〜HEAVY METAL CD REVIEW 2024 by 緑川 とうせい

★2024年に聴いたメタルCDレビュー
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*プログレ最新レビュー *特集ページ一覧


2/23
オールドスタイル万歳!(38)

Uriah Heep 「Chaos & Colour」
イギリスのハードロック、ユーライア・ヒープの2022年作
1970年デビューの大ベテラン。本作は通算25作目あたり。メンバーは前作から変化なしで、サウンドの方も、ほどよくハードなギターにオルガンを重ね、バーニー・ショウの伸びやかな歌声とともに、キャッチーなノリのあるヒープらしいハードロックは健在。
叙情的な
ミック・ボックスの奏でる叙情的なギタープレイも随所にアクセントになっていて、フィル・ランゾンのオルガンも、もはやヒープの一部というべき見事なアレンジで楽曲を彩っている。
ヴィンテージなスタイルであるが、古めかしさではなく現在形のレイドバックというような、大人の優雅さに包まれていて、今作はどの曲もメロディのフックが秀逸だ。ここにきて最高のアルバムが完成。
ドラマティック度・8 ヴィンテージ度・8 英国度・9 総合・8.5 過去作のレビューはこちら
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Cloven Hoof 「A Sultan's Ransom」
イギリスのメタルバンド、クローヴェン・フーフの1989年作
1984年にデビュー、NWOBHMを代表するバンドのひとつ。本作は3作目で、DVD付きの2022年再発盤。
ツインギターのリフにハイトーンヴォーカルを乗せ、ほどよく疾走感のあるヨーロピアンなメタルサウンドを展開。
緩急あるリズムチェンジやウェットな叙情を含んだスタイルは日本人好みで、楽曲も演奏も、当時のIRON MAIDENなどと比べても遜色ない。
いくぶんのマイナー感を漂わせつつ、ドラマティックでエピックな空気感は、多くのメタルファンに気に入られるはずだ。
ツインリードの叙情性と随所に疾走感を盛り込んだ知的な展開力で聴かせる、80年代ブリティッシュメタルの隠れた傑作である。
再発盤DVDには1989年のライブ映像やビデオクリップを収録。年代を考えれば画質と音質も良好で当時のバンドの姿が楽しめる。
ドラマティック度・8 エピック度・8 英国度・8 総合・8
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Cloven Hoof 「Time Assassin」
イギリスのメタルバンド、クローヴェン・フーフの2022年作
1989年までに3作を残して消えるも、2006年に復活、その後は順調にアルバムを発表し、本作は復活後5作目となる。
オリジナルメンバーは、ベースのリー・ペインのみであるが、ツインギターにハイトーンヴォーカルを乗せて、オールドスタイルのメタルサウンドを聴かせるところはかつてのまま。
ときにシンセによるアレンジも加わるなど、わりと現在形のスタイルも覗かせつつ、パワフルなハイトーンでシャウトする部分などは、マイナーになったJUDAS PRIESTという感じもある。
タイトルナンバーは、リズムチェンジを含む往年を思わせるドラマティックな聴き心地で、ほどよい疾走感とともに叙情的なツインリードも随所に覗かせる。
メンバーが変わってもこの路線を続ける心意気はあっぱれだ。
ドラマティック度・7 古き良き度・8 英国度・8 総合・8
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Protean Shield
ギリシャのエピックメタル、プロティアン・シールドの2023年作
ジャケやバンド名など、いかにもマイナーな雰囲気であるが、サウンドはオールドなギターに朗々としたヴォーカルを乗せた王道のエピックメタル。
ツインギターによる叙情性も、どことなくうらぶれた味わいで、勇壮さと哀愁が同居した聴き心地は、DOOMSWORDMARTIRIAなどが好きな方ならニヤりとなる。
8分を超える大曲も、ゆったりとした叙情を含んだ緩急ある展開で、ドラマティックな空気感に包まれた古き良き正統派メタルが楽しめる。
まさにマニア好みのヨーロピアン・エピックメタルの逸品です。ジャケにピンと来たら聴くべし。
ドラマティック度・8 エピック度・8 古き良き度・8 総合・8
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MIRROR 「Day Bastard Leaders Die」
キプロスのメタルバンド、ミラーの2022年作
イギリス、アメリカのメンバーを含む編成で、2015年にデビューし、3作目となる。
いかにもB級ドゥーム臭ただようようなジャケであるが、オールドなツインギターにハイトーンヴォーカルを乗せた、80年NWOBHM的なカルトなメタルサウンドを聴かせる。
ほどよくスカスカなアナログ感とともにウェットな叙情を含んだ聴き心地は、ANGEL WITCHなどが好きな方はニヤリとすること請け合い。
曲によっては、初期IRON MAIDENのような雰囲気もあったりして、全体的にもジャケのイメージに比してわりと聴きやすい好作品です。
ドラマティック度・7 ヴィンテージ度・8 カルト度・8 総合・7.5 過去作のレビューはこちら
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ACCEPT 「Too Mean to Die」
ドイツのベテランメタルバンド、アクセプトの2021年作
1979年デビューのベテランで、2010年に復活してからの5作目となる。ベースに元Darkseedのマーティン・モートニックが加入、ツアーメンバーのフィニップ・ショウズも正式メンバーとなり、トリプルギターの6人編成に。
メタリックなギターリフにマーク・トーニロのダーティなヴォーカルを乗せた王道のヘヴィメタルで、ほどよいノリの疾走感に、甘すぎない程度の叙情を織り込んだギタープレイ、そしてウドを思わせる歌いまわしなど、どこをとっても往年のアクセプトを思わせる。
全体的には、これという新鮮味はないのだが、王道のヘヴィメタルとしてのACCEPTファンであれば納得の内容だろう。
ドラマティック度・7 正統派度・8 アクセプト度・8 総合・8 過去作のレビューはこちら
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MENTALIST 「Empires Falling」
ドイツとスウェーデンのメンバーによるメロディックメタル、メンタリストの2022年作
2020年にデビューし、すでに3作目となる。ドラムは元BLIND GURDIANのトーマス・スタックで、ジャケの雰囲気も往年のジャーマンメタルばりにイモ臭いのだが、サウンドの方も王道のツインギターに、カイ・ハンセンばりのハイトーンヴォーカルで聴かせる、オールドなメロパワでにんまり。
どっしりとしたミドルテンポと、随所に疾走する激しさも盛り込んで、軽すぎず、重すぎずという、GAMMA RAY路線のスタイルで、キャッチーなフックも覗かせる。
トーマスのドラムもときにブラガーを思い出させるパワフルさは健在。これだというキラーチューンはないものの、ジャーマンメタル好ききチェックすべし。
ドラマティック度・8 疾走度・7 王道ジャーマン度・8 総合・8
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Gauntlet Rule 「Plague Court」
スウェーデンのメロディックメタル、ゴーントレット・ルールの2022年作
Vo、G、Bのトリオ編成で、ドラムはゲスト扱い。バンド名やジャケのイメージからしてマイナーなエピックメタルを想起するが、オールドなギターに朗々としたヴォーカルを乗せて、90年代ジャーマンメタルをルーツにした正統派メロパワを聴かせる。
疾走ナンバーの一方、どっしりとしたミドルテンポでは、男臭いヴォーカルとともに、CANDLEMASSのようなエピック・ドゥーム的な重厚な味わいも覗かせる。
楽曲自体にこれという新鮮味はなく、ヴォーカルの野太い声質も好みを分けるところだが、古き良きヨーロピアンメタルが好きなかたはどうぞ。
ドラマティック度・7 疾走度・7 エピック度・8 総合・7.5
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BOMBER 「Nocturnal Creatures」
スウェーデンのヴィンテージメタル、ボマーの2022年作
70〜80年代NWOBHM、グラムロックから影響を受けて結成されたというバンドで、ほどよくハードなギターに伸びのあるヴォーカルを乗せて、オールドスタイルのキャッチーなハードロックを聴かせる。
オールドなリフの一方、随所にメロディックなフレーズを奏でるギターのセンスもよろしく、パワフル過ぎないヴォーカルもサウンドによくマッチしている。
往年のグラムロック的なアダルトな雰囲気もかもしだしつつ、80年代北欧メタルの叙情性も含んだ味わいで、オールドロック好きも心地よく楽しめる。
いかにもアナログ感を覚える音質も含めて、ヴィンテージHR/HMのあらたな形を提示した新鋭バンドです。
メロディック度・8 ヴィンテージ度・8 総合・7.5
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MANTICORA 「TO KILL TO LIVE TO KILL」
デンマークのメロディックメタル、マンティコラの2018年作
1999年にデビュー、北欧メロパワの中堅バンドで、8作目となる本作は、書き下ろされたオリジナルのサイコホラー小説を基にしたコンセプトアルバム。
クラシカルなイントロから幕を上げ、メタリックなギターにクセのあるハイトーンヴォーカルを乗せ、スラッシーな激しさを含んだパワーメタルを聴かせる。
ツインギターによる叙情性と激しい疾走感は、初期のBLIND GUARDIANにも通じる感触もありつつ、グロウルヴォーカルを使ったアグレッシブなパートや、9分の大曲ではProgMetal的でもある緩急ある展開力も光る。
疾走メロパワとしてのストレートな魅力はさほどないのだが、ダークなドラマ性を描き出すような重厚な世界観が味わえるという点では力作といえる。
ドラマティック度・8 疾走度・8 重厚度・8 総合・7.5 過去作のレビューはこちら
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Dark Horizon 「Aenigma」
イタリアのメロディックメタル、ダーク・ホライズンの2018年作
2001年にデビュー、本作は8年ぶりとなる4作目。美麗なシンセをギターに重ね、ハイトーンヴォーカルを乗せて、ほどよく疾走感のある優雅なシンフォニックメタルを聴かせる。
初期のB級さからはずいぶん成長してきてはいるが、反面、楽曲的なインパクトやクサメロ感は薄まって、疾走感もさほどなく、メロディのフックもいまひとつと、突き抜けきらないもどかしさも。
クラシカルなピアノを含む優美なシンセや、いくぶんダークなナンバーなどにはわりと魅力があるので、その路線に舵を切ってもよいのかもしれない。
メロディック度・7 疾走度・7 楽曲度・7 総合・7.5 過去作のレビューはこちら
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Blessdivine 「Between Sin & Sacrifice」
ウクライナのメロディックメタル、ブレスディヴァインの2021年作
壮麗なイントロで幕開け、クサメロ感あるギターにシンセを重ね、朗々としたヴォーカルとともに、エピックなスケール感に包まれたサウンドを展開。
RHAPSODYのような勇壮なシンフォニックメタルと、マイナーなヨーロピアンな香りが同居していて、初期のTHY MAJESTIEあたりが好きな方ならニンマリだろう。
楽曲は4〜5分前後が主体で、ミドルテンポを基本にしつつ、随所に疾走パートもあって、わりとメリハリも効いている。
いくぶんのB級感触がOKならば、幻想的でファンタジックなクサメロのヨーロピアンメタルとして楽しめるだろう。
ドラマティック度・8 壮麗度・8 エピック度・8 総合・7.5
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White Stones 「DANCING INTO OBLIVION」
OPETHのマーティン・メンデス率いるプログレッシブ・デスメタル、ホワイト・ストーンズの2021年作
2作目となる本作も、うねりのあるオールドなギターリフにダミ声ヴォーカルを乗せ、ミステリアスな空気に包まれたダークなメタルサウンドを聴かせる。
激しい疾走パートでは、ときにブラックメタル的な禍々しさも感じさせつつ、全体的にはミドルやスローテンポの、どっしりとドゥーミィな部分も多く、OPETHの叙情を削ぎ落したような味わい。
緩急あるリズムチェンジなどには、プログレッシブな知的さも漂わせ、流麗なギターフレーズも現れたりと、前作以上にフックのあるアレンジで楽しめる。
全35分というのがやや物足りないので、次回は重厚な大曲なども聴きたい。
ドラマティック度・7 暴虐度・7 知的デス度・8 総合・8 過去作のレビューはこちら
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2/9
メロパワ、ゴシック、ヴィンテージ(25)

Krilloan 「Emperor Rising」
スウェーデンのメロディックメタル、クリロアンの2022年作
スウェーデン人のギターを中心に、ドイツ、ポルトガル、アルゼンチン、エクアドルという世界各国のメンバーが集結した、多国籍バンドで、メロディックなツインギターにパワフルなヴォーカルを乗せて疾走する、王道のメロディック・パワーメタルを聴かせる。
朗々としたなコーラスを含む勇壮な歌メロは、ときにRHAPSODYを思わせるが、こちらはあくまで古き良きメロパワの感触を残していて、HAMMERFALLあたりをルーツにしたスタイルといえる。
楽曲は3〜5分前後とわりとシンプルで、ストレートな疾走感と垢抜けないクサメロで楽しめる。全36分という潔さも含めて、まさにオールドスタイルのエピック・メロパワです。
ドラマティック度・8 疾走度・8 正統派メロパワ度・・8 総合・8
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Bloodline 「KING VAMPIRE」
チリのメロディックメタル、ブラッドラインの2018年作
エピックで壮麗なイントロで幕を開け、叙情的なツインギターとともに疾走開始、味わいのあるハイトーヴォーカルとともに、ドラマティックな正統派メロパワを聴かせる。
ほどよくクサメロを含んだマイナーな感触は、南米というよりはむしろヨーロピアンなメロスピ感触で、ウェットな世界観はB級気味のエピックメタル好きにも対応。
ヘヴィ過ぎない、パワフル過ぎないスタイルは、現在形のメタルバンドとは違い、90年代ルーツの感触で、かつてのジャーマンメタルやトラディショナル・メタルのファンにも薦められる。
楽曲そのものに、強烈なインパクはないのだが、その中庸感がむしろ良いのかもしれない。派手すぎないオールドなメロパワが好きな方はぜひ。
ドラマティック度・8 疾走度・8 古き良きメロパワ度・・8 総合・8
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Hellraiser 「Revenge Of The Phoenix」
イタリアのメロディックメタル、ヘルレイザーの2014年作
若手4人組バンドのデビュー作で、オールドなギターリフにハイトーンヴォーカルを乗せて、Judas Priestあたりに通じる80年代ルーツの正統派メタルを聴かせる。
ミドルテンポからリズムチェンジを含む展開力は、CRIMSON GLORY風の部分もあり、8〜9分を超える大曲や、随所にシンセによるアレンジも加わるなど、単なるNWOTHMという以上に構築力を感じさせる。
オールドスタイルの重すぎないサウンドには好感が持てるのだが、全体的にはこれというキラーチューンもなく、もっと疾走ナンバーなどがあれば、より楽しめるバンドになると思う。
ドラマティック度・7 疾走度・6 古き良き度・8 総合・7.5
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MINDAHEAD 「6119: Part I」
イタリアのプログレメタル、マインドアヘッドの2022年作
2016年にデビューし、2作目。男女Voの6人編成で、硬質なツインギターにコケティッシュな女性ヴォーカルと男性ヴォーカルが絡み、スタイリッシュなメタルサウンドを展開。
知的なテクニカル性と壮麗なアレンジが同居して、SINHERESYなどにも通じるモダンなシンフォニックメタルとしても楽しめる。
ときにイタリア語による語りが、SF的でシネマティックな世界観を演出し、17分という大曲ではシアトリカルな男女ヴォーカルの掛け合いと緩急ある構築力で、ドラマティックな味わいに包まれる。
後半の楽曲ではアグレッシブな激しさも覗かせつつ、エモーショナルなKyo嬢の歌声も魅力的だ。コンセプト的なスケール感で聴かせる、モダンな男女声ProgMetalの力作です。
ドラマティック度・8 スタイリッシュ度・8 女性Vo度・・7 総合・8
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Hexed 「Pagans Rising」
スウェーデンのシンフォニックメタル、ヘクストの2022年作
2018年にデビューし、2作目となる。メタリックなギターに美麗なシンセアレンジを重ね、パワフルな女性ヴォーカルに男性デスヴォイスが絡む、重厚なシンフォニックメタルを聴かせる。
Nightwishなどに比べると、中性的なTina嬢の歌声も含めてアグレッシブな作風で、ときにペイガンメタル的でもある涼やかな空気感も覗かせつつ、全体的にはモダンなヘヴィネスに包まれる。
楽曲は4〜5分前後が主体で、メロディのフックや楽曲としての盛り上がりがもう少し欲しい気もするが、音の厚みのある壮麗なメタル感が好きな方には楽しめるだろう。
シンフォニック度・8 重厚度・8 女性Vo度・7 総合・7.5
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CAP OUTRUN 「High On Deception」
スウェーデンのプログレ・ハードロック、キャップ・アウトランの2021年作
マルチミュージシャン、アンドレー・テアンダーを中心にしたバンドで、OUTLOUDのシンガー、チャンドラー・モーゲルが参加。
メロディックなギターに優美なシンセと伸びやかなヴォーカルを乗せて、カラフルなジャケのイメージのようなキャッチーなメロディックロックを聴かせる。
きらびやかなシンセアレンジやリズム面でのテクニカルな感触はプログレ寄りながら、メロハー寄りの抜けの良さを感じさせる点では、A.C.T.などのファンにも楽しめるだろう。
随所に流麗なギタープレイも覗かせる演奏力の高さも含めて、優雅で軽妙なセンスとクオリティの高さは、さすがキャリアのあるミュージシャンたちである。
メロディック度・8 プログレ度・7 優雅度・8 総合・8
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The Wring 「SPECTRA」
カナダのプログレメタル、リングの2023年作
ギタリストのドン・デュールフを中心にしたプロジェクトで、3作目の本作には、ドラムにマルコ・ミンネマンが参加。
軽やかなリズムにほどよくハードなギターを乗せ、マイルドなヴォーカルとともに、RUSHにも通じるキャッチーなプログレメタルを聴かせる。
随所にテクニカルな展開も覗かせつつ、全体的にはアンサンブル志向で、難解なインストパートなどはなく、わりとストレートな作風で初心者でも楽しめる。
楽曲は4〜5分前後で、アルバムとしても全38分と短め。大曲などがないこともあって、ProgMetalとしてはやや物足りなさもあるが。
ドラマティック度・7 テクニカル度・7 楽曲・7 総合・7.5 過去作のレビューはこちら
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SilentLie 「Equilibrium」
イタリアのゴシックメタル、サイレントライの2022年作
2015年にデビューし、2作目。ヘヴィなギターにシンセを重ね、中性的な女性ヴォーカルの歌声で、ダークなメタルサウンドを聴かせる。
ミドルテンポの適度なノリもあって、モダンなゴシックロック風味の感触に、SINHERESYでも活躍する、ダヴィデ・スポルティエッロの優美なシンセアレンジも随所に加わって、メランコリックながらもわりとキャッチーな耳心地で、Giorgia嬢の女性にしては線の太い歌声も印象的だ。
全体的には、メロディアスでゆくのか、シンフォニックか、ダークなのかがどっちつかずという印象もある。
ドラマティック度・7 ゴシック度・7 女性Vo度・7 総合・7.5 過去作のレビューはこちら
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Raving Season 「Amnio」
イタリアのゴシックメタル、レイヴィング・シーズンの2013年作
二人の女性Voを擁する5人編成で、優美なシンセをギターに重ね、キュートな女性ヴォーカルと美しいソプラノに、グロウルヴォイスが絡む、ゆったりと耽美なゴシックメタル。
ドゥーミィでメランコリックな雰囲気は、Swallow The Sunなどにも通じるが、こちらは女性声がメインで、ヘヴィ過ぎず暗黒過ぎず、ゴシックとフューネラルドゥームの中間という聴き心地。
随所に叙情的なギターフレーズや物悲しいチェロの音色も加わったり、ほどよくデジタルなシンセのアレンジも含めて、ほどよくアップデートされたサウンドの中にも、イタリアらしい耽美な妖しさを感じることができる。
楽曲は6〜8分前後で、わりと長めであるが、魅力的なソプラノヴォーカルや、クラシカルなピアノなどの優雅な感触とともに、じっくりと楽しめるゴシック・ドゥームの好作品だ。
ドラマティック度・8 耽美度・8 女性Vo度・8 総合・7.5
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Lucifer 「Lucifer IV」
スウェーデンのヴィンテージ・ハードロック、ルシファーの2021年作
元The Oathの女性シンガー、ヨハナ・サドニスを中心にしたバンドの4作目。歪ませすぎないギターのトーンに、妖しい女性ヴォーカルを乗せ、オルガンを含むヴィンテージなアレンジで、70年代スタイルのサウンドを聴かせる。
いくぶんこもり気味の音質も味になっていて、随所ブルージーなギターフレーズもよい感じで、過去3作以上にオールドなブリティッシュロック感触を強めている。
どこかけだるげなヨハナの歌声もこのスタイルによくマッチしていて、ほどよくキャッチーなナンバーなどでも、マイナーな翳りを感じさせるのがGood。
3〜5分前後の楽曲は、わりとストレートで特筆すべきところはないのだが、飾り過ぎないアレンジもバンドの世界観もしっかりと完成されている。
ドラマティック度・7 ヴィンテージ度・9 女性Vo度・8 総合・8 過去作のレビューはこちら
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Rosalie Cunningham
イギリスの女性シンガー、ロザリー・カニンガムの2019年作
PURSONのシンガーのソロで、アナログ感たっぷりのギターにオルガンなどのシンセを重ね、魔女めいた女性ヴォーカルとともに、まるで70年代にトリップしたようなヴィンテージなサイケロックを聴かせる。
楽曲は4〜5分前後で、妖しい浮遊感に包まれつつも、ほどよくキャッチーな感触で、PURSONBlood Ceremonyなど、この手の女性声ヴィンテージが好きな方には大変楽しめるだろう。
アコースティックギターとピアノをバックに、妖艶な歌声を乗せたナンバーなども味わいがあり、メロトロンが鳴り響き、プログレ的な展開とユルめのサイケ感が合わさった、ラストの13分の大曲も素晴らしい。
ドラマティック度・8 ヴィンテージ度・9 女性Vo度・8 総合・8
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BLUES PILLS 「LADY IN GOLD - LIVE IN PARIS」
スウェーデンのヴィンテージロック、ブルーズ・ピルズのライブ。2017年作
2016年フランスでのステージを2CDに収録。2nd「Lady In Gold」からのナンバーを中心に、1stからのナンバーも演奏。
アナログ感あるギターにオルガンやエレピを重ね、Elin嬢のハスキーな歌声とともに、ヴィンテージなブルース・ハードロックを聴かせる。
ややラウドな音質も生々しさがあって、アルバム以上に躍動感のある演奏は、まるで70年代のライブ音源のようである。
Disc1が40分、Disc2が34分と、収録時間もアナログ的であるが、ブルーレイ付きの3枚組もあり、映像を見たい方はそちらをゲット。
ライブ演奏・8 ヴィンテージ度・9 女性Vo度・8 総合・8 過去作のレビューはこちら
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1/19
本年もメタルでよろしくお願いいたします(13)

PHANTOM ELITE 「Blue Blood」
オランダ、ブラジル混成のシンフォニックメタル、ファントム・エライトの2023年作
2017年にデビューし、3作目。硬質なギターに壮麗なアレンジを重ね、コケティッシュな女性ヴォーカルを乗せて、スタイリッシュなシンフォニックメタルを聴かせる。
モダンなヘヴィネスのアグレッシブな激しさから、スロ〜ミドルテンポのシンフォニックな叙情ナンバーなど、楽曲ごとにメリハリのある作風で、EXIT EDENAVANTASIAにも参加した、ブラジル出身のマリナ嬢のエモーショナルな歌声も光っている。
全体的には、これだという新鮮味はないものの、TEMPERANCEなどのモダンなシンフォニックメタルが好きな方はどうぞ。
シンフォニック度・7 モダン度・8 女性Vo度・8 総合・7.5
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Twilight Aura 「For A Better World」
ブラジルのメロディックメタル、トワイライト・オーラの2022年作
メタリックなツインギターにキュートな女性ヴォーカルの歌声を乗せ、適度に疾走感のあるメロディックメタルを聴かせる。
爽快感のあるサビのメロディは、初期のHELLOWEENなどに通じる部分もあるが、激しすぎず重すぎないスタイルで、わりとライトに楽しめる。
ミドルテンポのキャッチーなナンバーから、しっとりとしたバラードでは、Daisa嬢の伸びやかな歌唱の魅力が光っている。
中盤には男性VoメインのHIBRIA風のナンバーもあるが、美しい女性声を乗せた軽やかなサウンドはなかなか耳心地が良く、ラストは10分を超える大曲で、GAMMA RAYをライトにしたようなクサメロと疾走感でニンマリ。
メロディック度・7 疾走度・7 女性Vo度・8 総合・7.5
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BATTLELORE 「The Return Of The Shadow」
フィンランドのファンタジー・ゴシックメタル、バトルローの2022年作
男女Vo、女性シンセ奏者擁するバンドで、2002年にデビュー、本作は11年ぶりとなる復活の7作目。
壮麗なシンセをツインギターに重ね、男女ヴォーカルの歌声とともに、重厚にしてシンフォニックなファンタジー・バトルメタルを展開する。
迫力あるデスヴォイスと可憐な女性ヴォーカルの掛け合いという点では、LEAVES' EYESなどに通じる部分もあるだろう。
楽曲は4〜5分前後でほどよくシンプルであるが、美しい女性声を活かした優美なパートなど、フックのあるドラマティックな聴き心地だ。
ボーナスCDには「Lost Lands」と題された3曲入りEPを収録。女性声メインのしっとりとした味わいの2曲と、デス声入りの勇壮な1曲が楽しめます。
シンフォニック度・8 壮麗度・8 女性Vo度・7 総合・8 過去作のレビューはこちら
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Dream Theater 「A View From The Top Of The World」
アメリカのプログレメタル、ドリーム・シアターの2021年作
通算15作目となる本作は、テクニカルなリズムにヘヴィなギターを乗せた導入から爽快なメロディへと展開、ラブリエのヴォーカルとともに、DTらしいドラマティックなProgMetalを聴かせる。
ペトルーシによる流麗なギタープレイ、ルーデスのプログレなキーボード、それを支えるマイアングのベース、手数の増えたマンジーニのドラムと、すべてが高次元で融合し、卓越したインストパートを描いてゆく。
ラブリエのヴォーカルも楽曲のキーに合っていてしっかり耳に心地よいし、複雑なインストからの抜けのあるメロディの流れも、もはやお家芸だ。
ラストは20分を超える大曲で、優美な叙情と華麗な緩急ある流れで、じわじわと盛り上げるドラマ性はさすが。インパクトはさほどないがなんだかんだで力作です。
ドラマティック度・8 テクニカル度・9 ドリムシ度・8 総合・8 過去作のレビューはこちら
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JOHN PETRUCCI 「TERMINAL VELOCITY」
Dream Theaterのギリスト、ジョン・ペトルーシの2020年作
ソロとしては2005年以来となる2作目で、ドラムにマイク・ポートノイ、ベースにデイヴ・ラルー(元Dixie Dregs、Planet X)が参加、ポートノイの叩く巧みなドラムに、メロディックで技巧的なギタープレイで、随所にProgMetal的なキメを含んだインストを展開する。
聴きやすいノリのキャッチーなメロディや正統派のリフも含んだペトルーシのプレイは、テクニカルではあるが嫌味がなく、軽やかなポートノイのドラムによくマッチしていて、かつてのDTを想起させるナンバーも良い感じ。
楽曲5〜7分前後と、この手のインストにしては長めであるが、技巧に走り過ぎないロックギターが爽快な味わいで、ドライブのお供などにもうってつけですな。
メロディック度・8 テクニカル度・8 優雅度・9 総合・8
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Tony Macalpine「Death of Roses」
アメリカのテクニカルギタリスト、トニー・マカパインの2017年作
1985年にデビュー、元祖シュレッド系ギタリストの重鎮。本作は12作目のアルバムで、硬質なギターリフと流麗なフレージングを同居させた、マカパインらしいインスト作品。
CABPLANET Xでも活躍した経験値からの、メタルフュージョン的な軽妙なテクニカル性に、よりソリッドなヘヴィネスも加えた作風で、巧みなギタープレイとヘヴィなメタルリフが同時に味わえる。
自身によるクラシカルなピアノも織り込みつつ、優雅さと激しさを対比させたような、巧みなギターインストを繰り広げる。全7曲30分というのがやや物足りないが、ベテラン健在を感じさせる好作である。
メロディック度・8 テクニカル度・8 優雅度・8 総合・8 過去作のレビューはこちら
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Joviac 「Here & Now」
フィンランドのプログレメタル、ジョヴィアクの2020年作
2017年デビュー、本作は2作目で、美麗なシンセアレンジを叙情的なギターに重ねた、シンフォニックな感触のイントロ曲から、マイルドなヴォーカルを加えて、ほどよくテクニカルな展開力とともに、キャッチーでスタイリッシュなProgMetalを聴かせる。
エモーショナルなヴォーカルとモダンなヘヴィネスには、若手らしい雰囲気を覗かせて、8分の大曲も優雅なメロディアス性と軽妙なリズムで、緩急あるサウンドを構築する。
全体的に、テクニカル過ぎず、重すぎずで、耳心地のよいサウンドであるが、もう1曲くらいドラマティックな大曲が欲しかったか。全41分の好作品。
ドラマティック度・7 テクニカル度・7 スタイリッシュ度・8 総合・7.5
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THE WRING 「PROJECT CIPHER」
カナダのプログレメタル、ザ・リングの2020年作
2017年にデビューし、2作目。巧みなドラムとうねりのあるベース、流麗なギターによるテクニカルなアンサンブルに、マイルドなヴォーカルを乗せ、ENCHANTにも通じるほどよくキャッチーなProgMetalを聴かせる。
変拍子などの引っ掛かりのある展開はあまりなく、わりとノリのよいストレートなロック感に包まれているので、一般のハードロックファンにも抵抗なく楽しめるだろう。
楽曲は4分前後と比較的シンプルで、ProgMetalとしてはインストパートでのインパクトが弱いか。全7曲で30分というのも、アルバムとしてはやや物足りない。
ドラマティック度・7 テクニカル度・7 楽曲度・7 総合・7.5
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GAUPA 「Myriad」
スウェーデンのヴィンテージロック、ガウパの2022年作
2020年にデビューし2作目で、ヘヴィなツインギターに女性ヴォーカルを乗せた、PURSONなどに通じるアナログ感たっぷりのサイケ・ハードロックを聴かせる。
ブルージーなテイストとドゥームロック感触も含んだ軽すぎない演奏と、紅一点、エンマ嬢の表現豊かな妖しい歌声も魅力的で、そこにサイケデリックな酩酊感も加わった本格派のサウンドだ。
楽曲は3〜5分前後と、わりとストレートなので、これという盛り上がりはないのだが、サイケとストーナー、ハードロックの真ん中へんという感じで、70年代スタイルが好きな方には普通に聴きやすいだろう。
ドラマティック度・7 サイケハー度・8 女性Vo度・7 総合・7.5
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Solstice 「White Horse Hill」
イギリスのドゥームメタル、ソルスティスの2018年作
1994年にデビュー、1998年までに2作を残して消えるも、2013年に復活のEPを発表、本作は通算3作目のアルバム。
ほどよく叙情を含んだツインギターに朗々としたヴォーカルを乗せ、英国らしいウェットな空気に包まれたエピック・ドゥームを聴かせる。
どっしりとしたスロー〜ミドルテンポを主体にしたアナログ感たっぷりのスタイルは、20年前の作品を継承したサウンドで、オールドなリスナーもニンマリ。
13分を超える大曲は、叙情的なツインギターとともに、CANDLEMASSにも通じる重厚でドラマティックなドゥームメタルが味わえる。
ドラマティック度・8 エピックドゥーム度・8 オールドスタイル度・8 総合・8
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DEEP PURPLE 「Infinite」
ブリティッシュ・ハードロックのベテラン、ディープ・パープルの2017年作
前作「NOW What?!」の出来も良かったが、本作はさらに往年のスタイルに回帰したようなサウンドになっている。
鳴り響くオルガンに、スティーブ・モーズの巧みなギター、イアン・ギランの枯れた味わいの歌声で、70年代スタイルのハードロックが味わえる。
ドン・エイリーのオルガンさばきもさすがの説得力で、若手では決して出せない優雅さと、真のヴィンテージなサウンドを聴かせてくれる。
ゆったりとレイドバックしたナンバーも、モーズのブルージーなギターとギランの衰えぬ歌声で、哀愁の美学に包まれる。
まさに大ベテラン健在である。オールドファンも納得の、これぞブリティッシュ・ハードいうべき会心の内容です。
ドラマティック度・8 ヴィンテージ度・8 英国度・9 総合・8
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SAXON 「Unplugged and Strung Up」
ブリティッシュメタルのベテラン、サクソンの2013年作
CD2枚組で、Disc1には既存曲のリミックスやオーケストラアレンジ、アコースティックバージョンなどを全14曲収録。
初期のナンバーが迫力あるリミックスで聴けたり、壮麗なオーケストラを加えたアレンジも、エピックな雰囲気でよくマッチしている。
後半のアコースティックアレンジは、味のあるビフ・バイフォードの歌声とともに、大人の哀愁を感じさせる雰囲気で、じっくりと聴き入れる。
Disc2には、2002年作「Heavy Metal Thunder」を収録。こちらは過去の楽曲をリレコーディングした問答無用の強力な内容で、サクソンのベストアルバムとしても対応。未聴の方には嬉しいセットだろう。
ドラマティック度・8 オケアレンジもGoo度・8 大人のメタル度・9 総合・8 過去作のレビューはこちら
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SAXON「St. Georges Sacrifice」
ブリティッシュメタルのベテラン、サクソンのライブ。2014年作
2013年マンチェスターでのライブで、同年作「Sacrifice」からのナンバーに加え、過去作からのベスト的な選曲で、CD2枚、全21曲を収録。
王道のメタル感ただようツインギターにビフ・バイフォードのパワフルな歌声を乗せて、これぞ英国ヘヴィメタルというサウンドを披露。
初期のナンバーでは、ブルージーなギターとともに、往年のブリティッシュハードロックが甦る。
途中にドラムソロを挿入した「Conquistador」や、ドラマティックな「Crusader」、そしてDisc2後半の、「Wheels Of Steel」、「Strong Arm Of The Law」、「Denim And Leather」という流れはオールドファンは胸熱だろう。ラストは「Princess Of The Night」で締めくくる。
ライブ演奏・8 セットリスト・8 ブリティッシュメタル度・9 総合・8
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