メタルCDレビュー
~HEAVY METAL CD REVIEW 2018  by 緑川 とうせい

★2018年に聴いたメタルCDレビュー
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4/20
デス&ブラックメタル!(101)


Akercocke 「Renaissance in Extremis」
イギリスのアヴァン・デスメタル、アカーコックの2017年作
2001年にデビュー、2007年までに4作を出して後沈黙、本作は10年ぶりとなる5作目である。
スラッシーなギターリフと低音のデスヴォイスを乗せて激しく疾走、リズムチェンジを含む知的な感触で
テクニカルなデスメタルサウンドを聴かせる。かつてのような暴虐なブラックメタル色はやや薄まったものの、
随所に覗かせるアヴァンギャルドなセンスは健在で、ときにメロディックで叙情的なパートも含んだ
プログレッシブなデスメタルとしても楽しめる。楽曲によってはブルータルなブラスト疾走も残しつつ、
オールドスタイルのデスメタル感触と知的な展開力のバランスがとれた強力なアルバムに仕上がっている。
ドラマティック度・・7 暴虐度・・7 知的デス度・・8 総合・・8 過去作のレビューはこちら
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The Order of Apollyon「Flesh」
イギリスのブラックメタル、オーダー・オブ・アポロンの2010年作
ABORTED、元CRADLE OF FILTH、AKERCOCKEといったバンドのメンバーが集まったバンドで、
ザリザリとしたギターを乗せて激しくブラスト疾走する、荘厳な暗黒性に包まれたブラックメタル。
ヘヴィなギターリフはときにデスメタル的でもあり、低音の吐き捨てヴォーカルを乗せて、
リズムチェンジによる緩急ある展開とともに、迫力たっぷりのサウンドを描いてゆく。
クレイドルのようなシンフォニックな華麗さはないが、硬派なブラックメタルという点では、
MARDUKなどが好きな方にもイケるかと。英国産にしては稀な本格派ブラックの強力作。
ドラマティック度・・7 暴虐度・・8 荘厳度・・8 総合・・8
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HEIMDALLS WACHT 「GEISTERSEHER」
ドイツのブラックメタル、ヘイムダルズ・ワハトの2016年作
2005年にデビューしてから、本作ですでに7作目となる。ツインギターによるトレモロのリフに
迫力ある低音のダミ声ヴォーカルを乗せた、オールドスタイルのブラックメタルサウンド。
ギターフレーズには甘すぎない叙情性も覗かせながら、ブラストを含む激しさと緩急ある展開で、
ブラッケンな空気感を描き出す。中盤はミドルテンポのどっしりとしたナンバーも多いが、
キャリアのあるバンドらしい確かな演奏力が、暗黒性を描くサウンドの説得力となっている。
ラストは14分におよぶ大曲で、激しくブラスト疾走しながら、神秘的なスケール感に包まれた味わい。
ドラマティック度・・7 暴虐度・・7 ゲルマン度・・8 総合・・7.5
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Ave Tenebrae 「Tandis Que Les Perjures Se Meurent」
フランスのブラックメタル、アヴェ・テネブレの2016年作
トレモロを含むメロディックなツインギターにいかにもブラックらしいダミ声ヴォーカルを乗せてブラスト疾走、
緩急のあるリズムチェンジと激しくも叙情的な味わいで、ほどよくプリミティブな世界観を描き出す。
軽すぎず重すぎずというバランスに、曲によっては優雅と言ってよいリズム展開とともに知的な味わいも感じさせる。
ブラックメタルとしての暴虐な激しさの中に、ふっとアコースティックなパートを挿入するなど、
メロディックな叙情性を取り入れたアレンジセンスも見事。フレンチな優雅さに包まれた高品質作。
ドラマティック度・・8 暴虐度・・8 激しくも優雅度・・8 総合・・8
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Cvinger 「Embodied In Incense」
スロベニアのブラックメタル、クヴィンガーの2016年作
コープスペイントを施した凶悪なメンバー4人編成で、ジャケの雰囲気もいかにもダークで怪しげだが、
呪術的な語りによるイントロから、デスメタル的なギターリフと低音デスヴォイスを乗せて、
激しいドラムでたたみかける、BEHEMOTHばりのブルータルなブラックメタルサウンドを展開。
激烈なブラストビートで突進しつつ、リズムチェンジによる展開力には知的な雰囲気も漂わせ、
トレモロのギターやときに神秘的なコーラスを乗せて、荘厳な暗黒の世界を描き出す。
ドラマティック度・・8 暴虐度・・9 暗黒度・・9 総合・・8
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Venhelgd 「Temple of Phobos」
スウェーデンのブラッケン・デスメタル、ヴェンヘルグドの2016年作
ツインギターのトレモロなリフに低音ダミ声ヴォーカルを乗せ、ブラックメタル的なダークさと、
90年代の北欧デスメタルを思わせる、オールドな香りに包まれたサウンドを聴かせる。
激しい疾走パートもあるが、スローからミドルテンポでのどっしりとした感触もよい感じで、
かつてのEdge of SanityEntombedなどにも通じる、くぐもったような空気感と
甘すぎない叙情性も味わえる。古き良き北欧デスメタルの雰囲気を残した強力作。
ドラマティック度・・7 暴虐度・・7 オールドデス度・・8 総合・・8
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Wallachia 「Carpathia Symphonia」
ノルウェーのブラックメタル、ワラキアの2016年作
Disc1には2015年のEPに、1999年作「FROM BEHIND THE LIGHT」のリマスター音源を収録、
Disc2には2009年作「CEREMONY OF ASCENSION」を収録した2枚組。美しいシンセアレンジに
低音ダミ声ヴォーカルを乗せた、どっしりとしたブラックメタルで、暴虐な疾走感はあまりない。
1999年作は、ややラウドな音質とともに、ヨーロピアンなマイナー臭さを強く感じさせるサウンドで、
ザクザクとしたギターはむしろデスメタル寄りなのだが、美麗なシンセがミスマッチな感触で、
シンフォブラック的な味わいもかもしだしている。ヴォーカルのゲボ声は好みが分かれるところか。
2009年作では、アクレッシブな迫力が増していて、メロデス風味のシンフォブラックが楽しめる。
ドラマティック度・・7 暴虐度・・7 マイナーブラック度・・8 総合・・7.5
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Decrepit Birth 「Axis Mundi」
アメリカのテクニカルデスメタル、デクレピッド・バースの2017年作
2003年にデビュー、本作は7年ぶりとなる4作目。強烈なツーバス連打と変則リズムのドラムに、
デスメタルらしいギターリフと低音ゲボ声ヴォーカルを乗せてたたみかける、テクニカルデスメタル。
激しいブラストビートとともにオールドなブルデスの味を残しつつ、スウィープのギターフレーズを乗せたり、
テクデスとしての知的な展開力も備わっていて、緩急のあるじつに濃密な聴き心地である。
ラストのSuffocationカヴァーもハマっていて、モダン過ぎるテクデスが苦手という方にも楽しめる作品だろう。
ドラマティック度・・7 暴虐度・・8 テクニカル度・・8 総合・・8 過去作のレビューはこちら
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EXIST 「SO TRUE, SO BOUND」
アメリカのテクニカルデスメタル、イグジストの2017年作
モダンな硬質感とテクニカル性に包まれた、Djent的なサウンドで、ノーマル&ダミ声ヴォーカルを乗せて、
アヴァンギャルドな浮遊感と知的なアレンジで聴かせる。全体的にデスメタル的な暴虐性よりも、
CYNICのようなプログレッシブなセンスが光っていて、随所にやわらかな叙情性も感じさせる作風だ。
10分前後の大曲も、リズムチェンジを含む緩急ある展開で、Between The Buried And Meにも通じる、
濃密なサウンドを構築する。テクニカルであっても激しすぎないので耳疲れしないのもよいデスね。
ドラマティック度・・7 テクニカル度・・8 知的センス・・8 総合・・8
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Denominate 「Those Who Beheld the End」
フィンランドのデスメタル、デノミネートの2016年作
ツインギターのリフに低音デスヴォイスを乗せて激しく疾走、リズムチェンジを含めてキメの多い、
テクニカルデスメタルで、随所にメロディックなギターフレーズも覗かせる濃密なサウンドだ。
マスタリングをダン・スヴァノが手掛けていることもあり、激しくともヘヴィすぎない音作りには
オールドスタイルの感触もあるが、手数の多いドラムをはじめ、演奏力の高さはいかにも若手らしい。
11分の大曲では、ポストブラック的なモダンな雰囲気も垣間見せる。北欧テクデスの高品質作。
ドラマティック度・・7 暴虐度・・8 テクデス度・・8 総合・・8
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Al-Namrood 「Heen Yadhar Al Ghasq」
サウジアラビアのブラックメタル、アル・ナムロードの2014年作
2009年にデビュー、イスラム発祥の地からの本格派ブラックメタルとして注目され、
4作目となる本作は、いかにもアラビックな旋律を乗せたインスト曲で幕を開ける。
アラビア語の野太いヴォーカルを乗せたダークなサウンドは、打ち込みのリズムも含めて
ブラックメタルとしての激しさは控えめだが、民俗色のあるメロディを含ませたアレンジで
中近東的な空気感はより強まっている。リフレインが多いので耳を惹くような展開はないが、
その分、サイケ的なトリップ感があって、中近東メタルとしての味わいを楽しめます。
ドラマティック度・・7 暴虐度・・6 アラビック度・・8 総合・・7.5 過去作のレビューはこちら
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4/13
ペイガン・ブラック特集!(90)


Solstafir「Berdreyminn」
アイスランドのアヴァン・ブラックメタル、ソルスタフィアの2017年作
2002年にデビュー、ペイガンなブラックメタルにサイケ、ポストロックの要素を加えた独自の作風で、
本作はすでに6作目となる。オルガンが鳴り響き、適度にヘヴィなギターと母国語の武骨なヴォーカルによる
土着的な質感が合わさった、プログレッシブなペイガンメタルでありつつ、70年代的なブルージーな渋みや
オールドロックの感触も加わっている。また今作ではジャケのイメージのように、ゆったりと聴かせる
アンビエントな雰囲気のパートもあり、全体的にもメタルというよりはハードロック寄りの聴き心地である。
反対に、重厚なペイガンメタルを期待するとやや肩透かしか。土着的なサイケメタルとして聴くのが良いかと。
ドラマティック度・・7 ペイガン度・・7 重厚度・・7 総合・・8 過去作のレビューはこちら
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Arstidir Lifsins 「Aldafoor Ok Munka Drottinn」
アイスランドのペイガン・ブラックメタル、アルスティダー・ライフサインズの2014年作
2010年にデビュー、本作は3作めでCD2枚組の大作。ストリングスが鳴り、神秘的な語りを乗せたイントロから、
重厚なギターにダミ声ヴォーカルを乗せ、荘厳でミステリアスなペイガン・ブラックメタルを聴かせる。
激しいブラスト疾走を含む緩急ある流れで、10分前後の大曲を主体に、じっくりと展開してゆくサウンドには、
メロディックな要素や派手さはほとんどないのだが、どっしりとした硬派な作風は迫力たっぷりである。
Disc2にはメタル色のないトラッド的なナンバーもあったりと、寒々しいアイスランドの空気を漂わせる。
単なるブラック、ペイガンの枠を超えた、濃密な土着メタルというべきか。CD2枚、80分を超える力作デス。
ドラマティック度・・8 ペイガン度・・9 重厚度・・9 総合・・8
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ARSTIDIR LIFSINS 「HELJARKVIDA」
アイスランドのペイガン・ブラックメタル、アルスティダー・ライフサインズの2016年作
20分、24分という大曲2曲の構成で、今作もストリングスによるイントロからミステリアスな空気感を漂わせ、
重厚なギターに低音ダミ声ヴォーカルを乗せて激しく疾走する、ペイガンブラックメタルが広がってゆく。
荘厳なコーラスも加わったヴァイキングメタル的な勇壮な世界観と、硬派な土着性に包まれたサウンドは、
MOON SORROWあたりにも通じる本格派の聴き心地。荒涼とした北の大地を感じさせる空気感は、
まさに本物のペイガンメタルの味わいである。なにせ曲が長いので、気の短い方には向かないが、
じっくりと描かれるドラマティックな音の説得力は見事で、世界に浸れるタイプのリスナーには傑作です。
ドラマティック度・・8 ペイガン度・・9 重厚度・・9 総合・・8
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Craving 「By The Storm」
ドイツのヴァイキング・デスメタル、クラヴィングの2016年作
フォーキッシュなイントロから、ツインギターにダミ声ヴォーカルを乗せて激しく疾走、
重厚なヘヴィネスとメロディックな叙情性が合わさったペイガンなメロデスサウンド。
前作よりもヴァイキングなクサメロ感が強まった分、激烈な疾走パートであっても
勇壮なコーラスなども含めたエピックなスケール感が増している。8分を超える大曲もあり、
メロディのフックーやリズムチェンジを含む楽曲の構築性とアレンジの力量も着実にアップした。
ボーナストラックを入れて全78分、迫力たっぷりのヴァイキング・メロデスが味わえる濃密作。
ドラマティック度・・8 暴虐度・・8 ヴァイキングデス度・・8 総合・・8
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FIMBULVET 「HEIDENHERZ」
ドイツのペイガン・ブラックメタル、フィンバルヴェットの2016年作
2006年作「Ewiger Winter」 と2008年作「Der Ruf In Goldene Hallen」をカップリング、ボーナスを加えた2枚組。
フォーキーなギターフレーズにダミ声ヴォーカルを乗せて激しく疾走するペイガンなブラックメタルで、
2006年作は、ややスカスカ感のあるプリミティブなサウンドながら、ゲルマンらしい勇壮さを含んだ聴き心地。
ドイツ語によるダミ声ヴォーカルも独特の味わいで、ほどよく武骨なギターのクサメロ感とともに、
随所にアコースティックパートやノーマル声も含みつつ、ドカドカとしたドラムがB級臭さをかもしだす。
2008年作になると、サウンドにスケール感が加わっていて、激しく疾走パートを含む緩急ある展開力と、
ヴァイキングブラックとしての重厚な迫力に包まれている。ボーナスのリレコーディングVerも良いですね。
ドラマティック度・・7 ペイガン度・・8 ゲルマン度・・8 総合・・7.5
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Heimsgard 「Ordrag」
フランスのペイガンメタル、ヘイムスガルドの2016年作
土着的なツインギターにダミ声ヴォーカルを乗せ、フォーキーなメロディとともに疾走する、
ENSIFERUMなどに通じるサウンド。美麗なシンセアレンジに、優美な叙情を含ませた
緩急ある展開力で、クサメロ感漂う感触とともに高品質なペイガンメタルを聴かせる。
勇壮なコーラスなどヴァイキングメタルとしての幻想性も感じさせつつ、重厚な迫力は薄い分、
あくまでメロディ重視の作風で初心者にも聴きやすいだろう。
メロディック度・・8 ペイガン度・・8 重厚度・・7 総合・・8
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Belenos 「Yen Sonn Gardis」
フランスのペイガン・ブラックメタル、ベレノスの2010年作
デビューは1996年とキャリアのあるバンドで、本作がすでに7作目となる。
トレモロを含んだギターフレーズとダミ声ヴォーカルを乗せて、激しいブラスト疾走を含む緩急のある展開とともに、
エピックなスケール感に包まれたペイガンブラックメタル。ときに美しいヴァイオリンの旋律も現れたり
随所に土着的な叙情性も覗かせながら、ネイチャーブラック的でもあるうっすらとした神秘性も感じさせる。
ヘヴイすぎないほどよくこもり気味のサウンドもよい感じで、ペイガンなブラックメタルとしての魅力たっぷりの力作。
ドラマティック度・・8 暴虐度・・7 ペイガン度・・8 総合・・8
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Belenos 「KORNOG」
フランスのペイガンブラックメタル、ベレノスの2016年作
物悲しいフィドルの音色によるイントロから、重厚なギターリフが重なり、低音のダミ声ヴォーカルを乗せて
ミステリアスなスケール感に包まれた、ペイガンなブラックメタルを聴かせる。激しい疾走パートもありつつ、
スローからミドルテンポでどっしりとした重厚さでもって、ゆったりとした叙情パートなど、緩急ある展開力とともに、
キャリアのあるバンドらしいサウンドの説得力を感じさせる。朗々としたコーラスを乗せた勇壮な雰囲気と
霧に包まれたような音作りが神秘的な空気感をかもしだす。ドラムの高速ブラストもMARDUKあたりに引けを取らない迫力。
12分の大曲も含めて、荘厳でドラマティックな世界観を描く、ペイガン・ブラックメタルの強力作である。
ドラマティック度・・8 暴虐度・・8 ペイガン度・・8 総合・・8
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Thundra 「Angstens Salt」
ノルウェーのペイガン・ブラックメタル、ツンドラの2014年作
2000年にデビューしてから本作で4作目となる。ツインギターにシンセを含む6人編成で、
ややメロデス寄りのギターフレーズに低音グロウルヴォーカルを乗せた、ヴァイキング寄りのブラックメタル。
楽曲は7~9分と長めで、ミドルテンポを主体に、ときおり激しい疾走パートも含ませた、重厚な聴き心地はなかなか悪くないが
ペイガンメタルとしての神秘性やメロディのフックの点ではやや物足りないので、どうしても中庸な聴き心地に留まっている。
全体的に雰囲気は悪くないので、楽曲やメロディ自体にもっと濃密さと魅力が欲しい。
ドラマティック度・・7 暴虐度・・7 ペイガン度・・7 総合・・7.5
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Tsar Stangra(Цар стангра) 「Небесният ковач」
カナダのペイガンメタル、ツアー・スタングラの2017年作
バンド名や曲名がキリル文字になっているのは、ブルガリア系メンバーのバンドということらしい。
うっすらとしたシンセアレンジにツインギターとダミ声ヴォーカルを乗せた、辺境的なペイガンメタルで、
激しすぎない適度な疾走感を含んだ楽曲には、美しいシンセのメロディとともに、
ほどよいクサメロ感を漂わせつつ、マイナーな味わいと神秘的な空気感も感じさせる。
ラストは14分の大曲でブラスト疾走を含む緩急ある展開で、土着的なペイガンブラックが炸裂する。
ドラマティック度・・7 暴虐度・・7 ペイガン度・・8 総合・・7.5
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Sig:Ar:Tyr「Sailing the Seas of Fate」
カナダのペイガンメタル、シグ・アー・ティアの2005年作
波のSEのイントロから、壮大な雰囲気を感じさせるが、アコースティックギターを取り入れた楽曲は
涼やかで神秘的な空気感に包まれた聴き心地。叙情というよりは荒涼とした物悲しさで、
ヴォーカルらしいヴォーカルはほとんど入らず、淡々と物語を描くようなサントラ的な感触でもある。
アコースティックのパートが多いこともあって、重厚なペイガンメタルを期待すると肩透かしだが、
暗黒の海のイメージを想像しながら、茫漠とした寂寥感に浸れるような作品である。
ドラマティック度・・7 ペイガン度・・7 重厚度・・7 総合・・7.5
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Balfor 「Barbaric Blood」
ウクライナのペイガン・ブラックメタル、バルフォーの2010年作
重厚なツインギターにダミ声ヴォーカルを乗せ、エピックなスケール感を漂わせる
デスメタル寄りのプラックメタルサウンド。ブラスト疾走するブルータルな激しさと、
甘すぎない程度のメロディックな叙情も含んだ作風は、演奏面でのクオリティの高さもあって、
辺境臭さをあまり感じさせない。あるいはブラックメタル寄りのメロデスとしても楽しめるかも。
ペイガンな要素や土着的なメロデイはあまりないので、わりと硬派寄りの強力作デス。
ドラマティック度・・8 暴虐度・・8 ペイガン度・・7 総合・・8
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3/31
メタルの春が来た(78)


Iced Earth 「Incorruptible」
アメリカのパワーメタル、アイスド・アースの2017年作
1990年デビューのベテランバンド、12作目の今作は、荘厳なイントロからダークなドラマ性を感じさせ、
メタリックなツインギターにパワフルなヴォーカルを乗せた、正統派のメタルサウンドで、
エピックな勇壮さに湿り気を含んだ適度な叙情性が合わさった、重厚な世界観を描き出す。
新たに加わった、ジェイク・ドレイヤーのリードギターは、随所にメロディックなフレーズも覗かせ、
ミドルからハイトーンまで出せるステュー・ブロックのヴォーカルともよくマッチしている。
個人的にはドラムのモダンな音作りが好きではないのと、楽曲そのものにもっとフックが欲しい気もするが、
全体としてはどっしりと貫録の安心作だろう。ただ、長年このバンドを聴いてきたリスナーには新鮮味は薄いか。
ドラマティック度・・7 重厚度・・8 正統派度・・8 総合・・7.5 過去作のレビューはこちら
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FOGALORD 「Masters of War」
イタリアのシンフォニックメタル、フォガロードの2017年作
SYNTHPHONIA SUPREMAのメンバーを含むバンドの2作目で、エピックなクサメタルが炸裂した前作に続き、
本作もケルティックな雰囲気のイントロから、勇壮なコーラスを含むシンフォニックな美麗さに包まれて、
程よく力弱いヴォーカルを乗せた、クサメロ系のメロディックメタル・サウンドが炸裂してゆく。
ファンタジックな世界観は、BLIND GUARDIANなどを思わせるが、もちろんそこまで重厚ではなく、
微笑ましいマイナーさに包まれているところがこのバンドの魅力だろう。ゆったりとした3拍子の叙情ナンバーや、
疾走するメロスピナンバーまで、日本人好みのクサめのメロディアス性に包まれていて、
ラストの12分の大曲は、ヴァイキングメタルばりの勇壮なドラマ性を描き出す。クサエピックな力作です。
メロディック度・・8 エピック度・・8 クサメロ度・・8 総合・・8 過去作のレビューはこちら
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LONEWOLF 「RAISED ON METAL」
フランスのメロディックメタル、ローンウルフの2017年作
90年代から活動する中堅バンドで、本作がすでに9作目となる。パワフルなヴォーカルと
クサメロ寄りのギターフレーズを乗せて疾走する、オールドなジャーマンメタルスタイルで、
潔いまでの正統派メロパワサウンドににんまりだ。今作ではさらに古き良きメタル感が増していて、
RUNNING WILDACCEPTを思わせるナンバーもあったりと、まるで80~90年代のバンドのよう。
楽曲はあくまでシンプルで、メタルとしての明快な気持ちよさに包まれている。新鮮味はないものの、
エピックな勇壮さも含めて、ドイツのMAJESTYあたりが好きな方にもお薦めのバンドですな。
メロディック度・・7 パワフル度・・8 正統派度・・9 総合・・8 過去作のレビューはこちら
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WITHERFALL 「Nocturnes and Requiems」
アメリカのプログレッシブ・パワーメタル、ウィザーフォールの2017年作
ジェイク・ドレイヤー(元Kobra and the Lotus)、ジョセフ・マイケル(White Wizzard)、アダム・サガン(White Empress)
といったメンバーが集結したバンドで、ヘヴィなギターリフをテクニカルなリズムに乗せたプログレメタル感触に、
パワフルなヴォーカルの歌声で聴かせる、ダークなパワーメタルを融合したサウンド。スラッシーな疾走パートや
薄暗い叙情性も覗かせる知的な展開力で、重厚なサウンドは「テクニカルになったICED EARTH」という感じもある。
表現力のあるハイトーンヴォーカルとともに、8分、9分という大曲をじっくりと構築してゆく。聴きごたえのある力作だ。
尚、ドラムのアダムはアルバムの発表を待たずに、2016年に悪性リンパ腫で他界したそう。R.I.P.
ドラマティック度・・8 パワフル度・・8 重厚度・・8 総合・・8
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ANKOR 「Beyond The Silence Os These Years」
スペインのメロディックメタル、アンコールの2017年作
前作はメタルコア的なモダンさとキャッチーなメロディアス性が合わさったなかなかの好作であったが、
3作目となる本作も、キュートな女性ヴォーカルの歌声を乗せ、モダンでメロディックなサウンドを聴かせる。
伸びやかな歌声のジェシーは、ときにスクリームヴォイスも使い分け、その表現力を遺憾なく発揮、
マイルドな男性ヴォーカルも随所にアクセントになっている。楽曲は3~4分前後と、全体的にコンパクトで
キャッチーな聴き心地にも磨きがかかっている。個人的には女性のスクリームは苦手なのだが、イケる方はどうぞ。
メロディック度・・7 モダンヘヴィ度・・8 女性Vo度・・8 総合・・7.5 過去作のレビューはこちら
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ENZO AND THE GLORY ENSEMBLE 「IN THE NAME OF THE SON」
イタリア人ミュージシャン、エンゾ・ドナルマによるクリスチャン・メタルオペラ・プロジェクト、2017年作
マーティ・フリードマンをはじめ、ラルフ・シーパーズ(PRIMAL FEAR)、コビ・フールヒ(ORPHANED LAND)、
マーク・ゾンダー(FATES WARNING)、ゲイリー・ワーカンプ、ブライアン・アシュランド(SHADOW GALLERY) らが参加、
シンフォニックなアレンジとゴスペル的なコーラスも含んだ、優美なクリスチャンメタルの感触に、
オルファンド・ランドあたりにも通じる、アラビックな香りに包まれた壮麗なサウンドを描いてゆく。
女性ヴォーカルも加わったオペラティックなナンバーや、メロパワ的な疾走ナンバーから、
9分を超えるドラマティック大曲まで、なかなかメリハリのある構成で楽しめます。シリーズ化に期待。
シンフォニック度・・8 クリスチャン度・・9 壮麗度・・8 総合・・8
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MARIUS DANIELSEN'S LEGEND OF VALLEY DOOM
ノルウェーのミュージシャン、マリウス・ダニエルセンによるシンフォニックメタルオペラ。2015年作
ヴォーカルには、ティム・リッパー・オーウェンズ、エドゥ・ファラスキ(元ANGRA)、マーク・ボールズ、ヨナス・ヘイドガート(Dragonland)
エリサ・マーティン(元Dark Moor)他が参加、ギターには、クリス・カッフェリー(Savatage)、ティモ・トルキ、ロス・ザ・ボス、
トビ・カースティング(Orden Organ)、ジミー・ヘドランド(Falconer)、オリヴァー・ラパウゼ(Heavenly)、フェリペ(Twilight Force)他、
ベースには、マイク・レポンド(Symphony X)他、ドラムには、アレックス・ホールズワース(Rhapsody of Fire)他が参加、
壮麗なイントロから、メロディックなギターを乗せて疾走、エピックなスケール感で描かれる、RHAPSODYばりのシンフォニックメタル。
なにしろゲストが多すぎて、誰がどこで歌って、弾いているのかも分からないが、疾走するメロスピ寄りのナンバーが多いので、
この手が好きな方はニンマリであろう。ともかく世界各国のメンバーが集結した、AVANTASIAのような豪華プロジェクトである。
シンフォニック度・・8 疾走度・・8 豪華ゲスト度・・9 総合・・8
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SOULSPELL 「Hollow's Gathering」
ブラジル人のドラマー、エレノ・ヴァーリを中心にしたメタルオペラプロジェクト、ソウルスペルの2012年作
3作目となる本作も、ティム・リッパー・オーウェンズ、マイク・ヴェセーラ、アマンダ・サマーヴィル、イウリ・サンソン(HIBRIA)
ブレイズ・ベイリー(元IRON MAIDEN)、ナンド・フェルナンデス(HANGAR)、マリオ・パストーレ(PASTORE)、
マーカス・グロスコフ(HELLOWEEN)をはじめとした大勢のメンバーが参加、女性ヴォーカルを乗せた美しいイントロから、
きらびやかなシンセとともに疾走する派手やかなサウンドで、実力あるヴォーカルたちの歌声を乗せた、
壮麗なシンフォニックメタルが広がってゆく。過去2作以上に楽曲のダイナミックなスケール感が増していて、
男女ヴォーカルを含んだ華やかな聴き心地とともに、ドラマティックなメタルオペラが楽しめる。3作目にして最高傑作。
シンフォニック度・・8 壮麗度・・9 豪華ゲスト度・・9 総合・・8 過去作のレビューはこちら
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Adramelch「Opus」
イタリアのエピックメタル、アドラメルクの2015年作
デビューは80年代というベテランで、2005年に復活してからの3作目となる。
メロウなギターにマイルドなヴォーカルを乗せた叙情的なハードロックという感触で、
かつてのようなエピックメタルの面影はやや薄まり、大人の味わいに包まれている。
一方ではツインギターの湿り気を含んだ旋律には、幻想的な味わいも残していて、
うっすらとしたシンセアレンジとともに、じっくりと聴かせる耳心地の良さに包まれている。
メタリックな部分は少ないものの、メロディックな叙情のドラマティックハードというべき好作品。
ドラマティック度・・8 エピック度・・7 大人の叙情度・・8 総合・・8 過去作のレビューはこちら
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Antonello Giliberto 「Journey Through My Memory」
イタリアのミュージシャン、アントネロ・ジルベルトの2015年作
ギターとシンセをこなすミュージャンで、ドラム、ベースを加えた編成で聴かせる、インストによるメロディックメタル。
ネオクラシカル色もある流麗なギターワークを乗せて、程よい疾走感に包まれたサウンドは、
歌無しの正統派メロスピという感じで、日本のGaia Preludeなどにも通じる雰囲気もある。
ベースとドラムの腕前もかなりのもので、ギターのフレーズにもクサメロ的なセンスを感じさせるので、
オールインストであってもシンフォニックなシンセアレンジも含めて、メロディと展開力で飽きさせない。
メロディック度・・7 インストメタル度・・9 ギターワーク度・・8 総合・・7.5
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Ghost City 「Tragic Soul Symphony」
イタリアのメロディックメタル、ゴースト・シティの2015年作
シンセを含む5人編成で、美麗なアレンジにハイトーンヴォーカルを乗せた、ややダーク寄りのシンフォニックメタルサウンド。
疾走するメロスピ風味のナンバーもあるが、むしろミドルテンポやスローナンバーでの、じっくりと聴かせる叙情美に
味があるような気がする。ヴォーカルの力量と表現力はそれなりにあるので、B級臭さはあまり感じないが、
メロディのフックという点ではどの曲も「あと一歩」感に包まれている。ラスト曲のクラシカルな感触はなかなか良いので、
今後は、楽曲そのものの魅力とともに、突き抜けるようなインパクトのあるナンバーを増やしい欲しい。
ドラマティック度・・7 疾走度・・5 重厚度・・7 総合・・7.5
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Axe Vyper 「Angeli O'acciaio」
イタリアのメロディックメタル、アックス・ヴァイパーの2011年作
ジャケからしてもう「聖闘士星矢」のパクりみたいなB級臭さがぷんぷんであるが、
メロディックなツインギターにイタリア語のヴォーカルを乗せた正統派のメタルサウンドで、
適度なヘナチョコ感とクサメロ要素を含んでいて、これがなかなか悪くないのである。
80~90年代的なオールドなクサメタル感触と、イタリア語による響きがマッチしていて、
正統派のB級メタルとして普通に楽しめる。Heavy Loadのカヴァーも含めて、マニアにんまり。
メロディック度・・8 正統派度・・8 古き良き度・・8 総合・・7.5
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Sunrunner 「Heliodromus」
アメリカのNWOTHM系メタルバンド、サンランナーの2015年作
トリプルギター編成による、厚みのあるギターにダーティなヴォーカルを乗せて疾走する、
オールドな味わいのメタルサウンド。アコースティックなパートや、ドゥームメタル風味もあったりと、
楽曲ごとの振り幅もけっこうあって、確信犯的なアレンジの違いをニヤりとして楽しめたりもする。
プログレメタル的な変則リズムも覗かせたと思えば、80年代風味のオールドメタルへ戻ったりと、
とりとめのない怪しさがある意味面白い。B級っぽいのだが、あえてヘタウマ感を描くような感触。
ラストは21分の大曲で、ほどよいヘナチョコ加減とともに、無駄に展開の多い楽曲を構築する楽しさ。
ドラマティック度・・7 古き良き度・・8 怪しさ度・・8 総合・・7.5
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3/17
ペイガン、ブラック、ドゥームにサイケ!(65)


ENSLAVED「E」
ノルウェーのプログレッシブ・ブラックメタル、エンスレイヴドの2017年作
90年代初頭から活動する、ヴァイキング・ブラックメタルの元祖ともいわれるベテランバンド、
本作はいつになく優雅なポストプログレ的な叙情に包まれてゆったりと始まる。
うっすらとしたシンセにノーマルヴォイスとダミ声が絡み、リズムチェンジを含む展開力には
知的でプログレッシブな香りがぷんぷん。もちろんブラックメタルとして激しさも随所に残していて、
荘厳でミステリアスな空気を、緩急ある楽曲の中に自然に融合させるセンスは素晴らしい。
7~10分の大曲を中心に、じっくりと構築される楽曲は、オルガンを含むシンセアレンジや、
変拍子リズムなど、ぐっとプログレリスナー寄りの作風といえる。この路線は大歓迎です。
ドラマティック度・・8 暴虐度・・6 プログレ寄りです度・・9 総合・・8 過去作のレビューはこちら
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CRIMFALL 「AMAIN」
フィンランドのシンフォニック・ペイガンブラックメタル、クリムフォールの2017年作
6年ぶりとなる3作目で、壮麗なイントロから始まり、オーケストラルなアレンジに女性ヴォーカルの歌声に
男性デスヴォイスが絡む、シンフォニックなペイガンメタルサウンドは、さらにエピックかつ壮大なサウンドに。
ヴァイキングメタル風味の土着的な感触もいくぶん残しつつ、RHAPSODYあたりを思わせる勇壮なクワイアとともに、
今作ではシンフォニックメタルとしてのシネマティックなスケール感にいっそう磨きがかかっている。
4パートに分かれた16分を超える組曲は、しっとりとしたフォーキーな叙情やキャッチーなメロディアス性も含む、
メリハリある構築力でじっくりと聴かせ、映画「ランボー」のテーマ曲も、シンフォニックなバトルメタルになっていて
これが案外ハマっている。TURISASあたりが好きな方にも対応。壮麗なるエピック・ペイガンメタルの傑作。
ドラマティック度・・8 ペイガン度・・7 壮麗度・・9 総合・・8 過去作のレビューはこちら
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Vinsta 「Wiads」
オーストリアのペイガン・ブラックメタル、ヴィンスタの2017年作
適度にヘヴィかつメロディックなギターに低音デスヴォイスを乗せ、ミドルテンポ主体で聴かせる、
ヴァイキングメタル寄りのペイガンブラック・サウンド。アコースティックギターやヴァイオリンなどによる
優雅な叙情性も織り込みつつ、随所に激しい疾走パートも含んで、8~10分という大曲を描いてゆく。
フォーキーな土着性は薄い分、ペイガンメタルとしての濃密さではやや物足りないのだが、
ツインギターの流麗な旋律にヴァイオリンが鳴り響く、叙情豊かなナンバーはなかなかよろしい。
もう少し重厚な迫力と神秘性が加わればよい作品を作ってくれそう。美しい自然のジャケはよいですね。
ドラマティック度・・7 ペイガン度・・7 重厚度・・7 総合・・7.5
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Fornhem 「Ett Fjarran Kall」
スウェーデンのペイガン・ブラックメタル、フォルンヘムの2017年作
荒波のSEから始まり、土着的なギターフレーズにダミ声ヴォーカルを乗せたミドルテンポのサウンドで、
かつてのBATHORYBURZUMを受け継ぐような、ローカルな空気感も漂わせるペイガン・ブラックメタル。
10分を超える大曲を中心にした全4曲という構成で、わりとリフレインの多い、悪く言えば単調な感じなのだが、
激しい疾走ナンバーでも暴虐過ぎず、手数の少ないドラムやくぐもった音質も含めて、むしろ心地よかったりもする。
北欧らしい牧歌的なフレーズや、トレモロのギターを乗せた叙情性に、ときにアコースティックなパートもまじえ
物悲しい叙情と翳りを含んだサウンドをゆったりと楽しめる。ほどよいスカスカ感のオールドな味わいがGoodです。
ドラマティック度・・7 暴虐度・・7 北欧度・・9 総合・・7.5
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DER WEG EINER FREIHEIT 「Finisterre」
ドイツのブラックメタル、ダー・ヴェグ・エイナー・フレイヘイトの2017年作
ドイツ語による語りから始まり、トレモロのギターリフとともにブラスト疾走開始、
そこに乗るダミ声ヴォーカルもドイツ語のようで、適度にメロディックなフレーズも織り込みながら
アトモスフェリックかつゲルマンなブラックメタルサウンドを聴かせる。暴虐な疾走パートをメインに、
ゆたりとした叙情パートを含む、緩急あるリズムチェンジとともに、10分を超える大曲を構築してゆく。
ストリングスも鳴り響くラスト曲のメランコリックな味わいも含めて、激しくもミステリアスで、
どこか知的な香りを漂わせたアレンジセンスは見事。今後もさらに期待したいバンドである。
ドラマティック度・・8 暴虐度・・8 構築度・・8 総合・・8
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SUN OF THE SLEEPLESS 「To the Elements」
ドイツのブラックメタル、サン・オブ・ザ・スリープレスの2017年作
EMPYRIUMのUlf Theodor Schwadorfによる個人プロジェクトで、ジェントルなヴォーカルを乗せたイントロ曲から、
続く2曲目は激しくブラスト疾走、トレモロのギターリフにダミ声ヴォーカルを乗せた、わりとオールドなブラックメタルで、
随所にシンセによるアレンジも含んだ叙情性も覗かせる。ギターのフレーズには適度にペイガンな土着性を匂わせ、
それがミステリアスな味わいとなっている。楽曲も7~8分前後が中心で長すぎず、全41分というのも聴きやすい。
アコースティックを取り入れた、得意のフォーク風ナンバーもよろしく、神秘的なネイチャーブラックとしても味わえる。
ドラマティック度・・8 暴虐度・・8 ミステリアス度・・8 総合・・8
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TENGGER CAVALRY 「Die on My Ride」
中国出身のペイガン・フォークメタル、テンガー・カヴァリーの2017年作
前作はリーダーのNature氏によるソロ作品という内容であったが、活動をアメリカに移し、
今作は新たにアメリカ人メンバーを含む編成となった。モリン・ホール(馬頭琴)の素朴な音色に
ヘヴィなギターが重なり、朗々としたヴォーカルを乗せた、アジアンなペイガンメタルは健在。
楽曲は2~3分前後とわりあいシンプルで、適度に激しさもあるのだが、ドゥーム寄りのスローテンポや、
モリン・ホールにイギルが鳴り響くアコースティックなナンバーなど、全体的には勢いは抑え目か。
ヴォーカルは英語なのだが、ホーミーに通じる唸るような独特の歌い方は、やはりモンゴル的でもある。
ドラマティック度・・7 ペイガン度・・7 アジアン度・・8 総合・・7.5 過去作のレビューはこちら
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ALUNAH「SOLENNIAL」
イギリスのドゥームメタル、アルナーの2017年作
前作はサバスルーツのオールドなドゥームロックに女性声を乗せた力作であったが、
4作目となる本作は、女性ヴォーカルの歌声を乗せた魔女めいた妖しさに磨きがかかり、
ドゥーミィなギターとともに、カルトな女性声ドゥームとしての強固な世界観を描いてゆく。
楽曲そのものに、これといった目新しさはないのだが、魔女系ロックとしての王道というべき、
重すぎずユルすぎずの聴き心地で、Blood Ceremonyなどが好きな方にも大満足の出来でしょう。
ドラマティック度・・7 ドゥーム度・・8 魔女系ロック度・・9 総合・・8
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ATRIARCH「DEAD AS TRUTH」
アメリカのドゥーム・ブラックメタル、アトリアーチの2017年作
ノイジーなギターに呻き叫ぶようなヴォーカルを乗せた、ダークで怪しい空気に包まれたサウンド。
ゆったりとしたテンポのドゥーム寄りのスタイルながら、モノトーンのような無慈悲な世界観には
ブラックメタル的な暗黒性が充満している。メロディやドラマティックな盛り上がりというのはないが、
テンポチェンジを含む激しい疾走パートもあったりと、全体的に単調過ぎるということもない。
全32分というのが少し物足りないが、暗黒のドゥーム・ブラックを求める方はいかが。
ドラマティック度・・7 ドゥーム度・・8 暗黒度・・9 総合・・7.5
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Bald Anders 「Sammler」
ドイツのサイケメタル、バルド・アンダースの2017年作
やわらかなオルガンのんびりとしたイントロから、メタリックなギターが重なり、ドイツ語のヴォーカルを乗せ、
哀愁漂う浮遊感と適度なヘヴィさが合わさった、ゲルマンなサイケデリック・メタルサウンド。
楽曲にこれという盛り上がりはないのだが、どことなくシアトリカルな世界観には惹かれるものがあり
オルガンやマリンバ、ときにサックスも鳴り響き、ユルめのけだるさと、翳りを帯びた妖しさにのんびりと浸れる。
メタル的な感触はさほど強くないので、サイケでカルトなゲルマンロックとして味わうのがよいかと。
ドラマティック度・・7 サイケ度・・8 ゲルマン度・・8 総合・・7.5
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SABBATH ASSEMBLY 「Rites Of Passage」
アメリカのサイケ・ドゥームロック、サバス・アセンブリーの2017年作
2010年にデビューして本作が5作目。前作からの流れのサバスルーツのオールドなドゥームメタルに
妖しい女性ヴォーカルを乗せた、いわゆる魔女系ロックのド真ん中というサウンドだ。
Kevin Hufnagel (GORGUTS)を含むツインギターのリフやフレーズもさすがのセンスで、
単なるヴィンテージなドゥームという以上に、巧みなメタル感を感じさせる場面もしばしば。
カルトなおどろおどろしさも控えめなので、この手の初心者にも聴きやすいかもしれないが、
反面、ディープなカルトロック愛好者にはちと物足りなさも。普通に好作品ではありますよ。
ドラマティック度・・7 ドゥーム度・・7 魔女系ロック度・・9 総合・・8 過去作のレビューはこちら
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USNEA 「Portals Into Futility」
アメリカのスラッジ・ブラック・ドゥームメタル、ウスニアの2017年作
前作はヘヴィな暗黒ドゥームの強力作であったが、詠唱めいた妖しい歌声で始まる本作も、
スローテンポに重厚なギターリフと絶叫ぎみのヴォーカルを乗せた、フューネラルなサウンドを聴かせる。
このバンドの場合、スペイシーでミステリアスなスケール感を描くところが魅力でもあり、
おどろおどろしい音の説得力という点でも、前作からさらに深化しているという印象だ。
ブラックメタルも顔負けの暗黒性に包まれながら、ラストの19分という大曲では、神秘的な空気感に
ほのかな叙情も垣間見せつつ、スラッジ的な荒々しさも含んだ迫力あるサウンドが味わえる。
ドラマティック度・・8 重厚度・・8 おどろおどろ度・・9 総合・・8
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WITCHFYNDE 「DIVINE VICTIMS」
NWOBHMのカルトバンド、ウィッチファインドの1st~3rdカップリング。2017年作
1980年作「GIVE'EM HELL」、「STAGEFLIGHT」、1983年作「CLOAK & DAGGER」を収録した3枚組ボックス。
Black Sabbathの世界観を継承する、ANGEL WITCHWITCHFINDER GENERALと並ぶ存在だろう。
1stは、70年代の牧歌性を含んだ、わりとノリのよハードロックサウンドであるが、ギターのフレーズなどに
マイナーな湿り気を感じさせるところはいかにも英国らしい。2ndは、音質も含めてサウンドの説得力がぐっと増しつつ
一方ではキャッチーなノリのナンバーもあって、わりと普通に叙情的な英国ハードロックとして楽しめる。
3rdからヴォーカルが交代、独特のハイトーンヴォーカルを乗せた、カルトなサタニックロックとしての味わいもありつつ、
キャッチーな普遍的ハードロックへの接近も感じさせる。通なマニアには必携の3枚組ボックスですな。
ドラマティック度・・7 古き良き度・・9 カルトロック度・・8 総合・・8
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3/10
そろそろ春ですね(52)


Avatarium 「Hurricanes and Halos」
スウェーデンの女性Voドゥームメタル、アヴァタリアムの2017年作
CANDLEMASSのレイフ・エドリングを中心に結成したが、2nd発表後にそのエドリングは脱退、
本作はベースとシンセが新メンバーとなっての3作目である。オルガンが鳴り響き、女性ヴォーカルを乗せた
70年代ルーツのヴィンテージなロック感触はそのままで、適度なノリの良さと妖しさを含んだサウンドを聴かせる。
前作までのカルトなドゥーム感も残しつつ、オールドなハードロックとしてのキャッチーな味わいも増していて、
マニアックすぎない初心者にも聴きやすい作風だろう。一方では9分の大曲でのドゥームとしての重厚さと、
音の迫力、説得力はさすがで、PURSONを骨太にしたような前作をさらに強固なサウンドに仕上げた力作だ。
ドラマティック度・・8 ヴィンテージ度・・8 重厚度・・8 総合・・8 過去作のレビューはこちら
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NE OBLIVISCARIS「URN」
オーストラリアのプログレッシブ・デスメタル、ネ・オブリヴィスカリスの2017年作
アグレッシブな激しさと知的な構築力を合わせたモダンなプログレッシブ・デスメタルを聴かせるこのバンド、
3作目となる本作も、ヘヴィなギターリフを乗せた激しい疾走感に、クリーンヴォーカル&デスヴォイスを乗せ、
重厚な迫力に包まれたサウンドを描き出す。随所にヴァイオリンが鳴り響く優雅な叙情性も覗かせつつ、
テクニカルなリズムチェンジを含むインストパートの知的な展開力は、よりスタイリッシュな聴き心地になった。
一方では、デスメタルとしてのブルータルな激しさもしっかり残していて、メリハリのあるアレンジ力も見事。
ヴァイオリンの活躍が多いので、今作はクラシカルな美意識を強めた感触で、じっくりと聴かせる部分もしばしば。
優雅背な構築力をデスメタルサウンドと巧みに融合させた、まさにハイブリッドなプログレデス強力作です。
ドラマティック度・・8 重厚度・・9 構築度・・9 総合・・8.5 過去作のレビューはこちら
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Eluveitie 「Evocation II - Pantheon」
スイスのフォークメタル、エルヴェイティの2017年作
タイトル通り、2009年作の続編で、メタル要素のないケルト/フォークロック寄りの作品。
アコースティックギターにホイッスル、バグパイプ、フィドルにハーディ・ガーディなどの素朴な音色に
女性ヴォーカルを乗せた優美なフォークロックサウンド。エレキギターは使われていないのだが、
躍動感あるドラムに、多数のアコースティック楽器を乗せた音の厚みと説得力はさすがというところ。
2~4分前後の小曲をメインに、SEや語りなどを挿入しながら、コンセプト的な流れで連なる構成もよいですね。
ファビエネ嬢の歌唱の表現力も含めて、メタルに疲れた耳にはうってつけの幻想フォークロックの傑作。
ドラマティック度・・8 メタル度・・5 フォークロック度・・9 総合・・8 過去作のレビューはこちら
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WINTERSUN「The Forest Seasons」
フィンランドのペイガンメタル、ウインターサンの2017年作
ENSIFERUMのJARI MAENPAA率いるバンドで、3作目となる本作は、タイトル通り、森の四季を描いた、
それぞれが12~14分の大曲を連ねた四部構成のアルバム。美麗なシンセアレンジにダミ声ヴォーカルを乗せ、
流麗なギターフレーズとともに聴かせるサウンドは、暴虐さよりもミドルテンポを主体にした味わいで、
ARCTURUS
にも通じる知的な構築力が光っている。ときにフォーキーなメロディも覗かせつつ、
アルバム後半の「秋」には、ブラスト疾走も含んだシンフォニック・ブラックメタルとしての激しさも現れる。
ラストの「冬」のメランコリックな味わいもよいですね。北欧らしい寒々しい空気感を描く力作です。
ドラマティック度・・8 暴虐度・・7 美麗度・・8 総合・・8 過去作のレビューはこちら
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Wolfhorde 「Towards the Gate of North」
フィンランドのフォーク・メロデス、ウルフホードの2016年作
シンフォニックで優美なイントロから始まり、土着的な旋律にダミ声ヴォーカルを乗せて疾走開始、
フィンランドのバンドらしいきらびやかなシンセアレンジに、知的な構築力も覗かせるサウンドだ。
古き良きメロディックデスメタルの感触と、フォーキーなクサメロが合わさったスタイルは、重すぎず激しすぎずと
適度な聴きやすさがあって、フォーク化したチルボドという感じで初心者にもライトに楽しめるだろう。
反面、フォークメタルとして土着的な神秘性というものは薄く、メロデスとしても魅力が物足りない気もする。
今後は楽曲におけるメロディのフックや、アレンジの質を高めていってもらいたい。
ドラマティック度・・7 疾走度・・7 フォーキー度・・7 総合・・7.5
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Darkestrah 「Turan」
キルギスタンのペイガン・ブラックメタル、ダーケストラの2016年作
前作は女性によるダミ声Voであったが、本作ではすでに脱退していて、ギターとベースも新たに加わっている。
美麗なシンセに包まれた神秘的なイントロから、ツインギターとダミ声ヴォーカルを乗せて激しくブラスト疾走、
シンフォニックかつ幻想的なペイガン・ブラックメタルを聴かせる。ときにヴァイオリンも鳴り響く優雅な感触と、
ブラックメタルとしてのプリミティブな土着性と迫力が合わさって、激しくも美しいサウンドを描き出す。
9分、10分という大曲を主体に、スローパートも含んだ緩急ある展開力でドラマティックに聴かせるところは
さすが6作目というキャリアである。シンフォブラックとしての音の厚みも前作以上。説得力十分の力作だ。
ドラマティック度・・8 ペイガンブラック度・・9 幻想度・・8 総合・・8
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Folkearth 「Balder's Lament」
多国籍フォークメタルプロジェクト、フォークアースの2014年作
2004年に始まったこのプロジェクトも、すでに10年をかぞえ、すでに12作目となる。
クサメロなギターにダミ声ヴォーカルを乗せて疾走する、アグレッシブなサウンドに
勇壮なコーラスや女性ヴォーカルが加わって、ENSIFERUMあたりにも通じる聴き心地。
随所にアコーディオン、ヴァイオリン、リコーダーなどのフォーキーな音色もアクセントになっていて、
激しくもエピックなスケール感を匂わせる。このシリーズの中でもかなりクオリティの高い部類だろう。
ドラマティック度・・8 ペイガン度・・9 クサメロ度・・8 総合・・8 過去作のレビューはこちら
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Brain Tentacles
アメリカのアヴァン・メタル、ブレイン・テンタクルスの2016年作
YAKUZA、MUNICIPAL WASTE、KEELHAULといったバンドのメンバーが集結、軽妙なリズムに
サックスがフリーキーに鳴り響く、ジャズメタル的なアプローチの異色のインストサウンドを聴かせる。
3~4分前後の小曲を主体に、9分を超える大曲では、シンセも加わっても、どことなくスペイシーで
サイケなスケール感も覗かせる。ギターレスなので、メタル的なヘヴィさは控えめだが、
その分、これでもかとサックスが鳴りまくり、グルーヴィなベースの存在感も際立っている。
曲によってはハードコア的な激しさもあるのだが、やはりサックスのおかげでほどよい脱力感に包まれる。
ドラマティック度・・7 サックス度・・8 アヴァンギャル度・・8 総合・・7.5
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GENTLEMANS PISTOLS 「HUSTLER'S ROW」
イギリスのハードロック、ジェントルマンズ・ピストルズの2016年作
2007年にデビュー、前作はいかにも70年代スタイルの英国ロックであったが、3作目となる本作も
往年のヴィンテージ感に包まれたハードロックサウンドを聴かせる。ブルージーな渋みと、
キャッチーなノリの良さが合わさった感触は、よりシンプルになった分、間口が広がったともいえる。
FIREBIRDのビル・スティアを含むツインギターが、骨太のサウンドを作り出していて、どっしりとした
音の説得力となっている。これという目新しさはないが、心地よくオールドロックに耳を傾けられる。
ドラマティック度・・7 オールドロック度・・8 ブルーズロック度・・8 総合・・8
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Menace Ruine 「Venus Armata」
カナダのサイケ・ドゥームメタル、メナス・ルーインの2014年作
前作はポストブラックとドローンが合わさったような、まさに呪術的な力作であったが、
5作目となる本作も、鐘の音が鳴り響くようなイントロから、魔術的な非現実世界に入り込める。
1曲目は延々と11分間も単調なドローンなのであるが、妖しい女性ヴォーカルの歌声も加わって、
雰囲気モノとしての強固な空気感は素晴らしいというほかない。チャーチオルガンが響きわたる中、
魔女めいた女性声が乗る2曲目などは、JACULAばりにカルトな魔女系サウンドでウットリである。
その後も、秘教的で殺伐として艶めいた、倦怠の魔女系(サイケ)アンビエントが繰り広げられる。
ラストは16分に及ぶ大曲で、ロックもドゥームも超越した、ただただ妖しい聴き心地。もう最高です。
ドラマティック度・・7 妖しげ度・・10 魔女度・・9 総合・・8
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Indian 「From All Purity」
アメリカのドゥームメタル、インディアンの2014年作
ドローン気味のギターリフに、絶叫するヴォーカルを乗せ、邪悪な暗黒性に包まれたスラッジ・ドゥームサウンド。
展開らしい展開というのはあまりなく、6~7分前後の楽曲は、ノイジーなギターと咆哮するヴォーカルによる、
不気味な空気感を味わうという感じで、ノイジーなギターが延々と垂れ流されるナンバーなどもあり、
雰囲気モノが苦手な方にはややツラいかもしれない。迫力あるスラッジに圧殺されたいような方はどうぞ。
ドラマティック度・・7 スラッジ・ドゥーム度・・8 重厚度・・8 総合・・7
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The Vintage Caravan 「Voyage」
アイスランドのヴィンテージロック、ヴィンテージ・キャラバンの2014年作
G&Vo、B、Drというトリオ編成のバンドで、メンバーは若手ながらいかにも70年代的なアナログ感に包まれた
オールドなハードロックをやっている。ドカドカとしたドラムにキャッチーな歌メロを乗せた、LED ZEPPELINにも通じる
骨太のロック感触をまとわせつつ、ときにブルージーで、メロディックなギターのセンスもなかなかのもの。
単なる古めかしいロックというだけでなく、70年代英国的な空気感までも再現するようなセンスと演奏力も見事。
12分におよぶ大曲では、サイケでドゥームな感触も含んだメリハリある展開力で濃密にたたみかける。
ドラマティック度・・8 アナログ度・・8 ヴィンテージ度・・9 総合・・8
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CINQ ELEMENT「Shining」
日本のヘヴィロック、サンク・エレメントの2013年作
2012年にミニアルバムでデビュー、本作は初のフルアルバムとなる。硬質なギターを乗せたヘヴィさと、
女性ヴォーカルの歌声を乗せたキャッチーなメロディアス性が合わさった、わりと聴きやすいサウンド。
Maju嬢のヴォーカルは鼻にかかったようなキュートな声質で、バックのヘヴィさに埋もれがちではあるが、
個人的には嫌いではない。一方、モダンなヘヴィロック風味のナンバーや激しい疾走ナンバーは、
正直、ヘヴィネスと歌とのミスマッチ感があって、舌足らずの彼女の歌声には合っていない気もする。
この路線で行くなら、今後もヴォーカルに対しては厳しい声が付かざるを得ないだろう。
個人的には、無理にメタルにせず、よりメロディックな方向に舵をきってよい気もする。
メロディック度・・7 モダンヘヴィ度・・7 女性Vo度・・7 総合・・7.5
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2/13
春遠からじ(39)


Pain of Salvation 「In The Passing Light of Day」
スウェーデンのプログレッシブメタル、ペイン・オブ・サルヴェイションの2017年作
1997年デビュー、初期のテクニカル路線からしだいに内的な深化をとげ、ここ数作では70年代的な
オールドロックへと傾倒していたが、9作目となる本作はのっけから硬質なギターを乗せたヘヴィなサウンドで、
初期の頃に回帰したようなテクニカル性と、ProgMetalとしての知的な構築センスが蘇ってきている。
物語を語るような、ダニエル・ギルデンロウの表現豊かな歌声を乗せ、メリハリある展開力で大曲を構築しつつ、
一方では、ヴァイオリンやブラスを含んだ叙情性や、ゆったりともの悲しい哀愁を感じさせるナンバーもあって、
コンセプト的な世界観をじっくりと描いてゆく。派手なインパクトがない分、キャリアのあるバンドらしい音の説得力で
ラストの15分の大曲まで、大人の味わいを含んだ重厚なサウンドが楽しめる。ここ数作で離れていたリスナーもチェックです。
ドラマティック度・・8 テクニカル度・・7 大人の哀愁度・・8 総合・・8 過去作のレビューはこちら
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VIPASSI 「SUNYATA」
オーストラリアのテクニカルメタル、ヴィパシーの2017年作
NE OBLIVISCARISのメンバーも参加するバンドで、変則リズムたっぷりのテクニカルなインストサウンドで、
デスメタル的な激しさも含みつつ、Djent系の優雅なアンサンブルとミステリアスな空気感が合わさった聴き心地。
いわゆるヘンタイ系のテクニカルメタルなのだが、アヴァンギャルド過ぎず、ダークな感触を保っている点では
わりと聴きやすい部類だろう。随所に叙情的なパートを含んだメリハリのある知的な展開力も良いですね。
全7曲で、30分という短さだが、濃密なテクニカルメタルという点では、ちょうどよいも長さかも。
ドラマティック度・・7 テクニカル度・・8 ヘンタイ度・・7 総合・・7.5
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Watchtower
「Concepts of Math: Book One」
アメリカのテクニカルメタル、ウォッチタワーの2016年作
80年代に2作を残して消えた、伝説のテクニカルメタルバンドがじつに27年ぶりに復活作を完成させた。
ロン・ジャーゾンベクを含む往年のメンバーが集結、サウンドの方もかつてを思わせる変則リズムと
テクニカルなキメの応酬で、せわしないインストパートとヴォーカルを乗せたヘンタイ気味の感触も往年のままだ。
現在ではこの手のバンドも増えてきているので、もはや新鮮さというのはないのだが、スラッシュメタルをルーツにした
オールドスタイルのテクニカルメタルという点では、じつに楽しい聴き心地。全5曲29分のミニアルバムながら、
軽やかで濃密な聴き心地は、まぎれもなくウォッチタワーそのものだ。フルアルバムの完成に期待したい。
メロディック度・・7 テクニカル度・・8 ヘンタイ度・・8 総合・・8 過去作のレビューはこちら
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Sacred Steel「Heavy Metal Sacrifice」
ドイツのメロディックメタル、セイクレッド・スティールの2016年作
1997年デビュー、すでにキャリア20年におよぶバンドであるが、サウンドの方は変わらぬスタイルで、
ツインギターのリフとハイトーンヴォーカルを乗せて疾走する、古き良き王道のジャーマンメタル。
パワフルすぎず、クサメロ過ぎずという絶妙の聴き心地は、頑固一徹のメタル愛を感じさせる硬派さと、
マイナーな微笑ましさに包まれたB級感触がほどよくブレンドされていて、けっこう心地よいのである。
今作ではミドルテンポのナンバーもどっしりとした味わいで、これまでのヘナチョコ感は払拭されていて、
良い意味でのオールドな90年代スタイルを貫いた、Grave Diggarばりに強力な正統派メタルですよ。
ドラマティック度・・7 正統派度・・8 ジャーマン度・・9 総合・・8 過去作のレビューはこちら
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Neopera 「Destined Ways」
ドイツのシンフォニックメタル、ネオペラの2014年作
男性デス声&ノーマル声、女性Voという3人のヴォーカルを含む編成で、壮麗なシンフォニックアレンジと
男女ヴォーカルを乗せた、THERIONにも通じるサウンド。オペラティックなソプラノヴォーカルの力量もあって、
優雅なスケール感とともに音の説得力もなかなかのもの。適度にモダンなヘヴィネスとクラシカルな美意識が同居して
デス声と女性声の対比によるダイナミズムも含めて、華麗にしてドラマティックな世界観を描いてゆく。
楽曲そのものに新鮮味というのは薄いものの、オペラティックメタルとしての優美な味わいと重厚なスケール感で、
最後までじっくり楽しめるだけのクオリティの高さがある。今後の飛躍に期待大の男女声シンフォニックメタルですよ!
シンフォニック度・・9 壮麗度・・9 セリオン度・・8 総合・・8
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Paco Ventura「Black Moon」
スペインのメロディックメタル、MEDINA AZAHARAのギタリスト、パコ・ヴェンチュラのソロ。2015年作
メディナ・アザーラといえば、1980年デビューの大ベテラン、スパニッシュ・ハードロックの大御所である。
本作は、そのギタリストの初ソロアルバムで、ブルース・キューリック(KISS)、ローランド・グラポウ(HELLOWEEN)、
ジョン・ノーラム、パトリック・ロンダット(ELEGY)、キコ・ルーレイロ(ANGRA)といったギタリストが参加、
スペイン語の歌声にオルガンが鳴り響く、わりとオールドな味わいの様式美ハードロックを聴かせる。
スパニッシュな哀愁を感じさせるメロディセンスと、サウンドの説得力はさすがベテランらしい空気感である。
アルバム後半には、ヨラン・エドマン、ジョー・リン・ターナー、ファビオ・リオーネ(ANGRA)がヴォーカルで参加、
それぞれにパワフルな歌声を乗せた正統派のメタルナンバーが楽しめる。
メロディック度・・8 様式美度・・8 スパニッシュ度・・8 総合・・8
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SHORES OF NULL「BLACK DRAPES FOR TOMORROW」
イタリアのゴシック・ドゥームメタル、ショーズ・オブ・ナルの2016年作
前作はOPETH+Swallow the Sunというような好作たったが、本作もツインギターのリフに
朗々としたヴォーカルを乗せ、メランコリックな味わいの重厚なゴシック・ドゥームを聴かせる。
随所にデス声も加わったダークな迫力と、ギターの奏でる泣きのフレーズとともに、
湿り気のある叙情的な味わいも含んだサウンドで、楽曲の魅力も前作以上の出来である。
どっしりとした重厚さとダークで物悲しい叙情性が同居した、なかなかの好作です。
ドラマティック度・・8 メランコリック度・・8 重厚度・・8 総合・・8
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The Knell 「harm」
イスラエルのゴシック・ドゥームメタル、ネルの2007年作
ツインギターにシンセを含む5人編成で、重厚なギターに囁くような低音ヴォーカルを乗せた、
スローでフューネラルなドゥームメタル。オルガンなどを含むシンセがゴシック的な耽美さをかもしだし、
初期のMy Dying Brideにも通じる、物悲しくメランコリックな空気感が味わえるサウンドだ。
楽曲はほとんどが7~8分前後と長めで、わりと淡々としているので、もう少し荘厳な迫力か、
メロディのフックがあればとは思うが、逆に言えば、これこそがゴシック・ドゥームたるものなのだろう。
ドラマティック度・・7 耽美度・・8 重厚度・・8 総合・・7.5

WitchSorrow 「No Light Only Fire」
アメリカのドゥームメタル、ウィッチソロウの2015年作
2010年デビューで本作が3作目となる。ヘヴィなギターリフを乗せた重厚なサウンドだが、
スロー過ぎないミドルテンポのノリもあって、わりとオールドなメタル感触も感じさせる。
一方ではスローテンポのフューネラルな暗黒性とヘヴィネスは、甘さの無い硬派な空気感を描いていて、
説得力ある音の迫力に包まれている。10分前後の大曲も多いのだが、スローからミドルへのテンポチェンジなどを含めて、
一方調子ではない構築性もあるので飽きさせない。初期のCATHEDRALをより重くしたような力作ドゥームです。
ドラマティック度・・7 ドゥーム度・・9 重厚度・・9 総合・・8
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Mammoth Storm 「Fornjot」
スウェーデンのドゥームメタル、マンモス・ストームの2015年作
DRACONIANのメンバーも参加するバンドで、ドローン気味のギターリフにダミ声ヴォーカルをのせ、
どっしりとした重厚なドゥームメタルを聴かせる。スローテンポのドゥームを主体に、適度に叙情的な部分も覗かせつつ、
ミステリアスな神秘性を含んだスケール感もあって、10分前後の大曲をリフレインとともにじっくりと描いてゆく。
これという新鮮味はないものの、音の迫力と強度が、ドゥームメタルとしての幻想性をしっかりと生み出していて、
繰り返されるリフに耳を傾けながら、しだいにトリップというか、アストラルな気分に入り込めたりするのである。
重厚にして荘厳な空気感に浸れる、これぞドゥームメタル!という力作です。
ドラマティック度・・8 ドゥーム度・・9 重厚度・・9 総合・・8
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ABORYM 「Shifting.Negative」
イタリアのサイバー・ブラックメタル、アボリムの2017年作
1999年にデビュー、かつては元EMPERORのFAUSTやMAYHEMのメンバーが参加していたことでも知られる。
7作目となる本作は、よりエレクトロなアレンジを強めていて、デジタルなシンセに硬質なギターが重なり、
モダンでインダストリアルなサウンドを聴かせる。ブラックメタル的な激しさは薄めで、囁くようなヴォーカルに
ときにメランコリックなフレーズを奏でるギターを乗せた薄暗い叙情性は、むしろゴシックメタル的でもあるが、
一方ではアヴァンギャルドな展開や、知的なアレンジセンスも感じさせ、一筋縄ではいかない。
ドラムが打ち込みなので、激しいブラストパートも暴虐さはさほど感じない。インダストリアルなブラックが好きな方はどうぞ。
ドラマティック度・・7 暴虐度・・6 インダストリアル度・・8 総合・・7.5
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In Flames 「Siren Charms」
スウェーデンのメロディック・デスメタル、イン・フレイムスの2014年作
1994年のデビューから本作で11作目となる。モダンなヘヴィロック調だった前作の流れを汲んだ作風で、
適度にメロディックなギターフレーズとエレクトロなシンセアレンジに、マイルドなヴォーカルを乗せた、
メタルコア風味の聴き心地。楽曲は3~4分前後とシンプルで、曲によってはキャッチーな感触もあって聴きやすく、
スクリームヴォイスを乗せて、かつてのメロデス的なギターリフも現れたりと、単なるヘヴィロックという以上には
クオリティが高いのでわりと楽しめる。ほどよい激しさも含んだモダンなメタルというイメージなら入りやすいかと。
メロディック度・・7 メロデス度・・6 モダン度・・8 総合・・7.5 過去作のレビューはこちら
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2/2
期待の日本産プログレメタル登場!(27)


ALEVAS「Greed of White Lily」
日本のプログレッシブメタル、アリーヴァスの2018年作
2016年に結成された、東京の新鋭プログレッシブ・メタルバンド。テクニカルな展開美とダークな世界観、
随所にクラシカルなオーケストラアレンジに包まれた優雅な叙情性が融合したハイブリッドなサウンド。
モダンでアグレッシブなヘヴィネスと、日本語歌詞による歌声を乗せたドラマティックな聴き心地に加え、
扇情的なフレーズを奏でるギターは、さすが音大出身というメロディのセンスと確かな技巧を感じさせる。
後半の16分の大曲は、プログレッシブなシンセアレンジと変拍子リズムによる、DREAM THEATER風味に、
シアトリカルなヴォーカルを乗せた日本的な情感が合わさって、スリリングな展開力がまた素晴らしい。
メロデイとテクニカルのバランスのとれた、ダークでスタイリッシュな日本産プログレメタル期待の新鋭である。
ドラマティック度・・8 テクニカル度・・8 楽曲センス・・8 総合・・8
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THOR 「Beyond The Pain Barrier」
カナダのヘヴィメタル、ソー(トール)の2017年作
1978年にデビュー、マッチョな風貌で話題となったJon Mikl Thor氏によるプロジェクト。本作は2年ぶりとなる19作目。
名前通り、雷神トールを描いたジャケからしてエピックな雰囲気たが、サウンドの方もほどよくマイナー臭さを残した、
オールドスタイルの正統派ヘヴィメタル。メロスピ的な激しい疾走ナンバーから、ミドルテンポのわりとキャッチーなナンバーまで、
80年代テイストのいたってありがちなメタルサウンドなのがいっそ微笑ましい。Thorのヴォーカルはお歳のわりには頑張っているが、
MANOWARあたりのパワフルさに比べたら、バックのサウンドも含めてアマチュア感がにじみ出てしまっていて、少々つらい。
よっぽどのB級メタルファン以外には薦められないですが、ラスト曲はこれぞエピックメタルというナンバーで救われました。
ドラマティック度・・7 古き良き度・・8 正統派度・・8 総合・・7
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Twilight Force 「HEROES OF MIGHTY MAGIC」
スウェーデンのメロディックメタル、トワイライト・フォースの2016年作
前作もクサメロたっぷりの疾走メロパワの好作であったが、2作目となる本作もきらびやなシンセに、
伸びやかなヴォーカルとエピックなコーラスを乗せて疾走する、キャッチーかつ華麗なメロスピサウンド。
陽性のファンタジー色に覆われた雰囲気は、Power QuestDragonlandなどにも通じるかもしれないが、
こちらはより大仰でシンフォニック、クサいメロディを奏でるギターも含めた濃密さは天晴なほどである。
個性的な部分での新鮮さはさほど感じないが、この爽快な突き抜け方というのは、ファンには歓迎するところだろう。
10分を超える大曲も、とにかく壮麗でクサく盛り上げ、そしてどこまでもファンタジックという。
映画的なストーリー性も含めて、まるでRHAPSODYがメロスピ化したような濃密作ですわ。
シンフォニック度・・9 疾走度・・8 ファンタジック度・・9 総合・・8.5
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MIRACLE FLAIR 「ANGELS CAST SHADOWS」
スイスのシンフォニックメタル、ミラクル・フライアの2016年作
チェロ奏者を含む5人編成で、ヘヴィなギターに女性ヴォーカルの歌声を乗せ、
適度にモダンな感触とキャッチーなメロディアス性が同居したサウンド。
専任のシンセ奏者がいないので、シンフォニックな感触は希薄だが、メタルとしての重厚な味わいと
ヨーロピアンな薄暗い世界観をしっかりと描いている。紅一点、ニコル嬢の歌声は高すぎない中音域で
フェミニンな魅力の点では控えめだが、どっしりとしたバンドのサウンドにはよくマッチしている。
楽曲はすべて3~4分前後で、聴きやすいものの、魅力的なメロディやインパクトのある展開がいまひとつ弱い。
今後はゴシック寄りの質感を強めるのか、メロディを重視するのか、もう少し極端になってもよい気もする。
ドラマティック度・・7 重厚度・・7 女性Vo度・・7 総合・・7.5
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ALARION 「Waves Of Destruction」
オランダのシンフォニックメタルプロジェクト、アラリオンの2016年作
名前からしてAYREONの弟みたいだが、オランダ人ギタリストを中心にしたプロジェクトで、
THRESHOLDのダミアン・ウィルソンをはじめ、イレーネ・ヤンセン、ポール・グランドルフなど、
エイリオン関連のミュージシャンも参加。美しいシンセアレンジとメタリックなギターによる重厚なサウンドに、
ダミアン・ウィルソンを中心にしたパワフルなヴォーカルを乗せた、壮麗なシンフォニックメタルを聴かせる。
シンフォニックハード的な優美な叙情に包まれたナンバーや、女性ヴォーカルを乗せたナンバーなど、
全体的にそこそこ楽しめるのだが、楽曲自体に耳を惹きつけるフックや目新しいインパクトは乏しいので、
どこか物足りなさも感じる。ドラマティックなストーリー性を描くようなスケール感がもっと欲しいですね。
シンフォニック度・・8 壮麗度・・8 楽曲・・7 総合・・7.5
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Pagan's Mind 「Full Circle」
ノルウェーのプログレメタル、ペイガンズ・マインドのライブ。2015年作
すでにキャリア15年を超える中堅バンドで、本作は2014年アメリカ「ProPower Festival」でのステージを2D+DVDに収録。
きらびやかなシンセアレンジと重厚なギターに、パワフルなハイトーンヴォーカルを乗せたサウンドで、
どっしりとした聴き心地はアルバム同様。ProgMetalとしてのテクニカル性や派手な展開はさほどないので、
ミドルテンポの正統派シンフォニックメタルとしても楽しめるが、2パートに分かれた13分の大曲や、
後半の15分の大曲などは、メロディックな叙情性と緩急ある展開のインストパートが魅力的だ。
中堅バンドとしての音の説得力も含めて、合計150分超の濃密なステージでお腹いっぱい。
ライブ演奏・・8 テクニカル度・7 重厚度・・8 総合・・8
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Demon Lung 「A Dracula」
アメリカのドゥームメタル、デーモン・ラングの2015年作
アコースティックで牧歌的なイントロから始まりつつ、ヘヴィなギターリフが重厚に鳴り響き、
けだるげな女性ヴォーカルの歌声を乗せた、重々しいドゥームメタルが広がってゆく。
カルトで妖しい空気感と、メタリックなヘヴィネスが合わさった迫力のあるサウンドで、
神秘的な浮遊感に包まれた聴き心地は、叙情性は控えめながら説得力は十分。
Witch Mountainなどにも通じる、重量感のある本格派ドゥームメタルが楽しめる力作だ。
ドラマティック度・・7 ドゥーム度・・9 重厚度・・8 総合・・8
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Scorpion Child
アメリカのハードロック、スコーピオン・チャイルドの2013年作
アナログ感たっぷりのギターに枯れた味わいのヴォーカルを乗せた、いかにも70年代を思わせる、
ブルージーなハードロックサウンドで、まさしくLED ZEPPELINが蘇ったような聴き心地である。
4~5分前後のわりとシンプルなロックナンバーを中心に、現時点では個性的とは到底言えないが、
オールドロック、ツェッペリンへの愛を感じさせるという点では、その筋のロックファンには受けるだろう。
ラストのゆったりとした叙情ナンバーまで、ブルージーな哀愁に包まれたなかなかの好作品だ。
よりキャッチーで爽快な味わいになって進化&パワーアップする2作目も良いですぞ。
ドラマティック度・・7 古き良き度・・9 ツェッペリン度・・8 総合・・7.5
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Sabbath Assembly 「Restored to One」
アメリカのサイケ・ドゥームロック、サバス・アセンブリーの2010年作
1960~79年代に活動していたカルト教団「The Process Church of the Final Judgment」の思想をテーマにかかげ、
妖しい女性ヴォーカルの歌声を乗せた、Blood CeremonyPURSONを思わせる、ユルめの魔女系ドゥーム。
サイケ・ドゥームロックバンド、Jex Thothのヴォーカルでもある、ジェックス嬢のけだるげな歌声は、
いかにも妖しく倦怠的な空気感で、アナログ感たっぷりのアンサンブルによくマッチしている。
オルガンが鳴り響き、ときに叙情的なギターフレーズを乗せた、ドラマティックな雰囲気もよいですな。
カルトなヴィンテージロックとしても、女性声サイケロックとしても楽しめる。妖しい聴き心地に浸れます。
ドラマティック度・・8 ヴィンテージ度・・8 妖しさ度・・9 総合・・8
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Sabbath Assembly 「Ye Are Gods」
アメリカのサイケ・ドゥームロック、サバス・アセンブリーの2013年作
本作から、HAMMER OF MISFORTUNEWOLVES IN THE THRONE ROOMにも参加したJamie Myers嬢が新たに加入。
妖しい女性ヴォーカルを響かせる、カルトな魔女系サウンドはそのままに、ヴィンテージなドゥーム色が薄れ、
男性声の語りによるシアトリカルな空気感に、チェンバロが鳴り響く、耽美なゴシック感触が強まった。
アコースティカルなゴシックフォーク風のパートから、ハードなギターが加わったメタル質感も覗かせたり、
オルガンが鳴り響くユルめのキャッチーなロック風味もあったりと、今作は案外振り幅が大きいので、
カルトな暗さや迫力はさほど感じないのだが、のんびりと浸れる魔女系ネオフォークとしては良いですね。
ドラマティック度・・7 耽美度・・8 妖しさ度・・8 総合・・8
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Sabbath Assembly
アメリカのサイケ・ドゥームロック、サバス・アセンブリーの2016年作
メタリックなギターと女性ヴォーカルを乗せた、怪しげなゴシック・ドゥームメタルサウンドは、
これまでよりもヘヴィで重厚な作風となった。サバスルーツのオールドスタイルのドゥームメタル感触に
ダークな禍々しさを含んだサタニックでカルトな雰囲気を加え、メタリックな音の説得力がぐっと高まっている。
前作から加入した、Kevin Hufnagel (GORGUTS、DYSRHYTHMIA)の巧みなギターリフが随所に光っていて、
ときにテクニカルですらある演奏も聴きどころ。今作はわりとハードロック寄りのノリのあるナンバーも多く、
むしろ一般のメタルリスナーにも聴きやすいかもしれない。正しく魔女系ドゥームの王道というべき好作品。
ドラマティック度・・8 ドゥーム度・・8 妖しさ度・・8 総合・・8
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Jex Thoth
アメリカのサイケ・ドゥームロック、ジェックス・トースの2008年作
Sabbath Assemblyにも参加した女性Vo率いるバンドで、アナログ感たっぷりのギターに
ハスキーでけだるげな女性ヴォーカルを乗せた、ヴィンテージな魔女系ドゥームロック。
オルガンが加わった妖しい空気感に、ゆったりとしたスローテンポから唐突なリズムチェンジなど、
適度にマイナー臭いB級感もあって、どんよりとした音質も含めて、オールドでカルトなドゥームに浸れる。
ジェックス嬢の歌声は、抜群に上手くはないのだが、いかにも魔女めいた表現力が不思議な魅力となっていて、
このサウンドにはよくマッチしている。適度にサイケなユルサも含めて、わりとのんびり楽しめます。
ドラマティック度・・7 ドゥーム度・・8 妖しさ度・・8 総合・・7.5
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Jex Thoth「Blood Moon Rise」
アメリカのサイケ・ドゥームロック、ジェックス・トースの2013年作
今作もイントロ曲から魔女感たっぷりで、ジェックス嬢の歌声からしてカルトな雰囲気がぷんぷん。
どっしりとヘヴィなリフに、サイケ的な旋律を重ねるツインギター、浮遊感ある女性ヴォーカルを乗せた、
けだるくも妖しいドゥームサウンドには磨きがかかっていて、その世界観にどっぷりと浸れる。
もちろん、ドゥームメタルとしての重厚な迫力もしっかりとあって、オルガンを含むシンセアレンジに加え、
今作では随所にチェロも鳴り響く。ゆったりとした叙情的なナンバーも、表現力を増したジェックスさんの歌声が
幻想的な強度となっていて最後まで楽しめる。これぞ魔女系ドゥームという強力作だ。
ドラマティック度・・8 ドゥーム度・・8 妖しさ度・・9 総合・・8
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The Devil's Blood 「Come Reap」
オランダのサイケ・ドゥーム、デヴィルズ・ブラッドの2009年作
デビュー作となった、5曲入り27分のEPで、アナログ感に包まれたアンサンブルに女性ヴォーカルの歌声を乗せた、
ヴィンテージなサイケハードは、すでに確立されている。ヘヴィ過ぎないギターに、オルガンの音色が合わさり、
ヘタウマな女性声による良い意味でのマイナー臭さが、妖しい魔女系ロックの世界観を描いている。
のちのアルバムのような、プログレ的なスケール感はまだないが、ザラついた音質も含めてBlack Widowなどに通じる、
70年代ルーツの空気感がほどよいユルさになっている。10分を超えるラスト曲では、叙情的なギターも響かせながら
艶めいた女性ヴォーカルも加わって、浮遊感のある妖しくヴィンテージなサイケロックが楽しめる。
ドラマティック度・・7 ヴィンテージ度・・8 魔女系サイケ度・・8 総合・・7.5
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1/5
本年もよろしくお願い致します!(13)


Cradle of Filth 「Cryptoriana」
イギリスのシンフォニック・ブラックメタル、クレイドル・オブ・フィルスの2017年作
1994年デビュー、いまや世界的なエクストリームメタルの代表格ともなったこのバンド。
通算12作めとなる本作は、「ヴィーナスの誕生」をもじったジャケも印象的だが、サウンドの方は、
オーケストレーションを乗せた壮麗なアレンジとともに激しく疾走する、まさにクレイドル節全開。
ダニ・フィルスの絶叫ヴォーカルの迫力も全盛期に迫る迫力で、美しい女性コーラスとの対比で、
まさに美と醜を描き出す濃密な聴き心地である。メロディックなギターが耽美な味わいをかもしだし、
激しくブラスト疾走しながらも優美ですらあるというのは、単なるブラックの域を超えたバンドの世界観であろう。
ときにメロディック過ぎるメイデンばりのツインギターも含めて、初心者にも楽しめる出来でしょう。
むろん、2nd、3rdの頃のクレイドルが好きだった方も必聴。激しくも美麗な傑作デス。
ボーナストラックにANNIHILATORのカヴァーというのは意外だったが、ダニの歌声が案外ハマっている。
ドラマティック度・・8 暴虐度・・8 耽美で壮麗度・・9 総合・・8.5 過去作のレビューはこちら
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Ensiferum 「Two Paths」
フィンランドのヴァイキングメタル、エンシフェルムの2017年作
2001年にデビュー、MOONSORROWらとともに北欧ヴァイキングメタルを代表するバンド。
7作目となる本作も、壮麗なイントロからして、エピックなスケール感を漂わせ、クサメロのギターが加わり、
ダミ声ヴォーカルを乗せた武骨さと勇壮なコーラスとともに、重厚なヴァイキングメタルが広がってゆく。
女性アコーディオン奏者の奏でるフォーキーなメロディも取り入れながら、北欧らしいペイガンな神秘性と
激しくもパワフルなノリにメロディックなフックを同居させたアレンジは、さすがベテランの説得力である。
一方では、壮麗に疾走するナンバーなどは、Equilibriumにも通じるシンフォニックなメロスピ感触で楽しめる。
女性ヴォーカルをフロントにしたフォーキーなナンバーなど、メリハリある構成で最後まで捨て曲なしの傑作です。
ドラマティック度・・8 ヴァイキング度・・8 重厚度・・9 総合・・8.5 過去作のレビューはこちら
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Bifrost 「Mana Ewah」
オーストリアのペイガン・ブラックメタル、ビフロストの2016年作
ツインギターのリフとダミ声ヴォーカルを乗せ激しくブラスト疾走、フォーキーなメロディを盛り込んだ
牧歌的なクサメロ要素と武骨な辺境性が、よいあんばいで合わさった、ペイガン・フォークメタルを聴かせる。
シンセをあまり使わずあくまでギターをメインにしたサウンドで、ブラックメタルとしての激しさを随所に覗かせつつ、
一方では、メロデス的な聴きやすいミドルテンポのナンバーもあって、マニア向け過ぎないのもよろしい。
個人的には、もう少し神秘的なスケール感があればと思うが、ツインギターの叙情メロディをたっぷり含んだ
フォーキーなメロデスというふうにも楽しめる。全体的にもクオリティの高さが光る好作だ。
メロディック度・・8 暴虐度・・7 ペイガン度・・7 総合・・8
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Ex Deo 「The Immortal Wars」
カナダのシンフォニック・デスメタル、イーエックス・デオの2017年作
KATAKLYSMのメンバーを中心にしたバンドで、古代ローマをテーマにした世界観とデスメタルを融合したサウンドで、
前作もなかなかの力作だったが、今作もジャケのイメージ通り、ハンニバルが戦象を率いたアルプス超えやザマの戦いなど
歴史的な場面をテーマにしたコンセプト作。ヘヴィなギターにシンフォニックなアレンジと、デス声ヴォーカルを乗せた重厚なサウンドは、
適度にメロディックな感触も含ませて、正統派メロパワのデスメタル寄りという雰囲気で、ドラマティックな世界観を描き出す。
壮麗な音の厚みと、戦いの場面を思わせるでエピックな勇壮な空気感も素晴らしく、まるで映画の一場面を思い起こさせるような
迫力あるメタルサウンドに引き込まれる。ヴォーカルはデス声ながら、楽曲自体は重ためのシンフォ・パワーメタルという趣なので、
正統派メロパワ好きにも楽しめるかと思う。適度に激しさもあり、前作以上に音の強度を感じる力作です。
ドラマティック度・・8 エピック度・・9 重厚度・・9 総合・・8
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ANCIENT MYTH「ABERRATION:PT」
日本のシンフォニックメタル、エンシェント・ミスの2016年作
日本のフィメール系シンフォメタルの中ではすでに中堅というべき存在で、本作は欧州でのデビュー盤であり、
過去曲のリアレンジを含むベスト盤的な作品。美麗なシンセアレンジとテクニカルなギターを乗せて疾走する、
メロスピ的なシンフォニックメタルで、凛とした女性ヴォーカルの歌声とともに、優雅な美意識に包まれたサウンドは、
デビューから一貫している。初期に比べて演奏力、楽曲アレンジの質が向上し、本作では録音の良さも含めて
ダイナミックな聴き心地が増したことで、世界レベルのシンフォニックメタルとも遜色ないところにまで来つつある。
楽曲も粒ぞろいで疾走曲もたくさん。エンシェント初体験の日本のリスナーも、本作から入るのがよいでしょう。
シンフォニック度・・8 疾走度・・8 優雅度・・9 総合・・8 過去作のレビューはこちら
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WINDZOR 「ACCEPT THE FOLKLORE OF GUARDIAN'S FLAME」
日本のシンフォニックメタル、ウインザーの2016年作
女性Vo、女性シンセ奏者を含む5人編成で、前作は古き良きスタイルの正統派メタルという好作だったが、
本作はのっけから壮麗なイントロで幕を開ける。シンフォニックなシンセアレンジに様式美テイストのギター、
女性にしてはパワフルな声質の英語の歌声を乗せ、ファンタジックな世界観に包まれたサウンドが広がってゆく。
適度な疾走感とオールドな様式美テイストに、シンフォニックな音の厚みを加えたという聴き心地で、
正統派のジャパメタを好む方にも対応。FATIMA HILLをきらびやかにした感じというと分かりやすいか。
全体的にも高品質な作品であるが、突き抜けるようなラーチューンがあれば、さらに飛躍できるだろう。
ドラマティック度・・8 シンフォニック度・・8 女性Vo度・・7 総合・・7.5
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DIVINE WIND 「FRONT CRASH -最前線の激突」
日本のメロディックメタル、ディヴァイン・ウインドの2014年作
まるでアキバ系の同人ソフトのようなジャケが恥ずかしくて一般のメタラーは敬遠する方も多いだろうが、
ネオクラシカルなギターとハイトーンヴォーカルを乗せて疾走する、きらびやかなメロスピサウンドで、
マシンガンのようなドラムはドラフォー以上に速くてびっくりする。音質がラウドなのがいかにも自主制作らしいが、
甲高いハイトーンヴォーカルに、バンドの演奏力もわりとしっかりしていて、ただのアマチュアの域は超えている。
日本語の歌メロはわりと古き良きジャパメタやV系メタルの感触もあって、キャッチーなクサさがわりと楽しめる。
全22曲入り、79分という長さも凄いが、それが定価\1000というのも、まさに同人音楽並みのコストパフォーマンス。笑
メロディック度・・8 疾走度・・9 ネオクラ度・・8 総合・・7.5
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ZDAN「Svietlaja Pamiac, Viecny Spako」
ベラルーシのデプレッシブ・ゴシック・ブラックメタル、ズダーニの2017年作
日本語で幽霊を意味する名をもつというバンド。美しいシンセアレンジに重厚なギターと
泣き叫ぶような女性ヴォーカルの歌声を乗せた、ゴシック的な耽美な世界観と、
絶望的な悲哀が同居したサウンド。美麗なシンセアレンジと、メロウなギターフレーズは
ブラックメタルというよりは、どちらかというとシンフォニック・ゴシックの感触で、
楽曲そのものは展開力はあまりなく、雰囲気モノとしてぼんやりと聴くのがよいのだろう。
ヒステリックに叫びまくる女性ヴォーカルがやや耳障りながら、この路線というのは今までにない、
新しいデプレ・ゴシックといえるだろう。泣き叫ぶ女性声に耳が癒されるか、疲れるかはアナタ次第。
シンフォニック度・・8 ゴシック度・・8 デプレ度・・8 総合・・7.5
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Tomorrowillbeworse 「Down the Road of Nothing」
イギリスのポストブラック、トゥモロウィルビーワースの2013年作
ケノシス氏による個人ユニットで、ノイジーかつヘヴィなギターにダミ声ヴォーカルを乗せ、
ダークで不穏な空気感を描くサウンド。同じく独りポストブラックのCAINAなどに比べると、
疾走する激しさはあまりなく、ずっしりとしたベースとともにデプレッシブな暗鬱さが強めなので、
ブラックメタルの激しさ求める方には向かないが、ドゥーミィな闇に包まれた重厚な作風には、
吸い込まれるような迫力と説得力がある。強烈なインパクトはないものの、ミドルテンポで
メタリックなノリのあるナンバーなど、デプレッシブ初心者にもわりととっつき安い内容かもしれない。
ドラマティック度・・7 暗黒度・・8 重厚度・・8 総合・・7.5
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Kathaarsys 「Verses in Vain」
スペインのペイガン・ブラックメタル、カタールシスの2008年作
女性ベース奏者を含む3人編成で、本作は、ACT I & II に分かれたCD2枚組の大作。
Discは19分、16分、13分、Disc2は15分、20分という、大曲5曲の構成で、語りの入った怪しげなイントロから、
ドゥーミィなギターリフと男性デス声&ノーマルヴォーカルを乗せ、ゆったりとゴシックメタル的に始まりつつ、
しだいにデスメタル的な激しい疾走パートが現れて、フォーキーとまではいかない叙情性も含んだ緩急ある展開力で聴かせる。
随所にブラストするブラックメタル要素もあるのだが、邪悪な暴虐性は薄めで、さりとてペイガンメタルというほどの土着性もないので、
悪く言えばどっちつかずの方向性。曲が無駄に長いわりにはメロディの魅力が乏しいので、盛り上がりにも欠けるという。
大作を作り出した意気込みは買うが、楽曲の練り込みとともに、リフやフレーズひとつひとつの扇情力を高めてもらいたい。
ドラマティック度・・7 暴虐度・・6 叙情度・・7 総合・・7.5
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Yearning 「Frore Meadow」
フィンランドのゴシックメタル、ヤーニングの2001年作
過去2作も耽美派ゴシックの力作であったが、3作目となる本作は、わりとアップテンポな1曲目から、
SENTENCEDあたりにも通じる雰囲気だが、マイルドなヴォーカルを乗せたメランコリックな雰囲気は、
いかにもフィンランドのバンドらしい。ツインギターによる泣きのフレーズにうっすらとしたシンセが合わさり、
メリハリのあるリズムチェンジを含んだ構築力というのは、他のバンドとは一線を画した個性でもある。
重すぎず、暗すぎない世界観に、ときにシンフォニックといってもよいほどの美麗なシンセアレンジも覗かせ、
随所に現れる扇情的でメロウなギターフレーズも、叙情性を好むリスナーにはうっとりであろう。
一転してラスト曲などは、妖しくアンビエントなノイズミュージックで、アヴァンギャルドなセンスも感じさせる。
ドラマティック度・・7 ゴシック度・・8 メランコリック度・・9 総合・・8 過去作のレビューはこちら
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AGORA 「Zona De Silencio」
メキシコのプログレメタル、アゴラの2005年作
ツインギターにシンセを含む6人編成で、きらびやかなシンセにヘヴィなギターと、
スペイン語のハイトーンヴォーカルを乗せ、モダンな構築センスで聴かせるProgMetal。
音質はややラウドながら、演奏自体はテクニカルなアンサンブルとキャッチーなメロディアス性で、
マイナー臭さというのはさほど感じさせない。楽曲も5分前後が中心で、わりとシンプルな作風で、
モダンな雰囲気のナンバーの中、アコースティックを用いたスパニッシュな哀愁を感じさせるパートなどもなかなか魅力的。
メロディと技巧を同居させた厚みのあるサウンドとスタイリッシュな構築力で描かれる、メキシカンな高品質作です。
メロディック度・・8 テクニカル度・・7 スタイリッシュ度・・8 総合・・7.5
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AGORA「Segundo Pasado」
メキシコのプログレメタル、アゴラの2007年作
重厚なツインギターの重なりと美しいシンセアレンジ、伸びやかなスペイン語のヴォーカルを乗せ
適度にテクニカルでキャッチーなProgMetalサウンドで、今作も4~5分前後の楽曲を主体に、
シンプルなノリの良さとメロディックな感触で、随所に知的な技巧性を織り込んだ聴き心地。
ツーバスのドラムがややうるさめではあるが、ツインギターによる叙情的なフレーズと、
きらびやかなシンセによるインストパートも耳心地よく、スパニッシュな歌声が哀愁を乗せる。
全体的にクオリティは高いのだが、あとはドラマティックな大曲などがあればと思う。
メロディック度・・8 テクニカル度・・7 スタイリッシュ度・・8 総合・・7.5
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12/17
バラロスいいっすね!(352)


PARADISE LOST「MEDUSA」
イギリスのゴシックメタル、パラダイス・ロストの2017年作
1990年にデビュー、英国ゴシックメタルの元祖というべきベテランバンド、15作目となる本作は
オルガンによる妖しいイントロから始まり、ヘヴィなギターに低音ヴォーカルを乗せ、ドゥーミィな空気感とともに、
重厚なサウンドが広がってゆく。サウンド的にもアナログ感を感じさせる80年代にレイドバックしたような感触で、
初期の作品を思わせる英国的な翳りと、ほのかな叙情を含んだ、迫力たっぷりのゴシックドゥームを聴かせる。
ニック・ホルムズのヴォーカルも含めて、ベテランならではの音の説得力と世界観の強度が素晴らしい。
ドラマティック度・・8 ゴシックドゥーム度・・9 重厚度・・8 総合・・8.5 過去作のレビューはこちら
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Leprous 「Malina」
ノルウェーのプログレッシブメタル、レプラスの2017年作
2009年にデビュー、EMPERORのイーサーンの義理の弟であるエイナル・スーベルグが率いるバンドで、
前作はプログレッシブな知性とモダンなヘヴィネスを同居させたダーク寄りの力作であったが、
5作目となる本作は、軽妙なアンサンブルにマイルドなヴォーカルを乗せた、ポストプログレ風味の感触で、
薄暗い叙情に包まれたサウンドを聴かせる。メタリックでモダンなヘヴィさも随所にしっかり含ませながら、
オルガンなどを含むヴィンテージなプログレ感触も取り入れていて、古さと新しさのバランスという点でも絶妙だ。
表現力のあるヴォーカルによる歌もの感という点では、Pain of Salvationなどにも通じるかもしれない。
曲によってはダークな雰囲気とともに、Devin Townsendにも通じるスケールの大きな世界観を描き出す。
ヴァイオリンが鳴り響き、物悲しい叙情美に包まれたラスト曲などは、まるで映画のラストシーンのようである。
ドラマティック度・・8 テクニカル度・・7 知的センス・・8 総合・・8 過去作のレビューはこちら
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GALACTIC EMPIRE
映画「STAR WARS」のトリビュートバンド、ギャラクティック・エンパイアの2017年作
トリプルギター編成の5人組で、コスプレに身を包んで、スター・ウォーズの音楽をメタルアレンジするユニット。
映画冒頭でおなじみのメインテーマから始まり、トリプルギターの重ねによるあのメロディには、
多くの方がニヤりとすることだろう。ツーバスのドラムもドカドカとしっかりとメタルしていて、
インストがメインながらも、聞き覚えのあるフレーズをギターが忠実に再現しているので、
マニアでなくてもけっこう楽しめる。確かな演奏力も含めて、本気のギャグっぷりがサイコーです。
作品のファンはもちろん、色モノ系メタル好きもぜひ。はたして2作目はあるのか?
メロディック度・・8 ちゃんとメタル度・・8 スターウォーズ度・・9 総合・・8
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THE DEAR HUNTER「Act IV: Rebirth In Reprise」
アメリカのプログレロックバンド、ディア・ハンターの2015年作
ひとりの少年が成長し大人となり死にゆくまでの人生を描く、壮大なコンセプト作の4作目。
QUEENを思わせるやわらかなヴォーカルハーモニーにオーケストレーションによるイントロ曲から、
映画的な雰囲気を漂わせつつ、やはりCoheed and Cambriaにも通じるキャッチーな優雅さで聴かせる。
今作ではオーケストラアレンジによるシンフォニックな感触や美しいピアノなどのクラシカルな感触も強まっていて、
ロックオペラ的なドラマ性と、エモーショナルロック的なやわらかな耳心地が合わさった世界観に浸ることができる。
メタル感が控えめな分、シンフォニックロックとしても楽しめる。優美で壮麗な全74分の力作です。
ドラマティック度・・9 プログレ度・・7 壮麗度・・9 総合・・8 過去作のレビューはこちら
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THE DEAR HUNTER「Act V: Hymns With The Devil In Confessional」
アメリカのプログレロックバンド、ディア・ハンターの2016年作
全6枚で完結するという、壮大なコンセプト作の5作目。ストリングスアレンジをバックに、
しっとりとしたヴォーカルによる導入部から、ハードプログレ的な優雅なアンサンブルが加わり、
女性コーラスを含むキャッチーなやわらかさと美しいシンセアレンジで厚みのあるサウンドを描いてゆく。
メロディックロックとしての聴きやすさと、プログレらしいリズムチェンジを含む知的な展開力で、
緩急のある流れでドラマティックな空気感を描き出す。曲によってはポップな味わいもあるが、
叙情的なシンフォニックナンバーへつながってゆく、トータルな構成力というのはさすがである。
ドラマティック度・・8 プログレ度・・7 壮麗度・・8 総合・・8
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PELANDER「Time」
スウェーデンのヴィンテージロック、WITCHCRAFTのシンガー、マグナス・ペランダーのソロ。2016年作
ヴィンテージなサイケハードを聴かせるウィッチクラフトに比べて、こちらはアコースティックギターを主体に、
フルートやヴァイオリンが鳴り響き、マイルドなヴォーカルで聴かせる、サイケフォーク風味のサウンド。
北欧らしい涼やかな空気に、サイケ的な浮遊感もしっかり感じさせ、女性ヴォーカルも絡んだ妖しい感触は
70年代のアシッドフォークのようでもある。一方では、英国フォークをルーツにした牧歌的な味わいもあって、
ロック色は薄めなものの、確信犯的なヴィンテージ感という点では、オールドなリスナーなら十分楽しめる。
アコースティック度・・9 サイケフォーク度・・8 妖しさ度・・8 総合・・7.5
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GOAT「Commune」
スウェーデンのサイケロック、ゴートの2014年作
2012年にデビュー、ヴゥードゥ教を広めると標榜する、異色のサイケロックバンド。
オリエンタルなギターフレーズに、アナログ感たっぷりのドラム、妖しい女性ヴォーカルを乗せた
神秘的な浮遊感に包まれたサウンド。適度にユルめのギターのリフレインがトリップ感をかもしだし、
シーケンサー風のエフェクトのかけ方などには、ジャーマンロック的なセンスも感じさせる。
一方ではいかにも土着的なフォーク風味の感触もあったりして、なかなか楽しい。
トライバルな魔女系サイケロックとしても楽しめる。カルトな作品を好む方はいかが。
メロディック度・・7 サイケ度・・8 妖しさ度・・9 総合・・8
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DYSRHYTHMIA 「Psychic Maps」
アメリカのテクニカルメタル、ディスリズミアの2009年作
GORGUTSKRALLICEBEHOLD THE ARCTOPUSなどでも活動するメンバーらによるユニットで、
ドラム、ギター、ベースのトリオ編成で、Djent的なモダンでテクニカルなインストサウンドを聴かせる。
激しいドラムが叩き出す変則リズムと、フリーキーなギターとベースがアヴァンギャルドに絡まりつつ、
こもり気味の音質が、どこか不穏なアンダーグラウンド性と得体の知れぬスケール感をかもしだす。
ギターとベースはゴーガッツのメンバーということもあり、いくぶんダークでデスメタル的な雰囲気も感じさせ、
とてもテクニカルではあるが、硬質過ぎない即興性で、有機的なグルーブ感を描いているのも面白い。
個性的なセンスのギターと超絶なベースの絡みに圧倒され、オールインストであるがスリリングに楽しめる。
アヴァンギャル度・・8 テクニカル度・・8 ミステリアス度・・8 総合・・8
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DYSRHYTHMIA 「The Veil Of Control」
アメリカのテクニカルメタル、ディスリズミアの2016年作
GORGUTSのメンバーらによるバンドで、本作がすでに7作目となる。エクスペリメンタルな空気感を漂わせた
テクニカルなインストサウンドは本作も同様で、浮遊感を感じさせるこもり気味の音質も確信犯的だ。
今作では、ギターワークのヘヴイさを抑えめに、スペイシーで空間的な雰囲気が強まってきていて、
どこか醒めたような知性を漂わせたアンサンブルは、即興性と構築の表裏一体というスリングな冷徹さを描いている。
以前の作品に比べるとアヴァンギャルドな激しさは薄らいだが、トリオ編成によるグルーブと技巧的な音の重ねは、
より洗練された印象だ、全35分というのは少し物足りないが、クールなテクニカルメタルを味わえる異色作である。
アヴァンギャル度・・7 テクニカル度・・8 ミステリアス度・・8 総合・・8
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THE QUIET ROOM 「Reconceive」
アメリカのプログレメタル、クワイエット・ルームの2000年作
ツインギターにシンセを含む6人編成で、ザクザクとしたヘヴィなギターにパワフルなヴォーカルと
美しいシンセアレンジを乗せ、適度にテクニカルなアンサンブルで聴かせる重厚なProgMetal。
楽曲は4~6分前後と長すぎず、DREAM THEATERをよりパワーメタル風にしたという感触もありつつ
ダークなドラマ性と知的な構築力が光る。メロディックなフックやキャッチーな部分での魅力は薄いものの、
テクニックのあるドラムをはじめ確かな演奏力で、どっしりとした説得力のあるサウンドを描きだす。
甘すぎない程度の叙情を、硬質なヘヴィネスで包み込んだ、玄人好みの高品質なアルバムだ。
ドラマティック度・・8 テクニカル度・・7 重厚度・・8 総合・・7.5
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11/24
そろそろ冬の気配(342)


Dimmu Borgir 「Forces of the Northern Night」
ノルウェーのシンフォニックブラックメタル、ディム・ボルギルのライブ作品。2017年作
1994年にデビュー、いまや世界的に人気を博すこのバンド。本作は2011年地元ノルウェー、オスロでのライブで、
オーケストラと合唱隊を伴ってのステージを収録した2CD。生のオーケストらによる荘厳なイントロから、
バンド演奏が加わって、ツインギターにダミ声ヴォーカルを乗せて激しくブラスト疾走、緩急あるリズムに
オケによるシンフォニックな美しさが、暗黒のスケール感をともなって、唯一無二のサウンドを描いてゆく。
音質も抜群で、キャリア20年を超えるバンドとしての構築された世界観の迫力を余すところなく伝えてくれる。
ところで、いまさらながら日本での呼び名が「ボガー」から発音通りの「ボルギル」に変わったのね。
シンフォニック度・・8 荘厳度・・9 ライブ演奏・・9 総合・・8.5 過去作のレビューはこちら
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Elvenking 「The Night Of Nights - Live」
イタリアのフォークメタル、エルヴェンキングのライブ作品。2015年作
2001年にデビュー、現在までに8枚のアルバムを発表している、フォークメタル勢の中でもキャリアのあるバンド。
本作は2015年、地元イタリアでのライブを2CD+DVDに収録。アコースティックなイントロから始まり、
ツインギターにヴァイオリン奏者を含む編成で、キャッチーなクサメロ感と適度なヘヴィさを融合させた、
爽快なフォークメタルを聴かせる。やや線の細いハイトーンヴォーカルも幻想的なサウンドによくマッチしていて、
パワフル過ぎない程よいマイナー感触がまた魅力である。初期からのナンバーも含めた選曲で、2CDに合計25曲を収録。
正直、演奏力は普通なのだが、キャッチーなコーラスも含めた陽性のノリのフォークメタルがたっぷり楽しめる。
メロディック度・・8 フォーキー度・・7 ライブ演奏・・7 総合・・8 過去作のレビューはこちら
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TESTAMENT 「Brotherhood of the Snake」
アメリカのスラッシュメタル、テスタメントの2016年作
1987年デビューの大ベテラン、エリック・パターソンとアレックス・スコルニックのツインギターに、
ドラムはジーン・ホグランという、前作からのメンバーで作られた本作は、ソリッドなギターリフと、
チャック・ビリーのダミ声ヴォーカルを、強力なドラムに乗せてたたみかけるアグレッシブなサウンド。
かつてを思わせる疾走感と、適度にメロディックなテイストを含ませたギターフレーズに、
スラッシュメタルとしての硬質感が合わさり、これぞ現在形テスタメントという聴き心地だ。
突進力とタメを兼ねそろえたジーン・ホグランのドラムもさすがで、モダン過ぎないグルーブ感を作り出し、
ミドルテンポのどっしりとしたナンバーでもベテランらしいリフを乗せた音の説得力で聴かせる。前作同様の力作だ。
ドラマティック度・・7 疾走度・・7 重厚度・・8 総合・・8 過去作のレビューはこちら
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Stardust Reverie 「Ancient Rites of the Moon」
スペインのミュージシャンを中心にした、ハードロックプロジェクト、スターダスト・レヴェリエの2015年作
グラハム・ボネット、ザッカリー・スティーヴンス(SAVATAGE)をはじめ、Diabulus in Musicaのズベロワ嬢、
Visions of Atlantisのメリッサ嬢などが参加、サウンドは王道のHR/HMをルーツにケルト要素などを加えたスタイルで、
グラハムが歌うのは、ミドルテンポのどっしりとしたナンバーで、正直メロディも演奏もややインパクト不足。
メリッサ嬢の美しい歌声にフルートが重なるケルティックなナンバーや、スベロア嬢の歌うケルトメタルナンバーなどは、
わりとよい感じなのだが、シンセアレンジがない分、荒削りなギターが目立ってしまっていてやや残念。
プロジェクトリーダーのセンスの無さが露骨に表れてしまった、いかにもB級じみた楽曲と、ラウドな音質もつらい。
ザッカリー・スティーヴンスのヴォーカルにフルートが絡む、KING CRIMSON風の叙情曲はわりと良かったです。
ドラマティック度・・7 音質・・7 楽曲・・6 総合・・7
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FEN「Winter」
イギリスのポストブラックメタル、フェンの2017年作
ダミ声ヴォーカルにアトモスフェニックなギターを乗せて、タイトル通り、冬を感じさせる寒々しい空気感を描く、
物悲しいサウンド。のっけから17分の大曲で、ギターリフは、エッジの効いたテクニカルな感触も増していて、
わりとプログレッシブな印象も強めつつ、アコースティックパートも含めて随所に叙情的なフレーズも覗かせる。
ブラックメタルとしての激しい疾走パートも含みつつ、暴虐さよりもミステリアスでメランコリックな気配に包まれていて、
トレモロのギターリフなども涼やかな感触だ。Alcestなどに比べると泣きの叙情美は控えめで、甘すぎず、
凍てついた荒涼とした雰囲気。ほとんどが10分を超える大曲で、激しい疾走曲から、ドゥーミィなスローパート、
ラストはシューゲイザーなアンビエントパートも含んでいて、わりと振り幅の広い内容だ。全6曲75分という力作。
ドラマティック度・・7 メランコリック度・・8 冬の叙情度・・8 総合・・8
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CAINA 「HANDS THAT PLUCK」
イギリスのポストブラックメタル、カイナの2011年作
アンドリュー・カーティス・ブリグネル氏による個人ユニットで、今作はザラついたギターリフとダミ声ヴォーカルを乗せて
のっけから激しく疾走、邪悪な気配をまき散らすダーティな空気感に、しだいにスペイシーなスケール感がまとう。
ドラムは打ち込みっぽいのだが、あえてスカスカな音質が、フリミティブなアナログ感をかもし出してていて、
ときにアヴァンギャルドなセンスも感じさせるシンセアレンジが、唸るようなダミ声とともに混沌とした闇を描く。
10分前後の大曲も多く、まともな音楽を好む方には到底薦められないが、単なる自己満足以上の迫力をともなって、
禍々しい得体の知れないモノを大仰に表現しているという点で、ブラックメタルとしての闇と狂気が確かに感じ取れる。
歌声の不気味さも含めてデプレッシブ・ブラックのファンにも楽しめるだろう。Disc2には未発曲や旧曲の新バージョンなどを収録。
ドラマティック度・・8 大仰度・・8 ミステリアス度・・8 総合・・8
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FJOERGYN 「JAHRESZEITEN」
ドイツのプログレッシブ・ブラックメタル、フヨルギンの2009年作
ドイツ語によるダミ声ヴォーカルとノーマルヴォーカルに、シンフォニックなアレンジを乗せて激しく疾走、
緩急ある知的な展開力で聴かせる、SOLEFALDあたりに通じる、プログレッシブ・ブラックメタル。
のちの作品に比べると、ブラストする暴虐な疾走パートがまだ多いのだが、一方では牧歌的でもある
叙情的なパートでは、ゲルマンなシンフォニックメタルの味わいで、優雅でメロディックな聴き心地。
クラシカルな美意識と、ブラックメタルの激しさが同レベルで融合しているという点では稀有な一枚であり、
アヴァンギャルド過ぎないメロディの分かりやすさも含めて、プログレッシブなブラックが好きなら必聴かと。
ドラマティック度・・8 暴虐度・・7 優雅で知的度・・8 総合・・8
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ODIN'S COURT 「HUMAN LIFE IN MOTION」
アメリカのプログレメタル、オーディンズ・コートの2011年作
ヘヴィなギターリフとテクニカルなリズム、中音域のヴォーカルとシンセによるアレンジで聴かせる、
メロディックで重厚なProgMetalサウンド。随所に流麗なフレーズを奏でるギターのセンスもよろしく、
テクニカルな展開力を前に出したスタイルであるが、ゆったりとした歌ものナンバーなど、
繊細な表現力もしっかりとある。楽曲は4~5分前後と長すぎず、メタリックな硬質感と、
キャッチーなメロディアス性をバランスよく融合させていて、メリハリのあるスリリングな聴き心地。
いくぶん混沌とした濃密さと、モダンなヘヴィネスを、知的な構築センスで描く力作です。
ドラマティック度・・8 テクニカル度・・8 重厚度・・8 総合・・8
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ODD LOGIC 「LEGENDS OF MONTA Part II」
アメリカのプログレメタル、オド・ロジックの2009年作
タイトルからして物語的なコンセプトアルバムの2作目なのだろう。美麗なシンセに語りの入ったイントロから、
メタリックなギターリフとテクニカルなリズムによる、ProgMetalサウンド。リズムは打ち込みながら、
きらびやかなシンセアレンジに伸びやかなヴォーカルを乗せ、ドラマティックに構築するスタイルは、
テクニカルなリズムチェンジや展開力も含めて、DTRAM THEATERにも通じる感触がある。
オルガンなども使ったシンセワークや技巧的なギターも、自主制作にしてはなかなかレベルが高く、
CDR作品ではあるが、壮大な物語を描くようなサウンドが楽しめる、全72分の力作だ。
ドラマティック度・・8 テクニカル度・・8 壮大度・・8 総合・・7.5
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ORDINARY MILE
アメリカのプログレメタル、オーディナリー・マイルの2006年作
マルチプレイヤー二人組のユニットで、やわらかなシンセアレンジにマイルドなヴォーカルと、
適度にハードなギターを乗せた、メロウでキャッチーな味わいのハードプログレサウンド。
ドラムは打ち込みなので、リズム的な部分でのスリリングなグルーブはないのだが、
メロディ重視の楽曲はなかなか耳心地よく、キャッチーなProgMetalとしても楽しめる。
一方では印象的なメロディや展開が足りないので、作品全体としてのインパクト不足は否めない。
CDR配給なので、いかにも自主制作といった感じだが、方向性は悪くない。全14曲63分の力作。
メロディック度・・8 テクニカル度・・7 楽曲・・7 総合・・7
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Troubled Horse「Step Inside」
スウェーデンのハードロック、トラブルド・ホースの2013年作
ヴォーカルのマーティン・ヘピッチを中心に、WICHCRAFTのメンバーらと結成したバンドで、
ジェントルなヴォーカルにアナログ感たっぷりのギターで聴かせる、70年代ルーツのハードロックサウンド。
ギターはヘヴィ過ぎず、わりとメロディを奏でているので、ドゥーミィな要素は薄く、むしろガレージロック的で、
歌メロにはJethro Tullや英国フォークルーツの土着性も感じさせ、いくぶんサイケ的なユルさも覗かせる。
ツインギターにうっすらとしたシンセアレンジも加わって、ヴィンテージなロックながら厚みのあるサウンドで、
若干のプログレ風味もあるので、脱メタルした近年のOPETHなどが好きな方にも楽しめるかもしれない。
リー・ドリアン主催のレーベルからデビューというのもうなずける。70's英国ロックをルーツにした強力作だ。
ドラマティック度・・7 アナログ度・・8 ヴィンテージ度・・8 総合・・8
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Fireball Ministry 「Second Great Awakening」
アメリカのハードロック、ファイアーボール・ミニストリーの2003年作
女性ギター、女性ベーシストを含む4人組で、アナログ感たっぷりのツインギターに、
オジー似のヴォーカルを乗せた、ストーナーロック寄りのオールドな聴き心地。
これという新鮮味はないのだが、70~80年代ルーツのハードロックという点では、
ギターのリフやザラついた音質も含めて、とても再現度が高いと言ってよい。
楽曲も3~4分前後とシンプルに聴きやすく、ほどよくキャッチーな部分もある。
適度なノリの良さとともに、サバスルーツのストーナーロックが楽しめる好作品。
メロディック度・・7 アナログ度・・8 古き良きHR度・・9 総合・・7.5
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11/12
好作多数メタルの秋♪(330)


DARK MOOR 「Project X」
スペインのシンフォニックメタル、ダーク・ムーアの2015年作
1999年にデビュー、初期3作までは女性ヴォーカルのメロディック・スピードメタルだったが
6作目以降はよりクラシカルなシンフォニック性を強め、高品質な作品を作り続けてきた。
10作目となる本作は、美しいシンセワークと伸びやかなヴォーカルを乗せた壮麗な感触はそのままに、
よりシンプルにキャッチーな聴き心地を強めてきたという印象だ。ぱっと聴きの派手さはないものの、
ほどほどの疾走感とともにベテランらしい落ち着いたマイルドな味わいで、じっくりと耳を傾けられる。
全体的にも激しさは控えめで、いうなれば、「シンフォニックなメロディアスハード」というような雰囲気もあり、
QUEENのような優雅なナンバーもよい感じです。かつてのメロスピを求める方には向かないが、
メロディセンスやクラシカルなアレンジの上手さはさすがで、優美な聴き心地の好作品だ。
メロディック度・・8 疾走度・・6 優雅度・・8 総合・・8 過去作のレビューはこちら
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Estate 「Fantasia」
ロシアのメロディックメタル、エスタテの2014年作
クラシカルで美麗なイントロから、王道のギターリフと美しいシンセアレンジに、
伸びやかなヴォーカルを乗せ、適度な疾走感とともに聴かせる正統派のメロディックメタル。
歌詞が英語のためロシアンな辺境臭さはあまり感じさせず、キャッチーなメロディのフックと確かな演奏力、
そして力量のあるヴォーカルで、高品質なサウンドを描く。随所にいくぶんフォーキーな叙情も覗かせつつ、
あくまで正統派メロパワとしての明快な聴き心地であるので、多くのメタルリスナーにアピールするだろう。
反面、新鮮な展開やクサメロという点では、まだ突き抜けるほどのインパクトはなく、今後の成長にも期待したい。
メロディック度・・8 疾走度・・7 正統派度・・8 総合・・8
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DANTE 「When We Were Beautiful」
ドイツのプログレメタル、ダンテの2016年作
2007年にデビューし、本作が4作目となる。今作は色っぽいジャケに目が行くが、サウンドの方は
硬質なギターときらびやかなシンセを乗せた、クールでスタイリッシュなProgMetal。
適度なテクニカル性と甘すぎないメロディアス性が融合し、結果としてモダンなオルタナ感を描いていて、
一聴しての愛想の無さが好みを分けるところだが、随所に流麗なギタープレイやシンセアレンジを含めて
確かな演奏力とメロディセンスは、さすが中堅バンドである。10分を超えるナンバーも多いが、
スリリングなインストパートを織り交ぜながら、クールな構築力で大曲を巧みに仕上げている。
ラストの14分の大曲も、緩急ある展開美と濃密すぎない叙情性で聴かせる。玄人好みの力作だ。
ドラマティック度・・7 テクニカル度・・7 スタイリッシュ度・・8 総合・・8 過去作のレビューはこちら
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Starbynary 「Divina Commedia: Inferno」
イタリアのプログレメタル、スターバイナリーの2017年作
前作もテクニカルかつメロディックな力作であったが、今作はシンセを含む5人編成となって、
サウンドのスケール感と説得力が高まった。ダンテの「神曲」をテーマに、硬質なギターリフを乗せ
たたみかける重厚さと、ネオクラシカルなフレーズとハイトーンヴォーカルとともに疾走、
緩急あるリズムチェンジで、知的な構築力で聴かせる、モダンなプログレメタルサウンド。
きらびやかなシンセアレンジにクラシカルなピアノも優雅で、叙情的なバラードナンバーなども織り込みつつ、
コンセプト的に楽曲を連ねながら、メリハリのある展開力でドラマティックな世界観を描いてゆく。
明快な盛り上がりやキラーチューンが欲しい気もするが、11分を超えるラストの大曲も含め、堂々たる力作である。
ドラマティック度・・8 テクニカル度・・7 重厚度・・8 総合・・8
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Dark Tranquillity 「Atoma」
スウェーデンのメロディックデスメタル、ダーク・トランキュリティの2016年作
1993年にデビュー、IN FLAMESとともに北欧メロデスの元祖というべきこのバンド、11作目となる本作は
美しいシンセアレンジを取り入れたゴシック寄りの耽美な感触と、疾走するメロデス要素が自然体で融合し、
年季の入ったミカエルのヴォーカルとともに、どっしりとした重厚さとメランコリックな叙情を同居させている。
マイルドなノーマルヴォーカルを乗せたゴシックロック的な雰囲気もあり、楽曲は3~4分前後とわりとシンプルなので、
スローテンポのナンバーでもダレずに聴き通せる。初期のようなツインギターの扇情的なリフやフレーズの魅力はやや薄まったが、
これまでになくキャッチーな感触のナンバーなども不思議とハマっていて、バンドとしての懐の深さを見せつけるような作品である。
ドラマティック度・・8 メロデス度・・7 メランコリック度・・8 総合・・8 過去作のレビューはこちら
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Ghost Bath 「Starmourner」
アメリカのポストブラックメタル、ゴースト・バスの2017年作
2013年にデビュー、本作は3作目となる。夜の気配を感じさせるピアノによる物悲しいイントロから、
メロディックなツインギターのフレーズが響き渡り、絶叫するヴォーカルとともに激しくブラスト疾走。
クサメロ寄りのギターはときにブラックメタルとは思えないほどに爽快な感触で、
このキャッチー要素をダークで妖しい空気感に同居させたところがなかなか個性的である。
トレモロのギターフレーズなど、Alcestなどに通じるしっとりとした泣きの叙情も含ませつつ、
こちらはもう少し荒削り感が強めなのだが、その分激しく疾走する部分のノリの良さで楽しめる。
ドラマティック度・・8 ちゃんと激しさ度・・8 叙情度・・8 総合・・8
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BRYMIR 「SLAYER OF GODS」
フィンランドのシンフォニック・メロディックデスメタル、ブリュミルの2016年作
ツインギターにシンセを含む6人編成で、前作も壮麗なる力作であったが、2作目となる本作も
オーケストラルなシンセアレンジと重厚なギターリフに、ダミ声ヴォーカルを乗せて疾走、
随所に流麗なギターメロディを含ませた、激しくも美麗なメロデスサウンドを聴かせる。
ギターリフは自体は90年代北欧メロデスルーツの感触で、重すぎずモダン過ぎないところがよいし、
エピックなスケール感を描く、シンフォニックなアレンジもいよいよ堂に入ってきている。
一方では、全体的な聴き心地の良さに反して、楽曲ごとのインパクトがやや薄い感じもあり、
個人的には、ヴァイキングメタル的なクサメロ感がもう少しあればと思う。ともあれ美麗なる力作デス。
シンフォニック度・・8 疾走度・・8 壮大度・・8 総合・・8
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NIGHTLAND 「OBSESSION」
イタリアのシンフォニック・デスメタル、ナイトランドの2017年作
もともとは2015年にデジタル販売のみで発表されたものが、2017年にCD化されたという作品で、
オーケストラルなアレンジと突進する激しさを同居させた、壮麗なシンフォニック・デスメタル。
緩急の付いたリズムチェンジと、クラシカルなピアノを乗せた優雅な感触も含みつつ、
FLESHGOD APOCALYPSEDIMMU BORGIRなどにも通じるスケール感を描き出す。
激しいだけでなく、EPICAのようなシンフォニックメタル的でもある優雅な空気感もあり、
ヴォーカルは低音ダミ声ながら、随所に混声コーラスなども加わって美しく盛り上げる。
シンフォニック要素が強いので、デスメタルが苦手な方にも楽しめるだろう強力作デス。
シンフォニック度・・8 疾走度・・8 クラシカル度・・8 総合・・8
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11/3
ロード・ヴィカーすげえ!(322)


HOLY MARTYR 「Darkness Shall Prevail」
イタリアのメロディックメタル、ホーリー・マーターの2017年作
ツインギターの5人編成で、前作は日本の歴史をテーマにした作品で話題を呼んだが、
4作目となる本作は、ヨーロピアンな世界観の純エピックメタルへと深化を遂げている。
ツインギターの叙情的なフレーズと朗々としたヴォーカルを乗せ、同郷のMARTIRIAにも通じる
エピックな幻想性に包まれた、どっしりとした正統派のヘヴィメタルを描いてゆく。
スローからミドルテンポ主体の楽曲は、派手さやクサメロ感というものは希薄なのだが、
サウンドにはオールドスタイルにこだわる正統派エピックメタルとしての誇りが感じられ、
ディープなメタルリスナーはニンマリだろう。前作よりも音の強度はむしろ上がっている。
ドラマティック度・・8 正統派度・・9 重厚度・・8 総合・・8 過去作のレビューはこちら
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Signum Regis 「Decennium Prinum」
スロバキアのメロディックメタル、シグナム・レジスの2017年作
2008年にデビュー、本作は5作目となる。シンセを含む5人編成で、叙情的なイントロ曲に続き、
ネオクラシカルなギターとパワフルなヴォーカルを乗せた正統派のメロディックメタルが広がってゆく。
メロスピ的な疾走感とキャッチーなサビメロはクサメタラーに対応しつつ、古き良き様式美メタルの流れを組む
いかにも王道の空気感は、オールドなメタルリスナーにも楽しめるだろう。ミドルテンポのHRナンバーも、
シンセを含む音の厚みと、いくぶんダーティなヴォーカルを乗せた、どっしりとした説得力で聴かせる。
アルバム後半のドラマティックな疾走曲にもガッツポーズ。パワフルかつメロディック、高品質な傑作です。
メロディック度・・8 疾走度・・7 様式美度・・8 総合・・8 過去作のレビューはこちら
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LUX PERPETUA 「The Curse Of The Iron King」
ポーランドのメロディックメタル、ラックス・ペルペトゥアの2017年作
ツインギターに女性シンセ奏者を含む6人編成で、クサメロたっぷりのツインギターのフレーズに、
美麗なシンセアレンジとかすれた味わいのヴォーカルを乗せて疾走する、正統派のメロディックメタル。
適度にマイナー臭い辺境的な雰囲気が、シンフォニックなクサメロスピ風味とマッチして、
これがなかなか良い感じなのであります。パワフル過ぎないヴォーカルも、むしろ前に出すぎず、
ヨーロピアンでエピックな幻想性を感じさせる味になっていて、総じてマイルドな耳心地で楽しめる。
随所にフォーキッシュな叙情も覗かせ、疾走のみならず、スローやミドルテンポのナンバーも、
しっかりメロディのフックがあって魅力的だ。辺境メタルファンならずとも薦められる逸品です。
メロディック度・・8 疾走度・・8 クサメロ度・・8 総合・・8
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MOONVILLE 「Silver Screen」
スウェーデンのメロディックメタル、ムーンヴィルの2006年作
4人編成による新鋭バンドで、伸びやかなハイトーンヴォカールを乗せて疾走するメロスピ風味と、
北欧らしいキャッチーなメロディアス性で描かれる、きらびやかなメロディックメタル。
ときにQUEENを思わせるようなやわらかな歌メロに、シンセによる美しいアレンジが
適度なプログレ感触も感じさせ、いわば「疾走するメロハー」という爽快な聴き心地。
リズムチェンジによる展開力には知的なセンスを覗かせ、メロディのフックも魅力的だ。
ヘヴィすぎないという点でも、ハードロック、メロディアスハードのリスナーにも好まれるだろう。
地味なジャケのせいで認知度が薄いのが残念だが、内容は抜群の傑作ですよ。
メロディック度・・8 キャッチー度・・8 爽快度・・9 総合・・8
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Scorpion Child 「ACID ROULETTE」
アメリカのハードロック、スコーピオン・チャイルドの2016年作
アナログ感たっぷりのギターにどっしりとしたドラム、パワフルなヴォーカルを乗せた、
いかにも70年代的なサウンドで、まるでレッド・ツェッペリンが蘇ったような聴き心地。
ただ古めかしいだけではなく、ヴォーカルの歌メロにはキャッチーなテイストがあって、
良い意味でのアメリカンなテイストを付加していて、オルガンなどのシンセによる味付けも
うるさすぎないほどにサウンドに厚みを持たせている。楽曲も3~5分前後とコンパクトで、
爽快なロック感触はもちろん、叙情的なバラードナンバーなども魅力的。オールドHR好きは必聴!
メロディック度・・8 古き良き度・・9 ツェッペリン度・・8 総合・・8
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Blood Red Saints「Speedway」
イギリスのハードロック、ブラッド・レッド・セインツの2015年作
IN FAITHのメンバーを中心に結成されたバンドで、古き良き味わいのギターワークに、
中音域やや高めのヴォーカルを乗せた、80年代から受け継がれる王道のハードロックサウンド。
キャッチーなメロディのフックと、どっしりとした骨太のグルーブ感のバランスもよろしく、
適度にウェットで哀愁を含んだ大人の叙情性が、TENなどにも通じる英国らしいドラマ性を描いていて、
これという目新しさはないが安心して楽しめる。ヴォーカルの表現力も含めて、キャリアのあるメンバーらしい
落ち着きのある演奏がサウンドの説得力となっていて、スローテンポのナンバーなどにも渋い味わいがある。
メロディック度・・8 王道HR度・・8 大人の叙情度・・8 総合・・8
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DUSIUS 「MEMORY OF A MAN」
イタリアのフォークメタル、デュシウスの2017年作
シンセにフルート&バグパイプ奏者を含む7人編成で、シンフォニックで美麗なアレンジと
低音デスヴォイスを乗せてたたみかける激しさに、フルートとパイプによる牧歌的でフォーキーな旋律と
ノーマルヴォイスを乗せた叙情的な味わいも覗かせる。ツインギターとシンセによる重厚な聴き心地と、
武骨で勇壮な着性が合わさり、ときにメロデスばりにアグレッシブな感触も含んだパワフルなサウンドだ。
個人的にはクサメロ的な幻想性がもう少し欲しい気もするが、甘すぎない本格派のフォークメタル作品である。
ドラマティック度・・8 フォーキー度・・7 重厚度・・8 総合・・8
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Folkodia「Battlecry」
リトアニアのフォーク・ペイガンメタル、フォーコディアの2010年作
FOLKEARTHのメンバーによるユニットで、本作が3作目となる。ヘヴィなギターにダミ声ヴォーカル、
ハープやホイッスル、バグパイプの牧歌的な音色を乗せた、辺境的なフォークメタルサウンド。
随所に激しい疾走感も含ませつつ、クサメロのギターやときに女性ヴォーカルの歌声も加わって、
荒々しく武骨でありながらも、フォーキーな叙情性もたっぷりで、やわらかな聴き心地で楽しめる。
重すぎず軽すぎず、適度にマイナー臭さも残したペイガンなフォークメタルが好きな方はぜひ。
ドラマティック度・・8 フォーキー度・・8 辺境度・・8 総合・・7.5 過去作のレビューはこちら
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Lord Vicar 「Gate of Flesh」
フィンランドのドゥームメタル、ロード・ヴィカーの2016年作
REVEREND BIZARREのKimi Karkiらによるバンドで、本作は3作目となる。
トラック分けされていない41分の構成で、ギターにしろドラムにしろ、いつも以上にアナログ感たっぷりのサウンドは、
ほとんどスタジオ一発録りのようなザラついた空気感を漂わせる。サバスルーツの古き良きドゥーム感触を、
そのまま再現したかのような楽曲もいかにも確信犯的で、やりすぎなまでにオールドな聴き心地だ。
ツインギターはリフ主体ながら随所にメロディックなフレーズを奏で、ときにうっすらとシンセも入ったりと、
わりとフックに富んだ構成力も、キャリアのあるメンバーならではだろう。荒々しくも重厚にして緻密、
このじわじわとくる生々しい音が、しだいに耳に心地よくなってくれば、アナタも立派なドゥームファンだ。
ドラマティック度・・8 ドゥーム度・・9 古き良き度・・10 総合・・8.5 過去作のレビューはこちら
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SERPENT 「Trinity」
スウェーデンのドゥームメタル、サーペントの2016年作
トリオ編成のバンドで、アナログ感たっぷりのギターリフに朗々としたヴォーカルを乗せ、
適度にノリのあるグルーヴ感で聴かせる、Pentagramあたりに通じる王道のドゥームメタル。
80年代感に包まれたいかにもオールドスタイルのサウンドで、緩急のあるリズムチェンジ以外は、
これといった目新しさやインパクトというのはほとんどない。楽曲自体も4~5分前後が中心で、
わりとあっさりしているので、濃密さの点でも物足りないか。正統派のドゥームが好きな方はどうぞ。
ドラマティック度・・7 ドゥーム度・・8 新鮮度・・6 総合・・7
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FJOERGYN 「Monument Ende」
ドイツのプログレッシブ・ブラックメタル、フヨルギンの2013年作
本作は4作目で、男女声のスキャットとシンセによるイントロ曲から妖しさぷんぷんだが、
ギターとドラムが加わると重厚な空気感に包まれ、ドイツ語によるヴォーカルを乗せて、
シンフォニックなアレンジとともに、ARCTURUSなどに通じる荘厳なサウンドが広がってゆく。
リズムチェンジを含んだ知的な展開力と、オーケストラルなアレンジによる優雅で重厚な聴き心地に、
ダミ声&ノーマルヴォイスを絡ませるシアトリカルな雰囲気には、プログレッシブな香りも漂わせる。
壮大でアヴァンギャルドなブラックという点では、SOLEFALDあたりが好きな方にも楽しめるだろう。
随所に激しい疾走パートやゲルマンな勇壮さも盛り込みつつ、12分の大曲もドラマティックな仕上りだ。
ドラマティック度・・8 暴虐度・・7 荘厳度・・8 総合・・8
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FJOERGYN 「Lucifer Es」
ドイツのプログレッシブ・ブラックメタル、フヨルギンの2017年作
前作も壮大な力作であったが、5作目となる本作も厚みのあるギターに美麗なシンセアレンジで、
シンフォニックで重厚なスケール感に包まれたサウンドを展開。ドイツ語によるヴォーカルが
ゲルマンな勇壮さ加えつつ、随所に暴虐なブラスト疾走する激しさと、知的なリズムチェンジが、
プログレッシブな感触を同居させる。ときに女性スキャットによる妖しさやオーケストラルな優雅さが、
ミステリアスなブラックメタルに溶け込み、Dimmu Borgirをアヴァンギャルド化したような雰囲気も。
荘厳な音の迫力という点でも前作以上だろう。10分前後の大曲も緩急ある構築力で描き切る。これは傑作!
ドラマティック度・・8 暴虐度・・7 荘厳度・・9 総合・・8.5
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SIGH 「Scorn Defeat 20th Anniversary Gig」
日本のアヴァン・ブラックメタル、サイのライブ作品。2013年作
1993年のデビューアルバムの20周年を記念して行われた2013年の東京でのライブを収録。
イントロに続いていきなりVENOMのカヴァーというのは意表を突かれるが、川嶋氏の自身のルーツへのオマージュだろう。
続く1stからのナンバーも、当時と同じく3人編成主体のスタイルで、80~90年代の演奏と言われれば信じてしまいそう。
音質はややラウドでブートレグ程度なのだが、むしろ会場の生々しい空気感が伝わってくるし、
疾走する激しいパートを含みつつ、ドゥーミィなスローパートとともにおどろおどろしい世界観を描くバンドの個性は、
ライブにおいても十分に発揮されている。しかし、VENOMのカヴァー4曲は、ちょっと多すぎな気もする。笑
ライブ演奏・・8 音質・・6 往年の空気度・・9 総合・・8 過去作のレビューはこちら



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