ゴシックメタル
〜Gothic Metal, Funeral Doom
        by Tosei Midorikawa

掲載バンドはABC順になっています

M XY

■CDの評価に関しては、個人的嗜好が反映されることもあり、納得のいかない評価もあるかと思いますが、どうかご了承ください。

*ゴシックメタル名作特集   音楽ページTOP 


*非メタル系ゴシック & ダークアンビエント系はこちら

A

Adagio 「Romantic Serenades」
ブラジルのゴシックメタル、アダージョの1999年作
叙情的なギターの旋律に、ストリングスのような艶やかなシンセを重ね、低音デスヴォイスとともに
初期MY DYING BRIDEなどに通じる、メランコリックなゴシック・ドゥームメタルを聴かせる。
ゆったりとしたナンバーを主体にしつつ、ほどよいミドルテンポのノリもあり、メロウなギターのフレーズと
美しいシンセアレンジが優雅な叙情性を描き、ときに儚げな女性ヴォーカルも加わったいかにも耽美な世界観は、
これぞゴシックメタルという雰囲気だ。バンドは2001年に、いくぶンアグレッシブになった2作目を残して消える。
ドラマティック度・8 ゴシック度・8 耽美度・9 総合・8

Adagio 「The Birth of Misery」
ブラジルのゴシック・ドゥームメタル、アダージョの2001年作
1997年の1作目は女性声入りのゴシック寄りのサウンドであったが、本作ではクラシカルなシンセと重厚なギターに
男性ダミ声ヴォーカルを乗せた、耽美なドゥームメタルを聴かせる。叙情的な泣きのギターフレーズに
ピアノを含む優美なシンセワークが重なると、ゴシック・メロデス的な味わいで、喚き声を除けばわりと聴きやすい。
ここに女性声が加われば、1st以上の耽美派ゴシックメタル作品になったと思うのだが。叙情派ドゥームデスとしては悪くない出来です。
ドラマティック度・7 耽美度・8 叙情度・7 総合・7.5 

A Dream of Poe 「The Mirror of Deliverance」
ポルトガルのゴシックメタル、ドリーム・オブ・ポーの2011年作
マイルドなヴォーカルの歌声と、ツインギターで聴かせる、なかなか叙情的な作風。
ポルトガルのゴシック系というとMoonspellが思い出されるが、こちらはもっと牧歌的な感触で、
とくにギターのメロウな旋律が魅力的でゆったりと耳心地よく浸れる。たまにデスヴォイスも加わるが、
7〜11分という長めの曲は倦怠的でのんびりとしている。気の短い方には向かない系の好作。
ドラマティック度・・7 のんびり度・・9 叙情度・・8 総合・・7.5


AD VITAM AETERNAM「ABSTRACT SENSES」
フランスのゴシックメタルバンド、アド・ヴィタム・エターナムの2004年作
男女ヴォーカルの歌声と、壮麗なシンセアレンジで聴かせる、シンフォニックかつ耽美なゴシックメタル。
ソプラノ女性ヴォーカルの歌声も美しく、デス声との対比が美と醜のコントラストを作り出していて、
全体的に「ゴシックメタルかくあるべし」、という絶妙の王道ゴシックサウンド。
ギターの煽情フレーズもなかなかよろしく、美麗なキーボードとの絡みは、
ハンガリーのEVEN SONGあたりを思い出すセンスの良さだ。掘り出し物です。
シンフォニック度・・8 ゴシック度・・8 女性Vo度・・8 総合・・8
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AESMA DAEVA「THE EROS OF FRIGID BEAUTY」
アメリカのゴシックメタルバンド、アエスマ・ダエヴァの2nd。2001作
メンバークレジットを見ると、女性Vo、シンセ、ギターなどの他にトランペットやヴァイオリン、
フルートにトロンボーン、はてはフレンチ・ホーンなどというゲストもいる。
肝心のサウンドの方は、クラシカルな雰囲気だがメタル色もあり、シンセやピアノ、
場面によってそれぞれの楽器が鳴る中を、夢見がちな女性の歌声が響くというもの。
プロダクションが甘く、レコーディングのせいか楽器数のわりに音の広がりが少ないのが残念。
意気込みと中世風の壮大な世界観は伝わってくるので、あとは曲のアレンジと録音にお金をかけて欲しい。
シンフォニック度・・7 中世風クラシカル度・・9 女性Vo度・・7 総合・・7
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AESMA DAEVA「THE NEW ATHENS ETHOS」
アメリカのゴシックメタルバンド、アエスマ・ダエヴァの3rd。
ダークでクラシカルな雰囲気に、女性Voの怪しげな歌唱。
相変わらずドラムは打ち込みだが、前作よりもギターの使用度が高いか。
ソプラノVoの歌唱も悪くないし、壮大で崇高な世界観を描こうとしているのはいいが、
この手の雰囲気ものとしては、まだまだ音に説得力がともなっていない気がする。
途中トランベットやフルートなども入り、プログレ的な構成もなかなか面白いのだが、
やはり録音の弱さで、全曲聴き通させるだけのパワーが音にないのが残念。
荘厳度・・7 ゴシック度・・8 サウン度・・7 総合・・7
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AESMA DAEVA「Dawn of the New Athens」
アメリカのゴシックメタルバンド、アエスマ・ダエヴァの4th。2007作
これまでは神秘的なゴシックサウンドながらリズムが打ち込みであったのだが、
本作ではドラマーも加入しバンド態勢となったことで、メタリックな質感が増した。
コンセプト的には前作「THE NEW ATHENS ETHOS」の続編らしく、
妖艶なソプラノ女性ヴォーカルの歌声を軸に、どこか頽廃的な世界観を描き出す。
クラシカルでオペラティック、そしてときに演劇でもあるようなサウンドは、
ややドゥーミィで煮え切らないマニアックな感触もありつつも、なかなか魅力的だ。
クラシカル度・・8 ゴシック度・・8 女性Vo度・・8 総合・・7.5
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AFTER DARK
ドイツのゴシックメタル、アフター・ダークの2004年作
女性ヴォーカルかと勘違いしそうなジャケですが、残念ながらヴォーカルは男性です。
シンセにトリプルギターを含む6人編成で、重厚なギターにモダンなシンセアレンジと
ダミ声ヴォーカルを乗せたスタイルで、インダストリアルなヘヴィさとメランコリック性が合わさった感触。
To/Die/ForEntwineなどに通じる、キャッチーでスタイリッシュなゴシックロック風味もありつつ、
ドイツ語で歌われるナンバーなどは、ゲルマンな力強さと、モダンなヘヴィネスも感じさせる。
楽曲は3〜4分台と比較的シンプルで、適度にノリのあるナンバーも多いので普通に聴きやすいのだが、
ゴシックメタルとしての耽美な暗さという点では物足りないか。むしろ、ゲルマンなゴシックロックというべきだろう。
ドラマティック度 ゴシック度・・7 ゲルマン度・・8 総合・・7
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AFTER FOREVER「Prison of Desire」
オランダのゴシックメタルバンド、アフター・フォーエヴァーの1st。2000年作
フロール・ヤンセン嬢のオペラティックな歌声に男性デス声が絡み、
美麗なシンセアレンジとともに聴かせる正統派のゴシックメタルサウンド。
のちのEPICAにも通じるクラシカルで荘厳な世界観にも引き込まれる。
3rd以降は良くも悪くもメロディックになりクオリティも上がるのだが、
マーク・ヤンセンが在籍した初期の耽美な路線にも捨てがたい魅力がある。
クラシカル度・・8 ゴシック度・・9 女性Vo度・・8 総合・・8
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AFTER FOREVER「DECIPHER」
オランダのゴシックメタルバンド、アフター・フォーエヴァーの2nd。2001年作
1stの段階から耽美派ゴシックメタルとして相当の完成度を持っていたバンドだが、
この2ndでは女性Voをフロントに押し出し、よりクラシカルで格調高いサウンドとなっている。
ヴァイオリンやオーボエの使用など、室内楽的クラシカルさにも嘘臭さは無く、
こうした本格派の要素はむしろプログレファン向けの音作りともいっていいかもしれない。
ソプラノ女性ヴォーカルの歌唱もオペラチックでかなりの実力がある。
クラシカル度・・8 ゴシック度・・9 女性Vo度・・8 総合・・8
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AFTER FOREVER「Exordium」
オランダのゴシックメタルバンド、アフター・フォーエヴァーのミニアルバム。2003作
3rd「INVISIBLE CIRCLES」の前に出された音源で、当時の新曲4曲にカヴァー2曲という構成。
まさにバンドとして充実の時期にあるサウンドらしく、耽美なシンフォニックさとゴシックメタルとしての
重厚さを含めてセンスよく仕上げられている。フロール嬢の堂々たるソプラノヴォイスもさすが。
付属のDVDにはビデオクリップやメイキング、レコーディング風景などの映像を収録。
シンフォニック度・・8 ゴシック度・・8 女性Vo度・・8 総合・・8
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AFTER FOREVER「INVISIBLE CIRCLES」
オランダのゴシックメタルバンド、アフター・フォーエヴァーの3rd。2004年作
1stからクオリティの高い、ゴシックメタルアルバムを作り続けていたこのバンド、
この3rdにしてさらにクラシカルに、シンフォニックに、王道のゴシックメタルを突き進んでいる。
説得力を増したフロール・ヤンセン嬢の絶品のソプラノヴォイスに、咆哮するデス声とのコントラストも鮮やかで、
静と動、美と醜という、楽曲のメリハリの面でも過去最高の仕上がり。クラシカルなストリングスの音色が
サウンドを盛り上げつつ、ギターリフはしっかりとメタルしていて、全体的に重厚さを保ちながら
「現代の家族の愛憎」というシリアスなコンセプトを練り上げている。素晴らしい傑作だ。
シンフォニック度・・8 ゴシック度・・8 女性Vo・・8 総合・・8 ◆メタル名盤特選入り
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AFTER FOREVER「REMAGINE」
オランダのゴシックメタルバンド、アフター・フォーエヴァーの4th。2005年作
前作のシリアスなコンセプト作の完成度には目を見張るものがあったが、
今作はジャケの雰囲気からして耽美派ゴシックから一歩踏み出したようなイメージだ。
オペラティックなフロール嬢のヴォーカルは、オーケストレーションとコーラスの中でいっそう堂々とした光を放ち、
楽曲はクラシカルな質感を残しつつも、デジタリィでモダンなキーボードアレンジとヘヴィな音像によって、
型にとらわれないシンフォニックメタルサウンドを作り出すことに成功している。
初期の薄暗い雰囲気はなくなりつつあるが、ある意味、NIGHTWISHに近い聴きかたが出来るバンドになった。
シンフォニック度・・8 ゴシック度・・6 女性Vo度・・8 総合・・8
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AFTER FOREVER
オランダのゴシックメタルバンド、アフター・フォーエヴァーの5th。2007年作
初期の耽美なゴシック世界から前作ではモダンなアレンジにシフトをしてNIGHTWISH化を感じさせたが、
続く今作ではセルフタイトルを冠したことからも、いわばバンドの集大成的な内容といえる。
彼らの特徴であるシンフォニックかつダイナミックなオーケストラルなアレンジは健在で、
前作でのモダンさを残しつつも、重厚でメタリックな味わいをしっかり感じさせてくれる。
それにともないフロール嬢のヴォーカルはいよいよオペラティックな説得力を増し、
かつてのNIGHTWISHのターヤ並みの存在感を放っている。
音の厚みと壮麗な美しさで聴かせる、シンフォニックゴシックメタルの傑作アルバムだ。
シンフォニック度・・9 壮麗度・・9 女性Vo度・・9 総合・・8.5
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AHABThe Call of the Wretched Sea
ドイツのドゥームゴシックメタルバンド、エイハブの2006年作
エイハブ船長をバンド名にしていることからも、「白鯨」をテーマにしたアルバムらしい。
MIDNATTSOLのメンバーも参加しているということだが、こちらはゴシックというよりは
ヘヴィなギターリフと低音デスヴォイスが響きわたる、スローでドゥーミーなサウンド。
曲はほとんどが10分以上の大曲で、どれも沈み込むような重さと暗さがあるフューネラルスタイルだ。
しかしただヘヴィなだけでなく、暗がりの中にかすかな叙情性を有しているので、
絶望的なドゥームメタルでありながらも、どこか物語的な幻想美が感じられる。
この鬱屈としたサウンドに身を浸せるかどうかで、好き嫌いが別れる作品だろう。
メロディアス度・・7 ドゥーム度・・8 暗黒度・・8 総合・・7.5
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AHABDivinity of Oceans」
ドイツのドゥームゴシックメタルバンド、エイハブの2009年作
「白鯨」の船長をバンド名に、沈み込むようなフューネラルドゥームを聴かせるこのバンド、
本作もゆったりとしたヘヴィさと、ダークなもの悲しさをたたえたドゥームメタルサウンドだ。
絡みつくようなギターリフに唸りのようなデスヴォイスが重なりつつ、
スローテンポの曲調の中に、どこか幻想的なムードをかもしだしている。
ギターのフレーズにはメロディを感じさせるので、ダークながらも案外聴きやすい。
暗黒の海、絶望の航海、恐ろしげな海の怪物、そんなものをイメージできる作品だ。
ドラマティック度・・8 ドゥーム度・・9 暗黒度・・9 総合・・8
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AHAB 「Giant」
ドイツのドゥームメタル、エイハブの2012年作
「白鯨」のエイハブ船長の名からとったこのバンド、3作目となる本作はゆったりとした
叙情的なポストプロクレ風味から始まるが、ツインギターのヘヴィなリフとともに
恐ろしげな低音デスヴォイスが加わると、そこからとたんに絶望的な世界観へと変わる。
スローなフューネラル・ドゥームでありながら、随所にメロウなギターフレーズが入ることで、
ゴシックドゥーム的な味わいもあり、ヨーロピアンな闇というか、暗黒の海原へ引きずり込まれるような、
おどろおどろしさが魅力である。静かな叙情パートを織り込みつつ、10分前後の大曲を中心に聴かせる力作。
ドラマティック度・・8 ドゥーム度・・9 暗黒度・・9 総合・・8
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AHAB「The Boats of the Glen Carrig 」
ドイツのゴシック・ドゥームメタル、エイハブの2015年作
「白鯨」のエイハブ船長をバンド名に、4作目となる本作も、ゆったりとしたポストプログレ風味のイントロから、
重厚なギターリフに迫力ある低音グロウルヴォイスを乗せた、フューネラルなドゥームメタルが展開される。
ダークなヘヴィネスの一方で、物悲しい叙情パートでは、マイルドなノーマル声ヴォーカルとともに
やわらかな浮遊感を描いていて、暗黒の深海にうっすらと光が差し込むかのような聴き心地だ。
5曲中、4曲が10分超えという大作志向で、気が短い方には向かないが、どっしりとした重厚な説得力と、
ミステリアスな空気感に包まれた、スケール感のある海洋ドゥームメタルが味わえる力作だ。
ドラマティック度・・7 ドゥーム度・・8 重厚度・・9 総合・・8 
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AKIN「VERSE」
フランスの男女Voゴシックメタルバンド、アキンの2001年作
エレゴシック一歩手前のかなり聴きやすい演奏に女性Vo+デス声というサウンド。
ギターはかなり煽情的なフレーズを奏で、アコギやフルート、シンセなどもよい味を出している。
メタル色の薄い(ザクザクリフがあまり出て来ない)楽曲にデス声が必要なのかどうか、
という論議もできそうだが、ゴシック色の維持という点では多少の効果はある気もする。
あとは曲自体の展開に工夫を凝らして欲しいが、このまま「聴きやすい女声メタル」を
追求していって第二のTHE GATHERING、PALE FORESTを目指すのもよろしい気もする。
聴いていてやはりアコースティック系のセンスが良いのでこうした「引き」の音を伸ばしてほしい。
メロディアス度・・8 ゴシック度・・6 女性Vo度・・8 総合・・7.5

AKIN「FORECAST EP」
フランスの男女Voゴシックメタルバンド、アキンのミニアルバム。2003作
新曲3曲に、1stからのリメイク2曲、カヴァー1曲(MOONSPELL)という内容。
方向性、男女Voのゴシックとしてはなかなかの出来だった1st「VERSE」に比べ
もう少しモダンなアプローチで、曲によってはむしろプログレ的な軽やかさもある。
美声の女性Voをメインに、ゴシックというよりはアンビエントなロックという方向に
ゆきつつあるようで、こうなるとデス声の出番も必然的に減ってしまうのだろう。
2ndフルでどうなるのかが、楽しみであり、少々不安でもある。
メロディアス度・・7 ゴシック度・・7 女性Vo度・・8 総合・・7.5
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AKINWay Things End」
フランスのゴシックメタルバンド、アキンの2011年作
フルアルバムとしては10年ぶりとなる2作目。サウンドの方はメタル色は薄まり
2003年のミニアルバムの延長上と言える、モダンでプログレ的なアプローチが強まった。
艶やかなストリングスの音色も美しく、クラシカルでお洒落なゴシックロックという趣で、
キュートな女性ヴォーカルの歌声とともに、アンニュイな叙情を表現している。
ゴシックメタルというよりも、むしろPaatosWHITE WILLOWなど、
プログレ方面の女性Vo好きリスナーにもアピールする内容だろう。
クラシカル度・・8 ゴシック度・・7 女性Vo度・・8 総合・・8
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Akoma 「The Other Side」
デンマークのシンフォニックメタル、アコマの2012年作
6曲入りのデビューEP。美麗なシンセアレンジに美しいソプラノ女性ヴォーカルの歌声で聴かせる、
WITHIN TEMPTATIONなどに通じる、ゴシック寄りの優美なシンフォニックメタルを聴かせる。
タニア嬢の歌声は、Leaves' Eyesのリブ・クリスティンを思わせるなよやかな美声で、
物憂げな浮遊感も漂わせつつ、しっとりとした耳心地にウットリとなる。メタリックなヘヴィさよりも
オーケストラルなシンフォニック性と、魅力的な女性声を前に出した作風が見事にハマっている。
シンフォニック度・・8 ゴシック度・・7 女性Vo度・・8 総合・・8
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AKOMA 「REVANGELS」
デンマークのシンフォニックメタル、アコマの2017年作
美麗なアレンジに美しい女性ヴォーカルを乗せ、適度なヘヴィさを含んだシンフォニックメタルで、
WITHIN TEMPTATIONLeaves' Eyesにも通じるような翳りを帯びた叙情性を含んだサウンド。
紅一点、ターニャ嬢の歌声はやわらかな優しさと表現力あるソプラノで、楽曲に優雅な世界観を付加している。
楽曲そのものには、派手なインパクトないのだが、その分、ゴシックメタル寄りの耳でも楽しめる。
この手としては、久々に期待のバンド登場です。元Leaves' Eyesのリブ・クリスティンがゲスト参加。
シンフォニック度・・8 優雅度・・8 女性Vo度・・8 総合・・8
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ALAS「ABSOLUTE PURITY」
MORBID ANGEL〜HATE ETERNALのギタリスト、エリック・ルータンによるゴシックメタルバンド、アラスの2001年作
ゆったりしたメロデス系ギターリフの上にTHERIONへも参加したソプラノ女性シンガーが歌を乗せる。
その美しいオペラティックな女性声は曲に優雅な浮遊感をもたらししていて、バックのへヴィギターとコントラストになっている。
キーボードはほとんど使用されず、あくまでギターリフが中心なこともあり、曲展開は意外とあっさり目で、
ゴシックというよりは少し単調なメロデス風というべきか。そこに天上の美声ソプラノというミスマッチ感が面白いといえなくもない。
メロディアス度・・7 ゴシック度・・7 女性Vo度・・8 総合・・7.5
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Aleah
フィンランドの女性シンガー、アレアの2020年作
2016年に他界したTREES OF ETERNITYのヴォーカル、Aleah Starbridgeの未発音源をCD化したもので、
アコースティックギターにしっとりとした彼女の歌声を乗せた、アンビエントなサウンドを聴かせる。
シンセなどのアレンジがほとんどないため、透明感のある物悲しいヴォーカルの魅力がダイレクトに伝わり、
涼やかな北欧の空気に包まれたネオフォークとしても楽しめる。Disc1は、ロック、メタル色は皆無なので、
ゴシックメタルのファンが聴くには少々つらいかもしれないが、Disc2の方は、シンセやギターを加えた、
優美で幻想的な女性声ゴシックロックという雰囲気が味わえる。いまは亡き、Aleah嬢の歌声に涙である。
メタル度・・1 ゴシック度・・6 女性Vo度・・8 総合・・7.5
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ALIGHT「Dont Fear The Revenge」
イタリアのゴシックメタルバンド、オライトの2010年作
Tristaniaのマリアンジェラ嬢がかつて在籍していたというバンドで、
モダンなシンセワークをたっぷり盛り込んだ、シンフォニックなゴシックメタル。
デジタリイなエレクトロ風味と、ヘヴィなギターが面白いコントラストとなっていて、
まだ10代というサビーナ嬢の歌声は、表現力という点ではまだまだだが、
ナチュラルな魅力があって今後が楽しみである。あとはメロディ、楽曲の魅力と
全30分強という短さがアルバムとしてはやや物足りないか。さらなる成長に期待。
シンフォニック度・・8 エレゴシック度・・8 女性Vo度・・7 総合・・7.5
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ALIGHT 「SPIRAL OF SILENCE」
イタリアのゴシックメタル、オライトの2018年作
前作から9年ぶりとなる2作目で、適度にヘヴィなギターとモダンなシンセアレンジに、
美しい女性ヴォーカルの歌声で聴かせる、キャッチーなゴシックメタルサウンド。
ゴシック的な耽美さとモダンなヘヴィロック感触が同居していて、3〜4分前後の楽曲は、
わりと普通に聴きやすいのだが、重厚さやシンフォニック性の点では物足りなさがあり、
全体的にも引っ掛かりのある曲が少なく、可もなく不可もなくという中庸感が漂っているのが惜しい。
CATIA嬢の伸びやかな歌声は、けっこう魅力的なので、あとは楽曲の深みが増せばと思う。
ドラマティック度・・7 ゴシック度・・7 女性Vo度・・8 総合・・7.5
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All Ends
スウェーデンの女性Voメタルバンド、オール・エンズの2008作
二人の女性ヴォーカルを擁するメジャー感のあるゴシック風ハードロック。
もともとIN FLAMESのイェスパーが中心となって結成されただけあって、
時折聴かせるライトなメロデス風のツインギターもなかなか魅力的だ。
しかしながら、サウンドにはキャッチーな歌メロを中心にしたコンパクトさがあり
メタルのみならずモダンなヘヴィロック系のリスナーにもアピールするものがある。
個人的にはもう少しゴシック的な叙情が欲しい気はするが、安心して聴ける質の高さはある。
メロディアス度・・8 ゴシック度・・7 女性Vo度・・8 総合・・7.5
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ALL ENDSA Road to Depression」
スウェーデンの女性Voメタルバンド、オール・エンズの2nd。2010年作
もともとIN FLAMESのイェスパーとビヨルンが中心となって結成されたバンドで、
前作は二人の女性ヴォーカルを擁するゴシック風味のハードロックであった。
本作では、女性Voの片方が交代しているが、サウンド的には大きな変化はない。
ゴシックというよりはもっとメジャー感のある、ヘヴィロック/ハードロックで、
適度にシンセによるモダンな味付けがなされている。楽曲には前作以上の叙情があり、
二人の女性ヴォーカルの歌声も含めて、アルバムとしてのクオリティを高めている。
メロディアス度・・8 ハードロック度・・8 女性Vo度・・8 総合・・8
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AMARAN「A WORLD DEPRAVED」
スウェーデンの女性Voゴシックメタルバンド、アマランの1st。2002作
ゴリゴリのヘヴィメタリックなギターリフにアンニュイ系の女性Voの歌が乗るサウンド。
この重厚さはゴシックというよりは、ある意味デスメタルに通じる演奏である。
かつてのTHE GATHERINGに通じるイメージだが、このザクザク感はずっとメタル的。
ただ曲の盛り上がりや展開は薄く、淡々としていていさぎよく終わってしまうので、
シンフォニックなゴシックを求める向きには物足りないかもしれない。
これで女性Voがアネク嬢並に魅力的になればずっと良くなると思う。
メロディアス度・・6 ヘヴィ度・・8 女性Vo度・・7 総合・・7.5
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AMARAN「PRISTINE IN BONDAGE」
スウェーデンのゴシック・デスメタルバンド、アマランの2nd。2003作
ヘヴィなギターに美しい女性ヴォーカルの歌声、咆哮するデス声が合わさり、ゴシック要素を持ちながら
デスメタルとしてのアグレッションも感じさせるサウンドは前作からの延長上にある。
ツインギターが時にメロディアスなフレーズを奏でる様は、ゴシック、デス云々を別にしても
メタルとして普通にかっこよく、このバンドの場合、多くのゴシック系バンドのように
女性Voのみを看板にしている訳ではないということが改めて窺い知れる。
聴き易いメロデスとして、またはアグレッシブなゴシックメタルとしてもお薦めできる。
メロデス度・・8 ゴシック度・・7 女性Vo度・・7 総合・・8
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Amartia「Delicately」
フランスのゴシックメタルバンド、アマルティアの2009年作
これが3作めらしい、女性Voにツインキーボード入りの5人組み。
シンフォニックでプログレ的な味もあるシンセと、女性ヴォーカルを中心に
アンニュイな雰囲気で聴かせるサウンド。それなりにメロディアスで
耳触りはいいのだが、曲自体がどうも盛り上がりに欠けていて煮え切らない。
もっとプログレにするのか、ゴシック的にするのかというのが曖昧な感じで、
いわばこのけだるげな感じがフランスらしいともいうのかもしれないが、
聴いていてどうにももどかしくなる。女性声も含めてそれなりに魅力はあるのだが。
シンフォニック度・・8 ゴシック度・・7 女性Vo度・・7 総合・・7

Anabantha 「Letanias Capitulo II」
メキシコのゴシックメタル、アナバンサの2007年作
2001年にデビューし、5作目となる。なよやかな女性ヴォーカルとシンセによるイントロから耽美な空気に包まれ、
メタリックなギターにデスヴォイスも加えて、わりとハードな疾走感も含んだ、緩急あるゴシックメタルを構築する。
スペイン語による女性ヴォーカルは艶めいた魅力があり、ゆったりとしたナンバーでも伸びやかな歌声が引き立っており、
「オペラ座の怪人」のカヴァーなどもなかなかハマっている。美麗なシンセにほどよいクサメロ感を覗かせるギターなど、
Dreams Of Sanityのような、マイナー系ゴシックメタルとしてのポイントも高く、
ドラマティック度・8 ゴシック度・8 女性Vo度・8 総合・7.5
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ANATHEMA「Serenades」
イギリスのゴシックメタルバンド、アナシマの1st。1993作
ヘヴィなギターリフと咆哮するわめき声ヴォーカル、スローで重く、暗いサウンドは、ゴシックというよりはドゥームメタル。
最近のきらびやかなバンドの音に慣れたリスナーにとっては退屈だろうが、かつてゴシックメタルとは
まさにこういうサウンドだったのだ。当時としては斬新な女性Voを導入した曲はアルバム中でも異色で美しい。
メロディアス度・・7 ゴシック度・・8 ドゥーム度・・8 総合・・7.5

ANATHEMAThe Silent Enigma
イギリスのゴシックメタルバンド、アナシマの2nd。1995作
1stの時点ではドゥームメタル系のサウンドであったが、この作品から音に耽美な質感が加わりはじめ、
ずいぶん聴きやすくなっている。ドゥーム系の雰囲気はまだ残しているが、曲の作りにメリハリがついて、
彼らの目指す世界観が明確になったことも聴きやすさの一因だろう。次作に比べてまだシンセは控えめなので、
メロディアスな美しさにはやや欠けるが、ダミ声ヴォーカルとともにブラックメタル的な怪しい迫力を感じさせる。
3rd以降のどんどんソフトになってゆくサウンドよりも、本作を好むファンがいるのもうなずける。
メロディアス度・・7 ゴシック度・・8 ドゥーム度・・8 総合・・8
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ANATHEMA「ETERNITY」
イギリスのゴシックメタルバンド、アナシマの3rd。1996作
1stを聴いたときはどうもぴんと来なかったのだが、本作はイントロにおけるピアノからして美しく、
全体的にもシンセの頻度が上がったことで、ギターとの重なりで音の厚みがぐっと増している。
サウンドの空間的な広がりと音の説得力という点でも、バンドとしての自信がみなぎっており、
そこに乗るもの悲しい男声のヴォーカルとともに、メランコリックなゴシックサウンドを見事に構築している。
PARADISE LOSTと同様、英国的な翳りある情緒が音に感じられるのもいい。英国ゴシックメタルの代表作だ。
メロディアス度・・8 ゴシック度・・9 英国度・・8 総合・・8
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ANATHEMA「Alternative 4」
イギリスのゴシックメタルバンド、アナシマの4th。1998作
3rd「ETERNITY」にて美しさで聴かせる耽美派ゴシックの傑作を作り上げた彼ら。
続くこの4作目は、さらにそのやわらかな感触を押し進め、マイルドかつ倦怠の美で聴かせるサウンドへと変わりつつある。
イントロの美しいピアノから引き込まれるが、全体的にもいシンセを上手く使った
ややモダンなアレンジで、英国的なもの悲しくもゆるやかな叙情を聴かせてくれる。
メタル色はかろうじて残っている程度だが、バンドにとってこの深化は自然だったのだろう。
メロディアス度・・8 ゴシック度・・8 ゆるやか叙情度・・9 総合・・8
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ANATHEMA「Judgement」
イギリスのゴシックロックバンド、アナシマの5th。1999作
4th「Alternative 4」ではメタリックな要素を薄め、倦怠の叙情を聴かせるゆるやかなサウンドへと進化をとげ、
本作ではさらにその路線を押し進めている。ここで聴けるのはもはやゴシックというよりは、薄暗さのあるポストロックという趣で、
マイルドなヴォーカルにうっすらとしたシンセ、そしてメロウなギターフレーズで聴かせる
静かな楽曲は、メタルというよりはむしろプログレの質感に近いかもしれない。
Porcupine Treeへとつながる、英国の薄暗系ロックとして楽しめるアルバムだ。
メロディアス度・・8 ゴシック度・・6 ゆるやか叙情度・・8 総合・・8
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ANATHEMA「A Fine Day to Exit」
イギリスのゴシックロックバンド、アナシマの6th。2001作
ここに来てメタル色はほぼなくなり、むしろプログレ的なサウンドになった。
ヴォーカルの歌声もやわらかくなり、浮遊感のあるシンセとギターを中心に
ゆったりと聴かせるブリティッシュロックとでも言うべき雰囲気である。
しかしながら、彼らならではのほの暗い叙情性はちゃんとあり、
これはこれでちゃんと楽しめる世界観がある。しっとりと耳に心地よいこの音は、
案外PORCUPINE TREE系のリスナーなどにも勧められるものがあるかもしれない。
メロディアス度・・8 ゴシック度・・6 ゆるやか叙情度・・9 総合・・8
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Anathema 「Resonance」
イギリスのゴシックロックバンド、アナシマの2001年作
1993年にデビュー、初期のドゥーミィな路線から、しだいにメロディアスに、そして脱メタルをも果たし、
4th以降はむしろプログレのリスナーにも楽しめる、マイルドな薄暗い叙情ロックとなっているが、
本作は未発曲やアコースティックバージョン、ライブ音源などで構成されたベストアルバム的になっている。
繊細なアコースティックギターをうっすらとしたシンセが包み、はかなげな女性ヴォーカルの歌声が美しい。
PINK FLOYDのカヴァーも含めて、企画ものとは思えないトータルな静謐感が楽しめる好作だ。
ゴシック度・・7 メタル度・・1 しっとり繊細度・・9 総合・・8
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Anathema「A Natural Disaster
イギリスのゴシックロックバンド、アナシマの7th。2003作
4thあたりからメタル度を減らし、浮遊感を漂わせたメランコリックな作風へと変化、
本作もほの暗い叙情を含んだゆったりとした聴き心地のサウンドで、
プログレ方面にもアピールする内容だろう。マイルドなヴォーカルの歌声に、
ときにメロウな旋律も奏でるギター、曲によっては女性ヴォーカルや
シーケンサー的なシンセアレンジも含んで、アルバムとしてのメリハリもある好作品だ。
メロウ度・・8 メタル度・・5 叙情度・・8 総合・・8
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ANATHEMA「Hindsight」
イギリスのゴシックロックバンド、アナシマの2008年作
4th以降はメタル度を減らしたマイルドな作風へと進化してきたこのバンド、
本作は既存曲をアコースティカルにアレンジした作品で、雰囲気としては
完全に薄暗系プログレのサウンドになっている。もの悲しいチェロの響きに
アコースティックギターとピアノが重なり、ヴォーカルの歌声がマイルドに広がる。
MARILLIONあたりのファンにも楽しめる繊細な作品だ。
ドラマティック度・・8 薄暗度・・9 繊細度・・9 総合・・8
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ANATHEMA「We're Here Beacuse We're Here」
イギリスのゴシックロックバンド、アナシマの2010年作
初期のゴシックメタル路線から、しだいにゆるやかな浮遊感をまとったプログレ的な色合いを深め、
5th以降はPorcupine Treeにも通じるような薄暗系のマイルドな作風を確立したこのバンド。本作は
2008年の「Hindsight」以来となる9作目で、ミックスはPorcupine Treeのスティーブ・ウィルソンが手がける。
サウンドにはもはやメタル色はいっさいなく、ゆるやかな叙情で聴かせるマイルドな英国ロックという趣。
ジャケのイメージのように光を感じさせる爽やかさで、女性コーラスとうっすらとしたシンセが優しく包み込む。
どう考えてもプログレコーナーに置いた方がいいような内容ですな。じつに美しい作品だ。
メロウ度・・9 メタル度・・3 叙情度・・9 総合・・8
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AnathemaWeather Systems
イギリスのメランコリックロック、アナシマの2012年作
初期のゴシックメタル路線から、ゆるやかな浮遊感をまとった作風へと進化し、
もはやメタルというよりは、マイルドな英国プログレロックというべきこのバンド。
本作も、前作までの路線に引き続き、ゆるやかな美しい叙情を聴かせてくれる。
ときに女性ヴォーカルの歌声も含んだ聴き心地はしっとりと耳に優しく、
ストリングスの優雅なアレンジなど、繊細な叙情性がさらに際立っている。
8〜9分という大曲もあり、どう考えてもプログレ側のリスナー向けだろう。
メロウ度・・9 メタル度・・2 叙情度・・9 総合・・8
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ANATHEMA 「Universal」
イギリスのメランコリックロック、アナシマのライブ作品。2013年作
1993年にデビュー、初期のゴシックメタル路線からしだいに浮遊感をまとったポストプログレ路線へと
変化を遂げたこのバンド。本作はブルガリアの古劇場で行われたライブステージを収録。CD+DVD
バックにはオーケストラを加え、アルバム以上にシンフォニックなスケール感に包まれたサウンドが楽しめる。
マイルドなヴォーカルに、2000年に加入した女性Vo、Lee Douglasの美しい歌声も重なって、
バックのストリングスとともにしっとりとゆるやかな叙情を描いてゆく。
繊細なダイナミズムというべき空間美はベテランならではの構築力といえるだろう。
これは素晴らしいライブ作品。DVDの映像も見れば感動もさらに増します。
シンフォニック度・・8 叙情度・・9 繊細度・・9 総合・・8.5
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ANATHEMA 「Distant Satellites」 
イギリスのメランコリックロック、アナシマの2014年作
もはやメタル枠で掲載するにははばかられる、しっとり系ポストプログレ系のサウンドなのであるが、
本作もマイルドな男性ヴォーカルに女性ヴォーカルを絡め、物悲しく薄暗い叙情性を描き出すスタイルで
シンフォニックなオーケストレーションが楽曲を包み込む。曲によってはリー嬢のヴォーカルをメインにした、
繊細な女性声シンフォという感じにも楽しめる。楽曲ごとに深みのあるスケール感を生み出すだけの
世界観が強く感じられ、単なる薄暗系プログレというにはとどまらない、ドラマティックな雄大さが素晴らしい
8分を超えるタイトル曲ではエレクトロなアレンジも含んだモダンさも覗かせる。バンドとしてのさらなる深化が窺える意欲作だ。
ドラマティック度・・8 繊細度・・9 叙情度・・9 総合・・8
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Anathema 「A Sort of Homecoming」
イギリスのゴシック/ポストプログレ/ロック、アナシマのライブ作品。2015年作
イギリスのリヴァプール大聖堂で行われた、アコースティックライブのステージを2CD+DVDに収録。
2014年作「Distant Satellites」は素晴らしい傑作であったが、本作ではその世界観を再現するべく、
アコースティックギターのつまびきに、美しい女性ヴォーカルの歌声でしっとりと聴かせつつ、
うっすらとしたシンセアレンジにマイルドな男性ヴォーカルとともに、やわらかなサウンドを描き出す。
大聖堂の音響効果もあってか、雄大で厳かな空気感もよろしく、随所にヴァイオリン、チェロも加わった
優雅な耳心地にはうっとりとなる。曲によっては、つい眠くなりそうなほど耳心地がよいのだが、
DVDで見ると、大聖堂の威厳あるたたずまいとともに、いっそう幻想的なステージが視覚的にも楽しめる。
ライブ演奏・・8 薄暗度・・8 しっとり繊細度・・9 総合・・8
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Ancient WisdomAnd the Physical Shape of Light Bled
スウェーデンのゴシック・ブラックメタルバンド、エンシェント・ウィズダムの2000年作
NAGLFARBEWITCHEDのメンバーによるプロジェクトということだが、詳細は不明。
ブラックというよりは、ゴシックメタル的な雰囲気で、ゆったりめのテンポで聴かせるサウンドで、
シンフォニックなシンセとメロディアスなギターの絡みがなかなかよろしい。
クラシカルなピアノなども効果的で、ゆったりと耽美な世界観を描きだしている。
北欧らしいメランコリックな質感はKATATONIAなどのリスナーにも楽しめるだろう。
メロディアス度・・8 耽美度・・8 メランコリック度・・8 総合・・8
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ANGEL「A WOMAN'S DIARY-CHAPTER T」
ノルウェーのゴシックメタルプロジェクト、エンジェルの2000年作
Voのヘレナ嬢はTRAIL OF TEARSの初代Voであり、現在はIMPERIAでも活動中。
サウンドの方はメタル色は抑えめで、アコースティックな要素もあるしっとりとしたシンフォゴシック系。
WITHIN TEMPTATIONLEAVES' EYESに負けじとこの路線で来たのかどうかは知らないが
曲は案外地味めなので、彼女の声のファンでないとややつらいかもしれない。
実力のある歌い手なので、それなりに聴かせてしまうが、上記のバンドに比べるとインパクトは弱いのは否めない。
ただ…どうしてもこのフェミニンなジャケにつられるリスナーも多いだろうが(笑)
ヘレナ嬢の喘ぎ声が聴けるGや、シアトリカルな狂気の混じったHあたりはある意味聴きどころ
シンフォニック度・・7 ゴシック度・・7 女性Vo度・・8 総合・・7.5
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ANGEL 「A Woman's Diary (The Hidden Chapter)」
ノルウェーのゴシックメタル・プロジェクト、エンジェルの2020年作
TRAIL OF TEARSの初代シンガーで、IMPERIAでも活躍する、ヘレナ嬢によるユニットで、
本作は、Motorhead、 Leonard Cohen、Sissel Kyrkjebo、Rick Emmett、Prince、Beth Hartなどの楽曲や
オペラのアリアなどをクラシカルにアレンジ、優美なピアノをバックに艶めいた歌声でしっとりと聴かせる。
バックはピアノのみであるが、ときにオペラティックに歌い上げるヘレナ嬢の歌唱の表現力はさすがで、
優雅で格調高い聴き心地。「虹の彼方へ」や「メモリー」のようなメジャーな曲から、わりとマイナーな曲まであるが、
どれも彼女の色で統一されていて、単なるメタルシンガーという以上のエモーショナルな歌声にゆったりと浸れる。
優美度・・9 メタル度・・0 女性Vo度・・9 総合・・7.5 
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ANGIZIA「DIE KEMENATTEN SCHARLACHROTER LICHTER」
オーストリアのアヴァンギャルド・ゴシック、アンギジアの1997年作
クラシカルなピアノにストリングスアレンジ、メタリックなギターにソプラノ女性ヴォーカル、
そこに男性喚き声ヴォーカルが絡む、優雅でブラッケンな異色のサウンドを描く。
優美なピアノの旋律にはクラシックの素養を感じさせ、繊細なフルートの音色なども美しいが、
女性声も含めたオペラティックな優雅さと、武骨なギターと男声が極端なコントラストになっていて、
結果として極端で大変アヴァンギャルドな聴き心地。クラシック、ゴシック、ブラックが同居したという異色作。
クラシカル度・・8 優雅度・・8 アヴァンギャル度・・8 総合・・8
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ANGIZIA「Das Tagebuch Der Hanna Anikin」
オーストリアのアヴァンギャルド・ゴシック、アンギジアの2nd。1997年作
クラシカルなピアノに、ブラック系の喚き声に美しい女性ソプラノヴォイスが絡み、
優雅さと暗黒性が同居した異色のサウンドは、DEVIL DOLLにも通じる誇大妄想的というか、
シアトリカルな雰囲気をかもしだしており、音にはややチープさがあるがつい引き込まれる。
室内楽風の軽やかなピアノに絡むメタリックなギター、というミスマッチ感覚も独特で
ときおり現れる優美なフルートなどもいい味を出している。オペラ風になる男女ヴォーカルといいい、
こけおどし感とクラシカルなテイストが混ざり合う、チェンバー・ゴシックロックの異色作である。
クラシカル度・・8 優雅度・・8 アヴァンギャル度・・9 総合・・8
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ANGIZIADas Schachbrett Des Trommelbuben Zacharias
オーストリアのアヴァンギャルド・ゴシック、アンギジアの3rd。1999年作
本作は、ドイツ語による艶めいた女性ヴォーカルの歌声をj前に出した、妖しく耽美な雰囲気が強まった。
ブラックメタル的なわめき声ではなく、LACRIMOSAのティロ・ウルフのようなシアトリカルな男性声との掛け合いに、
クラシカルなピアノ、ヴァイオリンが艶やかに鳴り響く。ダクマー・クラウゼがDEVIL DOLL化したようなイメージで、
武骨なメタルギターがやや減った分、よりチェンバー・ゴシック的に楽しめる。暗黒系プログレが好きな方もぜひ。
クラシカル度・・8 優雅度・・8 アヴァンギャル度・・8 総合・・8
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ANGIZIA「39 Jahre fur den Leierkastenmann」
オーストリアのクラシカル・アヴァンギャルド・ゴシックバンド、アンギジアの4th。2001年作
メタル色はほぼ希薄で、クラシックに裏打ちされたピアノ、ヴァイオリンを用いた格調高い曲調から
軽快なアコーディオンの上を男女ヴォーカルが歌を掛け合うといったおちゃらけたものまであり、
芸術性とアヴァンギャルドな狂人的精神性がおそろしく奇妙に融合した作風となっている。
ところによってはDEVIL DOLLなどのリスナーも惹きつけるような大仰なシリアスパートもあり、
野郎Voのドイツ語の歌唱はときにMr.Doctorのようだし、女性声のオペラティックな歌唱も良い感じだ。
クラシカル度・・8 メタル度・・1 アヴァンギャル度・・9 総合・・8.5
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ANGIZIA「Ein Toter fahrt gern Ringelspiel」
オーストリアのアヴァンギャルド・ゴシックバンド、アンギジアの5th。2004年作
前作「39 Jahre fur den Leierkastenmann」が変態系ゴシックとしては相当の傑作だったが、
今回も期待通りの出来。まるでDEVIL DOLLのようなシアトリカルなドイツ語ヴォーカルに、
アコーディオンやクラリネットの愉快な音色は、一聴した質感ではコミカルですらある。
メタリックな要素はあまりなく、民族調のアヴァンギャルドサウンドであるが、
ときにクラシカルなピアノやヴァイオリン、オペラティックな女性Voなどが現れ、
彼らの持つアカデミックで豊かな音楽的なバックボーンを聴かせるあたりはさすが。
全24曲75分という大作で、コンセプト作っぽいが詳細は不明。…まごうことなき変態。
暗黒愉快度・・8 シアトリカル度・・9 アヴァンギャル度・・10 総合・・9
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ANGTORIAGod Has a Plan for Us All
イギリスの ゴシックメタルバンド、アングトリアの2006年作
CRADLE OF FILTHの女性コーラスなどで活躍した女性シンガー、サラ嬢をフロントに、
Tommy Rehn(MOAHNI MOAHNA)、Chris Rehn(ABYSSOS)の兄弟を中心としたバンドで、
ゲストには、TIME REQUIEM/Space OdysseyのRikard Andersson、CRADLE OF FILTHのBなどが参加。
シンフォニックなキーボードとオーケストレイション、男女コーラスの荘厳な雰囲気に包まれ、
AFTER FOREVERあたりを思わせるクラシカルなゴシックメタルサウンドが広がってゆく。
メンバーは実力者であるので演奏には力強さがあり、そこに乗るサラ嬢の歌声は女性にしてはどっしりとした声質で、
可憐さには欠けるが説得力は充分。ときにデジタルなシンセアレンジも加えて、壮麗なシンフォニックゴシックを聴かせる。
シンフォニック度・・8 ゴシック度・・7 女性Vo度・・8 総合・・8
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Agua de Annique 「Air」
THE GATHERINGの女性Voによるユニット、アグア・デ・アニクの2007年作
1996年の傑作「Mandylion」から、オランダ国内のみならずヨーロッパのゴシックメタルシーンを引っ張ってきた、
ギャザリングを脱退した歌姫、アネク・ヴァン・ガースバーゲンが新たに活動を開始した。
サウンドはやはり近年のTHE GATHERINGにも近い、しっとりとしたやわらかな女性声ロックで、そう違和感はない。
アネクの歌声は、年季を経た表現力と同時にリラックスしたようなやわらかみも感じさせ、大人の色気を感じさせる。
メタル色は薄いが、ほのかに薄暗いフィメール・アンビエント・ロックとして充分楽しめる。
メロディアス度・・8 メタル度・・5 女性Vo度・・9 総合・・8
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Anneke van Giersbergen with Agua De Annique「Pure Air」
THE GATHERINGアネク・ヴァン・ガースバーゲン(アグア・デ・アニク)の2009年作
本作はしっとりとしたアコースティック主体のアルバムで、アネク嬢の美しい歌声をメインに
各曲で男性シンガーをゲストに迎えてデュエットを披露。じつに優しいヴォーカルアルバムです。
ジョン・ウェットン、アルイエン・ルカッセン、シャロン・デン・アデルらがゲスト参加。
現在はデビュー作「Air」とのカップリング2CDで再発されている。
メロディアス度・・7 アコースティック度・・8 女性Vo度・・8 総合・・7.5
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Anneke Van Giersbergen & Agua De Annique 「In Your Room」
THE GATHERINGアネク・ヴァン・ガースバーゲン率いる、アグア・デ・アニクの2009年作
本作ではよりキャッチーなポップ感覚が前に出ていて、もはやかつてのギャザリングの面影はほとんどない。
アネク嬢のやわらかな歌声を中心に聴かせる、いたって普通のメロディックロックであるが、
やわらかなシンセアレンジや随所に美しいストリングスにメロウなギターフレーズも入ってきて、
キャッチーなポップ性とメロウな叙情を含んだ爽やかな聴き心地で楽しめる。
一方では、かつてのような倦怠的なゴシック風味もいくぶん覗かせるところもある。
現在は「Live in Europe」とのカップリング2CDで再発されている。
メロディアス度・・8 メタル度・・3 女性Vo度・・8 総合・・7.5
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Anneke Van Giersbergen & Danny Cavanagh 「In Parallel」
オランダの女性シンガー、アネク・ヴァン・ガースバーゲンとAnathemaのダニエル・カヴァナーのユニットによるライブ。2009年作
アコースティックギターとピアノをバックに、しっとりとしたアネクさんの歌声で聴かせる、アコースティックなライブで、
The Gatheringのナンバーや、アネク自身のソロ作にカヴァー曲、二人の歌を乗せたAnathemaのナンバーまで披露。
音数の少ないシンプルなアンプラグドなので、やわらかな歌声とともに、大人の味わいに包まれたゆったりとした聴き心地。
アンプラグ度・・9 しっとり度・・9 アネクの歌声度・・9 総合・・8 
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Anneke Van Giersbergen & Agua De Annique 「Live in Europe」
オランダの女性シンガー、アネク・ヴァン・ガースバーゲンの2011年作
本作は2010年のヨーロッパツアーのライブ音源で、スタジオアルバム同様、キャッチーなロック性で
わりとシンプルな作風の女性声ロックサウンドが楽しめる。ライブ音源なので、ギターはわりとラフな感じで、
肝心のアネクさんの歌声も少しこもり気味なのだが、それも生々しいライブ感ということでよいのかもしれない。
楽曲自体も聴きやすいのだが、これという盛り上がりや魅力的なフックがもうひとつ足りない気がしてしまう。
むしろゴシック寄りのナンバーの方が、彼女らしい翳りある歌声の魅力が活きているように思える。
現在は2009年作「In Your Room」とのカップリング2CDで再発されている。
ライブ演奏・・7 音質・・7 女性Vo度・・8 総合・・7.5
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Anneke van Giersbergen 「Everything Is Changing」
オランダの女性シンガー、アネク・ヴァン・ガースバーゲンの2011年作
元The Gatheringのヴォーカルとして知られる彼女のソロで、Agua de Annique名義を入れれば4作目。
伸びやかな歌声を乗せた、キャッチーで爽快なメロディック・ロックといった作風で、
曲によっては適度にハードさもありつつ、アンニュイな浮遊感も含んだ耳心地の良いサウンド。
ポップなメロディック性とヨーロピアンな情感のバランスがよく、いくぶん愁いを含んだアネクの歌声は
やはりゴシック的な雰囲気もにじみ出ていて、単なるポップロックとは異なる湿り気を感じさせる。
メロディック度・・8 メタル度・・4 女性Vo度・・9 総合・・8
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Anneke Van Giersbergen 「Drive」
元THE GATHERINGのアネク・ヴァン・ガースバーゲンの2013年作
Agua de Annique名義の作品を入れれば、すでに5作目のソロ作品となる。
本作はキャッチーなメロディック路線で、楽曲は3、4分台とシンプルながら、
伸びやかなアネク嬢の歌声を聴かせる、爽やかなサウンドが楽しめる。
メロディのポップさはUKロックやエモ的でもあり、これまで以上にメジャー感を漂わせている。
ゴシック、メタル云々を別にすれば、非常にクオリティの高い作品であるだろう。
メロディック度・・8 メタル度・・6 女性Vo度・・9 総合・・8
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Anneke van Giersbergen 「The Darkest Skies Are the Brightest」
オランダの女性シンガー、アネク・ヴァン・ガースバーゲンの2021年作
The Gathering、現在はVUURなどで活躍。本作はアコースティックギターと、ヴァイオリン、チェロなどの
ストリングスをバックに美しい歌声を乗せたアコースティックアルバム。メタルではないので、伸びやかなアネクの歌声が、
いっそう引き立っていて、しっとりと優雅な魅力に包まれる。ドラムやパーカッションのリズムが入るので、
ロック感触もいくぶん感じられて、わりとキャッチーな聴き心地。素朴なフォーク調のナンバーから、
ストリングスの美しいクラシカルなアンビエント風まで、彼女の優しい歌声がじっくりと味わえる。
楽曲は3〜4分前後、総じて素朴でゆるやか作風で、あくまでアネクのファン向けの作品ではある。
アコースティック度・9 ロック度・2 女性Vo度・9 総合・7.5 
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ANSOTICCA「Rise」
ドイツのゴシックメタル、アンソティカの2010年作
女性Voにシンセを含む5人編成で、壮麗なアレンジといくぶんモダンなヘヴさに
伸びやかな女性ヴォーカルの歌声で聴かせる、LACUNA COILタイプのサウンド。
ヘヴィなギターワークとシンフォニックなシンセが合わさって、メロディアスでありながらも骨太の作風。
キャリー嬢の歌声はソプラノというほど高くはないが、キャッチーな爽やかさを楽曲に付加している。
しっとりとした歌声を響かせる曲も美しい。ドイツ版ラクーナという存在になれるか、楽しみなバンドだ。
シンフォニック度・・8 モダンゴシック度・・8 女性Vo度・・8 総合・・7.5
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Anthemon 「Arcanes」
フランスのゴシックメタル、アンテモンの2002年作
女性Vo、ツインギター、シンセを含む6人編成で、美麗なイントロで幕を開け、
重厚なギターに優美なシンセワーク、美しい女性ヴォーカルの歌声で聴かせる、古き良きスタイルの
正統派のゴシックメタルサウンド。90年代を引きずったような、いくぶんの野暮ったさ幻想的な味わいになっていて、
初期のTRISTANIAなどにも通じる涼やかな叙情性に包まれる。女性ヴォーカルに絡む男性声とデスヴォイスも、
どことなく垢抜けないマイナー臭さをかもしだし、全体的に湿り気を帯びたヨーロピアンな風情が感じられるのがいいですな。
ソプラノ女性Voのはかなげな魅力とともに、これぞゴシックメタルというべき幻想的な世界観に浸れる好作品。
シンフォニツク度・・8 ゴシック度・・8 女性Vo度・・7 総合・・7.5
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Anthemon 「Dystopia」
フランスのゴシックメタル、アンテモンの2004年作
2002年にデビューし、2作目となる。1作目に参加していた女性シンガーが抜けて、本作は男性声をフロントに、
叙情的なギターに美麗なシンセアレンジを重ねた、耽美でメランコリックなゴシックメタルを聴かせる。
スローテンポを基本に、重すぎずダーク過ぎない味わいで、壮麗なシンセアレンジに包まれたサウンドは
マイルドなヴォーカルとともに、ほどよくキャッチーなフックもあって、ENTWINEなどが好きな方にも楽しめる。
シンフォニックなシンセと泣きのギターフレーズで、ヨーロピアンな翳りを帯びたゴシックメタルの好作品だ。
ドラマティック度・8 ゴシック度・8 優美度・8 総合・7.5
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ANTICHRISIS 「CANTARA ANACHORETA」
ドイツのゴシックメタル、アンチクライシスの1997年作
Moonshadow氏を中心にしたユニットで、スローテンポに重すぎないギターリフを乗せ、男性デスヴォイスに
女性ソプラノヴォーカルが絡む、耽美なゴシックメタルサウンド。美しい女性声が前に出たパートも多く、
叙情的なギターフレーズや美しいシンセアレンジ、ときにアコーススティックギターをまじえるなど、
ペイガン寄りの土着性も覗かせるなど、ほどよく優雅な雰囲気に包まれる。3部構成のコンセプト性で、
10分前後の大曲を含めて、じっくりと聴かせる作風なので、即効性のインパクトはさほどないのだが、
ヘヴィ過ぎない耽美な世界観にゆったりと浸れる。しかしラスト3曲だけで30分、全70分、ちと長尺ですな。
ドラマティック度・7 ゴシック度・8 耽美度・8 総合・7
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ANWYNNForbidden Songs
ベルギーのゴシックメタル、アンウィンの2012年作
美しい女性ヴォーカルの歌声に咆哮する男性デス声が絡み、
シンフォニックなアレンジで聴かせる、王道のゴシックメタルサウンド。
かつてのTRISTANIAあたりに通じる耽美な雰囲気とヘヴィな重厚さに、
随所に激しさも加わって、メリハリのついた楽曲を構築している。
新鮮味はないがなかなか楽しめる正統派のゴシックメタル作品。
シンフォニック度・・7 ゴシック度・・8 女性Vo度・・7 総合・・7.5



APERION「Act Of Hybris」
スロベニアのゴシックメタル、アペリオンの2010年作
ヴィオラ、チェロ、女性フルート奏者を含む編成で、艶やかなストリングスの音色に女性声を乗せたイントロから、
メタリックなギターにチェロなヴィオラが鳴り響く、物悲しくもヘヴィなサウンドに、美しい女性ヴォーカルで、
クラシカルなゴシックメタルを展開。ソプラノを使い分けるZala嬢の歌声は、オペラティックな優雅さで実力も充分、
バックのフルートの音色にもよくマッチしている。楽曲的にも、リズム面でのほどよいノリと疾走パートを含む緩急があり、
なによりチェロやビオラの音色がサウンドを優雅に盛り上げる。ヨーロピアンな翳りと美意識に包まれた逸品です。
ドラマティック度・8 優美度・8 女性Vo度・8 総合・8
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Apparition「For Vengeance And For Love」
イギリスのシンフォニックゴシックメタル、アパリションの2012年作
シンフォニックなアレンジと美しい女性ヴォーカルの歌声で聴かせる作風で、
適度にゴシックメタル的な耽美さも含んだ世界観。はかなげなヴォーカル嬢の歌声と
壮麗な雰囲気はなかなかいいのだが、楽曲ごとのメロディの魅力やインパクトの点ではやや弱く、
単調なギターワークやリズム面も含めてどうにも煮えきらないB級臭さが漂っている。
ときおり男性Voも絡んだりと、EPICAを思わせるようなところはいい感じなので、今後に期待したい。
シンフォニック度・・7 ゴシック度・・7 女性Vo度・・7 総合・・7




Ardours 「Last Place on Earth」
イタリアのゴシックメタル、アーダーズの2019年作
TRISTANIAの女性ヴォーカル、マリアンジェラ・デムルタスとマルチ・プレイヤー、クリス・ローレントのユニットで、
TRISTANIAのタラルド・リー・ジュニアがドラムで参加、ベースに元AMORPHISのニコ・エテラヴオリがゲスト参加している。
美麗なシンセにヘヴィ過ぎない叙情的なギターを重ね、美しい女性ヴォーカルで聴かせる、シンフォニックなゴシックメタル。
ゴシック的な耽美さは控えめで、80年代ニューウェイブ的でもあるような、わりとキャッチーな聴きやすさがあって、
伸びやかで魅力的な女性声とともに、曲によってはWITHIN TEMPTATIONなどのファンにも楽しめるだろう。
楽曲は4〜5分前後と比較的シンプルであるが、実力のある女性ヴォーカルを活かしたスタイルなのでこれで正解。
シンフォニック度・・8 ゴシック度・・7 女性Vo度・・8 総合・・8
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Ardours 「Anatomy Of A Moment」
イタリアのゴシックメタル、アーダーズの2022年作
TRISTANIAの女性ヴォーカル、マリアンジェラ・デムルタスとマルチ・プレイヤー、クリス・ローレントのユニットで、
2019年作に続く2作目となる。デジタルなシンセにギターを重ね、艶めいた女性ヴォーカルを乗せた
NEMESEAなどにも通じるキャッチーで優雅なサウンド。美麗なシンセアレンジによるシンフォニック性と
美しい女性ヴォーカルが合わさった耳心地の良さで、楽曲も4〜5分前後とコンパクトで無駄がない。
タイトル曲でのモダンなエレクトロ感触など、前作に比べるとゴシックメタル的な耽美さは薄まっているが、
優雅な女性声シンフォニックメタルとしては、より多くのリスナーにアピールする出来だろう。
ドラマティック度・8 ゴシック度・7 女性Vo度・8 総合・8
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ARISE FROM THORNS「BEFORE AN AUDIENCE OF STARS」
アメリカのフィメール・ゴシックロックバンド、アライズ・フロム・ソーンズの1999年作
本作ののちに、BRAVEと改名。サウンドはアコースティック楽器を取り入れたフォーク色もある
女性声シンフォニックゴシックロックで、アコギやシンセに重なる、ミッチェル嬢の清涼な歌声が心地よい。
ときおり変拍子などをまじえたプログレ的アプローチもあったりしつつ、美麗なシンセやギターなどには
しっかりとゴシックメタル的な色合いも感じられるので、その手のファンにもアピールする。
ケルティックな香りに包まれた作風だが、アメリカにも多くのアイルランド系移民がいるわけだから
そうした音楽の影響もうなずけなくもない。女性声がとても魅力的なのがポイント高いですな。
シンフォニック度・・7 フォークゴシック度・・8 女性Vo度・・8 総合・・8
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ARKAN「SALAM」
フランスのゴシック・デスメタル、アルカンの2011年作
男女ヴォーカルを含む5人組で、アラビックなメロディを取り入れたサウンドに
デスヴォイスと女性ヴォーカルが絡む。モダンなヘヴィさと知的な構築センスという点では
ORPHANED LANDにも通じるスタイルだが、こちらはもっとモダンヘヴィネスの色が強い。
ときにアコースティカルな叙情も含みつつ、ヘヴィロック色と民族風味のバランスもよく
わりと聴きやすく仕上がっている。中盤以降はややインパクト不足にも思えるが総じて質の高い作品だ。
ドラマティック度・・8 重厚度・・8 民族度・・7 総合・・8
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ARKAN 「SOFIA」
フランスのゴシック・デスメタル、アルカンの2014年作
2008年にデビューして、本作は3作目。ヘヴィなギターに美しい女性ヴォーカルの歌声を乗せ、
適度にシンフォニックなアレンジや民族的な旋律も含んだ、ORPHANED LANDにも通じるサウンド。
前作に比べると女性声をメインにしたナンバーが増えているので、ほとんどゴシックメタル的な楽しめるが、
随所に低音デスヴォイスを乗せた重厚な迫力も現れる。アコースティックなパートとモダンなヘヴィネス、
アラビックな浮遊感が同居した、メリハリのある構築力と、ときにストリングスなどによるアレンジも魅力的だ。
ドラマティック度・・8 重厚度・・8 女性Vo度・・8 総合・・8
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Arshenic 「Final Collision」
ポーランドのゴシックメタル、アルシェニックの2019年作
2011年にデビューし、2作目。ヘヴィなギターに艶めいた女性ヴォーカルを乗せて、かつてのThe Gatheringにも通じる、倦怠の空気に包まれたゴシックメタルを聴かせる。
ときにデスヴォイスをまじえたダークな感触とゲストによるチェロやヴァイオリンも加わった、メランコリックな叙情性も覗かせつつ、ほどよいキャッチーなノリも含んだスタイル。
Oliwia嬢のエモーショナルな歌声は魅力たっぷりであるが、楽曲的にはもうひとつディープさというか、同郷の先輩である、Moonlightのような繊細な美意識がもう少しあれば。
ドラマティック度・7 耽美度・8 女性Vo度・8 総合・7.5
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ARTROSIS「HIDDEN DIMENSION」
ポーランドのゴシックメタルバンド、アートロシスの1st。1997年作
いかにも耽美な雰囲気のジャケがよい感じだが、サウンドの方も、艶めいた女性ヴォーカルの歌声に、
シンフォニックなキーボードで彩られた、じつにゴシックメタルらしい世界観をかもしだしている。
ドラムが打ち込みのせいかさほどへヴィさはなく、ギターリフもまあ普通なので、
音の迫力というものはさほどないのだが、西欧のバンドに比べるとメロティに異国的な質感があって、
その妖しい空気感がなかなか面白い。ポーランド語盤のタイトルは「Ukryty Wymiar」で、英語よりもやはり雰囲気があって良い。
シンフォニック度・・8 ゴシック度・・8 女性Vo度・・8 総合・・7.5
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ARTROSIS「IN NOMINE NOCITIS」
ポーランドのゴシックメタルバンド、アートロシスの2nd。1998年作
前作からの流れにある耽美なゴシックメタルスタイルに、シンフォニックなアレンジや
ギターによる叙情メロディがより加わって、楽曲のレベルがひとつ上がってきた。
まさにゴシックメタルにぴったりのMEDEAH嬢の艶めいた歌声にもうっとりである。
やはりドラムが打ち込みなのでサウンドの重厚さには欠けるのだが、
あくまで歌がメインのバンドと考えればそう気にもならない。ギターは時折へヴィなリフを聴かせたり、
クラシカルなストリングス風のシンセもよい感じで、楽曲面でのメリハリといういう点でも出来がよい好作。
シンフォニック度・・8 ゴシック度・・8 女性Vo度・・8 総合・・7.5
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ARTROSIS「IN THE FLOWERS SHADE」
ポーランドのゴシックメタルアートロシスの3rd。1999年作
本作ではエレクトロニクス風のモダンな雰囲気がいくぶん強まってきていて、
あえて打ち込みリズムを目立たせるような作風へと変化してきている印象だ。
美しい女性ヴォーカルの歌声にはうっとりなのだが、楽曲にこれだというインパクトや
メロディのフックが弱いのは相変わらず。曲によっては時折盛り上がるところもあるのだが、
この煮え切らなさこそがこのバンドともいえる。ポーランド語盤のタイトルは「Posrod Kwiatow I Cieni」
シンフォニック度・・8 ゴシック度・・7 女性Vo度・・8 総合・・7.5
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ARTROSIS「Koncert w Trojce」
ポーランドのゴシックメタルバンド、アートロシスのライブ作品。2001作
Moonlightと並ぶ、ポーランドを代表する耽美派ゴシックメタルのライブ音源。
しっとりとした女性ヴォーカルのポーランド語の歌声と、美麗なシンセアレンジで聴かせるスタイルは
スタジオアルバム同様に、東欧的な翳りに包まれた妖しくも美しい聴き心地。
メロウな泣きのギターもアルバム以上に前に出ていて、ドラムは打ち込みであるが案外ダイナミックに楽しめる。
このバンドのファンであれば押えておきたいライブ作品である。
シンフォニック度・・8 ゴシック度・・8 女性Vo度・・8 総合・・7.5
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ARTROSIS「FETISH」
ポーランドのゴシックメタルバンド、アートロシスの4th。2001作
前作にもあったデジタル風味をより深めたサウンドとなっている。
もともと打ち込みドラムだったのだが、それを逆手にとったような、
デジタルなアンビエント・ゴシックという雰囲気となり、メタルからはいっそう離れた。
たしかに女性ヴォーカルの表現力は高く、単調なゆったりリズムの楽曲の上でも
聴かせるに十分足る実力だと思うが、しっとりとしたシンフォニック性が薄れたのが残念。
シンフォニック度・・6 ゴシック度・・7 女性Vo度・・8 総合・・7
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ARTROSIS「MELANGE」
ポーランドの女性Voゴシックメタルバンド、アートロシスの5th。2002作
初期の頃からリズムは打ち込みだった彼らだが、回を追うごとにデジタリィ度を増し
前作あたりからほぼ完全に打ち込み系のデジタルゴシックと化している。
今作からメンバーが3人に減っていて、ますます音は薄くなっている・・・(笑)
これで肝心のMEDEAH嬢の歌が素晴らしければよいのだが。今更ドラムを入れろとか、
シンフォパートを増やせなどとは言わないが、せめても少し音を厚く、派手にしてはいかがかと思う。
メロディアス度・・6 ゴシック度・・6 女性Vo度・・7 総合・・6.5
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ARTROSIS「LIVE IN KRAKOW」
ポーランドのゴシックメタルバンド、アートロシスのライブDVD。2002作
ライブ映像を見るのは初めてだが、やはりドラムが打ち込みなのでメタリックな荒々しさや熱気はなく、
ギターが刻んでいてもどこか整然とした印象。観客の方も、満員というわけではなく微妙にまばらで、
曲に合わせてヘドバンするファンもいるが、ただ突っ立っているだけの人も多く、そのへんもメタルらしからぬ雰囲気。
そんな中、VoのMedeah嬢の美しさは、映像的にまさに紅一点、しっとりとした動きやその表情、端麗な横顔を見ているだけでも嬉しい。
母国語の歌唱は、アルバム同様どこか妖しげで、決してぐいぐいと引っ張って聴かせるタイプではないが、
なんとなくその浮遊感の中に引き込まれる。ある意味、ポーランドというお国柄を表すバンドのひとつだと思う。
ライブ映像・・7 ライブ演奏・・7 Medeah嬢・・9 総合・・7
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AS DIVINE GRACE「LUMO」
フィンランドの女性Voゴシックメタルバンド、アズ・ディヴァイン・グレイスの2nd。1997作
ドゥーミーでメランコリックなゴシックメタルサウンドに、浮遊感のある美声のソプラノVoの歌唱が重なり
雰囲気としてはとてもよろしい。THE GATHERINGの「MANDYLION」が1996年だったのだから、
1997年の時点ですでにこのサウンドを確立していたというのも素晴らしい。
バックのもの悲しいシンセと、ギターの奏でる哀愁のメロディが重なり
悲しみ系のゴシックとしてはかなりの説得力のあるサウンドである。
メロディアス度・・7 メランコリック度・・9 女性Vo度・・8 総合・・7.5
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AS DIVINE GRACE「SUPREMATURE」
フィンランドのゴシック風女性Voアンビエントロックバンド、アズ・ディヴァイン・グレイスの3rd。
美しい女性ヴォーカルの歌声をメインにしたゆったりとしたサウンドで、メタル色はやや薄い聴き心地。
5th以降のTHE GATHERINGのように、たゆたうような夢見サウンドで、淡々とした叙情がアンニュイな心地よさを誘う。
曲にメリハリはないが、その分アンビエントな女性Voものとしての純度は高いといえる。
メロディアス度・・7 女性Vo度・・8 楽曲・・6 総合・・7
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Ashes You Leave「Desperate Existence」
クロアチアのゴシックメタル、アッシィズ・ユー・リーヴの1999年作
1998年にデビューし、2作目となる。女性Voに女性ヴァイオリン奏者を含む6人編成で、
フルートが鳴り響き、幻想的なシンセに美しい女性ヴォーカル、メタリックなギターを加えて、
ヨーロピアンな翳りに包まれたゴシックメタルを聴かせる。やわらかなフルートにヴァイオリンの音色が
クラシカルな優雅さを加えていて、サウンドに辺境的な暗がりを感じさせるという点では、
まさにゴシックメタルの王道といえる。ときにデスヴォイスも加わり、リズムチェンジなども含めて
耽美な空気の中にほどよくアグレッシブな部分も覗かせる。粗削りであるが、これぞゴシックである。
ドラマティック度・・8 ゴシック度・・9 女性Vo度・・8 総合・・7.5 
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ASHES YOU LEAVE「THE INHERITANCE OF SIN AND SHAME」
クロアチアのゴシックメタルバンド、アッシィズ・ユー・リーブの3rd。2000年作
ヘヴィなギターリフに美しい女性ヴォーカルの歌声、艶やかなヴァイオリン、フルートなどが絡む、
耽美な世界観のゴシックメタル。ときどき男性デス声も加わる全体としては女性声の比重が高く、
薄暗くしっとりとした叙情性とあいまって、優雅なフルートの音色やヴァイオリンとともに、
どこか宗教的な香りもするようなクラシカルで崇高なサウンドを描いてゆく。
辺境的なマイナー臭さがヨーロピアンな暗がりを感じさせ、これぞゴシックという空気感がよいですね。
ドラマティック度・・7 ゴシック度・・8 女性Vo度・・8 総合・・7.5
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ASRAI「TOUCH IN THE DARK」
オランダのゴシックメタルバンド、アスライの2004作
女性Vo、女性Key、女性Dr(!)を擁する5人組。メンバーに女性3人がいるのも珍しいですが
ブックレットの写真を見るに、皆さんけっこうなお姉様…(^^;)で、ついでに巨乳さんです。
音楽の方は、とても普通のゴシックメタル。日本盤が出るだけあって、クオリティはそこそこあるとは思いますが、
女性の歌唱も中音域で、けっこうメタルヴォーカルっぽい感じなのでゴシックというには耽美度はあまり感じません。
新鮮味はないけど、なかなか聴きやすいゴシックメタルという印象。
メロディアス度・・7 ゴシック度・・7 女性Vo度・・7 総合・・7
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Astral Sleep 「Angel」
フィンランドのドゥームメタル、アストラル・スリープの2010年作
全3曲入りのミニアルバムであるが、11分、8分、11分という大曲ばかりで聴きごたえたっぷり。
ブラックメタルばりの激しいイントロから、スローなリフと朗々としたヴォーカルをを乗せつつ、
随所に適度な激しさとメロディックな叙情を含んだ展開力には、知的なセンスも感じさせる。
1曲目は緩急の付いた、メロデス風味もあるのだが、2曲目、3曲目となるにつれ、
スローで重厚なドゥームサウンドとなってゆく、のちの2ndにつながる本格派の作風である。
ドラマティック度・・8 ドゥーム度・・8 重厚度・・8 総合・・7.5
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ASTRAL SLEEP 「Visions」
フィンランドのゴシック・ドゥームメタル、アストラル・スリープの2012年作
ツインギターの重厚なリフと、極端なほどにスローな曲調で聴かせる、
SHAPE OF DESPIREなどを思わせる、本格派のフューネラル・ドゥームスタイル。
凄絶な低音デスヴォイスを乗せながら、ギターはときにメロディックなフレーズを奏でたり、
ヴォーカルはノーマル気味の声にもなったりと、全体的にスローテンポでありながら、
案外メリハリがついていて聴きやすい。ヘヴィすぎず暗すぎず、むしろサイケ寄りの浮遊感や
ゴシック的で見ある夢見心地の幻想性も感じさせる。15分前後の大曲4曲という構成も凄いですな。
気の短い方にはまったく向かないが、ハマれる方にはとても楽しめるだろう力作だ。
ドラマティック度・・8 ドゥーム度・・8 幻想度・・8 総合・・8
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ATARGATIS「NOVA」
オーストリアのシンフォニック・ゴシックメタルバンド、アタルガティスの2nd。2007作
DARKWELLの女性Voが参加しているバンドで、デス声入りのゴシックメタルに、
同郷のEDENBRIDGEに通じるシンフォメタル路線を取り入れたスタイル。
モダンなヘヴィさの楽曲に、ステファニー嬢のソプラノがなかなか美しい。
女性Voシンフォメタルとして標準的に楽しめるし、この手は決して嫌いではないのだが、
楽曲、アレンジともにまだ独自性が希薄だ。今後ともさらなる質の向上に期待したい。
メロディアス度・・8 ゴシック度・・7 女性Vo度・・8 総合・・7.5
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ATOMA 「SKYLIGHT」
スウェーデンのゴシックメタル、アトマの2013年作
SLUMBERというバンドのメンバーによるバンドで、不穏な空気を漂わせたイントロからして引きこまれる。
壮大なSF的な世界観とシンフォニックなアレンジによる重厚なサウンドは、スペイシーなシンセアレンジを含む
いわばサイケ・メタル的な浮遊感もあり、随所に聴かせるメロウなギターのフレーズもなかなか心地よい。
一方では、ポスト・プログレ的に美しい曲もあったりと、そちら方面のリスナーにも楽しめるだろう。
つまりは、スペース・サイケ・ゴシックというべき、ありそうでなかった方向性の作品だ。
ドラマティック度・・7 サイケゴシック度・・8 重厚度・・8 総合・・8
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ATROX「MESMERISED」
ノルウェーのアヴァンギャルド・ゴシックメタルバンド、アトロックスの1st。1997作
2nd以降は相当イッてるサウンドになっているらしいが、この1stでは意外とマトモな男女Voのゴシックメタルをやっている。
北欧らしいもの悲しいギターフレーズに、デス声が乗り、3RD AND THE MORTALのVoの妹という女性声が彩りを添える。
どっちかというとゴシックというよりはヴァイキングメタルのようにも聞こえる。
最近のバンドに比べて地味で田舎臭い感じがするが、もしかしてそれに飽きて次作から変貌を開始したのかもしれない。
メロディアス度・・7 ゴシックデス度・・7 女性Vo度・・5 総合・・7

ATROX「Contentum」
ノルウェーのプログレ・ゴシックメタルバンド、アトロックスの2nd。2000作
変則リズム入りのけっこうテクニカルな演奏の上に「気が狂ったケイト・ブッシュ」といったモニカ嬢の歌が乗る。
この歌声は、色っぽいのだか、エキセントリックなのだか、気持ち悪いのだか…非常にビミョーな線なのだが、
まあ面白いのは確か。バックの北欧らしい透明感のあるキーボードが案外にいい感じだし
ギターもときにややフォーキーなメロディを奏でたりもする。
メロディアス度・・7 変態度・・8 女性Vo度・・8 総合・・8
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ATROX「TRRESTRIALS」
ノルウェーのプログレ・ゴシックメタルバンド、アトロックスの3rd。2002年作
1stの時点ではまだ粗削りの風変わりなヴァイキングメタルといった感じだったこのバンドだが、
2nd以降女性Voをメインとして同時にアヴァンギャルドさを増してゆく。四人編成となったこの3rdでは
歌は完全にモニカ嬢の独壇場となり、バックの演奏は変則リズムを含めてまるでプログレメタルのようになっている。
また楽曲はほとんどが6分以上と長めになり、妖しいある女性ヴォーカル(時折しわがれ声入り)が
起伏に富んだ曲の上に歌を乗せるサウンドには不思議な浮遊感が感じられて、
変態系音楽好きにはきっと素敵に魅力的に聴こえることだろう。
メロディアス度・・7  変態度・・8 女性Vo度・・8 総合・・8
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ATROX「ORGASM」
ノルウェーのプログレ・ゴシックメタルバンド、アトロックスの4th。2003作
1stの頃は田舎臭いヴァイキングメタル風のサウンドだったが、2nd、3rdと
どんどんとアヴァンギャルド化が進み、今作ではのっけから堂々と変拍子を使った
プログレ(変態)メタル的音像となっている。そこに乗る女性Voモニカ嬢の歌唱は、
「狂気に走ったケイト・ブッシュ」といった雰囲気で、どこかキレたような無邪気さを感じさせる。
音的には変態系プログレメタル、女性Vo入りゴシック、どちらのリスナーにもお勧めできるが…
変態好きの方以外にはあえてお勧めはしない…(笑)ジャケからしてボスの絵画のパロディ風だし。
メロディアス度・・7 変態度・・8 女性Vo度・・8 総合・・8
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Atrox 「Monocle」
ノルウェーのアヴァン・ゴシックメタル、アトロックスの2017年作
1997年にデビュー、本作は9年ぶりとなる6作目。かつては女性ヴォーカルのアヴァン・ゴシックメタルであったが、
前作から男性Voがメインになり、サウンドもインダストリアルな感触が強まっていたが、本作もその延長上の作風。
ヘヴィなギターに武骨な男性ヴォーカルを乗せ、モダンな硬質さに包まれたインダストリアルメタルを聴かせる。
モノクロームのような無機質な空気を描きつつ、わりと唐突な展開など、ほどよく混沌とした部分は残していて、
ときにシンセを加えた音の厚みと、サックスなどのアレンジが随所に楽曲にほどよく彩りを加えている。
ドラマティック度・・7 インダストリアル度・・8 アヴァンギャル度・・7 総合・・7.5 
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Autumn 「my new time」
オランダのゴシックメタルバンド、オータムの2007年作
モダンなシンセアレンジと、薄暗さのない聴きやすさのゴシックメタル。
曲自体には目新しさもなく、これといって特筆すべきところはないのだが、
女性Voニエンケ嬢の美しい歌唱とともに、サウンドには確かな聴き心地のよさがある。
実力以上のことをやろうとしていないことで、演奏のまとまりと音の説得力が合わさり、
また同時に、暗すぎないキャッチーさがメジャー感をともなっているという印象だ。
ときに美しくしっとりとしたシンセワークのセンスも光る。平均以上の好作だ。
メロディアス度・・8 ゴシック度・・7 女性Vo度・・8 総合・・8
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Autumn「Altitude」
オランダのゴシックメタルバンド、オータムの2nd。2009年作
前作はオーソドックスながらも美しい女性声が魅力の好作であったが、
今作ではヴォーカルが代わっているようだ。新VoのMarjan嬢の歌声はやや印象が弱い感じだが、
サウンドの方は変わらず、センスのよいシンセワークと奇をてらわないアレンジで落ち着いて聴ける。
The Gatheringのメランコリックな倦怠と、WITHIN TEMPTATIONの美麗さのちょうど中間という
ところだろうか。前作よりもいくらかモダンになったが、やはりクオリティ高い作品ではある。
メロディアス度・・8 ゴシック度・・7 女性Vo度・・8 総合・・8
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AUTUMNCold Comfort」
オランダのゴシックメタルバンド、オータムの2011年作
前2作は女性ヴォーカルの歌声とシンフォニックな美麗さの好作であったが、
今作では女性Voをメインにアンニュイなけだるさが強まった作風で、ゴシックというよりは
むしろポーランド系のバンドのような薄暗いシンフォニックロックサウンドである。
たゆたうような美しさはとても耳心地がよく、メタルとして聴かなければとても楽しめる。
しっとり女性声ロックとして、メタル度を減らした頃のThe Gatheringなどが好きならばいかが。
シンフォニック度・・8 ゴシック度・・6 女性Vo度・・8 総合・・8
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Autumn Rain Melancholy「Seven Steps to Infinity」
ロシアのゴシックメタルバンド、オータム・レイン・メランコリーの2004作
バンド名からしていかにもお耽美な雰囲気がぷんぷんだが、サウンドの方も
キーボードによるロマンティックなメロディをたっぷり配した美しいもの。
ロシア語で歌われるはかなげな女性ヴォーカルがいい感じであるが、
男性ヴォーカルはまるでブラックメタルのようなわめき声で少々やかましい。
プロダクションの薄さやメンバー写真の垢抜けなさがいかにもマイナー臭いが、
雰囲気重視で聴かせる耽美派ゴシックが好きなら、聴いてみて損はない。
メロディアス度・・8 耽美度・・8 女性Vo度・・7 総合・・7.5


AVA INFERI「The Silhouette」
ポルトガルのゴシックメタルバンド、アヴァ・インフェリの2nd。2007作
元MAYHEMのブラスフェマーこと、ルネ・エリクセンがポルトガルに渡り結成したのがこのバンド。
美声の女性ヴォーカル、カルメン嬢の歌声を中心に、薄暗く沈み込むようなゴシックメタルサウンドで、
ドゥームというほどには遅すぎないので適度に聴きやすく、ヘヴィなギターと、ソプラノヴォイスのコントラストがなかなかよい感じだ。
楽曲そのものはやや単調な感じもするが、女性ヴォーカルの妖艶な魅力で最後まで聴き通せる。
メロディアス度・・7 ゴシック度・・9 女性Vo度・・8 総合・・7.5
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AVA INFERI「Blood of Bacchus」
ポルトガルのゴシックメタルバンド、アヴァ・インフェリの3rd。2009年作
女性ヴォーカルの歌声と、ミステリアスな世界観で聴かせる神秘的なゴシックメタル。
2ndまではその雰囲気に楽曲が追いついていなかったのだが、本作では音の説得力が増し
プログレッシブな知的センスとともに、空間を描き出すような迫力が備わってきた。
カルメン嬢の歌声も、ときにスキャット的な妖しさで艶やかな耽美さをかもしだす。
ツインギターのフレーズも随所に効いている。昨今なかなかいなくなった音で世界を描けるバンドだ。
ミステリアス度・・9 ゴシック度・・8 女性Vo度・・8 総合・・8
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AVA INFERIOnyx」
ポルトガルのゴシックメタル、アヴァ・インフェリの4th。2011年作
元MAYHEMのルネ・エリクセン(ブラスフェマー)率いるバンド。妖艶な女性ヴォーカルの歌声を中心に、
本作も薄暗いゴシックメタルサウンドを聴かせる。ドゥーミィなギターリフでヘヴィな不穏さをかも出しつつ、
カルメン嬢
のヴォーカルは、ときに魔女のような妖しさで、耽美でシアトリカルな世界観を描き出している。
詠唱的な男性コーラスも加わったり、楽曲にはOPETHあたりに通じるアーティスティックなセンスも感じさせ、
美しいシンフォニック性と重厚さ、そして神秘的でミステリアスなスケール感がとても魅力的だ。
ミステリアス度・・9 ゴシック度・・8 女性Vo度・・8 総合・・8
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AVRIGUS「The Final Wish」
オーストラリアの男女二人組のゴシックメタルバンド、アブリグスのデビューミニ。1998年作
すでに1stフルは聴いていたが、彼らの描き出す重厚かつ耽美な本物のゴシック世界には
いたく感銘を受け、このミニアルバムも探していたので、見つけられてよかった。
ゆったりとした楽曲に美しい女性Vo、キーボード、ピアノなどが重なり、神秘的な重厚さをかもしだす。
たれこめた灰色の雲、地面に降り注ぐ雨、石造りの神像、墓地の十字架…
そうした情景を思い起こさせるような、暗鬱でとても美しいサウンドだ。
シンフォニック度・・8 ゴシック度・・10 女性Vo度・・8 総合・・7.5

AVRIGUS
「THE SECRET KINGDOM」

オーストラリアのゴシックメタルバンド、アブリグスの2001年作
女性Voジュディお姉さんとギター、ベース、ドラム、キーボードをこなすシモン氏の二人組。
のっけから荘厳なキーボード、ミステリアスな女性の歌声、曲が始まるとヘヴィなギター、と
これだけでも音の説得力は抜群。ジャケット内の画像も含めて叙情的な闇を表現している。
曲間に入るSEやシンセの音色は本気系ゴシックのそれで、二人組とは思えない重厚な世界観だ。
ドゥーム色に加え、ある種の教会的な宗教色も感じる崇高さもあり、
女性Voも無論だが、声を重ねた合唱パートなどは身震いするほど美しい。
たとえばELENDなどよりは曲やアルバム的にメリハリが効いていて聴きやすいのも良い。
シンフォニック度・・8 耽美重厚度・・9 女性Vo度・・9 総合・・8.5 ◆メタル名盤特選入り
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AYIN ALEPH
「Ayin Aleph I」
ロシア出身、フランスで活躍する女性シンガー、アイン・アレフの2007年作
ソプラノヴォーカルで聴かせる、エキセントリックな変態性を含んだゴシックロックという趣で、
女優でもあるという
アイン嬢の演劇的ともいえる過剰な歌声がなかなか…というか、かなり個性的だ。
インダストリアルなアレンジの中にもクラシカルな優雅さを感じさせるのがいかにもフレンチ的であり、
ときにケイト・ブッシュなどを思わせるキュートさと、狂気をはらんだ毒々しさが交差してけっこう好きです。
限定盤のDVDでは、巨乳のアイン嬢がはっちゃけまくる、エログロなPV映像が楽しめます。必見!
耽美度・・8 おヘンタイ度・・9 女性Vo度・・8 総合・・8
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AYIN ALEPH 「AYIN ALEPH II」
ロシア出身の女性シンガー、アイン・アレフの2010年作
このシアトリカルな世界観とエキセントリックな歌声は、いわば気持ち悪い一歩手前なのだが、
個人的にはとても気に入っています。オペラティックなソプラノヴォイスに艶めいた色気や
魔女のような毒気をまとわせた、さながらケイト・ブッシュ化したマリリン・モンローとでもいうべきか。
作品としては、1作目にあった曲からメタル色を抜いて、オペラ仕立てにしたという作りなので、
メタルとして聴くのは無理があるのだが、クラシカルなピアノをバックにした女性ヴォーカルメインの
アヴァンギャルドなゴシックオペラとしてはなかなか楽しめたりする。
メタル度・・1 エキセントリック度・・9 女性Vo度・・8 総合・・7.5
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AZYLYA 「Sweet Cerebral Destruction」
ベルギーのゴシックメタル、アズィリアの2012年作
適度にヘヴィなギターと美麗なシンセアレンジ、はかなげな女性ヴォーカルの歌声に、
男性デスヴォイスも加わったサウンドは、この手のバンドとしてはとくに目新しさはないものの、
もの悲しい叙情を含んだ雰囲気はなかなか悪くない。ただ、曲ごとのメロディの煽情力や
このバンドならではの魅力といったものがまだ見えて来ない点では物足りなさはある。
ジェイミー嬢の歌唱もやや平坦なので、もう少し表現力を身につけてゆけば、より音の説得力が増すだろう。
シンフォニック度・・7 ゴシック度・・7 女性Vo度・・7 総合・・7.5
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B

BATALION D' AMOUR「DOTYK ILUZJI / 55 Minutes of Love」
ポーランドのゴシックメタル、バタリオン・ド・アモールの2nd+3rdカップリング。1999/2000年作
美しいシンセに女性ヴォーカルの母国語の歌声を乗せた、ゴシックロック的なノリのサウンドで、
同国のARTROSISMOONLIGHTにも通じる耽美な感触を、キャッチーしたような聴き心地。
メロディックなギターフレーズはときにメロハー風だったりして、ときおり男性声も加わりつつ、
ゴシックな妖しさとロックな爽快さがブレンドされている。3rdの方になると、英語歌詞の曲が増えて
メタル感触も薄めなので、All About Eveのような女性声メランコリックロック的な味わいで楽しめる。
全体的にはマイナー感が漂うが、Depeche Modeのカヴァーなどもなかなかハマっています。
メロディアス度・・7 ゴシック度・・8 女性Vo度・・8 総合・・7
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BATALION D' AMOUR「W TEATRZE SNOW」
ポーランドのゴシックメタルバンド、バタリオン・ド・アモールの4th。2001作
MOONLIGHTARTROSIS等、ゴシックメタル王国として名高いポーランドであるが、
このバンドも美しい女性ヴォーカルの歌唱をメインにした王道のゴシックメタルを聴かせる。
美麗なシンセをバックにした重すぎないサウンドで、アンナ嬢のけだるげな歌唱が
耽美でアンニュイな雰囲気をかもしだす。個性という点では希薄だが、この手が好きなら普通に楽しめる。
メロディアス度・・7 しっとりアンニュイ度・・8 女性Vo度・・8 総合・・7
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Batalion D'Amour「Fenix」
ポーランドのゴシックメタル、バタリオン・ド・アムールの2016年作
2005年作以来、じつに11年ぶりとなる復活作で、メンバーもやや変わっているようだが、
サウンドの方は、ポーランド語による美しい女性ヴォーカルを乗せ、適度にモダンな感触を含んだ、
優雅なゴシックメタルで、フロントを務めるキャロライナ嬢の妖艶な歌声もなかなか魅力的だ。
4〜5分のコンパクトな楽曲を中心にしつつ、わりとキャッチーな感触のゴシックロック風のナンバーや
しっとりと聴かせる9分の大曲もあって、キャリアをへたバンドとしての自信と実力が発揮されている。
ボーナストラックにはシングル曲のアコースティックVer、英語Ver、リミックス、エディットVerを収録。
メロディック度・・8 ゴシック度・・7 女性Vo度・・8 総合・・8
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BATTLELORE「WHERE THE SHADOWS LIE」
フィンランドのエピック・ゴシックメタルバンド、バトルローの1st。2002作
ジヤケや曲名からしてトールキンを意識したファンタジー系の世界観。
武器設定や種族、職種設定(エルフとかマジシャンとか)付きのメンバー写真からしてもうRPGしている。
肝心の曲の方だが、オーソドックスなゴシックメタルという感じで、そんなに新鮮味はない。
デス声と女性Voの組み合わせも類型を脱するほどのインパクトはない。
全体としてゴスとしての耽美性は薄く、メロデスとゴシックの中間という感じでけっこう軽快な雰囲気。
気合の入っている写真ほどはシンフォニック度は高くないので、今後はもっと看板通りの大仰さを期待したい。
メロディアス度・・7 ファンタジー度・・7 楽曲・・7 総合・・7
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BATTLELORE「SWORD'S SONG」
フィンランドのRPG風ゴシックメタルバンド、バトルローの2nd。2003作
とにかくこのバンド、前作でもそうだったが、ジャケや曲名はもちろんのこと、
ファンタジーコスプレ(CG)に身を包んだメンバー写真へのこだわりも徹底していて立派(笑)。
音の方は前作よりもシンフォニックさと女性ヴォーカルの頻度が増し、
彼らの目指すビジョンに近づいているという印象で、非常に聴きやすいファンタジー・ゴシックメタルとなっている。
あとは印象的なメロやメロディを増やすことで、アルバムとしての完成度を上げて行って欲しい。
シンフォニック度・・8 ゴシック度・・8 ファンタジー度・・7 総合・・7.5
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BATTLELORE「THE JOURNEY」
フィンランドのコスプレ・ゴシックメタルバンド、バトルローのDVD。2004作
ファンタジー風のコスプレで話題を呼ぶこのバンド、その映像作品ということで、否が応にも期待が膨らむ(笑)
まさか…ライブでまでコスプレしていないだろうと思ったら…してました(笑)
フロントに立つのは鎧を着込んで片手にバトルアックスを握りしめた男Voで、その見た目インパクト大。
他のメンバーも演奏の妨げにならないくらいにそれぞれの属性(マジシャン、シーフ、ウォーリアー等)
にそったコスプレとメイクをしていて、ファンタジー・ゴスとしての彼らの「やる気」が表れている。
音の方はしごくまともなゴシックメタルで、演奏の安定感もありなかなかのものだし、女性Voカイサ(エルフ)嬢の歌唱は魅力的で、
男Voとの掛け合いでその美声の効力をいかんなく発揮している。不満としては、ライブ映像が6曲/26分と短いのと、
せっかくのコスプレ姿なのだから、カメラワークを工夫して一人ずつのアップをもっと映して欲しかった。ライブの音源のボーナスCDも付属。
ライブ映像・・7 ライブ演奏・・8 コスプレ度・・9 総合・・7

BATTLELORE「Third Age of the Sun」
フィンランドのファンタジーゴシックメタルバンド、バトルローの3rd。2005作
毎回ロールプレイングゲーム的なコスチュームで、配役になりきっているこのバンド、
ジャケ内の写真のコスもますます充実(?)してきていてこれだけでも必見か(笑)
男女Voに女性Keyで、サウンドの方はエピック色、トラッド色もあるが、
基本はオーソドックスな聴きやすいゴシックメタルで、新鮮味はあまりない。
そんな中、女性エルフ…VoのKaisa嬢の清々しい歌声をメインにした曲は
フォークロア的なメロディとともに耳に心地よく響きます。
メロディアス度・・7 ゴシック度・・7 ファンタジー度・・8 総合・・7.5
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BATTLELOREEvernight
フィンランドのファンタジーゴシックメタルバンド、バトルローの4th。2007年作
戦士やエルフや魔法使いなシーフなどになりきって、ファンタジーコスプレメタルという
妖しいジャンルを確立した彼らですが、今回はどうもコスプレは卒業(?)したみたいです。
とはいってもファンタジー世界を描き出す、アルバムとしての完成度はむしろ高まっていて
ヴァイキングメタル風の曲調に、スクリームヴォイスと女性ヴォーカルの絡みを乗せるスタイルは
これまでになくハマっていて、全体的にサウンドの説得力は増しています。
物語的な幻想世界と、メタリックでややモダンなアレンジとのバランスがとれた好作です。
メロディアス度・・7 ヴァイキング度・・7 ファンタジー度・・8 総合・・8
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BATTLELOREThe Last Alliance
フィンランドのエピック・ゴシックメタルバンド、バトルローの2008年作
前作で過去最高ともいうべき音の説得力を身に付け、本作も期待していたが、のっけから壮麗な素晴らしさ。
シンフォニックなシンセワークが耳を惹きつけ、女性ヴォーカルの美しい歌声が入ると、もうウットリである。
ギターもシンセもそしてドラムも、すべての音がかみ合って、厚みのあるサウンドが見事な世界を作り出している。
デス声入りのアグレッシブな部分は、ときにヴァイキングメタル的な勇壮さな空気も覗かせて、
単なるゴシックメタルではない激しさと、優雅な幻想性との融合が果たされている傑作だ。
限定盤のDVDには、2007年のライブステージ映像を収録。こちらもファンは必見。
シンフォニック度・・8 バトル・ゴシック度・・9 ファンタジック度・・9 総合・・8.5
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BattleloreDoombound
フィンランドのファンタジー・ゴシックメタル、バトルローの2011年作
2002年のデビューから、男女ヴォーカルのファンタジー・エピックメタルを標榜するこのバンド、
最高傑作となった前作に続く6作目で、今回もトールキンの指輪物語をテーマにしているようだ。
ツインギターの重厚さと、男女Voの使い分け、シンセによるシンフォニックな味付けが合わさり、
フルートが鳴り響く土着的なトラッド要素も含めて、本格派のファンタジックメタルを展開、
ヴァイキングメタラーをも唸らせる世界観の描写に磨きがかかっている。メンバーのいでたちも含めて、
コスプレ・エピックメタル最高峰の地位は揺るがない。ジャケ違いのDVD付き限定盤もあり。
ドラマティック度・・8 ファンタジック度・・9 エピック度・・9 総合・・8
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BATTLELORE 「The Return Of The Shadow」
フィンランドのファンタジー・ゴシックメタル、バトルローの2022年作
男女Vo、女性シンセ奏者擁するバンドで、2002年にデビュー、本作は11年ぶりとなる復活の7作目。
壮麗なシンセをツインギターに重ね、男女ヴォーカルの歌声とともに、重厚にしてシンフォニックなファンタジー・バトルメタルを展開する。
迫力あるデスヴォイスと可憐な女性ヴォーカルの掛け合いという点では、LEAVES' EYESなどに通じる部分もあるだろう。
楽曲は4〜5分前後でほどよくシンプルであるが、美しい女性声を活かした優美なパートなど、フックのあるドラマティックな聴き心地だ。
ボーナスCDには「Lost Lands」と題された3曲入りEPを収録。女性声メインのしっとりとした味わいの2曲と、デス声入りの勇壮な1曲が楽しめます。
シンフォニック度・8 壮麗度・8 女性Vo度・7 総合・8 
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Belle Morte 「Crime Of Passion」
ベラルーシのシンフォニック・ゴシックメタル、ベッレ・モルテの2021年作
耽美で壮麗なイントロから、適度にヘヴィなギターに美麗なシンセアレンジを重ね、美しい女性ヴォーカルの歌声とともに、
しっとりと優雅なゴシックメタルを展開。ときに激しすぎない疾走感も覗かせつつ、オーケストラルなアレンジとともに
ヨーロピアンな翳りを帯びた世界観を描いてゆく。Anastasia嬢の歌声は、母国語なまりの英語がコケティッシュな魅力になっていて、
ヴァイオリンやピアノなどのクラシカルな優雅さによくマッチしている。メリハリのある構築力には、マイナー臭さは感じられず、
表現力ある女性声の実力を含めて、EPICADELAINなどのファンにも楽しめるだろう。これぞシンフォ・ゴシメタの快作である。
シンフォニック度・8 壮麗度・8 女性Vo度・8 総合・8
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BESEECH「...FROM A BLEEDING HEAT」
スウェーデンのゴシックメタルバンド、ビスィーチの1st。1998作
3rd「SOULS HIGHWAY」では美しい女性ヴォーカルで聴かせる傑作であったが、
この1stでは女性Voの出番も少なく、まだ古き王道のゴシックメタルという印象で、
メランコリックなメロディにザクザクとしたギター+デス声という、重量感のある音である。
ゲストによるヴァイオリン音色が物悲しく、これがなかなかいい味を出している。
メロディアス度・・7 メランコリック度・・8 女性Vo度・・5 総合・・7.5
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BESEECH「SOULS HIGHWAY」
スウェーデンの男女Voゴシックメタルバンド、ビスィーチの3rd。2002年作
美しいジャケも印象的であるが、サウンドも男女Voで聴かせるメランコリックなゴシックメタル。
歌唱力のある美しい女性ヴォーカルと、マイルドな男性ヴォーカルの掛け合いは
初期のTHEATRE OF TRAGEDYのような感じもある。いくぶんモダンでデジタリィなアレンジと
正統派ゴシックメタルとしての耽美な空気が同居したサウンドはなかなかセンスがよく、
古くささを感じさせずに、王道のゴシックから逸脱しないメランコリックな味わいが楽しめる逸品だ。
メロディアス度・・8 ゴシック度・・8 女性Vo度・・7 総合・・8
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BESEECH「DRAMA」
スウェーデンの男女Voゴシックメタルバンド、ビスィーチの4th。2004作
ENTWINEなどを思わせるゴシックロック的なマイルドさに男女ヴォーカルの歌声で
聴かせるサウンドは、ゆったりとした倦怠の叙情に溢れて、じつに耳心地が良い。
美しいシンセワークもさりげなく効いている。男性声メインの曲が多いが、
女性声で聴かせる曲はThe Gatheringを思わせるように、やわらかに耳に響く。
メロディアス度・・8 ゴシックロック度・・8 マイル度・・8 総合・・7.5
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BESEECH「sunless days」
スウェーデンの男女Voゴシックメタルバンド、ビスィーチの5th。2005作
バランスのとれたサウンドでフィンランド産ゴシックロック的な聴きやすさが増している。
また、女性Vo、Lotta嬢が成長を遂げていて、マイルドな男Voとの対比がとてもよろしく、
このツインヴォーカルを聴くだけでも深みのある官能的なイメージを味わえる。
初期の重厚さはないが、ゴシックメタルとしてのクオリティは確実にアップしている。
メロディアス度・・8 ゴシック度・・7 男女Vo度・・9 総合・・8
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Beseech 「My Darkness,Darkness」
スウェーデンのゴシックメタル、ビスィーチの2016年作
90年代にデビュー、2005年作を最後に解散したバンドが復活、11年ぶりとなる6作目を完成させた。
メンバーは少し替わっているようだが、男女ヴォーカルの歌声を乗せたメランコリックなゴシックメタルは健在。
適度にメロディックなツインギターとうっすらとしたシンセアレンジ、モダンな翳りを含ませたマイルドな聴き心地で、
北欧らしい涼やかで叙情的な世界観に浸ることができる。メタリックな重さは控えめで、曲によってはむしろ、
ANATHEMAのようなやわらかな浮遊感もあったりして、ヘヴィな音が苦手な方にも楽しめるだろう。
かつてのファンはもちろん、初めてこのバンドを知るという方にもお薦めできる、物憂げなゴシックメタルの好作品。
ドラマティック度・・7 ゴシック度・・8 復活度・・8 総合・・8 
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BLACKTHORN「Araneum」
ロシアのゴシックメタルバンド、ブラックソーンの2009年作
メンバー全員が女性というバンドで、シンフォニックかつミステリアスなゴシックメタル。
母国語による美しいソプラノヴォーカルとけっこう激しめのドラム、ヘヴィなギターで
聴かせる重厚な楽曲は、ガールズバンドであることをあまり感じさせない。
デスヴォイスや激しい疾走などもあるので、ゴシックデスという方が正しいか。
あとはインパクトを持たせる展開やメロディがもっとあれば。さらなる成長に期待。
シンフォニック度・・8 ゴシック度・・7 女性Vo度・・8 総合・・7.5


The BLOOD DIVINE「AWAKEN」
イギリスのゴシックメタルバンド、ブラッド・ディヴァインの1st。1996作
ANATHEMAと元CRADLE OF FILTHのメンバーによるバンドで、
サウンドは、本家アナシマに比べると70年代的なブリティッシュロック色が濃く、
頽廃的な雰囲気とサイケな浮遊感をともないながら、英国的な哀愁を漂わせている。
初期のPARADISE LOSTにも通じる質感と、Cathedralがゴシック化したような気配もあり
ときにオルガンなどを用いたプログレ的なシンセワークなどもなかなか面白い。
美麗なゴシックメタルとはまったく異なるサウンドだが、英国からしか出て来ないこの耽美な頽廃をともなった音楽性は、
むしろブリティッシュロックファンなどの耳に心地よい作品かもしれない。
メロディアス度・・7 ゴシック度・・8 英国度・・9 総合・・8
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The BLOOD DIVINE「Mystica」
ゴシックメタルバンド、ブラッド・ディヴァインの2nd。1997作
前作の作風がさらに押し進められ、ゴシックメタル的な重厚さよりも
オルガン入りの浮遊感のあるサイケロックという要素が強まっている。
いかにも英国然とした薄暗い哀愁はそのままに、無駄を削ぎ落としたサウンドは
ゴシックというよりはむしろ、美しくはかない耽美なブリティッシュロックといっていい。
プログレ、ドゥーム、サイケ、ストーナーあたりの要素を雑多に取り入れながら
根底にはほの暗い美意識が感じられるそのセンスは、一聴して派手さはないが
ロックがロックであるということの意味を、あらためて感じさせてくれるようだ。
若いメタルリスナーよりも、むしろプログレ/70's英ロックのリスナーに勧めたい作品だ。
メロディアス度・・7 ゴシック度・・7 英国度・・9 総合・・7.5
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The Bood Divine「Rise Pantheon Dreams」
英国のゴシックメタルバンド、ブラッド・ディヴァインの3rd。2002作
ANATHEMAのメンバーなどで結成されたこのバンドだが、もともとゴシックというよりは
ブリティッシュロック的な雰囲気とサイケとドゥームロックが合体したような音楽性であった。
本作ではかねてからあったCATHEDRAL的な質感がいっそう増していて、
ドゥーム/ストーナーロックのリスナーも楽しめるようなサウンドだ。
古めかしいオルガンの音色に、いかにも英国的な翳りある叙情を漂わせ
70'sプログレ的な素朴さと頽廃の美学をまとったゴシック/ドゥームメタルである。
メロディアス度・・7 ゴシック度・・7 英国度・・9 総合・・7.5
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BRAVE「SEARCHING FOR THE SUN」
アメリカのフィメール・メタルバンド、ブレイブの2002年作
ARISE FROM THORNSが改名したバンドで、ジャケ写真を見るとますますポッチャリ系おねいさんになったミッチェル嬢が(笑)
しかし彼女の素敵な歌唱の魅力は増すばかり。今作ではケルト色はやや抑え気味で、
ゆったりとした清涼感のあるゴシックメタルになっていて、ある意味分かりやすい作風だ。
それでいて、3拍子リズムやギターのフレーズにはケルティックな部分が随所にかいま見える。、
ALL ABOUT EVE
KARNATAKAあたりのファンなどにも聴いてもらいたい傑作。
シンフォニック度・・8 ゴシック度・・7 女性Vo度・・9 総合・・8
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BRAVE「Monuments」
アメリカのフィメール・メタルバンド、ブレイブの2008年作
2002年作はケルティックなメロディで聴かせる絶品の女性ヴォーカルものであったが、
まだ活動を続けていたようで嬉しいかぎり。ぽちゃ系女性Vo、ミッチェル嬢
素晴らしい歌声を中心に聴かせるサウンドは今作も不変で、ゴシックメタルというよりは
もっと聴きやすいキャッチーな雰囲気だ。今作ではヴァイオリン奏者がメンバーに加わり、
ケルト的な要素に艶やかな音色が加わって、じつに美麗なサウンドである。シンセとギター、
そしてヴァイオリンの重なりでシンフォニックな厚みも増した。美しく優雅に聴かせる傑作。
シンフォニック度・・8 ゴシック度・・7 女性Vo度・・9 総合・・8
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BREATHLESS 「Everlasting Beyond Forever」
タイのゴシックメタル、ブレスレスの2012年作
美麗なシンセアレンジに適度にヘヴィなギター、男性デスヴォイスを乗せたシンフォニックなゴシックメタルで、
2曲目からは美しいソプラノ女性ヴォーカルの歌声も乗せて、男性声との絡みで優美なサウンドを展開する。
オーケストラルなシンセのアレンジや、ギターのフレージングなどもなかなかセンスが良く、
シンフォニックな優美さとメランコリックな叙情性を含んだ、壮麗なスケール感にも包まれている。
全体的には男性声がメインの部分が多いのが個人的には不満ながら、ほどよいマイナー加減と
アジアンな匂いも漂わせるところも好感が持てる。微笑みの国から、今後の成長に期待のバンドです。
シンフォニック度・・8 ゴシック度・・7 女性Vo度・・7 総合・・7.5
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C

Catafalque 「Unique」
トルコのゴシックメタル、カタファルケの2005年作
美しい女性ヴォーカルの歌声に、男性デスヴォイスが絡む、正統派のゴシックメタル。
楽曲は適度なヘヴィさとともにメロディアスな魅力もあり、Leaves' EyesやTRISTANIAなどに比べても
遜色のないクオリティである。耽美でありながらキャッチーな聴き心地の高品質ゴシックメタル作。
メロディアス度・・8 ゴシック度・・8 女性Vo度・・8 総合・・8

CATAFALQUE「Dialectique
トルコのゴシックメタル、カタファルケの2007年作
シンセによるモダンで美麗ななアレンジと、男女ツインヴォーカルで聴かせる
かつてのTheatre of Tragedyなどを思わせる質の高い王道のゴシックメタルサウンド。
歌詞は英語なので、トルコという地域性はあまり感じさせず、ヘヴィすぎない音作りと
メランコリックかつキャッチーなメロディアス性があってとても聴きやすい。
女性ヴォーカル、Ozge嬢の歌声もコケティッシュで好みです。これは掘り出し物的傑作。
メロディアス度・・8 モダンゴシック度・・8 女性Vo度・・8 総合・・8
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Celestial Crown 「Suicidal Angels」
エストニアのゴシックメタル、セレスティアル・クラウンの2006年作
2002年にデビューし、3作目となる。叙情的なフレーズを奏でるギターにクラシカルなシンセを重ね、
女性ヴォーカルと絶叫する男性声を乗せた、ほどよい辺境感に包まれたゴシックメタル。
男性声は、ジェントルなノーマル声から、低音グロウル、耳障りなダミ声といろいろ入って来て、
女性ヴォーカルがほとんど入らない曲もあるので、もっと女性声メインにして欲しいという気もする。
全体的にも辺境的な粗削りさを感じさせるが、随所に泣きの叙情ギターにピアノなどのシンセが
耽美な空気を描いていて、女性ヴォーカルによるしっとりとしたナンバーなども美しい。
シンフォニック度・・7 ゴシック度・・7 女性Vo度・・7 総合・・7
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Celestial Season「Solar Lovers」
オランダのゴシック・ドゥームメタル、セレスティアル・シーズンの1995年作
ツインギターに女性ヴァイオリン奏者2名を含む編成で、重厚なギターリフに美しいヴァイオリンが絡み、
低音デスヴォイスを乗せたサウンドで、ドゥームメタルとゴシックメタルの中間という聴き心地。
一方では、ザラついた味わいのストーナー的なギターリフも覗かせ、曲によってはドゥーム寄りの感触が強くなる。
本作の時点ではおそらく、同郷のThe Gatheringとともに、ドゥームゴシックメタルとしての方向性を模索していたのだろう、
これ以降の作品はストーナーロック色を強めているので、ゴシック的なドゥームとしては本作は奇跡的な均衡であったともいえる。
ドラマティック度・・7 ゴシック度・・7 ドゥーム度・・8 総合・・7.5
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Cellar Darling 「This is the Sound」
スイスのフォーク・ゴシックメタル、セラー・ダーリンの2017年作
ELUVEITIEのアナ・マーフィ、イーヴォ・ヘンツィ、メルリン・スッターによるバンドで、
美しい女性ヴォーカルと適度にモダンなヘヴィさに、ハーディ・ガーディの音色などの
ほどよくフォーキーな要素も含んだサウンド。楽曲自体はわりとシンプルな構成で、
エルヴェイティに比べると激しさがさほどないので、ゴシック・ヘヴィロック的に普通に楽しめる。
ゆったりとした叙情的なナンバーから、ヘヴィなギターリフを乗せた重厚なナンバーまで、
クオリティの高さはさすがで、全体的にもキャッチーな聴き心地でバランスのとれた好作品です。
メロディック度・・8 ゴシック度・・7 女性Vo度・・8 総合・・8
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Cellar Darling「The Spell」
スイスのフォーク・ゴシックメタル、セラー・ダーリンの2019年作
ELUVEITIEのアナ・マーフィらによるバンドの2作目。ヘヴィなギターに美しい女性ヴォーカルを乗せ、
たゆたうような倦怠の叙情と、ハーディ・ガーディの素朴な音色など、フォーキーな要素が同居したサウンド。
アナ嬢のヴォーカルも表現力がぐっと増していて、魔女めいた漆黒の艶を感じさせる幻想的な世界観を彩り、
ときにフルートが妖しく鳴り響き、叙情的なギターの旋律や優美なピアノなど、繊細なアレンジも随所に光っている。
ケイト・ブッシュか、アネク・ヴァン・ガースバーゲンかという伸びやかな歌声が、魔法の物語を語るように
コンセプチュアルなスケール感を紡いでゆく。幻想世界の強度を強めた見事な傑作に仕上がっている。
ドラマティック度・・9 幻想度・・9 女性Vo度・・9 総合・・8.5 
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CHALICE「CHRONICLES OF DYSPHORIA」
オーストラリアの女性Voゴシックメタルバンド、シャリスの2000年作
フルートも吹く女性Voが加わった2ndとはやや印象が異なり、この1stではヴァイオリンが効果的に使われ、
全体的に重厚さもあって、雰囲気としてはいかにも本格派のゴシックメタル的で良いですな。
キーボードも手がけるシラリー嬢の美声ははかなげでありながら芯が通った印象で
この手に重要な説得力が歌声に感じられるのが高ポイント。曲調は総じてゆったりめだが、
暗すぎず典雅な雰囲気で、時折ヘヴィなギターパートも現れるなど、意外にメリハリが付いている。
シンフォニック度・・8 ゴシックメタル度・・9 女性Vo度・・9 総合・・8
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CHALICE「AN ILLUSION TO THE TEMPORARY REAL」
オーストラリアの女性Voゴシックメタルバンド、シャリスの2nd。2001作
女性Vo、女性フルート奏者を含む6人編成で、ゆったり目の楽曲に美しい女性ヴォーカルがはかなげな歌を乗せる、
美と静寂を感じさせるゴシックメタルサウンド。フルートもかなりの頻度で活躍し、美しいキーボードもなかなか良い。
音も薄めでスカスカ感があり、むしろアンビエントなゴシック、シンフォニック好きが喜びそうなサウンドだ。
このたゆたうような感覚が心地よいと感じるかどうかで、この手のバンドへの評価は分かれるだろう。
シンフォニック度・・8 耽美度・・8 女性Vo度・・8 総合・・7.5
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CHALICE「AUGMENTED」
オーストラリアのゴシックメタル、シャリスの2003年作
女性Voに女性フルート奏者を擁する編成で、1st、2nd共に耽美派の女性声ゴシックメタルの好作品であった。
3作目となる今作も基本的には同路線だが、曲のアレンジや演奏がぐっとこなれてきた印象で
前作までややあったB級感が消えて、マイルドな聴き心地にアンビエントな繊細さも含む美しい作品に仕上がっている。
女性ヴォーカル、シラリー嬢の美声は相変わらずキュートで、メロウなギターリフに絡むフルートも効果的に楽曲を彩っている。
よけいなデス声が入らないのもよいですな。女性声メインのしっとり系ゴシックメタルが聴きたかったらぜひ。
メロディアス度・・8 女性Vo度・・8 しっとり度・・8 総合・・8
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Chalice of Doom「Into Hypnagogia」
ヨルダンのゴシック・ドゥームメタル、チャリス・オブ・ドゥームの2013年作
シンセを含む5人編成で、美しいシンセアレンジに重厚なギターと低音デスヴォイスを乗せた、
DraconianMy Dying Brideあたりに通じる本格派のゴシック・ドゥームメタル。
随所に叙情的なギターの旋律やマイルドなヴォーカルも加わった、メランコリックな世界観と、
シンフォニックな美しさに包まれていて、ヴォーカルはデス声だが全体的にもメロディックに聴きやすい。
イスラム特有のジハードやシャヒード(殉教者)などをテーマにした雰囲気には、さすがホンモノノ香りがする。
演奏や楽曲のクオリティも高いのだ、耽美なゴシックメタルとしても普通に楽しめる力作である。
ドラマティック度・・8 ゴシック度・・8 重厚度・・8 総合・・8
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CHARON「Downhearted」
フィンランドのゴシックロックバンド、カローンの3rd。
メタルというにはヘヴィさはさほどなく、モダンなシンセアレンジと倦怠系の男Vo…
一聴して、HIMTO/DIE/FORなどからの影響を感じさせるサウンドだ。
悲しみと哀愁をただよわせる叙情美は、いかにもフィンランド産という雰囲気で
ギターのフレーズなどもENTWINEあたりに通じるメロディが耳に優しい。
ただ、クオリティは高いものの、今となっては新鮮味がないのも確かで、
この手の倦怠ゴシックが好きでないと途中で飽きるかもしれない。
メロディアス度・・7 ゴシックロック度・・8 フィンラン度・・8 総合・・7.5
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CHARON「SONGS FOR THE SINNERS」
フィンランドのゴシックロックバンド、カローンの5th。2005作
この前に聴いたのは3rdだったが、どうにも煮え切らないゴシックロックというイメージだった。
今作も、HIMのヴィレ・バロを思わせるマイルドな歌声で聴かせる哀愁のゴシックロックだが、
それでも、今作は曲における細かなアレンジ力の向上で、サウンドの説得力が増している。
こうなると全体的な薄暗い叙情にも重さが出てきて、所々で使われる女性コーラスも良い感じだし、
単純なフレーズながらもギターソロなどにもいくぶん味がでてきたような気がする。
これならHIMENTWINEなどが好きなら、充分に薦められるクオリティになった。
メロディアス度・・8 ゴシック度・・7 フィンラン度・・8 総合・・8
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CINNAMUN BELOVED 「The Weird Moment」
アルゼンチンのシンフォニック・ゴシックメタル、シナムン・ビラヴドの2011年作
美しいシンセアレンジと女性ヴォーカルの歌声で聴かせる質の高いサウンド。
3、4分前後の楽曲は比較的シンプルかつ、適度にヘヴィかつモダンな感触で、
サブリナ嬢の歌声は、ときにターヤやフロールを思わせるくらいに力量充分。
EVANESCENCEやNightwishなどが好きな方なら安心して楽しめるだろう。
シンフォニック度・・8 ゴシック度・・7 女性Vo度・・9 総合・・8


CLOSTERKELLER「ACT V(LIVE 2003)」
ポーランドのゴシックメタルバンド、クロスターケラーのライブDVD。2003作
デビューは1989年という相当なベテランバンドらしいが、サウンドは同郷のARTROSISMOONLIGHTにも通じる雰囲気で、
ポーランド語の歌唱からも上記のバンドにけっこう似ている感じだが、女性VoのAnjaさんは、その服装や風貌、声質などから、
“酒場のベテラン女歌手”的な雰囲気で、上半身裸のギタリストは中年太りで腹が見苦しいとか、視覚的にはちょっとイマイチか…(^^;)
ステージに怪しげなダンサーが出てきたりと、雰囲気ものとしても耽美な要素が多いのだが、
楽曲の方はどれも似たりよったりで、これだというドラマティックな盛り上がりもさほどないのでつらい。
マニアックなゴシックメタルファン向け。ボーナスにはビデオクリップ、オーディオトラック等を収録。
いかにもポーランドらしい翳りのある雰囲気のPVに、このバンドの本質が見える。
ライブ映像・・7 ライブ演奏・・7 楽曲・・7 総合・・7
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COLD SIGHT 「A/H1N1」
ロシアのゴシックメタル、コールド・サイトの2013年作
女性Voとベース&シンセ奏者のユニットで、適度な疾走感とシンフォニックな美しさに
ソプラノ女性ヴォーカルの歌声で聴かせるサウンド。ときおりデスヴォイスが絡みながら
美しいソプラノヴォイスがオペラティックな優美さを漂わせつつ、ギターは随所にクサメロを奏でたり、
いくぶんローカルなマイナー臭さも漂わせる。10分を超えるインスト曲など、なかなか構築力はあるので、
サウンド全体がもう少し重厚になると、もっと壮麗な聴き心地になるだろう。
シンフォニック度・・8 優美度・・8 女性Vo度・・8 総合・・7.5


COLOSSEUM 「Chapter 1: Delirium」
フィンランドのドゥーム・ゴシックメタル、コロシアムの2007年作
重厚なツインギターとうっすらとしたシンセ、そして低音デスヴォイスで聴かせる
スローでフューネラルなゴシック・ドゥームサウンド。楽曲はほとんどが10分以上で、
随所にメロウな泣きのギターフレーズを含ませたメランコリックなダークさが心地よい。
シンセの美しい重ねはシンフォニックといってもよいくらいで、叙情的なギターワークとともに
ヨーロピアンな耽美さを醸し出しだす。Shape of Despairなどが好きな方はかなり気に入るだろう。
ドラマティック度・・7 重厚度・・8 暗黒度・・8 総合・・8
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COLOSSEUM 「CHAPTER II」
フィンランドのゴシックドゥームメタル、コロシアムの2009年作
重厚なギターとシンセによる厚みのあるサウンドに、低音デスヴォイスを乗せた、
フューネラルなゴシックドゥームサウンド。ギターは随所に叙情的な泣きメロを奏で、
暗黒性は高くとも、案外聴きやすいというのがこのバンドの魅力であろう。
ときにオーケストラルなシンセアレンジがサウンドを荘厳に彩っていて、
神秘的なスケール感に包まれた暗闇の美学が味わえる。
耽美なゴシック要素とスローなドゥームメタルが融合したというべき力作だ、
暗黒度・・8 ゴシックドゥーム度・・8 重厚度・・8 総合・・8
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COLOSSEUM 「Chapter 3: Parasomnia」
フィンランドのドゥームゴシック、コロシアムの2011年作
今作はのっけから20分の大曲で、ツインギターと美しいシンセ、低音デスヴォイスを乗せた
重厚なゴシック・ドゥームが広がってゆく。デス声を除けば、ヘヴィな暗黒性よりはむしろ雰囲気ものとしての
幻想的な美しさに包まれたサウンドなので、フューネラル・ドゥームの初心者にも楽しめるだろう。
全編スローテンポで、曲は長く、ギターもリフ自体は単調なのだが、泣きのメロディを奏でる部分が多いので、
包み込むようなシンセアレンジとともにうっとりと心地よく聴き通せる。ゴシックドゥームとしては非常に好みの音なのだが、
リーダーでVo&GのJuhani氏は本作を残して33歳の若さで亡くなったらしい。これがバンドのラスト作となった。R.I.P
ドラマティック度・・8 重厚度・・8 暗黒度・・7 総合・・8
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CON ANIMA「THE BOOK OF RIDDLES」
ノルウェーの男女Voゴシックメタルバンド、コン・アニマの1st。1999作
アコースティックギターなどを使用した、陰鬱なゴシックメタル。語りのような演劇的な男Voに、
時折女性Voが絡み、沈み込むようなあまり健全そうでない音世界を構築している。
ピアノ、キーボードの使い方や、間奏部のSEなど、いろいろな仕掛けがあり、そういう部分で
シアトリカルな雰囲気が感じられる。LACRIMOSAから壮大さを取り払ったようなイメージ。
シンフォニック度・・7 暗鬱度・・8 女性Vo度・・5 総合・・7


CREMATORY「ILLUSIONS」
ドイツのゴシックメタルバンド、クリーメトリーの3rd。1995作
ゴシックメタルバンドとしてはPARADISE LOSTに次ぐほどに古株であるこのバンド。
最近ではかえって珍しくなった「吐き捨て系デス声」のゴシックメタルサウンドで、
必要以上にシンフォニックなキーボードが特徴的。このアンバランスさが今となっては面白い。
曲の方は、2ndの頃のAMORPHISや、初期のTHE GATHERING(デス声の頃の)といった雰囲気で
ゆったりとした、展開の少ない中に、メランコリックなメロディをリフレインしてゆく、という感じ。
テイチクから日本盤も出ていたが人気の方は日本ではさほど盛り上がらず、すでにバンドは解散したらしい。
シンフォニック度・・8 ゴシック度・・8 楽曲・・7 総合・・7.5

Crescent Lament/恆月三途「噤夢/Land Of Lost Voices」
台湾のシンフォニック・ゴシックメタル、クレセント・ラメントの2020年作
2011年にデビューし、3作目となる。コミック調のジャケットに豪華仕様のトールケースという作品で、
第二次大戦後の1947年を舞台にした物語的なコンセプト作。メタリックなギターに優雅な二胡の音色、
中国語による美しい女性ヴォーカルの歌声に、男性デスヴォイスも絡んで、激しくも優美なサウンドを構築。
中華的なメロディや艶やかな二胡の響きが美しいゆったりとしたナンバーから、ゴシックメタル風の物悲しさや、
ほどよく激しいメタル感触が合わさった、自主制作とは思えないクオリティの高いサウンドが楽しめる。
二・二八事件を含む、中国国民党の支配下に翻弄された歴史的史実をテーマにした、シネマティックな力作です。
ドラマティック度・8 ゴシック度・8 優美度・8 総合・8
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THE CREST「LETTERS FROM FIRE」
ノルウェーのゴシックメタルバンド、クレストの1st。2002年作
美しいシンセに適度にヘヴィなギター、キュートな女性ヴォーカルを乗せたゴシックメタル。
メタル的なヘヴィネスは薄めで、いくぶんデジタリィでモダンなアレンジも含めて、
PALE FORESTあたりに通じるキャッチーなゴシックロックというサウンド。
はかなげなNELL嬢の歌声は、フェミニンなメランコリック性をかもしだしていて、なかなか魅力的。
楽曲的な新鮮味はさほどないので、聴き心地はいいものの、これというインパクトがないのが残念だが、
THE GATHERINGあたりに通じる、しっとりとした浮遊感が好きな方にはお薦めです。
メロディアス度・・7 ゴシック度・・7 女性Vo度・・8 総合・・7.5
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THE CREST「Vain City Chronicles」
ノルウェーのゴシックメタルバンド、クレストの2nd。2005年作
イントロから美しいヴァイオリンの音色が響き、前作にくらべてギターはヘヴィになっているが、
サウンド自体はメタルというよりは、キャッチーな軽快さが強く、そこに乗るキュートな女性ヴォーカルもなかなか魅力的だ。
いくぶんモダンなアレンジセとともに、ゴシックロックというべきサウンドは、メロディアスな聴きやすさが前に出ている。
楽曲は3、4分台が中心で、これといったインパクトには欠けるのだが、同じ系統のゴシックロック、LULLACRYなどに比べると、
もう少し叙情的な哀愁を感じさせるのがよいですね。あと一歩、個性が身につけばいいバンドになりそうだ。
メロディアス度・・7 ゴシックロック度・・8 女性Vo度・・8 総合・・7.5
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Crimson Blue 「The Angelic Performance」
ロシアのゴシックメタル、クリムゾン・ブルーの2014年
メタリックなツインギターに女性ヴォーカルの歌声を乗せ、うっすらとしたシンセアレンジとともに
ソリッドな硬質感とダークな叙情が合わさった、スタイリッシュなゴシックメタルを聴かせる。
歌詞は英語のため、あまりロシアっぽさは感じさせず、紅一点、Dani嬢の歌声も伸びやかなストレートから、
フェミニンな表現力もあって、なかなか魅力的。ほどよくモダンなヘヴィネスと翳りを帯びた叙情に、
ほどよくキャッチーなフックもありマイナー臭さはない。ラストの11分の大曲は優美さとヘヴィネスが交差する。
シンフォニック度・7 耽美度・7 女性Vo度・8 総合・7.5
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CRYOSHELL
デンマークの女性Voゴシックロックバンド、クライオーシェルの2011年作
美しい女性ヴォーカルの歌声を中心に、モダンなアレンジで聴かせるサウンドは
EVANESCENCEを思わせるものがある。楽曲は3、4分台で比較的コンパクトであるが、
随所に壮麗なシンフォニックさも含んでいてなかなか聴き心地がよい。
キャッチーといってもよいメロディアスさは万人受けしそうな感じがする。
現時点では個性という点でまだまだ突出したものがないので、今後にさらに期待したい。
シンフォニック度・・8 ゴシック度・・7 女性Vo度・・8 総合・・7.5
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Cryptal Darkness 「They Whispered You Had Risen」
オーストラリアのゴシックメタル、クリプタル・ダークネスの2000年作
シンセ&ヴァイオリン奏者を含む編成で、うっすらとしたシンセアレンジに美しいヴァイオリンの音色、
ツインギターの奏でる泣きのメロディでゆったりと聴かせる、耽美なゴシックメタルサウンド。
ドゥーミーなダークさもありつつ、シンフォニックな美しさが前に出ているのでとても聴きやすく、
初期のKATATONIAがよりメロディックになったという雰囲気もある。次作ともども傑作です。
シンフォニック度・・8 ゴシック度・・8 叙情度・・8 総合・・8
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CRYPTAL DARKNESS「CHAPTER U THE FALLEN」
オーストラリアのゴシックメタルバンド、クリプタル・ダークネスの2nd。2001作
ゆったりとしたドゥーム系のゴシックサウンドで、MY DYING BRIDEとPARADISE LOSTの中間という感じ。
暗く、沈む込むようなサウンドに乗るメロウなギターの音色にゆるやかなキーボード、
そして元MY DYING BRIDEのメンバーが奏でるもの悲しいヴァイオリンの旋律は絶品だ。
ヴァイオリンだけでなく彼の弾くピアノ、キーボードもこの悲哀音楽にシンフォニックな味付けをしている。
昨今主流の女性声は入らないが、たまにはこういうダークで濃密な男性声ゴシックもよいですな。
ドゥーミーなヘヴィさがありながら、美しいメロディのおかげで意外と聴きやすいのもポイント。
シンフォニック度・・8 ドゥームゴシック度・・9 暗黒度・・8 総合・・8
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CULTUS SANGUINE 「Sum Of All Fears」
イタリアのゴシックメタル、カルタス・サングインの1999年作
美しいシンセアレンジに重厚なギターと、がなり立てるヴォーカルを乗せ、
初期のMy Dying Brideなどにも通じる耽美な世界観を描く正統派のゴシックメタル。
妖しくカルトな雰囲気も漂わせた、ホラー風味の空気感はいかにもイタリアのバンドらしいが、
随所に叙情的なギターフレーズも聴かせたり、シンセによるシンフォニックな味わいもあって、
全体的には暗すぎず重すぎない感触でわりと聴きやすい。古き良きゴシックメタルが好きな方はどうぞ。
ドラマティック度・・7 ゴシック度・・8 重厚度・・8 総合・・7
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D

DAKRUAShifting Realities
イタリアのゴシックメタルバンド、ダクルアの2nd。2002年作
男女ヴォーカルの歌声で聴かせるクラシカルでオペラティックなゴシックメタル。
男声はデス声ではなく低めのバリトンくらいで、女性声をひき立てていて、
美しいシンセとともに、壮麗なクラシカルさを楽曲の中でかもしだしている。
ギターはときにメロデス的にへヴィであったりしつつ、メロウなフレーズがなかなかいい。
ゴシックとしてはそれほどスローでもなく、一般のメタラーも退屈しないで済みそう。
曲の雰囲気や音の重ねはなかなか良いと思うが、もう少し展開にメリハリが欲しいか。
クラシカル度・・8 耽美度・・8 女性Vo度・・7 総合・・7.5

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DAMA「eirwen」
イタリアのゴシックロック、ダマの2011年作
美しい女性ヴォーカルの歌声で聴かせるシンフォニックなゴシックロックサウンド。
ピアノやストリングスのクラシカルなアレンジが、ゆったりとした優雅な作風を描き出し、
ヘヴィさは控えめのやわらかな耳心地が楽しめる。楽曲は3、4分台とシンプルであるが、
しっとりとした歌声を引き立たせる、アンニュイな翳りをまとった雰囲気があってよろしい。
イタリア語と英語に分けられた2枚組仕様。僕は断然イタリア語の響きが好みです。
シンフォニック度・・8 ゴシック度・・7 女性Vo度・・8 総合・・8
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DARK EDEN 「The Darkness Of Fate」
ブラジルのゴシックメタル、ダーク・エデンの2000年作
ヘヴィなギターにピアノを含むシンセ、迫力あるデスヴォイスにソプラノ女性ヴォーカルも加えた
耽美でドゥーミィなゴシック・デスメタルを聴かせる。リズムチェンジを含む緩急ある流れと、
低音デスヴォイスを乗せた重厚な雰囲気は、初期のTHE GATHERINGあたりに通じる。
女性声パートが少なめなのが惜しい所だが、ヘタウマながら可憐な女性ヴォーカルやクラシカルなシンセ、
随所に聴かせる叙情的なギターなどはなかなかよい感じで、メランコリックな空気感に包まれた好作品だ。
ドラマティック度・7 ゴシック度・8 女性Vo度・6 総合・7
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Darkher 「Realms」
イギリスのゴシック・ドゥーム、ダークハーの2016年作
Jayn Maivenさんによる個人ユニットで、うっすらとしたシンセに重厚なギターを重ね、
はかなげな女性ヴォーカルの歌声を乗せた、妖しくメランコリックなサウンドを聴かせる。
フューネラルな暗黒性とドゥーミィな空気感は、My Dying Brideあたりにも通じるが、
こちらは女性声をメインにしている分、より耽美な味わいで、シンセとアコースティックギターによる
ゴシックアンビエント風味や、物悲しいヴァイオリンにヘヴィなギターが重なるダークな迫力が同居している。
ヴォーカルは歌というよりはウィスパーの雰囲気なので、とらえどころのなさがいくぶんもどかしい。
ドラマティック度・・7 耽美度・・8 重厚度・・8 総合・・7.5
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DARK PRINCESS(Olga Romanova)「Without You」
ロシアのゴシックメタルバンド、ダーク・プリンセスの1st。2005年作
バンド名とゴスロリちっくなジャケがインパクト大であるが、実際には耽美な薄暗さは少なく、
モダンで聴きやすいゴシックロック。軽めのギターリフと、きらびやかなシンセワーク、そして英詞なのだが
やはり発音的にどことなくロシアを感じさせるオルガ嬢のヴォーカル。曲はほとんどが4分台であっさりしていて、
「あれ、もう終わり?」というのもしばしば。EVANESCENCEなどのヘヴィロック風ゴシックのロシア版という感じで、
メロディなどにもさして新鮮味はなし。よく聴くと、どことなくローカルな感じも漂う。
メロディアス度・・7 ゴシック度・・7 女性Vo度・・7 総合・・7
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DARK PRINCESS(Olga Romanova)「Stop My Heart」
ロシアのゴシックメタルバンド、ダーク・プリンセスの2nd。2006作
今回も何故かバンド名のあとにヴォーカル嬢の名前が表記されているのが、ロシア的…というのか、
現地ではもしやアイドル的扱いなのかは謎…サウンドは前作からの延長上、モダンで聴きやすいゴシックロックだが、
女性ヴォーカル、オルガ嬢の歌唱の表現力が若干増し、そのおかげで音に説得力がついてきた。
一聴してWITHIN TEMPTATIONEVANESCENCE的な曲調には相変わらず個性はないが、
やはりどことなく西欧のバンドとは異なる質感があり、それが異国的な気配をもたらしている。
3〜5分台でコンパクトに聴かせるのは変わらないが、メロディの質も上がってきたので
メタルというには軽すぎるサウンドもある程度は許容できるようになった。突き抜けまでもう一歩。
メロディアス度・・8 ゴシック度・・7 女性Vo度・・8 総合・・7.5
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Dark Princess, Olga Romanova「Violent Game (Жестокая игра)」
ロシアのゴシックメタルバンド、ダーク・プリンセスの3rd。2007年作
前作同様、モダンで聴きやすいメロディアスなゴシックロックに、ロシア語で歌われるオルガ嬢の美しい歌声が乗る。
歌唱的にも成長が感じられ、雰囲気時自体は決して悪くないのだが、
やはり楽曲そのものにひっかかりが少なくありがちな作風から脱却できていない。
ウィズインやエヴァなど、欧米バンドの売れセンを狙うのではなく、
もっとロシア語という独自性を活かすようなメロディなりが欲しい気がする。
メロディアス度・・8 ゴシック度・・7 女性Vo度・・8 総合・・7.5

DARK PRINCESS 「WORLD I'VE LOST」
ロシアのゴシックメタルバンド、ダーク・プリンセスの2012年作
過去3作は、正直ゴシックメタルととしてはいのひとつで、中庸な出来であったのだが、
ヴォーカルが交代しての本作は、モダンなヘヴィロック風味とメロディアスな叙情のバランスがよく、
随所にシンフォニックなアレンジとギターのメロウなフレーズも含んで、楽曲そのもののクオリティも上がっている。
曲は3、4分台が中心でシンプルな聴き心地であるが、ロシア語によるナタリア嬢の歌声も表現力充分で、
これまで以上にサウンドに説得力を付加している。ここにきてやっと好みのバンドになってきた。
メロディック度・・8 ゴシック度・・7 女性Vo度・・8 総合・・8
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DARKSEED「Give Me Light」
ドイツのゴシックメタルバンド、ダークシードの3rd。1999作
RAGEのゴシックメタル版というような雰囲気だった2ndから、さらにメロデス色は薄まり
今作ではほぼゴシックロックというサウンドになっている。比較的普通のギターリフと、
ややダーティなノーマルヴォイスの歌声、うっすらとしたシンセによる味付けで
メランコリックな世界観を作ろうとしているのだが、叙情性もメロディもやや中途半端か。
これといった方向性が見えないまま、エッジをそぎ落としたという、もどかしさの残る作品。
メロディアス度・・7 メランコリック度・・7 楽曲・・7 総合・・7
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DARKSEED「Diving into Darkness」
ドイツのゴシックメタルバンド、ダークシードの4th。2000作
やや中途半端な作風だった前作に比べ、ほぼ完全にメランコリックなゴシックロックと化した。
ヴォーカルはよりマイルドな歌声となり、ギターとシンセのバランスも整ってきて
一聴してフィンランドのゴシックロック勢と変わらないサウンドになっている。
メロウなギターフレーズに、ゆるやかな叙情で耳心地よく聴ける作品だ。
メロディアス度・・7 メランコリック度・・8 マイル度・・8 総合・・7.5
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Dark Whisper 「From Now On」
アルゼンチンのシンフォニック・ゴシックメタル、ダーク・ウィスパーの2011年作
うっすらとしたシンセアレンジと美しいソプラノ女性ヴォーカルの歌声に、
適度に疾走感も含んだサウンドは、シンフォニックメタルとゴシックメタルの中間という雰囲気。
サウンドにはややチープな辺境臭さもあるが、それが幻想性にもなっていて、
ゲストヴォーカルも加わった、ツイン女性Voで聴かせる優美さはなかなかのもの。
フィメールメタルとしての魅力はかなりあるので、今後はさらなる楽曲の充実を期待したい。
シンフォニック度・・7 ゴシック度・・7 女性Vo度・・8 総合・・7.5


DARKWELL「metat[r]on」
オーストリアの女性Voゴシックメタルバンド、ダークウェルの2nd。2004作
赤毛の女性ヴォーカル、ステファニーさんのなかなか可憐な歌唱が素敵。
曲のほうはキーボードが美しく、シンフォニックでいい感じなんですが、
どうもどれも短くて(アルバムも39分と短い)ちょっと物足りないか。
雰囲気はいい感じなので、あとはここぞという聴かせ所をもっと作って欲しい。
シンフォニック度・・7 ゴシック度・・7 女性Vo度・・8 総合・・7
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Darkwell 「MOLOCH」
オーストリアのゴシックメタル、ダークウェルの2016年作
2000年から2004年までに、2作を残して消えたバンドのじつに12年ぶりとなる復活作。
浮遊感ある女性ヴォーカルに、適度にモダンなヘヴィネスとシンセアレンジを含んだ正統派のゴシックメタルで、
いくぶんの垢抜けないマイナー臭さとともに、シンフォニックで重厚な味わいがなかなかよろしい。
1stに参加していた女性シンガー、アレクサンドラ嬢の歌声は中音域からソプラノまで美しく歌いこなし、
いかにもゴシックらしい耽美な空気感を艶やかに彩っている。メロディックすぎず、ヘヴィすぎずという、
突き抜けきらない聴き心地が、むしろかつてのゴシックメタルとはこうであったと思い出させてくれる好作品だ。
ドラマティック度・・7 ゴシック度・・8 女性Vo度・・8 総合・・7.5
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DARKYRA BLACK 「Fool」
オーストラリアのゴシックメタル、ダーキラ・ブラックの2015年作
女性シンガーによるソロユニットで、演奏陣はすべてゲストのようだが、サウンドの方はシンフォニックなアレンジと
女性ヴォーカルで聴かせる正統派のゴシックメタル。ダーキラ嬢の歌声は、中音域からソプラノまでなかなか美しく、
適度にヘヴィなギターにモダンなアレジも含みつつ、わりとキャッチーな聴き心地で、艶めいた耽美さはあっても、
全体的にダークな感じはさほどない。その反面、ゴシックというには少しモダンだし、さりとてメロディのフックという点では
どうも煮え切らないという。アレンジの詰めの甘さを含めてマイナーな自主制作感が出てしまっている。
ストリングスなどが加わったクラシカルな美しさはなかなか魅力的なので、この辺りをさらに伸ばしていってもらいたい。
ドラマティック度・・7 ゴシック度・・7 女性Vo度・・7 総合・・7
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DAYLIGHT DIES「Dismantling Devotion」
アメリカのゴシックメタルバンド、デイライト・ダイズの2nd。2005作
メロウで煽情的なギターフレーズと凄絶なデス声で聴かせる、重厚なゴシックメタルサウンド。
初期PARADISE LOSTを思わせるスタイルは、これで本当にアメリカのバンドなのか?と思うほど。
5〜8分台の比較手長めの曲に、欧州的な暗さと叙情性を折り込んだサウンドは、
メロディと演奏のセンスがよいので、しっかりと重さと説得力があり、しかも聴きやすい。
昨今なかなかお目にかからなくなった王道のゴシックメタルとして、要チェックのバンドだ。
メロディアス度・・8 ゴシック度・・9 重厚度・・8 総合・・8
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Daylight Dies「Lost to the Living」
アメリカのゴシックメタルバンド、デイライト・ダイズの3rd。2008作
初期PARADISE LOSTを思わせる王道のゴシックメタルであった前作から
ややドゥーミーな部分を薄めて、メタルとしての聴きやすさが増した印象。
とはいっても、ツインギターによる重厚さと、低音のデス声が咆哮するサウンドは、
ダークな叙情を織りまぜながら、聴き手を深い闇へといざなってくれる。
メロディアス度・・7 ゴシック度・・8 重厚度・・8 総合・・8
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Daylight Dies 「A Frail Becoming」
アメリカのゴシックメタル、デイライト・ダイズの4th。2012年作
ツインギターのリフと低音デスヴォイスを乗せた重厚なゴシックメタルサウンド。
Paradise Lostなどに通じるメランコリックな雰囲気に、本作ではいくぶんメロデス寄りのミドルテンポも加わり、
ドゥーミィなバンドが苦手な方にも楽しめるかもしれない。曲によってはマイルドなノーマル声も効果的に使われ、
随所にメロディックなギターフレーズを織り込んだダークな叙情性も覗かせる。ヘヴィであっても暗黒性はさほど感じず、
物悲しい叙情が前に出ているので案外聴きやすい。反面、これという新鮮なインパクトというのもないのだが。
ドラマティック度・・7 ゴシック度・・8 重厚度・・8 総合・・7.5
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DELAIN「LUCIDITY」
オランダのゴシックメタルバンド、ディレインの2006年作
女性Voシャーロッテ嬢と元WITHIN TEMPTATION のKeyを中心としたバンドで、
ゲストにWITHIN TEMPTATIONのシャロン嬢、LEAVES' EYESのリブ・クリスティン嬢他、
NIGHTWISHのマルコやEPICAのAD他、豪華なメンツを揃えていて、購買意欲が増します(笑)
サウンドの方は、シャーロッテ嬢のなかなかキュートな歌声をメインにした王道のゴシックメタルで、
シンフォニックなシンセの味付けとヘヴィなギターリフの絡みもバランス良く、とても聴きやすい。
当然ながらWITHIN TEMPTATIONやNIGHTWISH、LEAVES' EYESに通じる質感も多いのだが、
反面、曲の展開、メロディともに予定調和の音でしかなく、そのあたりに退屈を覚えると
ややつらいかもしれない。もちろん、クオリティの高いゴシックメタルの佳作ではあると思うが。
メロディアス度・・8 ゴシック度・・8 女性Vo度・・8 総合・・7.5
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DELAIN「April Rain 」
オランダのゴシックメタルバンド、ディレインの2009年作
WITHIN TEMPTATIONのシンセ奏者を中心に結成されたこのバンド、
前作はWITHINのシャロン、LEAVES' EYESのリブ・クリスティンなどのゲストが参加した作品であったが、
本作はバンドとしての勝負作ともいうべき作品に仕上がっている。若干21歳のシャルロット嬢の歌唱は
格段にその表現力を増し、シンフォニックなシンセをバックに美しくも艶めいた歌声を聴かせてくれる。
曲によっては、最近のヴィズインよりもウィズインらしい雰囲気のものもあって、
このフィメールゴシックの王道たるサウンドは多くのファンを得るだろう。
メロディと叙情性の点でも、ウィズイン、エピカ、リーヴズ・アイズに匹敵できる作品だ。
シンフォニック度・・8 ゴシック度・・8 女性Vo度・・8 総合・・8.5
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DELAINWe Are the Others
オランダのゴシックメタル、ディレインの2012年作
アール・ヌーボー調のジャケがいい雰囲気だが、サウンドの方もどこかお洒落で、
適度なヘヴィさでメタリックな質感をかもし出しつつ、美しいシンセアレンジと、
キャッチーなメロディを含んだ聴き心地。今作ではゴシックメタル的な耽美さよりも、
普遍性のあるメロディアスさが前に出ていて、WITHIN TEMPTATION
EVANESCENCEなどにも負けない質の高さである。シャーロッテ嬢の歌声も
キュートな表現力と優雅な女性らしさを併せ持っていて、この手のファンにはたまらないだろう。
メロディック度・・8 ゴシック度・・7 女性Vo度・・8 総合・・8
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DELAIN 「Interlude」
オランダのゴシックメタル、ディレインの2013年作
これまでにスタジオアルバムを3枚発表、来日公演もこなして人気上昇中のこのバンド、
本作は、未発曲、カヴァー、リミックス、ライブ音源などを収録した全13曲入りのCDに、
ライブ映像やビデオクリップを収録したボーナスDVD付きの企画アルバム。
シャーロッテ嬢の美声のヴォーカルを中心に、キャッチーなメロディとシンフォニックなアレンジで
聴かせるサウンドはWITHIN TEMPTATIONに続く存在として、クオリティ充分。
ライブ音源も6曲聴けて、DVDの映像とともにファンには嬉しい内容だろう。
シンフォニック度・・8 ゴシック度・・8 女性Vo度・・8 総合・・8
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DELAIN 「Human Contradiction」
オランダのシンフォニック・ゴシックメタル、ディレインの2014年作
美貌の女性シンガー、シャルロッテ嬢を擁し、日本でも人気が上がりつつあるこのバンド。
4作目となる本作は、前作でのキャッチーな路線からゴシックメタル寄りの作風に戻ってきた。
WITHIN TEMPTATIONを思わせるシンフォニックで壮麗なアレンジに、美しくもはかなげな世界観と
モダンなヘヴィさを含んだメタリックな感触を同居させた、そのクオリティの高さはさすがである。
曲によっては男性デスヴォイスも絡んで、女性声の美しさを引き立てている。
メジャー感を漂わせたメロディックな聴き心地を残しつつ、よりバンドとしての成熟を感じさせる傑作だ。
シンフォニック度・・8 ゴシック度・・7 女性Vo度・・9 総合・・8
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Delain 「Lunar Prelude」
オランダのゴシックメタル、ディレンの2016年作
元WITHIN TEMPTATION のKeyを中心に2006年にデビュー、本作は新曲にライブ音源などを含む8曲入りのEP。
5th「MOONBATHERS」収録の2曲は、壮麗なアレンジ女性ヴォーカルのキュートな歌声を乗せた
優美なシンフォニックメタルで、ファンならば納得の出来だろう。ライブ音源は2015年のもので、
音質はややラウドなのだが、ツインギターにシンセによる厚みのある演奏と、シャルロット嬢の艶やかな歌声が楽しめる。
アルバムをすべて持っていればあえて手を出す必要もないが、ファンならばチェックして損のないEPです。
シンフォニック度・・8 ゴシック度・・7 女性Vo度・・8 総合・・7.5
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Delain 「Moonbathers」
オランダのシンフォニックメタル、ディレインの2016年作
WITHIN TEMPTATION のKeyを中心に2006年にデビュー、美貌の女性シンガー、シャルロット嬢を擁し
人気を博すこのバンド。5作目となる本作は、シンフォニックなアレンジをバックにキャッチーな感触で、
メジャー後のウィズインにも通じるような聴き心地から、デスヴォイスが加わると、EPICA的な雰囲気にもなる。
モダンなヘヴィネスを含んだメリハリあるアレンジと展開力はさすがのセンスで、美しい歌声を中心に、
あくまでメロディックな雰囲気を保っているのも、ファンの期待通りのバランス感覚だろう。
全体的にはゴシックメタル的な雰囲気が薄まった分、これだという新たなインパクトは薄いのであるが、
Nightwish
などにも通じる壮麗さと完成度の高さで、多くのリスナーが楽しめるだけの力作に仕上がっている。
シンフォニック度・・8 ゴシック度・・7 女性Vo度・・8 総合・・8
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Delain「Apocalypse & Chill」
オランダのシンフォニックメタル、ディレインの2020年作
2006年にデビュー、いまやWITHIN TEMPTATIONEPICAと並ぶ、オランダの人気バンド。
6作目となる本作も、透明感のある女性ヴォーカルを乗せて、ぼどよくヘヴィで美麗なサウンドを聴かせる。
楽曲は3〜4分前後と、キャッチーなシンプルさに磨きがかかり、モダンなヘヴィネスを含ませつつ、
どこかポップな感触とともに、EVANESCENCEにも接近したような、堂々たるメジャー感も漂わせる。
正直、もはやゴシックでもなければ、シンファニックメタルとしての独自の個性も希薄なのであるが、
シャルロット嬢の魅力的な歌声で耳心地よく聴けてしまう。良くも悪くもシンプルな質の高さが心憎い。
シンフォニック度・・7 モダンでキャッチー度・・8 女性Vo度・・8 総合・・8 
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DELIA 「Recollection」
ウクライナのシンフォニック・ゴシックメタル、デリアの2012年作
女性ヴォーカルの歌声と美しいシンセアレンジで聴かせる、ゴシックメタルサウンド。
随所に土着的なクサメロ奏でるギターに、紅一点、アナスタシア嬢の歌声は、
いくぶん素人っぽいヘタウマ感があって、そのマイナー臭さが辺境的な味にもなっている。
楽曲は3、4分台が中心で、正直、これといったインパクトはないので、もう少し大仰さというか、
情感的な盛り上げが欲しい。あとはやはり女性声のレベルアップが肝心ですな。
シンフォニック度・・7 ゴシック度・・7 女性Vo度・・7 総合・・7




DELIGHT「last temptation」
ポーランドのゴシックメタルバンド、デライトの1st。2000作
先に2ndを聴いていて、平均的なゴシックメタルという印象だったが、
この1stもきわどいジャケほどのインパクトはない。美しい女性Voの歌唱に、
うっすらとしたシンセと定型内のギターワーク、ドコドコとしたツーバスドラムによる
しごくオーソドックスな正統派のゴシックメタルサウンドだ。
メロディや薄暗い雰囲気にはポーランド特有のもの悲しさがあって、
同郷のMOONLIGHTあたりが好きな方なら普通に楽しめるだろう。
メロディアス度・・7 ゴシック度・・8 女性Vo度・・7 総合・・7
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DELIGHT「THE FADING TALE」
ポーランドのゴシックメタルバンド、デライトの2nd。2001作
女性Vo、KEYを含む六人組でサウンドは比較的オーソドックスなゴシックメタル。
女性Voの歌もまあ悪くはないという程度で、これといった個性は感じられない。
曲にもう少し切り返しや、派手な部分が欲しい。全体的に及第点止まりの作品。
メロディアス度・・7 ゴシック度・・7 女性Vo度・・7 総合・・7

DELIGHT「Eternity」
ポーランドのゴシックメタルバンド、デライトの3rd。2003作
女性Vo、女性シンセ奏者を擁する6人組で、中庸な出来に思えた前2作に比べて
ぐっとサウンドの重厚さが増している。またパウリナ嬢の歌声にも力強さとともに
妖艶な表現力が備わってきたことで、楽曲の説得力の点でもずいぶんと向上した。
シンフォニックなシンセによる耽美な雰囲気も良い感じで、ポーランド特有の翳りある叙情と
モダンなヘヴィさを上手く融合させた好作である。日本盤にはビデオクリップも収録。
メロディアス度・・8 ゴシック度・・8 女性Vo度・・8 総合・・7.5
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DELIGHT「Anew」
ポーランドのゴシックメタルバンド、デライトの4th。2004作
前作あたりから作品としての質がずいぶん上がってきていたが、
本作ではそこにモダンなシンセアレンジが加わり、ずいぶん垢抜けた印象。
パウラ嬢の歌声も力強さと妖艶さの両方を感じさせ、その表現力が上がっている。
初期の頃のような耽美な正統派ゴシックからは離れたが、
モダンゴシックとしての新たな出発を感じさせる好作に仕上がっている。
メロディアス度・・7 ゴシック度・・7 女性Vo度・・8 総合・・7.5
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DELIGHTBreaking Ground
ポーランドのゴシックメタルバンド、デライトの5th。2007年作
2ndまでは普通のゴシックメタルバンドだと思っていたのだが、前作からモダンなアレンジを取り入れ
本作はインダストリアル色とキャッチーなメロディが同居したなかなかの好作となった。
伸びやかな女性ヴォーカルの歌声を中心に、ゆったりと聴かせるサウンドは、
これといった目新しさはないものの、バンドとしての迷いのないまとまりを感じさせる。
女性声を活かす比較的コンパクトなアレンジもよい。Lacuna Coil的に質の高い作品だ。
メロディアス度・・8 ゴシック度・・7 女性Vo度・・8 総合・・8
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Delphian 「Oracle」
オランダのゴシックメタル、デルフィアンの2005年作
美しい女性ヴォーカルの歌声と適度なヘヴィさで聴かせるゴシックメタル。
今どき珍しくシンセは入らずギターのみで叙情性を出すタイプで、美麗な雰囲気は薄め。
いくぶん一本調子な歌声も含めて、メロディや楽曲にこれだという魅力に欠ける。
メロディアス度・・7 ゴシック度・・7 女性Vo度・・7 総合・・7
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DelphianUnravel」
オランダのゴシックメタル、デルフィアンの2007年作
ヘヴィなギターリフを中心にした楽曲に、女性ヴォーカルの歌声を乗せるスタイルで、
昨今のバンドのようなシンフォニック性は薄い。正直、楽曲、ヴォーカルともに個性に乏しく、
ときどきフルートの音が控えめに入ってくるくる他は、これといった魅力には欠ける。
せめてシンセ奏者を入れるなりしてサウンドにもっと工夫が欲しい気が…
メロディアス度・・7 ゴシック度・・7 女性Vo度・・7 総合・・7
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Depressed Mode「Ghosts of Devotion 」
フィンランドのドゥームゴシックメタル、デプレスト・モードの2007年作
SHAPE OF DESPAIRのメンバーも在籍するバンドで、美麗なシンセアレンジとヘヴィなギターに、
低音ヴォーカルを乗せた重厚なサウンド。ドゥーミィな感触とゴシック要素さが合わさったスタイルで
随所に女性コーラスも絡んだりして、ゆったりとした耽美な世界観がなかなかよい感じです。
楽曲自体には気これといった新鮮味はなく、雰囲気ものとして楽しむような作品でしょうな
ドラマティック度・・7 ゴシック度・・8 重厚度・・8 総合・・7.5





DESDEMONA「STAGNACJA」
ポーランドの女性Voゴシックメタルバンド、デスデモナの1st。2000作
同名のシンフォニックメタルバンドがイタリアにもいるが、こちらはゴシックメタル。
けっこう正統派の楽曲にこもりがちのソプラノVoがはかなげな歌を載せている。
キーボードもギターもなかなかメロディアスでいい味を出している。
全体としては初期のARTROSIS系のサウンドで、歌の載せ方も似ているかも。
シンフォニックで、ゴシックメタルの王道をゆく雰囲気は悪くないのだが、これという個性がないのも事実。
まあ女性声ゴシック好きなら聴いてみてもよろしいのでは。歌はすべてポーランド語。
シンフォニック度・・7 女性Vo度・・7 個性・・5 総合・・7

DESDEMONA「Version 3.0」
ポーランドのゴシックメタルバンド、デスデモナの2006作
デジタルなアレンジで聴かせるインダストリアルな質感に、翳りを含んだ女性ヴォーカルの歌声が乗るサウンド。
ゴシック的な耽美さはあまりなく、モダンなインダストリアル・ゴシックである。
メロディアス度・・6 ゴシック度・・6 インダストリアル度・・8 総合・・7
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Devlin 「Grand Death Opening」
スウェーデンのゴシックメタル、デヴリンの2002年作
ブラックメタルバンド、Siebenburgenのギターと女性Voによるユニットで、1999年にデビューし本作は2作目となる。
ヘヴィ過ぎないギターに女性ヴォーカルと男性デスヴォイスを乗せ、うっすらとしたシンセによる味付けも加えた、
キャッチーなゴシック・ハードロックというサウンド。重さや暗さはほどほどで、ニューウェイヴっぽいモダンな感触は、
To/Die/Forの男女Vo版という雰囲気もあり、ダークすぎるゴシメタが苦手という方でもわりとライトに楽しめるだろう。
Lexi嬢の歌号もほどよくフェミニンで、スローテンポのナンバーでは、艶めいた耽美な雰囲気をかもしだしている。
ドラマティック度・7 耽美度・8 女性Vo度・8 総合・7.5
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DIABOLIQUE 「THE GREEN GODDESS」
スウェーデンのゴシックメタル、ディアボリックの2001年作
1997年にデビュー、本作は3作目で、エレクトロなシンセにマイルドなヴォーカルを乗せた、
TO DIE FORなどにも通じる、ニューウェイブ風味のゴシックロックサウンド。
ギターはさほどヘヴィさはなく、モダンなビート感に女性ヴォーカルなども加えた
わりとキャッチーな聴き心地で、3〜4分前後の楽曲は、ゴシックとしての耽美な味わいに
ときにシンフォニックなテイストも覗かせる。重厚さやダークな部分は希薄ながら、
モダンでポップな感触のゴシックロックが楽しめる方はどうぞ。
ドラマティック度・・7 ゴシック度・・7 耽美度・・8 総合・・7.5
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Diabulus In MusicaSecrets」
スペインのシンフォニック・ゴシックメタル、ディアブルス・イン・ムジカの2010年作
シンフォニックなシンセにかつてのNightwishを思わせるオペラティックな女性ヴォーカルの歌声、
壮麗なコーラスやデスヴォイスも絡んだ、重厚かつ耽美なサウンドは、
モダンなヘヴィさにヴァイオリンやチェロなどのクラシカルなテイストも加わって
EPICAを思わせるシンフォゴシックの世界観にTHERIONの荘厳さが合わさった感じか。
女性Voでしっとりと聴かせる曲や、反対にブラックメタルばりの疾走パートなどもあり、
デビュー作としてはこれはなかなか見事な完成度。期待の新鋭です。
シンフォニック度・・8 耽美度・・8 女性Vo度・・8 総合・・8
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Diabulus in Musica「The Wanderer」
スペインのシンフォニック(ゴシック)メタル、ディアブルス・イン・ムジカの2012年作
壮麗なイントロから幕を開け、まるでTHERIONのような厚みのあるコーラスと
かつてのNightwishを思わせるようなオペラティックなスベロア嬢の歌声が響きわたる。
デスヴォイスを含んで適度に激しさのあるサウンドは、EPICAのように起伏に富んだアレンジで
モダンなヘヴィネスと優雅なクラシカルさを同居させていて、前作同様に非常に質が高い。
デスヴォイスが前に出たメタルコア的な部分はあまり好みではないのだが、よりアグレッシブになった作風は
若いファンにも楽しめるだろうし、すでにゴシックメタルというよりは、シンフォニックメタルというべき力作である。
シンフォニック度・・8 ゴシック度・・7 女性Vo度・・8 総合・・8
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Diabulus in Musica「Argia」
スペインのシンフォニックゴシックメタル、ディアブラス・イン・ムジカの2014年作
過去2作もEPICAを思わせる高品質な作品だったが、本作もまた濃密な力作。
シンフォニックでオーケストラルなアレンジと、女性ヴォーカルの美しい歌声、
適度にヘヴィな激しさを織り込んだメリハリのある楽曲は、まさにエピカばりである。
メロディのキャッチーなフックにはDELAINやNightwishばりのメジャー感があり、
そこにデスヴォイスを加えたモダンなヘヴィネス具合もなかなか絶妙である。
どこを切ってもゴージャスなサウンドながら、反面、このバンドならではの個性は薄く、
華麗なのに突き抜けきらないというもどかしさもある。高品質な力作なのは確かだが。
シンフォニック度・・8 新鮮度・・7 壮麗度・・9 総合・・8

Diabulus in Musica 「DIRGE FOR THE ARCHONS」
スペインのシンフォニック・ゴシックメタル、ディアブラス・イン・ムジカの2016年作
2010年にデビューし、本作ですでに4作目となる。荘厳なイントロから、楽曲が始まると激しい疾走とともに、
モダンなヘヴィネスとオーケストラルな壮麗なシンフォニック性に、伸びやかな女性ヴォーカルの歌声を乗せて、
EPICAを思わせるような重厚なサウンドが広がってゆく。スベロア嬢の歌声も艶めいた表現力を増していて、
音の迫力と説得力という点でも、すでにDELAINNightwishなど一線級のバンドに匹敵するレベル。
激しさと叙情性を同居させたメリハリのある楽曲アレンジも見事で、全体的にも濃密な聴き心地に包まれた力作である。
シンフォニック度・・9 壮麗度・・9 女性Vo度・・9 総合・・8.5
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Diabulus In Musica 「Euphonic Entropy」
スペインのシンフォニック・ゴシックメタル、ディアブラス・イン・ムジカの2020年作
2009年にデビューし、5作目となる。重厚なギターにオーケストラルなシンセアレンジを重ね、
ソプラノもこなす女性ヴォーカルにデスヴォイスも加えて、壮麗なシンフォニックメタルを構築する
ほどよくアグレッシブな激しさに、壮麗なクワイアとオーケストレーション、スベロア嬢の表現力ある歌声も含めて、
サウンドの説得力はEPICAばりの完成度である。今作では、疾走するメロスピばりのパートがあると思えば、
フォークメタル風味なども覗かせて、楽曲の振り幅も大きく、最後まで飽きさせないじつに濃密な力作である。
シンフォニック度・9 壮麗度・9 女性Vo度・8 総合・8.5 
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DIMLIGHT 「Obtenebration
ギリシャのゴシックメタル、ディムライトの2009年作
4分近くもある長めのイントロから、曲が始まると、シンフォニックなシンセアレンジと
適度にヘヴィなギター、美しい女性ヴォーカルで聴かせるゴシックメタルが始まってゆく。
楽曲自体にこれといった新鮮味はないのだが、Vo嬢の実力も含めて安定感があり、
ゴシックメタルというよりは、キャッチーなゴシック・ヘヴィロックという雰囲気でも楽しめる。
一方では、曲によってはデス/ブラック的な激しさも覗かせるなど、なかなかあなどれない。
クラシカルなシンセのセンスや女性声の魅力も含めて、今後にさらに期待したいバンドである。
シンフォニック度・・7 ゴシック度・・7 女性Vo度・・8 総合・・7.5


Dismal 「Giostra Di Vapore」
イタリアのゴシックメタル、ディスマルの2013年作
女性ヴォーカル&ベースにヴァイオリン奏者を含む編成で、
イタリア語による美しい女性ヴォーカルの歌声とストリングスを含むシンフォニックなアレンジに
いくぶんエレクトロな風味も合わさった感触で、メタルというよりはむしろポストプログレ的な浮遊感もある。
アンビエントな静寂感も含んだ雰囲気と、デジタル時代のモダンなセンスを融合した聴き心地は、
新たなゴシックミュージックの可能性を感じさせる。ヴァイオリンやピアノの音色がクラシカルな優雅さを醸し出し
そこに女性ヴォーカルが絡むとうっとりとするほど美しい。既存のゴシックメタルとは大きく異なる意欲作である。
シンフォニック度・・8 ゴシック度・・8 女性Vo度・・8 総合・・8
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Distorted「Voices from Within」
イスラエルのゴシック・デスメタルバンド、ディストルテッドの2008年作
イスラエルのメタルというと有名なのはOrphand Landが筆頭だと思うが、
このバンドは女性ヴォーカルをフロントにした本格派のゴシック・デスメタルをやっている。
もの悲しいメロディと適度にヘヴィな楽曲は、モダンな重たさと薄暗い叙情を持ち合わせていて
なかなかクオリティが高い。デス声入りでたたみかけるエクストリームメタルとしての激しさもあり
今どき珍しく、シンセに頼らないギターリフ主導の質感はメロデス的でもある。
感情の籠もりすぎない女性Voのクールさもなかなかいい。今後が楽しみなバンドである。
メロディアス度・・7 重厚度・・8 女性Vo度・・7 総合・・7.5
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Domina Noctis「Second Rose」
イタリアのゴシックメタル、ドミナ・ノクティスの2009年作
女性Voを含む5人組で、いくぶんモダンさんのあるゴシックメタルをやっている。
紅一点、エデラ嬢の歌声は、はかなげな叙情を含んだなかなかの美声で、
ヨーロピアンな世界観とともに、ヘヴィすぎないバックの演奏によくマッチしている。
シンセによるアレンジがときにシンフォニックな美麗さをかもしだしており、
新鮮味や個性は薄いものの、質の高いフィメールゴシックを聴かせてくれる。
シンフォニック度・・7 ゴシック度・・7 女性Vo度・・8 総合・・7.5
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DOMINIA 「Divine Revolution」
ロシアのゴシック・デスメタルバンド、ドミニアのアルバム。2006作
ヘヴィなギターに艶やかなヴァイオリンの音色が絡み、デス声が咆哮する。
クラシカルな耽美さとメロデス的な激しさが合わさったサウンドで、
ロシアという地域性はあまり感じない。土着性よりはモダンなヘヴィさが強いか。
ゴシック的なゆったりとした曲もあれば、シンフォブラックばりに疾走したりもする。
個人的にはここに女性ヴォーカルが加わるともっと嬉しいのだが…
メロディアス度・・7 クラシカル度・・7 ゴシック度・・7 総合・・7.5


DRACONIAN「WHERE LOVERS MOURN」
スウェーデンのゴシックメタルバンド、ドラコニアンの2003年作
シンフォ系ゴシックメタルとはやや異なり本物の重厚さと暗黒の叙情を伴っているこのバンド。
楽曲はかなりメタルしていて、重厚さを保ちながらスローからミドル系のテンポでもノリがあり、
ヘヴィなギターリフにストリングス系シンセが絡みながらの三連系のリズムはなかなか心地よい。
けっこう凄絶なデス声と美しい女性ソプラノヴォーカルのコントラストが見事に美と醜を描いていて、
コマーシャル過ぎるその辺のゴシックメタルバンドより、よほど「雰囲気」を持っているバンドである。
メロディアス度・・7 重厚度・・9 女性Vo度・・7 総合・・8
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DRACONIAN「ARCANE RAIN FEEL」
スウェーデンのゴシックメタルバンド、ドラコニアンの2nd。2005年作
1stからの流れの男女Voの重厚なゴシックサウンドはそのまま継承、ドゥーム調のリフから始まり、
デス声Voの咆哮が響きわたる。バックにはうっすらとしたシンセ、ノーマル声の語りにまたデス声がかぶさり、
墓場を思わせるような重々しい暗黒音楽が繰り広げられる。
このバンドの場合、女性Voはあくまでデス声との対比としての存在にとどまっていて
いわゆる聴きやすいフィメールゴシックとは一線を画する。本物の絶望感や悲しみに満ちた
重厚なゴシックメタルサウンドだ。本物のゴシックメタル好きにこそお勧めしたい。
メロディアス度・・7 重厚ゴシック度・・9 暗黒度・・8 総合・・8
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DRACONIAN「The Burning Halo」
スウェーデンのゴシック・ドゥームバンド、ドラコニアンの2006年作
新曲3曲に、デビュー前のデモのリメイク3曲、そしてカヴァー2曲という構成
ゆったりとしたリズムに、沈み込むようなギターリフと美しいシンセをバックに、デス声と美しい女性ソプラノで聴かせる、
本格派のゴシックメタルサウンドは健在。7〜9分台の曲をメインに、ドゥーミーながらも濃密な雰囲気で、
この手のバンドの中でも音の説得力はかなりのもの。耽美な絶望に浸れます。
デモ音源のリメイクは、今よりも激しめで、展開が多くなかなか面白い。
カヴァーは、何故かオランダのクラシカルプログレ、EKSEPTIONと、
アメリカのドゥームメタル、PENTAGRAMの曲を取り上げている。
シンフォニック度・・7 ゴシック度・・9 ドゥーミー度・・8 総合・・8
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DRACONIANTurning Season Within
スウェーデンのゴシックメタルバンド、ドラコニアンの3rd。2008作
重厚なギターに絡むシンセワークや、デス声と女性Voのコントラストも変わらずよろしいが、
前2作よりはややモダンに聴きやすくなったという印象で、ドゥームというよりは
これはもはや普通のゴシックメタルだ。曲によってはシンフォニックな美麗さが増していて、
絶望的な暗さが薄れたことで、一般的にはとっつきやすくなったと言えるだろう。
2ndまでの重々しさが好きな方にはやや物足りなく感じるかもしれないが。
シンフォニック度・・7 ゴシック度・・8 ドゥーミー度・・7 総合・・8
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Draconian「Rose for the Apocalypse」
スウェーデンのゴシックメタルバンド、ドラコニアンの2011年作
ドゥーミーな暗黒性と耽美な世界観で重厚なゴシックメタルを聴かせるこのバンド、
4作目となる本作も、ヘヴィなギターと低音デスヴォイス、そして女性ヴォーカルを絡めた
美しくもダークなサウンドだ。初期の頃のようなスローな一本調子ではなく、
PARADISE LOST的な質感のミドルテンポ曲もあって、最後まで飽きずに楽しめる。
女性声の比率がやや少ない感じもするが、それがむしろ効果的な印象を残している。
現存する数少ないヘヴィ系の本格ゴシックメタルとして、今後も応援してゆきたいバンドだ。
メロディアス度・・7 ゴシック度・・8 重厚度・・8 総合・・8
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Draconian 「Sovran」
スウェーデンのゴシックメタル、ドラコニアンの2015年作
2003年にデビュー、本作は5作目で、女性Voが交代しているが、サウンドの方は重厚なギターリフに
うっすらとしたシンセを重ね、美しい女性ヴォーカルと低音デスヴォイスによるドゥーミィなゴシックメタルは変わらず。
近年、多くのバンドがシンフォニック化してゆく一方で、あくまでメランコリックな叙情性を追及するスタイルで、
この耽美な本格派サウンドは、昔からのゴシックメタルファンにはとてもアピールするだろう。
新加入のヘイケ嬢の歌声は、強いインパクトはないが、はかなげな雰囲気が寒々しいサウンドにマッチしていて、
随所に鳴り響くヴァイオリンとともに、涼やかで耽美な世界観を描いている。バンドとしてのキャリアが窺える力作だ。
ドラマティック度・・8 ゴシック度・・8 女性Vo度・・7 総合・・8 
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Draconian 「Under A Godless Veil」
スウェーデンのゴシックメタル、ドラコニアンの2020年作
2003年にデビュー、本作は5年ぶりとなる7作目。スローテンポに叙情的なギターとシンセを重ね、
美しい女性ヴォーカルの歌声に男性デスヴォイスが絡む、耽美なゴシックメタルサウンド。
どっしりとしたギターリフを乗せた重厚さも残していて、フューネラルなゴシック・ドゥームとしての
世界観もしっかり味わえ、全作から加入のHeike嬢のはかなげな歌声もサウンドによくマッチしている。
女性声をメインにした優美なナンバーもあり、全体的にダークさと叙情美のバランスのとれた作風なので、
ドゥーミィなゴシックが苦手な方でも入りやすいだろう。耽美派の王道ゴシックメタルです。
ドラマティック度・8 ゴシック度・8 メランコリック度・8 総合・8 
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The DREAMSIDE「MIRROR MOON」
オランダの女性Voゴシックメタルバンド、ドリームサイドの3rd。2001年作
ドラムは打ち込みのいわゆるエレクトロゴシックで、そこに艶のある女性ヴォーカルが歌を乗せる。
パイオツなジャケや内ジャケの写真にしろ、バンドの耽美指向がかいま見えて良いのだが、
楽曲にもうひと工夫欲しいところ。おねいさんの情念がもっと歌に出るとよいな。
リズムが単調なのと、メタル色が薄いのも物足りないか。せっかくギターが二人いるのだし。
リズムのゆったりした静かな曲の方がかえって雰囲気があって良いような。
メロディアス度・・7 ゴシックメタル度・・7 女性Vo度・・8 総合・・7
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The DREAMSIDE 「Spin Moon Magic」
オランダのゴシックメタル、ドリームサイドの2005年作
1994年にデビュー、本作は4作目となる。美麗なシンセアレンジに女性ヴォーカルの歌声を乗せ、
ヘヴィ過ぎないギターとともに、耽美でキャッチーなゴシックロック風のサウンドを聴かせる。
前作でのエレクトロゴシック路線も随所に残しつつ、楽曲にメロディックなフックが備わったことで
スタイリッシュに聴きやすくなった。曲によっては、WITHIN TEMPTATIONをモダンにしたような感じもあり、
Kemi嬢の歌声もシャロン嬢とまではいかないが、フェミニンな魅力があってなかなかよろしい。
ゴシックメタルとしての重厚さはないものの、ほどよく耽美でシンフォニックな女性声ゴシックロックです。
ドラマティック度・・7 耽美度・・8 女性Vo度・・8 総合・・7.5
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The DREAMSIDE 「Lunar Nature」
オランダのゴシックメタル、ドリームサイドの2009年作
1994年にデビュー、5作目。重すぎないギターにデジタルなアレンジ、なよやかな女性ヴォーカルを乗せた
耽美なゴシックメタルを聴かせる。紅一点、Kemi嬢の歌声はときおり声が裏返ってわりと不安定なのだが、
ポーランドのARTROSISあたりが好きな方には、優雅な浮遊感は楽しめるのではないだろうか。
楽曲は3〜4分前後と短めで、ほどよくキャッチーながら、ときにジェントルな男性声も加わると、
Lacrimosa
にも通じる男女声ゴシックの雰囲気になる。耽美な幻想性に包まれた好作品です。
ドラマティック度・7 耽美度・8 女性Vo度・7 総合・7.5 
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DREAMS OF SANITY「Komodia」
オーストリアのゴシックメタルバンド、ドリームス・オブ・サニティーの1st。1997年作
2人の女性ヴォーカルをフロントにした耽美でロマンティックなゴシックメタル。
シンフォニックなシンセワークに、あまりヘヴィさのないメロウなギターと
二人の女性Voの歌声で聴かせるサウンドは、技術的にはヘタウマの部類なのだが、
ダンテの「神曲」をテーマにした厳かな美しさや、Lacrimosaにも通じるような
ロマンの香りを感じさせてくれ、それがなんともいえない魅力となっている。
メロディアス度・・8 耽美度・・8 女性Vo度・・8 総合・・7.5
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DREAMS OF SANITY「Masquerade」
オーストリアのゴシックメタルバンド、ドリームス・オブ・サニティーの2nd。1999年作
今作では「オペラ座の怪人」をテーマにした、ロマン溢れるサウントを聴かせてくれる。
オペラでおなじみの“The Phantom of th Opera”で始まり、演劇的でもある美麗さの中を、
後にELISに加入するサンドラ嬢の歌声と、ゲストのLacrimosaのTillo Wolfのデュエットが濃密に響きわたる。
前作もそうだったが、シンフォニックなシンセアレンジや楽曲の展開力などには
プログレファン受けする要素もあり、ヘヴィさよりもロマンと美意識で描かれる
幻想的な世界観が素晴らしい。サウンド的にも強度が増した傑作である。
メロディアス度・・8 ロマン度・・9 女性Vo度・・8 総合・・8
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DREAMS OF SANITY「The Game」
オーストリアのゴシックメタルバンド、ドリームス・オブ・サニティーの3rd。2000年作
クラシカルなシンセとツインギターによるメロディ、そして女性Voで聴かせるサウンドは、
ゴシックメタルというよりはロマン派のフィメールシンフォメタルと言うべきか。
前作の濃密な壮麗さに比べて、今作ではいくぶんスタイリッシュな雰囲気になり、
いくぶんのモダン化が感じられるが、表現力を増したサンドラ嬢の歌声はじつに美しい。
もちろんロマンたっぷりのクサいメロディも聴け、コンセプチュアルな美意識はそのままで、
ストーリーを描いてゆく音作りは非常に魅力的だ。バンドは本作を最後に活動を止める。
メロディアス度・・8 ロマン度・・8 女性Vo度・・8 総合・・8
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DYING PASSION 「Secretly」
チェコのゴシックメタル、ダイイング・パッションの2020年作
2000年のデビュー作、20周年記念の新アートワークによるリマスター盤。
ほどよくメタリックなギターに艶めいた女性ヴォーカルを乗せ、ときにフルートやヴァイオリンも鳴り響く、
神秘的な浮遊感に包まれたゴシックメタルを聴かせる。辺境らしい粗削りのマイナー感触が、
ウェットな味わいになっていて、Zuzana嬢の歌声も上手すぎないところが妖しさをかもしだしている。
リズムチェンジなどによる緩急ある展開力に、ゆったりとしたクラシカルな優雅さも同居していて、
単なるゴシックメタルという以上に聴きごたえがある。6〜7分という長めの曲もわりと多く、
適度にユルい感触も案外に魅力的だったりする。ゴシックメタルは雰囲気モノですから。
ドラマティック度・7 ゴシック度・8 女性Vo度・7 総合・7.5
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Dying Passion 「Voyage」
チェコのゴシックメタル、ダイング・パッションの2002年作
女性Voに女性フルート奏者を含む6人編成で、艶やかな女性ヴォーカルの歌声に
低音の男性デスヴォイスが絡み、フルートが妖しく鳴り響く、ミステリアスなゴシックメタル。
重厚なギターリフと女性ヴォーカルZuzana嬢の妖艶な歌声とのコントラストもよい感じで、
ダークでありながら湿り気を感じさせる叙情性がなかなかよろしい。スローな曲からミドルテンポのナンバーまで、
案外メリハリがあって全体的にも聴きやすい。クラシカルで重厚な本格派ゴシックメタルの力作である。
ドラマティック度・・8 ゴシック度・・8 女性Vo度・・8 総合・・7.5


E

ECHOES of ETERNITY 「The Forgotten Goddess」
アメリカのゴシック・プログレメタル、エコーズ・オブ・エターニティの2007年作
ゴシックというほどには暗くなく、むしろプログレメタル風の展開も聴かせる作品。
ザクザクとしたギターリフで聴かせつつ、ときにアコースティカルな叙情美も現れて、
女性ヴォーカルの歌声が幻想的に響く。変拍子リズムなども取り入れた楽曲は、
メタリックな激しさとゆったりとしたパートの対比がくっきりとしていて、そのあたりも面白い。
リフで聴かせるヘヴィさは、普通のゴシックメタルが苦手なメタルファンにもオススメできる。
専任シンセのいない4人組だが、今後の可能性を感じさせる作品だ。
メロディアス度・・7 ゴシック度・・7 女性Vo度・・8 総合・・8
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Echoes of EternityAs Shadows Burn」
アメリカのゴシックメタルバンド、エコーズ・オブ・エターニティの2009年作
前作は、プログレメタル風味もある女性Voゴシックという新鮮なサウンドであったが、
本作では、そのテクニカルな展開力に、モダンなメタルコア風味が加わっている。
ザクザクとしたギターと女性ヴォーカルの歌声がややミスマッチにも思えるが、
ゴシック的な耽美さよりも、エクストリームメタルを重視したようなこの質感は、
今のリスナーには受けるだろう。緩急がある割には曲がやや一本調子に聴こえるのが残念。
メロディアス度・・7 ゴシック度・・7 女性Vo度・・7 総合・・7.5 
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Eden 「Memories」
ロシアのゴシックメタル、エデンの2015年作
女性Vo、女性ヴァイオリン奏者、女性ベーシストを含む5人編成で、美麗なシンセにメタリックなギターと
艶やかなヴァイオリンを重ね、なよやかな女性ヴォーカルを乗せた、シンフォニックなゴシックメタル。
Maya嬢の歌声は、DELAINのシャーロット嬢を思わせる美声で、サウンドに優美な彩りを加えており、
歌詞も英語なので辺境感はさほどない。楽曲は4分前後で、わりとあっさりしているが、重すぎずに、
ほどよくキャッチーな味わいで楽しめるのもよい。WITHIN TEMPTATIONなどのファンにもお薦めの逸品です。
シンフォニック度・・8 ゴシック度・・7 女性Vo度・・8 総合・・8
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EDENIAN 「WINTER SHADES」
ウクライナのゴシックメタル、エデニアンの2012年作
男女二人のユニットで、美しいシンセアレンジと可憐な女性ヴォーカルの歌声に男性デスヴォイスが絡む、
正統派の男女Voゴシックメタル。ドラムは打ち込みであるが、全体を包むもの悲しい世界観と、
美麗なシンセに包まれたサウンドは、ジャケのイメージのように強固な幻想性を持っている。
ゴシックメタル黎明期のような、古き良き正統派のスタイルが好きな方にはオススメ。
メロディック度・・7 ゴシック度・・9 女性Vo度・・8 総合・・8
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EDENIAN 「Rise of the Nephilim」
ウクライナのゴシックメタル、エデニアンの2014年作
スローテンポの楽曲に美麗なシンセアレンジと適度にヘヴィなギター、男性デス声に美しいソプラノ女性ヴォーカルの歌声が絡む、
初期TRISTANIAのような正統派のゴシックメタルサウンドは前作から変わらず。これといった目新しさも、前作からの深化もこれといって
感じられないのだが、とにかく今では珍しくなった王道のゴシックメタルなので、この手のスタイルが好きな方にはとても楽しめるだろう。
正直、男性デス声パートが多いので、もっと女性声メインにして欲しいし、シンフォニックなアレンジもどうせならもっとゴージャスにして欲しいなど
いろいろ不満はあるのだが、A級になりきらないゆったりとしたマイナー精神こそが原初的なゴシックメタルの世界観でもあったわけで。
全曲が6〜8分という長めなのも自己満足的でよいではないですか。ジャケも含めて前作の方が良かったなとは思いますが。
シンフォニック度・・7 ゴシック度・・8 女性Vo度・・7 総合・・7.5
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EILERA「Fusion」
フランスのゴシックメタルバンド、エイレラの2007年作
美声の女性ヴォーカル、エイレラ嬢の歌声を中心に聴かせるシンフォニックなサウンドで、
メタル色の薄いしっとりとした雰囲気はPALE FORESTあたりに通じる感触がある。
チェロやヴァイオリンを優雅に取り入れたクラシカルなアレンジとともに、メロディにはほのかに
ケルティックな質感もあり、「素朴になったWITHIN TEMPTATION」という感じで楽しめるのだが、
6曲目とかはいきなりスクーリームヴォイスで叫び始めたりと、作品としてのまとまりにはやや欠ける。
メロディアス度・・8 ゴシック度・・7 女性Vo度・・8 総合・・7.5
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EILERA 「FACE YOUR DEMONS」
フランス出身の女性シンガー、エイレラの2016年作
2007年作「Fusion」は、クラシカルな雰囲気の優雅なゴシックメタル作であったが、
本作は美麗なシンセアレンジに、適度にハードなギターとキュートな女性ヴォーカルを乗せた、
キャッチーなシンフォニックメタル風味のサウンド。ゴシック的な耽美さはあまりないが、
エイレラ嬢のやわらかな歌声にはどこか北欧的なフォーキーな空気感もあり、
ヘヴィさが希薄な分、むしろシンフォニックな女性声メロディアスハードとしても楽しめる。
メロディック度・・8 ゴシック度・・7 女性Vo度・・8 総合・・7.5
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Eilera 「Waves」
フランスの女性シンガー、エイレラの2020年作
2003年にデビューし、本作は5作目となる。前作まではゴシックやシンフォニックメタル色を含んだ作風であったが、
本作はケルティックなトラッド色を強めたサウンドで、アコースティックギターのつまびきに美しい女性ヴォーカルで、
しっとりとした優雅で素朴なトラッド・フォークを聴かせる。うっすらとしたシンセにドラムも加わったロック感触もあり
エレキギターの叙情的なフレーズやコケティッシュな女性声とともに、優美なケルトロックとしても楽しめる。
楽曲はわりとシンプルながら、エイレラ嬢の歌唱の表現力を活かしたうるさすぎないサウンドで、
メタル感触がないので盛り上がる部分は薄いが、ケルトやネオフォークのリスナーにはお薦めの逸品です。
ケルティック度・・7 ロック度・・3 女性Vo度・・8 総合・・7.5 
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El Cuervo De Poe 「Vox Corvus」
メキシコのゴシックメタル、エル・キュエルヴォ・デ・ポーの2008年作
女性Voにヴァイオリン奏者を含む編成で、ソプラノ女性ヴォーカルの美しい歌声に、
クラシカルなヴァイオリンの音色とヘヴィなギターが合わさり、優雅な世界観を描くサウンド。
シンセ奏者がいないので、シンフォニックな聴き心地は薄いのだが、その分武骨なギターリフと
ヴァイオリンの響きがコントラストになっていて、辺境的で不思議な味わいとなっている。
曲によってはヴォーカル嬢がエキセントリックに叫んだりして、アヴァンギャルドなセンスも垣間見せる。
音質のせいか重厚な迫力がさほどないので、Dreams of SanityあたりをややB級にしたという感じで
メタルが苦手な方にも楽しめるかもしれない。ヴァイオリン入りクラシカル・ゴシックの好作品。
クラシカル度・・8 ゴシック度・・7 女性Vo度・・8 総合・・7.5
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Elegy of Madness 「Brave Dream」
イタリアのゴシックメタル、エレジー・オブ・マッドネスの2014年作
女性Voにチェロ&シンセ奏者を含む5人編成で、適度にモダンかつヘヴィな質感と、
オペラティックな女性ヴォーカルの歌声で聴かせるサウンド。Anja嬢のヴォーカルは、NightwishEpica
Within Temptationから影響を受けたというだけあって、ターヤを思わせる伸びやかなメゾソプラノでとても魅力的だ。
曲によってはクラシカルなチェロの音色も入ってきて、シンフォニックで優雅な世界観が広がってゆく。
派手すぎず重すぎず、いくぶん垢抜けないところは、たとえばかつてのDreams of Sanityあたりのような、
ヨーロピアン・ゴシックの香りがして個人的にもけっこう好みなのである。今後の成長が楽しみな逸材ですな。
シンフォニック度・・8 ゴシック度・・8 女性Vo度・・9 総合・・8
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ELEGY OF MADNESS 「New Era」
イタリアのシンフォニックメタル、エレジー・オブ・マッドネスの2017年作
2009年にデビュー、本作は3作目で、モダンでシンフォニックなアレンジに、ヘヴィなギターを重ね、
オペラティックなソプラノ女性ヴォーカルで聴かせる美麗なサウンド。激しい疾走パートを含む
アグレッシブな感触も覗かせつつ、クラシカルな優雅さに包まれたスタイルはやはりイタリアらしい。
NightwishEpicaなどに通じる感触に、ほどよく耽美なゴシックメタル風味も感じさせながら、
Anja嬢の艶めいた歌声も魅力的で、ときにWithin Temptationを思わせるところもある。
物悲しいチェロやピアノの音色、そしてオーケストラアレンジと、壮麗にして重厚なサウンドに、
表現力ある女性ヴォーカルと、すべての要素が揃った、クラシカル・ゴシック・シンフォニックメタルの逸品だ。
シンフォニック度・・8 ゴシック度・・7 女性Vo度・・9 総合・・8 
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ELI「Darkness Will Fall」
イタリアのゴシック系女性ヴォーカル、Eliza Pezzutoこと、エリの2008年作
美しい女性ヴォーカルの歌声で聴かせるサウンドは、ヨーロピアンなもの悲しい叙情とともに、
ゴシックメタル的な耽美さでしっとりと聴かせるスタイル。ただメタルというほどの重さがないので
ゴシック系フィメールシンガーのシンフォニックなソロ作…という味わいというのが正しいか。
ギター、ベース、シンセ、すべての楽曲はフィンランド人ミュージシャン、ラーズ・エリック・マットソンが担当、
レーベルはLION MUSICということで、実質的にはフィンランド系の作品といって差し支えないだろう。
シンフォニック度・・8 ゴシック度・・7 女性Vo度・・8 総合・・7.5
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ELIS「GOD'S SILENCE DEVIL'S TEMPTATION」
リヒテンシュタイン(スイスの北にある小国)のゴシックメタルバンド、エリスの1st。2003年作
ERBEN DER SCHOPFUNGというバンドの女性VoとGが新たに結成したバンドらしい。
サウンドは美しい女性ヴォーカルの歌声をメインに、ややエレゴシックがかったノリのいいリズムに
シンセによるシンフォニックな味付けをした感じ。ドイツ語で歌われるサビーネ嬢の歌唱が絶品で、
暗鬱すぎず明るすぎず、しっとりとしたヨーロピアンな情緒を聴き手に運んでくれる。
重いゴシックが苦手という方には、聴きやすくてお薦めのアルバム。
シンフォニック度・・8 ゴシック度・・8 女性Vo度・・9 総合・・8
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ELIS「DARK CLOUDS IN A PERFECT SKY」
リヒテンシュタインのゴシックメタルバンド、エリスの2nd。2004年作
モダンさを取り入れつつも、ヨーロピアンな情緒を感じさせるそのサウンドは2作目となる今作も健在で、
紅一点、サビーネ嬢の歌唱はオペラティックで、その美声は楽曲にクラシカルな雰囲気をもたらし、
アルバム全体に堂々とした説得力を付加している。シンフォニックなシンセのアレンジも美しく、
メタリックな要素も残しながらサウンドは軽すぎず重すぎず理想的なバランスを保っていて、
これぞ女性声ゴシックメタルの傑作といってよいかと思う。ドイツ語で歌われるラストのバラードは感動的だ。
シンフォニック度・・9 ヨーロピアン度・・9 女性Vo度・・9 総合・・8 ◆メタル名盤特選入り
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ELIS「Griefshire」
リヒテンシュタインのゴシックメタルバンド、エリスの3rd。2006年作
レコーディング中に女性Voのサビーネ嬢の急逝という悲劇をへてのアルバム。
サウンドの方は、前作に比べてよりメタリックになったという印象で、サビーネ嬢のやわらかな歌声と
バックのカッチリとしたリフがややミスマッチな感もあって、ヨーロピアンなしっとりとした叙情はやや薄れている。
ただ、WITHIN TEMPTATIONと同様に、モダンなアプローチは若いリスナーには違和感なく聴けるだろうし、
美声のフィメールゴシックとしてはじつに高品質で、何曲かで聴けるサビーネ嬢のドイツ語での歌唱にはうっとりとなる。
メロディアス度・・8 ゴシック度・・7 女性Vo度・・8 総合・・8
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ELIS「Show Me the Way」
リヒテンシュタインのゴシックメタルバンド、エリスのミニアルバム。2007年作
新加入の元Dreams of Santyサンドラ嬢の歌うシングル曲に、急逝したサビーネ嬢の歌唱が聴ける未発曲3曲を収録。
サンドラ嬢の歌声は、伸びやかな中にもほのかな色気があり、違和感なくバンドのサウンドに溶け込んでいる。
そして、サビーネ嬢の歌う未発曲を聴くと、ああこれこそがELISなんだよなあ、
という感慨がどうしても浮かんできてしまう。しっとりとしたその歌声にあらためて涙…
ともかく、新生エリスのお披露目と過去の楽曲を楽しめる、ファンには嬉しいシングルである。
ゴシック度・・8 サビーネ嬢に涙・・10 サンドラ嬢・・8 総合・・8
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ELIS「Catharsis」
リヒテンシュタインのゴシックメタルバンド、エリスの4th。2009作
前作3rdの発表直前、ヴォーカルのサビーネ嬢の急死という悲劇に見舞われたバンドだが、
新たに元Dreams of Santyサンドラ・シュレレットを迎え、ここに4作目を完成させた。
意外にもザクザクとしたギターでヘヴィに始まり、サンドラ嬢の艶めいた歌声とともに
キャッチーなメロディを聴かせるサウンドは悪くはないのだが、なにか物足りない。
ゴシックとしての美麗さよりも、いくぶんモダンなヘヴィネスが前に出ていて
それがときにクサメロを奏でるギターフレーズとややミスマッチな感もある。
音質がラウド気味なことも、このバンドの持ち味であるはずの美麗な叙情性を削いでしまっていて、
全体としての音がひとつになりきれていないような気がする。今後にやや不安が残る内容だ。
シンフォニック度・・7 ゴシック度・・7 女性Vo度・・7 総合・・7.5
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ELYSION「Silent Scream」
ギリシャのゴシックメタルバンド、エリシオンの2010年作
表現力のある女性ヴォーカルの歌声で聴かせるモダンなゴシックロック。
デジタリィなアレンジを取り入れたシンセワークと、ヘヴィロック的なノリは
EVANESCENCEなどに近い雰囲気で、新鮮味はないが普通に聴きやすい。
質はなかなか高いものの、今後はこのバンドならではの個性がないと厳しいだろう。
メロディアス度・・7 ゴシック度・・7 女性Vo度・・8 総合・・7.5
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Elysion 「Someplace Better」
ギリシャのゴシックメタル、エリシオンの2014年作
2作目となる本作も、一聴してEVANESCENCEあたりを思わせる、適度にモダンかつヘヴィな感触と
シンフォニックなアレンジに、美しい女性ヴォーカルの歌声を乗せた、わりと正統派のゴシックメタルサウンド。
楽曲は3〜4分前後と比較的シンプルで、妖艶なゴシック要素とキャッチーなメロディが合わさっていてとても聴きやすいのだが、
これだというインパクトや個性という点ではまだ物足りない。紅一点、クリスティアーナ嬢の伸びやかな歌声は
前作以上に表現力を増しているので、あとは楽曲におけるメロディの魅力と世界観を深めていってもらいたい。
シンフォニック度・・7 ゴシック度・・7 女性Vo度・・8 総合・・7.5
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EMBRAZE「ENDLESS JOURNY」
フィンランドのゴシックメタルバンド、エンブレイズの2001作
ミドルテンポの曲にツインギターにキーボード、Voはデス声ではなく低いがノーマルヴォイス。
暗黒度は薄く、どことなくグラム風のポップさが漂うサウンドは同国の先輩TO DIE FORがお手本なのが明らかだ。
曲の展開がメリハリよりも、ノリの良さとじわじわくる微妙なドラマ性にあるのも同様。
バックのキーボードが意外と曲を盛り上げているのもよろしい。これで女性Voが歌えばアンビエントなゴシックメタルなのだが、
逆に男Voなのがいうなれば彼らの個性なのだろう。演奏も曲の方も十分TO DIE FORにひけをとっていない。
メロディアス度・・7 ドラマティック度・・8 ゴシック度・・8 総合・・7.5

EMPYRIUM「A WINTERSUNSET...」
ドイツのフォーク・ゴシックメタルバンド、エムピリウムの1st。1996年作
イントロの美しいピアノとフルート、そしてアコギとキーボードが合わさった
静かなる叙情美に引き込まれる。フォーキーな要素とプログレ的な叙情が合わさった構築センスで、
暗黒性よりもゆったりとした素朴な味わいのあるシンフォニック・ゴシックといった趣である。
静かめでデス色のないフォーキーなゴシックメタルが聴きたい方には最高のバンドだろう。
シンフォニック度・・8 暗黒度・・5 静謐の叙情度・・9 総合・・8
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EMPYRIUM「SONGS OF MOORS & MISTY FIELDS」
ドイツのフォーク・ゴシックメタルバンド、エンピリウムの2nd。1997年作
ゆったりとしたメロウなギターフレーズとピアノ、キーボードで味付けされた物悲しいサウンド。
ヴォーカルはダミ声とノーマル声を使い分けており、メロディにはフォーキーな土着性もある。
プログレ的な感性という点ではノルウェーのIN THE WOODSあたりにも通じるところはあるが、
こちらはデスメタル的な暗黒度は控えめで、どちらかというとゆったりとしたシンフォニックな音像。
とくにアコースティックギターやフルートの音色がゆるやかに響く静寂パートなどは、
一瞬、KING CRIMSONをさえ思わせるほど、美しくもはかない叙情に溢れている。
メロディアス度・・8 シンフォニック度・・8 メランコリック度・・9 総合・・8 
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EMPYRIUM 「Weiland」
ドイツのフォーク・ゴシックメタル、エンピリウムの2002年作
1996年にデビューして本作が4作目となる。ジェントルなドイツ語の歌声にアコースティックギターのつまびき、
随所にフルートやチェロの音色も含んだ、クラシカルなゴシック・フォークサウンドである。
初期のようなメタル色はほぼ皆無であるが、うっすらとしたメロトロンが鳴り響くと
プログレ的な心地よさもあって、薄暗い叙情美に包まれた繊細な聴き心地が楽しめる。
ペイガン的でもある幻想的な雰囲気もよい感じで、ときにダミ声ヴォーカルが入ってくると、
メタルルーツの名残を垣間見せる。ゲルマンなネオフォークというべき好作品だ。
ドラマティック度・・8 メタル度・・3 薄暗度・・9 総合・・8
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EMPYRIUMA Retrospective
ドイツのフォーク・ゴシックメタル、エンピリウムのベストアルバム。2006年作
1996〜2002年までに出した4作から13曲を収録。シンフォニックといってもよい
美しいシンセワークに、アコースティカルな情緒も含んだしっとりとした聴き心地で、
8分、9分、13分という大曲もあって、むしろプログレのリスナーにも楽しめるサウンドだ。
男性ヴォーカルのドイツ語をまじえたジェントルな歌声をうっすらとシンセが包み込み、
フルートやチェロ、ヴァイオリンなどの音色も加わって、ゆったりとした幻想的な世界観を描いてゆく。
自然を感じさせる土着的な素朴さを含んだフォークメタルとしても楽しめる素敵なバンドであった。
シンフォニック度・・8 メタル度・・6 幻想度・・9 総合・・8
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Empyrium 「Turn of the Tides」
ドイツのゴシック・フォークメタル、エムピリウムの2014年作
1996年にデビュー初期は、ゴシックメタル的であったが、3作目以降はメタル色を薄め、
本作は美麗なシンセアレンジに包まれた、優雅なネオフォークというサウンドである。
ジェントルな男性ヴォーカルの歌声に、アコースティックな繊細さも含んだギター、
そしてうっすらとしたシンセとともに、メランコリックな物悲しさをたたえた世界観が広がる。
ときにダミ声ヴォーカルや女性ヴォーカルも加わったり、曲によってはいくぶんメタル要素が戻ってきていて、
ゆったりとした聴き心地の中にも、重厚な味わいと、ドラマティックなメリハリを感じさせる。
シンフォニック度・・8 ゴシック度・・8 フォーク度・・7 総合・・8 
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Empyrium 「Uber Den Sternen」
ドイツのゴシック・フォークメタル、エムピリウムの2021年作
1996年にデビュー、7年ぶりとなる6作目。3作目以降はメタル色の薄いペイガン・フォーク路線となっていたが、
本作もアコースティックギターのつまびきから、チェロやヴァイオリンの物悲しい音色や優美なフルートにシンセを重ね、
ジェントルなヴォーカルとともに、幻想的なフォークロックを聴かせる。エレキギターやダミ声ヴォーカルも加わると、
初期のようなフォーク・ゴシックメタルの感触も覗かせて、ここ数作ではメリハリのあるプログレッシブな展開が楽しめる。
叙情的なアコースティックパートと、ほどよいメタル感とがドラマティックな多重構造となっていて、振り幅のある構成は
OPETHのフォーク版という感じもあり、ラストは10分の大曲で、神秘的な空気と重厚さが同居した見事なサウンドを描く。
ドラマティック度・8 メタル度・7 幻想フォーク度・8 総合・8 過去作のレビューはこちら
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EM SINFONIA「INTIMATE PORTRAIT」
アメリカのゴシックメタルバンド、エム・シンフォニアのアルバム。
NOVENBRES DOOMのメンバーのバンドらしいがそれも詳細は不明。
キーボード入りで男女Vo、という正統的なスタイルで、サウンドもクラシカルな耽美色とデス色が合わさって、
それなりに質は高い。デス声パートと、アコースティック、女性Voパートと、曲のメリハリの付け方はなかなか。
あとは「おう」と思わせる個性なり大仰性をもっと身につければ今後期待出来るバンドだろう。
シンフォニック度・・8 ゴシック度・・8 個性・・6 総合・・7


Enchantya
「Dark Rising」
ポルトガルのゴシックメタル、エンチャンティアの2012年作
Black Widowのメンバーという経歴の女性ヴォーカル、Rute嬢の美しい歌声と、
シンフォニックなアレンジで聴かせる、メロディックなゴシックメタルサウンド。
適度にヘヴィでありつつ、メロディ自体はむしろキャッチーな聴き心地で、
随所にデスヴォイスや適度な激しさも覗かせながら、壮麗かつ厚みのある楽曲を構築している。
ヴォーカルの歌唱の魅力も含めて、初期のNightwishなどが好きな方にも楽しめる好作だろう。
シンフォニック度・・8 ゴシック度・・7 女性Vo度・・8 総合・・8

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Endless Chain 「Forthcoming Past」
フィンランドのゴシックメタル、エンドレス・チェインの2021年作
ほどよくヘヴィなギターにうっすらとしたシンセを重ね、朗々とした男性ヴォーカルを乗せ、
翳りを帯びた叙情と涼やかな空気に包まれた、神秘的な雰囲気のゴシックメタルを聴かせる。
曲によってはストリングスによるアレンジも加えた優雅な美意識も覗かせつつ、叙情的なギターの旋律に、
ときにデス声を乗せたメロデス風のパートや、ゲストの女性ヴォーカルも加えた優美なナンバーなど、
アレンジ面での緩急もあってなかなか楽しめる。ダーク過ぎない聴きやすさなので、ゴシック初心者もどうぞ。
ドラマティック度・7 ゴシック度・8 重厚度・8 総合・7.5
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End of September
スウェーデンのゴシックメタル、エンド・オブ・セプテンバーの2012年作
ヘヴィロック的なモダンさと、ゴシック風味の耽美さも含ませたサウンドに
女性ヴォーカルの伸びやかな歌声を乗せた作風は、これといった目新しさはないものの、
なかなか高品質。メロディそのものにもう少しキャッチーな魅力が欲しい気はするが、
適度なヘヴィさと哀愁を含んだ聴き心地は悪くない。今後に期待したいバンドです。
メロディック度・・7 ゴシック度・・7 女性Vo度・・8 総合・・7.5
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ENNEADE 「Teardrops in Morning Dew」
フランスのゴシックメタル、エネーデの2011年作
ツインギターの重厚なリフとうっすらとしたシンセアレンジに淡々としたヴォーカルを乗せた
物悲しい叙情を聴かせるゴシックメタル。随所に叙情的なギターフレーズやシンセによるメロディも入りつつ、
どことなく地下臭を漂わせた暗黒美もそこはかとなく覗かせる。全体的にスロー過ぎないテンポで聴きやすいのだが、
メロデイにはこれといった魅力は薄く、インダストリアルな無機質性も含んだモダンなヘヴィロック質感もあったり、
15分、21分という大曲ではどことなくプログレメタル風味もあるという、なんともどっちつかずの方向性が微妙すぎです。
ドラマティック度・・7 ゴシック度・・7 叙情度・・7 総合・・7
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ENTWINE「GONE」
フィンランドのゴシックメタルバンド、エントワインの2nd。2000作
メランコリックで哀愁ただようギターリフ、メロディに倦怠な男性Voが歌を載せる。
同国のTO/DIE/FORを意識しているのだろうが、それよりもゴシック的な妖艶さは高く
この甘い声質の軟弱系男性Voがサウンドにマッチしている。
キーボード(女性)のしっとりとしたシンフォニックな音にメロウなギターが重なり、
心地よいミドルテンポの曲調に耽美な雰囲気を適度にかもしだしている。
時折現れるヴァイオリンや女性コーラスも美しく、ゴシックメタル初心者にもうってつけ。
メロディアス度・・8 ゴシック度・・8 ゆったり心地よい度・・9 総合・・8
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ENTWINE「TIME OF DESPAIR」
女性Keyを含むフィンランドの6人組ゴシックメタルバンド、エントワインの3rd。2002作
TO/DIE/FORらとともにマイルド系ゴシックロックといったサウンドで、
アルバムを重ねてきているこのバンド。音楽性としてはとくに目新しさはなく、
完成度からすれば本作は4th「DIEVERSITY」ほどではないと思うが、
マイルドでキャッチーな歌メロと、この適度なヘヴィさで安心して聴ける。
メロディアス度・・8 ゴシック度・・7 マイル度・・8 総合・・8
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ENTWINEDIEVERSITY」
フィンランドのゴシックメタルバンド、エントワインの4th。2004年作
フィンランドといえば、メランコリックなゴシックメタルが盛んなお国柄だが、
このバンドもHIMTO/DIE/FORなどとともに、高品質なアルバムを作り続けている。
叙情たっぷりの楽曲は、ピアノやシンセを効果的に使用し、マイルドな男性ヴォーカルの歌唱とあいまって
耳心地がよく、冬に聴くにはぴったり。このバンドの場合、ゴシックといっても暗さや絶望感などはなく、
もの悲しい叙情美をゆるやかに描いていて、キャッチーなメランコリックロックとしても聴けてしまう。
もの悲しいピアノの旋律の美しさ、そしてときにギターのメロウなフレージングが胸を打つ。
メロディアス度・・8 メランコリック度・・9 マイル度・・9 総合・・8 ◆メタル名盤特選入り
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ENTWINE「Fatal Design」
フィンランドのゴシックメタルバンド、エントワインの2006作
HIMTo/Die/Forなどとともに、フィンランドのゴシックロックを牽引するこのバンド、
5作目となる本作でも、メランコリックなメロディをヘヴィすぎないマイルドなアレンジに乗せて
質の高いサウンドを聴かせてくれる。初期に比べるとメタリックな質感は薄らいでいて、
ゴシック的な暗さよりもグラムロック的なモダンな叙情をキャッチーに楽しめるという点では、
初心者にもとっつきやすいアルバムだろう。個人的には前作の方が好みであるが。
メロディアス度・・8 メランコリック度・・8 マイル度・・9 総合・・8
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ENTWINEPainstained
フィンランドのゴシックメタルバンド、エントワインの6th。2008作
フィンランド産男性声ゴシックメタルとしてはTo Die Forと並ぶこのバンド、
本作ではよりヘヴィになったギターリフと、キャッチーな歌メロが前に出ていて
もはやゴシックというよりは、モダンなヘヴィロックという質感である。
うっすらとしたシンセアレンジに、ギターはときにオリエンタルなフレーズも奏でつつ
メランコリックな叙情を表現してゆく。聴き心地の良さではHIMに通じるものがある。
メロディアス度・・7 ゴシック度・・7 メランコリック度・・8 総合・・7.5
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EPICA「THE PHANTOM AGONY」
オランダのゴシックメタルバンド、エピカの1st。2003年作
オランダのゴシックといえば、WITHIN TEMPTATIONAFTER FOREVERが筆頭に挙げられるが
このバンドは元AFTER FOREVERのマーク・ヤンセンが結成したバンドなのである。
美声のソプラノ女性Voに、シンフォニックでクラシカルな楽曲はゴシックメタル好きにはストライク。
ときおり絡むデス声や、コーラスなど、濃密なアケンジと壮大な世界観も素晴らしい。
楽曲自体にはやや意外性は薄いものの、全体的に安心して聴けるクオリティの作品である。
限定盤Expanded EditionのDisc2にはオーケストラバージョンにシングル曲2曲を含む12曲を収録。
シンフォニック度・・8 クラシカル度・・8 女性Vo度・・8 総合・・8
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EPICA 「We Will Take You With Us」
オランダのシンフォニックゴシックメタルバンド、エピカのスタジオライブDVD。2004年作
スタジオライブの映像を収録した作品で、ストリングス隊に合唱隊を擁してのバンド演奏は
シンフォニックかつ荘厳な楽曲の魅力とともに、アルバム以上に壮麗なサウンドが楽しめる。
紅一点、シモーネ嬢の美しさは、映像的にもとても引き立っていて、そのオペラティックな美声は
見事な表現力の高さでウットリである。バンド+ストリングス隊の演奏を約40分に、
ピアノとチェロをバックにしたアコースティック演奏を15分ほど、ビデオクリップ2曲に、
メイキング、インタビューなども収録。このバンドの魅力を再確認するには充分な映像作品である。
映像・・8 演奏・・8 シモーネ嬢・・10 総合・・8
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EPICA「CONSIGN TO OBLIVION」
オランダのゴシックメタルバンド、エピカの2nd。2005作
1stの時点からそのサウンドにはすでに新人らしからぬ堂々とした重厚さと
誇り高き美意識を備えていたが、この2ndではいっそう曲にメリハリがついていて、
クラシカルな部分とメタル的な重厚さとがじつに見事なアレンジで融合している。
キーボードやコーラスによる荘厳なオーケストレーションはどこか宗教的でありながら、
曲の雰囲気は重すぎることなく、メタルとしての聴きやすさを保っているのもポイント。
そして美貌のシモーネ嬢の、ときにオペラティックで、ときに天使のような美しい歌唱は
前作よりいっそうその説得力を増していて、このバンドの耽美な世界観を表現している。
クオリティ、密度ともに、まさにゴシックメタルの理想形の一枚といっていい傑作でしょう。
シンフォニック度・・8 ゴシック度・・8 女性Vo度・・8 総合・・8 ◆メタル名盤特選入り
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EPICADivine Conspiracy」
オランダのゴシックメタルバンド、エピカの3rd。2007作
映画的なイントロに続き、荘厳なオーレストレーションとクワイアに包まれたサウンドは、
もはやゴシックメタルというよりは、シンフォニックメタルの質感で、
そこに乗るシモーネ嬢の歌唱もオペラ歌手ばりの存在感と美しさをもたらしている。
壮麗きわまりない音作りは、その反面、オーケストレーションに頼りすぎのきらいがあり、
こうしたいわばRHAPSODY的手法だと、どうしても1曲ごとの楽曲の質が落ちて、
全体的に画一的な平坦さがつきまとってしまう。つまりオケを抜かして聴くとあまり面白くはないのだ。
映画のサントラなども手がけたバンドとしての経験が活かされた作品だと思うが、
本来のゴシックメタルファンからすると、これは少し違うかな…と感じるかもしれない。
よくも悪くも派手な部分だけが耳につき、むしろしっとりと歌を聴かせる4曲目が一番耳に残る。
プログレメタル的にバタバタとしたりする唐突な曲展開は、よくも悪くも若さと勢いに溢れている。
シンフォニック度・・9 ゴシック度・・7 女性Vo度・・8 総合・・8
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Epica 「The Score」
オランダのシンフォニックメタル、エピカの2005年作
本作はバンド名義ではあるが、ジム・ギレスピー監督による映画「JOYRIDE」のサントラ作品で、
ストリングスを含む優美なオーケストレーションを主体にした、シンフォニックなインスト作品。
1〜4分前後の小曲が主体なので、単なるBGMになりそうなのだが、壮大な空気感に包まれた
ドラマティックな感触が随所にあって、聴き手の想像力を刺激するところはさすがというところ。
シモーネ嬢の美しい歌声を乗せたナンバーもあり、ゆったりと鑑賞できる美麗な作品です。
シンフォニック度・・8 メタル度・・2 壮麗度・・8 総合・・7.5
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EPICA「Classical Conspiracy」
オランダのゴシックメタルバンド、エピカのオーケストラ共演ライブアルバム。2009作
本作は2008年にハンガリーで行われたライブイベントでのステージをCD2枚組みで収録、
40人編成のオーケストラに加え、30人もの合唱団とバンドがコラボした一大シンフォニーである。
Disc1の途中まではヴェルディ、ヘンデル、ドヴォルザーク、ヴィヴァルディ、プロコフィエフ、グリーグといった
クラシック曲を中心にしたナンバーで、壮麗なオーケストラにバンドサウンドが自然に融合していて、
メタル的な雰囲気は薄いものの、しっとりと優雅に楽しめる。それから待ってましたのバンド曲が始まると、
シモーネ嬢の艶やかな歌声とともに、生のオーケストラとコーラス隊をバックにアルバム以上に臨場感のある
ゴシックメタルを聴かせてくれる。1stから3rdまでのナンバーをまんべんなく演奏してくれるのも嬉しい。
クラシカル度・・9 壮麗度・・9 ライブ演奏度・・8 総合・・8
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EPICA「Design Your Universe」
オランダのクラシカル・ゴシックメタルバンド、エピカの2009作
オーケストラとの競演を果たしたライブ作に続く今作は、彼ららしいクラシカルな美意識に溢れた力作だ。
荘厳なプレリュードからオーケストレーションをふんだんに使用した2曲目までの流れで、
オペラティックメタルとしての強固な世界観を見せつける。すでに前作の段階でゴシックメタルというよりは、
構築されたシンフォニックメタルとしての方向性を打ち出していたが、本作もその流れにありながら、
楽曲ごとにより焦点を絞り込んできたという印象。シモーネの歌を中心にした3曲目などは、
WITHIN TEMPTATIONばりのメロディアスさと、より豊かな表現力を増した彼女のヴォーカルが
絶品の情感をともなって響きわたる。5パートに分かれた13分の組曲“Kingdom of Heaven”は
重厚かつドラマティックに展開しながらデスヴォイス入りの激しさとクラシカルな美しさが戦う大曲で、
オーケストレーションに頼りがちだった前作以上にギターパートが活躍、メタリックなエッジを生み出している。
アルバム全体としては、いくつか中庸の曲もあり、もう何曲か削ってシェイプしてもよかった気もするが、
優雅さと耽美、壮大さとアグレッシブを一緒に詰め込みクラシカルに仕上げるところがこのバンドらしいとも言える。
シンフォニック度・・8 クラシカル度・・8 女性Vo度・・8 総合・・8
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EPICA「Requiem For The Indifferent」
オランダのシンフォニックメタル、エピカの2012年作
ゴシック的な耽美さとクラシカルで荘厳な世界観でファンも多いこのバンド、
本作も従来通り、シンフォニックなアレンジや壮麗なクワイアは健在で、
シモーネ嬢の歌声とともに、デスヴォイスを含めたモダンなヘヴィさで聴かせる。
オーケストラルな荘厳さは、いくぶん抑えられ、むしろ凝縮されてシンプルな聴き心地で、
静かなパートでの美しい歌声が引き立ち、ゴシックメタルとしての雰囲気が戻ってきた。
8分、9分という大曲を構築するセンスもさすがで、バンドとして円熟の域に入ったと思わせる力作だ。
シンフォニック度・・8 ゴシック度・・8 女性Vo度・・8 総合・・8
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EPICA 「Retrospecto」
オランダのシンフォニック・ゴシックメタル、エピカのライブ作品。2013年作
デビュー10周年記念のライブで、フルオーケストラとコーラス隊を従えてのステージをCD3枚に収録。
まるでクラシックのコンサートのような優雅で壮麗な序曲で幕を開け、それがしだいにバンドサウンドと融合、
激しくも壮麗なるシンフォニックメタルが構築されてゆく。美しいシモーネの歌声に、デスヴォイスが絡み、
厳かな混声コーラスとともに重厚に描かれる世界観は、アルバムとはまた違った躍動感ある演奏のパワーと、
10年をへたバンドとしての成熟を感じさせる。オーケストラルなアレンジを自然に融合させながら、
初期作からの曲や、組曲風につないだメドレーなど、本ライブならではの構成も聴きどころとなっている。
2DVD付きの5枚組みBOXもあり、ファンなら映像付きで楽しみたいところだろう。
シンフォニック度・・9 壮麗度・・9 ライブ演奏・・8 総合・・8

EPICA 「Quantum Enigma」
オランダのシンフォニックゴシックメタル、エピカの2014年作
すでに世界的なシンフォニックメタルバンドとなったかれら、スタジオアルバムとしては6作目となる。
壮麗なシンフォニックアレンジと、シモーネ嬢の表現豊かな歌声で描かれるサウンドは、
随所に激しさを含んだ起伏のある楽曲とともに、本作でも濃密な世界観を構築している。
クワイアを含んだ荘厳さとゴシック的な耽美な雰囲気に、モダンなキャッチーさを上手く融合していて、
いうなれば、これまでの作品の良い部分を昇華した、集大成的な作風でとも言えるだろう。
ラストの12分におよぶ大曲まで、どこを切ってもエピカ印の濃密かつ高品質な傑作である。
シンフォニック度・・9 ゴシック度・・8 壮麗度・・9 総合・・8.5
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EPICA 「Holographic Principle」
オランダのシンフォニック・ゴシックメタル、エピカの2016年作
2003年にデビュー、7作目となる本作も、オーケストレーションを含む壮麗なイントロから、適度な疾走感とヘヴィネスに
男女混声クワイヤが重なるこれでもかというシンフォニックなアレンジと、シモーネ・シモンズの美しい歌声を乗せた
メロディックな抜けの良さ融合した重厚なサウンドが広がる。デスヴォイスによるエクストリームな感触と、
優雅でオーケストラルなきらびやかさがコントラストとなって、激しくも美しい説得力ある世界観を描いてゆく。
初期の頃のようなゴシック的な雰囲気は減退し、モダンヘヴィネス&シンフォニックというべきこの路線は、
個人的にはさほどぐっと来ないのだが、ラストの11分のタイトル曲はなかなか圧巻。ともかく美麗で重厚な力作です。
シンフォニック度・・9 ゴシック度・・7 女性Vo度・・8 総合・・8
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EPICA 「Omega」
オランダのシンフォニックメタル、エピカの2021年作
2003年にデビュー、本作は4年ぶりの8作目となる。オーケストラによるイントロから、メタリックなギターとデスヴォイス、
そしてシモーネ・シモンズの美しいフィメールヴォーカルを乗せた、壮麗にして華麗なシンフォニックメタルを展開する。
ほどよく激しいアップテンポと、フックのある歌メロに、オーケストラやクワイアが重なり、キャッチーにして壮大な、
これぞエピカというサウンドは本作も健在だ。一方で、咆哮するデスヴォイスとともに重厚なメタル感も覗かせて、
オペラティックな優雅さとのコントラストを描きながら、ドラマティックに楽曲を構築してゆくのは、さすがの実力だ。
民族的な旋律を含ませた、Nightwishのようにキャッチーなナンバーもありつつ、3パートに分かれた13分の大曲では、
緩急ある展開力で、クラシカルな美意識に包まれる。新鮮なインパクトはないものの、重厚にして壮麗な力作といえる。
シンフォニック度・9 キャッチー度・8 女性Vo度・8 総合・8 
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The Equinox Ov The Gods 「Fruits And Flowers Of The Spectral Garden」
スウェーデンのゴシックメタル、イクイノクス・オヴ・ザ・ゴッズの1997年作
1996年にデビュー、本作は2作目で、シンセによるイントロから、ほどよくヘヴィなギターとクラシカルなシンセに、
デスヴォイスを乗せて、初期のTHERIONTIAMATあたりにも通じる、優雅なゴシックメタルを聴かせる。
楽曲はスロー過ぎないほどよいノリがあって、耽美でドゥーミィな雰囲気ながらもわりと聴きやすい。
シンフォニックなシンセアレンジに、曲によっては女性ヴォーカルやサックスの音色も加わるなど、優美な叙情とともに
全体的にもダークになり過ぎない作風で、後半には疾走感のあるナンバーなどもアクセントになっている。
ドラマティック度・7 ゴシック度・8 耽美度・8 総合・7.5


Erben Der Schopfung「TWILIGHT」
リヒテンシュタイン公国のゴシックメタルバンド、エルヴェン・デル・ショフングの2001年作
ELISの前身バンドで、本作の段階ではよりデジタリィなアレンジが前に出た色サウンド。
打ち込み風のリズムの上をヘヴィなギターリフとキラキラとした美麗なシンセが重なり
そこに美声のサビーネ嬢の歌声が乗るサウンドはモダンなアレンジでありながら、
根底にはヨーロピアンな深遠な暗闇が感じられ、耽美主義的な雰囲気が支配している。
シンフォニック度・・8 ゴシック度・・8 女性Vo度・・8 総合・・8
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Estatic Fear「Somnium Obmutum」
オーストリアのゴシックメタルバンド、エスタティック・フィアーの1st。1996作
リュートによる素朴なイントロから、続くは32分という長大な曲で
メロウなギターフレーズによるドゥーミィな質感と、美しいシンセで聴かせる耽美なゴシックメタル。
ヴォーカルはけっこう迫力のあるデス声で、それがクラシカルなピアノやハープシコードの優雅さと合わさると、
初期のLacrimas Profundereあたりを思わせる質感になる。繊細なフルートなどを使った
アコースティカルな静かなパートもありつつ、激しくたたみかけるパートもあり、そのメリハリの付け方はHaggard的か。
ときおり入る女性ヴォーカルも美しい。垢抜けないローカルさが気にならない耽美派ゴシックメタル好きの方には勧めたいバンドである。
クラシカル度・・8 ゴシック度・・9 耽美度・・9 総合・・7.5
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Estatic FearA Sombre Dance
オーストリアのゴシックメタルバンド、エスタティック・フィアーの2nd。1997作
ギター&シンセ奏者のマティアス・コグラーによるソロプロジェクト的なバンドで、
チェロ、フルート、リュートなどのアコースティック楽器も取り入れたクラシカルな感触と
女性ヴォーカルの歌声に男性デス声が絡む、耽美なゴシックメタルサウンド。
美しいピアノの響きに、メロウなギターの旋律、いかにも欧州を思わせる叙情美と翳り、
そして中世的な世界観を含んで、うっとりとなる聴き心地だ。組曲形式のように続いてゆく
アルバム構成もクラシック的で、もの悲しくも優雅なゴシックメタルが味わえる。
クラシカル度・・8 ゴシック度・・8 女性Vo度・・7 総合・・8
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The Eternal「Sleep of Reason」
オーストラリアのゴシックメタルバンド、ジ・エターナルの2005作
Cryptal DarknessのMark Kelson(Vo/G)率いるバンドで
重厚なギターリフで聴かせるドゥーミィなヘヴィさと、うっすらとしたシンセを含んで
Paradise Lostにも通じるキャッチーなメランコリズムで聴かせるサウンド。
ヴォーカルはノーマルで歌う部分も多いので、むしろフィンランド系ゴシックのような
マイルドな聴き心地もある。楽曲そのものに新鮮味やインパクトに欠けるのが惜しい。
ドラマティック度・・8 ゴシック度・・8 重厚度・・8 総合・・7.5
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the Eternal「kartika」
オーストラリアのゴシックメタルバンド、ジ・エターナルの2010作
Cryptal DarknessのMark Kelson(Vo/G)率いるバンドで、これが3作目となる。
中期のPARADISE LOSTを思わせる、ややモダンなゴシックメタルサウンドで、
キャッチーかつマイルドなヴォーカルはHIMあたりに通じる聴きやすさがある。
適度なヘヴィさと程良いシンセワークにより音の厚みもしっかりとあって、
ときにメロウなギターフレーズを聴かせながら、ピアノやアコースティックギターなどで
もの悲しい叙情を描き出すところは、さすがに経験値のあるメンバーである。
フィンランド的なメランコリックさがこの手のバンドを好むリスナーにはたまらないだろう。
日本盤はプロモやライブ映像を収録したエンハンズド仕様となっている。
メロディアス度・・8 叙情度・・8 モダンゴシック度・・8 総合・・8
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EVANESCENCE「FALLEN」
アメリカ出身のゴシック系ヘヴィロックバンド、エヴァネッセンスの1st。2003作
アメリカでは「女版LINKIN PARK」としてMTVはじめメジャー流通していてかなりの認知度らしい。
一聴した感じだと、私などからすればゴシック風のヘヴィロックという印象で、
1曲目のリフなんかWITHIN TEMPTATIONの「ICE QUEEN」を思わせる。
ヘヴィなギターとエレゴシック的な打ち込みアレンジ、そこに乗るエイミー嬢の見事な歌唱。
この効果がはまってゴシックメタルなるものを知らない「一般の人々」には新鮮に聴こえたのだろう。
コーラスなどにおけるラップ要素は、ゴシックメタル聴きの人間には別段いらないものだが、
こうした細かなアレンジは確かにメジャーになってもおかしくないだけのものは持っている。
なによりエイミー嬢の歌唱には、ゴシック的なメランコリックさがあり、その手のファンにも違和感なく聴ける。
メロディアス度・・7ゴシック度・・7 女性Vo度・・9 総合・・8
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EVANESCENCE「ANYWHERE BUT HOME」
エヴァネッセンスのライブアルバム。DVD付き。2004作
1stアルバムからの曲をメインに、しっかりと楽曲を再現、曲は基本的にどれもコンパクトなので、
WITHIN TEMPTATION好きの私からすると、アレンジにやや物足りないものは感じるが、
そこはサウンドのまとまりと、ヘヴィさとキャッチーさのバランスの良さでさっと聴き通せてしまう。
エイミー嬢の歌唱は、ライブにおいては、ヘヴィな曲よりは、むしろしっとりとした曲において
実力が発揮されているように思えるので、今後もその路線を活かしてほしい。
DVDの方も曲順はほぼ一緒。ドレス姿のエイミー嬢の歌う姿(ピアノの弾き語りは良いな)
が見れるのでファンは買いだろう。客席に女性ファンが多いのも印象的。ビデオクリップも収録。
メロディアス度・・8 ライブ演奏・・8 女性Vo度・・8 総合・・8
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EVANESCENCE「the Open door」
アメリカのゴシック・ヘヴィロックバンド、エヴァネッセンスの2nd。2006年作
メジャーシーンも巻き込んで話題を呼んだ前作「Fallen」に続いてのアルバム。
メインソングライターであるギターが脱退したということだが、なるほど一聴した感じ、ゴシックメタルというよりは
しごく普通のヘヴィロックになったという印象。ザクザクのリフに乗るエイミー嬢の歌唱は、いっそうの自信と表現力が
備わったように聴こえる。もともと私などはこのバンドをゴシックメタルとは「似て非なるもの」ととらえていたので、
このサウンドの若干の変化もとくに違和感なく聴ける。曲によってはしっかりとメロディと叙情性もあるし、
なにより、さらに歌の上手くなったエイミー嬢の歌声はジャンルの壁を超えてじつに素晴らしい。
メロディアス度・・7 ゴシック度・・6 女性Vo度・・9 総合・・8
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Evanescence
アメリカのヘヴィロックバンド、エヴァネッセンスの3rd。2011年作
前作から5年ぶりとなる本作では、ギター、ベース、ドラムが交替しているが、
エイミ・ーリーの伸びやかな歌声と、キャッチーさとヘヴィネスの絶妙のバランスで、バンドとしての
健在ぶりを示している。3〜4分台にまとめられたポップなモダンさはいかにも売れセンであるし、
その質の高さには、WITHIN TEMPTATIONの近作と同様にあざとさを感じるのだが、
ヘヴィロックやゴシックのファンだけにとどめない堂々たるメジャー感覚がしっかり音にある。
2曲めのリフなどIce Queenっぽいし、そのままシャロンが歌っても違和感ないようなメロディも
多々あるのだが、歌メロの充実ぶりという点では過去作を上回る出来といってよいだろう。
メロディアス度・・8 ゴシック風味度・・8 女性Vo度・・8 総合・・8
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EVENFALL「STILL IN THE GREY DYING...」
イタリアのゴシックメタルバンド、イーブンフォールの1st。1999作
2ndは女性Voを入れてぐっとゴシック的な音になったが、この1stの時点では
COFのダニのようなわめき声Voで、速くないシンフォブラックといった印象。
きらきらとしたキーボードが美しく、ジャケ通りの耽美世界を音で再現している。
聴き易いサウンドだが、いまひとつ曲にひねりがないのも確か。
2ndでのゴシック化はいい選択であったかもしれない。
シンフォニック度・・7 ゴシック度・・7 ブラック度・・7 総合・・7

EVENFALL「CUMBERSOME」
イタリアの男女Voゴシックメタルバンド、イーヴン・フォールの2nd。
非常に魅力的なしっとりとした女性ヴォーカルの歌唱に、野郎の高音ブラック声、
曲はキーボード+ツインギターで音も厚く、時折入るデジタリィな効果も今風でモダンな印象。
この手にしては曲のアレンジも聴きやすく、音には暗黒性よりは軽快な印象が強い。
1stは未聴だが、女性Voが加入したのはこの2ndからということ。
ジャケもいいが、ブックレットも全ページが彼女の写真というのもよろしいかと。
メンバーの名前が皆イタリア系というよりは東欧っぽいのが気になるな。
メロディアス度・・7 ゴシック度・・7 女性Vo度・・8 総合・・7.5
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EVENOIREVitriol
イタリアのゴシックメタル、イヴノワールの2012年作
シンフォニックなシンセアレンジと美しい女性ヴォーカルの歌声に、
イタリアのバンドらしいやわらかなフルートの音色が繊細でプログレッシブな香りを
サウンドにもたらしている。最近のバンドのようなモダンなヘヴィネスよりも、
少し前のゴシックメタルにあったマイナーな美意識と幻想的な香りを残しているのがよろしく、
ほの暗い叙情とともにヨーロピアンな聴き心地にうっとりとなる。リシー嬢の歌声も含めて、
初期のWITHIN TEMPTATIONLeaves' Eyesなどに通じる、涼やかな土着性も魅力的だ。
シンフォニック度・・8 ゴシック度・・8 女性Vo度・・8 総合・・8
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EVENOIRE 「Herons」
イタリアのゴシックメタル、イヴノワールの2014年作
前作もウィズインばりの好作であったが、2作目となる本作も美しい女性ヴォーカルの歌声に
やわらかなフルートの音色を含んだ繊細な叙情で聴かせる、なかなかの好作品。
昨今のバンドのように濃密な派手派手しさやはあまりなく、いわば初期のWITHIN TEMPTATIONや
The Gatheringあたりを受け継ぐスタイルだ。リシー嬢の歌声は、華やかさにはやや欠けるが、
はかなげな雰囲気が世界観にマッチしていて、楽曲自体もシンフォニックでありながら、
どこか突き抜けきらないローカルさを漂わせていて、これが微笑ましく楽しめる作品なのです。
シンフォニック度・・8 ゴシック度・・7 女性Vo度・・8 総合・・8
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EVEN SONG「PATH OF THE ANGELS」
ハンガリーのゴシックメタルバンド、イーブンソングの1st。1999年作
男性デス声に絡むやわらかな女性ヴォーカル、シンフォニックなキーボード、
そしてなんといってもこのバンドの魅力はツインギターの奏でる流麗なメロディです。
いちいちメロディアスに展開してゆくこのギターだけをとっても、ゴシックのみならず
クサメタル、はてはメロデスファンにまでもアピールすることでしょう。
しかもこの1stでは、まだメロディに田舎クサさが残っていて、そこがすごくよろしい。
メロディアス度・・8 ゴシック度・・9 女性Vo度・・7 総合・・8
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EVENSONG「OF MAN'S FIRST DISOBEDIENCE」
ハンガリーのゴシックメタルバンド。イーブンソングの2nd。2000年作
ツインギターの扇情的なフレーズにキーボードが絡まり、のっけから素晴らしくシンフォニック。
メロデス的に展開の多い楽曲に、次々にギター、キーボードがクラシカルなフレーズを奏で、
その上を朗々とした男Vo(非デス声)と、たゆたうような女性ヴォーカルが歌い上げる。
しかし歌よりもむしろこのバンドの素晴らしさは演奏の方で、どこを切ってもメロディアスで美しい。
女性VoはKEYも兼ねる才能の持ち主らしく、このキーボードワークだけでも実に見事なのである。
しかし、ツインギターのよく鳴くこと。シンフォゴシックとしてはとても素晴らしいバンドだと思う。
メロディアス度・・8 シンフォニック度・・9 女性Vo度・・7 総合・・8.5 ◆メタル名盤特選入り
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EVENSONG「MYSTERIUM」
ハンガリーの男女混声ゴシックメタルバンド、イーブンソングの3rd。2001年作
バックの演奏はキーボード、ギターともに素晴らしく、音の重ね方が絶妙であるばかりか
ここぞという所で弾きまくるギターのクラシカルフレーズはもう絶品だ。
そしてそこに浮遊感のあるソプラノ女性ヴォーカルが男性声と絡まり、見事な耽美空間を作り出している。
また、楽曲展開とリズムにもメリハリがあり、あるいはプログレ方面のリスナーにも楽しめるだろう。
繊細で美しいシンセサウンドは、ヴォーカルも兼ねる女性奏者のもの。じつに素晴らしい才能だ。
センスのあるバンドというものは最初の音を聴いた瞬間に分かるものだと感心しきり。
前作と同様の傑作。3作だけを残して消えるには実に惜しいバンドだった。
クラシカル度・・8 シンフォニック度・・9 耽美度・・8 総合・・8.5
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Even Vast 「Hear Me Out」
イタリアのゴシックメタル、イーヴン・ヴァストの1999年作
スローテンポにドゥーミィなギターリフを乗せ、妖しく魔女めいた女性ヴォーカルで聴かせる、
耽美なゴシックメタルサウンド。ときおりシンセも加わるが、シンフォニックというほどではなく、
ギターの正統派のリフをメインにした、90年代的なオールドなゴシック・ドゥームメタル風味で、
アントニエッタ嬢のヘタウマ感のある歌声が、どことなくマイナーな翳りを描いている。
さして盛り上がらない楽曲の煮え切らなさも、いかにもB級ゴシックメタルの味わいだ。
2016年の再発盤ではジャケが変更され、ライブ音源3曲がボーナス追加されている。
ドラマティック度・7 ゴシック度・7 女性Vo度・7 総合・7
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EVEREVE「Stormbirds」
ドイツのゴシックメタルバンド、エヴァーイヴの2nd。1998作。
EVEREVEの最高傑作。改めて聴いてみても、ツインギターとキーボードによる煽情的なメロディが素晴らしく、
アグレッシブなデス声とノーマルヴォイスを使い分けつつ、基本は王道のゴシックメタルサウンドながら、
楽曲にはしっかりとメリハリがある。とくにギターの弾くメランコリックなメロディは非常に魅力となっていて、
ノーマル声パートも含めてメロウでもの悲しい情感を見事に作り出している。
こうしたツインギターと美麗なシンセの絡みはメロデス的な方法論でもあるので、
ゴシックだけでなく多くのメタルリスナーにアピールする魅力があるのだろう。
この後バンドはデジタリィでモダンなサウンドに移行してゆくが、このアルバムの輝きは
今なお多くのゴシックメタル愛好家を惹きつけてやまない。限定2000枚のナンバリング入り。
メロディアス度・・8 ゴシック度・・9 メランコリック度・・9 総合・・8.5  ◆メタル名盤特選入り
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EVER EVE「REGRET」
ドイツのゴシックメタルバンド、エヴァー・イヴの3rd。1999作
イントロはややデジタリィな雰囲気だが、サウンドの本質は前作と同様、
メロウに奏でられるギターと美しいシンセ、そしてマイルドな男ヴォーカルで聴かせる
質の高いサウンド。王道ゴシックのメランコリックさと、エレゴシックに移行しかける狭間の
絶妙なバランスのアルバムで、HIMあたりにも通じるメロディアスな聴きやすさがある。
メロディアス度・・7 ゴシック度・・7 デジタリィ度・・7 総合・・8
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EVEREVETried & Failed
ドイツのゴシックメタルバンド、エヴァーイヴの6th。2005作
傑作「STORMBIRDS」の後、徐々にデジタル風味を加味して行ったこのバンドだが、
今作では前2作の軽めのデジタルゴシックから、また再び哀愁のメロディをとり戻している。
イントロからしてなにやらシンフォニックな雰囲気が漂い、期待させられるが、
2曲目以降も、良い意味でのデジタル風味を消化した、聴きやすいゴシックロックを展開している。
このジャケや内ジャケを含めて、ビザール調のエロティックな雰囲気にもなかなかそそられるし、
ノリの良いリズム面や、シンセなどのアレンジにもメジャー感のようなものが漂っていて音には説得力もある。
これで女性Voでも入っていれば最高だが…ともあれ、前2作で失望した方にも勧められるアルバムだ。
メロディアス度・・8 ゴシック度・・7 聴きやす度・・8 総合・・8
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EVERLUST 「DIARY OF EXISTENCE」
ラトビアのゴシックメタル、エヴァーラストの2021年作
ほどよくヘヴィなギターにうっすらとしたシンセ、美しい女性ヴォーカルの歌声で聴かせるメランコリックなゴシックメタル。
曲によっては男性ヴォーカルがメインの、ENTWINEのようなゴシックロック的なキャッチーなナンバーもありつつ、
基本は女性声メインで、Sam Smithのカヴァー曲なども含め、Kate嬢の妖しくコケティッシュな歌声が魅力的だ。
楽曲的には、ゆったりとしたナンバーを淡々と聴かせる感じで、派手な盛り上がりなどはないものの、
物悲しい叙情とシアトリカルな耽美性に包まれたサウンドは、しっとりとした涼やかな耳心地で楽しめる。
ドラマティック度・7 耽美度・8 女性Vo度・7 総合・7.5
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Evolvent 「Whatever Happens」
フランスのゴシックメタル、エヴォルベントの2015年作
美しいシンセアレンジに、適度にヘヴィなギターと女性ヴォーカルを乗せた、
正統的なシンフォニック・ゴシックメタル。紅一点、エマ嬢の歌声は美しいソプラノで、
力強さはないが優美でなよやかな耳心地。ゴシック的な耽美さは薄めで、適度にモダンな感触とともに
キャッチーすぎない中庸感が煮え切らないのだが、シンセやピアノの優雅な雰囲気は悪くない。
楽曲自体にこれといった新鮮味がないので、今後はメロディのフックやアレンジの向上を期待したい。
シンフォニック度・・7 ゴシック度・・7 女性Vo度・・7 総合・・7.5
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EX ANIMO 「Neverday」
ウクライナのゴシックメタル、エクス・アニモの2016年作
ツインギターに美麗なシンセアレンジ、美しい女性ヴォーカルに男性テスヴォイスが絡む、
シンフォニックで重厚なゴシックメタルサウンド。ジャケのイメージのように耽美な世界観と、
適度にモダンなヘヴィネスが合わさり、どっしりとした本格派の聴き心地が楽しめる。
反面、楽曲の展開にはこれというインパクトがないので、耳に残るメロディがあまりなく、
紅一点、ジュリア嬢の歌声を活かした、しっとりとした叙情ナンバーの方がずっと魅力的。
今後は、楽曲自体の魅力を高めるとともに、サウンド全体の説得力を強めていって欲しい。
ドラマティック度・・7 ゴシック度・・8 女性Vo度・・8 総合・・7.5
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Eye of Solitude 「Sui Caedere」
イギリスのドゥームメタル、アイ・オブ・ソリチュードの2012年作
ツインギターにシンセを含む6人編成で、重厚なギターリフと低音デスヴォイス、
うっすらとしたシンセアレンジで聴かせる、フューネラルな雰囲気のドゥームメタル。
メランコリックな叙情を含んだところは、ドゥーム・ゴシック的な聴き心地もありつつ、
随所にデスメタル的なヘヴィネスも感じさせる。6、7分の曲をメインに、13分の大曲もあって、
ときにメロディックなギターフレーズも覗かせつつ、じっくりとダークな世界観を描き出す力作だ。
ドラマティック度・・8 ドゥーム度・・8 重厚度・・8 総合・・7.5




EYE OF SOLITUDE 「CANTO III」
イギリスのフューネラル・ドゥームメタル、アイ・オブ・ソリチュードの2013年作
美しいシンセによるイントロから、重厚なギターリフと低音のデスヴォイスが加わって、
本格派のフューネラル・ドゥームメタルが広がってゆく。10分を超える大曲を中心にして、
随所に語りなどを含んだメランコリックなドラマ性と、ときにブラストビートも入った激しさと重さで
強烈なサウンドを描き出す。AHABあたりに通じる重さと庫さ、ゴシックメタル的でもある叙情性に、
デスメタル的な迫力が合わさったという作風で、前作以上に濃密でディプレッシブな世界観が味わえる。
限定盤のボーナスCDには2013年のEP「THE DECEIT」を収録。
ドラマティック度・・8 暗黒度・・9 重厚度・・9 総合・・8
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EYES OF EDEN 「Faith」
DESPAIRGRIP.INCという経歴を持つギタリスト、ヴァルデマー・ゾリクタが
新たに結成したゴシックメタルバンド、アイズ・オブ・エデンのアルバム。
美しい女性ヴォーカルの歌声を中心にしたゴシックメタルであるが、
さすがは才人ヴァルデマーが弾くだけあって、ザクザクとした硬質感にオリンンテットな
浮遊感も感じさせるリフが個性的で、全体的にギターサウンドがとても重厚だ。
また昨今のトレンドである美しいシンセアレンジも取り入れていて、妖艶な女性声とともに
ヘヴィなギターとよいコントラストになっている。後半がやや尻すぼみして楽曲が単調になるのが残念だが、
「ゴシメタはギターが弱い」と常々お嘆きのアナタは聴いてみる価値があるだろう。
メロディアス度・・7 さすがにギターがヘヴィ度・・9 女性Vo度・・8 総合・・7.5
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F

Face Off 「The Colour Of Rain」
セルビアのゴシックメタル、フェイス・オフの2013年
ヘヴィなギターリフにコケティッシュな女性ヴォーカルの歌声を乗せた、翳りを帯びたゴシックメタルサウンド。
シンセなどのアレンジが入らず、バックはギターがメインなので、女性声とのコントラストで浮遊感を描くところは、
かつてのThe Gatheringあたりにも通じる雰囲気。紅一点、Marija嬢の歌声も伸びやかな表現力があって、
ヘヴィなサウンドを魅力的に彩っている。楽曲そのものにさほど愛想がない分、女性声の魅力が引き立っていて、
壮麗なアレンジを使わずとも耽美の表現はできるのだと再認識。どことなく90年代のゴシック思い出させる好作です。
ドラマティック度・・7 ゴシック度・・7 女性Vo度・・8 総合・・7.5
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Fading Azalea 「Maze Of Melancholy」
スウェーデンのゴシック・シンフォニックメタル、フェーディング・アゼリアの2020年作
ヴォーカル、ギター、シンセをこなす女性マルチミュージシャンによるプロジェクトで、
シンフォニックでクラシカルなイントロから、ブラックメタルばりの激しさでたたみかけつつ
美しい女性ヴォーカルが乗ると、ゴシックメタルでもある耽美な空気にも包まれる。
激しいブラストビートが唐突に現れるなど、強引なリズムチェンジなどはマイナー臭いのだが、
涼やかでメランコリックな叙情と浮遊感を感じさせるところは、いかにも北欧らしい雰囲気だ。
ときにスクリームヴォイスも加えつつ、ほどよい激しさと美麗な味わいが同居した67分の力作です。
シンフォニック度・7 ゴシック度・8 女性Vo度・7 総合・・7.5
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Fallen Arise 「Adeline」
ギリシャのゴシック・シンフォニックメタル、フォールン・アライズの2015年作
男女Voにシンセを含む6人編成、映画的なナレーションで幕を開けるコンセプト的な作品で、
クラシカルなピアノに女性ヴォーカル、オーケストラアレンジによる優美なシンフォニック性と、
ヘヴィなギターにスクリームする男性声を乗せたアグレッシブな味わいを同居させたサウンド。
紅一点、Spyla嬢の歌声は、ソプラノというよりはウィスパーリングな中音域なので、
オペラティックな魅力は薄く、全体的にややダークで耽美な世界観は悪くないのだが、
EPICAあたりに比べると、ややマイナー臭い雰囲気か。今後の成長に期待です。
シンフォニック度・・8 耽美度・・8 女性Vo度・・7 総合・・7.5
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False Memories 「Last Night of Fall」
イタリアのゴシックメタル、ファルス・メモリーズの2021年作
女性Voにツインギターを含む5人編成で、メタリックなギターになよやかな女性ヴォーカルを乗せた
かつてのTHE GATHERINGにも通じる優雅な浮遊感に包まれた、正統派ゴシックメタルを聴かせる。
紅一点、Rossella嬢の歌声は、アネク・ヴァン・ガースバーゲンのように伸びやかな表現力で魅力たっぷり。
シンセアレンジはさほど使われていないが、ほどよい叙情を奏でるギターと美しい女性声によって、
しっかりと耽美なサウンドを描く、演奏と歌唱の実力がある。楽曲は4分前後と比較的シンプルながら、
随所にキャッチーなフックが感じられて、ゴシックメタルとして重厚さを保ちつつも、メロディアスな聴き心地。
ドラマティック度・・8 ゴシック度・・8 女性Vo度・・8 総合・・8
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FLOWING TEARS「JADE」
ドイツのゴシックメタルバンド、フローイング・ティアーズの3rd。2000作
ヘヴィすぎず軽すぎずというなかなか聴きやすい楽曲に、
この手にしてはやや低めの声質の女性Voが落ち着いた歌を乗せるタイプ。
曲調的にはあまり盛り上がらず、とくに目立つ要素もないので個性という点ではややインパクトには欠ける
ツインギターがときおり良いメロディを奏で、全体的にゆったりと聴ける。
メロディアス度・・7 ゴシック度・・7 女性Vo度・・7 総合・・7

FLOWING TEARS「SERPENTINE」
ドイツのゴシックメタルバンド、フローイング・ティアーズの4th。2002作
かつてのTHE GATHERINGのようなヘヴィなギターの上を、女性Voが歌をのせる
王道のアンビエント・ゴシックメタルで、音的にはさほど目新しさはない。
メタルにマッチしている声質のステファニー嬢の歌唱は、繊細系というよりは
力強い系といった印象で、LANA LANEなどを思わせるところもある。
曲の出来もなかなか良く、この手の中ではオーソドックスで安心して聴ける一枚である。
メロディアス度・・7 メタル度・・8 女性Vo度・・7 総合・・7.5


The Foreshadowing 「Days of Nothing」
イタリアのゴシックメタル、フォレシャドウィングの2007年作
ツインギターにシンセを含む6人編成で、重厚なギターリフとうっすらとしたシンセアレンジ、
そしてマイルドなヴォーカルで聴かせる、メランコリックなゴシックメタルサウンド。
スローテンポの正統派スタイルで、Paradise Lostあたりをぐっとメロウにしたような感触で、
随所に耳を惹く叙情メロディが顔を出すところは、初期のKATATONIAにも通じる雰囲気である。
本格派のコシックメタルでありながら、メロディの美しさもしっかりと融合された力作です。
ドラマティック度・・8 ゴシック度・・8 メランコリック度・・8 総合・・8
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The Foreshadowing 「Oionos」
イタリアのゴシックメタル、フォレシャドウイングの2010年作
2007年にデビュー、本作は2作目で、ツインギターにうっすらとしたシンセとジェントルなヴォーカルを乗せた、
耽美な気配に包まれた、正統派のゴシックメタルを聴かせる。ゆったりとしたスローテンポの中に、
ウェットな空気感と泣きの叙情をまとわせて、しっとりとしたシンセによる静寂パートなど、
ドラマティックな構築力も光っている。重すぎない重厚さとメロウな扇情力のバランスもよく、
デス声が入らないこともあって、マイルドなサウンドが耳心地よい。叙情たっぷりの力作です。
ドラマティック度・・8 ゴシック度・・8 叙情度・・9 総合・・8 
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The FORESHADOWING 「Second World」
イタリアのゴシックメタル、フォレシャドウイングの2012年作
ツインギターにシンセを含む6人編成で、うっすらとしたシンセアレンジにメロウなギター、
マイルドな男性ヴォーカルを乗せて、ゆったりとした叙情を聴かせるゴシックメタルサウンド。
KATATONIAやLacrimas Profundereあたりに通じるメランコリックな世界観に
随所にツインギターのメロディックなフレージングも、なかなか耳心地がよい。
非デス声のマイルドなメランコリック・ゴシックメタルが好きな方はチェック。
ドラマティック度・・8 ゴシック度・・8 メランコリック度・・8 総合・・8
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The Foreshadowing 「Seven Heads Ten Horns」
イタリアのゴシックメタル、フォレシャドウィングの2016年作
ツインギターにシンセを含む6人編成で、メランコリックな空気感に包まれたイントロから、
重厚なギターリフとうっすらとしたシンセが合わさって、幻想的なゴシック・ドゥームメタルを展開。
朗々としたマイルドなヴォーカルがエピックな雰囲気をかもしだし、メロディックなギターフレーズが楽曲を叙情的に彩る。
スローテンポの中にも適度に手数のあるドラムが起伏のあるリズムを作り出し、ドラマティックな緊張感を描いている。
PALADISE LOSTなどとはまた違った、ヨーロピアンで耽美な空気…コンセプト的なスケール感も素晴らしい。
ラストの14分の組曲も圧巻で、構築性という点ではOPETHなどのファンにもお薦めできる。これぞバンドの最高傑作!
ドラマティック度・・8 ゴシック度・・8 重厚度・・9 総合・・8.5
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FOREST OF SHADOWS 「Departure」
スウェーデンのゴシック・ドゥームメタル、フォレスト・オブ・シャドウスの2004年作
バンドではなく個人ユニットのようで、美しいシンセアレンジに寂しげなヴォーカルの歌声を乗せた
メランコリックなサウンドで始まる。10分以上の大曲を主体にしたスローで淡々とした聴き心地で、
リフレインされるフレーズとともに、悪く言えば煮え切らない展開の遅さが人によってはつらいかもしれないが、
クリーンヴォーカルの物悲しさから、デスヴォイスを乗せた重厚なパートへとゆったりと変わってゆく様は、
じわじわと押し寄せるダークな迫力に心地よく浸れる。随所にメロウなギターフレーズも入って来て、
初期のKATATONIAを思わせるような叙情性もよいですな。独りフューネラル・ドゥームの力作だ。
ドラマティック度・・8 重厚度・・8 メランコリック度・・9 総合・・8
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FOREST OF SHADOWS 「Six Waves of Woe」
スウェーデンのゴシック・ドゥームメタル、フォレスト・オブ・シャドウスの2008年作
今作では10分を超える曲は1曲のみで、前作ほどゆったりしたフューネラルな感じは薄い分、
ゴシックメタル的にも楽しめるサウンドである。マイルドなノーマルヴォーカルと
湿り気のある叙情性を含んだギターフレーズにシンセが合わさった重厚な聴き心地と
アコースティカルなパートがふっと現れる、知的な展開力はOPETHあたりにも通じるか。
適度にノリのよいミドルテンポのナンバーなど、メランコリックな感触は残しつつ、
前作に比べてキャッチーな聴きやすさも増した。ダークな雰囲気はやや薄まったが、
むしろゴシックメタル的には傑作と言ってよい内容ですな。
ドラマティック度・・8 重厚度・・8 メランコリック度・・9 総合・・8
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Forest Stream「Tears of Mortal Solitude」
ロシアのゴシックメタルバンド、フォレスト・ストリームの2004年作
詳細は不明だが、Vo/Key、G、Bという3人組のバンドで、ドラムは打ち込み。シンセとギターを中心に、
シンフォニックな薄暗さ
と耽美な味わいのあるサウンドを構築している。
咆哮を上げるデス声とは対照的に、シンセによる叙情性はかなりのもので、
とくに静謐感のあるパートではときおりプログレ的な雰囲気すらかいま見せる。
ここぞという部分でクサいフレーズを奏でるギターもなかなかのもので、
かすかに民族調の雰囲気も漂わせている。10分以上の大曲が2曲あることからも、
彼らが楽曲というよりも世界観と音のかもしだす雰囲気に重きを置いているのが窺える。
メロディアス度・・8 シンフォニック度・・8 ゴシック度・・8 総合・・7.5
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Forest Stream「The Crown of Winter」
ロシアのゴシックメタルバンド、フォレスト・ストリームの2009作
2004年作の段階では3人編成でドラムは打ち込みという作品であったが、
今作では女性シンセ奏者にツインギターも含む6人編成となり、音が厚くなっている。
シンフォニックなシンセワークに、薄暗い叙情でゆったりと聴かせるサウンドは
いくぶんの民俗調の雰囲気とともに、ツインギターのメロウなフレーズがとてもいい。
なによりドラムが加わったことでサウンドにはメリハリがつき、ときにシンフォブラック的な
激しさもまじえつつ、寒々しい美しさをかもしだすシンセと悲しみのデスヴォイスを乗せてゆく。
北欧のバンドとはまた違う感触で、北の大地を感じさせるシンフォニック・ゴシックである。
シンフォニック度・・8 耽美度・・8 北の叙情度・・9 総合・・8
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FOREVER SLAVE 「ALICE'S INFERNO」
スペインの男女Voゴシックメタルバンド、フォーエヴァー・スレイブの2005作
この耽美なジャケからして、もうゴシックファンを惹きつけているが、内容のほうもなかなかよろしい。
サウンドは暗すぎず重すぎず、シンフォニックなキーボードがとても美しいし
この手にしてはリズムも速い方なので、ノロいゴシックが苦手な方でも聴けそう。
そして、アンジェリカ嬢のエンジェリックヴォイスがまたたまらないときた。
しっとりとしたピアノやヴァイオリンなども効果的に、メランコリックな叙情をかもしだす好作品。
シンフォニック度・・8 ゴシック度・・8 女性Vo度・・8 総合・・8
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FOREVER SLAVETales for Bad Girls」
スペインのゴシックメタルバンド、フォーエヴァー・スレイブの2nd。2008年作
1stはデビュー作にしてはかなりのクオリティで話題となったが、
続く本作は軽快な雰囲気が増して、ずいぶんと聴きやすくなった。
ゴシックというよりはNIGHTWISHなどにも通じるモダンなアレンジで
美しい女性Voで聴かせるシンフォニックなゴシック風ヘヴィロックという印象。
個人的にはずいぶんと今風になってしまって、耽美さが薄まったのは残念だが、
コア系の女性Voメタルとしても聴けるので、昨今の若いリスナーには受けるだろう。
シンフォニック度・・8 ゴシック度・・7 女性Vo度・・8 総合・・7.5
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For My Pain「FALLEN」
フィンランドのゴシックメタルバンド、フォー・マイ・ペインの2003年作
ETERNAL TEARS OF SORROWのメンバーを中心に、NIGHTWISHのツォーマスも参加
メロウなギターフレーズに美しいシンセワーク、そしてメランコリックさをかもしだす
マイルドなヴォーカルと、HIMENTWINETO/DIE/FORなどのよい部分を合わせた感じで、
あくまで定型内の音ながらもとても質の高いゴシックロックをやっている。
シンフォニックなシンセに絡むメロディアスなギターワークも見事で、
効果的な女性コーラスなどとともに、聴きやすく叙情的なサウンドを形成している。
メロディアス度・・8 ゴシックロック度・・8 メランコリック度・・8 総合・・7.5
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For Selena and SinOverdosed on You」
フィンランドのゴシックメタルバンド、フォー・セレナ・アンド・シンの2007年作
美しい女性ヴォーカルの歌声を中心に聴かせるシンフォニックなゴシックメタルで、
やはり適度なモダンさの中にあるメランコリックな叙情美が素晴らしい。
これといった特徴はないのだが、表現力のある艶っぽいヴォーカルの歌唱と、
それを引き立てるバックのサウンドが絶妙なので、しっかりと音に説得力が感じられる。
シンフォニック度・・8 ゴシック度・・8 女性Vo度・・8 総合・・8
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For Selena And Sin「Primrose Path」
フィンランドのゴシックメタルバンド、フォー・セレナ・アンド・シンの2009年作
女性Voにシンセを含む6人組で、適度にモダンさのあるゴシックメタルサウンドを聴かせる。
ツインギターのヘヴィなリフに美しいシンセが合わさった演奏にはしっかりとした音の厚みがあり、
実力のある女性ヴォーカルの伸びやかな歌声は、AFTER FOREVERあたりを思わせる。
楽曲の構築力と世界観、確かな歌唱力を含めた説得力あるサウンドが見事だ。
これは掘り出し物的なレベルの堂々たる力作である。フィメール・ゴシックファンはぜひ!
シンフォニック度・・8 ゴシック度・・8 女性Vo度・・8 総合・・8
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Fountain of Tears 「FATE」
アメリカのゴシックメタルバンド、フォウンテン・オブ・ティアーズの2007年作
ゴシックメタルといえばヨーロッパが中心であったのだが、EVANESCENCEの登場や、WITHIN TEMPTATIONなどの
世界的な人気ぶりの影響からか、アメリカからも本格的なゴシックメタルバンドが出てくるようになった。
このバンドも女性ヴォーカルをフロントにした5人組みで、一聴してヨーロピアンな叙情を感じさせる
シンフォニックなゴシックメタルをやっている。しっとりとした美しいシンセに、ヘヴィ過ぎないメロウなギター、
そこに乗る女性Voは、少し落ち着いた中音域の声質で、派手さはないがじっくりと歌い上げるタイプ。
これという個性はないもののなかなかの好作です。ちなみに、ドラマーはヘンタイ系スラッシュメタル、BELIEVERのメンバーですと。
シンフォニック度・・8 ゴシック度・・8 女性Vo度・・8 総合・・7.5
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FUNERAL「Tragedies/Tristesse」
ノルウェーのゴシック・ドゥームメタルバン、フューネラルの1993/1995年作
Disc2には1995年のデビュー作、Disc2にカセット発売されていた自主制作の1993年の音源を収録した2CD。
ゆったりとしたスローな曲調に、ヘヴィなギターリフと浮遊感ある女性ヴォーカルの歌声を乗せた、
耽美なフューネラルドゥームを聴かせる。ギターは重すぎない感じで叙情的なフレーズも奏でていて、
ときにアコースティックなパートやヴァイオリンの旋律も加わって、わりと暗黒過ぎない聴き心地で、ゆったりと楽しめる。
ときおり低音デスヴォイスも加わるが基本は女性声メイン。曲はどれも10分以上なので、気が短い方には向かないが、
耽美な世界観に浸れる方には心地よいことこの上なし。Disc2の初期音源は、女性声が入らない男性デス声メインなので
やや印象は異なるが、初期CATHEDRALのようなおどろおどろしいフューネラル・ドゥームが味わえる。
ドラマティック度・・7 ドゥーム度・・9 耽美度・・9 総合・・8
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FUNERAL「IN FIELDS OF PESTILENT GRIEF」
ノルウェーのドゥーム系ゴシックメタルバンド、フューネラルの2001年作
基本的には前作の延長上のサウンドで、暗く沈む込むようなギターリフに、天使のような女性の歌声が美しい。
最近のこの手のバンドでは珍しくキーボードは使用しておらず、その分ギターの重みが直接的に聞こえてくる。
女性Voは歌うというよりは、「声をのせている」という感じでソプラノ声の楽器のような役割を果たしている。
最近のシンフォニックなゴシックメタルに慣れた方にはつらいかもしれないが、本物系ドゥームゴシックが聴きたい方にはたまらないだろう。
1stよりはギターがリフっぽいものを弾くようになってきていて、いくぶん聴きやすくなっている。
ドラマティック度・・7 ドゥーム度・・9 耽美度・・9 総合・・8
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Funeral 「From These Wounds」
ノルウェーのゴシック・ドゥームメタル、フューネラルの2006年作
初期の女性ヴォーカル路線から変わり、本作は男性ヴォーカルをフロントにした編成となり、
うっすらとしたシンセに重厚なギターと、マイルドなヴォーカルを乗せたメランコリックな
ゴシック・ドゥームメタルを聴かせる。8分、9分という長めの楽曲に、ゆったりとしたスローな曲調は変わらないが、
耽美な美しさというものはやや減退したか。随所にメロウなフレーズを奏でるギターはよい感じだが、
次作以降の出来を考えると、方向性にやや迷いが見えるという点では、過渡期の作品とも言える。
ドラマティック度・・7 ドゥーム度・・7 重厚度・・8 総合・・7.5
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FUNERAL 「As the Light Does the Shadow」
ノルウェーのゴシック・ドゥームメタル、フューネラルの2008年作
初期は女性ヴォーカル入りのバンドであったが、いつの間にか男性声フロントのバンドになっていた。
ツインギターのリフに物悲しい男性ヴォーカルの歌声、シンセアレンジも加わった重厚なスケール感で聴かせる、
ゴシック・ドゥームメタルサウンド。テンポが遅すぎないので、Pradis Lostなどの一般のゴシックメタルリスナーにも楽しめるだろう。
マイルドでメランコリックな叙情性とどっしりとした重さを兼ねそろえた、ゴシック・ドゥームの力作です。
ドラマティック度・・8 ドゥーム度・・7 重厚度・・8 総合・・8
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Funeral 「To Mourn Is a Virtue」
ノルウェーのゴシック・ドゥームメタル、フューネラルの2011年作
1995年にデビュー、初期は女性声入りだったが、3作目以降は男性声の本格派フューネラルドゥームになり、
本作は5作目。重厚なギターに朗々としたヴォーカルを乗せた、スローテンポのドゥームメタルサウンド。
ツインギターによる叙情的なフレージングに、随所にシンセによるアレンジも加わった耽美な空気感で、
6〜9分前後の楽曲をゆったりと構築してゆく。楽曲が長めのわりにはこれという展開はないのだが、
フューネラルな倦怠に包まれた耽美な世界観に、どっぷりと浸れる方にはたまらないだろう。
ラスト曲での美しいソプラノ女性ヴォーカルにもウットリ。これぞゴシックドゥームである。
ドラマティック度・・8 ゴシック度・・8 耽美度・・9 総合・・8 
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FUNERAL 「Oratorium」
ノルウェーのゴシック・ドゥームメタル、フューネラルの2012年作
マイルドな男性ヴォーカルに低音デスヴォイス、ツインギターのリフを乗せた、フューネラル・ドゥームスタイルは
本作では沈み込むようなスローテンポの感触が強まり、オーケストラルなシンセアレンジもサウンドに荘厳さを付加している。
耽美な世界観の強度はキャリアのあるバンドならではで、10分以上の大曲を聴かせる音の説得力も十分。
重厚でダークでありながらも美しいという、その絶妙の聴き心地に浸ることができる。ゴシック・ドゥームの傑作。
ドラマティック度・・8 ドゥーム度・・8 重厚度・・8 総合・・8
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Funeral 「Praesentialis in Aeternum」
ノルウェーのフューネラル・ドゥームメタル、フューネラルの2021年作
1995年にデビュー、本作は9年ぶりとなる7作目。ギターの一人が交替している以外はメンバーは変わらず。
重すぎないギターリフにダミ声&ノーマルヴォーカルを乗せて、北欧らしい涼やかな空気に包まれたドゥームメタルで
ダークでありながらほどよい叙情性も含ませて、ゆったりとしたサウンドを聴かせる。母国語によるジェントルな歌声が、
ペイガンな味わいをかもしだし、メランコリックな寒々しさの中に、どことなくプログレッシブな雰囲気も覗かせる。
スローテンポ主体で10分前後の大曲も多く、Swallow The Sunなど、重厚なゴシックドゥームが好きな方はどうぞ。
ドラマティック度・7 メランコリック度・8 叙情度・7 総合・8 
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G

GAIA「NOSTALGIA」
韓国のクラシカル・ゴシックメタルバンド、ガイアの2004年作
女性3人、男性3人の6人組みで、ゲストの女性ヴォーカルを含めて女性度がとても高い。
女性陣の担当は、ピアノ/キーボード、ヴァイオリン、ヘグム(韓国の民族楽器)で、
それらが非常に美しいメロディを奏でつつ、女性Voの歌声が乗るともうウットリ…。
歌唱は英語が基本だが2曲でハングルで歌っていて、ピアノとヘグムの音色がしっとりと響く。
プロダクションのせいもあるが音に重厚さがないのがかえってメタル度を薄くしている。
その分民族調の部分が目立っているので、メタラーよりもプログレリスナーに心地よい音かもしれない。
ダミ声の男Voはむしろいらないので、いっそのこと女性Voをメインにして欲しい!(笑)
ともかく、韓国からこのようなクラシカルなゴシックメタルバンドが出現した。今後も注目してゆきたい。
クラシカル度・・8 ゴシック度・・7 女性Vo度・・8 総合・・7.5
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THE GATHERING「Mandylion」
オランダのゴシックメタルバンド、ギャザリングの1996年作
初期は男性デス声のバンドだったのが、3作目となる本作で、当時若干21歳の女性シンガー、
アネク・ヴァン・ガースバーゲンをフロントに据えるという大胆なスタイル変更の決断をする。
これが後に彼らの大成功をもたらし、ひいては後のWITHIN TEMPTATIONなどの
女性声ゴシックメタルの隆盛を生み出すきっかけとなった。それだけエポックメイキングなアルバムだ。
サウンドの方は、けっこうヘヴィなギターフレーズにシンセが絡み重厚に聴かせつつ、
伸びやかなアネク嬢の歌声が涼やかに響きわたる。メタリックな力強さをもちながらも、
美しい女性声を自然に融合させている、こういう感触のバンドはそれまでになかった。
オランダから発信されたフィメールゴシックの最初の1枚。再発盤は未発曲などを収録した2D仕様。
メロディアス度・・8 メタル度・・8 女性Vo度・・9 総合・・8.5
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THE GATHERINGNighttime Birds
オランダのゴシックメタルバンド、ギャザリングの1997年作
女性Voをフロントにしての2作目で、前作「Mandylion」と甲乙付けがたい傑作。
メタリックなヘヴィさはやや押さえ目で、ヴォーカルを中心にした楽曲構成はとても聴きやすい。
豊かな声量と表現力を備えたアネク嬢の歌声には、大地の母性を感じるほどのスケールがある。
バンドはこの後、メタル色を弱めてゆき、独自の深化をたどってゆくが、最高作を上げるならこの作品か。
限定盤の2CDには、未発曲14曲をボーナス収録。こちらもファンは必聴である。
メロディアス度・・8 メタル度・・7 女性Vo度・・10 総合・・8.5
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THE GATHERING「HOW TO MESURE A PLANET?」
オランダのゴシックメタルバンド、ギャザリングの1998年作
アネク嬢加入後、3作目の本作は、1曲目からメタル色がぐっと薄まった、アンビエントな雰囲気に包まれている。
スナッピーをオフにしたドラムの音に、うっすらとしたシンセ、クリーントーンのギターをバックに、
しっとりとした歌声を乗せる、アネク・ヴァン・ガースバーゲンのやわらかな表現力は素晴らしい。
その後は、インダストリアルなモダンさを感じさせるアレンジや、しっかりとメタル感触も覗かせつつ、
シンフォニックでスペイシーな浮遊感を描くところは、のちのANATHEMAなどにも通じる聴き心地である。
2枚組の限定盤では、ラストにサイケで妖しいスキャット入りの28分の大曲も収録。合計100分を超える大作に。
ドラマティック度・・8 ゴシック度・・7 女性Vo度・・10 総合・・8
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THE GATHERING「if_then_else」
オランダの女性Voゴシックメタルバンド、ギャザリングの6th。2000年作
アネク嬢加入後4作目の本作は、前作からのメタル要素の減退を受け継いだしっとりとしたサウンド。
曲によってはまだメタルリフも出てくるので、随所にはゴシックメタルとしての存在感を示しつつ
よりアンニュイな表現力を身に付けたアネク嬢のたゆたうような歌唱がふわりと心地よく、
倦怠の美と低血圧的なゴシックロックとしては非常に気持ちの良い音である。
メロトロン的な音色のキーボードも浮遊感を描くような雰囲気をかもしだしている。
メロディアス度・・7 しっとり度・・8 女性Vo度・・8 総合・・7.5
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THE GATHERING「IN MOTION」
オランダの女性Voゴシックメタルバンド、ザ・ギャザリングのDVD。2002年作
1996年オランダでのライブ映像と、1997年ポーランドでのライブ映像にビデオクリップ2本を加えた内容。
1996年のライブはおそらくアルバム「MANDYLION」発表直後で、少女のようなアネク嬢が可愛らしく飛び跳ねているのが初々しい。
1997年の映像になると、ぐっと大人っぽく妖艶さを身につけたアネク嬢が堂々としたな歌唱を聴かせる。曲の方もややまどろみがかった陰鬱さを増し、
バンドとしての深化を感じさせる。ビデオクリップは3rd「MANDYLION」からの1曲と、5th「HOW TO MESURE A PLANET」から1曲
見比べてみると、女性というのは変わるものだ、と(笑)実感出来るかもしれない。こうしてみるとやはりアネク嬢が加わった
3rd「MANDYLION」」4th「NIGHTTIME.BIRDS」のころが、ゴシックメタル的な重厚さを有していた時期だったと思う。
5th以降はデジタルさとアンニュイ度を高めてゆく彼らの初期の映像が見れることは嬉しい限りである。
ライブ映像・・8 ライブ演奏・・8 アネク嬢・・8 総合・・7.5
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THE GATHERING「SOUVENIRS」
オランダの女性Vo(元ゴシック)ロックバンド、ギャザリングの7th。2003年作
デス声入りゴシックメタルとしてスタートし、1996年の3rd「MANDYLION」を契機に女性Voメタルという新境地を開拓、
その後5th「HOW TO MESURE A PLANET」からメタル色を後退させ、デジタリィな現代性と浮遊感をともなった
サウンドに深化を遂げ今に至る。本作も基本的には最近の作風の流れをくむもので、美しいキーボードを効果的に使った、
メタル色の薄いフィメールロック。アネク嬢の歌唱はより温かみと、母性的な深みを帯び、たゆたうような倦怠と静寂の美を描いている。
すでにゴシックメタルとは呼べないものの、女性声ロック好きにはアピールできる好作。
メロディアス度・・7 浮遊度・・8 女性Vo度・・8 総合・・8
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THE GATHERING「Sleepy Buildings-A Semi Acoustic Evening」
オランダのアンビエント・ゴシックメタルバンド、ギャザリングのライブアルバム。2003年作
タイトル通り、メタル色は皆無のアコースティックライブの録音で、キーボード、アコギをバックにアネク嬢が過去の曲を歌い上げている。
かつての1st「ALWAYS..」からの曲も披露していて、昔からのファンには嬉しいかぎり。しっとりとしたアネク嬢の歌声が満喫できる。
メロディアス度・・8 メタル度・・1 女性Vo度・・8 総合・・8
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The GatheringAccessories-Rarities & B-Sides」
オランダのゴシックメタルバンド、ギャザリングの企画アルバム。2005年作
女性ヴォーカルをフロントにして成功を収めたゴシックメタルバンドとして人気を得たこのバンドだが、
看板ヴォーカリスト、アネク・ヴァン・ガースバーゲンの脱退により、いったんその歴史に区切りをつけた。
本作は未発曲やライブ音源、デモなどを集めたCD2枚組の企画アルバム。
Disc1にはシングル曲からの音源がメインで、初期のライブ音源や未発曲などを収録。
転換期となった傑作アルバム「Mandylion」以降のバンドの変遷をたどるようにして楽しめる。
やはりアネク嬢の瑞々しい歌声にはうっとりだし、単なるゴシックにとどまらないキャッチーで
浮遊感に満ちたサウンドは見事だ。Disc2にはドイツのブログレバンドGrobschnittのエロック氏による、
「Nighttime Birds」のシンフォニックな別ミックスデモと(これがプログレ的で素晴らしいサウンド!)、
「How to Measure Planet?」
時のセッションデモを収録。どちらもファンなら垂涎の貴重音源だ。
貴重音源度・・9 アネク嬢・・9 ファン必聴度・・10 総合・・8.5
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THE GATHERING「A Sound Relief」
オランダ女性Voゴシックメタルの元祖ともいうべき、ギャザリングのライブDVD。2005年作
メンバーはなんだかインテリ風になった今やメタルとは無縁な感じの風貌のギターに、
ヴィンテージな音を鳴らすキーボード、ドラム、女性ベーシスト(そういえばベースも女性になっていたのね)
そして今やオランダを代表する歌姫となったアネク嬢、という編成で、曲はしっとり&倦怠系が中心。
そんな中、アネク嬢の歌唱は以前にもまして静かなる表現力を備えており、お腹の膨らみかけのその姿や、
表情などには今までにない母性と色気漂っている。ときおり挿入される、タツノオトシゴのCG画像にどんな意味があるのかはともかく、
行儀よく座席に着いて曲を鑑賞し、拍手を送る観客の姿を見ても、このバンドがすでにメタルバンドとは異なる位置にあることを示している。
DISC2のボーナス映像の方には、ツアードキュメントやビデオクリップが収録され、センスのよい映像編集がヨーロピアンな情緒をかもし出している。
ライブ映像・・7 ライブ演奏・・8 アネク嬢・・8 総合・・7.5
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The Gathering「a noise severe」
オランダのゴシックメタルバンド、ギャザリングのライブアルバム。2007年作
2007年チリでのライブステージを収録した2枚組で、オランダを代表する歌姫、
アネク・ヴァン・ガースバーゲン在籍のラスト音源。バンドの歴史を綴るように過去作からの曲も演奏、
アネク嬢も最後とは思えない素晴らしい歌声を披露している。Disc1のラスト3曲とDisc2の2〜5曲目は、
Mandylion」「Nighttime Birds」からのナンバーで、やはりこのあたりの曲にはぐっとくる。
ほのかな薄暗さと倦怠を漂わせた彼らのサウンドは、これからも人々の心に刻まれるだろう。
ゴシック度・・8 ライブ演奏・・8 アネク嬢・・9 総合・・8
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The Gathering 「Downfall」
オランダのゴシックメタル、ギャザリングの未発音源集。2008年作
ギャザリングと言えば、アネク・ヴァン・ガースバーゲン加入後のイメージが強いだろうが、
本作はまだ女性Voが加入前の、1991〜93年のデモやライブ音源などを収録したCD2枚組。
ツインギターにシンセを含んだ厚みのあるサウンドで、低音デスヴォイスを含んだ重厚な聴き心地に、
メランコリックな浮遊感が合わさった、当時としてはこの時点でもなかなか個性的なゴシックメタルである。
ドゥーミィなダークさとともに適度な疾走感もあるので案外聴きやすく、あるいはヴォーカルの入らない
インストによるシンフォニックな感触のデモなどもあり、当時のバンドの深化の側面を窺い知ることができる。
Disc2にはCeltic Frostのカヴァーや、ライブ音源を収録。ライブはさほど音質はよくないがバンド初期の貴重な音源である。
ドラマティック度・・7 ゴシックデス度・・8 貴重音源度・・8 総合・・7.5
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The Gathering「West Pole」
オランダのゴシックメタルバンド、ギャザリングの2009年作
本作はバンドの20周年記念アルバムであると同時に、看板であったヴォーカルの
アネク・ヴァン・ガースバーゲンが脱退してからの最初のアルバムとなる。
新ヴォーカルはOCTAVIA SPERATIで歌っていたSilje Wergeland嬢で、
そのやわらかみのある歌声は、前任のアネク以上にアンビエントな雰囲気をかもしだしている。
曲調はゴシック的な暗さよりも、メロディアスな叙情ロックという趣が強く、
シンプルな音作りとともに、これまで以上に耳触りのよいメジャー感がある。
メタリックな要素はほぼ皆無だが、しっとりとした女性声ロックとしてのんびりと楽しめる。
メロディアス度・・8 ゴシック度・・6 女性Vo度・・8 総合・・8
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The Gathering「Disclosure」
オランダのゴシックロックバンド、ギャザリングの2012年作
ヴォーカルにOCTAVIA SPERATIのSilje Wergeland嬢を迎えての2作目で、
サウンドは前作からの流れにあるアンビエントな雰囲気の女性声ロックという作風。
しっとりした女性ヴォーカルの歌声とアンニュイな浮遊感で、やわらかな叙情を聴かせる。
メタル色は薄いが、けだるさを含んだモダンな女性声アンビエントロックとして楽しめる。
ドラマティック度・・7 しっとり度・・8 女性Vo度・・8 総合・・8
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The Gathering 「Afterwords」
オランダのゴシックロックバンド、ギャザリングの2013年作
Silje Wergeland嬢を迎えての3作となる。たゆたうような女性ヴォーカルとともに聴かせる
しっとりとしたサウンドは、メタルというよりはむしろポストプログレに近い感触で、
うっすらとしたシンセの重なりやディレイのかかったギターなども、とても耳心地がよい。
ときにモダンでエレクトロな要素も感じさせつつ、あくまでやわらかな浮遊感に包まれた作風で
これというインパクトはないのだが、のんびりと聴き通せる。お洒落な女性声アンビエントロック。
メロウ度・・8 メタル度・・5 女性Vo度・・8 総合・・7.5



The Gathering 「TG25: Live at Doornroosje」
オランダのゴシックメタル、ギャザリングのライブ作品。2015年作
バンドの結成25周年のライブステージをCD2枚に収録。現ヴォーカルであるシリェ・ヴェルヘラント嬢と、
前Voのアネク・ヴァン・ガースバーゲンがダブルフロントを務めるという豪華なステージで、
さらにはバンドの初代ヴォーカルであるBart Smitsや、初期のギター、ベースなど、歴代のメンバーが参加。
“Strange Machine”、“Nighttime Birds”といったかつての名曲を含めたナンバーを披露してくれる。
1992年のデビュー作「Alwats...」からのナンバーでは当時参加していた女性シンガー、マリケ・グロットが登場、
低音デスヴォイスに絡む美しい歌声を披露してくれる。ゴシックメタル要素の強かった時代のナンバーが主体なので、
かつての世界観が蘇るような重厚な演奏を楽しむことができる。初期から知っているリスナーにもお薦めのライブです。
重厚度・・8 ゴシック度・・8 ライブ演奏・・8 総合・・8
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Golden Dawn 「Masquerade」
オーストリアのゴシック・ブラックメタル、ゴールデン・ドーンの2003年作
シンセによるきらびやかなアレンジと、ヘヴィなギター、マイルドな男性ヴォーカルの歌声で聴かせつつ、
ときにブラックメタル的なブラスト疾走も入るなど、楽曲はなかなかメリハリに富んでいる。
音質はやや薄っぺらいながらも、クラシカルで耽美な美意識を感じさせるところは悪くない。
もう少し方向性を絞って、アレンジ面とサウンドのB級臭さを払しょくできれば、いいバンドになりそうな気もする。
ラストは女性ヴォーカルがリードをとるゴシックな1曲。いっそこの路線にしてもよいのではないかと。
シンフォニック度・・7 ゴシック度・・7 楽曲・・7 総合・・7
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GODYVAIn Good and Evil
イタリアのゴシックメタルバンド、ゴディヴァの2007年作
美しいシンセと、モダンで若干デジタリィな質感を漂わせたゴシックメタル。
絶品の歌声を聴かせるGodyva嬢の歌声が、ときに妖艶に響きわたる。
楽曲自体にはもうひとひねりが欲しい気もするが、歌唱力を含めて実力は充分で、
モダンな雰囲気のゴシックが好きなら楽しめるだろう。LACUNA COILに続く期待のバンド。
シンフォニック度・・7 モダンゴシック度・・8 女性Vo度・・9 総合・・7.5
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GODYVA「Planetarium」
イタリアのゴシックメタルバンド、ゴディヴァの2008年作
実力派の女性ヴォーカル、ゴディヴァ嬢を擁し、前作もなかなか質の高い作品だったが、
本作も美しいシンセアレンジとEVANESCENCE、Lacuna Coilなどにも通じるモダンなゴシックサウンド。
確かな表現力と伸びやかな声量、そしてキュートな魅力を備えた彼女の歌声はやはり素晴らしく、
どんな楽曲でもきらびやかに聴かせてしまうのはさすがというものだろう。
個人的には男性デス声を含めて、ヘヴィロック的な要素はあまり好みではないのだが、
実力のある歌唱を聴きたいフィメールロック好きの方はぜひチェックすべし。
シンフォニック度・・8 モダンゴシック度・・8 女性Vo度・・9 総合・・7.5
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GODYVA 「Alien Heart」
イタリアのゴシックメタル、ゴディヴァの2013年作
本作は3作目で、デジタリィなシンセアレンジを取り入れたモダンなヘヴィさと
Lady Godyva嬢の伸びやかな歌声で聴かせる、キャッチーなゴシックメタルサウンド。
シンフォニックなアレンジとメロウなギターも含んだ全体的なクオリティの高さは
すでにB級の域を脱していて、LACUNA COILあたりにも引けはとらないだけろう。
Matia Bazarのカヴァーもなかなかハマッているし、しっとりとしたバラード曲も素晴らしい。
ヴォーカルの実力は充分あるので、今後はさらに楽曲を磨いていって欲しい。
シンフォニック度・・7 ゴシック度・・7 女性Vo度・・8 総合・・8



Good Things EndOut of Nowhere」
オランダのゴシックメタルバンド、グッド・シングス・エンドの2008年作
WITHIN TEMPTATIONなどを手がけたOscar Hollemanがプロデュース、
表現力豊かな女性ヴォーカルを中心にした、適度にヘヴィでメランコリックな叙情と、
そして、ときにWITHIN TEMPTATIONを思わせるシンフォニックなアレンジで聴かせる。
キャッチーでメロディアスな楽曲は、反面、このバンドならではの個性はまだ薄いのだが、
女性Voの素晴らしい歌唱の説得力で、堂々たるクオリティの作品に仕上がっている。
シンフォニック度・・8 ゴシック度・・8 女性Vo度・・9 総合・・8
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Green Carnation 「Journey to the End of the Night」
ノルウェーのプログレ・ゴシックメタル、グリーン・カーネーションの2000年作
叙情的なツインギターに美しい女性ヴォーカルを乗せ、物悲しく倦怠の浮遊感に包まれた作風で
リズムチェンジを含む知的な展開力とともに、耽美でプログレッシブなゴシックメタルを聴かせる。
のちの作品に比べると、いくぶんもっさりとした感じもあるが、ジェントルな男性Voを加えて、
OPETHなどにも通じるメリハリある構築力とともに、10分を超える大曲をじっくりと描いてゆく。
アルバム後半は、20分を超える組曲になっていて、重厚にしてドラマティックな味わい。全70分の力作である。
ドラマティック度・・7 耽美度・・8 構築度・・8 総合・・7.5 
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GREEN CARNATION「LIGHT OF DAY, DAY OF DARKNESS」
ノルウェーのゴシックメタルバンド、グリーン・カーネーションの2nd。2002年作
元々はIN THE WOODSの前身バンドだったが、EMPERORSATYRICON等を渡り歩いた
中心人物のTCHORTが戻ってきたことで再結成されたということらしい。本作はなんと全1曲60分。
IN THE WOODSのメンバーに加え、シンセやコーラス隊を加えた大がかりな構成である。
デス声はほとんど入らず、ゆるやかに展開してゆく楽曲の中をクリーンVoが朗々と歌を載せる。
さすがにギターのメロディなども煽情的で、インナーの写真同様、北欧の自然を感じさせる世界観だ。
長大な楽曲や、プログレ的な叙情美などは、ある部分OPETHなどにも通じるセンスがある。
メロディアス度・・8 北欧的叙情度・・8 壮大度・・9 総合・・8
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green carnationBlessing in Disguise
ノルウェーのプログレ・ゴシックメタルバンド、グリーン・カーネーションの3rd。2003年作
すごいバンドだ。前作では60分1曲という大作志向の力作を作り上げながら、
本作では一変してレトロなハードロック風味のサウンドにシフトしている。
ハモンドオルガンの音色とともに、古き良きブリティッシュロック的な質感と、北欧の薄暗い叙情美が
合体したような雰囲気が面白い。ゴシックメタルというより、むしろプログレリスナーにお勧めしたい。
メロディアス度・・8 メタル度・・7 レトロ度・・8 総合・・8
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Green CarnationThe Acoustic Verses」
ノルウェーのプログレ・ゴシックメタルバンド、グリーン・カーネーションの2005年作
素晴らしいセンスとプログレッシブな知的さをただよわせたこのバンドのサウンドは、
OPETHの次に聴くならこれだといいたいほどのセンスの良さであるのだが、残念ながら知名度はまだ低い。
本作はアコースティックアルバムで、このバンドのゆるやかな叙情性を抽出したような作品となっている。
アコースティックギターにうっすらとしたシンセが絡み、そこにマイルドな歌声が乗ると
北欧の薄暗い幻想美をただよわせた、まるで耳心地のよいプログレ作品のように味わえる。
メロディアス度・・8 メタル度・・2 叙情度・・8 総合・・8
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GREEN CARNATION 「LEAVES OF YESTERYEAR」
ノルウェーのプログレ・ゴシックメタル、グリーン・カーネイションの2020年作
2000年にデビュー、スタジオ作としては、2006年以来となる6作目。叙情的なギターにマイルドなヴォーカルを乗せ
ほどよくヘヴィで翳りを帯びたサウンドを聴かせる。リズムチェンジなどの知的な展開力はOPETHなどにも通じるが、
そこに、KATATONIAのようなメランコリックな叙情が加わったという雰囲気もあり、15分という大曲では、
ゆったりとした静寂パートから、叙情的なギターの旋律とともに、哀愁を帯びたゴシックメタルを描いてゆく。
続く10分の大曲も、ドゥーミィなギターリフにオルガンなどのシンセを重ねた、大人の味わいで楽しめる。
ドラマティック度・7 メランコリック度・8 知的ゴシック度・8 総合・8 
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Greywind 「Afterthoughts」
アイルランドのゴシック・ヘヴィロック、グレイウインドの2016年作
ヘヴィなギターにキュートで伸びやかな女性ヴォーカルを乗せた、ヘヴィロック風のサウンドに
メランコリックな叙情性を含んだ緩急あるアレンジで聴かせる。楽曲は3〜4分前後と比較的シンプルで、
女性声のオルタナ・エモロックという感じでも聴けるが、曲によってはゴシックメタル的な感触もある。
キャッチーな歌メロやトレモロのギターも含んだ涼やかな聴き心地で、魅力的な女性ヴォーカルを活かした
しっとりとした叙情パートもあり、単なるゴシック・ヘヴィロックという以上に楽しめる。シンセが入らないので、
シンフォニックな感触はさほどないが、女性声のゴシックロックが好きなら聴いて損のない好作品だ。
メロディック度・・7 メランコリック度・・7 女性Vo度・・8 総合・・8
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GRIMFAITH「grime」
ウクライナのゴシックメタルバンド、グリムファイスの2008年作
女性シンセ奏者含む5人組で、マイルドな男性声ヴォーカルで聴かせる
倦怠系のゴシックロック。美しいシンセをとメロウなギターフレーズとともに
HIMENTWINEあたりを思わせるなかなか質の高いサウンドだ。
ときおり入る女性コーラスや、わめき声ヴォーカルなどもアクセントになっていて、
アコースティカルなパートや、シンフォニックメタル風のパートなど
飽きさせない工夫が作品を通して感じられる。今後の可能性に期待できるバンドだ。
メロディアス度・・7 シンフォニック度・・8 ゴシック度・・8 総合・・7.5


H

HAGGARD「And Thou Shalt Trust... The Seer」
ドイツのクラシカル・ゴシックメタルバンド、ハガードの1st。1997年作
現在までに4作を発表し、ストリングス隊を含む16人にも及ぶメンバーからなる
そのサウンドは、クラシカルにしてオペラティックで、密かにファンを増やしている。
このデビュー作においても、そのクラシカル・ゴシックサウンドはすでに完成しており、
たおやかなフルートとピアノの音色に、ヴァイオリン、チェロなどが絡んで優雅に聴かせつつ、
デス声と美しい女性ソプラノの掛け合いによるオペラティックな雰囲気が個性的だ。
メタルとして聴くにはギターやドラムがやや凡庸で、重厚さの点でももの足りないのだが、
それを補うだけのクラシカルかつオペラティックな独自の作風が見事にハマっている。
クラシカル度・・8 ゴシック度・8 オペラティック度・・9 総合・・8
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HAGGARD「AWAKING THE CENTURIES」
ドイツのクラシカル・ゴシックメタルバンド、ハガードの2nd。2001年作
ノストラダムスをテーマにした作品で、バンドメンバーの他、ピアノ、チェロ、フルート、ヴァイオリン、女性コーラス、
その他による総勢20名ほどによる一大ゴシックシンフォニーというべき世界が繰り広げられる。
前作同様にクラシカルな優雅さと、シアトリカルでオペラティックな作風を前面に押し出し、
メタルとしてのヘヴィさよりも、ドラマ性に重点を置いた作りは、いくぶん聴き手を選ぶかもしれないが、
典雅なチェンバロの響きや、ヴァイオリンの音色に、荘厳な男女コーラスが歌を乗せる、
この演劇的な世界観に浸れる方にはたまらない作品だろう。
クラシカル度・・9 ゴシック度・・7 オペラティック度・・9 総合・・8
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HAGGARD「Awaking the Gods」
ドイツのクラシカル・ゴシックメタルバンド、ハガードのライブアルバム。2001年作
2001年メキシコでのライブを収録した作品で、同タイトルのDVDも出ている。
ストリングス隊を含め16名という大人数によるバンドのライブは、美しいソプラノヴォーカルに絡むデス声に、
壮麗なるコーラス隊、フルートにオーボエ、ハープなどのたおやかな音色もまじえつつ、
楽曲にはメタル的な無骨さとのメリハリがついていて、迫力も十分。むろん音質も良好だ。
アルバム以上にミステリアスで、重厚なクラシカル・ゴシックメタルが楽しめるライブ作品。
クラシカル度・・8 ゴシック度・8 重厚度・・9 総合・・8
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HAGGARD「AWAKING THE GODS LIVE IN MEXICO」
ドイツの管弦楽団入り16人編成のクラシカル・ゴシックメタルバンド、ハガードのライブDVD。
このライブ映像では彼らのサウンドのダイナミズムには圧倒されるものを感じる。
ヴァイオリン、チェロ、オーボエ、クラリネット、フルート等の管弦楽隊が典雅な音を響かせ、
そこにギター、キーボード、それにデス声、女性Vo、コーラス等が重なってゆくさまは圧巻。
クラシカルで中世音楽的な荘厳さを、デス声入りゴシックメタルに融合させた彼らのスタイルは、
ある部分THERIONにも通じるところがある(ただしサウンドの大がかりさではこちらが上)。
いかにもメタラーという風貌のバンド陣に比べ、バックの管弦メンバーの演奏時の顔つきは本物のクラシックミュージシャンのそれで、
対照的なのも面白い。いかにもゴシックらしく、ステージ上の譜面台を照らすのが蝋燭というのも徹底している。音質も良好。
ついでにヴィオラ奏者がすごい美人で、カメラさんも分かっているのか、楽隊の中では一番多く映る。ありがとう(笑)。
シンフォニー度・・9 大仰度・・9 ライブ演奏・・9 総合・・8.5
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HAGGARD「EPPUR SI MUOVE」
ドイツの管弦楽団入りゴシックメタルバンド、ハガードの3rd。2004年作
このバンドが凄いところは、ヴァイオリン、チェロといった管弦楽隊がゲストではなく
パーマネントなメンバーであるという所だ。メンバー総勢17名。1バンドの人数じゃない…(笑)
さて、このアルバムであるが、のっけからもうシンフォニック&クラシカルの嵐。
なにせ本物のストリングスがいるのだから、その音の説得力たるやハンパでない。
まるでオペラかなにかを聴いているような錯覚にすらおちいる。これまでのアルバムに比べ、
メタルパートとクラシカルパートの融合がスムーズになっており、ダークなゴシックメタルサウンドに、
古楽的なメロディがしっかりと溶け込んでいる。また、女性ヴォーカルの活躍も今まで以上で、
アルトにソプラノ、それに男性テノール歌手も今回ゲスト参加、そこにデス声とが混じり合い、
大仰かつダークで優雅、クラシカルでときに古典的、そしてメタリックという多様な要素が、しっかりゴシックとして統一されている!
ヴァイオリンだけでなく、ピアノやチェロなども実に美しく、曲ごとに優雅に弾き鳴らされる。
荘厳なるオペラティック・ゴシックといってもよいだろう。限定盤に付属のDVDには1998年のライブ映像を収録。
シンフォニック度・・10 荘厳度・・10 クラシカル度・・9 総合・・9 ◆メタル名盤特選入り
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HAGGARDTales of Ithiria
ドイツのゴシックメタルバンド、ハガードの2008年作
ストリングスカルテットを含む大人数の編成で前作は強力な傑作であったが、今作もストーリー的なコンセプトで
オペラティックなドラマ性たっぷりに 聴かせてくれる。シンフォニックなシンセにヴァイオリン、
さらにはフルート、オーボエ、クラリネットなどの管楽器も使用して、オペラティックな男女ヴォーカルとともに
優雅なまでにクラシカルなサウンドを描き出す。ソプラノ女性ヴォーカルの美しさと男性デスヴォイスの対比、
ピアノの旋律にヴァイオリンが絡み、このバンドにしかできないシアトリカルで優美なクラシカル・ゴシックが楽しめる。
シンフォニック度・・8 優雅度・・9 重厚度・・7 総合・・8
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HALLATAR「No Stars Upon the Bridge」
フィンランドのドゥームゴシックメタル、ハラターの2017年作
SWALLOW THE SUNのユハ・ライヴィオ、AMORPHISのトミ・ヨーツセン、元HIMのガス・リップスティックによるユニットで
2016年に39歳の若さで亡くなった、TEARS OF ETERNITYのAleah Starbridge嬢が生前に書いた詩を基にした作品。
スローなテンポに重厚なギターとダミ声ヴォーカルを乗せた、フューネラルなドゥームゴシックサウンドで、
トミ・ヨーツセンの悲痛な歌声は表現力たっぷりで、息苦しいまでの絶望感をゆったりとした楽曲の中に植え込んで、
やはりSWALLOW THE SUNMY DYING BRIDEにも通じる、悲しみに包まれた漆黒の世界を描き出しす。
一方では、うっすらとしたシンセアレンジや曲間の女性声の語りなど、ゴシックメタルとしての耽美な美しさも覗かせて、
DRACONIANのヘイケ嬢の歌声を加えたメランコリックなナンバーなども味わい深く、ラスト曲では故Aleah嬢の歌声に涙。
ドラマティック度・・8 暗黒度・・8 重厚度・・8 総合・・8
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HALOCLINE 「Troubled Waters」
スイスのゴシックポップ、ハロクラインの2019年作
女性SSW、Valerie Leimgruberによるプロジェクトで、エレクトロなアレンジに美しいシンセを重ね、
コケティッシュな女性ヴォーカルを乗せた、しっとりとしたキャッチーなゴシックポップサウンド。
全体的にメタル感はあまりないが、曲によってはギターとドラムを加えたゴシックロック風味もあり、
なによりヴァレリー嬢のキュートな歌声が魅力的なので、シンフォニックなシンセアレンジとともに
わりと心地よく聴けてしまう。ほどよく耽美な空気感と、彼女の美しいヴォーカルが楽しめる好作です。
ゴシック度・7 メタル度・1 女性Vo度・8 総合・7.5
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Hanging Doll「Reason and Madness」
イギリスのゴシックメタルバンド、ハンギング・ドールの2008年作
ゴシックメタル発祥の国でありながら、これまで意外と女性声のゴシック系バンドがいなかったイギリスから、
男女ヴォーカルで聴かせる本格派が登場。妖艶なサリー嬢の歌声と咆哮するデス声が、ピアノやストリングスの音色とともに
クラシカルかつ重厚に重なってゆくサウンドは、EPICAあたりにも近い雰囲気だ。
オーケストラルなシンセアレンジやオペラティックな世界観はとてもいい感じであるが、メロディや楽曲そのものにはまだ個性は希薄で、
バタバタとしたドラムなどを含めて、演奏面での改善もいくらか必要だろう。ヴォーカルの実力はあるので今後に期待したい。マイスペはこちら
シンフォニック度・・8 ゴシック度・・8 女性Vo度・・8 総合・・7.5
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Hanging Doll「Sacred & Profane」
イギリスのゴシックメタルバンド、ハンギング・ドールの2012年作
女性ヴォーカルの歌声とシンフォニックなアレンジ、モダンなヘヴィさで聴かせるサウンドは、
デスヴォイスの絡む適度にアグレッシブな感触もあって、EPICAタイプと言えるだろうか。
モダンでありながらも耽美な雰囲気も感じさせる聴き心地はなかなかよろしく、
ベートーベンの“月光”を取り入れるなど、しっとりとした曲の方がむしろ魅力的だ。
これだというインパクトには欠けるので、中庸の好作どまりという物足りなさもあるが。
シンフォニック度・・7 ゴシック度・・7 女性Vo度・・7 総合・・7.5
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Hanging Garden 「Skeleton Lake」
フィンランドのゴシック・ドゥームメタル、ハンギング・ガーデンの2021年作
2007年にデビューし、7作目となる。重厚なギターにシンセを重ね、美しい女性ヴォーカルにデスヴォイスが絡む、
北欧らしい涼やかなメランコリック性に包まれたゴシックメタルを聴かせる。SWALLOW THE SUNなどにも通じる
ダークな寒々しさと、女性声によるなよやかな優雅さが同居していて、ときにマイルドな男性声も加わって、
本格派の男女声ゴシックメタルとしても出来が良い。ほどよくキャッチーな雰囲気のナンバーもあったり、
叙情的なギターやしっとりとした女性ヴォーカルをメインにしたパートなど、暗黒過ぎない聴きやすさもあるので、
わりと多くのリスナーに楽しめる作風だろう。キャリアのあるバンドらしい音の説得力もさすがです。
ドラマティック度・8 重厚度・8 メランコリック度・9 総合・8
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HARJALF「Northern Wind」
ポーランドのゴシックメタルバンド、ハージャルフの2004年作
女性ヴォーカル、ギター、シンセという3人組みで、リズムは打ち込みのゴシックメタル。
壮麗なイントロに続き曲が始まると、メロウなギターフレーズとシンセの上に
ソプラノ女性ヴォーカルの美しい歌唱が重なって、なかなかいい感じ。
曲は4〜5分台で比較的コンパクト、曲調も遅すぎないのでとても耳馴染みがいい。
ポーランド的な翳りという点ではやや物足りないのだが、その分美麗なシンセと
オペラティックな女性声が前に出ている。打ち込みである点を除けばなかなかの好作。
メロディアス度・・8 ゴシック度・・7 女性Vo度・・8 総合・・7.5
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Heavenlust「Gate of endless dreams」
イタリアのゴシックメタルバンド、ヘヴンラストの2008年作
シンフォニックなシンセとヴァイオリン、女性ヴォーカルの歌声で聴かせるサウンドは、
ゴシックとしてはさほど暗さはなく、ところによってヘヴィロック風のモダンさもある。
女性Voはまだよいとして、それに絡む男性Voのヘナさがいかんともしがたく、
楽曲の細かなアレンジも含めて、全体的に垢抜けないマイナー臭さが漂っている。
クラシカルな雰囲気は悪くないので、今後は歌を含めて演奏面での成長に期待したい。
メロディアス度・・7 ゴシック度・・7 女性Vo度・・7 総合・・7.5
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Heavenside「Небо не оставит тебя」
ロシアのゴシックメタル、ヘブンサイドの2010年作
ジャケからは、てっきり女性声のゴシックメタルかと思いきや、どっこい、
男性ヴォーカルのロシア語によるマイルドな歌声で聴かせるバンドでした。
メロウなギターとうっすらとしたシンセアレンジで描かれる楽曲は、To/Die/ForENTWINE
SENTENCED
などにも通じる、むしろフィンランド的なメランコリックでメロディックな聴き心地。
随所に女性コーラスや男性デスヴォイスなども入ってきて、アレンジ的にも一本調子でないし、
泣きのギターフレーズも含めて、なかなか質の高い男性声のマイルド・ゴシックメタル作品です。
メロディック度・・8 メランコリック度・・8 ゴシック度・・7 総合・・8



Heavenwood「Diva」
ポルトガルのゴシックメタルバンド、ヘヴンウッドの1st1996年作
まずはこの美しいジャケに惹かれるが、内容もメロディ満載の好作なのである。
叙情的なフレーズを奏でるツインギターにキーボードが美しく絡み、
そこに男性デス声が歌を載せるスタイルで、全体的にとても聴きやすい。
PARADISE LOSTをやや元気よくした雰囲気といった感じもあり、
90年代の男声ゴシックメタルの中でも傑作といってもよい一枚だろう。
メロディアス度・・8 ゴシック度・・7 聴きやすさ度・・8 総合・・8
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HEAVENWOOD「SWALLOW」
ポルトガルのゴシックメタルバンド、ヘブンウッドの2nd。1998年作
1st「DIVA」が叙情的な哀愁メロディ満載の好盤だったので、2ndをずっと探してようやくゲット。
しかし、今回は前作にあった耽美指向をやや後退させ、普通にメタル度が高まったという印象だ。
ときおりギターのメロディに前作の名残をかいま見せるが、全体的にはMOONSPELLあたりに近い
ゴシック風味のメタルになっていて、これはこれで悪くはないものの、個人的にはやや残念。
どうでもいいようなところに何故かカイ・ハンセンがゲスト参加していたり、
リブ・クリスティン嬢のコーラスが美しい最終曲などはなかなかよろしいね。
メロディアス度・・7 ゴシック度・・6 MOONSPELL風・・8 総合・・7.5
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Heavenwood 「Redemption」
ポルトガルのゴシックメタル、ヘヴンウッドの2008年作
2作を残して消滅したと思われていたバンドが、なんと10年ぶりに復活した3作目。
サウンドの方はおおむね2ndの延長上で、デス声とノーマル声の掛け合いとともに
メランコリックな倦怠をまとわせた、ゴシック風のハードロックという趣だ。
重厚なギターワークも含めて、同郷のMoonspellに通じるような雰囲気もある。
ANNIHILATORのジェフ・ウォータース、FIREWINDのガス. Gなどがゲスト参加している。
ドラマティック度・・7 ゴシック度・・7 重厚度・・8 総合・・7.5



HEAVENWOOD 「Abyss Masterpiece」
ポルトガルのゴシックメタル、ヘヴンウッドの2011年作
1996年にデビュー、2作を残していったん消えたが、2008年に復活、本作は復活2作目となる。
壮麗なイントロから曲が始まると、重厚なギターとデスヴォイスを乗せ、シンフォニックなアレンジとともに
同郷のMOONSPELLあたりにも通じる、ゴシック・デスメタル的な雰囲気に包まれる。
途中、女性声が美しいオペラティックなパートやノーマル声によるパートなども含みつつ、
メランコリックな叙情と壮麗なアレンジで、ダークな雰囲気に包まれたスケール感を描き出す。
単なるゴシックメタルというよりは、THERIONのようなシンフォニックメタルの荘厳さを取り入れた
重厚な迫力が素晴らしい。ANATHEMAのダニエル・カルドーソがドラムで全面参加しているのも少々驚き。
ドラマティック度・・8 ゴシックデス度・・8 重厚度・・8 総合・・8
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HEAVENWOOD 「THE TAROT OF THE BOHEMIANS」
ポルトガルのゴシックメタル、ヘヴンウッドの2016年作
復活後3作目となる本作は、シンフォニックなアレンジとともに激しいドラムにヘヴィなギターを乗せた感触で、
一聴してゴシックというよりはむしろメロデス風なのだが、メランコリックな叙情も随所に覗かせ重厚なサウンドを描いてゆく。
アグレッシブなナンバーではデスヴォイスを乗せた迫力ある聴き心地で、ノーマルヴォイスも交えつつ
オーケストラルなアレンジとともに、シンフォニックなゴシック・デスメタルというべきダークな世界観が味わえる。
前作から引き続き、ANATHEMAのダニエル・カルドーソがドラムで全面参加、グルーブのあるリズムを作り出している。
過去の作品のイメージで聴くと激しすぎると思うだろうが、バンドとしてのポテンシャルを見せつける見事な力作である。
ドラマティック度・・8 ゴシックデス度・・8 重厚度・・8 総合・・8
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HIM「AND LOVE SAID NO...1997-2004」
フィンランドのゴシックロックバンド、ヒムのベストアルバム。2004年作
北欧ゴシックのカリスマとして、TO/DIE/FORNEGATIVEにも多大なる影響を与えているこのバンド。
これはバンドのデビューから2004年までのアルバムから選曲された全17曲(一部リミックス曲含む)に、
6曲入りのライブDVDが付いた、これからHIMを知ろうという方にはうってつけのアルバム。
バンドの核を担うVoヴィレさんのマイルドな歌声と男の色気あるヴィジュアルも重要な要素
なのでライブ映像が見られるのは嬉しいかぎり(2005年サマソニで来日)。
曲の方は、もの悲しい哀愁を漂わせながら、メロディアスに聴かせるゴシックロックで、
ときどき声を裏返させるヴィレさんの情感のこもった歌唱がいい感じです。
北欧らしいメランコリックさとロックとしてのノリの良さを合わせ持ったサウンドが耳に心地よい。
メロディアス度・・7 メランコリック度・・8 マイル度・・8 総合・・8
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HIM「DARK LIGHT」
フィンランド、ゴシックロックのカリスマ、ヒムの5th。2005年作
今作で本格的に日本デビューを飾ったこのバンド、楽曲はキャッチーでメランコリックな暗さは控えめなので、
ゴシックロックとしてはやや物足りないのだが、マイルドなヴィレ・バロの歌声を中心に、
メジャー感のあるメロディアスロックとしては広く受け入れられる内容だと思う。
メロディアス度・・8 ゴシック度・・7 フィンラン度・・7 総合・・7.5
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HIM「THE VIDEO COLLECTION 1997-2003」
フィンランドのゴシックロックバンド、ヒムのビデオクリップ集。
すでに地元ではゴスロックのカリスマとして君臨しているバンドだが、
音楽性はいかにもフィンランドらしい哀愁と倦怠の美がただようゴシックロックで、
「キャッチーだがどこかもの悲い」雰囲気をかもし出していて、どの曲も非常に聴きやすい。
ときどきメタリックになるギターやピアノ、キーボードなどがサウンドに厚みを加えていて、
けっこう低音ながらときおり声を裏返すヴィレ・ヴァロの歌声は、いかにもナルシスティック。
ENTWINETO DIE FORNEGATIVEといった同系バンドたちにもおそらく多大な影響を与えていたであろうことが、
あらためて知れる。PVもセンスのいいアートなイメージで、サウンドとの相乗効果で耽美な世界観を映画的に彩っている。
中性的な色気を放つVoヴィレの表情は、同性の私が見ても時折どきりとしてしまうほどで、
その哀愁ただよう歌声とともにそのお美しい容姿には、ゴシック好きの女性たちはもうメロメロでしょうな(笑)
ゴシック度・・9 ビデオクリップ・・9 楽曲・・8 総合・・8
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HIM「Love Metal Archives Vol.1」
フィンランドのゴシックロックバンド、ヒムのDVD。2006年作
甘いマスクとマイルドな歌声で、日本でもじわじわと女性ファンが増えている
美形ヴォーカリスト、ヴィレ・ヴァロ率いるゴシックロックのカリスマバンド。
フィンランドらしい倦怠の美をまとわせた楽曲はとても耳触りが良く、
こうして映像付きのビデオクリップで見れば、彼らの魅力がいっそう引き立つ。
男の色気をただよわせるヴィレ様の美麗なお姿とその鼻息まじりの歌声には
女性ならばうっとりすること間違いなし。ビデオクリップ15曲、ライブ映像25曲に、
インタビューなど、合計5時間以上を収録。ファンにはまさに必携の一本だ。
ビデオクリップ・・9 ライブ映像・・8 たっぷりヒムづくし度・・10 総合・・8
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HIM「VENUS DOOM」
フィンランド、ゴシックロックバンド、ヒムの6th。2007年作
前作「DARK LIGHT」で日本デビューを果たし、ここ日本でも人気が上がってきた
ゴシックのカリスマが放つ新作は、思いの外ヘヴィで暗めのサウンドになっている。
ヴィレ・ヴァロのマイルドな歌声で聴かせる叙情性は健在ながら、
沈み込むようなダークさとともに、アルバムを通してのコンセプト的な統一感がある。
これまでハードロック/メタルリスナーからはやや軟弱な存在に見られてきたこのバンドだが、
これを聴けば「おっ、ヒムもカッコいいじゃん」と見直すことになるかもしれない。
個人的にはこの重さと暗さは大歓迎である。ダークだかしっかりと美しい。
メロディアス度・・7 ゴシック度・・8 ヘヴィになりました度・・8 総合・・8
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The Howling Void 「Nightfall」
アメリカのドゥームゴシックメタル、ハウリング・ヴォイドの2013年作
ゆったりとしたテンポに重厚なツインギターを乗せ、うっすらとしたシンセとともに聴かせる、
物悲しいドゥームゴシックサウンド。SHAPE OF DESPIREあたりに通じる感触であるが、絶望的な暗さではなく
はかなげなメランコリック性に包まれた楽曲は、ヘヴィであっても息苦しいような圧殺感はない。
10分以上の大曲も多く、ヴォーカルが入らないこともあって、気が短い方には向かないのだが、
暗い幻想美を感じさせる耽美な雰囲気にはうっとりとなる。インストの一人ドゥーム・ゴシックの好作品。
ドラマティック度・・7 ドゥームゴシック度・・8 重厚度・・8 総合・・8
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Howling Void 「Runa」
アメリカのゴシック・ドゥームメタル、ハウリング・ヴォイドの2014年作
全パートを一人でこなす、R.氏による個人プロジェクトで、3曲入りのEPながら、10分の大曲を含む全24分の作品。
重厚なギターにうっすらとしたシンセを重ね、詠唱のような歌声を乗せて、ミステリアスな空気を描く、
幻想的なゴシック・ドゥームを聴かせる。基本はスローテンポのフューネラルな感触であるが、
ときにトレモロのギターやほどよく激しさもあるドラムとともに、インストパートがメインながらも、
案外飽きずに鑑賞できる。歌らしい歌は入らないので、ダークなゴシック風のBGMとしても楽しめます。
ドラマティック度・・7 ゴシック・ドゥーム度・・8 幻想度・・8 総合・・7.5 
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The Howling Void 「The Darkness at the Edge of Dawn」
アメリカのゴシック・ドゥームメタル、ハウリング・ヴォイドの2017年作
2009年にデビュー、本作は6作目で、うっすらとしたシンセにギターを重ね、マイルドなヴォーカルとともに、
ゆったりとしたメランコリックなゴシックドゥームを聴かせる。フューネラルなダークさに包まれつつも、
ヘヴィ過ぎないサウンドがわりと聴きやすく、トレモロのギターによる叙情性など、ポストブラック的な味わいもある。
ときにシンフォニックといってもよい美しさと、神秘的な幻想性に包まれながら、6〜9分という長めの楽曲を描いてゆく。
デス声などが入らないので、暗すぎるフューネラルドゥームが苦手な方にも楽しめるだろう。
ドラマティック度・・7 ゴシック度・・8 幻想度・・8 総合・・8
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HYDRIA 「Mirror of Tears」
ブラジルのゴシックメタル、ハイドリアの2008年作
2011年作で日本盤デビューするこのバンドの1作目。美しい女性ヴォーカルの歌声とシンセアレンジ、
適度にヘヴィなギターで聴かせる正統派のゴシックメタルで。とりたてて個性的なところはないが、
歌メロのキャッチーさは並のB級バンド以上の魅力があり、ラクエル嬢の初々しい美声もいいですな。
いくぶんモダンな雰囲気になる2ndに比べると、むしろヘヴィすぎない耳心地で楽しめて、
ときにEDENBRIDGEなどを思わせるクサメロや、ヨーロピアンな耽美性も感じさせる。
2nd以上に優美でメロディックな、シンフォニック・ゴシックメタルの好作品ですわ。
シンフォニック度・・8 ゴシック度・・8 女性Vo度・・8 総合・・8
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HYDRIA「Poison Paradise」
ブラジルの女性Voシンフォニック・ゴシックメタル、ハイドリアの2011年作
モダンなヘヴィさとNightwishWITHIN TEMPTATIONを思わせるシンフォニックな壮麗さ、
そこに美しい女性ヴォーカルを乗せたスタイルは、ブラジルというよりはヨーロピアンな雰囲気が漂う。
21歳というラクエル嬢の歌声は、たとえばウィズインのシャロンなどに比べれば、まだ表現力は足りないが、
その清艶な声の魅力は、今後の成長に期待できる。ありがちな男性デス声の使い方はいただけないし、
楽曲そのものにも強いインパクトはないのだが、ゴシック的な美しさとヘヴィネスの合わさった力作である。
シンフォニック度・・8 けっこうヘヴィ度・・8 女性Vo度・・8 総合・・8
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I

ILLIMITABLE DOLOR 「LEADEN LIGHT」
オーストラリアのゴシック・ドゥームメタル、イリミタブル・ドラーの2019年作
2017年にデビューし、2作目となる。のっけから15分近い大曲で、叙情的なギターにオルガンが鳴り響き、
低音デスヴォイスを乗せて、どっしりと耽美な空気感に包まれた、フューネラルなサウンドを描く。
ゆったりとしたギターの旋律がウェットな聴き心地になっていて、優美なシンセアレンジとともに、
ドゥームというよりは、ゴシック寄りの幻想的な世界観を描いている。中盤も10分を超える大曲が続き、
スローテンポのリフレインも多いので、気が短い方には向かないが、耽美な叙情性に浸れる逸品です。
ドラマティック度・・7 ゴシック耽美度・・8 フューネラル度・・8 総合・・8
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I MISS MY DEATH「IN MEMORIES」
ウクライナのゴシックメタル、アイ・ミス・マイ・デスの2014年作
クラシカルなピアノとシンセのイントロから、ソプラノ女性ヴォーカルに男性デス声が重なり、
重厚なギターリフとバロック的なシンセの旋律で、どっしりと耽美なゴシックメタルを描いてゆく。
東欧らしい翳りを帯びた空気感に包まれつつ、スローテンポだけではないほどよく激しいノリもあって、
7〜8分前後の長い曲を起伏に富んだ展開で構築する力量もある。エレーナ嬢の美しいソプラノは
楽曲のクラシカルなアレンジによく似合っていて、デス声との対比で可憐に引き立っている。
ボーナスのモーツァルト「レクイエム-涙の日」のカヴァーを含む、全75分という力作です。
クラシカル度・・8 ゴシック度・・8 女性Vo度・・8 総合・・8
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IMPERIA「THE ANCIENT DANCE OF QETESH」
TRAIL OF TEARSの初代Voヘレナ嬢率いるゴシックメタルバンド、インペリアの1st。
TOTの1stの魅力は、オペラティックな声質のヘレナ嬢の歌唱によるところが大きかった。
本作はジャケといいブックレット写真(おっぱい透けてます)といい、フェミニンな部分を全面的に押し出していて、
一般のリスナーはやや引いてしまうだろうが(^^;)サウンドの方はしごくまっとうなゴシックメタルをやっている。
声楽的な歌声を聴かせるヘレナ嬢の歌唱をメインに、ギター、キーボードがゆるやかに重厚さをかもしだす。
スローなだけでなく時に疾走もするのもTOT的か。これといった突き抜ける部分はないが、ゴシックメタルの好作です。
シンフォニック度・・8 ゴシック度・・8 女性Vo度・・8 総合・・7.5
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IMPERIAQueen of Light
ノルウェーのゴシックメタルバンド、インペリアの2007年作
TRAIL OF TEARSの初代ヴォーカル、ヘレナ嬢率いるバンドの2作目。
前作もそこそこ質の高い作品だったが、今作も美しいシンセと、絶品の女性ヴォーカルで聴かせる
シンフォニックなゴシックメタルだ。ギターの煽情的なメロディとクラシカルなシンセワーク、
ときにピアノが重なり、メロデス的な質感にシンフォメタル風の疾走もあり、楽曲の美しさも前作以上。
なにより色気を含んだヘレナ嬢のオペラティックな歌声はやはり素晴らしいのであった。
シンフォニック度・・8 ゴシック度・・8 女性Vo度・・9 総合・・8
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IMPERIASecret Passion

ノルウェーのゴシックメタルバンド、インペリアの2011年作
このバンドとしては3作目であるが、Voのヘレナ嬢TRAIL OF TEARSの初代Voでもあり、
その活動暦は優に10年以上。本作においても堂々たるその妖艶なる歌声で、
シンフォニックなゴシックメタルを聴かせてくれる。この手のバンドにしては楽曲は激しめで、
美麗なシンセとギターのメロディアスなフレーズを乗せて、ときに疾走したりもする。
サウンドの説得力も素晴らしい。同郷のSIRENIALeaves' Eyesにも引けをとらない力作だ。
シンフォニック度・・8 耽美度・・8 女性Vo度・・8 総合・・8
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Imperia 「Tears of Silence」
ノルウェーのゴシックメタル、インペリアの2015年作
元TRAIL OF TEARSのヘレナ嬢をフロントに2004年にデビュー、本作で4作目となる。
美麗なアレンジと重厚なヘヴィネスに、艶やかな女性ヴォーカルを乗せたサウンドは曲によっては
Nightwishのような雰囲気があって、ゴシックというよりはモダンなシンフォニックメタルに近づいた。
ヘレナ姐さんの歌声は、キュートな可憐さとは無縁の「おねえさま風」なので、正直萌え度は低いが、
その分、熟女好きゴシックメタラーには受けるかもしれない。そんなものいるのか知らないが。
メロディのフックの点でも前作には及ばず、どっちつかずの中庸な作品との印象を受けた。
シンフォニック度・・7 ゴシック度・・7 女性Vo度・・7 総合・・7.5
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IMPERIA 「FLAMES OF ETERNITY」
ノルウェーのシンフォニック・ゴシックメタル、インペリアの2019年作
2004年にデビュー、ANGEL名義でも活躍する女性シンガー、ヘレナ嬢擁するバンドの5作目。
シンフォニックで壮麗なアレンジにヘヴィなギター、伸びやかな女性ヴォーカルの歌声で、
どっしりとして優美なゴシックメタルを聴かせる。今作は、キャッチーなフックのナンバーも多く、
ゴシック的な耽美さよりも、シンフォニックメタルとして普通に聴きやすいスタイルになっていて、
ヘレナさんの歌声も艶めいた魅力は控えめなのだが、ゆったりとした叙情曲などは耳心地が良く、
アルバム中盤の疾走感のあるナンバーも美麗な味わい。脱ゴシックしつつも高品質な作品に仕上げてきた。
シンフォニック度・・8 ゴシック度・・7 女性Vo度・・8 総合・・8 
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Imperia 「The Last Horizon」
ノルウェーのゴシックメタル、インペリアの2021年作
Trail Of Tearsのヘレナ嬢をフロントに、2004年にデビュー、本作は6作目となる。
重すぎないギターに壮麗なシンセアレンジを重ね、艶めいた女性ヴォーカルで聴かせる
優雅なシンフォニックメタル・サウンド。ゴシック的な翳りよりは、わりとキャッチーな作風であるが、
ANGELとしても活躍するヘレナさんの歌声は、ときにオペラティックなソプラノを使い分けつつ、
エキセントリックな妖しさもかもしだす、さすがの存在感。随所にメロディックなギターの旋律も聴かせつつ
曲によっては土着的な雰囲気も覗かせて、NightwishLeaves' Eyesなどに接近したような感じもある。
CD2枚組の作品で、Disc1に35分、Disc2に36分と、これなら1枚にまとめても良かった気もするが、
Disc2は、比較的メタル色の薄めのキャッチーなナンバーが多く、それぞれの方向性を分けたかったのだろう。
ドラマティック度・8 ゴシック度・7 女性Vo度・8 総合・8 
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Infinitus Mortus 「The Conspiracy of Love」
アメリカのゴシックメタル、インフィニタス・モータスの2012年作
クラシカルなピアノやシンセアレンジと、女性ヴォーカルの歌声に適度に疾走感も含んだ、
シンフォニックなゴシックメタルサウンド。耽美で優雅な雰囲気にキュートな女性声は
なかなか魅力的であるのだが、楽曲やメロディにもうひとつ魅力が足りないのが惜しい。
よくも悪くもB級感が抜けきれない楽曲アレンジも含めて、今後の成長に期待。
シンフォニック度・・7 ゴシック度・・7 女性Vo度・・7 総合・・7





IN HEAVEN「DARCHANGEL」
ギリシャのゴシックメタルバンド、イン・ヘヴンの2005年作
雰囲気としてはフィンランド系の倦怠感のあるゴシックロックサウンドに近く、そこに乗る女性Voの歌唱も
どこか淡々とした印象。重すぎずダークすぎず、かといって壮大でもそれほどシンフォニックでもない、
悪く言えば中庸感ただようゴシックメタルサウンド。そう悪くもないが個性もない。
メロディアス度・・7 ゴシック度・・7 楽曲・・6 総合・・6.5


INJA 「Erased」
スウェーデンのゴシックメタル、インヤの2007年作
美しい女性ヴォーカルの歌声とともに、しっとりとした叙情を聴かせるサウンド。
メタル的なヘヴィさよりも、最近のThe Gatheringのようなもの悲しくも繊細な作風で、
ゆるやかな倦怠感を含んだ雰囲気を描いてゆく。紅一点、Erica嬢の透き通った歌声は
はかなげな魅力があり、アンニュイでメランコリックな作風によくマッチしている。
楽曲は3、4分台と比較的シンプルで、メタルというよりも、ゴシックロック的な好作品だ。
メランコリック度・・8 アンニュイ度・・8 女性Vo度・・8 総合・・7.5




In Silentio Noctis 「Through Fragments of Christianity」
フィンランドのゴシックメタル、イン・サイレンティオ・ノクティスの2010年作
壮麗なイントロから、曲が始まるとブラックメタル的な激しさで疾走、
そこに美しいソプラノ女性ヴォーカルが歌を乗せるというサウンドは、なかなか新しい。
浮遊感を含んだ暴虐さというものを感じさせる作風で、女性声とともにシンセによるアレンジが
耽美な世界観をかもしだしていて、やはりこれは激しいゴシックメタルとして聴くものなのだろう。
シンフォニック・ゴシックブラックという、新たな方向性の誕生か。けっこう気に入りました。
シンフォニック度・・8 ゴシックブラック度・・8 女性Vo度・・8 総合・・8



In Silentio Noctis 「Disenchant the Hypocrites」
フィンランドのシンフォニック・ゴシックメタル、イン・サイレンティオ・ノクティスの2013年作
3パートに分かれた16分のミニアルバム。美麗なシンセアレンジと、ブラックメタル的な激しい疾走感に、
美しいソプラノ女性ヴォーカルの歌声で聴かせる、シンフォニックなゴシック・ブラックというサウンド。
ストリングスを含んだクラシカルな質感は、EPICAなどにも通じる壮麗雰囲気であるが、
よりアグレッシブで起伏に富んだ激しさを感じさせる。これは次のフルアルバムが楽しみだ。
シンフォニック度・・8 疾走度・・8 女性Vo度・・7 総合・・7.5
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In The Woods「Heart of the Ages」
ノルウェーのゴシック・デスメタルバンド、イン・ザ・ウッズの1st。1995年作
美しいシンセにメロウなギターフレーズが絡み、幻想的な雰囲気の中
朗々としたヴォーカルが歌を乗せる。曲はプログレッシブな展開とともに、
ときに激しく緩急がつけられ、ブラックメタル的なわめきヴォーカルも現れて、
なかなか飽きさせない。はかなげな女性スキャットや、しっとりとピアノの音色で
聴かせる曲もあり、その知的な構築力とノルウェーの森を思わせるような
薄暗い幻想性を有したサウンドは、年代を考えても傑作と呼ぶに足るだろう。
メロディアス度・・8 プログレゴシック・デス度・・8 幻想度・・9 総合・・8
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In the Woods 「A Return to the Isle of Men」
ノルウェーのゴシックメタル、イン・ザ・ウッズの1996年
デビュー前の1993年、カセットでリリースされたデモ音源のCD化で、シンセによる美しいイントロから
ノイジーなギターに絶叫ヴォーカルを乗せて、BURZUMを思わせるプリミティブなブラックメタルを展開。
スローパートからほどよい疾走感へと、緩急ある展開には、プログレッシブな味わいもあり、
10分を超える大曲もあって、この時点でもすでにバンドとしての独自のセンスを感じさせる。
ヒステリックなヴォーカルは耳障りで、音質もラウドではあるが、ドゥームメタル的な重厚さと、
神秘的なブラックメタルを同居させた作風は、いうなれば原初の迫力を有している。
ドラマティック度・7 わりと激しさ度・8 ミステリアス度・8 総合・7.5 
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In The Woods 「Strange in Stereo」
ノルウェーのプログレッシブ・ゴシックメタル、イン・ザ・ウッズの1999年作
ゴシック・ブラック的だったデビュー作から、2作目ではプログレッシブなゴシックメタルへ進化、
3作目の本作では、モダンな感触を増した、ゴシックロック風味のサウンドで始まりつつ、
一方では、ヴァイオリンの音色に美しい女性ヴォーカルを乗せた耽美なナンバーもあって、
知的でプログレッシブなセンスという点では、The 3rd and The Mortalにも通じるだろう。
男性声&女性声、リズムチェンジを含む展開力は、1st、2ndからの流れを残しつつ、より深化した作風が楽しめる。
バンドは2003年のライブ作を最後に休止、主要メンバーはGREEN CARNATIONへと移行することになる。
ドラマティック度・・7 ゴシック度・・8 アレンジセンス・・8 総合・・8
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IN THE WOODSThree Times Seven on a Pilgrimage
ノルウェーのゴシックメタルバンド、イン・ザ・ウッズの2000年作
1996、98、00年にリリースされたミニアルバムをまとめ、新録曲をプラスした企画アルバム。
1stの頃はプログレッシブなゴシックデスというようなサウンドだったのだが、
徐々にアンビエントな作風へと深化し、本作で聴けるのはメタル色の薄まった
アトモスフィリックで幻想的なサウンドである。ゆったりとした曲調に叙情的なツインギター、
男女ヴォーカルの歌声も含めてサイケロック風の浮遊感もあり、神秘的な世界観を描き出している。
KING CRIMSON、PINK FLOYD、JEFFERSON AIRPLANE、SYD BARRETTのカヴァーを収録、
女性ヴォーカルで歌われる“Epitaph”は、スペイシーな感じで、サイケな気持ち悪さがなかなか素敵。
メタル度・・6 むしろプログレ度・・8 神秘的度・・9 総合・・8
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In The Woods 「Live at the Caledonien Hall」
ノルウェーのプログレッシブ・ゴシックメタル、イン・ザ・ウッズのライブ作品。2003年作
1995年にデビュー、1999年までに3作を残したバンドの、2000年ノルウェーでのライブを収録した2CD。
サウンドの方はサイケデリックな浮遊感を漂わせた、アトモスフェリックなゴシックという聴き心地で、
プログレッシブでもある知的な展開力も含めたサウンドは、むしろメタル化したPINK FLOYDという感触もある。
男性ヴォーカルをメインにときに女性ヴォーカルも加わって、1stアルバムからの激しめのナンバーなども披露。
ツインギターによるメロウなフレーズも含めて薄暗い叙情性と神秘的な妖しさも、ライブにおいてもしっかり伝わってくる。
2000年に出した企画アルバム「Three Times Seven on a Pilgrimage」が気に入ったかたなら楽しめるはず。
JEFFERSON AIRPLANE“White Rabbit”、KING CRIMSON“Epitaph”のカヴァーも演奏しています。
ライブ演奏・・8 薄暗度・・8 サイケ・ゴシック度・・8 総合・・8
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In the Woods... 「Pure」
ノルウェーのゴシックメタル、イン・ザ・ウッズの2016年作
GREEN CARNATIONを母体にして1995年にデビュー、1999年までにアルバム3作を残し、
その後は再びGREEN CARNATIONとして活動していたが、本作はIN THE WOODS名義での復活作。
重厚なギターにノーマルヴォイスとデスヴォイスを乗せた、メランコリックな浮遊感のあるサウンドで、
PARADISE LOSTあたりに通じる聴き心地の、わりと正統派寄りのゴシックメタルとなっている。
随処にシンセによるアレンジも含んで、かつてのようなプログレッシブな味わいと妖しい空気感に、
ときにブラックメタル風味の激しさも覗かせる。全体的にはゆったりとしたゴシックメタルスタイルながら、
ギターのフレーズやリズムチェンジなどの展開力にはOPETHのようなセンスを感じさせる。どっしりと楽しめる一枚だ。
ドラマティック度・・7 ゴシック度・・8 重厚度・・8 総合・・8
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In The Woods... 「Cease The Day」
ノルウェーのゴシックメタル、イン・ザ・ウッズの2018年作
GREEN CARNATIONを母体にして1995年にデビュー、2000年以降は主にGREEN CARNATION名義で活動していたが、
2016年に、In The Woods...として復活、本作は復活後の2作目となる。ほどよくヘヴィなギターとマイルドなヴォーカルで
メランコリックなサウンドを描きつつ、1stの頃にあったダミ声を乗せてのブラックメタル要素も含んだ緩急ある展開力で
6〜9分の長めの楽曲をじっくりと構築する。北欧らしい物悲しい叙情性と涼やかな土着感も覗かせながら、
オルガンが鳴り響いたり、ときに激しく疾走したりと、OPETHなどに通じるプログレッシブな感触も味わえる。
単なるゴシックメタルではない知的なセンスと寒々しい叙情を求める方には、うってつけの作品となるだろう。
ドラマティック度・8 北欧度・8 メランコリック度・8 総合・8 
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ISOLEBliss of Solitude
スウェーデンのドゥームメタルバンド、イソーレの2008年作
FORLORNが2004年に改名したバンドだそうだが、詳しくは知らない。
7〜11分と長めの曲は、ゆったりと重厚な響きで、いかにもドゥーミーな感じだが、
マイルドな声質のヴォーカルやギターの弾くメロウなフレーズとともに
サウンドにはゴシック的な耽美な質感もあって聴きやすい。
重すぎず暗すぎないので、ドゥームゴシック入門にもよいかもしれない。
メロディアス度・・7 ドゥーム度・・8 耽美度・・8 総合・・7.5
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Jamie-Lee Smit 「Mon Amour Monique」
ベルギーの女性シンガー、ジェミー・リー・スミットの2015年作
AZYLYAのシンガーでもある彼女のソロで、キュートなヴォーカルをメインにした、
メロディックなロック。ギターは適度にヘヴィなので、キャッチーであってもポップすぎることはなく、
翳りある叙情を含んだゴシックロック的な感触もある。アネク・ヴァン・ガースバーゲンあたりにも通じる
やわらかな浮遊感とアンニュイな空気感もよいですね。英語と母国語を混ぜた歌声も、
異国的で新鮮な響きをかもしだしている。フィメールロック好きはチェックですな。
メロディック度・・8 メタル度・・7 女性Vo度・・8 総合・・8
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K

Karmic Link「Esoterica」
ギリシャのモダンゴシックメタルバンド、カーミック・リンクの2010年作
ハスキーな女性ヴォーカルの歌声と、デジタリィなシンセアレンジで聴かせる、
モダンゴシックメタル風味の作風だが、ゴシックというには耽美な雰囲気は希薄で、
むしろ知的でモダンな構築センスにはプログレメタル風味の質感もあったりもする。
女性ヴォーカル、ミナ嬢の歌声にはときにアンニュイなやわらかさもあって、曲調によって
歌い分けるだけの表現力がある。サウンドの方向性がさらに絞れたらいいバンドになりそうだ。
メロディアス度・・7 ゴシック度・・7 女性Vo度・・8 総合・・7.5
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KATATONIA「Dance of December Souls」
スウェーデンのゴシックメタルバンド、カタトニアの1st。1993年作
今でこそメランコリックゴシックのベテランとして認知されているこのバンドだが、
本作が出た当時は異端なバンドという印象が強かった。デスメタル全盛の時代に
沈む込むようなドゥーミィな曲調に、北欧的なもの悲しい叙情美を乗せたサウンドは
とても個性的であり、PARADISE LOSTなどの英国のバンドともまた違う雰囲気を持っていた。
とくにこの1stにおいては、美しくも知的なアレンジとともにメロウなギターフレーズが絶品で、
その芸術的性と美旋律が、ゆるやかな楽曲でも聴き手を惹きつける魅力となっている。
デスメタル的なアグレッシブさもいくぶん残しているが、クサメロ入りの北欧鬱系ゴシックの名作です。
メロディアス度・・8 ドゥーミィ度・・8 暗い叙情度・・9 総合・・8
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KATATONIA「DISCOURAGED ONES」
スウェーデンのゴシックメタルバンド、カタトニアの3rd。1998年作
初期はダークで叙情的な典型的なメロディアスゴシックだったのだが、
このアルバムを聴くと、1stの頃とはイメージがまるで違う。もはやデス声はなくなり、
まるでパラダイス・ロストをぐっとソフトにしたような、浮遊感のあるサウンドだ。
魅力だったメロウなギターも劇的な展開もなく、また雰囲気ものとしてもやや中途半端か。
メロディアス度・・6 ゴシック度・・6 耽美度・・7 総合・・7

KATATONIALast Fair Deal Gone Down
スウェーデンのゴシックメタルバンド、カタトニアの5th。2001年作
一聴した感じでは、本作はずいぶん聴きやすく、まとまっているなあという印象。
いや、これはいい意味での洗練が進んでいて、マイルドなヴォーカルと泣きのメロディ、
そしてメタリックな質感も残しつつ、ダークで陰鬱な部分もたっぷりあるという。
一般的なリスナーにも聴ける鬱メタルという、なかなか絶妙のバランスのサウンドです。
ヘヴィなものを求める方には、このモダンなダークさには物足りない軟弱さがありますが、
たとえばフィンランド系のゴシックロックが好きであれば自然に受け入れられるかと。
メロディアス度・・8 ゴシックメタル度・・7 ゴシックロック度・・8 総合・・7.5
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KATATONIA「Viva Emptiness」
スウェーデンのゴシックメタルバンド、カタトニアの6th。2003年作
前作までのマイルドなゴシックロック路線に、ややメタリックなメリハリが加わった。
ノーマル声に絡むデス声も復活、適度に激しさのあるサウンドは
モダンなヘヴィさとメランコリックな叙情性との起伏に富みながらも、
決して暗すぎず重すぎないところがポイント。個人的にはそのあざとさが
やや鼻につくのだが、薄暗系メタル作品としてのクオリティは非常に高いと思う。
メロディアス度・・8 ゴシック度・・7 メランコリック度・・8 総合・・8
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KATATONIA「Brave Yester Days」
スウェーデンのゴシックメタルバンド、カタトニアの企画アルバム。2004年作
今やメランコリック・ゴシックメタルの大御所となったこのバンドの初期音源となる、
1992〜1997年までのミニアルバムの楽曲などをCD2枚組みで網羅したアルバム。
デビュー前のミニである「Jhva Elohim Meth」は、後の1stへとつながる作風で
その1st「Dance of December Souls」収録曲のプロトタイプも聴ける。
1998年の3rd以降はよりマイルドな倦怠系ゴシックへとシフトしてゆくのだが、
やはりこの頃の耽美な暗黒性が自分としては好みですな。初期カタトニファンにオススメ。
メロディアス度・・8 ドゥーミィ度・・8 耽美度・・9 総合・・8
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KATATONIA「The Great Cold Distance」
スウェーデンのゴシックメタルバンド、カタトニアの7th。2006年作
3rdあたりから、しだいにメランコリックロックというべきサウンドへと変化を遂げていたが、
前作からまたメタリックなヘヴィさを取り戻し、本作もけっこうヘヴィなギターリフに、うっすらとしたキーボード、
重すぎないリズムとで聴かせる、重厚でありつつも耳に優しいサウンドだ。ヴォーカルはマイルドな声質で、
全体的な質感としてはフィンランドのゴシックロック勢に通じるような質感もあってとても聴きやすい。
ベテランらしく曲におけるアレンジが繊細で、ちょっとしたギターのバッキングやドラムのパターンなどにも
かなり気をつかっているのが分かる。かつての1stのような悲しみ溢れるゴシックメタルサウンドとは別物だが、
ゆるやかな叙情と現代的なメランコリーを持った良質のゴスロックアルバムだ。
メロディアス度・・7 ゴシック度・・7 メランコリック度・・8 総合・・8
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KATATONIALive Consternation
スウェーデンのゴシックメタルバンド、カタトニアのライブアルバム。2007年作
2006年の夏、ドイツで行われたサマーブリーズ野外フェスでのステージでの録音を収録。
2006年の「The Great Cold Distance」と2003年の「Viva Emptiness」からの楽曲を中心に、
アルバム同様、メロウな叙情とメランコリックな倦怠に包まれたゴシックメタルを聴かせてくれる。
付属のDVDには同ステージの映像を収録。映像も良好で、彼らの貴重なライブ映像が楽しめる。
ライブ演奏・・8 メランコリック度・・8 ゴシック度・・7 総合・・7.5
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KATATONIA「Night Is The New Day」
スウェーデンのゴシックメタルバンド、カタトニアの8th。2009年作
8作目となる本作も、重厚なギターとシンセ、マイルドなヴォーカルを中心に
悲しみをたたえたサウンドを聴かせる、メランコリック・ゴシックは変わらず。
メタル的なヘヴィさは控えめにも感じられるが、ときにシンセによるプログレ的な叙情表現が
しっとりとした美とともにコントラストとなっていて、ゆったりとした楽曲にメリハリを生んでいる。
ANEKDOTENあたりのリスナーにも聴けそうな、北欧シンフォニック風味が耳に心地よい。
メロディアス度・・8 ゴシック度・・7 メランコリック度・・8 総合・・8
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KATATONIA「Dead End Kings」
スウェーデンのゴシックメタル、カタトニア2012年作
9作目となる本作は、前作のシンフォニックなプログレ的な作風の延長で、
マイルドなヴォーカルと繊細なシンセアレンジによる、しっとりとした聴き心地だ。
モダンな薄暗さにもの悲しい叙情を含ませた、ゴシックロック的なサウンドに、
エモーショナルなキャッチーさを溶け込ませたような耳触りのよさで、
メタルというよりはむしろ、プログレ的な質感が楽しめる好作である。
メロウ度・・8 ゴシック度・・7 メランコリック度・・8 総合・・8
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KATATONIA 「LAST FAIR DAY GONE NIGHT」
スウェーデンのゴシックメタル、カタトニアのライブ。2014年作
2001年作「Last Fair Deal Gone Down」の10周年を記念してのロンドンでのライブをCD+DVDに収録。
CDに収録のライブ前半は同作の完全再現で、美しいシンセアレンジにメロウなギターと
マイルドなヴォーカルで、倦怠の翳りに包まれた叙情的なゴシックメタルを聴かせる。
DVDにのみ収録のライブ後半は、2009年作「Night Is The New Day」からのナンバーをはじめ、
過去作やシングル曲なども演奏。ベテランらしい表現力で、メランコリックなステージを見せてくれる。
ライブ演奏・・8 ゴシック度・・8 倦怠の叙情度・・9 総合・・8 
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KATATONIASanctitude
スウェーデンのゴシックメタル、カタトニアのライブ作品。2015年作
2014年ロンドンのユニオンチャペルで行われたアコースティックライブを収録。
2009年作あたりからメタル要素を薄め、しっとりとしたプログレ的な感触を強めていたが、
このライブでは、そうしたバンドの繊細な叙情性が前面に出ていて、アコースティックギターの重なりに
うっすらとしたシンセ、メランコリックなヴォーカルの歌声で、物悲しく涼やかなサウンドを描いてゆく。
アコースティック主体でも音の薄さを感じさせないのは、チャペルホールの音響の良さもあるのだろうが、
各メンバーの演奏の表現力も見事。The Gatheringの女性シンガー、シリェ・ヴェルヘラントを加えての
美しいナンバーで締めくくる。ANATHEMAのファンなどにも楽しめる、メロウで繊細なライブです。
ライブ演奏・・8 メタル度・・1メランコリック度・・9 総合・・8
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katatonia 「Fall of Hearts」
スウェーデンのゴシックメタル、カタトニアの2016年作
1993年にデビュー、ドゥーミィでダークなゴシックメタル路線から、しだいに繊細な叙情の作風へと変化し、
10作目となる本作も、マイルドなヴォーカルを乗せた、メランコリックなスタイルであるが、
今作では適度にヘヴィなギターとうっすらとしたシンセアレンジを含んだ重厚な聴き心地で、
プログレッシブなゴシックメタルというサウンドが楽しめる。ここ数作の中では、わりとノリのあるナンバーや
しっかりとメタル感のあるサウンドになっていて、少し前のOPETHあたりに通じる雰囲気もあって、
北欧らしい寒々しい叙情と繊細かつ知的なプログレ性を含んだ、バランスのよい内容と言えるだろう。
ANATHEMAがほぼ脱メタルしてしまった今となっては、このバンドの存在はとても頼もしいかぎり。
ドラマティック度・・8 メランコリック度・・8 重厚・・8 総合・・8 
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Katatonia「City Burials」
スウェーデンのメランコリックメタル、カタトニアの2020年作
1993年にデビュー、本作は11作目となる。うっすとしたシンセにメロウなギター、マイルドなヴォーカルを乗せて
寒々しい空気感に包まれたメランコリックなゴシックロックを聴かせる。知的な感触のギターフレーズとともに
OPETHなどにも通じるプログレッシブな構築力も覗かせつつ、メタル感のないしっとりとしたナンバーなども含めて
全体的にゆったりとした聴き心地。ときにシンフォニックといってもよいシンセが重なり、エモーショナルな歌声が
やわらかくサウンドを包み込む。メタル的な要素は残しているが、プログレッシブ・ダークロックというべきサウンドで、
女性ヴォーカルが加わった叙情ナンバーなども優美な味わいがある。彼らの世界観がじっくりと味わえる好作品だ。
ドラマティック度・・8 プログレッシブ度・・7 メランコリック度・・8 総合・・8 
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Katatonia 「Dead Air」
スウェーデンのゴシックメタル、カタトニアのライブ。2020年作
1993年にデビュー、メランコリック系のゴシックメタルを代表するバンド。本作は2020年に行われた
スタジオライブを2CD+DVDに収録。ほどよくヘヴィなツインギターにシンセアレンジを加え、
マイルドなヴォーカルを乗せたメランコリックなサウンドを展開。手数の多いドラムとともに、
プログレッシブな知的さも感じさせる、その演奏力の高さはさすがにベテランらしい説得力で、
ウェットな叙情を描くギターフレーズの泣きの美学も含め、バンドとしての強固な世界観を感じさせる。
2020年作「City Burials」からの3曲も含む、20曲、全88分の演奏で、音質もクリアな見事なライブです。
ライブ演奏・・8 メランコリック度・・8 翳りと叙情度・・8 総合・・8
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Katatonia 「Sky Void Of Stars」
スウェーデンのメランコリックメタル、カタトニアの2023年作
1993年にデビュー、しだいにプログレッシブなメランコリックロックへと深化をとげ、本作は12作目となる。
OPETHをキャッチーにしたようなノリのよいナンバーで幕を開けつつ、うっすらとしたシンセや叙情的なギターが
北欧らしい物悲しい翳りを描いてゆく。随所に変拍子を含んだリズムや、シンフォニックなシンセアレンジなど、
これまで以上に優雅な感触で、マイルドなヴォーカルによる歌もの感触も含めて、耳心地の良いサウンドが光る。
楽曲としては、4〜5分前後が主体で、わりとシンプルながら、ほどよいノリのリズムと重すぎないバランスが良く、
メロウな味わいで初心者にも普通に楽しめそう。今後はよりプログレッシブな大曲なども期待したい。
ドラマティック度・7 叙情度・8 メランコリック度・8 総合・8 
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Kingfisher Sky「Hallway of Dreams」
オランダのメロディック(ゴシック)メタルバンド、キングフィッシャー・スカイの2008年作
WITHIN TEMPTATIONのDrらが結成したバンドで、美しい女性ヴォーカルの歌声をメインに、
適度にメタリックなギターと、美しいシンセワークで聴かせるシンフォニックメタルサウンド。
曲は3〜4分台が中心で、比較的コンパクトで聴きやすいが、反面、ドラマティックな高揚感ほどには至らず、
いくぶん物足りなさもある。ゴシックメタルというほどのダークな雰囲気はなく、後期のTHE GATHERINGなどと同様に
浮遊感のある女性Voメロディックロックとして楽しむ方がいいだろう。なお、日本盤はジャケ違い。
メロディアス度・・8 メタル度・・7 女性Vo度・・8 総合・・8
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Kingfisher SkySkin of the Earth
オランダのメロディック(ゴシック)メタルバンド、キングフィッシャー・スカイの2010年作
WITHIN TEMPTATIONのDrらが結成したバンドで、女性ヴォーカルの歌声を中心に
叙情的で適度なメタリックなサウンドを聴かせる。正直、楽曲的にはインパクトが強くなく、
ゴシックとしての耽美性も薄めなので、ぱっと聴きには地味に思えるかもしれないが、
女性声メインの重すぎない叙情派メタルとして、それなりに楽しめる好作である。
シンフォニック度・・7 ゴシック度・・7 女性Vo度・・8 総合・・8
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Kingfisher Sky 「Arms Of Morpheus」
オランダのシンフォニック(ゴシック)メタルバンド、キングフィッシャー・スカイの2014年作
元WITHIN TEMPTATIONのDrらが結成したバンドで、本作がすでに3作目となる。
女性ヴォーカルの歌声を中心に適度にハードなギターとシンフォニックなアレンジで聴かせるスタイルは、
前作までと変わらないが、メタリックな要素はいくぶん薄まり、シンフォニックハード的にも楽しめる。
ジュディス嬢のヴォーカルの表現力もぐっと上がっていて、随所に女性奏者の奏でるチェロも加わって、
3〜4分台中心の比較的シンプルな楽曲を壮麗な雰囲気に彩っている。これという派手な展開はないが、
前作までが好きな方なら安心して楽しめます。元PAIN OF SALVATIONのクリストファー・ギルデンロウがベースで参加。
シンフォニック度・・7 ゴシック度・・7 女性Vo度・・8 総合・・8
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Kingfisher Sky 「TECHNICOLOURED EYES」
オランダのシンフォニック(ゴシック)メタル、キングフィッシャー・スカイの2018年作
WITHIN TEMPTATIONのDrらが結成し、2008年にデビュー、本作が4作目となる。
適度にハードなギターとうっすらとしたシンセ、伸びやかな女性ヴォーカルの歌声を乗せた優美なサウンド。
ゴシックというには耽美な雰囲気はさほどなく、むしろキャッチーな爽快さがこのバンドの持ち味で、
ジュディス嬢の歌声は、元The Gatheringのアネクさんを思わせる雰囲気とともに確かな表現力もある。
今作ではオルガンが鳴り響く、オールドなハードロック風味や、クラシカルなピアノやチェロの音色も加えた
優雅なナンバーなども含めて、派手さはないものの、魅力的な女性Voとともにじっくりと楽しめる好作品だ。
シンフォニック度・・7 ゴシック度・・7 女性Vo度・・8 総合・・8 
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The Knell 「harm」
イスラエルのゴシック・ドゥームメタル、ネルの2007年作
ツインギターにシンセを含む5人編成で、重厚なギターに囁くような低音ヴォーカルを乗せた、
スローでフューネラルなドゥームメタル。オルガンなどを含むシンセがゴシック的な耽美さをかもしだし、
初期のMy Dying Brideにも通じる、物悲しくメランコリックな空気感が味わえるサウンドだ。
楽曲はほとんどが7〜8分前後と長めで、わりと淡々としているので、もう少し荘厳な迫力か、
メロディのフックがあればとは思うが、逆に言えば、これこそがゴシック・ドゥームたるものなのだろう。
ドラマティック度・・7 耽美度・・8 重厚度・・8 総合・・7.5


Kormak 「Faerenus
イタリアのフォーク・ゴシックメタル、コルマックの2018年作
物悲しいヴァイオリンと語りによるイントロから、グロウルと美しいソプラノを使い分ける女性ヴォーカルを乗せ、
ほどよく激しいヘヴィさを含んだ妖しいゴシックメタルを聴かせる。随所にアコースティックギターやフルートの音色などの
土着的な雰囲気も覗かせつつ、フォークメタルというよりも耽美な世界観のゴシックデスという感触が前に出ている。
22分という大曲では、アコースティカルな導入から、ときおりSEを含んだ無音パートが延々と続くという、
ホラー映画的な異色の空気感に呆然。一方ではヴァイキングメタル的な勇壮なナンバーもあったりして、
方向性の定まらなさが、マイナーなB級感になってしまっている。いっそフォークかゴシックかどちらかに絞っては。
ドラマティック度・・7 耽美度・・8 女性Vo度・・7 総合・・7
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L

LACHAISE 「Silent Cries for Help」
イタリアのゴシックメタル、ラチャイスの2008年作
女性Voにシンセを含む5人編成で、あまりヘヴィさのないゴシックロック的なサウンド。
ギターはメタルというよりはハードロック的で、そこにうっすらとしたシンセが合わさって、
いくぶんハスキーな女性ヴォーカルで聴かせる、その作風は嫌いではないのだが
楽曲やメロディにこれというインパクトがなく、ようするに地味な印象。
アマチュア臭いサウンドプロダクションも含めて、今後の成長に期待したい。
シンフォニック度・・7 ゴシック度・・7 女性Vo度・・7 総合・・7




LACRIMAS PROFUNDERE「...and the wings embraced us」
ドイツのゴシックメタルバンド、ラクリマス・プロファンデーレの1st。1995年作
初期の頃は女性ヴァイオリン、フルート入りの7人編成だったらしい。
ゆったりとしたドゥーミーな曲調に、デス声とダウナーな普通声、重たいギターリフ、
そこに美しいフルートなどが絡み、ヨーロピアンなもの悲しさがかもし出される。
MY DYING BRIDE+PARADISE LOST…この当時“ゴシック”といえばこういう音だったのだ。
最近の華麗できらきらとしたバンドとは一線を画す、古き良きゴシックメタルサウンド。
メロディアス度・・7 ゴシック度・・8 ドゥーミー度・・8 総合・・7

LACRIMAS PROFUNDERE「MEMORANDUM」
ドイツのゴシックメタルバンド、ラクリマス・プロファンデーレの3rd。1999年作
最近ではわりと聴きやすいゴシックロックと化しているようだが
初期の頃は吐き捨てデス声入りのクラシカル・ゴシックメタルだったのだ。
ロマンティックなピアノや、ハープなどを取り入れたクラシカルな曲調に
デス声とノーマル声、女性Voなどが絡まりあうという、とても濃いめの作風。
時々メロウなフレージングを聴かせるギターもいいですね。
このVoに我慢できれば、耽美なゴシックメタルとしてはなかなか良いアルバムです。
クラシカル度・・8 ゴシック度・・9 耽美度・・8 総合・・7.5
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LACRIMAS PROFUNDERE「BURNING A WISH」
ドイツのゴシックメタルバンド、ラクリマス・プロファンデーレの4th。2001年作
前作まではもっとバロック調のこけおどし感のある音だと思っていたが、
管弦楽も、女性Voもいなくなり、このアルバムでは低血圧系のゴスロックになっている。
語り口調のマイルドな男Voに、ピアノ、アコギなどを用いた静の描写はなかなか美しく
雰囲気は悪くないが、ドラマテイック系ゴシックが好きな私としてはやはり眠くなるな。
多少メタルしているデス声曲もあるが、それもどことなく低血圧に聞こえる。
メロディアス度・・7 ゴシック度・・7 静寂の美度・・8 総合・・7
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LACRIMAS PROFUNDERE「FALL,I WILL FOLLOW 」
ドイツのゴシックメタルバンド、ラクリマス・プロファンデーレの5th。2002年作
1stのころはバロック調の耽美派クラシカルゴシックをやっていたこのバンドだが、
徐々に作風が変化し、今作では非常に聴きやすいオーソドックスなゴシックメタルスタイルとなっている。
普通声の男Voがそこそこもの悲しい曲調の中に歌を載せる曲調は無駄がなく聴きやすい反面、
これといって耳に残るものがなく、正統派ゴシックメタル好き以外には少々退屈に感じるかもしれない。
メロディアス度・・7 ゴシック度・・7 楽曲・・7 総合・・7
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LACRIMAS PROFUNDEREFilthy Notes for Frozen Hearts
ドイツのゴシックメタルバンド、ラクリマス・プロファンデーレの7th。2005年作
すでにデビューから10年以上、4thあたりからゴシックロック的な作風へと進化し、
今作でもまるでフィンランドのバンドのような倦怠的なゴスロックとなっている。
HIMを思わせるような低音のノーマル声と、美しいシンセでじっくりと聴かせるスタイルは
派手さはないもののマイルドなサウンドがなかなか耳心地がよい。前作6thは未聴なのだが、
今作あたりでようやくバンドとしての方向性がしっかりと固まってきたという印象だ。
メロディアス度・・8 ゴシックロック度・・8 マイル度・・8 総合・・7.5
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LACRIMAS PROFUNDERE「Songs for the Last View」
ドイツのゴシックメタルバンド、ラクリマス・プロファンデーレの8th。2008年作
前作で固まったメランコリックなゴシックロック路線はそのままに、
ギターリフにはやや重厚さが増し、本作はなかなかドラマティックに聴かせる。
持ち味である哀愁のメロディとHIMを思わせるナルシスティックな倦怠感、
サビでは女性コーラスなども加わって、美しいシンセとともに美耽美なサウンドを作り出す。
ENTWINEなどが好きな方にも勧められる。フィンランドのゴシック勢にも負けないクオリティだ。
メロディアス度・・8 ゴシックロック度・・8 マイル度・・8 総合・・8
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Lacrimas Profundere「Antiadore」
ドイツのゴシックメタルバンド、ラクリマス・プロファンデーレの2013年作
すでにキャリア20年におよぶベテランで、本作はおそらく10作目となるアルバム。
マイルドなヴォーカルの歌声と薄暗い叙情で聴かせる、ゴシックロックのスタイルは本作も不変で
HIMやENTWINEなどフィンランドのバンドにも通じるメランコリックとキャッチーさのバランスのとれた、
聴き心地の良いサウンドだ。どっしりとしたヘヴィネスも感じさせつつ、翳りあるメロウな情感とともに
ベテランらしい説得力ある雰囲気作りはさすが。これという新鮮味はないが安心して楽しめる好作だ。
ドラマティック度・・8 ゴシック度・・8 メランコリック度・・8 総合・・8
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Lacrimas Profundere「HOPE IS HERE 」
ドイツのゴシックメタル、ラクリマス・プロファンデーレの2016年作
キャリア20年を超えるベテランで、本作はおそらく11作目となる。マイルドなヴォーカルを乗せた
倦怠のメランコリック・ゴシックロックという趣は前作から変わらず。適度にキャッチーなノリを含んで
ウェットな叙情を乗せて構築する耳心地の良さは、ベテランバンドならではの音の説得力である。
薄暗系のポストプログレなどにも通じる繊細なナンバーもあり、全体的にメタル的な重さが控えめな分、
より多くのリスナーにアピールできる内容だと思う。美しいシンセにメロウなギターフレーズを乗せて
ゴシックメタルとしての物悲しいドラマ性を描くナンバーもあって、今作は充実の出来というべき力作だ。
ドラマティック度・・8 ゴシック度・・7 薄暗度・・8 総合・・8 
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Lacrimosa「Angst」
スイスのゴシックメタルバンド、ラクリモーサの1st。1991年作
すでにデビューから18年を数える、耽美派ゴシックの先駆けともいうべきベテラン。
本質的にはティロ・ウルフ氏のソロプロジェクトであり、パートナーのアン嬢が加わる以前の
3作目まではなおさらその色が強い。サウンドの方も本作ではメタリックな要素はあまりなく、
ティロ氏のシアトリカルなヴォーカルとシンセが中心で、あとはほぼ打ち込み。
クラシカルで妖しげな独自の世界観はすでにあるが、音的にはまだまだチープな印象。
ゴシック度・・7 耽美度・・7 メタル度・・2 総合・・7
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Lacrimosa「Einsamkeit」
スイスのゴシックメタルバンド、ラクリモーサの2nd。1992年作
もの悲しくも美しい、クラシカルなピアノの旋律で幕を開ける本作は、ドラムは打ち込みながら、
ギターやヴァイオリンなどが参加し、いくぶんバンドらしい音になった。
ただメタルというよりはロックなギターの音が、美しいピアノやシンセにそぐわない気もしなくもないが、
まだサウンド的には試行錯誤の段階なのだろう。後のアルバムに比べると単長な感じも否めず、
世界観としての濃密さもまだまだといったところ。ドイツ語によるティロの歌声だけは存在感がある。
ゴシック度・・7 耽美度・・7 メタル度・・3 総合・・7
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Lacrimosa「Satura」
スイスのゴシックメタルバンド、ラクリモーサの3rd。1993年作
美しいヴァイオリンが鳴り響き、ギターとシンセと絡みながら、これまでよりも
音には重厚さが増していて、それとともにドラマティックな雰囲気を漂わせている。
ティロ・ウルフの歌声にしても、より感情の込められた力強さが身についてきており、
もの悲しいヴァイオリンの音色に対比するようなギターサウンドなどは、
次作以降のメタルへの接近を予感させる。反面、エレクトロゴシック的な曲もあるなど、
アルバムとしての統一感にはやや欠けるが、ヴォーカルの表現力はDEVIL DOLL的でもあり、
彼の追求するシアトリカルで耽美な世界観は確実に完成に近づいている。
ゴシック度・・7 耽美度・・8 メタル度・・5 総合・・7.5
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LACRIMOSA「Inferno」
スイスのゴシックメタルバンド、ラクリモーサの4th。1995年作
前作までのエレクトロ色を廃し、よりメタリックな重厚さを増したことで
ゴシックメタル的な耽美な世界観にいっそうの説得力が加わった。
シンフォニックな美しさとシアトリカルなTiloの歌声にも磨きがかかり、
10分以上の曲でもしっかり聴き手を惹きつける。バンドとしての最初の傑作。
ゴシック度・・8 耽美度・・8 重厚度・・8 総合・・8
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LACRIMOSA「Stille」
スイスのゴシックメタルバンド、ラクリモーサの5th。1997年作
彼らの描く耽美な世界観が、メタリックな重厚さとともに結実した傑作。
10分以上の曲を3曲も含むなど、いよいよそのサウンドは強固な形をなし、
シンフォニックな美麗さと美しいコーラスに包まれ、ティロ・ウルフの歌声が朗々と響きわたる。
ドラマティックな展開も際立ち、ゴシックメタルとしてならば本作を最高作としてもいい出来だ。
ゴシック度・・8 耽美度・・8 重厚度・・8 総合・・8
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LACRIMOSA「LIVE」
スイスのゴシックメタルバンド、ラクリモーサのライブアルバム。CD2枚組。1998年作
5th「STILLE」のあとに発表されたライブ作品で、演奏は想像以上にダイナミックで、
元RUNNING WILDのACのドラムの効果もあり、このバンドの持ち味である美しき耽美性とともに、
ロック的な躍動感も感じられる。側頭部を剃り上げたTILOのヴォーカルも、アルバム以上に力強い。
また片割れであるANNE嬢はコーラスはもとよりキーボードの腕前もなかなかだと感心する。
曲のみならず外見からもゴシックを実践している彼ら、その姿をいつか生で見てみたいものだ。
シンフォニック度・・8 ゴシック度・・8 演奏・・8 総合・・8
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LacrimosaElodia
スイスのゴシックメタルバンド、ラクリモーサの6th。1999年作
1991年にデビューし、その耽美な世界観からコアなゴシックファンの多いこのバンド、
前作5th「Stille」は、ゴシックメタルという点でのドラマティックな傑作であったが、続く本作では
ロンドンフィルオーケストラとの共演作ということで、よりクラシカルなアプローチがなされている。
美しいピアノで幕を開け、艶やかなストリングスの音色に乗ってティロの歌声が響きわたる。
クラシックパートとバンドサウンドが自然に一体となり、女性コーラスの崇高な響きとともに、
ゆったりとした優雅な味わいで聴かせる。他の作品に比べてメタリックな要素は薄いが、
クラシックとゴシックとの完璧な融合をなしえた異色の傑作である。
シンフォニック度・・8 クラシカル度・・9 メタル度・・5 総合・・8
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LACRIMOSA「The Live History」
スイスのゴシックメタルバンド、ラクリモーサのライブDVD。
1993年から2000年までのバンドの歴史を、当時のステージ映像で見られる。
VoのTILO WOLF氏とKeyのANNE嬢の二人ユニットであるから、ライブステージにおいても当然ながらその二人が中心。
TILO氏のパフォーマンスは、その側頭部剃り込み型長髪というヘアスタイルもそうだが、
ナルシスティックな動きや陶酔ぎみのハスキーな歌声などはビジュアル系ゴシックのそれで、
メタルというよりはむしろデビッド・ボウイなどに通じる中性的な部分を志しているかのように見える。
楽曲の方は、さすがに古いものに関しては、たんなるノイジーな叫びだけのものや、メタル色のない未整理なものもあり、
DVD全体としてのクオリティを求めるなら2000年のライブをフルステージで見せて欲しかったという気もするが…
ファンであれば、それなりに楽しめるとは思う。ともかく、ゴシックのゴシックたる根底の精神を見せつけてくれるバンドである。
ライブ映像・・7 ライブ演奏・・7 ゴシックですよ度・・9 総合・・7
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LACRIMOSA「FASSADE」
スイスのゴシックメタルバンド、ラクリモーサの7th。2001年作
音が鳴り出した瞬間、「荘厳」「耽美」「大仰」といった単語がぱっと現れ出る。
前作において大々的にオーケストラを導入し、この筋の音としてはついにひとつの頂点を極めたが、
続く今作でも荘厳なオーケストラをバックに、混声コーラス、大シンフォニックなキーボードが
このうざったいまでに耽美な世界を異常な説得力で演出している。
好みを分けるだろう女々しい野郎Voも、バックの壮大さとコーラスの前には単なる端役にしか聞こえない。
内ジャケのナルシスティックな写真を含めて、ここまで徹底的に「耽美」しているバンドは世界中にない。
孤高に屹立するようなナルシシズムは、もはや「恥かしさ」を通り超えて美しくさえある。
シンフォニック度・・9 メタル度・・5 耽美度・・10 総合・・8
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LACRIMOSA「ECHOS」
スイスのゴシックメタルバンド、ラクリモーサの8th。2003年作
十年以上も続く耽美ゴシックの第一人者。ティロ・ウルフとアンヌ嬢の二人組。
今作はメタル色を薄くした壮大かつクラシカルなシンフォニーとなっている。
ドラム、ベース、ギターすらもなく、ひたすら荘厳なオーケストラと大仰なコーラスとが
粛々と、ときにたゆたうように、ときに盛り上がりつつ彼らの耽美世界を形成している。
雰囲気としては前々作「ELODIA」の流れをくむもので、そこからさらにロック色をはずし、
とことんまでに壮麗な美意識にこだわった作品といってよいかとも思う。
もはや今では楽しみとなった、ブックレットの写真も相変わらずナルナルでよろしい。
まったくもってメタルではないが、ゴシックとしての雰囲気を楽しめる人には薦められる。
シンフォニック度・・9 荘厳度・・10 メタル度・・3 総合・・8.5
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LACRIMOSA「LICHTGESTALT」
スイスのゴシックメタルバンド、ラクリモーサの9th。2005年作
前作「ECHOES」では脱メタルをしたサウンドで、素晴らしい出来であったのだが、
本作ではメタリックな感触を取り戻しつつ、いくぶん聴きやすくなったという印象。
10数年を経てなお、その独自の歌唱に磨きをかけるTILO WOLFの歌声は
オペラティックで、クラシカルな美学に溢れるLACRIMOSAサウンドの代名詞といってよいし、
もはや永遠のパートナーANNE嬢のキーボードのシンフォニックかつ優雅な響きも健在。
相変わらずお耽美なジャケ内の写真もよろしい(ANNE嬢の表情がいつになくそそる…)。
シンフォニック度・・7 ゴシック度・・8 安定度・・8 総合・・8
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Lacrimosa「B Side in Hell」
スイスのゴシックメタル、ラクリモーサの2008年作
2001年〜2005年までの4枚のシングルをまとめた企画アルバム。
すでに方向性も確立され、作品としても脂の乗った時期の音源なので、
正規アルバム同様に耽美な世界観に包まれたゴシックメタルが楽しめる。
意表を突かれるディスコリミックスなども、案外新鮮なノリでけっこう楽しめたりする。
リミックスやバージョン違いなど、全15曲を収録。バンドのファンはチェックすべし。
ドラマティック度・・8 ゴシック度・・8 貴重音源度・・9 総合・・7.5
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Lacrimosa「Sehnsucht」
スイスのゴシックメタルバンド、ラクリモーサの10th。2009年作
1991年にデビューしてからこれが10作目、Tilo WolfとAnne Nurmiのコンビも15年になる
本作でもクラシカルで耽美な、彼ららしいゴシックメタルを追求したサウンドで、
ジャケ内のナルシスティックな男女二人の写真とともに、その世界観は不変。
ヨーロピアンな情緒の中に茫漠とした哀愁を感じさせるゴシックサウンドは
派手さよりも倦怠の憂鬱を、現実よりもロマンを夢見続ける強度に包まれ、
すでになにも恐れないし、なにも変わらないとばかりに、ただそこにある。
クラシカルなシンセワークと、道化師の語りのようなTiloの歌声、それだけで充分だ。
このバンドの世界、それを愛するもののみが耽溺すべき幻想作品である。
シンフォニック度・・8 ゴシック度・・9 耽美度・・9 総合・・8
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LacrimosaSchattenspiel
スイスのゴシックメタルバンド、ラクリモーサの2枚組未発曲集。2010年作
1990年にデビューしてから、ライブアルバムを含めて12枚の作品を発表、本作はバンド20周年を記念した、
未発音源集によるいわば裏ベスト。ティロ・ウルフの作り出す耽美な世界観はアルバムごとにその説得力と強度を増し、
初期のデジタルな打ち込み路線から、パートナーであるアン・ヌルミが加わってからの
4作目以降はゴシックメタルとしての重厚さとともに、作品としての完成度が上がってきている。
Disc1では、ティロの独り道化師的な初期のサウンドが、ある意味孤独な哀愁をかもしだしている。
Disc2は2002年以降の音源で、よりシンセやピアノが効果的なアレンジで取り入れられ、
もともとあったクラシカルな優雅さが、ティロの歌声と合わさって、独自の世界を描き出している。
やはり熱心なファン向けだろうが、この個性派バンドの20年の変遷をなぞれる作品だ。
クラシカル度・・7 耽美度・・8 ラクリモサの歴史度・・9 総合・・7.5
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LacrimosaRevolution
スイスのゴシックメタル、ラクリモーサの2012年作
デビューからはや20年、未発音源によるベストを挟んで3年ぶりとなる11作目は
ついに革命に立ち上がったピエロのジャケも印象的だが、その耽美なゴシック世界は不変。
美しいオーケストレーションを含んだアレンジと、TILO WOLFのかすれた味わいの歌声で、
シアトリカルかつ壮麗なサウンドを描いてゆく。相方であるAnne Nurmi嬢の歌声も随所に美しく、
メタルとしての重厚さとクラシカルなシンフォニック性が同居した、ダイナミックな力作に仕上がっている。
シンフォニック度・・8 ゴシック度・・9 耽美度・・9 総合・・8
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Lacrimosa 「Hoffnung」
スイスのゴシックメタル、ラクリモーサの2015年作
1990年にデビューしてから、翳りに包まれたロマンあふれるゴシックメタルを描き続けてきたこのバンド、
本作は12作目で、シンフォニックな美しさをまとったイントロで始まる15分の大曲で幕を開ける。
メロウなギターフレーズがメランコリックな泣きの叙情を描き出し、そこに乗るティロ・フルフの歌声には
年季をへたものだけがかもしだせる深みのある哀愁を感じさせる。楽曲によっては適度にモダンなノリも含みつつ、
長年の相方である、アン・ナルミによる美麗なシンセアレンジと、女性ヴォーカルとしての美しい歌声がサウンドを盛り上げる。
ラストもこれぞゴシックメタルという耽美な世界観で、シンフォニックな美意識と哀愁の翳りが合わさった力作に仕上がっている。
ドラマティック度・・8 ゴシック度・・8 壮麗&耽美度・・8 総合・・8
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Lacrimosa 「Testimonium」
スイスのゴシックメタル、ラクリモーサの2017年作
1990年にデビューしてから、一貫して翳りに包まれロマンティックなゴシックメタルを作り続けるこのバンド、
13作目となる本作は、4部構成に分かれたコンセプト的な作風で、渋みを増したティロ・ウルフの歌声に、
艶やかなストリングスと女性声が絡み、叙情的なギターとともに耽美な空気感が広がってゆく。
長年のパートナーである、アン・ナルミのシンセワークにオーケストラアレンジも加わった壮麗なスケール感に、
翳りを帯びた哀愁を、優雅なロマンで包み込んだという、このバンドの強固な世界観には一片の曇りもない。
今作は曲によってはわりとキャッチーだったり、泣きのギターフレーズも含めたシンフォニック寄りの聴き心地で、
メタル感触が薄まった分、プログレ寄りのリスナーにも楽しめるかと。ゆったりと耽溺するように鑑賞しましょう。
ドラマティック度・・8 ゴシック度・・9 優雅度・・8 総合・・8
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LACUNA COIL「UNLEASHED MEMORIES」
イタリアのゴシックメタルバンド、ラクーナ・コイルの2nd。2001年作
美声のクリスティーナ嬢の歌をメインにしたゆったりとたゆたうような楽曲が中心で、
THE GATHERINGなどに通じる部分があるのは確かだが、それだけではまだ個性とはいえない。
サウンドはけっこう美しいんだが。まったりとした曲のテンポがちょうど良く眠気を誘う・・zzz
メロディアス度・・7 女性Vo度・・8 楽曲・・7 総合・・7.5
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LACUNA COIL「COMALIES」
イタリアのゴシックメタルバンド、ラクーナ・コイルの3rd。2002年作
前作「UNLEASHED MEMORIES」は、わりとゆったり系の音だったが
今回はしっかりヘヴィにメタルをしている部分と、クリスティーナ嬢の美声とのバランスが良く、
ときにシンフォニックな盛り上げ方も見事で、サウンドとしてのクオリティもぐっと高まった。
時に男性デス声の存在が邪魔に思えながらも、それが良いアクセントになっていることも確か。
限定盤2CDは、別ミックスやアコースティック、ライブ音源など11曲入りのボーナスCD付き。
メロディアス度・・7 ゴシック度・・8 女性Vo度・・8 総合・・8
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Lacuna Coil「Karmacode」
イタリアのゴシックメタルバンド、ラクーナ・コイルの4th。2006年作
今や世界的に人気となったこのバンドだが、それは本作での成功が大きいだろう。
初期の頃よりもサウンドはずっとモダン化し、EVANESCENCE的なヘヴィロック感触を自身のスタイルに上手く取り入れることで
よりメジャー感のある明快な力強さが音に宿っている。男女ヴォーカルの掛け合いも本作ではより自然に融合していて、
ときにクリスティーナ嬢の美しい歌声でしっとりと聴かせたりもする。ギターリフなどにアラビックなメロディを持ち込んだことも
ミステリアスな雰囲気を増幅させていて、音にはこれまで以上にスケール感がある。初期の最高傑作だろう。
メロディアス度・・7 モダンゴシック度・・8 女性Vo度・・8 総合・・8
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LACUNA COIL「WITHIN ME」
イタリアのゴシックメタルバンド、ラクーナ・コイルのミニアルバム。2007年作
LOUD PARK 07で来日を果たしたこのバンドの来日記念盤となるミニアルバムで
現時点での最新作「Karmacode」からのシングルカット曲に、ライブ音源5曲などを加えたもの。
クリスティーナ嬢の美しい歌声とともに、適度にヘヴィでメロディアス、そして耽美なサウンドは
絶妙なモダンな質感とともに、若いリスナーにも人気があるがうなずける。
ライブ音源での安定した演奏力も、このバンドの人気に比例する成長ぶりを窺わせる。
メロディアス度・・7 モダンゴシック度・・8 女性Vo度・・8 総合・・7.5
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Lacuna Coil「Shallow Life」
イタリアのゴシック風メタルバンド、ラクーナ・コイルの2009年作
アメリカでのブレイクもあって、今や世界的なバンドにまで成長したこのバンド
男女ヴォーカルの歌声と、モダンなアレンジで聴かせる楽曲はEVANESCENCE同様の
ヘヴィロック風味で、曲のコンパクトさなどもいかにもアメリカを意識した作りである。
正直、この音のメジャー感はあざとすぎて、今一つのめり込めないのであるが、
お洒落なモダンロックとして割り切れれば、その質の高さには唸らされる。
クリスティーナ嬢の堂々とした歌唱にはメジャーバンドとしての風格も出てきた。
メロディアス度・・7 モダンロック度・・8 女性Vo度・・8 総合・・8
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LACUNA COIL「Dark Adrenaline
イタリアのゴシック・ヘヴィロック、ラクーナ・コイルの2012年作
初期のゴシック路線から、4th以降はモダンさを強めたメジャー感のあるサウンドでとなり
いまやアメリカなどでも人気のこのバンド。6作目となる本作も男女ヴォーカルの歌声と
ヘヴィロック風のモダンさに、メランコリックな雰囲気をまじえたクオリティの高さを聴かせる。
前に出すぎないうっすらとしたシンセアレンジや、中近東フレーズも覗かせるギターリフなどは、
相変わらずセンスがよく、全体的にヘヴィさとメロディのバランスのとれたサウンドを作り出している。
大きなインパクトや新鮮味は薄いものの、ファンならば安心して楽しめる好作品である。
メロディアス度・・7 モダンヘヴィ度・・8 女性Vo度・・8 総合・・8
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LACUNA COIL「Broken Crown Halo」
イタリアのゴシックメタル、ラクーナ・コイルの2014年作
1998年にデビューし、7作目。ヘヴィなギターに伸びやかな女性ヴォーカルと男性声を絡め、
モダンなヘヴィネスとキャッチーな叙情性が同居したサウンドを聴かせるところはこれまで通り。
楽曲にしろ演奏にしろ、これまで以上のインパクトがあるわけではないのだが、ほどよくダークで
アグレッシブなメタル感触と、マクリスティーナ嬢の美しい歌声がかもしだす優雅さのバランスは絶妙で、
さすが世界的な人気バンドとなった堂々たる聴き心地。男性声もグロウルからマイルドなノーマル声と使い分け、
曲によってはメランコリックなゴシックロック的にもなる。もはや新鮮味はないが、さすがの高品質作です。
ドラマティック度・・7 重厚度・・8 女性Vo度・・8 総合・・8 
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LACUNA COIL 「DELIRIUM」
イタリアのゴシックメタル、ラクーナ・コイルの2016年作
8作目の本作ではドラマーが交替し、セルフプロデュースで制作された作品となった。
のっけからアグレッシブな迫力が増していて、シンフォニックなシンセにヘヴィなギターを重ね、
男性グロウルと美しい女性ヴォーカルとともに、メタリックで重厚なサウンドを描いている。
パワフルなドラムによるリズム面でのダイナミックな感触と、シンセアレンジの美しさもあって、
前作よりもスケール感のある仕上がりになっている。楽曲自体は3〜4分前後でわりとシンプルながら、
モダンなヘヴィネスからの男女声によるキャッチーなゴシックロック感触へというフックはお家芸だろう。
ヘヴィなメタル感とシンフォニックな優美さの、どちらも際立たせたことで、よりパワーを感じる仕上がりだ。
ドラマティック度・・7 重厚度・・8 女性Vo度・・8 総合・・8
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LACUNA COIL 「BLACK ANIMA」
イタリアのゴシックメタル、ラクーナ・コイルの2019年作
1998年にデビュー、本作は9作目となる。エレクトロなシンセにピアノ、キュートな女性ヴォーカルのイントロ曲から
すでに本作の耽美な世界観に引き込まれる。ヘヴィなギターに迫力あるデスヴォイス、伸びやかな女性声を乗せ、
ゴシック的なダークな倦怠と優雅さを、モダンに解釈したというサウンドは、メタリックな説得力とともにまさに円熟の域。
クリスティーナ嬢の表現力ある歌声にも堂々たる輝きが感じられ、楽曲は3〜4分前後でわりとシンプルながらも、
どっしりとした重厚さに包まれていて非常に聴きごたえがある。デスメタルばりのアグレッシブなヘヴィネスから、
キャッチーに歌い上げる女性ヴォーカルへという、爽快なメリハリが効いている。男女声メタルの一つの到達点だろう。
ドラマティック度・・8 重厚度・・9 女性Vo度・・8 総合・・8 
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Lake of TearsHeadstones
スウェーデンのゴシックメタルバンド、レイク・オブ・ティアーズの2nd。1995年作
1stはPARADISE LOST風のB級ゴシックメタルだと思っていたが、
本作ではなんとなくCATHEDRALを思い出させるようなドゥームメタル色もあり、
アナログ的なサウンドで押しつつ、随所に北欧らしいもの悲しい旋律を聴かせる。
男性ヴォーカルのダーティな声は好みを分けるかもしれないが、
たれ込めた灰色の空を思わせるような世界観はなかなかメランコリックでよろしい。
メロディアス度・・7 ゴシック度・・7 メランコリック度・・8 総合・・7.5
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Lake of TearsForever Autumn
スウェーデンのゴシックメタルバンド、レイク・オブ・ティアーズの4th。1999年作
もの悲しいチェロの音色、ピアノ、キーボードによるメランコリックなメロディで聴かせるサウンドは
マイルドな男性ヴォーカルの歌声も含めて、中期のPARADISE LOSTに近い雰囲気だ。
ヘヴィさよりも叙情性が前に出ていて、ゴシックロック的な聴きやすさもあり、
ときおり聴かせる煽情的なギターの泣きのフレーズもいい感じだ。
アコースティカルで牧歌的な曲もあり、暗すぎないのでゆったりと楽しめる。
メロディアス度・・7 ゴシック度・・7 メランコリック度・・8 総合・・7.5
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LAKE OF TEARS「illwill」
スウェーデンのゴシックメタル、レイク・オブ・ティアーズの2011年作
90年代にデビューし、初期はPARADISE LOSTを思わせる耽美なゴシックメタルであったが、
本作ではかつての面影はほとんどなくなり、ザクザクとしたヘヴィなギターのメタルサウンドとなっている。
随所にメランコリックなメロディを覗かせる作風は、むしろSENTENCEDなどに近いかもしれないが、
疾走曲もあればサイケな浮遊感もあったりと、不思議な感触のダークメタルである。ゴシック的な質感も
いくらか残っている。古き良きメタルとしてのラウドさを北欧の薄暗さで包み込んだようなアルバムだ。
ドラマティック度・・7 メランコリック度・・7 北欧度・・7 総合・・7.5
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L'ALBA DI MORRIGAN「Essence Remains」
イタリアのゴシックメタル、ル・アルバ・ディ・モリガンの2012年作
うっすらとしたシンセアレンジに浮遊感のあるヴォーカルを乗せた、
最近のANATHEMAあたりにも通じるメランコリックなサウンド。
ポストゴシックとも呼ばれるらしいが、この薄暗い叙情性は、
Porcupine Tree以降のポストプログレ系などにも通じる雰囲気である。
適度なヘヴィさを残しながら、マイルドな叙情に包まれた好作品。
ドラマティック度・・8 メランコリック度・・8 叙情度・・8 総合・・8




LAMORI 「To Die Once Again」
フィンランドのゴシックメタル、ラモリィの2016年作
シンセを含む5人編成で、適度にヘヴィなギターにモダンなシンセアレンジ、
低音域のややしわがれたようなヴォーカルを乗せた、ゴシック・ハードロックというサウンド。
同局のHIMに通じる感触もあるが、メロディのフックやメランコリックな叙情性は薄く、
ヴォーカルの魅力という点でも先輩には及ばないし、ギターにしろシンセにしろ、
インパクトのあるリフやフレーズがないので、楽曲における聴きどころが感じられない。
ゴシックとしての耽美な空気ももの足りない。中庸のゴス風モダンロックという作品。
メロディック度・・7 ゴシック度・・7 楽曲・・7 総合・・7
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LANI 「Everdream」
アメリカのゴシックユニット、ラニの2004年作
女性ヴォーカルのソロユニットで、打ち込みを含んだゴシックサウンド。
しっとりとした歌声とピアノを含むシンセアレンジが耽美な優雅さを感じさせつつ、
メタリックなヘヴィさは薄めなので、聴き心地はむしろポップである。
楽曲は、どれも2、3分台と、シンプルな歌ものという雰囲気で、もう少し大仰な世界観が欲しい。
あるいはケイト・ブッシュ的なエキセントリックさもあるので、そこを伸ばしてみてもよいかと。
メタル度・・5 ゴシック度・・7 女性Vo度・・7 総合・・7




La-Ventura「A New Beginning」
オランダのゴシックメタルバンド、ラ・ベンチュラの2008年作
ヨーロッパにおけるゴシックメタル王国ともいうべきオランダから、
久しぶりに大型の新人バンドが登場。近年のWITHIN TEMPTATIONを思わせる
モダンがかったアレンジと女性ヴォーカルの歌声で聴かせる、堂々たるサウンドだ。
女性Vo、カーラ嬢の歌声は、やはりヴィズインのシャロンを思わせる雰囲気もあり、
今後さらに表現力を磨いてゆけばもっと伸びそうだ。楽曲的にはまだまだ物足りなさもあるが、
ウィズインタイプの正統派ゴシックメタル新人として、今後も注目してゆきたい。マイスペはこちら
シンフォニック度・・7 モダンゴシック度・・8 女性Vo度・・8 総合・・7.5
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LEAH 「Of Earth & Angels」
カナダ人女性シンガー、Leah McHenry率いるゴシックメタルバンドの2014年作
2013年に自主制作CDRで発表された作品のプレスCD化で、うっすらとしたシンセアレンジに
彼女の美しい歌声で聴かせる、耳心地のいいサウンド。メタル的な激しさよりはしっとりとした叙情性の
ヨーロピアンな翳りを含んだ作風で、WITHIN TEMPTATIONやLEAVES' EYESあたりに通じる雰囲気もある。
楽曲によってはケルティックな味わいもあってよいのだが、全体的には楽曲、歌唱ともに、
まだまだ突き抜けきれないローカルさが残っているので、今後の成長に期待したい。
シンフォニック度・・7 ゴシック度・・7 女性Vo度・・7 総合・・7.5
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LEAH 「Kings & Queens」
カナダ人女性シンガー、Leah McHenry率いるゴシックメタルバンドの2014年作
美しいリア嬢の歌声を中心にした、Leaves' Eyesあたりを思わせる作風で、
自主制作であった前作に比べ、サウンドには重厚な説得力が加わってきた。
おそらく彼女がリスペクトする、Within Temptationからの影響も随所に窺え
しっとりとしたパートでのヴォーカルの表現力も備わってきた。曲によっては適度な激しさもあったりと、
アルバムとしてのメリハリと、それぞれの楽曲にメロディのフックがしつかりとある。
幻想的な世界観に包まれた、女性声シンフォニックゴシックメタルの力作だ。
シンフォニック度・・7 ゴシック度・・8 女性Vo度・・8 総合・・8
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LEAH 「The Quest」
カナダ人女性シンガー、リア・マクヘンリー率いるシンフォニックメタル。2018年作
のっけから10分の大曲で、美しいシンセによるイントロから、メタリックなギターが加わり、
リア嬢の伸びやかなヴォーカルとともに、メディーヴァル&幻想的な世界観を描いてゆく。
今作は、フルートやサズなどの音色を含む、ケルティックな旋律を随所に覗かせていて、
トロイ・ドノクリー(Nightwish)がフルート&パイプでゲスト参加していることも記しておく。
オーケストラルなシンフォニックメタル性とファンタジックな空気をまとった壮麗な聴き心地で、
リア嬢の伸びやかな歌声も魅力的で、楽曲におけるキャッチーなメロディアス性も含めて、
WITHIN TEMPTATIONDELAINなどと比べてもひけをとらない。まさに美麗なる傑作である。
シンフォニック度・・8 壮麗度・・9 女性Vo度・・9 総合・・8.5 
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LEAH 「Ancient Winter」
カナダのシンフォニックメタル、リアの2019年作
女性シンガー、リア・マクヘンリーによるプロジェクトで、2012年にデビュー、本作は4作目となる。
うっすらとしたシンセアレンジに、フィドルやチェロなどの艶やかなストリングスを重ね、美しいヴォーカルを乗せた
タイトルのように冬をイメージしたようなサウンドを聴かせる。リア嬢の歌声は、優しくはかなげで、その表現力も素晴らしく、
トロイ・ドノクリー(Nightwish)によるイーリアンパイプやホイッスル、アナ・マーフィ(Cellar Darling)のハーディ・ガーディなど
ケルティックな旋律を含んだメロディと、バンドサウンドを融合させつつ、あくまでしっとりとした幻想性に包まれる。
全34分とやや短めで、メタルというよりもケルティックなシンフォニックロックとして楽しめるような優美な逸品です。
シンフォニック度・・8 優美度・・9 女性Vo度・・8 総合・・8 
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LEAVES' EYES「LOVELORN」
ドイツのゴシックメタル、リーヴズ・アイズの2004年作
THEATRE OF TRAGEDYのリブ・クリスティンが、ATROCIYのメンバーと組んだバンドで、
TOTにおいて「男Voいらーん」と思っていたであろう方々にとっては、まさに理想のアルバム。
全編彼女の美声が堪能でき、曲の方も、エレ・ゴシック化していたTOTよりもずっといい感じだし、
ゴシックメタルとしての要素を残しつつ、シンフォニックかつアンビエントな雰囲気で
女性Voゴシック好きには間違いなくお薦めである。曲によってはデス声も入りますが。
ビデオクリップでは、フェロモン出しまくりのLIV嬢の姿が見られます(笑)
シンフォニック度・・8 ゴシック度・・7 女性Vo度・・9 総合・・8
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LEAVES' EYES「ELEGY」
ゴシックメタルバンド、リーヴズ・アイズのミニアルバム2005年作
2ndに先駆けてのタイトルトラック2バージョンにアルバム未収録曲3曲にデモという5曲入りミニ。
相変わらずリブ嬢のエンジェリックな歌声にはうっとりで、彼女の美声を活かす重すぎない楽曲もよろしい。
WITHIN TEMPTATIONにも通じるしっとりとしたシンフォニック性と癒し系の質感も出てきた。
シンフォニック度・・8 ゴシック度・・7 女性Vo度・・9 総合・・8
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LEAVES' EYES「VINLAND SAGA」
ドイツののゴシックメタルバンド、リーヴズ・アイズの2nd。2005年作
今作はまずジャケの萌え度がアップ(笑)サウンド的にもWITHIN TEMPTATIONに対抗してか、
リブ・クリスティン嬢の歌声を前作以上に楽しめる「癒し系ゴシックメタル」サウンドとなっている。
クオリティ的にもウィズインの牙城に迫らんというレベルに来ているので、女声ゴシメタ好きはまず必聴。
ビデオクリップでは、ジャケの着物風ドレスを着た動くクリスティン嬢が見られる。艶めくフェロモンにうっとり(笑)
シンフォニック度・・8 しっとり度・・9 女性Vo度・・9 総合・・8.5 ◆メタル名盤特選入り
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LEAVES' EYES「LEGEND LAND」
ゴシックメタルバンド、リーブズ・アイズの6曲入りミニ。2006年作
2nd「VINLAND SAGA」は日本盤も出るなど、WITHIN TEMPTATIONに続くゴシックメタルバンドとして
人気を博しているこのバンド、本作の収録はすべて新曲ということなので、ファンなら買わねばならないだろう。
可愛らしくも色香のあるリブ嬢のヴォーカルを中心に、しっとりとしたメロディとシンフォニックなアレンジが巧みな楽曲は
華麗でしとやかな雰囲気と同時に、デス声とヘヴィなリフによるによる効果的な重厚さも説得力となっていて、
このバンドのアレンジ力の高さを示している。それにしても、リブ嬢はこの着物ドレスを相当お気に入りなのね。
シンフォニック度・・8 ゴシック度・・8 女性Vo度・・9 総合・・8
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Leaves' Eyes「We Came With the Northern Winds」
ドイツのゴシックメタルバンド、リーヴズ・アイズのライブ作品。2009年作
女性ヴォーカル、リブ・クリスティン嬢を擁し、欧州ではWITHIN TEMPTATION並の人気を誇るこのバンド、
本作は2007年にベルギーにて行われた“METAL FEMALE VOICES FEST”でのライブを収録したもの。
クオリティの高い2枚のアルバムから、まんべんなく選曲された楽曲は、ゴシックメタルとしての優雅さに加えて
ノルウェイジャンらしいほのかな土着性を感じさせるのも特徴だ。そして天上の美声というべきリブ嬢の歌声は
このバンドのたおやかな美しさを決定づけている。野獣のような男性ヴォーカルがときにやや邪魔にも思えるが、
2nd「VINLAND SAGA」からの曲は女性声メインなので一安心。映像ではヴァイキング船をあしらったセットをバックに、
アルバムのジャケの着物風ドレスに身を包んで歌うリブ嬢の姿がたっぷり見られる。その美しい歌声はもちろん、
女性らしいやわらかな動きや、かもしだすフェミニンな色気には「萌え〜」である。三回の衣装チェンジも嬉しい。
ときおり映像で挿入されるノルウェーの美しい風景もいい感じだ。その他、メイキングやビデオクリップ、
メンバーのロングインタビューなども収録。普段着のリブ嬢もかわゆい。ファンならマストバイのボックスセットである。
ライブ映像・・8 ライブ演奏・・8 リブ嬢・・10 総合・・8.5
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Leaves' Eyes「My Destiny」
ゴシックメタルバンド、リーヴズ・アイズのミニアルバム。2009年作
3rd「Njord」収録のタイトル曲に、未発曲、リミックスなどが入った6曲入り。
タイトル曲“My Destiny”は最近のWITHIN TEMPTATIONを思わせる、
いくぶんモダン化したヘヴィロック風のサウンドながら、美麗なシンセワークや
リブ嬢の美しい歌声が堪能できる佳曲。続く未発曲はノルディックな雰囲気で
シンフォニックに聴かせる好曲。ケルトの伝統曲“Scarborough Fair”のカヴァーは
アコースティックな叙情と幻想性が合わさった絶品の出来。本ミニのハイライトだろう。
シンフォニック度・・8 ゴシック度・・7 女性Vo度・・8 総合・・8
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Leaves' Eyes「Njord」
ドイツのゴシックメタルバンド、リーヴズ・アイズの3rd。2009年作
リブ・クリスティン嬢の美しい歌唱と、美麗なシンフォニック・ゴシックサウンドで、
過去2作でファンの心をガッチリとつかんだこのバンド、期待の3作目も同様の傑作。
適度にモダンにアレンジされた楽曲は、ノルディックの涼やかな土着性を思わせる感触に、
厚みのあるシンセワークとしっとりとした叙情美を含んでいて、じつに壮麗だ。
WITHIN TEMPTATIONばりのクオリティに加え、本作でさらなるダイナミックなメジャー感も出てきた。
個人的にはこうなるともはやデス声は無用にも思えるが、リブ嬢のなよやかな歌声を引き立ててるのも確か。
アコースティカルな風味を活かした曲や“Scarborough Fair”のカヴァーなどもハマっている。
シンフォニック度・・8 壮麗度・・9 女性Vo度・・8 総合・・8.5
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Leaves' Eyes「Meredead」
ドイツのゴシックメタルバンド、リーヴズ・アイズの2011年作
美麗系ゴシックメタルのトップを走るこのバンド、前作では頂点ともいうべき素晴らしい傑作を作り出したが、
基本的には方向性は変わらず。オーケストラルな美麗なアレンジとリブ・クリスティン嬢の美しい歌声で、
本作も質の高いサウンドを聴かせてくれる。随所に北欧的なトラッド風味を取り入れたアレンジも、
これまでになく叙情美にあふれていて、今作ではデスヴォイスの使用が控えめなこともあって、
幻想的な世界観をしっとりと楽しめる。MIKE OLDFIELDのカヴァー“To France”もじつに美しい。
前作ほどの派手さはないが、じわじわとくる叙情と北欧的な空気に溢れた傑作だ。
限定盤のDVDには2010年ベルギーでのライブ映像を5曲収録。
シンフォニック度・・8 北欧的幻想度・・9 女性Vo度・・8 総合・・8.5
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Leaves' Eyes「Symphonies of the Night」
ドイツのゴシックメタル、リーヴズ・アイズの2013年作
ノルウェー出身の女性シンガー、リブ・クリスティンとATROCITYのメンバーによって結成され、
2004年のデビューから、毎回素晴らしいアルバムを作り続けてきたこのバンド、5作目となる本作も、
リブ嬢の美声とともに、シンフォニックなアレンジで構築されるサウンドは不変だが、
4、5分前後の楽曲を中心に、これまでよりもコンパクトにまとめられたという印象がある。
曲によっては、デスヴォイスが多めで、メタリックなモダンさがやや前に出てきたことで
逆に北欧的な土着性は薄まったという感じがある。もちろん、ゴシックメタル的な耽美さや
これまでにあった神秘的な叙情性も残してはいるので、なかなか楽しめる好作ではあります。
シンフォニック度・・8 ゴシック度・・7 女性Vo度・・8 総合・・8


Leaves' Eyes 「King of Kings」
ドイツのゴシックメタル、リーヴズ・アイズの2015年作
2004年のデビュー本作で6作目となる。今作はノルウェーの最初の王と言われる、ハーラル一世をテーマにした作品で、
リヴ・クリスティンの美しい歌声を乗せた北欧トラッド的な雰囲気から始まり、シンフォニックなアレンジでしっとりと聴かせる。
いつものようにデス声を含んだ重厚な部分もあるが、基本的にはNightwishにも通じる優美な女性声シンフォメタルの感触で、
とても聴きやすいのだが、反面もはや新鮮味はないという。イーリアンパイプス、フルート、ホイッスル、ヴァイオリン、
さらにはニッケルハルパやハーディガーディといった古楽器も使用していて、フォーキーな感触が随所にあるのはよいが、
楽曲自体にもっと北欧トラッド的な神秘性を感じさせてもらいたい気がする。全体的なクオリティは高いものの、
ややインパクト不足の好作品というべきか。EPICAのシモーネ・シモンズなどがゲスト参加。
シンフォニック度・・8 ゴシック度・・7 女性Vo度・・8 総合・・8
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Leaves' Eyes 「Sign of the Dragon Head」
ドイツのシンフォニック・ゴシックメタル、リーヴズ・アイズの2018年作
結成以来フロントを務めていた、リブ・クリスティンが脱退、新たにフィンランド出身のエリナ嬢が加入した7作目。
オーケストラルなシンフォニック性と、モダンなヘヴィネスに、美しいソプラノヴォーカルを乗せた本作のサウンドは、
より壮麗なシンフォニックメタルへと接近した印象で、男性デスヴォイスが絡んだアグレッシブな迫力とともに、
重厚な聴き心地とフォーキーな土着性を合わせ持った作風だ。新ヴォーカルは、なよやかなリブの歌声とはやや印象が異なり、
EPICADELAINあたりに通じる華やかなソプラノなので、より一般のシンフォメタラー向けにはなったという気もする。
楽曲自体には手堅くまとまっているという感じもするが、ケルティックな感触のキャッチーなナンバーなどは魅力的で、
派手やかなシンフォニック性のみに頼らないところは好感が持てる。バンドの新たな深化に期待したい。
シンフォニック度・・8 ゴシック度・・7 女性Vo度・・8 総合・・8
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Leaves' Eyes 「Last Viking」
ドイツのシンフォニックメタル、リーヴズ・アイズの2020年作
2004年にデビューして、8作目。フィンランド人女性シンガー、エリナ・シーララが加入しての2作目となる。
2005年作「Vinland Saga」、2015年作「King of Kings」から続く、ヴァイキングをテーマにした物語の完結編で
メロディックなギターに美麗なシンセ、美しい女性ヴォーカルに低音デスヴォイスを重ねた、シンフォニックかつ
勇壮なペイガン風味のゴシックメタルを聴かせる。エリナ嬢の伸びやかなソプラノも魅力的で、曲によっては
Within TemptationNightwisなどにも通じる優美な味わいが楽しめる。随所にほどよい疾走感もありつつ、
全体的にヘヴィネスは控えめでメロディックで壮麗な聴き心地。10分を超える大曲を含めて充実の力作です。
シンフォニック度・・8 壮麗度・・8 女性Vo度・・8 総合・・8 
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LESOIR 「LUCTOR ET EMERGO」
オランダのゴシックロック、レソールの2014年作
うっすらとしたシンセアレンジに、古き良きロック色を感じさせるセンスのよいギター、
そしてソウルフルな女性ヴォーカルの歌声で聴かせる、ゴシック風味のロックサウンド。
メランコリックな叙情とロック色の強いアンサンブルという点においては、中期以降のThe Gathering
日本のEarly Crossあたりにも通じる感触で、じっくりと味わえる耳心地の良さがある。
派手な盛り上がりというものはないのだが、その分ゆったりと楽しめるゴシックロックの好作品。
ドラマティック度・・7 メランコリック度・・7 女性Vo度・・8 総合・・8
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LESOIR 「LATITUDE」
オランダのゴシックロック、レソールの2017年作
前作は、The Gatheringにも通じるような、メランコリックなゴシックロックの好作品であったが、
2作目となる本作も、やわらかなピアノの音色にしっとりと美しい女性ヴォーカルの歌声で、
繊細な叙情に包まれつつ、ドラムとギターが加わると物憂げなゴシックロック・サウンドを描き出す。
今作では、オーケストラアレンジを加えてのシンフォニックな優雅さも加わっていて、
前作以上にメリハリのある構築力と、ときに壮麗で厚みのあるサウンドが楽しめる。
倦怠系のゴシックメタルに優雅でプログレッシブな味わいを含ませたという逸品です。
シンフォニック度・・7 メランコリック度・・8 女性Vo度・・8 総合・・8
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LESOIR 「MOSAIC」
オランダのプログレ・ゴシックロック、レソールの2020年作
2015年にデビューし、3作目となる。女性Vo、女性Gを含む編成で、ほどよくハードなギターに
伸びやかな女性ヴォーカルを乗せ、しっとりとした叙情に包まれた優美なサウンドを聴かせる。
メロウなギターの旋律とともに、Maartjeの表現力ある歌声が、ときにアンニュイな翳りを描きつつ、
キャッチーで涼やかなメロディアス性も含んだ、なよやかなゴシックロックが楽しめる。
派手な盛り上がりはさほどないが、魅力的な女性声による好作品に仕上がっている。
ドラマティック度・・7 アンニュイ度・・8 女性Vo度・・8 総合・・8 
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Levania 「Renascentis」
イタリアのゴシックメタル、リヴァーニャの2013年作
シンフォニックなアレンジに、やわらかな声質の女性ヴォーカルと男性デスヴォイスが絡むスタイル。
楽曲は3〜4分前後がメインで、適度なヘヴィネスと疾走感に、ときに男性ノーマル声も合わさった、
オペラティックな雰囲気もある。楽曲アレンジ、演奏ともに、これといった突出した部分はなく、
正直、このレベルのバンドならたくさんいるなという。デス声の頻度がやや多いのも個人的にはマイナス。
紅一点、リゲイア嬢の歌声はソプラノから中音域までなかなか美しいので、さらに表現力を磨いていってもらいたい。
シンフォニック度・・7 ゴシック度・・7 女性Vo度・・7 総合・・7
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LIGHTLESS MOOR 「THE POEM」
イタリアのゴシックメタル、ライトレス・ムーアの2013年作
メタリックなギターに美麗なシンセアレンジを重ね、美しい女性ヴォーカルに男性デス声が絡む、
重厚にして耽美なゴシックメタルを聴かせる。紅一点、イラリア嬢の歌声はいくぶん線の細いソプラノで
デスヴォイスとの対比でなよやかな美しさが際立っている。楽曲はわりと王道のゴシックメタルで、
LEAVES' EYESや初期のTRISTANIASIRENIAなど、北欧系ゴシックメタルにも通じるような
涼やかな雰囲気に包まれつつ、ときにアグレッシブな激しさも覗かせる。12分という大曲では、
優美な叙情と重厚さが同居した、メリハリのある構築力でじっくりと聴かせる。男女声ゴシックの力作です。
ドラマティック度・・8 ゴシック度・・8 女性Vo度・・8 総合・・8
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Liquid Sky「Identity」
アメリカのゴシックメタルバンド、リキッド・スカイの2008年作
美しいピアノとシンセに導かれて、壮麗なゴシックメタルが始まる。
はかなさと伸びやかさを兼ね揃えた女性ヴォーカルの歌声と、適度にヘヴィでテクニックのあるツインギター、
そしてシンフォニックなシンセアレンジで聴かせる正統派のゴシックサウンド。
曲調やメロディがやや一本調子なのが惜しいが、今後に期待できる自力を感じさせるバンドだ。
シンフォニック度・・7 ゴシック度・・8 女性Vo度・・7 総合・・7.5
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Little Dead Bertha「Age of Silence」
ロシアのシンフォニック・ゴシック・デスメタル、リトル・デッド・バーサの2018年作
男女Voに、女性シンセ奏者を含む6人編成で、美麗なイントロで幕を開け、メタリックなギターに
シンフォニックなシンセアレンジを重ね、低音デスヴォイスを乗せた激しいブラスト疾走に、
美しいソプラノ女性ヴォーカルが絡むという濃密なサウンド。ゴシックメタル的な耽美さと、
ブラックメタルばりの激しさが同居した作風で、クラシカルで優雅なシンセワークに
艶めいた女性ヴォーカルもなかなか魅力的だ。激しく疾走する荘厳な迫力とともに、
女性声のコーラスが加わって、THERIONのような壮麗なサウンドになる、強力作デス。
シンフォニック度・・8 激しさ度・・8 耽美度・・8 総合・・8
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The Living Fields 「Running Out Of Daylight」
アメリカのゴシック・ドゥームメタル、リヴィング・フィールズの2011年作
ヴァイオリンやチェロが鳴り響くシンフォニック性とヘヴィなギターリフに、デスヴォイスを乗せた重厚なサウンド。
ゴシックメタル的な耽美な雰囲気や、フューネラルドゥーム的な物悲しい世界観も感じさせつつ、
楽曲はスローすぎないので案外聴きやすい。叙情パートを含んで8分、9分という大曲をじっくりと聴かせる構築性と、
エピックドゥーム的でもあるシアトリカルなドラマ性はけっこう好み。ラストは16分の大曲というなかなかの力作デス。
ドラマティック度・・8 ゴシックデス度・・8 ドゥーム度・・7 総合・・7.5
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Liv KristineDeus Ex Machina」
元Theatre of Tragedy(現Leaves' Eyes)のリブ・クリスティンのソロ。1998年作
本作の時点ではまだ彼女はToTに在籍していており、サウンドの方はシンセをメインに
ゆったりと聴かせる、いわばメタル色を抜いたToTという感じの美しいもので、
リブ嬢の美声がしっとりと響きわたる。まだいくぶんの垢抜けなさがあるのもよろしい。
シンフォニック度・・7 メタル度・・1 女性Vo度・・8 総合・7.5
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Liv Kristine「Enter My Religion」
Leaves' Eyesの女性Vo、リブ・クリスティンのソロ。2006年作
そのしっとりとした美声でフィメールメタル好きのリスナーを虜にしてきた彼女だが、
本作はメタル色の薄いポップな女性Voロックサウンドを聴かせてくれる。
とはいってもシンフォニックなシンセアレンジやギターもしっかり入っていて、
メタル度を抜いたリーブズという雰囲気でも楽しめる。リブ嬢の歌声にうっとり。
シンフォニック度・・7 メタル度・・5 女性Vo度・・9 総合・・7.5
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Liv KristineSkintight」
Leaves' Eyesで活躍する女性シンガー、リブ・クリスティンの2010年ソロ作
ソロ作としてはこれが3作目で、メタル色はほぼ皆無のポップなメロディックロック。
シンセによる美しいアレンジと、ときにアコースティカルな雰囲気とともに
ゆったりと聴かせる作風で、リブ嬢の透き通った美声がたっぷりと楽しめる。
メロディには単なるポップロックではない、ほのかなノルウェー的な叙情性も感じられる。
メロディアス度・・8 メタル度・・3 女性Vo度・・9 総合・・7.5
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Liv Kristine「Libertine」
Leaves' Eyesのシンガー、リブ・クリスティンの2012年作

しっとりとした歌声で聴かせる本作は、メタル色は薄めのキャッチーなポップロック作品。
KATE BUSHのようなコケティッシュな聴き心地とともに、随所にシンフォニックなアレンジや
北欧出身らしい涼やかな情緒が感じられて、素朴な優しさに包まれたサウンドである。
メタル度を落としたLeaves' Eyesというような曲もあって、案外に違和感なく楽しめる。
彼女のシンガーとしての魅力にあらためて触れることのできる好作だ。
メロディック度・・7 メタル度・・3 女性Vo度・・8 総合・・7.5
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Liv Kristine「Vervain
Leave's Eyesの女性シンガー、リブ・クリスティンのソロ、2014年作
Theatre of Tragedy時代から数えて、ソロとしてはすでに5作目となる。
これまでのソロ作品はポップな路線だったのだが、本作はゴシックメタル的な作風で、
彼女の魅力であるキュートでフェミニンな歌声がたっぷり楽しめる。適度にヘヴィな楽曲は、
どれも3〜4分前後と比較的コンパクトな歌ものゴシックロックという感じで、インパクトは少ないのだが、
リブさんの美声を楽しむという点で聴けばよろしいのかと。ドロ・ペッシュ姐さんがゲスト参加。
メロディック度・・7 ゴシック度・・7 女性Vo度・・8 総合・・7.5
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LIV KRISTINE 「River of Diamonds」
ノルウェーの女性シンガー、リブ・クリスティンのソロ、2023年作
THEATRE OF TRAGEDY、元Leave's Eyesのシンガーで、ソロとしては6作目となる。
ほどよくヘヴィなギターにきらびやかなシンセ、艶めいた女性ヴォーカルに男性声も加わった1曲目は、かつてのTHEATRE OF TRAGEDYを思わせる優雅な倦怠に包まれた、ゴシックロック寄りの聴き心地。
シンフォニックなシンセアレンジや翳りを帯びたサウンドに、リブの歌声も美しく、メランコリックではかなげな空気にしっとりと浸れる。
楽曲を手掛けるのが、初期THEATRE OF TRAGEDYのギタリスト、トミー・オルソンということもあって、なるほど納得。この作風はTOTファンには嬉しいだろう。
MIDNATTSOL、SAVNでも活躍する妹のカルメンもゲスト参加している。
ドラマティック度・8 倦怠の叙情度・8 女性Vo度・8 総合・8 
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Locus Titanic Funus 「Castus Lacrima」
ロシアのゴシックメタル、ロカス・タイタニック・ファヌスの2013年作
美しいシンセアレンジとブラックメタルばりのガナリ声ヴォーカルにロシア語の可憐な女性声が絡み、
クラシカルな優雅さとメランコリックな叙情に包まれた、耽美なゴシックメタルを描き出す。
ときにブラックメタルばりの激しい疾走パートも顔を出し、低音グロウルヴォイスとともに
ダークな暗黒性も覗かせつつ、しっとりとしたダークアンビエントな雰囲気もあったりする。
個人的には女性ヴォーカルをメインにした部分をもっと増やして欲しい気もするが。
ドラマティック度・・7 ゴシック度・・8 耽美度・・8 総合・・7.5
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Lord Agheros 「As a Sin」
イタリアのゴシックユニット、ロード・アグエロスの2008年作
エヴァンゲロウ・ゲラシモス氏の一人ユニットで、美しいシンセアレンジにピアノ、
ブラック系ダミ声ヴォーカルを乗せてゆったりと聴かせる耽美なサウンド。
アンビエントな静謐感に、ブラックメタル的なダークな世界観を加えた感じで、
妖しげな雰囲気はなかなか悪くない、個人的には女性Voが入ればもっと嬉しかった。
ドラマティック度・・7 耽美度・・8 楽曲・・7 総合・・7
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Lord Agheros 「Of Beauty & Sadness」
イタリアのゴシック/ポストブラックメタル、ロード・アグエロスの2010年作
グラシモス・エヴァンゲロウ氏による個人ユニットで、2007年にデビューし、3作目となる。怪しげな語りの入ったイントロから、
打ち込みのリズムに壮麗なシンセやピアノを重ねたシンフォニックな感触と、迫力ある吐き捨てヴォーカルを乗せた、
ダークな耽美性で描かれるサウンドは、ブラックというよりは、むしろゴシックメタル寄りの聴き心地かもしれない。
激しいパートもあるのだが、ドラムが打ち込みなので、さほど迫力はなく、ダンジョンシンセ的な幻想的なインストは、
Summoningあたりに通じる世界観。クラシカルなピアノに女性ヴォーカルが重なる優美なナンバーなども良いですね。
ドラマティック度・7 耽美度・8 幻想度・8 総合・7.5 
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Lord Agheros 「Nothing at All」
イタリアのゴシックメタル、ロード・アグエロスの2016年作
ゲラシモス・エヴァンゲロウ氏の個人ユニットで、2007年にデビュー、本作は5作目となる。
クラシカルなピアノの旋律に、美しい女性ヴォーカルを乗せ、オーケストラルなアレンジを重ねた
シンフォニックなナンバーから、アコースティックギターをエレキに重ねた牧歌的な叙情など、
ときにポストブラック的でもある幻想的な世界観を描いてゆく。曲によって入るドラムは打ち込みっぽいが、
ほどよく激しいパートもあったりと、ピアノやチェロによるアンビエントなナンバーとのコントラストになっている。
男女声によるゴシックロック的なナンバーなどもよい感じだが、ゴシックなのかアンビエントかやや中途半端な印象。
クラシカル度・・7 ゴシック度・・7 優美度・・7 総合・・7.5
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Lord Agheros 「Koine」
イタリアのゴシック/ポストブラックメタル、ロード・アグエロスの2022年作
6作目となる本作は、しっとりとしたピアノのイントロから、エレクトロなシンセに艶めいた女性ヴォーカルの歌声を乗せ、
メタリックなギターも加わって、ゴシックメタル的な耽美さと、モダンなヘヴィネスが同居したサウンドを描く。
デスヴォイスを乗せた激しくブルータルなパートも覗かせるなど、いままで以上に緩急ある作風で、
サウンドの迫力という点では、むしろデスメタル寄りの部分もあるのだが、優美なシンセアレンジは幻想的で
シンセをメインにしたアンビエントなナンバーなども耳心地よい。全体的にはまとまりに欠ける感はいなめないが。
ドラマティック度・7 ゴシック&デス度・8 幻想度・8 総合・7.5
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LORELEI 「Ugrjumye Volny Studenogo Morja」
ロシアのゴシック・ドゥーム、ローレライの2013年作
ドゥーミィなヘヴィさでゆったりとした曲調に、低音デスヴォイスにオペラティックな女性ヴォーカルの歌声、
随所に泣きのフレーズを奏でるギターとともに、ダークでありながら物悲しい叙情をまとったサウンドだ。
シンセによる美しいアレンジもあって、重厚でありながら美麗な聴き心地をまとっていて、
シンフォニックなゴシックメタルとしても楽しめる。もう少し女性声パートが増えるとさらに嬉しいが、
Swallow the SunDRACONIANあたりが好きな方にもお薦めのゴシック・ドゥームの好作です。
ドラマティック度・・8 ゴシック度・・8 ドゥーミィ度・・8 総合・・8
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LOST IN MISERY「CAROUSEL OF MEMORIES」
オランダの女性Voゴシックメタルバンド、ロスト・イン・ミザリーのアルバム。詳細は不明。
キーボード無し、ツインギターのメタリックな曲にたゆたうような女性Voが歌を載せている。
THE GATHERINGを正統派メタルっぽくして、女性声の魅力を落とした感じ、だろうか。
雰囲気として、夢見がちだがメタリックな楽曲という面白いものを持ってはいるのだが、
曲にしろお姉さんの歌声にしろもう一歩突き抜けるものが欲しい。
メロディアス度・・7 ゴシック度・・7 女性Vo度・・6 総合・・6


LOVELORN DOLLS 「DARKER AGES」
ベルギーのゴシックメタル、ラヴローン・ドールズの2018年作
2013年にデビュー、本作は3作目となる。男女2人組のユニットで、美しいシンセアレンジにほどよくハードなギター、
やわらかな女性ヴォーカルを乗せて、倦怠の浮遊感に包まれた耽美なゴシックロックを聴かせる。
楽曲は3〜4分前後で、随処にエレクトロな感触も含みつつ、メタル的な重さがさほどないので、
コケティッシュな女性声の魅力もあって、わりとキャッチーな耳心地とともにシンプルに楽しめる。
Disc2には、Nine Inch Nailsのカヴァーや既存曲のリミックスなど12曲を収録。こちらはよりエレクトロな仕上がり。
耽美度・・8 ゴシック度・・7 女性Vo度・・8 総合・・7.5
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LULLACRY「BE MY GOD」
フィンランドの女性Voゴシックロックバンド、ララクライの2nd。2001年作
メタルというよりは聴き易い女声ハードロックで、そこにフィンランドらしいメランコリックさを付加したサウンド。
きらきらした北欧メタルや、ゴシックメタルそのものを求める人には肩すかしだろうが
TO/DIE/FORあたりの女性版と考えると、メタラーでなくても普通に鑑賞できる。
メロディアス度・・7 ゴシック度・・7 女性Vo度・・7 総合・・7.5
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LULLACRY「CRUCITY MY HEART」
フィンランドの女性Voハードロックバンド、ララクライの3rd。2003年作
2ndは日本盤も出ていたようだが、この3rdではVoが交代しているようだ。
そこそこヘヴィでメロディアスな曲に女性Voが歌う、という非常に聴きやすいサウンド。
ギターリフやメロディなどにメランコリックな部分もあり、そこがゴシックメタル的ともいえる。
女性Voは耽美派なソプラノではなく、なかなかキュートなロックヴォーカル的な歌唱で
全体的には曲にひっかかりが少なく、女性声ロックとして普通に聞き流せる
メロディアス度・・7 ゴシックメタル度・・6 女性Vo度・・7 総合・・7.5
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LULLACRY「vol.4」
フィンランドのゴシックロック、ララクライの4th。2005年作
女性ヴォーカル、Tania嬢のキュートでコケティッシュな歌声と、
バックのモダンヘヴィなサウンドが上手くコントラストになっており、
初期のアルバムよりもメタリックなヘヴィさと、ハードロックとしてのノリの良さが増している。
その一方では、いかにもフィンランド的な哀愁を感じさせる曲もあって、
ゴシックメタル的なもの悲しさを巧みなアレンジで聴かせる好作に仕上がっている。
メロディアス度・・7 ゴシックロック度・・8 女性Vo度・・8 総合・・7.5
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LULLACRY「Where Angels Fear」
フィンランドのゴシックロック、ララクライの2012年作
前作から6年ぶりとなる5作目で、サウンドはいくぶんモダンなアレンジが前にでた
ゴシックロックとなっている。女性ヴォーカルの歌声とともにキャッチーなメロディで聴かせる
明快なサウンドであるが、以前のようなメランコリックな叙情はやや薄まったような印象。
3、4分台の楽曲はどれもシンプルで、それなりに聴き心地はいいのだが、正直物足りなさも残る。
EVANESCENCELACUNA COILなどに近づくには、もっとメロディの魅力やインパクトが必要だ。
メロディアス度・・7 ゴシックロック度・・8 女性Vo度・・7 総合・・7.5
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Luna Aeterna 「MYSTERY(ТАЙНА)」
ロシアのゴシックメタル、ルナ・エーテルナの2007年作
ソプラノ女性ヴォーカルのロシア語の歌声と、シンフォニックなアレンジで聴かせる
ゴシックメタルサウンド。音質の悪さも含めて、ローカルなマイナー臭さを漂わせているが、
それがミステリアスな雰囲気で、辺境的な魅力にもいくぶんなっている。
ギターはゴシックというよりも、普遍的なHR色のあるフレージングが耳につく。
全体的には悪くないのだが、楽曲自体にこれという魅力が足りないのが残念。
シンフォニック度・・7 ゴシック度・・7 女性Vo度・・7 総合・・7


Lunar Path 「Memento Mori」
フィンランドのゴシックメタル、ルナー・パスの2012年作
モダンなヘヴィさとキャッチーなメロディで聴かせる、ゴシックロック的なサウンド。
女性ヴォーカル、Janica嬢の伸びやかな歌声と、シンフォニックなシンセアレンジとともに、
なかなか壮麗な聴き心地であるが、メロディのフックや盛り上がりはややインパクト不足か。
ときに男性ヴォーカルも加わったりして、Lacuna Coilなどを思わせる質感もあるのだが、
全体的には楽曲のクオリティをもつと詰めていってもらいたい。地味なジャケもどうかと思う。
シンフォニック度・・7 ゴシック度・・7 女性Vo度・・7 総合・・7




THE LUST「Tangled」
ロシアの女性Voゴシックメタルバンド、ザ・ラストの2004年作
なかなかインパクトのあるジャケで、輸入盤市場で話題になっていたアルバム。
音のほうは案外ノリのいい、いわゆるゴシック調ハードロックで、
LULLACRYTHE CRESTのようなタイプ。ロシアという民族性もとくに感じない。
当たり障りのない聴きやすさがある反面、音にジャケほどのパンチはないか。
女性Voも悪くない感じなので、いっそのこと母国語で歌ってくれたら面白かったろうに。
メロディアス度・・7 ゴシック度・・7 女性Vo度・・7 総合・・7

The LUST 「Membrane」
ロシアのゴシックメタルバンド、ザ・ラストの2005年作
前作は聴きやすいゴシック調のハードロックという感じであったが、
今作では、モダンさとともにいくぶん疾走感の増した楽曲と、男女ヴォーカルの歌声で聴かせる
なかなか耽美なサウンドとなっている。紅一点Mirla嬢の妖艶な歌唱はよろしい感じだが、
ゴシックにしては音がやや軽めな点や、音の厚み、壮麗さの点ではやはり不満が残るか。
メロディアス度・・7 ゴシック度・・7 女性Vo度・・8 総合・・7.5

The Lust「Black Dahlia Poem」
ロシアのゴシックメタル、ラストの2017年作
2004年にデビュー、本作は6年ぶりとなる5作目で、美麗なシンセアレンジに
メロディックなギターと美しい女性ヴォーカルを乗せた、わりとキャッチーなゴシックメタル。
ジャケのような耽美な空気感もありつつ、適度にノリのあるリズムにメロディックな聴きやすさがあって、
以前の作品よりも一皮むけたような印象だ。アンナ嬢のなよやかでキュートな歌声も魅力的で、
サウンドが描く世界観にやわらかな美しさを加えている。DELAINなどにも通じる優美なナンバーから、
メロスピ的な疾走ナンバーまで、楽曲ごとのメリハリもあってなかなか飽きさせない。
ボーナストラックの、My Dying BrideTheatre of Tragedyのカヴァーもハマっている。
メロディック度・・8 ゴシック度・・8 女性Vo度・・8 総合・・8 
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THE LUST 「KARMALOVE」
ロシアのゴシックメタル、ラストの2018年作
2004年にデビューし、本作は6作目。ヘヴィ過ぎないギターに優美なシンセを重ね、
艶めいた女性ヴォーカルの歌声で、キャッチーな味わいのゴシックメタルを聴かせる。
ときにデジタルでモダンなアレンジも含ませつつ、耽美な雰囲気もしっかりと残していて、
EVANESCENCEあたりにも通じる、ゴシックロック風のストレートな聴きやすさがある。
楽曲は4〜5分前後で、ほどよくシンプル。反面、もう少し濃密な展開も欲しい気もするが。
2020年再発盤には、TYPE O NEGATIVE、MY DYING BRIDEのカヴァーなど4曲を追加収録。
ドラマティック度・7 ゴシック度・7 女性Vo度・8 総合・8 
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THE LUST 「HONEST」
ロシアのゴシックメタル、ラストの2020年作
2004年にデビュー、本作は7作目となる。メタリックなギターリフに美麗なシンセを重ね、
艶めいた女性ヴォーカルの歌声で聴かせる、シンフォニックなゴシックメタルサウンド。
楽曲は3〜4分前後とわりとシンプルであるが、メロディックなギタープレイやクラシカルなピアノなど、
壮麗な音の厚みとともにサウンドの説得力もあるのは、さすがキャリアのあるバンドというところ。
モダンでキャッチーなノリと耽美な雰囲気が同居したところは、WITHIN TEMPTATIONEVANESCENCEなどに通じるところもあり、
歌詞が英語であるので多くのリスナーにアピールするだろう。さほど新鮮味はないが、メロディックな聴きやすさで楽しめる好作品だ。
ドラマティック度・・7 ゴシック度・・8 女性Vo度・・8 総合・・8 
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MACBETH「ROMANTIC TORAGEDY'S CRESCENDO」
イタリアの男女Voゴシックメタルバンド、マクベスの1st。1998年作
基本は初期のTHEATRE OF TRAGEDYタイプで美しいキーボードをメインに
デス声と女性のソプラノVoが絡み合い、耽美な世界を描く、というもの。
この手のジャンルにおいて重要なのはその描かれる世界観の「強度」と音の「説得力」に尽きるが、
このバンドの場合はまだ独自の世界を創り出すにいたってはおらず、曲の展開も散漫な部分が露見する。
ツインギターとキーボードの組み合わせはなかなかのものなのだから、暗黒で行くのか、シンフォニックにするのか、
決めてもらいたい。また、せっかく綺麗な声なのだから、女性声メインにして欲しい(個人的な好みですんません^^;)。
シンフォニック度・・7 暗黒度・・5 女性Vo度・・7 総合・・7

MACBETH「MALAE ARTES」
イタリアの男女Voゴシックメタルバンド、マクベスの3rd。2005年作
ゴシックとしてはあまり重すぎずといったサウンドで、イタリアらしいクラシカルなシンセや
メロディアスなギターフレーズなど、いい部分はあるのだが、やはりどうしても情感不足というか
曲の密度やしっかりした世界観がこの手の耽美な音楽をやるには足りていない気がする。
ヤサ男系の軟弱ヴォーカルも好みを分けるところだし、肝心の女性声が添え物程度なのも
個人的にはとっても物足りず…。耽美なジャケはいいんだが。
シンフォニック度・・7 ゴシック度・・7 女性Vo度・・6 総合・・7.5
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MACBETHSuperangelic Hate Bringers
イタリアの男女Voゴシックメタルバンド、マクベスの4th。2007年作
活動は10年以上と、イタリアのゴシック系では中堅クラスといってよいバンドなのだが、
いまだに決定打が出ない鳴かず飛ばずの状態。本作も可憐な女性ヴォーカル
男性デス声の歌声を絡めて聴かせる、王道のゴシックメタルスタイルで、シンセも含めてシンフォニックな美しさもあり、
モダンなヘヴィさとのバランスもいいのだが。やはりなにかが物足りない、LACUNA COILのようなメジャー感もなければ、
シンフォニックさの点でも中途半端。今回もジャケはいいのだが。どうしたらいいんでしょう?
シンフォニック度・・7 ゴシック度・・7 女性Vo度・・7 総合・・7.5
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MADDER MORTEM「Desiderata」
ノルウェーのゴシックメタルバンド、マダー・モーテムの4th。2006年作
ヘヴィなギターで意外とアグレッシブに聴かせるサウンドに、気の強そうな感じ(?)の女性ヴォーカル声が歌を乗せる。
ギターフレースは耽美というよりは、サイケ気味の質感もありシンセもほとんど使っていないので、美麗な雰囲気も希薄。
メロディか女性声かどちらかに魅力がないと、やはり途中で飽きますね。
メロディアス度・・6 ゴシック度・・7 女性Vo度・・7 総合・・7
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Madder Mortem 「Eight Ways」
ノルウェーのゴシックメタルバンド、マダー・モーテムの5th。2009年作
正直、前作を聴いたときにはヘタウマのゴシックという程度の認識だったのだが、
今作ではアヴァンギャルドな要素と、女性ヴォーカルで聴かせるアンニュイな耽美さが融合、
結果としてプログレッシブな質感が強まり、かなり面白いサウンドになっている。
ヘヴィなギターリフに、ときにヒステリックにもなる女性声、それでいてしっとりとした歌声は
どこか薄暗いけだるげな雰囲気をかもしだしていて、優雅さと荒々しさが同居しているという感じか。
ゴシックというよりは、むしろ女性声の北欧プログレ的にも楽しめる。これは気に入った。
メロディアス度・・7 耽美度・・8 女性Vo度・・8 総合・・8
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Madder Mortem「Where Dream And Day Collide」
ノルウェーのゴシックメタルバンド、マダー・モーテムのEP。2010年作
5th「Eight Ways」からのシングル曲に、別バージョン、未発曲の入った5曲入り。
けだるげな女性ヴォーカルの歌声で聴かせるアンニュイな浮遊感に、
アヴァンギャルドな感性を加えた、いわばプログレッシブなサウンドが個性的。
シャンソン・ゴシックというような優雅さと、ダークな芸術性が合わさった聴き心地で、
未発曲もあなどれない完成度だ。早く次のフルアルバムが聴きたい。
ドラマティック度・・8 耽美度・・8 女性Vo度・・8 総合・・7.5
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MADDER MORTEM 「Red in Tooth & Claw」
ノルウェーのアヴァン・ゴシックメタル、マダー・モーテムの2016年作
90年代にデビュー、2010年のミニアルバム以来となる6作目。前作はプログレよりの作風で気に入っていたのだが、
本作もエキセントリックな女性ヴォーカルの歌声と適度にヘヴィなギターを乗せ、随所にプログレ的な展開を含んだ、
個性的なゴシックメタルを聴かせる。Agnete嬢の表現豊かな歌唱をメインにした歌もの的なナンバーが主体ながら、
このバンドならではの絡みつくような空気感と、シアトリカルな濃密さは健在で、音と演奏の強度が説得力を生み出している。
一方ではギターにはオールドなハードロック風味があって、渋めのヴィンテージ感を味にしている作風も心憎い。
アグレッシブなヘヴィネスを表現しつつ、どこか大人の倦怠を含んだ哀愁を感じさせる。玄人好みの力作だ。
ドラマティック度・・8 アヴァンギャル度・・8 女性Vo度・・8 総合・・8 
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Madder Mortem 「Marrow」
ノルウェーのアヴァン・ゴシックメタル、マダー・モーテムの2018年作
1999年にデビュー、7作目となる本作は、ほどよくハードなギターに女性ヴォーカルを乗せ
ヴィンテージなアナログ感とプログレッシブな味わいに包まれたサウンドを聴かせる。
いくぶんアヴァンギャルドな展開力をオールドなハードロック風味に融合させ、
サイケな浮遊感と魔女めいた妖しさも覗かせる、その独自の世界観は本作でも健在。
Agnete嬢の艶めいた歌声を中心にした、アンニュイな歌ものナンバーなど、
シアトリカルなゴシックロックという感じでも普通に楽しめる好作品。
ドラマティック度・・7 耽美度・・8 女性Vo度・・8 総合・・8 
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Madder Mortem「Mercury」
ノルウェーのアヴァン・ゴシックメタル、マダー・モーテムの2019年作
1999年にデビュー、2018年までに7作を出しているバンドで、本作はデビュー作の20周年記念再発盤。
ほどよくヘヴィなギターにうっすらとしたシンセ、妖しい女性ヴォーカルで聴かせるゴシックメタルで、
ときにしっとりとしアコースティックパートなどもあって、はかなげでメランコリックな空気に包まれる
The 3rd And The Mortalあたりにも通じる翳りを帯びた叙情と、リズムチェンジを含む展開力で、
随所にプログレッシブな雰囲気も感じさせつつ、女性声の美しいしっとりとしたナンバーもよい感じだ。
倦怠と耽美に覆われた好作品。ボーナスには、2019年の再録バージョンなど5曲を追加収録。
ドラマティック度・・7 耽美度・・8 女性Vo度・・8 総合・・7.5 
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Madness of the Night 「Asgarda」
スウェーデンのゴシックメタル、マッドネス・オブ・ザ・ナイトの2013年作
女性シンガーとマルチミュージシャンの二人組ユニットで、打ち込みリズムの上に美麗なシンセアレンジと
ヘヴィすぎないギター、そして艶めいた女性ヴォーカルの歌声を乗せたサウンドで、
Lacrimosaなどに通じる耽美な雰囲気と、いくぶん辺境ぎみのマイナー臭さも感じさせる。
ヴォーカル嬢の妖艶な声の震え方や、盛り上がり切らないメロディのフックの弱さも含めて、
ポーランドのArtrosisあたりに通じる感触もあり、ようするにB級臭さぷんぷんのゴシックメタル。
声質はよいと思うのだが、歌い方がシアトリカルに力み過ぎな気がします。あと楽曲も練ってください。
シンフォニック度・・7 ゴシック度・・7 女性Vo度・・7 総合・・7
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MADRIGAL「I DIE,YOU SOAR」
スウェーデンのゴシックメタルバンド、マドリガルの2001年作
女性Key含む五人組みで、比較的オーソドックスなゴシックメタルサウンド。
IN FLAMESのアンダース・フリーデンがプロデュース、配給がNUCLEAR BLAST
ということで、メロデスリスナー向けにもアピールをしているようだ。
美しいシンセにピアノ、そこに絡むツインギターによる叙情性は
SENTENCED+PARADISE LOSTといった感じで、とても聴きやすい。
この手のゴシックメタルとしてはよく出来ているが、個性的というほどでもないか。
メロディアス度・・7 ゴシック度・・8 楽曲・・7 総合・・7.5


MAGILUM 「KIRMIZI KAR」
トルコのゴシックメタル、マギラムの2009年作
トルコのゴシック系というと、Sebnem FerahCatafalqueなどが知られるが
このバンドもななかセンスが良く、質の高いゴシックメタルを聴かせてくれる。
トルコ語による女性ヴォーカルのエキゾチックな歌声を響かせながら、
適度にモダンなアレンジとともに、キャッチーな耳心地のサウンドを描いてゆく。
ギターの奏でるメロウなフレーズや哀愁の叙情を漂わせたメロディ作りが
異国的な情緒を漂わせていて、ターキッシュな独特の味わいとなっている。
メロディアス度・・8 ゴシック度・・7 女性Vo度・・8 総合・・8
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MALEDIA「Your Angels Cry」
イタリアのゴシックメタル、マレディアの2012年作
モダンなヘヴィさと女性ヴォーカルの歌声で聴かせるゴシックメタルで、
適度な激しさも含んだ雰囲気は、LACUNA COILあたりにも通じる感触がある。
紅一点、LOO嬢の歌声はなかなかパワフルなオペラティックヴォイスで、
キャッチーな聴きやすさもあって、マイナー臭さはあまり感じさせない。
気持ち悪いダミ声男ヴォーカルが入った6曲めは、どうも違和感があるが…
全体的に、ヘヴィさとメロディのバランスのとれた好作といえるだろう。
メロディアス度・・7 ゴシック度・・7 女性Vo度・・7 総合・・7.5


Maleficium Arungquilta 「Транс Для Сестры」
ロシアのゴシック・シンフォニックメタル、マレフィシウム・アラングクイティアの2013年作
2010年にデビューし、3作目となる。ヘヴィなギターにシンフォニックなアレンジを重ね、
母国語による伸びやかな女性ヴォーカルを乗せ、アンニュイな翳りを帯びたサウンドを描く。
随所に女性スクリームヴォイスを乗せたアグレッシブな雰囲気や、デジタルなアレンジも覗かせつつ、
オーケストラルな美麗さと、メランコリックな叙情が同居していて、ストリングスによるクラシカルな優雅さに、
メロウなギターの旋律が重なるあたりもなかなか耳心地よい。耽美でシンフォニックなゴシックメタルの好作品。
シンフォニック度・7 耽美度・8 女性Vo度・7 総合・7.5


MANDRAGORA SCREAM「FAIRY TALES FROM HELL'S CAVES」
イタリアのゴシックメタルバンド、マンドラゴラ・スクリームの1st。
サウンドはけだるげな声質の女性Voをメインとした耽美派ゴシックメタル。
イントロのアヴァンギャルドなピアノに耳を奪われたが、曲のほうはけっこう普通。
シンセもそこそこメロディアスだし、へヴィなギターとこの声のマッチも悪くはない。
多くのこの手のゴシック系バンド同様、やはり曲にもうひとつ突き抜けが欲しい気がする。
メロディアス度・・6 耽美度・・7 女性Vo度・・6 総合・・7


MANDRAKE「CARM THE SEAS」
ドイツの男女Voゴシックメタルバンド、マンドレイクの2nd。
ゆったりとした曲調に、メロウなギターとシンセ、そこに乗る男女Voという
初期のPARADISE ROSTCREAMETRYを美しくしたような、ゴシックメタルの王道的サウンド。
Vo、Birgit嬢の声質はなかなか美しいソプラノで、それほど声に個性や存在感はないのだが
ふんわりとした霧に包まれたような曲調にはなかなかマッチしている。
ドイツ特有の、どこかくぐもったような美しいイメージが音に感じられるアルバム。
メロディアス度・・8 ゴシック度・・8 女性Vo度・・7 総合・・7.5

MANDRAKE「THE BALANCE OF BLUE」
ドイツのゴシックメタルバンド、マンドレイクの3rd。2006年作
今作からKey兼Gのメンバーが増えて5人組みになっている。
前作よりも女性Voを前面に出してきたという感じで、曲がずいぶん軽快になり、
そしてデス声パートが大幅に減少、今回は耽美さよりも聴きやすさを追求してきたな、というサウンド。
メンバーが増えてキーボードの厚みも増しており、ピアノやストリングスの音色も美しい。
バージット嬢の歌唱は、WITHINのシャロン嬢などからすればまだまだ音程の確かさや
表現力などが足りない気がするので、楽曲の質の向上と共に今後に期待したい。
シンフォニック度・・8 ゴシック度・・7 女性Vo度・・8 総合・・7.5
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MANDRAKEMary Celeste
ドイツのゴシックメタルバンド、マンドレイクの4th。2008年作
乗員全員が船から消失したという「メアリー・セレスト号事件」をテーマにしたアルバムで、
美麗なシンセ入りで聴かせる重厚なゴシックメタルで、中堅バンドらしい堂々たるサウンドだ。
女性ヴォーカル、バージット嬢の歌声にも、以前のアルバムよりも堂々とした自信がうかがえる歌唱で、
曲自体にさほど派手さはないのだが、19世紀のミステリアスな事件をコンセプトにしていることもあってか、
サウンドに漂うシリアスで幻想的な空気がとてもよろしい。全体的にもドラマティックな力作に仕上がっている。
昨今少なくなってしまった正統派のゴシックメタルバンドとして今後も応援したい。
メロディアス度・・7 ゴシック度・・8 女性Vo度・・8 総合・・8
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Mandrake「Innocence Weakness」
ドイツのゴシックメタルバンド、マンドレイクの5th。2011年作
前作はかなりの力作であったが、本作も女性ヴォーカルの歌声とデスヴォイスを中心に聴かせる、
重厚なゴシックメタル作。ツインギターにシンセを含んで、適度にシンフォニックで適度にヘヴィながらも、
今風のモダンさや派手なきらびやかさはあまりない、いわば質実なサウンドで、
少し田舎臭いバージット嬢の歌声も含めて、むしろ垢抜けなさに好感が持てたりする。
昨今なかなか少なくなってきた正統派のゴシックメタルとして応援してゆきたいバンドだ。
メロディアス度・・7 ゴシック度・・8 女性Vo度・・8 総合・・8
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MANIC MOVEMENT 「DARK GLITTER」
ベルギーのゴシックメタル、マニック・ムーブメントの2008年作
女性Voにシンセを含む5人編成で、壮麗なアレンジと女性ヴォーカルの歌声で聴かせる
シンフォニックなゴシックメタル。メロウな泣きのギターにストリングスが絡む、
ドラマティックな叙情もなかなか素晴らしく、ヴァージニア嬢の歌唱の表現力も含めて
サウンドの説得力も充分で、WITHIN TEMPTATIONやDELAINなどにも通じる高品質な作品です。
シンフォニック度・・8 ゴシック度・・8 女性Vo度・・8 総合・・8
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MANIC MOVEMENT 「HOT! HOT! HOT!」
ベルギーのゴシックメタル、マニック・ムーブメントの2010年作
マンガみたいなジャケはさておき、サウンドの方は前作に続きクオリティが高く、
シンフォニックな壮麗さと実力ある女性ヴォーカルの歌声で安心して楽しめる。
ウィズインをややマイナーにした感じの楽曲は、オーケストラルなアレンジに加えて
メロディックなフックもちゃんとあって、ギターのリフやフレーズのセンスも光っている。
ただ全体的には、前作でも感じた音質面での粗さと、わずかなローカルさが顔を覗かせるのが惜しい。
シンフォニック度・・8 ゴシック度・・8 女性Vo度・・8 総合・・7.5




MARGENTADynasty Devoted
ロシアのゴシックメタルバンド、マージェンタの2007年作
シンフォニックなシンセを使った耽美なゴシックメタルで、母国語による男性ヴォーカルに
幽玄な女性コーラスが絡み、幻想的でミステリアスな世界観を描き出している。
ちなみにロシア語でのタイトルは「ДИНАСТИЯ ПОСВЯЩЕННЫХ」
シンフォニック度・・7 ゴシック度・・7 辺境度・・7 総合・・7
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Markize 「Transparence」
ロシア出身の女性シンガー擁するフランスのゴシックメタル、マーカイズの2007年作
ヘヴィなギターにシンセを重ね、フェミニンな女性ヴォーカルの歌声とともに、初期のEVANESCENCEにも通じるモダンな味わいのゴシックメタルを聴かせる。
フランス語と英語によるAina嬢の歌声は、艶めいた美しさと表現力があり、とくにしっとりとしたスローナンバーではその魅力が際立っている。
全体的には、これという新鮮味はないものの、エモーショナルな女性声とともに、ほどよくキャッチーなゴシックロツクが楽しめる好作だ。
キャッチー度・8 耽美度・7 女性Vo度・8 総合・7.5
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Masquera Di Ferro「Stalactites」
ギリシャのゴシックメタル、マスクエラ・ディ・フェロウの2017年作
うっすらとしたシンセに重厚なツインギターを重ね、朗々とした男性ヴォーカルを乗せ、
メランコリックな味わいとオールドなドゥームメタル質感も含んだサウンドを聴かせる。
随所に叙情的なギターフレーズとともに、ウェットでキャッチーな感触もあって、
初期のMOONSPELLPARADISE LOSTなどにも通じる雰囲気もある。
一方では、どっしりとした重厚さは、エピック・ドゥーム的な感じでも楽しめるだろうし、
メロディのフックがしっかりしているので、ゴシックなハードロックとしても普通に聴きやすい。
メロディック度・・8 ゴシック度・・7 重厚度・・8 総合・・7.5
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MATER DEA「Below the Mists Above the Brambles」
イタリアのゴシックメタルユニット、マター・デアの2009年作
男女二人のユニットということで、スイスのLacrimosaなどを思い出すが、
こちらは女性ヴォーカルの歌声を中心に、クラシカルなシンセワークやヴァイオリンなど
アコースティカルなトラッド感触も含めてしっとりと聴かせる優雅なサウンド。
メタリックなヘヴィさはあまりなく、叙情的な耳心地はいいのだがインパクトはやや足りないか。
メロディアス度・・7 耽美度・・7 女性Vo度・・7 総合・・7.5
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MATER DEA「Satyricon
イタリアのゴシックメタルユニット、マター・デアの2011年作
女性Vo、女性シンセ奏者、女性フィドル奏者を含む6人編成で、
フォーキーな土着性を含んだメロディで聴かせる、ゴシックメタルサウンド。
はかなげな女性ヴォーカルの歌声に艶やかなフィドルの音色が絡み、
ときにプログレッシブな感触も覗かせるなど、ヘヴィさよりも優雅な質感で耳触りがよい。
ドラマティックな部分は薄いのだが、中世トラッド的な雰囲気を感じさせる好作品だ。
ドラマティック度・・7 ゴシック度・・7 女性Vo度・・7 総合・・7.5
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Memoira
フィンランドのゴシックメタル、メモイラの2008年作
ツインギターにシンセを含む6人編成で、美しいシンセアレンジに適度にヘヴィなギター、
はかなげな女性ヴォーカルを乗せた、わりと正統派のフィメール・ゴシックメタル。
ときに男性ヴォーカルも加わってのモダンな感触は、Lacuna Coilなどにも通じる雰囲気がある。
紅一点、Jemina嬢の歌声は美しくてよいのだが、バックの音圧にいくぶん埋もれてしまっているのが残念。
楽曲の方も普通に聴き心地はよく、そこそこ高品質ながらも、これという個性やインパクトは薄いのだな。
ラストの3拍子曲などは、シンフォニックかつ優雅でよい感じなので、この路線でレベルアップしてもらいたい。
シンフォニック度・・7 ゴシック度・・8 女性Vo度・・7 総合・・7.5
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MENTAL HOME
「Upon The Shores of Inner Seas」
ロシアのゴシックメタル、メンタル・ホームの2000年作
美麗なシンセアレンジと、いくぶんメロデス的なギターリフで聴かせるゴシックメタルサウンド。
ヴォーカルはデス声とまではいかないダミ声で、全体的にダークな耽美性に包まれた雰囲気は
ときに北欧ブラックメタル的でもある。随所にギターの奏でる泣きの叙情もよい感じで、
歌詞は英語ながらも、垢抜けない辺境臭さがいくぶんミスティックな神秘性になっている。
むしろ、これで疾走してくれれば、かなり格好いいシンフォ・ブラックになったような気もするし、
煮え切らないヴォーカルや、全8曲で40分弱など、いろいろな部分で惜しい作品である。

シンフォニック度・・7 耽美度・・8 辺境度・・8 総合・・7.5
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MIDNATTSOL「WHERE TWILIGHT DWELLS」
ノルウェー&ドイツのトラッドメタルバンド、ミドナットソルの2005年作
女性Voにベースも女性という6人組。トラッド調のアコースティカルなメロディも入った雰囲気は
WITHIN TEMPTATION + BATTLELOREという感じか。ギターはけっこうヘヴィなので
シンフォニックな雰囲気の良さに反してメタリックな無骨な部分がいま一つ面白くない気もする。
ゆったりとしたパートの美しさはいかにもノルウェーらしく良い感じだし、
ヴァイキングメタル調になるところはかえって新鮮に聴こえたりもする。
ちなみにVoさんはLeaves' Eyesリブ・クリスティン嬢の妹さんらしい。
メロディアス度・・7 トラッ度・・7 女性Vo度・・8 総合・・7.5
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MIDNATTSOLNordlys
ノルウェー&ドイツのゴシックメタルバンド、ミッドナットソルの2nd。2008年作
前作は、いかにも北欧的なメロディを取り入れたなかなか面白いサウンドだったが、
全体的には音や曲の面での粗さも感じられた。今作では、なかなかヘヴィなギターと
シンフォニックなシンセ、そして女性ヴォーカルが重なり、全体的に重厚になった印象。
ときにパワフルに押してくる適度な疾走感もあるので、ありがちな音ながらも
飽きずに楽しめる。女性Voの力量的には並みであるが、作品自体の質は向上した。
メロディアス度・・8 ゴシック度・・8 女性Vo度・・7 総合・・8
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Midnattsol「Metamorphosis Melody」
ノルウェー&ドイツのゴシックメタルバンド、ミッドナットソルの2011年作
やわらかな女性ヴォーカルの歌声と美麗なシンフォニックアレンジ、北欧的な土着感のあるギターフレーズで聴かせるサウンドは、
本作でいっそう叙情的になり、適度なヘヴィさを保ったバランス感とともにクオリティの高い北欧ゴシックメタルが楽しめる。
リブ・クリスティの妹としても知られるカルメン嬢の歌声はずいぶんと表現力を増しファンタジックで幻想的な楽曲を美しく彩っている。
ツインギターのメロディも効果的で先輩のLeaves' Eyesにも負けぬだけの力作である。限定盤DVDには2009年のライブ映像などを収録。
シンフォニック度・・8 ゴシック度・・8 女性Vo度・・8 総合・・8
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MIDNATTSOL 「AFTERMATH」
ノルウェー&ドイツのゴシックメタル、ミッドナットソルの2018年作
7年ぶりとなる4作目で、ヴォーカルのカルメン嬢の姉である、リブ・クリスティンも参加している。
美しい女性ヴォーカルと優美なシンセアレンジを含む、幻想的なゴシックメタルサウンドに、
随所にリズムチェンジを加えたメタリックな勢いとともに、メリハリのある構築力で聴かせる。
サウンド作りがやや軽めなので、ゴシックとしての重厚な音の説得力というものは希薄だが、
スウェーデン民謡を取り上げた土着的なナンバーなどには、涼やかな北欧の空気が感じられ、
むしろこのフォークメタル路線へと舵をきってもよいような気もする。北欧度を増した好作品です。
シンフォニック度・・8 ゴシック度・・7 女性Vo度・・8 総合・・7.5
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MIZANTROPIA 「OBLIVION (Забвение)」
ウクライナのゴシックメタル、ミザントロピアの2015年作
2010年にデビューし2作目となる。女性Vo、女性Drを含む編成で、ツインギターに美しいシンセ、
妖艶な女性ヴォーカルにスクリームが絡む、妖しくもダークなゴシックメタルサウンド。
母国語による美しいソプラノヴォーカルに優美なピアノ、男女のスクリームヴォイスとともに、
東欧らしい翳りを帯びた耽美な空気に包まれる。ときにアグレッシブな激しさも覗かせつつ、
クラシカルなシンセアレンジが優雅に加わって、魅力的な女性声がやわらかに歌い上げる。
シンフォニックな美しさとダークな耽美性で描かれる、母国語女性Voゴシックの逸品です。
ドラマティック度・・8 ゴシック度・・9 耽美度・・9 女性Vo度・・8
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MOONLIGHT「KALPA TARU」「MEREN RE」
ポーランドの女性Voゴシックメタルバンド、ムーンライトの1996/1997年作
1st&2ndをまとめてレビュー。メタル色はそれほど強くなく、耽美的で芸術的なイメージのサウンドで、
雰囲気のある美しい女性ヴォーカルが母国語で歌う様は、異国感があって良いですね。
ここぞと盛り上がるような部分はないのだが、女性Voものとしてゆったりと心地よく聴ける。
1stはアコースティックやプログレ風味もあり、芸術風ゴシックメタルの雰囲気であるが、
2ndではギターがへヴィになり、現代的なデジタリーなアレンジも顔を出しはじめている。
メロディアス度・・7 ポーラン度・・9 女性Vo度・・8 総合・・8
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MOONLIGHT 「INERMIS」
ポーランドのゴシックメタル、ムーンライトの3rd。1999年作
女性ヴォーカルのポーランド語の歌声の妖しい響きと倦怠的な美を含んだ薄暗い叙情は東欧独特の世界観で、
ゆったりとした浮遊感のあるゴシックメタルサウンドを聴かせてくれる。傑作となる次作「FLOE」へと続くような好作品です。
メロディアス度・・8 ポーラン度・・9 女性Vo度・・8 総合・・8

MOONLIGHT「FLOE」
ポーランドの女性Voゴシックメタルバンド、ムーンライトの4th。2000年作
美しい女性ヴォーカル乗せた、浮遊感のある耽美な世界観を描くバンド。
今作ではよりしっとりとした雰囲気を増した、じつに美しいサウンドとなっている。
チェロやヴァイオリンなど、クラシック系のゲストがバックの演奏をより格調高いものにし、
相変わらずポーランド語による歌唱は英語にはない不思議なやわらかさをかもし出す。
バンドとしての最高傑作であり、美と静謐とに彩られた叙情派ゴシックの傑作だ。
メロディアス度・・8 ポーラン度・・9 女性Vo度・・9 総合・・8 ◆メタル名盤特選入り
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MOONLIGHT「KONCERT W TROJCE 1991-2001」
ポーランドの女性Voゴシックメタルバンド、ムーンライトのライブアルバム。2001年作
アンビエントな綺麗な声質の女性Voの歌声をメインにしたシリアス系のサウンドで
ゴシックメタルのおどろおどろしさや暗黒性は希薄。過去のアルバムからまんべんなく選曲された楽曲を
淡々と演奏している。もともと曲において熱情度が高くない印象なので、壮大に盛り上がるような場面はなく
シンフォニックさと静謐さに彩られた芸術肌のバンドであることが改めて分かる。
メロディアス度・・7 シンフォニック度・・8 女性Vo度・・8 総合・・7

MOONLIGHT「YAISHI」
ポーランドの女性声ゴシックメタルバンド、ムーンライトの5th。2001年作
魅力的な女性Voの歌唱に、暗黒度の少ない楽曲。これまでのアンビエント色をそのまま継承しつつ、
メタル的なリフは残されており、デジタルゴシックと化したARTROSISに比べてずっと楽しめる
そしてMAJA嬢の歌声はやはり素晴らしく、ポーランド語の語感とあいまってしっとりと響いてくる。
楽曲にアヴァンギャルド性(プログレ性)が増しているのが、次作にどう反映されるかが気がかり。
メロディアス度・・7 ゴシック度・・8 女性Vo度・・9 総合・・7.5
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MOONLIGHT「candra」
ポーランドの女性Voゴシックメタルバンド、ムーンライトの6th。2002年作
前々作「FLOE」がしっとりとした傑作であったのだが、本作では一聴してモダンなサウンドになったかと思いつつ、
2曲め以降は前作と同路線、独自の薄暗い叙情と浮遊感、そして艶やかな女性ヴォーカルの歌声とともに、
しっとりとした倦怠的な味わいが楽しめる。全体的にはいくぶん地味になったような気もするが。
メロディアス度・・7 ゴシック度・・8 女性Vo度・・8 総合・・7.5
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Moonlight
ポーランドのゴシックメタル、ムーンライトの2003年作
1996年にデビュー、本作は7作目となる。バンド名をタイトルにしているが実質全30分のEPで、
いくぶんデジタルなシンセアレンジに、母国語によるはかなげな女性ヴォーカルの歌声を乗せた、
倦怠の翳りに包まれたサウンドを描く。メタル的な感触はあまりなく、浮遊感のある女性声ロックという点では
The Gatheringなどに通じる雰囲気も覗かせつつ、インダストリアルなアレンジも現れたりと
バンドとしてゴシックメタルからの脱却を計ろうとしていたのか、つかみどころのない作風である。
アヴァンギャルドな空気も感じるが、突き抜けるまでには至らず、ゴシックにも戻れず、もどかしさが残る。
ドラマティック度・・6 ゴシック度・・7 女性Vo度・・7 総合・・7 
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MOONLIGHT「AWAKEN MEMORIES LIVE」
ポーランドのゴシックメタルバンド、ムーンライトのライブDVD。2003年作
2003年のライブ映像を中心に、1996年のライブ、ビデオクリップ等も収録している。
ぽっちゃり系の女性ヴォーカル、Maja嬢の美しい歌唱をメインにしっとりした楽曲が堪能できる。
ギター、キーボード、ドラムと演奏陣はどれも前に出すぎず、曲を演奏することに専念している感じ。
このバンドのサウンドは、アーティスティック……ひと言で言うと「体温低い系」なので、
(とくに最近の作品は通して聴くと、眠くなってくる)、ゴシックメタル中級者以上向けといえる(笑)。
むしろ1996年のライブ映像の方が、バンドとしてまだ若く、(一応)はつらつとしていてノリのよい曲も多く、楽しめる。
(北欧やオランダ勢とはまた違った、静寂と翳りのあるゴシックメタルとしては、東欧独特の色が出ているバンドなのだと思う。
ライブ映像・・7 ライブ演奏・・8 マーヤ嬢・・8 総合・・7.5
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MOONLIGHT 「AUDIO 136」
ポーランドのゴシックメタルバンド、ムーンライトの8th。2004年作
アルバムごとにメタリックな要素を薄くしアンビエントな浮遊感でゆったりと聴かせるサウンドは
本作でいっそう強まり、女性ヴォーカルの美しい歌唱を中心に、後期のThe Gatheringにも通じる趣がある。
インダストリアルなモダン感覚とともに、薄暗い情感を内包させた曲調に重なる
Maja嬢の艶めいた歌声は耳に心地よく、バンドとしてのシェイプされた深化が感じられる。
メロディアス度・・7 ゴシック度・・7 女性Vo度・・8 総合・・7.5
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Moonlight 「Downwords」
ポーランドのゴシックメタルバンド、ムーンライトの9th。2005年作
今やポーランドを代表するゴシックメタルバンドといってもいいだろう。
今作ではデジタリィなアレンジを取り入れたモダンな雰囲気となっているが、
クラシカルなシンセアレンジや、ピアノなども美しく、しっとりと聴かせるMaja嬢の歌声には思わずうっとりとなる。
全体的にはいくぶん物足りなさがあるのだが、むしろその「あと一歩感」がこのバンド持ち味なのかも。
モダン度・・8 ゴシック度・・7 女性Vo度・・8 総合・・7.5
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Moonlight 「Integrated in the System of Guilt」
ポーランドのゴシックメタル、ムーンライトの2006年作
1996年にデビューしてから、本作でちょうど10作目となる。のっけから10分を超える大曲であるが、
延々と続くピアノとノイズのイントロから、すでにアヴァンギャルドな香りが漂ってくる。
適度にインダストリアルなモダンさと、ミステリアスな薄暗さ、ときに唐突な展開も含みながら、
美しい女性ヴォーカルの歌声と男性ヴォーカルが絡む、とらえどころのない作風が面白い。
ダークでプログレッシブ、インダストリアル風味もありながら、ゴシック的なメランコリックな雰囲気も残していて
Maja嬢の歌唱の艶めいた魅力も健在だ。The 3rd and the Mortalを思わせるようなアーティスティックなこの作風は
個人的にはけっこう好みなのだが、さすがに方向性を迷ったのか、本作を最後にバンドの音沙汰が途絶えてしまう。
アヴァンギャル度・・8 ゴシック度・・7 女性Vo度・・8 総合・・7.5 
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Moonlyght「PROGReSsivE DARKNESS」
カナダのゴシック・デスメタルバンド、ムーンライトの2004年作
ポーランドにはMOONLIGHTというバンドがいるが、こちらはIを「Y」に変えている。
メンバーを見るとまだ若そうな5人組みで、基本は男性Voだが女性Voのコーラスも入る。
サウンドはゴシックメタル風だったり、メロデス風に疾走したりやや節操がない感じで、
ケルティックなメロディが出てくるとゴシックというよりはむしろヴァイキングメタル風になる。
ギターの奏でるクサメロがなかなかツボをついてきて、耽美な雰囲気はあまりないがシンフォニックなメロデス風ゴシックとしても楽しめる。
メロディアス度・・8 ゴシック度・・6 ヴァイキング風味度・・8 総合・・7.5
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MOONSPELLWolfheart
ポルトガルのゴシックメタルバンド、ムーンスペルの1st。1995年作
美しいシンセに、メロディアスなギター、そこに乗る絶叫ヴォーカルはまだデス要素を残していて、
緩急のある楽曲構造などは、アートな雰囲気もあってどこかOPETH的でもある。
ゴシック風の耽美な質感も内包しているが、むしろ遅めのシンフォブラックと言う方が正しいか。
曲によって男性、女性を使い分けるコーラスワークや静寂パートでの叙情性など、聴き所も多く、
朗々としたノーマル声とデス声を歌い分けるVoの表現力もなかなかのもの。
この後哀愁のゴシック路線深化してゆく彼らだが、それを予感させるセンスの良さは充分に感じ取れる。
2008年にはライブ音源入りのボーナスDisc付きでリマスター再発されている。
メロディアス度・・8 ゴシック度・・7 荘厳度・・8 総合・・7.5
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MOONSPELL 「Irreligious」
ポルトガルのゴシックメタルバンド、ムーンスペルの2nd。1996年作
ブラックメタル的要素のあった前作から比べると、一聴してマイルドな雰囲気になっている。
ヴォーカルはときおりまだデス声になるが、朗々した声がメインで、
楽曲の方もやや平坦で、前作のような劇的なメリハリが薄れている。
マイルドなゴシックメタルとすればかなり聴き安いだろうが、その分個性は減ったか。
曲によってはモダンなアレンジも取り入れ始めており、後への進化の過程の作品といえる。
2008年にはライブ音源入りのボーナスDisc付きでリマスター再発されている。
メロディアス度・・7 マイルドゴシック度・・8 楽曲・・7 総合・・7.5
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MOONSPELL 「SIN/Pecado」
ポルトガルのゴシックメタルバンド、ムーンスペルの3rd。1997年作
やや過渡期という中庸感があった前作から、ここへきて何かをつかんだかのような
今までにないスケール感が音に漂っている。前作ではやや力みすぎだったヴォーカルも
自然な感じのマイルドな歌声になり、ゆるやかな楽曲に自然に溶け込みはじめている。
元々ギターの弾くメロディにはセンスがあったが、この作品では中近東的な要素も取り入れるなど、
個性的なサウンドを描くことに成功している。それでいて聴きやすさが失われていないのも見事だ。
なんといってもバンドの自信が音に現れているのが大きく、それが説得力となり聴き手を包み込んでくる。
3作目にして独自のゴシックメタルへの解答を出し、バンドとしての最高傑作を作り出した。
メロディアス度・・8 マイルドゴシック度・・8 スケール感・・9 総合・・8
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MOONSPELL「the butterfly effect」
ポルトガルのゴシックメタルバンド、ムーンスペルの4th。1999年作
デスメタル色のあった1stから、しだいにマイルドなゴシックロック化し、
本作ではシンセのアレンジにデジタルな風味が加わったモダンな作風となっている。
とはいってもメタリックなギターのヘヴィさは残っていて、そう軽い感じはしない。
ヴォーカルのマイルドな歌声とともに、曲には不思議な浮遊感もあったりと、
たんなるインダストリアル系ゴシックというには個性的な感性がある。5th以降からは再び重厚なサウンドへと
シフトしてゆくので、本作はいわばバンドとしての過渡期的な実験作であったのかもしれない。
メロディアス度・・7 ゴシック度・・7 重厚度・・7 総合・・7.5
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MOONSPELLDarkness and Hope
ポルトガルのゴシック・デスメタルバンド、ムーンスペルの5th。2001年作
前作までのモダンなゴシックロック路線から、再び重厚なサウンドへ変化。
メタリックなギターリフにうっすらとしたシンセ、ときにデス声をまじえた朗々としたヴォーカルの歌声が響く。
この重さと暗さはゴシックメタルリスナーにとってはむしろ望むところだろう。
初期に比べ音の説得力がついてきて、雰囲気を楽しめるようになった。
ゴシックとしてのメランコリックな倦怠を残しながら、ヘヴィに聴かせる好作だ。
OZZY OZBOURNEの名曲“Mr.Crowley”のカヴァーもなかなかハマっている。
メロディアス度・・7 ゴシック度・・8 重厚度・・8 総合・・8
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MOONSPELLThe Antidote
ポルトガルのゴシック・デスメタルバンド、ムーンスペルの6th。2003年作
前作よりもさらに激しくヘヴィになり、のっけからデス声が炸裂している。
全体的にヘヴィな硬質感が漂い、デス声の使用頻度が増したせいか
前作まであったゴシック的なメランコリックさは薄れた感がある。
ここまで来ると遅めのデスメタルとして聴いた方がよい気もしてくる。
ある意味、傑作となる次作「Memorial」への布石的なアルバムだろう。
メロディアス度・・7 ゴシック度・・7 重厚度・・8 総合・・7.5
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MOONSPELL 「MEMORIAL」
ポルトガルのゴシックメタル バンド、ムーンスペルの7th。2006年作
4th〜6thを飛ばして聴いたので、いきなりデスメタル風味が復活していて驚かされる。
キーボードをバックにヘヴィなリフが刻まれ、そこにデス声ヴォーカルが吠える、
とても重厚なゴシックデスといった感じのサウンドになっています。
4thあたりで聴かれたデジタル風味はまったくなくなり、OPETHあたりを思わせる
展開美と重々しい雰囲気、そして叙情を詰め込んだ濃密な空気で聴かせてくれる。
これはゴシックメタルというよりも、知的な雰囲気ものデスメタルと言った方が正しいか。
ときおり耳を引くギターのメロウなフレーズなども効果的で、シンフォニックなシンセとともに
まるで北欧のバンドのような寒々しい美しさを作りだしている。これは傑作。
メロディアス度・・8 ゴシック度・・7 重厚度・・9 総合・・8
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MOONSPELLLusitanian Metal」
ポルトガルのゴシックメタルバンド、ムーンスペルのライブアルバム。2008年作
1995年にデビューしてから、現在までに8枚のアルバムを発表、本作には
いまや名実共にポルトガルを代表するバンドとなった彼らの2004年のライブ音源を収録。
時期としては、いくぶん方向性に煮詰まりつつある頃なので、ゴシックロック的な聴きやすさを含めて
演奏の安定感はあるものの、バンドとしての勢いはさほど感じられないのが残念か。
ゴシック度・・7 ライブ演奏・・7 楽曲・・7 総合・・7
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MOONSPELL「Night Eternal」
ポルトガルのゴシックデスメタルバンド、ムーンスペルの8th。2008年作
すでにベテランの域にあるこのバンドだが、作品ごとにそのサウンドは深化を続け
前作「MEMORIAL」は<これまでになく重厚に聴かせる傑作となった。
続く本作もまたゴシックデスとしての確かな説得力を感じさせる見事な出来だ。
女性コーラス入りの耽美なイントロから曲が始まると、シンフォニックなシンセと重厚なギターが絡まり、
激しくスクリームするヴォイスとともに、まるでブラックメタルのような暗黒の世界が現れる。
楽曲は暴虐な疾走パートもあり、緩急自在の展開にはOPETHを思わせるセンスを感じさせる。
ゴシックというには激しくヘヴィなので、耽美な暗がりを覗かせるデスメタルとして鑑賞するのもよし。
限定盤はボーナスDVD付きで、2007年のライブ映像やビデオクリップなどが楽しめる。
メロディアス度・・7 ゴシックデス度・・8 暗黒度・・8 総合・・8
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Moonspell 「Alpha Noir」
ポルトガルのゴシック・デスメタルムーンスペルの2012年作
1995年にデビューしてから、ゴシック的な耽美さとデスメタルの重厚さを合わせた作風で
地道に活動を続けてきたこのバンド。9作目となる本作も、前作でのヘヴィな作風を継承し、
デスヴォイスを含んだダークなヘヴィネスと、緩急をつけたアレンジセンスで
知的な耽美デスメタルというようなサウンドを聴かせてくれる。楽曲自体は3〜4分台だが、
激しさの中にもメランコリックな叙情パートなどを含ませた構築力が光る力作に仕上がっている。
ドラマティック度・・8 暗黒度・・8 アレンジセンス・・8 総合・・8
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Moonspell 「Extinct」
ポルトガルのゴシックデスメタル、ムーンスペルの2015年作
1995年デビューのベテラン、本作は10作目のアルバムとなる。メランコリックな空気をまとわせた
重厚なゴシックメタルサウンドを基本に、本作では壮麗な美しさといくぶんモダンな感触を強めてきた。
マイルドな低音ヴォーカルと随所にデスヴォイスを乗せ、適度に激しい展開も含んだメリハリのある楽曲は、
ベテランらしいどっしりとした聴き心地で、堂々たる説得力に包まれていて、シンフォニックな音の厚みの中で、
ときにメロディックなフレーズも聴かせるギターワークもさすがの存在感だ。比較的アップテンポの部分が多いので、
ゴシックメタルとシンフォニック・デスの中間という感じなのだが、これまで以上にメロディのフックが強まったことで、
初心者にも楽しめる分かりやすいナンバーが多い。メランコリックかつ耽美でシンフォニックな力作である。
ドラマティック度・・8 ゴシック度・・7 重厚度・・8 総合・・8
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Moonspell 「1755」
ポルトガルのゴシックメタル、ムーンスペルの2017年作
1995年にデビュー、5th以降はより重厚なサウンドへと深化しながら、レベルの高い作品を作り続けている。
本作は11作目で、1755年のリスボン地震の悲劇をテーマにした作品で、オーケストラルなアレンジに、
ポルトガル語によるダミ声ヴォーカルを乗せ、重厚でシンフォニックなゴシック・デスメタルを描き出す。
ときに、ORPHANED LANDにも通じるようなアラビックな旋律も含んだ異国的な空気感も漂わせ、
シリアスな迫力に包まれた荘厳な世界観が味わえる。メランコリックで耽美な要素はやや希薄ながら、
その分、壮麗なスケール感とともに土着感を強めた、シンフォニック・ゴシック・デスの強力作です。
シンフォニック度・・8 ゴシック度・・7 重厚度・・8 総合・・8 
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MOONSPELL「HERMITAGE」
ポルトガルのゴシックメタル、ムーンスペルの2021年作
1994年デビューのベテランで、本作は通算13作目となる。ほどよくヘヴィなギターリフに、
マイルドなヴォーカルを乗せ、随所にデスヴォイスも加わった、ダークで翳りを帯びたサウンド。
うっすらとしたシンセアレンジにウェットな泣きのギターフレーズが、幻想的な世界観を描いていて、
物悲しい叙情という点では前作以上に楽しめる。メランコリックな美学を感じさせる作風で、
シンフォニックなシンセがメロウなギターを包み込む、優美なナンバーなども耳心地が良く、
重厚でアグレッシブだった前作に比べてインパクトは薄いものの、個人的にはこの路線が好み。
英国のPARADISE LOST、MY DYING BRIDEに並ぶ、王道のゴシックメタルが味わえる好作だ。
ドラマティック度・8 メランコリック度・8 ダークな叙情度・8 総合・8 
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MORGION
カルフォルニア出身のゴシック・ドゥームバンド、モージオンの1997年の1stと、1999年の2nd、2枚組。
サウンドはゆったりとしたドゥーミーな暗さを前にだし、沈み込むようなギターリフに咆哮するデス声、
うっすらとしたシンセなどは、初期のMY DYING BRIDEあたりを想起させる。
曲がスローな上に10分以上の曲もあって、この手のサウンドが苦手な向きは退屈必至か。
個人的には嫌いな雰囲気ではないが、もう少しメロディなり聴きどころなりがないとさすがにつらい。
このアトモスフェリックなぼやけた質感をむしろ好むリスナーもいるだろうが。
2ndになると、曲にやや展開がついてきて、もう少し聴きやすくなる。なんにしても、
西海岸の溢れる太陽のもとで、このような音楽をやっていたバンドがいたとはそれだけで驚きである。
メロディアス度・・7 ゴシック度・・8 暗鬱ドゥーム度・・9 総合・・7
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MORNING「Hour of Joy」
オランダの女性Voゴシックメタルバンド、モーニングのアルバム。2005年作
THE GATHERINGの成功以降、オランダでは女性Voをフロントにしたバンドが増えたが
実力的に成功しているのはWITHIN TEMPTATIONAFTER FOREVEREPICAの3つだろう。
鍵となるのは、楽曲の質と女性Voの魅力だと思うが、このバンドもキーボード入りで
サスキア嬢の歌もそれなりに頑張ってはいるが、どうもにもまだ説得力不足なのは否めない。
曲アレンジの垢抜けなさもあってか、聴かせどころがはっきりしていないのももどかしい。
メンバーはみな若そうだし、新鋭のフィメールゴシックバンドとして今後に期待したい。
メロディアス度・・7 ゴシック度・・7 女性Vo度・・7 総合・・7
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MORTAL LOVE「ALL THE BEAUTY...」
ノルウェーのゴシックメタルバンド、モータル・ラブの1st。2002年作
適度にヘヴィなギターと美しいシンセアレンジ、そしてキュートな女性ヴォーカルの歌声で聴かせるサウンドは、
かつてのTHE GATHERINGなどを思わせるメランコリックな浮遊感を漂わせていて、なかなか耳心地がよい。
CAT嬢の声質はギャザリングのアネク嬢よりはずっと「可愛い系」で、萌え度の点ではこちらが好きな方も多いかと。
ゴシック的なダークさは薄めで、むしろしっとりとしたアンビエント色も感じられる。キュート系ゴシックの好作品。
シンフォニック度・・7 ゴシック度・・8 女性Vo度・・8 総合・・7.5
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MORTAL LOVE「I HAVE LOST......」
ノルウェーの女性Voゴシックメタル、モータル・ラブの2nd。2005年作
メタリックなギターにピアノを含むシンフォニックなシンセを重ね、キュートな女性ヴォーカルとともに、
ほどよくモダンなゴシックメタルを聴かせる。CAT嬢の歌唱は3年の歳月を経てうっすらと色香漂う表現力を備え、
フィメールゴシック好きならジャケのイメージもあいまって萌えますな。バックの演奏も重厚さが増していて、
ほどよいヘヴィネスとアンビエントな静謐パートとのメリハリがついている。全体的には派手さよりも
アンニュイな倦怠の翳りに包まれていて、煮え切らないところがむしり魅力なのかもしれない。
シンフォニック度・・8 ゴシック度・・8 女性Vo度・・8 総合・・7.5
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MORTAL LOVEForever Will Be Gone
ノルウェーのゴシックメタル、モータル・ラブの3rd。2006年作
女性Vo、CAT嬢のキュートな歌声をメインに、しっとりと聴かせるサウンドは前作から変わらないが、
今回はよりキャッチーな聴き心地が増していて、ゆったりとした浮遊感とメロディアスな感触が絶妙に融合。
シンセによるシンフォニックなアレンジとともに、美麗なゴシックロックともいうべき耳心地で楽しめる。
ゴシック的な耽美さはやや薄れたが、より一般のリスナーにもアピールできる内容だろう。
メロディアス度・・8 ゴシック度・・7 女性Vo度・・8 総合・・7.5
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MOURNING BELOVETH 「Murderous Circus」
アイルランドのゴシック・ドゥームメタル、モーニング・ベロヴェスの2005年作
ツインギーの重厚なリフにデスヴォイスを乗せて、ダークでフューネラルな世界観を描く
初期My Dying Brideなどにも通じるサウンド。随所に叙情的なフレーズも覗かせつつ、
楽曲は10分を超える大曲ばかりで、20分近いナンバーもあったりと、ボーナスDiscを入れると2時間超は、
正直なところ長尺すぎるのだが、あくまでオールドスタイルのフュネラル・ドゥームを貫くサウンドはなかなか潔い。
もう少し扇情的なギターフレーズを増やしたりすれば、ドラマティックな世界観が強まるのだろうが、
このほどほどの愛想の悪さこそが硬派なドゥーム感なのかもしれない。中庸の力作というべきか。
ドラマティック度・・7 ゴシック度・・7 フューネラル度・・8 総合・・7.5
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Mourning Beloveth 「Disease for the Ages」
アイルランドのゴシック・ドゥームメタル、モーニング・ベロヴェスの2008年作
重厚なギターリフに迫力あるデスヴォイスを乗せた、フューネラルなゴシック・ドゥームメタル。
楽曲はほとんどが10分以上で、ゆったりとしたスローテンポで展開はさほどないのだが、
随所ツインギターのメランコリックなフレーズを含んだ湿り気のある叙情も覗かせながら、
どっぷりと暗黒の世界観を描いてゆく。これという新鮮味はないものの、音の説得力含めて、
マイダイイングな本格派のゴシック・ドゥームメタルが楽しめる力作に仕上がっている。
ドラマティック度・・7 暗黒度・・8 重厚度・・8 総合・・8
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MOURNING BELOVETH 「Rust & Bone」
アイルランドのゴシック・ドゥームメタル、モーニング・ベロヴェスの2015年作
90年代デビューというキャリアのあるバンドで、のっけから16分という大曲。重厚なギターにデスヴォイスを乗せた
フューネラルなゴシックドゥームメタルで、沈み込むような闇をまとったそのサウンドは、10年前の作品に比べると
ぐっと深みと説得力が増していて、Shape of DespairAHABにも通じる、重さと暗黒性、迫力ある聴き心地は、
この手の好きなディープなリスナーにも対応。ゆったりとスローテンポでリフレインされるリフを主体にしつつ、
ときにデスメタル的に激しく疾走するパートも現れたりと、緩急をつけた展開も含めて聴き手を圧倒する
ブラッケンなパワーと禍々しさを感じさせる一方では、随所に朗々としたノーマルヴォイスや、適度に叙情的なフレーズで、
全体的に重々しすぎないところもさすがキャリアのあるバンドの余裕だろう。全37分と短めであるが見事な作品だ。
ドラマティック度・・8 暗黒度・・8 フューネラル度・・8 総合・・8
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The Murder of my Sweet「Divanity」
スウェーデンのゴシックメタルバンド、ザ・マーダー・オヴ・マイ・スウィートの2010年作
MIND'S EYE、EVIL MASQUARADEなどで活躍したドラマー、ダニエル・フローレンスに
THERIONやTIAMATで活躍したヨハン・ニエマン、WUTHERING HEIGHTSに在籍していたシンセ奏者らに、
もともとメタルとは縁のなかった女性シンガー、アンジェリカ・ライリンというラインナップで結成。
サウンドの方はひと言でいうなら“モダンなゴシックメタル”であるが、アメリカのサスペンス映画から
インスパイアされたというバンド名が示すように、映画的なドラマ性をコンセプトに挙げていて、
なるほど美しいシンセワークや、アンジェリカ嬢の情感豊かな歌唱などで、その世界観を構築している。
ヘヴィロック的なモダンさと北欧的な翳りある叙情、そして美しい女性Voの歌唱で聴かせる力作だ。
シンフォニック度・・8 ゴシック度・・7 女性Vo度・・8 総合・・8
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The Murder Of My Sweet「Bye Bye Lullaby
スウェーデンのゴシックメタル、ザ・マーダー・オヴ・マイ・スウィートの2012年作
サスペンス映画的なドラマ性をメタルに融合させた、シネマティックメタルを標榜するこのバンド、
適度にモダンなヘヴィさとゴシック的な耽美性も有したサウンドは、本作でも同路線。
紅一点、アンジェリカ嬢の歌声は、艶めいた美しさとけだるげな女優めいた表現力で、
バックのシンフォニックなアレンジとともにドラマ性のあるサウンドを構築してゆく。
メロディアスなフックも多く、ウィズインやエヴァにも負けないクオリティの好作品だ。
メロディック度・・8 ゴシック度・・7 女性Vo度・・8 総合・・8
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The Murder Of My Sweet 「Beth Out Of Hell」
スウェーデンのモダンゴシックメタル、マーダー・オヴ・マイ・スウィートの2015年作
サスペンス映画的なドラマ性を融合させた、「シネマティックメタル」を標榜するこのバンド、
3作目となる本作も、シンフォニックなアレンジとモダンなヘヴィネスを含んだ楽曲に、
表現豊かな女性ヴォーカルの歌声を乗せたスタイルで、キャッチーな聴き心地と
シアトリカルなドラマ性を含んだサウンドを描いてゆく。ゴシック的な雰囲気というのは薄く、
むしろ最近のウィズインにも通じる明快なメロディック路線なので、多くのリスナーが楽しめるだろう。
紅一点、アンジェリカ嬢の堂々とした歌唱もじつに素晴らしい。ラストの11分の大曲も圧巻の力作です。
ドラマティック度・・8 ゴシック度・・7 女性Vo度・・8 総合・・8
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The Murder of My Sweet 「Echoes of the Aftermath」
スウェーデンのゴシックメタル、マーダー・オヴ・マイ・スウィートの2017年作
2010年にデビューしてから本作で4作目となる。きらびやかなアレンジと、適度にモダンなヘヴィさに、
伸びやかな女性ヴォーカルを乗せた、シンフォニックなゴシックメタルサウンドはすでに安定の高品質。
従来のようなシネマティックなドラマ性を感じさせる作風に、キャッチーなメロディのフックも魅力的で、
楽曲の質とサウンドの説得力という点では、Within TemptationDelainなどにも十分比肩できる。
ゴシック的な耽美さよりも壮麗なシンフォニック性が前に出た作風で、全体的には新鮮味はないが、
どの曲もアレンジのレベルは高く、アンジェリカ嬢の表現豊かな歌声とともに最後まで安心して楽しめる。
シンフォニック度・・8 ゴシック度・・7 女性Vo度・・8 総合・・8 
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The Murder Of My Sweet 「Brave Tin World」
スウェーデンのシンフォニック・ゴシックメタル、マーダー・オブ・マイ・スイートの2019年作
2010年にデビュー、本作が5作目となる。シンフォニックなアレンジとほどよくヘヴィなギター、
そして美しい女性ヴォーカルを乗せた、WITHIN TEMPTATIONなどにも通じる優美なサウンド。
キャッチーなメロディはゴシックというよりは、シンフォニックなメロディアスハードという感触ながら、
アンジェリカ嬢の伸びやかなヴォーカルはますます魅力的で、楽曲を艶やかに彩っている。
新鮮味はないのだが、どのナンバーも美しい歌声を活かしたシンプルな明快さで、高品質な聴き心地。
もはやゴシックメタルとは言えないが、安定のフィメール・シンフォニックメタル作品ですな。
シンフォニック度・・8 キャッチー度・・8 女性Vo度・・8 総合・・8 
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My Black Light「Human Maze」
イタリアのゴシックメタル、マイ・ブラック・ライトの2011年作
うっすらとしたシンセアレンジと、モダンなヘヴィさのギターに美しい
女性ヴォーカルの歌声と
男性デスヴォイスも含んだサウンドは、一聴してLACUNA COILあたりに通じる感触。
ゴシック的な耽美さよりはモダンなヘヴィロック風味が強く、ときにアグレッシブなメタルコア的な要素もある。
マティア・バザールのカヴァーなどはいい感じだが、全体的にはメロディや楽曲の出来はまだまだ物足りない。
メロディック度・・7 ゴシック度・・7 女性Vo度・・7 総合・・7
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MY DYING BRIDEThe Angel and the Dark River
イギリスのゴシックメタルバンド、マイ・ダイイング・ブライドの3rd。1995年作
明快なリズムセクションとヘヴィなギターリフ、そしてシンセによるメランコリックなメロディが合わさり
耽美な雰囲気が確立された傑作。いくぶん難解だった2nd「Turn Loose the Swans」よりも分かりやすく、
美しくも重厚なゴシックサウンドを堪能できる。ヴォーカルがデス声ではなくノーマル声メインなのも聴きやすい。
メロディアス度・・7 ゴシック度・・8 メランコリック度・・8 総合・・8
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MY DYING BRIDE「Like Gods of the Sun」
イギリスのゴシックメタルバンド、マイ・ダイイング・ブライドの4th。1996年作
基本路線は変わらず倦怠系ゴシックの王道サウンドだが、デス声は完全になくなり、
ノーマル声のヴォーカル主体で、全体的な音の迫力は薄くなった感がある。
ギターリフに絡むシンセや、何曲かで聴けるヴァイオリンの音色は相変わらず美しいが
前作と比べるとやはり完成度の点ではやや聴き劣りがしてしまう。
メロディアス度・・7 ゴシック度・・8 メランコリック度・・7 総合・・7.5
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MY DYING BRIDEThe Dreadful Hours
イギリスのゴシックメタルバンド、マイ ダイイング ブライドの7th。2001年作
本作は一聴したところ、メタリックな重厚さが復活していて、ヴォーカルもデス声で歌っている。
ほとんどの曲が6〜10分もあり(ラスト曲にいたっては14分)、なかなかに気合が入っているが、
初期にあった英国ゴシック独特の耽美な翳りまでは音に感じられないのが残念。
リフの反復がダラダラと続き、ドラマティックな盛り上がりもないので、聴き通すのはややつらい。
メロディアス度・・7 ゴシック度・・8 楽曲・・7 総合・・7
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My Dying Bride 「Songs of Darkness Words of Light」
イギリスのゴシックメタル、マイ・ダイイング・ブライドの2004年作
8作目となる本作も、重厚なギターに迫力あるデスヴォイスにノーマル声をまじえつつ、
ドゥーミィに聴かせる作風で、随所にシンセやオーケストラルなアレンジも加わった
本格派のゴシックメタルが楽しめる。7〜8分という長めの楽曲を主体に、
どっしりとした荘厳な迫力と、英国らしい耽美な空気感に包まれた味わいで、
適度な展開力やアンビエント寄りのパートなど、全体的にも飽きさせない力作である。
ドラマティック度・・8 ゴシック度・・8 重厚度・・8 総合・・8
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My Dying Bride 「Line Of Deathless Kings」
イギリスのゴシックメタル、マイ・ダイイング・ブライドの2006年作
本作は9作目で、ツインギターのヘヴィなリフに、わりとジェントルなノーマルヴォイスを乗せ、
モノトーンの寒々しい重厚さとウェットな翳りが同居した、ダークなゴシックメタルを聴かせる。
これといって新鮮味はないのだが、ベテランらしい音の説得力が重さをともなった迫力となっていて、
ドゥーミィかつメランコリックなサウンドの中で、随所にギターフレーズが物悲しい叙情をかもしだす。
スラッシュメタルばりのラストまで、甘すぎない硬派な味わいで、これぞゴシックメタルという好作品である。
ドラマティック度・・8 ゴシック度・・8 重厚度・・8 総合・・7.5
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My Dying BrideFor Lies I Sire」
英国のベテランゴシックメタルバンド、マイ・ダイイング・ブライドの2009年作
1992年にデビューしてから、おそらく10作目となるアルバムで、今作からシンセ兼ヴァイオリン奏者が加わり、
艶やかなヴァイオリンの音色とともに初期にあった耽美で重厚な世界観が甦ってきている。
絡みつくようなドゥーミィなギターリフと、物憂げな男性ヴォーカルの歌声が頽廃的なサウンドを描き出し、
楽曲としての展開力も飽きずに聴かせるだけのメリハリがあって、コアなファン以外でも楽しめる出来だと思う。
初期の最高傑作は3rdThe Angel and the Dark Riverであると思うが、近年の作品の中ではバランスのとれた傑作です。
ドラマティック度・・8 ゴシック度・・8 耽美度・・8 総合・・8
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My Dying BrideEvinta
イギリスのゴシックメタルバンド、マイ・ダイイング・ブライドの2011年作
デビュー20周年を記念して、過去曲をシンフォニックアレンジで新録したCD2枚組で、
艶やかなストリングの音色にソプラノ女性ヴォーカルの歌声で始まり、男性声の語りが加わって
耽美で壮麗な世界が広がってゆく。メタル色の薄いクラシカル楽曲はゴシックアンビエントとして
うっとりと鑑賞できる。2CDで全9曲ながらどれもが10分前後なので、気の短い方には向かないが。
クラシカル度・・8 耽美度・・9 メタル度・・1 総合・・8
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MY DYNIG BRIDE「A Map of All Our Failures」
イギリスのゴシックメタルバンド、マイ・ダイイング・ブライドの2012年作
1992年にデビューしてからPARADISE LOSTなどとともに、英国ゴシックメタルの代表として活動を続け、
オリジナルアルバムとしては本作が11作め。重厚なギターリフとともにドゥーミィに聴かせつつ、
1曲めにはデスメタル的な激しさも加わったりと、むしろこれまで以上にヘヴィな感触である。
一方ではダークな叙情性を含ませたゆるやかな聴き心地は初期から不変の世界観であり、
マイルドなノーマルヴォイスに絡むメロウなギターの旋律に、耽美なもの悲しさをたたえたヴァイオリンも美しい。
新鮮味やインパクトの点ではむしろ地味にも思えるが、7〜8分台の長めの曲を中心にした力作に仕上がっている。
メランコリック系という点ではKATATONIAなどとともに、今後も変わらぬ精神で活動していってもらいたい。
ドラマティック度・・8 ゴシック度・・7 ドゥーム度・・8 総合・・8
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My Dying Bride 「Feel the Misery」
イギリスのゴシックメタル、マイ・ダイイング・ブライドの2015年作
1992年にデビュー、PARADISE LOSTとともに英国ゴシックメタルを代表するバンドの12作目となる。
適度にデスメタル色も含んだダークなドゥームゴシックは本作も健在で、重厚なギターリフに
マイルドな男性ヴォーカル、そして随所に鳴り響く物悲しいヴァイオリンの音色もよいですね。
9分、10分という大曲を、音の説得力と世界観の強度で聴かせるのはさすがキャリアのあるバンド。
甘すぎない叙情性をダークでメランコリックな空気感で包み込んだサウンドにじっくりと浸れる。
クラシカルなピアノの旋律に咆哮するデスヴォイスが乗る様は、威厳ある迫力と美意識を感じさせる。
本物のゴシックメタルの重さと耽美な湿り気を有した、じつに見事なアルバムである。
ドラマティック度・・8 ゴシック度・・8 重厚度・・8 総合・・8
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My Dying Bride「The Ghost of Orion」
イギリスのゴシック・ドゥームメタル、マイ・ダイイング・ブライドの2020年作
1992年にデビュー、PARADISE LOSTとともに英国ゴシックメタルを代表するバンドで、本作は13作目となる。
ウェットな叙情を含んだギターにマイルドなヴォーカルを乗せた、耽美な倦怠に包まれた世界観と
咆哮するデスヴォイスを加えた、ダークで重厚なゴシック・ドゥームサウンドは本作も健在。
メロウなギターにヴァイオリやチェロの物悲しい音色を重ねたメランコリックな叙情性も覗かせて、
女性ヴォーカルによる優美なナンバーや、アンビエントな小曲などもアクセントになっている。
10分を超える大曲も、重厚な迫力と耽美なドラマ性でじっくりと聴かせる。さすがベテランという強力作。
ドラマティック度・・8 メランコリック度・・9 重厚度・・8 総合・・8
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MYRIADS「INTROSPECTION」
ノルウェーの男女Voゴシックメタルバンド、ミリアドスの1st。2002年作
キーボード入りでデス声+女性ソプラノという定番形態のゴシックメタルで、曲にもとくに目新しい部分はない。
音のクオリティはそれなりに高く一聴したかぎりだと心地よい品質なのだが、全9曲74分は長すぎる。
曲に特徴やメリハリを増やさないとこの長さはもたない。全体として及第点だが、あとは曲を煮詰めて濃くしてください。
メロディアス度・・7 ゴシック度・・7 女性Vo度・・7 総合・・7

My Silent Wake 「A Garland of Tears」
イギリスのゴシック・ドゥームメタル、マイ・サイレント・ウェイクの2008年作
SEVENTH ANGELのヴォーカル、イアン・アークレイ擁するハンドで、2006年にデビュー、本作は3作目。
のっけから11分という大曲で、重厚なギターに低音デスヴォイスとマイルドなノーマル声を乗せ、
My Dying Brideなどにも通じるダークなゴシック・ドゥームを聴かせる。ツインギターの絡みは、
随所にウェットな叙情を覗かせつつ、リフにはオールドなダークメタルとしての味わいもあって、
かつてのSEVENTH ANGELを思わせる部分もある。一方ではアコースティックギターにリコーダーを乗せた
優美なインストナンバーなどもあって、重厚にしてメランコリックな世界観に包まれた強力作だ。
ドラマティック度・・7 重厚度・・8 ダーク度・・8 総合・・8
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My Silent Wake 「There Was Death」
イギリスのゴシック・ドゥームメタル、マイ・サイレント・ウェイクの2018年作
ツインギターにうっすらとしたシンセを重ね、デスヴォイスを乗せた重厚なフューネラルドゥームに
オールドメタルのウェットな空気をまとわせたサウンド。リズムチェンジを含むデスメタル的な感触や、
ツインギターの叙情的なフレーズも覗かせつつ、10分を超える大曲をじっくりと構築してゆく。
包み込むようなシンセアレンジも楽曲を耽美に彩っていて、イアン・アークレイの迫力ある歌声とともに、
初期のPARADISE LOSTにも通じる、重厚なゴシック・デスメタルとしても楽しめる。
ドラマティック度・・8 重厚度・・8 ダーク度・・8 総合・・8
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My Sixth Shadow「Love-Fading Innocence」
イタリアのゴシックメタルバンド、マイ・シックス・シャドウの2005年作
ジャケだけ見ると女性Voのゴシックに思えるが、実際はヤサ男系のゴシックメタルで、
どちらかというとHIMENTWINEなどのフィンランド系のゴシックロックに近いサウンド。
ヘヴィすぎないギターに、うっすらとしたシンセ、キャッチーなヴォーカルメロディで
マイルドに聴かせる耳心地のよい音だ。個性という点では薄いものの、質はそれなりに高い。
メロディアス度・・8 ゴシックロック度・・8 新鮮度・・7 総合・・7.5
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NAIO SSAION「OUT LOUD」
スロベニアのゴシックロックバンド、ナイオ・サイオンの2006年作
EVANESCENCEを思わせるヘヴィロックがかったゴシックロックで、女性ヴォーカルの歌声に、
ヘヴィなギターリフ、ややエレクトロ色のあるリズムにヴァイオリンが絡むサウンド。
新人にしては、堂々とした歌唱はなかなかのもので、全体的にエヴァ度がかなり高く、
ゴシックメタルとしては情感、情緒が足りないが、楽曲、演奏ともにしっかりしていて安心して聴ける。
今後はもっとヴァイオリンのメロディを活かす工夫など、彼らならではの個性が欲しい。
メロディアス度・・7 ゴシック度・・7 エヴァネッセン度・・8 総合・・7.5
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Nangilima 「The Dark Matter」
ブルガリアとスペインの混成メンバーによるゴシック・デスメタル、ナンギリマの2014年作
重厚なギターにシンセを重ね、低音デスヴォイスを乗せた、ドゥーミィな世界観に包まれた作風。
AHABなどにも通じるフューネラルな暗黒性と、叙情的なギターフレーズに美しいシンセによる、
ゴシックデス的な耽美な雰囲気も同居していて、ダークでありながらも幻想的な聴き心地。
どっしりとしたドゥームデスメタルであるが、スローテンポ過ぎないので、8分、9分という大曲も、
さほど長尺感はなく、迫力あるサウンドをじっくりと構築する。随所に美麗なシンセワークも際立っていて、
デス寄りのゴシックメタルとしても楽しめるかもしれない。重厚にして耽美な味わいの力作だ。
ドラマティック度・・7 重厚度・・8 耽美度・・8 総合・・8
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NEMESEAIn Control」
オランダのゴシックメタルバンド、ネメシーの2007年作
美しい女性ヴォーカルの歌声を中心に、美麗さといくぶんのモダンさで聴かせるサウンドは、
女性Voの声質も含めて、やはりWITHIN TEMPTATIONな雰囲気もある。
ヘヴィさは抑え目で、しっとりとした美しさもあって、全体的に聴き心地はいいが、
これだというインパクトや個性の点では物足りなさもある。10曲35分弱もちょっと短い。
シンフォニック度・・7 ゴシック度・・7 女性Vo度・・8 総合・・7.5
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Nemesea 「Pure: Live @ P3」
オランダのゴシックメタル、ネメシーのライブ。2009年作
オランダでの2009年のライブを収録、2作目「In Control」からのナンバーを主体にした全17曲で、
ほどよくヘヴィなギターにデジタルなシンセを重ね、紅一点、MANDA嬢の伸びやかなヴォーカルとともに、
キャッチーなゴシックロックを聴かせる。リズム面でのアンサンブルはアルバム以上の躍動感があり、
爽快感のあるメロディのフックとともに、ときに優美な女性声ハードロックとしても楽しめる。
ゴシックとしてのメランコリックな雰囲気は薄いので、良くも悪くもわりとさらっと聴けるサウンドです。
ライブ演奏・8 ゴシック度・7 女性Vo度・8 総合・7.5 
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NEMESEAQuiet Resistance
オランダのゴシックメタル、ネメシーの2011年作
2004年にデビューしてからこれが3作目となる。デジタル色もあるモダンなシンセアレンジに、
表現力ある女性ヴォーカルの歌声で聴かせる、ゴシック風味のロックサウンド。
3、4分台の楽曲はシンプルであるが、フックのあるキャッチーなメロディには
メジャーなポップフィーリングがあって、大衆受けしそうな堂々たる雰囲気だ。
曲によってはWITHIN TEMPTATIONばりの質感で、ゴシメタ好きにも楽しめる。
EVANESCENCELACUNA COILが好きならばチェックして損はないだろう。
メロディアス度・・8 ゴシックロック度・・8 女性Vo度・・8 総合・・8
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Nemesea 「Uprise」
オランダのシンフォニック・ゴシックメタル、ネメシーの2016年作
2004年にデビュー、本作はすでに4作目となる。前作のモダンでキャッチーな作風を踏襲したサウンドで、
マンダ嬢の伸びやかなヴォーカルを乗せ、適度にシンフォニックかつゴシック的な叙情性も含んでいる。
楽曲はすべて3〜4分前後とコンパクトにまとめられていて、壮大さよりもシンプルなメロディアス性に包まれていて、
ゴシックメタル云々ではなく、フィメールロックのリスナーに広くアピールするだろう聴き心地である。
メロディのフックも魅力的で、やはり同郷のWITHIN TEMPTATIONを思わせる部分も多々あって、
クオリティ的にもずいぶん接近してきたという印象だ。モダンなアレンジもこのバンドにはむしろ似合っている。
ほとんど、ゴシックという言葉は必要ないほどの、キャッチーなシンフォニックメタルの好作品である。
シンフォニック度・・8 ゴシック度・・7 女性Vo度・・8 総合・・8 
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Nemesea 「White Flag」
オランダのゴシックメタル、ネメシーの2019年作
2004年にデビュー、本作は5作目となる。本作から女性シンガーが交替していて、おやと思ったが、
モダンなシンセアレンジに、ほどよいヘヴィネスとメロディアスで優雅な感触が同居した、
ゴシックロック・サウンドは健在。全体的にもキャッチーなメジャー感を描くようなナンバーが多く、
新加入のサンネ嬢の歌声は伸びやかで、ストレートな表現力がサウンドによくマッチしている。
楽曲は3〜4分前後と、わりとシンプルであるが、メロディのフックが明快で総じて聴きやすく、
デジタルなアレンジからしっとりとしたバラードまで優美な味わいで楽しめる。高品質な女性声メタルです。
メロディック度・・8 ゴシック度・・7 女性Vo度・・8 総合・・8 
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ne NASTY「...Sny Zhestoki」
ロシアのゴシックメタルバンド、ネ・ナスティの2005年作
詳細は不明だが、男女2人のユニットらしく、サウンドはほとんど打ち込み。
シンフォニックなシンセをバックに美声の女性ヴォーカルがやわらかな歌声を聴かせる。
耽美かつ壮麗な雰囲気に母国語による歌唱も辺境チックでなかなか魅力的だが、
やはり打ち込みによるリズムの薄っぺらさがいかにも残念。ラストは12分の大曲だがやや単長か。
シンフォニック度・・7 ゴシック度・・7 女性Vo度・・8 総合・・7

ne NASTY「Kogda Uhodyat Teni」
ロシアのゴシックメタルバンド、ネ・ナスティの2006年作
前作同様、男女二人のユニットで、打ち込みリズムによるデジタルな質感に
艶めいた女性ヴォーカルの母国語の歌声と、ギターとシンセの重ねで重厚なサウンドを聴かせる。
前作よりもシンフォニックな厚みが出てきており、サウンドの説得力が増した。
色気のある女性声もなかなかいい感じだが、エレゴシック的なピコピコ感が好みを分けそう。
今作もラストは13分の大曲で、今度はなかなか壮麗な仕上がりだ。
シンフォニック度・・7 ゴシック度・・8 女性Vo度・・8 総合・・7.5


NOEKK 「The Water Sprite」
トイツのフォーク・ゴシックメタル、ノエックの2005年作
EMPYRIUMのメンバーによるバンドで、メロトロンが美しく鳴り響き、適度にヘヴィなギターと
ジェントルでマイルドなヴォーカルを乗せた、耽美で叙情的なゴシックメタルを聴かせる。
ムーグやオルガンの音色を含んだシンセはプログレ的で、リズムチェンジを含む知的な展開力も
むしろプログレリスナー向けのサウンドである。一方ではフォーキーで素朴な味わいは、
かつてのエンピリウムを思わせる。ラストは10分を超える大曲で、緩急ある構築性と、
メロトロン鳴り響く叙情性に包まれた、プログレッシブなゴシック・フォークが味わえる。
ドラマティック度・・8 プログレなセンス度・・8 叙情度・・8 総合・・8
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NOEKK 「Grimalkin」
ノエックの2006年作
2作目となる本作は、11分、10分、20分という大曲3曲という構成で、物悲しいイントロから
オルガンにメロトロンが鳴り響くヴィンテージな感触と、適度にヘヴなギターが重なり
ジェントルなヴォーカルを乗せた、プログレッシブなゴシックメタルサウンドを展開。
優雅なチェンバロにクラシカルなピアノの音色や、アコースティックなパートも含んだ
メリハリのある構築力は、まさに「ゴシックなプログレ」というべき聴き心地だ。
後半の20分の大曲は、ドゥーミィなゴシックメタル要素と、薄暗系プログレ的でもある
メロトロン入りのメランコリックな叙情がほどよく混じっていて、じっくりと楽しめる。
ドラマティック度・・8 プログレなセンス度・・8 叙情度・・8 総合・・8
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NOEKK 「The Minstrels Curse」
ドツイのプログレッシブ・ゴシックメタル、ノエックの2008年作
3作目となる本作は、のっけからこれまでになくメタリックなギターリフを乗せたヘヴィなノリで、
オルガンを含むシンセに朗々とした歌声を乗せた、エピック・ドゥーム的な聴き心地。
今作は、フォーキーな部分が薄まった分、メタル感が増している印象ではあるが、
リズムチェンジを含む知的な展開力で、ドラマティックな味わいはさすがというところ。
ラストは14分の大曲で、アグレッシブなパートを含む激しさも覗かせつつ、緩急のある展開に
メロトロンを含むシンセアレンジとともに重厚なサウンドを聴かせる。
ドラマティック度・・8 プログレなセンス度・・7 叙情度・・8 総合・・8
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NORHOD 「Blazing Lily」
イタリアのシンフォニック・ゴシックメタル、ノーオッドの2013年作
男女Voにシンセを含む7人編成で、壮麗なイントロから、ヘヴィなギターにオーケストラルなアレンジを重ね、
美しい女性ヴォーカルの歌声にデス声が絡む、EPICAにも通じる優美なシンフォニックメタルを聴かせる。
随所に技巧的なフレーズを奏でるギターと、クラシカルなシンフォニック性、モダンなヘヴィネスが合わさって
重厚でいて優雅な味わいを描き出す。紅一点、CLARA嬢のやわらかなソプラノもなかなか魅力的だ。
適度にアグレッシブな展開力もあって、叙情性と激しさのメリハリも含めて、総じてクオリティは高く、
ラスト曲のドラマティックな構築力は今後に期待させる。壮麗なサウンドにさらに磨きをかけていってもらいたい。
シンフォニック度・・8 ゴシック度・・7 女性Vo度・・8 総合・・8
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Norhod 「Voices from the Ocean」
イタリアのゴシックメタル、ノーオッドの2016年作
2013年にデビューし、本作は2作目となる。メタリックなギターにオーケストラルなアレンジを重ね、
美しい女性ヴォーカルに男性グロウルが絡む、壮麗なシンフォニック・ゴシックメタルを聴かせる。
随所にストリングスやピアノなどを使ったクラシカルな優雅さと、アグレッシブな重厚さが同居した、
EPICAなどにも通じる雰囲気で、緩急ある展開力とともに濃密なサウンドを描いてゆく。
紅一点、カラーラ嬢の魅力的なソプラノと、低音グロウルの対比もコントラストになっていて、
前作に比べて激しいナンバーも増えている。全36分のアルバムながら、濃密な作風でお腹いっぱい。
シンフォニック度・・8 壮麗度・・9 女性Vo度・・8 総合・・8
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NOSTRA MORTE 「Un Cuento Antes De Morir」
メキシコのシンフォニック・ゴシックメタル、ノストラ・モルテの2009年作
男女Voを含む8人編成で、メタリックなギターに壮麗なシンセとストリングスを重ね、美しいソプラノ女性ヴォーカルに
男性ダミ声ヴォーカルが絡む、HAGGARDなどにも通じる美麗にしてクラシカルなゴシックメタルを構築する。
女性シンガーの伸びやかでオペラティックな歌唱力も含めて、美麗なシンフォニック性とクラシカルな優雅さが合わさり、
重厚にして耽美なドラマ性に包まれる。スペイン語による朗々とした男性Voがいくぶん暑苦しいのだが、
男女3人のVoが重なると、THERIONばりに壮大になる。次作「Sin Retorno」も同様に素晴らしいのでチェックです。
シンフォニック度・9 壮麗度・9 女性Vo度・8 総合・8
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Nostra Morte 「Sin Retorno」
メキシコのシンフォニックゴシックメタル、ノストラ・モルテの2012年作
男女ヴォーカルの歌声とシンフォニックなアレンジで描かれるじつに壮麗なサウンド。
スペイン語による女性ヴォーカルに男性声が絡み、オペラティックな優雅さに包まれた楽曲は
Therionなどにも通じるスケール感と、Haggardのようなシアトリカルで濃密な空気も含んでいる。
オーケストラルな美しさと随所に壮大なクワイヤなども盛り込みつつ、ギターはときにクサメロを奏でたり
スタイリッシュになりすぎない野暮ったさも魅力的で、クラシカルなシンフォニックメタルでありつつ、
ナルシスティックな美意識と耽美なドラマ性が演劇的に融合された、恐ろしく濃密な力作である。
ドラマティック度・・9 シンフォニック度・・9 濃密度・・9 総合・・8



Noturna 「Diablerie」
ブラジルのゴシックメタル、ノトゥルナの2005年作
ジャケからしていかにもゴス萌えな感じですが、サウンドの方も美麗なイントロから始まり、
メタリックなギターにクラシカルなシンセワーク、美しいソプラノ女性ヴォーカルにデス声が絡む、
初期のEPICAなどにも通じる、シンフォニック・ゴシックメタルを聴かせる。曲によってはモダンな
インダストリアル風味も含みつつ、適度にアグレッシブなパートも含めた重厚なサウンドを描く。
楽曲ごとのメロディや盛り上がりはやや弱いのだが、紅一点、Vivian嬢の美しい歌声は、
しっとりとしたナンバーにおいては魅力的で、個人的には美麗なシンフォニック路線を目指してもらいたい。
シンフォニック度・・7 ゴシック度・・7 重厚度・・8 総合・・7
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NOUMENA 「ANIMA」
フィンランドのゴシックメタル、ノウメナの2020年作
2002年にデビューし、6作目となる。かつてはメロディック・デスメタル寄りのスタイルであったようだが、
本作は、どっしりとしたギターリフにメロディックな旋律を重ね、母国語による女性ヴォーカルを乗せ、
随所にデスヴォイスが絡む、ゆったりとした重厚でメランコリックなサウンドを聴かせる。
紅一点、Suviの歌声はコケティッシュな雰囲気で、低音グロウルとのコントラストになっていて、
トリプルギターによる厚みのあるサウンドとともに、涼やかな泣きのメロディを含んだ感触は
Swallow The Sunなどにも通じる、物悲しくも幻想的な味わいだ。15分という大曲では、
ほどよくアグレッシブなメロデス風味も覗かせつつ、緩急あるドラマティックな展開で構築する。
ドラマティック度・8 ゴシック度・7 重厚度・8 総合・8
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Novembers Doom 「The Pale Haunt Departure」
アメリカのゴシック・デスメタル、ノーヴェンバーズ・ドゥームの2005年作
1994年デビューというキャリアのあるバンドで、本作は5作目となる。
重厚なギターリフに低音デスヴォイスを乗せ、アグレッシブな激しさも含んだサウンドは、
いわばデスメタルとゴシック・ドゥームの中間というような聴き心地であるが、
曲によってはノーマルヴォーカルを使ったメランコリックな叙情性も垣間見せる。
ツインギターは随所にメロディックなフレージングも奏でていて、楽曲としてのメリハリもある。
メロディアスすぎない硬派さを感じさせる、ゴシックデスメタルの好作品。
ドラマティック度・・7 ゴシック度・・7 重厚度・・8 総合・・7.5
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November's Doom 「The Novella Reservoir」
アメリカのゴシック・デスメタル、ノーヴェンバーズ・ドゥームの2007年作
ツインギターの重厚なリフに低音デスヴォイスで聴かせる、デスメタル色もあるゴシックドゥームで、
甘すぎないメロディと、ゴシック的な耽美な雰囲気も適度に加えた作風は、本作も同様の雰囲気。
マイルドなノーマルヴォーカルや、アコースティカルな叙情パートなども含みつつ
ドゥーミィな重さとゴシック要素をもったサウンドで、全体的にも悪くはないのだが、
以前の作品ととくに変わり映えしないという印象。もう少しフックが欲しい。
ドラマティック度・・7 ゴシック度・・7 重厚度・・8 総合・・7.5
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Novembers Doom 「Aphotic」
アメリカのゴシック・デスメタル、ノーヴェンバーズ・ドゥームの2011年作
重厚なギターを乗せたゴシック・ドゥーム風味と、アグレッシブなデスメタル要素を合わせたサウンドは本作も同傾向。
変わらぬスタンスでオールドスタイルのゴシック・デスメタルを守っている。今作は8分前後の大曲も多く、
ゴシック・ドゥーム寄りの叙情性を含んだメランコリックなナンバーも増えているので、個人的にはこの路線が好み。
楽曲ごとのメリハリのあるアレンジも含めて、サウンドに説得力も備わってきた。なかなかの力作に仕上がっている。
アネク・ヴァン・ガースバーゲン(元The Gathering)、ダン・スヴァノ(元EDGE OF SANITY)がゲスト参加。
ドラマティック度・・7 ゴシック度・・8 重厚度・・8 総合・・8
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NOVEMBRE「classica」
イタリアのゴシック・デスメタルバンド、ノヴェンブレの3rd。2000年作
やや耳障りなわめき声Voにメランコリックなフレーズを奏でるツインギター、
ツーバスのドラムもなかなか手数が多く、この手のバンドにしてはにぎやかな部類だろう。
基本はキーボードに頼らないギターオリエンテッドなゴシック的なメタルサウンドで
この力の入ったわめきVoをはじめ、スピーディーな曲もあるので、メロデスに近い質感もある。
ギターの弾くメロディの美しさがサウンドの耽美な部分を支えている。
メロディアス度・・8 ゴシック風味度・・7 メランコリック度・・8 総合・・8
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NOVEMBRE「NOVEMBRINE WALTZ」
イタリアのゴシック・デスメタルバンド、ノヴェンブレの4th。2001年作
たゆうたような浮遊感のもの悲しい雰囲気のゴシックメタル風サウンド。
1曲目の間奏で顔を出す“白鳥の湖”のフレーズもとてもハマっているし、
メロウなギターフレーズとマイルドな声とデス声をたくみに使い分けるセンスなどは、
プログレッシブな感覚という意味でのOPETHなどにも近い部分もある。
疾走するパートもあれば、女性Vo取り入れたり、さらにはアコースティックパートの導入など
案外いろいろな要素が混じっていて、それが上手く合わさり芸術的な質感となっている。
メロディアス度・・8 ゴシック風味度・・7 メランコリック度・・8 総合・・8
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NOVEMBRE「DREAMS D' AZUR」
イタリアのゴシック・デスメタルバンドのノベンブレの5th。2002作
1stをリメイクしたアルバムとのことで、その元の1stは未聴なのだが
サウンドはゴシック的でありながらデス色もあり、ザクザクのギターにがなり声が絡み、
リズム的にもあまり遅くもなく疾走パートもあるので、ゴシック系が苦手な方でもOK。
バックのシンセは美しく、叙情性やメリハリの効いた曲アレンジにはOPETHにも近い魅力がある。
メロディアスなギターの重ね方も素晴らしいし、全体的にただようもの悲しい雰囲気と
メランコリックな美しさには目を見張るべきセンスがある。これは傑作。
メロディアス度・・8 ゴシック風味度・・7 楽曲センス・・9 総合・・8
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NOVEMBRE「The Blue」
イタリアのゴシック・デスメタルバンドのノベンブレの7th。2007年作
1995年デビューから、しだいにプログレッシブな世界観をまとわせて音を進化させ、
いまやOPETHと並ぶほどの質の高いサウンドを作り出せる数少ないバンドとなった。
本作では、薄暗い叙情に包まれたゴシック風味と、浮遊感あるアレンジが合わさった耽美な作風で
じっくりと聴かせる。初期に比べるとデス色はだいぶ薄まり、ノーマルヴォイスの頻度が増したことで、
より静謐な美しさと知的な空気をかもしだしている。緩急自在の楽曲はやはりOPETH的であるが、
こちらの方が全体を包むマイルドな質感が耳心地がよく、激しいパートでもどこか癒し系の雰囲気。
知性ある展開美とほの暗い叙情が素晴らしい、円熟の域というべき見事な傑作である。
薄暗叙情度・・9 ゴシック度・・8 知的プログレッシブ度・・8 総合・・8.5
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Novembre 「Ursa」
イタリアのゴシックデスメタル、ノヴェンブレの2016年作
1995年にデビューし、しだいにプログレッシブな世界観をまとわせてOPETHと並ぶほどのレベルのバンドとなった。
本作は9年ぶりとなる8作目で、マイルドなヴォーカルを乗せたメランコリックな叙情性に、ときにシューゲイザーや
ポストプログレのような繊細さも垣間見せつつ、知的に構築してゆくセンス抜群のサウンドは健在。
ときに泣きのフレーズを奏でるギターは、北欧的な涼やかな美しさを楽曲に与えている。
一方では随所にデスヴォイスを乗せたアグレッシブな要素も残していて、静寂と激しさのコントラストを、
物悲しくも薄暗い空気感で包み込んだというべき、重厚にして耽美なゴシック・デスメタルが味わえる。
9分を超える大曲では激しい疾走も含んだプログレッシブな展開が圧巻だ。これは文句なしの傑作!
ドラマティック度・・8 メランコリック度・・9 重厚にして繊細度・・9 総合・・8.5
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NOX AUREA「Ascending in Triumph」
スウェーデンのドゥーム・ゴシックメタル、ノックス・オーレアの2010年作
男女ヴォーカルを含む6人組で、DRACONIANなどを思わせる、ゆったりとドゥーミィに聴かせる
重厚なゴシックメタルサウンド。ヘヴィなギターリフと低音デスヴォイスに、
うっすらとしたシンセワークが重なり、耽美かつ暗鬱な世界観を描き出す。
女性ソプラノが加わるとじつに美しいのだが、本作ではあくまでオマケ程度の活躍なので、
全体としてはむしろSwallow the Sunに近いかもしれない。重くて暗いゴシックメタル好きにお勧め。
シンフォニック度・・7 重厚度・・8 耽美度・・7 総合・・8
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OCTAVIA SPERATIWinter Enclosure
ノルウェーのゴシックメタルバンド、オクタヴィア・スペラティの2005作
なんと全員が女性という5人組み。サウンドは最近のシンフォゴシックではなく、
一昔前のゆったりとしたドゥーミーな曲調で、わりとオーソドックスなギターリフにキーボードが絡むもの。
女性Voの美しい歌唱はなかなかだし、もの悲しい雰囲気と女性ならではの繊細さは音に感じるものの、
反面、重厚さには欠け、楽曲の展開力、盛り上がりという点でもまだ物足りないのが残念。
シンフォニック度・・7 ゴシック度・・8 女性Vo度・・8 総合・・7
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OCTAVIA SPERATI「Grace Submerged」
ノルウェーのゴシックメタルバンド、オクタヴィア・スペラティの2nd。2007作
全員が女性のバンドということで前作もそれなりに話題になっていたが、本作ではドラムが男性になり、サウンドの重厚さが増している。
けっこうヘヴィなギターリフにはドゥームメタル的な質感もあり、それが美しい女性声とのコントラストになっている。
シンセの使用は味付け程度なので、シンフォニックなものを想像すると肩すかしだが、
正統派のヘヴィなゴシックメタルとしてはなかなか楽しめるようになった。
メロディアス度・・7 ゴシックドゥーム度・・8 女性Vo度・・7 総合・・7.5
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ODES OF ECSTASY「EMBOSSED DREAM IN FOUR ACTS」
ギリシャのゴシックメタルバンド、オデス・オブ・エクスタシーの1st。1998作
一言で言うと、「ヘタウマ」ゴシック。メロディアスなキーボードにクサメロを弾くギター、
繊細そうな女性Voと、良質なゴシックメタルの要素は揃っているのだが、どれも「あと一歩」なのだなあ。
雰囲気はクラシカルで耽美的でとても良いのだが、演奏に重厚さがないために
サウンドの説得力に欠ける。この手のゴシックは一聴したときの雰囲気が全て、といっていいので、
アラが見えるととたんに醒めてしまうわけで。それを補うだけの楽曲の質なり、女性声の魅力なりがないとつらい。
大作主義でシアトリカルなイメージは悪くないので、あとはなんとか密度を上げてもらいたい。
シンフォニック度・・7 クラシカル度・・7 サウン度・・6 総合・・6.5

ODES OF ECSTASY「Deceitful Melody」
ギリシャのゴシックメタルバンド、オデス・オブ・エクスタシーの2nd。2000作
以前に1stを聴いたときはあまりのチープさに即売り払ってしまったが、この2ndでは一聴してなかなか成長している感じがある。
ツインギターに絡むクラシカルなキーボード、デス声と女性ソプラノの掛け合いもよろしく、雰囲気的も説得力と重厚さが増している。
リスム的にもメリハリがついていて、ときにメロパワばりに疾走したりもする。
全体的な垢抜けなさはまだ残るものの、シンフォニックなゴシックメタルとして鑑賞に耐えうる出来だ。
シンフォニック度・・8 ゴシック度・・8 女性Vo度・・7 総合・・7.5
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Officium Triste 「Pathway」
オランダのゴシック・ドゥームメタル、オフィシウム・トリステの2001年作
ツインギターの5人編成で、うっすらとしたシンセアレンジに重厚なギターリフと、
ノーマル声と低音デスヴォイスを使い分けるヴォーカルを乗せた、ゴシック・ドゥームサウンド。
フューネラルな香りを漂わせつつも、随所にギターはメロディアスなフレーズを奏でていて
シンセによるシンフォニックな感触も含めてわりと聴きやすい。ドゥームとゴシックの中間という点では、
男性ヴォーカルだった頃の初期The Gatheringあたりにも近い雰囲気かもしれない。
90年代的でもあるどんよりとした垢抜けなさも、いまとなっては案外魅力的な空気感でもある。
ドラマティック度・・7 ゴシック度・・8 重厚度・・8 総合・・7.5
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ONE WITHOUT「Thoughts of a Secluded Mind」
スウェーデンのゴシックメタルバンド、ワン・ウィズアウトの2009年作
ゴシックというよりはモダンなヘヴィネスと女性ヴォーカルで聴かせるサウンドで、
北欧らしいメランコリックなメロディを感じさせるところは「女性Vo版Sentenced」という感じか。
ややハスキーなキャトリン嬢の歌声は、オーソドックスなハードロックなどが似合いそうで、
ヘヴィな曲ではギターリフにやや埋もれてしまっている気がしなくもない。
現時点ではバンドの方向性にまだ迷いが感じられ、スクリームヴォイスを入れるなどの
モダンなヘヴィネスとキャッチーなメロディとが融合しきれていない印象だ。今後に期待したい。
メロディアス度・・7 メランコリック度・・7 女性Vo度・・7 総合・・7.5
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Only Fate Remains「Breathe」
オランダのゴシックメタル、オンリー・フェイト・リメインズの2011年作
伸びやかな女性ヴォーカルの歌声と適度なヘヴィさのギターに美麗なシンセアレンジ、
メロディは適度にキャッチーで、随所に先輩であるWITHIN TEMPTATIONや
The Gatheringなどを思わせるところもある。紅一点、エヴァ嬢の歌声は、中音域で聴き心地はよく、
楽曲の方も全体的には悪くはないのだが、これというインパクトはまだ弱い。
ウィズインのレベルを目指すには、今後は中庸感を脱するアレンジセンスが必要だろう。
メロディアス度・・7 ゴシック度・・7 女性Vo度・7 総合・・7.5




ON THORNS I LAY「Crystal Tears」
ギリシャのゴシックメタルバンド、オン・ソーンズ・アイ・レイの3rd。1999作
マイルドな声質の男Voと、美しい女性Vo、そしてもの悲しいヴィオラの響き。
ドゥーミーなメランコリックさをたたえた楽曲は、冷たい倦怠の美を感じさせる。
女性ヴォーカルの歌い方も、浮遊感のあるどこか儚いイメージで
たゆたうような曲調には、ヨーロピアンな情緒とほのかな薄闇、そして冷気とを感じさせる。
バンドは、この後少しずつ分かりやすさとキャッチーを増した方向に進んでゆくが、
メランコリックなゴシックサウンドとしてはこのアルバムあたりが一番かもしれない。
メロディアス度・・7 ゴシック度・・8 メランコリック度・・9 総合・・8
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ON THORNS I LAY
「FUTURE NARCOTIC」

ギリシャのゴシックメタルバンド、オン・ソーンズ・アイ・レイの4th。2002年作
浮遊感のあるゆったりとした曲調に、男女ヴォーカルの歌声に、メロウなギターとキーボード、
美しいピアノやヴィオラなども実に効果的に使われ、優雅に楽曲を彩っている。
野郎声はデス声ではないので暗黒性は薄く、ダークでありながらも音的にはとても聴きやすい。
メランコリックな世界観は美と倦怠に包まれており、劇的な展開こそないものの非常に質が高い。
メロディアス度・・8 暗黒度・・6 メランコリック度・・8 総合・・8
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ON THORNS I LAY「_egocentric」
ギリシャのゴシックメタルバンド、オン・ソーンズ・アイ・レイの6th。2003作
4thまでは女性Vo入りで、幻想的なゴシックメタルをやっていたバンドだが、
今作はマイルドな男ヴォーカルによるモダンなゴシックロック風になっている。
うっすらとシンセも使い、メランコリックな雰囲気をかもし出してはいるが、基本はギターリフメインの
やや無機質な聴き心地で、バンドとしての力の抜け具合が、ややラフな方へ働いている感じもする。
フィンランド系ゴシックロックに近づいた音であるが、そこまでキャッチーではないのも微妙だ。
メロディアス度・・7 ゴシック度・・7 メランコリック度・・7 総合・・7
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On Thorns I Lay 「Eternal Silence」
ギリシャのゴシックメタルバンド、オン・ソーンズ・アイ・レイの2015年
90年代から活動するバンドで、2003年作以来、なんと12年ぶりとなる復活作。
メンバーは若干替わっているいるようだが、翳りを含んだサウンドは初期の頃に戻った感触で、
重厚なギターに艶やかなヴァイオリンの音色が絡み、男性デス声と女性ヴォーカルを乗せて、
メランコリックな世界観を描いてゆく。これという目新しさはないが、むしろ90年代に戻ったような
これぞ王道のゴシックメタルというべき聴き心地である。ただ、インストの小曲を3曲含んで、
全36分というのがやや物足りないか。あとは楽曲そのものの魅力ををさらに高めてもらいたい。
メロディック度・・7 ゴシック度・・8 重厚度・・8 総合・・7.5
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ON THORNS I LAY 「THRENOS」
ギリシャのゴシックメタル、オン・ソーンズ・アイ・レイの2020年
1995年にデビュー、初期のゴシックデスメタルから、男女Voの耽美なゴシックメタル、さらには男性声のゴシックロックとなり、
2003年作を最後にいったん消えるも、2015年に復活、本作は通算9作目となる。前作からヴォーカルは男性のみになっていて、
本作では、重厚なツインギターに低音デスヴォイスを乗せた、MY DYING BRIDEにも通じる迫力あるゴシックメタルを聴かせる。
ウェットな叙情を感じさせるギターフレーズや、ときにシンセやヴァイオリンなどによる美しいアレンジも加わって、
重厚にして耽美な世界観に包まれたサウンドは、過去最高といってよい強度と説得力である。キャリア25年にして、
PARADISE LOSTMY DYING BRIDEにも引けを取らない、これぞゴシックメタルというべき傑作が完成した。
ドラマティック度・・8 ゴシック度・・9 重厚度・・8 総合・・8 
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ONYX EYES「Delights And Tears」
ドイツのゴシックメタル、オニクス・アイズの2008年作
シンフォニックなシンセアレンジと美声の女性ヴォーカルで聴かせる美麗なゴシックメタル。
メロウなギターワークに適度にヘヴィかつキャッチーな聴き心地で、ときにクラシカルな優雅さも漂わせつつ、
ときに土着的なメロディも含ませるところは、Leaves' Eyesあたりにも通じる聴き心地もある。
全体的に、これだというインパクトや、メロディ自体の魅力はまだ少し足りないので今後に期待。
シンフォニック度・・7 ゴシック度・・8 女性Vo度・・7 総合・・7.5
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Pale ForestLayer One」
ノルウェーのゴシックロック、ペール・フォレストのミニアルバム。1998作
4曲入りのデビューミニで、後のアルバムと同様に美声の女性ヴォーカル
コケティッシュな歌声をメインにした、メタル色の薄いサウンド。ゴシックメタルとして聴くには
いくぶん物足りないが、アンピエントなフィメールロックとしては、しっとりと楽しめる。
メロディアス度・・8 メタル度・・3 女性Vo度・・8 総合・・7.5
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PALE FOREST「TRANSFORMATION HYMNS」
ノルウェーのゴシックロック、ペール・フォレストの1st。1998年作
キュートな女性ヴォーカルの歌唱で聴かせる、メタル色の薄いキャッチーなサウンドで、
ゴシックというよりは、美少女系フィメールメタルという、このバンドの魅力はすでに備わっている。
メンバー写真を見るとあまり柄は良さそうではないのに、音楽の方は清涼にして清純という。
2nd以降に比べて、曲のメリハリや効果的なメロディなどは少々控えめだが、
しっとりと心地よく聴ける音楽であることには違いない。後半に良い曲多いです。
メロディアス度・・8 優美度・・9 女性Vo度・・8 総合・・8
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PALE FOREST「OF MACHINES AND MEN」
ノルウェーのゴシックメタルバンド、ペール・フォレストの2nd。2000作
キュートで清純なこの魅力的な女性ヴォーカルの歌唱だけでもう降参いたします(笑)。
曲のほうももちろんなかなかセンスがよく、メタル色は抑え気味ながら、
キーボードを効果的に使用したサウンドは北欧の森を思わせる清涼感をかもしだしています。
ゴシック的な耽美色はほぼ皆無ですが、幅広く女性Vo愛好者にアピールする作品。
メロディアス度・・8 優美度・・9 女性Vo度・・9 総合・・8
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PALE FOREST「EXIT WOULD」
ノルウェーのゴシックロック、ペール・フォレストの3rd。2001年作
曲調はかつてのTHE GATHERINGをぐっとさわやかにしたような感じだが、
女性ヴォーカルの歌声がずっと「可愛い系」なこともあって、だいぶ印象は異なる。
とにかくこのキュートな歌唱、歌声だけで個性になっているのがまず素晴らしい。
曲はキーボード、ピアノなどを控えめに使いながら、アンニュイさと優しさを表現出来ていて
暗黒度はかなり薄いのだが(ゴシックよりはアンビエント寄りか)、決して軽いわけではない。
このまま成長してゆけばさらに素晴らしい女性Voバンドになるに違いない。
メロディアス度・・8 優美度・・9 女性Vo度・・9 総合・・8
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PALE FOREST「ANONYMOUS CAESAR」
ノルウエーの女性Vo、ゴシックロック、ペール・フォレストの2003年作
キュートな女性ヴォーカルの歌声をメインにしたサウンドは、この5曲入りミニアルバムでも変わらずに一安心。
クリスティン嬢のVoは("嬢"というよりは"ちゃん"と呼びたくなるな)ますます可愛く、
バックの演奏は、一応のロック感触度は保ちつつも、いっそうシンプルに。
新曲は1曲のみであとはライブ2曲にインスト曲が1、そしてもう1曲は、なんと
PINK FLOYDのカヴァー。これが意外とサイケな感じでハマッていて良いかも。
メロディアス度・・7 優美度・・8 女性Vo度・・9 総合・・8
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Pantheist 「O Solitude」
ベルギーのゴシック・ドゥームメタル、パンセイストの2003/2009年作
本作は1sアルバムで、美しいシンセアレンジに重厚なギターと、低音デスヴォイスを乗せて、
ゆったりとしたスローテンポで聴かせる、いかにもフューネラルなゴシック・ドゥームメタル。
シンセによる耽美な味付けが前に出ていて、フューネラルな絶望感よりはヨーロピアンな叙情が強く、
ときにシンフォニックといっても良い味わいもあり、My Dying Brideあたりが好きな方にもお薦めだ。
スローテンポが主体だが、いきなり激しい疾走パートも現れるなど、長めの楽曲でもわりと起伏があったりして、
14分、18分という大曲も、シンセアレンジの美しさも含めて説得力あるサウンドに浸ることができる。
ジャケが変わっての2009年再発盤にはボーナスに11分の大曲が加わって、聴きごたえたっぷりだ。
ドラマティック度・・7 ゴシック・ドゥーム度・・8 重厚度・・8 総合・・7.5
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PARADISE LOST「ICON」
イギリスのゴシックメタルバンド、パラダイス・ロストの4th。1993作
ゴシックメタルの先駆者としてその名を知らしめる彼らだが、次作「Draconian Times」においては、
マイルドな構築性をともなったゴシックロックへのシフトがなされている。そういう点では、
まだドゥーミーな重苦しさが残ったこのアルバムの方を好むファンもけっこう多いのではないかと思う。
ゆったりとしたヘヴィなギターの上に乗るニック・ホルムズのヴォーカルも、すでにデス声ではないが
まだ荒々しさを残しており、音にはヨーロピアンな薄暗さがしっかりとかいま見える。
メロディアス度・・7 ドゥーミー度・・8 耽美度・・7 総合・・7.5
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PARADISE LOST「draconian times」
イギリスの大御所ゴシックメタルバンド、パラダイス・ロストの5th。1995作
この手の耽美派ドゥームサウンドの先駆けである彼らの最高作とされるアルバム。
初期にあった荒さをマイルドな方向に進め、マイナーな耽美要素をメロディアスに昇華したことで
ヘヴィさとダークさ、メロディアスさと耽美さが絶妙のバランスで成り立っている。
ピアノのもの悲しい旋律と、声色を使い分けるニック・ホルムズのヴォーカルが印象的。
初期よりもデス色を薄めたことで、ゴシック初心者にも勧められる音になっており、
ある意味、過去と現在をつなげるゴシックメタル作品として高品質なアルバムだ。
メロディアス度・・8 ゴシック度・・8 耽美度・・8 総合・・8 ◆メタル名盤特選入り
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PARADISE LOSTOne Second
イギリスのゴシックメタルバンド、パラダイス・ロストの6th。1997年作
前作はバンドの最高作とも言うべきアルバムであったが、続くこのアルバムも基本は同路線ながら、
ドゥーミィな重さはやや後退し、ニック・ホルムズのヴォーカルも含めてぐっとマイルドなサウンドになった
その中にも彼ら特有の倦怠の美と薄暗い叙情は健在で、美しいシンセやピアノなども効果的にサウンドの幅を広げている。
個人的には、ゴシックメタルの王道として聴けた前作の方が好きなのだが、よりキャッチーな仕上がりとなっていて
一般のリスナーにも楽しめるバンドになった。後のフィンランド系ゴシックロック勢にも影響を与えた作品とも言えるだろう。
メロディアス度・・8 ゴシック度・・8 耽美度・・8 総合・・7.5
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Paradise Lost 「Symbol Of Life」
イギリスのゴシックメタル、パラダイス・ロストの9th。2002年作
6thあたりからモダンな質感をまといだし、7thではニューウェイブ的なサウンドになってガッカリとしたのだが、
本作ではメランコリックでメタリックな感触がずいぶん戻ってきている。
ヘヴィなギターリフに、うっすらとしたシンセアレンジ、いくぶんモダンなビート感を残したサウンドは、
洗練されたゴシックロックという趣で、ニック・ホルムズの力強いヴォーカルとともに
バンドとしてのカラーをモダンな曲調の中に上手く溶け込ませている。
Cathedralのリー・ドリアンや、デヴィン・タウンゼンドがゲスト参加。
メロディアス度・・7 ゴシック度・・7 重厚度・・7 総合・・7.5

PARADISE LOST
英国ゴシックメタルの元祖、パラダイス・ロストの10th。2005作
ベテランとしての10作めであり、バンド名を冠したタイトルといい、勝負に出た意欲作となった。
初期のデス声とまではいかないが、ニック・ホルムズの哀愁に満ちたヴォーカルに、
バンドの全盛期を思わせるヘヴィでドラマティックなギターワークが嬉しい。
モダンさと耽美精神がほどよいバランスでミックスされたサウンドは、ダークな美しさと同時に、
悲哀を含んだ北欧(フィンランド)的な質感もあり、迷いのない演奏にはベテランとしての確かな自信が感じられる。
メロディアス度・・7 ゴシック度・・8 重厚度・・8 総合・・8
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PARADISE LOST「In Reguiem」
イギリスの元祖ゴシックメタルバンド、パラダイス・ロストの11th。2007作
基本的には、ヘヴィなギターサウンドとメロディアスな雰囲気は健在で、
マイルドなモダンさも合わさった心地よいゴシックメタルとして十分楽しめる。
バックのシンセによるアレンジも、ヨーロピアンな荘厳さをかもし出していて
たたみかけるヘヴィさと薄暗い叙情とのバランスも絶妙だ。ベテランらしくこれまでに培ってきた
方法論を壊すことなく巧みに取り入れ、それがサウンドに確かな説得力を付加している。
前作ほどのドラマティックさはないが、メタリックな聴き応えのある好作だと思う。
メロディアス度・・7 ゴシック度・・7 メランコリック度・・8 総合・・8
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PARADISE LOST「Faith Divides Us Death Unites Us」
イギリスのゴシックメタルバンド、パラダイス・ロストの12th。2009作
本作は前作、前々作で聴かせた重厚なヘヴィさを下地に、それをさらに強化させてきた。
ザクザクのギターリフとともにSentencedあたりを思わせるメランコリックなフレーズ、
ダークでありながらゴシックメタルというにはアグレッシブなサウンドは、
バンドとしての新たな挑戦を感じさせる。ときおりふっと聴かせる静寂パートの挿入などは
OPETH風でもあったり、全体的にメリハリの効いた楽曲構成が印象的だ。
ゴシックメタルとして聴くよりは、メランコリックなデスメタルとして楽しめる。
メロディアス度・・7 ゴシック度・・7 メランコリック度・・9 総合・・8
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PARADISE LOST「Tragic Idol」
イギリスのゴシックメタル、パラダイス・ロストの2012年作
英国ゴシックメタルの元祖というべきベテランバンド、13作目となる本作は
よりヘヴィになったドゥーミィな重厚さを前に出したような力作に仕上がっている。
憂いを帯びたようなニック・ホルムズのヴォーカルと、いくぶんレイドバックしたような
シンプルなギターリフは、バンドの初期の頃にあったもの悲しい薄暗さを感じさせ、
灰色に垂れ込めたような英国的な叙情性は、やはりこのバンドならではの聴き心地だ。
ドラマティック度・・8 ゴシック度・・8 ドゥーミィ度・・8 総合・・8
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PARADISE LOST 「TRAGIC ILLUSION 25」
イギリスのゴシックメタル、パラダイス・ロストの2013年作
結成25周年記念のアルバムで、過去曲のリメイクや別バージョン、カヴァーなどを収録。
シンプルなリフレインの淡々としたナンバーから、メランコリックなゴシックロック風味、
オーケストラアレンジを加えたシンフォニックなナンバーなど、なかなか多彩な聴き心地で、
どの曲もニック・ホルムズの深みのある歌声が加わると、しっかりとパラロスの色になる。
初期の名ナンバー“Gothic”のニューバージョンなども含めて、ゴシックメタルの元祖たるバンドの歴史と、
現在形の姿を再確認できる、ファンにはたまらない企画アルバムであるだろう。
ドラマティック度・・7 ゴシック度・・8 楽曲・・7 総合・・7.5
 
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Paradise Lost 「Plague Within」
イギリスのゴシックメタル、パラダイス・ロストの2015年作
英国ゴシックメタルの元祖というべきベテランバンド、2005年作以降は原点回帰した安定作を作り続け、
14作目となる本作も、古き良き感触を含んだツインギターを中心に、どっしりとしたドゥーム・ゴシックを聴かせる。
デス声と哀愁のノーマルヴォイスを使い分ける、ニック・ホルムズの歌声はいよいよ深みを増していて、
怒りや倦怠、悲しみを内包した表現力は、ベテランならではの味だろう。楽曲は適度に激しいノリもあって、
ツインギターの巧みなリフワークと、叙情的なフレージングのバランスもさすが。重厚でありながら、
案外フックのふる展開力というのは、ここ数作の中でも一番面白いのではないかと思う。
いくぶんストーナー的でもあるアナログ感がギターサウンドにあるのもよいですな。
ドラマティック度・・8 ゴシック度・・7 重厚度・・9 総合・・8
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PARADISE LOST「MEDUSA」
イギリスのゴシックメタル、パラダイス・ロストの2017年作
1990年にデビュー、英国ゴシックメタルの元祖というべきベテランバンド、15作目となる本作は
オルガンによる妖しいイントロから始まり、ヘヴィなギターに低音ヴォーカルを乗せ、ドゥーミィな空気感とともに、
重厚なサウンドが広がってゆく。サウンド的にもアナログ感を感じさせる80年代にレイドバックしたような感触で、
初期の作品を思わせる英国的な翳りと、ほのかな叙情を含んだ、迫力たっぷりのゴシックドゥームを聴かせる。
ニック・ホルムズのヴォーカルも含めて、ベテランならではの音の説得力と世界観の強度が素晴らしい。
ドラマティック度・・8 ゴシックドゥーム度・・9 重厚度・・8 総合・・8.5
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Paradise Lost「Obsidian」
イギリスのゴシックメタル、パラダイス・ロストの2020年作
1990年デビュー、英国ゴシックメタルの元祖で、本作は16作目となる。アコースティックギターにヴァイオリン、マイルドな歌声を乗せたイントロから、
重厚なギターに迫力あるデスヴォイスを加えて、どっしりとドゥーミィなゴシックメタルを聴かせる。傑作であった前作の路線を引き継ぎつつ、
ヘヴィなリフを際立たせたバックのサウンドはわりとシンプルで、初期の頃のダークなデスメタル要素を随所に残しつつ、
叙情的なギターフレーズが随所にアクセントになっている。楽曲的にも4〜5分前後がメインで、比較的ストレートな作風なので
聴きやすさの反面、前作ほどのディープな世界観は感じられない。いわばベテランが自然体で作ったというような好作である。
ドラマティック度・7 耽美度・7 叙情度・7 総合・8 
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Paradise Lost「At The Mill」
イギリスのゴシックメタル、パラダイス・ロストのライブ。2021年作
2020年にイギリスで行われた無観客ライブを収録。最新作「Obsidian」、前作「Medusa」からのナンバーに加え、
過去作からのナンバーもたっぷりと披露。ヘヴィなギターに年季を経たニック・ホルムズのヴォーカルを乗せ、
ライブらしい生々しい音質とともに、翳りを帯びた叙情をまぶした重厚なゴシックメタルが味わえる。
初期のナンバー「Gothic」では、女性ヴォーカルも加わった耽美な雰囲気を再現していて、ファンには嬉しい。
過去曲と近年のナンバーが混在しつつも、ベテランらしい世界観で統一された、全16曲、73分という力作ライブ。
ライブ演奏・8 耽美度・8 重厚度・8 総合・8
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Paragon Collapse 「The Dawning」
ルーマニアのゴシックメタル、パラゴン・コラプスの2018年作
ヘヴィ過ぎないギターに艶やかなヴォイオリンの音色、美しい女性ヴォーカルの歌声を乗せ、
ゆったりと聴かせるゴシック・ドゥームサウンド。初期のThe 3rd and The Mortalあたりにも通じる
耽美な倦怠に包まれた世界観とともに、いくぶんのマイナーな辺境臭さも感じさせながら、
10分前後の大曲を主体に、薄暗い叙情を描いてゆく。ドゥームというほどには重さがないので、
女性声の美しさもあってゴシックメタルとしても普通に楽しめる。全体的に派手な盛り上がりというのはなく、
わりと淡々とした聴き心地であるが、随所にメロディアスなギターやヴァイオリンが優雅な味わいをかもしだす。
ドラマティック度・・7 耽美度・・8 女性Vo度・・8 総合・・7.5
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PENUMBRA「EMANATE」
フランスの男女Voゴシックメタルバンド、ペヌンブラの1st。1999作
2ndにおいて壮麗きわまりないゴージャスなシンフォニックゴシックの傑作を作ったこのバンド、
やはり2ndに比べると壮大さにおいては劣る部分があるが、女性Voやピアノを効果的に配したメリハリの効いた曲アレンジはさすが。
ギターのメロウなリフとキーボードをバックに疾走する部分などは普通のシンフォニックメタルとして聴ける。
この1stの時点ではまだ男性声パートが多く、2ndで聴かれたNIGHTWISH的な華麗な要素は薄いものの
その合間に聴かせる女性Vo部分のクラシカルな典雅さは、立派に聴きどころになっている。
シンフォニック度・・8 クラシカル度・・7 女性Vo度・・7 総合・・8
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PENUMBRA「THE LAST BEWITCHTCHMENT」
フランスのゴシックメタルバンド、ペヌンブラの2nd。2002年作
壮大な合唱コーラスに続いてメロディアスなギターワーク、そこにデス声が乗り、バックには豪勢なオーケストラという、
クラシカルでゴージャスなサウンド。曲のアレンジもこなれていて、ギターの扇情的なフレーズといい、
それに絶妙に絡む女性コーラス隊や重厚なオーケストラといい、実に高密度なのである。
暗黒性よりもクラシカルさを重視した音作りで、デス声さえなければ「クラシカルメタル」と言っていいかもしれない。
3曲目のピアノとツインギターの絡みなどほとんどシンフォニックメタル。とにかく素晴らしい完成度の傑作です。
シンフォニック度・・9 クラシカル度・・9 楽曲・・8 総合・・8.5 ◆メタル名盤特選入り
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PENUMBRA「SECLUSION」
フランスのゴシックメタルバンド、ペヌンブラの3rd。2003作
基本は7人編成でギター2人にキーボード、男女Voとこれだけでも厚いのに、
今回もゲストにコーラス3人やバグパイプなどが参加した大人数作品である。
前作のような「のっけから大仰さ爆発」というわけではなく、今作は序盤は男性声メインの落ち着いた感じの楽曲で、
いくぶん拍子抜けするが、それでも壮大なコーラスや3曲目の大胆なバグパイプの使用など、聴きどころは多い。
男性声に絡むアニータ嬢の歌唱にも非常に説得力があり、場合によってはアンビエントな雰囲気すらも漂ってきている。
シンフォニック度・・8 ゴシック度・・9 女性Vo度・・8 総合・・8
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POISONBLACK「ESCAPEXSTACY」
SENTENCEDCHARONのVoによるゴシックメタルユニット、ポイズンブラックの2003作
どちらもメランコリック系のメロディックゴシックなのだから、音の方も簡単に想像がつくが
果たして、その通りの哀愁と倦怠の美が漂うゴシック・ロック/メタルです。
SENTENCEDほどに泣きのパートはなく、もう少しモダンなアプローチで
普通に耳触りのよい聴きやすいサウンド。曲調にこれといって特徴はないですが、
この手のヘヴィすぎない適度なバランスのゴシック・ロックが好きなら聴いて損はないでしょう。
メロディアス度・・7 ゴシック度・・7 楽曲・・7 総合・・7.5

POISONBLACK「Lust Stained Despair」
元Sentencedのヴィレ・レイヒアラ率いるゴシックロックバンド、ポイズンブラックの2nd。2006作
前作はありがちなゴシックロックという感じで、よくも悪くも普通の出来だったが、
本作では一聴してサウンドにヘヴィさが増している。モダンでキャッチーともいえる
ヴォーカルメロディと、フィンランドらしいメランコリックな叙情を乗せた楽曲は
ゴシック+ロックンロールという、いわば“ゴスロール”というようなノリで楽しめる。
曲によっては美しいシンセアレンジも顔を出し、いくぶん後期Sentencedに通じる雰囲気もある。
メロディアス度・・7 メランコリック度・・8 モダンロック度・・8 総合・・8
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POISONBLACKDead Heavy Day」
Sentencedのヴィレ・レイヒアラ率いるゴシックロックバンド、ポイズンブラックの3rd。2008作
メランコリックなフレーズと、ゴシック+ロックンロールという比較的明快なサウンドで、
適度なシンセアレンジとともにヘヴィすぎない楽曲はなかなか聴きやすい。
曲によってはやはりSentencedの進化形態という雰囲気のものもある。
ただ、前作もそうだったが、これだというインパクトやメロディに欠けるので、
この手のモダン・ゴスロックが好きでないと傑作とまでは思えないかもしれない。
メロディアス度・・7 メランコリック度・・8 モダンロック度・・8 総合・・8
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POISONBLACK「Of Rust And Bones」
Sentencedのヴィレ・レイヒアラ率いるゴシックロックバンド、ポイズンブラックの4th。2010作
メランコリックな叙情メロディを含んだゴシックロックサウンドはいつもながらに高品質。
今作ではギターのフレーズに今までになく渋さというか、大人の哀愁が漂っていて、
これでデスヴォイスが入れば、そのままSentencedになりそうな雰囲気の曲もある。
またオルガンの使用なども含めて70年代プリティッシュハードロック的な香りも漂い
ブルージーな質感をまとわせた音作りは個人的にもけっこう好み。渋さの効いた好作である。
ドラマティック度・・8 メランコリック度・・8 渋い叙情度・・8 総合・・8
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Profetus 「The Sadness of Time Passing」
フィンランドのフューネラル・ドゥームメタル、プロフェタスの2019年作
2007年にデビューし、4作目となる。沈み込むようなスローテンポにヘヴィなギターとシンセを乗せ、
唸るようなグロウルヴォイスとともに、重厚にして暗鬱な、まさにフューネラルなドゥームメタルを聴かせる。
10分を超える大曲をメインに、サウンドはとにかくスローで暗いのだが、ときに美しいシンセの旋律が
ゴシック寄りの耽美な感触を描いていて、暗闇の中にもうっすらとした叙情性を感じさせる。
なにせ曲が長いので、気が短い方には向かないが、この暗黒美に耽溺できる方には最高の作品だろう。
ドラマティック度・7 重厚度・8 フューネラル度・9 総合・8
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THE PROVENANCE「25TH HOUR;BLEEDING」
スウェーデンの男女Voゴシックメタルバンド、プロヴェナンスの2001年作
へヴィなツインギターのメロディにデス声と美しい女性ヴォーカルが乗るサウンドは、楽曲の質も高く、
メロディ、アレンジとも一級品。メタリックな音像の中で時折入るフルートもいい味を出している。
トラッド的メロディやアレンジにアコースティックを生かすなど北欧的叙情美と
へヴィギターのバランスが見事で、バックのサウンドはOPETHに似たイメージもある。
女性の歌声を生かす部分をもっと増やせば、さらに私好みになりそうである。
メロディアス度・・7 へヴィ度・・8 女性Vo度・・7 総合・・8
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THE PROVENANCE「STILL AT ARMS LENGTH」
スウェーデンの男女Voゴシックメタルバンド、プロヴェナンスの2nd。2002年作
オルガンを含むシンセに叙情的なギターを重ね、デス声を含む男性声に女性ヴォーカルが絡む
北欧らしい翳りを帯びたサウンドで、OPETHのような構築力とWHITE WILLOWにも通じる優雅な叙情性も覗かせる。
全体的にデス声の頻度が減ったので女性ヴォーカルものとしても聴きやすくなっていて、よりプログレ向けの音になった。
サウンドに派手な部分が薄いので、インパクトはさほどでもないのだが、北欧的な薄暗い叙情を理解する人にはぜひ聴いて欲しい。
メロディアス度・・7 北欧度・・9 女性Vo度・・8 総合・・8
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THE PROVENANCE「HOW WOULD YOU LIKE TO BE SPAT AT」
スウェーデンのゴシックメタルバンド、プロヴェナンスの3rd。2004作
1stの時点から北欧プログレ的な叙情性を男女Voのゴシックサウンドに取り込んでいたこのバンド、
この3作目も、のっけからバックでメロトロンが鳴り響くANEKDOTEN状態。
もはや「激しめのアネクドテン」あるいは「OPETH + メロトロン」というような雰囲気で
レトロな部分と、今風のモダンさもミックスされ、北欧情緒溢れるゴシックロックとして
他の追随を許さぬ絶妙な方向にまで来ている。その分、ややインパクトは薄れたかもしれないが、
サイケ、オルタナ、シンフォニック、そしてゴシックと、どの耳で聴いても楽しめる。
メロディアス度・・7 ゴシック度・・7 北欧度・・8 総合・・8.5 ◆メタル名盤特選入り
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The PROVENANCE「RED FLAGS」
スウェーデンのゴシックメタルバンド、プロヴェナンスの4th。2006作
北欧的な薄暗い叙情にプログレッシブな雰囲気を織りむこのバンド。今作はぐっとモダンになり、
全体的にタイトな作風へと変化している。相変わらずANEKDOTENを思わせるメロトロンの使用などは
なかなかプログレ的で、そこに倦怠感ある女性ヴォーカルの歌声が絡むと、このバンドらしいセンスの良さと叙情を
モダンさの中にもふと垣間見せる。デス声でなくノーマル声で歌う男性ヴォーカルもどこかゴシックロック的で、
初期からのファンにはやや肩すかしかもしれないが、これが彼らの深化ということなのだろう。
メロディアス度・・7 ゴシック度・・7 モダン度・・8 総合・・8
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Purple Nail 「Embrace The Dark」
スウェーデンのゴシックメタル、パープル・ネイルの2015年作
シンフォニックなシンセと妖しい女性声によるイントロから、どこか魔女めいた雰囲気も感じさせつつ、
メタリックなギターに美しい女性ヴォーカルを乗せた、北欧らしい涼やかなゴシックメタルを聴かせる。
レディ・クロウ嬢の歌声は艶めいた魅力があって、メロディックなギターフレーズとシンセとともに
さほど重すぎないキャッチーな聴き心地で楽しめる。デス声なども入らないので、女性声ゴシック好きの方はどうぞ。
なお、海外版のジャケはホラー感が強すぎるのか、日本盤仕様では独自のジャケシートが加えられている。
ドラマティック度・・7 ゴシック度・・8 女性Vo度・・8 総合・・7.5
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RADIANCE 「UNDYING DIABOLYCA」
イタリアのゴシックメタル、ラディアンスの2013年作
女性Voに女性ギターを擁する4人編成で、適度にダークなヘヴィさと
随所にテクニカルなアンサンブルを効かせた楽曲に、女性ヴォーカルの歌声が乗る。
どこか不穏な気配を漂わせた先の読めない楽曲展開はなかなか面白く、
変則的なリズムチェンジも含めてプログレメタル的にも楽しめる。
アーティスティックで個性的なセンスのバンドが好きな方にはオススメです。
メロディック度・・7 ゴシック度・・7 テクニカル度・・8 総合・・8




RAIN FELL WITHIN「Believe」
アメリカのゴシックメタルバンド、レイン・フェル・ウィズインの1st。1999作
8分台の曲を4曲含む、全5曲で38分弱という、ミニなのかフルなのか微妙なアルバムだが、
サウンドは女性ヴォーカルの美しい歌声で聴かせる、けっこう好みのゴシックメタル。
暗さや重厚さは薄く、むしろドラムの手数も多くて、ProgMetal的な感触もある。
シンフォニックなシンセや女性声も含めて、なかなかの好作であると思う。
シンフォニック度・・7 ゴシック度・・7 女性Vo度・・8 総合・・7.5

RAIN FELL WITHIN「REFUGE」
アメリカのゴシックメタルバンド、レイン・フェル・ウィズインの2nd。2002年作
最近ではアメリカにもゴシックメタル系バンドが増えてきたが、このバンドも女性Voをメインに聴かせるゴシックメタルで、
知らずに聴けばヨーロッパのバンドだと思ってしまうだろう。メロウなギターとシンフォニックなキーボードをバックに
美声のソプラノ女性ヴォーカルがしっとりと歌い上げるサウンドは、ヨーロッパのバンドと比しても上質の部類に入るだろう。
楽曲自体もスローテンポ過ぎない適度なノリがあってとても聴きやすい。正統的のシンフォニック・ゴシックメタルの好作品だ。
シンフォニック度・・8 ゴシック度・・8 女性Vo度・・8 総合・・8
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RAINOVER 「Transcending The Blue And Drifting Into Rebirth」
スペインのゴシックメタル、レインオーヴァーの2014年作
うっすらとしたシンセアレンジに、適度にヘヴィなギターと美しい女性ヴォーカルの歌声を乗せた、
優美なゴシックメタルサウンド。伸びやかでキュートなアンドレア嬢の歌声もなかなか魅力的で、
モダンでキャッチーなメロディアス性と、しっとりと翳りのある叙情性を同居させた感触は、
WITHIN TEMPTASIONEVANESCENCEの中間という印象もある。楽曲は3〜4分前後が主体で、
わりとシンプルではあるが、男性デス声が加わったナンバーは典型的なゴシックメタルという雰囲気で楽しめる。
全体的にはこれという新鮮味はないものの、Vo嬢の歌声はよいので、今後は楽曲の魅力をさらに高めていってもらいたい。
シンフォニック度・・7 ゴシック度・・7 女性Vo度・・8 総合・・7.5
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RANDOM EYES「EYES ABLAZE」
フィンランドの男女Voゴシック風ハードロックバンド、ランダム・アイズのアルバム。
系統としては、同じくフィンランドのTO/DIE/FORENTWINEあたりに通じる、
マイルドなゴスロックで、重厚さや暗さはあまりなく、とても聴きやすい雰囲気。
歌は男女Voの掛け合いで、女性はややハスキー な、男Voは中性的な声質。
ツインギターの他にソロ専門(?)のGがいるようだが、その割にそんなに音が分厚いわけでもない。
情感に訴えかけてくるような泣きのメロディや、メランコリックな要素が薄いのでさらりと聞ける。
曲のメリハリや個性や雰囲気作りなどをもう少し磨いていけばいいバンドになるだろう。
メロディアス度・・7 ゴシック度・・7 男女Vo度・・7 総合・・7


RAVENSCRYOne Way Out
イタリアのゴシックメタル、レイヴンス・クライの2012年作
ヘヴィなギターリフのメタリックな楽曲に、しっとりとした女性ヴォーカルの歌声で聴かせる
モダンなヘヴィロック風味もあるサウンドで、ゴシック的な耽美さもかすかに漂わせる。
バックはかなりヘヴィなのだが、デジタリィなシンセアレンジとのコントラストになっていて、
Voのジュリア嬢の艶やかな歌声とともに、LACUNA COILにも通じるレベルの高いアレンジだ。
3部構成の組曲はクラシカルなテイストとオーケストレーションなどがEPICAを思わせる。
このバンドならではの個性はまだ希薄ながら、ヴォーカル嬢の歌唱の魅力は今後に期待させる。
メロディアス度・・7 ゴシック度・・7 女性Vo度・・8 総合・・8
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RAVENSCRY 「The Attraction Of Opposites」
イタリアのゴシックメタル、レイヴンスクライの2015年作
美声の女性ヴォーカルの伸びやかな歌声と、モダンなヘヴィネスを含んだ聴き心地で
どっしりとした重量感のあるゴシックメタルを聴かせる、前作からの延長上のスタイルだ。
ジュリア嬢のヴォーカルは美しいソプラノからしっとりとした中音域まで、なかなか魅力的で
リフ主体の硬質なバックの演奏に、やわらかなヴォーカルメロディを乗せることで楽曲を彩っている。
このバンドの場合、シンセアレンジは味付け程度なのだが、曲によってはオーケストラルなアレンジや
クラシカルなテイストが盛り込まれていて、アグレッシブなヘヴィネスとのコントラストにもなっている。
単なるゴシックメタルにとどまらない、女性声のエクストリームメタルとしても楽しめる力作です。
ドラマティック度・・7 ゴシック度・・7 女性Vo度・・8 総合・・8
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RAVENSCRY「THE INVISIBLE」
イタリアのゴシックメタル、レイヴンズクライの2019年作
2011年にデビューし、本作が3作目となる。ツインギターのヘヴィなリフとメロディックなフレーズに、
美しい女性ヴォーカルの歌声を乗せた、倦怠の美とヘヴィネスが同居したゴシックメタルサウンド。
シンセをあまり使っていないので、シンフォニックな感触は薄いのだが、小曲をはさんだコンセプト的な流れで
ダーク世界観を描き出す。紅一点、ジュリア嬢の歌声は、ゴシックらしい妖しさから、伸びやかに歌い上げるところまで
表現豊かに楽曲を彩っていて、The Gathering時代のアネクを思わせるような涼やかな魅力がある。
女性声の実力は十分あるので、あとはサウンドにより強固な説得力が加われば、ひとつ上のバンドになれそう。
ドラマティック度・・7 ゴシック度・・7 女性Vo度・・8 総合・・8 
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RAVENSCRY「100」
イタリアのゴシックメタル、レイヴンス・クライの2020年作
2011年にデビューし、4作目となる。メタリックなギターに伸びやかな女性ヴォーカルを乗せた、
わりとオルタナ寄りのメタルサウンドで、ゴシック的な耽美さというよりは、もっと硬質な聴き心地。
楽曲も3〜4分主体で、シンセによるアレンジもときおり加わるが、全体的にはストレートなノリの
モダンなヘヴィロック風味で、ジュリア嬢の美しい歌声だけが優美で艶めいた彩りを放っている。
シンフォニックとしてもゴシックとしてもやや中途半端なので、今後の方向性はどうなる。
ドラマティック度・・7 ゴシック度・・7 女性Vo度・・8 総合・・7.5
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RAVEN TIDE 「ECHOES OF WONDER」
イタリアのゴシックメタル、レイヴン・タイドの2011年作
中音域の美しい女性ヴォーカルの歌声と、シンフォニックなアレンジで聴かせる
正統派のゴシックメタルスタイル。しっとりとした耽美な世界観とともに、
メロディにはキャッチーな聴き心地があって、女性声HRとしても馴染みやすい。
いくぶんモダンさのあるヘヴィロック的な曲調もあるが、なかなかの好作です。
メロディック度・・8 ゴシック度・・8 女性Vo度・・7 総合・・7.5




Raving Season 「Amnio」
イタリアのゴシックメタル、レイヴィング・シーズンの2013年作
二人の女性Voを擁する5人編成で、優美なシンセをギターに重ね、キュートな女性ヴォーカルと美しいソプラノに、グロウルヴォイスが絡む、ゆったりと耽美なゴシックメタル。
ドゥーミィでメランコリックな雰囲気は、Swallow The Sunなどにも通じるが、こちらは女性声がメインで、ヘヴィ過ぎず暗黒過ぎず、ゴシックとフューネラルドゥームの中間という聴き心地。
随所に叙情的なギターフレーズや物悲しいチェロの音色も加わったり、ほどよくデジタルなシンセのアレンジも含めて、ほどよくアップデートされたサウンドの中にも、イタリアらしい耽美な妖しさを感じることができる。
楽曲は6〜8分前後で、わりと長めであるが、魅力的なソプラノヴォーカルや、クラシカルなピアノなどの優雅な感触とともに、じっくりと楽しめるゴシック・ドゥームの好作品だ。
ドラマティック度・8 耽美度・8 女性Vo度・8 総合・7.5
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Regardless of Me「The World Within」
イタリアのゴシックメタルバンド、リガードレス・オブ・ミーの2008作
適度なヘヴィさをもった楽曲に女性ヴォーカルの歌声で聴かせるLacuna coilタイプのサウンド。
美しいシンセと、モダンなデジタル感覚も取り入れたアレンジに乗せる、
美女Vo、パメラ嬢の歌声はWITHIN TEMPTATIONのシャロンを思わせる。
これという個性はまだないものの、デビュー作にしてはクオリティはなかなか。
シンフォニック度・・7 ゴシック度・・7 女性Vo度・・8 総合・・7.5
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Remembrance 「Frail Visions」
フランスのゴシック・ドゥームメタル、リメンブランスの2005年作
男女二人組のユニットで、美麗なシンセに叙情的なギターを重ね、低音デスヴォイスとともに
耽美でフューネラルなサウンドを聴かせる。随所に女性ヴォーカルも加わるが、2作目以降に比べると
女性声の活躍は少なめで、シンフォニックなバックに比して、男性グロウルがやや耳障りかも。
美しいシンセをメインにしたインストパートなど、全体的にも雰囲気モノ感が強い作風だ。
ドラマティック度・・7 ゴシック度・・7 耽美で重厚度・・8 総合・・7.5

Remembrance 「Silencing Moments...」
フランスのゴシック・ドゥームメタル、リメンブランスの2007年作
男女二人組のユニットで、本作が2作目。うっすらとしたシンセに叙情的なギターを重ね、
低音デスヴォイスに女性ヴォーカルが絡む、耽美でメランコリックな味わいのサウンド。
初期Draconianにも通じる重厚な本格派で、フューネラルな暗黒性に包まれつつも
シンセによる美麗なアレンジと泣きのギターフレーズによるウェットな聴き心地で楽しめる。
シンセにドラム、ベース、ヴォーカルもこなすキャロラインさんのセンスも素晴らしい。
10分を超える大曲を主体に、どっしりとしたスローテンポで聴かせる耽美なる力作です。
ドラマティック度・・8 ゴシック度・・8 耽美で重厚度・・9 総合・・8
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Remembrance 「Fall, Obsidian Night」
フランスのゴシックメタル、リメンブランスの2010年作
2005年にデビューし本作が3作目となる。うっすらとしたシンセと重厚なギターに低音デスヴォイスを乗せ、
はかなげな女性ヴォーカルが絡む、DRACONIANにも通じるフューネラルなゴシック・ドゥームメタル。
これという盛り上がりはないものの、叙情的なギターフレーズとともに描かれるメランコリックな空気感が、
媚びの無い淡々とした世界観となっていて、この手のサウンドに耽溺できる方にはとても心地よいだろう。
6〜9分というスローテンポの楽曲が退屈かどうかは、闇を嗜好する聴き手との共同幻想にかかってくる。
個人的には女性声をメインにしたパートがもっとあればと思うが、ともかく耽美でフューネラルな力作です。
ドラマティック度・・7 ゴシック度・・8 フューネラル度・・8 総合・・8
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Resonaxis 「Hymnarium」
オーストラリアのゴシックメタル、レゾナクシスの2012年作
女性Vo、オルガン奏者を含む5人編成で、女性ヴォーカルの歌声と鳴り響くオルガンに
適度にハードなギターで聴かせる、ヨーロピアンな美しさを含んだゴシックサウンド。
メタルというほどヘヴィさはないので、非メタル系のゴシックがお好きな方にも楽しめるかと。
この手のバンドでは、AVRIGUSなどが豪州にはいたが、こちらはダークな幻想性は薄めで
その点ではやや物足りないか。チャーチオルガンに重なる女性ヴォーカルの美しさにはうっとり。
ドラマティック度・・7 メタル度・・5 ゴシック度・・8 総合・・7.5
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REVAMP
AFTER FOREVERのフロール嬢のニューバンド、リヴァンプの2010年作
モダンなヘヴィさとシンセ入りの壮麗さが合わさった楽曲に、オペラティックな女性ヴォーカル
ゴシックメタル的な暗さよりも、EPICAなどに近い激しめのモダンシンフォメタルという感じか。
フロール嬢の歌唱は、美しいソプラノからシャウト、スクリームヴォイスと、AF以上に表現力豊か。
個人的にはヘヴィな曲よりも3曲目などのゆったりとした叙情曲での歌声にうっとりなのであるが、
全体的にもストリングスアレンジとモダンなメタル質感が合わさったクオリティの高さはさすが。
ゲストにSymphony Xのラッセルアレン、SOILWORKのヨルン“スピード”ストリッドらが参加している。
シンフォニック度・・7 ゴシック度・・7 女性Vo度・・8 総合・・7.5
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REVAMP 「Wild Card」
オランダのモダン・ゴシックメタル、リヴァンプの2013年作
Nightwishのヴォーカルとしても活躍するフロール・ヤンセン擁するバンドの2作目で、
モダンなヘヴィさを含んだゴシックメタルという前作の方向性はそのままに、
彼女の伸びやかな歌声を活かした、キャッチーなメロディに磨きがかかっている。
シンセによるシンフォニックなアレンジも含みつつ、ゴシック的な耽美さは薄めで、
アグレッシブな勢いとともに重厚に聴かせる。AFTER FOREVERとも、Nightwishとも違う路線であるが、
フロール嬢の歌声によくマッチしていて、前作以上に楽曲の密度が上がったという印象だ。
ゲストVoにデヴィン・タウンゼンド、EPICAのマークヤンセンが参加している。
シンフォニック度・・7 モダンヘヴィ度・・8 女性Vo度・・8 総合・・8


Reveries End 「Edge of Dark Waters」
アメリカのゴシックメタル、リヴェリーズ・エンドの2015年作
しっとりと美しい女性ヴォーカルにツインギターによる適度なヘヴィさで聴かせる、
The Gatheringにも通じるような浮遊感とメランコリックな叙情に包まれたサウンド。
うっすらとしたシンセアレンジによるシンフォニックな味わいに、随所にデスヴォイスも絡みつつ、
Sariina嬢の歌声はDelainのシャルロット嬢のように魅力的で、優美に楽曲を彩ってゆく。
全体的に派手さはないものの、美しきメランコリーというべき空気感に包まれた好作品だ。
シンフォニック度・・7 ゴシック度・・8 女性Vo度・・8 総合・・8
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Rosa Ignea「Ancient Eyes」
ブラジルのゴシックメタル、ロサ・イグネアの2006年作
女性Voにツインギター、シンセを含む6人編成で、美麗なシンフォニックアレンジと
適度にメタリックで厚みのあるギターワークで聴かせるゴシックメタルサウンド。
イサベラ嬢の歌声は垢抜けない野暮ったさがあるのだが、キュートな声質はなかなか魅力的。
楽曲は随所に疾走感も含んでいて、メリハリのあるアレンジセンスには将来性も感じさせる。
シンフォニック度・・7 ゴシック度・・7 女性Vo度・・7 総合・・7




SaattueJaahyvasti
フィンランドのゴシック・ドゥームメタルバンド、サーテュアの2008年作
Swallow The Sunに続くフィンランド産の重厚な耽美派ドゥームゴシックメタルが登場。
メランコリックなギターフレーズにうっすらとしたシンセ、そして凄絶なデスヴォイスで聴かせる
重厚かつ叙情美あふれるサウンドだ。このバンドの特徴は歌詞が母国語で歌われていることで
ときにノーマルヴォイスをまじえながら、AMORPHISを思わせるような土着的な質感もある。
女性コーラスも入ったりして、もの悲しい情緒とフィンランドの大地を感じさせるメロディが胸にしみます。
メロディアス度・・8 重厚度・・8 土着叙情度・・8 総合・・8
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SaattueVuoroveri
フィンランドのゴシック・ドゥームメタルバンド、サーテュアの2010年作
重厚なギターリフに美しいシンセを重ねながら、ゆったりと聴かせる作風は、
フィンランド語で歌われるヴォーカルの感触もあって、より土着的な質感が増したという印象。
薄暗い雰囲気に加えて、MOONSORROWAMORPHISなどにも接近したようなイメージで、
ドゥーミィなヘヴィさと、フィンランドらしいメランコリックな聴き心地が合わさったサウンドだ。
どっしりとしていていながら適度にメロディックなのが良い。なかなか素晴らしい傑作だ。
ドラマティック度・・8 重厚度・・8 フィンラン度・・8 総合・・8
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SACRIVERSUM「soteria」
ポーランドの男女Voゴシックメタルバンド、サクリヴァーサムの1998作
雰囲気的にはやや田舎風のゴシックメタルといった感じで、あまり洗練はされてません。
デス声と女性声が一緒に歌を乗せつつ、ときおりキーボードアレンジがエレゴシック風だったりしますが、
それとてもTHEATRE OF TRAGEDYとまではいかず、やや中途半端な印象。
ギターリフはときどき北欧トラッド風なフレーズを奏でたり、ゴシックにしては疾走感もあります。
ミスティカルな雰囲気は悪くはないものの、曲自体はやや盛り上がりに欠けますかね。
メロディアス度・・7 ゴシック度・・7 楽曲・・7 総合・・7


Sad Alice Said 「Yesterday's Tomorrow」
ウクライナのゴシックメタル、サッド・アリス・セッドの2013年作
女性Vo、女性シンセ奏者を擁する編成で、2022年のシングルとEPに新曲を加えて作られた作品。
優美なピアノとシンセをギターに重ね、美しい女性ヴォーカルで、ほどよくメランコリックな空気に包まれたゴシックメタルを聴かせる。
Alisa嬢の魅力的な歌声とともに、楽曲にはキャッチーな優雅さもあって、クラシカルなヴィオラや繊細なピアノの音色に、重すぎないギターは随所に流麗なフレーズも覗かせる。
ほどよいマイナー感も味になっていて、涼やかな美しさに包まれたサウンドは、ヨーロピアンなゴシックメタル好きにはアピールするだろう。ただ、バンドは本作発表後に活動停止。
ドラマティック度・7 ゴシック度・8 女性Vo度・8 総合・7.5
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Samsas Traum 「Anleitung Zum Totsein」
ドイツのゴシックメタル、サムサス・トラウムの2011年作
適度にヘヴィなギターとシンフォニックなシンセアレンジ、ドイツ語の歌声とともに、
インダストリアルなモダンさとポストロック的なスケール感を含んだサウンド。
ときに物悲しい叙情やオーケストラルな壮麗さをまとわせて、ゴシックロック的なノリや、
重厚なヘヴィネスとともに、ジャケのイメージのようなダークな童話的ストーリーを描いてゆく。
「壮大になったラムシュタイン」という感じにも楽しめる、シンフォニック・インダストリアル・ゴシック作。
ドラマティック度・・8 ゴシック度・・8 壮大度・・8 総合・・8
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Samsas Traum 「Asen'ka - ein Marchen fur Kinder und solche, die es werden wollen」
ドイツのゴシックメタル、サムサス・トラウムの2012年作
90年代から活動するバンドで、本作はファンタジックなジャケからして童話的な物語のコンセプト作らしい。
美しいシンセアレンジに牧歌的なギターフレーズとドイツ語によるマイルドなヴォーカルを乗せたサウンドは、
メタル的な激しさはさほどないが、哀愁を感じさせる叙情とともに、いかにもゲルマン的な土着性を感じさせる。
シアトリカルなドイツ語の語りなどは、ANGIZIAあたりにも通じる雰囲気で、勇壮なコーラスが合わさると、
Saltatio MortisやDie Apokalyptischen Reiterのようなエピックな味わいもある。随所に重厚なメタル要素や
インダストリアルな感触なども覗かせつつ、ドラマティックな流れで濃密に聴かせる、異色の力作である。
ドラマティック度・・8 メタル度・・7 ゲルマン度・・9 総合・・8
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Sarah Jezebej DevaSign of Sublime
Angtoriaの女性ヴォーカルでもある、サラ・ジェゼベル・ディヴァの2010年作
Cradle of Filthでも美しいソプラノヴォイスでコーラスを担当していた大きなお姉様で、
本作はシンフォニックなシンセアレンジと耽美な世界観で聴かせるゴシックメタル。
シンフォブラック的ないくぶんの激しさもまじえつつ、妖艶な歌声が響きわたる。
楽曲にさほどのインパクトがないのが惜しいが、美麗なシンフォゴシックメタル作です。
シンフォニック度・・8 ゴシック度・・7 女性Vo度・・8 総合・・7.5
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Sarah Jezebel Deva「Corruption of Mercy」
Angtoriaの女性ヴォーカル、サラ・ジェゼベル・ディヴァの2011年作
シンフォニックなアレンジとときにブラックメタルばりのブラスト疾走も入ってくるスタイルは、
ゴシックというよりは、美しい女性ヴォーカルで聴かせるシンフォブラックという雰囲気もある。
シンセによるオーケストレーションもゴージャスで、音の説得力はさすがというところ。
美麗な耽美さもちゃんと残っていて、激しめのゴシックメタルとしても楽しめる作品だ。
シンフォニック度・・8 ゴシック度・・7 女性Vo度・・8 総合・・8
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Sara Lee 「Damnation to Salvation」
フィンランドのゴシックメタル、サラ・リーの2009年作
モダンなヘヴィロック風味に、フィンランドらしいメランコリックな叙情を加えたゴシックロックサウンド。
To/Die/ForやENTWINEなどに通じるスタイルながら、こちらは美しいシンセアレンジとともに、
よりメリハリと広がりのある作風で、いうなれはポスト・ゴシック的にモダンヘヴィネスを取り入れている。
ヴォーカルの表現力的にはやや物足りないかと思っていたら、曲によってはデスヴォイスも出てきて
メタルコア的な感じになるのが個人的には興ざめ。曲によっては後期Sentencedなどにも近いのだが、
メランコリックな慟哭が足りないので、メロディにフックのないHIM…という印象になってしまう。
メロディック度・・7 ゴシック度・・7 楽曲・・7 総合・・7
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SATYRIANEternitas
オランダのDREAMSIDEとドイツのDANCE MACABREのメンバーによるゴシックメタル、サティリアンのアルバム。
ゴシックとシンフォメタルの中間的なサウンドに、2人の女性Voにデス声が絡むスタイル。
ややデジタリィなシンセアレンジに、ヘヴィロック調のギターリフがモダンな雰囲気であるが、
曲によってはしっとりとしたピアノや泣きのギターも聴かせてくれる。
全体的にも聴きやすくよく出来ていて、新鮮味はないが無難に壮麗な印象。
最近のAFTER FOREVERなどが好きなら、このバンドもまず気に入るだろう。
シンフォニック度・・8 ゴシック度・・7 女性Vo度・・8 総合・・8
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SATYRIANThe Dark Gift
オランダとドイツの混成ゴシックメタルユニット、サティリアンの企画アルバム。
1st収録のタイトル曲と、リミックスバージョンを7曲収録。
のっけからデジタリィなアレンジで面食らうが、もともとDREAMSIDE自体が
その手のバンドであるから、そのメンバーによるこんなリミックスもうなずける。
ダンスビート的な打ち込みリズムの上に、女性ヴォーカルとデス声が絡み、
シンセによるモダンなアレンジがなされたエレゴシックサウンドだ。
デジタル度・・8 ゴシック度・・7 女性Vo度・・7 総合・・7
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SAVN
ノルウェーのゴシックメタル、サヴンの2014年作
MIDNATTSOLの女性シンガーに、元THE SINS OF THY BELOVEDのギターらによるバンドで
ほどよくヘヴィなギターに優美なシンセを重ね、美しい女性ヴォーカルに艶やかなフィドルや
ハーディングフェーレの音色を加えた、北欧トラッド的な土着性も含んだ幻想的なサウンドを聴かせる
MIDNATTSOLに比べるとより優美でキャッチーな味わいに包まれていて、カルメン嬢の魅力的な歌声と
シンフォニックなアレンジがよくマッチしていてウットリとなる。END OF GREEENの男性Voがゲスト参加しての
男女ヴォーカル曲や、カルメンの姉であるリブ・クリスティンが参加した、ツインヴォーカルのナンバーなど、
美麗なシンフォニック性と北欧らしい涼やかな雰囲気で、メロディアスな女性声メタルが楽しめる逸品。
シンフォニック度・・8 ゴシック度・・7 女性Vo度・・8 総合・・8
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SCARLET STORIES 「Necrologies」
オランダのゴシック・ハードロック、スカーレット・ストーリーズの2019年作
ジュール・ヴェルヌ「海底二万里」、エドガー・アラン・ポー「告げ口心臓」など、SF/怪奇小説をモチーフにした
12の楽曲からなるコンセプト作品で、ほどよくヘヴィなギターとコケティッシュな女性ヴォーカルの歌声で、
翳りを帯びたメランコリックなサウンドを聴かせる。ときにクラシカルなストリングスアレンジも加わって
伸びやかな女性ヴォーカルの歌唱の表現力とともに、優美な雰囲気を描きつつ、曲によっては重厚で、
フューネラルなダークさにも包まれる。ゴシックメタルとしても楽しめるが、個人的にはメタル感触の薄めな、
しっとりとしたパートの方が気に入った。魅力的な女性声による耽美なゴシック・ハードロックの逸品です。
ドラマティック度・・7 耽美度・・8 女性Vo度・・9 総合・・8
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Schysma 「Idiosyncrasy」
イタリアのシンフォニック・ゴシックメタル、シズマの2015年作
女性シンセ奏者を含む5人編成で、きらびやかなシンセアレンジを乗せたモダンなサウンドで、
ハスキーな男性ヴォーカルの歌声を乗せた、シンフォニックなゴシックメタルという聴き心地もある。
適度にノリのあるテンポに乗る、ヘヴィすぎないギターは随所にメロディックなフレーズを奏でていて、
Lacrimosaをもう少しポップにしたという雰囲気などは、わりと初心者にもとっつきやすいだろう。
変拍子リズムを含んだProgMetal的な展開力なども、なかなか面白い方向性だとは思うのだが、
ゴシックなのか、シンフォニックなのか、プログレメタルなのか、いまひとつ定まらないという印象も。
個人的にはもっと大仰な盛り上がりや、妖しく濃密な空気感が欲しい。今後に期待です。
ドラマティック度・・8 ゴシック度・・7 重厚度・・7 総合・・7.5
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Sea of Despair 「Море отчаяния」
ロシアのゴシックメタル、シー・オブ・デスぺアーの2009年作
叙情的なギターの旋律にヴァイオリンやチェロが絡み、美しい女性ヴォーカルに男性デスヴォイスが絡む、
メランコリックな味わいの正統派ゴシックメタルを聴かせる。フューネラルな重厚さも感じさせつつ、
ギターの奏でるメロディとクラシカルなストリングス、母国語によるソプラノ女性Voが耽美な優雅さをかもしだし、
ほどよく辺境らしいマイナーな空気にも包まれる。10分前後の大曲もいくつかあって、ゆったりとした聴き心地の中に、
美しいピアノとメロウなギターフレーズが物悲しい叙情を描き、はかなげな女性ヴォーカルがしっとりと彩りを添える。
デス声パートがわりと多めなのが惜しいが、これぞゴシックメタルという耽美な世界観が味わえる好作品だ。
ドラマティック度・・7 ゴシック度・・8 女性Vo度・・8 総合・・7.5

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Sebnem Ferah「Can Kiriklari」
トルコの女性シンガー、シェブネム・フェラーの2005作
デジタリィなシンセアレンジと、モダンなヘヴィロック調の楽曲に、ややクセのある母国語の女性ヴォーカルが乗るサウンド。
ゴシックメタル的なメランコリックさもいくぶん覗かせつつ、やはり異国情緒ただようトルコ語による歌声のインパクトが大きい。
ポーランドのMoonlightあたりにも通じるしっとりとした浮遊感と、ゴシックロック的な明快さが同居していて、慣れると案外聴きやすい。
ゴシック度・・7 異国度・・8 女性Vo度・・8 総合・・7.5
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Sebnem Ferah「10 Mart 2007 Istanbul Konseri」
トルコの女性ヴォーカル、シェブネム・フェラーのライブ作品。2007年作
トルコの歌姫として現地ではかなりの人気とキャリアを誇るシンガーで、
本作は2007年、イスタンブールでの10周年記念ライブをCD2枚に収録。
ライブ演奏ということで、楽曲はアルバム以上に躍動的でロックしており、
母国語による歌声とともに、ゴシック的な美しさも含んだサウンドを聴かせる。
メロディやアレンジに突き抜けた魅力はないものの、いくぶん不安定な音程の
シェブネムさんのヴォーカルも含めて、なかなか異国的な情緒が味わえます。
メロディック度・・7 ゴシック度・・7 女性Vo度・・8 総合・・7.5
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Sebnem Ferah「Benim Adim Orman」
トルコの歌姫とも呼ばれる、シェブネム・フェラーの2010作
ゴシックロック的なハードさと、美麗なシンフォニックアレンジが合わさった楽曲に
トルコ語による艶めいた歌声で聴かせるサウンド。いくぶんの民族風味も加わって
2005年の「Can Kiriklari」に比べて、よりしっとりとした作風で、好みの音になった。
異国情緒を漂わせた女性ヴォーカルで、ウィズインのトルコ版かというような煽情的な好作。
メロディアス度・・8 ゴシック度・・7 女性Vo度・・8 総合・・8
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Secret Signs 「For a Lifetime」
スペインのゴシックメタル、シークレット・サインズの2011年作
ヘヴィなギターにクラシカルなシンセを重ね、伸びやかな女性ヴォーカルに男性デスヴォイスが絡む、
耽美な空気に包まれた重厚なゴシックメタルサウンド。シンフォニックで壮麗なシンセアレンジと
エモーショナルな女性ヴォーカルも魅力的で、楽曲を優美に彩っている。曲によっては、ノーマル声の男性Voや、
ピアノやストリングスによるクラシカルなアレンジ、リズムチェンジを含む起伏に富んだ構築力とともじっくりと聴かせる。
女性声の確かな実力とともに、全体的に楽曲自体の雰囲気はいいのだが、メロディの抜けきらなさが
物足りなさにつながっているので、アレンジや展開面でのさらなるクオリティアップに期待したい。
シンフォニック度・・8 ゴシック度・・7 女性Vo度・・8 総合・・7.5
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Sede Vacante「Conium 」
ギリシャのゴシックメタル、セーデ・ヴァカンテの2022年作
2016年にデビューし、2作目となる。メタリックなギターに美麗なシンセアレンジを重ね、艶めいた女性ヴォーカルで、
オーケストラルな優雅さに包まれた、ほどよくダークなゴシックメタルを展開する。ほどよくモダンなデジタル感覚と、
クラシカルな美意識が同居してキャッチーなフックのあるところは、かつてのAFTER FOREVERなどにも通じるかもしれない。
ステファニー嬢の歌声は、ストレートなメゾソプラノで、抜けきらないところが、ほの暗い翳りのあるサウンドにマッチしている。
男性声が絡むナンバーもあるが基本は女性声メイン。これだというインパクトはないのだが、高品質なシンフォニック・ゴシックメタルです。
シンフォニック度・7 耽美度・8 女性Vo度・7 総合・8
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SENGIR「GUILTY WATER」
ベルギーのゴシックメタルバンド、センギアの1st。2003作
なかなかヘヴィなツインギターに空間のあるキーボードアレンジ、
女性Voも魅力のある歌唱を聴かせ、これぞゴシックメタルの王道といったサウンド。
厚みのある空間的な音づくりが見事で、曲がやや一本調子に感じられるものの
女声ゴシックメタルが好きならこれは買って損なしだろう。
ELISAS DIVINE GRACEあたりが好きなら必ず気に入るはず。
シンフォニック度・・8 ゴシック度・・8 女性Vo度・・8 総合・・7.5

SENGIR「SIGN OF DEVOTION」
ベルギーのゴシックメタルバンド、センギアーの2nd。2008年作
WITHIN TEMPTATIONスタイルのゴシックメタルとしては1stもなかなか良かったが、
この2ndもヘヴィさとメロディアスさのバランスがとれた聴きやすいサウンドだ。
演奏やメロディに取り立てて素晴らしい部分はないし、楽曲の方も目新しさはないのだが、
艶のある女性Voの歌唱はなかなかのものだし、ピアノなどによるしっとりとした叙情美もよろしい。
ウィズインタイプのサウンドが好きならこのバンドも聴いてみて損はない。
メロディアス度・・8 ゴシック度・・8 女性Vo度・・8 総合・・7.5
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Septem Voices「For You (ДЛЯ ТЕБЯ)
ロシアのゴシックメタル、セプテム・ヴォイシズの2009年作
美麗なシンセに女性ヴォーカルのロシア語の歌声で聴かせるサウンド。
ストリングスのアレンジとともにクラシカルな優雅さがじつに美しい。
はかなげな
女性ヴォーカルが適度にマイナー臭さをかもしだしていて、
涼やかな翳りを含んだ叙情がとてもよろしい。優美なる好作品です。
シンフォニック度・・8 ゴシック度・・8 女性Vo度・・8 総合・・8
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SERENADE「The 28th Parallel」
スコットランドのゴシックメタルバンド、セレナーデの1996作
アヴァンギャルドでサイケ気味の浮遊感と、ローカルな田舎臭さが味わって、
どこか古めかしいドゥームメタルの雰囲気もただよわせている。
ときおりギターの奏でる哀愁のフレーズがいい感じなのだが、それすらもヨレている。笑
6分以上の曲がけっこうある割には退屈に思えてしまうのは、やはりメロディや曲の展開に
あまり魅力がないからだろう。ゲストによるチェロやピアノ、オルガンなどはいい感じです。
メロディアス度・・7 ゴシック度・・7 サイケ度・・7 総合・・7


7TH MOON「ALTER ALMA」
スペインのゴシックメタルバンド、セブンス・ムーンの2002年作
かなりへヴィなギターリフと、うっすらとしたバックのキーボードによる夢見がちなサウンド。
そこに乗る女性ヴォーカルの歌声はとても好みの美声で、うっとりとするような歌唱を聴かせてくれる。
特筆すべきは時折混じるデス声なのだが、これが何と、どうやら同じ女性が歌っているらしいのだ。
一人二役…こんなデス声出して、肝心の美声に影響しないかと思わず心配をしてしまった(笑)。
曲自体にはさほど新鮮味はないのだが、女性声入りの正統派ゴシックメタルとして堂々たる完成度。
ジャケは翼の生えた女性と花飾りの女性の2種類あるようだが、どちらも耽美的で美しい。
シンフォニック度・・7 ゴシック度・・8 女性Vo度・・8 総合・・8
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SHADOWGARDEN 「ASHEN」
スウェーデンのゴシックメタル、シャドウガーデンの2010年作
DRACONIAN関連のメンバーを中心にしたバンドで、SENTENCEDなどを思わせるメランコリックな雰囲気と、
To/Die/forやHIMなどのフィンランド系ゴシックロックのキャッチーさを合わせた感じのサウンド。
全体的にはメロディックで耳心地はよいものの、楽曲にこれというインパクトがないのが惜しい。
DRACONIANの女性Voが参加した曲はよい感じなので、今後は男女Voの作品を期待したいです。
メロディック度・・7 メランコリック度・・7 ゴシックロック度・・8 総合・・7.5





SHADOWS DANCE「A QUATRAIN FOR THE DAMENED」
オランダ(たぶん)のゴシックメタルバンド、シャドウズ・ダンスのアルバム。
知らないバンドなだけにあまり期待していなかったが、今風のデジタリィなシンセアレンジと、
合唱やコーラスなども取り入れたシンフォニックさが同居しており、なかなか凝っている。
本物かどうか分からないがストリングスの音色がクラシカルな格調高さをもたらし
女性ヴォーカル、コーラスとともに効果的にサウンドを彩っている。
プロダクションの甘さと、打ち込みっぽいリズムの軽さが残念だが、
センスとしてはいいし、耽美とロマンにあふれたゴシックメタル作品だ。
シンフォニック度・・7 クラシカル度・・8 ロマンティック度・・8 総合・・7.5


Shape of DespairShades of...」
フィンランドのゴシック・ドゥームメタルバンド、シェイプ・オブ・デスペアーの1st。
美しいシンセにゆったりとしたドゥーミーなリズムとデス声、そして天上のソプラノヴォイス。
2ndで聴かれた重厚な暗黒フューネラルドゥームよりも、本作はもう少しやわらかなサウンドで、
ダークではあるがシンセの効果もあって案外聴きやすい。曲は10分台がメインで
長いので集中して聴くというよりは、まどろみつつ聴き流すのが最適の音楽だろう。
シンフォニック度・・8 ゴシック度・・8 暗黒度・・8 総合・・7.5
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SHAPE OF DESPAIR「ANGELS OF DISTRESS」
フィンランドのゴシック・ドゥームメタルバンド、シェイプ・オブ・デスペアーの2nd。2002作
ゆった〜り、としたのろいリズムに反復するギターのヘヴィリフとキーボード、
咆哮デス声、そしてバックには美しい女性コーラス、という暗黒系の耽美ドゥームサウンド。
おもわず眠たくなりますが、これを聴きながら眠るととてもいい悪夢が見られそう(笑)。
シンセやヴァイオリン、女性声が入るので初期のMY DYING BRIDEあたりよりは
かえって聴きやすいかも。絶望悲哀系の音楽ですが、音は厚くシンフォニックです。
曲が長めなので(全5曲54分)たゆたうような気分でうっとりと聴くのが正しい鑑賞法でしょうか。
シンフォニック度・・8 暗黒度・・9 ドゥーム度・・9 総合・・7.5
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SHAPE OF DESPAIRIllusion's Play
フィンランドのドゥーム・ゴシックメタルバンド、シェイプ・オブ・デスペアーの3rd。2004作
前作は美しくも絶望的に暗いフューネラル系ドゥームサウンドで記憶に残っているが
今回はやや聴きやすさが増していて、ドゥーム系ゴシックメタルといってよい音になっている。
もちろん、ヘヴィかつスローな楽曲には微塵もキャッチーさはなく、
地を這うようなデス声Voと、それに絡む美声のソプラノVoという対比は健在だ。
バックのうっすらとしたシンセと、メロウなフレーズを奏でるギターがサウンドをシンフォニックにしていて、
それなりに耽美な雰囲気もある。重厚になったMY DYING BRIDEといった趣ともいえる。
シンフォニック度・・7 ゴシック度・・7 ドゥーム度・・7 総合・・7.5
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SHAPE OF DESPAIR 「Monotomy Fields」
フィンランドのドゥーム・ゴシックメタル、シェイプ・オブ・デスペアーの2015年作
デビューは2001年、本作はじつに11年ぶりとなる4作目である。うっすらと美しいシンセに包まれて、
重厚なギターリフを乗せ、ゆったりとしたスローテンポのリズムで描く、そのフューネラルな世界観は不変。
低音のデスヴォイスをメインにしつつ、ときに女性によるスキャットヴォイスも絡んだり、
今作では、さらには男性ノーマル声も加わって、ダークで耽美なサウンドを彩りながらも、
以前の作品よりも聴きやすい、いわばメロディアス性が強まったという印象である。
シンセパートによるアンビエントな浮遊感も魅力的で、まるで暗黒の空気に癒されるような聴き心地。
長いブランクを感じさせないばかりか、My Dying Brideに匹敵する説得力のある世界を作り出した傑作である。
ゴシック度・・8 重厚度・・8 耽美度・・9 総合・・8
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Shape of Despair 「Return to the Void」
フィンランドのゴシック・ドゥームメタル、シェイプ・オブ・デスペアーの2022年作
2000年にデビューし、本作は6作目。ヘヴィなギターにシンセを重ね、低音グロウルヴォイスに女性ヴォーカルが絡み
ゆったりとした寒々しいフューネラル・ドゥームを聴かせる。じっとりとした重厚さと暗黒の世界観に、
随所に泣きのギターフレーズも含ませて、8〜11分という長めの楽曲をじっくりと描いてゆく。
スローテンポを基本にしているので、気が短い方には向かないが、説得力のある音の厚みとともに
耽美でダークな空気を愛する者なら心地よく浸れることだろう。女性声パートがもっとあっても良かった。
ドラマティック度・8 フューネラル度・9 重厚度・8 総合・8 
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SHELLYZ RAVEN「DESOLATION」
ノルウェーの女性Voゴシックメタルバンド、シェリィズ・レイブンの2000年作
ジャケもですが、デジパックの中もHな写真がいっぱい。ゆったりとした楽曲に、
アンニュイさをただよわせる女性ヴォーカルの歌声はTHE GATHERINGにも通じるが、
こちらの方がシンセを多用していて薄暗い雰囲気がよい感じです。
ヴォーカル嬢の歌声も低血圧系の可愛らしい声からやや低めのウィスパーまで歌い分けていて
のんびりゆったりとしたメランコリックでアンニュイな曲調によくマッチしている。
メロディアス度・・7 ゆったり低血圧度・・9 女性Vo度・・8 総合・・7.5
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Shores of Null 「Quiescence」
イタリアのゴシックドゥームメタル、ショーズ・オブ・ナルの2014年作
ツインギターの5人編成で、重厚なギターリフとデスヴォイス&ノーマルヴォイスを乗せた
正統派メタル寄りのドゥームデスメタルサウンド。ツーバスのドラムのスロー過ぎないミドルテンポに
朗々としたノーマルヴォーカルが乗るところはエピック・ドゥーム的な聴き心地でもある。
随所にゴシックドゥーム的なメランコリックな叙情もあって、デス声とノーマル声の対比は
初期のOPETHなどに通じる雰囲気もある。ツインギターのフレーズにはメロディが感じられるので
ヘヴィであっても案外聴きやすく、Swallow the Sunあたりが好きな方にも楽しめるだろう。
ドラマティック度・・8 ゴシックドゥーム度・・8 重厚度・・8 総合・・7.5
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SHORES OF NULL「BLACK DRAPES FOR TOMORROW」
イタリアのゴシック・ドゥームメタル、ショーズ・オブ・ナルの2016年作
前作はOPETH+Swallow the Sunというような好作たったが、本作もツインギターのリフに
朗々としたヴォーカルを乗せ、メランコリックな味わいの重厚なゴシック・ドゥームを聴かせる。
随所にデス声も加わったダークな迫力と、ギターの奏でる泣きのフレーズとともに、
湿り気のある叙情的な味わいも含んだサウンドで、楽曲の魅力も前作以上の出来である。
どっしりとした重厚さとダークで物悲しい叙情性が同居した、なかなかの好作です。
ドラマティック度・・8 メランコリック度・・8 重厚度・・8 総合・・8
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SILENT CRY「REMEMBRANCE」
ブラジルのゴシックメタルバンド、サイレント・クライの1st。1998作
この1stの時点でもすでに、シンフォニックで繊細なキーボードにメロウなギター、
そして美しいソプラノヴォイスという一線級に必要な要素はみな揃っているが、
残念なのはこの録音・プロダクションの薄っぺらさで、せっかくのメロディの迫力、説得力を無くしている。
しかしながら、ジャケを含めた耽美な美意識はゴシック好きにとってはたまらないものがある。
シンフォニック度・・7 ゴシック度・・8 サウン度・・6 総合・・7

SILENT CRY「GODDES OF TEARS」
ブラジルの男女Voゴシックメタルバンド、サイレント・クライの2nd。2000年作
ゴシックメタルのムーブメントはヨーロッパのみにとどまらずついに南米にまで進出。
このバンドも欧州のバンドをうまく模倣した耽美派のゴシックメタルで、
シンフォニックなキーボードに美しい女性ソプラノと男性デス声が乗るという基本に忠実なサウンド。
ツーバスのドラムやギターなどにはヘヴィなメタル色が残り、対照的に美しいKEYアレンジが効果的。
ヴォーカル面はやや弱い気がするが、その分ツインギターギターの奏でる叙情フレーズが絶品だ。
シンフォニック度・・8 ゴシック度・・8 叙情・・8 総合・・8

SILENT CRY「Shades Of The Last Way...」
ブラジルのゴシックメタルバンド、サイレント・クライのミニアルバム。2002作
2bd「GODDES OF TEARS」はシンフォニックなシンセと男女ヴォーカルで聴かせる
本格派ゴシックメタルの好作であったが、本作も基本的には同路線。
美麗なシンセを中心に、可憐な女性ヴォーカルとそれに絡む男性デス声、
薄暗くも美しい雰囲気はなかなかいい。ドラムなどリズム面がやや軽い感じもするが。
シンフォニック度・・8 ゴシック度・・8 女性Vo度・・7 総合・・7

Silent Cry 「Dance of Shadows」
ブラジルのゴシックメタル、サイレント・クライの2003年作
2nd「GODDES OF TEARS」がなかなかの出来であったので期待していたのだが、
美しい女性ヴォーカルに男性デス声で聴かせる耽美なゴシックメタルは同じながら、
今作はいくぶん正統派メタル寄りのアプローチもあったりと、楽曲的な幅が広がっている。
随所に聴かせるメロディックなギターフレーズは相変わらずよい感じで、
キュートな声質の女性Voの魅力も含めて、全体的な雰囲気は決して悪くないのだが、
音質の粗さがチープな印象になってしまっているのが残念。本作を最後にバンドは沈黙する。
シンフォニック度・・7 ゴシック度・・8 女性Vo度・・7 総合・・7.5


SILENTIUM「INFINITA PLANGO VULNERA」
フィンランドのゴシックメタルバンド、サイレンティウムの1st。1999年作
ツインギターにキーボード、ヴァイオリンを配した楽曲に、ダミ声の男ヴォーカルと美しい女性ソプラノヴォーカルを乗せた
耽美なゴシックメタルを聴かせる。2ndの完成度に比べるとまだ荒い部分があるものの、ヴァイオリンの音色が効果的で美しい。
音に厚みがあるという点でサウンドには説得力があり、ギターのフレージングにも煽情力があって、
雰囲気やクオリティ的にもノルウェーのTHE SINS OF THY BELOVEDあたりに通じるものがある。
女性Voがメインになる次作よりは、男性Voの比重がこの時点ではまだやや多いのが個人的には惜しいか。
シンフォニック度・・8 ゴシック度・・8 女性Vo度・・7 総合・・7.5
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SILENTIUM「ALTUM」
フィンランドのゴシックメタル、サイレンティウムの2nd。2001年作
物悲しいピアノ、ヴァイオリン、キーボードによるメロディの上に美しい女性ソプラノヴォーカルの歌声。
男声はデス声ではないので、暗黒度はさほどなく、その分叙情性が高いので耳心地がよいのです。
ツインギター+キーボードで音にも厚みがあり、この手のサウンドに重要な重厚な説得力もある。
クラシカルで耽美な、これぞ正統派シンフォニック・ゴシックメタルというべき傑作です。
メロディアス度・・8 ゴシック度・・8 女性Vo度・・8 総合・・8
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SILENTIUM「SUFFERION-HAMARTIA OF PRUDENCE」
フィンランドのゴシックメタルバンド、サイレンティウムの3rd。2003作
最初のイントロでもう満足〜。コレですよ、この重厚さ、この絶望感…そして美しさ。
ひとことでいうと本物の「重悲しさ」がここにある。これこそが「ゴシックメタル」なのです!
美しくもはかなげなピアノに重なるメランコリックさと悲哀を感じさせるギターフレーズ、
しっとりとした女性ヴォーカルと漂う倦怠の香り…聴いていてうっとりです。
ゴシックメタルを名乗るからにはこのくらいの音を出して欲しいという見本のような傑作。
メロディアス度・・8 ゴシック度・・9 女性Vo度・・7 総合・・8
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SILENTIUMSeducia
フィンランドのゴシックメタルバンド、サイレンティウムの4th。2006作
本作からVoが代わっているが、基本的には暗く美しい重厚なゴシックメタルスタイルだ。
新Voのリナ嬢の歌唱は、声質の好みからしても個人的にはさほどぐっと来ないので、
前作ほどには今作を素晴らしいとは思えないのは、まあ仕方がないところか。
ただ、やはり全体的な雰囲気にもやや垢抜けたようなモダンさが感じられ、
このバンド独特の翳りや悲しみの表現は整然とした音のせいでやや半減している気がする。
なんにしても、本格派のゴシックメタルを続けているこのバンドには今後とも頑張って欲しいものだ。
メロディアス度・・7 ゴシック度・・8 女性Vo度・・7 総合・・7.5
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SILENTIUM「Amortean」
フィンランドのゴシックメタルバンド、サイレンティウムの5th。2008年作
3rdまでは重厚かつメランコリックなサウンドで素晴らしいアルバムだったのだが、
前作でややモダン化した作風となり、続く本作も基本的にはその延長上のサウンド。
女性Vo、リナ嬢の中音域の歌声と、適度にヘヴィなギターとシンフォニックなシンセを中心にしたスタイルで
初期にあったもの悲しいダークさが薄れて、ごく普通のゴシックメタルという印象である。
ただ、アルバム後半の美しさはむしろシンフォニックメタル的で、バンドの新たな魅力となっている。
シンフォニック度・・8 ゴシック度・・7 女性Vo度・・7 総合・・7.5
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SILENTLIE 「Layers of Nothing」
イタリアのゴシックメタル、サイレントライの2015年作
ヘヴィなギターに女性ヴォーカルの乗せた、Lacuna Coilなどにも通じるゴシック風味のヘヴィロック。
ジョルジア嬢の歌声はハスキーな中音域で、フェミニンな雰囲気よりもむしろパワフルな声質なので、
サウンドとしてもゴシック的な耽美さよりは、モダン寄りのメタル感触が強いかもしれない。
専任のシンセ奏者がいないのでシンフォニックな要素も薄いのだが、曲によってはシンセによる味付けもあって、
Evanescence的に聴けたりもする。一方では、ダークなドゥーム感を含んだナンバーもあって、むしろこの路線の方が
ヴォーカル嬢の歌声には似合っている感じもする。今後は楽曲そのものの魅力を強めていってもらいたい。
ドラマティック度・・7 ゴシック度・・7 女性Vo度・・7 総合・・7
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SilentLie 「Equilibrium」
イタリアのゴシックメタル、サイレントライの2022年作
2015年にデビューし、2作目。ヘヴィなギターにシンセを重ね、中性的な女性ヴォーカルの歌声で、ダークなメタルサウンドを聴かせる。
ミドルテンポの適度なノリもあって、モダンなゴシックロック風味の感触に、SINHERESYでも活躍する、ダヴィデ・スポルティエッロの優美なシンセアレンジも随所に加わって、メランコリックながらもわりとキャッチーな耳心地で、Giorgia嬢の女性にしては線の太い歌声も印象的だ。
全体的には、メロディアスでゆくのか、シンフォニックか、ダークなのかがどっちつかずという印象もある。
ドラマティック度・7 ゴシック度・7 女性Vo度・7 総合・7.5
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Silent Opera 「Reflections」
フランスのシンフォニック・ゴシックメタル、サイレント・オペラの2014年作
男女Voに女性シンセ奏者を含む6人編成で、オーケストラルなイントロから始まり、
ヘヴィなギターにシンセを重ね、美しい女性ヴォーカルに男性デスヴォイスが絡む、
オペラティックなシンフォニックメタルを聴かせる。迫力あるデス声とメタリックなヘヴィネスに、
テクニカルな展開力も含んだアグレッシブさと、なよやかな女性声による優美さが同居した、
モダンな構築力が特徴で、Laure嬢の歌声は、Delainのシャルロット嬢を思わせるなよやかさで、
激しいデス声とのコントラストになっている。モダンなヘヴィネスと壮麗な美しさに包まれた力作だ。
シンフォニック度・・8 モダンヘヴィ度・・8 女性Vo度・・8 総合・・8
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SILENT RESENTMENT 「DEATH IS UTOPIA」
中国のゴシック・デスメタル、サイレント・リセントメントの2009年作
女性Vo、女性シンセ奏者を含む6人編成で、英語で歌うソプラノヴォーカルにデスヴォイスが絡み、
妖しく耽美な雰囲気に激しめの疾走も含んだ、台湾のSERAPHIMなどにも通じるサウンド。
シンセによる美麗なアレンジもなかなかよろしく、女性声でしっとりと聴かせる部分は美しいのだが、
いかんせん音質の弱さが音の迫力を削いでしまっている。色々な部分で今後のクオリティアップに期待。
シンフォニック度・・7 ゴシック度・・7 女性Vo度・・7 総合・・7


Silent Stream of Godless Elegy 「Behind The Shadows」
チェコのゴシックメタル、サイレント・ストリーム・オブ・ゴッドレス・エレジーの1998年作
1996年にデビュー、本作は2作目。メタリックなギターリフに渋い男性ヴォーカルとデスヴォイスを乗せた、
どっしりとした重厚なサウンドに、ヴァイオリンやチェロも鳴り響くクラシカルなテイストも覗かせる。
ときに、My Dying Brideあたりに通じるドゥーミィな物悲しさに包まれていて、野太い低音デス声に
わめき声Voも加わって迫力もたっぷり。後半には民族的な旋律に女性ヴォーカルを乗せたナンバーもあり、
のちの作品に通じる雰囲気も垣間見せる。現時点ではいくぶん粗削りながら、バンドの個性は確立している。
ドラマティック度・7 耽美度・7 重厚度・8 総合・7.5 
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Silent Stream of Godless Elegy「Themes」
チェコのゴシックメタルバンド、サイレント・ストリーム・オブ・ゴッドレス・エレジーの3rd。1999作
ヴァイオリンにチェロ奏者を含む6人組で、耽美というよりはドゥームメタル的なヘヴィさと、
クラシカルでアヴァンギャルドな独特のセンスを有したサウンドだ。男性のデス声が基本ながら
女性Vln奏者が数曲で歌っていてちょっと嬉しい。どことなくプログレッシブな知性も感じるので、
普通のゴシックメタルに飽き足らない方には面白いバンドと言えるかもしれない。
メロディアス度・・7 知的ゴシック度・・8 クラシカル度・・8 総合・・7.5
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Silent Stream of Godless Elegy「Relic Dances」
チェコのゴシックメタルバンド、サイレント・ストリーム・オブ・ゴッドレス・エレジーの4th。2004作
新たに女性ヴォーカルとヴァイオリンが加入し、7人編成となったことで、さらに音の厚みは増した。
男性声主体だった前作にくらべ、ぐっと女性ヴォーカルのパートが増えたことがまず嬉しい。
ヴァイオリンとチェロによるクラシカルな美しさと、プログレッシブなセンスを感じさせるアレンジで、
バルカントラッド的な音階なども含めて、単なるゴシックとは異なる知的な音楽性を聴かせてくれる。
女性声メインの曲などはむしろプログレリスナーなどにも受けそうだ。クラシカルでシリアスな傑作。
メロディアス度・・7 知的ゴシック度・・8 クラシカル度・・8 総合・・8
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Silent Stream Of Godless Elegy「Navaz」
チェコのゴシックメタルバンド、サイレント・ストリーム・オブ・ゴッドレス・エレジーの2011年作
男女ツインヴォーカルに、ヴァイオリン奏者などを含む7人編成。おそらく6年ぶりとなる5作目で、
これがまた素晴らしい出来。トラディショナルな土着性を盛り込んだシリアスな世界観で、
単なるゴシックメタルという枠にはとどまらない懐の広いサウンドを展開している。
大人の魅力をたたえた女性ヴォーカルの歌声に、クラシカルなヴァイオリンの音色、
どこかアカデミックな格調高さも覗かせた、優雅でありながら尖ったセンスが素晴らしい。
クラシカル度・・8 ゴシック度・・7 女性Vo度・・8 総合・・8.5
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Silent Stream Of Godless Elegy 「Smutnice」
チェコのゴシックメタル、サイレント・ストリーム・オブ・ゴッドレス・エレジーの2018年作
1995年にデビュー、本作は7年ぶりとなる7作目。ヘヴィなギターにヴァイオリンやチェロの音色が重なり、
母国語による女性ヴォーカルに男性声が絡む、Orphaned Landにも通じる異国的な味わいのサウンド。
デスヴォイスを含むアグレッシブな激しさも垣間見せつつ、ストリングスによるクラシカルなテイストも同居して、
ほどよくヘヴィでありながらも、アラビックな雰囲気の土着的と、妖しくミステリアスな空気感に包まれる。
ゴシック的な耽美性よりは、スラヴ系の異国感が前に出ていて、フォークメタルのファンにも楽しめるだろう。
ドラマティック度・・8 ゴシック度・・7 異国度・・8 総合・・8 
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SINISTHRA「last of the stories of long past glories」
フィンランドのゴシックメタルバンド、シニスセラの2005作
太めのノーマルヴォイスで聴かせる男性声ゴシックメタル。
シンセ奏者もいるようだが、基本はギターリフによるメタリックな質感で、
昨今の美麗系のゴシックバンドとは異なるエッジのきいた重厚さがある。
フィンランド的なメランコリックな雰囲気とともに、骨太のヘヴィさとマイルドな叙情とのバランスのとれた作品だ。
メロディアス度・・7 ゴシック度・・7 重厚度・・8 総合・・7.5
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THE SINS OF THY BELOVED「LAKE OF SORROW」
ノルウェーの男女Voゴシックメタルバンド、ザ・シンズ・オブ・ザイ・ビラヴドの1st。1998年作
女性2人を含む7人編成+ゲストのVinという大所帯なのでこのバンドは音が厚くて説得力がある。
2ndよりは男のデス声が多いが、曲の途中から色っぽい女性声が現れるとやっぱり嬉しくなる。
もちろんお約束の(?)あえぎも出てきます。曲の方ゆったりしていて傑作の2ndよりはやや長尺な印象か。
メロディアス度・・8 女性Vo妖艶度・・7 楽曲・・7 総合・・7.5
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THE SINS OF THY BELOVED「PERPETUAL DESOLATION」
ノルウェーのゴシックメタル、シンズ・オブ・ザイ・ビラヴドの2nd。2000年作
この手のゴシックメタルバンドで、アルバムの評価を決めるのは…1. 曲、メロディの良さ、2. 何らかの個性、
そして、3. 肝心の女性Voの力量である。その点でも本作はじつに高レベルの作品といえるだろう。
まず曲の良さを引き立たせる二つの個性が明確に存在している点が高ポイントで、1つにはヴァイオリンの音色が、
実にいい味を出していて、ギター、キーボードアレンジの中で美しいアクセントとなって輝いている。
もう1つは・・・女性ヴォーカルの歌。妖艶な喘ぎや笑いまでもを「歌」として機能させ、世界観の耽美性を高めている。
やはり男として(笑)このような美しい声のあえぎを聴かされると、なんともぞくぞくしてしまうのであった。
起伏に富んだ楽曲のアレンジも高品質。北欧らしい男女ヴォーカルの正統派ゴシックメタル傑作である。
ドラマティック度・・8 ゴシック度・・8 妖艶度・・8 総合・・8
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SIRAKH 「CRISIS OF FAITH」
フィンランドのゴシックメタル、シーラクの2021年作
男女Voを擁し、「ダーク・オルタナティブ」を標榜するバンドで、重すぎないギターに涼やかなシンセを重ね、
美しい女性ヴォーカルにマイルドな男ヴォーカルが絡む、メランコリックな倦怠に包まれたゴシック・ハードロック。
キャッチーなメロディに耽美な翳りを含んだ作風は、HIMの女性Vo版という感じもあり、総じて聴き心地が良く、
メロディアスハード的な優雅なノリのリズムと、フィンランド的な倦怠の叙情がバランスよく合わさっている。
透明感あるMarina嬢の歌声もこのサウンドにはぴったりで、フックのあるメロディを優美に歌い上げる魅力は充分。
後半には男性声がメインのナンバーもあるが、全体的には女性声メインなのも良いですね。
メロディック度・7 耽美度・8 女性Vo度・8 総合・8
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SIRENIA「AT SIXES AND SEVENS」
TRISTANIAのVo/Gらよるゴシックメタルバンド、シレニアの2002作
シンフォニックなアレンジに荘厳な男女コーラスに比較的軽めのリズムの耳障りのよいサウンド。
まだ女性Voはゲスト扱いで、音はジャケほど「おねえちゃん度」は高くないのでご注意(笑)。
TRISTANIAやTHE SINS OF THY BELOVEDなどに参加したヴァイオリン奏者が
ここでも参加していて、曲によっては効果的にその音色を聴かせている。
次作以降ほどの耽美な美しさはまだないが、1作目としては完成度は高いと思う。
シンフォニック度・・8 ゴシック度・・8 女性Vo度・・5 総合・・8
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SIRENIA「An Elixir for Existense」
ノルウェーのゴシックメタルバンド、シレニアの2nd。2004作
メロウなギターフレーズにきらきらとしたキーボードアレンジ、コーラスワークなどにより、
バランスのとれたシンフォニックなゴシックメタルを形作っている。
デス声の男Voに、美声の女性Voが加わり、ところによりしっとりとした引きの叙情もある。
曲の方はしっかりと展開も練られていて、重すぎず、軽すぎず、しっかりとしたビート感もあるので
単調なゴシックはダメという方にも聴きやすいはず。この手のバンドとしては非常に完成度の高いアルバムだ。
シンフォニック度・・8 ゴシック度・・8 完成度・・9 総合・・8 
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SIRENIANine Destinies and a Downfall
ノルウェーのゴシックメタルバンド、シレニアの3rd。2007年作
過去2作はいずれも質の高いシンフォニックなゴシックメタル作であったが、今作も素晴らしい出来ばえだ。
新Voのモニカ嬢の歌声は魅力的で、ギターとシンセによる重厚な音の重ねによるサウンドは説得力も充分。
効果的なデス声の使用や、荘厳なコーラスワークなど細部のアレンジにも気を配っており、
モダンさを取り入れたヘヴィな部分とシンフォニックな美麗さを両立させている。
最近低調ぎみのゴシックメタルシーンに、再び目を向かせるような質の高いサウンドだ。
シンフォニック度・・8 ゴシック度・・8 女性Vo度・・8 総合・・8
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SIRENIA「The 13th Floor」
ノルウェーのゴシックメタル、シレニアの2009年作
もともとはTRISTANIAが分派してできたユニットなのだが、質の高さですでに本家を上回っているともいえる。
今作でもまた女性ヴォーカルが交代しているが、ヘヴィメタリックな重厚さと適度なモダンさを同居させ、
そこにシンフォニックな美しさを加えて聴かせるという、実に質の高いアルバムだ。
新Vo、アイリン嬢の可憐な歌声は、WITHIN TEMPTATIONなどのファンにも受けるだろうし、
荘厳なコーラスや効果的に絡むデスヴォイスなどもいいアクセントになっている。
ドラマティックな重厚さとやわらかな聴きやすさのバランスで、ゴシックメタル初心者にも勧められる傑作だ。
メロディアス度・・8 ゴシック度・・8 女性Vo度・・8 総合・・8
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SIRENIAThe Enigma of Life
ノルウェーのゴシックメタルバンド、シレニアの2011年作
Theatre of Tragedy、Tristania、Leaves' Eyesとともにノルウェーのゴシックメタルを牽引するこのバンド、
5作目となる本作は、実質的にリーダーのモルテン・ヴェランドと女性Vo、アイリン嬢のユニットで
可憐な女性ヴォーカルの歌声とシンフォニックな味付けで聴かせる、王道のゴシックメタルであるのは変わらず。
かつてのWITHIN TEMPTATIONばりに優美な聴き心地であるが、インパクトの点ではやや薄いか。
シンフォニック度・・8 ゴシック度・・8 女性Vo度・・8 総合・・8
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SIRENIA 「Perils Of The Deep Blue」
スウェーデンのゴシックメタルバンド、シレニアの2013年作
いまやTRISTANIAと並びノルウェーのゴシックメタルを代表するこのバンド、
6作目となる本作も、シンフォニックなアレンジと美しい女性ヴォーカルの歌声で
壮麗にして耽美なる世界観を描き出す。全体的におとなしめだった前作に比べ、
メタリックなエッジも強まっていて、随所にデスヴォイスも含んだ重厚さも増している。
ドラマティックに構築された12分を超える大曲も見事。バンド史上最高傑作といえる出来だ。
シンフォニック度・・8 ゴシック度・・8 女性Vo度・・8 総合・・8
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SIRENIA 「Seventh Life Path」
ノルウェーのゴシックメタルバンド、シレニアの2015年作
2002年にデビューし、いまや北欧ゴシックメタルを代表するバンドの7作目。
壮麗なシンフォニックアレンジと女性ヴォーカルで聴かせるスタイルはそのままに、
本作ではいくぶんモダンなヘヴィネスが増している。アイリン嬢のキュートな歌声をメインに
男性デスヴォイスが絡む耽美な空気感はよいのだが、らしからぬ流麗なギターフレーズが入ったり、
楽曲的にも激しいパートを盛り込んでメリハリのついた楽曲は、もはやゴシックというよりは、
EPICAのような「ゴシック風味のシンフォニックメタル」として聴くべきサウンドである。
より多くのリスナーに楽しめる内容かもしれないが、個人的にはやや残念。ゴシック・カムバック!
シンフォニック度・・8 ゴシック度・・7 女性Vo度・・8 総合・・8
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SIRENIA 「Dim Days of Dolor」
スウェーデンのシンフォニック・ゴシックメタル、シレニアの2016年作
2002年にデビュー、元TRISTANIAのモルテン・ヴェランドによるプロジェクトで、本作が8作目となる。
4作目以降フロントを務めていたアイリン嬢が脱退し、今作から新たな女性シンガーが加入している。
ヘヴィなギターにオーケストラルなアレンジを重ね、美しい女性ヴォーカルで聴かせる美麗なシンフォニックメタル。
新加入のエマニュエル嬢の歌声は、Nightwishのフロール・ヤンセンにも通じる伸びやかなソプラノで、
楽曲を華麗に彩っていて、ゴシック的な耽美さは薄めながら、キャッチーなナンバーにもよく似合っている。
ときにデスヴォイスも加えつつ、全体的には女性声を活かした優美な作風で、楽曲アレンジも含めてさすがの高品質作。
シンフォニック度・・8 ゴシック度・・7 女性Vo度・・8 総合・・8
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SIRENIA 「ARCANE ASTRAL AEONS」
ノルウェーのゴシックメタル、シレニアの2018年作
2002年にデビューし、すでに9作目。名実ともに北欧を代表する女性声ゴシックメタルバンドである。
オーケストラルなシンセアレンジにヘヴィなギター、美しいソプラノ女性ヴォーカルを乗せた、
壮麗なゴシックメタルは本作も健在。随所にデスヴォイスを絡めつつ、ときに激しい疾走パートもあったりと
緩急ある楽曲展開はこれまで以上にドラマティックな聴き心地。前作から加入のエマニュエル嬢は、
PENUMBRAなどにも参加していたフランス出身のシンガーで、その美しくも妖艶な歌声は魅力的だ。
中盤はわりと中庸のナンバーもあるのだが、全体的にはシンフォニックゴシックメタルの高品質作だ。
シンフォニック度・・8 ゴシック度・・8 女性Vo度・・8 総合・・8 
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The Slow Death「Siege」
オーストラリアのゴシック・ドゥームメタル、スロー・デスの2021年作
2008年にデビューし、4作目となる。19分、13分、19分、10分という大曲4曲の構成で、うっすらとしたシンセに
重すぎない叙情的なギター、妖しい女性ヴォーカルの歌声を乗せた、メランコリックなサウンドを描く。
随所にデスヴォイスも加わるが、フューネラル・ドゥームというほどには暗黒性は感じさせず、
メロウなギターの旋律に優美なシンセアレンジが耳心地よく、ゴシックドゥームとしても楽しめる。
とにかく、曲が長くてスローテンポなので、ヘヴィすぎないサウンドも相まって眠気がきてしまうのだが、
SHAPE OF DESPAIRなど、ゆったりとした幻想ドゥームが好きな方には楽しめるだろう。
ドラマティック度・7 メランコリック度・8 重厚度・8 総合・7.5
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Somberwind 「Remain」
ギリシャのゴシックメタル、サンバーウインドの2021年作
ほどよくヘヴィなギターにシンセを重ね、渋い歌声の男性ヴォーカルに女性ヴォーカルが絡む、
適度にキャッチーなゴシックロック寄りのサウンドを聴かせる。シンフォニックというほどは壮麗さはなく、
ゴシックメタルにしては耽美さが足りず、たいして魅力もない男性声パートの方が無駄に多いなど、
サウンド、世界観ともに中途半端な印象で、音質のラウドさも含めて、突き抜けるものがないという。
やわらかな女性声が唯一の魅力なので、今後は女性Voを活かした楽曲を作ってみてください。
ドラマティック度・7 ゴシック度・7 女性Vo度・7 総合・6.5
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Sombria 「Chirographon Dei 」
ギリシャ、ノルウェー、メキシコのメンバーによるゴシックメタル、ソンブリアの2021年作
マスクやペイントをほどこした怪しいメンバー写真だが、サウンドの方は美麗なシンセをギターに重ね、
艶めいたソプラノ女性ヴォーカルで聴かせる、耽美でシンフォニックな王道のゴシックメタル。
ヨーロピアンな翳りを感じさせるほどよくダークな世界観とともに、クラシカルなピアノや
オーケストラルで壮麗なアレンジに加え、ときにブラスト疾走する激しさも覗かせる。
キャッチーな爽快さやメロディのフックは薄いものの、くぐもったようなメランコリックな空気感はマニア好み。
妖しい耽美性とともに、ほどよい疾走感も含んだ、シンフォニック・ゴシックメタルの強力作です。
シンフォニック度・8 耽美度・9 女性Vo度・8 総合・8
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Song of Anhubis 「Reversed Reflection」
スペインのゴシックメタル、ソング・オブ・アヌビスの2020年作
ヘヴィなギターにシンセを重ね、妖しい女性ヴォーカルとともに、ミステリアスな浮遊感に包まれたサウンドを描く。
スペイシーなシンセワークとほどよく激しいドラムのコントラスト、ドゥームやサイケの雰囲気も含んだスタイルで、
魔女系ロック的な世界観も感じさせる。一方ではモダンなヘヴィネスにはインダストリアルな感触もあったりと、
なかなかつかみどころがない。後半には、わりとアグレッシブなシンフォニックメタル寄りのナンバーなどもあって、
適度にキャッチーでモダンとオールドが混在した、妖艶な女性声メタルとして、なかなか楽しめる内容だ。
シンフォニック度・7 妖しさ度・8 女性Vo度・8 総合・8
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SOULRELIC「Love is a lie we both believed」
フィンランドのゴシックロックバンド、ソウルレリックの2005作
モダンな質感のあるフィニッシュ・ゴシックロックでHIMTO/DIE/FORに影響を受けていることが一聴して分かる。
ヘヴィすぎないギターに、デジタル風味のあるシンセアレンジ、そして哀愁漂うなヴォーカルメロディは、
マイルドな声質もあってなかなか耳に心地よい。ただのありがちなゴスロックバンドかと思いきや、
2曲目後半の叙情美は我々日本人にぐぐっと訴えかけてくる「泣き」があり、ぬしらなかなかやりおるな。
むしろメロディの充実度からすれば、HIMのどのアルバムよりも上かも…とすら思える。
ツボを押さえたサビでのコーラスワークといい、これはクオリティ高いわ。
メロディアス度・・9 ゴシックロック度・・8 フィンラン度・・9 総合・・8
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The Soundbyte 「Solitary IV」
ノルウェーのアヴァン・ゴシックメタル、サウンドバイトの2017年作
The 3rd And The Mortalのギター率いるバンドで、2004年にデビューし、4作目となる。
ほどよくヘヴィで叙情的なギターにうっすらとしたシンセ、トランペットやチェロなどを加え、
ゆったりとしたドゥーミィなインストパートから、女性のスキャットヴォイスを乗せて、
ときにエレクトロなアレンジなども加わったミステリアスなサウンドを聴かせる。
北欧らしい土着的なギターの旋律も覗かせて、涼やかな浮遊感に包まれながら、
女性声を乗せたしっとりとしたナンバーは、The 3rd And The Mortalに通じる味わいだ。
ドラマティック度・7 ゴシック度・7 ミステリアス度・8 総合・7.5
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STREAM OF PASSION「Embrace The Storm」
オランダのゴシックメタルバンド、ストリーム・オブ・パッションの2005年作
AYREONのアルイエン・ルカッセンがゴシックメタルに参加したと、ちょっと驚いたが、
以前にもAMBEONというフィメールものユニットがあったので、おそらく本人はこの手も好きなのだろう。
しっとりとした美声の女性ヴォーカルを中心に、しっかりゴシック風のリフを弾くルカッセンのギター、
そこに美しいピアノやチェロヴァイオリンが絡む、いわばゴシック風味のハードロックというサウンド。
MARCELA嬢の歌声はTHE GATHERINGのアネク嬢を思わせるものがあり、その表現力もなかなかのもの。
ダークさよりもヨーロピアンな情緒が前に出ているので素直に聴きやすい作品だ。
シンフォニック度・・7 ゴシック度・・8 女性Vo度・・8 総合・・8
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STREAM OF PASSION featuring Ayreon「Live in the Real World」
オランダのゴシックメタル、ストリーム・オブ・パッションのライブDVD。2006年作
先にCDで聴いていたが、やはりこういうバンドは映像つきで見るとより楽しめるものだと納得。
女性Voのマルセラ嬢は、THE GATHERINGのアネク嬢を思わせる声質で、
中音域での歌唱には内的な表現力が込められている。ときにヴァイオリンも手にして大活躍。
もう一人のVo/Choのディアーナ嬢も、ときにバックコーラスに、ときにフロントに出て
マルセラ嬢とのツインヴォーカル状態になったりと、器用に役割をこなしている。おへそもキュート♪
驚いたのはギターも女性だったのですね。しかも金髪ロンゲでなかなか派手なおねいさん。
テクの方も相方のルカッセンに負けじと、リードをとり、速弾きのソロもこなす腕前。
こうして女性が3人もステージにいるのだから、華のある絵は見ていてもなかなか楽しいのです。
曲の方は、AYREONからの旧曲などもけっこう披露してくれ、カメラワークもツボを押さえている。
ライブ演奏・・8 ライブ映像・・9 女性活躍度・・9 総合・・8
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STREAM OF PASSION「The Flame Within」
オランダのゴシックメタルバンド、ストリーム・オヴ・パッションの2009年作
1stはAYREONのルカッセンを中心にしたプロジェクトバンドかと思われていたが、
本作ではそのルカッセンや女性ギタリストは抜けて、メンバーはだいぶ変わっている。

サウンドの雰囲気は、美しい女性ヴォーカルで聴かせるゴシックメタルの王道で、
ヘヴィさよりもしっとりとしたメロディアスさとシンフォニックな質感が前に出ている。
楽曲はあくまでシンセとヴォーカルが主体という感じで、とても美しく聴きやすい。
シンフォニック度・・8 ゴシック度・・7 女性Vo度・・8 総合・・8
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Stream of Passion「Darker Days」
オランダのゴシックメタルバンド、ストリーム・オヴ・パッションの2011年作
AYREONのアンソニー・ルカッセンによるバンドとしてスタートし、これが3作目となる。
今作ではシンフォニックな美麗さとクラシカルで耽美な世界観が、より強固になって聴こえてくる。
ヴァイオリンも弾きこなすマルセラ嬢の歌声は、以前にも増してしっとりとした表現力がついてきて、
はかなげな叙情美とともに、音の説得力をぐっと高めている。ウィズインがメジャー化したいまとなっては、
オランダのゴシックメタルを引っ張るくらいの存在になっていってもらいたい。
シンフォニック度・・8 ゴシック度・・8 女性Vo度・・8 総合・・8
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STREAM OF PASSION 「A War Of Our Own」
オランダのゴシックメタルバンド、ストリーム・オヴ・パッションの2014年作
過去3作もクオリティの高い作品であったが、本作はいつになくヘヴィなギターとともに始まりつつ
マルセラ嬢のしっとりとした伸びやかな歌声が加わると、楽曲はとたんにメロウな情感に包まれる。
シンフォニックで優美なアレンジと、モダンなゴシック・ヘヴィロック的な感触が同居した作風であるが、
メランコリックな叙情性もしっかりと残していて、アグレッシブな部分とのよいメリハリになっている。
Within TemptationやEvanescenceなどのファンにも楽しめるだろう高品質なアルバムです。
シンフォニック度・・8 ゴシック度・・7 女性Vo度・・8 総合・・8
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Subterranean Masquerade「Suspended Animation Dreams」
イスラエルのプログレ・ゴシックメタル、サブテラネン・マスカレードの2004年作
マイルドなヴォーカルにフルートやトランペット、サックスなどの管楽器の音色や、素朴なアコースティックギター
オルガンなども含んだサウンドで、いわばメタル色は薄めのゴシックメタルというような感触。
ゆったりとした聴き心地でメランコリック叙情を描いてゆく、マイルドなプログレゴシックとしても楽しめる。
随所にデスヴォイスが入ってくるヘヴィなパートもあるが、ピアノやストリングスによる
優雅なアレンジがかぶさってきて、全体的には物悲しい美しさに包まれた好作品だ。
ドラマティック度・・7 メタル度・・7 メランコリック度・・8 総合・・8
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SUBTERRANEAN MASQUERADE 「Vagabond」
イスラエルのプログレ・ゴシックメタル、サブテラニアン・マスカレードの2017年作
2005年にデビューし、本作は3作目。ツインVo、ツインG、シンセを含む8人編成で、
ほどよくヘヴィなギターにシンセを重ね、サックスやフルートも鳴り響く優雅な味わいに
マイルドなヴォーカルで聴かせる、Orphaned Landにも通じるエスニックな味わいのサウンド。
随所にゲストによるヴァイオリンやアコーディオなども加えて、オルガン鳴り響くプログレ感触と
アラビックな旋律も含んだ中近東色が混ざった、多国籍風のプログレハードロックとしても楽しめる。
デス声を加えたナンバーもあるが、バックのメタル感はさほどないので、優雅なエスノロックとして鑑賞可能。
ドラマティック度・・8 エスニック度・・8 優雅度・・8 総合・・8
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the Sundial「Transition」
ロシアのゴシック・デスメタルバンド、サンディアルの2008年作
美しいシンセに導かれて、艶やかなヴァイオリンの音色とともに耽美な世界観が包み込む。
この手にしては珍しいインスト部分に比重を置いたサウンドはシアトリカルな雰囲気で、
囁くようなダミ声ヴォーカルも入ると、ゴシック化したCRADLE OF FILTHという感じにもなる。
紅一点のアナスタシア嬢は基本的にはシンセ担当のようで、歌うパートは意外と少ないが、
クラシカルなピアノの音色などを聴いていると、彼女の確かな音楽的素養が感じられる。
個人的にはアルバム後半で聴けるように、デス声に絡む美声パートをもっと増やしてもらいたいが、
シンフォニックブラック風味のシアトリカル・ゴシックメタルと思えば、かなりの力作であるには違いない
シンフォニック度・・8 ゴシック度・・8 シアトリカル度・・8 総合・・8
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SUNSETH SPHERE「STORM BEFORE SILENCE」
ハンガリーの女性Voゴシックメタルバンド、サンセス・スフェアーの2001作
最近はポーランドやハンガリーといった東欧の国からのゴシック系バンドが多いが、
だいたい共通するのは、シリアス度が高く、メタル度は抑えめ、シアトリカルで芸術的、という点である。
このバンドもどちらかというとメタル度は低めで、一曲目などは女性ヴォーカルの歌声もあいまってKATE BUSH的な色が濃い。
エレガンスなピアノの音色が導く2曲めなどは、ゴシックメタルというよりはどちらかというとALL ABOUT EVEのメタル版という感じ。
やはり全体的に低血圧系のサウンドで、盛大に盛り上がる場面はないが
静謐でクラシカルなゴシック風味の女性Voものとしてはなかなかの出来である。
メロディアス度・・8 クラシカル度・・8 女性Vo度・・8 総合・・7.5
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SUNTERRA「LOST TIME」
オーストリアのゴシックメタルバンド、サンテッラの2002作
ドイツ、オランダ、オーストリアあたりではこの手のゴシックメタル熱がまだまだ続いているようで、
このバンドも男女Voにフルート入りの、キーボードがきらびやかなゴシックサウンド。
これといった個性はないかもしれないが、楽曲に絡むフルートの音色や
シンフォニックなキーボードがけっこうヘヴィなギターリフとともに音に厚みを与えている。
リズムはやや単調だが、クオリティはなかなかのもの。次作にも期待。
シンフォニック度・・8 ゴシック度・・7 女性Vo度・・7 総合・・7.5
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SUNTERRA「GRACEFUL TUNES」
オーストリアのゴシックメタルバンド、サンテッラの2nd。2005作
オペラティックな女性Voにキーボード入りのサウンドで、なかなか聴きやすい。
ときおりあらわれるたおやかなフルートや、デス声とソプラノの絡みなどはいい感じだが、
1st同様、曲の方にどうしても「あと一歩」感があるのがもどかしい。
典雅で聴きやすいゴシックメタルだが、なにか深みのようなものが足りない気がする。
メロディアス度・・7 女性Vo度・・7 楽曲・・7 総合・・7.5


SUPREMACY「ANGEL」
オーストラリアのゴシックメタルバンド、スープレマシーのミニアルバム。6曲+ビデオクリップ2曲入り
ヴァイオリン、チェロを含む7人組みで、うち女性が6人(どうせなら全員女性にすればいいのに…)
という編成で、音としては案外普通のゴシックメタルをやっている。女性Voはややハスキーなタイプで可憐さはあまりない。
なかなか厚みのある演奏で、ときどきツインギターの重なりがカッコ良くキーボード+ヴァイオリンが
そこそこシンフォニックでクラシカル。4曲めからはデス声も入って元気がよくなります。耽美度は↓
ゴシックというよりは女王様っぽいビデオクリップもなかなかおもろい。
シンフォニック度・・7 ゴシック度・・7 女性Vo度・・7 総合・・7


Swallow The Sun「The Morning Never Came」
フィンランドのゴシック・ドゥームメタル、スワロー・ザ・サンの1st。2003年作
ツインギターにシンセを含む6人編成で、重厚でメランコリックなゴシックドゥームサウンドから
コアなファンも多いこのバンド。デビュー作である本作の時点でその音楽性は確立しており、
ギターによるもの悲しいフレーズとヘヴィなリフに、うっすらとしたシンセ、低音デスヴォイスによる
暗く沈み込むような楽曲は、タイトル通り“朝は決して来なかった”という雰囲気そのもの。
重々しく暗くゆったりとした音の中に、フィンランドらしいもの悲しい叙情美が包み込まれている。
メロディアス度・・7 重厚度・・8 メランコリック度・・8 総合・・8
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Swallow the Sun 「Ghosts of Loss」
フィンランドのゴシック・ドゥームメタル、スワロー・ザ・サンの2005年作
2作目となる本作は、1曲目から12分近い大曲で、叙情的なイントロからマイルドな男性ヴォーカルが加わり
ヘヴィなギターとデスヴォイスを含んだ重厚なサウンドが強烈なコントラストとなって現れる。
低音デスヴォイスは迫力たっぷりなのだが、ギターはときに叙情的なフレーズを奏で、
美しいシンセアレンジとともに、絶望的な暗さの中にも繊細な美意識が光っている。
ドゥーミィな重さと物悲しい冬の空気に、知的な構築力を備えたという傑作である。
メロディアス度・・7 重厚度・・8 メランコリック度・・8 総合・・8
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Swallow The Sun「Hope」
フィンランドのゴシック・ドゥームメタルバンド、スワロー・ザ・サンの3rd。2007年作
重厚なギターリフにうっすらとしたシンセが絡み、ドゥーミーなヘヴィさと
もの悲しい叙情で聴かせる、メランコリックなゴシックメタルサウンド。
曲は6〜9分と長めのものがほとんどで、マイルドなノーマル声と、
激しいデスヴォイスをまじえつつ、メロウなギターフレーズとともに
ゆったりとした重々しさと、フィンランドらしい倦怠の美学も含んでいる。
メロディアス度・・7 重厚度・・8 叙情度・・8 総合・・8
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Swallow the Sun「New Moon」
フィンランドのゴシック・ドゥームメタル、スワロー・ザ・サンの2009年作
毎作、ダークで濃密なゴシック・ドゥームを作り上げてきた彼らだが、4作目の本作は
前作以上にメロウなギターフレーズで聴かせる叙情性が増した傑作となった。
もちろん従来通りドゥーミーな重厚さは健在だが、楽曲にはいくぶんメロデス的な質感がそなわり、
それとともにメリハリのついた構成力で、メロディアスな部分をより引き立たせている。
ブラック声に低音デスヴォイス、ノーマル声を使い分けるヴォーカルの表現力も上がっていて、
もの悲しくも美しいメランコリックな世界観が、ある種ドラマティックなまでに構築されてゆく。
メロディアス度・・8 重厚度・・8 メランコリック度・・9 総合・・8
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Swallow the Sun「Emerald Forest and the Blackbird
フィンランドのゴシック・ドゥームメタル、スワロー・ザ・サンの2012年作
ゆったりとしたドゥーミィな要素はそのままに、今作では前作までの絶望感のあるダークさよりも
シンセによる美しいアレンジが前に出ていて、ダイナミックな展開力とともにサウンドに起伏が増した。
静謐感のある叙情に加え、シンフォニックなデスメタル感触も加わったことで、OPETHのように
プログレッシブな構築力を感じさせる作風となっている。メランコリックなギターフレーズなどは
いかにもフィンランド的であり、ノーマルヴォーカルの使用も含めて、メリハリのあるドラマティックな聴き心地である。
これまでのようにドゥームメタル一色から脱却し、より多くのファンを獲得するに足る力作に仕上がっている。
ドラマティック度・・8 ドゥーミィ度・・7 むしろプログレッシブデス度・・8 総合・・8.5
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Swallow the Sun 「Songs From the North pt.I & II & III」
フィンランドのゴシック・ドゥームメタル、スワロー・ザ・サンの2015年作
2005年にデビュー、6作目となる今作は、それぞれに「GLOOM(暗鬱)」、「BEAUTY(美)」、「DESPAIR(絶望)」という
タイトルのつけられた3枚組の大作となった。重厚なリフに叙情的な旋律も奏でるギター、低音デスヴォイスと
マイルドなノーマルヴォーカルをまじえて、メランコリックでダークな世界観を描くサウンドは今作も素晴らしい。
スローテンポを主体にしつつ、ミドルテンポのメタリックな迫力も随所にあって、メリハリの効いたアレンジ力には
OPETHのような知的なセンスを感じさせる。うっすらとしたシンセアレンジや物悲しいピアノの旋律も美しく、
ときに女性声などもアクセントになっていて、耽美でゴシック的な雰囲気がこれまで以上に強まった印象だ。
Disc1は7〜9分の曲を中心に重厚なナンバーを聴かせ、Disc2はデス声の入らないしっとりとしたサウンドで、
Anathemaなどを思わせる作風。Disc3では10分を超える大曲多数で、フューネラルな暗黒ドゥームメタルが炸裂する。
ドラマティック度・・8 重厚度・・8 メランコリック度・・9 総合・・8.5
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Swallow The Sun 「When A Shadow Is Forced Into The Light」
フィンランドのゴシック・ドゥームメタル、スワロー・ザ・サンの2019年作
2005年にデビュー、本作は7作目となる。重厚なギターにうっすらとシンセが重なり、
マイルドなヴォーカルとデスヴォイスを乗せて、耽美でメランコリックな世界観を描き出す。
アコースティックギターやストリングスを加えた優雅なアレンジに、ノーマルヴォーカルのパートや、
しっとりとした叙情を聴かせる部分も多く、ときにデスヴォイスを乗せた激しさも随所に覗かせつつ、
3枚組だった前作の良い所をミックスさせたという印象だ。物悲しくも重厚な、さすがの出来です。
ドラマティック度・・8 メランコリック度・・8 重厚度・・8 総合・・8 
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Swallow The Sun 「Moonflowers」
フィンランドのゴシック・ドゥームメタル、スワロー・ザ・サンの2021年作
2003年にデビューし、本作は8作目。いまやメランコリックなゴシックドゥームを代表するバンドとなった。
マイルドなヴォーカルでゆるやかに始まりつつ、重厚なギターとシンセの重ねに咆哮するデスヴォイスを乗せて、
ほどよく緩急のあるゴシックデスメタルを展開。叙情的なギターの旋律によるメランコリックな泣きと、
絶望の慟哭が交互に押し寄せるスタイルは、かつてのOPETHなどに通じる部分もあるだろう。
ストリングスなどによるシンフォニックなアレンジも、楽曲にクラシカルな優雅さを加えていて、
全体的に激しすぎない耳心地であるが、ラスト曲ではブラックメタルばりのブラスト疾走も現れる。
限定盤のDisc2には、ストリングスバンドによるクラシカルバージョンの教会でのライブを収録。
ドラマティック度・8 メランコリック度・9 重厚度・8 総合・8 
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TEARDOWN 「INNER DISTORTIONS」
フィンランドのゴシックメタル、ティアーダウンの2013年作
メタリックなツインギターによる重厚さと、もの悲しいシンセの旋律に、
しっとりとした女性ヴォーカルの歌声で聴かせる、王道のゴシックメタル。
メランコリックな叙情と倦怠を含んだ浮遊感は、「これぞゴシック!」というような世界観で
ゆったりとした耳心地で楽しめる。メロディの美しさも最近のバンドの中ではポイントが高い。
メランコリック度・・8 ゴシック度・・8 女性Vo度・・8 総合・・8
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Tears of Magdalena「MYTHS AND LEGENDS」
フィンランドのゴシックメタルバンド、ティアーズ・オブ・マグダレーナの2008年作
シンセにヴァイオリンも弾きこなす女性Vo、マグダレーナ嬢を中心にしたバンドで、
デス声入りのシアトリカルでオペラティックなゴシックメタルサウンド。
シンフォニックでありながらも、どことなく翳りのある雰囲気と土着的な質感は、NIGHTWISHなどに比べると
ややイモ臭さもあるが、むしろモダンさよりも素朴な味を好む向きにとってはそこも魅力となるかもしれない。
ソプラノ女性ヴォーカルのいくぶんの垢抜けなさも、意外と頻度の高いデス声挿入のおかげで
なよやかさが引き立っている。今後は楽曲そのものにどう個性をつけてゆくかが課題だろう。
シンフォニック度・・7 ゴシック度・・7 女性Vo度・・7 総合・・7.5
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TETHRA 「Empire of the Void」
イタリアのゴシック・ドゥームメタル、テスラの2020年作
2013年にデビューし、本作が3作目となる。ほどよい叙情を含んだ重厚なツインギターに
低音グロウルヴォイスを乗せて、ウェットでダークな味わいのドゥームメタルを聴かせる。
朗々としたノーマルヴォーカルもまじえつつ、ゴシック寄りの耽美な空気感も描いていて、
どっしりとしたスローテンポの楽曲はフューネル・ドゥーム的でもあるが、ときにリズムチェンジによる
メロデス的な激しい展開も覗かせる。随所にメロディックなギターフレーズも盛り込んみながら、
3部構成に分かれた16分では、ドラマティックなゴシック・ドゥームというべきサウンドが楽しめ、
女性ヴォーカルを加えたナンバーなどは、重厚な男女声ゴシックメタルという雰囲気もある。
ドラマティック度・・8 耽美度・・8 重厚度・・8 総合・・7.5
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TETRICONIA 「Eve」
メキシコのシンフォニック・ゴシックメタル、テトリコニアの2006年作
クラシカルなストリングスにメロウなギターと壮麗な男女コーラスが重なり、
美しいソプラノ女性ヴォーカルを乗せたシンフォニックなゴシックメタル。
魅力的な女性声は、DELAINのような優美な雰囲気で、ヴァイオリンやチェロ、
オーボエ、ホルンなど、本物の管弦楽を使った壮麗なクラシカル性も素晴らしい。ときおり入る男性デス声が
艶やかな女性ソプラノを引き立てつつ、緩急のある楽曲アレンジとともにドラマティックな味わいが楽しめる。
いくぶんのB級感はあるものの、クラシカル系のシンフォニック&ゴシックメタルが好きな方にはお薦めしたい。
シンフォニック度・・8 壮麗度・・9 女性Vo度・・8 総合・・8
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Thalarion 「Dying on the Scorched Plains」
スロバキアのゴシックメタル、サラリオンの2021年作
デビューは90年代というキャリアのあるバンドで、本作は2004年以来となる、17年ぶり復活作。
男女Voにシンセを含む6人編成で、ダークで壮麗なイントロから、叙情的なギターに美しい女性ヴォーカルを乗せ、
ほどよく重厚でシンフォニックなゴシックメタルを聴かせる。迫力あるデスヴォイスを乗せた、アグレッシブな部分もあり、
ツインギターのリフとともに、ときにメロデス的な雰囲気も覗かせる。なよやかな女性声はなかなか魅力的で、
優美なシンセアレンジや随所に流麗なメロディを奏でるギターも含めて、全体的にウェットな耳心地で楽しめる。
楽曲的には、インパクトのある展開はそれほどなく、雰囲気はいいのだが、もう一歩ディープな作風へ深化を求めたい。
ドラマティック度・7 ゴシック度・8 女性Vo度・7 総合・7.5
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THEATRE OF TRAGEDY
ノルウェーのゴシックメタルバンド、シアター・オブ・トラジェディの1st。1995年作
男女混声の北欧ゴシックメタルとしては元祖といってもよいバンドで、
本デビュー作はのちの北欧ゴシックメタルブームの先駆けともなった作品である。
メランコリックなメロディと、デスヴォイスに絡むリブ・クリスティン嬢の可憐な歌声は、
これぞゴシックメタルという倦怠の美に包まれており、のちのアルバムに比べると
よりドゥーミィな翳りがある点でも、本作を愛好するファンは多いだろう。
シンフォニック度・・7 ゴシック度・・9 女性Vo度・・8 総合・・8
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Theatre of TragedyVelvet Darkness They Fear」
ノルウェーのゴシックメタルバンド、シアター・オブ・トラジェディの2nd。1997作
ドゥーミィでゆったりとした楽曲に、のちにLeaves Eyesに加入するリブ・クリスティン嬢の美しいソプラノヴォイスと
男性デス声が絡むスタイルは、いかにもオーソドックスなゴシックメタルサウンドであるが、
このステキなジャケとともにどこか頽廃的な耽美な雰囲気がよい。正統派ゴシックメタルの傑作ともいうべきアルバムだろう。
シンフォニック度・・7 ゴシック度・・9 女性Vo度・・8 総合・・8
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THEATRE OF TRAGEDY「AEGIS」
ノルウェーの男女Voゴシックメタルバンド、シアター・オブ・トラジェディの3rd。1998年作
男女混声のゴシックとしては元祖といってもよいこのバンド、前作2ndでは色っぽいジャケが話題を呼び、
1stでは日本盤の帯が「シスター・オブ・トラジディー」と誤表のまま店に出回ったといういわくがある。
この3作目では男Voがノーマル声で歌いはじめ、クリスティン嬢の歌声もいっそう魅力が増した。
シンフォニック度が上がり暗黒度は限りなくゼロに。完成度の点では初期の最高作だろう。
シンフォニック度・・8 ゴシック度・・7 女性Vo度・・8 総合・・8
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THEATRE OF TRAGEDY「['mju:zik]」
ノルウェーの男女Voゴシックメタルバンド、シアター・オブ・トラジェディの4th。2000作
バンドがデジタリィなアレンジを大幅に取り入れだした作品で、
続く5thでの傑作エレゴシック路線にいたる過程のサウンド。やや機械的なリズムと、
ヘヴィすぎないモダンな曲調でLIV嬢のキュートな歌声がやわらかにかぶさる様は
ゴシックメタルというジャンルのひとつの現代的な進化系を示している。
シンフォニック度・・7 デジタル度・・7 女性Vo度・・8 総合・・7.5
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THEATRE OF TRAGEDY「ASSEMBLY」
ノルウェーのゴシックメタルバンド、シアター・オブ・トラジェディの5th。2002年作
前作からデジタル色を増し、続く今作でほぼ完全にエレゴシックとしての音像を確立した。
エフェクトのかかったドラムにピコピコしたキーボード、ダンサブルなビートと、
一聴して私の嫌いな路線のはずなのだが、このバンドの場合そのセンスの良さによって
かろうじてゴシックとしての雰囲気を保っているのが凄い。やはりクリスティン嬢の歌声は魅力的で、
彼女の心地よい歌唱とともに時折絡む野郎Voがちょうどよく「引き」のアクセントにもなっている。
また、ギターのヘヴィさも全体の音像の中でサウンドに一本筋を通していて
けっして眠くならずに聴き通せるので、エレゴシックといえども決して馬鹿にしたものではない。
ゴシックメタル度・・6 エレゴシック度・・9 女性Vo度・・8 総合・・8
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THEATRE OF TRAGEDY「CLOSURE:LIVE」
シアター・オブ・トラジディのライブアルバム。2001作
2000年、ポーランドでのライブを収録。4th「MUSIQUE」発表時、サウンドにデジタリィな要素を打ち出し始めている時期で
SEや曲によっては打ち込みシンセを使いながら、デジタルな・エレクトロ風味のゴシックをやっている。
傑作である3rd「AEGIS」からのナンバーも多く、クリスタルな美声のリブ・クリスティン嬢の歌唱ももちろん萌え(笑)
ファンなら楽しめるライブアルバムだろう。ボーナスにライブ映像が見られるCD-ROMトラック2曲入り。
メロディアス度・・7 ライブ演奏・・7 女性Vo度・・8 総合・・7.5
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THEATRE OF TRAGEDY「STORM」
ノルウェーの男女Voゴシックメタルバンド、シアター・オブ・トラジェディの6th。2006年作
ヴォーカルが交代しているが、新ヴォーカルのネル嬢の声質はけっこうリブ嬢に似ているので、違和感がなく一安心。
サウンドは前作までのエレゴシック風からもう少しヘヴィになり、ゴシックメタルの王道に帰ったような雰囲気。
美しいネル嬢の歌声にしっとりとしたピアノがかぶさると、メランコリックな哀愁が漂いじつに心地よい。
いままで邪魔だった男Voも、今回は完全に女性Voの引き立て役に回っているのも成功している。
同郷のTRISTANIAにも接近したようなもの悲しさと美しさが心地よく、ゴシックメタル好きなら納得の一作。
シンフォニック度・・8 ゴシック度・・8 女性Vo度・・9 総合・・8
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Theatre of Tragedy「Forever Is the World」
ノルウェーのゴシックメタルバンド、シアター・オブ・トラジェディの2009年作
北欧の男女Voゴシックメタルの元祖というべきこのバンド、本作は7作目となる。
前作から加わったNELL嬢の美しい歌声にデス声を絡ませ、ゆったりと耽美に聴かせる
正統派のゴシックメタルサウンド。傑作だった前作同様、もの悲しくメランコリックな旋律と
ロマンティックな世界観は、経験値のあるバンドならではの説得力に満ちている。
音のインパクトは薄いが、ゴシックメタルとはこうあるべきという、見本のようなアルバムだ。
シンフォニック度・・8 ゴシック度・・8 女性Vo度・・8 総合・・8
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Theatre Of TragedyAddenda EP」
ノルウェーのゴシックメタルバンド、シアター・オブ・トラジェディーの2010年作
1993年に結成してから、北欧ゴシックメタルの先駆者として注目を浴び、
現Leaves' Eyesのリブ・クリスティンを擁して、耽美なサウンドで多くのファンを獲得、
リブ脱退後もヴォーカルを交代し6th、7thとクオリティの高い作品を聴かせてくれたが、
残念ながら2010年に解散の道をたどることとなった。本作はスタジオラスト作となった
「FOREVER IS THE WORLD」からのアウトテイクや別ミックス音源を中心とした企画アルバム。
正直、コアなファン向けのCDだろうが、アンニュイな翳りを含んだ女性ヴォーカルの歌声と
倦怠の叙情美、20年間ヨーロッパが描いてきたゴシックメタルの神髄がここにはある。
メロディアス度・・7 ゴシック度・・8 女性ヴォーカル度・・8 総合・・7.5
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Theatre of Tragedy 「Last Curtain Call」
ノルウェーのゴシックメタル、シアター・オブ・トラジディーのライブ作。2011年作
1995年にデビュー、7枚のアルバムを発表、北欧ゴシックメタルの元祖というべきバンドのラストライブ作品。
2010年、ノルウェーでのステージを収録したCD+DVD。選曲はLIV時代の曲も多く、咆哮するデスヴォイスに
美しい女性ヴォーカルが絡み、うっすらとしたシンセアレンジとともに耽美な世界観を描いてゆく、
まさしく初期ゴシックメタルの王道である。CDには抜粋した10曲を、DVDの方には全18曲を収録。
はかなげなネル嬢の歌声と美貌は、このバンドの世界観にぴったり合っていて、映像を見るにつけ解散が惜しまれる。
シンフォニック度・・7 ゴシック度・・9 女性Vo度・・7 総合・・8
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THERION 「Theli」
スウェーデンのシンフォニック(デス)メタル、セリオンの1996年作
1989年にデビューし、初期のデスメタル路線からしだいに脱却をしてゆき、5作目となる本作では、
大胆に混声合唱を取り入れ、クラシカル&シンフォニック路線への移行を高らかに宣言している。
イントロに続く「To Mega Therion」の壮麗さは、のちのバンドのスタイルを決定づけた名曲で、
どっしりとした重厚なメタル感触と、オペラティックな合唱を絶妙に融合させたセリオンスタイルが確立した。
クラシカルなシンセアレンジも随所に光っていて、のちのアルバムのようなオーケストラルな荘厳さはまだないが、
進むべき方向を見出したバンドとしての力強さに溢れている。そういう点でも歴史的意義のあるアルバムといえるだろう。
2014年のデラックスエディションには本作を完全再現した2007年、ブダペストでのライブを収録したDVDが付属している。
ドラマティック度・・8 重厚度・・8 壮麗度・・8 総合・・8
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THERION「DEGGIAL」
スウェーデンのシンフォニック(デス)メタルバンド、セリオンの7th。2000作
前作「VOVIN」でコーラス隊を全面導入し、ついにシンフォニックメタルを確立した彼ら。
今回もさらなる深化を見せ、相変わらず荘厳な男女混声コーラスに、本物のオーケストラと、
より「説得力」を増す方向に進んでいる。今回はバンドのアンサンブルにも気を使っているようで、
メタル的な色合いをしっかりと残しつつ、全体のシンフォニーとの調和を保つことに成功。
格調高い崇高さを出すとともに、エッジの効いたメタルサウンドがコーラスのバックに映える。
長年の進化を重ね、彼らの目指すシンフォニックメタルはついに本作で本物になったという印象である。
シンフォニック度・・9 メタル度・・8 崇高度・・8 総合・・8
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THERION「SECRET OF THE RUNES」
スウェーデンのシンフォニック(デス)メタルバンド、セリオンの8th。2001作
元はデスメタルだったこのバンドが、急激な変化の果てに6th「VOVIN」からついにデス色を廃し
合唱隊のコーラスをメインにした独自のシンフォニックメタルサウンドを作り上げ、すでに8作目
基本的には前作「DIGGIAL」の延長上にある、崇高さを感じる混声合唱隊をリードにしたもので、
よりいっそうの音の厚みとアレンジのメリハリを細やかにした作品となっている。
ギターのヘヴィさをしっかりと保っていて、メタル部分の重要さも失われていない。
男女のコーラス隊の声はより宗教がかったようにその神秘性を増しており、
女性Voがリードをとる曲はある種秘教的な妖しい美しさをも表現している。
この重厚さ、本物の雰囲気は、このバンドの歴史を考えると驚嘆に値する。
音のみならず、かもし出す空気が確実に説得力を増していて、これぞまさに最高作だ。
シンフォニック度・・9 メタル度・・8 崇高度・・10 総合・・9
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THERION「LIVE IN MIDGARD」
スウェーデンのシンフォニック(デス)メタルバンド、セリオンのライブアルバム。CD2枚組。2002作
混声合唱を加えたゴシックテイストのシンフォニックメタルを深化させているこのバンド。ライブではいかに、と興味深かったが、
これはなかなかのライブパフォーマンスである。やはり気になるのはアルバム「VOVIN」以降の曲をどう再現しているかだが、
6名の男女コーラス隊を擁した編成で問題なく再現をしている。バンド演奏をバックに合唱隊が歌いあげる様はなかなか圧巻だ。
またアルパムよりもギターが前にでていてゴシックメタル的なヘヴィさも残している。昔のデス声曲もけっこうやっていて、
ライブでは完全に脱デス化したわけではないようだ。コーラス隊のなかにはCRADLE OF FILTHでもおなじみのサラ嬢もおられる。
シンフォニック度・・7 デスメタル度・・6 合唱度・・7 総合・・8
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THERION「LEMURIA/SIRIUS B」
スウェーデンのシンフォニック・ゴシック(デス)メタルバンド、セリオンの9th。2004作
前作「SECRET OF RUNE」でついに行き着く所まで行ったという感のある合唱シンフォメタルだが、
今作では新たな一歩(これは後退ではなくやはり深化と見るべき)をたどっている。
まずCD2枚組なのは、それぞれ別のタイトルがついている別個の作品であるというのも面白い。
新作のために実に40曲以上を作り込んでいたというのだから、なんという創作意欲だろう。
さて、まずは「LEMURIA」の方であるが、前作までの全編合唱路線ではなく、メタリックな部分が増し、
一部にデス声も復活しているのが驚きだ。今や彼らはデス声と合唱、どちらにも固執するのではなく、
それを最も効果的な部分で効果的な時間だけ使用しするというアレンジ力の普遍的センスが光る。
それにより、ギターのリフやフレーズが非常に魅力的になり、合唱パートの必然性も増している。
そのおかげか、時折あらわれるクサすぎるメロディにも、何故か説得力を感じてしまうのだ。
「SIRIUS B」の方は、荘厳なオーケストレーションとオペラティックな男女Voが魅力的。
アプローチとしては、ギターはリフをメインにしてヴォーカルの歌声とオーケストラを活かしたやり方で、
前作までのファン(私も)にとっては「LEMURIA」の方がいくぶん聴き易いと思うが、
この2枚には彼らの進化しつづける作曲、アレンジ能力が遺憾なく活かされていることは間違いない。
荘厳にして、シンフォニック、さりとてメタルとしての音圧を維持しているのが凄いのだ。
シンフォニック度・・9 しっかりメタル度・・8 荘厳度・・10 総合・・9
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THERION「Gothic Kabbalah」
スウェーデンのシンフォニックメタルバンド、セリオンの10th。2007作
前作に続いて2枚組みの大作。今回は合唱隊ではなく二人の女性ヴォーカルをメインに据えた作りで、
そのせいもあってかサウンドにはゴシックメタル的な雰囲気が強まっている。
曲は総じて聴きやすく、かつての秘教的で崇高なイメージは薄まっており、
またギタープレイの軽さも手伝って、ややありがちな曲調に聴こえる所が惜しい。
もちろん総合的なクオリティは高いし、フルートやハモンドなどの隠し味も効いていて
男性Voも加わっての荘厳なパートではかつてのセリオン節を発揮しているのだが。
しかしCD2枚組みという必然性はあまり感じられず、男性声メインのdisc2はやや退屈に思える。
ゆったりと聴く分にはよいが、ダークで荘厳な世界観を期待すると肩すかしをくうかもしれない。
シンフォニック度・・7 ゴシック度・・8 荘厳度・・7 総合・・8
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THERION「Live Gothic」
スウェーデンのゴシック・デスメタルバンド、セリオンのライブ作。2008年作
2007年のツアーの模様を収録した2CD+DVDの豪華3枚組仕様。
今回は合唱隊ではなく、男女それぞれ2名ずつのヴォーカルを含めたバンド編成でのライブ演奏で、
タイトル通りゴシックメタル的な作風であったGothic Kabbalah」の延長的な雰囲気で聴かせる。
過去のアルバムからも多くの曲を取り上げていて、それらがヘヴィさを増したバンドサウンドとして
異なったアレンジで聴けるのもファンには嬉しいだろう。定番の“To Mega Therion”から、
ラストはなんとMANOWARの“Thor”で締めくくる。2人の女性Voがステージを彩るDVDのライブ映像も必見だ。
荘厳度・・9 ライブ演奏・・8 ライブ映像・・9 総合・・8.5
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THERION「Miskolc Experience」
スウェーデンのシンフォニックメタルバンド、セリオンのライブアルバム。2009作
2007年ハンガリーでのオーケストラとの共演ステージを2CD+DVDに収録。
Disc1はクラシックのカヴァーとなっていて、ドヴォルザーク、ヴェルディ、モーツァルト、サンサーンス、
そしてワーグナーといった偉大な作曲家たちの楽曲が、生のオーケストラと融合された
バンドサウンドで構築されてゆく。メタリックなテイストが前に出すぎることなく、
あくまでクラシック曲への敬意を保ちながら、優美に描かれるメタルシンフォニーを楽しめる。
とくにワーグナーのオペラ曲では、厚みある男女コーラスとともに壮麗なサウンドで盛り上げる。
Disc2はお待ちかねのバンド曲で、「Lemuria/Sirius B」をはじめ過去のアルバムから、
オーケストラとのマッチングのいい曲を中心に演奏。激しさ控えめのシンフォニック・セリオンである。
DVDではオーケストラとの演奏の様子が映像で見られるので、より楽しめます。
クラシカル度・・9 メタル度・・7 壮麗度・・9 総合・・8
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THERION「SITRA AHRA」
スウェーデンのシンフォニックメタルバンド、セリオンの2010年作
ライブを2つはさんでいるので、スタジオアルバムとしては2007年の「Gothic Kabbalah」以来となる。
彼らにしては珍しく今作はCD1枚組であるが、サウンドの方はゴシックメタル寄りだった前作から、
再び男女混声合唱を取り入れた神秘的な雰囲気が戻ってきている。かつてのような崇高なスケール感をやや薄めて
それを聴きやすくモダン化したという印象だろうか。バンドサウンドとオーケストレーション、ヴォーカル、
コーラスのパランスのとれた好作といえるだろう。そして今作はコンセプトのためか、東洋思想、観念的な世界観が、
ときにスペース・サイケメタル風味に感じられるのも特徴か。クラシカルな崇高さといわばユルさの同居が面白い。
シンフォニック度・・8 クラシカル度・・8 スペース度・・8 総合・・8
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THERION
「Le Fleurs Du Mal」
スウェーデンのシンフォニックメタル、セリオンの2012年作
60年代のフランスのヒットソングをカヴァーしたという結成25年記念作品であるが、
サウンドの方は、しっかりメタリックなギターリフに美しいソプラノヴォーカルを乗せ、
シンフォニックで美麗なアレンジも含めて、ちゃんとゴシックメタル風味にもなっている。
頽廃的な耽美さとエロチックな雰囲気を、優雅に融合させた感触はなかなか面白く、
彼らのこれまでの作品とは毛色が違うのは確かだが、世界観としてはそう逸脱してもいない。
1曲2〜3分という、いわばポップなフォーマットをしっかりとシンフォニックメタルとして仕上げる
このバンドのセンスは見事と言う他はない。ブックレット内のイラストもエロティックでステキです。
シンフォニック度・・8 耽美度・・9 女性Vo度・・8 総合・・8
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THERION「Celebrators of Becoming」
合唱入りシンフォニックメタルバンド、セリオンのライブDVD。2006作。
メキシコでのライブ、ツアーレポート、2001年WACKENでのライブ、バンドのヒストリーなどを収録したDVD4枚に、
メキシコライブのオーディオCD2枚の…計6枚組ボックス。ヴォーカルは男2人女性3人によるもので、ステージ右に4人が陣取る。
フロントに出るのはCRADLE OF FILTHでもおなじみ巨漢のサラ嬢で、男性フロントヴォーカルとともに一番目立っている。
演奏自体はキーボーディストがいないので、むしろ正統的なメタル音像で、コーラスの入らない部分はやや音が薄く感じるし、
アルバムほどの崇高な雰囲気はないので、ライブとアルバムは別物として考えているのかもしれません。
しかし荘厳なコーラスがハマった瞬間は、他のバンドにはない彼ら独自の世界観を感じるのも確かで、
WACKENのライブ映像や、1992〜2001年までの歴代のビデオクリップもファンなら楽しめるだろう。
Disc4ではこのバンドのデビューからの歴史が年代ごとに見られて、最初はノイジーなデスメタルだったのが、
少しずつメロディを導入してゆき、やがて合唱入りのシンフォニックメタルへと進化してゆく過程が分かる。
ライブ演奏・・8 ライブ映像・・8 セリオンファンは必見度・・9 総合・・8
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The 3rd and the Mortal 「Sorrow」
ノルウェーのゴシックメタルバンド、サード・アンド・ザ・モータルのデビューミニ。1994年作
この4曲入りミニアルバムが、この後隆盛を極める女性ヴォーカル系ゴシックメタルの先駆け的な作品である。
ヘヴィなギターリフと物悲しくドゥーミーな曲調に、Kari Rueslattenが美しいヴォーカルを乗せる、
倦怠的な浮遊感を含んだサウンドは、本作の時点ですでに確立している。ノルウェーらしい寒々とした土着性と
神秘性に包まれた聴き心地にウットリとなる。名作と名高い「Tears Laid in Earth」につながる作品である。
メロディアス度・・7 ドゥーミィ度・・8 女性Vo度・・7 総合・・7.5
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THE 3RD AND THE MORTAL 「Tears Laid in Earth」
ノルウェーのゴシックメタルバンド、サード・アンド・ザ・モータルの1st。1994年作
世界でおそらく最初に美声の女性ヴォーカルの歌声を耽美でドゥーミーなサウンドに乗せたのがこのバンド。
北欧らしいうす暗く、もの悲しい雰囲気に、Kari嬢の浮遊感のあるはかなげで美しい歌声が乗る。
2nd以降は、しだいにプログレッシブでモダンなアプローチへと進化してゆくが、
この1stは女性声ゴシック・ドゥームメタル初期の名作として語り継がれるべき作品だ。
メロディアス度・・7 ドゥーミィ度・・8 女性Vo度・・8 総合・・8
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The 3rd and the Mortal「Nightswan」
ノルウェーのゴシックドゥームメタルバンド、サード・アンド・ザ・モータルの1995年作
4曲入りのミニアルバムで、ヴォーカルのKari Rueslattenに代わりAnn-Marie Edvardsen嬢が加入、
1曲目は10分を超える大曲で、アコースティカルなイントロからギターが加わったダークなヘヴィネスと
アン・マリー嬢の倦怠の歌声を乗せた、魔女めいた妖しさと静謐感を描くようなサウンドが楽しめる。
随所にプログレ的でもある知的な構築センスを垣間見せる、次作への流れを作った好作品だ。
ドラマティック度・・8 ドゥーミィ度・・8 妖しさ度・・8 総合・・8
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The 3rd and the Mortal「Painting on Glass」
ノルウェーのゴシックドゥームメタルバンド、サード・アンド・ザ・モータルの2nd。1996年作
1stTears Laid in Earth」は女性ヴォーカルをフロントにしたドゥーム・ゴシックメタルとして語り継がれる名作であるが、
本作は、ミニアルバムに続いてAnn-Marie Edvardsen嬢が加入してのフルアルバム。ノイジーなイントロから、
重すぎないギターにメロトロンを含むシンセを重ね、ときにトロンボーンが鳴り響きつつ、女性ヴォーカルの妖しいスキャットを重ねた、
耽美でアーティスティックなゴシック・ドゥームを聴かせる。沈み込むような暗さとともに、むしろプログレ的でもある
アヴァンギャルドなセンスに包まれる。聴き込むほどに、この知的な耽美性ともいうべき芸術性に圧倒される。
ドラマティック度・・8 むしろプログレ度・・7 妖しさ度・・8 総合・・8
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The Third & The MortalIn This Room」
ノルウェーのゴシックメタルバンド、サード・アンド・ザ・モータルの3rd。1997年作
初期にヴォーカルをつとめたKari Rueslattenが脱退し、前作からAnn-Marie Edvardsen嬢が新加入。
サウンドの方はメタリックな質感は薄まり、アンニュイな浮遊感とアヴァンギャルドなプログレ的感触をまとっている。
しっとりとした音像に薄暗い叙情は、今で言うとPAATOSあたりの北欧プログレに通じるものがある。
Ann嬢
のスキャット的な歌唱もなかな雰囲気があってよい。ゴシックメタルというよりも、
本作はむしろ、プログレ、シンフォ系のリスナーに楽しめる作品だろう。左は日本盤のジャケ。
しっとり薄暗度・・8 むしろプログレ度・・8 女性Vo度・・7 総合・・8
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The Third & The Mortal「MEMOIRS」
ノルウェーのゴシックメタルバンド、サード・アンド・ザ・モータルの4th。2001年作
このバンドの1stは今なお北欧ゴシックドゥームの名盤として語り継がれるが、
バンドはその後、しだいにモダンさとアヴァンギャルドな要素を取り入れて変化してゆく。
今作はシーケンサー風のデジタリィなシンセをバックに、女性ヴォーカルが歌い上げるサウンドで
モダンな質感とともにメランコリックな寒々しさを残していて、そこがなかなか耳に心地よい。
メタル色を薄くしていったという点では、The Gatheringにも通じるような雰囲気もあり
独自の浮遊感がプログレ的なやわらかみをともなっている。ピアノやシンセの重ねによる
シンフォニックな美しさもよろしい。メタルとして聴かなければ充分楽しめる出来だ。
メロディアス度・・8 むしろプログレ度・・8 女性Vo度・・8 総合・・8
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The Third & The Mortal「Ep's & Rarities」
ノルウェーのゴシックメタルバンド、サード・アンド・ザ・モータルの2004年作
1994年作「Sorrow」、1995年作「Nightswan」の2枚のミニアルバムに、未発音源を加えた作品。
1994年のデビューミニは、初代ヴォーカルのKari Rueslattenが美しいヴォーカルを乗せる、耽美な浮遊感に包まれた、
ドゥーミィなゴシックメタルで、名作「Tears Laid in Earth」へつながる聴き心地が楽しめる。
1995年作は、Ann-Marie Edvardsen嬢が加入し、ドゥーミィなダークさに加えて、ときにプログレ的でもある知的な構築性と
アヴァンギャルドなセンスが融合した、バンドのさらなる深化を予感させるサウンドになっている。
アルバム4作を残して消えた、この稀有な芸術性を有したバンドを愛する方には必聴であろう。
ドラマティック度・・8 ドゥーミィ度・・8 妖しさ度・・8 総合・・8
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THROES OF DAWN「QUICKSILVER CLOUDS」
フィンランドのゴシックメタルバンド、スローズ・オブ・ダウンの4th。2004作
メロウなギターと全体を包むようなシンセによるメランコリックなサウンドで、
Voはデジタリィなエフェクトのかかったノーマル声がメインながら時々ブラック風のがなり声にもなる。
どこかけだるげな頽廃的な美しさが漂うところはENTWINEなどにも通じるが、
キラキラとしたキーボード、ピアノがロマンティックに響き、甘やかなダークさを感じさせる。
シンフォニックなシンセをバックにメロディアスな旋律を奏でるギタリストのセンスもなかなかのもの。
メロディアス度・・8 ゴシック度・・7 頽廃の美度・・9 総合・・7.5
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TIAMATWildhoney
スウェーデンのゴシック(デス)メタルバンド、ティアマットの4th。1997作
デスメタルとしてスタートしたバンドだが、1992年の3rd「Clouds」からゴシック的な要素を取り入れ始め、
主要人物であるヨハン・エドランドの持つ内的な耽美性を全面開花させたのが本作ということになる。
全体的につながりのあるコンセプチュアルな作風で、大胆なシンセの導入によるサウンドの広がりも
これまで以上に感じられる。曲間をつなぐインストパートと、美しい女性コーラスなどもとても効果的で、
ゴシック的であると同時に、非常にプログレッシブで繊細な世界観を作り上げている。
メタリックな重厚さではなく、独特の浮遊感のようなものが全体を支配しており、
そのあたりが気に入るかどうかが、このバンドの音を心地よく楽しむためのポイントとなる。
まるでPINK FLOYDを思わせるような、ゆったりとしたメロウなギターを聴かせるあたりも心憎い。
メロディアス度・・7 ゴシック度・・7 浮遊度・・8 総合・・8
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TIAMATA Deeper Kind of Slumber
スウェーデンのゴシックメタルバンド、ティアマットの5th。1997作
前作でのプログレ的アプローチをさらに押し進め、もはやメタル的な要素すらも薄くなっている。
大幅なメンバーチェンジにより、ほぼヨハン・エドランドのソロバンドといった感があるが、
それだけに己の持つビジョンをそのままの形で作品にしてきたということだろう。
ここに来てデス声は完全に消滅し、鬱ぎみのマイルドなヴォーカルが、UKロックのような聴きやすいエモ風の楽曲に歌を泳がせる。
デジタリィなアレンジも取り入れ、これはもうモダンなゴシックロックという形容がぴったりくる。
メタルリスナーからには退屈すぎて厳しいかもしれないが、この浮遊するような耽美なサウンドには
知性と狂気の静かなきらめきがあり、プログレやポストロックを聴く感覚であれば楽しめると思う。
メロディアス度・・7 ゴシック度・・6 浮遊度・・9 総合・・7.5
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TIAMAT「Skeleton Skeletron」
スウェーデンのゴシックメタルバンド、ティアマットの6th。1999作
前作A Deeper Kind of Slumberにおいて、浮遊感のあるモダンなアレンジで
独自のゴシックロックを完成させた彼らだが、次はどこへ向かうのかと再び浮遊を開始、
たゆたうようなメロウなサウンドには倦怠的な虚脱を匂わせながら、女性コーラスやデジタリィなシンセアレンジ取り入れるなど、
グラムロック風のビート感覚が漂っている。一方ではダークなもの悲しさも残っており、
こうしてさまよったすえに、次作「Judas Christ」のダークさに行き着くことになる。
メロディアス度・・7 倦怠度・・8 浮遊度・・8 総合・・7.5
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TIAMAT「Judas Christ」
スウェーデンのゴシックメタルバンド、ティアマットの7th。2002作
4th「Wildhoney」において、プログレッシブな浮遊感を内包した独自のゴシックメタルを完成させ
5th「A deeper kind of Slumber」ではさらにその路線を押し進めた彼らだが、
本作ではもの悲しくメランコリックなゴシックサウンドへとさらに深化をしている。
美しいシンセをバックに重厚なギターリフ、そして悲しみをたたえたノーマルヴォイスが
ダークで重々しくも、ときにマイルドで耳馴染みのよい空間を描き出している。
むしろHIMなどのフィンランド系ゴシックロック勢に接近したような音作りであるが、
ヨハン・エルンランドの内的志向の美学は、よりディープな黄昏の美学を感じさせる。
一方では、どこかブリティッシュロック的な牧歌性を感じる曲もあり、プログレ好きにも対応。
メロディアス度・・7 メランコリック度・・8 重厚度・・8 総合・・8
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TIAMAT 「Amanethes」
スウェーデンのゴシックメタル、ティアマトの2008年作
聴くのは2002年の「Judas Christ」以来なのだが、今作もなかなかの濃密作。
煽情的なギターのフレーズと、優美なシンセアレンジで耽美な世界観を描きつつ、
ダミ声ヴォーカルを含んだ美と醜の対比は、Moonspellあたりにも通じる感触だ。
メランコリックというよりは艶めいた妖しさを感じさせ、一方ではPINK FLOYD的な
浮遊感と牧歌性がただよう曲もあったりと、わりとボーダーレスな聴き心地。
プログレッシブな匂いも含んだ、耽美派の知的ゴシックメタルの好作品である。
ドラマティック度・・7 耽美度・・8 知的センス・・8 総合・・7.5


TIAMAT 「Scarred People」
スウェーデンのゴシックメタル、ティアマトの2012年作
キャリア20年以上のベテランで、前作から4年ぶりとなる本作も適度なヘヴィさと
ジェントルな低音ヴォーカルで聴かせる、To/Die/Forあたりにも通じるゴシックロックサウンド。
シンセによるアレンジとダークながらも浮遊感のあるキャッチーな感触はこのバンドならではで、
派手さや新鮮さは薄いものの、耽美でメランコリックな独自の世界観を保ち続ける姿勢は素晴らしい。
個人的には一時期のプログレッシブな路線も捨てがたいのだが。安心の好作品ではあります。
メロディック度・・7 ゴシック度・・8 耽美度・・8 総合・・7.5
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TIARRA 「Post Scriptum」
ルーマニアのゴシックメタル、ティアラの2008年作
女性Vo、女性ヴァイオリン、女性チェロ奏者を含む編成で、物悲しいヴァイオリンとチェロの音色にギターを重ね、
母国語による女性ヴォーカルに男性声が絡む、クラシカルな優雅さと辺境的な空気が同居したゴシックメタル。
叙情的なギターフレーズにヴァイオリンが重なるメランコリックな聴き心地と、随所に男性デス声も加わって、
重厚にしてシンフォニックな優美さと耽美な世界観を描くところは、HAGGARDあたりに通じるかもしれない。
曲によってはフォークメタル寄りの土着性も覗かせ、艶やかなストリングスとシンセが合わさった優雅なクラシカル・ゴシックが楽しめる。
シンフォニック度・・8 ゴシック度・・8 女性Vo度・・7 総合・・7.5


To Cast A Shadow 「All Alone」
ノルウェーのゴシックメタル、トゥ・キャスト・ア・シャドウの2007年作
ヘヴィなギターサウンドに、浮遊感のある女性ヴォーカルの歌声で聴かせる、
メランコリックなゴシックメタル。シンセによる味付けは比較的薄めで、
あくまでギター主導による重厚な叙情性は、かつてのThe Gathering
初期のThe 3rd and The Mortalなどにあったドゥーミイなもの悲しさを感じさせる。
たゆたうような倦怠の美を、ヘヴィなサウンドで構築する本格派のバンドだ。
メロディック度・・7 メランコリック度・・8 女性Vo度・・8 総合・・8
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To Cast A Shadow 「In Memory of」
ノルウェーのゴシックメタル、トゥ・キャスト・ア・シャドウの2011年作
今作では女性Voが交代していて、それとともにサウンドはよりヘヴィになり、
むしろ男女Voのプログレッシブなゴシックデスというような雰囲気も出てきた。
LACUNA COILに通じるモダンなヘヴィさと、デスヴォイスも含んだ激しいパートなどもあるが、
随所にメランコリックな旋律を聴かせる、その世界観は、やはりもの悲しいゴシックメタル。
楽曲は4〜5分台と、そう長くもないのだが、重厚で濃密な印象を残す力作である。
メロディック度・・7 メランコリック度・・8 女性Vo度・・7 総合・・8
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Todesbonden「Sleep Now, Quiet Forest」
アメリカのゴシックメタルバンドト、トデスボンデンの2008年作
AUTUMN TEARSやRAIN FELL WITHINにも参加していた女性Vo、ラウリー嬢擁するバンド、
ジャケもなかなかいい感じだが、サウンドの方もしっとりとしたピアノとシンセ、そして美声のソプラノヴォーカルで聴かせる
なかなか質の高いゴシックメタルだ。メロディにはアメリカのバンドとは思えぬような土着的な雰囲気もあり、
むしろフィンランド系バンドのようなメランコリックな叙情美を感じさせるのがよいですね。
また、アコースティカルなトラッド色もなかなか本格的に取り入れていているのも魅力となっている。
メロディアス度・・8 ゴシック度・・8 女性Vo度・・8 総合・・8
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TO DIE FOR「JADED」
フィンランドのゴシックメタルバンド、トゥー・ダイ・フォーの3rd。2003作
どこかグラムロック風の雰囲気をまとわせて登場したこのバンドの1st「ALL ETERNITY」は、
HIM等に通じる、聴きやすいゴシックロックサウンドで我々の耳目を驚かせてくれた。
この3rdでは、メタリックな質感をアップさせつつ、キーボードのアレンジにも磨きがかかり、
マイルドな声質の男Voがメロディアスに歌い上げるサウンドは非常に心地よい。
同郷のENTWINEに接近してきた感があるが、こちらはやはりどこかにグラム風の
お洒落な質感があるところがポイント。時折現れるピアノも美しい。
メロディアス度・・8 ゴシック度・・7 マイル度・・9 総合・・8
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To/Die/For「W」
フィンランドのゴシックメタルバンド、トゥー・ダイ・フォーの4th。2005作
倦怠のゴシックロックにグラム調の瀟洒な感触を取り入れたサウンドで、
先輩格のHIMとともに日本での知名度もずいぶん上がったこのバンド。
今作ではそのHIMのシンセ奏者が加入したこともあってか、サウンドの美しさ
そして哀愁度がぐっと高まっている。メロウなギターのフレースとともに、
美麗なシンセとマイルドなヴォーカルで聴かせる、メランコリックな楽曲は絶品だ。
ガツンとくるインパクトはないものの、完成度の点では前作同様の傑作だろう。
メロディアス度・・8 ゴシック度・・8 メランコリック度・・9 総合・・8
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To/Die/For「Wounds Wide Open」
フィンランドのゴシックメタルバンド、トゥー・ダイ・フォーの5th。2006年作
本作はオリジナルのギタリストが復帰し、それとともにサウンドはよりヘヴィに、
そしてメランコリックな叙情が素晴らしい傑作となった。倦怠の哀愁を含んだメロディは
美しいシンセワークとともに、これまで以上にきらびやかに輝いており
マイルドなゴシックロックにシンフォニック性をともなった堂々たる音像である。
ギターによる巧みなフレーズが効果的に加わったことで、楽曲にはコントラストがつき、
ゴシックロックというもの以上に普遍的なメランコリック・ロックへと接近した感触である。
メロディアス度・・8 ゴシック度・・7 メランコリック度・・8 総合・・8
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To Die For「Samsara」
フィンランドのゴシックロック、トゥ・ダイ・フォーの2011年作

HIMとともにフィンランドのメランコリック・ゴシックロックの代表というべきこのバンド
本作は5年ぶりとなる6作目になる。サウンドの方は適度にヘヴィなギターリフと
うっすらとしたシンセワークで、キャッチーでありつつ哀愁を漂わせたサウンドは健在。
女性コーラスなどを含んだ美しさと、メランコリックな叙情はやはり絶品で、
これまで以上にシンフォニックな質感や、後半にはプログレッシブな風味も覗かせる。
メロウなギターフレーズも含めて、メロディの充実ぶりもさすがの力作だ。
メロディアス度・・8 ゴシック度・・7 メランコリック度・・8 総合・・8
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Trail of Tears
「Disclosure in Red」
ノルウェーのゴシックメタルバンド、トレイル・オブ・ティアーズの1st。1999年作
美しい女性ヴォーカルの歌声に男性デス声を絡ませて、ツインギターのフレーズとともに
随所にメロデス的な激しさも含んだサウンドは、この当時にしてはとても新鮮だった。
オペラ歌手の素養もあるヘレナ嬢の歌声も説得力充分で、サウンドに耽美な雰囲気を添える。
ゴシックというにはテンポの速い曲も多いので、遅いゴシックが苦手な方にもオススメだ。
初期の中ではもっとも好きなアルバム。本作をもってヘレナ嬢は脱退し、新たにIMPERIAを結成する。
重厚度・・8 ゴシック度・・8 女性Vo度・・8 総合・・8
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TRAIL OF TEARS
「PROFOUNDEM ONIUM」
ノルウェーのゴシックメタルバンド、トレイル・オブ・ティアーズの2nd。2000作
デス声と女性Voの組み合わせは類型的ながら、全体的にクオリティは高いサウンド。
ただ残念なのは、1stで歌っていたヘレナ嬢の歌唱がとても素晴らしかったため脱退が惜しまれる。
今作では、どちらかというと男性声がメインで、ときおり女性声が絡むという曲が多いため、
フィメール好きにはやや物足りないか。サウンド的には重厚かつシンフォニックな感じで悪くはないのだが。
ゴシックはのろくてぼんやりしていて苦手…という方にはちょうど良いバンドかもしれませんな。
メロディアス度・・7 ゴシック度・・8 女性Vo・・7 総合・・7.5
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TRAIL OF TEARS「A NEW DIMENSION OF MIGHT」
オランダのゴシック・デスメタルバンド、トレイル・オブ・ティアーズの3rd。2002作
1st「DISCLOSURE IN RED」がかなりの傑作だったので、それ以降ずっと期待していたのだが、
2ndは少々小粒になって期待外れ、そしてこの3rdであるが・・・ううむ、やはり中途半端だなぁ。
もともと「ゴシックとメロデスの中間」というサウンドだったのだが、今回は疾走するシンフォニックブラックメタル的な音像も顔を覗かせている。
それはいいのだが、どうにも女性声の活躍が少ない。かといってメロデス/ブラックとしては曲が面白くないし、
ゴシックというにはやはり耽美度が少ない。結果としてまあ悪くない程度のシンフォブラック・ゴシックという印象。
シンフォニック度・・7 ゴシック度・・6 女性Vo度・・6 総合・・7

TRAIL OF TEARS「FREE FALL INTO FEAR」
ノルウェーのゴシック・デスメタルバンド、トレイル・オブ・ティアーズの4th。2005作
2nd以降、度重なるメンバーチェンジにより、ついにこの4作目では男性声のみのメロブラ風サウンドに移行している。
ヘヴィさとアグレッシブさが大幅にアップしていて、疾走するプラストビートに
暴虐ブラック声と新加入のGREEN CARNATIONのVoのノーマル声が絡み
色気なしの耽美ゴシック風味+ヘヴィブラックメタルという音圧重視の方向性。
これはこれでなかなかクオリティは高く、疾走の中にもキーボードやピアノの美しさが光る。
メロディアス度・・7 暴虐度・・8 ゴシック度・・6 総合・・7.5

TRAIL OF TEARSExistentia
ノルウェーのゴシック・デスメタルバンド、トレイル・オブ・ティアーズの5th。2007作
前作は初期のゴシック色を薄まったブラックメタル的なアグレッシブさの作品だったが、
今作ではメランコリックなギターワークとシンセを絡めた美しさが前に出てきており、
ゴシックとメロデスの中間というサウンドで聴かせてくれる。デス声とノーマル声、ときおり女性ヴォーカルも加わって、
シンフォニックなシンセとともに重厚でありながら耽美な雰囲気を作り出している。
4分程度でまとめられた楽曲も、難解さを排した聴きやすさがあり好感がもてる。
重厚度・・8 ゴシック度・・7 メロデス度・・8 総合・・8
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Trail of Tears「Bloodstained Endurance」
ノルウェーのゴシック・デスメタルバンド、トレイル・オブ・ティアーズの6th。2009年作
ゴシックメタルの耽美さとデスメタルの激しさを併せたサウンドで、クオリティの高いバンド、
本作では女性ヴォーカルが正式加入し、男女Voで聴かせる壮麗なサウンドとなっている。
シンフォニックなシンセとツインギターによる重厚な楽曲に、デスヴォイスとフィメールヴォイスが絡み、
音の迫力は充分。女性声パートが増えたことが純粋に喜ばしい。メロデスといってよいほどのヘヴィさと、
クラシカルなシンセによる美麗さが合わさり、声量豊かなキャサリン嬢の歌声が、ドラマティックに世界観を盛り上げてゆく。
激しくも美しい…これはバンドとしての最高傑作といってよい出来かもしれない。
重厚度・・8 ゴシック度・・7 女性Vo度・・8 総合・・8
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Trail of Tears「Oscillation」
ノルウェーのゴシックデスメタル、トレイル・オブ・ティアーズの2013年作
デビューは1998年、すでに15年のキャリアを持つこのバンド。最高作となった前作から4年ぶりの作品で、
ツインギターによる適度にヘヴィな激しさと、ゴシック的な耽美な雰囲気を融合させたサウンドは健在。
咆哮する男性デスヴォイスに、ハスキーな女性ヴォーカルの歌声の絡みも堂々たるもので、
壮麗にしてメリハリのある楽曲アレンジとともに、シンフォニックかつ重厚なゴシックデスを聴かせてくれる。
キャリアに裏打ちされた音の説得力、ドラマ性を感じさせる世界観はやはり見事。前作を超える傑作です。
シンフォニック度・・8 ゴシックデス度・・9 女性Vo度・・7 総合・・8




TREES OF ETERNITY 「HOUR OF THE NIGHTINGAL」
スウェーデン/フィンランドのゴシックメタル、トゥリーズ・オプ・エターニティの2016年作
SWALLOW THE SUN、KATATONIA、OCTOBER TIDE、WINTERSUNなどに参加したメンバーによるバンドで、
ゆったりとしたメラコンリックな曲調に、美しい女性ヴォーカルを乗せた、初期THE 3RD AND THE MORTALにも通じる
ドゥーミーでメランコリックなサウンド。適度なヘヴィさと沈み込むようなアンニュイな空気感に包まれて、
北欧らしい寒々しさとメロウな叙情性も含んだ聴き心地に、しっとりとした女性声が耳に心地よく響く。
薄暗く物悲しいサウンドながら、メロディラインはわりとキャッチーで、随所にギターのメロウなフレーズなども入ってきて、
初心者にも聴きやすい。なお、ヴォーカルのAleah Liane Stanbridge嬢は、本作完成を待たずに2016年に死去している。
メランコリック度・・8 ゴシック度・・8 女性Vo度・・8 総合・・8
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TRISTANIA「WINDOW'S WEEDS」
ノルウェーのゴシックメタルバンド、トリスタニアの1st。1998作
Theatre of Tragedyとともに北欧ゴシックメタルの代名詞というべきこのバンド。
2nd以降はモダンなアレンジやシンフォニックな壮麗さに磨きをかけてゆくのだが、
この1stのサウンドは、物悲しいピアノやヴァイオリンの音色を効果的に挿入した
素朴で薄暗い初期ゴシックメタルの王道スタイルである。うっすらとしたシンセのアレンジに、
デス声とソプラノヴォイスの掛け合いもよろしく、崇高なコーラスも含めて、同時期のバンドの中でも、
彼らは美しくもはかない独自の世界観を描き出せる雰囲気をもっていた。
壮麗さでは3rdだが、王道ゴシックとしてのの最高作を挙げるなら本作だろう。
メロディアス度・・8 ゴシック度・・9 女性Vo度・・6 総合・・8
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TRISTANIABeyond the Veil
ノルウェーのゴシックメタルバンド、トリスタニアの2nd。1999作
ジャケの裸のおねえさんが良い感じですが、サウンドは前作よりもややモダンな音作りになっていて、
シンセの使用方などが少し派手になっている。肝心の女性声は少し控えめで
全体的には男のデス声主体なのが個人的には惜しいが、もちろんクオリティは高い。
前作の土着的なイメージよりは、より一般的なゴシックメタルの基準にそった感じで、
女性コーラスとシンセの絡みなどで、上手く耽美な雰囲気をかもしだしている。
シンフォニック度・・7 ゴシック度・・8 女性Vo度・・7 総合・・7.5
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TRISTANIA「WORLD OF GLASS」
ノルウェーのゴシックメタルバンド、トリスタニアの3rd。2001年作
この3rdでは女性Voがメインとなって、美しいオペラティックな歌唱を聴かせてくれる。
バックの方もいっそうゴージャスさが増し、質のいいサウンドのせいかとても音が厚い。
さらに今回はTHERIONばりの混声コーラスが重厚な世界観を演出している。
曲の展開がやや一本調子になっている気はするが、クラシカルでゴージャスなゴシックサウンドとしては
一級品といっていいだろう。こうなったら次はもうデス声はとっぱらってもいいのでは?
シンフォニック度・・8 クラシカル度・・9 女性Vo度・・8 総合・・8 ◆メタル名盤特選入り
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TRISTANIA「Midwinter Tears」
ノルウェーの男女Voゴシックメタルバンド、トリスタニアの2005年作
1997年と1999年に出たミニアルバムのカップリングに、ライブDVDがついた変則的なアルバム。
時期的には1stアルバム前後のものなので、サウンドはゆったりして重厚でメランコリックという、
王道のゴシックメタルスタイルで、最近のモダンでシンフォニックな音とはやや異なる。
この頃は、曲のクオリティというよりは雰囲気ものとしてのゴシックサウンドを目指していたのだろう、
DRACONIANあたりのドゥーム系ゴシックに通じる部分があった。デス声に絡む女性ソプラノもどこか神聖な美しさを感じる。
DVDには以前ビデオで出ていたライブ映像を収録。初期のTRISTANIAを知るには良いアイテムだろう。
シンフォニック度・・7 ゴシック度・・8 ライブ映像・・8 総合・・7.5
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TRISTANIA「ASHES」
ノルウェーの男女Voゴシックメタルバンド、トリスタニアの4th。2005年作
前作はシンフォニックな大仰路線だったが、今回はいくぶんモダンなアレンジを強めた作風で、
ビート感のあるリズムと派手すぎないシンセアレンジに、男性デス声と女性ソプラノヴォーカルが歌を乗せる。
全体的にモダンなアプローチで攻めてきたせいか、ダークな叙情は希薄で、アラビックな旋律を含んだ感触とともに
The Gatheringなどを思わせるような浮遊感に包まれたサウンドになっている。これはこれで聴きやすいので嫌いではないが、
一聴したインパクトは弱いので、人によっては物足りないかもしれない。ゴシックというよりは女性声入りのダークメタルというべきかも。
シンフォニック度・・7 ゴシック度・・7 女性Vo度・・7 総合・・7.5
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TRISTANIAIllumination
ノルウェーのゴシックメタルバンド、トリスタニアの5th。2007作
前作の出来からどうなることかと思ったが、本作はゴシック的な重厚さがいくぶん復活していてまずは一安心。
Vibeke嬢の歌唱は、今回は情感を抑え目にして淡々と歌っている印象であるが、
ときおり艶めいた色を聴かせるところなどはさすがに堂に入っている。
ただ、やはり初期に比べて神秘的な雰囲気が薄まり、モダンな質感が増しているので、
ゴシックメタルとしての音そのものの限界を露呈しかけている内容とも言えるかも知れない。
メロディアス度・・7 ゴシック度・・7 女性Vo度・・7 総合・・7.5
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TristaniaRubicon
ノルウェーのゴシックメタルバンド、トリスタニアの2010年作
Theatre of Tragedyとともに北欧ゴシックメタルシーンの代表格ともいうべきこのバンド、
6作目となる本作では、Vibeke嬢が脱退し女性Voが替わっているが、サウンドの方は期待以上、
ここ数作の凡庸さを吹き飛ばすような出来だ。新ヴォーカル、Mariangela嬢のコケティッシュな美声を中心に、
適度なモダンさとキャッチーな聴き心地で、音にはこれまでにないメジャーな質感が備わった。
シンセによる美麗なアレンジも絶品で、クオリティ的にもLeaves' Eyesに迫る出来だと思うが、
男ヴォーカルメインの曲がいくつもあって、フィメールゴシック好きとしてはやや残念。
シンフォニック度・・8 ゴシック度・・7 女性Vo度・・7 総合・・7.5
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TRISTANIA「Darkest White」
ノルウェーのゴシックメタルバンド、トリスタニアの2013年作
1998年にデビューしてから、いまや北欧ゴシックメタルを代表するバンドのひとつ。
7作目となる本作は、のっけから激しいヘヴィさでたたみかけつつ、シンセによる美しいアレンジと、
男性デスヴォイスに絡む、前作から加入のMariangela嬢歌声が妖艶に響きわたる。
一方では、ノーマルの男性声で聴かせる、To/Die/forのようなマイルドな感触や、
女性声をメインにしたゆったりとしたうすら暗い叙情曲もあったりと、作品としての幅を感じさせる。
ベテランらしいクオリティの高さで、ゴシックメタルの現在形を伝えるような力作だ。
ドラマティック度・・8 ゴシック度・・7 女性Vo度・・7 総合・・8
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TRISTITIA「ONE WITH DARKNESS」
スウェーデンのゴシックメタルバンド、トリスティティアの1st。1995作
TRISTANIAと間違えそうなバンド名だが、こちらは男3人組みのドゥーム系ゴシック。
曲は素朴なアコースティックギターから始まり、ゆったりとしたテンポにデス声…というよりはブラック声の歌声、
途中崇高な女性コーラスやチェロなど、クラシカルな要素もあり、ギターのメロウなフレージングもなかなかいい味をかもし出している。
音質のチープさから、どこか安っぽく聴こえてしまうのが残念だが雰囲気もののゴシック・ドゥームとしてはなかなか悪くない。
メロディアス度・・7 ゴシック度・・7 暗鬱度・・8 総合・・7

TRISTITIA「The Lost Grief
スウェーデンのゴシックドゥームメタルバンド、トリスティティアの3rd。2000作
バンドというよりはもはやDark Avenger氏の個人作品と言ったほうがいいのか。
サウンドの方も1stの頃よりもずいぶん聴きやすくなっていて、メロディにはトラッド的な色もあり、
ゆったりしていながらけっこう展開も多いので、ゴシックというよりはむしろプログレッシブな雰囲気がある。
暗すぎず重すぎず、それでいてヨーロピアンな重厚さと宗教的な色合いを随所に感じさせてくれ、
もの悲しいアコギやチェロなども上手くはまっている。ただのドゥーム系ではない。
7部構成になっているHなどは、全編インストながらシンフォブラック、ゴシック、ヴァイキングと
それぞれの雰囲気を調和させながら、メロウなギターを鳴らしシンフォニックに展開してゆく。
たった一人で作ったにしては決して自己満足作品で終わらせない密度があるアルバムだ。
メロディアス度・・8 重厚度・・7 プログレッシブマイン度・・8 総合・・7.5
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TYSTNADENSham of Perfection
イタリアのゴシックメタルバンド、ティストナデンの2006年作
キーボードに男女ヴォーカルを含む6人組みで、写真を見るとメンバーは皆まだ若そう。
赤い毛をした美少女的な風貌があるローラ嬢の歌声は、EVANESCENCEのエイミー嬢を彷彿とさせ
モダンな質感とクラシカルな風味が同居するサウンドは、ゴシックメタルとヘヴィロックの中間の雰囲気。
メロデス要素も少しある。良く言えば現代のボーダーレス感に慣れた若いリスナー向けの音楽であるが、
個人的にはこのモダンさには、素直に女性Voゴシックメタルと言い切れないもどかしさも残る。
曲自体のインパクトやメロディの質が上がれば面白いバンドにはなるはず。
メロディアス度・・7 ゴシック度・・7 女性Vo度・・7 総合・・7.5
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Universal Theory 「Mystery Timeline」
スペインのゴシックメタル、ユニバーサル・セオリーの2013年作
淡々とした男性ヴォーカルに美しい女性ヴォーカルの歌声と、適度にヘヴィなギターにうっすらとしたシンセで、
かつてのThe Gatheringなどにも通じる、ゆったりと倦怠的な叙情を聴かせるゴシックメタルサウンド。
曲は3〜4分前後と、比較的シンプルで、どことなくサイケな浮遊感もあり、これというメロディや盛り上がりはなく、
かといってダークな耽美さもさほどない。マイルドでメランコリックな雰囲気は悪くないのだが、
このバンドならではの個性というものは薄く、これならむしろ全部女性声で歌ってほしいという気もするのだが。
ドラマティック度・・7 ゴシック度・・7 浮遊感・・8 総合・・7
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UNSHINE「Enigma of Immortals」
フィンランドのゴシックメタル、アンシャインの2nd。2008作
フィンランドのゴシックメタルというと、SILENTIUMくらいしかいなかった印象なのだが、
久しぶりに本格派のゴシックメタルが登場。3拍子系の楽曲に哀愁のメロディと女性ヴォーカルを乗せて、
メランコリックに聴かせるサウンドは、やわらかな優美さと、もの悲しい叙情に満ちていて、
とても耳馴染みがよい。女性ヴォーカルの歌唱もやや地味ながら、かえって素朴な雰囲気が好ましいし
シンフォニックなシンセワークもなかなかセンスが良い。今後に大いに期待できるバンドだろう。
シンフォニック度・・8 ゴシック度・・8 女性Vo度・・7 総合・・8
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UNSHINE 「Dark Half Rising」
フィンランドのシンフォニック・ゴシックメタル、アンシャインの2013年作
前作から5年ぶりとなる3作目で、美しい女性ヴォーカルの歌声とシンフォニックなアレンジに
北欧らしい土着的な叙情を含んだメロディで聴かせるサウンドは、もはやゴシックというよりは
優美なる北欧系シンフォニックメタルの感触だ。どこかはかなげなスザンナ嬢の歌声も
ふんわりとした神秘的な雰囲気で、ドゥルイド・メタルとも称される世界観にマッチしている。
全体的に重厚さや大仰さは薄く、ばっと聴きには地味な感じもするが、12分を超える大曲など
ゆるやかに構築してゆくセンスと美意識は、このバンドならではの持ち味といってよいだろう。
シンフォニック度・・7 北欧度・・9 女性Vo度・・8 総合・・8
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Unshine 「ASTRALA」
フィンランドのゴシックメタル、アンシャインの2018年作
前作から5年ぶりとなる4作目で、適度にヘヴィなギターにうっすらとしたシンセを重ね、
美しい女性ヴォーカルの歌声を乗せた、メランコリックなゴシックメタルサウンド。
ややドゥーミーなナンバーや、ときに母国語の歌詞による土着的な味わいも含みつつ
Susanna嬢のはかなげな歌声がアンニュイな翳りを添えていて、ほどよくダークで耽美的、
そしていくぶんマイナーな空気感が魅力となっている。派手すぎないアレンジも好感が持て、
ラストの10分の大曲も、いかにもゴシックらしい物悲しいメランコリズムに包まれる。
ドラマティック度・・7 ゴシック度・・8 女性Vo度・・8 総合・・8
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UNSUN「The End of Life」
女性Voゴシックメタルバンド、アンサンの2008年作
VADERのギタリストを中心としたバンドということで、けっこうヘヴィめのギターと
きらきらとシンセの入ったモダンなアレンジに、美声のアヤ嬢の歌声が乗るサウンド。
ゴシックというよりは、EVANESCENCE以降のゴシック・ヘヴィロックの路線なので、
若いリスナーにも違和感なく聴けるのではないだろうか。曲自体は3〜4分台と短めなので、
やや物足りないと言えなくもないが、その分難解さもないので幅広い支持を受けそう。
メロディアス度・・8 モダンゴシック度・・8 女性Vo度・・8 総合・・7.5
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UNSUNClinic for Dolls
ポーランド系フィメールメタルバンド、アンサンの2010年作
VADERの元ギタリスト、マウザーらよるバンドということで話題を呼んだ前作は
ごく普通のゴシック風ヘヴィロックという感じで、期待の割にはいまひとつだったのだが、
続く本作では、ヴォーカルのアヤ嬢の歌声にさらに表現力が備わっていて、
それを活かす楽曲にもメランコリックな叙情が増している。もちろんモダンロックとしての
質感もあるが、それ以上にメロディのキャッチーさが上回っていて、非常に聴きやすい。
ゴシックメタルというよりは、もっと普遍的なフィメールメタルとして楽しめる作品だ。
メロディアス度・・8 メランコリック度・・8 女性Vo度・・8 総合・・8
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Valentine Wolfe 「The Nightingale: A Gothic Fairytale」
アメリカのゴシックメタル、ヴァレンタイン・ウォルフの2015年作
男女2人組のユニットで、適度にハードなギターにシンセを重ね、美しい女性ヴォーカルの歌声を乗せた
耽美なゴシックメタルを聴かせる。やや軽めのドラムも含めて重すぎないサウンドは、マイナー臭さもあるが
チェロの音色などを加えた優雅なクラシカル性や、オペラティックなソプラノヴォーカルはなかなか魅力的。
楽曲自体は、ダークにするのか、クラシカルにするのか、耽美にするのか、いまひとつ中途半端で、
フックのある展開がさほどないので、煮え切らない印象。まあ美しい女性声を楽しむには良いのだが。
ドラマティック度・・7 耽美度・・8 女性Vo度・・8 総合・・7.5
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Valkiria 「Here The Day Comes」
イタリアのゴシック・ドゥームメタル、ヴァルキリアの2012年作
ゆったりとしたリズムに叙情的な泣きのギターを乗せ、デスヴォイス&マイルドなヴォーカルで、PARADISE LOSTなどに通じる
耽美で重厚なゴシックドゥームを聴かせる。どこを切っても扇情的なギターのフレージングが耳心地よく、物悲しいサウントであるが、
フューネラルというほどはダークではないので、わりと初心者にも聴きやすいだろう。うっすらとしたシンセアレンジも加わって、
泣きメロたっぷりのギターが哀愁の空気を描き出す。メランコリックな叙情性という点では、Foreshadowingなどが好きな方にもお薦め。
耽美度・8 メランコリック度・7 叙情度・8 総合・8
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VANITAS「Das Leben ein Traum」
オーストリアのゴシックメタルバンド、ヴァニタスの1st。2000作
初めて聴いたバンドだが、なかなかのメロディアスゴシックサウンド。
ゆったりとした曲調に、ギターの奏でる旋律が非常にメロディアス
このあたりのメロディの煽情度は初期のCHALICEEVENSONGあたりを思わせる。
デス声によるドイツ語の歌唱がなかなか新鮮で、ときおりそこに絡む女性ソプラノも良い感じ。
キーボードのシンフォニックな音色にも、いかにもオーストリアらしい美意識を感じさせる。
また、メロディにときおりフォーキーな色合いが顔を出すのも魅力的。
メロディアス度・・8 シンフォニック度・・8 ゴシック度・・8 総合・・8
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VANITAS「Der Schatten einer Existenz」
オーストリアのゴシックメタルバンド、ヴァニタスの2001年作
2作目となる今作も、前作同様に、クラシカル&シンフォニックなゴシックメタルサウンドが炸裂する。
重厚なギターはメロウな泣きのフレーズを奏で、そこに絡む美麗なキーボードも、ときにシンフォニックに
ときにもの悲しいクラシカルな香りを匂わせる。メインとなるデス声男性ヴォーカルと、対比となる女性ソプラノも美しく、
そのマリア嬢は正式にバンドメンバーとなったようだ。ゲストにはヴァイオリン、ヴィオラ、チェロなどのストリングスが加わり、
荘厳にサウンドを盛り上げる。マリア嬢の吹くフルートの美しさや、ときおり覗かせるヴァイキング風の雰囲気も良いですな。
シンフォニック度・・8 ゴシック度・・8 重厚度・・8 総合・・8
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VelvetsealLend Me Your Wings」
ハンガリーのゴシックメタルバンド、ベルベットシールの2009年作
シンフォニックなイントロから、曲が始まるとモダンなヘヴィさと壮麗なシンセ、
そして女性ヴォーカルの歌声で、WITHIN TEMPTATIONAFTER FOREVERあたりに近い
正統派のゴシックメタルを聴かせてくれる。とくに美しいシンセワークは、EPICAあたりを思わせる
荘厳さもあって、サウンドに厚みを付けている。女性Vo、Gabee嬢の歌唱はさほど個性的ではないが、
実力的にもまずまずで、全体的にもデビュー作としてはなかなか質の高いアルバムだと思う。
シンフォニック度・・8 モダンゴシック度・・8 女性Vo度・・7 総合・・7.5
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VETRAR DRAUGURINN 「HINTERLANDS」
オランダのゴシックメタル、ヴェトラル・ドラウグリンの2019年作
Stream Of Passionのギターや、Autumnの女性シンガーが参加するバンドで、
ほどよくヘヴィなギターに浮遊感のある女性ヴォーカルを乗せ、倦怠の翳りに包まれたサウンドを描く。
シンフォニックな味付けはあまりないので壮麗なサウンドではないが、Marjan嬢の表現力ある歌声は、
かつてのアネクにも似ていて、The Gatheringにも通じる雰囲気をところどころにかもしだしている。
しっとりとしたバラードナンバーなども、魅力的なヴォーカルでじっくりと楽しめ、これという新鮮味はないが
メランコリックな空気感が耳心地よい。倦怠系のゴシックメタルを受け継いだなかなかの好作品です。
ドラマティック度・・7 ゴシック度・・7 女性Vo度・・8 総合・・8
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VIA MISTICA「Testamentum(In Hora Mortis Nostre)
ポーランドのゴシックメタルバンド、ヴィア・ミスティカの1st。2003作
はかなげな女性ヴォーカルの歌声と、うっすらとしたシンセを含んだサウンドで、
ダークな翳りを描くようなゴシックメタル。ギターは随所にメロディックなフレーズを奏で
もの悲しいチェロの音色とともに、耽美でメランコリックな聴き心地に浸れる好作品。
ドラマティック度・・7 ゴシック度・・8 女性Vo度・・7 総合・・7.5
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VIA MISTICA「Fallen Angel」
ポーランドの男女Voゴシックメタルバンド、ヴィア・ミスティカの2nd。2004作
のっけからブラストビートが始まって、これってシンフォニックブラック?と一瞬思うが、
女性ヴォーカルの歌唱にはポーランドらしい翳りがあり、美しいヴァイオリンと、シンフォニックなキーホード、
ときおりメロデス風のリフになるギターに男Voの咆哮が合わさって、なかなか聴き応えのあるダイナミックなサウンド。
ポーランドのゴシック=ゆったりとした倦怠というイメージがあるが、
このバンドはほの暗い叙情とともに、楽曲のメリハリがあるので、聴いていて退屈しない。
ジャケはB級っぽいが、内容はバンドの今後に大いに期待を持てるだけのものがある。
シンフォニック度・・8 ゴシック度・・7 ダイナミック度・・8 総合・・7.5
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VIA MISTICA「Under My Eyelids」
ポーランドの男女Voゴシックメタルバンド、ヴィア・ミスティカの3rd。2006作
今作も薄暗い叙情たっぷりの女性声ゴシックメタルが楽しめる。
最近のモダンでカッチリと整ったバンドよりもどことなくマイナーな感じが漂っているのが、またいい雰囲気で、
AFTER FOREVERELISなどを少し辺境っぽくした感じといえばいいか。
ときおりプログレ的な変拍子を聴かせたり、楽曲の展開や盛り上げ方にも繊細さが感じられる。
さほど派手さはないが充分にシンフォニックだし、幻想的で美しさをもったゴシックメタルの好作といってよい。
幻想美度・・9 ゴシック度・・8 女性Vo度・・7 総合・・7.5
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Vic Anselmo 「In My Fragile」
ラトビアの女性シンガー、ヴィク・アンセルモの2011年作
2008年にデビューし、2作目となる。ほどよくヘヴィなギターにモダンなシンセアレンジ、
艶めいた女性ヴォーカルで聴かせる、ヨーロピアンな翳りを帯びたゴシックロックサウンド。
いくぶんインダストリアルな雰囲気もあるが、ヴァイオリンなどを加えた優雅さや、耽美な叙情性、
ときにヒステリックな女性声のエキセントリックな表現力も含めて、単なるゴスロック以上の味わいだ。
ピアノをバックにしっとりとした歌声を乗せたアンビエントなナンバーや、エレクトなポップ感もあったり、
Evanescenceのような優美でキャッチーなナンバーも、表現力ある彼女の歌声が魅力的だ。
ドラマティック度・7 ゴシック度・7 女性Vo度・8 総合・7.5
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Victoria K 「Essentia」
オーストリアのゴシック・シンフォニックメタル、ヴィクトリア・Kの2020年作
2人の女性Voに女性ギターを含む編成で、メタリックなギターと壮麗なシンセアレンジ、美しい女性ヴォーカルに
女性によるグロウルヴォイスを重ねた、ほどよくヘヴィでキャッチーなシンフォニックメタルを聴かせる。
バンド名でもある、ヴィクトリア.K嬢の伸びやかな歌声は、WITHIN TEMPTATONのシャロンを思わせ、
艶めいた魅力でサウンドを包み込む。楽曲は3〜4分前後が中心で、比較的ストレートなノリで分かりやすいが、
随所にゴシック寄りの耽美な雰囲気も覗かせて、しっとりとしたナンバーなども女性声の魅力にウットリとなる。
新鮮なインパクトはさほどないが、実力ある女性ヴォーカルをフロントにした期待のバンドです。
シンフォニック度・・8 ゴシック度・・7 女性Vo度・・9 総合・・8
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Victoria K 「Kore」
アメリカのシンフォニックメタル、ヴィクトリアKの2022年作
2020年にデビューし、2作目となる。メタリックなギターに艶めいた女性ヴォーカルを乗せて、美しいシンセアレンジとともに、
ゴシック的でもある耽美な雰囲気に包まれたシンフォニックメタルを聴かせる。全体的にはシンセによる味付けは控えめで、
壮麗なシンフォニック性は控えめなのだが、ヴィクトリア・コキノス嬢の歌声は、はかなげでフェミニンな魅力があって悪くない。
ときおりデスヴォイスも絡んだでのアグレッシブなパートも覗かせつつ、楽曲自体は、ストレートな感じで普通に聴きやすい。
反面、もう少し壮大な盛り上がりや、キャッチーなフックが欲しいか。いっそこのままゴシックメタル寄りの妖しさを深めてもよいかと。
シンフォニック度・7 耽美度・8 女性Vo度・8 総合・7.5 
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Victorians 「Aristocrats' Symphony」
ポーランドのシンフォニック・ゴシックメタル、ヴィクトリアンズの2013年作
シンフォニックで美麗なアレンジとしっかりとメタリックな重厚さの合わさった楽曲に、
中音域からオペラティックなソプラノも使い分ける女性ヴォーカルの歌声で聴かせるサウンド。
3〜5分台にまとめられた楽曲は、そのメロディックなフックも堂々たるもので、
デビュー作にしては相当クオリティが高い。これまでのバンドのよい部分を吸収しながら、
あくまで美しさにこだわった世界観と、優雅な感触に仕上げる実力はなかなか見事。
日本のヴィジュアル系のような華やかな衣装のメンバーたちの姿も含め、話題性充分だ。
シンフォニック度・・8 ゴシック度・・7 女性Vo度・・8 総合・・8


Virgin Black「Sombre Romantic」
オーストラリアのゴシックドゥーム、ヴァージン・ブラックの1st。2002作
物悲しいチェロの音色にクラシカルなピアノ、グレゴリアンチャント風の男性ヴォーカルで聴かせる、
ELENDなどにも通じる暗黒をまとわせた静謐感は、本作の時点ですでに確立されている。
ヘヴィなギターとリズムも入るので、ゴシックドゥーム的な聴き心地もあり、
ときにアヴァンギャルドでオペラティックな感触も含んだ濃密なサウンドが楽しめる。
クラシカル度・・8 ゴシック度・・8 暗黒度・・8 総合・・7.5
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VIRGIN BLACK「Elegant and Dying」
オーストラリアのゴシックドゥームメタル、ヴァージン・ブラックの2nd。2003作
なにげに豪州はゴシック系バンドがけっこういるのだが、このバンドはシンセを中心に
クラシカルな美しさと暗黒の世界観で聴かせるELENDタイプのサウンド。
シンセによるオーケストレーションに、重厚なティンパニの音が響きわたり、
朗々とした男性ヴォーカルが歌を乗せる。ドラムとギターが加わるとドゥーミーな質感になるが、
メタル色はさほど強くないので、ゆるやかにピアノが鳴らされるこの静謐感に浸れるかどうかがミソ。
クラシカル度・・8 ゴシック度・・8 暗黒度・・8 総合・・7.5
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VIRGIN BLACKRequiem-Mezzo Forte」
オーストラリアのゴシックドゥームメタルバンド、ヴァージン・ブラックの3rd。2007作
重々しいチェロの響きから始まり、荘厳なシンセをバックに美しいソプラノヴォーカルがゆるやかに歌い上げる。
クラシカルでオペラティックな雰囲気をかもしだしつつ、男性声も加わって、
ドゥームメタル的なギターリフとともに重厚に繰り広げられてゆくサウンドは
メタルというよりは、むしろ暗黒のゴシックオペラともいうべき世界観だ。
詠唱を思わせる男女コーラスなども、宗教的なゴシックサウンドを描き出している。
シンフォニック度・・7 ゴシック度・・9 暗黒度・・8 総合・・7.5
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VIRGIN BLACK「Requiem-Fortissimo」
オーストラリアのゴシックドゥームメタルバンド、ヴァージン・ブラックの4th。2008作
ゆったりとしたドゥーミィな曲調と、低いデス声が歌い上げるサウンドは、
前作以上に重厚な雰囲気で、よりメタル的な感触が増している。
ときおり絡む美しいソプラノヴォイスや詠唱のようなコーラスワークも効果的で、
暗黒の耽美世界を描き出している。Shape of Despairあたりが好きな方はどうぞ。
メロディアス度・・7 ゴシック度・・8 暗黒度・・8 総合・・7.5
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Void of Silence 「Human Antithesis」
イタリアのゴシック・ドゥームメタル、ヴォイド・オブ・サイレンスの2004年作
うっすらとしたシンセをバックに、ドラマ性を描くような語りやSE、神秘的な女性コーラスなどを織り込み、
朗々とした男性ヴォーカルにダミ声を交えて、ダークでフューネラルな世界観を描いてゆく。
ギターはわりと単調なリフやフレーズなのだが、バックのシンセアレンジがなかなか美しく、
雰囲気モノのゴシックドゥームという感触は、むしろELENDあたりの作風に近いかもしれない。
20分の組曲をはじめ、11分、15分という大曲を中心に、ゆったりと聴かせるサウンドは、
気が短い方には向かないが、耽美な世界観を好む方ならそれなりに心地よく楽しめるだろう。
ドラマティック度・・7 耽美度・・8 重厚度・・7 総合・・7.5
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VUUR 「In This Moment We Are Free - Cities」
The Gatheringのアネク・ヴァン・ガースバーゲンによるプロジェクト、フーアの2017年作
Amorphis、Anathema、Peripheryなどのメンバーが楽曲提供で参加していて、世界各国の都市をテーマに、
モダンなヘヴィネスとテクニカル性に、伸びやかなアネクの歌声を乗せた、ゴシック風味のモダンメタルというサウンド。
ヘヴィなギターリフをバックに、倦怠の空気感をかもしだす彼女の歌声は、やはりゴシックメタル寄りの感触で、
そのはかなげな浮遊感と硬質なテクニカル性が、ある意味で不思議なコントラストにもなっている。
しっとりと聴かせるラストの叙情ナンバーまで、シンガー、アネクの魅力たっぷりに楽しめるアルバムだ。
メロディック度・・7 モダン度・・8 女性Vo度・・9 総合・・8
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Walk in Darkness 「In The Shadows Of Things」
イタリアのゴシックメタル、ウォーク・イン・ダークネスの2017年作
重厚なギターにデスヴォイスと美しい女性ヴォーカルを乗せた、耽美なゴシックメタルを聴かせる、
ピアノを含む優美なシンセと、KALIDIAにも参加するニコレッタ嬢のなよやかな歌声も魅力的で、
DRACOINIANなどにも通じるドゥーミィなスローテンポから、ほどよくアグレッシブな激しさも含んだ、
メリハリある構築力で、イタリアらしい壮麗さとダークな耽美性が同居した世界観を描いてゆく。
アレンジ面での派手さはないが、翳りを帯びた叙情に包まれていて、泣きのギターフレーズも耳心地よく、
デス声の入らないナンバーも多いので、フィメール系シンフォニックメタルのリスナーにも楽しめるだろう。
ラスト曲でのキャッチーなメロディアス性は、ニコレッタの歌唱によくマッチしていて、優雅にアルバムを聴き終える。
シンフォニック度・・7 ゴシック度・・8 女性Vo度・・8 総合・・8
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We Are The Fallen「Tear the World Down」
EVANESCENCEのメンバーらによる、ウィ・アー・ザ・フォールンの2010年作
メロウなギターフレーズと、うっすらとしたシンセワーク、そして女性ヴォーカルの歌声、
バンド名のようにエヴァの1st「Falln」をそのままアップトゥデイトさせたようなサウンドだ。
Voのキャリー嬢はエイミーに少し似た声質で、エヴァネの新作として聴いても違和感がない。
当時に比べてゴシックブームがやや下火となった現在においてあえてこれをやるというのは、
ややインパクト不足な感もあるが、質の高さは保証済み。Evaファンはとりあえず聴いて損はない。
メロディアス度・・8 ゴシック度・・7 女性Vo度・・8 総合・・8
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Weeping Silence 「End of An Era」
マルタ共和国のゴシックメタル、ウィーピング・サイレンスの2008年作
ミステリアスなイントロから、ヘヴィなギターと美しいシンセに、女性ヴォーカルを乗せ、
どことなく辺境的な味わいに包まれた、耽美なゴシックメタルサウンドを聴かせる。
紅一点、レイチェル嬢のなよやかな歌声もなかなか魅力的で、シンフォニックなアレンジとともに
壮麗で優雅な世界観を描いてゆく。10分前後の大曲を中心にした、ゆったりとした作風なので、
気が短い方には向かないが、美麗なシンセにヴァイオリンが鳴り響くクラシカルなサウンドにじっくりと浸れる。
のちのアルバムほどには洗練されていない分、ゴシックメタルとしての純度の高い耽美な空気が味わえる。
シンフォニック度・・8 ゴシック度・・8 女性Vo度・・8 総合・・8 
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WEEPING SILENCE 「Theatre of Life」
マルタ共和国のシンフォニック・ゴシックメタル、ウィーピング・サイレンスの2011年作
ツインギターにシンセを含む6人編成で、本作が2作目となる。伸びやかな女性ヴォーカルの歌声に
壮麗なシンセアレンジで聴かせるゴージャスなサウンドで、大仰かつクラシカルな世界観が魅力的。
静と動のメリハリのついた楽曲は、どこを切ってもドラマティックな美意識に包まれていて、
ツインギターのかもしだす重厚さと、美麗なシンフォニック性が上手く融合されている。
一方ではしっとりと聴かせる曲もあり、全体的にもバランスのとれたクオリティの高い作品である。
シンフォニック度・・8 ゴシック度・・8 女性Vo度・・8 総合・・8



Weeping Silence 「For The Unsung
マルタ共和国のシンフォニック・ゴシックメタル、ウィーピング・サイレンスの2012年作
女性Vo、女性シンセ奏者を擁する7人編成で、美麗なシンセとツインギターが重なり
伸びやかな女性ヴォーカルの歌声で聴かせる、本格派のシンフォニックメタル。
女性声をメインにしながら、厚みのあるバンドサウンドに男性デスヴォイスが絡む重厚な作風で
メロウなフレーズを奏でるギターも随所にしっかりとアクセントになっている。
楽曲は6分前後と長めながら、構築される世界観の強度で最後までダレずに聴き通せる。
小さなマルタ島から、このような素晴らしいバンドが現れるのだから、あなどれませんな。
シンフォニック度・・8 重厚度・・8 女性Vo度・・8 総合・・8


Weeping Silence 「Opus IV Oblivion」
マルタ共和国のゴシックメタル、ウィーピング・サイレンスの2015年作
男女Voにシンセ奏者を含む7人編成で、過去作も見事な出来であったが、今作ではヴォーカルが交代している。
美しいシンセアレンジに、女性ヴォーカルの歌声、そこに低音の男性デスヴォイスが絡みつつ、
今作ではどっしりとしたドゥームゴシック的な重厚な雰囲気が強まっている。新Voのダイアン嬢の歌声は
伸びやかで美しいソプラノから、はかなげなもの悲しさせをたたえた表現力もあってなかなか魅力的だ。
曲によってはデス声パートが多いのが好みを分けるかもしれないが、たとえばDRACONIANなどと同様、
最近は珍しい本格派の重厚系ゴシックメタル作品ということで、また楽しみなバンドになってきた。
ドラマティック度・・8 ゴシック度・・8 女性Vo度・・8 総合・・8
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WELTENBRAND「The End of the Wizard」
リヒテンシュタインのゴシックメタルバンド、ウェルテンブランドの2006年作
アルバムとしてはすでにこれが5作目になるらしい。ちっとも知らなかった。
ギターレスでシンセとヴァイオリン、男女ヴォーカルを中心にしたメタル要素の低いサウンド。
広がりのある美麗なシンセワークと、クラシカルなピアノ、ヴァイオリンの響きに
賛美歌のような女性コーラス。アンビエントなゴシックミュージックの趣もあり、
崇高にして神秘的な雰囲気はなかなか好みである。メタルとして聴かなければ○。
シンフォニック度・・8 ゴシック度・・8 メタル度・・3 総合・・7.5
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Where Angels Fall「Illuminate」
ノルウェーのゴシックメタルバンド、ウェア・エンジェルス・フォールの2006作
モダンなヘヴィさとシンフォニックな優美さで聴かせるゴシックメタルサウンドで、
浮遊感のある女性ヴォーカルの歌声とともに、ゆったりと耽美に聴かせる。
薄暗い世界観や音の雰囲気はなかなかいいのだが、肝心の女性Voの歌唱が
ややあやうい音程だったりして、いまひとつのめり込めないのが難点か。
荘厳で重厚な部分には魅力があるので、今後は楽曲ごとの完成度をあげていって欲しい。
シンフォニック度・・7 ゴシック度・・8 女性Vo度・・7 総合・・7
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WHISPERING GALLERYShades of Sorrow
オランダのゴシックデスメタルバンド、ウィスパリング・ギャラリーの2006作
メロウなギターに美しいシンセが鳴り響き、そこにデス声が歌を載せる。
曲調はゆったりとしていてゴシックドゥーム風ながら、シンフォニックで
メランコリックな雰囲気をただよわせたサウンドは、耽美な空気に満ちている。
美しいピアノや朗々としたノーマルヴォイスなども効果的に使われ、暗いだけでなく
メロディアスな聴きやすさを有しているのが特徴だろう。6〜8分台と曲が長いので、
今後はサウンド面を含めての説得力を上げていって欲しい。
メロディアス度・・7 耽美度・・8 ドゥーミー度・・7 総合・・7.5
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WINDS「Reflections」
ノルウェーのゴシックメタルバンド、ウインズの2002作
ARCUTURUSのGとDrが在籍する、雰囲気重視の優雅なゴシックメタルバンド。
美しいシンセとメロウなギターがゆったりと絡みつつ、ヴァイオリン、チェロの音色が物哀しく響きわたる、
クラシカルなサウンドで、ドラムを叩くのは、かのHellhammerことJan Axel von Blomberg氏である。
確かな実力のメンバーによる演奏は、ややもすると単調になりがちな楽曲に
しっかりとした説得力と世界観を付加している。劇的な盛り上がりはないものの
プログレッシブな知的さと、薄暗くも叙情的な雰囲気が耳に心地よい逸品である。
アルバムラストにはデビューミニアルバムの5曲を追加収録。
クラシカル度・・8 ゴシック度・・8 ゆるやか度・・8 総合・・8
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Winds「The Imaginary Direction of Time」
ノルウェーのゴシックメタルバンド、ウインズの2nd。2004作
ARCUTURUSのGとDrが在籍するバンドで、前作同様のプログレッシブなゴシックメタルをやっている。
クラシカルなピアノとヴィオラの音色、マイルドな歌声とともに聴かせるサウンドは、
どこか優雅で知的な香りがただよい、薄暗い美を表現する手法はOPETHなどに通じるセンスがある。
ときおりネオクラシカル風のギターも挿入されたり、ピアノやストリングスによる静寂パートがあったりと、
前作以上に楽曲にメリハリがついていて、プログレ好きのメタルリスナーには嬉しいかぎり。
同郷のGreen CarnationやイタリアのNOVEMBREあたりが好きな方ならかなり楽しめるだろう。
クラシカル度・・8 ゴシック度・・8 知的アレンジ度・・8 総合・・8
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Winds「Prominence and Demise」
ノルウェーのゴシックメタルバンド、ウインズの3rd。2007作
クラシカルな優雅さとアコースティカルでうす暗い叙情はそのままに、
今作ではよりプログレ風味なアレンジを効かせたサウンドとなっている。
ときに女性ヴォーカルを効果的にまじえたり、ヴァイオリンなどのストリングスも優雅に鳴り響きつつ、
芸術的な世界観を描き出している。楽曲作りにおいては“プログレッシブなブラック”の質感が出てきて、
むしろSolefaldあたりにも近い雰囲気となった。どちらにしても素晴らしい作品である。
クラシカル度・・8 プログレ度・・8 知的アレンジ度・・8 総合・・8
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Witchbreed 「Heretic Rapture」
ポルトガルのゴシックデスメタル、ウィッチブリードの2009年作
女性Voを含む5人組で、ブルータルな要素を含んだゴシックデス的なサウンド。
ヘヴィなギターリフにうっすらとシンセを絡ませ、耽美さと激しさの同居した楽曲に
地獄の女神ヘカテーを思わせるような女性ヴォーカルの歌声が乗る。
ヘヴィであるがモダンなコア風味というよりは、スラッシーな感じなので、
女性Voとザクザクしたギターとの絡みがけっこうに新鮮にも感じられる。
ポルトガルというお国柄か、そこはかとなく漂う異国的な神秘性も魅力的だ。
メロディアス度・・7 ゴシックデス度・・8 女性Vo度・・8 総合・・8
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WITCHCRAFT 「The Voice from Inside...」
ロシアのゴシックメタル、ウィッチクラフトの2008年作
わりと正統派のギターにシンセを重ね、美しい女性ヴォーカルに男性ヴォーカルが絡む、
ほどよい激しさと耽美な味わいが同居したシンフォニック・ゴシックメタルを聴かせる。
叙情的なギターの旋律によるインストパートや、随所に緩急ある展開力も覗かせるなど、
単なるゴシックメタル以上のセンスも感じさせる。反面、メロディのフックや盛り上がりがもう少し欲しいか。
ドラマティック度・7 耽美度・8 女性Vo度・7 総合・7.5

Witchcraft「Ash」
ロシアのシンフォニック・ゴシックメタル、ウィッチクラフトの2011年作
きらびやかなシンセアレンジに、美しい女性ヴォーカルの歌声、
男性Voも絡んだモダンなアレンジで、AMARANTHに通じるような聴き心地と、
ゴシックメタル的な雰囲気が融合された作風だ。随所に激しい疾走感もあったり
美しいヴァイオリンにピアノを含んだしっとりとした叙情性や、プログレメタル的な展開など、
いかにも最近のバンドらしいハイブリッドな方向性であるが、もう少しメロディの魅力が欲しい。
シンフォニック度・・7 ゴシック度・・7 女性Vo度・・7 総合・・7.5



Witchcraft「7」
ロシアのシンフォニック・ゴシックメタル、ウィッチクラフトの2013年作
美麗なシンセアレンジと適度にヘヴィな激しさに、女性ヴォーカルのロシア語の歌声で聴かせるサウンド。
ゴシック的な耽美さもいくぶんありつつ、モダンなヘヴィロック気味の感触が前に出ると、
ロシア版のLACUNA COILというような感じでもある。ラップ調の巻き舌男性ヴォーカルには、
正直げんなりなのだが、女性声はなかなか魅力的だし、ときにヴァイオリンが入ってきて、
しっとりと聴かせる部分などは叙情的だ。今後はぜひともさらにシンフォニックな路線を目指していって欲しい。
シンフォニック度・・8 ゴシック度・・7 女性Vo度・・7 総合・・7.5



WITHIN TEMPTATION「Enter」
オランダのゴシックメタルバンド、ウィズイン・テンプテーションの1997年作
今でこそ世界的な人気を博しているこのバンドだが、デビュー当時は同郷のThe Gatheringに続く2番手であった。
本作の段階ではまだ男性デス声との掛け合いで、しごくオーソドックスなゴシックメタルをやろうとしており、
個性という点ではいまひとつという印象だった。女性ヴォーカルの入ったメタルというものがまだ珍しかった時代であり、
シャロン・デン・アデルの美声は魅力的ではあったが、それだけでは突出したインパクトにはならなかった。
逆に言えば後のキャッチーな作風とは異なる湿り気を帯びた耽美なサウンドという点では、
本作こそがゴシックメタルであると言ってもよいかもしれない。ウィズインの原点がここにある。
メロディアス度・・8 ゴシック度・・9 女性Vo度・・8 総合・・8
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WITHIN TEMPTATION「THE DANCE」
オランダのゴシックメタルバンド、ウィズイン・テンプテーションのミニアルバム。1998作
大傑作「MOTHER EARTH」発表前の作品で、1stのリミックス2曲に新曲(2nd未収録曲)が3曲
それにMP3やバンドのプロフィール入りのCD-ROMトラックを加えた内容。
この時点での新曲にはまだデス声が若干残っているが、やはりシャロン嬢の歌唱がメインとなりつつあって
全体として1stよりもシンフォ度がUPしている。こうして続く2ndへの下地が出来たのだろう。
シンフォニック度・・8 ゴシック度・・8 シャロン嬢歌唱度・・8 買って損なし度・・8
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WITHIN TEMPTATION「MOTHER EARTH」
オランダの人気ゴシックメタルバンド、ウィズインテンプテーションのDVD。
彼らの2nd「MOTHER EARTH」からのビデオクリップとライブ映像4曲、バックステージ映像による構成。
ビデオクリップは森と湖の中を純白のドレスをまとったVoのシャロン嬢が舞うイメージ通りの美しいもので、
はじめからDVDを意識したデジタルなエフェクトもありなかなかの出来。
優美なシャロン嬢とメタリックな衣装の他のメンバーのギャップが面白い。
ライブ映像の方はさほど金をかけた様子がなく、カメラワーク的にも面白みに欠けるもので、
いかにもボーナス映像的な印象。ドレス姿で飛び跳ねたりヘドバンしたりするシャロン嬢がとても楽しそう。
バックステージ映像では、ツアー中のバス内でメンバーたちが談笑する様子やインタビューなど。
ステージメイクを落としたシャロン嬢もやっぱり可愛いのであった。
ビデオクリップ・・8 ライブ映像・・7 ライブ演奏・・7 総合・・7

WITHIN TEMPTATION「MOTHER EARTH」
オランダのゴシックメタルバンド、ウィズイン・テンプテーションの2nd。1999年作
1stではまだデス声入りのいくぶん垢抜けないゴシックサウンドであったのだが、
今作は全篇が美声のシャロン嬢の歌になりデス色は全面撤廃。これが大成功。
楽曲はしっとりと美しいケルト/フォーク色を増し、泣きのシンフォニック要素が満載になった。
これならメタル聴かないシンフォファンでも聴けます。美しく優しい歌声。曲もどれも素晴らしい。
全体的にはゴシック的ダークさは後退したが、癒しのシンフォニックという新たな地平を確立した。
3rd以降も良いが、本作は今なお女性声ゴシックの頂点に輝く1枚。新しいファンもまずはこれを聴くべし!
メロディアス度・・9 ゴシック度・・8 女性Vo度・・10 総合・・9 ◆メタル名盤特選入り
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WITHIN TEMPTATION「ICE QUEEN」
ウィズイン・テンプテーションのミニアルバム。2001作
2nd「MOTHER EARTH」から「ICE QUEEN」のラジオエディットに、ライブ3曲、デモバージョン2曲の6曲入り。
ライブ演奏もナマのシャロン声が聴けてもちろん嬉しいのだが、デモバージョンも新鮮で、
少し力み気味のシャロン嬢の歌唱や、アルバムバージョンとは若干異なるアレンジや歌メロが楽しめる。
シンフォニック度・・9 ゴシック度・・6 シャロン嬢歌唱度・・9 買って損なし度・・9
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WITHIN TEMPTATION「MOTHER EARTH」
ウィズイン・テンプテーションのミニアルバム。2002作
2nd「MOTHER EARTH」からタイトル曲のラジオエディット1曲、アルバム未収録曲1曲、ライブ2曲
「ICE QUEEN」のアコースティックバージョン、それにCD-ROMデータでビデオクリップが1曲。
アルバム未発表曲はピアノとシンセの美しいバラードでシャロン嬢の繊細な歌唱が楽しめる。
ICE QUEENのアコースティックverでは、何故か「きつめのおねえ声」で歌うシャロン嬢が新鮮。
シンフォニック度・・8 ゴシック度・・5 シャロン嬢歌唱度・・9 買って損なし度・・8

WITHIN TEMPTATION「OUR FAREWELL」
ウィズイン・テンプテーションのシングル。2002作
2nd「MOTHER EARTH」」からのバラード曲のシングル。アルバムバージョン、ラジオエディット、
アコースティックバージョンの3種類を収録。しかし、アコースティックverの美しいこと・・・うっとり。
私はこの美しくも切ないバラードが大好きなので買ったが、そうでない人にはあまり意味のないシングルかも。
シンフォニック度・・8 ゴシック度・・1 シャロン嬢歌唱度・・10 買って損なし度・・7

WITHIN TEMPTATION「MOTHER EARTH TOUR」
オランダのゴシックメタルバンド、ウィズイン・テンプテーションのDVD。DVD2枚+ライブCDという3枚組。
1枚目は、2ndアルバム「MOTHER EARTH」ツアーのライブ映像とビデオクリップが3本。
やはり素晴らしいのはVoシャロン嬢の歌唱で、1stの頃はそれほどとは思わなかったのだが、
ここにきて彼女の歌の表現力は聴くものを惹きつけずにおけぬほど高まっている。
アルバム「MOTHER EARTH」」は1stにあったデス声を排除しそれが大成功したわけだが、
このライブ演奏を見て、このバンドとシャロン嬢の成長を改めて強く感じることができる。
見ていて思わず涙腺がうるむほど、情感の込められたその歌唱にゴシックメタルの未来を見る。
やはりこのジャンルで重要なのは肝心の女性Vo。その歌唱の説得力なのだ。
1st「ENTER」からのデス声入りナンバーもアルバムよりもずっと格好良い。
もちろん他のメンバーの演奏のまとまりも見事で、女性声を生かすアレンジの素晴らしさが再認識できる。
2枚目はメンバーのインタビューや地元でのテレビ番組出演の映像(ICE QUEENのアコースティックverが素敵)
各地を回るライブツアーでのバックステージ映像、合唱隊を加えたライブ映像等々、見どころたっぷりの内容。
ライブ映像・・9 ライブ演奏・・9 シャロン嬢・・10 総合・・9
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WITHIN TEMPTATION「RUNNING UP THAT HILL」
オランダのゴシックメタルバンド、ウィズイン・テンプテーションのシングル。2003年作
今回のシングル曲はなんと、KATE BUSHのカヴァーで、いつも以上に情感を感じるシャロン嬢の歌唱とバックの演奏が、
しっかりと自分たちの曲にしてしまっているのははさすが。同曲のライブバージョンの他、「Deceiver of Fools」のライブ音源、
ボーナスに「Caged」、「Never Ending Story」のライブを追加した5曲入りEP。ファンは必聴でしょう。
ビデオクリップ、メイキング等の入ったDVD付き限定盤もあり。
意外な選曲度・・8 聴けば納得度・・9 シャロン嬢・・9 総合・・8
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WITHIN TEMPTATION「STAND MY GROUND」
オランダのゴシックメタルバンド、ウィズイン・テンプテーションのミニアルバム。2004作
3rd「THE SILENT FORCE」からの先行5曲入りミニアルバムで、CD裏面はDVDのDVDプラス仕様。
表題曲は、シンフォニックなイントロから始まるこなれたアレンジのコンパクトな佳曲。
いっそうの歌唱の表現力を増した、シャロン嬢の歌声が耳に響く絶品のバラード曲や、アルバム未収録曲、
デモバージョンなどを収録。DVDサイドの方は、タイトル曲のビデオクリップ、メイキングにツアー映像を収録。
PVでのドレス姿のシャロン嬢は、匂い立つような清艶さで、雨の中でのシーンではまさに水もしたたるイイ女。
メジャーになっても音にはこれまで通り、ヨーロピアンな叙情が垣間見えるのが嬉しい。
シンフォニック度・・8 女性Vo度・・9 楽曲・・8 総合・・8.5
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WITHIN TEMPTATION「THE SILENT FORCE」
オランダのゴシックメタルバンド、ウィズイン・テンプテーションの3rd。2004年作
先行シングルは聴いていたので、本アルバムの完成度には疑問の余地がなかったが、やはり期待通りの素晴らしさ!
いっそうの歌唱の魅力を身に付けたシャロン嬢の歌声にやられます。サウンドはよりシンフォニックに音の厚みが増しており、
バンドとしての風格ただようしっかりとしたプロダクションも見事。またなによりこのバンドの魅力であるメロディも充実していて、
曲ごとの盛り上げ方、アレンジの質は、その辺の似た者ゴシックバンドとはやはり格が違う。壮麗なコーラスやオーケストラが
音の荘厳さを強めているが、大前提となるのはシャロン嬢のヴォーカリストとしてのこの力量あってのもの。
しっとりとして美しく、ときに妖艶に、ときに清艶に聴かせるその声の魅力は5年の歳月を経てさらにワンランクアップしている。
女性Voファン、ゴシックファンは全員聴くべし。しばらくはシャロン嬢LOVE…状態が続くこと必至のシンフォゴシックの傑作。
日本盤には、この新作からのライブが5曲+ビデオクリップ入りのDVDが付属。
シンフォニック度・・9 ゴシック度・・8 シャロン嬢・・10 総合・・9◆メタル名盤特選入り
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WITHIN TEMPTATION「MEMORIES」
ウィズイン・テンプテーションのミニアルバム。2005作
通常版もあったがDVDプラス(CD/DVD両面)仕様を購入。
3rd「THE SILENT FORCE」からのシングルカット曲に、未発表デモ、ライブ音源等の全5曲に加え
2004年フランスでのライブ映像2曲入り。あくまでファンのためのアイテムだと思うが、
1曲でも多くこのバンドの音が聴きたいという方はやはり買ってしまうだろう(笑)
ライブ映像の方はカット割りがややプロモ風な作りなので臨場感はあまりない。
シンフォニック度・・8 ライブ映像・・7 未発デモもなかなか度・・8 総合・・7.5
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WITHIN TEMPTATION「ANGELS」
オランダのゴシックメタルバンド、ウィズイン・テンプテーションのミニアルバム。
3rd「THE SILENT FORCE」からのシングルカットに、未発表曲、それとライブ音源3曲を加えた5曲入り。
タイトル曲は、しっとりとしたメロディが美しく、ライブ映えもする佳曲。
ライブ音源では、とくに2ndの曲である「THE PROMISE」のシンフォニックな演奏が素晴らしい。
DVD PLUSエディションではタイトル曲のビデオクリップにライブ映像も見られる。
バンドの最新のライブ映像が見られるのはファンには嬉しいかぎりだし、
ドレス姿のシャロン嬢のステージパフォーマンスも堂に入ったもので、
素晴らしい歌唱はもちろん、その怪しげな手の動き(踊り?)もなんだか素敵…(笑)
シンフォニック度・・8 ファンなら買い度・・9 ライブ見たいです度・・10 総合・・8
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WITHIN TEMPTATION「THE SILENT FORCE TOUR」
オランダのゴシックメタルバンド、ウィズイン・テンプテーションのライブ作品。2005年作
地元オランダ、ジャワ島でのライブ映像を中心に収録、海にほど近い特設ステージには満員の観客。
ステージから右手には豪華客船が見える。“DECEIVER SOULS”のイントロが始まり、黒いドレス姿のシャロン嬢登場。
いっそうの妖艶さをまとったそのお姿と、堂々たる歌唱には、もうすぐにうっとり。その後は3rd「THE SILENT FORCE」からの楽曲をメインに、
安定した演奏で聴かせる。何度も衣装替えをして、胸元くっきりのドレス姿を見せてくれるシャロン嬢は、“CAGED”では自らが檻の中に入って
空中高く持ち上げられたりと、仕掛けもいろいろ。ゲストにヴァイオリンやデス声ヴォーカリスが現れたり、1stからの“CANDLES”では、
当時のメンバーがドラムを叩いたりと見どころも多い。盛大に紙吹雪が舞う中、白いドレス姿のシャロン嬢の歌う“Ice Queen”には、
つい画面の前で頭を揺らしてしまう。DVD2にはバックステージ、メイキング、インタビュー等を収録。
ライブ映像・・8 ライブ演奏・・8 シャロン嬢・・10 総合・・8.5
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WITHIN TEMPTATION「The Heart of Everything」
オランダのゴシックメタルバンド、ウィズイン・テンプテーションの4th。2007年作
満を持して発表した4作目。のっけから、まるでEVANESCENCEを思わせるエッジの効いた楽曲で幕を開け、
ついに彼らもメジャーシーンを視野にモダン化したか?…と複雑な思いにとらわれる。続く2曲めでの、ラップ風の男性コーラスでますますその感じは強まるが、
いっそうの表現力をまとったシャロン嬢の歌唱はやはり素晴らしく、メジャー感を増した楽曲の中でその美声は美しく輝いている。
ゴシックメタルの女王としての威厳を見せつけるような4曲めには従来のファンも膝を叩くだろうし、
荘厳なオーケストラアレンジも効果的にバンドの生命線であるヨーロピアンな美を演出している。
作品としての輪郭をカッチリと定めてきたことで、また新たなファンを取り込むだろう充実作だ。
シンフォニック度・・8 ゴシック度・・7 シャロン嬢の歌唱度・・10 総合・・8.5
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WITHIN TEMPTATION「What Have You Done」
ウィズイン・テンプテーションのシングル。2007作
「The Heart of Everything」収録のタイトル曲のシングル、アルバムバージョンに、
未発曲1、ライブ音源2曲を収録。正直このタイトル曲はEVANESCENCEあたりを思わせる
モダンな雰囲気であまり好みではないのだが、アレンジの質は高く隙がない売れセンだ。
未発曲もさしてインパクトはないそこそこの佳曲。ライブ音源はさすがの歌唱にうっとりだ。
シンフォニック度・・8 ファンなら買い度・・7 楽曲度・・7 総合・・7.5
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WITHIN TEMPTATION「Black Symphony」
オランダのゴシックメタルバンド、ウィズイン・テンプテーションのライブ作。2008作/2CD+DVD
今やNightwishと並び世界的な人気バンドとなった感のある、歌姫シャロン嬢擁するこのバンド、
これはオランダ、ロッテメルダムでのオーケストラとの共演を収録した壮麗なライブアルバムだ。
荘厳なコーラス、そしてクラシカルなオーケストラの響きとともに、歌姫シャロンの歌唱が始まると
その瞬間に空気は一変する。本当に素晴らしい。これが世界観を持ったヴォーカリストの歌声なのだ。
アルバムの楽曲が、さらにアルバム以上に生々しく、美しく、壮大に聴けるなどという作品はそうはない。
やはり「The Heart of Everything」からの曲より、「Mother Earth」や「The Silent Force」の曲の方が好み。
とくに“Stand My Ground”などはオーケストラの効果で、楽曲の美しさが倍増しているし、
Disc2の“Mother Earth”、“Deciver of Fools”、“Ice Queen”といったあたりは感動的だ。
DVDには全22曲を完全収録に加え、インタビュー、ドキュメンタリー等の特典映像もたっぷり。
シンフォニック度・・9 ライブサウンド・・9 シャロン嬢・・9 総合・・8.5
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WITHIN TEMPTATION「An Acoustic Night at the Theatre」
オランダのゴシックメタルバンド、ウィズイン・テンプテーションのアコーステイックライブアルバム。2009作
今や世界的な成功を収め、絶大な人気を誇るこのバンドだが、今作はシンプルなアコーステイック編成での
ライブを収録した作品となっている。しっとりとしたピアノで聴かせる“Stand My Ground”などは、
しっとりとしたもの悲しい叙情が楽曲の新たな魅力を生み出していて、なかなかいい。
艶やかなストリングスの美しい“Caged”、それに“Frozen”、“Memories”あたりは個人的にも好きな曲だ。
また、キャッチーな新曲の“Utopia”や日本盤ボーナスとして1stからの“Restless”が聴けるのも嬉しい。
メタリックな要素を取り払い、シャロン嬢の歌唱をひき立てるアレンジで優雅な気分で鑑賞できる一方、
ゴシックというよりは綺麗に作られたメジャーバンドの雰囲気というか、その点でのもの足りなさは残る。
シンフォニック度・・7 ゴシック度・・5 しっとり優雅度・・8 総合・・7.5
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WITHIN TEMPTATION「The Unforgiving」
オランダのゴシックメタルバンド、ウィズイン・テンプテーションの2011年作
1997年にアルバムデビューを果たし、美麗なるシンフォニック・ゴシックメタルでファンを魅了してきたこのバンド、
続く4tでは、よりモダンな要素を打ち出して新たなファン層を獲得、いよいよ世界的バンドへと躍り出たといっていいだろう。
本作はジャケに見られる通り、コミックと連動させたというコンセプト作で、限定盤のDVDには
そのストーリーにそったショートフィルムを収録するなど、新たな試みのされた力作である。
シャロン・デン・アデルの美しい歌声を中心に、モダンかつシンフォニック、そしてキャッチーな聴き心地で、
そのサウンドにはもはやゴシックのゴの字もない、シンフォニック・ハードポップというべき音である。
この堂々たるメジャー感触はメタルではなく、一般のヒットチャートを狙ったというべきものだろうが、
クオリティの高さは他の追随を許さず、女性ヴォーカルロック好きには普通に楽しめる作品だとは思う。
シンフォニック度・・8 ゴシック度・・3 女性Vo度・・8 総合・・8
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WITHIN TEMPTATION 「the Q music sessions」
オランダのゴシックメタル、ウィズイン・テンプテーションの2013年作
いまや、世界中のフィメール・ゴシックメタルの代表格というべきこのバンド、
本作は意外にもカヴァーアルバムで、THE WHO以外は正直知らないアーティストばかりなのだが、
そこはシャロンさんが歌うのだから、その絶品の歌声とともに、キャッチーなポップロック風味から、
しっとりとしたバラード曲まで、ウィズイン流のアレンジで質の高い女性ヴォーカルロックとして楽しめる。
メロディック度・・8 ゴシック度・・6 女性Vo度・・8 総合・・7.5




WITHIN TEMPTATION 「HYDRA」
オランダのシンフォニックメタル、ウィズイン・テンプテーションの2014年作
コミックとのコラボという異色の作品で、完全に脱ゴシックメタルを果たしたこのバンド、
新作はいったいどうなることかと思っていたが、蓋を開けてみればこれまでのメロディックな叙情性と
いくぶん垢抜けたモダンさに包まれつつも、シンフォニックな壮麗さはちゃんと残していてひと安心。
有名なラップ歌手や元キルスウィッチのメンバーが参加しているとかは、正直どうでもよいのだが、
結局のところ、そこそこ曲がよければ、シャロンさんの美しい歌声で気持ちよく聴けてしまうのであった。
先行シングルで話題となった、ターヤとのデュエット曲も含めて、メジャーバンドらしいゴージャスさを漂わせつつ
4、5分台にまとめられた楽曲で綺麗に聴かせる。ゴシックうんぬんを抜きにすれば、じつに質の高い作品である。
シンフォニック度・・8 ゴシック度・・6 女性Vo度・・9 総合・・8
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Within Temptation「Let Us Burn: Elements & Hydra Live In Concert」
オランダのシンフォニックメタル、ウィズイン・テンプテーションのライブ作品。2014年作
Disc1には2012年ベルギーでのライブを収録。2011年作「The Unforgiving」からの楽曲を中心に、
ノリのよいメロディックなハードロックにオーケストラを帯同してのシンフォニックな壮麗さが合わさった
堂々たるステージである。個人的には後半の“The Promise”、“Mother Earth”、“Ice Queen”といった
かつてのナンバーがやはり嬉しい。Disc2には2014年の母国オランダでのステージを収録。
2014年作「HYDRA」からの楽曲を主体に、現在形ウィズインのバンドサウンドが楽しめる。
もはやかつてのゴシック的な雰囲気はないのだが、伸びやかなシャロンの歌声はどんな曲にでもフィットして
普遍的な女性声ハードロックとしては万人受けするクオリティである。DVDの付いた3枚組仕様の豪華版もあり。
シンフォニック度・・8 ライブ演奏・・8 女性Vo度・・9 総合・・8
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Within Temptation 「Resist」
オランダのゴシック・シンフォニックメタル、ウィズイン・テンプテーションの2019年作
1997年にデビュー、初期のゴシックメタル路線から、しだいにモダンでキャッチーな作風へと深化をとげ、
本作は5年ぶりの7作目となる。1曲目から、パパ・ローチのジャコビー・シャデックスを迎えた男女Voスタイルで
ヘヴィなギターリフにオーケストラルなアレンジを重ねた、重厚なシンフォニックメタルを聴かせる。
IN FLAMES
のアンダース・フリーデンを迎えてのナンバーなど、前作に比べダークなメタル感が戻ったことで、
シャロンの歌声もどこかメランコリックな美しさをたたえている。4〜5分前後の楽曲はシンプルではあるが、
キャリアを重ねてきたバンドらしい説得力に包まれて、どっしりとしたドラマティックな味わいだ。
シンフォニック度・・8 重厚度・・8 女性Vo度・・8 総合・・8 
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WITHOUT FACE「ASTRONOMICON」
ハンガリーのゴシックメタルバンド、ウィズアウト・フェイスの2nd。2002作
シンフォニックなキーボードに男女ヴォーカルのゴシックメタルで、
ゴシックにしてはけっこう激しめのツーバスも入っていたりと、起伏に富んだ展開もある。
デス声との対比のソプラノがとても美しく、ときにクラシカルなピアノがしっとりと響きます。
ハンガリーといえば素晴らしき男女VoゴシックのEVENSONGなのだが、
このアルバムもそれに引けをとらないだけのクオリティがある。
シンフォニック度・・8 ゴシック度・・8 女性Vo度・・7 総合・・8
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Woe unto Me 「A Step into the Waters of Forgetfulness」
ベラルーシのゴシック・ドゥームメタル、ウー・アントゥ・ミーの2014年作
男女ヴォーカルに女性シンセ奏者擁する6人編成で、シンフォニックなアレンジと薄暗い叙情から、
重厚なギターリフと低音デスヴォイスを乗せた、スローテンポのフューネラルドゥームが描かれる。
美麗なシンセワークも素晴らしく、男性クリーンヴォーカルと女性のスキャットコーラスが
耽美でメランコリックなゴシック要素になっていて、ダークでヘヴィであるが美しく聴きやすい。
10分を超える大曲を中心に全5曲、ゆったりとした曲調なので、じっくりと雰囲気に浸れる。
女性声の活躍が少ないのが残念だが、ゴシックドゥームとしての説得力を備えた空気感は見事。
ドラマティック度・・8 ゴシック・ドゥーム度・・8 重厚度・・8 総合・・8
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WOLVERINE「COLD LIGHT OF MONDAY」
スウェーデンのゴシックメタルバンド、ウルヴェリンの3rd。2004作
以前はデスメタルバンドだったようだが、このアルバムではメランコリックなゴシックメタルをやっている。
虐待される少女をテーマにしているアルバムだけあって、サウンドは全編ダークで、
メロウなギターフレーズにもの悲しいノーマルヴォイスのゆったりとしたゴシックロック。
冷たい静けさを感じるところはやはり北欧的で、OPETHやPAIN OF SALVATIONの静寂パートを思わせる。
全体としてやや長尺感があり、緊張感にかける点で完成度としてはやや散漫な印象。
ゆっくりした曲でも飽きない方や、ポストロックなどのコンセプト作が好きな方などは聴いて損はない。
メロディアス度・・7 ゴシック度・・7 メランコリック度・・8 総合・・7
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WOLVERINE 「Still」
スウェーデンのプログレッシブ・ゴシックメタル、ウルヴェリンの2006年作
ゴシックメタル的でもあるメランコリックな叙情を含ませつつ、OPETHにも通じる知的な展開力が合わさったサウンド。
マイルドなヴォーカルの歌声に美しいシンセアレンジと、ギターリフが重なった重厚な味わいと、
ポストプログレ系にも通じる繊細で物悲しい叙情パートも含んだ、メリハリあるアレンジセンスもなかなか見事だ。
薄暗い叙情性とメタルとプログレ性の融合という点では、RVERSIDEあたりが好きなリスナーにも楽しめるだろう。
ドラマティック度・・8 メランコリック度・・8 知的アレンジ度・・8 総合・・8
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Worm Ouroboros
アメリカのドゥーム(ゴシック)メタルバンド、ワーム・ウロボロスの2010年作
女性Vo/G、女性B、Drというトリオ編成で、静謐感のあるドゥーム・ゴシックロックをやっている。
曲は7〜11分という長いものが中心で、美しい女性ヴォーカルのしっとりとした叙情と、
ときにフルートなども入ったプログレッシブな雰囲気もあるサウンド。ゆったりとした浮遊感と、
沈み込むような薄暗さが同居していて、ぱっと聴きの派手さはないが、耳心地のよいアナログな質感が
なかなかいい。女性コーラスの幻想的な響きに英国フォークのようなけだるい情緒も垣間見せて
ヘヴィなパートとのコントラストになっている。メタル度は低いのでプログレリスナーにも勧められる。
ゆったり叙情度・・9 メタル度・・7 女性Vo度・・8 総合・・8
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Worm OuroborosCome the Thaw
アメリカのドゥーム(ゴシック)メタルバンド、ワーム・ウロボロスの2012年作
女性Vo&G、女性B&Key、Drというトリオ編成で、ゆったりと聴かせるドゥーミィなサウンド。
メタル的なヘヴィさはあまりなく、クリーントーンをメインにしたギターとうっすらとしたシンセに
たゆたうような女性ヴォーカルの歌声で、しっとりとした薄暗い世界観を描き出してゆく。
7〜10分と曲は長めで、淡い夢の中をまどろむような繊細な情緒と静寂感に包まれていて、
派手な展開というものはなく、メタルというよりも耽美なドゥームロックとして鑑賞する作品だろう。
ドラマティック度・・7 耽美度・・8 ゆったり情緒度・・9 総合・・7.5
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WORM OUROBOROS 「WHAT GRACELESS DAWN」
アメリカのゴシック・ドゥーム、ワーム・ウロボロスの2016年作
女性Vo&G、女性B&Key、Drというトリオ編成で、2010年にデビューしてから、本作で3作目となる。
しっとりとした女性ヴォーカルの歌声と幻想的な空気感に包まれた、耽美なダークアンビエントサウンド。
ほとんどが10分前後の大曲で、ダークなゴシックフォークとしても楽しめつつ、うるさすぎないギターにドラムも入った
適度なメタル色もあって、アンビエントが苦手なゴシックメタルリスナーでも聴けるくらいの重厚な展開も現れる。
沈み込むようなフューネラルな物悲しさと倦怠の美に浸れる一方では、物悲しい叙情性という点では、
PaatosWhite Willowなどの薄暗系女性声シンフォのファンでも楽しめるかもしれない。
ドラマティック度・・7 ゴシック度・・8 幻想と倦怠度・・9 総合・・8 
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XYZ

XANDRIA「KILL THE SUN」
ドイツのゴシックメタルバンド、キサンドリアの1st。2003作
2nd「RAVENHEART」はあの萌えジャケ(笑)のおかげで、話題になったが、この1stも基本は同じ。
赤毛のリサ嬢のしっとりとした歌声をメインに、モダンな感じの聴き易いゴシックメタルをやっている。
メロディのキャッチーさ、吹っ切れの良さでは2ndには譲るものの、
WITHIN TEMPTATIONあたりの女性声ゴシック好きなら気に入るサウンドだと思う。
メロディアス度・・7 ゴシック度・・7 女性Vo度・・8 総合・・7.5
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XANDRIA「RAVENHEART」
ドイツのゴシックメタルバンド、キサンドリアの2nd。2004年作
とにかくまずこのジャケだけで、女性声ゴシックメタル好きは胸キュンもの、そして即買必至。
…いや、もちろん内容だって、なかなかです(笑)サウンドはいかにも王道のゴシックメタルで、
WITHIN TEMPTATIONEVANESCENCEが好きなら問題なくお薦め。
曲はだいたい3分〜5分とコンパクトですが、メタリックなギターにシンセがからみ、ときにシンフォニックに聴かせます。
そしてそこにリサ嬢の歌唱が乗ると…もううっとり。これで楽曲にアレンジの幅ができてきたら、もう完璧でしょう。
ボーナスで入っているビデオクリップも、中世っぽい作りでなかなかグッド。
メロディアス度・・8 シンフォニック度・・8 女性Vo度・・8 総合・・8
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XANDRIA「INDIA」
ドイツのゴシックメタルバンド、キサンドリアの3rd。2005年作
前作がなかなかの出来であったが、本作も美声のリサ嬢の歌声を中心に、シンフォニックなキーボードで
美麗に聴かせるWITHIN TEMPTATIONを思わせるサウンドで、この手のファンには美味しいだろう。
楽曲によっては“いかにもウィズイン”といった雰囲気もあり、シンフォニック度はUPしているが、
反面、前作にあった軽快な分かりやすさが減り、バンドとしての魅力が曖昧になってしまっている気がする。
美しくシンフォニックなゴシックメタルだが、どこかもの足りないのが惜しい。
シンフォニック度・・8 ゴシック度・・7 女性Vo度・・8 総合・・7.5
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XANDRIASalome
ドイツのゴシックメタルバンド、キサンドリアの4th。2007年作
2ndの「Ravenheart」が良かっただけに、続く日本デビュー作の3rd「India」はいまひとつな感じがした。
今回は2nd以来の萌えジャケ復活と、「サロメ」といういかにもぐっとくるタイトルもあって期待して聴いてみた。
リサ嬢の美しい歌声とシンフォニックなアレンジで聴かせるキャッチーなゴシックメタルは健在で、
適度にモダンなヘヴィさも含めて、ELISを少し明るくした感じともいえる。なので当然悪くはないのだが、
どの曲も曲調が似ていて新鮮味はやや欠けるか。女性声の魅力はたっぷりで、前作よりは気に入りました。
シンフォニック度・・8 ゴシック度・・7 女性Vo度・・8 総合・・8
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XANDRIANeverworld's End
ドイツのゴシックメタル、キサンドリアの2012年作
2003年にデビューしてから、シンフォニックな女性Voゴシックメタルサウンドで人気を呼び、
すでに中堅というべきこのバンド、5作目となる本作ではヴォーカルが交代している。
新Vo、マヌエラ嬢の歌声は元Nightwishのターヤを思わせるオペラティックなソプラノで、
シンセによる壮麗なオーケストレーションとともに美しく楽曲を彩っている。
ゴシックメタル的な耽美さよりもシンフォニックな美麗さが前に出ており、
Nightwishタイプの高品質作品というべき内容である。ラストの9分の大曲も素晴らしい。
シンフォニック度・・8 ゴシック度・・7 女性Vo度・・8 総合・・8
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Xandria
「Sacrificium」
ドイツのゴシックメタル、キサンドリアの2014年作
6作目となる本作では、またしてもヴォーカルが交代しているが、美しい女性声を乗せて
シンフォニックなアレンジで聴かせる壮麗なサウンドは前作までと変わらず。
新加入のディアン・ファン・ガースバーゲン嬢(元The Gatheringのアネクさんを思い出すな)の歌声は、
やや線は細いが可憐でオペティックな優美さを楽曲にもたらしていて、そのせいもあってか
EPICAなどに通じる雰囲気もある。1曲目から10分を超えるタイトル曲をもってきたのも自信の表れだろう。
ゴシックメタル的な耽美性は薄いが、むしろフィメール・シンフォニックメタルの王道というべき力作だ。
シンフォニック度・・8 ゴシック度・・7 女性Vo度・・8 総合・・8
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Xandria 「Theater Of Dimensions」
ドイツのシンフォニック(ゴシック)メタル、キサンドリアの2016年作
2003年にデビューしてから、本作で7作目となる。Nightwishを思わせるようなシンフォニックなイントロから始まり、
前作から加入のディアン・ファン・ガースバーゲン嬢の美しいソプラノヴォーカルを乗せた壮麗なサウンドを聴かせる。
シンフォニックメタルとしてのキャッチーなメロディと、随所にクワイアを含んだ壮大さが本作ではいっそう前に出ていて、
初期に比べるとゴシックメタル的な耽美な雰囲気は薄れているが、このクオリティの高さには文句をつけられない。
ヴァイオリンやチェロ、バグパイプによるフォーキーなフレーズを含んだ叙情性もあったり、楽曲ごとのメロの魅力もしっかりとあって、
女性ヴォーカルの表現力も前作よりも高まったことで、こうなると、ますます「ナイトウィッシュ化」してきたとも言えるかもしれない。
Soilwork、Van Canto、Firewind、Myrathのヴォーカルがゲスト参加していて、楽曲ごとに男性声のアクセントを担っている。
ラストは14分におよぶタイトル曲で、ドラマティックに構築される圧巻の大曲。少し長いが、全74分という力作です。
シンフォニック度・・9 壮麗度・・9 女性Vo度・・8 総合・・8.5 
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Yearning 「With Tragedies Adorned」
フィンランドのゴシック・ドゥームメタル、ヤーニングの1997年作
ツインギターのメロディックなリフにうっすらとしたシンセアレンジ、朗々としたヴォーカルを乗せ
メランコリックな空気感を描き出す、どっしりとした聴き心地のゴシック・ドゥームメタル。
SENTENCEDなどに比べるとよりマイナーな感触で、霧のかかったような神秘的な雰囲気と、
ツインギターのかもしだす湿り気あるメロウなフレーズもじつに北欧らしい耳心地である。
詠唱のようなヴォーカルは、正直ヘタウマなのだが、そこがまた翳りを帯びたマイナー臭さで、
このサウンドによくマッチしている。スローテンポ一辺倒ではなく、随所に唐突なリズムチェンジが、
アヴァンギャルドなセンスにもなっていて、わりとヘンテコなところも含めて飽きずに聴き通せる。
ドラマティック度・・8 ゴシック度・・8 メランコリック度・・8 総合・・8
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Yearning「Plaintive Scenes」
フィンランドのゴシックメタル、ヤーニングの1999年作
ドゥームメタル色もあった前作の路線から、さらにシンフォニックな美しさが強まり、
低音デスヴォイスを乗せた、重厚にして耽美なゴシックメタルサウンドを聴かせる。
前作にもあった緩急のあるリズムチェンジに加え、本作では女性ヴォーカルも加わった、
壮麗で優雅な感触が、ジャケのイメージのような退廃的なロマンティシズムを描いてゆく。
楽曲は4〜5分前後と、いくぶんコンパクトになった分、サウンドの焦点が絞れてきたという印象。
個人的には、女性声の活躍がもっと増えると嬉しいが、耽美派ゴシックメタルとしてはとても楽しめる内容だ。
ドラマティック度・・8 ゴシック度・・8 耽美度・・8 総合・・8
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Yearning 「Frore Meadow」
フィンランドのゴシックメタル、ヤーニングの2001年作
過去2作も耽美派ゴシックの力作であったが、3作目となる本作は、わりとアップテンポな1曲目から、
SENTENCEDあたりにも通じる雰囲気だが、マイルドなヴォーカルを乗せたメランコリックな雰囲気は、
いかにもフィンランドのバンドらしい。ツインギターによる泣きのフレーズにうっすらとしたシンセが合わさり、
メリハリのあるリズムチェンジを含んだ構築力というのは、他のバンドとは一線を画した個性でもある。
重すぎず、暗すぎない世界観に、ときにシンフォニックといってもよいほどの美麗なシンセアレンジも覗かせ、
随所に現れる扇情的でメロウなギターフレーズも、叙情性を好むリスナーにはうっとりであろう。
一転してラスト曲などは、妖しくアンビエントなノイズミュージックで、アヴァンギャルドなセンスも感じさせる。
ドラマティック度・・7 ゴシック度・・8 メランコリック度・・9 総合・・8
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Yearning 「Evershade」
フィンランドのゴシックメタル、ヤーニングの2003年作
1997年にデビュー、本作は4作目で、ツインギターによる流麗なフレーズに美麗なシンセを重ね、
低音デスヴォイスで聴かせる耽美なゴシックメタルサウンド。ゆったりとしたスローパートから、
ツーバスドコドコのメロデス的でもあるアグレッシブなパートへと展開するリズムチェンジなど、
メリハリのある構成とともに、ノーマルヴォーカルを乗せたフィンランドのバンドらしいメランコリックな味わいもある。
なにより、扇情力あるメロウなギターが泣きまくり、優雅な空気感を描きだすのが素晴らしい。
ゴシックが苦手な方でも、この泣きメロまくりの叙情には降参するだろう。耽美で優美なる傑作だ。
ドラマティック度・・8 ゴシック度・・8 叙情度・・9 総合・・8 
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ZDAN「Svietlaja Pamiac, Viecny Spako」
ベラルーシのデプレッシブ・ゴシック・ブラックメタル、ズダーニの2017年作
日本語で幽霊を意味する名をもつというバンド。美しいシンセアレンジに重厚なギターと
泣き叫ぶような女性ヴォーカルの歌声を乗せた、ゴシック的な耽美な世界観と、
絶望的な悲哀が同居したサウンド。美麗なシンセアレンジと、メロウなギターフレーズは
ブラックメタルというよりは、どちらかというとシンフォニック・ゴシックの感触で、
楽曲そのものは展開力はあまりなく、雰囲気モノとしてぼんやりと聴くのがよいのだろう。
ヒステリックに叫びまくる女性ヴォーカルがやや耳障りながら、この路線というのは今までにない、
新しいデプレ・ゴシックといえるだろう。泣き叫ぶ女性声に耳が癒されるか、疲れるかはアナタ次第。
シンフォニック度・・8 ゴシック度・・8 デプレ度・・8 総合・・7.5
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VA / As We Die for Paradise Lost
ゴシックメタルの元祖、パラダイス・ロストのトリビュートアルバム。1999年作
Gloomy GrimOrphaned LandSeptic FleshLegendaNightFall、On Thorns I LayMisanthropeなど、
HOLY RECORDS所属のアーティストが参加したオムニバスで、1997年作「One Second」から初期のナンバーまでを
たどってゆくという構成になっている。アラビックな旋律を取り入れたオルファンド・ランドのカヴァーは面白く、
ギリシャのオン・ソーンズ・アイ・レイによる男女ヴォーカルのメランコリックなカヴァーもなかなかよろしい。
ノルウェーのGODSENDによる「Gothic」の忠実なカヴァーにはバンドへのリスペクトが感じられますな。
同じくノルウェーのSTILLE VOLKによるトラッド調のカヴァーも面白いし、フィンランドのYearningによる
アトモスフィリックな感じのカヴァーもハマっている。バンドによってそれぞれのカラーでカヴァーされた
多様なパラロスの世界観が楽しめる、ゴシックメタルマニア向けの逸品です。
参加バン度・・8 ゴシック度・・8 バラダイス・ロス度・・8 総合・・7.5
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VA/The Realm of NAPARM RECORDS
ナパームレコードのオムニバスCD+DVD。2006作
参加バンドは、ATROCITY、BATTLELORE、BESEECH、DARKWELL、ELIS、KORPIKLAANI
LACRIMAS PROFUNDERE、LEAVES' EYES、TYR、VISIONS OF ATLANTIS他
CDの方は聴いたものも多いのでどうということはないが、見どころはやはりDVD。
PVで印象に残ったのは、BATTLELOREのロード・オブ・ザ・リング並のコテコテのファンタジーさや、
今は亡きサビーネ嬢の動くお姿が見られるELIS、それにやはりリブ萌えLEAVES' EYESですな。
イマイチなところでは、KORPIKLAANIは曲もPVも質が落ちている気がするし、
LACRIMAS PROFUNDEREまるでHIMみたいになっていて驚いたり。
ライブ映像だと、MIDNATTSOLのVoさんのあまりのリズム感のなさには愕然としたし(笑)
エレクトロ・古楽メタルという感じのSALTATIO MORTISのステージがなかなかユニークだった。
まあ、良くも悪くもマニア向けという感じですので、サンプラーとして聴く分にはよいかと。
参加バン度・・8 DVDは見所度・・8 ゴシック系が好きならどうぞ度・・8 総合・・7.5
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