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〜PROGRESSIVE ROCK CD REVIEW 2026 by 緑川 とうせい
★2026年に聴いたプログレ(フォーク/トラッド・その他含む)CDレビュー
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プログレの新年スタート!(12)
ALPHATAURUS 「2084: VIAGGIO NEL NULLA」
イタリアのプログレバンド、アルファタウラスの2024年作
1973年に1作を残して消えたバンドが、2012年に40年ぶりに復活、本作はさらに12年ぶりとなる作品で、新たにThe TripのB、Evil WingsのG&Voが加入している。
オルガンやピアノなど、ヴィンテージなシンセに朗々としたイタリア語のヴォーカルで、70年代スタイルの古き良きイタリアンロックを聴かせる。
前作に比べるとハードさは控えめで、ゆったりとした大人の叙情に包まれていており、10分を超える大曲は、牧歌的なアコースティックパートをまじえ、伸びやかなヴォーカルも含めた巧みな演奏で、展開力のあるサウンドが楽しめる。
ボリューム的にはもう1曲くらい大曲が欲しかったか。本作レコーディング後、オリジナルメンバーのギターが死去。
ドラマティック度・8 プログレ度・7 イタリア度・9 総合・8 過去作のレビューはこちら
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TRITOP 「RISE OF KASSANDRA」
イタリアのプログレバンド、トリトップの2023年作
のっけから13分という大曲で、ほどよくハードなギターにオルガンを含むシンセを重ね、軽やかなアンサンブルとともに、叙情的なシンフォプログレを聴かせる。
英語歌詞のヴォーカルが歌い上げるドラマティックな世界観と、テクニカルなリズムを含む緩急ある展開力も見事で、優雅でありながら濃密な味わいだ。
巧みなドラムとベースをはじめ、しっかりした演奏力の高さは、NEAL MORSEなどにも通じるだろうし、ProgMetalのリスナーでも楽しめるだろう。
アルバム後半は、23分という組曲で、きらびやかなシンセワークをまじえつつ、テクニカルでハードな部分とゆるやかな叙情が混在した起伏のある展開で構築される。
ドラマティック度・8 プログレ度・8 叙情度・8 総合・8
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ZoneM 「Sono Dentro Di Me」
イタリアのプログレバンド、ゾネムの2022年作
オルガンなどのヴィンテージなシンセをギターに重ね、ほどよいハードなアンサンブルに、朗々としたイタリア語のヴォーカルを乗せて、翳りを帯びたプログレを展開。
随所にミステリアスなシンセパートや、アヴァンギャルドな雰囲気も覗かせて、魔女めいた女性ヴォーカルも加わると、さらに耽美な妖しさにも包まれる。
クラシカルなピアノにエモーショナルなヴォーカルで聴かせるところなどは、BANCOを思わせつつ、イタリアらしいシアトリカルな空気と優雅さが混在する。
レーベルが「Black Widow」でないのが意外という気もするが、ほどよくダークで異色のプログレが好きな方にはお薦めです。
ドラマティック度・8 プログレ度・8 イタリア度・8 総合・7.5
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DEAD HEROES CLUB「HERO」
アイルランドのプログレバンド、デッド・ヒーローズ・クラブの2024年作
2004年にデビュー、11年ぶり4作目。逝去したシンガーに捧げるアルバムで、オールドな味わいのギターにやわらかなシンセ、ジェントルなヴォーカルで聴かせる、70年代ブリティッシュロック風のサウンドを聴かせる。
オルガンを使ったヴィンテージな感触と牧歌的な叙情に包まれて、プログレというよりはオールドなアートロックで、派手さはないがゆったりと楽しめる。
楽曲は6〜8分と長めのものも多く、全69分というボリュームでフロントマンを追悼する作品となっている。
ドラマティック度・7 プログレ度・7 オールドロック度・8 総合・7 過去作のレビューはこちら
GURANFOE 「Sum Of Erda」
イギリスのサイケロック、グランフォーの2019年作
アコースティックを含む叙情的なギターにオルガンやピアノ、フルート、リコーダーなども加わった、牧歌的なサイケプログレを聴かせる。
軽やかなリズム展開はプログレらしく、ときにカンタベリー風の優雅さにも包まれつつ、メロウなギターの旋律にゆったりと浸れる。
クラリネットやヴァイオリン、ヴィブラフォンなども加えた、チェンバーロック的なアレンジも覗かせ、サイケというにはスリリングな感触もある。
7〜9分前後の楽曲は、ほどよくユルくもアンサンブル志向で、オールインストであるがとても楽しめる。全5曲、36分というのも潔い。
ドラマティック度・7 プログレ度・8 優雅度・8 総合・8
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Zoltan 「First Stage Zoltan」
イギリスのプログレバンド、ゾルタンの2012年作
元Guapoのマット・トンプソン、弟で元Tytanのアンディ・トンプソンを中心に結成、ドラムは元Angel Witchで、本作が1作目となる。
基本はギターレスの編成で、軽やかなリズムに巧みなベースと、きらびやかなシンセワークで、スケール感のあるインストサウンドを展開。
いくぶんはEL&Pをルーツにした部分もありつつ、楽曲的にはアンサンブル志向で、静謐感のあるミステリアスな空気感も含んだ聴き心地。
ラストは14分の大曲で、変拍子リズムに優美なシンセを乗せた、GERARD的な感触から、スペイシーなシンセアレンジのサイケロックへと変化。
ドラマティック度・7 プログレ度・7 ミステリアス度・8 総合・7.5
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Zoltan 「Sixty Minute Zoom」
イギリスのプログレバンド、ゾルタンの2014年作
2作目の本作はジャケからしてアヴァンギャルド。アナログ感あるドラムに浮遊感あるシンセを乗せた、ミステリアスなインストサウンドを聴かせる。
シンセを重ねて幻想的な世界観を描く、Tangerine Dreamあたりに通じるナンバーもあって、ロック感触よりは雰囲気モノの色合いが強まった。
ラストは20分を超える大曲で、スペイシーなシンセの音色を乗せて、ゆったりと軽妙なアンサンブルで、不穏なサウンドを描いてゆく。
これという展開や派手な盛り上がりはないので、プログレとして聴くよりは、怪しいBGM的に鑑賞するのがよいでしょう。
ドラマティック度・7 プログレ度・7 ミステリアス度・8 総合・7.5
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THE BROKEN BRIDGES「CLOSE TO THE TRUTH」
ポーランドのプログレバンド、ブロークン・ブリッジズの2024年作
2019年にデビューし、2作目となる。適度にハードなギターにきらびやかなシンセを重ね、かすれた味わいのヴォーカルとともに、キャッチーなハードシンフォを聴かせる。
叙情的なギターの旋律やカラフルなシンセワークで、ARENAやTHE MUTE GODSなどにも通じる、いくぶん硬質感のあるスタイリッシュなシンフォプログレが味わえる。
メタリックでヘヴィなナンバーから、ノリのよいメロディアスハード風味なども、美麗なシンセアレンジがアクセントになっていて、なかなか楽しめる。
ラストは13分の大曲で、一転してジャズロック寄りの軽やかなインストアンサンブルから、ドラマティックなハードプログレへと展開する。
ドラマティック度・8 プログレ度・7 叙情度・8 総合・8
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ProAge 「A Different State of Reality」
ポーランドのプログレバンド、プロエイジの2017年作
涼やかなシンセを硬質なギターに重ね、朗々としたヴォーカルを乗せて、クールでスタイリッシュなモダンプログレを聴かせる。
ときに歪んだヴォイスを用いたダークな空気も覗かせつつ、歌い上げるヴォーカルとともにシアトリカルな流れを感じさせるあたりは、コンセプト作なのかもしれない。
メタル寄りのアグレッシブなノリを含んだナンバーも含めて、全体的に叙情性は薄めで、オルタナ風の翳りをまとった淡々とした聴き心地。
東欧らしいモダンプログレであるが、もう少し明快な盛り上がりやメロディのフックが欲しいか。
ドラマティック度・7 プログレ度・7 ダーク度・8 総合・7
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Silhouette 「Staging The Seventh Wave」
オランダのプログレバンド、シルエットのライブ。2017年作
2006年にデビュー、本作は2015年のライブをCD+DVDに収録。2014年作「Beyond The Seventh Wave」の完全再現を含むステージで、美麗なシンセと泣きまくるメロウなギターの旋律、中音域の優しいヴォーカルで、アルバム同様に甘美なシンフォニックロックを聴かせる。
プログレらしいきらびやかなシンセワークと叙情的なギターが重なるあたりは、PENDRAGONをさらにロマン派にしたような味わいで、シンフォプログレ好きならウットリであろう。
DVDの映像では、ジャケット姿のVoをはじめ、ダンディな様子のメンバーが泣きのシンフォを演奏する様が良い感じで、臨場感あるカメラワークもGoodです。
ライブ演奏・8 プログレ度・7 叙情度・9 総合・8 過去作のレビューはこちら
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THE BOXX ORCHESTRA 「OUT OF THE BOXX」
オランダのプログレバンド、ボックス・オーケストラの2021年作
叙情的なギターにオルガンが鳴り響き、エモーショナルな女性ヴォーカルを乗せて、EARTH & FIREにも通じる優雅なサウンドを聴かせる。
派手な展開はないが、ほどよくヴィンテージな温かみがあり、ギターはときにブルージーで、哀愁と泣きのフレーズも奏でている。
楽曲は3〜6分前後と、わりとシンプルで耳心地よく、上手すぎない女性Voもマイナーなシンフォ感をかもしだている。
KAYAKとまではいかないが、優雅でキャッチーな女性声シンフォが好きな方はどうぞ。
ドラマティック度・7 プログレ度・7 優雅度・8 総合・7.5
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FLUXURY「PERISHABLE GOODS」
オランダのプログレバンド、フラクサリーの2005年作
2001年にデビューし、2作目となる。軽やかなリズムに適度にハードなギターと美麗なシンセやピアノ、やわらかな女性ヴォーカルを乗せたシンフォプログレを聴かせる。
しっとりと聴かせるナンバーでは、Renaissanceにも通じる優美な耳心地で、優しい女性Voとシンフォニックなシンセワークが光っている。
10分を超える大曲も、あくまで優雅でやわらかに展開しつつ、ラストは華麗に盛り上がる。
アルバム後半には、男女Voによるミステリアスなナンバーもあり、9分の大曲も不穏な空気をまとわせるなど、美しくもダークな味わいだ。
ドラマティック度・8 プログレ度・7 優雅度・9 総合・7.5
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