幻想のネオフォーク特集



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0年代の英国フォークバンドは、Fairport Conventionのような大衆的な非トラッド系フォーク、
そしてSTEELEYE SPANのような土着的なトラッド系フォークという分け方ができると思うのだが、

個人的には、その中間というような、適度に土臭く、適度にキャッチーなフォークが好みである。
もっといえば、日常ではなく幻想を描くような、神秘性やミステリアスな雰囲気が好みなのである。
なので、英国フォーク三種の神器では、MELLOW CANDLEがもっとも好きであるし、
さらにはアシッド・フォークとも呼ばれるTREESあたりのミステリアスな叙情性に惹かれるのだ。
プログレ、シンフォニック方面ともリンクしつつ、現在でも多くのネオフォーク系バンドが現れている。
ここでは、そうした幻想美やファンタジックな要素を描くネオフォーク系バンドを紹介したい。

                      2016.3  緑川 とうせい


◆70年代英国幻想フォークの原点


TREESOn the Shore」
イギリスのフォークロックバンド、トゥリーズの2nd。1970年作
ヒプノシスによる水撒き少女のジャケで有名な英国幻想フォークの傑作。
サウンドの方は、美しい女性ヴォーカルの歌声で聴かせるフォークロックで、
アコースティックを主体にしつつも、随所にエレキギターやドラムも入ってきて、
Renaissanceあたりを好むプログレファンなどにも聴きやすい作品だろう。
牧歌的でたゆたうような曲調の中に、翳りのあるミステリアスな質感が同居しているのも魅力。
1stジェーン・ドゥロウニーの庭も同様に質の高い作品だが、ジャケのインパクトではやはり本作か。
フォークロック度・・8 英国度・・9 女性Vo度・・8 総合・・8
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TRADER HORNE「Morning Way」
英国のフォークバンド、トレイダー・ホーンの1970年作
Fairport ConventionJudy DybleThemなどで活躍したJackie McAuley
を中心としたバンドで、これが唯一のアルバム。おとぎ話のようなジャケのイメージ通り、
牧歌的なフォークサウンドで、男女ヴォーカルのやわらかな歌声に、アコーステイックギターやフルートなどが
やわらかにメロディをつむいでゆきます。典雅なハープシコードの音色は古楽的でもあり、
古き良き英国の風を届けてくれる。うっとりと夢見心地で楽しめる好アルバムです。
アコースティカル度・・9 牧歌的度・・9 女性Vo度・・8 総合・・8
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MELLOW CANDLE「SWADDLING SONGS」
ブリティッシュフォークバンド、メロウ・キャンドルの1972年作
邦題は「抱擁の歌」。スパイロジャイラ、チューダーロッジと並び賞されるこのバンドであるが、
個人的な好みで言えば、メロディアスなフォークという点ではこのメロキャンが最高である。
ピアノやハープシコードで格調高く彩られた楽曲に、たおやかな女性ヴォーカルを乗せ
素朴な聴き心地でありながらも、優しいメロディアス性で楽しめるという、まさにフォークの理想形。
随所にロック的なリズム感覚もあって、クラシカルな優雅さはときにRENAISSANCEをも思わせる。
ブリティッシュフォークってどんなのだろう?という方には、まずはコレから聴くことを強くお勧めする。
アコースティカル度・・8 プログレ度・・8 女性Vo度・・9 総合・・8.5
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SPRIGUNS「Time Will Pass」
イギリスのフォークロックバンド、スプリガンスの2nd。1977年作
サンディ・デニーに影響を受けたという女性シンガー、マンディ・モートンの伸びやかな歌声に
ロック的なドラムとエレキギター、ストリングスなども加わり、ドラマティックなサウンドを作り出している。
中世の魔女や騎士などを歌った世界観もファンタジックで魅力的だ。フォーク的な土臭さが薄いので
プログレリスナーにもお勧めできる英国フォークロックの逸品。次作「Magic Lady」も同様の傑作である。
アコースティカル度・・7 プログレ度・・8 女性Vo度・・8 総合・・8
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◆イギリスの幻想フォーク

STONE ANGEL「Lonely Waters」
イギリスのフォークバンド、ストーン・エンジェルの2004年作
1975年に1枚のアルバムを残し消えたが、2000年に復活作を発表、本作は復活2作目となる。
美しい女性ヴォーカルの歌声を中心に、アコースティックギターと牧歌的なマンドリンの音色とともに
ゆったりと聴かせるサウンド。クラムホルンやリコーダー、オーボエなどがやわらかに鳴りつつ、
シンセやエレキギターなども使用していて、適度にフォークロック的な味わいもあるのが良い。
かつての英国フォークの幻想性を閉じ込めたしたような素晴らしいアルバムだ。
メロディアス度・・8 70's英フォーク度・・9 幻想度・・9 総合・・8
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Judy Dyble 「Talking with Strangers」
英国のフォークシンガー、ジュディ・ダイブルの2009年作
Fairport Conventionのオリジナルシンガーである彼女が、本作はNO-MANのTim Bownessとコンビを組み、
ロバート・フリップ、パット・マステロト、イアン・マクドナルドのKING CRIMSON組に、
FAIRPORT CONVENTION
のサイモン・ニコル、PENTANGLEのジャッキー・マクシー、
ALL ABOUT EVEのジュリアンヌ・リーガン、TREESのセリア・ハンフィリスらをゲストに迎え、
より70年代英国の世界に回帰したような、幻想的なアシッド・フォークを聴かせる。
ゆるやかに響くフルートの調べに、しっとりとしたシンセ、ときにメロトロンなども使いながら
KING CRIMSONの叙情部を思わせる美しさと、儚く夢見ごちの歌声でやわらかなサウンドを描いてゆく。
ラストにいたっては19分の大曲で、サックスも含んで変拍子アレンジのクリムゾン的なプログレ曲が炸裂。
英国度・・8 プログレ度・・8 女性Vo度・・7 総合・・8
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ThistletownRosemarie」
イギリスのフォークバンド、ティストレタウンの2008年作
2人の女性ヴォーカルを含む5人組みで、古き良き英国フォークの叙情を抽出したような
幻想的なサウンドをやっている。アコーステイックギターにマンドリン、アコーディオン、
フルートの音色に、けだるい女性ヴォーカルの歌声を乗せてしっとりと聴かせる。
到底現代の音とは思えないような、牧歌的な古めかしさが、ある意味では異色でもあり、
時の流れを封じ込めたようなドリーミィなフォークサウンドに浸れる。
アコースティック度・・8 幻想フォーク度・・9 女性Vo度・・8 総合・・8
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Pamela Wyn Shannon 「Courting Autumn」
イギリスのネオフォークアーティスト、パメラ・ウィン・シャノンの2007年作
アコースティックギターのつまびきに、素朴なリコーダーの音色、しっとりとした女性ヴォーカルで聴かせる、
古き良き英国フォークの叙情性を受け継いだサウンド。いくぶん翳りを含んだ幻想性もあって、
非トラッド系の作風ながら、古楽的な中世風味を感じさせるところは、なかなかに好みです。
ヴァイオリンやチェロなどのストリングスも随所に優雅な音の厚みを加えている。
近年の英国ネオフォーク系のバンド/ユニットでは、TapestryやThistletownなどがよかったが、
この作品も幻想的な叙情性と世界観で、ネオフォークの傑作というべき内容だと思う。
アコースティック度・・9 英国度・・8 女性Vo度・・8 総合・・8
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Tapestry 「Once Upon A String」
イギリスのフォークユニット、タペストリーの2010年作
男女二人のユニットで、アコースティックギターのつまびきに
女性ヴォーカルの歌声で聴かせる、しっとりとしたフォークサウンド。
ジャケはウィリアム・ホルマン・ハントの「シャーロットの女」で、
10分を超える大曲“Lady of Shalott”は、ストリングスアレンジなども加わって、
SPRIGUNSなどを思わせる幻想的なフォークプログレとしても楽しめる。
しっとり度・・8 幻想フォーク度・・8 女性Vo度・・8 総合・・8
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The Unthanks「Last」
イギリスのトラッド/フォークユニット、アンサンクスの2011年作
美しいストリングスにしっとりと響く二人の女性ヴォーカルの歌声、
前作同様の正統的なトラッド・フォークを基本にしつつ、より優雅な格調高さが加わっていて、
英国的なトラッドを宮廷風に仕上げたというような感触がなんとも絶妙である。
ストリングスに重なるトランペットもよろしく、チェンバーロック風味のクラシカルさも味わえる。
KING CRIMSONの“Starless”のカヴァーもハマってます。これは素晴らしい傑作。
アコースティカル度・・8 優雅な英国度・・9 女性Vo度・・8 総合・・8.5
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Odin Dragonfly「Offerings」
イギリスのフォークユニット、オーディン・ドラゴンフライの2007年作
Mostly AutumnのHeather FindlrayとAngela Gordonによるユニットで
美しいフルートの音色にピアノのつまびき、そしてしっりとした女性ヴォーカルの歌声で聴かせる
やわらかなネオ・フォークサウンド。アコースティカルなMostly Autumnという感じもあって
RENAISSANCEなどの英国プログレや繊細系シンフォニックロックの耳でも楽しめる好作品。
メロウ度・・8 繊細度・・9 女性Vo度・・8 総合・・8
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Trembling Bells「Constant Pageant」
スコットランドのフォークロック、トレンブリング・ベルズの2011年作
エレキギターにオルガンなども入った、フォークロックスタイルのサウンドで、
美しい女性ヴォーカルの歌声に、ときにケルティックな味わいも感じさせる牧歌的な聴き心地。
ギターにはサイケ的な感触もあって、70年代ロック的なおおらかなノリと浮遊感が楽しい。
ヴォーカルのラヴィニア嬢は歌って、シンセも弾いて、ときどきギターも弾くという美人さん。
中世音楽的なメロディもいい感じで、お酒を飲みながら楽しめる、ユル系のフォークロックです。
サイケフォーク度・・8 叙情度・・7 女性Vo度・・8 総合・・7.5
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MAGICFOLK
イギリスのフォークロック、マジックフォークの2007年作
アコースティックギターにフルート、シンセを含んだ美しいアレンジと
しっとりとした女性ヴォーカルの歌声で聴かせる、幻想的なフォークロック。
ドラムやエレキギターが入ったロック色があるので、IONAあたりもに通じる
ケルティックロックの感触で楽しめる。マイナー臭い野暮ったさも素朴な味になっていて、
全体的に派手さはないものの、ゆったりと神秘的な世界観で聴かせてくれる。
シンフォニック度・・7 叙情度・・8 女性Vo度・・8 総合・・7.5
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Oceanfield「Stolen Time」
イギリスのアシッド・フォークロックバンド、オーシャンフィールドの2008年作
女性ヴォーカルのジェーン・バレットさんを中心に、ロック的なギターとドラムも入った
かつてのSPRIGUNSあたりを思わせる妖しげなフォークロックサウンド。
ハスキーな歌声にはエキセントリックな情感と魔女めいた艶っぽさがあり、
ドカドカとしたドラムに絡むギターなどにはサイケロック的な味わいもある。
一方ではマンドリンやホイッスルなどの牧歌的な質感も含んでいてなかなか面白い。
メロディアス度・・7 フォークロック度・・8 女性Vo度・・7 総合・・7.5
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December's End「Thirst for Rain
イギリスのフォークロックバンド、ディセンバーズ・エンドの2010年作
やわらかなアコースティックギターにヴァイオリンの音色、バウロンのリズムをバックに
女性ヴォーカルがしっとりと歌い上げる。かつてのAll About Eveのような翳りある叙情性と
アコースティカルな素朴さ、どこかもの悲しい雰囲気と切なさをかもしだす歌声が素敵です。
声質といい歌い方といい、このヴォーカルさんは本当にジュリアンヌ・リーガンのようですわ。
アコースティカル度・・8 切ない叙情度・・9 女性Vo度・・8 総合・・8
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Galley Beggar 「Silence & Tears」
イギリスのフォークバンド、ギャリー・ベガーの2015年作
アコースティックギターのつまびきに女性ヴォーカルの歌声で聴かせる、古き良き感触のフォークサウンド。
Cathedralのリー・ドリアンのレーベルからの作品ということで、なるほど中世を思わせる妖しげな雰囲気や
いくぶん土着的な感触もあって、伝統的な英国フォークに幻想性を付加したような聴き心地である。
女性奏者が奏でるヴァイオリンの音色に素朴なマンドリンも耳心地よく、牧歌的なやわらかさに包まれた
英国らしい湿り気のあるサウンドで、ドラムも入った適度なロック風味もあり、フォーク初心者にも楽しめるだろう。
ドラマティック度・・8 英国度・・8 女性Vo度・・8 総合・・8
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◆アメリカの幻想フォーク

Joanna Newsom 「Ys」
アメリカの女性SSW、ジョアンナ・ニューサムの2006年作
ハープの弾き語りシンガーとして脚光を集めるアーティストで本作は幻の都市Ysをテーマにした作品。
やわらかなグランドハープのつまびきとオーケストラによるアレンジを含んだサウンドで、
どこか魔女めいた彼女の歌声が幻想的に響いてゆく。10分前後の大曲を中心に、
英国フォークルーツの素朴な牧歌性を神秘的に解釈したという世界観が魅力的だ。
ジョアンナの歌声は、ときにかつてのケイト・ブッシュのようなエキセントリックな表情も見せる。
単なる女性SSWという以上のアーティスティックな側面を感じさせる傑作です。
アコースティック度・・8 幻想度・・・8 女性Vo度・・8 総合・・8
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White Magic 「Dat Rosa Mel Apibus 」
アメリカのアシッド・フォークバンド、ホワイト・マジックの2006年作
ピアノにギター、ドラムも入ったフォークロック的な演奏に、エキセントリックな女性ヴォーカルの歌声を乗せたスタイル。
どこか呪術的な妖しさと倦怠感を含んだ雰囲気は、近年でいうとJoanna Newsomなどの世界観にも通じるものがある。
楽曲自体はむしろシンプルでポップであるが、現代的フォーマットのバンドサウンドの中に、古めかしい土着性や、
毒々しい大衆性が感じられて、いわば古ぼけた100年前の空気を蘇らせるかのような聴き心地である。
リーダーであるミラ・ビロットの歌声が綺麗すぎないことも、このバンドの音にはよくマッチしている。
個人的には、さらにエキセントリックに、もっと妖しい作風へと深化していってもらいたい。
ドラマティック度・・7 フォーク度・・7 女性Vo度・・7 総合・・7.5
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Fern Knight「Castings」
アメリカのアシッドフォークバンド、フェーン・ナイトの2010年作
アコースティックギターにゆるやかなハープの音色、そこに夢見がちな女性ヴォーカル
浮遊感のあるスキャットが乗る幻想的なフォークロック。歪ませたギターはむしろサイケロック的の質感で、
前作に比べるとよりプログレ的になっている。イギリスのTreesあたりを思わせる素朴な雰囲気もあり
KING CRIMSONの“Epitaph”のカヴァーも含めて、プログレ系のフォークロックとして楽しめる出来だ。
アシッドフォーク度・・8 サイケ度・・8 女性Vo度・・7 総合・・8
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The Steals「Static Kingdom
アメリカのネオフォークバンド、ステールズの2009年作
たゆたうような女性ヴォーカルの歌声で夢見ごちに聴かせる、しっとりとしたサウンド。
アコースティカルな牧歌性にオルガンなどのシンセやドラムが入ったロック色も含みつつ、
All About Eveのような倦怠の翳りと、アシッド・フォークやサイケ的でもある浮遊感とともに、
まどろむような耳心地を味わえる好作品。8分以上の大曲もあり、プログレファンにも楽しめます。
メロウ度・・8 夢見度・・8 女性Vo度・・8 総合・・8
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Fursaxa 「Lepidoptera」
アメリカのフォークユニット、フルサクサの2005年作
オルガンが鳴り響き、美しいソプラノ女性ヴォーカルがしっとりとした歌声を響かせる、
幻想的で夢見心地のサウンド。妖しいフルートの音色に、魔女めいた呪文のようなつぶやき、
民族的なパーカッシヨンにアコースティックギター、詠唱じみたヴォーカルで聴かせる曲など、
アシッドフォークというよりもさらに神秘的でアヴァンギャルドな空気が広がってゆく。
アシッドフォーク版ドローンというか、ある種トリップ感のある作風。嫌いではないんです。
アコースティック度・・8 神秘的度・・8 女性Vo度・・7 総合・・7.5
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Hamacas Al Rio
アルゼンチンのフォークロック、ハマカス・アル・リオの2004年作
うっすらとした幻想的なシンセワークとアコースティカルな繊細な叙情、
そして女性ヴォーカルのスペイン語の歌声が優しく合わさったサウンドは、
ゆったりとした優美な耳心地。たおやかなフルートの音色やメロトロン的なシンセが混じると、
プログレリスナーにも楽しめるような雰囲気になる。この女性声の魅力もあいまって、
英国フォークのドリィミーさを南米的に叙情豊かに仕上げたというような好作品になっている。
叙情度・・9 繊細度・・8 女性Vo度・・8 総合・・8
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◆イタリア、ドイツ、スイス、ブルガリアの幻想フォーク

Middle Aging 「The Call」
イタリアのフォークロック、ミドル・エイジングの2003年作
いかにも素人臭いジャケが微笑ましいが、サウンドの方はアコースティックギターにチェンバロが響き
やわらかなフルートの音色で聴かせる、中世バロック的な雰囲気の優雅で繊細なサウンド。
美しい女性ヴォーカルの歌声に男性ヴォーカルが絡み、ときにオルガンが加わったり
エレキギターやドラムも入るなどして、フォーク・プログレ的な感触でも楽しめる。
ケルトの定番曲である、“Greensleeves”や“Scarborough Fair”なども取り上げている。
Blackmore's Nightあたりをもっとマイナー臭くしたという感じか。この手が好きな方はいかが。
メロディック度・・8 プログレ度・・7 優雅度・・8 総合・・7.5
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Reverie 「Revado」
イタリアのプログレフォーク、レヴェリーの2011年作
今作は「ESPERANTO」、「ITALIANO」とテーマ別に分けられたCD2枚組で、
Disc1では、アコースティック楽器を主体にした、バルカン、中近東風味の異国的な作風。
おそらくエスペラント語とイタリア語による女性ヴォーカルの歌声と、クラシックギターにマンドリン
やわらかなフルートやクラリネットなどの音色も含んだ、民族色豊かなサウンドを描いてゆく。
ヴォーカル嬢の表現力もぐっと増していて、ときにアニー・ハズラムを思わせる歌声がいいですね。
Disc2の方は、よりイタリア的な叙情性を感じさせ、美しい女性声とともにうっとりとなる。
民族度・・8 プログレ度・・7 女性Vo度・・8 総合・・8
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NightWatch
ドイツのフォークロックバンド、ナイト・ウォッチの1998年作
男女ヴォーカルの歌声でゆったりと聴かせる、むしろ70年代英国風のフォークサウンド。
幻想的な薄暗さと、SPRIGUNSあたりに通じるプログレッシブな感覚で、とても耳心地のよい音だ。
アコースティックギターに絡むやわらかなフルートや、リコーター、オーボエなどの音色もじつに美しい。
とくに女性声メインの曲は繊細な叙情美にうっとりとなる。ドイツ語で歌われる曲はなかなか新鮮な耳心地。
古き良き幻想フォークの香りを感じさせる作風で、これは掘り出し物的な好作ですわ。
アコースティック度・・8 しっとり度・・9 幻想度・・8 総合・・8
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Faun 「Von Den Elben」
ドイツのゴシック古楽トラッド・フォークバンド、ファウンの2013年作
2001年にデビューし、本作ですでに7作目くらい。女性ヴォーカルのドイツ語の歌声に、
艶やかなフィドルが響き、牧歌的なブズーキの音色を含んだ、中世トラッド風味のサウンド。
トラッド的な土着性とシンセやドラムなども入ったモダンなロック色も巧みなアレンジで融合されていて
Blackmore's Night あたりにも通じるキャッチーな聴き心地が前に出たことで、以前の幻想的な薄暗さよりは
ぐっと一般受けしやすい作風になった。曲によってはフォークロック的にも楽しめる好作品だと思う。
ドラマティック度・・8 中世風味度・・8 女性Vo度・・8 総合・・8
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Nucleus Torn「Andromeda Awaiting」
スイスのネオフォークバンド、ニュークリアス・トーンの2010年作
男女Voにヴァイオリン、チェスロ、フルートを含む7人組で、中心人物のFredy Schnyderは、
ギターにベース、ピアノ、マンドリン、ブズーキ、ハンマーダルシマーまで弾くというマルチプレイヤー。
美しいピアノの調べにフルートが重なり、はかなげな女性ヴォーカルの歌が乗る。
ダークな暗黒性は薄く、艶やかなヴァイオリンの音色など、クラシカルで優雅なサウンドだ。
中世的な世界観も魅力的で、静寂感ただよわせる幻想的な雰囲気にうっとりです。
クラシカル度・・8 幻想度・・9 女性Vo度・・8 総合・・8
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Lot Lorien 「Elsewhere」
ブルガリアのフォークロック、ロット・ローリエンの2012年作
やわらかなアコーディオンの音色に美しいシンセ、アコースティックギターにマンドリンのつまびき、
そして伸びやかな女性ヴォーカルの歌声を乗せた、ジャケのイメージ通りに幻想的なフォークロックサウンド。
辺境臭さやマイナー臭さはほとんどなく、適度にキャッチーな優雅さと、素朴なフォーク/トラッドメロディが
じつにセンスよく融合していて、アコースティック部分の説得力もしっかりと備えている。
自主制作のCD-R流通なのが惜しい。世界規模で配信したいような幻想フォークの傑作です。
メロディック度・・8 幻想度・・9 女性Vo度・・8 総合・・8


◆北欧の幻想フォーク

SHINE DION「KILLANDRA」
ノルウェーのトラッドフォーク、シャイン・ディオンの1st。1998年作
ヴァイオリンやフルート、マンドリンなどの牧歌的な音色に美しい女性ヴォーカルの歌声で聴かせる、
やわらかな北欧トラッド・フォークサウンド。メロディが適度に田舎くさく、キャッチーなクサさというか、
曲によってはシンセメロトロンまで使用していて、プログレ/シンフォ系のリスナーにも楽しめる音だろう。
女性ヴォーカルの歌声も絶品とはいかぬが、なかなか綺麗な歌唱でむしろ田舎っぽくてなごみます。
メロディアス度・・9 トラッ度・・8 女性Vo度・・8 総合・・8
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Lisa O Piu「When This Was the Future」 
スウェーデンのアシッドフォークユニット、リサ・オ・ピウの2009年作
女性ヴォーカル、リサの表現力ある歌声と、アコースティックギターやフルートなどで聴かせる
しっとりとしたフォークサウンドで、どこか神秘的な薄暗さと古楽的な雰囲気も感じさせる。
曲によってはヴァイオリンやフィドル、ハープ、それに1曲メロトロンなども使用していて
ほのかにプログレッシブな味わいもあるのがいい。うっとりする聴き心地の絶品の傑作。
アコースティック度・・8 しっとり叙情度・・9 女性Vo度・・8 総合・・8.5
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Greenrose Faire 「My Home Is Where My Heart Is」
フィンランドのフォークロック、グリーンローズ・フェアーの2013年作
女性ヴォーカルに女性ヴァイオリン奏者、マンドリン奏者なども含む編成で、
前作はBlackmore's Nightのような中世の雰囲気を感じさせる好作であったが、
本作もやわらかな女性ヴォーカルの歌声に、美しいシンセアレンジも含んだシンフォニック色と
艶やかなヴァイオリンが鳴り響く、中世トラッドの質感が合わさったサウンドが楽しめる。
楽曲は3〜4分台が中心で比較的シンプルな味わいながら、メロディの良さと幻想的な世界観で
これまでの作品以上にサウンドの強度を感じさせる。中世トラッド・フォークロックの好作品です。
ドラマティック度・・8 中世トラッ度・・8 女性Vo度・・8 総合・・8
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Tirill「Dance With the Shadows」
ノルウェーの女性アーティスト、ティリルの2003年作
WHITE WILLOWにヴァイオリンで参加したこともある彼女だか、本作ではヴォーカルにヴァイオリン、
シンセ、パーカッションもこなしている。サウンドはしっとりとした女性ヴォーカルに、
うっすらとしたシンセにつまびかれるギターなどによる、薄暗くアンビエントなもの。
北欧らしい翳りと土着性は、WHITE WILLOWやANGLAGARDあたりの雰囲気にも通じる。
フルートやチェロなどの音色とともに、静謐感を漂わせたたゆたうような叙情にうっとりです。
アコースティカル度・・8 北欧度・・8 女性Vo度・・8 総合・・8
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Jenny Hval「Viscera」
ノルウェーの女性SSW、ジェニー・ヒヴァルの2011年作
静謐感に包まれたミステリアスな空気のなかを、しっとりとした女性ヴォーカルの歌声が響く、
じつに北欧らしい寒々としたサウンド。ときにフォークやトラッド風味も取り入れつつ
繊細なはかなさを感じさせながら、アーティスティックな感性で描かれる独特の世界観は
プログレリスナーにも充分アピールするだろう。神秘的な浮遊感にアンニュイな寂寥感、
エキセントリックなセンスが巧みに合わさった、静かなる北欧アンビエントの傑作。
アーティスティック度・・9 北欧度・・8 女性Vo度・・8 総合・・8
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Gudrid Hansdottir 「Beyond the Grey」
フェロー諸島の女性ヴォーカル、グドリッド・ハンスドティアの2011年作
しっとりとした女性ヴォーカルの歌声に、マンドリンやリコーダーなどの素朴な音色と、
幻想的な美しさで聴かせるサウンド。うっすらとシンセを含んだアレンジもあって
アコースティカルではあるが土着性は薄めなので、キャッチーなフォークとしても楽しめる。
英語歌詞がメインだが、ときに母国語による歌声がトラッドな雰囲気をかもしだしている。
アコースティカル度・・7 北欧トラッ度・・7 女性Vo度・・8 総合・・8
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◆東欧、ギリシャの幻想フォーク

Caprice 「Girdenwodan Part 2」
ロシアのゴシックフォーク、キャプライスの2014年作
前作の続編となるアルバムで、ケルティックハープのつまびきにフルートやオーボエ、クラリネットのやわらかな音色と
美しい女性ヴォーカルの歌声が重なり、森の精霊めいた幻想的な世界観が広がってゆく。
ケイト・ブッシュを思わせるようなキュートな可愛らしさと、ヴァイオリンやチェロ、ハープシコードなども加わった
クラシカルな優雅さが融合し、アコースティック楽器がメインなのだが音の厚みのあるアレンジセンスが素晴らしい。
曲によってはドラムも入ったりして、プログレファンやシンフォニックロック好きの方にも楽しめるだろう。
女性ヴォーカル系ファンにはたまらないクラシカル系幻想ネオフォークの傑作です。
アコースティック度・・8 幻想度・・9 女性Vo度・・8 総合・・8.5
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Мельница(MELNITSA)「Перевал (MOUNTAIN PASS)」
ロシアのフォークロックバンド、メルニッサの2005年作
アコースティックギターに繊細なフルートの音色、艶やかなヴィオラの響きに
母国語による女性ヴォーカルの歌声で聴かせる、異国的なフォークロック。
曲によってはドラムが入っているので、フォーキーなプログレとしても楽しめる。
クラシカルな優雅さと、しっとりとしたやわらかな聴き心地にうっとりです。
アコースティカル度・・8 フォーキー度・・8 女性Vo度・・8 総合・・8
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Sunset Wings 「Covering for Solace」
ロシアのネオフォーク系ユニット、サンセット・ウイングスの2009年作
アコースティックギターのつまびきに、やわらかなリコーダーやフルートの音色がかぶさり、
女性ヴォーカルの優しい歌声が響いてゆく、繊細で幻想的なサウンド。
ヴァイオリン、チェロなどのクラシカルな味付けや、男性ヴォーカルによる曲では
メランコリックなゴシック風味もあって、美しくももの悲しい世界観が広がってゆく。
アコースティカル度・・8 プログレ度・・6 繊細度・・8 総合・・8

The Moon and the Nightspirit 「Holdrejtek」
ハンガリーのゴシック・フォーク、ザ・ムーン・アンド・ナイトスピリットの2014年作
女性Vo&ヴァイオリン、ギター&ベースの2人組ユニットで
、うっすらとしたシンセに包まれた夜の雰囲気に
幻想的なハープの音色が響き渡るイントロからして、その耽美な世界観に引き込まれる。パーカッションのリズムに、
艶やかなヴァイオリン、神秘的なダルシマーの音色を響かせて、美しい女性ヴォーカルの歌声が妖艶に重なってゆく。
ユニットとしてのキャリアも10年を数え、より強固な世界観をサウンドで描くような、堂々たる空気が備わってきた。
ダークな幻想美にうっとりとなる聴き心地…これぞゴシック系ネオフォークの最高峰というべき傑作だ。
ドラマティック度・・8 幻想度・・10 女性Vo度・・8 総合・・8.5
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Daemonia Nymphe 「Psychostasia」
ギリシャのゴシックフォーク、ダエモニア・ニンフェの2013年作
本作がすでに6作目で、アコースティックギターのつまびきに異国的なパーカッション、
クラシカルなヴィオラのや竪琴、サントゥーリ(ダルシマーの一種)の素朴な音色を含んだバックに、
女性ヴォーカルのスキャット的な歌声と男性ヴォーカルが絡んでゆく、じつに神秘的なサウンド。
古代の儀式を思わせるような幻想的な世界観を、アコースティック楽器を使って描いてゆくという、
なかなか個性的な聴き心地である。ギリシャらしい神秘的なゴシック・フォークの好作品です。
アコースティカル度・・8 ゴシック度・・8 神秘的度・・9 総合・・8
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