プログレ/アメリカ・カナダ
~PROGRESSIVE ROCK /NORTH AMERICA
            by Tosei Midorikawa

掲載バンドはABC順になっています

M XYZ

■CDの評価に関しては、個人的嗜好が反映されることもあり、納得のいかない評価もあるかと思いますが、どうかご了承ください。

音楽ページTOP  *アメリカンシンフォニック特集
  



AD ASTRA
アメリカのプログレ・フュージョンバンド、アド・アストラの2008年作
G、B、Dr、Keyの4人組で、メロディアスなインストプログレをやっている。
あまりテクニカルすぎないリズムに、メロディックなギターフレーズとシンセを重ねた
軽やかな聴き心地の良さは、確かにフュージョンロック的な質感であるが、
あくまでメロディ主導なので、キャッチーなAOR感覚のインストとしても楽しめる。
メロディアス度・・8 テクニカル度・・7 楽曲・・7 総合・・7.5
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Ad Infinitum
アメリカのプログレバンド、アド・インフィニトゥムの1998年作
ロジャー・ディーンの手によるジャケやロゴからして、どうしてもYesを想起させるのだが、
サウンドの方は、メロトロンやオルガン、ムーグをふんだんに使った往年のプログレ感覚と
ややハード寄りの叙情的なギターワークに、ややクセのあるハイトーンヴォーカルで聴かせる、
むしろGenesisルーツのシンフォニックロック。古き良きプログレの要素をまとわせつつ、
7~10分台の大曲を、メリハリのある90年代らしい構築性でドラマティックに描いてゆく。
プログレ復興の意気込みを感じさせる力作であるが、バンドはこの一作のみで消滅。
活動を続けていれば、GLASS HAMMERのようになれたかもと思うと、惜しいですね。
ドラマティック度・・8 プログレ度・・8 叙情度・・8 総合・・8
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ADVENT「Cantus Firmus」
アメリカのシンフォニックロックバンド、アドベントの2006年作
結成は80年代と古く、1997年にデビューアルバムを出して以来9年ぶりの作品。
サウンドは軽快な抜けの良さがある爽やかなメロディが魅力のシンフォニックロックで、
ジャケの雰囲気などにも表れているように、ところどころに中世音楽的な色合いもある。
やわらかなヴォーカルライン、コーラスワークなど、キャッチーな耳心地と
古楽的な格調高さに加え、しっとりとした質感も併せ持っているのが個性的だ。
オフィシャルサイトにて試聴可能。KENSOのBが一曲でゲスト参加している。
メロディアス度・・8 シンフォニック度・・7 しっとり&爽快度・・8 総合・・8
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Advent 「Silent Sentinel」
アメリカのプログレバンド、アドヴェントの2015年作
傑作だった2006年作から、9年ぶりとなるアルバムで、中世音楽風味のメロディを含んだ優雅なサウンドは健在。
MAGELLANあたりを思わせるキャッチーなコーラスハーモニー、うるさすぎないシンセワークなど、
プログレハード的でもあるような聴き心地の良さが、スタイリッシュなサウンドを構築している。
2分前後の小曲をまじえつつ、19分という大曲も、派手さよりもタイトルのように静寂感をともなった
幻想的な叙情に包まれていて、メロウなギターにオルガンなどのシンセが合わさったシンフォニック性と
しっとりとしたやわらかさが絶妙にブレンドされている。ラストの12分の大曲まで、インストパートが主体ながら、
センスよく作り込まれたサウンドで、優雅な美意識が織り込まれた好作品に仕上がっている。
ドラマティック度・・8 プログレ度・・7 優雅度・・8 総合・・8
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AFTER ALL
アメリカのアートロックバンド、アフター・オールの1969年作
いかにも英国のアートロック的なジャケが印象的だが、サウンドの方もオルガンが鳴り響く
ブリティッシュロック風味で、軽やかなアンサンブルはNICEあたりに通じる感触もある。
ピアノやフルートなどの繊細な美しさに、ジャズ風味のやわらかな質感も含んでいて、
派手さはないものの69年という年代を考えれば、これはなかなかの好作品だと思う。
紙ジャケ再発されたSHM-CD仕様は音質もよいです。オルガンロック好きはチェック。
ドラマティック度・・7 プログレ度・・7 むしろブリティッシュ度・・8 総合・・7.5
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AFTER THE FALL 「In A Safe Place」
アメリカのプログレバンド、アフター・ザ・フォールの1997年作
G&Vo、Key、Drというトリオ編成で、きらびやかなシンセワークに叙情的なギターを重ね、ジェントルな味わいのヴォーカルとともに、優雅なシンフォプログレを聴かせる。
アメリカらしいキャッチーな抜けの良さは、のちのNEAL MORSEなどにも通じるが、こちらはまだ90年代スタイルのマイナーな叙情性を残している。
一方では、軽やかなインストナンバーは、HAPPY THE MANばりの優雅で軽妙な味わい…といったら言い過ぎか。
ラストは13分の大曲で、優美なシンセとメロウで扇情的なギターが重なり、プログレらしい緩急ある展開でじっくりと楽しめる。
ドラマティック度・7 プログレ度・8 優雅度・8 総合・7.5
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AFTER THE FALL「kNOwleDGE」
アメリカのシンフォニックロックバンド、アフター・ザ・フォールの2005作
アメリカらしい聴きやすいキャッチーな質感とドラマティックな展開が合わさった、
いかにもプログレ好きのオヤジ連中が作った…という雰囲気のサウンド。
お約束のプログレキーボードに、メロウななフレーズを奏でるギターもなかなかのもの。
楽曲にはメリハリがあるし、20分の大曲をこなすなど、気合も充分な力作なのだが、
細かなところでのアレンジや録音面などにやや素人臭さが見え隠れしてしまっているのが惜しい。
シンフォニック度・・8 プログレ度・・8 楽曲・・7 総合・・7.5

After The Fire「Signs of Change」
アメリカのメロディックロック、アフター・ザ・ファイヤーの1978年作
ヒット曲「秘密警察」で知られるバンドの自主制作時代のデビューアルバムで、
のちのニューウェイブなポップとは異なり、本作はオルガンにムーグシンセが鳴り響く
いかにも英国ルーツのプログレサウンドを聴かせる。ドラムを含めて録音はやや軽めながら、
リズムチェンジを含んだ緩急のついた展開力と、シアトリカルな表情を覗かせるヴォーカルなどは、
GENESISをポップ寄りにしたという感じもあるが、むしろJethro Tullのような牧歌的な叙情性が耳心地よい。
8分、11分という大曲も、軽快なリズムとローカルなやわらかさが同居していて飽きさせない。
あるいはQUEENをプログレ寄りにした雰囲気もあったりと、総じてキャッチーな感触の好作品です。
メロディック度・・8 プログレ度・・7 叙情度・・8 総合・・7.5
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Agah Bahari「The Second Sight of a Mind」
カナダ在住のイラン人ギタリスト、アガ・バハリのソロ作。2009作
キーボードにはデレク・シェリニアン、ドラムにはヴァージル・ドナーティが参加、
当然ながら音の方もPLANET Xばりのテクニカル・フュージョンロックが炸裂。
いくぶんのメタル色もありながら、技巧的なだけではなくしっとりとした曲もこなすあたりが
多彩なセンスを感じさせる。ドナーティのさすがのドラムプレイやデレクのシンセワークも
作品としての質を高めている。個人的にはもっと派手な超絶プレイを増やして欲しいか。
メロディアス度・・7 テクニカル度・・8 プログレ度・・7 総合・・7.5
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AJALON「On The Threshold Of Eternity」
アメリカのプログレハード、アジャロンの2005年作
NEAL MORSEのソロ作でベースを務める、Randy Georgeのバンドで、爽やかなメロディが心地よい
キャッチーで叙情的なプログレハードサウンド。ランディはベースの他、ギター、キーボードもこなすという
マルチプレイヤーぶりを発揮。ラスト2曲はそれぞれ10分を超える大作で、NEAL MORSEのアルバムにも通じるよう、
アメリカ的な爽快さとメロディアスな盛り上がりの、なかなかドラマティックな味わいが楽しめる。
ゲストにはそのNEAL MORSEの他、RICK WAKEMANなども参加している。
メロディアス度・・8 プログレ度・・7 爽やか叙情度・・8 総合・・8
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Ajalon「This Good Place」
NEAL MORSEのソロ作でベースを担当するRandy Georgeのバンド、アジャロンの2009年作
前作も爽やかなメロディが心地よいプログレハード作であったが、今作もじつにやわらかで優しい叙情が楽しめる好作品である。
ASIAを思わせるコーラスハーモニーに、AOR的なポップ感覚とともに、曲によってはフュージョン・プログレ的な軽やかさもあって、
新鮮味や派手さはないが、とても耳心地のいいサウンドを聴かせてくれる。
メロディアス度・・8 プログレ度・・7 爽やか叙情度・・8 総合・・8
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Akacia 「An Other Life」
アメリカのプログレバンド、アカシアの2003年作
メロディックなギターにきらびやかなシンセ、中性的なハイトーンヴォーカルを乗せ
YESをややハード寄りにしたようなキャッチーなプログレサウンドを聴かせる。
90年代のネオプログレ的な構築性と唐突な展開力にマイナーな空気感が同居した感触で、
のっけから16分の大曲、最後も22分の組曲で、全4曲57分という大作志向も気合が入っている。
オルガンを使ったオールドな感じの歌ものナンバーもありつつ、ECHOLYNのような優雅さと、
偏屈な意外性も盛り込んだ面白さもある。あとは、メロディのフックや盛り上がりがもっとあれば。
ドラマティック度・・8 プログレ度・・8 Yesルーツ度・・8 総合・・7.5
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Akacia 「The Brass Serpent」
アメリカのプログレバンド、アカシアの2006年作
正式なシンセ奏者が加わっての5人編成となった2作目。前作も曲が長かったが、
今作も36分というけっこうな大曲を含む全4曲。キミらはトランスアトランティックか!
アメリカのバンドらしいキャッチーなメロディアス性と、古き良きプログレらしい展開力で、
爽快な聴き心地にぐっと磨きがかかっている。ヴォーカルの表現力も上がったことで、
テクニカルなインストパートと叙情的な歌パートとのメリハリもよりくっきりとして、
YESルーツの構築センスをドラマティックに昇華できるようになった。これは力作!
ドラマティック度・・8 プログレ度・・8 Yesルーツ度・・8 総合・・8
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ALAN MORSE「Four O'Clock and Hysteria」
SPOCK'S BEARDのギタリスト、アラン・モーズのソロ作。2007年作
内容の方は、プログレ的な質感もあるにはあるが、基本は聴きやすいハードフュージョン系のインストで、
巧みに弾きまくるギターのセンスはなかなかのもの。実弟であるニール・モーズのシンセワークもしっかりと曲に映えており、
ドラムやベースのプレイも一流のメンバーらしく、テクニカルさと軽やかさのバランスのとれた、
良い意味でマニアックさの薄いサウンドとなっている。曲によってはブルージな渋みが前にでて、
スポビで聴かせるハードプログレよりのプレイよりも、もっと大人の香りがただよう作品だ。
メロディアス度・・8 プログレ度・・7 軽やかインスト度・・8 総合・・7.5
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Alec K. Redfearn and The Eyesores 「Sister Death」
映像作家としても活躍するミュージシャン、アレック K.レッドファーン率いるユニットの2012年作
自身の奏でるアコーディオンの音色に、オルガンが絡み、男女ヴォーカルが妖しく歌声を乗せる、
シアトリカルな雰囲気の作品で、ときにサイケ気味のギターなどがフリーキーなユルさをかも出す。
アコーディオンが鳴り響く優雅なチェンバーロック風味は、Katzen Kapellなどを思わせ、
サイケロックなところはAmon Dullのようと…なかなかとらえどころのない作風が魅力といえば魅力か。
ドラマティック度・・7 プログレ度・・7 チェンバーサイケ度・・8 総合・・7.5





All Over Everywhere「Inner Firmaments Decay」
アメリカのフォーク・プログレバンド、オール・オーバー・エブリウェアの2010年作
Deluge Granderのシンセ奏者も参加しているバンドで、アコースティックギターに
うっすらとしたシンセがかぶさり、女性ヴォーカルの歌声がやわらかに乗るという、
ゆったりと夢見がちなアシッドフォーク・プログレ風味のサウンド。ヴァイオリンにビオラ、
チェロ、フルート、オーボエ、さらにはアコーディオンやシタール、ダルシマーなど、
豊富な種類のアコースティック楽器を織りまぜ、ときにメロトロンを含めたシンフォニックさも含めて、
単なるフォークではないミステリアスで壮大な雰囲気を描き出す。うっとりとする幻想的な美しさです。
アシッドフォーク度・・8 幻想度・・9 女性Vo度・・7 総合・・8
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AMBROSIA
アメリカのプログレハードバンド、アンブローシアの1st。1975作
3rd以降の商業的なAORサウンドとはやや異なり、初期の彼らは英国プログレからの影響を受けたサウンドをやっていた。
かつての日本盤ジャケは差し替えだったが、こちらのオリジナルのジャケはいかにもプログレ的である。
美しいシンセワークにYESを思わせるようなキャッチーなコーラス、やわらかみのあるメロディとともと、ときにプログレ風に展開する曲調も魅力的だ。
メロディアス度・・8 キャッチー度・・8 プログレ度・・7 総合・・8
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AMBROSIA「Somewhere I've Never Travelled」
アメリカのプログレハードバンド、アンブローシアの2nd。1976作
スタイリッシュな統一感が増し、美しいコーラスハーモニーに彩られた傑作。
きらきらとしたシンセークがときにシンフォニックに包み込み、繊細なピアノにフルートの音色、壮麗なオーケストレーションなどとともに、
しっとりとした叙情美とキャッチーなメロディアスさを聴かせる。前作同様、ときどきプログレ風味も顔を覗かせて楽しませてくれる。
メロディアス度・・8 繊細度・・9 プログレ度・・7 総合・・8
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American Tears 「Branded Bad」
アメリカのプログレハード、アメリカン・ティアスーズの1974年作/邦題は「悪の烙印」
後にTOUCHを結成するミュージシャン、マーク・マンゴールド率いるバンドのデビュー作で、
エレピやムーグを使ったシンセに、マイルドなヴォーカルで聴かせるキャッチーなメロディックロック。
次作以降に比べると、プログレ的な要素は薄めの、地味目のAORという雰囲気ながら、
マンゴールドの鍵盤ワークは、随所にそのセンスと才能の片鱗を窺わせる。
完成度としては2作目以降には及ばないものの、ゆったりと聴ける好作ではある。
メロディアス度・・8 キャッチー度・・8 プログレハー度・・7 総合・・7.5
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American Tears「Tear Gas」
アメリカのプログレハードバンド、アメリカン・ティアーズの1975年作
後にTOUCHを結成するミュージシャン、マーク・マンゴールド率いるバンドの2作目で、
ポップなフィーリングとともに素朴な哀愁を感じさせるキャッチーなサウンド。
オルガンやムーグなどを使ったシンセの音色には時代的なプログレ色もあり、
トリオ編成ということで、若き日のマンゴールドの鍵盤さばきがたっぷり楽しめる。
本作に続く3作目を出してバンドは消滅、そのスタイルはTOUCHに受け継がれるが、
同時代のAMBROSIAなどとともに、プログレッシブロックへの憧憬が感じられる好作である。
メロディアス度・・8 キャッチー度・・8 プログレハー度・・8 総合・・8
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American Tears 「Power House」
アメリカのプログレハードバンド、アメリカン・ティアーズの1977年作
後にTOUCHを結成するミュージシャン、マーク・マンゴールド率いるバンドの3作目、
前作でのプログレ的なアレンジはやや薄まり、1曲目はよりアメリカンなポップフィーリングが強まった
普遍的なメロディックロックへと接近している。もちろん、楽曲によってはプログレハードとしての
キャッチーな叙情と英国ロックルーツの哀愁も残していて、随所にピアノやオルガンなどを含む美しいシンセワークが光っている。
メジャー志向のシンプルなポップ性と、往年のプログレハードの質感が同居した好作品である。
メロディアス度・・8 キャッチー度・・8 プログレハー度・・7 総合・・8
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AMERICAN TEARS 「Hard Core」
アメリカのプログレハード、アメリカン・ティアスーズの2018年作
1977年作以来、じつに41年ぶりとなる復活作。シンセ、ベース、ドラム、ヴォーカルを一人でこなす、
実質的にはマーク・マンゴールードのソロ的な内容で、オルガンやムーグを含むきらびやかなシンセワークに、
枯れた味わいのヴォーカルで聴かせるキャッチーなサウンド。楽曲は4~5分前後でわりとシンプルで、
ギターが入らない分、ロック的な部分での物足りなさはあるが、マンゴールドのキーボードがたっぷり味わえるという点では、
むしろオールドな雰囲気の鍵盤プログレハードという聴き方もできる。次回はぜひプログレらしい大曲もやってもらいたい。
メロディック度・・8 プログレ度・・7 キーボー度・・8 総合・・7.5
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AMERICAN TEARS 「WHITE FLAGS」
アメリカのプログレハード、アメリカン・ティアーズの2019年作
1974年にデビュー、1977年までに3作を残して消えるも、2018年になって、じつに41年ぶりとなる復活作を発表。
復活2作目となる本作も、シンセ、ベース、ドラムを一人でこなすマーク・マンゴールードのソロ的な作品となっている。
ムーグやオルガンを含むきらびやかなシンセに、自身のヴォーカルを乗せた、キャッチーなプログレハードで、
適度なノリの良さとともにヴィンテージロックの味わいでも楽しめる。ギターは使っていないことがハードさを抑えていて、
味わいのあるジェントルな歌声と、優美なシンセワークを引き立てている。9分の大曲などもオールドなロック感触で
80年代に回帰したような聴き心地。プログレというよりは、シンセ主体のヴィンテージロックというべき好作品。
メロディック度・・8 プログレ度・・7 ヴィンテージ度・・8 総合・・8
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AMPLEDEED 「A Is for Ampledeed」
アメリカのプログレバンド、アンプレディードの2013年作
2016年の2作目「BYOB」は、優雅な女性声アヴァンプログレの傑作であったが、こちらの1作目もなかなかのもの。
軽妙なリズムにエレピを含むシンセとギターを乗せて、唐突なリズムチェンジなどの偏屈な展開力とともに、
ジャズロック的な優雅さと、オルガンやムーグの音色を使ったオールドなプログレ感触も融合させたサウンド。
ハードめのギターに男性ヴォーカルを乗せたクリムゾン風のパートから、ジャズタッチのゆったりとしたナンバーなど、
小曲をはさみながら、わりと振り幅のある個性的な作風で楽しめる。ハイセンスなアヴァンプログレという点では、
MATS/MORGANにも通じるところも。女性声メインの次作はよりキャッチーな作風で、そちらも捨てがたい魅力がある。
ドラマティック度・・7 プログレ度・・8 優雅度・・9 総合・・8
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Ampledeed 「BYOB」
アメリカのプログレバンド、アンプレデードの2016年作
メロトロンやオルガン、ムーグの音色を含むシンセに、男女ヴォーカルの歌声を乗せ、
やわらかな優雅さと屈折感が同居した、軽妙なアヴァン・プログレを聴かせる。
歌メロなどはキャッチーで、むしろポップなのだが、随所にエキセントリックな展開と、
プログレらしい知的な構築センスを覗かせて、何度もニヤリとしてしまうという。
ツインキーボードによる厚みのあるメロディと、ほどよくテクニカルなアンサンブルで、
カンタベリーな優雅なジャズロックを、アヴァンプログレ化したような感触もある。
一方では、マイルドなヴォーカルを乗せたポストプログレ的なナンバーもあったり、
バンドとしての可能性を感じさせる。ポップで楽しい、優雅でカラフルな逸品です。
メロディック度・・8 プログレ度・・8 優雅度・・9 総合・・8
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Amuzeum 「New Beginnings」
アメリカのプログレバンド、アミュゼウムの2020年作
Mars Hollow、Ten Jinn、Heliopolisなどのメンバーを含むバンドで、Yesのビリー・シャーウッドがプロデュース。
アコースティックを含む典雅なギターの旋律に、オルガンなどのシンセとやわらかなヴォーカルを乗せた、
イエスルーツの優雅なプログレサウンド。スティーヴ・ハウばりのメロウなギターフレーズに、
オールドなプログレらしさ漂うシンセワークも耳に心地よく、キャッチーなコーラスも含めて、
じつに優美なサウンドが味わえる。10分を超える大曲でも、あくまで軽妙な優雅さに包まれて、
濃密になりすぎないところも心憎い。結果として、GLASS HAMMERなどのファンにもお薦めだ。
メロディック度・8 プログレ度・8 優雅度・9 総合・8
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Ancient Vision
アメリカのプログレバンド、エンシェント・ヴィジョンの1991年作
優美なシンセにいくぶんハードなギターを乗せ、マイナーな翳りに包まれたシンフォニックロック。
ややドタドタとしたドラムとわりと唐突な展開、力みがちのヴォーカルなど、いかにもB級な味わいではあるが、
緩急のあるドラマ性と日本人好みの幻想的な空気感には、往年のシンフォプログレへの憧憬を感じ取れる。
ラストは17分におよぶ大曲で、ゆるやかな叙情美とともにじわじわ盛り上げる。
バンドは、1993年に2作目を残して消えるが、2008年になって15年ぶりに復活を果たす。
ドラマティック度・・8 B級シンフォ度・・8 叙情度・・8 総合・・7.5

Ancient Vision 「Focus Or Blinders」
アメリカのシンフォニックロック、アンシェント・ヴィジョンの1993年作
1991年にデビュー、本作は2作目。やわらかなシンセの重ねに、ジェントルなヴォーカルを乗せ、
叙情的なギターの旋律とともに、GENESISルーツのシンフォニックロックを聴かせる。
幻想的ではあるがもっさりとしたサウンドは、ヘタウマなヴォーカルや突き抜けきらない楽曲展開も含めて、
いかにもマイナー臭さに包まれていて、よくも悪くも90年代のアメリカンシンフォらしい。
10分前後の大曲も含む全71分の力作であるが、楽曲の中庸感のせいでえらく長く感じるのです。
バンドは本作を最後に沈黙するが、2008年になって唐突に復活する。
シンフォニック度・・7 プログレ度・・7 叙情度・・7 総合・・7
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Andrew Gorczyca「Reflections」
アメリカのプログレハード、アンドリュー・ゴルチカの2009年作
2004年に他界したアーティストAndrew Gorczycaの残した楽曲を、兄弟であるChris Gorczycaがまとめあげた作品で、
エイドリアン・ブリュー、ブライアン・ベラー、SPOCK'S BEARDのニック・ディヴァージリオ、リョウ・オクモト、テッド・レオナルド、
など豪華なメンツが参加。サウンドはASIAKANSASあたりを思わせるキャッチーなプログレハードで、
シンプルな聴きやすさと爽やかなコーラスハーモニーが耳に心地よい。実力者の揃った演奏は
プログレ・フュージョン的な軽やかさの中にも、さりげなくテクニカルなものを聴かせるところが心憎い。
メロディアス度・・8 プログレ度・・7 キャッチー度・・8 総合・・8
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AN ENDLESS SPORADIC「Magic Machine」
アメリカのプログレバンド、アン・エンドレス・スポラディックの2016年作
マルチプレイヤー、ザック・カミンズを中心に、ベースにはTHE FLOWER KINGSのヨナス・レインゴールドが参加、
Djent的でもあるモダンなテクニカル性と、オルガンなどのシンセを含んだ往年のプログレ感触が融合したサウンド。
メロディックなギターフレーズに適度なヘヴィさを含んだProgMetal風味も覗かせ、ストリングスによる優雅なアレンジなど、
様々な要素をセンスよくまぶし、軽妙に仕上げたという聴き心地。オールインストであるが、起伏に富んだ展開力と
先の読めないスリリングな空気感も含めて、最後まで飽きさせない。とぼけた味わいの洒落っ気を巧みに盛り込みながら、
シンフォニック美しさも失っていない。まさにハイブリッドなモダンプログレである。ロイネ・ストルト、ジョーダン・ルーデスがゲスト参加。
メロディック度・・8 プログレ度・・8 優雅で軽妙度・・9 総合・・8
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ANGEL 「ANGEL/HELLUVA BAND」
アメリカのプログレハード、エンジェルの1975/76年作
後にGIUFRIAHOUSE OF LORDSで活躍するシンセ奏者、グレッグ・ジェフリアが在籍したバンドで、
ジーン・シモンズに見出されデビューを果たし、KISSの対抗馬やアメリカ版QUEENとまで称されたバンド。
本作は、1975年の1stと、1976年の2ndをカップリングした2CD。 オルガンやムーグなどを含む優美なシンセワーク
適度にハードなギター、伸びやかなヴォーカルで聴かせる、キャッチーなプログレハードサウンドで、
確かな演奏力も含めてデビュー作にして相当クオリティが高い。哀愁を含んだ叙情とメロディアス性に、
アメリカンロック的なノリもあるので普通にハードロックとしても聴きやすい。2作目になると、よりキャッチーで
シンプルな作風になっているが、随所に美しいシンセアレンジを織り込むところはさすがジェフリアである。
メロディック度・・8 キャッチー度・・8 ジェフリア度・・9 総合・・8
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ANTOINE FAFARD 「Sphere」
カナダのミュージシャン、アントワーヌ・ファファールの2016年作
Spaced Outのベーシストで、ソロとしては4作目となる。シンセ奏者でドラマーのゲイリー・ハズバンドが参加、
軽やかなリズムに巧みなベースプレイ、ジュリー・デ・ヴィリエ・ジュニアによるメロウなギターを乗せた、
優雅なフュージョン・ジャズロックサウンド。歌心を感じさせるアダルトなベースのフレージングに、
ホールズワースばりのギタープレイも随所に素晴らしく、派手なインパクトはないがじっくりと聴き入れる。
うるさすぎないシンセワークに、さりげなく軽妙なテクニックのドラムもサウンドをしっかり支えていて、
オールインストで64分は少々長いが、演奏力の高さも含めて玄人好みの味わいの逸品だ。
テクニカル度・8 ジャズ/フュージョン度・9 優雅度・9 総合・8
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ANTOINE FAFARD「BORROMEAN ODYSSEY」
カナダのミュージシャン、アントワーヌ・ファファールの2019年作
Spaced Outのベーシスト、5作目のソロ。シンセにゲイリー・ハズバンド、ドラムに現STYXのトッド・スチェルマンが参加、
巧みなドラムとベースによるグルーヴィーなリズムにスペイシーなシンセワークで、ディストピア的なストーリーをコンセプトに
インストによるテクニカルなプログレ・ジャズ・フュージョンロックを聴かせる。歌うように奏でられるベースプレイはさすがで、
PLANET Xばりのスリリングなアンサンブルの中にも優雅な叙情を垣間見せる。軽やかなリズムに優美なエレピが鳴り響くと、
英国的なジャズロックの質感にもなって、ほどよいプログレらしさも嬉しい。ベースのみならず随所にメロウなギターも奏でる、
ミュージシャンとしてのファファールの実力とセンスが遺憾なく発揮された優雅なる傑作である。
テクニカル度・8 ジャズ/フュージョン度・9 優雅度・9 総合・8.5
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ArcAngel
アメリカのプログレハードバンド、アークエンジェルの1983作
マルチプレイヤー、ジェフ・カンナタ率いるバンド名義の唯一のアルバム。
のっけから美しいシンセを使用したキャッチーなナンバーで、これぞアメリカン・プログレハードというサウンド。
きらびやかなコーラスに、間奏部のギターワークもなにげに見事だし、
この質の高さを思えば、バンドとして本作のみで終わってしまったことが惜しまれる。
なお、ジェフ・カンナタはこの後CANNATA名義でソロ作を発表してゆくことになる。
メロディアス度・・8 プログレ度・・7 キャッチー度・・8 総合・・8
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ArcAngel-Cannata 「Tamorok」
アメリカのプログレハード、アークエンジェルのジェフ・カンナタの2002年作
ギターにシンセ、ドラム、ヴォーカルをこなすカンナタ氏によるいわばベストアルバムで、
過去のソロ作やアークエンジェル時代の楽曲のリメイクなどを14曲収録している。
メロウなギターにやわらかなヴォーカル、うっすらとしたシンセとともに描かれる、
キャッチーなプログレハードサウンドは、TOTOなどを思わせる80年代風味のポップ感に包まれて、
耳心地よく楽しめる。ゲストによるギターソロやきらびやかにシンセワークも楽曲に彩りを添える。
ドラマティック度・・7 キャッチー度・・8 プログレハー度・・8 総合・・8
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ARC ANGEL 「HARLEQUINS OF LIGHT」
アメリカのプログレハード、アークエンジェルの2013年作
シンセ奏者でマルチプレイヤーのジェフ・カンナタが率いるバンドの1983年作以来、じつに30年ぶりとなる2作目。
CANNATA名義のソロは多数あるものの、まさかこのユニットでの復活とは驚きであるが、サウンドの方も、
美麗なシンセアレンジと枯れた味わいのヴォーカルで聴かせる、往年を思わせる古き良きメロディック・ハード。
総じてキャッチーな感触ながら、MAGNUMあたりに通じるドラマティックな雰囲気と、キャリアをへたミュージシャンの醸し出す
哀愁の叙情も素晴らしい。随所にプログレ風味のシンセや泣きのギターフレーズもよろしく、カンナタファンは必聴の仕上がり。
メロディック度・・9 キャッチー度・・8 枯れた叙情度・・9 総合・・8
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ARCHITECTURAL METAPHOR 「CREATURE OF THE VELVET VOID」
アメリカのサイケロック、アーキテクチュアル・メタファーの1997年作
1994年にデビューし、2作目。フリーキーなギターにオルガンやムーグなどのシンセを重ね、
女性ヴォーカルの歌声とともに、妖しい浮遊感に包まれたサイケロックを聴かせる。
かつてのAmon Duulなどにも通じる混沌としたサウンドであるが、ドラッギーというよりは
スペイシーなユルさが前に出ていて、長めの大曲でもさほど展開はない淡々とした感触。
アナログ感たっぷりのドラムも含めて、即興的な演奏で、70年代スタイルの、正統派(?)サイケが楽しめる好作品。
ドラマティック度・・7 プログレ度・・7 サイケ度・・9 総合・・7.5
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Arc of Life
アメリカのプログレハード、アーク・オブ・ライフの2021年作
ビリー・シャーウッド、ジョン・デイヴィソン、ジェイ・シェレンというイエスの現メンバー3人に、デイヴ・カーズナー、
ジミー・ホーンを加えた5人編成で、やわらかなシンセにキャッチーなコーラスハーモニーで、80年代のイエスや
エイジアにも通じるサウンド。スーパーバンドであるが、プログレというよりは、古き良きAORを思わせる作風で、
ジョン・デイヴィソンのやわらかな歌声も含めて、確信犯的なまでの80年代感覚が甦ってきて思わずニヤニヤとなる。
後半には9分を超える大曲もあり、緩急ある展開とともにぐっとYES度が高くなり、優雅なサウンドを聴かせる。
全体的にはこれという新鮮味はないのだが、大人のメロディックロック/プログレハードとしては、さすがの出来である。
キャッチー度・・8 プログレ度・・7 イエスやエイジア度・・8 総合・・8
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ARZ 「Turn Of The Tide」
アメリカのプログレユニット、ARZの2011年作
ギター、ベース、ヴォーカル、シンセをこなす、スティーブ・アダムス氏とドラムによるユニットで、
適度にハードなギターときらびやかなシンセによるインストパートに、ヴォーカルが入ると
Spock's Beardを思わせるキャッチーな感触に包まれるる。北米らしいメロディックな抜けの良さと
テクニカルな構築力とともに、10分を超える大曲もなかなかドラマティックに聴かせてくれる。
現時点では、まだいくぶんローカルな雰囲気が抜けていないのだが、実力あるヴォーカルでも入れば、
さらにいいバンドになりそう。いかにもアメリカンプログレらしいメロディックな力作です。
ドラマティック度・・8 プログレ度・・8 構築度・・8 総合・・7.5
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ASIA「ARMED TO THE TEETH/ASIA」
ASIAといってもあの英の超有名バンドとは同名別バンドで、こちらはアメリカのエイジア
2枚のアルバムを残して消えたバンドの1st/2ndカップリング。1978/1980年作。
英のASIAのようにポップ路線ではなく、こちらは正統派のプログレハードロック。
キャッチーな歌メロにメロディアスなフレーズを奏でるギター、オルガンやメロトロンを含むシンセと
楽曲はどれも叙情味にあふれていて、70'sハードロックとしてもなかなかの出来である。
とくに前半に収録されている2ndのクオリティは単なるマイナーバンド以上のものがある。
陽の目を当たらずに消えてしまったのが惜しまれるバンドであった。
メロディアス度・・8 プログレハー度・・8 楽曲・・8 総合・・8
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ASTRA「The Weirding」
アメリカのプログレバンド、アストラの2009年作
リヴァイバルブームやレトロな懐古主義が広まる中で、またしても凄いバンドが登場。
なにやらJethro Tullのようなフルートが鳴りつつ、曲が始まると、こもり気味のドラムを含めて
まるでスタジオで一発録りしているような音質にまたにやり。サイケかがった浮遊感に
メロトロンやオルガンもたっぷりと鳴らしつつ、70年代英国風味のヴィンテージロックを繰り広げる。
曲はどれも長いのだが、古めかしいファズギターの音色とともに演奏の力の抜け具合が耳に心地よく、
ときに二台の音色が重なる美しいメロトロンの響きに耳を傾けつつ、まったりとした気分で聴けてしまう。
Bigelf
に続いてやりすぎなまでのレトロなアナログ・プログレバンドが現れた。
メロディアス度・・7 アナログ度・・8 ヴィンテージ度・・9 総合・・8
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ASTRA「Astra The Black Chord」
アメリカのプログレ・サイケロック、アストラの2012年作
メロトロン、ムーグ、オルガンなどレトロなシンセをふんだんに使ったサウンドで、
前作もなかなかに衝撃的な作品であったが、本作もまた期待を裏切らない。
サイケ気味の浮遊感に、メロトロンやハモンドの鳴るヴィンデージな雰囲気で、
70年代的プログレを再構築するような作風は、聴いていてにやにやである。
14分の大曲も含めて、8分、9分と長曲も多く、あくまでインスト主体ながらも、
アナログ的な耳心地の良さで最後までゆったり楽しめる。
メロディアス度・・7 サイケ度・・8 レトロ度・・9 総合・・8
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Atlantis Philharmonic
アメリカのプログレバンド、アトランティス・フィルハーモニックの1974年作
Key&BとDrという2人組のユニットで、本作が唯一のアルバム。オルガンを中心に、メロトロン、ムーグシンセという
多彩なキーボード類が鳴り響き、けっこう手数の多いドラムとともに聴かせる、いわゆるEL&Pタイプのサウンド。
クラシカルなピアノなどの優美な叙情性と、大仰なティンパニなどが鳴らされるドラマティックな感触が個性的で、
いくぶん荒削りながらもB級キーボードロックとしての魅力がある。いかにもアマチュア臭いヴォーカルが惜しいが、
70年代アメリカンプログレの隠れた好作品として挙げてもよいくらいの内容ではある。
ドラマティック度・・7 プログレ度・・7 キーボー度・・8 総合・・7.5
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audiosynchrocy
アメリカのテクニカルプログレ、オーディオシンクロシーの2002作
フュージョン的なリズムをヒネくれさせ、ギターとシンセで味付け、
そこに脱力系のヴォーカルとヴァイオリンも加わった、なかなか面白いスタイル。
いわゆる偏屈系のテクニカルプログレであるが、ノリの軽さがいかにもアメリカ的で
ECHOLYNあたりに通じるおおらかさと技巧の同居に、にやりとさせられる。
このつかみ所のなさに、まっとうなシンフォファンは眉をひそめるだろうが、
年を経た懐の深いプログレリスナーならけっこう楽しめると思う。
メロディアス度・・7 テクニカル度・・8 ヒネくれ度・・8 総合・・7.5



AVIARY
アメリカのプログレハード、アヴィアリーの1979年作
NEW ENGLAND、AMERICAN TEARSなどと並ぶ、知る人ぞ知る傑作の2013年再発盤。
やわらかなヴォーカルとピアノを含む美しいシンセワークに、QUEENを思わせるコーラスワークで、
繊細かつキャッチーに聴かせる、じつにクオリティの高いプログレハードサウンド。
シンフォニックなストリングスによる叙情や、いかにもアメリカンロック的な爽快さもありつつ、
遊び心に富んだノリの良さに、STYX+QUEENというような楽曲のアレンジセンスも抜群だ。
幻の傑作にしておくには惜しい、多くのリスナーに聴かれるべきメジャー感をともなった傑作である。
メロディック度・・8 キャッチー度・・9 プログレハー度・・9 総合・・8
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AVIARY 「Ambition」
アメリカのプログレハード、アヴィアリーの2003年作
1979年に1作のみを残して消えたバンドの、1977~79年の間に録音された未発音源集のCD化作品。
正規アルバムで聴けたキャッチーな味わいはもちろん健在で、QUEENなどを思わせるやわらかな歌メロとコーラスに、
シンセによるほどよい味付けによる優雅なアレンジセンスはさすが。メロトロンやムーグシンセなどを含んだプログレ性と
やわらかなポップ性が融合したサウンドは、じつに玄人好みのクオリティである。10分を超える大曲などもあり、
バンドとしての意欲と力量は、当時にしては相当高かったと思われる。つくづく1作のみで消えたのが惜しい逸材だった。
メロディック度・・8 キャッチー度・・9 プログレハー度・・9 総合・・8
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AZIGZA「AZIGZA」
アメリカのサイケ・ジャズロックバンド、アジグザの1st。2000年作
ジャンル分けすると、きっと中近東系ジャズロック…となるのだろうか。じっさいはアメリカのバンド。
G、B、Dr、を基本に、タブラのリズムに、6弦ヴァイオリンなどが中近東系のメロディを奏でつつ、
ジャズロック調の軽妙なアンサンブルで演奏。そこに浮遊感のある女性ヴォーカルが加わると、
アラビックなサイケ感に包まれる、というなかなか不思議な感触のサウンドだ。
いうなれば、異文化融合サイケ、民族ジャズロック・プログレというべき傑作です。
プログレ度・・8 民族度・・8 異文化度・・9 総合・・8
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AZIGZA「Kriya」
アメリカのサイケ・ジャズロックバンド、アジグザの2nd。2003作
中近東音楽やエスニックの要素をサイケロック風に聴かせる個性的なバンドで、
1stでは浮遊感のある女性Voが歌っていたが今回はゲスト扱いで、男ヴォーカルがメインになっている。
相変わらず、とてもアメリカのバンドとは思えない異国的な中近東サウンドは健在で、
リズミカルなパーカッションにアラビア音階のギター、艶やかなヴァイオリンが重なり、
そこにときに詠唱(お経?)のような不思議な歌声(女性コーラスもあり)が乗ると、軽くトリップするような錯覚に陥る。
大曲や組曲が中心だが、演奏力があるので、音にはいかがわしさと同時にちゃんと説得力も備わっている。
やはりなかなか面白いバンドだ。オフィシャルサイトで試聴可能。民族系プログレが好きならチェック。
サイケ度・・8 ブログレ度・・8 中近東?インド?度・・9 総合・・7.5


AZURETH「Yesterday's Future,Tomorrow's Past」
アメリカのシンフォニックロックバンド、アザレスの2004作
ファンタジックなジャケになんとなく惹かれるが、基本はYESタイプのシンフォニックロックで、
ややメタルの入ったピロピロとしたギターに、軽やかに弾きまくる華麗なキーボードを重ね
GLASS HAMMERをややハードめにしたという雰囲気もある。しかしながら、ヴォーカルの素人くささと、
楽曲面では印象的なパートの物足りなさがもどかしく、全体的にはB級シンフォニックの域に甘んじている。
シンフォニック度・・7 プログレ度・・7 楽曲・・6 総合・・7
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AZURETH 「THE PROMETHEAN SYNDROME」
アメリカのプログレバンド、アズレスの2007年作
2005年作に続く2作目で、前作はいかにもB級のシンフォプログレ作品であったが、
本作は一聴してシンフォニックなアレンジに磨きがかかり、ギターを加えた音の厚みと、
マイルドなヴォーカルを乗せ、優美な叙情性に包まれた本格派のシンフォニックロックが楽しめる。
オルガンやムーグを含むきらびやかなシンセワークにメロウなギターのフレーズによる、
古き良きプログレの感触と、YESGLASS HAMMERにも通じるキャッチーな聴き心地で、
いくぶんの野暮ったさはあるが、ラストの15分を超える大曲を含む全67分という力作です。
ドラマティック度・・8 プログレ度・・8 叙情度・・7 総合・・7.5
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BABYLON「BABYLON」
アメリカのシンフォニックバンド、バビロンの1978作
唯一のアルバムを残して消えた幻のバンド。聴いてみてなかなか品質は高い。
基本は少しこもり気味のGENESIS系。メロウだが明るくもなりすぎず、しっとりとした質感。
全4曲。7分10分9分7分という大曲主義。どの曲もキーボードが効いていて、
そこにハケットのような繊細なギターが乗る。あくまで大げさになりすぎないのが中期GENESIS的。
メロディアス度・・8 シンフォニック度・・7 中期GENESIS度・・8 総合・・7.5


Balloon Astronomy
アメリカのプログレバンド、バルーン・アストロノミーの2012年作
美しいシンセワークにキャッチーなメロディを乗せて聴かせる、
やわらかな感触のプログレハードサウンド。ドラマティックというよりは、
とにかくメロディアスな聴き心地で、演奏よりもヴォーカル中心の作風であるが、
ドラムにはSPOCK'S BEARDのニック・ディヴァリ-ジオが参加するなど、
演奏面での安定感はさすが。耳心地の良いメロディアスな好作である。
メロディアス度・・8 キャッチー度・・8 プログレ度・・7 総合・・7.5
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The Bardic Depths
アメリカのプログレユニット、バルディック・デプスの2020年作
「ナルニア国物語」で知られる作家、C・S・ルイスと、「指輪物語」のJ・R・R・トールキンとの友情をコンセプトにした作品。
ほどよくハードなギターにシンセアレンジを重ねたモダンなシンフォニックロックに、随処に語りを含んだドラマ性や、
うっすらとしたシンセにサックスが鳴り響く、アンビエントなサウンドスケープ風味や、80年代風のポップなビート感など
わりとつかみどころがない。楽曲的にはこれという盛り上がりがないので、なんとなく煮え切らない聴き心地。
COSMOGRAFのロビン・アームストロング、TIGER MOTH TALESのピーター・ジョーンズなどがゲスト参加。
ドラマティック度・・7 プログレ度・・7 楽曲・・6 総合・・7
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Bent Knee 「Shiny Eyed Babies」
アメリカのプログレバンド、ベント・ニーの2014年作
2011年にデビューし、本作は2作目。表現豊かな伸びやかな女性ヴォーカルに、ときにハードなギター、
オルガンを含むプログレ的なシンセとともに、キャッチーでありながらアヴァンギャルドな妖しさに包まれる。
シンセも兼ねるコートニー嬢の歌声は、ときにKATE BUSHが狂ったようなエキセントリックな雰囲気で、
独自の世界観を濃密に作り上げ、サックスやヴァイオリンも鳴り響く、チェンバーロック的なスリリングな味わい。
演奏力、楽曲アレンジの質も含めてものちのアルバムの完成度にも引けを取らない出来で、本作の時点ですでに
バンドの方向性が見事に確立している。濃密でいて優雅でエキセントリック。まさしく女性声アヴァン・プログレの傑作です。
プログレ度・・8 エキセントリック度・・9 女性Vo度・・9 総合・・8 
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BENT KNEE 「Say So」
アメリカのアヴァンロック、ベント・ニーの2016年作
やわらかな女性ヴォーカルの歌声を乗せた、エモーショナルロック的でもある聴き心地に、
Kate Bush的なシアトリカルな雰囲気と、エキセントリックなセンスを含ませたというサウンド。
ヴァイオリンなどのストリングスアレンジを含む優雅な感触に、チェンバーロック風味を感じさせるスリリングさと、
キュートなキャッチーさが合わさった作風で、結果、プログレとしても十分に楽しめる面白さがある。
シンセ奏者でもあるコートニー嬢の表現豊かで伸びやかな歌声が大きな魅力となっていて、
ときにアヴァンギャルドな展開も見せながら、この包み込む歌声ですべてをソフトにしているという。
レーベルがCUNEIFORMというのもうなずける、ポップ系・チェンバー・アヴァンロックの好作品。
メロディック度・・8 プログレ度・・8 女性Vo度・・9 総合・・8
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BENT KNEE 「Land Animal」
アメリカのアヴァンロック、ベント・ニーの2017年作
前作はKATE BUSHがチェンバーロック化したような個性的な好作であったが、続く本作も、
女性Vo&Key、女性Bに、ヴァイオリン奏者を含む編成で、キュートな女性ヴォーカルの歌声を中心に、
とぼけた味わいのレコメン系サウンドを融合、美しいシンセやヴァイオリンを加えたアレンジとともに、
エキセントリックなアヴァンロックを聴かせる。シンセ&ヴォーカルのコートニー嬢の歌声も表現力十分で、
ときにエモーショナルな情感を加えて、グルーヴィな演奏とともにサウンドに躍動感を加えている。
曲によっては、チェンバーロック的なクラシカルでスリリングな空気感にも包まれつつ、あくまでキュートで
どこかオシャレですらあるセンスは、プログレ、ポップ、レコメンの垣根を超えて評価されるべき内容だ。
メロディック度・・8 プログレ度・・7 女性Vo度・・9 総合・・8.5
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Bent Knee 「You Know What They Mean」
アメリカのプログレバンド、ベント・ニーの2019年作
2011年にデビュー。前作は女性声アヴァンプログレの大傑作であったが、5作目となる本作は、
いきなり歪んだギターの轟音に圧倒されつつ、エキセントリックな女性ヴォーカルが奔放な歌声を乗せ、
変則リズムを含む極端なアレンジとともに、ヘヴィさとアヴァンキャルドな音の濃度が増している。
前作までのポップな感触も随所に覗かせつつ、今作ではモダンなビート感とヘヴィさに包まれた聴き心地で、
オルタナ・ガレージ・プログレロックというような不思議な味わいである。とにもかくにも、シンセ&Voのコートニー嬢の
妖しいまでの歌の表現力は素晴らしく、ヘヴィなギターに歪んだヴァイオリが重なり、迫力あるアヴァンロックを描く傑作である。
メロディック度・・7 プログレ度・・8 エキセントリック度・・9 総合・・8 
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BIG ELF「Closer to Doom」
アメリカのハード・プログレバンド、ビッグエルフの1996作
ジャケからしてすでにヴィンテージの香りプンプンですが、音の方もメロトロンやハモンド、
ミニムーグなど、レトロなシンセを取り入れた70年代サウンドで、URIAH HEEP
DEEP PURPLEなどを思わせる点で言うと、今のBLACK BONZOの先駆けか。
それにメンバーの顔やファッションなどもどことなく70年代風だし(笑)
たっぷりと使用されるメロトロンの音色には、ANEKDOTENなどが好きなプログレファンにも受けそう。
メロディアス度・・7 プログレ度・・7 70'sレトロサウン度・・9 総合・・8
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BIGELF「Money Machine」
アメリカのヴィンテージロックバンド、ビッグエルフの2nd。2000作
今作もハモンドにメロトロンが鳴り響く、レトロな70's風ロックが炸裂している。
押しまくりだった前作よりもいくぶん肩の力が抜けたように、
自然体でハードプログレしている雰囲気がなかなか気に入った。
ANEKDOTENなどが好きならこのバンドもチェックしてもいいと思う。
メロディアス度・・7 レトロロック度・・9 メロトロン度・・8 総合・・8
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BIGELF「HEX」
アメリカのヴィンテージロックバンド、ビッグエルフの3rd。2003作
本作から、リーダーであるDamon Fox以外のメンバーが変わり、4人編成となった。
サウンドの方は前作からの延長だが、音の厚みが増していて、
ギターのヘヴィさも加わって、ドライブ感のあるアンサンブルで聴かせる。
楽曲におけるメリハリもついていて、バックで鳴り響くメロトロンの叙情に、
歌メロにも印象的なメロディラインが増えたことで、飽きずに楽しめる。
バンドとしてのスケール感も出てきて、単なるレトロな懐古サウンド以上の出来だ。
メロディアス度・・8 レトロロック度・・9 メロトロン度・・8 総合・・8.5
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BIGELF「Cheat the Gallows」
アメリカのヴィンテージ・ロックバンド、ビッグエルフの4th。2008年作
過去3作もオルガンやメロトロン鳴り響く、70年代ロックを再現したような力作であったが、
今作ではどんなコンセプトがあるのか、アリーナロック的な派手やかさが加わっている。
美しいオーケストラアレンジや、まるでQUEENのような泣きの叙情メロディなど、
なんとも確信犯的な世界観を感じさせる。一方で、ドロドロとしたアンダーグラウンド臭もあって、
これまでになく濃密な作風になっている。従来の持ち味であったヴィンテージ色はやや薄れたが
ハードロックとプログレの中間的な立ち位置とともに、ある種壮大なドラマ性が感じられる力作だ。
ドラマティック度・・8 プログレ度・・7 レトロ度・・7 総合・・8
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BIGELF 「Into the Maelstrom」
アメリカのヴィンテージロック、ビッグエルフの2014年作
1996年にデビュー、オルガンやムーグなどを使ったヴィンテージなロックの先駆けというべき存在で、
本作は5作目となる。前作でのアリーナロック的なスケール感を残しつつ、よりプログレ的な展開力と、
マイク・ポートノイが全面参加したことで、リズム面での強化を含んだ、ダイナミックな聴き心地になっている。
タイムマシーンに乗っで時空を超えてゆくというストーリーがあるのだろう。コミカルなドラマ性を含んだ
いかがわしいSF風味が、メロトロンやオルガンを含んだオールドなロックサウンドと絶妙に融合している。
全体的にはハードロック的な重厚さも強まっているが、HAWKWINDのようなサイケロック的でもある、
スペイシーなアッパー感とノリの良さも合わさった聴き心地で、適度にユルくもどっしりとした味わいの力作だ。
ドラマティック度・・8 プログレ度・・8 古き良き度・・9 総合・・8
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Birds and Buildings「Bantam to Behemoth」
アメリカのプログレバンド、バーズ・アンド・ビルディングスの2008作
Deluge GlanderのKeyによる別バンドで、浮遊感のある軽妙なプログレ作。
テクニカルなリズムの上をメロトロンが鳴り響くクリムゾン風味とともにフリーキーなサックスが加わると、
軽快なジャズロック風にもなる。9分以上が5曲と長曲揃いだが、雰囲気で聴かせられる器の大きさが感じられ、
一筋縄でいかないサウンドながら、その演奏に思わず引き込まれてしまう。メロトロン入りの変態的ジャズロックでもあり、
サックス入りのヘヴィシンフォでもあり、これをMAGMA+KING CRIMSONといっていいものか。
そして、最近気づきましたが、このジャケはボッシュの絵画「快楽の園」の一部なんですね。
シンフォニック度・・7 ジャズロック度・・8 プログレ度・・8 総合・・8
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BIRDS AND BUILDINGS
「Multipurpose Trap」
アメリカのプログレバンド、バーズ・アンド・ビルディングスの2013年作
Deluge GlanderのKeyによる別バンドで、前作もマグマ+クリムゾンというような相当の力作だったが、
2作目となる本作もまた凄い。ジャズロック的な軽やかなリズムの上をヴァイオリンとメロトロンが交差し、
フルートが鳴り響く、不穏なミステリアスな緊張感をはらんだサウンドはとても個性的だ。
たとえるなら、屈折感たっぷりのKENSOというような、エキセントリックなシンセとともに、
遊び心と軽妙なセンスに包まれた楽曲は、プログレでしかありえないという、その聴き心地ににんまりだ。
ブックレット内のイラストの趣味も異常といってよく、雑多で芸術的なこのバンドの方向性をよく示している。
かといって難解すぎるということもなく、随所をにメロディアスな叙情も織り込まれているのが確信犯的だ。
ラスト3曲はすべて10分超えの大曲で、後半だけでアルバムもう1枚聴くようなボリューム。濃密なプログレまくりの大傑作。
ドラマティック度・・8 プログレ度・・9 偏屈度・・9 総合・・8.5
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Blue Shift
「Not the Future I Ordered」
アメリカのプログレバンド、ブルー・シフトの1998年作
やわらかなシンセアレンジとハイトーン・ヴォーカルで構築されるYesタイプのサウンド。
随所に適度なヘヴィさも覗かせつつ、いかにもプログレらしいメリハリのある展開力で
アーティスティックな聴き心地である。抜けの良い爽快さと混沌としたマイナー臭さが
ミックスされた雰囲気で、この偏屈さを楽しめるようなリスナーには好作となるだろう。
とくにクラシカルであったりシンフォニックであったりするシンセワークはなかなか見事ですな。
何故か、Led Zeppelin“移民の歌”をカヴァー。イエスがツェッペリンやっているみたいで面白い。
ドラマテイック度・・8 プログレ度・・8 Yes風味度・・8 総合・・8
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Blue Shift 「Levels of Undo」
アメリカのプログレバンド、ブルー・シフトの2015年作
1998年にアルハムを残して消えたYesタイプのバンド、じつに17年ぶりとなる復活作。
軽妙で優雅なアンサンブルはそのままに、女性ヴォーカルの歌声が加わった美しさと、
変則リズムを多用したHENRY COWばりの屈折感が合わさったサウンドで、なかなかよい感じである。
一聴して、Leger De Mainあたりを思い出させるような、唐突な展開を含むテクニカルな構築力と、
ジャズロック的でもある軽やかな演奏が、優雅なスリリング性というものを描いている。
美しいシンセワークに随所にメロウなギターも聴かせる、シンフォニックロックとしての魅力もあり、
ブランクを感じさせないクオリティの高い力作に仕上がっている。過去作を知らない方もぜひ。
ドラマティック度・・8 プログレ度・・8 軽妙度・・9 総合・・8
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The Book Of Knots 「Traineater」
アメリカのアヴァンロック、ブック・オブ・ノッツの2007年作
Sleepytime Gorilla Museumのメンバーを含むバンドで、サウンドの方は、ノイジーなギターに
シアトリカルな歌声を乗せた、ドゥーミィなポストロックという雰囲気で始まるが、フリーキーなサウンドに
ハスキーで中性的な女性ヴォーカルを乗せた感触は、Art Bearsなどをルーツにしたレコメン系の趣。
アコースティックギターや、ピアノ、ヴァイオリンなどの優雅な叙情性を含みつつ、とぼけたような偏屈さと
アヴァンギャルドなセンスはチェンバーロック系のリスナーも唸らせるだろう。ストーリー的な流れの中に、
モダンなヘヴィネスも垣間見せつつ、ポストロック的なスケール感も内包した、まさに異色のアヴァンロック作品だ。
ドラマティック度・・7 プログレ度・・7 アヴァンギャル度・・8 総合・・8
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BOUD DEUN 「Fiction And Several Days」
アメリカのジャズロック、ブード・ディオンの1995年作
ギターとヴァイオリンが絡む軽妙なアンサンブルで聴かせるジャズロックサウンドで、
チェンバーロック的でもあるアヴァンギャルドでスリリングな味わいも感じさせる。
手数の多いドラムはわりとロック寄りの感触もあって、テクニカルな技巧性と、
フリーキーな柔軟性が同居したしたという聴き心地。どちらかというとシリアスな空気感なので、
優雅なメロディアス性は乏しいのだが、ヴァイオリンがたっぷりと鳴り響くあたりは、プログレファン向けだろう。
テクニカルなプログレ・ジャズロックという点では、レコメン化したマハヴィシュヌという感じでも楽しめるかもしれない。
メロディック度・・7 プログレ度・・7 軽妙度・・8 総合・・8
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Box of Shamans 「Belief & Illusion」
アメリカのプログレユニット、ボックス・オブ・シャーマンズの2015年作
HELIOPOLISのメンバーによる別バンドで、変拍子リズムを含んだテクニカルなアンサンブルと
マイルドなヴォーカルを乗せたキャッチーなメロディアス性が融合した、ハードプログレサウンド。
GENTLE GIANT的なとぼけた味わいの軽妙な聴き心地に、ほどよくモダンな硬質感が合わさって、
10分を超えるナンバーも決してコテコテのプログレにはならず、クールでスタイリッシュな感触だ。
むしろRUSHあたりに通じるアンサンブル重視のサウンドで、メロディックなフックという点ではやや弱い分、
玄人寄りの作風ともいえるかもしれない。個人的にはもう少し濃密な展開が欲しいかなと。
メロディック度・・7 プログレ度・・7 演奏度・・8 総合・・7.5
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BOZZIO LEVIN STEVENS「BLACK LIGHT SYNDROME」
テリー・ボジオトニー・レヴィンスティーブ・スティーブンスの三人によるセッションバンドの1st。1997作
MAGNA CARTAレーベルのマイク・ヴァーニーを通じて集まったこの名だたる3人が、
たった5日間でレコーディングしたという、即興演奏を中心にしたアルバム。
スティーブ・スティーブンスのフラメンコちっくなギターやトニー・レヴィンのスティックなど
自由な演奏の中にも聴き所は多く、とくにテリー・ボジオのドラミングは
金物からタムに至るまで1音1音に主張があり、ドラム好きならとても楽しめる。
静かでゆるやかな部分にもよく聴けば緊張感が漂っていて、そこがインプロヴィゼーションの良さだろう。
メロディアス度・・6 プログレ度・・7 即興度・・8 総合・・7.5
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BOZZIO LEVIN STEVENS「SITUATION DANGEROUS」
テリー・ボジオトニー・レヴィンスティーブ・スティーブンスの三人による2nd。2000作
今回は、1週間のリハーサルをとったというだけあって、前作よりも曲としてまとまっている。
のっけからのヘヴィプログレ的な演奏は音に迫力があり、即興だった前作に比べて
各メンバーがイメージを共有できているようなリラックスした部分も感じる。
スティーブ・スティーブンスの奏でるギターにもメロディアスなものが増え、
曲の聴かせ所と演奏のメリハリが備わったことで、アルバムとしての完成度もずっと高まっている。
GORDIAN KNOTLIQUID TENTIONなどが好きな方もぜひ聴いて欲しい。
メロディアス度・・7 プログレ度・・8 演奏・・9 総合・・8
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Brett Kull 「The Last of the Curlews」
アメリカのプログレバンド、ECHOLYNのギタリスト、ブレット・カールのソロ。2008年作
軽妙で優雅なプログレを聴かせるエコリンとはやや趣を異にし、本作は叙情的なギターフレーズと
うっすらとしたシンセアレンジに、ジェントルなヴォーカルを乗せたゆったりとしたメロディックロック。
メロウなギターによる繊細な泣きの叙情は、ドイツのSYLVANあたりにも通じる感触もあり、
3~4分前後の歌ものナンバーにアコースティックを含んだ、わりとシンプルで素朴な聴き心地。
プログレ的な展開はあまりないが、美しいシンセやギターフレーズなどにはさすがのセンスを感じさせる。
メロディック度・・8 プログレ度・・6 叙情度・・8 総合・・7.5 
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Bubblemath「Such Fine Particles of the Universe」
アメリカのプログレバンド、バブルマスの2002年作
テクニカルな展開とアメリカらしいキャッチーな歌メロを乗せた軽やかなサウンドは、
一聴してEcholynなどを思わせるが、こちらはよりせわしない変則リズムの偏屈系のアプローチと、
シンセのアレンジも含めてモダンな無機質感覚を含んでいて、ややとっつきは悪いか。
ただいったんハマれば、延々と知的なジョークを聴かされているかのような、
うざったさの中にもくすりとする楽しさが感じられる。そんな質の高いアルバムだ。
メロディアス度・・7 知的度・・8 テクニカル度・・8 総合・・8
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Bubblemath 「Edit Peptide」
アメリカのプログレバンド、バブルマスの2017年作
2002年作以来、15年ぶりとなるアルバムで、前作のテクニカルな偏屈路線を引き継いで、
変則リズムたっぷりの技巧的なアンサンブルに、メロディックなギターとシンセワークを重ね、
エモーショナルなヴォーカルを乗せたスタイリッシュ性を、いわばヘンタイ気味に処理したという
せわしないサウンドを展開。のっけから12分の大曲でこれだけでお腹いっぱいになりそうだが、
カオティックな展開の中にもフルートによる優美な叙情性などもあり、聴き手をほっとを和ませる。
極端な切り返しやリズムチェンジでヘトヘトになりつつも、優雅なメロディアス性がときおり現れるという、
EcholynThank You Scientistを合わせたような、偏屈技巧とキャッチーなメロが同居した濃密傑作。
テクニカル度・・8 プログレ度・・8 カオスと叙情度・・9 総合・・8.5
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CAIRO
アメリカのネオプログレッシブバンド、カイロの1st。1995作
MAGELLANSHADOW GALLERYに続きMAGNA CARTAレーベルからデビューしたこのバンド、
現在までアルバム3枚を発表しているが、この1stはB誌で絶賛されたこともあり、メタルリスナーの中にも
聴いた方は多かったと思う。サウンドはELP+YESという、少々あからさまな70年代プログレへのオマージュ
といってよい内容で、新鮮味には欠けるが、今になって聴きなおしてみるとなかなか出来はよい。
10分近い曲がほとんどの大作志向で、もろYES風の爽やかな雰囲気の②から、
ギターのメロディセンスが映えるSHADOW GALLERYを思わせるプログレメタリックな作風の③、
ELP的なハモンドに、ギターが絡む④など、どれもセンスよくまとめられクオリティは高いが、
傑作である2ndに比べると曲調に一貫性がなく、70年代的要素をまだ融合しきれていない感もある。
ラストの22分の大曲は“現代版TARKUS”という感じで、イエス的な歌メロや美しいピアノなど、聴き所も多い。
メロディアス度・・8 シンフォニック度・・8 YESにELPです度・・8 総合・・8
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CAIRO「CONFLICT AND DREAMS」
アメリカのハード・プログレバンド、カイロの2nd。1998年作。
1stの時点ではあまりにもYES/ELP色が強すぎたが、本作は楽曲に独自の色が出始めた傑作となった。
ヴォーカルの歌唱には今だYES臭さがのこるし、シンセのいかにもELP的な色も顕著に表れているが、
なにより曲が良くなった。同レーベルの先輩でSHADOW GALLERYにも通じるメタリックなアレンジが功を奏し、
長い曲でも決してだれることなく緊張感と叙情を展開の中で保たせることに成功している。
以前はシンセに隠れて目立たなかったギターのフレーズも本作では効果的に聴かれ、
メロディアスにシンセと絡みながらいっそうシンフォニックに音の厚みを加えている。
70年代的プログレの香りを受け継ぐテクニカル・ハードプログレ作。3rd「TIME OF LEGENDS」も素晴らしい。
メロディアス度・・8 テクニカル度・・8 キーボー度・・9 総合・・8.5 ◆プログレ名作選入り
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CAIRO「TIME OF LEGENDS」
アメリカのプログレバンド、カイロの3rd。2001作。
ELPYESなどの70年代の音を再構築し、そこに90年代以降のプログレメタルの構築性を加味した、
ある意味懐古主義ともいえるバンドであるのだが、前作2ndで有無を言わせぬ完成度の作品を作り上げた。
続く今作では、前作のようなダイナミックさは若干抑えられた、とても落ち着いた感じのサウンドである。
同レーベルの先輩、MAGELLANにも通じるキャッチーなコーラスワーク、
しっとりとした美しいキーボード、センスの良いギターと、どれもが高品質。
70年代の音を融合させ、今や違和感なく自分たちのサウンドに溶け込ませている。
シンフォニック度・・9 テクニカル度・・8 キーボー度・・8 総合・・8 ◆プログレ名作選入り
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CANNATA 「Images of Forever」
アメリカのプログレハード、ArcAngelのジェフ・カンナタのソロ1作目。1988年作
きらびやかなシンセとマイルドなヴォーカルで聴かせる、80年代スタイルのプログレハード。
TOTOあたりを思わせるポップな感触と耳触りのよいキャッチーなメロディで、
3、4分台の比較的シンプルな曲調は、むしろハードポップという作風であるが、
美しいシンセアレンジなどはさすがのセンス。クオリティの高い好作品です。
メロディック度・・8 キャッチー度・・9 ポップ度・・8 総合・・8
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CANNATA「Watching the World」
80年代にARCANGELというバンドで活躍したジェフ・カンナタの1993年作
美しいシンセワークと、かすれたヴォーカルの歌声で聴かせる、古き良き味わいのメロディアスハードサウンド。
ハードロックというよりはプログレハードの音作りなので、あくまで耳に心地よいキャッチーさが持ち味で、
BOSTONあたりに通じる感触もある。これだというインパクトはないが安心の好作である。
メロディアス度・・8キャッチー度・・8 プログレハー度・・8 総合・・7.5
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CANNATA 「MYSTERIUM MAGNUM」
アメリカのプログレハード系ミュージシャン、ジェフ・カンナタの2006年作
美しいシンセにゆるやかなギターワーク、枯れた味わいのヴォーカルで聴かせる、80年代風のプログレハードサウンド。
TOTOKANSASなどを思わせるいかにもアメリカ的なキャッチーさに加え、プログレ的なフルートなども加わって、
ときにシンフォニックに聴かせたり、コーラスハーモニーはYESを思わせるような感触もある。
総じて新鮮味はないのだが、楽曲の質は高く、安心して楽しめるメロディアスな作品だ。
メロディアス度・・8 プログレ度・・7 プログレハー度・・8 総合・・8
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Cannata 「My Back Pages」
アメリカのミュージシャン、ジェフ・カンナタのソロ。2009年作
ARCANGELをはじめ、数々のバンドに関わってきたマルチミュージシャンで、
本作は彼が影響を受けたルーツというべきバンドのカヴァー集となっている。
THE BEATLES、THE BIRDS、Donovan、KING CRIMSON、Jethro Tull
David BOwie、PINK FLOYD、AMBOY DUKES、Jefferson Airplaneといったバンドの楽曲を
比較的オリジナルに忠実にアレンジ。メロトロン鳴り響くデヴィッド・ボウイの“Space Oddity”や
泣きのギターにオルガンが重なる、ピンク・フロイド“On the Turning Away”、
そしてキング・クリムゾン“Court of The Crimson King”などは、じつに見事な出来だ。
あらためて、カンナタの柔軟なセンスが知れる、好カヴァー集である。
メロディック度・・8 プログレ度・・7 カヴァー度・・8 総合・・8
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Carpe Nota
アメリカのプログレバンド、カルプ・ノタの2012年作
シンセ奏者をメインにした4人編成で、日本のARSNOVAGERARDあたりに通じる
濃密なキーボードプログレを聴かせる。オルガンやムーグシンセを盛大に鳴り響かせつつ、
そこにややハードめのギターが重なって、変拍子リズムとともに構築される10分前後の大曲は、
インストでありながらとても濃厚だ。このこけおどし気味のコテコテ加減は、決して嫌いではないが、
それを白けずに楽しめることが必要になる。その点では、むしろ日本のファン向けといってもよいかも。笑
ドラマティック度・・7 プログレ度・・8 濃密度・・8 総合・・7.5
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CASTLE CANYON 「Criteria Obsession」
アメリカのプログレバンド、キャッスル・キャニオンの2015年作
結成は70年代というバンドで、シンセ奏者のエリク・イアン・ウォーカーを中心にしたトリオ編成。
本作は70年代の楽曲をリメイクしたアルバムのようで、ハモンドにアープ、コルグ、ヤマハDX-7といった
往年のシンセを鳴らし、ブルージーなギターを絡ませた、いかにも70年代英国オルガンロック的なサウンド。
初期のEL&PやTRACEにギターが加わったような感触というか、オルガンとギターを主体にしたインストメインながら、
ときにアメリカらしいキャッチーなメロディアス性も覗かせたり、ヴォーカルの入った叙情的なパートもあって飽きさせない。
13分、14分という大曲なども、適度にエキセントリックなセンスと偏屈な展開力も含めて、なかなかの力作である。
ドラマティック度・・7 プログレ度・・8 オルガン度・・8 総合・・7.5
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Cathedral「STAINED GLASS STORIES」
アメリカのプログレバンド、カテドラルの1978年作
メロトロンが鳴り響き、テクニカルなリズムとともに緩急ある展開力で聴かせるサウンドは、GENESIS的な叙情性に
いまでいうとANEKDOTEN的な薄暗さを含んでいて、曲展開の奇妙さもあって、ジャケのイメージよりはもっと屈折した味わい。
存在感あるベースのうねりに、オルガンやメロトロンなどのシンセと軽妙なギターワークによるアンサンブルで描かれる
優雅な混沌はときにYES的であったりしてなかなか玄人好み。どこかシアトリカルなヴォーカルも含めて、
偏屈なドラマ性とアメリカ的なおおらかな拡散性が、奇跡的に結実したというべき作風である。
YEZDA ULFAともに70年代のアメリカのプログレでは、突出した傑作といえるだろう。2007年に復活作を発表。
メロディアス度・・7 プログレ度・・8 優雅で偏屈度・・9 総合・・8
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CATHEDRAL「the bridge」
アメリカのプログレバンド、カテドラルの2007年作
70年代に「STAINED GLASS STORIES」というアルバム1枚のみを残し
マニアの間ではアメリカンプログレの幻の傑作という評価を得たバンドだが、なんとここにきて復活作を発表。
適度にテクニカルでありつつもほの暗く、メロトロン入りのややヒネくれたな構築性は、むしろクリムゾン的か。
昨今のシンフォ系バンドのように大仰さな泣きのメロディで聴かせるわけではなく、
ゆるやかな間のとり方とセンスで、うっすらとした優雅なサウンドを描いている。
たとえばメタルでいうとCYNICのような玄人好みのバンドと言えるかもしれない。
シンフォニック度・・7 プログレ度・・8 ひねくれ叙情度・・8 総合・・8
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Tom Doncourt And Mattias Olsson's Cathedral
トム・ドンコート・アンド・マティアス・オルソンズ・カテドラルの2020年作
アメリカのプログレバンド、CATHEDRALのトム・ドンコートとスウェーデンのミュージシャン、マティアス・オルソンのコラボ作。
1976年に傑作「STAINED GLASS STORIES」を残し、CATHEDRALは解散するも、2007年に復活作「THE BRIDGE」を完成させる。
Anglagardのドラマーでもある、マティアス・オルソンは、元々、カテドラルのファンであったことから、本作でのコラボが実現。
メロトロン、ムーグ、ハモンドオルガンなどのヴィンテージなシンセに、マティアスのギターとドラムが躍動的に絡み、
翳りを帯びた空気に包まれた、Necromonkeyにも通じるエクスペリメンタルな空間系プログレというべき世界を構築。
インストを主体に、10分を超える大曲2曲に、小曲による全35分という構成で、12分の大曲ではマイルドなヴォーカルも乗せて
涼やかな叙情とともに、クリムゾン的なミステリアスなサウンドを描く。なお、トム・ドンコートは2019年に死去し、本作は彼の遺作となった。
ドラマティック度・・7 プログレ度・・7 空間構築度・・9 総合・・8 
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Celestial O'euvre「Second Chance」
アメリカのシンフォニックロックバンド、セレスティアル・オーエウヴレの2005作
美しいジャケに惹かれて聴いてみれば、サウンドは、YES的なキャッチーさを持ったB級ぎみのシンフォニックロック。
KANSASあたりを思わせるプログレハード質感もあるが、楽曲、演奏ともにやはりどこか垢抜けない…
というかアレンジがなんとなくマイナー(素人)臭い。アメリカのプログレバンドにはオヤジの道楽の延長のようなバンドが多いが、
これもそのうちのひとつか。オヤジプログレの輝ける星、GLASS HAMMERのレベルにはまだまだ遠い。
シンフォニック度・・7 プログレ度・・7 オヤジ度・・8 総合・・7
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CENTRIC JONES 「The Antikythera Method」
アメリカのプログレバンド、セントリック・ジョーンズの2011年作
アコースティックを含むギターにうっすらとしたシンセを重ね、女性ヴォーカルを乗せてスペイシーなサウンドを描く。
軽妙なアンサンブルに、メロウなギターと優美なシンセで聴かせるシンフォニックロックとしての感触と、
美しい女性声による幻想的な雰囲気が同居して、いわばシンフォプログレ寄りのサイケロック的な味わいも。
一方では、ハード寄りのギターにオルガンを重ねたヴィンテージな味わいと、適度にテクニカルなリズムで、
プログレらしさもしっかりあって、優雅なジャズ感触も覗かせたりと、ほどよくスリリングな聴き心地も楽しめる。
サイケな浮遊感とたゆたうような女性ヴォーカル、シンフォニックなシンセで構築される、耳心地の良い好作品です。
ドラマティック度・・7 プログレ度・・8 優雅度・・8 総合・・7.5
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Cerebus Effect「Acts of Deception」
アメリカのテクニカル・プログレバンド、セレバス・エフェクトの2005年作
目まぐるしいテクニカルなリズムの変態プログレ。せわしない展開の中にあっても、
メロディがしっかりと感じられて、けっしてメタリックにならないというのが特徴。
変態的なリズム構造とシンセのシンフォニックな美しさとが巧みに組み合わさっている点では、
Leger De Mainあたりを思い出させる部分もあるが、こちらの方がより混沌とした音だ。
もちろん変態プログレメタルファンにも勧められるが、アヴァンギャルドなテクニカルロックでありながら、
硬質さよりも時代的なプログレ精神が前に出ているのが面白い。 オフィシャルサイトで試聴可能。
なお、KeyとDrはこの後、Deluge Granderを結成。そちらも注目すべきバンドである。
メロディアス度・・7 テクニカル度・・8 変態度・・9 総合・・8
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Charles Kaczynski 「Lumiere De La Nuit」
カナダのヴァイオリン奏者、シャルル・カシンスキーの1979年作
CONVENTUMに参加したアーティストで、本作ではヴァイオリン、チェロ、アコースティックギター、
ピアノ、フルートなどを一人でこなしている。優美なピアノにヴァイオリンが絡み、
自身によるフランス語の歌声がマイルドに響きわたる。2分前後の小曲を連ねた構成で
組曲的に聴かせるセンスも素晴らしい。クラシカルな美意識に彩られた好作品です。
クラシカル度・・9 アコースティカル度・・8 優美度・・9 総合・・8




CHON 「GROW」
アメリカのプログレバンド、チョンの2015年作
ツインギターの四人編成によるバンドで、メロディックで流麗なギターフレーズを
テクニカルなドラムに乗せ、フュージョン風味の優雅なアンサンブルを聴かせる。
変則リズムによるキメをたっぷり織り込みつつ、メロディックでポップな感触もあって、
BGMとして心地よく聴き流せつつも、テクニカルロックとしてじっくり鑑賞もできる。
いわば力みのない自然体で、軽妙なアンサンブルの妙を味わうというサウンドだ。
インスト主体ながら、歌も入ったエモーショナルロック風味もあり、最後まで心地よく楽しめる。
メロディック度・8 テクニカル度・8 優雅で軽妙度・9 総合・8
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CHON 「Homey」
アメリカのプログレバンド、チョンの2017年作
2作目の本作は、ギターのエリックがベースも担当しているが、基本的なサウンドは変わらず。
メロディックなギターとテクニカルなリズムで、フュージョン風味の軽やかなインストを聴かせる。
中盤には歌入りのポップなナンバーもあって、ジャケのイメージのような南国を思わせる、
ゆるやかで陽性のサウンドは、プログレというよりはお洒落なテクニカルポップというべきか。
アンサンブルが巧みなぶん、BGMとして軽やかに聴き流せてしまうので、フックのある展開や
ドラマティックなものを期待するリスナーには物足りないかもしれないが、この耳心地の良さは特筆もの。
メロディック度・8 テクニカル度・8 優雅で軽妙度・9 総合・8
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CHON
アメリカのプログレバンド、チョンの2019年作
3作目となる本作も、軽やかなドラムに流麗なギタープレイを乗せたフュージョン風味のアンサンブルに、
テクニカルなキメを盛りこんだ、優雅でスタイリッシュなインストサウンドを聴かせる。
2~3分前後の小曲を主体に、テクニック抜群のドラムとギターのプレイも見事で、
今作では随所にシンセによるアレンジも加わっていて、よりプログレらしい作風になった。
ギターのメロディにはキャッチーな優しさがあるので、耳心地の良さという点でも多くのリスナーが楽しめる。
軽妙でポップながら、しっかりテクニカルというのも心憎い。3作目にして最高作でしょう。
メロディック度・8 テクニカル度・8 優雅で軽妙度・10 総合・8
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Cirrus Bay 「The Slipping of a Day」
アメリカのシンフォニックロック、シラス・ベイの2008年作
やわらかなシンセアレンジに叙情的なギターと男女ヴォーカルの歌声を乗せた優美なサウンドで、
英国フォークルーツの靄のかかったような幻想性とともに、しっとりとした耳心地の良さに包まれる。
女性声の美しさと優雅な牧歌性という点では、RENAISSANCEなどにも通じる味わいで、
19分という大曲も、派手に盛り上がるわけでもなく、アコースティックを含んだ繊細なアレンジで、
ゆったりとしたフォークロックという趣。後半の12分の大曲では、やわらかなシンセワークを中心にした
叙情たっぷりのサウンドにウットリ。のちの作品に比べると、素朴な空気が耳に優しい。全77分という力作。
シンフォニック度・7 優美度・9 牧歌度・9 総合・8 
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Cirrus Bay「Step Into Elsewhere」
アメリカのシンフォニックロックバンド、シルス・ベイの2008作
2作目の本作は、二人の女性ヴォーカルの歌声でしっとりと聴かせるシンフォニックロックで、
随所にアコースティカルな要素もあって、初期のQUIDAMあたりにも通じる雰囲気。
美麗なシンセワークにメロウなギターが絡むさまは、やはりGENESISルーツの
シンフォニックサウンドで、その繊細さにはアメリカのバンドとは思えない情緒がある。
ラストは16分の大曲で美しく盛り上げてくれる。女性声系シンフォ好きは要チェック。
シンフォニック度・・8 繊細度・・9 女性Vo度・・8 総合・・8
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Cirrus Bay
「Whimsical Weather」
アメリカのシンフォニックロックバンド、シルス・ベイの2012作
ハケットを思わせる繊細なギタートーンと、うっすらとした美しいシンセアレンジ
二人の女性ヴォーカルの歌声でしっとりと聴かせるシンフォニックサウンド。
ロマンティックな美意識とGENESISルーツのプログレ性が融合した雰囲気で、
10分以上の大曲をたおやかに構築してゆく。優雅でやわらかな耳心地の好作品です。
シンフォニック度・・7 しっとり繊細度・・9 女性Vo度・・8 総合・・8
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Cirrus Bay 「The Search for Joy」
アメリカのシンフォニックロック、シルス・ベイの2014年作
2008年にデビュー、本作が4作目となる。うっすらとしたシンセにメロウなギターのトーン、
そして美しい女性ヴォーカルの歌声で聴かせる、優美でたおやかなシンフォニックロック。
CAMELを思わせる泣きのギターに、ときに典雅なヴァイオリンの音色も加わって、
繊細な美意識に包まれたサウンドにウットリとなる。派手な展開というのはさほどないが、
RENAISSANCEのような優雅な空気感に、清涼感あるヴォーカル嬢の歌声も魅力的だ。
優雅な女性声シンフォとしては、MAGENTAあたりが好きな方にも薦められる逸品です。
メロディック度・・8 優雅度・・9 女性Vo度・・8 総合・・8
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Cirrus Bay 「Places Unseen」
アメリカのシンフォニックロック、シルス・ベイの2016年作
2008年にデビュー、本作がすでに5作目となる。やわらかなシンセに美しい女性ヴォーカルで聴かせる、
優美なシンフォニックロックはこれまで通り。CAMELばりの泣きのギターメロディに、メロトロンやピアノを含む
美麗なシンセワークにウットリしつつ、古き良きプログレらしいローカルな幻想性も楽しめる。
メリハリのあるインストパートの展開力もこれまで以上で、楽曲のアレンジという点でも魅力が増した。
10分を超える大曲もあくまで優美な感触で、キャッチーで繊細、そして優雅なサウンドは、
MAGENTAなどが好きな方にも薦められるだろう。たおやかな女性声シンフォの逸品です。
メロディック度・・8 プログレ度・・8 優美度・・9 総合・・8 
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Cirrus Bay 「The Art Of Vanishing」
アメリカのシンフォニックロック、シラス・ベイの2019年作
2008年にデビュー、本作は6作目となる。アコースティックを含む繊細なギターにうっすらとしたシンセ、
美しい女性ヴォーカルを乗せた、清涼感のある優美な女性声シンフォニックロックを聴かせる。
静と動のメリハリある展開力で、やわらかな叙情性とともにプログレらしいダイナミズムを表現。
牧歌的でありながらキャッチーで爽快な味わいは、英国のSOLSTICEなどにも通じるだろう。
やわらかなサックスの音色にピアノを重ねた優雅なインストパーとなど、歌ものにとどまらない
楽曲アレンジの多彩さの点でも、バンドの最高作と言えるだろう。もちろん女性声の魅力もたっぷり。
12分を超えるラストのクラシカルなピアノ曲も含めて、全70分の優美なる力作に仕上がっている。
優雅度・・9 プログレ度・・8 女性Vo度・・8 総合・・8.5 
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CITADEL「THE CITADEL OF CYNOSURE & OTHER TALES」
幻のアメリカンプログレハードロックバンド、シタデルの1990年作。
ハードロック的音像の中にもキャッチーな歌メロ、キーボードワークが光る良質のプログレハード。
コーラスも兼ねる女性ベーシスト、ギター&ヴォーカルの甘い性質、そしてセンスの良いキーボードと、
内容充実の力作。とてもなごやかで、さわやかなメロディ満載の好アルバムです。
シンフォニックプログレハードとして、1作で消えてしまうにはまったく惜しいバンドでした。
メロディアス度・・8 プログレハー度・・8 さわやかキャッチー度・・9 総合・・8
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Code 18「Human Error!」
カナダのプログレバンド、コード18の2020年作
HUISのシンセ奏者を含む3人編成で、北米の五大湖にまつわるオリジナルストーリーを描くコンセプト作。
美麗なシンセに適度にハードなギター、マイルドなヴォーカルを乗せて、ほどよくテクニカルな展開力と
涼やかな叙情性に包まれた、スタイリッシュなシンフォプログレを聴かせる。ゆったりとした歌ものパートでは、
うっすらとしたシンセとともにポストプログレ寄りの優美な空気を描きつつ、メロウなギターが心地よく響き渡る。
きらびやかなキーボードをメインにしたインストナンバーなど、コンセプト的なスケール感と流れのある構成で、
翳りを帯びたドラマティックなサウンドを構築してゆく。泣きのギターフレーズをたっぷり無理込んだなラスト曲まで、
じっくりと鑑賞できる力作に仕上がっている。同郷のMYSTERYやNATHAN MAHLのメンバーがゲスト参加。
ドラマティック度・・8 プログレ度・・8 叙情度・・8 総合・・8
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Combat Astronomy 「Time Distort Nine」
アメリカのアヴァンロック、コンバット・アストロノミーの2014年作
MAGMAルーツの所謂「Zeuhl系」の妖しさにインダストリアルなメタル質感を加えた独自のサウンドを聴かせるバンド。
本作はCD2枚組の大作で、のっけから17分、21分という大曲を聴かせる。重たいドラムにノイジーなギターを乗せ、
メロトロンやオルガンなどのシンセに、トランペット、サックスといったブラスをサンプリングで加えたデジタルなアレンジで、
モダンなチェンバーメタルというべきサウンドを描き出す。硬質なギターリフにる無機質で不穏な空気感は、
結果として、Meshuggahなどにも通じるような無機質なおどろおどろしさを感じさせる。一方では残響音が延々と鳴り響く、
ドローン的なナンバーや、男女声の語りを乗せた怪しげなインダストリアルロックなど、実験的な作風は良くも悪くも愛想がなく、
アヴァンギャルドなメタルを好む方なども含め、まさにディープな音楽リスナーに向けた異色作といえるだろう。
ドラマティック度・・7 チェンバーメタル度・・8 無機質な闇度・・9 総合・・8
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CONTRACTION
カナダ、ケベックのジャズロックバンド、コントラクションの1972年作
フランス語による女性ヴォーカルの歌声に、ピアノを含んだ優雅なアンサンブルと浮遊感が同居したサウンド。
げだるげでアンニュイな美声にうっとりと聴き入りつつ、ギターはときにむしろブルージーだったり
どことなく翳りのあるチェンバー風味も含んで、つかみどころがないエキセントリックなセンスを感じさせる。
随所にフルートやサックス、ヴァイオリンなども顔を覗かせるが、決して派手にはならず、なにかが主張しすぎることなく
アダルトな落ち着きに包まれている。そういう点ではとても玄人好みの聴き心地だろう。
70年代後半には、Et Cetera、Maneige、Conventum、Opus 5といった素晴らしいバンドたちが出てくるのだが
本作はそれ以前、70年代前半に生まれた、カナディアン・プログレの隠れた逸品と言える。
メロディック度・・7 プログレ度・・7 優雅度・・8 総合・・8
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Contraction 「La Bourse Ou La Vie」
カナダ、ケベックのジャズロックバンド、コントラクションの1974年作
前作は、優雅なアンサンブルと浮遊感が同居したジャズロックの傑作であったが、2作目となる本作も
カンタベリー的でもある軽妙な演奏が素晴らしい。テクニックのあるギターに軽やかなピアノが絡み、
フランス語の女性ヴォーカルを乗せた、優美なシンフォニック・ジャズロックというサウンドだ。
おそらく、当時のケベックのバンドの中でも演奏力を含めたバンドの力量はトップクラスと言ってもよく、
美しいフルートや優しい女性Voの歌声も含めて、National Healthの1作目などが好きな方にもお薦めだ。
タイトル曲である、18分を超える組曲はテクニカルな構築と叙情が繊細な交差する、圧巻のプログレジャズロック。
ドラマティック度・・7 プログレ度・・8 優雅度・・9 総合・・8
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CONTRACTION 「LIVE 1974」
カナダ、ケベックのプログレ・ジャズロック、コントラクションのライブ。2009年作
1972、74年にアルバム2作を出したバンドで、本作には1974年のスタジオライブを収録。
やわらかなエレピに軽やかなギター、しっとりとした女性ヴォーカルの歌声を乗せて、
優雅なアンサンブルを聴かせる、大人の味わいのブルージーなプログレジャズロック。
紅一点、クリスティーヌ嬢のコケティッシュな歌声も魅力的で、タメの効いたドラムにベースの存在感と、
さほどテクニカルではないが演奏力の高さも見事で、ゆったりとした中にも軽妙な味わいが心地よい。
70年代のライブ音源としては音質も良好。女性声ジャズロック好きは、2作のスタジオ作もチェックすべし。
ライブ演奏・・8 優雅度・・8 女性Vo度・・8 総合・・8 
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CONTRARIANMinor Complexities
アメリカのプログレバンド、コントラリアンの2007年作
ヴァイオリン鳴り響くメロディアスなシンフォニックロックで、KANSASを思わせる
キャッチーな歌メロと美麗なシンセ、いくぶんハードエッジなギターとともに、
ドラマティックなサウンドを聴かせてくれる。いかにもアメリカンプログレハード的な
軽快なロック感触もあり、そこにオルガンやムーグなどのシンセが加わって、
結果としてSPOCK'S BEARDをややマイナーにしたような雰囲気にもなっている。
メロディアス度・・8 プログレ度・・7 アメリカン度・・8 総合・・7.5
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CONVENTUM「A L'affut D'un Complot」
カナダのクラシカルチェンバーロックバンド、コンヴェンタムの1977作
アコースティックギターにヴァイオリン、フルートが絡む室内楽的な質感と
語りを含んだフランス語の歌唱によるシアトリカルな味わいが面白い。
クラシカルな優雅さの中にもヒネくれたセンスを垣間見せるあたりは、
ヨーロピアンなチェンバーロック的でもあり、耳心地はいいが一筋縄ではいかない。
繊細な美しさを増した2ndLe Bureau Central des Utopiesも同様の好作だ。
クラシカル度・・8 プログレ度・・7 チェンバー度・・8 総合・・8
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ConventumLe Bureau Central des Utopies
カナダ、ケベック出身のプログレバンド、コンヴェンタムの2nd。1980年作
艶やかなヴァイオリンに、アコースティックギター、マンドリンなどによる
繊細でクラシカルな室内楽的サウンドは、ロック色は薄いものの、
高度なテクニックによる複雑な楽器の絡みによる知性的な美しさがある。
曲によってはエレキギターが絡んで、ややダークめの不思議な味わいを聴かせる。
カナダのチェンバーロックとしては屈指の作品であるのは間違いない。
クラシカル度・・8 プログレ度・・7 チェンバー度・・8 総合・・8
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Copper Horse 「Enigmatic Times」
アメリカのプログレバンド、コッパー・ホースの2008年作
アコースティカルな叙情と繊細なシンセワークで聴かせる、やわらかなサウンド。
オールインストなので、耳心地のいいBGMになってしまいがちであるが、
GANDALFなどにも通じるしっとりとした雰囲気でのんびりと楽しめる。
プログレというよりは、アンビエント寄りのシンフォ作品だろう。
メロディアス度・・8 プログレ度・・7 叙情度・・8 総合・・7





Coryell/Mouzon 「Back Together Again」
アメリカのミュージシャン、ラリー・コリエル&アルフォンス・ムザーンによる1977年作/邦題「未来への再会」
フュージョンとジャズの融合を早くから取り組んだギタリスト、コリエルを中心に、ジャズ・フュージョンの名ドラマーで、
The Eleventh Houseの盟友でもあるムザーン、ベースのジョン・リー、さらにはFOCUSにも参加していた、
ベルギー人ギタリストのフィリップ・カテリーンを加えたツインギターの編成。手数の多い軽やかなドラムに
二本のギターの甘美なメロディを乗せて、優雅でテクニカルなフュージョンロックを聴かせる。
ジャズをベースにしたスリリングなアンサンブルと、叙情的なメロディアス性を含んだ展開力も見事で、
オールインストながら、歌心のあるギタープレイはさすがというところ。プログレファン的には、巧みなギターとともに、
FOCUS
あたりに通じる味わいでも楽しめるだろう。ジャズ、フュージョンのクロスオーバーというべき傑作だ。
ロック度・・7 技巧度・・9 優雅度・・9 総合・・8.5
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Cosmic Danger「Universe at Large」
アメリカのプログレユニット、コズミック・デンジャーの2012年作
オルガンを含めた美しいシンセをたっぷり使ったスペイシーなサウンドに、
キャッチーなヴォーカルメロディを乗せた、とてもやわらかな聴き心地。
メロディックでキレのあるギターや、どことなく70年代末~80年代テイストの感触は
U.K.あたりを思わせる知的さ感じさせる。軽やかでお洒落なポップセンスも魅力的で、
かといってプログレとしての引っ掛かりも絶妙に存在する。きらびやかで軽妙な好作品。
メロディック度・・8 プログレ度・・7 知的センス度・・8 総合・・8
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Cosmic Singularity「First Steps」
アメリカのプログレバンド、コズミック・シングラリティの2009年作
AZURETHのシンセ奏者を中心にしたバンドで、オルガンが鳴り響く古き良きプログレハード風味のサウンド。
いくぶんマイナー臭いヴォーカルの歌声は好みを分けるが、随所にギターとシンセがシンフォニックに交わる
叙情的な感触もあってなかなか楽しめる。全体的にやわらかなキャッチーさは耳心地がよいのだが、
爽快な突き抜けまでもう一歩という煮え切らなさも感じるところが、いかにも自主レベルの作品か。
メロディック度・・7 プログレ度・・7 楽曲・・7 総合・・7.5
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COVENANT 「NATURE'S DIVINE REFLECTION」
アメリカのシンフォニックロック、コヴナントの1992年作
STORM AT SUNRISEで活動するシンセ奏者によるプロジェクトで、手数の多いテクニカルなドラムに
オルガンやメロトロンなどきらびやかなシンセを乗せた、EL&Pスタイルのキーボードプログレを聴かせる。
19分、19分という2つの大曲をメインに、華麗なシンセワークで軽やかにたたみかけつつ、
ドラムの腕前もかなりのもので、テクニカルな演奏とともにリズムチェンジによるメリハリある構築性で、
オールインストながらスリリングな聴き心地で楽しめ、単なるEL&Pフォロワー以上の優雅なシンフォニック性に包まれる。
1作のみで終わったようだが、本作は90年代鍵盤プログレの隠れた逸品といえるだろう。
シンフォニック度・・7 プログレ度・・8 キーボー度・・9 総合・・8


Cryptic Vision「Momentst of Clarity」
アメリカのプログレバンド、クリプティック・ヴィジョンの2003年作
IT BITESA.C.Tなどにも通じるキャッチーなプログレハードサウンドで、非常に聴きやすく、
KANSASを思わせる歌メロなども耳に心地よい。ヴォーカルはMILLENIUMのトッド・プラント。
ゲスト傘下のデビッド・ラグスデイル(KANSAS)よるヴァイオリンも美しく、メロディアスさと哀愁、
キャッチーな優雅さが合わさった楽曲は、自主レベルとは思えない完成度を誇る。
12分を超えるタイトル曲も聴きどころで、ラルフ・サントーラ(MILLENIUM)もゲスト参加。
メロディアス度・・8 キャッチー度・・8 プログレハー度・・8 総合・・8
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CRYPTIC VISION「Live at ROSFest」
アメリカのプログレハードバンド、クリプテイック・ヴィジョンのライブ作。2005作
2005年の「RITES of SPRING FESTIVAL」でのステージを収録。
KANSASACTあたりを思わせるメロディアスで高品質なサウンドを聴かせるこのバンド、
このライブ作でも1stの曲を中心に、キャッチーなプログレハードを演奏している。
録音のせいか、演奏面でのエッジの弱さはややアマチュア臭い感じもしてダイナミックさに欠けるが、
レトロなプログレ風味とモダンな構築性を有した彼らのサウンドはとても聴きやすい。
SPOCK'S BEARD、KANSAS、YES、DREAM THEATER、GENESIS、ELP…という、
マニアックなプログレメドレーも楽しめるし、ラストには2nd収録の大曲のデモも収録。
メロディアス度・・8 プログレ度・・7 ライブ演奏・・7 総合・・7.5
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CRYPTIC VISION「IN A WORLD」
アメリカのプログレハードバンド、クリプティック・ヴィジョンの2nd。2006作
今回はいきなり16分を超える組曲から始まるという気合の入り方で、
いっそうのシンフォニックかつドラマティックさを増したサウンドが素晴らしい。
また、部分部分ではしっとりとした叙情も聴かせ、巧みに緩急を配した曲構成も心憎い。
トッド・プラント(MILLENIUM)の歌うやわらかみのあるヴォーカルメロディとともに
NEAL MORSETRANSATLANTICあたりにも接近したような雰囲気で、
キャッチーさとシンフォニックのバランスも絶妙だ。録音の質も上がっていてマイナー臭さも消えた。
センスとメリハリのある、ドラマティックなプログレシンフォ傑作。コレ買いです!
メロディアス度・・8 ドラマティック度・・8 キャッチー度・・8 総合・・8
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CRYPTIC VISION
Of Infinite Possibilities

アメリカのプログレハードバンド、クリプティック・ヴィジョンの2012年作
2003年にデビュー、6年ぶりとなる3作目で、本作もキャッチーなメロディで聴かせる
プログレハード的なシンフォニックロックサウンド。美麗なシンセワークに適度にハードなギター、
歌メロのメロディックな抜けの良さと起伏のある展開力は、TRANSATLANTICにも通じる感触だ。
ラストは20分の大曲で、デヴィッド・ラグスデールのヴァイオリンがゆるやかに鳴り響き、
トッド・プラントのやわらかなヴォーカルとともにじわじわと盛り上げる。ドラマティックな力作だ。
メロディック度・・8 キャッチー度・・8 プログレ度・・8 総合・・8
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CYGNUS & THE SEA MONSTERS 「One Night In Chicago 」
マイク・ポートノイ、ポール・ギルバート、ショーン・マローン、ジェイソン・マクマスター
というメンバーで行われた、RUSHトリビュートバンドの2005年のライブ音源を収録、
のっけから20分を超える「2112」でスタート、ポートノイの巧みなドラムに、CYNICのショーン・マローンのベース、
Mr.BIGのポール・ギルバートのギターに、元Watchtower、ジェイソン・マクマスターのハイトーンヴォーカルで、
原曲を軽やかに再現。音質的にはレンジが狭くて、上質のブート程度なのと、ヴォーカルの粗さが気にはなるが、
演奏自体はさすがの安定感。本家では「A Farewell to Kings」 と「Hemispheres」の2作にわたって収録された、
「Cygnus X-1」の2部構成の大曲を続けて披露。ラストの「YYG」は、途中のドラムソロも聴きどころ。ファンはどうぞ。
ライブ演奏・・8 音質・・7 トリビュート度・・8 総合・・7.5
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Daryl Stuermer 「Rewired - The Electric Collectio」
アメリカのギタリスト、ダリル・ステューマーの2006年作
GENESISのツアーギタリストとして知られるミュージシャンで、本作は1998~2004年までのソロから編纂されたベスト。
テクニカルで流麗なギターフレーズにシンセを重ね、軽やかなフュージョン風味のインストサウンドを聴かせる。
巧みなギタープレイは、ときにトニー・マカパインのような優雅さで、わりとストレートなリズムに乗せるメロディは
あくまでキャッチーかつ爽快なので、CABなどのハードフュージョン系が好きな方にも楽しめるだろう。
一流のギタリストらしい存在感あるギターサウンドで、巧みなプレイがたっぷり詰まった好アルバムだ。
メロディック度・8 プログレ度・7 優雅度・8 総合・8
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Dave Kerznner 「Static」
アメリカのミュージシャン、デイヴ・カーズナーの2017年作
サイモン・コリンズとのユニット、SOUND OF CONTACTや、MANTRA VEGAにも参加するミュージシャンで、
本作はソロ2作目となる。人々の日常における障害からの解放をテーマにしたコンセプト作品で、
メロトロンを含むシンセに、ほどよくハードなギターとマイルドなヴォーカルを乗せた、
スタイリッシュなプログレハードを聴かせる。躍動感のあるリズムとモダンな硬質感に、
GENESISPINK FLOYDKING CRIMSONなどからの影響も匂わせる叙情性をまとって、
オルタナシンフォ的な薄暗さも描き出す。一方では、SPOCK'S BEARD的なキャッチーな感触や、
ラストの16分の大曲では、BIG BIG TRAINなどにも通じるウェットな叙情性に包まれる。
スティーブ・ハケット、ニック・ディヴァージリオ(SPOCK'S BEARD)などがゲスト参加。
ドラマティック度・・8 プログレ度・・7 スタイリッシュ度・・8 総合・・8
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Dave KuljuNotes in the Margin」
アメリカのミュージシャン、デイブ・クルジュのソロ、2010年作
シンフォニックロックバンド、ELECTRUMで活躍するギター、ベース、シンセをこなすマルチプレイヤーで、
本作はモダンなアレンジで聴かせるメロディアスなインストのプログレに仕上がっている。
軽やかなフュージョン風味とゆったりとした大人のメロディを含んだ、力みのない作風で、29分の組曲なども
決して大仰にはならず、シンセとギターによるゆるやかな叙情性を、女性ヴォーカルの歌声とともに
やわらかに構築している。派手さよりも優美に聴かせる、大人のシンフォというべき好作である。
メロディアス度・・8 プログレ度・・8 大人のシンフォ度・・8 総合・・8
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David Minasian「Random Acts of Beauty」
アメリカのマルチミュージシャン、デビッド・ミナシアンの2010年作
CAMELのDVD制作を手がけた人物ということで、サウンドの方もCAMELばりの泣きのギターと
美しいシンセワークを中心に聴かせる、ゆったりとしたメロディックなシンフォニック作。
曲は長めで、とくに10分以上のものはスリリングさが希薄なだけ正直長尺に感じられるが、
全体的には、プログレバード風味のキャッチーさで耳心地よく聴ける好作だ。
シンフォニック度・・8 プログレ度・・7 繊細度・・8 総合・・7.5
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DAVID MINASIAN 「THE SOUND OF DREAMS」
アメリカのミュージシャン、デヴィッド・ミナシアンの2020年作
80年代から活動するアーティストでプロデューサーとしても活躍。本作は、2010年以来となるソロアルバムで、
ジャスティン・ヘイワード(The Moody Blues)、スティーブ・ハケット、アニー・ハズラム、ビリー・シャーウッド、
さらにはGeof O'Keefe(PENTAGRAM)などがゲスト参加、優美なシンセアレンジに叙情的なギターを重ね、
ジェントルな歌声にやわらかなフルートなども加え、ゆったりとした繊細なシンフォニックロックを聴かせる。
アニー・ハズラムの歌声にハケットのギターを乗せたナンバーなどは、初期GENESISばりの美しさ。
どの曲も泣きのギターフレーズや甘美なシンセアレンジが、シンフォプログレとしてのツボをしっかり押さえていて、
13分という大曲を含めて、全74分の大作ながら、最後まで耳心地よく味わえる。これは傑作ですね。
シンフォニック度・8 優美度・9 豪華ゲスト度・9 総合・8.5 
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David Sancious 「Forest Of Feelings」
アメリカの黒人ミュージシャン、デイヴィッド・サンシャスの1975年作
これまで2作目以降は聴いていたのだが、デビュー作の紙ジャケリマスター盤が2021年に再発された。
1曲目から9分におよぶ「カサンドラ組曲」は、優美なシンセワークにクラシカルなピアノ、ギターも加えて
軽やかなドラムとともに、EL&Pにも通じるようなプログレッシブな構築力で優雅なサウンドを聴かせる。
鍵盤はもちろん自身の巧みなギタープレイも随所に織り込んだ、フュージョンロック的な軽妙なアンサンブルで
オールインストながらもカラフルな印象に包まれている。軽妙でクラシカルなタイトル曲をはじめ、
ピアノによる優美な小曲、ギターをメインにしたロックナンバーもあったりと、多彩な内容が楽しめる。
メロディアス度・8 プログレ度・7 優雅度・9 総合・8 
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David Sancious and ToneTransformation(The Speed of Love)
アメリカの黒人キーボーディスト、デイヴィッド・サンシャスの2nd。1976年作
ジャズ畑の人であるが、プログレ好きとしても知られる彼のソロ作の中でも最高傑作とも言われるアルバム。
3rd、4thも悪くはなかったが、どちらかというとキャッチーなジャズ・フュージョンという雰囲気だった。
今作も基本的にはジャズ色のあるプログレ的サウンドなのだが、全4曲という大作志向で、
ギター、ベース、ドラムによるシンプルなアンサンブルに、センスの良いシンセワークが光る。
とくに18分のラスト曲での構築性は、テクニカルなシンフォニックプログレとしても見事だ。
メロディアス度・・8 プログレ度・・7 ジャズロック度・・8 総合・・8
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DAVID SANCIOUS「TRUE STORIES」
ジャズを畑にする黒人キーボーディスト、デイヴィッド・サンシャスの3rd。1978年作
彼の初期ソロ作はプログレ寄りのものが多く、この3rdもカラフルなキーボードワークに、
軽快なアンサンブルで、中期以降のYES的な雰囲気の歌もの系の好曲が揃っている。
間奏部やコーラスなどはかなりYESからの影響が濃く出ていて、プログレファンの鑑賞をも可能にしている。
メロディアス度・・7 キャッチー度・・8 YES度・・8 総合・・7.5
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DAVID SANCIOUS「JUST AS I THOUGHT」
デイヴィッド・サンシャスの4th。1979年作
本作の印象としては、プログレ好きにも聴けるシンフォニックなジャズ・フュージョンという趣。
自身の弾く巧みなギターに、ときにU.K.ばりの華麗なキーボードを主体に、全編インストながらも、
軽快なサウンドで気持ちよく聴き通せる。いわばジャズ寄りになったセバスチャン・ハーディという感じでも楽しめる。
メロディアス度・・8 プログレ度・・6 フュージョン度・・8 総合・・7.5
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Days Between Stations
アメリカのプログレユニット、デイズ・ビトウィーン・ステーションズの2007年作
シンセ奏者とギタリストによる二人組のユニットで、のっけから13分という大曲で、
オーケストラルで美しいイントロが続き、7分くらいからリズムも加わってようやくプログレらしくなる。
メロウな叙情を奏でるギターとシンセの重ねによる、ゆったりとしたインストパートをメインにしつつ、
ゲストによる女性ヴォーカルがソウルフルな歌声を乗せたり、サックスやトロンボーンが鳴り響いたりと、
わりと意外性もあって楽しめる。ラストは22分の大曲で、美しいシンセと泣きのギターで、もの悲しい叙情に包まれた
繊細なシンフォニックロックを展開。ジャケはB級アメコミ風ながら、内容は優美な世界観の好作品です。
ドラマティック度・・7 プログレ度・・7 優美度・・8 総合・・7.5
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Days Between Stations 「In Extremis」
アメリカのプログレユニット、デイズ・ビトウィーン・ステーションズの2013年作
シンセ奏者とギタリストによる二人組のユニットで、人の生誕から死にいたるまでを描いたコンセプトアルバム。
サウンドは、美麗なシンセワークを中心にオーケストラやブラスアレンジも含んだ優雅な聴き心地で、
泣きのギターが加わると、まるでTHE ENIDばりに美しいシンフォニックロックになる。キャッチーな歌入り曲もあるが、
インストメインで構成される10分、20分という大曲では、ときにピアノやメロトロンも入った鍵盤の美しさが光る。
トニー・レヴィン、ビリー・シャーウッドがベースとドラムで全面参加、ゲストにはピーター・バンクスや
リック・ウェイクマンなど豪華な顔ぶれも。ジャケはB級臭いがなかなか素晴らしい力作です。
シンフォニック度・・8 プログレ度・・8 壮麗度・・9 総合・・8
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Deadwood Forest「MELLODRAMATIC」
アメリカのプログレバンド、デッドウッドフォレストの2000年作
ANGLAGARDのメンバープロデュースしたバンドだが、特徴はなんといってもメロトロン。
ほぼ全篇でメロトロンが鳴りまくり!陰鬱さとメロディアスさが同居したレトロな感触は
むしろ北欧風のサウンドで、アングラガルドやANEKDOTEN的といえる部分もあるが、
そこまでの構築性はなく、どちらかというと少しラフでほんわかとした印象だ。
メロディアス度・・7 メロトロン度・・9 薄暗度・・ 総合・・7.5
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Dean Watson 「Unsettled」
カナダのマルチプレイヤー、ディーン・ワトソンの2010年作
オルガンを含むシンセワークに、メロディックなギターとともに構築される楽曲は
いかにもプログレプログレしたオールドスタイルのセンスといくぶんのヒネくれ具合も含めて、
Happy the Manあたりにも通じる感触もある。オールインストながら、キャッチーなメロディの流れと
リズムの変化も含めたアレンジで、知的で軽やかなテクニカルシンフォとしても楽しめる。
この手のソロ作品にありがちな自己満足的なシンフォ系とは一線を画する好作だ。
メロディック度・・8 プログレ度・・8 構築度・・8 総合・・7.5
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Dean Watson 「Imposing Elements」
カナダのマルチプレイヤー、ディーン・ワトソンの2012年作
多重シンセによるメロディと硬質感のあるリズムで構築される、オールインストのプログレサウンド。
変則リズムに乗せるテクニカルなギターフレーズとシンセの絡み方はメタルフュージョン的でもあるが、
HAPPY THE MANなどにも通じる屈折感やシンフォ系に通じるメロディアス性も含んでいて、
バランスのとれた聴きやすさがある。ときにProgMetal風味のハードさとともに、前作以上に重厚な感触で、
ジャズロック的な優雅さと知的な冷徹さを同居させた、クオリティの高い作品に仕上がっている。
ドラマティック度・・7 プログレ度・・8 優雅な屈折度・・8 総合・・8
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Deluge Grander「August in the Urals」
アメリカのプログレバンド、デリュージ・グランダーの2006年作
基本的にはG、Key、B、Drの四人を中心とした新人バンドで、のっけから25分の大曲。
メロウでありながら涼しげな感触は、アメリカというよりもむしろ北欧のバンドを思わせる。
と、思っていると、どことなくヒネた曲展開は、GENTLE GIANTあたりからの影響も感じさせ、
メロディアスなのだが曲調にはミステリアスな風味が加わって、一筋縄ではいかない。
A Triggering Myth + HAPPY THE MANというマニアックなたとえが当てはまるかはともかく、
ようするにクールなんだが、分裂ぎみにはじけているということで。そして演奏の質も高い。
25分から始まって、15、12、8、7と徐々に曲が短くなる構成もひねくれている(笑)
しかし、ジャケがCANDLEMASSのAncient Dreamsと同じなので、どうも違和感があるな。
メロディアス度・・7 プログレ度・・8 ひねくれ度・・8 総合・・8
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Deluge Grander「Form of the Good」
アメリカのプログレバンド、デリュージ・グランダーの2nd。2009年作
中心人物のシンセ奏者はBirds and Buildingsというシンフォ・ジャズロックバンドをやったりと、
なかなか精力的に活動をしているようだ。DGとしての期待の2作目となる本作は、
しっとりとしたメロトロンが鳴り響き、幻想的に始まるが、それも束の間、リズムが加わると
ヴァイオリンの音色とともに、ミステリアスな世界観と先の読めないヒネくれたセンスが炸裂、
おちゃらけと幽玄な叙情とが合体し、まるで不思議の迷宮に入り込んだような錯覚にとらわれる。
音自体はやわらかみのあるシンフォニックといってもいいものなのだが、それをこうも奇妙に仕上げる才能には
ただ感嘆するばかり。得体の知れない器の大きさは着実に磨かれてきている。ゲストによるフルート、チェロや
サックス、トランペット、オーボエといった管弦楽器による味付けはチェンバーロック的でもあり、
壮大な迷宮感覚を描くビジョンの豊かさはポストロック風でもある。ともかく濃厚な幻想プログレの傑作だ。
シンフォニック度・・8 プログレ度・・9 サウンドセンス・・9 総合・・8.5
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Deluge Grander 「Oceanarium」
アメリカのプログレバンド、デリュージ・グランダーの2017年作
過去2作はミステリアスなスケール感に包まれた素晴らしい傑作であったが、3作目はレアな自主流通で
本作は4作目になるらしい。オールドな味わいのギターにメロトロンを含むヴィンテージなシンセワークで、
70年代ルーツの聴き心地をかもしだし、オールインストによるサウンドは軽妙な味わいながらも
ほどよくメロディックなフレーズを盛り込んだシンフォ色とともに、ミステリアスなドラマ性を描いてゆく。
ストリングスやブラスも加えたチェンバーロック的な優雅さやアコースティックを用いたゆったりとした叙情も含みつつ、
とぼけた味わいの知的な展開力はECHOLYNなどにも通じるが、こちらはより大作志向のスケール感に包まれる。
10分を超える大曲多数の全79分で、さすがに長尺感はあるのだが、プログレ好事家はチェックすべき力作です。
ドラマティック度・・8 プログレ度・・8 壮大度・・8 総合・・8 
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DELUGE GRANDER 「LUNARIANS」
アメリカのプログレバンド、デリュージ・グランダーの2021年作
シンセ奏者のダン・ブリトン率いるバンド、2006年にデビュー、5作目の本作は、月と狂気をテーマにしたトータル作で、
メロトロンなどのヴィンテージなシンセに、ヴァイオリンやクラリネット、フルートなどの室内楽アレンジを重ね、
優雅な美しさとミステリアスな展開力で、チェンバー風味も含んだシンフォニック・プログレを描いてゆく。
クラシカルなピアノの旋律に、泣きのギターとメロトロンが加わって、じわりと盛り上げるリリカルなパートや
ときにジェントルなヴォーカルを乗せたキャッチーな牧歌性など、繊細な叙情美とスリリングなアンサンブルが同居、
オールドなプログレを涼やかなクラシカル性で昇華させている。濃密になり過ぎず盛り上げすぎないところも、
クールな味わいを保っていて、この突き抜けないマイナー感こそが、ディープなプログレリスナーをニヤリとさせる。
クラシカル度・8 プログレ度・8 優雅度・9 総合・8 
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Discipline 「Chaos Out Of Order」
アメリカのプログレバンド、ディシプリンの1988/2013年作
当時カセットのみの自主制作で発表された音源を、2013年にCD化したもので、
美しいシンセにリーダーであるマシュウ・パーメンターの独特のヴォーカルを乗せた、
シアトリカルかつ繊細な味わいは、まさにピータ・ハミルのVDGGを思わせる。
アコースティックな牧歌性に、ヴァイオリンも鳴り響き、優雅な歌もの感触の中にも、
知的なアレンジや展開を覗かせるところは、すでに非凡なセンスが光っている。
正規アルバムではないので音質はそれなりだが、バンドのプロトタイプとして十分に楽しめる内容だ。
ドラマティック度・・7 プログレ度・・7 優雅度・・8 総合・・7.5 
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Discipline「PUSH & PROPFIT」
アメリカのプログレバンド、ディシプリンの1st。1993作年
メロディアスな曲調にシアトリカルなヴォーカルの歌声、うるさすぎない余裕のある演奏がバランスを保っていて
とても聴きやすいサウンドだ。GENESISにクリムゾン風味を取り入れ、そこにアメリカ的なキャッチーなメロディを
ほどよくまぶしたという質感で、 どこかひねくれていながらも楽曲には小洒落たモダンさがある。
しっとりとしたヴォーカルを聴かせる曲もあり、こうした叙情性はSPOCK'S BEARDにも通じるだろう。
ヴォーカルのMATTHEW PARMENTERは、自身のソロ作でも素晴らしい作品を発表している。
メロディアス度・・8 プログレ度・・8 楽曲センス度・・8 総合・・8
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Discipline「Unfolded Like Staircase」
アメリカのプログレバンド、ディシプリンの2nd。1997年作
GENESIS+KING CRIMSONという雰囲気の1stも、なかなかの好作だったが、
今作は、13分×2、22分、16分という大曲ばかりという構成がまずすごい。
曲はゆったりと始まりつつ、メロトロンを含むシンセに、メロウなギター、サックスがゆるやかに絡まり、
薄暗い叙情とともに、知的で偏屈な展開で構築してゆく。ややクセのあるシアトリカルなヴォーカルは
好みを分けるところだが、VDGG的な涼やかで優雅な空気感にクリムゾン風のダークさを重ね、
アメリカンプログレのディープな偏屈さが上手くミックスされたという好作品だ。
メロディアス度・・7 プログレ度・・8 優雅度・・8 総合・・8
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Discipline「To Shatter All Accord」

アメリカのプログレバンド、ディシプリンの2011年作
90年代に2作を出して消えたと思っていたバンドの、14年ぶりとなる復活作。
リーダーであるマテュウ・パーメンターのシアトリカルな独特のヴォーカルと、
ピアノを含んだ美しいシンセアレンジに、GENESISルーツのメロウなギターワークが合わさって、
古き良きプログレの構築美を聴かせてくれる。以前の作品に比べると音には大人の落ち着きが感じられ、
歌もの色が強まったという点では、あるいはMATTHEW PARMENTERのソロに近い感触かもしれない。
艶やかなヴァイオリンが鳴り響く13分の大曲や、メロトロンとともにゆるやかに盛り上げる24分の組曲は
クリムゾン的なスケール感を漂わせた見事さで、全体的に鑑賞すればやはり傑作と言うべき内容である。
ドラマティック度・・8 プログレ度・・8 大人の味わい度・・8 総合・・8
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Discipline 「This Ones for England」
アメリカのプログレバンド、ディシプリンのライブ、2014年作
2012年アメリカでのライブを収録した2CD。2011年作「To Shatter All Accord」からのナンバーを主体に
1997年作「Unfolded Like Staircase」からの大曲や、1993年のデビュー作「 Push & Profit」からも演奏。
オルガンを含むやわらかなシンセにほどよくハードで叙情的なギター、ジェントルなヴォーカルを乗せて
展開力のある優雅なアンサンブルを聴かせる。VDGG+クリムゾンというような知的な構築力に、
メロウなギターフレーズとシンセを重ねたシンフォ感触が同居しつつ、随所に適度な偏屈感も垣間見せる。
加工しすぎない音質もライブらしい味わいで、20分を超える大曲を描く、安定した演奏力の高さもさすが。
ライブ演奏度・・8 プログレ度・・8 優雅度・・8 総合・・8
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Discipline 「Captives of the Wine Dark Sea」
アメリカのプログレバンド、ディシプリンの2017年作
1993年にデビュー、2作を残したのちに沈黙するも、2011年に復活、本作は4作目となる。
やわらかなピアノにオルガンを含むシンセ、叙情的なギターに乗せるMatthew Parmenterの歌声は、
ますます深みを加えた渋い味わいで、まさに「アメリカのピーター・ハミル」と呼ぶにふさわしい。
優雅な大人のアンサンブルと表現力ある歌声で、ほとんどVDGGと区別ができないほどのサウンドだが、
メロウな泣きのギターなどにシンフォ寄りの感触も残していて、アメリらしいキャッチーなところも感じられる。
3~4分前後のシンプルな小曲を中盤に配しつつ、ラストは14分を超える大曲で、しっとりと優美な叙情美に包まれる。
ドラマティック度・・8 プログレ度・・7 優雅度・・9 総合・・8 
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Direction 「ERE」
カナダのプログレバンド、ディレクションの2002/2009年作
先に4th、5thを聴いていたのだが、こちらがバンドのデビュー作の2009年再発盤。
適度にハードなギターとうっすらとしたシンセに、フランス語のハイトーンヴォーカルを乗せる、
ハードプログレサウンド。随所に聴かせるテクニカルなアンサンブルやキャッチーな聴き心地は、
RUSHをシンフォニック寄りにしたような雰囲気もある。こもり気味の音質がいかにもマイナーバンドという雰囲気で、
楽曲自体も4th以降に比べると魅力的なフックに欠けるのだが、ときおり出てくるメロディックなギターワークや
ラストは10分超の大曲も含め、ダイナミックな叙情センスにはバンドとしての可能性が窺える。
メロディック度・・7 プログレ度・・7 楽曲・・7 総合・・7.5
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DIRECTION 「EST」
カナダのプログレバンド、ディレクションの2008年作
ギター、ベース&ヴォーカル、ドラムのトリオ編成で、これがすでに4作目らしい。
オルガンやピアノのやわらかな響きに、キャッチーなヴォーカルメロディで聴かせる
シンフォニックロックサウンド。適度にテクニカルな展開力と繊細なやわらかさが合わさり、
フランス語で歌われる曲のせいもあって、ヨーロッパのバンドとはまた異なる優雅な聴き心地である。
やはりお国柄か、軽妙なアンサンブルにはときおりRUSHを思わせるような部分もあり、
10分を超える大曲も含め、アレンジ力や構築センスを感じさせる好作品に仕上がっている。
メロディック度・・8 プログレ度・・8 優雅度・・8 総合・・8
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DIRECTION 「VA」
カナダのプログレバンド、ディレクションの2011年作
CD2枚を「V」と「A」サイドに分けた2枚組のコンセプト大作で、ムーグやメロトロンなどを含んだシンセアレンジと
フランス語によるキャッチーな歌メロで聴かせる、メロディックなシンフォプログレサウンド。
曲間ごとににドラマ的なパートを挿入しながら、コンセプトストーリーを進行させてゆくやり方は、
知的な構成を好むカナダのバンドらしい。やわらかな叙情と内的な繊細さも感じさせる楽曲は、
決して押しつけがましさはなく、プログレハード的な明快さもあってとても聴きやすい。
カナダのシンフォニック系としてはトップクラスといえるバンドだと思う。
メロディック度・・8 プログレ度・・8 ドラマティック度・・8 総合・・8
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Dissonati 「Reductio Ad Absurdum」
アメリカのプログレバンド、ディソナティの2012年作
シンセ、ドラム、ギター&ベースという3人組のバンドで、いくぶんハードな感触を含んだ
モダンなプログレをやっている。センスはよいが前に出過すぎないシンセアレンジに
淡々としたヴォーカルとともに、キャッチーというよりは、くぐもったような偏屈さをかもしだす。
知的な屈折感と構築センスという点では、Echolynをややダークにしたという感じかもしれない。
全体的にメロディアスではあるのだが、得体のしれないミステリアスな感じがつきまとい、
爽快になりきれないところがかえって個性的とも。独自の屈折センスで描かれるアダルトな力作。
メロディック度・・7 プログレ度・・8 屈折度・・8 総合・・7.5



DISTANT DREAM 「A New Beginning」
アメリカのシンフォニックロック、ディスタント・ドリームの2005年作
オリジナルのコンセプトストーリーによるトータル作品で、美しいシンセアレンジとメロウなギター
やわらかなヴォーカルで聴かせる、叙情的なメロディッククロックという趣のサウンド。
プログレ的なスリリングさはあまりなく、全体的にアダルトな味わいに包まれた作風で、
楽曲的にはいまひとつ盛り上がりに欠ける。ヴァイオリンやピアノが入った美しいところもあるのだが、
プログレ、シンフォニックロックというよりは、むしろ耳心地の良いプログレハードとして聴くべき作品かもしれない。
ドラマティック度・・7 プログレ度・・7 楽曲・・7 総合・・7




District 97Hybrid Child」
アメリカのプログレバンド、ディストリクト97の2010年作
女性Vo、女性チェロ奏者を含む6人組で、オールドなロック質感に女性ヴォーカルの歌声を乗せ、
ヘヴィなギターとドラムの激しさで、テクニカルな展開力で構築する、オールドとモダンが同居した
まさにハイブリッドな聴き心地。クラシカルなチェロの響きがプログレ的なシンセに絡みつつ、
随所にメタル的なヘヴィネスも覗かせる、振り幅の大きさが新世代のバンドという印象である。
ラストの27分の組曲なども、スケールの大きなアレンジが光る。女性声ハード・プログレの新鋭です。
ドラマティック度・・8 プログレ度・・8 女性Vo度・・7 総合・・8
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DISTRICT 97Trouble With Machines
アメリカのプログレバンド、ディストリクト97の2012年作
女性Voにシンセを含む5人編成で、前作もなかなかの力作であったが、
今作も10分超の大曲を2曲含む濃密なハードシンフォニック作となっている。
ヘヴィ寄りのギターと美麗なシンセワーク、 艶のある女性ヴォーカルの歌声を乗せ
適度にテクニカルで重厚なサウンドを構築。知的な展開力はProMetal的でもある。
切れ味のある演奏に緊張感も漂わせながら、随所にキャッチーなメロディや
モダンなスタイリッシュ性を含んだアレンジは、現在形ハードプログレの進化形を示している。
前作以上のスケール感と楽曲の充実ぶりにバンドとしての成長を覗かせた傑作だ。
ドラマティック度・・8 けっこうメタル度・・8 女性Vo度・・7 総合・・8
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District 97 With John Wetton「One More Red Night - Live in Chicago」
アメリカのプログレバンド、ディストリクト97のライブ。2014年作
ジョン・ウェットンを迎えての2013年のライブを収録。全編KING CRIMSONのカヴァー音源で構成されたステージで、
本家よりもモダンでハード寄りの演奏ながら、楽曲の雰囲気を忠実に再現、そしてなにより、ジョン・ウェットンの歌声で
“21世紀の精神異常者”、“Starless”、“偉大なる詐欺師”など、往年のクリムゾンのナンバーが楽しめるというのはファンには嬉しいだろう。
枯れた味わいのウェットンの歌声に、バンドの女性シンガー、レスリー嬢が加わり男女ツインヴォーカルの味わいもいい感じだ。
バックの演奏も、かなりクリムゾン的なグルーブ感をかもしだすドラムを中心に、巧みに安定したアンサンブルが見事。
ジョン・ウェットンやクリムゾンのファンの方も、ディストリクト97というバンドの存在を知ってもらえるのではないだろうか。
ライブ演奏・・8 ジョン・ウェットン度・・8 クリムゾン度・・9 総合・・8
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District 97 「In Vaults」
アメリカのハードプログレバンド、ディストリクト97の2015年作
女性Voにシンセを含む5人編成で、本作は3作目となる。のっけからぐっとメタリックな感触で、
やわらかな女性ヴォーカルを乗せた優雅さとヘヴィネスとのコントラストが際立っている。
モダンな硬質感と適度なにダークな雰囲気は、メタルコア風味のゴシックメタル的でもあり、
紅一点、レスリー・ハント嬢の伸びやかな歌声が引き立っている。ヘヴィな曲調から一転して、
繊細な叙情的パートがふっと現れると、プログレ/シンフォニックロックとしての側面が覗かれて、
あえて二面的な構成にしたバンドの意図がうかがえる。アルバム中盤以降はオルガン鳴り響く、
カンタベリー風味のやわらかなプログレが戻ってくるのでご安心を。ハードな感触を見せつけながら、
全体的にはしっかりプログレ心を残した優雅で軽妙なサウンドが楽しめる力作に仕上がっている。
ドラマティック度・・8 モダンプログレ度・・8 適度にハー度・・8 総合・・8
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District 97 「Screens」
アメリカのハードプログレバンド、ディストリクト97の2019年作
2010年にデビューし、本作は4作目となる。テクニカルなドラムにメタリックなギターを乗せ、
優美なシンセと伸びやかな女性ヴォーカルで聴かせる、スタイリッシュなハードプログレサウンド。
いわばProgMetal的なスリリングなハードさに、カンタベリー風の優雅さが同居したような感触で、
メランコリックな翳りに、キャッチーなシンフォニック性も含んだ、ボーダーレスなバランス感覚が見事。
紅一点、レスリー・ハント嬢の歌唱の表現力もぐっと上がっていて、軽妙なテクニカル性のナンバーから、
しっとりとしたパートまで、ときにパワフルにときに優しく歌い上げる。起伏に富んだラストの10分の大曲まで、
ハードさの中にもしっかりとプログレ感触を残した構築性と、素晴らしい女性声で楽しめる、巧みな傑作である。
ドラマティック度・・8 プログレ度・・8 スタイリッシュ度・・9 総合・・8 
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District 97「Screenplay」
アメリカのプログレバンド、ディストリクト97のライブ。2021年作
2019年、オランダでのライブを収録した2枚組。Disc1は、2019年作「Screens」を完全再現、Disc2には、新曲のスタジオ音源と、
2010~2019年までの過去のライブから、YESやKING CRIMSON、GENESIS、U.K.などをカヴァーした音源を収録。
手数の多いドラムにほどよくハードギターと優美なシンセ、女性ヴォーカルの歌声を乗せて、テクニカルな展開力とともに
スタイリッシュなハードプログレを聴かせる。アルバム盤に比べるとリラックスした演奏で、ライブらしいグルーヴも感じさせ、
優雅なアンサンブルにはバンドとしての演奏力の高さが窺える。Disc2前半は、2013~2019年のライブ音源などで、
過去のメンバーを含む演奏を、じっくりと楽しめる。後半はカヴァー曲演奏で、レスリー嬢のハスキーな歌声が似合う、
ジェネシス「Back In N.Y.C.」や、イエス「遥かなる思い出」などもなかなか良い感じで、キング・クリムゾン「レッド」や、
故ジョン・ウェットンを迎えての、「21世紀の精神異常者」も収録。オールドなプログレフアンも楽しめるライブ作品です。
ライブ演奏・・8 プログレ度・・8 女性Vo度・・8 総合・・8 
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Dixie DregsWhat If
アメリカのフュージョンロックバンド、ディキシー・ドレッグスの1978年作
ギターのスティーブ・モーズを中心に、シンセにヴァイオリンを含んだ5人編成で
オールインストによる軽やかなフュージョン・ジャズロックサウンド。
アメリカらしいライトな抜けの良さと緻密な構成力を同居させた楽曲は
随所にジャズやクラシックの要素も含ませながら、ときにコミカルであったり
HAPPY THE MANにも通じるテクニカルでプログレッシブな知的センスが光る。
艶やかなヴァイオリンの音色が優雅に響きわたる、クラシカルなエッセンスも含んだ傑作。
メロディック度・・8 プログレ度・・8 テクニカル度・・8 総合・・8.5
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DIXIE DREGS 「Night of Living Dregs」
ディキシー・ドレッグスの1979年作
軽やかなアンサンブルで聴かせる、爽快なフュージョンロック。
ノリのよいグルーブを生み出すロッド・モーゲンスタインのドラムとアラン・ウエストのベースに、
表現豊かなスティーヴ・モーズのギターと、シンセやヴァイオリンがきらびやかに彩りを添える。
3、4分台のインスト曲の中に、遊び心とテクニカルな演奏センスを盛り込みながら、決して難解にはならず
じつに楽しげで優雅、そして聴き心地のよいサウンドに仕上げている。前作同様の傑作。
メロディック度・・8 プログレ度・・8 テクニカル度・・8 総合・・8.5
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DIXIE DREGS 「Full Circle」
ディキシー・ドレッグスの1994年作
80年代にはレコード会社遺跡に伴い、バンド名をDERGSとしていたが、今作では久々に名前を戻しての作品。
ヴァイオリンにMAHAVISHNU ORCHESTRAのジェリー・グッドマンが参加、ロッド・モーゲンステインの叩き出す力強いドラムに
スティーブ・モーズの遊び心たっぷりのギターワークが乗る、軽やかで爽快なフュージョンロックはかつてのままだ。
70年代の傑作に比べるとプログレ的なテクニカル性は薄まったが、オルガンを含んだシンセにヴァイオリンの音色が加わると、
アメリカらしいキャッチーなメロディック性に包まれる。一流の演奏陣による大人のインストロックが楽しめる好作品。
メロディック度・・8 プログレ度・・7 テクニカル度・・8 総合・・8
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Djam Karet 「Reflections From The Firepool」
アメリカのプログレバンド、ジャム・カレットの1989年作
1985年にデビューし、4作目。ほどよく叙情的なギターを乗せた優雅なアンサンブルで聴かせる、
オールインストのロックサウンド。ジャズロックというほどにはテクニカルというわけでもなく、
ときにフュージョン的な雰囲気もありつつ、うっすらとしたシンセを重ねた物悲しい叙情や、
ときにブルージーなギターの旋律にも味があり、これといって盛り上がるところはないのだが、
どこか知的なセンスを漂わせる。ラストのタイトル曲は10分を超え、インストで65分は少々長いか。
メロディック度・7 プログレ度・7 優雅度・8 総合・7.5
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Djam Karet 「Burning The Hard City」
アメリカのプログレバンド、ジャム・カレットの1991年作
5作目の本作は、ほとんどが10分前後の大曲となり、ますますジャム系プログレを突き進んでいる。
フリーキーなギターの旋律を乗せた、ほどよいハードさと優雅さが同居したアンサンブルで、
テクニカル過ぎないインストサウンドを描く。ディレイの効いたギターを乗せたサウンドスケープ的な叙情や
メロウなギターフレーズを聴かせるパートもあり、前作に比べて緩急のついた構成も光っている。
ときにオルガンなどのシンセを加えたプログレ感触とともに、耳心地の良いインストが楽しめる。
メロディック度・7 プログレ度・7 優雅度・8 総合・8
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Doctor Nerve 「Every Screaming Ear」
アメリカのアヴァンロック、ドクター・ナーヴのライブ作。1997年作
1984年にデビュー、アメリカのレコメン系を代表するバンドのひとつである。
本作は、1992年のドイツ、オランダ、アメリカでのライブ音源を中心に収録。
躍動的なドラムとベースに、トランペット、サックスが吹き鳴らされ、テンション高いアンサンブルで、
チェンバーでジャジーなアヴァンロックを描き出す。変則リズムのテクニカル性も含めてさすがの演奏力です。
即興的なアヴァンギャルド性はフリージャズに通じる部分もあり、オールインストなのでブラスが鳴り響く奔放なBGMとしても楽しめる。
ライブ演奏・・8 テクニカル度・・8 アヴァンギャル度・・8 総合・・8
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The D ProjectShimmering Lights」
カナダのプログレユニット、Dプロジェクトの2006年作
SenseのギタリストでもあるStephane Desbiensによるプロジェクト/ユニットで、
知的でモダンなアレンジと、いくぶんテクニカルな要素も含んだインスト主体のサウンド。
ヴォーカル入りの部分はキャッチーな感触で、シンセを含んだ美しさもありつつも
全体的には、派手さよりも大人の構築センスというべき、玄人好みの聴き心地である。
8分、10分という大曲も、メロウなギターワークとともにゆるやかな叙情を描いてゆく、
しっとりとした部分が魅力的。あとは作品としての明確な存在感がもう少し欲しい。
ドラマティック度・・7 プログレ度・・7 大人の構築度・・8 総合・・7.5
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D Project 「The Sagarmatha Dilemma」
カナダのプログレユニット、D・プロジェクトの2008年作
SenseのギタリストでもあるStephane Desbiensによるプロジェクト/ユニットで、
美しいシンセアレンジにマイルドなヴォーカルを乗せたキャッチーなシンフォニックロック。
メロウなギターフレーズによる泣きの叙情と、哀愁を感じさせる繊細なメロディアス性に、
ProgMetal的でもある適度にテクニカルな展開力で、知的なハードプログレを描いてゆく。
たとえば、曲によってはDream Theaterのバラード曲のような雰囲気もあったりして、
ドラマティックなハードシンフォが楽しめる高品質作。Planet Xのデレク・シェリニアンなどがゲスト参加。
ドラマティック度・・8 プログレ度・・8 叙情度・・8 総合・・8
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D PROJECT「BIG FACE」
カナダのプログレユニット、ディー・プロジェクトの2011年作
SenseのギタリストでもあるStephane Desbiensによるプロジェクト/ユニットで、
自身でギター、シンセ、ヴォーカルこなす、薄暗い叙情性で聴かせる耳心地のよいサウンド。
メロウなギターフレーズと、キャッチーな歌メロ、サックスやチェロなども含んだ
センスのよいアレンジと、ある種、お洒落に構築された軽妙なモダンプログレである。
ぱっと聴きの派手さはないが、大曲ではゆるやかに盛り上げる壮大なシンフォ要素もあり
じっくり味わえる玄人好みの作品だ。Tony Levin、Lalle Larssonなどがゲスト参加。
メロディアス度・・8 プログレ度・・8 構築センス度・・9 総合・・8
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Dream Aria 「In the Wake」
カナダのシンフォニックロック、ドリーム・アリアの2005年作
デジタルなリズムに、うっすらとしたシンセアレンジと浮遊感ある女性ヴォーカルの歌声、
ギターも加わったロック色が合わさった、エレクトロなシンフォニックロックというようなサウンド。
オペラティックなソプラノ女性ヴォーカルの美しさを前面に出しつつ、フルートやバグパイプの音色など
ケルティック/民族的な要素や、曲によってはゴシック的な耽美な雰囲気も覗かせる。
クラシカルな優雅さをモダンに解釈したというような、シンフォニックかつキャッチーな聴き心地と
魅力的な女性ヴォーカルで、このモダンシンフォ路線をさらに追及すると面白に存在になりそうだ。
ドラマティック度・・7 優雅度・・8 女性Vo度・・8 総合・・7.5
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Dream Aria 「Fallen Angel」
カナダのシンフォニックハード、ドリーム・アリアの2011年作
美しいシンセアレンジにキュートな女性ヴォーカルの歌声、わりとハードなギターが合わさったサウンド。
ゲストによるラウドなギターがメタル感触をかもしだしていて、ややミスマッチな感じながら、
厚みのあるシンフォニックなアレンジや美しい女性声を乗せた浮遊感はなかなか悪くない。
イギリスのThe Reasoningあたりにも通じる、ハードロック感触のある女性声シンフォというべきか。
ラストの8分近い大曲はプログレ的なインストが良い感じであるが、全体的には楽曲自体がややごちゃごちゃしていて
せっかくの女性ヴォーカルの美しさが活きていない。むしろシンプルにキャッチーなメロディのフックを磨いてほしい。
シンフォニック度・・8 プログレ度・・7 女性Vo度・・8 総合・・7
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DREAMSHIP「ANCESTRAL VOYAGE」
アメリカのシンフォニックユニット、ドリームシップの2002作
詳細は不明だが、ネット上で知り合った2人が意気投合し、メールでの音源のやりとりによって完成させたという、なんとも現代的な経緯の作品。
音の方は、ジャケに描かれた帆船通り、冒険的なテーマのシンフォニック作品で、たおやかなギター、キーボード、ヴォーカルをメインにしたもの。
大作が中心で、曲の流れ的に大きな起伏に欠けるためダイナミックさは希薄。雰囲気はいいのだが、インパクトのあるメロディが少ないため、
全体的にもったりとした、いかにもアマチュア的な長尺さが感じられるのが残念。メール上でもう少し厳しいやりとりをして音を詰めてもらいたい。
シンフォニック・・8 たおやか度・・8 楽曲・・6 総合・・7

Dream The Electric Sleep 「Heretics」
アメリカのプログレロック、ドリーム・ザ・エレクトリック・スリープの2014年作
ギター、ヴォーカル、シンセをこなす、マット・ペイジ氏を中心にしたトリオ編成で、
適度にハードエッジなギターとうっすらとしたシンセアレンジ、キャッチーなヴォーカルメロディとともに
ポストロック的なスケール感とエクスペリメンタル系の硬派さが程よく合わさったというような聴き心地。
現在形のクロスオーヴァーな知的ロックという点では、Trail of Deadあたりを思わるセンスを覗かせつつ、
ギターには古き良きロックの感触も残していて、叙情性と重厚さのバランスも見事な力作となっている。
ドラマティック度・・8 プログレ度・・7 壮大度・・8 総合・・8
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DREAM THE ELECTRIC SLEEP 「BENEATH THE DARK WIDE SKY」
アメリカのプログレロック、ドリーム・ザ・エレクトリック・スリープの2016年作
ギター、ヴォーカル、シンセをこなす、マット・ペイジ氏を中心にしたトリオで、2011年にデビューし、3作目となる。
コンセプチュアルなドラマ性を想起させる叙情的なイントロから、ほどよくハードなギターとシンセの重ねに
マイルドなヴォーカルを乗せ、Trail Of Deadなどに通じる知的なオルタナロックというサウンドを構築する。
アコースティックなパートからPINK FLOYD的なユルめの叙情も覗かせつつ、ヘヴィなダークさに包まれるなど
メリハリある流れとともに聴かせる重厚な味わいは、やはりプログレファン向けだろう。センスのよい逸品です。
ドラマティック度・8 プログレ度・7 重厚度・8 総合・8 
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DRUCKFARBEN
カナダのプログレバンド、ドラックファーベンの2011年作
軽やかにオルガンが鳴り響くイントロから、ヴィンテージなプログレ感触がたっぷりだが、
リズムチェンジを含むテクニカルなアンサンブルは、Spock's Beardあたりにも通じる、
知的なスタイリッシュ性で、ハイトーンのヴォーカルが乗ると、YESを思わせる雰囲気も。
流麗なギタープレイをはじめとして、演奏力の高さはいかにもカナダのバンドらしく、
オールドなプログレ感触を、センスある構築力で巧みに料理。キャチーなメロディアス性と
テクニカル性の同居という点では、近年のバンドではピカイチ。続く2作目も見事な出来です。
ドラマティック度・8 プログレ度・8 構築センス・9 総合・8
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Druckfarben 「Second Sound」
カナダのプログレバンド、ドラックファーベンの2014年作
きらびやかなシンセワークを含んだHAPPY THE MANあたりを思わせるテクニカルなアンサンブルに、
TALAS、CONEY HATCHなどで活躍したフィル・ナーロの枯れた味わいのヴォーカルを乗せた爽快なサウンド。、
軽妙な聴き心地はRUSHをシンフォ化したような感じでもあり、プログレハード的でもあるキャッチーなコーラスに、
ジャズロックやクラシカルなテイストを含んだ優雅なメロディック性も素晴らしい。伸びやかなギターワークと、
ムーグなどのプログレ的な音色のシンセも心地よく、北米らしい抜けの良いプログレ感を楽しめる。
ラストは18分を超える大曲で、ヴァイオリンが鳴り響きドラマティックな展開で描かれる、メロディックプログレの力作。
メロディック度・・8 プログレ度・・8 優雅で軽妙度・・9 総合・・8
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Eccentric Orbit「Attack of the Martians」
アメリカのプログレバンド、エキセントリック・オービットの2004年作
ハモンドやメロトロンなどのアナログシンセの音色を前面に出した、ヴィンテージなキーボードプログレ。
EL&P的な質感もあるが、こちらはもう少し薄暗い感じで、ANEKDOTENほどにはヘヴィではない。
オールインストで10分台の曲2曲を含む全5曲。メロディアスというほどはキャッチーではなく
テクニカルなたたみかける部分も多くはないので、ドラマティックというほどの盛り上がりはない。
演奏のまとまりは良く、意外とベースの存在感があって、うねりのあるグルーブをかもしだしている。
薄暗系のヴィンテージなキーボードプログレが好きな方なら、そこそこ気に入るだろう好作品です。
メロディアス度・・7 プログレ度・・7 キーボー度・・8 総合・・7.5
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Eccentric Orbit 「Creation of the Humanoids」
アメリカのプログレバンド、エキセントリック・オービットの2014年作
EL&P+ANEKDOTENというようなレトロな好作だった前作から、じつに10年ぶりとなる2作目。
オルガンにムーグ、メロトロンなどのヴィンテージなシンセをたっぷり使ったインストサウンドで、
随所にヴァイオリンも鳴り響く。前作に比べてメロデイや展開のフックがダイナミックになったことで、
オールインストでありながらも、プログレとして飽きずに楽しめる。20分におよぶタイトル曲は、
そういうコンセプトなのだろう、オールドなSF映画を思わせるコミカルなシリアスさという雰囲気とともに、
緊張感のある展開が味わえる。全体的にキャッチーな愛想の良さは薄いが、インストプログレの力作である。
ドラマティック度・・7 プログレ度・・8 古き良き度・・8 総合・・8
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ECHOLYN 「SUFFOCATING THE BLOOM」
アメリカのプログレバンド、エコリンの2nd。1992年作
歌心のあるメロディアスな楽曲に巧みな演奏能力は、今でいうとSPOCK'S BEARDにも通じる
雑食性のあるメロディックサウンドである。GENTLE GIANT的な素養の深さを持ちながら、
単なる技巧のみに走らず、結果として聞きやすいポップセンスを持っているのがアメリカ的だ。
クールでいながらルロディは優しく、展開が多いのに聴きやすく爽やかという
90年代以降のアメリカ産メロディアスロック・プログレの新たな形を体現した1枚である。
メロディアス度・・8 プログレ度・・7 演奏・・9 総合・・8 ◆プログレ名作選入り
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ECHOLYN「As the World」
アメリカのプログレバンド、エコーリンの3rd。1995年作
このアルバムは天下のEpic Sonyから日本盤が出ていたこともあり中古屋などで目にする機会もあったが、
妖しげなジャケのせいでなかなか手にとることもなかった。メジャーデビューということで気合が入ったのだろう、
今作はどちらかというと硬質感のあるかっちりとした演奏で、彼らにしてはとてもソリッドな印象だ。
演奏の実力的には相当なものなので、こうしたハードめの音をやってもサマになるのが凄いのだが、
GENTLA GIANTばりのとぼけた味わいやキャッチーなコーラスワーも含めて、
メロディックな味わいとテクニカル性が絶妙に融合、計算されたプログレロックを楽しむことができる。
リマスター盤ではジャケが変更され、DVDの付いた2枚組仕様となっている。
メロディアス度・・8 テクニカル度・・8 かっちりしてます度・・9 総合・・8
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ECHOLYN「When the sweet turns sour」
アメリカのプログレバンド、エコリンの4th。1996年作
キャッチーな歌メロとGENTLE GIANTを思わせる屈折した曲展開でマニア受けするサウンドは、
このアルバムあたりから聴きやすさのバランスがとれだして、完成の域に達しつつある。
後のSPOCK'S BEARDにも受け継がれる、テクニックがありながらも、
どこかほのぼのとしたおおらかな雰囲気は独特のもの。ライブ音源も2曲収録。
メロディアス度・・7 プログレ度・・8 ほのぼの度・・8 総合・・7.5
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ECHOLYNCowboy Poems Free
アメリカのプログレバンド、エコリンの5th。2000作
本作もアメリカらしい抜けのよいメロディと叙情性ををたっぷりと聴かせつつ、
SPOCK'S BEARDなどにも通じるセンスの良さで楽曲を構築している。
小曲を巧みに配することで、曲間につながりを持たせ、コンセプト的に聴かせる。
あくまでキャッチーな歌メロやコーラスに、遊び心と余裕に溢れたリズム感覚、
その中にもしっかりとプログレへの愛情を感じさせるのが心憎い。
メロディアス度・・8 プログレ度・・8 軽やかセンス度・・9 総合・・8
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ECHOLYN「mei」
アメリカのプログレバンド、エコリンの6th。2002作
全1曲49分というえらく気合の入ったアルバムで、美しいイントロでじわじわと始まってゆく。
鳴り響くハモンドに、マイルドなヴォーカルメロディが加わりエコリン節ともいうべきキャッチーかつテクニカルなサウンドが繰り広げられる。
曲が長いだけにゆるやかな盛り上がりと展開を何度も繰り返しながら、ときにSPOCK'S BEARDDREAM THEATERすらも思わせる
巧みな構成力と叙情性で聴き手をぐいぐいと惹きつけてゆく。さすがに途中からは長尺感を感じてしまうが、
ドラマティックという点だけならば、あるいはECHOLYNの最高傑作と言っていいかもしれない。
メロディアス度・・8 プログレ度・・8 ドラマティック度・・9 総合・・8
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ECHOLYN「THE END IS BEAUTIFUL」
アメリカのプログレバンド、エコリンの7th。2005作
アルリカンな陽気なメロディアスさとたたみかける技巧、そしてややヒネくれた楽曲センスとで、
昔から玄人受けするバンドであったが、このアルバムではかつてよりも音にはこなれた上品さを感じる。
といっても、SPOCK'S BEARD的にメロディアスでありながら、しっかりとロックとしての躍動感を兼ね揃えた
彼らならではのサウンドは変わらず、叙情パートでは大人の余裕を感じさせてくれるし、
楽しげにたたみかける演奏はやはり見事といってよい。まさに現代のGENTLE GIANTというべき傑作です。
メロディアス度・・7 プログレ度・・8 大人の技巧ロック度・・9 総合・・8 ◆プログレ名作選入り
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Echolyn
アメリカのプログレバンド、エコリンの2012年作
すでに活動20年以上のベテラン、前作から7年ぶりとなる8作目となる。
セルフタイトルのCD2枚組で、のっけから16分の大曲という気合の入りよう。
切れ味のある絶品のアンサンブルと、プログレらしさを忘れないシンセワークも素晴らしい。
ヴォーカルが加わると、とたんにキャッチーな味わいに包まれるのはエコリン節であるが、
シンフォニックロックとしての優美さもあり、メロウなやわらかさでじっくりと聴かせる実力も素晴らしい。
しっとりとした癒し系としても楽しめるというDisc2に分けた意味が分かりますな。じわじわ優しい傑作。
メロディック度・・8 プログレ度・・8 アンサンブル度・・9 総合・・8.5
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ECHOLYN 「I Heard You Listening」
アメリカのプログレバンド、エコリンの2015年作
1991年デビューのベテランで本作はおそらく9作目となる。前作での大人のプログレ路線を継承し、
エレピやオルガンなどを含む繊細なシンセワークにマイルドなヴォーカル、渋みを感じさせるギターとともに
ゆったりと構築される、耳心地のよいサウンドだ。それでいてかつてのGENTLA GIANT的なとぼけた味わいも残していて、
やわらかな音でありながら適度な緊張感を感じさせるのが素晴らしい。アコースティックギターやストリングスによる
優美な叙情性と、アメリカのバンドらしいキャッチーな軽妙さが合わさって、キャリア25年を数えるバンドならではの、
自信と落ち着き、そして積み重ねてきた構築センスが自然な形で融合されている。それでいて決して古臭くない、
優雅で躍動的なアンサンブルで、まさに「大人のプログレ化したGG」というような作風が楽しめる。
メロディック度・・8 プログレ度・・8 大人の叙情度・・9 総合・・8
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Ed Bernard 「Polydactyl」
カナダのミュージシャン、エド・ベルナルドの2015年作
DRUCKFARBENのリーダーでもあるマルチミュージシャンで、きらびやかなシンセにギターを重ね、
テクニカルなリズムで聴かせる、軽妙なプログレサウンド。流麗なギターワークにオルガンなどの鍵盤、
ヴァイオリンやヴィオラ、さらにはマンドリンまでも自身でプレイ。さらに自身の味のあるヴォーカルが加わると、
ストリングスとシンセを重ねた叙情的なシンフォニック性に、知的な展開力とキャッチーな抜けの良さで、
NEAL MORSEなどにも通じるプログレらしい爽快な味わいに。素朴なマンドリンの音色にメロウなギター、
そして美麗なシンセアレンジもじつにセンス良く、テクニカルなインストパートとのメリハリある構築力が見事。
才能ある人間によるソロはこんなにも楽しいのだなと思える、プログレらしい優雅な傑作です。
ドラマティック度・・8 プログレ度・・8 優雅度・・9 総合・・8
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EdensongThe Fruit Fallen
アメリカのシンフォニックロックバンド、エデンソングの2008年作
美しいピアノの音色にメロトロン、オルガンなどのヴィンテージなシンセがかぶさり、
フルートやアコースティックギターなどとともに、しっとりとした叙情を聴かせる。
優しいヴォーカルの歌声とともに素朴でキャッチーなメロディが耳心地がよく、
この繊細な音作りは、アメリカというよりもむしろ英国のバンドの質感に近いか。
艶やかなヴァイオリンなども加わるとクラシカルな雰囲気が増して、ほのかに薄暗い美意識は、
日本のOuter Limitsなども思い出させる。トラッド的な質感も取り入れたしっとりとした部分もありつつ、
意外とヘヴィなパートもあったりと、ややとりとめがない感じもあるが、
おそらくコンセプトのストーリィに基づいた流れなのだろう。なかなかの力作だ。
シンフォニック度・・8 プログレ度・・8 繊細度・・8 総合・・8
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Edensong「Echoes of Edensong: from the Studio & Stage」
アメリカのシンフォニックロックバンド、エデンソングの2010年作
本作は新曲3曲にライブ3曲入りで計56分という変則的なセカンドアルバム。
レトロなオルガンの音色に、けっこうヘヴィなギターが絡み、ツーバスのドラムと
やわらかなフルートの音色が合わさった、不思議な感触のハードプログレサウンド。
たとえればBIGELFのヴィンテージロックをプログレメタル化といような感じだろうか。
長い楽曲における展開力と細やかなアレンジセンスにはさらに磨きがかかっていて、
Riversideあたりのファンでも楽しめるようなほの暗い叙情と質の高さが光る力作だ。
ドラマティック度・・8 プログレ度・・8 楽曲センス・・9 総合・・8
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Edensong 「Years in the Garden of Years」
アメリカのプログレバンド、エデンソングの2016年作
2010年作以来となる3作目で、オルガン、メロトロン、フルートが鳴り響き、薄暗い叙情性とともに、
ヴィンテージなハードプログレサウンドを聴かせる。56分におよぶ8パートに分かれた組曲は、
Riversideなどにも通じる適度なハードさを含んだメリハリのあるインストパートで構築され、
美しいストリングスや、やわらかなヴォーカルパートも加わって、物語的なドラマ性を描いてゆく。
ムーグシンセが鳴り響き、フルートが絡みつつ、テクニカルな展開力とモダンな知的センスも合わさり、
プログレリスナーの望む「プログレらしさ」が存分に詰まった聴き応えで、全71分の傑作です。
ドラマティック度・・8 プログレ度・・8 薄暗度・・8 総合・・8.5
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ELECTRUM 「Standard Deviation」
アメリカのプログレバンド、エレクトラムの2002年作
1998年の自主制作アルバムに続く2作目で、うっすらとしたシンセにギターが絡み、
オールインストの優雅なアンサンブルを描く、プログレフュージョン風味のサウンド。
ほどよくハードなギターと技巧的なドラムなどは、PLANET Xあたりを思わせる感触もありつつ、
アッパーになり過ぎない落ち着いた大人のジャズロック風でもあり、叙情的なギターフレーズや
エレピやオルガン、ときにメロトロンも含む優美なシンセワークとともにゆったりと楽しめる。
ラストは14分を超える大曲で、TANGENTにも通じるシンフォニックなプログレジャズロックを展開。
ドラマティック度・・7 プログレジャズロ度・・8 優雅度・・8 総合・・7.5
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ELEPHANTS OF SCOTLAND 「Perfect Map」
アメリカのプログレバンド、エレファンツ・オブ・スコットランドの2016年作
2013年デビュー、本作は3作目となる。メロディックなギターにシンセを重ね、マイルドなヴォーカルを乗せて
優雅で軽妙な展開力で聴かせる、キャッチーなプログレサウンド。EcholynSpock's Beardにも通じる
やや屈折感のあるメロディアス性にほどよくハードな感触も加わって、アメリカらしい抜けの良さと
プログレとしてのテクニカルな構築力が同居している。女性ヴォーカルが歌うナンバーでは、
ヴァイオリンの音色とともにキャッチーな優雅さに包まれる。派手さはないが玄人好みの作風で、
意味不明なジャケからは想像できない、アメリカンプログレらしい高品質なアルバムです。
メロディック度・・8 プログレ度・・8 優雅で偏屈度・・8 総合・・8
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Elf Project「Mirage」
アメリカのプログレバンド、エルフ・プロジェクトの2009年作
浮遊感のあるサイケ風味のサウンドをシンフォニックに仕上げたという感じで、
そこにエレクトリックシタールなどを使った中近東風味の質感も取り入れている。
どことなくかつてのKingston Wallあたりを思わせる雰囲気もあり、
個性的なサイケ・プログレが好きならば聴いてみて損はない。
シンフォニック度・・7 プログレ度・・7 サイケ度・・8 総合・・7.5
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Elf Project 「The Great Divide」
アメリカのプログレバンド、エルフ・プロジェクトの2012年作
中近東風味のあるサイケプログレだった前作に続き、本作ではそのユルめのサイケ感触に加え、
ヴォーカルの声質も含めてRUSHあたりに通じる雰囲気が増している。ギター、ベース、ドラムという
シンプルなトリオ編成を基本に、存在感のあるどっしりとしたベースを中心にしたグルーヴィなアンサンブルで、
随所にムーグシンセなどを加えたキャッチーな感触は悪くないのだが、全体的にテクニカルというほどでもなく、
「RUSHっぽさ」の他に、これという魅力がないのが残念。サイケなラッシュというべきか。
ドラマティック度・・7 プログレ度・・7 むしろRUSH?度・・8 総合・・7
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Ephemeral Sun「Harvest Aorta」
アメリカのプログレバンド、エフェメラル・サンの2009年作
ヘヴィなギターにメロトロンがかぶさるダークめのハードシンフォニックサウンド。
メロウなギターが薄暗い叙情をかもしだしつつ、ときにメタリックな部分も含めて
Riversideあたりにも通じる展開美を聴かせる。全4曲でラストは40分超という大曲であるが
起伏のある構築性がなかなかセンスよく、シンセやギターのフレーズもツボを押さえている。
ポストロック的な茫漠とした壮大さ、得体の知れぬミステリアスな雰囲気もいい感じだ。
シンフォニック度・・8 プログレ度・・8 薄暗叙情度・・9 総合・・8
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EPHEMERAL SUN 「Lord Of Hounds」
アメリカのプログレバンド、エフェメラル・サンの2017年作
2004年にデビュー、前作から8年ぶりとなる3作目で、ハードなギターにシンセを重ねた重厚な味わいと
ミステリアスなスケール感に包まれた、インストによるヘヴィ・シンフォニックロックを展開する。
ムーグやオルガンなどのプログレらしいシンセを含みつつ、叙情的なギターによるメロウなパートから、
ヘヴィなダイナミクスが現れるメリハリある構築力で、ポーランドのINDUKTIなどにも通じる迫力に圧倒される。
PORCUPINE TREERIVERSIDE以降のボーダーレスなスタイリッシュ性が、ヴィンテージなプログレと絶妙に融合、
オールインストながらグルーヴィなアンサンブルと厚みのあるサウンドで、スリリングな緊張感と叙情性を巧みに描き出す。
単なるクリムゾンルーツのヘヴィプログレという以上のセンスを感じる。落書きのようなジャケからは想像もつかない圧巻の傑作。
ドラマティック度・・8 プログレ度・・8 重厚度・・8 総合・・8.5 
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Episode 「Starlight Tales」
アメリカのプログレバンド、エピソードの1993年作
1989年にデビュー、本作は2作目となる。エレピを含む美しいシンセに、男女ヴォーカルの歌声を乗せた
RENAISSANCEにも通じる牧歌的なシンフォニックロック。いくぶんやぼったいが叙情的なギターと
主張しすぎないやわらかなシンセワークで、全体的に派手な盛り上がりはあまりないが、
14分、24分という大曲も、ゆったりとした優雅な聴き心地で楽しめる。
ジャケも含めてB級シンフォの域を出ないが、マイナー系シンフォとして愛すべき好作品ではある。
ドラマティック度・・7 プログレ度・・7 優雅度・・8 総合・・7.5


ERE G「Au-dela des ombres」
カナダのたおやか系シンフォバンド、エレ・ジュの1st。2002作
メロトロンにフルート、アコギなどを効果的に使用した耳に優しいサウンド。
派手な切り返しや盛り上がりはないものの、演奏技術はしっかりとしており
ただ弱々しいだけの音でなく、幻想美と構築された叙情が堪能できる。
フランス語による歌唱とともに、しっとりと聴けるソフトなシンフォ。これで女性Voだったらね・・
シンフォニック度・・7 たおやか度・・9 幻想度・・9 総合・・7.5


et cetera
カナダのプログレバンド、エト・セテラの1976作
本作はカナディアンプログレの名作のひとつとされており、
GENTLE GIANT的なハネ方とヒネ方をもちつつ、ジャズロック的な軽やかな優雅さと
ゆったりとした優しいメロディアスさも備えているという、なかなかの作品。
たおやかなピアノとフランス語による女性Voの歌声も素敵で、
独特のエレガンスな感触とともに、プログレとしての複雑さもしっかりと聴かせる。
メロディアス度・・8 プログレ度・・7 優雅度・・9 総合・・8
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ETHOS「ARDOUR」
アメリカのプログレバンド、イーソスの1976年作
70年代に2枚のアルバムを残して消えたバンドだが、本作は美しいジャケもあって隠れた逸品として語られてきた。
当時のアメリカのシーンにおいてはKANSASの影に隠れて、マイナーバンド扱いだったのだろうが
今聴いてみると、サウンドにマイナーくささはなく、むしろスケールの大きな叙情性は
KANSASを凌ぐかという気もする。決して前に出過ぎないが、シンセは実にいい仕事をしており、
他の各パートもあくまでもアンサンブル重視で、楽曲をしっかりと構築しているのが素晴らしい。
またマイナー系にありがちな歌の弱さもなく、たとえばSTARCASTLEのようにYESや有名バンドからの
あからさまな影響も感じさせない。あえていえばKING CRIMSON的な硬質感と叙情の均衡が聴ける。
演奏陣の実力の高さとともに、センスの良さとスケールの大きさで聴かせる傑作だ。
ドラマティック度・・7 プログレ度・・8 楽曲センス・・8 総合・・8
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ETHOS 「Open Up」
アメリカのプログレバンド、イーソスの1977年作
デビュー作「熱情」はKANSAS + KING CRIMSONというような傑作であったが、2作目となる本作では、
ジャケの雰囲気のように、いくぶんポップな感触が増してはいるものの、クリムゾンルーツのプログレを
アメリカ寄りにしたという雰囲気は残していて、ムーグシンセやオルガンを含むシンセにギターが重なり、
ドラマティックで起伏のある構築力を描くのはさすがというところ。曲によってはファンキーなノリもあったり、
キャッチーな中にも偏屈なプログレ感を含ませたりと試行錯誤が感じられるのだが、しっかりとした演奏力に
シンセを中心にしたメロディのセンスも優れているので、たとえばEcholynのような玄人好みの味わいで楽しめる。
本作を最後にバンドは解散するが、彼らの残した2枚のアルバムは70年代アメリカン・プログレの傑作として語り継がれるだろう。
ドラマティック度・・8 プログレ度・・8 楽曲センス・・8 総合・・8
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Evership
アメリカのプログレバンド、エヴァーシップの2016年作
美麗なシンセアレンジに、適度にハードなギターと伸びやかなヴォーカルを乗せ、
キャッチーなメロディとドラマティックな展開力で聴かせる、シンフォニックなプログレハードサウンド。
オルガンやムーグを含んだシンセに、ヴァイオリンが鳴り響く、KANSASにも通じる叙情性に包まれて
10分を超える大曲を構築する。どの曲も長いので長尺感はあるのだが、あくまでメロディを前に出した
やわらかな聴き心地で、スタイリッシュになり切らない、おおらかなシンフォが楽しめる方にはもってこい。
アコースティックギターによるしっとりとしたパートから、じっくりと盛り上げる後半の大曲などは、
TRANSATLANTICMOON SAFARIあたりを思わせる。アメリカらしいキャッチーなシンフォプログレの力作です。
ドラマティック度・・8 プログレ度・・7 おおらかな叙情度・・9 総合・・8
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Evership 「II」
アメリカのプログレバンド、エヴァーシップの2019年作
前作はKANSAS+MOON SAFARIというようなキャッチーな力作だったが、2作目となる本作は、
いくぶんダークな雰囲気に包まれている。オルガンを含むシンセに適度にハードなギター、
マイルドなヴォーカルを乗せ、翳りを帯びた叙情とともにシリアスなシンフォフログレを展開。
スタイリッシュな展開力が増した一方、ゆったりとしたパートでの繊細なメロディアス性は残していて、
MOON SAFARI的な味わいも含んだ緩急ある流れで、シンフォニックロックとしてのダイナミズムを描いてゆく。
後半は28分という組曲で、アコースティックギターとピアノでしっとりと聴かせつつ、ヴィンテージロック調になったり
中盤からじわじわと盛り上げてゆき、ラストはどことなくDREAM THEATER風のドラマティックな大団円となる。
ドラマティック度・・8 プログレ度・・7 叙情度・・8 総合・・8 
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ExCubus「Memoires incubussiennes」
カナダのプログレバンド、エクスキュブスの2008年作
1974年の幻のマテリアルに加え、2008年にメンバーが新たに録音した音源を収録したもの。
鳴り響くオルガンにメロトロン、70sブリティッシュロック的なヴィンテージなギターの音色による
アンダーグラウンドな質感と、カナダらしいどこかとぼけた曲展開で聴かせるサウンドは、
発掘音源というには出来がよく、ELP+Atomic Roosterという感じで、なかなかの迫力だ。
2008年の新録の方はいくぶん妖しさは薄れたが、基本的には同路線で、たっぷりと鳴らされるオルガンの響きに
レトロな風味のギター、やわらかなヴォーカルが合わさって、70年代懐古主義というべきプログレが楽しめる。
メロディアス度・・7 オルガン&メロトロン度・・8 むしろブリティッシュ風度・・9 総合・・8
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ExCubusLagauchetiere」
カナダのプログレバンド、エクスキュブスの2011年作
70年代に活動していたバンドの2008年の発掘音源に続く、オール新録によるアルバム。
オルガンが鳴り響く、古き良き70'sブリティッシュロック/プログレの感触を基本にしつつ、
ミステリアスな雰囲気をただよわせたインストパートは、ドラマティックな翳りに包まれている。
随所に叙情的なフレーズを聴かせるギターもよろしく、存在感のあるベースも含めて、
確かな演奏力はさすがに年季が入っている。メロトロンも入ってくると思わずにんまり。
クラシカルな優雅さも含んだ、まさにヴィンテージなオールド・プログレの傑作です。
ミステリアス度・・8 プログレ度・・8 オルガン度・・8 総合・・8
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Ex-Libris 「Ulysse」
カナダのプログレバンド、イーエックス・リブリスの2019年作
1995年に1作を残して消えたバンドの、24年ぶり復活作。クラシカルなピアノとジェントルなヴォーカルのイントロから、
ギターとリズムが加わって、優雅なプログレサウンドを展開。フランス語の歌声がヨーロピアンな味わいとなり、
やわらかなオルガンの響きが、哀愁の叙情で包み込む。プログレらしいシンセワークも随所に光っていて、
キャッチーなシンフォプログレから、繊細なピアノに女性コーラスで聴かせるしっとりとしたナンバーまで、
あくまで優美な耳心地で楽しめる。全体的に派手な展開はないが、ゆったりとした大人の叙情が香り立つ好作。
ドラマティック度・7 プログレ度・7 優雅度・8 総合・7.5
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EYE 「VISION AND AGELESS LIGHT」
アメリカのプログレバンド、アイの2016年作
2012年にデビュー、本作はすでに3作目となる。女性鍵盤奏者を含む4人編成で、
ノイズまじりのメロトロンが妖しく鳴り響き、アナログ感たっぷりのドラムサウンドとともに、
スペイシーでサイケな浮遊感を描き出す。HAWKWINDにも通じるオールドなサイケロックを、
メロトロンにオルガン、ムーグなどで、シンフォ寄りに味付けしたという聴き心地もあって、アッパーなノリの中に
神秘的な空気感をまとわせているのも特徴的だ。70年代的なブルージーなギターに優雅なエレピなども重なり、
英国ロックルーツの雰囲気が散りばめられている。後半は27分の大曲で、メロトロンをたっぷり響かせながら、
ギターもメロディックなフレーズを奏で、ANGLAGARDばりの展開で、ストーナーロック的な感触を同居させる。
ドラマティック度・・7 アナログ度・・9 妖しげ度・・9 総合・・8
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EYESTRINGS「Consumption」
アメリカのプログレバンド、アイストリングスの2005作
DISCIPLINEのメンバーがいるだけあって、メロディアスだがややダークなサウンドで、
寒々しいメロトロンの感触などはANEKDOTEN的でもある。
レトロな質感とシンフォニック性、そこにヘヴィめのギターが合わさった作風は、
意外にキャッチーな歌メロも含めて、SPOCK'S BEARDなどに通じる部分もあり、
10分台、20分台の大曲をこなすあたりも、非凡な構築センスを感じさせる。
最近のバンドではLITTLE ATLASに近いか。あとはメロディにもうひとつ抜けが出れば。
メロディアス度・・7 プログレ度・・8 楽曲・・7 総合・・7.5




FAINT SIGNAL「FORMULA」
アメリカのプログレバンド、フェイント・シグナルの2019年作
2013年にデビュー、本作は2作目。美しいシンセに叙情的なギター、男女ヴォーカルの歌声で、
GLASS HAMMERにも通じる、キャッチーでメロディックな正統派シンフォプログレを聴かせる。
流麗なギターの旋律にきらびやかなシンセが重なり、アメリカのバンドらしい爽快な抜けの良さと、
ヴァイオリンなども加わったウェットな叙情美が同居したインストパートもなかなか魅力的だ。
女性Voはゲストらしく、数曲の参加なので、ぜひとも正規メンバーに加えて欲しい。
このバンドならではの個性はあまり感じられないが、全65分のシンフォニックロックの力作です。
メロディック度・・8 プログレ度・・8 叙情度・・8 総合・・8
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Falling Edge「FE3」
カナダのプログレバンド、フォーリング・エッジの2018年作
2013年にデビューし、3作目となる。ドラマ性を感じさせるイントロから、アコースティックを含む叙情的なギターに
ジェントルなヴォーカルを乗せ、シンセアレンジも加えた牧歌的なメロディック・シンフォを聴かせる。
わりとハードに弾きまくるギターは、それなりにテクニックはあるのでがフレーズのセンスが凡庸で、
シンセによる味付けも添え物のよう。ヴォーカルは声が裏が得ると、P.ガブリエルっぽくなって、
シアトリカルな雰囲気もあるのだが、楽曲自体の展開にさほど魅力がなく、ドラマ性もさほどはない。
中盤からは10分を超える大曲が続くが、これという盛り上がりもない。自主制作レベルの力作というところ。
ドラマティック度・・7 プログレ度・・7 楽曲・・6 総合・・7
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FAR CORNER
アメリカのチェンバー/ジャズロックバンド、ファー・コーナーの2004作
キーボード、ベース、チェロ、ドラムという4人組で全編インストのクラシカルなチェンバーロック。
テクニカルでありながらダークという、UNIVERS ZERO的なベクトルを持ちつつ、
重厚な演奏はKING CRIMSONを、ハモンドの使い方などはELP的な部分も思わせる。
テクニカルな変拍子の上にピアノとチェロがかぶさり、プログレッシブでクラシカルなサウンドは
シリアスな緊迫感に満ちていてジャズロック風でありながらもある種アカデミックな硬質感がある。
大曲においての繰り返しや、静寂パートにはもう少し工夫が必要か。
クラシカル度・・8 ダークなチェンバー度・・9 楽曲・・7 総合・・7.5
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FARMHOUSE ODYSSEY
アメリカのプログレバンド、ファームハウス・オデッセイの2015年作
のっけから12分の大曲で、アコースティック含む叙情的なギターにピアノを含むやわらかなシンセを重ね、軽やかなアンサンブルとマイルドなヴォーカルで、優雅でキャッチーなサウンドを構築する。
オルガンやメロトロンといったシンセによるヴィンテージな味わいに、ECHOLYNなどに通じる軽妙なメロディアス性といくぶん偏狭な展開力で、なかなか玄人好みの聴き心地だ。
巧みなドラムに流麗なギタープレイを乗せて、ジャズロック的でもあるテクニカル性もよろしく、インストパートも充実。
ラストの10分の大曲も、プログレらしさとキャッチーな優雅さに包まれて爽快に幕を閉じる。なかなか大穴的な好作品です。
ドラマティック度・7 プログレ度・8 軽妙度・9 総合・8
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Farpoint 「Kindred」
アメリカのフォークプログレバンド。2011年作
男女ヴォーカルにシンセを含む6人編成で、牧歌的なフォークロック風味のやわらかな叙情で聴かせる
Mostly Autumnあたりに通じるサウンド。アコーステッィクギターやフルートの音色などの素朴さに
うっすらとしたシンセアレンジと、随所にメロウなエレキギターの旋律が加わって、
シンフォニックなフォークプログレという雰囲気になる。まるでモストリー・オータムを小ぶりにしたような感じなので
個性や新鮮味という点は薄いのだが、この手のやわらかなサウンドが好きな方には充分に楽しめる好作品です。
メロウ度・・8 プログレ度・・7 叙情度・・8 総合・・7.5
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Farpoint 「Paint the Dark」
アメリカのプログレバンド、ファーポイントの2014年作
2002年にデビューし、本作は6作目。アコースティックを含む優美なギターにシンセを重ね、
男女ヴォーカルの歌声を乗せた、フォーク要素も含んだ牧歌的なシンフォニックロックを聴かせる。
メロウなギターの旋律とオルガンなどを含むやわらかなシンセ、美しい女性ヴォーカルの歌声に、
ときにヴァイオリンやフルートも加わって、英国のSOLSTICEなどに通じる雰囲気も覗かせる。
12分の大曲では、叙情的なギターとシンセに男女ヴォーカル、フルートの音色とともに、
優雅で軽やかなシンフォプログレを聴かせる。派手なインパクトはないが優しい好作品です。
シンフォニック度・・8 プログレ度・・7 優美度・・8 総合・・7.5
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FERNANDO PERDOMO 「ZEBRA CROSSING」
アメリカのミュージシャン、フェルナンド・ペルドモの2018年作
DREAMING IN STEREOのギタリストで、Dave Kerznerなどの作品にも参加したミュージャン。
美しいシンセアレンジに、アコースティックを含むギターと、自身のジェントルなヴォーカルを乗せた、
キャッチーな歌ものサウンドを聴かせる。やわらかなオルガンに、艶やかなヴァイオリンが重なる
クラシカルな優美さと、The Beatlesなど英国ロックルーツのポップな感触が合わさった、どこかなつかしい味わいで、
そのビートルズのカヴァーもハマっています。Dave Kerznerや、IONA、CELESTIAL FIREのDave Bainbridgなどがゲスト参加。
メロディック度・・8 プログレ度・・7 優美度・・9 総合・・8
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FERNANDO PERDOMO 「OUT TO SEA」
アメリカのミュージシャン、フェルナンド・ペルドモの2018年作
ピーター・バンクス、フォーカス、ネクター、カーヴド・エアといった、70年代プログレへのオマージュというべき作品で、
メロウなギターにオルガンやメロトロンなどのシンセを重ね、優美な叙情に包まれたシンストサウンドを聴かせる。
ときにアッカーマンかハケットかという、歌心あるギターメロディとやわらかなシンセアレンジも耳心地よく、
16分を超える優雅なシンフォニック組曲では、これでもかと泣きのギターとシンセによる叙情美が味わえる。
ラストは、亡きジョン・ウェットンへ捧げる「スターレス」で、シンフォプログレ好きなら必聴の内容だろう。
シンフォニック度・8 プログレ度・8 叙情度・9 総合・8 
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FERNANDO PERDOMO 「Out To Sea 2」
アメリカのミュージシャン、フェルナンド・ペルドモの2019年作
本作は、2~4分前後の小曲を主体にしたギターインストアルバムの第二弾。
アンディ・ラティマーばりのメロウなギターフレーズに美しいシンセを重ねて、
CAMELやセバスチャン・ハーディのような優雅なインストサウンドを聴かせる。
プログレ的な展開力はさほどないが、耳心地の良い叙情的なギターの旋律とともに、
メロディックにゆったりと楽しめる。実に優美なインスト作品ですな。第三弾にも期待。
メロディック度・・8 プログレ度・・7 優美度・・9 総合・・8
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FERNANDO PERDOMO 「The Crimson Guitar」
アメリカのミュージシャン、フェルナンド・ペルドモの2019年作
Dreaming In StereoやShelter Skelterなどで活躍するギタリストで、ソロ作品「Out to Sea」1~3はインストシンフォの傑作である。
本作は、KING CRIMSONの楽曲をアコースティックギターでカヴァーしたアルバムで、小曲を主体にした全25分の作品。
「I Talk To The Wind」や「STARLESS」などの印象的なメロディのナンバーはアコギとの相性も良く、ゆったりと楽しめる。
当然ながら、すべてアコギ一本の演奏なので、ロック色はほぼ皆無。聞き覚えのあるフレーズがさほどない曲に関しては、
単なる短めのアコースティック演奏という感じなので、プログレとして鑑賞するような作品ではないでしょう。
アコギ度・・9 プログレ度・・6 ロック度・・1 総合・・7 
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FERNANDO PERDOMO 「Out to Sea 3 - The Storm」
アメリカのミュージシャン、フェルナンド・ペルドモの2020年作
元DREAMING IN STEREOのギタリストで、Dave Kerznerなどの作品にも参加したミュージャン。
ギターインストシリーズの第三弾で、アコースティックギターのつまびきで典雅に始まり、
うっすらとしたシンセにフルート、甘美なエレキギターのフレーズを重ねた優美な叙情に包まれる。
前作がラティマー風なら、今作はハケット風かと思いきや、ヤン・アッカーマン的な味わいも混ざって、
とにかく優雅でメロウなギタープレイに聴き惚れる。楽曲はは3~4分前後ながら、ほどよい展開力と
フックのあるメロディックな旋律で、叙情ギターがたっぷりと堪能できる、耳心地の良い逸品です。
メロディック度・・9 プログレ度・・7 優雅度・・9 総合・・8.5 
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FERNANDO PERDOMO 「Out to Sea 4」
アメリカのミュージシャン、フェルナンド・ペルドモの2022年作
叙情ギターインスト・シンフォシリーズの4作目で、今作もメロウな泣きの叙情ギターをたっぷりとかき鳴らし、
オルガンなどのシンセを重ねて、優美なインストサウンドを聴かせる。流麗なギターフレーズはアンディ・ラティマーか
ヤン・アッカーマンか、はたまたマリオ・ミーロか、というセンスで、そのメロディックなプレイは大変日本人好み。
ゆったりとした叙情ナンバーから、軽快なアンサンブルまで、どこを切っても甘美なギターメロディが味わえて、
耳心地の良さは折り紙付き。ラストは10分の大曲で、ほどよくハードでリズムチェンジを含む展開力で構築する。
メロディック度・9 プログレ度・7 優雅な叙情度・9 総合・8 
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Finneus Gauge 「One Inch of the Fall」
アメリカのプログレバンド、フィネウス・ガウジの1999年作
ECHOLYNのシンセ奏者を中心にしたバンドで、1997年作に続く2作目。いくぶんハードなギターに
美麗なシンセワーク、コケティッシュな女性ヴォーカルを乗せて、テクニカルなハードプログレを聴かせる。
ProgMetal寄りのスリリングな演奏は、LEGER DE MAINなどにも通じるが、こちらはジャズロック的な優雅さも覗かせ
ソロでも活躍するスコット・マッギルのギターも、ハードなプレイから軽やかなフレーズまで華麗に弾きこなしている。
ドラムとベースもなにげに技術が高く、軽妙なアンサンブルといくぶんアヴァンギャルドな構築力とともに、
プログレ・ジャズロックをシンフォニックに融合したというべき、独自のサウンドを描く力作である。
テクニカル度・8 プログレ度・8 優雅度・9 総合・8
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FIREBALLET 「Night on Bald Mountain」
イタリア系のミュージシャンによる、アメリカのプログレバンド、ファイアーバレエの1975年作
プロデュースはイアン・マクドナルド。70年代アメリカンシンフォの隠れた名作がようやくリマスター再発された。
ムーグなどを使ったいかにもプログレ受けするシンセを中心に、クラシカルで優雅な雰囲気と展開の多い複雑な楽曲は、
時代を考えればかなりの出来といえるだろう。歌メロにはYESあたりに通じるキャッチーさがあり、総じてメロディアスでありつつ
一方ではアメリカらしからぬ抜けの良いドラマティック性があるのも素晴らしい。ラストは18分を超える「はげ山の一夜」のカヴァー、
多くの聴かせ所を盛り込みつつ大曲を構築してゆく。重厚で暗めの原曲に比べて、優雅なシンフォニックロックに仕上がっている
盤おこしだった以前の音源に比べて音質も向上している。すべてのクラシカルプログレファンが楽しめる傑作と言っていいだろう。
ドラマティック度・・9 プログレ度・・8 クラシカル度・・8 総合・・8
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FIREBALLET 「TWO,TOO」
アメリカのプログレバンド、ファイアーバレーの1976年
1作目「Night on Bald Mountain」はクラシカルで優美な傑作であったが、2作目にしてラスト作である本作も、
きらびやかなシンセと適度にハードなギターを乗せ、軽やかなアンサンブルで聴かせる高品質なサウンド。
QUEENばりの壮麗なコーラスを含みつつ、プログレハード的なキャッチーな抜けの良さと、GENTLE GIANTのような
技巧的な展開力を合わせたような作風で、そのセンスの良さと演奏力は、70年代のアメリカンプログレとしては
突出した力量かと思われる。美しいストリングスが加わってのシンフォニックな音の厚みも説得力十分で、
年代を考えれば音質も素晴らしい。オリジナルのジャケは醜悪だが、前作同様に必聴の傑作である。
メロディック度・・8 プログレ度・・8 楽曲センス・・9 総合・・8.5
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FLIGHT 「Incredible Journey」
アメリカのジャズロックバンド、フライトの1976年作
おそらくは初のCD化で本作は2作目となる。きらびやかなシンセに適度にハード寄りのギター、
ジャズタッチのピアノにサックスやトランペットなどのブラスが鳴り響く、軽やかなフュージョン・ジャズロック。
ファンキーな味わいのヴォーカルがポップな感触をかもしだしているが、バックの演奏は相当テクニカル。
手数の多いドラムとうねるベースが、躍動的なアンサンブルを作り出し、プログレ的でもあるリズムチェンジや
唐突な展開力も含んだエキセントリックなセンスも素晴らしい。厚みのある音の塊が突き抜けてゆく爽快さで、
マハヴィシュヌとはまた違ったスタイルでの、プログレッシブなジャズロックの最高峰というべき傑作だ。
メロディック度・・8 ジャズ&フュージョンロック度・・9 テクニカル度・・9 総合・・8.5
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Flying Colors
マイク・ポートノイ、ニール・モーズらによるユニット、フライング・カラーズの2012年作
TRANSATLANTICのニール・モーズに、Deep PurpleやDixie Dregsで活躍する・スティーヴ・モーズ
そして元DREAM THEATERのマイク・ポートノイという、凄腕のメンバーが集結したユニットで、
キャッチーなメロディで聴かせる古き良き感じのプログレハードサウンド。
やはりメロディにはNEAL MORSEの色が強く、彼のソロやTRANSATLANTICでの
キャッチーな部分に通じる味わいが感じられる。演奏の方はさすがというような玄人好みのプレイで、
随所にテクニカルなギタープレイを盛り込んだり、ポートノイのドラムに乗せるデイブ・ラルーのベースも
軽やかなグルーブが効いていて、アンサンブルとしての肩の力の抜け具合がとても爽快だ。
メロディアス度・・8 キャッチー度・・8 アンサンブル度・・9 総合・・8
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Flying Colors「Live in Europe」
TRANSATLANTICのニール・モーズに、Deep Purple、Dixie Dregsのスティーヴ・モーズ
元DREAM THEATERのマイク・ポートノイらによるユニット、フライング・カラーズのライブ作品。2013年作
アルバムはまだ1枚のみなのに、ライブは2枚組ということで…アルバム全曲に加えて各メンバーのソロ曲や、
DREAM THEATER、Spock's Beardなどの楽曲なども演奏。技量あるメンバーたちによるアンサンブルと
キャッチーなヴォーカルハーモニーで構築される、高品質のプログレ/メロディックロックが楽しめる。
メインヴォーカルのケイシー・マクファーソンの歌声に、ニール・モーズのやわらかなコーラスも加わって、
ポートノイのドラムとともに、TRANSATLANTICのような優雅で軽妙なダイナミズムを生み出しつつ、
こちらはもっとおおらかな、いわば古き良きロック的な感触が前に出ている。スリリングな部分は薄いが、
安定した大人の余裕に包まれたステージ。アルバムを気に入った方ならばぜひ。同DVDもあり。
メロディック度・・8 ライブ演奏・・8 プログレ度・・7 総合・・8

Flying Colors 「Second Nature」
TRANSATLANTICのニール・モーズに、Deep Purple、Dixie Dregsのスティーヴ・モーズ
元DREAM THEATERのマイク・ポートノイらによるスーパーバンド、フライング・カラーズの2014年作
80年代の産業ロックをセンスよくプログレ的に料理したというべき前作の流れを汲みつつ、
本作では、よりドラマティックな叙情性を強めた聴き心地になっている。ポートノイの手数の多いドラムと、
オルガンなどを含んだニール・モーズのシンセワークとともに、ますますTRNSATLANTICを思わせる雰囲気の、
1曲目などはプログレリスナーはにんまりだろう。スティーヴ・モーズのギターも随所に泣きのギターを奏で、
シンフォニックロック的な盛り上がりも素晴らしい。中盤には70年代的なブルージーなオールドロックナンバーや
叙情的なバラードなどもまじえつつ、じっくりと聴かせるラストの大曲まで、大人のロック美学が詰まった力作である。
ドラマティック度・・8 プログレ度・・8 トランスアトラン度・・8 総合・・8.5
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Flying Colors「SECOND FLIGHT: LIVE AT THE 27」
TRANSATLANTICのニール・モーズに、Deep Purple、Dixie Dregsのスティーヴ・モーズ
元DREAM THEATERのマイク・ポートノイらによるユニット、フライング・カラーズのライブ作品。2015年作
2作目となる「Second Nature」のナンバー全曲に、1作目からの楽曲も収録したCD2枚組のライブ。
手数の多いポートノイののドラムを土台に、流麗なツインギターにオルガンを含むシンセが重なり、
ケイシー・マクファーソンのマイルドなヴォーカルで、キャッチーな叙情的なプログレハードを展開。
デイヴ・ラルー(DIXIE DREGS)のベースも、アルバム以上に存在感があって、まさに鉄壁のリズムアンサンブルだ。
適度にテクニカルなインストパートに、歌もの的なメロディアス性と、アメリカンロックの爽快な抜けの良さが合わさった
バランスのとれた聴き心地は、トランスアトランティックよりもさらに普遍的なメジャー感触があり、
むしろプログレというよりは、大人のメロディックロックとしても多くのリスナーに楽しめる内容だろう。
ライブ演奏・・9 プログレ度・・7 大人のプログハー度・・8 総合・・8 
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FLYING COLORS 「THIRD DEGREE」
ニール・モーズ、スティーヴ・モーズ、マイク・ポートノイらによるスーパーバンド、フライング・カラーズの2019年作
3作目となる本作は、適度にハードなギターにオルガンを含むヴィンテージなシンセを重ね、
ケイシー・マクファーソンの味わいのあるヴォーカルを乗せた、オールドなロック風味のナンバーで始まって、
これまで以上にアダルトな聴き心地。しかしながら、ギターにしろドラムにしろ名人級のメンバーであるから、
肩の力が抜けた長尺のインストパートでも、スリリングなアンサンブルを随所に聴かせてくれるのはさすが。
メロウなギターと美麗なシンセ、ストリングスも加えた、TRANSATLANTIC風のキャッチーなシンフォニック性もあって、
プログレリスナーもひと安心。10分を超える大曲でのドラマティックな構築性は、お約束ながらも感動的だ。
ドラマティック度・・8 プログレ度・・7 大人の叙情度・・8 総合・・8 
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FM 「Black Noise」
カナダのプログレハード、FMの1977年作
イギリスにも同名バンドがいるが、こちらはカナダのバンドです。
シンセをたっぷり使ったキャッチーなプログレハードサウンドで、
やわらかなヴォーカルとともに聴かせるポップ性と、叙情的な湿りけが同居している。
エレクトリック・ヴァイオリンとムーグシンセが絡むきらびやかなアレンジは、U.K.などにも通じる
スタイリッシュなセンスを感じさせる。3~5分の比較的コンパクトな曲が中心ながら
ラストのタイトル曲は10分近い大曲で、なかなかドラマティックに仕上げている。
メロディック度・・8 プログレ度・・7 きらきら度・・8 総合・・8
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FM 「Direct To Disc」
カナダのプログレハード、FMの2nd。1978年作
本作は組曲形式の15分の大曲2曲という構成で、インストパートを中心にした
よりプログレッシブな内容になっている。静と動のメリハリのある展開の中に
ヴァイオリンが美しく鳴り響き、適度に緊張感を含んだ展開美を聴かせる。
スペイシーなシンセワークとともにいくぶんアヴァンギャルドな部分もあるので、
キャッチーなプログレハードとしては前作の方が聴きやすいだろうが、
ヴァイオリン入りのシリアスなプログレとしては、なかなか楽しめる。
メロディック度・・7 プログレ度・・8 ヴァイオリン度・・8 総合・・7.5


FM 「Surveillance」
カナダのプログレハード、FMの1979年作
3作めとなる本作は、大曲中心であった前作からまた変わって、1stの頃のキャッチーな路線に戻っている。
スペイシーなシンセアレンジと、メロウなギターワークで聴かせるメロディックなサウンドに
いくぶんのプログレ色を加味した作風で、比較的なシンプルな歌もの曲を中心にしながら、
インストパートでのドラマティックな質感も残している。いわば、1stと2ndの中間という雰囲気であろうか。
U.K.あたりにも通じるスタイリッシュなアレンジセンスも光っている。バンドの最高傑作といってもよいだろう。
メロディック度・・8 プログレ度・・7 スタイリッシュ度・・8 総合・・8
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FM 「City of Fear」
カナダのプログレハード、FMの1980年作
4作目となる本作は、キャッチーなプログレハードサウンドはそのままながら、
アレンジにはいくぶん80年代らしいモダンさも覗かせている。
ときおりRUSHあたりにも通じる軽妙さも含んでいて、抜けの良い爽快さに、
TOTOのようなポップ性とプログレ風味が合わさったメロディックロックという趣ある。
叙情性は薄まったが、これはこれで好作品でしょう。
メロディック度・・8 プログレハー度・・8 モダン度・・8 総合・・8
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FM 「TRANSFORMATION」
カナダのプログレハード、エフエムの2015年作
1977年にデビュー、1987年までに6作を発表し活動を休止、何度かの復活ののちに、
ここに28年ぶりとなる復活作が完成した。キャッチーなヴォーカルハーモニーに、
ヴァイオリンが鳴り響く、爽快なプログレハードサウンドはまさに往年を思わせる作風で、
スペイシーなシンセワークに、随所にメロディックなギターフレーズも覗かせて、
優雅なアンサンブルとともに、ときにYES + KANSASというような聴き心地もある。
80年代的なプログレハード感触を正統に受け継いだというべき好作に仕上がっている。
メロディック度・・8 キャッチー度・・8 往年のFM度・・8 総合・・8
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Fonya「Wandererers Of The Neverending Night」
アメリカのシンフォニックロック、フォンヤの1992年作
マルチプレイヤーのクリス・フォーニアーを中心にしたユニットで、スペイシーなシンセアレンジによる
インスト主体のシンフォニックロックを聴かせる。ドラムは打ち込みなので、いくぶんデジタルな感触もあるが、
プログレらしいシンセワークや、随所に叙情的なギターの旋律やスキャット的なヴォーカルを乗せた、
ゆったりとした幻想的な世界観は、GANDALFあたりにも通じるヒーリグ系シンフォというべきか。
一方では、HAWKWINDのようなスペースサイケ的な味わいもあり、どの曲もさほどの盛り上がりはないので、
わりと淡々としているが、シンセ系プログレはこれでよいのか。この手のスペース系シンフォが好きな方はどうぞ。
ドラマティック度・・7 プログレ度・・7 スペース度・・8 総合・・7.5

FONYA 「EARTH SHAPER」
アメリカのシンフォニックロック、フォンヤの1996年作
マルチプレイヤーのクリス・フォーニアー氏の個人ユニットで、本作は4作目となる。
美しいシンセの重ねを中心にしたスペイシーなサウンドで、打ち込みのドラムにときおりギターも加わって
幻想的なシンフォニックロックを聴かせる。オールインストなので、長い曲ではプログレというよりは、
優美なシンセミュージックという感じにもなるのだが、メロウなギターの旋律が入ると叙情美に包まれる。
ゆったりとしたユートピア的な世界観を描くところは、マイナー系シンフォの美学を感じさせる。
インストが苦手な方には退屈だろうが、25分、18分という2つの組曲を中心にした、全67分という力作。
シンフォニック度・・7 プログレ度・・7 スペイシー度・・8 総合・・7.5
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Forever Twelve「Spark of Light」
アメリカのプログレバンド、フォーエヴァー・トウェルブの2004年作
女性Voにシンセを含む5人編成で、変則リズムを含んだ偏屈系プログレの感触に
女性ヴォーカルの歌声を乗せたサウンド。GENTLE GIANTのようなキャッチーなとらえどころのなさと
シンフォニックなドラマ性を両立させようとする意気込みは感じられるが、まだまだ未完成という印象だ。
ジャケや音質の弱さ、女性Voの力量などが、マイナー臭さをかもし出しているので、その辺も要改善。
10分、15分という大曲などを緩急をつけた展開で構築するセンスはあるので、今後に期待したいバンドです。
メロディック度・・7 プログレ度・・8 偏屈度・・8 総合・・7.5



Forever Twelve 「Taking Forever」
アメリカのシンフォニックロック、フォーエバー・トウェルブの2010年作
女性Voを含む5人編成で、軽快なキャッチーさとテクニカルなアンサンブル、
そこに女性ヴォーカルの歌声を乗せたサウンドは、イギリスのMAGENTAあたりを複雑にしたという感じで、
YEZDA URFAをはじめとする90年代以降のアメリカプログレのヒネくれ気味で
どこかとぼけたアレンジ感覚というものを有しているのが、なかなか面白い。
楽曲の中での聴かせどころをさらにダイナミックにすると、よりいいものが出来そうな気がする。
シンフォニック度・・7 プログレ度・・8 女性Vo度・・7 総合・・7.5



Forever Twelve 「Home」
アメリカのプログレバンド・フォーエヴァー・トゥウェルブの2017年作
2002年にデビューし、4作目となる。前作までは女性シンガーがいたのだが、本作では男性声の編成になった。
のっけから16分という大曲で、オルガンやメロトロンなどを含むプログレらしいシンセに叙情的なギター、
MARS HOLLOWの中性的なヴォーカルを乗せて、キャッチーで軽快なシンフォプログレを聴かせる。
リズムチェンジなどの展開力と、どこかとぼけた味わいは、ECHOLYNなどにも通じるところもあり、
テクニカルな優雅さとダイナミックな展開に、いくぶん野暮ったいシンフォ感触が同居した好作品。
ドラマティック度・7 プログレ度・8 優雅度・8 総合・7.5 
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4Front 「Radio Waves Goodbye」
アメリカのプログレバンド、フォーフロントの2001年作
G&KEY、B、Drという3人編成で、テクニカルなリズムに美しいシンセを含む、
フュージョン的でもある軽やかなアンサンブルで聴かせるインスト主体のサウンド。
HAPPY THE MANなどを思わせる軽妙なメロディアス性で、安定した演奏力はRUSHあたりにも通じる。
シンフォニックなシンセと流麗なギターワークもなかなかのもので、ヴォーカル入りのナンバーでは
アメリカらしいキャッチーな爽やかさに包まれる。ドラマーはこの後、復活するHAPPY THE MANにも参加。
メロディック度・・8 テクニカル度・・8 軽妙度・・8 総合・・8
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4frontMalice in Wonderland
アメリカのプログレ・フュージョンバンド、フォーフロントの2012年作
復活したHAPPY THE MANにも参加していたメンバーによるバンドで、
ドラム、ベース、ギターというトリオ編成によるテクニカルなインストサウンド。
HTMに比べるとフュージョン/ジャズロック色がいくぶん強いが、随所にシンセを含んだ
シンフォニックな要素もあって、メロディアスさが前に出ることで硬質感を包み込んでいる。
PLANET Xあたりを思わせるハードフュージョン色を含んだ軽妙なアンサンブルで聴かせる好作。
メロディック度・・7 テクニカル度・・8 硬質度・・9 総合・・8
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The Fractured Dimension「Towards the Mysterium」
アメリカのテクニカルプログレ(メタル)バンド、フラクチャード・ディメンションの2008年作
ドラム、ベース、シンセというトリオで、シンセをメインにしたテクニカルメタルというサウンド。
フュージョン、ジャズ的な軽妙な優雅さと、プログレッシブで知的な構築力が合わさって、
スリリングな緊張感の中にも、美麗なシンセワークが楽曲の硬質感をやわらげている。
ギターはすべてゲストであるが、ネオクラシカルなプレイも含めてなかなか効果的。
ゲストの中にはあのロン・ジャーゾンベクの名前もある。PLANET Xなどのファンにもオススメの力作だ。
メロディアス度・・7 テクニカル度・・8 優雅にヘンタイ度・・8 総合・・8
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The Fractured Dimension 「Galaxy Mechanics」
アメリカのテクニカル・プログレ(メタル)、フラクチャード・ディメンションの2015年作
シンセ、ベース、ドラムのトリオ編成を軸に、本作では多数のギタリストを迎えて作られたアルバム。
ドラムには、OBSCURA、BLOTTED SCIENCEなどに参加したハンス・グロースマンを新たに迎え、
ゲストギタリストにはOBSCURAの2人に、U-Z PROJECT、UKZのアレックス・マカチェクなどが参加。
前作の軽妙な作風を受け継いで、プログレ的なシンセアレンジとメタリックなギタープレイが融合した、
一種、シンフォニック感のあるテクニカルメタルが繰り広げられる。オールインストであるが、
美麗なシンセとメロディの流れがある分聴きやすく、PLANET X的なフュージョンメタルとしても楽しめる。
艶やかなヴァイオリンが鳴り響くナンバーなど、前作以上に優雅でメリハリのある力作に仕上がっている。
ドラマティック度・・7 テクニカル度・・8 軽妙で優雅度・・8 総合・・8
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Fractured Dimension 「On The Precipice Of Many Infinities」
アメリカのテクニカル・プログレ(メタル)、フラクチャード・ディメンションの2018年作/邦題「無限大の絶壁にて」
シンセ奏者のジミー・ピッツを中心に、2008年にデビュー、過去2作はPANET Xばりのテクニカルな力作であったが
3作目となる本作は、ヴァイオリン鳴り響くイントロから幕を開け、プログレ的で優美なシンセワークにギターを重ね
シンフォニックなクラシカル性と軽妙な展開力が同居した、インスト主体のプログレメタルを聴かせる。
ハネス・グロスマン(元OBSCURA)のドラムは、あえて重さ控えめの録音で、硬質感よりも優雅なアンサンブルや、
美麗なシンセをメインにしたナンバーなど、よりプログレリスナー寄りのテクニカルなハードシンフォとしても楽しめる。
スペイシーなスケール感と技巧的な濃密さが同居した強力作。1stに参加のロン・ジャーゾンベクも当然のようにゲスト参加。
ドラマティック度・・7 テクニカル度・・8 軽妙で優雅度・・8 総合・・8 
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Frank Wyatt 「Zeitgeist」
アメリカのミュージシャン、フランク・ワイアットの2019年作
HAPPY THE MANのシンセ奏者のソロで、本作にはOblivion Sunを含む新旧ハピマンのメンバーもこぞって参加。
軽やかアンサンブルにやわらかなシンセとジェントルなヴォーカルを乗せた1曲目からして、往年のHTMを思わせる
優雅なテクニカルシンフォでなかなか素晴らしい。ゆったりとしたシンセナンバーから、軽妙なプログレフュージョン風味、
オルガンを使ったヴィンテージな味わいも覗かせて、キーボードプログレ好きならば頬が緩みっぱなしの優美な聴き心地。
後半は4パートに分かれた25分超の組曲になっていて、ピアノとヴァイオリンを使ったクラシカルな導入部から、
オーケストラルなアレンジを含んだ、The Enidを思わせる壮麗なシンフォニックロックを展開。ハピマン風というよりは
美しいシンセの重ねを中心にした優雅なクラシカルシンフォという趣で、ゆったりと鑑賞すべし。
クラシカル度・・8 プログレ度・・8 優雅度・・9 総合・・8
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Fright Pig 「Out of the Barnyard」
アメリカのプログレバンド、フライト・ピッグの2013年作
きらびやかなシンセアレンジとキャッチーなメロディで聴かせる、
Spock's Beardなどを思わせる正統派のメロディアス・プログレサウンド。
やわらかなヴォーカルメロディによる抜けの良さはいかにもアメリカのバンド的で
随所に適度にハードなギターも入りつつ、緩急のあるアレンジセンスも見事なもの。
オルガンやムーグなどを含んだシンセアレンジも含めて、ひしひしとプログレ愛が伝わってくる。
アルバム後半ではキャッチーなだけでなく拡散志向の攻撃性も垣間見せる。なかなかの力作だ。
メロディック度・・8 プログレ度・・8 アレンジセンス・・8 総合・・8
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The Fringe
アメリカとスウェーデンのメンバーによるプログレハードロック、フリンジの2016年作
ヨナス・レインゴールド(The Flower Kings)、ニック・ディヴァージリオ(元Spocks Beard)、ランディ・マクスタイン(Lo-Fi Resistence)による
トリオ編成のユニットで、適度にハード寄りのギターとテクニカルなアンサンブルで聴かせる、キャッチーなメロディックロック。
技量のあるメンバーによる、知的な構築センスがモダンな歌ものロックとしてのクオリティを高めていて、
A.C.TIT BITESなどのプログレハード系としてももちろん、ProgMetalのリスナーにも楽しめそうな聴き心地である。
曲によっては、TOTOなどを思わせる古き良きアメリカンロックの感触もあったりと、モダンとレトロを巧みに同居させ、
随所にセンスのよいギターワークも光っている。シンプルなロック感にプログレ的な味付けを混ぜ込んだ好作品。
メロディック度・・8 プログレ度・・7 モダン&ハー度・・8 総合・・8
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FROGG CAFE「Creatures」
アメリカのプログレ・ジャズロックバンド、フロッグ・カフェの2nd。2003作
先に3rdを聴いていたが、なかなかクオリティが高かったのでこちらも購入。
のっけからメロトロンをバックにメロディアスなギターがかき鳴らされて耳を引かれる。
歌にはやや古めかしさがあって、いかにも旧態のプログレ質感を感じさせるが、
マリンバやピアノが出てくると、とたんにチェンバー/ジャズロック要素が現れ、
曲によってアヴァンギャルド風味とメロディアスプログレ風味とのギャップが面白い。
7分台と8分台の曲が2曲ずつ、そして最後は21分の大曲でまたシンフォニックに戻る。
メロディアス度・・7 プログレ度・・7 シンフォ/ジャズ/チェンバー?度・・8 総合・・7.5
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FROGG CAFE「Fortunate Observer of Time」
アメリカのプログレバンド、フロッグ・カフェの3rd。2005作
ジャズロック的なリズムの上を伸びやかなヴァイオリンの音色が舞い、
フルートやマリンバなどもやわらかに彩りを添える。マイルドな演奏でありながら、
リズムや展開などにはひねたアレンジがあるのがチェンバーロック的な香りもする。
軽やかなアレンジセンスと適度に肩の力が抜けた大人のプログレといった感じで、
メロディアスなフュージョンとしてもテクニカルなプログレ・ジャズロックとしても楽しめる。
メロディアス度・・8 プログレ度・・7 なにげにテクニカル度・・8 総合・・8
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Frogg Cafe「Safenzee Siadies」
アメリカのプログレバンド、フロッグ・カフェのライブアルバム。2007作
2001年にデビューし、フュージョン、ジャズロック風味の軽やかなサウンドで、
2005年のアルバム「Fortunate Observer of Time」はかなりの傑作であった。
本作は2005~2006年のライブ音源をCD2枚に収めたもので、大人の余裕を感じさせる
軽妙なアンサンブルに、ヴァイオリン、トランペット、トロンボーンなどが加わった
とぼけた味わいのあるチェンバーロック的な風味とともに、見事な演奏を聴かせる。
テクニカルさに頼らず歌心のあるキャッチーさも魅力で、10分以上の曲も多いが、
飄々と曲を構築する雰囲気はECHOLYNあたりにも通じる。玄人好みのバンドである。
メロディアス度・・8 プログレ度・・8 ライブ演奏・・8 総合・・8
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The Fusion Syndicate
元イエスのビリー・シャーウッドによるプロジェクト、フュージョン・シンジケートの2012年作
スティーヴ・スティーヴンス、スティーヴ・モーズ、ジョーダン・ルーデス、リック・ウェイクマン、
トニー・ケイ、ビリー・シーン、デレク・シェリニアン、ニック・ターナー、メル・コリンズ、
チェスター・トンプソン、バーシー・ジョーンズ、スティーヴ・ヒレッジ…といった超豪華メンバーが参加、
美しいシンセアレンジにサックスやヴァイオリンが鳴り響き、メロウなギターとともに
じつに優雅なプログレ・フュージョンロックを聴かせる。名うてのミュージシャンによる演奏なので、
さすがの余裕と大人の表現力で楽しませてくれる。楽曲はどれも7分台で長すぎず短すぎずと絶妙。
メロディアス度・・8 プログレ度・・7 優雅度・・9 総合・・8
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Garaj Mahal 「Mondo Garaj」
アメリカのフュージョン・ジャズロック、ガライ・マールの2003年作
パキスタンとチリのハーフのギタリストを中心にしたユニットで、グルーヴィなアンサンブルに
フリーキーなギターとシンセを重ねた、インストによるフュージョン・ジャズロックを聴かせる。
スラップの効いたベースの存在感と、軽やかなドラムのテクニックもなかなかのもので、
シンセはエレピをはじめオルガンも使っているので、わりとプログレ感もあって良いですね。
ギターは決して前に出すぎることなく、ドラムとベースがアンサンブルを引っ張っていて、
随所にシタールも使っていてオリエンタルな民族色も覗かせる。軽妙なインスト作品です。
ドラマティック度・・6 プログレ度・・7 軽妙度・・8 総合・・7.5
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Gekko Projekt 「Electric Forest」
アメリカのプログレバンド、ゲコ・プロジェクトの2012年作
ギター、シンセ、ベース、ドラムの4人組で、軽やかなフュージョン風のプログレをやっている。
この手のバンドとしてはFrogg Cafeなどを思い出すが、そこまでのテクニックはなく、
ときおり入るヴォーカルも含めてアマチュア臭さを残している。メロウなギターフレーズや
プログレ的なシンセワークなど、なかなか悪くないので、今後は楽曲の質向上を期待したい。
メロディアス度・・7 プログレ度・・7 楽曲・・7 総合・・7
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GIANNOTTI 「The Great Unknown」
アメリカのプログレミュージシャン、ジアノッティの2014年作
CANNATAなどにも参加したマルチミュージシャン、ロバート・ジアノッティのソロ作品で、
美麗なシンセアレンジにメロウなギターを乗せ、やわらかなフルートも鳴り響く
牧歌的なシンフォニックロック。マイルドなヴォーカルはややヘタウマな感じであるが、
マンドラのつまびきなどアコースティックな叙情性とともに、ときにプログレハード風味のノリや、
女性ヴォーカルによるトラッドロック的なラスト曲まで、ゆったりと優雅なサウンドが楽しめる。
ドラマティック度・・7 プログレ度・・7 叙情度・・8 総合・・7.5
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GLASS 「Palindrome」
アメリカのプログレバンド、グラスの2014年作
結成は60年代というキャリアのあるバンドで、本作は復活後の2作目となる。
のっけからチャーチオルガンが鳴り響き、パル・リンダーの1stばりの厳かな空気に包まれる。
軽めのドラムの音はいかにも宅録っぽくて、アマチュア臭さを露呈しているのだが、
オルガンやメロトロンなどの古き良き感触に包まれた、やわらかな聴き心地は悪くない。
オールインストなのだが、アンサンブルの緊張感というものは皆無で、ゆったりまったり。
しかし、20分にわたってシンセ音のSEを延々と聴かされる曲はちょっとカンベンである。
演奏のつたなさはともかく、プログレ愛、アナログ鍵盤愛が感じられる好作品ではあります。
ドラマティック度・・7 プログレ度・・7 アナログキーボー度・・8 総合・・7
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GLASS HAMMER 「journey of the dunadan」
アメリカのシンフォニックロックバンド、グラス・ハマーの1st。1993年作
今やアメリカシンフォニックロックの最高峰にまで成長している彼らのこれがデビュー作。
ファンタジックなジャケのイメージもそうだが、曲間に映画的な語りを導入するなど、
この時点からすでに濃密な作風で、「指輪物語」をテーマにしたシンフォニックロックが展開されてゆく。
かつてのYESにあったキャッチーな聴きやすさと、シンセによる派手な盛り上がりを聴かせつつ
アコースティカルで素朴な曲もあったりで、適度な力の抜け具合がよろしい。
後の4作目の完成度には及ばないまでも、十分高品質なシンフォニック作品と言えるだろう。
シンフォニック度・・8 プログレ度・・8 ファンタジック度・・8 総合・・8
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Glass Hammer「Perelandra」
アメリカのシンフォニックロックバンド、グラス・ハマーの2nd。1995年作
当時はこの美しいジャケからてっきり女性Voものと勘違いして買った記憶があるが、
あらためて聴き返せば、美麗なシンセワークを中心にしたたおやかで繊細なシンフォニックロックとして、
すでに充分に90年代アメリカのトップクラスといってもよい出来だ。キャッチーなヴォーカルメロディに
ときに女性コーラスを絡めつつ、メロウなギターにシンセを重ねたやわらかな聴き心地。
4th以降のような壮大さはまだないが、演奏、楽曲ともにクオリティが高く、安心して楽しめる好作だ。
シンフォニック度・・8 メロディアス度・・8 たおやか度・・9 総合・・8
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GLASS HAMMER 「LIVE AND REVIVED」
アメリカのプログレバンド、グラス・ハマーの1997年作
いまやアメリカを代表するシンフォ系バンドというべき存在となった彼らだが、本作は1995年のスタジオライブの音源と、
1994年に録音された未発音源を収録した企画盤。オルガンやムーグシンセをたっぷり使ったきらびやかな優雅さと、
Yesルーツの軽妙なアンサンブルでキャッチーなプログレサウンドを描き出すところは、初期の頃からすでに確立されている。
リハーサルのライブ音源とはいえ、演奏はしっかりまとまっていて、ドラムはいくぶん軽いものの、存在感のあるベースが
どっしりとアンサンブルを支えている。2nd収録の10分の大曲なども、アルバム盤以上に躍動感のある演奏が楽しめる。
メロディアス度・・8 プログレ度・・8 優雅度・・8 総合・・8
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GLASS HAMMER「On to Evermore」
アメリカのシンフォニックロックバンド、グラス・ハマーの3rd。1998年作
前作のキャッチーな繊細さをそのままに、よりファンタジックなコンセプト的な世界観でしっとりと聴かせる。
あくまでシンセ主体のサウンドなので、このやわらかな作風に物足りなさを覚えるリスナーもいるかもしれないが、
90年代のアメリカでは、ここまで本格的なシンフォニックロックを標榜するバンドはなかなかいなかった。
バンドはこの後、4th「CHRONOMETREE」で70年代回帰型の濃密な傑作を作り上げ、壮麗な作風を極めてゆく。
シンフォニック度・・8 メロディアス度・・8 たおやか度・・9 総合・・7.5
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GLASS HAMMER「CHRONOMETREE」
アメリカのシンフォニックロックバンド、グラス・ハマーの4th。2000年作
90年代シンフォの新鋭とデビューして7年、ついにバンドとしての最高傑作が誕生した。
高度な演奏力と作曲能力に裏打ちされた彼らのサウンドは、ファンタジーへの傾倒と、
楽曲における確かな構築美とともに、素晴らしく強固な世界観を作り出した。
EL&Pばりのシンセ弾きまくりパートと、叙情重視のハーモニーパートが絶妙にブレンドし
まさにYESの名作「危機」を思わせるような、濃密華麗な作風で一気に聴かせる。
メロディと展開力を兼ねそろえた、じつに見事なシンフォニックロック傑作である。
メロディアス度・・8 プログレ度・・9 キーボー度・・8 総合・・8.5◆プログレ名作選入り
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GLASS HAMMER「THE MIDDLE EARTH ALBUM」
アメリカンシンフォニックの重鎮、グラス・ハマーの5th。2001作
本作はタイトル通り、ファンタジー小説の古典「指輪物語」をコンセプトにしたトータル作。
のっけから素朴なトラッド曲で面食らったが、そのうちシンセ入りの重厚シンフォが始まるだろうと、
聴き続けるも、いっこうにそうはならず、全編がアコースティックメイン。コリャ本物のメディーヴァルなトラッドアルバムだぁ。
コンセプトに本気で取り組み、自分たちのサウンドを隅にやってまで「指輪」の世界を真摯にを描き出そうとする「本気」度は凄い。
素朴な楽曲を聴いていると、中世の居酒屋で戦士や吟遊詩人たちが騒ぎながら歌声を上げる様が目に浮かぶようだ。
途中から女性ヴォーカルも加わり、アコギやマンドリンが優雅に響いて聞き手を中世の世界へと誘うようだ。
シンフォニック度・・6 プログレ度・・5 中世トラッ度・・9 総合・・7.5
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GLASS HAMMER「Lex Rex」
アメリカのシンフォニックロックバンド、グラス・ハマーの6th。2002年作
4th「CHRONOMETREE」において、往年のYesを思わせる古典的王道の濃密な傑作を作り、
次作ではいきなり「指輪物語」をテーマにしたアコースティックなアルバムを発表するなど
新世紀に入ってさらにバンドとしての勢いを感じさせているが、本作もまた見事な作品。
物語的な語りから始まり、壮麗なシンセワークとギターによる厚みのあるサウンドに、
女性コーラスなどによるしっとりとした美しさが加わって、楽曲にアクセントを生み出している。
ドラマティックな構成力にいっそうの磨きがかかり、展開により適度な緊張感を生み出しているのが見事。
2019年のリマスター盤では音がよりクリアになり、サウンドのダイナミズムが増している。
シンフォニック度・・8 プログレ度・・8 ドラマティック度・・9 総合・・8
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GLASS HAMMER「Live at NEARfest」
アメリカのシンフォニックロックバンド、グラス・ハマーのライブアルバム。2004作
2003年のアメリカNEARFESTでのステージをを収録。楽曲は7th「LEX REX」からのものを中心に、
シンフォニックなキーボードできらびやかな演奏を聴かせる。三人の女性Voも加わったサウンドには厚みがあり、
曲調のキャッチーな抜けの良さもあって、爽快感溢れるシンフォニックプログレを堪能できる。
終盤には混声合唱団も登場し、さらに壮麗に盛り上げてくれる。「LEX LIVE」のDVDよりはずっと楽しめる内容だ。
シンフォニック度・・9 プログレ度・・8 ライブ演奏・・8 総合・・8
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GLASS HAMMER「LEX LIVE」
アメリカのシンフォニックロックバンド、グラス・ハマーのライブDVD。2004年作
7作目のアルバム「LEX REX」発表後のステージで、同アルバムからの曲をメインに過去の曲なども演奏。
メンバーは皆いいおっさんな感じで、いかにもプログレマニアが枠を超えて凄いバンドになったという色を感じさせる。
音の方はYesを今風にしたような分かりやすい雰囲気で、シンフォ好きなら問題なく楽しめるだろう。
三人の女性ヴォーカルが座ったまま歌っているのがどうにもやる気がなさげだが、このバンドのステージングに関しては、
冷徹なプロの雰囲気という感じではなくプログレファンのための発表会のような赴きがあるので、これはこれでいいのだろう。
ライブ映像作としては、あまりにも素人臭いカメラワークや、会場のせいだろうが、アマチュアっぽいサウンドプロダクションもいただけない。
シンフォニック度・・7 ライブ映像・・6 ライブ演奏・・7 総合・・7
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GLASS HAMMER「SHADOWLANDS」
アメリカのシンフォニックロックバンド、グラス・ハマーの7th。2004作
王道のシンフォバンドとしては恐らく現在アメリカ最高のバンドといってよいと思う。
4th「CHRONOMETREE」において、コテコテの濃密引き倒しシンフォでマニアを唸らせ、かと思えば
続く5th「THE MIDDLE EARTH ALBUM」では中世風トラッドアルバムに挑戦、とやりたいことをやっている。
今作「SHADOWLANDS」は、濃密なシンフォ路線と軽快なメロディアス性が融合されたサウンドで、
なにに近いかといえばやはり「危機」の頃のYESといっていいかと思う。
わざわざ生音にこだわり本物のパイプオルガンを使用したり、ストリングスも生音というこだわりようで、
大変力が入っていながら、さりとてヤボったくなりすぎず、ある意味上手く力が抜けた爽快さが音にある。
シンフォニック度・・8 メロディアス度・・8 楽曲・・8 総合・・8◆プログレ名作選入り
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GLASS HAMMER「The Inconsolable Secret」
アメリカのシンフォニックロックバンド、グラス・ハマーの8th。2005年作/邦題「悲しみの淵に潜む秘密」
バンドの核をなすのは、マルチプレーヤーのフレッド・シェンデルとスティーブ・バーブのオヤジ2人組。
今回のジャケはロジャー・ディーンその人。Yesをリスペクトする彼らの夢がついに叶ったということか。
CD2枚組、計100分弱という本作は、これまでになく70年代風の質感を増した雰囲気で、EL&P風のキーボードに
YES
風コーラスワークなど…それらを現代のシンフォ感覚で構築し直したという作風。大曲における密度はやや薄いが、
その分ゴリ押しではないゆるやかな叙情と、優雅でキャッチーなメロディアス性が際立っていて、
音色豊富なキーボードワークと美しいストリングス、それに女性コーラスに混声合唱などが合わさり、
壮大でありつつもマイルドなシンフォニックロックを描いている。ゆったりと聴ける2枚組大作です。
2013年のデラックスエディションは、現メンバーの手で再録されたボーナスDiscを加えた3枚組となっている。
シンフォニック度・・8 ゆるやかに壮大度・・9 キーボー度・・8 総合・・8.5
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GLASS HAMMER「LIVE AT BELMONT」
アメリカのシンフォニックロックバンド、グラス ハマーのライブDVD。2006年作
DVD作品としても2作目となる本作はテネシー州のベルモント大学における国際イベントでのステージを収録。
中心人物である巨漢のシンセ奏者とベーシスト、ドラム、それに新加入のギターに加え、ヴォーカルは、SALEM HILLのメンバーが参加。
ステージ向かって左には、ヴァイオリン、ヴィオラ、チェロのストリングストリオにときにリードもとる女性コーラスが三人。
楽曲は現時点での最新「The Inconsolable Secret」からと、「Lex Rex」「Shadowland」からも演奏。
YESばりのキャッチーさとコーラスワーク、そしてテクニカルな見せ場を盛り込みつつ、メロディアスかつドラマティックに聴かせる。
優雅なストリングスの音色に女性の歌声が重なると、シンフォニックな楽曲が華やかに彩られ、
さらに後半では同大学の150人もの混成コーラス隊(9割が女性)が現れる様はなかなか圧巻。
メンバーの服装が普段着であったり、コーラス隊の歌声がややぎこちなかったりと、DVD作品としての完成度にはやや難があるが、
こうした大きなステージでマニアックなプログレ曲が大々的に演奏されるというのは、それだけでも意義のあることだろう。
シンフォニック度・・8 ライブ演奏・・8 ライブ映像・・7 総合・・7.5
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GLASS HAMMERCulture of Ascent
アメリカのシンフォニックロックバンド、グラス・ハマーの9th。2007年作
1993年のデビューから、一貫して幻想的で壮大なシンフォニックサウンドをつくり続けてきたこのバンド、
本作も、バンドの円熟さらなる探究心を感じさせる力作に仕上がっている。曲ごとに男女Voをフロントに、
巧みなシンセワークと、山あり谷ありのドラマティックな構成で9分、9分、7分、16分、19分という長曲を飽きさせずに聴かせる。
ヴァイオリン、チェロなどの生のストリングスは説得力のある優雅さをサウンドにもたらし、古くささのないモダンな重奏アレンジとともに、
たんなるプログレ、シンフォというよりも、もっと普遍性のある美しきドラマティックロックにまで昇華されたという印象だ。
ジョン・アンダーソンのゲスト参加という話題性もあるが、それはただの要素にすぎない。
ゆるやかなる音の洪水に心地よく飲み込まれてゆける、これは素晴らしい傑作である。
シンフォニック度・・9 プログレ度・・8 ドラマティック度・・9 総合・・8.5
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Glass HammerThe Compilations」
アメリカのシンフォニックロックバンド、グラス・ハマーの未発曲集。2007作
1993年にデビューしてから、現在までにアルバム10作以上、ライブやDVD作品を入れると
15作を超えるという、名実ともにアメリカのシンフォニックシーンを代表するこのバンド。
本作は1996~2004年の間の未発曲、別バージョン、ライブ音源などを収録。
壮麗なシンセワークを中心に、アメリカらしいキャッチーなメロディと往年のプログレ感覚に
壮大でファンタジックな世界観をブレンドさせた、彼らならではのシンフォニックワールドは
未発曲とはいえ、そのクオリティは他のバンドを寄せつけない。ファンは必聴の音源だ。
シンフォニック度・・8 メロディアス度・・8 楽曲・・8 総合・・8
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Glass Hammer「Three Cheers For The Broken-Hearted」
アメリカのシンフォニックロックバンド、グラス・ハマーの2009作
毎作、濃密かつ壮麗なシンフォニックアルバムで、コアなリスナーを魅了してきたこのバンドが、
今回はなんと、女性ヴォーカルをメインにしたしっとり系のアルバムで攻めてきた。
10分、20分当たり前という作風だったのが、今作では3~5分台のコンパクトな楽曲で
メロディアスかつコケティッシュなサウンドに変貌している。これはびっくりである。
もちろん美麗なシンフォニックアレンジはそこかしこに健在であるが、歌ものということで、
本作ではそれらもやや控えめ。これがクドすぎずなかなか絶妙なのである。
ほんのり翳りのあるゴシックロック的な倦怠感もあって、その筋のリスナーにも楽しめる。
シンフォニック度・・7 しっとり叙情度・・8 女性Vo度・・8 総合・・8
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Glass Hammer「If」
アメリカのシンフォニックロックバンド、グラス・ハマーの2010年作
1993年のデビューから濃密かつ幻想的なシンフォニックロックを作り続けてきた
アメリカを代表するシンフォ系バンド。前作は女性Voをメインにした作風であったが、
今作では再び以前のYESタイプの路線に戻っている。レトロな雰囲気を感じさせるシンセワークに
キャッチーなヴォーカルメロディで、耳触りのやわらかなシンフォニックロックが楽しめる。
10分超が2曲に、ラストは24分の大曲という力作であるが、濃密すぎない爽やかさがよろしい。
シンフォニック度・・8 爽やか度・・9 Yes風味度・・8 総合・・8
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GLASS HAMMER「Cor Cordium」
アメリカのシンフォニックロック、グラス・ハマーの2011年作
12作目となる本作は、EL&Pばりのオルガンが鳴り渡る古き良きプログレ感触に
前作から引き継いだYes風味がキャッチーに重なる作風で、のっけから思わずにやり。
やわらかな聴き心地で大人の叙情を表現するのは、このバンドならではのこだわりだろう、
オールドリスナーが好むプログレ感覚を、現代シンフォの構築力で再現するセンスは
相変わらず見事と言う他はない。全6曲中、10分以上が4曲と、いつも同様に余裕の力作。
シンフォニック度・・8 プログレ度・・8 大人の余裕度・・9 総合・・8
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GLASS HAMMER「Perilous」
アメリカのシンフォニックロック、グラス・ハマーの2012年作
毎年のように作品を出していて、本作は13作目となる。ストリングスによる美しいイントロから、
オルガンにムーグシンセが鳴り響く古き良きプログレの感触と、優雅なピアノにメロトロンの響き、
Yesを思わせるキャッチーなヴォーカルとともに、美麗なシンフォニックロックを構築してゆく。
コンセプトアルバム的なドラマ性を含んだ流れのなかで、楽曲はあくまでメロディアスで優美、
まさに「現代版Yes」というような軽やなシンフォニックロックが楽しめる傑作です。
シンフォニック度・・8 プログレ度・・8 ドラマティック度・・8 総合・・8
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Glass Hammer 「Ode to Echo」
アメリカのシンフォニックロック、グラス・ハマーの2014年作
1993年のデビューからクオリティの高い作品を作り続ける、いまやアメリカを体表するシンフォニックロックバンド。
14作目となる本作は、現YESのヴォーカリストでもあるジョン・デイヴィソンのマイルドな歌声に
オルガンやピアノを含むやわらかなシンセとともに聴かせる、キャッチーなプログレハード風味が前に出ている。
8分、10分という大曲も、軽やかなアンサンブルと、やはりYesを思わせる爽やかなメロディアス性で
ベテランらしい耳心地の良いサウンドを描いてゆく。もちろんプログレバンドとして培われてきた構築美と、
ドラマティックな展開力は健在で、随所に女性ヴォーカルも加わった優美なメロディの流れとともに
自然体のシンフォニックロックが楽しめる。MAGENTAのロブ・リードやKANSASのデヴィッド・ラグスデールなどがゲスト参加。
メロディック度・・8 プログレ度・・8 プログレハー度・・8 総合・・8
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GLASS HAMMER 「The Breaking Of The World」
アメリカのシンフォニックロック、グラス・ハマーの2015年作
1993年にデビューしてから、コンスタントに高品質な王道シンフォニックロックを作り続けるこのバンド
前作から1年余りで早くも通算15作目が登場。Yesに加わったジョン・デイヴィソンは本作では不参加であるが、
もう一人のVo、カール・グロウブスのやわらかな歌声とともに、美しいシンセワークと軽やかな優雅さで描かれる、
Yesタイプのシンフォニックロックは不変。本作ではさらにアコースティカルで繊細な叙情性が強まっていて、
随所に女性ヴォーカルも含んだ起伏に富んだ展開と、あくまで大人のマイルドさでじっくりと聴かせてくれる。
8~11分の大曲を中心にしつつ、濃密すぎない味わいはベテランならでは。当然のように傑作です。
ドラマティック度・・8 プログレ度・・8 大人の優雅さ度・・9 総合・・8 
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GLASS HAMMER 「Double Live」
アメリカのシンフォニックロック、グラス・ハマーのライブ作品。2015年作
1993年にデビュー、その壮麗なサウンドでいまやアメリカを代表するプログレバンドとなった。
本作は2015年ROS FESTでのステージを2CD+DVDに収録。10分前後の大曲を中心に、
軽やかなアンサンブルと男女ツインヴォーカルを乗せた、Yesを思わせる優雅なサウンドを聴かせる。
そのYESに加入したジョン・デイヴィソンは不参加であるが、カール・グローヴスのマイルドな歌声は、
軽妙な大人のナンバーにはよく似合っていて、鳴り響くメロトロンをバックに女性ヴォーカルを乗せた、
叙情的なパートなどもよいですな。Disc2では「The Inconsolable Secret」からの26分の大曲も披露、
ドラマティックな展開とともに、じつにプログレらしいプログレが味わえる。全7曲で90分のシンフォプログレ絵巻。
ドラマティック度・・8 ライブ演奏・・8 プログレ度・・8 総合・・8 
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GLASS HAMMER 「Valkyrie」
アメリカのプログレバンド、グラス・ハマーの2016年作
1993年にデビュー、いまやアメリカを代表するシンフォニックロックバンド。本作は16作目で、
やわらかなシンセワークに、マイルドなヴォーカルを乗せたYesを思わせるキャッチーな感触で
女性ヴォーカルを加えた優美なサウンドを描く。オルガンやムーグなど、古き良き王道のプログレを
軽妙なアンサンブルと起伏のある構築美で仕立て上げた、「GH節」というべき作風は円熟の域。
スリリングな展開力のインストパートとやわらかな女性声が合わさった、14分の大曲もさすがの出来。
もはや新鮮味は希薄だが、「これがグラスハーマーです」とも言える、安心安定の高品質作品です。
メロディック度・・8 プログレ度・・8 安心度・・9 総合・・8
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GLASS HAMMER「Untold Tales」
アメリカのシンフォニックロック、グラス・ハマーの2017年作
デビュー25周年記念の作品で、未発音源に、再録、ライブ、カヴァー音源を加えた企画アルバム。
未発音源の中には、トレイシー・クラウドのソロ作やコンピレーションへの提供曲など、
すでに聴いているものもあるが、12分を超える長さの90年代の未発音源などは、
きらびやかなシンセとメロウなギターで、シンフォニックロックの王道というサウンドが楽しめる。
AGENTのカヴァーは意外な選曲だが、THE BEATLESのカヴァーは、女性ヴォーカルを乗せた
優美なアレンジでなかなかハマっている。インストによる小曲なども挟みつつ、バンドの過去から、
現在形のライブ音源までを網羅した、全72分のグラスハマー祭り。ファンの方はどうぞ。
ドラマティック度・・7 プログレ度・・7 未発音源度・・7 総合・・8 
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Glass Hammer 「Mostly Live in ITALY」
アメリカのシンフォニックロック、グラス・ハマーのライブ作品。2018年作
1993年にデビュー、いまやアメリカを代表するプログレバンドの2017年のイタリア公演を収録。
女性Voを含む4人編成というシンプルな構成で、2016年作「Valkyrie」からのナンバーをほぼ全曲演奏。
存在感あるベースに美しいシンセアレンジ、男女ヴォーカルの歌声を乗せた優雅なシンフォニックロックを聴かせる。
オルガンやムーグの音色によるヴィンテージなプログレ感と、女性ヴォーカルによる爽やかな味わいが同居して、
ベテランらしい力の抜けたアンサンブルでじっくりと構築されるサウンドは、まさにシンフォプログレの王道。
トリオとは思えない演奏陣もさすがで、Susie嬢の歌声を巧みに引き立てている。9分を超える過去曲メドレーもGood。
ライブ演奏・・8 プログレ度・・8 優雅度・・9 総合・・8 
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GLASS HAMMER 「Chronomonaut」
アメリカのプログレバンド、グラス・ハマーの2018年作
1993年にデビュー、いまやアメリカを代表するシンフォニックロックバンドのひとつ。17作目の本作は
2000年作「CHRONOMETREE」の続編となるコンセプト作で、オルガンやムーグなどのやわらかなシンセをメインに、
流麗なギターワークと、DISCIPLINEのMatthew Parmenterらが参加し、マイルドなヴォーカルを披露している。
メロトロンなどのヴィンテージなシンセに、ときにサックスやトロボーンなどのブラスを加えたアレンジや、
美しい女性ヴォーカルの歌声とともに、ゆったりとした優雅な大人のシンフォプログレが楽しめる。
全体的にスリリングな部分は希薄ながら、ラストの10分の大曲までじっくりと鑑賞できる、全70分の力作です。
ドラマティック度・・8 プログレ度・・8 優雅度・・9 総合・・8 
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GLASS HAMMER 「Dreaming City」
アメリカのプログレバンド、グラス・ハマーの2020年作
今作は、マイケル・ムアコックの小説にインスパイアされたというコンセプト作で、優雅な大人のシンフォだった前作とは変わり
いつになくハードなギターを乗せたドライブ感あるサウンドで、スペイシーなシンセワークとともにHAWKWINDにも通じる
アッパーなサイケ風味を感じさせる。マイルドなヴォーカルに、オルガンなどのシンセとロックギターのオールドな味わいで
従来のシンフォニックロック路線とはやや異なる、浮遊感のあるヴィンテージなハードプログレとしても楽しめる。
後半には女性ヴォーカルを乗せた優雅な叙情ナンバーや、JETHRO TULLのようなフルートも入ったナンバーもあり、
ラストの11分の大曲まで、物語的な流れとともに楽曲が進行。ドラマ性のあるメロディックロックという感じの好作品だ。
ドラマティック度・・8 プログレ度・・7 優雅度・・8 総合・・8
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GNOMONAUT 「The Chronocosm」
アメリカのサイケプログレ、ノモナウトの2011年作
SF的なストーリーを感じさせるイントロから、スペイシーなシンセとツインギターで聴かせる、
HAWKWINDタイプのサイケロック。インストがメインなので、サイケジャム的な雰囲気が
いくぶん退屈といえば退屈なのだが、ゲストによるサックス、トランペットが加わると、
なかなか面白い味わいになったりする。よりミステリアスな怪しさを伸ばして欲しい。
King Crimsonの“Red”やBlack Sabbath“The Wizard”のカヴァーもなんとなくユルい。
ドラマティック度・・7 プログレ度・・7 サイケ度・・8 総合・・7
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GPSWindow to the Soul
アメリカのプログレハードバンド、GPSの2006年作
J.ペイン、G.ゴーヴァンの元ASIA組みを中心に、SPOCK'S BEARDのリョウ・オクモトも参加。
ややハードめの質感とキャッチーなメロディが合わさった、現代風のプログレハード作だ。
ギターはメタリックなほどに重厚で、ややかすれた声質のジョン・ペインの歌声が乗ると
やはり70年代を通過した大人のサウンドに聴こえる。MAGNUMとかTENなどと同様、
どこか英国然とした誇りが音には感じられ、新鮮味はあまりないが質の高さで聴き通せる。
HRになりそうなサウンドをリョウ・オクモトの流麗なシンセワークが引き戻しているのもポイント。
メロディアス度・・8 英国度・・8 けっこうハー度・・8 総合・・8
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GPS 「Two Seasons : Live In Japan Volume I」
ジョン・ぺイン、ガスリー・ゴーヴァン、ジェイ・シェレンに、SPOCK'S BEARDの奥本亮を加えた編成で、
2006年に唯一のアルバムを残したバンドのライブ作。2012年作
2007年の来日公演を2CD+DVDに収録。アルバム「WINDOW TO THE SOUL」からのナンバーを中心に、
各メンバーのソロパートやASIAのナンバーも披露。枯れた味わいのジョン・ペインの歌声に、
ガスリーの巧みなギターと奥本亮のプログレなシンセワークで、キャッチーなプログレ・ハードロックを聴かせる。
哀愁漂うアコースティックなナンバーも含めて、大人の渋みを感じさせる味わいで、
オフィシャル・ブートレグということもあり、加工されていない生々しいライブサウンドが楽しめる。
ライブ演奏・・8 音質・・7 プログレハー度・・8 総合・・7.5
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GREYFEATHER
アメリカのプログレバンド、グレイフィーザーの2017年作
FARPOINT、LITTLE ATLAS、ILUVATAR、IZZのメンバーが集ったユニットで、
うっすらとしたシンセにオールドなテイストのギター、枯れた味わいのヴォーカルを乗せた、
古き良き感触のメロディックロックというサウンド。プログレ的な感触は薄めで、
ブルージーなギターを乗せた、70年代ブリティッシュロックの香りも感じさせる。
LITTLE ATLASのシンセ奏者によるオルガンやピアノを含む鍵盤ワークはよい感じだが、
全体的には歌ものとしては地味な聴き心地で、楽曲ごとの魅力はやや薄いか。
ドラマティック度・・7 プログレ度・・7 楽曲・・7 総合・・7
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Growing Dream 「Seeds」
カナダのシンフォニックロックバンド、グローイング・ドリームの1995作
ジャケからしていかにもマイナー臭いが、内容は女性ヴォーカルの正統派シンフォ。
美しいピアノに乗る、アニー・ハズラムに少し似た感じの歌声がなかなかよろしい。
ゆったりと聴かせるタイプで派手さはあまりないが、サックスやフルートが加わると、
ジャズロック的な質感にもなる。個人的にはクラシカルな感じでゆくのなら
サックスなどは不要だし、気の抜けたような男性Voもいらないと思うのだが。
シンフォニック度・・7 メロディアス度・・7 女性Vo度・・7 総合・・7


GUY LeBLANC「ALL THE RAGE」
カナダのシンフォニックロックバンド、NATHAN MAHLのKEY奏者、ギー・ルブランのソロ作。2004作
硬質シンフォのNATHAN MAHLに比べ、ここではたおやか系のキーボードシンフォをやっている。
ときにギターと絡みながら、キーボードはムーグ的な音色や、ストリングス系しっとりとしたピアノなどを使い
うるさすぎない耳に優しいプログレサウンドは、「HERETIK」三部作をやややわらかくしたような雰囲気。
自身によるしわがれ声のヴォーカルや、リズムが打ち込みである点を差し引いても
メロディアス&シンフォ系プログレファンならばなかなか楽しめる出来だろう。
メロディアス度・・8 プログレ度・・7 キーボー度・・8 総合・・7.5
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HALF PAST FOUR 「Rabbit in the Vestibule」
アメリカのプログレバンド、ハーフ・パスト・フォーの2008年作
変則リズムを含む軽妙なアンサンブルに、キュートな女性ヴォーカルを乗せた、テクニカルなプログレサウンド。
オルガンやエレピを含むシンセに流麗なギターフレーズで、カンタベリー系ジャズロックを思わせる優雅な味わいに、
表現力ある女性ヴォーカルに男性声も絡んで、コケティッシュな遊び心とアヴァンギャルドな展開力もなかなか楽しい。
MAGENTAのようなキャッチーなシンフォ系ナンバーもありつつ、とぼけたようなジャズ風のナンバーなども、
BENT KNEEあたりにも通じるセンスの良さで、美しい女性声によるキュートなアヴァンプログレが楽しめる逸品だ。
優雅度・・9 プログレ度・・8 女性Vo度・・8 総合・・8 
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HALF PAST FOUR 「Good Things」
カナダのプログレバンド、ハーフ・パスト・フォーの2012年作
東欧出身のギターとベース、女性Voにシンセを含む5人編成で、
軽やかなアンサンブルの中にどこか屈折したテクニカル性と洒落っ気を含んだサウンド。
カンタベリー的な優雅なシンセアレンジにときにハードめのギターが合わさり、
伸びやかな女性ヴォーカルの歌声とともに、軽妙な味わいを聴かせてくれる。
「女性Vo版エコリン」というような感触もあり、キャッチーな耳心地の良さの中に
玄人好みの演奏とひねくれ具合が見え隠れする好作品。
メロディアス度・・8 プログレ度・・8 ひねくれ度・・7 総合・・8
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Hamadryad「Conservation of Mass」
カナダのプログレバンド、ハマドライアドの2000作
軽やかでメロディックな演奏と、ProgMetal的なハードな質感もあるサウンドで、展開にはややひねくれた屈折感があってなかなか面白い。
ヴォーカルはときにYesのジョン・アンダースンを思わせる雰囲気で、どこかアラビックなフレーズとともにサイケロック的な浮遊感も聴かせる。
演奏力も高く、とくにドラマーの細かなテクニックはかなりのもの。同じくカナダのPOLLENRUSHのような高度なつかみ所のなさに、
YESのキャッチーさを加えたような、玄人好みの作品と言ってよいだろう。
メロディアス度・・8 屈折度・・8 ProgMetal風味度・・7 総合・・8
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Hamadryad「Safe In Conformity」
カナダのプログレバンド、ハマドライアドの2nd。2005年作
今作ではハードさをやや抑えた叙情性に磨きをかけた作風。
オルガンを含めた美しいシンセワークやギターの泣きメロも耳に心地よく、
ジョン・アンダースンのようだったヴォーカルも、しっとりと歌い上げる部分が多くなり、
今作ではむしろGENESISのガブリエル風味をかもしだしたりしている。
SPOCK'S BEARDGENTLE GIANTを思わせる、ヒネくれた展開美も盛り込みつつ
古き良きプログレの質感を上品なモダンさで包み込んだような印象だ。
メロディアス度・・8 プログレ度・・8 楽曲センス・・8 総合・・8
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HAMADRYADLive in France 2006」
カナダのプログレバンド、ハマドライアドのライブアルバム。2007作
以前に聴いた1st、2ndもセンスのよいメロディアスなプログレアルバムであったが、ライブにおける演奏力もなかなかのもの。
G、B、Dr、Keyという4人編成で、息のあったアンサンブルとともに、初期のSPOCK'S BEARDにも通じるキャッチーさと
いくぶんヒネくれた構成力で聴かせる楽曲は、じっくり楽しめる玄人好みのものだ。
メロディックなギターフレーズとプログレ的なシンセが絡み、GENESIS的なヴォーカルが乗る
爽快なシンフォニックロックであり、そこにカナダ的な構築センスを効かせた作風である。
9分以上の曲が4曲と、わりと長めなので、どうしても長尺感は感じてしまうが。
メロディアス度・・8 プログレ度・・8 ライブ演奏・・8 総合・・7.5
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HAMADRYADIntrusion」

カナダのプログレバンド、ハマドライアドの2010年作
メロディアスだがどこかひねくれ気味のサウンドは、3作目の今作ではいっそうの切れ味を増し、
技巧的なアンサンブルとともに、とぼけた味わいを持った玄人好みのプログレが楽しめる。
アヴァンギャルド一歩手前の緊張感と、それでいてキャッチーな耳心地も残しながら、
得体の知れぬスケールを構築している。変則リズムに乗せる奔放なギターの響きも心地よく、
適度にヘヴィなハードさとユーモラスな余裕の同居が面白い。まさにカナダ屈指のプログレバンドとなった。
メロディアス度・・7 プログレ度・・9 アンサンブル度・・9 総合・・8
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HAPPY THE MAN
アメリカのプログレバンド、ハッピー・ザ・マンの1st。1977作
紙ジャケ/リマスターで買い換え。まだこのバンドのことを知らない方は大いなる不幸である。
ひとことで言うなら、テクニカル化したCAMELというべき彼らのサウンドは、切れの良いリズムに
叙情的なキーボードが重なり、ギターにサックス、フルート、そしてときおり聴かせる甘いヴォーカルと、
ジャズロック的なテクニカルさとシンフォニックとの高度な融合なされており、非常に日本人好みなのだ。
たたみかける展開の中にもしっとりとしたパートもあり、シンセを中心にしたメロディの洪水にうっとりだ。
この軽やかなセンスと美意識は、年代を思えば実に見事である。より洗練された次作も必聴だ。
メロディアス度・・9 テクニカル度・・8 軽やか度・・9 総合・・8.5◆プログレ名作選入り
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HAPPY THE MAN「CRAFTY HANDS」
ハッピー・ザ・マンの2nd。1978年作
1stでアメリカのプログレのイモ臭さを完璧に払拭した彼らが生み出した最高傑作。
前作の流れをそのままに音にはダイナミックな広がりが増し、インストをメインにしながら、
キレのよいリズムアンサンブルにギターとシンセの重なる叙情味溢れるメロディが素晴らしい。
その絶妙に洗練されたサウンドには、アメリカのバンドらしからぬ吹っ切れを感じさせ、
とくにリーダーであるキット・ワトキンスの巧みなシンセワークは、繊細なクラシカルさと同時に
フュージョン的でもあるモダンな感触を生み出していて、今聴いてもそのセンスは輝いている。
プログレ後進国といわれたアメリカの70年代でこのクオリティは奇跡的。テクニカルシンフォの名作だ。
メロディアス度・・9 テクニカル度・・8 軽やか度・・9 総合・・9◆プログレ名作選入り
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HAPPY THE MAN「BETTER LATE...」
アメリカのプログレバンド、ハッピー・ザ・マンの3rd。1979年作
軽妙なテクニカルシンフォの傑作である、2nd「CRAFTY HANDS」の完成度には唸らされたが、本作も決してひけをとらない。
サウンドはぐっとやわらかになり、美しいシンセアレンジを中心にした、いくぶん落ち着いたような雰囲気であるが、
よくよく聴けば、その抜群の演奏力とマイルドな優雅さを表現するアンサンブルは職人の域に達していて、
やわらかなヴォーカルを乗せたナンバーも、しっとりとした叙情美に引き込まれる。前に出すぎないギターも何気に絶妙で、
もはやテクニックなどは見せびらかすものではないとでも悟っているかのようである。なんてハイセンスなバンドだろうか。
お前ら本当にアメリカ人なのか?…などと突っ込みたくなるほど。ジャケは地味ながら内容は極上。プログレらしさは薄めながら、
ジャズやフュージョン的なメロディアス性でじっくりと楽しめる、素晴らしいシンフォニックロック作品である。必聴ですわ!
メロディアス度・・8 プログレ度・・7 優雅度・・9 総合・・9
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HAPPY THE MAN「LIVE」
アメリカ最高のテクニカル・シンフォニックバンド、ハッピーザマンの1978年のライブ音源。
時期的には2ndを出した直後ということで、演奏曲は1st、2ndからがメイン。
ライブでの音を初めて聴いたが、やはりアルバム同様に、メロディアスで叙情的ながらも非常にタイトで緻密な演奏である。
こののちCAMELへ加入するキット・ワトキンスのキラキラしたキーボードワークが冴える。
何度もいうが当時のアメリカという国でこれほどの音楽を作って見せたバンドはそういない。
メロディアス度・・8 演奏・・9 音質・・7 総合・・8
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HAPPY THE MAN「BEGINNINGS」
アメリカ屈指のシンフォバンド、ハッピーザマンの未発表曲集。
録音の時期は1st発表以前の1974~1975のものだが、曲、演奏のクオリティは到底未発表曲のレベルとは思えん。
プログレ後進国と言われたアメリカで、ここまでハイセンスな楽曲を作り、演奏したバンドがいただけでも凄い。
3枚のアルバムを発表した後、メインライターであるKeyのキット・ワトキンスCAMELへと引き抜かれたわけだが、
もしそうならなければ今現在も最高のシンフォバンドが活動をしていたかと思うと複雑な気がする。
とにかくYESCAMELは知っているがHAPPY THE MANを知らないというプログレファンは
彼らのアルバムを聴いて欲しい。まずは2ndの「CRAFTY HANS」を。フランスのMUSEAから再発盤が出ている。
このバンドの才能、アレンジセンスと演奏能力、メロディの質は世界的に見てもトップクラスである。
メロディアス度・・9 シンフォニック度・・8 演奏・・9 総合・・8
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HAPPY THE MAN「THE MUSE AWAKENS」
アメリカ伝説のテクニカルシンフォバンド、ハッピー・ザ・マンの2004年作
まさか、この2004年になってから完全な新作を発表するとは…まったく驚いた。
肝心の音の方だが、これがびっくりするくらいに「あの」ハッピーザマンである。
軽やかな変拍子に耳に馴染むメロディを載せ、たたみかけるように展開してゆく様は
まさに高密度なテクニカル・シンフォニックロックというに相応しい。
また、引きの部分のシンセの美しさは、現代の機材のおかげでいっそう奥行きを増し
キット・ワトキンス不在をまったく感じさせない。時代を超えて甦った、まさにハピマン節全開の傑作だ。
メロディアス度・・8 テクニカル度・・8 ハッピーザマン度・・10 総合・・8.5
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Harlequin Mass
アメリカのプログレバンド、ハーレクイン・マスの1978/1994年作
本作が唯一のアルバムで、やわらかなシンセにクラリネットの音色、叙情的なギターを重ねたイントロから、
軽快なリズムにオルガンとギター、コケティッシュな女性ヴォーカルの歌声に優美なフルートも加わり、
キャッチーなシンフォプログレを聴かせる。RENAISSANCEにも通じる優雅な味わいながら、
ほどよくマイナーな香りをかもしだしていて、全体的にもゆったりと牧歌的な耳心地で楽しめる。
10分を超える大曲も、やわらかなフルートと女性ヴォーカルで、あくまで優雅な叙情に包まれる。
CDには、1978年のアルバム音源に加え、1982年の音源4曲をボーナス収録。
シンフォニック度・7 プログレ度・7 女性Vo度・7 総合・7.5
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Harmonium 「L'heptade」
カナダのフォークロック、アルモニウムの1976年作
バンドの3作目で2枚組の大作。美しいシンセにストリングスを含むオーケストラルな序曲からして
すでにうっとりとなる。やわらかなフランス語の歌声に、アコースティックギターのつまびき、
クラシカルなピアノにフルートの音色、そこにオーケストラアレンジを加えた牧歌的なサウンドは、
英国のBarclay James Harvestにも通じる聴き心地である。ドラムが加わってのリズムチェンジには
しっかりとプログレとしての展開力もあって、優雅なシンフォニックロックとしても楽しめる。
Disc2には女性ヴォーカルでしっとりと聴かせるナンバーや、10分を超える大曲を繊細に描いてゆく。
エレキギターも加わった厚みのある叙情パートも素晴らしい。優しく優美な傑作です。
メロディック度・・8 プログレ度・・7 優雅で繊細度・・9 総合・・8
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HARMONIUM 「EN TOURNEE」
カナダのプログレバンド、アルモニウムのライブ。1980年作
1976年作「L'heptade」のツアーとして行われた、1977年バンクーバーでのライブを2CDに収録。
フルート、サックス、2人の鍵盤奏者を含む7人編成で、フランス語による語りから始まり、
やわらかなピアノにフルートの音色、アコースティックを含むギターにエモーショナルなヴォーカルを乗せ、
繊細なシンフォニックロックを展開する。メロトロンやムーグなどのシンセと牧歌的な味わいのギター、
シアトリカルなフレンチの歌声が合わさって、優雅でありつつも濃密なサウンドを描いてゆく。
20分の大曲も、サックスが鳴り響く、ジャズロック的なアンサンブルを含んだ緩急ある展開が見事で
アルバム以上にダイナミックな演奏を聴かせてくれる。傑作3rdの楽曲をほぼ再現しているのも嬉しい。
ドラマティック度・8 ライブ演奏・9 優雅度・9 総合・8 
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HARMONIUM 「L'heptade XL」
カナダのプログレバンド、アルモニウムの1976/2016年作
1976年の3rdアルバム、40周年記念のリマスターで、5.1ch音源を収録したDVD付きの限定盤。
優美なシンセとフルートやストリングスを含むオーケストラを重ねた序曲から、アコースティックギターのつまびきに
フランス語によるヴォーカルを乗せ、クラシカルなピアノとともにしっとりと繊細なサウンドを描いてゆく。
アコギとフルートによる牧歌的なフォーク風味や、QUEENのようなキャッチーなポップロックも覗かせつつ、
10分を超える大曲では、メロウなギターとシンセを重ね、シンフォニックロックとしての壮麗な盛り上がりも見せる。
オーケストラルなエピローグまで、クラシカルな美意識と繊細な叙情に包まれたサウンドに浸れる逸品です。
クラシカル度・8 プログレ度・7 優雅度・9 総合・8 
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HEDERSLEBEN 「The Fall of Chronopolis」
アメリカのサイケロック、ヘダースレーベンの2015年作
女性シンセ、女性ヴァイオリン&Voを含む5人編成で、オルガンやムーグシンセが鳴り響き、
メロウなギターワークに、美しい女性ヴォーカルの歌声を乗せた、妖しいサイケプログレ。
HAWKWINDのようなスペイシーな空気感に、アコースティカルな叙情性も覗かせて、
サイケとしてはわりとプログレ寄りの、緩急のあるドラマティックなサウンドを聴かせる。
アッパーなノリの部分でも、美しいシンセアレンジが幻想的な雰囲気を描いていて、
ジャケやタイトルのようなSFストーリーを感じさせてくれる。インストによる小曲なども、
シンセやヴァイオリンなどが効果的に叙情を加えて、作品全体として流れのある聴き心地。
ドラマティック度・・7 スペイシー度・・8 叙情度・・8 総合・・7.5
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HELIOPOLIS 「City of the Sun」
アメリカのプログレバンド、ヘリオポリスの2014年作
Mars Hollowのメンバーを中心に結成されたバンドで、ムーグやメロトロン、オルガン、ピアノといった
巧みなシンセアレンジに、知的な構築センスとアメリカらしいキャッチーな感触が合わさったサウンド。
ミステリアスなスケール感に包まれたへヴィシンフォ風味から、メリハリあるドラマティックな楽曲展開もよろしく
適度な緊張感を保ちながら、10分、14分という大曲を描いてゆく、その確かな力量とセンスは見事である。
古き良きプログレ感覚をモダンな展開美で昇華させたというサウンドは、手数の多いドラムも含めて、
TRANSATLANTICなどにも通じる聴き心地だ。本格派スタイルのバンドとして今後にさらに期待したい。
ドラマティック度・・8 プログレ度・・8 構築センス・・9 総合・・8
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HELIOPOLIS 「EPIC AT THE MAJESTIC」
アメリカのプログレバンド、ヘリオポリスのライブ。2016年作
シンセを含む5人編成で、2014年作「City of the Sun」を曲順通りに完全再現したライブステージ。
古き良き味わいのシンセワークに、ほどよくヘヴィなギターと手数の多いドラムで
軽妙アンサンブルのシンフォニックロックを聴かせる。アメリカのバンドらしいキャッチーな歌メロや
コーラスハーモニーとともに、ECHOLYNNEAL MORSEあたりを思わせるメロディックな味わいで、
各メンバーのしっかりとした演奏力も含めてバンドとしてのレベルも高い。濃密すぎない軽快なセンスで、
18分を超えるラストの大曲まで、本格派のアメリカンプログレが味わえる見事なライブ作品だ。
メロディック度・・8 プログレ度・・8 ライブ演奏・・8 総合・・8 
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HELMET OF GNATS 「HIGH STREET」
アメリカのプログレバンド、ヘルメット・オブ・ナッツの2010年作
1996年にデビュー、本作は6年ぶりとなる3作目。オルガンを含むシンセにギターを重ね、
変拍子を含む軽妙なリズムアンサンブルで聴かせる、インストによるテクニカルなプログレサウンド。
流麗なギターフレーズにエレピを乗せた、ジャズ、フュージョンタッチの優雅さと、ほどよい偏屈さ、
そして知的な構築センスは、HAPPY THE MANDIXIE DREGSあたりにも通じるだろう。
10分超の大曲3曲からの、後半は30分の組曲という構成で、オールインストながらも起伏のある展開力で
ミステリアスでコンセプト的なドラマ性も感じさせる。優雅なフュージョン・プログレが好きな方もぜひ。
ドラマティック度・・8 テクニカル度・・8 優雅度・・9 総合・・8
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Henry Kaiser & Wadada Leo Smith 「Yo Miles! Sky Garden」
アメリカのギタリスト、ヘンリー・カイザーと、トランペッター、ワダダ・レオ・スミスによるユニット。2004年作
フリージャズ系のアーティストながら、「CUNEIFORM」からの配給ということで、プログレ寄りなのかもと購入。
SACDの2枚組という豪勢なフォーマットで、サウンドの方は、フリーキーなトランペットにギターが絡む、
モダンなジャズセッション風の聴き心地。マイルス・デイヴィスへのオマージュ的なナンバーを主体に、
キーボードを含む編成での、いわゆるエレクトリック・ジャスのアプローチで、軽やかなドラムにサックスも鳴り響く、
テクニカルな部分はジャズロック的に楽しめる。Disc1、78分、Disc2、75分という大作で、
フリージャズが苦手な方には長尺かもしれないが、SACDによる臨場感ある音質は良いですね。
プログレ度・・6 ロック度・・5 ジャズ度・・9 総合・・7.5
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Herd of instinct 「Drone Priest」
アメリカのモダンプログレ、ヘルド・オブ・インスティンクトの2017年作
2011年にデビュー、本作は4作目となる。ウォーギターやフレットレスベースを操る、MARK COOKと
DJAM KARETのシンセ奏者、GAYLE ELLETTを中心に、硬質感に包まれたモダンなアンサンブルに、
オルガンやムーグシンセが鳴り響くヴィンテージな感触が合わさった、スタイリッシュなインストを構築。
うねりのあるベースや技巧的なギターなどの、テクニカルな側面と、空間的なサウンドが同居していて、
フルートやメロトロンなどの優雅な叙情性も覗かせつつ、ミステリアスな怪しさも表現するという、
この知的なセンスはポーキュパイン的というべきか。まさに新時代のプログレ作品です。
ドラマティック度・・7 プログレ度・・8 スタイリッシュ度・・9 総合・・8
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HERMANN SZOBEL 「SZOBEL」
アメリカで活動したオーストリア出身のピアニスト、ヘルマン・ゾーベルの1976年作
これが唯一の作品で、優美なピアノの旋律にサックスやヴィブラフォンの音色が重なり、
手数の多いドラムとベースが加わって、軽妙なテクニカル性を含んだジャズロックを展開する。
ほどよくアヴァンギャルドで優雅なひねくれ方は、ザッパ風のセンスで、かなりプログレ寄りの作風だろう。
12分という大曲では、フリーキーなサックスが鳴り響き、緊張感ある静かなアンサンブルの中に、
スリリングにピアノが切り込んで、ヴィブラフォンの響きとともに、チェンバーロック風味の味わいもある。
軽やかなドラムやサックス奏者の実力も見事。当時17歳というヘルマン少年の才能が詰まった一枚です。
ジャズ度・・8 プログレ度・・8 優雅度・・9 総合・・8
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Hermetic Science 「Prophesies」
アメリカのシンフォニックロック、ハーメティック・サイエンスの1999年作
音楽大学の教授でもあるシンセ奏者、エド・マッキャンによるプロジェクトで、1曲目はヴィヴラフォンやマリンバの優雅な響きに、リコーダーの音色とムーグシンセが重なり、牧歌的なサウンドを描く。これがRUSHのカヴァーとは気づかない。笑
2曲目以降はオリジナルで、軽妙なアンサンブルに鳴り響くヴィブラフォンやリコーダーがメインで、シンフォニックというにはどこか煮え切らないインストサウンドを展開。
ピアノによる小曲から、後半は、9分、8分という大曲が続き、クラシカルなピアノやオルガンとともに、どこかエキセントリックなインストを聴かせる。
ラストは、EL&P「タルカス」のカヴァーのライブ音源で、ピアノをメインにしたクラシカルなアレンジで楽しめる。
クラシカル度・7 プログレ度・7 優雅度・7 総合・7


HILDEGARD
アメリカのプログレバンド、ヒルデガルドの2015年作
わりとハードなギターにモダンなシンセアレンジ、フェミニンな女性ヴォーカルを乗せて、
優雅でコケティッシュなサウンドを聴かせる。ほどよくテクニカルなリズムチェンジと
カンタベリー的でもある軽妙な展開力で、やわらかなジャズロック風味も含んだ作風は、
BENT KNEEなどにも通じるいくぶんエキセントリックで、スタイリッシュなセンスを感じさせる。
ストリングスアレンジを加えたクラシカルなナンバーなど、しっとりとした耳心地の良さに包まれ、
エレピを含む優雅なシンセと美しい女性声をメインにしたサウンドが味わえる好作品。
ドラマティック度・・7 プログレ度・・7 優雅度・・9 総合・・8
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HIRSH GARDNER「WASTELAND FOR BROKEN HEARTS」
NEW ENGLANDハーシュ・ガードナーのソロ作。2002年作
伝説のプログレハードバンドとして3枚のアルバムを残して消えたニュー・イングランドのドラマーで、
本作のサウンドはキャッチーな叙情とポップなフィーリングに満ちたメロディアスハード。
やはりかつてのNEW ENGLANDを彷彿とさせる部分もしばしばあり、
ドラムはもちろん、作曲にヴォーカルもこなすハーシュの能力も素晴らしい。
NEW ENGLANDのメンバーたちが参加したナンバーもあって、ファンは歓喜。
メロディアス度・・8 キャッチー度・・8 ニューイングラン度・・8 総合・・8
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HIRSH GARDNER 「MY BRAIN NEEDS A HOLIDAY」
NEW ENGLANDのハーシュ・ガードナーのソロ。2017年作
伝説のプログレハードバンドとして3枚のアルバムを残して消えたニュー・イングランドのドラマーで、
ソロとしては2002年以来、15年ぶりとなるアルバム。サウンドはキャッチーなポップ性を含んだメロディックロックで、
これという新鮮味はないのだが、ゲストによるテクニカルなギターソロや、美しいシンセアレンジも覗かせて、
かつてのNEW ENGLANDに通じるような叙情性もある。ラスト2曲は、TAI PHONG「シスター・ジェーン」、
PROCOL HARUM「青い影」のカヴァーで、枯れた味わいのヴォーカルとともにしっとりと楽しめる。
Disc2には、2002年のソロ「Wasteland for Broken Hearts」のリマスター音源を収録。
キャッチー度・・8 プログレハー度・・7 新鮮度・・7 総合・・7.5
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Hobson's Choice「new horizons」
アメリカのシンフォニックロックバンド、ホブソンズ・チョイスの1996作
アメリカにはこの手の自主制作ものが多いが、これはその中でも比較的クオリティが高い。
ハモンドなどのレトロなシンセワークに、ときにブルージーにもなるメロウなギター、
ゆるやかな楽曲に乗るのは、ヴォーカルと古めかしいコーラスワーク…
録音の弱さも手伝って、まるで70年代の発掘バンドの音にも聞こえる。
プログレマニア気質のシンセとオヤジ的なロックギターが融合されたサウンドは
ときに哀愁のメロを乗せて泣きを誘いつつ、決して枠から外れないある種の安堵感がある。
メロディアス度・・8 オヤジプログレ度・・8 レトロ度・・8 総合・・7.5

Holding Pattern 「Breaking the Silence」
アメリカのプログレバンド、ホールディング・パターンの2007年作
1981年に唯一のアルバムを残して解散、その後、ギタリストのTony Spadaはソロ作を発表するなど活動を続け、
本作はバンド名義での26年ぶりとなる復活作。メロディックなギターときらびやかなシンセを中心にした
優雅な叙情性に包まれたインストのシンフォニックロックサウンドで、適度に変拍子も含んだ聴き心地は、
さしずめ、CAMEL + HAPPY THE MANという聴き心地で、ときにGENESIS風にもなったりしてにやり。
メロトロンが鳴り響く古き良きプログレらしさをしっかり受け継いでいて、ほのかなB級テイストも含めて、
90年代のネオプログレ/シンフォニック世代のリスナーにはたまらないサウンドと言えるだろう。
メロディック度・・8 プログレ度・・8 往年のシンフォ度・・9 総合・・8
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The Hosemobile 「What Can & Can't Go On」
アメリカのプログレ・ポストロック、ホースモービルの1999年作
ノイジーなリフと叙情な旋律を奏でる二本のギターを中心に、無機質な冷たさとプログレ的な知性が合わさり、
一種、アヴァンギャルドなマスロックというべき、空間的なフリーキーさを描く異色のサウンド。
適度にヘヴィにもなるギターは、それど凶暴過ぎずに、あくまでサウンドを担うパーツとしての冷徹さを保っていて、
この愛想の無さがしだいに心地よくなってくれば、これはプログレ寄りの聴き方もできるのだろうと思う。
生々しいドラムが即興的にリズムを構築し、ときに壊しながら、変則リズムによるテクニカル性も含めて、
MATS/MORGANなどにも通じる面白さもあって、インストのアヴァンロックが好きな方ならBGMにもイケルかと。
アヴァンギャル度・・8 プログレ度・・7 冷徹度・・8 総合・・7.5
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HOUR OF THE SHIPWRECK 「The Hour Is Upon Us」
アメリカのモダンプログレ、アワー・オブ・シップレックの2008年作
シンセを含む5人組で、うっすらとしたシンセに適度にハードなギターとエモーショナルなヴォーカルを乗せ、
ポストプログレ的な繊細な叙情に包まれたサウンド。メロウな泣きのギターは、ドイツのSYLVANあたりに通じる感触で
物悲しい哀愁の空気を漂わせながら、あくまで優し気な聴き心地。楽曲は5~8分前後と長すぎず短すぎず、
スリリングな展開や盛り上がりはさほどではないが、アコースティックなパートなども含めてゆったりと楽しめる。
裏声が主体の男性ヴォーカルはもしかしたら好みを分けるかもしれないが、繊細なポストプログレがお好きな方はどうぞ。
ドラマティック度・・7 プログレ度・・7 繊細度・・9 総合・・8
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Huis 「Despite Guardian Angels」
カナダのプログレバンド、ヒュイスの2014年作
Mysteryのギタリストを含む5人編成で、美しいシンセアレンジに適度にエッジのあるギターワークで
厚みのあるシンフォニックロックを聴かせる。コンセプト的なドラマ性を感じさせる展開美と
カナディアンらしいキャッチーな繊細さが合わさったスタイルで、随所に入る泣きのギターもよい感じだ。
8分、9分という大曲では、ゆったりとした素朴な味わいとマイルドなヴォーカルとともに、
やわらかな叙情性に包まれたサウンドが楽しめる。新鮮なインパクトは薄いが安心して聴ける好作だ。
ドラマティック度・・8 プログレ度・・8 叙情度・・8 総合・・7.5
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Huis「Neither in Heaven」
カナダのプログレバンド、ヒュイスの2016年作
Mysteryのギタリストを含む5人編成で、本作はコンセプト的な雰囲気を感じさせるイントロから始まり、
適度にハードなギターと美麗なシンセアレンジとともに、やわらかなシンフォニックロックが広がってゆく。
マイルドなヴォーカルを乗せたキャッチーな感触と、大人の哀愁をかもしだす叙情性が合わさり、
とても耳心地の良いサウンドを描いている。一方では、いくぶん翳りのあるウェットな空気感もあって、
美しいシンセにメロウなギターフレーズを乗せた、しっとりとした泣きの叙情にはうっとりとなる。
13分、11分という大曲を織り込みつつ、ドラマ性を感じさせる流れで構築されるハードシンフォの力作です。
ドラマティック度・・8 プログレ度・・7 叙情度・・8 総合・・8
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HUNE 「De L'autre cote du monde」
カナダ人ミュージシャン、Daniel Couturierを中心にしたプログレユニット、ヒューネの2009年作
のっけから24分の大曲で幕を開け、美しいシンセアレンジとメロウなギターでゆったりと聴かせつつ、
ハードに畳みかけるテクニカルなパートがいきなり現れる。カナダのバンドらしい知的な構築性と
キャッチーなメロディアス性が同居していて、インスト中心の作風ながらなかなか楽しめる。
随所にフランス語によるヴォーカルも加わった、優雅な叙情性もよろしい。壮大なドラマティックシンフォの力作。
ドラマティック度・・8 プログレ度・・8 優雅度・・8 総合・・7.5


HYSTERICAL SOCIETY 「Live at Club 66」
アメリカのプログレバンド、ヒステリカル・ソシエティのライブ作品。2009年作
適度にメタリックなギターワークと、美しいシンセを中心にした、テクニカルシンフォ系サウンド。
DREAM THEATER以降のProgMetal的な構築センスと、マイナー系プログレのミステリアスさが合わさった雰囲気で
唐突なリズムチェンジや変拍子を多用した複雑な構成は、ライブでの確かな演奏力を感じさせる。
ヴォーカル入りのゆったりとした曲などはシンフォ系のサウンドなのだが、これという盛り上がりもなくやや退屈。
10分を超える曲もありつつ、トータル37分というのも物足りないか。スタジオ作品はあるのですかね?
ドラマティック度・・7 プログレ度・・7 ライブ演奏度・・8 総合・・7.5




I

i and thou「speak」
アメリカのシンフォニックロック、アイ・アンド・ソウの2012年作
RENAISSANCEのシンセ奏者、JASON HARTを中心にしたバンドで、
やわらかな叙情で聴かせる、じつに繊細なシンフォニックロック作品。
男性ヴォーカルの甘い歌声と、ピアノのつまびき、うっすらとしたシンセとともに
クラシカルな優雅さと、Yesあたりにも通じる軽やかな構築センスを感じさせる。
10分以上の大曲ばかりだが、全体的に優しくキャッチーな聴き心地で耳疲れしない。
繊細系シンフォの逸品です。ちなみに本作のジャケはアニー・ハズラムが手がけている。
ドラマティック度・・7 プログレ度・・8 繊細度・・9 総合・・8
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Ice Dragon 「Dream Dragon」
アメリカのプログレ・ドゥームロック、アイス・ドラゴンの2014年作
やわらかなフルートの音色にメロトロンが鳴り響き、アコースティックギターのつまびきで、
フォーキーに聴かせる牧歌的な1曲目から、続く2曲目はブルージーな70年代ロックになり、
その後はサイケ的な浮遊感や神秘的な空気感を含んだ、とらえどころのないサウンドだ。
70年代マイナーロックのうらぶれた感触と、メロトロンやオルガンなどの入ったプログレ的な要素に、
ドゥーム的でもある物悲しい寂寥感なども入りつつ、全体的にはこれといった盛り上がりはないという、
なんとも微妙な作品であるのだが、ファンタジックなジャケやバンド名はよいですな。
ドラマティック度・・7 ドゥーム&ブルーズ度・・7 古き良き度・・8 総合・・7.5
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ILUVATAR
アメリカのシンフォニックロック、イルヴェイターの1993年作
美麗なシンセアレンジにメロウなギターで聴かせる、ポンプロックルーツの正統派シンフォニックロック。
Yes的でもあるキャッチーな感触に、PENDRAGONを思わせる泣きの叙情が合わさったというスタイルで、
10分の大曲を構築するバンドとしての力量もある。ジョン・アンダーソンとフィル・コリンズの中間のような
ヴォーカルもこのコテコテのシンフォプログレにはよくマッチしている。GENESIS + Yesというサウンドが好きな方ならば、
間違いなく楽しめるだろう。つまりはのちのGLASSS HAMMERにも通じる感触の好作品だ。
メロディアス度・・8 プログレ度・・7 泣きの叙情度・・8 総合・・8
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ILUVATAR「CHIILDREN」
アメリカのシンフォニックロック、イルヴェイターの2nd。1995年作
前作同様、いわゆるGENESISルーツ、PENDRAGONにも通じるロマンティックなシンフォニックロックで、
ヴォーカルの声質などからは、やはりIQ、MARILLION等のポンプロックからの影響を感じさせる。
メロウなギターにツボをつくキーボードを乗せた美しい叙情は、アメリカらしくないしっとりとした繊細な感触で
ゆるやかに盛り上げてゆく正統派の長尺シンフォニックロックが味わえる。緊張感やアンサンブル的な聴きどころが薄いので、
この手のゆったり系シンフォが苦手だと退屈に感じるだろうが、PENDRAGONなどの泣き系シンフォが好きな方はどうぞ。。
メロディアス度・・8 プログレ度・・7 泣きの叙情度・・8 総合・・7.5
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ILUVATAR 「From the Silence」
アメリカのプログレバンド、イルヴェイターの2014年作
1993年にデビュー、1999年の3作目を最後に解散したが、本作は20年ぶりとなる復活作。
ムーグやオルガンを含むきらびやかなシンセに、適度にハードなギターと枯れた味わいのヴォーカルを乗せ、
Yesなどにも通じるキャッチーでテクニカルな展開美を含んだ、古き良きスタイルのプログレサウンド。
Magellanあたりを思わせるハードプログレ的な質感や、Neal Morseのような大人の叙情をかもしだしつつ、
曲によっては、Echolynなどの玄人好みのプログレ性も感じさせたり、ときにアコースティックな牧歌性も覗かせる。
派手さはないが、確かな構築センスでじっくりと楽しめる大人のプログレを描く、意義ある復活作である。
ドラマティック度・・8 プログレ度・・8 大人の叙情度・・8 総合・・8
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In Continuum 「Acceleration Theory」
アメリカのシンフォニックロック、イン・コンティニュームの2019年作
Arc Of LifeやMantra Vegaなどにも参加するシンセ奏者、デイヴ・ケンジナー率いるプロジェクトで、
マルコ・ミンネマンやランディ・マクスタイン(Lo-Fi Resistance)、ガブリエル・アグド(Bad Dreams)というメンバーに、
スティーブ・ハケット、スティーブ・ロザリー、ジョン・デイヴィソン、ニック・ディヴァージリオ、ジョン・ウェズレイ、
フェルナンド・ペルドモなど、豪華なゲストが参加。モダンなシンセアレンジにマイルドなヴォーカルを乗せ、
ミンネマン、ディヴァージリオによる巧みなドラムとともに、スタイリッシュなシンフォプログレを聴かせる。
ヴァイオリンやチェロなどを加えた優雅な味わいや、緩急ある構築センスとともに、スケール感のある力作です。
ドラマティック度・8 プログレ度・7 優雅度・8 総合・8
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In Continuum 「Acceleration Theory Part Two: Annihilation」
アメリカのプログレバンド、イン・コンティニュームの2019年作
Arc Of LifeMantra Vegaのシンセ奏者、デイヴ・カーズナー率いるバンドで、アルゼンチンのシンガー、ガブリエル・アグド、
Lo-Fi Resistanceのランディ・マクスタイン、ドラムにはニック・ディヴァージリオ(Big Big Train)、マルコ・ミンネマンが参加。
ゲストには、フェルナンド・ペルドモ、ジョン・デイヴィソン(YES、GLASS HAMMER)、マイケル・サドラー(SAGA)
ジョン・ウェズリー(元Porcupine Tree)、レティシア・ウルフ(The Dead Deads)など多数のミュージシャンが参加し、
きらびやかなシンセワークにギターを重ね、マイルドなヴォーカルとともに、壮麗でキャッチーなサウンドを描く。
ときに女性ヴォーカルも加えた優美な叙情や、近未来をテーマにしたモダンでスタイリッシュな空気感に包まれて、
20分という大曲では、壮大なスケール感とともにドラマティックなシンフォニックロックを構築する。
ドラマティック度・8 プログレ度・7 壮大度・8 総合・8
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INFINITY
アメリカのシンフォニックロックバンド、インフィニティのアルバム。
いわゆるマイナー系アメリカシンフォバンドの発掘音源。レーベルはあのSYN-PHONICです。
メロディアスなギター、美しいピアノ、キーボードに、YESからの影響を感じさせるコーラスワーク。
全体的にとても爽やかでキャッチーな音ですが、曲にただようマイナー臭さと
やはりどことなくECHOLYNを生み出したアメリカならではのひねくれがあるのもミソ。
メロディアスかつシンフォニックで、曲の出来はまあまあ良いのですが、スリリングな部分は少ないです。
PENTWATERYEZDA URFACATHEDRALLIFTREALMNOWあたりを聴く方ならこれもどうぞ。
メロディアス度・・8 プログレ度・・7 マイナー度・・8 総合・・7

INNER EAR BRIGADE「Rainbro」
アメリカのプログレ・ジャズロック、インナー・イヤー・ブリゲイドの2012年作
オルガン、ムーグ、メロトロンを含むシンセに、やわらかなギターと女性ヴォーカルの歌声を乗せた、
カンタベリー的な優雅さに、エレクトロなアレンジを加えた、エキセントリックなアヴァンジャズロック。
サックスやクラリネット、トランペットの音色が、ときにチェンバーロック的な感触をかもしだしつつ、
決してダークにはならない、あくまでキャッチーで軽妙な聴き心地。この優雅なアンサンブルは、
National Healthにも通じるが、こちらはさらに確信犯的な屈折感が加わっているのが特徴だろう。
女性声の妖しさという点では、Kultivatorなどが好きな方にもお薦め。聴きやすさとマニア好みが同居した逸品です。
メロディック度・・8 プログレ度・・8 優雅で軽妙度・・9 総合・・8
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INNER EAR BRIGADE「Dromology」
アメリカのプログレ・ジャズロック、インナー・イヤー・ブリゲイドの2017年作
6年ぶりとなる2作目で、前作からのエキセントリックな女性声ジャズロックの作風はそのままに、
サックス、トランペットといった管楽器の使用が増えて、エッジの立ったギターとのコントラストで、
よりアンサンブリーな演奏を聴かせる。エレピなどのシンセにはカンタベリー的なやわらかさを残していて
ほどよく妖しい女性ヴォーカルを乗せたキャッチーな浮遊感とともに、優雅な屈折感が味わえる。
ゆったりとしたジャズ風味の歌ものナンバーなど、前作に比べるといくぶん落ち着いた作風で、
一聴したインパクトは薄まったが、アダルトな女性声ジャズロックとしても楽しめるようになった。
メロディック度・・8 プログレ度・・7 優雅で軽妙度・・8 総合・・8
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The Inner Road「Visions」
イギリスのシンフォニックロック、インナー・ロードの2011年作
COALITIONというバンドののギターとシンセによる二人組ユニットで、
美しいシンセとメロウなギターによるインストサウンド。リズムは打ち込みであるが、
あくまでやわらかなメロディにこだわった楽曲は耳に心地よく、叙情的な泣きのギターは
CAMEL
PENDRAGONなどに通じる感触で、まさにシンフォニックの王道。
インパクトのある展開というのはないのだが、ゆったりと楽しめる美しいシンフォニック作品です。
シンフォニック度・・8 メロウ度・・8 プログレ度・・7 総合・・7.5
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Isobar
アメリカのプログレバンド、アイソバーの2020年作
ソロでも活躍するマルコム・スミスを含むMetaphorのメンバーを中心に、ドラムに元Anglagadのマティアス・オルソンが参加、
ハケットのような叙情的なギターにメロトロンが重なり、軽やかなドラムとともにインストによる優雅なシンフォプログレを展開。
トランペットやサックスの音色が加わると、Isildurs Baneのような雰囲気にもなったりしつつ、変拍子などの細かなリズムも含め
アンサンブル主体の知的でスタイリッシュなプログレが楽しめる。優美なピアノにメロトロンが重なる繊細さと、
いくぶん偏屈な展開力が同居していて、「玄人好みのシンフォニックロック」としてのスリリングな心地よさが見事。
巧みな演奏力とともに、クールな涼やかさでオールインストのプログレを構築する、全65分の傑作だ。
ドラマティック度・・7 プログレ度・・8 構築度・・9 総合・・8
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IZZ「I MOVE」
アメリカのプログレバンド、イズの2nd。2002作
テクニックもあり、メロディアスでキャッチー、だが一筋縄ではいかない。
こういうバンドのレビューは面倒だ。なにせ1曲聴いただけでは全体像がつかめない(^^;)。
感触としてはSPOCK'S BEARDをひねくれさせた感じ・・・ということはSOMNAMBULISTあたりにも近いものがあるといっていい。
最近のアメリカの傾向なのか、かつて70年代に存在した偉大なバンドHAPPY THE MANの遺伝子を脈々と受け継いでいるバンドが出始めている。
一聴して分かりやすい気がするのに、曲調はコロコロ変わるし、じつに面白い。
キャッチーだがプログレ、というこのアメリカのマイナーシーンの現在を表すバンドのひとつ。
メロディアス度・・8 プログレ度・・8 テクニカル度・・8 総合・・8
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izz 「ampersand」
アメリカのプログレバンド、イズのアルバム。2004作
2ndの未収録曲7曲とライブ音源4曲という変則のアルバム。
このバンドの2nd、3rdはアメリカンプログレとしては本当にクオリティの高い作品で
ロック的なグルーヴ感を有した抜群の演奏力と、聴きやすいメロディアスさが際立っていたが、
このCDでの未発曲もレベルが高く、楽曲自体はアルバムよりもいい具合に力の抜けた感じで
ゆったりとした中にもしっかりとした演奏を聴かせてくれる。数曲で歌う女性Voも良い感じだ。
後半はライブ音源で、こちらもさすがの演奏力で複雑な曲をさらりとこなしているのが見事。
今アメリカでSPOCK'S BEARDECHOLYNに続く実力があるのはこのバンドだろう。
メロディアス度・・8 プログレ度・・8 演奏センス度・・9 総合・・8
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IZZ「my river flows」
アメリカのプログレバンド、イズの3rd。2005作
前作はテクニックとメロディに加えヒネたセンスを兼ね揃えた傑作であったが、
今作は一聴するとシンプルなロック化したような雰囲気もある。しかしECHOLYNの近作などと同様、
よくよく聴けばリズムのひねくれ方や細かなアレンジなどにはやはり唸らされる部分が多い。
リフとメロディを巧みに使い分けるギターのバックには、レトロな質感をかもしだすキーボードの音色、
そしてテクニックのあるドラムのプレイも見事で、ぐいぐいと演奏でたたみかける場面もある。
キャッチーなコーラスワークの奥には、むしろイギリス的な叙情も垣間見せたりと、
さらりとしているようで聴き所は多く、見方によってはSPOCK'S BEARDを超えているとも。
ラストは20分の大曲で、女性ヴォーカルも含めてドラマティックな展開美で聴かせる。
メロディアス度・・7 プログレ度・・8 演奏センス度・・9 総合・・8
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IZZ「LIVE AT NEARFEST」
アメリカのプログレバンド、イズのライブアルバム。2007作
ツインドラムに2人の女性Voを含む7人編成というのも面白いが、彼らのサウンドはむしろスタイリッシュなロック的な普遍性に
適度なテクニカル性とヒネたアレンジを織り込んで聴かせるというもの。
このライブ演奏では、いかにもプログレ的なシンセワークと変拍子でたたみかける初期の楽曲と
歌メロを大切にしたキャッチーなナンバーや、うるさすぎないメロディックロックが同居していて、
このバンドの変遷を知れるとともに、プログレ初心者からマニアからまで楽しめる内容となっている。
SPOCK'S BEARDの背後に、彼らのような優秀なバンドもいることを知るべきだ。
メロディアス度・・8 プログレ度・・8 ライブ演奏・・8 総合・・8
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IZZ 「The Darkened Room」
アメリカのプログレバンド、イズの2009年作
ECHOLYNなどと並ぶセンスと実力をもつこのバンド、ライブ作品をはさみ4作目となる本作は
前作までのキャッチーな軽妙さに加えて、いくぶん薄暗い重厚な雰囲気が混じってきている。
男女ヴォーカルの歌声で聴かせるやわらかなメロディアス性と、インストパートでのピアノやシンセによる
優雅で軽やかなアンサンブルのバランスもよく、ほどよい緊張感と玄人好みのテクニカル性を含んだサウンドだ。
3パートに分けられて分散して配置された組曲など、知的な構成力も遺憾なく発揮されていて、
現代的なアメリカンプログレのひとつの理想形といってよい完成度である。
メロディック度・・8 プログレ度・・8 優雅度・・8 総合・・8
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IZZ「Crush of Night」
アメリカのプログレバンド、イズの2012年作
SPOCK'S BEARDECHOLYNなどと並ぶ実力といってよいこのバンド、
5作目となる本作もまた素晴らしい出来。男女ヴォーカルのやわらかな歌声と、
グルーブの効いた大人のアンサンブルで、メロディックに聴かせるモダンプログレを展開。
GENTLE GIANTのゲイリー・グリーンがゲスト参加しているが、キャッチーな聴き心地の向こうにある
リズムの遊びも含めた玄人好みの余裕とセンスは、なるほど「現代的なGG」というような感じもある。
2部に分かれた26分を超える大曲も圧巻。スタイリッシュなアレンジと高い演奏力が合わさった見事な作品。
メロディック度・・8 プログレ度・・9 アンサンブル度・・9 総合・・8.5

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JACK FOSTER Ⅲ「RaptorGnosis」
アメリカのギタリスト、ジャック・フォスターのアルバム。2005作
すでに3作目らしいが聴くのはこれが初めて。MAGELLANのトレント・ガードナー全面参加ということで
大いに期待していたが、サウンドはゆったりとした大人のメロディアスロックのプログレ風という雰囲気。
スリリングさはほとんどないが、トレント・ガードナーも作曲に参加しているとあって、
ときおりマジェラン風の歌メロもでてきてにやりとする。
メロディアス度・・7 プログレ度・・7 楽曲・・7 総合・・7.5
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JACK FOSTER ⅢJazzraptor's Secret
アメリカのミュージシャン、ジャック・フォスターの2008年作
MAGELLANのトレント・ガードナーに、マルチミュージシャンのロバート・ベリーという
3人編成で制作された本作は、キャッチーなメロディと美麗なシンフォニックが合わさった
なかなか素晴らしい作品となった。ゆったりとしたメロディアスロック風であった前作に比べ
今作ではぐっとプログレ的な展開力が増え、MAGELLANを思わせるドラマティックさが
やわらかな繊細さと融合されたようなサウンドは、耳心地がよく、なおかつ壮麗だ。
シンフォニック度・・8 ドラマティック度・・8 キャッチー度・・8 総合・・8
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Jack Foster III 「Apple Jack Magic」
アメリカのミュージシャン、ジャック・フォスターの2014年作
これまでもメロディックなプログレハード作発表してきたミュージシャンで、
本作も自身の奏でるメロウなギターにマイルドなヴォーカルを乗せた、大人の哀愁漂うゆったりとしたメロディックロック。
本作ではMAGELLANのトレント・ガードナーは不参加だが、盟友、ロバート・ベリーはベース&シンセで参加。
プログレ的な展開や派手なインパクトはないが、ゲストによる女性ヴォーカルが加わったナンバーなど、
じっくりと味わえる大人の叙情ロックが楽しめる。全体的にもアダルトな哀愁に包まれた好作である。
ドラマティック度・・7 プログレ度・・6 大人の叙情度・・8 総合・・7
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JANE GETTER PREMONITION「ON」
アメリカの女性ギタリスト、ジェーン・ゲッターによるユニットの2015年作
ジャズロックシーンで活躍する技巧派の女性ギタリストで、夫であるシンセ奏者、アダム・ホルツマンとのコンビで
フランク・ザッパやアラン・ホールズワースのバンドで活躍した、チャド・ワッカーマンをドラムに、
THE ARISTCRATSのブライアン・ベラーをベースに迎え、優雅な叙情性とテクニカルな構築性が合わさった、
フュージョンロックを聴かせる。やわらかなシンセアレンジに男女ヴォーカルを乗せた、しっとりとした薄暗い叙情美は
プログレ寄りの聴き心地であるが、TESTAMENTのアレックス・スコルニックが参加していることもあってか、
ギターサウンドには適度にハードエッジな感触もあって、メタル方面のリスナーにも楽しめるかもしれない。
GONG/Steven Wilson BANDのテオ・トラヴィスの奏でるフルート、サックス入りのナンバーも美しい。
ドラマティック度・・7 薄暗度・・8 優雅度・・9 総合・・8
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Jane Getter Premonition 「Anomalia」
アメリカの女性ギタリスト、ジェーン・ゲッターによるユニット。2021年作
2015年作から6年ぶりとなる2作目。夫でもある、シンセ奏者のアダム・ホルツマンをはじめ、アレックス・スコルニック(TESTAMENT)、
ランディ・マクスタイン(THE FRINGE)、スチュアート・ハム、チャド・ワッカーマン、ジェーン・レイク、マーク・エガンなど、メタルやプログレ、
ジャズ畑からのメンバーも参加、みなギタープレイにシンセ重ね、優雅な大人のアンサンブルで聴かせるフュージョン的なサウンド。
インストパートをメインに、ジェーン自身の歌声を乗せたナンバーもあり、優美なシンセとともにしっとりとした味わいで楽しめる。
全体的に派手さやテクニカルにたたみかける部分はあまりなく、わりとゆったりとした落ち着いた作風なので、
プログレとして聴くには物足りないのだが、確かな演奏力で奏でられる耳心地の良いサウンドではあります。
ドラマティック度・7 プログレ度・7 優雅度・8 総合・8 
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Jellyfiche 「tout ce que j' ai reve」
カナダのプログレバンド、ジェリーフィッシュの2008作
70年代風味のレトロなシンセワークにフランス語の歌唱、ゆったりとした浮遊感で心地よく聴かせるシンフォニックロック。
たおやかなフルートの音色に、叙情的なヴォーカルハーモニーが響きわたる。
あくまでメロディ主体で難解さはなく、 泣きのギターによるGENESIS的な叙情に加え、
サックスが鳴り響くサイケロック的な浮遊感もあり、演奏のメリハリもあって飽きない。
幻想的な夢見心地を感じさせるサウンドには新人らしからぬ強度があり、
PINK FLOYD的なまどろみ感覚が味わえる。しっかりとした世界観をもった作品だ。
シンフォニック度・・8 やわらか度・・9 レトロ度・・8 総合・・8
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Jellyfiche「Symbiose」
カナダのプログレバンド、ジェリーフィッシュの2011年作
前作はGENESIS+PINK FLOYDというような雰囲気の好作であったが、
本作もメロウな叙情性をより前に出した、精細なサウンドを聴かせる。
やわらかなシンセアレンジとアダルトなギターワークにフランス語のヴォーカルが乗り、
ピアノやチェロなどクラシカルな要素も含みつつ、翳りを含んだ情感がゆったりと広がってゆく。
古き良きロックのアンサンブルでモダンなポストプログレを演奏しているという感触もあり、
アコースティカルな優しさも感じさせる、耳心地のよい好作だ。
メロウ度・・8 プログレ度・・7 繊細度・・9 総合・・8
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Jeremy 「Celestial City」
アメリカのミュージシャン、Jeremy Morrisによるソロユニット、1997年作
ギター、ペース、シンセ、ドラムを一人でこなす、80年代から活動するマルチミュージシシャン。
美麗なシンセにメロディックなギターフレーズを乗せた、優美なシンフォニックロックで、
メロウな叙情を奏でるギターのトーンは、GANDALFや、ときにSteve Hackettを思わせる。
ほぼ、インストがメインであるが、シンフォニックな音の広がりや、アコースティックパートを含む
繊細な耳心地で、10分、15分という大曲も幻想的な空気とともに、じっくりと聴き入れる。
全体的にスリリングな部分は少ないが、優雅な叙情美に溢れる全73分という力作です。
シンフォニック度・・8 プログレ度・・7 優美度・・9 総合・・8
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JEREMY 「KINGDOM COME」
アメリカのミュージシャン、Jeremy Morrisによる2002年作
すべてのパートを一人でこなす、まさにマルチミュージシャンで、アコースティックを含む
ギターワークに美しいシンセアレンジを重ね、やはりGANDALFにも通じるような、
ユートピア的な世界観に包まれた優雅なインストサウンドを描き出す。叙情的なギターの旋律に
シンフォニックなシンセがかぶさり、ゆったりとスペイシーな空間美が広がってゆくところは、
スピリチュアルなスケールの大きさも感じさせる。35分という大曲は、これという盛り上がりは薄く、
やや長尺感はあるのだが、アコギとシンセを重ねたラストナンバーなどは、ウットリとなる優美さだ。
シンフォニック度・・8 プログレ度・・7 優美度・・9 総合・・7.5
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Jerome Langlois 「Live at Au EMPM 2006 + Themes」
カナダのシンセ奏者、ジェローム・ラングロウの2007年作
ケベックを代表するプログレバンド、MANEIGEの初期メンバーとしても知られるミュージャンのCD2枚組ライブ音源集。
Disc1には、2006年モントリオールでのライブを収録。元マネイジュ、元コンヴェンタムのメンバーが参加、
軽やかなドラムに乗るフルート、ヴァイオリン、自身の娘が奏でるクラリネットが鳴り響き、ジャズタッチのピアノを絡めた、
チェンバー・ジャズロックというサウンドで、繊細で優雅でありながらも適度にスリリングな聴き心地。
アコースティック主体のアンサンブルながら、知的な展開美とダイナミクスで、プログレファンにも十分楽しめる。
Disc2には1984年のカナダ、マギル大学でのピアノ演奏を収録。こちらは、ピアノの独奏なので、ちょいと眠く…zzz
ライブ演奏・・8 プログレ度・・7 優雅度・・9 総合・・8
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Jim Gilmour 「Great Escape」
SAGAのシンセ奏者として知られるカナダのミュージシャン、ジム・ギルモアの2005年作
きらびやかなシンセワークを中心に、キャッチーなヴォーカルメロディとともに適度なヘヴィさも含んだ、
ProgMetal風味も感じさせるサウンドで、SAGA以上にシンフォニック寄りのプログレハードを聴かせてくれる。
爽快な抜けの良さとやわらかなメロディを含んだ優雅なセンスは、多くのプログレファンを楽しませるだろう。
ラストの13分超の大曲も素晴らしい。現在はジャケ違いで再販されている。
メロディック度・・8 プログレ度・・8 キーボー度・・8 総合・・8
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Jimmy Hotz 「Beyond the Crystal Sea」
アメリカのミュージシャン、ジミーホッズの1980年作
エンジニアや大物バンドのツアーサポートなども務めるなど、知る人ぞ知るミュージャンで、
本ソロ作は80年代におけるアメリカンシンフォニックの隠れた傑作ともされている。
当時のシンセサウンドの粋を結集したような分厚いシンセの多重アレンジにハードなギターが重なり、
Eduard ARTEMIEVの名作「Warmth of Earth」を思わせるようなスペイシーなスケール感を描いてゆく。
随所にメロウな泣きのギターフレーズやプログレハード的なキャッチーな感触も含みつつ、
全体的に難解さのないメロディアスな力作である。再発にあたって未発表曲2曲をボーナス収録。
ドラマティック度・・8 プログレ度・・7 重厚度・・8 総合・・8
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Jordan Rudess「Listen」
DREAM THEATERのシンセ奏者、ジョーダン・ルーデスのソロ。1993年作
DT加入前のソロ1作目で、メタル色はほとんどなく、歌入りのフュージョン・ポップという曲から始まり、
その後も男女ヴォーカルの歌声で聴かせるやわらかでキャッチーな感触が前に出ている。
もちろん随所にテクニカルな鍵盤さばきもあり、シンフォニックな優雅さはプログレリスナーにも対応。
全体的には肩の力の抜けた優しい仕上がりで、クラシックやジャズの素養を取り込んだ好作品である。
メロディック度・・8 テクニカル度・・7 キーボー度・・8 総合・・8
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JORDAN RUDESS「FEEDING THE WHEEL」
DREAM THEATERのシンセ奏者、ジョーダン・ルーデスのソロ。2001年作
ソロとしてはこれが3作目であるが、過去の作品の中ではもっともプログレしているアルバムといってよいだろう。
参加ミュージシャンは、ジョン・ペトルーシ(DREAM THEATER)、テリー・ボジオ、ビリー・シーン、
スティーブ・モーズという、いずれも名うてのつわものたち。当然ながらその演奏は抜群だ。
全編インストのテクニカルなプログレアルバムであるが、リキッドテンションとの違いを挙げるなら、
即興ではなく構築性としっかりとした音楽理論に裏打ちされたルーデスの作曲能力、そして、
彼のメロディセンスが最大限に生かされている点。楽曲は技巧性と叙情性をかねそろえ、
ELPなどにも影響を受けたというとおり、ルーデスのキーボードは70年代プログレ的なものから、
ジャズ色あるピアノタッチまで変幻自在。そんな中で気持ちよいメロディを奏でるペトルーシのギターも
また見事。作りこまれ、計算されつくした、決して自己満足に終わらない、優れたソロアルバムである。。
メロディアス度・・8 プログレ度・・9 キーボー度・・10 総合・・8.5
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JODAN RUDESS「Rhythm of Time」
DREAM THEATERのシンセ奏者、ジョーダン・ルーデスのソロ。2004年作
ソロ名義としては4作目となり、今作もプログレッシブで超絶技巧たっぷりの力作だ。
盟友ロッド・モーゲンスタインをドラムに迎え、イスラエル出身の新鋭ギタリスト、ダニエル.Jをはじめ、
ジョー・サトリアーニ、グレッグ・ハウ、ヴィニー・ムーア、スティーヴ・モーズ、キップ・ウインガーら
名うてのゲストが参加し、ハードフュージョンがかった軽やかさとプログレ的な遊び心たっぷりで
楽しませてくれる。テクニカルなことをさらりとやってのけるセンスは相変わらず素晴らしく、
豪華メンバーを従えて、これだけ自由に質の高い作品を作れるシンセ奏者は、
おそらくDEREK SHERINIANとこのルーデスくらいのものだろう。
メロディアス度・・8 プログレ度・・8 キーボー度・・9 総合・・8
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Jordan Rudess 「Unplugged」
DREAM THEATERのシンセ奏者、ジョーダン・ルーデスの2006年作
タイトル通り、ピアノのみによるアコースティックなソロ作品。
もともとクラシックやジャズの素養のしっかりとある鍵盤弾きであるから、
このような作品においても、その演奏力と優雅なピアノタッチはさすがに見事で、
流麗に奏でられる美しいピアノの旋律にうっとりとなります。
紅茶でも飲みながらゆったりと鑑賞したい作品ですな。
クラシカル度・・8 ロック度・・0 ピアノ度・・9 総合・・7.5



JORDAN RUDESS「Road Home」
DREAM THEATERのKey、ジョーダン・ルーデスのソロ作。2007年作
本作は70年代プログレのカヴァー集で、GENESISYESGENTLE GIANTKING CRIMSONELPという名バンドたちの楽曲を
独自のアレンジで再構築している。てっきりクラシックとジャズの人とばかり思っていたら、かなりのプログレ好きだったのね。
きらびやかなシンセワークのGENESIS「Dance On A Volcano」では、ニール・モーズがヴォーカルで参加、YES「Sound Chaser」は
ニック・ディヴァージリオとキップ・ウインガーがヴォーカルを担当。ドラムは全編ロッド・モーゲンスタインで、テクニカルなリズムを軽やかに演奏する。
GENTLE GIANT
「Just The Same」から、YESGENESISKING CRIMSONといった名曲を散りばめた優雅なピアノメドレー、
そしてラストはEL&P「タルカス」で、原曲をよりダイナミックに仕上げている。ここではスティーヴン・ウィルソンなどがヴォーカルで参加。
わりとモダンなアレンジもあって、元曲に愛着がある場合は微妙な心境にもなるかもしれないが、ルーデスらしいカラフルなアレンジの好カヴァーである。
テクニカル度・・8 70'sプログレ度・・8 アレンジ度・・8 総合・・8
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Jodan Rudess & Steve Horelick 「InnerSonic」
DREAM THEATERのシンセ奏者、ジョーダン・ルーデスと作曲家、スティーヴ・ホアリックによるユニットの2017年作
映画やテレビのサントラを手掛けるホアリックと、プログレッシブロックを愛するルーデスという組み合わせで、
やわらかなピアノに電子的なシンセを重ねた、しっとりと美しいシンセミュージックに仕上がっている。
ほとんどがスタジオライブをもとにした音源ということで、二人の即興的な感性が混ざり合いながら、
TANGERINE DREAMあたりに通じる、繊細でスペイシー、そして優雅な味わいに包まれたサウンドだ。
随所にルーデスのクラシカルなピアノも美しく、ロック色はほぼないものの、ゆったりと楽しめる作風で、
プログレメタルを期待する向きには向かないが、シンセサイザー奏者としてのセンスの一端を垣間見ることができる。
プログレ度・・7 ロック度・・1 シンセ度・・9 総合・・8
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K2「BOOK OF THE DEAD」
アメリカのシンフォニックロックバンド、K2の2004年作
Key&Bのケン・ジャクエスを中心に、ギターには何と、あの、アラン・ホールズワースが全面参加、
SPOCK'S BEARDリョウ・オクモトがピアノ&ムーグで参加という、なんとも豪華なメンツ。
古代エジプトの「死者の書」をテーマにしているアルバムのようだが、それはどうでもよく…
美麗なシンセにホールズワースの色気のあるあるギターワークが重なり、艶やかなヴァイオリンの音色が華を添える、
極上のシンフォニックロックで、そこにかすれ気味のVoが重なると、初期GENESIS風の幻想的な味わいを
いわば現代のダイナミズムで再現したような雰囲気にもなる。U.K.を思わせるテクニカルなテイストも混ぜながら、
落ち着いた大人のシンフォ的な優しい聴き心地に包まれた良質の作品です。
シンフォニック度・・8 プログレ度・・7 ダイナミック度・・8 総合・・8
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K2「Black Garden」
アメリカのシンフォニックロックバンド、K2の2010年作
前作「BOOK OF THE DEAD」はアラン・ホールズワースの参加で話題となったが、6年ぶりとなる本作は
前作にもあった、GENESIS的なシンフォニック路線をより重厚に仕上げたというような力作だ。
SPOCK'S BEARDでも活躍するリョウ・オクモトのきらびやかなシンセワークに、適度にハードでメタリックな
キレのあるギター、そしてガブリエル調のヴォーカルで、古き良き濃密なシンフォニックロックを構築している。
シンフォニック度・・8 重厚度・・8 GENESIS度・・8 総合・・8
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KANSAS
アメリカのプログレバンド、カンサスの1st。1974年作
2nd以降の構築性に比べるとまだプログレ色は濃くなく、ヴァイオリンとハモンドの入った軽快なロックという印象だが、
逆にいうとプログレが苦手な方にも曲調が分かりやすく、メロディアスでありつつもロックとしての熱さを持ったアルバムだ。
泣きの叙情を感じさせるバラードや、優美なピアノにヴァイオリンが鳴り響く5曲目「栄光への旅路」など、
アルバム後半の7~9分の大曲ではプログレバンドとしてのドラマティックな側面をしっかりと聴かせてくれる。
メロディアス度・・8 プログレ度・・7 後半はドラマティック度・・8 総合・・8
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KANSAS「SONG FOR AMERICA」
アメリカのプログレハードのベテラン、カンサスの2nd。1975年作
いきなりノリのいいアメリカンロック調の1曲はさておき、続く2曲目“SONG FOR AMERICA”は10分の大曲で、
プログレらしいリズムチェンジに、美しいメロディを重ね、ヴァイオリンの音色を響かせて、壮大な味わいの初期の名曲。
3曲目の“Lamplight Symphony”の構築力、YESのようなキャッチーな12分の大曲「宇宙への祈り」も含めて、絶頂期の始まりを思わせる傑作だ。
リマスター&ボーナストラック付きで“SONG FOR AMERICA”シングルバージョン他を収録。
メロディアス度・・8 シンフォニック度・・7 プログレ度・・7 総合・・8
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KANSAS「MASQUE」
70年代アメリカを代表するプログレバンド、カンサスの3rd。1975作
序盤はわりと普通のアメリカンロックナンバーが続くが、優雅でキャッチーな③「銀翼のイカルス」、
ヴァイオリンに変拍子リズムのプログレ風味が加わる④「オール・ザ・ワールド」などは、
雄大なヴォーカルメロディといい、これぞカンサス節。シンフォニックな大曲⑧「尖塔」などの展開美もスリリングで
ドラマティックな味わいだ。小粒な印象ながらなかなかの好アルバムです。
メロディアス度・・8 シンフォニック度・・8 プログレ度・・7 総合・・7.5
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KANSAS「Leftoverture」
カンサスの4th。邦題は「永遠の序曲」。1976作
1曲目の“Carry On Wayward Son/伝承 ”は誰もが口ずさめるメロディで印象に残る1曲、
そして2曲目の“The Wall”は、泣きのヴァイオリンにギターとシンセが合わさり感動的に聴かせる、
バンド史上でも美しさの点では最高の名曲だ。ラストの“Magnum Opus/超大作”はプログレ的な大曲だが、
全体的には明るめのキャッチーさとドラマ性とのバランスがとれたアルバムだ。
スタジオアルバムでどれか1枚となると、やはり本作ということになる。リマスター盤にはボーナスにライブ音源を2曲収録。
メロディアス度・・8 キャッチー度・・8 ドラマティック度・・8 総合・・8.5
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KANSAS「Point of Know Return」
カンサスの5th。1977作/邦題は「暗黒への曳航」
前作よりさらにキャッチーな質感が増し、初期からの大曲志向は影をひそめたが、
3~4分台の曲を中心に、ノリの良い軽快な作風とメロディアスな明快さで聴かせる
KANSAS節ともいうべきアメリカンプログレハードが堪能出来る。プログレとしてはやや物足りないかもしれないが、
美しいシンセとヴァイオリンの音色は不変で、やや小粒な印象ながらもとても聴きやすいアルバムだ。
リマスター盤にはボーナスにライブ音源1曲とリミックス曲を追加収録。
メロディアス度・・8 キャッチー度・・9 ドラマティック度・・7 総合・・8
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KANSAS「Two for the Show」
アメリカのプログレバンド、カンサスのライブアルバム。1978年作
この「偉大なる聴衆へ」は、間違いなくKANSASの作品中最高のアルバムであり、
またプログレとしてだけでなく、ロックを代表する傑作ライブアルバムとしても名高いが、
2008年盤はリリースから30周年を記念して出された、2枚組のいわば完全版だ。
キャッチーなメロディに鳴り響くヴァイオリン、そしてドラマティックな楽曲…“Lamplight Symphony”から
名曲“The Wall”への流れはやはり感動的。Disc2には未発のライブ音源を11曲に、CD化する際に削られた曲も収録。
リマスターで音質も向上。プログレ者なら必ず聴くべきライブ作品である。
メロディアス度・・8 ライブ演奏・・9 完全版に買い換え度・・10 総合・・9
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KANSASMonolith」
カンサスの1979年作。邦題は「モノリスの謎」
前作「Point of Know Return」あたりからポップな部分が増してきているが、
ともかく本作まではドラマティックなプログレ性が残っているので、それなりに楽しめる。
キャッチーな歌メロにはホップさがあるが、美しいシンセワークにヴァイオリンの音色も含めて
叙情的なサウンドはさすがカンサスである。とくにドラマティックな1曲目「オン・ジ・アザー・サイド」が白眉。
メロディアス度・・8 プログレ度・・7 ドラマティック度・・7 総合・・8
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KANSAS 「Audio Visions」
カンサスの1980年作
いかにも80年代的なキャッチーなビートに乗せたモダンな感触が強まった作品であるが、
スティーヴ・ウォルシュの表現豊かな歌声とともに、いかにもカンサス節のメロディで、
適度にハードなギターと美しいシンセアレンジを重ねた、プログレハードが楽しめる。
いうなれば、TOTOのようなポップ感触に、ドラマティック性を付加したという好作品だ。
メロディアス度・・8 プログレ度・・6 ドラマティック度・・7 総合・・8
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KANSAS 「In the Spirit of Things」
アメリカのプログレバンド、カンサスの1988年作
1950年代にカンサス州を襲った大洪水をテーマにしたコンセプトアルバムで、
優美なピアノにスティーヴ・ウォルシュのマイルドなヴォーカルを乗せた導入から、
スティーヴ・モーズのメロウな泣きのギターが加わると、叙情的なロックバラードのイメージになり、
AOR風のキャッチーなナンバーなども、巧みなギターフレーズと80年代的なビート感で、
なかなか耳心地よく楽しめる。ロックオペラ的な盛り上がりを見せる「Rainmaker」は感動的だ。
メロディアス度・・8 プログレ度・・6 ドラマティック度・・8 総合・・8
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KANSAS 「King Biscuit」
アメリカのプログレハード、カンサスのライブ作品。1998年作
1989年、フィラデルフィア公演のステージを収録、スティーブ・モーズが在籍していた時期の貴重なライブ音源。
スティーブ・ウォルシュの歌声も伸びやかで絶好調。ヴァイオリン奏者がいないのが残念だが、
ツインギター編成でのハードな音の厚みで、“Paradox”、“Point of Know Return”、“The Wall”といった
過去の名曲もスティーブ・モーズの見事なギタープレイとともに、また違ったダイナミズムで再現している。
観客の黄色い歓声の大きさからも、バンドの人気ぶりが察せられる。音質も良好で、ファンならばとても楽しめるライブ作品だろう。
メロディック度・・8 ライブ演奏・・8 音質・・8 総合・・8
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KANSAS 「FREAKS OF NATURE」
アメリカのプログレハード、カンサスの1996年作
80年代に入るとバンドは一時休止に陥り、それ以降はなかなか往年のファンを満足させるだけの
アルバムを作れなかった彼らだが、この作品は全盛期を思わせるドラマティックなサウンドが味わえる。
とくに序盤のたたみかけるような、はねるリズムと美しいヴァイオリンの音色はまさしく「あのカンサス」。
オリジナルメンバーではないという点や、これといった名曲がないなど、完璧なアルバムとは言えないが、
メロディアスハード的なギターとそれに絡むヴァイオリンは、アルバムを通して充分聴きどころになっている。
メロディアス度・・8 ドラマティック度・・8 カンサス度・・8 総合・・8
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KANSAS「always Never the same」
カンサスのオーケストラとの共演作。1998作
過去の名曲とBEATLESのカヴァーと新曲を1曲をオーケストラとのコラボで再現、
という少々変則的な内容だが、ライブ録音ではなくれっきとしたスタジオ作。
元々がメロディアスな楽曲のおかげもあるのだろう、バンドサウンドがオーケストラに負けることなく、
しっかりとシンフォニーとロックの両立をしており違和感なく聴ける。“Song for America”、
“THE WALL”など名曲のオケ入りバージョンが聴けるというだけでも聴く価値はある。
シンフォニック度・・8 プログレ度・・6 壮大度・・8 総合・・8
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KANSAS「SOMEWHERE TO ELSEWHERE」
オリジナルメンバーで復活した、カンサスの2000年作
約20年ぶりにケリー・リヴグレンとロビー・スタインハートという往年のメンバーが復帰したのだから驚きだ。
美しいピアノのイントロから始まる“Icarus II”からして、往年のドラマティックカンサスの復活を告げてくれ
メロディアスな歌メロとスリリングな間奏部分が素晴らしい、これは彼らの新しい名曲だ。
アルバム全体を通して言えば、曲にややばらつきがあるのは否めないが、
7分以上の大曲が5曲もあり、彼らのプログレハードバンドとしての意気込みが感じられる。
メロディアス度・・8 ドラマティック度・・7 カンサス度・・8 総合・・8
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KANSAS「DEVICE-VOICE-DRUM」
アメリカの大御所、カンサスのライブアルバム。2002作
2002年にアトランタで行われたライブの録音。同タイトルのDVDも出ている模様。
艶やかなヴァイオリンの音色に、メロディアスなヴォーカルライン…瑞々しい演奏と楽曲
年月が経っても変わらない。中でもやはり⑦の“THE WALL”はイントロだけでもう鳥肌もの!
あとは“Song for America”“Journey from Mariabronn”あたりの
プログレッシブな大曲がやはり良いし、なにげに“Icarus II”などもすごく格好いい。
録音の良さも手伝って、近年のライブ作品ではピカイチの内容だろう。
メロディアス度・・9 プログレ度・・7 ライブ演奏・・9 総合・・8
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KANSAS「There's Know Place Like Home」
アメリカプログレの最高峰、カンサスのライブアルバム。2009作
バンドデビュー35周年を記念してのオーケストラとの競演ライブを収録。
メンバー交代や活動休止などがありながらも、一貫してメロディアスなロックを追求し続け、
活動を続けるこのバンドこそ、プログレという壁を超えて今も多くのロックファンに愛される、
それだけの音楽性の中身をともなった数少ないプログレハードバンドであろう。
デビッド・ラグズデールのヴァイオリン鳴り響き、スティーブ・ウォルシュの変わらぬ歌声が
“Point of Know Return”、“Song for America”、“The Wall”、“Carry on Waywardson”など
過去の名曲たちを歌いあげる。演奏自体はベテランらしい落ち着いた成熟を感じさせるもので、
スリリングな部分はそうないが、バックのオーケストラとともに壮麗に蘇るカンサスサウンドを
芳醇なワインを味わうようにじっくりと楽しみたい。同タイトルのDVDや2CDの完全版もあり。
メロディアス度・・8 ライブ演奏・・8 オーケストラ度・・8 総合・・8
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KANSAS 「The Prelude Implicit /暗黙の序曲」
アメリカのプログレハード、カンサスの2016年作
スティーヴ・ウォルシュが脱退し存続が危ぶまれたが、フィル・イハート、リチャード・ウィリアムスのオリジナルメンバーに
4人の新メンバーを加えた編成で、じつに16年ぶりとなるスタジオアルバムが完成した。
新たなフロントマンとなったロニー・プラットのマイルドな歌声を乗せて、適度なハードさとシンセによる美しいアレンジで、
ドラマティックなサウンドを構築、もキャッチーでありながら湿り気を帯びた聴き心地は、まさに多くのファンが望むカンサスの音である。
もちろんこのバンドの魅力であるヴァイオリンも優雅に鳴り響き、新たな息吹を得たというべきシンフォニック寄りの作風から、
大人の味わいなやわらかな歌ものナンバーまで、じっくりと楽しめるクオリティの高さはさすがという他はない。
メロディック度・・8 プログレ度・・7 カンサス度・・8 総合・・8
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KANSAS 「Leftoverture Live & Beyond 」
アメリカのプログレバンド、カンサスのライブ作品。2017年作
本作は1976年の傑作「永遠の序曲」から、40周年を記念してのアメリカツアーのライブステージを2CDに収録。
2014年に脱退したスティーヴ・ウォルシュは不参加だが、ギターのリチャード・ウィリアムス、ヴァイオリンのデヴィッド・ラグスデールは健在、
のっけから、「SOMEWHERE TO ELSEWHERE」の名曲“Icarus II”で、ヴァイオリン鳴り響くカンサス節というべき叙情が炸裂。
フィル・ハートの衰え知らずのドラムとともに、適度なハードさを残した厚みのあるサウンドは、さすがベテランの説得力だ。
新加入のロニー・プラットの歌声は、スティーヴよりもやや落ち着いた感じの声質で、どっしりとしたアンサンブルによく合っている。
“Point Of Know Return”、“Lamplight Syimphony”といった往年の名曲も嬉しいが、Disc2はお待ちかね「永遠の序曲」の完全再現で、
名曲中の名曲“The Wall”をはじめ、曲順通りにアルバムが再現される様は感動的だ。新旧のカンサスファンはチェックです。
ライブ演奏・・8 完全再現度・・8 往年のカンサス度・・9 総合・・8.5
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KANSAS 「Absence Of Presence」
アメリカのプログレハード、カンサスの2020年作
2016年の復活作「暗黙の序曲」に続く、4年ぶりとなる通算16作目。新たにシンセ奏者にトム・ブリスリンを迎え、
美しいシンセにヴァイオリン、マイルドなヴォーカルを乗せて、シンフォニックで叙情豊かなサウンドを聴かせる。
オルガンやピアノを含む優美なシンセワークに、ツインギターを重ねたほどよくハードな音の厚みに、
前作から加入のロニー・プラットの歌声も楽曲によく馴染んでいる。随所にアコースティックパートなどの、
初期に通じる素朴な雰囲気も覗かせつつ、艶やかなヴァイオリンの音色が優雅に包み込む。
古き良きプログレハードらしいキャッチーな感触に、大人の哀愁を感じさせるゆったりとしたメロディで、
楽曲自体に新鮮味は少ないものの、往年のカンサスらしさを再現したというような聴き心地だ。
メロディック度・・8 プログレ度・・7 優雅度・・8 総合・・8 
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KANSAS 「POINT OF KNOW RETURN LIVE & BEYOND」
アメリカのプログレバンド、カンサスのライブ作品。2021年作
2019~2020年のツアー音源を2CDに収録。1995年作「Freaks of Nature」収録曲から幕を開け、
艶やかなヴァイオリンにツインギターが絡み、優美なシンセとともに、キャッチーなサウンドを披露。
「Masque」収録のポップなナンバーから、「The Wall」、「Song For America」といった代表曲で盛り上がる。
ロニー・プラットのヴォーカルも楽曲にマッチしていて、YESやCAMELにも参加していた、トム・ブリスリンのシンセも
なにげに見事に楽曲を彩っている。Disc2では、1977年作「Point Of Know Return/暗黒への曳航」を完全再現、
オリジナルの雰囲気を忠実に、より厚みのあるシンフォニックな味わいで楽しめる。現在形カンサスの好ライブ。
ライブ演奏・8 プログレ度・7 カンサス度・8 総合・8 
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Kaos Moon 「The Circle of Madness」
カナダのプログレバンド、ケイオス・ムーンの2004年作
90年代にアルバム1枚を残して消えたバンドの復活作という、ありがちな感じなのだが、
これがなかなか出来が良い。同郷のVisible Windにも参加した経歴を持つマイルドなヴォーカルの歌声と
オルガンなどを含むやわらかなシンセワーク、そして随所にメロウなギターによる叙情で聴かせる、
繊細なシンフォニックロックサウンド。ゲストによるヴァイオリンなども加わったKANSAS風のテイストもあったり、
キャッチーなノリの良さと実力ある演奏陣による軽妙なアンサンブルとともに、じっくりと楽しめる内容だ。
知名度の低さを考えると、掘り出し物的な傑作というべきだろう。
メロディック度・・8 プログレ度・・8 繊細度・・8 総合・・8
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KARCIUS 「Sphere」
カナダのプログレジャズロック、カルシウスの2006年作
自主制作による2003年デビュー作の再発盤で、やわらかなエレピにギターを重ね、
優雅なアンサンブルで聴かせる、オールインストのプログレ・フュージョンロック。
ギターはメタリックなハードさも含みつつ、ときにアコースティックギターも加え、
ジャズタッチのピアノを含む優美なシンセとの絡みで、ほどよくテクニカルな味わい。
音質がややラウドなのと、のちの作品に比べるとまだアレンジ面での粗さがあるが、
3パートに分かれた18分を超える組曲など、プログレ寄りのジャズロックが楽しめる。
メロディック度・・7 テクニカル度・・7 優雅度・・8 総合・・7
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Karcius 「Episodes」
カナダのプログレ・ジャズロック、カルシウスの2008年作
ギター、ベース、ドラム、シンセの4人編成で、美しいピアノ&シンセにメロディックなギタートーンを中心にした、
優雅なアンサンブルを聴かせるインストサウンド。適度なテクニカル性と即興的な緊張感も覗かせつつ、
技巧的になりすぎで、あくまでメロディ重視であるところには好感が持てる。どっしりとボトムを支えるベースの存在感や、
メロウなフレーズとロック的な荒々しさを兼ねそろえたギターのセンスも見事。3パートに分けられた30分超の組曲も、
メリハリある展開でインストながらも決して飽きさせない。後半の楽曲はオマケ程度に感じるが前半の組曲だけでも必聴。
メロディック度・・8 プログレ度・・8 テクニカル度・・8 総合・・8
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KINETIC ELEMENT 「Powered By Light」
アメリカのプログレバンド、キネティック・エレメントの2009年作
シンセ奏者&ヴォーカルというニール・モーズばりのリーダーが率いるバンドで
オルガンやメロトロンを含んだレトロなシンセワークとキャッチーなヴォーカルメロディで聴かせる、
古き良きスタイルのシンフォ・プログレサウンド。7~9分という長曲中心で、16分の大曲などもあるが、
スリリングなドラマティックさではなく、あくまでゆるやかで優しげ、マイルドな感触で構築されてゆく。
ヴォーカルの素人臭さも含めて、初期のMAGELLANなど、かつてのマイナー系プログレの聴き心地で楽しめる。
メロディック度・・8 プログレ度・・8 マイナー度・・8 総合・・7.5



Kinetic Element 「Travelog」
アメリカのプログレバンド、キネティック・エレメントの2015年作
前作も古き良きプログレ感触の好作品であったが、6年ぶりとなる本作はのっけから20分の大曲で、
オルガンを含むシンセにメロディックなギターの旋律で、ゆったりと叙情的なサウンドを描いてゆく。
リズム面の甘さを含めて演奏力にはアマチュア臭さを残していて、いわば「ユルめのTRANSATLANTIC」、
「もったりしたニール・モーズ」という雰囲気もあって、このヘタウマ感が人によっては厳しいかもしれない。
中盤も10分前後の大曲が続き、ラストは18分の大曲で、演奏や楽曲展開にさほどの緊張感がないので
とても長く感じてしまうのだが、やわらかで微笑ましいシンフォニックロックが楽しめる、全5曲70分の力作ではある。
メロディック度・・8 プログレ度・・7 ヘタウマ度・・8 総合・・7.5
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KINETIC ELEMENT 「The Face Of Life」
アメリカのプログレバンド、キネティック・エレメントの2019年作
2009年にデビュー、本作は3作目で、オルガンやメロトロンの音色を含むシンセに、優美なピアノ、
ヘタウマ感のあるヴォーカルで、アメリカらしいキャッチーなシンフォプログレを聴かせる。
GLASS HAMMERあたりに比べると、演奏力や楽曲アレンジでのほどよいマイナー感触と
どこかオヤジ臭い垢抜けなさがあって、良い意味でマニア好み。15分、19分という大曲では、
TRANSATLANTICばりの起伏のある展開力で、ドラマティックで壮麗なサウンドを構築する。
いかにもお約束のオールドスタイルのシンフォであるが、これを嫌いになれないのも事実。
ドラマテイック度・・8 プログレ度・・7 オヤジ系シンフォ度・・8 総合・・7.5
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KIT WATKINS「LABYRINTH」
アメリカのテクニカルシンフォバンドHAPPY THE MANのKEYだったキット・ワトキンスのソロ作。
制作時期は1981年というからCAMEL脱退直後くらいなのだろうか。
サウンドはHAPPY THE MAN時代を思わせるテクニカルな部分と、
CAMELで培われたと思われるキャッチーで落ち着いた部分の融合したもの。
HAPPY THE MAN時代の曲のリアレンジも数曲あり、やはりプログレ者としてはそこでにんまりする。
他の曲においてもKEYの音色などにはかつてを思わせるワトキンス節がかいま見え、
このときにHAPPY THE MANを再結成していてくれたら、という仕方のない思いもついこみ上げてきてしまう。
メロディアス度・・8 プログレ度・・7 キーボー度・・8 総合・・7.5
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KLAATU「Klaatu/Hope」
カナダのプログレバンド、クラトゥの1st、2ndカップリング。1976/1977作
中期ビートルズのサウンドを思わせる作風から、「ビートルズの覆面バンド」とも呼ばれたらしいが、
確かに今でいうSPOCK'S BEARDなどにも通じる、やわらかなメロディが爽快なプログレ作である。
美しいメロトロン、オーケストラをバックに、優しいヴォーカルの歌声が心地よく、
ポップなメロディと70年代的な温かみのあるロック感覚が合わさった音を聴かせる。
2ndになると、キャッチーなサウンドの中にもドラマティックな泣きが加わって、
プログレ的な聴き応えが上がっている。メロディアスなロックが好きな方にお勧めだ。
メロディアス度・・8 プログレ度・・7 爽快キャッチー度・・9 総合・・8
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KLAATU 「SIR ARMY SUIT」
カナダのメロディックロック、クラトゥの1978年作
1976年にデビュー、本作は3作目となる。The Beatlesをルーツにしたキャッチーなヴォーカルメロディに
やわらかなピアノ、ときにストリングスアレンジも加えた、叙情豊かなメロディックロックは、
BARCLAY JAMES HARVESTなどにも通じる味わい。楽曲は3~4分前後とシンプルながら、
しっかりとロックなアンサンブルと確かな演奏力もあるので、ポップ過ぎない聴き心地で楽しめ、
やわらかなコーラスハーモニーと牧歌的な雰囲気は、Stackridgeなどが好きな方にもお薦めだ。
キャッチー度・・8 プログレ度・・6 牧歌的度・・8 総合・・8 
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KLO PELGAG 「L'Alchimie Des Monstres」
カナダの女性SSW、クロ・ペルガグの2014年作
ケベック州出身の女性アーティストで、アコースティックギターにフランス語による歌声を乗せ、
クラリネットやバスーン、ヴァイオリンなどを加えたチェンバーロック色を加えた個性的なサウンド。
アコースティックを主体にした優雅な耳心地と、エキセントリックなセンスが合わさって、
ほどよいアヴァンギャルド性も含みつつも、わりとキャッチーな歌ものである点では、
Joanna Newsomなどにも通じる雰囲気もあるかも。フランス語による優雅な歌声に、
クラシカルなピアノ、ヴァイオリンが鳴り響く、サロン系チェンバーの流れでも楽しめます。
チェンバー度・・8 優雅度・・9 女性Vo度・・8 総合・・8
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KLO PELGAG 「L'etoile thoracique」
カナダの女性SSW、クロ・ペルガグの2016年作/邦題「あばら骨の星」
ケベック州出身の女性アーティストで、2014年にデビューし、本作は2作目となる。優雅なピアノやシンセに、、
フランス語によるコケティッシュな歌声を乗せ、ケイト・ブッシュにも通じる、可愛らしくもエキセントリックなサウンドを描く。
曲によってはトランペットやトロンボーンなどのブラスや、ヴァイオリンなどストリングスによる優雅なアレンジも加えつつ、
あくまで美しいヴォーカルの響きをメインにした、シンプルなポップ性が耳心地の良さになっている。
エレキギターやドラムなどは入らないのでロック感触は希薄だが、クラシカルな優雅さとやわらかな女性声で
幻想的な世界観を描くところは、プログレリスナー向きといえるだろう。ラストは10分のアンビエントなナンバー。
キャッチー度・8 優雅度・9 女性ヴォーカル度・8 総合・8 
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KLO PELGAG 「Notre-Dame-des-Sept-Douleurs」
カナダの女性SSW、クロ・ペルガグの2020年作/邦題「悲しみの聖母」
3作目となる本作は、聖母マリアをテーマにしているのかと思いきや、タイトルは自身の育った町の名前であるらしい。
幻想的なインストのタイトルナンバーで始まり、2曲目からはうっすらとしたシンセにギターやドラムも加えて、
フランス語のキュートな歌声とともに、やはりケイト・ブッシュ的なしっとりとしたストレンジポップを展開。
今作ではいくぶん物悲しいアンビエントな空気感も漂わせ、ピアノをバックにしっとりと歌を聴かせるナンバーなど、
2~4分の小曲を主体に、キャッチーな歌もの感とポップ性、幻想的な浮遊感のバランスが良く、のんびり楽しめます。
キャッチー度・8 優雅度・8 女性ヴォーカル度・8 総合・8
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Kurgan's Bane 「The Future Lies Broken」
アメリカのプログレバンド、クーガンズ・バーネの2000年作
ハード寄りのギターと適度にテクニカルなアンサンブルに、女性ヴォーカルを乗せたProgMetal的なサウンド。
わりとヘタウマな女性Voと、ややラウドな音質がいかにもマイナーバンドの雰囲気をかもし出していて、
楽曲自体も、そこそこメロディックなのだが盛り上がり切らず、かといってLeger De Mainほどにはテクニカルでもないという
どうにも中途半端な印象。自己満足的なギタリストのフレーズもイライラしてくるし、ようするにセンスがないのだろう。
女性声のハードプログレは大好物なのだが、この作品に関してはもどかしさしか感じられない。90年代の生き残りというようなB級作。
ドラマティック度・・7 プログレ度・・7 女性Vo度・・7 総合・・6.5
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Kurt Rongey「That Was Propaganda」
The Underground Railroadのキーボーディスト、カート・ロンギィのソロ作。2000年作
自身のシンセとヴォーカルを中心に、ギターと打ち込みドラムによるサウンドながら、
クラシカルで優雅な味わいと、アメリカらしいキャッチーさが合わさった質の高い作品だ。
レニングラードの歴史をテーマにしたシリアスな側面を覗かせつつ、
アカデミックな硬質感とともに、きらきらとした美しいシンセワークが耳に心地よい。
THE ENIDの優雅さに、MAGELLANのような歌メロが合わさったといえばいいのか、
そして、そこに東欧的なシリアスなシンセサウンドを組み合わせた雰囲気で、
プログレ、シンフォニックというよりも、幾分屈折感のあるシンセ作品として楽しめる。
シンフォニック度・・8 プログレ度・・8 シンセサウン度・・9 総合・・7.5
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LANDS END「Natural Selection」
アメリカのプログレバンド、ランズ・エンドの1997作
シンフォニックなシンセをメインに、テクニックはないが時々メロウな泣きを聴かせるギター、
アメリカらしいキャッチーな歌メロとともに、ゆったりのんびり聴かせるサウンド。
10分以上の大曲が4曲(うち1曲は30分)というけっこうな大作志向で、
さすがに長尺すぎると思いつつも、耳触りがいいのでなかなか嫌いにはなれない。
マニア気質の美意識で描かれる世界観は、スケール感と奥深さには欠けるものの、
どことなくポストロック的なもどかしさもあり、演奏はつたないが、まどろみつつ聴けたりする。
シンフォニック度・・8 プログレ度・・7 ゆるやか度・・9 総合・・7
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Lands End 「The Lower Depths」
アメリカのプログレバンド、ランズ・エンドの2005年作
90年代から活動するバンドで、本作がおそらく3作目。14分、24分という大曲を含む力作で
うっすらとしたシンセワークに、マイルドなヴォーカルで描かれるやわらかなサウンド。
スリリングな展開などは薄いが、THE MORRIGANの女性ヴォーカルが参加して、
男女ヴォーカルで聴かせる美しさや、ポストプログレ的な繊細な浮遊感が合わさった
耳心地の良さで楽しめる。PINEAPPLE THIEFのギターなどもゲスト参加している。
ドラマティック度・・7 プログレ度・・7 やわらか度・・8 総合・・7.5
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Lasting Weep「The Early Years」
カナダのプログレバンド、ラスティング・ウィープの2007年作
のちにMANEIGEを結成する、ジェローム・ラングロワとアラン・ベルジェロンが在籍したバンドの
1969~71年までに録音された未発音源集。軽やかなアンサンブルにフルートが鳴り響く、
優雅なジャズロック的なサウンド。ギターはわりとブルージーな感触もあったりもするが、
吹き鳴らされるフルートの存在感が強く、ほどよくユルメのフリーキーさは、プログレというよりは
やはりアートロックという聴き心地。録音面も含めて、あくまで発掘音源という趣ながら、
25分におよぶ大曲のライブ音源など、全75分という聴きどころの多いマテリアルだ。
ドラマティック度・・7 プログレ度・・7 優雅度・・8 総合・・7.5
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Lasting Weep 「Le Spectacle De L'Albatross 1976」
カナダのプログレバンド、ラスティング・ウィープのライブ。2007年作
MANEIGEの前身バンドによる1976年のライブで、「アルバトロス」と題された未発表の大作を
マネイジュのメンバーを含む17人で演奏するステージ。フルートやサックス、トランペットが鳴り響き
軽やかなドラムにパーカッション、フランス語のヴォーカルもまじえ、ジャズやチェンバーの要素も含んだ
優雅でアヴァンギャルドなサウンドを展開する。随所にフルートの音色が土着的な優雅さをかもしだし、
語りのような怪しい歌声とともにシアトリカルな空気に包まれながら、手数の多いドラムを中心とした
緊張感あるアンサンブルに優美なピアノやシンセを乗せるところは、MANEIGEに通じる部分もある。
クラシカルな優雅さと、エキセントリックな芸術性に富んだアーティスティックなライブが味わえる。
ライブ演奏・8 プログレ度・8 優雅でアヴァンギャル度・9 総合・8
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Leah Waybright「Beauty gone wild」
アメリカの女性シンセ奏者、リア・ウェイブライトの1999年作
ブックカバーのついた絵本のような装丁に、中にも美しいイラスト入りの物語が描かれたファンタジックなコンセプト作。
ゆるやかなシンセをメインに聴かせるインストサウンドで、優美なフルートの音色とともに、いかにも女性らしい
ナイーブさに満ちたメロディが耳に優しい。リズム隊がHAPPY THE MANのメンツなので、ややカッチリしすぎていて
やわらかなサウンドとは不似合いな気もするが…淡い水彩画のようなシンフォニックロックが楽しめる逸品。
シンフォニック度・・8 プログレ度・・7 優美度・・8 総合・・7.5
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L'ENGOULEVENT「L'LE OU VIENT LES LOUPS」
カナダ、ケベック出身のフォークロックバンド、アングルヴァンの1977作
邦題「オオカミの住む島」。艶やかなヴァイオリン、チェロの音色にクラシカルなピアノ、
そこにアコースティックギターが絡まり、美しいアンサンブルを聴かせる。
メインは男ヴォーカルながら、ときに男女のコーラスがサウンドを彩りしっとりとした叙情と優雅な雰囲気が全体を包んでいる。
フォークというよりはアコースティカルなシンフォとしても鑑賞できる作品だ。
ボーナスとして、同一メンバーによる別バンド、ETOIFILANの1979年の音源を収録。
メロディアス度・・8 クラシカル度・・8 アコースティカル度・・8 総合・・8
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Leslie Hunt 「Your Hair Is on Fire」
District 97の女性ヴォーカル、レスリー・ハントの2009年作
基本は3、4分台の曲を中心にした適度にモダンさもあるポップロックであるが、
美麗なシンセアレンジも含めて随所にいくぶんプログレ的な感触もある。
艶っぽい彼女の歌声を活かしたアダルトな曲調もなかなかよい感じで、
フィメールヴォーカル好きのプログレリスナーにも楽しめるだろう。
キャッチー度・・8 プログレ度・・6 女性Vo度・・8 総合・・7.5





LEVIN/MINNEMANN/RUDESS「LMR」
トニー・レヴィン、マルコ・ミンネマン、ジョーダン・ルーデスによるユニットの2013年作
この凄腕メンバーで、どんな超絶技巧が繰り出されるのかと興味津々であるが、
エフェクトの効いたレヴィンのスティックベースに、ルーデスの華麗なシンセが合わさり、
テクニカルなリズムの中にも、随所にシンフォニックですらあるメロディックな感触も覗かせる。
楽し気に叩きまくるミンネマンの軽やかなドラムもさすがで、トリオによるアンサンブルながら、
それぞれが己のセンスを十二分に発揮していて、厚みを感じさせるサウンドが素晴らしい。
ジャズロック、フュージョンロック的な要素もありつつ、じっくりとメロウに聴かせるパートなど、
単なる技巧のみに陥らないところが、さすが一流のミュージシャンたちである。
メロディック度・・7 テクニカル度・・8 アンサンブル度・・8 総合・・8
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THE LIFELINE 「WHERE THERE IS LIFE, THERE IS HOPE...」
アメリカのプログレ・エモーショナルロック、ライフラインの2004年作
全7曲、29分というデビュー作で、ほどよくハードなギターに艶やかなヴァイオリンを重ね、
ハイトーンヴォーカルを乗せた、モダンでキャッチーなプログレ・ハードロックを聴かせる。
4~5分前後の楽曲は比較的シンプルで、ときにスクリームも加えたメタル感触も覗かせるなど、
プログレというよりは、本作の次点ではヴァイオリン入りのエモーショナルロックという趣のナンバーも多い。
2010年作「Reflections of Hope」では、よりスタイリッシュに深化したモダン派プログレの好作品となる。
ドラマティック度・7 プログレ度・6 ヴァイオリン度・8 総合・7
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THE LIFELINEReflections of Hope
アメリカのハードプログレバンド、ライフラインの2010年作
ヴァイオリン奏者を含む4人組で、キャッチーなヴォーカルメロディと
ドラマティックな展開力で聴かせる、なかなかセンスのよいサウンド。
艶やかなヴァイオリンの音色とともに、ほの暗いモダンな叙情性もあり
現在形プログレとしても楽しめるし、ProgMetal的な構築力も備えている。
あくまでメロディにこだわった難解さのない作風に好感が持てる。
メロディック度・・8 プログレ度・・7 ヴァイオリン度・・8 総合・・8
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The Light 「ON A NEW HORIZON」
アメリカのプログレハードバンド、ザ・ライトの1996年作
キャッチーで軽快なプログレハードサウンドが始まった…と思ったら、KANSASにも通じる叙情性と
シンフォニックなキーボード、泣きのギターも加わって楽曲には案外壮大な雰囲気もあり、これはなかなか楽しめる。
プログレハード的であっても古くささはあまりなく、アレンジの質も高いと思われる。
ヴォーカルはやや弱いが、綺麗なコーラスハーモニーも手伝って気持ちよく聴き通せるし、
プログレメタル的な質感を垣間見せる曲もあり、キャッチーさとドラマティックさを上手く両立させている。
メロディアス度・・8 シンフォニック度・・8 プログレハー度・・8 総合・・8
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Light Freedom Revival 「Eterniverse Deja Vu」
アメリカのプログレハード、ライト・フーダム・リヴァイバルの2017年作
ギター&ヴォーカルのジョン・ベハディアを中心としたユニットで、ドラムとベースにビリー・シャーウッド、
シンセにオリヴァー・ウェイクマン、ギターにエリック・ジレット(The Neal Morse Band)が参加、
ファンタジックなジャケからは、きらびやかなシンフォニックロックを想像させるが、サウンドの方は、
ポップでキャッチーな歌もの系AORで、美しいシンセにメロディックなギター、女性コーラスも加わった
なかなか華やかな聴き心地。4~5分前後の楽曲は、わりとシンプルでライトな感触ながら、
O.ウェイクマンの繊細なシンセワークなど、優美な叙情に包まれたシンフォニックなプログレハードが楽しめる。
キャッチー度・・8 プログレ度・・6 優美度・・8 総合・・7.5
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LINDSEY BOULLT 「Composition」
アメリカのギタリスト、リンゼイ・ボルトの2007年作
MAHAVISHNU ORCHESTRAのジェリー・グッドマン、スチュアート・ハム、デレク・シェリニアンなどが参加、
メタリックな硬質感とフュージョン的な優雅さを合わせたインストサウンドで、PLANET Xに通じる聴き心地。
随所に12弦ギターなどを含んだアコースティックな要素も含んだ見事なギターワークに、
手数の多いドラムとどっしりとしたベースの存在感とともに、骨太のアンサンブルを描いてゆく。
ヴァイオリンが鳴り響くジャズロック風味や、エスニックなメロディを取り入れた感触もあって、
オールインストながら難解さはなくわりと耳に入りやすい。インストのプログレ・フュージョンが好きな方へ。
メロディック度・・8 テクニカル度・・8 優雅度・・8 総合・・7.5
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LISA LARUE'S PROJECT 2K9 「WORLD CLASS」
アメリカの女性シンセ奏者、リサ・ラルーのプロジェクト。2009年作
ASIAにも参加したB&Voのジョン・ペイン、Pete Bardens'MIRAGEに参加していたG、スティーヴ・アダムス、
Ghost CircusのBやPar Lindh ProjectのDrなどが参加。リサ嬢のきらびやかなシンセワークを中心に、
随所にメロウなギターとプログレ的な変拍子なども取り入れたインストパートを聴かせながら、
ヴォーカルが入ると80年代的なプログレハードの感触にもなる。楽曲は3、4分台中心で、
比較的シンプルな聴き心地とマイナー臭すぎないスケール感をともなった好作品です。
シンフォニック度・・7 プログレ度・・7 プログレハード風度・・8 総合・・7.5
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Lisa LaRue 2KX 「Fast and Blue」
アメリカの女性シンセ奏者、リサ・ラルーのプロジェクト。2011年作
前作2K9名義に続き、ASIAにも参加したジョン・ペイン、Pete Bardens'MIRAGEに参加した、スティーヴ・アダムスらをはじめ、
ゲストには、リョウ・オクモト(SPOCK'S BEARD)、マイケル・サドラー(SAGA)、マキシ・ニル嬢(元Visions of Atlantis)などが参加。
美麗なシンセワークにメロウなギターを重ね、緩急ある展開とプログレらしいきらびやかなインストパートで、
のっけから18分におよぶ大曲を構築してゆく。クラシカルなチェロの音色にアコースティックギターが絡む優雅な小曲や、
続く12分のインストナンバーでは、ProgMetal的なテクニカルなところも覗かせる。ジョン・ペインの歌声を乗せた
プログレハード風のナンバーなども含めて、なかなか聴きどころの多い力作といえるだろう。
シンフォニック度・・8 プログレ度・・7 優美度・・8 総合・・7.5
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LITTLE ATLASSurface Serene
アメリカのシンフォニックロックバンド、リトル・アトラスの1st。2004作
2nd「Wanderlust」がなかなかの好作だったので、こちらもゲット。
TRANSATLANTICあたりを思わせる適度にテクニカルなリズムに
キャッチーなメロディが乗るサウンドは、レトロさとモダンな感覚が合わさっていて、
やはりクオリティが高い。かつてのSPOCK'S BEARDに通じるカラフルなシンセワークも
シンフォ系リスナーにはぴったりくるだろうし、4~6分台にまとめられた楽曲も非常に聴きやすい。
中盤にやや中庸な曲が続くので、全体的には2ndほどの完成度はないが、
アメリカの新世代シンフォプログレバンドの中では、かなり上位にくるバンドだと思う。
メロディアス度・・8 プログレ度・・8 トランス・ビアー度・・8 総合・・7.5
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LITTLE ATLAS「Wanderlust」
アメリカのシンフォニックロックバンド、リトル・アトラスの2nd。2005年作
1stに比べ楽曲、演奏ともに格段にクオリティがアップした。基本はGENESISタイプなのだが、
モダンなアレンジとTRANSATLANTICあたりに近いキレの良さもあって、古めかしさをあまり感じない。
シンフォニックなシンセーワークに、軽すぎないギター、ときにキャッチーにときに哀愁をまとわせる
ヴォーカルメロディは、SPOCK'S BEARDのファンにもアピールする魅力があるだろう。
ジャケも含めてマイナーなアメリカンシンフォに思われそうだが、内容はなかなかどうして質が高い。
メロディアス度・・8 シンフォニック度・・8 プログレ度・・7 総合・・8
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LITTLE ATLAS「Hollow」
アメリカのシンフォニックロックバンド、リトル・アトラスの3rd。2007作
アメリカの新人バンドとしては前作はSPOCK'S BEARDにも匹敵するクオリティで、
大いに期待していた。今作もやはり演奏、楽曲センスともに非凡なものは感じるが、
やや肩の力が抜けたようなキャッチーさが前に出ていて、それも悪くはないのだが
ドラマティックな部分でのたたみかけるような魅力はやや落ちたかもしれない。
軽めのシンフォとして聴くぶんにはいいが、アルバムの密度としてはもの足りなさも残る。
メロディアス度・・7 シンフォニック度・・7 楽曲・・7 総合・・7.5
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LITTLE ATLAS「Automatic Day」
アメリカのプログレバンド、リトル・アトラスの2013年作
2004年にデビューしてから、本作は4作目。毎回そこそこよい感じの作品ながら決定打とならない。
本作も適度にキャッチーな聴き心地と、メロトロンやメロウなギターを含んだ叙情とともに、
古き良きGENESISルーツのスタイルを、いくぶんモダンに仕上げたという作風で、なかなか悪くない。
8分、10分という大曲を構築してゆくセンスはSPOCK'S BEARDなどにもひけをとらない。
クオリティは充分なので、あとは突き抜けたインパクトと耳に残るメロディを増やしていって欲しい。
メロディック度・・7 プログレ度・・8 構築センス・・8 総合・・7.5
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THE LOAD「Praise The Load」
アメリカのプログレバンド、ロードの1976作
かつてシンフォニックロック狂いだった頃(今でもそうだが…)、SYN-PHONIC
The Laser's Edgeといったアメリカのマイナー系レーベルのCDを探し漁っていたものだ。
このバンドは、キーボード、ドラム、そしてギター兼ベースの3人組で、おそらくこれが唯一のアルバム。
内ジャケの写真には、ベースとギターのダブルネックを持つ姿が。メンバーいないから両方やっちまえということか(笑)
肝心の音の方だが、これが意外に良い。もちろん70年代アメリカのシンフォ系らしいマイナー臭さがあるのだが、
キーボードの弾くメロディにはクラシカルな魅力があり、曲としても充分に鑑賞に耐えうる。
雰囲気としては、The Quillあたりに近い気もするが、演奏面ではこちらが上かもしれない。
メロディアス度・・8 プログレ度・・7 キーボー度・・8 総合・・7.5
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The Load 「Load Have Mercy」
アメリカのプログレバンド、ロードの1977年作
1976年に1作を残して消えたマイナー系プログレバンドの、2作目用に録音された未発音源。
キーボード、ドラム、ギター兼ベースのトリオ編成で、やわらかなオルガンが鳴り響き、
ブルージーでメロウなギターを乗せた、70年代ブリティッシュロックをルーツにしたサウンド。
典雅なチェンバロの響きや、オルガン、クラヴィネットやムーグといったヴィンテージなシンセも魅力的で、
The Niceのようなキャッチーなクラシカルロックが楽しめる。ときにヴォーカルも入るがあくまでオマケ程度。
演奏力の方はしっかりしているので、B級すぎない鍵盤プログレとしてはなかなかの好作品だ。
クラシカル度・・8 プログレ度・・7 キーボー度・・8 総合・・7.5
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Lo-Fi Resistance 「A Deep Breath」
アメリカのプログレユニット、ローファイ・レジスタンスの2010年作
マルチミュージシャン、ランディ・マクスタインによるソロプロジェクトで、本作が1作目となる。
コンセプト的なシリアスなSEで幕を開け、マイルドなヴォーカルを乗せたキャッチーなメロディックロックを展開。
やわらかなシンセにメロディックなギターも随所に聴かせつつ、Neal Morseなどにも通じるやわらかな叙情で
プログレハード的なサウンドを描いてゆく。アコースティックギターやフルートなどを用いた繊細なパートから、
一転して、軽快なリズムにテクニカルなギターを乗せた展開力には、スタイリッシュなモダンさを感じさせる。
ほどよくハードでメロディックな味わいの好作品。ニック・ディヴァージリオ(元Spock's Beard)がドラムで参加。
ドラマティック度・・7 プログレ度・・7 スタイリッシュ度・・8 総合・・7.5
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Lo-Fi Resistance 「Chalk Lines」
アメリカのマルチミュージシャンによるプロジェクト、ローファイ・レジスタンスの2作目。2012年作
適度にテクニカルでモダンなキャッチーさを漂わせたプログレ・ハードロック風味のサウンドで、
ヴォーカルの伸びやかな歌声はどことなく、DTのジェイムス・ラブリエを思わせる。
エモーショナルロック的な歌もの感と、コンセプチュアルで知的な構成力が合わさった聴き心地は
ソフトなプログレメタルとしても楽しめる。曲によってはシンフォニックでメロウなバラードもあったりと、
全体的に耳触りの良い叙情性に包まれている。ラストは14分の大曲で、爽やかなヴォーカルラインと
ドラマティックな展開力がよいですね。いわば、プログレ・エモロックというべき好作品。
メロディック度・・8 プログレ度・・7 エモーショナル度・・8 総合・・8
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LUNAR CHATEAU 「BEYOND THE REACH OF DREAMS」
アメリカのプログレバンド、ルナー・チャテアの2001年作
1993年にデビュー、本作は2作目でラスト作。ギターレスのいわゆるキーボードトリオで、
美麗なシンセワークを中心にした、優雅なシンフォニックロックを聴かせる。軽妙なドラムや
存在感のあるベースのプレイもなかなかのもので、フュージョン寄りでもあるアンサンブルに
ときおり歌も加わるのだが、いくぶん素人臭いヴォーカルがB級感をかもしだしてしまっている。
後半は10分を超える大曲2曲で、しっとりとしたアンビエントな感触に女性コーラスが重なる、
幻想的なサウンドから、ラスト曲ではリズムチェンジを含むドラマティックなシンフォニックロックを聴かせる。
派手な盛り上がりはさほどないものの、アメリカン・キーボードプログレの隠れた逸品といえる。
シンフォニック度・・7 プログレ度・・7 キーボー度・・8 総合・・7.5
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MACHINES DREAM 「Revisionist History」
カナダのプログレバンド、マシンズ・ドリームの2018年作
2013年のテビュー作と、2014年作「Immunity」を、2CDに収録したカップリング再発盤。
Disc1「Immunity」は、のっけから25分という大曲で、美しいシンセアレンジにマイルドなヴォーカルを乗せ、
メロウな泣きのギターフレーズとともに、翳りを帯びた涼やかなシンフォニックロックを聴かせる。
随所にハードなギターがいくぶんメタリックな重厚さを感じさせるが、全体的には美麗なシンセが耳心地よい
ゆったりとした歌もの的な味わいで、派手な展開はさほどないが、じっくりとした味わいのドラマ性に包まれる。
Disc2のデビュー作も基本的には同路線。薄暗系のシンフォという点では、MARILLIONあたりのファンにも楽しめるかと。
ドラマティック度・・8 プログレ度・・7 薄暗叙情度・・8 総合・・7.5
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Madrigal「Waiting...」
アメリカのプログレバンド、マドリガルの1st。1989作
1996年の2ndOn My HandsECHOLYNばりに聴かせる高品質な作品であったが、
本作もGENTLE GIANT直系ともいうべき、ヒネくれた余裕を感じさせるプログレサウンドだ。
ギターやシンセによる叙情的なメロディと、キャッチーな耳心地の良さ、
いくぶん素人臭いがマイルドなヴォーカルの歌唱が合わさって、小洒落たとぼけ具合と、
唐突な展開を巧みな演奏力で構築している。後のSPOCK'S BEARDへつながるような音だ。
メロディアス度・・8 プログレ度・・8 ひねくれ度・・8 総合・・8

MADRIGALOn My Hands
アメリカのプログレバンド、マドリガルの2nd。1996年作
ECHOLYNあたりに通じるキャッチーなメロディと高い演奏力で聴かせるサウンド。
コロコロとしたメロディとは対照的にロック的なリズムの跳ね方が心地よ<
歌ものであるが、独自のセンスとプログレッシブな音楽性の取り入れ方が絶妙だ。
サックスやフルートなどの使用も曲の中で上手く叙情性をかもし出している。
5分前後で聴かせる曲が多く、パッと聴きには難解さはまったくないので
アルバムとしてのインパクトは少ないかもしれないが、大人の味わいで楽しめる作品だ。
メロディアス度・・8 プログレ度・・7 演奏センス度・・9 総合・・8
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Maelstrom
カナダのプログレバンド、メイルストロムの1997年作
1973年に録音された発掘音源で、優美なピアノにオルガン、マリンバの音色にギターを重ね
優しいヴォーカルを乗せた軽やかなアンサンブルで、ケベックのバンドらしい優雅なサウンドを聴かせる。
サックスが鳴り響くジャズロック的でもある軽妙な演奏力で、緩急のあるインストパートを描くところは
非常にセンスを感じさせ、一方ではメロトロンによる涼やかな叙情性に、ヴォーカル入りのナンバーでの
キャッチーなシンフォニック性も素晴らしい。音質も良好で、未発音源とは思えないクオリティの高さ。
70年代に発表されていたら、OPUS 5ManeigeEt Ceteraなどに比肩する存在となっていたかもしれない。
メロディック度・・8 プログレ度・・8 優美度・・8 総合・・8
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MAGELLAN「Hour of Restoration」
アメリカのネオプログレバンド、マジェランの1st。1991年作
プログレッシブロックが死に絶えたと思われていた90年代初頭に、突如としてアメリカからネオプログレ復興の旗手が現れた。
マイク・ヴァーニーによる、その名もMagna Cartaレーベルからデビューしたこのバンドは、偉大な航海者マゼランの名を冠し、
まるでYesの「こわれもの」のジャケにでも飛んでいそうなレトロな宇宙船を描いたジャケからしても、
ワクワクするようなロマンに満ちているではないか。サウンドの方もかつてのプログレッシブ・ロックを
ルーツにしながらも、それをモダンなアレンジと融合、1曲目から14分の大曲を構築させる力作で、
ハードなシンフォニックロックともいうべききらびやかさに溢れている。このマグナ・カルタレーベルからは
SHADOW GALLERY、CAIROといった素晴らしい後続を生み出し、新たなプログレシーンに貢献した。
シンフォニック度・・8 ドラマティック度・・8 ロマン度・・9 総合・・8
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MAGELLAN「Impending Ascension」
アメリカのハードプログレバンド、マジェランの2nd。1993作
1st「Hour of Restoration」はロマン溢れるアートワークとともに
華麗なサウンドにキャッチーな歌メロをまぶした快作であったが、本作も基本的には同路線。
QUEENばりのコーラスとシンフォニックなシンセを中心に、きらびやかでドラマティックなハードプログレを聴かせてくれる。
ドラムが打ち込みであるぶん、ハードな重厚さはないが、そのぶんトレント・ガードナーの嗜好する世界観がよく現れている。
シンフォニック度・・8 ドラマティック度・・8 重厚度・・7 総合・・8
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MAGELLAN「Test of Wills」
アメリカのハードプログレバンド、マジェランの3rd。1997作
本作ではドラマーが加わり、一聴して音にハードエッジな部分が増した。
楽曲的な要素としては、過去のプログレへのオマージュ的な雰囲気は消えて、よりモダンに、現時点でのバンドの色を出そうとしているのが窺える。
とはいえ、ドラマティックな質感や、彼ららしいキャッチーなメロディも健在でProgMetal的な硬質感にYesを思わせる構築力を同居させるセンスはさすが。
より歌メロに比重が置かれる次作への橋渡し的な楽曲もあり、バンドとしての深化と変化が感じられるアルバムである。
シンフォニック度・・7 ドラマティック度・・8 重厚度・・7 総合・・7.5
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MAGELLAN「HUNDRED YEAR FLOOD」
アメリカのハード・プログレバンド、マジェランの4th。2002作
今回はベトナム戦争で戦死した兄弟をテーマにしたコンセプト作ということで、
のっけから34分という長大な組曲。歌メロに比重が置かれていることもあって、
大作でありながらもコーラスワークや、メロディアスな歌のせいかけっこう聴きやすい。
もちろんバンドの核であるトレント・ガードナーの多彩なキーボードワークも光っており、
EXPLORER'S CLUBなどにおける曲作りの経験がフィードバックされているのだろう。
メロディアス度・・8 ドラマティック度・・8 重厚度・・7 総合・・8
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MAGELLAN「IMPOSSIBLE FIGURES」
アメリカのシンフォニック・プログレ・ハードバンド、マジェランの5th。2003年作
中心人物のトレント・ガードナーは、EXPLORE'S CLUBなどへの参加から評価が上がってきたようで、
本作は軽快なシンフォニック性とマジェラン節ともいえるキャッチーな歌メロが見事に融合した傑作となった。
多彩なシンセの音色はもちろん、どこかレトロなピアノの使用法や、時代的なコンセプトに基づいた世界観なども見事。
また、これまでにないドラムの手数の多さもポイントで、レーベルがINSIDE OUTに変わったことも作用しているのだろう、
プログレメタル、プログレハードとしても充分に聴ける。シンフォニックでキャッチーだが、全体的に締まった密度の高さがある。
シンフォニック度・・8 キャッチー度・・8 プログレハー度・・8 総合・・8
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MAGELLAN「SYMPHONY FOR A MISANTHROPE」
アメリカのハードプログレバンド、マジェランの通算6作目。2005年作
前作でなにか吹っ切れた感があるサウンドに変化したが、今回もさらなる力作を作り込んできた。
ジャケやブックレットからは映画的なコンセプト作であることが垣間見えるが、曲だけでも充分ドラマティック。
ややメタリックなギターと、今回はやたら美しいキーボードによるシンフォニックな音圧が、厚みを増して押し寄せてくるという印象。
トレント・ガードナーお得意のキャッチーな歌メロもバックの壮大さに乗って、いつも以上にドラマティックに盛り上げている。
とにかく音のダイナミックさが心地よい。とくにシンフォニックさの点では同時期に出たSHADOW GALLERYの「ROOM V」を上回る。
シンフォニック度・・9 メロディアス度・・8 プログレハー度・・8 総合・・8◆プログレ名作選入り
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Magellan「Innocent God」
アメリカのハードプログレバンド、マジェランの7th。2008年作
レーベルがINSIDE OUTからMUSEAへと変わったようだが、地道にでも活動を続けていて嬉しいかぎり。
前作「SYMPHONY FOR A MISANTHROPE」がシンフォニックな傑作であったのだが、
本作はその流れを汲みつつも、より歌もの的なキャッチーさが前に出てきた作風となっている。
ドラマティックなコンセプトの中で、抜けのよいメロディを聴かせつつ展開してゆくサウンドは、
いわばNEAL MORSEあたりにも通じる質感だろうか。難解さはなく、むしろプログレハード的だ。
壮大なシンフォニック性は減退したが、随所に光る美しいシンセワークは健在だし
やわらかなコーラスハーモニーなどとともに、爽やかなメロディアスさが心地よい作品だ。
メロディアス度・・8 プログレ度・・7 ドラマティック度・・7 総合・・8
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MAGUS 「TRAVELLER」
アメリカのプログレバンド、マグスの1997年作
1995年にデビュー、本作は2作目。叙情的なギターに優美なシンセワーク、マイルドなヴォーカルを乗せた
プログレハード寄りのキャッチーなサウンド。ドラマティックなスケール感とメロディックな聴きやすさは、
MAGELLANあたりに通じる雰囲気もあるが、一方ではギターとシンセをメインにした硬質なインストナンバーや
アコースティックを使った小曲、13分のオルタナポップ風の大曲の後半では、語りが延々と続くなど、
わりととらえどころのない作風。ラストは20分近い大曲で、エスニックなアコースティックにシンセアンビエント、
中盤からはドラムも加わった、妖しいシンフォプログレになって、シンセとギターがフリーキーに絡む。
ドラマティック度・・7 プログレ度・・7 楽曲度・・7 総合・・7
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Mahogany Frog「DO5」
カナダのプログレバンド、マホガニー・フロッグの2008年作
ギター&シンセ奏者、ベース、ドラム、トランペット奏者という4人編成で、わりとハードなギター乗せた
ジャズロック風味の軽快なアンサンブルに、オルガンやミニムーグといったヴィンテージなシンセが合わさった、
インスト・プログレサウンド。テクニカルであっても、メロディのフックがあるのでプログレとしても聴きやすく、
適度にヘヴィ寄りのギターがサウンドに厚みを持たせていて、インストながらもどっしりとした感触である。
シンセが前に出るパートではシンフォニック系プログレの感触もあって、そこにトランペットの音色が加わると、
ぐっとドラマティックな雰囲気になる。ドカドカとしたドラムも含めて、テクニカルプログレとしてのアッパーなノリは
アメリカのMASTERMINDにも通じるものもある。ヘヴィなプログレ、ハードなジャズロックとしても楽しめる力作だ。
ドラマティック度・・8 プログレ度・・8 わりとヘヴィめ度・・8 総合・・8
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MAHOGANY FROG 「FAUST」
カナダのプログレバンド、マホガニー・フロッグの2022年作
2001年にデビュー、本作は8作目となる。1926年ドイツの無声映画「ファウスト」をテーマにした作品で、
厳かな鐘の音から幕を開け、轟音のギターがノイジーに鳴り響き、アナログ感のあるドゥームメタル風の迫力から、
一転してシンセをメインにしたエレクトロなサウンドへつながる。物悲しいシンセにギターが重なる優美な叙情性など、
インストをメインにしながら、次々に表情を変えてゆく楽曲の流れは見事で、舞台サントラ的な雰囲気に包まれる。
ダークな空間性という点では、ART ZOYDを思わせるところもあるが、こちらは巧みなドラムのプレイも含めて、
プログレとしての緩急とフックが随所にあり、場面ごとのドラマ性を描いている。サイレント映画を想起させる力作だ。
ドラマティック度・8 プログレ度・8 シアトリカル度・8 総合・8
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MAJESTIC「Arrival」
アメリカのプログレ(メタル)ユニット、マジェスティックの2009年作
OSUMIUMのメンバーによるプロジェクトバンドで、女性ヴォーカルをフロントにした
シンフォニックなハードプログレをやっている。テクニカルというよりは雰囲気重視の作風で、
美麗なシンセをメインにメタル色はさほど強くなく、プログレ系のシンフォニックリスナーにも聴ける。
1曲めが22分、ラストが36分という大作志向で、さすがに長さは感じるが、なかなか質の高い力作だ。
シンフォニック度・・8 テクニカル度・・7 大作度・・9 総合・・7.5
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Majestic「Ataraxia」
アメリカのプログレ(メタル)バンド、マジェスティックの2010年作
美しいシンセワークに、女性ヴォーカルの歌声で聴かせる優雅なシンフォニックサウンド。
ギターやドラムなど、随所にProgMetalとしての質感もいくぶんあるが、シンセの重ね方はプログレ/シンフォ的で、
全体的にはメタルというよりは、シンフォニックハードというようなしっとりとした感触である。
全体的には楽曲自体にスリリングさが足りないので、長い曲などは途中で飽きてきてしまうのだが、
しっとりとした聴き心地は悪くないので、いくぶんのマイナー臭さも含めて楽しめる方はいかが。
シンフォニック度・・8 ProgMetal度・・7 女性Vo度・・7 総合・・7.5
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MAJESTIC 「V.O.Z.」
アメリカのハードプログレバンド、マジェスティックの2012年作
CD2枚組のコンセプト作で、美麗なシンセアレンジと適度にハードなギターワークで、
メリハリのあるハードプログレを聴かせる。長大な組曲形式の1枚めは、さすがに長尺感はあるのだが、
じっくり聴かせるヴォーカルパートも含めて(女性Vo入り)、ProgMetal的な緩急のついた構築力で、
重厚かつドラマティックな世界観を描いてゆく。2枚めの方は曲ごとのカラーがはっきりしていて、
テクニカルなアンサンブルを交えて、美麗なプログレメタル風味のサウンドが楽しめる。
ドラマティック度・・8 プログレ度・・7 壮大度・・8 総合・・7.5



Mahavishnu Orchestra「The Inner Mounting Flame」
アメリカのジャズロックバンド、マハビシュヌ・オーケストラの1st。1971作
ギターのジョン・マクラフリンを中心に結成、フュージョンとジャズの要素をロックに融合させプログレの方面からも非常に評価の高いバンドのデビュー作。
手数の多いドラムが引っ張るリズムに、テクニカルなギターに絡む艶やかなヴァイオリン、シンセによる音の厚みはプログレ的でもある
ミステリアスな雰囲気もかもしだしていて、単なるジャズロックの枠を超えた壮大さなビジョンを感じさせるサウンドだ。
即興気味の緊張感と、実力のある演奏者の巧みなアンサンブルが合わさって、
硬質でありながややわらかで、テクニカルでありつつメロディアスという、絶妙の均衡が音にはある。
ジャズロックでありながら、チェンバー的な構築性と、まさにオーケストラルな一体感が見事な傑作。
シンフォニック度・・8 ジャズロック度・・8 テクニカル度・・9 総合・・8.5
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Mahavishnu Orchestra「Birds of Fire」
アメリカのジャズロックバンド、マハビシュヌ・オーケストラの2nd。1973作
「火の鳥」と題された本作は、前作以上にスリリングなアンサンブルを見せつける傑作。
1曲目から、うなりを上げるようなジョン・マクラフリンのギターも冴え渡り、
シリアスなヴァイオリンが絡むサウンドは、ジャズロックというにはあまりに重厚。
今作では、楽曲におけるクラシック的な構築美が増していて、緊張感あふれる演奏と
強固なアンサンブルが、聴き手を圧倒するように押し寄せてくる。
音の切れ味という点では最高傑作とも言える。張りつめた創造性が生み出した傑作。
クラシカル度・・8 ジャズロック度・・8 テクニカル度・・9 総合・・8.5
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Mahavishnu Orchestra「Between Nothingness & Eternity」
アメリカのジャズロックバンド、マハビシュヌ・オーケストラの3rd。1973作
ライブアルバムとして発表された本作は、12分、8分、21分という3曲を収録、
ジャズというよりはほとんどプログレというべき大作志向が結実した作品。
スタジオ盤以上に躍動感にあふれた演奏は、構築と即興の狭間というべき
じつに高度なアンサンブルを聴かせてくれる。ムーグシンセの音色も含めて、
ときにスペイシーな壮大さも感じさせつつ、マクラフリンの緩急自在のギターが冴え渡る。
ドラマティック度・・8 演奏度・・9 テクニカル度・・9 総合・・8
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Mahavishnu Orchestra「Apocalypse」
アメリカのジャズロックバンド、マハビシュヌ・オーケストラの4th。1974作
ギターのジョン・マクラフリンを除くメンバーががらりと変わった、バンドの第二期の作品。
「黙示録」と題されたジャケも美しい本作は、14分、19分という大曲を中心にした力作で、
ストリングスカルテットを含め、参加メンバーが増えたこともあり、よりクラシカルな優雅さが増した。
以前のようなたたみかけるような勢いは薄らぎ、代わりにしっとりとした叙情性で聴かせる、
いわばシンフォニックな作風である。チェンバーロック的な壮大さと緊張感が素晴らしい傑作。
クラシカル度・・9 ジャズロック度・・7 テクニカル度・・8 総合・・8.5
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Mahavishnu Orchestra「Visions of the Emerald Beyond」
アメリカのジャズロックバンド、マハビシュヌ・オーケストラの5th。1975作
前作でのクラシカルなアプローチをそのままに、さらにプログレッシブな構築性を増した傑作。
ジャズロックとしてのテクニカルな軽やかさを残しつつ、ときにMAGAMAを思わせるようなスキャットも入り、
艶やかなヴァイオリンの音色に絡む、マクラフリンの巧みなギターワークも相変わらず絶品だ。
クラシック、ジャズ、ロックの完璧な融合がここに結実。緊張感を保ちながらも優雅で叙情的という
奇跡的なバランスで描かれるサウンドは感動的である。大曲はないものの質の高い小曲が連なった濃密作。
クラシカル度・・8 ジャズロック度・・8 テクニカル度・・8 総合・・8.5
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Mahavishnu Orchestra「The Lost Trident Sessions」
マハビシュヌ・オーケストラのライブ音源。1999作
実質的に3rdとなるはずだった、トライデントスタジオでの1973年のセッション音源で
「Between Nothingness & Eternity」と楽曲がかぶっているが、音質も含めて演奏の勢いでは
むしろこちらの方が上かもしれない。鳴り響くヴァイオリンにかぶさるギターもかなりハードで、
正規アルバムでの叙情性よりもアンサンブルの突進力が前に出ている点では荒々しい印象。
このバンドのライブセッションにおけるテクニカルな側面が存分に味わえる発掘音源だ。
ドラマティック度・・8 演奏度・・9 テクニカル度・・9 総合・・8
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Malcolm Smith 「We Were Here」
アメリカのミュージシャン、マルコム・スミスの2014年作
METAPHORのギタリストとしても活躍するミュージシャンで、本作はAnglagardやNECROMONKEYなどに参加する
マティアス・オルソンをドラムに迎えている。きらびやかなシンセアレンジによるモダンでクールな感触と、
Gentle GiantEcholynを思わせる軽妙な屈折感を同居させたサウンドで、インスト主体であるが知的な構築力と
うるさすぎないサウンドセンスが素晴らしい。随所に爽快なメロディを聴かせるギターがアメリカ的で、
ぱっと聴きには優雅なフュージョン風でもあるのだが、音数以上に作り込まれたアーティスティックな感性が見え隠れする。
オルガンやメロトロンの音色を使ったシンセも、プログレらしさを演出する確信犯的なアレンジだろう。
13分を超える組曲ナンバーも、HAPPY THE MANにも通じる軽快なテクニカル性と構築センスが絶妙だ。
ドラマティック度・・7 プログレ度・・8 優雅で軽妙度・・9 総合・・8
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Maneige
カナダのプログレバンド、マネイジュの1st。1975年作
カナダ、ケベック州を代表するバンドで、本作はA面すべてを費やした21分の大曲から始まるリリカルな好作品。
美しいシンセにピアノ、フルートがやわらかく重なるたおやかな繊細さ、クラシカルな構築美とともに
チェンバーロック的でもあるシリアスな聴き心地は、このバンドならではだ。ロック的なアンサンブルが薄い分、
とっつきは悪いかもしれないが、優雅な美意識とアーティスティックな歓声をを含んだサウンドが楽しめる。
ドラマティック度・・7 プログレ度・・8 美意識度・・9 総合・・8
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Maneige「Les Porches」
カナダのプログレバンド、マネイジュの2nd。「寺院の門」1975年作
美しいフルートの音色にクラリネットが絡む、優雅なチェンバーロック風味に始まり、
クラシカルなピアノも美しく鳴り響く、ノートルダム寺院をテーマにした19分の組曲である。
前半はロック色は薄いが、後半になるとドラムにギターも入ってきて、いっきにプログレらしくなる。
フランス語のヴォーカルにトランペットも加わって、メリハリのある展開力が最後まで飽きさせない。
アルバム後半の「サックスとクラリネットの冒険」組曲では、アヴァンギャルドな即興性も含んだ
軽妙なアンサンブルが素晴らしい。代表作とされる次作よりもむしろスリリングな優雅さでは上だろう。
クラシカル度・・8 プログレ度・・8 優雅度・・9 総合・・8
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MANEIGE「ni vent...ni nouvelle」
カナダのシンフォニックロック、マネイジュの3rd。「御伽の国へ」1976年作
以前に買ったのは海賊盤だったのだが、2006年についに正規にCD化された。
このファンタジックなジャケットも素晴らしいが、内容もたおやかに聴かせ優雅なシンフォニックロック。
繊細なフルートやころころとしたマリンバの音色、それにサックスが入るとジャズロック風味になるが、
軽やかなアンサンブルには、ケベック州出身のバンドということで、ヨーロピアンな情緒があるのもいい。
決して派手ではないが、やわらかな感触の味のあるカナディアン・シンフォニックの好作品である。
メロディアス度・・8 プログレ度・・7 たおやか度・・8 総合・・8
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MANEIGELibre Service
カナダのシンフォニックロックバンド、マネイジュの4th。1978年作
ジャケも美しかった前作に比べ今回はややダークなイメージで、前作のクラシカルで優雅な軽やかさから
一聴してややシンプルなバンドアンサンブルへと変化してきている。全体的にギターの活躍が増えながらも、
フルートやピアノなどが絡む部分などはチェンバーロック風味のシリアスさと軽妙なコミカルさの同居具合が面白く、
いわばそれがこのバンドの個性になっている。派手さはないが完成度の高い作品だ。
メロディアス度・・7 プログレ度・・7 軽妙度・・8 総合・・8
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Maneige 「Live A L'eveche」
カナダのプログレバンド、マネイジュのライブ音源。2005年作
1975年モントリオールでのライブ音源を収録。優美なピアノにやわらかなクラリネットの音色が重なり、
シンセとギター、ドラム加わって、室内楽的な優雅さのアコースティカルなシンフォニックロックを聴かせる。
優しいフルートの音色にサックスも鳴り響き、ときにジャズロック的な軽やかなアンサンブルを描きつつ、
クラシカルな美意識の繊細なパートもしっとりと心地よい。各メンバーの演奏力の高さもあって、
29分という大曲も、ピアノやフルート、マリンバの響きにクラリネットも重なり、スリリングな優雅さに包まれる。
年代を考えれば音質も良好で、ボーナスには、1974年のライブ音源を収録。
クラシカル度・8 ライブ演奏・8 優雅度・9 総合・8 
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MANEIGE「LES PORCHES LIVE」
カナダのプログレバンド、マネイジュのライブ作品。2006年作
1975年の未発ライブ音源のCD化で、2nd「Les Porches」全曲に、1stの楽曲や未発表の大曲も演奏した発掘ライブ作品。
「サックスとクラリネットの冒険」と題された16分の大曲は、優美なピアノを軽やかなリズムに乗せ、クラリネットとサックスが優雅に鳴り響く、クラシカルなチェンバーロックを展開。
年代を思えば音質もとても良好で、巧みなドラムとベースを軸にした、ライブならではの躍動的なアンサンブルが楽しめる。、
フルートとクラリネット、サックスが有機的に絡む即興的な未発曲や、2nd収録の17分の大曲では、クラシカルなピアノにフルートが絡み、叙情的なギターの旋律とともに、優美なサウンドを聴かせてくれる。
バンドの全盛期の貴重なライブ音源としてファンなら必聴でしょう。
クラシカル度・9 プログレ度・7 ライブ演奏・8 総合・8 
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Man on FireThe Undefined Design
カナダのプログレバンド、マン・オン・ファイアの2003年作
薄暗い叙情とキャッチーなメロディで聴かせるモダンなプログレ・ロックで、
80年代の産業ロック的でもあるデジタリィなアレンジを取り入れている。
たとえば、スウェーデンのACTなどに通じるメロディアスなポップさと
知的なプログレセンスの融合というような、じつに玄人好みのサウンドだ。
グラム風味のノリはPure Reason Revolutionあたりも思わせる、いわば
モダンプログレの先駆け的傑作。KANSASのデヴィッド・ラグズデールがゲスト参加。
メロディアス度・・8 キャッチー度・・8 プログレセンス・・8 総合・・8
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Man on FireHabitat
カナダのプログレバンド、マン・オン・ファイアの2005年作
1998年にデビュー、本作は3作目となる。キャッチーなポップ性を、モダンなアレンジで包み込んだ
スタイリッシュなプログレ・ロックサウンドで、本作でもセンスのよい、そのバランス感覚はじつに見事。
決してポップすぎず、しっかりとプログレ風味を効かせながらも難解にならないという点では、
IT BITESA.C.T、あるいはRUSHなどのリスナーにも楽しめるクオリティがあるだろう。
KING CRIMSONのエイドリアン・ブリュー、KANSASのデヴィッド・ラグズデールがゲスト参加している。
メロディアス度・・8 キャッチー度・・8 プログレセンス・・8 総合・・8
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Man on Fire「Chrysalis」
カナダのプログレバンド、マン・オン・ファイアの2011年作
キャッチーな感触をモダンなアレンジで包み込んだサウンドで、玄人好みのこのバンド、
本作もプログレとしての知的な構築力を、センスのよいポップ性と融合させた好作。
ロックとしてのダイナミズムを残しながら、エレクトロな要素も取り入れる懐の深さと、
難解になりすぎないシンプルさを同居させ、メロディックに仕上げているのはさすが。
男性声がメインであるが、随所に女性ヴォーカルも加わって、ファンキーな質感もありつつ
ヴァイオリンやトランペットなどのクラシカルな要素も含ませた、ミクスチャー感覚も面白い。
メロディック度・・8 モダンプログレ度・・8 アレンジセンス・・9 総合・・8
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Mantis
カナダのプログレバンド、マンティスの1973/2020年作
70年代に活動したバンドで、本作が唯一のアルバムとなる。ほどよくブルージーなギターに
オルガンを含むシンセとハスキーな女性ヴォーカルの歌声で聴かせる牧歌的なサウンド。
やわらかなピアノの旋律に男女ヴォーカルで聴かせるところなどは、RENAISSANCEなどを思わせる、
優雅なクラシカルロック風味で楽しめる。オルガンやピアノに加え、随所にブラスも加わった
年代を考えると厚みのあるサウンドで、マイナー感よりも、むしろキャッチーなポップ性を感じさせる。
8分を超える大曲も含めて、ジャケのイメージよりもプログレリスナー寄りの音で鑑賞できる好作品です。
キャッチー度・・7 プログレ度・・7 優雅度・・8 総合・・8
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Mars Hollow
アメリカのプログレバンド、マーズ・ホロウの2010年作
ギター、ベース、ドラム、シンセという4人組で、全員がヴォーカルをとる。
少しヒネくれ気味のメロディアスなサウンドは初期のSPOCK'S BEARD的か。
オルガンの音色を含めて古き良きプログレの質感を感じさせるシンセワークに
泣きのギターが合わさり、シンフォニック要素とテクニカルなキメを同居させながら、
アメリカ的な抜けのよい歌メロも効果的。キャッチーな爽やかさと叙情のバランスもいい。
自主制作のようだががクオリティはメジャー級プログレ。スポビやエコリンが好きならぜひ。
メロディアス度・・8 プログレ度・・8 楽曲センス・・8 総合・・8
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Mars Hollow「World in Front of Me」
アメリカのプログレバンド、マーズ・ホロウの2nd。2011作
前作がなかなかの傑作だったので期待していたが、今作もやはり期待通りの傑作!
GENTLE GIANTルーツのテクニカルな展開美にキャッチーなメロディをまぶし、
レトロなシンセワークとともに、アメリカンプログレの王道ともいうべき抜けの良さと
濃密な質の高さで聴かせる、せせこましさのないダイナミズムにあふれるサウンドが素晴らしい
のっけから12分の大曲というのも自信の現れだろう、ジャズやフュージョン的な優雅さと
爽やかなメロディアスさが合わさって、Frogg Cafeあたりにも通じる抜群のセンスを感じさせる。
正直いって、面白さではSPOCK'S BEARDよりも上をゆく。新時代アメリカンプログレの必聴作。
メロディアス度・・8 プログレ度・・9 楽曲センス・・9 総合・・8.5
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MARTIAN EAR ZIT「To the Power of Two」
アメリカのプログレバンド、マーティアン・イヤー・ジットの2009年作
それぞれにギター、ヴォーカル、シンセなどをこなす2人組のユニットで、打ち込みのドラムの上に
プログラムされたシンセが重なる、軽やかでメロディックな聴き心地のサウンド。
歌入りのキャッチーな曲もあれば、シンセによるエレクトロな感じの曲などあり、少々とりとめがないが、
プログレ的な作品を作りたいんです…的な微笑ましさは伝わってくる。まずばバンドを目指しましょう。
King Crimson“Starless”、The Kinks“Waterloo Sunset”のカヴァーなども収録。これはけっこういい感じ。
ドラマティック度・・6 プログレ度・・7 楽曲・・7 総合・・6.5




MASTERMIND 「VOLUME ONE」
アメリカのプログレバンド、マスターマインドの1990年作
MIDIギターシンセを操るビル・ベレンズとドラムのリック・ベレンズの兄弟を中心にしたバンドで、
きらびやかなギターシンセの音色をメインにした、EL&Pルーツのテクニカル・プログレサウンドから、
流麗なギターフレーズを乗せたハードなノリもあって、懐古主義にとどまらない新時代の勢いも感じさせる。
ヴォーカルがやや素人臭いので、歌もの的なナンバーでのB級感がにじみ出てはいるが、
3~5分前後のナンバーを中心に、わりとキャッチーなプログレハード的な聴き心地でも楽しめる。
ラストは10分を超える大曲で、「タルカス」を思わせるような雰囲気にニヤニヤ。後半はドラムソロに。
メロディアス度・・8 プログレ度・・7 テクニカル度・・7 総合・・8
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MASTERMIND「VOLUME TWO “BRAINSTORM”」
アメリカのハードプログレバンド、マスターマインドの2nd。1991年作
キーボード奏者はおらず、シンセの音色をMIDIギターにより再現するという独自の発想と、
クラシカルかつ濃密なメロディを激しめの演奏でたたみかける、ハードプログレの傑作。
いかにもEL&P的だった1stに比べて、サウンドはより壮大になり、ドカドカとせわしないドラムと
鳴り響くMIDIギターにより、説得力を増した押しの強いシンフォニックロックを構築してゆく。
のっけから21分の組曲というのも凄いが、それ以上にワーグナーの“ワルキューレの騎行”や
ロッシーニの“ウィリアムテル序曲”といったクラシックのカヴァーもすごい迫力だ。
シンフォニック度・・8 クラシカル度・・8 濃密度・・9 総合・・8
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MASTERMIND「UNTIL ETERNITY」
アメリカのプログレバンド、マスターマインドの4th。1996作
MIDIギターを使用して、あたかもシンセのようなサウンドを作り出す個性的なこのバンド。
本作では、インストサウンドの説得力が一段増していて、初期の大仰なクラシカル路線を
より緊張感の漂うプログレへと深化させている。シンセとギターパートのバランスも良く、
ときに怪しげなスケール感すら漂わせながら、一方では歌入りのキャッチーな曲もあり、
テクニカルすぎないメロディアスさは、バンドとしての円熟を感じさせる仕上がりだ。
メロディアス度・・8 プログレ度・・8 テクニカル度・・7 総合・・8
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MASTERMIND
「Excelsior!」
アメリカのプログレバンド、マスターマインドの5th。1998作、
Key奏者として新たにイェンス・ヨハンソンを迎えた本作では、テクニカルなインタープレイと
ジャズロックばりの軽やかなアンサンブルが際立った。手数の多いドラムに乗るギターとシンセの重なりは、
サウンドにより厚みを与え、初期のプログレヲタク的な質感を破った、ドラマティックなインストを展開する。
バンドはこの後女性ヴォーカルを迎えるなど、再び方向性の模索を始めるのだが、
アルバムとしての勢いと明確なスタイルという点では本作が最高傑作だろう。
メロディアス度・・7 プログレ度・・8 テクニカル度・・8 総合・・8
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MASTERMIND「ANGELS OF THE APOCALYPSE」
アメリカのプログレバンド、マスターマインドの6th。1999作
MIDIギターによるキーボード音の再現や、テクニカルかつクラシカルなプログレを聴かせるこのバンド。
しかし、何を思ったのかこのアルバムでは突如女性Vo入りのメタリックなサウンドへと変化している。
ツーバスで疾走するドラムに、イェンス・ヨハンソンのキーボード、そして流麗なギターと、
歌い上げるリサ嬢のヴォーカルという、これはまさにシンフォニックメタルの音像だ。
ただし、インスト部分でのプログレッシブなアプローチは健在で、ベレンズ兄弟のギターとドラム、
そしてヤンスのキーボードが一体となったテクニカルな側面を存分に見せつけてくれる。
メロディアス度・・8 プログレ度・・7 テクニカル度・・7 総合・・8
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MASTERMIND「BROKEN」
アメリカのハードプログレバンド、マスターマインドのミニアルバム。2005作
前作はメタリックな要素を前面にだした作風だったが、今回は新曲2曲に、スタジオライブ音源4曲等が入ったミニアルバム。
サウンドはややハードでメタル的な質感はそのままに、女性ヴォーカルの歌唱とテクニカルな演奏に、
オリエンタルなメロディがどことなくサイケな風味となり、サウンドのアクセントになっている。
反面、彼らならではの魅力がどの辺にあるのか、やや分散されてしまっている感もぬぐえない。
スタジオライブの「ウィリアムテル序曲」はやや唐突にも聴こえるが、このごった煮感がこのバンドらしいとも。
メロディアス度・・7 プログレ度・・7 メタリック度・・7 総合・・7
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MASTERMIND「Insomnia」
アメリカのハードプログレバンド、マスターマインドの2010年作
ギターとドラムのベレンス兄弟を中心に結成され、MIDIギターなどによるクラシカルな要素を取り入れた
濃密な作風で話題を呼んだこのバンド、5作目からはSTRATOVARIUSのイェンス・ヨハンソンを迎え、
さらに6作目では女性ヴォーカルをフロントに立て、メタリックな要素を強めたサウンドへと進化、
そして本作は2005年のミニ以来の作品で、アルバムとしては10年ぶりということになる。
そのサウンドは、ハスキーな女性ヴォーカルの歌声で聴かせるモダンロックという印象で、
前作ミニ同様プログレ的な要素はあまりなく、ややダークめのヘヴィさが前に出ている。
女性声ロックとしては悪くはないものの、プログレとして聴くにはやはり物足りなさも残る。
メロディアス度・・7 プログレ度・・7 女性Vo度・・7 総合・・7.5 
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Matthew Parmenter 「astray」
アメリカのプログレバンドDisciplineマテュウ・パーメンターのソロ。2004年作
先に聴いていた2008年作Horror Expressはシアトリカルな力作だったが、
本作も、ピーター・ハミルのような繊細かつ詩的な雰囲気を漂わせる好作品。
メロトロンを含んだうっすらとしたシンセアレンジに、メロウなギターワークも随所によろしく、
70年代英国プログレ的な雰囲気に、現代的な翳りを加えたというような聴き心地である。
基本は歌ものであるが、長めの曲が多く、優雅なドラマ性で描かれる世界観に、
ラストの21分の大曲ではプログレ的な構築力も素晴らしい。これは傑作ですよ。
ドラマティック度・・8 プログレ度・・7 繊細度・・8 総合・・8


MATTHEW PARMENTERHorror Express
アメリカのプログレバンドDisciplineマテュウ・パーメンターのソロ。2008年作
SF的なストーリーに基づいたコンセプト作で、ピーター・ハミルばりの歌声を中心に、
美しいシンセアやストリングスアレンジなどでシアトリカルに聴かせるサウンド。
繊細なピアノをバックに哀愁ただよう歌声を響かせる、その表現力はなかなか素晴らしく、
プログレとして聴くにはやや物足りないが、叙情的な歌もの系作品としては異色の力作である。
ドラマティック度・・8 プログレ度・・7 ヴォーカル度・・9 総合・・8
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Maxwell's Demon「Prometheus」
アメリカのシンフォニックロック、マックスウェルズ・デモンの2001年作
マルチプレイヤー、ジョン・ガルブライス氏を中心にしたトリオ編成で、
オルガンやメロトロン、ミニムーグといったヴィンテージなシンセを響かせる、
古き良きプログレスタイルのサウンド。オールインストで全1曲38分という構成も気合が入っていて、
オルガンに重なるミステリアスなフルートの音色など、錬金術的な怪しさもたまらない。
アメリカというよりは、70年代の英国やイタリアのバンドのような雰囲気の力作です。
ドラマティック度・・7 プログレ度・・8 濃密度・・9 総合・・7.5
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Maxwell's Demon「Diablo」
アメリカのシンフォニックロックバンド、マックスウェルズ・デモンの2009作
本作ではギター、ベース、ドラム、シンセという4人編成になり、前作に引き続きハモンドやメロトロンを使用した
ヴィンテージ感のあるシンフォニックロックをやっている。KING CRIMSON的なダークな叙情性と緊張感に、
ストリングスアレンジを含めたクラシカルな感触をもったインスト演奏は、なかなかプログレファンのツボをつく。
ANGLAGARDANEKDOTENに比べると、やや小ぶりな印象なのは惜しいが、なかなかの力作だ。
シンフォニック度・・7 プログレ度・・8 ヴィンテージ度・・8 総合・・7.5
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Melia「Certitudes」
カナダの女性声アンビエントプログレ、メリアの2005年作
SENSEやRED SANDで活躍するギタリストと女性Voによるユニットで、アコースティックギターのつまびきに
うっすらとしたシンセ、美しい女性ヴォーカルのフランス語の歌声で、しっとりとしたサウンドを聴かせる。
ピアノやメロトロンなどの繊細なシンセにやわらかなフルートの音色、コケティッシュな女性声とともに、
アンニュイな翳りを帯びたアンビエントシンフォとして楽しめる。曲によってはドラムやエレキギターも加わって、
All About Eveのようなキャッチーなメランコリックというべき味わいにもなるのだが、とにかくフランス語による
Claudia嬢のヴォーカルが大変キュートで魅力的なので、うっとりと優美なサウンドに聴き入れる。
メロウ度・・8 プログレ度・・7 女性Vo度・・8 総合・・8
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Metaphor 「The Pearl」
アメリカのプログレバンド、メタファーの2018年作
1999年にデビュー、本作は11年ぶりとなる4作目。テクニカルな変拍子リズムにギターとシンセを乗せ、
伸びやかなヴォーカルも加え、キャッチーな優雅さと偏屈な展開力が同居した、シンフォプログレを聴かせる。
いかにもプログレらしいムーグ系シンセの音色や、キャッチーなメロディアス性はKANSAS風であったり、
メロトロンなども含めてオールドなプログレ感触に包まれつつ、ECHOLYNや初期SPOCK'S BEARDにも通じる
90年代以降のドラマティックな構築性が融合している。さらに濃密な大曲などがあれば、堂々たる傑作になっただろう。
なお、シンセ奏者、マルコム・スミスによるソロ「We Were Here」も同様の優雅なシンフォプログの好作品である。
ドラマティック度・8 プログレ度・8 優雅度・8 総合・8 
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MICHAEL BERNIER/RITCHIE DeCARLO
パーシー・ジョーンズ、リッチー・コッツェンともコラボしたドラマー、リッチー・デ・カルロと、
STICK MENでも活躍するスティック奏者、マイケル・ベルニエのユニット。2015年作
ギターとも思えるエフェクトのかかったスティックサウンドと低音のベースサウンドを
手数の多いダイナミックなドラムに乗せた、ジャズロック、ハードフュージョン的なサウンド。
ヴァージル・ドナーティばりのセンスで、テクニカルな変則リズムを叩き出すドラムに、
ギターばりに弾きまくるスティックワークはときにヴァイオリンのような音色にも変化する。
超絶テクニックのナンバーも圧巻で、スティックの可能性を感じさせる強力作だ。
テクニカル度・・9 プログレ度・・7 スティック度・・9 総合・・8
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Michelle Young 「Marked for Madness」
アメリカの女性シンガー、ミッシェル・ヤングの2001年作
GLASS HAMMERにも参加していたシンガーで、本作にはPENDRAGONのクライブ・ノーランや、ピーター・ギーが参加、
彼女の美声で聴かせるしっとりとしたナンバーを中心に、随所にシンフォニックなアレンジやメロウなギターも入ってきて、
やわらかで繊細な叙情を描いてゆく。曲によってはKATE BUSHにも通じるキュートでコケティッシユな感じもある。
プログレ的な要素はさほどないが、クラシカルで優雅な雰囲気に包まれた好作品です。
ドラマティック度・・7 プログレ度・・7 女性Vo度・・8 総合・・7.5
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MIGLIORI AMICI & CO. 「BEST OF FRIENDS」
アメリカのプログレユニット、ミグリオリ・アミシ&COの2022年作
From The Fireなどで活躍するドラムのMichael Sciojoと、Paul Di'Anno's Killersなどに参加するギターのRay DeToneによるユニットで、
Mark Clarke (Colosseum)、Adam Holzman(Jane Getter Premonition)、David J Keyes(元Renaissance)らがゲスト参加。
適度にハードなギターにオルガンを含むシンセを重ねたHR的な感触から、優雅なピアノとシンフォニックなシンセワークに
流麗なギターメロディが重なると、インストのシンフォプログレという趣になる。あくまでギターのフレージングが主体であるが、
Ralph Meriglianoによる美しいシンセがサウンドを彩る、3曲目などの優美な叙情はCAMELあたりに通じる味わいである。
全34分というのが、やや物足りないのだが、オールインストであればこれくらいの長さで丁度よいのかもしれない。
ドラマティック度・7 プログレ度・7 優美度・8 総合・7.5
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MIND FURNITURE「Hoop of Flame」
アメリカのプログレバンド、マインド・ファルニチャーの2007年作
オルガンを含むシンセに適度にハードなギター、ハイトーンヴォーカルを乗せた、
古き良きロック感触のシンフォニックロックで、リズムチェンジを含む展開力もある。
どことなく煮え切らない所は、いかにもB級シンフォらしく、盛り上がりそうで盛り上がらないのだが、
アコースティックギターにチェロの音色が重なる、物悲しい叙情性などはなかなかよろしい。
24分、29分という組曲2つという構成なのだが、さほどスケール感もないし、長尺感が苦手な方には厳しいか。
キャッチーな路線でゆくのか、壮大でゆくのか、どっちつかずの方向性と、メロディのフックを磨いて欲しい。
ドラマティック度・・7 プログレ度・・7 楽曲・・6 総合・・7
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The Minstrel's Ghost 「The Road to Avalon
アメリカのプログレバンド、ミストレルズ・ゴーストの2012年作
ファンタジーなコスプレに身を包んだツインキーボード編成の6人組、
ドラムを叩くのは元The Flower Kingsのソルタン・チョース。サウンドは、
きらびやかなシンセアレンジとメロウなギターによる王道のシンフォニックロックで、
ヴォーカルの声質も含めて、GENESISルーツの雰囲気漂うファンタジックな作風だ。
楽曲はゆったりとしたキャッチーな聴き心地で、全体的にスリリングな要素は薄いが、
ラストの15分の大曲まで、ゆるやかなドラマティックさでじっくりと楽しめる好作品。
メロディック度・・8 プログレ度・・7 ファンタジック度・・8 総合・・7.5



MIRTHRANDIR「For You The Old Women」
アメリカのプログレバンド、ミルスランディアの1976作
アメリカの元祖偏屈系バンドととして、YEZDA ULFAらとともにマニアには密かに知られていたバンド。
GENTLE GIANTを思わせるひねくれた楽曲は、唐突な切り返しの多いせわしないアレンジながらも、
随所にはしっかりとメロディを聴かせる場面もあり、最後まで飽きさせない。
あくまで演奏が中心ながらも、今聴くとハイトーンのヴォーカルもなかなか頑張っていて、
“せわしないYES”というような感覚で、ドラマティックなプログレとしても鑑賞可能。
ラストの14分の大曲まで濃密に突っ走る。年代を考えればかなりの傑作だろう。
メロディアス度・・8 テクニカル度・・8 ひねくれ度・・9 総合・・8
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MoeTar 「From These Small Seeds」
アメリカのプログレ・ロック、モーターの2010/2012年作
表現豊かな女性ヴォーカルの歌声を中心にした、ポップでキャッチーなサウンドで
楽曲アレンジにはいくぶん屈折感を漂わせた、アヴァンロック的なセンスも垣間見せる。
巧みなシンセワークはエレクトロなポップ性を含みつつ、プログレ的なとぼけた味わいもかもしだし、
随所にレコメン系の匂いも感じさせる。エモーショナルな女性声と優雅なアンサンブルという点では、
Bent Kneeにも通じる味わいだ。確かな演奏力で聴かせる、女性声プログレ・アヴァンロックの傑作。
ちなみに、2012年の再発盤では、ジャケが変更されている。
キャッチー度・・8 プログレ度・・7 女性Vo度・・8 総合・・8
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MOETAR 「Entropy of the Century」
アメリカのプログレ・ロック、モーターの2014年作
美しい女性ヴォーカルの歌声を中心にしたポップなサウンドは、前作以上に軽妙な感触で、
2~4分台の楽曲を中心にした、一聴してシンプルであるが、キャッチーな耳心地の中に、
変則リズムをさりげなく盛り込むセンスなどは、Gentle Giant的というか、じつにお洒落である。
テクニックのあるアンサンブルは玄人好みで、メロディのフックと楽曲アレンジのセンスも素晴らしい。
後半にはHenry Cowばりの雰囲気もあり、優雅で軽妙な女性声プログレ・ロックの傑作です。
メロディック度・・8 プログレ度・・8 女性Vo度・・8 総合・・8
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The Moon Pierrot「Illusion」
アメリカのプログレバンド、ムーン・ピエロの2015年作
1991年にロシアでデビュー、復活作となる本作は、G&B&VoのArthur Mountaniolと、Key&Drの2人組ユニットとなっている。
ほどよくハードなギターを変則リズムに乗せ、ユルめのヴォーカルに優雅なシンセも加えて、偏屈なアヴァンギャルド性と
コミカルな味わいが同居したサウンド。10分を超える大曲では、優美なシンセワークとともにプログレ寄りの叙情も覗かせつつ、
9分、11分という大曲なども、とらえどころのない展開とエキセントリックなセンスに包まれる。クラシカルなシンセをバックに
シアトリカルに歌い上げるヴォーカルは、翳りをおびたピーター・ハミル的な雰囲気も感じさせ。ヘンテコなアヴァンプログレ。
ドラマティック度・7 プログレ度・7 アヴァンギャル度・8 総合・7
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Moonstone
カナダ、ケベックのアシッドフォークバンド、ムーンストーンの1973年作
カナディアン・フォークアイテムのレア盤として知られる作品で、これが唯一のアルバム。
美しい女性ヴォーカルの歌声に、アコースティックギターのつまびき、マイルドな男性ヴォーカルも絡む
やわらかな幻想性に包まれたサウンド。どことなく60年代の香りを残したヒッピー、サイケ的なユルさがあって、
たとえば同郷のSEGUINよりも、より素朴で夢見心地の雰囲気。レア度も含めて英国のITHACAあたりに近いか。
音数は多くないが、曲によってはフルートなども入ってきて、ゆったりとしたおおらかさになごめます。
アコースティック度・・8 素朴な叙情度・・9 女性Vo度・・7 総合・・7.5
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Morse Code 「Marche Des Hommes」
カナダのプログレバンド、モールス・コードの1975年作
バンド通り、モールス信号のSEから始まり、オルガンが鳴り響き、ややハードなギターにフランス語の歌声を乗せた、
叙情的なサウンドが広がってゆく。英国ロックからの影響をうかがわせるアンサンブルは、しっかりとしたテクニックもあり、
録音の良さも手伝って、70年代カナダのプログレ作品としては、あまりマイナー臭さを感じさせない。
メロトロンの響きなども、たとえば北欧のバンドとは違って爽快な感触で、やわらかなフルートの音色とともに、
キャッチーなプログレロックという感触で楽しめるのだが、全体的にはこれという盛り上がりがあるでもない
むしろ地味な雰囲気で、シンフォとしてもプログレとしてもやや中途半端な感じがするのが惜しい。
メロディック度・・7 プログレ度・・7 楽曲・・7 総合・・7.5
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Morse Code 「Je Suis Le Temps」
カナダのプログレバンド、モールス・コードの1977年作
メロトロンやオルガンを使ったシンセにロック寄りのギターとヴォーカルを乗せて、
プログレハード的な爽快なサウンドを聴かせる。キャッチーなメロディのフックと洗練されたスタイルは、
後期のYESや、80年代GENESISのようなメジャー感も漂わせ、テクニックのある演奏とともに、
プログレらしさもしっかりと残している。フランス語による歌声が優雅な耳心地をかもしだし、
随所にやわらかなピアノや泣きのフレーズを奏でるギターの叙情性もいいですね。
大曲がないコンパクトな作風である分、シンプルなメロディアス性が前に出てとても楽しめる。
メロディック度・・8 プログレ度・・7 優雅度・・8 総合・・8
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Morse Code 「D'un Autre Monde」
カナダのプログレバンド、モールス・コードの1996年作
70年代に残した3枚の作品はプログレとしての評価が高いが、その後、1983年作はポップなAOR化していた。
本作はそれに続く5作目となる。美しいシンセアレンジにフランス語によるヴォーカルを乗せた、
優雅な味わいのメロディックロックで、どことなくANGEにも通じるフレンチな雰囲気も感じさせる。
TOTOのようなポップなビートのナンバーもありつつ、プログレらしい変拍子もあり、メロディックなギターの叙情と
きらびやかなシンセが重なると、シンフォニックな味わいになって、キャッチーなプログレハードとしても楽しめる。
優美なバラードナンバーなども、フランス語のやわらかな響きとともにゆったりと鑑賞できる。なかなかの好作です。
メロディック度・・8 プログレ度・・7 優雅度・・8 総合・・8 
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MOTH VELLUM
アメリカのプログレバンド、モス・ヴェラムの2008年作
ムーグやメロトロン、エレピを含む美しいシンセワークにメロウで繊細なギターを重ね、
マイルドなヴォーカルとともに、GENESISルーツの優雅な叙情に包まれたサウンドを描く。
10分前後の大曲を中心に、全体的にゆったりとした聴き心地で、スリリングな展開はあまりないが、
オランダのTRIONあたりにも通じる、ヴィンテージ寄りの優美なシンフォプログレが楽しめる。
やわらかなギタートーンにメロトロンが重なるところは、いかにもGENESISライクでにんまり。
ジャケはなんだかモダンな感じだが、内容はオールドな味わいの優雅な逸品です。
メロディック度・・8 プログレ度・・7 優美な叙情度・・9 総合・・8
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Mourning Knight
アメリカのアートロック、モーニング・ナイトの2021年作
2人組のユニットで、アコースティックを含む叙情的なギターにオルガンを含む優美なシンセを重ね、
マイルドなヴォーカルとともに、70年代を思わせるオールドなシンフォプログレを聴かせる。
女性コーラスも加わった牧歌的なヴォーカルメロディと、随所にリリカルな叙情美も覗かせつつ、
アナログ的な録音も含めて、Moody BluesBarclay James Harvestあたりに通じる古き良きサウンドが味わえる。
13分を超える大曲を、1曲目とラストに配するなどドラマティックな構成と、プログレらしい展開力も随所に覗かせる。
ドラマティック度・8 古き良きプログレ度・8 叙情度・8 総合・8

Mystery 「Theatre Of The Mind」
カナダのプログレバンド、ミステリーの1996年作
1992年にEPデビュー、本作は1stフルアルバムで、長らく廃盤だったが、2018年に再発された。
きらびやかなシンセにほどよくハードなギター、ハイトーンのヴォーカルとともに、プログレハード風味の
キャッチーなシンフォニックロックを聴かせる。アコースティックギターや優美なフルートなど、繊細な叙情美と
メロディアスハード的でもあるストレートな爽快さが同居していて、本作の時点でもサウンドの魅力は充分。
プログレ的な展開力はさほどないが、確かな演奏力で厚みのあるシンフォニック・ハードが楽しめる。
ドラマティック度・8 プログレ度・7 叙情度・8 総合・8
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Mystery 「At the Dawn of a New Millennium」
カナダのプログレバンド、ミステリーの1998年作
1992年デビューEP「MYSTERY」、'96年作「THEATRE OF THE MIND」、'98年作「DESTINY?」から選ばれた初期ベストで、
美しいシンセにほどよくハードなギター、伸びやかなヴォーカルを乗せた、キャッチーなプログレハードサウンド。
YESに参加するベノワ・ディヴィッドが加入する2007年作以降に比べても、すでにサウンドは完成されていて、
メロウなギターにシンセを重ねた、YES+GENESISというような優美な叙情ナンバーなども魅力だ。
アコースティックギターやフルートの音色など、繊細さも覗かせつつ、80年代以降のスタイリッシュなプログレハード色を
自然体で融合させるセンスはさすが。ラストは「DESTINY?」収録の15分の大曲で、シンフォプログレファンも満足だ。
メロディック度・・8 キヤッチー度・・8 優美度・・8 総合・・8 
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MYSTERY 「DESTINY?」
カナダのプログレバンド、ミステリーの1998/2009年作
2作目となる1998年作を、10周年記念でジャケを変更してのリマスター再発盤。
美しいシンセアレンジに叙情的なギター、伸びやかなハイトーンのヴォーカルを乗せた
優美なシンフォニックロックはなかなか完成度は高い。ほどよくテクニカルなリズムも含めて、
安定したアンサンブルと演奏力、そしてキャッチーなメロディアス性も含めた聴き心地は
さすがRUSHなどを輩出したカナダのバンドらしい。アコースティックを含むメロウなギターの旋律や
ゲストによるヴァイオリンも加えた叙情美から、RUSHのようなキャッチーなノリのナンバーも味がある。
ラストは15分という大曲で、ドラマティックな展開力で壮麗なシンフォプログレを構築する。
メロディック度・・8 プログレ度・・8 優美度・・8 総合・・8
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MYSTERY「Beneath the Veil of Winter's Face」
カナダのプログレバンド、ミステリーの2008作
80年代に結成、すでにベテランの域にあるバンドで、サウンドはYESを思わせるキャッチーなメロディで聴かせる
美しいシンフォニックロック。本作ではそのYESのライブツアーに参加した、YESトリビュート・バンドのヴォーカルが加入、
ジョン・アンダースンばりの透明感のある歌声を聴かせてくれる。メロディアスなギターフレーズと美麗なシンセによって
爽やかに彩られた楽曲は音の厚みも充分。スリリングなドラマ性よりもプログレハード的な爽快感が気持ちいい。
シンフォニック度・・8 メロディアス度・・8 ドラマティック度・・7 総合・・8
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MYSTERY 「One Among the Living」
カナダのプログレバンド、ミステリーの2010作
結成は80年代というベテランで、元YESのヴォーカル、ベノワ・デイヴィッドが在籍することでも知られる。
透明感のあるやわらかなヴォーカルと美しいシンセアレンジに、やはりイエスを思わせるキャッチーなメロディと
ベテランらしい確かな構築力で聴かせる、プログレハード風味のシンフォニックロック。22分におよぶ組曲も含めて、
全体的に優美な聴き心地の中に、たとえばPALLASのようなコンセプト的でドラマティックな展開美が光っている。
センスあるシンセワークとともに適度にハードエッジなギターが音を厚くしていて、YESを重厚にしたような力作ともいえる。
ドラマティック度・・8 キャッチー度・・8 プログレ度・・8 総合・・8
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MYSTERYThe World Is A Game」
カナダのプログレバンド、ミステリーの2012年作
80年代から活動するベテランで、ヴォーカルのBENOIT DAVIDはYesの元メンバーとしても知られる。
サウンドは、キャッチーなメロディで聴かせるプログレハードで、そこにシンフォニックな味付けと
適度にテクニカルな展開力をもたせたクオリティの高さが光る。本作では美しいシンセアレンジに加え、
哀愁を含ませた繊細な叙情性も強まっていて、メロウな泣きのギターはPENDRAGONなどを思わせる。
ラストは19分の大曲で、Yesを思わせる構築センスが見事。優しい耳心地のシンフォニックロックとして楽しめる傑作だ。
メロディック度・・8 プログレハー度・・8 繊細度・・8 総合・・8
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Mystery 「Tales from the Netherlands」
カナダのプログレバンド、ミステリーのライブ作。2014年作
80年代から活動する、なにげにキャリアのあるバンド。本作は2013年オランダでのステージを2CDに収録。
メロディックなギタートーンとやわらかなシンセワーク、そして元Yesのベノワ・ディヴィッドの優雅な歌声で、
繊細で叙情的なシンフォニックロックを聴かせる。Disc1、2にそれぞれ20分前後の大曲を配置し、
じっくりと世界観を構築してゆく実力はさすがに中堅バンドである。Genesis的でもあるウェットな雰囲気に
Yesのようなキャッチーさを加え、メロウな泣きの叙情という点では、PENDRAGONなどにも引けを取らない。
ゆるやかなダイナミズムとシンフォニックな美意識をしっかりと含んだ、見事なライブ作品です。
ドラマティック度・・8 ライブ演奏・・8 泣きの叙情度・・9 総合・・8 
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Mystery 「Delusion Rain」
カナダのプログレバンド、ミステリーの2015年作
前作まで参加していた元Yesのベノワ・デイヴィッドは脱退して、新たにフルートもこなせるヴォーカルが加入、
サウンドの方はキャッチーなメロディに、キャリアのあるバンドらしい大人の哀愁をにじませた聴き心地で、
新Voの伸びやかな歌声も前任者と遜色ない。10分、19分という大曲を含む、シンフォニックロックとしての
繊細さとダイナミズムを過不足なく盛り込んで、泣きの叙情とともに盛り上がる、メロディのセンスもさすが。
全盛期のPENDRAGONばりの叙情性と北米のバンドらしい抜けの良さを、確かな演奏力と歌唱で構築する、
このクオリティの高さというのは、ひとつ抜きに出た存在と言えるだろう。泣きメロ派は必聴の力作ですな。
ドラマティック度・・8 プログレ度・・7 大人の叙情度・・9 総合・・8
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MYSTERY 「SECOND HOME」
カナダのプログレバンド、ミステリーのライブ。2017年作
1996年デビュー、いまやカナダを代表するプログレバンドのひとつ。本作は2016年のオランダでのライブを2CDに収録。
2015年作「Delusion Rain」からのナンバーを中心に、過去曲からのナンバーも多数演奏。安定したリズムの上に、
叙情的なギターとシンセを重ね、表現力あるヴォーカルで、ゆったりとウェットなメロディックロックを聴かせる。
厚みのあるサウンドは、ときにDREAM THEATERなどを思わせる感触もあり、薄暗いプログレハードとしても楽しめ、
一方では過去曲でのキャッチーなスタイルもまじえつつ、ベテランらしい確かな演奏力とシンフォニックな音の重ねで、
じっくりと大曲を描いてゆく。Disc2には優美な叙情のプログレ大曲を3連発。CD2枚で合計142分。お腹いっぱいのライブ作。
ライブ演奏・・8 プログレ度・・7 叙情度・・9 総合・・8 
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MYSTERY 「Lies and Butterflies」
カナダのプログレバンド、ミステリーの2018年作
1992年にデビュー、YESに参加したブノワ・デイヴィッドも在籍していたバンドで、本作は7作目となる。
のっけから17分近い大曲で、やわらかなシンセアレンジにほどよくハードで叙情的なギターを重ね、
マイルドなヴォーカルとともに、翳りを帯びた優美な叙情に包まれたシンフォニックロックを聴かせる。
メロウな泣きのギターは、PENDRAGONにも通じる味わいで、ときにフルートの音色も加わって、
YES + GENESISというようなキャッチーな優雅さに包まれる。伸びやかな歌声の表現力も素晴らしい。
派手な展開はないものの、繊細な叙情美をゆったりと味わうには最高のシンフォプログレと言えるでしょう。
ドラマティック度・・8 プログレ度・・7 叙情度・・9 総合・・8.5 
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MYSTERY 「LIVE IN POZNAN」
カナダのプログレバンド、ミステリーのライブ。2019年作
本作は、2019年ポーランドでのライブを2CDに収録。2018年作「Lies And Butterflies」からの全曲に、
過去曲からのナンバーもたっぷりと演奏。優美なシンセワークとメロウなギターにマイルドなヴォーカルを乗せ、
翳りを帯びた叙情を描くサウンドは、確かな演奏力も含めて、MARILLIONなどにも通じる雰囲気も漂わせる。
2015年作から加入した、ジャン・パジャーの優しくエモーショナルなヴォーカルも楽曲によくマッチしていて、
ツインギターにシンセを重ねた厚みのあるサウンドとともに、優雅な大人のシンフォニックロックを聴かせてくれる。
10分を超える大曲も多く、2CDで合計156分というボリューム。全体的にゆったりとした味わいで鑑賞できるライブ作品。
ライブ演奏・・8 プログレ度・・7 叙情度・・9 総合・・8
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NATHAN MAHL「Parallel Eccentricities」
ギー・ルブラン率いるカナダのプログレバンド、ネイサンマールの1st。1982作
弾きまくりのキーボードを中心にした、プログレ・ジャズロックサウンドはこのデビュー作から炸裂しており、
どこを切ってもELP + HAPPY THE MANともいうべき、たたみかけるような熱い演奏が聴ける。
30分弱だがおなかいっぱい。1999年の再リリース盤にはバンドのヒストリーが見られるCD-ROMトラック入り。
メロディアス度・・7 テクニカル度・・8 濃密度・・9 総合・・7.5
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MAHL DYNASTY
カナダのプログレバンド、NATHAN MAHLのGuy LeBlancによる、未発表音源集。1991年作
1982年にデビューした、ネイサン・マールは1作を残して活動休止、その後1998年に復活作を出すのだが、
本作はその活動休止期間に作られた貴重な音源を収録。音質はいかにもデモという感じのラフなものだが、
ガイ・ルブランのきらびやかなシンセワークにサックスが鳴り響く、テクニカルなプログレ・ジャズロックが楽しめる。全15曲71分
メロディアス度・・7 テクニカル度・・8 ジャズロック度・・7 総合・・7.5

NATHAN MAHL「THE CLEVER USE OF SHADOWS」
カナダのテクニカル・シンフォバンド、ネイサンマールの2nd。1998年作
じつに16年ぶりとなる復活作で、ハッピーザマンやキャメルをうんとテクニカルにしたというようなサウンドはさらに磨きがかかり、
せわしないリズムの上をメロディアスなギターときらびやかなキーボードで彩られたインストサウンドに圧倒される。
曲の起承転結のなさという点では、ジャズロック的な側面もあるといえるだろう。濃密なテクニカル・プログレ・ジャズロック。
メロディアス度・・7 テクニカル度・・8 ジャズロック度・・7 総合・・7.5
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NATHAN MAHL「HERETIK VOLUME I」
カナダのプログレバンド、ネイサンマールの3rd。2000年作
80年代にデビューするも1作を残して解散、その後1998年に復活を遂げる。シンセ奏者のGuy LeBlancは、
のちにCAMELにも参加する名奏者である。復活後2作目となる本作は、3部作に分かれた壮大なコンセプトの1作目で、
キーボードによるきらびやかで美しいメロディとともに、テクニカルな部分をも際立たせる快作となった。
HAPPY THE MANばりのせわしない展開とCAMEL的でもある優美な叙情が絶妙に絡み合う様は、
大変濃密で、コテコテのテクニカル系シンフォプログレとしては、とても高いクオリティを誇る力作となっている。
メロディアス度・・8 テクニカル度・・8 濃密コテコテ度・・9 総合・・8
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NATHAN MAHL「HERETIK VOLUME II」
カナダのテクニカルシンフォバンド、ネイサン・マールの4作目。2001作。
「ヘレティック」三部作の2作目ということで、今回ものっけから23分の大曲で始まる。
EL&P的な弾きまくりキーボードに、案外ハードめなギターも加わり、シンフォニックにたたみかける。
ギー・ルブラン氏の楽曲アレンジもだいぶこなれてきていて、楽曲はただ押しまくるだけではなく、
キャッチーでコミカルな部分や、反対にゆったりとしたパートもあって、なかなか起伏に富んでいる。
またジャズロック風の要素もあって、しっとりと聴かせるピアノの美しさなども見事なものだ。
ギターの弾くメロディの良さも効果的で、全体的にも質の高い傑作。三部作とも聴くべし。
メロディアス度・・8 プログレ度・・8 濃密度・・9 総合・・8
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NATHAN MAHL「HERETIK VOLUME III」
カナダのテクニカルプログレバンド、ネイサン・マールの5作目。2002年作
「HERETIK」シリーズ三部作の完結編は、なんと全一曲54分という気合の入った構成となった。
今回もほぼオールインストで、変拍子リズム込みの軽快でテクニカルな演奏を全編で堪能出来る。
HAPPY THE MANにも通じる切れ味に加え、EL&Pばりに弾きまくりのキーボードによる楽曲は
あきれる程にコテコテでありながらも、この手のプログレ好きには当然のように受けることだろう。
ただし、テクニック、メロディセンスともによろしいのであるが、50分も続けてこれを聴かされると
なんだか自分が本当にプログレを好きなんだか疑問をもってくるような気もしないでもないが。笑
三枚立て続けに好きな音楽性を続けられるというのが商業にとらわれないプログレの良い面ではあるが、
反面、もう少し自己抑制を身に付けたシンプルさが欲しいな、などとつい思ってしまう。
ちゃんと聴き込む時間と体力があるリスナーにとっては、テクニカルシンフォとしては必聴クラスの力作だ。
メロディアス度・・7 テクニカル度・・8 コッテリ50分1曲度・・10 総合・・8
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NATHAN MAHL「SHADOWS UNBOUND」
カナダのシンフォニックロックバンド、ネイサン・マールの2003年作
2nd「THE CLEVER USE OF SHADOWS」の大曲3曲をリレコーディングし、
5人編成となっての新曲をまじえて構成されたアルバム。ギー・ルブランのきらびやかなシンセワークを中心に
フュージョン的なテクニカルな軽やかさと、シンフォニックロックの濃密さが合わさった、
彼らのサウンドの原点というべき雰囲気が味わえる。かつてのような押しまくりのサウンドだはなく、
随所に繊細な叙情も盛り込んだ聴き心地で、アーティストの成熟も感じさせる好作品である。
シンフォニック度・・8 テクニカル度・・8 軽妙度・・8 総合・・8
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NATHAN MAHL「LIVE at NEARFEST 1999」
カナダのテクニカル・シンフォバンド、ネイサン・マールのライブ作。2003年作
1999年、アメリカNEARFESTでのライブを収録。 2ndの曲を中心に、当時の新作「HERETIK」からも1曲披露。
ギー・ルブランの華麗なシンセワークを主体にした、テクニカルな展開が光るキーボードプログレサウンドで、
随所にギターによる叙情的なフレーズや、ジャズロック的な軽やかな優美さも垣間見せながら、
EL&P + HAPPY THE MANというような雰囲気で、濃密かつメロディアスにたたみかける。
ドラムの音がややラウドであるが、ライブならではの生々しい演奏が楽しめる。
シンフォニック度・・8 テクニカル度・・8 ライブ演奏・・8 総合・・7.5
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NATHAN MAHL「EXODUS」
カナダのシンフォニックロックバンド、ネイサン・マールの2008年作
1982年にデビュー、シンセ奏者のギー・ルブランを中心としたキーボードプログレで、
3部作の濃密なシンフォニックロック大作、「HERETIK」シリーズを完成させるなど、コアなファンの間では評価も高い。
本作は5年ぶりとなるアルバムで、タイトル通り、旧約聖書の「出エジプト記」をコンセプトにしている。
のっけからドラマティックな雰囲気で幕を開け、NEAL MORSEばりのキャッチーな歌メロに、
メロディックなギタープレイに重なるヴァイオリンなどはKANSASを思わせるような雰囲気もある。
テクニカルに押すだけではなく、これまでになく余裕のある大人のアンサンブルが加わっていて、
軽妙なノリが耳心地よく、なおかつドラマティックな部分での叙情も味がある。これは見事な傑作。
シンフォニック度・・8 ドラマティック度・・8 軽妙度・・8 総合・・8
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Nathan Mahl 「Justify」
カナダのプログレバンド、ネイサン・マールの2014年作
1982年にデビュー、CAMELにも参加したシンセ奏者のギー・ルブランを中心とした濃密なキーボードプログレで、
最高傑作となった前作から6年ぶりとなるアルバム。のっけからロック的なギターを中心にした軽快なアンサンブルで、
オルガンなどのシンセはいくぶん控えめな印象。前作に比べるとドラマティックな濃密さでは、いくぶん物足りなさもあるが
全体のバランスを考えて構成された、力まず自然体で作られたような聴き心地である。もちろんオルガンやピアノなど、
ギー氏の鍵盤も随所にさすがという旋律を覗かせる。やわらかな聴き心地の歌ものなどもあり、渋みのある好作品である。
CAMELのアンディ・ラティマーがゲスト参加。ギー・ルブラン氏は2015年に死去、はからずもこれが遺作となってしまった。
ドラマティック度・・7 プログレ度・・7 キーボー度・・7 総合・・7.5
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NAVIGATOR 「PHANTOM SHIPS」
アメリカのプログレバンド、ナヴィゲーターの2014年作
2002年にデビュー、本作は8年ぶりとなる3作目。のっけから17分という大曲で、
ほどよくハードなギターにオルガンやムーグを含シンセを重ね、ジェントルなヴォーカルを乗せて、
KANSASなどにも通じるキャッチーなプログレサウンドを聴かせる。メロディックなギターフレーズに
哀愁を含んだヴォーカルの歌声で雄大な叙情を描くところは、NEAL MORSEなどを思わせる雰囲気もあり、
全体的にスリリングな展開は希薄ながら、ゆったりとしたドラマ性とともにじわじわと盛り上げる。
GENESIS
ルーツの優美なナンバーも含め、プログレらしいロマンに包まれた全65分の力作です。
ドラマティック度・・8 プログレ度・・8 叙情度・・8 総合・・8
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NEAL MORSE「THE TRANSATLANTIC DEMOS」
ニール・モーズを中心としたスーパーバンド、トランスアトランティックのデモ音源。2003年作
打ち込みのドラム以外は全て自身による演奏で、デモとはいえすで曲としてもきっちりと完成しており、
後のアルバムにおけるメロディや曲展開はこの時点でおおかた固まっていたようだ。
これを聴くとTRANSATLANTICというプロジェクトのアイデアの大半はこのニール・モーズの
持っていたものであったことが分かり、また正規アルバムと聴き比べるなどして楽しむことができる。
メロディアス度・・8 楽曲完成度・・8 デモなのに高品質度・・8 総合・・7.5
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NEAL MORSE「TESTIMONY」
SPOCK'S BEARDのVo/KEY、ニール・モーズの2003年作
宗教活動を理由にスポックス・ビアードを脱退したニールだが、それから1年もたたずしてプログレ界に復帰。
これも神の啓示なのか(笑)どうかはともかく、内容は長大な5つの組曲を連ねたCD2枚組の大作
SPOCK'S BEARD時代以上にシンフォニックしており、ある種の吹っ切れさえも感じられるサウンドである。
マイク・ポートノイがドラムを叩いていることもあって、かなりTRANSATLANTICに接近した音で
もしギターがロイネだったら、まんまトランスアトランティックの新作になっていたかもしれない。
ニールの歌唱は、やはり神に触れて感化されたのか(笑)やさしさと温かさとに満ちており、
自身のピアノ、キーボードワークもやわらかなレトロさと壮大なシンフォニック性のバランスが見事。
宗教しながらこんないいアルバムを作れるのなら、ファンにとってはスポビ脱退もOKだろう。
メロディアス度・・8 シンフォニック度・・9 楽曲・・8 総合・・8◆プログレ名作選入り
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NEAL MORSE「TESTIMONY LIVE」
SPOCK'S BEARDニール・モーズのライブDVD。2004年作
盟友であるマイク・ポートノイをはじめ、8人のメンバーによるステージで、5パートに分けられた組曲形式で進行する楽曲は、
まさに自身の内面をつづった壮大な映画のようだ。ヴァイオリン、チェロといった管楽器に、時にパーカッション、フルート、サックスも入り、
アルバム以上にダイナミックで、厚い音の重なりは感動的な盛り上がりをみせる。メンバーたちの姿は、心から音楽を楽しんでいるかのようで、
キーボードにギター、そしてヴォーカルをこなすニールの情感の入ったパフォーマンスが印象的。ゆるやかな叙情と
プログレッシプなパートとのメリハリのつけ方も上手く、一流の演奏陣による、メロディアス・シンフォニックロックがたっぷり堪能できる。
DISC2では、アンコールとしてTRANSATLANTICの曲も演奏していて、大曲「STRANGER IN YOUR SOUL」では、ヴァイオリンの効果もあっていっそう感動的。
シンフォニック度・・8 ライブ映像・・7 ライブ演奏・・9 総合・・8
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NEAL MORSE「ONE」
SPOCK'S BEARDニール・モーズの2004年作
今回も前作同様コンセプチュアルなシンフォニックロックを聴かせてくれる。
ドラムにはおなじみマイク・ポートノイ、今作もヴァイオリンやチェロ等のゲスト迎え
盛り上げ所はとことんシンフォに、やさしい所はおだやかに、そしてキャッチーさも有りと
全80分、たっぷり詰め込んでおります。安心、シンフォニック印のニール・モーズ(笑)
もはや新鮮さはないですが、ハズレもなしということで、ファンなら当然買いですな。
シンフォニック度・・8 ドラマティック度・・8 楽曲・・8 総合・・8
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NEAL MORSE「?」
SPOCK'S BEARDニール・モーズの2005年作
スポビ脱退後の3作目で、いつものようにドラムにはマイク・ポートノイが参加、
ゲストにロイネ・ストルトスティーブ・ハケットジョーダン・ルーデスという凄いメンツが名を連ねる。
今回もストーリー付きのコンセプト作らしく、いつものニール節メロディがたっぷり聴けるメロディアスなもので、
テクニカルに、キャッチーに、ときにジャジーに、しっとりと、起伏に富んだドラマティックな構築力はさすが。
上記の豪華ゲストたちの演奏も、曲中に自然体で折り込まれ、ヴァイオリン、チェロ、サックス、コーラス隊なども
ここぞとサウンドを盛り上げる。もはや音に新鮮味はないが、プログレ作りの名人たるニールの腕が冴える。
シンフォニック度・・8 メロディアス度・・8 新鮮度・・7 総合・・8
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NEAL MORSE「ONE DEMOS」
アメリカのシンフォニック職人、ニール・モーズのデモ音源集。2007年作
SPOCK'S BEARD脱退後のソロ2作目、2004年のアルバム「ONE」のデモ音源集で、
ドラム以外は全て自身による演奏で、楽曲はほぼアルバムに近いアレンジで完成されている。
デモとはいえクオリティはとても高く、ファンであれば完成版と聴き比べるなどして楽しめる。
メロディアス度・・8 楽曲完成度・・8 デモなのに高品質度・・8 総合・・7.5
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NEAL MORSE「Sola Scripture」
アメリカを代表するシンフォニック職人、ニール・モーズの2007年作
今作は宗教改革で有名なルターをモチーフにしたコンセプト作で、ドラムにはおなじみのマイク・ポートノイ、
ゲストにはポール・ギルバートの名前もある。のっけから30分近い大曲で、いつものようにメロディアスかつドラマティックな
シンフォニックサウンドが全開。続く2曲目も25分の大曲で、全4曲75分という力作だ。きらびやかキーボードワークと
キャッチーなヴォーカルメロディで、テクニカルな部分としっとりとしたメロディアスパートを含んだ緩急自在の曲展開を見せつける。
そしてここぞという場面では、ストリングスなどでぐっと盛り上げてゆくその緻密なアレンジ力はさすがである。
テーマがテーマだけに、もう少し荘厳な雰囲気が欲しかった気もするが、質は相変わらず高い。
シンフォニック度・・8 プログレ度・・7 新鮮度・・7 総合・・8
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NEAL MORSE「? LIVE」
アメリカのシンフォニック職人、ニール・モーズのライブ作。2007年作
オランダでのライブステージでメンバーも地元のミュージシャンを起用。
Disc1はアルバム「?」の完全再現で、ポートノイ等は不参加ながら、
演奏陣の実力もなかなかのもので、ダイナミックなサウンドを繰り広げる。
DIsc2では「One」からの曲を中心にドラマティックに盛り上げつつ、
アンコールではなんとTRANSATLANTICSPOCK'S BEARDのメドレーを演奏。
ドラマティックなシンフォをたっぶりと堪能でき、ニールファンならば押さえておきたい。
シンフォニック度・・8 ライブ演奏・・8 新鮮度・・7 総合・・8
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NEAL MORSE 「Sola Scriptura & Beyond」
ニール・モーズのライブDVD。2008年作
本作はオランダ公演のステージを収録したライブ作品で、メンバーは現地の若手ミュージシャンのようだが、
複雑かつ長大な楽曲を的確にこなしてゆく演奏力はなかなか見事で、トリプルシンセを含む六人編成による
厚みのあるサウンドはじつにシンフォニックである。軽快に鍵盤を弾きつつ、ときににギターを弾き、
熱唱するニールの姿は、ややオヤジにはなったが、音楽が好きでたまらないといった情熱に満ちている。
ソロ作「One」の大曲から始まり、「SOLA SCRIPTURA」の組曲、「?」メドレー、「Testimony」メドレーと、
これまでのソロアルバムからの楽曲をまんべんなく網羅し、どの曲も山あり谷ありの展開と、
テクニカルかつエモーショナルな演奏を聴かせてくれる。とくに少年めいた顔のギタリストのプレイや、
ドラマーのテクニックはなかなか素晴らし、シンセ奏者でもある女性メンバーのコーラスなども随所で効いている。
SPOCK'S BEARDTRANSATLANTICからの楽曲も披露してくれて、まさにおなかいっぱいの170分である。
Disc2には「?」ツアーのライブ映像、リハーサル風景などを収録。とてもいっぺんには見きれないボリュームだ(笑)
ライブ映像・8 ライブ演奏・8 おなかいっぱい度・9 総合・8
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NEAL MORSELifeline
アメリカのシンフォニック職人、ニール・モーズの2008年作
スポビ脱退後5作目となる本作も、相変わらずドラマティックなシンフォニックプログレで、
オルガンやメロトロンの音色を含むレトロかつきらびやかなシンセワークを中心に、
キャッチーな歌メロとコーラスハーモニーを乗せ、ときにProgMetal的なテクニカルさも見せつける。
今作もドラムを叩くのはマイク・ポートノイで、やはり随所にDREAM THEATER的な雰囲気もある。
タイトルからして命綱を伝って生還するというようなコンセプトがあるのだろうか。ドラマ性のある流れで
ラストは感動的に盛り上げる。28分の大曲も含めて大変に濃密なシンフォニックロック作品だ。
シンフォニック度・・8 テクニカル度・・8 安心クオリティ度・・9 総合・・8
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NEAL MORSE「So Many Roads」
アメリカのプログレ/シンフォニック職人、ニール・モーズの3枚組みライブアルバム。2009年作
本作は2008年のヨーロッパツアーからの収録で、演奏陣はDVD作品のメンツと同じオランダ系ミュージシャン。
SPOCK'S BEARDの傑作「Ⅴ」からの曲で幕を開け、相変わらずキャッチーなメロディで爽快に聴かせる
ニール節のシンフォニックロックが炸裂。演奏陣の安定感も抜群で、山あり谷ありでドラマティックに展開してゆく
楽曲たちは圧巻だ。アルバム「?」「Testimony」の各30分オーバーのメドレーに、アルバム「Lifeline」の大曲、
そしてラストはTRANSATLANTICからの“Stranger in Your Soul”~“Bridge Across Forever”という構成で、
CD3枚、合計3時間半を超えるという大ボリューム。まさにNEAL MORSEのシンフォニック祭りである。
シンフォニック度・・8 ドラマティック度・・9 ライブ演奏・・8 総合・・8
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NEAL MORSETestimony 2
アメリカのシンフォニックプログレ、ニール・モーズの2011年作
スタジオアルバムとしては2008年作に続く6作目で、当然のように今回も盟友マイク・ポートノイが
ドラムにて全面参加している。Disc1は22分、22分、32分という長大な組曲3曲による構成で、
のっけからシンフォニックな叙情とキャッチーな哀愁ともいうべきニール節が押し寄せてくる。
当然ながらTRANSATLANTICのような、山あり谷ありの構築性と展開力もあり、
ゆるやかに盛り上げてゆくドラマティックな手法はいかにもニールモーズというところ。
これまでの作品以上に新鮮味があるということはないが、安心して楽しめる高品質作品である。
シンフォニック度・・8 ドラマティック度・・8 新鮮度・・7 総合・・8
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NEAL MORSE「Testimony Two-Live in Los Angeles
アメリカのシンフォニック職人、ニール・モーズのライブCD+DVD5枚組。2011年作
TRANSATLANTICの方でも大活躍のニールであるが、ソロの方でも大ボリュームのボックスが登場。
CDのDisc1、2は、過去のソロ作からの楽曲をたっぷりと演奏。ドラムには盟友マイク・ポートノイを迎え、
安定感抜群のテクニックと、変幻自在のニールのシンセによる、爽快なシンフォニックサウントが炸裂。
キャッチーなメロディとコーラスハーモニーでドラマティックに展開する、どこを切ってもニール節という
楽しげな演奏に聴いていて笑みが浮かぶ。Disc3では80分に及ぶ「Testimony 2」を完全再現、
正直、新鮮な感動はもうあまりないのだが、やっぱりお腹いっぱい、安心のニールモー祭りである。
2枚のDVDには同ライブの映像に、SPOCK'S BEARDとのコラボ、ツアードキュメンタリーも収録。
ドラマティック度・・8 ライブ演奏・・8 ニールモー祭り度・・10 総合・・8
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Neal Morse「Momentum
アメリカのシンフォニック職人、ニール・モーズ2012年作
TRANSATLANTICFLYNG COLORSなどでも活動しながら、ソロの方でも多作ぶりを発揮している。
いつもながらのニール節のきらびやかなシンセワークと、盟友マイク・ポートノイの手数の多いドラムで
軽快かつキャッチーに聴かせるサウンドは、「ロイネのいないTRANSATLANTIC」といってもよいような雰囲気だ。
目玉は33分にもおよぶ長大な組曲で、山あり谷ありのテクニカルなインストパートと、ストリングスアレンジを含んだ
壮麗なシンフォニック要素が合わさり、メロディアスにして優雅な聴き心地である。いつも通りの安心クオリティで、こうなると、
もはやトランスアトランティックでもソロでも変わらない気もするのだが、やはり完成度、密度の点で傑作と言わざるをえない。
メロディック度・・8 プログレ度・・8 安心ニール印度・・10 総合・・8
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Neal Morse 「Momentum Live」
アメリカのプログレアーティスト、ニール・モーズのライブ。2013年作
2012年のニューヨーク公演のステージを、3CD+2DVDに合計175分収録。2012年作「Momentum」からのナンバーを中心に、
2003年作「TESTIMONY」、2005年作「?」、2007年作「Sola Scriptura」からの抜粋組曲などを演奏。
ときにトリプルシンセにもトリプルギターにもなるという6人編成で、手数の多いマイク・ポートノイのキレキレのドラムに、
厚みのあるツインギターにオルガンの音色が重なり、ニール・モーズの歌声を乗せた、テクニカルかつキャッチーなプレイが繰り広げられる。
全員がコーラスをとるハーモニーの美しさや、ときにシンセからヴォーカル、ギターにも持ち替えるニールの姿も楽しげだ。
オーディションで加わった3人のメンバー…Adson Sodreの技巧的なギターワークはサウンドにハードなエッジをもたらし、
シンセ&ギターをクールに使い分ける、Eric Gillette、オルガンやムーグを含めたシンセにヴァイオリン、サックスもこなす、Bill Hubauerと、
それぞれがマルチな能力を発揮。全体的には、なにせ大曲が多いので、さすがに途中で聴き疲れしてくるのだが、
卓越したミュージシャンたちの作り出すグルーブと表現豊かな演奏が楽しめる。ニールモーファンは必携です。
ライブ演奏・・9 ライブ映像・・8 お腹いっぱい度・・9 総合・・8.5
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The Neal Morse Band 「The Grand Experiment」
アメリカのプログレ職人、ニール・モーズ率いるバンドの2015年作
ドラムにはおなじみのマイク・ポートノイ、AJALONのランディ・ジョージを迎えて、バンド名義での作品となった。
キャッチーなコーラスワークに、オルガンを含んだシンセアレンジで聴かせる爽快なサウンドで、
メロディの抜けの良さはやはり、ニール・モーズのソロ諸作やTRANSATRANTICにも通じる聴き心地だ。
新加入のEric Gilletteのギターとヴォーカルも見事に楽曲を彩っていて、ときにニールとのツインヴォーカルで
心地よいハーモニーを聴かせる。ラストは26分の大曲で、テクニカルなダイナミズムとやわらかな叙情性で、
じわじわと盛り上げてゆく。ニールやトランスアトランティックのファンには安定、安心の力作ですな。
ドラマティック度・・8 プログレ度・・8 ニール・アトラン度・・9 総合・・8
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The Neal Morse Band 「ALIVE AGAIN」
アメリカのプログレアーティスト、ニール・モーズのライブ。2016年作
ソロ名義での活動を、新たにバンド名義へと発展させ、2015年には「The Grand Experiment」を発表、
本作は2015年のツアーからオランダ公演のステージを2CD+DVDに収録。マイク・ポートノイ、ランディー・ジョージの盟友二人に、
2012年からオーディションで加わった、シンセのビル・ヒューバウアー、ギターのエリック・ジレットを含めた5人編成で、
同作からのナンバーを中心に、メロディックかつダイナミックな楽曲を展開。全員がコーラスをとるハーモニーの美しさに、
アンサンブル的にもますます強固になったケミストリーで、表情豊かなサウンドを描いてゆく。ポートノイのキレのあるドラムは言わずもがな、
エリックのギターはクールでときに叙情的、渋みを増したニールの歌声を乗せて、緩急ある展開の中でドラマティックな高揚感が何度も訪れる。
中盤ではアコースティックナンバーも挟みつつ、タイトル組曲では全員が楽器持ち替えての妙技も見せつけ、
凄腕のメンバーたちの演奏が合計140分強にわたってたっぷり堪能できる。ニールモー好きは当然必見。
プログレ度・・8 ライブ演奏・・9 ライブ映像・・8 総合・・8.5 
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The Neal Morse Band「The Similitude of a Dream」
アメリカのプログレ職人、ニール・モーズ率いるバンドの2016年作
バンド名義の作品としては2作目で、イギリスの教役者/文学者John Bunyanの「THE PILGRIM'S PROGRESS(天路歴程)」をテーマにした
CD2枚組のコンセプトアルバム。本作も、盟友マイク・ポートノイのドラムと、ランディ・ジャクソンのベースという鉄壁のリズム隊をバックに、
プログレらしいシンセワークとメロウなギターを乗せ、マイルドなヴォーカルを含むキャッチーな抜けの良いシンフォプログレを聴かせる。
テクニカルな展開力とメロディックな爽快さが合わさった、TRANSATLANTIC以降のスケール感あるサウンドは円熟に域に達している。
前作から加入のエリック・ジレットのギターとヴォーカルも、ときにサウンドのフロントを担っていて、ニールの渋みのある歌声とのコントラストが
楽曲にぐっと厚みをもたらしている。泣きの叙情と共にドラマティックに盛り上がる流れは、お約束ながらも聴き手の涙腺を刺激する。
ポール・ホワイトヘッドの手によるイラストを散りばめたブックレットも含めて、トータルな完成度の点でも代表作となりうる力作である。
ドラマティック度・・9 プログレ度・・9 ニールモー度・・9 総合・・8.5 
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Neal Morse 「Morsefest 2015 Sola Scriptural And ? Live」
アメリカのプログレアーティスト、ニール・モーズのライブ。2017年作
2015年に行われた、その名も「モーズ・フェスト」の2日間のライブステージを、4CD+2DVDに収録。
盟友マイク・ポートノイとベースのランディー・ジョージに、2012年から加わった、シンセのビル・ヒューバウアー、
ギターのエリック・ジレットの5人編成で、2015年作「The Grand Experiment」からのナンバーで幕を開け、
軽妙なアンサンブルにキャッチーなコーラスハーモニーを乗せた爽快なサウンドが広がってゆく。
若きギタリスト、エリック・ジレットの腕前も相当なもので、ベテランのリズム隊にも負けない存在感。
ときにフルートやヴァイオリン、チェロ奏者、ブラスにコーラス隊が加わり、初期のソロ作からの大曲から、2005年作「?」と、
2007年作「Sola Scripture」の完全再現に、ドラムにニック・ディヴァージリオを迎えてのSPOCK'S BEARDのナンバー、
アンコールのTRANSATLANTIC「旋風」メドレーまで、全5時間近くにおよぶ、まさにお腹いっぱいのニールモーズ祭り。
ライブ演奏・・8 ライブ映像・・8 濃密度・・9 総合・・8 
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The Neal Morse Band 「The Similitude Of A Dream - Live In Tilburg 2017」
アメリカのプログレ職人、ニール・モーズ率いるバンドのライブ作品。2018年作
2016年作「The Similitude of a Dream」完全再現した、オランダ、ティルブルフでのライブを2CD+2DVDに収録。
盟友マイク・ポートノイに、ランディ・ジョージ、エリック・ジレット、ビル・ヒューバウアーという不動のメンツで、
厳かなンントロから、美麗なシンセとメロディックなギターとともに、キャッチーで軽やかなアンサンブルを展開、
躍動感あるポートノイのドラムとともに、スタジオ盤以上にダイナミックで華麗なシンフォプログレを構築してゆく。
ときに12弦ギターを奏でながら、渋みの増した歌声を聴かせるニールに、エリック・ジレットの巧みなギタープレイ、
厚みのあるコーラスハーモニーも見事で、息の合ったメンバーたちの演奏が映像的にも楽しめる。計145分の壮大なライブです。
ドラマティック度・8 ライブ演奏・9 壮大度・9 総合・8 
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The Neal Morse Band 「Morsefest! 2017: Testimony Of A Dream」
アメリカのシンフォプログレ職人、ニール・モーズ率いるバンドのライブ作品。2018年作
2017年アメリカで行われた2日間のステージを、4CD+2DVDに収録。盟友マイク・ポートノイとベースのランディー・ジョージ、
シンセのビル・ヒューバウアー、ギターのエリック・ジレットの5人編成で、Disc1には、2008年作「Lifeline」からのナンバーと、
2011年作「TESTIMONY TWO」Disc2収録の大曲を披露。ポートノイの巧みなドラムにエリック・ジレットの抜群のギターワークを含め、
キャッチーかつテクニカルな絶品の演奏で盛り上げる。Disc2は「TESTIMONY TWO」Disc1の完全再現で、ストリングスカルテットやブラス、
コーラス隊にダンサーも加え、壮麗なシンフォニックプログレを構築。娘さん登場で涙のニール先生。ラストへの感動的な盛り上がりは必見。
Disc3、4は、2016年のCD2枚組大作「THE SIMILITUDE OF A DREAM」を完全再現、シンセのビル・ヒューバウアーがヴォーカルでも活躍しつつ、
キャッチーなオールドロック風味もちりばめたドラマティックなサウンドを躍動的に再現する。合計5時間というまさに濃密なニールモー祭り。
ドラマティック度・・9 ライブ演奏・・9 濃密度・・9 総合・・8.5 
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Neal Morse 「Jesus Christ the Exorcist」
アメリカのミュージシャン、ニール・モーズの2019年作
敬虔なクリスチャンである彼らしい、キリストの人生を描いた、CD2枚組のロックオペラ。
テッド・レオナルド(Spock's Beard)、ニック・デヴァージリオ(Big Big Train)、ジェイク・リヴグレン(PROTO-KAW)、
マット・スミス(THEOCRACY)、ランディ・ジョージを含む、Neal Morseバンドの面々など、多数のゲストが参加、
美麗なシンセアレンジに配役ごとのヴォーカルを乗せ、いつものようにテクニカルかつ緩急ある展開力とともに
しっかりとプログレらしいサウンドを展開。ポートノイは不参加だが、エリック・ジレットはドラムも上手かったのね。
伸びやかな女性ヴォーカルを含む、各ヴォーカリストの表現力ある歌声に、混声コーラスなどが壮麗に華を添えつつ、
ときにTRANSATLANTICばりに壮大に盛り上げてゆく。クリスチャンでなくても十分楽しめるさすがの力作です。
ドラマティック度・・9 プログレ度・・8 壮大度・・9 総合・・8 
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THE NEAL MORSE BAND 「THE GREAT ADVENTURE」
アメリカのプログレバンド、ニール・モーズ・バンドの2019年作
John Bunyanの宗教書「THE PILGRIM'S PROGRESS(天路歴程)」をテーマにした、2016年作の続編となる作品で、
前作同様、マイク・ポートノイ、ランディ・ジョージ、エリック・ジレット、ビル・ヒューバウアーを含む5人編成。
テクニカルなドラム流麗なギターワーク、オルガンを含むカラフルなキーボードとともに、緩急自在のアンサンブルで、
ドラマティックなサウンドを構築。ストリングスなども加えた厚みのあるシンフォニック性にキャッチーなコーラスも含めて、
ときにハードに重厚に、ときに繊細な叙情性も覗かせて、ストーリー性を感じさせる流れとともにじっくりと盛り上げてゆく。
エリック・ジレットのギターも冴えを見せ、渋みのあるニールの歌声がエモーショナルに響く。これぞシンフォプログレの理想郷。
ドラマティック度・9 プログレ度・8 壮大度・9 総合・8.5 
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The Neal Morse Band 「Great Adventour - Live In Brno 2019」
アメリカのプログレ職人、ニール・モーズ率いるバンドのライブ作品。2020年作
2019年の2枚組大作「THE GREAT ADVENTURE」完全再現したチェコでのライブを、2CD+2BDに収録。
今作も、マイク・ポートノイ、ランディ・ジョージ、エリック・ジレット、ビル・ヒューバウアーというおなじみの編成で、、
ポートノイの手数の多いドラムに、きらびやかなツインキーボード、情感豊かなニールの歌声を乗せて
ときにツインギターとともに、テクニカルでキャッチー、緩急ある展開力で、ロックオペラ的に楽曲が連なってゆく。
フードをかぶったり仮面をつけたりと、ニールの役者っぷりの一方で、巧みなギターに爽やかな歌声も聴かせるエリックや
むしろメインのシンセパートを務めるビルも随所に渋い歌声を披露するなど、バックのメンバーの有能さが際立っている。
アンコールの24分およぶメドレーまで、合計2時間の濃密なステージ。当然ながらブルーレイはCDよりも音質が良いです。
ドラマティック度・8 ライブ演奏・9 壮大度・8 総合・8 
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NEAL MORSE 「Sola Gratia」
アメリカのプログレ職人、ニール・モーズの2020年作
キリストの人生を描いた前作に続き、本作もは使徒パウロをモチーフにしたコンセプト作品で、
盟友マイク・ポートノイにベースのランディー・ジョージ、ギターのエリック・ジレット、シンセのビル・ヒューバウアーと
NEAL MORSE BANDのメンバーが参加、壮麗なシンセワークとポートノイの巧みなドラム、叙情的なギターとともに
TRANSATLASNTICばりの展開力のあるシンフォプログレを構築。キャッチーなメロディのヴォーカルパートに
厚みのあるコーラスも加わって、ドラマティックに盛り上げるところは、さすが安定のニールモー節。
オールドなロック風味も盛り込みつつ、お約束のテクニカルなインストパートからの泣きの叙情と、
もはや新鮮味は薄いものの、クオリティの高さはお墨付きだ。全65分1枚でまとめてくれたのも良かった。
ドラマティック度・8 プログレ度・8 安心ニールモ度・8 総合・8 
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Neal Morse Band  「Innocence & Danger」
ニール・モーズ・バンドの2021年作
盟友、マイク・ポートノイに、ランディ・ジョージ、エリック・ジレット、ビル・ヒューバウアーというおなじみの編成で、Disc1を「Innocence」、Disc2を「Danger」というコンセプトで仕立てた2枚組作品。
ほどよいハードなギターときらびやかなシンセ、ジェントルなヴォーカルにキャッチーなコーラスハーモニーで描かれるサウンドは、エリックがメインヴォーカルをとるオールドな味わいのポップなロックナンバーなど、全体的に肩の力の抜けた優雅な聴き心地ながら、ラストはじわじわと盛り上げてゆく。
Disc2の方は、19分、31分という大曲2曲の構成で、いかにもニール・モーズらしいドラマティックな構築力で、TRANSATRANTICにも通じる緩急ある流れで、壮麗なシンフォプログレが楽しめる。
ドラマティック度・8 プログレ度・8 壮大度・8 総合・8 
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MORSE/PORTNOY/GEORGE 「COV3R TO COV3R」
ニール・モーズ、マイク・ポートノイ、ランディー・ジョージによるカヴァーアルバム。2020年作
Richie Havens、JETHRO TULL、David Bowie、Gerry Rafferty、Ringo Starr、KING CRIMSON、
SQUEEZE、Tom Petty、Lenny Kravitzなど、ニール自身が影響を受けたアーティストの楽曲をカヴァー。
プ゛ログレファンには馴染みの薄いナンバーもあるのだが、単なるオールドロックの再現ではなく、
卓越したドラムと存在感あるベースによる確かなリズムと、優美なシンセワークが一体となり、
ニール・モーズらしいキャッチーなプログレ風味も加わって、原曲を知らずともわりと楽しめる。
キング・クリムゾン「One More Red Nightmare」がこのメンツで聴けるのはなかなか新鮮ですね。
ドラマティック度・7 プログレ度・7 カヴァー度・8 総合・7.5
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The Nerve Institute 「Architects Of Flesh-Density」
アメリカのアヴァン・プログレ、ナーヴ・インスティチュートの2011年作
ギター、ベース、ドラム、シンセ、ヴォーカルをこなす、マルチプレイヤー、マイケル・S・ジャッジによるソロプロジェクトで、
先に2015年作「Fictions」を聴いていたのだが、こちらの1作目も同様のアヴァンプログレが炸裂している。
軽妙なリズムに、アコースティックを含むギター、オルガンやメロトロンなどのシンセに倦怠感のあるヴォーカルで、
屈折感のある独自の世界観を描く。ジャズロックやレコメン系の感触に、ほどよくシンフォプログレ要素が合わさり
叙情的でありつつヘンテコで薄暗いという、個性的なサウンドが楽しめる。10分を超える大曲も、優雅でスリリング、
とぼけたセンスとダークな空気感が同居していて、Simon Steenslandなどのファンにも楽しめる異色作です。
ドラマティック度・7 プログレ度・8 優雅でアヴァンギャル度・8 総合・8
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Nerve Institute「Fictions」
アメリカのアヴァン・プログレ、ナーヴ・インスティチュートの2015年作
マルチミュージシャン、マイケル・S・ジャッジによるソロユニットで、本作は2作目となる。
ヴォーカルも含めてすべての楽器を一人で演奏、軽妙なアンサンブルに屈折感のある薄暗さと
フランク・ザッパなどを思わせるアヴァンギャルドなセンスを盛り込んだ、一筋縄ではいかない作風。
Deluge Granderあたりに通じるミステリアスな空気感に、適度にモダンなポップ感触が加わった聴き心地は
ディープなプログレ者の耳を大いに楽しませてくれる。とぼけた味わいと倦怠の翳りが合わさった異色の力作。
White Willowのヤコブ・ホルム・ルポが、ギターとシンセで1曲ずつゲスト参加している。
ドラマティック度・・7 プログレ度・・8 屈折度・・8 総合・・8
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NETHERWORLD
アメリカのプログレバンド、ネザーワールドの1981年作
80年代アメリカンプログレの隠れた逸品とされる作品で、ムーグシンセの音色に
ロック的なギターとヴォーカルで、キャッチーに聴かせるプログレハード風味のサウンド。
くぐもったような抜けきれない感触や平坦なヴォーカルがマイナー臭いのだが、
カナダのNightwindsあたりにも通じる、やわらかなメロディセンスはなかなかのもの。
メロトロンが鳴り響き、メロウなギターを含んだリリカルな叙情美も随所にあって、
GENESISルーツのシンフォニックロックとしても楽しめる。ラストの10分を超える組曲も美しい。
メロディック度・・8 プログレ度・・7 マイナー度・・8 総合・・8
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NEW EDEN ORCHESTRA「ANYMAN」
アメリカのプログレバンド、ニュー・エデン・オーケストラの2003作
テクニカルなリズムにキャッチーなメロディを乗せて、曲調は爽やかでありながらも
ときおり偏屈になるアレンジセンスは、SPOCK'S BEARDあたりにも通じるものを感じさせる。
古き良きヴィンテージなロックサウンドと、現代的なプログレ感覚を融合させているという点でも
スポビやエコリンなどが好きのリスナーにアピールするだろう。Yes風のキーボードもなにげにポイント高く、
モダンとオールドが同居したアメリカンプログレの隠れた逸品といえる高品質な出来である。
メロディアス度・・8 テクニカル度・・8 キャッチー度・・8 総合・・8
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New Eden Orchestra
「Vikings」
アメリカのプログレバンド、ニュー・エデン・オーケストラの2012年作
前作から9年ぶりのアルバムで、まだ活動していたのかと驚くが、 美麗なシンセに導かれて始まる本作は
ヴァイキングをテーマにしたコンセプトアルバム。男女ヴォーカルの歌声でしっとりと聴かせる叙情と、
北欧的な世界観を描き出すようなドラマティックさで聴かせるサウンド。曲自体は2~4分台の小曲が中心で、
プログレ的な展開力というよりは、曲を連ねた流れの中で、リコーダーなどのアコースティカルな音色も含ませつつ
メロウな叙情美をやわらかに作り出す作風で、ある意味では異色作というべきだろう。しっとりと幻想的な好作です。
シンフォニック度・・7 プログレ度・・7 しっとりドラマティック度・・8 総合・・8
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NEW ENGLAND「1978」
アメリカのプログレハード、ニューイングランドの1978作
70年代後半から80年代にかけて3枚の質の高いアルバムを残したこのバンド、
そのキャッチーにして壮麗なサウンドは、アメリカンプログレハードの最高峰であり、今も根強いファンが多い。
これは彼らのデビュー前の音源で、1st収録曲のデモ6曲に、2nd収録曲のデモ1曲と未発曲3曲をまとめたもの。
デモといっても音質は良好で、むしろ正規アルバムよりも彼らの志向するやわらかな質感が、そのままの形で詰まっている。
メロトロンにハモンドも使った美しいシンセワークにキャッチーなメロディ、そして流麗なコーラスワークは
今聴いても素晴らしく、アメリカのバンドでありながら、どこか欧州的な湿りけがあるのもまた日本人好みだろう。
バンドのファンなら必聴であろうし、まだ彼らを知らない方にもぜひ聴いて欲しい。
メロディアス度・・10 プログレ度・・7 キャッチー度・・9 総合・・8.5
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NEW ENGLAND「EXPLORER SUITE」
アメリカのメロディアスハード、ニュー・イングランドの2nd。1980年作
このバンドの魅力はなんといってもQUEENの如き絶品のコーラスワーク、きらびやかなキーボード、
キャッチーなメロディに温かみのあるポップセンスと、今でいうとACTあたりにも通じるかもしれない。
メロディの宝庫として名高い1stにつづき、この2ndではよりプログレ的な盛り上げかたを取り入れ
ポップさとシンフォニックなアレンジが絶妙の配分で、どこを切っても耳に心地よい。
そして楽しさの中にも一握りの哀愁と泣きがある点がさらに日本人好みといえる。
4曲目あたりを聴いてガッツボーズをしないメロディアスファンはいまい。アメリカン・プログレハード最高の一枚。
メロディアス度・・9 プログレハー度・・9 キャッチー度・・8 総合・・8.5
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NEW ENGLAND「WALKING WILD」
アメリカのメロディアスハードバンド、ニュー・イングランドの3rd。1981作
バンドのラスト作となったトッド・ラングレンプロデュースのこの3rdであるが、
前2作よりはストレートな産業ロックとなっていて、プログレ性は薄い。
しかしながらそれでも分かりやすいメロディと美しいコーラスハーモニーは健在で
きらきらとした音作りとポップ感覚が心地よい。バンドは今作発表後解散し、
その後ベースとキーボードはALCATRAZZに抜擢されたというのは有名な話。
メロディアス度・・8 プログレハー度・・6 キャッチー度・・9 総合・・7.5
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NICK D'VIRGILIO 「INVISIBLE」
アメリカのミュージシャン、ニック・ディヴァージリオの2020年作
元SPOCK'S BEARD、現在はBIG BIG TRAINで活躍するドラマーで、ソロとしては2001年以来となる作品。
自身のドラムとエモーショナルな歌声に、優美なシンセやオーケストラアレンジ、ときにメタリックなギターも加えて、
テクニカルなインストパートとマイルドな歌パートが融合した、スタイリッシュなハードプログレを聴かせる。
ヨナス・レインゴールド(THE FLOWER KINGS)、トニー・レヴィン、ジョーダン・ル-デス、ジム・ゴドフリー(FROST*)など
多数のゲストが参加して楽曲を彩る。キャッチーなシンフォプログレ風味から、ファンキーなナンバーなど、
コンセプト的な流れで聴かせる、全14曲、69分という力作。楽曲ごとに組み替えたドラムセットの解説も興味深い。
ドラマティック度・8 プログレ度・7 スタイリッシュ度・8 総合・8
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Nightwinds
カナダのプログレバンド、ナイトウインズの1979/1991作
70年代のカナダといえばOPUS 5POLLENあたりが有名だが、
ことメロディアスな作品という点では、このアルバムが一番のお気に入りだ。
うっすらとしたシンセをバックに適度にテクニカルなアンサンブルと、
特徴的なハイトーンヴォーカルで聴かせる、メロディアスなサウンドには
アメリカのバンドよりもずっとクールで軽やかな雰囲気が漂っていて、
いかにもケベック州のバンドらしい。RUSHあたりに通じる知的なセンスも感じさせる。
とくにラスト曲のドラマティックな展開とリリカルな幕引きは素晴らしいことこのうえない。
メロディアス度・・8 プログレ度・・8 構築度・・9 総合・・8
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NO MORE PAIN 「Post Human Condition」
アメリカのプログレバンド、ノー・モア・ペインの2015年作
20代の若手メンバーによる新鋭バンドで、知的でコンセプチュアルな構築性とキャッチーなメロディアス性に、
DREAM THEATER以降のProgMetal的でもあるスタイリッシュなセンスを感じさせるサウンド。
きらびやかなシンセアレンジにはクラシックの素養も感じさせ、流麗なギターワークも随所に光っている。
曲によってはヴォーカルが少し弱い感じもあるが、マイルドでやわらかみのある雰囲気はそう悪くはない。
QUEENのような古き良き英国ロック調の歌ものナンバーもありつつ、17分を超えるラストの大曲では、
GENTLE GIANT的でもある軽妙なアンサンブルも覗かせなかせら、メリハリに富んだダイナミックな展開を描く。
もう一歩、魅力的なフックが欲しいと思わせる部分もあるのだが、ともあれ今後の成長が楽しみな新鋭だ。
メロディック度・・8 プログレ度・・8 スタイリッシュ度・・8 総合・・8
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NORTH STAR「Tempest」
アメリカのシンフォニックロック、ノース・スターの2000年作
80年代に2作を出したのち長く沈黙していたバンドの15年ぶりとなる3作目。
美麗なシンセを使ったインストのシンフォニックロックで、メロディックなギターもなかなかいい感じだが、
録音面での弱さや中盤でのオリエンタルな曲調の長尺なアレンジは正直退屈で、
全体的な散漫さにはいかにもマイナー臭さを残している。
シンフォニック度・・7 プログレ度・・7 楽曲・・7 総合・・7
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North Star 「Extremes」
アメリカのシンフォニックロック、ノース・スターの2005年作
80年代に2作を残して沈黙するも、2000年に復活し15年ぶりの作品を発表、
本作はそれに続く復活2作目となる。オルガンやムーグを含む古き良きシンセワークと
いくぶん素人臭い歌声で聴かせる、やわらかなシンフォニックロックは健在で、
よくも悪くもB級プログレ/シンフォ愛に満ちている。ただ、繊細なメロウさと優雅な質感は
90年代のマイナー系アメリカンシンフォをしっかりと受け継いでいて、楽曲の出来も含めて
前作よりもずっと楽しめる出来だ。Genesisルーツのロマンを感じさせる好作品といってよいかと。
メロディック度・・8 プログレ度・・7 繊細度・・8 総合・・7.5
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NOW「EVERYTHING IS DIFFERENT NOW」
アメリカのマイナー系シンフォバンド、ナウの1986作
女性Dr擁する4人組みでGENESISCAMELを基本にしたようなゆるやかなシンフォニックロックをやっている。
いかにもSYN-PHONICレーベル系のあまり抜けのよくないサウンドはかなりマイナーっぽく、ややもやっとした雰囲気は悪くはないのだが、
曲にはっとするメロディの聴きどころや爽快感がさして多くないのが惜しい。
シンフォニック度・・7 楽曲・・7 マイナーシンフォ度・・8 総合・・7




Oblivion Sun
アメリカのプログレバンド、オブリビオン・サンの2007作
2004年に復活したHAPPY THE MANのメンバー二人を含むバンドで、
サウンドの方は、ほぼハピマンの新作といってよい。軽やかなリズムの上をきらびやかなシンセとギターが絡み、
ジャズロック/フュージョン的な質感で聴かせるシンフォニックロック。テクニカルなインスト曲と、
歌入りのキャッチーな曲のバランスがよく、聴き疲れせずに楽しめる。ハピマンファンはまず必聴といっていいだろう。
メロディアス度・・8 テクニカル度・・7 ハピマン度・・8 総合・・8
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OBLIVION SUN 「High Places」
アメリカのプログレバンド、オブリビオン・サンの2012年作
HAPPY THE MANのメンバーを含むバンドで、前作から5年ぶりとなる作品。
プログレフュージョン的な軽やかなアンサンブルと、メロディックな感触の中に、
とぼけたようなテクニカル性を感じさせるのはまさにハピマン節。ギターのメロウなフレーズと、
きらびやかなシンセを盛り込みつつ、繊細なシンフォニック風味も感じさせるサウンドは、
前作以上にドラマティックで素晴らしい出来ばえ。22分を超える組曲形式の大曲も圧巻だ。
メロディック度・・8 テクニカル度・・8 ハピマン度・・9 総合・・8
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October Tree「The Fairy's Wing」
アメリカのプログレユニット、オクトーヴァー・トゥリーの2012年作
Canvasというバンドのメンバーによる別ユニットで、女性ヴォーカルのハスキーな歌声と、
素朴な牧歌性に包まれたサウンドは、Mostly Autumnなどにも通じるゆったりとした聴き心地。
オルガンの音色などレトロな感触に、フォークロック的でメロウなやわらかさを含んだ作風は、
のんびりと楽しめるのだが、耳を引く展開は少ないので、プログレとしてはやや物足りない。
女性声そのものに魅力が薄いのと、何曲か男性Voの曲がある点も個人的にはマイナス。
メロディック度・・8 プログレ度・・7 女性Vo度・・7 総合・・7




ODDISEA 「Tyranny of Distance」
アメリカのプログレ・ジャズロック、オディッシーの2007年作
ジャズロックとエレクトロが合わさったようなスタイルで、重量感のあるベースを軸にギターとシンセが絡み
曲によってはゲスト参加のサックス、トランペットの音色が響き渡るという、なかなか面白いサウンドである。
ヴォーカルの入る曲はむしろエモーショナルロック的であるが、ときおりオルガンが加わってきたりすると、
プログレ的な感触も出てくる。アルバム後半の3パートに分かれた21分の組曲は、チェンバージャズロック的な
スリリングな展開とテクニカルなアンサンブルが楽しめる。アルバムとしては31分という短さがややもの足りないか。
メロディック度・・7 プログレ度・・7 ジャズロック度・・7 総合・・7.5
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Offenbach 「Tabarnac」
カナダのロックバンド、オッフェンバッハの1974/2011年作
70年代ケベックを代表するロックバンドで、本作は1974年のフランスツアーのドキュメンタリー映画のサントラとして制作された、
変則的なライブアルバム。CD化に際して、40分弱の未発音源が加えられた、CD2枚組となっている。
オルガンが鳴り響き、70年代らしいハード寄りのギターに、フランス語のヴォーカルを乗せたサウンドで、
ときにがなり立てる濃密な歌声も含めて、どことなくAngeなどにも通じるシアトリカルな感触もある。
Uriah Heepのフランス語版という雰囲気から、ブルースロック調のナンバーや、泣きのギターも加わった
叙情的なアートロックという風にも楽しめ、演奏力の高さも含めて結果としてプログレ的に味わえてしまうという。
エディット・ピアフ「愛の賛歌」のロックアレンジもなかなかよい感じです。オルガンロック好きもぜひ。
ドラマティック度・・7 プログレ度・・7 オルガン度・・8 総合・・8
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OPUS 5「CONTRE COURANT」
カナダのプログレバンド、オビュス・サンクの1976年作
POLLENなどと並ぶ70年代カナダを代表するバンド。ポーレンの方がややサイケがかった作風であるのに対し、
こちらはしっとりしとた、どちらかというとクラシカルで優雅なおもむきのサウンドだ。
たおやかなフルート、凛と響くピアノの音色に導かれ、流麗なアコギに次いで優しげな歌メロが顔を出す。
タイトなリズムはPFMあたりを思わせ、ジャズロック的な確かなアンサンブルが素晴らしい。
時にシンフォニックなシンセがバックに鳴り響くと、清廉な美がゆるやかにサウンドを支配する。
フランス語の歌唱も含めて、気品の漂うアンサンブリーなシンフォニックロックサウンドである。
メロディアス度・・8 たおやか度・・9 アンサンブル度・・9 総合・・8◆プログレ名作選入り
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OPUS 5 「Serieux ou PAS」
カナダのプログレバンド、オピュス・サンクの1989年作
1976年作「Contre-Courant」はカナディアンプログレの傑作として名高いが、
本作は、2作目用に作られながら日の目を見ることのなかった未発表曲集。
クラシカルなピアノの旋律から、ドラムが加わり、美しいフルートの音色にギターが重なると、
カンタベリー風の優雅なジャズロックサウンドになる。演奏力のある軽妙なアンサンブルは、
さすがカナダ屈指のプログレバンド。フランス語のマイルドなヴォーカルを乗せた叙情曲なども含めて、
楽曲自体の出来も未発とは思えないレベルの高さで、繊細で優美なサウンドが楽しめる。
ドラマティック度・・8 プログレ度・・8 優雅度・・9 総合・・8
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Orpheus Nine 「Transcendental Circus」
アメリカのプログレバンド、オルフェウス・ナインの2017年作
きらびやかなシンセとマイルドなヴォーカルで、アメリカらしいキャッチーな味わいのシンフォプログレを聴かせる。
オルガンやムーグなどのプログレらしいシンセワークと、リズムチェンジを含む緩急ある展開力で、
ほどよいハードさと抜けの良いメロディアス性が同居した、ドラマティックな構築センスも覗かせる。
21分というタイトル組曲では、優雅なインストパートをメインにしつつ、シネマティックな世界観も感じさせ、
ラストの10分の大曲も、メリハリある展開の中に、オランダのCHRISにも通じる美しいシンセアレンジが光る。
シンフォニックロックとして高品質な内容であるが、楽曲ごとの明快な盛り上がりがもう少しあれば傑作だったろう。
ドラマティック度・8 プログレ度・7 優雅度・8 総合・7.5
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OSMOSAIC「UN」
カナダ、ケベックのプログレフォーク、オスモザイクの2004年作
男女2人組のユニットで、アコースティックギターにシンセを重ね、美しい女性ヴォーカルを乗せた、
シンフォニックな味わいの幻想的なフォークサウンド。マイルドな男性ヴォーカルも加わって、
SEGUNなどをルーツにした牧歌的な味わいで、フランス語による男女声とともに優雅な空気に包まれる。
デジタルなアレンジを加えたモダンなナンバーもありつつ、やはり女性ヴォーカルメインの美しさに惹かれます。
楽曲は3~5分前後でわりとあっさりしているので、もう少しプログレ寄りのアレンジがあってもよいような。
ドラマティック度・・7 牧歌的度・・8 優雅度・・9 総合・・7.5
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Oz Knozz「10,000 Days & Nights」
アメリカのプログレハード、オズ・クノッズの2008年作
1975年に1作残して消えたバンドの、33年ぶりとなる2作目。ほどよくハードなギターにシンセを重ね、
ジェントルなヴォーカルで聴かせる、JOURNEYなどにも通じる80年代ルーツのキャッチーなサウンド。
いわゆる産業ロックのリバイバルのような聴き心地で、楽曲自体にこれという新鮮味はないのだが、
きらびやかなシンセアレンジや随所にメロディックなギターフレーズなどは、なかなかツボをついている。
次作「True Believer」はさらに王道のプログレハードに回帰した傑作となるので、チェックすべし。
メロディック度・・8 プログレ度・・6 80年代風度・・8 総合・・7.5
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OZ KNOZZ「True Believer」
アメリカのプログレバンド、オズ・ノズの2011年作
結成は古く、70年代に活動していたらしいが活動休止、その後2008年に復活し、本作は復活2作目となる。
キャッチーなメロディとシンセを含んだきらびやかなアレンジで聴かせる、古き良き王道のプログレハードスタイルで、
かつてのBOSTONNEW ENGLANDAMERICAN TEARSなどを思わせる、70~80年代的な感触がなつかしい。
適度にハードなギターや、マイルドなヴォーカルの歌声にしても、どこかマイナー臭いのもよろしいですな。
これといった新鮮味はないのだが、アメリカン・プログレハード好きはチェックの作品です。
メロディック度・・8 古き良き度・・8 プログレハー度・・9 総合・・8
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PARALLEL MIND「COLOSSUS ADEA」
アメリカのテクニカルプログレバンド、パラレル・マインドの2005年作
FAR CORNERのBを含むキーボードトリオで、こちらはもっと分かりやすいプログレをやっている。
変拍子の上をキーボードが跳ねる様はELPHAPPY THE MANにも通じる部分があるが、
どこか音が内省的で、ときどきひねくれている所がチェンバー的でもある。
ドラムはツーバスで案外重厚な音(ようするにメタルドラマー風)なので、
テクニカルメタル好きの人間にも対応するかもしれない。全体的に濃すぎず薄すぎずという
音のバランスが良く、ゲストによるギターソロやヴァイオリン、チェロ等も曲の中でしっかり光っている。
メロディアス度・・7 テクニカル度・・8 キーボー度・・8 総合・・7.5
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The Passing Fancy
カナダのサイケロック、パッシング・ファンシーの1968年作
本作が唯一の作品で、ユルめのギターにマイルドなヴォーカルで聴かせる、
60年代らしい牧歌的なおおらかさに包まれたサウンド。楽曲は2~3分前後で、
いたってシンプル。オルガンが加わると、サイケなオールドロック感が増して、
ビートルズのような感じでのんびりと楽しめる。ラスト曲はわりとプログレっぽくてGood。
ドラマティック度・・6 プログレ度・・5 牧歌的度・・8 総合・・7
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Pattern-Seeking Animals
アメリカのプログレバンド、パターン・シーキング・アニマルズの2019年作
Spock's Beard、マルチミュージシャンのジョン・ボーグホールドを中心に、テッド・レオナルドをはじめ、現メンバーも参加、
オルガンやメロトロンを含む優美なシンセアレンジに、叙情的なギターとマイルドなヴォーカルを乗せた正統派のサウンド。
テッド・レオナルドの歌うキャッチーなヴォーカルメロディとともに、オールドなプログレ感覚をモダンに表現するところは、
やはりスポビ的な聴き心地で、安定したリズムセクションを主体に、確かな演奏力で、10分前後の大曲を構築する技量も十分。
ストリングスによる壮麗なアレンジや、随所に聴かせる泣きのギターフレーズもよろしく、お約束のシンフォプログレではあるが、
歌唱も演奏もレベルが高いので安心して楽しめる。新鮮味はさほどないが、キャッチーな叙情性でスポビ好きは必聴の出来。
メロディック度・・8 プログレ度・・7 スポビ度・・8 総合・・8
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Pattern-Seeking Animals「Prehensile Tales」
アメリカのプログレバンド、パターン・シーキング・アニマルズの2020年作
2作目の本作は、いくぶんスタイリッシュな歌もの風に始まりつつ、やわらかなシンセアレンジとメロウなギターによる、
シンフォニックな叙情性と、うるさすぎないリズムチェンジと展開力で、優雅な大人のプログレサウンドを聴かせる。
テッド・レオナルドの繊細なヴォーカルとともに、今作では、よりキャッチーなプログレハード風味も感じさせつつ、
ときにヴァイオリン、フルートなどが優美な音色を加えて、しっとりとした味わいに包まれる。アルバム後半は、
17分、12分という大曲となっていて、前半が歌ものメインだった分、プログレらしい展開美をたっぷり楽しめる。
スポビの延長風だった前作から、独自のスタイルの優雅なシンフォプログレ路線が見え始めた逸品です。
キャッチー度・・8 プログレ度・・7 優雅度・・9 総合・・8
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Pattern-Seeking Animals 「Only Passing Through」
アメリカのプログレバンド、パターン・シーキング・アニマルズの2022年作
テッド・レナードをはじめ、新旧のSPOCK'S BEARDメンバーを中心にしたバンドで、本作は3作目となる。
適度にハードなギターにオルガンやメロトロンを含むシンセを重ね、キャッチーなヴォーカルメロディとともに、
クールな味わいのプログレサウンドを聴かせる。本家スポビに比べるといくぶんシンプルな味わいであるが、
その分、テッドの伸びやかな歌声が映えていて、A.C.T.のような優雅なプログレハード風にも楽しめる。
13分の大曲では、ブラスやヴァイオリンを取り入れた軽妙なアレンジで、じっくりとドラマティックに構築される。
全体的には複雑になりすぎないメロディアスな耳心地で、歌もの感強めなわりとストレートな味わいです。
ドラマティック度・8 プログレ度・8 優雅度・8 総合・8
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PAVLOV'S DOG 「PAMPERED MENIAL」
アメリカのプログレバンド、パヴロフス・ドッグの1975年作
叙情的なギターにメロトロンを含むシンセ、ヴァイオリンなどのストリングスを重ねたシンフォニック性と
デヴィッド・サーカンプの中性的なハイトーンヴォーカルが特徴的な、キャッチーで優雅なサウンド。
メロウなフレーズを奏でるギターややわらかなフルートの音色、うっすらとしたメロトロンが鳴り響きつつ、
あくまでアメリカンロック寄りの抜けの良さがあって、独特のヴォーカルも含めてマイナー臭さは感じさせない。
楽曲も3~5分前後と、ほどよくシンプルなところも、マニアックにならない聴きやすさで楽しめる。
リマスター盤では音質も向上し、ピアノやアコースティックを含む繊細なアレンジ面でも傑作と再認識。
メロディック度・・8 プログレ度・・7 優雅度・・9 総合・・8 
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PAVLOV'S DOG「At the Sound of the Bell」
アメリカのプログレバンド、パヴロフス・ドッグの1976年作
2作目となる本作は、やわらかなピアノとシンセにデヴィッド・サーカンプのハイトーンヴォーカルを乗せ、
キャッチーな叙情に包まれたサウンドを聴かせる。アコースティックギターにオルガンを含むシンセを重ね、
ときに優雅なヴァイオリンも加えたしっとりとしたナンバーなど、1作目に比べるとわりと牧歌的な仕上がりで、
楽曲も3~5分前後と比較的シンプル。サックスが鳴り響くノリのよいナンバーや、ストリングスの美しい叙情性など、
総じて耳心地の良い作風で、サーカンプの歌声も伸びやかだ。全体的にはプログレとしての展開力はさほどないのだが、
ラスト曲のシンフォニックな叙情美は白眉である。キャッチーで繊細なメロディックロックとして味わえる好作である。
ドラマティック度・7 プログレ度・7 叙情度・8 総合・7.5
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PAVLOV'S DOG 「LOST IN AMERICA」
アメリカのプログレバンド、パヴロフス・ドッグの1990年作
1975~76年までに2作を残して解散(1977年に録音された3rdは、お蔵入りになりのちに発表される)、
本作は再結成しての実質的な4作目で、デイヴィッド・サーカンプの独特のハイトーンヴォーカル
ダグ・レイバーによる優美なシンセとともに、ゆったりとした叙情に包まれたサウンドを聴かせる。
全体的にはプログレ的な部分は薄めで、キャッチーな糊のメロディックロックというナンバーもあるのだが、
元々がポップな部分も持っていたバンドなので、80年代風のAORという感触もさほど違和感なく楽しめる。
リマスター盤のボーナスには、1990年、2005年、2006年の未発ライブ音源を8曲追加収録。
メロディック度・8 プログレ度・6 ポップ度・8 総合・7.5 
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PAVLOV'S DOG「Echo & Boo
アメリカのプログレバンド、パヴロフス・ドッグの2010年作
デヴィッド・サーカンプの特徴的なハイトーンを個性にしたサウンドで70年代に2作と未発の3作目を残し、
その後、1990年に復活作を出すも、再び沈黙していたバンドのじつに20年ぶりのアルバムである。
ヴァイオリンが鳴り響き、やわらかなピアノの旋律にサーカンプの変わらぬハイトーンヴォーカルを乗せた
牧歌的なサウンドは、70年代に比べればぐっと落ち着いた聴き心地である。プログレというよりも
じっくりと叙情を聴かせる大人のメロディックロックというか、どこか英国フォークロック的な優雅さもある。
70年代のプログレハード風味を期待すると肩すかしだが、これはこれで味わいのある好作品である。
メロディック度・・8 プログレ度・・7 ハイトーン度・・8 総合・・7.5
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PAVLOV'S DOG「LIVE AND UNLEASHED」
パヴロフス・ドッグのライブ作品。2011年作
2009年のヨーロッパツアーのステージを収録した音源で、70年代のアルバムからの楽曲はもちろん、
サーカンプのソロやイアン・マシューズとのユニットであるHI-FIからの曲も披露した、全16曲を収録。
艶やかなヴァイオリンにピアノとギターが絡み、独特のハイトーンヴォーカルが力強く歌い上げる、
パワーに溢れた演奏で厚みのあるサウンドを描いてゆく。一方では優雅な叙情性も魅力的で、
2010年の復活作からのナンバーも、違和感なくセットリストに溶け込んでいる。
音質も良好で、バンドのファンはもちろん、新たにこのバンドを知るリスナーにもオススメの内容だ。
メロディック度・・8 ライブ演奏・・8 猛犬度・・8 総合・・8
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Pentwater 「Out of the Abyss」
アメリカのプログレバンド、ペントウォーターの未発音源集。
1973~76年に録音された未発表音源をまとめた発掘音源集で、オルガンやメロトロンが鳴り響き、
適度にテクニカルな展開とともに構築されるシンフォニックロック。中性的なヴォーカルの声質も含めて、
いわゆるYesタイプのキャッチーサウンドであるが、Gentle Giant的な偏屈な感触もあって、
いくぶんのマイナー臭さを含んだ聴き心地はマニア好み。楽曲は6~8分と長めではあるが、
演奏面でのセンスと技術はそれなりにあるので、リズムチェンジを含む展開力でわりと楽しめる。
随所にメロウな叙情を奏でるギターや、ときにフルートにヴァイオリンなども加わって、
優雅な叙情性とひねくれた展開が合わさり、むしろ正規アルバムよりもプログレ度は高いですね。
メロディック度・・8 プログレ度・・8 マイナーシンフォ度・・8 総合・・7.5
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PENTWATER
アメリカのシンフォニックロックバンド、ペントウォーターの1977年作
未発表作「OUT OF THE ABYSS」は前からCDになっていたが、正規アルバムも2003年になってようやくCD化された。
メロトロンやハモンドなどを使った、ヴィンテージ色の強いシンフォニックロックで、展開の多いテクニカルな曲調と
70年代のアメリカらしい、どこかくぐもったようなミステリアスな雰囲気が合わさったという聴き心地である。
ややアクの強いヴォーカルや、メロディアスでありながらもヒネくれた感じが好みを分けるかもしれないが、
70年代アメリカのプログレシーンを考えれば、なかなか個性的な作品と言うこともできるだろう。
メロディアス度・・7 プログレ度・・7 70'sアメリカ度・・8 総合・・7
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PERSEPHONE'S DREAM 「Pan: An Urban Pastoral」
アメリカのプログレバンド、ペルセフォネズ・ドリームの2010年作
90年代から活動するバンドで、本作は多言語による語りから始まるコンセプト的なアルバム。
オルガンやムーグを含むシンセを乗せた、プログレらしい軽妙なリズムのインストパートを中心に、
4曲目からは美しい女性ヴォーカルの歌声が加わって、とたんな優美な空気に包まれる。
ややクセのある男性ヴォーカルも加わって、ツインヴォーカルになるのかと思いきや、
コンセプト的な流れがかえって盛り上がり切らない散漫な感じになってしまっていて、
1分前後の小曲をはさんだ構成も微妙に楽曲ごとの焦点がぼやけた印象だ。
これならいっそ、女性声の美しさをもっと活かす作風にシフトしてもいいような気が。
ドラマティック度・・7 プログレ度・・7 楽曲・・7 総合・・7
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PETER FERNANDES 「Q.E.D.」
アメリカのシンセ奏者、ピーター・フェルナンデスのソロ。2014年作
ギターにリチャード・ハレビーク、ブレット・ガースド、ベースにリック・フィエラブラッチ、ジミ・ジョンソン
ドラムにはヴァージル・ドナティ、シェーン・ガラース、ジョエル・ローゼンブラット、ゲイリー・ハズバンド
そしてシンセにデレク・シェリニアンといった名うてのメンバー参加した、軽妙なフュージョンロックサウンド。
オールインストながら、ソロパートでは各メンバーがそれぞれにテクニカルなプレイを披露していて、
メロディックな優雅さとテクニカル性のバランスがとれた聴き心地。PLANET Xなどに比べると
ジャズロック的なやわらかな感触で、カンタベリー好きのプログレリスナーなどにも楽しめる好作品だ。
メロディアス度・・8 テクニカル度・・8 フュージョンロック度・・9 総合・・8
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Peter Primamore 「Grancia」
アメリカのミュージシャン、ピーター・プリマモアの2006年作
ヴァイオリンやチェロなどのストリングスを含むアレンジで聴かせる、優雅なシンフォニックロック。
SAGRADOあたりに通じる、適度な民族色とクラシカルな美しさが合わさったインストサウンドで、
やわらかなフルートやピアノの音色にアコースティックギターが絡む、とても繊細な耳心地である。
ハープのつまびきも優美な小曲など、プログレというよりはむしろクラシック寄りの感じだが、
曲によってはドラムやギターの加わったロック色もあり、Enidあたりが好きな方ならそれなりに楽しめる。
わざわざSACD仕様で発売したのも、音質的なこだわりがあるのだろう。
シンフォニック度・・8 プログレ度・・7 優雅な叙情度・・8 総合・・7.5
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PHASE 「MIDNIGHT MADNESS」
アメリカのプログレ・ジャズロック、フェイズの1979年作
本作が唯一の作品で、手数の多いドラムにうねるベース、テクニカルでフリーキーなギター、
ムーグシンセとやわらかなピアノを乗せた、優雅で技巧的なインストのジャズロックを聴かせる。
変則リズムを盛り込みつつ、クールなアンサンブルを描くところは、MAHAVISHNU ORCHESTRAにも通じるが、
こちらはあくまで4人でのシンプルな音数で、決して大仰にならないスタイリッシュな均整を感じさせる。
かき鳴らされるムーグシンセがプログレ寄りの感触になっていて、即興的な勢いでたたみかけつつ、
どこかスペイシーな雰囲気があるのも面白い。演奏力の高さも含めて、一作のみで消えたのが惜しまれる。
ジャズロック度・・8 プログレ度・・7 軽妙度・・9 総合・・8
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PHIDEAUX 「Ghost Story」
アメリカのプログレユニット、フィドーの2004年作
マルチミュージシャン、Phideaux Xavierを中心にしたユニットで、エレクトロなシンセアレンジに、
モダンなヘヴィさを含んだ、オルタナロック風味のサウンド。のちの作品に比べるとプログレ質感は薄く、
むしろモダンなミクスチャーロックという印象で、キャッチーな歌メロはエモーショナルロック的でもある。
一方では哀愁を感じさせる、ブルージーなナンバーもあったりと、本作の時点ではまだ雑多な方向で、
知的な構築性とセンスの片鱗は覗かせるものの、プログレとしての楽しむにはちときついかも。
ドラマティック度・・7 プログレ度・・7 モダンロック度・・8 総合・・7
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Phideaux 「Chupacabras」
アメリカのプログレユニット、フィドーの2005年作
マルチミュージシャン、Phideaux Xavierを中心にしたユニットで、うっすらとしたシンセに怪しいスキャットを重ねたイントロから、
軽やかなドラムとメロウなギター、マイルドなヴォーカルを乗せて、スタイリッシュなシンフォプログレを展開する。
20分というタイトル組曲では、アコースティックギターやフルート、チェロなどによるしっとりとしたパートを織り込みつつ、
ゲストの男女ヴォーカルが楽曲を彩りながら、起伏のあるドラマ性をじっくりと描いてゆく。アルバム後半はポストプログレ的なインストから、
ハードなギターを乗せたマスロック感触や、オルガンを使ったオールドな味わいのナンバーなど、楽曲ごとのアレンジセンスが楽しめる。
ドラマティック度・7 プログレ度・7 スタイリッシュ度・8 総合・7.5 
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PhideauxDoomsday Afternoon」
アメリカのプログレユニット、フィドーの2007年作
マルチミュージシャン、Phideaux Xavierを中心にしたユニットで、ジャケはなんだか怖いが、
サウンドの方はゆったりとしたメロディアス性に包まれた優美なシンフォニックロック。
やわらかな叙情を感じさせるヴォーカルに、ストリングスによる美しいアレンジを盛り込みつつ、
優雅に聴かせるサウンドはなかなか見事。クラシカルな美しさとややヒネくれた芸術感覚の混在は
CLEARLIGHTなど、どことなくフランス系バンドの香りも漂わせる。優雅な叙情に包まれた好作である。
クラシカル度・・8 プログレ度・・8 優雅な叙情度・・9 総合・・8
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Phideaux「Number Seven」
アメリカのシンフォニックロック、フィドーの2009年作
マルチミュージシャン、Phideaux Xavierを中心にしたユニットで、前作の続編となるコンセプト作。
アコースティックギターのつまびきで幕を開け、優美なピアノにシンセ、ヴァイオリンの音色に、
男女ヴォーカルの歌声を乗せた、優雅なクラシカル性に包まれたシンフォニックロックを聴かせる。
気品ある情緒を感じさせる雰囲気は、アメリカというよりはむしろヨーロピアンなイメージのサウンドで、
プログレらしいリズム展開やメロウなギターフレーズも覗かせながら、起伏のある構築力で
3パートに分かれた組曲を描いてゆく。繊細な美意識に包まれたシンフォニックロックの力作だ。
クラシカル度・・8 プログレ度・・8 優雅な叙情度・・9 総合・・8
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Phideaux「Snowtorch
アメリカのプログレユニット、フィドーの2011年作
マルチミュージシャン、Phideaux Xavierを中心にしたユニットで、
美麗なシンセワークとマイルドなヴォーカルで聴かせるシンフォニックロック。
たおやかなピアノやフルートの音色に、ときに女性ヴォーカルも加わった優雅な質感と
起伏に富んだ展開で、19分、16分という大曲を構築するセンスはなかなか素晴らしく、
アメリカというよりは、むしろクラシカルな美意識を含んだヨーロピアンシンフォの感触をただよわせる。
変拍子を使った適度なテクニカル性もあって、よく練られたインストパートも見事。今作も質の高い作品です。
シンフォニック度・・8 プログレ度・・8 構築度・・8 総合・・8
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PHIDEAUX 「INFERNAL」
アメリカのシンフォニックロック、フィドーの2018年作
マルチミュージシャン、Phideaux Xavierによるプロジェクトで、1992年にデビュー。
本作は、2006年作「The Great Leap」、2007年作「Doomsday Afternoon」から続く、SFホラー的なコンセプト、
3部作のラストとなるCD2枚組。女性ヴォーカルの歌声に男性声が絡み美しいシンセにサックスの音色や、
艶やかなストリングスも加えて、クラシカルな優雅さと重厚さが同居したシンフォニックロックを描き出す。
全体的に、ゆったりとした歌もの感が前に出ているので、楽曲ごとのインパクトはさほどないが、
メロウなギターフレーズにうっすらとしたシンセと女性声を乗せた、優美なパートにはウットリとなるし、
Disc2では、アコースティックを含んだ繊細な叙情や、14分の大曲ではプログレ的な展開力も見せつける。
ドラマティック度・・8 プログレ度・・7 優美度・・8 総合・・8 
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Phoenix Eye 「The Adventures of the King」
カナダのハードプログレ、フェニックス・アイの2001年作
シンセとギターの二人組ユニットで、ベース、ドラムはゲストという編成。
ムーグの音色を含んだプログレらしいシンセアレンジに、ヘヴィすぎないギター、
キャッチーなヴォーカルメロデイで聴かせるProgreMetal風味のサウンド。
フルートの音色なども入った繊細な叙情性はShadow Galleryあたりにも通じるだろうか。
硬質感よりもメロディアス性が前に出ているので、テクニカルなシンフォニックロックとしても楽しめる好作品だ。
メロディック度・・8 テクニカル度・・8 ProgMetal風度・・8 総合・・7.5


Pinnacle 「A Blueprint for Chaos」
アメリカのプログレバンド、ピナクルの2012年作
のっけから28分におよぶ組曲で、メロディックなギターにきらびやかなシンセを重ね、
マイルドなヴォーカルを加えた、爽快なシンフォニックロックを展開。軽快なアンサンブルと起伏のある展開力で、
TRANSATLANTICにも通じるスケール感を描きながら、キャッチーなメロディアス性にとともに、
アメリカのバンドらしい抜けの良いサウンドが楽しめる。大人の叙情を感じさせるゆったりとしたナンバーなども
なかなか魅力的で、ギターにもキーボードも確かなメロディセンスを感じさせる。平坦な音質がやや惜しいものの、
適度なテクニカル性と優美なメロディアス性に包まれた、全74分のシンフォプログレの力作です。
メロディック度・・8 プログレ度・・8 爽快度・・8 総合・・8
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P.J. Shadowhawk 「Land of Dreams」
アメリカのミュージシャン、P.J.シャドウホークの2010年作
70年代に活動した、GABRIEL BONDAGEや英国のQUASARなどにも参加したドラマーで、
本作は上記バンド用のマテリアルとして書かれた楽曲を収録。美しいシンセを中心にした、
優雅なシンフォニックロックで、メロウなギターも加わった、ゆったりとした聴き心地。
インストパートをメインに、ときに語りやヴォーカルも乗せて、ファンタジックな世界観を描く。
ジャケのイメージのように、ファンタジックなサントラというような曲調から、15分、12分という、
プログレ的な雰囲気の大曲もある。全体的には、宅録めいたメリハリのなさが残念。
ドラマティック度・・7 プログレ度・・7 優雅度・・8 総合・・7
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P.J. Shadowhawk 「Nevereverland」
アメリカのミュージシャン、P.J.シャドウホークの2014年作
イギリスのQUASARのメンバーでもあったという経歴を持つドラマーでもあり、作曲家、コンポーザーでもあるという。
多数のゲストを迎えて作られた本作は物語的なコンセプト作のようで、のっけから20分を超える組曲で幕を開ける。
美しいシンセワークに中性的な甘いヴォーカルの歌声、メロウなギターが加わって、90年代を思わせるようなゆったりとした
シンフォニックロックが広がってゆく。艶やかなヴァイオリンなども入ってきて、全体的に叙情性に包まれた耳心地なのだが、
曲が長いわりに展開に乏しかったり、音質面や演奏でのダイナミズムの欠如など自主制作ゆえの詰めの甘さも感じられる。
ファンタジックな世界観を描こうとする意気込みは伝わってくるので、長尺感を絞って作品としてのレベルを上げていって欲しい。
シンフォニック度・・7 プログレ度・・7 楽曲・・7 総合・・7
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POLLEN

カナダのプログレバンド、ポーレンの1976年作
OPUS 5NIGHTWINDSなどと並んで70年代カナディアンプログレの傑作とされる作品。
ムーグシンセの重なるスペイシーな浮遊感とフランス語の歌声、変即リズムを多用したアンサンブルで
どこかひねくれた展開を聴かせる独特のプログレサウンド。GENESISに通じるシアトリカルな感触と
シンフォニック性も有した聴き心地であるが、先の読めないエキセントリックなセンスが個性的だ。
一方ではサイケ的なユルさと牧歌性も感じさせ、技巧的な部分とゆったりした叙情が同居した面白さがある。
シンフォニックな構築美が冴えるラストの10分を超える大曲がとくに白眉である。
ドラマティック度・・7 プログレ度・・8 個性派度・・8 総合・・8
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POLYPHONYWithout Introduction
アメリカのプログレバンド、ポリフォニーの1972年作
70年代アメリカンシンフォの幻のアルバムのひとつ。14分、15分という大曲を中心に、
ときにEL&Pばりのキーボードが鳴り響き、マイナー系らしい怪しさをかもしだすサウンド。
時代的なオルガンとムーグの音色はマニア心をくすぐるだろうが、キーボードとは反対に
アグレッシブなドラムやギターには70年代のブリテイッシュHR風の色があるのも面白い。
メロディアス度・・7 70'sプログレ度・・8 マニアック度・・9 総合・・7.5
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PRESTO BALLETPeace Among the Ruins
アメリカのプログレバンド、プレスト・バレーの1st。2005作
METAL CHURCHのカート・ヴァンダーホーフを中心としたバンドの一作目。
適度なテクニカルな展開にキャッチーなメロディを乗せたサウンドは、
メタルというよりはSPOCK'S BEARDのような感触のハードプログレとして楽しめる。
メロトロンやハモンドなどをふんだんに使ったキーボードワークも聴きどころで、
レトロなプログレ感覚とメロディアスなプログレハードの融合した高品質作だ。
メロディアス度・・8 プログレ度・・8 テクニカル度・・7 総合・・8
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PRESTO BALLET「The Lost Art of Time Travel」
アメリカのプログレバンド、プレスト・バレーの2nd。2008年作
METAL CHURCHのカート・ヴァンダーホーフを中心としたユニットで、適度にテクニカルな展開と
キャッチーなメロディアス性で聴かせる、ハードプログレサウンドは前作同様。
本作は、9分以上の曲が4曲と、大作志向ながら、きっちりとした構成と演奏力が見事で
ハモンドやメロトロンを含むレトロなシンセワークも魅力だ。メタル的なヘヴィさはほとんどなく、
むしろ、ECHOLYNSPOCK'S BEARDなど、優雅なプログレ色が味わえる逸作です。
メロディアス度・・8 プログレ度・・8 構築度・・8 総合・・8
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Presto Ballet「Invisible Places」
アメリカのプログレバンド、プレスト・バレーの3rd。2011作
METAL CHURCHのカート・ヴァンダーホーフを中心としたバンドであるが、
キャッチーなメロディアスさで聴かせるサウンドは本作も変わらず。
オルガンやムーグの音色など、レトロなシンセワークもふんだんに使い、
メロディアスでやわらかみのあるサウンドは、TRANSATLANTICなどのファンにも楽しめるだろう。
曲はほとんどが7分以上であるが、アレンジ、構築性の点でも高品質で、
SPOCK'S BEARDなどにも通じる、爽やかなハードシンフォニックの力作だ。
シンフォニック度・・8 メロディアス度・・8 プログレ度・・8 総合・・8
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Presto Ballet「Relic of the Modern World
アメリカのプログレバンド、プレスト・バレーの2013年作
METAL CHURCHのカート・ヴァンダーホーフを中心に結成され、本作が4作目。
オルガンやメロトロン、ムーグなどのレトロなシンセをふんだんに使ったメロディックかつ
キャッチーなハード・プログレサウンドは本作でも健在で、やわらかな歌メロとともに、
TRANSATLANTICなどを思わせる、軽快かつダイナミックな展開美を聴かせてくれる。
アメリカらしい爽やかな抜けの良さが心地よく、質の高さはすでにSPOCK'S BEARDクラス。
ドラマティックに構築される19分の組曲も含めて、シンフォニックハードの傑作といえる出来です。
ドラマティック度・・8 プログレ度・・8 軽快度・・8 総合・・8
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Presto Ballet 「Days Between」
アメリカのプログレバンド、プレスト・バレーの2018年作
METAL CHURCHのカート・ヴァンダーホーフを中心に結成され、2005年にデビュー、本作が5作目となる。
きらびやかなシンセワークに適度にハードなギターと、ジェントルなヴォーカルを乗せ、
TRANSATLANTICにも通じる、軽快でキャッチーなハードプログレ・サウンドを聴かせる。
オルガンやムーグなどのヴィンテージな味わいのシンセと、いくぶんメタル感触も含んだギターワークで
爽快な抜けの良さとハードな重厚さが同居していて、A.C.Tなどが好きなリスナーにも楽しめるだろうし、
NEAL MORSESPOCK'S BEARDといった、アメリカン・プログレらしいメロディアス性に包まれた逸品です。
メロディック度・・8 プログレ度・・8 爽快度・・8 総合・・8 
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Primitive OverflowHonor Waydown」
アメリカのプログレバンド、プリミティブ・オーバーフロウの2012年作
ジャケはなんだか怪しいが、サウンドはキャッチーなメロディで聴かせる、ポップ感の漂うプログレハードで、
適度にハードなギターと美しいシンセワーク、コーラスハーモニーが合わさったやわらかな聴き心地。
楽曲は5分前後が中心だが、随所に泣きのギターを含んだ叙情美やプログレ的な展開もあって、
インスト部分でのアレンジにもなかなかセンスを感じさせる。歌メロのキャッチーさはIT BITES
SPOCK'S BEARDにも通じる抜けの良さがあって、総じて爽やかに楽しめる好作品となっている。
メロディック度・・8 プログレ度・・7 キャッチー度・・9 総合・・8
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The Prog Collective
元イエスのビリー・シャーウッドによるプロジェクト、プログ・コレクティブの2012年作
リック・ウェイクマン、クリス・スクワイア、トニー・ケイ、ピーター・バンクス、ジェフ・ダウンズら
YES組に加え、アラン・パーソンズ、ジョン・ウェットン、トニー・レヴィン、アニー・ハズラム、
スティーブ・ヒレッジ、ジョン・ウェズリー、ゲイリー・グリーン、デヴィッド・サンシャス…といった、
名だたるメンバー参加。7~9分の長曲6曲という構成で、それぞれを受け持つメンバーの色が出ていて、
ジョン・ウェットンが歌う曲は、ヴァイオリンも鳴り響いてどことなくU.K.っぽいし、
アニー・ハズラムが歌う曲は、ルネッサンスのようにしっとりとした聴き心地である。
全体的にも、キャッチーなメロディで聴かせるプログレハード的に楽しめる好作だ。
メロディアス度・・8 プログレ度・・7 豪華メンツ度・・9 総合・・8
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Prog Collective
「Epilogue」
元イエスのビリー・シャーウッドによるプロジェクト、プログ・コレクティブの2013年作
本作も、リック・ウェイクマン、クリス・スクワイア、トニー・ケイ、ピーター・バンクス、ジェフ・ダウンズ、
パトリック・モラーツら、YES組に加え、アラン・パーソンズ、ジョン・ウェットン、メル・コリンズ、
スティーヴ・スティーヴンス、スティーブ・ヒレッジ、ジョン・ウェズリー、スティーヴ・モーズ、ラリー・ファースト、
ソーニャ・クリスティーナ、デレク・シェレニアン、ジョーダン・ルーデスといった豪華メンバーが集結。
古き良きプログレのテイストを残しつつ、ときにフュージョン風味も感じさせる楽曲は、スリリングな展開や
目新しさはあまりないのだが、名だたるプレイヤーたちの演奏や歌声が楽しめるという点では聴く価値はある。
とくに、アラン・パーソンズのやわらかな歌声に、S・スティーヴンスのギターとモラーツのシンセが合わさった
5曲目あたりはYesっぽくもあってよい感じだし、トニー・ケイがシンセを弾く9分の大曲なども聴きどころ。
メロディック度・・7 プログレ度・・7 豪華メンツ度・・9 総合・・7.5
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Prog Collective 「Worlds On Hold」
YESのビリー・シャーウッドによるプロジェクト、プログ・コレクティヴの2021年作
8年ぶりとなる3作目で、トッド・ラングレン、ジェフ・テイト、ロン・サール、ジョン・デイヴィソン、パトリック・モラーツ、
ヤン・アッカーマン、ソーニャ・クリスティーナ、スティーヴ・ヒレッジ、アルイエン・ルカッセン、スティーブ・ハケット、
ロイネ・ストルト、デレク・シェリニアン、グラハム・ボネット、ジョー・リン・ターナー、ジェフ・ダウンズといった
著名なゲスト陣が参加。実力あるシンガーの歌声とともに、キャッチーなプログレハードを聴かせる。
ジョン・デイヴィソンが歌ういかにもなYES風ナンバーや、ソーニャ・クリスティーナの歌う優雅なナンバー、
スティーブ・ハケットのギターにアルイエン・ルカッセンのヴォーカルという意外な取り合わせも面白かったり、
グラハム・ボネットが歌う、Procol Harumの「青い影」や、デヴィッド・クレイトン・トーマスが歌う、Moody Blue
「サテンの夜」などもなかなか渋い仕上がりだ。なんだかんだで聴きどころは多い内容である。
キャッチー度・・8 プログレ度・・7 豪華ゲスト度・・9 総合・・8 
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THE PROG WORLD ORCHESTRA「A Proggy Christmas」
ニール・モーズを中心にしたクリスマス・プログレユニット、プログ・ワールド・オーケストラの2012年作
スティーヴ・ハケットをはじめ、ロイネ・ストルト、マイク・ポートノイ、ピート・トレワヴァスのTRANSATLANTIC組や、
スティーブ・モーズ、さらにはTHE NEAL MORSE BANDのランディ・ジョージ、ビル・ヒューバウアーらが参加、
「もろびとこぞりて」「きよしこの夜」といったたクリスマスキャロルや、THE EDGAR WINTERGROUP、CARPENTERSなどのクリスマスソングを
プログレにアレンジした作品で、手数の多いポートノイのドラムに美麗なシンセワークを乗せ、テクニカルなギターフレーズも乱舞する、
そのクオリティの高さはさすがで、ニールのヴォーカルが入ると、ほぼ彼のソロ作に入っていてもよいほどの聴き心地である。
随所になじみのあるクリスマスのメロディが微笑ましいが、アレンジセンスのせいで、ほぼシンフォプログレとして鑑賞可能です。
メロディック度・・8 ニールモー度・・9 クリスマスプログレ度・・9 総合・・8
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Prometheus
アメリカのプログレバンド、プロメテウスの1994年作
KING CRIMSONのドラマー、パット・マステロットが在籍していたバンドで、
シンセ入りのシンフォニックな感触とクリムゾン的な硬質感が合わさり、
緊張感を漂わせた構築力で聴かせるサウンド。プログレとして実験的な質感が
王道のクラシックロックと融合したという感じもあって、演奏力もなかなかのもの。
一方ではRUSH風味のキャッチーなナンバーもあり、バンドとしての懐の深さを伺わせる。
ラストは22分の大曲なのだが、これがシンセのみによるアンビエントな曲で意味不明。
メロディック度・・7 プログレ度・・8 構築センス・・8 総合・・8
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Proto-Kaw 「Early Recordings from Kansas 1971-73」
アメリカのプログレバンド、プロト・カウの2002年作
KANSAS以前に、ケリー・リヴグレンが率いた「もうひとつのカンサス」の1971~73年に録音された未発音源のCD化。
オルガンが鳴り響き、マイルドなヴォーカルにサイケがかったギター、ピアノにサックスの音色が絡む、
70年代英国アートロックを手本にしたようなプログレサウンド。のちのKANSASのようなキャッチーな抜けの良さではなく、
どこかくぐもったような叙情性がマイナーな感触となっていて、アメリカンプログレ黎明期の混沌とした偏屈さも感じさせる。
ときにフリージャズ的でもあるアヴァンギャルドな緊張感や、やわらかなフルートの叙情ナンバーなど、10分を超える大曲も多く、
KANSASとは別に、このバンドがこのまま進化していったらどうなったろうかと思わせるだけの内容である。
バンドは、Proto-Kawとして2002年に再結成し、2作のアルバムを発表している。どちらもプログレハード的な好作品である。
ドラマティック度・・8 プログレ度・・8 KANSAS度・・7 総合・・8
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PROTO-KAW「BEFORE BECOME AFTER」
アメリカのプログレバンド、プロト・カウの2004年作
KANSASの前身として1973年までに活動していたバンドの復活作で、ケリー・リヴグレンをはじめ、リン・メアディート(Vo)、ダン・ライト(Key)、
ジョン・ボルトン(Sax)という、オリジナルメンバーが集結。ブックレットのメンバー写真をはおじさん達大集合といった趣だが、
サウンドは大人のハードシンフォニック/メロディックロックで、キャッチーなヴォーカルメロディと随所に古き良きプログレを感じさせる
美しいキーボードで、王道のプログレハードを聴かせる。アコギも弾きこなす、ケリー・リヴグレンのギターワークは、年季を感じさせる哀愁の美学とともに
巧みな演奏が光っている。テクニカルすぎず、歌ものすぎず、メロディアスな部分はしっとりと美しく、ときにフルートの音色なども効果的に入ってきて、
やわらかな大人の味わいに包まれている。やはりKANSASの曲調にも通じる、アメリカらしいプログレハードサウンドが実に心地よい。
メロディアス度・・8 キャッチー度・・8 プログレハー度・・8 総合・・8
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PROTO-KAW「The Wait of Glory」
KANSASの前身バンドのオリジナルメンバーによる再結成バンド、プロト・カウの2nd。2006年作
前作はまさにプロト・カンサスともいうような、爽快なメロディアスハード作で良かったが、
今回は全曲が書き下ろされた新曲ということもあってか、70年代テイストは薄まり幾分モダンになった。
前半がやや地味な曲が続くので、前作のキャッチー&メロディックを期待するとやや肩すかしだが、
渋みのあるヴォーカルラインや、味わいのあるケリー・リヴグレンのギターワーク、
それにフルートやサックスを取り入れたアレンジなどにはなかなか魅力がある。
後半にはドラマティックなプログレハード曲も出てくる。限定版はライブ映像入りのDVD付き。
メロディアス度・・7 プログレハー度・・7 渋い味わい度・・8 総合・・7.5
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PROUD PEASANT「FLIGHT」
アメリカのプログレバンド、プラウド・パーサントの2014年作
12分、19分、13分という大曲のみによるアルバム構成で、叙情的なギターにシンセを重ね、
軽妙なアンサンブルで聴かせる優雅なインストサウンド。やわらかなフルートにクラリネット、
ときにトランペットも鳴り響き、アコースティックギターにマンドリンなどの素朴な感触も覗かせつつ、
プログレらしいシンセワークが包み込む。一方ではハードでキャッチーな疾走パートも現れたり、
オペラティックな女性ヴォーカルも入ってきたりと、わりと唐突でとぼけたセンスも垣間見せる。
ヴァイオリンやチェロなどのストリングスも美しい、クラシカルなアヴァン・シンフォというべきヘンテコな一枚。
ドラマティック度・・7 プログレ度・・7 優雅度・・8 総合・・7.5
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THE PSYCHEDELIC ENSEMBLE 「The Sunstone」
アメリカのシンフォニックロック、サイケデリック・アンサンブルの2014年作
ジャケからしていかにもB級シンフォっぽいのたが、美麗なシンセアレンジにオーケストレーションも含む
優雅なシンフォニック性に、マイルドなヴォーカルを乗せたメロディックなやわらかさに包まれたサウンド。
基本的に、ギター、ベース、シンセ、ヴォーカル、ドラムとすべてを一人でやっているソロ作品なのだが、
ゲストによる女性ヴォーカルを乗せた妖しいナンバーや、ストリングスも加わったクラシカル性と、
軽妙なリズムで聴かせるインストナンバーなど、シンフォプログレとしての聴きどころもたっぷり。
良くも悪くも独りシンフォとしてのマイナー臭さは感じられるのだが、そこも含めて楽しめるマニアはどうぞ。
ドラマティック度・・7 プログレ度・・8 優雅度・・8 総合・・7.5
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The Psychedelic Ensemble 「Mother's Rhymes」
アメリカのミュージャンによるプロジェクト、サイケデリック・アンサンブルの2019年作
2009年にデビューし、すでに6作目となる。アルバム全体を3章に分けたコンセプト的な作品で、
アコースティックを含むギターにオルガンなどを含むシンセを差ね、ジェントルなヴォーカルとともに
JETHRO TULLにも通じる牧歌的なサウンドを描きつつ、優雅でサイケな浮遊感にも包まれる。
ヴァイオリンなどのストリングスも加わると、クラシカルなシンフォニックロックの感触で楽しめ、
ときに女性ヴォーカルが妖艶な歌唱を乗せる。キャッチーなサイケロックとしてもGoodです。
ドラマティック度・7 プログレ度・7 優雅度・8 総合・7.5
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Puppet Show「Tale of Woe」
アメリカのシンフォニックロック、パペット・ショウの2007年作
1997年に1stを出して、本作はそれから10年ぶりとなる2作目ということらしい。
基本はGENESISタイプのシンフォニックロックで、そこにアメリカらしいキャッチーなメロディをまぶした叙情的なサウンド。
ヴォーカルの声質もいくぶんガブリエル風で、Big Big TrainAGENTS OF MERCYあたりが好きなら、きっと楽しめるだろう。
これといった個性は薄いが、10分以上の大曲も多く、王道のシンフォプログレとしてはなかなかの力作である。
シンフォニック度・・8 ドラマティック度・・8 GENESIS度・・8 総合・・8
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Purposeful Porpoise 「The Water Games」
アメリカのプログレユニット、パーパスフル・ポーバスの2015年作
ギター&ヴォーカルのアレックス・コラを中心に、シンセにはPLANET Xのデレク・シェリニアン
ドラムにはフランク・ザッパをはじめ、多くのアーティストの作品に参加した、ヴィニー・カリウタ、
ベースにはU-Z Projectにも参加した、リック・フィエラブラッチ、ヴァイオリンにジニー・ルークという顔ぶれ。
CD2枚組、のっけから20分を超える大曲で、軽やかなアンサンブルでプログレフュージョン的なテクニカルさと
女性ヴォーカルにヴァイオリンの音色が花を添える。The Tangentあたりに通じる優雅な構築美に、
シンフォニックなジャズロック風味と軽妙なメタルフュージョン要素が融合したという感触で、
名うてのメンバーによる演奏そのものがキモになっている分、ドラマティックな高揚感というのは薄いのだが、
Disc2ではKANSASを思わせるキャッチーなナンバーもあって、全体的にもメロディックな力作と言える。
ドラマティック度・・7 テクニカル度・・8 演奏度・・9 総合・・8
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QUILL「SURSUM CORDA」
アメリカのプログレバンド、クイルの1978年作
アメリカ70年作代の発掘作品の中では、キーボードシンフォ幻の傑作とされていたレアな一枚。
キーボード、ベース、ドラムという、いわゆるキーボードトリオで、Ⅰ、Ⅱに分けられた組曲のみを収録という大作志向。
音の方は、EL&Pというよりは、もっとロマンティックでナイーブな感じのメロディアスなシンフォニックプログレ。
テクニック的にはごく標準であるが、リリシズム溢れるストリングスシンセやハープシコード、ピアノ、メロトロンの音色などは
なかなか美しく、この手のB級気味のキーボードプログレ(日本のソシ・テンとか)が好きならお勧め出来るだろう。
シンフォニック度・・7 キーボー度・・8 ロマンティック度・・8 総合・・7.5
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REALM/VAIL 「Time Tales」
アメリカのシンフォニックロックバンド、レルム(ヴェイル)の1983/1997作
かつてSyn-PhonicレーベルのREALM名義の2ndを聴いたが、本作はヴェイルの表記で残されていた実質の1stらしい。
2ndの方は、弱々しいマイナー調のシンフォサウンドだったがあるが、こちらはきらびやかなキーボードを中心としたテクニカルな作風。
基本はアメリカらしいYESを思わせるメロディ重視のキーボードシンフォであるが、20分、19分という大曲2曲の構成で、
合計20パートに分かれた曲の展開にはヒネくれた部分も多く、同時代のYEZDA ULFAあたりを思わせる複雑さと押しの強さがある。
歌の弱さはあるものの、弾きまくりの濃密キーボードシンフォが好きなら楽しめる作品だろう。
メロディアス度・・8 プログレ度・・8 濃密に押します度・・9 総合・・7.5
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REALM「The Path」
アメリカのシンフォニックロックバンド、レルムの1992年作
Key奏者のスティーブ・ヴェイルを中心としたバンドで、1983年にVAIL名義でデビュー作となる「Time Tales」を発表している。
濃密なキーボードサウンドで聴かせた前作に比べ、こちらはもっと牧歌的でYesを思わせるキャッチーなヴォーカルハーモニーが耳に心地よい。
美しいシンセワークもなかなかのもので、録音面などには素人臭さもあるが、やわらかみのあるメロディアスシンフォニックの好作である。
メロディアス度・・8 プログレ度・・7 ゆったり度・・8 総合・・7.5
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The Rebel Wheel 「Diagramma」
カナダのプログレバンド、レベル・ホイールの2007年作
結成は90年代というキャリアのあるパンドで、2010年作「We Are in the Time of Evil Clocks」は見事な力作であったが
本作は女性サックス奏者を含む5人編成で、ヘヴィなベースとドラムのリズムにうっすらとしたシンセを重ね、
硬質なギターと浮遊感のあるヴォーカルで、ミステリアスなハードプログレ・サウンドを聴かせる。
リズムチェンジによる偏屈な展開力は、Deluge Granderなどにも通じる知的なセンスを感じさせる。
21分の大曲では、テクニカルなアンサンブルにゆったりとした叙情性も含んだ起伏のある展開力で
メリハリのあるインストパートを構築、シリアスな薄暗さとキャッチーなおとぼけ具合のバランスも絶妙だ。
ドラマティック度・・8 プログレ度・・8 ミステリアス度・・8 総合・・8
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The Rebel Wheel「We Are in the Time of Evil Clocks」
カナダのプログレバンド、レベル・ホイールの2010作
女性サックス奏者を含む4人組で、本作もテクニカルでヒネくれ気味のインストをメインにした濃密なサウンド。
変則リズムに乗るサックスの音色などは変態系のチェンバーロック的でもあるのだが、キャッチーなヴォーカルが入ってくると、
GENTLE GIANTのようなとぼけた味わいの感触になる。かと思えばジャズ的な優雅さやしっとりと聴かせる
女性ヴォーカルパートなどもあって、なかなか一筋縄ではいかない。近年でいうとDeluge Granderのような
得体の知れない壮大なビジョンも感じさせつつ、30分を超える組曲などは圧巻だ。マイスペで試聴可能。
メロディアス度・・7 プログレ度・・8 ヒネくれ度・・8 総合・・8
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The Red MasqueFeathers for Flesh
アメリカのアヴァンプログレ、レッド・マスクの2004年作
SEなどを使ったシアトリカルな世界観と、クリムゾン風味のヘヴィプログレの感触に
妖しげな女性ヴォーカルの歌声で聴かせる、ダークでアヴァンギャルドなサウンド。
10分を超える大曲を中心に、先の読めない展開と、一筋縄ではいかないセンスが交差する。
混沌とした雰囲気のなかをフルートが鳴り響くと、イタリアン・プログレ的な感じで、
チャーチオルガンに女性スキャットが重なるところなどは、JACULAなどを思わせる。
得体の知れないパワーと独特のスケール感を描き出す異色の力作である。
シアトリカル度・・8 プログレ度・・8 アヴァンギャル度・・9 総合・・8


THE RED MASQUE 「FossilEyes」
アメリカのアヴァンプログレ、レッド・マスクの2008年作
前作はクリムゾン+ヤクラというようなミステリアスな作品であったが、本作も魔女めいた女性ヴォーカルの歌声に、
アコーディオンの音色が鳴り響き、ヘヴィなギターとベースが加わった重厚さとアヴァンギャルドな展開で聴かせる、
異色のサウンドを展開。紅一点、リンネッテ嬢の歌唱は、ときにヒステリックにシアトリカルになったりと、妖しさたっぷり。
ときにヴァイオリンなどのクラシカルな音色も入りつつ、あくまでアヴァンギャルドな妖しさに包まれた世界観で、
ラストの12分を超える大曲などは、Art Bears時期のダグマー・クラウゼにも通じるような狂気を含んだ歌声で、
エキセントリックなアヴァン・プログレが炸裂する。まともでない音楽が好きな方にはぜひおススメしたい力作。
ミステリアス度・・8 プログレ度・・8 アヴァンギャル度・・8 総合・・8
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THE RED MASQUE 「Mythalogue」
アメリカのアヴァン・プログレ、レッド・マスクの2013年作
おそらくミノタウロスの伝説をテーマにした作品で、ジャケのセンスといい、相変わらずぶっとんでいるのだが、
サウンドの方も期待通り、変則リズムの浮遊感にヘタウマな女性ヴォーカルを乗せた、妖しいヘヴィプログレが炸裂。
ひねくれまくりの偏屈なアンサンブルと、先の読めないアヴァンギャルドな展開がなかなか楽しく、
ミステリアスな空気感にわくわくできる。今作では雰囲気モノとしての、静かでミニマムなパートも増えていて、
神秘的に女性声が響き渡る、幻想的な味わいに浸れるような方にはお薦めだ。たたみかけるヘヴィプログレパートとの
コントラストがくっきりとしたメリハリになっていて、ドラマティックなアヴァン・ロックが濃密に味わえる力作となっている。
ミステリアス度・・9 プログレ度・・8 アヴァンギャル度・・8 総合・・8
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RED SAND 「GENTRY」
カナダのプログレバンド、レッド・サンドの2005年作
2004年にデビューし、2作目。メロトロンなどの優美なシンセワークにアコースティックを含むギター
優し気なヴォーカルを乗せ、ゆったりとした叙情に包まれた王道のシンフォニックロックを聴かせる。
18分、19分という2つの大曲をメインに、ときにPENDRAGONばりの泣きのギターメロディや、
初期MARILLIONを思わせるシアトリカルなヴォーカルなど、90年代ポンプルーツのシンフォプログレを堪能できる。
ドラマティック度・8 ポンプ系シンフォ度・9 叙情度・8 総合・8 

Red Sand 「Behind the Mask」
カナダのシンフォニックロック、レッド・サンドの2012年作
DAGMAHRのメンバーを含むケベック出身のバンドで、本作は仮面をテーマにしたコンセプト作となっている。
メロウなギターときらびやかなシンセで聴かせる、PENDRAGONを思わせるシンフォニックロックサウンド。
キャッチーな抜けの良さはなかなか爽快で、楽曲アレンジなどにはいくぶんの野暮ったさはあるのだが、
随所に入ってくる泣きのギターで全部許してしまいたくなる。ジャケはダサいがメロディック系正統派シンフォの好作品です。
メロディック度・・8 ドラマティック度・・7 泣きのギター度・・8 総合・・7.5
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Red Sand 「Cinéma du Vieux Cartier」
カナダのシンフォニックロック、レッド・サンドの2013年作
DAGMAHRのメンバーを含むケベック出身のバンドで、本作はおそらく5作目となる。
相変わらずチープなジャケがいかにも自主制作のマイナー臭さをかもしだしているが、
本作もコンセプト作なのだろう、ミステリアスなイントロからして、すでに泣き系シンフォの香りがぷんぷん。
楽曲の方も期待通り、美しいシンセに叙情的なギターのフレーズを乗せ、マイルドなヴォーカルとともに繊細な聴き心地で、
PENDRAGONARENAなどに通じる、ヨーロピアンな感性のシンフォニックロックの王道というサウンドだ。
13分、22分という大曲もも、適度にメリハリのある展開力と翳りを含んだ泣きの叙情でゆるやかに盛り上げる。
ドラマティック度・・8 プログレ度・・8 叙情度・・8 総合・・8

Red Sand 「FoRsAkEn」
カナダのプログレバンド、レッド・サンドの2019年作
2004年にデビュー、自主制作を含めてすでに8作目となる。プログレらしいシンセワークにメロディックなギター、
エモーショナルなヴォーカルを乗せて、大人の叙情に包まれた王道のシンフォニックロックを聴かせる。
演奏力は普通程度なので、スタイリッシュになり切れないマイナーバンド的な粗削りな感じも残しているが、
10分を超える大曲などは適度に展開力もあり、美しいシンセをバックにリフレインされる泣きのギターフレーズは耳心地よい。
90年代英国シンフォルーツのロマンティシズムとともに、じっくりとドラマを描くように構築してゆくという点では、
野暮ったさも魅力というところだろう。派手な盛り上がりはさほどないが、大人の叙情美に包まれた逸品です。
ドラマティック度・・8 プログレ度・・7 叙情度・・8 総合・・7.5 
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RETURN TO FOREVERRomantic Warrior」
アメリカのフュージョン・ジャズロックバンド、リターン・トゥ・フォーエヴァーの1976年作
チック・コリアとスタンリー・クラークを中心に1972年にデビュー、本作はバンドの最高作と名高い傑作。
アル・ディメオラの巧みなギターに、チック・コリアのきらきらとしたシンセワークが美しく重なり、
軽妙かつテクニカルなアンサンブルとともに、メロディアスでプログレ的な質感を生み出している。
コロコロとしたムーグシンセの音色は今で言うアヴァンポップ風でもあり、絶妙のアンサンブルは
ジャズ、フュージョン、ロックのクロスオーヴァーを自然体でなし遂げているとも言える。
上品な優雅さの中にテクニックを溶け込ませた、プログレ・フュージョンロックの傑作だ。
メロディアス度・・8 フュージョンロック度・・8 テクニカル度・・8 総合・・8.5
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REWIRING GENESIS「A Tribute to the Lamb Lies Down on Broadway」
アメリカ人ミュージシャンによるプロジェクト、リワイリング・ジェネシスの2008年作
タイトル通り、GENESISの名作、「眩惑のブロードウェイ」の完全再現アルバムで、もちろん曲順も同じの2枚組。
元ネタを聴いていることが楽しむには必要条件だがこれはけっこうコアなファンにも対応した再現度だと思う。
SPOCK'S BEARDのニック・ディヴァージリオの歌声とともに、原曲の持つ雰囲気はしっかりと残しつつ
現代の機材を使ってややモダンな感触にしながら、Disc2ではヴァイオリン、サックス、フルートといった
管弦楽器を随所に取り入れるなど自由度を高めたアレンジで楽しく聴かせてくれる。オリジナルと聴き比べるのもよし。
シンフォニック度・・8 眩惑度・・8 ブロードウェイ度・・9 総合・・8
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Rich Casey 「No Way Out」
アメリカのシンセ奏者リック・カーシーの2006年作
ギターにベースも自身でこなすマルチプレイヤーで、GENESISルーツの美しいシンセワークと
インストながらも、ポップなキャッチーさも感じさせるメロディで聴かせるサウンド。
女性ヴォーカルが加わってしっとりと聴かせたり、打ち込みビートによるテクノ調の曲など、
アレンジに富んだ作風で、シンセに関してはしっかりプログレらしさも感じさせる。
あくまでソロという点での練りこみ不足は感じるが、メロディのセンスはそれなりにあると思う。
メロディック度・・7 プログレ度・・7 キーボー度・・8 総合・・7




Rick Miller 「Heart of Darkness」
カナダのシンセ奏者、リック・ミラーの2014年作
包み込むような美しいシンセとメロウなギターの旋律、マイルドなヴォーカルの歌声に、
フルートなどが入った民族的な感触も含んだ、ゆったりとした耽美なシンフォニックロック。
プログレ的な展開美というのは薄く、10分、13分という大曲もやわらかな叙情に包まれた聴き心地で
アコースティカルな牧歌性も含めてのんびりと楽しめる。女性ヴォーカルが加わったボーナス曲もじつに美しい。
シンフォニック度・・8 プログレ度・・7 ゆったり素朴度・・8 総合・・7.5

RING OF MYTHUnbound
アメリカのプログレバンド、リング・オブ・ミスの1996年作
サウンドは日本盤帯のタタキにある通り、YES系のメロディアスシンフォニックロックで、
Voの声質もジョン・アンダースンほど通らないが、高音を出してなかなか頑張っている。
楽曲はテクニカルな部分が多く、演奏にはYESよりもむしろ硬質さが感じられ、
せわしない展開の連続が飽きさせない。それでいてメロディをちゃんと感じさせるセンスは
この手のマイナーものとしては相当の出来といってよいだろう。2005年には2作目を発表している。
メロディアス度・・8 プログレ度・・8 テクニカル度・・8 総合・・8
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RING OF MYTH「WEEDS」
アメリカのシンフォニックロックバンド、リング・オプ・ミスの2nd。2005作
YES風味もあった前作もかなりの傑作だったが、今作ではテクニカルな硬質性を強めた
スタイルできた。8分、9分という長曲を軸に、センスある展開力と演奏力で聴かせる。
もちろんキャッチーなメロディも随所に混ぜているので、複雑であっても聴き疲れはしない。
とくにリズム面での流れるような変化は見事で、変態ちっくなノリをさらりと混ぜこんでいてにやりとする。
偏屈さとセンスある構築性、そしてメロディが絶妙に組み合わさった、高品質なアルバムだ。
メロディアス度・・8 テクニカル度・・8 変態度・・8 総合・・8
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RING OF MYTH
アメリカのプログレバンド、リング・オブ・ミスの2011年作
前作から6年ぶりとなる3作目である。1stはYESを硬質にしたような作風であったが、
今作ではぐっと肩の力の抜けた、ECHOLYNにも通じる軽妙でウィットに富んだ大人のプログレをやっている。
オルガンを含むシンセに、キャッチーなヴォーカルメロディを乗せ、ときにブルージーなロック感や、
少しヒネくれた偏屈な知的センスとともに、ゆるやかに構築されるサウンドで、優雅な耳心地の良さと
いくぶんサイケ風味の浮遊感も含んでいて、これがなかなか楽しめる。通好みの好作品である。
メロディアス度・・7 大人のプログレ度・・8 大人の余裕度・・9 総合・・8
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RTFACT 「LIFE IS GOOD」
アメリカで活動するロシア人ミュージシャンによるプロジェクト、アールティーファクトの2017年作
ナッド・シルヴァン(AGENT OF MERCY)、ジェフ・スコット・ソート(TALISMAN、SONS OF APOLLO)をはじめ、
オズ・ノイ、ジェフ・コールマン(EDWIN DARE)、ラフェエル・モレイラといった気鋭のギタリストも参加、
オルガンを含むシンセにオーケストラルなアレンジを重ね、フルートやサックスの音色に、
技巧的なギターフレーズを乗せた優雅で軽妙なサウンドを聴かせる。ヴォーカル入りのパートでは、
ブルージーな古き良き70'sロックの雰囲気もありつつ、クラシカルなシンセの旋律はThe NiceEL&P風味も。
もう少しドラマテイックな盛り上がりが欲しい気もするが、オールドな味わいのメロディックな好作品です。
メロディック度・・8 プログレ度・・7 優雅度・・9 総合・・7.5
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Robert Marcel Lepage 「La plante humaine」
カナダのミュージシャン、ロベール・マルセル・ルパージュの1997年作/邦題「植物人界」
80年代から活動するアーティストで、本作は6作目。艶やかなヴァイオリン、チェロの音色による
優雅な室内楽サウンドに、ロックなドラムとギターが唐突に加わるという、アヴァンギャルドなスタイル。
1~3分前後の小曲が連なり、不穏に鳴り響くストリングスにコントラバス、エレキギターも加わって、
スリリングなチェンバーロックを展開する。一方では哀愁を含んだアコーディオンにヴァイオリンを重ねた
優雅な味わいも覗かせつつ、唐突なロック感触やインプロ的なフリーキーさも含んだつかみどころのない異色作。
チェンバー度・・7 ロック度・・6 アヴァンギャル度・・8 総合・・7.5
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RUSH
カナダのプログレバンド、ラッシュの1st。1974作
アレックス・ライフソンのギタープレイとゲディ・リーのハイトーンヴォーカルを中心にした、
比較的ストレートなロックサウンドで、後の作品のようなテクニカルな部分はほとんどない。
70's英国ハードロックのブルージーな部分を思わせる雰囲気もあり、このバンドがやがて、
トリオ編成の最強バンドとなるとは本時点では想像もつかないが、ラスト曲“Wolking Man”では
その知的ハードロックとしての萌芽を感じさせる。まさにラッシュのルーツというべき1枚だ。
ドラマティック度・・7 プログレ度・・6 知的ロック度・・6 総合・・7.5
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RUSHFly By Night
カナダのプログレバンド、ラッシュの2nd。1975作
本作からドラムにニール・パートが加わり、ここに鉄壁のトリオスタイルが完成、
よりタイトになったリズムアレンジとともに、知的なアレンジの躍動的なロックが繰り広げられる。
楽曲的にはプログレ前夜という作風ながら、70年代英国ハードロックからの影響を伺わせる
抜群のギタープレイとともに、純粋に格好いい演奏を聴かせてくれる。初期の傑作。
ドラマティック度・・7 プログレ度・・7 知的ロック度・・8 総合・・8
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RUSHCaress of Steel
カナダのプログレバンド、ラッシュの3rd。1975作
初期のロックとしての荒々しいダイナミズムを残しつつ、さらに構築力を発揮しだした好作。
前半はシンプルなナンバーが並ぶが、後半の12分、19分という大曲は、
彼らの知的なセンスが発揮されたハードプログレというべき展開力を聴かせる。
次作の「2112」のほうが有名だが、本作の下地があったことを思えば、無視できないアルバムだろう。
ドラマティック度・・8 プログレ度・・7 知的ロック度・・8 総合・・8
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RUSH「2112」
カナダのプログレバンド、ラッシュの4th。1976作
ハードロック路線を残しながらプログレッシブな手法を取り入れ、SF的なコンセプト作に挑戦した初期の代表作。
なんといっても20分を超えるタイトル組曲が圧巻で、ドラマティックに展開するインストパートと、
ハイトーンヴォーカルによるサウンドは、むしろHR/HMの耳で聴く方が馴染みやすい。
緩急をつけた知的なアレンジ力と、メタルバンドとは異なる繊細な叙情を同居させていて、
この後のハード・プログレ、ProgMetal系バンドへも多大な影響を与えた歴史的作品だ。
ドラマティック度・・8 プログレ度・・7 ハードロック度・・8 総合・・8◆プログレ名作選入り
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RUSH 「All The World's A Stage」
カナダのプログレバンド、ラッシュのライブ作品。1977作
1976年トロントでのライブステージを収録。プログレというよりは、まだハードロック色の強い初期ラッシュの
躍動的な演奏が楽しめるライブ作品。とくにアレックス・ライフソンのギターが生き生きと響き渡り、
「2112」の組曲の再現などは、アルバム以上にロックしていて、ダイナミックなアンサンブルを聴かせてくれる。
プログレ度・・7 ライブ演奏・・8 アンサンブル度・・8 総合・・8
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RUSH「HEMISPHERES」
カナダの大御所、ラッシュの6th。1978作
前作「A Farewell to Kings」よりシンセを導入し、よりプログレッシブ色を打ち出してきたのが今作。
なんといってもまず1曲めの18分におよぶ組曲“Cygnus X-1 Book Ⅱ”に圧倒される。
メロディアスさとテクニカルな演奏が合わさった楽曲は、おそらく後のDREAM THEATERなどにも
大きな影響を与えたと思われる。プログレッシブなハードロックという点では前作以上の出来。
「2112」から続く壮大な三部作のラストを飾る作品。完成度的にもまずはこのあたりから入るのもいいかと。
個人的には③あたりのキャッチーな小曲にも惹かれるものがある。
メロディアス度・・7 プログレ度・・8 壮大度・・8 総合・・8◆プログレ名作選入り
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RUSH「PERMANENT WAVES」
ラッシュの7th。1980作
彼らのディスコグラフィー中でも次作「MOVING PICTURES」と並んで人気が高いアルバム。
とくに①“THE SPIRIT OF RADIO”と、②の“FREEWILL”は名曲として知られる。
全体的には曲をコンパクトに、よりメロディアスになってきた時期の作品で、
プログレ以外のファンにも聴きやすくなっているかと思われる。
どちらかというとシンセは控えめで、ALEX LIFESONの緻密かつ奔放なギターが耳を引く。
個人的には③あたりのプログレメタル的なリズムとリフの組み合わせが気持ちいい。
メロディアス度・・7 プログレ度・・7 ロック度・・8 総合・・8◆プログレ名作選入り
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RUSH「MOVING PICTURES」
ラッシュの8th。1981作
基本は前作からの流れだが、シンセの頻度が増えて音に厚みが増している。
変拍子リズムを自然に曲に取り入れるアレンジにますます磨きがかかり、
プログレとしても、知的なハードロックとしても楽しめるサウンドだ。
キャッチーな部分も増していて、全体的に肩の力が抜けた演奏にも思える。
③“YYZ”、④“LIMELIGHT”はライブでの定番曲。中期RUSHの代表アルバム。
メロディアス度・・7 ロックの中にもプログレ度・・8 聴きやすさ度・・8 総合・・8
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RUSH「Signals」
ラッシュの9th。1982年作
前作「MOVING PICTURES」でプログレとハードロックとの融合という
ひとつの完成形を見たバンドは、本作からよりキャッチーな作風へと深化をはじめる。
軽快なリズムと、これまで以上に重要になったシンセアレンジで、本作のサウンドはある種ポップなまでにメロディアスであるが、
それでいてこれが必然の音であるという説得力も強く感じさせる。またバンドとしての強固なアンサンブルも素晴らしく、
シンセによる音の厚みを含めての知性ある浮遊感が気持ちよい。バンドとしての充実の80年代を告げる傑作である。
メロディアス度・・8 プログレ度・・7 キャッチー度・・8 総合・・8
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RUSHGrace Under Pressure」
ラッシュの10th。1984年作
前作でのキャッチーな作風の流れを組みつつ、本作ではよりシーケンサーによる
シンセ音を効果的に使用していて、音の厚みととともにやわらかみが増している。
一方でしっかりとエッジの効いたギターワークもよいコントラストになっていて
ポッフさもありつつも、しっかりとプログレ的な感触は残っていて、
バランスのとれた聴き心地である。軽妙なセンスとキャッチーなメロディ
プログレ性の同居という点ではUKあたりのファンにも楽しめるアルバムだと思う。
メロディアス度・・8 プログレ度・・8 キャッチー度・・8 総合・・8
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RUSHPower Windows
ラッシュの11th。1985年作
「Signals」Grace Under Pressure」と続いてきたキャッチーな路線の延長で
シンセアレンジを効果的に取り入れた空間的な広がりを感じさせるサウンド。
80年代的なポップ感覚と、バンド本来の躍動感がいいバランスで合わさっていて
25年たった今でも、というか今だだらこそ、そのセンスの見事さが再確認できる。
ベースのかもしだす抜群のグルーブ感と、伸びやかなギターワークも魅力的。
聴き心地の良さという点では、この路線での完成系というべきアルバムだろう。
メロディアス度・・8 プログレ度・・7 キャッチー度・・8 総合・・8
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RUSHHold Your Fire
ラッシュの12th。1987年作
一聴して前作よりも音数がシンプルになり、いかにも80年代のハードポップ的な作風。
キャッチーなメロディで4、5分台の曲をさらりと聴かせつつ、その鉄壁のアンサンブルはやはりさすが。
全体的にはスリリングさには欠けるのだが、耳心地のよさでゆったり楽しめるアルバムだ。
メロディアス度・・8 プログレ度・・6 キャッチー度・・9 総合・・8
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RUSH 「a Show of Hands」
ラッシュのライブ作品。1988年作
この時点でアルバム12枚を出し、名実共に世界的にもトップのロックバンドであり、
プログレバンドとなった彼ら。本作はまさに、80年代までの集大成というべきライブアルバム。
トリオ編成ながらも、決して音の薄さを感じない、巧みなアレンジ力とアンサンブル、
トリオならではの完成されたサウンドメイキングは、ライブにおいてはいっそう躍動的に輝いている。
ドラムソロを含めて全15曲、「これぞラッシュ」というべき演奏が楽しめる傑作ライブアルバム。
プログレ度・・8 ライブ演奏・・9 アンサンブル度・・9 総合・・8.5
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RUSHPresto
ラッシュの13th。1989年作
ウサギさんのジャケからして異色な感じだが、サウンドの方は前作より硬質感を強め、
キャッチーさを抑えめにしたロックバンドとしてのアンサンブル志向が窺える。
曲によってはそこそこテクニカルではあったり、前作のようにポップな感触もあるが、
アルバム全体としてはプログレとしてもメロディックロックとしてもやや中途半端な印象。
メロディアス度・・7 プログレ度・・6 キャッチー度・・7 総合・・7.5
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RUSH「ROLL THE BONES」
ラッシュの14th。1991年作
前作Prestoはやや中途半端な内容だったが、本作ではその方向性を固めつつある。
シンセを取り入れた80年代サウンドに、90年代的な構築性を取り込んで、
スケール感をともなったメロディックロック作品に仕上げるセンスはやはり抜群だ。
ゆるやかに聴かせる大人のアンサンブルと、爽やかな叙情性が光る、
いわばRUSH印のプログレーハードとしても楽しめる好作。
メロディアス度・・8 プログレ度・・7 構築度・・8 総合・・8
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RUSHCounterparts
ラッシュの15th。1993年作
90年代に入りサウンドの硬質感を増し、ハードなダイナミックさが光る好作。
ヘヴィなギターはメタル的でもあり、テクニカルなアンサンブルが戻ってきたので、
かつてのクールな構築性を90年代的にアップデートしたような感触もある。
シンセが入るとドラマティックなプログレ風味にもなってなかなかいい。
現在形ロックとしてのモダンさも取り込みながら、バンドの実力を再確認させる好作だ。
メロディアス度・・7 プログレ度・・8 構築度・・8 総合・・8
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RUSH 「Test for Echo
ラッシュの16th。1996年作
前作でのハードでメタリックな感触も含みつつ、よりメロディックな感触を強めた好作品。
知的な構築感覚とキャッチーメロディを融合させ、ときにProgMetal的な聴き心地でも楽しめる。
楽曲は4、5分前後が主体ながら、ベテランらしい奥行きを感じさせる仕上がりはさすが。
いうなれば90年代ラッシュの完成形というべき好作品である。
メロディアス度・・8 プログレ度・・8 構築度・・8 総合・・8
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RUSH「Different Stage/Live」
ラッシュのライブアルバム。CD3枚組み。1998作
1997年のアメリカツアーからの音源をメインに、2CDに22曲を収録。「2112」の完全再現をはじめ、過去の名曲が熱く甦る。
時代をへてなお現役で活動を続けるバンドとして、そのケミストリーと演奏力は、衰えるどころかいっそうのキレ味を見せつける。
トリオ編成のロックバンドとしては、まさしく世界最高というべきライブサウンドだろう。
DISC3には1978年のロンドンでのライブ公演を収録。大曲“Cygnus X-1”をはじめ、初期の名曲が楽しめる。
メロディアス度・・8 プログレ度・・8 ライブ演奏・・9 総合・・8
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RUSH「Snakes & Arrows」
カナダのベテランプログレバンド、ラッシュの2007作
名実共にカナダを代表するバンドであり、プログレ、ハードロックの垣根を超えて30年以上にわたって多くのファンに支持され続けている。
前作「Vapor Trails」から5年ぶりとなる本作では、従来までのヘヴィさがアンサンブルとしての一体感の中にうまく溶け込んでいて、
一聴して地味にも思えるものの、じつはさらに自然体に完成度の高まった見事な作品となった。
ニール・パートのドラムとゲディ・リーのベースは、鉄壁のアンサンブルを構築し、アレックス・ライフソンのギターは
ときに硬質かつヘヴィに、ときにアコースティックやマンドリンなども含めた叙情性を楽曲に付加している。
パックに鳴らされるメロトロンの音色もレトロな哀愁をかもしだす。まさに大人のサウンド、大人のプログレッシブハード作品だ。
メロディアス度・・7 大人のプログレ度・・9 アンサンブル度・・10 総合・・8
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RUSH「Snakes & Arrows Live」
カナダのハードプログレバンド、ラッシュのライブアルバム。2009作
2007年の「Snakes & Arrows」ツアーのオランダ公演を収録したCD2枚組。
同アルバムからの楽曲を中心にしたステージで、デビューから30年以上をへてなお、
その演奏に磨きをかけ続ける、一体感のあるグルーブと抜群のテクニックを聴かせる。
“Limelight”、“Freewill”、“The Spirit of Radio”、“YYG”といった往年の代表曲はもちろん、
“Digtal Man”、“Entre Nous”、“Circumstances”といったライブではレアな曲も披露。
音質も良好で、コアなファンにも楽しめるだけの見事なライブ作品となっている。
メロディアス度・・8 ライブ演奏・・9 楽曲・・9 総合・・8
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RUSH
Time Machine 2011:Live in Cleveland」
カナダのベテランバンド、ラッシュのライブアルバム。2011年作
2010年6月~2011年にかけて行われた「TIME MACHINE TOUR」のステージを2CDに収録。
「Moving Pictures」の全曲演奏を含め、往年の曲もたっぷり聴けるので満足度は高いですな。
演奏については言うに及ばず、長年のケミストリーと技術に裏打ちされたアンサンブルは、
大人の余裕たっぷりで、それでいてテクニカルな切れ味を失っていないのが素晴らしい。
これぞ本物のライブバンド。RUSHのライブ作品は数が多いのですが、本作もやはり必聴ということで。
ライブ演奏・・9 楽曲・・8 たっぷりCD2枚度・・9 総合・・8
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RUSHClockwork Angels
カナダのベテランバンド、ラッシュの2012年作
スタジオアルバムとしては5年ぶりとなる作品で、ドラマティックな雰囲気の1曲めからして
ハードな力強さと知的なアレンジセンスで、これまで以上にProgMetal的な風味を感じさせる。
全体的にヘヴィな質感が増していて、ベテランらしい巧みなアンサンブルも含めた聴き心地は
ときにDREAM THEATER的でもある。楽曲ごとのインパクトやスリリングさ、メロディなどには、
いくぶん物足りなさもあるのだが、コンセプトアルバムとしての流れを感じさせる壮大な世界観はさすがだし、
70年代後半の作風を現代的に甦らせたという感じもある。プログレメタルファンにも楽しめるだろう力作だ。
ドラマティック度・・8 プログレ度・・8 壮大度・・8 総合・・8
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RUSH「Vapor Trails Remixed」
ラッシュの2002年作のリミックス盤。2013年作
オリジナルの方は、いつになくヘヴィなサウンドで、どうにも違和感があったのだが、
リーダーであるゲディ・リーも「間違いだった」と言うように、本作はジャケも新たになり
リミックスされて生まれ変わった。一聴して音がいくぶんマイルドになったことで、
音圧に疲れることなく聴けるようになった。ラッシュの諸作に比べると、ハードな作品には違いないが
多彩なドラムテクニックと存在感あるベースワークが生み出す、このバンドならではのグルーブ感は
さすがというべきもので、メロディアスとまではいかないのだが、硬派なラッシュサウンドが楽しめる。
メロディアス度・・7 テクニカル度・・8 リミックス度・・8 総合・・8

Ryo Okumoto 「Coming Through」
SPOCK'S BEARDのシンセ奏者、リョウ・オクモトの2002年作
大阪出身のシンセ奏者で、80年代に3枚のソロを出しているが、本作はスポックス・ビアード加入後の初のソロ。
ニック・ディヴァージリオ、ニール・モーズ、アラン・モーズ、デイヴ・メロスなどのスポビ関連メンバーに、
サイモン・フィリップス、スティーヴ・ランカスター、スティーヴ・ルカサー、ボビー・キンボール、デイヴ・カーぺンター、
グレン・ヒューズなどの名だたるゲストが参加。巧みなドラムとベースに、オルガンやピアノなどのシンセが絡み、
軽やかなフュージョン風味とアメリカンなポップ性が合わさって、ときにブラスが加わったゴージャスな耳心地もまじえつつ
ボビー・キンボールが歌うナンバーはTOTO風だったり、グレン・ヒューズが歌うとオールドなハードロック風だったりと、
80年代ルーツのロック感触をプログレッシブに昇華している。19分におよぶ大曲では、展開力のあるプログレが炸裂する。
テクニカル度・8 プログレ度・7 豪華ゲスト度・9 総合・8
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Ryo Okumoto 「The Myth of The Mostrophus」
SPOCK'S BEARDのシンセ奏者、リョウ・オクモトの2022年作
ソロとしては20年ぶりの作品で、ニック・ディヴァージリオ、アラン・モーズ、デイヴ・メロスらスポビ関連のメンバーから、
マーク・ボニーラ、スティーブ・ハケット、ランディ・マクスタイン、ライル・ワークマンといった名うてのギタリストに、
SAGAのマイケル・サドラー、I Am The Manic Whaleのマイケル・ホワイトマンなどのシンガーも参加している。
きらびやかなシンセワークにメロディックなギターを重ね、ゲストによる楽曲ごとのヴォーカルを乗せた、
ほどよくハードでキャッチーなサウンド。爽快な抜けの良さとテクニカルな構築力という点では、MAGELLAN
TRANSATLANTICなどにも通じる味わいで、シンフォプログレ好きなら無条件で気に入るだろう。
ラストは22分の大曲で、オルガンやピアノなど自在のシンセワークで、緩急あるゴージャスな聴き心地。
ドラマティック度・8 プログレ度・8 ゴージャス度・9 総合・8 
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SAGA「IMAGES AT TWILIGHT」
カナダのプログレハードバンド、サーガの2nd。1979作
初期の彼らの音はプログレハードというよりもむしろハードポップともいうべきもので
たとえばASIAあたりよりもさらにキャッチーでやわらかな質感のサウンドだ。
おそらく当時は類を見なかったトリプルキーボードによるシンフォニックな美しさと
歌メロ、コーラスワークのキャッチーなセンスが一体となっていて、
ただのポップロックでもなく、モダンなシンフォサウンドとしても鑑賞可能。
メロディアス度・・8 プログレ度・・7 キャッチー度・・8 総合・・7.5
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SAGA「SILENT KNIGHT」
カナダのプログレハードバンド、サーガの3rd。1980年作
前作のメロディアスな路線をさらに推し進めたようなサウンドは、ぐっと洗練され
キャッチーな歌メロとともにしっとりとしたシンフォニックな質感をまとわせている。
聴きようによってはかなりポップでありながら、ロックとしてのかっちりとした部分もあり、
ギターとキーボードの重ね方や曲のアレンジにも無駄がなくなっていることもあって、
プログレハードとしてのSAGAスタイルが完成されたアルバムといってよいだろう。
メロディアス度・・8 プログレ度・・6 キャッチー度・・8 総合・・7.5
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SAGA「Worlds Apart」
カナダのプログレハードバンド、サーガの4th。1981作
現在も活動を続けるベテランバンドだが、日本では今だに一部の通好みのリスナーに
支持されるバンドというイメージがあるかと思う。本作は初期の全盛期を代表する作品で、
今作でアメリカ進出を果たしたことで、サウンド的にもメジャー路線となった感がある。
きらびやかなキーボードの重ねとキャッチーなメロディを、ある種のポップさで聴かせる曲調だ。
リズム面には適度にデジタリィでダンサブルな質感もあり、その辺が80年代を感じさせる。
プログレハードというにはやや軽すぎる気もするが、迷いのない爽快さが魅力ともいえる。
メロディアス度・・8 プログレハー度・・7 ポップ度・・8 総合・・7.5
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SAGA「Heads Or Tales」
カナダのプログレハードバンド、サーガの5th。1983作
前作「Worlds Apart」同様にファンには人気の高い作品。
ギター的にはややヘヴィさを増していて、シンセとのバランスがとれてきたという印象。
キャッチーなコーラスワークとともに、ギター部分での聴き所も増したことで、
これまでシンセメインだったサウンドにはメリハリが付いた。
プログレハードとして考えれば、むしろ前作よりも楽しめる内容だろう。
メロディアス度・・8 プログレハー度・・8 キャッチー度・・8 総合・・7.5
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SAGA 「GENERATION 13」
カナダのブログレハード、サーガの1995年作
1978年デビューのベテラン。本作は11作目となるコンセプト作で、優美なピアノとジェントルな歌声のイントロから、
ほどよくハードなギターにシンセを重ね、ProgMetal的でもある重厚なプログ・ハードロックを展開する。
マイケル・サドラーの歌声はときにシアトリカルで、コンセプトストーリー的な流れを感じさせる小曲を連ね、
壮麗なオーケストラルなアレンジも含んだスケール感にも包まれる。楽曲ごとのインパクトはさほどないものの、
ボーナスを含めて74分、従来のキャッチーなプログレハードのイメージから、シリアスな作風へと挑戦した力作といえる。
ドラマティック度・8 プログレ度・7 重厚度・8 総合・8 
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SAGA 「Full Circle」
カナダのプログレハードバンド、サーガの1999作
1978年にデビューしてから、30年以上のキャリアを誇るベテラン。
個人的にはキッャチーでポップなプログレハードというイメージで、
どの作品も悪くはないがいまひとつ、という印象がぬぐえないのだが。
本作もきらびやかなシンセワークに、キャッチーな歌メロの聴きやすいサウンド。
逆にいえば、この押しつけがましくない中庸さがオシャレなのだとも言える。
ベテランらしい肩の力の抜けかたが、聴き心地の良さになっている。
メロディアス度・・8 キャッチー度・・8 プログレ度・・7 総合・・7.5
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SAGA「House of Cards」
カナダのプログレハードバンド、サーガの2001作
前作のキャッチーな感覚をそのままに、アダルトなポップロック的質感がいっそう強まった。
ギターに絡む美しいシンセアレンジと軽やかなビートが小洒落た感じで、
ドラマティックなプログレハードとして聴くにはややつらいか。
むろんこれこそが彼らの魅力と思える人もいるだろうし、中盤以降には
なかなか魅力的な曲もある。バラエティに富んだ大人のメロディックロック作。
メロディアス度・・8 キャッチー度・・8 プログレ度・・6 総合・・7.5
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SAGA「Marathon」
カナダのプログレハードバンド、サーガの2003作
ライブ盤等を除くとおそらくこれが15作目あたりになるだろう。
曲ごとにバラつきのあった前作に比べ、今作ではのっけから往年を思わせる
キャッチー&メロディックなサーガ節が全開。シンセに絡むテクニカルなギターも冴え、
インストパートでの聴き所がぐっと強まった。大人のメロディックロックとしての
ポップな聴き心地と軽妙さ、プログレハード的なドラマ性のバランスのとれた好作。
メロディアス度・・8 キャッチー度・・8 プログレ度・・7 総合・・8
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SAGA「Network」
カナダのプログレハードバンド、サーガの2004作
前作で、“Chapter”シリーズの楽曲にひと区切りをつけ、バンドとしても新たな気分での作品となったのだろう。
キャッチーなサーガ節はそのままにギターサウンドがいくぶんヘヴィになり、
全体的にもドラマティックな雰囲気が増したという印象。
歴代のジャケをあしらったデザインからも、これまでの作品をリンクさせた
集大成的な色合いが感じられる。一方ではアコースティカルなしっとりとした曲もあり、
プログレ、シンフォニック方面のリスナーにも対応。さすがの貫祿という好盤である。
メロディアス度・・8 キャッチー度・・8 プログレ度・・7 総合・・8
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SAGA「The Chapters Live」
カナダのプログレハードバンド、サーガのライブアルバム。2005作
1978年のデビュー作から2003年の「Marathon」まで、断片的に収録されたきた
“Chapter”シリーズ1~16までの楽曲を、順番に並べて再現したライブアルバム。
繊細かつキャッチーなメロディに、ドラマティックなストーリー性が加わった、
ベテランに作れないやわらかなサウンドはじつに耳心地が良く、
曲ごとに作られた年代が違うにも関わらず、通して聴いてもまったく違和感がない。
25年にも渡る長い長いコンセプトの完成形が楽しめるのというのは、ある意味感動的だ。
メロディアス度・・8 ドラマティック度・・8 チャプター完成度・・10 総合・・8
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SAGA 「TRUST」
カナダのプログレハードバンド、サーガの2006作
前作「Network」、前々作「Marathon」と、質の高い作品を作り続けているベテランバンド、
“Chapter”シリーズの楽曲にひと区切りをつけたことが、新たなバンドの息吹となったのだろう。
本作はシンセによるシンフォニックな味付けとキャッチーなメロディが融合した、
往年の質感を取りもどした初期を思わせるプログレハードサウンドとなっている。
ポップさを控えめにしたことで湿りけを含んだドラマティックな雰囲気が強まり、
従来の大人のメロディックロック路線から、プログレ側に再び接近した傑作である。
メロディアス度・・8 キャッチー度・・8 プログレハー度・・8 総合・・8
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SAGA 「Contact: Live In Munich」
カナダのプログレハード、サーガのライブ。2009年作
2007年ドイツでのライブを2CDに収録。1981年作「Worlds Apart」をはじめとした初期のナンバーから、2007年作「10,000 Days」まで、
新旧織り交ぜたセットリストで、ほどよくハードなギターにシンセを重ね、マイケル・サドラーのヴォーカルを乗せた、
キャッチーでノリの良いサウンドを聴かせる。巧みなドラムやきらびやかなシンセワークなど、ベテランらしい確かな演奏力で
非常に安定感はあるが、本作を最後にいったん脱退するサドラーの歌声に関しては、いくぶん物足りないような気もする。
楽曲的には、1993年作「The Security Of Illusion」などからもけっこう選曲されていて、コアなファンにも嬉しいだろう。
後半には、1978年のデビュー作や、1980年の3rd「Silent Knight」からのナンバーも続けて披露。2枚組で120分の好ライブ。
ライブ演奏・8 プログレ度・7 キャッチー度・8 総合・8 
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SAGA 「The Human Condition」
カナダのプログレハード、サーガの2009年作
フロントを務めていたマイケル・サドラーが脱退し、新ヴォーカルを迎えてのアルバムで、
ファンの間では賛否のある作品ながら、サウンドの方はきらびやかなシンセワークととともに
キャッチーなメロディとプログレ的な知的なアレンジで聴かせるクオリティの高さが光っている。
ロブ・モラッティのヴォーカルも違和感なくサウンドにマッチしていて、むしろこれまでのサーガの作風を
モダンなプログレハードへと進化させている。サドラー不在を感じさせない好作品であるが、
長年のファンには評価が得られず、モラッティは本作のみで脱退、次作から再びサドラーが復帰することになる。
メロディック度・・8 キャッチー度・・8 プログレハー度・・8 総合・・8 
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SAGA「Heads Or Tales Live」
カナダのプログレハード、サーガのライブ作品。2011年作
1983年作「Heads Or Tales」を完全再現したライブを収録。ヴォーカルとドラム以外は当時のメンバーで、
美麗なイントロで幕を開け、きらびやかなシンセに巧みなギターを重ね、伸びやかなヴォーカルとともに、
かつての楽曲をスタイリッシュに再現してゆく。80年代らしいビート感あるナンバーもツーバスのドラムを含めた
より厚みのあるサウンドになっていて、シンフォニックなプログレハードとして現在でも充分に楽しめる。
ジム・ギルモアの美麗なシンセワークと渋みを増したイアン・クライトンのギタープレイも随所に光っていて、
ロブ・モラッティの歌声も決してサドラーにひけをとらないだけの表現力があって、個人的にはまったく問題なし。
全41分、よけいな曲を入れずに、純粋な完全再現のライブ作品にしていることも意義深いだろう。
ライブ演奏・・8 キャッチー度・・8 完全再現度・・8 総合・・8 
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SAGA「20/20」
カナダのプログレハード、サーガの2012年作
結成35周年の20枚目のアルバムで、脱退したマイケル・サドラーが復帰している。
トリプルシンセによる美麗なアレンジと、キャッチーなメロディで軽快に聴かせる、
往年のサーガ節が楽しめる好作品。ノリのよいビートにモダンなポップさを含ませつつも、
そこはベテランならではの堂々たる説得力とスケール感が包み込んでいて、素直に楽しめる。
やわらかなサドラーの歌声も含めて、メロディアスかつシンフォニックなプログレハードが堪能できる好作。
メロディック度・・8 キャッチー度・・8 プログレ度・・7 総合・・8
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SAGA 「Sagacity」
カナダのプログレハード、サーガの2014年作
1978年デビューのベテラン、通算21枚目のアルバム。適度なハードさとキャッチーなポップ性で、
3~5分前後のコンパクトな楽曲を中心に聴かせる、いかにもサーガらしいサウンドは本作も不変。
前作で復帰したマイケル・サドラーのマイルドな歌声がアダルトな味わいをかもしだし、
アルバムのテーマであるらしいモダンで、いくぶん近未来的な雰囲気をしっかりと描いている。
洒落た感じのシンセワークに巧みなギターフレーズが重なる、ベテランらしい音の心地よさとともに
大人のプログレハードが楽しめる。Disc2には「SAGA HITS」と題された過去曲からなるライブ音源を収録。
安定した演奏で往年のナンバーが楽しめる。オールドなファンには嬉しいボーナスだろう。
メロディック度・・8 キャッチー度・・8 大人のプログレハー度・・9 総合・・8 
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SAGA 「LIVE IN HAMBURG」
カナダのプログレハード、サーガのライブ。2016年作
1978年デビューのベテランバンド。本作は、2015年ドイツでのライブを2CDに収録。
70~80年代の初期のナンバーを中心にしたセットリストで、やわらかなシンセワークに流麗なギター、
マイケル・サドラーのマイルドなヴォーカルを乗せて、キャッチーなノリのプログレハードを聴かせる。
ジム・ギルモアのきらびやかなシンセは、サウンドをシンフォニックに彩っていて、初期の楽曲を魅力的に再現、
2014年作「Sagacity」からのナンバーも、オールドな楽曲の中に違和感なく溶け込んでいる。Disc2では、
1978年デビュー作のナンバーも披露。2CDで全98分と長すぎないのもよい。初期ファンにもお薦めのライブです。
ライブ演奏・・8 プログレ度・・7 初期SAGA度・・9 総合・・8
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Salem Hill 「Catatonia」
アメリカのプログレバンド、セーラム・ヒルの1997年作
自主制作のデビュー作に続く2作目で、美しいシンセにメロウなギター、マイルドなヴォーカルを乗せた、
優雅でキャッチーな味わいのシンフォニックロック。NEAL MORSEなどにも通じるほどよいハードさと
スタイリッシュな展開力もあって、90年代のアメリカのプログレバンドとしては、見事な構築センスである。
派手な盛り上がりはさほどないが、美しいシンセと泣きのギターで、しっとりと聴かせる叙情性が味わえる。
アルバム後半の11分を超える大曲も、あくまで優美な聴き心地で最後までじっくりと楽しめる。
ジャケはいかにも自主制作らしいが、内容は次作以降にも引けを取らない出来である。
ドラマティック度・・8 キャッチー度・・8 優雅度・・8 総合・・8
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SALEM HILL「THE ROBBERY OF MURDER」
アメリカのプログレバンド、セーラム・ヒルの3nd。1998年作
美しいピアノや優しげなヴォーカルなど、ゆるやかな叙情に包まれたメロディアスなシンフォニックロック。
日本盤も出た3rdほどの抜けの良さはないが、アメリカのバンドにしては珍しい湿りけある叙情と
GENESIS系の流れを受け継ぐシアトリカルな空気感が感じられる。なにげにドラムも上手いし、
ヴァイオリンの音色がKANSAS風でよいなと思っていたら…弾いていたのは当のデヴィット・ラグスデイルでした。
メロディアス度・・8 プログレ度・・7 しっとりたおやか度・・8 総合・・8
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SALEM HILLNot Everybody's Gold」
アメリカのプログレバンド、セーラム・ヒルの4th。2000年作
きらびやかなシンセアレンジにメロディックなギターを乗せ、KANSASあたりを彷彿させるキャッチーで爽快な
プログレハード的なサウンド。随所にYesなどにも通じる往年の英国のプログレ的な香りを残しつつ、
レトロなだけでなく、適度なハードさを含んだ現代的なアレンジセンスと躍動的な抜けの良さが素晴らしい。
ラストは30分におよぶ組曲で、シンフォニックロックとしての壮大なインストパートと、やわらかな歌声が加わった、
優雅なメロディアス性が合わさって、TRANSATLANTICばりの展開力と質の高い構築性が光っている。
前作に続き、KANSASのデヴィット・ラグスデイルがヴァイオリンで参加している。
メロディアス度・・8 プログレ度・・7 KANSAS&Yes度・・8 総合・・8
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SALEM HILL「Puppet Show」
アメリカのプログレバンド、セーラム・ヒルのライブアルバム。2002作
YesKANSASを思わせるキャッチーなメロディと、TRANSATLANTICなどにも匹敵する構成力で、
質の高いシンフォニックロックを生み出しているこのバンド。このライブ作においても、
持ち味である聴きやすいメロディと、哀愁を感じさせる泣きの叙情を、演奏の中で上手く消化している。
とくに、ピアノからメロトロン風の音までこなすシンセワークは、プログレファンにはたまらない。
音質的にはややラフなのが残念だが、CD2枚でたっぷりと彼らの演奏が楽しめるし、
90年代以降のアメリカのシンフォニックロックを語るには外せないバンドなのは間違いない。
メロディアス度・・8 プログレ度・・7 音質・・7 総合・・7.5
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SALEM HILL「BE」
アメリカのプログレバンド、セーラム・ヒルの6th。2003作
コンセプト作でタイトルが「Be」とくれば…プログレメタルバンド、PAIN OF SALVATIONを思い浮かべるが
奇しくもこちらもそのPOSと同様に、サウンド的にはやや地味な歌ものメインの作品となった。
もちろん、こうしたトータル的なアルバムは歌詞を読み理解すれば、ずっと楽しめるのだろうが
我々日本人はどうしても音そのものだけで聴いてしまい、評価がやや落ちるのは仕方がない
だが、シンフォニックロックとして傑作だった前作との比較をいっさいなしにすれば、
内的な雰囲気がただようこの作品には、歌ものとしての魅力や、ゆったりと落ちついた雰囲気、
ナイーブなピアノなど、音の中にはバンドとしての経験と深みも感じさせ、一概に駄作とはいえない。
メロディアス度・・7 プログレ度・・7 じっくり聴けます度・・8 総合・・7.5
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SALEM HILLMimi's Magic Moment
アメリカのシンフォニックロック、セーラム・ヒルの7th。2005年作
前作「Be」はじっくりと聴かせる歌もの的な作風であったが、今作は大曲4曲という構成のドラマティックなシンフォニックロックとなった。
アメリカのバンドらしいキャッチーな抜けの良に、NEAL MORSEあたりに通じる哀愁味のあるヴォーカルメロディが素晴らしい。
(と思ってブックレットを見たら、そのニール・モーズもゲスト参加)、しっとりとしたピアノに巧みなキーボードアレンジ、
そしてすっかりゲストにはおなじみとなった、デビッド・ラグスデイル(KANSAS)のヴァイオリンも艶やかに鳴り響く。
派手な華麗さよりも、むしろたおやかな叙情美が心地よい、じわじわとくる傑作シンフォニックロック・アルバムです。
メロディアス度・・8 プログレ度・・7 ニールモー風度・・8 総合・・8
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SALEM HILL「Pennies In The Karma Jar」
アメリカのプログレバンド、セーラム・ヒルの2010年作
1992年の自主制作のデビュー作から数えて8作目。前作「Mimi's Magic Moment」は見事なシンフォニックロック傑作だったが、
5年ぶりとなる本作は、キャッチーなコーラスハーモニーから始まるように、メロディックな歌もの感が増していて、
これまでよりいくぶんシンプルな聴き心地。ときにオルガンも鳴り響き、ハード寄りのギターを乗せたキャッチーな感触は、
SPOCK'S BEARD
NEAL MORSEにも通じるだろう。美しいシンセにメロウなギターによるシンフォニック性も残しつつ、
14分という大曲では、プログレらしい構築力も覗かせる。全体的にゆったりとした優美な叙情で楽しめる好作品だ。
メロディック度・・8 プログレ度・・7 キャッチー度・・8 総合・・8 
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SALEM HILL「The Unseen Cord」
アメリカのプログレバンド、セーラム・ヒルの2014年作
1992年の自主制作のデビュー作から数えて9作目。GLASS HAMMERとともにアメリカン・シンフォプログレの先駆け的な存在。
前作での歌もの路線の流れで、QUEENを思わせるやわらかなヴォーカルメロディとともに、優雅でキャッチーなサウンドを描く。
やわらかなピアノやオルガンを含むシンセアレンジに、メロウな泣きのギターも加えて、しっとりとした叙情美に包まれながら、
一方では、KANSASなどをルーツにしたキャッチーなプログレハード風味や、プログレらしい展開力も随所に含んでいて、
キャリアのあるバンドらしい巧みなアレンジセンスとともに、スタイリッシュに楽曲を仕上げているのがさすが。
ラストは28分という大曲で、美麗なシンセワークにマイルドなヴォーカルを乗せて優雅に構築される。全70分の力作だ。
メロディック度・・8 プログレ度・・8 優雅度・・9 総合・・8
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SCARLET HOLLOW 「What If Never Was」
アメリカのハードプログレ、スカーレット・ホロウの2012年作
適度にヘヴィなギターとうっすらとしたシンセアレンジ、女性ヴォーカルの歌声を乗せて、
薄暗い叙情とともにProgMetal的な構築力とドラマティックな展開力で聴かせるサウンド。
メロウなギターの旋律やシンフォニックで繊細な美しさも随所になかなか魅力的で、
全体的に派手な展開やインパクトはないのだが、じわじわと包み込むような聴き心地だ。
個人的には、メタリックなハードさよりもシンフォニックな優美さを伸ばしていってもらいたい。
ドラマティック度・・8 テクニカル度・・7 女性Vo度・・7 総合・・7.5
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SCARLET HOLLOW 「A Window To October」
アメリカのプログレバンド、スカーレット・ホロウの2020年作
2010年にデビュー、本作は2作目となる。叙情的なギターにシンセを重ね、やわらかな女性ヴォーカルを乗せた
スタイリッシュなシンフォニックロックで、いくぶん翳りを帯びたアンニュイな空気を漂わせる。
プログレ的な凝った展開力はさほどないが、ゆったりとした流れの中にもドラマ性を感じさせ
メロウなギターの旋律にはかなげな女性ヴォーカルで、しっとりと優雅な聴き心地で楽しめる。
もう少し明快な盛り上がりが欲しい気もするが、薄暗系のシンフォプログレが好きな方にはお薦めです。
ドラマティック度・7 プログレ度・7 優雅度・8 総合・7.5 
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Schooltree  「Heterotopia」
アメリカのプログレバンド、スクールトゥリーの2017年作
女性シンガー、Lainey Schooltreeを中心にしたプロジェクトで、本作はCD2枚組のコンセプト的な大作。
クラシカルなピアノを含むやわらかなシンセアレンジにギター重ね、軽やかなアンサンブルとともに
コケティッシュな女性ヴォーカルで聴かせる優雅なサウンド。オルガンなどのシンセにプログレらしい変則リズムで、
濃密すぎないシンフォプログレという点では、MAGENTAあたりにも通じるが、こちらはもう少しアーティスティックで、
どことなくエキセントリックなケイト・ブッシュ的世界観も感じさせる。Disc2では、オルタナポップ風のナンバーや
キャッチーな歌ものもありつつ、ほどよく妖しい語りやアンニュイな浮遊感とともに、しっとりと優美な聴き心地で楽しめる。
ドラマティック度・・8 プログレ度・・7 優雅度・・8 総合・・8
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SEGUIN 「En Attendant」
カナダのプログレ・フォークバンド、セギンの1974年作
71年の結成から76年の解散まで4枚のアルバムを残した、フレンチ・カナディアン系バンドの2作目。
アコースティックギターのつまびきにパーカッションのリズム、男女ヴォーカルの歌声で聴かせる、
素朴で牧歌的なフォークサウンド。フランス語の響きがケベックらしい、ヨーロピアンな雰囲気を醸し出していて
結果として英国フォーク系バンドのような聴き心地になっている。3rd、4thとプログレ度が高まってゆくのだが、
本作はまだ純朴なフォークといってよい作風で、のんびりと楽しめる好作です。
アコースティカル度・・9 プログレ度・・5 素朴度・・8 総合・・7.5
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SEGUIN 「Recolte De Reves」
カナダのプログレ・フォークバンド、セギンの3rd。1975年作
フランス語による男女ヴォーカルの歌声に、アコースティックギターのつまびき、
やわらかなフルートの音色など、優しい牧歌性に包まれたフォークサウンド。
英国フォークの翳りとはいくぶん趣の異なる、素朴なおおらかさが感じられるのが特徴で、
ジャケのような広々とした草原とすがすがしい風をイメージするような聴き心地だ。
次作のようなシンフォニックな雰囲気はあまりないが、ゆったりとした好作品である。
アコースティカル度・・8 プログレ度・・6 素朴度・・8 総合・・7.5
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SEGUIN 「Festin D'Amour 」
カナダのプログレ・フォークバンド、セギンの4th。1976年作
男女ヴォーカルの牧歌的な歌声に、マンドリンやアコースティックギターのつまびき、
ホルンなどの管楽器の音色も加わった、独自のスタイルのフォークサウンドを聴かせる。
フランス語によるヴォーカルが、のんびりとした中にも優雅な雰囲気をかもしだしていて
英国のフォーク系バンドに比べると、ぐっとおおらかな味わいで楽しめる。
随所にストリングスなどによる美しいアレンジが入るとプログレ心を刺激します。
個人的には、代表作とされる前作よりも完成度は高いと思う。
アコースティカル度・・8 プログレ度・・7 のんびりおおらか度・・8 総合・・7.5
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Sense 「Stone in The Sky」
カナダのプログレバンド、センスの2005年作
本作は未発曲2曲にライブ音源5曲という変則アルバムで、DVDには別公演のライブを収録。
アコースティックギターにマイルドなヴォーカルを乗せ、フルートの音色も加えた牧歌的な1曲目から、
2曲目は美しいシンセアレンジに包まれたキャッチーな歌もの感がなかなか耳心地よく、
途中でクリムゾン的なスリリングな空気になるところも面白い。全体的にはケベックのバンドらしい
優雅で軽妙なサウンドで、アコースティックをまじえた牧歌性と、ミステリアスなプログレ感が混在した味わい。
10分を超える大曲を構築する確かな演奏力もあり、ライブ音源ではYESのカヴァーや、ジャズロック的な即興パートも披露。
DVDには、2004年のライブを収録。スティックを操るベーシストや女性ヴァイオリン、女性ヴォーカルも含め、優雅なステージが楽しめる。
メロディック度・・8 プログレ度・・8 優雅度・・8 総合・・8


Shadow Circus 「Whispers and Screams」
アメリカのプログレバンド、シャドウ・サーカスの2009年作
オルガンやムーグを含んだシンセワークと、キャッチーなメロディで聴かせるサウンドで、
ヴォーカルの声質も含めて、GENESISルーツの古き良きハードプログレという雰囲気。
コンセプト的に楽曲を連ねる手法で、メリハリのあるドラマティックな構築と
キャッチーで軽快な聴き心地を同居させているところは、SPOCK'S BEARDにも通じるか。
これでもっと印象に残るメロディや盛り上がりがあれば、さらに楽しめるバンドになるだろう。
ドラマティック度・・7 プログレ度・・8 楽曲・・7 総合・・7.5
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Shadow Circus「On a Dark and Stormy Night」
アメリカのプログレバンド、シャドウ・サーカスの2012年作
オルガンが鳴り響く、いくぶんハードエッジなプログレスタイルはそのままに、
3作目となる本作ではコンセプト的なスケール感に、楽曲のクオリティが合わさって、
これまで以上にメロディのフックと抜けのよさが加わったことでぐっと魅力が増した。
メロウなギターフレーズと美しいシンセアレンジでここぞと盛り上げる、メリハリのついたインストパートは、
SPOCK'S BEARDNEAL MORSEの諸作にも引けをとらない、ドラマティックな聴き心地である。
ヴォーカルの弱さはやや感じるものの、全体的にやわらかな作風なので問題ない。なかなかの傑作ですよ。
ドラマティック度・・8 プログレ度・・8 楽曲・・8 総合・・8
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Shaun Guerin 「The Epic Quality of Life」
アメリカのマルチミュージシャン、ショーン・グエリンの2003年作
Genesisトリビュートバンド、Cinema Showのメンバーで、ジャケもポール・ホワイトヘッドが手掛けているように
ジェネシスを思わせるメロディを随所に含んで、Yesのような軽やかなアンサンブルで聴かせるサウンド。
ショーン自身の歌声も、フィル・コリンズを思わせるかすれた味わいで、往年のプログレ色豊かな楽曲にマッチしていて、
本職であるドラムも手数の多いプレイで躍動的なアンサンブルを描いている。メロトロンやムーグを含むきらびやかなシンセと
Yesのスティーブ・ハウに通じるようなテクニカルなギターも随所に光っている。プログレ好きならにんまりした楽しめるような好作品。
尚、ショーン・グエリンは本作を遺して、2003年に41才の若さで亡くなっている。
メロディック度・・8 プログレ度・・8 フィルコリン度・・8 総合・・7.5
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Shaun Guerin 「Archives」
アメリカのマルチミュージシャン、ショーン・グエリンの2004年作
2003年に41才の若さで亡くなった彼の未発音源集で、GENESIS、CLEARLIGHT、EL&P、PINK FLOYDのカヴァーを含む、
全16曲78分を収録。曲によった葉音質はややラウドながら、彼の演奏するドラムもシンセも、なかなかの技量とセンスで、
ジェネシスのトリビュートバンドもやっていたいとうだけあり、かすれた味わいのヴォーカルもサウンドによくマッチしている。
プログレへの愛情が確かに感じられる。クリアライトの大曲やEL&P「悪の教典#9」のカヴァーなども見事な出来だが、オリジナル曲の方も、
やわらかな叙情性で聴かせるシンフォニックロックとして出来がよく、夭逝したアーティストの遺作とするには惜しい内容である。
ドラマティック度・・7 プログレ愛度・・9 叙情度・・8 総合・・7.5


Sigmund Snopek Ⅲ「Who's afraid of Virginia Woolf?」
アメリカのプログレアーティスト、シグムンド・スノペック三世の1972年作
本作は物語的なコンセプトらしく、ロックオペラ風の流れで楽しめる力作だ。
ヴァイオリンなどの入ったクラシカルな部分と、サックスなどによるジャズ的な要素が
曲によって意図的に混在しており、ときにプログレ的なテクニカルさを垣間見せつつ、
一筋縄ではいかないシンフォニックサウンドを展開している。優雅なクラシカルさの中にも、
どこかとぼけたセンスがあって、それが不思議でシアトリカルな世界観を引き立てている。
プログレとして聴くにはやや難解な感じもするが、風変わりなロックオペラとして楽しめる。
後半のボーナスにはアヴァンギャルドな多重録音曲などを収録、詳細は謎。
クラシカル度・・8 プログレ度・・8 ロックオペラ度・・8 総合・・7.5
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Sigmund Snopek III 「First Band on the Moon」
アメリカのプログレアーティスト、シグムンド・スノペック三世の1980年作
1972年にデビュー、本作は5作目で、SNOPEK名義でのバンド編成となったアルバム。
適度にハードなギターにオルガンを含むシンセを重ね、ややシアトリカルなヴォーカルを乗せた、
キャッチーなプログレハード風のサウンド。とぼけた味わいのわりとユルめのポップ感とともに、
プログレというよりはヘンテコなAORというような聴き心地で、のんびりと楽しむのがよいかと。
どことなく、DAVID BOWIEQUEEN風のストレンジなポップロックナンバーもなかなか面白い。
次作「Roy Rogers Meets Albert Einstein」は最高傑作というべき出来なので、まずそちらをチェック。
ドラマティック度・・7 プログレ度・・7 わりとポップ度・・8 総合・・7.5 
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SIGMUND SNOPEK Ⅲ「ROY ROGERS MEETS ALBERT EINSTEIN」
アメリカのプログレ系アーティスト、シグムンド・スノペック三世の1982年作
30年のキャリアを持つ鬼才のこのコンポーザー&プログレ鍵盤奏者の名作と名高いのが本作。
まず28分にも及ぶ組曲で幕を開ける。たたみかける展開の中をシンフォニックなキーボード、
メロウなギターが切れ味よく乱舞し、そのクオリティはHAPPY THE MANもかくやというほど。
むろん押し一辺倒ではなく、フルートやピアノなどのしっとりとしたパートもあり実に起伏に富んでいる。
メロディの質といい曲のアレンジセンスといい、アメリカのシンフォ系プログレ作品としては最高峰の一枚だ。
シンフォニック度・・8 テクニカル度・・8 完成度・・9 総合・・8.5◆プログレ名作選入り
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Sigmund Snopek 「nobody to dream」
アメリカのミュージシャン、シグムンド・スノペックの1997年作
70年代から活躍するアーティストだが、全貌はよほどのマニアでないと知られていないだろう。
元々はクラシック系の出身ということらしい。艶やかなヴァイオリンやチェロなど重ねた、
まるでクラシック作品のような雰囲気で始まり。2曲目からはヴォーカルも入るが、
ピアノやストリングスを中心に、そこに重なる男女混声コーラスは、むしろオペラのよう。
おそらくストーリーのあるコンセプト作なのだろうが、プログレというよりは優雅なチェンバーロックというべき異色作。
シンフォニック度・・7 プログレ度・・5 クラシカル度・・8 総合・・7.5
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SIGMUND SNOPEK ⅢTrinity - Seas Seize Sees
アメリカのプログレ系アーティスト、シグムンド・スノペック三世の1974/1999年作
70年代から活動する鬼才アーティストにして、プログレ系コンポーザー&鍵盤奏者。
本作は1974年作をCD2枚組に拡大した、物語的なコンセプトアルバム。語りから始まり、その後は小曲と語りを交互に連ねてゆくという形式で、
オルガンなどを含んだシンセアレンジとシアトリカルなヴォーカルとともに、ときにアヴァンギャルドな展開も垣間見せる。
基本はシンフォニックロックの作りながら、ANGEばりの演劇性に加えMAGMA風味の怪しさもあったりと、集中して聴くにはいくぶん散漫な感じもあるが、
とくにDisc2でのプログレとしてのダイナミックな楽曲はさすがという作りで、むしろこの路線で1枚組にして欲しかったと思ったりもする。
なんにしても多くのゲストを招いてこれだけのコンセプト大作を作り上げたという彼のコンポーザーとしての手腕は、謹んで評価すべきだろう。
ドラマティック度・・8 プログレ度・・8 シアトリカル度・・8 総合・・8
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Signs of One「Innerlands」
カナダのプログレバンド、サイン・オブ・ワンの2007年作
いかにも北米のバンドらしいキャッチーなメロディで軽快に聴かせるサウンドで、
YES的な構築性とモダンなアレンジが合わさった、プログレハード的な質感もある。
ヴォーカルの声質も含めてRUSHからの影響もそこはかとなく感じさせるが、
それは演奏力の高さとキレの良さ、楽曲のアレンジセンスにも表れている。
適度なテクニカル性と叙情性によるメリハリの効いた構成も見事で、
シンフォニックな美しさとともにProgMetal的なスケールの大きさも感じさせる。
メロディアス度・・8 プログレ度・・8 アレンジセンス・・8 総合・・8
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Simon Apple 「River To The Sea」
アメリカのプログレハード、サイモン・アップルの2004年作
1997年にデビューし、2作目となる。優美なシンセアレンジに叙情的なギター、マイルドなヴォーカルで
優雅でシンフォニックなメロディックロックを聴かせる。アメリカらしいキャッチーな叙情性と
軽やかなドラムや巧みなギタープレイを含めた演奏力の高さは、TOTOをルーツにしたような、
ポップなプログレハードとしても楽しめる。美しいエレピやシンセの重ねも耳心地よく、
キャッチーなポップ性と、繊細な優美さがバランスよく同居している。小曲を盛りこみつつ、
4~5分前後のナンバーを主体に、あくまでメロディアスな味わいだ。トニー・レヴィン、
バック・ダーマ(BLUE OYSTER CULT)らがゲスト参加。全70分の優美な逸品です。
メロディック度・8 プログレ度・7 優美度・9 総合・8
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Singularity 「Between Sunlight and Shadow」
アメリカのプログレバンド、シングラリティの2002年作
やわらかなシンセアレンジとアメリカらしいキャッチーなヴォーカルメロディで聴かせるサウンドで、
2~4分前後の小曲を連ねてゆくという、コンセプト風味のある作品。随所にスペイシーなシンセワークや
ハードめのギターも出てきて、インスト曲と歌もの曲とのメリハリがあって、案外飽きさせない。
個人的にはもっと大仰な盛り上がりや印象的なメロディがあれば嬉しいのだが。なかなかの好作ではある。
ドラマティック度・・7 プログレ度・・8 楽曲・・7 総合・・7.5
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Singularity 「Of All the Mysteries」
アメリカのプログレバンド、シングラリティの2007年作
適度なキャッチーさとテクニカル性で、Echolynなどに通じる聴き心地の曲調に、
歌入りの優しい叙情性などはGenesis的でもあり、美しいシンセにフルートが重なる繊細さと、
展開の多いインストパートがよい感じのコントラストになっている。随所にメロウなギターワークも入りつつ、
14分、20分という大曲をゆるやかに構築してゆく、叙情豊かなシンフォニックロックとしても楽しめる好作品。
ドラマティック度・・8 プログレ度・・8 構築度・・8 総合・・7.5
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Slychosis「Fractured Eye」
アメリカのプログレバンド、スライコシスの2012年作
シンセにギター、ベースをこなす、グレッグ・ジョンス氏を中心にしたバンドで、
美麗なシンセとキャッチーなヴォーカルメロディのプログレハード的なスタイル。
楽曲は4~6分前後が中心で、インスト曲も悪増せながら、比較的シンプルな聴き心地。
メロウなフレーズのギターにやわらかなシンセワークなど、全体的になかなかよろしいのだが、
メロディや展開にはスリリングなものが薄く、これだというインパクトには欠けるという微妙な作品。
メロディック度・・7 プログレ度・・7 楽曲・・7 総合・・7
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Somnambulist
アメリカのプログレバンド、ザムナンビュリストの1st。1996年作
ジャケは不気味だが、内容はメロトロンやハモンドの鳴り響くヘヴィめのテクニカルプログレ。
クリムゾン的な構築性を有しつつも、メロディはアメリカらしく意外にキャッチーで、
よりやわらかみの増した2ndに比べ、こちらは硬質感がまだ残っている所が、
このバンドの演奏力とセンスをいっそうくっきりさせている感じがする。
レトロなプログレ要素を90年代風のアレンジで再構築しているのが見事だ。
そして、変態的な混沌の中に希望の光が見えるような(分かる?)曲構成も素晴らしい。
けっこうメロディアス度・・8 プログレ度・・9 メロトロン度・・8 総合・・8◆プログレ名作選入り
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SOMNAMBULIST「THE PARANORMAL HUMIDOR」
アメリカのプログレバンド、ザムナンビュリストの2nd。2001年作
GENTLE GIANTECHOLYNにも通じるテクニカルな屈折感にモダンな構築センスをそなえるこのバンド、
キャッチーなメロディラインはSPOCK'S BEARD的でもあり、オルガンやメロトロンなどのヴィンテージなシンセも素晴らしい。
メロディックかつシンフォニックな音像を失わないまま、独自のエキセントリックなセンスで彩られたサウンドは、
DREAM THEATERやTRANSATLANTICあたりのリスナーにも楽しめるだろう。これは掘り出し物的な傑作だ。
メロディアス度・・7 テクニカル度・・8 楽曲センス・・8 総合・・8
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SONIC MUSIC「the prisoner」
アメリカの1人シンフォニックプロジェクト、ソニック・ミュージックの2005作
Larry Benignoなる人物がほとんどすべてのパートを手がけた作品で、ドラムは打ち込み。
サウンドはYESUKあたりに通じる構築感とキャッチーなメロディを聴かせつつ、
軽やかなジャズロック風味や、ときおり垣間見せるユーモアのある展開もなかなか面白い。
総じて音にはアメリカ的な抜けの良さがあって、やわらかなヴォーカルメロディも聴きやすい。
新鮮さという点では物足りないが、個人作としては曲作りのクオリティは高く、
SPOCK'S BEARD
あたりのリスナーも充分楽しめるだろう。
メロディアス度・・8 プログレ度・・7 楽曲・・8 総合・・7.5


Soundscape 「Discovery」
アメリカのプログレバンド、サウンドスケープの1997年作
のっけからクリスマス・キャロルをテーマにした21分の組曲で、ほどよくハードなギターと伸びやかなヴォーカルに、
やわらかなシンセを重ねた、キャッチーなプログレハードを聴かせる。緩急あるわりと唐突な展開力に、
ツーバスのドラムなどのほどよいテクニカル性に、流麗なギターと歌い上げるハイトーンヴォーカルで、
ProgMetal的なイメージでも楽しめるところは、DREAM THEATERにも影響を受けているのかもしれない。
中盤には優雅なインストナンバーや、9分の大曲と長尺感もなんのその、ラストも19分という組曲でドラマティックに盛り上げる。
全77分という力作である。本作のみで消えたと思いきや、バンドは2009年になって復活作「Grave New World」を発表する
ドラマティック度・8 プログレ度・7 ProgMetal風度・8 総合・7.5
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Spaced Out
カナダのテクニカル・ジャズロック、スペイスト・アウトの2000年作
軽やかなドラムと存在感あるベースによる有機的なリズムに、やわらかなシンセと巧みなギターを乗せて、
PLANET Xあたりにも通じる、テクニカルでスペイシーなプログレ・フュージョンロックを聴かせる。
奔放に弾きまくるギターは、ときにアラン・ホールズワースを思わせつつ、変則リズムやキメを含む
技巧的なアンサンブルで、スタイリッシュなインストサウンドを描いてゆく。テクニカルではあっても、
シンセやギターのフレーズにはほどよく叙情性が感じられるので、全体的に硬質すぎない聴き心地で、
テクニカルロックの初心者でも楽しめるはず。3作目以降に比べると、より優雅なサウンドが心地よい。
ドラマティック度・・7 テクニカル度・・8 優雅度・・8 総合・・8 
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Spaced OutEponymous II」
カナダのテクニカルプログレバンド、スペイスト・アウトの2nd。2001年作
テクニカルに聴かせるハードフュージョン風のジャズロックサウンドで、
PLANET Xなどにも通じる技巧的なキメと変則リズムで聴かせるインスト作だ。
テクニカルなギターとスラッピングの効いたベースの存在感が際立っているが、
本作の時点ではまだキーボーディストがいる分、ただ押しまくるだけでなく
ときおりほんのりと叙情性もあって、複雑な音楽ながらも案外聴きやすい。
メロディアス度・・7 テクニカル度・・8 ジャズロック度・・8 総合・・8
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Spaced OutUnstable Matter
カナダのテクニカルプログレバンド、スペイスト・アウトの4th。2006作
ギター、ドラム、そしてシンセプログラムも担当するベースの3人組で、
PLANET Xを思わせるような、テクニカルなハード・ジャズロックをやっている。
重厚でメタリック雰囲気と、シンセによるスペイシーなメロディが合わさり、
楽曲は複雑ながら押し一辺倒ではない聴きやすさもあるのがポイント。
フュージョン的な軽やかさではなく、あくまでロックとしてのハードさを持っている点が
むしろRUSHあたりにも通じるバランス感覚か。愛想はないが冷徹でもない音だ。
メロディアス度・・7 テクニカル度・・8 ジャズロック度・・7 総合・・7.5
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SPACED OUT「Live At The Crescendo Festival」
カナダのテクニカルプログレバンド、スペイスト・アウトのライブ作。2007作
ドラム、ギター、ベースという3人編成で聴かせるテクニカルでゴリ押しのプログレ・ジャズロック。
手数の多いドラムの変則リズムの上に、ツブのしっかりしたベースが絡み、
そこにメロディも奏でられるギターが器用に音を乗せている。全員がバカテク。
ときおりシンセの音色が聴こえるのは、ベーシストがペダルかなんかで操っているのか?
そういうわけでRUSH的な尖った屈折感にPLANET X的な変態リズム精神が合わさった
その筋のリスナーにはキモチ良い(キモチ悪い)だろうテクニカルインストサウンドである。
ライブ作ながらテンションは高く演奏も凄いのだが、その反面曲調が唐突すぎて耳に残らない
という印象もある。ともかく、PLANET X的な超絶テクニカルフュージョンがお好きならどうぞ。
メロディアス度・・7 テクニカル度・・9 変態度・・8 総合・・7.5

Spaced Out「Evolution」
カナダのテクニカルプログレバンド、スペイスト・アウトの5th。2008作
テクニカルに聴かせるハードフュージョン風のジャズロックサウンドで、
PLANET Xなどにも通じる技巧的なセンスを聴かせるこのバンド。
超絶なタッピングベースに、ザクザクとしたメタリックなギター、
基本的には変則リズムとキメの連続による技巧派のスタイルながら、
ギターのフレーズやシンセワークにはメロディアスな要素もあり、案外聴きやすい。
過去のアルバムよりも音の迫力が増していて、ミステリアスなスケール感も出てきた。
メロディアス度・・7 テクニカル度・・8 メタリックフュージョン度・・8 総合・・8
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Spellbound
アメリカのプログレユニット、スペルバウンドの1992年作
マルチプレイヤー、Randy Ricoによるユニットで、打ち込みのリズムにきらびやかなシンセと
適度にハード寄りのギターを乗せたインストサウンド。歌がないのとメロディのフックにさほどインパクトもないので、
どうしてもBGMのようになってしまうという、この手のマイナー系自主制作の見本のような聴き心地。
楽曲にはプログレとしての要素も薄く、ギタープレイも平凡というのがいかんともしがたい。
ジャケ裏には何故か往年の巨乳系ポルノ女優、クリスティ・キャニオンのお姿が…
ラスト曲のタイトルは、その彼女に捧げたようだが。知り合いなのか、単なるAVマニアなのか。笑
メロディック度・・7 プログレ度・・5 楽曲・・5 総合・・6
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The Spirit Of Christmas 「Lies To Live By」
カナダのサイケプログレ、スピリット・オブ・クリスマスの1974年作
Christmas名義で1970年にデビュー、本作はバンド名を変更しての実質的な3作目となる。
ユルめのギターにマイルドなヴォーカルを乗せた、ゆっりとしたサイケ感触とともに、
アコースティックを含む牧歌的な叙情に包まれたサウンド。プログレ的な感触は薄いが、
アルバム後半は、8~11の大曲が続き、メロトロンに優美なピアノ、メロウなギターの旋律とともに
シンフォニックロック的なアプローチや、いくぶんアヴァンギャルドな緩急ある展開力も覗かせる。
ドラマティック度・7 プログレ度・7 牧歌的度・8 総合・7.5
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Spirits Burning 「Starhawk」
アメリカのサイケロック、スピリッツ・バーニングの2015年作
故デヴィッド・アレン&GONG一派やACID MOTHER TEMPLEなどとも関係が深いバンドで、
本作は、SF作家マック・マロニーの「STARHAWK」シリーズをテーマにした、スペースロックオペラ。
デヴィッド・アレンをはじめとするGONG関連のメンバーや、HIGH TIDEのメンバー、CLEARLIGHTのシリル・ヴェルドー、
YESのビリー・シャーウッドなど多数のゲストが参加していて、配役ごとにヴォーカルを割り当てるスタイルで、
HAWKWINDを思わせるサイケなスペースロックを展開する。ディレイのかかったギターフレーズに
エレクトロなシンセアレンジとともに、スペイシーな浮遊感に包まれた聴き心地であるが、ブルージーなギターも含んだ
古き良きロック感触も覗かせる。全17曲で77分という大作であるが、正直、長すぎて聴くのがつらいという。涙
ドラマティック度・・7 プログレ度・・7 スペースサイケ度・・8 総合・・7.5
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SPOCK'S BEARD「The Light」
アメリカのプログレバンド、スポックス・ビアードの1st。1995年作
90年代のネオプログレ、シンフォニックムーブの中において、突如として現れたこのバンドの存在は
その後の世界中の多くのバンドに、懐古主義との新たな出会いを明確に提示して見せることとなる。
レトロなオルガンやムーグが鳴り響くという、いわば70年代的なヴィンテージ感覚と
キャッチーなメロディを融合させたそのサウンドは、一聴して古き良き時代の産物であるが
大曲を構築しきる卓越した作曲センスと、演奏を含めてのトータルなレベルの高さという点で、
これがプログレとしての後退では決してないということを見せつけた。耳触りのいいやわらかなメロディと、
かつてのGENTLE GIANTのようなとぼけた味わい、そしてシンフォニックロックとしてのも盛り上げ方など、
リーダーであるニール・モーズの音楽性が遺憾なく発揮された傑作である。
メロディアス度・・8 プログレ度・・8 キャッチー度・・8 総合・・8
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SPOCK'S BEARD「BEWARE OF DARKNESS」
アメリカのメロディアスプログレバンド、スポックス・ビアードの2nd。1996作
本作はイントロからいきなりTRANSATLANTICみたいな始まりかた。
この2ndからライブでの演奏も考慮してキーボードがもう一人(リョウ・オクモト)加わり
いよいよバンドは本格始動…という感じで音にものびのびとした部分が感じられる。
大曲の間に小曲やアコースティック曲などを混ぜ、全体として非常にバランスのとれた内容。
ほぼすべての作曲を手がけているニールのメロディセンスはやはり絶品で、
音色に70年代的な色を感じさせつつも、ギターとKEYの重ねやコーラスワークなどには
なつかしいような温かみがあり、とても聴きやすくキャッチーな好作品だ。
メロディアス度・・9 プログレ度・・8 構築度・・8 総合・・8
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SPOCK'S BEARD「The Kindness Of Strangers」
アメリカのメロディアスプログレバンド、スポックス・ビアードの3rd。1998作
日本人キーボーディスト、Ryo Okumotoが加わった2nd以降はライブ活動も積極的にこなし、
世界的な評価も高まっており、今やアメリカを代表するプログレバンドになっている。
今回は前作のコンパクトさをそのままに、10分台の曲も3曲入れるなど、いよいよ彼らの本領が発揮。
爽やかで、優しい歌メロと、テクニカルさをひけらかさず、あくまで自然体なバックの演奏が
一体となり、この独特の「新しき懐古主義」ともいうべきサウンドを構築している。
この肩の力の抜け具合はもはや年季の入ったベテランバンドのそれで、
ただ盛り上がるだけのシンフォバンドとは明らかにスタンスが違う。
力まず、身構えず、心地よく聴けるメロディアスなプログレアルバムである。
メロディアス度・・8 キャッチー度・・8 楽曲・・8 総合・・8◆プログレ名作選入り
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SPOCK'S BEARD「DAY FOR NIGHT」
アメリカのプログレバンド、スポックス・ビアードの4th。1999作
名実ともに安定期に入った彼らが、ほぼ毎年のように作品を発表していた時期の作品。
傑作である3rd「THE KINDNESS of STRANGERS」と5th「Ⅴ」にはさまれて、
少々評価が低いものの、内容的にはまったく高品質の安心して聴けるアルバムである。
軽快なバンドの演奏には余裕が感じられ、ニールの歌メロのキャッチーなセンスは冴えまくり、
プログレ云々というよりは、キャッチーなメロディックロックとして聴ける作品で、
バンドとして自信と充実に満ちていたことが音にも感じられる。
メロディアス度・・8 プログレ度・・7 演奏・・9 総合・・8
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SPOCK'S BEARD「Don't Try This at Home」
アメリカのプログレバンド、スポックス・ビアードのライブ作。2000作
1999年オランダでのステージから収録。4th発表後のツアーだったらしく、
4th「Day for Night」から4曲、3rd「The Kindness of Strangers」から2曲という構成。
メンバーは実力者ぞろいなので、演奏は安定していて、アルバム通りに
メロディアスかつレトロな質感をともなったスポビサウンドが楽しめる。
とくに、ラストの完全版で再現される20分の大曲“The Healing Colours of Sound”は圧巻。
演奏の緊張感や曲としての新鮮味は今となっては薄いが、スポビのライブが聴きたいならどうぞ。
メロディアス度・・8 ライブ演奏・・8 新鮮度・・7 総合・・7.5
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SPOCK'S BEARD「Ⅴ」
アメリカのメロディアスプログレバンド、スポックス・ビアードの5th。2000年作
のっけから16分の大作、小曲を3つはさんで27分の大曲という構成で、キャッチーでポップな感性をまじえながら、
よりシンフォニックロックとしての本格的なアルバム作りにこだわったという印象の傑作。
TRANSATLANTICとの相互作用か、ニール・モーズの生み出すメロディや、曲展開には
堂々たる吹っ切れが感じられ、バンドの絶頂期はこうあるべきという力強さに溢れている。
相変わらず70年代テイストのハモンド・メロトロンのキーボードサウンドは
ニールの歌うやさしげな歌メロとともに、なにか郷愁に満ちた古き良き音を感じさせ
最近の硬質系シンフォとは一線を画した暖かな叙情が胸を打つ。バンドの代表作たる傑作だ。
メロディアス度・・8 シンフォニック度・・8 楽曲・・8 総合・・8◆プログレ名作選入り
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SPOCK'S BEARD「SNOW」
アメリカのプログレバンド、スポックス・ビアードの6th。2002年作
先天性色素欠乏症のため「SNOW」とあだ名をつけられた男の人生を描いたコンセプトアルム。
2枚組という構成やシリアスなテーマなどからGENESISの「眩惑のプロードウェイ」と比較される通り、
この作品も歌詞が重要なテーマを構築するという、歌もの的な部分が大きい。
もちろんメロトロンなどのキーボードワーク、コーラスなどにより従来の心地よいシンフォニック性も健在だが、
前作あたりに比べるとプログレというよりもギターのエッジが効いた「ロック的」な色合いの曲が目立つ。
我々日本人からすると、歌詞やテーマうんぬんよりも、まずは楽曲という聴き方をしてしまうのであるが、
あまりプログレということを意識しなければ、気持ちよく聴けるサウンドであることは間違いない。
尚、このアルバムを最後にニール・モーズは脱退。ソロ活動を開始することになる。
メロディアス度・・8 シンフォニック度・・8 プログレ度・・7 総合・・8◆プログレ名作選入り
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SPOCK'S BEARD「Feel Euphoria」
アメリカのプログレバンド、スポックス・ビアードの7th。2003作
ニール・モーズが脱退し、4人編成となった新生スポビの第一弾。一聴してギターがハードになり、
サウンドがよりヘヴィになった印象。新しくヴォーカルをとるのはドラマーのニックで、そのエモーショナルな歌声による
スタイリッシュなハードプログレ寄りの感触が強まっている。かつてのレトロでキャッチーなメロディアスから、
硬質でダークな部分が前に出ているが、オルガンなどを含むリョウ・オクモトのキーボードワークの力もあって、
ちゃんとバランスをとっている。以前よりも増したロックとしての乾いた質感は好みを分けるところだろうが、
ここぞというドラマティックな部分での盛り上げ方などはさすがである。新生スポビを感じさせる力作だ。
メロディアス度・・7 プログレ度・・7 プログレハー度・・8 総合・・8
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SPOCK'S BEARD「OCTANE」
アメリカのプログレバンド、スポックス・ビアードの8th。2005年作
今作は、のっけからドラマティックなイントロで、ぐっと期待感が高まるが、内容も充実の出来。
鬱屈していたものを爆発させたような前作に比べ、サウンドから感じられる世界観がしっかりとあり、
全体を流れるシンフォニックロックとしての空間美と、コンセプチュアルなトータル感がうれしい。
やや力みすぎだったヴォーカルの歌唱にもやわらかみがついて、安心して聴けるし、
前作のようなヘヴィな曲もあるが、流れの中でのアクセントとなっているので、むしろ好感が持てる。
ソリッドな演奏とロックとしての躍動感をともないながら、従来のシンフォファンも満足させてくれ、
バンドの全ディスコグラフィーを通して「Ⅴ」とともに代表作となれるだけのアルバムだ。
シンフォニック度・・8 プログレ度・・8 空間美度・・8 総合・・8
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SPOCK'S BEARD「Cluttons for Punishment」
アメリカのプログレバンド、スポックス ビアードのライブアルバム。2005年作
今までにもブート等でライブアルバムは出ていたが、公式のライブ作品ということでは初めてとなる。
本作での見事なライブ演奏を聴けば、バンドがニール・モーズの脱退をものともせず、あるべき方向へと前進していることが分かる。
楽曲は過去の曲からもいくつか取り上げていて、メロディアスでありながらどこかレトロで、そしてキャッチーなセンスと
テクニカルな部分とが融合したスポビ節は健在。Disc2では、傑作アルバム「Ⅴ」からの30分の大曲“At the End of The Day”も披露、
年季が入ったバンドらしい、力み過ぎない演奏がたっぷり堪能出来る。2枚組ライブである。
メロディアス度・・8 プログレ度・・7 ライブ演奏・・8 総合・・8
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SPOCK'S BEARD
アメリカのプログレバンド、スポックス ビアードの9th。2006年作
ニール・モーズ脱退後、バンドはそれまでの方向性の呪縛から逃れるべきかと試行錯誤していたようにも思えるが、
ここにきて初期のキッャチーな路線を捨てシリアス&ドラマティック路線で勝負にきた。久しぶりの日本盤も発売され
今作は前作から見られたヘヴィなサウンドをそのままに、そこに哀愁の泣きを盛り込むことに成功。
もちろん従来からのレトロなプログレ感覚も捨てきることはせず、それを風味程度に活かして
モダンな硬質感と上手く同居させている。楽曲の方も比較的コンパクトであるが、11分の大曲や
17分の組曲を織り込むなど意欲的にメリハリをつけ、それがアルバムとしての密度にもつながっている。
メタリックな質感を前に出したこともあり、HRファンからも受け入れられるサウンドだろうし、
NEAL MORSE時代を好む向きにも対応をした、ベテランらしい隙のない作品といえる。
メロディアス度・・8 ドラマティック度・・8 キャッチー度・・7 総合・・8
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SPOCK'S BEARD「X」
アメリカのプログレバンド、スポックス・ビアードの2010年作
ちょうど10作目となる本作は、10分以上の楽曲をいくつも揃えた力作であるが、
軽妙なモダンさがプログレ風味と融合していて、これまで以上にスタイリッシュなサウンドを聴かせる。
キャッチーな歌メロや美しいシンセワークはもちろん健在で、ドラマティックなインスト部分は
まるでTRANSATLANTICのようでもある。ニール・モーズ脱退後も良作を作り続けているが
今回も前作同様にメロディと展開美のバランスのとれたじつに見事な傑作といえる。
メロディアス度・・8 ドラマティック度・・8 キャッチー度・・8 総合・・8
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SPOCK'S BEARD「The X Tour Live」
アメリカのプログレバンド、スポックス ビアードのライブアルバム。2012年作
ライブアルバムとしては2008年以来となる。Disc1ではアルバム「X」からほぼ全曲を演奏、
ダイナミックかつ叙情的な楽曲を、デビューから15年以上というキャリアの脂の乗った演奏で聴かせる。
Disc2は過去のアルバムからのナンバーに、ドラムソロ、シンセソロなども収録。ファンなら楽しめるライブ作だ。
メロディアス度・・8 プログレ度・8 ライブ演奏・・8 総合・・8
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SPOCK'S BEARDBrief Nocturnes And Dreamless Sleep
アメリカのプログレバンド、スポックス・ビアードの2013年作
11作目となる本作でも、そのクオリティの高い王道のハード・プログレサウンドは健在。
適度にハードめギターとムーグやメロトロンなどレトロな感触のシンセワークを重ね、
やわらかなヴォーカルとともに描かれるサウンドは、ときにゆったりと叙情的に、ときにキャッチーかつ軽快にと、
ベテランらしいさすがの説得力。7、8分台の楽曲を中心に、ラストは12分の大曲であるが、
どれも決して複雑すぎず、あくまでメロディックな聴き心地を守っているのが、まさにスポビ節である。
ドラマティック度・・8 プログレ度・・8 安心スポビ印度・・9 総合・・8
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Spock's Beard 「The Oblivion Particle」
アメリカのプログレバンド、スポックス・ビアードの2015年作
1995年にデビュー、キャリア120年を数えるアメリカン・プログレを代表するバンドの通算12作目。
オルガンやムーグを含んだヴィンテージなシンセワークと、適度なハードさとキャッチーなメロディアス性、
このバンドらしいいくぶんとぽけた味わいも加えた、スポビサウンドは円熟の域と言ってよいだろう。
テッド・レオナードのヴォーカルとともに爽快な味わいと、アラン・モーズの巧みなギターワークによる
ハードプログレ的な構築性も素晴らしく、6~7分の楽曲を中心にしながら、メリハリのある展開力で、
9分、10分という大曲でも力みすぎない軽妙な聴き心地である。哀愁の叙情も含んだメロウな味わいは
前作にはなかった魅力で、安定の傑作という以上に、バンドとしての自信とキャリアが引き出された濃密な傑作。
ドラマティック度・・8 プログレ度・・8 ベテランの味度・・9 総合・・8 
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Spock's Beard 「Noise Floor」
アメリカのプログレバンド、スポックス・ビアードの2018年作
通算13作目の本作には元メンバーのニック・ディヴァージリオがドラムで参加していて、リョウ・オクモトのきらびやかなシンセに、
アラン・モーズの巧みなギター、テッド・レオナルドの伸びやかなヴォーカルを乗せた、キャッチーハードプログレを聴かせる。
ベテランらしい優雅なアンサンブルとダイナミックな展開力に、プログレらしいシンセパートもたっぷり盛り込んつつ、
ときにゆったりとした叙情を描くメロディックロックとしての普遍性も備えている。ヴォーカルの表現力と演奏力の高さが、
堂々たるメジャー感となっていて、古き良きプログレ感触を残しつつも、それをモダンにスタイリッシュに深化させたという、
まさに現代のスポビ流プログレを表現したという傑作だろう。限定盤2CDでは本編未収録の4曲が楽しめる。
メロディック度・・8 プログレ度・・8 優雅な叙情度・・9 総合・・8.5
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Squonk Opera 「Mayhem and Majesty」
アメリカのアヴァン・ロックバンド、スクォンク・オペラの2010年作
ステージではアーティスティックなパフォーマンスを行うバンドで、本作は7作目。
女性ヴォーカルの歌声と、ピアノやフルート、サックス、アコーディオンなどが絡む
民族的なテイストを、演劇的な雰囲気に融合させた、なかなか個性的な作風。
オータム嬢の美しい歌声にうっとりしつつ、さりげない演奏力の高さと先の読めない
エキセントリックなセンスが新鮮な耳心地だ。シアトリカルでオペラティックな傑作。
シアトリカル度・・8 プログレ度・・7 女性Vo度・・8 総合・・8
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Starcastle 「Citadel」
アメリカのプログレハード、スターキャッスルの1977年作
1976年にデビューし、本作で3作目。きらびやかなシンセにキャッチーなヴォーカルハーモニーで、
YESルーツのプログレハードを聴かせる。いくぶんマイナー臭かった1作目から比べると、
産業ロック路線のスタイリッシュなポップ感に包まれていて、それでいてプログレらしさは残しているという、
わりと絶妙のサウンドに。オルガンを含むシンセに、メロディアスなギタープレイも含めて演奏力もしっかりとしていて、
単なるイエスフォロワーという以上に楽しめる。シンフォニックロック的な優雅さをキャッチーに昇華させたスタイルで、
ジャケの美しさも含めて、再評価すべき好作品です。リマスター盤では音質もぐっと向上している。
メロディック度・・8 プログレ度・・7 キャッチー度・・9 総合・・8 
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StarCastle「Song of Times」
アメリカのプログレハードバンド、スターキャッスルの2007年作
1976年にデビューした時は「完全なるYESのフォロワー」として注目されたが、
その後プログレハード色を強め、1978年までに4作を発表、その後解散した。
スタジオ作としては実に29年ぶりとなる。今作ものっけから典型的なアメリカン・プログレハード色が全開で、
オールドファンにはうれしいかぎりだろう。レトロな音色のキーボードに、歳をとったジョン・アンダースンという雰囲気のヴォーカル、
新鮮味は皆無だが、キャッチーでややハードめなシンフォニックサウンドが楽しめる好作だ。
メロディアス度・・8 プログレ度・・7 プログレハー度・・9 総合・・7.5
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STARDRIVE「Intergalactic Trot」
アメリカのシンセ奏者、ロバート・メイスン率いるスタードライヴの1973作
かつて日本盤が出ていたのはじつは2ndで、本デビュー作は初CD化となる。
きらびやかなシンセを中心にした軽やかなサウンドは、プログレフュージョン的で、
サックスの音色に絡むシンセワークは、時代的に考えるとなかなかきらびやか。
ELPとはまた違ったスタイルで、独自のムーグシンセをピコピコとかき鳴らす、
アヴァンギャルドなセンスは、アメリカ70年代では異色の作品といってよいだろう。
メロディアス度・・8 プログレ度・・7 シンセ度・・8 総合・・7.5
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STARDRIVE
アメリカのシンセ奏者、ロバート・メイスン率いるスタードライヴの1974年作
メイスン氏は独自のムーグシンセを開発した人物でもあり、CDジャケ裏の大がかりな装置がそれらしい。
確かに、時代を考えればこの多彩なシンセサウンドはなかなか立派なもので、
スペイシーに弾き鳴らされるムーグの音色は、録音のショボさを差し引いても聴く価値がある。
曲調の方はギター入りのものは普通の70年代ロック風なのだが、間断なく鳴っているシンセのおかげで
とてもけたたましくカラフルな印象だ。むしろシンセのみによるスペイシーな演奏の方が雰囲気がある。
メロディアス度・・7 プログレ度・・7 シンセ度・・9 総合・・8
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Steam Theory 「Enduring Delirium」
アメリカのミュージシャン、Jason Denkevitzによるソロユニット、スチーム・セオリーの2010年作
いかにも自主制作らしい、簡素な紙ジャケ&CD-R仕様の作品であるが、内容の方はこれがなかなか悪くない。
ゆったりとしたランドスケープ的なギターサウンドから、リズムが加わると、軽やかなフュージョンプログレになり、
テクニカルなリズムチェンジを含みながら、メロディックなフレーズを奏でるギタープレイは巧みなセンスが光る。
うっすらとしたシンセアレンジも含めて、HAPPY THE MANのような聴き心地もあって、プログレリスナーならば普通に楽しめる。
アコースティックな繊細な優雅さも含めて、全体的にもメロディックな叙情が前に出ているので、オールインストながらも
優美なテクニカル系シンフォプログレとして鑑賞できる。自主制作もあなどれないと思わせる高品質な作品だ。
メロディック度・・8 テクニカル度・・7 叙情度・・8 総合・・8
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Steam Theory 「Helios Rider」
アメリカのミュージシャン、Jason Denkevitzによるソロユニット、スチーム・セオリーの2013年作
前作同様に、シンフォニックな叙情性を含んだ軽妙なフュージョン・プログレという作風で、
適度なテクニカル性と、オールインストながらもメロディセンスに優れた聴きやすさが魅力。
アコースティック要素も含ませた繊細なギタープレイには、自主制作の知名度の低さに反して、
一流の技術とアレンジ力を有したミュージャンであることが察せられる。ギター、ベース、シンセ、ドラムと、
すべてを一人でこなすマルチミュージシャンぶりと、巧みな演奏力と楽曲の完成度の高さを考えれば、
もっと広く知られてしかるべき人物だろう。前作同様に、インスト系フュージョン・プログレの好作品だ。
メロディック度・・8 テクニカル度・・7 叙情度・・8 総合・・8
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Steam Theory 「Asunder」
アメリカのプログレ・フュージョンロック、スチーム・セオリーの2015年作
マルチプレイヤー、Jason Denkevitzによるソロユニットで、本作は3作目。CD2枚組という大作で、
流麗なギタープレイに美麗なシンセを重ね、軽妙なリズムで聴かせる、インストプログレサウンド。
シンセワークはわりとプログレ寄りで、ときにクラシカルでシンフォニック。変拍子を含む展開力も含めて、
オールインストながらも起伏に富んだ聴き心地で楽しめ、メロディアスなギターのセンスも抜群だ。
10分前後の大曲では、シンセをメインにしたシンフォニックなパートとともに、優雅に構築してゆく。
巧みにギターメロディも素晴らしいが、シンセのアレンジも絶妙。歌ごころあるプログレ・フュージョンの傑作。
メロディアス度・・8 テクニカル度・・8 優雅度・・9 総合・・8
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ST.ELMO'S FIRE 「Splitting Ions In The Ether」
アメリカのプログレバンド、セント・エルモス・ファイアの1980/1998年作
1980年発表のライブ作品をCD化にあたって楽曲追加したもので、スペイシーなシンセ曲から始まり、
緊張感漂うドラムにギターとメロトロンが加わると、クリムゾンルーツのヘヴィプログレとなる。
アメリカのバンドらしからぬ硬質なスケール感と、グルーブをともなった演奏力もなかなかのもので、
クリムゾンにはないキャッチーな部分も含めて、どことなく日本の美狂乱あたりに通じるような雰囲気もある。
ダイナミックなドラムがとくに目立っていて、アンサンブルの核を担っているのも個性的である。
鳴り響くメロトロンはANEKDOTEN的。正規のスタジオアルバムがないことが惜しまれるバンドである。
ドラマティック度・・8 プログレ度・・8 演奏度・・8 総合・・8
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Stencil Forest 「Opening Act」
アメリカのプログレバンド、ステンシル・フォレストの1984/2004年作
1984年に録音されながら日の目を見ることのなかった未発音源集のCD化作品で、
ほどよくハードなギターに、オルガンやピアノ、ムーグを含むシンセと伸びやかなヴォーカルを乗せ、
80年代Yesなどを思わせる、キャッチーなプログレハードを聴かせる。ツインギターによる流麗なメロディや
堂々たるヴォーカルの表現力など、演奏力もしっかりとしていて、マイナー臭さはさほど感じさせない。
初期のSTYXSTARCASTLEなどにも通じる感触は、当時のYES影響下バンドの中でも質の高い部類だろう。
未発音源ながら録音状態は良好。バンドは2005年に復活の新作を発表している。
メロディアス度・・8 キャッチー度・・8 プログレハー度・・8 総合・・8
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Stencil Forest 「The Abyss」
アメリカのプログレバンド、ステンチ・フォレストの2005年作
1983年に1作を残して消えたバンドの、22年ぶりとなる2作目。ドラム以外はかつてのオリジナルメンバーで、
プログレらしいきらびやかなシンセに適度にハードで叙情的なギター、ジェントルなヴォーカルを乗せて、
80年代YESASIAにも通じるキャッチーな爽快感に包まれたサウンドを描く。1曲目の11分の大曲は、
TRANSATLANTICばりのドラマティックな聴き心地。中盤は、4分前後の優美なプログレハードや
ゆったりとしたシンフォニックなナンバーが続き、わりとのんびりと楽しめる。ラストは24分という大曲で、
YESを思わせる優雅な展開力とメロディックな叙情をまぶした、大人のプログレサウンドを構築する。
メロディック度・・8 プログレ度・・7 優美度・・8 総合・・8 
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STEVE COCHRANE 「The Purest Of Designs」
アメリカのミュージシャン、スティーヴ・コックラーンの1998年作
1990年にデビュー、本作は3作目となる。ギター、ベース、シンセ、ヴォーカルをこなすマルチミュージシャンで、
美しいシンセアレンジにメロディックなギターを乗せた、優美なシンフォニックロックを聴かせる。
ジェントルなヴォーカルに、ゲストによる女性ヴォーカルも加わって、キャッチーなプログレハード風味から
繊細な叙情とシアトリカルなドラマ性を含んだ、Genesisにも通じる感触とともに、27分という組曲を構築してゆく。
インストパートがメインなので、濃密な盛り上がりと言うのはないのだが、優雅なギターの旋律とともに、
シンフォニックなフュージョンプログレ的にも楽しめる。ラストの15分の大曲も、じつに優美な心地よさだ。
メロディック度・・8 プログレ度・・7 優美度・・8 総合・・7.5
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Steve Walsh 「Glossolalia」
KANSASのスティーブ・ウォルシュのソロ。2000年作
シンセにはMAGELLANのトレント・ガードナー、ドラムにはPLANET Xのヴァージル・ドナーティが参加、
適度にモダンなヘヴィさと、デジタリィな感触の唐突な展開、オルガンなど古き良きロック色が混在した
なかなか面白いサウンド。一方では叙情的なバラード風味にシンフォニックな盛り上がりやビートポップ色もあったり、
そしてやはりKANSASを思わせるキャッチーな雰囲気も随所に覗かせる。曲名が“KANSAS”とかまさに。笑
10分を超える大曲ではハードプログレ的なセンスが炸裂、スティーブ・ウォルシュのカラフルなセンスが楽しめる好作だ。
メロディック度・・8 プログレ度・・7 カラフル度・・8 総合・・7.5
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Steve Walsh「Shadowman」
アメリカのミュージシャン、スティーヴ・ウォルシュの2005年作
KANSASのフロントマンとして知られる彼の、ソロとしては3作目。のっけからヘヴィなギターで幕を開けつつ、
モダンなシンセアレンジとともに、独特の味わいのヴォーカルを乗せた、オルタナ風の翳りを含んだサウンドを描く。
キャッチーなロック感触に、オーケストラルなアレンジや、ほどよいヘヴィネスも加えたボーダーレスの聴き心地ながら、
結果としてアメリカンロックをルーツにしたメジャー感が現れてくるのは、ウォルシュ自身のルーツというべきなのだろう。
ゲストのマイケル・ロメオ(Symphony X)によるギターや、デヴィッド・ラグスデールのヴァイオリンなどもアクセントになっていて、
10分近い大曲では、緩急ある展開力とともに、KANSASとはまた違う、プログレメタル的な味わいも楽しめる。
ドラマティック度・・7 プログレ度・・6 わりとハー度・・8 総合・・7.5
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Stripsearch
アメリカのアヴァン・ジャズロック、ストリプサーチの2003年作
ギター、ベース、ドラム、サックスという4人編成で、わりとハード寄りのギターにサックスが鳴り響き、
ドラムはドスンドスンと重ためのリズムを叩き出す。フリーキーでアヴァンギャルドな異色のジャズロック。
オールインストで7分前後の長めの曲も多いので、ときにフリーキーすぎてダレる感じもあるのだが、
ノイジーなギターに奔放なサックスの暴れっぷりが耳を引き、手数の多いドラムはテクニックもあるので、
崩壊しそうなところを緊張感あるアンサンブルで保っているという。楽曲というよりはほぼ即興的な演奏で
無理やり曲にしたというところが面白いと思えるかどうか。レーベルは何故かMagna Cartaなんですね。
ドラマティック度・・5 アヴァンギャル度・・8 フリーキー度・・9 総合・・7.5
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Styx 「Equinox/Crystal Ball」
アメリカのプログレハード、スティクスの5th、6thのカップリング。1975/76年作
1972年にデビュー、初期はいくぶん垢抜けない作風であったが、3rd「The Serpent Is Rising」あたりから、
キャッチーなプログレハード色を強め、この5作目では、ポップなヴォーカルメロディとコーラスハーモニー、
適度にハードなギターときらびやかなシンセとともに、よりスタイリッシュなサウンドを描いている。
わりと正統派のハードロック寄りのナンバーもありつつ、一方では、ムーグやオルガンを含むシンセワークはプログレ的で、
単なるAORとは異なる知的なセンスが光っている。6作目からはトミー・ショウが加入し、ハードロック感触がやや強まっているが、
プログレ的なシンセワークもしっかり残していて、全体的にもバランスのとれた聴き心地。メジャー感も強まったことで人気を得てゆく。
ヒット作となる次作「The Grand Illusion (大いなる幻影)」へとつながるアルバムだ。
メロディック度・・8 キャッチー度・・8 プログレハー度・・8 総合・・8
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STYX「Grand Illusion/Pieces of Eight Live」
アメリカのプログレハード、スティクスのライブ作品。2012年作
代表作として名高い1977年作と、1978年作を完全再現したライブを、2CDに収録。
Disc1は「大いなる幻影」の再現で、バンドの人気を確実なものとした最大の出世作ということで、
楽曲的にはプログレハードとしての聴き心地の良さが際立っている。キャッチーなヴォーカルハーモニーと
美麗なシンセアレンジ、トミー・ショウとジェイムス・ヤングのツインギターとともに、アルバムを再現してゆく。
音質はややラウドながら、ベテランらしい味わいのある演奏力も含めて、往年のファンにはたまらないだろう。
Disc2「古代への追想」も、よりキャッチーなハードポップ感を強めた作風で、各メンバーのパートごとの充実も光る佳曲揃い。
4人がコーラスをとる厚みのあるハーモニーとともに、全盛期の最高作というべき2作品の完全再現にじっくり耳を傾けたい。
ライブ演奏・・8 アルバム再現度・・8 音質・・7 総合・・8
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Sun Domingo 「Songs for End Times」
アメリカのプログレバンド、サン・ドミンゴの2011年作
メロウなギターワークと耳心地のよいやわらかなヴォーカルで、
NEAL MORSEなどにも通じるキャッチーなメロディで聴かせるサウンド。
楽曲は3~5分台と比較的コンパクトで、スリリングな展開は希薄ながら
MARILLIONあたりを思わせる繊細な叙情や、曲によってはモダンなノリも含んだ
優美なメロディックロック/ポストプログレとしても楽しめるような好作品だ。
スティーブ・ホガース、ジョン・ウェズレイなどがゲスト参加。
メロディアス度・・8 プログレ度・・7 叙情度・・8 総合・・8
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Supernal Endgame「Touch the Sky」
アメリカのプログレバンド、スーパーナル・エンドゲームの2010年作
オヤジ3人によるトリオバンドで、美しいシンセとメロディックなギターで、
TRANSATLANTICなどを思わせる、キャッチーかつダイナミックな聴き心地のサウンド。
やわらかなメロディが耳に優しく、ゲストによるヴァイオリンなども楽曲に彩りを添える。
難解さのないいかにも爽やかで陽性のシンフォニックロックが楽しめる好作品。
THE FLOWER KINGSのロイネ・ストルトが1曲でゲスト参加している。
メロディアス度・・8 キャッチー度・・8 ドラマティック度・・8 総合・・8
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Supernal Endgame 「Touch the Sky: Volume II」
アメリカのプログレバンド、スーパーナル・エンドゲームの2014年作
前作はTRANSATLANTICあたりを思わせる、なかなかの好作であったが、
オッサン5人組によるシンフォプログレ探求の世界は、本作でさらなる高みへ到達。
きらびやかシンセアレンジにメロウなギター、ダイナミックな展開力で描かれる楽曲は
GLASS HAMMERばりの完成度。歌メロのキャッチーな抜けの良さはNeal Morse的でもある。
こうなるとやはり歌の弱さが惜しいが、そこも含めてのトランスアトランティック状態か。
ともかく、10分以上の大曲も3曲含む、堂々たるシンフォプログレの力作に仕上がっている。
シンフォニック度・・8 ドラマティック度・・8 プログレ度・・8 総合・・8
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SURPRISE 「ASSAULT ON MERRYLAND」
アメリカのシンフォニックロックバンド、サプライズの1977作
70年代のアメリカにはマイナーなプログレバンドがアルバム1枚だけ残して消えたというパターンがけっこうある。
このバンドもそんなひとつで、内容が抜群なだけにもう2~3枚アルバムを作らせたかった気がする。
基本はギター兼ベース、キーボード、ドラム、ヴォーカルの4ピースなのだが、キーボードがけっこうな芸達者で
ピアノからオルガン、ムーグまで使用しており、ヴォーカルもフルートやトランペットを吹いたりして音に厚みと広がりがある。
牧歌的でメロディアスなのだが、ときどきギターの音色がハードロック風になったり、ただの弱々しいシンフォとも違う。
少しカナダのNIGHT WINDSあたりを思い出した。とにかく曲の完成度、演奏、センスともにマイナーな存在ではもったいない。
アメリカのシンフォシーンを語るとき再評価すべきバンドのひとつだと思う。
メロディアス度・・8 シンフォニック度・・8 楽曲・・8 総合・・8


Symphonic Slam
カナダのプログレ・ハードロックバンド、シンフォニック・スラムの1976作/邦題は「宇宙讃歌」
ギター/ヴォーカル、シンセ、ドラムという3人編成で、サウンドの方はギターシンセを使用した
妖しげなハードロックという趣。序盤はジャケのような神秘的な作風でムーグシンセの音色などには
プログレ色もあるが、3曲目以降はヴォーカルを主体にしたノリのよいファンキーなロックンロールもあったり、
アルバムとしてのトータルな完成度はさほど高くはない。当時としてはギターシンセのサウンドは
それだけで新鮮だったのだろう。なお、Keyの、David Stoneは、後にRAINBOWへ参加している。
メロディアス度・・7 プログレ度・・7 神秘度・・7 総合・・7
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SYNERGY 「Electronic Realizations for Rock Orchestra 」
アメリカのシンセ奏者、ラリー・ファストによるプロジェクト、シナジーの1975年作
ピーター・ガブリエルのツアーなどにも参加したシンセ奏者で、本作は1作目めとなる。
シンセによる多重録音作品でありながら、楽曲にはメロディックなキャッチーさを感じさせ、
たとえば、リック・ウェイクマンなどに比べると、シンセサイサーの伸びやかな音色を前に出した
シンプルで爽やかな聴き心地。「10番街の殺人」はベンチャーズが有名だが、ここで取り上げているのは
ブロードウェイミューシカルの方で、とても優雅な聴き心地だ。10分を超える大曲が多いが
やわらかなサウンドで聴き疲れない。メロトロンも使用しているのも、プログレリスナーには嬉しい。
メロディアス度・・8 プログレ度・・7 シンセ度・・9 総合・・8
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SYNERGY 「SEQUENCER」
アメリカのシンセ奏者、Larry Fastによるプロジェクト、シナジーの1976年作
1975年作「10番街の殺人」に続く2作目。シンセの重ねによるきらびやかなサウンドで、
ムーグをはじめ多彩なシンセにチェンバロの音色なども使った、クラシカルなシンフォニック性と
やわらかなメロディによるキャッチーな抜けの良さが同居した、じつに優美な聴き心地。
ドヴォールザークの「新世界」から「家路」をカヴァーした叙情的なナンバーから、ラストの11分の大曲は、
シンフォニックでスペイシーなスケールの大きなサウンドに包まれる。キーボード好きは必聴の逸品です。
クラシカル度・・8 プログレ度・・7 シンセ度・・9 総合・・8 
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Synergy 「Cords」
アメリカのシンセ奏者、ラリー・ファストによるプロジェクト、シナジーの1978年作
シンセの重ねによるシンフォニックな質感と、シーケンサーによるデジタリィなアレンジを同居させた
美しくもモダンなシンセサウンドが広がってゆく。オーケストラルな壮大さを感じさせる作りで、
メロディにはクラシカルな優雅さもあって、個人的には1作目よりも好きかもしれない。
ジャーマン系のシンセアーティスト…クラウス・シュルツェやタンジェリン・ドリームなどとは異なり、
明快な抜けの良さやメロディックな盛り上がりがあるという点でも、とても聴きやすい。
シンフォニック度・・8 プログレ度・・8 シンセ度・・9 総合・・8
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SYNERGY「GAMES」
アメリカのシンセ奏者、Larry Fastによるプロジェクト、シナジーの1979年作
1975年にデビュー、本作は4作目となる。きらびやかなシンセによる壮麗なサウンドで、タイトル通りゲームサントラ的な
デジタルなモダンさとクラシカルなシンフォニック性が同居したサウンドを聴かせる。シーケンサーによる単調なリズムは退屈だが、
ときに、TANGERINE DREAMのようなスペイシーな幻想性とともに、シンセミュージックとしての耳心地よさを感じ取れる。
後半は6パートに分かれた組曲風になっていて、エフェクトを含んだ映画的でもあるスケール感とともに、優美なシンセの重ねと、
プログレ的な構築性で描かれる。オールインストによるサントラ的なシンセサイザー作品としては、極めて出来が良い。
シンフォニック度・・8 プログレ度・・7 シンセ度・・9 総合・・8 
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SYNERGY 「The Jupiter Menace」
アメリカのシンセ奏者、ラリー・ファストによるプロジェクト、シナジーの1982年作
木星をテーマにしたTV番組のサントラとなった作品で、シンセの多重録音で
スペイシーかつ壮大な広がりを描くサウンド。1~3分前後の小曲を連ねた作風は
いかにもサントラ的でプログレとして聴くには物足りないのだが、未知なる宇宙というものを
聴き手にイメージさせる、冷たさと暗さ、ミステリアスな音による描写は秀逸といってよい。
シンセによる宇宙ものとしては、旧ソ連の名作、SVEN GRUNBERG「Hingus」と並べて聴きたい。
メロディック度・・7 プログレ度・・7 シンセ度・・9 総合・・8
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SYNERGY 「Reconstructed Artifacts」
アメリカのシンセ奏者、Larry Fastによるプロジェクト、シナジーの2002年作
1987年以来、15年ぶりとなる作品で、過去作の楽曲をリレコーディングした作品となっている。
美しいシンセの重ねによるサウンドで、70年代の楽曲も当時の雰囲気を残したやわらかな聴き心地。
デジタル技術の向上からよりクリアになったシンセサウンドであるが、クラシカルなメロディセンスは、
かつてと同じ優雅な感触に包まれていて、違和感のないシンフォニックな味わいで楽しめる。
1975年作「10番街の殺人」から、86年作「Metropolitan Suite」までの楽曲を収録していて、
ラリー・ファストという希代のシンセ使いの作品に初めて触れる方にもお薦めの内容だ。
シンフォニック度・・8 プログレ度・・7 シンセ度・・9 総合・・8
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Systems Theory 「Soundtracks For Imaginary Movies」
アメリカのエレクトロユニット、システムズ・セオリーの2004年作
シンセ奏者、ギター、メロトロン&オルガン奏者、の3人によるユニットで、
スペイシーなシンセに包まれたサウンドで、ときにフルートやヴァイオリンも入った
民族的な感触も含んでいる。ドラムは打ち込みで、シーケンサー的なシンセのアレンジなどは
TANGERINE DREAMあたりにも通じる聴き心地がある。プログレとして聴くにはやや退屈であるが、
オールインストのエレクトロな作品が好きな方は聴いてみてはいかが。
ドラマティック度・・7 プログレ度・・7 エレクトロ度・・8 総合・・7




SYZYGY「The Allegory of Light」
アメリカのシンフォニックロックバンド、シジギーの2003年作
バンドの詳細は不明だが、音を聴くかぎりなかなかクオリティの高いテクニカルなシンフォをやっている。
軽快なリズムの上に、メロディアスなギターとプログレ的なキーボードが重なり、
ときおりキャッチーな歌メロを聴かせつつ、全体的にはアメリカらしい抜けの良さがある。
メインはやはりインスト演奏で、HAPPY THE MANECHOLYNSPOCK'S BEARDあたりにも通じる
ややひねくれた感性も覗かせながら、やはりシンフォニックなメロディ心を忘れないでいるところがミソ。
組曲構成や大曲も多いが、起伏に富んだ展開で飽きさせないし、総じて内容の濃いアルバムである。
メロディアス度・・8 シンフォニック度・・7 テクニカル度・・8 総合・・8
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SYZYGY「Realms of Eternity」
アメリカのテクニカルプログレバンド、シジギーの2009作
前作はHAPPY THE MANあたりを思わせるインスト主体のテクニカルな好作であったが、
本作でもシンセとギターが絡み、しっかりとメロディアスさのあるプログレに仕上がっている。
のっけから10分の大曲で始まると、一聴して音のスケール感が増していて、
MAGELLANなどにも通じるシンフォニックな要素と抜けのいいヴォーカルメロディが印象的だ。
“The Sea”と題された8パートに分かれた28分の組曲は、アコースティカルな叙情をまぶしつつ、
ゆるやかに盛り上げるシンフォニックなサウンドで、随所に光るテクニカルなアンサンブルもさすが。
メロディアス度・・8 シンフォニック度・・8 テクニカル度・・8 総合・・8
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Syzygy 「A Glorious Disturbance」
アメリカのプログレバンド、シジギーのライブ。2012年作
2003年作「The Allegory of Light」、2009年作「Realms of Eternity」は、どちらもテクニカル系シンフォの傑作であったが
今作は、2009年と2010年のライブ音源を収録。プログレらしいきらびやかなシンセとわりとハードなギターを乗せて、
偏屈な軽妙さとシンフォニックなメロディアス性が同居した、躍動感あるテクニカルなアンサンブルを聴かせる。
インストパートを主体にしたジャズロック的な優雅さも覗かせつつ、ヴォーカルも加えたキャッチーな部分もある。
10分を超える大曲も、濃密すぎない味わいでスタイリッシュに構築するセンスはやはり見事。
音質もクリアで、アルバム以上にダイナミックな演奏が楽しめる、全72分の見事なライブ作品です。
ライブ演奏・・8 プログレ度・・8 優雅度・・9 総合・・8 
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TALISMA「CORPUS」
カナダのプログレバンド、タリスマの2003年作
ギター&シンセ、ベース&シンセ、ドラムの3人組、ヘヴィなギターリフを乗せた緊張感のあるインストで幕を開け、
メタリックなシンフォ度を高めたクリムゾンという感じであるが、バックでは美しくシンセが美しく鳴っていて、
これがシンフォニック度を高めており、時折、ANEKDOTEN的な感触になったりもするのが面白い。
楽曲自体は3~4分前後と、わりとシンプルであるが、短い曲を連ねた流れでミステリアスな雰囲気を描きつつ、
女性スキャット入りの曲では、ギターもメロウなフレーズを弾きはじめ、メロディアスなシンフォニックロックの音にもなる。
全体的に曲としての未完成感はあるが、総じてセンスが良く、適度な屈折感と音の乗せ方が気持ちよい。
シンフォニック度・・8 メタルクリムゾン度・・8 サウンドセンス・・9 総合・・8
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TALISMA「Chromium」
カナダのプログレバンド、タリスマの2nd。2005年作
先に聴いていた3rd「Quelque Part」は、カナダのANEKDOTENかという素晴らしい傑作だったが、
本作もやっぱりいい。G、B/Key、Drという3人編成による、基本はシンプルなアンサンブルなのだが、
ポストロック風味の雄大なビジョンを描くことができる力量があり、躍動感のあるリズムに乗る
ギターやギターシンセ、アコギにクラシックギターなど、どれにも素晴らしく味わいがある。
音数はさほどでもないのに異様に奥深いという、じつに玄人好みのプログレになっているのである。
ミステリアスな壮大さと演奏の緊張感が合わさった、現代プログレのひとつの理想形が楽しめる。
メロディアス度・・8 プログレ度・・9 サウンドセンス・・9 総合・・8
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TALISMA「Quelque Part」
カナダのプログレバンド、タリスマの2008作
おそらくこれが3作目で、1作目はクリムゾンをシンフォニックにしたような好作であったが、
本作ではさらに楽曲はダイナミックになり、抜けの良いメロディアスさが加わってきている。
存在感のあるベースとドラムがしっかりとボトムを形成し、その上にメロトロンが鳴り響くと
ANEKDOTEN的なヘヴィシンフォニックの質感で、美しくも重厚に聴かせる。
インストがメインであるが、音の重ねるサウンドのセンスには相変わらず見事なものがあり、
女性声入りの曲もあったりして最期まで飽きさせない。カナディアンらしい構築力をともなった強力作。
シンフォニック度・・8 プログレ度・・8 サウンドセンス・・9 総合・・8.5
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TCP「The Way」
アメリカのプログレバンド、TEMPORAL CHAOS PROJECTの2008年作
アメリカからEcholynIZZなどを思わせるハイセンスのメロディアスプログレバンドが登場。
キャッチーな歌メロで聴かせるサウンドには難解さはなく、さりげないテクニカルさをまぶしつつ
叙情的なギターやメロトロンを鳴らしながら、いくぶんのモダンな質感もあって古くささは感じない。
曲が長くても決して大仰にならないところがポイントで、爽やかに聞き流せるのだが、
反面もう少し曲ごとのインパクトというか、濃密さも欲しい気がする。
デビュー作としては上々の出来なので、今後に期待したいバンドです。
メロディアス度・・7 プログレ度・・7 楽曲・・7 総合・・7.5
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TCPFantastic Dreamer」
アメリカのプログレバンド、TEMPORAL CHAOS PROJECTの2011年作
前作もEcholynSPOCK'S BEARDなどを思わせるなかなかの好作であったが、
今作ではGENESISルーツの叙情性とキャッチーな力の抜け具合に加え
随所に玄人好みのヒネくれ具合を増してきている。派手さはないがセンスあるシンセアレンジに
適度にモダンなハードさを加えるギターと、ガブリエル風味のヴォーカルが合わさり
知的な構築力で持って楽曲を描いてゆく。前作以上にバンドの力量を感じさせる好作だ。
ドラマティック度・・8 プログレ度・・8 構築センス・・8 総合・・8
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TCP「Temporal Chaos」
アメリカのプログレバンド、TEMPORAL CHAOS PROJECTの2016年作
2008年にデビューした愛すべきオッサンバンド。前作はGENESISルーツの叙情を偏屈にしたような好作だったが、
3作目となる本作も、ガブリエル寄りの声質のヴォーカルにメロウなギターを乗せたキャッチーな叙情性と構築力で、
聴かせるメロディックなサウンド。優雅なピアノを含んだシンセアレンジも随所に美しく、10分前後の大曲もさらりとこなすセンスは、
SPOCK'S BEARDばりで、3作目にして、すでにベテランの味わいをかもしだす、余裕のある楽曲アレンジも見事。
ときに女性声が加わった優美な感触も覗かせつつ、一方ではECHOLYNのようなとぼけた味わいの展開も垣間見せる。
オールドなシンフォニック・プログレを濃密すぎない叙情とともに、展開豊かに構築したという力作である。
メロディック度・・8 プログレ度・・8 優雅な叙情度・・8 総合・・8
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The Tea ClubGeneral Winter's Secret Museum」
アメリカのロックバンド、ティー・クラブの2008年作
シンセのいない3人編成で、本作の時点ではプログレ色はまださほどはなく、
70年代風味のブリティッシュロックスタイルのサウンドをやっている。
やわらかなコーラスハーモニーを含んだ、薄暗い叙情性と、
アナログ感のあるアンサンブルがなかなか耳心地いい。
メロディアス度・・7 プログレ度・・7 薄暗叙情度・・7 総合・・7.5
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The Tea Club「Rabbit」
アメリカのプログレロックバンド、ティー・クラブの2010年作
メンバーが一人増えて4人になり、ゲストにシンセ奏者を加えたことで、
前作よりも音の厚みが増し、シンフォニックといってもよいサウンドになった。
70年代風味のレトロさと、Porcupine Treeに通じる薄暗系ロックのセンスが合わさり、
クリムゾンやANEKDOTEN的な叙情プログレとして楽しめる音像である。
楽曲的なダイナミズムが強まったことで、適度な緊張感も出てきた。
メロディアス度・・8 プログレ度・・8 薄暗叙情度・・8 総合・・8
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The Tea Club「Quickly Quickly Quickly」
アメリカのプログレバンド、ティー・クラブの2012年作
前作のヴィンテージ感はいくぶん後退し、本作はのっけから17分の大曲をもってくるなど、
よりプログレらしい聴き心地になっている。手数の多いドラムの上を、二本のギターと
ムーグの音色などを含んだきらびやかなシンセが重なり、厚みのあるアンサンブルを形成、
エキセントリックな展開は意味不明なジャケをそのまま表しているようで、なかなか楽しい。
もちろん、アメリカのプログレらしいキャッチーさもあり、抜けの良いな歌メロが随所に心地よい。
いうなれば、ECHOLYNを若々しくしたような感触で、クオリティの高い濃密な力作に仕上がっている。
メロディック度・・8 プログレ度・・8 濃密度・・8 総合・・8
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The Tea Club 「Grappling」
アメリカのプログレバンド、ティー・クラブの2015年作
2008年にデビュー、本作は4作目となる。叙情的なギターとオルガンやムーグを含むやわらかなシンセ、
ジェントルなヴォーカルを乗せた、軽妙なアンサンブルで聴かせる、Echolynあたりに通じるサウンド。
いくぶん偏屈な展開力と知的なテクニカル性を、キャッチーに包み込んだという作風で、
ユルめなのだがスリリングといったあんばい。6~9分という長めの楽曲を巧みなインストパートで、
優雅な味わいで楽しませてくれる。ヴィンテージなテクニカルプログレとしても一級品の出来ながら、
存在感あるベースが生み出す低音とともに、スタイリッシュなグルーブとメロディアスな構築力も見事。
ドラマティック度・・7 プログレ度・・8 優雅で軽妙度・・9 総合・・8 
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TELERGY 「The Legend of Goody Cole」
アメリカのシンフォニックロック、テレルジィの2013年作
ギター、ベース、シンセ、ヴァイオリン、フルートなどを一人でこなすマルチミュージシャン、Robert McClungによるプロジェクトで、
彼の出身地であるニューハンプシャーで16世紀に実在し、魔女裁判にかけられた女性「Goody Cole」の伝説を描いたコンセプト作。
ヴァイオリンが鳴り響き、美麗なシンセアレンジにハード寄りのギターを乗せて、重厚なインストパートを描きつつ、
曲間にセリフやSEを織り込んだ物語的な流れとともに、ドラマティックなハード・シンフォニックロックを聴かせてくれる。
TWISTED SISTERのディー・スナイダー、KING'S Xのタイ・テイバー、WHITE SNAKEのジョエル・ホークストラ
MAGELLANのトレント・ガードナー、PORCUPINE TREEのコリン・エドウィン、SPOCK'S BAERDのリョウ・オクモト、
元HAWKWINDのニック・ターナー、DELUSION SQUAREDのエマニュエル・デル・セイント・ミーンなどがゲスト参加。
ドラマティック度・・8 プログレ度・・7 重厚度・・8 総合・・8
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TELERGY 「HYPATIA」
アメリカのシンフォニックロック、テレルジィの2015年作
マルチミュージシャン、Robert McClungによるプロジェクトで、本作はキリスト教徒の暴徒に襲われて殺されたという、
古代ギリシアの女性哲学者、ヒュパティアをテーマにした作品。やわらかなフルートなヴァイオリンなどのストリングスを含む、
オーケストラルなアレンジで、スケール感のあるシンフォニックロックを描いてゆく。適度にメタリックでハードなギターワークに、
ヴァイオリンが鳴り響き、男女混声コーラスを乗せた、壮大で優美なサウンドが楽しめる。やわらかなフルートやハープの音色に
クラリネット、オーボエなどのクラシカルな叙情美も含んだ、繊細さとハードさのメリハリのある展開力もなかなかのもの。
曲間に物語的な語りやセリフを挿入しながら、ドラマ性を感じさせる構成で描かれる、全63分の力作だ。
ドラマティック度・・8 プログレ度・・7 壮大度・・8 総合・・7.5
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TEMPESTTurn of the Wheel
アメリカのトラッドロックバンド、テンペストの1996作
MAGELLANやSHADOW GALLERYらと同じMagna Cartaレーベルからのデビューとあって、
てっきりProgMetal系かと思いきや、実際はJETHRO TULLを思わせるフルートが鳴り響く、
プログレシッブなトラッドロック。牧歌的なマンドリンの音色にヴァイオリン、ケルティックなフルートに加え
シンセによるシンフォニックな味付けもあって、古めかしさの中にも現代的な味わいを感じさせる。
新時代のケルト・ロックサウンドだ。キース・エマーソン、ロバート・ベイリーがゲスト参加。
メロディアス度・・8 プログレ度・・7 ケルティック度・・8 総合・・8
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TEMPEST「Shapeshifter」
アメリカのケルトロックバンド、テンペストの2003年作
1991年デビューのベテランバンド、女性フィドル奏者を含む5人編成で、
鳴り響くフィドルに素朴なマンドリンの音色とエレキギターが絡み、
男女ヴォーカルの歌声とともに牧歌的なフォークロックを聴かせる。
随所にオルガンを含んだシンセも加わるなど音の厚みもあり、
ギターが比較的ハードな感触なので、フォークメタル的にも楽しめる。
優雅な牧歌性に包まれたケルティックロックの傑作です。
メロディアス度・・8 プログレ度・・7 ケルティック度・・8 総合・・8
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TEMPESTDouble Cross
アメリカのケルトロックバンド、テンペストの2006年作
デビューは1991年ということで、すでに活動20年を数えるベテランバンド、
本作はおそらく8作目くらいで、鳴り響くフィドルに素朴なマンドリンの音色で聴かせる
ハードロックとフォーク/ケルトの融合という路線は、年季を経た説得力とともに深みを増し
まったく嘘くささがなく、かつてのJETHRO TULLの後継者といってもいいほどのサウンドだ。
ハードめのギターにオルガンが重なるところなどは、ヴィテンージロックとしても楽しめるし、
近年人気のフォークメタルのリスナーなどにも充分アピールするだろう。
メロディアス度・・8 プログレ度・・7 ケルティック度・・8 総合・・7.5
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TEMPEST 「The Tracks We Leave」
アメリカのフォークロックバンド、テンペストの2015年作
1991年デビューというキャリアのあるバンドで、本作はジャケからしてまるでヴァイキングメタルのようだが、
サウンドの方はマンドリンやフィドルの音色に男女ヴォーカルの歌声で聴かせる牧歌的なフォークサウンド。
随所にエレキギターを使用しているので、適度に重厚な聴き心地があり、フォークメタルのリスナーにも楽しめる。
今作はケルトというよりは、中世トラッド的な雰囲気が強いので、ヘヴィ化したGRYPHONという感触もあって、
フルートやヴァイオリンの響きと共に、ベテランらしい確かな演奏力で優雅なトラッドロックが楽しめる。
ドラマティック度・・7 フォーク&トラッ度・・8 優雅度・・8 総合・・8
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Temple 8 「Enter the Temple」
アメリカのプログレバンド、テンプル8の2003年作
マルチプレイヤーのKurt Tischer氏を中心にしたユニットで、ほどよくハードでメロディックなギターに
シンセアレンジを重ね、リズムチェンジを含む展開力で、ProgMetal的でもあるサウンドを構築。
RUSHのゲディ・リーをユルくしたようなヴォーカルとともに、わりとキャッチーな聴き心地であるが、
いかんせん楽曲の魅力が足りない。プログレハードとしては、メロディのフックも物足りないし、
8~9分の大曲もあるが、わりとリフレインの多い構成もあって、さほど盛り上がないのが残念。
煮え切らない方向性もそうだが、楽曲自体の質を上げてもらわないと、60分聴くのはつらい。
ドラマティック度・・7 プログレ度・・7 楽曲・・6 総合・・6.5
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TEN JINNAs on a Darkling Plain
アメリカのシンフォニックロックバンド、テン・ジンの1st。1999作
初期GENESIS的な上品な質感に、ときおり聴かせるテクニカルな部分と、
コロコロとしたメロディの感触はHAPPY THE MAN的か。
キャッチーな歌メロやコーラスワークにはプログレハード的な要素もあり、
70年代風味と現代的な要素が合わさった雰囲気で、クオリティもなかなか高い。
1曲目が40分の組曲というのも気合いが入っているが、起伏に富んだ展開で聴かせる。
多少の詰めの甘さもあるが、キャッチーで展開力のあるシンフォが好きならお勧めできる。
メロディアス度・・8 テクニカル度・・7 キャッチー度・・8 総合・・7.5
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TEN JINN「ALONE」
アメリカのシンフォニックロックバンド、テン・ジンの3rd。2003作
GENESIS + HAPPY THE MANといった感じだった2ndに比べて、こちらは1曲めから歌もので、
シンフォニックなキーボードに乗る歌メロとコーラスハーモニーがキャッチーなサウンド。
SPOCK'S BEARD的に攻めてきたかという印象だが、軽快な分かりやすさと叙情性のバランスが良く、
曲は4~5分台のものがほとんどで、コンパクトな聴きやすさが魅力となっている。
やや力みすぎだった前作よりも、むしろプログレハード的な聴き方もできる好作。
ドラマティックなギターとリリカルなピアノが素晴らしい後半の曲がとくに良い。
メロディアス度・・8 プログレ度・・7 キャッチー度・・8 総合・・7.5
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TEN POINT TEN「12 25」
アメリカのシンフォニックロック、テン・ポイント・テンの2005年作
本作はクリスマスアルバムであるらしいが、サウンドは一級品のシンフォニックロックとして楽しめる。
キャッチーな希望的メロディとともに華麗に弾き鳴らされるキーボードを含めて、曲のアレンジも見事で
マイルドな声質の男ヴォーカルに、ときおり絡む女性ヴォーカルの歌声も耳に優しく響きます。
派手すぎる音でもなく、適度にテクニカルでありつつ実に素直なメロディで聴かせる美麗シンフォニック。
少し疲れ気味のアナタもウットリとなり、シンフォニック好きのアナタにもうってつけの傑作アルバムです。
シンフォニック度・・8 メロディアス度・・9 優しげ度・・9 総合・・8.5
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Terry Bozzio + Metropole 「Chamber Works」
アメリカ出身のドラマー、テリー・ボジオの2005年作
U.K.をはじめ多くのセッションやソロ作品などで活躍する、世界最高のロックドラマーの一人。
本作はオーケストラとの共演作で、タイトル通り、優雅でスリリングなチェンバーロックを聴かせる。
ストリングスやブラスなど、各パートと重なるドラムは、オケの一部というようなリズムのユニゾンなど、
アンサンブリーなプレイが素晴らしい。まさに、クラシックにロックドラムが融合されたという味わいだ。
ゆるやかなハートでは、ほとんどクラシックの演奏を聴いているような感じであるが、
そこにどれだけ自然にドラムが乗せられているか、という楽しみ方がよいだろう。
クラシカル度・・8 ロック度・・3 スリリング度・・8 総合・・8
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Thank You Scientist 「Maps of Non-Existent Places」
アメリカのプログレロックバンド、サンク・ユー・サイエンティストの2012年作
適度にハードなテクニカル性と、キャッチーといってもよいヴォーカルメロディで聴かせる、
いうなれば、COHEED AND CAMBRIAをよりエキセントリックにしたようなイメージのサウンド。
サックスやヴァイオリンなどを取り入れた軽妙なアレンジとともに、懐の深いスケール感を漂わせた
モダンなプログレロックとしてのセンスが随所に光っている。楽曲構成は複雑ながら難解さはなく、
濃密にして奔放な勢いと、メロディアスな軽妙さに思わずにやりとなるような力作です。
メロディック度・・8 プログレ度・・8 軽妙度・・8 総合・・8



Thank You Scientist 「Stranger Heads Prevail」
アメリカのプログレ・モダンロックバンド、サンク・ユー・サイエンティストの2016年作
サックス、トランペット、ヴァイオリン奏者を含む編成で、前作もテクニカルな濃密作であったが、
2作目となる本作も圧巻の仕上がりだ。QUEENのような歌もの的な小曲で始まったかと思えば、
アヴァンギャルドなセンスを含んだテクニカル性に、ヴァイオリンやサックス、トランペットなどが鳴り響く、
ブラスロック的なアレンジと、Coheed and Cambriaあたりに通じるモダンでキャッチーな感触が交差する。
随所にメタリックなハードさや、ポップな歌もの、ジャズロック調、カオティックロックなど、多様な顔を覗かせながら、
結果としてメロディアスなテクニカルロックになっているという。全体的に濃密ながらも聴きやすい力作である。
メロディアス度・・8 テクニカル度・・8 アヴァンギャル度・・7 総合・・8
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THEO 「Figureheads」
アメリカのプログレバンド、テオの2020年作
トニー・バンクスを敬愛するというジャズミュージシャンの鍵盤奏者を中心に、2015年にデビューし、本作は2作目。
大曲ばかりの全4曲という構成で、オルガンやピアノなどの優美なシンセにメロウなギターが絡み、
古き良きシンフォプログレを受け継ぎつつ、随所にモダンなアレンジを加えたという作風。
ジェントルなヴォーカルを乗せたキャッチーな雰囲気に、美麗なキーボードワークは、リック・ウェイクマン風であったり、
GENESIS風であったりして、ときにクラシックやジャズの素養も感じさせる。ラストの16分の大曲は、
泣きのギターにシンセが重なり、起伏のある展開で、これぞ王道のシンフォプログレという味わいだ。
ドラマティック度・7 プログレ度・8 優美度・8 総合・8
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Thinking Plague「In This Life」
アメリカのチェンバーロック、シンキング・プレイグの1989年作
Henry Cowのサウンド受け継ぐ、アメリカきってのレコメン系バンド。アルバム25周年記念のリマスター再発盤。
変則リズムによるアンサンブルに、クラリネットやヴァイオリンが鳴り響き、浮遊感のある女性ヴォーカルを乗せた、
アヴァンギャルドでキュートなサウンドは、ダグマー・クラウゼのいた頃の、ヘンリー・カウを思わせる。
のちの作風に比べれば、もっとミニマムで、プリミティブ、ようするに雰囲気モノとしての作風が強いのだが、
女性声の妖しさも含めて、70年代の香りを残しているという点では、Art Bearsなどのファンでも楽しめそう。
タブラによるリズムが鳴り響くところは、Third Ear Bandあたりも思わせる。ほどよいサイケ感も含んだ異色作である。
ドラマティック度・・7 チェンバー度・・8 アヴァンギャル度・・8 総合・・8
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THINKING PLAGUE 「IN EXTREMIS」
アメリカのチェンバーロック、シンキング・プレイグの1998年作
1984年にデビュー、9年ぶりとなる4作目。Henry CowArt Bearsを受け継ぐ、アメリカきってのレコメン系バンド。
クラリネットやフルートの優雅な音色にギターとシンセが重なり、女性ヴォーカルの歌声を変則リズムに乗せた、
エキセントリックな浮遊感に包まれたサウンド。スリリングなアンサンブルの上をジャズやクラシカルな優雅さが交差し、
ドラムとベースの生み出すグルーヴィなリズムがロックサイドの攻撃性を生み出していて、ピアノやヴァイオリン、サックス
ときにメロトロンも使い、クリムゾンのような感触も加わった、まさにプログレ・チェンバーロックの理想形という聴き心地。
アヴァンギャルドな部分でもさほど難解にならず、7人編成という厚みのあるサウンドが、サウンドの迫力を生み出している。
チェンバー度・・8 プログレ度・・8 優雅度・・8 総合・・8 
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THINKING PLAGUE 「A HISTORY OF MADNESS」
アメリカのチェンバーロック、シンキング・プレイグの2003年作
1984年にデビュー、Henry Cow、Art Bearsを受け継ぐ、アメリカきってのレコメン系バンドの3作目。
ピアノやシンセ、フルートやクラリネットを軽やかなリズムに乗せ、妖しい女性スキャットとともに、
優雅でミステリアスなアヴァンロックを構築する。美しい女性声を乗せたしっとりとしたパートから、
スリリングな緊張感をたたえたアンサンブルは、Art Bearsを思わせるアーティスティックな耳心地で、
サックスがフリーキーに鳴り響くナンバーや、アコースティックギターのつまびきなど、静寂パートを含む
ゆるやかな倦怠に優雅なアヴァンギャルド性が溶け込んでくる。バンドの芸術性が発揮された傑作だ。
アヴァンギャル度・8 スリリング度・8 優雅度・8 総合・8 
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Thinking Plague 「Decline and Fail」
アメリカのチェンバーロック、シンキング・プレイグの2011年作/邦題「衰退と滅亡」
80年代にデビュー、本作は6作目となるアルバムで、不穏なベースラインと硬質なドラムに
うっすらとしたシンセやピアノ、浮遊感ある女性ヴォーカルを乗せたスリリングなサウンド。
HENRY COWART BEARSといったかつてバンドのエキセントリックな芸術性を受け継ぐ作風で、
サックスやクラリネットが鳴り響く、チェンバーロックの王道をレコメン寄りに構築したという雰囲気。
どこか醒めたような女性声が理性ある狂気を描きつつ、ミステリアスでダークな妖しさの中にも、
コロコロとしたキュートな質感も覗かせる。ドラムとベースのアンサンブルを軸にした確かな演奏力が、
ベテランらしい音の説得力をかもしだし、8分、11分という大曲も緊張感を保って描かれる。これは傑作。
スリリング度・・8 プログレ度・・8 チェンバー度・・8 総合・・8
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Thinking Plague「Hoping Against Hope」
シンキング・プレイグの2017年作
前作「衰退と滅亡」は見事な傑作だったが、「一縷の望み」と題された6年ぶりとなる本作も、
変則リズムのアンサンブルに、クラリネット、フルート、サックス、ピアノの優雅な音色に、
女性ヴォーカルの歌声を乗せた、Art Bearsをルーツにした妖しくも美しいチェンバーサウンドを聴かせる。
優雅なアヴァンギャルド性とテクニカルな構築センスのバランスもよろしく、程よい緊張感が耳心地よい。
クラリネットがリードをとりながら、変拍子でたたみかけるナンバーは、これぞチェンバーロックという味わいで、
シリアスなダークさは、UNIVERS ZEROに通じるところもある。キャリアのあるバンドならではの堂々とした空気感と
重厚な音の説得力というのもさすがである。いうなれば現在形の正統派チェンバーロックの力作である。
ドラマティック度・・8 チェンバー度・・9 アヴァンギャル度・・8 総合・・8
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Thirteen of Everything「Welcome Humans」
アメリカのシンフォニックロックバンド、サーティーン・オブ・エブリシングの2005年作
GENESIS系を基盤に、NEAL MORSETRANSATLANTICなどを思わせる
キャッチーなメロディアス性と爽快な展開力で聴かせる、質の高いシンフォプログレサウンド。
メロウなギターフレーズはときにスティーブ・ハケットを思わせ、いかにプログレらしいシンセワークには
EL&Pからの影響も感じさせるなど、ややプログレヲタク的な香りも漂うが、アメリカらしい抜けのよいメロディで心地よく聴ける。
9分、10分という大曲にラストには26分の組曲もあり、ヴォーカルの弱さは別として、全73分という力作です。
メロディアス度・・8 プログレ度・・8 爽快度・・9 総合・・8
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TILES「Pretending 2 Run」
カナダのプログレバンド、タイルズの2016年作
1994年にデビュー、本作は8作目。CD2枚組のコンセプトアルバムで、ほどよくハードなギターに
オルガンを含むシンセと伸びやかなヴォーカルを乗せ、テクニカルで軽妙なアンサンブルと、
いくぶん翳りを帯びた叙情とともに、RUSHをルーツにしたハードプログレを聴かせる。
随所にProgMetal的でもある知的な構築力を覗かせつつ、牧歌的なアコースティックパートや、
ときにヴァイオリンなどのストリングスも加わった優雅な叙情性、繊細なポストプログレ風味も現れる。
全体的に派手さはないものの、肩の力の抜けた大人の味わいで、じっくりと楽しめる好作品だ。
マイク・ポートノイやイアン・アンダーソン、マイク・スターン、アダム・ホルツマンなどがゲスト参加。
ドラマティック度・・7 テクニカル度・・8 構築度・・8 総合・・7.5
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TIM MORSE 「Faithscience」
アメリカのミュージシャン、ティム・モーズの2012年作
ギター、ベース、シンセにヴォーカルをこなすマルチミュージシャンで、
本作は歴史的な飛行家リンドバーグの生涯をテーマしたコンセプト作となっている。
適度にテクニカルなリズムを含みつつ、キャッチーなメロディとムーグシンセなどを含んだ古き良きプログレ風味で、
Spock's BeardやNeal Morseなどに通じる、90年代以降のアメリカン・プログレの抜けの良さがある。
全体的に聴き心地はよいのだが、スポビやニールを上回る魅力というものはあまり感じられず、
出来のよい佳作止まりという感じが惜しい。KANSASのデヴィッド・ラグズデールなどがゲスト参加。
ドラマティック度・・7 プログレ度・・7 新鮮度・・7 総合・・7.5



TODD RUNDGREN'S Utopia
トッド・ラングレンが70年代に自身のバンドとして立ち上げたユートピアの1st。1974作
ポップサイドやプロデューサーとして有名な彼だが、本作はそのトッドがもっともプログレに接近した作品として
70年代アメリカプログレの傑作としても名高い。トリプルキーボードを駆使したそのサウンドは、
この時代の音楽としてはとても音が厚く、ライブ録音の1曲目からして、きらびやかなシンセの渦に引き込まれる。
キーボードに絡むトッドのギターは奔放で、ときにダイナミックにロックしているが、
ヴォーカルパートにおいてはそのポップでキャッチーなセンスを垣間見せている。
全4曲で、それぞれ14分、10分、4分、30分という作りもいかにもプログレ的だが、
一方では、これが彼の引き出しのひとつにすぎなかったという事実にも驚嘆させられる。
メロディアス度・・8 プログレ度・・7 キーボー度・・8 総合・・8
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Todd Rundgren「Initiation」
トッド・ラングレンの6th。1975作/邦題は「未来神」
バンドとしてのUTOPIAの1stの後に出したソロ名義のアルバム。
前半はポップなロックナンバーがメインなのだが、なんといっても本作の聴きどころは
“宇宙炎に関する論文”と題された35分にもおよぶ一大組曲で、
重ねられたシンセを主体にしたスペイシーで幻想的なサウンドが楽しめる。
とはいっても決して暗くはならず、どこかトリップ感のある楽園的な世界観なのが
いかにもトッドらしい。プログレとして聴くのなら本作か、UTOPIAの3rdあたりまでか。
メロディアス度・・8 前半はポップ度・・8 後半はプログレ度・・8 総合・・8
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UTOPIA「RA」
トッド・ラングレンのバンド、ユートピアの3作目。1977作/邦題は「太陽神」
トリプルシンセ編成での1stの頃とは異なり、本作はドラム、ベースを含むバンド編成。
プログレハード的なダイナミックさで聴かせるサウンドは、ブリティッシュロックの質感にも近いが、
コーラスも含めた歌入りのキャッチーな感触には、やはりアメリカならではの抜けの良さがある。
あくまでバンドとしてのバランス感覚を重視しつつも、シンセの重ねかた、その旋律には
トッド独特の浮遊感のようなものがあり、単なるポップさとも違う懐の深さを感じる。
メロディアス度・・8 プログレ度・・7 キャッチー度・・8 総合・・8
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Tom Brislin 「Hurry Up and Smell The Roses」
アメリカのシンセ奏者、トム・ブリスリンのソロ。2013年作
YesやCamel、The Syn、Meat Loafなどのツアーやレコーディングなどに参加した実力派ミュージシャンで、
本作はやわらかなシンセアレンジとヴォーカルで聴かせる、キャッチーにして繊細な耳心地の好作品。
ポップなやわらかさの中にも、うっすらとプログレな感性を漂わせているというところは、
A.C.TMoon Safari などのファンにも楽しめるだろう。商業解釈のポッププログレというべきか、
ただ、それ以上にピュアなメロディへの愛情も感じられるのが素晴らしいところ。
メロディアス度・・8 キャッチー度・・9 プログレ度・・7 総合・・8
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Tony Castellano 「Fun Size」
アメリカののミュージシャン、トニー・カステラーノの1997年作
Holding Patternにも参加するミュージシャンで、本作は5曲入りのEP。
優美なシンセに叙情的なギターの旋律を重ね、ジェントルなヴォーカルを乗せた
キャッチーなシンフォニックロック。ギターのメロディには泣きのセンスを感じさせ、
単なるマイナー系シンフォという以上の優雅な味わい。この路線のフルアルバムだったら、
あるいは、90年代アメリカンシンフォの隠れた逸品となっていたかもしれない。
ドラマティック度・7 プログレ度・7 優雅度・8 総合・7.5
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Tony Spada 「Balance of Power」
アメリカのミュージシャン、トニー・スパダの1993年作
Holding Patternのギタリストのソロ1作目。かつてはCDなのにLPサイズの無駄にデカい仕様で出ていたが、
2007年にめでたく通常CDジャケサイズで再発された。やわらかなシンセに叙情的なギターの旋律を乗せた、
優美なインストサウンド。フュージョンがかった軽妙な味わいや、曲によってはハードなギター感触も含みつつ、
ジャケのイメージとはやや異なる、ゆったりと優雅なサウンドを描いてゆく。ハケットとまではいかないが、
メロウな泣きのフレーズもなかなか魅力的だ。ラストは11分の大曲で、ここではヴォーカルも加わって
ウェットな叙情に包まれたシンフォニックロックを聴かせる。派手さはないが、じっくりと楽しめる好作品。
ドラマティック度・・7 プログレ度・・7 優雅度・・8 総合・・7.5
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TOUCH
アメリカのプログレバンド、タッチの1969年作
マイク・マンゴールドのタッチとは別バンド。見開きによる大仰なジャケデザインもヒプノシスばりのセンスなのだが、
サウンドは、オルガン鳴り響くブリティッシュな雰囲気のサイケなアートロックという趣で、キャッチーなコーラスハーモニーに、
センスのあるギターフレーズにオルガンが絡み、確かな演奏力で起伏のある展開を描いてゆく。
ゆるやかなピアノの旋律に、メロウなギターがかぶさる叙情性はシンフォニックロック的でもあり、
ビートロックのポップ感も覗かせながら、サイケなプログレ要素を巧みに取り入れているのが見事。
8分、11分という大曲などは当時のアメリカでは異色だったことだろうが、楽曲のアレンジ能力と柔軟なセンスが
スリリングな展開力になっていて、現在聴いてもプログレとして十分に楽しめるレベルの高さである。
プログレという言葉もまだない時代に、このようなアーティスティックなバンドがアメリカにもいたのだ。
ドラマティック度・・8 プログレ度・・8 構築度・・8 総合・・8
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TOUCH「THE COMPLETE WORKS I & II」
アメリカのプログレハード、タッチの1st、2ndカップリング盤。
マーク・マンゴールドを中心に活動したバンドの1979年の1stと、1981年に出るはずだった幻の2ndをカップリングした再発盤。
きらびやかなシンセに包まれたキャッチーなメロディとコーラスワークアメリカンロックのポップ感覚とQUEEN的な壮麗さが合わさった、
メジャー感のあるじつに質の高いサウンドだ。マンゴールドのシンセにはプログレハード的な味わいが感じられ、
Journey
STYXあたりが好きな方はもちろん後期のYESASIAなどにも通じるやわらかな美しさがある。
メロディアス度・・8 プログレ度・・7 キャッチー度・・9 総合・・8
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TOUCH「Tomorrow Never Comes」
アメリカのプログレハード、タッチの2021年作
2018年に、American Tearsの復活を果たしたマーク・マンゴールドが、今度はタッチとしての40年ぶりとなる作品を発表。
メンバーはオリジナルの4人で、わりとハード寄りのギターにきらびやかなシンセワーク、マイルドなヴォーカルで、
いかにも80年代ルーツのキャッチーで哀愁漂うサウンドを聴かせる。ゆったりとした叙情ナンバーでは、
QUEENのような壮麗なコーラスも加わり、随所に泣きのギターフレーズも耳心地よく、メロハー寄りのナンバーでも
マンルドのプログレ寄りのシンセワークが楽曲を華やかに彩っている。新鮮なインパクトはさほどないものの、
アダルトな叙情性に包まれたベテランらしい堂々たる作風で、どこを切っても耳心地よく楽しめる。全61分という力作だ。
メロディック度・・8 キャッチー度・・8 大人の叙情度・・9 総合・・8 過去作のレビューはこちら
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TRANSATLANTIC「SMPTe」
ロイネ・ストルト(THE FLOWER KINGS)、ニール・モーズ(元SPOCK'S BEARD)、マイク・ポートノイ(DREAM THEATER)、
ピート・トレワヴァス(MARILLION)による、プログレスーパーバンド、トランスアトランティックの2000年作
まさしく、スーパーバンドというにふさわしい驚異のユニットがここに誕生。メンバーの頭文字からとったアルバムタイトルが示す通り、
各名人たちの技量とセンスが濃縮され、のっけから30分を超す大曲“All of the Above”から、メロディアスかつキャッチー、
そしてテクニカルなサウンドでたたみかける。やはり要となるのは、ニールの作りだす優しいメロディとその歌声、
テクニカルなリズムを支えるポートノイのドラムの貢献もさすがである。プログレ/シンフォニックの希望の星の誕生だ。
メロディアス度・・9 シンフォニック度・・8 プログレ度・・7 総合・・8.5
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TRANSATLANTIC「LIVE IN AMERICA」
トランスアトランティックのライブアルバム。2001年作
当然ながらメンバーたちはしっかりとしたテクニックの持ち主なので、ライブにおいても安定した演奏で
シンフォニックでキャッチ-な楽曲をしっかりと構築してゆく。専任ヴォーカルがいないという歌の弱さを除けば、
抜群のアンサンブルと古き良きプログレハード的な雰囲気に包まれたサウンドは見事という他はなく、
ジェネシスの名曲のカヴァー、フラワーキングス、ドリームシアターなどのセルフカヴァーメドレーも含めて、
CD2枚にわたってたっぷりと彼らのステージが楽しめる。まさにファンは必聴のライブ作品だ。
メロディアス度・・8 プログレ度・・8 テクニカル度・・8 総合・・8
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TRANSATLANTIC「BRIDGE ACROSS FOREVER」
シンフォニックハードのスーパーバンド、トランスアトランティックの2nd。2001年作
1stではいきなり1曲目から30分の大曲だったが、今回も全4曲うち25分以上が2曲という大作志向。
前回よりも録音に金がかけられたのか、音質も向上し、叙情的なメロディアス性をともなった曲の盛り上がりはより迫力を増した。
ロイネ・ストルトのメロディアスなギターフレージングは相変わらず素晴らしく、ニール・モーズのキーボードワークも音色、メロディともに冴え、
HRファンには不評な歌もバックの美しいコーラスハーモニーの中で問題なく聴ける。まさにシンフォニックの理想郷というべき傑作だ。
2CD限定盤のボーナスDiscにはPINK FLOYD“Shine On You Crazy Diamond”、Deep Purple“Smoke On The Water”のカヴァーを含め
スタジオでのリハの様子などを収録。アルバム収録曲の未完成のデモなど、ファンにとっては興味深い音源が楽しめる。
メロディアス度・・9 プログレ度・・8 楽曲・・9 総合・・9◆プログレ名作選入り
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TRANSATLANTIC「SMPTe THE ROINE STOLT MIXES」
トランスアトランティックの1stのロイネ・ストルトによるリミックス作品。2003年作
収録曲、曲順ともに正規盤と同じなのだが、それにギターパートを追加したバージョン。
音質的にも各パートの分離が良くなり、リズムは切れ良くその上ロイネによるギターパートが追加されている。
また、ギターのもならずメロトロン、キーボードなどにもずいぶんと変化が聴かれ
全体としてはよりダイナミックに、かつメリハリのあるサウンドになっている。
ファンはもちろん、THE FLOWER KINGS、そしてロイネのファンにもたまらない出来だ。
むしろ正規盤より完成度上だろう。傑作がさらに素晴らしい作品に生まれ変わった!
メロディアス度・・8 プログレ度・・8 正規盤より良いわぁ度・・9 総合・・8.5
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TRANSATLANTIC「LIVE IN EUROPE」
SPOCK'S BEARDのニール・モーズ、DREAM THEATERのマイク・ポートノイ、
THE FLOWER KINGSのロイネ・ストルトらによる、トランスアトランティックのライブアルバム。2003年作
こうしてライブ音源を改めて聴くにつけ、実力者たちによる卓越した演奏は、その辺のシンフォバンドでは真似の出来ない強力なパワーを有している。
とくにライブ盤としては2作目となる本作は、アルバム1作目、2作目の代表曲をほぼ網羅しており、Disc2での大曲“Stranger In Your Soul”
そして“All The Above”の2曲はまさに圧巻だ。キーボードを弾きながら楽しげに歌うニール・モーズ、DTでの演奏よりも肩の力が抜けた
マイク・ポートノイのドラミングが目に浮かぶ。このスーパーバンドを初めて聴くという方にもお薦めできるだけの内容だ。
メロディアス度・・8 テクニカル度・・8 ライブ演奏・・9 総合・・8.5
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TRANSATLANTIC「LIVE IN EUROPE」
トランスアトランティックの2001年のヨーロッパツアーのライブDVD。2003年作
オランダ、ティルブルクでの公演をメインにしたステージで、2nd「BRIDGE ACROSS FOREVER」からの曲を中心にした全6曲150分の内容。
当然ながらメンバーは皆卓越した技術とセンスの持ち主なので、余裕たっぷりの楽しげなアンサンブルを繰り広げている。
THE FLOWER KINGSのツアーにも参加していたPAIN OF SALVATIONのダニエル・ギルデンロウがここでも参加している。
印象的なのはニール・モーズのはじけっぷりで、キーボードはもちろん歌への情感の入れ具合から、ステージを走ってドラムを叩きにいったり、
自らギターを弾いたりと、大層楽しげで気合が入っている。観客にはプログレ、メタルファン以外の客層もいる感じで、
年のいった方々は普通にメロディアスなロックとしてこの音楽を楽しんでいるように見える。アルバム盤以上に拡大されたビートルズメドレーや、
Disc2のPINK FLOYDのカヴァーなどからはメンバー自身がいかにリラックスして楽しんでいるかが察せられる。
ご存知のようにこのバンドは大曲が多いので、ラスト3曲で90分という状態。お腹いっぱい。必見のライブ作である。
ライブ映像・・8 ライブ演奏・・9 シンフォニック度・・8 総合・・8.5
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TRANSATLANTIC「Whirlwind」
ニール・モーズ、マイク・ポートノイ、ロイネ・ストルトらによるスーパーバンド、トランスアトランティックの2009年作
8年の歳月を経て、あのメンバーたちが再び集結。なんと77分全1曲という驚異の作品をひっさげてのカムバックだ。
12パートに分かれた長大な楽曲はどこを切ってもニール・モーズ節炸裂で、ゆるやかなメロディで上昇と下降を繰り返しながら
しだいにドラマティックに盛り上がる楽曲を展開させてゆく。マイク・ポートノイの細やかなドラムと安定したリズムを土台に、
ピート・トレワバスのベースの存在感もこれまで以上に光っていて、渋みを増したロイネのギターが合わさると、
まさに鉄壁のケミストリーというべきグルーブ感が曲を支配する。ニールらしいキャッチーな歌メロとコーラスワークに、
古き良きプログレのレトロさを、時代に流されない人間味のあるロックに落とし込んだ、見事な力作であろう。
ただし、誤解を恐れずにいえば、全体的にはいくぶん大人の渋みを増したプログレッシブロックとなっていて、
シンフォニックな盛り上がりは後半からなので、即効性を求める気の短いリスナーには向かないのだが、感動的なラストは
ぜひ味わって欲しい。2枚組エディションには、未発曲に、GENESIS、Procol Harum、The Beatles、Santanaのカヴァーを収録。
メロディアス度・・8 プログレ度・・8 ドラマティック度・・9 総合・・8.5
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TRANSATLANTICWhirld Tour 2010」
スーパーバンド、トランスアトランティックのライブアルバム。2010年作
2009年の「Whirlwind」で再び飛翔を開始したスーパーバンド、2010年ロンドンでの公演を収録。ニール・モーズ、マイク・ポートノイ、
ロイネ・ストルト、ピート・トレワヴァスの4人に、ツアーメンバーのダニエル・ギルデンロウ(PAIN OF SALVATION)を含めたステージで、
のっけから80分におよぶ大作「Whirlwind」を完全再現。華麗にシンセを弾きこなしながら情感の込もった歌声を聴かせるニール・モーズ、
渋みをましたロイネのギターワークは、決して派手さはないがその一音一音が実に味がある。楽しげにドラムをプレイするポートノイ、
存在感あるベースを聴かせるトレワヴァス、そしてマラカスにシンセ、エレキにアコギと大活躍のダニエルは、映像で見ると元気いっぱいで
その若々しいはっちゃけぶりがかわいい。この5人のケミストリーが一体となり、ひとつの大きなビジョンを作り上げてゆくがごとき
素晴らしい演奏ぶりは、スタジオ盤で感じたいくぶんの長尺感を吹き飛ばすものだ。全員がヴォーカル/コーラスをとる、キャッチーなメロディアスさと
ドラマティックな展開力、そして名人の域に達している各人のプレイぶりは、ぜひともDVDでも見ていただきたい。80分の大曲が終わったかと思うと、
次は30分の“All of The Above”、同じく30分のドラマティックな大曲“Stranger in Your Soul”まで、全6曲180分超という…濃密なハードプログレが炸裂する。
ドラマティック度・・9 ライブ演奏・・9 お腹いっぱい度・・10 総合・・9
3CD盤はこちら 2DVD盤はこちら 3CD+2DVD限定盤

TRANSATLANTIC「More Never Is Enough」
シンフォニックロックのスーパーバンド、トランスアトランティックのライブアルバム。2011年作
3枚のCDにはイギリス、マンチェスターの公演、2枚のDVDにはオランダ、ティルブルグでの公演を収録した5枚組のボックス。
前回のライブ音源「Whirld Tour 2010」も良かったが、こと演奏面での大人の味という点では本作が勝るかもしれない。
CDのDisc1には80分全1曲の大作「THE WHIRLWIND」の完全再現を収録。山あり谷ありの大曲が、職人たちの演奏によって、
なめらかに構築されてゆくのはまさに圧巻である。Disc2には31分の“All of the Above”など3曲71分を収録。
Disc3は33分におよぶドラマティックな名曲“Stranger in Your Soul”で幕を閉じる。CDだけでもおなかいっぱいであるが、
DVDの方もまた必見。CDとは収録地が異なるのも嬉しいが、映像で見ればこのスーパーバンドのスーパーたる所以が分かる。
まず全員がコーラスをとるのもこのバンドの特徴だが、メインパートを歌うニール・モーズ、ロイネ・ストルトのツーフロントを筆頭に、
DREAM THEATERを脱退したマイク・ポートノイのドラムは、むしろDTでのプレイ以上に楽しげで、ときおり観客を煽る様子も楽しい。
ロイネ・ストルトのギターは、ベテランの味をかもしだす渋さと、もはや仙人というような域で、一音ずつ味わいのあるトーンを奏で、
アコースティックギターに、シンセ、マラカスなどもこなす、ノリノリのダニエル・ギルデンロウの姿も、バンドのひとつの華だろう。
各プレイヤーの手元を映すカメラワークもいいし、臨場感あふれる音質も素晴らしい。確かに時間は長いが至福のBOXセットである。
ドラマティック度・・9 ライブ演奏・・9 お腹いっぱい度・・10 総合・・8.5
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TRANSATLANTIC 「Kaleidoscope」
シンフォニックロックのスーパーバンド、トランスアトランティックの2014年作
壮麗なイントロから幕を開ける25分の組曲からスタート、古き良きプログレのロマンをあふれさせる、
マイルドにしてドラマティック聴き心地はもはや職人芸といっていい。哀愁を感じさせるニール・モーズの歌声に、
メロトロンやオルガンの音色を含んだやわらかなシンセワーク、ロイネ・ストルトのメロウなギターも随所に素晴らしい。
派手さよりも大人の味わいと巧みな表現力で、じわじわと描かれるサウンドは、爽快な抜けの良さは控えめな分、
肩の力の抜けたグルーヴィな構築美が楽しめる。中盤に配置された3曲の小曲もそれぞれに味わいがあるが、
ラストを飾る31分のタイトル組曲には、プログレとしての素晴らしさ、そのすべての要素が詰まっており、
メロディックにして感動的な叙情へ至る、このスーパーバンドの魅力がまさに万華鏡のごとく味わえるだろう。
ボーナスのDisc2は、Yes、ELO、Procol Harum、Elton John、Focus、KING CRIMSON、The Moody Bluseといった
プログレリスナー狂喜のカヴァー集。抜群の演奏とともに名曲が楽しめる。メイキングなどを収録したDVD付き3枚組もあり。
ドラマティック度・・8 プログレ度・・8 大人の構築度・・9 総合・・8.5
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TransatlanticKaLIVEoscope」
ニール・モーズ、ロイネ・ストルト、マイク・ポートノイらによるプログレバンド、トランスアトランティックのライブ作品。2014年作
ライブ作品としてはすでに6作目となる。オランダ公演のフルステージを収録した3CDと、ドイツ公演の映像が入ったDVDのボックスセットで、
今回はダニエル・ギルデンロウは不参加なので、サポートにはSpock's BeardやThought Chamberなどで活躍するテッド・レオナードが参加。
2014年作「Kaleidoscope」からの楽曲で幕を開け、いつものように楽しげなポートノイの手数の多いドラムを土台に、
Flying Colorsなどでもおなじみ、ニール・モーズのプログレ的なシンセワークとその渋みを増した歌声が響き渡る。
ロイネ・ストルトのメロウなギターは、ときにテッド・レオナードとのツインギターとなってサウンドを厚くしていて、
そのテッドは、シンセにギターにヴォーカルにと活躍が光っている。超大曲「Whirlwind」を30分に凝縮したメドレーや、
プログレの魅力が詰まった“Kaleidoscope”、さらにはThe Moody Bluesの“サテンの夜”や、FOCUSのタイス・ファン・レアーをゲストに招いて
“Sylvia”、“Hocus Pocus”といったカヴァー曲も聴きどころ。アンコールは“All of the Abobe/Stranger in Your Soul”メドレーで締めくくる。
DVD映像で見るとさらに臨場感抜群のステージが楽しめます。当然ながら、またしてもファンは必携のボックスですわ。
メロディック度・・8 ライブ演奏・・9 満腹度・・9 総合・・8.5
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Transatlantic 「The Absolute Universe: Forevermore (Extended Version)」
プログレ・スーパーバンド、トランスアトランティックの2021年作
前作から7年ぶりとなる5作目で、こちらはCD2枚組の完全版。ロイネ・ストルトの甘美なギタープレイに
壮麗なシンセを重ね、マイク・ポートノイのテクニカルなドラムとピート・トレワヴァスのグルーヴィなベースで、
優雅で軽妙なインストパートを構築。ニール・モーズのヴォーカルにキャッチーなコーラスワークで、
爽快なメロディック性に包まれたサウンドを展開する。今作はインスト部分でのロイネのギターが
いつにもましてメロウで叙情的なフレーズを弾きまくっているのも、フラキンファンにとっては嬉しいだろう。
肩の力の抜けた大人のプログレ感触と、ドラマティックな盛り上がりが入れ替わる。さすがの出来栄えだ。
ドラマティック度・・8 プログレ度・・8 構築度・・8 総合・・8 
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Transatlantic 「The Absolute Universe: The Breath Of Life (Abridged Version)」
プログレ・スーパーバンド、トランスアトランティックの2021年作
こちらは、CD1枚64分にまとめられたバージョンで、楽曲のアレンジや曲名も一部変えられていて、
単なる短縮版とはなっていないところはさすが。キャッチーなメロディアス性とテクニカルな展開力で、
2枚組に比べてすっきりとした流れとともに楽曲が続いてゆくので、長尺感もなくより爽快に楽しめる。
アコースティックを使った小曲などもアクセントになっていて、歌ものパートと壮麗なインストのバランスも良く、
64分のコンセプト作として一気に鑑賞できるという点では、むしろ2枚組バージョンよりお薦めかもしれない。
ドラマティック度・・8 プログレ度・・8 構築度・・8 総合・・8
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A Triggering Myth
アメリカのプログレバンド、トリガリング・ミスの1990年作
Key&G、Keyの2人組で、クラシカルな優雅さを含んだピアノと、オーケストラルなイメージのシンセの重ねで
チェンバーロック寄りのスリリングな空間性をシンフォニックロックの美しさで描いてゆくという作風は、
本作の時点ですでに確立されている。ときに打ち込みによるリズムも入るのだが、むしろその機械的なビート感と
クールな構築センスがマッチしていて、モダンなシンセプログレとしての完成度は90年代初頭のバンドとしては群を抜くレベルだろう。
クラシカル度・・8 プログレ度・・8 クールなセンス度・・8 総合・・8

A Triggering Myth「Twice Bitween」
アメリカのプログレバンド、トリガリング・ミスの2nd。1993年作
Key&G、Keyの2人組で、テクニカルなリズムとクラシカルなピアノタッチを含んだ鍵盤を中心に聴かせる、
ミステリアスで硬質感のあるサウンド。チェンバーロックの雰囲気をシンフォ寄りの優雅さで包み込んだというような感触は
90年代のネオプログレ系バンドの中でも異色にして高品質。After Cryingの路線をミニマムな編成でやっているという、
この野心的で知的なセンスはじつに素晴らしい。シリアスになったMastermindというような、21分の組曲も圧巻だ。
クラシカル度・・8 プログレ度・・8 クールなセンス度・・9 総合・・8

A Triggering Myth「Between Cages」
アメリカのプログレバンド、トリガリング・ミスの3rd。1995年作
キーボード二人(片方はギターも弾く)のユニットなのだが、シンセをメインにした楽曲にはクラシカルな美しさと同時に、
どこか緊張感がただよう硬質さがある。今作では、そのシリアスな説得力に磨きがかかり、さらに相反するベクトルなのだが
メロディとしての聴きやすさも増している。とてもクールな音なのにシンフォニックでメロディアス、リズムは打ち込みであるが
ミニマルミュージックとしてのテクニカルな質感もあり、チェンバーロック的な冷徹さも感じられる。
まるで冷たい水の流れるゆるやかな川のように、美しくもどこかに突き詰めたた芸術志向がある音だ。
クラシカル度・・8 プログレ度・・8 クールなセンス度・・9 総合・・8
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A Triggering Myth「The Sins of Our Saviours」
アメリカのプログレバンド、トリガリング・ミスの4th。1998作
冷徹なるチェンバー系シンフォニックロックともいうべきこのバンドのサウンドは今作も変わらず、
クラシカルなキーボードの音色には、メロディアスでありながらも冷たくシリアスな質感がある。
インスト中心でありながら、音の中にある緊張感はときに重厚な空間を描き出し、
決して攻撃的ではないが、ピアノの切迫した音色には美しさと同時に鋭利な硬質感を内包している。
DEUS EX MACHINAのVoが参加しての歌入り曲では、イタリアのAREAのようなジャズロック色もある。
クラシカル度・・8 プログレ度・・8 クールなセンス度・・9 総合・・8
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A Triggering Myth 「Forgiving Eden」
アメリカのプログレバンド、トリガリング・ミスの2002年作
2人のキーボーディストによるユニットで、クラシック、ジャズの要素を含んだチェンバーロック風味のサウンドで、
そこにシンフォニックロックの感触を加えたというサウンドは、本作でさらにスタイリッシュな優雅さをともなっている。
一聴してフリーキーにも思える音の鳴りが、すべて計算された構築の上に成り立っているという点では、
クラシックの方法論で譜面上の音符を完璧に再現したテクニカルシンフォといってもよいのだろう。
優雅でありながらスリリングな緊迫感に包まれた空間美には、玄人好みのプログレリスナーをもはっとさせる。
こうした硬質感と知的な構築美は北欧のIsildurs Baneなどにも通じるだろう。全曲が続いてゆく組曲的な流れも圧巻だ。
クラシカル度・・7 プログレ度・・8 構築度・・9 総合・・8
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A Triggering Myth 「The Remedy of Abstraction」
アメリカのプログレバンド、トリガリング・ミスの2006年作
1990年にデビュー、チェンバーロックのクラシカル性をシンフォプログレに融合させるこのバンド。
本作は6作目で、バンドのラスト作。軽やかなドラムに巧みなベースとピアノ、シンセを重ねた、
ジャズロック的な優雅なアンサンブルで、軽妙でスリリングなインストサウンドを聴かせる。
KBBの壷井彰久がゲスト参加していて、優美なヴァイオリンの旋律を随所に響かせていて、
シンフォニックロックとしての叙情性と、アコースティックを含む大人のジャズロックが同居した味わい。
一聴したインパクトは薄いが、巧みな演奏とうるさいすぎないセンスが見事な、玄人好みの逸品です。
クラシカル度・7 プログレ度・8 優雅度・9 総合・8 
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TRILLION 
アメリカのプログレバード、トリリオンの1978年作
アメリカらしいキャッチーなメロディとQUEENを思わせるコーラスハーモニーで、
ポップな大衆性とプログレハードとしてのきらびやかなサウンドを両立させたスタイル。
全体的には爽快な作風だが、ときに泣きのギターソロを聴かせる叙情性も見事。
続く2作目もよりスタイリッシュになったクオリティの高さが光る傑作である。
メロディック度・・8 キャッチー度・・8 プログレハー度・・8 総合・・8
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TRILLION 「CLEAR APPROACH」
アメリカのプログレバード、トリリオンの1980年作
1978年の1作目の人気も高いが、2作目となる本作ではよりスタイリッシュなサウンドで、
キャッチーなメロディックロックを聴かせてくれる。いかにも80年代らしいポップ性と
きらびやかなシンセアレンジで、まさにタイトル通りのクリアな聴き心地のアプローチである。
やわらかな叙情のバラードなども含めて、JourneyやTOTOなどにも通じるメジャーな感触は、
この手のマイナー系プログレハードとしては出色の完成度。随所に聴かせる泣きのギターもよい感じです。
メロディアス度・・8 キャッチー度・・9 プログレハー度・・8 総合・・8
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Tristan Park 「A Place Inside」
アメリカのプログレハード、トリスタン・パークの1995年作
美麗なシンセアレンジと適度にハードなギター、大人の雰囲気をかもしだすヴォーカルで聴かせる、
メロディアスなプログレハード。きらびやかな感触と、叙情的なギターフレーズも随所に入ってきて、
これという新鮮味はないのだが、シンフォニックでキャッチーなメロディアスハードとしても楽しめる。
1996年に1作のみを残したThe Lightなどと同様、なかなかクオリティの高いアルバムである。
メロディック度・・8 プログレ度・・7 きらびやか度・・8 総合・・8
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UMAE 「LOST IN THE VIEW 」
カナダのプログレバンド、ウマエの2019年作
ほどよくハードなギターがメロディックなフレーズを奏で、うっすらとしたシンセアレンジとともに、
軽やかでスタイリッシュなアンサンブルを聴かせる、モダンでキャッチーなプログレサウンド。
かすれた味わいのヴォーカルがオールドなロックのイメージをまとわせて、オルガンやメロトロン風の
シンセワークと叙情的なギターが重なってゆくと、BIG BIG TRAINなどにも通じる味わいで
古き良きシンフォプログレの空気感も楽しめる。ときに女性ヴォーカルも加えた優雅さと
アコースティックギターにやわらかなフルートの音色、ストリングスなどを含む叙情パートなど、
起伏のある展開とともに、10分を超える大曲を優美に構築してゆく。ゲストに、PORCUPINE TREEのジョン・ウェズレイ、
アメリカのシンセ奏者、アダム・ホルツマン、HAKENのコナー・グリーン、NEAL MORSE BANDのエレック・ジレットなどが参加。
ドラマティック度・・8 プログレ度・・8 優雅度・・8 総合・・8
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Umphrey's McGee「Safety in Numbers
アメリカのプログレ・ロックバンド、アンフリーズ・マギーの2nd。2006年作
ロックとしてのフリーな躍動感に、モダンなポップセンスや知的なアレンジをまぶし、
さらりと聴かせて見せる。ひとことで言うならそんなサウンドだろうか。
キャッチーな歌メロや軽妙なリズム感覚も含めて、耳心地のよい作風ながら、
さりげないシンセの入れ方や、曲展開などにメンバーの素養にあるプログレ的なものが窺えて
にやにやできる。玄人好みの演奏力を持ちながら、力の入りすぎない自然体の好作品だ。
メロディック度・・8 プログレ度・・7 アレンジセンス・・8 総合・・8
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Umphrey's McGee「Bottom Half」
アメリカのプログレ・ロックバンド、アンフリーズ・マギーの3rd。2007年作
ジャムロックバンドとして名を馳せる彼らだが、プログレ方面からの評価も高い。
本作ではアンサンブルとしてのメリハリがより強まってプログレ色が増してきたという印象。
フルートやサックスなど管楽器を取り入れたアレンジや、軽妙なリズムチェンジなどのさりげないテクニカル性、
それをポップと言ってよい聴きやすさの中に取り込んでいるのが素晴らしい。ジャムロック的なごった煮感を、
メンバーの懐の深さでスケール感のあるサウンドに仕立てたという感じもあり、楽しみ所の多い力作となっている。
メロディック度・・8 プログレ度・・7 アレンジセンス・・9 総合・・8
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Umphrey's McGee「Live at the Murat」
アメリカのプログレ・ロックバンド、アンフリーズ・マギーのライブ作品。2007年作
ジャムロック的なフリーな躍動感にキャッチーなポップセンスとプログレッシブな知性を垣間見せるこのバンド。
本作は2007年インディアナポリスでのステージをCD2枚に収録。アコースティックギターとピアノでゆるやかに幕を開け
パーカッションとドラムが加わった軽妙なアンサンブルで、インプロヴィゼーションをまじえたさすがの演奏を聴かせる。
10分前後の大曲もいくつもあり、当然のようにインストパートも多いのだが、その巧みな演奏力で飽きさせない。
一方ではポップなヴォーカルパートもあって、プログレポップ、プログレ風ロックとしても肩の力を抜いて楽しめる。
ドラマティック度・・7 ライブ演奏・・8 プログレ度・・7 総合・・7.5
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Umphrey's McGee「Death By Stereo」
アメリカのプログレ・ロックバンド、アンフリーズ・マギーの5th。2011年作
本作も一聴するとポップ感に包まれたキャッチーなロックなのだが、巧みなシンセアレンジや
モダンな聴き心地の中にも、プログレ的な知性を垣間見せる、心憎いセンスが光っている。
今作ではギターやドラムがメタリックなヘヴィさも垣間見せたり、軽妙なポップさとのコントラストを強めている。
80年代的なビート感覚をお洒落に取り込んだりと、自由度の高いミクスチャーなロックであり、
結果としてプログレリスナーをも喜ばせる音になっている。さらりと聴けて、じっくりも聴けるという作品です。
メロディック度・・8 プログレ度・・7 アレンジセンス・・9 総合・・8
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The Underground Railroad 「Through & Through」
アメリカのプログレバンド、アンダーグラウンド・レイルロードの2000年作
優雅なシンセにマイルドなヴォーカルを乗せた軽妙なアンサンブルに、スリリングな浮遊感と
Gentle Giantをルーツにした偏屈なキャッチーさが加わったという、個性的なシンフォニックロック。
エレピを含むクラシカルなシンセワークは上品でクールな空気感を描き出し、ギター、ベースとの絡みで
ときにチェンバーロック寄りの緊張感あるアンサンブルと空間性を作り出す。同じアメリカのプログレバンドとしては、
A Triggering Mythの知的な構築性に、Disciplineの偏屈なメロディアス性を加えたようでもある。
ラストは20分の大曲で、カート・ロンギィの優美なシンセワークを中心にした、繊細なインストを構築する。
ドラマティック度・・7 プログレ度・・8 構築度・・8 総合・・8
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THE UNDERGROUND RAILROAD「The Origin Consciousness」
アメリカのシンフォニックロックバンド、アンダーグラウンド・レイルロードの2nd。2005作
前作は、A TRIGGERING MYTHSALEM HILLなどとともに、アメリカの現在形シンフォニックの傑作であった。
今作では、オールドなプログレ的質感に、シリアスさと硬質な感触を携えたサウンドで、YESばりにメロディアスでありながら、
どこかひねくれたアヴァンギャルドなセンスも感じさせる。演奏力、構築力という点では上記したバンド中でも最高レベルにあり、
爽快なメロディにはクラシカルな部分を含みつつ、ジャズロックばりの軽妙なテクニックも持ち合わせている。
まさに現代形のシンフォニックロックサウンドである。インスト中心ながらとても楽しませてくれる作品だ。
メロディアス度・・8 プログレ度・・8 硬質度・・8 総合・・8
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Under The Big Tree
アメリカのシンフォニックロック、アンダー・ザ・ビッグ・トゥリーの1997年作
EPISODEのシンセ奏者NICK PECKを中心に、多数のミュージシャンが参加したプロジェクト作品。
オルガンが鳴り響くヴィンテージなプログレ感触に、マイルドなヴォーカルとともに薄暗い叙情に包まれる。
メロディックなギターに優美なピアノを乗せた繊細さと、アメリカらしいキャッチーで牧歌的な雰囲気もありつつ、
全体的には、90年代のB級シンフォニックにありがちな、盛り上がり切らないところもまた微笑ましい。
EPISODEもそうだったように、ヘタウマなジャケのイメージ通りの作品。マニアの方はどうぞ。
ドラマティック度・・7 プログレ度・・7 優雅度・・8 総合・・7
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UNDER THE SUN「UNDER THE SUN」
アメリカのプログレバンド、アンダー・ザ・サンの1st。2000年作
RUSH的な軽やかなアンサンブルと、YES的なキャッチーさが同居したハードプログレサウンド。
ほどよくハードなギターと美麗なシンセワークを重ねて、随所にテクニカルなパートを含ませつつ、
あくまで優雅な構築力で聴かせる。派手な盛り上がりは薄いので、一聴したインパクトは弱いのだが、
確かな演奏力によるクールな構築センスで、キャッチーな大人のプログハードとしても楽しめる。
メロディアス度・8 プログレ度・7 優雅度・8 総合・7.5
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UNDER THE SUN 「Schematism: On Stage With」
アメリカのプログレバンド、アンダー・ザ・サンのライブ。2005年作
2000年にMAGNA CARTAレーベルから1作のみを残して消えたバンドで、本作は2001年のライブを収録。
優美なシンセに適度にハードなギターを重ね、ハイトーンのヴォーカルを乗せた、軽やかなサウンドで、
随所に流麗なフレーズを奏でるギターや、オルガンを含むきらびやかなシンセがよい味を出している。
8分前後の大曲を主体に、アルバム未収録の13分の組曲なども、いくぶんProgMetal色も含ませながら
緩急ある巧みなアンサンブルで、じっくりと構築してゆく。ヴォーカルの弱さはあるのだが、演奏力は高く、
キャッチーで優雅なハードプログレとしては、なかなか楽しめるバンドであった。本作は唯一のライブ音源。
ライブ演奏・8 フログレ度・8 優雅度・8 総合・7.5
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Unisphere 「Le Voyage De L'enfant Lune」
カナダ、ケベックのプログレバンド、ユニスフィアの2005年作
うっすらとしたシンセに叙情的なギター、フランス語によるヴォーカルを乗せた
優雅な味わいのシンフォニックロック。随所にヴァイオリンやピアノのクラシカルな響きも加え、
美しいシンセやメロウなギターとともにに、派手さはないがゆったりとした叙情性に包まれる。
フランス語の歌声は、ときにANGEなどにも通じるヨーロピアンな雰囲気も感じさせ、
10分を超える大曲をメインにじっくりと構築する優美なセンスも光っている。ケベック叙情シンフォの好作だ。
ドラマティック度・・8 プログレ度・・7 優雅度・・9 総合・・7.5


Ut Gret「Ancestors Tale」
アメリカのチェンバーロック、ウート・グリートの2014年作
クラリネットやバスーン、フルート、サックスが優雅に鳴り、けだるげな女性ヴォーカルの歌声を乗せて、
うっすらとしたシンセとともにアンニュイな叙情に包まれた、チェンバー寄りのプログレサウンド。
とぼけた味わいのキャッチーなメロディも覗かせつつ、あくまで優雅なアンサンブルを描くところはあくまで優雅で、
チェンバー系初心者を含めて、わりと多くのプログレリスナーにも楽しめるだろう。優美なフルートの旋律で
しっとりと聴かせるパートなど、クリムゾン的でもある叙情と知的な構築性に、HENRY COWのような
スリリングなチェンバー色を加えたという感触もある。7~8分という大曲も多く、聴きごたえのある力作だ。
チェンバー度・・8 プログレ度・・8 優雅度・・9 総合・・8
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VALDEZ 「THIS」
アメリカのプログレバンド、ヴァルデスの2017年作
イギリス人ミュージシンャン、サイモン・ゴドフリー(FROST*のジェムの兄)と、ECHOLYNのメンバーらによるユニットで、
ジェントルなヴォーカルにギターとオルガン重ねた、オールドな味わいのキャッチーな歌もの系メロディックロック。
楽曲自体も、ECHOLYNGENTLE GIANTを思わせるコーラスハーモニーとともにポップ感のある聴き心地ながら、
随所にときおりプログレ的なリズムも覗かせるのはさすが。わりとシンプルなメロディアス性で聴かせつつ、
ゆったりとした大人の叙情ナンバーなどでは、やわらかなピアノやメロトロンなどのシンフォニック風味もある。
ラストは12分の大曲で、プログレらしいメリハリのある展開力が楽しめる。やわらかな歌ものプログレ好作品。
メロディック度・・8 プログレ度・・7 軽妙度・・8 総合・・8
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Victor Peraino's Kingdom Come「No Man's Land
Arthur Browns Kingdom Comeのシンセ奏者、ヴィクター・ペライノによる1975年作
完全自主制作盤であったため、これまでは一部のマニアのみぞ知るコレクターズアイテムであったが、
2010年リマスターにより再発。さらには1981年の録音音源、2010年新録を加えたSHM仕様である。
スペイシーに鳴らされるメロトロンに、Yesなどを彷彿とさせるキャッチーなヴォーカルメロディは、
やはり当時のイギリスのアーティストとは一線を画す、ポップでサイケデリックなセンスがある。
かと思えば、フルートの鳴り響く3曲目などはイタリアンロック風味であったりして、いささかとりとめがない。
内容の怪しい濃さと音質面の弱さも含めて、やはりマニア好みの作品といえる。
メロディアス度・・8 プログレ度・・7 音質・・7 総合・・7.5
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VICTOR PERAINO'S KINGDOM COME 「Journey in Time」
Arthur Browns Kingdom Comeのシンセ奏者、ヴィクター・ペライノによる2014年作
本名義では1975年作「No Man's Land」以来となるじつに40年ぶりの作品で、
オルガンやムーグを含むきらびやかなシンセワークと、古き良き感触のギター、
そしてヴォーカルにはアーサー・ブラウンが参加し、スペイシーかつシンフォニックな
サイケプログレが展開される。KINGDOM COME時代のセルフカヴァーを含む構成で
大人の哀愁漂わせる泣きの叙情と、ユルめのスケール感に包まれたサウンドが楽しめる。
ドラムの音を含めて古臭過ぎる気もしなくもないが、オールドなリスナーにはたまらないだろう。
ドラマティック度・・8 プログレ度・・8 古き良き度・・9 総合・・8
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VISIBLE WIND「A MOMENT BEYOND TIME」
カナダのプログレバンド、ヴィジブル・ウインドの2nd。1991年作
日本盤も出て、96年にリミックスされた本作は、カナダのバンドらしいクールな構築センスに溢れたメロディアスプログレだ。
叙情とテクニカルさのバランスが絶妙で、メロディアスさを重視した作風で、大仰すぎずメロウすきず、
シンフォニックな聴き心地だが素朴さもあるという点が、やはりカナダ、ケベック州という土地柄だろうか。
時々歌にフランス語がまじるのも隠し味で、フルートの音色などもじつに美しい好作品です。
メロディアス度・・8 プログレ度・・8 構築度・・8 総合・・8
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Visible Wind 「Narcissus Goes to the Moon
カナダのプログレバンド、ヴィジブル・ウインドの4th。1996年作
1991年の2nd「時を越えた世界」は、構築性に溢れたメロディックな好作品であったが、
続く3rd「エマージェンス」はいくぶんハードさを増した散漫な印象だった。なので本作、「ナーシサス、月へ」は
長いこと未チェックであったのだが、こうして聴いてみると、まさにバンドとしての集大成というべき作品である。
ムーグやメロトロンを含んだシンセワークに、GenesisやCamelを思わせる軽妙なアンサンブルと叙情性、
それにSpock's Beardのようなとぼけた味わいを含んだ知的な展開力が合わさったサウンドは、
適度にハードな90年代感覚と、コンセプトストーリー的な流れとともに見事に構築されている。
ラストの21分におよぶ組曲も含めていくぶん長尺感もあるのだが、じっくり楽しめる力作だ。
ドラマティック度・・8 プログレ度・・8 構築度・・8 総合・・7.5
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Volare 「Uncertainty Principle」
アメリカのプログレ・ジャズロック、ヴォラーレの1997年作
わりとロック寄りのギターにエレピを含むシンセが絡み、優雅なアンサンブルで聴かせる
Hatfield and the Northを思わせる、いかにもカンタベリー風味のジャズロック。
メロトロンやミニムーグを使ったシンセワークはいかにもアメリカのプログレ愛好家らしい感じで、
ほどよく叙情的なフレーズをこなすギターなどは、むしろジャズ色をさほど感じないのが面白い。
楽曲もいきなりクリムゾン風になったりと節操がなく、テクニカルなプログレとしても濃密に楽しめる。
本作は、イエスやクリムゾンが好きな連中が、カンタベリー系のジャズロックをプログレ的に再現しようという
確信犯的な試みであったのかもしれない。バンドは本作の後、1999年に未発音源集「Memoirs...」を発表している。
ドラマティック度・・7 プログレ度・・8 カンタベ度・・8 総合・・8
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White & Edsey Lucas 「Lwe」
アメリカのキーボードプログレバンド、LWEの2006作
日本人顔のキーボーディスト、フランク・ルーカスを中心にした3人組で、
シンセとピアノをメインにした軽快できらびやかなジャズ・フュージョンロックをやっている。
プログレというよりはモダンで、メジャー感のあるメロディアスな作風のインスト作品。
変拍子などテクニカルなキメの部分は、難しくないPLANET Xという雰囲気もあり、
キーボードトリオといっても古めかしさはなく、むしろJORDAN RUDESSあたりにも通じる
メロディフレーズと軽やかなキーボードタッチが、プログレフュージョン的質感を生み出している。
音が綺麗なので楽しく聴けるが、全体的にやや一本調子で飽きが来るのも正直なところ。
メロディアス度・・8 プログレ度・・7 フュージョン度・・8 総合・・7.5
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The Winter Tree 「Guardians」
アメリカのシンフォニックロック、ウインター・トゥリーの2012年作
女性シンセ奏者を含む4人編成で、やわらかなシンセアレンジとメロウなギター、
大人の味わいのヴォーカルで聴かせる、古き良きプログレハード風味を感じさせるサウンド。
しっとりとした叙情も含んで、全体的にキャッチーかつ優美な聴き心地で悪くないのだが、
楽曲そのものは歌もの的な色合いが多めで、インスト部分でのシンフォニックな盛り上がりや
メロディのフックなどがいまひとつ物足りないのが惜しい。ゆったりと楽しめる作品ではあります。
ドラマティック度・・7 プログレ度・・7 優美度・・8 総合・・7



THE WINTER TREE 「MR.SUN」
アメリカのシンフォニックロック、ウインター・ツリーの2017年作
Andrew Laitres氏による個人プロジェクトで、2011年にデビュー、本作は5作目となる。
やわらかなシンセにメロウなギター、マイルドなヴォーカルを乗せて、繊細な叙情に包まれたサウンドを描く。
曲によっては、女性ヴォーカルによる、しっとりとした優美な味わいで、ポストプログレ的でもある感触に
シンフォニックロックの優雅さが合わさったという耳心地。楽曲は3~5分前後とわりとシンプルで、
翳りを帯びたほどよくモダンな味わいと、キャッチーなスタイリッシュ性が同居していて、普通に聴きやすい。
反面、ドラマティックな展開や盛り上がりはさほどなく、淡々としたところが物足りないといえなくもない。
ドラマティック度・・7 プログレ度・・7 スタイリッシュ度・・8 総合・・7.5
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WITSEND 「Cosmos And Chaos」
アメリカのシンフォニックロック、ウィットセンドの1993年作
のちのSyzygyの母体となるバンドで、ギター、シンセ、ドラムというトリオ編成。
オルガンを含む美しいシンセにギターを重ね、古き良き感触のリリカルなプログレを聴かせる。
ハケットを思わせるようなメロディックな泣きのギターも耳心地よく、マイルドなヴォーカルを乗せた
優しい叙情性とともに、ゆったりとした味わいで楽しめる。マイナー系バンドにしては演奏も安定していて、
テクニカルなアンサンブルのプログレナンバーから、アコースティックギターや優美なピアノの小曲など
繊細でクラシカルなセンスも覗かせる。のちのSyzygyへとつながるだけある優雅な逸品である。
ドラマティック度・・7 プログレ度・・8 優雅度・・8 総合・・8
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Woodenhead「Perseverance」
アメリカのプログレ・ジャズロックバンド、ウッデンヘッドの2003作
女性シンセ奏者を含む4人組みで、オールインストのレトロがかったプログレをやっている。
ピアノやオルガンを中心とした鍵盤に、70'ロック的なギターの音色で聴かせる
フュージョン風味もある軽やかなインストロックという印象。トロンボーンの音色にも
なんとなく和ませられる。派手さはないが、ほのぼのと楽しめるサウンドだ。
メロディアス度・・7 レトロ度・・8 ジャズロック度・・8 総合・・7.5
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WYZARDS「The Final Catastrophe」
アメリカのプログレバンド、ウィザーズの1997年作
GLASS HAMMERでも活躍する、スティーブ・ボブを中心にしたバンド。RUSHを思わせるトリオ編成で、
軽妙なアンサンブルにきらびやかなシンセと適度にハードにギターを乗せたハードプログレサウンド。
存在感あるベースのプレイに、アレックス・ライフソンに影響を受けたと思えるギターのトーンなど、
RUSHファンならにやりとなるだろうし、15分、18分という大曲などを構築するセンスもなかなかのもの。
ほどよくキャッチーでテクニカル、スタイリッシュでアンサンブリーな演奏が楽しめる逸品です。
メロディック度・・8 プログレ度・・8 ラッシュ風味度・・8 総合・・8
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XYZ

XNA 「WHEN WE CHANGED」
アメリカのプログレバンド、XNAの2013年作
YESのビリー・シャーウッドがプロデュース&ベースで参加するバンドで、美麗なシンセによるイントロから、
ドラマティックなコンセプト風味を感じさせるスケール感に包まれている。メロディックなギターにきらびやかなシンセ、
伸びやかなヴォーカルが加わった厚みのあるサウンドは、YESをハードにシンフォニックロック化したような感触で、
叙情的な泣きのギターフレーズは日本人好みのクサメロ感をかもしだす。ビリー・シャーウッドのベースの存在感もさすがで、
シアトリカルなヴォーカルは、ときにGENESISのP.ガブリエルを思わせる。アコースティックパートも含んだ展開美と、
繊細な叙情を描く王道のシンフォプログレの空気感で、15分を超える大曲もじっくりと構築してゆくだけの力量がある。
古き好きプログレの空気感を残しつつ壮麗なサウンドを描く、泣きのシンフォ好きにとっては掘り出し物的な力作です。
ドラマティック度・・8 プログレ度・・8 叙情度・・9 総合・・8
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YEZDA URFA「boris」
アメリカのプログレバンド、イエッダ・ウルファの1975年作
かつてSyn-PhonicレーベルからCD化されていた「Secred Baboon/聖なる野獣」は先に聴いていたが、
それより前に自主マテリアルとして制作されたこのアルバムは、アメリカン・テクニカルプログレの幻の傑作である。
女性ヴォーカルの歌声が入ったやさしい牧歌的な雰囲気で始まるが、続いていかにもプログレ的なキーボードと、
絡みつくようなリズムがしだいに威力を発揮してゆき、一筋縄でいかない偏屈なプログレサウンドを展開する。
楽曲は10分台のものが3曲もあり、どれも後のECHOLYNにも通じるテクニカルかつメロディアスなもので、
アコースティカルな部分や、やわらかな歌メロが意外としっかりアクセントになっており、複雑であるが硬質感がないのも、
GENTLE GIANT系といってよいだろう。まさに70年代アメリカの最高のプログレ作品のひとつである。
ブックレットには、あてつけなのか、当時の各レコード会社からの不採用の返信文がそのまま載せられている(笑)
メロディアス度・・8 プログレ度・・8 テクニカル度・・8 総合・・8
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Yezda Urfa 「Sacred Baboon」
アメリカのプログレバンド、イエッダ・ウルファの1989年作/邦題「聖なる野獣」
元々は1976年に録音されていたが日の目を見ることはなく、SYN-PHONICレーベルによって1989年にようやく発表され、
1992年にCD化された作品。当時はゴリラのようなジャケであったと思うが、今回の紙ジャケ再発でオリジナルのジャケに戻されている。
サウンドの方は、オルガンを含むシンセと、キャッチーなコーラスワークを含む軽やかなアンサンブルで、
GENTLE GIANTを思わせるとぼけた味わいと、めまぐるしく展開する楽曲がいま聴いても面白い。
こうした玄人好みのセンスはのちのECHOLYNなどにも受け継がれるもので、いうなればこのバンドこそ、
MIRTHRANDIRとともに、アメリカン・テクニカルプログレの元祖というべき存在であろう。
1975年に録音された1作目「BORIS」の方がより、ダイレクトなエキセントリック性が強いのだが
逆に言うと本作の魅力はそこにいくぶんスタイリッシュなセンスが加わっていることかもしれない。
メロディック度・・7 プログレ度・・9 とぼけた味わい度・・9 総合・・8
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YOSO「ELEMENTS」
アメリカ&イギリスのメロディアスハード、ヨソの2010年作
TOTOのボビー・キンボールと元YESのビリー・シャーウッド、トニー・ケイらよるユニットで、
美しいシンセアレンジにキャッチーなメロディとコーラスハーモニーで聴かせる、古き良きプログレハードサウンド。
随所にTOTOを思わせるポップセンスと、Yesに通じる優雅な雰囲気もあって、往年のファンならにやにやするだろう。
楽曲自体に新鮮味は薄いものの、80年代YesやTOTOのような、なつかしい聴き心地で楽しめる好作である。
ボーナスのDisc2には、TOTOの名曲“Rosanna”やYesのメドレーなども含んだライブ音源を収録。
キャッチー度・・8 往年のトト風度・・8 新鮮度・・7 総合・・8
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Yvan Ouellet 「Le Chant Des Choses」
カナダのシンセ奏者、イヴァン・オーレットの1979年作
VEBB(Ville Emard Blues Band)のピアノ奏者としても知られるミュージシャンで、本作はソロデビュー作。
エレピを含む繊細なシンセワークにアコースティックギター、フランス語によるジェントルなヴォーカルを乗せた
しっとりと繊細なサウンドで、美しい女性ヴォーカルの歌声にエレキギターも加わって、やわらかな叙情に包まれた、
優美なシンフォニックロックとしても楽しめる。その女性Voは、CONTRACTIONのクリスティーン・ロビンショウ、
そして、SEGUNのマリ・クレールという二人で、カナディアン・プログレのマニアにはたまらないだろう。
優雅なヴァイオリンにエレピが重なり、艶やかな女性声が歌い上げるナンバーなどはじつに美しく、
ピアノによる小曲なども、ジャズやクラシックを基盤とした鍵盤奏者としてのセンスを覗かせる。たおやかなる好作品。
ドラマティック度・・7 プログレ度・・7 繊細度・・9 総合・・8
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ZEBRA 
アメリカのメロディアスハード、ゼブラの1983年作
セッションミュージシャンとして名をはせた、ヴォーカリスト、ランディ・ジャクソン擁するバンドで、
美しいシンセアレンジにハイトーンヴォーカルを乗せ、キャッチーなメロディック性で聴かせるサウンド。
2nd以降のゴージャスなプログレハード的な路線よりも、今作の時点では正統派のメロディアスハード寄りで、
NEW ENGLANDの1作目などにも通じる、やわらかな叙情性と随所に泣きのギターフレーズも含みつつ、
一方ではライトでファンキーなナンバーもあったりと、大衆ハードポップの雰囲気を漂わせる。
それでいてどの曲も、かっちりとしたクオリティを持っているのは実力あるメンバーたちによるものだろう。
メロディック度・・8 キャッチー度・・8 プログレハー度・・7 総合・・8
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ZEBRA 「No Tellin’ Lies」
ゼブラの1984年作
ノリのよいギターリフを乗せたレッド・ツェッペリンを思わせるオールドスタイルのアンサンブルに
甲高いハイトーンヴォーカルを乗せた、キャッチーなハードロックサウンドは前作のまま、
本作では、美しいシンセアレンジによるプログレハード風味の感触がより強まっていて、
叙情的なバラードなどもシンフォニックな感触でとても耳心地がよい。
ツインギターにシンセを加えたゴージャスな音の厚みはいかにも80年代的であるが、
音の土台は70年代の英国ハードロックなので、決してポップ過ぎない感触が良いのですな。
チェロやホーンなどを取り入れるなど、楽曲ごとのアレンジセンスも光る。80年代アメリカンハードの好作品。
メロディック度・・8 キャッチー度・・8 プログレハー度・・8 総合・・8
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ZEBRA 「3.V」
ゼブラの1986年作
キャッチーなヴォーカルメロディに、シンセアレンジを含んだ厚みのあるサウンドは、
とてもトリオ編成のバンドとは思えない。とくにきらびやかなシンセワークが前に出ていることで
単なるハードロックというよりは、プログレハードとして楽しめるだけの美麗な聴き心地である。
ランディ・ジャクソンの伸びやかなハイトーンヴォーカルや随所に流麗なプレイも含んだギター、
そして絶品のシンセアレンジと、ただの産業ロックに収まらないクオリティの高さである。
このアルバムを最後に、バンドはライブ活動をメインにしてゆくことになるが、
本作の出来は80年代の傑作として、より多くの人に知られるべき内容である。
メロディック度・・8 キャッチー度・・8 プログレハー度・・8 総合・・8
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ZEBRA 「LIVE」
ゼブラのライブ作品。1990年作
1983~86年にかけて3作のアルバムを発表するも商業的な成功は得られず、バンドはライブを中心に活動を続ける。
本作は1989年ロングアイランドでのステージを収録。ヴォーカル、ギター、シンセをこなすランディ・ジャクソンを中心に、
ベース&シンセのフェリックス・ヘイマン、そしてドラムのガイ・ゲルソというトリオ編成で、独特のハイトーンヴォーカルを乗せて
しっかりとしたテクニックでアンサンブルを構築するところは、RUSHにも通じる感触で、キャッチーかつ爽快な聴き心地だ。
1st~3rdのナンバーに、アルバム未発表曲、さらにはレッド・ツェッペリンのカヴァー“The Ocean”まで、
全14曲、勢いのあるライブ演奏が楽しめる、バンドとしての確かな実力を確認できる内容だ。
メロディック度・・9 キャッチー度・・8 ライブ演奏・・9 総合・・8
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Zen Rock and RollThe Birthright Circle」
アメリカのシンフォニックロックバンド、ゼン・ロック・アンド・ロールの2004作
繊細なメロディとアメリカらしい抜けの良さが同居したサウンドで、
へんに難解な部分のない、聴きやすい陽性のシンフォニックロックだ。
美しいシンセワークにキッャチーな歌メロで聴かせつつ、しっとりとした叙情もある。
GENESISのブロードウェイあたりを思わせるドラマ性も感じさせ、
ラストの23分の大曲ではメロトロンの音色とハケット風のメロウなギターで盛り上げる。
メロディアス度・・8 プログレ度・・7 キャッチー度・・8 総合・・7.5
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Zolder and Clark
アメリカのプログレバンド、ゾルダー・アンド・クラークの1977年作
70年代アメリカンプログレの隠れた名作とされるアルバムの初の正式CD化。
HOUSE OF LORDSのJames Christian、ARCANGELCANNATAのJeff Cannataといった
メロディアスハード系の人脈が在籍していたバンドであるが、サウンドの方に70年代らしいローカルな雰囲気と、
展開の多いドラマティックなプログレサウンド。ジャケもそうだが、どことなくB級アングラ小説的な妖しげな世界観に、
メロディアスなキャッチーさとシアトリカルな曲調とがアンバランスでけっこう面白い。
中でもカンナタのシンセワークはさすがで、がちゃがちゃとした楽曲をときにシンフォニックな叙情で彩っている。
メロディックなシンフォとしても楽しめる濃密な作風で、アメリカ70年代の隠れた逸品だろう。
メロディアス度・・9 プログレ度・・8 妖しげ度・・8 総合・・8
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VA/Progday'98
アメリカで行われたプログレフェス、プログデイのステージを収録した2CD。1998年作
Crucible、Soundscape、Discipline、The Flower Kings、Alaska、A Piedi Nudi、Par Lindh Projectが参加。、
Crucibleの20分におよぶ大曲はGENESISの「Supper's Ready」を思わせる優雅な叙情に包まれる。
Disciplineは、ピーター・ハミルのようなシアトリカルなヴォーカルとともに、18分の大曲をじっくりと構築する。
The Flower Kingsは、優美なシンセとメロウなギターとともに、20分におよぶ「Stardust WE Arre」を披露、
Alaskaはきらびやかなシンセを乗せた軽やかなアンサンブルで、スタイリッシュなプログレを聴かせる。
A Piedi Nudiは、ほどよくエキセントリックなセンスとイタリアらしい優美な叙情が同居した個性的なサウンド。
Par Lindh Projectは、オルガンなどのクラシカルなシンセにヴァイオリンが鳴り響き、女性ヴォーカルとともに
バロックなシンフォプログレを展開する。マイナー系バンドの演奏も含めて、貴重なライブ音源が楽しめる。
ライブ演奏・・8 プログレ度・・8 出演バン度・・8 総合・・8

VA/ PROGDAY 2001
プログレ系のライブイベント、その名もプログデイでのステージを収録したCD。
参加バンドは、YETI、SIGMUND SNOPEK Ⅲ、THE MUFFINS、POLYDACTYL、AZIGZA、ARS NOVAという、なかなかマニアックなメンツ。
YETIはクリムゾンタイプのインストプログレで、ヘヴィなうねりとサイケ風の混沌としたサウンドが持ち味。全体的にやや単調さもあるが演奏の質は高い。
SIGMUND SNOPEK Ⅲは、ベテランらしい演奏力とヒネた感性で構築する大人のプログレ。ギター、シンセに、チェロやサックス、フルートも入り独特の浮遊感がある。
THE MUFFINSはサックスを中心としたジャズロックに、プログレ的なシンセを加えたサウンド。
POLYDACTYLはトリオ編成で、レトロなシンセでゆったりと、そして適度にテクニカルに聴かせる。
AZIGZAは中近東的で浮遊感のあるサイケロックに、女性Voが加わった個性的なサウンド。
日本から参加のARS NOVAはこの中では唯一の正統的なキーボードシンフォをやっています。
総じてややマニアックなメンツですが、コアなプログレ好きにはなかなか楽しめる企画ものかと。
プログレ度・・8 ライブ演奏・・8 マニアック度・・9 総合・・7.5

VA/ PROGFEST '94
アメリカで行われたプログレライブイベント、プログフェスト1994の1995年作
参加バンドは、フランスのHALLOWEEN、MINIMUM VITAL、北欧からはANGLAGARD、ANEKDOTEN、
アメリカのKALABAN、ECHOLYN、EPISODE、さらにはオーストラリアSEBASTIAN HARDIEが復活、
当時はインターネットも普及しておらず、現在系で活動する世界のプログレバンドのライブは大変貴重で、
VHSで発売された本ライブの映像を大変興味深く見た覚えがある。とくにアングラガルドのライブが見られるとは、
夢のような話であったのだ。2CDとはいえ、各バンド1~3曲程度の収録で物足りなさもあるのだが、
女性ヴォーカルの歌声にヴァイオリンの音色も美しいHALLOWEENや、初期GENESISを完コピするGIRAFFE、
セバスチャン・ハーディの復活ライブも感動もの。思えば90年代のこうしたバンドの地道な活動が、
現在へとつながるという意味では、大変意義深いイベントであったのだと思う。
シンフォニック度・・8 ライブ演奏・・8 参加バン度・・8 総合・・8
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VA/ PROGFEST '95
アメリカで行われたプログレライブイベント、プログフェスト1995の1996年作
参加アーティストは日本のARSNOVAをはじめ、LANDBERK、DEUS EX MACHINA、WHITE WILLOW、
SPOCK'S BEARD、SOLARISという、なかなか豪華かつマニアックな顔ぶれをCD2枚に収録。
日本のアルスノヴァは女性トリオ時代の編成で、美麗なシンセを主体にした濃密なインストプログレ。
スウェーデンのランドベルクは貴重なライブ音源だろう。メロトロン鳴り響くしっとりとした北欧サウンド。
イタリアのデウス・エクス・マキーナはテクニカルな展開力とイタリア的な混沌とした気配が魅力。
ノルウェーのホワイト・ウイローは美しい女性ヴォーカルで聴かせる幻想的なシンフォニックロック。
アメリカのスポックス・ビアードはNEAL MORSEの在籍時のキャッチーな大曲を披露。
ハンガリーのソラリスは弾きまくりのシンセとフルートが絡む。コテコテのシンフォニックサウンド。
どのバンドの演奏も総じて質が高く、この手のオムニバス作品としては内容の濃いものとなっている。
シンフォニック度・・8 ライブ演奏・・8 濃密度・・8 総合・・7.5
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VA/ PROGFEST'97
アメリカのプログレライブイベント、プログフェスト1997の2枚組CD。
参加バンドは、THE JHON WETTON BAND、LE ORME、ARENA、THE FLOWER KINGS、
SPOCK'S BEARD、BIG ELF、SINKADUS
というなかなかマニアックな計7バンド。
ジョン・ウェットンバンドは、UKKING CRIMSONの名曲「STARLESS」などを演奏。
イタリアのレ・オルメは彼らの70年代の名作「FELONA & SORONA」の組曲等を、
イギリスからは現在活躍中のアリーナがさすがの重厚な演奏を聞かせてくれる。
ビッグ ・エルフはメロトロンを多用したメロディアスな70年代風ハードロック。
スウェーデンのシンカドゥスはかつてのANGRAGALDにも通じる北欧的な静寂をもったバンド。
とりわけ素晴らしいのは、今や北欧シンフォの代名詞たるTHE FLOWER KINGSとSPOCK'S BEARDで、
フラワー・キングスは雄大でメロウな大曲を、懐古主義に陥らずにセンスよくこなしているし、
スポックス・ビアードはこの手のバンドにしては非常にキャッチーかつ軽快な演奏が耳を引く。
全体としては決してマニアックになりすぎない、実力者の揃ったレベルの高い内容ある。
シンフォニック度・・8 参加バン度・・8 演奏・・8 総合・・7.5
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VA/ The SAMURAI of Prog 「Lost And Found」
フィンランドのファンジン「COLOSSUS」の編集者にして、COLOSSUS PROJECTでも活躍するメンバーと
フランスMusea Recordsとの共同企画によるユニットの2016年作
アメリカンプログレ黄金期の再現を目指すというコンセプトで、CD2枚組で濃密なサウンドが繰り広げられる。
1曲目はPAVLOV'S DOGの1stのナンバーを当時のギタリスト、スティーヴ・スコルフィナが参加してアレンジ、
美しいヴァイオリンにフルート、ピアノ、オルガン、ムーグシンセなどが合わさった、きらびやかに仕上がりだ。
アメリカのLIFTの未発曲では当時のシンセ奏者がアレンジ、メロトロンが鳴り響きメロウなギターで聴かせる、
20分を超える優美な大曲に。CATHEDRALの前身バンド、ODYSSEYの未発曲では、カテドラルのシンセ奏者が参加、
ヴォーカルにはYESのジョン・ディヴィソンが参加し、イエスばりのキャッチーな聴き心地が楽しめる。
Disc2には、QUILLの未発曲で、なんと57分に及ぶ全1曲。クイルのシンセ奏者とシンガーも参加して、
きらびやかなシンセとヴァイオリン、マイルドなヴォーカルを乗せてドラマティックな組曲が広がってゆく。
ドラマティック度・・8 プログレ度・・8 往年のアメリカンシンフォ度・・9 総合・・8
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VA/10 RECORDS 「Undercover」
10T RECORDS主催のプログレカヴァーアルバム。
FROM.UZ、LITTLE ATLAS、MAN OF FIRE、FROGG CAFE、EVERYTHING IN HEAVEN、
ELF PROJECT、THE REVEL WHEELといった通好みのアーティストが参加。
KING CRIMSON、Mahavishnu Orchestra、GENESIS、PINK FLOYD、Jethro Tullなど
プログレ系の大御所に加え、Led Zeppelin、JAPAN、Kraftwerk、Duran Duranといった
意外なところからもからも選曲されている。フロム・ウズの‘Starless and Bible Black’は
なかなかクールで格好よく、リトル・アトラスの‘限りなき戦い’はシンフォなアレンジで楽しめたり、
FROGG CAFEのマハヴィシュヌ・オーケストラはフリーキーな怪しさが面白い。
それぞれのバンドのカラーが表れた、少しマニアックなカヴァー作品。
メロディアス度・・7 プログレ度・・8 カヴァーセンス・・8 総合・・7.5

VA/WORKING MAN
MAGNA CARTAレーベルによるラッシュトリビュートアルバム。1996作
参加アーティストは、セバスチャン・バックエリック・マーティンビリー・シーントレント・ガードナー(MAGELLAN)、
マイケル・ロメオ(SYMPHONY X)、ジャイムス・ラブリエジョン・ペトルーシマイク・ポートノイ(以上DREAM THEATER)、
ジェイク・E・リージェームス・マーフィーデヴィン・タウンゼントFATES WARNING、他
ミックスには実際のRUSHを手がけたテリー・ブラウン起用するというこだわりよう。
DTのメンバーがRUSH好きであるのは公の事実だし、他のメンバーも凄腕ぞろいときてはRUSHの曲を完璧にこなせるのもうなずける。
“FREEWILL”、“THE TREES”あたりから“JACOB'S LADDER”、“LA VILLA STRANGIATO”などの長めの曲なども
なかな格好いい。叩きまくりのポートノイのドラムもそうだが、全体的にメタル色が高めになっている。
メロディアス度・・7 テクニカル度・・8 カヴァー度・・8 総合・・7.5
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