メタルCDレビュー
~HEAVY METAL CD REVIEW 2018  by 緑川 とうせい

★2018年に聴いたメタルCDレビュー
*過去のレビューはCDレビューTOPから各ジャンル別に見られます

*プログレ最新レビュー *注目の新譜コーナー


2/13
春遠からじ(39)


Pain of Salvation 「In The Passing Light of Day」
スウェーデンのプログレッシブメタル、ペイン・オブ・サルヴェイションの2017年作
1997年デビュー、初期のテクニカル路線からしだいに内的な深化をとげ、ここ数作では70年代的な
オールドロックへと傾倒していたが、9作目となる本作はのっけから硬質なギターを乗せたヘヴィなサウンドで、
初期の頃に回帰したようなテクニカル性と、ProgMetalとしての知的な構築センスが蘇ってきている。
物語を語るような、ダニエル・ギルデンロウの表現豊かな歌声を乗せ、メリハリある展開力で大曲を構築しつつ、
一方では、ヴァイオリンやブラスを含んだ叙情性や、ゆったりともの悲しい哀愁を感じさせるナンバーもあって、
コンセプト的な世界観をじっくりと描いてゆく。派手なインパクトがない分、キャリアのあるバンドらしい音の説得力で
ラストの15分の大曲まで、大人の味わいを含んだ重厚なサウンドが楽しめる。ここ数作で離れていたリスナーもチェックです。
ドラマティック度・・8 テクニカル度・・7 大人の哀愁度・・8 総合・・8 過去作のレビューはこちら
Amazonで購入する

VIPASSI 「SUNYATA」
オーストラリアのテクニカルメタル、ヴィパシーの2017年作
NE OBLIVISCARISのメンバーも参加するバンドで、変則リズムたっぷりのテクニカルなインストサウンドで、
デスメタル的な激しさも含みつつ、Djent系の優雅なアンサンブルとミステリアスな空気感が合わさった聴き心地。
いわゆるヘンタイ系のテクニカルメタルなのだが、アヴァンギャルド過ぎず、ダークな感触を保っている点では
わりと聴きやすい部類だろう。随所に叙情的なパートを含んだメリハリのある知的な展開力も良いですね。
全7曲で、30分という短さだが、濃密なテクニカルメタルという点では、ちょうどよいも長さかも。
ドラマティック度・・7 テクニカル度・・8 ヘンタイ度・・7 総合・・7.5
Amazonで購入する



Watchtower
「Concepts of Math: Book One」
アメリカのテクニカルメタル、ウォッチタワーの2016年作
80年代に2作を残して消えた、伝説のテクニカルメタルバンドがじつに27年ぶりに復活作を完成させた。
ロン・ジャーゾンベクを含む往年のメンバーが集結、サウンドの方もかつてを思わせる変則リズムと
テクニカルなキメの応酬で、せわしないインストパートとヴォーカルを乗せたヘンタイ気味の感触も往年のままだ。
現在ではこの手のバンドも増えてきているので、もはや新鮮さというのはないのだが、スラッシュメタルをルーツにした
オールドスタイルのテクニカルメタルという点では、じつに楽しい聴き心地。全5曲29分のミニアルバムながら、
軽やかで濃密な聴き心地は、まぎれもなくウォッチタワーそのものだ。フルアルバムの完成に期待したい。
メロディック度・・7 テクニカル度・・8 ヘンタイ度・・8 総合・・8 過去作のレビューはこちら
Amazon.co.jpで詳細を見る


Sacred Steel「Heavy Metal Sacrifice」
ドイツのメロディックメタル、セイクレッド・スティールの2016年作
1997年デビュー、すでにキャリア20年におよぶバンドであるが、サウンドの方は変わらぬスタイルで、
ツインギターのリフとハイトーンヴォーカルを乗せて疾走する、古き良き王道のジャーマンメタル。
パワフルすぎず、クサメロ過ぎずという絶妙の聴き心地は、頑固一徹のメタル愛を感じさせる硬派さと、
マイナーな微笑ましさに包まれたB級感触がほどよくブレンドされていて、けっこう心地よいのである。
今作ではミドルテンポのナンバーもどっしりとした味わいで、これまでのヘナチョコ感は払拭されていて、
良い意味でのオールドな90年代スタイルを貫いた、Grave Diggarばりに強力な正統派メタルですよ。
ドラマティック度・・7 正統派度・・8 ジャーマン度・・9 総合・・8 過去作のレビューはこちら
Amazonで購入する


Neopera 「Destined Ways」
ドイツのシンフォニックメタル、ネオペラの2014年作
男性デス声&ノーマル声、女性Voという3人のヴォーカルを含む編成で、壮麗なシンフォニックアレンジと
男女ヴォーカルを乗せた、THERIONにも通じるサウンド。オペラティックなソプラノヴォーカルの力量もあって、
優雅なスケール感とともに音の説得力もなかなかのもの。適度にモダンなヘヴィネスとクラシカルな美意識が同居して
デス声と女性声の対比によるダイナミズムも含めて、華麗にしてドラマティックな世界観を描いてゆく。
楽曲そのものに新鮮味というのは薄いものの、オペラティックメタルとしての優美な味わいと重厚なスケール感で、
最後までじっくり楽しめるだけのクオリティの高さがある。今後の飛躍に期待大の男女声シンフォニックメタルですよ!
シンフォニック度・・9 壮麗度・・9 セリオン度・・8 総合・・8
Amazonで購入する


Paco Ventura「Black Moon」
スペインのメロディックメタル、MEDINA AZAHARAのギタリスト、パコ・ヴェンチュラのソロ。2015年作
メディナ・アザーラといえば、1980年デビューの大ベテラン、スパニッシュ・ハードロックの大御所である。
本作は、そのギタリストの初ソロアルバムで、ブルース・キューリック(KISS)、ローランド・グラポウ(HELLOWEEN)、
ジョン・ノーラム、パトリック・ロンダット(ELEGY)、キコ・ルーレイロ(ANGRA)といったギタリストが参加、
スペイン語の歌声にオルガンが鳴り響く、わりとオールドな味わいの様式美ハードロックを聴かせる。
スパニッシュな哀愁を感じさせるメロディセンスと、サウンドの説得力はさすがベテランらしい空気感である。
アルバム後半には、ヨラン・エドマン、ジョー・リン・ターナー、ファビオ・リオーネ(ANGRA)がヴォーカルで参加、
それぞれにパワフルな歌声を乗せた正統派のメタルナンバーが楽しめる。
メロディック度・・8 様式美度・・8 スパニッシュ度・・8 総合・・8
Amazonで購入する

SHORES OF NULL「BLACK DRAPES FOR TOMORROW」
イタリアのゴシック・ドゥームメタル、ショーズ・オブ・ナルの2016年作
前作はOPETH+Swallow the Sunというような好作たったが、本作もツインギターのリフに
朗々としたヴォーカルを乗せ、メランコリックな味わいの重厚なゴシック・ドゥームを聴かせる。
随所にデス声も加わったダークな迫力と、ギターの奏でる泣きのフレーズとともに、
湿り気のある叙情的な味わいも含んだサウンドで、楽曲の魅力も前作以上の出来である。
どっしりとした重厚さとダークで物悲しい叙情性が同居した、なかなかの好作です。
ドラマティック度・・8 メランコリック度・・8 重厚度・・8 総合・・8
Amazonで購入する



The Knell 「harm」
イスラエルのゴシック・ドゥームメタル、ネルの2007年作
ツインギターにシンセを含む5人編成で、重厚なギターに囁くような低音ヴォーカルを乗せた、
スローでフューネラルなドゥームメタル。オルガンなどを含むシンセがゴシック的な耽美さをかもしだし、
初期のMy Dying Brideにも通じる、物悲しくメランコリックな空気感が味わえるサウンドだ。
楽曲はほとんどが7~8分前後と長めで、わりと淡々としているので、もう少し荘厳な迫力か、
メロディのフックがあればとは思うが、逆に言えば、これこそがゴシック・ドゥームたるものなのだろう。
ドラマティック度・・7 耽美度・・8 重厚度・・8 総合・・7.5

WitchSorrow 「No Light Only Fire」
アメリカのドゥームメタル、ウィッチソロウの2015年作
2010年デビューで本作が3作目となる。ヘヴィなギターリフを乗せた重厚なサウンドだが、
スロー過ぎないミドルテンポのノリもあって、わりとオールドなメタル感触も感じさせる。
一方ではスローテンポのフューネラルな暗黒性とヘヴィネスは、甘さの無い硬派な空気感を描いていて、
説得力ある音の迫力に包まれている。10分前後の大曲も多いのだが、スローからミドルへのテンポチェンジなどを含めて、
一方調子ではない構築性もあるので飽きさせない。初期のCATHEDRALをより重くしたような力作ドゥームです。
ドラマティック度・・7 ドゥーム度・・9 重厚度・・9 総合・・8
Amazonで購入する



Mammoth Storm 「Fornjot」
スウェーデンのドゥームメタル、マンモス・ストームの2015年作
DRACONIANのメンバーも参加するバンドで、ドローン気味のギターリフにダミ声ヴォーカルをのせ、
どっしりとした重厚なドゥームメタルを聴かせる。スローテンポのドゥームを主体に、適度に叙情的な部分も覗かせつつ、
ミステリアスな神秘性を含んだスケール感もあって、10分前後の大曲をリフレインとともにじっくりと描いてゆく。
これという新鮮味はないものの、音の迫力と強度が、ドゥームメタルとしての幻想性をしっかりと生み出していて、
繰り返されるリフに耳を傾けながら、しだいにトリップというか、アストラルな気分に入り込めたりするのである。
重厚にして荘厳な空気感に浸れる、これぞドゥームメタル!という力作です。
ドラマティック度・・8 ドゥーム度・・9 重厚度・・9 総合・・8
Amazonで購入する


ABORYM 「Shifting.Negative」
イタリアのサイバー・ブラックメタル、アボリムの2017年作
1999年にデビュー、かつては元EMPERORのFAUSTやMAYHEMのメンバーが参加していたことでも知られる。
7作目となる本作は、よりエレクトロなアレンジを強めていて、デジタルなシンセに硬質なギターが重なり、
モダンでインダストリアルなサウンドを聴かせる。ブラックメタル的な激しさは薄めで、囁くようなヴォーカルに
ときにメランコリックなフレーズを奏でるギターを乗せた薄暗い叙情性は、むしろゴシックメタル的でもあるが、
一方ではアヴァンギャルドな展開や、知的なアレンジセンスも感じさせ、一筋縄ではいかない。
ドラムが打ち込みなので、激しいブラストパートも暴虐さはさほど感じない。インダストリアルなブラックが好きな方はどうぞ。
ドラマティック度・・7 暴虐度・・6 インダストリアル度・・8 総合・・7.5
Amazonで購入する


In Flames 「Siren Charms」
スウェーデンのメロディック・デスメタル、イン・フレイムスの2014年作
1994年のデビューから本作で11作目となる。モダンなヘヴィロック調だった前作の流れを汲んだ作風で、
適度にメロディックなギターフレーズとエレクトロなシンセアレンジに、マイルドなヴォーカルを乗せた、
メタルコア風味の聴き心地。楽曲は3~4分前後とシンプルで、曲によってはキャッチーな感触もあって聴きやすく、
スクリームヴォイスを乗せて、かつてのメロデス的なギターリフも現れたりと、単なるヘヴィロックという以上には
クオリティが高いのでわりと楽しめる。ほどよい激しさも含んだモダンなメタルというイメージなら入りやすいかと。
メロディック度・・7 メロデス度・・7 モダン度・・8 総合・・7.5 過去作のレビューはこちら
Amazonで購入する



2/2
期待の日本産プログレメタル登場!(27)


ALEVAS「Greed of White Lily」
日本のプログレッシブメタル、アリーヴァスの2018年作
2016年に結成された、東京の新鋭プログレッシブ・メタルバンド。テクニカルな展開美とダークな世界観、
随所にクラシカルなオーケストラアレンジに包まれた優雅な叙情性が融合したハイブリッドなサウンド。
モダンでアグレッシブなヘヴィネスと、日本語歌詞による歌声を乗せたドラマティックな聴き心地に加え、
扇情的なフレーズを奏でるギターは、さすが音大出身というメロディのセンスと確かな技巧を感じさせる。
後半の16分の大曲は、プログレッシブなシンセアレンジと変拍子リズムによる、DREAM THEATER風味に、
シアトリカルなヴォーカルを乗せた日本的な情感が合わさって、スリリングな展開力がまた素晴らしい。
メロデイとテクニカルのバランスのとれた、ダークでスタイリッシュな日本産プログレメタル期待の新鋭である。
ドラマティック度・・8 テクニカル度・・8 楽曲センス・・8 総合・・8
Amazonで購入する

THOR 「Beyond The Pain Barrier」
カナダのヘヴィメタル、ソー(トール)の2017年作
1978年にデビュー、マッチョな風貌で話題となったJon Mikl Thor氏によるプロジェクト。本作は2年ぶりとなる19作目。
名前通り、雷神トールを描いたジャケからしてエピックな雰囲気たが、サウンドの方もほどよくマイナー臭さを残した、
オールドスタイルの正統派ヘヴィメタル。メロスピ的な激しい疾走ナンバーから、ミドルテンポのわりとキャッチーなナンバーまで、
80年代テイストのいたってありがちなメタルサウンドなのがいっそ微笑ましい。Thorのヴォーカルはお歳のわりには頑張っているが、
MANOWARあたりのパワフルさに比べたら、バックのサウンドも含めてアマチュア感がにじみ出てしまっていて、少々つらい。
よっぽどのB級メタルファン以外には薦められないですが、ラスト曲はこれぞエピックメタルというナンバーで救われました。
ドラマティック度・・7 古き良き度・・8 正統派度・・8 総合・・7
Amazonで購入する


Twilight Force 「HEROES OF MIGHTY MAGIC」
スウェーデンのメロディックメタル、トワイライト・フォースの2016年作
前作もクサメロたっぷりの疾走メロパワの好作であったが、2作目となる本作もきらびやなシンセに、
伸びやかなヴォーカルとエピックなコーラスを乗せて疾走する、キャッチーかつ華麗なメロスピサウンド。
陽性のファンタジー色に覆われた雰囲気は、Power QuestDragonlandなどにも通じるかもしれないが、
こちらはより大仰でシンフォニック、クサいメロディを奏でるギターも含めた濃密さは天晴なほどである。
個性的な部分での新鮮さはさほど感じないが、この爽快な突き抜け方というのは、ファンには歓迎するところだろう。
10分を超える大曲も、とにかく壮麗でクサく盛り上げ、そしてどこまでもファンタジックという。
映画的なストーリー性も含めて、まるでRHAPSODYがメロスピ化したような濃密作ですわ。
シンフォニック度・・9 疾走度・・8 ファンタジック度・・9 総合・・8.5
Amazonで購入する

MIRACLE FLAIR 「ANGELS CAST SHADOWS」
スイスのシンフォニックメタル、ミラクル・フライアの2016年作
チェロ奏者を含む5人編成で、ヘヴィなギターに女性ヴォーカルの歌声を乗せ、
適度にモダンな感触とキャッチーなメロディアス性が同居したサウンド。
専任のシンセ奏者がいないので、シンフォニックな感触は希薄だが、メタルとしての重厚な味わいと
ヨーロピアンな薄暗い世界観をしっかりと描いている。紅一点、ニコル嬢の歌声は高すぎない中音域で
フェミニンな魅力の点では控えめだが、どっしりとしたバンドのサウンドにはよくマッチしている。
楽曲はすべて3~4分前後で、聴きやすいものの、魅力的なメロディやインパクトのある展開がいまひとつ弱い。
今後はゴシック寄りの質感を強めるのか、メロディを重視するのか、もう少し極端になってもよい気もする。
ドラマティック度・・7 重厚度・・7 女性Vo度・・7 総合・・7.5
Amazonで購入する

ALARION 「Waves Of Destruction」
オランダのシンフォニックメタルプロジェクト、アラリオンの2016年作
名前からしてAYREONの弟みたいだが、オランダ人ギタリストを中心にしたプロジェクトで、
THRESHOLDのダミアン・ウィルソンをはじめ、イレーネ・ヤンセン、ポール・グランドルフなど、
エイリオン関連のミュージシャンも参加。美しいシンセアレンジとメタリックなギターによる重厚なサウンドに、
ダミアン・ウィルソンを中心にしたパワフルなヴォーカルを乗せた、壮麗なシンフォニックメタルを聴かせる。
シンフォニックハード的な優美な叙情に包まれたナンバーや、女性ヴォーカルを乗せたナンバーなど、
全体的にそこそこ楽しめるのだが、楽曲自体に耳を惹きつけるフックや目新しいインパクトは乏しいので、
どこか物足りなさも感じる。ドラマティックなストーリー性を描くようなスケール感がもっと欲しいですね。
シンフォニック度・・8 壮麗度・・8 楽曲・・7 総合・・7.5
Amazonで購入する

Pagan's Mind 「Full Circle」
ノルウェーのプログレメタル、ペイガンズ・マインドのライブ。2015年作
すでにキャリア15年を超える中堅バンドで、本作は2014年アメリカ「ProPower Festival」でのステージを2D+DVDに収録。
きらびやかなシンセアレンジと重厚なギターに、パワフルなハイトーンヴォーカルを乗せたサウンドで、
どっしりとした聴き心地はアルバム同様。ProgMetalとしてのテクニカル性や派手な展開はさほどないので、
ミドルテンポの正統派シンフォニックメタルとしても楽しめるが、2パートに分かれた13分の大曲や、
後半の15分の大曲などは、メロディックな叙情性と緩急ある展開のインストパートが魅力的だ。
中堅バンドとしての音の説得力も含めて、合計150分超の濃密なステージでお腹いっぱい。
ライブ演奏・・8 テクニカル度・7 重厚度・・8 総合・・8
Amazonで購入する


Demon Lung 「A Dracula」
アメリカのドゥームメタル、デーモン・ラングの2015年作
アコースティックで牧歌的なイントロから始まりつつ、ヘヴィなギターリフが重厚に鳴り響き、
けだるげな女性ヴォーカルの歌声を乗せた、重々しいドゥームメタルが広がってゆく。
カルトで妖しい空気感と、メタリックなヘヴィネスが合わさった迫力のあるサウンドで、
神秘的な浮遊感に包まれた聴き心地は、叙情性は控えめながら説得力は十分。
Witch Mountainなどにも通じる、重量感のある本格派ドゥームメタルが楽しめる力作だ。
ドラマティック度・・7 ドゥーム度・・9 重厚度・・8 総合・・8
Amazonで購入する



Scorpion Child
アメリカのハードロック、スコーピオン・チャイルドの2013年作
アナログ感たっぷりのギターに枯れた味わいのヴォーカルを乗せた、いかにも70年代を思わせる、
ブルージーなハードロックサウンドで、まさしくLED ZEPPELINが蘇ったような聴き心地である。
4~5分前後のわりとシンプルなロックナンバーを中心に、現時点では個性的とは到底言えないが、
オールドロック、ツェッペリンへの愛を感じさせるという点では、その筋のロックファンには受けるだろう。
ラストのゆったりとした叙情ナンバーまで、ブルージーな哀愁に包まれたなかなかの好作品だ。
よりキャッチーで爽快な味わいになって進化&パワーアップする2作目も良いですぞ。
ドラマティック度・・7 古き良き度・・9 ツェッペリン度・・8 総合・・7.5
Amazonで購入する


Sabbath Assembly 「Restored to One」
アメリカのサイケ・ドゥームロック、サバス・アセンブリーの2010年作
1960~79年代に活動していたカルト教団「The Process Church of the Final Judgment」の思想をテーマにかかげ、
妖しい女性ヴォーカルの歌声を乗せた、Blood CeremonyPURSONを思わせる、ユルめの魔女系ドゥーム。
サイケ・ドゥームロックバンド、Jex Thothのヴォーカルでもある、ジェックス嬢のけだるげな歌声は、
いかにも妖しく倦怠的な空気感で、アナログ感たっぷりのアンサンブルによくマッチしている。
オルガンが鳴り響き、ときに叙情的なギターフレーズを乗せた、ドラマティックな雰囲気もよいですな。
カルトなヴィンテージロックとしても、女性声サイケロックとしても楽しめる。妖しい聴き心地に浸れます。
ドラマティック度・・8 ヴィンテージ度・・8 妖しさ度・・9 総合・・8
Amazonで購入する

Sabbath Assembly 「Ye Are Gods」
アメリカのサイケ・ドゥームロック、サバス・アセンブリーの2013年作
本作から、HAMMER OF MISFORTUNEWOLVES IN THE THRONE ROOMにも参加したJamie Myers嬢が新たに加入。
妖しい女性ヴォーカルを響かせる、カルトな魔女系サウンドはそのままに、ヴィンテージなドゥーム色が薄れ、
男性声の語りによるシアトリカルな空気感に、チェンバロが鳴り響く、耽美なゴシック感触が強まった。
アコースティカルなゴシックフォーク風のパートから、ハードなギターが加わったメタル質感も覗かせたり、
オルガンが鳴り響くユルめのキャッチーなロック風味もあったりと、今作は案外振り幅が大きいので、
カルトな暗さや迫力はさほど感じないのだが、のんびりと浸れる魔女系ネオフォークとしては良いですね。
ドラマティック度・・7 耽美度・・8 妖しさ度・・8 総合・・8
Amazonで購入する

Sabbath Assembly
アメリカのサイケ・ドゥームロック、サバス・アセンブリーの2016年作
メタリックなギターと女性ヴォーカルを乗せた、怪しげなゴシック・ドゥームメタルサウンドは、
これまでよりもヘヴィで重厚な作風となった。サバスルーツのオールドスタイルのドゥームメタル感触に
ダークな禍々しさを含んだサタニックでカルトな雰囲気を加え、メタリックな音の説得力がぐっと高まっている。
前作から加入した、Kevin Hufnagel (GORGUTS、DYSRHYTHMIA)の巧みなギターリフが随所に光っていて、
ときにテクニカルですらある演奏も聴きどころ。今作はわりとハードロック寄りのノリのあるナンバーも多く、
むしろ一般のメタルリスナーにも聴きやすいかもしれない。正しく魔女系ドゥームの王道というべき好作品。
ドラマティック度・・8 ドゥーム度・・8 妖しさ度・・8 総合・・8
Amazonで購入する


Jex Thoth
アメリカのサイケ・ドゥームロック、ジェックス・トースの2008年作
Sabbath Assemblyにも参加した女性Vo率いるバンドで、アナログ感たっぷりのギターに
ハスキーでけだるげな女性ヴォーカルを乗せた、ヴィンテージな魔女系ドゥームロック。
オルガンが加わった妖しい空気感に、ゆったりとしたスローテンポから唐突なリズムチェンジなど、
適度にマイナー臭いB級感もあって、どんよりとした音質も含めて、オールドでカルトなドゥームに浸れる。
ジェックス嬢の歌声は、抜群に上手くはないのだが、いかにも魔女めいた表現力が不思議な魅力となっていて、
このサウンドにはよくマッチしている。適度にサイケなユルサも含めて、わりとのんびり楽しめます。
ドラマティック度・・7 ドゥーム度・・8 妖しさ度・・8 総合・・7.5
Amazonで購入する

Jex Thoth「Blood Moon Rise」
アメリカのサイケ・ドゥームロック、ジェックス・トースの2013年作
今作もイントロ曲から魔女感たっぷりで、ジェックス嬢の歌声からしてカルトな雰囲気がぷんぷん。
どっしりとヘヴィなリフに、サイケ的な旋律を重ねるツインギター、浮遊感ある女性ヴォーカルを乗せた、
けだるくも妖しいドゥームサウンドには磨きがかかっていて、その世界観にどっぷりと浸れる。
もちろん、ドゥームメタルとしての重厚な迫力もしっかりとあって、オルガンを含むシンセアレンジに加え、
今作では随所にチェロも鳴り響く。ゆったりとした叙情的なナンバーも、表現力を増したジェックスさんの歌声が
幻想的な強度となっていて最後まで楽しめる。これぞ魔女系ドゥームという強力作だ。
ドラマティック度・・8 ドゥーム度・・8 妖しさ度・・9 総合・・8
Amazonで購入する


The Devil's Blood 「Come Reap」
オランダのサイケ・ドゥーム、デヴィルズ・ブラッドの2009年作
デビュー作となった、5曲入り27分のEPで、アナログ感に包まれたアンサンブルに女性ヴォーカルの歌声を乗せた、
ヴィンテージなサイケハードは、すでに確立されている。ヘヴィ過ぎないギターに、オルガンの音色が合わさり、
ヘタウマな女性声による良い意味でのマイナー臭さが、妖しい魔女系ロックの世界観を描いている。
のちのアルバムのような、プログレ的なスケール感はまだないが、ザラついた音質も含めてBlack Widowなどに通じる、
70年代ルーツの空気感がほどよいユルさになっている。10分を超えるラスト曲では、叙情的なギターも響かせながら
艶めいた女性ヴォーカルも加わって、浮遊感のある妖しくヴィンテージなサイケロックが楽しめる。
ドラマティック度・・7 ヴィンテージ度・・8 魔女系サイケ度・・8 総合・・7.5
Amazonで購入する



1/5
本年もよろしくお願い致します!(13)


Cradle of Filth 「Cryptoriana」
イギリスのシンフォニック・ブラックメタル、クレイドル・オブ・フィルスの2017年作
1994年デビュー、いまや世界的なエクストリームメタルの代表格ともなったこのバンド。
通算12作めとなる本作は、「ヴィーナスの誕生」をもじったジャケも印象的だが、サウンドの方は、
オーケストレーションを乗せた壮麗なアレンジとともに激しく疾走する、まさにクレイドル節全開。
ダニ・フィルスの絶叫ヴォーカルの迫力も全盛期に迫る迫力で、美しい女性コーラスとの対比で、
まさに美と醜を描き出す濃密な聴き心地である。メロディックなギターが耽美な味わいをかもしだし、
激しくブラスト疾走しながらも優美ですらあるというのは、単なるブラックの域を超えたバンドの世界観であろう。
ときにメロディック過ぎるメイデンばりのツインギターも含めて、初心者にも楽しめる出来でしょう。
むろん、2nd、3rdの頃のクレイドルが好きだった方も必聴。激しくも美麗な傑作デス。
ボーナストラックにANNIHILATORのカヴァーというのは意外だったが、ダニの歌声が案外ハマっている。
ドラマティック度・・8 暴虐度・・8 耽美で壮麗度・・9 総合・・8.5 過去作のレビューはこちら
Amazon.co.jpで詳細を見る

Ensiferum 「Two Paths」
フィンランドのヴァイキングメタル、エンシフェルムの2017年作
2001年にデビュー、MOONSORROWらとともに北欧ヴァイキングメタルを代表するバンド。
7作目となる本作も、壮麗なイントロからして、エピックなスケール感を漂わせ、クサメロのギターが加わり、
ダミ声ヴォーカルを乗せた武骨さと勇壮なコーラスとともに、重厚なヴァイキングメタルが広がってゆく。
女性アコーディオン奏者の奏でるフォーキーなメロディも取り入れながら、北欧らしいペイガンな神秘性と
激しくもパワフルなノリにメロディックなフックを同居させたアレンジは、さすがベテランの説得力である。
一方では、壮麗に疾走するナンバーなどは、Equilibriumにも通じるシンフォニックなメロスピ感触で楽しめる。
女性ヴォーカルをフロントにしたフォーキーなナンバーなど、メリハリある構成で最後まで捨て曲なしの傑作です。
ドラマティック度・・8 ヴァイキング度・・8 重厚度・・9 総合・・8.5 過去作のレビューはこちら
Amazonで購入する

Bifrost 「Mana Ewah」
オーストリアのペイガン・ブラックメタル、ビフロストの2016年作
ツインギターのリフとダミ声ヴォーカルを乗せ激しくブラスト疾走、フォーキーなメロディを盛り込んだ
牧歌的なクサメロ要素と武骨な辺境性が、よいあんばいで合わさった、ペイガン・フォークメタルを聴かせる。
シンセをあまり使わずあくまでギターをメインにしたサウンドで、ブラックメタルとしての激しさを随所に覗かせつつ、
一方では、メロデス的な聴きやすいミドルテンポのナンバーもあって、マニア向け過ぎないのもよろしい。
個人的には、もう少し神秘的なスケール感があればと思うが、ツインギターの叙情メロディをたっぷり含んだ
フォーキーなメロデスというふうにも楽しめる。全体的にもクオリティの高さが光る好作だ。
メロディック度・・8 暴虐度・・7 ペイガン度・・7 総合・・8
Amazonで購入する


Ex Deo 「The Immortal Wars」
カナダのシンフォニック・デスメタル、イーエックス・デオの2017年作
KATAKLYSMのメンバーを中心にしたバンドで、古代ローマをテーマにした世界観とデスメタルを融合したサウンドで、
前作もなかなかの力作だったが、今作もジャケのイメージ通り、ハンニバルが戦象を率いたアルプス超えやザマの戦いなど
歴史的な場面をテーマにしたコンセプト作。ヘヴィなギターにシンフォニックなアレンジと、デス声ヴォーカルを乗せた重厚なサウンドは、
適度にメロディックな感触も含ませて、正統派メロパワのデスメタル寄りという雰囲気で、ドラマティックな世界観を描き出す。
壮麗な音の厚みと、戦いの場面を思わせるでエピックな勇壮な空気感も素晴らしく、まるで映画の一場面を思い起こさせるような
迫力あるメタルサウンドに引き込まれる。ヴォーカルはデス声ながら、楽曲自体は重ためのシンフォ・パワーメタルという趣なので、
正統派メロパワ好きにも楽しめるかと思う。適度に激しさもあり、前作以上に音の強度を感じる力作です。
ドラマティック度・・8 エピック度・・9 重厚度・・9 総合・・8
Amazonで購入する

ANCIENT MYTH「ABERRATION:PT」
日本のシンフォニックメタル、エンシェント・ミスの2016年作
日本のフィメール系シンフォメタルの中ではすでに中堅というべき存在で、本作は欧州でのデビュー盤であり、
過去曲のリアレンジを含むベスト盤的な作品。美麗なシンセアレンジとテクニカルなギターを乗せて疾走する、
メロスピ的なシンフォニックメタルで、凛とした女性ヴォーカルの歌声とともに、優雅な美意識に包まれたサウンドは、
デビューから一貫している。初期に比べて演奏力、楽曲アレンジの質が向上し、本作では録音の良さも含めて
ダイナミックな聴き心地が増したことで、世界レベルのシンフォニックメタルとも遜色ないところにまで来つつある。
楽曲も粒ぞろいで疾走曲もたくさん。エンシェント初体験の日本のリスナーも、本作から入るのがよいでしょう。
シンフォニック度・・8 疾走度・・8 優雅度・・9 総合・・8 過去作のレビューはこちら
Amazonで購入する


WINDZOR 「ACCEPT THE FOLKLORE OF GUARDIAN'S FLAME」
日本のシンフォニックメタル、ウインザーの2016年作
女性Vo、女性シンセ奏者を含む5人編成で、前作は古き良きスタイルの正統派メタルという好作だったが、
本作はのっけから壮麗なイントロで幕を開ける。シンフォニックなシンセアレンジに様式美テイストのギター、
女性にしてはパワフルな声質の英語の歌声を乗せ、ファンタジックな世界観に包まれたサウンドが広がってゆく。
適度な疾走感とオールドな様式美テイストに、シンフォニックな音の厚みを加えたという聴き心地で、
正統派のジャパメタを好む方にも対応。FATIMA HILLをきらびやかにした感じというと分かりやすいか。
全体的にも高品質な作品であるが、突き抜けるようなラーチューンがあれば、さらに飛躍できるだろう。
ドラマティック度・・8 シンフォニック度・・8 女性Vo度・・7 総合・・7.5
Amazonで購入する


DIVINE WIND 「FRONT CRASH -最前線の激突」
日本のメロディックメタル、ディヴァイン・ウインドの2014年作
まるでアキバ系の同人ソフトのようなジャケが恥ずかしくて一般のメタラーは敬遠する方も多いだろうが、
ネオクラシカルなギターとハイトーンヴォーカルを乗せて疾走する、きらびやかなメロスピサウンドで、
マシンガンのようなドラムはドラフォー以上に速くてびっくりする。音質がラウドなのがいかにも自主制作らしいが、
甲高いハイトーンヴォーカルに、バンドの演奏力もわりとしっかりしていて、ただのアマチュアの域は超えている。
日本語の歌メロはわりと古き良きジャパメタやV系メタルの感触もあって、キャッチーなクサさがわりと楽しめる。
全22曲入り、79分という長さも凄いが、それが定価\1000というのも、まさに同人音楽並みのコストパフォーマンス。笑
メロディック度・・8 疾走度・・9 ネオクラ度・・8 総合・・7.5
Amazonで購入する


ZDAN「Svietlaja Pamiac, Viecny Spako」
ベラルーシのデプレッシブ・ゴシック・ブラックメタル、ズダーニの2017年作
日本語で幽霊を意味する名をもつというバンド。美しいシンセアレンジに重厚なギターと
泣き叫ぶような女性ヴォーカルの歌声を乗せた、ゴシック的な耽美な世界観と、
絶望的な悲哀が同居したサウンド。美麗なシンセアレンジと、メロウなギターフレーズは
ブラックメタルというよりは、どちらかというとシンフォニック・ゴシックの感触で、
楽曲そのものは展開力はあまりなく、雰囲気モノとしてぼんやりと聴くのがよいのだろう。
ヒステリックに叫びまくる女性ヴォーカルがやや耳障りながら、この路線というのは今までにない、
新しいデプレ・ゴシックといえるだろう。泣き叫ぶ女性声に耳が癒されるか、疲れるかはアナタ次第。
シンフォニック度・・8 ゴシック度・・8 デプレ度・・8 総合・・7.5
Amazonで購入する

Tomorrowillbeworse 「Down the Road of Nothing」
イギリスのポストブラック、トゥモロウィルビーワースの2013年作
ケノシス氏による個人ユニットで、ノイジーかつヘヴィなギターにダミ声ヴォーカルを乗せ、
ダークで不穏な空気感を描くサウンド。同じく独りポストブラックのCAINAなどに比べると、
疾走する激しさはあまりなく、ずっしりとしたベースとともにデプレッシブな暗鬱さが強めなので、
ブラックメタルの激しさ求める方には向かないが、ドゥーミィな闇に包まれた重厚な作風には、
吸い込まれるような迫力と説得力がある。強烈なインパクトはないものの、ミドルテンポで
メタリックなノリのあるナンバーなど、デプレッシブ初心者にもわりととっつき安い内容かもしれない。
ドラマティック度・・7 暗黒度・・8 重厚度・・8 総合・・7.5
Amazonで購入する


Kathaarsys 「Verses in Vain」
スペインのペイガン・ブラックメタル、カタールシスの2008年作
女性ベース奏者を含む3人編成で、本作は、ACT I & II に分かれたCD2枚組の大作。
Discは19分、16分、13分、Disc2は15分、20分という、大曲5曲の構成で、語りの入った怪しげなイントロから、
ドゥーミィなギターリフと男性デス声&ノーマルヴォーカルを乗せ、ゆったりとゴシックメタル的に始まりつつ、
しだいにデスメタル的な激しい疾走パートが現れて、フォーキーとまではいかない叙情性も含んだ緩急ある展開力で聴かせる。
随所にブラストするブラックメタル要素もあるのだが、邪悪な暴虐性は薄めで、さりとてペイガンメタルというほどの土着性もないので、
悪く言えばどっちつかずの方向性。曲が無駄に長いわりにはメロディの魅力が乏しいので、盛り上がりにも欠けるという。
大作を作り出した意気込みは買うが、楽曲の練り込みとともに、リフやフレーズひとつひとつの扇情力を高めてもらいたい。
ドラマティック度・・7 暴虐度・・6 叙情度・・7 総合・・7.5
Amazonで購入する

Yearning 「Frore Meadow」
フィンランドのゴシックメタル、ヤーニングの2001年作
過去2作も耽美派ゴシックの力作であったが、3作目となる本作は、わりとアップテンポな1曲目から、
SENTENCEDあたりにも通じる雰囲気だが、マイルドなヴォーカルを乗せたメランコリックな雰囲気は、
いかにもフィンランドのバンドらしい。ツインギターによる泣きのフレーズにうっすらとしたシンセが合わさり、
メリハリのあるリズムチェンジを含んだ構築力というのは、他のバンドとは一線を画した個性でもある。
重すぎず、暗すぎない世界観に、ときにシンフォニックといってもよいほどの美麗なシンセアレンジも覗かせ、
随所に現れる扇情的でメロウなギターフレーズも、叙情性を好むリスナーにはうっとりであろう。
一転してラスト曲などは、妖しくアンビエントなノイズミュージックで、アヴァンギャルドなセンスも感じさせる。
ドラマティック度・・7 ゴシック度・・8 メランコリック度・・9 総合・・8 過去作のレビューはこちら
Amazonで購入する

AGORA 「Zona De Silencio」
メキシコのプログレメタル、アゴラの2005年作
ツインギターにシンセを含む6人編成で、きらびやかなシンセにヘヴィなギターと、
スペイン語のハイトーンヴォーカルを乗せ、モダンな構築センスで聴かせるProgMetal。
音質はややラウドながら、演奏自体はテクニカルなアンサンブルとキャッチーなメロディアス性で、
マイナー臭さというのはさほど感じさせない。楽曲も5分前後が中心で、わりとシンプルな作風で、
モダンな雰囲気のナンバーの中、アコースティックを用いたスパニッシュな哀愁を感じさせるパートなどもなかなか魅力的。
メロディと技巧を同居させた厚みのあるサウンドとスタイリッシュな構築力で描かれる、メキシカンな高品質作です。
メロディック度・・8 テクニカル度・・7 スタイリッシュ度・・8 総合・・7.5
Amazonで購入する

AGORA「Segundo Pasado」
メキシコのプログレメタル、アゴラの2007年作
重厚なツインギターの重なりと美しいシンセアレンジ、伸びやかなスペイン語のヴォーカルを乗せ
適度にテクニカルでキャッチーなProgMetalサウンドで、今作も4~5分前後の楽曲を主体に、
シンプルなノリの良さとメロディックな感触で、随所に知的な技巧性を織り込んだ聴き心地。
ツーバスのドラムがややうるさめではあるが、ツインギターによる叙情的なフレーズと、
きらびやかなシンセによるインストパートも耳心地よく、スパニッシュな歌声が哀愁を乗せる。
全体的にクオリティは高いのだが、あとはドラマティックな大曲などがあればと思う。
メロディック度・・8 テクニカル度・・7 スタイリッシュ度・・8 総合・・7.5
Amazonで購入する



12/17
バラロスいいっすね!(352)


PARADISE LOST「MEDUSA」
イギリスのゴシックメタル、パラダイス・ロストの2017年作
1990年にデビュー、英国ゴシックメタルの元祖というべきベテランバンド、15作目となる本作は
オルガンによる妖しいイントロから始まり、ヘヴィなギターに低音ヴォーカルを乗せ、ドゥーミィな空気感とともに、
重厚なサウンドが広がってゆく。サウンド的にもアナログ感を感じさせる80年代にレイドバックしたような感触で、
初期の作品を思わせる英国的な翳りと、ほのかな叙情を含んだ、迫力たっぷりのゴシックドゥームを聴かせる。
ニック・ホルムズのヴォーカルも含めて、ベテランならではの音の説得力と世界観の強度が素晴らしい。
ドラマティック度・・8 ゴシックドゥーム度・・9 重厚度・・8 総合・・8.5 過去作のレビューはこちら
Amazonで購入する



Leprous 「Malina」
ノルウェーのプログレッシブメタル、レプラスの2017年作
2009年にデビュー、EMPERORのイーサーンの義理の弟であるエイナル・スーベルグが率いるバンドで、
前作はプログレッシブな知性とモダンなヘヴィネスを同居させたダーク寄りの力作であったが、
5作目となる本作は、軽妙なアンサンブルにマイルドなヴォーカルを乗せた、ポストプログレ風味の感触で、
薄暗い叙情に包まれたサウンドを聴かせる。メタリックでモダンなヘヴィさも随所にしっかり含ませながら、
オルガンなどを含むヴィンテージなプログレ感触も取り入れていて、古さと新しさのバランスという点でも絶妙だ。
表現力のあるヴォーカルによる歌もの感という点では、Pain of Salvationなどにも通じるかもしれない。
曲によってはダークな雰囲気とともに、Devin Townsendにも通じるスケールの大きな世界観を描き出す。
ヴァイオリンが鳴り響き、物悲しい叙情美に包まれたラスト曲などは、まるで映画のラストシーンのようである。
ドラマティック度・・8 テクニカル度・・7 知的センス・・8 総合・・8 過去作のレビューはこちら
Amazon.co.jpで詳細を見る

GALACTIC EMPIRE
映画「STAR WARS」のトリビュートバンド、ギャラクティック・エンパイアの2017年作
トリプルギター編成の5人組で、コスプレに身を包んで、スター・ウォーズの音楽をメタルアレンジするユニット。
映画冒頭でおなじみのメインテーマから始まり、トリプルギターの重ねによるあのメロディには、
多くの方がニヤりとすることだろう。ツーバスのドラムもドカドカとしっかりとメタルしていて、
インストがメインながらも、聞き覚えのあるフレーズをギターが忠実に再現しているので、
マニアでなくてもけっこう楽しめる。確かな演奏力も含めて、本気のギャグっぷりがサイコーです。
作品のファンはもちろん、色モノ系メタル好きもぜひ。はたして2作目はあるのか?
メロディック度・・8 ちゃんとメタル度・・8 スターウォーズ度・・9 総合・・8
Amazonで購入する


THE DEAR HUNTER「Act IV: Rebirth In Reprise」
アメリカのプログレロックバンド、ディア・ハンターの2015年作
ひとりの少年が成長し大人となり死にゆくまでの人生を描く、壮大なコンセプト作の4作目。
QUEENを思わせるやわらかなヴォーカルハーモニーにオーケストレーションによるイントロ曲から、
映画的な雰囲気を漂わせつつ、やはりCoheed and Cambriaにも通じるキャッチーな優雅さで聴かせる。
今作ではオーケストラアレンジによるシンフォニックな感触や美しいピアノなどのクラシカルな感触も強まっていて、
ロックオペラ的なドラマ性と、エモーショナルロック的なやわらかな耳心地が合わさった世界観に浸ることができる。
メタル感が控えめな分、シンフォニックロックとしても楽しめる。優美で壮麗な全74分の力作です。
ドラマティック度・・9 プログレ度・・7 壮麗度・・9 総合・・8 過去作のレビューはこちら
Amazonで購入する

THE DEAR HUNTER「Act V: Hymns With The Devil In Confessional」
アメリカのプログレロックバンド、ディア・ハンターの2016年作
全6枚で完結するという、壮大なコンセプト作の5作目。ストリングスアレンジをバックに、
しっとりとしたヴォーカルによる導入部から、ハードプログレ的な優雅なアンサンブルが加わり、
女性コーラスを含むキャッチーなやわらかさと美しいシンセアレンジで厚みのあるサウンドを描いてゆく。
メロディックロックとしての聴きやすさと、プログレらしいリズムチェンジを含む知的な展開力で、
緩急のある流れでドラマティックな空気感を描き出す。曲によってはポップな味わいもあるが、
叙情的なシンフォニックナンバーへつながってゆく、トータルな構成力というのはさすがである。
ドラマティック度・・8 プログレ度・・7 壮麗度・・8 総合・・8
Amazonで購入する


PELANDER「Time」
スウェーデンのヴィンテージロック、WITCHCRAFTのシンガー、マグナス・ペランダーのソロ。2016年作
ヴィンテージなサイケハードを聴かせるウィッチクラフトに比べて、こちらはアコースティックギターを主体に、
フルートやヴァイオリンが鳴り響き、マイルドなヴォーカルで聴かせる、サイケフォーク風味のサウンド。
北欧らしい涼やかな空気に、サイケ的な浮遊感もしっかり感じさせ、女性ヴォーカルも絡んだ妖しい感触は
70年代のアシッドフォークのようでもある。一方では、英国フォークをルーツにした牧歌的な味わいもあって、
ロック色は薄めなものの、確信犯的なヴィンテージ感という点では、オールドなリスナーなら十分楽しめる。
アコースティック度・・9 サイケフォーク度・・8 妖しさ度・・8 総合・・7.5
Amazonで購入する



GOAT「Commune」
スウェーデンのサイケロック、ゴートの2014年作
2012年にデビュー、ヴゥードゥ教を広めると標榜する、異色のサイケロックバンド。
オリエンタルなギターフレーズに、アナログ感たっぷりのドラム、妖しい女性ヴォーカルを乗せた
神秘的な浮遊感に包まれたサウンド。適度にユルめのギターのリフレインがトリップ感をかもしだし、
シーケンサー風のエフェクトのかけ方などには、ジャーマンロック的なセンスも感じさせる。
一方ではいかにも土着的なフォーク風味の感触もあったりして、なかなか楽しい。
トライバルな魔女系サイケロックとしても楽しめる。カルトな作品を好む方はいかが。
メロディック度・・7 サイケ度・・8 妖しさ度・・9 総合・・8
Amazonで購入する


DYSRHYTHMIA 「Psychic Maps」
アメリカのテクニカルメタル、ディスリズミアの2009年作
GORGUTSKRALLICEBEHOLD THE ARCTOPUSなどでも活動するメンバーらによるユニットで、
ドラム、ギター、ベースのトリオ編成で、Djent的なモダンでテクニカルなインストサウンドを聴かせる。
激しいドラムが叩き出す変則リズムと、フリーキーなギターとベースがアヴァンギャルドに絡まりつつ、
こもり気味の音質が、どこか不穏なアンダーグラウンド性と得体の知れぬスケール感をかもしだす。
ギターとベースはゴーガッツのメンバーということもあり、いくぶんダークでデスメタル的な雰囲気も感じさせ、
とてもテクニカルではあるが、硬質過ぎない即興性で、有機的なグルーブ感を描いているのも面白い。
個性的なセンスのギターと超絶なベースの絡みに圧倒され、オールインストであるがスリリングに楽しめる。
アヴァンギャル度・・8 テクニカル度・・8 ミステリアス度・・8 総合・・8
Amazon.co.jpで詳細を見る

DYSRHYTHMIA 「The Veil Of Control」
アメリカのテクニカルメタル、ディスリズミアの2016年作
GORGUTSのメンバーらによるバンドで、本作がすでに7作目となる。エクスペリメンタルな空気感を漂わせた
テクニカルなインストサウンドは本作も同様で、浮遊感を感じさせるこもり気味の音質も確信犯的だ。
今作では、ギターワークのヘヴイさを抑えめに、スペイシーで空間的な雰囲気が強まってきていて、
どこか醒めたような知性を漂わせたアンサンブルは、即興性と構築の表裏一体というスリングな冷徹さを描いている。
以前の作品に比べるとアヴァンギャルドな激しさは薄らいだが、トリオ編成によるグルーブと技巧的な音の重ねは、
より洗練された印象だ、全35分というのは少し物足りないが、クールなテクニカルメタルを味わえる異色作である。
アヴァンギャル度・・7 テクニカル度・・8 ミステリアス度・・8 総合・・8
Amazon.co.jpで詳細を見る


THE QUIET ROOM 「Reconceive」
アメリカのプログレメタル、クワイエット・ルームの2000年作
ツインギターにシンセを含む6人編成で、ザクザクとしたヘヴィなギターにパワフルなヴォーカルと
美しいシンセアレンジを乗せ、適度にテクニカルなアンサンブルで聴かせる重厚なProgMetal。
楽曲は4~6分前後と長すぎず、DREAM THEATERをよりパワーメタル風にしたという感触もありつつ
ダークなドラマ性と知的な構築力が光る。メロディックなフックやキャッチーな部分での魅力は薄いものの、
テクニックのあるドラムをはじめ確かな演奏力で、どっしりとした説得力のあるサウンドを描きだす。
甘すぎない程度の叙情を、硬質なヘヴィネスで包み込んだ、玄人好みの高品質なアルバムだ。
ドラマティック度・・8 テクニカル度・・7 重厚度・・8 総合・・7.5
Amazonで購入する




11/24
そろそろ冬の気配(342)


Dimmu Borgir 「Forces of the Northern Night」
ノルウェーのシンフォニックブラックメタル、ディム・ボルギルのライブ作品。2017年作
1994年にデビュー、いまや世界的に人気を博すこのバンド。本作は2011年地元ノルウェー、オスロでのライブで、
オーケストラと合唱隊を伴ってのステージを収録した2CD。生のオーケストらによる荘厳なイントロから、
バンド演奏が加わって、ツインギターにダミ声ヴォーカルを乗せて激しくブラスト疾走、緩急あるリズムに
オケによるシンフォニックな美しさが、暗黒のスケール感をともなって、唯一無二のサウンドを描いてゆく。
音質も抜群で、キャリア20年を超えるバンドとしての構築された世界観の迫力を余すところなく伝えてくれる。
ところで、いまさらながら日本での呼び名が「ボガー」から発音通りの「ボルギル」に変わったのね。
シンフォニック度・・8 荘厳度・・9 ライブ演奏・・9 総合・・8.5 過去作のレビューはこちら
Amazon.co.jpで詳細を見る


Elvenking 「The Night Of Nights - Live」
イタリアのフォークメタル、エルヴェンキングのライブ作品。2015年作
2001年にデビュー、現在までに8枚のアルバムを発表している、フォークメタル勢の中でもキャリアのあるバンド。
本作は2015年、地元イタリアでのライブを2CD+DVDに収録。アコースティックなイントロから始まり、
ツインギターにヴァイオリン奏者を含む編成で、キャッチーなクサメロ感と適度なヘヴィさを融合させた、
爽快なフォークメタルを聴かせる。やや線の細いハイトーンヴォーカルも幻想的なサウンドによくマッチしていて、
パワフル過ぎない程よいマイナー感触がまた魅力である。初期からのナンバーも含めた選曲で、2CDに合計25曲を収録。
正直、演奏力は普通なのだが、キャッチーなコーラスも含めた陽性のノリのフォークメタルがたっぷり楽しめる。
メロディック度・・8 フォーキー度・・7 ライブ演奏・・7 総合・・8 過去作のレビューはこちら
Amazonで購入する


TESTAMENT 「Brotherhood of the Snake」
アメリカのスラッシュメタル、テスタメントの2016年作
1987年デビューの大ベテラン、エリック・パターソンとアレックス・スコルニックのツインギターに、
ドラムはジーン・ホグランという、前作からのメンバーで作られた本作は、ソリッドなギターリフと、
チャック・ビリーのダミ声ヴォーカルを、強力なドラムに乗せてたたみかけるアグレッシブなサウンド。
かつてを思わせる疾走感と、適度にメロディックなテイストを含ませたギターフレーズに、
スラッシュメタルとしての硬質感が合わさり、これぞ現在形テスタメントという聴き心地だ。
突進力とタメを兼ねそろえたジーン・ホグランのドラムもさすがで、モダン過ぎないグルーブ感を作り出し、
ミドルテンポのどっしりとしたナンバーでもベテランらしいリフを乗せた音の説得力で聴かせる。前作同様の力作だ。
ドラマティック度・・7 疾走度・・7 重厚度・・8 総合・・8 過去作のレビューはこちら
Amazonで購入する

Stardust Reverie 「Ancient Rites of the Moon」
スペインのミュージシャンを中心にした、ハードロックプロジェクト、スターダスト・レヴェリエの2015年作
グラハム・ボネット、ザッカリー・スティーヴンス(SAVATAGE)をはじめ、Diabulus in Musicaのズベロワ嬢、
Visions of Atlantisのメリッサ嬢などが参加、サウンドは王道のHR/HMをルーツにケルト要素などを加えたスタイルで、
グラハムが歌うのは、ミドルテンポのどっしりとしたナンバーで、正直メロディも演奏もややインパクト不足。
メリッサ嬢の美しい歌声にフルートが重なるケルティックなナンバーや、スベロア嬢の歌うケルトメタルナンバーなどは、
わりとよい感じなのだが、シンセアレンジがない分、荒削りなギターが目立ってしまっていてやや残念。
プロジェクトリーダーのセンスの無さが露骨に表れてしまった、いかにもB級じみた楽曲と、ラウドな音質もつらい。
ザッカリー・スティーヴンスのヴォーカルにフルートが絡む、KING CRIMSON風の叙情曲はわりと良かったです。
ドラマティック度・・7 音質・・7 楽曲・・6 総合・・7
Amazonで購入する

FEN「Winter」
イギリスのポストブラックメタル、フェンの2017年作
ダミ声ヴォーカルにアトモスフェニックなギターを乗せて、タイトル通り、冬を感じさせる寒々しい空気感を描く、
物悲しいサウンド。のっけから17分の大曲で、ギターリフは、エッジの効いたテクニカルな感触も増していて、
わりとプログレッシブな印象も強めつつ、アコースティックパートも含めて随所に叙情的なフレーズも覗かせる。
ブラックメタルとしての激しい疾走パートも含みつつ、暴虐さよりもミステリアスでメランコリックな気配に包まれていて、
トレモロのギターリフなども涼やかな感触だ。Alcestなどに比べると泣きの叙情美は控えめで、甘すぎず、
凍てついた荒涼とした雰囲気。ほとんどが10分を超える大曲で、激しい疾走曲から、ドゥーミィなスローパート、
ラストはシューゲイザーなアンビエントパートも含んでいて、わりと振り幅の広い内容だ。全6曲75分という力作。
ドラマティック度・・7 メランコリック度・・8 冬の叙情度・・8 総合・・8
Amazonで購入する

CAINA 「HANDS THAT PLUCK」
イギリスのポストブラックメタル、カイナの2011年作
アンドリュー・カーティス・ブリグネル氏による個人ユニットで、今作はザラついたギターリフとダミ声ヴォーカルを乗せて
のっけから激しく疾走、邪悪な気配をまき散らすダーティな空気感に、しだいにスペイシーなスケール感がまとう。
ドラムは打ち込みっぽいのだが、あえてスカスカな音質が、フリミティブなアナログ感をかもし出してていて、
ときにアヴァンギャルドなセンスも感じさせるシンセアレンジが、唸るようなダミ声とともに混沌とした闇を描く。
10分前後の大曲も多く、まともな音楽を好む方には到底薦められないが、単なる自己満足以上の迫力をともなって、
禍々しい得体の知れないモノを大仰に表現しているという点で、ブラックメタルとしての闇と狂気が確かに感じ取れる。
歌声の不気味さも含めてデプレッシブ・ブラックのファンにも楽しめるだろう。Disc2には未発曲や旧曲の新バージョンなどを収録。
ドラマティック度・・8 大仰度・・8 ミステリアス度・・8 総合・・8
Amazonで購入する

FJOERGYN 「JAHRESZEITEN」
ドイツのプログレッシブ・ブラックメタル、フヨルギンの2009年作
ドイツ語によるダミ声ヴォーカルとノーマルヴォーカルに、シンフォニックなアレンジを乗せて激しく疾走、
緩急ある知的な展開力で聴かせる、SOLEFALDあたりに通じる、プログレッシブ・ブラックメタル。
のちの作品に比べると、ブラストする暴虐な疾走パートがまだ多いのだが、一方では牧歌的でもある
叙情的なパートでは、ゲルマンなシンフォニックメタルの味わいで、優雅でメロディックな聴き心地。
クラシカルな美意識と、ブラックメタルの激しさが同レベルで融合しているという点では稀有な一枚であり、
アヴァンギャルド過ぎないメロディの分かりやすさも含めて、プログレッシブなブラックが好きなら必聴かと。
ドラマティック度・・8 暴虐度・・7 優雅で知的度・・8 総合・・8
Amazonで購入する


ODIN'S COURT 「HUMAN LIFE IN MOTION」
アメリカのプログレメタル、オーディンズ・コートの2011年作
ヘヴィなギターリフとテクニカルなリズム、中音域のヴォーカルとシンセによるアレンジで聴かせる、
メロディックで重厚なProgMetalサウンド。随所に流麗なフレーズを奏でるギターのセンスもよろしく、
テクニカルな展開力を前に出したスタイルであるが、ゆったりとした歌ものナンバーなど、
繊細な表現力もしっかりとある。楽曲は4~5分前後と長すぎず、メタリックな硬質感と、
キャッチーなメロディアス性をバランスよく融合させていて、メリハリのあるスリリングな聴き心地。
いくぶん混沌とした濃密さと、モダンなヘヴィネスを、知的な構築センスで描く力作です。
ドラマティック度・・8 テクニカル度・・8 重厚度・・8 総合・・8
Amazonで購入する


ODD LOGIC 「LEGENDS OF MONTA Part II」
アメリカのプログレメタル、オド・ロジックの2009年作
タイトルからして物語的なコンセプトアルバムの2作目なのだろう。美麗なシンセに語りの入ったイントロから、
メタリックなギターリフとテクニカルなリズムによる、ProgMetalサウンド。リズムは打ち込みながら、
きらびやかなシンセアレンジに伸びやかなヴォーカルを乗せ、ドラマティックに構築するスタイルは、
テクニカルなリズムチェンジや展開力も含めて、DTRAM THEATERにも通じる感触がある。
オルガンなども使ったシンセワークや技巧的なギターも、自主制作にしてはなかなかレベルが高く、
CDR作品ではあるが、壮大な物語を描くようなサウンドが楽しめる、全72分の力作だ。
ドラマティック度・・8 テクニカル度・・8 壮大度・・8 総合・・7.5
Amazonで購入する


ORDINARY MILE
アメリカのプログレメタル、オーディナリー・マイルの2006年作
マルチプレイヤー二人組のユニットで、やわらかなシンセアレンジにマイルドなヴォーカルと、
適度にハードなギターを乗せた、メロウでキャッチーな味わいのハードプログレサウンド。
ドラムは打ち込みなので、リズム的な部分でのスリリングなグルーブはないのだが、
メロディ重視の楽曲はなかなか耳心地よく、キャッチーなProgMetalとしても楽しめる。
一方では印象的なメロディや展開が足りないので、作品全体としてのインパクト不足は否めない。
CDR配給なので、いかにも自主制作といった感じだが、方向性は悪くない。全14曲63分の力作。
メロディック度・・8 テクニカル度・・7 楽曲・・7 総合・・7
Amazonで購入する


Troubled Horse「Step Inside」
スウェーデンのハードロック、トラブルド・ホースの2013年作
ヴォーカルのマーティン・ヘピッチを中心に、WICHCRAFTのメンバーらと結成したバンドで、
ジェントルなヴォーカルにアナログ感たっぷりのギターで聴かせる、70年代ルーツのハードロックサウンド。
ギターはヘヴィ過ぎず、わりとメロディを奏でているので、ドゥーミィな要素は薄く、むしろガレージロック的で、
歌メロにはJethro Tullや英国フォークルーツの土着性も感じさせ、いくぶんサイケ的なユルさも覗かせる。
ツインギターにうっすらとしたシンセアレンジも加わって、ヴィンテージなロックながら厚みのあるサウンドで、
若干のプログレ風味もあるので、脱メタルした近年のOPETHなどが好きな方にも楽しめるかもしれない。
リー・ドリアン主催のレーベルからデビューというのもうなずける。70's英国ロックをルーツにした強力作だ。
ドラマティック度・・7 アナログ度・・8 ヴィンテージ度・・8 総合・・8
Amazonで購入する

Fireball Ministry 「Second Great Awakening」
アメリカのハードロック、ファイアーボール・ミニストリーの2003年作
女性ギター、女性ベーシストを含む4人組で、アナログ感たっぷりのツインギターに、
オジー似のヴォーカルを乗せた、ストーナーロック寄りのオールドな聴き心地。
これという新鮮味はないのだが、70~80年代ルーツのハードロックという点では、
ギターのリフやザラついた音質も含めて、とても再現度が高いと言ってよい。
楽曲も3~4分前後とシンプルに聴きやすく、ほどよくキャッチーな部分もある。
適度なノリの良さとともに、サバスルーツのストーナーロックが楽しめる好作品。
メロディック度・・7 アナログ度・・8 古き良きHR度・・9 総合・・7.5
Amazonで購入する



11/12
好作多数メタルの秋♪(330)


DARK MOOR 「Project X」
スペインのシンフォニックメタル、ダーク・ムーアの2015年作
1999年にデビュー、初期3作までは女性ヴォーカルのメロディック・スピードメタルだったが
6作目以降はよりクラシカルなシンフォニック性を強め、高品質な作品を作り続けてきた。
10作目となる本作は、美しいシンセワークと伸びやかなヴォーカルを乗せた壮麗な感触はそのままに、
よりシンプルにキャッチーな聴き心地を強めてきたという印象だ。ぱっと聴きの派手さはないものの、
ほどほどの疾走感とともにベテランらしい落ち着いたマイルドな味わいで、じっくりと耳を傾けられる。
全体的にも激しさは控えめで、いうなれば、「シンフォニックなメロディアスハード」というような雰囲気もあり、
QUEENのような優雅なナンバーもよい感じです。かつてのメロスピを求める方には向かないが、
メロディセンスやクラシカルなアレンジの上手さはさすがで、優美な聴き心地の好作品だ。
メロディック度・・8 疾走度・・6 優雅度・・8 総合・・8 過去作のレビューはこちら
Amazonで購入する

Estate 「Fantasia」
ロシアのメロディックメタル、エスタテの2014年作
クラシカルで美麗なイントロから、王道のギターリフと美しいシンセアレンジに、
伸びやかなヴォーカルを乗せ、適度な疾走感とともに聴かせる正統派のメロディックメタル。
歌詞が英語のためロシアンな辺境臭さはあまり感じさせず、キャッチーなメロディのフックと確かな演奏力、
そして力量のあるヴォーカルで、高品質なサウンドを描く。随所にいくぶんフォーキーな叙情も覗かせつつ、
あくまで正統派メロパワとしての明快な聴き心地であるので、多くのメタルリスナーにアピールするだろう。
反面、新鮮な展開やクサメロという点では、まだ突き抜けるほどのインパクトはなく、今後の成長にも期待したい。
メロディック度・・8 疾走度・・7 正統派度・・8 総合・・8
Amazonで購入する


DANTE 「When We Were Beautiful」
ドイツのプログレメタル、ダンテの2016年作
2007年にデビューし、本作が4作目となる。今作は色っぽいジャケに目が行くが、サウンドの方は
硬質なギターときらびやかなシンセを乗せた、クールでスタイリッシュなProgMetal。
適度なテクニカル性と甘すぎないメロディアス性が融合し、結果としてモダンなオルタナ感を描いていて、
一聴しての愛想の無さが好みを分けるところだが、随所に流麗なギタープレイやシンセアレンジを含めて
確かな演奏力とメロディセンスは、さすが中堅バンドである。10分を超えるナンバーも多いが、
スリリングなインストパートを織り交ぜながら、クールな構築力で大曲を巧みに仕上げている。
ラストの14分の大曲も、緩急ある展開美と濃密すぎない叙情性で聴かせる。玄人好みの力作だ。
ドラマティック度・・7 テクニカル度・・7 スタイリッシュ度・・8 総合・・8 過去作のレビューはこちら
Amazonで購入する

Starbynary 「Divina Commedia: Inferno」
イタリアのプログレメタル、スターバイナリーの2017年作
前作もテクニカルかつメロディックな力作であったが、今作はシンセを含む5人編成となって、
サウンドのスケール感と説得力が高まった。ダンテの「神曲」をテーマに、硬質なギターリフを乗せ
たたみかける重厚さと、ネオクラシカルなフレーズとハイトーンヴォーカルとともに疾走、
緩急あるリズムチェンジで、知的な構築力で聴かせる、モダンなプログレメタルサウンド。
きらびやかなシンセアレンジにクラシカルなピアノも優雅で、叙情的なバラードナンバーなども織り込みつつ、
コンセプト的に楽曲を連ねながら、メリハリのある展開力でドラマティックな世界観を描いてゆく。
明快な盛り上がりやキラーチューンが欲しい気もするが、11分を超えるラストの大曲も含め、堂々たる力作である。
ドラマティック度・・8 テクニカル度・・7 重厚度・・8 総合・・8
Amazonで購入する

Dark Tranquillity 「Atoma」
スウェーデンのメロディックデスメタル、ダーク・トランキュリティの2016年作
1993年にデビュー、IN FLAMESとともに北欧メロデスの元祖というべきこのバンド、11作目となる本作は
美しいシンセアレンジを取り入れたゴシック寄りの耽美な感触と、疾走するメロデス要素が自然体で融合し、
年季の入ったミカエルのヴォーカルとともに、どっしりとした重厚さとメランコリックな叙情を同居させている。
マイルドなノーマルヴォーカルを乗せたゴシックロック的な雰囲気もあり、楽曲は3~4分前後とわりとシンプルなので、
スローテンポのナンバーでもダレずに聴き通せる。初期のようなツインギターの扇情的なリフやフレーズの魅力はやや薄まったが、
これまでになくキャッチーな感触のナンバーなども不思議とハマっていて、バンドとしての懐の深さを見せつけるような作品である。
ドラマティック度・・8 メロデス度・・7 メランコリック度・・8 総合・・8 過去作のレビューはこちら
Amazonで購入する


Ghost Bath 「Starmourner」
アメリカのポストブラックメタル、ゴースト・バスの2017年作
2013年にデビュー、本作は3作目となる。夜の気配を感じさせるピアノによる物悲しいイントロから、
メロディックなツインギターのフレーズが響き渡り、絶叫するヴォーカルとともに激しくブラスト疾走。
クサメロ寄りのギターはときにブラックメタルとは思えないほどに爽快な感触で、
このキャッチー要素をダークで妖しい空気感に同居させたところがなかなか個性的である。
トレモロのギターフレーズなど、Alcestなどに通じるしっとりとした泣きの叙情も含ませつつ、
こちらはもう少し荒削り感が強めなのだが、その分激しく疾走する部分のノリの良さで楽しめる。
ドラマティック度・・8 ちゃんと激しさ度・・8 叙情度・・8 総合・・8
Amazonで購入する


BRYMIR 「SLAYER OF GODS」
フィンランドのシンフォニック・メロディックデスメタル、ブリュミルの2016年作
ツインギターにシンセを含む6人編成で、前作も壮麗なる力作であったが、2作目となる本作も
オーケストラルなシンセアレンジと重厚なギターリフに、ダミ声ヴォーカルを乗せて疾走、
随所に流麗なギターメロディを含ませた、激しくも美麗なメロデスサウンドを聴かせる。
ギターリフは自体は90年代北欧メロデスルーツの感触で、重すぎずモダン過ぎないところがよいし、
エピックなスケール感を描く、シンフォニックなアレンジもいよいよ堂に入ってきている。
一方では、全体的な聴き心地の良さに反して、楽曲ごとのインパクトがやや薄い感じもあり、
個人的には、ヴァイキングメタル的なクサメロ感がもう少しあればと思う。ともあれ美麗なる力作デス。
シンフォニック度・・8 疾走度・・8 壮大度・・8 総合・・8
Amazonで購入する

NIGHTLAND 「OBSESSION」
イタリアのシンフォニック・デスメタル、ナイトランドの2017年作
もともとは2015年にデジタル販売のみで発表されたものが、2017年にCD化されたという作品で、
オーケストラルなアレンジと突進する激しさを同居させた、壮麗なシンフォニック・デスメタル。
緩急の付いたリズムチェンジと、クラシカルなピアノを乗せた優雅な感触も含みつつ、
FLESHGOD APOCALYPSEDIMMU BORGIRなどにも通じるスケール感を描き出す。
激しいだけでなく、EPICAのようなシンフォニックメタル的でもある優雅な空気感もあり、
ヴォーカルは低音ダミ声ながら、随所に混声コーラスなども加わって美しく盛り上げる。
シンフォニック要素が強いので、デスメタルが苦手な方にも楽しめるだろう強力作デス。
シンフォニック度・・8 疾走度・・8 クラシカル度・・8 総合・・8
Amazonで購入する



11/3
ロード・ヴィカーすげえ!(322)


HOLY MARTYR 「Darkness Shall Prevail」
イタリアのメロディックメタル、ホーリー・マーターの2017年作
ツインギターの5人編成で、前作は日本の歴史をテーマにした作品で話題を呼んだが、
4作目となる本作は、ヨーロピアンな世界観の純エピックメタルへと深化を遂げている。
ツインギターの叙情的なフレーズと朗々としたヴォーカルを乗せ、同郷のMARTIRIAにも通じる
エピックな幻想性に包まれた、どっしりとした正統派のヘヴィメタルを描いてゆく。
スローからミドルテンポ主体の楽曲は、派手さやクサメロ感というものは希薄なのだが、
サウンドにはオールドスタイルにこだわる正統派エピックメタルとしての誇りが感じられ、
ディープなメタルリスナーはニンマリだろう。前作よりも音の強度はむしろ上がっている。
ドラマティック度・・8 正統派度・・9 重厚度・・8 総合・・8 過去作のレビューはこちら
Amazonで購入する

Signum Regis 「Decennium Prinum」
スロバキアのメロディックメタル、シグナム・レジスの2017年作
2008年にデビュー、本作は5作目となる。シンセを含む5人編成で、叙情的なイントロ曲に続き、
ネオクラシカルなギターとパワフルなヴォーカルを乗せた正統派のメロディックメタルが広がってゆく。
メロスピ的な疾走感とキャッチーなサビメロはクサメタラーに対応しつつ、古き良き様式美メタルの流れを組む
いかにも王道の空気感は、オールドなメタルリスナーにも楽しめるだろう。ミドルテンポのHRナンバーも、
シンセを含む音の厚みと、いくぶんダーティなヴォーカルを乗せた、どっしりとした説得力で聴かせる。
アルバム後半のドラマティックな疾走曲にもガッツポーズ。パワフルかつメロディック、高品質な傑作です。
メロディック度・・8 疾走度・・7 様式美度・・8 総合・・8 過去作のレビューはこちら
Amazonで購入する


LUX PERPETUA 「The Curse Of The Iron King」
ポーランドのメロディックメタル、ラックス・ペルペトゥアの2017年作
ツインギターに女性シンセ奏者を含む6人編成で、クサメロたっぷりのツインギターのフレーズに、
美麗なシンセアレンジとかすれた味わいのヴォーカルを乗せて疾走する、正統派のメロディックメタル。
適度にマイナー臭い辺境的な雰囲気が、シンフォニックなクサメロスピ風味とマッチして、
これがなかなか良い感じなのであります。パワフル過ぎないヴォーカルも、むしろ前に出すぎず、
ヨーロピアンでエピックな幻想性を感じさせる味になっていて、総じてマイルドな耳心地で楽しめる。
随所にフォーキッシュな叙情も覗かせ、疾走のみならず、スローやミドルテンポのナンバーも、
しっかりメロディのフックがあって魅力的だ。辺境メタルファンならずとも薦められる逸品です。
メロディック度・・8 疾走度・・8 クサメロ度・・8 総合・・8
Amazonで購入する

MOONVILLE 「Silver Screen」
スウェーデンのメロディックメタル、ムーンヴィルの2006年作
4人編成による新鋭バンドで、伸びやかなハイトーンヴォカールを乗せて疾走するメロスピ風味と、
北欧らしいキャッチーなメロディアス性で描かれる、きらびやかなメロディックメタル。
ときにQUEENを思わせるようなやわらかな歌メロに、シンセによる美しいアレンジが
適度なプログレ感触も感じさせ、いわば「疾走するメロハー」という爽快な聴き心地。
リズムチェンジによる展開力には知的なセンスを覗かせ、メロディのフックも魅力的だ。
ヘヴィすぎないという点でも、ハードロック、メロディアスハードのリスナーにも好まれるだろう。
地味なジャケのせいで認知度が薄いのが残念だが、内容は抜群の傑作ですよ。
メロディック度・・8 キャッチー度・・8 爽快度・・9 総合・・8
Amazonで購入する

Scorpion Child 「ACID ROULETTE」
アメリカのハードロック、スコーピオン・チャイルドの2016年作
アナログ感たっぷりのギターにどっしりとしたドラム、パワフルなヴォーカルを乗せた、
いかにも70年代的なサウンドで、まるでレッド・ツェッペリンが蘇ったような聴き心地。
ただ古めかしいだけではなく、ヴォーカルの歌メロにはキャッチーなテイストがあって、
良い意味でのアメリカンなテイストを付加していて、オルガンなどのシンセによる味付けも
うるさすぎないほどにサウンドに厚みを持たせている。楽曲も3~5分前後とコンパクトで、
爽快なロック感触はもちろん、叙情的なバラードナンバーなども魅力的。オールドHR好きは必聴!
メロディック度・・8 古き良き度・・9 ツェッペリン度・・8 総合・・8
Amazonで購入する


Blood Red Saints「Speedway」
イギリスのハードロック、ブラッド・レッド・セインツの2015年作
IN FAITHのメンバーを中心に結成されたバンドで、古き良き味わいのギターワークに、
中音域やや高めのヴォーカルを乗せた、80年代から受け継がれる王道のハードロックサウンド。
キャッチーなメロディのフックと、どっしりとした骨太のグルーブ感のバランスもよろしく、
適度にウェットで哀愁を含んだ大人の叙情性が、TENなどにも通じる英国らしいドラマ性を描いていて、
これという目新しさはないが安心して楽しめる。ヴォーカルの表現力も含めて、キャリアのあるメンバーらしい
落ち着きのある演奏がサウンドの説得力となっていて、スローテンポのナンバーなどにも渋い味わいがある。
メロディック度・・8 王道HR度・・8 大人の叙情度・・8 総合・・8
Amazonで購入する


DUSIUS 「MEMORY OF A MAN」
イタリアのフォークメタル、デュシウスの2017年作
シンセにフルート&バグパイプ奏者を含む7人編成で、シンフォニックで美麗なアレンジと
低音デスヴォイスを乗せてたたみかける激しさに、フルートとパイプによる牧歌的でフォーキーな旋律と
ノーマルヴォイスを乗せた叙情的な味わいも覗かせる。ツインギターとシンセによる重厚な聴き心地と、
武骨で勇壮な着性が合わさり、ときにメロデスばりにアグレッシブな感触も含んだパワフルなサウンドだ。
個人的にはクサメロ的な幻想性がもう少し欲しい気もするが、甘すぎない本格派のフォークメタル作品である。
ドラマティック度・・8 フォーキー度・・7 重厚度・・8 総合・・8
Amazonで購入する



Folkodia「Battlecry」
リトアニアのフォーク・ペイガンメタル、フォーコディアの2010年作
FOLKEARTHのメンバーによるユニットで、本作が3作目となる。ヘヴィなギターにダミ声ヴォーカル、
ハープやホイッスル、バグパイプの牧歌的な音色を乗せた、辺境的なフォークメタルサウンド。
随所に激しい疾走感も含ませつつ、クサメロのギターやときに女性ヴォーカルの歌声も加わって、
荒々しく武骨でありながらも、フォーキーな叙情性もたっぷりで、やわらかな聴き心地で楽しめる。
重すぎず軽すぎず、適度にマイナー臭さも残したペイガンなフォークメタルが好きな方はぜひ。
ドラマティック度・・8 フォーキー度・・8 辺境度・・8 総合・・7.5 過去作のレビューはこちら
Amazonで購入する



Lord Vicar 「Gate of Flesh」
フィンランドのドゥームメタル、ロード・ヴィカーの2016年作
REVEREND BIZARREのKimi Karkiらによるバンドで、本作は3作目となる。
トラック分けされていない41分の構成で、ギターにしろドラムにしろ、いつも以上にアナログ感たっぷりのサウンドは、
ほとんどスタジオ一発録りのようなザラついた空気感を漂わせる。サバスルーツの古き良きドゥーム感触を、
そのまま再現したかのような楽曲もいかにも確信犯的で、やりすぎなまでにオールドな聴き心地だ。
ツインギターはリフ主体ながら随所にメロディックなフレーズを奏で、ときにうっすらとシンセも入ったりと、
わりとフックに富んだ構成力も、キャリアのあるメンバーならではだろう。荒々しくも重厚にして緻密、
このじわじわとくる生々しい音が、しだいに耳に心地よくなってくれば、アナタも立派なドゥームファンだ。
ドラマティック度・・8 ドゥーム度・・9 古き良き度・・10 総合・・8.5 過去作のレビューはこちら
Amazonで購入する

SERPENT 「Trinity」
スウェーデンのドゥームメタル、サーペントの2016年作
トリオ編成のバンドで、アナログ感たっぷりのギターリフに朗々としたヴォーカルを乗せ、
適度にノリのあるグルーヴ感で聴かせる、Pentagramあたりに通じる王道のドゥームメタル。
80年代感に包まれたいかにもオールドスタイルのサウンドで、緩急のあるリズムチェンジ以外は、
これといった目新しさやインパクトというのはほとんどない。楽曲自体も4~5分前後が中心で、
わりとあっさりしているので、濃密さの点でも物足りないか。正統派のドゥームが好きな方はどうぞ。
ドラマティック度・・7 ドゥーム度・・8 新鮮度・・6 総合・・7
Amazonで購入する



FJOERGYN 「Monument Ende」
ドイツのプログレッシブ・ブラックメタル、フヨルギンの2013年作
本作は4作目で、男女声のスキャットとシンセによるイントロ曲から妖しさぷんぷんだが、
ギターとドラムが加わると重厚な空気感に包まれ、ドイツ語によるヴォーカルを乗せて、
シンフォニックなアレンジとともに、ARCTURUSなどに通じる荘厳なサウンドが広がってゆく。
リズムチェンジを含んだ知的な展開力と、オーケストラルなアレンジによる優雅で重厚な聴き心地に、
ダミ声&ノーマルヴォイスを絡ませるシアトリカルな雰囲気には、プログレッシブな香りも漂わせる。
壮大でアヴァンギャルドなブラックという点では、SOLEFALDあたりが好きな方にも楽しめるだろう。
随所に激しい疾走パートやゲルマンな勇壮さも盛り込みつつ、12分の大曲もドラマティックな仕上りだ。
ドラマティック度・・8 暴虐度・・7 荘厳度・・8 総合・・8
Amazonで購入する

FJOERGYN 「Lucifer Es」
ドイツのプログレッシブ・ブラックメタル、フヨルギンの2017年作
前作も壮大な力作であったが、5作目となる本作も厚みのあるギターに美麗なシンセアレンジで、
シンフォニックで重厚なスケール感に包まれたサウンドを展開。ドイツ語によるヴォーカルが
ゲルマンな勇壮さ加えつつ、随所に暴虐なブラスト疾走する激しさと、知的なリズムチェンジが、
プログレッシブな感触を同居させる。ときに女性スキャットによる妖しさやオーケストラルな優雅さが、
ミステリアスなブラックメタルに溶け込み、Dimmu Borgirをアヴァンギャルド化したような雰囲気も。
荘厳な音の迫力という点でも前作以上だろう。10分前後の大曲も緩急ある構築力で描き切る。これは傑作!
ドラマティック度・・8 暴虐度・・7 荘厳度・・9 総合・・8.5
Amazonで購入する

SIGH 「Scorn Defeat 20th Anniversary Gig」
日本のアヴァン・ブラックメタル、サイのライブ作品。2013年作
1993年のデビューアルバムの20周年を記念して行われた2013年の東京でのライブを収録。
イントロに続いていきなりVENOMのカヴァーというのは意表を突かれるが、川嶋氏の自身のルーツへのオマージュだろう。
続く1stからのナンバーも、当時と同じく3人編成主体のスタイルで、80~90年代の演奏と言われれば信じてしまいそう。
音質はややラウドでブートレグ程度なのだが、むしろ会場の生々しい空気感が伝わってくるし、
疾走する激しいパートを含みつつ、ドゥーミィなスローパートとともにおどろおどろしい世界観を描くバンドの個性は、
ライブにおいても十分に発揮されている。しかし、VENOMのカヴァー4曲は、ちょっと多すぎな気もする。笑
ライブ演奏・・8 音質・・6 往年の空気度・・9 総合・・8 過去作のレビューはこちら



10/20
メタルの秋ですね♪(309)


The AUTIST 「The Coldest Sun」
ポルトガルのシンフォニックメタル、オーティストの2017年作
壮麗なアレンジにヘヴィなギターを乗せ、美しい女性ヴォーカルにデスヴォイスが絡む
重厚なスケール感に包まれたモダンなシンフォニック(デス)メタルを聴かせる。
緻密なギターリフによるテクニカルな感触は、ProgMetal風でもあったり、アグレッシブなところは、
男女Voのメタルコア的でもあったり、ブラックメタルばりの疾走パートも現れたりと激しい聴き心地。
緩急のある濃密な作風という点では、アンドラ公国のPersefoneに通じる雰囲気もある。
女性ヴォーカルの歌声も表現力も十分で、地域性を感じさせない高品質なアルバムだ。
ドラマティック度・・8 壮麗度・・8 重厚度・・8 総合・・8
Amazon.co.jpで詳細を見る


Gamma Ray 「Heading for the East (Anniversary Edition)」
ジャーマンメタルゴッド、ガンマ・レイのライブ作品。2015年作
かつてVHSで発売されていた1990年の来日公演の音源が、デビュー25周年としてCD化された。
前半の音質はやや粗いものの、のちにハロウィンに加入するウリ・カッシュのドラムに、カイ&ダークの鉄壁のツインギターと
ラルフ・シーパーズのパワフルなヴォーカルを乗せて疾走する、そのサウンドにはバンドの若い勢いを感じさせる。
当然ながら1stアルバムのナンバーが中心で、ノリノリの“Heaven Can Wait”から、MCの盛り上がりも含めて、
メンバーや観客の楽し気な空気感まで伝わってくる。Disc2は、メタルバラードの名曲“The Silence”にしっとりと聴き入り、
“Save Us”、“I Want Out”、とHELLOWEENのナンバーも披露。いま聴いても、ラルフ・シーパーズのハイトーンは圧倒的ですな。
“Ride The Sky”では、カイ・ハンセンが歌って大盛り上がり。24分に及ぶ“Heading fot Tomorrow”で締めくくる。まさに必聴のライブ。
ライブ演奏・・8 音質・・7 初期ガマレー度・・9 総合・・8 過去作のレビューはこちら
Amazonで購入する

Sacrilege 「Ashes to Ashes」
イギリスのメタルバンド、サクリレッジの2015年作
80年代、NWOBHMに活動、正規作品を残さずに消えるも、復活して2015年にはアルバムを発表する。
本作は2009年の復活以後にレコーディングされた楽曲を中心に、初期曲のリメイクを含む14曲を収録。
オールドな味わいのギターにうっすらとしたシンセアレンジ、枯れた味わいのヴォーカルを乗せた、
いかにもNWOBHMらしいウェットな空気感のHR/HMを聴かせる。正直、演奏力も音質も並程度なのだが、
美しいシンセワークを含む叙情的な味わいなど、いくぶんのB級がかった英国らしさを感じさせる。
一方ではシンプルなハードロックナンバーもあって、70年代的なオヤジのHRとしても楽しめる。
曲によって音質にもバラつきがあり、かなりマニア向けの内容であることは間違いないが。
ドラマティック度・・7 古き良き度・・8 音質・・7 総合・・7
Amazonでの購入はこちら

Rebellion 「Arminius: Furor Teutonicus」
ドイツのメロディックメタル、レベリオンの2012年作
ツインギターの5人編成で、正統派のギターリフにダーティなヴォーカルを乗せた
Grave Diggerなどを思わせる、どっしりとした聴き心地のヘヴィメタルサウンド。
エピックで勇壮な世界観などは、MANOWARあたりに通じるところもあり、
目新しさは何もないが、オールドスタイルの正統派メタル好きはにんまりだろう。
そこそこキャリアのあるバンドらしいパワフルなサウンドの説得力も十分だ。
曲に寄ってはメロディアスな叙情性もあって、ジャーマンメタル好きにも対応した力作だ。
ドラマティック度・・8 正統派度・・9 重厚度・・8 総合・・8
Amazonで購入する


Terra Prima 「And Life Begins」
ブラジルのメロディックメタル、テラ・プリマの2011年作
ツインギターにシンセを含む6人編成で、メロディックなギターワークに、ハイトーンヴォーカルを乗せて疾走する、
初期のANGRAを思わせるメロディックメタルサウンド。随所にラテンを感じさせるフレイヴァーをまぶした感触と
リズムチェンジを多用したプログレッシブな香りを含んだ展開力は、EYES of SHIVAにも通じる雰囲気だ。
ヴォーカルの声質もアンドレ・マトスに近いタイプで、かつてのVIPERANGRAが好きな方ならニヤリとするだろうし、
全体的にもわりと90年代的な、モダンすぎないオールドな味わいがあって、少しなつかしい聴き心地もよいですね。
キャッチーなフックによる爽快な聴き心地と、美麗なシンセアレンジが描く優雅な感触も日本人好みの好作品。
メロディック度・・8 疾走度・・8 アングラ度・・8 総合・・8
Amazonで購入する


MADDER MORTEM 「Red in Tooth & Claw」
ノルウェーのアヴァン・ゴシックメタル、マダー・モーテムの2016年作
90年代にデビュー、2010年のミニアルバム以来となる6作目。前作はプログレよりの作風で気に入っていたのだが、
本作もエキセントリックな女性ヴォーカルの歌声と適度にヘヴィなギターを乗せ、随所にプログレ的な展開を含んだ、
個性的なゴシックメタルを聴かせる。Agnete嬢の表現豊かな歌唱をメインにした歌もの的なナンバーが主体ながら、
このバンドならではの絡みつくような空気感と、シアトリカルな濃密さは健在で、音と演奏の強度が説得力を生み出している。
一方ではギターにはオールドなハードロック風味があって、渋めのヴィンテージ感を味にしている作風も心憎い。
アグレッシブなヘヴィネスを表現しつつ、どこか大人の倦怠を含んだ哀愁を感じさせる。玄人好みの力作だ。
ドラマティック度・・8 アヴァンギャル度・・8 女性Vo度・・8 総合・・8 過去作のレビューはこちら
Amazon.co.jpで詳細を見る


THE WOUNDED KINGS 「VISIONS IN BONE」
イギリスのドゥームメタル、ウンデッド・キングスの2016年作
過去のアルバムも暗黒の空気に包まれた重厚な力作だったが、5作目となる本作も、ドゥーミィなギターリフに、
しわがれたヴォーカルを乗せ、カルトな妖しさをかもしだす、本格派のドゥームメタルを聴かせる。
サウンド自体はシンプルになったが、これまで以上にプリミティブな世界観で、10分前後のナンバーを、
アナログ感たっぷりにおどろおどろしく描き出す。いわば、サバスルーツのドゥームをピュアに突き詰めたという感触だ。
新しさは何もないが、キャリアに裏打ちされた音の説得力も含めて、まさに暗黒系ドゥームの力作です。
ドラマティック度・・7 ドゥーム度・・9 暗黒度・・8 総合・・8 過去作のレビューはこちら
Amazon.co.jpで詳細を見る



HELHEIM 「Landawarijar」
ノルウェーのペイガン・ブラックメタル、ヘルヘイムの2017年作
すでにキャリア20年を超えるバンドで、北欧らしい土着性を感じさせるギターワークに、
ノーマル&ダミ声ヴォーカルを乗せた、ペイガン寄りのブラックメタルサウンド。
アコースティックギターを含んだ叙情的な感触もあり、7~9分前後の大曲を主体に、
緩急ある展開で聴かせる知的な構築力も光る。ブラッケンロール的な疾走感も含みつつ、
勇壮なノーマルヴォーカルを乗せたヴァイキングメタル風のパートもあったりする。
ミステリアスな神秘性と北欧の寒々しい空気を感じさせる、ノルウェイジャン・ブラックメタルの力作。
ドラマティック度・・8 暴虐度・・7 北欧度・・9 総合・・8
Amazon.co.jpで詳細を見る


AU CHAMP DES MORTS 「Dans La Joie」
フランスのブラックメタル、チャンプ・デス・モーティスの2017年作
ANOREXIA NERVOSAのVo&Gであるステファン・ベイル率いるバンドで、
ダークな叙情性を感じさせるギターリフにうっすらとしたシンセアレンジとダミ声ヴォーカルを乗せ
寒々しい空気感の中に物悲しい叙情を含ませたサウンド。ときにジェントルなノーマルヴォイスも加わって、
随所にAlcestを思わせる美しさも垣間見せる。激しくブラスト疾走しつつも、トレモロのギターリフなど、
メロディックな感触が前に出ているので、暴虐な感じはさほどなく、8~10分という大曲も緩急のある展開で、
Wolves in the Throne Roomにも通じるミステリアスな気配とともに、メランコリックなブラックメタルが味わえる力作だ。
ドラマティック度・・8 暴虐度・・7 メランコリックな叙情度・・9 総合・・8
Amazon.co.jpで詳細を見る


The GREAT OLD ONES「EOD - A Tale of Dark Legacy」
フランスのブラックメタル、グレート・オールド・ワンズの2017年作
名前の通りクトゥルフ神話をコンセプトにするバンドで、アルバムタイトルは「Esoteric Order of Dagon(ダゴンの難解な命令)」の略。
厚みのあるギターリフを乗せて激しいブラスト疾走する、オールドスタイルのブラックメタル感触とともに、
遠くから霞むような邪悪な絶叫ヴォーカルを乗せ、かつてのEMPERORのような荘厳なスケール感を描き出す。
9分、11分という大曲を、スローテンポを含んだ緩急ある展開力で構築する、アレンジセンスも一級品だ。
不穏な空気感に甘すぎない程度の叙情性も盛り込んで、ダークでドラマティックなブラックメタルが楽しめる傑作。
ドラマティック度・・8 暴虐度・・8 荘厳度・・9 総合・・8.5
Amazon.co.jpで詳細を見る



Wayfarer 「Old Souls」
アメリカのブラックメタル、ウェイファラーの2016年作
前作は、ネイチャーブラック的な神秘性を含んだ力作であったが、
今作も10分前後の大曲を中心に、生々しいギターワークにダミ声ヴォーカルを乗せ、
随所に激しい疾走も覗かせつつ、ミステリアスな空気感に包まれたブラックメタルを聴かせる。
ザリザリとしたギターとともに荒涼とした寒々しさを重厚に描くところは、スラッジ・ブラック的でもあり、
アコースティックなパートを含んだ甘すぎない叙情性には、ほのかに知的なセンスも漂わせる。
媚びの無い作風のため、メロディ派のリスナーには向かないが、アルバム全体としての緩急と、
流れるような構成は見事で、激しいだけではない、ブラックメタルの新たなスタイルを見せつける力作である。
ドラマティック度・・8 暴虐度・・7 ミステリアス度・・8 総合・・8
Amazonで購入する

EISREGEN 「FLEISCHFILM」
ドイツのアヴァン・ブラックメタル、エイスレゲンの2017年作
90年代から活動し、DIE APOKALYPTISCHEN REITERと並ぶゲルマンなアヴァンメタルを聴かせる。
本作は12作目で、ドイツ語のダミ声ヴォーカルに重厚なギターとシンセアレンジを乗せ、
ホラー風味の濃密なシアトリカルメタルを展開する。激しい疾走パートも含みつつ、
オルガンを使ったヴィンテージな感触やインダストリアルなビート感なども取り入れた、
個性的で知的なアレンジセンスもさすが。アルバム後半にはメタル色の薄いキャッチーなナンバーや
トラッド調のナンバーなどもあり、全41分とやや短い気はするが、バラエティに富んだ作品です。
ドラマティック度・・7 シアトリカル度・・8 ゲルマン度・・8 総合・・7.5 過去作のレビューはこちら
Amazon.co.jpで詳細を見る


SVENTOYAR(Свентояр)「Unity (Eднсть)
ウクライナのフォークメタル、スヴェントヤーの2013年作
牧歌的なマンドリンの響きに、ソピルカ(縦笛)の音色から始まり、ヘヴィなギターにドラムガ加わって
女性ヴォーカルの母国語の歌声を乗せた、辺境的な味わいのフォークメタルが広がってゆく。
適度な疾走感も含んだ本格派のフォークメタルでありながら、随所に魅力的なメロディのフックと
キャッチーなクサメロ感というべき爽快な聴き心地があり、女性声のキュートさも含めてとても楽しめる。
辺境フォークメタル好き、女性声フォークメタル好きは、きっと満足できる充実の逸品です。
メロディック度・・8 フォーキー度・・9 女性Vo度・・8 総合・・8
Amazon.co.jpで詳細を見る


Caina 「Temporary Antennae」
イギリスのシューゲイザー・ブラック、カイナの2008年作
アンドリュー・カーティス・ブリグネル氏による個人ユニットで、シンセをメインにした怪しげなイントロから、
ラウドなギターリフにドラムが加わり、詠唱めいた邪悪な歌声を乗せた、異色の暗黒性に包まれたサウンド。
アコースティックギターによる叙情性と、サウンドスケープ的なシューゲイザー要素も覗かせつつ、
プリミティブでミステリアスな空気を描き出す。ときにブラスト疾走する激しさもあるが、邪悪な雰囲気は薄く、、
BURZUMのアンダーグラウンド感覚に比べると、こちらはスペイシーな広がりを感じさせる世界観である。
一方では、Alcestあたりにも通じるポストブラックとしての繊細な叙情美も備わっていて、
浮遊感のある幻想性はやはりシューゲイザー寄りの作風といえる。アーティスティックなセンスが味わえる異色作。
ミステリアス度・・8 暗黒度・・7 スペイシー度・・8 総合・・8
Amazonで購入する



10/7
秋深し(295)


Ayreon 「The Source」
アルイエン・ルカッセンによるロックオペラ、エイリオンの2017年作
1995年から始まった壮大なロックオペラ・プロジェクト。壮麗なステージを再現した「Theater Equation」も素晴らしい内容だったが、
スタジオ作品としては2013年以来となる10作目である。今回もジェイムス・ラブリエ(Dream Theater)を筆頭に、フロール・ヤンセン(Nightwish)
ラッセル・アレン(Symphony X)、トビアス・サメット(Avantasia)、ハンズィ・キアシュ(Blind Guardian)、シモーネ・シモンズ(Epica)、
トミー・ロジャース(Between The Burried And Me)、トミー・カレヴィック(Kamelot)、マイケル・エリクセン(Circus Maximus)らのヴォーカリストに、
ポール・ギルバート(Mr.BIG)、ガスリー・ゴーヴァンといった名だたるギタリストも参加、4つの章に分かれたSFストーリーに沿って
配役ごとのヴォーカルと壮麗なアレンジにメタリックな重厚さを合わせた、ドラマティックなロックオペラが広がってゆく。
オルガンなどを含んだオールドなハードロック風味や、メロパワ的な激しさも覗かせるなど、全体的にもメタル寄りの作風で、
楽曲ごとの新鮮なインパクトはさほどないが、ファンであれば安心して楽しめる充実作だろう。
ドラマティック度・・8 壮大度・・9 新鮮度・・7 総合・・8 過去作のレビューはこちら
Amazon.co.jpで詳細を見る

Fates Warning 「Awaken The Guardian Live」
アメリカのプログレメタル、フェイツ・ウォーニングのライブ作品。2017年作
80年代初頭から活動するProgMetalの元祖というべきバンド、1986年の傑作を、2016年にライブで完全再現!
ギターのジム・マテオスに、ドラムはスティーヴ・ジマーマン、ベースはジョー・ディヴァイアスというオリジナルのラインナップで、
変則リズムにツインギターのリフと、ジョン・アーチの独特のハイトーンヴォーカルを乗せた、気持ち悪くも心地よいという、
かつてのFWサウンドがここに蘇る。衰えぬアーチのヴォーカルも安定したバックの演奏も、30周年を飾るにふさわしく迫力十分。
Disc2にはアンコールを4曲収録。1st、2ndからのナンバーでこちらも熱い。DVDにはドイツ、アメリカの両公演を収録(CDはドイツ公演)。
往年のメンバーたちによる完全再現のステージを記録した映像に、オールドなファンは感涙だろう。
ライブ演奏・・8 キモ心地よい度・・9 完全再現度・・9 総合・・8.5 過去作のレビューはこちら
Amazon.co.jpで詳細を見る


STEEL SEAL 「THE LION'S DEN」
イタリアのメロディックメタル、スティール・シールの2017年作
前々作はD.C.クーパー(ROYAL HUNT)、前作ではトーマス・ヴィクストロム(THERION)が参加するなど、
アルバムごとにゲストヴォーカルを起用するというスタンスで、本作ではファビオ・リオーネ(Rhapsody~Angra)が参加。
疾走感のある正統派のメロディックメタルサウンドに、伸びやかなファビオのヴォーカルを乗せ、
キャッチーなメロディのフックで聴かせる、いかにもオールドスタイルのメロパワが楽しめる。
オルガンを含んだシンセワークといいクサいギターソロといい、80年代的な香りがぷんぷんで、
様式美色を感じさせるミドルテンポのナンバーや、ベートーベンの「運命」をモチーフにしたナンバーなど、
どれもコテコテの聴き心地ながら、クオリティの高さもあって、にやにやしながら楽しめる。
メロディック度・・8 疾走度・・7 古き良き度・・8 総合・・8
Amazon.co.jpで詳細を見る

GAMMA RAY 「INSANITY & GENIUS(Anniversary Edition)」
ジャーマンメタルゴッド、ガンマ・レイの3rd、1993年作の25周年記念エディション。2016年作
なんといっても、1曲目“Tribute To The Past”のメロディックな疾走感に当時はしびれまくったものである。
ラルフ・シーパーズ在籍の最後のアルバムであり、キャッチーなミドルテンポナンバーから、
渋めのハードロックナンバー、バンド名の由来ともなったBirth Controlのカヴァーも含めて、
わりとバラエティに富んだ内容で、バンドとして自然体で作られた作品と言えるかもしれない。
ボーナスDiscには、2016年のスタジオライブ音源や、当時のデモ音源などを収録。
ジューダス・プリーストのカヴァーは、ラルフのハイトーンと相まって恰好いい仕上りですね!
メロディック度・・8 疾走度・・7 やっぱり1、2曲目が最高度・・9 総合・・8
Amazon.co.jpで詳細を見る


Cardiant 「Verge」
フィンランドのメロディックメタル、カーディアントの2013年作
2005年にデビューし、初期のメロスピ路線から、前作では正統派メロパワ寄りとなり、
3作目となる本作では、さらにオーセンティックなメロディックメタル路線となった。
北欧らしいきらびやかなシンセワークにハイトーンヴォーカルを乗せ、随所にテクニカルなギターワークも覗かせながら、
キャッチーな感触を強めたという印象。SONATA ARCTICAが「UINA」以降、メロディアス・ハードロック路線に舵をきったが、
コンパクトなメロディアス性を前に出した明快さは、あるいは同郷のTWILIGHTNINGあたりを思わせる。
ときに女性コーラスも加わった壮麗なアレンジに、疾走するメロスピナンバーからミドルテンポまで、
バランスのとれた高品質なサウンドが楽しめる。バンドとしての成熟が感じられる好作品だ。
メロディック度・・8 疾走度・・7 正統派度・・8 総合・・8 過去作のレビューはこちら
Amazon.co.jpで詳細を見る

LORD 「Digital Lies」
オーストラリアのメロディックメタル、ロードの2013年作
DUNGEONのロード・ティムを中心にしたバンドの3作目で、厚みのあるツインギターに
パワフルなヴォーカルを乗せた、いかにも正統派のメロパワサウンドは健在だ。
ギターはときにピロピロ系のテクニカルなフレーズも覗かせつつ、いくぶんモダンな硬質感と
オーセンティックなメタル感触を同居させている。ミドルテンポを主体にしたどっしりとしたサウンドながら、
厚みのあるコーラスを加えたキャッチーでメロディックな叙情や、日本人好みの疾走するナンバーも含めて、
キャリアのあるバンドらしい説得力ある聴き心地がさすが。安心して楽しめるストライクなメロパワです。
日本盤ボーナスは過去曲のリメイクを2曲収録。8分を超える大曲も3曲含んだ全71分の濃密な力作。
メロディック度・・8 正統派度・・8 重厚度・・8 総合・・8 過去作のレビューはこちら
Amazon.co.jpで詳細を見る

Mago de Oz 「Celtic Land」
スペインのフォーキーメタル、マゴ・デ・オズの2013年作
結成25周年記念のCD2枚組のベストアルバムで、Disc1には英語によるバージョンを収録。
ラルフ・シーパーズ(PRIMAL FEAR)、ヨラン・エドマン、ダーレン・ワートン(DARE)、エリック・マーティン(Mr.Big)、、
ポール・ショーティノ(King Cobra)、さらにはElvenking、Korpiklaani、To.Die/Forといったバンドのメンバーも参加、
ヴァイオリンやフルート、アーディオンが鳴り響き、愉快なクサメロとともにキャッチーに聴かせるサウンドは、
英語歌詞による聴きやすさもあって、それぞれのヴォーカルの味わいも含めて違和感なく楽しめる。
Disc2はスペイン語によるナンバーとカヴァー曲を収録、WARCRY、SARATOGA、SANTELMOなどのメンバーが参加。
哀愁漂うスペイン語の歌声を乗せ、クサメロな疾走曲からバラードまで14曲たっぷり収録。
女性ヴォーカルによる美しいナンバーもよいですね。2CDで合計25曲、濃密なベストアルバムです!
メロディック度・・8 フォーキー度・・8 豪華ヴォーカル度・・9 総合・・8.5 過去作のレビューはこちら
Amazon.co.jpで詳細を見る

BARISHI 「BLOOD FROM THE LION'S MOUTH」
アメリカのスラッジ・デスメタル、バリシの2016年作
ヘヴィなギターを乗せた、MASTODONなどを思わせるモダンヘヴィネスの感触に、
ダミ声ヴォーカルが咆哮するブラックメタル寄りの暗黒性に包まれたサウンドで、
随所に知的な構築センスを覗かせる。ザラついたスラッジ風味の荒々しさもありつつ、
適度にテクニカルなギターリフが絡む、プログレッシブ・デスメタル的にも楽しめる。
全体的には暴虐な激しさはさほどなく、プログレ的なインパクトも物足りないという、
結果として中庸なスラッジ・メタルになってしまっている。もっと極端に走ってもいい気がする。
ドラマティック度・・7 テクニカル度・・7 重厚度・・8 総合・・7.5
Amazon.co.jpで詳細を見る


Nebelung 「Palingenesis」
ドイツのネオフォーク、ネベロングの2014年作
クラシックギターのつまびきに物悲しいチェロの音色が重なる、メランコリックなサウンド。
ときおりシンセやピアノ、ハープなども加わるが、基本はアコースティックギターが中心で、
囁くようなジェントルな男性ヴォーカルが加わることもあるが、ほとんどはインストが中心。
9分、14分という大曲もとくに盛り上がるでもなく、あくまで淡々とした聴き心地なので、
気の短い方にはお薦めできない。媚びの無い本格派という点と、薄暗い世界観に包まれた
ゴシック寄りのネオフォークとしては、TENHIあたりが好きな方にもいいかもしれない。
ドラマティック度・・7 ゴシック度・・7 メランコリック度・・8 総合・・7
Amazon.co.jpで詳細を見る

NEUN WELTEN 「Vergessene Pfade」
ドイツのネオフォーク、ノイン・ウェルテンの2006年作
アコースティックギターにヴァイオリン、チェロ、フルートの音色がまじわり、
ドラムによるリズムが加わって、幻想的なネオフォークサウンドを描いてゆく。
アコースティック楽器がメインながら、ドラムによる適度なロック色があるので、
静かすぎないメリハリのある感触だ。女性ヴォーカルを乗せたナンバーもありつつ、
基本はインスト中心なので、わりとあっさりとした感触で、暗すぎないところも聴きやすい。
ドラマティック度・・7 ネオフォーク度・・8 幻想度・・8 総合・・7.5
Amazon.co.jpで詳細を見る


NEUN WELTEN 「DAMMERUNG Die Destrunken Demos」
ドイツのネオフォーク、ノイン・ウェルテンの2009年作
2009年作「Destrunken」のデモ音源を収録したミニアルバムで、
アコースティックギターのつまびきに、ヴァイオリンが鳴り響く、物悲しい叙情のネオフォーク。
わりと激しいドラムが入った2曲目などは、フォークメタルファンにも鑑賞できそう。
スタジオデモ的な一発録りの空気感が、むしろ緊張感あるアンサンブルになっていて、
アコースティックの生々しさも含めてなかなか楽しめる。男女ヴォーカルを乗せたナンバーも
幻想的な味わいに聴き入れる。どうせならフルアルバムの長さでも聴きたかった。
ドラマティック度・・7 ネオフォーク度・・8 幻想度・・8 総合・・7.5
Amazon.co.jpで詳細を見る


3 「REVISIONS」
アメリカのプログレ・エモーショナルロック、スリーの2009年作
COHEED AND CAMBRIAの兄弟バンドというべきサウンドで、本作もマイルドなヴォーカルを乗せ
キャッチーでモダンなエモーショナルロックを聴かせる。前作に比べるとプログレ感はやや抑え目で、
爽快なメロディックロックというようなナンバーが増えている感じだが、表現力あるヴォーカルをメインにした
繊細な叙情を感じさせるナンバーなどは、プログレ寄りのリスナーにも十分楽しめるだろう。
ノリのよいアンサンブルに、QUEENのような優雅な感触が合わさった、なかなかの好作品。
メロディック度・・8 プログレ度・・7 爽快度・・8 総合・・8 過去作のレビューはこちら
Amazon.co.jpで詳細を見る





9/10
残暑お見舞いメタル申し上げます(283)


Not Fragile 「Shout to the Master」
ドイツのメロディックメタル、ノット・フラジャイルの2013年作
90年代初頭にデビュー、ハロウィン&ガンマレイ・フォロワー丸出しの疾走する正統派のジャーマンメタル・スタイルで、
個人的にも大好きなバンドなのだが、いまだに頑張ってくれているとは嬉しい限り。2008年作以来となる本作は、
いくぶんパワフルになった前作を受け継ぎつつ、初期のクサメロ路線に原点回帰、カイ・ハンセンを思わせるハイトーンヴォーカルと
古き良き感触のツインギターを乗せて疾走しまくり、キャッチーなサビメロなどは、まさにGAMMA RAYばりで、にんりまりである。
とにかく疾走とメロディにこだわった、「オレたちのジャーマンメタルを楽しもうじゃねえか!」という爽快なナンバーが詰まっていて、
モダン化したいまのハロウィンなどに飽きてしまっている、生粋のジャーマンメタラーには激しくお勧めしたい出来である。
キャリア20年を超えてなお、己の愛するメタルを追及する姿勢には敬服する。ハンセン&ガマレー好きは必聴だろう。
メロディック度・・8 疾走度・・9 ジャーマン愛度・・9 総合・・8 過去作のレビューはこちら
Amazon.co.jpで詳細を見る

Mago de Oz 「Ilussia」
スペインのメロディックメタル、マゴ・デ・オズの2014年作
デビューから20年を数えるベテランバンド。11作目となる本作は男女Voにフルート、ヴァイオリン奏者を含む9人編成で、
いつになくシンフォニックメタル風のイントロから始まり、クサメロのギターを乗せて疾走開始、
スペイン語の男性ヴォーカルに美しい女性ヴォーカルが絡み、濃密かつ壮麗なサウンドを描いてゆく。
きらびやかなシンセアレンジとツインギターのメロディに、ヴァイオリンも加わった厚みのある聴き心地と
あくまでキャッチーな爽快さに包まれた楽曲は、ベテランらしい説得力と優雅な叙情性を同居させている。
フルートやホイッスルが鳴り響くフォーキーなメロディと、スパニッシュメタルとしての哀愁も随所に感じさせながら、
全体的には正統派のメロディックメタルとしても、多くのリスナーに楽しめるだけの見事な傑作に仕上がっている。
メロディック度・・9 スパニッシュ度・・8 壮麗度・・9 総合・・8.5 過去作のレビューはこちら
Amazon.co.jpで詳細を見る

IVORY 「SOUTHERN CROSS」
ベラルーシのシンフォニックメタル、アイヴォリーの2017年作
ツインギターにシンセを含む6人編成で、本作は1910年のイギリス南極遠征の悲劇をテーマにしたコンセプトアルバム。
母国語と英語バージョンをそれぞれに収録したCD2枚組で、ツインギターのリフに美麗なシンセアレンジと、
マイルドなヴォーカルを乗せた重厚なサウンドを聴かせる。スタイリッシュな英語バージョンに比べ、
母国語バージョンの方はややペイガン寄りな味わいで、辺境系のシンフォニックメタルという趣がある。
ミドルテンポを主体にした楽曲は、随所にメロウなギターのフレーズを乗せた優雅な感触と、
壮麗なコーラスなども加えたスケール感とともに、ドラマティックな世界観で描かれてゆく。
楽曲ごとの派手なインパクトというのは薄いのだが、どっしりとした味わいでウェットな空気感をかもしだす、
このコンセプチュアルな雰囲気が好きな方には、トータルな流れで楽しめる力作と言えるだろう。
ドラマティック度・・8 重厚度・・8 楽曲・・7 総合・・8
Amazon.co.jpで詳細を見る

Monasterium
ポーランドのドゥームメタル、モナステリウムの2016年作
ツインギターの重厚なリフに朗々としたヴォーカルで聴かせる、Candlemassタイプのエピックドゥーム。
翳りを含んだ湿り気ある空気感と、ダークな叙情性がドラマティックな味わいになっていて、
表現あるヴォーカルも含めて、単なるフォロワーにとどまらないサウンドの説得力を描いている。
楽曲は5~7分前後が中心で、短すぎず長すぎず、スローテンポ主体ながらもどっしりとしたノリと、
随所に甘すぎない程度のメロディと叙情を覗かせる。案外メリハリある構成力も見事だ。
新しさはないが、正統派のエピック・ドゥームメタルが好きなら、これは必聴レベルの傑作だろう。
ドラマティック度・・8 ドゥーム度・・8 重厚度・・8 総合・・8
Amazon.co.jpで詳細を見る


Wildlights
アメリカのストーナーロック、ワイルドライツの2015年作
ザラついたギターとマイルドなヴォーカルを乗せた、オールドなノリのストーナーロック。
楽曲は3~4分前後とシンプルで、Baronessあたりに比べると、よりデザートロック的な明快な聴き心地で、
ヘヴィさもほどほどなので、歌メロのキャッチーさも含めて初心者にも入りやすいサウンドだろう。
うねるようなベースと、どっしりとしていて軽快さもあるドラムが心地よいリズムを生み出していて、
爽快なドライブ感とノリの良さで自然体で楽しめる作品だ。演奏と曲のクオリティも高い反面、
音の深みは感じないので、ここにディープな世界観が加われば、さらにいいバンドになりそうだ。
ドラマティック度・・7 ストーナー度・・8 アナログロック度・・8 総合・・8
Amazon.co.jpで詳細を見る


STORMTIDE 「Wrath of An Empire」
オーストラリアのシンフォニック・デスメタル、ストームタイドの2016年作
オーケストラルなシンフォニックアレンジにツインギターのリフと低音デスヴォイスを乗せ、
EQUILIBRIUMあたりにも通じる、壮麗でファンタジックな世界観を描くサウンド。
ときに東洋的な旋律や、ペイガンメタル的でもある土着的なメロディも覗かせて、
暴虐さよりも壮大なシンフォニック性を前に出した作風は、日本人にも受けるだろう。
反面、激しい疾走パートが少ないので、メロデスとしての魅力や迫力というのは薄く、
一本調子なデス声にも少し飽きてしまう。今後はシンフォニックなアレンジに頼らない、
メロディのフックと楽曲そのもののクオリティを上げていってもらいたい。
シンフォニック度・・8 暴虐度・・6 壮麗度・・8 総合・・7.5
Amazon.co.jpで詳細を見る

STEIGNYR 「The Prophecy of the Highlands」
スペインのフォークメタル、ステイグニールの2016年作
女性シンセ奏者を含む5人編成で、美麗なシンセにホイッスル、バグパイプが鳴り響き、
重厚なギターリフに低音デスヴォイスを乗せた、厚みのあるフォークメタルサウンドを聴かせる。
随所に女性ヴォーカルも加わったリリカルな感触と、迫力あるデス声とヘヴィなギターが重なり、
ジャケのイメージのように、勇壮でファンタジックな世界観を説得力ある力強さで描いてゆく。
ときにアグレッシブにたたみかける迫力あるパートなども含みつつ、TURISASなどにも通じる
ヴァイキングメタル的な重厚さとエピックなスケール感に、幻想的なフォーク要素を融合させた力作だ。
ドラマティック度・・8 フォーキー度・・8 重厚度・・8 総合・・8
Amazon.co.jpで詳細を見る


Tengwar 「The Halfling Forth Shall Stand」
アルゼンチンのフォークメタル、テングウォーの2011年作
バグパイプ、リコーダー&ホイッスル、フィドル奏者を含む9人編成という大所帯で、
ケルティックな味わいのイントロから、ホイッスルが鳴り響きツインギターのリフとともに疾走、
朗々としたヴォーカルに勇壮なコーラスが重なるエピックな雰囲気と、フィドルの音色などの
フォーキーなクサメロ感が合わさって、RHAPSODYThy Majestieなどを思わせるファンタジックな世界観を描き出す。
ときにデスヴォイスや女性ヴォーカルも加わった、ドラマティックなスケール感と、ケルティックなやわらかさが絶妙に溶け合い、
歌の弱さも含めての程よいマイナー系クサメタルの質感にもニンマリだ。エピック・フォークメタルの濃密作。
ドラマティック度・・9 フォーキー度・・8 エピック度・・9 総合・・8

Trobar De Morte 「Reverie」
スペインのゴシックフォーク、トロバー・デ・モルテの2006年作
シンフォニックなアレンジにソプラノ女性ヴォーカルの美しい歌声を乗せた、幻想的なゴシックフォーク・サウンド。
フルートやリコーダー、ヴァイオリン、ホルンなども加わった、ケルティックなトラッド感触も覗かせつつ、
うっすらと霧に包まれたようなファンタジックな世界観は、シンフォニック系のプログレリスナーにも楽しめる。
これという盛り上がりや、印象的なメロディというのはあまりないのだが、このぼんやりとした空気感に浸るのが、
正しい鑑賞でろう。幻想系ゴシック・フォークとしてはドイツのElaneあたりと並ぶバンドですな。
シンフォニック度・・8 幻想度・・8 女性Vo度・・8 総合・・7.5
Amazon.co.jpで詳細を見る



Trobar De Morte 「The Silver Wheel」
スペインのゴシックフォーク、トロバー・デ・モルテの2012年作
ジャケやアルバムタイトルからも、魔女をイメージする世界観がぷんぷんだが、
サウンドも女性ヴォーカルの妖しく美しい歌声に、美麗なシンセとストリングスを乗せた、
幻想的なゴシック・ネオフォーク。牧歌的なリコーダー、バグパイプ、ハープなどの優雅な音色に、
シンフォニックといってもいいオーケストラルなアレンジが重なり、しっとりとした聴き心地で
強度のある世界観を描くという点では、過去のアルバムを超えるサウンドの説得力を感じさせる。
DVDには2011年のベルリンでのライブを収録。女性ヴァイオリン奏者にハーディガーディを手にした
ヴォーカル嬢の透き通る歌声で、メディーヴァルな雰囲気のステージが楽しめます。
シンフォニック度・・8 幻想度・・8 女性Vo度・・8 総合・・8
Amazon.co.jpで詳細を見る

Seventh Harmonic 「Garden of Dilmun」
イギリスのゴシックユニット、セブンス・ハーモニックの2011年作
うっすらとしたシンセアレンジに美しい女性ヴォーカルの歌声を乗せた、シンフォニックなゴシック/ダークアンビエント。
シンセによるオーケストレーションがクラシカルな壮麗さを描きつつ、曲によってはアコースティックギターによる、
英国らしいウェットなフォーク要素も加わって、やわらかな女性声とともにメランコリックな空気感が包み込む。
個人的には、もう少しディープな妖しさが欲しい気もするが、あくまで耽美に、ダークすぎない世界観は、
非メタル系ゴシックの初心者にも楽しめるだろう。シンフォニックなゴシックサウンドにウットリと浸れます。
シンフォニック度・・8 ゴシック度・・8 女性Vo度・・8 総合・・7.5
Amazon.co.jpで詳細を見る



Elane 「The Fire of Glenvore」
ドイツのゴシック・ネオフォーク、エラーネの2004年作
うっすらとしたシンセアレンジにクラシカルなピアノ、翳りを帯びた女性ヴォーカルの歌声で聴かせる、
幻想的なネオフォークサウンド。ゴシック風味の薄暗さにドラムも入った適度にロック的な感触や
ヴァイオリンが鳴り響く、中世古楽的な優雅な世界観で、シンフォニックなゴシックアンビエントとしても楽しめる。
のちのアルバムに比べると、いくぶん垢抜けないもっさりとした感じもあるのだが、それもまた雰囲気モノとしての
霧に包まれたような空気感と、おぼつかない浮遊感をともなっていて、なかなか悪くないのである。
シンフォニック度・・7 ゴシック度・・8 女性Vo度・・7 総合・・7.5
Amazon.co.jpで詳細を見る



sToa 「Zal」
ドイツのクラシカル・アンビエント、ストアの2002年作
物悲しいピアノの旋律に、女性ヴォーカルの歌声を乗せた、しっとりとした美しさ。
シンセやストリングスによるアレンジも加わった、ほどよくシンフォニックな感触と、
耽美で薄暗い世界観が合わさった美麗な聴き心地に、うっとりと浸れるサウンドだ。
ヴォーカルの入らないナンバーは、チェンバーロック的なミステリアスな雰囲気もあり、
ピアノやフルート、ヴァイオリン、チェロなどのクラシカル性を、メランコリックな空気に包み込んだ
優雅なアレンジセンスも素晴らしい。空間的な奥行きも感じさせるクラシカルなダークアンビエント作品。
クラシカル度・・8 ゴシック度・・7 女性Vo度・・8 総合・・8
Amazon.co.jpで詳細を見る



 *メタルとプログレのページトップへ