ポストロック/ドゥーム&ストーナー/スラッジ/ヴィンテージロック/サイケロック/NWOBHM/その他ロック
Post Rock/Doom & Stoner/Sludge/Psyche/ and Other
by Tosei Midorikawa
掲載バンドはABC順になっています
A
Abysmal Grief 「Misfortune」
イタリアのドゥームメタル、アビスマル・グリーフの2009年作
90年代から活動するバンドで、ホラーやオカルト的な世界観を描くカルト好みのバンド。
オルガンが鳴り響き、ヘヴィなギターに低音のヴォーカルを乗せた妖しいサウンドで、
大仰でシアトリカルな雰囲気は、いかにもイタリアのバンドらしい聴き心地である。
これぞドゥームという、スローで単調な部分が多いのだが、逆に言えば楽曲というよりは
「雰囲気」で楽しむバンドなのだろう。オルガン鳴りまくりの、イタリアン・ホラー・ドゥームです。
ドラマティック度・・7 ドゥーム度・・8 オカルト度・・8 総合・・7.5
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ACID'S TRIP 「Strings of Soul
スウェーデンの女性声ハードロック、アシッズ・トリップの2021年作
妖しい女性声にオルガンが鳴り響くイントロから、オールドなギターにハスキーな女性ヴォーカルを乗せた
PURSONなどにも通じる、キャッチーなヴィンテージロックを聴かせる。紅一点、Acid嬢の歌声は、
ときにコケティッシュに、ときにパワフルに、魔女系ロックの妖艶さと、70年代ルーツのポップ感が合わさった
ノリのよいオールドロックサウンドによくマッチしている。歪ませすぎないギターとやわらかなオルガンなど、
アナログ感たっぷりの耳心地に、表現力ある女性ヴォーカルの実力もあって、3〜4分前後の楽曲は
わりとシンプルながら、70年代にトリップするような感覚で楽しめる。女性声ヴィンテージロックの期待の新星です。
キャッチー度・8 ヴィンテージ度・9 女性Vo度・8 総合・8
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Acid Witch「Stoned」
アメリカのサイケ・ドゥームロック、アシッド・ウィッチの2011作
このB級ホラーマンガのようなジャケからして笑ってしまうのだが、サウンドの方も70年代的な古くささ…
サバス風味のドゥーム感覚とオルガンシンセ入りのサイケロック的な浮遊感で聴かせる、ステキな世界観。
ヴォーカルはゲロゲロのデス声ながら、音の怖さはあまりなく、メロディアスなギターやシンセのおかげで
演奏自体はとても聴きやすい。おどろおどろな雰囲気をかもしだそうとしているのがむしろ微笑ましい。
ドラマティック度・・7 おどろドゥーム度・・8 古き良き度・・8 総合・・7.5
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Admiral Sir Cloudesley Shovell 「Don't Hear it... Fear It!」
イギリスのハードロック、アドミラル・サー・クラウデスレイ・ショーベルの2012年作
GORILLAのJohhny Golliraを中心にしたバンドで、ブルージーなギターと
ダーティなヴォーカルを乗せた、いかにも70年代を思わせるガレージロックサウンド。
ノイジーなギターを乗せたアナログ感たっぷりのアンサンブルで聴かせる、
シンプルなスタイルであるが、6分、7分という長めの楽曲では、フリーキーな即興性も覗かせる。
荒々しいドライブ感とヘヴィでありながらも、サイケ的な浮遊感も内包した、懐古型ハードロック強力作。
ドラマティック度・・6 古き良き度・・9 荒々し度・・8 総合・・7.5
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AGE OF TAURUS「Desparate Souls of Tortured Times」
イギリスのドゥームメタル、エイジ・オブ・タウラスの2013年作
ツインギターの重厚なリフとアナログ感たっぷりのアンサンブルで聴かせる、
古き良きスタイルのドゥームメタル。力のこもり過ぎないヴォーカルを乗せて、
Black Sabbathから受け継がれた正統派の質感と怪しい雰囲気をかもしだす。
スローすぎないミドルテンポのノリも聴きやすく、ドゥーム初心者にも対応。
サバス直系のサウンドにエピックなドラマ性を加えたというような力作です。
ドラマティック度・・8 正統派ドゥーム度・・8 サバス風味度・・8 総合・・8
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AGE OF TAURUS 「THE COLONY SLAIN」
イギリスのドゥームメタル、エイジ・オブ・タウラスの2018年作
2作目となる本作は、前作でのBLACK SABBATHルーツのドゥームをより正統派メタル寄りにしたスタイルで、
適度にノリのよいグルーブ感に包まれたサウンド。わりとキャッチーな歌メロにツインギターの叙情性もあって、
暗黒性は控えめで、むしろ、70年代ブリティッシュハードロックのブルージーな空気感を含んでいる。
前作に比べるとオールドなドゥーム色は薄まり、その分ミドルテンポを主体にした聴きやすさが強まっていて、
マイナーな味わいのヴォーカルも含めて、B級エピックメタルとしても楽しめる。TROUBLEのようなナンバーから、
CANDLEMASSを思わせる雰囲気まで、楽曲ごとに違った味わいもあって、ドゥーム初心者にも対応。
ドラマティック度・・8 ドゥーム度・・7 正統派度・・8 総合・・7.5
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AIRBOURNE「No Guts No Glory」
オーストラリアのハードロックバンド、エアボーンの2nd。2010作
かつてのAC/DCを思わせる勢いあるロックサウンドでデビューしたこのバンド、2作目となる本作も、
古き良きハードロック魂が炸裂の力作だ。いくぶんダーティでワイルドなヴォーカルに、
アナログ感たっぷりのギター、時代錯誤なまでにロックンロールの熱さを追求したノリノリの1枚である。
メロディアス度・・7 古き良き度・・9 AC/DC度・・9 総合・・8
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Alabama Thunderpussy「Open Fire」
アメリカのストーナーメタルバンド、アラバマ・サンダープッシーの6th。2007年作
もともとはブギーやブルースなどを根幹にしたアメリカ南部的なロックバンドであったようだが、
本作ではぐっとヘヴィさと勢いを増したアナログ感たっぷりのストーナーメタルになっている。
古き良き感触のギターリフとともに、ダーティなヴォーカルとともに疾走するハードロールな味わいで、
かつてのMOTORHEADや、最近だとThe Swordなどのリスナーでも楽しめるだろう。
ドラマティック度・・7 アナログ度・・8 ストーナー度・・8 総合・・7.5
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ALDEBARAN 「Embracing The Lightless Depths」
アメリカのドゥームメタル、アルデバランの2012年作
25分、29分というふたつの大曲を中心にした構成で、ツインギターのゆったりとしたリフに、
低音デスヴォイスを乗せ、荒涼としたもの寂しさに包まれたフューネラル・ドゥームサウンド。
ドローン的でもあるノイジーなギターとともに、殺伐としたスラッジ系の感触もありつつ、
ツインギターにはうっすらとした叙情も含んでいて、じっくりとダウナーなヘヴィさに浸れる。
なにしろ曲が長いので気の短い方には向かないが、暗黒系フューネラネル・ドゥームの力作だ。
ドラマティック度・・7 重厚度・・8 暗黒度・・8 総合・・7.5
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ALITHIA 「THE MOON HAS FALLEN」
オーストラリアのポストプログレ、アリシアの2018年作
2014年にデビューし2作目となる。のっけから10分を超える大曲で、適度にハードで叙情的なギターに優美なシンセを重ね、
マイルドなヴォーカルとともにスタイリッシュなサウンドを描く。エモーショナルな歌声と、ポストロック的な空間性が
結果的にプログレッシブな味わいを作り出していて、繊細な叙情性とProgMetal的な展開力が同居したような味わいだ。
ときにシンフォニックなシンセアレンジがサウンドに厚みを与えていて、翳りを含んだ歌もの感と轟音系のコントラストで、
なかなかメリハリある聴き心地である。モダンな叙情ロックとしても、ハードなポストプログレとして楽しめる好作です。
ドラマティック度・8 プログレ度・7 スタイリッシュ度・8 総合・7.5
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Altareth 「Blood」
スウェーデンのドゥームメタル、アルタレスの2021年作
ツインギターの5人編成で、重厚なギターにうっすらとシンセが重なり、絡みつくようなヴォーカルとともに、
神秘的なスラッジ/ドゥームメタルを聴かせる。ザラついたギターリフを乗せた、どっしりとしたスローテンポは
これぞドゥームメタルという味わいで、あまり力まない淡々としたヴォーカルも妖しい空気感に一役かっている。
楽曲自体は、これといった盛り上がりは薄いのだが、ヴィンテージなスラッジ感触に包まれながらも
秘教的な怪しさをかもしだしていて、幻想系ドゥームが好きな方にも楽しめる強力作。
ドラマティック度・7 重厚度・8 ドゥーム度・8 総合・8
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Altar of Oblivion 「Grand Gesture of Defiance」
デンマークのドゥームメタル、アルター・オブ・オブリヴィオンの2012年作
ツインギターの重厚なリフと朗々としたヴォーカルで聴かせるCandlemassタイプのエピックドゥーム。
スロー〜ミドルテンポの遅すぎないリズムと、正統派メタル寄りのドラマティックなフックを感じさせ、
ギターは随所にメロディックなフレーズも奏で、エピックな空気感もなかなかよい感じです。
35分弱という短めの作品ながら、濃密なエピック・ドゥームメタルの世界に浸れる力作。
ドラマティック度・・8 エピック度・・8 重厚度・・8 総合・・8
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ALUNAH 「Awakening the Forest」
イギリスのドゥームメタル、アルナーの2014年作
サバスルーツの古き良き重厚なギターリフに、ハスキーな女性ヴォーカルの歌声で聴かせる、
魔女系ドゥームメタル。70年代英国ロックを思わせるブルージーなギターが特徴的で、
ヘヴィな正統派ドゥームでありながらも、どこかけだるげな倦怠感も含んだ聴き心地。
ツインギターは随所にメロディックなフレーズも奏でたりと、英国らしい湿り気を感じさせ、
7〜9分の長曲を中心に、スローテンポ主体でじっくりと楽しめる作風だ。
本格派のドゥームが好きな方も、女性声ドゥームが好きな方にもお薦めの力作。
ドラマティック度・・8 古き良き度・・8 女性Vo度・・8 総合・・8
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ALUNAH「SOLENNIAL」
イギリスのドゥームメタル、アルナーの2017年作
前作はサバスルーツのオールドなドゥームロックに女性声を乗せた力作であったが、
4作目となる本作は、女性ヴォーカルの歌声を乗せた魔女めいた妖しさに磨きがかかり、
ドゥーミィなギターとともに、カルトな女性声ドゥームとしての強固な世界観を描いてゆく。
楽曲そのものに、これといった目新しさはないのだが、魔女系ロックとしての王道というべき、
重すぎずユルすぎずの聴き心地で、Blood Ceremonyなどが好きな方にも大満足の出来でしょう。
ドラマティック度・・7 ドゥーム度・・8 魔女系ロック度・・9 総合・・8
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ALUNAH 「Violet Hour」
イギリスのドゥームメタル、アルナーの2019年作
2008年にデビュー、本作で5作目となる。ヘヴィなギターリフに妖しい女性ヴォーカルを乗せ、
アナログ感たっぷりのアンサンブルを描く、Black Sabbathルーツの魔女系ドゥームメタル。
ギターはときにブルージーで、ときにウェットな叙情も含ませつつ、PURSONあたりに比べると、
しっかりとハードでサイケに流れないドゥーム感を保っていて、紅一点、Sian嬢のけだるげな歌声も、
艶めいた魔女らしさを描くように、サウンドによくマッチしている。これという意外性はないのだが、
すべての要素が魔女系ドゥームとしての強固な空気を形成している、じつに見事な作品である。
ドラマティック度・・7 アナログ度・・8 魔女系ドゥーム度・・9 総合・・8
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Ancestors 「Neptune With Fire」
アメリカのドゥームロックバンド、アンセスターズの1st。2008年作
16分、21分という大曲2曲の構成で、うねるようなヘヴィーなギターリフとともに、
アナログ感たっぷりの古き良き感触のドゥームロックを聴かせる。
次作以降に比べるとプログレ的な風味はまだ薄く、ここではまだストーナーロック的な
正統派のドゥームロックなのであるが、随所にサイケチックな浮遊感をかもしだしたりと、
やはり一筋縄ではいかない。後半の大曲ではシューゲイザー的な実験性も垣間見せたり
オルガンが鳴り響き、女性スキャットの声も加わったりと妖しげな感じがよいですな。
ドラマティック度・・8 ドゥーム度・・8 怪しげ度・・8 総合・・7.5
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ANCESTORS「Of Sound Mind」
アメリカのドゥームロックバンド、アンセスターズの2009年作
先に2012年作を聴いていたが、本作の方も10分以上の大曲を中心にした、
プログレッシブなドゥームロックサウンドが楽しめる。レトロなオルガンが鳴り響き、
絡みつくようなヘヴィなギターとともに、妖しげなサイケデリック性を含んで構築される楽曲は、
随所に変則リズムなども含んでいて、なかなか面白い。単なるドゥームロックではない、
知的でプログレ的な雰囲気とサイケなおどろおどろしさが合わさったような力作である。
ドラマティック度・・8 プログレ度・・7 ドゥーム度・・9 総合・・8
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Ancestors 「Invisible White」
アメリカのドゥームロックバンド、アンセスターズの2011年作
全3曲29分のEPで、ドゥームロック度が強めだった1st、2ndに比べて、よりポストロック的な広がりと
知的な構築センスが発揮されだしている。サイケ的なゆるやかさと、マイルドなヴォーカルの歌声に
ヴァイオリンの音色を含む叙情性、そしてオルガンやムーグ、メロトロンなどのシンセアレンジは、
もはやプログレ的といってもよい聴き心地である。14分の大曲をゆったりと叙情的に描いてゆく
スケールの大きさも素晴らしい。バンドとしての今後の深化を予感させる作品である。
ドラマティック度・・8 プログレ度・・8 ドゥーム度・・7 総合・・8
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Ancestors「In Dreams & Time」
アメリカのプログレ・ドゥームロックバンド、アンセスターズの2012年作
最近は、プログレ、サイケ、ドゥーム、ストーナーなどをまたぐボーダーレスなバンドが増えているが、
このバンドもまさしく上記の要素をすべて持ったサウンドをやっていて、9分〜19分という大曲を中心に、
ポストロック的な壮大な世界観を聴かせてくれる。オルガン、ムーグ、メロトロンまで使用したシンセワークに
ドゥーミィなギターリフが重なり、サイケな浮遊感を含んだ妖しげな世界を構築してゆく様はなかなか個性的だ。
基本はスローなドゥーム調であるが、女性ヴォーカルが入ったり、美しいピアノやヴァイオリンなども加わり、
アレンジのセンスには知的でプログレッシブなものを感じさせる。ポストロック的なドゥームロックの力作です。
ドラマティック度・・8 プログレ度・・7 ドゥーム度・・8 総合・・8
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Anchorite 「Further From Eternity」
スウェーデン、マルタ、デンマークのメンバーによるドゥームメタル、アンコライトの2020年作
オールドなギターリフに朗々としたヴォーカルを乗せた、ゆったりとした正統派のドゥームメタルサウンド。
CADLEMASSやSOLITUDE AETURNUSなどに通じる、エピックドゥームらしいウェットな空気に包まれつつ、
わりとメロディアスな歌メロやギターの旋律もあって、ダークな重厚感というのはそれほど感じない。
反面、サウンドの迫力という点では物足りなさもあって、楽曲自体にこれというインパクトもないので、
遅めのメタルとして普通に聴き流せてしまう。ミドルテンポの正統派ナンバーや、10分近い大曲も
IRON MAIDENのようなキャッチーなメタル感触で、むしろ、NWOTHM寄りの作風にしてもよいような。
ドラマティック度・・7 重厚度・・7 ドゥーム度・・7 総合・・7.5
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Anciients 「Heart of Oak」
カナダのプログレッシブ・ドゥームメタル、エンシェンツの2013年作
アナログ感を漂わせる古き良きドゥームメタルの質感に、知的な展開美を取り入れた、
いわばプログレッシブ・ドゥームメタルというべき作風。緩急のついたリズムチェンジに
随所にデスヴォイスも入りつつ、アダルトな味わいのギターの叙情フレーズもセンスがよい。
古き良き音作りとモダンなアレンジが融合した、OPETHがストーナーロック化したというような感じもあるが、
油断しているとブラックメタルばりの激しさもあったりして気が抜けない。これは異色の傑作。
ドラマティック度・・8 ドゥーム/ストーナー度・・7 知的度・・8 総合・・8
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Anciients 「Voice of the Void」
カナダのプログレッシブ・ドゥームメタル、エンシェンツの2016年作
前作は、いわばOPETHがストーナー化したような傑作であったが、2作目となる本作は
ツインギターの有機的なリフにデスヴォイスを乗せた、いくぶんアグレッシブなプログレッシブデスという雰囲気。
リズムチェンジを含む知的な構築力と、うねりを帯びたアンサンブルによる生々しいアナログ感が合わさって、
むしろMINSKあたりにも通じる重厚な味わいになっている。一方ではノーマル声を乗せたモダンな感触は、
MASTODONあたりのファンにもアピールするかもしれない。激しいツーバスにダミ声ヴォーカルを乗せた
ブラックメタルばりの邪悪なパートもありつつ、10分前後の大曲も含む、全66分の力作である。
ドラマティック度・・8 プログレッシブ度・・7 重厚度・・8 総合・・8
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ANGEL WITCH「As Above, So Below」
イギリス伝説のメタルバンド、エンジェル・ウィッチの2012年作
NWOBHMムーブのさなか、1980年にデビュー作を発表、その後1986年までに3作を出すも
1st以上のインパクトは与えられず、シーンからもすっかり忘れ去られたように思えた彼らが、
なんとここに25年ぶりとなる新作で帰って来た。オリジナルメンバーは、ギター&ヴォーカルの
ケヴィン・ヘイボーンのみだが、サウンドの方はまさしく80年代初頭のNWOBHMを思わせる
マイナーな香り漂うブリティッシュHM。いくぶんダークで湿りけを含んだギターリフとキャッチーな聴き心地は、
あの伝説の1stの続編というべき世界観で、聴いていてにんまりである。オードなファンはもちろん、
アナログ臭さのあるカルトなメタルバンドが好きという若いリスナーにもぜひ聴いて欲しい。
メロディアス度・・8 NWOBHM度・・9 エンジェルウィッチ度・・9 総合・・8
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Angel Witch 「Angel of Light」
イギリスのメタルバンド、エンジェル・ウィッチの2019年作
NWOBHMを代表するバンドで、80年代に3作を残して消えるが、2012年に25年ぶりとなるアルバムで復活。
本作は7年ぶりとなる復活2作目で、オリジナルメンバーは、ギター&ヴォーカルのケヴィン・ヘイボーンのみだが、
古き良きトーンのギターリフにウェットな味わいのヴォーカルを乗せた、まさしく80年代NWOBHMの続きを思わせる
オールドなブリティッシュHMを聴かせる。ヘヴィ過ぎないサウンド、上手すぎないヴォーカルが、ほどよいマイナー感で
かつての英国メタルの美学を蘇らせるようだ。適度な叙情性を感じさせるギターも絶妙で、これという新しいインパクトや
キラーチューンはないのだが、80年代の世界観をそのまま作り上げていることに敬意を表したい。これぞエンジェル・ウィッチである。
ドラマティック度・・8 古き良き度・・9 エンジェルウィッチ度・・9 総合・・8
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ANGUISH 「Through The Archdemon's Head」
スウェーデンのドゥームメタル、アングイシュの2012年作
ツインギターのリフによるヘヴィネスと、ダミ声ヴォーカルで聴かせる重厚なドゥームメタル。
スローな曲調とフューネラルな雰囲気が怪しげなダークさを醸し出していて、
ブラックメタル的な禍々しさも感じさせる作風だ。適度なB級感を漂わせた、
アンダーグラウンド臭に包まれた感じは、ドゥームメタルマニア向けかもしれない。
ドラマティック度・・7 フューネラルドゥーム度・・8 重厚度・・8 総合・・7.5
Anguish 「Mountain」
スウェーデンのドゥームメタル、アングイシュの2014年作
重厚なギターリフにダミ声ヴォーカルを乗た、おどろおどろしい世界観のドゥームメタル。
スローテンポを基調にしつつも、随所にツーバスの入った激しさもあり、
ツインギターの叙情的なフレーズも含めて、前作以上にメリハリのついた聴き心地。
サウンドの迫力という点でも、怪しげな神秘性とドラマテイックな空気感が備わったことで、
ぐっと説得力が増していて、エピックドゥーム的な湿り気のある雰囲気がよろしいです。
ドラマティック度・・8 ドゥーム度・・8 重厚度・・8 総合・・8
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THE ANSWER 「RISE」
アイルランドのハードロック、ジ・アンサーの2007年作
ヘヴィなギターリフが鳴り響き、パワフルなハイトーンヴォーカルを乗せたサウンドは、
70年代から受け継がれる伝統的なハードロックの生々しさを残しながら、決して古臭いだけでない
現代的な躍動感をも内包している。ブルージな渋さとメタリックなハードさを併せ持つギターワークを軸に、
オーソドックスで本格派のオールドスタイル・ハードロックが炸裂する。LED ZEPPELINを彷彿とさせるノリの良さと、
日本人受けしそうなキャッチーな感触もあって、楽曲ごとに過去バンドの雰囲気を覗かせるセンスも心憎い。
曲によってはオルガンの音色も加わったりと、細やかなアレンジもなかなか気が利いている。
ドラマティック度・・7 骨太度・・8 古き良き度・・9 総合・・8
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APOSTLE SOLITUDE 「Last Sunrise」
アメリカのドゥームメタル、アポストル・ソリテュードの2010年作
元THE GATES OF SLUMBERのドラマーがギター&ヴォーカルを務めるバンドで、
サウンドはCANDLEMASSやSolitude Aeturnusなどを思わせるエピックドゥーム。
重厚なギターリフに叙情的なフレーズも含んだ正統派寄りのスタイルで、
朗々としたヴォーカルも含めて、キャンドルマサーなファンはにんまりだろう。
反面、これといった個性はないのだが、安心して楽しめる好作品ではある。
ドラマティック度・・7 エピックドゥーム度・・8 新鮮度・・7 総合・・7.5
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APULANTA「Eika Vielakaan Ole Edes Ilta」
フィンランドのハードロックバンド、アプランタの2007年作
キャッチーなメロディで聴かせるハードロックを軸に、フィンランド語の歌声と
北欧の土着性を感じさせるサウンドは、RASMUSの母国語版という感じか。
母国語の歌声がトラディショナルな感触となっているのが特徴的で
哀愁の叙情を感じさせるメロディ作りにはバンドのセンスを感じさせる。
トラッドメタル調の曲もあったりと、フォークメタルファンにも楽しめるだろう。
メロディアス度・・8 キャッチー度・・8 フィンラン度・・9 総合・・8
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APULANTA 「Kuutio kuinka aurinko voitettiin」
フィンランドのハードロックバンド、アプランタの2008年作
すでに10作めのアルバムで、フィンランドを代表するロックバンドといってよいだろう。
フィンランド語の歌声とともにキャッチーに聴かせるサウンドは
The Rasmusなどにも通じる哀愁を漂わせつつ、随所に土着的な雰囲気もある。
3、4分台の楽曲はシンプルながら、メロディのフックがありどれも質が高く、
母国語ロック好きならば必聴レベルの出来といっていいだろう。
メロディアス度・・8 哀愁度・・8 フィンラン度・・9 総合・・8
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Arctic Plateau 「On a Sad Sunny Day」
イタリアのシューゲイザー・ポストロック、アークティック・プラテウの2009年作
ジャンルカ・ディヴァージリオによる一人ユニットで、うっすらとしたシンセにメロウなギター、
マイルドなヴォーカルを乗せた、メランコリックな叙情を描く。トレモロのギターフレーズとともに
Alcestあたりに通じるポストブラックの雰囲気もあるが、全体的にはメタル色は薄めなので、
繊細な叙情美に包まれた癒し系という趣。ラスト曲は、歌もの的なキャッチーな感触で、
シューゲイザーやポストブラック好きはもちろん、多くのリスナーが楽しめるだろう。
メランコリック度・・8 メタル度・・5 叙情度・・8 総合・・8
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Arctic Plateau 「Enemy Inside」
イタリアのシューゲイザー・ポストロック、アークティック・プラテウの2012年作
2作目となる本作も、クリアトーンのギターにマイルドなヴォーカルで聴かせる、
やわらかな叙情を描くサウンドは、前作よりもさらに繊細な空気感に包まれる。
メタル色は皆無化と思わせつつ、ダミ声ヴォーカルを乗せたナンバーがあったりと、
ポストブラックの感触もいくぶん残している。前作に比べると3分台の曲が多く、
全体的には比較的あっさりとした印象で、むしろポストプログレ的に楽しめるかも。
メランコリック度・・7 メタル度・・3 叙情度・・8 総合・・7.5
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Arduini/Balich 「Dawn of Ages」
アメリカのプログレ・ドゥームメタル、アルドゥイニ/バリッチの2017年作
元Fates WarningのVictor Arduiniと、ドゥームメタルバンド、ArgusのBrian"Butch"Balichのユニットで、
ミステリアスな空気に包まれた、浮遊感のあるエピックなドゥームメタルサウンドを聴かせる。
ギターリフには、やはりどことなくFates Warningのような独特のセンスとメロディをにじませていて、
80年代ルーツの正統派メタルの感触とともに、知的なプログレッシブ性を内包しているのが面白い。
10分以上の大曲を中心に、どっしりとした味わいの中にもリズムチェンジを含む展開力で、
スケール感に包まれた重厚な世界観を描きながら、正統派メタルとしてのハードなノリも生み出している。
そしてやはり、随所にヴィクターのギターワークが魅力的で、17分の大曲ではProgMetal的な構築性も楽しめる。
まさに「初期フェイツ・ウォーニングがドゥームメタル化した」というべき力作である。
ドラマティック度・・8 Progドゥーム度・・8 重厚度・・8 総合・・8
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ARGUS
アメリカのドゥームメタル、アルガスの2009年作
なんだかエグい感じのジャケのイメージからすると、サウンドの方は案外まともで、
Solitude Aeturnusあたりに通じる古き良きスタイルのエピック・ドゥームメタル。
いくぶんスカスカの音質も含めて、ヘヴィなおどろおどろしさはあまりなく、
むしろギターソロなどは80年代の正統派メタルのような感触である。
全体的にも聴きやすいのだが、ツインギターのリフもありがちで新鮮味に欠けるし
カルトな妖しさがないので、濃密さやドゥームメタルとしての迫力も物足りない。
ドラマティック度・・7 ドゥーム度・・7 古き良き度・・8 総合・・7
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THE ARS SUPERNOVA 「Lumina」
アメリカのプログレ・ハードロック、アルス・スーパーノヴァの2009年作
女性ヴァイオリン奏者、シンセ奏者を含む6人編成で、適度にハードなギターと美しいシンセアレンジ、
マイルドなヴォーカルを乗せて聴かせる、モダンなロックサウンド。アメリカらしいキャッチーなメロディと
お洒落で都会的な雰囲気に、艶やかなヴァイオリンの旋律が混じり、エモーショナルな叙情には、
QUEENルーツの美意識も含んでいる。ときにテクニカルなリズムも覗かせる、知的なアレンジセンスも心憎い。
強力なインパクトはないのだが、Coheed and Cambriaのようなモダンプログレ・エモロックとしても楽しめる好作品。
メロディアス度・・8 プログレ度・・7 知的センス度・・8 総合・・7.5
ATLANTEAN KODEX「Golden Bough」
ドイツのエピック・ドゥームメタル、アトランティーン・コデックスの2010年作
ツインギターによるヘヴィなリフと、朗々としたヴォーカルで聴かせる、
CANDLEMASSを思わせるエピックな雰囲気を漂わせたドゥームメタル。
メロディアスなフレーズは正統派メタル寄りで、中世を思わせる世界観とともに
10分、15分という大曲も含んで、重厚でドラマティックな香りを漂わせる。
ドラマティック度・・8 ドゥーム度・・7 重厚度・・8 総合・・8
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Atlantean Kodex「The White Goddess」
ドイツのエピック・ドゥームメタル、アトランティーン・コデックスの2013年作
前作もドラマティックな傑作であったが、2作目となる本作も荘厳かつ幻想的な世界観と、
ツインギターのメロディックなフレーズで聴かせる、重厚なるエピックドゥームが楽しめる。
10分前後の大曲を中心に、正統派メタル的な勇壮な感触とともに、中世ヨーロッパ的な世界を
ドラマティックに描いてゆく。ドゥームでありながら、WARLORDなどのファンにも楽しめる、
メロウで幻想的なエピックメタルでもある。中世風の飾り文字を使ったブックレット内も美しい。
ドラマティック度・・9 重厚度・・8 エピック度・・9 総合・・8.5
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Atriarch 「Ritual Of Passing」
アメリカのドゥームメタル、アトリアーチの2012年作
ヘヴィなギターリフを乗せたスローなドゥームメタルサウンドを基本に、
いくぶんモダンなヴォーカルを載せて、スペイシーで神秘的な世界観を聴かせる。
ときにブラックメタルばりに激しい疾走パートもあったりと、若手らしいボーダーレスなスラッジコアで
ときに喚き声で、ときにシアトリカルな語りを聴かせる邪悪なヴォーカルのこけおどし感も含めて、
おどろおどろしい暗黒性に包まれている。あるいはスローなブラックメタルとしても楽しめるかもしれない。
怪しく邪教的なスラッジコア/ドゥームメタルの強力作です。
ドラマティック度・・7 ドゥーム度・・8 暗黒度・・9 総合・・7.5
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Atriarch 「An Unending Pathway」
アメリカのドゥーム・ブラックメタル、アトリアーチの2014年作
2011年にデビューし、本作が3作目。ザラついたギターに詠唱めいたヴォーカルを乗せ、
重厚なドゥームメタル感触に、ブラックメタル的な暗黒性をまとわせたというサウンド。
適度に激しい疾走パートに絶叫ヴォイスも加わりつつ、ギターにはいくぶん叙情的なところもあり、
重すぎないヘヴィネスとともに、ミステリアスな空気に包まれた暗黒の世界観を描いてゆく。
媚のないスタイルで、モノトーンの闇に覆われた、迫力あるスラッジ・ブラックとしても楽しめる。
ドラマティック度・・7 暗黒度・・8 重厚度・・8 総合・・7.5
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ATRIARCH「DEAD AS TRUTH」
アメリカのドゥーム・ブラックメタル、アトリアーチの2017年作
ノイジーなギターに呻き叫ぶようなヴォーカルを乗せた、ダークで怪しい空気に包まれたサウンド。
ゆったりとしたテンポのドゥーム寄りのスタイルながら、モノトーンのような無慈悲な世界観には
ブラックメタル的な暗黒性が充満している。メロディやドラマティックな盛り上がりというのはないが、
テンポチェンジを含む激しい疾走パートもあったりと、全体的に単調過ぎるということもない。
全32分というのが少し物足りないが、暗黒のドゥーム・ブラックを求める方はいかが。
ドラマティック度・・7 ドゥーム度・・8 暗黒度・・9 総合・・7.5
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AVATARIUM
スウェーデンのドゥームメタル、アヴァタリアムの2013年作
解散したCANDLEMASSの元ベーシスト、レイフ・エドリングが率いるバンドで、
重厚なギターリフと、オルガンやメロトロンが鳴り響く70年代ロックの感触に
艶めいた女性ヴォーカルの歌声で聴かせるスタイル。楽曲はスローテンポが主体ながら、
ときにアコースティカルな要素も含んで、7、8分という長さでも案外メリハリがあって楽しめる。
女性Vo版サバスというような雰囲気もありつつ、単なるドゥームメタルにとどまらない
知的な構築力とセンスを感じさせる。PURSONを力強くしたような力作です。
ドラマティック度・・8 ドゥーム度・・8 重厚度・・8 総合・・8
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Avatarium 「The Girl With the Raven Mask」
スウェーデンのドゥームメタル、アヴァタリアムの2015年作
CANDLEMASSの元ベーシスト、レイフ・エドリングが率いるバンドで、
女性ヴォーカルの歌声と重厚なギターリフに、オルガンが鳴り響く、
前作同様の70年代スタイルのヘヴィなドゥームロックサウンド。
同じく魔女系ドゥームのPURSON、Blood Ceremonyなどに比べると、
メタリックな感触が強く、カルトな妖しさも含みつつどっしりとした聴き心地。
随所に湿り気を含んだ叙情性も覗かせる、前作以上に強力な傑作です。
ドラマティック度・・8 重厚度・・8 女性Vo度・・8 総合・・8
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Avatarium 「Hurricanes and Halos」
スウェーデンの女性Voドゥームメタル、アヴァタリアムの2017年作
CANDLEMASSのレイフ・エドリングを中心に結成したが、2nd発表後にそのエドリングは脱退、
本作はベースとシンセが新メンバーとなっての3作目である。オルガンが鳴り響き、女性ヴォーカルを乗せた
70年代ルーツのヴィンテージなロック感触はそのままで、適度なノリの良さと妖しさを含んだサウンドを聴かせる。
前作までのカルトなドゥーム感も残しつつ、オールドなハードロックとしてのキャッチーな味わいも増していて、
マニアックすぎない初心者にも聴きやすい作風だろう。一方では9分の大曲でのドゥームとしての重厚さと、
音の迫力、説得力はさすがで、PURSONを骨太にしたような前作をさらに強固なサウンドに仕上げた力作だ。
ドラマティック度・・8 ヴィンテージ度・・8 重厚度・・8 総合・・8
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Avatarium「The Fire I Long For」
スウェーデンの女性Voドゥームメタル、アヴァタリアムの2019年作
CANDLEMASSのレイフ・エドリングを中心に2013年にデビュー、2nd発表後にエドリングは脱退しているが、
楽曲提供などでは関わっていて、本作もほどよくヘヴィなギターリフにオルガンなどのシンセを重ね、
艶めいた女性ヴォーカルを乗せたヴィンテージなドゥームメタルは健在。随所に叙情的なフレーズを覗かせるギターに、
紅一点、ジェニー・アン・スミス嬢の歌声も妖しく楽曲を彩っていて、サウンドにウェットなドラマ性を加えている。
重厚ではあるが決して重すぎず、適度にキャッチーな聴きやすさがあるのも、このバンドの魅力だろう。
ドラマティック度・・8 ヴィンテージ度・・8 重厚度・・8 総合・・8
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B
Babils 「Joint Between」
ベルギーのアヴァン・サイケロック、バビルズの2007年作
トランペットなどのブラスが鳴り響き、アナログ感たっぷりのアンサンブルがフリーキーに合わさった、
異色のアヴァンギャルド・サイケロック。うねるようなベースとノイジーなギターにブラスが絡まり、
ガレージロック的な荒々しさと、混沌としたサイケ感が混ざり合った、一種、異様な世界観である。
ポストロック的でもある得体の知れないスケール感とミステリアスな暗黒性も覗かせつつ、
フルートが妖しく鳴り響く10分を超えるナンバーも、サウンドコラージュ的で大変アヴァンギャルド。
ロックとしての整合性を求める方には向かないが、混沌としたフリーキーなアヴァンミュージックが好きな方に。
ドラマティック度・・7 サイケ度・・8 アヴァンギャル度・・9 総合・・7.5
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Bad Acid 「Revelations Of The Third Eye」
スウェーデンの女性声サイケドゥーム、バッド・アシッドの2016年作
アナログ感たっぷりのギターに女性ヴォーカルの歌声を乗せた、ストーナー寄りのサイケハードで、
いくぶんこもり気味の音質とともに、うっすらとオルガンも鳴り、Blood CeremonyやPURSONのような
魔女系ロック的な妖しさも含んだ聴き心地が楽しめる。ユル過ぎず、重すぎずというギターも絶妙で
ほどよくサイケな浮遊感と、ヴィンテージなドゥームメタルの質感を融合させたサウンドと言える。
いくぶんマイナー臭さを残した空気感もよろしく、これから期待の女性声サイケドゥームバンドです。
ドラマティック度・・7 ヴィンテージ度・・8 魔女系ロック度・・8 総合・・8
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Bald Anders 「Sammler」
ドイツのサイケメタル、バルド・アンダースの2017年作
やわらかなオルガンのんびりとしたイントロから、メタリックなギターが重なり、ドイツ語のヴォーカルを乗せ、
哀愁漂う浮遊感と適度なヘヴィさが合わさった、ゲルマンなサイケデリック・メタルサウンド。
楽曲にこれという盛り上がりはないのだが、どことなくシアトリカルな世界観には惹かれるものがあり
オルガンやマリンバ、ときにサックスも鳴り響き、ユルめのけだるさと、翳りを帯びた妖しさにのんびりと浸れる。
メタル的な感触はさほど強くないので、サイケでカルトなゲルマンロックとして味わうのがよいかと。
ドラマティック度・・7 サイケ度・・8 ゲルマン度・・8 総合・・7.5
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BARISHI 「BLOOD FROM THE LION'S MOUTH」
アメリカのスラッジ・デスメタル、バリシの2016年作
ヘヴィなギターを乗せた、MASTODONなどを思わせるモダンヘヴィネスの感触に、
ダミ声ヴォーカルが咆哮するブラックメタル寄りの暗黒性に包まれたサウンドで、
随所に知的な構築センスを覗かせる。ザラついたスラッジ風味の荒々しさもありつつ、
適度にテクニカルなギターリフが絡む、プログレッシブ・デスメタル的にも楽しめる。
全体的には暴虐な激しさはさほどなく、プログレ的なインパクトも物足りないという、
結果として中庸なスラッジ・メタルになってしまっている。もっと極端に走ってもいい気がする。
ドラマティック度・・7 テクニカル度・・7 重厚度・・8 総合・・7.5
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BARONESS「Blue Record」
アメリカのストーナー系バンド、バロネスの2009年作
正直、ストーナー系と呼ばれるバンドには退屈な作品もあるのだが、このバンドの場合は、
ロックとしてのアナログ感覚に現代的なヘヴィネスを加え、サイケデリック風味の浮遊感やツインギターの重ねによる
メロディ志向のアレンジセンスが秀逸。ロック本来の勢いあるうねりを表現しながら、静かな叙情パートなど
知的な構築センスで描かれる楽曲は、ある種のスケール感にあふれている。
ドラマティック度・・8 サイケ風味度・・7 アナログロック度・・8 総合・・8
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BARONESS「YELLOW & GREEN」
アメリカのストーナー系ロックバンド、バロネスの2012年作
3作目となる本作は、黄色と緑に分けられた2枚組仕様となっていて、前作からヘヴィさをいくぶん薄め、
よりアナログ的な聴き心地になっている。70年代的なうねりあるグルーブ感覚と、サイケデリックな浮遊感も含みつつ
随所に聴かせるギターメロディに、プログレ的なシンセなどもいい感じで、これまで以上にアレンジの多彩さが光る。
一方では繊細な叙情性もあって、とくに「GREEN」の方ではアコースティカルな曲調のやわらかさも魅力的だ。
もはやジャンル分け困難な、プログレッシブ・ストーナー・サイケの力作である。
ドラマティック度・・8 サイケ風味度・・8 アナログロック度・・8 総合・・8
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Baroness 「Purple」
アメリカのストーナーロック、バロネスの2015年作
のっけから歪んだギターリフを乗せたヘヴィさで、前作に比べるとぐっとアグレッシブな印象。
ややダーティなヴォーカルを乗せ、アナログ感たっぷりのアンサンブルに、
随所にメロディックなフレーズも含ませたプログレ的な知的な展開力も光る。
サイケな雰囲気が減退した分、シンプルなノリの良さが増していて、
一般のストーナーロックのリスナーに広く楽しめる聴き心地であろう。
個人的には前作「Green」でのアコースティカルなアレンジも好きなのだが、
うねりのあるヘヴィなグルーブ感でたたみかける強力なアルバムだ。
ドラマティック度・・7 アナログ度・・8 ヘヴィ度・・8 総合・・8
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Beneath Oblivion 「The Wayward and the Lost」
アメリカのスラッジ・ドゥームメタル、ビニース・オブリヴィオンの2018年作
2006年の自主デビュー作から数えて3作目。物悲しく叙情的なイントロから始まりつつ、
重厚なギターに咆哮するデスヴォイスを乗せ、スローテンポのフューネラルなサウンドを聴かせる。
スラッジ的なザラついた荒々しさに、うっすらとしたシンセも加えたメランコリックな叙情も覗かせ、
10分以上の大曲を主体に、ダーク過ぎず重すぎずという、ゆったりとした味わいで鑑賞できる。
長尺の超遅テンポが退屈に思える人もいるだろうが、本格派のフューネラル・ドゥームが好きな方はどうぞ。
ドラマティック度・・7 フューネラル度・・9 重厚度・・8 総合・・7.5
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Besvarjelsen 「Atlas」
スウェーデンのドゥームメタル、ベスヴァーイェルセンの2022年作
2018年にデビューし、2作目となる。ほどよくヘヴィなツインギターに妖しい女性ヴォーカルを乗せ、
Black Sabbathルーツの、ヴィンテージな味わいのサイケ・ドゥームメタルを聴かせる。
紅一点、Lea嬢の歌声は、アンニュイな浮遊感を感じさせ、わりと重厚なバックとのコントラストになっており、
曲によってはツインギターが叙情的な旋律も奏で、ドラマティックな世界観を描いている。新鮮さはさほどないが、
歌い上げる女性ヴォーカルと確かな演奏力で、本格派の魔女系ドゥームメタルが楽しめる強力作です。
ドラマティック度・7 重厚度・8 女性Vo度・7 総合・8
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BLACK BONZO
スウェーデンのプログレハードバンド、ブラック・ボンゾの1st。2005年作
ユーライア・ヒープ、ディープ・パープルや、70年代のヴァーティゴ・レーベル系などを彷彿とさせる
レトロなプログレ・ハードロックサウンド。鳴り響くハモンドに、古き良き…というコーラスワーク。
URIAH HEEP的な英国然とした音と、北欧独特の時間の止まったような叙情性が合わさって
古くさいのだが間違いなく現在のサウンド…というなんとも不思議な雰囲気が楽しめる。
思い入れのあるヒープファンなどよりはむしろ、こだわりのない最近のリスナーに受けるかもしれない。
メロディアス度・・8 プログレハー度・・8 レトロ&懐古度・・9 総合・・8
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BLACK BONZO「Sound of the Apocalypse」
スウェーデンのレトロ・プログレバンド、ブラック・ボンゾの2nd。2007年作
のっけからムーグとハモンドの音色が襲ってくるぅっ!!今作も70年代懐古主義をつらぬくレトロなサウンド炸裂している。
モロURIAH HEEP的な70'sブリティッシュサウンドを聴かせた1stから
基本的には同一路線ながら、今回はJETHRO TULLっぽい雰囲気も取り入れている。
やたらとキャッチーな歌メロに、わざわざ古くささをかもしだすかのようなギターフレーズ、
そして鳴り響くハモンドオルガンには、おじさんロッカーはたまらないものがあるだろう。
ここまでくると、いっそ紙ジャケで英ヴァーティゴレーベルから出してほしい気さえする(笑)
シンフォニック度・・7 プログレ度・・7 たまらなくレトロ度・・9 総合・・8
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BLACK BONZO「Operation Matnual The Guillotine model DRAMA」
スウェーデンのヴィンテージロックバンド、ブラック・ボンゾの3rd。2009年作
メロトロンやハモンドオルガンを掻き鳴らし、かつてのDEEP PURPLEやURIAH HEEPなど
70年代ブリティッシュロックを思わせるレトロなプログレハードサウンドで、マニアの心を掴んだ彼ら、
3作目となる本作はタイトル通り、ギロチン…つまり断頭台をテーマにしたアルバムであるらしい。
もちろんサウンドの方は、ヴィンテージなオルガンの音色に、古き良きギターリフで聴かせる
相変わらず70's懐古主義的な香りがぷんぷん。聴いていて思わずにんまりである。
今回はアコースティカルな要素も取り入れるなど、肩の力が抜けたより自然体の作風といえ、
前2作に比べるとややインパクトの点では薄いものの、よりやわらかみのあるレトロロックとなっている。
メロディアス度・・8 プログレハー度・・8 レトロ&懐古度・・9 総合・・8
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Black Math Horseman 「Wyllt」
アメリカのドゥームメタル、ブラック・マス・ホースマンの2009年作
いくぶん叙情を含んだイントロから、ヘヴィなギターに妖しい女性ヴォーカルを乗せ、ダークな浮遊感に包まれた世界観を描く。
アナログ感あるサウンドは、ヴィンテージなハードロック感触もあり、重くなりすぎないのでわりと聴きやすい。
ラスローテンポを基調にしつつ、BLACK SABBATHルーツのほどよいオールドロックのノリもあって、
スキャット的にぼやけたヴォーカルも、霧がかかったような妖しい幻想性をかもしだしている。
ストは11分の大曲で、ゆったりと始まりつつ、絶叫に近い歌声とともに、おどろおどろしげなギターでじわりと盛り上げる。
ドゥーム度・8 暗黒度・8 ヴィンテージ度・8 総合・7.5
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BLACK MOON MOTHER 「ILLUSIONS UNDER THE SUN」
アメリカのサイケドゥーム、ブラック・ムーン・マザーの2020年作
ほどよい重さのツインギターに、しっとりとした女性ヴォーカルを乗せた、ゆっりたとしたドゥームロック。
うっすらとしたシンセに包まれた霞みがかったような幻想性が、艶めいた女性声と合わさって、
妖しい世界観をかもしだす。メタル過ぎないが軽すぎもしないというギターサウンドも絶妙で
ドゥーミィな翳りとオールドロックのノリがバランス良く、ときにメランコリックな女性ヴォーカルが
ゴシック風の味わいにもなっていて、全体的にしっとりとした、うるさすぎない耳心地で楽しめる。
全29分というEP並の短さが残念だが、今後も期待の魔女系ロックバンドです。
ドゥーミィ度・8 ヴィンテージ度・8 女性Vo度・8 総合・8
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Black Moth 「Condemned to Hope」
イギリスのドゥームメタル、ブラック・モスの2014年作
2012年にデビューし、2作目となる。オールドなギターリフに女性ヴォーカルの歌声を乗せた、
サバスルーツのドゥームメタルを聴かせる。紅一点、Harriet嬢の歌声はほどよくハスキーで、
バックに負けないくらいにパワフルで、どっしりとしたサウンドを伸びやかに彩っている。
全体的にはスラッジ寄りのザラついた感触とともに、魔女めいた妖しさはさほど感じないので、
個人的にはややもの足りなさもあるのだが、本格派の女性声ドゥームというべき強力作です。
ドラマティック度・・7 ドゥーム度・・8 古き良き度・・8 総合・・7.5
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Black Mountain 「In the Future」
カナダのヴィンテージロック、ブラック・マウンテンの2008年作
アナログ的なギターにメロトロンやオルガンの音色が重なる、いかにも70年代スタイルのサウンド。
どこかけだるげな男女ヴォーカルの歌声もうるさすぎず、サイケな浮遊感とオールドロックが融合された
なかなか絶妙の聴き心地である。ゆったりと大曲を構築するセンスなどはむしろプログレ的で、
ハードロックというよりは、むしろこちらのリスナーにお勧めしたい。メロトロン入りサイケハードの傑作。
ドラマティック度・・7 アナログ度・・8 古き良き度・・9 総合・・8
Black Mountain「Wilderness Heart」
カナダのヴィンデージロックバンド、ブラック・マウンテンの3rd。2010年作
映画「スパイダーマン3」のサウンドトラックへも楽曲提供するなど、いまやカナダを代表する若手ロックバンド、
本作も70年代テイスト全開のサウンドで、この手のバンドにしては珍しい男女ヴォーカルの歌声と、
オルガンやうっすらとメロトロンまで使い絶妙なユルさと、オールドなブリティッシュロックの雰囲気を再現している。
アコースティカルな部分は英国フォーク的な情緒もあり、その筋のリスナーにも対応。
どう聴いても現代のバンドとは思えない、天晴れなまでのレトロロックです♪
メロディアス度・・8 プログレ度・・7 70'sブリティッシュ風度・・9 総合・・8
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The Black Noodle Project 「Play Again」
フランスのプログレ・ハードロック、ブラック・ヌードル・プロジェクトの2006年作
メタリックなギターにうっすらとしたシンセが合わさった浮遊感と
薄暗い叙情を含んだ、Porcupine Tree以降のダークプログレの作風。
物憂げなヴォーカルとともにポーランド系のバンドなどを思わせる哀愁は、
まさしくオルタナ・シンフォ系というべき聴き心地だ。全体的にはよい感じなのだが、
楽曲ごとの魅力や、これだというつかみ所にやや欠けるのが惜しい。
メロディック度・・7 プログレ度・・7 薄暗度・・8 総合・・7.5
BLACK OATH 「Third Aeon」
イタリアのドゥームメタル、ブラック・オースの2011年作
サウンドの方は70年代的なアナログ感を漂わせた正統派のドゥームメタルで、
オルガンが鳴り響き、朗々とした歌声で聴かせる、エピックドゥーム的な味わいがある。
ドイツのAtlantean Kodexなどにも通じるメロディックな聴きやすさもあって、
比較的正統派メタル寄りの聴き心地で、一般のリスナーにも楽しめるだろう。
ブックレットのメンバー写真が全員ミイラというのも面白い。
ドラマティック度・・8 ドゥーム度・・8 エピック度・・8 総合・・8
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Black Oath 「Ov Qlipoth And Drakness」
イタリアのドゥームメタル、ブラック・オースの2013年作
ウェットな空気感をかもしだす重すぎないギターリフに、朗々としたヴォーカルを乗せた、
妖しくもエピックな味わいのドゥームメタルを聴かせる。70〜80年代ルーツのアナログ感と
物寂しい叙情を含んだ世界観は、CANDLEMASSやSOLITUDE AETERNUSにも通じるが、
こちらはヘヴィさよりも、より正統派のエピックメタル的なドラマ性を感じさせるのが好みです。
ゆったりとしたテンポからリズムチェンジで展開するところもあって、単調過ぎずに楽しめます。
ドラマティック度・・8 エピックドゥーム度・・8 重厚度・・7 総合・・8
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Black Sabbath 「13」
イギリスの大ベテラン、ブラック・サバスの2013年作
スタジオアルバムとしてはじつに18年ぶりとなる作品で、ドゥームメタルの始祖となった
いわゆる「オジー・サバス」を踏襲したサウンド。トニー・アイオミのドゥーミィなギターリフと、
オジー・オズボーンの狂気をはらんだヴォーカルは、まさに当時の世界観そのもの、
サバス以外のなにものでもない音に仕上がっている。枯れた味わいを感じさせるギターソロや
どこか哀愁も含んだオジーの歌声には、年月をへたミュージシャンの深みをただよわせている。
当時のサバスファンはもちろん、新たにサバスの世界観に触れる若いリスナーにもお薦めしたい。
ヴァーティゴレーベルの模様が印刷されたCDもよい感じですね。
ドラマティック度・・8 ドゥーム度・・8 サバス度・・9 総合・・8
Black Tusk 「Set the Dial」
アメリカのスラッジ系メタル、ブラック・タスクの2011年作
ギター、ベース、ドラムのトリオ編成で、ヘヴィなギターとうねるベースを乗せたアナログ感あるアンサンブルで、
オールドスタイルのヘヴィロックサウンドを聴かせる。BARONESS、MASTODONあたりと比べると、
よりストレートな作風で、2〜4分台の楽曲からはシンプルなグルーブとノリの良さが、ダイレクトに伝わってくる。
ダミ声のヴォーカルはダーティなアグレッシブさをサウンドにもたらしていて、個人的には、もう少し怪しい翳りか、
叙情性がある方が好みなのだが、この分かりやすさを好む方もいるだろう。シンプルなスラッジが好きな方はどうぞ。
ドラマティック度・・7 ヘヴィ度・・8 オール度・・8 総合・・7
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Black Wizard 「New Waste」
カナダのストーナー・ハードロック、ブラック・ウィザードの2016年作
70年代臭たっぷりのギターを乗せた、ヴィンテージな味わいのハードロックサウンドで、
パワフルすぎないヴォーカルの感じは、80年代のNWOHM的なウェットな雰囲気も覗かせる、
ストーナー的なザラついた耳心地に、随所にツインギターのメロディアスな叙情も含んで、
適度に怪しげなマイナー臭さをまとわせているのもよい感じだ。楽曲自体には新鮮なインパクトはなく、
雰囲気モノとしてはおどろおどろしさがやや足りないのだが、オールドなハードロックが好きならば、
十分に楽しめるクオリティがある。今後はより突き抜けた楽曲や濃密な世界観の構築に期待したい。
ドラマティック度・・7 ストーナー度・・7 ヴィンテージ度・・9 総合・・7.5
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Black Wizard 「LIVIN' OBLIVION」
カナダのヴィンテージメタル、ブラック・ウィザードの2018年作
2010年にデビュー、前作は70年代臭たっぷりのストーナー系のハードロックであったが、、
4作目となる本作は、NWOBHM色を推し進めた、ヴィンテージなメタルサウンドを聴かせる。
ツインギターによる適度な叙情性や、激しく疾走するアグレッシブなナンバーもあって、
多くのオールドメタラーに楽しめる作風になった。一方で、ザラついたリフはストーナー的でもあり、
随所にドゥーミィな怪しさを残しているのも良い。重厚な音の説得力が備わったことで、
エピック・ドゥーム的にも楽しめる部分も。ヴィンテージと正統派メタル、どちらの耳でも楽しめる強力作。
ドラマティック度・・8 重厚度・・8 ヴィンテージ度・・9 総合・・8
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Blood Ceremony
カナダのヴィンテージロックバンド、ブラッド・セレモニーの2008年作
フルートにオルガンも弾きこなすという、女性ヴォーカルを擁する4人組。
サウンドはもろ70年代風のレトロな雰囲気がぷんぷんで、ストーナーロック的な生々しさに、
妖しげな呪術性をともった世界観でこれは初期サバスの女性ヴォーカル版か…と言いたくなるほど。
うねるようなギターの音が妙に心地よく、また唐突に入ってくるフルートの音色は
プログレのJETHRO TULLなどを思わせたりと、とても若手の作品とは思えない濃密さ。
女性のヴォーカルが上手すぎないところも、またアングラ臭をかもしだしていて良いのです。
メロディアス度・・7 アンダーグラウン度・・9 70'sレトロ度・・9 総合・・8
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Blood Ceremony「Living With the Ancients」
カナダのヴィンデージロックバンド、ブラッド・セレモニーの2011年作
前作は70年代サバスの女性Vo版というイメージで、なかなか気に入っていたが、
本作もアナログ感覚たっぷりの時代的なサウンドを聴かせてくれる。
古き良きギターリフと温かみのあるフレーズに、ヘタウマな女性ヴォーカルの歌声が重なり、
オルガンにフルートも入ったプログレ的な質感もあって、ストーナー化したJACULAというか、
むしろヴィンデージ・プログレ的に楽しめたりする。妖しいアングラ臭さもそのままだが、
今作ではよりメロディアスな聴き心地がよろしい。古めかしさに和みます。
メロディアス度・・8 アンダーグラウン度・・8 70'sレトロ度・・10 総合・・8.5
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Blood Ceremony 「The Eldritch Dark」
カナダのヴィンデージロックバンド、ブラッド・セレモニーの2013年作
3作目となる本作も、アナログ風味たっぷりの70年代的なサウンドが炸裂、
鳴り響くオルガンに女性ヴォーカルの歌声で、中世や魔女といった妖しい世界を描き出す。
サバスを思わせる古き良きHR的雰囲気の中に、フルートの音色が入ってくると、
Jethro Tullのようなプログレ質感も混じって、土着的なサイケロックとしても楽しめる。
さすがに、新鮮味はもう感じないが、今回も妖しさ安心の力作です。
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Blood Ceremony 「Lord of Misrule」
カナダの魔女系ドゥームロック、ブラッド・セレモニーの2016年作
2008年にデビュー、女性声を乗せた古き良きドゥームロックに妖しげでカルトな世界観は、
いわゆる魔女系ロックの密かなムーブメントの先駆けとなった。4作目となる本作も、
アナログ感たっぷりのギターにフルートが鳴り響き、けだるげな女性ヴォーカルで聴かせる、
魔女めいた雰囲気のドゥームロックが楽しめる。随所にオルガンやメロトロンが加わったり、
アコーステッィクな叙情パートもあったりと、今作は楽曲のアレンジもなかなか多彩で、
キャッチーな歌メロと、カルトな妖しさとのバランスも絶妙だ。これぞ魔女系ロックの最高峰!
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Blood of the Sun「Burning On The Wings Of Desire」
アメリカのサイケ・ハードロック、ブラッド・オブ・ザ・サンの2012年作
SAINT VITUSのドラマー、ヘンリー・ヴァスケズと、STORM AT SUNRISEの鍵盤奏者を中心に結成、
4作目となる本作には、POINT BLANKのヴォーカルとギターが参加している。サウンドはオルガンが鳴り響く
古き良きスタイルのハードロックで、70年代英国風味に80年代アメリカンロックの要素を加えたという感触。
うねりのあるベースと弾きまくりのギターで濃密なアンサンブルを描きつつ、一方ではサイケハード的なユルさと、
いわばSPIRITUAL BEGGARSがアメリカンになったような、アナログ感のあるストーナーHRとしても楽しめる。
ドラマティック度・・7 古き良き度・・8 アナログ度・・8 総合・・7.5
Book Of Wyrms 「Occult New Age」
アメリカのドゥームロック、ブック・オブ・ワームスの2021年作
2017年にデビューし、3作目。アナログ感っぷりのギターに、妖しい女性ヴォーカルを乗せて、サイケな浮遊感も含んだ
ヴィンテージなドゥームロックを聴かせる。スローからミドルテンポを主体にしつつ、女性声ははかなげであるが、
スペイシーなシンセやツーバスのドラムによるアグッレシブなノリもあって、わりとアッパーな感じでも楽しめる。
アコースティックギターによる小曲から、8分の大曲、ヘヴィなギターを乗せたこれぞドゥームというナンバーまで、
魔女めいた女性ヴォーカルとともに、なかなかディープな空気を描いている。プレスCDR仕様です。
ドラマティック度・7 ヴィンテージ度・8 魔女系ドゥーム度・8 総合・7.5
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Blues Pills
スウェーデンのロックバンド、ブルーズ・ピルズの2014年作
アナログ感あふれるアンサンブルに、ソウルフルな女性ヴォーカルの歌声で聴かせる
70年代スタイルのブルーズロックサウンド。やはり引き合いに出されるのはジャニス・ジョプリンだろうが、
本ヴォーカルのエリン嬢の方が、いくぶんキュートなはかなさを感じさせるのがけっこう好みである。
PURSONあたりの魔女系ロックに比べるとよりストレートな作風なので、うるさすぎない音圧も含めて、
多くのオールドロックリスナーにアピールするだろう。サイケデリックな感じのジャケもよいですね。
ドラマティック度・・8 70'sロック度・・9 女性Vo度・・8 総合・・8
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Blues Pills 「Lady in Gold」
スウェーデンのヴィンテージロックバンド、ブルーズ・ピルズの2016年作
前作もいかにも70年代スタイルのブルース・ロックサウンドであったが、2作目となる本作も
ハスキーな女性ヴォーカルの歌声にオルガンが鳴り響く、じつにヴィンテージな聴き心地。
ややくぐもった音質も含めて、前作以上にサイケがかった妖しさが増したという印象で、
PURSONあたりにも接近したイメージ。3〜4分台の楽曲は比較的シンプルで分かりやすく、
Elin嬢の伸びやかな歌唱を活かした作風で、これという新鮮味はないのだが安心して楽しめる。
もう少し妖しい毒気のようなものがあってもよいような気もするが、むしろこの中庸感こそがよいのかも。
メロディック度・・8 古き良き度・・9 女性Vo度・・8 総合・・8
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BLUES PILLS 「LADY IN GOLD - LIVE IN PARIS」
スウェーデンのヴィンテージロック、ブルーズ・ピルズのライブ。2017年作
2016年フランスでのステージを2CDに収録。2nd「Lady In Gold」からのナンバーを中心に、1stからのナンバーも演奏。
アナログ感あるギターにオルガンやエレピを重ね、Elin嬢のハスキーな歌声とともに、ヴィンテージなブルース・ハードロックを聴かせる。
ややラウドな音質も生々しさがあって、アルバム以上に躍動感のある演奏は、まるで70年代のライブ音源のようである。
Disc1が40分、Disc2が34分と、収録時間もアナログ的であるが、ブルーレイ付きの3枚組もあり、映像を見たい方はそちらをゲット。
ライブ演奏・8 ヴィンテージ度・9 女性Vo度・8 総合・8
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Brimstone Coven
アメリカのヴィンテージハードロック、ブリムストン・カヴンの2014年作
ブルージーなギターにジェントルなヴォーカルを乗せた、70年代の香り漂うハードロックサウンド。
LED ZEPPELINにも通じる1曲目から、2曲目以降は、BLACK SABBATHやPENTAGRAMなど、
ほどよいドゥームロック色が加わって、カルトな怪しさとロックなノリが合わさったという感触。
楽曲は3〜4分台が中心でわりとシンプルながら、重すぎず軽すぎずという聴き心地で、
「ツェッペリンがサバス化した」ようなサウンドで楽しめます。ボーナストラックに2012年のデビューEPを丸ごと収録。
ドラマティック度・・7 ドゥーム度・・7 ヴィンテージ度・・8 総合・・7.5
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Brutus 「Behind the Mountains」
ノルウェーのヴィンテージロック、ブルータスの2013年作
ツインギターを含む5人編成で、ヘヴィなギターリフを乗せたグルーヴィなアンサンブルで、
いかにもアナログ感ただよう、ヴィンテージなハードロックサウンドを描く。
Graveyardあたりに比べると、絡みつくようなドゥーム感触がもう少しあって、
アンダーグラウンドな空気感が強い分、よりマニア受けする濃密な聴き心地である。
楽曲のフックなどに個性的な新鮮さは薄いものの、どっしりとしたアンサンブルと音の説得力は
デビュー作にしてすでに十分備わっている。ラスト曲ではオルガンも鳴り響く音の厚みが素晴らしい。
ドラマティック度・・7 アナログ度・・8 古き良き度・・9 総合・・8
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BUGSKULL 「Distracted Snowflake Volume Two」
アメリカのエレクトロ系プログレ、バグスカルの1999年作
日本盤タイトルは「粉雪の恐怖・その2」…ジャケも含めて意味不明なのだが、
虫が飛んでいるようなヒヨヒヨしたエレクトロなシンセとユルーいギターが合わさった、
サイケというのもユルすぎるような脱力系サウンド。たとえば、クラスターとか、ノイ!など
ジャーマン系エレクトロをよりフワフワにしたというべきか。ポストロック的なサウンドコラージュも含めた
怪しげなところもあるが、むろん難解さはなく、むしろユルい。とても…まどろめます。
ドラマティック度・・7 プログレ度・・7 ユル度・・9 総合・・7.5
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Bugskull & Big White Cloud
アメリカのエレクトロ系サイケロック、バグスカルの2003年作
90年代に「粉雪の恐怖・その2」、「わくわく昆虫ランド」といったユルすぎるエレクトロ・サイケ作品で、
アンダーグラウンドなマニアのみに知られていたこのバンド。バンド自体はその後消滅したようだが、
残ったメンバーの二人が共作して発表したのが本作。ふんわりとシンセにヨレ気味のギターを乗せた、
ユルめのスペースサイケに、かつてのジャーマンロック的なエレクトロ感覚が合わさった作風で、
シンセの重ねによるシリアスな空気感が、FAUSTあたりにも通じるミステリアスな気配を感じさせる。
パーカッションに詠唱的な歌声を乗せた東洋的な雰囲気の小曲など、とりとめのなさもさすが。
ロック度・・2 サイケ度・・8 アヴァンギャル度・・8 総合・・7.5
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BURNING SAVIOURS 「Nymphs & Weavers」
スウェーデンのヴィンテージロック、バーニング・セヴィアーズの2007年作
ラウドなギターリフとオルガンを含んだ、70年代を思わせるハードロックサウンド。
随所にフルートやオルガンなども顔を覗かせつつ、大人の哀愁を含んだ枯れた味わいは、
プログレというよりは基本は英国ルーツのハードロックで、Black BonzoやSiena Root、
MANGROVE、Three Seasons…といったバンドが好きな方なら、充分楽しめるだろう。
レトロな味わいの中にも、ときに北欧らしい叙情が垣間見えるのもよいですね。
ドラマティック度・・7 プログレ度・・6 70'風ロック度・・9 総合・・8
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Burning Saviours 「Unholy Tales from the North」
スウェーデンのヴィンテージロック、バーニング・セイヴィアーズの2015年作
サバスルーツのオールドなギターにオジー似のダーティなヴォーカルを乗せ、
アナログ感たっぷりのサウンドを聴かせる、いかにもヴィンテージなドゥームロック。
楽曲は3〜4分前後とわりとシンプルであるが、70年代英国ロック的でもある
ブルージーな感触も随所に覗かせるツインギターが、なかなか恰好よいのである。
ただ全7曲、28分というミニアルバム並の短さがちょっと物足りないかも。
ドラマティック度・・7 古き良き度・・9 サバス度・・8 総合・・7.5
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Burning Witch 「Crippled Lucifer」
ノルウェーのスラッジ/ドゥーム、バーニング・ウィッチの2008年作
SUNN O)))のスティーヴン・オマリーを中心に、1995〜98年まで活動していたバンド、
2枚のEPに未発音源を加えたCD2枚組。(日本盤はさらに初期のデモとライブ音源を加えた3枚組)
サウンドは、ヘヴィなギターとがなり声ヴォーカルを乗せ、のちのドローン系ほどではないが、
スローでノイジーな暗黒ドゥームメタルを聴かせる。耳障りなわめき声ヴォーカルとともに、
荒々しいアナログ感を含んだねばりつくような感触と、無慈悲で荒涼としたフューネラルな闇…
初心者には向かないが好きな人にはたまらない音である。
ドラマティック度・・7 ドゥーム度・・8 荒涼度・・8 総合・・7.5
C
Camollis 「Prologo」
ブラジルのシューゲイザーメタル、カモリスの2013年作
シューゲイザー・ブラックバンド、THE LAST DAYSのメンバーによる作品で、
美しいシンセアレンジにメロウなギターフレーズを重ねた浮遊感あるサウンド。
アンビエントな空気感にポストロック的でもあるスケールを含んだ聴き心地で
ゆったりとした幻想的な叙情に浸れる。随所にトレモロのギターフレーズも心地よく、
アンビエントなシューゲイズながら、メタルの要素もしっかり残している。アルバム前半と後半を、
それぞれ組曲構成にしたセンスも素晴らしい。これは掘り出し物的な好作品だ。
ドラマティック度・・7 メタル度・・5 幻想の叙情度・・9 総合・・8
CANDLEMASS 「Epicus Doomicus Metallicus」
スウェーデンのドゥームメタルバンド、キャンドルマスの1986年作
ザリザリとしたギターリフを乗せたスローテンポの楽曲に、物悲しげなヴォーカルの歌声で聴かせる、
正統派のドゥームメタルサウンド。2nd以降のようなエピックな叙情性はまだ薄いのだが、
そのぶんダークでおどろおどろしい空気感に包まれていて、ことドゥーミィという点では、
この時点ですでに最高のサウンドを作り出している。ツーバスを使った適度に激しさのあるドラムも
重厚な迫力を付加していて、随所にツインギターによるメロディックなフレーズもよい感じだ。
後の多くのバンドに影響を与える存在となる、北欧エピック・ドゥームメタル誕生のアルバムである。
ドラマティック度・・8 ドゥーム度・・9 ダーク度・・8 総合・・8
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CANDLEMASS 「Nightfall」
スウェーデンのドゥームメタル、キャンドルマスの1987年作
トーマス・コールによる絵画をジャケにあしらった2作目で、次作と並ぶバンドの代表作。
本作から新たにヴォーカルにメサイア・マーコリンが加わり、リードギター、ドラムも替わって、
黄金期のラインナップが揃う。壮大なスケール感のイントロから、メサイアの朗々とした歌声が響き渡り、
ツインギターのリフとともにミドルテンポのドラマティックなドゥームメタルが展開される。
ハイトーンを使いこなす歌えるヴォーカルの存在も含め、正統派メタル寄りの感触が増していて
ダークでありつつも随所にメロディックなギターフレーズがヨーロピアンな叙情性をかもしだす。
のちのSolitude Aeturnusにも影響を与える、重厚なエピック・ドゥームメタルを完成させた傑作である。
ドラマティック度・・8 ドゥーム度・・8 エピック度・・8 総合・・8.5
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CANDLEMASS 「Ancient Dreams」
スウェーデンのドゥームメタル、キャンドルマスの1988年作
トーマス・コールの印象的な絵画をあしらったジャケで、ファンにも人気の高いアルバムである。
前作で完成させた重厚なエピック・ドゥームメタルを、そのまま推し進めたというサウンドで、
ツインギターによる有機的なリフとフレーズがより際立ってきて、中音域で歌い上げるヴォーカルも
伸びやかな表現力で楽曲に説得力を与えている。スローよりもミドルテンポの曲調が増えたことで、
また少し正統派メタル寄りの感触になってきているのだが、ダークなドゥーム色が失われたわけではない、
そういう点ではバランスのとれた作品であるともいえる。ドゥームメタル初心者は本作あたりからどうぞ。
ドラマティック度・・8 ドゥーム度・・7 エピック度・・8 総合・・8
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CANDLEMASS 「Tales of Creation」
スウェーデンのドゥームメタル、キャンドルマスの1989年作
なんとなく宗教っぽいジャケで、その昔ジャケ買いしてしまったという記憶があるのが本作である。
スケール感を描くような語りを乗せて始まり、ツインギターの巧みなリフが厚みのあるサウンドを描きながら、
適度な疾走感とメロディックな要素がさらに強まったことで、一般のメタルリスナーにも聴きやすいだろう。
ドゥームメタルというよりは、むしろドゥーム風味のエピックメタルというべきか。様式美なインストナンバーもあったり、
メサイアの朗々とした歌声と叙情的なギターフレーズの絡みが、湿り気のあるドラマティックな味わいを生み出していて、
あるいは正統派の北欧パワーメタルとしても楽しめるかもしれない。黄金期のラスト作というべき好アルバムだ。
ドラマティック度・・8 ドゥーム度・・7 エピック度・・8 総合・・8
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Candlemass
スウェーデンのドゥームメタル、キャンドルマスの2005年作
1986年にデビュー、BLACK SABBATHのダークさをよりスケールの大きいドラマティック性で包み込んだ
独自のエピック・ドゥームサウンドで多くのファンから支持を受ける。80年代の黄金期をへて、
1999年までに7作を発表、その後バンドは活動休止するが、2002年になって復活する。
本作はメサイア・マーコリンはじめとする黄金期のメンバーが集結した復活アルバムである。
ヘヴィなギターリフ乗せたミドルテンポで聴かせる正統派メタル寄りの質感は、
メサイアのパワフルな歌声とともに、往年のサウンドをより重厚にした作風で、
ブランクを感じさせない説得力に包まれている。これはオールドファンも納得の仕上がりだろう。
ドラマティック度・・7 重厚度・・8 正統派度・・8 総合・・8
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Candlemass「King Of The Grey Islands」
スウェーデンのドゥームメタル、キャンドルマスの2007年作
メサイア・マーコリンの二度目の脱退により、アメリカのドゥームメタル、SOLITUDE AETURNUSから
ロバート・ロウが正式加入、ツインギターのリフにロバートの朗々としたヴォーカルを乗せ、
適度に正統派メタル寄りのノリを含んだ、重厚なエピックドゥームメタルは不変で、
ヴォーカルが代わって、むしろさらに濃密かつパワフルな聴き心地になっている。
随所にドラマテイックなフックと甘すぎない叙情を感じさせる楽曲構築もさすがで、
ベテランらしい音の説得力には有無を言わせぬものがある。安定の充実作です。
ドラマティック度・・8 ドゥーム度・・8 正統派度・・8 総合・・8
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Candlemass「Death Magic Doom」
スウェーデンのドゥームメタル、キャンドルマスの2009年作
本作はヴォーカルに、Solitude Aeturnusのロバート・ロウを迎えてからの2作目となる。
ヘヴィなギターリフでたたみかけるほどよい疾走感は、アナログ回帰志向が高まりつつある現在においては
古くささよりもむしろ心地よいグルーブ感とともに、楽曲のドラマティックさを力強く演出している。
もちろん以前から彼らの持ち味でもあった、正統派メタル的でもあるメロディアス性も健在で、
ドゥーミィなヘヴィさとベテランらしい誇り高い空気感を巧みに同居させている。見事な傑作だ。
ドラマティック度・・8 ドゥーム度・・8 重厚度・・8 総合・・8
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Candlemass 「Ashes to Ashes」
スウェーデンのエピックドゥームメタル、キャンドルマスのライブ作品。2010年作
2009年スウェーデン・ロックフェスでのステージを収録したCDに、DVDには同映像とアテネでのライブを収録。
朗々とした中音域のロバート・ロウの歌声と重厚なツインギターで聴かせるドゥームメタルは
ライブ音源でも迫力十分。ベテランらしい堂々たる演奏で、説得力あるサウンドを描いてゆく。
音質も良好で、盛り上がる観客の歓声も含めて、臨場感あるライブサウンドが楽しめる。
復活後のナンバーを中心にしつつ、「Epicus Doomicus Metallicus」、「Nightfall」など
初期のアルバムからのナンバーも取り上げていて、往年のファンにも嬉しいかぎり。
ラストはRAINBOW“Kill The King”のカヴァーで締めくくる。DVDの映像もじっくり味わいたい。
ライブ演奏・・8 ドゥーム度・・8 重厚度・・8 総合・・8
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CANDLEMASS「Psalms for the Dead」
スウェーデンのエピックドゥームメタル、キャンドルマスの2012年作
2005年の復活作から数えて5作目であるが、本作を最後にバンドは解散を宣言したことで、
事実上のラストアルバムとなった。重厚なギターリフとともにアナログ感のただよう
正統派のヨーロピアン・ドゥームというべき、古き良きメタルサウンドは本作も変わらず、
説得力あるロバート・ロウの歌声がパワフルに響きわたる。ドゥームとしてのヘヴィさはもちろん、
今作では随所にメロディックなギターフレーズやうっすらとしたシンセアレンジなども含ませて、
よりダークでドラマティックな雰囲気を強めている。ラストとするには惜しいばかりの傑作である。
ドラマティック度・・8 ドゥーム度・・8 重厚度・・8 総合・・8
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CANDLEMASS 「Epicus Doomicus Metallicus Live at Roadburn 」
スウェーデンのエピックドゥームメタル、キャンドルマスのライブ。2013/2019年作
LPのみで限定発売されていた、1986年デビュー作を完全再現した、2011年のオランダでのライブをCD化。
オリジナルヴォーカルであるヨハン・ラングクイストを迎えての編成で、ツインギターの重厚なリフに
存在感のあるヨハンの歌声を乗せて、ダークでウェットなドゥームメタルサウンドを聴かせる。
ロバート・ロウの朗々とした歌声に比べると、ヨハンの声質はよりアンダーグラウンドな怪しさを感じさせて、
とくにこの1stの作風にはよくマッチしている。マッツ・ビョークマンのギターを中心に、ベテランらしい確かな演奏力で、
25年の時を経て蘇った、「Epicus Doomicus」が楽しめる。これぞ元祖エピック・ドゥームメタルである。
ライブ演奏・・8 ドゥーム度・・8 重厚度・・8 総合・・8
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CAPILLA ARDIENTE「 Bravery,Truth and the Endless Darkness」
チリのドゥームメタル、カピラ・アルディエンテの2014年作
ツインギターの重厚なリフとスローすぎない適度なノリの良さで、正統派メタル寄りのサウンドを聴かせる。
朗々とした男くさいヴォーカルも含めて、雰囲気としてはプエルトリコのDantescあたりに近いだろうか。
10分以上の大曲が中心で、確かな演奏力が描き出すドラマティック性とエピックな香りは気持ち良い。
随所に叙情的なメロディを奏でるギターのセンスもよい感じで、正統派パワーメタル好きの方にも楽しめるだろう。
チリにはProcessionという素晴らしいバンドがいるが、このバンドもそれに負けないレベルである。
ドラマティック度・・8 正統派度・・8 エピック度・・8 総合・・8
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Capilla Ardiente 「The Siege」
チリのドゥームメタル、カピラ・アルディエンテの2019年作
5年ぶりとなる2作目で、重厚なギターリフに朗々としたヴォーカルを乗せた
CABDLEMASSルーツの古き良きスタイルの正統派エピック・ドゥームメタルを聴かせる。
10分前後の大曲4曲という構成で、決してスロー過ぎないどっしりとしたリズムとともに、
ギターリフには王道のメタル感があるので、ドゥームが苦手な方でも楽しめるだろう。
全曲長いので、気の短い方には向かないが、本格派のエピックドゥームが好きならぜひ。
ドラマティック度・・7 ドゥーム度・・7 正統派度・・8 総合・・8
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Cardinals Folly 「Strange Conflicts of the Past」
フィンランドのドゥームメタル、カージナルズ・フォリーの2013年作
2008年EP「HERETIC'S HANPGOVER」、2009年EP「ORTHODOX FACES」に加え、
未発表音源となる、THE COVEN時代の2006年EP「BELTANE」の音源を収録。
サバスルーツのギターリフと朗々としたヴォーカルによる正統派のドゥームメタルであるが、
正規1stアルバム以上にカルトで退廃的、そしてミスティックなサウンドが繰り広げられる。
アルバムを聴いてこのバンドを気に入った方なら、本作も必聴だろう。
ドラマティック度・・8 ドゥーム度・・9 妖しげ度・・9 総合・・8
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Cardinals Folly 「Such a Power Is Dangerous」
フィンランドのドゥームメタル、カージナルズ・フォリーの2011年作
THE COVENを前身とするトリオ編成のバンドで、アンダーグラウンドな妖しさに包まれた
カルトなドゥーメタルサウンド。ねばりつくようなギターリフに、どこかシアトリカルなヴォーカルで、
同郷のReverend Bizarreよりも、さらにおどろおどろしく、魔術めいた世界観がたまらない。
Pagan Altarあたりのミステリアスの雰囲気をよりヘヴィにしたようなという言い方もできる。
ほとんどの楽曲は10分前後の長さで、長尺が苦手な方には向かないが、闇に浸れる方はぜひ。
ドラマティック度・・8 ドゥーム度・・8 妖しげ度・・9 総合・・8
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Cardinals Folly 「Our Cult Continues!」
フィンランドのドゥームメタル、カージナルズ・フォリーの2014年作
ノイジーなギターと呪文をの詠唱のようなスキャットによる1曲目からして、カルトな怪しさぷんぷんであるが、
アナログ感たっぷりのそのミスティックなドゥームメタルサウンドには、さらに磨きがかかっている。
歪みまくりのギターとスタジオ一発録りのようなドラム、音量バランスのバラつきもおかまいなしという生々しい演奏が
聴き手を圧倒する。アンダーグラウンドへの退行こそが、深化であるというバンドの意思が伝わってくるようだ。
トリオ編成という点も含めて、解散した同郷のReverend Bizarreをさらにいかがわしくしたような強力な一枚だ。
ドラマティック度・・8 ドゥーム度・・9 妖しげ度・・9 総合・・8
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Cardinals Folly 「Holocaust of Ecstasy & Freedom」
フィンランドのドゥームメタル、カージナルズ・フォリーの2016年作
過去作もカルトな妖しさぷんぷんの強力なサウンドだったが、3作目となる本作も
古き良き感触のギターを乗せ、ヘタウマなヴォーカルとともにサタニックなドゥームメタルを聴かせる。
ハードロック寄りの遅すぎないノリもありつつ、アンダーグラウンドな妖しさに包まれたマイナー臭さが
このバンドの持ち味であり、今作では初期Black Sabbathの世界観を突き詰めたような感じが強まった。
正直、これといった新鮮味はないのだが、この頑固一徹なドゥーム愛こそあっぱれというものだろう。
ドラマティック度・・7 ドゥーム度・・8 古き良き度・・8 総合・・8
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Cardinals Folly 「Deranged Pagan Sons」
フィンランドのドゥームメタル、カーディナルズ・フォリーの2017年作
2008年にデビュー、本作は4作目のアルバムで、ギター、ベース、ドラムというトリオ編成の
シンプルなアンサンブルで、アナログ感たっぷりのオールドなドゥームメタルを聴かせる。
遅すぎないテンポのノリに、ジェントルなヴォーカルを乗せ、いくぶんのメロディアス性とともに、
北欧のバンドらしい翳りを含んだ空気に包まれた、ヴィンテージなハードロックとしても楽しめる。
随所にダミ声ヴォーカルも加えて、過去作からの流れのアンダーグラウンドな妖しさも覗かせつつ、
全体的にはストレートなノリでいくぶん聴きやすくなった。いわば適度なカルト感の王道ドゥームですね。
ドラマティック度・・7 ドゥーム度・・8 アナログ度・・9 総合・・8
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CASTLE「BLACKLANDS」
アメリカのサイケ・ドゥームロック、キャッスルの2012年作
女性Vo/Bを擁するトリオ編成で、Black Sabbath的な古き良きハードロックの感触を
アナログ感たっぷりのアンサンブルで聴かせる、ストーナー風味のドゥームロックサウンド。
どこかけだるげなエリザベス嬢の歌声とともに、サイケな浮遊感も含んだ楽曲は、
これといった目新しさはないものの、レトロ気味のロックが好きな方には普通に楽しめるだろう。
個人的にはジャケのようにもっと魔術的な妖しさが欲しい気がする。
ドラマティック度・・7 アナログ度・・8 ドゥームサイケ度・・8 総合・・7.5
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Castle「Under Siege」
アメリカのサイケ・ドゥームロック、キャッスルの2014年作
前作「Blacklands」はサバス風味のオールドなサイケ・ドゥームメタルであったが、
本作では、いくぶんメタリックな勢いのあるノリが強まった感じで、古き良きメタル感をかもしだす
ギターリフは適度なヘヴィさを保ち、B&Voのリズ・ブラック・ウェル嬢のけだるげな歌声を乗せて、
正統派の魔女系HR/HMを聴かせる。相変わらずこれという新鮮味はないのだが、
シンプルな音数の中にカルトな妖しさを漂わせつつ、あくまでメタルとしての勢いも残しているのはさすが。
今作はギターワークの充実ぶりも含めてNWOTHM的にも楽しめるだろう。
ドラマティック度・・7 古き良き度・・8 妖しげ度・・7 総合・・7.5
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Castle 「Welcome To Graveyard」
アメリカのドゥームロック、キャッスルの2016年作
2011年にデビュー、本作が4作目となる。本作では、男女二人組のユニット編成になり、
オールドなギターリフにハスキーな女性ヴォーカルで聴かせる、ヴィンテージなドゥームロックを聴かせる。
ベース&ヴォーカルのリズ・ブラックウェル嬢の魔女めいた歌声が、ウェットな妖しさをかもしだし、
サバスルーツのフレーズを奏でるギターのセンスも含めて、サウンドの強度がひとつ上がった印象だ。
サイケ的な浮遊感もいくぶん残しつつドゥームとしての迫力も同居した力作。アナログ感ある音質もよいですね。
ドラマティック度・・7 ドゥーム度・・8 古き良き度・・9 総合・・8
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CATHEDRAL「In Memoriam」
英国のドゥームメタルバンド、カテドラルのデビュー前のデモと、ライブ音源を収録したアルバム。
2nd以降、一般的なHRファンに聴かれるドゥームメタルバンドとなった彼らだが、
自分が一番好きなのは絶望的な暗黒性が漂う1st「Forest of Equilibrium」であった。
なので、ここで聴ける初期の音源は、デスメタルの重さをそのまま持ち込んだような、
まさに悪夢にうなされそうなサウンドで、自分にとっては素晴らしく楽しめる。
どの曲も長く、病的にスローでそして重い。リー・ドリアンのデス声ヴォーカルとともに
これぞドゥームメタルの黎明と叫びたい。1991年のライブ音源は1st収録に近いバージョンで
重量級の曲たちが超低速に演奏されていて、最初期のファンにとっては嬉しい内容だ。
ドラマティック度・・7 病的度・・9 暗黒ドゥーム度・・10 総合・・7.5
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Cathedral 「The Ethereal Mirror」
英国のドゥームメタルバンド、カテドラルの2nd。1993年作
前作での極端なまでのスローなフューネラルドゥーム路線から、本作ではよりBlack Sabbath色を強めた作風で
テンポ的にも聴きやすいHRとしてのノリが強まっている。いわば異端からサバスを受け継ぐ王道のドゥームへと深化し、
より多くのリスナーを獲得するだけのクオリティが加わったことは、バンドの未来を確かなものにしたという点でも、
意義の大きな作品となった。ヘヴィさを失わずに、グルーヴィなノリを強めながら、独自の混沌とした世界観をストレートに構築する
リー・ドリアンの目指すサウンドがすでに強固に完成されている。サイケで怪しげなアートワークのイメージがぴったりとくる傑作だ。
ドラマティック度・・8 正統派ドゥーム度・・8 英国度・・8 総合・・8
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CATHEDRAL 「Statik Majik」
イギリスのドゥームロックバンド、カテドラルの企画アルバム。1994作
2nd発表前後のミニアルバムに、シングル、ライブ音源を収録した全70分以上。
暗黒ドゥーム路線の1stが最高という私にとっては、初期の楽曲の方がやはり性に合う。
とくに20分を超える大曲“The Voyage of the Homeless Sapien”は圧巻で
ドゥーミーな曲調に、ヒッピー的な要素とある種の壮大さが加って、大変聴き応えがある。
1992年作の3曲は、1stと2ndの中間的な雰囲気で、ヘヴィな暗さが残っていてなかなかよい。
アルバムとしてのトータル感はないが、偉大なるドゥームロックバンドとしての確かな足跡が聴ける。
ドラマティック度・・8 サイケ・ドゥーム度・・8 暗黒ドゥーム度・・8 総合・・7.5
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Cathedral 「The Carnival Bizarre」
英国のドゥームメタルバンド、カテドラルの3rd。1995年作
世界的な評価を得た前作「デカダンス」の路線を受け継いで、より普遍的に仕上がった作品。
グルーヴィでサイケ的なノリの良さはさらに強まり、ギターのフレーズにはオードスタイルのHR色に
70's英国ロック的な感触も増している。古典的ハードロックとしてのスタイルがドゥームと融合した、
いわばこのヴィンテージな作風こそが、今後のバンドのひとつの指針となってゆくわけだ。
前作ほどのインパクトはないが、手堅く深化を遂げた好作品である。
ドラマティック度・・7 サイケドゥーム度・・8 英国度・・8 総合・・7.5
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CATHEDRAL「Caravan Beyond Redemption」
イギリスのドゥームメタルバンド、カテドラルの5th。1998作
沈み込むようなスローなドゥームメタルサウンドで衝撃を与えたデビュー作から
より英国ロック的なヴィンテージ感覚をまとわせて深化してきたこのバンド。
2nd以降の集大成ともいえるのが本作だろう。サーカスを思わせるようなイントロから
BLACK SABBATHの影響を思わせるギターリフとともに、サイケがかったドゥーミィさで
濃密なハードロックを展開。パーカッションやメロトロンの音色なども取り込んで
70年代プログレ的な色合いを覗かせるなど、飽きさせずに聴かせる説得力が加わった。
ドラマティック度・・8 正統派ドゥーム度・・8 英国度・・8 総合・・8
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CATHEDRAL「Endtyme」
イギリスのドゥーム・ロックバンド、カテドラルの6th。2001作
本作はダークでドゥーミーなイントロからして初期の香りが漂っていて
楽曲にもコマーシャルな質感はほとんどなく、ヘヴィなギターをたっぷり聴かせてくれる。
ただ、全体的に確かにドゥームメタルとしての復活を感じさせるサウンドながらも、
1stにあった病的な妖気までは感じられない。BLACK SABBATH風のヘヴィさというか、
グルーヴィなドゥームロックというか…これが彼らなりのひとつの答えだったのだろう。
ドラマティック度・・7 ヘヴィ度・・8 ドゥーム度・・8 総合・・7.5
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CATHEDRAL「The Garden of Unearthly Delights」
英国のドゥームメタルバンド、カテドラルの8th。2005作
独自の世界観でドゥームメタルというものを深化させてきたリー・ドリアン率いるこのバンド、
本作も古き良きアナログ感覚をまぶした、サイケ、ストーナー的な英国ドゥームロックを聴かせる。
BLACK SABBATHから受け継がれてきたヘヴィなギターリフを中心に比較的ストレートな楽曲が続くが、
ときおり80年代ハードロック的なキャッチーさも出てきて、ヘヴィさと聴きやすさを両立させている。
そしてラストは27分におよぶ女性Vo入りの大曲で、これは次作のプログレ路線への布石ともいえる出来。
ドラマティック度・・8 ドゥーム度・・7 英国度・・8 総合・・8
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CATHEDRAL「The Guessing Game」
英国のドゥームメタルバンド、カテドラルの9th。2010年作
今作はCD2枚組の大作で、前作から兆しのあったプログレ的な質感を押し進めた作風で、
シンセの使用度が増している。広げると輪廻転生を思わせる壮大なアートワークとともに、
コンセプチュアルな香り漂う雰囲気に、レトロなヴィンテージロック調のやわらかみがある。
うっすらとしたメロトロンの響きも含めて、これまで以上にアナログ感覚をまとわせたサウンドは、
ドゥーミーなヘヴィさよりもむしろサイケロック的な浮遊感が強まっていて、
これは70'sロック、プログレのリスナーなどにも大いにアピールするだろう。
ドラマティック度・・8 サイケプログレ度・・8 英国度・・8 総合・・8
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Cathedral 「Anniversary」
イギリスのドゥームメタル、カテドラルのライブアルバム。2011年作
結成20周年を記念し、ロンドンで行われたライヴを収録した2枚組のライブアルバムで、
Disc1には、なんと伝説の1st「Forest of Equilibrium」をオリジナルメンバーで完全再現。
沈み込むようなスローテンポと、ドゥーミィなダークさが衝撃的だったあの名作が
20年の年月をへて甦る様は感動的だ。これぞカテドラル。これぞドゥームメタルである。
Disc2は過去作から選曲されたベストライブ的セットで、ドゥーム、ストーナー、サイケ、70'ロックの要素を、
独自の世界観で昇華させてきたバンドとしての深化、そしてブレのなさをあらためて確認できる。
ドラマティック度・・8 ライブ演奏・・9 ドゥーム度・・9 総合・・8
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Cathedral 「The Last Spire」
イギリスのドゥームメタル、カテドラルの2013年作
1991年にデビューし、その極端にスローでダークなスタイルは衝撃を呼んだが、
リー・ドリアンの70年代的懐古主義とともに、そのアナログ志向のサウンドはアルバムを追うごとに強まり、
前作ではいよいよプログレ的になりつつあった。そしてちょうど10作目となる本作は、カラスの鳴き声と鐘の音で幕を開ける、
まるで葬送の響きのように…バンドの終焉を告げる作品となった。ヘヴィなギターリフでスローに聴かせる、
初期に戻ったかのようなサウンドはドゥームメタルとしての本質に回帰した、彼らの最後の意思表示だろう。
いつもながらリー・ドリアンの抜けの悪いヴォーカルと、うねりのあるグルーブが心地よい。
これだけの作品を最後に作れるのだから、いつ復活してもよい気がする。
ドラマティック度・・7 ドゥーム度・・9 アナログ度・・8 総合・・8
Christian Mistress 「Possession」
アメリカのメタルバンド、クリスチャン・ミストレスの2012年作
アナログ感たっぷりのギターに、ハスキーな女性ヴォーカルの歌声で聴かせる、古き良き感触のHR/HM。
ドゥーム色はさほどなく、ツインギターを乗せたノリのあるリズムで、正統派のNWOTHMとしても楽しめる。
80年代を感じさせるオールドなカルトメタル風味と、英国HRルーツのブルージーな味わいに
ほどよくメロディアスな叙情性を同居させた聴き心地で、艶めいた女性声もなかなか魅力的な好作品だ。
メロディアス度・・8 古き良き度・・8 女性Vo度・・8 総合・・7.5
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COHEED AND CAMBRIA 「The Second Stage Turbine Blade」
アメリカのメロディック・ロックバンド、コヒード・アンド・カンブリアの1st。2002年作
エモーショナルなキャッチーさと、プログレ的な知的センス、メロウなギターにグルーヴィなリズム、
そしてクラウディオ・サンチェスの個性的な歌声で聴かせる、独自のメロディックロック・サウンドは
本作の時点ですでに確立されている。適度にヘヴィな感触も随所に覗かせながら、全体的にはあくまでマイルド。
コンセプチュアルなドラマ性とともに、スケールの大きな知的ロックが堪能できる。デビューから傑作!
メロディアス度・・8 ドラマティック度・・8 プログレッシヴエモ度・・8 総合・・8
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COHEED AND CAMBRIA「IN KEEPING SECRETS OF SILENT EARTH:3」
アメリカのメロディック・ロックバンド、コヒード・アンド・カンブリアの2nd。2003作
ちょっと聴きには、キャッチーなメロディックロックという印象であるが、その実、奥深い世界観を感じさせる知的センス。
メランコリックなギターフレーズも含みつつ、軽快さとポップセンスを同居させた、現代アメリカ的なサウンドでもある。
ラウドさは薄めでメロウな繊細さが耳に心地よく、3拍子系の曲が目立つのはMARS VOLTA同様、最近の流れなのだろう。
各アルバムにはストーリーがあるらしいが、2ndなのに何故「3」なのかというと、1stは2章から始めたというわけで、全4章で完結するらしい。
メロディアス度・・8 メランコリック度・・8 プログレッシヴエモ度・・8 総合・・8
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COHEED AND CAMBRIA「Good Apollo, I'm Burning Star IV, Vol. 1: From Fear Through the Eyes of Madness」
アメリカのメロディック・ロックバンド、コヒード・アンド・カンブリアの3rd。2005年作
2年ぶりとなる3作目。相変わらず大仰なタイトル…というか、前作の続きなのかそうではない別シリーズの始まりなのか、よくわからん。
さて、クラシカルな美しいイントロに思わず聴き入り、ドラマティックで重厚なBでこのバンドの素晴らしさを再認識。
ノリの良いロック調のCはギターの重ねが気持ち良いし、キャッチーで軽快なDもなかなか。ただ今回も70分オーバーの大作なので、
どうしても中盤で聴いていてだれてしまう。前半の緊張感に比べるとF〜Hあたりはただのエモロックになってしまっていて、
決して出来は悪くないのだが、アルバム全体からすればいくらか密度を下げてしまっている。ラストの大曲4部作などは、
このバンドのプログレッシプなアレンジセンスが存分に活かされ、リズムアプローチが気持ち良く、プログレ/メタル好きにも支持される要素が詰まっている。
メロディアス度・・8 ドラマティック度・・8 プログレッシヴエモ度・・8 総合・・8
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COHEED AND CAMBRIA 「NO WORLD FOR TOMORROW」
アメリカのプログレ・ロックバンド、コヒード・アンド・カンブリアの4th。2007年作
もともとがただのエモーショナルロックとは思えないドラマ性をもったバンドだったが、ここに来てそれに拍車がかかり、
今作の音には風格すら漂わせている。前作からその傾向はあったのだが、全体を包むコンセプチュアルな物語性がいっそう機能し、
近未来SF的なジャケとともに、イメージとしてのスケール感が増している。キャッチーな歌メロと絡むギターもけっこうハードになり、
かっこいいフレーズを連発、ときにDREAM THEATERをも思わせるプログレッシブなドラマ性で聴かせてくれる。
前作同様に中盤はややだれる感じもするが、ラストの24分の組曲は圧巻。メタル、プログレ、エモ、ポストロック、全てのリスナーが聴ける作品だ。
メロディアス度・・8 ドラマティック度・・8 プログレッシヴエモ度・・9 総合・・8
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COHEED AND CAMBRIA「Year of the Black Rainbow」
アメリカのプログレ・ロックバンド、コヒード・アンド・カンブリアの5th。2010年作
DREAM THEATERばりのプログレメタリックなドラマ性が見事だった前作に続き今作もダイナミックな展開とプログレ的な構築美が素晴らしい。
いつになく感情むき出しで歌いあげるヴォーカルと、変則リズムでたたみかけるサウンドはダークな叙情を含ませたストーリーと
コンセプトの世界観を描き出しながら、聴き手を引き込むような緊張感をもたらしてくる。モダンなヘヴィさを上手に取り入れつつ、
あくまでエモ的な叙情にもこだわっているのがこのバンドらしい。隙のない傑作。
ドラマティック度・・9 ProgMetal度・・8 壮大度・・9 総合・・8.5
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Coheed & Cambria「The Afterman: Ascension」
アメリカのプログレ・ロックバンド、コヒード・アンド・カンブリアの6th。2012年作
「ジ・アフターマン・第一章」と題された本作は、新たなるコンセプトストーリーの序章となるアルバムで、
ゆるやかなイントロに続き、曲が始まると、クラウディオの情感的な歌声とともに、
ProMetal的的な躍動感に溢れるサウンドが広がってゆく。キャッチーなメロディのコヒード節は健在で、
適度なヘヴィさとともにスケールの大きな物語を描き出してゆく。ノイズの入るややラウドな音質も
計算に入れたような迫力を感じさせ、序章としてのつかみは充分。早くも次作が楽しみである。
ドラマティック度・・8 プログレ度・・7 構築度・・8 総合・・8
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COHEED AND CAMBRIA「Neverender」
アメリカのプログレ・ロックバンド、コヒード・アンド・カンブリアのライブDVD。2009作
1st〜4thアルバムを、4日かけて完全再現するという、プログレ的発想のライブアルバム。
スタジオアルバムの方も、メタルやプログレ、エモなどの要素を取り込みつつ、それをナチュラルに融合させた、
ドラマティックなロックサウンドが見事であるが、このライブ演奏においても、その豊穣なセンスを遺憾なく発揮、
随所にテクニカルなパッセージを織り込んで、メロウな叙情とロックとしての躍動感、ProgMetal的な構築力で聴かせる演奏が素晴らしい。
キャッチーな聴き心地と適度に力の抜けた自然体のグルーブ、たとえばPINK FLOYDやDREAM THEATERなどの要素を内包しつつ、
決して派手さや激しさにはとらわれない、絶妙の立ち位置が心憎い。プログレ、メタルという垣根を超えた、知的なドラマティックロックだ。
ドラマティック度・・9 ライブ演奏・・9 知的ビジョン・・9 総合・・9
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Coheed And Cambria 「The Color Before the Sun」
アメリカのプログレ・エモーショナルロック、コヒード・アンド・カンブリアの2015年作
2001年にデビューしてから本作で8作目。前作は2作に分かれた壮大なコンセプト作であったが、
今ではのっけからキャッチーな爽快さに包まれて、クラウディオのエモーショナルな歌声とともに、
ポップでノリのよいコヒカンサウンドが広がってゆく。アメリカのバンドらしいシンプルな躍動感が増した反面、
プログレッシブな感触は抑えめなので、個人的には少し物足りなさも感じてしまうのだが。
このバンドのキャッチーなメロディアス性が好きならば、普通に楽しめる出来だと思う。
反面、曲調の幅の狭さがそろそろ新鮮味不足にもなっていて、今後の深化に期待したい。
メロディック度・・8 プログレ度・・7 新鮮度・・7 総合・・8
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COHEED AND CAMBRIA 「THE UNHEAVENLY CREATURES」
アメリカのプログレ・エモーショナルロック、コヒード・アンド・カンブリアの2018年作
2002年にデビューし、本作が9作目。前作はわりとシンプルな作風でいくぶん物足りなさもあったが、
今作はジャケのイメージからしてSF的なコンセプト性を感じさせる。語りを含んだ映画的なイントロから、
メロディックなギターにエモーショナルなヴォーカルを乗せて、ProgMetal的でもあるほどよくハードで
スタイリッシュな構築力と、キャッチーな歌もの感触がバランス良く同居したサウンドを聴かせる。
楽曲自体は、これまでの作品同様、優雅なエモーショナルロックのプログレ風味という感じであるが、
ときにQUEENにも通じるキャッチーな優雅さも含めて、じっくりと楽しめる。全79分というという力作だ。
ドラマティック度・・8 プログレ度・・7 優雅でキャッチー度・・8 総合・・8 過去作のレビューはこちら
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Confessor 「Condemned」
アメリカのドゥームメタル、コンフェッサーの1992年作
長らく廃盤だった、変態系テクニカル・ドゥームメタルの名作が2015年に再発された。
ヘヴィなギターリフとハイトーンヴォーカルを、スローでありながら変則リズムに乗せた
異色のサウンドは、当時では先鋭的すぎておそらくキワモノ扱いされたことだろう。
ブックレットには何故か名前が乗っていないスティーブ・シェルトンのドラムこそがアンサンブルの核であり、
空間的なグルーブ感も含めて、そのプレイセンスは素晴らしい。あまり金がかかってなさそうな録音が残念だが、
ヘンタイ気味で異形のドゥームメタルが楽しめる傑作である。2005年の復活作「Unraveled」も必聴です。
ドラマティック度・・7 テクニカル度・・8 ヘンタイ度・・8 総合・・8
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CONFESSOR「Unraveled」
変態系ドゥームメタルバンド、コンフェッサーの2nd。2005作
1992年に1作のみを残しそのまま消えたかと思われたこのバンドが、なんと10数年ぶりに復活した。
サウンドの方はドゥーミーなスローさと、変則リズムの嵐による変態系サウンドで
浮遊感のあるヴォーカルがややミスマッチながら、アンサンブルがしっかりとしていて案外聴きやすい。
要となるのは、なんといってもスティーブ・シェルトンの超絶なドラムプレイで、
絶妙のタメとグルーブを作り出しながらも、怒濤の変拍子を叩く様は圧巻だ。
昨今なかなか珍しい遅めの変態系メタルということで、じっくりと聴き込んで悶絶しよう。
メロディアス度・・6 遅いけどテクニカル度・・8 遅いけど変態度・・9 総合・・8
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CONFESSOR「Live in Norway」
アメリカのテクニカル・ドゥーム・スラッシュメタルバンド、コンフェッサーのライブDVD。2006作
1992年にアルバムを1枚出してそのまま消えたかと思われたこのバンドが、2005年に復活。
2nd「Unraveled」を発表、その年に行ったノルウェーでのライブを収録したのがこのDVDだ。
曲調はやや古めかしいスラッシーなリフと、ゆったりとしたうねるようなリズムによるもので、
その変拍子だらけ、複雑なキメだらけの曲にハイトーンのヴォーカルが歌を乗せる。
分かりやすく言えばWATCHTOWERやMESHUGGAHをスローなドゥームメタル化したという
感じだろうか。そして、なんといっても最大の見所はスティーブ・シェルトンのドラムプレイで、
類まれなるグルーブ感と、リズムのタメ、そのプレイのセンスには惚れ惚れする。
ボビー・ジャーゾンベク、ヴァージル・ドナーティと並びうる変態系最強ドラマーの一人だ。
ライブ作品としても、音質、映像ともに抜群の作りで、とくにカメラワークが素晴らしく
ドラムカメラがあるおかげで、じっくりとこの超絶なドラミングを視覚的にも楽しめるのである。
テクニカルなリズムのメタルが好きな方、凄いドラマーのプレイを見たい方はまず必見。
廃盤の1st「Condemned」には高額なプレミアが付いているだけに、このDVDで聴けるのは貴重だ。
ライブ映像・・9 ライブ演奏・・9 変態リズム度・・10 総合・・9
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Corsair
アメリカのハードロック、コルサイアーの2013年作
女性ギタリストを含むツインギター編成で、80年代ルーツのオールドスタイルのHR/HMサウンド。
ヘヴィすぎないギターリフにときにブルージーな旋律や、ツインリードのフレーズを織り込んだ
哀愁を感じさせる古き良き叙情性に、ストーナーロック的なアナログ感あるアンサンブル。
ジェントルなヴォーカルの歌声を乗せた感触は、THIN LIZZYを思わせる雰囲気もあり、
適度な音の薄さも含めて、確信犯的なヴィンテージなハードロックサウンドである。
シンプルながら枯れた味わいと、耳心地の良いツインギターが楽しめる好作品だ。
ラスト曲ではギタリストの女性が歌っていて、この女性声のしっとり路線も拡大するといいかも。
ドラマテイック度・・7 ツインギター度・・8 古き良きHR度・・9 総合・・7.5
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Count Raven 「Storm Warning」
スウェーデンのドゥームメタル、カウント・レイヴンの1990年作
カラスの鳴き声と雨音、妖しげなシンセによるイントロから、おどろおどろしい世界観が広がる。
楽曲が始まると、いかにもサバスルーツの歪んだギターリフと、いくぶん貧弱なヴォーカルを乗せた
正統派のドゥームメタルで、演奏力が平凡なこともあって、正直、サウンドの迫力という点では物足りない。
のちの作品に比べると、B級ドゥームの聴き心地が強いのだが、この垢抜けなさがなんとなく嫌いではない。
ドラマティック度・・7 ドゥーム度・・8 正統派度・・8 総合・・7
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Count Raven 「Destruction Of The Void」
カウント・レイヴンの2nd。1992年作
前作でヴォーカルのクリスチャン・リンダーソンが解雇され、トリオ編成となってのアルバム。
ギタリストのダン・ファンデリウスの歌声は、オジーに近い感触で、ドゥーミーなサウンドによくマッチしている。
スロー〜ミドルテンポの初期サバス系ドゥームメタルはそのままに、妖しい雰囲気により説得力が備わった。
ちょうど同時期のCathedralにも通じる聴き心地であるが、こちらの方がより70'sロック色がリフに感じられる。
曲によっては、けっこうはじけたギターソロも入ってきてノリノリになる。適度な激しさも含んだ好作品。
ドラマティック度・・7 ドゥーム度・・8 正統派度・・8 総合・・7.5
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Count Raven 「High On Infinity」
カウント・レイヴンの3rd。1993年作
一聴してサウンドはさらに重厚になり、うっすらとしたシンセアレンジに朗々としたヴォーカルで、
Candlemassなどにも通じる湿り気のあるエピックドゥーム的な質感がぐっと強まっている。
もちろんサバスルーツのザラついたリフによる王道ドゥーム感触も健在であるが、
8分を超える大曲なども含めて、大仰に聴かせるドラマティック性も備わっている。
前作を代表作とする向きもあるが、むしろ本作こそがバンドの最高傑作と言ってよい。
ドラマティック度・・8 ドゥーム度・・8 正統派度・・8 総合・・8
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Count Raven 「Messiah Of Confusion」
カウント・レイヴンの4th。1996年作
すでにこの時期、バンド内では軋轢があったらしいが、サウンド自体には微塵の変化もない、
重厚なギターリフを中心にした古き良きドゥームメタルのスタイルに、前作からの流れでもある
ドラマティックな展開も随所に覗かせる。全体的にはこれといって突出したものはないのだが、
派手さもなく重すぎず軽すぎないという中庸の安心感こそが、ドゥームの醍醐味なのかもしれない。
方向性に限界を感じたということもないだろうが、本作をもってバンドは解散となる。
ドラマティック度・・8 ドゥーム度・・8 正統派度・・8 総合・・8
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Count Raven 「Mammons War」
スウェーデンのドゥームメタル、カウント・レイヴンの2009年作
90年代に4作を残して解散したバンドが、リーダーのダンを中心に再結成。本作は通算5作目となる。
10年以上たっても本質的なサウンドは変わらない。サバスルーツの王道のギターリフに
オジースタイルのヴォーカルを乗せた、しごく正統派のドゥームメタルがここにある。
うっすらとしたシンセによる味付けも含めて、重厚でドラマティックな雰囲気もよろしく、
ほのかなエピック性に包まれた聴き心地で、これぞ、カウント・レイブンというべき好作品だ。
ドラマティック度・・8 ドゥーム度・・8 正統派度・・8 総合・・8
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Coven 13 「Destiny of the Gods」
アメリカのドゥームメタル、コヴェンの2013年作
1987年に作品を1枚残して消えたバンドのじつに26年ぶりとなる復活作。
古き良き感触のギターリフと朗々としたヴォーカルを乗せた、正統派メタル寄りのスタイルで
テンポ的にもアッパーなノリがあるので、ドゥームメタル好きでなくてもそれなりに楽しめる。
ローカルなB級臭さがエピックな味わいとなっていて、マニア受けしそうな怪しさもある。
楽曲のフックという点では正直物足りないのだが、カルトなドゥームメタルがお好きならいかが。
ドラマティック度・・7 ドゥーム度・・7 ローカル度・・8 総合・・7
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Cratophane
フランスのサイケ・ハード、クラトファネの2022年作
ハードなギターとうねりのあるベースを重ね、アナログ感に包まれた、ドゥームロックとサイケの中間のようなサウンド。
生々しいドラムとともに、いくぶんこもり気味の音質が、怪しげな空気感になっていて、うっすらとしたシンセアレンジも加わって、プログレ要素を含んだヴィンテージなドゥームロックとしても、オールインストのサイケロックとしても楽しめる。
スローテンポを基調に、ときに激しくたたみかけるパートやジャズロック風味もあったりと、一筋縄ではいかないヘンテコな味わいも面白い。
ドゥーム度・7 サイケ度・7 ヴィンテージ度・8 総合・7.5
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Crimson Dawn 「Chronicles Of An Undead Hunter」
イタリアのエピック・ドゥームメタル、クリムゾン・ドーンの2017年作
ツインギターにシンセを含む6人編成で、壮麗なイントロから、重厚なギターに朗々としたヴォーカルを乗せた、
正統派のエピック・ドゥームを聴かせる。オルガンを含むシンセがヴィンテージな味わいをかもしだし、
ときにメロディックなギターフレーズやメディーヴァルな女性コーラスなどが、サウンドを彩る。
楽曲のテンポも遅すぎず、ドゥームが苦手な方でも普通に正統派メタルとしても楽しめるだろうし、
ときにフォーキッシュなパートも覗かせるなど、中世イタリアを思わせるような世界観もよい感じだ。
ほどよく重厚なドゥーム感触とメロディックなメタルサウンドのバランスのとれた好作品である。
ドラマティック度・・8 エピックドゥーム度・・8 正統派度・・8 総合・・8
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Crippled Black Phoenix「Love of Shared Disasters」
イギリスのプログレ・ポストロックバンド、クリップルド・ブラック・フェニックスの2007年作
MOGWAIのドミニク・アイチソンとElectric Wizardのジャスティン・グリーヴスを中心にしたバンドで、
先に2作目、3作目を聴いていたが、このデビューアルバムでも、アナログ感たっぷりで
ほんのりダークな世界観を構築している。うっすらとした叙情性と、ときおり聴かせる
ロックとしてのダイナミズムが、サウンドのメリハリとなっていて、プログレ的なポストロック…
あるいは、Porcupine Tree系の薄暗系知的ロックとしても鑑賞可能。
ドラマティック度・・8 プログレ度・・7 薄暗度・・8 総合・・8
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Crippled Black Phoenix 「200 Tons Of Bad Luck」
イギリスのプログレ・ポストロックバンド、クリップルド・ブラック・フェニックスの2009年作
本作は、「The Resurrectionists & Night Raider」として2枚組で発表されたものを1枚にまとめたバージョン。
アナログ的なロックとポストロック風味の広がりのある、ゆったりとした叙情を聴かせるサウンドで、
古き良きロックの香りに、メロトロンやハモンド、ピアノを含めたシンセによる味付けと、
ときにチェロやヴァイオリン、トランペットなども加わって、素朴でありながらも壮大さをかもしだす。
ドラマティック度・・8 ポストロック度・・7 アナログ度・・8 総合・・8
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Crippled Black Phoenix「I,Vigilante」
イギリスのプログレ・ドゥームロックバンド、クリップルド・ブラック・フェニックスの2010年作
MOGWAIのドミニク・アイチソンとElectric Wizardのジャスティン・グリーヴスを中心にしたバンドで、
サウンドは古き良きドゥームロックの感触に、ポストロック的な広がりのある壮大さが加わったもの。
オルガンの音色を含めアナログ感たっぷりのアンサンブルが心地よく、薄暗い叙情を内包しつつ、
知性的な構築も感じさせるのがプログレ的か。第二次大戦バルジの戦いにおけるバストーニュの戦いを
テーマにするなど、コンセプト風味のストーリー性も感じられる。むしろプログレ、ポストロックのファン向けの力作。
ドラマティック度・・8 ドゥームロック度・・7 アナログ度・・8 総合・・8
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Crippled Black Phoenix 「Night Raider」
イギリスのプログレ・ドゥームロック、クリップルド・ブラック・フェニックスの2011年作
2007年にデビュー、本作は2009年に2枚組で発表された作品を、単体としてリマスター再発したもの。
語りによるSEではじまり、アナログ感あるアンサンブルにうっすらとしたシンセを重ね、薄暗い翳りに包まれた
ドゥーム感触のヴィンテージロックを聴かせる。ブルージーなギターにプログレ寄りのシンセワークで、
サイケな浮遊感をかもしだしつつ、じわじわと盛り上げてゆく様は、ダークなポストロックというところもある。
オルガンやメロトロン、ムーグシンセのオールドな味わいとともに、サイケなプログレドゥームに浸れます。
ドラマティック度・・7 プログレ度・・7 サイケドゥーム度・・8 総合・・7.5
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Crippled Black Phoenix「(Mankind)the Crafty Ape」
イギリスのプログレ・ドゥームロックバンド、クリップルド・ブラック・フェニックスの2012年作
第二次大戦「バストーニュの戦い」をテーマにした前作もドラマティックな傑作であったが、
本作は三章に分かれたCD2枚組の大作となった。PINK FLOYDを思わせるような
ゆったりとした叙情性の中に壮大なビジョンを描き出すポストロック的サウンドで、
ときおりシンセによる美しい味付けもあって、プログレファンにもアピールするだろう。
アナログ感をかもしだすギターワークに、ストーナーロック的な質感も織り込んで
ゆるやかなドラマを構築するようなスケール感が素晴らしい。じっくりと味わえる力作だ。
ドラマティック度・・9 壮大度・・9 プログレ度・・8 総合・・8.5
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No Sadness Or Farewell」
イギリスのプログレ・ドゥームロックバンド、クリップルド・ブラック・フェニックスの2012年作
前作の2枚組大作に続き、今年2作目となるアルバム。なんとも勤勉な創作活動である。
サウンドの方はゆったりと聴かせるポストロック的なもので、本作では美しいシンセアレンジも入って、
メロウなギターとともにアナログ感を漂わせたアンサンブルは、プログレ風味のやわらかな耳心地。
これまで以上にメランコリックな叙情が前に出ていて、歌入りの曲などはゴシックロック的な美しさもある。
女性声も入ったしっとりとした浮遊感の曲もあったり、このバンドの懐の深さを窺わせる一作だ。
ドラマティック度・・7 プログレ風味度・・8 叙情度・・8 総合・・8
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Crippled Black Phoenix 「Live Poznan」
イギリスのプログレ・ドゥームロック、クリップルド・ブラック・フェニックスのライブ作品。2013年作
2011年ポーランドでのライブステージをCD2枚に収録。アルバムにおけるポストロック的なスケール感はそのままに、
厚みのあるギターサウンドはより生々しく重厚で、オルガンなどを含むシンセワークとともに、
グルーヴィなアンサンブルを聴かせてくれる。3拍子系の曲などはマイルドなヴォーカルの歌声とともに、
Coheed and Cambriaにも通じるキャッチーさがあり、モダンプログレ、知的ロック好きの方ならとても楽しめるだろう。
Journeyのカヴァー“Of a Lifetime”では、女性シンセ奏者がヴォーカルをとり、
ラストは21分におよぶハード・サイケ的な組曲で、スペイシーなシンセアレンシを交えつつ
聴き手を圧倒するような迫力が素晴らしい。バンドの力量を遺憾なく見せつけるライブ作品です。
ドラマティック度・・8 プログレ度・・7 ライブ演奏・・8 総合・・8
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Crippled Black Phoenix 「White Light Generator」
イギリスのプログレ・ドゥームロックバンド、クリップルド・ブラック・フェニックスの2014年作
ポストロックやプログレ、ドゥームロックの要素もあるというセンス抜群のこのバンド、
本作は前半が「Black Side」、後半が「White Side」と分けられたコンセプト的なアルバムで、
ゆったりとした叙情の中にもロックとしてのグルーヴィなダイナミズムを描きながら、
壮大なストーリーを感じさせる知的な構築力が素晴らしい。これという派手さはないのだが、
シンセの入った厚みのある音像と、広がりのある浮遊感には引き込まれる。
あるいは、PINK FLOYDがメタル化するとこうなる…というようなイメージか。今回も傑作。
ドラマティック度・・8 プログレな壮大度・・8 構築センス・・9 総合・・8
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Crippled Black Phoenix 「Bronze」
イギリスのプログレ・ドゥームロック、クリップルド・ブラック・フェニックスの2016年作
2007年にデビュー、ポストロック、プログレ、ドゥームロックの要素を融合させたセンス抜群のバンド、
7作目となる本作は、物語的なナレーションとシンセによるイントロからコンセプト風の壮大さを感じさせ、
2曲目に入ると、ヘヴィなギターも加わった重厚なドゥームロック感触が現れる。オルガンやメロトロンに
変拍子を使用したリズムなど、プログレ的な要素を含ませつつ、どっしりとしたサウンドを描いてゆく。
一方では70年代的なオールドロックの感触も本作では強めてきていて、ブルージーな渋さも随所に覗かせる。
9分前後の大曲をじっくりと構築する力量とセンスもさすがで、後半には女性ヴォーカルを乗せたナンバーもあったり、
イーグルスのギタリスト、Joe Walshのソロ曲のカヴァーというのは渋いセレクトながら、世界観によくマッチしている。
ドラマティック度・・8 プログレ度・・7 重厚度・・8 総合・・8
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Crippled Black Phoenix 「Great Escape」
イギリスのプログレ・ドゥームロック、クリップルド・ブラック・フェニックスの2018年作
2007年にデビュー、プログレ、サイケ、ドゥーム、ポストロックなどを融合した独自の世界観で、本作は9作目あたり。
全73分のコンセプト作品で、うっすらとしたシンセに語りを含んだイントロから、ほどよくハードなギターに
マイルドなヴォーカルを乗せて、ゆったりと叙情的で翳り帯びたポストプログレ・サウンドを聴かせる。
ザラついたロック感触を残しながら、PINK FLOYD的な優雅さとミステリアスなスケール感に包まれ、
女性声を加えてメランコリックな叙情美も覗かせる。ラストは2パートに分かれた、計20分のタイトル曲で、
しっとりとした歌もの感からトランペットなども重ねた雄大なポストロック感触に、シンフォプログレの優美さで盛り上げる。
ドラマティック度・8 プログレ度・7 ミステリアス度・8 総合・8
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Crippled Black Phoenix 「Banefyre」
イギリスのプログレ・ドゥームロック、クリップルド・ブラック・フェニックスの2022年作
11作目の本作は、CD2枚組のミュージカル風コンセプト大作。奇妙な詠唱のようなイントロから、
ドゥーミィなギターに女性声を含む魔女めいたヴォーカルを乗せて、妖しいドゥームロックを展開する。
今作では、ヘヴィなギターが重厚なサウンドを描きつつ、随所に美しい女性ヴォーカルとともに、
メランコリックなゴシック・ドゥーム的な空気感に包まれ、曲によってはAnathemaなどを思わせる。
トレモロのギターやトランペットなどが優雅な叙情をかもしだし、全体的にはドゥーム寄りの作風ながら、
Disc2では10分を超える大曲を連ねて、ゆったりとダークな物語的な流れで楽しめる。
ドラマティック度・8 プログレ度・7 メランコリック度・8 総合・8
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CRONE 「GODSPEED」
ドイツのアトモスフェリック・ドゥームメタル、クロンの2018年作
Secrets Of The MoonのsGが参加するバンドで、メロウな感触のギターに朗々としたヴォーカルを乗せて、
物悲しくミステリアスな叙情とスペイシーな浮遊感に包まれたサウンドを描き出す。ポストロック的な空間性に、
メタルとしての激しさも残していて、ここぞと重厚にたたみかけるドラマティックな構築性も覗かせる。
派手な展開というものはないものの、全体的にどっしりとした聴き心地で、ときにメロディックなギターフレーズに
オルガンを含むシンセも加わって、オールドなドゥームメタル感触から、ポストロック風のスラッジというふうにも楽しめる。
ラストは12分の大曲で、キャッチーといってよい歌パートから、後半のメランコリックな流れへとつながってゆく。
ドラマティック度・・7 ドゥーム&スラッジ度・・7 重厚度・・8 総合・・7.5
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Cross Vault 「Spectres of Revocable Loss」
ドイツのドゥームメタル、クロス・ヴァウルトの2014年作
ゆったりとしたスローテンポに、重すぎない叙情的なギターと朗々としたヴォーカルを乗せ、
CANDLEMASSルーツの、古き良きスタイルの幻想的なエピック・ドゥームメタルを聴かせる。
ギターリフはヘヴィ過ぎず、いくぶんこもり気味の音質とともに、霧に包まれたような感触で
アコースティックパートなどのウェットな叙情性も覗かせつつ、全体的にゆったりとした聴き心地。
単調なリフレインのところはやや退屈ではあるが、雰囲気モノとしての世界観はしっかりとあるので、
プリミティブなオールドメタルとしても楽しめる。演奏も歌も上手すぎないところが、ぼやけていて良いのですね。
ドラマティック度・・7 重厚度・・7 エピックドゥーム度・・8 総合・・7.5
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Crowned in Earth 「Visions of the Haunted」
アメリカのドゥームメタル、クラウンド・イン・アースの2010年作
Black Sabbath系の正統派ドゥームを基本にしながら、オルガンが鳴り響く
妖しげな雰囲気がなかなかよろしく、ミステリアスなダークさを漂わせている。
7、8分の曲を中心に、全体的にこれといったインパクトはないのだが、
スローながらも遅すぎない聴きやすさがあって、ドゥーム初心者などでも楽しめるだろう。
ドラマティック度・・7 ドゥーム度・・8 ミステリアス度・・8 総合・・7.5
Crowned in Earth「A Vortex of Earthly Chimes」
アメリカのドゥームロック、クラウンド・イン・アースの2013年作
前作もオルガン入りのドゥームロックとしてなかなかの好作であったが、本作ではさらにメロトロン奏者が加わり、
さらにレーベルがイタリアのBlack Widowになったということもあってか、ぐっとプログレ風味を増してきている。
曲は10分以上と長くなり、ドゥーミーなギターリフにオルガンが重なり、サイケがかった浮遊感も漂わせつつ
美しいメロトロンがシンフォニックなテイストもかもしだす。ギターがメロディを奏でる叙情的なパートが増えたことで
怪しげな薄暗さを含んだサイケプログレ的な感触が強まった。ドゥームとしてのヘヴィさは物足りないが、
むしろこの変化は歓迎である。こうなったら、全編でもっと盛大にメロトロンが鳴り響かせてもらいたい。
ドラマティック度・・8 プログレ度・・7 サイケドゥーム度・・8 総合・・7.5
CRYPT SERMON 「Out of the Garden」
アメリカのエピック・ドゥームメタル、クリプト・セルモンの2015年作
バンド名や曲名などから、おそらくクリスチャンなドゥームメタルバンドなのだろう。
重厚なツインギターにパワフルなヴォーカルを乗せた、本格派のエピック・ドゥームサウンド。
ヨーロピアンな翳りと湿り気のある叙情を含んだ、どっしりとした聴き心地で、サウンドの説得力も含めて、
エピック・ドゥームの大御所、Candlemassを思わせる。ソロパートでは流麗なフレーズを奏でるギターもなかなかのもので、
5〜7分前後とわりと長めの楽曲でも、リフの魅力や音の迫力で最後まで飽きずに鑑賞できる。
適度にダークで甘すぎないくらいにメロディアス、ドラマティックな正統派エピック・ドゥームの力作だ。
ドラマティック度・・8 重厚度・・8 正統派度・・8 総合・・8
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Crypt Sermon 「The Ruins Of Fading Light」
アメリカのエピック・ドゥームメタル、クリプト・サーモンの2019年作
4年ぶりとなる2作目で、どっしりしたツインギターに朗々としたヴォーカルを乗せ、
CANDLEMASSをルーツにした、重厚なエピック・ドゥームメタルを聴かせる。
ほどよく叙情的なギターフレーズにときにうっすらとしたシンセも重ね、いくぶんこもり気味の歌声とともに、
霧がかかったような翳りを帯びた世界観を描くサウンドは、その強度をぐっと強めている。
フルートが妖しく鳴り響く小曲などもアクセントになっていて、7〜9分という大曲では、
リズムチェンジを含む展開力でドラマティックに構築する。まさに幻想ドゥームメタルの傑作である。
ドラマティック度・・8 重厚度・・8 幻想ドゥーム度・・9 総合・・8.5
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D
The Damned Things「Ironiclast」
アメリカのハードロックバンド、ダムド・シングスの2010年作
ANTHRAXのスコット・イアン 、ロブ・カッジアーノらによるバンドで、
サウンドはオールドなギターリフで聴かせるじつに古き良きハードロック。
ヴォーカルメロディはけっこうキャッチーでありつつ、ストーナー系のバンドにも通じる適度なヘヴィさと、
アナログ感のあるロックン・ロールなノリ、かつてのオルタナ系の感触も含まていて、なかなか楽しめる。
新鮮味という点ではやや薄いのだが、ロックとしてのシンプルさが心地よい一枚だ。
メロディック度・・7 古き良きHR度・・8 新鮮度・・7 総合・・7.5
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DANG 「Tartarus: the Darkest Realm」
アメリカのドゥームメタル、ダングの2014年作
ギリシャ神話の奈落「タルタロス」とそこに幽閉された神々をテーマにした作品で、
古き良きドゥームメタル的な感触にダークな幻想性を付加したというべきサウンド。
ときに正統派HR/HM色も感じさせるギターリフと朗々としたヴォーカルを乗せ、
楽曲には適度に疾走感もあるので、この手のドゥーム初心者にも聴きやすいだろう。
サバスルーツの暗黒ドゥームをエピックに仕立て上げたというような重厚な力作です。
ドラマティック度・・8 ドゥーム度・・8 正統派度・・8 総合・・8
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Dantesco 「We Don't Fear Your God」
プエルトリコのドゥームメタル、ダンテスコの2013年作
過去作は正統派メタル寄りの濃密なドゥームメタルであったが、本作もツインギターのリフと
暑苦しいヴォーカルで聴かせる、重厚な正統派エピックドゥームメタルを聴かせる。
適度に怪しげで適度にパワフル、適度に正統派メタル寄りという、悪くない聴き心地なのだが、
過去の作品に比べてこれといって変わっているところもなければ、突き抜けた魅力もない。
ドゥームメタルとは本来そういうものなのかもしれないが、マイナーな佳作としかいいようがない。
ドラマティック度・・7 エピックドゥーム度・・8 重厚度・・8 総合・・7.5
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Dark Buddha Rising 「Inversum」
フィンランドのスラッジ・ドゥームメタル、ダーク・ブッダ・ライジングの2015年作
2007年にデビューし、すでに6作目となる。本作は24分、23分という大曲2曲という構成で、
ドローン系にも通じるスローなリズムにノイジーなギターを乗せ、唸るようなヴォーカルも加わった、
怪しくサイケなドゥームメタルを聴かせる。ゆったりとしたパートが延々と続くと思いきや、
楽曲後半にはアグレッシブな緊迫感に包まれる。とはいえ、明快なリフやメロディが希薄なので、
執拗なリフレインによるサイケなトリップ感が楽しめる方でないと退屈かもしれない。
ドラマティック度・6 ドゥーム度・7 怪しさ度・8 総合・7
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Dark Castle 「Spirited Migration」
アメリカのドゥームメタル、ダーク・キャッスルの2009年作
ヘヴィなギターリフにデス声気味のヴォーカルを乗せて、重厚に聴かせる本格派のドゥームメタル。
ダークな世界観はドローンやスラッジ・ドゥーム的でもあるが、随所にメロディ感のあるギターフレーズや
アコースティックギターによる小曲などもあったりと、ヘヴィなサウンドの中にもにアクセントを付けている。
二人組というユニットながら、グルーブと手数を兼ねそろえたドラムの力量が、サウンドの説得力を高めていて、
エッジの効いたリフからサバスルーツのオールドスタイルの感触も覗かせるギターのセンスも見事。
妖しいイメージのジャケもよい感じで、迫力あるドゥームに禍々しい暗黒性も加わった強力作である。
ドラマティック度・・8 重厚度・・8 暗黒度・・8 総合・・8
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The Darkness「Permission To Land」
イギリスのハードロックバンド、ダークネスの2003年作
70〜80年代の古き良きハードロックの感触と、QUEENを思わせるキャッチーなメロディ、
ロックとしてのグルーヴィーな躍動感をアナログ的に甦らせたようなサウンド。
独特のファルセットを聴かせる、ジャスティン・ホーキンスの歌声も個性的で、
ノリのよいハードロックから、メロディックなバラードまで、素直に楽しめる内容だ。
メロディック度・・7 古き良き度・・9 ロック度・・9 総合・・8
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The Darkness「Hot Cakes」
イギリスのハードロックバンド、ダークネスの2012年作
2006年にいったん解散したこのバンドの、7年ぶりの3作目となる復活作。
AC/DC+QUEENと言われてきたサウンドはそのままに、古き良き骨太なロックサウンドに
キャッチーな聴き心地をまぶした楽曲は、シンプルながら非常に爽快で耳心地がよい。
ファルセットを使ったジャスティンのヴォーカルを中心に、メロディックなギターワークも随所に効いていて、
80年代ハードロックのグルーヴィな感触と、メジャー感のあるポップセンスが融合した好作品に仕上がっている。
メロディック度・・8 古き良き度・・8 爽快ロック度・・9 総合・・8
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DAUTHA 「BRETHREN OF THE BLACK SOIL」
スウェーデンのドゥームメタル、ダウサの2018年作
重厚なギターに朗々としたヴォーカルを乗せた、CANDLEMASSを思わせる正統派のエピック・ドゥーム。
ツインギターによるどっしりとした味わいに、ときにヴァイオリンが加わった優雅な感触も合わさって、
ダークで幻想的な世界観を描き出す。ヘヴイでありながらも湿り気を含んだほのかな叙情性もあって、
伸びやかなヴォーカルの表現力とともに、15分、11分という大曲も、説得力ある空気感で構築してゆく。
鳴り響くにヴァイオリンにコーラスが重なると、讃美歌ドゥームというべき荘厳な雰囲気にもなって、
キャンドルマスをシンフォニックにしたような聴き心地に。まさにクリスチャン・ドゥームメタルの力作だ。
ドラマティック度・・8 ドゥーム度・・8 重厚度・・8 総合・・8
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DAWN OF WINTER 「PRAY FOR DOOM」
ドイツのドゥームメタル、ドーン・オブ・ウインターの2018年作
Sacred SteelのVoを含むバンドで、重厚なギターに朗々としたヴォーカルを乗せた、
Candlemassタイプの正統派エピック・ドゥームメタル。ゆったりとしたスローテンポながら、
ウェットで叙情的なギターフレーズとともに、遅めのジャーマンメタルのような聴き心地もある。
パワフル過ぎないヴォーカルも、このサウンドにはよくマッチしていて、WARLORDなどにも通じる
古き良きB級エピックメタルのような感触とともに、ドゥームが苦手な方でもわりと楽しめる好作品だ。
ドラマティック度・・7 エピックドゥーム度・・8 重厚度・・8 総合・・8
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Dead Meadow 「Old Growth」
アメリカのサイケロック、デッド・メドウの2008年作
2001年にデビューしたオールドスタイルのサイケ/ストーナーロックバンドで、
70年代風味のアナログ感覚で聴かせるユル系のサウンドが心地よい。
古き良きリフを奏でるギターにしても、エッジが尖った感じではなくあくまでユルユルで、
やる気の感じられないマイルドなヴォーカルも含めて脱力具合が絶妙。
メロディアス度・・7 サイケ度・・8 ユル度・・9 総合・・7.5
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THE DEAR HUNTER「Act I: The Lake South the River North」
アメリカのプログレロック、ディア・ハンターの1st。2006年作
ポストハードコア系バンド、The Receiving End of Silensのケーシー・クレセンゾのソロとしてスタートしたプロジェクトで、
ひとりの少年の人生を描くコンセプトの1作目。モダンロックからのプログレ的なアプローチという点では
Coheed and Cambriaを思い出すが、このバンドも知的なビジョンと叙情的なメリハリを含んだ聴き心地が魅力。
ヴォーカルメロディやコーラスなどはキャッチーで、オルタナ的なエッジの効いたモダンさと、ポストロック的なスケール感、
そしてプログレッシブな構築センスを含んだサウンドは、やはりCoheed and Cambriaに通じる感触だ。
ドラマティック度・・8 プログレ度・・7 壮大度・・8 総合・・7.5
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THE DEAR HUNTER 「Act II: Meaning of, & All Things Regarding Ms. Leading」
ディア・ハンターの2nd。2007年作
6枚で完結するという壮大なコンセプトストーリー作品の2作目で、EP扱いだった前作に比べて
よりバンドサウンドに磨きがかかった80分の力作となっている。ロックとしてのダイナミズムに加え
Coheed and Cambriaに通じるキャッチーなヴォーカルメロディで聴かせるエモーショナルな叙情と、
効果的なシンセアレンジも含めて、よりプログレ的になった。知的な構築センスと演奏のレベルも、
すでにコヒカンにも負けていない。ときにラウドな要素も顔を覗かせつつ、全体的にはメロウでキャッチー、
そしてドラマティックな作風に統一されている。尚、日本盤は、前作のデビューEPを含む2枚組仕様となっている。
ドラマティック度・・8 プログレ度・・7 壮大度・・8 総合・・8
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THE DEAR HUNTER「Act III: Life & Death」
アメリカのプログレロックバンド、ディア・ハンターの3rd。2009年作
ひとりの少年が成長し大人となり死にゆくまでの人生を描く壮大なコンセプトの3作目。
本作では戦争がテーマになっているようで、楽曲はいくぶんダークな感触になっていて、
情感的なヴォーカルとコーラスの重なりによって描かれる、ロックオペラ的なドラマティックな聴き心地。
今作では楽曲はどれも4〜5分前後なのだが、ストーリーの流れの中で連なるように各曲が自然にはまっている。
優美なストリングスアレンジも含んだ叙情豊かな耳心地も素晴らしい。これはなかなかの傑作ですわ。
各楽曲ごとに1枚ずつのポストカードになっている洒落た歌詞カードにもコンセプトへのこだわりが見える。
ドラマティック度・・9 プログレ度・・7 壮大度・・8 総合・・8
DEVIL 「Gather the Sinners」
ノルウェーのドゥームロック、デヴィルの2013年作
サバス化したカテドラルというような前作に続き、本作もアナログ感たっぷりのアンサンブルで
70年代スタイルのドゥームロックを聴かせる。いくぶんこもり気味のヴォーカルもよい感じで
演奏的にも適度な荒削り感がかえっていい味わいとなっている。いい意味で新鮮味も装飾もない、
頑固一徹な70'sスタイルのサバスルーツのドゥームなので、好きな方はたまらないだろうし、
興味がない方には無用の代物という。ここまで徹底しているバンドはある意味貴重だろう。
ドラマティック度・・7 ドゥーム度・・8 古き良き度・・9 総合・・8
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The Devil's Blood 「Come Reap」
オランダのサイケ・ドゥーム、デヴィルズ・ブラッドの2009年作
デビュー作となった、5曲入り27分のEPで、アナログ感に包まれたアンサンブルに女性ヴォーカルの歌声を乗せた、
ヴィンテージなサイケハードは、すでに確立されている。ヘヴィ過ぎないギターに、オルガンの音色が合わさり、
ヘタウマな女性声による良い意味でのマイナー臭さが、妖しい魔女系ロックの世界観を描いている。
のちのアルバムのような、プログレ的なスケール感はまだないが、ザラついた音質も含めてBlack Widowなどに通じる、
70年代ルーツの空気感がほどよいユルさになっている。10分を超えるラスト曲では、叙情的なギターも響かせながら
艶めいた女性ヴォーカルも加わって、浮遊感のある妖しくヴィンテージなサイケロックが楽しめる。
ドラマティック度・・7 ヴィンテージ度・・8 魔女系サイケ度・・8 総合・・7.5
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The Devil's Blood 「Time of No Time Evermore」
オランダのサイケ・ハードロック、デヴィルズ・ブラッドの2010年作
メロディックなギターフレーズを織り込みつつ、サイケ気味の浮遊感に包まれた楽曲に
倦怠ぎみの女性ヴォーカルの歌声が乗る、アナログ感漂う古き良きHRスタイルで、
取り立てて新鮮なものはないが、70年代風味が好きな方にはたまらない音だろう。
アンダーグラウンドな香りもありつつ、メロディはむしろキャッチーなので普通に楽しめる。
メロディアス度・・8 古き良き度・・9 女性Vo度・・7 総合・・8
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The Devil's Blood「Thousandfold Epicentre」
オランダのサイケ・ハードロック、デヴィルズ・ブラッドの2012年作
静かなピアノのイントロで幕を開け、曲が始まるとサイケな浮遊感と女性ヴォーカルで聴かせる、
レトロな感触のハードロックは前作同様ながら、妖しげな説得力と雰囲気に磨きがかかり、いっそう魔女めいた迫力がついた。
8分、9分といった長めの曲も多いが、ツインギターのメロディを随所に聴かせたり
アレンジにおけるメリハリのつけ方も上手くなっていて、案外ダレずに聴き通せる。
ラストは15分の大曲で、ストリングスも含んだシンフォニックでプログレ的な雰囲気も漂わせる。
ブックレット内のサイケなイラスト群も強烈です。 などが気に入った方もぜひ。
メロディアス度・・8 古き良き度・・9 女性Vo度・・8 総合・・8
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DEVIL TO PAY 「Fate Is Your Muse」
アメリカのストーナーロック、デヴィル・トゥ・ペイの2013年作
わりとヘヴィなツインギターにダーティなヴォーカルを乗せた、アナログ感漂うストーナーロック。
70年代ハードロックのブルージーな感触を、メタル寄りのヘヴィさで演奏するスタイルで、
ストーナーロックしつてのザラついたサウンドを、より重厚な味わいにしたという聴き心地だ。
スローなテンポのナンバーはドゥームメタル的でもあり、全体的にキャッチーなところの薄い、
硬派でハードな作風なのはよいのだが、楽曲そのものにもう少しメロディックなフックがあればと思う。
ドラマティック度・・7 古き良き度・・7 重厚度・・8 総合・・7
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DIRTY THREE「Towards the Low Sun」
オーストラリアのポストロック、ダーティ・スリーの2012年作
ヴァイオリン、ギター、ドラムという異色のトリオ編成で、アナログ感たっぷりのアンサンブルを聴かせる。
ノイジーな轟音系ポストロックの感触と、優雅なヴァイオリンの響きがミスマッチな面白さで、
オルガンが入ってくるとアヴァンギャルドなプログレ風味にも楽しめ、ピアノが入るとフリーキーなジャズにもなる。
オールインストなので、ドラムの入らない静か目の曲はBGMになってしまいそうになるのだが、
適度な緊張感とユルさが同居したサウンドは、他にあまりない個性的な聴き心地だろう。
ドラマティック度・・7 プログレ度・・7 ユル度・・8 総合・・7.5
DIM GRAY 「FIRMAMENT」
ノルウェーのプログレ・ポストロック、ディム・グレイの2022年作
2021年にデビューし、2作目となる。叙情的なギターにうっすらとしたシンセを重ね、マイルドなヴォーカルとともに
北欧らしい涼やかな空気に包まれた、ポストプログレ風味のサウンドを聴かせる。Sigur Rosあたりにも通じる
繊細な牧歌性が耳に優しく、わりとシンフォニック寄りのシンセアレンジも含んでいて、プログレ向けの作風といえる。
曲によってはエレクトロなアレンジやオーケストレーション、ゲストによるチェロやヴァイオリン、フルートなども加わり、
クラシカルで優雅なスケール感は、Efterklangなども思わせる。楽曲は3〜4分前後とわりとシンプルなので、
派手な展開や盛り上がりなどはないのだが、しっとりとした優美な叙情に浸れる好作品です。
ドラマティック度・7 プログレ度・7 叙情度・8 総合・7.5
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DISASTROID 「Mortal Fools」
アメリカのストーナーロック、ディスアストロイドの2020年作
2009年デビュー、5作目となる。G&Vo、B、Drのトリオ編成で、適度にハードなギターにかすれたヴォーカルを乗せ
アナログ感に包まれたアンサンブルで、比較的ストレートなノリのストーナーロックを聴かせる。
うねりのあるベースがヘヴィなドゥーム感触をかもしだし、キャッチーな要素はあまりないので、
硬派のストーナー/ドゥームロックですな。個人的には、怪しいスケール感がもっと欲しいか。
スペイシーなジャケのイメージで買ってみたら、印象がちょっと違ったというパターンですね。
ドラマティック度・7 ストーナー度・8 アナログ度・8 総合・7
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DOMOVOYD 「Oh Sensibility」
フィンランドのサイケ・ドゥームロック、ドモヴォイドの2013年作
意味不明のジャケからしてすでにサイケ臭がぷんぷんであるが、サウンドの方も期待通り、
アナログ感たっぷりのアンサンブルで、ノイジーなリフとユルめのギタフレーズに、
なんだかよく聴こえないヴォーカルを乗せた、とにかく妖しい聴き心地である。
ヴォーカルというのはあくまでオマケのようで、ドラッギーな浮遊感に包まれた
このユルさこそがバンドが描きたい世界観なのだろう。サイケが苦手な方には
なんの意味も感じられないサウンドかもしれないが、13分、16分という大曲でも
敢然と浮遊するような投げやりさ…これを楽しめるような方だけにオススメしたい。
ドラマティック度・・7 サイケ度・・8 ユル度・・9 総合・・7.5
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DOMOVOYD
フィンランドのサイケ・ドゥームロック、ドモヴォイドの2015年作
前作もドラッギーな浮遊感に包まれた妖しげなアルバムであったが、続く本作はのっけから17分の大曲で幕を開ける。
しばらくはゆったりと聴かせつつ、楽曲中盤からはドゥームメタル的なノリが現れて、適度な激しさに包まれながら、
妖しく混沌としたサイケロック感触が聴き手をトリップさせるようだ。楽曲にはメロディやフックなどの媚びはなく、
あやふやな倦怠感と内的なスケール感のようなものに包まれていて、ある種、ずぶずぶと沼にはまるような聴き心地である。
サイケやドゥームが苦手な方にはなんの意味も感じられないサウンドだろうが、逆を返せばこれは究極的なサイケドゥームである。
ラストは再び17分の大曲でしめくくる。圧巻の力作というべきである。ジャケやブックレットのサイケすぎるイラストもよいですね。
ドラマティック度・・7 サイケドゥーム度・・9 妖しげ度・・9 総合・・8
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DOOMOCRACY 「UNORTHODOX」
ギリシャのプログレメタル、ドゥーモクラシーの2022年作
2014年にデビューし、3作目となる。ヘヴィなギターにほどよく叙情的なフレーズをまじえ、歌い上げるヴォーカルを乗せた、
ドゥームメタル寄りの感触に、リズムチェンジなどの知的な展開力で、CONCEPTIONあたりにも通じるサウンドを聴かせる。
朗々とした伸びのあるヴォーカルの表現力もサウンドにマッチしていて、ときに混声コーラスが重なる荘厳なアレンジも覗かせる。
甘すぎない叙情性とダークでドゥーミィな世界観とともに、CANDLEMASSなどのエピックドゥームとしても楽しめつつ、
たとえばPSYCHOTIC WALTZなど、個性派のProgMetalが好きな方にお薦めできる。
ドラマティック度・8 テクニカル度・7 重厚度・8 総合・8
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DOOMSDAY OUTLAW「Hard Times」
イギリスのハードロック、ドゥームズデイ・アウトローの2018年作
2016年にデビューし、本作が2作目となる。オールド味わいのツインギターに、
伸びやかなヴォーカルを乗せた、70年代ルーツの正統派のハードロックを聴かせる。
楽曲自体はわりとシンプルながら、随所にLED ZEPPELINあたりを思わせるノリの良さと、
ジェントルなヴォーカルの魅力とともに、ヴィンテージなロック好きにはじっくりと味わえる作風である。
RIVAL SONSやGENTLEMANS PISTOLSなどに比べると、全体的なアナログ感を出しすぎない
どっしりとした聴き心地で、ピアノやストリングスなどを加えた叙情的なバラードなどもなかなか魅力的だ。
ドラマティック度・・7 古き良き度・・8 どっしり重厚度・・8 総合・・8
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Doomshine「Thy Kingdom Come」
ドイツのエピック・ドゥームメタル、ドゥームシャインの2004年作
ツインギターによる重厚なリフと朗々としたヴォーカルで聴かせる、
Solitude Aeturnususなどを思わせる正統派のエピック・ドゥームサウンド。
ツインギターの叙情フレーズも含めて、絡みつくようなウェットな感触は、
いかにもヨーロピアンな雰囲気で、いくぶんゴシックメタル的な味わいもある。
ゆったりと重厚でメロウな耳心地のバランスのとれたドラマティックな好作品だ。
ドラマティック度・・8 エピック度・・8 重厚度・・8 総合・・7.5
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DOOMSHINE 「THE PIPER AT THE GATESOF DOOM」
ドイツのドゥームメタル、ドゥームシャインの2010年作
2004年にデビュー、本作は2作目で、ファンタジックなジャケのイメージにそそられるが、
サウンドの方は重厚なツインギターにパワフル過ぎなヴォーカルを乗せ、ほどよい叙情性を含んだ、
まさに正統派のエピック・ドゥームメタル。ときにメロディックなフレーズを聴かせるギターも魅力的で、
かつてのBLACK SABBATHをルーツに、ウェットな感触を加えたヨーロピアンな作風は、
CANDLEMASSなどが好きな方にも薦められる。全72分というエピックドゥームの力作です。
ドラマティック度・・8 ドゥーム度・・8 重厚度・・8 総合・・8
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DOOMSHINE 「The End Is Worth Waiting for」
ドイツのエピック・ドゥームメタル、ドゥームシャインの2015年作
2004年にデビュー、本作は5年ぶりとなる3作目で、ツインギターのリフに朗々としたヴォーカルで聴かせる、
CANDLEMASSやSolitude Aeturnususを思わせる正統派のエピック・ドゥームメタルに翳り無し。
10年以上たっても、まったく変わらないサウンドをやっているというのが素晴らしい。
楽曲は6〜10分台と長めだが、適度にノリのあるリズムと随処に叙情的なフレーズを含んだ
正統派のヨーロピアンメタル寄りの質感もあるので、ドゥーム初心者にもとっつき安いだろう。
さほど緊張感のない淡々とした盛り上がりのなさを、つまらないと思う方には微妙かもしれないが。
ドラマティック度・・7 ドゥーム度・・7 正統派度・・8 総合・・7.5
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DOOM SIDE OF THE MOON
アメリカのプログレ、ドゥームメタル、ドゥーム・サイド・オブ・ザ・ムーンの2017年作
The Swordのメンバーを中心に、PINK FLOYDの名作「狂気」をドゥームメタルに仕立てたという作品で、
怪しいイントロから、アコースティックギターとマイルドなヴォーカルで、わりと忠実にカヴァーしつつ、
轟音のギターとともに様相が一転、ダークな空気に包まれ、ヘヴィなドゥーム感触が広がってゆくが、
これがなかなかマッチしていて、ときにサックスやオルガンも鳴り響くなどプログレ的な雰囲気も感じさせる。
オリジナルの空間的なスケール感をしっかり残しつつ、メリハリに富んだプログレ・ドゥームに仕上げた異色作だ。
ドゥーム度・8 プログレ度・7 ちゃんと狂気度・8 総合・8
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Dreadnought 「Emergence」
アメリカのプログレ・スラッジメタル、ドレッドノウトの2019年作
2013年デビューし、4作目となる。女性シンセ&Vo、女性G&Voを含む4人編成で、軽妙なドラムに優美なシンセ、
囁くような女性ヴォーカルとともに、アンニュイでプログレッシブな香りのただようサウンドを描いてゆく。
ギターはエッジの効いたリフから、トレモロや、ときにサウンドスケープ的に楽曲を彩り、ドラムもほどよい激しさで、
緩急あるリズムを描いている。3曲目以降は、10分を超える大曲が続き、ゆったりとしたポストロック的なパートから、
ブラックメタル風の激しさも覗かせつつ、優雅でクラシカルなシンセとともに、空間性を感じさせる作風でじっくりと構築する。
女性声と女性スクリームを乗せた、浮遊感のあるミステリアスなプログレメタルとしても楽しめる異色作だ。
ドラマティック度・・7 プログレッシブ度・・8 優雅度・・8 総合・・8
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Dread Sovereign 「Alchemical Warfare」
アイルランドのドゥームメタル、ドレッド・ソヴェレインの2021年作
2014年にデビューし、3作目となる。どっしりとしたリズムにオールドなギターを重ね、ガナりを含んだヴォーカルで、BLACK SABBATHルーツの王道のドゥームメタルを聴かせる。
スローテンポからミドルまで、ほどよくハードなノリもあり、勇壮なコーラスなども加わって、わりと正統派メタル寄りにも楽しめる。
叙情的な部分は希薄だが、ヨーロピアンな翳りを含んだギターフレーズなど、随所にウェットな幻想性も垣間見せる。
8分を超えるナンバーなど、ほどよく大曲志向ながら、ラストの疾走ナンバーまで、ストレートなオールドメタル感をさらけ出した力作だ。
ドラマティック度・7 重厚度・8 オールドドゥーム度・8 総合・7.5
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DREAM STATE「A Place To Rest My Head」
イギリスのエモーショナルロックバンド、ドリーム・ステイトの2nd。2007作
ありきたりのエモは退屈なのであまり聴かないのだが、このバンドは良かった。
まずふんだんにピアノを使ったそのメロディの美しいこと。繊細なヴォーカルメロディにゆるやかなシンセアレンジ、
そしてつややかなピアノ。曲によっては美しい女性Voが歌い上げ、うっとりと夢見心地で聴けます。
インパクトはさほどでもないですが、爽やかでとても美しいアルバムです。
メロディアス度・・8 繊細度・・9 女性Voもいい度・・8 総合・・8
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Dream The Electric Sleep 「Heretics」
アメリカのプログレロック、ドリーム・ザ・エレクトリック・スリープの2014年作
ギター、ヴォーカル、シンセをこなす、マット・ペイジ氏を中心にしたトリオ編成で、
適度にハードエッジなギターとうっすらとしたシンセアレンジ、キャッチーなヴォーカルメロディとともに
ポストロック的なスケール感とエクスペリメンタル系の硬派さが程よく合わさったというような聴き心地。
現在形のクロスオーヴァーな知的ロックという点では、Trail of Deadあたりを思わるセンスを覗かせつつ、
ギターには古き良きロックの感触も残していて、叙情性と重厚さのバランスも見事な力作となっている。
ドラマティック度・・8 プログレ度・・7 壮大度・・8 総合・・8
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DREAM THE ELECTRIC SLEEP 「BENEATH THE DARK WIDE SKY」
アメリカのプログレロック、ドリーム・ザ・エレクトリック・スリープの2016年作
ギター、ヴォーカル、シンセをこなす、マット・ペイジ氏を中心にしたトリオで、2011年にデビューし、3作目となる。
コンセプチュアルなドラマ性を想起させる叙情的なイントロから、ほどよくハードなギターとシンセの重ねに
マイルドなヴォーカルを乗せ、Trail Of Deadなどに通じる知的なオルタナロックというサウンドを構築する。
アコースティックなパートからPINK FLOYD的なユルめの叙情も覗かせつつ、ヘヴィなダークさに包まれるなど
メリハリある流れとともに聴かせる重厚な味わいは、やはりプログレファン向けだろう。センスのよい逸品です。
ドラマティック度・8 プログレ度・7 重厚度・8 総合・8
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dungen「1999-2001」
スウェーデンのサイケロックバンド、ドゥンエンの1st。2005年作
ヴォーカル、ギター、ベース、ドラム、キーボード、フルート、ヴァイオリンをこなすマルチプレイヤーのグスタフ氏をを中心にしたバンドで、
70年代的なアナログ感と牧歌的なフォーク風味を含んだユルめの北欧サイケロックサウンド。
オルガンやフルートが鳴る70'sプログレ風味に北欧らしい土着的な雰囲気で、
ウマグマの頃のPINK FLOYDにも通じるようなヒッピーな奔放さと、日だまりのようなキャッチーな叙情で、
のんびりと楽しめるサウンドだ。14分、18分、11分という全3曲。鳥の声も入っていて耳心地よくまどろめます。
メロディアス度・・8 プログレ風味度・・8 北欧サイケ度・・9 総合・・8
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DUNGEN「Tio Bitar」
スウェーデンのサイケロックバンド、ドゥンエンの2nd。2007年作
今作は3〜5分という比較的コンパクトな楽曲で、前作のユルさに比べると
1曲めなどはずいぶんロック的な激しさが増した、といっても2曲め以降は
やはり70年代風味のレトロさとサイケな感触は健在で、やわらかなオルガンや
ヴァイオリンの音色とともに、牧歌的なプログレロック風味が楽しめます。
ロックとしてのノリの良さが増した分、一般的には前作よりも聴きやすいかもしれない。
メロディアス度・・8 プログレ風味度・・7 北欧サイケ度・・8 総合・・8
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DUNGEN「Ta Det Lugnt」
スウェーデンのサイケロックバンド、ドゥンエンの3rd。2007年作
自然派北欧サイケロックというべき、ユルくてプログレ的な感性を有したこのバンド、
本作も70'sロックのフリーキーなアナログ感覚と、北欧らしい牧歌的な叙情で
センスの良いサウンドを描き出す。ときにヴァイオリンやサックスなども入って、
ゆるやかでありながらも多様性のあるアレンジと作り込みが素晴らしい。
優しいピアノのつまびきにフルートも加わると、ほとんどプログレの感触で楽しめる。
メロディアス度・・8 プログレ風味度・・8 北欧サイケ度・・8 総合・・8
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DUNGEN「4」
スウェーデンのサイケロックバンド、ドゥンエンの4th。2007年作
ヴァイオリンが鳴り響き、北欧的な叙情を含んだギターの旋律がじつに美しい。
前作に比べて、繊細な叙情美が前に出ており、やわらかなフルートの音色とともに、
これはスウェーデンのCAMELか?というような、うっとりとする聴き心地です。
曲によっては中近東的なサイケ質感も織り込みつつ、コンパクながらも味わいが深い。
プログレロックとしてもいくぶん洗練されてきた感触で、素敵な好作品に仕上がっています。
メロディアス度・・9 プログレ風味度・・8 北欧度・・8 総合・・8
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DUNGEN「Skit I Allt」
スウェーデンのサイケロックバンド、ドゥンエンの5th。2010年作
前作のしっとりとした流れを受け継ぎ、フルートの音色を優しく響かせつつ
やわらかなヴォーカルとともに古き良き感触の北欧ソフトロックが楽しめる好盤。
今作ではキュートな女性ヴォーカルも一部に加わったり、優雅なヴァイオリンや
ピアノの響きにうっとりしつつ、ロックとしての躍動感もしっかり残しているのが見事。
サイケなユルさをキャッチーに、北欧の自然の中に溶け込ませたようなサウンドだ。
メロディアス度・・8 プログレ風味度・・8 北欧度・・8 総合・・8
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E
Earth 「A Bureaucratic Desire for Extra - Capsular Extraction」
アメリカのドローン系スラッジバンド、アースの1991年の1stEPに4曲を追加した完全版。2010年作
SUNN O)))をはじめとする後進バンドに影響を与えたドローン系ドゥームの元祖ともされるバンド。
2パートに分かれた14分のタイトル組曲は、ヘヴィなギターのうねるようなリフレインと、
ドラムのリズムがユニゾンしながら延々と繰り返される、後のドローンへとつながるサウンド。
曲の展開などはほぼ皆無、ジャムセッション的な未完成な荒々しさがまた味わいになっていて、
ノイジーなリフの反復にトリップしてゆくような感覚だ。18分の大曲も同様であるが、
ボーナス収録の音源は、わりとリフの流れがあるので聴きやすいのではないかと思う。
そして、NIRVANAのカート・コバーンが参加したナンバーは貴重な音源であろう。
ドラマティック度・・3 ドローン度・・7 重厚度・・8 総合・・7.5
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Eartth 「Earth2」
アメリカのドローン系スラッジバンド、アースの1993年
2作目となる本作は、ドラムが脱退したことによりギターとベースの二人編成となり、
いよいよドローンに接近したような、ノイジーなギターのリフが延々と繰り返される。
15分、27分、30分という全3曲で、終りの見えないエンドレスなギターリフが響き渡る。
ドラムがなくなったことで、むしろギターノイズによるトリップ効果が高まり、聴き手の脳内に直接侵入してくる
この心地よさというのは、いったん受け入れると素直に楽しめるようになる。轟音による癒しというべきか。
のちにSUNN O)))が多大に影響を受ける、ドローン系スラッジの原型がここにある。
ドラマティック度・・3 ドローン度・・8 重厚度・・8 総合・・8
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EARTH ELECTRIC 「Vol 1: Solar」
ポルトガルのヴィンテージ・ハードロック、アース・エレクトリックの2017年作
元AVA INFERIの女性シンガーと、元MAYHEMのギター、ルネ・エリクセンを中心にしたバンドで、
程よくハードなギターにオルガンが鳴り響く、なかなかオールドな味わいのハードロックに、
美しい女性ヴォーカルを乗せたサウンド。カルメン嬢の歌声はやはりゴシック寄りの感触なのだが、
サイケなヴィンテージハードとのミスマッチが、わりと面白い味わいの浮遊感となっている。
厚みのあるギターサウンドはさすがブラスフェマーというところで、オールドなスタイルであっても、
しっかりとメタリックなヘヴィさを保っている。全35分という短さもアナログ盤的ですな。
ドラマティック度・・7 ヴィンテージハー度・・8 女性Vo度・・7 総合・・8
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Efterklang「Parades」
デンマークのポストロックバンド、エフタークラングの2007年作
先に次作「Magic Chairs」を聴いて、しっとりとした癒し系のサウンドが気に入ったのだが、
本作もとてもいい。ヴァイオリン、チェロなどのストリングスに、ゆるやかなオーケストレーション、
チャンバーロック的な作風に、美しい女性コーラスなども加わって、壮大な世界観を描き出す。
ゆったりとした優雅さの中に、ふと悲しげな叙情を含んだサウンドは、やわらかな耳心地の良さとともに
なにか、なつかしさと郷愁のようなものを運んでくれる。いうなれば、プログレ系のポストロックとしても、
クラシカルな癒し系シンフォニックとしても楽しめる。涼やかな風、ほんのりとした寂しさ、叙情味たっぷりの傑作。
クラシカル度・・8 プログレ度・・7 壮大度・・9 総合・・8
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Efterklang & Danish National Chamber Orchestra「Performing Parades」
デンマークのポストロック、エフタークラングのライブ作。2009年作
デンマーク国立室内管弦楽団を引き連れて、2007年作「Parades」を完全再現した、
2008年のノルウェーでのライブを収録。鍵盤二人に、ベース、ギター、ドラム、トロンボーン、
ヴァイオリン、コーラス奏者、そしてオーケストラをバックにした大がかりな編成でのステージで、
シンフォニックな音の厚みと作品の持つスケール感までも再現した見事な演奏を繰り広げる。
重ねられた混声コーラスに、ストリングスを含む管弦楽が、優雅にサウンドを包み込み、
クラシカルなチェンバーロックを壮大なシンフォニック性で味付けしたという、素晴らしいライブが楽しめる。
シンフォニック度・・9 クラシカル度・・8 壮大度・・9 総合・・8
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Efterklang「Magic Chairs」
デンマークのポストロックバンド、エフタークラングの2010年作
センスを感じるジャケのデザインも素敵だが、サウンドの方もゆるやかなピアノ、シンセに包まれ
やわらかなヴォーカルが歌を乗せる、癒し系ポストロックともいうべきもの。
ストリングスやホーンセクションも加わった、奥ゆきと広がりのある空間を描きつつ、
音はあくまで繊細で、とても耳に優しい。叙情の中にあるかすかな寂しさが胸を打つ。
シンフォニック度・・8 プログレ度・・6 繊細度・・9 総合・・8
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Efterklang 「Piramida」
デンマークのポストロック、エフタークラングの2012年作
4作目となる本作も、多重シンセによる空間的な音作りと、やわらかなヴォーカルを乗せた
アンビエントなサウンドで、ドラムのリズムによるロック色を融合させた絶妙のサウンド。
デジセリィなモダンさとオーケストラルなアレンジを混在させたセンスの良さは見事で、
クラシカルでエレクトロな感触も含んだ、ポストプログレとしても楽しめるだろう。
サックス、トランペットなどの管楽器の響きが哀愁をともなってサウンドに混ざり込み、
シンフォニックでもあるシンセに包み込まれる、美しくもメランコリックな味わいが楽しめる。
クラシカル度・・8 プログレ度・・7 壮大度・・8 総合・・8
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ELECTRIC CITIZEN 「Higher Time」
アメリカのヴィンテージロック、エレクトリック・シチズンの2016年作
女性Voを含む4人編成で、古き良きギターリフに艶めいた女性ヴォーカルの歌声を乗せた、
アナログ感に包まれた70年代的なサウンド。この手のバンドとしては、Blood CeremonyやCastle、
PURSONといったバンドがいるが、本作も随所にオルガンが鳴り響く妖しい空気感も含めて、
魔女系ロックとしての魅力は十分である。楽曲は3〜4分前後とわりとシンプルなので、上記のバンドに比べると
やや歌もの的な感じが強いのだが、そこはローラ・ドラン嬢のハスキーな歌唱の魅力で聴きとおせる。
あとは、もう少し楽曲のアレンジや世界観に深みが加わればさらにいいバンドになりそうだ。
ドラマティック度・・7 古き良き度・・8 女性Vo度・・8 総合・・8
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Electric Wizard「Come My Fanatics...」
イギリスのドゥームメタルバンド、エレクトリック・ウィザードの2nd。1997作
轟音のようなギターリフと、ゆったりとした絡みつくようなヘヴィさで、まさに極端にまでにドゥーミィなメタルサウンド。
ストーナー気味のラフさとラウドさを含んだ音の壁に圧倒される。個人的には無機質なヘヴィさがつらい。
ドラマティック度・・7 ドゥーム度・・9 ヘヴィ度・・9 総合・・7.5
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ELIXIR 「Voyage of the Eagle」
イギリスのヘヴィメタル、エリクサーの2020年作
1986年にデビュー、NWOBHM後期に活動し、1990年に2作目を出して消えるも、2002年に復活、
本作は10年ぶりとなる6作目。ツインギターのオールドなリフにいくぶんダーティなヴォーカルを乗せた
古き良き味わいの正統派メタルサウンドで、英国らしいウェットなメロディも随所に覗かせる。
アナログ感ただようややラウドな音質も含めて、80〜90年代ルーツのマイナーメタルの雰囲気に包まれていて、
DESOLATION ANGELSでも活躍するポール・タイラーの上手すぎないヴォーカルもいい味を出している。
スローテンポのナンバーでは、妖しい女性ヴォーカルも加わって、サバス風のドゥームメタル風味も覗かせる。
これというインパクトはないのだが、枯れた味わいのオールドな英国メタルが楽しめる好作品だ。
ドラマティック度・・7 正統派度・・8 古き良き度・・9 総合・・7.5
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E-L-R 「Vexier」
スイスのドゥームメタル、イー・エル・アールの2022年作
女性G&Vo、女性B&Voを擁するトリオ編成で、2019年にデビューし2作目となる。
のっけから12分という大曲で、うっすらとしたシンセに重すぎないギターを重ね、スキャット風の女性ヴォーカルとともに、ゆったりとした幻想的なドゥームメタルを展開する。
2曲めになると、疾走感あるポストブラックメタル風のパートも覗かせるなど、わりと緩急ある作風で、ドゥーム、スラッジ、ポストブラックを好む方なら神秘的なサウンドを楽しめるだろう。
基本的にはインストメインなので、ドゥーミィなBGMになりがちではあるが、雰囲気モノとしてのディープな世界観に浸れる異色作。
ドラマティック度・7 ドゥーム度・8 幻想度・8 総合・7.5
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Ephemeros 「All Hail Corrosion」
アメリカのスラッジ・ドゥーム、エフェメロスの2013年作
13分、10分、15分という大曲3曲の構成で、重厚なギターに低音デスヴォイスを乗せた
ドローン的でもあるスラッジ・ドゥームメタル。スローテンポの中に不穏な空気と、
濃密な暗黒性を感じさせる世界観は、なかなか強固に怪しげでよい感じである。
ゆったりとしたヘヴィなキダーリフとときおり絶叫するデイヴォイスをメインにしたサウンドで、
ドラマティックな展開というのはほとんどないので、気の短い方にはまったくもって向かないのだが、
じっくりと描かれる暗黒の世界に浸れる方なら、わりと楽しめるのではなかろうか。
ドラマティック度・・7 ドゥーム度・・8 暗黒度・・9 総合・・7.5
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Epitaph 「Crawling Out of the Crypt」
イタリアのドゥームメタル、エピタフの2014年作
80年代から90年代にかけて活動していたバンドで、復活してのおそらく初アルバム。
正統派のギターリフとシアトリカルなヴォーカルで聴かせる、Black Sabbathルーツの古き良きスタイルで、
重すぎない音作りがいかにも80年代的だ。Witchfinder General + Pagan Altarというような雰囲気で、
適度にカルトな妖しさも含みつつ、古き良き正統派HRの感触に包まれていて普通に聴きやすい。
ヴォーカルの声質もこの世界観に良く合っていて、ウェットな妖しさをかもしだしている。
強烈なインパクトというのはないが、幻想的な薄暗さと、ドゥーム愛に満ちた好作品です。
ドラマティック度・・8 ドゥーム度・・8 正統派度・・8 総合・・8
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Epitaph 「Claws」
イタリアのドゥームメタル、エピタフの2017年作
80〜90年代にかけて活動していたバンドの、2014年の復活作以来となる2作目。
正統派のギターリフとシアトリカルなヴォーカルを乗せた、Black Sabbathルーツのスタイルで、
古き良きHR的なノリに、おどろおどろしいカルトな雰囲気を漂わせたサウンドを聴かせる。
70年代風味のアナログ感と、ヘヴィ過ぎない重厚さに包まれた濃密な聴き心地で、
翳りを帯びたヴォーカルの表現力とともに、じっくりとダークな世界観を描き出す。
7〜8分前後楽曲を主体に、10分を超える大曲も含んだ、正統派ドゥームメタルの力作だ。
ドラマティック度・・8 ドゥーム度・・8 重厚度・・8 総合・・8
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Esben And The Witch 「Violet Cries」
イギリスの魔女系ポストロック、エスベン・アンド・ザ・ウィッチの2010年作
たゆたうような女性ヴォーカルの歌声を乗せた、オルタナ風味のポストロックというスタイルで、
薄暗い静謐感に包まれた空気と適度なアンダーグラウンド感覚がミステリアスな雰囲気をかもしだす。
PURSONなど昨今の魔女系ドゥーム勢とはまた異なる聴き心地で、キャッチーな完成度とは反対の、
いわばミニマルな愛想のなさが寒々しい潔さとなっている。アコースティカルな部分はフォーク風でもあり、
霧の中から聴こえるような女性ヴォーカルが、優しく、そして妖しい幻想的な味わいになっている。
この薄暗い空気感は、ゴシック好きのリスナーなどにも対応するだろう。面白いバンドが現れた。
ドラマティック度・・7 薄暗度・・9 女性Vo度・・8 総合・・8
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Esben And The Witch 「Wash the Sins Not Only the Face」
エスベン・アンド・ザ・ウィッチの2013年作
トリオ編成によるシンプルなスタイルながら、薄暗い翳り幻想を音で描き出すこのバンド、
本作もポストロック的な広がりのあるスケール感と、しっとりとした叙情性を妖しく聴かせてくれる。
レイチェル嬢のヴォーカルは、情感的な歌唱とは対極の、アンニュイな倦怠に包まれたイメージで、
そういう点では、All About Eveのジュリアンヌ・リーガンなどを思わせる。とくに今作では歌による表現に
重点が置かれた印象で、前作よりも少しキャッチーな聴きやすさが増したかもしれない。
オールドなゴシックロックの空気感を受け継いだ女性声ロックとして、注目すべきバンドである。
ドラマティック度・・7 薄暗度・・9 女性Vo度・・9 総合・・8
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Esben And The Witch 「A New Nature」
イギリスの魔女系ポストロック、エスベン・アンド・ザ・ウィッチの2014年作
今作はタイトルのように自然崇拝的なイメージで、前作の歌もの路線から、1stの頃の静謐感が戻っていて、
アコースティックなフォーク要素とドゥームロック的なヘヴィさが融合したという聴き心地である。
淡々とした中にも神秘的な妖しさを感じさせる、レイチェル嬢の歌声も、その表現力を増していて、
10分、14分というこれまでになかった大曲を、独特のスケール感をともなって描き出してゆく。
トランペットが物悲しく鳴り響く、プログレ的でもあるポストロック風味も含めて、前作に比べると
全体的にいくぶん難解な作風になったが、こちらを好むリスナーも多いのではないかと思う。
ドラマティック度・・8 薄暗度・・9 女性Vo度・・8 総合・・8
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Esben And The Witch 「Older Terrors」
イギリスの魔女系ポストロック、エスベン・アンド・ザ・ウィッチの2016年作
2010年にデビュー、ゴシック、ドゥーム、ポストロックの要素を持つ独自の世界観を描くバンド。
4作目となる本作は、10分を超える大曲4曲という構成で、しっとりとした女性ヴォーカルの歌声と
ギータのつまびきで、静謐な夜の空気を感じさせる、アトモスフェリックなサウンドが広がってゆく。
アンビエントな感触に包まれながらも、歪んだギターとドラムを加えたロックなアプローチも随所に覗かせ、
大曲の中でも、ゆるやかな盛り上がりを作り出す。ゴシック的でもある耽美な空気感とともに、
魔女系ドゥームや女性声サイケ、さらにはポストブラックなどが好きな方にも楽しめる作風だ。
ドラマティック度・・7 妖しさ度・・8 魔女系度・・8 総合・・8
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ESBEN & THE WITCH「NOWHERE」
イギリスの魔女系ポストロック、エスベン・アンド・ザ・ウィッチの2018年作
2010年にデビュー、4作目となる本作は。ザらついたギターの旋律とともにスラッジ的な感触で幕を開け、美しい女性ヴォーカルで妖しい歌声を響かせる。
翳りを帯びた静謐なパートから、ポストロックらしい轟音ギターとともに、ネイチャーで神秘的な迫力に包まれてゆくサウンドは、ぐっと説得力を増している。
しっとりとした囁きからシアトリカルな歌い上げまで、レイチェル嬢のヴォーカルの表現力も見事で、楽曲にこれという展開はないものの、雰囲気モノとしての強度でドゥーミィな空気感が楽しめる。
ドラマティック度・7 妖しさ度・8 神秘的度・8 総合・7.5
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Eva Can't 「Gravatum」
イタリアのプログレ・ドゥームメタル、エヴァ・キャントの2017年作
2012年にデビューし、本作が3作目となる。適度にヘヴィなギターにイタリア語によるヴォーカルを乗せ、
メランコリックな叙情に包まれながら、プログレッシブな展開力で聴かせる、シアトリカルなドゥームメタル。
オルガンを使ったヴィンテージな雰囲気と緩急ある構築力は、OPETHなどが好きな方にも楽しめるかもしれない。
10分、15分という大曲を構築する知的なセンスと、イタリア語の歌声に語りを含んだ妖しくダークな世界観、
随所にデスヴォイスも加えたり、ブラックメタルばりの激しい疾走パートもあったりと、一筋縄ではいかない。
一方では繊細なアコースティックパートや、叙情的なギターを乗せたメロディックなナンバーなどもあり、
プログレッシブなバンドが好き方にはたまらないだろう。優雅さと妖しさ、繊細と激しさが同居した力作だ。
ドラマティック度・・8 プログレッシブ度・・8 妖しく知的度・・9 総合・・8
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Evangelist 「Doominicanes」
ポーランドのドゥームメタル、エヴァンゲリストの2013年作
CANDLEMASSやSOLITUDE AETRUNUSなどを受け継ぐ、ドラマティックなエピックドゥームメタルで、
スローな曲調に重厚なツインギターと朗々としたヴォーカルを乗せた、本格派のスタイルだ。
歴史や宗教観を含んだ重々しいドラマ性とエピックな雰囲気に包まれ…ダークでヘヴィでありながら、
ヨーロピアンな湿り気を含んだ聴き心地もあって、随所にメロウなギターフレーズも入ってくるのが嬉しい。
全5曲ながら、9分、12分という大曲もあり、重厚にしてドラマティックなエピックドゥームが楽しめる力作。
ドラマティック度・・8 重厚度・・9 エピックドゥーム度・・9 総合・・8
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THE EVIL
ブラジルのドゥームメタル、イーヴルの2018年作
フードをかぶり覆面をした怪しげな4人編成で、ヘヴィなギターリフに女性ヴォーカルを乗せた、
どっしりとスローテンポの魔女系ドゥームメタルを聴かせる。10分を超える大曲では、
オルガンによるイントロから始まり、妖しい女性声とともに邪悪な雰囲気たっぷりに
WITCH MOUNTAINにも通じる本格派の重さと、適度にアグレッシブなメタル感も覗かせる。
リフや楽曲自体にこれという新鮮味はないのだが、重厚な説得力をまとった強力なサウンドだ。
ドラマティック度・・7 ドゥーム度・・9 魔女系度・・8 総合・・7.5
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ExpiatoriA 「Shadows」
イタリアのドゥームメタル、エクスピアトリアの2022年作
結成は80年代というバンドで、重厚なツインギターにシンセを重ね、朗々としたヴォーカルを乗せて、BLACK SABBATHをルーツにしたダークな空気に包まれた、古き良き正統派のドゥームメタルを聴かせる。
ほどよい叙情を感じさせるギターに、ときにハイトーンを含めた歌声で、翳りを帯びたシアトリカルなドラマ性を感じさせるところは、エピックドゥームが好きな方にも楽しめるだろう。
重すぎないサウンドは、REVELATIONなどにも通じる、いくぶんマイナーでウェットな雰囲気に包まれていて、6〜9分という長めの楽曲を主体に、ときにフルートやサックスも加わったりと、プログレ風味も覗かせるのはイタリアらしい。
全体的には、これという派手さはないものの、ヨーロピアンなドゥームメタルが味わえる力作だ。
ドゥーム度・8 重厚度・8 翳りと叙情度・8 総合・7.5
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F
Fair to Midland「Fables from a Mayfly: What I Tell You Three Times Is True」
アメリカのエモーショナルロックバンド、フェア・トゥ・ミッドランドの2007作
一聴して、普通のエモのような聴きやすいサウンドなのだが、やわらかな歌声に、ダミ声をまじえて歌い分けるヴォーカルや、
曲の展開のセンスには知的なプログレ的要素もいくぶんある。哀愁溢れる叙情メロディに適度なモダンヘヴィネスを同居させ、
そこにファンタジーを乗せてマイルドに仕上げた好作。ブックレット内の寓話的なイラストの世界観も面白い。
メロディアス度・・8 哀愁度・・8 楽曲センス・・8 総合・・7.5
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Fair to Midland「Arrows & Anchors」
アメリカのエモーショナル・ヘヴィロックバンド、フェア・トゥ・ミッドランドの2011年作
プログレ的展開のあるエモという感じたった前作から、ぐっとスケール感が増し
メタリックでヘヴィな質感が強まっている。キャッチーでエモーショナルなヴォーカルメロディと
知的なアレンジとともに、プログレッシブ・ヘヴィエモロックというようなサウンドを描いている。
コンセプト的な楽曲の流れで、ドラマティックに構築してゆくセンスはなかなか見事で
ときに壮麗なシンセアレンジも含めて盛り上げる。あるいはこれもモダンプログレのひとつの形か。
メロディアス度・・8 ドラマティック度・・8 プログレ風味度・・8 総合・・8
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FER DE LANCE 「THE HYPERBOREAN」
アメリカのエピック・ドゥームメタル、ファー・デ・ランスの2022年作
幻想的なイントロから、重厚なツインギターに叙情的なアコースティックギターを重ね、朗々としたヴォーカルとともに、
BATHORYのような北欧的な土着性と、ペイガンな神秘性に包まれたエピック・ドゥームメタルを聴かせる。
7〜8分前後の大曲を主体に、ときにほどよい激しさを含んだパワメタ感触も覗かせるなど、
オールドなエピックメタル好きにも対応。アコギの音色が随所に素朴な味わいになっていて、
重すぎないドゥーム感とフォーキーな叙情が合わさり、ジャケのようなミステリアスなイメージに包まれる。
ラストはアコースティックなパートから勇壮なドゥームへと展開する。面白いバンドが出てきたなあ。
ドラマティック度・8 重厚度・8 神秘的度・8 総合・8
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Fireball Ministry 「Second Great Awakening」
アメリカのハードロック、ファイアーボール・ミニストリーの2003年作
女性ギター、女性ベーシストを含む4人組で、アナログ感たっぷりのツインギターに、
オジー似のヴォーカルを乗せた、ストーナーロック寄りのオールドな聴き心地。
これという新鮮味はないのだが、70〜80年代ルーツのハードロックという点では、
ギターのリフやザラついた音質も含めて、とても再現度が高いと言ってよい。
楽曲も3〜4分前後とシンプルに聴きやすく、ほどよくキャッチーな部分もある。
適度なノリの良さとともに、サバスルーツのストーナーロックが楽しめる好作品。
メロディック度・・7 アナログ度・・8 古き良きHR度・・9 総合・・7.5
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FLEET FOXES
アメリカのロックバンド、フリート・フォクシーズの2008作
牧歌的な叙情でゆるやかに聴かせるサウンドは、古き良き70年代の香りをもっている。
アコースティカルな風味のあるゆったりとしたフォークロック的な質感に、
やわらかなシンセやオルガンのアレンジ、ヴォーカルの歌声も心地よく響く。
70'sブリティッシュロック/フォークのファンなどにも楽しめる作品だろう。
叙情度・・8 ロック度・・7 ゆるやか度・・9 総合・・8
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Fleet Foxes「Helplessness Blues」
アメリカのフォーク・ロックバンド、フリート・フォクシーズの2011年作
前作はデジパックだったが、ついに紙ジャケとなった。モノクロのメンバー写真も含めて
すべてが70年代的なパッケージとなり、サウンドの方もいよいよ古き良き牧歌的な
フォークロックサウンドに磨きがかかっている。アコースティックな優しさと
ゆったりとした聴き心地は、たとえばHERONのような、あの頃の英国フォークを思い出させ、
その時代錯誤にも思えるヒッピー的ともいうべきラブ&ピースの精神が、
のんびりとした音の中に見え隠れする。やわらかでレトロなフォークアルバム。
メロディアス度・・8 アコースティック度・・8 のんびりフォーク度・・8 総合・・8
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Floor「Oblation」
アメリカのドゥーム・ヘヴィロック、フロアーの2014年作
1992年に結成、ヘヴィロックにポップなキャッチーさを融合されたバンドとしてその後のバンドに大きな影響を与えた。
解散後、スティーヴ・ブルックスはトーチを結成するが、2010年にFloorとして再結成し、本作が10年ぶりの復活作となる。
サウンドは、ヘヴィでスローなギターリフが鳴り響く、どっしりとした本格派ドゥームメタルの質感に、
キャッチーなヴォーカルを乗せたモダンなヘヴィロック。ノイジーな轟音ギターとエフェクトのかかったヴォーカル、
随所にメロディックなフレーズを乗せた、アンバランスな味わいが面白く、恐ろしくヘヴィなのだがキャッチーという、
不思議な感覚が楽しめる。3分前後の小曲が中心なのだが、曲というよりリフと歌声の感触を味わうという感じなので、
長い曲だとかえって疲れてしまうかもしれない。重いのが好きな方には、普通に重量ドゥームとしても聴けます。
ドラマティック度・・7 ドゥーム度・・8 ヘヴィ度・・8 総合・・8
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Fostermother 「The Ocean」
アメリカのドゥームメタル、フォスターマザーの2022年作
2020年にデビューし、2作目となる。アナログ感たっぷりのギターにうっすらとしたシンセを重ね、
朗々としたヴォーカルとともに、ヴィンテージかつ神秘的なサイケ・ドゥームロックを聴かせる。
スローテンポを主体に、重すぎないギターでほどよくノリのあるストレートなサウンドであるが、
ときにメロトロンなどのシンセが合わさると、いくぶんスペイシーな雰囲気も覗かせる。
全体的には、これといって盛り上がりもなく、淡々とした聴き心地なので、濃密な大曲などあればと思う。
ドラマティック度・7 重厚度・7 ドゥーム度・8 総合・7.5
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Frost Bite 「Secret Admirer」
アメリカのドゥームメタル、フロスト・バイトの1996年作
適度にヘヴィかつメロディアスなギターワークと、ハイトーンヴォーカルを乗せた
CandlemassやSolitude Aeturnusを思わせる正統派のエピック・ドゥームメタル。
ミドルテンポ主体の3、4分台の楽曲は、これというインパクトはないのだが、
普通の正統派メタルとしても楽しめる。どうせならもっとエピックな香りが欲しいが。
ドラマティック度・・7 エピックドゥーム度・・7 新鮮度・・7 総合・・7
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FUNERAL CIRCLE
カナダのエピック・ドゥームメタル、フューネラル・サークルの2013年作
重厚なリフと妖しいメロディを含んだツインギターに、朗々としたヴォーカルの歌声を乗せた
CANDLEMASSタイプのエピック・ドゥームメタル。8分、9分、11分という大曲も含め、ゆったりと
ドゥーミィないかがわしさもよろしく、良い意味でのカルトなアンダーグラウンド臭を残している。
薄暗く絡みつくような叙情性も覗かせながら、幻想的で怪しさたっぷりの聴き心地は、
ATLANTEAN KODEXなどが好きな方にもお薦め。ヨーロピアンな湿り気を含んだエピック・ドゥームメタルの好作です。
ドラマティック度・・8 エピックドゥーム度・・8 カルト度・・8 総合・・8
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FUNGUS 「Better Than Jesus」
イタリアのサイケロックバンド、フングスの2010年作
オルガンが鳴り響き、適度にハードなギターと、シアトリカルなヴォーカルで聴かせるサウンド。
ヴォーカルが英語であることもあって、どちらかというと70年代のブリティッシュロック風味が感じられ、
しかもヴァーティゴ系というか、どこか怪しげなB級感を漂わせているところもなかなか面白い。
プログレというよりは、サイケ/ドゥームロック系バンドのような雰囲気もあり、ジェントルな歌声は
OPETHのミカエル・オーカーフェルドを思わせたりもする。オルガン入りサイケハードの好作品。
ドラマティック度・・7 プログレ度・・7 イタリア度・・7 総合・・7.5
G
GALLILEOUS 「FOSFOROS」
ポーランドのストーナーロック、ガリエオスの2021年作
2008年にデビューし、6作目。ゆったりとしたリズムに重すぎなギター、中性的な女性ヴォーカルを乗せて、スペイシーな浮遊感に包まれたサウンドを描く。
ブルージーな味わいのギターに、オルガンなどのシンセもうっすらと重なり、ストレートながらも厚みのあるアンサンブルは、キャリアのあるバンドらしい。
ゴーレムやフランケンシュタイン、透明人間、化け猫、バシリスクなど、空想の怪人、怪物をテーマにしているのも興味深く、どこか神秘的な世界観を感じさせる。
紅一点、Anna嬢の歌声は、さほどフェミニンではないので、女性声ロックが苦手な方でも普通に楽しめそう。
ラスト曲では、母国語による歌声とともに、どっしりとしたドゥームロックを聴かせる。
ドラマティック度・7 ヴィンテージ度・8 女性Vo度・7 総合・8
Garden of Worm
フィンランドのドゥームメタル、ガーデン・オブ・ワームの2010年作
ギター、ベース、ドラムという3人編成で、アナログ感たっぷりのアンサンブルで、
古き良き感触の重厚なドゥームメタルを聴かせる。マイルドなヴォーカルを乗せたやわらかさは、
近年のOPETHあたりに通じる感触もあり、随所にプログレッシブな構築センスも覗かせる。
音数は少ないのだが、うねりのあるリフやフレーズを繰り出すギターのセンスはかなりのもので、
アコースティックギターにメロトロンやフルートの音色が絡む小曲など、叙情的な世界観も素晴らしい。
ゆったりとしたスローテンポからリズムチェンジしてのノリのよいナンバーまで、曲調も案外メリハリに富んでいて、
CANDLAMASS系のエピックドゥームの雰囲気も感じさせる。一本調子ではない知的ドゥームメタルの力作です。
ドラマティック度・・8 重厚度・・7 古き良き度・・9 総合・・8
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GARDEN OF WORM 「Idle Stones」
フィンランドのドゥームメタル、ガーデン・オブ・ワームの2015年作
ギター、ベース、ドラムという3人編成で、前作も70年代的なアナログ感たっぷりのドゥームメタルであったが、
本作もうねりのあるギターリフとマイルドなヴォーカルで、サイケ感触もあるオールドなドゥームを聴かせる。
前作にもあったプログレ的な展開力が、よりユルめのサイケロック感触と融合し、10分を超える大曲では
妖しげな浮遊感がより際立ってきている。ラストは19分という大曲で、後半になると70年代クラウトロックばりの
即興的なアンサンブルでたたみかける。整合性という点では前作であるが、好き放題のノリが楽しめる方はこちらも。
ドラマティック度・・7 アナログ度・・8 サイケドゥーム度・・8 総合・・8
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The Gates of Slumber 「Wretch」
アメリカのドゥームメタル、ゲイツ・オブ・スランバーの2011年作
2004年にデビュー、本作は5作目となる。アナログ感たっぷりのギターリフに野太いヴォーカルを乗せた、
Black Sabbathルーツのオールドスタイルのドゥームメタルを聴かせる。どっしりとしたスローテンポの重厚さは、
初期のCathedralにも通じる感触で、ダークな妖しさとともに、ほどよくウェットなドラマ性を感じさせる。
マイルドな歌声でゆったりとした叙情を聴かせるパートなど、エピックドゥーム的な世界観も良い感じで、
重すぎない、武骨すぎない作風も良いですな。ラストは12分という大曲で、新しいものはなにもないが、
これぞドゥームメタル!というサウンドが楽しめる。正統派ドゥーム好きにはお薦めの強力作です。
ドラマティック度・・8 ドゥーム度・・9 古き良き度・・8 総合・・8
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GAUPA 「Myriad」
スウェーデンのヴィンテージロック、ガウパの2022年作
2020年にデビューし2作目で、ヘヴィなツインギターに女性ヴォーカルを乗せた、PURSONなどに通じるアナログ感たっぷりのサイケ・ハードロックを聴かせる。
ブルージーなテイストとドゥームロック感触も含んだ軽すぎない演奏と、紅一点、エンマ嬢の表現豊かな妖しい歌声も魅力的で、そこにサイケデリックな酩酊感も加わった本格派のサウンドだ。
楽曲は3〜5分前後と、わりとストレートなので、これという盛り上がりはないのだが、サイケとストーナー、ハードロックの真ん中へんという感じで、70年代スタイルが好きな方には普通に聴きやすいだろう。
ドラマティック度・7 サイケハー度・8 女性Vo度・7 総合・7.5
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GENTLEMANS PISTOLS
イギリスのハードロック、ジェントルマンズ・ピストルズの2007年作
先に2作目を聴いていたが、ようやくデビュー作をゲット。本作の時点ではまだ4人編成で、
ブルージーなギターとヴォーカルを乗せ、アナログ感たっぷりの70年代風のハードロックを聴かせる。
サウンド的には次作ほどの完成度はまだないが、荒削りの演奏も含めてまさにヴィンテージ。
一発録りのような生々しいギター、ドラムの音ともに、ノリのよいオールドロックが楽しめる。
楽曲は2〜3分前後とシンプルで、全30分という短さもいっそ潔い。70's英国ロックのファンはぜひ。
ドラマティック度・・7 70'sロック度・・9 ブルーズ度・・8 総合・・7.5
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GENTLEMANS PISTOLS「At Her Majesty's Pleasure」
イギリスのハード・ロック・バンド、ジェントルマンズ・ピストルズの2nd。2011年作
2007年にデビューし、本作が2作目となる。サウンドはいかにも70年代的な英国ハードロックで、
アナログ感たっぷりのギターに、ブルージーな感触のヴォーカルを乗せたスタイルは、
たとえばThe AnswerやThieves & Liarsあたりと比べると、よりマイナーな香りがする。
なんともマニア心をくすぐるようなギターリフに思わずにやにやとなるのである。
元CARCASS、現FIREBIRDのビル・スティアが加入し、ツインギターになったことも大きいだろう。
メロディアス度・・7 アナログ度・・9 70's英国度・・9 総合・・8
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GENTLEMANS PISTOLS 「HUSTLER'S ROW」
イギリスのハードロック、ジェントルマンズ・ピストルズの2016年作
2007年にデビュー、前作はいかにも70年代スタイルの英国ロックであったが、3作目となる本作も
往年のヴィンテージ感に包まれたハードロックサウンドを聴かせる。ブルージーな渋みと、
キャッチーなノリの良さが合わさった感触は、よりシンプルになった分、間口が広がったともいえる。
FIREBIRDのビル・スティアを含むツインギターが、骨太のサウンドを作り出していて、どっしりとした
音の説得力となっている。これという目新しさはないが、心地よくオールドロックに耳を傾けられる。
ドラマティック度・・7 オールドロック度・・8 ブルーズロック度・・8 総合・・8
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Ghost「Opus Eponymous」
スウェーデンのヴィンデージ・ハードロックバンド、ゴーストの2010年作
このジャケットからしてもうアナログ感がたっぷりなのだが、サウンドもしかり。
オルガンの音色をふんだんに使ったレトロなハードロックサウンドは、
BLACK BONZOなどと同様であるが、こちらはかつてのBLACK SABBATHのような
どろどろとした妖しさを全面に出したサウンドで、そのこけおどし感に思わずにやにやしてしまう。
一方では、ギターによるメロディアスなキャッチーさも含んでいて、プログレハード的にも楽しめる。マイスペ
メロディアス度・・8 レトロ度・・8 古き良きHR度・・9 総合・・8
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Ghost B.C.「Infestissumam」
スウェーデンのサイケ・ハードロック、ゴースト B.C.の2013年作
GHOST名義の前作もレトロかつ怪しげなハードロックの好作品であったが、
2作目となる本作ではさらに壮大になった。グレゴリアン・チャントのような詠唱から始まり、
メロディックなギターとともに、アナログ感覚たっぷりのハードロックが展開してゆく。
オルガンを含んだシンセアレンジと、シアトリカルで怪しげなヴォーカルの歌声で、
中世ヨーロッパを舞台にしたゴシックホラー的な世界観を描いてゆく。サバスタイプのオールドスタイルを基本にしつつ、
叙情的なやわらかさもあり、ある種、知的でドラマティックな壮大さがサウンドの説得力となっている。前作以上の濃密作だ。
ドラマティック度・・8 怪しげ度・・9 シアトリカル度・・8 総合・・8
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Ghost 「Meliora」
スウェーデンのカルト・ホラーロック、ゴーストの2015年作
2010年にデビュー、いったんは「GHOST.B.C.」と名義を変えたが、再びGHOSTとなっての3作目。
オルガンが鳴り響く古き良き感触と、適度にヘヴィなギターに、シアトリカルなヴォーカルを乗せた作風で、
1stの頃のレトロなハードロック風味に比べると、よりスタイリッシュで知的な展開力も感じさせる。
シアトリカルなドラマ性にキャッチーなメロディアス性も覗かせた濃密な聴き心地は、ときにKING DIAMOND的でもあり、
随所に覗かせるギターの旋律も80年代的でよい感じだ。曲によってはいくぶんProgMetal風味も感じさせ、
その路線でも面白いかも…そう思わせるセンスがあるのがさすがというところ。ブックレット内の妖しいイラストも含めて、
中世神秘主義とカルトホラー的な世界観に聴きやすいメロディックハードが合わさったという、力作に仕上がっている。
ドラマティック度・・8 シアトリカル度・・8 濃密度・・8 総合・・8
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GHOST 「PREQUELLE」
スウェーデンのカルト・ハードロック、ゴーストの2018年作
2010年にデビュー、ヴィンテージなサイケハードにダークなドラマ性を加えた世界観で人気のバンド。
4作目となる本作も、オルガンを含むシンセにほどよくハードなギターに、シアトリカルなヴォーカルを乗せた、
オールドスタイルのハードロックを聴かせる。今作は、ドゥーム要素を含んだヴィンテージな味わいだけでなく、
曲によってはキャッチーでエモーショナルだったり、プログレハード的なインストなど、わりとスタイリッシュなアレンジで、
これまで以上にバラエティに富んだ内容。過去作のオールドなスタイルが好きな方には痛し痒しかもしれないが、
一般的にはメロディックに、より聴きやすくなったと言えるだろう。全41分という、80年代的なボリューム感もさすが。
キャッチー度・・8 ヴィンテージ度・・7 シアトリカル度・・7 総合・・8
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Ghostbound 「All Is Phantom」
アメリカのゴシック・ポストロック、ゴーストバウンドの2018年作
物悲しいギターのつまびきから始まり、ジェントルなヴォーカルにヴァイオリンやチェロの音色を重ね、
ポストロックらしいスケール感に包まれながら、ときにブラスト疾走するような激しさも覗かせる。
ヘヴィ過ぎないギターにはメタル感触はさほどなく、ゆったりとしたナンバーでは、キャッチーでありながらも、
ゴシックロック的でもあるメランコリックな叙情を描いてゆく。全体的に派手な盛り上がりというのはなく、
わりと淡々とした聴き心地であるが、後半にはポストブラック風の疾走ナンバーもあり、ますますジャンル分け不能に。
朗々としたヴォーカルとストリングスの音色で、クラシカルで物悲しいポストロックが楽しめるという好作品だ。
ドラマティック度・・7 重厚度・・7 叙情度・・8 総合・・7.5
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GLERAKUR 「THE MOUNTAINS ARE BEAUTIFUL NOW」
アイスランドのシューゲイザー・ポストロック、グレラカーの2017年作
アンビエントなシンセアレンジにアコースティックギターを重ね、広がりのあるスケール感を描き出す、
ネイチャーな世界観のシューゲイザーロック。ランドスケープ的なギターにドラムも加わると、
重厚なポストロック風味にもなり、神秘的な迫力に包まれたインストサウンドに浸れる。
15分の大曲などは、寒々しいアイスランドの山々をイメージするように、目を閉じてゆったりと鑑賞できる。
一般のメタルリスナーにはやや退屈かもしれないが、涼やかな北の空気を感じさせる異色のシューゲイズロックである。
ドラマティック度・・7 メタル度・・3 重厚度・・8 総合・・7.5
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Gnaw Their Tongues 「L'arrivee De La Terne Mort Triomphante」
オランダのエクスペリメンタル・ブラックメタル、グノウ・ゼア・トングスの2010年作
マウリス・デ・ヨングによる独りユニットで、2006年にデビュー。本作はすでに7作目となる。
男女混声コーラスと、ノイジーなギター、絶叫するヴォーカル、ドラムが混然一体となった、
サウンドスケープ、ポストロック的な妖しさと、荘厳なスケール感を描くような異色の世界観。
ダークアンビエント、ノイズ、ドローン、インダストリアルの要素をブラックメタルばりの暗黒性で塗りつぶし、
ときにクラシカルなピアノなど耽美な空気も覗かせ、アヴァンギャルドなELENDというような聴き心地もある。
7〜11分という大曲ばかりで、曲というよりは混沌とした耽美な音の塊を味わうというところは、
カルトでダークなアヴァンミュージック好きには脳が心地よいことこの上ない。新時代の暗黒魔王です。
ドラマティック度・・8 メタル度・・5 暗黒度・・9 総合・・8
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GOAT「Commune」
スウェーデンのサイケロック、ゴートの2014年作
2012年にデビュー、ヴゥードゥ教を広めると標榜する、異色のサイケロックバンド。
オリエンタルなギターフレーズに、アナログ感たっぷりのドラム、妖しい女性ヴォーカルを乗せた
神秘的な浮遊感に包まれたサウンド。適度にユルめのギターのリフレインがトリップ感をかもしだし、
シーケンサー風のエフェクトのかけ方などには、ジャーマンロック的なセンスも感じさせる。
一方ではいかにも土着的なフォーク風味の感触もあったりして、なかなか楽しい。
トライバルな魔女系サイケロックとしても楽しめる。カルトな作品を好む方はいかが。
メロディック度・・7 サイケ度・・8 妖しさ度・・9 総合・・8
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Goat 「Requiem」
スウェーデンのサイケロック、ゴートの2017年作
2012年にデビュー、トライバルなサイケロックを聴かせる異色のバンド。3作目となる本作は、
より牧歌的なフォークロックへと傾倒し、アコースティックギターにリコーダーの音色が鳴り響き、
妖しい女性ヴォーカルの歌声を乗せた、いわば民俗的なアシッドフォークというべき聴き心地。
神秘的な土着色が薄れたというわけではなく、わりと聴きやすくなったサイケフォークの中にも、
秘教的な空気感は残っていて、むしろ前作以上にフリーキーかつ濃密な土着性が内包されている。
曲によっては、Amon Dullなどクラウトロックに通じるようなドラッギーな酩酊感覚も含んでいて、
プログレ方面のリスナーにも十分アピールするだろう。深化した民族サイケフォークの傑作だ。
ドラマティック度・・7 妖しさ度・・8 サイケフォーク度・・9 総合・・8
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GODSPEED YOU! BLACK EMPEROR「f#a#∞」
カナダ出身のポストロックバンド、ゴッドスピード・ユー!ブラックエンペラーの1st。1998作
デビュー作でありながら、16分、17分、29分という大曲3曲という構成にまず圧倒される。
かつてのPINK FLOYDがかくあったかという、空間的な美学を内包したサウンドは
単なるロックの枠ではくくれない不気味なほどの器の大きさを感じさせる。
後のアルバムよりはサウンドコラージュの度合いは薄く、バンドとしてのミニマリズムが直接感じ取れ、
クライマックスにゆくに従って盛り上がるやり方などもこの時点ですでに完成されている。
この長尺感を退屈ととるか、壮大な世界観ととるかで、彼らのサウンドが楽しめるかどうか分かれるだろう。
メロディアス度・・7 壮大度・・8 空間度・・9 総合・・7.5
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GODSPEED YOU! BLACK EMPEROR「Lift yr. Skinny Fists Like Antennas To Heaven」
カナダ出身の9人組、ゴッドスピード・ユー!・ブラックエンペラーの2nd。2000作
バンド名も長いがタイトルも長い。しかもメンバーはG×3、Dr×2、B、チェロ、ヴァイオリン、テープ編集(?)
という変則の大所帯。ジャンル的には所謂「ポストロック」という部類らしいが、この曖昧なカテゴライズ名よりも
プログレファン向けにあえて明快に言うと、チェンバーロック編成の凶暴化したPINK FLOYDといったところか。
CD2枚組で全4曲。歌はなし(サウンドコラージュ的なSE、語り入り)。まるで夢幻の精神世界を音で構築しようと試みたかのようなサウンドは、
不思議な静寂と闇の中に「内面的反抗心」がかいま見得る「音のメッセージ」というところか。
曲はけっして急ぐことなくゆるやかに高揚感を高まらせてゆき、盛り上がりの場面では
ギター、ヴァイオリン、チェロなどが一体となり、まるで壮大なシンフォニック・チェンバーの音像となる。
これを退屈とみるか、本気で音に対峙するかで聴きかたはまったく異なるだろう。
短気な私としては、部分的には退屈に感じつつも、引き込まれるだけの強度を感じた。
壮大度・・9 暗黒度・・8 精神度・・10 総合・・8
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GODSPEED YOU! BLACK EMPEROR「SLOW RIOT FOR NEW ZERO KANADA E.P.」
ゴッドスピード・ユー!・ブラックエンペラーのミニアルバム。2000作
1stと2ndの間に出たEPで全2曲28分。彼らにしては短いの、私のような不熱心なリスナーには助かる(^^;)。
音の方は、静寂と寒々しさを感じさせる深みのあるもので、ヴァイオリンの音色もとても美しい。
アルバムよりも曲が(これでも)短いので、退屈する前にゆるやかな盛り上がりが訪れて、とても心地よく聴ける。
壮大度・・8 静謐かつダーク度・・9 精神度・・8 総合・・8
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GODSPEED YOU! BLACK EMPEROR「YANQUI U.X.O」
カナダ出身のポストロックバンド、ゴッドスピード・ユー!・ブラックエンペラーの3nd。2002作
前作はCD2枚組の大作だったが、今回も全3曲75分と相変わらずのやりたい放題ぶり。
今回はテープによるサウンドコラージュを廃し、純粋な楽器のみの演奏となっていて、
静謐なパートはより(暗く)静かに、たたみかけの部分は壮大かつダイナミックになっている。
このバンドの場合歌がないので、彼らのメッセージは音を通して聴く他はないのだが、
ジャケやタイトルから察するにアメリカへの不信と戦争への怒り、がテーマになっているようで、
じっさい音の方にも管楽器の響きにはもの悲しさを感じるし、今回使用頻度の高いキーボードは
美しくシンフォニックでありながら、静寂パートにおいてはじつにはかなげに鳴っている。
このバンドのアルバムを見渡したとき、曲として良くできているかどうかというのは大いに疑問だが、
音にのめり込み、感じることができる聴き手には、まるで壮大な映画のようにも思えることだろう。
壮大度・・9 静謐かつダーク度・・9 精神度・・9 総合・・8
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GODSPEED YOU! BLACK EMPEROR 「Asunder, Sweet & Other Distres」
カナダのポストロック、ゴッドスピード・ユー!・ブラックエンペラーの2015年作
1998年にデビュー、その壮大なスケール感とサウンドコラージュ的な先鋭的なセンスから、
多くのバンドに影響を与えるポストロックの旗手となった。2002年作を最後に解散するが2010年に復活し、
本作は通算5作目となる。ヘヴィなギターにブラスが絡む、どっしりとしたサウンドで、ダークでありながらも
やわらかな叙情も感じさせる。シンセをメインにしたエクスペリメンタルなサウンドスケープ風味なども含め、
ヴォーカルがないオールインストなので、この手のポストロックが苦手な方には退屈かもしれないが、
ミステリアスな空気と得体の知れないスケール感を描く音作りはさすが。全4曲という構成で、
メロウなギターに絡むストリングが美しいラストの13分の大曲は圧巻だ。まさに堂々たる力作。
ドラマティック度・・7 ロック度・・6 ミステリアス度・・8 総合・・8
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GOLD 「Interbellum」
オランダのヴィンテージロック、ゴールドの2012年作
元Devil's Bloodのギターが在籍するバンドで、女性ヴォーカルの歌声とともにアナログ感たっぷりのサウンドを聴かせる。
PURSONやCASTLEなどに比べると、サイケやドゥーム色は薄く、英国ロックルーツのブルージーな雰囲気が前に出ていて、
より正統派の70'sロックスタイルと言える。楽曲は3〜4分台中心と比較的シンプルで、個人的には、もう少し妖しさがあった方が好みなのだが、
適度にキャッチーな聴き心地とともに、最近の装飾過多の音楽に疲れるオールドロックファンには耳に心地よいことだろう。
メロディック度・・7 古き良き度・・8 女性Vo度・・8 総合・・8
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The Golden Grass
アメリカのヴィンテージロック、ゴールデン・グラスの2014年作
ギター、ベース、ドラムのトリオ編成で、ヴォーカルはドラムとギターが曲によって変わる。
ときにオルガンも鳴り響き、アナログ感たっぷりの70年代ロックに回帰したサウンドで、
70年代英国バンドの発掘音源だと言われれば、そのまま信じてしまいそうなほどだ。
サイケデリックなユルさも含んだ牧歌的な叙情で、ゆったりと楽しめる耳心地の良さもある。
これという目新しいことはやっていないのだが、タイトなドラムをはじめ演奏力はしっかりとしていて、
13分近い大曲を即興的なノリを含めて聴かせる力量がある。今後も楽しみなヴィンテージロックの逸材だ。
ドラマティック度・・8 古き良き度・・9 ユル度・・8 総合・・8
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The Golden Grass 「Coming Back Again」
アメリカのヴィンテージロック、ゴールデン・グラスの2016年作
ギター、ベース、ドラムのトリオ編成で、2作目となる本作も、アナログ感たっぷりのアンサンブルで、
70年代英国ロックに回帰したようなヴィンテージなサウンドを聴かせる。ブルージーなハードさに、
ジェントルなヴォーカルを乗せた牧歌的なおおらかさで、ブギウギ調のキャッチーなノリのナンバーから、
アコースティックな小曲、そして10分に及ぶサイケ・ドゥーム風の大曲など、意外とメリハリに富んた構成で、
オールドな70's風ロックをじっくりと楽しめる。適度なハードさとほどよいユルさのバランスも絶妙だ。
ドラマティック度・・7 キャッチー度・・8 ヴィンテージ度・・9 総合・・8
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Grand General
ノルウェーのロックバンド、グランド・ジェネラルの2013年作
シンセにヴァイオリン奏者を含む5人編成で、ドラムはMOTORPSYCHOでも活躍するメンバー。
アナログ感を感じさせるギターにヴァイオリンの音色が絡み、うねりのあるベースとドラムが
躍動的なグルーブ感を描き出す。ガレージロック的でもある生々しさとサイケな浮遊感、
プログレ的なスケール感が合わさった独自のサウンドありながら、結果してロックであるという、
説得力のある抜群の演奏は見事と言う他はない。オールインストであるが、どっしりとしたリズム隊が
重厚さと同時にノリのある緊張感わ作り出し、ヴァイオリンとギターが空間を彩る、その一体感に聴き惚れる。
ドラマティック度・・7 プログレ度・・7 アンサンブル度・・10 総合・・8
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Grand Magus「Monument」
スウェーデンのメタルバンド、グランド・メイガスの2nd。2004作
ギター&ヴォーカル、ベース、ドラムというトリオ編成で、グルーブ感のある
ヘヴィなドゥームロックサウンドをやっている。アナログ感たっぷりの生々しい演奏と
古めかしい70年代的感覚はCATHEDRALにも通じるものがある。
メロディアス度・・7 ヘヴィ度・・8 アナログ度・・8 総合・・7.5
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GRAND MAGUS 「Iron Will」
スウェーデンのメタル、グランド・メイガスの2008年作
ギター&ヴォーカルのJBを中心にしたドゥームメタルバンドとしてスタートして、
この4作目においては、ぐっと正統派メタルに接近したサウンドになっている。
ギターは随所にブルージーな色も含ませながら、様式美的なメロディアスさもあって、
一般のHRリスナーにとってはむしろぐっと聴きやすくなったと言えるだろう。
スローな曲にはドゥームな香りもしっかり残っていて、サバス系のリスナーにも対応。
ドラマティック度・・8 ドゥーム度・・7 正統派度・・8 総合・・8
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Grand Magus「The Hunt」
スウェーデンのヘヴィメタル、グランド・メイガスの2012年作
SPIRITUAL BEGGARSのJBをフロントにして2001年にデビュー、本作が6作目となる。
4thあたりから正統派メタルに接近した作風になったが、本作も古き良きドゥームの質感を残しつつ、
適度にキャッチーなフックとともに、80年代的な伝統的なヘヴィメタルサウンドを感じさせる。
アナログ感に包まれた音作りは、重すぎず軽すぎずといった聴き心地で、
随所にメロディアスなギターソロなども含んだ、古き良き正統派メタルが楽しめる。
ワイルドかつ表現豊かなJBの歌声もサウンドによくマッチしていて、北欧神話をテーマにしたナンバーでは、
MANOWARのようなエピックメタルの雰囲気も匂わせる。円熟を感じさせる力作である。
ドラマティック度・・7 正統派度・・8 古き良き度・・8 総合・・8
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GRAND MAGUS 「TRIUMPH & POWER」
スウェーデンのヘヴィメタル、グランド・メイガスの2014年作
SPIRITUAL BEGGARSのJBをフロントにして2001年にデビューしてから、本作が7作目となる。
前作は正統派のエピックメタルに接近したような作風だったが、本作でもどっしりとした聴き心地の
古き良きメタルの感触に、ザラついたアナログ感覚を加えたような大人の味わいのサウンド。
ヘヴィさは控えめの音作りやレイドバックするようなアンサンブルは、オールドなハードロックリスナーにも対応。
ときにブルージーな感触も含んだギターに、朗々としたJBの歌声を乗せた渋みのあるHR/HMが楽しめる。
小曲2曲を含む全10曲42分というのも、アナログ時代のレコードを思わせる長さで良い感じです。
ドラマティック度・・7 古き良き度・・8 重厚度・・8 総合・・8
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Grand Magus 「Sword Songs」
スウェーデンのヘヴィメタル、グランド・メイガスの2016年作
2001年にデビュー、本作が8作目。古き良きギターリフに元SPIRITUAL BEGGARSのJBの歌声を乗せ、
70〜80年代ルーツのオールドなメタルサウンドを聴かせる。剣をテーマにしたアルバムのようで、
エピックメタル的な勇壮な雰囲気を匂わせつつ、ほどよくメロディックなギターフレーズに
味わいのあるヴォーカルで、大人の叙情を含んだヴィンテージなハードロックが全編楽しめる。
楽曲は3〜4分前後で、全34分というのもアナログ時代のアルバムのよう。これという新鮮味はないが、
初期MANOWARなどのファンでも楽しめるような、エピックな正統派HM作品である。
ドラマティック度・・7 古き良き度・・8 重厚度・・7 総合・・8
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Grand Magus 「Wolf God」
スウェーデンのヘヴィメタル、グランド・メイガスの2019年作
2001年にデビュー、本作が9作目となる。チェロとオーケストラルな優雅なイントロから、
ヘヴィなギターに元SPIRITUAL BEGGARSのJBの朗々としたヴォーカルを乗せて、
エピックな重厚さに包まれたオールドなメタルサウンドを聴かせる。ドゥームメタル要素も含んだ
遅すぎず速すぎずというどっしりとしたミドルテンポを主体に、勇壮な正統派メタルが楽しめるが、
これという新鮮味はないので、即効性のインパクトを求める方には向かないだろう。
楽曲は3〜5分前後で、トータル38分というのも、いかにもアナログ的な長さだ。
ドラマティック度・・7 重厚度・・8 正統派度・・8 総合・・8
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Graveyard
スウェーデンのヴィンテージロック、グレイブヤードの2007年作
アナログ感たっぷりのアンサンブルで聴かせる、いかにも70年代的なハードロックで、
ややノイジーなギターとを含むめてくぐもったような音質が、70年代の発掘音源のよう。
サイケ的な浮遊感やブルージーな土臭さも感じさせるところが北欧のバンドらしくてよいのだが、
後のアルバムに比べると荒削りな印象で、この次点ではマニア向けのサウンドであったと思うが、
スタート地点がこれだからこそ、ブレないままバンドを成長させていったのだなとも思える。
ドラマティック度・・7 古き良き度・・9 アナログロック度・・9 総合・・7.5
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Graveyard「Hisingen Blues」
スウェーデンのロックバンド、グレイブヤードの2011年作
アナログ感たっぷりに聴かせる70年代的ハードロックサウンド。
ブルージーなギターのフレーズといい、ヴォーカルの歌いっぷりといい
前作同様に古き良きクラシックロックへの愛情がたっぷりと詰まっていて、
こもり気味の音質や生々しいグルーブ感を含めて、すべてがアナログ的だ。
ヨーロッパのバンドらしいアンダーグラウンドな湿りけが音に感じられるのもよい。
メロディック度・・7 古き良き度・・9 アナログロック度・・9 総合・・8
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Graveyard「Lights Out」
スウェーデンのロックバンド、グレイブヤードの2012年作
前作のアナログ感たっぷりに聴かせる70年代的ハードロックサウンドは本作も健在、
いくぶんくぐもったツインギターの重なりと、どこかサイケ気味の浮遊感に加え、
アンダーグラウンドな薄暗さも含んだような聴き心地で、英国のバンドなどよりも
さらにマイナーな雰囲気が魅力的だ。ときにうっすらとしたシンセアレンジも入ったり、
一転してノリのよいロックン・ロールなナンバーもありと、楽曲の幅も広がった印象だ。
メロディック度・・7 古き良き度・・9 アナログロック度・・9 総合・・8
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Graveyard 「Innocence & Decadence」
スウェーデンのヴィンテージロック、グレイブヤードの2015年作
2008年にデビュー、4作目となる本作はのっけから70年代のブルーズロックが全快、
ノリノリで疾走するハードなロックンロールから、2曲目ではサイケなユルさも覗かせつつ、
軽すぎない重すぎない、オールドロックの心地よさがたっぷりと味わえる。
楽曲は3〜4分前後が中心でシンプルなのだが、曲ごとに方向性とノリが少しずつ違っていて、
案外メリハリに富んだ聴き心地である。この路線でここまで飽きずに聴かせられるというのは、
バンドとしての世界観の強度があるからなのだろう。まずは最高傑作ですな。
ドラマティック度・・7 古き良き度・・10 アナログロック度・・9 総合・・8
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The Graviators 「Motherload」
スウェーデンのストーナー・ドゥームメタル、グラヴィエーターズの2014年作
本作はすでに3作目で、アナログ感たっぷりのアンサンブルで大人の味わいを感じさせる
オールドスタイルのドゥームメタルを聴かせる。ブルージーな渋さを含んだギターワークによる
70年代的な雰囲気に、オルガンなども加わったいくぶんサイケロック的な感触も覗かせる。
10分前後の大曲もヘヴィ過ぎない派手すぎない感触で、強いインパクトというのはないのだが、
全体的に枯れた味わいのストーナー/ドゥームをやり通しているのはある意味、あっぱれだ。
ドラマティック度・・7 ドゥーム度・・8 古き良き度・・8 総合・・7.5
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Grayceon 「IV」
アメリカのプログレッシブ・ゴシック・ドゥームメタル、グレイセオンの2018年作
Amber Asylumの女性Voを擁するバンドで、アナログ感あるギターリフに女性ヴォーカルを乗せ、
手数の多いドラムとともに、リズムチェンジを含むエキセントリックな展開力を聴かせる。
チェロが鳴り響くメランコリックな空気感を描いていて、JACKIE嬢のアンニュイな歌声とともに、
妖しいけだるさも漂わせる。随所に彼女のデスヴォイスも加えたり、激しい疾走パートもあったりと、
ほどよくアグレッシブな部分もあるので、わりと飽きさせない。はかなげなゴシック感触と、
ドゥームのヘヴィさにアヴァンギャルドなセンスを加えたというような異色作です。
ドラマティック度・・7 ゴシック度・・7 女性Vo度・・7 総合・・7.5
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H
hallas 「EXCERPTS FROM A FUTURE PAST」
スウェーデンのヴィンテージハード、ハラスの2017年作
歪ませすぎないツインギターにオルガンを含むシンセ、朗々としたヴォーカルを乗せて、
URIAH HEEPなどにも通じる、70年代風味を受け継ぐヴィンテージロックを聴かせる。
全体的にハードな感触は少なく、随所に北欧的な涼やかな空気感も匂わせるあたりは、
BLACK BONZOなども思わせる。6〜7分前後の長めの楽曲がメインなのもプログレ寄りで
ミステリアスな叙情性とサイケ風味のやわらかな牧歌性が合わさった耳心地で楽しめる。
ドラマティック度・7 ヒープ度・8 ヴィンテージ度・9 総合・8
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hallas 「Conundrum」
スウェーデンのヴィンテージハード、ハラスの2020年作
2作目となる本作も、ハード過ぎないツインギターにオルガンなどのシンセとマイルドなヴォーカルで
アナログ感たっぷりのヴィンテージロックを聴かせる。いくぶんサイケがかったユルめの叙情性に、
URIAH HEEPルーツのブリティッシュハードの匂いも合わさった作風で、どこかなつかしい聴き心地。
後半は7〜8分前後の長めの曲をメインに、メロウなギターにシンセを重ねた、北欧プログレ的でもある
優美な叙情も覗かせる。これというインパクトはないのだが、心地よいオールドロックに浸れます。
ドラマティック度・7 ヒープ度・8 ヴィンテージ度・9 総合・8
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Hammers of Misfortune「Bastard」
アメリカのプログレ風メタル、ハマーズ・オブ・ミスフォーチュンの1st。2001年作
女性ベース奏者を擁する4人組で、男女ヴォーカルの歌声で聴かせる、
古き良きテイストのサウンド。まだ後のアルバムほどにはProgMetal的な展開はないが、
随所に激しく疾走したり、アコースティカルな叙情パートを織り込むなど、
メリハリのある楽曲はすでに個性的。全14曲を3つのパートに分けて曲を連ねてゆく
知的な構成力も素晴らしい。ヘヴィすぎないアナログ的な質感も魅力的で
これもNWOTHMのひとつの形だろうか。土着的なエピックメタルとしても楽しめる力作。
ドラマティック度・・8 エピック度・・8 古き良き度・・8 総合・・8
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Hammers of Misfortune「August Engine」
ハマーズ・オブ・ミスフォーチュンの2nd。2003年作
本作から女性オルガン/ピアノ奏者が加わり、音の厚みが増すと同時に、
そのダイナミックな展開力にもさらに磨きがかかってきている。男女ヴォーカルの歌声と、
ツインギターの古き良き正統派メタルの質感に加え、ProgMetal的なリズムを含ませつつ
メリハリの効いたアレンジ力で知的な構築センスを聴かせる。前作のエピックな感じは薄れたが、
ストーナー的でもあるアナログ感は強まった印象だ。プログレッシブなオールドメタルというべきか。
ドラマティック度・・8 知的アレンジ度・・8 古き良き度・・8 総合・・8
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Hammers of Misfortune 「Locust Years」
アメリカのプログレッシブ・メタル、ハマーズ・オブ・ミスフォーチュンの3rd。2006年作
女性鍵盤奏者に、女性ヴォーカル&ベースを擁する5人組で
ピアノやオルガンの音色を含む70年代プログレ&ハードロック風味に
ProgMetal的な展開力を含んだ楽曲で聴かせるという、なかなか個性的な作風。
レトロなオルガンが鳴るアナログ感を漂わせつつ、男女ヴォーカルの歌声で
描かれるサウンドは、メタル化したPROCOL HARUMというような雰囲気もある。
女性ヴォーカルと優雅なピアノの音色でしっとりと聴かせる部分もよろしい。
メロディアス度・・8 ProgMetal度・・7 古き良き度・・8 総合・・8
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Hammers of Misfortune「Fields/Church of Broken Glass」
ハマーズ・オブ・ミスフォーチュンの4th、5thのカップリング。2008年作
女性ベース、ギターの片割れが抜け、代わりに男女ヴォーカルとベースが加入し、
6人編成となった。4thはのっけから15分の組曲で、オルガンの音色が鳴り響く、
まるで古き良きプログレの雰囲気で始まりつつ、フルートの音色なども含みながら
適度なハードさで展開してゆく。疾走感よりもゆったりとした70年代ロックの聴き心地が強く、
メタルというよりはむしろ、オルガン入りのプログレッシブなサイケハードというような1枚だ。
5thも同路線であるが、女性ヴォーカルの歌うパートが増えて、叙情的な部分が増した。
ミステリアスな雰囲気も感じさせる10分の大曲などは、妖しげなドゥームサイケのようで、
しっとりとしたピアノやオルガンの音色が美しい。プログレリスナー向きの作品だろう。
ドラマティック度・・8 プログレ度・・8 古き良き度・・8 総合・・8
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Hammers of Misfortune「17th Street」
アメリカのプログレッシブ・メタル、ハマーズ・オブ・ミスフォーチュンの2011年作
オルガン鳴り響く70年代風味のハードロック色に、男女ヴォーカルの歌声で
ProgMetal的な展開力も見せつけるサウンドは、さらにダイナミックになっている。
古き良きヘヴィメタルの感触とレトロなヴィンデージ感覚が自然に融合されており、
本作ではギターのメロディックなフレージングが随所に効果的に聴かれ、
やわらかなシンセワークとのコントラストを描いている。メタルとしてのヘヴィさもちゃんとあり、
まるでPROCOL HARUMとMOTORHEADが一緒にバンドをやっているように聴こえたりもする。
ドラマティック度・・8 古き良き度・・8 構築センス・・8 総合・・8
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HAMMERS OF MISFORTUNE 「DEAD REVOLUTION」
アメリカのサイケメタル、ハマーズ・オブ・ミスフォーチュンの2016年作
2001年にデビュー、本作は5年ぶりとなる7作目。なにやら怪しげなジャケが目を引くが、
サウンドの方は、1曲目からドコドコのドラムにオールドメタルなギターリフを乗せた、
80年代風味のNWOBHM的でもある聴き心地に、サイケ的な浮遊感が合わさった感触。
オルガンが鳴り響き、パワフル過ぎない男性ヴォーカルに女性コーラスが絡み、
サイケでドゥーム感のあるエピックメタルというような、なかなか不思議な味わいだ。
前作までのプログレ的な要素は薄まったが、代わりに確信犯的なオールドスタイルのメタル色を強め、
このカルトなアナログ感に溢れた作風を楽しめる方には、とても魅力的なバンドとなるに違いない。
ドラマティック度・・7 古き良きメタル度・・9 サイケでエピック度・・8 総合・・8
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Heave Blood & Die 「Post People」
ノルウェーのサイケ・ポストロック、ヘヴン・ブラッド・アンド・ダイの2021年作
女性シンセ奏者にギター2人を含む6人編成で、適度にハードなギターにうっすらとしたシンセ、
エフェクトのかかったヴォーカルを乗せた、ポストロック的な物悲しい叙情に包まれたサウンド。
ときにオリエンタルな旋律も覗かせて、幻想的なサイケとストーナー、ポストロックの間を行き来する、
つかみどころがないというのが特徴か。やわらかなメロトロンが鳴り響く、ふわふわとした浮遊感と
涼やかな空気がなかなか耳心地よく、マイルドなヴォーカルも前に出すぎないのが良いのかも。
楽曲は3〜4分前後で、全33分というのもあっさりしている。シガー・ロス系が好きな方にもいけるかも。
ドラマティック度・・6 サイケ度・・7 浮遊度・・8 総合・・7.5
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HEAVEN & HELL「Devil You Know」
80年代サバスの復活というべきバンド、ヘヴン・アンド・ヘルの2009年作
バンド名こそ、かつてのアルバムタイトルをそのまま名乗っているが、
サウンドはまさしく当時のBlack Sabbathのダークなヘヴィさを受け継いだもので、
年齢をへていっそうの表現力を増したロニーの歌声と、トニー・アイオミの絡みつくようなギターリフで
古き良きドゥーミーな音像を描き出している。スローなナンバーが主体ながら、
そこいらの若手には真似のできない説得力と、歴史の重さを物語るような迫力がある。
惜しむらくは、ディオの死去によって、このアルバムが最後となってしまったことだろう。
ドラマティック度・・8 ヘヴィ&ダーク度・・8 ドゥーミー度・・8 総合・・8
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HEMELBESTORMER 「A RING OF BLUE LIGHT」
ベルギーのポスト・ドゥームメタル、ヘメルベストーマーの2018年作
ドローン気味の重厚なギターにうっすらとしたシンセを乗せ、スローテンポのドゥームメタル感触に、
ブラッケンな禍々しさを加えたという、ミステリアスな暗黒ドゥーム&スラッジサウンド。
10分を超える大曲を主体に、随所に叙情的なパートを織り込んだり、トレモロのギターを乗せた
ポストブラック風味の感触も覗かせるなど、なかなかメリハリある構成で聴き通せる。
オールインストながら、重厚な迫力と神秘的な空気感に引き込まれる力作です。
ドラマティック度・・7 暗黒度・・8 重厚度・・9 総合・・8
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HESSIAN 「Bachelor of Black Arts」
アメリカのカルトメタル、ヘシアンの2014年作
Blood CeremonyやWitch Mountainの登場以後、女性フロントの魔女系バンドが増えてきているが、
このバンドも80年代的なNWOBHM色を感じさせるオールドなサウンドで、男女ヴォーカルを乗せた、
なかなか軽快な聴き心地に適度な疾走感とキャッチーな感触もある。軽めの音質も含めて
ドゥームというよりは、むしろAngel Witchなど80年代B級メタルの流れをくむサウンドだろう。
リズムチェンジを含む楽曲のフックや、ややヨレ気味のツインギターの叙情なども嫌いではない。
音の迫力というものはさほどないが、カルトなローカルさも含めて楽しめる方はいかが。
ドラマティック度・・7 古き良き度・・8 女性Vo度・・7 総合・・7.5
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The Heretic Order 「All Hail the Order」
イギリスのドゥームメタル、ヘレティック・オーダーの2015年作
Black Sabbathルーツの古き良きギターリフと、カルトでサタニックな世界観を融合、
Cathedralあたりを思わせるアナログ感たっぷりのドゥームメタルスタイルに、
いわばロックンロールなノリを加えたという聴き心地である。ヘヴィすぎず、軽すぎずという
絶妙の聴き心地と、適度なキャッチーさも確信犯的で、案外愉快に楽しめたりする。
個人的には、もっとおどろおどろしい方が好きなのだが、いわば一般のリスナーにも楽しめる、
ノリのよいカルト・ドゥームという点では、これから面白い存在になるかもしれない。
ドラマティック度・・7 ドゥーム度・・8 古き良き度・・8 総合・・7.5
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The Hidden Hand 「The Resurrection of Whiskey Foote」
アメリカのドゥームメタル、ヒドゥン・ハンドの2007年作
SAINT VITUSやOBSESSEDで活躍した、ワイノが率いるバンドで、
アナログ感たっぷりのギターリフと存在感あるヴォーカルを乗せて、
OBSESSEDに通じる躍動感ある生々しいアンサンブルを聴かせる
古き良き正統派ドゥーム〜ストーナーロックを追求するシンプルな聴き心地で、
これといった新鮮味はないのだが、安心してノレて楽しめる一枚。
ドラマティック度・・7 ストーナー度・・8 新鮮度・・7 総合・・7.5
Hidden Masters 「Of This & Other Worlds」
アメリカのサイケロック、ヒドゥン・マスターズの2013年作
ギター、ベース、ドラムというトリオ編成で、60〜70年代を思わせる牧歌的なアートロックサウンド。
ハードな感触はほとんどなく、キャッチーなコーラスによるおおらかな叙情が前に出ていて、
アナログ感あふれるサウンドも含めて、70年代初頭の作品だと言われても信じてしまいそう。
ウエストコースト的な陽性のポップ感も匂わせつつ、ときにオルガンなどが加わっての
プログレ的な展開やサイケな浮遊感もあって、意外と一筋縄ではいかない面白さがある。
懐古主義にもほどがあるという、確信犯的なヴィンテージ・アートロックの好作品。
ドラマティック度・・7 ポップでサイケ度・・8 古き良き度・・9 総合・・7.5
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HIGH PRIESTESS
アメリカのサイケ・ドゥーム、ハイ・プリーステスの2018年作
アナログ感あるヘヴィなギターに女性ヴォーカルの歌声を乗せて、ゆったりとした浮遊感に包まれた
魔女系サイケドゥームを聴かせる。10分、8分という大曲も、リフレインするユルめのドゥーム感触と、
ときにスクリームも使った女性声の妖しさで、ほどよく重厚かつ幻想的な味わいで楽しめる。
全体的にこれという新鮮味はないが、ヴィンテージ過ぎず軽すぎずというサウンドで、
Blood Ceremony、Witch Mountain、Wucanあたりが好きな方は楽しめるだろう。
ドラマティック度・・7 ドゥーム度・・8 魔女度・・8 総合・・7.5
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HIGH PRIESTESS 「Casting the Circle」
アメリカのサイケ・ドゥーム、ハイ・プリーステスの2020年作
2018年にデビューし、2作目となる。ヘヴィ過ぎないギターに妖しい女性ヴォーカルを乗せ、
ほどよいユルさのサイケな浮遊感に包まれた、ヴィンテージな魔女系ロックを聴かせる。
17分の大曲を含む、全5曲という構成で、ときにオルガンも加えた70年代ロック感触と、
女性ヴォーカルを乗せた妖しい優雅さが合わさって、これという盛り上がりはないのだが、
ゆったりとした聴き心地で楽しめる。17分の大曲も、わりと長尺なリフレインが多いのだが、
そこも含めてのユルさが味わいにもなっている。女性声ヴィンテージロック好きはどうぞ。
ドラマティック度・7 サイケ度・7 魔女系ロック度・8 総合・7.5
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High Priest of Saturn
ノルウェーのサイケ・ドゥームロック、ハイ・プリースト・オブ・サターンの2013年作
女性Vo&Bを含む3人編成で、オルガンが妖しく鳴り響き、アナログ感たっぷりのギターと
浮遊感ある女性ヴォーカルで聴かせる、ストーナー系のドゥームロック。
10分前後の大曲4曲という構成で、ゆったりとしたサイケ風味とけだるげな耳心地に
どこか魔術的な神秘性を漂わせた、いわばカルトな雰囲気が楽しめる。
Blood Ceremony、Castle、The Devil's Blood、Pursonなど、近年この手のバンドが増えてきているが
このバンドはさらにディープな怪しさを感じさせる。初心者向きではないですが、ハマると深い音です。
ドラマティック度・・7 アナログ度・・8 カルト度・・8 総合・・8
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HIGH PRIEST OF SATURN 「Son of Earth and Sky」
ノルウェーのサイケ・ドゥームロック、ハイ・プリースト・オブ・サターンの2016年作
妖しさたっぷりだった前作からの流れで、オルガンが鳴り響きヘヴィなギターリフを乗せた
スローでドゥーミィなサウンドに、浮遊感ある中性的なヴォーカルが妖しい歌声を響かせる。
今作はシンセのアレンジが前に出ていることもあり、ジャケのようなスペイシーなサイケ風味も感じさせ、
荒涼としたものさびしさとミステリアスな神秘性を感じさせる、異色の空気感に包まれている。
フックのある展開というのは少ないが、それだけに4曲目のリズムチェンジなどはインパクト大。
オルガン入りの魔女系ドゥームが好きな方はチェックです。愛想のないカルトな感じもたまりません。
ドラマティック度・・7 サイケ・ドゥーム度・・9 妖しさ度・・9 総合・・8
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Hooded Menace 「Ossuarium Silhouettes」
フィンランドのドゥームメタル、フーデッド・メナスの2018年作
2008年にデビューして、本作が5作目となる。ヘヴィなギターに低音デスヴォイスを乗せ、
スローテンポの重厚なドゥーム・デスメタルを聴かせる。初期のCATHEDRALをさらに重くしたような、
フューネラルな暗黒性に包まれたサウンドながら、ツインギターのフレーズにはいくぶんの叙情性も感じられ
BLACK SABBATHルーツのオールドなメタル感触も残している。アップテンポのパートもけっこうあって、
ときにデスメタル的なギターリフを含んだアグレッシブな味わいと、翳りを帯びたヨーロピアンな美学を覗かせる。
あるいは、90年代の北欧デスメタルをドゥーム化したような聴き心地で、ダークな叙情に浸れる強力作だ。
ドラマティック度・・7 ドゥームデス度・・8 重厚度・・8 総合・・8
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Horns of Anguish 「Barriers」
スウェーデンのドゥームメタル、ホーンズ・オブ・アングイシュの2009年作
ヘヴィなギターリフにダミ声ヴォーカルを乗せた、重厚なフューネラルなドゥームメタル的に始まり、
スローテンポの沈み込むような曲調から、70年代ハードロック的なギターフレーズも覗かせて
Black Sabbath的な適度にノリのある味わいも見せる。ヴォーカルはときどきデスヴォイスになったりして、
曲によってはゴシックドゥーム的なメランコリックな叙情も漂わせる。ダークで不穏な空気感は、
フューネラルなドゥームメタルとしての説得力となっているが、反面、それ以上のインパクトはない。
ギターリフなり楽曲展開なりにもう一工夫欲しい気もするが、ドゥーム好きには安心して楽しめる好作だとは思う。
ドラマティック度・・7 ドゥーム度・・8 重厚度・・8 総合・・7.5
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Horseback 「Invisible Mountain」
アメリカのスラッジ系サイケ・ポストメタル、ホースバックの2010年作
マルチプレイヤーJenks Millerによるソロプロジェクトで、サイケなうねりを感じさせるアンサンブルに
スラッジ系のヘヴィなギターとダミ声の唸り声を乗せた、怪しくミステリアスなサウンド。、
アナログ感に包まれたプリミティブな禍々しさと、モノトーンのような無機質な空気感が同居して
リフレインされる単調なフレーズによる殺伐としたトリップ感が、退屈ととるか心地よいととるかで
本作への評価が分かれるだろう。ときおりメロディらしきフレーズも出て来くるとずいぶん聴きやすくなる。
ラストは16分の大曲で、うっすらとしたシンセに包まれたアンビエントな叙情性が耳心地よい。
ドラマティック度・・7 ヘヴィ度・・8 リフレイン度・・8 総合・・7.5
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HORSE LATITUDES 「Primal Gnosis」
フィンランドのドローン・ドゥームメタル、ホース・ラティテューデスの2016年作
ギター、ベース、ドラム、シンセという4人編成で、10分以上の大曲を中心に、ドローン的なアプローチのリフレインに、
詠唱か唸り声のようなヴォーカルを乗せ、プリミティブかつダーク、密教的な妖しい世界観を描いてゆく
唸るようなベースの低音と歪んだギター、アナログ感に包まれたドラムが鳴り響き、詠唱ヴォーカルとともに、
しだいに音圧が高まってゆく。絶叫するダミ声を加えた暗黒性という点では、スラッジ/ブラックメタル的な雰囲気もあり、
楽曲性というものは薄いのだが、この日常を逸脱するような妖しさというのは、ある意味ではものすごい。
オルガンなどのシンセが鳴り響くプログレ/サイケ的な感触と、北欧らしい物悲しい叙情も覗かせる曲もあったり、
雰囲気モノとしてのやりすぎ感は聴き手を選ぶに違いないが、寒々しい闇をディープに描く異端の力作だ。
ドラマティック度・・7 重厚度・・8 怪しげ度・・9 総合・・8
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Hounds of Hasselvander 「Ancient Rocks」
アメリカのドゥームメタル、ハウンズ・オブ・ハッセルヴァンダーの2016年作
PENTAGRAM、RAVENのドラマーJoe Hasselvanderと、ベースのMartin Swaneyを中心にしたバンドで、
なにやらホラー映画まがいのイントロから、古き良き感触のギターと枯れた味わいのヴォーカルを乗せた
80年代スタイルの正統派のドゥームメタルが炸裂する。サウンド自体には目新しさはなにもないのだが、
ザリザリとしたギターの感触や渋みのある歌声というのは、若手バンドでは決してかもしだせない迫力をともなっていて、
ギター、ドラム、ヴォーカルをこなすハッセルヴァンダー氏の志す、古き良きドゥームメタル像が完璧に描かれてゆく。
随所にオルガンも鳴り響き、全体的にはダークさよりもノリ重視で、オールドなロック好きにはたまらない出来だろう。
ドラマティック度・・7 ドゥーム度・・8 古き良き度・・9 総合・・8
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Hour of 13 「The Ritualist」
アメリカのドゥームメタル、アワー・オブ・サーティーンの2010年作
2007年にデビューし、2作目となる。ほどよくヘヴィで叙情的なギターに朗々としたヴォーカルを乗せ、
カルトな浮遊感に包まれたオールドなドゥームメタル。かつてのPagan AltarやWITCHFINDER GENERALなど、
70年代英国ルーツのヴィーテージな雰囲気を漂わせていて、ウェットで妖しい空気感なかなか魅力的だ。
随所にメロディアスなギターフレーズも覗かせて、80年代的なリフも含めて適度にハードなノリもありつつ、
ヘヴィ過ぎない聴き心地の良さも絶妙で、アナログ感たっぷりのアンサンブルとアンダーグラウンドな翳りに浸れる。
読みづらいバンドロゴとジャケの地味さを差し引いても、これは掘り出し物。カルトなドゥーム愛好家はぜひ。
ドラマティック度・8 ヴィンテージ度・8 妖しさ度・8 総合・8
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Hour of 13 「333」
アメリカのドゥームメタル、アワー・オブ・サーティーンの2012年作
3作目となる本作も、オールドな香りを漂わせたギターにどこかシアトリカルなヴォーカルを乗せ、
ほどよい叙情性とカルトな怪しさが同居した、古き良き感触のドゥームメタルを聴かせる。
スローパートだけでなく、リズムチェンジなどの展開力で、ノリのあるメタル感も随所にあって、
遅いだけのドゥームが苦手な方でも楽しめるだろう。全体的にダークな雰囲気は控えめで、
個人的にはもっと怪しさが欲しい気もするが、BLACK SABBATHルーツのヘヴィメタルして、
多くのリスナーにも鑑賞できる作風だ。ラストは9分の大曲で、正統派メタルとしても普通に格好良い。
ドラマティック度・7 ヴィンテージ度・8 怪しさ度・7 総合・8
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Hour of 13 「Black Magick Rites」
アメリカのドゥームメタル、アワー・オブ・サーティーンの2021年作
チャド・デイヴィス氏による個人ユニットで、2007年にデビューし、本作は8年ぶりとなる4作目。
いかにもオールドなギターリフに、朗々としたヴォーカルを乗せた、カルトなドゥームメタルは健在。
ほどよくウェットな叙情を含んだギターも相変わらず絶妙で、サバスルーツの古き良きテストのリフから
メロディアスなフレーズまでじつに良いセンスをしている。5〜8分前後の楽曲は、スローテンポを基本に、
随所に正統派メタル寄りのノリもあって、遅すぎるドゥームが苦手な方でもわりと楽しめるだろう。
新鮮味はほぼないが、70〜80年代から受け継がれた王道のドゥームメタルが味わえる強力作。
ドラマティック度・7 ドゥーム度・9 古き良き度・9 総合・8
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I
ILLUDIUM 「Ash of the Womb」
アメリカのポストメタルバンド、イルディウムの2021年作
2016年にデビューし2作目となる。ギター&ヴォーカル、ドラム、ベースというトリオ編成で、
歪んだベースに物悲しいギターの旋律、たゆたうような女性ヴォーカルを乗せて、
翳りを帯びたオルタナ風のサウンドを聴かせる。アコースティックギターによるフォーク風味や
シューゲイザー、ポストロックなどの要素も内包しつつ、しっとりとした静寂の空気感から
激しめのドラムに轟音ギターを重ねたエモコア風味と、メリハリのある作風で楽しめる。
7〜9分と長めの楽曲をメインにした、メランコリックな女性声オルタナというべき好作品だ。
ドラマティック度・7 メランコリック度・8 薄暗度・8 総合・7.5
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In Aevum Agere 「The Shadow Tower」
イタリアのドゥームメタル、イン・アウヴム・アゲーレの2012年作
ツインギターのリフとともに湿り気を帯びたサウンドを描く、CandlemassやSolitude Aeturnusを思わせる
正統派のエピック・ドゥームメタル。ヴォーカルの歌い方もギターリフも類型的で、これといった特徴はないものの、
スローすぎないノリで正統派メタルのリスナーでも安心して聴ける。楽曲はやや一本調子であるが、
男性声に絡む女性コーラスなどはなかなかよい感じなので、こうした妖しさやドラマティックな大仰さがもっと欲しい。
ドラマティック度・・7 正統派度・・8 新鮮度・・7 総合・・7.5
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In Aevum Agere 「Canto III」
イタリアのドゥームメタル、イン・アウヴム・アゲーレの2019年作
2012年にデビュー、本作は2作目となる。G&Vo、B、Drのトリオ編成で、ほどよくヘヴィなギターに
朗々としたヴォーカルを乗せた、オールドスタイルのエピックなドゥームメタルを聴かせる。
エッジの効いたギターリフに激しいツーバス連打を含むアグレッシブな感触も覗かせつつ、
随所に叙情的なフレージングとともにウェットな正統派メタル感も加えたところは、
Candlemassにも通じる雰囲気で、古き良きヨーロピアンなエピックドゥームが楽しめる。
ドラマティック度・・8 エピックドゥーム度・・8 重厚度・・8 総合・・7.5
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Indian 「From All Purity」
アメリカのドゥームメタル、インディアンの2014年作
ドローン気味のギターリフに、絶叫するヴォーカルを乗せ、邪悪な暗黒性に包まれたスラッジ・ドゥームサウンド。
展開らしい展開というのはあまりなく、6〜7分前後の楽曲は、ノイジーなギターと咆哮するヴォーカルによる、
不気味な空気感を味わうという感じで、ノイジーなギターが延々と垂れ流されるナンバーなどもあり、
雰囲気モノが苦手な方にはややツラいかもしれない。迫力あるスラッジに圧殺されたいような方はどうぞ。
ドラマティック度・・7 スラッジ・ドゥーム度・・8 重厚度・・8 総合・・7
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IN-GRAVED
アメリカのドゥームメタル、ヴィクター・グリフィンズ・イン・グレイヴドの2013年作
The ObsessedやPentagramで活動した、ヴィクター・グリフィン率いるバンドで、
古き良き感触のギターリフとともに聴かせる、正統派のドゥームメタルサウンド。
オルガンが入った曲などは、70年代ブリティッシュハードロック風味もあって、
全体的にも、ドゥームメタルのリスナー以外にも楽しめる普遍性を感じさせる。
かすれた味わいのヴォーカルとともに、ブルージーな渋さも含んだ大人の聴き心地で、
Jethro Tullのカヴァーもなかなかハマっている。古き良きドゥーム・ハードロックスタイルの好作。
ドラマティック度・・7 ドゥーム度・・7 古き良き度・・8 総合・・8
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The Intersphere「Interspheres >< Atmospheres」
ドイツのプログレ・ロックバンド、インタースフィアの2011年作
エモやオルタナ風味のモダンなロック感覚を、知的な構築性で聴かせるという点では、
COHEED AND CAMBRIAなどにも通じる、新世代のプログレ・ロックバンドである。
キャッチーなヴォーカルメロディと哀愁を含んだ叙情が、ロックとしての躍動感と合わさり、
プログレ化したUKロックというべき雰囲気で、多くのリスナーが楽しめるべき普遍性を有している。
コヒカンへのヨーロッパからの回答というべきか、面白い新鋭が登場した。
メロディアス度・・8 プログレ度・・7 モダンロック度・・8 総合・・8
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The Intersphere 「Hold on, Liberty!」
ドイツのプログレ・エモーショナルロック、インタースフィアの2012年作
前作はCOHEED AND CAMBRIAにも通じるような好作であったが、続く本作も同様の好作。、
センスあるギターワークとマイルドなヴォーカルを乗せた、キャッチーなメロディックロックを聴かせる。
エモーショナルロックとしての爽やかなポップ性と、存在感あるベースとドラムによる、
どっしりとしたアンサンブルに、やはりコヒカンを思わせる知的な構築センスが素晴らしい。
適度なハードさも含んだグルーヴィなノリの良さと、モダンでクールなセンスが合わさって、
曲によってはメタル寄りのヘヴィさも覗かせる。エモーショナルロックとしても普通に高品質ながら、
やはり3拍子のナンバーだったり、プログレ的なセンスを覗かせるナンバーに魅力を感じます。
メロディック度・・8 プログレ度・・6 コヒカン度・・8 総合・・8
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Ixion 「To the Void」
イタリアのドゥームメタル、イクシオンの2011年作
スペイシーなシンセアレンジに包まれて、叙情的なギターと唸るような低音ヴォーカルを乗せて、
ゆったりと聴かせる重厚ななドゥームメタル。ジャケのイメージのように宇宙を感じさせるような、
空間的な広がりと神秘的な雰囲気で、靄に包まれたようなミステリアスな世界観を描いている。
シンセによる美しさが前に出ていて、ヴォーカルが奥に引っ込んだいくぶんこもり気味の音作りも、
宇宙の暗がりに放り込まれたような、スケール感のある聴き心地になっている。個人的には好きなのだが、
どの曲も同じようなもったりとした感じなので、この手の雰囲気モノが苦手な方にはちと退屈かも。
ドラマティック度・・7 スペース・ドゥーム度・・8 重厚度・・8 総合・・8
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J
Jess & The Ancient Ones
フィンランドのサイケハード、ジェス・アンド・ジ・エンシェント・ワンズの2012年作
70年代ハードロック的なアナログ感と、オルガンの音色を響かせるサイケな怪しさに、
女性ヴォーカルの歌声を乗せたスタイル。紅一点、
10分を超える大曲もあったりと、プログレ方面のリスナーにもアピールしそうなレトロなヴィンテージロックです。
ドラマティック度・・7 アナログ度・・9 女性Vo度・・7 総合・・8
Amazon.co.jpで詳細を見る Amazon.MP3 Blood CeremonyやDevil's Bloodなどに通じる、
Jess and the Ancient Ones 「Astral Sabbat」
フィンランドのヴィンテージロック、ジェス・アンド・ジ・エンシェント・ワンズの2013年作
デビュー作に続く3曲入りのEPで、アナログ感に包まれたヴィンテージなアンサンブルに、
オルガンが鳴り響くサイケな浮遊感と、JESS嬢の妖しい歌声を乗せた、まさに魔女系ロックの王道。
3曲入りながら、ラストは14分の大曲で、オールドロックのブルージーなギターワークに、
オルガン、ピアノを含んだアレンジと、プログレ的でもある構築的な展開力を覗かせる。
傑作となる2nd「SECOND PSYCHEDELIC COMING」へとつながるステキなEPです。
ドラマティック度・・8 ヴィンテージ度・・9 女性Vo度・・8 総合・・8
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Jess & Ancient Ones 「SECOND PSYCHEDELIC COMING: THE AQUARIUS TAPES」
フィンランドのサイケハード、ジェス・アンド・ジ・エンシェント・ワンズの2015年作
サイケでレトロな魔女系ロックを聴かせてくれた前作に続き、2作目となる本作も期待通りの出来。
ジェス嬢の妖しくも艶めいた歌声と、オルガンが鳴り響く70年代テイストのヴィンテージ感覚が合わさった、
いかにもなサウンドでにやにやとしてしまう。ツインギターによるセンスのよいフレージングにとともに
雰囲気モノとしての説得力も十分で、Blood CeremonyやPURSONらと並ぶクオリティといっていい。
先述した2バンドに比べるとよりサイケ寄りのスケール感があって、ラストの22分の大曲なども含めて、
メタル寄り過ぎないユルさが魅力で、プログレ系のヴィンテージロックファンにも対応するだろう。
ドラマティック度・・8 古き良き度・・9 妖しげ度・・9 総合・・8.5
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Jess and The Ancient Ones 「The Horse & Other Weird Tales」
フィンランドのサイケハード、ジェス・アンド・ジ・エンシェント・ワンズの2017年作
2012年にデビュー、3作目となる本作も、レトロなオルガンにアナログ感あるギター乗せ、
艶めいた女性ヴォーカルで聴かせる、サイケなヴィンテージロックを繰り広げる。
Blood CeremonyやPURSONなどに通じる魔女系ロックでありつつ、ハードさは控えめで
ユルめのサイケ感とキャッチーなノリが前に出ているので、プログレ寄りのリスナーにも楽しめるかと。
大曲のあった前作に比べると、2〜3分前後の小曲を主体に、全34分とわりとあっさりしていて、
濃密さの点ではやや物足りなさもあるが、ラスト曲での妖しい魔女っぷりはさすが。
ドラマティック度・・7 キャッチー度・・8 ヴィンテージ度・・9 総合・・8
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JESS BY THE LAKE 「UNDER THE RED LIGHT SHINE」
フィンランドのヴィンテージロック、ジェス・バイ・ザ・レイクの2019年作
Jess And The Ancient Onesでも活躍する女性シンガー、ジャスミン・サーレラをフロントにしたバンドで、
オールドなギターにオルガンが重なり、女性ヴォーカルの妖しい歌声を乗せたヴィンテージロックを聴かせる。
ピアノも含む美しいシンセアレンジとともに、重すぎないキャッチーな感触はいくぶんサイケロック風でもあり、
表現力ある彼女の歌唱には、けだるげなブルース寄りの雰囲気も漂わせる。3〜4分前後のナンバーを主体に、
7分、9分という大曲では、ドゥーミィな深みをたたえてじっくりと聴かせる。メランコリックなラスト曲も良いですね。
キャッチー度・7 ヴィンテージ度・9 女性Vo度・8 総合・8
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Jex Thoth
アメリカのサイケ・ドゥームロック、ジェックス・トースの2008年作
Sabbath Assemblyにも参加した女性Vo率いるバンドで、アナログ感たっぷりのギターに
ハスキーでけだるげな女性ヴォーカルを乗せた、ヴィンテージな魔女系ドゥームロック。
オルガンが加わった妖しい空気感に、ゆったりとしたスローテンポから唐突なリズムチェンジなど、
適度にマイナー臭いB級感もあって、どんよりとした音質も含めて、オールドでカルトなドゥームに浸れる。
ジェックス嬢の歌声は、抜群に上手くはないのだが、いかにも魔女めいた表現力が不思議な魅力となっていて、
このサウンドにはよくマッチしている。適度にサイケなユルサも含めて、わりとのんびり楽しめます。
ドラマティック度・・7 ドゥーム度・・8 妖しさ度・・8 総合・・7.5
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Jex Thoth「Blood Moon Rise」
アメリカのサイケ・ドゥームロック、ジェックス・トースの2013年作
今作もイントロ曲から魔女感たっぷりで、ジェックス嬢の歌声からしてカルトな雰囲気がぷんぷん。
どっしりとヘヴィなリフに、サイケ的な旋律を重ねるツインギター、浮遊感ある女性ヴォーカルを乗せた、
けだるくも妖しいドゥームサウンドには磨きがかかっていて、その世界観にどっぷりと浸れる。
もちろん、ドゥームメタルとしての重厚な迫力もしっかりとあって、オルガンを含むシンセアレンジに加え、
今作では随所にチェロも鳴り響く。ゆったりとした叙情的なナンバーも、表現力を増したジェックスさんの歌声が
幻想的な強度となっていて最後まで楽しめる。これぞ魔女系ドゥームという強力作だ。
ドラマティック度・・8 ドゥーム度・・8 妖しさ度・・9 総合・・8
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K
Kadavar 「Abra Kadavar」
ドイツのヴィンテージ・ハードロック、カダヴァーの2013年作
ジャケからしてもう、70年代のマイナーバンドのような雰囲気ぷんぷんだが、
サウンドの方もアナログ感に包まれたヴィンテージなハードロックそのもの。
ブルージーなギターとシンプルなドラム、どこかユルめの牧歌的なヴォーカルもいい感じで、
こもり気味の音質まで徹底したこだわりよう。たぶん髪型や服装などもそうなのだろう。笑
なにも知らずに聴かせれば、70年代英国ハードロックだと思うに違いない。これぞ本物の70'sロック。
ドラマティック度・・7 ドゥーム度・・7 アナログ度・・9 総合・・7.5
Kayo Dot 「Choirs of the Eye」
アメリカのエクスペリメンタル系ポストロック、ケイヨ・ドットの2003年作
ヘヴィなギターによるドゥーミィな感触と静寂感に、ホルンやフルート、トロンボーン、
サックス、トランペット、ヴァイオリン、などが鳴り響く、チェンバーロック的なサウンドが融合。
10分を超える大曲を中心に、空間的なスケール感と不穏な闇の気配に包まれた、
スリリングなサウンドを描いてゆく。ドローン的でもあるヘヴィネスとポストロックの繊細さが合わさり、
クラシカルな芸術性で仕立てたというべき異色の作風で、結果として非常にプログレッシブな聴き心地。
大曲の後半では、なだれ込むような音の洪水となり、そのブラックメタルばりの迫力は圧巻だ。
女性ヴォーカルの入った美しいナンバーなどもありつつ、繊細さとダイナミズムを併せた力作である。
ドラマティック度・・8 プログレッシブ度・・8 闇の芸術度・・9 総合・・8
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Kayo Dot 「Blue Lambency Downward」
アメリカのエクスペリメンタル系ポストロック、ケイヨ・ドットの2008年作
ポストロック的なアヴァンギャルドなセンスと神秘的な雰囲気で聴かせる異色のサウンド。
裏声を使ったヴォーカルはUKロックやエモに通じる感触だが、リズムという概念がないような、
フリーキーな曲調とあいまって、とても妖しげに歌声が響く。ヴァイオリンやオーボエ、クラリネットなどが鳴る、
チェンバーロック的でもあるスリリングなミステリアス性は、ときにUnivers Zeroばりである。
一方では、ポストプログレ的な繊細な浮遊感も覗かせたりと、なかなか一筋縄ではいかない。
10分を超える大曲も、インストの小曲も、音の強度とアーティスティックな世界観に惹きこまれる。
なにげにメロトロンも使ったりとプログレリスナーにも十分アピールするだろう。
ドラマティック度・・7 むしろプログレ度・・8 アヴァンギャル度・・8 総合・・8
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Kayo Dot 「COYOTE」
アメリカのエクスペリメンタル・ポストロック、ケイヨ・ドットの2010年作
バンドの支援者でもある一人の重病の女性をテーマにしたという作品で、
全5曲39分という流れのあるコンセプト作品。物悲しくヴァイオリンが鳴り響き、
悲哀を感じさせるヴォーカルに、トランペット、トロンボーンなどの管楽器も加えた
チェンバーロック風味のサウンドで、重厚かつアヴァンギャルドなポストロックでもある。
激しくたたみかけるドラムと、管弦楽と悲痛な歌声が混ざった音の洪水が、
混沌とした内的な人間性をさらけ出すようだ。ダークな世界観に包まれた異色の傑作。
ドラマティック度・・8 プログレ度・・8 アヴァンギャル度・・8 総合・・8\
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Kayo Dot 「Plastic House on Base of Sky」
アメリカのエクスペリメンタル・ポストロック、ケイヨ・ドットの2016年作
今作はジャケの感じからして、なにやら日本的な雰囲気を感じさせるが、サンクスリストに平沢進の名があるように、
シンセの重ねに浮遊感のあるヴォーカルを乗せ、モダンなテクノ色を知的にプログレ化したようなサウンドになっている。
オルガンやメロトロンまで使ったシンセアレンジがスペイシーでやわらかな空間性を描きつつ、
従来の作品のように、ヴァイオリンやサックスなどの管弦楽器も加わった厚みのある聴き心地と、
混沌としたようなアヴァンギャルド性も垣間見せる。こもり気味のヴォーカルがキャッチーな歌もの感を中和して、
サウンドの中の要素のひとつとして混ざり合うのも確信犯的だ。ポストプログレを好む方にもお薦めできる傑作です。
ドラマティック度・・7 プログレ度・・8 浮遊感・・9 総合・・8
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Khemmis 「Absolution」
アメリカのドゥームメタル、ケミスの2015年作
海外ファンタジー小説のようなジャケからしてよい感じだが、サウンドの方は重厚なギターに
朗々としたヴォーカルを乗せた、オールドな味わいのエピックなドゥームメタルで、
随所にツインギターによるメロディックな味わいを含んでいて、正統派メタル寄りの感触もある。
スラッジ的なザラついたギターリフと、ときにデス声も加えたダークなヘヴィネスも覗かせ、
叙情的なギターフレーズの対比により、結果としてドラマティックな味わいを強めている。
スローテンポでのうねりを帯びたグルーブに、リズムチェンジを含む構築力もなかなかな見事だ。
ドラマティック度・・8 重厚度・・8 エピック度・・8 総合・・8
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Khemmis 「Hunted」
アメリカのドゥームメタル、ケミスの2016年作
2作目となる本作も、ツインギターのヘヴィなリフと叙情的なフレーズを乗せた正統派のドゥームメタル。
パワフル過ぎないヴォーカルが、エピックな雰囲気をかもしだし、適度なノリを含んだ展開力は
ほどよく起伏のある聴き心地で、ダミ声ヴォーカルを乗せた疾走感のあるナンバーなども含めて、
どっしりとした味わいのオールドメタルとしても楽しめる。ラストは13分という大曲で、
Black Sabbathルーツのヴィンテージな空気感に、スラッジやエピックメタルの要素も取り込んで、
重厚でありながらウェットなドラマ性を描く、Solitude Aeturnusあたりのファンにもお薦めの力作。
ドラマティック度・・8 重厚度・・8 エピック度・・8 総合・・8
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Khemmis 「Desolation」
アメリカのドゥームメタル、ケミスの2018年作
3作目となる本作は、のっけからエピックメタル的な感触が強まっていて、適度にアップテンポを含んで
ツインギターに朗々としたヴォーカルで聴かせる、Candlemassにも通じる王道のエピックドゥームメタル。
重厚なドゥーム感を残しつつ、随所に叙情的なツインギターを乗せた正統派メタル感触が強まっていて、
より多くのメタルリスナーが楽しめる作風だろう。アコースティックを用いたり、ダミ声を乗せたダークなパートなど
メリハリあるドラマティックな展開力も見事。女戦士とウィザードを主役にした物語性のあるジャケットも魅力的で、
2作目のジャケで描かれていた悪のウィザードが、今作の裏ジャケで捕虜になっているのも面白い。
ドラマティック度・・8 重厚度・・8 エピック度・・9 総合・・8
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KING GOAT 「DEBT OF AEONS」
イタリアのドゥームメタル、キング・ゴートの2018年作
2016年にデビューし、本作が2作目となる。ツインギターのリフに朗々としたヴォーカルを乗せ、
エピックドゥーム的でもあるウェットでミステリアスな空気を描く、どっしりとした聴き心地のサウンド。
随所にメロディックなギターフレーズも覗かせつつ、ある意味イタリアらしいカルトな妖しさで
濃密なドゥームメタルを描いてゆく。楽曲は7〜10分前後で、基本はゆったりとしたテンポながら、
メタルとして遅すぎない程度のノリがあるので、わりと初心者にも聴きやすいだろう。
これといった目新しさはないが、オールドな正統派エピック・ドゥームが味わえる1枚。
ドラマティック度・・7 ドゥーム度・・8 重厚度・・8 総合・・7.5
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KINGSTON WALL
フィンランドのサイケ・プログレ・ハードロックバンド、キングストン・ウォールの1st。1992年作
その昔ZEROレーベルから発売されていて、メタルとして聴いて拍子抜けしたという記憶があるが、
最近になってこのバンドの独自性を再評価する向きも密かに高まっているようだ。
ギター、ベース、ドラムというシンプルな三人編成で、古き良きロックの躍動感に溢れる演奏を聴かせるスタイル。
サイケロック的な生々しいアンサンブルは、彼らの演奏技術の高さを物語っており
メロディうんぬん、メタルうんぬんだけでは計れない独自の感性をその音に覗かせている。
ラストの21分の大曲は、8パートに分かれたプログレサイケ的な組曲でなかなか圧巻だ。
メロディアス度・・7 プログレ度・・7 サイケ度・・7 総合・・7.5
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KINGSTON WALL「II」
フィンランドのサイケ・プログレ・ハードロックバンド、キングストン・ウォールの2nd。1993年作
サウンドは、前作にも感じられたアラビックなメロディをより前に押し出しつつ、
よりバンドとしての方向性を定めてきており、演奏のグルーブ感も増している。
ギターがかもし出す多彩なフレーズによりサイケロック的な浮遊感を深めていて、
手数の多いドラムのプレイも素晴らしく、三人編成とは思えない強固なノリがある。
また、前作にはなかったプログレ的な叙情性も聴かせてくれ、
アラビアンなPINK FLOYDとも言うべきスケール感を感じさせる。
メロディアス度・・7 プログレ度・・8 サイケ度・・8 総合・・8
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KINGSTON WALL「III Tri-Logy」
キングストン・ウォールの3rd。1994作
メンバーの死去により、バンドの最終作となった3作目。前作の延長上の音ながら、
さらなるアンサンブルの強化ととともに、曲の雰囲気にはシリアスな硬質感も出てきている。
アラビックなメロディに加え、ポストロック的でもある壮大さの中に混沌とした桃源郷が見え隠れする。
メンバーの描くビジョンへの到達か、それとも、これまもだ過程のひとつだったのか、
この深化の果てにこのバンドがどこまで高みにゆくのか、もう確かめられないのが残念だ。
ともかく、サイケの浮遊感を巧みな演奏で表現した個性的なハードロックという点で
彼らは90年代でじつに希有な存在であった。オフィシャルサイトはこちら
メロディアス度・・7 プログレ度・・8 サイケ度・・9 総合・・8
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King Witch 「Body of Light」
イギリスのドゥームメタル、キング・ウィッチの2020年作
2018年にデビューし2作目となる。アナログ感たっぷりのギターにハスキーな女性ヴォーカルを乗せ、
ノリのよいヴィンテージなドゥームメタルを聴かせる。パワフルな歌声とともに、正統派メタル寄りの感触もあり、
むしろオールドなハードロックという勢いのあるスタイルは、スローなドゥームが苦手な方にも楽しめるだろう。
10分を超える大曲では、本格派ドゥームの重厚さに包まれながら、Laura嬢の表現力ある歌声とともに、
リズムチェンジを含む展開力でたたみかける。ぼとよい激しさで疾走する3分前後の小曲などもあり、
うねりのあるギターリフも格好良い。しっかりメタルしている女性声ドゥームの強力作だ。
ドラマティック度・・8 ドゥーム度・・7 ヴィンテージ度・・8 総合・・8
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KING WOMAN 「CELESTIAL BLUES」
アメリカのドゥームメタル、キング・ウーマンの2021年作
イラン系の女性シンガー、クリス・エスファンディアリをフロントに、2015年にデビュー、本作は2作目となる。
ほどよくヘヴィなギターにたゆたうような女性ヴォーカルを乗せ、アンニュイな浮遊感に包まれたサウンドを描く。
フューネラルというほどではないダークさとミステリアスな空気感に、スラッジ的でもあるザラついた重たさと、
トライバルな神秘性が同居した味わい。ポストロック風味の空間性も含め、楽曲性というよりは雰囲気モノに近いので、
好みは分かれるかもしれないが、曲によってはアグレッシブな展開も覗かせるという、わりと振り幅の大きな異色作だ。
ドラマティック度・7 重厚度・8 女性Vo度・7 総合・7.5
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Kraken Duumvirate 「The Stars Below, The Seas Above」
フィンランドのエクスペリメンタル・ドゥームメタル、クラーケン・ドゥームヴィレートの2020年作
2008年にデビュー、フルアルバムとしての1作目で、シューゲイザー風味のギターのトーンに
囁くようなデスヴォイスを乗せた、ミステリアスな空間性を描くようなエクスペリメンタルなサウンド。
10分以上の大曲をメインに、それに前後するシンセによるダークなエレクトロのリフレインで、
淡々とした無機質な聴き心地であるが、二本のギターが有機的に絡む叙情的なパートなどもあり、
わりと心地よく鑑賞できる。全体的には、これという盛り上がりがないので、一般のリスナーには退屈かも。
ドラマティック度・7 ミステリアス度・8 重厚度・7 総合・7.5
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KURSK
イギリスのドゥームメタル、クルスクの2020年作
オールドな味わいのギターにダーティなヴォーカルを乗せ、BLACK SABBATHや、
WITCHFINDER GENERALなど、70年代ルーツのカルトなドゥームメタルを聴かせる。
ほどよくメロディックなギターソロも含んだ、ノリのよいアップテンポのナンバーから
リズムチェンジを含む展開力とともに、一本調子でない楽曲センスを感じさせる。
随所に叙情的なギターフレーズも覗かせて、英国らしいウェットな叙情性とマイナー感は、
ANGEL WITCHなどのNWOBHM系のファンに楽しめるだろう。アルバム後半の、
2パートに分かれた計11分の大曲なども、ドラマティックな味わいで構築される。
ドラマティック度・8 ドゥーム度・7 ヴィンテージ度・8 総合・8
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Kvelertak
ノルウェーのストーナー・メタル、クヴェラータクの2010年作
トリプルギター編成の6人組で、ブラックメタルばりのリフで激しくブラスト疾走しつつ、
そこにストーナー的なアナログ感のあるロック色を融合させたというなかなか面白いサウンド。
ヴォーカルもダミ声なのでブラックメタル的な激しさも随所にあるのだが、古き良きギターリフと
MOTORHEADのようななダーティなロックンロール感触が前に出ているので、暴虐な感じよりも
むしろオールドなハードロックとして楽しめてしまう。いわば、ブラックン・ロールとでもいうべきか。
メロディアス度・・7 ブラックメタル風味度・・7 古き良きHR度・・8 総合・・8
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Kvelertak「Meir」
ノルウェーのストーナーメタル、クヴェラータクの2013年作
トリプルギター編成の6人組で、本作もアナログ感たっぷりのストーナーロック風味にブラックメタル要素を加えた、
独自のサウンドを聴かせる。三本のギターがうねるように絡みながら、ときにトレモロのリフを乗せてブラスト疾走もする。
、激しくもメロディックな聴き心地はポストブラック的でもあるが、
前作以上に叙情的なギターフレーズが随所に入ってきて、楽曲における極端さとメリハリがついた。
ブラック化したMOTORHEADというような聴き心地で、異色のブラッケン・ロールというべき力作。
ドラマティック度・・7 暴虐度・・7 アナログ度・・8 総合・・8
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KYLESA「Spiral Shadow」
アメリカのスラッジ系ドゥームメタル、カイリサの2010年作
2002年にデビュー、本作は5作目となる。ツインドラム、ツインギター、ツインヴォーカルという編成で
ヘヴィなギターに男女ヴォーカルを乗せ、シンセアレンジとともにサイケな浮遊感に包まれた、
ドゥームメタルという感触に、スクリーモ風味のアグレッシブさが合わさったようなスタイル。
楽曲は3〜4分前後が主体で、さほど展開力はないのだが、スラッジ特有のアナログ感に包まれていて
ヘヴィな曲よりはむしろ、女性ヴォーカルを乗せたサイケ寄りの妖しげなドゥームナンバーが魅力的。
ドラマティック度・・7 重厚度・・8 ドゥーム度・・8 総合・・7.5
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Kylesa 「Ultraviolet」
アメリカのスラッジメタル、カイリサの2013年作
2002年にデビューし、本作はすでに6作目となる。ラウドなヘヴィロック的な作風であった過去作から、
前作では古き良きドゥームロックの感触がいくぶん覗かせた感触だったが、本作ではそのラウドロックと
オールドなドゥーム感がちょうど融合したというようなサウンドを聴かせる。ヘヴィなギターリフに
男女ヴォーカルの歌声を乗せた、適度にサイケな浮遊感のあるスラッジ・ドゥームというべきか。
楽曲は3〜4分とわりとシンプルであるが、グルーヴィなノリを含んだインストパートには絡みつくような妖しさがあり、
女性声をメインにした魔女系ドゥーム的なナンバーも含めて、案外メリハリに富んだ作風になっている。
ドラマティック度・・7 ヘヴィネス度・・8 古き良きドゥーム度・・7 総合・・7.5
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Kylesa 「Exhausting Fire」
アメリカのスラッジメタル、カイリサの2015年作
7作目となる本作では、ヘヴィなギターリフを乗せたうねりのあるアンサンブルに女性ヴォーカルの妖しい歌声が乗る、
Witch MountainやWINDHANDなどにも通じる、いわゆる魔女系ドゥームメタルというサウンドにぐっと接近している。
曲によっては男性ヴォーカルが前に出てくるが、男女ヴォーカルを乗せたミステリアスな浮遊感と重厚な聴き心地は、
さすがキャリアのあるバンドの説得力である。前作でも垣間見せた、ドゥームな部分をより際立たせながら、
ヘヴィさはやや抑え目でどこかキャッチーでもあるという、個人的にもずいぶんと好みの作風になった。
楽曲は、3〜4分前後と短めながらも、アナログ感に包まれたオールドな感触と妖しい空気感をたっぷりと振りまいていて、
Black Sabbath「Paranoid」のカヴァーもいかにも魔女系な仕上がりでハマっている。
ドラマティック度・・8 ヘヴィネス度・・7 古き良きドゥーム度・・8 総合・・8
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L
LAPKO「A New Bohemia」
フィンランドのハードロックバンド、ラプコの2010年作
ギター&ヴォーカル、ベース、ドラムのトリオ編成で、本作はすでに4作目となる。
メタル的なヘヴィさと、北欧らしい哀愁の叙情に、プログレ的な構築センス、
トリオながらも、ドラムを中心とした勢いのある演奏は迫力充分で、ロックバンドとしての
荒々しさを残しながら、モダンな雑食性というべきボーダーレスな魅力に満ちている。
疾走する突進力とメロディに、自由度の高い古き良きロックの味わいが加わった強力作だ。
メロディアス度・・8 演奏センス・・9 北欧度・・8 総合・・8
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Last Universal Common Ancestor 「Into The Core」
ポーランドのサイケ・ハードロック、ラスト・ユニヴァース・コモン・アンサーの2021年作
ほどよくハードなギターにシアトリカルに歌い上げるヴォーカルを乗せ、スペイシーなシンセアレンジとともに
怪しい浮遊感に包まれたクールなサイケ・ハードロックというサウンドを聴かせる。SE的的な小曲を挟みつつ、
10分前後の大曲ではドラマティックなスケール感も含んで、どっしりとしたドゥームメタル寄りの重厚さも覗かせる。
メロディックなフックや盛り上がりなどはさほどないので、全体的にモノトーンの世界観で、淡々とした聴き心地である。
ドラマティック度・7 重厚度・8 サイケハー度・8 総合・7.5
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LEONOV 「WAKE」
ノルウェーのドゥームメタル、レオノヴの2018年作
ヘヴィなギターリフにうっすらとしたシンセを重ね、浮遊感ある女性ヴォーカルを乗せた、
神秘的な世界観のサウンドを聴かせる。ブラックメタル的な闇の空気を感じさせつつ、
ドローン、ドゥームの重厚さに、プリミティブな妖しさをまとった聴き心地はなかなか個性的。
いわばドゥームメタルの重さと、耽美な女性声で、ブラッケンな世界観を描くという作風であるが、
物悲しい叙情美という点では、初期のThe 3rd And The Mortalなどが好きな方にも楽しめるだろう。
10分、15分という大曲も、ゆったりとしたメランコリックな気配に包まれて、倦怠の女性声ドゥームが味わえる。
ドラマティック度・・7 重厚度・・8 倦怠の浮遊感・・9 総合・・8
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L'ira Del Baccano 「Terra42」
イタリアのサイケ・ドゥームメタル、リ・イラ・デル・バカーノの2014年作
適度にヘヴィなギターリフに、サイケ的な浮遊感を含んだアンサンブル、
そしてプログレ的でもある知的な構築センスを感じさせる個性的なインストサウンド。
のっけから3パートに分かれた32分におよぶ組曲で、スペイシーなシンセアレンジとともにに、
HAWKWINDを思わせるユルめのサイケをメタル寄りにしたというような聴き心地が広がってゆく。
変則リズムによるキメはOzric Tentaclesあたりにも通じるが、ドゥーム風味のギターがかぶさると、
なにやら奇妙なサイケメタルという感じになる。存在感のあるベースの暴れっぷりもときどき面白く、
オールインストながらメリハリのあるリズムとともに飽きずに楽しめる。異色のサイケ・ドゥーム!
ドラマティック度・・7 ドゥーム度・・7 サイケ度・・8 総合・・7.5
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LONELY KAMEL 「Shit City」
ノルウェーのストーナーロック、ロンリー・キャメルの2014年作
ヘヴィであるが古き良き味わいのギターリフを乗せて、適度に疾走感のあるノリで聴かせる、
ストーナー・ハードロック。ハイトーンとダミ声の中間というようなダーティなヴォーカルも含めて
1曲目はMOTORHEADあたりにも通じるオールドなロックンロールの空気感をまとわせつつ、
その後はどっしりとしたナンバーで大人のブルーズ・ハードロックをじっくりと聴かせるところも多い。
リフの繰り返しで骨太のサウンドを描くという、いわば渋みのある枯れた味わいが持ち味なので、
ストーナーやオールドロックが苦手な方にはまったく向かない。展開かメロディにもう少しフックが欲しい。
ドラマティック度・・7 大人の渋さ度・・8 古き良き度・・8 総合・・7.5
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Lord Dying 「Summon the Faithless」
アメリカのスラッジ/ドゥームメタル、ロード・ダイングの2013年作
ヘヴィなギターリフを乗せたアナログ感に包まれたアンサンブルに、ダミ声ヴォーカルを乗せて
不穏な空気感を描き出すサウンド。この手のドゥーム・スラッジ系にしたはわりとアグレッシブな感触で、
がなり立てるヴォーカルとヘヴィネスは、スラッシュ/デスメタル的な雰囲気もいくぶん感じさせる。
ツインギターは古き良き感触のリフに加えて、随所にメロディックなフレーズを奏でたりと、
オールドな正統派メタルファンにもアピールする部分があるだろう。リズム的にも遅すぎないノリと
うねりのあるグルーブ感で、重厚なスラッジメタルとしてバランスのとれた聴き心地といえる。
ドラマティック度・・7 重厚度・・8 古き良き度・・8 総合・・8
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Lord Dying 「Poisoned Altars」
アメリカのスラッジ/ドゥームメタル、ロード・ダイングの2015年作
ヘヴィなギターにがなり立てるヴォーカルを乗せた、アグレッシブなスラッジサウンドで、
スラッシュメタル的な激しさと、怪しいドゥームメタルの空気を合わせたような雰囲気でもある。
前作に比べると、よりシンプルなヘヴィネスが強まっていて、ドゥーム色が薄まった分、
媚びの無い重厚さに包まれた、ブラッケンなオールドメタルとしても楽しめるだろう。
反面、楽曲としてのフックやウェットな妖しさの点では物足りなさも。硬派なヘヴィ・スラッジです。
ドラマティック度・・7 ドゥーム度・・7 重厚度・・8 総合・・7.5
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Lord Vicar 「Fear No Pain」
フィンランドのドゥームメタル、ロード・ヴィカーの2009年作
元REVEREND BIZARREのメンバーを含むバンドで、アナログ感たっぷりのギターリフと、元COUNT RAVEN、
元SAINT VITUSのクリスチャン・アンダーソンのオジーを思わせるような絡みつくようなヴォーカルを乗せた、
正統派ドゥームメタル。やはり湿り気を含んだ雰囲気とEVEREND BIZARREに通じる暗黒性が北欧のバンドらしく、
適度にエピックな雰囲気も覗かせる。10分を超える大曲も多く、スローテンポでじっくり聴かせるナンバーから
ミドルテンポのナンバーまで、そこそこメリハリに富んだ作風も好感が持てる。正統派ドゥーム好きはチェック!
ドラマティック度・・7 ドゥーム度・・9 古き良き度・・9 総合・・8
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LORD VICAR 「Signs Of Osiris」
フィンランドのドゥームメタル、ロード・ヴィカーの2012年作
元REVEREND BIZARREのKimi Karkiらによるバンドで、古き良き感触のギターリフと
元SAINT VITUS、COUNT RAVENのクリスチャン・リンダーソンの歌声で聴かせる、
正統派のドゥームメタルスタイル。ヘヴィすぎないブルージーな聴き心地は、SAINT VITUSや
OBSESSEDなどにも通じる雰囲気で、アナログ感ただようドゥームロックが楽しめる。
強力なインパクトはないものの、ラストは15分近い大曲で、これがドラマティックで重厚な出来。
ドラマティック度・・7 ドゥーム度・・8 重厚度・・8 総合・・8
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Lord Vicar 「Gate of Flesh」
フィンランドのドゥームメタル、ロード・ヴィカーの2016年作
元REVEREND BIZARREのKimi Karkiらによるバンドで、本作は3作目となる。
トラック分けされていない41分の構成で、ギターにしろドラムにしろ、いつも以上にアナログ感たっぷりのサウンドは、
ほとんどスタジオ一発録りのようなザラついた空気感を漂わせる。サバスルーツの古き良きドゥーム感触を、
そのまま再現したかのような楽曲もいかにも確信犯的で、やりすぎなまでにオールドな聴き心地だ。
ツインギターはリフ主体ながら随所にメロディックなフレーズを奏で、ときにうっすらとシンセも入ったりと、
わりとフックに富んだ構成力も、キャリアのあるメンバーならではだろう。荒々しくも重厚にして緻密、
このじわじわとくる生々しい音が、しだいに耳に心地よくなってくれば、アナタも立派なドゥームファンだ。
ドラマティック度・・8 ドゥーム度・・9 古き良き度・・10 総合・・8.5
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Lord Vigo「Under Carpathian Sun」
ドイツのエピックドゥームメタル、ロード・ヴィゴの2015年作
メンバーは、ハンマーやチェーンソーを手にした完全にアホそうな3人組であるが、サウンドの方は
古き良きギターリフに朗々としたヴォーカルを乗せた、しごく正統派のエピック・ドゥームメタル。
バビロンやイシュタル、ウィッチクラフトといった、いかにも厨二病的な幻想ワードを含んだ曲名に、
カルトなこけおどし感に包まれたチープなエピック性が、サウンドを適当に彩っていて泣かせてくれる。
ヴォーカルのヘタウマさも含めてB級臭さもたっぷりであるが、ドゥーム過ぎないノリの良さと、
オールドなハードロック感触とともに、エピックメタルのマニアならそこそこ楽しめるだろう。
ドラマティック度・・7 ドゥーム度・・7 エピック度・・7 総合・・7
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LOTUS THIEF 「GRAMARYE」
アメリカのサイケ・ドゥームメタル、ロータス・シーフの2016年作
アナログ感あるギターリフのスラッジ的な感触と、うっすらとしたシンセアレンジに、マイルドなヴォーカルを乗せ、
わりとメロディックのあるサイケ・ドゥームメタルを聴かせる。適度に激しさもある緩急のついた展開で、
妖しい女性コーラスやプログレ的でもある変拍子を含んだ知的な構築性とともに、7〜9分の大曲を描いてゆく。
古代エジプトの「死者の書」や、アレイスター・クロウリーによる魔術書「嘘の書」、「セイラムの魔女裁判」、「メルゼブルクの呪文」
といった文献をテーマにした神秘主義的なミステリアス性に包まれた空気感もぞくぞくする。ドゥーム/スラッジの重厚な迫力と、
女性声や美しいシンセによるスペイシーなスケール感、ときにブラックメタル的な暗黒美が合わさったアレンジセンスも素晴らしい。
ブラッケンなサイケドゥームとしても、神秘的なポストブラック、またはオカルティックなスラッジとしても楽しめる強力作!
ドラマティック度・・8 重厚度・・8 妖しげ度・・9 総合・・8
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LOTUS THIEF 「Oresteia」
アメリカのサイケドゥーム・ブラック、ロータス・シーフの2020年作
2014年にデビュー、3作目となる本作では、ほどよく叙情的なギターにうっすらとしたシンセ、妖しい女性ヴォーカルの歌声とともに、秘教的な闇に包まれたドゥーム・ブラックを聴かせる。
ダミ声ヴォーカルを乗せたブラックメタル要素や、シンセをメインにしたアンビエントなナンバーなど、緩急のある構成で、エクスペリメンタルなスラッジ、ポストブラックメタルとしても楽しめる。
ミステリアスな浮遊感に包まれた、魔女めいた女性Voを乗せたスタイルを好む方なら、このダークな夢見心地の世界観に浸れるだろう。
暗黒度・8 激しさ度・6 神秘的度・8 総合・8
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LOUSY RIDERS 「ORPHANS」
カナダのドゥームロック、ルーシー・ライダースの2017年作
男女2人組のユニットで、アナログ感たっぷりのギターにハスキーな女性ヴォーカルを乗せ、
Black Sabbathルーツのオールドなスタイルのドゥームメタルを聴かせる。
スラッジ寄りのザラついたヘヴィさとオールドロックのグルーヴィなノリが同居していて、
シンプルなサウンドながら、ドゥーム寄りのヴィンテージロックとしても普通に聴きやすい。
楽曲は3〜5分とわりとあっさりしていて、全34分というのは少し物足りないか。
ドラマティック度・・7 ヴィンテージ度・・8 女性Vo度・・8 総合・・7.5
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Lovijatar 「Pimean Tuoja 」
フィンランドのドゥームメタルバンド、ロヴィヤターの2013年作
ツインギターの5人編成で、オールドな感触のギターリフに母国語のヴォーカルを乗せた、
ドゥーム/スラッジ的なサウンド。フィンランド語による歌声が土着的な味わいとなっていて、
古き良きドゥームメタルの感触に、ミステリアスなペイガン要素を付加している。
曲によってはフォークメタル的にも楽しめるようなナンバーもあり、サイケな浮遊感や
ドゥーミィな妖しさを含んだ異色の世界観で、北欧的な土着性をメタルで表現している。
楽曲は3分前後とわりとコンパクトなので、今後はさらに妖しい大曲などにも期待したい。
ドラマティック度・・7 スラッジ&ドゥーム度・・7 妖しげ度・・8 総合・・7.5
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Lucifer 「Lucifer I」
スウェーデンのヴィンテージハードロック、ルシファーの2015年作
The Oathは1作のみで解散したようだが、ヴォーカルのヨハナとドラムのアンドリューはそのまま残り、
ギターに元Cathedralのギャリー・ジェニングスが参加して、この新バンドを結成した。
古き良きドゥームメタルルーツのスタイルはそのままに、よりソリッドになったギターリフと
倦怠の浮遊感をかもしだすジョアンナの歌声で、浮遊感のあるヴィンテージハードロックを聴かせる。
The Oathに比べるとギターがよりヘヴィになった分、メタル感触が強まっていて、個人的には痛しかゆし。
ギターの圧が大きいので、ここにオルガンなどが入るとさらによいなと思ってしまう。もちろん好きは好きですが。
ドラマティック度・・7 古き良き度・・7 女性Vo度・・7 総合・・8
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LUCIFER 「LUCIFER II」
スウェーデンのヴィンテージハードロック、ルシファーの2018年作
元The Oathのヨハナ・サドニスを中心に結成、2作目となる本作では、ヨハナ以外のメンバーが替り、
よりオールドな味わいで聴かせる、70年代ルーツのヴィンテージハードロックになっている。
やわらかなオルガンが鳴り響きつつ、アナログ感たっぷりのギターに女性ヴォーカルを乗せ
サバスやヒープ直系の古き良きブリティッシュハードロックの空気感を描き出す。
けだるげなヨハンの歌声は、より魔女めいた妖艶な雰囲気で、ぐっと魅力が増していて、
ヘヴィさが減った分、より多くのヴィンテージロック好きに楽しめる作風になった。
ドラマティック度・・7 ヴィンテージ度・・9 女性Vo度・・8 総合・・8
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Lucifer 「Lucifer III」
スウェーデンのヴィンテージハードロック、ルシファーの2020年作
元The Oathのヨハナ・サドニスを中心に結成、3作目となる本作も、オールドなギターにオルガンを重ね、
やわらかな女性ヴォーカルの歌声で、70年代ルーツの耳心地の良いヴィンテージロックを聴かせる。
ギターが前に出すぎないので、けだるげ女性声が際立っていて、ハード過ぎないロック感と、
倦怠の浮遊感をまとわせたサウンドを心地よく楽しめる。しっとりとしたバラード寄りのナンバーなど、
今作はより肩の力が抜けた自然体の雰囲気で、飾り過ぎないストレートなキャッチーさが良いですね。
ツインギターなので音がスカスカにならないところもGood。全39分というのもアナログレコード的ですな。
ドラマティック度・・7 ヴィンテージ度・・9 女性Vo度・・8 総合・・8
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Lucifer 「Lucifer IV」
スウェーデンのヴィンテージ・ハードロック、ルシファーの2021年作
元The Oathの女性シンガー、ヨハナ・サドニスを中心にしたバンドの4作目。歪ませすぎないギターのトーンに、妖しい女性ヴォーカルを乗せ、オルガンを含むヴィンテージなアレンジで、70年代スタイルのサウンドを聴かせる。
いくぶんこもり気味の音質も味になっていて、随所ブルージーなギターフレーズもよい感じで、過去3作以上にオールドなブリティッシュロック感触を強めている。
どこかけだるげなヨハナの歌声もこのスタイルによくマッチしていて、ほどよくキャッチーなナンバーなどでも、マイナーな翳りを感じさせるのがGood。
3〜5分前後の楽曲は、わりとストレートで特筆すべきところはないのだが、飾り過ぎないアレンジもバンドの世界観もしっかりと完成されている。
ドラマティック度・7 ヴィンテージ度・9 女性Vo度・8 総合・8
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Luciferian Light Orchestra
スウェーデンのヴィンテージハード、ルシフェリアン・ライト・オーケストラの2015年作
Therionのクリストフェル・ヨンソンによるプロジェクトで、アナログ感たっぷりのギターリフに、
浮遊感ある女性ヴォーカルの歌声を乗せた、古き良き空気感のヴィンテージロックサウンド。
楽曲は3〜4分前後とシンプルであるが、オルガンを含むシンセやフルートの音色など、
曲によっては70'sプログレ的な味わいや、サイケロックやブルージーな感触とともに適度なノリの良さもある。
妖しくオカルティックな世界観に包まれた、PURSONやBlood Ceremonyなどに通じる魔女系ロックの強力作。
セリオンのサウンドを期待すると肩透かしだろうが、サバスルーツのドゥームや女性声サイケなどが好きな方はぜひ。
ドラマティック度・・7 古き良き度・・8 魔女系ロック度・・9 総合・・8
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Lykantropi
スウェーデンのヴィンテージロック、ライカントロピの2017年作
さほどハードさのないオールドなギターに、けだるげな男女ヴォーカルを乗せた
わりとユルめのヴィンテージロックで、サイケハード寄りの浮遊感とフォークロック的な
涼やかな牧歌性に包まれる。ドラムをはじめ、アナログ感たっぷりのアンサンブルで、
シンセ類をほぼ使わない、全体的に音数の少ないシンプルな聴き心地であるが、
素朴なヴィンテージ感がむしろ耳に優しい。PURSONなどに比べてもさらにユルめの作風で
これというインパクトはないのだが、音がうるさくないのでのんびりと味わえる好作品。
ドラマティック度・7 ヴィンテージ度・9 女性Vo度・7 総合・7.5
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Lykantropi 「Tales to Be Told」
スウェーデンのヴィンテージロック、ライカントロピの2020年作
3作目となる本作では、女性Voがメインになり、やわらかにフルートが鳴り響き、
軽やかなアンサンブルに、美しい女性ヴォーカルの歌声で、優美なサイケロックを聴かせる。
女性声が前に出ていることで、前作に比べてゆっりとした浮遊感が倦怠の空気を描いていて、
より魔女系ロックに接近したという聴き心地。男性声も加わったナンバーも牧歌的な味わいで、
曲によってはオルガンを使ったり、フルートの活躍もあって、全体的にも優美な感触で楽しめる。
母国語のヴォーカルによるラストナンバーなども、涼やかな叙情性に包まれ、プログレリスナーにもお薦めだ。
ドラマティック度・7 ヴィンテージ度・9 女性Vo度・8 総合・8
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M
MAEL MORDHA 「Manannan」
アイルランドのエピックドゥームメタル、マエル・モルダの2010年作
重厚なギターリフに朗々としたヴォーカルを乗せた、神秘的なドゥームメタルサウンドに、
スローすぎない正統派メタル寄りのノリと、適度にメロディックな感触も加えた聴き心地。
アイルランドというお国柄か、ホイッスルが鳴り響くケルティックな味わいも覗かせて、
翳りを帯びた土着的な空気感に包まれた、独自のエピックドゥームが味わえる。
あるいは、CANDLEMASSをいくぶん辺境臭くしたような雰囲気でも楽しめるだろう。
ドラマティック度・・8 重厚度・・8 神秘的度・・8 総合・・7.5
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MAEL MORDHA 「Damned When Dead」
アイルランドのエピックドゥームメタル、マエル・モルダの2013年作
湿り気あるギターフレーズに朗々としたヴォーカルで聴かせるエピックドゥームに、
随所にホイッスルの音色も鳴り響くなど、いくぶんケルティックな要素も含んだサウンド。
正統派メタル寄りの質感も強いので、Candlemassタイプのエピックメタルとしても普通に楽しめる。
ヨーロピアンな薄暗い叙情性も感じさせる、重厚な聴き心地のエピックドゥームの力作です。
ドラマティック度・・8 重厚度・・8 エピック度・・8 総合・・8
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Magister Templi 「Lucifer Leviathan Logos」
ノルウェーのドゥームメタル、マジスター・テンピリの2013年作
ツインギターの5人編成で、古き良きスタイルの正統派メタル寄りのサウンド。
重厚ながらも遅すぎない楽曲は、中世を思わせる妖しい世界観にも包まれていて
エピックかつミステリアスな空気を漂わせた聴き心地はなかなかたまらない。
朗々としたヴォーカルもアナログ感たっぷりのサウンドにマッチしていて、
CANDLEMASSやSolitude Aeturnusなどのファンも楽しめるだろう。
ドラマティック度・・8 ドゥーム度・・8 ミステリアス度・・8 総合・・8
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Magister Templi 「Into Duat」
ノルウェーのドゥームメタル、マジスター・テンプリの2015年作
2012年にデビューし、本作が2作目となる。ツインギターに朗々としたヴォーカルを乗せた、
重厚なエピック・ドゥームメタル。スロー一辺倒ではなく、正統派メタル寄りのミドルテンポもまじえて、
どっしりとしたダークなサウンドを描くところは、CANDLEMASSルーツのスタイルといって言いだろう。
80年代的なツインギターのリフとともに、ほどよい疾走感もあるので、遅めのドゥームが苦手な方にも、
オールドスタイルの正統派エピックメタルとして楽しめるだろう。全38分というのもアナログ的な潔さ。
ドラマティック度・・8 ドゥーム度・・7 正統派度・・8 総合・・8
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MAIDAVALE 「MADNESS IS TOO PURE」
スウェーデンのガールズ・サイケロック、メイダヴェールの2018年作
2016年にデビュー、本作は2作目となる。女性4人組のバンドで、アナログ感たっぷりのギターに、
ハスキーな女性ヴォーカルで聴かせる、ヴィンテージなサイケハードを聴かせる。
いくぶんヨレ気味のギターにこもり気味の音質が、妖しげな浮遊感をかもしだし、
サイケな魔女系ロックとしても楽しめる。楽曲自体にこれといった新鮮味はないものの、
70年代的なオールドなロック感と、北欧サイケの怪しさが同居した好作品だ。
メロディック度・・8 ヴィンテージ度・・9 女性Vo度・・7 総合・・7.5
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Mammoth Storm 「Fornjot」
スウェーデンのドゥームメタル、マンモス・ストームの2015年作
DRACONIANのメンバーも参加するバンドで、ドローン気味のギターリフにダミ声ヴォーカルをのせ、
どっしりとした重厚なドゥームメタルを聴かせる。スローテンポのドゥームを主体に、適度に叙情的な部分も覗かせつつ、
ミステリアスな神秘性を含んだスケール感もあって、10分前後の大曲をリフレインとともにじっくりと描いてゆく。
これという新鮮味はないものの、音の迫力と強度が、ドゥームメタルとしての幻想性をしっかりと生み出していて、
繰り返されるリフに耳を傾けながら、しだいにトリップというか、アストラルな気分に入り込めたりするのである。
重厚にして荘厳な空気感に浸れる、これぞドゥームメタル!という力作です。
ドラマティック度・・8 ドゥーム度・・9 重厚度・・9 総合・・8
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MARS RED SKY 「STRANDED IN ARCADIA」
フランスのサイケ・ドゥームロック、マーズ・レッド・スカイの2014年作
2011年にデビューし、本作は2作目。ほどよくヘヴィなギターを乗せたスローなアンサンブルに
中性的なヴォーカルを乗せて、サイケな浮遊感に包まれたドゥームロックを聴かせる。
アナログ感たっぷりのヴィンテージな味わいに、ポストロック的なスケールも感じさせ、
スペイシーなサイケ感も加わったという、いわばプログレリスナー寄りのドゥームといべきか。
ユルめに楽しめる叙情的な部分もありつつ、不穏な空気に包まれたインストナンバーや、
シンセを加えたプログレ寄りのパートもあって、なかなか楽しめる。全44分という長さもちょうどよい。
ドラマティック度・・7 サイケドゥーム度・・8 ヴィンテージ度・・8 総合・・8
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MARS RED SKY 「THE TASK ETERNAL」
フランスのサイケ・ドゥームロック、マーズ・レッド・スカイの2019年作
4作目となる本作も、アナログ感たっぷりのギターにマイルドなヴォーカルを乗せ、
ほどよいヘヴィさとサイケなユルさが同居した、ヴィンテージなサウンドを聴かせる。
わりとエモーショナルで優しい歌声が、ドゥームなギターリフとのコントラストになって、
メタル感触が緩和されることで、わりとキャッチーでソフトな味わいになっている。
インストのナンバーなどでは、ポストロックやプログレにも通じる感触もあって、
ラストのアコースティック曲で幕を閉じるまで、やわらかで妖しい世界観が楽しめる。
ドラマティック度・・7 サイケドゥーム度・・8 ヴィンテージ度・・8 総合・・8
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THE MARS VOLTA「DE-LOUSED IN THE COMATORIUM」
元AT THE DRIVE-INのメンバーなどによるミクスチャーロックバンド、マーズ・ヴォルタの2003作
テクニカル・サイケ・プログレ・ロックとでもいいましょうか。3拍子系をメインにしたせわしないリズムの上に
テクニカルなギターが鳴り、中性的なVoがエモーショナルに歌い上げます。ドラムの手数の多さは見事。
モミクスチャーロックのひと言で片づけるのはいささか気が引けるようなサウンドで
メタラーにはテクニカルメタルとしても鑑賞可能。・・かといってただせわしないだけでなく、歌をメインにしたパートでは
じつに美しく聴かせてくれたりもします。現代版のプログレ?しかもプログレを意識していないところが現代的な音であります。
メロディアス度・・7 プログレ度・・8 ジャンル分け不能度・・10 総合・・8.5
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THE MARS VOLTA「FRANCES THE MUTE」
アメリカのテクニカル・ミクスチャーロックバンド、ザ・マーズ・ヴォルタの2nd。2005作
今回は組曲的な大曲をメインに、たっぷりとその演奏を聴かせてくれます。
前作のように、1曲ごとを濃密にまとめた作風から一転、いかにもポストロック的に、
あるいはプログレ的に自分達のビジョンをたたみかける演奏で構築し、延々と再現しているという印象。
もちろん、テクニカルパートは変拍子たっぷりで威勢よく聴かせ、プログレ(変態)メタル的な楽しみ方も可能ですが、
今回は大曲におけるゆるやかな進行、そのコラージュされた音の重なりとか、展開なども大いにアートな感性を感じさせ、
ある意味GODSPEED YOU! BLACK EMPERORにも通じる難解さと壮大さを感じます。
メロディアス度・・7 プログレ度・・8 テクニカル度・・8 総合・・8
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THE MARS VOLTA「Scab Dates」
アメリカの新世代プログレ・ロックバンド、マーズ・ヴォルタのライブアルバム。2005作
のっけから、子供の鳴き声などの不穏な雰囲気のSEに惹きつけられる。ライブ演奏は多くをインプロビゼーションに費やしていて、
内的世界を描き出すポストロック的な手法はじつにプログレッシブ。バンドの演奏力はやはり大変高く、
それだけでなく表現力という点でも単なる頭でっかちではない、ロックとしての迫力と構築性とを
併せ持っているのが感じられる。作り込まれたスタジオ盤とのあまりの違いに世間では賛否両論のようだが、
「彼らにしか出来ないライブ作品」という点で、個人的にはその挑戦精神を高く評価したい。
メロディアス度・・7 内的プログレ度・・9 即興度・・9 総合・・8
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THE MARS VOLTA「Amputechture」
アメリカのプログレッシブ・ミクスチャーロックバンド、マーズ・ヴォルタの3rd。2006作
今回もジャケからしていかにも怪しげかつ意味不明で期待大であるが(笑)、
10分以上の曲が3曲に、他も6〜9分という大曲志向は相変わらず立派。
展開におけるテクニカルな破天荒さはそのままに、今作では長い曲でも濃密さを保っており、
真剣に聴いているととても疲れるのだが、それもまたプログレ者には嬉しい疲労か(笑)
一筋縄でいかないアヴァンギャルドなロックが好きな方、新時代のプログレを聴きたい方は必聴。
メロディアス度・・7 プログレ度・・8 アヴァンギャル度・・9 総合・・8
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The Mars Volta「The Bedlam in Goliath」
アメリカのプログレロックバンド、マーズ・ヴォルタの4th。2008作
このあやしげなジャケや「ゴリアテの混乱」という意味深長なタイトルもそうだが、
(ゴリアテとは、旧約聖書に出てくる羊飼いの少年ダビデに倒された巨人兵士)
サウンドの方も前作から続く変態型モダンプログレ道を今回もまっしぐら。
アラビックなコード進行でサイケがかった浮遊感をともなうサウンドで、イメージは中近東か。
手数の多いドラムを中心に、これまでよりもさらにグルーブ感のある演奏がかなり生っぽい。
もともとが楽曲よりもイメージを重視した演奏志向のバンドであったので、
この破天荒なスタイルに理不尽さを感じるようなまともなリスナーには向かない。
75分の大作に飽きがくるか来ないかは、ひとえに感覚で聴く変態サイケを好むかどうか。
メロディアス度・・7 プログレ度・・8 中近東サイケ度・・9 総合・・8
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The Mars Volta「Octahedron」
アメリカの新世代プログレバンド、マーズ・ヴォルタの5th。2009作
じつに素晴らしい創作意欲である。サイケがかった浮遊感と斬新な楽曲構造で毎作感心させられてきたのだが、
本作ではむしろじっくりと聴ける落ち着いた叙情サウンドを核にしてきている。
まるで昨今の英国の薄暗系プログレのような雰囲気もあり、ゆるやかにメロトロンが鳴り響く、
なんとも確信犯的な作りだ。 メロウで煽情的なギターフレーズはこのバンドではこれまで聴かれなかったもので、
彼らの器の大きさというか、センスの多彩さをあらためて思い知らされる。演奏においてはリズム面での
繊細なグルーブの構築を含めて、そのポストロック的なビジョンを描き出す力量もじつに見事だし、
またヴォーカルの表現力が上がったことで、歌もの部分での確かな説得力をしっかりともなっている。
誤解を恐れずに言えば、今DREAM THEATERよりも面白いのはこのバンドなのではないか。
表面的なテクニカルな展開力は控えめだが、それをちゃんと奥底で感じることができるのだ。
全てを出し切らなくともこれだけのものが作れるのだから、まったくおそるべきバンドである。
叙情度・・8 プログレ度・・8 内的センス度・・9 総合・・8
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The Mars Volta 「Noctourniquet」
アメリカの新世代プログレバンド、マーズ・ヴォルタの2012年作
2003年のデビュー作から6作目となる本作は、前作で聴かれた叙情的な作風に
エキセントリックなシンセアレンジを加えた、サイケ気味のモダンプログレサウンドを展開。
ときおりテクニカルなアンサンブルを挟みつつ、軽妙さの中に奇妙な偏屈さを感じさせるセンスとともに、
感情豊かに歌い上げるヴォーカルの表現力も、本作の重要な要素になっており、
薄暗い叙情性を繊細に描きながらも、じつにエモーショナルな聴き心地である。
ラウドな音作りも確信犯的で、他のどのバンドにも似ていないという個性はやはり素晴らしい。
ドラマティック度・・8 モダンプログレ度・・8アレンジセンス・・9 総合・・8
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MASTER MASSIVE 「BLACK FEATHERS ON THEIR GRAVES」
スウェーデンのヴィンテージメタル、マスター・マッシヴの2020年作
2015年にデビューし、2作目となる。オルガン奏者を含む5人編成で、ほどよくメタリックなギターに
オルガンが鳴り響き、パワフルなヴォーカルを乗せた、ヴィンテージなメタルを聴かせる。
18分、11分という大曲をメインにした全3曲という構成で、オールドメタルの勇壮な空気感に、
緩急ある展開と知的な構築力が加わった、わりとプログレ寄りの感触もあるのが面白い。
なにせ曲が長いので、聴いているうちに序盤がどんな感じだったのか忘れてしまうのだが、
プログレなヴィンテージメタルと思えば優雅に楽しめる。いっそもっとプログレまくってもらいたい。
ドラマティック度・・8 プログレ度・・7 ヴィンテージ度・・8 総合・・8
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MENACE RUINE 「Alight in Ashes」
カナダのストーナー・ドゥームメタル、メナス・ルインの2012年作
ノイジーなギターリフが鳴り響く、ポストブラック+ドローン的なミステリアスなサウンドに、
妖しげな女性ヴォーカルの歌声が乗る異色の世界観。10分を超える大曲を中心に
ドラムなどはほぼ入らないので、メタルとしてのノリというのはあまりないのだが、
延々とリフレインするノイジーなギターが、不思議で呪術的なトリップ感をかもしだし、
暗がりの中の黒魔術を見せられるような妖しい気分に浸ることができる。
曲が長いので雰囲気モノが苦手な方にはつらいかもしれないが、個人的には大好き。
ドラマティック度・・7 暗黒度・・8 妖しげ度・・9 総合・・8
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Menace Ruine 「Venus Armata」
カナダのサイケ・ドゥームメタル、メナス・ルーインの2014年作
前作はポストブラックとドローンが合わさったような、まさに呪術的な力作であったが、
5作目となる本作も、鐘の音が鳴り響くようなイントロから、魔術的な非現実世界に入り込める。
1曲目は延々と11分間も単調なドローンなのであるが、妖しい女性ヴォーカルの歌声も加わって、
雰囲気モノとしての強固な空気感は素晴らしいというほかない。チャーチオルガンが響きわたる中、
魔女めいた女性声が乗る2曲目などは、JACULAばりにカルトな魔女系サウンドでウットリである。
その後も、秘教的で殺伐として艶めいた、倦怠の魔女系(サイケ)アンビエントが繰り広げられる。
ラストは16分に及ぶ大曲で、ロックもドゥームも超越した、ただただ妖しい聴き心地。もう最高です。
ドラマティック度・・7 妖しげ度・・10 魔女度・・9 総合・・8
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Minotasuri 「II」
フィンランドのドゥームメタル、ミノタウリの2007年作
ギター、ベース、ドラムのトリオ編成で、本作が2作目。アナログ感ただようギターリフと
低音ヴォーカルを乗せてヘヴィに聴かせる、しごく正統派のドゥームメタルサウンド。
唸るようなベースとともに古き良きドゥームの怪しさを含んだ迫力はなかなかのもので、
音自体はシンプルであるが、ギターは随所に叙情的なメロディを奏でたりもする。
これといった新鮮さはないのだが、ドゥームメタル好きならば安心して楽しめる作品だろう。
ドラマティック度・・7 重厚度・・8 ドゥーム度・・8 総合・・7.5
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MINSK「Ritual Fires of Abandonment」
アメリカのサイケ・ドゥームメタル、ミンスクの2007年作
ドゥーミィなダークさとポストロック的な壮大なビジョンで描かれるサウンドは
メタルというよりもむしろプログレ的な方法論であるだろうか。スピリチュアルな空間性に
神話性や宗教性も含んだ、サイケデリックな浮遊感とうねりのある重厚なサウンドが
渦を巻くようなイメージで脳を刺激する。ドラマティックな構築力はまだ次作ほどではないが、
13分、14分、15分という大曲3曲を含めて、バンドとしての可能性を感じさせる力作である。
ドラマティック度・・8 ドゥームサイケ度・・8 壮大度・・9 総合・・8
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MINSK「With Echoes in the Movement of Stone」
アメリカのサイケ・ドゥームメタル、ミンスクの2009年作
サイケデリック・ポストメタルとも、サイケ・ドゥームメタルとも呼ばれているようだが、
うねりのあるギターリフとともに、ポストロック的な壮大なビジョンを感じさせるサウンドは
ドゥームメタル的なダークさも含みつつも、むしろ独特の浮遊感があって面白い。
9分、10分という大曲も含めて、プログレッシブな雰囲気も感じさせるシンセアレンジや
ゆるやかに構築してゆく知的センスで、聴き手をぐいぐいと惹きつけてゆく。
プログレ的なドゥームメタル、あるいはヘヴィなポストロックとしても見事な力作。
ドラマティック度・・8 プログレッシブ度・・8 壮大度・・8 総合・・8
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Minsk 「The Crash & the Draw」
アメリカのプログレ・ドゥームメタル、ミンスクの2015年作
知的でサイケデリックなドゥームメタルの傑作だった2009年作から、6年ぶりとなる3作目。
本作ものっけから12分を超える大曲で、存在感のあるうねるようなベースとヘヴィなギターに
浮遊感あるヴォーカルを乗せて描かれる、重厚かつプログレッシブなドゥームメタルが楽しめる。
随所にダミ声ヴォーカルを乗せた激しさと、ポストロック的なスケール感が合わさって
20分を超える組曲も含め、ただならぬ世界観を都的に構築してゆくさまは、なかなか圧巻だ。
一方ではポストプログレ的な静かな叙情曲などもあり、濃密すぎない聴きやすさがよいですわ。
どことなくドゥーム化したMastodonという感じもある。オールドとモダンを兼ねそろえた力作です。
ドラマティック度・・8 ドゥーム度・・7 重厚度・・8 総合・・8
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MIRROR
イギリスのサタニックメタル、ミラーの2015年作
SATAN'S WRATH、元ELECTRIC WIZARDのなどのメンバーによるバンドで、サウンドは
かつてのANGEL WITCHなど、80年代話思わせる古き良き感触のカルトなメタルサウンド。
ツインギターのリフにハイトーンヴォーカルを乗せサイケ気味の妖しい浮遊感を含んだ聴き心地は、
適度なB級感も含めてニヤリとする。ヘヴィ過ぎない適度なユルさも絶妙で、
ドゥームメタル的なアナログ感も含めて、オールドなリスナーにこそお薦めしたい。
ドラマティック度・・7 古きを良き度・・8 カルトメタル度・・8 総合・・7.5
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Mirror 「Pyramid of Terror」
イギリスのヴィンテージメタル、ミラーの2019年作
元2015年にデビュー、Electric Wizard、Satan's Wrath、プログレバンドのMessenger などのメンバーによるバンドで、
本作は2作目となる。オールドなギターにハイトーンヴォーカルを乗せた、ノリのあるヴィンテージなメタルサウンドで、
いくぶんドゥーム寄りの妖しさと、キャッチーな味わいが同居している。激しすぎずユル過ぎずという、
NWOBHMルーツの古き良きマイナーメタルの感触に包まれつつも、比較的ストレートな聴き心地。
これというインパクトはないのだが、オールドスタイルの英国メタルが味わえる好作品です。
ドラマティック度・・7 ドゥーム度・・7 古き良き度・・8 総合・・7.5
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MIRROR 「Day Bastard Leaders Die」
キプロスのメタルバンド、ミラーの2022年作
イギリス、アメリカのメンバーを含む編成で、2015年にデビューし、3作目となる。
いかにもB級ドゥーム臭ただようようなジャケであるが、オールドなツインギターにハイトーンヴォーカルを乗せた、80年NWOBHM的なカルトなメタルサウンドを聴かせる。
ほどよくスカスカなアナログ感とともにウェットな叙情を含んだ聴き心地は、ANGEL WITCHなどが好きな方はニヤリとすること請け合い。
曲によっては、初期IRON MAIDENのような雰囲気もあったりして、全体的にもジャケのイメージに比してわりと聴きやすい好作品です。
ドラマティック度・7 ヴィンテージ度・8 カルト度・8 総合・7.5
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Mirthless 「A Dirge For Your Suicide」
ペルーのドゥームメタル、マースレスの2012年作
ジャケからしてすでにアンダークラウンド臭がぷんぷんだが、サウンドの方も低音デスヴォイスに
ヘヴィなギターリフで聴かせる怪しげなドゥームメタルで、いかにも期待通りの雰囲気である。
楽曲はスローなだけでなく疾走する激しさも覗かせて、いうなればかつてのVENONなどを思わせるような
サタニックメタルに通じるかもしれない。いくぶんこもり気味の音質も邪悪な世界観を助長していて、
カルトなローカル性の中に大仰なハッタリ感を描くのは見事というべき。怪しげなドゥームが好きなかたはぜひ。
ドラマティック度・・7 ドゥームデス度・・8 邪悪度・・9 総合・・7.5
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MOGWAI「HAPPY SONGS FOR HAPPY PEOPLE」
スコットランドのソロアーティスト、モグワイの4th。2003作
初期の頃は歪んだギターを加えた、ノイジーな要素をアンビエントな叙情に融合させた作風であったが、
このアルバムは全編しっとりとした静謐感に包まれた、メロディアスでやわらかなインスト作品となっている。
ピアノやシンセによる美しく広がりのあるアレンジで、そこにギターが加わりゆるやかに盛り上がってゆく。
楽曲は最長でも8分くらいなので、そう馬鹿に長いわけでもなく、全体的にはコンパクトな印象。
曲や展開にもの凄さは感じないが、ある意味シンフォニックでやさしく浸れるサウンドだ。
メロディアス度・・8 プログレ度・・6 しっとりゆるやか度・・9 総合・・7.5
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MOLASSESS 「THROUGH THE HOLLOW」
オランダのヴィンテージロック、モラセスの2020年作
The Devil's Bloodのメンバーを母体にしたバンドで、サイケな浮遊感を描くようなギターにけだるげな女性ヴォーカルで、
魔女めいた妖しさのヴィンテージロックを聴かせる。ギターにさほどヘヴィさがないので、メタル感はあまりなく、
ドゥームというよりはサイケ寄りの感触で、10分を超える大曲でも、わりと淡々としたユルめの印象であるが、
ファリーダ嬢の歌声は、ときに伸びやかな表現力でサウンドを彩っている。全体的には、これという展開も少なく
さほど愛想のない聴き心地なので、もう少しキャッチーなところが欲しい気もするのだが、CD2枚組、64分という力作です。
ドラマティック度・・7 ヴィンテージ度・・8 女性Vo度・・8 総合・・7.5
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Momentum 「The Freak Is Alive」
アイスランドのアヴァン・ドゥームメタル、モーメンタムの2015年作
2010年にデビューし2作目となる。メタリックなギターリフに咆哮するデスヴォイスをを乗せ、
変則リズムを含む緩急ある展開力で聴かせる、ミステリアスなプログレッシブ・ドゥームメタル。
随所にピアノやシンセアレンジを加え、ノーマル声を乗せたゆったりとした叙情パートから、
ドゥーミィでダークな部分も垣間見せ、知的な構築センスという点では、OPETHあたりに通じるところもある。
全体的にはノーマル声が主体なのでデスメタル色はさほどなく、淡々とした不穏な空気感に包まれた作風で、
シタールなどを使った独特の世界観が味わえる。派手な展開はないが、じつに怪しげな雰囲気の異色作です。
ドラマティック度・・7 テクニカル度・・7 不穏で怪しげ度・・8 総合・・7.5
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Monasterium
ポーランドのドゥームメタル、モナステリウムの2016年作
ツインギターの重厚なリフに朗々としたヴォーカルで聴かせる、Candlemassタイプのエピックドゥーム。
翳りを含んだ湿り気ある空気感と、ダークな叙情性がドラマティックな味わいになっていて、
表現あるヴォーカルも含めて、単なるフォロワーにとどまらないサウンドの説得力を描いている。
楽曲は5〜7分前後が中心で、短すぎず長すぎず、スローテンポ主体ながらもどっしりとしたノリと、
随所に甘すぎない程度のメロディと叙情を覗かせる。案外メリハリある構成力も見事だ。
新しさはないが、正統派のエピック・ドゥームメタルが好きなら、これは必聴レベルの傑作だろう。
ドラマティック度・・8 ドゥーム度・・8 重厚度・・8 総合・・8
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MONKEY3「The 5th Sun」
スイスのストーナー・サイケロック、モンキー3の2013年作
本作はのっけから14分の大曲で、スペイシーなシンセアレンジに、わりと重厚なギターを乗せ、
サイケ的な浮遊感と古き良きメロディックなハードロックを合せたという聴き心地。
インスト中心であるが、ギターのメロウでブルージーな旋律はなかなか魅力的で、
重ためのアンサンブルとともにダイナミックなスケール感を描くセンスも見事。
アッパーな高揚感はHAWKWIND的でもあるが、一方ではメランコリックな叙情性も覗かせて
プログレ的でもあるメリハリのある構築力が味わえる。どっしりとした重さと知性と浮遊感が合わさった力作だ。
ドラマティック度・・8 重厚度・・8 ミステリアス度・・8 総合・・8
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MONKEY3 「ASTRA SYMMETRY」
スイスのストーナー・サイケロック、モンキー3の2016年作
水、空気、土、火という四代元素をテーマに、それぞれ3曲ずつの楽曲で世界観を表現、
パーカッションが鳴り響き、詠唱のようなヴォーカルを乗せた浮遊感のある雰囲気は、
Third Ear Bandあたりに通じる、神秘的な妖しさに包まれている。一方ではヘヴィなベースと
うねるようなギターを乗せたストーナーロックとしての生々しいアンサンブルが現れて、
うっすらとしたシンセアレンジも含めた音の重ねで、スケール感あるサウンドを描いてゆく。
ミステリアスな空気感とエキセントリックなセンスが、インスト部分のスリリングな味わいになっていて、
プログレッシブな重厚さという点では、MINSKあたりにも通じるだろう。サイケなストーナーの強力作。
ドラマティック度・・8 重厚度・・8 ミステリアス度・・9 総合・・8
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MONOLITHE 「Zeta Reticuli」
フランスのブラック・ドゥームメタル、モノリスの2016年作
2008年にデビューしてから、本作ですでに5作目となる。15分ジャストの大曲3曲という構成も異質だが、
サウンドの方も、ブラックメタル的なダークさに、ドゥームメタルの重厚さを合わせたというような
ミステリアスなスケール感に包まれている。ツインギターの絡みつくようなリフにうっすらとしたシンセアレンジ、
低音のデスヴォイスを乗せたフューネラル・ドゥームの感触に、ブラッケンな禍々しさを加えた闇の気配と、
スペイシーで神秘的な空気感がじわじわと広がってゆく。随所に叙情的なギターフレーズも覗かせて、
わりと起伏のある展開で大曲を構築してゆく力量もなかなかのものだ。3曲目はノーマル声のヴォーカルを乗せた
ポストロック的な壮大さも感じさせつつ、シンセも含む厚みのあるアレンジで説得力ある音像を描いている。
ドラマティック度・・8 重厚度・・8 ミステリアス度・・9 総合・・8
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Moon Coven 「Amanita Kingdom」
スウェーデンのスラッジ/ドゥームメタル、ムーン・カヴンの2014年作
妖しげなジャケやバンド名がじつにいいのだが、サウンドの方もアナログ感あるギターリフに、
浮遊感あるヴォーカルを乗せた、正しくオールドスタイルなスラッジ/ドゥームメタル。
単調なリフの繰り返しが多く、楽曲自体にもこれというインパクトがないので、
個人的にはもう少し湿り気ある翳りや魔女めいた濃密な空気感が欲しいかな。
ギターのサウンドはいくぶん耳障りでノイジー。プリミティブでストレートなのはよいが、
音作りと楽曲の深みを描く表現力を磨いていって欲しい。単純なドゥームほど難しいのだ。
ドラマティック度・・7 ドゥーム度・・8 妖しさ度・・7 総合・・7
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Mortalicum 「Progress of Doom」
スウェーデンのドゥームメタル、モータリカムの2010年作
ヘヴィすぎないギターにマイルドなヴォーカルを乗せて聴かせる、古き良きスタイルのドゥームメタル。
Black Sabbathルーツの適度にロックなノリを含んだサウンドで、ツインギターのフレーズには
適度にヨーロピアンな湿り気を感じさせ、曲によってはキャッチーなメロディを乗せた疾走感もあって、
むしろ70年代的なハードロックとしても普通に楽しめたりする。3〜4分台のシンプルなナンバーをメインに、
ラストは9分の大曲で、物悲しい叙情を含んだどっしりとしたドラマティックなドゥームナンバーで締めくくる。
ドゥームファンはもちろん、オールドなメタルが好きな方にもお薦めできる、サバス風味の強力作です。
ドラマティック度・・7 ドゥーム度・・7 古き良き度・・9 総合・・8
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Mortalicum 「Tears from the Grave」
スウェーデンのドゥームメタル、モータリカムの2014年作
今作ではG&Vo、B、Drのトリオ編成となったが、アナログ感あるギターリフとジェントルなヴォーカルを乗せ、
Black Sabbath、Witchfinder Generalなどをルーツにした古き良きドゥームメタルは前作同様。
70年代ロックのブルージーな感触に加え、ギターはときに叙情的なフレーズを奏でたりと、
北欧のバンドらしい適度に湿り気を含んだ空気感もよいですな。重すぎず、軽すぎず、
遅すぎず、速過ぎず、という程よいノリを含んだ楽曲は、ドゥーム初心者にも聴きやすいだろう。
6〜11分という大曲を中心にした、本格派で正統派のドゥームメタルが味わえる力作だ。
ドラマティック度・・7 ドゥーム度・・8 古き良き度・・9 総合・・8
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MOTOROWL 「OM GENERATOR」
ドイツのドゥームメタル、モトロウルの2016年作
シンセ奏者を含む5人編成で、アナログ感あるツインギターにジェントルなヴォーカルを乗せ、
オルガンが鳴り響く、70年代風味のドゥームと重厚なメタル感が合わさったスタイル。
全体的にレトロさよりもギターによるヘヴィネスを前に出した硬派な作風であるが、
オルガンの音色がほどよく硬質感を和らげ、随所にサイケ的な浮遊感も描いている。
アコースティックな小曲もはさみつつ、ザラついたストーナーロックの感触に、哀愁を含んだ
湿り気ある叙情性も感じさせる。うるさすぎないセンスの良さで今後も期待のバンドだ。
ドラマティック度・・7 ドゥーム度・・8 サイケでストーナー度・・8 総合・・8
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MOTOROWL 「ATLAS」
ドイツのドゥームメタル、モトロウルの2018年作
シンセを含む5人編成で、前作はサイケ色もある古き良きストーナー風の力作であったが、
今作もアナログ感たっぷりのギターに、オルガンを含むシンセと、マイルドなヴォーカルで、
ヴィンテージなドゥームロックを聴かせる。今作ではムーグシンセによるスペイシーな雰囲気とともに、
プログレ寄りの部分も多くなっていて、ドゥーミィなサイケハード的にも楽しめるだろう。
ときに叙情的なギターのフレーズも覗かせて、全体的にへヴィすぎない味わいとともに、
ラストの9分の大曲では、オルガン鳴り響く妖しいエピック・ドゥームを聴かせる。これは力作ですな。
ドラマティック度・・8 ドゥーム度・・7 ヴィンテージ度・・8 総合・・8
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Motorpsycho「Trust Us」
ノルウェーのロックバンド、モーターサイコの1998作
デビューは1991年というかなりのベテランバンド。日本での知名度はさほど高くないが
その個性派のロックバンドとしてのセンスと質の高さには驚異的なものがある。
本作はCD2枚組みで、ガレージロック的なラフな生々しさを感じさせつつ
随所にポストロック的な壮大さと知的な構築力が光る好作。「Phanerothyme」以降のような
やわらかなメロディアスさは希薄だが、その分ロックとしての純粋な躍動感が感じられる。
メロディアス度・・7 ロック度・・9 壮大度・・8 総合・・7.5
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Motorpsycho「Phanerothyme」
ノルウェーのロックバンド、モーターサイコの8th。2001作
コアなファンの間ではポップすぎると論議を呼んだアルバムのようだが、
確かに全体的にメロディの良さが光る、これまでになく明快な雰囲気のサウンドだ。
曲によっては優雅なオーケストレーションを使用したり、あるいは北欧のバンドらしく
メロトロンの音色を鳴らしながら、やわらかでキャッチーな歌メロで聴かせる。
ある意味ポストロック的な難解さや長尺の楽曲が持ち味でもあった彼らだが
本作ではぐっと分かりやすい音楽をやっていて、これが純粋に楽しめるのだ。
演奏力については折り紙つきのバンドであるから、こうしたコンパクトなサウンドでも
その音の説得力はその辺の有象無象のバンドとは格が違う。よく聴くとアレンジも緻密。
メロディアス度・・8 ロック度・・8 壮大度・・7 総合・・8
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Motorpsycho「It's a Love Cult」
ノルウェーのロックバンド、モーターサイコの9th。2002作
前作同様、キャッチーなメロディをしっとりとした叙情に包み込んだ耳心地のいいサウンドで、
70'sロック、プログレ、ポストロックという色々な要素取り入れた器の大きさを随所に感じさせる。
基本はあくまでも3ピースによる、グルーブのある演奏を聴かせるシンプルなものだが、自然体のやわらかさと、
知的なセンス、細やかなアレンジを楽曲の中で効かせていて、結果として非常に完成度の高い作品に仕上がっている。
今作ではアコースティカルな素朴さもあって、繊細で優しい歌メロとともに、叙情的な北欧ロックとして楽しめるのがよろしい。
メロディアス度・・8 繊細度・・8 壮大度・・7 総合・・8
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Motorpsycho PresentsThe International Tussler Society
ノルウェーのロックバンド、モーターサイコがジ・インターナショナル・タスラー・ソサエティ名義で発表した作品。2005年作
いかにもオールドなギターにピアノ、ジェントルなヴォーカルを乗せた、古き良きカントリーロック風味のサウンド。
西部劇をコンセプトに、ウエスタンを思わせる雰囲気で、キャッチーな牧歌性に包まれた聴き心地であるが
モーターサイコらしいグルーヴィな生々しさを随所に感じさせる。アコースティックギターを使った優雅な味わいと
開放感のあるおおらかなロック性も含めて、のんびりと気持ちよく楽しめる。何本ものギターを重ねた音の厚みや
コーラスハーモニー、哀愁を含んだ叙情も覗かせて、北欧のバンドらしいやわらかなメロディアス性にも包まれる。
ノルウェーの実力派が、ヴィンテージでアメリカンなカントリーロックを再現したという好作品です。
キャッチー度・・8 プログレ度・・3 叙情度・・8 総合・・8
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MOTORPSYCHO「Black Hole/Blank Canvas」
ノルウェーのロックバンド、モーターサイコの2006年作
2005年にドラマーのホーコンが脱退し、本作はベント(B,Vo,Dr)とハンス(G,Vo)の二人で作られた。
10作目のアルバムとなる本作はCD2枚組の大作であるが、1998年の「Trust Us」などに比べると
同じ2枚組でもより輪郭がくっきりとした、ロックとしてストレートな激しさが感じられる。
といっても、たんなるロックの範疇に入りきらないスケール感と、生々しい躍動感、
そして知的なセンスに包まれた、彼らならではのサウンドがたっぷり楽しめる。
Disc2の7曲目などは、泣きのギターのリフレインが北欧シンフォ的で感動的だ。
メロディアス度・・8 知的ロック度・・9 壮大度・・8 総合・・8
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MOTORPSYCHO「Little Lucid Moments」
ノルウェーのロックバンド、モーターサイコの2008年作
デビューは1991年というキャリアの長いバンドながら、日本ではあまりメジャーでないのが不思議。
前作「Black Hole/Blank Canvas」は彼らの作品にしてはドライでストレートな作風であったが、
本作は正式にドラマーを迎えて作られたということもあり、再び心地よいアンサンブルの妙が聴ける。
サイケ、ガレージロック的な生々しさと、抜群の演奏力からくる余裕ある軽やかさで、
大曲におけるビジョンの描き方はプログレ、ポストロック的な深みを感じ取れる。
古き良きロックのたたみかける勢いの良さと、レイドバックするような自然体のアンサンブルの浮遊感が合わさり、
知性的な構築と即興のバランス、甘すぎない叙情を含んだ、一体感の感じられる傑作だ。
壮大度・・8 古き良きロックの塊度・・9 アンサンブル度・・10 総合・・8.5
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MOTORPSYCHO「Heavy Metal Fruit」
ノルウェーのベテランロックバンド、モーターサイコの2010年作
前作「Little Lucid Moments」は、じつに素晴らしい出来だったのだが、
本作では、タイトルのように、よりヘヴィなアプローチを効かせた音作りになっている。
絡みつくようなヘヴィなギターに、メロトロンを含むシンセによるシンフォニックさが加わると
ANEKDOTENばりの重厚なシンフォニックサウンドに包まれる。もちろん彼らの持ち味である、
アンサンブルとしての一体感とサイケロック的な浮遊感覚もあり、自由度のある「ユルさ」を含めた
壮大さとメリハリも魅力となっている。大曲におけるじわじわくる盛り上がりは感動的ですらある。
北欧プログレ、北欧サイケ、北欧ポストロック…なんでもいいので、とにかく聴いていただきたい!
壮大度・・8 サイケ/プログレ度・・9 アンサンブル度・・10 総合・・8.5
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ノルウェーのロックバンド、モーターサイコの2012年作
91年から活動するベテランバンド、前作「Heavy Metal Fruit」も素晴らしい傑作であったが、
本作は、トロンドハイム・ジャズオーケストラをフューチャーした2枚組の大作となった。
サックスやトロンボーンが鳴り響くイントロから、バンドサウンドが合わさると、
オーケストラをバックにした壮大なロックオペラ風味の世界観が広がってゆく。
このバンドならではのスケールのあるグルーブ感はしっかりと残しつつ、
艶やかなストリングスやホーンセクションなどに彩られたゴージャスなアレンジは、
これまでになく壮麗だ。10分を超える大曲も多く、プログレ的な構築センスも見事。
ドラマティック度・・9 プログレ度・・7 壮大度・・9 総合・・8.5
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Motorpsycho 「Still Life With Eggplant」
ノルウェーのロックバンド、モーターサイコの2013年作
90年代初頭から活動するベテランバンド、オーケストラ入りの2枚組の大作であった前作から、
本作ではバンドアンサンブルに重点を置いた作風に立ち返り、重厚なギターリフを乗せた
どっしりとしたグルーヴィなヴィンテージロックの感触が楽しめる。ときにメロトロンが鳴り響き、
サイケロック的な浮遊感とプログレ的な知的な構築力も随所に覗かせつつ、
キャリアのあるバンドしか描くことのできない強力な音の説得力が素晴らしい。
バンドらしい躍動感の一方で、キャッチーな歌メロによる牧歌的な叙情性もあって、
17分という大曲も、適度なユルさとハードなノリを同居させて、ANEKDOTENばりの恰好良さ。
ドラマティック度・・8 プログレ度・・7 オールドロック度・・8 総合・・8
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Motorpsycho 「Behind the Sun」
ノルウェーのロックバンド、モーターサイコの2014年作
90年代初頭から活動するベテランバンド、オーケストラと組んだ前々作からは一転、
シンプルなバンドスタイルへと立ち返った本作は、マイルドなヴォーカルで聴かせる、
やわらかな叙情性を前に出したサウンドで、ポストプログレ的な繊細な耳心地である。
一方では70年代的な荒々しいロック感も随所に残していて、ハードロック、ポストロック、
プログレなどの要素を含みつつも、どれに偏ることもない、かれららしいグルーヴィなロックが楽しめる。
前作からの続編となる12分の組曲なども含め、あらためて器の大きさを感じさせる力作だ。
メロディック度・・7 プログレ度・・7 グルーブ度・・9 総合・・8.5
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Motorpsycho 「here be monsters」
ノルウェーのロックバンド、モーターサイコの2016年作
90年代初頭から活動するベテランバンドで、すでに何作目なのかもわからないが、
2008年以降は圧巻の傑作を出し続けている。今作はピアノによるリリカルなイントロで幕を開け、
メロウなギター、うっすらとしたシンセアレンジを乗せて、ゆったりとしたサウンドが広がってゆく。
繊細なヴォーカルの歌声も含めて、前作から続くポストプログレ風の聴き心地であるが、
存在感のあるベースを中心にしたアンサンブルと、ひとつひとつの音の重ねが説得力のある
強力なスケール感を生み出していて、じわじわとその世界観に引き込まれてゆく。
ときにアッパーなノリのあるサイケ要素も覗かせつつ、アコースティックな小曲もさらりと入れてきたりと、
バンドの懐の深さには恐れ入る。プログレファンには普通にお薦めできる力作に仕上がっている。
ドラマティック度・・8 プログレ度・・7 繊細で壮大度・・9 総合・・8
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MOTORPSYCHO 「THE CRUCIBLE」
ノルウェーのプログレ・ロックバンド、モーターサイコの2019年作
90年代初頭にデビュー、アルバムは20作を超える、いまやノルウェーを代表するロックバンドと言える。
今作は8分、10分、20分という大曲3曲の構成で、オールドな味わいのギターにメロトロンを含むシンセを乗せ、
アナログ感あるアンサンブルとともに、サバス+クリムゾンというような、より70年代に回帰したサウンドを聴かせる。
ブリティッシュロックルーツの感触と、クールで知的な構築力が合わさって、プログレやポストロックの耳でも楽しめる、
ミステリアスなスケール感も魅力的だ。大曲においてもさほど難解にはならず、随所に北欧らしい叙情性も感じさせつつ、
ときにテクニカルな軽妙さも覗かせる。メロトロンの鳴るヴィンテージな北欧プログレとしても傑作といえる見事な出来だ。
ドラマティック度・・8 プログレ度・・8 ヴィンテージ度・・8 総合・・8.5
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Motorpsycho 「The All Is One」
ノルウェーのプログレ・ロックバンド、モーターサイコの2020年作
1990年代初頭にデビュー、プログレッシブな知性とガレージロックが同居したノルウェーを代表するロックバンド。
本作は2枚組で、42分におよぶ組曲を含んだ大作。オールドなギターにマイルドなヴォーカルを乗せた
LED ZEPPELINなどに通じる、70年代ルーツのヴィンテージロックに、北欧らしい涼やかな空気を含ませた、
自然体のロックサウンドは健在。メロトロンやオルガンなどのシンセがプログレ寄りの叙情を描いていて、
メロウなギターの旋律とともに、単なるロック以上のスケール感を聴き手に感じさせる技量は素晴らしい。
2CDにまたがる長大な組曲「N.O.X.」は、ヴァイオリンも鳴り響き、混沌としたフリーキーなパートから、
メロディアスな叙情、そしてスペースサイケ風のリフレインまで内包した異色のナンバーである。
ドラマティック度・8 プログレ度・7 壮大度・8 総合・8
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Motorpsycho 「Kingdom of Oblivion」
ノルウェーのプログレ・ロックバンド、モーターサイコの2021年作
2019年からの3年間でアルバム3枚という、多作ぶりを発揮するノルウェー最高のロックバンド。
今作は、オールドなハードロック風のギターにマイルドなヴォーカルを乗せた、渋いノリで始まり、
これまで以上にギターのエッジが立った、ツェッペリン風の70年代ハードロックを受け継ぐ味わい。
もとろん、シンセを重ねた涼やかな空気感も随所に覗かせつつ、今作ではアナログ感あるギターをメインに、
ヴィンテージなロック感触が際立っている。一聴してシンプルなノリから、ふわりとキャッチーなフックが現れたり、
メロトロンを用いてゆったりとした叙情に包まれた、プログレ寄りのナンバーも心地よい。全70分の力作です。
ドラマティック度・8 プログレ度・7 ヴィンテージ度・9 総合・8
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MOTORPSYCHO 「ANCIENT ASTRONAUTS」
ノルウェーのプログレ・ロックバンド、モーターサイコの2022年作
90年代初頭にデビュー、ノルウェーを代表するロックバンドで、アルバムは優に20枚以上を超える。
本作は22分の大曲を含む、全4曲という構成で、シンセによる怪しいイントロから、ブルージーなギターが加わり、
アナログ感たっぷりのアンサンブルで、70年代を彷彿とさせるヴィンテージなハードロックが広がってゆく。
たたみかけるドラムとうねるベース、ノリのよいリズムとともに、音の塊となって押し寄せてくるような迫力は
このバンドならではで、メロトロン的なシンセにジェントルな歌声を乗せた、初期クリムゾンを思わせる素朴な叙情性など、
プログレリスナーにアピールする場面も多い。後半の22分の大曲は、即興的なインストパートを盛り込んでじわじわと盛り上げる。
ドラマティック度・8 プログレ度・7 アンサンブル度・9 総合・8.5
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Mountain Throne 「Stormcoven」
ドイツのドゥームメタル、マウンテン・スローンの2013年作
MIRROR OF DECEPTIONのメンバーによるバンドで、古き良きアナログ感にあふれたドゥームメタルサウンド。
比較的ギターはシンプルなリフを弾きつつも、エピックメタル的でもある朗々としたヴォーカルによる、
ドラマティックな雰囲気がなかなかよい感じで、スローすぎないノリがあるので正統派メタル的にも楽しめる。
一方ではPAGAN ALTARのような薄暗い妖しさもあって、ミステリアスな聴き心地はマニア好みである。
適度に激しさも含んだ楽曲は、ドゥームメタルが苦手な方にも薦められる。NWOTHM的でもある好作品。
ドラマティック度・・8 ドゥーム度・・7 古き良き度・・8 総合・・7.5
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Mourn
イギリスのドゥームメタル、モウルンの1995年作
ツインギターに女性Voを含む5人編成で、オールドな感触のギターリフに中性的な歌声を乗せた、
正統派のドゥームメタル。メタリックなヘヴィさよりも、サバスルーツのハードロック感が強く、
楽曲も速すぎず遅すぎずといった適度なノリがあって聴きやすい。紅一点、キャロライン嬢の歌声は、
一聴すると男性にも思えるくらいの低めの中音域なので、艶めたい妖しさの点では少し物足りないが、
この当時、女性声を乗せた本格派のドゥームメタルというだけで珍しい存在だったことだろう。
おそらく本作は、現在につながる魔女系ドゥームメタルの元祖というべき作品なのかもしれない。
ドラマティック度・・7 ドゥーム度・・8 女性Vo度・・7 総合・・7.5
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Mugstar 「Axis」
イギリスのサイケ・ポストロック、マグスターの2012年作
2005年にデビュー、本作は5作目となる。適度にハードなツインギターを乗せた、
アナログ感あるアンサンブルで、ミステリアスな空気に包まれたインストサウンドを聴かせる。
2曲目からはオルガンを含むシンセも加わって、プログレ的なサイケロックという感触にもなったり、
わりとノリのよいストレートなナンバーもあったりと、オールインストながらサウンドの空間性を感じさせる。
耳を引くような展開はないのだが、オールドなロック感を残したサイケなポストロックが楽しめる。
ドラマティック度・・7 サイケ度・・7 壮大度・・7 総合・・7.5
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MURKRAT 「MurkRat」
オーストラリアのドゥームメタル、ムークラットの2008年作
ジャケからして怪しさぷんぷんなのだが、サウンドの方もアンダーグラウンドなダークさを感じさせる、
スローなドゥームサウンドで、そこに女性ヴォーカルが妖しげな歌声を響かせる。
たとえばイタリアのJACULAのような呪術的な雰囲気で、こもり気味の音質もいい感じだ。
楽曲は10分以上がほとんどなので、長尺のドゥームが苦手な人にはきついかもしれないが、
異色な作品や、怪しげな雰囲気ものが楽しめる方にだけ密かにオススメしたい。地下臭漂う怪作。
ドラマティック度・・7 ドゥーム度・・8 怪しさ度・・9 総合・・7.5
MUSE「ORIGIN OF SYMMETRY」
イギリスのメロディック・ロックバンド、ミューズの2nd。2001作
日本盤も出ていることから俗に言う「UKロック」バンドとしてはかなり知名度は高いようだ。
聴くのはこのアルバムが初めてだが、メタル聴きにとっても非常に聴きやすい音。
ピアノとVoのイントロに続き、けっこうヘヴィなギターリフが始まるのだが雰囲気は明るすぎず暗すぎず、
ひと言で言うとメランコリックロック的で、クールさと人間臭さがいいバランスでブレンドされた音である。
時折声の裏返るヴォーカルが好みを分けるかもしれないが、この中性的な歌声こそがこのバンドの個性になっていると思う。
きらきらとしたキーボードとメランコリックなギターリフが心地よい。
メロディアス度・・8 メタル度・・7 メランコリック度・・8 総合・・8
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My Sleeping Karma「Soma」
ドイツのサイケ・ハードロック、マイ・スリーピング・カルマの2012年作
東洋思想的な世界観を含んだ、ポストロック的でもあるスケール感のあるビジョンと
サイケロックの浮遊感にプログレ的な構築力が合わさったというようなサウンド。
うっすらとしたシンセにリフレインされるギターフレーズで、ゆるやかに描かれる楽曲は
オールインストということもあってスリリングな展開というものはあまりなく、
スピリチュアルなアプローチでじわじわとしみこんでくるような聴き心地だ。
ドラマティック度・・7 サイケ度・・8 スピリチュアル度・・8 総合・・7.5
My Sleeping Karma 「Moksha」
ドイツのサイケ・ハードロック、マイ・スリーピング・カルマの2015年作
オリエンタルな世界観と浮遊感のあるサイケロックを融合させるこのバンド、
本作もガネーシャ(象頭神)のジャケのようにヒンドゥー教やインド神話をテーマにした作品。
浮遊感のあるギターリフと東洋的な旋律を中心にしたインスト主体のサウンドであるが、
曲によってはお経のような歌声が入ったり、シンセも加わったスペイシーな感触もあったりと、
いくぶんプログレサイケ的な要素も感じさせる。まさにヒンディー・サイケを確立した好作品だ。
ドラマティック度・・7 サイケ度・・8 オリエンタル度・・8 総合・・7.5
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My Sleeping Karma 「Mela Ananda - Live」
ドイツのサイケロック、マイ・スリーピング・カルマのライブ。2017年作
オリエンタルな世界観とサイケロックを融合させるバンドの、2016年フランスでのライブを収録。
東洋的な旋律を奏でるギターにうっすらとしたシンセが重なり、浮遊感あるサウンドを構築、
タメの効いたドラムとうねりのあるベースも含めて、アルバム以上にグルーヴィな演奏で、
ヒンドゥーなサイケロックを描き出す。オールインストなので、これという盛り上がりはないが、
トリップ感のある心地よいグルーブにのんびりと浸れる。DVDには2010年のライブやドキュメンタリーを収録。
ライブ演奏・・8 サイケ度・・8 トリップ度・・8 総合・・7.5
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N
NEGATIVE「SWEET & DECEITFUL」
フィンランドのゴシックロックバンド、ネガティブの2nd。2004年
1stが出たときは、そのルックスなどからけっこう話題になっていたが、
ゴシック…というよりは、メランコリックな雰囲気もあるメロディック・ロックといったサウンド。
美形ヴォーカリストヤンネの甘い歌声に、厚みはないがなかなかメロウなギター、
そこに2ndから加わったキーボードが曲の美しさを増している。バンド名ほどにダークな部分は少なく、
むしろ聴きやすい北欧ロックでゴシックメタル好きからすると物足りないかもしれないが、
キャッチーさとメランコリックさのバランスが良く、軽く聴けて楽しめるアルバムだ。
メロディアス度・・8 ゴシック度・・5 フィンラン度・・7 総合・・7.5
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Nekromant 「Temple of Haal」
スウェーデンのドゥームメタル、ネクロマントの2021年作
2017年にデビューし、3作目。ギター、ベース&ヴォーカル、ドラムのトリオ編成で、
ウェットな叙情を含んだギターに伸びやかなヴォーカルを乗せ、翳りを帯びたサウンドを描く。
スローテンポ主体ながらほどよくノリもあって、メロディックなフレーズを含むギターリフも含めて、
オールドな味わいの正統派メタルとしても楽しめる。7分以上のナンバーもいくつかあって、
ゆったりとした味わいのダークな叙情性はやはり北欧のバンドらしく、CANDLEMASSにも通じる
どっしりとしたエピックドゥームの感触と、NWOTHM的なキャッチーなオールドメタルが同居した好作品だ。
ドラマティック度・7 重厚度・7 正統派メタル度・8 総合・8
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NEPHILA
スウェーデンのサイケロック、ネフィラの2021年作
女性ツインVoを擁する7人編成で、オールドなギターにオルガンを重ね、やわらかな女性ヴォーカルを乗せた、
70年代ルーツのヴィンテージなサウンドを聴かせる。二人の女性声が重なる、艶めいた妖しさとともに、
キャッチーなポップ感触もあり、アナログ感たっぷりの耳心地は、PURSONやSIENA ROOTあたりに通じる。
楽曲は3〜5分前後とわりとシンプルで、インパクトのある展開はないのだが、サイケ寄りの浮遊感やほどよいユルさも含めて、
全体的にものんびりと楽しめる。ちなみにツインギターの片割れも女性で、うるさすぎないギターの重ねも良い感じだ。
ラストは9分の大曲で、スウェーデン語による歌声が土着感をかもしだす。全35分というのも、アナログ時代っぽい。
ドラマティック度・7 ヴィンテージ度・9 女性Vo度・8 総合・7.5
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The Neptune Power Federation 「Memoirs of A Rat Queen」
オーストラリアのカルト・ハードロック、ネプチューン・パワー・フェデレーションの2019年作
2012年にデビューし、4作目となる。オールドなテイストのギターに女性ヴォーカルを乗せた、
ヴィンテージでどこかシアトリカルなハードロック。紅一点、Loz嬢の歌声は、魔女めいた妖しさから、
ハスキーなシャウトまで、なかなか変幻自在。ギターはヘヴィ過ぎず、ときにオルガンも鳴り響く。
ジャケのイメージのようなカルトな雰囲気はさほどないので、全体的にもほどよいノリとともに、
キャッチーな女性声HRとしてわりと普通に楽しめる。全8曲38分というのがいささか物足りないが。
ドラマティック度・・7 ヴィンテージ度・・8 女性Vo度・・8 総合・・7.5
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New Keepers of the Water Towers 「Cosmic Child」
スウェーデンのサイケ・ドゥームメタル、ニュー・キーパーズ・オブ・ザ・ウォーター・タワーズの2013年作
基本は、ギター、ベース、ドラムのトリオ編成で、うねりのあるアンサンブルに重厚なギターを乗せて、
スペイシーなスケール感を描くサウンド。エフェクトのかかったヴォーカルが妖しい浮遊感をかもしだし、
ギターは随所にメロディックなフレーズを奏でたり、曲によってはアコースティックな牧歌性を含む
プログレッシブな雰囲気を感じさせる。10分前後の大曲も多く、気の短い方には向かないが、
適度なユルさにモダンな重厚さと知的な構築力を加えた、新世代のサイケ・ドゥームの力作だ。
ドラマティック度・・7 サイケ・ドゥーム度・・8 重厚度・・8 総合・・7.5
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NEW KEEPERS OF THE WATER TOWERS 「Infernal Machine」
スウェーデンのサイケ・ドゥームメタル、ニュー・キーパーズ・オブ・ザ・ウォーター・タワーズの2016年作
スウェーデンからは近年、多くのサイケドゥーム系のバンドが出てきているが、このバンドも名前からしてすでに怪しい。
サウンドの方も、メロトロンやムーグシンセなどを使用し、スペイシーなSF風味とカルトな妖しさに包まれた空気感で、
異色のサイケ・ドゥームを聴かせる。エフェクトのかかったヴォーカルが無機質なおどろおどろしさをかもしだし、
スローテンポでリフレインされるギターのバックではメロトロンが淡々と鳴り響く。ミステリアスで不穏な気配が、
得体の知れない暗黒性と絶望的な退廃を含んで、静かに襲い掛かってくるようだ。スペイシーなサイケという点では、
HAWKWINDなどにも通じる部分はあるが、こちらはより静寂の空間性でスケール感を描き出している。異色の力作である。
ドラマティック度・・7 暗黒度・・8 ミステリアス度・・9 総合・・8
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New Light Choir 「Volume II」
アメリカのヴィンテージメタル、ニュー・ライト・クワイアの2015年作
Vo&G&BとDrという二人組ユニットで、メロディックなギターフレーズを乗せて疾走するポストブラック風味に、
ラウドなアナログ感を感じさせるヴィンテージなハードロックを融合させたというスタイルで、
マイルドなヴォーカルの雰囲気は80年代のエピックメタルやNWOBHMの雰囲気も感じさせる。
けっしてパワフルでないヴォーカルと重すぎない適度なユルさがほどよいマイナー臭さをかもしだしていて、
不思議なカルトメタルの味わいで楽しめる。楽曲は2〜4分前後とシンプルで、濃密さの点では少し物足りないのだが、
ともかく、少し怪しげでスカスカ、ほどよく疾走感もあるヴィンテージなオールドメタルが好きな方はぜひ。
ドラマティック度・・7 カルト度・・8 ヴィンテージ度・・8 総合・・7.5
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Noctum 「The Seance」
スウェーデンのドゥームメタル、ノクタムの2010年作
重すぎないギターにマイルドなヴォーカルを乗せた、いくぶんユルめの聴き心地のドゥームロック。
初期BLACK SABBATHなど、70年代ルーツのハードロック感触を基本にしつつ、
ほどよく叙情的なギターとヘタウマな歌声が、ウェットなマイナー性をかもしだす。
メタルというにはヘヴィさはなく、むしろスカスカなところがひなびた味わいなので、
かつてのPagan Altarなど、ヴィンテージな幻想ドゥームのファンに楽しめるかと。
楽曲は4〜5分前後で、これというインパクトはないが、ほどよい怪しさのドゥームロックです。
ドラマティック度・7 ドゥーム度・8 古き良き度・8 総合・7
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NOMAD SON 「First Light」
マルタ共和国のドゥームメタル、ノーマド・サンの2008年作
デビューアルバムの再発盤で、ライブ映像の入ったDVDデュアルDisc仕様。
サバスルーツの正統派ドゥームメタルのギターリフとダーティなヴォーカル、
そしてオルガンを含んだアレンジで、妖しい世界観を描くサウンドは本作ですでに確立している。
2nd以降よりもサバス色が強いので、オールドなドゥームメタルファンもにやにやでしょう。
ドラマティック度・・7 エピックドゥーム度・・8 正統派度・・8 総合・・8
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Nomad Son「The Eternal Return」
マルタ共和国のドゥームメタル、ノーマド・サンの2010年作
中世のマルタ騎士団で有名な、マルタ島国出身のバンドというだけでもロマンがあるが、
サウンドの方も正統派メタル寄りの雰囲気のあるエピックドゥームでなかなかのもの。
ダークな翳りを含みながら、随所にオルガンを含んだシンセアレンジなどもいい感じで
中世を感じさせるミステリアスな世界観を描いている。エピックドゥームマニアの方はいかが。
ドラマティック度・・7 重厚度・・8 エピック度・・8 総合・・7.5
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NOMAD SON 「The Darkening」
マルタ共和国のドゥームメタル、ノーマド・サンの2013年作
本作がおそらく3作目で、ヘヴィなギターリフとオルガンを含んだシンセアレンジで聴かせる、
正統派メタル寄りのエピックドゥームサウンド。楽曲はミドルテンポ主体なので遅すぎず聴きやすく、
CANDLEMASSあたりに比べると、さらにアンダーグラウンドな怪しさも感じられて、
いくぶんこもり気味の音質も、かえっていい味を出している。幻想ドゥームメタル好きはチェック。
ドラマティック度・・7 エピックドゥーム度・・8 正統派度・・8 総合・・8
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North Atlantic Oscillation「Grappling Hooks」
スコットランドのモダンプログレ・ロックバンド、ノース・アトランティック・オシレーションの2010年作
Porcupine Tree、Pineapple Theifに続き、新時代のモダンプログレパンドがデビュー。
ヴォーカル、ギター、ベース、シンセをこなすマルチプレイヤーとドラムという2人のユニットで、
エモ的なやわらかな叙情と、エレクトロがかったモダンなセンスを合わせたサウンドをやっている。
Sigur Rosを思わせるしっとりとしたやわらかな歌声に、楽曲にはポストロック的な壮大さもあり、
デジタルとアナログの両立というべき、調和のとれた聴き心地のいいミクスチャーロックである。
知的なプログレ風味も随所に覗かせつつ、あくまでモダンなバランス感覚で仕上げられている。
メロディアス度・・8 プログレ度・・7 モダンロック度・・9 総合・・8
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North Atlantic Oscillation 「Fog Electric」
スコットランドのモダンプログレバンド、ノース・アトランティック・オシレーションの2012年作
ヴォーカル、ギター、シンセをこなすマルチプレイヤーとドラムという2人のユニットで、これが2作目。
やわらかなヴォーカルハーモニーと、いくぶんエレクトロがかったモダンなセンスを含み、
浮遊感のあるキャッチーな繊細さは、Sigur Rosあたりにも通じるほんわかとした聴き心地。
シンセの重なりによる美しさと、マイルドな歌声を中心に、あくまで叙情的なサウンドは、
最近のANATHEMAやSteven Wilson系のファンにも楽しめるだろう。
メロディアス度・・8 プログレ度・・7 繊細度・・9 総合・・8
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O
The OATH
スウェーデンのヴィンテージハードロック、オースの2014年作
スウェーデン人女性ギタリスト、リネア・オルソンとドイツの女性シンガー、ヨハナ・サドニスを中心にしたバンドで、
古き良きドゥームメタルルーツのギターに女性ヴォーカルの歌声で聴かせる、アナログ感たっぷりのサウンド。
Cathedralのリー・ドリアンが主催するレーベルからのデビューということで、随所にサバス風味というかカテドラル風味というか、
妖しげなドゥーム感触と秘教的な匂いを含んだ世界観がよいですね。どこかけだるげな倦怠感を含んだジョアンな嬢の歌声も、
むしろ上手すぎないところがかえって浮遊感と妖しさをかもしだしていて、このサウンドによくマッチしている。
適度なアンダーグラウンドなB級感もたまらない。Blood CeremonyやCastle、Pursonあたりが好きならぜひ聴くべし。
ドラマティック度・・7 古き良き度・・8 女性Vo度・・7 総合・・8
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Oblivion Gate「Wisdom Of The Grave」
イタリアのドゥームメタル、オブリヴィオン・ゲートの2020年作
Matron Thorn氏による個人ユニットで、アナログ感ある重厚なギターに詠唱のようなヴォカールを乗せ、
霧に包まれたような妖しくミステリアスなドゥームメタルを聴かせる。ジャケの雰囲気も含めて、
ホラー映画的な耽美な世界観で、こもり気味の音質が怪しいおどろおどろしさを演出している。
楽曲は6〜8分前後とわりと長めで、耳を引くような展開はさほどないが、混然となった轟音の渦に
飲み込まれるような聴き心地には、雰囲気モノ系ドゥームとしての強度が感じ取れる。
ドラマティック度・・7 重厚度・・8 怪しげ度・・9 総合・・7.5
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Obsidian Sea 「Dreams,Illusions,Obsessions」
ブルガリアのドゥームメタル、オブシディアン・シーの2016年作
G&Vo、B、Drのトリオ編成で、アナログ感たっぷりのギターリフと線の細いヴォーカルを乗せた、
初期のCANDLEMASSを思わせる、正統派のエピック・ドゥームメタル。
ややこもり気味のヴォーカルがミステリアスな神秘性をかもしだし、
やはりヨーロピアンな湿り気を感じさせるギターリフと、うねりのあるアンサンブルもよい感じだ。
これという新鮮味はないのだが、オールドなエピックドゥーム好きには十分楽しめる内容です。
ドラマティック度・・7 エピックドゥーム度・・8 ミステリアス度・・8 総合・・8
OCEANSIZE「Everyone Into Position」
イギリスの5人組エモバンド、オーシャンサイズの2nd。
1stは未聴、ぱっと聴きには普通のエモーショナルロックだが、よく聴けばリズムにプログレなアプローチがあったりする。
マイルドで(やや鬱な感じの)Voも含めて、全体的に非常にまとまっていて心地のよい音だ。
ギターワークはけっこう古めかしいリフなどもありわりとオーソドックス。ヘヴィ過ぎず、軽すぎずというバランスがいい。
スペイシーで広がりのあるシンセや、やや軟弱ぎみなコーラスワークなど、メロディアスな要素が組み合わさり聴きやすい。
大半の曲が6分以上というのも、バンドの方向性がムーディで感覚的な浮遊感を向いているからなのだろう。
やわらかみがあるサウンドは、適度な攻撃性を内包しつつも、バランスを保ったまま耳に馴染んでくる。
一方で静寂美の映えるシンフォロックな曲もあり、ポストロックとしての空間的な雄大さも表現しているのがあなどれない。
メロディアス度・・8 聴きやす度・・8 インパクト・・7 総合・・7.5
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Octopus 「Supernatural Alliance」
アメリカのストーナー・ハードロック、オクトパスの2018年作
アナログ感たっぷりのギターにハスキーな女性ヴォーカルを乗せて、ほどよくノリのあるストーナーロックを聴かせる。
70年代ルーツのブルージーなロック感触に、オルガンを含むシンセが鳴り響き、ヴィンテージな味わいと
いくぶんサイケな浮遊感も覗かせる。曲によっては、PURSONなどに通じる魔女系ロックの感触もあって、
女性声ドゥームロックのリスナーにも楽しめるだろう。楽曲は3〜5分前後とわりとシンプルなので、
もう少しディープな濃密さがあってもよいとは思うが、女性声のヴィンテージロック好きはどうぞ。
ドラマティック度・7 ヴィンテージ度・8 女性Vo度・7 総合・7.5
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OGRE「Plague of the Planet」
アメリカのドゥーム/ストーナーロックバンド、オウガの2008年作
ギター、ベース&ヴォーカル、ドラムの3人編成で、アナログ感たっぷりの
ストーナーサウンドで、本作はストーリーに基づいた 全1曲37分という作品。
70'ロック的なノリの良さと、ジャケのようなSF仕立てのサイケ的な雰囲気に
ときにオルガンなども絡んで、ある種プログレ的なドゥームロックを聴かせる。
派手なインパクトはないものの、ラストはなかなかドラマティックに盛り上げます。
ドラマティック度・・8 ドゥーム度・・7 アナログロック度・・8 総合・・7.5
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OM「God Is Good」
元SLEEPのメンバーによるドゥームロックバンド、オムの4th。2009年作
ギターレスで、ベースとドラムによるドゥームサウンドを追求するユニットで、
主要メンバーのクリス・ハキアスが前作を脱退し、本作はディストーションを控えめに
神秘的な静謐感を強めたサウンドになった。まるで経典を語るようなヴォーカルと
タブラやシタールなどの響きが、オリエンタルでゆるやかな聴き心地をかもしだす。
歪んだベースとドラムが加わると、ドゥームロックの感触がぐっと強まるが、
グルーヴィでありながら、あくまで内的でスピリチュアルなビジョンを描き出している。
ドラマティック度・・7 ドゥーム度・・8 スピリチュアル度・・8 総合・・7.5
OM「Advaitic Songs」
ドゥームロックバンド、オムの5th。2012年作
女性による語りから始まり、タブラの響きにチェロが重なってゆく1曲めから、すでに前作以上に
宗教的な崇高さを漂わせている。ここだけ聴くとまるで、POPOL VUEのような雰囲気だが、
ベースとドラムが加わる2曲めからは、うねりのあるグルーブとともにSLEEPから引き継がれた
妖しげなドゥームロックが楽しめる。今作では10分を超える大曲も増え、ストリングスも含んだ叙情や
プログレ的といってもよいようなアレンジも含んで、より壮大なサウンドを描いてゆく。異色の力作である。
ドラマティック度・・8 ドゥーム度・・7 壮大度・・8 総合・・8
Onsegen Ensemble「Fear」
フィンランドのサイケ・ドゥームロック、オンサゲン・アンサンブルの2020年作
2016年にデビューし3作目。オールドなギターリフとうねりのあるベースを乗せたドゥームロック感触に
トランペットや男女のコーラスも加わって、ポストロック的なスケール感とサイケな妖しさも含んだ
ミステリアスな世界観を描きだす。メロトロンのようなシンセにトランペットが重なると、プログレ的な味わいで、
やわらかなフルートの音色など、優美な叙情性も覗かせる。コーラスを除けばほぼオールインストなので、
一般受けはしないだろうが、ゆったりと聴かせる神秘的な雰囲気モノとして楽しむのがよいだろう。
サイケやプログレ要素も含んだ、ドゥーム寄りのポストロックというべき、ボーダーレスの異色作である。
ドラマティック度・7 サイケ度・7 ミステリアス度・8 総合・7.5
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OPIUM WARLORDS 「Taste My Sword of Understanding」
フィンランドのドゥームメタル、オピウム・ウォーローズの2014年作
元REVEREND BIZARREのSami Albert Hynninenによるバンドで、ドローン気味のギターリフから始まり、
重厚にしてスローな正統派ドゥームメタルが描かれる。古き良きHR質感もあるギターはときにメロディを奏でたり
オルガンによるアレンジも加わったりして、ダークでヘヴィでありながらもドラマティックな雰囲気がよいですわ。
やはりREVEREND BIZARREからの流れを感じさせるアナログ感覚と、濃密にして怪しげな音作りにぞくぞくする。
絶望に満ちたダミ声による語りなども入ったシアトリカルな世界観や、アンビエント・ドゥーム的な静かなパートもあったりと、
普通のドゥームメタルが好きな方には中盤ややダレ気味に思えるかもしれないが、いわば「ポスト・ドゥーム」的な力作とも。
ドラマティック度・・8 ドゥーム度・・8 重厚度・・8 総合・・8
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Orange Goblin 「Thieving from the House of God」
イギリスのストーナーロック、オレンジ・ゴブリンの2003年作
1997年にデビューし、本作がすでに5作目となる。ヘヴィなギターリフとパワフルなヴォーカルを乗せ
硬派でザラついた感触のハードなストーナーロックを聴かせる。メロウな湿り気はほぼ皆無で、
アナログ感たっぷりのアンサンブルとブルージーで重たいノリでたたみかけるサウンドは、
まさにストーナーメタルの申し子という作風である。個人的にはドゥーミィな妖しさがないので
カラっとした明快なサウンドには多少の物足りなさを感じてしまうのだが。純ストーナーのファン向け。
ドラマティック度・・7 ストーナー度・・8 重厚度・・8 総合・・7.5
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Oranssi Pazuzu 「Varahtelija」
フィンランドのサイケ・ブラックメタル、オランシ・パズズの2016年作
反復するギターリフを乗せたアナログ感あるアンサンブルで、妖しい神秘性とスペイシーなスケール感を描き出す、
いわばトリップ系のサイケメタルサウンド。こもり気味のダミ声を響かせつつ、ヴォーカルはあくまでオマケ程度、
暴虐さではなくあくまでダークな妖しさでうねりのあるインストパートを描いてゆく。10分を超える大曲も多いので、
気が短い方には向かないが、雰囲気モノが好きな方、スペイシーな暗黒サイケメタルが楽しめる方は一聴の価値あり。
ドラマティック度・・7 妖しげ度・・8 暗黒度・・8 総合・・7.5
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The Order of Israfel 「Wisdom」
スウェーデンのドゥームメタル、オーダー・オブ・イスファエルの2014年作
アコースティカルなイントロから、重厚なツインギターのリフに朗々としたヴォーカルを乗せ、
アナログ感あるアンサンブルとエピックな味わいで聴かせる、正統派のドゥームメタル。
ノリのよいテンポのヴィンテージなハードロックナンバーもありつつ、15分という大曲では、
どっしりとした重さとともに、シリアスな迫力に包まれたドラマティックな世界観も感じさせる。
甘さの無い硬派な感触とスケール感のある神秘性が融合した、本格派のドゥームメタル強力作。
ドラマティック度・・8 ドゥーム度・・8 重厚度・・8 総合・・8
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The Order of Israfel 「Red Robes」
スウェーデンのドゥームメタル、オーダー・オブ・イスラフェルの2016年作
アラビックなイントロから始まり、ヘヴィなギターと朗々としたヴォーカルを乗せて、
どっしりと聴かせる、BLACK SABBATHルーツのドゥームメタルが広がってゆく。
ザラついたストーナー感触とオールドなドゥーム感が合わさり、ときにアコースティックな叙情性や
イスラム教の最後の審判を告げる天使からとったバンド名のように、中近東風の旋律も覗かせる。
ラストは15分という大曲で、初期CATHEDRALのような重厚なスローテンポの中に、
ミステリアスな気配を描き出す。まさに本格派のドゥームサウンドを体現した力作です。
ドラマティック度・・7 ドゥーム度・・9 重厚度・・9 総合・・8
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The Order of the Solar Temple
カナダのヴィンテージハードロック、オーダー・オブ・ザ・ソーラー・テンプルの2014年作
ジャケからしてもう怪しさぷんぷんなのであるが、サウンドのほうも70年代スタイルのヴィンテージな空気感と
サバルスルーツのドゥーム/ストーナー的な気配に包まれていて、オールドロックファンはにやにやだろう。
ブルージーなギターにオルガンを含んだアレンジと、ときにシアトリカルなヴォーカルもよい感じで、
初期BLUE OYSTER CULTのようなアッパーなノリの良さも確信犯的だ。ドゥーム要素も覗かせつつ
70'sハードロックのブルージーなアナログ感覚を、いくぶんカルト寄りにしたという雰囲気の好作品。
ドラマティック度・・8 古き良き度・・8 怪しげ度・・8 総合・・8
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Pagan Altar 「Boom Of Shadows」
イギリスのカルト・ドゥームメタル、ペイガン・アルターの2017年作
70年代から活動するバンドで、本作は2006年以来、11年ぶりとなるアルバム。Voのテリー・ジョーンズと
ギターのアラン・ジョーンズ以外のメンバーが交替、新たにMoon Chamberのドラムが加わっている。
ほどよい叙情を含んだオールドなギターに朗々としたヴォーカルを乗せた、ウェットなドゥームメタルは本作も健在。
重すぎずダーク過ぎない、Witchfinder Generalをよりミスティックにしたようなサウンドには、何とも言えぬ魅力があり、
ヴィンテージなサウンドを愛する者にはたまらない。6〜8分の楽曲をメインに、10分の大曲もあるが、適度にユルめ楽しめる。
ドラマティック度・8 ドゥーム度・7 ヴィンテージ度・8 総合・7.5
Palace of the King 「White Bird/Burn the Sky」
オーストラリアのストーナーロック、パレス・オブ・ザ・キングの2015年作
アナログ感たっぷりのギターにハイトーンヴォーカルを乗せ、オルガンの音色も加わった、
70年代ルーツのストーナーロック。ギターはほどよくヘヴィだがサウンドにダークさはなく、
ジャケのイメージはサイケなのだが、ロックンロールなギターやノリの良いなヴォーカルも含めて、
むしろLED ZEPPRELIN的なオールドロックの味わいが強い。基本はシンプルな聴き心地ながら、
曲によってはサイケやストーナー感触もあって、この確信犯的なアレンジセンスは心憎い。
全体的にはキャッチーな感触で、「ストーナー化したツェッペリン」的に楽しめる強力作だ。
キャッチー度・・7 アナログ度・・8 古き良き度・・9 総合・・8
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PALACE OF THE KING 「GET RIGHT WITH YOUR MAKER」
オーストラリアのサイケ・ハードロック、パレス・オブ・ザ・キングの2018年作
2014年にデビューし、4作目となる。オルガンが鳴り響き、ほどよくハードなギターとハイトーンヴォーカルで
アナログ感たっぷりのサイケハードを聴かせる。70年代ルーツのキャッチーなロック感触は
前作同様に「ストーナー化したツェッペリン」という雰囲気でも楽しめるノリの良さがある。
3分前後のシンプルな楽曲を主体にしていて、全体的にこれという新鮮味はないのだが、
ほどよいサイケ感とともに、オールドなロックが好きな方なら充分楽しめるだろう。
ドラマティック度・・7 サイケ度・・7 古き良き度・・8 総合・・7.5
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Pallbearer 「Sorrow & Extinction」
アメリカのドゥームメタル、ポールベアラーの2012年作
アコースティックで素朴なイントロから、ヘヴィなリフとギターの叙情的な旋律が加わって、
どこか牧歌的なヴォーカルを乗せた哀愁あふれるドゥームメタルが広がってゆく。
例えるなら、初期のCathedralのスローでフューネラルな雰囲気を、よりマイルドに仕上げたという感じか、
ギターはドローン的にヘヴィであるが、ときにメロディアスなフレーズも奏でたりする。
全体的には暗黒性よりもミスティックな空気感が勝っていて、わりと重すぎない聴き心地。
反面、このバンドならではの個性というのはさほどは感じられないのだが、随所にサイケやポストロック的でもある
スケール感を描いていて、全曲8分以上という大作志向も含めて、正統派ドゥーム期待の新鋭といえる内容である。
ドラマティック度・・8 ドゥーム度・・8 重厚度・・8 総合・・8
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Pallbearer 「Foundations of Burden」
アメリカのドゥームメタル、ポールベアラーの2014年作
本作も10分を超える大曲を中心にした大作志向で、前作からの流れの正統派ドゥームメタルを聴かせるが、
重厚なギターとのコントラストで、メロディックなフレーズやヴォーカルパートのフックが浮き上がり、
サウンドの厚みがより感じられるようになった。随所にコーラスの重ねやシンセによる味付けも加わったことで、
長い楽曲にも盛り上がりのメリハリがついて、前作にもあったドラマティックな空気が説得力をともなってきた。
こうなってくるとヘタウマなヴォーカルの浮遊感もサウンドによくマッチして聴こえ、ツインギターの迫力あるリフとともに
ひとつの強固な世界観を作っている。これぞ新世代ドゥームメタルの力作といえる出来である。
ドラマティック度・・8 ドゥーム度・・8 重厚度・・9 総合・・8
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Pallbearer 「Heartless」
アメリカのドゥームメタル、ポールベアラーの2017年作
2012年にデビュー、新世代ドゥームメタルの旗手として期待されるバンドの3作目。
ツインギターのどっしりとしたリフと有機的に絡むフレーズにマイルドなヴォーカルを乗せ、
適度に知的な構築性を感じさせるドゥームメタルサウンド。リズムチェンジを含む展開力と、
甘すぎない程度のメロディックギターフレーズが、わりとエピックな聴き心地になっていて、
うっすらとしたシンセアレンジも加えた叙情性と、重厚な空気感のバランスも素晴らしい。
プログレッシブな知性すら漂わせる、これぞ新世代のポスト・ドゥームメタルというべき傑作だ。
ドラマティック度・・8 ドゥーム度・・7 重厚度・・8 総合・・8.5
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Pallbearer 「Forgotten Days」
アメリカのドゥームメタル、ポールベアラーの2020年作
2012年にデビュー、前作「Heartless」は圧巻の傑作であったが、4作目となる本作もヘヴィなギターリフを乗せた
重厚なドゥームメタルを基本に、メロディックなギターの旋律とともに、やわらかな叙情パートなども含んだ、
ポスト・ドゥームというべき構築性で、ドラマティックなサウンドを描いてゆく。10分を超える大曲では、
マイルドなヴォーカルが表現する物悲しい世界観に、ツインギターの泣きのメロディとシンセが重なり、
ゴシック寄りのメランコリックな雰囲気も覗かせる。ここまでくると、逆に正統派のドゥーム感が希薄になり、
叙情的なゴシックドゥームというような聴き心地ではあるが、新たなファン層にもアピールしそうな力作です。
ドラマティック度・・8 メランコリック度・・8 ドゥーム度・・7 総合・・8
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The Parlor Mob 「And You Were a Crow」
アメリカのハードロック、パーラー・モブの2008年作
ブルージーなギターにハイトーンヴォーカルを乗せた、いかにも70年代スタイルの
アナログ感に包まれたサウンド。ヘヴィ過ぎないギターにはサイケ的な感触もあって、
英国的なウェットな部分とアメリカンなキャッチーな要素を上手く融合しているという印象だ。
たとえば、同じ70年代回帰型のThe Answerが骨太のハードロック路線であるのに対して、
こちらはヴォーカルの線の細さも含めて、ややB級っぽい浮遊感があるので、
かえってマニア好みのサウンドともいえる。オールドロック好きの方はチェック。
ドラマティック度・・7 サイケハー度・・8 古き良き度・・9 総合・・7.5
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PAUW 「Macrocosm Microcosm」
オランダのサイケロック、パウの2015年作
シンセを含む4人編成で、オルガンやメロトロンといったヴィンテージなシンセに
中性的でエモーショナルヴォーカルを乗せた、キャッチーなサイケロックを聴かせる。
ハード過ぎないギターがメロウな旋律を奏で、やわらかなフルートにメロトロンが重なると、
シンフォニック寄りのプログレ感触にもなって、じつに優しい耳心地で楽しめる。
70年代ルーツの作風でありながら、クサみのないスタイリッシュなアンサンブルは、
サイケ化したシガー・ロスという雰囲気もある。ゆったりとまどろめる優美なサイケです。
メロディック度・・8 サイケ度・・8 優美度・・9 総合・・8
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PELANDER「Time」
スウェーデンのヴィンテージロック、WITCHCRAFTのシンガー、マグナス・ペランダーのソロ。2016年作
ヴィンテージなサイケハードを聴かせるウィッチクラフトに比べて、こちらはアコースティックギターを主体に、
フルートやヴァイオリンが鳴り響き、マイルドなヴォーカルで聴かせる、サイケフォーク風味のサウンド。
北欧らしい涼やかな空気に、サイケ的な浮遊感もしっかり感じさせ、女性ヴォーカルも絡んだ妖しい感触は
70年代のアシッドフォークのようでもある。一方では、英国フォークをルーツにした牧歌的な味わいもあって、
ロック色は薄めなものの、確信犯的なヴィンテージ感という点では、オールドなリスナーなら十分楽しめる。
アコースティック度・・9 サイケフォーク度・・8 妖しさ度・・8 総合・・7.5
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Pilgrim 「Misery Wizard」
アメリカのドゥームメタル、ピルグリムの2012年作
Cathedral以上に怪しげなジャケもいい感じだが、サウンドの方もなかなかすごい。
ドローン気味にスローなギターリフといくぶん煮え切らない感じのヴォーカルを乗せた、
重厚かつ大変遅めのドゥームメタルである。感触としてはやはりカテドラルの1stにも近いが、
こちらはヨーロピアンな翳りというよりは、ストーナー的なアナログ感を漂わせた聴き心地である。
10分を超える大曲も多く、よほどのドゥーム好きでない最後まで楽しむのはつらいかもしれないが、
いまどき、このような本格派のドゥームメタルが楽しめることは嬉しくもある。
ドラマティック度・・7 ドゥーム度・・9 重厚度・・9 総合・・7.5
Pilgrim 「Void Worship」
アメリカのドゥームメタル、ピルグリムの2014年作
初期Cathedralタイプの低速ドゥームを聴かせた前作に続き、今作もアナログ感たっぷりの
怪しげなドゥームサウンドが繰り広げられる。絡みつくようなスローなギターリフと、
ヘタウマなヴォーカルもよい味を出していて、適度に手数のあるドラムも含めて、
B級感ただよう音作りがまた怪しくてよい。9分、10分という曲の長さにダレつつも、
ダレるのがドゥームメタルだといわんばかりの堂々たる聴き心地。好き者はどうぞ。
ドラマティック度・・7 ドゥーム度・・8 怪しげ度・・8 総合・・7.5
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PLASTIC OVERLORDS「Sonic Astronomy」
アメリカのサイケロック、プラスティック・オーバーローズの2010年作
HAWKWINDあたりを思わせる浮遊感のあるサイケロックを基本に、70年代的なヴィンテージ感と
ときにメロトロンなども鳴り響く、プログレ的な感触も含んだ作風。頼りないヴォーカルの声も
このサウンドにはむしろよく合っていて、ユルさの中に怪しげなB級可感をかもしだしている。
10分、17分という大曲をじっくりと描いてゆく懐の大きさもある。楽しみなサイケロックバンドだ。
ドラマティック度・・7 プログレ度・・7 サイケ度・・8 総合・・7.5
Plateau Sigma「Rituals」
イタリアのドゥームメタル、プラテアウ・シグマの2016年作
ローマ神話の神々をテーマに、重厚なツインギターにジェントルなヴォーカルを乗せ、ゆったりと聴かせる、
エピックな感触のドゥームメタル。空間的な静けさと叙情性を含んだ、神秘的な空気感を漂わせながら、
曲によっては低音デスヴォイスを乗せた、フューネラルな暗黒性も垣間見せる。8〜11分の大曲を主体に
どっしりとしたスローテンポで、ときに甘すぎない程度にメロディを奏でるツインギターとともに、心地よくサウンドに浸れる。
派手さはないのだが、雰囲気モノとしての強度もなかなかで、これぞドゥームメタルという本格派の味わいの強力作だ。
ドゥーム度・・8 重厚度・・8 神秘的度・・8 総合・・8
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PRISTINE 「NINJA」
ノルウェーのヴィンテージロック、プリスティンの2017年作
ハスキーな女性ヴォーカルの歌声に、オルガンが鳴り響く、ブルージーなオールドロック。
ほどよくハードなギターに、魅力的な女性声を乗せたサウンドは、BLUES PILLSにも通じる感触で
古き良きアナログ感を漂わせながら、二人のオルガン奏者による音の厚みのあるのがポイント。
紅一点、ハイディ嬢のソウルフルな歌声は、ブルージーなバラードでは、さらにその実力を発揮、
LED ZEPPELINの女性声版というナンバーでも、実力ある歌唱がサウンドにしっかりと説得力を付加している。
メロディック度・・8 古き良き度・・9 女性Vo度・・9 総合・・8
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PROCESSION「Cult of Disease」
チリのメロディック・ドゥームメタル、プロセッションのミニアルバム。2008年作
ギター&ヴォーカル、ベース、ドラムの3人編成で、スローテンポの楽曲に
メロディックなギターフレーズを乗せた、いわゆるエピック・ドゥームのサウンド。
CANDLEMASSタイプの聴きやすさがあって、ジャケのおどろおどろしさに比べて
音はずっと正統派なのでとっつきやすい。11分という大曲もギターのフレージングのセンスで
飽きずに聴かせてくれる。メロディックな感触はただのマイナーバンド以上に楽しめる。
ドラマティック度・・8 ドゥーミィ度・・7 正統派度・・8 総合・・7.5
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PROCESSION「Destroyers Of The Faith」
チリのメロディック・ドゥームメタル、プロセッションの2010年作
デビューミニもなかなかの出来であったが、1stフルアルバムとなる本作は
ぐっとサウンドの重厚さが増している。エピックに歌い上げるヴォーカルと
メロディアスなギターフレーズで、正統派メタル的な聴き心地も残しながら
7〜10分という大曲をドラマティックに聴かせる作風に磨きがかかっている。
叙情的な泣きのメロディも含めて、ドゥーム系以外のリスナーにも楽しめる出来だ。
ドラマティック度・・8 ドゥーミィ度・・7 正統派度・・8 総合・・8
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Procession 「To Reap Heavens Apart」
チリのドゥームメタル、プロセッションの2013年作
前作もドラマティックな正統派エピックドゥームの傑作だったが、フルアルバム2作目となる本作も
ツインギターの重厚なリフに叙情的なフレーズをまぶしながら、どっしりとしたサウンドを聴かせる。
朗々としたヴォーカルとともに、適度にメロディックで勇壮かつエピックな世界観を描いていて、
曲調はスローでありながらもリフとフレーズの説得力で、10分前後の大曲もドラマティックに楽しめる。
Solitude Aeturnus、Atlantean Kodexなどが好きな方にはぜひともオススメしたい力作だ。
ドラマティック度・・8 エピック度・・8 重厚度・・8 総合・・8
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Procession 「Doom Decimation」
チリのドゥームメタル、プロセッションの2017年作
2008年にデビュー、本作は3作目のフルアルバムで、正統派メタル寄りのギターリフに
パワフルなヴォーカルを乗せて、オールドスタイルのドゥームメタルを聴かせる。
適度にメロディックなフレーズを奏でるツインギターとともに、どっしりとしていながら、
スロー過ぎないノリのあるテンポで、勇壮なエピックメタルとしても普通に楽しめる。
これという目新しさはないのだが、重すぎない遅すぎない聴き心地の良さがGoodです。
ドラマティック度・・7 ドゥーム度・・7 正統派度・・8 総合・・8
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Project Armageddon 「Tides of Doom」
アメリカのドゥームメタル、プロジェクト・アルマゲドンの2012年作
2009年にデビューし、2作目。女性Vo&Bを含むトリオ編成で、ゆったりとしたリズムにどっしりとしたベースとオールドなギターを乗せ
ハスキーな女性ヴォーカルとともに、サバスルーツの古き良きドゥームロックを聴かせる。わりとシンプルなギターリフが
70年代ルーツのアナログ感をかもしだし、Cathedralあたりに通じる感触もあって、妖しい女性声もよくマッチしている。
ラスト2曲は、9分を超える大曲が並び、これぞドゥームメタルというギターリフとともに、中性的なヴォーカルが響き渡る。
ドゥーム度・8 古き良き度・8 ヴィンテージ度・8 総合・7.5
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PSYCHEDELIC WITCHCRAFT「Vision」
イタリアのヴィンテージロック、サイケデリック・ウィッチクラフトの2016年作
アナログ感たっぷりのギターに、女性ヴォーカルの歌声で聴かせる魔女系サイケロック。
楽曲は3〜4分前後で、PURSONやBlood Ceremonyなどに比べると、よりシンプルな感触であるが、
紅一点、Virginia嬢のいくぶんけだるげな歌声はサウンドによくマッチしていて、
この手の女性声オールドロックが好きな方にはたまらないだろう。ときにブルージーなギターも
全体的にハードさは控えめで、あくまで歌を引き立てるバックという感じなので、
わりと歌ものサイケポップ的な感じにも楽しめる。魔女系ロックにまた期待の新鋭誕生です。
ドラマティック度・・7 アナログ度・・8 女性Vo度・・8 総合・・7.5
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PSYCHEDELIC WITCHCRAFT 「Sound of the Wind」
イタリアのヴィンテージロック、サイケデリック・ウィッチクラフトの2017年作
前作はアナログ感たっぷりの歌もの系サイケポップという趣だったが、2作目となる本作も
妖しく叙情的なイントロから始まり、ハスキーな女性ヴォーカルを乗せたヴィンテージなサウンドが炸裂。
重すぎず軽すぎずというギターリフとともに、より70年代ドゥームへの懐古主義が強まった聴き心地。
サウンドと世界観の説得力という点でも、前作以上にディープな空気感を漂わせていて、
紅一点、ヴァージニア嬢のけだるげな歌声も、このヴィンテージなサウンドによくマッチしている。
ドラマティック度・・8 ヴィンテージ度・・8 魔女系ロック度・・8 総合・・8
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PUHDYS「Es War Schon」
ドイツのロックバンド、プーディスの2013年作
1969年結成というから、東ドイツ時代から活動する大ベテランで、本作は何作めなのか不明。
ドイツ語による枯れた味わいのヴォーカルと、どっしりとしたアンサンブルにキャッチーなメロディを含ませた
年季を感じさせるサウンドで、シンセやストリングスによる味付けがスケール感をかもしだす。
牧歌的な叙情性やシンフォニックな要素も感じさせる、味わい深いゲルマンロックの力作です。
メロディック度・・8 プログレ度・・7 ゲルマン度・・8 総合・・8
PURE REASON REVOLUTION「THE DARK THIRD」
イギリスの新世代ロックバンド、ピュア・リーズン・レヴォリューションの2006年作
PINK FLOYD的な浮遊感ある楽曲に、男女Voの歌声が重なり内的宇宙を感じさせる広がりのあるシンセアレンジがなかなか魅力的で、
薄暗い質感のシンフォニックロックとしても楽しめそう。オルタナシンフォとポストロックの中間に位置するような雰囲気であるが、
女性ヴォーカルの存在がよいアクセントになっているので、ゴシックロック風味の美しさもあって聴きやすいサウンドだ。
シンフォニック度・・7 プログレ度・・7 うす暗浮遊感度・・8 総合・・7.5
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Pure Reason Revolution 「Amor Vincit Omnia」
イギリスの新世代ロックバンド、ピュア・リーズン・レヴォリューションの2009作
前作はPINK FLOYD+Porcupine Treeというイメージの作品であったと思ったが、「愛の勝利」と題された本作は、
冒頭からデジタリィなアレンジを大胆に取り入れていて、テクノのようなピコピコシンセを確信犯的に使いながら、
まるでかつてのROXY MUSICもかくやというようなサウンドである。機械的なビートに乗る男女ヴォーカルの歌声と、
コーラスワークの重ねも絶妙という他はなく、この「古めかしいモダンさ」の再現はある意味で職人技だ。
もちろんロック的な躍動感や、ポストロック風味も健在で、UKロック的なマイルドさに加え
古くささをお洒落なまでに変換させる、このアレンジセンスにはもはや脱帽である。
メロディアス度・・8 レトロなデジタリィ度・・8 アレンジセンス・・9 総合・・8.5
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「Hammer & Anvil」
イギリスの新世代ロックバンド、ピュア・リーズン・レヴォリューションの2010年作
Porcupine Tree風味のプログレ色を覗かせた1作目、エレクトロなアレンジを大胆に取り入れた2作目、
そして本作では、これまであったエレクトロ色とインダストリアルな質感が増したサウンドになっている。
女性ヴォーカルの歌声を前に出し、プログレ要素がなくなった分だけ、ある意味で分かりやすい作風になった。
モダンなインダストリアルロックでありながら、音の中に知的な洒落っけがあるのは、やはり彼らならではだ。
メロディアス度・・8 モダンロック度・・9 アレンジセンス・・9 総合・・8
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The PURITAN 「Lithium Gates」
フィンランドのドゥームメタル、ピューリタンの2008年作
REVEREND BIZZARREのメンバーを含むバンドで、2006年のEP「THE PURITAN」、2008年EP「THE BLACK LAW」を収録。
重厚なギターリフと朗々としたヴォーカルをスローなテンポに乗せた、本格派のダーク・ドゥームサウンド。
ドローン的な轟音ギターがおどろおどろしい残響をかもしだし、どんよりとした怪しげな世界観を描いている。
この愛想の悪さこそが本格派ドゥームの証なのだが、メロディや楽曲のフックを求める方にはつらいかも。
ヴォーカルパートが少ないので、ダークな雰囲気や空気感に浸れるような方だけにオススメしたい。
REVEREND BIZZARREが好きな方ならもちろんOK。殺伐とした暗黒ドゥームが楽しめる。後半には女の喘ぎ声入りナンバーも。
ドラマティック度・・7 重厚度・・8 ダーク度・・8 総合・・7.5
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Purson「The Circle & The Blue Door」
イギリスの女性Voサイケロック、プルソンの2013年作
最近は、Blood CeremonyやCastleといった、女性声のサイケ・ハードロックが出てきているが、
Cathdralのリー・ドリアン主催のレーベルからのデビューしたこのバンドも、レトロかつサイケな世界観で
ジャケのように妖しさたっぷりのサウンドを聴かせる。つまびかれるアコースティックギターにメロトロンの響き、
そこにけだるげな女性ヴォーカルの歌声を乗せた、ヴィンテージなアナログ感覚に包まれた世界観である。
70年代のブリティッシュ・サイケの浮遊感と、Black Widowのような魔術的な妖しさ、メロトロンやオルガンを使った
プログレッシブな雰囲気も合わさった聴き心地で、全体的にハードさより叙情性が強いので、ゆったりと楽しめる。
ロザリー嬢の歌声も上手すぎず下手すぎず、適度にアンダーグラウンドな香りをかもしだしていて、じつによいですな。
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Purson 「In the Meantime」
イギリスのサイケ・ドゥームロック、プルソンの2014年
デビュー作「The Circle & The Blue Door」に続く4曲入りのEPで、牧歌的なマンドリンの音色で幕を開け、
うっすらとしたシンセ、フルートの音色に女性ヴォーカルを乗せ、ゆったりとした聴き心地の1曲目から、
ドゥームな感触が後退してサイケロック色が強まった印象。オルガンやメロトロンの音色などは、
プログレ寄りのヴィンテージサイケとしても楽しめる。アンダーグラウンドな妖しさは薄れたが
よりレイドバックした、60〜70年代ルーツのユルさと魔女系ロックとしての妖しさが絶妙に融合していて
ヴィンテージなサイケロックの傑作となる次作へと続く内容だ。個人的には大好きな路線です。
ヴィンテージ度・・8 サイケ度・・8 女性Vo度・・8 総合・・8
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PURSON 「Desire's Magic Theatre」
イギリスの魔女系サイケ・ドゥームロック、プルソンの2016年作
2作目となる本作は、ジャケの雰囲気からもサイケな感じが強まっているが、
適度に残したハードさに加え、レイドバックするようなヴィンテージなグルーブ感に包まれている。
どこかけだるげなロザリー嬢の歌声に、ブルージなギターにやわらかなオルガンが鳴り、
プログレ的でもあるエキセントリックな展開とユルめの浮遊感が自然に融合されている。
こうしたフリーキーなセンスを今の時代に発揮できるというのは素晴らしいことだし、
単なる70年代回顧主義にとどまらないディープな空気感を作り出すだけの力量を感じる。
ドゥームロック感触は減退したが、魔女系サイケとして深化をとげた素晴らしい傑作だ。
ドラマティック度・・8 古き良き度・・9 よりサイケに度・・9 総合・・8.5
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Q
QOPH「Pyrola」
スウェーデンのロックバンド、クォフの2004作
メンバーはG、B、Dr、Voのオーソドックスな4人組で、肝心の音の方は一筋縄ではいかない、
どちらかというとプログレというよりは、サイケやアシッドといった言葉が最初に浮かぶ。
古いのか新しいのか、一聴しただけでは判別しずらい音だ。ライブではインプロやジャムのノリで熱い演奏を繰り広げそうな、
そんな自然体のスタイルと楽しさとが伝わってくるようだ。曲によってはキャッチーでポップですらあるメロディも出てくるが、
多面性のある音の表情からはポストロック的な広がりも垣間見える。
メロディアス度・・7 プログレ度・・7 雑食度・・8 総合・・7.5
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Qoph 「Freaks」
スウェーデンのサイケ・ハードロック、クォフの2012年作
1998年にデビュー、本作は2004年以来、8年ぶりの3作目。ハードなギターを乗せたアナログ感あるアンサンブルで
LED ZEPPELINなどを思わせる、70年代ルーツのヴィンテージなロックサウンドを聴かせる。
ストーナーロック的なハードさとサイケな浮遊感が同居した感触で、シンセもさほど入らないので、
プログレ的な要素はさほどないがどことなく翳りを帯びた妖しい感じは、やはり北欧のバンドらしい。
個人的には、ラスト曲での牧歌的なユルさが、北欧サイケロックらしくてとてもよいと思うのだが。
ドラマティック度・・7 プログレ度・・6 ヴィンテージ度・・8 総合・・7.5
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Quayde Lahue 「Day of the Oppressor」
アメリカの女性声メタルバンド、クアイデ・ラヒューの2017年作
CHRISTIAN MISTRESSのギターとベースが在籍するバンドの自主制作カセットデモ音源のCD化。
オールドな味わいのギターリフにハスキーな女性ヴォーカルを乗せた古き良きスタイルで、
クリスチャン・ミストレスの雰囲気を、さらにローカルな70年代寄りにしたようなサウンド。
ややこもり気味の音質がいかにも自主制作的であるが、そのアナログ臭さも良い味わいで、
紅一点、JENNA嬢のわりとヘタウマ感のある歌声も、この路線によくマッチしている。
子供のお絵かきのようなジャケはヒドいが、内容は正統派の女性声ヴィンテージメタルです。
メロディック度・・7 正統派度・・8 古き良き度・・9 総合・・7.5
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QUAYDE LAHUE 「LOVE OUT OF DARKNESS」
アメリカのメタルバンド、クアイデ・ラヒューの2019年作
CHRISTIAN MISTRESSのメンバーを中心にしたバンドで、デモ音源に続く1stフルバムが完成。
いかにもオールドなギターに、ハスキーな女性ヴォーカルを乗せた、70〜80年代風のサウンドで、
いくぶんこもったアナログ的な音質も含めて、確信犯的な古めかしさを漂わせるスタイルだ。
随所にツインギターによる叙情的なメロディも覗かせて、ときに疾走するスピードメタル風味や
JENNA嬢の艶めいた歌声で、魔女系ロックの雰囲気も感じさせる。オールドスタイルを追求したような
ヴィンテージなギターフレーズや、なんとなく恥ずかしいジャケの80年代感覚まで、すべてが古臭い逸品。
ドラマティック度・・7 古き良き度・・9 女性Vo度・・7 総合・・8
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QUICKSAND DREAM 「BEHEADING TYRANTS」
イタリアのエピックメタル、クイックサンド・ドリームの2016年作
VoとG&Bの2人組ユニットで、アナログ感あるギターに、朗々としたヴォーカルを乗せ
BLACK SABBATHなどの70年代のドゥームロックの味わいに、WARLOADなどに通じる、
マイナー風味のエピックメタルが合わさったサウンドを聴かせる。ミドルテンポを主体にしつつ、
適度にキャッチーなノリもあり、オールドなギターリフにメロディックな叙情フレーズも覗かせながら、
ウェットな幻想性に包まれたエピック・ドゥームメタルが楽しめる。全6曲31分のミニアルバム。
ドラマティック度・・7 古き良き度・・8 エピック度・・8 総合・・7.5
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R
RAMROD 「Jet Black」
イタリアの女性声ヴィンテージロック、ラムロッドの2019年作
2016年にデビューし、2作目となる。オールドなギターにオルガンが鳴り響き、艶めいた女性ヴォーカルとともに、PURSONなどに通じるヴィンテージな女性声ロックを聴かせる。
ブルージーなギターにオルガン、フルートの音色も重なるあたりは、70年代英国ロック、プログレファンにも楽しめるだろう。
楽曲は3〜4分前後が主体で、わりとストレートな作風であるが、曲によってはエモーショナルなシャウトなど、Martina嬢の表現力ある歌声が光っていて、ラストの8分のナンバーでは、オリエンタルな旋律やサイケ寄りの浮遊感も含んだ味わいで楽しめる。
ドラマティック度・7 ヴィンテージ度・8 女性Vo度・8 総合・7.5
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THE RASMUS「DEAD LETTERS」
フィンランドのメロディックロックバンド、ザ・ラスマスの5th。2004作
フィンランド、という地から想像される、ゴシックメタル的要素をメロディに有した
いわば、メランコリック・ロックという呼び名が適当かもしれない。
メロディアスでありながら、どこか寒々しく、哀愁に溢れているというサウンドは
最近のトレンド…というか時代性であろうか。MUSEあたりにも通じるモダンな雰囲気もあるが、
こちらの方がもう少しメタル寄りで北欧的かもしれない。
ゴシック・ロック、メランコリック・ロック、フィンランドにはこうしたバンドがとても似合う。
日本盤には、ボーナス曲4曲に、PCで再生可能なビデオクリップが2曲収録されている。
メロディアス度・・8 メランコリック度・・9 ゴシックメタル度・・7 総合・・8
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The Rasmus「Hide from the Sun」
フィンランドのメランコリックロックバンド、ラスマスの2nd。2006作
1stアルバムのブレイクで、一躍メジャーバンドに躍り出た彼らだが
今作もいかにもフィンランドらしい哀愁のメロディを漂わせた好作だ。
3〜4分台のコンパクトな曲には難解さはなく、ロックとしてのノリを持たせながら
マイルドなヴォーカルがもの悲しいメロディラインを歌い上げてゆく。
キャッチーな聴きやすさと、メランコリックな情緒のバランスが見事だ。
メロディアス度・・8 哀愁度・・8 メランコリック度・・8 総合・・8
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The Rasmus「Black Roses」
フィンランドのメランコリックロックバンド、ザ・ラスマスの2008作
傑作となった5th「Dead Letters」から、日本での人気も高まってきているが、
本作は通算7作目のアルバムとなる。サウンドは前2作と同様に
メランコリックな哀愁の叙情とキャッチーな聴きやすさのバランスが見事。
ヘヴィすぎず軽すぎず、ハードロックリスナーから一般のUKロックなどの
リスナーにも対応しつつ、グルーブ感のある薄暗系ロックに仕上げている。
いくぶんモダンなアレンジにあざとさが見られるが、安心して楽しめる好作だ。
メロディアス度・・8 哀愁度・・8 新鮮度・・7 総合・・8
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The RASMUS
フィンランドのメランコリックロック、ラスマスの2012年作
1996年にデビューしてから、2004年の5作目で日本デビューし、これが8作めとなる。
フィンランドらしい哀愁を含んだ叙情性とキャッチーなメロディを融合させたサウンドは
本作でも健在だが、これまでよりメジャー感のあるポップ性がより前に出てきていて
ハードエッジな部分が薄れた分、よりエモーショナルな仕上がりとなっている。
ポップな北欧ロックというか、一般のリスナーにもさらに聴きやすくなった好作である。
メロディック度・・8 キャッチー度・・8 フィンラン度・・7 総合・・8
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Redemption Unnamed 「From Silent Shadows」
イギリスのヴィンテージロック、リデンプション・アンネームドの2008年作
アナログ感あるアンサンブルに妖しげな女性ヴォーカルを乗せた、ヴィンテージなハードロック。
ときにスクリームも加えたダークさも覗かせつつ、サウンド自体はさほどヘヴィではないので、
いまのメタルというよりは、70〜80年代のNWOBHMのアンダーグラウンドな雰囲気に通じるかもしれない。
サイケな浮遊感やドゥームなおどろおどろさはないが、ヴィクトリアンな優雅な倦怠に包まれた世界観で、
激しめの魔女系ロックとしても楽しめる。個人的には、ここにオルガンでも加われはもっといいのだが。
ドラマティック度・・7 ヴィンテージ度・・8 妖しげ度・・8 総合・・7.5
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RED FANG「Murder the Mountains」
アメリカのストーナーロック、レッド・ファングの2011年作
アナログ感覚たっぷりのヘヴィなストーナーサウンドを軸に70年代ハードロックの勢いや、
プログレ風味も覗かせる作風でノリのよいシンプルな音の中にも、緻密なアレンジ力を感じさせる。
ギターリフのセンスの良さも含めて、メタルファンにも楽しめるだろうし、
SPIRITUAL BEGGARSにも通じるハード系ストーナーロックの力作です。
メロディアス度・・7 アナログ度・・8 70's度・・8 総合・・7.5
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REVELATION 「Salvation's Answer」
アメリカのドゥームメタル、レヴェレイションの1990年作
ギター、ベース、ドラムというトリオ編成で、古き良き感触のギターリフとヘタウマなヴォーカルを乗せた
スローテンポのオールドなドゥームメタル。次作でのカテドラルを思わせる重厚さに比べると、
80年代NWOBHM的なアップテンポのリズムチェンジなど、マイナー感を漂わせる作風で、
わりと軽快なギターソロなども出て来て、むしろ正統派メタルが好きな方にも楽しめるかもしれない。
B級臭い味わいはいかにもマニア好みであるが、アナログ感に包まれたドゥーム愛を味わえる好作品。
ドラマティック度・・7 ドゥーム度・・8 重厚度・・7 総合・・7.5
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Revelation 「Never Comes Silence」
アメリカのドゥームメタル、レヴェレイションの1992年作
ギター、ベース、ドラムというトリオ編成で、ヘヴィなギターリフに朗々としたヴォーカルで聴かせる、
沈み込むようにスローなドゥームメタルサウンド。カテドラルの1stあたりに通じる暗鬱とした世界観で
絡みつくようなギターとゆったりとしていながらもグルーブのあるドラムがなかなか心地よい。
随所にテンポチェンジなども含みつつ、基本的にはリフの繰り返しによる正統派のドゥームなので、
長い曲に関してはややダレるところもあるのだが、そこも含めて生粋のドゥーム好きならば楽しめるだろう。
ドラマティック度・・7 ドゥーム度・・9 重厚度・・8 総合・・7.5
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REVELATION「...Yet So Far」
アメリカのドゥームメタル、レヴェレーションの1995年作
過去2作よりもぐっと音の説得力が増し、朗々としたヴォーカルとヘヴィなギターリフで聴かせる、
Solitude Aeturnusなどを思わせるエピック・ドゥームサウンドが広がってゆく。
スローすぎない楽曲は、適度に展開とともに正統派メタル的な雰囲気もあり、
随所にメロディアスなギターメロディも入るなど、一般のメタルリスナーにも楽しめるだろう。
湿りけを含んだダークでドラマティックな聴き心地が味わえる力作である。
ドラマティック度・・8 エピックドゥーム度・・8 重厚度・・8 総合・・8
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Revelation 「Release」
アメリカのドゥームメタル、レヴェレイションの2008年作
90年代に3作を残して沈黙したバンドの13年ぶりとなる復活作。
エピック・ドゥーム寄りであった1995年作に比べると、よりレイドパックしたような雰囲気で
ドゥーミィなギターリフに浮遊感のあるヴォーカルを乗せた、オールドスタイルのサウンドだ。
ストーナーロック的なザラついたアナログ感覚と、沈み込むようなダークな感触が合わさった楽曲は
これといった目新しさはないのだが、適度な叙情性もあり、聴き疲れせず安心して楽しめる。
ヘヴィすぎないユルさも含んだ古き良きドゥームメタルへの憧憬に包まれた好作品です。
ドラマティック度・・7 ドゥーム度・・8 重厚度・・8 総合・・7.5
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Revelation 「Revelation」
レヴェレイションの未発音源集。2009年作
本来ならデビュー作となるはずだった1988年に録音された音源のCD化作品。
2nd以降のスローなドゥームメタル路線に比べると、正統派メタル寄りの感触もあり、
唐突なリズムチェンジなども含めて、なかなか微笑ましく楽しめる。
音質が粗いこともあって、よりアンダーグラウンドな雰囲気に包まれていて、
スローなパートでの怪しげな聴き心地にもにんまりである。
ドラマティック度・・7 ドゥーム度・・8 重厚度・・7 総合・・7.5
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Revelation 「For the Sake of No One」
アメリカのドゥームメタル、レヴェレイションの2009年作
90年代に3作を残して沈黙したこのバンドであるが、2008年に復活、
本作は復活後の2作目となる。ギター、ドラム、ベースというシンプルなトリオ編成で
ゆったりとしたギターリフに、相変わらず煮えきらない良い感じのヴォーカルを乗せた
しごくまっとうなドゥームメタル。どんよりとした長尺感とアナログ感たっぷりの録音も含めて、
20年たってもなにも変わらないというのが素晴らしい。ドゥームファンのためのドゥームメタル作品だ。
ドラマティック度・・7 ドゥーム度・・9 重厚度・・8 総合・・7.5
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Revelation 「Inner Harbor」
アメリカのドゥームメタル、レヴェレーションの2013年作
1991年にデビュー、本作は7作目で、ブルージーな味わいのギターにヘタウマなヴォーカルを乗せた
BLACK SABBATHをルーツにした、70年代風味のヴィンテージなハードロック感を強めている。
ときおり叙情的なギターフレーズも覗かせて、シンセも加わってのウェットな妖しさも垣間見せつつ、
基本的にはオールドな雰囲気のストレートなドゥームロックで、これという盛り上がりはない。
いかにもアナログ感を感じさせる音質も含めて、マニア好みの作品。本作を最後にバンドは休止。
ドラマティック度・7 ドゥーム度・7 ヴィンテージ度・8 総合・7
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Reverend Bizarre 「In the Rectory of the Bizarre Reverend」
フィンランドのドゥームメタル、レヴァレンド・ヴィザールの2002/2004年作
2002年の1stに、「Return To The Rectory」と題されミニアルバムとして予定されていた未発音源を収録した、
ボーナスDisc付きの2CD再発盤。先に2nd、3rdを聴いていたのだが、沈み込むようなギターリフで聴かせる
サバスルーツの重厚な正統派ドゥームメタルサウンドは本作の時点ですでに確立されている。
カテドラルの1stにも通じる、絡みつくようなスローなリズムとカルトで怪しげな世界観は、
この手のドゥームメタルを愛する方にはたまらないだろう。10分超の大曲多数の力作です。
Disc2では、より古き良き英国ドゥームの香りが漂うサウンドで、10分以上の大曲を含む65分以上を収録。
ドラマティック度・・8 ドゥーム度・・8 重厚度・・8 総合・・8
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Reverend Bizarre 「Harbinger of Metal」
フィンランドのドゥームメタル、レヴァレンド・ヴィザールの2003年作
1st発表後のEPという名目であるが、74分収録という聴きごたえたっぷりの内容。
沈み込む込むようなギターリフを乗せた低速ドゥームはアルバム以上の怪しさで、10分、20分超の大曲も多数。
とくに盛り上がるでもない低血圧気味のヴォーカルに、延々と続くギターのリフレインなどは、これがドゥームだ
文句あるか!と言うかのようで、売れる気などまったくないオレたちは好きなことやってんだ…的な潔さである。
ラストはBURZUMのカヴァーで、完全にドゥームに仕上がっている。徹頭徹尾ドゥーム愛に覆われた力作。
ドラマティック度・・7 ドゥーム度・・9 重厚度・・8 総合・・8
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REVEREND BIZARRE 「II: Crush the Insects」
フィンランドのドゥームメタル、レヴァレンド・ヴィザールの2005年作
ギター、ベース、ドラムのトリオ編成で、アナログ感たっぷりのギターリフと
朗々としたヴォーカルを乗せて聴かせる、しごく正統派のドゥーム・ハードロック。
Black Sabbathから始まり、Pentagram、Cathedralへと受け継がれてきたサウンドを、
再び70〜80年代に回帰するかのような世界観には思わずにやにやしてしまう。
10分超の曲も多く、このバンドの本気度が濃密な音となって表現されている。力作。
ドラマティック度・・7 ドゥーム度・・8 サバス度・・8 総合・・8
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REVEREND BIZARRE 「III: So Long Suckers」
フィンランドのドゥームメタル、レヴァレンド・ヴィザールの2007年作
3作目となる本作は、さらに曲が長くなり20分以上はあたりまえ。当然のようにCD2枚組となっている。
サバス直系のドゥームメタルサウンドはそのままに、スローな部分は徹底してスローに、
より強固になったアンサンブルで、おどろおどろしくフューネラルな世界を重厚に描いてゆく。
とくにヴォーカルの入り込み方は前作以上で、雰囲気ものとしての隙のなさは見事。
これ以上はない彼らの目指す完成形のサウンドがこれだったのだろう。
初期カテドラルの怪しさが好きな方も必聴。本作をもってバンドは沈黙する。
ドラマティック度・・8 ドゥーム度・・9 むしろカテドラル度・・8 総合・・8
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REVEREND BIZARRE「Death Is Glory... Now」
フィンランドのドゥームメタル、レヴァレンド・ヴィザールの2008年作
2003〜2008年までのレア音源集を収録したCD2枚組の作品。
ドローン気味のスローなリフと怪しげなヴォーカルを乗せた真正のドゥームメタルから、
正統派のヴィンテージ・ハードロック風味にサイケな感じの曲まで、
通常アルバムよりもいくぶんバラエティに富んだサウンドが楽しめる。
もちろんサバスルーツのダークな作風にブレはない。バンドのファンならチェック。
ドラマティック度・・7 ドゥーム度・・8 サバス度・・8 総合・・8
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RIPPER 「THIRD WITNESS」
アメリカのドゥームメタル、リッパーの2015年作
70年代から活動するバンドで、1986年に「...AND THE DEAD SHALL RISE」1作を残して消えたバンドが地味に復活。
本作は復活後2作目らしいが詳細は不明。サバスルーツのドゥーミィなギターリフと中音域のヴォーカルを乗せた
どんよりとした正統派のドゥームメタルサウンドで、カルトな怪しさも含んだいかにも80年代的な聴き心地。
レーベルがイタリアのBlack Widowということもあってか、ホラーな味わいの世界観がダークなドゥームメタルとマッチしている。
全体的にこれだというインパクトはないのだが、古き良きスタイルのカルトなメタル、ドゥームメタルがお好きな方はいかが。
ラストはBLACK SABBATH"Sabbath Bloody Sabbath"のカヴァーで、DEATH SSのSteve Sylvesterがゲスト参加している。
ドラマティック度・・7 ドゥーム度・・8 古き良き度・・8 総合・・7.5
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RITUAL 「Widow」
イギリスのメタルバンド、リチュアルの1983/2008年作
NWOBHM時期に活動していたマイナーバンドのデビュー作で、ジャケも変更された再発盤。
トリオ編成による、しごく正統派のB級カルトメタルで、ヨレ気味のヴォーカルとともに
ANGEL WITCHあたりをさらにマイナー臭くしたというようなサウンドを聴かせる。
いかにも当時の英国らしい湿り気を感じさせる雰囲気と、適度にスカスカの演奏は、
オールドなメタルリスナーには案外心地よく楽しめたりするかもしれない。
バンドはこの後1993年に2作目を発表するも、再び沈黙する。よく再発したな。
ドラマティック度・・7 B級度・・8 マイナー度・・9 総合・・7
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RITUAL 「Valley of the Kings」
イギリスのメタルバンド、リチュアルの1993年作
デビューは80年代初頭という、いわゆるNWOBHMのマイナーバンドで、本作は2作目の2008年再発盤。
G&Vo、B、Drのシンプルなトリオ編成で、古き良き英国ハードロックを継承するようなサウンド。
適度にローカルな聴き心地とウェットな叙情性を含んだ聴き心地は、ANGEL WITCHにも通じるが
むしろそれよりもさらに70年代風味が強い、いわばブルージーな雰囲気も残している。
強烈なインパクトはないのだが、ブリティッシュロック好き、NWOBHMマニアならにんまりの1枚だろう。
メロディック度・・7 怪しげ度・・8 古き良き度・・9 総合・・7.5
RIVAL SONS「Pressure And Time」
アメリカのロックバンド、ライヴァル・サンズの2011年作
まるで60〜70年代初頭を思わせるおそろしくアナログ的なロックサウンドで、
荒々しいギターの音色にワイルドかつ生々しいヴォーカルがかぶさり、Led Zeppelinを思わせるような、
かつてハードロック黎明期の雰囲気が広がってゆく。随所にオルガンの音色も入ってきたりして、
こんな時代的な作品が今日出てくるというのも驚きだが、オールドなロックファンが
素直に楽しめるだけの質の高さがあり、単なるリバイバルブームを超えた本気度が感じられる。
メロディック度・・7 古き良き度・・10 ロック度・・9 総合・・8
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RIVAL SONS「head Down」
アメリカのロックバンド、ライヴァル・サンズの2012年作
前作のアナログ・ロックっぷりは凄かったが、本作も当然ながら同路線。
ギターの音色といい、ヴォーカルの歌い方といい、60年代の英国ブルーズロックを
まさにそのまま甦らせたというべきサウンドが楽しめる。こもり気味のドラムがかもしだす
どっしりとしたグルーブ感は、いまの若いリスナーになどはむしろ新鮮に聴こえるかもしれない。
ハードロック以前のおおらかな奔放さまでも、空気として音から感じ取れるのが凄い。
メロディック度・・7 古き良き度・・10 ロック度・・9 総合・・8
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The Riven
スウェーデンのヴィンテージロック、リーヴェンの2017作
アナログ感あるギターに伸びやかな女性ヴォーカルで聴かせる、70年代風のロックサウンド。
サイケやドゥーム感触はさほどなく、比較的ストレートなオールドロックという感触であるが、
ゆったりとしたナンバーではPURSONなどにも通じる魔女系ロック的な妖しい雰囲気もただよわせる。
オルガンなどが入らないのでサウンド自体はシンプルで、楽曲は3〜5分前後とわりとさらりと聴ける。
ブルージーなナンバーなど、全体的にも渋い味わいで、全40分というのもアナログっぽくて良いですな。
ドラマティック度・・7 ヴィンテージ度・・8 女性Vo度・・7 総合・・7.5
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Rosalie Cunningham
イギリスの女性シンガー、ロザリー・カニンガムの2019年作
元PURSONのシンガーのソロで、アナログ感たっぷりのギターにオルガンなどのシンセを重ね、魔女めいた女性ヴォーカルとともに、まるで70年代にトリップしたようなヴィンテージなサイケロックを聴かせる。
楽曲は4〜5分前後で、妖しい浮遊感に包まれつつも、ほどよくキャッチーな感触で、PURSONやBlood Ceremonyなど、この手の女性声ヴィンテージが好きな方には大変楽しめるだろう。
アコースティックギターとピアノをバックに、妖艶な歌声を乗せたナンバーなども味わいがあり、メロトロンが鳴り響き、プログレ的な展開とユルめのサイケ感が合わさった、ラストの13分の大曲も素晴らしい。
ドラマティック度・8 ヴィンテージ度・9 女性Vo度・8 総合・8
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ROSALIE CUNNINGHAM 「Two Piece Puzzle」
イギリスの女性シンガー、ロザリー・カニンガムの2022年作
元PURSONのシンガーで、2作目のソロ。アナログ感あるギターにオルガンが鳴り響くイントロ曲から、艶めいた女性ヴォーカルとともに、70年代のサイケ感を漂わせる、ヴィンテージなロックが広がる。
ゲストによるヴァイオリンも加わって優雅な叙情に包まれつつ、ときに妖しい語りを織り込んだり、マンドリンやブズーキを使った秘教的なパートなど、PURSON以上にディープな雰囲気を感じさせる。
優雅なピアノを加えたジャズ調のナンバーもあったり、ロザリーの表現力ある歌声が堪能できる好作品だ。
サイケ度・8 ヴィンテージ度・9 女性Vo度・8 総合・8
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ROYAL THUNDER 「CVI」
アメリカのストーナー・ハードロック、ロイヤル・サンダーの2012年作
ツインギターに女性Vo&Bという4人編成で、古き良きロックの感触にパワフルな女性ヴォーカルの歌声を乗せたスタイル。
アナログ感たっぷりのギターサウンドとともに、70年代ハードロックのザラついた聴き心地をかもしだし、
オールドスタイルでありながら、若手リスナーにもアピールするようなハードなヘヴィネスもある。
紅一点、MLny嬢の歌声は中音域から囁き声、スクリーム気味の激しさまでなかなか多彩な表情を見せる。
スローテンポの魔女的なドゥーム曲や、アップテンポの曲、8分、9分という大曲も含めて、じっくりと楽しめる力作である。
ドラマティック度・・7 古き良き度・・8 女性Vo度・・8 総合・・8
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ROYAL THUNDER 「Crooked Doors」
アメリカのストーナー・ハードロック、ロイヤル・サンダーの2015年作
女性Vo&B、G、Drという3人編成となった本作は、前作に比べてオールドロックとしての空気感がぐっと強まった。
Mlny嬢の歌声はパワフルでありつつぐっと魔女めいた妖しさをまとっていて、アナログ感たっぷりの演奏によくマッチしている。
ときにギターはメロディアスなフレーズを奏で、ゆったりとした3拍子のナンバーや、いくぶんノリのよいナンバーなど、
楽曲ごとのフックという点でも成長が窺える。70年代テイストを独自に昇華しつつ、雰囲気で聴かせられるバンドになってきた。
サイケ寄りの魔女系バンド、PursonやBlood Ceremonyというよりは、KadavarやLuciferなど骨太なスタイルが好きな方にオススメの好作。
ドラマティック度・・8 アナログ度・・8 女性Vo度・・8 総合・・8
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Royal Thunder 「Wick」
アメリカの女性声ドゥームロック、ロイヤル・サンダーの2017年作
2012年にデビュー、本作は3作目となる。前作までの骨太のハードロック感触はやや薄まり、
代わりに、ハスキーな女性ヴォーカルを乗せた、魔女系ロックとしての妖しさがぐっと増している。
楽曲はゆったりとしたナンバーを中心に、ツインギターはヘヴィ過ぎず、ヴィンテージなアナログ感触とともに、
B&Voのミルニー嬢の歌声を引き立てる。Blood Ceremonyあたりにも接近したような作風であるが、
マイナー臭さがない分、どっしりとしたオールドロックの普遍性と、ノリのあるハードロック要素も残している。
なにより表現力を増したミルニー嬢の歌声が、楽曲にパワフルな説得力をもたらしている。
ドラマティック度・・8 ヴィンテージ度・・8 魔女系ロック度・・8 総合・・8
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RUBY THE HATCHET 「Valley of the Snake」
アメリカのドゥームロック、ルビー・ザ・ハチェットの2015年作
女性Voにオルガン奏者を含む5人編成で、古き良き70年代ロック的なギターにオルガンが鳴り響き、
女性ヴォーカルが歌を乗せる、ストーナーロック的なザラついたアナログ感を漂わせたサウンド。
魔女めいた妖しさに適度に加え、ロックとしてのノリも適度にあり、演奏と楽曲のクオリティもしっかりしている。
Blood CeremonyやCastle、Pursonなどが好きな方にも楽しめる出来だろう。全6曲で40分というのもいっそ潔い。
ドラマティック度・・7 古き良き度・・8 女性Vo度・・8 総合・・8
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Ruby the Hatchet 「Planetary Space Child」
アメリカのドゥームロック、ルビー・ザ・ハチェットの2017年作
前作もじつにオールドな感触の、ストーナー寄りの女性声ドゥームを聴かせてくれたが、
本作では、ぐっと魔女めいた妖しさを増したサウンドで、シンセによるアレンジも含めて、
サイケな浮遊感も漂わせる。紅一点、ジュリアン嬢の歌声も艶やかに美しく、
鳴り響くオルガンとともに、Blood Ceremonyにも接近したような雰囲気もあり、
これぞ魔女系ロックという世界観である。古き良きサイケドゥームに説得力も備わった力作だ。
ドラマティック度・・8 古き良き度・・8 妖しさ度・・9 総合・・8
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RYMDSTYRELSEN 「LUNAR MOUNTAINS」
スウェーデンのサイケ・ドゥームロック、リムドスティレルセンの2020年作
2018年にデビューし、本作は2作目。アナログ感たっぷりのハードなギターにシンセを重ね、
HAWKWINDルーツのアッパーなスペース・サイケロックから、ヴォーカルも加わって怪しいダークさも含んだ
ミステリアスなドゥームロック調にもなる。延々と単調なリフレインが続いたり、トリップ感のあるナンバーなど、
ユルさとヘヴィネスの狭間で、わりと硬派なサイケドゥームを聴かせる。全体的にはやや単調なので、
もう少しフックのある展開や、シンセを活かしたスペイシーで壮大な大曲などが欲しい気もする。
ドラマティック度・・6 サイケ度・・7 ドゥーム度・・7 総合・・7
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S
Sabbath Assembly 「Restored to One」
アメリカのサイケ・ドゥームロック、サバス・アセンブリーの2010年作
1960〜79年代に活動していたカルト教団「The Process Church of the Final Judgment」の思想をテーマにかかげ、
妖しい女性ヴォーカルの歌声を乗せた、Blood CeremonyやPURSONを思わせる、ユルめの魔女系ドゥーム。
サイケ・ドゥームロックバンド、Jex Thothのヴォーカルでもある、ジェックス嬢のけだるげな歌声は、
いかにも妖しく倦怠的な空気感で、アナログ感たっぷりのアンサンブルによくマッチしている。
オルガンが鳴り響き、ときに叙情的なギターフレーズを乗せた、ドラマティックな雰囲気もよいですな。
カルトなヴィンテージロックとしても、女性声サイケロックとしても楽しめる。妖しい聴き心地に浸れます。
ドラマティック度・・8 ヴィンテージ度・・8 妖しさ度・・9 総合・・8
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Sabbath Assembly 「Ye Are Gods」
アメリカのサイケ・ドゥームロック、サバス・アセンブリーの2013年作
本作から、HAMMER OF MISFORTUNE、WOLVES IN THE THRONE ROOMにも参加したJamie Myers嬢が新たに加入。
妖しい女性ヴォーカルを響かせる、カルトな魔女系サウンドはそのままに、ヴィンテージなドゥーム色が薄れ、
男性声の語りによるシアトリカルな空気感に、チェンバロが鳴り響く、耽美なゴシック感触が強まった。
アコースティカルなゴシックフォーク風のパートから、ハードなギターが加わったメタル質感も覗かせたり、
オルガンが鳴り響くユルめのキャッチーなロック風味もあったりと、今作は案外振り幅が大きいので、
カルトな暗さや迫力はさほど感じないのだが、のんびりと浸れる魔女系ネオフォークとしては良いですね。
ドラマティック度・・7 耽美度・・8 妖しさ度・・8 総合・・8
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Sabbath Assembly 「Quaternity」
アメリカのゴシック・ドゥームロック、サバス・アセンブリィの2014年作
前作にも参加していた、GORGUTS、DYSRHYTHMIAのギタリスト、Kevin Hufnagel、が正式加入。
オルガンが鳴り響き、女性ヴォーカルの美しい歌声が妖しく包み込むインスト曲から惹きこまれるが、
続く2曲目は叙情的なギターの旋律にチェロやビオラの物悲しい響き、美しい女性声を乗せた
幻想的なネオフォーク風味の聴き心地にうっとり。サタンやルシファーなどをテーマにした、
カルトで秘術めいた世界観とゴシック的な耽美性が合わさった、神秘的なサウンドに浸れます。
ラストは黙示録の四人の御使いをテーマにした18分の大曲で、アコースティックな静謐感に
男性声の語りなどを含んだ厳かな空気感、女性ヴォーカルの妖しさが引き立つ異色のサウンドが楽しめます。
幻想度・・8 ミステリアス度・・9 女性Vo度・・8 総合・・8
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Sabbath Assembly
アメリカのサイケ・ドゥームロック、サバス・アセンブリーの2016年作
メタリックなギターと女性ヴォーカルを乗せた、怪しげなゴシック・ドゥームメタルサウンドは、
これまでよりもヘヴィで重厚な作風となった。サバスルーツのオールドスタイルのドゥームメタル感触に
ダークな禍々しさを含んだサタニックでカルトな雰囲気を加え、メタリックな音の説得力がぐっと高まっている。
前作から加入した、Kevin Hufnagel (GORGUTS、DYSRHYTHMIA)の巧みなギターリフが随所に光っていて、
ときにテクニカルですらある演奏も聴きどころ。今作はわりとハードロック寄りのノリのあるナンバーも多く、
むしろ一般のメタルリスナーにも聴きやすいかもしれない。正しく魔女系ドゥームの王道というべき好作品。
ドラマティック度・・8 ドゥーム度・・8 妖しさ度・・8 総合・・8
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SABBATH ASSEMBLY 「Rites Of Passage」
アメリカのサイケ・ドゥームロック、サバス・アセンブリーの2017年作
2010年にデビューして本作が5作目。前作からの流れのサバスルーツのオールドなドゥームメタルに
妖しい女性ヴォーカルを乗せた、いわゆる魔女系ロックのド真ん中というサウンドだ。
Kevin Hufnagel (GORGUTS)を含むツインギターのリフやフレーズもさすがのセンスで、
単なるヴィンテージなドゥームという以上に、巧みなメタル感を感じさせる場面もしばしば。
カルトなおどろおどろしさも控えめなので、この手の初心者にも聴きやすいかもしれないが、
反面、ディープなカルトロック愛好者にはちと物足りなさも。普通に好作品ではありますよ。
ドラマティック度・・7 ドゥーム度・・7 魔女系ロック度・・9 総合・・8
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Sacred Few 「Beyond the Iron Walls」
アメリカのメタルバンド、セイクレッド・フューの1985年作
当時としてはまだ珍しい、女性シンガーをフロントにしたバンドで、いかにも古き良き味のギターに
ハスキーな女性ヴォーカルを乗せた、しごく正統派のメタルサウンド。演奏力は並程度で、
楽曲も2〜3分前後といたってシンプル、ジャケのショボさも含めてB級感が漂っているが、
ほどよいマイナー臭さも含めて、80'sメタルマニアにはわりとたまらないかもしれない。
曲によっては、いまでいう魔女系ドゥームメタルの味わいもあって、個人的にもけっこう好きです。
2015年の再発盤ボーナストラックに、1982年のシングル曲、1983〜84年のデモ音源を収録。
メロディック度・・7 古き良き度・・8 女性Vo度・・8 総合・・7.5
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Saint Vitus 「Lillie : F-65」
アメリカのドゥームメタル、セイント・ヴァイタスの2012年作
1984年〜1995年までに7作を出したのちに解散、本作はなんと17年ぶりとなる復活作。
沈み込むようなギターリフと、ゆったりとしたヘヴィさで聴かせる、正統派のドゥームメタルサウンド。
復帰したWinoのしわがれたヴォーカルとともに、サバス直系の80年代的なアナログ感覚をかもしだす。
ギターのフレーズはストーナーロック的な乾いた感触もあるが、一方ではダークな叙情を匂わせる小曲もあって、
どっしりとした大人の余裕を感じさせる作風だ。全体で33分という短さは、いっそ潔いが、やや物足りなさも。
ドラマティック度・・7 ドゥーム度・・8 アナログ度・・8 総合・・7.5
Sanhedrin 「The Poisoner」
アメリカのヴィンテージメタル、サンヘドリンの2019年作
元AmberAsylumの女性Vo&Bを擁する3人編成で、オールドなギターリフにハスキーな女性ヴォーカルを乗せた、
アナログ感たっぷりのアンサンブルで、古き良きメタルサウンドを聴かせる。スラッジ的なザラついた感触や、
ときにドゥーミィな倦怠も漂わせつつ、基本は80年代ルーツの正統派の味わいで、わりとストレートなノリで楽しめる。
ベース&ヴォーカルのErica嬢の歌声は、抜群に上手いわけではないのだが、雰囲気のある表現力で、
ときにパワフルに、ときに魔女めいた艶っぽさも覗かせる。女性声ヴィンテージメタルの好作品だ。
ドラマティック度・・7 ヴィンテージ度・・8 女性Vo度・・7 総合・・7.5
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Saqqara Mastabas 「Libras」
アメリカのアヴァンロック、サッカラ・マスタバスの2016年作
The Fiery Furnacesのマシュー・フリードバーガーとSEBADOHのボブ・ダミコのユニットで、
古代エジプトをテーマにした、ファンタジックなエレクトロサウンドが詰まっている。
ややチープなシンセ音の重ねを生々しいドラムと融合し、ポップでありながらミステリアスな
アヴァンロックを聴かせる。どこかゲームミュージック風でありながら、先の読めないフリーキーな味わいと
エレクトロなシンセ感触は、プログレリスナーにも対応。ストレンジなセンスに包まれたオールインストの全30分。
ドラマティック度・・6 プログレ度・・7 アヴァンギャル度・・8 総合・・7.5
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Saturnalia Temple 「Aion of Drakon」
スウェーデンのドゥームメタル、サターナリア・テンプルの2011年作
元TherionのTommy Erikssonを中心にしたバンドで、妖しげな気配ただようイントロ曲からして
すでにカルトな世界観がぷんぷんである。たっぷりと歪んだギターとヘヴィなベースを乗せて
スローでノイジーなドゥームメタルを繰り広げる。そこに乗るヴォーカルもじつに怪しげで、
魔術めいたミスティックな雰囲気に拍車をかける。10分を超える大曲を中心に、
カステドラルの1stのような沈み込む暗鬱さとドラッギーな幻覚性を合わせたような、
アナログ感たっぷりの重厚なドゥームメタルサウンドが楽しめる力作です。
ドラマティック度・・7 ドゥーム度・・9 妖しげ度・・9 総合・・8
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Saturnalia Temple 「To the Other」
スウェーデンのドゥームメタル、サターナリア・テンプルの2015年作
元TherionのTommy Erikssonを中心にしたバンドで、前作もなかなか強力な内容だったが
2作目となる本作も、荒涼としたイントロから、ドゥーミーなギターリフを乗せ
こもり気味の音質とともに、じつに怪しいサイケなドゥームメタルを聴かせる。
70年代スタイルでユルめのフレーズを奏でるギターに、邪悪な念仏めいたヴォーカルが重なり
一種異様な秘教感を漂わせている。闇のエネルギーを隠したような暗黒性と寂寥感、
音楽的な完成度に背を向けた、愛想のないモノクロームの世界観。ディープなファン向けの異色作。
ドラマティック度・・7 カルトドゥーム度・・8 暗黒度・・8 総合・・7.5
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Self Hypnosis 「Contagion Of Despair」
イギリスのプログレッシブ・ドゥームメタル、セルフ・ヒプノシスの2020年
変拍子を含むテクニカルなリズムに、ほどよくヘヴィなギターとオルガンなどのシンセを重ね、
グロウルヴォーカルを乗せた、ダークでミステリアスなスラッジ・ドゥームメタルを聴かせる。
不穏な空気感とプログレッシブな構築力という点では、Inter Armaあたりに通じる雰囲気もあり、
10分を超える大曲をじっくりと構築する。うっすらとしたシンセに包まれた幻想的なスケール感や、
インダストリアルな雰囲気の小曲など、なかなか一筋縄ではいかない。アルバム後半は16分、18分という大曲もあり、
クラシカルなピアノや優雅なシンセパートなども含みつつ、ダークでスペイシー、重厚なサウンドが楽しめる。
ドラマティック度・・7 プログレッシブ度・・8 重厚度・・8 総合・・8
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SEPTEMBER MALEVOLENCE「
スウェーデンのポストロックバンド、セプテンバー・マレヴォレンスの2006年作
ツインギターにベース、ドラムの4人編成で、ゆったりとした美しさと空間的な広がり、
ときにトレモロのギターリフなどを含ませたサウンド、涼やかなポストロックが楽しめる。
インスト演奏を中心にして、ここまでもの悲しい情感を描けるというのは、北欧のバンドならではのセンスだろう。
繊細な聴き心地の中に、ゆるやかに盛り上がる壮大な感覚が楽しめる好作品。
ドラマティック度・・8 叙情度・・8 静けさと空間度・・9 総合・・8
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Siena Root「New Day Dawning」
スウェーデンのサイケロックバンド、シエナ・ルートの1st。2004年作
いかにも70年代的なアナログ感たっぷりのアンサンブル、ブルージーな感触と
ときにオルガンも鳴り響かせる、サイケ気味の浮遊感で聴かせるサウンド。
北欧というよりは、まるで70年代の英国サイケ・ハードロックのような耳心地で、
第一期のDeep Purpleなどを思わせるような部分もしばしばある。
メロディアス度・・7 プログレ度・・6 古き良き度・・9 総合・・7.5
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Siena Root 「Kaleidoscope」
スウェーデンのサイケロックバンド、シエナ・ルートの2006年作
2作目となる本作も、70年代臭たっぷりのブルージーなサイケロックサウンドで、
女性ヴォーカルが加わったことで、ぐっと魔女系ロックの要素が強まっている。
アナログ感たっぷりのギターはときに大人の哀愁を感じさせ、ときにオルガンも鳴り響き、
ハスキーな女性声とともに、PURSONあたりに通じる、ヴィンテージなサイケハードが楽しめる。
妖しくフルートが鳴り響くオリエンタルな雰囲気もあったりと、前作よりも楽曲の幅が広がった。
9分、11分という大曲をユルめに構築しつつ、3分台のキャッチーなナンバーもあったりとバランス感覚も見事。
ドラマティック度・・7 サイケ度・・8 ヴィンテージ度・・9 総合・・8
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SIENA ROOT「Far from the Sun」
スウェーデンのサイケロックバンド、シエナ・ルートの3rd。2008年作
本作も70年代英国を思わせるアナログ感たっぷりのブルージーなロックサウンドで、
サイケ的な浮遊感をまじえた牧歌性をまじえて聴かせる懐古主義的作風だ。
ときおりオルガンなども使用しているがプログレ色は薄く、基本は70'sハードロックの感触。
そこにフルートなどが加わると妖しげなヘヴィサイケ風味になり、なかなかいい感じだ。
メロディアス度・・7 プログレ度・・7 古き良き度・・9 総合・・7.5
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SIENA ROOT「Different Realities」
スウェーデンのサイケロックバンド、シエナ・ルートの4th。2009年作
今作は25分の組曲が2曲という構成で、前作に比べてずいぶんプログレ風味が強まった。
70年代風味のアナログ感覚はそのままに、静かな叙情性とスケール感が増して
楽曲にはメリハリのあるダイナミズムがついてきた。そしてヴォーカルが女性となったことで、
メロウなやわらかみが北欧的な薄暗さとともに耳に心地よく響いてくる。
BEARDFISHあたりと比べると、よりサイケ気味の妖しい雰囲気が魅力である。
アルバム後半になると、パーカッションのリズムにフルートやシタールなどが乗る、
アコースティカルなトラッド&中近東サイケ風味も聴かせる。
ドラマティック度・・8 プログレ度・・8 古き良き度・・9 総合・・8
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SIENA ROOT 「Root Jam」
スウェーデンのサイケロックバンド、シエナ・ルートのライブ作。2011年作
2004年から現在までにアルバム4作を発表、アナログ感たっぷりのサイケハードで、
このライブ作でも70年代的なブルーズロックを基盤にした古めかしいサウンドを聴かせる。
基本はギター、ベース、ドラムのトリオ編成であるが、ときにシタールも弾き鳴らし
随所にオルガンの音がかぶさると、けっこうプログレ的な感触にもなる。
CD2枚組で、合計90分程度。10分以上の大曲もけっこうあるが、まったり楽しめる。
個人的にはゲスト扱いの女性Voをメインに据えてくれたら嬉しいのだが。
メロディック度・・7 古き良き度・・9 ライブ演奏・・8 総合・・7.5
SIENA ROOT 「Pioneers」
スウェーデンのサイケロック、シエナ・ルートの2015年作
2004年にデビューしてから5作目。2014年作のジャケ変更の再発盤。オルガン奏者を含む5人編成になり、
ブルージーな感触のギターにやわらかなオルガンの音色が合わさり、これまで以上に音の厚みが増した印象。
70年代的なアナログ感と古き良きブリティッシュロックの雰囲気はますます強固になってきていて、
サイケやプログレ的な質感はやや薄まったが、むしろLED ZEPPELINやDEEP PURPLEばりのノリの良さで、
オールドロックファンはにんまりだろう。ラストの10分近い大曲はユルめのサイケ風味でよい感じです。
LED ZEPPELINの“Whole Lotta Love”のカヴァーをボーナス収録。さすがハマってます。
ドラマティック度・・7 プログレ度・・6 古き良き度・・9 総合・・8
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Siena Root 「A Dream of Lasting Peace」
スウェーデンのヴィンテージロック、シエナ・ルートの2017年作
2004年にデビューしてから6作目、ブルージーなオールドロック色を強めた前作から
本作もオルガンが鳴り響きブルージーなギターを乗せた、いかにも70年代的ブリティッシュロックの作風で
アナログな録音も含めて、とても現代の作品とは思えない。楽曲は3〜4分前後のシンプルな聴き心地で、
ジェントルなヴォーカルにオルガンやピアノがやわらかに重なり、わりとキャッチーなサウンドが楽しめる。
まるで、LED ZEPPELINがオルガンロック化したようなという感じもあり、思わずにんまり。
やりすぎなまでの古き良きヴィンテージ感に浸れます。70's英国ロックファンは必聴かと。
ドラマティック度・・7 サイケ度・7 ヴィンテージ度・・10 総合・・8
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SIENA ROOT 「The Secret of Our Time」
スウェーデンのヴィンテージロック、シエナ・ルートの2020年作
2004年にデビュー、本作は7作目。今作は2人の女性ヴォーカルを迎えての編成で、
オルガンを含むシンセにブルージーなギター、ハスキーな女性ヴォーカルの歌声で、
いかにも70年代的なサイケな味わいのユルめのヴィンテージロックを聴かせる。
アナログ感たっぷりの音質も含めて、生々しいグルーブ感がなかなか耳に心地よく、
PURSONなどが好きな方にも楽しめるだろう。オルガン・ブルーズロック好きも必聴。
ドラマティック度・・7 プログレ度・・7 ヴィンテージ度・・9 総合・・8
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SIGUR ROS「Agaetis Byrjun」
アイスランドの癒し系エモバンド、シガー・ロスの2nd。2001作
ふんわかしたゆったりめの曲に、優しく気だるげなヴォーカルの歌声。
日常から乖離した夢見がちで儚げなサウンドは、うっとりとしつつ冬の昼間に聴くのにぴったり。
プログレとも、ロックとも単なるVoものともジャンル分けはできないが、このたゆたうような浮遊感は、
しっとり系音楽好きのプログレ聴きには、静謐系たおやかシンフォとして紹介も可能。
まるで母の胎内のような優しい内的宇宙を感じながら、午睡のひとときにもいかがかと。
シンフォニック度・・8 うっとり度・・10 しっとり度・・9 総合・・7.5
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Sigur Ros「()」
アイスランド出身のエモバンド、シガー・ロスの3rd。2002作
儚げな夢見サウンドで新境地を作り上げた、癒し系エモというべきこのバンド。
本作もゆるやかなピアノの音色にうっすらとしたストリングス、コーラスなのかスキャットなのか、
眠った赤子を起こさぬような優しく声を乗せるヴォーカル…なにもかもが繊細で優しい音楽だ。
シンフォニック度・・7 ロック度・・7 繊細度・・10 総合・・8
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Sigur Ros 「valtari」
アイスランドのアンビエントロック、シガー・ロスの2012年作
4年ぶりとなる6作目で、うっすらとしたシンセに、やわらかな歌声を乗せたしっとりとした聴き心地。
まさに癒し系アンビエントロックというべきサウンドであるが、ノイズを取り入れた空間的なアレンジなど
プログレリスナーにも楽しめるようなセンスを随所に感じさせる。やわらかな繊細さに包まれた作風であるが、
しだいに盛り上がってゆくポストロックとしてのダイナミズムも残している。これはかなりの傑作でしょう。
プログレ度・・7 ロック度・・3 しっとり繊細度・・9 総合・・8
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Silent Hill
イタリアのドゥームメタル、サイレント・ヒルの2008年作
重厚なギターリフにうっすらとしたシンセアレンジ、クセのあるハイトーンヴォーカルを乗せて聴かせる、
正統派のエピック・ドゥームメタル。スローテンポでもわりと手数の多いドラムがどっしりとアンサンブルを支え、
湿り気を含んだギターフレーズとともに、ダークな幻想性を描くような世界観がなかなか耳心地よい。
カイ・ハンセンみたいなヴォーカルがややミスマッチにも感じるが、むしろ正統派のメタラーには聴きやすいかも。
CANDLEMASSをルーツにした、ヨーロピアンな翳りと叙情性に包まれたエピック・ドゥームの力作です。
ドラマティック度・・8 正統派度・・8 重厚度・・8 総合・・8
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SINISTER REALM 「World of Evil」
アメリカのエピックドゥームメタル、シニスター・レアルムの2013年作
ツインギターを乗せた適度な疾走感もある、しごく正統派メタル寄りのサウンドで、
ヴォーカルもなかなかパワフルに歌えるタイプ。いうなれば、ディオ期のサバスに近いスタイルで、
適度なローカルさも含めて80年代の香りがぷんぷん伝わってくる。ミドルテンポ主体の曲が多いので、
ドゥーミィな暗さは控えめであるが、その分、初心者にも聴きやすい内容になっている。
曲によってはエピックドゥームメタル風の雰囲気もあるので、個人的にはそちらを伸ばしてもらいたいが。
ドラマティック度・・7 エピックドゥーム度・・7 正統派度・・8 総合・・7.5
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Sisteria 「Dark Matter」
アメカのサイケ・ドゥームロック、システリアの2022年作
ほどよくヘヴィなギターにオルガンが鳴り響き、妖しい女性ヴォーカルの歌声とともに、PURSONやBLOOD CEREMONYなど、
アナログ感たっぷりのヴィンテージ・ロックを聴かせる。紅一点、Katie嬢の歌声は、魔女めいた雰囲気を描いていて
ゆったりとしたナンバーや、ユルめのサイケロックナンバーなども、どこかカルトな怪しさに包まれる。
70年代ルーツのブルージーなオールドロック感触と、サイケなドゥームロックがほどよく混ざっていて、
艶めいた女性ヴォーカルの魅力もなかなかのもの。ラストはスペイシーで即興的なサイケ風味で幕を閉じる。
ドラマティック度・7 ヴィンテージ度・8 魔女系ドゥーム度・8 総合・7.5
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SLEEP 「Sleep's Holy Mountain」
アメリカのストーナー/ドゥームメタル、スリープの1993年作
ASBESTOSDEATHを母体にして1991年にデビュー。2作目となる本作はストーナー系ドゥームの名作と名高い。
サバスルーツのギターリフにより枯れた味わいのアナログ感に包み込み、適度にドラッギーなサイケ感を付加した
ヘヴィなストーナーロックであり、スラッジ系ドゥームメタルとしても強固なサウンドを作り出している。
タメの効いたドラムにうねりのあるベースが、グルーヴィなアンサンブルとなって、ときにフリーキーに弾きまくるギターが
サウンドに奔放な広がりを付加している。トリップ感のあるジャケのイメージ通りに、古き良きロックのどろどろとした毒気を
ラフに炸裂させたという聴き心地で、アルバム後半の10分の大曲なども迫力たっぷりだ。
ドラマティック度・・7 ドゥーム度・・8 アナログ度・・9 総合・・8
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SLEEP「Dopesmoker」
アメリカのドゥームメタル、スリープの1998年作の完全版となる2012年作
全1曲52分の大作「Jerusalem」に、11分の未発パートを加えてリマスターがほどこされた再発版。
マリファナ騎士団が聖地エルサレムを目指すというコンセプトのもと、ノイジーなギターリフとともにとにかくスローに続いてゆく、
極端なまでのスラッジ/ドゥームサウンド。ドラムの手数が多いので、延々と繰り返されるギターリフにも、
さほど飽きることなく聴け、詠唱のようなヴォーカルとともにやがてトリップ感覚のような心地よさも覚えてくる。
個人的には最高作とされる前作を超える圧巻のアルバムだと思う。63分の大作に、ボーナスに11分のライブ音源も収録。
ドラマティック度・・7 ドゥーム度・・9 極端度・・10 総合・・8
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SLEGEST「VIDSYN」
ノルウェーのドゥームメタル、スレジェストの2016年作
元WINDIR〜VREIDのメンバーによるプロジェクトで、オールドな味わいのギターにダミ声ヴォーカルを乗せた、
ブラックメタル風味のストーナーロック。楽曲は3分前後といたってシンプルな聴き心地で、スロー過ぎない
ハードロックなノリと、ヘヴィさを保ちながらアナログ感に包まれた、ヴィンテージなサウンドが楽しめる。
ダミ声によるブラッケンなダークさと重厚なメタル感触もあるので、ストーナーロックが苦手な方にもイケるかと。
いわば、ブラックメタル化したサバスというべきか。媚びのなさも含めて硬派な感触。全33分という短さも潔い。
ドラマティック度・・7 古き良き度・・8 ブラッケンなドゥーム度・・8 総合・・7.5
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SLOUGH OF DESPAIR 「CATACOMBS OF TERROR」
メキシコのドゥームメタル、スロウ・オブ・デスペアーの2020年作
メタリックなギターにうっすらとしたシンセ、デスヴォイスを乗せたブラッケンなドゥームメタルを聴かせる。
どっしりとしたスローテンポを主体にミステリアスな妖しさに包まれつつ、オールドメタル寄りのギターは
ほどよい叙情性を含んだフレーズも奏でていて、わりとエピックドゥーム寄りの味わいでも楽しめる。
不穏なゲボ声ヴォーカルも含めて、カルトな暗黒性に包まれているが、ときに物悲しいシンセの音色や
叙情的なギターの旋律が、サウンドをウェットに彩っている。派手さはないが、邪悪系ドゥームの好作だ。
ドラマティック度・7 暗黒度・8 重厚度・8 総合・7.5
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SLOW 「UNSLEEP」
アメリカのドゥームメタル、スローの2014年作
ドラムを除く全パートをこなす、マルコム・ソロカ氏によるプロジェクトで、重すぎないギターをスローテンポに乗せて、咆哮するデスヴォイスとともに、アンダーグラウンドな怪しさに包まれたフューネラルなドゥームメタルを聴かせる。
わとチープなドラムの音質や、ヨレめのギターを乗せたアンビエント風のパートなど、10分前後の大曲をメインに、スローに淡々とした聴き心地で、ほとんどの人は退屈になってしまうかも。
サイケドゥーム寄りの雰囲気や、ややつたないトレモロのギターを乗せた、ポストブラック風味もあるが、総じて中途半端という。メンバー見つけよう。
ドラマティック度・6 フューネラル度・7 重厚度・7 総合・7
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Slow Six 「Tomorrow Becomes You」
アメリカのポストプログレ、スロー・シックスの2010年作
エレクトロな音響アレンジと、ディレイの効いたギターに、ヴァイオリンが鳴り響く、
クラシカルなテイストを盛り込んだ、繊細なオルタナ・ポストロックというような聴き心地。
インスト主体の演奏は、変拍子を取り入れたプログレ的な感触もあったり、
一方ではランドスケープ的な叙情をゆったりと聴かせる曲などもあって、なかなか面白い。
ヴァイオリン入りのポストプログレとしてもモダンなエレクトロ・ポストロックとしたも楽しめる好作。
プログレ度・・7 叙情度・・8 繊細度・・8 総合・・7.5
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Slow Six「Private Times in Public Places」
アメリカのポストプログレ、スロー・シックスの2007年作
23分も18分、30分という大曲3曲という構成で、うっすらとしたシンセとギターがたゆたうように音を乗せる、
いわば音響系のサウンド。ヴァイオリンやチェロなども加わるとぐっと優雅な聴き心地になるが、
ドラムなどは入らないのでロック色はほとんどなく、モダンアンビエントというような雰囲気だ。
プログレとして聴くにはややつらいが、ゆったりとまどろみながら鑑賞するような繊細な作品だ。
ドラマティック度・・7 プログレ度・・6 ロック度・・1 総合・・7
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Solitude Aeturnus「Into the Depths of Sorrow」
アメリカのエピック・ドゥームメタル、ソリテュード・イターナスの1991年作
CANDLEMASSからの影響を感じさせる、正統派メタル色の強いドゥームメタルで、
ツインギターのリフと朗々としたヴォーカルの歌声で聴かせるダークなサウンドながら、
随所にメロディックで様式美的なギターメロディなどもあり、一般のメタルファンにも楽しめる。
6〜7分と曲は比較的長めながら、スローパートだけでなく、適度な疾走感もあるので飽きさせない。
随所にもの悲しい叙情性を含ませたドラマティックなアルバムに仕上がっている。
ドラマティック度・・8 重厚度・・8 エピック度・・7 総合・・8
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Solitude Aeturnus「Beyond the Crimson Horizon」
アメリカのエピック・ドゥームメタル、ソリテュード・イターナスの1992年作
のちにCANDLEMASSに加入することになる、ロバート・ロウの朗々とした歌声と、
ツインギターによるリフとメロディックなフレーズも含めて、楽曲の洗練度が増している。
1st以上にドゥームな重厚さを増すとともに、サウンドにおける緊張感が強まっている。
知的な構築力という点では、初期のFATES WARNINGがドゥーム化したような感触もあったり、
あるいはCONFESSORなどにも通じる部分も感じられ、ディープなファン好みの濃密な雰囲気が味わえる。
ドラマティック度・・8 重厚度・・8 エピック度・・7 総合・・8
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Solitude Aeturnus 「Through the Darkest Hour」
アメリカのエピック・ドゥームメタル、ソリテュード・イターナスの3rd。1994年作
前作での重厚なスタイルをさらに一歩進めた作風で、サウンドはドゥームメタルとしての貫録にあふれている。
ツインギターのヘヴィなリフに、ロバート・ロウの力強い歌声は正統派メタルファンの耳にも楽しめるだろう。
次作以降はより硬派なドゥームへと深化してゆくのだが、本作は重さと叙情性のバランスがとれた傑作だろう。
ドラマティック度・・8 重厚度・・8 エピック度・・7 総合・・8
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Solitude Aeturnus 「Downfall」
アメリカのエピック・ドゥームメタル、ソリテュード・イターナスの4th。1996年作
ツインギターの重厚なリフと、存在感のあるロバート・ロウのヴォーカルを乗せた、
適度にノリのあるメタリックなドゥームスタイルは、初期の作品に比べてさらにダークでヘヴィになった。
メロディックなフレーズがあまりない分、愛想は悪くなったともいえるが、ドゥームメタルとしてのより硬派な深化ともいえる。
ドラマティック度・・7 重厚度・・8 エピック度・・7 総合・・8
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Solitude Aeturnus「Adagio」
アメリカのエピック・ドゥームメタル、ソリテュード・イターナスの5th。1998年作
ツインギターによる重厚なリフで聴かせる、正統派のダークメタルの感触に
怪しく、くぐもったような世界観を足したドゥーヘムサウンドは、これまで通りであるが、
初期に比べるとメロディックさはやや薄らぎ、ギターフレーズにはオリエンタルな風味も加わっている。
ジャケのようにモノトーンの色彩に包まれた、いくぶん硬質な寂寥感を含んだ聴き心地である。
ラスト曲はBlack Sabbath“Heaven and Hell”のカヴァーでなかなかハマっている。
ドラマティック度・・7 重厚度・・8 エピック度・・7 総合・・8
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Solitude Aeturnus 「In Times of Solitude」
アメリカのエピック・ドゥームメタル、ソリチュード・エターナスの未発音源集。2011年作
1991年にデビュー、2006年までに6作を発表し、ヴォーカルのロバート・ロウはCANDLAMASSに加入する。
本作はデビュー前、1987〜88年のデモ音源。1987年の音源はロバート・ロウ加入前なのでヴォーカルが違うのだが、
ツインギターのリフと適度な湿り気を含んだ重厚なドゥームメタルサウンドはすでに完成されている。
音質の悪いライブ音源や、スタジオリハーサルなど、だいぶディープなファン向けの内容であるが、
バンドの黎明期の姿を浮かび上がらせる貴重な音源と言える。まずは正規アルバムから聴くべし!
ドラマティック度・・7 重厚度・・8 音質・・7 総合・・7.5
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Solstice 「Lamentations」
イギリスのエピックドゥームメタル、ソルスティスの1994年作
先に2nd「New Dark Age」を聴いていたのだが、こちらのデビュー作も1999年の再発盤でゲット。
ツインギターの湿り気を含んだリフを中心に、英国らしい正統派寄りのエピックドゥームを聴かせる。
CANDLEMASSタイプのサウンドであるが、メロディアスな叙情という点ではこのバンドの方が強く、
スローなパートからミドルテンポへのノリなども含めて、正統派メタルファンにも楽しめるだろう。
ヴォーカルの弱さがいかにもローカルな感触なのだが、そこも含めてのマイナー臭さもGood♪
ドラマティック度・・8 正統派度・・8 エピックドゥーム度・・9 総合・・8
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Solstice 「Halcyon」
イギリスのエピックドゥームメタル、ソルスティスの1996年作
元々は5曲入りのミニアルバムなのだが、再発盤には未発曲が8曲も追加収録されている。
1作目同様、ツインギターによるメロディックな味わいの正統派エピック・ドゥームスタイルで、
テンポチェンジを含むドラマティックなサウンドにはいっそう磨きがかかっている。
楽曲は5〜7分前後とわりあい長めであるが、シンセによるアンビエントな小曲や
何故かMANOWARのカヴァーもあったりと、なかなか面白い。後半は1997年のデモ音源で、
スタジオリハなのか音質の悪いものもあるが、バンドの本質が垣間見える貴重な音源である。
ドラマティック度・・8 正統派度・・8 エピックドゥーム度・・9 総合・・7.5
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SOLSTICE 「New Dark Age」
イギリスのエピック・ドゥームメタル、ソルスティスの1998年作
ツインギターによるリフは正統派メタル的で、叙情的なフレーズを含ませながら
マイルドなヴォーカルとともに、ヨーロピアンな翳りに満ちたサウンドを聴かせる。
スローすぎないテンポの楽曲は、一般のメタルリスナーにも楽しめるだろうし、
土着的な叙情を感じさせるアコースティカルな曲なども、作品としての神秘的な雰囲気を強めている。
10分を超える大曲もドラマティックで、英国的な湿りけを含んだ聴き心地のエピックドゥームメタルである。
CANDLEMASSの英国盤というような好作品。2007年の再発盤には、2曲のボーナスを追加収録。
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Solstice 「Blood Fire Doom」
イギリスのエピックドゥームメタル、ソルスティスのデモ音源集。2016年作
1994年作「Lamentations」、1998年作「New Dark Age」の2作を残して消えたバンドだが、2013年に復活。
本作は、1991〜1998年までのデモ音源をCD3枚に収録、豪華ブックレットの付いたボックス仕様。
正統派のギターリフに朗々としたヴォーカルを乗せた、まさに王道のエピック・ドゥームで、
デモ音源ながら音質はおおむね良好、正規アルバムに至るプロトタイプのサウンドが楽しめる。
とくにヴォーカルは4人替わっているので、それぞれの歌声によっては若干の好みがあったり、
セッション音源などは音質がラウドなので、さすがにマニア向けだが、貴重な音源集ではある。
CANDLAMASSなどが気に入った方は、当然のようにこのバンドもチェックすべきだろう。
ドラマティック度・・7 エピックドゥーム度・・9 貴重度・・9 総合・・7.5
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Solstice 「White Horse Hill」
イギリスのドゥームメタル、ソルスティスの2018年作
1994年にデビュー、1998年までに2作を残して消えるも、2013年に復活のEPを発表、本作は通算3作目のアルバム。
ほどよく叙情を含んだツインギターに朗々としたヴォーカルを乗せ、英国らしいウェットな空気に包まれたエピック・ドゥームを聴かせる。
どっしりとしたスロー〜ミドルテンポを主体にしたアナログ感たっぷりのスタイルは、20年前の作品を継承したサウンドで、オールドなリスナーもニンマリ。
13分を超える大曲は、叙情的なツインギターとともに、CANDLEMASSにも通じる重厚でドラマティックなドゥームメタルが味わえる。
ドラマティック度・8 エピックドゥーム度・8 オールドスタイル度・8 総合・8
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Somali Yacht Club「The Sea」
ウクライナのドゥームメタル、ソマリ・ヤクト・クラブの2018年作
G&Vo、B、Drのトリオ編成で、2014年にデビューし、2作目となる。重ためのベースに叙情的なギターと
マイルドなヴォーカルを乗せ、ゆったりとしたドゥーム感にミステリアスな空気をまぶしたというサウンド。
10分前後の大曲も多く、翳りを帯びた叙情の中に、ときおりプログレッシブなリズムも覗かせるなど、
単なるヴィンテージなサイケ・ドゥームではない、独自のスケール感と構築センスを感じさせる。
トリオ編成なので音数はシンプル、わりと隙間のあるサウンドであるが、スラッジ風味の生々しさを
スローテンポのドゥームにメタルに織り込んで、モノトーンのような寂寥感に包まれた異色作だ。
ドラマティック度・7 サイケドゥーム度・8 ミステリアス度・8 総合・7.5
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Sorcerer
スウェーデンのドゥームメタル、ソーサラーの1995/2011年作
結成は80年代で、本作は1995年作のジャケを替えての2011年再発盤。
ツインギターの重厚なリフで聴かせるダークなドゥームメタルで、一聴して、CANDLEMASSからの影響を感じさせるが
装飾のないギターのノイジーさや、ラフな音質なども含めて、ほどよくマイナー臭さを匂わせている。
全体的にスローパートが中心ながら、適度な疾走感もあって正統派メタルのテイストも感じられるので、
わりと一般のメタルリスナーにも楽しめるだろう。RAINBOWの大曲“Stargazer”のドゥーム風カヴァーもなかなかハマっている。
ドラマティック度・・7 ドゥーム度・・8 重厚度・・8 総合・・7.5
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Sorcerer 「In the Shadow of the Inverted」
スウェーデンのドゥームメタル、ソーサラーの2015年作
結成は80年代と古く、90年代にいったん解散するもここに復活。TherionやDemonoidに参加していたKristian Niemannをギターに迎え、
古き良き感触のギターリフと、元LION'S SHAREのAnders Engbergの骨太のヴォーカルを乗せて、
どっしりとダークな世界観を描き出す、Candlemassタイプの正統派エピックドゥームメタルを聴かせる。
ヴォーカルの力量も含めてB級感はまったくなく、この手のドゥーム系にしては堂々たる音の迫力がある。
随所にメロディアスなフレーズを奏でるツインギターもよろしく、重厚かつドラマティックな傑作に仕上がっている。
ちなみにベースは元TIAMATのメンバーで、地味に豪華なメンバーが揃ったバンドですな。
ドラマティック度・・8 ドゥーム度・・8 正統派度・・8 総合・・8
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Sorcerer 「The Crowning Of The Fire King」
スウェーデンのドゥームメタル、ソーサラーの2017年作
90年代から活動するバンドで、2015年に復活してからの2作目。どっしりとしたツインギターに、
元LION'S SHAREのAnders Engbergの朗々とした歌声を乗せた、正統派エピック・ドゥームメタルは健在だ。
オールドな味わいのドゥームサウンドであるが、今作ではよりメロディックなギターフレーズを盛り込んで、
同郷の先輩である、CANDLEMASSにも通じるウェットな叙情性とドラマティックな空気感に包まれている。
うっすらとしたシンセアレンジとツインギターが重なり、力量あるヴォーカルがサウンドに重厚な説得力をもたらしていて、
より多くのメタルリスナーが楽しめる普遍性をまとっている。8分、9分という長めの楽曲も、緩急ある構築力で描き出す。
ドラマティック度・・8 エピックドゥーム度・・9 重厚度・・8 総合・・8.5
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Soul Manifest 「White Season」
フランスのヴィンテージ・ドゥームロック、ソウル・マニフェストの2010年作
アナログ感たっぷりのギターにオルガンが鳴り響き、中性的でハスキーなヴォーカルを乗せ、
いかにも70年代を思わせるヴィンテージな空気感のドゥームロックを聴かせる。
ヴォーカルの声質も含めて魔女系ロック的な妖しさもありつつ、ギターはけっこうヘヴィなので、
どっしりとした骨太のサウンドには迫力も十分。サイケロック寄りのユルめのナンバーや、
ノリのよいキャッチーなナンバーなどもあって肩肘張らずに楽しめる。10分近い大曲も、
しっかりとした演奏力と柔軟なグルーブ感で聴かせる、サイケ・ドゥームな強力作です。
ドラマティック度・・7 ドゥーム度・・8 ヴィンテージ度・・9 総合・・8
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SOULS OF TIDE 「JOIN THE CIRCUS」
ノルウェーのハードロック、ソウルズ・オブ・タイドの2016年作
ツインギターにのオールドなリフにハモンドオルガンが鳴り響き、エミーショナルなヴォーカルを乗せ、
70年代感覚に包まれたヴィンテージなハードロックを聴かせる。オルガン奏者はジョン・ロードをリスペクトしていて、
古典的なハモンドオルガンの音色とブルージーで優雅なギターが重なると、DEEP PURPLEやRAINBOWを思わせたりする。
パワフル過ぎず、さりとてどっしりと骨太の味わいでオールドロックのレトロさを、いい意味でメタル風に仕上げたという点では、
SPIRITUAL BEGGARSなどのファンにも受けるだろう。楽曲は3〜4分前後で、全34分というのもいかにもアナログ的だ。
ドラマティック度・・7 70'sHR度・・9 ヴィンテージ度・・8 総合・・8
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Southern Backtones
アメリカのゴシックロック、サウザン・バックトーンズの2006年作
ジャケにつられて購入してしまいましたが、イメージのような女性Voものではなく
男性声によるマイルドなゴシック風のロックでございました。メロウなギターフレーズとともに
やわらかな倦怠感を漂わせたサウンドは、普通のロックにも近いキャッチーな心地もあり、
やはりヨーロッパのバンドとは異なる、いわばメジャーなポップ性を感じさせる。
To/Die/ForやEntwineをぐっと軽くしたような雰囲気もあるが、ゴシックとしては物足りない。
メロディック度・・7 ゴシック度・・7 倦怠度・・8 総合・・7
Space Mirrors 「In Darkness They Whisper」
ロシア人の女性シンセ奏者を中心にした、サイケハード、スペース・ミラーズの2012年作
メタリックなギターとスペイシーなシンセを乗せた、ノリのよいスペイシーなサイケハードロック。
淡々としたヴォーカルの歌声はダウナーな感じだが、世界観は完全にHAWKWINDタイプで、
随所にヴァイオリンやフルートなども鳴り響いたり、プログレ的なシンセアレンジも顔を覗かせる。
楽曲自体は、正統派のサイケロックであるという以上の新鮮味は薄いのだが、
後半は8パートに分かれた20分の組曲で、なかなか壮大な(?)感じの力作となっている。
ドラマティック度・・7 サイケ度・・8 ホークウイン度・・8 総合・・7.5
Space Mirrors 「Other Gods」
多国籍のサイケメタル、スペース・ミラーズの2013年作
ロシア人の女性シンセ奏者を中心とした5人編成で、HAWKWINDを思わせるスペイシーなサイケメタル。
プログレ風味もあるシンセワークと、適度にハードなギターとドラム、淡々としたヴォーカルで、
怪しげな世界観を描くようなサウンドだ。ルカッセンのSTAR ONEなどにも通じる聴き心地だが、
こちらの方がもう少し辺境的というか、洗練されない妖しさが強いので、ある意味面白いかもしれない。
ギターにはサバス風味のオールドなHR色もあったりして、それがプログレな感じに混ざり合うという、
いわばユルめのタダれた感が楽しめる方にはオススメ。ホークウインド・サバス…でいいのかな。笑
8分、10分という大曲などはなかなかドラマティック。当のHAWKWINDからニック・ターナーがゲスト参加。
ドラマティック度・・7 サイケ度・・8 スペース度・・8 総合・・7.5
Space Needle 「Moray Eels Eat the Space Needle」
アメリカのアヴァン・ポストロック、スペース・ニードルの1997年作
ロジャー・ディーンによるジャケからして期待してしまうが、サウンドの方は、わりとラウドなギターを乗せた
フリーキーなガレージロック風味の大曲から始まりつつ、シガー・ロスのようなゆったりとしたアンビエントなナンバー、
キャッチーな歌ものから、アヴァンギャルドなサウンドスケープ風と、とらえどころのない作風で、
あまりシンセが入らないので、プログレというよりは、やはりポストロックというべきサウンドだ。
延々とリフレインされる11分のアンビエント曲など、全66分、とりとめがないまま終わるという、ある種の異色作。
ドラマティック度・・5 プログレ度・・6 アヴァンギャル度・・7 総合・・6
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The Spacious Mind「Gentle Path highway」
スウェーデンのサイケ・ポストロック、スパシャス・マインドの2007年作
17分、16分、、14分という大曲中心で、ゆったりとしたポストロック風味の
広がりのある世界観で聴かせるサウンド。ふわふわとした浮遊感とともに
フリーキーなギターで構築されるサイケなユルさと、どこか霞がかったような
神秘的な耳心地がある。眠くなるところも含めて、ユルやか系のポストサイケです。
ドラマティック度・・7 サイケ度・・8 ゆるやか度・・8 総合・・7.5
Spider Kitten 「Ark of Octofelis」
イギリスのサイケドゥームロック、スパイダー・キッテンの2015年作
怪しいジャケの雰囲気もよろしいが、叙情的なイントロに続くのはのっけから22分の大曲で、
プログレ的なシンセワークに、けだるげなヴォーカルを乗せてゆったりと、そして淡々と進行する、
スペイシーなサイケロックを聴かせる。この大曲ではヘヴィなギターは入らないので重厚な感触は薄く、
女性コーラスなどを加えた浮遊感とともに、サイケなポストロックという聴き方もできるのだが、
中盤には、オールドなギターリフを乗せた正統派ドゥームメタル感触もあったりと、一筋縄ではいかない。
今後は、AncestorsやCrippled Black Phoenixのような、スケール感を身に着けていってもらいたい。
ドラマティック度・・7 プログレ度・・7 サイケドゥーム度・・8 総合・・7.5
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SPIDERS「Flash Point」
スウェーデンのロックバンド、スパイダーズの2012年作
GraveyardのドラマーとWITCHCRAFTのギターを中心に結成されたバンドで、
ハスキーな女性ヴォーカルの歌声で聴かせる、ノリのよいオールドロック。
楽曲はほとんどが2〜3分前後というシンプルさで、キャッチーな耳心地とともに
爽快なロックン・ロールが楽しめる。疾走感のあるダーティなハードロック風味が、
女性Voの魅力のおかげで、ただ古くさいだけではない艶めいた耳心地になっている。
メロディック度・・8 古き良き度・・8 アナログロック度・・8 総合・・8
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Spiritual Beggars「Mantra III」
スウェーデンのストーナーロックバンド、スピリチュアル・ベガーズの3rd。1998作
ARCH ENEMYのマイケル・アモットによる70年代ドゥームロックへのオマージュ的なバンドとして
スタートしたこのバンド。本作は出世作にして初期の最高作というべきアルバム。
生々しいギターリフとハネるリズム、CATHEDRALのようなアナログ感覚は、
現在のアナログ回帰のブームの先取りでもあったといえる。サイケ気味の能天気さもGood。
メロディアス度・・7 アナログ度・・8 ストーナー度・・8 総合・・8
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Spiritual Beggars「Ad Astra」
スピリチュアル・ベガーズの4th。2000作
前作同様、生々しくも勢いのある躍動感で、グルーヴィーにストーナーロックを描き出す。
随所にシンセによる音の厚みが加わって、うねりを帯びたバンドサウンドが熱情的にまとわりつく。
古き良きハードロックとしての格好よさに、現代的なヘヴィネスをひとつまみ加えたような力作だ。
メロディアス度・・7 アナログ度・・8 ストーナー度・・8 総合・・8
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Spiritual Beggars 「On Fire」
スピリチュアル・ベガーズの5th。2002作
オリジナルメンバーのスパイスが脱退し、代わりにGRAND MAGUSのJBが加入、
サウンドのは、前作の重さをいくらかやわらげ、より70年代的なアナログ感覚で聴かせる。
オルガンやメロトロンなどのシンセワークも効果的に楽曲を彩っていて、耳心地の良さという点では
プログレ的にも楽しめたりする。渋みのあるJBの歌声もバンドサウンドにマッチしていて、
すでに溶け込んでいる。メロディアスさの点では前作を上回っており、個人的にも好きな作品。
メロディアス度・・8 アナログ度・・8 プログレ的度・・8 総合・・8
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Spiritual Beggars 「Demons」
スウェーデンのハードロックバンド、スピリチュアル・ベガーズの6th。2005作
オールドなギターリフとグルーブ感覚で聴かせる懐古主義的なサウンドは
前作の延長であるが、 ヘヴィな音像の合間にメロディアスなギターフレーズを織り込むなど
モダンなメタル的な手法を加えたことで、前作以上にハードな作品となっていて、
その点ではメタルリスナーには嬉しい作風であろう。一方では、ミステリアスな雰囲気もあり、
プログレ的な美しいシンセワークも含めて、随所に壮大さを感じさせる音の迫力が増している。
古き良きHR精神を追求しつつ、メタルの力強さとスケール感を同居させた力作である。
メロディアス度・・8 メタリック度・・8 壮大度・・8 総合・・8
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Spiritual Beggars「Return To Zero」
スウェーデンのハードロックバンド、スピリチュアル・ベガーズの7th。2010年作
JBに代わって新ヴォーカルにアポロが加入、ジャケはいかにもサイケデリックであるが、
サウンドの方は前作のヘヴィさを保ちつつ、初期のドゥーム/ストーナーに回帰したような
比較的シンプルなリフで聴かせる部分が増しおり、オルガンなどのシンセワークも含めて
古き良きハードロックでありつつ、部分的にはヘヴィなサイケロックとして楽しめたりもする。
楽曲のインパクトが弱い気もしなくもないが、逆を返せばじつに自然体で作られたアルバムで、
マイケル・アモットの長年培われたビジョンが、力を入れすぎずに適度なユルさで表現されている。
メロディアス度・・8 メタリックサイケ度・・8 壮大度・・8 総合・・8
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Spiritual Beggars 「Earth Blues」
スウェーデンのハードロックバンド、スピリチュアル・ベガーズの2013年作
1994年にデビュー、8作目となる本作は、オールドなギターリフにオルガンが鳴り響く、これまでにも増して
レイドバックしたようなアナログ的なハードロックを聴かせる。ときにサイケ気味にかき鳴らされるファズギター、
いかにも70年代ノリのアポロのヴォーカル、そしてペル・ヴィバリ(元OPETH)の奏でる歪んだオルガンも含めて、
現代に録音されたとは思えないヴィンテージな味わいに包まれている。叙情的なツインギターのフレーズなど、
単なるオールドなロックというだけでない魅力を随所に盛り込んでいるところも心憎い。ウェットでブルージーな心地よさ。
マイケル・アモットの巧みなギターセンスをサバスルーツの70'sハードロックに溶け込ませたという、強力なアルバムだ。
ドラマティック度・・8 70'sHR度・・9 ヴィンテージ度・・9 総合・・8
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Spiritual Beggars 「Sunrise To Sundown」
スピリチュアルベガーズの2016年作
前作と同じメンバーで作られた9作目。今作はのっけから、疾走感のある80年代風のメタルナンバーで、
RIOTあたりを思わせる日本人好みのメロディックな感触に包まれる。2曲目以降も、流麗なツインギターと
オルガンを含むシンセを重ねた、キャッチーなメロディを感じさせるサウンドで、前作のヴィンテージ路線に比べると、
いくぶん80年代に寄ったような作風になっている。一方では、70年代風味やプログレ的な部分も混在していて、
全体的に楽曲のバラエティが増したという印象であるが、逆に言えば全体がやや散漫な印象にもなっている。
もちろんそこらのバンドに比べれば演奏も歌唱もレベルは高く、さらりと聴けてしまうのだが、
個人的には前作でのドラムも含めての、やりすぎなまでのアナログ感に軍配が上がるか。
ドラマティック度・・7 70'sHR度・・8 ヴィンテージ度・・8 総合・・8
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Stygian Crown
アメリカのドゥームメタル、スティジャン・クラウンの2020年作
ツインギターのヘヴィなリフに朗々とした女性ヴォーカルを乗せ、ダークな妖しさに包まれた
初期のCANDLEMASSなどにも通じる、王道のエピック・ドゥームメタルを聴かせる。
どっしりとしていながら、スローテンポからミドルへのリズムチェンジなど、正統派メタル寄りの感触もあり、
女性をあまり感じさせない中世的な歌声もサウンドによくマッチしている。楽曲は6〜8分前後と比較的長めで、
濃密な味わいで重厚な世界観が楽しめる。オールドスタイルの正統派ドゥームメタルが好きな方はぜひ。
ドラマティック度・・8 エピックドゥーム度・・8 重厚度・・8 総合・・8
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SUNN O)))「White 1」
アメリカのドローン系バンド、サンの2003年作
ドゥームよりもさらに極端なドローン系と呼ばれるバンドの代表格。
延々と続くノイジーなギターの響きに怪しげな語りを乗せ、不穏な空気を描き出す。
異色のサウンドは、25分、15分、17分という全3曲で、正直、曲というよりは
残響を味わうという感覚だ。これを退屈ととるか、重厚なアートととるかはアナタ次第。
ドラマティック度・・3 ノイジー度・・9 楽曲・・1 総合・・7.5
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SUNN O)))「White 2」
アメリカのドローン系バンド、サンの2004年作
前作の続編となるアルバムで、ノイジーなギターが奏でる…というよりは鳴らす、
リフというよりは歪んだ残響音が延々と続くという、一聴では音楽とも言えないようなサウンドで、
曲を聴くというよりは、脳に直接音が響いてくるような不思議なトリップ感覚がある。
14分、23分、25分という大曲3曲の構成で、ダークな圧迫感と得体のしれない雰囲気は
むしろプログレッシブな空間性を感じさせる。呪術的なヴォーカルの詠唱も不気味な怪作。
ドラマティック度・・3 ノイジー度・・9 楽曲・・1 総合・・8
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SUNN O))) 「Black One」
アメリカのドローン系バンド、サンの2005年作
今作はジャケやタイトルからも窺えるように、ブラックメタルをコンセプトにした作品で、
いつものドローンな低音サウンドの中に、トレモロなギターの旋律が怪しく鳴り響き、
XASTHURのマレフィックが参加して不気味な歌声を乗せるなど、ドローン版ブラックという雰囲気に。
言われなきゃまったく分からない、IMMORTALのドローンなカヴァーも含めていつも以上にコアな内容で、
ノイジーなプリミティブ性が、暗黒に昇華したという強力な内容。ブラックもドゥームも両方好きな方であれば、
2倍楽しめる(ホントかよ?)かもしれない。わりと普通のドローン曲もありつつ、ラストはバソリー伯爵夫人をテーマにした大曲で締めくくる。
ドラマティック度・・7 ドローン度・・8 暗黒度・・9 総合・・8
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SUNSET IN THE 12TH HOUSE 「Mozaic」
ルーマニアのスラッジ系ポストメタル、サンセット・イン・ザ・トゥウェルブス・ハウスの2015年作
うっすらとしたシンセにツインギターによるヘヴィなリフが絡み、スラッジ的でもあるアナログ感と
ポストロック的なスケール感が合わさったというサウンド。ダークなドゥームメタルとしても楽しめる部分もありつつ、
クリーントーンのトレモロのリフを乗せた、ALCESTなどを思わせるポストプラック風味や、中近東的な旋律を乗せたナンバーなど、
プログレッシブな感性も光っている。10分を超える大曲など、知的な構築力とゆったりとした叙情性に包まれた聴き心地で、
ミステリアスな雰囲気でじっくりと描いてゆく作風ながら、反面、明快な盛り上がりや展開は薄いので、即効性を好む方には向かないか。
ドラマティック度・・7 重厚度・・8 ミステリアス度・・8 総合・・7.5
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The Suns of Thyme 「Cascades」
ドイツのサイケロック、サンズ・オブ・タイムの2016年作
2013年にデビューし2作目となる。スペイシーなシンセにいくぶんユルめの叙情ギター、
朗々としたヴォーカルを乗せて、ミステリアスな浮遊感に包まれたサイケロックを聴かせる。
アナログ感たっぷりのアンサンブルには、ストーナーロック的でもある生々しさもあり、
フックのあるメロディというのはあまりないが、曲によってはキャッチーなポップ性も覗かせる。
全体的には淡々とした感じで、これという盛り上がりはないので、即効性を求める方には向かない。
美しいシンセとともに、ゆるやかな雰囲気モノのサイケロックとして楽しむのがよいかと。
ドラマティック度・・7 サイケ度・・8 叙情度・・7 総合・・7.5
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SUPERLYNX 「NEW MOON」
ノルウェーのドゥームメタル、スーパーリンクスの2019年作
オールドなギターにどっしりとしたベース、けだるげな女性ヴォーカルを乗せた、神秘的なドゥームメタル。
女性B/Vo、G、Drのトリオ編成で、シンセなどは使わず、楽曲は4〜5分前後とシンプルな聴き心地ながら、
魔女系ドゥームというべき妖しい浮遊感に包まれていて、耽美な世界観にゆったりと浸れる。
これというインパクトはないものの、アナログ感あるアンサンブルの古き良きドゥームサウンドに、
アンニュイな女性ヴォーカルが合わさったスタイルは、この手の好きなリスナーにはたまらないだろう。
ドラマティック度・・7 妖しげ度・・8 女性Vo度・・7 総合・・7.5
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SUPERSTATIC 「KEY TO THE ABYSS」
ロシアのドゥームメタル、スーパースタティックの2018年作
重厚なギターリフにダミ声ヴォーカルを乗せた、スローテンポのドゥームメタルを基本に、
いくぶんブラックメタル的でもある、不穏でミステリアスな空気に包まれたサウンドを描く。
低音グロウルを含むヴォーカルはデスメタル的な迫力があるのだが、楽曲自体はこれという展開もなく、
ギターリフなどもわりと普通なので、新鮮味やインパクトはあまりない。ブラックメタル風のスラッジというか、
ダークで無機質なドゥームをしっかりと聴かせてくれるが、せめてジャケがもっと良ければ。
ドラマティック度・・7 ドゥーム度・・8 重厚度・・8 総合・・7.5
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Switchblade
スウェーデンのプログレ・ドゥームメタル、スウィッチブレイドの2016年作
8〜11分の大曲を主体に全4曲という構成で、アナログ感たっぷりのギターに、
オルガンやメロトロンが鳴り響く、いかにも70年代スタイルのヴィンテージなサウンド。
ダミ声とノーマル声を使い分けるヴォーカルに、リズムチェンジを含むプログレ的な感触もあって、
近年のOPETHがドゥーム化したようなところもある。重厚であるがヘヴィ過ぎず、軽すぎない聴き心地は
まさに往年のドゥームメタルを体現した作風だ。Atomic Roosterのカヴァーも妖しくて良い感じです。
ドラマティック度・・7 ドゥーム度・・8 ヴィンテージ度・・8 総合・・8
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THE SWORD「Gods of the Earth」
アメリカのメタルバンド、ソードの2nd。2008作
1stはBLACK SABBATHタイプのドゥームメタル寄りの音だったが、
今作は古き良きメタルテイストとともに、よりザクザクとしたギターリフで聴かせる
サウンドになっている。METALLICAのラーズもお気に入りというだけあって、
80年代メタルの質感を感じさせながらも、随所にツインギターの絡みを覗かせつつ、
リフの格好よさでぐいぐいと押してゆく。ヴォーカルの弱さや、音質のラウドさ、
それにインパクトのある曲がもう何曲か欲しい等の欠点はあるが、ここには
現在失われつつあるハードロック/メタルとしての生々しい音が詰まっている。
メロディアス度・・7 アナログ度・・8 古き良き度・・9 総合・・7.5
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The Sword「Warp Riders」
アメリカのメタルバンド、ソードの3rd。2010作
アナログ感のある古き良きメタルを体現したような前作に続き、本作ではBLACK SABBATH的なギターリフを前に出し、
レイドバックするようなアンサンブルで、ツインギターの絡みはときにメロディアスでありながら、
グルーヴィでミステリアスな雰囲気をかもしだし、ヴィンテージ色たっぷりのノリを聴かせてくれる。
まさに70年代と今をつなぐかのような好作品だ。
メロディアス度・・7 アナログ度・・8 古き良き度・・9 総合・・8
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The Sword 「Apocryphon」
アメリカのメタルバンド、ソードの2012年作
4作目となる本作も、前作同様にアナログ感ただよう古き良き感触のHRで、
ギターはもちろん、ヴォーカルやドラムの感じまで、Black Sabbathをはじめとする
70年代風味の雰囲気が強まっている。ツインギターの絡む有機的なギターリフは
単なるヴィンテージロックという以上に恰好よく、ときにドラマティックなメロディアスさも含んでいる。
潔いまでのオールドロックスタイルに、サイケやドゥームの要素を巧みに融合させたという傑作だ。
ドラマティック度・・8 古き良き度・・8 正統派HR度・・8 総合・・8
The Sword 「High Country」
アメリカのサイケ・ドゥームロック、ソードの2015年作
2006年にデビュー、初期のBlack Sabbathルーツのドゥームスタイルから、5作目となる本作は、
従来のヴィンテージロック感触に、よりストーナーとサイケな要素を強めたという聴き心地。
ヘヴィ過ぎないギターリフに、パワフル過ぎないヴォーカル、アナログ感ある音質も含めて、
肩の力の抜けたほどよいユルさが耳心地よい。一方では、モダンなビートによる小曲もあったりと、
一筋縄ではいかないセンスも覗かせる。曲は2〜4分前後とシンプルな分、濃密さの点では少し物足りなさも。
ドラマティック度・・7 ストーナー度・・7 ヴィンテージ度・・8 総合・・7.5
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The Sword 「Used Future」
アメリカのサイケ・ドゥームロック、ソードの2018年作
2006年にデビュー、6作目となる本作は、前作でのユルめのストーナー・サイケ路線から
ヴィンテージなハードロック感触が戻ってきていて、アナログ感あるギターリフに
パワフル過ぎないヴォーカルを乗せた、グルーヴィーなドゥームロックを展開する。
3〜4分前後の楽曲はシンプルながら、ブルージーなギターに随所にオルガンなどのシンセを乗せた
70年代感覚をキャッチーに聴かせるセンスは、さすが中堅クラスのバンドというところ。
ほどよいユルさも健在で、新鮮味はないものの、古き良きサイケドゥームとしての魅力十分の好作だ。
ドラマティック度・・7 サイケ度・・8 古き良き度・・8 総合・・8
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Syberia 「Resiliency」
スペインのポストロック、シベリアの2016年作
2012年にデビューし、本作が2作目となる。ギター、ベース、ドラムによるインストのアンサンブルで、
いくぶんダークでメランコリックな空気感とともに、広がりのある幻想的なポストロックを聴かせる。
トレモロを含んだギターによる物悲しい叙情は、ときにAlcestのようなポストブラック的な感触もあり、
ロックアンサンブルとして躍動感と、繊細な美意識が同居した聴き心地で、オールインストながら
適度にヘヴィなところもあるので、単なるBGMになることなく、じっくりとその世界観が味わえる。
ポストロック初心者のメタルファンでも楽しめる、幻想的な叙情性の好作品といえる。
ドラマティック度・・7 叙情度・・8 幻想度・・8 総合・・8
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SYBERIA 「SEEDS OF CHANGE」
スペインのポスト・ハードロック、シベリアの2019年作
2012年にデビューし、本作が3作目。トレモロを含む適度にハードなツインギターを乗せた
躍動的なアンサンブルに、メランコリックな叙情と知的な構築性が同居したサウンド。
オールインストなので、ややもすればBGMになりがちだが、ギターフレーズの心地よさが
涼やかな味わいになっていて、メロウな翳りを帯びた3拍子のナンバーなども魅力的だ。
ロックとしてのノリもしっかりとあり、センスあるギターのメロディがしっかりと映えている。
トレモロ好きのトレモラーな方もチェックすべし。ジャケのイメージは意味不明だが。
ドラマティック度・・7 メタル度・・6 叙情度・・8 総合・・8
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Syberia 「Statement On Death」
スペインのポスト・ハードロック、シベリアの2022年作
2012年にデビューし、4作目となる。うっすらとしたシンセとギターのアルペジオのイントロから、ハードなギターとトレモロのフレーズが重なりインストによる涼やかなポストメタル風のサウンドが広がってゆく。
やわらかなシンセアレンジにはプログレ的な感触もあり、クールで知的な空間性がインストのサウンドにミステリアスなスケール感を付加している。
7〜9分前後の大曲を主体に、耳心地の良いトレモロのギターやシンセで、厚みのあるアンサンブルを構築するあたり、バンドの懐の深さとセンスを感じる。
ラスト曲では、ブラストビート的なほどよい激しさも覗かせて、ポストブラックのファンなどにも楽しめるかもしれない。
ドラマティック度・7 クールな叙情度・8 知的なスケール感・8 総合・8
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T
TARANTULA HAWK
アメリカのアヴァンメタル、タランチュラホークの2002年作
うっすらとしたシンセにノイジーなギター重ねたイントロから不穏な空気を漂わせ、激しいドラムとともに、
オルガンを含むプログレ的なシンセとギターリフによる、激しくもアヴァンギャルドなサウンドを展開。
スペイシーなシンセにヘヴィなベースのうねりを乗せ、ミステリアスなインストパートを中心に、
KING CRIMSONを暴虐にしたというイメージもあり、とくにブラックメタル的なダークさも垣間見せる。
楽曲にはいっさいタイトルがつけられておらず、聴き手を虚無の彼方へ引きずり込むような空間性と、
プログレ、ブラックメタル、スラッジなどの要素を内包したそのスタイルも異色であるが、ラストの大曲は、
フリーキーなギターとシンセによるポストロック的なスケール感に包まれつつ、20分過ぎからは延々とノイズが続く。
ドラマティック度・・7 アヴァンギャル度・・8 ミステリアス度・・9 総合・・8
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Teeth of Lions Rule the Divine 「Rampton」
ドゥーム/ドローンユニット、ティース・オブ・ライオンズ・ルール・ザ・ディヴァインの2002年作
Cathedralのリー・ドリアン、ギターがKhanateやSunn O)))、Electric Wizardのメンバーと組んだユニットで、
ノイジーなギターが鳴り響くなかを、即興的なドラムが叩き続けるという異色のサウンドで、
そこにリー・ドリアンの吐き捨てるようなヴォイスが乗る。ギターはときおりリフらしきものを奏でて
若干曲らしくなるものの、基本的にはノイジーでフリーキーなドローンが延々と繰り広げられる。
30分弱の1曲目がやって終わると、アンビエントな7分の小曲でのんびりできるかと思いきや、
リー・ドリアンの絶望的なヴォーカルが聴き手を谷底へと引きずり込む。そして、ラストはまた18分のドローン・ドゥーム地獄。
間違いなく聴き手を選ぶ作品だが、ここまでやってくれると暗黒の世界に心地よく浸れます。
ドラマティック度・・7 ドローン度・・8 暗黒度・・9 総合・・7.5
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The Temple 「Forevermourn」
ギリシャのドゥームメタル、テンプルの2017年作
重厚なギターにジェントルなヴォーカルを乗せた、ダークでウェットな味わいの正統派エピック・ドゥームメタル。
CANDLEMASSをルーツにしたヨーロピアンな空気感と、ツインギターの叙情的なフレーズで
この手の泣きの幻想ドゥームが好きな方にはたまらないだろう。5〜8分前後の長めの曲を主体に、
これという新鮮味はないものの、ゆったりとしたギターのメロウな旋律が心地よく、重厚でありながらも
けっこうメロディアスな聴き心地で楽しめる。どこを切っても曲調が似たり寄ったりなので、
後半はさすがに飽きてくるものの、ラストは12分の大曲でさらにコテコテに攻めてくる。ある意味最高かよ。
ドラマティック度・・8 エピックドゥーム度・・9 重厚度・・9 総合・・7.5
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Temple of Gnosis 「De Secretis Naturae Alchymica」
セルビアのドゥームメタル、テンプル・オブ・グノーシスの2016年作
神秘的なバンド名やジャケの雰囲気から想像されるように、サウンドの方も大仰なシンセをバックに
魔術めいた語りを乗せて怪しげに幕を開ける。楽曲自体はゆったりとしたドゥームメタルを基本に、
ただならぬスケール感に包まれた、秘教じみたカルトな妖しさがぷんぷん。ヘヴィなギターにうっすらとしたシンセ、
エフェクトのかかった低音のヴォーカル…というか語りのような声を乗せて、どこか霧のかかったようなリヴァーブも
いかにも雰囲気モノという作りである。反面、音楽…楽曲として聴くには少し退屈なのだが、ともかくも、
この大仰な空気感は凄い。オカルトなサントラ風味が好きなら、とても楽しめるのではないかと思う。
ドラマティック度・・8 ドゥーム度・・7 怪しげ度・・9 総合・・7.5
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Thieves & Liars「When Dreams Become Reality」
アメリカのロックバンド、シーヴス&ライアーズの2008年作
ギター、ベース、ドラムのトリオ編成で70年代スタイルのロックを再構築するサウンドは、
LED ZEPPELIN、PINK FLOYD、AC/DCなどが引き合いに出されるようだが、
確かに単なる古き良きロックというだけではなく、8分、9分という大曲を構築するアレンジセンスもあり
数曲で聴けるブリティッシュロック風味のオルガンやヴァイオリンなどの音色もよい感じだ。
基本はノリのよいギターリフで聴かせるシンプルなロックであるが、知性的な側面も備わった好作品。
ドラマティック度・・7 アナログ度・・8 古き良きロック度・・9 総合・・8
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THIEVES & LIARS「American Rock 'N' Roll」
アメリカのロックバンド、シーヴス&ライアーズの2nd。2009年作
2008年にデビューし、LED ZEPPELINやAC/DCなどを思わせるサウンドで評判を呼んだが、
本作はタイトル通り、アメリカン・ロックンロールを全面に出したサウンドだ。
三人編成ということで、無駄を削ぎ落としたストレートで一体感のある生々しいグルーブ感と、
ブルージーなアナログ感覚が、AC/DCなどオールドなロックを愛するものにはたまらないだろう。
メロディアス度・・7 アナログ度・・9 古き良き度・・9 総合・・8
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Thomas Giles「Pulse」
Between the Buried and Meのトーマス・ジャイルズのソロ作。2011年作
BTBAMの方は展開の多い、カオティックなスタイルで聴かせるサウンドであるが、
本作はむしろ、薄暗い叙情を漂わせたモダンなエモ風の質感で、
適度なヘヴィさと、シンセを含めたプログレッシブなアレンジも含めて、
耳心地よく楽しめる。やわらかなヴォーカルで聴かせる素朴な楽曲などもあり
BTBAMとはまた違った彼の魅力を発見できる好作品だ。
メロディアス度・・7 プログレ度・・7 モダンロック度・・8 総合・・7.5
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3「Wake Pig」
アメリカのプログレッシブ・エモーショナルロック、スリーの2004年作
COHEED AND CAMBRIAを思わせるエモーショナルなヴォーカルと、
知的な構築センスが合わさったサウンド、モダンなプログレとしても充分楽しめる。
楽曲自体は3〜4分台と比較的シンプルで難解さも感じない。アコースティカルな小曲には、
どこかオリエンタルな雰囲気もあったりして、作品全体としての謎めいた世界観を魅力的にしている。
3拍子リズムのキャッチーな軽やかさなども、やはりコヒカンに通じる聴き心地の好作品だ。
メロディック度・・8 プログレ度・・7 構築センス・・8 総合・・8
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3 THREE「The End Is Begun」
アメリカのプログレッシブ・エモーショナルロック、スリーの2007年作
キャッチーな感触はそのままに、今作ではよりコンセプト的なドラマ性を感じさせる
ProgMetal的なスケール感が加わっている。3〜4分台の曲を中心にしつつ、
リズムの遊びやギターのリフとフレーズのアイデアで、ときに軽やかにメロディック、
そしてときにエキセントリックな面白さを含ませて、プログレ的な知的さを盛り込んでいる。
エモーショナルなやわらかさも残しつつ、モダンな構築センスを強くした力作である。
メロディック度・・8 プログレ度・・8 構築センス・・8 総合・・8
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3 「REVISIONS」
アメリカのプログレ・エモーショナルロック、スリーの2009年作
COHEED AND CAMBRIAの兄弟バンドというべきサウンドで、本作もマイルドなヴォーカルを乗せ
キャッチーでモダンなエモーショナルロックを聴かせる。前作に比べるとプログレ感はやや抑え目で、
爽快なメロディックロックというようなナンバーが増えている感じだが、表現力あるヴォーカルをメインにした
繊細な叙情を感じさせるナンバーなどは、プログレ寄りのリスナーにも十分楽しめるだろう。
ノリのよいアンサンブルに、QUEENのような優雅な感触が合わさった、なかなかの好作品。
メロディック度・・8 プログレ度・・7 爽快度・・8 総合・・8
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3「Ghost You Gave to Me」
アメリカのプログレッシブ・エモーショナルロック、スリーの2011年作
COHEED AND CAMBRIAを思わせるエモーショナルなキャッチーさが光るサウンド。
メロディックなギターのフレーズと、センスのよいシンセアレンジとともに、
知的に構築されるサウンドは軽すぎずヘヴィすぎず、とても耳心地がよい。
もの悲しい叙情で聴かせるドラマティックな楽曲もあり、ProgMetal好きにも楽しめる傑作だ。
ヴォーカルは、実際にCOHEED AND CAMBRIAメンバーの兄ということで納得。
メロディック度・・8 プログレ度・・7 知的アレンジ度・・8 総合・・8
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Three Seasons 「Life's Road」
スウェーデンのロックバンド、スリー・シーズンズの2011年作
元SIENA ROOTのG&Voが新たに結成したバンドで、ブルージーな味わいとともに
70年代英国ハードロックへ完全に回帰したようなヴィンテージロックサウンド。
オルガンやメロトロンも鳴り響かせつつ、10分を超える大曲もいくつかあるが、
プログレ色はむしろ薄めで、SIENA ROOTをさらにストレートにしたような聴き心地。
しかし、この本気のアナログ感と、レトロなブルーズ・ハードロックっぷりはお見事。
ドラマティック度・・7 プログレ度・・7 70年代回帰度・・9 総合・・7.5
THREE SEASONS「Understand The World」
スウェーデンのヴィンテージロックバンド、スリー・シーズンズの2012年作
元SIENA ROOTのG&Voによるバンドで、前作も70年代スタイルのブルージーな力作であったが、
本作では女性鍵盤奏者が加わり、鳴り響くオルガンの音色とともにプログレ感触が増している。
サイケな浮遊感に包まれてアナログ感あふれるアンサンブルに、こもり気味のヴォーカルを乗せた
音のいかがわしさは前作以上で、SIENA ROOTが好きだった方なら大満足だろう。
メロディック度・・7 プログレ度・・7 レトロロック度・・9 総合・・8
THREE SEASONS 「GROW」
スウェーデンのヴィンテージロックバンド、スリー・シーズンズの2014年作
元SIENA ROOTのG&Voを中心にしたバンドで、本作が3作目となる。
ブルージーなギターにオルガンが鳴り響く、アナログ感たっぷりのヴィンテージロック。
いくぶんこもり気味の音質や、ハモンドオルガン特有のやわらかな聴き心地で、
70年代の作品と言っても疑われないだろう。ほどよいユルさとキャッチーな感触で、
プログレ色はさほどないものの、オルガンをたっぷり使った牧歌的な味わいで楽しめ、
ラストの10分近い大曲では、サイケ的な浮遊感とやわらかな叙情性に包まれる。
ドラマティック度・・7 プログレ度・・6 ヴィンテージ度・・9 総合・・8
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THREE SEASONS 「THINGS CHANGE」
スウェーデンのヴィンテージロックバンド、スリー・シーズンズの2017年作
元SIENA ROOTのG&Voを中心にしたバンドで、本作が4作目となる。アナログ感たっぷりのギターに
ジェントルなヴォーカルを乗せた、70年代スタイルのヴィンテージなロックサウンドは変わらず。
今作ではオルガンが使われていないので、プログレ感触は薄まり、LED ZEPPELINなどに通じる、
ブルージーなハードロック質感が前に出ている。トリオ編成のシンプルなアンサンブルながら、
よりレイドバックしたグルーヴィな演奏は、じつに自然体でとても現代のバンドとは思えない。
ハートになり過ぎないユルさもあるので、70's英国ロック好きならばニンマリすること請け合いだ。
ドラマティック度・・7 プログレ度・・2 古き良き度・・9 総合・・8
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Thunderstorm 「As We Die Alone」
イタリアのドゥームメタル、サンダーストームの2007年作
ノイジーなギターリフとともに、アナログ感たっぷりのサウンドを聴かせる、
70年代のBlack Sabbathを思わせるじつに正統派のドゥームメタル。
Cathedralなどにも通じる妖しさと、ストーナー的なザラついた感触を含みつつ、
マイルドなヴォーカルの歌声もあって、全体的にはとても耳心地がよい。
随所にドラマティックな叙情性も感じさせる、ヨーロピアン・ドゥームの好作品。
ドラマティック度・・7 アナログ度・・8 正統派ドゥーム度・・9 総合・・8
ThunderStorm 「Nero Enigma」
イタリアのドゥームメタル、サンダー・ストームの2010年作
どっしりとヘヴィなギターリフに、オジーを思わせるヴォーカルを乗せた王道のドゥームメタルで、
いかにもBlacK Sabbathルーツのオールドスタイルのサウンドを聴かせる。
単なる古臭いドゥームというだけでなく、メタリックな重さとほどよい疾走感も覗かせ、
イタリアのバンドらしい程よくカルトな妖しさも感じさせる濃密な雰囲気がよろしいです。
これという新鮮味はないものの、ドゥームメタル好きなら安心して楽しめる一枚だ。
ドラマティック度・・7 サバス度・・8 重厚・・8 総合・・8
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Thy Listless Heart 「Pilgrims On The Path Of No Return」
イギリスのミュージシャン、サイモン・ビビイによるプロジェクト、ザイ・リストレス・ハートの2022年作
Seventh Angel、My Silent Wakeで活躍するギター&キーボーディストで、ゆったりとしたリズムに、ほどよくヘヴィなギターとシンセを重ね、朗々としたヴォーカルとともに、エピックドゥーム寄りの幻想的なサウンドを聴かせる。
叙情的なギターフレーズに荘厳なコーラス、ときにデスヴォイスも加えて、CANDLEMASSなどにも通じる重厚さとクリスチャンメタル的な世界観を描きだしてゆく。
全体的に派手な展開はないのだが、ラストは14分という大曲で翳りを帯びたメランコリックな空気に包まれながら、じっくりとドゥーミィなサウンドを構築する。
ドラマティック度・7 重厚度・8 幻想度・8 総合・7.5
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Tombstoned
フィンランドのサイケ・ドゥーム、トゥームストーンドの2013年作
G&Vo、B、Drのトリオ編成で、アナログ感たっぷりのアンサンブルで聴かせるドゥームロック。
古き良きシンプルな味わいのギターリフにヨレ気味のヴォーカルを乗せたサイケな感触で
こもり気味の音質も含めて、いかにも70年代懐古主義的なひなびた味わいである。
やる気をいっさい感じないユルさが心地よいというか、この迫力のかけらもないダメっぷりに
勇気をもらうこと請け合いである。ヨレ系のサイケドゥームの模範のような脱力具合が見事。
ムダに重かったりするバンドよりはずっとよい。正直言うと、わりと好きです。
ドラマティック度・・6 トイケ・ドゥーム度・・8 ユル度・・9 総合・・7
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Toundra 「Vortex」
スペインのポストロック、トウンドラの2018年作
2008年にデビューし、本作ですでに5作目となる。トレモロを含む叙情的なギターフレーズに
うっすらとしたシンセを重ね、スタイリッシュなアンサンブルとともに空間的なスケール感を描き出す。
ときにハードなギターによる、ProgMetal的な構築性や、エモーショナルロックの味わいも同居して
モダンで優雅な聴き心地は、結果としてAlcestなどにも通じる繊細な美意識を感じさせる。
変拍子によるプログレ的なリズムも覗かせつつ、物悲しい叙情美に包まれた耳心地の良さで、
オールインストながらも軽妙な演奏力にゆったりと聴き入れる。個人的にはさらなるプログレ化を期待。
ドラマティック度・・8 叙情度・・9 繊細度・・9 総合・・8
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Towards Atlantis Lights 「Dust of Aeons」
イタリア&イギリスのドゥームメタル、トワーズ・アトランティス・ライツの2018年作
PANTHEIST、VOID OF SILENCE、APHONIC THRENODYといったバンドのメンバーからなるバンドで、
叙情的なギターフレーズに詠唱のようなヴォーカル、うっすらとしたシンセアレンジで、
ミステリアスなドゥームメタルを聴かせる。のっけから30分という大曲で、デスヴォイスも交えつつ、
スローテンポで淡々とした作風は気の短い方には向かないが、古代ギリシャをテーマにした、
幻想的で荘厳な空気感に包まれたサウンドにじっくりと浸れる。30分、16分という大曲をメインにした
全4曲という構成で、盛り上がりやフックのある展開はさほどないので、雰囲気モノとしたのんびり楽しみたい。
ドラマティック度・・7 ドゥーム度・・8 ミステリアス度・・8 総合・・7.5
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...And You Will Know Us by the Trail of Dead「Source Tags & Codes」
アメリカのロックバンド、トレイル・オブ・デッドの3rd。2002年作
伝統的なロックとモダンなラウド風味、そしてエモ的な叙情を重ねた
新時代のロックバンドというべきサウンド。本作がメジャーデビュー作となる。
広がりのある音作りにはポストロック的な壮大さも感じさせ、
知的な構築性はプログレ系のリスナーなどにも楽しめるだろう。
メロディアス度・・8 壮大度・・8 構築度・・9 総合・・8
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...And You Will Know Us by the Trail of Dead「Worlds Apart」
アメリカのロックバンド、トレイル・オブ・デッドの4th。2005作
一聴して前作以上に楽曲にメリハリがつき、ダイナミックさが増している。
エモーショナルロック的な聴き心地の良さと、不思議なスケール感をともなった世界観は、
ストリングスやコーラスなどの緻密なアレンジも含めて隙がなく、
ハイセンスなモダンロック/プログレとして楽しめるだけの完成度がある。
メロディアス度・・8 壮大度・・9 構築度・・9 総合・・8
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...And You Will Know Us by the Trail of Dead 「So Divided」
アメリカのロックバンド、トレイル・オブ・デッドの5th。2006年作
ロックとしての躍動感にポストロック的な壮大さを兼ね揃えたこのバンド、
本作もコンセプト的なドラマ性とともに、キャッチーなヴォーカルを乗せて聴かせる
明快なサウンドながら、広がりのあるスケール感を描き出す抜群のセンスが光る。
緩急のついた楽曲は、ときにラウドなノリで、そしてときに静寂の叙情を含んで美しく、
随所にシンセによる味付けも絶妙で心憎い。知的な構築力によるドラマ的ロック作品である。
ドラマティック度・・8 プログレ度・・7 壮大度・・8 総合・・8
...And You Will Know Us by the Trail of
Dead「Century of Self」
アメリカのロックバンド、トレイル・オブ・デッドの6th。2009年作
ラウドロック、ポストロック、プログレなど、多様な要素とともに構築される、ダイナミックなロックを描き出すこのバンド。
本作は6作目で、物語的なジャケ、イラストに想像力をかきたてられるが、サウンドの方もまた
壮大なスケール感とプログレッシブな展開力、知的なアレンジに彩られた傑作である。
ストーナー的なアナログ感覚をかもしだしつつ、ビジョンを描きだすポストロック的な構築力が見事。
演奏における躍動感とダイナミズム、時の移りゆくようなゆるやかな叙情性を同居させながら、
聴き手のイメージ力を惹きつける強固な世界観で、音楽という物語を織り上げてゆく。圧巻の傑作!
ドラマティック度・・8 プログレ度・・7 壮大度・・9 総合・・8.5
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...And You Will Know Us By the Trail of Dead「Tao of the Dead」
アメリカのロックバンド、トレイル・オブ・デッドの7th。2011年作
今作もまるで映画作品のようなジャケや豪華なブックレットだけでもワクワクするが、
サウンドの方も前作の流れで、壮大なドラマ性を描くようなスケール感が素晴らしい。
アルバムは2部構成となっていて、PART1は35分、PART2は16分におよぶ組曲で、
起伏に富んだ展開と、叙情性、そしてもちろんロックとしての躍動感に富んだダイナミズムが光る。
この手法はまるでプログレッシブロックのスタイルであるのだが、プログレ、ポストロックのリスナーなどにも
楽しめるだけの普遍性を有している。大作を描ききる実力とセンスとは、やはり並のバンドではない。
音に難しさはない。つまりは、ひとつのロックバンドが偉大なドラマを作り上げたということである。
限定盤の2枚組には、トラックの分かれた38分のバージョンに加え、33分におよぶデモを収録。
ドラマティック度・・9 プログレな感性度・・8 壮大度・・9 総合・・8.5
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...And You Will Know Us By the Trail of Dead 「Lost Songs」
アメリカのドラマティックロックバンド、トレイル・オブ・デッドの8th。2012年作
ポストロックやプログレ風味を含んだ壮大な作風で、ここ数作は大変素晴らしい内容だったが、
本作もコンセプトストーリに基づいたドラマティックなロックサウンドを聴かせてくれる。
ラウドロックの勢いの良さとノリを持ちながら、知的な構築センスで楽曲を連ねてゆく手法は、
これまでと変わらないが、本作では、よりロックバンドとしての生々しさが強まっている。
楽曲は2〜4分前後とむしろシンプルになり、プログレ的な雰囲気はやや薄まった印象で、
その分、オールドなロックのストレートな躍動感が強く感じられる。限定盤のDisc2には
一部曲順を入れ替え、曲間をつなげた、よりコンセプト的な味わいのバージョンを収録。
ドラマティック度・・7 プログレ度・・6 むしろDisc2の方が好き度・・8 総合・・8
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...And You Will Know Us By the Trail of Dead 「IX」
アメリカのドラマティックロックバンド、トレイル・オブ・デッドの9th。2014年作
美しい飾り文字のジャケやファンタジックなイラスト満載のブックレットも素晴らしいが、内容の方も
グルーヴィなロックの躍動感と知的でプログレッシブな構築センスを併せ持ったさすがのサウンド。
連なりのある楽曲構成で描かれるストーリー的な流れに、ロックとしての骨太の力強さを融合させた
このバンドらしいコンセプチュアルなロックが楽しめる。前半はいくぶん淡々とした聴き心地だが、
後半の楽曲ではドラマティックに盛り上げる。ボーナスのDisc2には2011年作の続編となる「Tao of the Dead Pt III」を収録。
ドラマティック度・・8 プログレ度・・6 構築センス・・8 総合・・8
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...And You Will Know Us by the Trail of Dead「X: The Godless Void And Other Stories 」
アメリカのドラマティックロック、トレイル・オブ・デッドの2020年作
1997年にデビュー、単なるロックの枠を超え、プログレやポストロックなどの要素も含んだ壮大なサウンドを描くこのバンド。
本作は通算10作目で、ジャケのイメージからも物語的なコンセプト作であることが見て取れる。オリエンタルなイントロから、
ほどよくハードなギターとともに、オルタナ的なロック感触とサイケな浮遊感が同居した、独自のサウンドを描いてゆく。
うるさすぎないシンセアレンジも加えつつ、今作はプログレというよりは、全体的にはわりとキャッチーなノリのロック感触で、
ゆるやかな盛り上がりを含みながら牧歌的な聴き心地。これだというドラマティックな展開がもう少し欲しいか。
ドラマティック度・・7 プログレ度・・6 壮大度・・8 総合・・8
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TROLL 「LEGEND MASTER」
アメリカのサイケ・ドゥームメタル、トロールの2019年作
2016年にデビューし、2作目。ほどよくヘヴィなギターに怪しげなヴォーカルを乗せ、
アナログ感たっぷりのアンサンブルとともに、リズムチェンジを含む知的な展開力も覗かせる。
サイケでプログレッシブなドゥームメタル。10分を超える大曲を主体に、音数は少ないものの、
北欧のバンドのような涼やかでミステリアスな空気を描くところは、プログレリスナーにも楽しめる。
重たすぎないサウンドにわりとユルめの叙情性も含ませつつ、いきなり激しく疾走したりと、
なかなか節操がないところも面白い。神秘的なプログレ・サイケドゥームの異色作。
ドラマティック度・7 サイケドゥーム度・8 ミステリアス度・8 総合・7.5
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TROUBLE 「THE SKULL」
アメリカのドゥームメタル、トラブルの1985年作
ツインギターの絡みつくようなリフを乗せた、Black Sabbathルーツのドゥームメタルで、
ハイトーンもまじえた怪しげなヴォーカルとともに、むしろ英国らしい翳りを帯びたサウンドを聴かせる。
適度に叙情的な味わいも感じさせるギターフレーズもよろしく、シアトリカルな雰囲気もまとった感触は、
Cathedralのリー・ドリアンが偏愛するのもうなずける。アップテンポのパートやリズムチェンジによる展開力も覗かせて、
11分という大曲なども、知的に構築するセンスがある。部分的には、METALLICAあたりにも通じるところもあり、
NWOBHM風味のウェットな空気と、重たすぎない遅すぎないというスタイルで、一般のリスナーにも普通に楽しめるだろう。
ドラマティック度・・7 ドゥーム度・・8 重厚度・・7 総合・・7.5
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Troubled Horse「Step Inside」
スウェーデンのハードロック、トラブルド・ホースの2013年作
ヴォーカルのマーティン・ヘピッチを中心に、WICHCRAFTのメンバーらと結成したバンドで、
ジェントルなヴォーカルにアナログ感たっぷりのギターで聴かせる、70年代ルーツのハードロックサウンド。
ギターはヘヴィ過ぎず、わりとメロディを奏でているので、ドゥーミィな要素は薄く、むしろガレージロック的で、
歌メロにはJethro Tullや英国フォークルーツの土着性も感じさせ、いくぶんサイケ的なユルさも覗かせる。
ツインギターにうっすらとしたシンセアレンジも加わって、ヴィンテージなロックながら厚みのあるサウンドで、
若干のプログレ風味もあるので、脱メタルした近年のOPETHなどが好きな方にも楽しめるかもしれない。
リー・ドリアン主催のレーベルからデビューというのもうなずける。70's英国ロックをルーツにした強力作だ。
ドラマティック度・・7 アナログ度・・8 ヴィンテージ度・・8 総合・・8
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Tyondai Braxton「Central Market」
アメリカのエクスペリメンタルロック、元BATTLESのタイヨンダイ・ブラクストンのソロ。2009年作
バトルスの方はよく知らないのだが、ここで聴けるサウンドは、インスト中心のクラシカルなチェンバーロックと
カラフルなポップ感覚の同居というべきもので、ポストロック、プログレ、アヴァンポップと、どの耳で聴いても楽しめる。
ときに壮麗なシンフォニックさと、おもちゃ箱をひっくり返したようなきらきらとした先の読めない面白さがあり、
風変わりなサントラ的なイメージ豊かな音像である。アヴァンギャルドさが前に出すぎて、
全体的な統一感がやや薄いきらいもあるが、柔軟な耳で音楽の可能性を楽しむリスナーにはわくわくできる作品だろう。
メロディアス度・・8 アヴァンポップ度・・8 カラフル度・・9 総合・・8
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U
UNSILENCE 「A Fire on the Sea」
イギリスのドゥームメタル、アンサイレンスの2014年作
重厚なギターリフとマイルドなヴォーカルを乗せた、正統派のエピックドゥーム。
楽曲には適度な疾走感もあり、ギターは随所に叙情的なフレーズを奏でるなど、
Candlemassのような正統派寄りのスタイルを好む方には違和感なく楽しめる。
英国のバンドらしい湿り気を帯びたドラマティックな世界観もよいですね。
全体的には楽曲にもう少しフックというか、インパクトが欲しい気もするが、
地味でもエピックドゥームとしての雰囲気がよければいいという方はどうそ。
ドラマティック度・・8 ドゥーム度・・7 正統派度・・8 総合・・7.5
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USNEA 「RANDOM COSMIC VIOLENCE」
アメリカのスラッジ・ブラック・ドゥームメタル、ウスニアの2014年作
スペイシーでサイケがかった妖しげなイントロから、ヘヴィなギターリフと絶叫ヴォーカルを乗せた、
暗黒のドゥームメタルが広がってゆく。スローテンポのフューネラルな感触と、スラッジのアナログ感覚、
ときにブラックメタル的でもある邪悪な世界観も覗かせる。10分以上の大曲が4曲という構成で、
気が短い方にはまったくもって向かないが、ゆったりと暗黒のサイケドゥームに浸ったり、
フューネラルでブラックな雰囲気を楽しめるような方には、どっぷりと入り込めるかもしれない。
アコースティックなパートでは、重いだけではないサイケ寄りの神秘性も含ませつつ、
ブラックメタルばりの疾走パートも現れて、ふり幅の大きさも特徴だろう。暗黒の強力作だ。
ドラマティック度・・7 暗黒ドゥーム度・・8 重厚度・・8 総合・・8
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USNEA 「Portals Into Futility」
アメリカのスラッジ・ブラック・ドゥームメタル、ウスニアの2017年作
前作はヘヴィな暗黒ドゥームの強力作であったが、詠唱めいた妖しい歌声で始まる本作も、
スローテンポに重厚なギターリフと絶叫ぎみのヴォーカルを乗せた、フューネラルなサウンドを聴かせる。
このバンドの場合、スペイシーでミステリアスなスケール感を描くところが魅力でもあり、
おどろおどろしい音の説得力という点でも、前作からさらに深化しているという印象だ。
ブラックメタルも顔負けの暗黒性に包まれながら、ラストの19分という大曲では、神秘的な空気感に
ほのかな叙情も垣間見せつつ、スラッジ的な荒々しさも含んだ迫力あるサウンドが味わえる。
ドラマティック度・・8 重厚度・・8 おどろおどろ度・・9 総合・・8
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V
VAK 「The Islands」
スウェーデンのスラッジメタル、ヴァクの2023年作
2015年デビュー、3作目となる。ザラついたギターにスペイシーなシンセを重ね、喚き声ヴォーカルとともに、アグレッシブなノリとミステリアスな空気が同居した異色のサウンド。
緩急あるリズム展開にはプログレッシブな知的さも漂わせ、ドゥーミィな暗黒性と荒涼とした空気感が交差する。
ドラムを中心にした生々しいアンサンブルは、ときにキング・クリムゾン的だったりして、得体の知れない圧迫感に包まれる。
ラストは10分を超える大曲で、スラッジらしいギターにプログレ感あるシンセが絡み、インストを中心にしたわりとフリーキーなサウンドを展開する。
ドラマティック度・7 重厚度・8 ミステリアス度・9 総合・7.5
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Valkyrie 「Shadows」
アメリカのドゥームメタル、ヴァルキリーの2015年作
BARONESS、EARTHLINGのメンバーを含むバンドで、ヘヴィなツインギターに
朗々としたヴォーカルを乗せた、オールドな感触の正統派のドゥームメタルサウンド。
アナログ感たっぷりのアンサンブルながら、メタリックな重厚さとキレのある演奏で、
古臭さはさほど感じさせない。随所にツインギターのメロディックなフレーズも含んで、
どっしりとしたサウンドの中にも、叙情的なギターフレーズを聴かせるところはさすが。
ギター主導のスラッジ系ドゥームとしてはかなりレベルの高い作品である。
ドラマティック度・・7 ドゥーム度・・8 重厚度・・8 総合・・8
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Vidunder
スウェーデンのヴィンテージロック、ヴィドゥンダーの2013年作
ギター&Vo、B、Drというトリオ編成で、歪みすぎないギターにパワフルなヴォーカルを乗せ、
アナログ感たっぷりのアンサンブルを聴かせる、70年代ルーツのハードロックサウンド。
適度にブルージーで英国的な空気感に包まれた感触は、「音を薄くしたLED ZEPPELIN」というところか。
楽曲は2〜3分前後とシンプルで、全34分という短さもあって濃密さの点ではやや淡白なのだが、
いくぶんサイケ寄りのユルさも含んでいたりと、これという派手さはないがのんびりと楽しめる。
くぐもった音質もウェットな翳りを感じさせてよいですね。Witchcraft、Graveyardあたりが好きな方はどうぞ。
ドラマティック度・・7 ヴィンテージ度・・9 ユル度・・8 総合・・7.5
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The Vintage Caravan 「Voyage」
アイスランドのヴィンテージロック、ヴィンテージ・キャラバンの2014年作
G&Vo、B、Drというトリオ編成のバンドで、メンバーは若手ながらいかにも70年代的なアナログ感に包まれた
オールドなハードロックをやっている。ドカドカとしたドラムにキャッチーな歌メロを乗せた、LED ZEPPELINにも通じる
骨太のロック感触をまとわせつつ、ときにブルージーで、メロディックなギターのセンスもなかなかのもの。
単なる古めかしいロックというだけでなく、70年代英国的な空気感までも再現するようなセンスと演奏力も見事。
12分におよぶ大曲では、サイケでドゥームな感触も含んだメリハリある展開力で濃密にたたみかける。
ドラマティック度・・8 アナログ度・・8 ヴィンテージ度・・9 総合・・8
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Vinum Sabbatum「Bacchanale Premiere」
フィンランドのサイケ・ドゥーム、ヴィナム・サバタムの2012年作
オルガンが鳴り響く妖しくカルトな雰囲気に、70年代的なアナログ感がただようサウンド。
音のこもり具合といい、ヴォーカル声質なども含めて、じつによい感じで、
たとえばPagan Altarあたりに通じる黒魔術的ないかがわしさに包まれている。
このスカスカ感、音の厚みのなさを、つまらないと思うような方は聴いてはダメだ。
ラストは11分を超える大曲で、ダラダラと盛り上がりそうで、もったりとした感じもまた最高。
ドラマテイック度・・7 スカスカ度・・8 妖しげ度・・9 総合・・8
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VOLUR「Ancestors」
アメリカのドゥームメタル、ヴォラーの2017年作
Blood Ceremonyのベーシストを中心としたユニットで、詠唱のような男女声を乗せ、
プリミティブな暗黒性に包まれたドゥームサウンド。ドローン的な重々しさの中、ヴァイオリンが妖しく鳴り響き、
がなり立てるヴォーカルとともに、ブラックメタルばりの原初的な闇を感じさせる寂寥とした空気感と、
得体の知れない神秘性に包まれた聴き心地で、曲調はスローテンボながら迫力たっぷりである。
ヴァイオリンの音色が不穏な気配をまき散らすところは、チェンバーロック的でもあり、単なる暗黒ドゥームではない、
キワモノ系を愛するリスナーにこそ薦めたい。10分を超える大曲4曲という構成の異色の力作である。
暗黒度・・9 ドゥーム度・・8 寂寥度・・9 総合・・8
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VOLUR 「DEATH CULT」
アメリカのドゥームロック、ヴォラーの2020年作
Blood Ceremonyのベーシストを中心としたユニットで、2014年にデビューし、3作目となる。
女性奏者の奏でるヴァイオリンが妖しく鳴り響き、歪んだベースにオルガンなどのシンセを重ね、
詠唱のような男女ヴォーカルとともに、耽美で秘教的なドゥームロックを聴かせる。
ブラックメタルばりの喚き声を乗せた暗黒性と、優雅なヴァイオリンのコントラストが面白く、
ギターは入らないのだが、ヘヴィなベースの存在感が重厚なサウンドを描いている。
ドラムが激しく疾走する場面などは、ほぼブラックメタル気味の感触になったりと、
ドゥーミィながら緩急のある構成で、7〜11分という大曲4曲を暗黒の美で描く異色作。
ドゥーミィ度・8 暗黒度・8 神秘的度・8 総合・8
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Votchi 「Scary Woman」
チェコのサイケ・ハードロックバンド、ヴォッチの2002年作
典雅なフルートとチェンバロの音色で始まりつつ、曲が始まると荒々しいヴォーカルを乗せて
オールドなギターリフとともに、古き良きハードロックな雰囲気に包まれる。
吹き鳴らされるフルートにオルガンも加わって、怪しげでサイケな感触も覗かせつつ
ときにBlack Sabbath(Ozzy)風味もあったりと、なかなか面白い辺境ハードロックが楽しめる。
B級臭い魔女のジャケもいかにもよろしいですな。マニア好みのサイケハード作品です。
メロディック度・・7 サイケハー度・・8 怪しげ度・・8 総合・・7.5
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W
The Wandering Midget 「I Am the Gate」
フィンランドのドゥームメタル、ワンダリング・ミジェットの2008年作
ギター、ベース、ドラムというシリオ編成で、2006〜2007年に録音されたデモ音源を収録。
アナログ感あるギターリフとスカスカのドラムに、朗々としたヴォーカルを乗せた、エピックなのだが
わりとトホホなドゥームメタル。重さもなく、妖しさもなく、メロディアスでもなく、迫力もさほどないという、
ないもの尽くしのサウンドで、当然ながら音質も悪いという、褒めるところの少ない聴き心地。
よほどのドゥームメタルマニアでも、聴くのが辛いという点では、マイナーの極北とも言えるが、
これがスカスカのデモだからと信じたい。今後、正規アルバムを聴く機会があれば…。
ドラマティック度・・6 ドゥーム度・・8 スカスカ度・・8 総合・・6
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we vs. death「We Too Are Concerned」
オランダのポストロックバンド、ウィ・ヴァーサス・デスの2007作
オランダというとシンフォ系プログレやメロディアスハードのイメージが強いのだが
こうした空間的な音を出すポストロックバンドもいたのかと、少し驚いた。
基本はオールインストで、薄暗さを漂わせるサウンドは音数はシンプルながらも
内的な広がりを感じさせ、そこに重なるトランペットの音色が哀愁を添える。
ぱっと聴きにはジャケのように地味で、モノトーンの寂しい情景を思い描きながらも
どこか引き込まれるような奥深い世界観があって、これはなかなか気に入った。
メロディアス度・・7 静寂の叙情度・・8 内的世界観度・・9 総合・・8
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WHEEL
ドイツのエピック・ドゥームメタル、ホイールの2010年作
アルフォンス・ミュシャの優美なジャケが目を引くが、サウンドの方はゆったりとしたリズムにそこそヘヴィなギターと
朗々としたヴォーカル乗せた、SOLITUDE AETURNUSあたりを思わせる正統派のエピックドゥームメタル。
メランコリックな雰囲気はよい感じなのだが、楽曲そのものにフックが乏しく、ギターリフなども凡庸なので、
聴いていて飽きがきてしまうというのがいかんともしがたい。スローで展開の少ないなドゥームだからこそ、
重厚な世界観や音の説得力がより必要なのだなと再確認できる。もう少し大仰さやこけおどし感が欲しい。
ドラマティック度・・7 重厚度・・7 楽曲・・7 総合・・7
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WhiteBuzz 「Book of Whyte」
ドイツのスラッジ・ドゥームメタル、ホワイトブーズの2009年作
ドローン的でもある低音のギターリフが鳴り響き、スローなリズムと詠唱のようなヴォーカルで聴かせる、
不穏な空気感に包まれたスラッジ・ドゥームメタル。15分前後の大曲を中心に、ゆったり淡々とした感触で
派手な盛り上がりやスリリングな部分というのは薄いので、気が短い人には向かないかもしれないが、
怪しくミステリアスな雰囲気が好きな方なら、わりと気持ちよく聞き流せるのではないかと思う。
ポストロック的でもある荒涼とした静寂感も含んだ異色作。しかし、とにかく、どれも曲が長い。
ドラマティック度・・7 ドゥーム度・・8 怪しげ度・・9 総合・・7.5
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White Coven 「Overseas」
スペインのヴィンテージロック、ホワイト・カヴンの2018年作
ツインギターにシンセ、女性Voを含む編成で、オールドなギターを乗せたアナログ感たっぷりのアンサンブルに、
ハスキーな味わいの女性ヴォーカルを乗せた、ヴィンテージなロックサウンド。オルガンなどのシンセに
こもり気味のドラムの音が、いかにも60〜70年代風味を感じさせつつ、全体的にはハードさは控えめで、
曲によってはカントリー的なおおらかな牧歌性を感じさせる。ブルージーなギターに、オルガンが鳴り響く、
オールドなサイケ感を描くゆったりとしたナンバーなどもなかなか良い感じで、ラストの11分の大曲では、
メロトロンの音色を含む叙情性と、ツインギターの流麗なフレーズとともにゆるやかに盛り上げる。
ドラマティック度 ヴィンテージ度・・9 女性Vo度・・7 総合・・7.5
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Wicked Witch 「The Collection Part 1」
アメリカのエピック・カルトメタル、ウィックド・ウィッチの2013年作
知られざるB級バンドの1988〜97年までの音源で、イントロや小曲合わせて20曲を収録。
チープなシンセが鳴り響き、古き良き感触のギターに、ハスキーで野太い女性ヴォーカルの歌声で、
80年代NWOBHMを思わせる正統派のHR/HMを聴かせる。ジャケやバンドな通り、魔女めいた妖しさと
B級カルトメタル特有のこけおどし感もあって、音質はあまり良くはないもののなかなか楽しめます。
時期によってメンバーがずいぶん異なるようで、男性ヴォーカルの曲や、いかにもアメリカンなロックナンバーなど、
曲調もまちまちだが、基本的にはローカルなハードロックが最後まで味わえる。B級バンド好きはチェック!
ドラマティック度・・7 エピック度・・7 音質・・7 総合・・7
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Wildlights
アメリカのストーナーロック、ワイルドライツの2015年作
ザラついたギターとマイルドなヴォーカルを乗せた、オールドなノリのストーナーロック。
楽曲は3〜4分前後とシンプルで、Baronessあたりに比べると、よりデザートロック的な明快な聴き心地で、
ヘヴィさもほどほどなので、歌メロのキャッチーさも含めて初心者にも入りやすいサウンドだろう。
うねるようなベースと、どっしりとしていて軽快さもあるドラムが心地よいリズムを生み出していて、
爽快なドライブ感とノリの良さで自然体で楽しめる作品だ。演奏と曲のクオリティも高い反面、
音の深みは感じないので、ここにディープな世界観が加われば、さらにいいバンドになりそうだ。
ドラマティック度・・7 ストーナー度・・8 アナログロック度・・8 総合・・8
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WINDHAND 「GRIEF'S INFERNAL FLOWER」
アメリカのストーナー・ドゥームメタル、ウインドハンドの2015年作
唸るようなヘヴィなギターリフに、浮遊感ある女性ヴォーカルを乗せたスタイルで、
ストーナー、ドローンの要素にサイケ気味の感触も加えたという聴き心地。
はかなげな女性声と、ヘヴィなギターサウンドのギャップがコントラストになっていて、
妖しさと物悲しさを内包したドゥームメタルが楽しめる。14分を超える大曲も2曲あり、
全体的には少し単調な感じもあるのだが、重厚な味わいのストーナー系ドゥームの力作である。
ドラマティック度・・7 重厚度・・8 妖しげ度・・8 総合・・7.5
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Wintergarten
ドイツのプログレ・ポストロック、ウインターガーテンの2013年作
ドイツ語によるジェントルなヴォーカルと、エレクトロなシンセアレンジを含むモダンさに
ポストロック的な繊細な翳りも含んだ聴き心地。リズム的にはあまりメリハリはなく、
SEなどを含んだコンセプト風味もやや中途半端か。プログレというよりモダンなポストロック。
ドイツ語によるゲルマン臭さをもっと前に出してもいい気がする。
ドラマティック度・・7 プログレ度・・6 モダン度・・8 総合・・7
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WINTERS 「BLACK CLOUDS IN TWIN GALAXIES」
イギリスのドゥームロック、ウインターズの2007年作
BLACK SABBATHルーツのヘヴィなギターリフにけだるげなヴォーカルを乗せた、
アナログ感たっぷりのヴィンテージな味わいに包まれたドゥームロックを聴かせる。
一方では、サイケな浮遊感や曲によってはメロトロンを使った叙情性もあり、
70年代プログレからの影響も匂わせる。楽曲自体は3〜4分前後と比較的シンプルなので、
さほどディープな濃密さは感じられず、いくぶん物足りなさもあるのだが、
ヘヴィすぎない味わいのヴィンテージなドゥームが楽しめる方にはお薦めです。
ドラマティック度・・7 ドゥーム度・・8 ヴィンテージ度・・9 総合・・8
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WITCH CHARMER「The Great Depression」
イギリスの女性声ドゥームメタル、ウィッチ・チャーマーの2014年作
女性ヴォーカルをフロントにした、PURSONなどのいわゆる魔女系ドゥームメタルスタイル。
古き良き感触のヘヴィなギターリフに乗る、艶めいたケイト嬢の歌声もなかなか魅力的で、
随所に男性ヴォーカルも絡みつつ、重厚かつ適度にノリもあるサウンドを聴かせてくれる。
本格派のドゥーム感に包まれたダークな雰囲気は、メロディックな愛想はあまりないものの、
うねるようなリフとともに妖しげな空気と濃密さが楽しめる力作だ。
ドラマティック度・・7 ドゥーム度・・8 女性Vo度・・8 総合・・8
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WITCHCRAFT
スウェーデンのサイケ・ドゥームロック、ウィッチクラフトの2004年作
まるで70年代にトリップしたかのような、アナログ志向のロックサウンドで、
重厚さのない軽めの演奏なのだが、この力の抜け具合がじつにサイケなのである。
ややこもり気味の音質や、北欧らしいくぐもったような叙情性を含んでいるところも、
いい耳心地となっていて、初期のサバスをサイケにしたようなレトロなロックが楽しめる。
ドラマティック度・・7 サイケ度・・8 レトロ度・・9 総合・・8
Witchcraft 「Firewood」
スウェーデンのサイケ・ドゥームロック、ウィッチクラフトの2005年作
2作目となる本作も、アナログ感ただようアンサンブルで聴かせる、完全70年代スタイルのサウンドで
あまりの確信犯的なオールドスタイルへの回帰ぷりに思わずニヤニヤすることしきり。
70年代英国ロック調のブルージーなテイストを含んだギターワークに、いくぶんヘタウマ感を漂わせるヴォーカルで、
決してヘヴィすぎない、上手すぎないという、そのバランス感覚も絶妙です。
反面、これといったインパクトはないのだが、オールドロック好きの方なら楽しめるでしょう。
ドラマティック度・・7 サイケ・ドゥーム度・・7 古き良き度・・8 総合・・8
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Witchcraft 「The Alchemist」
スウェーデンのサイケ・ドゥームロック、ウィッチクラフトの2007年作
徹底的に70年代志向のヴィンテージなロックサウンドを標榜するこのバンド、3作目となる本作も
アナログ感たっぷりの重すぎないギターワークと、やぼったいがどこか味のあるヴォーカルとともに、
古き良き英国感に包まれたサイケ・ドゥームを聴かせる。3〜5分のわりとコンパクトな楽曲をメインにしつつ、
ラストは10分を超える大曲で、いくぶんプログレ寄りの質感と、牧歌的なユルさがよい感じに混ざり合っている。
ゲストのシンセ奏者によるオルガン、メロトロンなどがもう少し活躍すると、個人的には嬉しかったが。
ドラマティック度・・7 ドゥーム度・・7 古き良き度・・9 総合・・8
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Witchcraft「Legend」
スウェーデンのサイケ・ドゥームロック、ウィッチクラフトの2012年作
4作目となる本作ではギターとドラムが交代しているが、70年代風味のアナログ感覚と
ストーナー的なザラついた聴き心地の、ヴィンテージなサイケハードロックは不変。
1stの頃に比べると、いくぶん輪郭がはっきりして、ハードロック的な聴きやすさが増しているので、
より多くのロックファンが楽しめるサウンドになっている。DevilやGraveyard、Kadavarなど、
その手のバンドの先輩格として、チェックするべきバンドですな。
ドラマティック度・・7 サイケ度・・7 レトロ度・・9 総合・・8
Witchcraft「Black Metal」
スウェーデンのサイケ・ドゥームロック、ウィッチクラフトの2020年作
2004年にデビュー、70年代的なヴィンテージなロックにサイケやプログレの雰囲気も漂わせるこののバンド。
6作目となる本作は、タイトルこそ「ブラック・メタル」であるが、サウンドの方はアコースティックギターのつまびきに
ジェントルなヴォーカルを乗せた、シンプルな弾き語り風のフォークスタイルで、ロック感触もほとんどなし。
北欧の暗い森を思わせる怪しさがあるわけでもなく、むしろ英国調の優雅な牧歌性に包まれている。
それにしても音数が少なすぎて、アコギも単音ばかりなのでさすがに眠くなる。全7曲、33分で、これ以上はきつい。
ドラマティック度・5 ロック度・0 フォーク度・8 総合・7
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WITCHCRYER 「Cry Witch」
アメリカの女性声ドゥームロック、ウィッチクライヤーの2018年作
アナログ感たっぷりのギターにハスキーな女性ヴォーカルを乗せた、サバスルーツの古き良き感触のハードロック。
Blood Ceremonyあたりに比べるともっとシンプルな作風で、むしろCastleなどに近いスタイルだろうか。
紅一点、スージー嬢の歌声は、適度に伸びやかで上手すぎず下手すぎず、この路線によくマッチしていて、
曲によっては妖しい魔女感もかもしだす。楽曲は3〜4分前後で、これという新鮮味はないものの、
王道のギターリフも含めて、この手のヴィンテージロックとしてのお約束の安定感で気持ちよく聴ける。
Witchfinder Generalのカヴァーもなかなかハマっている。魔女系ロックとして今後の深化に期待したい。
ドラマティック度・・7 古き良き度・・9 女性Vo度・・8 総合・・7.5
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WITCHFIELD 「Sleepless」
イタリアのドゥームメタル、ウィッチフィールドの2009年作
ドラム&シンセのトーマス・ハンド・チャステを中心にしたバンドで、
BLACK SABBATHルーツの古き良き感触のギターに、うっすらとしたシンセアレンジと、
ヘタウマのヴォーカルを乗せた、いくぶんマイナー臭いドゥームメタルサウンド。
バンド名やレーベルがBlack Widowであるように、魔女めいた妖しい感触もあるが、
軽めの音質も含めて、雰囲気にさほど強度はなく、ギターリフも凡庸で曲も長いので、
よほどのドゥーム好きでないと厳しいだろう。オルガンの音色などはよいのだが。
全体的には自己満足の出来である。DEATH SSのカヴァーもマニア向けすぎるだろう。
ドラマティック度・・7 ドゥーム度・・7 怪しげ度・・7 総合・・7
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WITCHFYNDE 「DIVINE VICTIMS」
NWOBHMのカルトバンド、ウィッチファインドの1st〜3rdカップリング。2017年作
1980年作「GIVE'EM HELL」、「STAGEFLIGHT」、1983年作「CLOAK & DAGGER」を収録した3枚組ボックス。
Black Sabbathの世界観を継承する、ANGEL WITCHやWITCHFINDER GENERALと並ぶ存在だろう。
1stは、70年代の牧歌性を含んだ、わりとノリのよハードロックサウンドであるが、ギターのフレーズなどに
マイナーな湿り気を感じさせるところはいかにも英国らしい。2ndは、音質も含めてサウンドの説得力がぐっと増しつつ
一方ではキャッチーなノリのナンバーもあって、わりと普通に叙情的な英国ハードロックとして楽しめる。
3rdからヴォーカルが交代、独特のハイトーンヴォーカルを乗せた、カルトなサタニックロックとしての味わいもありつつ、
キャッチーな普遍的ハードロックへの接近も感じさせる。通なマニアには必携の3枚組ボックスですな。
ドラマティック度・・7 古き良き度・・9 カルトロック度・・8 総合・・8
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Witch Mountain 「South Of Salem」
アメリカのドゥームメタル、ウィッチ・マウンテンの2011年作
約10年ぶりとなる2作目で、本作から女性Voが加入、サバスルーツのヘヴィなギターリフで聴かせる
スローなドゥームメタルに、女性ヴォーカルの歌声を乗せたスタイルは、Blood Ceremonyなどを思わせる。
70年代ロックの感触を含むストーナー的なザラついた聴き心地と、魔女めいた妖しさが合わさって、
独特のストーナー・サイケ・ドゥームというような世界観を描いている。これだという新鮮味はないのだが、
10分を超える大曲もあり、しっかりとヘヴィな音像の重厚かつヴィンテージな雰囲気をまとった力作である。
ドラマティック度・・7 ドゥーム度・・8 妖しげ度・・8 総合・・7.5
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Witch Mountain 「Cauldron of the Wild」
アメリカのドゥームメタル、ウィッチ・マウンテンの2013年作
サバスルーツのヘヴィなギターリフとけだるげな女性ヴォーカルの歌声を乗せたスタイルは
CASTLEやBlood Ceremonyなどを思わせるが、こちらはより正統派ドゥームの感触で
古き良きアナログ感覚とともにスローで妖しげで、かつ重厚なサウンドが楽しめる。
随所に低音ダミ声も聴かせるウタ嬢のヴォーカルがいかにも魔女っぽいのもよいですな。
9分、11分という大曲では、薄暗く叙情的な部分もあって、じっくりと世界観浸れます。
ドラマティック度・・7 ドゥーム度・・9 妖しげ度・・8 総合・・8
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Witch Mountain 「Mobile of Angels」
アメリカのドゥームメタル、ウィッチ・マウンテンの2015年作
復活後の3作目となるアルバムで、ヘヴィなギターリフを乗せたスローテンポの楽曲に
魔女めいた女性ヴォーカルの歌声が響き渡る、本格派の重量ドゥームメタルサウンド。
8分、10分という大曲を中心にした、どっしりとした聴き心地で、よい意味でなにも変わらない作風。
ウタ嬢の歌声にはぐっと表現力もついてきて、バックはずっしりとヘヴィでありながらも、
叙情的なパートではしっとりと歌い上げるところなどはなかなか魅力的である。魔女系ドゥームの力作。
ドラマティック度・・7 重厚度・・8 女性Vo度・・8 総合・・8
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Witch Mountain
アメリカのドゥームメタル、ウィッチ・マウンテンの2018年作
2000年にデビュー、本作は5作目となる。ヘヴィなギターリフに艶めいた女性ヴォーカルを乗せた、
本格派の魔女系ドゥームメタルはこれまで通り。アナログ感に包まれたゆったりとしたアンサンブルで、
媚のないオールドなドゥーム感触に包まれた聴き心地は、いくぶん取っつきにくさはあるのだが、
ときにダミ声を使い分けるカイヤ嬢のヴォーカルも含めて、ダークで妖しげな世界観が味わえる。
ラストは14分という大曲であるが、全5曲で35分という短さは、なんだか物足りない感じも。
ドラマティック度・・7 ドゥーム度・・9 妖しげ度・・8 総合・・7.5
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WitchSorrow 「No Light Only Fire」
アメリカのドゥームメタル、ウィッチソロウの2015年作
2010年デビューで本作が3作目となる。ヘヴィなギターリフを乗せた重厚なサウンドだが、
スロー過ぎないミドルテンポのノリもあって、わりとオールドなメタル感触も感じさせる。
一方ではスローテンポのフューネラルな暗黒性とヘヴィネスは、甘さの無い硬派な空気感を描いていて、
説得力ある音の迫力に包まれている。10分前後の大曲も多いのだが、スローからミドルへのテンポチェンジなどを含めて、
一方調子ではない構築性もあるので飽きさせない。初期のCATHEDRALをより重くしたような力作ドゥームです。
ドラマティック度・・7 ドゥーム度・・9 重厚度・・9 総合・・8
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Witchwood 「Litanies from the Woods」
イタリアのヴィンテージハードロック、ウィッチウッドの2015年作
フルート奏者を含む5人編成で、70年代的なアナログ感たっぷりのギターにオルガンも鳴り響く、
SPIRITUAL BEGGARSあたりを、より正統派に仕上げたというようなヴィンテージ・ハード。
随所にフルートが鳴らされるのがイタリアのバンドらしく、朗々とした男性ヴォーカルを乗せながら、
ユルめのサイケ感も含んだ聴き心地に、適度にキャッチーな感触もある。10分を超える大曲では、
吹き鳴らされるフルートにサイケなギターが絡むインストパートを中心にした、プログレばりの雰囲気もある。
ジャケのイメージのように、もう少しどろどろとした空気感があればなお良かったが、なかなかの力作ではある。
ドラマティック度・・7 妖しげ度・・7 古き良き度・・9 総合・・8
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WOLFMOTHER「Cosmic Egg」
オーストラリアのハードロックバンド、ウルフマザーの2009年作
前作はツェッペリンやサバスなどを思わせる古き良き感触のHRであったが、
本作もアナログ感たっぷりに聴かせる、70年代スタイルのハードロックが楽しめる。
サイケ的な浮遊感が前に出たサウンドは、むしろストーナーロックに近い感触で
バンドとしてより自然体のユルさというか、ロックとしての自由度が感じられる。
メロディック度・・7 古き良き度・・9 むしろストーナー度・・8 総合・・8
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Wolftooth
アメリカのドゥームメタル、ウルフトゥースの2019年作
叙情的なギターのイントロから、ツインギターのヘヴィなリフにハイトーン寄りのヴォーカルを乗せて、オールドなアナログ感に包まれたドゥームメタルを聴かせる。
甘すぎない程度の叙情的なギターフレーズも随所に覗かせて、曲によってはエピックドゥーム的なウェットな雰囲気にも包まれる。
BLACK SABBATHをルーツにした、ヴィンテージなハードロック感触と、ほどよくノリのあるキャッチーなスタイルがバランスよく融合していて、重すぎず軽すぎず、ドゥームメタル初心者にも聴きやすいだろう。
ドラマティック度・8 ドゥーム度・8 古き良き度・8 総合・8
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Wolftooth 「Blood & Iron」
アメリカのドゥームメタル、ウルフトゥースの2021年作
3作となる本作も、アナログ感たっぷりのギターに、パワフル過ぎないヴォーカルを乗せて、古き良き王道のドゥームメタルを展開。
スローテンポを基調にしつつ、ミドルテンポや疾走する正統派メタル風味もあり、DOOMSWORDなどに通じるエピックメタル寄りのファンでも楽しめるだろう。
ツインギターによるウェットな叙情性も覗かせながら、どっしりとした勇壮なメタル感触と、サバスルーツのオールドなハードロックが同居したという強力作だ。
ドラマティック度・8 ドゥーム度・7 エピックメタル度・8 総合・8
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WOLVSERPENT 「Aporia:Kala:Ananta」
アメリカのドゥームメタル、ウルヴサーペントの2016年作
全1曲40分という構成で、不穏な空気感を漂わせる暗黒のアンビエント的な導入部から、
クラシカルなヴァイオリンが鳴り響き、ドラムとギターが入って来て、ようやくメタルらしくなる。
ここまでですでに9分…気が短い方にはまったくもって向かない。この後も、ドゥームというよりは、
むしろポストロック的な雰囲気で、美しいヴァイオリンがゆったりと奏でられるパートが続き、
15分経過…ようやくドローン的なギターリフが入って来て、低音デスヴォイスを乗せた
暗黒ドゥームメタルサウンドになる。ミステリアスなスケール感に包まれた闇の空間美が心地よく、
楽曲うんぬんというよりは、この音世界に浸るというのが正しい鑑賞か。異色の力作です。
ドラマティック度・・7 暗黒度・・8 壮大度・・8 総合・・7.5
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The Wounded Kings 「Embrace of the Narrow House」
イギリスのドゥームメタル、ウンデッド・キングスの2008年作
オルガンが鳴り響く中を語りのような歌声から始まり、絡みつくようなギターリフを乗せた
カルトな妖しさに包まれたスローテンポのドゥームメタルサウンドが広がってゆく。
重厚で湿り気のある世界観は、初期Cathedralをルーツにしたような聴き心地であるが、
より妖しくダークな雰囲気は、フィンランドのREVEREND BIZARREなどにも近いか。
古き良きドゥームメタルの重さを、エピック寄りの幻想性に包み込んだような力作だ。
ドラマティック度・・7 ドゥーム度・・9 重厚度・・8 総合・・7.5
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The Wounded Kings 「Shadow Over Atlantis」
イギリスのドゥームメタル、ウンデッド・キングスの2010年作
ギター、ベース、ドラム、シンセ、ヴォーカルもこなす、スティーヴを中心にした二人組で、
重厚なツインギターのリフとスローな楽曲に、ヘタウマのヴォーカルを乗せで描かれる、
怪しげな浮遊感を含んだカルトな雰囲気のドゥームメタル。8分、10分という長めの楽曲を主体に、
これといった展開もなく「これがドゥームだ文句あるか!」というような潔よさが、ある意味たまらない。
地下臭ただよう暗黒性と、煮え切らないもやもや感が好きな方はどうぞ。
ドラマティック度・・7 ドゥーム度・・9 暗黒度・・8 総合・・7.5
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The Wounded Kings 「In The Chapel Of The Black Hand」
イギリスのドゥームメタル、ウンデッド・キングスの2011年作
本作では5人編成のバンド形態となり、音の説得力がぐっと増してきている。
鳴り響くオルガンにヘヴィなギターリフ、中音域の表現力あるヴォーカルで聴かせる、
ダークでミステリアスなサウンドだ。10分以上の曲を中心にしながら迫力ある音像で
どっしりと強固な世界観をどっしりと描いていて飽きさせない。ヴォーカルの中性的な歌声も
どことなく魔女めいていて、神秘的に雰囲気をかもしだす。カルトな暗黒ドゥームメタルの力作だ。
ドラマティック度・・8 ドゥーム度・・8 暗黒度・・8 総合・・8
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The Wounded Kings 「Consolamentum」
イギリスのドゥームメタル、ウンデッド・キングスの2014年作
過去3作も本格派のドゥームサウンドであったが、4作目となる本作も重厚なツインギターのリフと
カルトな怪しさを漂わせた暗黒感たっぷりのドゥームメタルを聴かせる。魔女めいた中性的なヴォーカルの歌声が、
ヘヴィなサウンドとのコントラストでサイケな浮遊感になっていて、妖しく秘教的な世界観をかもしだしている。
ギターは随所にメロウなフレーズを奏でたり、うっすらとしたシンセも適度に入ってきて、
湿り気のあるドラマティックな聴き心地が楽しめる。12分、13分という大曲も含んだ力作ドゥームです。
ドラマティック度・・8 ドゥーム度・・9 暗黒度・・9 総合・・8
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THE WOUNDED KINGS 「VISIONS IN BONE」
イギリスのドゥームメタル、ウンデッド・キングスの2016年作
過去のアルバムも暗黒の空気に包まれた重厚な力作だったが、5作目となる本作も、ドゥーミィなギターリフに、
しわがれたヴォーカルを乗せ、カルトな妖しさをかもしだす、本格派のドゥームメタルを聴かせる。
サウンド自体はシンプルになったが、これまで以上にプリミティブな世界観で、10分前後のナンバーを、
アナログ感たっぷりにおどろおどろしく描き出す。いわば、サバスルーツのドゥームをピュアに突き詰めたという感触だ。
新しさは何もないが、キャリアに裏打ちされた音の説得力も含めて、まさに暗黒系ドゥームの力作です。
ドラマティック度・・7 ドゥーム度・・9 暗黒度・・8 総合・・8
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WREKMEISTER HARMONIE 「NIGHT OF YOUR ASCENSION」
アメリカのエクスペリメンタルロック、レックマイスター・ハーモニーズの2015年作
J.R.ロビンソンによる個人プロジェクトで、本作は4作目となる。のっけから32分という大曲で、
うっすらとしたシンセに女性スキャットを乗せたミステリアスな空気感が広がってゆく。
シンセの重ねによる空間性には、Klaus Schulzeを思わせるようなところもあり
ストリングスを加えたクラシカルな美しさも含んでいて、ゆったりと夢見心地で鑑賞しつつ、
15分過ぎからギターとドラムが入って来て、一気に不穏なドゥームロックへと変化する。
轟音系ポストロックの感触に、ダミ声ヴォーカルを乗せたブラックメタル的な要素も感じさせつつ、
リフレインが多いので楽曲としてはやや単調ながら、雰囲気モノが楽しめる方はいかが。
ドラマティック度・・7 暗黒度・・7 壮大度・・8 総合・・7.5
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Wrekmeister Harmonies 「The Alone Rush」
アメリカのエクスペリメンタルロック、レックマイスター・ハーモニーズの2018年作
J.R.ロビンソンによる個人プロジェクトで、本作は6作目となる。やわらかなシンセにジェントルな歌声を乗せ、
ギターやストリングス、ときに女性声がしっとりと絡む、アンビエントな空間性に包まれたサウンドから、
歪んだギターにドラムが加わると、轟音系ポストロックの感触になる。オルガンなどを含むシンセアレンジは
わりとプログレ寄りで、スペイシーなスケール感とともに、ミステリアスな妖しさも感じさせる。
14分という大曲も、いくぶんこもり気味の音質とともに、God Speed You! Black Emperorにも通じる
じわじわとくる不穏な迫力と、インプロヴィゼーション気味のサウンドスケープ感で感覚的に楽しめる。
ドラマティック度・・7 ポストロック度・・8 空間度・・8 総合・・7.5
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Wucan 「Sow the Wind」
ドイツのヴィンテージロック、ウーカンの2015年作
フルートが鳴り響き、アナログ感たっぷりのアンサンブルに、女性ヴォーカルの歌声を乗せた
PURSONやBLOOD CEREMONYなどに通じる、70年代回帰型のヴィンテージなサイケハード。
紅一点、フランシス嬢の歌声は、魔女めいた妖しさというよりは、よりロック寄りのパワフルさがあり、
吹き鳴らされるフルートも含めて、雰囲気としては「女性版Jethro Tull」という感じもある。
一方では、ギターがヘヴィな曲はBlack Sabbathからの影響も匂わせたり、曲によっては適度なサイケ感触もあって、
ハード過ぎずユル過ぎずというバランス感もよろしい。アルバムラストの15分を超える大曲もハードさは控えめで、
いくぶんプログレ的な展開力も覗かせる。日本盤ボーナスには2014年のデビューEPからの4曲を追加収録。
ドラマティック度・・8 ヴィンテージ度・・8 妖しさ度・・7 総合・・8
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WUCAN 「REAP THE STORM」
ドイツのヴィンテージロック、ウーカンの2017年作
前作もPURSONやBLOOD CEREMONYなどに通じる、70年代回帰型のヴィンテージな好作であったが、
2作目となる本作では、さらなる古めかしいサイケ感が強まっていて、アナログ感たっぷりのギターに
ハスキーな女性ヴォーカルの歌声を乗せて、のっけから10分におよぶヴィンテージ・ロックが炸裂。
フルートにギター、シタール、テルミンまでこなす、フランシス嬢のヴォーカルも、前作以上にはじけていて、
Jethro Tullばりに鳴り響くフルートに、どこかエキセントリックな世界観はサイケなプログレファンにも対応。
後半は、21分、18分というユルめの大曲で、これだけでもアルバム1枚くらいのボリュームという。全73分の力作。
ヴィンテージ度・・9 サイケハー度・・8 女性Vo度・・8 総合・・8
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YZ
YAHOWHA 13 「An Penetration An Aquarian Symphony」
アメリカのカルト教団、ヤホワ13の音楽作品。1974年作
1960年代カルフォルニアで誕生した宗教団体、本作は10分前後の大曲を中心にした全4曲の作品で、妖しい女性スキャットに
詠唱のような男性声、いかにもサイケらしいヨレ気味のギターをフリーキーに乗せた、ユルくて神秘的なサウンドを展開。
打ちならされるパーカッションに、ノイジーなギターが絡み、ドラムも加わったアヴァンギャルドな感触から、
ラストの大曲は、東洋的なギターのリフレインに口笛が吹き鳴らされる、スピリチュアルな空気感に包まれた聴き心地。
アッパーなノリは控えめなので、一般のリスナーには向かないが、怪しすぎるカルトなサイケを体験したい方はいかが。
サイケ度・・8 ロック度・・5 ユル度・・8 総合・・7.5
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YAHOWHA 13 「I'm Gonna Take You Home」
アメリカのカルト教団、ヤホワ13の音楽作品。1974年作
1960年代カルフォルニアで誕生した宗教団体で、教祖である、ファーザー・ヨッドを中心に菜食や動物愛護、
反戦および愛と平和を説き、音楽活動も熱心に行っていたという。70年代半ばに、ファーザーの事故死によって
教団は解散状態となるが、彼らの残した音楽作品はCD化され、密かに世に出回ることとなった。
そのサウンドは、ヨレ気味のギターにジェントルでヘタウマなヴォーカルを乗せた、まさしくカルトなサイケロックで、
妖しさぷんぷん。ドラムが入ってのダイナミクスと、詠唱めいた歌声とともに、恍惚として盛り上がるところは、
秘教系サイケの王道というべきか。しかし、これが案外に楽しめる。15分を超える大曲を含む力作なのです。
ドラマティック度・・7 サイケ度・・9 カルト度・・10 総合・・8
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Yahowha 13 「GOD AND HAIR」
アメリカのカルト教団、ヤホワ13のボックスセット。2005年作
ファーザー・ヨッドを中心にした、スピリチュアルなサイケ音楽を、CD13枚に収録した木箱入りの豪華仕様。
Disc1〜4までは、ファーザー・ヨッド&スピリット・オヴ'76の名義で、1973〜74年までの音源を収録。
詠唱めいたファーザーの歌声に、ユルめのギターとオルガン、女性コーラスも加わり、いかもアングラなサイケを展開。
Disc4だけは、男女ヴォーカルの牧歌的なフォーク風作品で、伸びやかな女性声メインのナンバーなども楽しめる。
Disc5〜9は、ヤホワ13としての1974〜75年の音源を収録。バンド編成でのサイケロック色を強めた作風で、
代表作はやはり、Disc7「宇宙貫通:宝瓶宮時代のシンフォニー」、Disc8「貴方を連れていきたい」あたりだろう。
Disc10には、1977年の全60分のサイケロック大作を、Disc11は、年代不明のユル系サイケ「宇宙船ヨッド・シップ号」を収録。
Disc12は信者でミュージシャンのスカイ・サンライト・サクソンによる音源集で、わりと普通のロック。Disc13は、1977年の未発音源を収録。
まさにカルトな音楽教団による怪しすぎるCDボックス。まともな人は決して手を出さぬブツだろうが、スピリチュアルなアナタはどうぞ。
スピリチュアル度・・9 カルト度・・9 サイケ度・・8 総合・・8
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Yahowha 13 「Magnificence in the Memory」
アメリカのカルト教団、ヤホワ13の2009年作
宗教活動のみならず音楽活動にも熱心であった教団で、本作はボックス未収録の1973〜74年の未発音源集。
ヨレ気味のギターと囁くような歌声をドラムに乗せて、妖しすぎる密教的なサイケロックを繰り広げる。
打ちならされるベースドラムに、ときに狂ったような雄たけびを上げるファーザー・ヨッドの歌声や、
ギターをバックにリズミカルに「南無妙法蓮華経」の念仏を唱えたり、ファーザーの口笛ナンバーなど、
斬新な(?)宗教サイケが広がってゆく。音質はややこもり気味であるが、よく聴くとバックの演奏には、
けっこうロック的な素養を覗かせており、スピリチュアルなカルト色と自然に融合されているのが凄い。
スピリチュアル度・・8 ロック度・・6 サイケ度・・8 総合・・7
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Year of the Cobra 「Ash and Dust」
アメリカのドゥームメタル、イヤー・オブ・ザ・コブラの2019年作
女性Vo&B、男性Drという2人組で、歪ませたヘヴィなベースの上に女性ヴォーカルを乗せて
どっしりとしたスローテンポの中にも浮遊感を描くような、ミステリアスなドゥームメタルを聴かせる。
ギターがあまり入らないのでメタル感はさほどないのだが、アップテンポのノリのナンバーなどもあって、
ガレージロック的な雰囲気も覗かせる。アンニュイな女性声とうねりのあるベースがコントラストになっていて、
ヘヴィでありながらも、どこか物悲しい妖しさにも包まれている。楽曲自体はわりと淡々としているので、
この手の雰囲気モノが苦手な方には退屈かもしれない。個人的にはこの世界観はなかなか好みです。
ドラマティック度・・7 ドゥーム度・・8 妖しさ度・・8 総合・・7.5
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Year Of The Goat 「The Unspeakable」
スウェーデンのハードロック、イヤー・オブ・ザ・ゴートの2015年作
70年代ルーツのヴィンテージなロック感触と、妖しく耽美な空気感を漂わせたサウンドで、
オルガンやメロトロンが鳴り響き、ジェントルなヴォーカルで聴かせるオールドなハードロック。
ヴォーカルの歌声は、HIMあたりを思わせる部分もあって、BLACK SABBATHがゴシック化したような雰囲気や、
厚みのあるトリプルギターとともに、LED ZEPPELINにも通じるキャッチーなロックナンバーなどもよい感じ。
冒頭の12分の大曲では知的な構築センスも感じさせつつ、ラストはドゥームロックの味わいで締めくくる。
オールドスタイルながら古臭すぎない骨太の感触で、ほどよいノリの良さとメロディアス性も含んだ好作品だ。
ドラマティック度・・7 ヴィンテージ度・・8 耽美度・・7 総合・・8
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yndi halda「enjoy eternal bliss」
イギリスのポストロックバンド、インディ・ハルダの2006年作
ヴァイオリン奏者を含む5人組で、静謐感をただよわせながら、ゆるやかな叙情を聴かせるサウンド。
全編歌なしのインストで、曲もどれも10分以上と長く、静かに盛り上がってゆくところは、
かつてのGod Speed You Black Emperorを思わせる雰囲気もある。
ただGSYBEに比べると、もっとメロディアスで難解なところがないぶん、耳心地がよく、
ランドスケープ・ロックともいうべき、自然な情景を描くような優しさがある。
ドラマティック度・・7 壮大度・・8 ゆったり叙情度・・9 総合・・8
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ZATOKREV 「The Bat the Wheel and A Long Road to Nowhere」
スイスのスラッジ/ドゥームメタル、ザトクレフの2012年作
ツインギターの轟音リフを主体にした重厚なサウンドに、ダミ声ヴォーカルが響き渡る。
ミステリアスなスケール感はポストロック的でもあり、サイケドゥーム的な雰囲気は
MINSKあたりにも通じるだろう。つまり知的でプログレッシブなセンスが見え隠れする。
9分、10分という大曲も多いので、気の短い方には向かないが、
どっしりとしたヘヴィネスに包まれた迫力たっぷりの聴き心地です。
ドラマティック度・・8 ドゥームサイケ度・・8 重厚度・・8 総合・・7.5
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