耽美なるゴシック&ネオフォーク特集
〜ゴシック、ダークアンビエント、ネオフォークの世界
ゴシックミュージックというと、耽美でダーク、クラシカル、そして艶やかな女性ヴォーカルというイメージであるが、
それをトラッドやケルト、フォークミュージックと融合させ、中世を思わせるような幻想的な世界観を描くというのは、
まさに、夢見系サウンドの理想形とも言えるのではないだろうか。ゴシックメタルにおける美と重さの同居とは、
遠からずもやや趣を異にし、メタル色が無い分、より優雅な漆黒の夢に耽溺できる…
そうした、幻想音楽を嗜好する向きにはたまらないアーティストをここに集めてみた。
耽美なるゴシックアンビエント&ネオフォークの世界へようこそ。
2019.6 緑川 とうせい
◆90年代のゴシック・フォーク
Nature and Organisation 「Snow Leopard Messiah」
イギリスのゴシック/ダークアンビエント、ネイチャー・アンド・オーガニゼーションの1994/1998/2015年作
Michael Cashmoreによるプロジェクト作品で、1994年作「Beauty Reaps the Blood of Solitude」
1998年作「Death in a Snow Leopard Winter」の2作を収録したCD2枚組の再発盤。
Disc2「Beauty Reaps〜」は、物悲しいチェロの音色に、アコースティックギターのつまびき、
美しい女性ヴォーカルを乗せ、やわらかなフルートが鳴り響く優雅な叙情性に包まれつつ、
男性ヴォーカルの語りも入ったシアトリカルな雰囲気と、クラシカルなヴァイオリンの旋律にもうっとりだ。
Disc2「Death in s Snow〜」は優美なピアノにストリングスが絡む、クラシカルな小曲を連ねた構成で、
こちらはゴシック的なやや引っ掛かりは薄いのだが、しっとりとした聴き心地に浸ることができる。
クラシカル度・・8 ゴシック度・・8 耽美度・・9 総合・・8
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VISHNU'S SECRET 「3 Candles」
アメリカのゴシック・アンビエント、ヴィシュヌズ・シークレットの1994年作
女性Voと男性ギター&チェロの二人組で、アコースティックギターにチェロの音色と、
妖しく艶めいた女性ヴォーカルを乗せた、耽美で秘教的な空気感を描きだす。
シンセを使っていないので、美しくも妖しい歌声がダイレクトに伝わって来て、
シンプルな音数ながらも、どこか神秘的でプリミティブな魔女性を感じさせる。
ゴシックというよりはむしろ魔女系フォークというような異色作だ。
ゴシック度・・7 耽美度・・8 女性Vo度・・8 総合・・7.5
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ORDO EQUITUM SOLIS「HECATE」
イタリアのゴシックユニット、オルド・エクイタム・ソリスの4th。1995年作
たゆたうようなシンセをバックに、艶のある女性ヴォーカルがしっとりと歌い上げる。
静寂クラシカル系ゴシックサウンドとでもいうべきか、魅力的な女性Voの歌唱は、妖しく、そして崇高、
この格調高さと静謐さはアヴァンギャルドさを抜いたOPUS AVANTRAとも言えるかもしれない。
リズムを刻む楽器がないので、ロックっぽさはまるでなく、フランスのWAPASSOUにも通じるものがある。
浮遊する女性スキャットに絡まるヴァイオリン、アコースティックギターが美しい。じわりとくるダークな傑作。
クラシカル度・・8 女性Vo度・・8 静謐度・・9 総合・・8
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Camerata Mediolanense 「Musica Reservata」
イタリアのゴシックユニット、カメラタ・メディオラネンスの1994年作
女性鍵盤奏者を中心にしたユニットで、クラシカルなシンセワークにパーカッションが鳴り響き、
その上に詠唱を思わせる男女コーラスの歌声が乗るという、耽美で秘教的なサウンド。
ドラムやギターなどは入らないので、メタル色はほぼ皆無。典雅なハープシコードの音色に
女性ヴォーカルの歌声が厳かに絡む、神秘的な美しさに浸れるような方にはオススメだ。
再発盤のボーナスDiscにはライブ音源や未発曲など5曲を収録。
幻想度・・8 ゴシック度・・8 メタル度・・1 総合・・7.5
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Collection D'Arnell Andrea 「Les Marronniers」
フランスのクラシカル・ゴシックユニット、コレクション・ド・アルネル・アンドレアの1992年作
優雅なヴァイオリン、チェロの響きにシンセが重なり、フランス語の女性ヴォーカルが美しい歌声を乗せる、
クラシカルなゴシックサウンド。ギターなどは入らないが、チェロやベースがサウンドに厚みを生み出していて、
ゴシック・アンビエント系の中では、わりと重厚な聴き心地である。はかなげな女性ヴォーカルの歌声も美しく、
ピアノとチェロをバックに、物悲しく歌い上げるナンバーなどにはうっとりとなる。打ち込みのリズムは正直好みではないが、
幻想的な薄暗さと、クラシカルな優雅さに包まれた、シンフォニックなゴシックサウンドが楽しめる逸品だ。
クラシカル度・・8 ゴシック度・・8 女性Vo度・・8 総合・・7.5
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ELEND 「Weeping Nights」
フランスのゴシックユニット、エレンドの1997年作
ミルトンの「失楽園」をモチーフにしたルシファー三部作の合間に出された3作目の作品で、
美しいソプラノ女性ヴォーカルの歌声に、オーケストラルなシンセアレンジに包まれて、
チャーチオルガンが荘厳に鳴り響く、しっとりと優雅に聴かせる作品。
次作「The Umbersun」の壮大な暗黒路線ではなく、女性ヴォーカルを中心に、
あくまでやわらかに、宗教色漂うヨーロピアンなゴシックサウンドがじつに耳に優しい。
シンフォニック度・・8 ゴシック度・・9 女性Vo度・・8 総合・・8
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Arcana「Cantar De Procella」
スウェーデンのゴシックバンド、アルカナの2nd。1997年作
男女2人のユニットで、シンセを中心にした荘厳でダークなゴシックミュージック。
静謐感あふれるサウンドは中世を思わせる世界観とヨーロピアンな美意識があり、
詠唱を思わせる宗教的な歌声に女性コーラスが加わって、沈み込むような美しさに浸れる。
ゴシック度・・9 メタル度・・1 荘厳と静寂度・・9 総合・・8
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LES SECRETS DE MORPHEE「Chuchotements」
フランスのゴシック・アンビエント、レス・シークレッツ・デ・モルフィーの1999年作
オーケストラルなシンセアレンジに艶やかなヴァイオリンが鳴り響き、美しい女性ヴォーカルの歌声が
まさにヘヴンリーに響き渡る、天上の癒し系サウンド。クラシカルな優雅さに包まれながら、
曲によっては妖しい耽美性も垣間見せる。二人の女性声のトーンがいくぶん合ってないところもあるのだが、
艶めいた歌声は嫌いではないし、垢抜けないマイナー臭さも含めて、この手の雰囲気モノの魅力と言えなくもない。
クラシカル度・・8 耽美度・・7 幻想度・・8 総合・・7.5
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◆アメリカ、イギリスのゴシック・フォーク
AUTUMN TEARS「WINTER and the BROKEN ANGEL」
アメリカの女性Voゴシックバンド、オータム・ティアーズの3rd。2000年作
2人のソプラノ女性Voとキーボード&作曲者兼男コーラスの3人組。本気の中世風ゴシック世界を目指すこのバンドは、
ジャケにしろインナーの文字や印刷にしろ世界観へのこだわりが徹底している。シンセを重ねたシンフォニックなバックに、
母性的なソプラノ女性ヴォーカルの歌唱を乗せたサウンドは、静謐な美しさをたたえ、耽美な暗闇を間接的に表現している。
歌詞をちらりと見ただけでも、そこにある陰鬱で、寓話的な悲哀の色を見い出すことができる。
メタル色は皆無で、バックはほとんどピアノとシンセのみなので、要はこの「本気度」に浸れるかどうか。
静謐度・・9 耽美度・・10 女性Vo度・・9 総合・・8
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Amber Asylum 「Bitter River」
アメリカのダークアンビエント、アンバー・アサイラムの2009年作
美しいソプラノ女性ヴォーカルの歌声に、アコースティックギター、うっすらとしたシンセに
クラシカルなチェロとヴァイオリンの音色が重なって、もの悲しくも叙情的なサウンドを描いてゆく。
包み込むようなシンセにドローン気味のチェロが重なる、これぞダークアンビエントという雰囲気で、
ロック色は皆無。キャットのような、語りのような女性声を増せた、神秘的な空気感が広がってゆく。
作品に比べると、音が描く世界観の強度が高まったことで、作品としての説得力も強めている。
ドラマティック度・・7 アンビエント度・・8 女性Vo度・・7 総合・・8
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Seventh Harmonic 「Garden of Dilmun」
イギリスのゴシックユニット、セブンス・ハーモニックの2011年作
うっすらとしたシンセアレンジに美しい女性ヴォーカルの歌声を乗せた、シンフォニックなゴシック/ダークアンビエント。
シンセによるオーケストレーションがクラシカルな壮麗さを描きつつ、曲によってはアコースティックギターによる、
英国らしいウェットなフォーク要素も加わって、やわらかな女性声とともにメランコリックな空気感が包み込む。
個人的には、もう少しディープな妖しさが欲しい気もするが、あくまで耽美に、ダークすぎない世界観は、
非メタル系ゴシックの初心者にも楽しめるだろう。シンフォニックなゴシックサウンドにウットリと浸れます。
シンフォニック度・・8 ゴシック度・・8 女性Vo度・・8 総合・・7.5
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Ion 「Madre Protegenos」
アイルランドのネオフォーク、イオンの2006年作
アコースティックギターのつまびきに、やわらかなフルート、ピアノの音色、
しっとりとした女性ヴォーカルの歌声で、幻想的なネオフォークを描く。
マンドリン、ハープ、パーカッションなどのアコースティックな土着性と
うっすらとしたシンセに包まれて、妖しく薄暗い神秘性を感じさせるサウンドだ。
ダークではあるが、ほどよくメロディの旋律があるので、初心者にも聴きやすい。
幻想度・・8 ゴシックフォーク度・・7 耽美度・・8 総合・・7.5
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◆イタリア・フランス、スペインのゴシック・フォーク
Ataraxia 「Liyr」
イタリアのゴシックバンド、アタラクシアの2010年作
90年代から活動するベテランで、本作が何作目なのかすでに分からないほど。
アコースティックギターのつまびきに美しいシンセ、そして妖しげな女性ヴォーカルの歌声を乗せた、
幻想的なゴシックミュージック。ケルトの名曲「スカボローフェア」も取り上げていて、
トラッド/ネオフォーク的な土着性も随所に覗かせる。バンドとしてのキャリアを重ねたことで、
過去の作品よりもサウンドに強固な説得力が備わってきていて、神秘的な幻想美が強まった。
シンフォニックなシンセアレンジに、魔女めいたヴォーカル嬢の歌声が素敵です。
ドラマティック度・・7 ゴシック度・・8 幻想度・・9 総合・・8
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DARK SANCTUARY「LES MEMOIRES BLESSEES」
フランスのゴシックバンド、ダーク・サンクチュアリの4th。2003年作
ヴァイオリン2名を含む男女3人ずつの6人編成で、メタル色のないダークなゴシックサウンド。
シンフォニックなシンセの上を美声の女性ヴォーカルが歌をのせるというもので、
静謐でクラシカルな部分はELENDあたりを思わせるが絶望的な暗さはなく、
美しさ重視のアンビエントゴシックで、雰囲気的にはAUTUMN TEARSなどにも近い。
ときおりパーカッションのリズムが入ったり、艶やかなヴァイオリンも顔を覗かせる。
女性Voのシンフォニックなゴシックとしてお薦めのバンド。とても美しいです。
シンフォニック度・・8 メタル度・・1 女性Vo度・・9 総合・・8
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Rajna 「Hidden Temple」
フランスのゴシック・アンビエントユニット、ライナの2004年作
本作はおそらく5作目で、ジャケのイメージからは古代エジプトをモチーフにしているのだろう。
シタールの響きにタブラのリズム、ウィスパーな女性声による、神秘的なエスノゴシックである。
うっすらとしたシンセをバックに、ダルシマーやブズーキ、マンドリンなどの豊富な古楽器の組み合わせで、
アコースティック部分での音の厚みがサウンドの説得力となっている。ダークな感触は薄めで、
むしろ幻想的な静謐感と美しい女性ヴォーカルにうっとりとなる。エジプトの香りを運ぶような傑作だ。
ドラマティック度・・7 エスニック度・・8 女性Vo度・・8 総合・・8
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ORDO FUNEBRIS 「Songs from The Enchanted Garden」
フランスのゴシックフォーク、オルド・フューネブリスの2004年作
シンセによる優美なシンフォニック性に、神秘的な女性ヴォーカルを乗せた、
幻想的なサウンドは、オーストリアのDAGAARDあたりにも近づいたかもしれない。
やわらかなフルートの音色に、艶やかなヴァイオリンがクラシカルな優雅さを付加し
中世を感じさせるしっとりとした空気感に包まれる。曲によっては男性ヴォーカルにパーカッションも加わって、
サウンドに厚みをもたらしている。幻想ゴシックとしての世界観の説得力を強めた逸品です。
ドラマティック・・7 耽美度・・9 幻想度・・9 総合・・8
Artesia 「Wanderings」
フランスのゴシック/ダークアンビエント、アルテシアの2012年作
女性二人のユニットで、うっすらとしたシンセに美しい、女性ヴォーカルの歌声
ヴァイオリンやピアノによるクラシカルな優雅さも加わった、幻想的なゴシックサウンド。
暗黒度は低めで、優美な幻想性に包まれた感触は、やはりDark Sanctuaryあたりに通じるだろう。
ドラマティックな盛り上がりというのは希薄ながら、うっとりと聴き入れるダークアンビエントの好作品。
ドラマティック度・・7 ゴシック度・・8 優雅度・・9 総合・・7.5
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TROBAR DE MORTE 「Fairydust」
スペインのゴシックフォーク、トロバー・デ・モルテの2004年作
本作はデビュー作で、美麗なシンセアレンジに女性ヴォーカルを乗せた、
幻想的なゴシック・フォークサウンドは、この時点ですでに確立されている。
やわらかなハープの音色にアコーステッィクギター、フルートなどを含んだケルト&フォーク要素と
オーケストラルなシンフォニック性が合わさって、この手としては世界観の強度がしっかりとあって、
とてもクオリティの高い聴き心地である。再発盤は2011年のライブ音源を収録のCDを加えた2枚組。
ドラマティック・・7 耽美度・・9 幻想度・・9 総合・・8
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◆ドイツのゴシック・フォーク
sToa 「Zal」
ドイツのクラシカル・アンビエント、ストアの2002年作
物悲しいピアノの旋律に、女性ヴォーカルの歌声を乗せた、しっとりとした美しさ。
シンセやストリングスによるアレンジも加わった、ほどよくシンフォニックな感触と、
耽美で薄暗い世界観が合わさった美麗な聴き心地に、うっとりと浸れるサウンドだ。
ヴォーカルの入らないナンバーは、チェンバーロック的なミステリアスな雰囲気もあり、
ピアノやフルート、ヴァイオリン、チェロなどのクラシカル性を、メランコリックな空気に包み込んだ
優雅なアレンジセンスも素晴らしい。空間的な奥行きも感じさせるクラシカルなダークアンビエント作品。
クラシカル度・・8 ゴシック度・・7 女性Vo度・・8 総合・・8
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HEKATE 「goddess」
ドイツのゴシック/ネオフォークバンド、ヘカテの2004年作
ミレーの「オフェーリア」のジャケがよい感じだが、サウンドの方も女性ヴォーカルの歌声と
シンフォニックなアレンジで聴かせる、耽美な世界観のゴシック/ダークウェーブ系でしっとりと美しい。
フォーキーなホイッスルの音色も覗かせつつ、曲によってはドラムとベースが加わったり、
エレクトロなシンセアレンジなども含んでいて、適度にメリハリのある静かすぎない聴き心地。
ドイツ語の曲では、ゲルマンな土着性も感じられて、ペイガン・フォーク的にも楽しめる。
ドラマティック度・・7 耽美度・・8 女性Vo度・・7 総合・・8
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OPHELIA'S DREAM 「NOT A SECOND TIME」
ドイツのゴシックユニット、オフェーリアズ・ドリームの2004年作
Vo担当のスーザンさんと、楽曲担当のディトマー氏の二人組でたぶんこれが2作目。
ゆったりとしたシンセをメインに、フルートやチェロがもの悲しく鳴り響き、
そこに鐘の音やアコーディオンのメロディが重なると、もううっとり…。
ソプラノ女性のスキャットも美しく、たゆたうようなダークな癒しサウンドです。
荘厳さと薄暗さのバランスが適度なので、アンビエントシンフォとしても聴ける。耽美でクラシカルな好作品。
シンフォニック度・・8 ゴシック度・・8 ゆったり静謐度・・9 総合・・8
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PERSEPHONE「Mera Sangeet Kho Gaya」
ドイツのゴシックユニット、ペルセフォネの2004年作
L'AME IMMORTELLEの女性ヴォーカルでもある、Sonja Kraushoferのソロ・プロジェクトで、
このジャケからしてすでに萌えなんですが、内容も美しき歌声を聴かせる静謐感のある非メタル系ゴシックサウンド。
うっすらとしたシンセをメインに、ヴァイオリンやチェロなどが厳かな音色を奏で、耽美な世界観を作り上げています。
ギターが加わるとゴシックメタル的にも聴けてよい感じですが、基本はSonja嬢の艶のある歌声を中心にした、しっとりとした作品。
ゴシック度・・8 メタル度・・5 女性Vo度・・8 総合・・8
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Elane 「The Silver Falls」
ドイツのゴシックフォーク、エラーネの2008年作
うっすらとしたシンセにヴァイオリンが鳴り響き、しっとりとした女性ヴォーカルの歌声を乗せた
幻想的なゴシック/ネオフォークサウンド。ドラムによるリズムにエレキギターも入ってくるので、
ヘヴィさのないゴシックメタルとしても楽しめる。バンドのフロントである、ヨラン・エラーネ嬢の歌声は、
いくぶん低めのメゾソプラノなので、薄暗く、くぐもった感じの楽曲によくマッチしている。
曲によっては男性ヴォーカルも絡んで来て、ゴシック化したMostly Autumnという感じにもなる。
シンフォニックな感触も含めて、プログレリスナーにも楽しめるだろう。美麗系ゴシック・フォークの好作。
ゴシック度・・8 幻想フォーク度・・8 女性Vo度・・7 総合・・8
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Joran Elane 「Glenvore」
ドイツの女性シンガー、ヨラン・エラーネの2014年作
ゴシックフォーク系のバンド、Elaneとしても活動するシンガーで、本作はうっすらとしたシンセに、
やわらかなフルート、ホイッスル、素朴なブズーキの音色、そして美しい女性ヴォーカルを乗せた、
幻想的な世界観のネオフォークサウンドを聴かせる。シンフォニックなアレンジに包まれながら、、
トラッド的な要素もしっかりと含ませて、中世を思わせるファンタジックな空気感にうっとりとなる。
チェロにヴァイオリンも加わったクラシカルな優雅さもあって、全体的にも壮麗な空気感が強いので、
ゴシック・フォーク的にも楽しめる。シンフォニックな幻想系ネオフォークの好作品です。
シンフォニック度・・8 幻想フォーク度・・8 女性Vo度・・8 総合・・8
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Neun Welten 「The Sea I'm Diving in」
ドイツのゴシック・ネオフォーク、ノイン・ウェルテンの2017年作
2006年にデビュー、フルアルバムとしては3作目となる。艶やかなヴァイオリンの音色に、
けだるげな男性ヴォーカル&女性ヴォーカルが絡み、薄暗くも幻想的なサウンドを聴かせる。
優雅であるが厚みのある音の重ねで、これまでの作品以上に強固な世界観を描き出していて、
ときにギターにドラムも加わった適度なロック色とダイナミズム、ゴシック的でもある耽美な空気感と、
美しいシンセによる北欧プログレ的な涼やかさが合わさった、素晴らしい幻想フォークロックが味わえる。
たとえば、Anathemaや、Katatoniaを涼やかな北の空気で包み込んだような傑作です。
ドラマティック度・・8 耽美度・・9 幻想度・・9 総合・・8.5
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◆北欧、東欧、ロシアのゴシック・フォーク
Angelic Foe 「Opressed By The Heavens」
スウェーデンのゴシックユニット、エンジェリック・フォーの2012年作
ARCANAのヴォーカルでもあるAnn-Mari嬢を中心としたユニットで、
うっすらとしたシンセにアコースティックギター、パーカッションが鳴り響く、
フォーキーな味わいもあるアンビエントなサウンド。ゴシック的なダークさよりも、
北欧らしい涼やかでミステリアスな叙情を感じさせる世界観で、
しっとりとした女性ヴォーカルの歌声もじつに美しい。うっとり聴ける美麗作です。
シンフォニック度・・7 ゴシック度・・8 女性Vo度・・8 総合・・8
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PETER BJARGO 「The Architecture Of Melancholy」
スウェーデンのゴシック/ダークアンビエント、ペーター・ビヤルゴの2011年作
シンセサウンドを基本にしたダークなアンビエントサウンドはARCANAと同様のもので、
今作ではゲストに女性ヴォーカルをまねき、自身のマイルドな男性声との対比で、
1曲目から荘厳なスケール感を描き出している。その後も、朗読のような語りを入れたりと、
ストーリー性を感じさせる耽美な世界観を構築し、幻想ゴシックとしての強度を高めている。
今作ではギターのつまびきも入ったやわらかな叙情性もあって、ダークさはやや控えめな分、
アンビエント寄りの繊細なナンバーが耳心地よい。夢見心地にまどろめる好作品だ。
ドラマティック度・・7 ゴシック度・・8 暗黒度・・7 総合・・7.5
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MOON FAR AWAY 「Belovodie」
ロシアのゴシック・フォーク、ムーン・ファー・アウェイの2005年作
フォーキーな旋律を奏でるシンセの重なりと、パーカッションとドラムのリズムに、
女性ヴォーカルの歌声を乗せた、妖しく秘教めいたゴシックフォークを聴かせる。
曲によってはアコースティックギターによる叙情性や、美しい女性声の魅力でゆったりと楽しめ、
耽美ではあってもダーク過ぎないサウンドなので、この手の中ではわりと聴きやすい部類だろう。
ラスト曲は、デジタルっぽいアレンジの異色のナンバーながら、秘教的な歌声とのアンバランスが面白い。
ドラマティック度・・7 ゴシック度・・8 女性Vo度・・7 総合・・7.5
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Caprice 「Masquerade」
ロシアのゴシックフォーク、キャプライスの2010年作
艶やかなヴァイオリンにやさしいハープのつまびき、女性ヴォーカルの母国語の歌声を乗せた美しい聴き心地。
初期のケイト・ブッシュのようなエキセントリックな感触に、いくぶんモダンなロック/ポップ要素も加わっていて、
いわばクラシカルなゴシックポップというような雰囲気である。ときにチェンバーロック的な緊張感に包まれたり
エレキギターが加わったゴスロック風味も出てきたりと、本作ではそのアレンジの多彩さも光っている。
繊細なピアノにフルートやオーボエの音色も耳に優しい。女性声の美しさとストリングスアレンジにうっとり。
クラシカル度・・8 エキセントリック度・・8 女性Vo度・・8 総合・・8
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The Moon and the Nightspirit 「Holdrejtek」
ハンガリーのゴシック・フォーク、ザ・ムーン・アンド・ナイトスピリットの2014年作
女性Vo&ヴァイオリン、ギター&ベースの2人組ユニットで、うっすらとしたシンセに包まれた夜の雰囲気に
幻想的なハープの音色が響き渡るイントロからして、その耽美な世界観に引き込まれる。パーカッションのリズムに、
艶やかなヴァイオリン、神秘的なダルシマーの音色を響かせて、美しい女性ヴォーカルの歌声が妖艶に重なってゆく。
ユニットとしてのキャリアも10年を数え、より強固な世界観をサウンドで描くような、堂々たる空気が備わってきた。
ダークな幻想美にうっとりとなる聴き心地…これぞゴシック系ネオフォークの最高峰というべき傑作だ。
ドラマティック度・・8 幻想度・・10 女性Vo度・・8 総合・・8.5
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Daemonia Nymphe 「Psychostasia」
ギリシャのゴシックフォーク、ダエモニア・ニンフェの2013年作
本作がすでに6作目で、アコースティックギターのつまびきに異国的なパーカッション、
クラシカルなヴィオラのや竪琴、サントゥーリ(ダルシマーの一種)の素朴な音色を含んだバックに、
女性ヴォーカルのスキャット的な歌声と男性ヴォーカルが絡んでゆく、じつに神秘的なサウンド。
古代の儀式を思わせるような幻想的な世界観を、アコースティック楽器を使って描いてゆくという、
なかなか個性的な聴き心地である。ギリシャらしい神秘的なゴシック・フォークの好作品です。
アコースティカル度・・8 ゴシック度・・8 神秘的度・・9 総合・・8
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◆古楽トラッド系ネオフォーク
FAUN「Renaissance」
ドイツのゴシック古楽トラッドバンド、ファウンの3rd。2005年作
先に4thを聴いていたが、こちらの方は薄暗いゴシック色はまだ薄く、しっとりとした美しさを追求した作品になっている。
ホイッスルやリコーダーブズーキ、ハーディ・ガーディ、バグパイプにハープといった古楽器に、
うっすらとしたシンセで味付けをし、そこに美声の女性ヴォーカルの歌声が乗る、メディーヴァルな聴き心地。。
中世的な世界観とモダンな聴きやすさが融合したサウンドは、幻想的な美しさに満ちていて、
トラッド系が苦手なメタルリスナーでも楽しめるだろう。ジャケ裏の女性メンバー衣装にも萌えです(笑)
メロディアス度・・8 古楽トラッ度・・8 しっとり幻想度・・8 総合・・8
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Estampie 「Secrets of the North」
ドイツのトラッド/ネオフォーク、エスタンピエの2013年作
90年代から活動するバンドで、艶やかなフィドル音色に、美しい女性ヴォーカルの歌声を乗せ、
アコースティック楽器を主体にメディーヴェルな世界を描く、幻想的なトラッドサウンドを聴かせる。
本作は中世の北欧バラッドを再現するというコンセプトで、ブズーキやガイタ、ニッケルハルパ、
ハーディ・ガーディといった北欧の古楽器に、サントゥールやサズといった中近東系の楽器や、
ポルタティフ、ハルモニウムといった中世の鍵盤楽器、チェロやトローボーンなども加えた厚みのあるサウンドで、
スウェーデン語で歌われているところもなかなかの本格派だ。曲によってはわりとモダンなアレンジもありつつ、
北欧的な寒々しさと土着的なメロディなど、トラッドとしての説得力が高いので、その世界観にうっとりと聴き入れる。
アコースティック度・・8 幻想トラッ度・・9 女性Vo度・・8 総合・・8.5
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Zefiro Torna 「O Mondo Aveugle」
ベルギーの古楽フォーク、ゼフィロ・トルナの2010年作
美しい女性ヴォーカルの歌声に、民族的なバグパイプが鳴り響き、サックスやフルート、アコーディオンなどが加わった
チェンバーロック風味を感じさせるサウンド。リュートやリコーダーの素朴な音色が中世古楽的な世界観をかもしだし、
ネオフォーク的な幻想性とクラシカルな室内楽風味に、ヨーロピアンな教会音楽が融合したという聴き心地もある。
オペラティックなソプラノヴォーカルが、ときにシアトリカルな空気を描いて、総じて優雅な作風であるのだが、
どこかエキセントリックな神秘性にも包まれている。インストパートにおけるトラッド要素も確かな演奏力で説得力がある分、
垣間見せるシリアスな遊び心に惹きつけられる。軽やかにクラシカル、ジャズ風味も覗かせる、古楽チェンバーの傑作。
アコースティカル度・・8 幻想度・・8 女性Vo度・・8 総合・・8
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CESAIR 「Dies, Nox et Omnia」
オランダのネオフォーク、セサールの2015年作
女性3人を含む5人編成で、バウロンのリズムにアコーステッィクギターやアコーディオン、ハンマー・ダルシマー、
ハーディ・ガーディの音色が重なり、女性ヴォーカルの母国語の歌声を乗せた、幻想的なネオフォークサウンド。
ヴァイオリン、チェロ、ブズーキなども加わった優雅な感触と共に、メロディにはケルティックな雰囲気が感じられて、
本格派のトラッド要素と、コンテンポラリーなアレンジが融合したという聴き心地。女性ヴォーカルの表現力ある歌声はときに、
ロリーナ・マッケニットを思わせる。アコースティック中心であるが、厚みのあるサウンドでシリアスなトラッド・フォークを描く力作。
アコースティック度・・8 幻想トラッ度・・8 女性Vo度・・9 総合・・8
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ZARI 「Sazaroti」
ラトビアのネオフォーク、ザリの2017年作
うっすらとしたシンセにアコースティックギター、美しい女性ヴォーカルの母国語の歌声を乗せた
幻想的なネオフォークサウンドに、ゴシック的でもある物悲しい倦怠の空気感と、
ドラムやエレキギターも加わったロック寄りのアレンジもあって、辺境トラッドロックとしても楽しめる。
打ち込みによるモダンな感触と、アコーディオンやフルートなどの土着的な牧歌性が合わさった
スタイリッシュなバランス感覚は、若手らしいセンスの良さでプログレファンにも対応するだろう。
ドラマティック度・・7 トラッドロック度・・8 女性Vo度・・8 総合・・8
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◆メタル人脈系ゴシック・フォーク
DARGAARD「THE DISSOLUTION OF TERNITY」
オーストリアの暗黒系ゴシックユニット、ダーガードの3rd。2002年作
ブラックメタルバンドABIGORのVoが手がけるプロジェクトで、寒々しくも土着性のあるシンセをバックに、
美しい女性ヴォーカルがたゆたうように歌を乗せる。リズム楽器はほとんど使われておらず、
バックはシンセの多重録音によるもので、ときに静謐に、ときにシンフォニックに美しい暗黒世界を描き出してゆく。
ときおり男性声のパートもあるが、女性メインの曲はまるで「ブラック版のENYA」といったところ。
曲によってはアコースティックギターも用いるなど、トラッド的な要素もかいま見える。
シンフォニック度・・8 ダークゴシック度・・9 女性Vo度・・7 総合・・8
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Die Verbannten Kinder Evas「Dusk & Void Became Alive」
オーストリアのゴシックユニット、ダイ・ヴァーバンテン・カインダー・エヴァスの2006年作
ブラックメタルバンドSUMMONINGのメンバーと女性Voの二人組によるユニットで、
荘厳に重ねられたシンセの上に、たゆうたような女性ヴォーカルの歌声で聴かせる美麗なゴシックサウンド。
ダークな世界観ではあるが暗黒性は薄く、宗教的な崇高な美しさを感じるという点で、DARK SANCTUARYにも通じる雰囲気がある。
アンビエントなゴシック、ダークウェーブが好きな方なら充分に満足できる出来だろう。
シンフォニック度・・8 メタル度・・1 女性Vo度・・8 総合・・8
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LUMSK「Det Vilde Kor」
ノルウェーのトラッドメタルバンド、ラムスクの3rd。2007年作
女性Vo、女性Vlnを含む7人組で、1stの時点から本格的な北欧トラッドの香り漂う作品で話題をよんでいたが、
今作ではメタル色をぐっと抑えた作風の傑作に。北欧的なものがなしいメロディを奏でるギターに、しっとりとしたシンセワーク、
そこに乗る女性ヴォーカルの歌声も、まるでPAATOSやWHITE WILLOWあたりを思わせるような
たゆたうような美しさを感じさせる。薄暗い叙情性はノルディックの風を運んでくるかのようで、
メタリックなエッジがない分、聴いていてゆるやかに音世界に埋没できる。
メロディアス度・・8 メタル度・・3 北欧度・・9 総合・・8
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Kari Rueslatten 「To the North」
ノルウェーの女性シンガー、カリ・ルースラッテンの2015年作
元The 3rd and The Mortalのシンガーとしても知られる彼女だが、ソロ転向後はメタル色のない
北欧トラッドに根差したアンビエントな作風で活動している。本作も美しいシンセにしっとりとした歌声で、
素朴でアコースティカルなサウンドを聴かせる。彼女の美声を引き立てる優しい味わいと
北欧らしい涼やかな叙情が耳心地よい。随所にドラムやギターも加わった、フォークロック風味もあり、
ゆったりとしたキャッチーなメロディの中に、いくぶん北欧トラッド的な感触も覗かせる。
あえてアナログ的な録音を意識したのか、ぼやけた感じの音作りもドリーミーでよいですな。
女性ヴォーカルをメインにした、繊細な北欧ネオフォークというふうにも楽しめる好作品。
ドラマティック度・・7 メタル度・・1 女性Vo度・・8 総合・・7.5
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Tenhi「Saivo」
フィンランドのゴシック・フォークバンド、テンヒの2011年作
うっすらとしたシンセをバックに、北欧の暗がりを思わせる静謐感の中、
ピアノの音色が響き、フィンランド語による男性ヴォーカルの歌声が加わる。
暗鬱としたダークさとアコースティカルでマイルドな叙情性が合わさり、
幻想的な世界観を聴かせつつ、ヴィオラやフルート、チェロなどが入った
クラシカルな美しさもあって、耳心地はとてもよい。北欧の土着的な空気を感じさせる
フォーク・ゴシック、あるいはプログレ・フォーク的にも楽しめる傑作です。
ドラマティック度・・8 北欧度・・8 幻想度・・9 総合・・8
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Nucleus Torn「Golden Age」
スイスのゴシック・フォークバンド、ニュークリアス・トーンの2011年作
アコースティカルな素朴さに、クラシカルなピアノにヴァイオリン、チェロが響き、男女ヴォーカルの歌声でしっとりと聴かせる、
幻想的なフォークロックサウンド。本作から、ELUVEITIEのAnna Murphyも加わり、女性2人、男性1人の3人ヴォーカルとなった。
プログレとフォークの中間的な雰囲気は、WHITE WILLOWあたりにも通じるもので、ゴシック的なシンフォニックロックとしても楽しめる。
やわらかなフルート、オーボエなどの音色も美しい。以前の作品よりも楽曲にメリハリがついて、後半にはメタル色もあったり
ラスト曲はデス声入りと、最後まで飽きさせない。神秘的な世界観と薄暗い叙情にうっとりの力作です。
ドラマティック度・・8 プログレ度・・7 幻想度・・9 総合・・8
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Chaostar 「Anomima」
ギリシャのゴシックバンド、カオスターの2013年作
SEPTIC FLESHのクリストス・アントニオウを中心にしたユニットで、本作は5作目となる。
怪しげな日本語の語りで幕を開け、オーケストラルなアレンジとオペラティックな女性ヴォーカル、
随所に東洋的な笛の音色も響かせつつ、ダークで神秘的なサウンドを描いてゆく。
メタル的な要素はほとんどないが、ELENDなどを思わせるクラシカルな優雅さと、耽美な世界観、
表現豊かなオペラティックヴォイス、ときにチェンバーロック的なアヴァンギャルドな緊張感も含んで
DEVIL DOLLなどにも通じる暗黒オペラとしても楽しめる。雰囲気ものゴシックが好きな方はぜひ。
ドラマティック度・・8 メタル度・・1女性Vo度・・8 総合・・8
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Empyrium 「Turn of the Tides」
ドイツのゴシック・フォークメタル、エムピリウムの2014年作
1996年にデビュー。初期はわりとゴシックメタル的であったが、3作目以降はメタル色を薄め、
本作は美麗なシンセアレンジに包まれた、優雅なネオフォークというサウンドとなっている。
ジェントルな男性ヴォーカルの歌声に、アコースティックな繊細さも含んだギター、
そしてうっすらとしたシンセとともに、メランコリックな物悲しさをたたえた世界観が広がる。
ときにダミ声ヴォーカルや女性ヴォーカルも加わったり、曲によってはいくぶんメタル要素が戻ってきていて、
ゆったりとした聴き心地の中にも、重厚な味わいと、ドラマティックなメリハリを感じさせる。
シンフォニック度・・8 ゴシック度・・8 フォーク度・・7 総合・・8
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Les Chants Du Hasard
フランスのゴシックブラック、レス・チャンツ・ドゥ・ハサードの2017年作
ハザード氏による独りユニットで、シンセとオーケストレーションによる壮麗なサウンドに、
ダミ声ヴォーカルが響き渡る、ELENDを思わせる荘厳なゴシック&ネオクラシカルを聴かせる。
ギターやドラムなどは一切入らないので、闇のサントラか暗黒の交響曲かという雰囲気で、
この手の世界観が苦手な方には薦められないが、大仰なダークミュージックか好きならば、
心地よく耽溺できるだろう。ただ、エレンドのフォロワーという以上の個性はまだないか。
シンフォニック度・・8 メタル度・・3 暗黒度・・7 総合・・7.5
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Wardruna 「Runaljod - Ragnarok」
ノルウェーのペイガン・フォーク、ヴァードゥルナの2016年作
元GORGOROTHのドラムと女性シンガーを中心にしたユニットで、本作が3作目となる。
ルーン文字の研究から、北欧神話やヴァイキングの歴史を基にしたという世界観を、
古代ノルン語による詠唱と、クラヴィクリラ(竪琴)、ブッケホルン(角笛)、ターゲルハルパ(擦弦楽器)
ルール(金管楽器)といった古楽器の音色とともに、プリミティブで神秘的なサウンドで表現している。
石や木をパーカッションにしたというトライバルなリズムに、素朴なホルンやルールの音色がかぶさり、
女性声のスキャットと男性の詠唱が響き渡る。愛想のない土着性は、一般のリスナーには取っつきづらいだろうが、
古代の神々、自然崇拝というものを想像できる方にとっては、ディープに浸れる異色の作品であるだろう。
ドラマティック度・・7 土着的度・・8 神秘的度・・9 総合・・8
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AURI
フィンランドのフォークロック、アウリの2018年作
NIGHTWISHのツォーマス・ホロパイネン、トロイ・ドノックリーと女性シンガー、ジョアンナ・カーケラによるユニットで、
ドラムとベースのリズムに美しいシンセを重ね、しっとりとした女性ヴォーカルの歌声で聴かせるサウンド。
ヘヴィなギターが入らないので、メタル色はほとんどないが、ストリングスによる優美なアレンジなど、
このシンフォニックで幻想的な世界観は、Nightwishのリスナーであれば、わりとすんなりと楽しめるだろう。
イーリアンパイプやホイッスルなどのケルティックな味わいと、ピアノやシンセによるクラシカルな優雅さが合わさり、
コンテンポラリーなシンフォニック・ネオフォークといった聴きやすさになっている。たおやかな女性声も魅力的だ。
シンフォニック度・・8 メタル度・・1 女性Vo度・・8 総合・・8
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SHADYGROVE「 In The Heart Of Scarlet Wood」
イタリアのネオフォーク、シェイディーグローブの2018年作
EVENOIREの女性シンガーと、ELVENKINGのヴァイオリン奏者を中心に、SOUND STORMの女性シンセ奏者も参加。、
アコースティックギターにパーカッション、艶やかなヴァイオリンの音色に女性ヴォーカルで聴かせる、
Blackmore's Nightにも通じる、優雅でメディーヴァルなトラッド・フォークサウンド。
ロリーナ・マッケニットを敬愛するという、リシー・ステファノーニ嬢のフェミニンな歌声は、
アコースティック主体の演奏によく映えて、しっとりとした翳りを含んだ表現力にウットリとなる。
クラシカルなピアノやシンセアレンジが加わると、ゴシック・フォーク的な味わいにもなって、、
メタル色をほぼないが、FAUNなどの幻想系中世フォークが好きな方なら、とても楽しめるだろう。
幻想フォーク度・・8 メタル度・・1 女性Vo度・・8 総合・・8
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