プログレファン向け北欧トラッド特集




スカンジナビアにおいて、現代的トラッドのムーブが活性化したのは90年代の前後からだろうか。
北欧における王立や国立の音楽学校が、それまで以上に伝統的なトラッド音楽に力を入れ始め、
スウェーデン、フィンランド、ノルウェーを中心に、多くの優秀な若手演奏者が育っていった。
そうして、VasenFrifotといった伝統的なトラッドサウンドを受け継ぐバンドとともに、
GARMARNAHEDNINGARNAなどの、ラジカルトラッドと呼ばれる、モダンな先鋭性を取り入れたバンドも出現し、
新たな北欧トラッドのシーンを形成してゆく。一方では、Varttinaのように、ポップな質感を融合させ、
メジャー化に成功したバンドもあり、北欧独特の旋律と土着的な香りを、現代的なアレンジで聴かせるという、
いわばプログレ方面から見ても楽しめる、知的で個性豊かなバンドも増えてきている。
ここでは、そうした北欧らしい叙情とセンスを聴かせる素晴らしい作品を紹介してみたい。

                                                緑川 とうせい


◆スウェーデン

HEDNINGARNA 「TRA」
スウェーデンのラジカル・トラッドバンド、ヘドニンガルナの1994年作/邦題「異教徒」
1989年にデビュー、本作は3作目で、スウディッシュ・バグパイプ、ハーディ・ガーディの素朴な音色に、
母国語の女性ヴォーカルを乗せた、本格派の北欧トラッドをベースに、ハーディングフェーレや、
歪ませたフィドルの音色が鳴り響き、ときにビート感のあるドラムとパーカッションを加えた、
先鋭的なモダンさが加わったサウンドを聴かせる。さりとて北欧トラッドとしての神秘性をしっかり残していて、
コントラストとしての濃密な土着的が際立ったという印象である。まさに北欧ラジカルトラッドを確立した一枚である。
ラジカル度・・8 北欧トラッ度・・9 女性Vo度・・8 総合・・8
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Garmarna 「Guds Speleman (Gods Musicians)」
スウェーデンのラジカルトラッド、ガルマルナの1996年作/邦題「主なるヴァイオリン弾き」
母国語による女性ヴォーカルの歌声と、ディストーションを効かせたフィドルの音色、
そして素朴なハーディガーディが鳴り響く、北欧トラッドの神秘的な雰囲気を強調したようなサウンドで、
ドラムやパーカッションのリズムが入ったモダンなビート感覚と、伝統的なトラッド要素の融合という点でも
新たなトラッドミュージックの可能性を広げたというべき作品だ。次作ではさらに大胆にモダンな深化をとげるが、
伝統的な北欧トラッドの香りを残した本作も、バンドの代表作になりえる出来だと思う。
ラジカル度・・8 北欧トラッ度・・9 女性Vo度・・8 総合・・8
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Frifot「Jarven」
スウェーデンのトラッドバンド、フリーフォートの2nd。1996作
男女のフィドル奏者+マンドラ奏者という編成で、本格的な北欧トラッドを描き出す。
二本のフィドルの音色をメインにしながら、バグパイプやフルート、ホイッスル、ハープ、
ハンマー・ダルシマーなど多彩な楽器を操るメンバーは、世界的な演奏力の持ち主。
必要最小限の音数ながら、トラッドとしての音の説得力が素晴らしく、
それでいて硬質すぎない、人間的な温かみを感じさせるのも素晴らしい。
母国語によるやわらかな女性ヴォーカルも、巧みな演奏とのいいコントラストになっている。
アコースティック度・・9 北欧トラッ度・・9 素朴度・・8 総合・・8
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VASENGront」
スウェーデンのトラッドバンド、ヴェーセンの5th。1998年作
1990年にデビュー、伝統的な北欧トラッドを優雅なアンサンブルで聴かせるバンド。
軽快なパーカッションのリズムに乗せる艶やかなフィドルの音色、
巧みなアコースティックギターにニッケルハルパの素朴さが合わさったサウンドは
北欧の土着性を強く感じさせつつも、ときに爽快な軽妙さが心地よい。
そして、伝統的な音楽を受け継ぐ力強さと、説得力とが備わった演奏は絶品だ。
アコースティック度・・9 北欧トラッ度・・9 演奏度・・9 総合・・8
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Gunnfjauns Kapell「Volund」
バルト海のゴットランド島を代表するバンド、グンフヤゥンス・カペルの1998年作
ノルウェー神話の登場人物「鍛冶屋のヴォールンド」の物語をテーマにした作品で、
美しい女性のヴォーカルハーモニーにやわらかなフルート、オーボエの音色が重なり
アコースティックギターやマンドリンのつまびきとともに、いうなれば繊細なオーケストラのような
壮大にして優しいサウンドを描いている。物語を語るようなエピックな雰囲気のなかで
響きわたる男女コーラス、フィドルやティンホイッスルなども含めた土着的な旋律が合わさって、
優雅で神秘的、そしてストーリ性のあるトラッドサウンドを作り出している。素晴らしい傑作だ。
ドラマティック度・・9 北欧トラッ度・・8 壮大度・・9 総合・・8.5
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TRIAKEL 
「VINTERVISOR」
スウェーデンのトラッドバンド、トリアケルの2000年作
GARMARNAのシンガー、エンマ・ハルデリンをフロントにしたバンドで
母国語による女性ヴォーカルとフィドルが響き、やわらかなハルモニウム(リード・オルガン)が鳴る、
素朴で優しいサウンド。爽やかで楽しげな曲がメインながら、しっとりとした静かな曲では
エンマの歌声がシリウスに響きわたり、北欧らしい涼やかな空気を感じ取ることができる。
アコースティカル度・・9 トラッ度・・8 北欧度・・9 総合・・8
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Tva Fisk Och en Flask 「Jungfruburen」
スウェーデンのトラッドバンド、トヴァ・フィスク・オク・アン・フラスクの2nd。2000年作
ヴァイオリン、ギター、パーカッションを中心にした躍動感溢れる演奏に、
女性ヴォーカルによる母国語の歌唱で聴かせる北欧トラッドサウンド。
土着的なトラッド要素をモダンなアレンジで再構築し、緊張感に満ちた勢いある演奏が繰り広げられる。
この手のバンドの中でも曲のメリハリとインパクトがあるので、トラッド系初心者の若いリスナーなども
退屈せずに聴き通せるだろう。オフィシャルサイトで試聴可能。Vo嬢の色っぽいお写真も見られます(笑)
北欧トラッ度・・9 プログレ度・・7 女性Vo度・・8 総合・・8
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ROSENBERGS SJUA「R7」
スウェーデンのトラッドバンド、ローゼンベリス・シュウアの1999年作
ヴァイオリン、ビオラ×2、チェロというストリングスカルテットの音色に、
四人の女性ヴォーカルが母国語の歌声を乗せるというスタイルで、
北欧のモダントラッドとしてはフィンランドのVarttinaを思わせる雰囲気だ。
あくまでストリングスとヴォーカルというシンプルな音数なので、派手さこそないものの、
むしろ北欧らしいすっきりとした涼やかな土着性がよく伝わってくる。
後にRanarimでデビューするソフィアとウリカの二人も参加している。
ストリングス度・・8 北欧トラッ度・・8 女性Vo度・・8 総合・・7.5
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Vilvla 「Boot」
スウェーデンのトラッドユニット、ヴィルヴラの1999年作
HEDNINGARNA、SWAPのメンバーを含むユニット、3人のダンサーを含む編成で
パーカッションのリズムにヴィオラ・ダ・モーレの艶やかな音色と、マンドーラの旋律を重ねた、
躍動的なアンサンブルで、伝統的な北欧トラッドのポルスカを舞踏曲に仕立てている。
低音の効いたパーカッションの迫力あるリズムが、シリアスなビート感を作り出し、
ブズーキやヴィオラの旋律が土着的に奏でられる。トリオによるシンプルな音数ながら、
ヘドニンガルナのような革新的な力強さに包まれた、北欧トラッドの新たな息吹を感じる。
アコースティック度・・9 北欧トラッ度・・8 躍動度・・9 総合・・8
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Kalabra「Folka」
スウェーデンのトラッドバンド、カラブラの2000年作
パーカッションのリズムの上に伸びやかな女性ヴォーカルの母国語の歌声と
エレキギターにユニゾンするニッケルハルパの響きが重なり、
曲によってはドラムも入ってきて、フォークロック的な躍動感がある。
部分的にはKEBNEKAJSEなどを思わせる質感もあり、プログレファンにも楽しめるだろう。
ブズーキやニッケルハルパの素朴な音色と、コンテンポラリーなアレンジセンスが
よいコントラストになっていて、伝統的でありながら現代的な聴き心地があるのが素晴らしい。
アコースティカル度・・7 トラッ度・・8 女性Vo度・・8 総合・・8
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Ranarim「Morgonstjarna (Morning Star)」
スウェーデンのトラッドバンド、ラーナリムの2007年作/邦題「朝焼けの星」
やわらかなアコースティックギターに素朴なニッケルハルパの音色を乗せ、
2人の女性ヴォーカルの歌声で聴かせる、キャッチーな北欧トラッドサウンドは、
この3作目にして、伝統とモダンの完全な融合を果たしたといってもいいだろう。
自然体のトラッドでありながら、絶妙の聴き易さでアレンジされた楽曲は、
ジャケのように陽光の差す森に包まれたような優しい質感だ。
アコースティカル度・・9 トラッ度・・8 女性Vo度・・8 総合・・8
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ELIN KAVEN 「Eamiritni - Rimeborn」
スウェーデンの女性シンガー、エリン・カヴェンの2015年作
うっすらとしたシンセにアコースティックギターのつまびき、母国語よる女性ヴォーカルを乗せて、
しっとりと聴かせるネオフォーク/トラッドサウンド。フィドルが鳴り響く北欧らしいトラッド感触を、
優雅で幻想的な空気感に包み込み、モダンなアレンジで仕立て上げたという作風は、
サーミ語による独特の歌唱も(ヨイク)含めて、ラップランドのラジカルトラッドという趣であろうか。
ときにエレキギターも加わったりと、打ち込みを含めた聴きやすいアレンジセンスとともに、
プログレリスナー向きの北欧トラッドポップとしても楽しめる。
幻想度・・8 北欧トラッ度・・8 女性Vo度・・8 総合・・8
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◆フィンランド

VARTTINA「VIHMA」
フィンランドのトラディショナル・ポップバンド、ヴァルティナの7th。1998作
北欧の伝統的なトラッドをエレクトロニクスを加えた現代風アレンジで聞かせるこのグループ。
作りこまれたアレンジと民族楽器を本格的に使用しながらビート感にあふれたメジャーな普遍性で
高密度のアルバムを作り続けるのは素晴らしい。今作は前作「KOKKO」でのポップな聴きやすさに加え、
より北欧的な、いうなればディープなトラッド要素を増した作風になっている。母国語による女性ヴォーカルのハーモニーと
変拍子を取り入れたアレンジセンスと絶品の演奏力が、土着性とポップ性の完全なる融合をなしている。
トラディショナルな伝統と革新的なミックス感覚が絶妙のバランスをなしている。素晴らしい傑作である。
モダントラッド度・・6 北欧トラッ度・・8 アレンジセンス・・9 総合・・8.5
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GJALLARHORN「RANAROP
フィンランドのトラッドバンド、ヤァラルホーンの1st。1997年作/邦題「海の女神の叫び声」
ヴァイオリン、フィドルの艶やかな音色に、いかにも北欧的な女性スキャットと美しいコーラス、
そして母国語による伸びやかな女性Voの歌唱が、まるで涼やかな風のように響きます。
バルト海の女神をコンセプトにした、これぞ北の国のトラッド/フォークというサウンドが楽しめる。
若手ながらも演奏力も素晴らしく、音には伝統を感じさせる精神が息づいている。
メロディアス度・・8 トラッ度・・9 女性Vo度・・8 総合・・8
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Tarujen SaariSota Kirottu!」
フィンランドのトラッドバンド、タルエン・サーリの2004年作
母国語による美しい女性ヴォーカルの歌声に鳴り響くフィドルの音色、
北欧らしい涼やかな土着性に、エピックな幻想性をまじえたサウンドは
単なるトラッドの枠を超えた強度で、我々をうっとりと北の大地へと誘ってくれる。
アコースティカルであっても、演奏には力強いダイナミズムが溢れ、
マンドリンやブズーキなどの古楽器の素朴さと表現力を増したKaisa嬢の歌声とともに、
ひとつの物語を描くような音の説得力を感じる。VarttinaGJALLARHORN級の逸材でしょう。
アコースティカル度・・8 幻想トラッ度・・9 女性Vo度・・8 総合・・8.5
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ANDREW CRONSHAW「On the Shoulders of the Great」
フィンランド音楽を研究するイギリス人アーティスト、アンドリュー・クロンショウの2000作
サックスやカンテレの音色を中心に、静謐感のあるメロディで聴かせる
アコースティカルな作品。北欧のトラッドテイストに溢れた雰囲気であるが、
アカデミックな硬質さではなく、人間味のある穏やかな叙情が耳に心地よい。
音数は少ないながらも、静けさの中に北の清涼な空気を感じさせてくれる。
また、ゲスト参加のGJALLARHORNジェニー嬢が2曲で美しい歌声を聴かせてくれる。
メロディアス度・・7 アコースティカル度・・9 北欧トラッ度・・9 総合・・8
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Piniartut
フィンランド、グリーンランド、フェロー諸島のミュージシャンによるトラッド作品。2002年作
フィンランド語による女性ヴォーカルの歌声とヴァイオリンやブズーキなどの音色が鳴り響く
土着的なサウンで、跳ねるリズムとともにVARTTINAばりの軽快さもありつつ、
美しいピアノのつまびきや物語的な語りなども含んだ、プログレッシブなアレンジが光る。
ラジカルトラッド的で、土着的な神秘性を感じさせる、不思議な異色作。
メロディアス度・・7 プログレ度・・8 ラジカルトラッ度・・8 総合・・8
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Suden Aika「Unta」
HEDNINGARNAのシンガー、Tellu Turkaを中心としたユニット、スデン・アイカの2006年作
女性メンバー4人のユニットで、フィンランド出身らしい素朴なカンテレの音色に、
女性ヴォーカルの母国語の歌声とコーラスが重なる、やわらかなサウンドを聴かせる。
ハープやハーディガーディ、フルートなどの音色も美しいが、あくまで歌メインの作風で
いわばソフトな土着性を表現している。Varttinaのキャッチーさとはまた違った妖しさも魅力。
アコースティカル度・・8 北欧トラッ度・・8 女性Vo度・・8 総合・・8
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Rauta「Haudanmaa」
フィンランドのトラッド/フォークロック、ラウタの2007年作
女性ヴァイオリン奏者、アコーディオン奏者を含む6人組で
のっけから優雅なアコーディオンの音色に、ギターとヴァイオリンが重なり、
北欧トラッド調のメロディを奏でてゆく、やわらかなフォークロックサウンド。
母国語で歌うヴォーカルはマイルドなノーマルヴォイスで、
この軽やかな聴き心地は、むしろプログレファンなどでも楽しめそう。
激しさよりも優雅なアンサンブルで、北欧土着メロディが楽しめる傑作です。
メロディアス度・・8 トラッ度・・8 北欧度・・9 総合・・8
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Marja Mattlar
「tuli」
フィンランドの女性アーティスト、マーヤ・マターの2003年作
アコースティックギターに、うっすらとしたシンセアレンジ、フィンランド語のヴォーカルを乗せた、
ゆったりと叙情的なトラッドサウンド。艶やかなストリングスにピアノも加わったクラシカルな優雅さに
素朴な母国語ヴォーカルの味わいが合わさって、土着的なサウンドをコンテンポラリーに仕立てている。
繊細なカンテレの音色や、やわらかなアコーディオンなども随所にアクセントになっている。
北欧らしい本格派のトラッドをベースに、ヴァイオリンやピアノなどで美しく味付けされた作品。
ラスト曲は、何故かエレキギターが加わったフォークメタル風味というのは意外でした。
アコースティック度・・8 北欧トラッ度・・8 女性Vo度・・8 総合・・7.5
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Ancient Bear Cult 「Sounds from the Past」
フィンランドのトラッドバンド、エンシェント・ビアー・カルトの2008年作
TARUJEN SAARIのメンバーを含むバンドで、シタールやリュート、ムーン・ギターの素朴な音色に、
やわらかなフルートやホイッスル、母国語の女性ヴォーカルとともに、素朴なトラッド・フォークを聴かせる。
ブズーキやカンテレ、ハーディ・ガーディなどの古楽器に、優美なハープも鳴り響く、優しい神秘性は
いにしえの北欧の大地を思わせるような雰囲気だ。インストによるシンプルな音数の曲も悪くないが、
アルバム後半、男女ヴォーカルを乗せた8分の大曲では、妖しげな土着性に包まれたディープな味わいで楽しめる。
アコースティック度・・9 北欧トラッ度・・8 神秘度・・8 総合・・7.5
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◆ノルウェー

Mari BoineEight Seasons
ノルウェーのシンガー、マリ・ボイネの2001年作
ノルウェー北極圏ラップランドの生まれで、サーメ人の伝統音楽のヨイクの歌い手。
80年代初頭から活動しているベテラン。うっすらとしたシンセとモダンなビートアレンジに
透き通るような彼女の歌声が響きわたる。北欧の土着性を現代的に解釈したというべき
そのサウンドは、HEDNINGARNAやGARMARNAのように、コンテンポラリーでプログレッシブだ。
鳴り響くサックスの音色も、どこか北欧の翳りに包まれていて、モダンなアレンジの中にも
トラッドとしての本質をしっかりと残しているのが素晴らしい。
アコースティカル度・・6 コンテンポラリー度・・9 女性Vo度・・8 総合・・8
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Annbjorg Lien「Baba Yaga」
ノルウェーの女性アーティスト、アンビヨルグ・リエンの2000年作
フィドル奏者でありシンガーでもある女性アーティストで、
うっすらとしたシンセアレンジに、ドラムにエレキギターも加わったサウンドは
コンテンポラリーなモダンさと重厚かつスケールの大きな世界観を感じさせる。
ときにプログレと言ってよいほどのムーグシンセなども顔を覗かせたり、
呪術的な男性のドローンヴォイスなど、ミステリアスな雰囲気も漂わせつつ、
一方では、艶やかなヴァイオリンの音色やしっとりとしたフルートなど、素朴なトラッド色も含んでいて、土着性とのバランス感覚が見事だ。
アコースティカル度・・7 トラッ度・・8 重厚度・・8 総合・・8.5
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LYNNI TREEKREM「HAUGTUSSA」
ノルウェーの女性Vo、リニー・トリークレムの1996作
Arne Garborgという詩人による羊飼いの物語「HAUGTUSSA」をテーマに
表現力のあるLYNNIの歌声を中心にした、静かなトラッドアルバム。
パーカッションやシンセも使われているが、メインとなるのはやはり歌唱で
しっとりとした崇高さと静謐感のある世界を歌によって描いている。
北欧らしい寂寥感のあるトラッド作品。シリアスな音なのでややとっつきにくいかもしれない。
メロディアス度・・7 シリアス度・・9 女性Vo度・・8 総合・・7.5
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SHINE DION「KILLANDRA」
ノルウェーのトラッドバンド、シャイン・ディオンの1st。1998作
ただのアコースティックトラッドではなく、キーボード、曲によってはメロトロンまで使用している。
一聴したところ、このバンド北欧という土地柄かメロディが田舎くさく、じつにそれが私好み。
よく北欧のメロデス系バンドが間奏部で取り上げるようなメロディ(?)が満載だ。
女性Voも絶品とはいかぬが、なかなか綺麗な歌唱でこちらも田舎っぽくて良い。
アコースティカル度・・8 トラッ度・・8 女性Vo度・・8 総合・・8
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Kari Rueslatten 「Spindelsinn
ノルウェーの女性シンガー、カーリ・ルースラッテンの1997年作
ゴシックメタルバンドThe 3rd and The Mortalの初代ヴォーカルでもある彼女だが、
ここで聴けるのはメタル色はなく、しっとりと美しい彼女の歌声を中心にした、
北欧的なトラッドメロディをまじえたサウンド。シンセの入ったモダンなアレンジもあり、
浮遊感を含めたポップな感触と涼やかな土着性が融合されたスタイルだ。
メタルリスナーよりも、プログレやラジカルトラッドリスナー向けの作品である。
アコースティカル度・・7 北欧度・・8 女性Vo度・・8 総合・・7.5
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Sinikka Langeland「Runoja」
ノルウェーのシンガー/カンテレ奏者、シニカ・ランゲランドの2002年作
素朴で美しいカンテレの響きに母国語による歌声で、シンプルな音数で聴かせる
北欧の薄暗さを含んだ神秘的なトラッドサウンド。ウッドベースとドラムによるリズムも加わって、
静謐な躍動感というべき土着的でフリーキーな演奏に、ときにアヴァンギャルドな妖しさや
トランペットも入ってのチェンバー的な味わいも入り交じる。彼女のシンガーとしての表現力も見事だ。
アコースティカル度・・9 静謐度・・8 神秘的度・・9 総合・・8
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Susanne LundengNattevak」
ノルウェーの女性ヴァイオリン奏者、スザンヌ・ルンデングの2006年作
土着的な旋律を奏でるヴァイオリンの音色で、ノルディックな清涼感とともに
女性特有の優雅な情緒を描き出す。ジャケのような自然の中に溶け込み
生きる喜びを感じさせるような、凛然とした強さを含んだメロディに聴き惚れる。
伝統的な素朴なつましさと、木々や土の香りを含んだ優しい響きにうっとりです。
アコースティカル度・・9 北欧度・・9 ヴァイオリン度・・9 総合・・8
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Rebekka「Neophyte」
ノルウェー人の女性シンガー、レベッカの2003年作
ホップなビートに乗るコケティッシュな歌声にエキセントリックなモダンさと、
トラッド的でもあるストリングスアレンジなどを加えた個性的な聴き心地。
KATE BUSH的な少女らしさもありつつ、伝統的な歌唱の表現力も兼ね揃えていて、
音の向こうに北欧の空気が感じられるのもよい。「プログレ寄りのビョーク」とでもいうべきか、
あるいはポップなラジカルトラッドとしても楽しめる、なかなか異色の好作。
エキセントリック度・・8 北欧度・・8 女性Vo度・・8 総合・・7.5
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GATE「ISELILYA」
ノルウェーのトラッド・ロックバンド、ゴーテの2nd。2004年作
メタル色をいくぶん含みつつ、正統的な北欧トラッドを今風に構築し直したというサウンドで、
艶のある女性Voをフロントに、いかにも北欧らしいトラッドメロディをバンドサウンドで解釈している。
いうなればGARMARNAあたりにも似た質感でそこにキーボードによるシンフォニック性や、
ときにゴシックメタル的な部分を加味したような雰囲気もある。
寒々しい静寂感と同時に、ロック的なノリの良さ(ときにサイケ調)も併せ持っていて
単なる自己満足にはならない聴きやすさがあるのがよい。
メロディアス度・・8 北欧トラッ度・・9 女性Vo度・・8 総合・・8
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HAVNATT「Etterlatte」
ノルウェーのトラッド・フォーク、ハヴナットの2013年作
アコースティックギターにやわらかな女性ヴォーカルを乗せた、幻想的な味わいのネオフォークで、
前作ミニに比べると、随所にヴァイオリン、チェロの音色が絡むなど、クラシカルな優雅さが強まった。
Cecille嬢の母国語による歌声は相変わらずしっとりと美しく、涼やかな北の空気を運んでくれる。
アコースティックを主体にした伝統的なトラッドとしての素朴な叙情と、コンテンポラリーで
優雅なアレンジセンスを同居させた、北欧らしいネオフォークサウンドにゆったりと浸れる。
アコースティック度・・8 涼やか度・・8 女性Vo度・・9 総合・・8
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Huldrelokkk 「I Levende Live」
ノルウェー、スウェーデン、デンマークのメンバーによる、女性トラッドユニット、ハルドレロクの2015年作
フィドルやニッケルハルパを操る女性3人のユニットで、本作は2013〜14年のドイツでのライブを収録。
艶やかなフィドルと素朴なニッケルハルパの音色、アコースティックギターによるアンサンブルで、
メンバーそれぞれの母国のトラッドをベースにしたナンバーを聴かせる。派手な衣装のメンバーに反して
サウンドはしごく素朴なアコースティック系トラッドで、新鮮さやスリリングな部分というのはさほどないが、
母国語による女性ヴォーカルを乗せた、北欧らしい涼やかな叙情が楽しめる。
アコースティック度・・9 トラッ度・・9 女性Vo度・・7 総合・・7.5
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◆デンマーク、フェロー諸島他

Instinkt「Hur」
デンマークのトラッドロックバンド、インスティンクトの2002年作
艶やかなヴァイオリンの音色に、ドラムとウッドベースのリズムアンサンブル、
素朴なハーディ・ガーディやフルート、ホイッスルも加わった、躍動感ある演奏で
ジャケのイメージよりもずっと本格派のコンテンポラリーなトラッドを聴かせてくれる。
二本のヴァイオリンの絡みも素晴らしく、スキャット気味の歌はオマケ程度だが、
適度な緊張感を漂わせたサウンドは、Vasenなどのファンも楽しめるだろう。
アコースティカル度・・9 北欧トラッ度・・8 アンサンブル度・・9 総合・・8
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Karen + Helene「Solen」
デンマークのシンガー、Karen MoseHelene Blumによるユニットの2003年作
しっとりとしたピアノのつまびきに、女性ヴォーカルの母国語の歌声がやわらかにかぶさる。
二人のヴォーカルの声の重なりと、フィドルやビオラなどが奏でる旋律で、
音数はシンプルながら、優しく爽やかな叙情を表現している。
ピアノはむしろジャズタッチなこともあって、土着的すぎない優雅な聴き心地だ。
アコースティカル度・・9 北欧トラッ度・・7 女性Vo度・・8 総合・・8
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ValravnKoder P Snor
デンマークのラジカルトラッドバンド、ヴァルラウンの2009年作
フェロー諸島出身という女性ヴォーカル、アンナの透明感のある美しい歌声とパーカッションのリズム
ハーディガーディ、ニッケルハルパ、マンドラといった古楽器を使った本格派のトラッド質感に、
モダンなアレンジを加えたサウンドは、GARMARNAGjallarhornなどにも通じる雰囲気だ。
シンセやプログラミングによる空間的な音作りは、いかにも新時代のトラッドバンドといった感じで
リズム面での現代的なビート感覚を含めて、土着的すぎない、いわばコンテンポラリーなアレンジセンスは、
あまりトラッドが得意ではない若いリスナーにも楽しめる普遍性がある。
アコースティカル度・・7 モダントラッド・・9 女性Vo度・・8 総合・・8
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YggdrasilKristian Blak & Yggdrasil
フェロー諸島のトラッドバンド、イグドラシルの2002年作
フェローの歌姫、EIVOR PALSDOTTIRが参加するバンドで、
ピアニストのクリスティアン・ブラックを中心に、サックス、フルート、ドラムも含んだ
ジャズ的でもあるアンサンブルに、表現豊かなアイヴォールの歌声が重なる。
しっとりとした静謐感と優雅な格調高さが、荒涼とした北の空気に合わさって、
神秘的なサウンドを描いている。シンプルな音数ながらも深みのある傑作です。
アコースティカル度・・8 北欧トラッ度・・8 女性Vo度・・9 総合・・8
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Gudrid HansdottirBeyond the Grey
フェロー諸島の女性ヴォーカル、グドリッド・ハンスドティアの2011年作
しっとりとした女性ヴォーカルの歌声に、マンドリンやリコーダーなどの素朴な音色と、
幻想的な美しさで聴かせるサウンド。うっすらとシンセを含んだアレンジもあって
アコースティカルではあるが土着性は薄めなので、キャッチーなフォークとしても楽しめる。
英語歌詞がメインだが、ときに母国語による歌声がトラッドな雰囲気をかもしだしている。
アコースティカル度・・7 北欧トラッ度・・7 女性Vo度・・8 総合・・8
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Olof Arnalds 「Innundir Skinni」
アイスランドの女性アーティスト、オルロフ・アルナルズの2010年作
ストリングスアレンジを含んだ1曲めはスケール感のあるコンテンポラリーなサウンドだが、
全体的にはコケティッシュな彼女のヴォーカルを中心に、弾き語りのようなアコースティカルで
温かみのある繊細さを聴かせる作風になっている。ジャケのようなエキセントリックな雰囲気よりも、
土着的な素朴さが前に出ていて、北欧トラッドとしても楽しめるやわらかで優しいサウンドだ。
アコースティカル度・・8 北欧トラッ度・・7 女性Vo度・・8 総合・・7.5
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Storsveit Nix Noltes
「Royal Family - Divorce」
アイスランドのトラッドロック、ストルスヴェイト・ニックス・ノルテスの2009年作
トランペット、トロンポーン、サックス、アコーディオン、ヴァイオリン、チェロ奏者などを含む大人数の編成で、
エレキギターにドラムも入ったロック色と、吹奏楽が愉快に鳴り響く、スカのような感触に、
中世のトラッド風味を加えたというような、アヴァンギャルドでもあるサウンドを聴かせる。
様々な楽器が混ざり合った、いわば混沌としたチェンバーロックというふうでもあり、
けたたましい中にも、空間的なミステリアス性と哀愁の叙情を含ませるセンスもなかなか。
ひねくれ感と悪ノリをスカ風味のアヴァン・チェンバーに仕上げたというべき異色作。
アヴァンギャル度・・8 管弦楽度・・8 トラッ度・・7 総合・・8
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Eivor
「AT THE HEART OF A SELKIE」
フェロー諸島出身の女性シンガー、アイヴォールをフロントにしたプロジェクトの2016年作
フェロー諸島に伝わる、セルキー(あざらし女)の神話をテーマにした作品で、
The Danish Radio Big Band、The Danish National Vocal Ensembleがバックを務める。
北欧トラッド的な涼やかな空気感と、フェロー語の女性ヴォーカルを乗せたしっとりとした作風に、
男女混声コーラスによる厳かで神秘的な味わいも加えた聴き心地だ。
ブラスの音色があざらしの鳴き声にも聞こえたり、海を感じさせるSEなども含んだ、
神話のストーリーを、寒々しく土着的なトラッドと融合させたサウンドが鑑賞できる。
トラッ度・・8 涼やか度・・8 女性Vo度・・8 総合・・7.5
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◆北欧土着プログレ

KEBNEKAISE「V」
スウェーデンのトラッドプログレバンド、ケブネカイゼの3rd。1975作
このバンドの素晴らしいところはズバリ、北欧的トラッドメロディを、ロックフォーマットで聴かせる点だ。
ギターとヴァイオリンがときに優雅にときに情熱的にトラッドメロディをユニゾンするさまは圧巻。
そして、そこに絡むパーカッションが言い知れぬ郷愁を聴く者に感じさせる。
この日本人の演歌心にも通じるような土着的メロディには、一聴して心を鷲づかみにされた。
トラッドというにはあまりにダイナミックで分厚い音。シンフォニック・トラッドロックとでも呼ぶしかない。
メロディアス度・・9 北欧トラッ度・・9 ヴァイオリン度・・8 総合・・8.5
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BO HANSSON「MUSIC INSPIRED BY WATERSHIP DOWN」
スウェーデンのプログレッシブ・ミュージシャン、ボ・ハンソンの1977作
ソロ作としては4作目で、これまでに「指輪物語」を題材にした「THE LORD OF THE RINGS」や、
「ムーミン(楽しいムーミン一家)」を題材にした「MAGICIAN'S HAT」といった作品を発表している。
これは日本でもけっこう知られる「WATERSHIP DOWN(のうさぎたち)」をテーマにしたアルバムで、
同じく北欧のトラッド系プログレバンド、KEBNEKAISEのメンバーも参加している。
ボ・ハンソンのKeyを中心に、トラッドメロディを奏でるギターや、たおやかなフルートなど
ほのぼのとした幻想的なインストゥメンタル・サウンドでまどろみながら聴ける。
メロディアス度・・8 プログレ度・・6 ふんわり幻想度・・8 総合・・7.5
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BJORN J:SON LINDH「Svensk Rapsodi」
スウェーデンのミュージシャン、ビヨルン・J:ソン・リンデの1989年作
Bo Hanssonと並ぶ、スウェーデンのジャズ/トラッド系ミュージシャンであり
フルート奏者でもある彼が、北欧シンフォニック的な叙情に接近した傑作。
繊細なピアノのつまびきも、どこか北欧の風を思わせるような涼しさがあり、
ジャケットのイメージ通りの世界観が広がる。メロディックなギターやシンセが加わると、
シンフォニックロック的な情感があふれる。美しすぎる北欧の感性の結集。うっとりです。
メロディアス度・・8 クラシカル度・・9 北欧度・・10 総合・・9

Den FuleLugumleik
スウェーデンのトラッドロックバンド、デン・フューレの1993年作
フィドルにサックス奏者を含む6人編成で、土着的な北欧メロディを
ロック的な躍動感と融合して聴かせるスタイル。 とくに叙情的なフィドルの音色は
KEBNEKAJSEにも近い雰囲気で、北欧的な音が好きな方ならにんまりだろう。
一方では、エレキギターを含んだ軽妙なジャズロック/フュージョン的感触もある。
メロディアス度・・8 トラッ度・・7 北欧度・・8 総合・・8
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Merit Hemmingson「TOUCH THE SOUND」
スウェーデンの女性鍵盤奏者、メリット・ヘミングソンの2006作
60年代から活躍するアーティストで、写真を見ると立派なおばさまであるが、
サウンドの方は美しいシンセワークを中心にした、じつに優しいもの。
ハモンドなどのレトロな質感に温かみのあるメロディが合わさり、
ゆったりとコーラス風に歌う女性ヴォーカルに包まれて、ふんわりとした気分でまどろめる。
アコーディオンやフルートなども美しく北欧らしいトラディショナルな雰囲気もある。
プログレというよりは北欧のヒーリング系サウンドとして聴ける。そんなアルバムだ。
メロディアス度・・8 プログレ度・・7 ふんわり温か度・・9 総合・・7.5
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THE SMELL OF INCENSE「Through the Gates of the Deeper Slumber」
ノルウェーのサイケトラッドバンド、スメル・オブ・インセンスの1997年作
鳴り響くメロトロンにメロウなギターワーク、ヴァイオリンなども加わった
北欧トラッド風の土着性が耳に心地よく、美しい女性ヴォーカルもまたよろしい。
のっけから25分の大曲で、浮遊感もともなったアシッド・フォーク的な質感で聴け
ときに男女ヴォーカルの絡みや北欧シンフォ的な叙情もあるので、
意外とカラフルで飽きずに楽しめる。なかなか良質な北欧トラッドプログレ作だ。
メロディアス度・・8 プログレ度・・7 北欧トラッ度・・8 総合・・8
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BJORN JOHANSSON「DISCUS URSIS」
スウェーデンのマルチミュージシャン、ビヨルン・ヨハンソンのソロ作。1998作
自身でピアノ、キーボード、ギター、ベースを始め、マンドリンやリコーダー、フルートなどの
トラディショナルな古楽器まで演奏。音は北欧の寒々しい叙情性をもったシンフォニックロックで、
ギターとキーボードによるマイナーなメロディで曲を盛り上げる手法は、いかにも北欧らしい。
精神的には初期のMIKE OLDFIELDや、オーストリアのGANDALFに近いものを感じるが、
やはり地域的な違いか、より土着的で冬めいた北欧の自然を音を通して感じる。
ラスト曲はほとんど北欧版「オマドーン」。ゲストでパル・リンダーが参加。
シンフォニック度・・9 マイナー美旋律度・・9 北欧度・・10 総合・・8.5
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SCARLET THREADValheista Kaunein
フィンランドのシンフォニックロックバンド、スカーレット・スレッドの2nd。2005作
ツインギターにヴァイオリン入りの5人組で、全編インストの作品になっている。
ややブルージーなギターに絡むヴァイオリンの音色にはトラッド要素が強く
ときおりKEBNEKAISEを思わせるような北欧の土着性を感じられる。
楽曲は4〜6分台で比較的コンパクト。全体的に派手な盛り上がりというものはなく、
トラッド音楽を現代的なロックフォーマットでアレンジしたという雰囲気だ。。
メロディアス度・・8 シンフォニック度・・7 トラッ度・・8 総合・・7.5
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