夢日記 7
1992〜こんな夢をみた

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1992/7/26

私は四日前から部屋の机にむき出しのままで置いてあった、今川焼き三個を食う決意をした。
手に取ってみると、それはまだ温かく食欲を誘った。
三個のうちわけはカスタードクリームチーズ小倉あんだった。
私はまず一個目を食べた。黄色いクリームが入っている。カスタードだろう。
それにしてはちょっと∃ーグルトっぽいが、でもうまい。続いて二個目を食べた。
こちらは正真正銘カスタードだった。すると一個目はチーズだったのかと納得した。
三個目は小倉で、中のあんはさすかに冷えていた。でもうまかった。
全部食いおわってから、私は明日下痢にならなければよいが、と心配した。

コメント
なんたる意地汚さ!∃ーグルトっぽかったから一個目はチーズって‥・納得するなよ。
全部食べちまってから心配しても遅いでしょうが。


1992/8/18

 私が伊集院大介であることを明かすと、少年たちは少なからず驚嘆した。
「そうか。やっぱり。部屋が最高級だし、香水はノクチューンだしな」
そういって少年たちは納得すると「彼女」のTELを教えてくれた。
「彼女」とは私が犯人に次に狙われると読んでいる少女だ。
私はさっそく電話をして彼女にそのことを話した。
しかし彼女は私の言葉にまったく取り合わず、「馬鹿みたい」と高笑いをするだけだった。
しかも自分のことは「」と読んでほしいと洒落たことまで言うのだ。
仕方ないので私はとりあえず電話を切り、仕事へ出掛けることにとした。

夕方になった。
仕事から戻った私は少し気掛かりになってもう一度彼女の家に電話した。
しかし誰も出ない。家には誰もいないのだろうか。それとも・・・
まさか。私の脳裏に不安がよぎった。数十回のコールの後、受話器の向こうに誰かか出た!
受話器から「誰へ?」と作り声のような声が聞こえる。
私はここは慎重になるべきだと、「血のしたたる墓場の女へ」と返した。
私にはこの相手の作り声にただ普通に答えるよりも、
はったりで何か暗号めいたことを言うほうがいいように感じられたのだ。
しかし・・・。
「何よ!まったいく馬鹿にして!」
ガチャンど電話は切れた。彼女の声だ。
私はほっと息をついた。よかった。まだ無事だったのか。 ・・・?「まだ」?
私は急いで再び電話をかけた。今度はすぐに彼女が出た。
「Mですか?」
「ああ!伊集院先生?」
「今一人なのかい?」
「ええ。ちょっとシャワーに入っていたの。それより先生。あのプレゼントステキね。どうもありがとう」
プレゼント?私はそんなものは知らない。
私は直観的に知った。
(そうか奴はもう彼女とコンタクトを・・)
ということは、この電話もどこかで奴に聞かれていることも・・
「いや、なに。気に入ってもらえて・・」
私は素知らぬ体を装って答えた。
彼女の声の様子は明らかに朝とは違っている。
そう、すでに私とは打ち解けた仲になっている、というような口調だった。
つまり「奴」は私になりすましてすでに何度も彼女と話をしていることになる。それから彼女は言った。
「今日は両親とも出掛けていて一人だから、ちょっと心細いな、って思ってたら、先生から電話があって。
戸締りをして誰も入れないようにしておけっていうから、そうしたんだけど。なんだか怖くて、
誰か友人に電話して来てもらおうかなって思ったの。けどやめたわ。先生がいるもの」
私は(まずいな)と思った。
戸締りの電話などはしてはいない。
彼女に家を外から入れない密室にしろ、といったのが奴なら・・・
奴はもうすでに彼女の家の中に・・・まさか。
(しかしまあ、友人に電話しようと思ったところまでは大正解だったんだがねぇ)
「いいかい。これから私がいくから。その前に誰か信頼のおける友人を呼んで来てもらっていた方がいい。じゃあ」

それから彼女は言われたとおり、友人に電話をかけようとした。
しかし、その時にはもう電話線は切られていた。彼女ははじめて恐ろしくなった。
部屋で布団をかぶり、すすり泣いた。
(伊集院さん、早く来て!)
そのとき、彼女の背後で気配がした。
(伊集院さん?)
しかし彼女は振り向けなかった。
大きな手が彼女を押さえ、固いひもが首にめり込んだ。
しばらくの抵抗の後、彼女は最後に悲鳴ともつかない声をもらして動かなくなった。
こうして、伊集院大介と「奴」との戦いが始まったのである。

私はこれを読み終えて、
「う−む。栗本薫のミステリーは何といったらよいのか、異国的な趣があるなあ」
と感心したのだった。

コメント
確かにほとんどミステリー小説ノリの夢ですね。で、それが全部本の話だったというオチもさすが私。
このころは栗本薫の小説を熱心に読みあさっていた時期でしたから、それが影響したのでしょう。
ちなみに「伊集院大介」というのは栗本作品に実際に登場する名探偵の名前です。


1992/8/27

我々の町はあるとき怪物どもに襲われた。
体は青黒くぬるぬると光って汚くぬめっている。怪物は上半身魚のインスマウス人のようだった。
我々は逃げた。階段を駆け降り、また上った。奴らは群れをなして追ってくる。
私は何度も捕まりそうになったが、その度に奴らをぶんなぐって逃げた。
私ともう一人の友人はとうとう建物の高いところに来て追い詰められた。後ろからは奴らが迫ってくる。
友人は「飛ぼう」といってにっこり笑った。私は少し恐ろしかったが、
我々が本当に「戦士の一族」であるのなら飛べるはずだ、と考え意を決して二人で手をつないで飛んだ。
落下する。私はあわてて足をばたばたさせる。
すると落下速度がゆるくなり、我々は水の上に落ちた。
泳いだ。
向こう岸には我々の仲間で私の大切な女性でもある彼女が待っていた。

三人になった我々は奴らと戦うことにした。
彼女は奴ら怪物を倒す方法を知っていた。我々は彼女の提示した場所へ向かった。
「あのバスに乗るのよ」と彼女が言った。私は走ってくるバスの屋根に飛び乗った。
彼女も走ってきて飛び乗ろうとする。私は手を差し出した。
彼女は「いつもそうして私に手をさしのべてくれる」とうれしそうに言い、私の手につかまった。
私は両手に力を込め、放すまいと彼女を引き上げた。
我々三人は目的の場所に着いた。
ここはヘドロの留池所だった。私はピンと悟った。
(そうかこのヘドロの中におびき寄せて熱すれば、奴らは溶けるのだ)
我々は固まっているヘドロの上に降りた。ヘドロは冷えきっていた。
怪物が我々の後を追ってぞろぞろと集まってきた。我々は急いで「あっためスイッチ」を探した。
奴らはしだいにその不気味な姿で我々を取り囲みつつある。
彼女も取り囲まれた。私がなんとか彼女を助けると、彼女の腕は針を打ち込まれて血が流れていた。
奴らは人間の体内に何かを打ち込み、寄生しているようなのだ。私もすでに針を打たれていた。
適合しない者は針を打たれるとすぐに死んでしまう。また適合したものもいずれは死ぬのだ。
これで我々三人のうちで生き残るのは友人であり、恋のライバルでもあるノアルだけだ。
しかし私は密かに彼女と一緒に死ねることが快くもあった。
だが今はとにかく我々はこいつら怪物どもをやっつけねばならない。
私はやっと「あっためスイッチ」見つけ、次々にONにしていった。
だがあっためには少々時間がかかる。
それまで怪物が近づかぬことを祈りつつ、私はスイッチを見つけてはONにした。
そのうちに怪物たちがうようよと近寄ってきた。私がスイッチを入れるのを阻止するつもりらしい。
ようやくヘドロはあったまってきていた。怪物は私に近づこうとしたとき叫び声を発して溶けていった。
(これで勝てるぞ)と私は思った。
しかし敵もさるもの。
親玉の命令一下、奴らは我々を攻撃するよりもスイッチをOFFにすることを優先しはじめた。
私は(やばい)と思い、スイッチをいじろうとしている怪物を殴る蹴るでどうにかやっつけていた。
そのうちにしだいに怪物の数は減っていった。
(これならもう少しで全滅にできる)と私が思いはじめたとき、
ノアルが彼女を背負ってここから逃げようとしているの見えた。
私は怒った。
(あいつめ、俺を見捨てて彼女と二人、飛行機で脱出するつもりだな)
私は怪物そっちのけで友人を追った。案の定、道路には脱出用の小型機があった。
そのころには町中に逃げ延びていた他の仲間たちもぞろぞろとやってきていた。
「さあ脱出しよう!」中の一人が言った。どやどやと皆が飛行機に乗り込んでゆく。
飛行機内はすぐに溢れかえった。
「これじゃ、これには乗り切れないわね。車を探しましょう」と彼女が言った。
ノアルは 「じゃあ俺も君と一緒に・・」と飛行機から降りようとする。
私は内心(来なくていい彼女と一緒にゆくのは俺の方だ)と考えていた。
すると彼女はノアルに言った。「ダメよ。飛行機を噪縦できるのはあなただけなのよ」
ノアルはしぶしぶとコックピットについた。私は(バンザーイ)と内心で叫んだ。
怪物がどうこうより、私にとってはこっちのほうが重大な問題なのだった。
ノアルたちの飛行機が飛び立った後、我々は車を探した。
残っていたのは私と彼女を入れて十数人。全員が乗れる車を探さねばならない。
一人のおじさんが駐車場に入ろうとしているが門がなかなか開かないようだ。私はいらいらとして、
「この際だ。路上のトラックを盗めばいいだろう」
と道路のトラックの方へ行こうとしたとき、駐車場の門が開いた。
バスが借りられた。
私はバスの後部口から乗り込んだ。おじさんやその他の仲間もどやどやと乗り込む。
私は彼女は当然後部座席の私の隣に座るものと思っていたのだが、彼女は前のほうの座席に着いた。
(おお。なんとつれない恋人よ)と私は思った。
しかしとにかくバスは出発し中仙道ぞいにO市へと向かった。

都心に近づくにつれ、辺りには煙を上げている家や壊れたビルなどが増え、被害の大きさを見せていた。
町にはどこにも人はいなかった。
やはりこれは全国的な襲撃だったのだということが改めて思い知らされた。
しばらく行くと先行していたノアルたちの車が見えてきた。
しかしすぐに怪物たちも車に乗り込んで後ろから追ってきていた。
奴らは彼らの守り神である花を取り返しにきたのだ。
あっという間もなく、ノアルたちの車は襲われ、怪物たちに取りつかれていった。
我々はためらいもなく彼らを見捨てることにして、ノアルらの車を追い越しざま車に向けて銃をぶっ放した。
(ありがとう。君達の犠牲のおかげで生き延びることができる)
そう思った瞬間。こっちのバスの窓に巨大なニワトリの頭が映った。
新手の怪物だ。私は持っていたショットガンを撃ち込んだ。
するとニワトリの顔は消えたが、ホッとするまもなく、今度は反対側の窓から顔が現れた。
私は撃った。今度は後ろの窓に顔が。
私は席を立ち、彼女をかばいながらニワトリの顔を撃ちまくる。
が敵はいっこうにこたえる様子がない。突然がたんと車体が揺らいだ。
ニワトリの怪物はとうとうこの車をひっくり返しにかかったのだ。
私は(ヤバイッ!)と思い、とっさに波女の体を抱き抱えて窓ガラスを破って外へ飛び下りた。
後ろを振り返りもせず我々は走った。
とある家の前にあった車に乗り込んだ。
のろい車だった。
しばらくのろのろと走っていると辺りには家がまばらになってきた。
やがてボロ車は途中で止まってしまった。我々は車を捨て走った。
後ろから全長40mの巨大な怪獣が迫ってくる。怪獣は我々の逃げる方、逃げる方へと追いかけてくる。
私は(なぜこっちへ・・)と不審に思いながらも逃げ続けた。
辺りは畑と林ばかりだった。突然前方から巨大な植物怪獣が出現した。
腹に大きな赤い花がついている。私はついに前後から怪獣に挟まれてしまったのだ。
(ううむ。モロボシ・ダン最火のピンチか・・)私は思った。
(ウルトラセブンはいつ来る?)怪獣が迫ってくる。

コメント
いやあ。長編でしたね。
「インスマウス人」というのはクトゥルー神話に出てくる魚人間みたいなやつ。
このころ多分栗本薫の「魔界水滸伝」を読んでいて影響をうけたもよう。
ヘドロのあっためスイッチで怪物を溶かしたり、体内に針を打たれで奇生されたりと、いろいろと大変そうです。
しかも友人のノアルと「彼女」を取り合ったり、彼の乗った車(始めは飛行機だったのに)を見捨てたりと、
三角関係ももつれています(笑)。ニワトリの化け物、そして最後は40mの巨大怪獣
・・・確かにものすごいビンチではあります。


1992/8/28

私は店でフライドチキンを食べていた。
ここの肉はなかなかやわらかく、脂もちょうど良い。歯ごたえもよく、とてもうまい。
私はバクバクと調子に乗って10コくらい食べた。
しかし後になってそれがネズミの肉だったことが判明した。
それを知った私は吐き気をもよおした。
そういえば確かに形がネズミっぽかった気がしたが、まさか本当にネズミをそのままフライにしていたとは!
私はたまらず吐いた。

コメント
確かにそりゃ吐きますわな。
しかし、10コも食う前に気づけよ、という気がしますが。


1992/9/10

それまで私は「デビルマン」は単純でつまらないアニメだと思っていた。
毎回デビルマンと敵のレッドデビルが憎み合い、殺し合うだけの、ドラマも何もないものだと。
毎度毎度レッドデビルの「テビルマン、殺してやる」という決めセリフももう飽きた。
しかし今回の話は違った。
今回は二人の戦いだけでなく、二人が操る大きさ20センチほどの人形の戦いにまで焦点を当てているのだ。
その人形はそれぞれがデビルマンとレッドデビルにそっくりだったが、戦い終わった後で
ニ体の人形はいとおしそうに抱き合い、「死ぬなよ、デビル」「レッド、お前もな」と慰め合っているではないか。
主人たちは憎しみ合っているというのにその持ち駒である人形は愛し合ってさえいたのだ。
私は改めてデビルマンの奥深いドラマを見たような気がしていた。
(ちょっとは見直したよ。デビルマン)と心の中で思った。

次の日、雑誌にもその記事が載っていた。
「ついに明らかになった壮大なドラマの8分の1」という見出しがついており、
そこにはデビルマンに登場するキャラクターの関係図のようなものが載っていた。
私は熱心にそれを読んだ。(う−む。こうなっていたのか)と感心した。
そこでは大魔界村のボスからドンキーコングまでの詳細な相関図とマップが載っていて私を唸らせた。
そこに出てくる敵キャラのアヒルはものすごくスピードが速く、強いという。触れると一撃で死んでしまうのだ。

私は運良くなんとかアヒルの攻撃を避けきった。
そして再び姫を助け出すために行かなくてはならない。
友人の女は「今度こそ。今度行けば、きっと新たな展開があるわ」と私を励ましてくれた。
私はさらわれた姫が残していってくれた保存データを見るためスイッチを押した。
すると床に5センチほどの四角い穴が開いた。
私はためらわず持っていた布団と一緒にそこへ飛び込んだが、
その前に姫の正体に関するデータだけは消去しておいた。
私にはたとえ姫が本当は何者であろうともかまわなかったのだ。
(何者であろうとも君を愛している・・)私はそう思いながら穴へ入った。
下の部屋に降り立つと、私はさっそく機械をいじろうとした。
そのとき突然アラートのレッドゲージが点滅し、表示されたデジタルのタイムがカウントを始めた。
(時限装置だ!)私は急いで機械をいじりまくった。
最初のうちは何度かポーズボタンでカウントを止められたが、やがて止まらなくなった。
時限装置でここは爆発するのた。
私はやむをえず部屋をあとにした。

コメント
・・デビルマン、ですか。ところで、「レッドデビル」って誰?
しかも二人が操る人形とは。。?その後雑誌の記事を見ていて、アヒルの攻撃を受けて
・・いつの間に姫を助ける戦士(?)になって、と大忙し。
床の5センチの穴・・・そんな小さな穴によく飛び込めるものだ(しかも布団と一緒に)。
あと「姫の正体」って・・・?ううむ、気になる。


1992/9/?

自転車で家への帰り道。
ふと空を見上げると暮れなずむ空に、いくつもの雲が浮かんでいる。
私はさっきからどうもその雲の色が妙に暗いことに気づいていた。
そのうちに雲はどんどん黒くなった。私は不吉な予感にとらわれた。
するとどうだろう!雲はいっせいに動きを速め、みるみるうちに空に一直線こ並んだのだ。
まるで一本の糸のように。たくさんの雲が空のはてまでまっすぐ並んでいる。
直列雲群!こんな奇怪なことははじめてだ。
しかも空は、その直列した雲を境目に、左右に裂けたかのように色が違っている。
これはただごとではなかった。何かが世界に起ころうとしている。
私は恐怖におののいた。

コメント
直列雲群・・・ですか。
確かにこの夢を見たときはとても怖かった覚えがあります。
一直線に並んだ雲と色の変わった空は、私には何かの暗示に思えたのかもしれませんね。


1992/10/12

朝目が覚めると、左の側頭部にがあいていた。
それはさしわたし10センチはあろうかという大きな穴で、かさぶたをはがすとどくどくと何かが流れ出した。
血だ・・・と思ったらそうではなく、バターだった。それにしても手で触ってみるが大きな穴だ。
このままでは死んでしまうと思った。もしかして自分はエイズだったのだろうか、などと考え悲嘆に暮れた。
このまま死んだら今書いている小説も完成できない。私の生とはいったいなんなのかと絶望した。
私は「死んでたまるものか」と自らの手で傷の手当てにかかった。
まず鏡に映して傷口を見てみる。
すると、なんと傷穴の中には肉と生姜がたっぷりとつまっているではないか。
これは昨日食べた豚の生姜焼き・・。
中の肉なんかはほとんど消化されていない。
私は(もっとよく噛むんだった・・)と思った。
消化されなかった肉と生姜が側頭部を溶かしたのだ。

コメント
じっさい怖かった・・。でもあんた。食べ物をどこで消化しているんだ?
「もっとよく噛むんだった」って・・・そういう問題じゃ・・


1992/11/16

実家の家に書生を下宿させることになった。
私ははじめからそいつを「何かうさんくさい奴だ」と思っていたが、
私の親はいたくその書生が気に人ったらしくあれこれと世話を焼いていた。
書生の方も表情に穏やかなていをとりつくろって、しずしずと受け答えをしている。
私が「コイツ。ただ者じゃない・・」と感じたのは、
奴が私の抹殺を計画していることを知ったときからだった。

その日は寒い雪の日だった。
今日は夜に学校の講義を取っておいたので行かねばならず、書生と私は馬車に同乗し学校まで行くことになった。
馬車に揺られながら、私はふとある恐ろしい予感にとらわれた。
辺りは暗く、しんしんと雪が降り積もっていたが、
私はもうはっきりとこの道が学校への道ではないことに気がついていた。
そういえば御者の顔にも見覚えがない。
もしや書生の奴が御者を抱き込み、私を殺すつもりで別の場所へ行こうとしているのではないか。
「させるか」と、私は相手の意表をついてやにわに馬車から飛び下りた。
地面に積った雪の中にもぐって隠れ、私はしばらくそのまま動かずにいた。馬車が遠ざかってゆく。

さて、書生が私を殺すためにこの家に来たのはもう明白だった。
問題はそれをどうやって親に知らせるか、だ。
ただそれを告げただけでは、すでに書生をひとかたならず気に人っている親のこと、
すぐには信じないばかりかそれが私のひがみだととられることもあり得る。
ちょうど私は友人のと電話をレていた。
Kは得意気に最近買ったというゲーム「グラディウスU」の音楽を受話器から聞かせてくれたが、
今の私はそんなものに感銘を受けている場合ではなかった。
それよりもどうやって書生のやつをうまく追い払うかだ。

あるときKが私の部屋に来ていた。
Kは得意そうに自分のイラストが書かれたハガキを私に見せた。
私はKに10枚ほどのハガキのイラストを見せた。
「そろそろ年賀状も書かんといかんと思ってな」
私は他にもイラストボードに描いたいくつかのイラストをKに渡そうとしたが、Kは「いい」といった。
私は一瞬腹が立ったがそれが「実にいい」という意味だと知ると満足した。
夕方になり、そろそろ私は部屋の戸締りを始めた。むろん書生の奴が私の部屋に人らぬためだ。
最近になって奴はこの家の中でいたって大きな顔をするようになっていた。
私の親にももう敬語などは使わず、気安く話をしている。
親の方もすでに安心しきった様子でそんなことは気にしていない。
私は書生を見るたびに内心で(大した奴だよ、じっさい。おまえは)と思っていた。
しかし私とてもみすみすやられるわけにはいかない。私は厳重に窓の鍵をかけた。
しかしばあちゃん洗濯物を取り込むときに鍵をかけわすれる可能性があるが、と心配もした。
・・まあいい。私は気を取り直してCDをかけた。こういうときはメタルを聴くに限る。
しかしいくらもたたぬうちにCDは音割れして、すぐに止まってしまった。壊れた。
その時、書生がずかずかと私の部屋に人ってきた。
私はそのあつかましさにむっとしたがそしらぬ体で、横にいたKに「うちの書生のXXくんだ」と紹介した。
書生はフンと鼻をならして「これからレコーディングするんだ。入るなよ」と言って自分の部屋へ
(おお。彼はすでにこの家で自分の部屋を持っているのだ)戻っていった。
私とKは顔を見合せ「XXのようだね」と言い笑い合った。

それからどのくらいの後だったか。ついに書生は私に宣言する。
「今日、ついにお前を殺すことになった。しかし、今すぐではない。もうすぐだ。いいか、待っていろよ」
書生は私を殺したその後、私になりすましてこの家の息子になるつもりらしい。
そのために私の彼女を奪い、その後私を亡き者にしようというのだ。
私は戦慄に震えた。しかし私にもある考えがあった。
このまま奴の好きにはさせぬ。私はそれに賭けるしかなかった。
 
コメント
悪の書生、ですかね。なんか時代的な話ですが(馬車とか出てくるし)。
影響源はたぶんこのころ好きだった江戸川乱歩の小説だと思われます(笑)。
すぐ影響されるんですよね。ちなみに「K」とは私の近所に住む中学からの友人です。


1992/12/4くらい
私は正義の味方として、ダンジョンの謎に挑んだ。悪は葬らねばならない。
数々の迷宮を抜け、トラップをかいくぐり、私は進んだ。
「残飯」や「本屋」のトラップにはなかなか手こずった。
しかしその後ついに、怪人と遭遇した。
敵はすごく強そうで、私は思わず逃げたくなったが、「正義の味方」なのでそれはできない。
こうなったらやるしかない、と私は必殺武器のムチを取り出し、ぴしりと叩いて威嚇した。
怪人はフェンシングのような剣を取り出して突いてきた。
私は怪人をムチでぴしりと叩くがあまり効かない。
私は敵に、実は私が弱いということを悟られてはいかんと思い、逃げ腰になるのをおさえて、突進した。
背後からは敵の戦闘員がわらわらとやってくる。
私は(コイツらなら倒せるぞ)とムチでぴしり、ぴしりと打った。
しかし戦闘員は思ったよりも強く、ムチの一撃では死なない。
最低でも2、3回ぴしりとやらないと吹き飛ばないのだ。
私はきりなく押し寄せてくるザコどもにしだいに追い詰められていった。
正義の味方の弱さを、私は心の中で再確認していた。

コメント
大変だなあ。正義の味方は。
たとえ弱くても敵に立ち向かわねばならんと。
でも「残飯」や「本屋」のトラップっていったいどんなの?


1992/12/22
私はとある豪華ホテルのホールでライブを見ていた。
バンドは三人組でSEによるバックミュージックが始まると、横に並んだメンバー三人が無言で歩きはじめた。
彼らは三人とも気味の悪い悪趣味な仮面をしていた。
観客は皆興奮していて、客席からは女の叫び声が絶え間なく上がった。いよいよ始まるのだ。
三人組は横に並んで、客席に背中を向けて歩きながらその仮面をはがしていった。
中でも目を引いたのはドラマーの背中にある大きな傷だった。
それが本物なのかメイクなのかは分からなかったが、ひどく大きな傷で赤い跡が背中の上から下までついていた。
さて、バンドが位置につき演奏を始めようとしたとき、主催者のウォルターバックが挨拶にステージ上に現れた。
彼は茶色のひげを生やした品の良さそうな紳士で、バズーカ砲をかまえて現れた。
そして余興にホールにあった騎士の鎧の置物に向けてバズーカ砲をぶっ放した。
鎧は吹っ飛び、手足がちぎれ四散した。
私はその瞬間はっとなった。脳裏にある映像が思い出されたのだ。
そうだ。こいつだ!
この男は確か以前、このバンドのメンバーの一人の恋人をバズーカ砲で殺しているのだ。テレビで見た。
私はその時のテレビ画面に映った無残な映像を今でも忘れていなかった。

ウォルターバックは馬に乗って恋人の女性を追いかけていた。彼女は必死で走って逃げている。
ウォルターは馬上から女性にフックの連打をあびせた。
右、左、と交互にパンチを繰り出し、さらにバズーカを構えると至近距離から彼女に向けてぶっ放したのだ。
女性は吹き飛び、崖を転げ落ち、数百メートルも下の草原をごろごろと転がった。
その映像はなにぶん空からヘリかなにかで撮影したもののようで、女性の姿は小さくしか映っておらず、細部は見えなかったが、
それだけに人形のようにひらひらと吹き飛んでゆく彼女の姿が無性にむごたらしく私の目には映った。
吹き飛びながら女性の体からは足の先などがちぎれ飛んでいるようにも見えた。
どっちにしてもこれでは即死に決まっている。
金色の髪を風になびかせる小さな人形のようなものが、ごろりごろりと転がってゆくその映像は
とてもショッキングで残酷なものだった。私は(ひどすぎる。許せない)と思ったものだった。
なんでも、彼女は恋人であるバンドメンバーの一人の給料を上げることに
反対したので、ウォルターの怒りを買ったそうである。
皮肉にも彼女の死によってウォルターは慰めに給料を大幅に上げたそうで、
メンバーもそれで納得したということだが、私はウォルターが許せなかった。
バズーカで人殺しをした奴が、こうもやすやすとのさばっているとはと、腹がたって仕方がなかったのだ。
 
コメント
ウォルター。悪い奴だ。お前は。
バズーカで吹き飛ばされた彼女はむごすぎる。
いったいその恋人のメンバーはこれからどんな気持ちで演奏をするのだろうか。
・・・などと夢なのについ細かいことを考えてしまいますね。


1992/12/27

私は南の海に来ていた。ハワイだろう。
クラスメートの外人たちは砂浜でサッカーを始めたりしていたが、
私は仲間には人らず一人海を見ながらたたずんでいる。
それからついに決心して、私は女子の更衣室に向かった。
中に入ってそこにいたさんに「さんを呼んできてくれる?」と頼んだ。
私はFさんをデートに誘おうと決意したのだ。
私は思い切ってTさんに「デートしたいから、って」と付け加えた。
すぐにFさんが来た。
私かデートに誘うと彼女はこくりとうなずいてくれた。
私達はまずこの場から密かに抜け出すことにした。
階段の前まで来ると見張りのおっさんが立っていた。ここをなんとか突破しなくては。
すると友人であるカップルが走ってきて、見張りを混乱させてくれた。
そのすきに私はFさんを背中に背負い「大丈夫かいFさん!早くしないと」と口に出して、
「Fさんが病気になったので私がおぶって保健室へ連れてゆく」というふりを装って、階段をかけおりた。
脱出に成功した我々は、無人の砂浜で二人座っていた。
海に沈む夕日が美しかった。私達はしばらくそれを見ながら無言でただ座っていた。

コメント
いや、淡い恋のお話ですね。
「クラスメートの外人たち」っていったいどんなクラスなんでしょう?
それに脱出するために彼女を背負い保健室へゆくふりをするとは。
なんとも可愛らしい。
「F」さんというのは中学のころ実際に好きだった女の子。・・幸せな夢でした。


これで1992年の夢は終りです。
この当時私は大学生になったばかり(うわっ。トシがバレるっ)。
まだまだ若若しい無邪気な(なかにはひどく異常な)映像が多かったですね。
さて次回は1993年度。
そのうちUPしますので、また見てくださいねー。ンガ・・ンン!(サザエさん風に)

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