〜PROGRESSIVE ROCK CD REVIEW 2023 by 緑川 とうせい

★2023年に聴いたプログレ(フォーク/トラッド・その他含む)CDレビュー
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トラッド、ネオフォーク、女性シンガー(30)
女性シンガー/ケルト/トラッドのレビューページはこちら


МРФ 「Вальсирующие Во Тьме」
ウクライナのネオフォーク、Мой Розовый Фашистикの2012年作
Flёurにも参加するメンバーによるユニットで、本作はCD2枚組の大作。アコースティックギターに優雅なピアノの旋律、
母国語による美しい女性ヴォーカルを乗せて、しっとりと幻想的な空気に包まれたクラシカルなネオフォークを聴かせる。
トラムも加わったロック的なリズムに、デジタルなシンセなど、ポップな味わいも覗かせるところは、Flёurを思わせる。
ヴァイオリンやチェロなどのストリングスも随所に加わり、物悲しい叙情美に包まれる。やわらかな女性声とシンセによるアンビエントな美しさに、
ほどよくモダンでキャッチーな要素も含んだ、クラシカルなゴシックポップ・ネオフォークというべき逸品です。
クラシカル度・8 優美度・9 女性Vo度・8 総合・8
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Louise Patricia Crane 「Deep Blue」
イギリスの女性シンガー、ルイス・パトリシア・クランの2020年作
THE EDEN HOUSEにも参加していた女性シンガーで、メロウなロック感触に艶めいた女性ヴォーカルの歌声で
倦怠の翳りを帯びたサウンドを聴かせる、ALL ABOUT EVEにも通じる作風。THE EDEN HOUSEのギターや、
KING CRIMSONのジャッコ・ジャクジク、JETHRO TULLのイアン・アンダーソンがゲスト参加していて、
フルートが鳴り響く優雅な感触と、叙情的なギターにシンセを重ねた、シンフォニックなテイストも覗かせる。
イーリアンパイプを用いたケルティック風味やしっとりとしたアンビエントな叙情、いくぶんプログレなテイストも含ませて、
単なるフィメールロックという以上にアーティスティックな聴き心地である。AAEなどが好きな方はまず必聴です。
優美度・8 叙情度・8 女性Vo度・8 総合・8
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Talitha Rise 「An Abandoned Orchid House」
イギリスの女性SSW、タリサ・ライスの2018年
自らピアノにシンセ、ベースもこなす女性シンガーで、うっすらとしたシンセにアコースティックギター、
清涼感のある美しい女性ヴォーカルにヴァイオリンも鳴り響き、ドラムも加えたほどよいロック感触と
優雅なフォーク風味が同居したサウンドを聴かせる。コケティッシュな女性声の魅力はもちろん、
楽曲ごとに変化するその表現力が幻想的な世界観を描いていて、ときに静謐感に包まれながら、
ケルティックな神秘性も覗かせる。アコースティックなナンバーは、ネオフォークとしても楽しめる。
優美度・8 幻想度・8 女性Vo度・9 総合・8
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Maple Bee 「Hello Eve」
イギリスの女性SSW、メイプル・ビーの2006年作
本名はメラニー・ガーサイド、彼女のキュートな歌声で聴かせる、ゴシックポップ風のサウンドで、
ギターやドラムも加わったロック感触もあり、物悲しいチェロも加わりつつ、わりとキャッチーな耳心地。
アコースティックギターと女性声による幻想的なフォーク風ナンバーや、デジタルなシンセによる浮遊感もあったり、
楽曲ごとにコケティッシュなヴォーカルが違う表情を見せていて、これがなかなか魅力的なのである。
エキセントリックなセンスを感じさせつつも、モダンとポップとゴシック感がほどよく同居した好作品。
耽美度・8 ゴスポップ度・7 女性Vo度・8 総合・7.5
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Kate Teague
アメリカの女性SSW 、ケイト・ティアグの2019年作
自然体のジャケ写真に、そこはかとない翳りを感じさせるが、アンニュイな女性ヴォーカルを乗せた素朴なロックサウンドで、
All About Eveのようなしっとりとウェットな耳心地。フォークやケルトの要素はさほどないので、わりとポップなのだが
曲調はマイナー寄りで、透明感のある彼女の歌声はエモーショナル過ぎずに優しく耳に心地よいのである。
全7曲20分という短さはやや物足りず、インディロック系期待の女性シンガーということで、フルアルバムを期待したい。
素朴度・8 倦怠度・8 女性Vo度・8 総合・7.5
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Erin McNamee 「Whores & Fishermen」
アメリカの女性シンガー、エリン・マクナミーの2010年作
アコースティックギターのつまびきにキュートな女性ヴォーカルで、アイリッシュソングやカントリーをカヴァー。
パーカッションのリズムに、艶やかなフィドルやホイッスルの音色も加わって、ケルティックな味わいと
アメリカンなキャッチーな雰囲気が同居していて、魅力的な女性とともに心地よく楽しめる。
ドラムも入ったフォークロック的な感触に、やわらかなアコーディオンやピアノ、物悲しいチェロや、
イーリアンパイプの音色など耳に優しく、素朴な味わいの中にウェットな叙情を感じさせるところも良い。
アコースティック度・8 ケルト度・7 女性Vo度・8 総合・7.5
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Anielka 「Nightingale」
フィンランドの女性SSW、アニエルカの2008年作
やわらかなピアノに透明感のある美しい女性ヴォーカルを乗せ、ギターにドラムも加わって
キャッチーで涼やかなポップロックを聴かせる。歌詞は英語なので土着感はさほどないが、
翳りを帯びた雰囲気には北欧の空気を感じさせ、ポップ過ぎないところがGood。
しっとりとしたアンビエントなナンバーからロック寄りのナンバーも、魅力的な女性声がじつに耳に優しく、
フルートやヴァイオリンも加わると、ケルティック風のシンフォニックロックとしても楽しめる。女性Voファンはぜひ。
優美度・9 幻想度・7 女性Vo度・9 総合・8
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Agnetha Faltskog 「Som Jag Ar」
スウェーデンの女性シンガー、アグネタ・フォルツコッグ の1970年作
後にABBAへの加入で知られる彼女であるが、本作のサウンドはアコースティックを含むギターに
母国語による女性ヴォーカルで聴かせる北欧ポップという作風で、ストリングスによるアレンジも美しい。
優しく清涼な彼女の歌声はやはり大変魅力的で、ABBAへとつながるキャッチーな感触も覗かせつつ、
より素朴な空気感に包まれている。アバのファンはもちろん、北欧女性声ポップ好きもチェック。
ポップ度・8 北欧度・8 女性Vo度・9 総合・7.5
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Antrabata 「Elephant Reveries」
フランスのゴシックポップ、アントラバタの2007年作
うっすらとしたシンセにチェロの音色、やわらかな女性ヴォーカルにフルートの音色も加わり、
しっとりとした優雅さに翳り帯びたゴシック感触が同居したサウンド。優美なフルートにブラスも重なると
どこか室内楽風の味わいにもなり、軽めのドラムとともに浮遊感のあるアンサンブルを描いている。
民族的なフォーク風味も覗かせつつ、わりとモダンな無国籍感もあって、なかなかつかみどころがない。
全体的にはフランスらしい優雅さに包まれているのだが、楽曲自体にもう少し聴きどころが欲しい気も。
優美度・7 フレンチ度・7 女性Vo度・7 総合・7.5
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Shirel 「Tous Les Chemins」
フランスのシンガー、シレールの2003年作
イスラエル系の女性シンガーで、アコースティックを含むギターに、コケティッシュな女性ヴォーカルを乗せ、
シンセによるアレンジとともに、ほどよいロック感触も含んだキャッチーなサウンドを聴かせる。
ポップに寄り過ぎない素朴な楽曲に乗る、優しく伸びやかな彼女の歌声は魅力たっぷりで、
フランス語による優雅な耳心地にはウットリとなる。全体的にフォーク感触は薄めなので、
ライトに味わえる反面、曲調的な物足りなさはいくぶんある。清涼な女性声を楽しみましょう。
ポップ度・7 フォーク度・7 女性Vo度・9 総合・7.5
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InChanto 「Citta' Sottili」
イタリアの古楽フォーク、インチャントの2005年作
キタラのつまびきに艶かなヴァイオリン、クラリネットやホイッスルの音色、イタリア語による女性ヴォーカルで、
中世トラッド的な優雅なフォークサウンドを聴かせる。ダルシマーやカンテレなど古楽器を使った素朴な味わいと
メディーヴァルな幻想性が合わさって、ロック色のないアコースティックサウンドながらも、
わりとプログレリスナー向けの世界観である。ヴァイオリンとホイッスルによるケルティックな旋律もじつに優美です。
優雅度・8 アコースティック度・8 女性Vo度・7 総合・8
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Crystal 「Fujja El A Szel」
ハンガリーのトラッドポップ、クリスタルの2002年作
本作は2作目で、デジタルなビートに美麗なシンセアレンジと母国語による女性ヴォーカルを乗せ、男性声も絡んで
キャッチーな東欧ポップロックを聴かせる。マンドリンやホイッスルなどのケルティックな味わいも覗かせて
Mike Oldfield「To France」のカヴァーも、ハンガリー語の女性ヴォーカルとともにじつに優美な仕上がりだ。
随所にストリングスによるシンフォニックなアレンジも美しく、魅力的な女性声にウットリとなる好作品です。1作目もぜひ。
ポップ度・7 ケルト度・7 女性Vo度・8 総合・8

Crystal 「Trilogia」
ハンガリーのトラッドポップ、クリスタルの2004年作
優美なハープにホイッスルの音色でケルティックに始まりつつ、ポップなビート感に母国語の女性ヴォーカルに、
マイルドな男性ヴォーカルも加えて、これまで通り、キャッチーなノリのケルトポップを聴かせる。
全体的にはポップな感触が前に出ているが、随処にオーケストラによるシンフォニックな壮麗さもあって、
単なる女性声ポップロックという以上の美しさを感じさせる。男性声パートがやや多い感じもあるが、男女声東欧ポップの好作だ。
ポップ度・8 ケルト度・7 女性Vo度・8 総合・7.5
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ILGI 「Kaza Kapa Debes?s」
ラトビアのトラッドフォーク、イルギの2003年作
デビューは80年代というベテランで、パグパイプが鳴り響き、母国語による女性ヴォーカルの妖しい歌声に、
アコースティックギターやフルートが重なる、土着的なトラッドをコンテンポラリーに仕立てたというサウンド。
GARMANAのような躍動的なラジカルトラッドの質感に、ドラムも加わったほどよいロック感触もあり、
ヴァイオリンの音色とともに、ダンサブルなポップ風味も覗かせるところは、Varttinaにも通じるかもしれない。
朗々とした男性ヴォーカルによるナンバーもアクセントになっていて、涼やかな土着性とキャッチーなノリのバランスもよい。
トラッ度・8 キャッチー度・8 女性Vo度・7 総合・8
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NOR DAR「In the Land of Frozen Water」
アルメニアのクラシカルトラッド、ノル・ダーの2003年作
女性作曲家、Kora Michaelianを中心にしたユニットで、本作は神話や妖精物語をコンセプトにした壮大な作品。
アルメニア語によるナレーションが物語を語りながら、アコースティックギターにうっすらとしたシンセを重ね、
ホイッスルに似た民族楽器、ドゥドゥクの優しい音色に、ヴァイオリン、ビオラなどのストリングスが優美に彩り、
素朴な土着性とクラシカルなシンフォニック性が交差する。演奏部分はオールインストであるが、ときにプログレッシブと言ってよい
スリリングなパートもあったり、単なるトラッド、フォークという以上に作り込まれた世界観を感じさせる。コンセプチュアルな力作だ。
優雅度・9 トラッ度・8 幻想度・9 総合・8
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VA/ ShadeLynx 「Фолк и Фолк-Рок (Лучшее за год)」
ロシアのネオフォーク/フォークロック系のオムニバス。2008年作
13アーティストの楽曲を収録していて、ダミ声ヴォーカルにヴァイオリンやバグパイプが鳴り響くフォークロックのTintal
妖しい女性ヴォーカルにヴァイオリンとハードなギターの、Конец Летаはアルバムを持っておりました。
ジェントルな男性声にフルート、ヴァイオリンが美しいフォークロックの、Дорога Водана
魅力的な女性ヴォーカルのペイガンフォーク、Семиречье、ハスキーな女性声とプログレ風の、Бергтора
女性ヴォーカルにストリングス、フルートの優美なネオフォーク、Сильфы、男女声の幻想的ネオフォーク、Тол Мириам
それぞれに味わいのあるスタイルで楽しめる。気になったバンドがいても、それぞれの作品が入手困難なのが残念か。
優雅度・8 幻想度・8 女性Vo度・7 総合・7.5
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1/20
今年もプログレでよろしくお願いいたします。(15)


AMANDA LEHMANN 「Innocence & Illusion」
イギリスの女性ミュージシャン、アマンダ・レーマンの2021年作
Steve Hackettのツアーメンバーにも参加するなど、公私ともにハケットファミリーである女性ギタリスト&シンガーで、
ソロとしては初のアルバム。スティーブ・ハケット、ニック・マグナス、ロジャー・キングといったハケットバンドの面々が参加、
どことなくアニー・ハズラムを思わせる美しい歌声に叙情的なギターとシンセを重ねた、優美なサウンドを聴かせる。
ニック・マグナスのシンフォニックなシンセアレンジも素晴らしく、アマンダの泣きのギターもときにハケットを思わせる。
ロブ・タウンゼンドのサックスが鳴り響くジャズタッチのナンバーや、繊細なアコースティックギターのバラードも美しい。
ときにハード寄りのギタープレイも覗かせつつ、魅力的な女性声を活かした優雅な味わいの好作品です。
ドラマティック度・8 プログレ度・7 女性Vo度・8 総合・8
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Phi Yaan-Zek 「Holotropic Guitar (20th Anniversary Edition)」
イギリスで活躍するインド系のミュージシャン、ファイ・ヤーン・ゼクの2020年作
90年代から活動する技巧派ギタリストで、本作は2000年作に新緑パートを加えてリミックスした20周年バージョン。
優雅なフレーズを奏でるギターにシンセを重ね、軽妙なリズムとともに、スペイシーなサイケ感も含んだ
とぼけた味わいのインストサウンドを描く。エスニックなテイストも含んだ旋律や、デジタルなアレンジによる
MATS/MORGAN風味のコミカルなアヴァンギャルド性も覗かせるなど、とらえどころのない作風ながら、ギターのプレイ自体は、
わりとメロディがあったりして聴きやすい。FROST*のアンディ・エドワース、KARMAKANICのラレ・ラーションなどがゲスト参加。
ドラマティック度・7 プログレ度・7 アヴァンギャル度・8 総合・7.5 過去作のレビューはこちら
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THE CURATOR 「TWENTY-SIX/12」
イギリスのミュージシャン、アリスター・マーフィによるソロプロジェクト、キュレイターの2019年作
NO-MANJudy Dybleの作品にも参加するミュージシャンで、本作にも関連メンバーが参加。
優雅なヴィブラフォンの音色にやわらかなシンセとピアノ、しっとりとした女性ヴォーカルの歌声に
サックスも鳴り響き、ジェントルな男性ヴォーカルも加えた、ジャズタッチの大人のナンバーから、
ときに優美でシンフォニックな感触も覗かせる。ギターやドラムなどはほとんど入らないので、ロック感触は希薄だが、
後半は24分の大曲で、クラシカルな優雅さとポストプログレ的な繊細な歌もの感触が同居したアレンジセンスは見事。
ドラマティック度・7 プログレ度・7 優美度・8 総合・7.5 過去作のレビューはこちら
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MAGENTA 「LIVE AT ACAPELA 2016 & 2017」
イギリスのプログレバンド、マジェンタのライブ作品。2019年作
ウェールズのアカペラ・スタジオで行われた、2016/2017年のアコースティックライブを2CD+2DVDに収録。
アコースティックギターにチェロを重ねたインスト曲から、TIGER MOTH TALESのピーター・ジョーンズによるピアノと
クリスティーナ・ブースの美しい歌声でしっとりと聴かせる。ロブ・リード、クリス・フライ、クリスティーナ各メンバーのソロや、
KOMPENDIUMの楽曲も披露。アダルトなジャズタッチのナンバーや、牧歌的なリコーダーによるフォーク風のナンバー、
ドラムにエレキギターも加えたロック寄りの感触も覗かせつつ、音数を絞ったシンプルな音像で各曲をアレンジしている。
2017年の方では、10分前後のMAGENTAの大曲も優美なアレンジで披露。バンドの懐の深さを味わえるライブ作品である。
ライブ演奏・8 プログレ度・6 優雅度・9 総合・8 過去作のレビューはこちら
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Dave Brons 「Based On A True Story」
イギリスのミュージシャン、デイヴ・ブロンズの2015年作
Celestial Fireのギタリストで、本作には元IONAのデイヴ・ベインブリッジ、トロイ・ドノクリーがゲスト参加。
ケルティックな雰囲気も感じさせるメロウなギターの旋律に優美なシンセやオーケストラアレンジを重ね、
インストによる優雅なシンフォニックロックを展開する。トロイ・ドノクリーによるイーリアンパイプがギターに重なると、
ケルティックな幻想性に包まれて、Celestial Fireやデイヴ・ベインブリッジの諸作に通じる味わいにもなる。
オールインストなので耳心地の良いBGMになってしまいそうだが、ときにMIKE OLDFIELDを思わせるような
センス良いギターのフレージングがしっかりと泣きの魅力になっている。優雅なるケルト風シンフォの逸品です。
ドラマティック度・7 プログレ度・7 優雅度・9 総合・8
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IL MITO NEW TROLLS 「TR3 - Special Live Conecrto Grosso」
イタリアンのプログレバンド、イル・ミト・ニュー・トロルスのライブ作品。2007年作
UT NEW TROLLS、LA LEGGENDA NEW TROLLS、NICO DI PALO/GIANNI BELLENO OF NEW TROLLSと、いくつも分派があってややこしいが、
本作は、Nico De Palo、Ricky Belloni、Gianni Bellen、Giorgio Usaiという歴代メンバーによる編成で、名作「Concerto Grosso」 1と2を完全再現した
2004年のライブをCD+DVDに収録。CDには、バンドによる新曲を前半に収録していて、わりとキャッチーなポップ感に包まれつつ
イタリア語によるヴォーカルが哀愁の情感を描いている。「コンチェルト・グロッソ」再現ライブは、壮麗なストリングをバックに
叙情的なギターが鳴り響き、マイルドなヴォーカルとともに、クラシカルなシンフォニーとバンドが一体となったサウンドに聴き惚れる。
DVDの映像では、ツインキーボード編成のバンドとストリングス隊によるゴージャスなステージが視覚的にも味わえる。
ライブ演奏・8 クラシカル度・8 優美度・9 総合・8 ニュートロルス関連バンドのレビューはこちら
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Doracor 「Lady Roma」
イタリアのシンフォニックロック、ドラコールの2008年作
シンセ奏者のコラド・サルデラによるプロジェクトで、1997年にデビューし、本作は7作目となる。
イタリア語の語りによるイントロから、叙情的なギターの旋律に華やかなシンセを重ね、
軽やかなリズムにイタリア語のヴォーカルを乗せて、優美なシンフォプログレを聴かせる。
ときに優雅なサックスの音色も加わり、哀愁ある大人の叙情とともに、メロウな泣きのギターが響き渡る。
ムーグなどを含むいかにもプログレらしいシンセワークをメインに、リズム面での演奏力や緩急ある展開で、
前作までにあったマイナー臭さは払拭され、イタリアらしい優雅なシンフォニックロックが堪能できる逸品だ。
ドラマティック度・8 プログレ度・8 優美度・8 総合・8 過去作のレビューはこちら

Fabio Zuffanti 「Ruggine, 1992-2011」
イタリアのミュージシャン、ファビオ・ズファンティのレアトラックス集。
FINISTERRE、HOSTSONATEN、LA MASCHERA DI CERAなど、多くのプロジェクトで活躍するミュージシャン、
本作は1992〜2011年までに作られたデモや未発音源など14曲を収録したCDR仕様で、世界100枚の限定盤。
ソロの未発曲をメインに、HOSTSONATENのデモや、ロックオペラ、MERLINの日本盤収録ボーナスの大曲、
さらには女性Voシンフォ、Ariesの音源なども収録。メロウなギターにメロトロンなどの優美なシンセ、サックスやフルートなどを加えての
室内楽色なども含みつつ、モダンなポストプログレ風味やアンビエントなナンバーなど、ミュージシャンとしての懐の深さが窺える内容だ。
ドラマティック度・7 プログレ度・7 優美度・8 総合・8 過去作のレビューはこちら

BARBARA RUBIN 「UNDER THE ICE」
イタリアの女性シンガー、バーバラ・ラビンの2010年作
Arcansielなどに参加する、女性シンガー&鍵盤奏者で、優美なピアノやシンセの重ねに、ハスキーな女性ヴォーカルを乗せた
シンフォニックな歌ものサウンドを聴かせる。楽曲は1〜4分前後と小曲メインで、プログレ的な展開などはさほどないが、
自身の奏でるヴァイオリンやチェロやフルートなどのクラシカルな優雅さに、ドラムが加わるロック感触も同居していて
オルガンやムーグシンセなどのプログレ風味も覗かせるなど、女性声のシンフォプログレとして楽しめる部分も多い。
全33分というのがやや物足りないが、単なる歌ものという以上のクラシカルな美意識に包まれた好作品。
ドラマティック度・7 プログレ度・7 女性Vo度・8 総合・7.5
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Melanie Mau & Martin Schnella 「Through The Decades」
ドイツのプログレバンド、Frequency Driftの女性シンガーとギターによるユニットの2020年作
本作は、アコースティック編成で、Genesis、Kate Bush、Kansas、Queen、Flying Colors、Peter Gabriel、Yesから
Blind Guardian、Pain Of Salvation、Metallica、In Flamesといったメタル系までを幅広くカヴァーした作品。
アコースティックギターのつまびきに、ホイッスル、女性ヴォーカルの歌声で聴かせる牧歌的な「月影の騎士」から、
男女ヴォーカルでキャッチーな仕上がりのカンサス「奇跡」、イエス「And You And I」もじつに優雅な味わいです。
メタリカ「Creeping Death」はアコースティックに絶妙に変化していてなかなか面白い。センスを感じさせるカヴァー集です。
優美度・9 プログレ度・7 女性Vo度・8 総合・8

STERN MEISSEN 「FREIHEIT Ist」
ドイツのプログレバンド、シュテルン・マイセンの2020年作
1977年にデビュー、東ドイツ時代から活動するバンドで、本作は2011年の復活作以来、9年ぶりのスタジオアルバム。
オルガンやエレピなどを含む優美なシンセワークにドイツ語によるマイルドなヴォーカルを乗せ、
やわらかな叙情に包まれた大人のシンフォニックロックを聴かせる。3〜4分前後の楽曲を主体に
比較的シンプルでキャッチーな楽曲は、プログレというよりは優雅なメロディックロックというべきか。
わりとポップな歌もの感も強いが、美しいシンセアレンジにはプログレの香りも残している。
オリジナルメンバーはドラムのみとなったが、歴史あるバンドが活動を継続しているのは嬉しいかぎり。
メロディック度・7 プログレ度・7 優雅度・8 総合・7.5 過去作のレビューはこちら
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Christiaan Bruins's INVENTIONS 「META」
オランダのミュージシャン、CHRISによるプロジェクト、インヴェンションズの2017年作
優美なピアノやエレクトロなシンセの重ねでスペイシーな空間美を描きつつ、マイルドなヴォーカルを乗せた
繊細でキャッチーなサウンド。ほどよいロック感触とともに、エレクトロ系シンフォプログレとしても楽しめる。
ポストプログレ寄りの優しい歌もの感に、ストリングスアレンジなどを加えた美麗なシンフォニック性もあり、
スリリングな展開はさほどないものの、作品全体を通じて大変耳心地の良いサウンドである。
うるさすぎないシンセの重ねも絶妙で、ゆったりと鑑賞できる。ボーナス含めて全75分という力作です。
ドラマティック度・7 プログレ度・7 優美度・9 総合・8
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Metaphor 「The Pearl」
アメリカのプログレバンド、メタファーの2018年作
1999年にデビュー、本作は11年ぶりとなる4作目。テクニカルな変拍子リズムにギターとシンセを乗せ、
伸びやかなヴォーカルも加え、キャッチーな優雅さと偏屈な展開力が同居した、シンフォプログレを聴かせる。
いかにもプログレらしいムーグ系シンセの音色や、キャッチーなメロディアス性はKANSAS風であったり、
メロトロンなども含めてオールドなプログレ感触に包まれつつ、ECHOLYNや初期SPOCK'S BEARDにも通じる
90年代以降のドラマティックな構築性が融合している。さらに濃密な大曲などがあれば、堂々たる傑作になっただろう。
なお、シンセ奏者、マルコム・スミスによるソロ「We Were Here」も同様の優雅なシンフォプログの好作品である。
ドラマティック度・8 プログレ度・8 優雅度・8 総合・8 
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PI2 「Retorn」
スペインのプログレバンド、パイ・ツーの1998年作
叙情的なギターの旋律にやわらかなシンセを重ねた、インストをメインにした優美なシンフォニックロック。
13分の大曲では、アコースティックギターにクラリネットの音色も加わって、繊細なクラシカル性も覗かせつつ、
オルガンなどのシンセとともにプログレらしい緩急ある展開力で、日本人好みのシンフォプログレを聴かせる。
サックスが鳴り響き、きらびやかなシンセワークが重なるナンバーも、ゆったりとした繊細な叙情美が耳心地よく、
オールインストながらも起伏のあるサウンドが楽しめる。古き良きプログレの感触を残した優雅な好作品です。
ドラマティック度・7 プログレ度・8 優美度・9 総合・8 過去作のレビューはこちら

Albion
ポーランドのシンフォニックロック、アルビオンの1995年作
デビュー作、25周年記念の再発盤で、メロウなギターにシンセを重ね、コケティッシュな女性ヴォーカルとともに
優美なシンフォプログレを聴かせる。Anna嬢の歌声は、かつてのトレイシー・ヒッチングスにも通じるハスキーな魅力で
女性声の繊細系シンフォとしては、同郷のQUIDAMの1作目にも通じるような清涼な耳心地で楽しめる。
全体的に派手さはないものの、ときにアコースティックを含んだやわらかな叙情性や、うっすらとしたシンセによる
幻想的な空気感が、キュートな女性ヴォーカルを引き立てている。ボーナスに1994年のデモ音源を追加収録。
ドラマティック度・7 プログレ度・7 女性Vo度・8 総合・8 過去作のレビューはこちら
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