女性ヴォーカルのシンフォニックロック作品



かつて70年代においては、歌姫アニー・ハズラムのRENAISSANCEを別格とすれば、
プログレファンが楽しむ女性ヴォーカルものというと、フォーク系のバンドが中心であったのだが、
90年代に入るとジュリアンヌ・リーガンを擁するALL ABOUT EVEがメジャーな人気を博し、
シンフォニックロックにおいてはトレイシー・ヒッチングが、STRANGERS ON A TRAINLANDMARQなどで活躍、
やがてケルティックロックバンドのIONAが、プログレ/シンフォニックリスナーの幻想の琴線に触れると、
それに続いて、KARNATAKAMostly Autumnといったバンドたちが現れる。
一方、ポーランドでは美声の女性ヴォーカルでしっとりと聴かせるQUIDAMがシンフォファンを狂喜させ、
北欧ではWHITE WILLOWPAATOSといったバンドがマニアの心をつかんでゆく。
2000年代に入って、イギリスからレトロなプログレ質感を残したMAGENTAが現れると、
シンフォニック界の重鎮クライブ・ノーランも黙っておられるはずもなく、CAAMORAなるプロジェクトを立ち上げる。
こうして、女性ヴォーカルとプログレ/シンフォニックロックとの融合は、英国、そしてヨーロッパを中心に
少なからぬ広がりを見せ、我々好事家たちの耳を楽しませてくれている。
ここでは、そうした素敵なフィメールプログレ/シンフォ作品を厳選して紹介する。

                                           
緑川 とうせい


●イギリス

MOSTLY AUTUMN 「Glass Shadows」
イギリスのシンフォニックロックバンド、モストリー・オータムのアルバム。2008作
新たに女性コーラス二人を加え、フロントのヘザー嬢を含めて3人の女性が歌をとる体制となった。
サウンドの方はシンフォニックさよりも、古き良きブリティッシュロックの素朴さが増し、
リーダーであるブライアン・ジョシュのマイルドな歌声とともに英国的な翳りを感じさせる楽曲は
あえて派手さを抑えて、1ロックバンドとしての原点に立ち戻ったような雰囲気を漂わせる。
このやわらかな叙情と薄暗さの中にある人間的な温かみは、むしろ現在においては貴重な音だろう。
牧歌的な味わいの中で、ヘザー嬢の絶品の歌声が映えるバラード曲などもじつに感動的だ。
シンフォニック度・・7 ブリティッシュ度・・9 素朴な叙情度・・10 総合・・8.5
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MAGENTA 「Metamorphosis」
イギリスのシンフォニックロックバンド、マジェンタの5th。2008作
前作は歌もの中心のコンセプト作で、サウンド的にはやや地味だったのだが、今作では彼ららしい爽快なシンフォニックサウンドに戻っている。
ロブ・リードのプログレ的なシンセワークはその本領を発揮していて、オーケストレーションを加えたアレンジも、楽曲の重厚さを増している。
クリスティーナ嬢の歌唱にもいっそうの表現力が加わり、線の細かった過去作に比べて全体に音のスケール感が増した。
20分を超える大曲2曲をメインに聴かせる、バンドとしての最高傑作だ。
シンフォニック度・・8 プログレ度・・8 女性Vo度・・8 総合・・8
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CAAMORA 「SHE」
ARENAPENDRAGONで活躍するクライブ・ノーランと、ポーランド人女性歌手、アグネイスカ・スウィタ嬢を中心にしたユニット、カーモラの2008作。
冒険小説「She-洞窟の女王」をコンセプトにした2枚組の大作で、ゲストにPALLASのアラン・リード、MAGENTAクリスティーナ嬢
その他、IQTHRESHOLDなどのメンバーを迎え、4人のVoが物語的に配役を担うという構成だ。
壮麗なシンセワークに美声の女性ヴォーカル、そしてファンタジックなストーリーと、この手の好きなリスナーにはたまらない要素が揃っている。
楽曲そのものは、しごく正統派のシンフォサウンドで、ロックオペラ的な歌ものが主体なこともあり、
曲自体の新鮮味は薄いが、豪華なブックレットを眺めつつ物語を思い浮かべながら楽しめる作品だ。
シンフォニック度・・8 ファンタジック度・・9 物語度・・9 総合・・8
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IONA「Open Sky」
スコットランド出身のケルティック・ロックバンド、アイオナの5th。2000年作
ロック寄りのケルトミュージックとしてそのサウンドを確立させつつあったこのバンドが、
さらなる壮大な作風で完成させた傑作アルバム。神秘的なシンセによるイントロからリズムが加わって
ケルティックなバグパイプが鳴り響く、このダイナミックなインスト曲からして素晴らしいのだが、
しっとりとヴァイオリンが鳴り、ジョアンヌ・ホッグの天上の美声が歌いあげる2曲目もまた絶品。
幻想的な美しさとミステリアスなケルトの風が感じられるシンフォニック/プログレ作品というのはなかなかない。
シンフォニックとロック、女性ヴォーカル、そしてケルトミュージックがまさに理想的に融合された傑作だ。
シンフォニック度・・8 ケルトロック度・・8 女性Vo度・・8 総合・・8.5
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KARNATAKA 「DELICATE FLAME OF DESIRE」
イギリスはウェールズ出身の女性ヴォーカルロックバンド、カルナタカの3rd。2003作
このバンドの色を表す表現としてIONA+ALL ABOUT EVEという言い方も出来ると思うが、
今作では、よりシンフォニックなアレンジが増しており、繊細かつダイナミックな色彩が高まっている。
美貌の女性Voレイチェルの歌唱の素晴らしさは、英国のクラシックロック・ソサエティで大賞をとるほどの実力。
女性ヴォーカルものとしてはもちろん、シンフォニックロックの好作としても楽しめる質の高さである。
ケルティックな要素を控えめにしながら、随所にそれを感じさせる温かみのあるアレンジを聴かせるのはさすが。
シンフォニック度・・8 ケルトロック度・・7 女性Vo度・・9 総合・・8.5
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PANIC ROOM 「Visionary Position」
KARNATAKAのメンバーによるシンフォニックロックバンド、パニック・ルームのアルバム。2008作
KARNATAKAではサブヴォーカル&フルートだったアン・マリー嬢をリードヴォーカルに据え、
ギター 、ドラム、シンセは同じメンツというから、サウンドもKARNATAKAの延長上かと思いきや、
ケルティックなテイストは後退し、どちらかというとモダンでアンニュイな雰囲気になっている。
ときにジャズ的なピアノタッチもあるシンセワークに、渋い味わいの落ち着いたギターワーク、
全体的にあまり派手さはないが、しっとりと聴かせる大人のシンフォニックサウンドだ。
たおやかなフルートに美麗なシンセ、そして伸びやかな女性ヴォーカルの歌声でじわじわと盛り上げるラストの大曲などは、まさに女性Voシンフォの理想形。
シンフォニック度・・7 プログレ度・・7 女性Vo度・・8 総合・・8
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The Reasoning 「Dark Angel」
イギリスのシンフォニックロックバンド、リーゾニングの2nd。2008作
KARNATAKAレイチェル嬢擁するこのバンド、前作ではまだ楽曲面での詰めの甘さが感じられたが、
本作では叙情性を伸ばし、バンドとしての明確な方向性が現れてきていて、確かな成長が感じられる。
メロウなギターワークにしっとりとしたシンセが合わさったサウンドはほのかな薄暗さをともなって、シンフォニックな要素が引き立ってきた。
レイチェル嬢の歌声にはKARNATAKA時代よりもぐっと大人の落ち着きが感じられ
男性ヴォーカルとの掛け合いでは、ゴシックメタル的な雰囲気もかもし出している。
シンフォニック度・・8 翳りある叙情度・・8 女性Vo度・・7 総合・・8
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Breathing Space 「Coming Up For Air」
MOSTLY AUTUMNのKey、IAIN JENNINGSを中心にしたユニット、ブレシング・スペースの2007作
一聴してプログレというよりは、もっとストレートなメロディックロックという雰囲気で、
シンフォニックなシンセワークに、美しい女性ヴォーカルの歌声で聴かせる。
MOSTLY AUTUMNのようなフォーキーな要素はほとんどなく、
ややモダンなアレンジとともに、爽やかで瑞々しい耳に心地よいサウンドだ。
女性Voシンフォファンならば、これは聴かずにはおれない作品だろう。
メロディアス度・・8 プログレ度・・7 女性Vo度・・9 総合・・8
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THIEVES KITCHEN 「The Water Road」
イギリスのシンフォニックロックバンド、シーブス・キッチンの2008作
前作はモダンな雰囲気のテクニカルシンフォだったが、今作ではANGLAGARDのKeyをメンバーに迎え、
サウンドが変化している。まず耳につくのは美しいピアノにメロトロン。幽玄なメロトロンの響きと、そこに絡むギターフレーズも
どこか北欧的な感触で、とても叙情的だ。女性ヴォーカルの歌唱も、前作よりもしっとりと聴かせるようになった。
のっけから20分の大曲で、適度にテクニカルに展開しつつも、メロトロンやフルートなどによる幽玄な味わいが魅力的。
浮遊感のあるテクニカルシンフォニックにメロトロンをプラスした力作。
シンフォニック度・・8 メロトロンいいねぇ度・・8 女性Vo度・・7 総合・・8
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LANDMARQ 「SIENCE OF COINCIDENCE」
イギリスのシンフォニックロックバンド、ランドマークの1998作
かつて日本のZEROレーベルから3枚目までが出ていたので、名前を知っている方もいると思うが、
4作目となる本作からは、QUASAR、STRANGERS ON A TRAINで歌っていたトレイシー・ヒッチングが加わり、
女性ヴォーカルフロントのバンドとなって音ががらりと変わった。曲はよりメロディックになり、生き生きと躍動し、
ロックとしてもシンフォとしても格段に聴きやすくなっている。トレイシーのハスキーな歌声は個人的にも
じつに好みであるので、むしろ本作こそがバンドの最高傑作となったと言いたい。
シンフォニック度・・8 プログレ度・・8 女性Vo度・・8 総合・・8
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LEGEND 「TRIPLE ASPECT」
イギリスのシンフォニックロックバンド、レジェンドの3rd。1996作
かつて女性Voもののハードプログレとして日本盤でも1st、2ndが出ていたが、
本作はバンドのラスト作にして日本未発売。かなりマニアックなアイテムだろう。
シンセにしろギターにしろ、さしたる特徴はなく、リズム的にもやぼったいのであるが、
ソーニャー・クリスティーナを思わせるデビー嬢の美しい歌声を含めて、サウンドには
どこか靄のかかったようなマイナーっぽさがあり、それが案外神秘的な雰囲気をかもしだしている。
ラストは29分の大作で、アレンジなどはいかにもつたないのだがそれなりに気合が入っている。
メロディアス度・・7 プログレ度・・7 女性Vo度・・8 総合・・7.5
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TOUCHSTONEWintercoast」
イギリスの男女Voシンフォニックロックバンド、タッチストーンの2010年作
けっこうヘヴィめのギターが入ったメタリックな質感と、Mostly Autumnあたりにも通じる
美しい女性ヴォーカルの歌声で聴かせるシンフォニックな叙情美が合わさった作風。
相変わらず男ヴォーカルはとくに必要ない気がするが、女性声の活躍頻度はずいぶん増していて、
しっとりとしたバラード曲などはじつに美しい。また楽曲におけるダイナミックさも強まっていて
美麗なシンセをバックにしたギターのメロディアスなフレーズも随所で光っている。
英国産の本格派シンフォバンドとしてモストリー・オータムに並びそうなクオリティにはきている。
シンフォニック度・・8 ドラマティック度・・8 女性Vo度・・8 総合・・8
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Christina「Broken Lives & Bleeding Hearts」
MAGENTAの女性ヴォーカル、クリスティーナのソロアルバム。2010作
現在系英国シンフォニックの代表格のひとつとなったMAGENTAの紅一点、
クリスティーナ・ブース嬢のソロ作で、ロブ・リードをはじめMAGENTAのメンバーをはじめ、
ジョン・ミッチェル(ARENA、IT BITES)、トロイ・ドノックリー(IONA)らもゲスト参加している。
サウンドは、彼女の美声を活かしたメロディアスな歌もの中心で、プログレ的なアレンジは
いくぶん抑え気味にした、聴き心地のよいものになっている。美しいシンセワークに、
メロウなギターをまじえつつ、あくまでしっとりとしたアダルトな感触の女性声ロックである。
シンフォニック度・・7 プログレ度・・7 女性Vo度・・8 総合・・8
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●イタリア/フランス/オランダ/ポルトガル

ARIES
イタリアのシンフォニックロックバンド、アリエスのアルバム。2004作
たおやかなピアノ、キーボードに美しい女性ヴォーカルのシンフォサウンド。
この女性声がまた素敵で、はかなげで繊細なその歌声にはこの手のフィメールものが好きであればくらくらすること請け合い。
しっとりとしたピアノの音色も良いが、キーボードをバックにメロウに鳴るギターもなかなかで、
静かなパートとシンフォロックパートとのメリハリもしっかりついている。
時折ゴシック的な雰囲気も垣間見せ、世界観としての奥深さもあるのが素晴らしい。
サウンドとしてはWHITE WILLOWQUIDAMあたりにも通じる部分もあり、これは女性Voものシンフォとしては会心の一作でしょう!
メロディアス度・・8 シンフォニック度・・8 女性Vo度・・8 総合・・8

NARROW PASS 「A Room of Fairy Queen's」
イタリアのシンフォニックロックユニット、ナロウ・パスのアルバム。2006作
ERIS PLUVIAに参加していた、Mauro Montobbioというマルチプレイヤーを中心に
LA MASCHERA DI CERAのメンバーなども参加。美しいシンセワークにメロウなギター、
たおやかなフルート、そして女性Voと、これはもうシンフォニック好きにはたまらないサウンド。
ゆったりとした優しいメロディと繊細な感触は、HOSTSONATENあたりにも通じるもので、
すべての面で予定調和ながらとても日本人好みであり、癒し系シンフォとしてのんびりと鑑賞できる。
シンフォニック度・・8 プログレ度・・7 しっとりたおやか度・・9 総合・・8
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CONQUEROR「Madame Zelle」
イタリアのシンフォニックロックバンド、コンクエラーの2010年作

女性ヴォーカル入りのイタリアンシンフォとして、過去3作もなかなかの好作であったが、4作目となる本作は、
第一次世界大戦時に活動した女スパイ、マタ・ハリことマルガレッタ・G・ツェレをテーマとしたコンセプト作となった。
クラシカルで繊細なピアノに、美しいシンセワーク、そしてイタリア語による瑞々しい女性Voの歌声で聴かせる、
優しい叙情性にうっとりとである。また、コンセプト作ということでのドラマティックな構成も光っていて、
インスト部分で世界観やストーリーをイメージさせるだけの説得力も備わっている。やわらかなフルートも美しい。
シンフォニック度・・8 繊細叙情度・・9 女性Vo度・・8 総合・・8
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Ciccada「A child in the Mirror」
ギリシャのシンフォニックロック、チッカーダの2010年作
女性Voをフロントにした4人編成で、アコーディオン、フルートなどが叙情的な
土着的なシンフォニックロックで、むしろ北欧のバンドのような質感もある。
イタリアのDFAのメンバーが関わっているということもあり、軽やかなチェンバーロック色も
いくぶん覗かせていて、とくにインスト曲でのクラシカルな優雅な質感は個性的だ。
女性ヴォーカルの歌声も美しく、アコースティカルな楽曲をバックにしっとりと楽しめるが、
ハードめのギターも入ったテクニカルな要素もあり、音のメリハりのつけかたにもセンスを感じさせる。
シンフォニック度・・7 クラシカル度・・8 女性Vo度・・7 総合・・8
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SENSITIVE TO LIGHT Almost Human
フランスのシンフォニックロックバンド、センシティブ・トゥ・ライトの2006作
SAENSのメンバーによるニューバンド。ミステリアスで荘厳なイントロから始まるのは、
ハケットばりのメロウなギターに壮大なシンセワークの一大シンフォニックサウンド。
女性Voの歌声に導かれながら、曲はあくまでメロディアスかつドラマティックに進行してゆく。
かつてのSAENSよりもサウンドにはダイナミズムが増していて、楽曲構成も自然になり
肩の力が抜けた分だけ、ひとつずつのメロディ、音の重ねに説得力が加味されている。
長い曲においても、しっとりとしたパートからの盛り上がりが聴き手に高揚感を与えてくれ、
繊細でありながら壮大さとダイナミックさを有した見事なシンフォニック作だ。
シンフォニック度・・9 ドラマティック度・・9 女性Vo度・・7 総合・・8.5
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NIL 「novo sub sole」
フランスのヘヴィシンフォニックバンド、ニルの2nd。2005作
前作も初期クリムゾン的なヘヴィシンフォサウンドでなかなか面白かったが、
今作はのっけから女性Voの比重が増し、妖しいスキャットヴォイスに耳を奪われる。
ある種ゴシックふうな、たゆうたようなほの暗さと美しさが増していて、
サウンドを通してエキセントリックで芸術的な雰囲気が感じられる。
北欧のPAATOSあたりに通じる浮遊感と倦怠の魅力がある。
メロディアス度・・7 ほの暗シンフォ度・・9 女性Vo度・・7 総合・・8

FLAMBOROUGH HEAD 「ONE FOR THE CROW」
オランダのシンフォニックバンド、フラムボロウ・ヘッドの3rd。2002作
最近の叙情系シンフォ作において、頭一つ抜けるくらいの泣きとメロディをもったバンド。
傑作であった1stに続く今作では、Voに女性を起用し、よりしっとりとした情感を描こうとしている。
前作にあったダイナミズムと楽曲のメリハリが若干減っているのが残念。
女性Voの実力もさほどではないので、「歌で聴かせる」までには至っていない。
しかし曲の「引き」のリリカルな情感はやはり見事で、そこからゆるやかに盛り上げてゆく
センスなどはその辺のバンドとは比べ物にならない良さがある。
メロディアス度・・8 シンフォニック度・・8 女性Vo度・・7 総合・・8
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KAYAK 「Coming Up for Air」
オランダのシンフォニックロックバンド、カヤックの008作
2000年の復活以降、順調にアルバムを発表し続け、そのどれもが充実の内容であったが、
本作も実に見事なアルバムだ。美しいシンセワークとメロディは、もはやカヤック節ともいうべき
耳心地のよいもので、シンフォニック性とキャッチーさのバランスは職人の域である。
そこに乗るハスキーな女性ヴォーカルの歌声もサウンドにマッチしていて、
いくぶんモダンになった楽曲アレンジとともに、いわばお洒落な風情をかもしだしている。
もちろん、従来のKAYAKらしい繊細なメロディック曲もあり、男女Voの使い分けがサウンドの幅をより広げている印象だ。
メロディアス度・・9 プログレ度・・7 楽曲・・9 総合・・8.5
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VERALIN 「Opposites」
オランダのプログレ・ハードバンド、ベラリンの1996作
ハスキーで伸びやかな女性ヴォーカルを中心に、キャッチーなメロディで聴かせるサウンド。
FINCHのシンセ奏者によるシンフォニックなシンセワークも素晴らしく、
それにハードロック的な明快さが合わさって、なかなか耳心地のよい音作りだ。
これだという叙情や盛り上がりはないものの、安心して楽しめる女性Voロック作。
AYREONのアルイエン・ルカッセンもゲストで参加している。
メロディアス度・・8 プログレ度・・7 女性Vo度・・8 総合・・8
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Factory of Dreams「Melotronical」
ポルトガルの鍵盤奏者と女性Voによるユニット、ファクトリー・オブ・ドリームスの2011年作
これが3作めで、前作同様、女性ヴォーカルの歌声を中心に、シンフォニックな美麗さと
いくぶんのメタリックな質感で聴かせるサウンド。随所にプログレッシブな構成も取り入れつつ、
女性声と男性声の掛け合いも含めてオペラティックなテイストが増してきていて、
これまで以上にメリハリのついた濃密な作風だ。ジェシカ嬢の歌唱力もずいぶんと向上。
プログレ化したEDENBRIDGEというべきか…美麗にしてドラマティックな力作である。
シンフォニック度・・8 オペラティック度・・8 女性Vo度・・8 総合・・8
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●東欧〜北欧

QUIDAM 「Quidam/Rzeka Wspomnien」
ポーランドのシンフォニックロックバンド、クィダムの1st。1996/2007作。
美声の女性ヴォーカルで繊細なサウンドを聴かせる本作は、ポーランドのシンフォニックシーンにおいて名作とされる一枚。
ゆったりと美しいシンセと叙情的なギターワークで聴かせる楽曲に母国語で歌われる女性ヴォーカルの絶品の歌声が優しく耳に響く。
ときにハケット時代のGENESISを思わせる幻想的な雰囲気も素晴らしい。最高傑作は3rd「The Time Beneath the Sky」だと思うが、
しっとりとした繊細さでは本作が一番だろう。女性声シンフォが好きな方は必聴。
シンフォニック度・・8 しっとり繊細度・・9 女性Vo度・・9 総合・・8.5
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TURQUOISE
ポーランドの女性Vo入りシンフォニックロックバンド、タークォイスの1st。2001作
QUIDAMに続くこのバンドも、ファンタジックなジャケに負けず美しい女性声シンフォ作
しっとりとしたやわらかみのある作りで、母国語で歌う美声の女性Voをメインに、
メロウなギターと幻想的なKEYが一体となった、女性声シンフォの王道といえるサウンドである。
アコースティックや静寂パートを効果的に設けるなど、アレンジ面でも気を使っていて
デビュー作としはてはクイダムの1stに匹敵するくらいの出来だと思う。
ギターのメロディフレーズにもセンスが感じられ、決してただの歌モノになっていないところが良い。
 メロディアス度・・8 シンフォニック度・・8 女性Vo度・・9 総合・・8

ANAMOR 「IMAGINACIE」
ポーランドの女性Voシンフォニックバンド、アナモーのアルバム。2002作
かつてのQUIDAMを思わせる伸びやかな女性Voのシンフォサウンド。
メロウなギターフレーズもなかなかよろしく、GENESIS的な雰囲気に
ポーランド語の美しい歌声が合わさり、しっとりとした感触で聴かせてくれる。
QUIDAMTURQUOISEなど、女性ヴォーカルシンフォ好きにはお勧めの一作。
メロディアス度・・8 ポーラン度・・8 女性Vo度・・8 総合・・8

Strawberry Fields 「Rivers Dry Gone」
ポーランドのシンフォニックロックバンド、Satelliteのメンバーによるユニット、ストロベリー・フィールズの2009作
ゴシック的な倦怠感のある女性ヴォーカルの歌唱を中心に、モダンロック的な楽曲で聴かせる。
ときおりSatelliteを思わせるような薄暗いシンフォ風味もあるが、もっと素朴で肩の力が抜けたような、アンニュイな優雅さが前に出ている。
音数的には少ないながらも、退屈かというとそうでもなく、キャッチーな耳馴染みの良さもあって、
ゆったりとした女性声の入ったオルタナ・シンフォとしても楽しめる作品だ。
メロディアス度・・7 薄暗シンフォ度・・8 女性Vo度・・8 総合・・8
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Amaryllis「Inquietum Est Cor」
ポーランドの女性Voシンフォニックバンド、アマリリスの2009年作
女性ヴォーカルにツインギターを含む6人組でシンセはゲスト。しっとりとした女性Voの母国語の歌声に、
メロウなギターとうっすらとしたシンセ、浮遊感のある叙情性と幻想的な薄暗さで聴かせる世界観は、
QUIDAMやVOTUMなど、やはり同郷のバンドに通じる匂いも感じさせる。
いくぶんのメタリックな感触と素朴なシンフォニック性の一方では、PINK FLOYDルーツのサイケ風味もあり、
それがはかなげな美しい女性声と合わさって、なんともいえないゆるやかなサウンドを描いている。
楽曲の間に小曲を織り込んだ構成で、アルバム全体を流れで鑑賞できるのも心憎い。マイスペ
シンフォニック度・・7 しっとり度・・8 女性Vo度・・8 総合・・8

YOU AND I 「GO」
ハンガリーのシンフォニックロックバンド、ユー・アンド・アイの2nd。1998作
美しい女性ヴォーカルの歌声にシンフォニックなキーボードで聴かせる、
ポーランドのQUIDAMを思わせる爽やかな女性声シンフォサウンド。
1stよりもキャッチーなAORテイストが増しており、一般向けに聴き易くなっている。
伸びやかなVOLGYESSYさんの歌声が素晴らしく、しっとりと耳に優しく響きます。
メロディアス度・・8 プログレ度・・5 女性Vo度・・9 総合・・8
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Yesterdays 「Holdfenykert」
ハンガリーのシンフォニックロックバンド、イエスタデイズの2007作
美しいフルートの音色に、メロトロン、しっとりと歌う女性ヴォーカルによる
繊細なシンフォニックロック。アコースティカルな素朴さが耳に優しく
女性奏者の吹くたおやかなフルートにメロトロンが重なると、もううっとりだ。
同郷のシンフォバンド、YOU AND Iの元メンバーがいるというのもうなずける。
リリカルかつやわらかな音で聴かせる繊細系シンフォニック作。
シンフォニック度・・7 繊細度・・9 女性Vo度・・8 総合・・8
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KORMORAN 「Magyarnak Lenni Hivatasunk」
ハンガリーのトラッドロックバンド、コルモランの2005作
結成30年にも及ぶベテランバンドで、早くからハンガリアントラッドと
ロックサウンドを融合させた、独自の音楽性を確立していた。
今作も、おそらく伝統曲をベースにしてアレンジしたトラッドロックで
ヴァイオリンやパイプが鳴り響き、母国語の女性ヴォーカルが歌いあげる。
ギター、シンセ、ドラムが加わると、シンフォニックロックとしての醍醐味も味わえ
メロディにはキャッチーな大衆性もある。そのパランス感覚も含めて見事な出来だ。
メロディアス度・・9 トラッ度・・8 東欧度・・10 総合・・8.5
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PAATOS 「KALLOCAIN」
スウェーデンのシンフォニックロックバンド、パートスの2nd。2004作
ANGLAGARDWHITE WILLOWらと比べられ話題を呼んだ前作につづく作品である。
やはり前作に感じられた70年代風のやわらかみと、北欧独自の薄暗さはそのままに、
今回は女性ヴォーカルの歌唱を前に押し出した、アンビエントな部分が加わっている。
プログレといわれるともの足りない気はするが、このしっとり路線も悪くはない。
効果的に使用されるメロトロンも良い。女性Voものゴシック風プログレとしてはなかなかの傑作。
シンフォニック度・・7 薄暗度・・8 女性Vo度・・8 総合・・8
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WHITE WILLOWSignal to Noise
ノルウェーのシンフォニックロックバンド、ホワイト・ウィローの5th。2006作
アルバムごとにメンバーが変わり、方向性も変化しているこのバンドだが、今回もヴォーカルを代えてきた。
前回までのゴシックメタル風味を保ちつつもよりアンビエントな歌唱を聴かせる女性Voとともに、
絡みつくような色香が音にある。明快なフレージングでアクセントをつけるギターや、もの悲しいフルートの音色も効果的で、
サウンドにはノルウェーのバンドだけにかもし出せるメランコリックな叙情性が溢れている。
曲ももちろん良いが、雰囲気ものとしても過去最高の出来で、新Voの表現力も実に素晴らしいし、
シンセのアレンジなども、嫌味でない位のモダンさの同居に成功していて、作品の完成度を高めている。
シンフォニック度・・8 北欧度・・9 女性Vo度・・9 総合・・8.5
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SPEKTRUM
GALLEONCROSSGRAND STANDなどのメンバーたちによるスペクトラムの2003作
ややハードめのギターに、シンフォ系のキーボード、そして女性ヴォーカルで聴かせる
メロディアスシンフォで、THE FLOWER KINGあたりにも通じる質感のあるサウンド。
楽曲は全体的に爽やかで、裏表のない素直な分かりやすさがあり、
いかにも90年代以降の典型的シンフォニックロックといった印象。
メロウなギターワークにこれでもかというハンセが合わさり、ハスキーな女性声とともに、
やや地味めのGALLEONあたりより、むしろ突き抜けたキャッチーさがあって良い。
シンフォニック度・・8 メロディアス度・・8 女性Vo度・・8 総合・・7.5

THE SMELL OF INCENSE 「OF ULLAGES AND DOTTLES」
ノルウェーのフォーク・ロックバンド、スメル・オブ・インセンスの2nd。2008作
なんと前作から10年ぶりのアルバムとなる。なんとも童話ちっくなジャケが可愛いが、
サウンドの方もメロトロンやハモンドの音色をバックに、サイケがかったギターが絡み
そこにやわらかな女性ヴォーカルが牧歌的に歌い上げるという美しいもの。
前作よりもずいぶんとキャッチーになり、むしろ70年代プログレ的な雰囲気もあって
たとえばオランダのEARTH AND FIREなどを思い出す雰囲気もある。
田舎的な情緒のシンフォニックロックとしても楽しめる作品だ。
メロディアス度・・8 プログレ度・・7 女性Vo度・・8 総合・・8


*女性ヴォーカルベストセレクト40
*女性ヴォーカル・ケルト/トラッド特集
も併せてご覧ください


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