緑川とうせいの「メタプロ研究室」
第29回「ANYONE'S DAUGHTER」特集

Anyone's Daughter 「Adonis」
ドイツのシンフォニックロックバンド、エニワンズ・ドウターの1st。1979年作
ジャーマンシンフォニックの最高峰とされるこのバンドのデビュー作が、オリジナルジャケで再発!
ヨーロピアンなロマンの香りに彩られたサウンドは、CAMELばりの甘いギターメロディと
美麗なシンセワークを中心に、その巧みな構築力と優美さにおいてNOVALISをも凌駕する。
優雅な叙情性とテクニックを含めて、24分におよぶタイトル組曲はまさに圧巻の仕上がりで、
起伏に富んだ展開とドラマ性、やわらかなメロディとともに、感動的な大団円へとつながってゆく。
3作目の「Piktors Verwandlungen」と並んで、バンドの代表作たるにふさわしい傑作だ。
メロディアス度・・8 ドラマティック度・・9 幻想ロマン度・・9 総合・・8.5
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Anyone's Daughter

ドイツのシンフォニックロックバンド、エニワンズ・ドウターの2nd。1980年作
1st「アドニス」、3rd「ピクトルの変身」は、ドイツ最高のシンフォニック作品として知られるが、
可愛らしいジャケが印象的なこの2作目は、より洗練されたメロディアスなサウンドが楽しめる好作品。
美しいシンセワークと甘いヴォーカル、メロウなギターワークとともに、ロマンティックな叙情美を描いてゆく。
1stのような大曲はないものの、耳心地の良さでは前作以上もといえる。
メロディック度・・9 叙情度・・9 ロマン度・・9 総合・・8
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ANYONE'S DAUGHTERPiktors Verwandlungen
ドイツのシンフォニックロックバンド、エニワンズ・ドウターの3rd。1981年作
「ピクトルの変身」のタイトルで知られる、ヘルマン・ヘッセの詩をモチーフにした作品で
ライブ録音ながらも、その抜群の演奏と叙情美で、本作はバンドの最高傑作ともされている。
イントロからもう、泣きのギターとシンセが合わさった、まさにドイツのロマンが集約されたような
シンフォニックサウンドが炸裂。曲間にドイツ語によるヘッセの詩の朗読を挟みつつ
その見事なメロディセンスと演奏力で、何度も盛り上がりを迎えながら組曲は進行してゆく。
ドラマーをはじめ、ギターもシンセも、ライブ録音とは思えない巧みな演奏がまったく素晴らしく、
美しいジャケも含めて、ドイツのみならず欧州シンフォニックの語り継ぐべき名盤である。必聴。
シンフォニック度・・8 メロディアス度・・9 ロマン度・・10 総合・・9
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Anyone's Daughter「In Blau
ドイツのシンフォニックロックバンド、エニワンズ・ドウターの4th。1982年作
本作からドラムが代わっていて、前任者のコノ・コノピックのプレイが好きだったので少し残念ではあるが、
彼ら特有のキャッチーなシンフォニックロックは健在。ジャケの美しさも素晴らしいのだが、
ドイツ語による優しい歌声と、やわらかなシンセワークで聴かせるサウンドもじつに耳に優しい。
静かなイメージの曲が多いので、作品としてのインパクトは前作に比べると強くないのだが、
ラストの15分の組曲などは、ダイナミックな展開とメロウで優雅な美しさが同居して素晴らしい。
メロディック度・・9 叙情度・・9 ロマン度・・8 総合・・8
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Anyone's Daughter「Neue Sterne
ドイツのシンフォニックロックバンド、エニワンズ・ドウターの5th。1983年作
サウンドの方は80年代的なポップな感触が強まっているが、楽曲がコンパクトになった分
このバンドのキャッチーなメロディセンスが前にでていて、ASIAのようんプログレハード的にも楽しめる好作。
もちろんメロウなギターの旋律や、ドイツ語の歌声などには欧州的な叙情が感じられ、
洗練されたシンセワークを含めてアレンジの上手さも光っている。80年代エニワンのラスト作品。
メロディック度・・9 叙情度・・9 ロマン度・・8 総合・・8
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緑川とうせいの「メタプロ研究室」
第28回「STORMWITCH 特集」

STORMWITCH「WALPURGIS NIGHT」
ドイツのメロディックメタル、ストームウィッチの1st。1984年作
HELLOWEENのデビューが1985年であるから、それより前にデビューしたこのバンドは、RUNNING WILDGRAVE DIGGAR
TYRANTらとともに、元祖ジャーマンメタルというべき存在なのである。欧州の湿りけを含んだ古き良きハードロックサウンドは
最近の若いリスナーにしたら刺激は少ない音楽かもしれないが、この中庸を行く感覚こそが、マイナー好きな私の琴線に触れる。
この1stはさすがに録音も古いし、演奏もやや荒いのだが、魔女やオカルトめいた世界観をテーマに、どこか中世的なイメージを喚起させる、
STORMWITCH節はしっかりと感じられ、ジャケやメンバー写真のいかにも80's的なチープさも含めて、このサウンドを愛さずにはいられない。
1st、2ndは単体では初のCD化で、ボーナスには貴重な1984年当時のライブ音源4曲を収録。
メロディアス度・・7 哀愁のジャーマン度・・8 80'sHR度・・8 総合・・7.5
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STORMWITCHTales of Terror
ドイツのメロディックメタル、ストームウィッチの2nd。1985年作
メジャーデビューすることなく、20年以上も活動を続けている彼らに幸あれ。テクニック的にもまあ普通だし、
楽曲も決して派手ではないのだが、彼らのかもしだすサウンドと空気にはどこか惹きつけられるものがある。
それは、ドイツ特有の哀愁や湿りけであり、幻想やファンタジーを愛好する世界観であり、
古き良きヨーロピアンなローカルさを漂わせている部分に、どこか共鳴するものがあるのだ。
いわば、IRON MAIDENがB級ファンタジー化したというべきか。次作以降に比べると楽曲的にやや弱いのだが、
愛すべきバンドであるには違いない。ボーナストラックにライブ1曲、未発曲3曲を収録。
メロディアス度・・7 哀愁のジャーマン度・・9 80'sHR度・・8 総合・・7.5
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STORMWITCHStronger Than Heaven
ストームウィッチの3rd。1986年作
いかにも80年代風イメージの魔女さんたちのジャケからして、なんというかもう哀愁を誘うのだが、
妖しいイントロに続く軽快な疾走曲は、キャッチーなメロディで聴かせるなかなかの好曲だ。
6曲目7曲めあたりも、ウェットなメロディ展開がよい感じで、楽曲、演奏のレベルも含めて
本作あたりから、B級マニア以外にも楽しめる出来になってきている。そしてラストのインスト曲「Drian Grey」は、
クラシカルなメロディに包まれて、このバンドのドラマティックな性質を体現した名曲といってよいだろう。
ヨーロピアンな叙情性が味わえるジャーマンメタルの好作である。ボーナスはライブ音源4曲を収録。
メロディアス度・・8 哀愁のジャーマン度・・10 楽曲・・8 総合・・7.5
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STORMWITCH「THE BEAUTY AND THE BEAST」
ストームウィッチの4th。1987年作
タイトル通り「美女と野獣」をテーマにした作品で、1曲目からキャッチーなメロディを乗せた軽快なサウンドで、
欧州独特の翳りある哀愁が耳に心地よい、ドラマティックなジャーマンメタルサウンドが味わえる。
女性ヴォーカルを取り入れたタイトル曲である2曲目や、もの悲しくも美しいバラードの5曲目などは、
このバンドらしいロマンと幻想に包まれた空気感が素晴らしい。クラシカルなツインギターに
伸びやかなハイトーンヴォーカルを乗せた好曲も多数。ボーナスに1990年のライブ音源をたっぷり9曲収録。
メロディアス度・・8 哀愁のジャーマン度・・9 楽曲・・8 総合・・8
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STORMWITCH「EYE OF THE STORM」
ドイツのロディックメタルバンド、ストームウィッチの5th。1989年作
このバンドの魅力は欧州的で湿り気のあるジャーマンハードロックを表現しているところ。
力強くないが独特の味があるハイトーンヴォーカルや、哀愁を漂わせたマイナーなメロディとクラシカルな優雅さ、
そのロマンの薫りこそが素敵なのだ。このアルバムは彼らの80年代の作品の中でも傑作に類する作品で、
キャッチーに聴かせる1曲めから最後まで、全編メロディアスで爽やかなジャーマンメタルが楽しめる。
やわらかな格調高さの“Heart of Ice”、ファンタジックで疾走感のある“Eye of the Storm”など好曲多数。
トルコ行進曲をアレンジしたインスト曲も素敵です。ボーナストラックに1991年のライブ音源8曲を収録!
メロディアス度・・8 哀愁のジャーマン度・・9 楽曲・・8 総合・・8
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STORMWITCH「War Of The Wizards」
ドイツのメタルバンド、ストームウィッチの6th。1992年作
1984年デビューという、キャリアではHELLOWEEN以上のベテランだが、知名度はからっきし。
私自身、本作を輸入盤でジャケ買いしたのがマイナー系ジャーマンメタル道に傾倒するきっかけだった。
「指輪物語」をテーマにしたアルバムで、1曲めからして、メロディックかつキャッチーでよいですね。
パワフルさのないハイトーンヴォーカルと、80年代ジャーマン風味のヘヴィすぎないサウンド、
アコースティックな繊細さを取り入れた欧州独特のファンタジックな世界観が合わさって、とても聴き心地よい。
今のテクニカル&ヘヴィ志向のメタルシーンとは一線を画す、ロマンの薫りにあふれたバンドである。
メロディアス度・・8 哀愁のジャーマン度・・9 ファンタジック度・・8 総合・・7.5
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緑川とうせいの「メタプロ研究室」
第27回「女性Voプログレメタル特集」


STORMY ATMOSPHERE 「Colorblind」
イスラエルのプログレメタル、ストーミー・アトモスフィアの2009年作
男女Voにシンセを含む5人編成で、随所に中近東的な旋律を含んだメロディアス性と
美しい女性ヴォーカルにシアトリカルな男性ヴォーカルが絡むドラマティックなサウンド。
同郷のOrphaned Landなどにも通じる、プログレッシブな展開力とモダンなヘヴィネスが合わさった
なかなか迫力ある作風で、シンセによるシンフォニックな味付けも含めて重厚な聴き心地だ。
ヴァイオリンが鳴り響く繊細な叙情もあったりと、楽曲センスと作品としてのメリハリもなかなか見事。
そしてなにより、女性Voの艶めいた歌声の魅力というのがサウンドを華やかに彩っている。
ドラマティック度・・8 重厚度・・8 中近東度・・8 総合・・8
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Universal Mind Project 「The Jaguar Priest」
アメリカのシンフォニックメタル、ユニヴァーサル・マインド・プロジェクトの2016年作
男女ヴォーカルの歌声とシンフォニックなアレンジで聴かせる、きらびやかなサウンドで、
メロパワ的な疾走感やプログレメタル的なテクニカルな展開力も含んだ壮麗な聴き心地。
8分を超えるナンバーも3曲もあり、随所にデスヴォイスを含んだモダンな激しさと、
シンフォニックな叙情性を合わせた構築力もなかなかのもの。ヴォーカルのElina嬢の歌声は、
力強さはないが、なよやかな美しさで、EDENBRIDGEあたりに通じる感触もある。
LUCA TURILLI'S RHAPSODYにも参加する、アレックス・ランデンバーグがドラムで参加。
ゲストに、マーク・ヤンセン(EPICA)、チャーリー・ドミニシ、マイク・レポンド(Symphony X)などが参加。
ドラマティック度・・8 壮麗度・・8 構築度・・8 総合・・8
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The Great Discord 「Duende」
スウェーデンのプログレメタル、グレート・ディスコードの2015年作
女性Voにツインギターを含む5人編成で、テクニカルでモダンなヘヴィネスと硬質感、
女性ヴォーカルの歌声を乗せて、ブラストを含む激しいリズム展開で聴かせるサウンド。
ジャケのようなダークな雰囲気と浮遊感ある叙情性も覗かせつつ、メタリックな激しさとのメリハリが
バランスよく配置されていて、北欧らしいメランコリックな味わいもなかなかよろしい。
ソフィア嬢の歌声にはどこか醒めたような冷たさがあるのもサウンドによくマッチしている。
女性声のモダンProgMetalというのはあまりなかった路線なので、これからも期待したいバンドです。
ドラマティック度・・8 テクニカル度・・7 女性Vo度・・8 総合・・8
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Akribi 「Black Morning Sun」
スウェーデンのプログレメタル、アクリビの2011年作
女性Voにシンセ奏者を含む編成で、変則リズムを含むテクニカルな構築性とモダンなヘヴィネス、
そしてパワフルな女性ヴォーカルの歌声で聴かせる、シンフォニック・プログレメタルサウンド。
ジェシカ嬢の歌声は力強くも伸びやかで、いかにもバンドのフロントらしい存在感を放っており、
随所にシンセによるプログレ的なアレンジも、楽曲のインストパートを知的に彩っている。
9分前後の大曲も多いが、メリハリに富んだ巧みな展開力で、メロディックな叙情性とテクニカル性の
バランスのとれた聴き心地は、若手にしてはなかなか見事。モダンな女性声ProgMetalの力作。
ドラマティック度・・8 テクニカル度・・7 女性Vo度・・8 総合・・8
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Circle of Illusion 「Jeremias」
オーストリアのプログレメタル、サークル・オブ・イリュージョンの2013年作
女2人、男1人のトリプルヴォーカルに、シンセに女性ヴァイオリン奏者を含んだ編成で
シンフォニックな壮麗さとフックに富んだ展開美で聴かせる、ドラマティックなProgMetaサウンド。
スタイリッシュでキャッチーな優雅さに包まれた楽曲は、ミュージカルなどを思わせる感触で、
ときにコミカルな雰囲気も現れたりと、なかなか個性的だ。艶やかなヴァイオリンを含む美麗な感触と
リズムチェンジを含めた知的な構築センスが随所に散りばめられていて、ストーリーを見せるように進む
楽曲の構成力も見事。ラストは16分の大曲で、緩急のある展開で物語的なドラマ性を描いてゆく。これは力作!
ドラマティック度・・8 優雅度・・8 ミュージカル風度・・8 総合・・8
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To-Mera 「Exile」
イギリスのプログレメタル、トゥー・メラの2012年作
女性VoフロントのProgMetalバンド。4年ぶりとなる3作目で、今作はジャケのイメージのように
エジプトをテーマにした世界観なのだろう。オリエンタルなメロディを乗せた軽やかなアンサンブルから、
モダンなヘヴィネスを含んだ激しさと、シンセによるシンフォニックなアレンジに女性ヴォーカルの歌声を乗せた
独自のサウンドを描いてゆく。いくぶんダークな叙情性には、ゴシックメタル的な感触もあり、
テクニカルで知的な展開力とともに起伏のある楽曲を構築する。伸びやかなジュリィ嬢の歌声もいですね。
6〜7分の楽曲をメインに、10分を超える大曲が3曲と、バンドの意気込みが伝わってくる濃密な味わいの力作になっている。
ドラマティック度・・8 テクニカル度・・8 女性Vo度・・8 総合・・8
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緑川とうせいの「メタプロ研究室」
第26回「2017年メタルベスト5」


NIGHTBRINGER「Terra Damnata」
アメリカのブラックメタル、ナイトブリンガーの2017年作
2008年にデビュー、初期はアンダーグラウンドな感触のプリミティブなブラックメタルであったが、
前作はMARDUKばりの迫力をまとった素晴らしい傑作となった。5作目となる今作も、暴虐にブラスト疾走する迫力に、
EMPERORなどに通じるオールドスタイルのミスティックな神秘性を描き出す強力なサウンドだ。
緩急の付いた展開力やシンセによるアレンジには、適度に知的でプログレッシブな香りも漂わせつつ、
たたみかけるような疾走パートは迫力たっぷり。随所に聴かせるメロディックなギターフレーズは
北欧ブラックメタル的な薄暗い叙情をかもしだし、暴虐なサウンドなのにダークな世界観に浸れるという。
まさに幻想型ブラックメタルのひとつの理想形というべき作風である。新世代のエンペラーというべき傑作だ。
ドラマティック度・・8 暴虐度・・8 ミスティック度・・9 総合・・8.5
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FJOERGYN 「Lucifer Es」
ドイツのプログレッシブ・ブラックメタル、フヨルギンの2017年作
2005年にデビュー、前作も壮大な力作であったが、5作目となる本作も厚みのあるギターに美麗なシンセアレンジで、
シンフォニックで重厚なスケール感に包まれたサウンドを展開。ドイツ語によるヴォーカルが
ゲルマンな勇壮さ加えつつ、随所に暴虐なブラスト疾走する激しさと、知的なリズムチェンジが、
プログレッシブな感触を同居させる。ときに女性スキャットによる妖しさやオーケストラルな優雅さが、
ミステリアスなブラックメタルに溶け込み、Dimmu Borgirをアヴァンギャルド化したような雰囲気も。
荘厳な音の迫力という点でも前作以上だろう。10分前後の大曲も緩急ある構築力で描き切る。これは傑作!
ドラマティック度・・8 暴虐度・・7 荘厳度・・9 総合・・8.5 過去作のレビューはこちら
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The GREAT OLD ONES「EOD - A Tale of Dark Legacy」
フランスのブラックメタル、グレート・オールド・ワンズの2017年作
名前の通りクトゥルフ神話をコンセプトにするバンドで、アルバムタイトルは「Esoteric Order of Dagon(ダゴンの難解な命令)」の略。
厚みのあるギターリフを乗せて激しいブラスト疾走する、オールドスタイルのブラックメタル感触とともに、
遠くから霞むような邪悪な絶叫ヴォーカルを乗せ、かつてのEMPERORのような荘厳なスケール感を描き出す。
9分、11分という大曲を、スローテンポを含んだ緩急ある展開力で構築する、アレンジセンスも一級品だ。
不穏な空気感に甘すぎない程度の叙情性も盛り込んで、ダークでドラマティックなブラックメタルが楽しめる傑作。
ドラマティック度・・8 暴虐度・・8 荘厳度・・9 総合・・8.5
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Ensiferum 「Two Paths」
フィンランドのヴァイキングメタル、エンシフェルムの2017年作
2001年にデビュー、MOONSORROWらとともに北欧ヴァイキングメタルを代表するバンド。
7作目となる本作も、壮麗なイントロからして、エピックなスケール感を漂わせ、クサメロのギターが加わり、
ダミ声ヴォーカルを乗せた武骨さと勇壮なコーラスとともに、重厚なヴァイキングメタルが広がってゆく。
女性アコーディオン奏者の奏でるフォーキーなメロディも取り入れながら、北欧らしいペイガンな神秘性と
激しくもパワフルなノリにメロディックなフックを同居させたアレンジは、さすがベテランの説得力である。
一方では、壮麗に疾走するナンバーなどは、Equilibriumにも通じるシンフォニックなメロスピ感触で楽しめる。
女性ヴォーカルをフロントにしたフォーキーなナンバーなど、メリハリある構成で最後まで捨て曲なしの傑作です。
ドラマティック度・・8 ヴァイキング度・・8 重厚度・・9 総合・・8.5 過去作のレビューはこちら
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Cradle of Filth 「Cryptoriana」
イギリスのシンフォニック・ブラックメタル、クレイドル・オブ・フィルスの2017年作
1994年デビュー、いまや世界的なエクストリームメタルの代表格ともなったこのバンド。
通算12作めとなる本作は、「ヴィーナスの誕生」をもじったジャケも印象的だが、サウンドの方は、
オーケストレーションを乗せた壮麗なアレンジとともに激しく疾走する、まさにクレイドル節全開。
ダニ・フィルスの絶叫ヴォーカルの迫力も全盛期に迫る迫力で、美しい女性コーラスとの対比で、
まさに美と醜を描き出す濃密な聴き心地である。メロディックなギターが耽美な味わいをかもしだし、
激しくブラスト疾走しながらも優美ですらあるというのは、単なるブラックの域を超えたバンドの世界観であろう。
ときにメロディック過ぎるメイデンばりのツインギターも含めて、初心者にも楽しめる出来でしょう。
むろん、2nd、3rdの頃のクレイドルが好きだった方も必聴。激しくも美麗な傑作デス。
ドラマティック度・・8 暴虐度・・8 耽美で壮麗度・・9 総合・・8.5 過去作のレビューはこちら
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緑川とうせいの「メタプロ研究室」
第25回「2017年プログレベスト5」

CAST 「Power and Outcome」
メキシコのプログレバンド、キャストの2017年作
80年代から活躍するベテランで、近年は出すアルバムがすべて世界最高レベルの大傑作というこのバンド、
本作はおそらく16作目くらいか。ヴァイオリンが鳴り響き、美しいシンセアレンジにメロディックなギターと
スペイン語の歌声を乗せて、適度にハードなモダンさも含んだ、優雅なシンフォニックロックを描き出す。
クラシカルなピアノの旋律に、ヴァイオリンと泣きのギターメロがかぶさった哀愁の叙情に、優美で洗練された空気感は、
スペインのKOTEBELあたりにも通じるかもしれない。手数の多いドラムとともに、プログレらしい起伏のある展開力で、
ハードシンフォニックとしての濃密さも随所に現れる。繊細な美意識と細やかなアレンジが楽曲の質を恐ろしく高めていて、
この美しさとスケール感に対抗できるのは、ロシアのLittle Tragediesくらいだろうか。まさに美麗なる大傑作だ。
シンフォニック度・・9 プログレ度・・8 優美度・・9 総合・・9 過去作のレビューはこちら
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Big Big Train 「Grimspound」
イギリスのプログレバンド、ビッグ・ビッグ・トレインの2017年作
1993年にテビュー、すでにキャリア25年に及ぶベテランで、現在も旺盛にアルバムを発表し続けている。
12分を超える大曲から始まる本作は、のっけからシンフォニックロックとしての泣きが全開で、
メロウなギターにマイルドにヴォーカルを乗せ、英国らしいウェットな叙情に包まれたサウンドを描く。
ベテランらしい優雅なアンサンブルと、古き良きプログレのテイストを含んだ構築センスも見事で、
艶やかなヴァイオリンやチェロ、優美なピアノが加わった典雅なクラシカル性にもうっとりである。
近年のキャッチーでモダンな路線から、本格派のシンフォニックロックへと回帰したというべき大傑作。
ドラマティック度・・8 プログレ度・・8 優雅度・・9 総合・・8.5 過去作のレビューはこちら
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Barock Project 「Detachment」
イタリアのプログレバンド、バロックプロジェクトの2017年作
2007年のデビューから10年、いまやイタリアのみならずプログレ界の旗手のひとつとなるまでに成長したバンド。
若き天才の呼び声高いシンセ奏者、ルカ・ザッビーニを中心に、クラシカルな優雅さとキャッチーなメロディアス性を
高次元で融合させたサウンドは、5作目となる本作でいっそう磨きがかかっている。技量のあるリズムアンサンブルに、
伸びやかな英語のヴォーカルを乗せ、美しいシンセアレンジとともに適度にモダンな感触を含んだサウンドは、
英国のHAKENのように新時代のミクスチャー感覚と、It Bitesのようなプログレハードの爽快さを有していて、
ハード寄りのギターを乗せたテクニカルなパートはプログレメタル的でもあり、ふっと現れる叙情パートとのコントラストとなっている。
殻を突き抜けたようなダイナミックな展開力にはマイナー臭さは皆無で、自信にあふれたサウンドのパワーに引き込まれる。
ストリングスも加わった厚みのあるアレンジで随所にクラシカルな美学を覗かせる。まさに新時代の叙情プログレの傑作である。
ドラマティック度・・9 プログレ度・・8 爽快度・・9 総合・・8.5 過去作のレビューはこちら
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Wobbler 「From Silence to Somewhere 」
ノルウェーのプログレバンド、ウォブラーの2017年作
2005年にデビュー、確信犯的なヴィンテージサウンドで、一躍北欧プログレ期待の新鋭となったこのバンド。
4作目となる本作は、のっけから21分におよぶ大曲で幕を開ける。オルガン、ミニムーグ、メロトロンを含むシンセに、
70年代ルーツのギターサウンドを乗せ、アナログ感たっぷりのアンサンブルで、軽妙なインストパートを描く。
アコースティックギターやフルートなどを含む叙情性に、緩急のある展開力と北欧らしい土着的な空気感は、
ANGLAGARDなどにも通じる、やわらかな神秘性に包まれていて、マイルドなヴォーカルを乗せた繊細さは、
フォーク的でもある涼やかな聴き心地。ANEKDOTENばりに鳴り響くメロトロンパートもじつに魅力的である。
ピアノによる2分の小曲を挟んで、10分、13分という大曲の全4曲46分。北欧プログレ好きはマストでしよう。
ドラマティック度・・8 プログレ度・・8 ヴィンテージ度・・9 総合・・8.5 過去作のレビューはこちら
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KNIGHT AREA 「Heaven and Beyond」
オランダのシンフォニックロック、ナイトエリアの2017年作
2004年にデビューし、質の高いシンフォニックハードを聴かせるこのバンド。6作目となる本作は
美麗なシンセアレンジにメロディックなギターが重なり、ハードエッジなリズムを加えたサウンドで、
伸びやかなヴォーカルを乗せたキャッチーな聴き心地が楽しめる。適度にメタリックな硬質感と
テクニカルな展開力も含んだ感触は、ProgMetal的でもあり、抜けの良いメロディのフックと
重厚なスケール感を描くところは、さすが中堅バンドである。シンフォニックロックとしての優雅さを
ヘヴィに包み込んだサウンドの説得力は、音質の良さも含めて、ここにきてひとつ突き抜けた印象だ。
ドラマティックな音の洪水…まさにメタルとシンフォプログレの垣根を超えるような傑作です。
ドラマティック度・・9 ハードプログレ度・・8 重厚度・・9 総合・・8.5  過去作のレビューはこちら
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緑川とうせいの「メタプロ研究室」
第24回「2016年プログレベスト5」


A.C.T 「Trifles and Pandemonium」
スウェーデンのプログレハードロック、アクトのライブ作品。2016年作
1999年にデビュー、現在までに5作のアルバムを発表。キャッチーなメロディアス性と知的な展開力で、
ProgMetalのリスナーからも支持されるこのバンド。本作は2014年、スウェーデンでのライブ音源を収録。
2014年作「CIRCUS PANDEMONIUM」からのみならず、1stを含む初期のナンバーもたっぷりと演奏。
美麗なシンセアレンジとマイルドなヴォーカルによるシンフォニックな感触に、随所に変則リズムを含んだ
プログレッシブな構築美が冴えていて、ライブにおいてもその演奏力の高さと、楽曲アレンジの妙が楽しめる。
1st収録“The Wandering”、“Waltz With Mother Nature”あたりは、15年以上前の楽曲なのだが、その豊穣なメロディと
緻密なアレンジにあらためて聴き惚れる。バンドのファンはもちろん、初めて聴く方にもオススメしたい素晴らしいライブ作品だ。
メロディック度・・9 ライブ演奏・・9 楽曲センス・・9 総合・・9
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YUGEN 「Death By Water」
イタリアのチェンバー・プログレ、ユーゲンの2016年作
クラシカルでアヴァンギャルドなチェンバープログレとして過去の作品はライブも含めてどれも素晴らしかったが、
スタジオアルバムとしては4作目となる本作も圧巻の仕上がりだ。たたみかける変則リズムの上に、
優雅なマリンバやサックス、トロンボーンなどが重なり、フリーキーな音色たちがときに合わさり、また離れては、
アヴァンギャルドに乱舞する。ギターはわりとハードな音で、楽曲にどっしりとした重厚さを生み出していて、
目まぐるしく変化するリズムと音圧の中で、スリリングこの上ないアンサンブルを耳で追うだけで脳が楽しい。
ザッパが本気で高度なチェンバーサウンドを追及したらこうなる…というような、MATS/MORGANも真っ青の迫力である。
コロコロとしたマリンバの響きや美しいピアノ、ときに女性ヴォーカル、スキャットなども加わった繊細さも垣間見せつつ、
優雅なエキセントリック性とシリアスなダークさが絡まり交錯するという、おそるべき芸術性に包まれた傑作だ。
テクニカル度・・9 プログレ度・・8 アヴァンギャル度・・9 総合・・8.5 
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HAKEN 「Affinity」
イギリスのプログレバンド、ヘイケンの2016年作
2010年にデビュー、メタリックでハード感触と知的なテクニカル性にシンフォニックロックを融合させた
新時代のハイブリッド・プログレバンドとして注目を浴びる。フルアルバムとしたは4作目となる本作は、
80年代のコンピュータを思わせるシンプルなデザインに包まれているが、サウンドの方は適度なハードさに
Riversideあたりに通じるクールな構築センスと薄暗い繊細な叙情が交差する、モダンプログレとなっている。
スティーヴン・ウィルソンなどのポストプログレと、FROST*のようなキャッチーな展開力を合わせたというべきか、
ProgMetal的にも楽しめるハードさもありつつ、ときにメロウな耳心地と、しっかりとプログレらしさも感じさせるという、
心憎いバランス感覚である。ダイナミックな展開力を聴かせる15分の大曲もさすがというところ。文句なしの傑作だ。
ドラマティック度・・8 プログレ度・・8 ハイブリッ度・・9 総合・・8.5
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Anderson/Stolt 「Invention of Knowledge」
Yesのジョン・アンダーソンとTHE FLOWER KINGSのロイネ・ストルトによるユニットの2016年作
まさかという組み合わせのユニットであるが、内容もまさしくジョン・アンダーソンの透明感のある歌声を活かした
繊細なシンフォニックロックサウンドで、トム・ブリスリンとラレ・ラーションによる美しいシンセアレンジに、
ロイネのメロウなギターワークが重なる優雅な聴き心地。ヨナス・レインゴールドとフェリックス・レーマンという、
フラキン組のリズム隊に、ダニエル・ギルデンロウ(Pain of Salvation)、ナッド・シルヴァンらがコーラスに参加。
ようするに、バックはほとんどTFK関連の北欧プログレ状態。キャッチーで涼やかな叙情性をジョンの歌声で包み込み、
ロイネの抜群のギターワークも楽しめるという。まさにYes+TFKという、プログレファンには桃源郷のような作品だろう。
10〜20分ずつ4パートに分けられたアルバム構成も見事で、実力者たちが結集したジョンのための傑作に仕上がっている。
メロディック度・・9 繊細度・・9 ジョンの歌声度・・9 総合・・8.5
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Ingranaggi Della Valle 「Warm Spaced Blue」
イタリアのプログレバンド、イングラナッジ・デラ・ヴァッレの2016年作
十字軍遠征をテーマにした個性的な力作であったデビュー作に続く2作目で、本作では「クトゥルー神話」をテーマにしている。
メロトロンやオルガンといったヴィンテージなシンセにフルートの音色、随所に艶やかなヴァイオリンが加わって、
チェンバープログレ的でもあるミステリアスな雰囲気が広がってゆく。メロトロンやピアノをバックに薄暗い叙情を描くところは、
AnekdotenやAnglagardなどの北欧プログレの空気感にも通じるが、タイトで軽妙なドラムを中心にしたアンサンブルには
Arti & Mestieriのようなジャズロック的な優雅さも感じさせる。そして今作では、イタリア語ではなく英語歌詞であるので、
北欧的な翳りと優雅な英国カンタベリー風味、そしてイタリアらしい濃密さが混在したような絶妙なサウンドとなっている。
10分前後の大曲を、緩急自在の展開でスリリングに聴かせるアレンジセンスと、それを支える確かな演奏力も素晴らしい。
メロトロンとヴァイオリンが鳴り響く叙情性に、ヘヴィプログレの濃密さとテクニカルな構築性が融合した見事な傑作である。
ドラマティック度・・8 プログレ度・・9 構築センス・・9 総合・・8.5
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緑川とうせいの「メタプロ研究室」
第23回「2016年メタルベスト10」

Moonsorrow 「Jumalten Aika」
フィンランドのヴァイキングメタル、ムーンソロウの2016年作
2001年にデビュー、いまや北欧ヴァイキングメタルを代表するバンドで、本作は7作目となる
10分を超える大曲をメインに、迫力あるダミ声ヴォーカルのツインギターの重厚なリフを乗せて、
美しいシンセアレンジをバックに、北の大地を感じさせる寒々しくも土着的な世界観を描いてゆく。
かつての傑作「Kivenkantaga」に通じる壮大なスケール感と、幻想的なまでの濃密なサウンドは、
このバンドにしか作れぬ聴き心地で、三連リズムのどっしりとしたリズムを基本にしながら、
適度に激しい疾走パートも盛り込んだメリハリのある展開は、ドラマティックでじつに素晴らしい。
ときに詠唱のようなコーラスがミステリアスな荘厳さをかもしだし、勇壮にして叙情的な世界に浸れる
音の強度をともなった見事な傑作だ。限定盤のボーナスDiscには、GRAVEとROTTING CHRISTのカヴァーを収録。
ドラマティック度・・9 重厚度・・9 壮大度・・9 総合・・8.5
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Novembre 「Ursa」
イタリアのゴシックデスメタル、ノヴェンブレの2016年作
1995年にデビューし、しだいにプログレッシブな世界観をまとわせてOPETHと並ぶほどのレベルのバンドとなった。
本作は9年ぶりとなる8作目で、マイルドなヴォーカルを乗せたメランコリックな叙情性に、ときにシューゲイザーや
ポストプログレのような繊細さも垣間見せつつ、知的に構築してゆくセンス抜群のサウンドは健在。
ときに泣きのフレーズを奏でるギターは、北欧的な涼やかな美しさを楽曲に与えている。
一方では随所にデスヴォイスを乗せたアグレッシブな要素も残していて、静寂と激しさのコントラストを、
物悲しくも薄暗い空気感で包み込んだというべき、重厚にして耽美なゴシック・デスメタルが味わえる。
9分を超える大曲では激しい疾走も含んだプログレッシブな展開が圧巻だ。これは文句なしの傑作!
ドラマティック度・・8 メランコリック度・・9 重厚にして繊細度・・9 総合・・8.5
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Ihsahn 「Arktis」
ノルウェーのブラックメタル、Emperorのイーサーンのソロ。2016年作
EMPEROR後のソロ活動もすでに10年、6作目となる。北極探検をテーマにした作品なのかは分からないが、
前作でのプログレッシブな作風を受けつつ、ダミ声ヴォーカルとギターリフによるアグレッシブな感触と
モダンなアレンジにノーマル声と美しいシンセによる繊細な叙情性が交錯するという聴き心地。
ギター主導によるわりと正統派なメロディックナンバーなど、意外な方向性もあるのだが、
オルガンが鳴り響くやわらかさとサイバーなハードさが融合されたりと、そのセンスは抜群だ。
随所にブラックメタル的な激しさも覗かせながら、全体的には研ぎ澄まされた知的センスが光るという。
どこを切ってもイーサーン流プログレッシブ・メタルというべき見事な傑作に仕上がっている。
ドラマティック度・・8 プログレッシブ度・・8 叙情度・・8 総合・・8.5
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Blood Ceremony 「Lord of Misrule」
カナダの魔女系ドゥームロック、ブラッド・セレモニーの2016年作
2008年にデビュー、女性声を乗せた古き良きドゥームロックに妖しげでカルトな世界観は、
いわゆる魔女系ロックの密かなムーブメントの先駆けとなった。4作目となる本作も、
アナログ感たっぷりのギターにフルートが鳴り響き、けだるげな女性ヴォーカルで聴かせる、
魔女めいた雰囲気のドゥームロックが楽しめる。随所にオルガンやメロトロンが加わったり、
アコーステッィクな叙情パートもあったりと、今作は楽曲のアレンジもなかなか多彩で、
キャッチーな歌メロと、カルトな妖しさとのバランスも絶妙だ。これぞ魔女系ロックの最高峰!
メロディック度・・8 アナログ度・・9 妖しげ度・・9 総合・・8.5
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FLESHGOD APOCALYPSE 「King」
イタリアのシンフォニック・デスメタル、フレッシュゴッド・アポカリプスの2016年作
激烈なブルータルデスメタルと壮麗なオーケストレーションを融合した極端なまでのサウンドで人気を集めるこのバンド、
4作目となる本作も、クラシカルなシンフォニック性に包まれたアレンジと、低音デスヴォイスを乗せたデスメタルサウンドが合わさった、
重厚にして暴虐、そして華麗な聴き心地である。中世の王をテーマにした、エピックなスケール感を漂わせていて、
ギターは随所にメロディックなフレーズも奏でたり、女性ヴォーカルの入った美麗なナンバーなどもあって、
これまで以上にシンフォニックメタル的な感触が強まっている。2ndまでのようにブルータルな激しさ一辺倒でなく、
同郷のDark Lunacyをより激しく濃密にしたようなメロディックな要素が強まったことで、より多くのリスナーにアピールするだろう。
ピアノをバックにイタリア語で歌われる、オペラティックな女性ヴォーカル曲なども、優雅なアクセントになっている。
ドラマティック度・・8 暴虐度・・8 クラシカルデス度・・9 総合・・8.5
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Ravenia 「Beyond The Walls Of Death」
フィンランドのシンフォニックメタル、ラヴェニアの2016年作
ストリングスカルテットを擁する編成で、壮麗なアレンジに美しい女性ヴォーカルの歌声を乗せ、
シネマティックなスケール感に包まれたシンフォニックメタル。ヴァイオリンやチェロなど
本物のストリングスによる優雅なクラシカル性が、サウンドに説得力をもたらしていて、
ときに壮大な映画サントラのような感触にもなる。Armi嬢の歌声はやわらかなソプラノで、
オペラティックな雰囲気で魅力十分。楽曲は、ときにEPICAのようにアグレッシブな激しさも垣間見せ、
メリハリに富んだアレンジセンスも新人とは思えない。シンフォニックとはこういうことだと言わんばかりの
壮大にして優美な聴き心地にウットリ。早くも次作が楽しみで仕方がない。大型新人登場!
シンフォニック度・・9 壮麗度・・10 女性Vo度・・9 総合・・8.5
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The Foreshadowing 「Seven Heads Ten Horns」
イタリアのゴシックメタル、フォレシャドウィングの2016年作
ツインギターにシンセを含む6人編成で、メランコリックな空気感に包まれたイントロから、
重厚なギターリフとうっすらとしたシンセが合わさって、幻想的なゴシック・ドゥームメタルを展開。
朗々としたマイルドなヴォーカルがエピックな雰囲気をかもしだし、メロディックなギターフレーズが楽曲を叙情的に彩る。
スローテンポの中にも適度に手数のあるドラムが起伏のあるリズムを作り出し、ドラマティックな緊張感を描いている。
PALADISE LOSTなどとはまた違った、ヨーロピアンで耽美な空気…コンセプト的なスケール感も素晴らしい。
ラストの14分の組曲も圧巻で、構築性という点ではOPETHなどのファンにもお薦めできる。これぞバンドの最高傑作!
ドラマティック度・・8 ゴシック度・・8 重厚度・・9 総合・・8.5
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DANTE FOX 「Breathless」
イギリスのメロディアスハード、ダンテ・フォックスの2016年作
1996年にデビュー、当時はまだ女性声のHR/HMはそう多くはなかったが、爽快なメロディアス性で聴かせる、
質の高いアルバムを2作発表、その後沈黙するが、2007年に復活。通算5作目となる本作も、
女性ヴォーカルの伸びやかな歌声を乗せたキャッチーかつ爽快なメロディアスハードが楽しめる。
20年をへても、スー・ウィレッツのハスキーな歌声の魅力は不変で、その表現力はいっそう増している。
随所にきらびやかなシンセアレンジも含みつつ、古き良きハードロック感触を基本にした楽曲も耳心地よく、
シンプルながらしっかりとしたアレンジとメロディの心地よいフックも含めて、キャリアのあるバンドらしい堂々たるクオリティ。
女性声メロハーとしては最高のバンドですな。より多くのリスナーが楽しめるだけの傑作に仕上がっている。
メロディック度・・9 爽快度・・9 女性Vo度・・9 総合・・8.5
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Vektor 「Terminal Redux」
アメリカのスラッシュメタル、ヴェクターの2016年作
VOIVODを思わせるバンドロゴを含めて、80年代の古き良き知的スラッシュを聴かせるこのバンド、
3作目となる本作も、オールドナギターリフにダミ声ヴォーカルを乗せて疾走しつつ、
変則リズムを盛り込んだテクニカルな感触で、激しくもクールなスラッシュメタルを展開する。
よりプログレッシブになったDESTRUCTIONというような感触に加え、随所にブラスト的な疾走も含んだ
カオティックコア的な激しいリズムチェンジにも磨きがかかり、ときにスペイシーなスケール感も漂わせながら
7分、9分という大曲を構築してゆく。ラストは13分の大曲で、合計73分というヘトヘトになる濃密な傑作。
ドラマティック度・・8 プログレスラッシュ度・・9 ある意味壮大度・・9 総合・・8.5 
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BABYMETAL 「Metal Resistance」
日本のアイドルメタル、ベビーメタルの2016年作
キュートなアイドルと激しいメタルの融合という、強烈なインパクトのデビュー作に続き、満を持しての2作目となる。
のっけからDRAGONFORCEばりの疾走曲で圧倒的なスピード感に圧倒されつつ、キャッチーなサビメロは一緒に口ずさみたくなる。
続いて先行PVにもなっていた“KARATE”の、外国人向けのクールなジャパニズムとキャッチーなエピック性も心地よく、
“あわだまフィーバー”ではモダンなヘヴィネスとたわいない歌詞の合わさった、まさしく「カワイイメタル」に軽くのけぞる。
前作“紅月”の続編のような、SU-METALの伸びやかな歌声で疾走する“Amore-蒼星-”のロマンティシズムに聴き入り、
“META!メタ太郎”の応援歌風味とバックのヴァイキング風味の斬新さには、思わずくすりとなりつつも拳を握るのだ。
いかにもジャパメタらしいキャッチーな聴き心地の“シンコペーション”、そして“Sis.Anger”のデスメタルな激しさに慄然となり、
オーケストラ入りのバラード曲“No Rain No Rainbow”にはうっとり。アルバム後半はDREAM THEATERを思わせる、
変拍子入りのテクニカルなナンバー“Tales of Distinies”の凄さに驚嘆し、ラストは壮大な“The One”で締めくくる。
前作ほどのカウンターカルチャー的衝撃はないが、よりメタルサイドを意識したような楽曲は、むしろメタラーにとっては入りやすいと思う。
メロディック度・・8 しっかりメタル度・・9 カワイイ度・・8 総合・・8.5
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緑川とうせいの「メタプロ研究室」
第22回「BLIND GUARDIAN 名曲ベスト10」

BLIND GUARDIANBattalions of Fear
ジャーマンメタルのベテラン、ブラインド・ガーディアンの1st。1987年作
HELLOWEENの後を追うように出てきたこのバンドは、ファンタジックな世界観をモチーフに
よりスピード感のあるジャーマンメタルを追求していた。コミカルなイントロから続く“Majesty”は
後のライブでも定番となる1曲で、キャッチーなサビメロにメロディアスなツインギターのソロと、
粗削りながらも疾走感溢れる初期の彼らの魅力が詰まっている。また個人的には6曲目の
“The Martyr”などもドラマティックな展開がたまらないお気に入りの曲だ。サウンドの説得力としては
3rd以降に及ばないものの、後にジャーマンメタルを代表するバンドとなる若さ溢れる勢いに満ちている。
メロディアス度・・8 疾走度・・8 ジャーマン度・・9 総合・・8
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BLIND GUARDIAN「Follow The Blind」
ジャーマンメタルのベテラン、ブラインド・ガーディアンの2nd。1989年作
グレグリオ聖歌のようなイントロに続く“Banish from Sanctuary”の怒濤の疾走にまずやられる。
スラッシーですらある勢いの良さと、ドラマティックな雰囲気でたたみかけ、
流麗なツインギターによる長〜いギターソロまで、しびれまくりの名曲である。
この1曲だけでも本作の価値は高い。全体的にはまだ粗削りで若さにまかせた勢いで聴かせる曲が多いが、
カイ・ハンセンが参加した“Valhalla”など、ライブでの人気曲も収録されていて、ファンなら聴き逃せない1枚だろう。
メロディアス度・・7 疾走度・・8 ドラマティック度・・8 総合・・8
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BLIND GUARDIAN「Tales from the Twilight World」
ブラインド・ガーディアンの3rd。1990年作
一聴して前作よりも音が厚くなり、ハンズィのヴォーカルの向上とともにサウンドの説得力が増したことで、
ここに独自のファンタジックメタルが完成。1曲目の“Traveler in Time”からその世界観に引き込まれる。
お得意のツインギターによるソロパートはいっそう魅力を増して、メリハリのある曲展開の中でメロディアスに輝きを放っている。
トーメンのドラミングもブチブチとしたバスドラが耳に心地よく、疾走感とともにパワフルな重厚さをサウンドにに生み出している。
ゆったりと聴かせるファンタジーバラード“Lord of the Rings”や、ハイライトであるドラマティックな“Lost in the Twilight Hall”と、
楽曲も充実。アルバムとしての濃密さでは次作「Somewhere far Beyond」と並ぶ傑作といえるだろう。
メロディアス度・・8 疾走度・・8 ドラマティック度・・9 総合・・8.5
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BLIND GUARDIANSomewhere Far Beyond
ジャーマンメタルのベテラン、ブラインド・ガーディアンの4th。1992年作
個人的には本作こそがブラガーの最高傑作であるし、発売日に購入して聴きまくった思い入れの強いアルバムである。
幻想的なジャケットからして胸が踊るが、アコースティカルなイントロから続く“Time What is Time”の激しさ、
ダイナミックさにまずやられる。本作あたりからハンズィのヴォーカリストとしての成長も感じられ、歌声には説得力が加わった。
続く“Journey Through the Dark”の疾走感に拳をかざし、“Theatre of Pain”のクラシカルさに浸り、
“The Quest for Tanelorn”のサビでの大合唱、“The Bard's Song”では吟遊詩人の気分になって、
ファンタジーの世界にどっぷり。そして極めつけは、7分を越える“Somewhere Far Beyond”の
ドラマティックさに悶絶。曲ごとの密度も濃く、構成的にも完璧なファンタジックメタル作品である。
ドラマティック度・・9 疾走度・・8 ファンタジック度・・9 総合・・9
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BLIND GUARDIAN 「Imaginations from the Otherside」
ブラインド・ガーディアンの5th。1995年作
名実共にジャーマンメタルシーンのトップたった彼らがさらなる大作志向を打ち出した傑作。
のっけから7分を超えるタイトル曲で、重厚かつドラマティックな展開美を聴かせながら、
“I'm Alive”の激しくも叙情的サウンドにこのバンドの緻密なアレンジ力を見る思い。
トールキンの世界を思わせような“A Past and Future Secret”に続く“The Script for My Requiem”は
壮大なクワイアと3拍子のメロウな間奏に悶絶、まさにブラガー最高の名曲のひとつだろうし、
エピックな勇壮さに盛り上がる“Another Holy War”と、濃密な楽曲満載のファンタジックな力作である。
ドラマティック度・・9 疾走度・・7 ファンタジック度・・9 総合・・8.5
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BLIND GUARDIANNightfall in Middle Earth
ジャーマンメタルのベテラン、ブラインド・ガーディアンの6th。1998年作
トールキンの「指輪物語」から今作は「シルマルリの物語」をテーマとしたコンセブトアルバム。
映画的な語りや効果音を随所に散りばめ、場面ごとに物語を描くように楽曲を構成した力作。
明快な疾走ジャーマンメタルからは一線を画し、ぱっと聴きには散漫な印象もあるのだが、
これまで同様に荘厳なコーラスワークや緻密なツインギターのフレーズは随所で光っており、
とくに名曲と言うべき“Mirror Mirror”のドラマティックな盛り上がりにはやはり拳を握る。
物語を想像しながらファンタジックな世界観に浸れる方にはぜひお勧め。
ドラマティック度・・8 疾走度・・7 ファンタジック度・・9 総合・・8
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緑川とうせいの「メタプロ研究室」
第21回「メロディック・スピードメタル特集」


DRAGONFORCE「INHUMAN RAMPAGE」
イギリスのメロスピバンド、ドラゴンフォースの3rd。2005作
2003年にデビュー、英国疾走野郎の待望のアルバムは、期待通り!前作においても見せつけた、疾走につぐ疾走と
やりすぎなまでのキャッチーさは健在でのっけからまるでメロスピの限界に挑戦するような速さで突き進む。
BAL-SAGOTHのドラマーの凄まじいツーバス連打も凄いが、アルバムとしての楽曲クオリティも素晴らしく、
最後まで捨て曲いっさいなし。それどころが、どの曲も普通のバンドのキラーチューンクラスの出来といってよく
疾走しまくり、そしてどこを切っても爽快かつメロディアスなので、愉快に首を振れることこの上ない。
どの曲も速くて長いのだが、間奏部のつなぎやブレイクを取り入れたアレンジも見事で
まるで遊園地のジェットコースターのように楽しく聴き通せてしまう。メロスピ世界一はこのバンドに決定だ!
メロディアス度・・9 疾走度・・10 楽曲・・9 総合・・9
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AQUARIA「LUXAETERNA」
ブラジルのシンフォニックメタルバンド、アクアリアの2005年作
シンフォニックな美麗さとクラシカルな旋律を乗せて疾走、耳に残るキャッチーな歌メロもよい感じで、
メロスピ、シンフォメタルファンは1曲目でノックアウトだろう。やはり同郷のANGRAを手本にしているのが色濃く出ているが
よりメロディックな部分にこだわっていて、とくにキーボードのアレンジはRHAPSODYなどのシンフォニックメタルからも影響を受けており、
クラシカルで壮麗である。曲展開にも、小曲やインストでのつなぎなどにはプログレッシブなものが感じられ
楽曲を連ねて物語としてのコンセプトを描く構築力は、デビュー作とは思えないほどのクオリティと密度がある。
ヴォーカルの歌声はアンドレ・マトスとエドゥ・ファラスキの中間のような雰囲気で、高音はのびやかだが優しく歌いあげる部分には
優雅なやわらかみがあって女性受けもしそう。疾走、メロディ、音の厚さ、演奏、どれをとっても新人離れしたクオリティの傑作だ。
メロディアス度・・8 疾走度・・8 新人離れ度・・9 総合・・8.5
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INSANIAAgony - Gift Of Life
スウェーデンのクサメタルバンド、インサニアの4th。2007年作
1999年にデビュー、今作も相変わらず、クサメロをまき散らしてロマンティックに疾走する曲が満載だ。
2nd以降まったく成長していない…よく言えば変わらぬクサさで駆け抜ける彼らのサウンドは
節々で覗かせるB級さもそのままに、シンセによる大仰さが若干増しているかという印象。
そう下手ではないが上手くもないという微妙な力量のヴォーカルの歌声は、
それゆえにときに弱々しい哀愁をかもし出していて、そのヘナさ加減に泣きのメロが合わさると
出来が悪いファンタジー小説のように、エセロマンに浸れて適度に気持ちよい。
パワフルなサウンドでないとダメな人は聴いてはいけない。POWER QUESTSKYLARKなどが
けっこう嫌いではない…というクサメタ萌えの方々にはオススメするにためらいはない。
クサメロ度・・8 疾走度・・8 クサロマン度・・9 総合・・8
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PATHFINDER「Fifth Element」
ポーランドのシンフォニックメタルバンド、パスファインダーの2012年作
前作はクラシカルに疾走するなかなかの力作であったが、本作も壮麗なイントロから始まり
シンフォニックな大仰さとともに疾走開始。楽曲はメリハリのある展開力とともに
プログレッシブな知的さも垣間見せつつ、全体的にはあくまできらびやかな聴き心地だ。
ブラストビートも含めてたたみかけるような勢いと、エピックな壮大さが前作以上に前に出ていて、
RHAPSODY+DRAGONFORCEというような、濃密なシンフォニックメタルを繰り広げる傑作である。
シンフォニック度・・8 疾走度・・8 大仰度・・9 総合・・8
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Crimson Shadows「Kings Among Men」
カナダのメロディックスピード(デス)メタル、クリムゾン・シャドウスの2014年作
Dragonforceばりに疾走するスピーディなメロスピと咆哮するデスヴォイスを乗せたメロデス要素が融合、
ツインギターの叙情メロディやノーマルヴォイスも含んだ聴きやすさもある高品質なサウンドだ。
若手らしいピロピロ感と勢いの良さが魅力的で、爽快なスピード感とメロディのバランスもよい。
全体的にブルータルな激しさよりもキャッチーなメロディアス性が前に出ているので、
メロデスというには「デス風味もあるメロスピ」として聴くのがよいのかも。どの曲もドラフォーばりに
しっかりとメロディックなフックがあり疾走しまくり。濃密でありながら爽快、クオリティが高い力作です。
メロディック度・・8 疾走度・・8 メロデス度・・7 総合・・8
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緑川とうせいの「メタプロ研究室」
第20回「HELLOWEEN名曲ベスト10」

HELLOWEEN「WALLS OF JERICHO」
ジャーマンメタルの大御所、ハロウィンの1st。1986年作
1985年のデビューミニと1stフルをカップリングした本作は、個人的にHELLOWEENのアルバムで最も思い入れの深い作品で、
コミカルなイントロに続いて始まる“Starlight”からしてすでに震えが来る。カイ・ハンセンのやや頼りなげなハイトーンと、
まだ荒々しさの残る演奏は、若さにあふれた疾走感をともなって、ぐいぐいとたたみかけてくる。
怒濤の疾走曲“Murderer”、ドラマティックな三連リズムの“Victim of Fate”、キャッチーなサビメロの“Gurdians”なども、フェイバリットソング。
ハイライトとなる大曲“How Many Tears”の泣きのメロディと疾走感は、ジャーマンメタル=ハロウィンという図式を決定づけた名曲だ。
この後30年にわたるかぼちゃの歴史の始まりを告げる重要な作品である。
メロディアス度・・8 ジャーマン疾走度・・9 ファンなら買い換え必至度・・10 総合・・8.5
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HELLOWEEN「Keeper of the Seven Keys PartT
ハロウィンの2nd。1987年
驚異のヴォーカリスト、マイケル・キスクが加入しての1作目となる。「守護神伝」の邦題で、日本での人気も高いアルバムで、
イントロから続く名曲“Im' Alive”への流れは、全てのメタルファンを釘付けにするほどの格好よさ。
ツインギターのメロディと疾走感、そしてキャッチーなサウンドは、マニア以外のリスナーにアピールするクオリティをすでに有していた。
本アルバムでは、もうひとつのドラマティックな名曲“Twilight of the Gods”に、構成力を見せつける大曲“Helloween”と、
カイ・ハンセンの才能が全面開花している。まさにバンドの絶頂期を飾る名作といえるだろう。
メロディアス度・・8 ドラマティック度・・9 ファンなら買い換え必至度・・9 総合・・8.5
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HELLOWEEN「Keeper of the Seven KeysPartU」
ハロウィンの3rd。1988年作
前作と対になる「守護神伝」の第二章。イントロからじわりとくる高揚感とともに、名曲中の名曲“Eagle Fly Free”が始まると、
もうすでにノックアウト。伸びやかなマイケル・キスクの歌声を乗せて、メロディアスに疾走するこの曲は
後のいわゆる「キーパーフォロワー」たちを星の数ほど生み出すことになる。前作がカイ・ハンセン主導のアルバムとすると、
今作はマイケル・ヴァイカートのメロディメイカーとしての才能が遺憾なく発揮されているといえるだろう。
楽曲は前作以上にバラエティに富んでおり、コミカルな佳曲“Dr.Srein”や明快なハードロックナンバー“I Want Out”、
さらにはドラマティックな疾走曲“March of Time”と、聴き所は多いが、なんといってもタイトル曲である“Keeper of the Seven Keys”、
この物語の如き壮大なドラマ性には圧倒される。現在も多くのファンが最高作に挙げるのもうなずけるし、人気を決定づけた歴史的な傑作といえるだろう。
メロディアス度・・9 ドラマティック度・・10 ファンなら買い換え必至度・・10 総合・・9
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HELLOWEEN「Master of the Rings」
ジャーマンメタルのベテラン、ハロウィンの6th。1994年作
看板ヴォーカルであったマイケル・キスクの脱退後、バンドはPINK CREAM69のアンディ・デリスを迎えた。
ファンタジックなイントロに続く“Sole Survivor”は、ヘヴィなリフと、キャッチーなBメロからサビへの流れで、
まさにデリスとHELLOWEENの融合というべき、新たなハロウィンサウンドを予感させる。
ウリ・カッシュの勢いあるドラムに、吹っ切れたようなヴァイカート節が炸裂する“Where the Rain Grows”、
ドラマティックに疾走するラストの“Still We Go”まで、まさに新生ハロウィンの勢いに満ちた傑作だ。
メロディアス度・・8 疾走度・・7 ドラマティック度・・8 総合・・8.5
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HELLOWEEN「The Time Of The Oath」
ジャーマンメタルのベテラン、ハロウィンの7th。1996年作
前作「Master of the Rings」の勢いに乗って同じメンバーで作られた本作は、
パワフルに疾走する“We Burn”から、バンドとしての一体感とバワーを感じさせる。
アンディ・デリスのヴォーカルメロディが印象的な“Power”や、哀愁の叙情バラード、“Forever And One”
ドラマティックな大曲“Mission Motherland”など、聴きどころも多く、前作に劣らぬ内容の力作である。
メロディアス度・・8 疾走度・・7 ドラマティック度・・8 総合・・8
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HELLOWEEN 「The Dark Ride」
ジャーマンメタルのベテラン、ハロウィンの9th。2000年作
前作はモダンな新鮮さとかつてのハロウィン節を無理やり閉じ込めたという感じで、やや散漫なアルバムであったが、
本作ではそれが自然な形での融合を見せている。イントロに続く“All Over the Nations”は3拍子のリズムを取り入れた
キャッチーなメロディアス性と爽快な疾走感が合わさった名曲だ。続く、“Mr. Torture”はいかにもハロウィンらしい佳曲で、
その後はややダークなミドル曲なども挟みつつ、アンディ・デリスの歌声によくマッチした叙情的なナンバー“If I Could Fly”や
ドラマティックな疾走曲“Salvation”、そしてラストのタイトル曲まで、バラエティに富みながらもバンドとしてのパワーに溢れ、
タイトルやジャケはダークなイメージであるが、サウンドはこれぞハロウィンという好盤に仕上がっている。
メロディアス度・・8 疾走度・・7 ドラマティック度・・8 総合・・8
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HELLOWEEN「KEEPER OF SEVENTH KEYS-THE LEGACY」
ジャーマンメタルのベテラン、ハロウィンの11th。2005年作
かつての名作「守護神伝」のタイトルを冠し、CD2枚組でそれぞれの1曲目は10分を超える大曲という気合の入りよう。
かつてを思わせる雰囲気で疾走する@はなかなか気持ちいいが、オールドファンからすると「これでキスクが歌っていれば…」
などとつい思ってしまう。個人的にはBにおけるギターソロ後半でのX JAPAN的なツインリードのハモリが心地よかったり、
DISC2のFあたりに往年のパワフルな疾走を感じて嬉しかったりする。全体的には、疾走曲ありキャッチーな曲あり、
モダンなメタル曲あり、さらに女性ヴォーカルをゲストに加えたナンバーなど、案外楽曲の幅は広く、
タイトルを含めてオールドファンと若いファンの両方にアピールする作品であるのは間違いない。
メロディアス度・・8 疾走度・・7 キーパー度・・7 総合・・8
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緑川とうせいの「メタプロ王国」
第19回「ヴァイキングメタル特集」


MOONSORROW  「KIVENKANTAJA」
フィンランドのヴァイキングメタルバンド、ムーンソロウの3rd。2003年作
シンフォニックメタルとさえ言ってもいいほどの音像に、ゆったりとしたヴァイキングメロディ、
曲は長いながらもアコースティックを効果的に取り入れるなど静と動のメリハリもあり、
なにより音の重ねに説得力があるので、聴いていてその世界観にぐいぐい引き込まれる。
普通声とダミ声を使い分け、勇壮な男コーラスに加え、ここぞという場面ではシンセで盛り上げる。
母国語の歌唱もとても音に調和していて、メロディには北欧の寒々しさが込められている。
これぞシンフォニック・ヴァイキングメタルの歴史的傑作と断言できる。
シンフォニック度・・9 メロディアス度・・8 ヴァイキング度・・9 総合・・8.5
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TURISAS「Varangian Way」
フィンランドのヴァイキングメタルバンド、チュリサスの2nd。2007年作
今回はスカンジナヴィアからミクラガルド(コンスタンティノープル)までの旅をたどる壮大なコンセプト作だ。
RHAPSODYばりの壮麗なシンフォニックさに加え、MOONSORROWにも通じる雰囲気ものとしての
スケール感に包まれた世界観と空気を大切にしたという印象だ。前作に比べるとパッと聴きには地味に感じるかもしれないが、
じっくりと耳を傾けると、男達の勇壮なコーラスや、旅の途中での出来事をつづるような生活感なども感じられ、
映画的なイメージ音楽としての要素が強まっていて、派手すぎないアレンジも逆に説得力を生み出している。
ヴァイオリン、アコーディオンなどの音色も、戦いの勇壮さとの対比として効果的に使用され、
大団円にいたるまでの過程を濃密に描き出すという役目を果たしている。
1曲ごとのインパクトや派手さはないが、トータルに描かれた作品として世界に浸って聴くぺき作品だろう。
シンフォニック度・・8 ヴァイキング度・・7 勇壮度・・9 総合・・8
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EQUILIBRIUMSagas
ドイツのシンフォニック・ヴァイキングメタルバンド、エクリブリウムの2nd。2008作
のっけから、ドシンフォニックなイントロに胸踊る。一聴して、フォークメタルとしての本気度が増し、
前作の作り物めいたきらびやかさがそのまま壮麗なる世界観を構築する強固な音圧へと格上げされた印象。
BAL-SAGOTH級のシンフォニックなクサメロに、ときにRHAPSODY的な勇壮さと、FINNTROLLにも通じるフォーキーメロディが合わさって、
濃厚サウンドでたたみかける。美麗なシンセにアコーディオンの音色で疾走する様は、暴虐さよりもひたすらメロディックで、
むしろ愉快な雰囲気だ。ただこのバンドの場合、本物の土の香りというよりも、作られたファンタジー世界を思わせるので、
硬派なヴァイキングメタル好きにはあるいは軟弱にも聴こえるかもしれない。むしろフォーク風味のシンフォニックメタルとして聴くべきだろう。
ラストは16分の大曲で、全79分の濃密絵巻。ともかく素晴らしき力作であるに違いない。
シンフォニック度・・9 ヴァイキング度・・7 壮麗度・・9 総合・・8.5
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MANEGARM 「Vargstenen」
スウェーデンのヴァイキングメタルバンド、マネガームの5th。2007年作
デビューは90年代というキャリアのあるバンドで、初期はブラックメタル色の強いサウンドであったが、
3作目から本格派のヴァイキングメタルサウンドに磨きがかかり、本作はバンドの集大成的な傑作となった。
土着性ぷんぷんの重厚なギターメロディで幕を開け、かつてのMITHOTYNを思わせるような猛々しいヴォーカルの咆哮と、
勇ましくも哀愁を含んだトラッド音階のメロディが胸にしみる。そして激しさだけでなくノーマル声に
女性コーラスも入った静のパートを盛り込むなど、楽曲としてのメリハリも付けられて、
ドラマ性の向上に大いに貢献している。世界観と説得力をともなった、これぞヴァイキングメタルの傑作だ。
メロディアス度・・8 ヴァイキング度・・9 ドラマティック度・・9 総合・・8.5
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Ensiferum「Unsung Heroes
フィンランドのヴァイキングメタル、エンシフェルム2012年作
2001年のデビューから高品質な疾走型ヴァイキングメタルを作り続けるこのバンド、、
5作目となる本作も期待通りの出来ばえだ。シンフォニックといってもよいイントロに続き、
三連リズムの勇壮なサウンドが炸裂、荒々しいヴォーカルとギターの奏でる土着的フレーズに
女性シンセ奏者の奏でる美麗なシンセワークが合わさり、じつに重厚な聴き心地である。
ギターは随所ににメロディックなフレーズを折り込み、勇壮なコーラスがエピックな高揚感をあおる。
女性ヴォーカルで聴かせるフォーキーなナンバーや、ラストの大曲ではプログレッシブな展開が圧巻。
疾走感はやや抑えめながら、音の力強さと雄大なスケール感が合わさったドラマティックな傑作だ。
ドラマティック度・・8 ヴァイキング度・・8 フィンラン度・・8 総合・・8.5
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*ヴァイキングメタル特集ページ
*ヴァイキングメタル/フォークメタルCDレビュー



緑川とうせいの「メタプロ研究室」
第18回「ジャパニーズ・フィメールメタル特集」


DragonGuardian 「聖魔剣ヴァルキュリアス
勇者アーサー率いるファンタジックメロスピ、ドラゴン・ガーディアンの5作目。2012年作
2007年にデビュー、これまでの最高傑作となった前作真実の石碑」に続くメジャーデビュー2作目となる。
今回は異世界における「革命代行屋」という物語コンセプトで、ファンタジックなアニメ的世界観を
シンフォニックかつ美麗なアレンジで描いてゆく。LIGHT BRINGERのFukiの伸びやかな歌声とともに疾走し、
キャッチーなメロディと壮麗なオーケストレーションが同居する、壮大さとポップ性が巧みに融合されている。
物語を語るナレーションとアニメチックなセリフは随所に健在だが、ドラムが生音になったことで
良くも悪くも同人臭かった過去作と比べると、普通にシンフォニックメタル作品として鑑賞できる。
ライトノベル的なストーリーメタルという、ひとつのジャンルを確立したというべき力作に仕上がっている。
シンフォニック度・・8 疾走度・・9 ファンタジー度・・9 総合・・8
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Liv Moon GOLDEN MOON
日本のシンフォニックメタル、リブ・ムーンの2011年作
2009年にデビュー、元タカラジェンヌのAkane Liv嬢の美貌とその卓越した歌唱力で、デビュー作は各方面から大いに話題を呼び、
カヴァーアルバムに続いてのこれが2作目となる。荘厳でクラシカルなイントロからして前作以上に重厚な感触で、
メンバーチェンジの効果もあってかサウンドがぐっとメタルらしくなった。オペラティックな美声を乗せて疾走しつつ、
Nightwish
ばりに美麗な世界観と壮麗なアレンジで、そしてギターリフもよりヘヴィかつテクニカルになっており、
楽曲ごとの質の高さは前作を超える。一方でキャッチーな曲においては、アキバ系HRという雰囲気もいくぶん残っているが、
今作ではそれもアルバムの中でのよいアクセントになっている。よりシンフォニックメタルとして楽しめるようになった力作だ。
シンフォニック度・・8 しっかりメタル度・・8 女性Vo度・・8 総合・・8
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LIGHT BRINGER 「Genesis」
日本の女性Voハードロックバンド、ライト・ブリンガーの2012年作
2007年にデビューしてから、3作目のフルアルバム。メジャーデビュー作となる本作は、前作における
シンフォニックな美麗さを残しつつ、よりキャッチーな聴きやすさが増したという印象の力作だ。
確かな演奏力によるテクニカルな側面と、緻密なアレンジに支えられた楽曲は
紅一点、Fuki嬢の爽快なヴォーカルが乗せられて、華やいだパワーにあふれてゆく。
随所にポップなほどの感触も聴かせながら、シンフォニックメタル的な激しさも含んでいて
先行シングルとなった“noah”の完成度や、ポジティブでキャッチーな好曲“merrymaker”
Fuki嬢の新たな歌唱スタイルを聴かせる、陰陽座を思わせるようなハード曲“espoir”、
そしてラストのメロスピ的な疾走曲“Love You”まで、堂々たるクオリティの充実作である。
メロディアス度・・8 テクニカル度・・8 女性Vo度・・8 総合・・8
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ALDIOUS 「District Zero」
日本のガールズメタルバンド、アルディアスの2013年作
2010年にデビュー、きらびやかなルックスとともに、嬢メタルブームの
フルアルバムとしては3作目で、ヴォーカルが交代してからは初のアルバムとなる。
ツインギターとともに疾走する軽快なメタルサウンドに、日本語の歌声を乗せたキャッチーな作風は
前シングルからの同路線で、賛否が分かれているようだが普通に聴き安い。新ヴォーカルのRe:NO嬢の歌唱は、
深みと表現力の点でははまだまだだが、こういう突き抜けない部分こそがジャパメタというもので、
新鮮なインパクトなどを求めなければ充分楽しめるレベル。個人的には疾走する曲よりも、ミドル〜スローの曲の方が
彼女の歌声に合っているように思える。全体的に出来はよいと思う。これ以上を求めるのなら洋楽を聴きましょう。
メロディアス度・・8 疾走度・・8 女性Vo度・・7 総合・・8
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Tears of Tragedy 「Continuation Of The Dream」
日本のメロディックメタルバンド、ティアーズ・オブ・トラジェディーの2013年作
女性Voフロントの正統派メロディックHR/HMで、2作目となる本作もきらびやかなシンセアレンジと
伸びやかな女性ヴォーカルの歌声を乗せてキャッチーに疾走する爽快なサウンドだ。
堂々としたメジャー感とメロディのフックという点では、Light Bringerなどにも通じる感触で、
前作から格段にクオリティアップしていると言っていい。一方ではメタルとしてのハードさもしっかりとあり、
テクニカルなフレーズとメロディ、ヘヴィなリフを使い分けるギターのセンスも見逃せない。
日本語歌詞による情感はときに陰陽座の黒猫を思わせるなど、HARUKA嬢の歌の表現力も上がっており、
バンドとしての世界観の強度がサウンドの説得力になっている。シンフォニックかつキャッチーな高品質作品。
メロディック度・・8 疾走度・・9 女性Vo度・・8 総合・・8
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*新世代の女性ヴォーカルメタル特集
*日本のバンドCDレビュー



緑川とうせいの「メタプロ研究室」
第17回「BABYMETAL特集」

BABYMETAL
日本のアイドルメタル、ベビーメタルの2014年作
究極のミクスチャーというべき、アイドルとメタルの融合で、すでに世界的な人気を得てしまったこのユニット、
まさか本サイトでレビューする日がやってこようとは。イントロに続きずっしりとヘヴィなギターとともに、
いかにもメタメタしい物々しさで始まり激しく疾走する、“BABYMETAL DEATH”からインパクト十分。
テクニックに裏打ちされた演奏陣の音の説得力が、色モノ扱いを圧倒的に凌駕してしまっており、
このプロジェクトの本気度が窺える。いわば嘘臭くないディープなメタルの取り込みがなされていて、
それが未成熟のアイドル要素と奇跡的に融合、PVにもなった“メギツネ”の日本的なキャッチーさ、
エレクトロなポップ性とヘヴィネスが異常に同居した“ギミチョコ!!”、“いいね!”の斬新なセンス、
SU-METALの伸びやかな歌声が魅力の“紅月”は、X-JAPAばりの疾走曲で思わずにんまり。
さすがに中盤以降は新鮮なインパクトが薄れてくるのだが、“ヘドバンギャー!!”で再びのけぞり、
ラストの“イジメ、ダメ、ゼッタイ”の盛り上がりまで、作りこまれたクオリティの高さに唸らされる。ベビメタ恐るべし。
メロディック度・・8 しっかりメタル度・・9 カワイイ度・・9 総合・・8
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BABYMETAL 「Metal Resistance」
日本のアイドルメタル、ベビーメタルの2016年作
キュートなアイドルと激しいメタルの融合という、強烈なインパクトのデビュー作に続き、満を持しての2作目となる。
のっけからDRAGONFORCEばりの疾走曲で圧倒的なスピード感に圧倒されつつ、キャッチーなサビメロは一緒に口ずさみたくなる。
続いて先行PVにもなっていた“KARATE”の、外国人向けのクールなジャパニズムとキャッチーなエピック性も心地よく、
“あわだまフィーバー”ではモダンなヘヴィネスとたわいない歌詞の合わさった、まさしく「カワイイメタル」に軽くのけぞる。
前作“紅月”の続編のような、SU-METALの伸びやかな歌声で疾走する“Amore-蒼星-”のロマンティシズムに聴き入り、
“META!メタ太郎”の応援歌風味とバックのヴァイキング風味の斬新さには、思わずくすりとなりつつも拳を握るのだ。
いかにもジャパメタらしいキャッチーな聴き心地の“シンコペーション”、そして“Sis.Anger”のデスメタルな激しさに慄然となり、
オーケストラ入りのバラード曲“No Rain No Rainbow”にはうっとり。アルバム後半はDREAM THEATERを思わせる、
変拍子入りのテクニカルなナンバー“Tales of Distinies”の凄さに驚嘆し、ラストは壮大な“The One”で締めくくる。
前作ほどのカウンターカルチャー的衝撃はないが、よりメタルサイドを意識したような楽曲は、むしろメタラーにとっては入りやすいと思う。
メロディック度・・8 しっかりメタル度・・9 カワイイ度・・8 総合・・8.5
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「別冊カドカワ DirecT04-総力特集BABYMETAL」

表紙と巻頭特集はBABYMETALで、内容充実の1万5千字インタビューに、ライブ写真もたっぷり。
緑川とうせいとして「ジャパメタの歴史」と「エクストリームメタル特集」の2つを担当しました。
ベビメタファンは必見ですし、さらに他の記事などから新しいメタルとの出会いもあるかと思います。
よかったらぜひご覧ください。
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緑川とうせいの「メタプロ研究室」
第16回「追悼キース・エマーソン」

THE NICE「Five Bridges」
イギリスのクラシカルロックバンド、ナイスの4th。1970作
ご存じの通り、後にEL&Pを結成するキース・エマーソンが在籍していたバンド。
本作はバンドの実質的なラスト作であり、1969年のFairfield Halls公演を収録したライブ作品。
オーケストラとの競演によるステージで、タイトル組曲やシベリウスのカヴァー“カレリア組曲”をはじめ、
クラシカルな優雅さとバンドサウンドが融合、エマーソンの巧みなオルガンプレイはすでにELP的だ。
クラシックとジャズ、ロックの融合をなしとげ、鍵盤に焦点をあてたこのバンドの意義は
EL&Pへと受け継がれてゆく。本作はオーケストラ入りロック作品の最初の輝きとも言えるだろう。
クラシカル度・・8 オーケストラ度・・9 オルガン度・・8 総合・・7.5
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EMERSON,LAKE & PALMER
イギリスのプログレバンド、エマーソン・レイク・アンド・パーマーの1st。1970年作
キース・エマーソンにとってはNICEというバンドでの下地があったからだろう、
ギターレスのキーボードトリオという特異な編成ながら、1stにしてすでに完成度は高い。
Atomic Roosterからカール・パーマーを、KING CRIMSONからグレッグ・レイクを迎え
それぞれの名前をバンド名にしたことからも、スーパーバンド的な自負が窺える。
歪んだベースにハモンドが鳴る、いかにも初期ブリティッシュロック的な“未開人”から始まり、
たおやかなピアノにレイクの歌声が乗る大曲“石をとれ”、軽快に聴かせる“ナイフエッジ”
そしてチャーチオルガンの音色から始まり、エマーソンの卓越したピアノさばきが見事な
“運命の三人の女神”と、鍵盤ロックとしての可能性を見せつけるかのようなアルバムだ。
クラシカル度・・9 プログレ度・・7 キーボー度・・8 総合・・8
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EMERSON,LAKE & PALMER「Tarkus」
エマーソン・レイク・アンド・パーマーの2nd。1971年作
アルマジロ戦車こと「タルカス」の組曲はELPの最高傑作である。
LPでいうA面すべてを費やした7パートに分かれた20分の長大な組曲は、
エマーソンのキーボードワークが縦横無尽に炸裂し、リズム面での緩急のつけ方や
ドラマティックな構成力が前作以上にプログレッシブロックとしての美学を感じさせる。
ムーグシンセを導入したことで、ハモンド、ピアノというそれぞれの異なる音を使い分け、
サウンドの幅が大きく広がっている。冒頭の組曲が凄すぎて2曲目以降の印象が弱いのだが、
後半もじっくりと聴けばクラシカルで優雅な味わいとともに、絶品の鍵盤さばきを堪能できる。
なんにしてもこのアルバムで聴ける世紀のキーボード大曲は、時代を超えて輝き続けている。
クラシカル度・・8 プログレ度・・9 キーボー度・・9 総合・・8.5 
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EMERSON,LAKE & PALMER「Trilogy」
エマーソン・レイク・アンド・パーマーの4th。1972作
タルカスや頭脳改革の影に隠れて地味なイメージのある本作だが、じつは出来はすこぶる良い。
派手さはないものの、クラシカルな美しさとメロディの聴きやすさが組合わさり、
バランストのとれた作風は、バンドの全盛期における余裕を感じさせる。
1stで聴けたようなエマーソンの繊細なピアノタッチが聴ける小曲や、
レイクの弾き語りのようなアコースティック曲、軽やかなハモンド曲“HOEDOWN”
美しいピアノから始まり、トリオとしての実力を巧みに見せつけるプログレ曲“トリロジー”、
そしてその名の通りボレロ風味の“奈落のボレロ”と、バラエティーに富んでいながらも、
バンドとしての成熟したセンス織り込んだ、聴き応え充分の好アルバムだ。
クラシカル度・・8 プログレ度・・7 キーボー度・・8 総合・・8
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EMERSON,LAKE & PALMER「Brain Salad Surgery」
エマーソン・レイク・アンド・パーマーの5th。1973作。邦題は「恐怖の頭脳改革」
ギーガーの手によるジャケのインパクトもあいまって、一般的には最高作とされるアルバム。
“聖地エルサレム”の荘厳さに惹きつけられ、“TOCCATA”のプログレぶりに悶絶しつつ、
3、4曲目でひと息ついていると、極めつけの大曲“悪の教典#9”が襲いかかってくる。
3部構成、30分近くにおよぶこの長大な曲には、ELPというバンドの攻撃性とクラシカルな要素、
そしてハモンド、ムーグという鍵盤をロックのメイン楽器としたキース・エマーソンの野望、
そのすべてが詰まっており、まさにバンドとしての集大成的な作品である。
クラシカル度・・8 プログレ度・・8 キーボー度・・9 総合・・8.5
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EMERSON,LAKE & PALMER「Love Beach」
エマーソン・レイク・アンド・パーマーの1978年作
バハマ諸島での休暇中に作られたという本作は、とかくプログレファンからは駄作呼ばわりされているが、
実際のところはどうなのかと聴いてみる。確かにこれまでのELPの攻撃的な鍵盤プログレからすると
ずいぶんとキャッチーであるが、完全なポップ作品ではなく、ASIAのようなプログレハードとして聴けるではないか。
随所に聴かせるエマーソンの鍵盤さばきはさすがだし、とくに20分を超える“将校と紳士の回顧録”は
クラシカルな美意識とPROCOL HARUMのようなゆったりとした英国的叙情が合わさった絶品の組曲だ。
全体としては作品として散漫な印象だった「WORKS」よりも、聴き心地の良いアルバムに思える。
メロディアス度・・8 プログレ度・・7 キャッチー度・・8 総合・・8
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緑川とうせいの「メタプロ暗黒帝国」
第15回「イギリス、その他のブラックメタル特集」


CRADLE OF FILTHVempire or Dark Fairytales in Phallustein
イギリスのシンフォニックブラックメタルバンド、クレイドル・オブ・フィルスのミニアルバム。1996年作
今や世界的な人気を誇るこのバンドだが、日本盤が出る2ndまでは、まだまだマニアックな存在であった。
本作は1994年のデビュー作から2ndへとそのサウンドのクオリティを上げてゆく過渡期の作品であるが、
初期の荒々しい激しさと耽美な叙情性が合わさっていて、個人的には大好きな作品だ。
とくにクレイドル最高の大曲である“Queen of Winter,Throned”の素晴らしさは必聴級で、
緩急のついた展開力と、たたみかける疾走感、そして耽美で幻想的な世界観に浸れる。
エロティックなジャケのインパクトとともに、ミニアルバムとはいえ濃密な傑作である。
シンフォニック度・・8 暴虐度・・8 幻想美度・・9 総合・・8
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CRADLE OF FILTH「Dusk and Her Embrace」
イギリスのシンフォニックブラックメタルバンド、クレイドル・オブ・フィルスの2nd。1996作
壮麗に聴かせるシンフォニックなシンセワーク、ヴァンパイアをテーマにした耽美な世界観、
そして絶叫としわがれ声を巧みに使い分けるヴォーカルのダニ・フィルスの存在感が強烈だ。
あらゆる点で1stからスケールアップを遂げ、本作ではその激烈かつドラマティックなサウンドに
説得力を付加し、闇の幻想美を彩っている。たとえば、ノルウェーのバンドとは異なるベクトルで
ブラックメタルを一種のエンターテイメントミュージックにまで仕立て上げたという、このバンドの功績は大きい。
現在におけるシンフォニック・ブラックメタルシーンの発展の布石ともなった傑作といっていいだろう。
次作「Cruelty And The Beast(鬼女と野獣)において、彼らはその地位を不動のものにする。
シンフォニック度・・8 暴虐度・・8 幻想美度・・9 総合・・8.5
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HECATE ENTHRONED「THE SLAUGHTER OF INNOCENCE,A REQUIEM FOR THE MIGHTY」
英国のシンフォニックブラックメタルバンド、ヘカテ・エンスロンドの1st。1997年作
サウンドは音質の悪さも手伝って、同郷のCRADLE OF FILTHあたりよりはずっと真性に近い。
キーボードをたっぷり使い、激速リズムのバックは非常にシンフォニックで美しくすらあるが、
まがまがしく、不気味で、本物の凶悪さを有する雰囲気はEMPERORの1stあたりにも近いか。
このあとの2枚目は同路線のサウンドだが、3rdからはメロデスに近いドライな音に変貌してしまい残念。
このころのぼんやりとした幻想的な暴虐シンフォブラックにこそ魅力があったのだが。
シンフォニック度・・8 暴虐度・・8 Voはカラス声度・・10 総合・・8
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HECATE ENTHRONED 「Dark Requiems...And Unsilent Massacre」
イギリスのシンフォニック・ブラックメタルバンド、ヘカテ・エンスロンドの2nd。1998作
実に美麗かつ耽美なシンセワークとともに疾走するスタイルで、
サウンドにはまるでノルウェーのバンドのようなプリミテイブなマイナー感がある。
ぎゃあぎゃあとカラスのような声でわめき散らすヴォーカルは耳障りだが、
ともかくこのシンフォニックなキーボードの美しさですべてを許せてしまう。
B級臭くてもよいから美麗な疾走ブラックが聴きたいの方や、COFの1stが好きならぜひ。
シンフォニック度・・8 暴虐度・・7 耽美度・・8 総合・・8
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BAL-SAGOTH「BATTLE MAGIC」
イギリスのエピック・ブラックメタルバンド、バル・サゴスの3rd。1998年作
1stの時点ではずいぶんショボかったものの、2nd「Starfire Burning upon Ice Veiled」において、
まるでファンタジーゲームのような壮麗な世界観で聴かせるシンフォブラックサウンドを確立、
そして続く本作で決定打となった。シンセによる美麗なイントロは映画のような雰囲気だが、曲が始まるとクサメロまくりで疾走開始、
美しいシンセとクサフレーズを奏でるギターににんまりしつつ、彼らのファンタジー絵巻にどっぷり浸る。
ヴォーカルはダミ声ながらちっとも暴虐ではなく、曲間に入る語りなどはとてもエピックな感じである。
とにかくこの、笑っちゃうほどに大仰かつ勇壮、そしてクサく、シンフォニックなサウンドは一聴の価値ありだ。
シンフォニック度・・9 暴虐度・・6 ファンタジック度・・10 総合・・8.5
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DIMMU BORGIRSpiritual Black Dimensions」
ノルウェーのブラックメタル、ディム・ボガーの4th。1999年作
1995年デビュー、初期の頃からシンセをたっぷりと取り入れた、シンフォニックな作風であったが、
3作目までは疾走感とサウンドの迫力という点ではいまひとつ物足りなかった印象がある。
本作では美麗なシンセアレンジを含んだシンフォニックな聴き心地と、ブラスト疾走する邪悪な激しさが
ひとつ説得力を増してきたという印象で、お得意のリズムチェンジからの緩急の付いた叙情性と
ドラマティックな構成力も光っていて、バンドとしての最初の傑作というべき内容に仕上がっている。
これぞシンフォニック・ブラックメタルのスタンダードというような、初心者にも入りやすい作品だろう。
シンフォニック度・・8 暴虐度・・8 荘厳度・・7 総合・・8
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OUIJA 「Riding into the Funeral Paths」
スペインのブラックメタルバンド、オウイジャの1997年作
90年代にスペイン産ブラックメタルバンドがあったのかと、少々意外ながら、音自体はむしろ北欧っぽく、
ややこもり気味の音質で疾走するスタイル。ツインギターのリフにはメロディックなものが感じられ、
初期ABIGOR+DISSECTIONという雰囲気にはなかなか好感が持てる。
昨今の綺麗すぎるブラックメタルよりも耳に心地よく、楽曲における展開の多さも楽しい。
現在はAnasarcaというバンドのアルバムとのカップリング盤で出回っている模様。
メロディアス度・・7 暴虐度・・8 オールドメロブラ度・・9 総合・・8
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緑川とうせいの「メタプロ暗黒帝国」
第14回「スウェディッシュ・ブラックメタル名作特集」


DISSECTION「Storm of the Light's Bane」
スウェーデンのブラックメタル、ディセクションの2nd。1996年作
1993年のデビュー作「The Samberlain」も衝撃的であったが、本作はさらなるクオリティアップを果たした傑作。
3拍子のイントロ曲に続く名曲“Night's Blood”をはじめ、流麗なギターメロディを乗せて疾走する名曲が多数。
曲と演奏のクオリティの高さ、メロディの扇情力の点でも、数あるメロブラ系作品の中でもトップといえる1枚だと思う。
バンドのリーダーであったジョンは、殺人容疑で逮捕され、出所後の2006年には復活作を発表するが、
復活作にともなうツアーの後、自殺という形で永遠にバンドを去ってしまった。本作を聴き返すにつれ、
もの悲しいメロディと北欧的な暗い叙情性を有したサウンドを描いた、類まれな音楽センス…彼の才能が惜しまれる。
メロディアス度・・8 暴虐度・・8 北欧的薄闇度・・9 総合・・8.5
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MARDUK「Heaven Shall Burn...When We Are Gathered」
スウェーデンのブラックメタルバンド、マーダックの4th。1996年作
1992年にデビュー、まさにスウェディッシュ・ブラックメタルを代表する重鎮というべきバンド。
本作は初期の中でも最高作と名高いアルバムで、そのサウンドは激烈に疾走しつつも
いくぶんの叙情を感じさせるギターリフとともに、ドラマティックな気配を漂わせている。
ムソグルスキーの「はげ山の一夜」のフレーズを取り入れた曲なども面白い。
近作のようなすさまじいまでの迫力と荘厳さはまだないが、リフにおける叙情性という点では、
本作と次作あたりが強いだろう。90年代の北欧ブラックメタルとしては外せない傑作だ。
ドラマティック度・・7 激烈度・・8 暗黒度・・8 総合・・8
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DARK FUNERALVobiscum Satanas
スウェーデンのブラックメタルバンド、ダーク・フューネラルの2nd。1998年作
1996年のデビュー作はDISSECTIONをややチープにしたという作風であったが、本作ではさらに激しさを増し、
ツインギターのトレモロリフを乗せて激烈にブラスト疾走しながら、随所にメロディックな質感も織り交ぜて、
暴虐なる真性ブラックメタルの闇の美学を感じさせる世界観と音の迫力とがぐっと強まってきている。
しっかりとした演奏力をともなった激しい疾走感と北欧らしいダークな湿り気に包まれた聴き心地で、
本作は、まさに90年代スウェディッシュ・ブラックの傑作のひとつといえる出来だろう。
メロディアス度・・7 暴虐度・・8 疾走度・・9 総合・・8
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DAWN 「Naer Solen Gar Nider For Evogher」
スウェーデンのブラックメタル、ダウンの1994年作
IN FLAMESの名曲“Stand Ablaze”を歌っていたことでも知られるヘンクを擁したバンドで、
ダミ声ヴォーカルとツインギターによる土着的な旋律を乗せてブラスト疾走するサウンドは、
いかにも90年代の香りを漂わせている。楽曲は5〜7分と、当時のバンドにしては比較的長めで、
リフレインされるトレモロのリフが耳に心地よく、いまあらためて聴くと、シンプルなスタイルながら
この古き良きメロブラサウンドが新鮮に感じもする。リマスターにより音質もいくぶん良くなった。
激しさの中にも北欧的な薄暗い叙情を感じさせる、90年代メロディック・ブラックの好作品である。
メロディアス度・・8 古き良きブラック度・・8 北欧度・・9 総合・・8
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NOCTES「PANDEMONIC REQUIEM」
スウェーデンのシンフォニックブラックメタル、ノクテスの1st。1997年作
ツインギターにキーボード入りで、シンフォニックかつ暴虐性もあるサウンドは、
初期のEMPERORをさらに美しくやわらかくしたような、なかなか聴きやすい作風です。
音質などからB級っぽさが残りますが、それがかえってエッジを押さえた印象でよいのですな。
ギターリフにゴリゴリした部分が少ないので、マイルドな(?)感じに心地よく聴けたりします。
曲やメロディにさほど個性は感じませんが、ギターリフはいちいちクサメロで北欧的な叙情美が満載。
暴虐すぎず怖すぎない、マイナーなシンフォニックブラックを聴きたい、という方には良いバンドです。
シンフォニック度・・8 暴虐度・・7 北欧度・・9 総合・・8
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緑川とうせいの「メタプロ暗黒帝国」
第13回「ノルウェイジャン・ブラックメタル名作特集」


EMPEROR「Anthems to the Welkin at Dusk」
ノルウェーのブラックメタルバンド、エンペラーの2nd。1997年作
本作こそブラックメタルの歴史における輝ける金字塔的な傑作である。
教会への放火容疑で逮捕されたギターのサモスが出所し、殺人容疑で逮捕されたファウストに代わって、
ドラムには超絶なブラストビートを叩くタリムを迎えて作られた本作は、1stをはるかに上回る傑作となった。
荘厳なるイントロに導かれ、暴虐なる地獄の音楽が始まるや、黙示録の戦いを思わせる激しさとともに、
ときにシンフォニックな美しさをたたえたシンセワークや、プログレッシブなリズム展開なども素晴らしく、
リーダー、イーサーンの美意識がとことんまで発揮された本作のサウンドは、単なるブラックメタルの枠を超え、
闇の芸術ともいうべき境地に達している。激烈にして耽美、暗黒にして知性と狂気をともなった名作だ。
シンフォニック度・・8 暴虐度・・9 荘厳度・・10 総合・・9

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MAYHEMDe Mysteriis Dom Sathanas
ノルウェーのブラックメタルバンド、メイヘムの1st。1994年作
ノルウェーにおけるブラックメタルムーブの火付け役ともいうべきバンドで、前ヴォーカルのデッドは本作の前にすでに自殺を遂げており、
ギターのユーロニモスを中心に、ベースにはBURZUMカウント・グリシュナック、ヴォーカルにアッティラ、ドラムにヘルハマーというメンバーで録音された作品。
しかしながら、本作の発売前にユーロニモスはカウントに刺殺されてしまい、まさしくいわくつきの伝説の一枚というべき作品となった。
狂気に取りつかれたかのようなヴォーカルを乗せて、ノイジーなギターリフとともに疾走するサウンドは、ブラックメタルとしての暗黒性と激しさを
過不足なく体現したというべきもので、メロディックな愛想は薄いが、メンバーたちの描き出す狂気じみた迫力には圧倒される。
とくにヘルハマーの叩き出すブラストを含んだ強烈なドラムと、アッティラの怨念的なヴォーカルのインパクトは強烈きわまりない。
ドラマティック度・・7 暴虐度・・8 狂気度・・9 総合・・8
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EnslavedVikingligr Veldi & Hordanes Land」
ノルウェーのヴァイキング・ブラック、エンスレイヴドの1st+ミニ。1993/1994年作
Bathoryなどとともにヴァイキングメタルの元祖としても語られるこのバンド、のちにEmperorに加入するTrymが在籍。
うっすらとしたシンセをバックに、ダミ声ヴォーカルと反復するトレモロのギターリフで聴かせるサウンドは
いまでいうヴァイキング系よりは、BURZUMやEMPERORなどの初期ノルウェイジャンブラックの雰囲気に近い。
随所に激しいブラスト疾走も含みつつ、邪悪なダークさよりも北欧神話の世界を描きだすような
ミスティックな雰囲気が特徴的。10分以上の大曲を中心にしたヴァイキングブラックの力作だ。
デビューミニの方は、こもり気味の音質とともにさらに荒々しい原初的なブラックメタルサウンドが聴ける。
ドラマティック度・・7 暴虐度・・7 北欧度・・9 総合・・8
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SATYRICON「Nemesis Divina」
ノルウェーのブラックメタルバンド、サテリコンの3rd。1997年作
1994年のデビュー作の時点では、ややB級臭い土着的でプリミティブなサウンドであったが、
本作では音の力強さとともに、ぐっとドラマティックな質感と説得力を増している。
基本は激烈にブラスト疾走するスタイルながら、楽曲における緩急のつけ方や
挿入されるメロディアスなフレーズなども効果的で、暴虐なだけでないセンスを感じさせる。
真性ブラックメタルとしての邪悪さを保ちながら、質の高さもともなった希有な作品だ。
4th以降はややドライで硬質な作風へと変化してゆくが、メロディックブラックとしては本作が最高。
メロディアス度・・7 暴虐度・・9 ドラマティック度・・8 総合・・8
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GEHENNA「Seen Through the Veil of Darkness」
ノルウェーのブラックメタルバンド、ゲヘナの1st。1995年作
ブリミティブでミスティックな雰囲気とともに、シンセ入りで聴かせる美しきサウンド。
ブラストビートなどの激速リズムは比較的抑え目で、この手の初期型ブラックメタルにしては
非常に聴きやすい。ヴォーカルは絶叫しているが、邪悪な雰囲気よりは薄暗い美意識を感じ、
メロディにある土着的な雰囲気もいい味になっている。2nd以降は幻想的な作風を脱し、
徐々にブラックメタルから離れてゆくが、本作の美しさは名作として語り継ぐに足るものである。
メロディアス度・・8 暴虐度・・7 ミスティック度・・9 総合・・8
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緑川とうせいの「メタプロ王国」
第12回「クサメタル特集2」


INSTANZIA「Ghosts」
カナダのシンフォニックメタル、インスタンジアの2010年作
美麗なシンフォニック性とギターの奏でるクサフレーズで疾走するメロスピサウンド、
サビでのコーラスなどはキャッチーでむしろジャーマンメタル的でもあり、
楽曲の随所には細やかなアレンジセンスも光っていて、なかなかクオリティが高い。
ヴォーカルもパワフルというほどではないが、しっかりと実力がありマイナー臭さはあまりなく、
ギターソロなどを含めてメロディの聴かせどころが楽曲の中でしっかり活きている。
ラストの11分の大曲もドラマティックに盛り上がる。これは掘り出し物的な好作品だ。
メロディアス度・・8 疾走度・・8 楽曲・・8 総合・・8
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DRAGONY 「Legends」
オーストリアのシンフォニック(クサ)メタル、ドラゴニーの2012年作
ツインギターにシンセを含む6人編成で、壮麗なイントロから、クサメロたっぷりのギターで疾走開始、
適度に力強さのないヴォーカルとともに、いくぶんのB級臭さを含んだシンフォニックメタルを聴かせる。
キャッチーなコーラスなどもなかなかいい感じで、HELLOWEEN風味のリフやメロディもあったりして、
むしろ心はジャーマンメタルという感じか。シンフォメタルとしては重厚さや壮大さがまったく足りないのだが、
この素晴らしいクサキャッチーさのおかげで微笑ましく聴けます。INSANIAなどが好きなクサメタラー諸君はぜひ。
シンフォニック度・・7 疾走度・・8 クサキャッチー度・・9 総合・・7.5
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Fogalord「Legend to Believe in」
イタリアのシンフォニックメタル、フォガロードの2012年作
SYNTHPHONIA SUPREMAのシンセ奏者とドラムが在籍するという新たなバンドで、
大仰なイントロからして期待させるが、サウンドは力強くないハイトーンヴォーカルと
壮麗なシンフォニックアレンジで、ひと昔前のイタリアンメタルのようなクサさがたっぷり。
適度な貧弱さでクサフレーズととも疾走されると、もうたまりません。これだよ…これなんだよ!
初期Thy Majestie的なエピックな世界観とあいまって、その筋を悶絶させ、にやけさせること請け合い。
最近のバンドはクサメタルを卒業して地味にまとまってしまってつまらない、というアナタはぜひ!
シンフォニック度・・8 疾走度・・7 クサエピック度・・9 総合・・8
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MAGO DE OZ「Hechizos Pocimas Y Brujeria」
スペインのフォーキー・メタル、マゴ・デ・オズの2012年作
1994年にデビュー、スタジオアルバムは10作以上、ライブ作品も多数という、いまやスペインの国民的メタルバンドであろう。
本作はのっけからクサメロのフレーズとともに疾走、スペイン語の歌声を乗せたほどよい脱力感に、
ヴァイオリンやフルート、アコーディオンなどによるフォーキーな味わいもステキなのです。
メタルとしての激しさをここまで牧歌的に解釈できるとは、まさにこのバンドならではの聴き心地であるが、
一方では古き良き正統派HR/HM的な感触も残しており、そのあたりのバランス感覚とアレンジセンスも見事。
メロディックにしてキャッチー、牧歌的で濃密…という、問答無用の傑作です。
メロディック度・・8 フォーキー度・・8 スパニッシュ度・・9 総合・・8.5
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Melodius Deite「Episode II: Voyage Through the World of Fantasy」
タイのシンフォニックメタル、メロディウス・デイトの2014年作
Melodius名義だった前作「Dream On」は、まさに日本人好みのクサメタルが炸裂した好盤であったが、
本作は映画のようなナレーション入りのイントロから始まる、CD2枚組の大作となった。
楽曲自体はネオクラ気味のギターとシンフォニックなアレンジで疾走するメロスピサウンドで、
インストパートが増えた分、ずいぶんと曲が長くなっている。起伏にとんだ10分を超える大曲を
いくぶん唐突な展開とともにドラマティックな聴かせる作風は、ときにProgMetal的でもあるが、
あくまでメロディックなところは好感が持てる。力強さのないヴォーカルの歌う甘いメロディと
クサいギターフレーズには適度なB級臭さも残していて、にんまりしながら楽しめる濃密な力作だ。
メロディック度・・8 疾走度・・8 濃密度・・9 総合・・8
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緑川とうせいの「メタプロ研究室」
第11回「英国プログレ6〜RENAISSANCE」


Renaissance「Prologue」
英国のクラシカルロックバンド、ルネッサンスの1972年作
第一期ルネッサンスの2作目のレコーディングを手掛けたマイケル・ダンフォードを中心に結成。
希代の女性シンガーアニー・ハズラムをヴォーカルに迎えた、新生ルネッサンスの1作目である。
契約の関係でダンフォードはこの時点ではバンドメンバーにはならず、作曲のみの参加となった。
美しいピアノのつまびきにハミングが重なり、軽やかに始まる1曲めからこのバンドらしい優雅な聴き心地で、
黄金期の到来を告げる作品という感触だ。次作以降に比べると、楽曲には素朴な牧歌性を感じさせるのだが、
初々しいアニーの歌声に聴き惚れつつ、クラシカルな美意識を含んだ構築力はさすがで、
11分を超えるラスト曲にはラヴェルのボレロのフレーズを取り入れるなどのセンスも素晴らしい。
クラシカル度・・8 優雅度・9 女性Vo度・・8 総合・・8
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Renaissance「Ashes Are Burning」
英国のクラシカルロックバンド、ルネッサンスの1973作
「燃ゆる灰」のタイトルで知られるバンドを代表する傑作。
美しいピアノが鳴り響く、1曲目の“Can You Understand”のイントロからして、
このバンドのクラシカルな叙情美がすべて味わえるという…もう最高である。
そこに瑞々しいアニー・ハズラムの歌声が加わると、世界はしっとりとした優しさに包まれる。
どこかまだフォーク的な牧歌性を残したメロディに、艶やかなストリングスが重なって
雄大でありながらも、英国の優雅な土臭さともいうべき感触がとても耳に優しい。
ライブでの定番曲“Carpet of the Sun”の爽やかさにはうっとりと聞き入ってしまうし、
11分に及ぶラストのタイトル曲は、フォーキーなやわらかさで始まりつつ、
クラシカルな間奏部をはさんでラストに向かって盛り上がる感動的な名曲だ。
クラシカル度・・9 叙情度・・9 女性Vo度・・9 総合・・9
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Renaissance「Turn of the Cards」
イギリスのクラシカルロックバンド、ルネッサンスの1974作
「運命のカード」のタイトルで知られる名曲多数の傑作。
名作「燃ゆる灰」と「シェラザード夜話」にはさまれて、今一つ注目度の低い本作だが、
内容では決して引けをとらない。艶やかなピアノによるクラシカルなイントロから、
軽快なリズムで始まる“Running Hard”は、典雅なハープシコードがオーケストラと合わさり
シンフォニックに聴かせる屈指の名曲。アニー・ハズラムの瑞々しい歌声も素晴らしい。
“Things I Don't Understand”はクラシカルで叙情味豊かなドラマティックな大曲で、
ラスト曲の“Mother Russia”の雄大な美しさとともにこのアルバムの核をなしている。
やはり聴き直しても本作も素晴らしい作品だ。この時代のルネッサンスに外れなし。
シンフォニック度・・8 クラシカル度・・9 壮麗度・・8 総合・・8.5
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Renaissance 「Scheherazadeand other stories」
イギリスのクラシカルロックバンド、ルネッサンスの1975作
第二期の初期4作はどれもが必聴の傑作なのだが、中でもクラシカルな壮大さの点では
「シェエラザード夜話」のタイトルで知られる、本作こそが最高傑作であると断言できる。
クラシカルなピアノのイントロから、アニー・ハズラムの艶やかな歌声が加わると、
ファンタジックなシンフォニックロック的質感にぐいぐいと引き込まれてゆく。
名曲“Ocean Gypsy”の泣きの叙情で軽く昇天した後、24分を超える組曲
“Song of Scheherazade”はまさに本作のハイライトというべき、
ドラマティックかつ壮麗なクラシカルロックサウンドで感動させてくれます。
シンフォニック度・・8 クラシカル度・・9 壮麗度・・9 総合・・9
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Renaissance「Novella」
イギリスのクラシカルロックバンド、ルネッサンスの1977作
最初に聴いたRenaissanceのアルバムがこれ。今では「シェラザード〜」と「燃ゆる灰」が一番のお気に入りだが、
幻想的なジャケや「お伽話」というタイトルを含めて、本作は最初に聴くときにはとてもワクワクしたものだ。
壮麗なオーケストラから幕をあけ、アニー・ハズラムの絶品の歌声が響きわたる“Can Tou Hear Me?”、
クラシカルな“Midas Man”にうっとりし、ラストを締めくくる壮麗な“Tuching Once”まで、優しいお伽話に浸れる。
初期のようなフォークっぽさが薄れ、スタイリッシュな作風になった点で、一般のリスナーにも人気の高い一枚だ。
クラシカル度・・8 美麗度・・8 女性Vo度・・8 総合・・8
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緑川とうせいの「メタプロ研究室」
第10回「英国プログレ5〜CAMEL」

CAMEL
イギリスのプログレバンド、キャメルの1st。1973年作
ブリュー(Brew)というブルースロックバンドで活動していた、アンドリュー・ラティマー、ダグ・ファーガソン、アンディ・ウォードが
メンバー募集の広告を出していたピーター・バーデンスとセッションをへて意気投合し、キャメルが誕生した。
やはり代表作となるのは次作以降だと思うが、この1stは2nd「MIRAGE」同様、躍動感のあるロック色が濃い作品だ。
アンディ・ラティマーの奏でるギターはじつにメロディアスで、ピーター・バーデンスのメロトロンが美しい名曲、
「NEVER LET GO」をはじめとしてメロディックロックとしての確かな息吹を感じさせる。
メロディアス度・・8 プログレ度・・7 ロック度・・8 総合・・8
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CAMELMirage」
イギリスのプログレバンド、キャメルの2nd。1974年作
CAMELの最高作を挙げるなら、美しさでは次作「白雁」だろうが、メロディックロックとしてはダバコの絵柄でおなじみの本作だ。
アンドリュー・ラティマーのメロディアスなギターが鳴り響く躍動的な1曲目は、ギターフレーズで聴かせるプログレが好きな方なら
おもわずにんまりだろうし、しっとりとしたフルートの美しい2曲目や、ファンタジックな大曲“Nimrodel”など聴き所は多いのだが、
ラストには素晴らしき組曲“Lady Fantasy”が待ち構えている。繊細なメロディと英国ロックとしての魅力が合わさった初期の傑作。
メロディアス度・・9 ロック度・・8 たおやか度・・9 総合・・8.5
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CAMELThe Snow Goose」
イギリスのプログレバンド、キャメルの3rd。1975年作
ポール・ギャリコの小説「白雁」をテーマにしたコンセプトな大傑作。
雁たちの鳴き声から静かに始まり、ピアノをバックに美しいフルートがメロディを奏で出す。
インストの小曲を連ねて情景を描き出し聴かせてゆくという手法ながら、メロディを大切にした作りなので
難解さはまったく感じられない。ラティマーのやわらかなギターメロディもじつに素晴らしい。
2nd「Mirage」のような躍動感は薄いが、その分丁寧にまとめられたアルバムともいえる。
これはまさに聴く小説作品だ。リマスターにより音の繊細な美しさが際立って聴こえる。
メロディアス度・・9 プログレ度・・7 繊細度・・10 総合・・8.5 
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CAMELMoonmadness」
イギリスのプログレバンド、キャメルの4th。1976年作
「月夜のファンタジア」というタイトル通り、ジャケの幻想性ということならなら本作が最高だろう。
サウンドの方も、シンセに絡むゆるやかなフルートの音色がとても美しく、ラティマーの泣きのギターと
しっとりと聴かせるヴォーカルメロディとともに、まさに月夜を眺めるような心地を味わえる。
シンフォニックでスタイリッシュにまとめられた音は、これ以降のシンフォバンドのお手本とするような部分もあるだろう。
このバンドの持つ繊細な美しさをよく味わえる傑作だ。
メロディアス度・・8 幻想度・・9 たおやか度・・9 総合・・8.5
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CAMEL「BREATHLESS」
イギリスのメロディックロックバンド、キャメルの6th。1978年作
初期のアルバムと比べるとずいぶんとソフトになった印象だが、
メロディの良さは相変わらずで、全体的にも非常に聴きやすいアルバムだ。
ほのぼのとしたピーター・バーデンスのキーボードに、アンディ・ラティマーのメロウなギターワーク、
それにたおやかなフルートもなかなか効いている。歌メロなどはかなりポップで、
もはやプログレというよりはソフトなメロディックロックという印象であるが、
代表曲“Echoes”でのラティマー節の泣きのギターにはうっとりである。
メロディアス度・・8 プログレ度・・7 たおやか度・・8 総合・・8
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CAMEL「HARBOUR OF TEARS」
キャメルの1996年作
「港町コーヴの物語」と題された本作は、アイルランドの歴史における英国からの侵略と
移民へと旅立つ人々たちの悲哀に包まれたストーリーにしたコンセプトアルバム。
前作にも参加したスコットランドの女性シンガー、Mae Mckennaの美しい歌声から始まり、
アイリッシュなメロディを奏でるギターとうっすらとしたシンセが合わさり、もの悲しくも叙情的なサウンドを描いてゆく。
全体的にはインスト主体であるが、人間的な情感を感じさせる優しいメロディとともに、
ゆるやかに哀愁のドラマを構築してゆくセンスは絶品である。後期の最高傑作だろう。
ドラマティック度・・8 プログレ度・・7 繊細度・・9 総合・・8.5
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緑川とうせいの「メタプロ研究室」
第9回「英国プログレ4〜GENESIS」


Genesis「Nursery Cryme
ジェネシスの3rd。1971年作
新たにステファン(スティーブ)・ハケットとフィル・コリンズを迎え、黄金の体制となったバンドは、
物語性をともなった強固な世界観を構築、冒頭を飾る名曲“The Musical Box”の妖しげな世界観は、
ハケットのメロウなギターと、ガブリエルの濃密な歌声とともに、この時代でしかなしえない空気を作り出している。
とくに後半からラストへのダイナミックな流れなどは泣きの叙情が押し寄せてくるじつに感動的なものだ。
全体的な完成度からすれば、「Foxtrot」、「Selling England〜」の方が上かもしれないが、
この幻想的な物語世界はGENESISの作品中でも最高のものだろう。「怪奇骨董音楽箱」という邦題にもしびれた。」
メロディアス度・・8 プログレ度・・8 幻想度・・10 総合・・8.5
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Genesis「Foxtrot
ジェネシスの4th。1972年作
1曲め“Watcher of the Skies”のイントロのメロトロンからもう胸が踊る。
サウンドにはダイナミックさが加わり、プログレとしてのインパクトの点では
本作を次作とともにGENESISの代表作と位置づけることにもうなずける。
バンドとしての黄金期を感じさせる迷いのなさが、ドラマティックな世界観を強固にする。
そしてラストの大曲“Supper's Ready”は、プログレ的な緩急をつけた展開とストーリー性で
聴かせる22分を超える見事な大曲。前作、次作とともにGENESISの傑作三部作と呼びたい。
メロディアス度・・8 プログレ度・・8 ドラマティック度・・9 総合・・8.5
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Genesis「Selling England by the Pound
ジェネシスの5th。1973年作
最高作をあえて選ぶなら本作となるだろう。彼らの世界観である幻想美と、楽曲におけるドラマティックさが結実、
それがバンドの成熟とともに最高の形で組合わさったのが本作だ。ガブリエルのヴォーカルの表現力も増し、
ハケットの奏でるメロウなギターにトニー・バンクスのシンセワークがもっとも素晴らしいのもまた今作。
そして最高の名曲“Firth of Fifth”はイントロのピアノから感涙必至。ロマンに満ちた当時の空気すらも運んでくるようだ。
これぞ英国が生んだ幻想のシンフォニックロック。繊細にして感動的な名作である。
シンフォニック度・・8 プログレ度・・8 幻想度・・9 総合・・9
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Genesis「Trick of the Tail
ジェネシスの7th。1976年作
フロントマンであったピーター・ガブリエルが脱退し、ドラムのフィル・コリンズがヴォーカルを兼任、
初期の妖しい幻想性が薄れ、より強固になったアンサンブルと英国的な叙情とのバランスがとれたサウンドは、
良い意味で垢抜けてきていて、むしろ初期の作品が苦手なリスナーには本作を好む向きも多いようだ。
MEKONG DELTAもカヴァーした冒頭の7拍子の名曲“Dance on a Volcano”のタイトな恰好良さ、
そしてラスト曲“Los Endos”の叙情あふれるダイナミズムは白眉です。
メロディアス度・・8 プログレ度・・8 ドラマティック度・・7 総合・・8
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緑川とうせいの「メタプロ研究室」
第8回「英国プログレ3〜Yes/Rick Wakeman」


YES「The Yes Album」
イエスの3rd。1971年作。邦題は「サードアルバム」
本作は人気の高い次作「こわれもの」に比べると、まだコンパクトに完成されていない分、
ロックとしての本質的な温かみと躍動に満ちている。名曲“Your is no Disgrace”も含めて
個人的には大好きなアルバム。リマスターの音質向上により、スティーブ・ハウの細やかなギターワークが
クリアに聴こえビル・ブラッフォードのダイナミックなドラムもやはり素晴らしいと実感できる。
リック・ウェイクマン加入前ということで、トニー・ケイのやや素朴なシンセワークもむしろブリティッシュ的な質感で
このサウンドにはよくマッチしている。完全なメジャーバンドとなる一歩手前の、彼らの本質が聴ける素晴らしい作品だ。
メロディアス度・・8 プログレ度・・8 楽曲度・・8 総合・・8
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YES「CLOSE TO THE EDGE」
イエスの5thアルバム。「危機」のタイトルで知られる1972年作の名作。
言わずと知れたYESの最高傑作であり、18分にもおよぶタイトル曲の素晴らしさは彼らの絶頂期の勢いと
あふれ出すセンスをすべて凝縮したものである。張りつめた緊張感と演奏のテンション、
そこにドラマティックな展開美と、爽快なメロディを盛り込んで練り上げたこの大作は、
そのままこのアルバムの価値となっている。12分過ぎに鳴り響く荘厳なチャーチオルガン、
リック・ウェイクマンのソロパートを含めて、盛り上がりを見せる間奏部は圧巻。
また本作の魅力として、もうひとつの大曲“And You And I”の美しい牧歌性も見逃せない。
シンフォニック度・・9 名作度・・10 音質UP度・・10 総合・・9 
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YES「YES SONGS」
イエスの2枚組ライブアルバム。1973年作
スタジオアルバムにおいて緻密な構築力を持つこのバンドであるが、それはライブにおいても同様で、
本作で聴ける演奏は、じつに緻密でダイナミックである。バンドを離れることになったビル・ブラッフォードの代わりに、
急遽アラン・ホワイトが呼ばれて、なんとか1972年のアメリカ公演をこなした。その音源を中心にしながら、
ブラッフォード時代のテイクも数曲含まれた、バンドとしては苦労の末に作られたライブ作品なのだが、
そうしたものも含めた緊張感も確かに感じられる。ジョン・アンダースンの伸びやかなヴォーカルと
スティーブ・ハウのセンス抜群のギターフレージング、そしてリック・ウェイクマンのクラシカルなキーボードプレイはやはり抜群だ。
初期の名曲を網羅しながら、それを最高の演奏力で再現したこのライブアルバムは、バンドの代表作とも言える完成度であろう。
Disc2の“Close To The Edge”完全再現は感動的だし、個人的には“Your Is No Disgrace”も初期の名曲としたい。
メロディアス度・・9 ドラマティック度・・9 ライブ演奏・・10 総合・・9 
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RICK WAKEMAN「Six Wives of Henry VIII」
YESのキーボード奏者、リック・ウェイクマンのソロ作。1973年作
「ヘンリー八世の六人の妻」という、いかにもリックの時代的なロマン主義が反映された本作は
鍵盤の魔術師リックのピアニストとしての魅力もたっぷりと味わえる逸品だ。
ムーグやハモンドなどの時代的な音色と、クラシカルなピアノの音色がゆるやかに交差し、
中世を思わせるロマンティックな世界観と、格調高い英国の気品が凝縮されている。
“Catherine Howard”の優雅なピアノの旋律には、誰もがうっとりとなるだろうし、
“Jone Seymour”での荘厳なパイプオルガンやハープシコードの雅びな響きも格別、
そして彼の代表曲ともなる“Catherine Parr”のハモンドの早弾きは圧巻である。
クラシカル度・・9 プログレ度・・8 英国度・・9 総合・・8.5
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RICK WAKEMAN 「Myths & Legends Of King Arthur & The Knights Of The Round Table」
YESのキーボード奏者、リック・ウェイクマンのソロアルバム。1975年作
「ヘンリー八世と六人の妻」、「地底探検」と、クラシカルで幻想的な作品を作り出してきた
ウェイクマンの極めつけのアルバム。「アーサー王と円卓の騎士たち」というタイトル通り、
アーサー王伝説をモチーフにしたファンタジックなシンフォニックロック作品である。
壮麗なオーケストラとともに、雄大でエピックな世界を描き出す手法は今作で完成されたといっていい。
中世を思わせる優美なチェンバロの音色や、リックの奏でるたおやかなピアノも美しい。
ヴォーカルパートのバランスもよく、いわゆる初期の文芸三部作の中では一番の完成度だろう。
クラシカル度・・8 プログレ度・・7 ファンタジック度・・9 総合・・8.5
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緑川とうせいの「メタプロ研究室」
第7回「英国プログレ2〜PINK FLOYD」


PINK FLOYD「Ummagumma」
ピンク・フロイドの4th。1969年作/邦題「ウマグマ」
スタジオアルバムとライブ音源の2枚組という変則的な作品で、初期の実験的な精神性の集大成ともいえるアルバム。
Disc1はライブで、1st、2ndからの4曲を演奏。スケール感のある“太陽賛歌”をはじめ、
スタジオ盤以上にサイケとしての迫力と躍動的な演奏が楽しめる。Disc2のスタジオ音源の方は、
のっけから妖しげなメロトロンが鳴り響き、続いて美しいピアノの音色がやがてアヴァンギャルドな不協和音へと変わる。
鳥の鳴き声などが聞こえるサイケロック的なピクニック感覚と、神秘的な静謐感が合わさった音作りは
聴き手をぐいぐいと引き込んでしまう深みがある。幻想的なメロトロンの音色も美しく、
アコースティカルなフォーク的な牧歌性もいかにも英国的な情緒をかもしだしている。
英国度・・9 プログレ度・・8 幻想度・・9 総合・・8.5
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PINK FLOYDAtom Heart Mother」
ピンク・フロイドの5th。1970年作/邦題「原子心母」
初期のサイケ路線から方向性を模索したバンドが、オーケストラを導入した最高のシンフォニック作を作り出した。
有名な「狂気」のイメージが強いこのバンドだが、筆者が最初に好きになったのは何を隠そう本作であり、
オールインストの23分のタイトル曲はオーケストラルな雄大さとドラマティックな美しさに満ちた見事な大曲だ。
もちろんフロイドらしい内的な情緒もあって、深みのあるコーラスワークにオルガンの音色が絡む部分などは、
厳かな空気すらただよわせている。実際のレシピが付いた“アランのサイケデリック・ブレックファスト”もじつに洒落が効いている。
シンフォニック度・・8 プログレ度・・8 壮大度・・9 総合・・9
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PINK FLOYD「The Wall」
ピンク・フロイドの11th/1979年作
「狂気」のブレイクにより、しだいにバンド内での立場を強めたロジャー・ウォーターズが
自身の考えたコンセプトに基づいて作り上げた、2枚組の壮大なロックオペラ作品。
薄暗い叙情の好作「Animals」に続くアルバムとしては妥当な内容だと思うが、
初期のフロイドが好きな人間には、評価の微妙なアルバムのようでもある。
「聴衆との間に存在する壁」という、コンセプトとしては難解なテーマかもしれないが、
曲単位で聴けばむしろメロディアスな小曲の連続として、叙情的なサウンドが楽しめる。
重厚なシリアスさと、アコースティカルな素朴さを同居させた楽曲は、決して派手なものではないが、
ゆるやかなギターフレーズによる泣きのメロウさ加減や、うっすらとした美しいシンセ、オルガンに包まれて、
ウォーターズのメッセージ的な歌声がやわらかに響いてゆく。70年代最後のコンセプト傑作である。
メロウ度・・8 壮大度・・9 コンセプト度・・9 総合・・8.5
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PINK FLOYD「Is There Anybody out There? The Wall: Live 1980-1981」
ピンク・フロイドの代表作「The Wall」を完全再現したライブ作。2000年作
1980年から1981年にかけて行われたツアーから、イギリスのアールズ・コートでのライヴを収録。
時間をかけた壮大なステージセットや、アルバムの世界観を再現する演出の数々は
ブックレットの写真を見るだけでも感心するが、おそらくこの当時だからこそできたものだろう。
サウンドもステージの大きさに負けぬくらいに見事なもので、ゆったりとした曲調の中にも
緊張感と静寂の叙情があふれ、4人編成とは思えぬ濃密な空間を描き出している。
アルバム盤以上に楽しめるスケールの大きなライブ作品だ。
メロディアス度・・8 壮大度・・10 ライブ演奏・・8 総合・・8.5
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PINK FLOYD「ECHOESTHE BEST OF PINK FLOYD」
ピンク・フロイドの2枚組みベストアルバム。2001年作
メンバー自身の選曲と、新たなリマスタリングがほどこされた楽曲の数々は、
単なるベスト盤というよりは編集し直されたひとつの作品として聴き通すことができる。
コンセプト作である「The Wall」「狂気」、そしてシンフォニックな異色作「原子心母」あたりは
オリジナルアルバムで聴くべき作品だが、これからこのバンドの全貌を知りたいという方には
駆け足のベストとして機能するだろう。このバンドの持つゆるやかな叙情と独特の薄暗さ、
プログレ黎明の60〜70年代の空気を俯瞰して味わえる、なかなかお得な企画ものだと思う。
プログレ度・・7 フロイ度・・9 ベスト度・・8 総合・・8
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緑川とうせいの「メタプロ研究室」
第6回「英国プログレ1」


KING CRIMSON「IN THE COURT OF THE CRIMSON KING」
キング・クリムゾンの1969年作
「クリムゾン・キングの宮殿」として知られる、言わずと知れたロック史上に燦然と輝く名作。
ともかく、1曲目“21世紀の精神異常者”からして、そのインパクトたるやハンパではない。
サックスが不穏に鳴り響き、叫びのような歌声が狂気を振りまく、この始まりとジャケのインパクトがリンクして
1度聴いたらもう誰も忘れられない作品となる。続く“風に語りて”では、美しいフルートの音色とともに素朴な叙情を聴かせ、
名曲“エピタフ”の壮大かつ静謐な世界観にうっとりとなる。“ムーンチャイルド”でひと休みさせておいて、
ラストのタイトル曲のメロトロンの盛り上がりで圧倒される。楽曲ごとの不思議な魅力と、アルバムとしての構成も含め、
飽きることのない名盤に仕上がっている。60年代末に来た最初の衝撃。すべてはここから始まった!
ドラマティック度・・9 プログレ度・・9 名盤度・・10 総合・・9
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KING CRIMSON「EPITAPH VOLUMES ONE & TWO」
キングクリムゾン第一期(1969年)のオフィシャルブートレッグ。CD2枚組。1997年作
「KCのアルバムは色々聴いたが結局一番好きなのは宮殿なんだよなぁ」
…という私のようなファンにはうってつけ第一期のメンバーによる当時のライブ音源がよみがえった。
タイトルでもある名曲“EPITAPH”は3音源を収録し、どれもアレンジが違うという凝りよう。
グレッグ・レイクのVoにイアン・マクドナルドのフルート&メロトロン!すべてはここから始まった。
音質も年代を考えれば思いのほか良好で、臨場感溢れる演奏に涙。
叙情度・・9 プログレ度・・9 音質・・7 総合・・9
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EMERSON,LAKE & PALMER「Ladies and Gentlemen」
エマーソン・レイク・アンド・パーマーのライブアルバム。1974年作
EL&Pのロックバンドとしての側面を伝えるという点で、まずオススメしたいのが本作なのでである。
個人的にもこのバンドのもつ勢いとパワーを見直すきっかけとなったライブ作品である。
スタジオアルバムでのクラシカルなキーボードロックはそのままに、ライブでのバンドの演奏は
凄まじい勢いに満ちており、たった3人とは思えない突進力でで聴き手を圧倒する。
“聖地エルサレム”から始まり、アルバムよりもスピード感のある“タルカス”、
そして35分にも拡張された“悪の教典”と、CD2枚にわたって濃密な演奏が楽しめる。
バンドの絶頂期ライブというのはこれほど凄いのだということを知らしめる、必聴の作品である。
メロディアス度・・8 キーボー度・・10 ライブ演奏・・9 総合・・9 
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EMERSON,LAKE & PALMER「Brain Salad Surgery」
エマーソン・レイク・アンド・パーマーの5th。1973作。邦題は「恐怖の頭脳改革」
ギーガーの手によるジャケのインパクトもあいまって、一般的には最高作とされるアルバム。
“聖地エルサレム”の荘厳さに惹きつけられ、“TOCCATA”のプログレぶりに悶絶しつつ、
3、4曲目でひと息ついていると、極めつけの大曲“悪の教典#9”が襲いかかってくる。
3部構成、30分近くにおよぶこの長大な曲には、ELPというバンドの攻撃性とクラシカルな要素、
そしてハモンド、ムーグという鍵盤をロックのメイン楽器としたキース・エマーソンの野望、
そのすべてが詰まっており、まさにバンドとしての集大成的な作品である。
クラシカル度・・8 プログレ度・・8 キーボー度・・9 総合・・8.5
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緑川とうせいの「メタプロ王国」
第5回「クサメタル特集1」


FREEDOM CALL 「Beyond」
ドイツのメロディックメタル、フリーダム・コールの2014年作
1999年にデビュー、GAMMA RAYのキャッチーさとRHAPSODYのシンフォニック性を併せたというスタイルで
これまでも質の高いアルバムを作りづつけてきた。8作目となる本作も、GAMMA RAYばりのキャッチーなメロディを含んだ
正統派のメロパワサウンドがたっぷりと詰まっている。伸びやかなヴォーカルを乗せてフックのあるクサメロと
陽性の爽やかさとともに疾走するスタイルは、多くのメロスピファン、クサメタルファンを喜ばせるに足るクオリティで、
この安定感はもはや職人芸といえるだろう。サビではドラマティックなクワイヤとともに盛り上げる、
ファンタジックな雰囲気もよいですね。疾走しまくりの爽快さにニンマリ。またしても充実の出来ですわ!
メロディック度・・9 疾走度・・8 ジャーマン度・・9 総合・・8.5
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ASTRALION
フィンランドのメロディックメタル、アストラリオンの2014年作
シンセを含む5人編成で、きらびやかなシンセアレンジとハイトーンヴォーカルを乗せて疾走する
初期Power QuestやINSANIAばりのクサメロ系メロスピサウンドがのっけから炸裂する。
メロディはあくまでキャッチーで陽性、ミドルテンポのどっしりとした正統派メロパワ曲や
GAMMA RAYのような爽快なメロディック性も含んで、ジャケのダサさを思えば内容はじつに高品質。
疾走曲もよいのだが、それだけでもない古き良きHR/HM感触も随所に感じさせるのも心憎い。
ラストは13分の大曲という気合の入りよう。正統派メロパワ/メロスピ/メロディックメタルのファンはぜひ!
メロディック度・・8 疾走度・・8 クサキャッチー度・・9 総合・・8
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Derdian「Limbo」
イタリアのシンフォニックメタル、ダーディアンの2013年作
2005年にデビュー、初期はかなりB級のヘナチョコ系シンフォニックメタルであったが、
前作「New Era 3: Apocalypse」はクサメタルとしてのすべてをつぎ込んだ傑作となった。
4作目となる本作も、RHAPSODYばりの壮麗なクワイアにパワフルすぎない疾走感とともに、
理想的なシンフォニック・クサメタルを展開していて、まずは期待通りのサウンドにニンマリである。
適度なB級臭さを保ちつつ、ここまでメロディのフックと効果的なアレンジに富んだセンスというのは、
もはや職人芸といってもいいだろう。やや平坦なドラムサウンドが惜しいが、ファンがバンドに望むもの…
壮麗でシンフォニックかつ少しヘナチョコな愛おしさという…それらをほとんどすべて表現してくれている。
天晴れだダーディアン。僕らは君についてゆく。やはりシンフォニッ「クサッ!」メタルの天下は揺るがない。
メロディック度・・8 疾走度・・7 クサメタル度・・9 総合・・8
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Kaledon 「Antillius: The King of The Light」
イタリアのシンフォニックメタル、カレドンの2014年作
2002年にデビューしてから、マニア向けのB級クサメタル街道を走り続けてきたこのバンド、
今作もRhapsodyばりの壮麗なイントロから、すでにエピックなファンタジー臭がぷんぷん。
前作での完成度の高さを受け、サウンドはさらに重厚になり、シンフォニックなアレンジとパワフルな疾走感で、
まるでラプソ+ブラガのような聴き心地…といったら言い過ぎか、とにかくさらにクオリティが上がってます。
ヴォーカルの力量は並程度なのだが、楽曲の方の魅力が向上しているので、良質のクサメタルでありつつ
正統派のシンフォニックメタル、メロパワとしても十分楽しめる。ついにカレドンに総合8を付けるときがきたか。涙
ドラマティック度・・8 ファンタジック度・・8 重厚度・・8 総合・・8
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Wind Rose 「Wardens of the West Wind」
イタリアのシンフォニックメタル、ウインド・ローズの2015年作
前作はProgMetal的な好作であったが、2作目となる本作はエピックなファンタジー性を感じさせる世界観と
重厚なシンフォニックメタル要素が強まり、随所にケルティックな香りを含んだメロディとともに壮麗な聴き心地である。
リズムチェンジや展開力は楽曲にメリハリある起伏を生み出し、凡庸なシンフォメタルバンドとは一線を画していて、
勇壮なクワイアやオーケストラルなアレンジセンス、メロディックなフックでも、近年の新鋭バンドの中では抜きんでている。
RhapsodyやBlind Guardianなどを好む方なら、間違いなく楽しめるだろう、ドラマティック・シンフォニックメタルの力作だ。
ドラマティック度・・8 エピック度・・8 重厚度・・8 総合・・8
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Salamandra 「Imperatus」
チェコのメロディックメタル、サラマンドラの2014年作
1999年にデビュー、「チェコのラプソディ」などと呼ばれたりしながら、たいしてブレイクすることもなく
マニア好みのバンドとして活動を続けるこのバンド。6作目の本作はなにやらアラビックな旋律の曲から始まって
Orphaned Landみたいだなと思っていると、シンフォニックなアレンジに女性ヴォーカルの歌声も加わって
なかなか壮麗な聴き心地である。そして期待通りのクサメロ疾走曲がくると思わずニヤニヤ。
Rhapsodyというよりは、むしろGamma Rayのようなキャッチーなサウンド。Freedom Callなどのファンもぜひ。
メロディック度・・8 疾走度・・7 クサメロ度・・8 総合・・8


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緑川とうせいの「メタプロ研究室」
第4回「北欧プログレ特集2」


Zamla Mammaz MannaFamiljesprickor」
スウェーデンのプログレバンド、サムラ・ママス・マンナの1980年作
1970年にデビューし、1976年まではSamla Mammaz Mannaとして活動、その後バンドの頭文字をSからZに変える。
本作は第二期のラスト作にして最高傑作である。「家庭のひび割れ」と題されたタイトルやジャケも個性的だが、
サウンドの方も、土着的な民族色とテクニカルなアンサンブルが一体になった、他に類を見ない個性的なもの。
ユーモアに富んだアヴァンギャルドさは、チェンバーロック、ジャズロックなどの要素も含んでいるが、
ときに北欧的な叙情性をもかいま見せる本作は、バンドの作品中もっとも構築させた完成度の高いものだろう。
メロディアスなギターや美しいシンセワークなど、シンフォニック的な味わいもある名盤である。
メロディアス度・・8 プログレ度・・8 個性度・・9 総合・・8.5
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KEBNEKAISE「U」
スウェーデンのトラッドプログレバンド、ケブネカイゼの2nd。1973作
のっけから牧歌的なメロディでヴァイオリンが鳴り響き、北欧トラッド色全開。
楽曲的には次作ほどのダイナミックさはまだないのだが、
ヴァイオリンに絡むギターのフレーズといい、パーカッションの響きといい
このあまりに田舎くさく、土着的な音には思わず和んでしまう。
ラストの大曲もなかなか圧巻。ボーナスには貴重なライブ音源を収録。
メロディアス度・・8 北欧トラッ度・・9 ヴァイオリン度・・8 総合・・8
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KEBNEKAISE「V」
スウェーデンのトラッドプログレバンド、ケブネカイゼの3rd。1975作
このバンドの素晴らしいところはズバリ、北欧的トラッドメロディを、ロックフォーマットで聴かせる点だ。
ギターとヴァイオリンがときに優雅にときに情熱的にトラッドメロディをユニゾンするさまは圧巻。
そして、そこに絡むパーカッションが言い知れぬ郷愁を聴く者に感じさせる。
この日本人の演歌心にも通じるような土着的メロディには、一聴して心を鷲づかみにされた。
トラッドというにはあまりにダイナミックで分厚い音。シンフォニック・トラッドロックとでも呼ぶしかない。
メロディアス度・・9 北欧トラッ度・・9 ヴァイオリン度・・8 総合・・8.5
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PEKKA POHJOLASpace Waltz」
フィンランドのアーティスト、ペッカ・ポーヨラの1985年作
美麗なシンセに彩られた繊細な叙情でやわらかに聴かせる傑作。歌うようなペッカのベースに、
メロディアスなギターがかぶさり、しっとりとしたシンフォニックな聴き心地に思わずうっとりとなる。
独特のコミカルな味わいも含めて、力の抜けた自然体のサウンドはあくまで優しく、
プログレ/シンフォニックとしての要素なら、ペッカの作品中でも3本の指に入るだろう。
タイトル曲はもちろん、13分を超える“Risto”もじつに美しい。80年代ペッカの傑作である。
メロディアス度・・8 プログレ度・・8 繊細度・・9 総合・・8.5
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PEKKA POHJOLA「Changing Waters
フィンランドのアーティスト、ペッカ・ポーヨラの1992年作
美しさと繊細さ、芸術性が極まった、ペッカを代表するというような傑作。
北欧の涼やかな風を感じさせる繊細なピアノで始まり、優しくやわらかな情感と、
ほのかなユーモアに包まれたサウンドには、ただうっとりと聴き入るのみ。
プログレ、シンフォニックなどという言葉ではとても表現しきれない、
人間ペッカの作品…その暖かく、はかなく、優美な旋律には感動を覚える。
静かな情緒がじわじわと心を満たしてくれる。これが芸術家の音楽である。
メロディアス度・・9 プログレ度・・7 繊細度・・10 総合・・8.5
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TRIBUTE 「New Views」
スウェーデンのプログレバンド、トリビュートの1984年作
GONGのメンバーが参加していることでも知られるアルバムで、
フュージョン風味の爽やかさとシンフォニックな美しさが合わさったサウンドは、
北欧らしい涼やかなメロディアスさとジャズロック的な軽快な聴き心地がある。
インスト作品であるが、キャッチーなメジャー感覚は、プログレ/シンフォニックの範疇を超えて
より多くの人が楽しめるだけの普遍性を持っている。一方ではアコースティカルで素朴な叙情性も含み、
そのあたりが「北欧のマイク・オールドフィールド」とも呼ばれる所以なのだろう。
シンフォニック度・・8 軽快度・・8 北欧度・・8 総合・・8.5

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ANEKDOTEN「NUCLEUS」
スウェーデンのプログレバンド、アネクドテンの2nd。1995年作
1st「VEMOD/暗鬱」はリフの繰り返しの多さも含めて、いくぶん粗削りな作風であったのだが、
この2ndになると、楽曲アレンジが緻密になり、展開にドラマティックな起伏がついてきた。
ほとんどスタジオ一発録りだったという1stに比べて、計算されたダイナミズムにより、
メタルファンにも聴けるヘヴィパートがあるかと思うと一転、北欧的な静寂パートへの切り返しが見事。
そして、ここぞとばかりに盛り上がるメロトロンパートでは、「北欧のクリムゾン」と呼ばれる
面目躍如たる寒々しい叙情が襲いかかってくる。次作と並んでバンドの代表作である。
北欧叙情度・・8 重厚度・・8 メロトロン度・・8 総合・・8.5
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ANEKDOTEN「From Within」
スウェーデンのプログレバンド、アネクドテンの3rd。1999年作
ANGLAGARDに続いて現れたこのバンドは、北欧のクリムゾンとも呼ばれるそのサウンドで
コアなリスナーからの支持とともに90年代プログレの復興に大きな存在感を示した。
本作は、傑作だあった2nd「NUCLEUS」のドラマティックさに加え、1st「vemod」の
ヘヴィなダークさを併せたような最高傑作。鳴り響くメロトロンによる寒々しい叙情美と、
ゆるやかなダイナミズムが融合され、これぞアネクドテンというサウンドが展開される。
4th以降はゆったりとした薄暗系シンフォニックになってゆき、それはそれで好きなのだが
ぐいぐいと押し寄せてくる音のインパクトの点では、本作が絶頂期だったとも言えるだろう。
シンフォニック度・・8 重厚度・・9 北欧度・・9 総合・・8.5
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ISILDURS BANE「Sagan Om Den Irlandska Algen/Sagan Om Ringen
スウェーデンのシンフォニックロックバンド、イシルドゥルス・バーネの1st/4th。
1984年の1stと1988年の4thのカップリング盤。今でこそ北欧随一の知性派バンドとして
知られる彼らだが、初期の作品においては、よりファンタジックで繊細なサウンドを描いていた。
北欧神話をテーマにした1stは、美麗なピアノから、CAMELばりのメロディックなギター、
フルートの音色で聴かせる、じつに美しいインスト作品。素朴な暖かみと北欧的な爽やかさにうっとり。
4thは「指輪物語」をテーマに、シンフォニックな構築性を増した傑作。涼やかな叙情メロディがたまらない。
一方では、テクニカルなリズムを取り入れるなど後の作風の萌芽もかいま見える。初期の最高傑作。
シンフォニック度・・8 繊細度・・9 北欧度・・9 総合・・8
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ISILDURS BANE「MIND Volume 1」
スウェーデンのシンフォニックロックバンド、イシルドゥルス・バーネの7th。1997年作
1989年のアルバム 「Cheval」から、よりシリアスでクラシカルなアプローチにシフトしてきたバンドが、
本作においてさらなる一歩を踏み出したというべき力作。ヴァイオリンやチェロにトランペット、トロンボーン、
ホルン、オーボエ、フルートといった楽器による室内楽的な優雅さと、テクニカルな構築性が一体となり、
じつに高度なアンサンブルを形成、そして楽曲の向こうにシリアスで壮大なビジョンがかいま見える。
まさしく新時代の北欧シンフォニック、そして新たなプログレの形を提示してみせた傑作です。
クラシカル度・・8 シンフォニック度・・8 壮大度・・9 総合・・8.5
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緑川とうせいの「メタプロ研究室」
第3回「北欧プログレ特集1」


Dice
スウェーデンのプログレバンド、ダイスの1977年作
KAIPAとともに、自分の北欧プログレの入り口となったのがこのバンドなのです。
「北欧の夢」という日本盤タイトルや幻想的な色合いのジャケットも印象的だった。
土着的な叙情のカイパに比べると、こちらはもっとスタイリッシュなサウンドで
Yesタイプといってもよい軽妙な演奏力と、人懐こいキャッチーなメロディが魅力。
2曲め“Annika”のメロウなギターの旋律は、ハケットかセバスチャン・ハーディかというほど。
22分の組曲“フォリーズ”も圧巻で、70年代の北欧の作品としては、素晴らしい完成度の作品だ。
メロディアス度・・8 プログレ度・・8 北欧度・・8 総合・・8
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DICE「The Four Riders of the Apocalypse」
スウェーデンのシンフォニックロックバンド、ダイスの1978作
「北欧の夢」と題された1st以前に録音されたマテリアルで、 「黙示録の四人の御使い達」というタイトル通り
“戦い”、“疾患”、“貪欲”、“死”というテーマにそった、オールインストの組曲を作り上げている。
北欧らしい叙情を聴かせるギターフレーズと、オルガンやメロトロンなどのシンセワーク
そして軽やかに展開する楽曲構成は、土着的なKAIPAに比べて、YESやELPに近い感触だろうか。
緩急を織りまぜた演奏の中に、涼やかメロディとファンタジックな雰囲気が楽しめる好作だ。
ドラマティック度・・8 ファンタジック度・・8 北欧度・・8 総合・・8
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KAIPA「Inget Nytt Under Solen」
スウェーデンのプログレバンド、カイパの2nd。1976年作
21分の組曲を含む本作の完成度は最高傑作というにふさわしいものだ。
北欧らしい土着的なメロディに薄暗い叙情性を感じさせるサウンドは、
いくぶんの野暮ったさとともに、どこか我々日本人の琴線に触れる温かみがある。
そしてロイネの奏でるギターフレーズは、組曲の盛り上がりとともに泣きの旋律を響かせる。
70年代の北欧のイメージを決定付けた一枚。すべての叙情派プログレファンに聴いてもらいたい。
メロディック度・・8 メロウな叙情度・・9 北欧度・・10 総合・・8.5
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ANGLAGARD「Hybris」
スウェーデンのプログレバンド、アングラガルドの1st。1992年作
当時、ANEKDOTENに先駆けて現れたこのバンドが、90年代北欧プログレの活性化をになったのは間違いない。
「ザ・シンフォニック組曲」という邦題で店頭に並んでいた本作を聴いたときには、かなりの衝撃を受けたものだ。
クリムゾン的な緊張感に北欧の土着メロディを加え、そこに鳴り響くメロトロン、フルートと
好事家にはたまらないサウンドで、北欧の薄暗い森を思わせる神秘的な雰囲気も素晴らしい。
10分台の曲が3曲もあるという大作志向にもしびれたし、ANEKDOTENのヘヴィネスに比べると
こちらはずっとトラディショナルで、メロディに素朴な土の香りが感じられるのも魅力的だ。
バンドは2nd「Epiloge」、ライブ盤「Buried ALive」を発表後にいったん解散する。
シンフォニック度・・8 メロトロン度・・9 北欧度・・10 総合・・9
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ROINE STOLT「The Flower King」
The Flower Kingsを率いるロイネ・ストルトだが、その原点が1994年に発表したこのソロ名義のアルバムである。
かつてのKAIPAを愛していた自分にとっては、ロイネがシンフォニックロックへと帰って来たことが嬉しかったし、
それだけにこのアルバムの素晴らしさには当時いたく感激したものだ。とくに1曲めのタイトル曲の
泣きのギターフレーズとキャッチーなヴォーカルメロディは、この後のフラキンへの橋渡しをするような名曲である。
全体的にはプログレというよりはメロデックなロックという趣ではあるが、20分の大曲などには
後の作品につながる大作志向もあり、ともかく、ここに花王が誕生したという歴史的意義も大きな作品である。
メロディアス度・・9 プログレ度・・7 ロイネのギター度・・9 総合・・8.5
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THE FLOWER KINGS「Back in the World of Adventures」
新たにフラワー・キングスとしてのバンド体勢となっての1作目。1995年作
1曲目の13分のタイトル曲がまず素晴らしい。希望に満ちたキャッチーなメロディと
ロイネ・ストルトの泣きの叙情ギターが合わさった、まさにユートピア的なシンフォニックロック。
トマス・ボディーンによる温かみのあるシンセワークも随所に光っていて、北欧らしいメロディを盛り込んだ“Thema For A Hero”や、
美しい叙情が詰まったラストの大曲“The Big Puzzle”まで、大人の構築センスと深みのあるメロディの流れが楽しめる。
新たなバンドのスタートを感じさせる、まさに爽快な傑作に仕上がっている。
メロディアス度・・9 シンフォニック度・・8 北欧度・・8 総合・・8.5
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PAR LINDH PROJECT「GOTHIC IMPRESSIONS」
スウェーデンのシンフォニックロック、パル・リンダー・プロジェクトの1st。1994年作
北欧シンフォニックの金字塔的作品というべきPLPの名作。
鳴り響くメロトロン、幽玄なるパイプオルガン、北欧独特のもの悲しいメロディと薄暗い叙情美、
混声合唱やゲストによるたおやかなフルートの音色などもじつに美しい。
タイトル通り、ゴシック的なほの暗い美しさに包まれた世界観にうっとりと浸れます。
北欧シンフォとしてはまず外せない一枚。世界的に見てもド級のシンフォニック作品である。
シンフォニック度・・9 荘厳度・・10 北欧度・・10 総合・・8.5

PAR LINDH PROJECT「MUNDUS INCOMPERTUS」
スウェーデンのシンフォニックロックバンド、パル・リンダー・プロジェクトの2nd。1998年作
1st「Gothic Impressions」は管弦楽、チャーチオルガン、合唱隊などを配したド級のシンフォニック作で、
初めて聴いたときは大変な衝撃だった。多数のゲストを集めたソロプロジェクト的な作品だった前作に比べ
本作では女性ヴォーカルを含む5人編成でのバンドサウンドとなって、前作の壮麗さに加えて
よりロックとしての躍動感がそなわった作品となった。メロディはクラシカルでありながらもキャッチーで
音に難解なところがなく、聴いた瞬間から濃密なシンフォニックロックとして完全に楽しめるという点も魅力。
楽曲を彩る女性ヴォーカルの歌声や、メタルドラマー並に手数の多いツーバスドラムも聴きどころ。
26分の圧巻の組曲を含めて、1990年代を代表するシンフォニックアルバムのマスターピースのひとつである。
シンフォニック度・・9 ダイナミック度・・9 キーボー度・・9 総合・・8.5
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緑川とうせいの「メタプロ暗黒帝国」
第2回…最近オススメのブラックメタル

Watain 「The Wild Hunt」
スウェーデンのブラックメタル、ヴァーティンの2013年作
オールドスタイルのカルトなブラックメタルとして、毎作楽しませてもらっているが、
5作目となる本作も、古き良き感触のギターリフとともに激しく疾走する、
ミステリアスなブラックメタルサウンドだ。湿り気を帯びたダークな地下臭さは、
このバンドの独特の世界観で、妖しい神秘性を溶け込ませたサウンドにはぞくぞくする。
荒々しさの一方では、激しいだけでなく緩急をつけた知的な楽曲構造も見事なもので、
これまで以上に荘厳かつドラマティックな聴き心地が素晴らしい。文句なしの傑作。
ドラマティック度・・8 暴虐度・・7 荘厳度・・8 総合・・8.5 *過去作のレビューはこちら
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Enslaved 「In Times」
ノルウェーのプログレッシブ・ブラックメタル、エンスレイヴドの2015年作
90年代初頭から活動する、ヴァイキング・ブラックメタルの元祖ともいわれるこのバンド、
近年ではSolefaldにも通じるプログレッシブな感触を増したサウンドになってきていたが、
本作ではのっけから激しいブラスト疾走で、ブラックメタルとしての暴虐さを見せつける。
一方では、ノーマルヴォイスを含んだ知的な展開力も健在で、モダンなプログレ性と
プリミティブな激しさがダイナミックに融合した、独特のスケール感が本作ではより強く感じられる。
全6曲、すべてが8分以上の大曲というのもベテランバンドとしての確かな力量を示している。濃密な力作です。
ドラマティック度・・8 暴虐度・・7 知的センス・・8 総合・・8 *過去作のレビューはこちら
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Pantheon I 「From the Abysss They Rise」
ノルウェーのブラックメタルバンド、パンテオン・I・の2014年作
1349、NIDINGR、DEN SAAKALDTE、TROLLFESTなどのメンバーが集ったバンドの4作目。
本作もツインギターに女性チェロ奏者、さらにはヴァイオリン奏者も含んだ編成で、
ダークでドラマティックなクオリティの高いブラックメタルサウンドを聴かせる。
随所に北欧らしい叙情的なギターリフも覗かせつつ、激烈なブラストを含むリズムチェンジと
緩急ある構成で、激しさの中にも妖しい世界観をともなった雰囲気が強まっている。
中盤にはなんとEMPEROR“Thus Spake the Nightspirit”のカヴァーも披露。
暴虐なだけでない、構築力とメロディックなテイストのあるブラックメタルが好きな方はぜひ。
ドラマティック度・・8 暴虐度・・7 荘厳度・・8 総合・・8 *過去作のレビューはこちら
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ABSENTIA LUNAE 「Vorwarts」
イタリアのブラックメタル、アブセンティア・ルナの2014年作
絶叫と語りのような朗々とした歌声を使い分けるヴォーカルとともに、重厚かつ大仰なミステリアス性と
ブラスト疾走する暴虐性を兼ねそろえたサウンド。激しいだけでなくテクニカルなリズムチェンジや
スローテンポでの絡みつくような妖しい雰囲気もあって、7分、8分という長めの楽曲でも
メリハリのついた展開力で聴かせてくれる。寒々しい荒涼感とエピックな勇壮さが合わさった
得体のしれない迫力が感じられて、硬派なサウンドでありながら壮大な世界観が垣間見える。
重厚でダーク、そして知的な構築性を含んだドラマティックブラックメタルの力作だ。
ドラマティック度・・8 暴虐度・・8 ミステリアス度・・8 総合・・8
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NIGHTBRINGER 「Ego Dominus Tuus」
アメリカのブラックメタル、ナイトブリンガーの2014年作
ミステリアスなイントロから、曲が始まるとトレモロのギターリフを乗せて激しくブラスト疾走、
ヴォーカルのわめき声も雰囲気たっぷりで、アンダーグラウンドな妖しさとカルトな世界観に包まれた、
神秘的なブラックメタルが広がってゆく。いくぶん叙情を感じさせるギターリフが北欧ブラック的でもあり
激しさの中にも湿り気を帯びた感触がなかなか耳心地よい。MARDUKなどにもひけをとらない迫力と説得力、
アメリカのブラメタもここまできたか、というような、硬派な激烈さと闇の幻想性に覆われた力作である。
ドラマティック度・・8 暴虐度・・9 ミステリアス度・・9 総合・・8.5
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From The Vastland 「Temple of Daevas」
イランのブラックメタル、フロム・ザ・ヴァストランドの2014年作
サウジアラビアにはAl-Namroodがいたが、イランにも本格派のブラックメタルバンドがいたのですな。
アラビックでミステリアスなイントロから、曲が始まると激しいブラスト疾走でたたみかける、
MARDUKばりの激烈なサウンドが襲い掛かる。ダミ声ヴォーカルにもなかなか迫力があり、
中東のバンドだと知らなければ、普通に北欧のプリミティブブラックだと思ってしまいそうだ。
激しいだけでなく、緩急の付いた楽曲構成や、随所に適度な叙情性も覗かせるセンスも見事。
ややラウドな音質もむしろ怪しさを助長している。中東らしさをあまり前に出さない正統派ブラックの力作。
ドラマティック度・・8 暴虐度・・8 中東度・・7 総合・・8
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緑川とうせいの「メタプロ研究室」
第1回…2015年作品のオススメ

Luca Turilli's Rhapsody 「Prometheus.Symphonia Ignis Divinus」
イタリアのシンフォニックメタル、ルカ・トゥリッリズ・ラプソディーの2015年作
ルカ・ラプソとしての2作目で、SFファンタジー的な雰囲気を漂わせるシンフォニックかつモダンなイントロ曲から始まり、
アレッサンドロ・コンティのパワフルなヴォーカルとクラシカルなメロディを乗せて疾走。優雅で美麗なアレンジと
キャッチーなメロディアス性によるライトでやわらかな聴き心地が、むしろメタルメタルしていなくてよい感じです。
ときおり入ってくるネオクラ風のギターにしてもうるさすぎず、本物のクラシックを知る人間が弾くフレーズのように、
ピアノによる旋律と絡みながら優美に楽曲を彩っている。曲によってはイタリア語による歌詞も出てきたり、
男女ヴォーカルによる本格的なアリア曲も含め、アルバムとしてのメリハリも十分。ラストの18分の組曲はまさに圧巻で、
オペラティックな優雅さをシンフォニックメタルで華麗に表現したという、ルカにしかなしえない素晴らしい傑作に仕上がっている。
シンフォニック度・・9 メタル度・・7 優雅度・・9 総合・・8.5
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Cradle of Filth 「Hammer Of The Witches」
イギリスのヴァンパイア・ブラックメタル、クレイドル・オブ・フィルスの2015年作
1994年デビュー、すでにキャリア20年を誇るベテランとなったこのバンド。11作めとなる本作は
女性Vo&ハープ奏者を含む6人編成となり、のっけから激しいブラストでたたみかける強力なサウンドを聴かせる。
ダニのヴォーカルも一時期よりも迫力が戻ってきていて、高音の絶叫はまさにクレイドル節である。
随所にツインギターのメロディや美麗なシンセワーク、女性コーラスなどもアクセントになっていて、
緩急の付いたリズムチェンジとともに、ドラマティックでシアトリカルなシンフォニック・ブラックが楽しめる。
20年にわたってクオリティの高い荘厳な作品を作り続ける、まさに世界最高のエクストリーム系バンドのひとつだろう。
ドラマティック度・・8 暴虐度・・8 クレイドル度・・9 総合・・8.5 *過去作のレビューはこちら
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Barren Earth 「On Lonely Towers」
フィンランドのプログレッシブ・デスメタル、バレン・アースの2015年作
元AMORPHISのシンセとベース、、MOONSORROWのドラム、WALTARIのギターなど豪華メンバーが集結したこのバンド、
3作目となる本作ではヴォーカルのミッコ(Swallow the Sun)が脱退したことでVoが交代している。
叙情的なイントロから幕を開け、ツインギターのリフと叙情フレーズに吐き捨てのデスヴォイスを乗せた
知的で構築的なメロディックデスメタルが炸裂する。雰囲気としてはやはり「壮大になったAMORPHIS」、
という言いかたが一番近いかと思う。メロトロンの音色を含んだよりプログレ的なシンセアレンジや、
適度な激しいProgMetal的な展開力も素晴らしい。10分を超える大曲ではじっくりと聴かせるスローパートに
ストリングスのアレンジも加わったりと、叙情豊かでメロウな耳心地。じつに見事な傑作に仕上がっています。
ドラマティック度・・8 叙情度・・8 知的アレンジ度・・9 総合・・8.5 *過去作のレビューはこちら
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A FOREST OF STARS 「Beware the Sword You Cannot See」
イギリスのプログレッシブ・ブラックメタル、フォレスト・オブ・スターズの2015年作
「Victorian psychedelic black metal」を名乗り、女性ヴァイオリン&フルート奏者を含む7人編成のバンド。
4作目となる本作も、艶やかなヴァイオリンの音色に幻想的なシンセアレンジによるプログレッシブな味わいと、
激しく疾走するブラックメタル要素が融合した独自のスタイルで、優雅でセンス豊かなサウンドを描いている。
随所に女性声も含んだ美しさと、ダークな妖しさを描くファンタジックな世界観とともに、聴き手の想像を刺激する。
後半は6パートに分かれた21分の組曲で、さらにプログレッシブでスペイシーな雰囲気と、ミステリアスな壮大さに包み込まれる。
Solefaldなどとはまた違った、幻想的なプログレ・ブラックメタルが楽しめる力作です。
ドラマティック度・・8 プログレッシブ度・・8 幻想度・・8 総合・・8 *過去作のレビューはこちら
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KARNATAKA 「Secrets Of Angels」
イギリスのケルティックロックバンド、カルナタカの2015年作
1998年にデビューしてから本作で5作目、復活作となった前作はじつに素晴らしい出来であったが、
今作ではまたしてもメンバーが変更。新ヴォーカルにはリヴァーダンスなどでも活躍したヘイリー・グリフィスが加入した。
シンフォニックな美麗アレンジに適度なハードさも含んだギターとケルティックな香りを漂わせたメロディ、
そして美しい女性ヴォーカルの歌声で聴かせるサウンドはよりダイナミックになり、シンフォニックメタルや
フィメールメタルのファンにも楽しめるくらいの聴き心地である。これまでにないぐっとキャッチーなナンバーや
しっとりとしたバラードなど、アルバムとしてのメリハリもあり、表現豊かなヘイリー嬢の歌声が素晴らしい。
ラストの20分の大曲は、ケルティックな世界観からシンフォニックメタル的に盛り上がりを見せる。まさに美麗傑作!
シンフォニック度・・9 美麗度・・9 女性Vo度・・9 総合・・8.5 *過去作のレビューはこちら
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NATIVE CONSTRUCT 「Quiet World」
アメリカのプログレメタル、ネイティブ・コンストラクトの2015年作
バークリー卒というギタリストを中心にした若手バンドで、知的な構築力にシアトリカルなドラマ要素と、
モダンなキャッチーさを混在させたというようなサウンドは、やや唐突なリズムチェンジも含めて非常にせわしなく、
ダイナミックな勢いに満ちている。激しいヘヴィネスを聴かせたと思いきや、QUEENのようなポップなコーラスに
シンフォニックな優美さも覗かせつつ、いきなり強烈なブラストパートが現れたりと、聴き手の予想のつかない展開で
例えば、Between the Buried and Meあたりにも通じるような、若手らしいなんでもありのごった煮感に包まれている。
また凄いバンドが出てきたな…いわば優雅なるヘンタイというか、極端な振り幅が楽しめる方にはおススメです!
ドラマティック度・・8 テクニカル度・・8 優雅なヘンタイ度・・9 総合・・8
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