な激しさが合わさった、質の高いフォークメタルサウンドを聴かせる。
やわらかなフルートの音色をオーケストラルなアレンジが包み込み、辺境的な牧歌性を覗かせながら、
美しい女性声とデス声のコントラストで、随所に激しい疾走パートも含んだ迫力のある聴き心地。
この手のバンドの中でもシンフォニックなフォークメタルとしては、非常に高い完成度の傑作である。
ドラマティック度・・8 フォーキー度・・8 壮麗度・・9 総合・・8 
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VELESLAVA (Велеслава)「Guest of the Kind(ость Рода)」
ロシアのペイガン・フォークロック、ヴェレスラヴァの2006年作
女性ヴォーカルのロシア語の歌声を中心に、ゆったりと聴かせるサウンドで
シンセによるシンフォニックなアレンジと、打ち込みによるポップな感触が
トラッド的なメロディと合わさって、なかなか面白い味わいになっている。
メタル色はあまりなく、曲は3分前後がほとんどなので、わりあいあっさりと聴き通せるが、
随所にロックなギターが鳴らされたり、男性ヴォーカルが入ったりと、曲によってのメリハリもあり
モダンなポップロックとペイガンフォークの融合された好作品になっている。
メロディック度・・8 トラッド・ポップ度・・8 女性ヴォーカル度・・8 総合・・7.5


Verikalpa「Tunturihauta」
フィンランドのフォーク・ブラックメタル、ヴェリカルパの2022年作
2018年にデビューし、3作目となる。のっけからトレモロのギターにダミ声ヴォーカルを乗せて激しく疾走しつつ、
アコーディオンの音色が優雅なメロディを奏でる、初期のFinntrollをブラックメタル寄りにしたようなスタイル。
迫力のある母国語の吐き捨てヴォーカルや朗々としたコーラスなど、Korpiklaaniなどに比べると、より勇壮なイメージで、
軽快なポルカのフォーキーな叙情性にエピックなヴァイキング・ブラックメタルが合体したというような聴き心地である。
軽すぎない本格派のサウンドで、コルピだとキャッチーすぎるという激しいフォークメタルが好きな方はチェックです。
ドラマティック度・8 疾走度・8 フォーキー度・8 総合・8
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Vetten Aparat 「Syntyi Talven Kyynelista」
フィンランドのペイガンメタル、ヴェーテン・アパラットの2016年作
メタリックなギターリフに低音デスヴォイスを乗せて、デスメタル寄りの激しい疾走感とともに、
土着的な神秘性に包まれたサウンドを聴かせる。やわらかなフルートの音色などフォーキーな叙情性と
アグレッシブな激しさが同居していて、野卑なデス声はやや耳障りだが、武骨な迫力はなかなかのもの。
アコースティックによる小曲などもありつつ、うっすらとしたシンセも加えて、ペイガンで辺境的な幻想性と
ヴァイキングメタル的な勇壮さも感じさせる。アグレッシブなフォークメタルとしても楽しめる好作品だ。
ドラマティック度・・7 ペイガン度・・8 武骨度・・8 総合・・7.5
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VIATHYN「The Peregrine Way」
カナダのケルティック・メロパワバンド、ヴィアティンの2010年作
シンフォニックかつエピックなイントロからワクワクとするが、楽曲の方も
フォーキーなギターフレーズと美麗なシンセで聴かせるなかなか質の高いものだ。
マイルドなメロパワ風味はどことなくFALCONERなどにも近い雰囲気か。
エピックかつドラマティックな聴き心地と、ProgMetal的な展開力もあり、あるいは
WUTHERING HEIGHTSあたりのファンにも勧められる。ケルティック・メロパワの好作。
シンフォニック度・・8 ドラマティック度・・8 ケルティック度・・7 総合・・8
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VIIKATE「Surut Pois Ja Kukka Rintaan」
フィンランドのフォーク・ゴシックメタルバンド、ヴィケートの2003作
おそらくこれが4作目あたりか。土着的なメロディを奏でるギターとうっすらとしたシンセをバックに
母国語によるマイルドな歌声が乗る。メタリックなヘヴィさよりはやわらかな叙情で聴かせる作風。
どことなくレトロな北欧ロックの感触もあり、そういう点ではAMORPHISにも近い雰囲気か。
メロディアス度・・8 フォーキー度・・7 フィンラン度・・8 総合・・7.5

VIIKATE「MARRASKUUN LAULUJAⅠ」
フィンランドのフォーク・ゴシックメタルバンド、ヴィケートの2007年作
フィンランド語によるヴォーカルと、AMORPHISあたりに通じる土着的なメロデイで聴かせる
トラッドメタル風味のサウンド。適度にゴシック的な雰囲気もあるが、デス声が入らないので、
一般のメタラーにも聴きやすいだろう。マイルドな叙情性のフィンランド・メタル作品。
続編となる赤いジャケットのアルバムも同年に出している。
ドラマティック度・・7 フィンラン度・・8 マイル度・・8 総合・・7.5
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VIIKATE「MARRASKUUN LAULUJAⅡ」
フィンランドのフォーク・ゴシックメタル、ヴィケートの2007年作
母国語によるマイルドな歌声と、日本の演歌にも通じるギターの土着メロディで聴かせる、
ゆったりとしたサウンドは、同郷の先人AMORPHISをぐっとやわらかにしたような作風。
音に派手さはないのだが、じっくりとしみ入るような雰囲気は、メタルというよりもむしろ
プログレ的な感覚で楽しめる。フィンランドの土着性をしっとりと聴かせる作品だ。
そして8曲目は当のAMORPHISのカヴァー。よりメランコリックな仕上がりがよいですな。
メロディアス度・・8 メタル度・・6 フィンラン度・・9 総合・・8
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Vinsta 「Wiads」
オーストリアのペイガン・ブラックメタル、ヴィンスタの2017年作
適度にヘヴィかつメロディックなギターに低音デスヴォイスを乗せ、ミドルテンポ主体で聴かせる、
ヴァイキングメタル寄りのペイガンブラック・サウンド。アコースティックギターやヴァイオリンなどによる
優雅な叙情性も織り込みつつ、随所に激しい疾走パートも含んで、8~10分という大曲を描いてゆく。
フォーキーな土着性は薄い分、ペイガンメタルとしての濃密さではやや物足りないのだが、
ツインギターの流麗な旋律にヴァイオリンが鳴り響く、叙情豊かなナンバーはなかなかよろしい。
もう少し重厚な迫力と神秘性が加わればよい作品を作ってくれそう。美しい自然のジャケはよいですね。
ドラマティック度・・7 ペイガン度・・7 重厚度・・7 総合・・7.5
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Vinsta 「Drei Deita」
オーストリアのペイガン・ブラックメタル、ヴィンスタの2019年作
2014年にデビューして、3作目。土着性を含んだギターフレーズに朗々としたヴォーカルとデスヴォイスを乗せ
ときに女性コーラスやヴァイオリンも加えた優雅さと、ブラックメタル的な激しさが同居したサウンドを描く。
優雅な土着性のマイルドなフォークブラックという点では、Vintersorgなどにも通じる聴き心地であるが、
こちらはもう少し辺境寄りの武骨な雰囲気もある。6~9分という長めの楽曲を主体に、男女声を乗せた
ゆったりとした叙情ナンバーなどもアクセントになっていて、涼やかで幻想的な世界観を描いている。
これだというインパクトはさほどないが、ゆったりとしたヨーロピアンな土着性を感じれる好作品だ。
ドラマティック度・・7 暴虐度・・7 叙情度・・8 総合・・7.5
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VINTERSORG「VISIONS FROM THE SPIRAL GENERATOR」
スウェーデンのフォーク(デス)メタルバンド、ヴィンターソーグの4th。2002作
基本はノーマル声に、ヴァイキングメタル風の田舎メロディを取り入れた音なのだが、
時折ダミ声を用いながら疾走するパートもあり、デスメタル的な味わいもある。
アコースティックパートや古めのKEY音色には、北欧プログレ風の触感もあり、
彼らが目指すのがメタル、フォーク、プログレの中間という、非常に微妙な所にあるのが分かる。
新しい試みのはずだか、民族メロと、リーダーのVINTERSORGの声質がマイルドなため
それほど緊張感や新鮮さが感じられないのが、かえって不思議。奇妙な質感のサウンドだ。
メロディアス度・・7 暴虐度・・6 トラッ度・・7 総合・・7.5
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VINTERSORG「THE FOCUSING BLUR」
スウェーデンのフォーキー(デス)メタルバンド、ヴィンターソーグの5th。2004作
今回も基本は前作の延長上。フォーキーな要素をプログレ的に昇華し時々デスちっくに疾走しつつも、
VINTERSORG氏のマイルドな歌声が音にやわらかみを加えるというそのバランスはいよいよ絶妙になった。
このほどほどの暴虐感をもどかしいととるか心地よいととるかでこのバンドの存在を肯定できるかが分かれそう。
感触的にはよりプログレっぽく、音の融和が上手くなされている気がするので
私にとってはなかなか気持ちいい音ではあります。インパクトは薄れたかも。
メロディアス度・・7 暴虐度・・7 プログレ度・・7 総合・・7.5
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VINTERSORGSolens Rotter
スウェーデンのフォーキーメタルバンド、ヴィンターソーグの6th。2007年作
BORKNAGARWATERCLIMEなど、精力的に活動するvintersorg氏であるが、
メインバンドとなる本作もなかなかの力作となった。ブラック声とマイルドな歌声を使い分けつつ、
激しさと牧歌性のメリハリがついた楽曲はプログレッシブな質感もあり、いつも以上に聴き応えがある。
フォーキーなゆるやかな叙情と、ProgMetal的な展開力が一体となった傑作だ。
メロディアス度・・8 フォーキー度・・8 プログレ度・・7 総合・・8
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Vintersorg「Jordpuls
スウェーデンのフォーキー(ブラック)メタル、ヴィンターソーグの2011年作
7作目となる本作は、のっけからブラックメタル的な激しい疾走で勢い充分。
いつものように絶叫ダミ声とジェントルなヴォーカルを使い分けながら、
ときにオーケストレーションを含んだシンフォニックな感触も織りまぜつつ、
随所にフォーキーな牧歌性を盛り込んだサウンドを聴かせてくれる。
プログレッシブな質感もあった前作に比べて楽曲自体はシンプルに分かりやすくなった。
メロディアス度・・8 暴虐度・・7 フォーキー度・・7 総合・・8
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Vintersorg「Orkan」
スウェーデンのフォーク(ブラック)メタル、ヴィンターソーグの2012年作
マイルドなヴォーカルとダミ声ヴォーカルで聴かせるフォーキー・ブラックメタルは相変わらず高品質で、
本作では壮麗なオーケストレーション・アレンジを加えて、よりシンフォニックなサウンドになっている。
ギターの奏でる叙情メロディと、ときにプログレ的なシンセも含んで、北欧らしい涼やかな世界観を描き出す。
パワフルで土着的なギターリフもよい感じで、幻想的でエピックな雰囲気に包まれた好作に仕上がっている。
激しく疾走する部分と、メロディックなパートのメリハリもついていて、これまで以上にドラマティックな聴き心地だ。
シンフォニック度・・8 フォーキー度・・7 北欧度・・8 総合・・8
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Vintersorg 「Naturbal」
スウェーデンのフォーク(ブラック)メタル、ヴィンターソーグの2014年作
BORKNAGARCronianなどにも参加する同氏のソロも本作ですでに9作目。
ダミ声&マイルドヴォーカルを乗せて疾走するフォーキー・ブラックメタルはこれまで通りだが、
今作ではシンフォニックなアレンジがより強まり、母国語による土着的な響きとともに
フォーキでフックのあるメロディが心地よい。ときに女性ヴォーカルが加わったりと
楽曲的なアクセントもあり、全体的なクオリティの点でも前作以上の傑作だろう。
メロディック度・・8 暴虐度・・7 フォーキー度・・8 総合・・8
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The Vision Bleak 「The Unknown」
ドイツのゴシック・フォーク・ブラックメタル、ヴィジョン・ブレイクの2016年作
EMPYRIUM、EWIGHEIMのメンバーによる二人組ユニットで、2003年にデビューして本作で6作目となる。
うっすらとしたシンセにメロウなギターの旋律、マイルドなヴォーカルを乗せたメランコリックなサウンドで
ときにダミ声ヴォーカルに、激しめの疾走感も含んだ、フォーク・ブラック的な味わいもある。
神秘的な土着性に包まれながらも、わりとキャッチーなノリのゴシックロックなナンバーや、
逆にどっしりとしたペイガンメタル風味も覗かせるなど、ユニットとしての懐の深さを感じさせる。
結果として、プログレ受けしたEMPYRIUMに近い、知的なフォーク・ゴシックが楽しめる好作といえる。
ドラマティック度・・8 メランコリック度・・8 フォークゴシック度・・8 総合・・8
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Vogelfrey「Wiegenfest」
ドイツのトラッドメタル、ヴォゲルフレイの2010年作
女性チェロ奏者を含む6人編成で、ヘヴィなギターリフにドイツ語の歌声と
ヴァイオリンやチェロの音色を乗せて聴かせる、ゲルマントラッドメタルサウンド。
この手のバンドにはSUBWAY TO SALLYSALTATIO MORTISなどがいるので
すでに新鮮味はないのだが、曲間に物語的な語りを入れてドラマティックさもかもし出したり、
モダンなヘヴィさとエピックな叙情のバランスもとれた、高品質な作品ではある。
ドラマティック度・・7 トラッ度・・7 ゲルマン度・・8 総合・・7.5
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Vogelfrey 「Zwolf Schritte Zum Strick」
ドイツのトラッドメタル、ヴォゲルフレイの2012年作
女性チェロ奏者を含む6人編成で、陽気なフォークンロール調の楽曲に
ドイツ語の歌声を乗せるノリのよいサウンド。ヴァイオリンやチェロの音色を響かせつつ
初期のFinntrollKorpiklaaniなどにも通じる愉快なビアメタル風味が楽しい楽しい。
一方では中世を思わせるようなエピックな叙情性も随所に感じさせ、、
世界観として説得力とともにバンドとしてのパワーが楽曲を通して伝わってくる。
前作よりもぐっと吹っ切れた感じの、ゲルマンな力作に仕上がっています。
ドラマティック度・・8 フォーキー度・・8 ゲルマン度・・8 総合・・8
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VOLOH 「Gromovi Nad Trebiscem」
クロアチアのペイガンメタル、ヴォローの2016年作
美麗なシンセにメタリックなギターを重ね、ダミ声ヴォーカルとともに聴かせる武骨なペイガンメタル。
勇壮なコーラスを乗せたヴァイキングメタル的な感触に、激しくブラスト疾走するパートも含みつつ、
辺境らしいローカルなクサメロ感も匂わせる。牧歌的なホイッスルにアコーディオンの音色も加えた、
優雅な叙情性も覗かせて、ほどよくマイナーな味わいの幻想的なフォークメタルとしても楽しめる。
全27分というミニアルバム並みの短さなので、物足りなさはあるが、辺境ペイガン好きはいかが。
ドラマティック度・・8 勇壮度・・8 ペイガン度・・8 総合・・7.5
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VOLUSPAA「ASA」
ノルウェーのペイガン・ブラックメタル、ヴォルスパーの2010年作
アコースティックなイントロで牧歌的に幕を開けつつ、朗々としたヴォーカルに重すぎないギターで、
ほどよくローカルなサウンドを描きつつ、ダミ声ヴォーカルを乗せた荒々しさとブラスト疾走を含む緩急ある展開で、
辺境的なペイガンブラックメタルを聴かせる。垂れ込めた空のようなダークな寒々しさと、北欧神話や中世の伝承を感じさせる
神秘的な雰囲気が同居していて、ときに美しいピアノやヴァイオリンの音色や、女性ヴォーカルも加わるなど、
優雅でアコースティカルな素朴さもかいま見せる。霧が立ち込めたようなモヤっとした感じがいかにもマイナー臭いのだが、
その本物のペイガンな空気感が好きな方にはたませないだろう。FOLKEARTHあたりが楽しめるコアなファンにお薦めだ。
ドラマティック度・・8 ペイガン度・・8 辺境度・・8 総合・・7.5
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VORGRUM 「PARTY IN THE DEEP」
アルゼンチンのペイガンメタル、ヴォルグルムの2018年作
ヘヴィなギターにダミ声ヴォーカルを乗せ、朗々としたコーラスとともに武骨なペイガンメタルを聴かせる。
随所にアコーディオンの音色がフォーキーに絡んで、土着的な辺境の空気をかもしだし、
とにアグレッシブな疾走感や、初期のFintrollあたりにも通じるコミカルなノリも覗かせる。
楽曲は2~4分前後を主体とわりとシンプルで、メロディのフックやドラマティックな展開がさほどないので
あまり盛り上がり切らないのがもどかしい。武骨系フォークメタルが好きな方はどうぞ。
ドラマティック度・・7 ペイガン度・・7 武骨度・・8 総合・・7
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VSPOLOKH 「Sorrow of the Past」
ロシアのペイガンブラックメタル、ヴスポロクの2010年作
ギター&ヴォーカル、ベース、ドラムという三人編成で、ノイジーなギターリフで聴かせるブラックメタル風味のサウンド。
シンセは使わずあくまでギターをメインにした硬派なスタイルで、ペイガンな土着性を含んだ寒々しい雰囲気はなかなかよい。
8分、10分といった大曲を中心に、プリミティブブラック的な神秘性とアコースティカルな叙情パートなども含んだ力作だ。
ドラマティック度・・7 暴虐度・・7 ペイガン度・・7 総合・・7.5
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Wardruna 「Runaljod - Ragnarok」
ノルウェーのペイガン・フォーク、ヴァードゥルナの2016年作
GORGOROTHのドラムと女性シンガーを中心にしたユニットで、本作が3作目となる。
ルーン文字の研究から、北欧神話やヴァイキングの歴史を基にしたという世界観を、
古代ノルン語による詠唱と、クラヴィクリラ(竪琴)、ブッケホルン(角笛)、ターゲルハルパ(擦弦楽器)
ルール(金管楽器)といった古楽器の音色とともに、プリミティブで神秘的なサウンドで表現している。
石や木をパーカッションにしたというトライバルなリズムに、素朴なホルンやルールの音色がかぶさり、
女性声のスキャットと男性の詠唱が響き渡る。愛想のない土着性は、一般のリスナーには取っつきづらいだろうが、
古代の神々、自然崇拝というものを想像できる方にとっては、ディープに浸れる異色の作品であるだろう。
ドラマティック度・・7 土着的度・・8 神秘的度・・9 総合・・8
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WARDRUNA 「KVITRAVN」
ノルウェーのペイガン・フォーク、ヴァードゥルナの2021年作
元GORGOROTHのドラムを中心にしたユニットで、2009年にデビューし、本作は5作目となる。
マイルドな男性ヴォーカルの歌声に、フルートやハーディ・ガーディ、ターゲルハルパ(擦弦楽器)、ブッケホルン(角笛)、
クラヴィクリラ(竪琴)など古楽器の音色を重ね、寒々しい北欧の土着性に包まれた神秘的なサウンドを描き出す。
女性ヴォーカルも加えた優雅な感触に、寂寥としたノルディックな空気感が合わさり、太古の儀式めいたイメージとともに、
幻想的なペイガンフォークが味わえる。鳴り響くトライバルなパーカッションに、詠唱のような歌声と風や波の音、
自然崇拝的な世界観が強固な説得力をともなって描かれている。ラストの10分の大曲までじっくり浸れる作品です。
アコースティック度・8 北欧度・9 神秘的度・9 総合・8
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WARTHA 「PAUSTAN」
ベラルーシのペイガンメタル、ワルサの2013年作
男女Vo、シンセを含む7人編成で、美麗なシンセアレンジと、フォーキーな土着性、
そしてエピックな世界観も含んだ、シンフォニックなペイガンメタルサウンド。
女性ヴォーカルのやわらかな母国語の歌声にダミ声男性ヴォーカルが絡み、
辺境的な神秘性とフォーキなメロディアスさが合わさった、なかなか濃密な作風だ。
随所にクサメロ気味のギターも入ってきて適度にマイナー臭い感じもよろしい。
あとは、各楽曲のクオリティがさらに上がれば、Eluveitieクラスにもなれるかと思う。
ドラマティック度・・8 フォーク&ペイガン度・・8 エピック度・・8 総合・・8
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WARTHA 「Azure Lakes」
ベラルーシのペイガンメタル、ワルサの2015年作
前作はEluveitieなどにも通じる男女Voの重厚な力作であったが、本作はいくぶんモダンになったヘヴィネスに
シンフォニックなアレンジと、調所にフルートやパイプの音色が重なる、フォーキーなペイガンメタルを聴かせる。
本作では、女性Voはゲストのみで、メインはマイルドな男性ヴォーカルの歌声にデスヴォイスなので、
前作のような壮麗な雰囲気は薄れたのだが、その分、メランコリックなゴシック寄りの空気感を描いている。
随所にメロディックなフレーズを奏でるギターも含めて、9分、10分という大曲を重厚に構築するセンスは
むしろ、OPETHORPHANED LANDなどにも通じる、知的なゴシック・デスメタル的な感触であるが、
女性声の加わったナンバーは神秘的なペイガンメタルとして楽しめる。やはりクオリティの高い力作だ。
ドラマティック度・・8 ペイガン度・・7 重厚度・・8 総合・・8
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WATERCLIME「Astral Factor」
フォークメタルバンドVintersorgのメンバーによる、ウォータークライムの2006年作
ギター、ベース、ヴォーカル、シンセを独りでこなす、Mr.VことAndreas Hedlund氏による
個人プロジェクトで、サウンドはハモンド、メロトロンなどが鳴り響くレトロな70'sロック調の質感と、
Vintersorgでも聴かせる独特のマイルドな歌声に土着性を感じさせるメロディが特徴。
全体的にメタル色は薄く、古き良きブリティッシュロックを思わせるような、牧歌的な雰囲気だ。
ドラムは打ち込みながら、ゆるやかなギターワークとシンフォニックなシンセ類の絡みもセンス良く、
むしろVintersorgよりも叙情美は上で、プログレ、シンフォリスナーの耳にはとても心地よい音だろう。
メロディアス度・・8 メタル度・・3 レトロ&牧歌的度・・9 総合・・8
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WATERCLIME「Imaginative」
Vintersorgのメンバーによる、ウォータークライムの2nd。2007作
前作にあったハードさがとれた分、音はやや優しくなり、もはやメタルファンではなく
完全に北欧プログレのリスナー向けのサウンドになった感じがする。ハモンドやメロトロンのやわらかな質感に、
北欧的な土着メロディと少しのサイケがかった浮遊感で聴かせる、レトロ風味のプログレだ。
前作よりも主旋律のインパクトがない分、少し音は薄く感じるものの、ギター、ベース、ヴォーカル、キーボードを一人でこなす
Mr V氏のマルチプレイヤーぶりが遺憾なく発揮された、彼の趣味的な音世界が広がる作品だ。
メロディアス度・・8 レトロプログレ度・・8 北欧度・・8 総合・・7.5
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WAYLANDER「REAWAKING PRIDE ONCE LOST」
アイルランドのケルトメタルバンド、ウェイランダーの1st。1998作
先に2ndを聴いていたのだが、ようやく1stも発見。のっけからティンホイッスルの響きににんまり。
ホイッスルの音色とヴォーカルのデス声のミスマッチ感がなかなか楽しく、
昨今人気のフォークメタル勢と比べると、より土着性というか薄暗い無骨さが感じ取れる。
同郷のCRUACHANに近いとは思うが、より重い歴史込みの世界観と攻撃性が音に表れており、
ときにヴァイキングメタル的な勇ましさも感じられる。武骨なる好作です。
メロディアス度・・7 ケルティック度・・8 無骨度・・8 総合・・7.5
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WAYLANDER「THE LIGHT THE DARK AND THE ENDLESS KNOT」
アイルランドのケルトメタルバンド、ウェイランダーの2nd。2001作
美しいジャケに惹かれて購入。アイリッシュらしいホイッスルの透き通った音が時折混じるものの
フォーキーな要素は全体的なものではなく、基本はギターリフメインの武骨なメタルなので、
少し物足りない。今後はもう少しフォーク要素を強めるなど、極端にいっても良いような気がする。
メロディアス度・・6 ケルティック度・・7 武骨度・・8 総合・・7.5
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Waylander「Honour Amongst Chaos」
アイルランドのトラッドメタルバンド、ウェイランダーの2008作
ホイッスル/マンドリン奏者を含む5人組みで、おそらくこれが3作目だろう。
昨今流行りのキャッチーなフォークメタルとは一線を画し、無骨な土着性で聴かせる蛮族的なサウンドは案外新鮮で
同郷のCRUACHANにも通じるようなひどく垢抜けない感じが、むしろ本物っぽい。
基本はあくまでギターリフとダミ声ヴォーカルで聴かせるタイプなので、
音の愛想はあまりよくないが、硬派な土着メタルが好きならばチェックすべし。
メロディアス度・・7 フォーキー度・・7 辺境的土着度・・8 総合・・7.5
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Waylander「Kindred Spirits
アイルランドのペイガンメタル、ウェイランダーの2012作
デビューは1998年となにげに古く、武骨なケルティックメタルを聴かせるこのバンド、
本作もホイッスルの音色が鳴り響く中を、ザクザクとしたギターリフと粗野ながなり声ヴォーカルで
独特の世界観を描いている。クサメロや美麗さとは無縁の、いい意味での粗削りの武骨さが魅力。
ただ、ギターリフや楽曲そのものに目新しさはないので、アルバムとしては今作も中庸の作品どまり。
ドラマティック度・・7 フォーキー度・・7 辺境度・・8 総合・・7.5
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WINDIRSoknardalr
ノルウェーのヴァイキング・ブラック、ウインディアの1997年作
うっすらとしたシンセをバックに、ダミ声ヴォーカルを乗せて疾走する、初期の北欧ブラックメタルスタイルに、
女性コーラスの歌声なも入った牧歌的な雰囲気も含んだ、幻想的な聴き心地のサウンド。
本作の時点では、Valfar氏の一人プロジェクトという感じで、ドラムを除く全パートを演奏していて、
そういう点では、BURZUMやBATHORYの後継者と言ってもよいのかもしれないが、
こちらはアンダーグラウンドな香りよりは、フォーキーな土着性をより強く感じるスタイルだ。
メロディックなギターのフレーズなども含めて、重さのない聴きやすさで楽しめる。
メロディアス度・・8 暴虐度・・7 ペイガン度・・8 総合・・7.5
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WINDIR「1184」
ノルウェーのヴァイキング・ブラックメタルバンド、ウインディアの3rd。2001作
北欧調のトラッド的メロディを感じさせるギターリフに、攻撃的に疾走するスピード感、
シンフォニックにバックに流れるシンセと、どれもが高品質なシンフォブラック。
ヴァイキングメタル的雰囲気も多分にあり、無骨な田舎性とシンフォニック要素が混在し、
全体的に北欧らしい寒々しさを感じる音になっている。
メロディアス度・・7 暴虐度・・8 ヴァイキング度・・7 総合・・7.5
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WINDIR 「LIKFERD」
ノルウェーのヴァイキング・ブラックメタルバンド、ウインダーの4th。2003作
基本は激烈に疾走しつつ、北欧らしい雰囲気を撒き散らすサウンドで、演奏や音の雰囲気は
一線級のバンドに引けをとらないし、ジャケを含めて漂わせるこのミステリアスな雰囲気も悪くない。
ただ、このバンドの場合音に媚びがないので、メロディの煽情度に「あと一歩感」がつきまとうのだが、
反対に言えば、こうした「我が道を行く」バンドこそが本物のブラックメタラーであるという気もする。
北欧の寒々しさと薄暗さをたっぷりと味わえるアルバム。ただし愛想はあまり良くない。
メロディアス度・・7 暴虐度・・8 北欧度・・9 総合・・8
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WinterDome「Welten Dammerung」
ドイツのペイガンメタル、ウインタードームの2006年作
女性ヴァイオリン奏者を含む7人編成、映画的な語りやSEを含んだコンセプト風味で、
ドイツ語によるヴォーカルとシンセアレンジを含んだ楽曲は、激しさや重厚さはあまりなく、
むしろ優雅でゆったりとした作風。1曲ごとのメロディにはあまりインパクトはないのだが、
随所にヴァイオリンの響きが美しく、 物語的な世界観とともにフォーク・ゴシック的な感触もある。
幻想的なゲルマン・トラッドメタルが好きな方にはいいかもしれない。Disc2にはSEなしのバージョンを収録。
ドラマティック度・・8 ペイガン度・・7 重厚度・・7 総合・・7.5
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WINTERHYMN 「Blood & Shadow」
アメリカのペイガンデスメタル、ウインターヒムの2016年作
女性シンセ奏者、女性ヴァイオリンを含む6人編成で、美麗なシンセアレンジにヴァイオリンが鳴り響き、
男性ダミ声ヴォーカルを乗せて聴かせる、壮麗な世界観のペイガン・メロデスサウンド。
楽曲は3~4分前後とわりとシンプルで、ミドルテンポを主体にしつつ、激しい疾走パートも織り込んで
いくぶんマイナー臭さを漂わせた煮え切らない雰囲気なども、わりと味わいになっている。
エピックなファンタジー性も感じられて、ここに女性声でも加わったら、より楽しめると思うのだが。
艶やかなヴァイオリンの音色は耳心地良く、個人的にはこのクラシカルな優雅さはとても好みである。
ドラマティック度・・8 ペイガン度・・7 ヴァイオリン度・・8 総合・・8
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WINTERSUN
ENSIFERUMのJARI MAENPAA率いる、ウインターサンの2004年作
疾走型のメロディアスなヴァイキングメタルであるENSIFERUMを受け継いだスタイルで、
思いの外キラキラとしたネオクラ風の曲調で、シンフォニックメタル的な質感と
きらびやかなメロデスを融合させたというような、じつに高品質なサウンドだ。
爆走するブラストビートに三連系のヴァイキングリフとメロディ、そこに男臭いコーラスが重なり、
勇壮でありながらも洗練された聴き心地で、土着的な田舎臭さはあまりない。
メロデス風にアレンジされた、シンフォニック・ヴァイキングメタルというべき傑作です。
メロディアス度・・8 暴虐度・・8 ヴァイキング度・・7 総合・・8
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WINTERSUN「Time I」
フィンランドのヴァイキングメタル、ウインターサンの2012年作
2004年以来となる8年ぶりの2作目。前作はきらびやかに激しく疾走するサウンドであったが、
本作では大曲を中心にじっくりと聴かせる部分が増している。美しいイントロから始まり、
フォーキーな土着性をシンフォニックな美しさに包み込んだ、優雅といってもよい耳心地である。
厚みのある華麗なアレンジと、モダンかつ知的な展開力が合わさって構築される楽曲は、
TURISASなどにも引けをとらないシンフォニック・ヴァイキングメタルというような雰囲気で
壮大な世界観を描き出す。全体的には落ち着いた作風ながら、随所に激しい疾走感も残っていて、
作品としての作り込まれたメリハリとドラマティックな美学が感じられる。大人の力作である。
シンフォニック度・・8 ヴァイキング度・・7 壮麗度・・9 総合・・8
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WINTERSUN「The Forest Seasons」
フィンランドのペイガンメタル、ウインターサンの2017年作
ENSIFERUMのJARI MAENPAA率いるバンドで、3作目となる本作は、タイトル通り、森の四季を描いた、
それぞれが12~14分の大曲を連ねた四部構成のアルバム。美麗なシンセアレンジにダミ声ヴォーカルを乗せ、
流麗なギターフレーズとともに聴かせるサウンドは、暴虐さよりもミドルテンポを主体にした味わいで、
ARCTURUS
にも通じる知的な構築力が光っている。ときにフォーキーなメロディも覗かせつつ、
アルバム後半の「秋」には、ブラスト疾走も含んだシンフォニック・ブラックメタルとしての激しさも現れる。
ラストの「冬」のメランコリックな味わいもよいですね。北欧らしい寒々しい空気感を描く力作です。
ドラマティック度・・8 暴虐度・・7 美麗度・・8 総合・・8 
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Wolfchant 「Determined Damnation」
ドイツのペイガンメタル、ウルフチャントの2009年作
エピックな雰囲気のイントロ曲から、ツインギターのリフとダミ声ヴォーカルを乗せて疾走する
正統派メロパワ色の強いサウンドで、適度なクサメロ感も含んだペイガン・メロスピという雰囲気。
ギターのフレーズにはペイガンな土着性も覗かせつつ、基本はジャーマンメタル的な疾走メタルなので、
初心者にもわりととっつき安いだろう。楽曲自体も4分前後が中心で、濃密ながらもシンプルな聴き心地。
クオリティも高いので、これでヴォーカルがノーマル声だったら、普通にメロパワとしても楽しめそうだが、
後半にはブラックメタルばりのブラストパートなどもあって、適度にダークな世界観もまた魅力なんですな。
ドラマティック度・・8 ペイガン度・・7 むしろメロパワ度・・8 総合・・8 
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WOLFCHANTCall of the Black Winds
ドイツのペイガンメタル、ウルフチャントの2011年作
2人の男Voとシンセを含む7人編成で、ツインギターのメロディとスクリームヴォイスに
勇壮なノーマルヴォーカルもまじえて聴かせる、エピックなペイガンメタルサウンド。
フォーキーというほどには土着的ではないが、いくぶんのヴァイキング風味と
曲によってはドイツ語の歌声も含んだ、中世ゲルマン的な味わいが楽しめる。
ときおりシンセによる壮麗なアレンジもあって、ドイツ版TURISASという雰囲気もあるのだが、
楽曲やメロディ自体にもうひとつ突き抜けた魅力といか、インパクトが欲しい気がする。
ドラマティック度・・8 ペイガン度・・7 ゲルマン度・・7 総合・・7.5
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Wolfchant 「Embraced By Fire」
ドイツのペイガンメタル、ウルフチャントの2013年作
2人の男Voとシンセを含む7人編成で、TURISASばりのエピックなイントロから始まり、
ツインギターのリフと壮麗なシンセアレンジを乗せて、激しい疾走感も含んだ重厚なサウンドを展開。
ダミ声とノーマルヴォイスという二人のヴォーカルによるメリハリのある音の厚みと、
シンフォニックな感触が合わさったパワフルなエピック・ペイガンメタルを聴かせる。
フォーキーなメロディは薄めながら、随所にケルティックなフレーズを盛り込みつつ
勇壮なクワイアとともに盛り上げる、ヴァイキング寄りのメロパワとしても楽しめる力作だ。
ボーナスDiscには2006年の1stを全曲再録。フォーキーなクサメロ寄りの作風でよいですな。
ドラマティック度・・8 重厚度・・8 エピック度・・8 総合・・8
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Wolfchant 「BLOODWINTER」
ドイツのペイガンメタル、ウルフチャントの2017年作
2人の男Voにツインギターを含む6人編成で、本作がすでに6作目となる。シンフォニックで壮麗なイントロから
パワフルなギターリフにダミ声ヴォーカルと、朗々としたノーマルヴォーカルが重なり、
シンフォニックなペイガンメタルが広がってゆく。TURISASあたりに通じるエピックなバトルメタルを
より正統派メロパワに近づけたという感触で、初心者にもわりと聴きやすいのではなかろうか。
ドイツ語によるナンバーでは、ゲルマンな武骨さも感じさせつつ、バグパイプなども加わった
ケルティックな空気感がフォーキーな味わいとなっている。中堅バンドらしい堂々たる力作だ。
ドラマティック度・・8 勇壮度・・8 重厚度・・8 総合・・8
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WOLFCHANT 「OMEGA : BESTIA」
ドイツのペイガン・メロパワ、ウルフチャントの2021年作
2004年にデビュー、本作は7作目となる。ツインギターにツインヴォーカルの編成で、
メタリックなギターにダミ声&パワフルなヴォーカルを乗せた、勇壮な正統派メタルを聴かせる。
ときおりフォーキーな旋律も覗かせつつ、全体的にはペイガンな土着性は薄めなので、
ドイツ語ヴォーカルによるオールドスタイルのゲルマンなヘヴィメタルとして普通に楽しめる。
ときおり覗かせる激しい疾走感など、緩急ある展開で、ほどよくアグレッシブなDisc1から、
Disc2では、エピックなドラマ性を感じさせるサウンドで、個人的にはこちらが好みか。
ドラマティック度・8 勇壮度・8 ゲルマン度・8 総合・8 
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Wolfhorde 「Towards the Gate of North」
フィンランドのフォーク・メロデス、ウルフホードの2016年作
シンフォニックで優美なイントロから始まり、土着的な旋律にダミ声ヴォーカルを乗せて疾走開始、
フィンランドのバンドらしいきらびやかなシンセアレンジに、知的な構築力も覗かせるサウンドだ。
古き良きメロディックデスメタルの感触と、フォーキーなクサメロが合わさったスタイルは、重すぎず激しすぎずと
適度な聴きやすさがあって、フォーク化したチルボドという感じで初心者にもライトに楽しめるだろう。
反面、フォークメタルとして土着的な神秘性というものは薄く、メロデスとしても魅力が物足りない気もする。
今後は楽曲におけるメロディのフックや、アレンジの質を高めていってもらいたい。
ドラマティック度・・7 疾走度・・7 フォーキー度・・7 総合・・7.5
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Wolf Rahm 「Чаща」
ロシアのフォークメタル、ウルフ・ラームの2019年作
2014年にデビュー、本作は2作目。ほどよくヘヴィなギターにヴァイオリンが鳴り響き、
マイルドなヴォーカルにダミ声も絡んで、キャッチーなノリのフォークメタルを聴かせる。
やわらかなシンセアレンジにヴァイオリンが重なり、ときに女性ヴォーカルも加わった優雅な感触と、
メロスピ的な疾走感も随所に覗かせて、ジャケのイメージのようなダークさよりも、どこかコミカルで
ファンタジックな雰囲気に包まれている。楽曲は3~4分前後と比較的シンプルで、全32分というのも潔い。
ディープな盛り上がりは希薄だが、艶やかなヴァイオリンとともに愉快なノリで楽しめるロシアン・フォークメタルの好作品。
ドラマティック度・・7 フォーキー度・・7 キャッチーで優雅度・・8 総合・・7.5
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The Wolves of Avalon 「Across Corpses Grey」
イギリスのペイガンメタル、ウルヴズ・オブ・アヴァロンの2016年作
30分の大曲1曲+カヴァー2曲という構成で、SEや語りの入った映画的なイントロから始まり、
うっすらとしたシンセにわりと正統派寄りのギターが加わり、ダミ声ヴォーカルを乗せた、
ケルティックな味わいのペイガンメタルが広がってゆく。フルート、ヴァイオリンも入ると
フォーキーな叙情が現れて、ゆったりとした幻想的なケルト・フォークメタルとして楽しめる。
なにせ30分の大曲は長いのだが、あまりヘヴィすぎないのでさほど耳は疲れない。
そして、Nokturnal MortumとVenomのカヴァーを収録というのもマニアックですわ。
ドラマティック度・・8 ペイガン度・・8 幻想度・・8 総合・・7.5
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Wulfgar 「Midgardian Metal」
スウェーデンのヴァイキングメロデスバンド、ウルフガーの2010年作
ジャケからして、もうヴァイキング以外のなにものでもないが、
サウンドの方はツインギターのけっこう正統派のリフと、低音デスヴォイスで聴かせる
エピックなメロデスという雰囲気で、土着的な質感はあまり強くない。
初期のMITHOTYNあたりが好きな方なら、そこそこ楽しめるだろう。
メロディアス度・・7 疾走度・・7 ヴァイキング度・・7 総合・・7.5
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WUTHERING HEIGHTS「TO TRAVEL FOR EVERMORE」
デンマークのシンフォニックメタルバンド、ワザリング・ハイツの2nd。2002作
1stの頃からちよっとやぼったいがなかなかメロディの聞かせるバンドだったが、
この2ndからはいっそうケルト風のメロディを強めたサウンドになっている。
シンフォニックな大仰さと疾走感、そしてヴァイキングメタルにも通じるメロディという点で、
イタリアでいうとTHY MAJESTIEあたりに近いか。アコギやピアノなども効果的。
FALCONERにも通じる田舎臭いシンフォメタルが好きならまず喜ぶバンドだろう。
シンフォニック度・・8 疾走度・・8 クサメロ度・・8 総合・・8
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WUTHERING HEIGHTS「FAR FROM THE MADDING CROWD」
デンマークのシンフォニックメタルバンド、ワザリング・ハイツの3rd。2003作
2nd「TO TRAVEL FOR EVERMORE」において、ケルトメロディの大幅導入により個性を発揮、
続くこの3rdでは実力派シンガーを得て、世界観の説得力が向上している。ケルティックなメロディは
いよいよ効力を増し、FALCONERあたりのヴァイキングメタルにも接近している印象。
VoはRICHARS ANDERSSON'S SPACE ODYSSEYにも参加しているパトリック・ヨハンソンで、
心地よいクリーンヴォイスと、パワフルなかすれ声を使い分けて、表現力十分。
楽曲はシンフォメタル的な疾走曲から、民族調のバラードまでどれもが煽情的なメロディをもち
なかなか心地よく聴かせてくれる。シンフォニック・ヴァイキングメタルという新ジャンル確立の予感。
メロディアス度・・8 ケルティック度・・8 楽曲・・8 総合・・8
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WUTHERING HEIGHTS「The Shadow Cabinet」
デンマークのメロディックメタルバンド、ワザリング・ハイツの4th。2006作
今作であるが、一聴したところ前作までの田舎臭さが薄れてきていて、
その分パワフルかつダイナミックなメロパワサウンドへとシフトしているようだ。
実力者、パトリック・ヨハンソンの歌唱は、暑苦しいまでのガナり声と、やわらかな歌声を使い分け、
それとともに楽曲の力強さは、過去最高といってよいくらいの迫力がでてきている。
一方では、魅力的だったケルティックな部分は若干後退してしまっていて、その部分ではやや物足りないのだが、
持ち味であるフォーキーなメロはしっかり残っていて、クサすぎないバランスで聴きやすく配置されている。
個人的には、もっともっと田舎臭くケルトしてくれと思うのだが、一般的には分かり安くなったのだと思う。
パワフルかつヘヴィでしかも濃いので(とくにMANOWARばりの歌が)、田舎メロにゆったり癒されるはずが、
かえって耳が疲れるのはいかんともしがたい…(^^;)ケルトメタル好きは前作を聴くべし。
メロディアス度・・8 パワフル度・・9 ケルティック度・・7 総合・・8
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YZ

YE BANISHED PRIVATEERS「First Night Back in Port」
スウェーデンの海賊フォーク、イェ、バニシッド・プライヴェーターズの2017年作
自ら「パイレーツ・フォーク」と名乗るバンドで、アコースティックギターにマンドリン、リコーダーにフィドル、
男女ヴォーカルにコーラスなど、20人を超えるメンバーによる、アコースティックなフォークサウンドを聴かせる。
酒飲み海賊たちを想像させるような武骨で陽気な歌声に、哀愁を含んだアコーディオンの音色、
ときに愉快に踊り、ときに物悲しい叙情に浸る、幻想的な世界観にしだいに引き込まれる。
メタル色はほとんどないものの、海賊時代の世界を描く、その本気度にはロマンすら感じさせ、
曲間には会話や笑い声なども含んでいて、映画かミュージカルのような空気感に包まれている。
フォーク度・・8 メタル度・・3 海賊度・・9 総合・・8
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Yggdrasil 「Kvallningsvindar Over Nordront Land」
スウェーデンのフォーク・ブラックメタル、イグドラシルの2007年作
ヴァイオリンが鳴り響く土着的なイントロから、叙情的なギターのメロディを重ね、朗々とした歌声に、
ダミ声ヴォーカルを加えて、神秘的な空気に包まれた、ペイガン・ブラックメタルを聴かせる。
随所に激しい疾走パートも覗かせつつ、暴虐性よりは涼やかな叙情が前に出ていて、
ときにピアノやシンセなどを使ったり、優雅なヴァイオリンの旋律がサウンドを彩っていて、
女性ヴォーカルも加わったナンバーなども、北欧神話を思わせるような幻想的な味わいだ。
11分という大曲も含め、緩急ある構築力でじっくりと世界観を描いてゆく。これぞ北欧の音である。
ドラマティック度・・8 暴虐度・・7 北欧度・・9 総合・・8 
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YGGDRASIL「Vedergallning
スウェーデンのフォーク・ブラックメタル、イグドラシルの2009年作
ギター/シンセ/ヴォーカルとベースの2人組で、これが2作目らしい。
うっすらとしたシンセを含んだ幻想的な美しさと、土着的なギターリフ、
ときにブラックメタルばりの激しいブラストビートも聴かせるサウンド。
北欧の森を思わせる神秘的な雰囲気がプリミティブな魅力となっていて
激しくはあってもヘヴィではなく、メロディと叙情が全体をマイルドな聴き心地にしている。
アコースティカルな静けさと美しさも含んで、北欧の涼やかな空気を感じさせる作品だ。
ドラマティック度・・8 幻想度・・9 北欧度・・9 総合・・8
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Yggdrasil「Irrbloss」
スウェーデンのフォーク・ブラックメタル、イグドラシルの2011年作
本作は3作目で、セカンドギターとドラムが正式加入して4人編成となっている。
トレモロリフでブラスト疾走するブラックメタル色を含みつつ、ダミ声とノーマルヴォイスの二面性で
激しさと牧歌的な叙情を同居させながら、鳴り響くフィドルや神秘的なコーラスワークなどが、
北欧らしい土着的な世界観を涼やかに描き出す。ジャケのイメージのように、薄暗い森や土の匂い、
冷たい風と空気を感じさせるような、プリミティブな魅力がある。ミスティックなフォークブラック作品。
ラスト曲の女性ヴォーカルによるアコースティカルなトラッドソングもいいですな。
ドラマティック度・・8 神秘的度・・9 北欧度・・9 総合・・8
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Zalvarinis 「Folk n' Rock」
リトアニアのトラッドロック、ザルバリニスの2008年作
適度にハードなギターに、3人の女性ヴォーカルの母国語の歌声を乗せたスタイルで、
キャッチーな聴き心地は「ロック化したヴァルティナ」というような雰囲気もある。
メタルというほど激しくはなく、ギターはむしろ古き良きハードロック風味なので、
フォークメタルが苦手な一般の女性声ロックやゴシックロックのリスナーなどにもアピールするかもしれない。
コーラスを含めた女性ヴォーカルの重なりはなかなか魅力的で、バックのオーセンティックなロック色との
コントラストによって東欧的でフォーキーな味わいをかもしだしている。ゆったりと楽しめる好作品だ。
ドラマティック度・・7 トラッ度・・7 むしろロック寄り度・・8 総合・・7.5
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Zalvarinis 「Gyvas」
リトアニアのトラッドロック、ザルバリニスのライブ作品。2014年作
本作は教会で行われたアコースティック編成でのライブを収録、2人の女性ヴォーカルをフロントに
アコースティックギターにシンセ、ヴァイオリンなどが重なり、優雅なトラッドポップを聴かせる。
ヴォーカルが母国語であることを除けば、メジャーなポップ性も感じさせ、軽快な演奏と適度なロック色は、
プログレ方面やラジカルトラッドのリスナー向けかもしれないが、曲によってはしっとりと神秘的な空気感で、
東欧らしい湿り気のある叙情を感じさせる。演奏陣の確かな技術とともに説得力のあるアンサンブルも見事。
リトアニアではけっこう人気のバンドらしい。女性声のトラッドロックとして普通にレベルの高いバンドですな。
ライブ演奏・・8 トラッ度・・7 女性Vo度・・8 総合・・8
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VA/Pagan Fire
ペイガンメタルのオムニバスアルバム、その名もペイガン・ファイア。2008年作
CD+DVDの2枚組で、CDにはBATHORY、Enslaved、UNLEASHED、Amon Amarth、
WINTERSUN、FINNTROLL、EQUILIBRIUM、MOONSORROW、PRIMORDIAL、ELUVEITIE
KORPIKLAANI、ENSIFERUM、FALKENBACH、THYRFING、TURISAS、BAL-SAGOTHといった
ディープなバンドを収録。ペイガン/ヴァイキングメタルの初心者から中級者くらいまで対応。
DVDには、Amon Amarth、HELHEM、TYR、Battlelore、ENSLAVED、EINHERJER、WINTERSUN、
ENSIFERUM、FINNTROLL、MANEGARM、ELUVEITIEといった、なかなか貴重な映像が見られる。
ペイガン度・・9 ヴァイキング度・・8 参加バン度・・8 総合・・8
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VA/Bagpipe Hero CALEDONIA ROCK
スコットランド(カレドニア)の伝統楽器であるバグパイプをテーマにしたオムニバスアルバム。2011年作
Red hot Chilli Pipers、The Porridge Men、Lions Rampantの3バンドによるオムニバスで、
パグパイプの音色をメインにした、フォークロックを聴かせる。ギターやシンセを加えたアレンジには
メタル色もいくぶんあり、Deep PurpleやQueenなどのカヴァーも含めて、なかなか楽しませてくれる。
牧歌的なバグパイプの音色を楽しみたい方、フォーキーなロックを聴きたい方はいかが。
ドラマティック度・・7 メタル度・・7 バグパイプ度・・8 総合・・7.5
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VA/ ShadeLynx 「Фолк и Фолк-Рок (Лучшее за год)」
ロシアのネオフォーク/フォークロック系のオムニバス。2008年作
13アーティストの楽曲を収録していて、ダミ声ヴォーカルにヴァイオリンやバグパイプが鳴り響くフォークロックのTintal
妖しい女性ヴォーカルにヴァイオリンとハードなギターの、Конец Летаはアルバムを持っておりました。
ジェントルな男性声にフルート、ヴァイオリンが美しいフォークロックの、Дорога Водана
魅力的な女性ヴォーカルのペイガンフォーク、Семиречье、ハスキーな女性声とプログレ風の、Бергтора
女性ヴォーカルにストリングス、フルートの優美なネオフォーク、Сильфы、男女声の幻想的ネオフォーク、Тол Мириам
それぞれに味わいのあるスタイルで楽しめる。気になったバンドがいても、それぞれの作品が入手困難なのが残念か。
優雅度・8 幻想度・8 女性Vo度・7 総合・7.5
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