メタルCDレビュー
~HEAVY METAL CD REVIEW 2018  by 緑川 とうせい

★2018年に聴いたメタルCDレビュー
*過去のレビューはCDレビューTOPから各ジャンル別に見られます

*プログレ最新レビュー *注目の新譜コーナー


6/15
いよいよワールドカップ開幕!(168)


VUUR 「In This Moment We Are Free - Cities」
The Gatheringのアネク・ヴァン・ガースバーゲンによるプロジェクト、フーアの2017年作
Amorphis、Anathema、Peripheryなどのメンバーが楽曲提供で参加していて、世界各国の都市をテーマに、
モダンなヘヴィネスとテクニカル性に、伸びやかなアネクの歌声を乗せた、ゴシック風味のモダンメタルというサウンド。
ヘヴィなギターリフをバックに、倦怠の空気感をかもしだす彼女の歌声は、やはりゴシックメタル寄りの感触で、
そのはかなげな浮遊感と硬質なテクニカル性が、ある意味で不思議なコントラストにもなっている。
しっとりと聴かせるラストの叙情ナンバーまで、シンガー、アネクの魅力たっぷりに楽しめるアルバムだ。
メロディック度・・7 モダン度・・8 女性Vo度・・9 総合・・8
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Cellar Darling 「This is the Sound」
スイスのフォーク・ゴシックメタル、セラー・ダーリンの2017年作
ELUVEITIEのアナ・マーフィ、イーヴォ・ヘンツィ、メルリン・スッターによるバンドで、
美しい女性ヴォーカルと適度にモダンなヘヴィさに、ハーディ・ガーディの音色などの
ほどよくフォーキーな要素も含んだサウンド。楽曲自体はわりとシンプルな構成で、
エルヴェイティに比べると激しさがさほどないので、ゴシック・ヘヴィロック的に普通に楽しめる。
ゆったりとした叙情的なナンバーから、ヘヴィなギターリフを乗せた重厚なナンバーまで、
クオリティの高さはさすがで、全体的にもキャッチーな聴き心地でバランスのとれた好作品です。
メロディック度・・8 ゴシック度・・7 女性Vo度・・8 総合・・8
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ISA 「Departure At Sunset」
ロシアのネオフォーク系ゴシック・ブラック、イサの2015年作
絵画のようなジャケが美しいが、サウンドの方はうっすらとしたシンセにギターを乗せた
ネオフォーク的な幻想性と、ダミ声ヴォーカルを乗せたポストブラック風味を融合した聴き心地。
ゆったりとした楽曲は、耳心地は良いがメロディのリフレインが多いのでスリリングさには欠け、
世界観の強度という点でもいまひとつか。アンビエントな雰囲気にブラックメタル要素を合わせるという
異色の試みは面白いが、いまのままだとどっちつかずという印象で、ブラックな暗黒性をもう少し上げるか、
反対にネオフォークとしての美しさに磨きをかけるか、今後の進化に期待したい。
ドラマティック度・・7 ポストブラック度・・7 優美度・・8 総合・・7.5
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Locus Titanic Funus 「Castus Lacrima」
ロシアのゴシックメタル、ロカス・タイタニック・ファヌスの2013年作
美しいシンセアレンジとブラックメタルばりのガナリ声ヴォーカルにロシア語の可憐な女性声が絡み、
クラシカルな優雅さとメランコリックな叙情に包まれた、耽美なゴシックメタルを描き出す。
ときにブラックメタルばりの激しい疾走パートも顔を出し、低音グロウルヴォイスとともに
ダークな暗黒性も覗かせつつ、しっとりとしたダークアンビエントな雰囲気もあったりする。
個人的には女性ヴォーカルをメインにした部分をもっと増やして欲しい気もするが。
ドラマティック度・・7 ゴシック度・・8 耽美度・・8 総合・・7.5
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Void of Silence 「Human Antithesis」
イタリアのゴシック・ドゥームメタル、ヴォイド・オブ・サイレンスの2004年作
うっすらとしたシンセをバックに、ドラマ性を描くような語りやSE、神秘的な女性コーラスなどを織り込み、
朗々とした男性ヴォーカルにダミ声を交えて、ダークでフューネラルな世界観を描いてゆく。
ギターはわりと単調なリフやフレーズなのだが、バックのシンセアレンジがなかなか美しく、
雰囲気モノのゴシックドゥームという感触は、むしろELENDあたりの作風に近いかもしれない。
20分の組曲をはじめ、11分、15分という大曲を中心に、ゆったりと聴かせるサウンドは、
気が短い方には向かないが、耽美な世界観を好む方ならそれなりに心地よく楽しめるだろう。
ドラマティック度・・7 耽美度・・8 重厚度・・7 総合・・7.5
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NOEKK 「The Water Sprite」
トイツのフォーク・ゴシックメタル、ノエックの2005年作
EMPYRIUMのメンバーによるバンドで、メロトロンが美しく鳴り響き、適度にヘヴィなギターと
ジェントルでマイルドなヴォーカルを乗せた、耽美で叙情的なゴシックメタルを聴かせる。
ムーグやオルガンの音色を含んだシンセはプログレ的で、リズムチェンジを含む知的な展開力も
むしろプログレリスナー向けのサウンドである。一方ではフォーキーで素朴な味わいは、
かつてのエンピリウムを思わせる。ラストは10分を超える大曲で、緩急ある構築性と、
メロトロン鳴り響く叙情性に包まれた、プログレッシブなゴシック・フォークが味わえる。
ドラマティック度・・8 プログレなセンス度・・8 叙情度・・8 総合・・8
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NOEKK 「Grimalkin」
ノエックの2006年作
2作目となる本作は、11分、10分、20分という大曲3曲という構成で、物悲しいイントロから
オルガンにメロトロンが鳴り響くヴィンテージな感触と、適度にヘヴなギターが重なり
ジェントルなヴォーカルを乗せた、プログレッシブなゴシックメタルサウンドを展開。
優雅なチェンバロにクラシカルなピアノの音色や、アコースティックなパートも含んだ
メリハリのある構築力は、まさに「ゴシックなプログレ」というべき聴き心地だ。
後半の20分の大曲は、ドゥーミィなゴシックメタル要素と、薄暗系プログレ的でもある
メロトロン入りのメランコリックな叙情がほどよく混じっていて、じっくりと楽しめる。
ドラマティック度・・8 プログレなセンス度・・8 叙情度・・8 総合・・8
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NOEKK 「The Minstrels Curse」
ノエックの2008年作
3作目となる本作は、のっけからこれまでになくメタリックなギターリフを乗せたヘヴィなノリで、
オルガンを含むシンセに朗々とした歌声を乗せた、エピック・ドゥーム的な聴き心地。
今作は、フォーキーな部分が薄まった分、メタル感が増している印象ではあるが、
リズムチェンジを含む知的な展開力で、ドラマティックな味わいはさすがというところ。
ラストは14分の大曲で、アグレッシブなパートを含む激しさも覗かせつつ、緩急のある展開に
メロトロンを含むシンセアレンジとともに重厚なサウンドを聴かせる。
ドラマティック度・・8 プログレなセンス度・・7 叙情度・・8 総合・・8
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TROBAR DE MORTE 「Fairydust」
スペインのゴシックフォーク、トロバー・デ・モルテの2004年作
本作はデビュー作で、美麗なシンセアレンジに女性ヴォーカルを乗せた、
幻想的なゴシック・フォークサウンドは、この時点ですでに確立されている。
やわらかなハープの音色にアコーステッィクギター、フルートなどを含んだケルト&フォーク要素と
オーケストラルなシンフォニック性が合わさって、この手としては世界観の強度がしっかりとあって、
とてもクオリティの高い聴き心地である。再発盤は2011年のライブ音源を収録のCDを加えた2枚組。
ドラマティック・・7 耽美度・・9 幻想度・・9 総合・・8
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TROBAR DE MORTE 「Beyond the Woods」
スペインのゴシックフォーク、トロバー・デ・モルテの2011年作
本作はシンセを使わないアコースティックスタイルの作品で、バグパイプが鳴り響き、
アコースティックギターに艶やかなヴァイオリンが重なり、美しい女性ヴォーカルの歌声を乗せた
優美なネオフォークサウンドを聴かせる。シンフォニックな味付けがない分、トラッド的な繊細さが前に出ているが
やわらかなフルートの音色にヴァイオリン、ときにブズーキやハーディ・ガーディなども加えた、
案外厚みのあるサウンドで、本格派のケルティック・フォークが楽しめる。
ドラマティック・・7 耽美度・・8 幻想度・・8 総合・・8
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ORDO FUNEBRIS 「Cantar a La Morte:Fabra Triste」
フランスのゴシックフォーク、オルド・フューネブリスの2003年作
女性Vo、女性ヴァイオリン、シンセという3人編成で、パーカッションの妖しいリズムに、
うっすらとしたシンセと、男性のダミ声&ソプラノ女性ヴォーカルの歌声が響き渡る、
耽美な幻想性に包まれたゴシックサウンド。フルートや素朴なマンドリンの音色、
艶やかなヴァイオリンに、スキャット的な女性ヴォーカルが、美しくも神秘的な空気感を描いてゆく。
SEや小曲も含んで全35分というのが少し物足りないが、幻想的なゴシックフォークが好きならどうぞ。
ドラマティック・・7 耽美度・・9 幻想度・・9 総合・・7.5
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ORDO FUNEBRIS 「Songs from The Enchanted Garden」
フランスのゴシックフォーク、オルド・フューネブリスの2004年作
シンセによる優美なシンフォニック性に、神秘的な女性ヴォーカルを乗せた、
幻想的なサウンドは、オーストリアのDAGAARDあたりにも近づいたかもしれない。
やわらかなフルートの音色に、艶やかなヴァイオリンがクラシカルな優雅さを付加し
中世を感じさせるしっとりとした空気感に包まれる。曲によっては男性ヴォーカルにパーカッションも加わって、
サウンドに厚みをもたらしている。幻想ゴシックとしての世界観の説得力を強めた逸品です。
ドラマティック・・7 耽美度・・9 幻想度・・9 総合・・8

LES SECRETS DE MORPHEE「Chuchotements」
フランスのゴシック・アンビエント、レス・シークレッツ・デ・モルフィーの1999年作
オーケストラルなシンセアレンジに艶やかなヴァイオリンが鳴り響き、美しい女性ヴォーカルの歌声が
まさにヘヴンリーに響き渡る、天上の癒し系サウンド。クラシカルな優雅さに包まれながら、
曲によっては妖しい耽美性も垣間見せる。二人の女性声のトーンがいくぶん合ってないところもあるのだが、
艶めいた歌声は嫌いではないし、垢抜けないマイナー臭さも含めて、この手の雰囲気モノの魅力と言えなくもない。
クラシカル度・・8 耽美度・・7 幻想度・・8 総合・・7.5
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LES SECRETS DE MORPHEE 「Chimeres」
フランスのゴシック・アンビエント、レス・シークレッツ・デ・モルフィーの2012年作
オーケストレーションによるイントロから始まり、シンフォニックなシンセアレンジをバックに
二人の女性ヴォーカルが美しい歌声を乗せる。耽美な空気感もあるもののダークなほどではなく、
ヘヴンリー・ヴォイス系のアンビエントとしては初心者にも聴きやすい部類だろうと思う。
2~3分前後の小曲を主体に、インストナンバーも多いので、ついBGMになってしまいそうにもなるが、
オーケストラルな壮麗さにはうっとりと浸ることができる。個人的にはもっと妖しくディープなのが好みなのですが。
ドラマティック・・7 耽美度・・7 幻想度・・8 総合・・7.5
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6/1
ブラック&デス系をたっぷり(154)


HALLATAR「No Stars Upon the Bridge」
フィンランドのドゥームゴシックメタル、ハラターの2017年作
SWALLOW THE SUNのユハ・ライヴィオ、AMORPHISのトミ・ヨーツセン、元HIMのガス・リップスティックによるユニットで
2016年に39歳の若さで亡くなった、TEARS OF ETERNITYのAleah Starbridge嬢が生前に書いた詩を基にした作品。
スローなテンポに重厚なギターとダミ声ヴォーカルを乗せた、フューネラルなドゥームゴシックサウンドで、
トミ・ヨーツセンの悲痛な歌声は表現力たっぷりで、息苦しいまでの絶望感をゆったりとした楽曲の中に植え込んで、
やはりSWALLOW THE SUNMY DYING BRIDEにも通じる、悲しみに包まれた漆黒の世界を描き出しす。
一方では、うっすらとしたシンセアレンジや曲間の女性声の語りなど、ゴシックメタルとしての耽美な美しさも覗かせて、
DRACONIANのヘイケ嬢の歌声を加えたメランコリックなナンバーなども味わい深く、ラスト曲では故Aleah嬢の歌声に涙。
ドラマティック度・・8 暗黒度・・8 重厚度・・8 総合・・8
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MYRKUR 「Mareridt」
アメリカのポストブラックメタル、ミシュクルの2017年作
デンマーク出身のアマリエ・ブルーン嬢による女性の独りブラックメタルユニットで、本作が2作目となる。
うっすらとしたシンセアレンジに美しい歌声を響かせる、北欧トラッド的な涼やかな空気感に包まれつつ、
突然人が変わったように絶叫ヴォイスとともに激しくブラスト疾走。確かにこれはブラックメタルですよ。
そうはいいつつも、また美しい女性声に戻ったり、ヴァイオリンが鳴り響くトラッド風味のナンバーもあって、
その極端な二面性はなかなかのインパクト。ゆったりとしたナンバーでは、ゴシックメタル的な耽美さもあって、
女性Voのトラッドロックやゴシック好きにも対応。はかなく神秘的な空気感に包まれた世界観とともに、
いままでになかった女性によるブラックメタルという点でも、注目のアーティストですな。
ドラマティック度・・8 神秘的度・・8 女性Vo度・・8 総合・・8
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Fellwarden 「Oathbearer」
イギリスのポストブラックメタル、フェルワーデンの2017年作
Fenのメンバーによるユニットで、うっすらとしたシンセにトレモロのギターを乗せて、
ダミ声ヴォーカルとともに疾走する、アトモスフェリックなブラックメタルサウンド。
ギターフレーズには北欧ブラックメタルからの影響も感じさせつつ、Alcestのような癒し系の優雅さと
シンフォニックと言ってもよいアレンジとともに、幻想的な叙情美に包まれた聴き心地。
10分を超える大曲も厚みのある空間的な音の説得力で、じわりと世界観に引き込まれる。
激しくも美しい幻想的なポストブラックが楽しめる力作です。
シンフォニック度・・8 暴虐度・・7 幻想度・・8 総合・・8
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Foscor 「Les Irreals Visions」
スペインのポストブラックメタル、フォスコーの2017年作
2004年にデビュー、本作は4作目で、メロウなギターにマイルドなヴォーカルを乗せ、
メランコリックな空気感とともに、ときに激しくブラスト疾走するパートも含んだ
ゴシック的なポストブラックサウンド。ジャケのイメージのようなモノトーンの無機質さと
やわらかなピアノによるクラシカルな美しさが合わさった、物悲しい叙情も感じさせ、
雰囲気としては、KATATONIAあたりの世界観にも近いかもしれない。トレモロギターを乗せた、
Alcestにも通じるようなナンバーもあり、じっくりと味わえるポストブラック作品です。
ドラマティック度・・7 叙情度・・7 メランコリック度・・8 総合・・8
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Dark Funeral 「Where Shadows Forever Reign」
スウェーデンのブラックメタル、ダーク・フューネラルの2016年作
1996年にデビュー、MARDUKなどとともに、スウェディッシュ・ブラックメタルを代表するこのバンド、
2009年以来となる7作目で、今作はジャケの雰囲気からして初期を思わせる感じがよいですね。
ツインギターの叙情的なイントロから、激烈なツーバスドラムにトレモロりリフを乗せてブラスト疾走、
いかにもオールドスタイルの北欧ブラックメタルを聴かせる。激しく突進しながらもメロディックなところは
DISSECTIONあたりにも通じる感触で、甘すぎない叙情性が物悲しくもダークなサウンドに融合している。
ブラックメタルとしての王道の邪悪さを残しつつ、メロブラ寄りにも楽しめるさすがの強力作。
ドラマティック度・・8 暴虐度・・8 北欧ブラック度・・9 総合・・8 過去作のレビューはこちら
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Entrails「World Inferno」
スウェーデンのデスメタル、エントレイルズの2017年作
2010年にデビュー、オールドスタイルの北欧デスメタルを貫くサウンドで、本作が5作目となる。
ザリザリのギターリフと低音デスヴォイスを乗せて疾走する、ブルータルなデスメタルサウンドで、
オールドなデスラッシュ風味も含んだ聴き心地。以前のようなスウェディッシュな叙情性が薄まった分、
より硬派な感触になっていて、個人的には少し残念だが、迫力あるスラッシーなデスメタルが味わえる。
90年代デスを引き継ぐ空気感はよいのだが、このバンドならではの個性をそろそろ確立させて欲しい気も。
ドラマティック度・・7 暴虐度・・8 オールドデス度・・8 総合・・7.5 過去作のレビューはこちら
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GOD DETHRONED 「The World's Ablaze」
オランダのデスメタル、ゴッド・デスローンドの2017年作
1992年デビューのベテランバンドで、最高傑作というべき前作から、7年ぶりとなる10作目。
強力なツーバスドラムに、ツインギターのリフとダミ声ヴォーカルを乗せて疾走する、
オールドスタイルのデスメタルサウンド。随所にブラストを含んだブルータルな暴虐性と、
甘すぎない程度にメロディを感じさせるギターのフレージングも相変わらず絶妙で、
ベテランらしい荘厳なまでの音の説得力はさすが。デスラッシュ的でもある疾走パートをメインに、
叙情的なスローパートを織り込んで、緩急あるドラマティックなデスメタルを聴かせる強力作。
ドラマティック度・・8 暴虐度・・8 荘厳度・・8 総合・・8 過去作のレビューはこちら
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Yomi 「Genpei」
ラトビアのペイガンデスメタル、黄泉の2016年作
タイトル通り、源平の合戦をテーマにした作品で、重厚なギターに低音デスヴォイスを乗せて疾走する、
激しいデスメタルサウンドに、琴の音色などの和風メロディや日本語の語りなどを取り入れた異色の作風。
歴史的なドラマ性を感じさせる曲間のSEなども、思わずくすりとしてしまいつつ、日本の歴史への愛を感じさせる。
キーボードのメロデイは、ペイガン、フォークメタル的な感触もあって、激しい疾走パートでもさほど暴虐さはなく、
和風メロによって我々にとってはむしろ愉快な聴き心地になっている。「壇ノ浦~!」の連呼には思わずニヤリ。
ドラマティック度・・8 暴虐度・・7 ジャポネスデス度・・8 総合・・7.5
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Claymore 「Vengeance Is Near」
ブルガリアのシンフォニック・ブラックメタル、クレイモアの2014年作
セルビアにも同名のバンドがいたのでお間違えのないよう。オーケストラルなアレンジを含んだ
Dimmu Borgirにも通じる壮麗なシンフォブラックを聴かせる。ほどよくメロディックなギターに、
きらびやかなシンセアレンジ、クワイアなどを加えた厚みのあるサウンドは、暴虐な激しさよりは
クラシカルな優雅さが前に出ていて、初期のDark Lunacyあたりを好む方にもお薦めできるかと。
適度なクサメロ感が辺境的な味わいにもなっていて、激しすぎない美麗なシンフォニックブラックが楽しめる。
シンフォニック度・・8 暴虐度・・7 壮麗度・・8 総合・・8
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Caina 「Christ Clad in White Phosphorus」
イギリスのポストブラックメタル、カイナの2016年作
アンドリュー・カーティス・ブリグネル氏による個人ユニットで、本作がすでに6作目となる。
インダストリアルで不穏なイントロから、ノイジーなギターリフとわめき声ヴォーカルを乗せて激しくブラスト疾走、
こもり気味の音質も含めたプリミティブな怪しさを漂わせる、無機質なブラックメタルサウンドを展開。
モノトーンの宇宙空間のような、無慈悲な神秘性に包まれた雰囲気で、壮大かつ邪悪な世界観を描く。
ジャーマンロックのようなサウンドエフェクトによるアヴァンギャルドなナンバーや、インダストリアル調のナンバー、
スペイシーなシンセミュージックというべき12分の大曲まで、単なるブラックメタル以上の実験性も感じさせる。
ドラマティック度・・7 暴虐度・・7 暗黒度・・8 総合・・7.5 過去作のレビューはこちら
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Ahamkara 「The Embers of the Stars」
イギリスのポストブラックメタル、アームカラの2015年作
10分を超える大曲4曲という構成で、ややノイジーなギターを乗せて激しくブラスト疾走、
邪悪なわめき声ヴォーカルを響かせつつ、アトモスフェリックな叙情性に包まれたサウンド。
緩急ある流れで大曲を構築するセンスと、ミスティックな空気感と説得力も備わっていて、
うっすらとしたシンセアレンジや、ときにメロディックなギターフレーズも耳心地よい。
暴虐性よりも神秘的なスケール感を描くところは、Wolves in The Throne Roomにも通じるか。
激しい疾走感を含んだ叙情派のネイチャーブラックメタルとしては、なかなかの力作と言える出来だ。
ドラマティック度・・8 暴虐度・・7 アトモスフェリック度・・8 総合・・8
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Fen 「Epoch」
イギリスのポストブラックメタル、フェンの2011年作
うっすらとしたシンセに、トレモロのギターリフ、かすれたダミ声ヴォーカルを乗せ、
薄暗い叙情性に包まれた、涼やかな味わいのポストブラックメタルを聴かせる。
ブラスト疾走する激しさもありつつ、邪悪さよりもネイチャーな神秘性が前に出ていて、
ゆったりとメロウなスローパートなど、緩急の付いた構築力には知的なセンスも感じさせる。
8~10分という大曲も、プログレッシブとも言えるような展開力と、ストリングスを加えたシンフォニックなアレンジで
叙情美たっぷりに鑑賞できる。ほどよくダークで美しい、激しいブラックが苦手という方にもお薦めの逸品だ。
ドラマティック度・・8 暴虐度・・7 叙情度・・8 総合・・8 過去作のレビューはこちら
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Atrum Tempestas 「Neant」
フィンランドのポスト・ブラックメタル、アトラム・テンペスタスの2014年作
14分、11分という大曲を中心に全3曲という構成で、叙情的なギターフレーズにダミ声ヴォーカルを乗せた
メランコリックな雰囲気のサウンド。トレモロのギターリフとともに、Alcestのような物悲しい美しさが前に出ていて、
リズムチェンジなども適度にありつつ、基本的にはゆったりとした聴き心地。暴虐さや暗黒性はあまり感じないが、
ラスト曲の後半には激しいブラスト疾走も現れる。ただ全31分というのはやや物足りないかな。
ドラマティック度・・7 暴虐度・・6 メランコリック度・・8 総合・・7.5
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FLESHGOD APOCALYPSE 「Labyrinth」
イタリアのシンフォニック・デスメタル、フレッシュゴッド・アポカリプスの2013年作
クラシカルなシンフォニック性とブルータルな激しさを融合したサウンドで人気のこのバンド、3作目となる本作は
ミノタウロスの迷宮をテーマにした作品で、オーケストラルなアレンジと、激烈なツーバスドラムでブラスト疾走する、
暴虐かつ壮麗なシンフォニックデスメタルを聴かせる。ソプラノ女性ヴォーカルを含むコーラスも美しく、
低音デスヴォイスとのコントラストで極端なまでの美と醜を描き出す。随所に流麗なギターの旋律も覗かせて、
前作以上にメロディックな感触を強めたことで、より多くのリスナーに楽しめるようになった。
曲間をつないでたたみかけるような流れも迫力たっぷりで、壮麗にして濃密なシンフォデスの傑作。
シンフォニック度・・9 暴虐度・・9 荘厳度・・9 総合・・8.5 過去作のレビューはこちら
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SUFFOCATION「Blood Oath」
アメリカのデスメタル、サフォケイションの2009年作
1991年デビューのベテランバンド、一時期の解散から復活し、本作は通作6作目のアルバム。
強烈なツーバスのドラムに低音グロウルヴォイス、そして有機的なツインギターのリフを乗せ、
適度に知的な構築性を含んだ緩急あるデスメタルサウンドを聴かせる。ただ激しいだけでない、
メリハリのある展開と、どっしりとした荘厳さな空気感は、ベテランならではの説得力ある聴き心地。
うねるようなベースの存在感と、巧みなギターリフが合わさって、テクニカルデス的な耳でも楽しめる。
ドラマティック度・・8 暴虐度・・8 荘厳度・・9 総合・・8 過去作のレビューはこちら
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5/18
ドゥーム&ヴィンテージメタル!(139)


Lucifer's Hammer 「Beyond the Omens」
チリのメタルバンド、ルシファーズ・ハマーの2016年作
正統派のギターリフにパワフルすぎないハイトーンヴォーカルを乗せて、IRON MAIDENにも通じる
80年代スタイルに、ANGEL WITCHWARLOADなど、カルトメタルの香りを加えたという作風。
湿り気を帯びた叙情的なギターフレーズもじつに良い感じで、ほどよいB級らしいマイナー臭さとともに
なかなか素敵な味わいになっている。楽曲自体にはとくに新鮮味はないのだが、
80年代メタルへの愛情に包まれた世界観は、オールドなメタルファンには心地よいことこの上ない。
後半にはRIOTを思わせるナンバーや、ラストはWARLORDのあの曲みたいでにんまり。
ドラマティック度・・7 古き良き度・・8 カルトメタル度・・8 総合・・8
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Royal Thunder 「Wick」
アメリカの女性声ドゥームロック、ロイヤル・サンダーの2017年作
2012年にデビュー、本作は3作目となる。前作までの骨太のハードロック感触はやや薄まり、
代わりに、ハスキーな女性ヴォーカルを乗せた、魔女系ロックとしての妖しさがぐっと増している。
楽曲はゆったりとしたナンバーを中心に、ツインギターはヘヴィ過ぎず、ヴィンテージなアナログ感触とともに、
B&Voのミルニー嬢の歌声を引き立てる。Blood Ceremonyあたりにも接近したような作風であるが、
マイナー臭さがない分、どっしりとしたオールドロックの普遍性と、ノリのあるハードロック要素も残している。
なにより表現力を増したミルニー嬢の歌声が、楽曲にパワフルな説得力をもたらしている。
ドラマティック度・・8 ヴィンテージ度・・8 魔女系ロック度・・8 総合・・8 過去作のレビューはこちら
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PSYCHEDELIC WITCHCRAFT 「Sound of the Wind」
イタリアのヴィンテージロック、サイケデリック・ウィッチクラフトの2017年作
前作はアナログ感たっぷりの歌もの系サイケポップという趣だったが、2作目となる本作も
妖しく叙情的なイントロから始まり、ハスキーな女性ヴォーカルを乗せたヴィンテージなサウンドが炸裂。
重すぎず軽すぎずというギターリフとともに、より70年代ドゥームへの懐古主義が強まった聴き心地。
サウンドと世界観の説得力という点でも、前作以上にディープな空気感を漂わせていて、
紅一点、ヴァージニア嬢のけだるげな歌声も、このヴィンテージなサウンドによくマッチしている。
ドラマティック度・・8 ヴィンテージ度・・8 魔女系ロック度・・8 総合・・8
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Bad Acid 「Revelations Of The Third Eye」
スウェーデンの女性声サイケドゥーム、バッド・アシッドの2016年作
アナログ感たっぷりのギターに女性ヴォーカルの歌声を乗せた、ストーナー寄りのサイケハードで、
いくぶんこもり気味の音質とともに、うっすらとオルガンも鳴り、Blood CeremonyPURSONのような
魔女系ロック的な妖しさも含んだ聴き心地が楽しめる。ユル過ぎず、重すぎずというギターも絶妙で
ほどよくサイケな浮遊感と、ヴィンテージなドゥームメタルの質感を融合させたサウンドと言える。
いくぶんマイナー臭さを残した空気感もよろしく、これから期待の女性声サイケドゥームバンドです。
ドラマティック度・・7 ヴィンテージ度・・8 魔女系ロック度・・8 総合・・8
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Switchblade
スウェーデンのプログレ・ドゥームメタル、スウィッチブレイドの2016年作
8~11分の大曲を主体に全4曲という構成で、アナログ感たっぷりのギターに、
オルガンやメロトロンが鳴り響く、いかにも70年代スタイルのヴィンテージなサウンド。
ダミ声とノーマル声を使い分けるヴォーカルに、リズムチェンジを含むプログレ的な感触もあって、
近年のOPETHがドゥーム化したようなところもある。重厚であるがヘヴィ過ぎず、軽すぎない聴き心地は
まさに往年のドゥームメタルを体現した作風だ。Atomic Roosterのカヴァーも妖しくて良い感じです。
ドラマティック度・・7 ドゥーム度・・8 ヴィンテージ度・・8 総合・・8
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Cardinals Folly 「Holocaust of Ecstasy & Freedom」
フィンランドのドゥームメタル、カージナルズ・フォリーの2016年作
過去作もカルトな妖しさぷんぷんの強力なサウンドだったが、3作目となる本作も
古き良き感触のギターを乗せ、ヘタウマなヴォーカルとともにサタニックなドゥームメタルを聴かせる。
ハードロック寄りの遅すぎないノリもありつつ、アンダーグラウンドな妖しさに包まれたマイナー臭さが
このバンドの持ち味であり、今作では初期Black Sabbathの世界観を突き詰めたような感じが強まった。
正直、これといった新鮮味はないのだが、この頑固一徹なドゥーム愛こそあっぱれというものだろう。
ドラマティック度・・7 ドゥーム度・・8 古き良き度・・8 総合・・8 過去作のレビューはこちら
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SLEGEST「VIDSYN」
ノルウェーのドゥームメタル、スレジェストの2016年作
WINDIRVREIDのメンバーによるプロジェクトで、オールドな味わいのギターにダミ声ヴォーカルを乗せた、
ブラックメタル風味のストーナーロック。楽曲は3分前後といたってシンプルな聴き心地で、スロー過ぎない
ハードロックなノリと、ヘヴィさを保ちながらアナログ感に包まれた、ヴィンテージなサウンドが楽しめる。
ダミ声によるブラッケンなダークさと重厚なメタル感触もあるので、ストーナーロックが苦手な方にもイケるかと。
いわば、ブラックメタル化したサバスというべきか。媚びのなさも含めて硬派な感触。全33分という短さも潔い。
ドラマティック度・・7 古き良き度・・8 ブラッケンなドゥーム度・・8 総合・・7.5
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Plateau Sigma「Rituals」
イタリアのドゥームメタル、プラテアウ・シグマの2016年作
ローマ神話の神々をテーマに、重厚なツインギターにジェントルなヴォーカルを乗せ、ゆったりと聴かせる、
エピックな感触のドゥームメタル。空間的な静けさと叙情性を含んだ、神秘的な空気感を漂わせながら、
曲によっては低音デスヴォイスを乗せた、フューネラルな暗黒性も垣間見せる。8~11分の大曲を主体に
どっしりとしたスローテンポで、ときに甘すぎない程度にメロディを奏でるツインギターとともに、心地よくサウンドに浸れる。
派手さはないのだが、雰囲気モノとしての強度もなかなかで、これぞドゥームメタルという本格派の味わいの強力作だ。
ドゥーム度・・8 重厚度・・8 神秘的度・・8 総合・・8
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Ixion 「To the Void」
イタリアのドゥームメタル、イクシオンの2011年作
スペイシーなシンセアレンジに包まれて、叙情的なギターと唸るような低音ヴォーカルを乗せて、
ゆったりと聴かせる重厚ななドゥームメタル。ジャケのイメージのように宇宙を感じさせるような、
空間的な広がりと神秘的な雰囲気で、靄に包まれたようなミステリアスな世界観を描いている。
シンセによる美しさが前に出ていて、ヴォーカルが奥に引っ込んだいくぶんこもり気味の音作りも、
宇宙の暗がりに放り込まれたような、スケール感のある聴き心地になっている。個人的には好きなのだが、
どの曲も同じようなもったりとした感じなので、この手の雰囲気モノが苦手な方にはちと退屈かも。
ドラマティック度・・7 スペース・ドゥーム度・・8 重厚度・・8 総合・・8
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ThunderStorm 「Nero Enigma」
イタリアのドゥームメタル、サンダー・ストームの2010年作
どっしりとヘヴィなギターリフに、オジーを思わせるヴォーカルを乗せた王道のドゥームメタルで、
いかにもBlacK Sabbathルーツのオールドスタイルのサウンドを聴かせる。
単なる古臭いドゥームというだけでなく、メタリックな重さとほどよい疾走感も覗かせ、
イタリアのバンドらしい程よくカルトな妖しさも感じさせる濃密な雰囲気がよろしいです。
これという新鮮味はないものの、ドゥームメタル好きなら安心して楽しめる一枚だ。
ドラマティック度・・7 サバス度・・8 重厚・・8 総合・・8
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Soul Manifest 「White Season」
フランスのヴィンテージロック、ソウル・マニフェストの2010年作
アナログ感たっぷりのギターにオルガンが鳴り響き、中性的でハスキーなヴォーカルを乗せ、
いかにも70年代を思わせるヴィンテージな空気感のドゥームロックを聴かせる。
ヴォーカルの声質も含めて魔女系ロック的な妖しさもありつつ、ギターはけっこうヘヴィなので、
どっしりとした骨太のサウンドには迫力も十分。サイケロック寄りのユルめのナンバーや、
ノリのよいキャッチーなナンバーなどもあって肩肘張らずに楽しめる。10分近い大曲も、
しっかりとした演奏力と柔軟なグルーブ感で聴かせる、サイケ・ドゥームな強力作です。
ドラマティック度・・7 ドゥーム度・・8 ヴィンテージ度・・9 総合・・8
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Valkyrie 「Shadows」
アメリカのドゥームメタル、ヴァルキリーの2015年作
BARONESS、EARTHLINGのメンバーを含むバンドで、ヘヴィなツインギターに
朗々としたヴォーカルを乗せた、オールドな感触の正統派のドゥームメタルサウンド。
アナログ感たっぷりのアンサンブルながら、メタリックな重厚さとキレのある演奏で、
古臭さはさほど感じさせない。随所にツインギターのメロディックなフレーズも含んで、
どっしりとしたサウンドの中にも、叙情的なギターフレーズを聴かせるところはさすが。
ギター主導のスラッジ系ドゥームとしてはかなりレベルの高い作品である。
ドラマティック度・・7 ドゥーム度・・8 重厚度・・8 総合・・8
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Sacred Few 「Beyond the Iron Walls」
アメリカのメタルバンド、セイクレッド・フューの1985年作
当時としてはまだ珍しい、女性シンガーをフロントにしたバンドで、いかにも古き良き味のギターに
ハスキーな女性ヴォーカルを乗せた、しごく正統派のメタルサウンド。演奏力は並程度で、
楽曲も2~3分前後といたってシンプル、ジャケのショボさも含めてB級感が漂っているが、
ほどよいマイナー臭さも含めて、80'sメタルマニアにはわりとたまらないかもしれない。
曲によっては、いまでいう魔女系ドゥームメタルの味わいもあって、個人的にもけっこう好きです。
2015年の再発盤ボーナストラックに、1982年のシングル曲、1983~84年のデモ音源を収録。
メロディック度・・7 古き良き度・・8 女性Vo度・・8 総合・・7.5
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5/12
女性声HR&シンフォニック&ゴシックメタル!(126)


DANTE FOX 「SIX STRING REVOLVER」
イギリスのメロディアスハード、ダンテ・フォックスの2017年作
1996年にデビュー、女性声メロハーとしてはすでにキャリア20年を超えるこのバンド、
本作は過去の楽曲をリレコーディングしたアルバムで、1st、2ndのナンバーを中心に全10曲を収録。
透明感のあるシンセアレンジに、適度にハードなギターとスー・ウィレッツの伸びやかなヴォーカルを乗せ、
キャッチーなメロディのフックで聴かせる、爽快なメロディアスハードサウンドは年季を経た大人の味わいに。
楽曲はどれも魅力的なメロディがあり、ヴォーカルの素晴らしい表現力とアレンジも含めたクオリティも高く、
最後まで安心して楽しめる。はじめてこのバンドを知る方にも、うってつけのアルバムだろう。
メロディック度・・8 キャッチー度・・9 女性Vo度・・8 総合・・8 過去作のレビューはこちら
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Guitar Force 「Different Universe」
ポーランドのメロディアスハード、ギター・フォースの2016年作
ギタリストのソロ作のようなバンド名だが、女性G/Vo、女性B/Vo、女性ヴァイオリン奏者を含む6人編成で、
伸びやかな女性ヴォーカルを乗せた、古き良き感触のハードロックサウンドを聴かせる。
トリプルギター編成なので、ときに様式美色も含んだ厚みのあるギターサウンドに加え、
随所にヴァイオリンが鳴り響き、単なるキャッチーなメロハーという以上の優雅な味わい。
楽曲そのものに新鮮味はさほどないのだが、女性Voの力量もしっかりとしていて、
ゆったりとしたナンバーでは東欧らしい湿り気のある叙情も覗かせる。女性声HR好きはチェック。
メロディック度・・8 キャッチー度・・7 女性Vo度・・8 総合・・8
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AKOMA 「REVANGELS」
デンマークのシンフォニックメタル、アコマの2017年作
美麗なアレンジに美しい女性ヴォーカルを乗せ、適度なヘヴィさを含んだシンフォニックメタルで、
WITHIN TEMPTATIONLeaves' Eyesにも通じるような翳りを帯びた叙情性を含んだサウンド。
紅一点、ターニャ嬢の歌声はやわらかな優しさと表現力あるソプラノで、楽曲に優雅な世界観を付加している。
楽曲そのものには、派手なインパクトないのだが、その分、ゴシックメタル寄りの耳でも楽しめる。
この手としては、久々に期待のバンド登場です。元Leaves' Eyesのリブ・クリスティンがゲスト参加。
シンフォニック度・・8 優雅度・・8 女性Vo度・・8 総合・・8
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AEVUM 「DISCHRONIA」
イタリアのシンフォニックメタル、アーヴムの2017年作
男女Voにツインギター、シンセを含む8人編成で、前作もオペラティックで壮麗な作品だったが、
美しいソプラノ女性ヴォーカルにパワフルな男性声が絡み、程よいヘヴィなモダンさとともに
シアトリカルで濃密な世界観を描き出す、オペラティックなシンフォニックメタルを聴かせる。
10分を超える大曲では、クラシカルなピアノの旋律とともに、男女声を乗せた優雅なサウンドが楽しめる。
反面、楽曲ごとのインパクトやメロディのフックなどは、相変わらず「もう一歩」な感じなので、
一線級バンドにのし上がるには、もう少しレベルアップが必要かと。壮麗な雰囲気は良いのです。
ドラマティック度・・8 壮麗度・・8 男女Vo度・・8 総合・・7.5
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SOUND STORM 「VERTIGO」
イタリアのシンフォニックメタル、サウンド・ストームの2017年作
5年ぶりとなる3作目で、前作はオペラティックな雰囲気の力作であったが、今作も美麗なシンセアレンジにツインギター、
マイルドなヴォーカルを乗せたモダンでスタイリッシュなサウンドを聴かせる。随所に女性コーラスも加えた、
オペラティックな壮麗さと、ストーリーを感じさせるドラマティックな構築力もこのバンドの魅力だろう。
新加入の女性奏者による優美なシンセワークも素晴らしい。曲によっては激しい疾走パートも含みつつ、
全体的にはどっしりとした華麗なシンフォニックメタルで、KAMELOTあたりのファンにもイケるかと。
シンフォニック度・・8 オペラティック度・・8 壮麗度・・9 総合・・8
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Chrysilia 「Et in Arcadia Ego」
ギリシャのシンフォニックメタル、クリシリアの2017年作
シンセにヴァイオリン奏者を含む6人編成で、美麗なシンフォニックアレンジに
美しい女性ヴォーカルの歌声を乗せた、NightwishDelainにも通じる壮麗なサウンド。
随所にフルートやハープ、ヴァイオリンの音色も加わった、フォークメタル風味もあって、
クリソ嬢の可憐で伸びやかな歌声が、楽曲に優美な味わいを付加している。
クサメロのギターフレーズにシンセが重なり、キャッチーなメロディアス性とともに聴かせる
シンフォニック・フォークメタルというべきか。今後は楽曲の質をさらに高めていってもらいたい。
シンフォニック度・・8 優美度・・9 女性Vo度・・8 総合・・8
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CLAYMOREAN 「Sounds from a Dying World」
セルビアのメロディックメタル、クレイモアンの2017年作
CLAYMOREが改名したバンドで、ハスキーな女性ヴォーカルの歌声を乗せエピックな世界観を描く、
正統派のメロパワスタイル。Crystal Viperのようなオールドなメタル感触とともに、
どこか翳りを含んだ妖しさも感じさせる、ドラマティックな空気感もなかなかよろしい。
ミドルテンポのどっしりとしたナンバーを中心に、疾走ナンバーもあり、ヨーロピアンなメロパワが好きな方なら
かなり楽しめるだろう。ラストはNWOBHMのカルトなバンド、CLOVEN HOOFのカヴァーというマニアックぶり。
ドラマティック・・8 正統派度・・8 女性Vo度・・7 総合・・8
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The Murder of My Sweet 「Echoes of the Aftermath」
スウェーデンのゴシックメタル、マーダー・オヴ・マイ・スウィートの2017年作
2010年にデビューしてから本作で4作目となる。きらびやかなアレンジと、適度にモダンなヘヴィさに、
伸びやかな女性ヴォーカルを乗せた、シンフォニックなゴシックメタルサウンドはすでに安定の高品質。
従来のようなシネマティックなドラマ性を感じさせる作風に、キャッチーなメロディのフックも魅力的で、
楽曲の質とサウンドの説得力という点では、Within TemptationDelainなどにも十分比肩できる。
ゴシック的な耽美さよりも壮麗なシンフォニック性が前に出た作風で、全体的には新鮮味はないが、
どの曲もアレンジのレベルは高く、アンジェリカ嬢の表現豊かな歌声とともに最後まで安心して楽しめる。
シンフォニック度・・8 ゴシック度・・7 女性Vo度・・8 総合・・8 過去作のレビューはこちら
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The Lust「Black Dahlia Poem」
ロシアのゴシックメタル、ラストの2017年作
2004年にデビュー、本作は6年ぶりとなる5作目で、美麗なシンセアレンジに
メロディックなギターと美しい女性ヴォーカルを乗せた、わりとキャッチーなゴシックメタル。
ジャケのような耽美な空気感もありつつ、適度にノリのあるリズムにメロディックな聴きやすさがあって、
以前の作品よりも一皮むけたような印象だ。アンナ嬢のなよやかでキュートな歌声も魅力的で、
サウンドが描く世界観にやわらかな美しさを加えている。DELAINなどにも通じる優美なナンバーから、
メロスピ的な疾走ナンバーまで、楽曲ごとのメリハリもあってなかなか飽きさせない。
ボーナストラックの、My Dying BrideTheatre of Tragedyのカヴァーもハマっている。
メロディック度・・8 ゴシック度・・8 女性Vo度・・8 総合・・8 過去作のレビューはこちら
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Batalion D'Amour「Fenix」
ポーランドのゴシックメタル、バタリオン・ド・アムールの2016年作
2005年作以来、じつに11年ぶりとなる復活作で、メンバーもやや変わっているようだが、
サウンドの方は、ポーランド語による美しい女性ヴォーカルを乗せ、適度にモダンな感触を含んだ、
優雅なゴシックメタルで、フロントを務めるキャロライナ嬢の妖艶な歌声もなかなか魅力的だ。
4~5分のコンパクトな楽曲を中心にしつつ、わりとキャッチーな感触のゴシックロック風のナンバーや
しっとりと聴かせる9分の大曲もあって、キャリアをへたバンドとしての自信と実力が発揮されている。
ボーナストラックにはシングル曲のアコースティックVer、英語Ver、リミックス、エディットVerを収録。
メロディック度・・8 ゴシック度・・7 女性Vo度・・8 総合・・8
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EILERA 「FACE YOUR DEMONS」
フランス出身の女性シンガー、エイレラの2016年作
2007年作「Fusion」は、クラシカルな雰囲気の優雅なゴシックメタル作であったが、
本作は美麗なシンセアレンジに、適度にハードなギターとキュートな女性ヴォーカルを乗せた、
キャッチーなシンフォニックメタル風味のサウンド。ゴシック的な耽美さはあまりないが、
エイレラ嬢のやわらかな歌声にはどこか北欧的なフォーキーな空気感もあり、
ヘヴィさが希薄な分、むしろシンフォニックな女性声メロディアスハードとしても楽しめる。
メロディック度・・8 ゴシック度・・7 女性Vo度・・8 総合・・7.5
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EX ANIMO 「Neverday」
ウクライナのゴシックメタル、エクス・アニモの2016年作
ツインギターに美麗なシンセアレンジ、美しい女性ヴォーカルに男性テスヴォイスが絡む、
シンフォニックで重厚なゴシックメタルサウンド。ジャケのイメージのように耽美な世界観と、
適度にモダンなヘヴィネスが合わさり、どっしりとした本格派の聴き心地が楽しめる。
反面、楽曲の展開にはこれというインパクトがないので、耳に残るメロディがあまりなく、
紅一点、ジュリア嬢の歌声を活かした、しっとりとした叙情ナンバーの方がずっと魅力的。
今後は、楽曲自体の魅力を高めるとともに、サウンド全体の説得力を強めていって欲しい。
ドラマティック度・・7 ゴシック度・・8 女性Vo度・・8 総合・・7.5
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Tears of Martyr「Entrrance」
スペインのシンフォニックメタル、ティアーズ・オブ・マーティアの2010年作
シンフォニックなアレンジにダミ声ヴォーカルを乗せ、美しいソプラノ女性ヴォーカルの歌声が絡む、
ゴシックメタル風味もある耽美なシンフォニックメタル。オペラ歌手でもあるベレニス嬢の歌声は、
Nightwishのターヤばりの力量で、デスヴォイスとのコントラストでサウンドに説得力を付加している。
次作に比べると、男性ダミ声パートが多い点や、楽曲的にもまだナイナー臭さが漂っていて、
垢抜けなさも残るのだが、ほどよいB級感が楽しめる方であれば問題なく楽しめるだろう。
ともかくソプラノの美しさという点では折り紙付き。ゴシック寄りのシンフォメタル好作品である。
シンフォニック度・・7 耽美度・・8 女性Vo度・・8 総合・・8
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Epica 「The Score」
オランダのシンフォニックメタル、エピカの2005年作
本作はバンド名義ではあるが、ジム・ギレスピー監督による映画「JOYRIDE」のサントラ作品で、
ストリングスを含む優美なオーケストレーションを主体にした、シンフォニックなインスト作品。
1~4分前後の小曲が主体なので、単なるBGMになりそうなのだが、壮大な空気感に包まれた
ドラマティックな感触が随所にあって、聴き手の想像力を刺激するところはさすがというところ。
シモーネ嬢の美しい歌声を乗せたナンバーもあり、ゆったりと鑑賞できる美麗な作品です。
シンフォニック度・・8 メタル度・・2 壮麗度・・8 総合・・7.5 過去作のレビューはこちら
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5/4
プログレ&テクニカルメタル!(112)


Sons of Apollo 「Psychotic Symphony」
アメリカのプログレメタル、サンデ・オブ・アポロの2017年作
DREAM THEATERのマイク・ポートノイ、デレク・シェリニアン、元GUNS N` ROSESのロン・“バンブルフット”・サール、
MR. BIGのビリー・シーン、イングヴェイなどに参加したシンガー、ジェフ・スコット・ソートという名うてのメンバーが集結。
手数の多いポートノイのドラムにグルーヴィなシーンのベースと、デレクのきらびやかなシンセワークを乗せ、
ロン・サールの派手やかなギターとソートの渋みのあるヴォーカルで聴かせる、大人のプログレッシブメタル。
古き良き王道のHR/HM風味を感じさせつつ、10分前後の大曲では、DTを思わせるテクニカルな展開力を含んだ
インストパートも覗かせる。歌ものとしてのどっしりとした聴き心地と、各メンバーの技巧が融合された強力作である。
メロディック度・・7 テクニカル度・・8 重厚度・・8 総合・・8
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SCALE THE SUMMIT 「In a World of Fear」
アメリカのプログレメタル、スケール・ザ・サミットの2017年作
2007年にデビュー、DREAM THEATER的な構築力をメタルフュージョン的な軽妙さに融合したサウンドで
6作目となる本作は、ギター、ベース、ドラムというトリオ編成となったが、方向性はおおむねそのまま。
テクニカルなリズムに、メロディックなギターフレーズを乗せ、優雅なメタルフュージョンを聴かせる。
楽曲は3~5分台と長すぎず、オールインストながら、ギターの奏でるメロディのセンスとともに、
リズム面での展開力もあって飽きずに楽しめる。全体的には軽やかな聴き心地ながら、
随所にメタリックなヘヴィさも覗かせ、そのバランス感覚も見事。突出した曲はないが安定の好作品。
メロディック度・・8 テクニカル度・・8 優雅度・・9 総合・・8 過去作のレビューはこちら
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Thee Final Chaptre 「It Is Written」
アメリカのプログレメタル、スリー・ファイナル・チャプターの2016年作
1991年に発表したミニアルバムに、デモとライブ音源9曲を加えた再発盤。
メタリックなギターリフにハイトーンヴォーカルを乗せたどっしりとした正統派の感触に、
リズムチェンジを含む知的な展開力で聴かせる、Queensrycheを思わせるサウンド。
伸びやかなハイトーンとマイルドな表現力を兼ねそろえたヴォーカルの実力もなかなかのもので、
緩急のあるアレンジとドラマティックな味わいは、Crimson Gloryに通じる雰囲気もある。
ライブ音源はブート程度の音質ながら、フルアルバムを聴いてみたかった幻のバンドですな。
メロディック度・・8 重厚度・・8 クリグロ&ズライチ度・・8 総合・・7.5
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VOLA「INMAZES」
デンマークのプログレメタル、ヴォラの2016年作
Djent的なモダンなテクニカル性に包まれた演奏に、エモーショナルなヴォーカルを乗せた
キャッチーな感触を融合したサウンド。美しいシンセアレンジに、プログレ的な知的な構築力
そして変則リズムのキメに乗せる硬質なギターリフは、エモーショナルロック化したMESHUGGAHのよう。
全体的には重すぎず、激しすぎずというバランスで、ときにエレクトロなデジタル感覚も含めて、
Animals As Leadersともまた違った、「新時代のテクニカルProgMetal」というべき作品である。
ドラマティック度・・7 テクニカル度・・8 モダン度・・8 総合・・8
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Lucid Dream Syndrome 「ROAD TO THE MOUNTAIN TOP」
タイのプログレメタル、ルシッド・ドリーム・シンドロームの2012年作
シンセ、ギター、ドラムという若手3人組で、テクニカルなリズムに美麗なシンセアレンジを乗せ、
適度なヘヴィネスとモダンな感触に、随所にアジアンな旋律を含んだ、オリエンタルなProgMetal。
ほぼオールインストであるが、DREAM THEATERなどを思わせる技巧性もなかなかのもので、
リズムチェンジを含む展開力とともに、テクニカルな遊び心を盛り込んで、大曲を構築してゆく確かな力量もある。
一方ではオルガンやムーグシンセを使ったオールドなプログレ感触も覗かせるなど、多様なセンスが光っていて、あなどれない。
ゲストの女性ヴォーカルを加えた、ラストのしっとりとした叙情ナンバーもよいですね。タイ王国から登場した、期待の若手バンドですな。
メロディック度・・8 テクニカル度・・8 構築度・・8 総合・・8

Continuum 「Lifeless Ocean」
フランスのプログレメタル、コンティニュームの2009年作
美麗なシンセと適度にヘヴィなギターを乗せ、テクニカルなアンサンブルと緩急ある展開力で、
DREAM THEATERばりのProgMetalを聴かせる。湿り気を含んだ叙情性は、ヨーロピアンな香りの
シンフォニックプログレ的な雰囲気もあって、ドラマティックな構築センスもなかなか見事。
ときに激しい疾走パートなども含んだリズムチェンジや、美しいシンセに包まれたシンフォニックな味わいの
ヴォーカルナンバーもあったりと、全体的にもメリハリに富んだ、高品質なプログレメタルが楽しめる。
ドラマティック度・・8 テクニカル度・・8 構築センス・・8 総合・・8
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Atmosfear 「Zenith」
ドイツのプログレメタル、アトモスフィアーの2009年作
デビューは90年代というキャリアのあるバンドで、シンセを含む5人編成。
いくぶんダークなイントロから、ヘヴィなギターリフを乗せた適度にテクニカルなアンサンブルに、
美しいシンセワークにパワフルなハイトーンヴォーカルを乗せた重厚なサウンドを聴かせる。
派手なテクニカル性はないのだが、ゆったりとした叙情パートを含んだ大人の味わいで、
随所にプログレ的なシンセやメロウなギターフレーズ覗かせつつ、10分を超える大曲を構築する。
ラストは23分におよぶ組曲で、緩急ある流れで、どっしりとした大人のProgMetalを描き出す。
ドラマティック度・・8 テクニカル度・・7 重厚度・・8 総合・・7.5
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Dorian Opera 「No Secrets」
ドイツのプログレメタル、ドリアン・オペラの2008年作
ロシア人シンセ奏者を含む4人編成で、きらびやかなシンセワークにヘヴィなギターを乗せ、
適度にテクニカルな展開力とメロディックな叙情を併せ持った、わりと正統派のProgMetalサウンド。
ギターは随所にテクニカルなフレーズも覗かせ、美麗なシンセワークもプログレ的でよいのだが、
ヴォーカルの歌声がやや不安定で弱いので、結果としてB級プログレメタルの域を脱せず。
インストパートはときおり優雅な叙情性に包まれていて、なかなか悪くないんですがねえ。
ちなみにギタリストは元STORMWITCHのメンバーとか。なるほどマイナーなわけだ!
ドラマティック度・・7 テクニカル度・・7 楽曲・・7 総合・・7
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Between The Buried And Me 「Future Sequence: Live at the Fidelitorium」
アメリカのテクニカル・アヴァンメタル、ビトウィーン・ザ・バリード・アンド・ミーの2014年作
2002年のデビュー以来、カオティックコアの枠を超え、いまやテクニカルメタルの代表格というべきバンド。
本作は2012年作を完全再現したスタジオライブ作品。マイルドなヴォーカルを乗せたエモーショナルな叙情パートから、
テクニカルな切り返しとともにグロウルヴォイスを加えた、矢継ぎ早の展開で緩急に富んだサウンドを描く、
もはやBTBAM節というべき完成されたスタイルで、ライブ演奏とは思えないクリアなアンサンブルもさすが。
ライブ的な荒々しさはないので、スタジオ盤との差別化という点では物足りないかも。DVDもスタジオライヴ映像収録。
ライブ演奏・・8 テクニカル度・・8 アヴァンギャル度・・7 総合・・8 過去作のレビューはこちら
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Between The Buried And Me 「The Anatomy of 」
アメリカのテクニカル・アヴァンメタル、ビトウィーン・ザ・バリード・アンド・ミーの2006年作
本作はカヴァーアルバムで、METALLICA、MOTLEY CRUE、SOUNDGARDEN、QUEEN、KING CRIMSON、PINK FLOYD、
The Smashing Pumpkins、Earth Crisis、SEPULTURA、Blind Melon、FAITH NO MORE、DEPECHE MODE、PANTERAと
幅広いバンドからの選曲。暴虐なブラスト疾走を含んだメタリカ「Blackend」から始まり、わりと正当なアレンジのモトリー・クルー、
ほどよくハードなクイーン「Bicycle Race」、キング・クリムゾン「Three of a Perfect Pair」などもなかなか恰好いい。
高度な演奏力で、原曲の雰囲気を活かしつつ独自のアレンジセンスで聴かせる、見事なカヴァーアルバムである。
激しさ度・・7 メタルからプログレまで度・・9 カヴァーセンス・・9 総合・・8
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Dysrhythmia 「Pretest」
アメリカのテクニカルメタル、ディスリズミアの2003年作
GORGUTSのメンバーを含むバンドで、変則リズムたっぷりのテクニカルなリズムに、
うねりのあるベースとフリーキーなギターを乗せてたたみかけるインストサウンド。
トリオ編成のシンプルなスタイルながら、ジャズロック的な軽妙さとアヴァンギャルドな空気感も含んだ
スリリングなアンサンブルには、モダンにならない生々しいアナログ感もあって、そういう点では、
かつてのWATCHTOWERなどにも通じるところもあるが、メタル的な激しさというのはさほどでもない。
のちのアルバムに比べるとまだおとなしいので、ヘンタイ系としてもちと物足りないか。
ドラマティック度・・6 テクニカル度・・8 ヘンタイ度・・7 総合・・7.5 過去作のレビューはこちら
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4/20
デス&ブラックメタル!(101)


Akercocke 「Renaissance in Extremis」
イギリスのアヴァン・デスメタル、アカーコックの2017年作
2001年にデビュー、2007年までに4作を出して後沈黙、本作は10年ぶりとなる5作目である。
スラッシーなギターリフと低音のデスヴォイスを乗せて激しく疾走、リズムチェンジを含む知的な感触で
テクニカルなデスメタルサウンドを聴かせる。かつてのような暴虐なブラックメタル色はやや薄まったものの、
随所に覗かせるアヴァンギャルドなセンスは健在で、ときにメロディックで叙情的なパートも含んだ
プログレッシブなデスメタルとしても楽しめる。楽曲によってはブルータルなブラスト疾走も残しつつ、
オールドスタイルのデスメタル感触と知的な展開力のバランスがとれた強力なアルバムに仕上がっている。
ドラマティック度・・7 暴虐度・・7 知的デス度・・8 総合・・8 過去作のレビューはこちら
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The Order of Apollyon「Flesh」
イギリスのブラックメタル、オーダー・オブ・アポロンの2010年作
ABORTED、元CRADLE OF FILTH、AKERCOCKEといったバンドのメンバーが集まったバンドで、
ザリザリとしたギターを乗せて激しくブラスト疾走する、荘厳な暗黒性に包まれたブラックメタル。
ヘヴィなギターリフはときにデスメタル的でもあり、低音の吐き捨てヴォーカルを乗せて、
リズムチェンジによる緩急ある展開とともに、迫力たっぷりのサウンドを描いてゆく。
クレイドルのようなシンフォニックな華麗さはないが、硬派なブラックメタルという点では、
MARDUKなどが好きな方にもイケるかと。英国産にしては稀な本格派ブラックの強力作。
ドラマティック度・・7 暴虐度・・8 荘厳度・・8 総合・・8
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HEIMDALLS WACHT 「GEISTERSEHER」
ドイツのブラックメタル、ヘイムダルズ・ワハトの2016年作
2005年にデビューしてから、本作ですでに7作目となる。ツインギターによるトレモロのリフに
迫力ある低音のダミ声ヴォーカルを乗せた、オールドスタイルのブラックメタルサウンド。
ギターフレーズには甘すぎない叙情性も覗かせながら、ブラストを含む激しさと緩急ある展開で、
ブラッケンな空気感を描き出す。中盤はミドルテンポのどっしりとしたナンバーも多いが、
キャリアのあるバンドらしい確かな演奏力が、暗黒性を描くサウンドの説得力となっている。
ラストは14分におよぶ大曲で、激しくブラスト疾走しながら、神秘的なスケール感に包まれた味わい。
ドラマティック度・・7 暴虐度・・7 ゲルマン度・・8 総合・・7.5
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Ave Tenebrae 「Tandis Que Les Perjures Se Meurent」
フランスのブラックメタル、アヴェ・テネブレの2016年作
トレモロを含むメロディックなツインギターにいかにもブラックらしいダミ声ヴォーカルを乗せてブラスト疾走、
緩急のあるリズムチェンジと激しくも叙情的な味わいで、ほどよくプリミティブな世界観を描き出す。
軽すぎず重すぎずというバランスに、曲によっては優雅と言ってよいリズム展開とともに知的な味わいも感じさせる。
ブラックメタルとしての暴虐な激しさの中に、ふっとアコースティックなパートを挿入するなど、
メロディックな叙情性を取り入れたアレンジセンスも見事。フレンチな優雅さに包まれた高品質作。
ドラマティック度・・8 暴虐度・・8 激しくも優雅度・・8 総合・・8
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Cvinger 「Embodied In Incense」
スロベニアのブラックメタル、クヴィンガーの2016年作
コープスペイントを施した凶悪なメンバー4人編成で、ジャケの雰囲気もいかにもダークで怪しげだが、
呪術的な語りによるイントロから、デスメタル的なギターリフと低音デスヴォイスを乗せて、
激しいドラムでたたみかける、BEHEMOTHばりのブルータルなブラックメタルサウンドを展開。
激烈なブラストビートで突進しつつ、リズムチェンジによる展開力には知的な雰囲気も漂わせ、
トレモロのギターやときに神秘的なコーラスを乗せて、荘厳な暗黒の世界を描き出す。
ドラマティック度・・8 暴虐度・・9 暗黒度・・9 総合・・8
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Venhelgd 「Temple of Phobos」
スウェーデンのブラッケン・デスメタル、ヴェンヘルグドの2016年作
ツインギターのトレモロなリフに低音ダミ声ヴォーカルを乗せ、ブラックメタル的なダークさと、
90年代の北欧デスメタルを思わせる、オールドな香りに包まれたサウンドを聴かせる。
激しい疾走パートもあるが、スローからミドルテンポでのどっしりとした感触もよい感じで、
かつてのEdge of SanityEntombedなどにも通じる、くぐもったような空気感と
甘すぎない叙情性も味わえる。古き良き北欧デスメタルの雰囲気を残した強力作。
ドラマティック度・・7 暴虐度・・7 オールドデス度・・8 総合・・8
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Wallachia 「Carpathia Symphonia」
ノルウェーのブラックメタル、ワラキアの2016年作
Disc1には2015年のEPに、1999年作「FROM BEHIND THE LIGHT」のリマスター音源を収録、
Disc2には2009年作「CEREMONY OF ASCENSION」を収録した2枚組。美しいシンセアレンジに
低音ダミ声ヴォーカルを乗せた、どっしりとしたブラックメタルで、暴虐な疾走感はあまりない。
1999年作は、ややラウドな音質とともに、ヨーロピアンなマイナー臭さを強く感じさせるサウンドで、
ザクザクとしたギターはむしろデスメタル寄りなのだが、美麗なシンセがミスマッチな感触で、
シンフォブラック的な味わいもかもしだしている。ヴォーカルのゲボ声は好みが分かれるところか。
2009年作では、アクレッシブな迫力が増していて、メロデス風味のシンフォブラックが楽しめる。
ドラマティック度・・7 暴虐度・・7 マイナーブラック度・・8 総合・・7.5
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Decrepit Birth 「Axis Mundi」
アメリカのテクニカルデスメタル、デクレピッド・バースの2017年作
2003年にデビュー、本作は7年ぶりとなる4作目。強烈なツーバス連打と変則リズムのドラムに、
デスメタルらしいギターリフと低音ゲボ声ヴォーカルを乗せてたたみかける、テクニカルデスメタル。
激しいブラストビートとともにオールドなブルデスの味を残しつつ、スウィープのギターフレーズを乗せたり、
テクデスとしての知的な展開力も備わっていて、緩急のあるじつに濃密な聴き心地である。
ラストのSuffocationカヴァーもハマっていて、モダン過ぎるテクデスが苦手という方にも楽しめる作品だろう。
ドラマティック度・・7 暴虐度・・8 テクニカル度・・8 総合・・8 過去作のレビューはこちら
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EXIST 「SO TRUE, SO BOUND」
アメリカのテクニカルデスメタル、イグジストの2017年作
モダンな硬質感とテクニカル性に包まれた、Djent的なサウンドで、ノーマル&ダミ声ヴォーカルを乗せて、
アヴァンギャルドな浮遊感と知的なアレンジで聴かせる。全体的にデスメタル的な暴虐性よりも、
CYNICのようなプログレッシブなセンスが光っていて、随所にやわらかな叙情性も感じさせる作風だ。
10分前後の大曲も、リズムチェンジを含む緩急ある展開で、Between The Buried And Meにも通じる、
濃密なサウンドを構築する。テクニカルであっても激しすぎないので耳疲れしないのもよいデスね。
ドラマティック度・・7 テクニカル度・・8 知的センス・・8 総合・・8
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Denominate 「Those Who Beheld the End」
フィンランドのデスメタル、デノミネートの2016年作
ツインギターのリフに低音デスヴォイスを乗せて激しく疾走、リズムチェンジを含めてキメの多い、
テクニカルデスメタルで、随所にメロディックなギターフレーズも覗かせる濃密なサウンドだ。
マスタリングをダン・スヴァノが手掛けていることもあり、激しくともヘヴィすぎない音作りには
オールドスタイルの感触もあるが、手数の多いドラムをはじめ、演奏力の高さはいかにも若手らしい。
11分の大曲では、ポストブラック的なモダンな雰囲気も垣間見せる。北欧テクデスの高品質作。
ドラマティック度・・7 暴虐度・・8 テクデス度・・8 総合・・8
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Al-Namrood 「Heen Yadhar Al Ghasq」
サウジアラビアのブラックメタル、アル・ナムロードの2014年作
2009年にデビュー、イスラム発祥の地からの本格派ブラックメタルとして注目され、
4作目となる本作は、いかにもアラビックな旋律を乗せたインスト曲で幕を開ける。
アラビア語の野太いヴォーカルを乗せたダークなサウンドは、打ち込みのリズムも含めて
ブラックメタルとしての激しさは控えめだが、民俗色のあるメロディを含ませたアレンジで
中近東的な空気感はより強まっている。リフレインが多いので耳を惹くような展開はないが、
その分、サイケ的なトリップ感があって、中近東メタルとしての味わいを楽しめます。
ドラマティック度・・7 暴虐度・・6 アラビック度・・8 総合・・7.5 過去作のレビューはこちら
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4/13
ペイガン・ブラック特集!(90)


Solstafir「Berdreyminn」
アイスランドのアヴァン・ブラックメタル、ソルスタフィアの2017年作
2002年にデビュー、ペイガンなブラックメタルにサイケ、ポストロックの要素を加えた独自の作風で、
本作はすでに6作目となる。オルガンが鳴り響き、適度にヘヴィなギターと母国語の武骨なヴォーカルによる
土着的な質感が合わさった、プログレッシブなペイガンメタルでありつつ、70年代的なブルージーな渋みや
オールドロックの感触も加わっている。また今作ではジャケのイメージのように、ゆったりと聴かせる
アンビエントな雰囲気のパートもあり、全体的にもメタルというよりはハードロック寄りの聴き心地である。
反対に、重厚なペイガンメタルを期待するとやや肩透かしか。土着的なサイケメタルとして聴くのが良いかと。
ドラマティック度・・7 ペイガン度・・7 重厚度・・7 総合・・8 過去作のレビューはこちら
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Arstidir Lifsins 「Aldafoor Ok Munka Drottinn」
アイスランドのペイガン・ブラックメタル、アルスティダー・ライフサインズの2014年作
2010年にデビュー、本作は3作めでCD2枚組の大作。ストリングスが鳴り、神秘的な語りを乗せたイントロから、
重厚なギターにダミ声ヴォーカルを乗せ、荘厳でミステリアスなペイガン・ブラックメタルを聴かせる。
激しいブラスト疾走を含む緩急ある流れで、10分前後の大曲を主体に、じっくりと展開してゆくサウンドには、
メロディックな要素や派手さはほとんどないのだが、どっしりとした硬派な作風は迫力たっぷりである。
Disc2にはメタル色のないトラッド的なナンバーもあったりと、寒々しいアイスランドの空気を漂わせる。
単なるブラック、ペイガンの枠を超えた、濃密な土着メタルというべきか。CD2枚、80分を超える力作デス。
ドラマティック度・・8 ペイガン度・・9 重厚度・・9 総合・・8
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ARSTIDIR LIFSINS 「HELJARKVIDA」
アイスランドのペイガン・ブラックメタル、アルスティダー・ライフサインズの2016年作
20分、24分という大曲2曲の構成で、今作もストリングスによるイントロからミステリアスな空気感を漂わせ、
重厚なギターに低音ダミ声ヴォーカルを乗せて激しく疾走する、ペイガンブラックメタルが広がってゆく。
荘厳なコーラスも加わったヴァイキングメタル的な勇壮な世界観と、硬派な土着性に包まれたサウンドは、
MOON SORROWあたりにも通じる本格派の聴き心地。荒涼とした北の大地を感じさせる空気感は、
まさに本物のペイガンメタルの味わいである。なにせ曲が長いので、気の短い方には向かないが、
じっくりと描かれるドラマティックな音の説得力は見事で、世界に浸れるタイプのリスナーには傑作です。
ドラマティック度・・8 ペイガン度・・9 重厚度・・9 総合・・8
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Craving 「By The Storm」
ドイツのヴァイキング・デスメタル、クラヴィングの2016年作
フォーキッシュなイントロから、ツインギターにダミ声ヴォーカルを乗せて激しく疾走、
重厚なヘヴィネスとメロディックな叙情性が合わさったペイガンなメロデスサウンド。
前作よりもヴァイキングなクサメロ感が強まった分、激烈な疾走パートであっても
勇壮なコーラスなども含めたエピックなスケール感が増している。8分を超える大曲もあり、
メロディのフックーやリズムチェンジを含む楽曲の構築性とアレンジの力量も着実にアップした。
ボーナストラックを入れて全78分、迫力たっぷりのヴァイキング・メロデスが味わえる濃密作。
ドラマティック度・・8 暴虐度・・8 ヴァイキングデス度・・8 総合・・8
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FIMBULVET 「HEIDENHERZ」
ドイツのペイガン・ブラックメタル、フィンバルヴェットの2016年作
2006年作「Ewiger Winter」 と2008年作「Der Ruf In Goldene Hallen」をカップリング、ボーナスを加えた2枚組。
フォーキーなギターフレーズにダミ声ヴォーカルを乗せて激しく疾走するペイガンなブラックメタルで、
2006年作は、ややスカスカ感のあるプリミティブなサウンドながら、ゲルマンらしい勇壮さを含んだ聴き心地。
ドイツ語によるダミ声ヴォーカルも独特の味わいで、ほどよく武骨なギターのクサメロ感とともに、
随所にアコースティックパートやノーマル声も含みつつ、ドカドカとしたドラムがB級臭さをかもしだす。
2008年作になると、サウンドにスケール感が加わっていて、激しく疾走パートを含む緩急ある展開力と、
ヴァイキングブラックとしての重厚な迫力に包まれている。ボーナスのリレコーディングVerも良いですね。
ドラマティック度・・7 ペイガン度・・8 ゲルマン度・・8 総合・・7.5
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Heimsgard 「Ordrag」
フランスのペイガンメタル、ヘイムスガルドの2016年作
土着的なツインギターにダミ声ヴォーカルを乗せ、フォーキーなメロディとともに疾走する、
ENSIFERUMなどに通じるサウンド。美麗なシンセアレンジに、優美な叙情を含ませた
緩急ある展開力で、クサメロ感漂う感触とともに高品質なペイガンメタルを聴かせる。
勇壮なコーラスなどヴァイキングメタルとしての幻想性も感じさせつつ、重厚な迫力は薄い分、
あくまでメロディ重視の作風で初心者にも聴きやすいだろう。
メロディック度・・8 ペイガン度・・8 重厚度・・7 総合・・8
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Belenos 「Yen Sonn Gardis」
フランスのペイガン・ブラックメタル、ベレノスの2010年作
デビューは1996年とキャリアのあるバンドで、本作がすでに7作目となる。
トレモロを含んだギターフレーズとダミ声ヴォーカルを乗せて、激しいブラスト疾走を含む緩急のある展開とともに、
エピックなスケール感に包まれたペイガンブラックメタル。ときに美しいヴァイオリンの旋律も現れたり
随所に土着的な叙情性も覗かせながら、ネイチャーブラック的でもあるうっすらとした神秘性も感じさせる。
ヘヴイすぎないほどよくこもり気味のサウンドもよい感じで、ペイガンなブラックメタルとしての魅力たっぷりの力作。
ドラマティック度・・8 暴虐度・・7 ペイガン度・・8 総合・・8
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Belenos 「KORNOG」
フランスのペイガンブラックメタル、ベレノスの2016年作
物悲しいフィドルの音色によるイントロから、重厚なギターリフが重なり、低音のダミ声ヴォーカルを乗せて
ミステリアスなスケール感に包まれた、ペイガンなブラックメタルを聴かせる。激しい疾走パートもありつつ、
スローからミドルテンポでどっしりとした重厚さでもって、ゆったりとした叙情パートなど、緩急ある展開力とともに、
キャリアのあるバンドらしいサウンドの説得力を感じさせる。朗々としたコーラスを乗せた勇壮な雰囲気と
霧に包まれたような音作りが神秘的な空気感をかもしだす。ドラムの高速ブラストもMARDUKあたりに引けを取らない迫力。
12分の大曲も含めて、荘厳でドラマティックな世界観を描く、ペイガン・ブラックメタルの強力作である。
ドラマティック度・・8 暴虐度・・8 ペイガン度・・8 総合・・8
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Thundra 「Angstens Salt」
ノルウェーのペイガン・ブラックメタル、ツンドラの2014年作
2000年にデビューしてから本作で4作目となる。ツインギターにシンセを含む6人編成で、
ややメロデス寄りのギターフレーズに低音グロウルヴォーカルを乗せた、ヴァイキング寄りのブラックメタル。
楽曲は7~9分と長めで、ミドルテンポを主体に、ときおり激しい疾走パートも含ませた、重厚な聴き心地はなかなか悪くないが
ペイガンメタルとしての神秘性やメロディのフックの点ではやや物足りないので、どうしても中庸な聴き心地に留まっている。
全体的に雰囲気は悪くないので、楽曲やメロディ自体にもっと濃密さと魅力が欲しい。
ドラマティック度・・7 暴虐度・・7 ペイガン度・・7 総合・・7.5
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Tsar Stangra(Цар стангра) 「Небесният ковач」
カナダのペイガンメタル、ツアー・スタングラの2017年作
バンド名や曲名がキリル文字になっているのは、ブルガリア系メンバーのバンドということらしい。
うっすらとしたシンセアレンジにツインギターとダミ声ヴォーカルを乗せた、辺境的なペイガンメタルで、
激しすぎない適度な疾走感を含んだ楽曲には、美しいシンセのメロディとともに、
ほどよいクサメロ感を漂わせつつ、マイナーな味わいと神秘的な空気感も感じさせる。
ラストは14分の大曲でブラスト疾走を含む緩急ある展開で、土着的なペイガンブラックが炸裂する。
ドラマティック度・・7 暴虐度・・7 ペイガン度・・8 総合・・7.5
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Sig:Ar:Tyr「Sailing the Seas of Fate」
カナダのペイガンメタル、シグ・アー・ティアの2005年作
波のSEのイントロから、壮大な雰囲気を感じさせるが、アコースティックギターを取り入れた楽曲は
涼やかで神秘的な空気感に包まれた聴き心地。叙情というよりは荒涼とした物悲しさで、
ヴォーカルらしいヴォーカルはほとんど入らず、淡々と物語を描くようなサントラ的な感触でもある。
アコースティックのパートが多いこともあって、重厚なペイガンメタルを期待すると肩透かしだが、
暗黒の海のイメージを想像しながら、茫漠とした寂寥感に浸れるような作品である。
ドラマティック度・・7 ペイガン度・・7 重厚度・・7 総合・・7.5
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Balfor 「Barbaric Blood」
ウクライナのペイガン・ブラックメタル、バルフォーの2010年作
重厚なツインギターにダミ声ヴォーカルを乗せ、エピックなスケール感を漂わせる
デスメタル寄りのプラックメタルサウンド。ブラスト疾走するブルータルな激しさと、
甘すぎない程度のメロディックな叙情も含んだ作風は、演奏面でのクオリティの高さもあって、
辺境臭さをあまり感じさせない。あるいはブラックメタル寄りのメロデスとしても楽しめるかも。
ペイガンな要素や土着的なメロデイはあまりないので、わりと硬派寄りの強力作デス。
ドラマティック度・・8 暴虐度・・8 ペイガン度・・7 総合・・8
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3/31
メタルの春が来た(78)


Iced Earth 「Incorruptible」
アメリカのパワーメタル、アイスド・アースの2017年作
1990年デビューのベテランバンド、12作目の今作は、荘厳なイントロからダークなドラマ性を感じさせ、
メタリックなツインギターにパワフルなヴォーカルを乗せた、正統派のメタルサウンドで、
エピックな勇壮さに湿り気を含んだ適度な叙情性が合わさった、重厚な世界観を描き出す。
新たに加わった、ジェイク・ドレイヤーのリードギターは、随所にメロディックなフレーズも覗かせ、
ミドルからハイトーンまで出せるステュー・ブロックのヴォーカルともよくマッチしている。
個人的にはドラムのモダンな音作りが好きではないのと、楽曲そのものにもっとフックが欲しい気もするが、
全体としてはどっしりと貫録の安心作だろう。ただ、長年このバンドを聴いてきたリスナーには新鮮味は薄いか。
ドラマティック度・・7 重厚度・・8 正統派度・・8 総合・・7.5 過去作のレビューはこちら
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FOGALORD 「Masters of War」
イタリアのシンフォニックメタル、フォガロードの2017年作
SYNTHPHONIA SUPREMAのメンバーを含むバンドの2作目で、エピックなクサメタルが炸裂した前作に続き、
本作もケルティックな雰囲気のイントロから、勇壮なコーラスを含むシンフォニックな美麗さに包まれて、
程よく力弱いヴォーカルを乗せた、クサメロ系のメロディックメタル・サウンドが炸裂してゆく。
ファンタジックな世界観は、BLIND GUARDIANなどを思わせるが、もちろんそこまで重厚ではなく、
微笑ましいマイナーさに包まれているところがこのバンドの魅力だろう。ゆったりとした3拍子の叙情ナンバーや、
疾走するメロスピナンバーまで、日本人好みのクサめのメロディアス性に包まれていて、
ラストの12分の大曲は、ヴァイキングメタルばりの勇壮なドラマ性を描き出す。クサエピックな力作です。
メロディック度・・8 エピック度・・8 クサメロ度・・8 総合・・8 過去作のレビューはこちら
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LONEWOLF 「RAISED ON METAL」
フランスのメロディックメタル、ローンウルフの2017年作
90年代から活動する中堅バンドで、本作がすでに9作目となる。パワフルなヴォーカルと
クサメロ寄りのギターフレーズを乗せて疾走する、オールドなジャーマンメタルスタイルで、
潔いまでの正統派メロパワサウンドににんまりだ。今作ではさらに古き良きメタル感が増していて、
RUNNING WILDACCEPTを思わせるナンバーもあったりと、まるで80~90年代のバンドのよう。
楽曲はあくまでシンプルで、メタルとしての明快な気持ちよさに包まれている。新鮮味はないものの、
エピックな勇壮さも含めて、ドイツのMAJESTYあたりが好きな方にもお薦めのバンドですな。
メロディック度・・7 パワフル度・・8 正統派度・・9 総合・・8 過去作のレビューはこちら
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WITHERFALL 「Nocturnes and Requiems」
アメリカのプログレッシブ・パワーメタル、ウィザーフォールの2017年作
ジェイク・ドレイヤー(元Kobra and the Lotus)、ジョセフ・マイケル(White Wizzard)、アダム・サガン(White Empress)
といったメンバーが集結したバンドで、ヘヴィなギターリフをテクニカルなリズムに乗せたプログレメタル感触に、
パワフルなヴォーカルの歌声で聴かせる、ダークなパワーメタルを融合したサウンド。スラッシーな疾走パートや
薄暗い叙情性も覗かせる知的な展開力で、重厚なサウンドは「テクニカルになったICED EARTH」という感じもある。
表現力のあるハイトーンヴォーカルとともに、8分、9分という大曲をじっくりと構築してゆく。聴きごたえのある力作だ。
尚、ドラムのアダムはアルバムの発表を待たずに、2016年に悪性リンパ腫で他界したそう。R.I.P.
ドラマティック度・・8 パワフル度・・8 重厚度・・8 総合・・8
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ANKOR 「Beyond The Silence Os These Years」
スペインのメロディックメタル、アンコールの2017年作
前作はメタルコア的なモダンさとキャッチーなメロディアス性が合わさったなかなかの好作であったが、
3作目となる本作も、キュートな女性ヴォーカルの歌声を乗せ、モダンでメロディックなサウンドを聴かせる。
伸びやかな歌声のジェシーは、ときにスクリームヴォイスも使い分け、その表現力を遺憾なく発揮、
マイルドな男性ヴォーカルも随所にアクセントになっている。楽曲は3~4分前後と、全体的にコンパクトで
キャッチーな聴き心地にも磨きがかかっている。個人的には女性のスクリームは苦手なのだが、イケる方はどうぞ。
メロディック度・・7 モダンヘヴィ度・・8 女性Vo度・・8 総合・・7.5 過去作のレビューはこちら
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ENZO AND THE GLORY ENSEMBLE 「IN THE NAME OF THE SON」
イタリア人ミュージシャン、エンゾ・ドナルマによるクリスチャン・メタルオペラ・プロジェクト、2017年作
マーティ・フリードマンをはじめ、ラルフ・シーパーズ(PRIMAL FEAR)、コビ・フールヒ(ORPHANED LAND)、
マーク・ゾンダー(FATES WARNING)、ゲイリー・ワーカンプ、ブライアン・アシュランド(SHADOW GALLERY) らが参加、
シンフォニックなアレンジとゴスペル的なコーラスも含んだ、優美なクリスチャンメタルの感触に、
オルファンド・ランドあたりにも通じる、アラビックな香りに包まれた壮麗なサウンドを描いてゆく。
女性ヴォーカルも加わったオペラティックなナンバーや、メロパワ的な疾走ナンバーから、
9分を超えるドラマティック大曲まで、なかなかメリハリのある構成で楽しめます。シリーズ化に期待。
シンフォニック度・・8 クリスチャン度・・9 壮麗度・・8 総合・・8
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MARIUS DANIELSEN'S LEGEND OF VALLEY DOOM
ノルウェーのミュージシャン、マリウス・ダニエルセンによるシンフォニックメタルオペラ。2015年作
ヴォーカルには、ティム・リッパー・オーウェンズ、エドゥ・ファラスキ(元ANGRA)、マーク・ボールズ、ヨナス・ヘイドガート(Dragonland)
エリサ・マーティン(元Dark Moor)他が参加、ギターには、クリス・カッフェリー(Savatage)、ティモ・トルキ、ロス・ザ・ボス、
トビ・カースティング(Orden Organ)、ジミー・ヘドランド(Falconer)、オリヴァー・ラパウゼ(Heavenly)、フェリペ(Twilight Force)他、
ベースには、マイク・レポンド(Symphony X)他、ドラムには、アレックス・ホールズワース(Rhapsody of Fire)他が参加、
壮麗なイントロから、メロディックなギターを乗せて疾走、エピックなスケール感で描かれる、RHAPSODYばりのシンフォニックメタル。
なにしろゲストが多すぎて、誰がどこで歌って、弾いているのかも分からないが、疾走するメロスピ寄りのナンバーが多いので、
この手が好きな方はニンマリであろう。ともかく世界各国のメンバーが集結した、AVANTASIAのような豪華プロジェクトである。
シンフォニック度・・8 疾走度・・8 豪華ゲスト度・・9 総合・・8
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SOULSPELL 「Hollow's Gathering」
ブラジル人のドラマー、エレノ・ヴァーリを中心にしたメタルオペラプロジェクト、ソウルスペルの2012年作
3作目となる本作も、ティム・リッパー・オーウェンズ、マイク・ヴェセーラ、アマンダ・サマーヴィル、イウリ・サンソン(HIBRIA)
ブレイズ・ベイリー(元IRON MAIDEN)、ナンド・フェルナンデス(HANGAR)、マリオ・パストーレ(PASTORE)、
マーカス・グロスコフ(HELLOWEEN)をはじめとした大勢のメンバーが参加、女性ヴォーカルを乗せた美しいイントロから、
きらびやかなシンセとともに疾走する派手やかなサウンドで、実力あるヴォーカルたちの歌声を乗せた、
壮麗なシンフォニックメタルが広がってゆく。過去2作以上に楽曲のダイナミックなスケール感が増していて、
男女ヴォーカルを含んだ華やかな聴き心地とともに、ドラマティックなメタルオペラが楽しめる。3作目にして最高傑作。
シンフォニック度・・8 壮麗度・・9 豪華ゲスト度・・9 総合・・8 過去作のレビューはこちら
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Adramelch「Opus」
イタリアのエピックメタル、アドラメルクの2015年作
デビューは80年代というベテランで、2005年に復活してからの3作目となる。
メロウなギターにマイルドなヴォーカルを乗せた叙情的なハードロックという感触で、
かつてのようなエピックメタルの面影はやや薄まり、大人の味わいに包まれている。
一方ではツインギターの湿り気を含んだ旋律には、幻想的な味わいも残していて、
うっすらとしたシンセアレンジとともに、じっくりと聴かせる耳心地の良さに包まれている。
メタリックな部分は少ないものの、メロディックな叙情のドラマティックハードというべき好作品。
ドラマティック度・・8 エピック度・・7 大人の叙情度・・8 総合・・8 過去作のレビューはこちら
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Antonello Giliberto 「Journey Through My Memory」
イタリアのミュージシャン、アントネロ・ジルベルトの2015年作
ギターとシンセをこなすミュージャンで、ドラム、ベースを加えた編成で聴かせる、インストによるメロディックメタル。
ネオクラシカル色もある流麗なギターワークを乗せて、程よい疾走感に包まれたサウンドは、
歌無しの正統派メロスピという感じで、日本のGaia Preludeなどにも通じる雰囲気もある。
ベースとドラムの腕前もかなりのもので、ギターのフレーズにもクサメロ的なセンスを感じさせるので、
オールインストであってもシンフォニックなシンセアレンジも含めて、メロディと展開力で飽きさせない。
メロディック度・・7 インストメタル度・・9 ギターワーク度・・8 総合・・7.5
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Ghost City 「Tragic Soul Symphony」
イタリアのメロディックメタル、ゴースト・シティの2015年作
シンセを含む5人編成で、美麗なアレンジにハイトーンヴォーカルを乗せた、ややダーク寄りのシンフォニックメタルサウンド。
疾走するメロスピ風味のナンバーもあるが、むしろミドルテンポやスローナンバーでの、じっくりと聴かせる叙情美に
味があるような気がする。ヴォーカルの力量と表現力はそれなりにあるので、B級臭さはあまり感じないが、
メロディのフックという点ではどの曲も「あと一歩」感に包まれている。ラスト曲のクラシカルな感触はなかなか良いので、
今後は、楽曲そのものの魅力とともに、突き抜けるようなインパクトのあるナンバーを増やしい欲しい。
ドラマティック度・・7 疾走度・・5 重厚度・・7 総合・・7.5
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Axe Vyper 「Angeli O'acciaio」
イタリアのメロディックメタル、アックス・ヴァイパーの2011年作
ジャケからしてもう「聖闘士星矢」のパクりみたいなB級臭さがぷんぷんであるが、
メロディックなツインギターにイタリア語のヴォーカルを乗せた正統派のメタルサウンドで、
適度なヘナチョコ感とクサメロ要素を含んでいて、これがなかなか悪くないのである。
80~90年代的なオールドなクサメタル感触と、イタリア語による響きがマッチしていて、
正統派のB級メタルとして普通に楽しめる。Heavy Loadのカヴァーも含めて、マニアにんまり。
メロディック度・・8 正統派度・・8 古き良き度・・8 総合・・7.5
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Sunrunner 「Heliodromus」
アメリカのNWOTHM系メタルバンド、サンランナーの2015年作
トリプルギター編成による、厚みのあるギターにダーティなヴォーカルを乗せて疾走する、
オールドな味わいのメタルサウンド。アコースティックなパートや、ドゥームメタル風味もあったりと、
楽曲ごとの振り幅もけっこうあって、確信犯的なアレンジの違いをニヤりとして楽しめたりもする。
プログレメタル的な変則リズムも覗かせたと思えば、80年代風味のオールドメタルへ戻ったりと、
とりとめのない怪しさがある意味面白い。B級っぽいのだが、あえてヘタウマ感を描くような感触。
ラストは21分の大曲で、ほどよいヘナチョコ加減とともに、無駄に展開の多い楽曲を構築する楽しさ。
ドラマティック度・・7 古き良き度・・8 怪しさ度・・8 総合・・7.5
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3/17
ペイガン、ブラック、ドゥームにサイケ!(65)


ENSLAVED「E」
ノルウェーのプログレッシブ・ブラックメタル、エンスレイヴドの2017年作
90年代初頭から活動する、ヴァイキング・ブラックメタルの元祖ともいわれるベテランバンド、
本作はいつになく優雅なポストプログレ的な叙情に包まれてゆったりと始まる。
うっすらとしたシンセにノーマルヴォイスとダミ声が絡み、リズムチェンジを含む展開力には
知的でプログレッシブな香りがぷんぷん。もちろんブラックメタルとして激しさも随所に残していて、
荘厳でミステリアスな空気を、緩急ある楽曲の中に自然に融合させるセンスは素晴らしい。
7~10分の大曲を中心に、じっくりと構築される楽曲は、オルガンを含むシンセアレンジや、
変拍子リズムなど、ぐっとプログレリスナー寄りの作風といえる。この路線は大歓迎です。
ドラマティック度・・8 暴虐度・・6 プログレ寄りです度・・9 総合・・8 過去作のレビューはこちら
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CRIMFALL 「AMAIN」
フィンランドのシンフォニック・ペイガンブラックメタル、クリムフォールの2017年作
6年ぶりとなる3作目で、壮麗なイントロから始まり、オーケストラルなアレンジに女性ヴォーカルの歌声に
男性デスヴォイスが絡む、シンフォニックなペイガンメタルサウンドは、さらにエピックかつ壮大なサウンドに。
ヴァイキングメタル風味の土着的な感触もいくぶん残しつつ、RHAPSODYあたりを思わせる勇壮なクワイアとともに、
今作ではシンフォニックメタルとしてのシネマティックなスケール感にいっそう磨きがかかっている。
4パートに分かれた16分を超える組曲は、しっとりとしたフォーキーな叙情やキャッチーなメロディアス性も含む、
メリハリある構築力でじっくりと聴かせ、映画「ランボー」のテーマ曲も、シンフォニックなバトルメタルになっていて
これが案外ハマっている。TURISASあたりが好きな方にも対応。壮麗なるエピック・ペイガンメタルの傑作。
ドラマティック度・・8 ペイガン度・・7 壮麗度・・9 総合・・8 過去作のレビューはこちら
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Vinsta 「Wiads」
オーストリアのペイガン・ブラックメタル、ヴィンスタの2017年作
適度にヘヴィかつメロディックなギターに低音デスヴォイスを乗せ、ミドルテンポ主体で聴かせる、
ヴァイキングメタル寄りのペイガンブラック・サウンド。アコースティックギターやヴァイオリンなどによる
優雅な叙情性も織り込みつつ、随所に激しい疾走パートも含んで、8~10分という大曲を描いてゆく。
フォーキーな土着性は薄い分、ペイガンメタルとしての濃密さではやや物足りないのだが、
ツインギターの流麗な旋律にヴァイオリンが鳴り響く、叙情豊かなナンバーはなかなかよろしい。
もう少し重厚な迫力と神秘性が加わればよい作品を作ってくれそう。美しい自然のジャケはよいですね。
ドラマティック度・・7 ペイガン度・・7 重厚度・・7 総合・・7.5
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Fornhem 「Ett Fjarran Kall」
スウェーデンのペイガン・ブラックメタル、フォルンヘムの2017年作
荒波のSEから始まり、土着的なギターフレーズにダミ声ヴォーカルを乗せたミドルテンポのサウンドで、
かつてのBATHORYBURZUMを受け継ぐような、ローカルな空気感も漂わせるペイガン・ブラックメタル。
10分を超える大曲を中心にした全4曲という構成で、わりとリフレインの多い、悪く言えば単調な感じなのだが、
激しい疾走ナンバーでも暴虐過ぎず、手数の少ないドラムやくぐもった音質も含めて、むしろ心地よかったりもする。
北欧らしい牧歌的なフレーズや、トレモロのギターを乗せた叙情性に、ときにアコースティックなパートもまじえ
物悲しい叙情と翳りを含んだサウンドをゆったりと楽しめる。ほどよいスカスカ感のオールドな味わいがGoodです。
ドラマティック度・・7 暴虐度・・7 北欧度・・9 総合・・7.5
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DER WEG EINER FREIHEIT 「Finisterre」
ドイツのブラックメタル、ダー・ヴェグ・エイナー・フレイヘイトの2017年作
ドイツ語による語りから始まり、トレモロのギターリフとともにブラスト疾走開始、
そこに乗るダミ声ヴォーカルもドイツ語のようで、適度にメロディックなフレーズも織り込みながら
アトモスフェリックかつゲルマンなブラックメタルサウンドを聴かせる。暴虐な疾走パートをメインに、
ゆたりとした叙情パートを含む、緩急あるリズムチェンジとともに、10分を超える大曲を構築してゆく。
ストリングスも鳴り響くラスト曲のメランコリックな味わいも含めて、激しくもミステリアスで、
どこか知的な香りを漂わせたアレンジセンスは見事。今後もさらに期待したいバンドである。
ドラマティック度・・8 暴虐度・・8 構築度・・8 総合・・8
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SUN OF THE SLEEPLESS 「To the Elements」
ドイツのブラックメタル、サン・オブ・ザ・スリープレスの2017年作
EMPYRIUMのUlf Theodor Schwadorfによる個人プロジェクトで、ジェントルなヴォーカルを乗せたイントロ曲から、
続く2曲目は激しくブラスト疾走、トレモロのギターリフにダミ声ヴォーカルを乗せた、わりとオールドなブラックメタルで、
随所にシンセによるアレンジも含んだ叙情性も覗かせる。ギターのフレーズには適度にペイガンな土着性を匂わせ、
それがミステリアスな味わいとなっている。楽曲も7~8分前後が中心で長すぎず、全41分というのも聴きやすい。
アコースティックを取り入れた、得意のフォーク風ナンバーもよろしく、神秘的なネイチャーブラックとしても味わえる。
ドラマティック度・・8 暴虐度・・8 ミステリアス度・・8 総合・・8
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TENGGER CAVALRY 「Die on My Ride」
中国出身のペイガン・フォークメタル、テンガー・カヴァリーの2017年作
前作はリーダーのNature氏によるソロ作品という内容であったが、活動をアメリカに移し、
今作は新たにアメリカ人メンバーを含む編成となった。モリン・ホール(馬頭琴)の素朴な音色に
ヘヴィなギターが重なり、朗々としたヴォーカルを乗せた、アジアンなペイガンメタルは健在。
楽曲は2~3分前後とわりあいシンプルで、適度に激しさもあるのだが、ドゥーム寄りのスローテンポや、
モリン・ホールにイギルが鳴り響くアコースティックなナンバーなど、全体的には勢いは抑え目か。
ヴォーカルは英語なのだが、ホーミーに通じる唸るような独特の歌い方は、やはりモンゴル的でもある。
ドラマティック度・・7 ペイガン度・・7 アジアン度・・8 総合・・7.5 過去作のレビューはこちら
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ALUNAH「SOLENNIAL」
イギリスのドゥームメタル、アルナーの2017年作
前作はサバスルーツのオールドなドゥームロックに女性声を乗せた力作であったが、
4作目となる本作は、女性ヴォーカルの歌声を乗せた魔女めいた妖しさに磨きがかかり、
ドゥーミィなギターとともに、カルトな女性声ドゥームとしての強固な世界観を描いてゆく。
楽曲そのものに、これといった目新しさはないのだが、魔女系ロックとしての王道というべき、
重すぎずユルすぎずの聴き心地で、Blood Ceremonyなどが好きな方にも大満足の出来でしょう。
ドラマティック度・・7 ドゥーム度・・8 魔女系ロック度・・9 総合・・8
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ATRIARCH「DEAD AS TRUTH」
アメリカのドゥーム・ブラックメタル、アトリアーチの2017年作
ノイジーなギターに呻き叫ぶようなヴォーカルを乗せた、ダークで怪しい空気に包まれたサウンド。
ゆったりとしたテンポのドゥーム寄りのスタイルながら、モノトーンのような無慈悲な世界観には
ブラックメタル的な暗黒性が充満している。メロディやドラマティックな盛り上がりというのはないが、
テンポチェンジを含む激しい疾走パートもあったりと、全体的に単調過ぎるということもない。
全32分というのが少し物足りないが、暗黒のドゥーム・ブラックを求める方はいかが。
ドラマティック度・・7 ドゥーム度・・8 暗黒度・・9 総合・・7.5
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Bald Anders 「Sammler」
ドイツのサイケメタル、バルド・アンダースの2017年作
やわらかなオルガンのんびりとしたイントロから、メタリックなギターが重なり、ドイツ語のヴォーカルを乗せ、
哀愁漂う浮遊感と適度なヘヴィさが合わさった、ゲルマンなサイケデリック・メタルサウンド。
楽曲にこれという盛り上がりはないのだが、どことなくシアトリカルな世界観には惹かれるものがあり
オルガンやマリンバ、ときにサックスも鳴り響き、ユルめのけだるさと、翳りを帯びた妖しさにのんびりと浸れる。
メタル的な感触はさほど強くないので、サイケでカルトなゲルマンロックとして味わうのがよいかと。
ドラマティック度・・7 サイケ度・・8 ゲルマン度・・8 総合・・7.5
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SABBATH ASSEMBLY 「Rites Of Passage」
アメリカのサイケ・ドゥームロック、サバス・アセンブリーの2017年作
2010年にデビューして本作が5作目。前作からの流れのサバスルーツのオールドなドゥームメタルに
妖しい女性ヴォーカルを乗せた、いわゆる魔女系ロックのド真ん中というサウンドだ。
Kevin Hufnagel (GORGUTS)を含むツインギターのリフやフレーズもさすがのセンスで、
単なるヴィンテージなドゥームという以上に、巧みなメタル感を感じさせる場面もしばしば。
カルトなおどろおどろしさも控えめなので、この手の初心者にも聴きやすいかもしれないが、
反面、ディープなカルトロック愛好者にはちと物足りなさも。普通に好作品ではありますよ。
ドラマティック度・・7 ドゥーム度・・7 魔女系ロック度・・9 総合・・8 過去作のレビューはこちら
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USNEA 「Portals Into Futility」
アメリカのスラッジ・ブラック・ドゥームメタル、ウスニアの2017年作
前作はヘヴィな暗黒ドゥームの強力作であったが、詠唱めいた妖しい歌声で始まる本作も、
スローテンポに重厚なギターリフと絶叫ぎみのヴォーカルを乗せた、フューネラルなサウンドを聴かせる。
このバンドの場合、スペイシーでミステリアスなスケール感を描くところが魅力でもあり、
おどろおどろしい音の説得力という点でも、前作からさらに深化しているという印象だ。
ブラックメタルも顔負けの暗黒性に包まれながら、ラストの19分という大曲では、神秘的な空気感に
ほのかな叙情も垣間見せつつ、スラッジ的な荒々しさも含んだ迫力あるサウンドが味わえる。
ドラマティック度・・8 重厚度・・8 おどろおどろ度・・9 総合・・8
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WITCHFYNDE 「DIVINE VICTIMS」
NWOBHMのカルトバンド、ウィッチファインドの1st~3rdカップリング。2017年作
1980年作「GIVE'EM HELL」、「STAGEFLIGHT」、1983年作「CLOAK & DAGGER」を収録した3枚組ボックス。
Black Sabbathの世界観を継承する、ANGEL WITCHWITCHFINDER GENERALと並ぶ存在だろう。
1stは、70年代の牧歌性を含んだ、わりとノリのよハードロックサウンドであるが、ギターのフレーズなどに
マイナーな湿り気を感じさせるところはいかにも英国らしい。2ndは、音質も含めてサウンドの説得力がぐっと増しつつ
一方ではキャッチーなノリのナンバーもあって、わりと普通に叙情的な英国ハードロックとして楽しめる。
3rdからヴォーカルが交代、独特のハイトーンヴォーカルを乗せた、カルトなサタニックロックとしての味わいもありつつ、
キャッチーな普遍的ハードロックへの接近も感じさせる。通なマニアには必携の3枚組ボックスですな。
ドラマティック度・・7 古き良き度・・9 カルトロック度・・8 総合・・8
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3/10
そろそろ春ですね(52)


Avatarium 「Hurricanes and Halos」
スウェーデンの女性Voドゥームメタル、アヴァタリアムの2017年作
CANDLEMASSのレイフ・エドリングを中心に結成したが、2nd発表後にそのエドリングは脱退、
本作はベースとシンセが新メンバーとなっての3作目である。オルガンが鳴り響き、女性ヴォーカルを乗せた
70年代ルーツのヴィンテージなロック感触はそのままで、適度なノリの良さと妖しさを含んだサウンドを聴かせる。
前作までのカルトなドゥーム感も残しつつ、オールドなハードロックとしてのキャッチーな味わいも増していて、
マニアックすぎない初心者にも聴きやすい作風だろう。一方では9分の大曲でのドゥームとしての重厚さと、
音の迫力、説得力はさすがで、PURSONを骨太にしたような前作をさらに強固なサウンドに仕上げた力作だ。
ドラマティック度・・8 ヴィンテージ度・・8 重厚度・・8 総合・・8 過去作のレビューはこちら
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NE OBLIVISCARIS「URN」
オーストラリアのプログレッシブ・デスメタル、ネ・オブリヴィスカリスの2017年作
アグレッシブな激しさと知的な構築力を合わせたモダンなプログレッシブ・デスメタルを聴かせるこのバンド、
3作目となる本作も、ヘヴィなギターリフを乗せた激しい疾走感に、クリーンヴォーカル&デスヴォイスを乗せ、
重厚な迫力に包まれたサウンドを描き出す。随所にヴァイオリンが鳴り響く優雅な叙情性も覗かせつつ、
テクニカルなリズムチェンジを含むインストパートの知的な展開力は、よりスタイリッシュな聴き心地になった。
一方では、デスメタルとしてのブルータルな激しさもしっかり残していて、メリハリのあるアレンジ力も見事。
ヴァイオリンの活躍が多いので、今作はクラシカルな美意識を強めた感触で、じっくりと聴かせる部分もしばしば。
優雅背な構築力をデスメタルサウンドと巧みに融合させた、まさにハイブリッドなプログレデス強力作です。
ドラマティック度・・8 重厚度・・9 構築度・・9 総合・・8.5 過去作のレビューはこちら
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Eluveitie 「Evocation II - Pantheon」
スイスのフォークメタル、エルヴェイティの2017年作
タイトル通り、2009年作の続編で、メタル要素のないケルト/フォークロック寄りの作品。
アコースティックギターにホイッスル、バグパイプ、フィドルにハーディ・ガーディなどの素朴な音色に
女性ヴォーカルを乗せた優美なフォークロックサウンド。エレキギターは使われていないのだが、
躍動感あるドラムに、多数のアコースティック楽器を乗せた音の厚みと説得力はさすがというところ。
2~4分前後の小曲をメインに、SEや語りなどを挿入しながら、コンセプト的な流れで連なる構成もよいですね。
ファビエネ嬢の歌唱の表現力も含めて、メタルに疲れた耳にはうってつけの幻想フォークロックの傑作。
ドラマティック度・・8 メタル度・・5 フォークロック度・・9 総合・・8 過去作のレビューはこちら
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WINTERSUN「The Forest Seasons」
フィンランドのペイガンメタル、ウインターサンの2017年作
ENSIFERUMのJARI MAENPAA率いるバンドで、3作目となる本作は、タイトル通り、森の四季を描いた、
それぞれが12~14分の大曲を連ねた四部構成のアルバム。美麗なシンセアレンジにダミ声ヴォーカルを乗せ、
流麗なギターフレーズとともに聴かせるサウンドは、暴虐さよりもミドルテンポを主体にした味わいで、
ARCTURUS
にも通じる知的な構築力が光っている。ときにフォーキーなメロディも覗かせつつ、
アルバム後半の「秋」には、ブラスト疾走も含んだシンフォニック・ブラックメタルとしての激しさも現れる。
ラストの「冬」のメランコリックな味わいもよいですね。北欧らしい寒々しい空気感を描く力作です。
ドラマティック度・・8 暴虐度・・7 美麗度・・8 総合・・8 過去作のレビューはこちら
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Wolfhorde 「Towards the Gate of North」
フィンランドのフォーク・メロデス、ウルフホードの2016年作
シンフォニックで優美なイントロから始まり、土着的な旋律にダミ声ヴォーカルを乗せて疾走開始、
フィンランドのバンドらしいきらびやかなシンセアレンジに、知的な構築力も覗かせるサウンドだ。
古き良きメロディックデスメタルの感触と、フォーキーなクサメロが合わさったスタイルは、重すぎず激しすぎずと
適度な聴きやすさがあって、フォーク化したチルボドという感じで初心者にもライトに楽しめるだろう。
反面、フォークメタルとして土着的な神秘性というものは薄く、メロデスとしても魅力が物足りない気もする。
今後は楽曲におけるメロディのフックや、アレンジの質を高めていってもらいたい。
ドラマティック度・・7 疾走度・・7 フォーキー度・・7 総合・・7.5
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Darkestrah 「Turan」
キルギスタンのペイガン・ブラックメタル、ダーケストラの2016年作
前作は女性によるダミ声Voであったが、本作ではすでに脱退していて、ギターとベースも新たに加わっている。
美麗なシンセに包まれた神秘的なイントロから、ツインギターとダミ声ヴォーカルを乗せて激しくブラスト疾走、
シンフォニックかつ幻想的なペイガン・ブラックメタルを聴かせる。ときにヴァイオリンも鳴り響く優雅な感触と、
ブラックメタルとしてのプリミティブな土着性と迫力が合わさって、激しくも美しいサウンドを描き出す。
9分、10分という大曲を主体に、スローパートも含んだ緩急ある展開力でドラマティックに聴かせるところは
さすが6作目というキャリアである。シンフォブラックとしての音の厚みも前作以上。説得力十分の力作だ。
ドラマティック度・・8 ペイガンブラック度・・9 幻想度・・8 総合・・8
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Folkearth 「Balder's Lament」
多国籍フォークメタルプロジェクト、フォークアースの2014年作
2004年に始まったこのプロジェクトも、すでに10年をかぞえ、すでに12作目となる。
クサメロなギターにダミ声ヴォーカルを乗せて疾走する、アグレッシブなサウンドに
勇壮なコーラスや女性ヴォーカルが加わって、ENSIFERUMあたりにも通じる聴き心地。
随所にアコーディオン、ヴァイオリン、リコーダーなどのフォーキーな音色もアクセントになっていて、
激しくもエピックなスケール感を匂わせる。このシリーズの中でもかなりクオリティの高い部類だろう。
ドラマティック度・・8 ペイガン度・・9 クサメロ度・・8 総合・・8 過去作のレビューはこちら
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Brain Tentacles
アメリカのアヴァン・メタル、ブレイン・テンタクルスの2016年作
YAKUZA、MUNICIPAL WASTE、KEELHAULといったバンドのメンバーが集結、軽妙なリズムに
サックスがフリーキーに鳴り響く、ジャズメタル的なアプローチの異色のインストサウンドを聴かせる。
3~4分前後の小曲を主体に、9分を超える大曲では、シンセも加わっても、どことなくスペイシーで
サイケなスケール感も覗かせる。ギターレスなので、メタル的なヘヴィさは控えめだが、
その分、これでもかとサックスが鳴りまくり、グルーヴィなベースの存在感も際立っている。
曲によってはハードコア的な激しさもあるのだが、やはりサックスのおかげでほどよい脱力感に包まれる。
ドラマティック度・・7 サックス度・・8 アヴァンギャル度・・8 総合・・7.5
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GENTLEMANS PISTOLS 「HUSTLER'S ROW」
イギリスのハードロック、ジェントルマンズ・ピストルズの2016年作
2007年にデビュー、前作はいかにも70年代スタイルの英国ロックであったが、3作目となる本作も
往年のヴィンテージ感に包まれたハードロックサウンドを聴かせる。ブルージーな渋みと、
キャッチーなノリの良さが合わさった感触は、よりシンプルになった分、間口が広がったともいえる。
FIREBIRDのビル・スティアを含むツインギターが、骨太のサウンドを作り出していて、どっしりとした
音の説得力となっている。これという目新しさはないが、心地よくオールドロックに耳を傾けられる。
ドラマティック度・・7 オールドロック度・・8 ブルーズロック度・・8 総合・・8
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Menace Ruine 「Venus Armata」
カナダのサイケ・ドゥームメタル、メナス・ルーインの2014年作
前作はポストブラックとドローンが合わさったような、まさに呪術的な力作であったが、
5作目となる本作も、鐘の音が鳴り響くようなイントロから、魔術的な非現実世界に入り込める。
1曲目は延々と11分間も単調なドローンなのであるが、妖しい女性ヴォーカルの歌声も加わって、
雰囲気モノとしての強固な空気感は素晴らしいというほかない。チャーチオルガンが響きわたる中、
魔女めいた女性声が乗る2曲目などは、JACULAばりにカルトな魔女系サウンドでウットリである。
その後も、秘教的で殺伐として艶めいた、倦怠の魔女系(サイケ)アンビエントが繰り広げられる。
ラストは16分に及ぶ大曲で、ロックもドゥームも超越した、ただただ妖しい聴き心地。もう最高です。
ドラマティック度・・7 妖しげ度・・10 魔女度・・9 総合・・8
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Indian 「From All Purity」
アメリカのドゥームメタル、インディアンの2014年作
ドローン気味のギターリフに、絶叫するヴォーカルを乗せ、邪悪な暗黒性に包まれたスラッジ・ドゥームサウンド。
展開らしい展開というのはあまりなく、6~7分前後の楽曲は、ノイジーなギターと咆哮するヴォーカルによる、
不気味な空気感を味わうという感じで、ノイジーなギターが延々と垂れ流されるナンバーなどもあり、
雰囲気モノが苦手な方にはややツラいかもしれない。迫力あるスラッジに圧殺されたいような方はどうぞ。
ドラマティック度・・7 スラッジ・ドゥーム度・・8 重厚度・・8 総合・・7
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The Vintage Caravan 「Voyage」
アイスランドのヴィンテージロック、ヴィンテージ・キャラバンの2014年作
G&Vo、B、Drというトリオ編成のバンドで、メンバーは若手ながらいかにも70年代的なアナログ感に包まれた
オールドなハードロックをやっている。ドカドカとしたドラムにキャッチーな歌メロを乗せた、LED ZEPPELINにも通じる
骨太のロック感触をまとわせつつ、ときにブルージーで、メロディックなギターのセンスもなかなかのもの。
単なる古めかしいロックというだけでなく、70年代英国的な空気感までも再現するようなセンスと演奏力も見事。
12分におよぶ大曲では、サイケでドゥームな感触も含んだメリハリある展開力で濃密にたたみかける。
ドラマティック度・・8 アナログ度・・8 ヴィンテージ度・・9 総合・・8
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CINQ ELEMENT「Shining」
日本のヘヴィロック、サンク・エレメントの2013年作
2012年にミニアルバムでデビュー、本作は初のフルアルバムとなる。硬質なギターを乗せたヘヴィさと、
女性ヴォーカルの歌声を乗せたキャッチーなメロディアス性が合わさった、わりと聴きやすいサウンド。
Maju嬢のヴォーカルは鼻にかかったようなキュートな声質で、バックのヘヴィさに埋もれがちではあるが、
個人的には嫌いではない。一方、モダンなヘヴィロック風味のナンバーや激しい疾走ナンバーは、
正直、ヘヴィネスと歌とのミスマッチ感があって、舌足らずの彼女の歌声には合っていない気もする。
この路線で行くなら、今後もヴォーカルに対しては厳しい声が付かざるを得ないだろう。
個人的には、無理にメタルにせず、よりメロディックな方向に舵をきってよい気もする。
メロディック度・・7 モダンヘヴィ度・・7 女性Vo度・・7 総合・・7.5
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2/13
春遠からじ(39)


Pain of Salvation 「In The Passing Light of Day」
スウェーデンのプログレッシブメタル、ペイン・オブ・サルヴェイションの2017年作
1997年デビュー、初期のテクニカル路線からしだいに内的な深化をとげ、ここ数作では70年代的な
オールドロックへと傾倒していたが、9作目となる本作はのっけから硬質なギターを乗せたヘヴィなサウンドで、
初期の頃に回帰したようなテクニカル性と、ProgMetalとしての知的な構築センスが蘇ってきている。
物語を語るような、ダニエル・ギルデンロウの表現豊かな歌声を乗せ、メリハリある展開力で大曲を構築しつつ、
一方では、ヴァイオリンやブラスを含んだ叙情性や、ゆったりともの悲しい哀愁を感じさせるナンバーもあって、
コンセプト的な世界観をじっくりと描いてゆく。派手なインパクトがない分、キャリアのあるバンドらしい音の説得力で
ラストの15分の大曲まで、大人の味わいを含んだ重厚なサウンドが楽しめる。ここ数作で離れていたリスナーもチェックです。
ドラマティック度・・8 テクニカル度・・7 大人の哀愁度・・8 総合・・8 過去作のレビューはこちら
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VIPASSI 「SUNYATA」
オーストラリアのテクニカルメタル、ヴィパシーの2017年作
NE OBLIVISCARISのメンバーも参加するバンドで、変則リズムたっぷりのテクニカルなインストサウンドで、
デスメタル的な激しさも含みつつ、Djent系の優雅なアンサンブルとミステリアスな空気感が合わさった聴き心地。
いわゆるヘンタイ系のテクニカルメタルなのだが、アヴァンギャルド過ぎず、ダークな感触を保っている点では
わりと聴きやすい部類だろう。随所に叙情的なパートを含んだメリハリのある知的な展開力も良いですね。
全7曲で、30分という短さだが、濃密なテクニカルメタルという点では、ちょうどよいも長さかも。
ドラマティック度・・7 テクニカル度・・8 ヘンタイ度・・7 総合・・7.5
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Watchtower
「Concepts of Math: Book One」
アメリカのテクニカルメタル、ウォッチタワーの2016年作
80年代に2作を残して消えた、伝説のテクニカルメタルバンドがじつに27年ぶりに復活作を完成させた。
ロン・ジャーゾンベクを含む往年のメンバーが集結、サウンドの方もかつてを思わせる変則リズムと
テクニカルなキメの応酬で、せわしないインストパートとヴォーカルを乗せたヘンタイ気味の感触も往年のままだ。
現在ではこの手のバンドも増えてきているので、もはや新鮮さというのはないのだが、スラッシュメタルをルーツにした
オールドスタイルのテクニカルメタルという点では、じつに楽しい聴き心地。全5曲29分のミニアルバムながら、
軽やかで濃密な聴き心地は、まぎれもなくウォッチタワーそのものだ。フルアルバムの完成に期待したい。
メロディック度・・7 テクニカル度・・8 ヘンタイ度・・8 総合・・8 過去作のレビューはこちら
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Sacred Steel「Heavy Metal Sacrifice」
ドイツのメロディックメタル、セイクレッド・スティールの2016年作
1997年デビュー、すでにキャリア20年におよぶバンドであるが、サウンドの方は変わらぬスタイルで、
ツインギターのリフとハイトーンヴォーカルを乗せて疾走する、古き良き王道のジャーマンメタル。
パワフルすぎず、クサメロ過ぎずという絶妙の聴き心地は、頑固一徹のメタル愛を感じさせる硬派さと、
マイナーな微笑ましさに包まれたB級感触がほどよくブレンドされていて、けっこう心地よいのである。
今作ではミドルテンポのナンバーもどっしりとした味わいで、これまでのヘナチョコ感は払拭されていて、
良い意味でのオールドな90年代スタイルを貫いた、Grave Diggarばりに強力な正統派メタルですよ。
ドラマティック度・・7 正統派度・・8 ジャーマン度・・9 総合・・8 過去作のレビューはこちら
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Neopera 「Destined Ways」
ドイツのシンフォニックメタル、ネオペラの2014年作
男性デス声&ノーマル声、女性Voという3人のヴォーカルを含む編成で、壮麗なシンフォニックアレンジと
男女ヴォーカルを乗せた、THERIONにも通じるサウンド。オペラティックなソプラノヴォーカルの力量もあって、
優雅なスケール感とともに音の説得力もなかなかのもの。適度にモダンなヘヴィネスとクラシカルな美意識が同居して
デス声と女性声の対比によるダイナミズムも含めて、華麗にしてドラマティックな世界観を描いてゆく。
楽曲そのものに新鮮味というのは薄いものの、オペラティックメタルとしての優美な味わいと重厚なスケール感で、
最後までじっくり楽しめるだけのクオリティの高さがある。今後の飛躍に期待大の男女声シンフォニックメタルですよ!
シンフォニック度・・9 壮麗度・・9 セリオン度・・8 総合・・8
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Paco Ventura「Black Moon」
スペインのメロディックメタル、MEDINA AZAHARAのギタリスト、パコ・ヴェンチュラのソロ。2015年作
メディナ・アザーラといえば、1980年デビューの大ベテラン、スパニッシュ・ハードロックの大御所である。
本作は、そのギタリストの初ソロアルバムで、ブルース・キューリック(KISS)、ローランド・グラポウ(HELLOWEEN)、
ジョン・ノーラム、パトリック・ロンダット(ELEGY)、キコ・ルーレイロ(ANGRA)といったギタリストが参加、
スペイン語の歌声にオルガンが鳴り響く、わりとオールドな味わいの様式美ハードロックを聴かせる。
スパニッシュな哀愁を感じさせるメロディセンスと、サウンドの説得力はさすがベテランらしい空気感である。
アルバム後半には、ヨラン・エドマン、ジョー・リン・ターナー、ファビオ・リオーネ(ANGRA)がヴォーカルで参加、
それぞれにパワフルな歌声を乗せた正統派のメタルナンバーが楽しめる。
メロディック度・・8 様式美度・・8 スパニッシュ度・・8 総合・・8
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SHORES OF NULL「BLACK DRAPES FOR TOMORROW」
イタリアのゴシック・ドゥームメタル、ショーズ・オブ・ナルの2016年作
前作はOPETH+Swallow the Sunというような好作たったが、本作もツインギターのリフに
朗々としたヴォーカルを乗せ、メランコリックな味わいの重厚なゴシック・ドゥームを聴かせる。
随所にデス声も加わったダークな迫力と、ギターの奏でる泣きのフレーズとともに、
湿り気のある叙情的な味わいも含んだサウンドで、楽曲の魅力も前作以上の出来である。
どっしりとした重厚さとダークで物悲しい叙情性が同居した、なかなかの好作です。
ドラマティック度・・8 メランコリック度・・8 重厚度・・8 総合・・8
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The Knell 「harm」
イスラエルのゴシック・ドゥームメタル、ネルの2007年作
ツインギターにシンセを含む5人編成で、重厚なギターに囁くような低音ヴォーカルを乗せた、
スローでフューネラルなドゥームメタル。オルガンなどを含むシンセがゴシック的な耽美さをかもしだし、
初期のMy Dying Brideにも通じる、物悲しくメランコリックな空気感が味わえるサウンドだ。
楽曲はほとんどが7~8分前後と長めで、わりと淡々としているので、もう少し荘厳な迫力か、
メロディのフックがあればとは思うが、逆に言えば、これこそがゴシック・ドゥームたるものなのだろう。
ドラマティック度・・7 耽美度・・8 重厚度・・8 総合・・7.5

WitchSorrow 「No Light Only Fire」
アメリカのドゥームメタル、ウィッチソロウの2015年作
2010年デビューで本作が3作目となる。ヘヴィなギターリフを乗せた重厚なサウンドだが、
スロー過ぎないミドルテンポのノリもあって、わりとオールドなメタル感触も感じさせる。
一方ではスローテンポのフューネラルな暗黒性とヘヴィネスは、甘さの無い硬派な空気感を描いていて、
説得力ある音の迫力に包まれている。10分前後の大曲も多いのだが、スローからミドルへのテンポチェンジなどを含めて、
一方調子ではない構築性もあるので飽きさせない。初期のCATHEDRALをより重くしたような力作ドゥームです。
ドラマティック度・・7 ドゥーム度・・9 重厚度・・9 総合・・8
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Mammoth Storm 「Fornjot」
スウェーデンのドゥームメタル、マンモス・ストームの2015年作
DRACONIANのメンバーも参加するバンドで、ドローン気味のギターリフにダミ声ヴォーカルをのせ、
どっしりとした重厚なドゥームメタルを聴かせる。スローテンポのドゥームを主体に、適度に叙情的な部分も覗かせつつ、
ミステリアスな神秘性を含んだスケール感もあって、10分前後の大曲をリフレインとともにじっくりと描いてゆく。
これという新鮮味はないものの、音の迫力と強度が、ドゥームメタルとしての幻想性をしっかりと生み出していて、
繰り返されるリフに耳を傾けながら、しだいにトリップというか、アストラルな気分に入り込めたりするのである。
重厚にして荘厳な空気感に浸れる、これぞドゥームメタル!という力作です。
ドラマティック度・・8 ドゥーム度・・9 重厚度・・9 総合・・8
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ABORYM 「Shifting.Negative」
イタリアのサイバー・ブラックメタル、アボリムの2017年作
1999年にデビュー、かつては元EMPERORのFAUSTやMAYHEMのメンバーが参加していたことでも知られる。
7作目となる本作は、よりエレクトロなアレンジを強めていて、デジタルなシンセに硬質なギターが重なり、
モダンでインダストリアルなサウンドを聴かせる。ブラックメタル的な激しさは薄めで、囁くようなヴォーカルに
ときにメランコリックなフレーズを奏でるギターを乗せた薄暗い叙情性は、むしろゴシックメタル的でもあるが、
一方ではアヴァンギャルドな展開や、知的なアレンジセンスも感じさせ、一筋縄ではいかない。
ドラムが打ち込みなので、激しいブラストパートも暴虐さはさほど感じない。インダストリアルなブラックが好きな方はどうぞ。
ドラマティック度・・7 暴虐度・・6 インダストリアル度・・8 総合・・7.5
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In Flames 「Siren Charms」
スウェーデンのメロディック・デスメタル、イン・フレイムスの2014年作
1994年のデビューから本作で11作目となる。モダンなヘヴィロック調だった前作の流れを汲んだ作風で、
適度にメロディックなギターフレーズとエレクトロなシンセアレンジに、マイルドなヴォーカルを乗せた、
メタルコア風味の聴き心地。楽曲は3~4分前後とシンプルで、曲によってはキャッチーな感触もあって聴きやすく、
スクリームヴォイスを乗せて、かつてのメロデス的なギターリフも現れたりと、単なるヘヴィロックという以上には
クオリティが高いのでわりと楽しめる。ほどよい激しさも含んだモダンなメタルというイメージなら入りやすいかと。
メロディック度・・7 メロデス度・・6 モダン度・・8 総合・・7.5 過去作のレビューはこちら
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2/2
期待の日本産プログレメタル登場!(27)


ALEVAS「Greed of White Lily」
日本のプログレッシブメタル、アリーヴァスの2018年作
2016年に結成された、東京の新鋭プログレッシブ・メタルバンド。テクニカルな展開美とダークな世界観、
随所にクラシカルなオーケストラアレンジに包まれた優雅な叙情性が融合したハイブリッドなサウンド。
モダンでアグレッシブなヘヴィネスと、日本語歌詞による歌声を乗せたドラマティックな聴き心地に加え、
扇情的なフレーズを奏でるギターは、さすが音大出身というメロディのセンスと確かな技巧を感じさせる。
後半の16分の大曲は、プログレッシブなシンセアレンジと変拍子リズムによる、DREAM THEATER風味に、
シアトリカルなヴォーカルを乗せた日本的な情感が合わさって、スリリングな展開力がまた素晴らしい。
メロデイとテクニカルのバランスのとれた、ダークでスタイリッシュな日本産プログレメタル期待の新鋭である。
ドラマティック度・・8 テクニカル度・・8 楽曲センス・・8 総合・・8
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THOR 「Beyond The Pain Barrier」
カナダのヘヴィメタル、ソー(トール)の2017年作
1978年にデビュー、マッチョな風貌で話題となったJon Mikl Thor氏によるプロジェクト。本作は2年ぶりとなる19作目。
名前通り、雷神トールを描いたジャケからしてエピックな雰囲気たが、サウンドの方もほどよくマイナー臭さを残した、
オールドスタイルの正統派ヘヴィメタル。メロスピ的な激しい疾走ナンバーから、ミドルテンポのわりとキャッチーなナンバーまで、
80年代テイストのいたってありがちなメタルサウンドなのがいっそ微笑ましい。Thorのヴォーカルはお歳のわりには頑張っているが、
MANOWARあたりのパワフルさに比べたら、バックのサウンドも含めてアマチュア感がにじみ出てしまっていて、少々つらい。
よっぽどのB級メタルファン以外には薦められないですが、ラスト曲はこれぞエピックメタルというナンバーで救われました。
ドラマティック度・・7 古き良き度・・8 正統派度・・8 総合・・7
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Twilight Force 「HEROES OF MIGHTY MAGIC」
スウェーデンのメロディックメタル、トワイライト・フォースの2016年作
前作もクサメロたっぷりの疾走メロパワの好作であったが、2作目となる本作もきらびやなシンセに、
伸びやかなヴォーカルとエピックなコーラスを乗せて疾走する、キャッチーかつ華麗なメロスピサウンド。
陽性のファンタジー色に覆われた雰囲気は、Power QuestDragonlandなどにも通じるかもしれないが、
こちらはより大仰でシンフォニック、クサいメロディを奏でるギターも含めた濃密さは天晴なほどである。
個性的な部分での新鮮さはさほど感じないが、この爽快な突き抜け方というのは、ファンには歓迎するところだろう。
10分を超える大曲も、とにかく壮麗でクサく盛り上げ、そしてどこまでもファンタジックという。
映画的なストーリー性も含めて、まるでRHAPSODYがメロスピ化したような濃密作ですわ。
シンフォニック度・・9 疾走度・・8 ファンタジック度・・9 総合・・8.5
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MIRACLE FLAIR 「ANGELS CAST SHADOWS」
スイスのシンフォニックメタル、ミラクル・フライアの2016年作
チェロ奏者を含む5人編成で、ヘヴィなギターに女性ヴォーカルの歌声を乗せ、
適度にモダンな感触とキャッチーなメロディアス性が同居したサウンド。
専任のシンセ奏者がいないので、シンフォニックな感触は希薄だが、メタルとしての重厚な味わいと
ヨーロピアンな薄暗い世界観をしっかりと描いている。紅一点、ニコル嬢の歌声は高すぎない中音域で
フェミニンな魅力の点では控えめだが、どっしりとしたバンドのサウンドにはよくマッチしている。
楽曲はすべて3~4分前後で、聴きやすいものの、魅力的なメロディやインパクトのある展開がいまひとつ弱い。
今後はゴシック寄りの質感を強めるのか、メロディを重視するのか、もう少し極端になってもよい気もする。
ドラマティック度・・7 重厚度・・7 女性Vo度・・7 総合・・7.5
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ALARION 「Waves Of Destruction」
オランダのシンフォニックメタルプロジェクト、アラリオンの2016年作
名前からしてAYREONの弟みたいだが、オランダ人ギタリストを中心にしたプロジェクトで、
THRESHOLDのダミアン・ウィルソンをはじめ、イレーネ・ヤンセン、ポール・グランドルフなど、
エイリオン関連のミュージシャンも参加。美しいシンセアレンジとメタリックなギターによる重厚なサウンドに、
ダミアン・ウィルソンを中心にしたパワフルなヴォーカルを乗せた、壮麗なシンフォニックメタルを聴かせる。
シンフォニックハード的な優美な叙情に包まれたナンバーや、女性ヴォーカルを乗せたナンバーなど、
全体的にそこそこ楽しめるのだが、楽曲自体に耳を惹きつけるフックや目新しいインパクトは乏しいので、
どこか物足りなさも感じる。ドラマティックなストーリー性を描くようなスケール感がもっと欲しいですね。
シンフォニック度・・8 壮麗度・・8 楽曲・・7 総合・・7.5
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Pagan's Mind 「Full Circle」
ノルウェーのプログレメタル、ペイガンズ・マインドのライブ。2015年作
すでにキャリア15年を超える中堅バンドで、本作は2014年アメリカ「ProPower Festival」でのステージを2D+DVDに収録。
きらびやかなシンセアレンジと重厚なギターに、パワフルなハイトーンヴォーカルを乗せたサウンドで、
どっしりとした聴き心地はアルバム同様。ProgMetalとしてのテクニカル性や派手な展開はさほどないので、
ミドルテンポの正統派シンフォニックメタルとしても楽しめるが、2パートに分かれた13分の大曲や、
後半の15分の大曲などは、メロディックな叙情性と緩急ある展開のインストパートが魅力的だ。
中堅バンドとしての音の説得力も含めて、合計150分超の濃密なステージでお腹いっぱい。
ライブ演奏・・8 テクニカル度・7 重厚度・・8 総合・・8
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Demon Lung 「A Dracula」
アメリカのドゥームメタル、デーモン・ラングの2015年作
アコースティックで牧歌的なイントロから始まりつつ、ヘヴィなギターリフが重厚に鳴り響き、
けだるげな女性ヴォーカルの歌声を乗せた、重々しいドゥームメタルが広がってゆく。
カルトで妖しい空気感と、メタリックなヘヴィネスが合わさった迫力のあるサウンドで、
神秘的な浮遊感に包まれた聴き心地は、叙情性は控えめながら説得力は十分。
Witch Mountainなどにも通じる、重量感のある本格派ドゥームメタルが楽しめる力作だ。
ドラマティック度・・7 ドゥーム度・・9 重厚度・・8 総合・・8
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Scorpion Child
アメリカのハードロック、スコーピオン・チャイルドの2013年作
アナログ感たっぷりのギターに枯れた味わいのヴォーカルを乗せた、いかにも70年代を思わせる、
ブルージーなハードロックサウンドで、まさしくLED ZEPPELINが蘇ったような聴き心地である。
4~5分前後のわりとシンプルなロックナンバーを中心に、現時点では個性的とは到底言えないが、
オールドロック、ツェッペリンへの愛を感じさせるという点では、その筋のロックファンには受けるだろう。
ラストのゆったりとした叙情ナンバーまで、ブルージーな哀愁に包まれたなかなかの好作品だ。
よりキャッチーで爽快な味わいになって進化&パワーアップする2作目も良いですぞ。
ドラマティック度・・7 古き良き度・・9 ツェッペリン度・・8 総合・・7.5
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Sabbath Assembly 「Restored to One」
アメリカのサイケ・ドゥームロック、サバス・アセンブリーの2010年作
1960~79年代に活動していたカルト教団「The Process Church of the Final Judgment」の思想をテーマにかかげ、
妖しい女性ヴォーカルの歌声を乗せた、Blood CeremonyPURSONを思わせる、ユルめの魔女系ドゥーム。
サイケ・ドゥームロックバンド、Jex Thothのヴォーカルでもある、ジェックス嬢のけだるげな歌声は、
いかにも妖しく倦怠的な空気感で、アナログ感たっぷりのアンサンブルによくマッチしている。
オルガンが鳴り響き、ときに叙情的なギターフレーズを乗せた、ドラマティックな雰囲気もよいですな。
カルトなヴィンテージロックとしても、女性声サイケロックとしても楽しめる。妖しい聴き心地に浸れます。
ドラマティック度・・8 ヴィンテージ度・・8 妖しさ度・・9 総合・・8
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Sabbath Assembly 「Ye Are Gods」
アメリカのサイケ・ドゥームロック、サバス・アセンブリーの2013年作
本作から、HAMMER OF MISFORTUNEWOLVES IN THE THRONE ROOMにも参加したJamie Myers嬢が新たに加入。
妖しい女性ヴォーカルを響かせる、カルトな魔女系サウンドはそのままに、ヴィンテージなドゥーム色が薄れ、
男性声の語りによるシアトリカルな空気感に、チェンバロが鳴り響く、耽美なゴシック感触が強まった。
アコースティカルなゴシックフォーク風のパートから、ハードなギターが加わったメタル質感も覗かせたり、
オルガンが鳴り響くユルめのキャッチーなロック風味もあったりと、今作は案外振り幅が大きいので、
カルトな暗さや迫力はさほど感じないのだが、のんびりと浸れる魔女系ネオフォークとしては良いですね。
ドラマティック度・・7 耽美度・・8 妖しさ度・・8 総合・・8
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Sabbath Assembly
アメリカのサイケ・ドゥームロック、サバス・アセンブリーの2016年作
メタリックなギターと女性ヴォーカルを乗せた、怪しげなゴシック・ドゥームメタルサウンドは、
これまでよりもヘヴィで重厚な作風となった。サバスルーツのオールドスタイルのドゥームメタル感触に
ダークな禍々しさを含んだサタニックでカルトな雰囲気を加え、メタリックな音の説得力がぐっと高まっている。
前作から加入した、Kevin Hufnagel (GORGUTS、DYSRHYTHMIA)の巧みなギターリフが随所に光っていて、
ときにテクニカルですらある演奏も聴きどころ。今作はわりとハードロック寄りのノリのあるナンバーも多く、
むしろ一般のメタルリスナーにも聴きやすいかもしれない。正しく魔女系ドゥームの王道というべき好作品。
ドラマティック度・・8 ドゥーム度・・8 妖しさ度・・8 総合・・8
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Jex Thoth
アメリカのサイケ・ドゥームロック、ジェックス・トースの2008年作
Sabbath Assemblyにも参加した女性Vo率いるバンドで、アナログ感たっぷりのギターに
ハスキーでけだるげな女性ヴォーカルを乗せた、ヴィンテージな魔女系ドゥームロック。
オルガンが加わった妖しい空気感に、ゆったりとしたスローテンポから唐突なリズムチェンジなど、
適度にマイナー臭いB級感もあって、どんよりとした音質も含めて、オールドでカルトなドゥームに浸れる。
ジェックス嬢の歌声は、抜群に上手くはないのだが、いかにも魔女めいた表現力が不思議な魅力となっていて、
このサウンドにはよくマッチしている。適度にサイケなユルサも含めて、わりとのんびり楽しめます。
ドラマティック度・・7 ドゥーム度・・8 妖しさ度・・8 総合・・7.5
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Jex Thoth「Blood Moon Rise」
アメリカのサイケ・ドゥームロック、ジェックス・トースの2013年作
今作もイントロ曲から魔女感たっぷりで、ジェックス嬢の歌声からしてカルトな雰囲気がぷんぷん。
どっしりとヘヴィなリフに、サイケ的な旋律を重ねるツインギター、浮遊感ある女性ヴォーカルを乗せた、
けだるくも妖しいドゥームサウンドには磨きがかかっていて、その世界観にどっぷりと浸れる。
もちろん、ドゥームメタルとしての重厚な迫力もしっかりとあって、オルガンを含むシンセアレンジに加え、
今作では随所にチェロも鳴り響く。ゆったりとした叙情的なナンバーも、表現力を増したジェックスさんの歌声が
幻想的な強度となっていて最後まで楽しめる。これぞ魔女系ドゥームという強力作だ。
ドラマティック度・・8 ドゥーム度・・8 妖しさ度・・9 総合・・8
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The Devil's Blood 「Come Reap」
オランダのサイケ・ドゥーム、デヴィルズ・ブラッドの2009年作
デビュー作となった、5曲入り27分のEPで、アナログ感に包まれたアンサンブルに女性ヴォーカルの歌声を乗せた、
ヴィンテージなサイケハードは、すでに確立されている。ヘヴィ過ぎないギターに、オルガンの音色が合わさり、
ヘタウマな女性声による良い意味でのマイナー臭さが、妖しい魔女系ロックの世界観を描いている。
のちのアルバムのような、プログレ的なスケール感はまだないが、ザラついた音質も含めてBlack Widowなどに通じる、
70年代ルーツの空気感がほどよいユルさになっている。10分を超えるラスト曲では、叙情的なギターも響かせながら
艶めいた女性ヴォーカルも加わって、浮遊感のある妖しくヴィンテージなサイケロックが楽しめる。
ドラマティック度・・7 ヴィンテージ度・・8 魔女系サイケ度・・8 総合・・7.5
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1/5
本年もよろしくお願い致します!(13)


Cradle of Filth 「Cryptoriana」
イギリスのシンフォニック・ブラックメタル、クレイドル・オブ・フィルスの2017年作
1994年デビュー、いまや世界的なエクストリームメタルの代表格ともなったこのバンド。
通算12作めとなる本作は、「ヴィーナスの誕生」をもじったジャケも印象的だが、サウンドの方は、
オーケストレーションを乗せた壮麗なアレンジとともに激しく疾走する、まさにクレイドル節全開。
ダニ・フィルスの絶叫ヴォーカルの迫力も全盛期に迫る迫力で、美しい女性コーラスとの対比で、
まさに美と醜を描き出す濃密な聴き心地である。メロディックなギターが耽美な味わいをかもしだし、
激しくブラスト疾走しながらも優美ですらあるというのは、単なるブラックの域を超えたバンドの世界観であろう。
ときにメロディック過ぎるメイデンばりのツインギターも含めて、初心者にも楽しめる出来でしょう。
むろん、2nd、3rdの頃のクレイドルが好きだった方も必聴。激しくも美麗な傑作デス。
ボーナストラックにANNIHILATORのカヴァーというのは意外だったが、ダニの歌声が案外ハマっている。
ドラマティック度・・8 暴虐度・・8 耽美で壮麗度・・9 総合・・8.5 過去作のレビューはこちら
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Ensiferum 「Two Paths」
フィンランドのヴァイキングメタル、エンシフェルムの2017年作
2001年にデビュー、MOONSORROWらとともに北欧ヴァイキングメタルを代表するバンド。
7作目となる本作も、壮麗なイントロからして、エピックなスケール感を漂わせ、クサメロのギターが加わり、
ダミ声ヴォーカルを乗せた武骨さと勇壮なコーラスとともに、重厚なヴァイキングメタルが広がってゆく。
女性アコーディオン奏者の奏でるフォーキーなメロディも取り入れながら、北欧らしいペイガンな神秘性と
激しくもパワフルなノリにメロディックなフックを同居させたアレンジは、さすがベテランの説得力である。
一方では、壮麗に疾走するナンバーなどは、Equilibriumにも通じるシンフォニックなメロスピ感触で楽しめる。
女性ヴォーカルをフロントにしたフォーキーなナンバーなど、メリハリある構成で最後まで捨て曲なしの傑作です。
ドラマティック度・・8 ヴァイキング度・・8 重厚度・・9 総合・・8.5 過去作のレビューはこちら
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Bifrost 「Mana Ewah」
オーストリアのペイガン・ブラックメタル、ビフロストの2016年作
ツインギターのリフとダミ声ヴォーカルを乗せ激しくブラスト疾走、フォーキーなメロディを盛り込んだ
牧歌的なクサメロ要素と武骨な辺境性が、よいあんばいで合わさった、ペイガン・フォークメタルを聴かせる。
シンセをあまり使わずあくまでギターをメインにしたサウンドで、ブラックメタルとしての激しさを随所に覗かせつつ、
一方では、メロデス的な聴きやすいミドルテンポのナンバーもあって、マニア向け過ぎないのもよろしい。
個人的には、もう少し神秘的なスケール感があればと思うが、ツインギターの叙情メロディをたっぷり含んだ
フォーキーなメロデスというふうにも楽しめる。全体的にもクオリティの高さが光る好作だ。
メロディック度・・8 暴虐度・・7 ペイガン度・・7 総合・・8
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Ex Deo 「The Immortal Wars」
カナダのシンフォニック・デスメタル、イーエックス・デオの2017年作
KATAKLYSMのメンバーを中心にしたバンドで、古代ローマをテーマにした世界観とデスメタルを融合したサウンドで、
前作もなかなかの力作だったが、今作もジャケのイメージ通り、ハンニバルが戦象を率いたアルプス超えやザマの戦いなど
歴史的な場面をテーマにしたコンセプト作。ヘヴィなギターにシンフォニックなアレンジと、デス声ヴォーカルを乗せた重厚なサウンドは、
適度にメロディックな感触も含ませて、正統派メロパワのデスメタル寄りという雰囲気で、ドラマティックな世界観を描き出す。
壮麗な音の厚みと、戦いの場面を思わせるでエピックな勇壮な空気感も素晴らしく、まるで映画の一場面を思い起こさせるような
迫力あるメタルサウンドに引き込まれる。ヴォーカルはデス声ながら、楽曲自体は重ためのシンフォ・パワーメタルという趣なので、
正統派メロパワ好きにも楽しめるかと思う。適度に激しさもあり、前作以上に音の強度を感じる力作です。
ドラマティック度・・8 エピック度・・9 重厚度・・9 総合・・8
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ANCIENT MYTH「ABERRATION:PT」
日本のシンフォニックメタル、エンシェント・ミスの2016年作
日本のフィメール系シンフォメタルの中ではすでに中堅というべき存在で、本作は欧州でのデビュー盤であり、
過去曲のリアレンジを含むベスト盤的な作品。美麗なシンセアレンジとテクニカルなギターを乗せて疾走する、
メロスピ的なシンフォニックメタルで、凛とした女性ヴォーカルの歌声とともに、優雅な美意識に包まれたサウンドは、
デビューから一貫している。初期に比べて演奏力、楽曲アレンジの質が向上し、本作では録音の良さも含めて
ダイナミックな聴き心地が増したことで、世界レベルのシンフォニックメタルとも遜色ないところにまで来つつある。
楽曲も粒ぞろいで疾走曲もたくさん。エンシェント初体験の日本のリスナーも、本作から入るのがよいでしょう。
シンフォニック度・・8 疾走度・・8 優雅度・・9 総合・・8 過去作のレビューはこちら
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WINDZOR 「ACCEPT THE FOLKLORE OF GUARDIAN'S FLAME」
日本のシンフォニックメタル、ウインザーの2016年作
女性Vo、女性シンセ奏者を含む5人編成で、前作は古き良きスタイルの正統派メタルという好作だったが、
本作はのっけから壮麗なイントロで幕を開ける。シンフォニックなシンセアレンジに様式美テイストのギター、
女性にしてはパワフルな声質の英語の歌声を乗せ、ファンタジックな世界観に包まれたサウンドが広がってゆく。
適度な疾走感とオールドな様式美テイストに、シンフォニックな音の厚みを加えたという聴き心地で、
正統派のジャパメタを好む方にも対応。FATIMA HILLをきらびやかにした感じというと分かりやすいか。
全体的にも高品質な作品であるが、突き抜けるようなラーチューンがあれば、さらに飛躍できるだろう。
ドラマティック度・・8 シンフォニック度・・8 女性Vo度・・7 総合・・7.5
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DIVINE WIND 「FRONT CRASH -最前線の激突」
日本のメロディックメタル、ディヴァイン・ウインドの2014年作
まるでアキバ系の同人ソフトのようなジャケが恥ずかしくて一般のメタラーは敬遠する方も多いだろうが、
ネオクラシカルなギターとハイトーンヴォーカルを乗せて疾走する、きらびやかなメロスピサウンドで、
マシンガンのようなドラムはドラフォー以上に速くてびっくりする。音質がラウドなのがいかにも自主制作らしいが、
甲高いハイトーンヴォーカルに、バンドの演奏力もわりとしっかりしていて、ただのアマチュアの域は超えている。
日本語の歌メロはわりと古き良きジャパメタやV系メタルの感触もあって、キャッチーなクサさがわりと楽しめる。
全22曲入り、79分という長さも凄いが、それが定価\1000というのも、まさに同人音楽並みのコストパフォーマンス。笑
メロディック度・・8 疾走度・・9 ネオクラ度・・8 総合・・7.5
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ZDAN「Svietlaja Pamiac, Viecny Spako」
ベラルーシのデプレッシブ・ゴシック・ブラックメタル、ズダーニの2017年作
日本語で幽霊を意味する名をもつというバンド。美しいシンセアレンジに重厚なギターと
泣き叫ぶような女性ヴォーカルの歌声を乗せた、ゴシック的な耽美な世界観と、
絶望的な悲哀が同居したサウンド。美麗なシンセアレンジと、メロウなギターフレーズは
ブラックメタルというよりは、どちらかというとシンフォニック・ゴシックの感触で、
楽曲そのものは展開力はあまりなく、雰囲気モノとしてぼんやりと聴くのがよいのだろう。
ヒステリックに叫びまくる女性ヴォーカルがやや耳障りながら、この路線というのは今までにない、
新しいデプレ・ゴシックといえるだろう。泣き叫ぶ女性声に耳が癒されるか、疲れるかはアナタ次第。
シンフォニック度・・8 ゴシック度・・8 デプレ度・・8 総合・・7.5
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Tomorrowillbeworse 「Down the Road of Nothing」
イギリスのポストブラック、トゥモロウィルビーワースの2013年作
ケノシス氏による個人ユニットで、ノイジーかつヘヴィなギターにダミ声ヴォーカルを乗せ、
ダークで不穏な空気感を描くサウンド。同じく独りポストブラックのCAINAなどに比べると、
疾走する激しさはあまりなく、ずっしりとしたベースとともにデプレッシブな暗鬱さが強めなので、
ブラックメタルの激しさ求める方には向かないが、ドゥーミィな闇に包まれた重厚な作風には、
吸い込まれるような迫力と説得力がある。強烈なインパクトはないものの、ミドルテンポで
メタリックなノリのあるナンバーなど、デプレッシブ初心者にもわりととっつき安い内容かもしれない。
ドラマティック度・・7 暗黒度・・8 重厚度・・8 総合・・7.5
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Kathaarsys 「Verses in Vain」
スペインのペイガン・ブラックメタル、カタールシスの2008年作
女性ベース奏者を含む3人編成で、本作は、ACT I & II に分かれたCD2枚組の大作。
Discは19分、16分、13分、Disc2は15分、20分という、大曲5曲の構成で、語りの入った怪しげなイントロから、
ドゥーミィなギターリフと男性デス声&ノーマルヴォーカルを乗せ、ゆったりとゴシックメタル的に始まりつつ、
しだいにデスメタル的な激しい疾走パートが現れて、フォーキーとまではいかない叙情性も含んだ緩急ある展開力で聴かせる。
随所にブラストするブラックメタル要素もあるのだが、邪悪な暴虐性は薄めで、さりとてペイガンメタルというほどの土着性もないので、
悪く言えばどっちつかずの方向性。曲が無駄に長いわりにはメロディの魅力が乏しいので、盛り上がりにも欠けるという。
大作を作り出した意気込みは買うが、楽曲の練り込みとともに、リフやフレーズひとつひとつの扇情力を高めてもらいたい。
ドラマティック度・・7 暴虐度・・6 叙情度・・7 総合・・7.5
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Yearning 「Frore Meadow」
フィンランドのゴシックメタル、ヤーニングの2001年作
過去2作も耽美派ゴシックの力作であったが、3作目となる本作は、わりとアップテンポな1曲目から、
SENTENCEDあたりにも通じる雰囲気だが、マイルドなヴォーカルを乗せたメランコリックな雰囲気は、
いかにもフィンランドのバンドらしい。ツインギターによる泣きのフレーズにうっすらとしたシンセが合わさり、
メリハリのあるリズムチェンジを含んだ構築力というのは、他のバンドとは一線を画した個性でもある。
重すぎず、暗すぎない世界観に、ときにシンフォニックといってもよいほどの美麗なシンセアレンジも覗かせ、
随所に現れる扇情的でメロウなギターフレーズも、叙情性を好むリスナーにはうっとりであろう。
一転してラスト曲などは、妖しくアンビエントなノイズミュージックで、アヴァンギャルドなセンスも感じさせる。
ドラマティック度・・7 ゴシック度・・8 メランコリック度・・9 総合・・8 過去作のレビューはこちら
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AGORA 「Zona De Silencio」
メキシコのプログレメタル、アゴラの2005年作
ツインギターにシンセを含む6人編成で、きらびやかなシンセにヘヴィなギターと、
スペイン語のハイトーンヴォーカルを乗せ、モダンな構築センスで聴かせるProgMetal。
音質はややラウドながら、演奏自体はテクニカルなアンサンブルとキャッチーなメロディアス性で、
マイナー臭さというのはさほど感じさせない。楽曲も5分前後が中心で、わりとシンプルな作風で、
モダンな雰囲気のナンバーの中、アコースティックを用いたスパニッシュな哀愁を感じさせるパートなどもなかなか魅力的。
メロディと技巧を同居させた厚みのあるサウンドとスタイリッシュな構築力で描かれる、メキシカンな高品質作です。
メロディック度・・8 テクニカル度・・7 スタイリッシュ度・・8 総合・・7.5
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AGORA「Segundo Pasado」
メキシコのプログレメタル、アゴラの2007年作
重厚なツインギターの重なりと美しいシンセアレンジ、伸びやかなスペイン語のヴォーカルを乗せ
適度にテクニカルでキャッチーなProgMetalサウンドで、今作も4~5分前後の楽曲を主体に、
シンプルなノリの良さとメロディックな感触で、随所に知的な技巧性を織り込んだ聴き心地。
ツーバスのドラムがややうるさめではあるが、ツインギターによる叙情的なフレーズと、
きらびやかなシンセによるインストパートも耳心地よく、スパニッシュな歌声が哀愁を乗せる。
全体的にクオリティは高いのだが、あとはドラマティックな大曲などがあればと思う。
メロディック度・・8 テクニカル度・・7 スタイリッシュ度・・8 総合・・7.5
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