〜HEAVY METAL CD REVIEW 2023 by 緑川 とうせい

★2023年に聴いたメタルCDレビュー
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メタルであけおめです(11)

ELDRITCH 「EOS」
イタリアのプログレメタル、エルドリッチの2022年作
1995年にデビュー、イタリアンメタルを代表するバンドのひとつで、本作は通算12作目となる。
メタリックなツインギターにシンセを重ね、ハイトーンヴォーカルを乗せてメロパワ的に疾走しつつ、
リズムチェンジを含む緩急ある展開力とともに、知的でキャッチーなサウンドを構築する。
このバンドらしい引っ掛かりのある独自のプログレッシブなセンスを随所に覗かせながら、
初期の頃に回帰したイタリアらしい濃密な味わいもかもしだしている。6〜7分前後の楽曲を主体に、
11分という大曲では、重厚でドラマティックなスケール感に包まれる。全65分の力作だ。
ドラマティック度・8 テクニカル度・7 濃密度・8 総合・8 過去作のレビューはこちら
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Dianthus 「Realms」
アメリカのプログレメタル、ダイアンサスの2022年作
G、B、Vo、Keyをこなすジャッキーと、Dr、Key、Voをこなすジェシカの、パリー姉妹によるユニットで、
2020年にデビューし、2作目。硬質なギターをテクニカルなリズムに乗せ、伸びやかな女性ヴォーカルで
スタイリッシュなProgMetalサウンドを聴かせる。二人の女性声によるエモーショナルな歌メロと、
知的なテクニカル性が同居していて、モダンでありながらも優美でメロディックな聴き心地。
楽曲は3〜5分前後が主体で、技巧的になり過ぎず、あくまでキャッチーなフックで楽しめる。
姉妹によるメタルユニットは珍しいので、今後はよりドラマティックな展開の大曲なども期待したい。
ドラマティック度・7 テクニカル度・7 女性Vo度・8 総合・8
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Zero Hour 「Agenda 21」
アメリカのプログレメタル、ゼロ・アワーの2022年作
1999年にデビュー、2008年までに5作を残して沈黙、本作は14年ぶりの復活作。ギター以外はメンバーが交替、
ヴォーカルには初期メンバーだったElikが復帰、新たにSeventh Wonderのベース、Powerwolfのドラムが加入している。
のっけから14分という大曲で、ハードエッジなギターリフにパワフルなヴォーカルを乗せ、テクニカルなリズムとともに
スタイリッシュなProgMetalを聴かせる。シンセなどはさほど入らないので、メロディックなフックという点では不愛想だが、
実力あるリズム隊を屋台骨にしたモダンなテクニカル性に、ゆったりとしたナンバーでの叙情性もあってバランスのとれた味わいだ。
全体的には、ドラマティックな展開などがもっと欲しい気もするが、ともあれバンドの再始動に今後を期待したい。
ドラマティック度・7 テクニカル度・8 叙情度・7 総合・7.5 過去作のレビューはこちら
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Centrica
イタリアのプログレメタル、セントリカの2008年作
美麗なシンセをメタリックなギターに重ね、ほどよいテクニカル性とシンフォニックな優雅さが合わさった
インストによるProgMetalを聴かせる。流麗なギターフレーズやプログレ寄りのきらびやかなシンセワークなど、
オールインストながらも優美な叙情性が前に出ていて、シンセをメインにした2部構成の大曲などでは、
シンフォニックロック的な耳心地の良さが味わえる。メロウなギターにオルガンやムーグシンセなどを重ねた
ヴィンテージ感触など、キーボーディストのプログレっぷりが素敵である。叙情的なギターの小曲も良い感じで、
ヴォーカルがいないことをさほど感じさせない、実力者たちによるインストサウンドである。
ドラマティック度・7 テクニカル度・7 優美度・8 総合・8
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Sign of the Jackal 「Mark of the Beast」
イタリアのメタルバンド、サイン・オブ・ジャッカルの2013年作
ツインギターに女性シンガーを含む5人編成で、オールドな味わいのギターにハスキーな女性ヴォーカルを乗せ、
ほどよい疾走感のある、80年代ルーツのヴィンテージなメタルサウンドを聴かせる。フロントのローラ嬢の歌声は、
中性的でパワフル過ぎないヘタウマ感もあり、アナログ感たっぷりの音質と、適度なスカスカな耳心地も含めて、
Angel Witchなど、NWOBHMのファンにも楽しめるだろう。楽曲も3〜4分前後とシンプルで、わりとキャッチーで
軽快な味わいなので、メンバーが嗜好しているというホラー映画的なカルトな怪しさがもっとあっても良いかもしれない。
ドラマティック度・7 疾走度・7 オールドメタル度・9 総合・7.5
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hallas 「EXCERPTS FROM A FUTURE PAST」
スウェーデンのヴィンテージハード、ハラスの2017年作
歪ませすぎないツインギターにオルガンを含むシンセ、朗々としたヴォーカルを乗せて、
URIAH HEEPなどにも通じる、70年代風味を受け継ぐヴィンテージロックを聴かせる。
全体的にハードな感触は少なく、随所に北欧的な涼やかな空気感も匂わせるあたりは、
BLACK BONZOなども思わせる。6〜7分前後の長めの楽曲がメインなのもプログレ寄りで
ミステリアスな叙情性とサイケ風味のやわらかな牧歌性が合わさった耳心地で楽しめる。
ドラマティック度・7 ヒープ度・8 ヴィンテージ度・9 総合・8
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hallas 「Conundrum」
スウェーデンのヴィンテージハード、ハラスの2020年作
2作目となる本作も、ハード過ぎないツインギターにオルガンなどのシンセとマイルドなヴォーカルで
アナログ感たっぷりのヴィンテージロックを聴かせる。いくぶんサイケがかったユルめの叙情性に、
URIAH HEEPルーツのブリティッシュハードの匂いも合わさった作風で、どこかなつかしい聴き心地。
後半は7〜8分前後の長めの曲をメインに、メロウなギターにシンセを重ねた、北欧プログレ的でもある
優美な叙情も覗かせる。これというインパクトはないのだが、心地よいオールドロックに浸れます。
ドラマティック度・7 ヒープ度・8 ヴィンテージ度・9 総合・8
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Lucifer's Hammer 「Time Is Death」
チリのメタルバンド、ルシファーズ・ハマーの2018年作
2016年にデビューし、3作目となる。IRON MAIDENルーツのメロディックなツインギターに
パワフル過ぎないハイトーンヴォーカルを乗せた、オールドスタイルのエピックメタルサウンド。
いかにも80年代的なフックやリズムチェンジを含む展開に、ほどよくマイナーな味わいを残しているところも
NWOBHMファンにはニンマリだろう。ミドルテンポが主体ながら、楽曲によっては適度な疾走感もあり、
ヘヴィ過ぎないサウンドと全37分というのもいかにもアナログ的。どこ切ってもオールドメタルという強力作。
ドラマティック度・7 メイデン度・8 オールドメタル度・9 総合・8 過去作のレビューはこちら
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Nullingroots 「Malady's Black Maw」
アメリカのブラックメタル、ナリングローツの2019年作
2014年にデビューし、5作目。トレモロのギターリフにダミ声ヴォーカルを乗せてブラスト疾走しつつ
緩急ある展開力とともに聴かせる、カスカディアンブラック寄りのサウンド。8〜11分という大曲を主体に
随所に流麗なギターフレーズを盛り込んで、激しさの中に泣きの叙情をたっぷりと描くところは、
KRALLICEなどにも通じるだろう。ほどよくこもり気味の音質も、神秘的でミステリアスな空気感になっていて、
土着性を感じさせる自然派ブラックメタルとしては、Wolves in the Throne Roomあたりのファンにも楽しめるだろう。
ドラマティック度・8 暴虐度・7 神秘的度・8 総合・8
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Lesath 「Sacred Ashes」
ロシアのブラックメタル、レサスの2020年作
ATLANTEAN KODEXにも使われた、アルノルト・ベックリンの絵画をあしらったジャケが良い感じだが、
サウンドの方は、アコースティックギターによる叙情的なイントロナンバーから、ノイジーなギターと
ダミ声ヴォーカルを乗せて疾走するプリミィブなブラックメタルを聴かせる。ほどよくスカスカなサウンドとともに、
激しすぎない、暗黒過ぎない叙情性に包まれていて、ミステリアスな雰囲気ながらもわりと聴きやすい。
シンセアレンジを加えた優雅な味わいも覗かせるなど、全体的にはもう少し激しさと迫力が欲しいような。
ドラマティック度・7 暴虐度・7 ミステリアス度・8 総合・7.5
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Claret Ash 「The Great Adjudication」
オーストラリアのブラックメタル、クラレット・アッシュの2018年作
2013年にデビューし、4作目となる。トレモロのギターにダミ声で、のっけから暴虐にブラスト疾走しつつ
リズムチェンジを含む緩急ある展開力で、プログレッシブなブラックメタルを聴かせる。
ドラムを含めリズム面での演奏力もしっかりしていて、激しい疾走パートでも軽さはない。
6〜8分という長めの楽曲でも、激しくたたみかけるパートや叙情的なパートなどが同居したスリリングな構築力に
迫力ある音像と荘厳な暗黒性も有している。いくぶんテクニカルデスメタルの雰囲気もある。全75分という力作です。
ドラマティック度・8 暴虐度・8 荘厳度・8 総合・8


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