エピック・ドゥームメタル特集

ドゥームメタルの元祖といえば、BLACK SABBATHであり、80年代には、SAINT VITUSPENTAGRAM
90年代にはCATHEDRALなどによって、その王道のドゥームスタイルは受け継がれてきたが、
一方では、ドゥームメタルの重厚さにヨーロピアンな叙情を加えたスタイルで、CANDLEMASSが登場、
ここにエピック・ドゥームメタルなるサウンドが誕生する。その特徴としては、ギターは重たいリフだけでなく、
随所にメロディックなフレーズも奏で、ヴォーカルが朗々と歌い上げながら、壮大な世界観を描き出す。
重厚な迫力と神秘的な幻想性をまとった独自のサウンドは、一般のメタルリスナーにも楽しめるような、
ウェットなドラマ性と音の強度を有しており、これは個人的にも大好きな方向性なのである。
ここでは、CANDLEMASSをはじめとした、エピック・ドゥームメタルの傑作を紹介したい。 2018.6 緑川とうせい




CANDLEMASS 「Nightfall」
スウェーデンのドゥームメタル、キャンドルマスの1987年作
トーマス・コールによる絵画をジャケにあしらった2作目で、次作と並ぶバンドの代表作。
本作から新たにヴォーカルにメサイア・マーコリンが加わり、リードギター、ドラムも替わって、
黄金期のラインナップが揃う。壮大なスケール感のイントロから、メサイアの朗々とした歌声が響き渡り、
ツインギターのリフとともにミドルテンポのドラマティックなドゥームメタルが展開される。
ハイトーンを使いこなす歌えるヴォーカルの存在も含め、正統派メタル寄りの感触が増していて
ダークでありつつも随所にメロディックなギターフレーズがヨーロピアンな叙情性をかもしだす。
のちのSolitude Aeturnusにも影響を与える、重厚なエピック・ドゥームメタルを完成させた傑作である。
ドラマティック度・・8 ドゥーム度・・8 エピック度・・8 総合・・8.5
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CANDLEMASS 「Ancient Dreams」
スウェーデンのドゥームメタル、キャンドルマスの1988年作
本作もトーマス・コールの印象的な絵画が印象的なジャケで、ファンにも人気の高いアルバムである。
前作で完成させた重厚なエピック・ドゥームメタルを、そのまま推し進めたというサウンドで、
ツインギターによる有機的なリフとフレーズがより際立ってきて、中音域で歌い上げるヴォーカルも
伸びやかな表現力で楽曲に説得力を与えている。スローよりもミドルテンポの曲調が増えたことで、
また少し正統派メタル寄りの感触になってきているのだが、ダークなドゥーム色が失われたわけではない、
そういう点ではバランスのとれた作品であるともいえる。ドゥームメタル初心者は本作あたりからどうぞ。
ドラマティック度・・8 ドゥーム度・・7 エピック度・・8 総合・・8
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CANDLEMASS 「Tales of Creation」
スウェーデンのドゥームメタル、キャンドルマスの1989年作
なんとなく宗教っぽいジャケで、その昔ジャケ買いしてしまったという記憶があるのが本作である。
スケール感を描くような語りを乗せて始まり、ツインギターの巧みなリフが厚みのあるサウンドを描きながら、
適度な疾走感とメロディックな要素がさらに強まったことで、一般のメタルリスナーにも聴きやすいだろう。
ドゥームメタルというよりは、むしろドゥーム風味のエピックメタルというべきか。様式美なインストナンバーもあったり、
メサイアの朗々とした歌声と叙情的なギターフレーズの絡みが、湿り気のあるドラマティックな味わいを生み出していて、
あるいは正統派の北欧パワーメタルとしても楽しめるかもしれない。黄金期のラスト作というべき好アルバムだ。
ドラマティック度・・8 ドゥーム度・・7 エピック度・・8 総合・・8
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Solitude Aeturnus「Into the Depths of Sorrow」
アメリカのエピック・ドゥームメタル、ソリテュード・イターナスの1991年作
CANDLEMASSからの影響を感じさせる、正統派メタル色の強いドゥームメタルで、
ツインギターのリフと朗々としたヴォーカルの歌声で聴かせるダークなサウンドながら、
随所にメロディックで様式美的なギターメロディなどもあり、一般のメタルファンにも楽しめる。
6〜7分と曲は比較的長めながら、スローパートだけでなく、適度な疾走感もあるので飽きさせない。
随所にもの悲しい叙情性を含ませたドラマティックなアルバムに仕上がっている。
ドラマティック度・・8 重厚度・・8 エピック度・・7 総合・・8
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Solitude Aeturnus「Alone」
ソリテュード・イターナス
の2006年作
前作から8年ぶりとなる6作目で、重厚なるエピックドゥームには一点の曇りもない。
朗々としたロバート・ロウのヴォーカルと、湿りけを含んだツインギターのリフとともに、
もの悲しくもスケール感のあるサウンドを描いている。メロディアスなフレーズも随所に効果的で、9分の大曲も、
ベテランならではの音の説得力でじっくりと聴き通せる。アルバム後半は、いくぶん楽曲がつまらないのだが、
それでも全体的には好作と言えるだろう。ロバート・ロウはこの後、CANDLEMASSに加入する。
ドラマティック度・・7 重厚度・・8 エピック度・・7 総合・・8
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Solstice 「Lamentations」
イギリスのエピックドゥームメタル、ソルスティスの1994年作
2nd「New Dark Age」も素晴らしい出来であるが、こちらのデビュー作もひけをとらない完成度で、
ツインギターの湿り気を含んだリフを中心に、英国らしい正統派寄りのエピックドゥームを聴かせる。
CANDLEMASSタイプのサウンドであるが、メロディアスな叙情という点ではこのバンドの方がより強く、
スローなパートからミドルテンポへの展開力なども含めて、正統派メタルファンにも楽しめるだろう。
ヴォーカルの弱さがいかにもローカルな感触なのだが、そこも含めてのマイナー臭さもGood♪
ドラマティック度・・8 正統派度・・8 エピックドゥーム度・・9 総合・・8
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REVELATION
「...Yet So Far」
アメリカのドゥームメタル、レヴェレーションの1995年作
過去2作よりもぐっと音の説得力が増し、朗々としたヴォーカルとヘヴィなギターリフで聴かせる、
Solitude Aeturnusなどを思わせるエピック・ドゥームサウンドが広がってゆく。
スローすぎない楽曲は、適度に展開とともに正統派メタル的な雰囲気もあり、
随所にメロディアスなギターメロディも入るなど、一般のメタルリスナーにも楽しめるだろう。
湿りけを含んだダークでドラマティックな聴き心地が味わえる力作である。
ドラマティック度・・8 エピックドゥーム度・・8 重厚度・・8 総合・・8
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DoomSword
イタリアのエピック・ドゥームメタル、ドゥームソードの1st。1999年作
朗々たるヴォーカルと古き良き感触のギターリフで、エピックな世界観を描き出す、
まさに戦士のドゥームメタルというべきサウンドである。このヒロイックな勇ましさは
スローテンポのMANOWARというような重厚な味わいで、華美なアレンジや疾走感がなくても
ここまで聴き手を引きこめるパワーはなんとも素晴らしい。随所にイタリア独特のクサさがあるのもGood。
ドゥームメタルというよりも、むしろファンタジック・エピックメタルの傑作として認定したい。
ドラマティック度・・8 重厚度・・8 エピック度・・9 総合・・8
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Dantesco
プエルトリコのドゥームメタル、ダンテスコの2004年作
トラディショナル・エピック・ドゥームメタルと自ら名乗る通り、CANDLEMASSからはじまる
ドラマティックなドゥームメタルを正統的に受け継ぐスタイル。ツインギターによるリフと
朗々としたヴォーカルを乗せたサウンドで、重厚でありつつ随所にメロディックな感触も聴かせる。
楽曲もスローすぎず、適度にスピード感もあるので、正統派メタル的にも楽しめるだろう。
スペイン語による異国的なミステリアスさもよろしい。SORCERERWARLORDのカヴァーを収録。
ドラマティック度・・8 エピックドゥーム度・・8 重厚度・・8 総合・・7.5
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Grand Magus「The Hunt」
スウェーデンのヘヴィメタル、グランド・メイガスの2012年作
SPIRITUAL BEGGARSのJBをフロントにして2001年にデビュー、本作が6作目となる。
4thあたりから正統派メタルに接近した作風になったが、本作も古き良きドゥームの質感を残しつつ、
適度にキャッチーなフックとともに、80年代的な伝統的なヘヴィメタルサウンドを感じさせる。
アナログ感に包まれた音作りは、重すぎず軽すぎずといった聴き心地で、
随所にメロディアスなギターソロなども含んだ、古き良き正統派メタルが楽しめる。
ワイルドかつ表現豊かなJBの歌声もサウンドによくマッチしていて、北欧神話をテーマにしたナンバーでは、
MANOWARのようなエピックメタルの雰囲気も匂わせる。円熟を感じさせる力作である。
ドラマティック度・・7 正統派度・・8 古き良き度・・8 総合・・8
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Sorcerer 「In the Shadow of the Inverted」
スウェーデンのドゥームメタル、ソーサラーの2015年作
結成は80年代と古く、90年代にいったん解散するも、2010年に復活。
本作ではTherionやDemonoidに参加していたKristian Niemannをギターに迎え、
古き良き感触のギターリフと元LION'S SHAREのAnders Engbergの骨太のヴォーカルを乗せ、
どっしりとダークな世界観を描き出す、Candlemassタイプの正統派エピックドゥームメタルを聴かせる。
ヴォーカルの力量も含めてB級感はまったくなく、この手のドゥーム系にしては堂々たる音の迫力がある。
随所にメロディアスなフレーズを奏でるツインギターもよろしく、重厚かつドラマティックな傑作に仕上がっている。
ちなみにベースは元TIAMATのメンバーで、地味に豪華なメンバーが揃ったバンドですな。
ドラマティック度・・8 ドゥーム度・・8 正統派度・・8 総合・・8
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DOOMSHINE 「THE PIPER AT THE GATESOF DOOM」
ドイツのドゥームメタル、ドゥームシャインの2010年作
2004年にデビュー、本作は2作目で、ファンタジックなジャケのイメージにそそられるが、
サウンドの方は重厚なツインギターにパワフル過ぎなヴォーカルを乗せ、ほどよい叙情性を含んだ、
まさに正統派のエピック・ドゥームメタル。ときにメロディックなフレーズを聴かせるギターも魅力的で、
かつてのBLACK SABBATHをルーツに、ウェットな感触を加えたヨーロピアンな作風は、
CANDLEMASSなどが好きな方にも薦められる。全72分というエピックドゥームの力作です。
ドラマティック度・・8 ドゥーム度・・8 重厚度・・8 総合・・8 
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Atlantean Kodex「The White Goddess」
ドイツのエピック・ドゥームメタル、アトランティーン・コデックスの2013年作
前作もドラマティックな傑作であったが、2作目となる本作も荘厳かつ幻想的な世界観と、
ツインギターのメロディックなフレーズで聴かせる、重厚なるエピックドゥームが楽しめる。
10分前後の大曲を中心に、正統派メタル的な勇壮な感触とともに、中世ヨーロッパ的な世界を
ドラマティックに描いてゆく。ドゥームでありながら、WARLORDなどのファンにも楽しめる、
メロウで幻想的なエピックメタルでもある。中世風の飾り文字を使ったブックレット内も美しい。
ドラマティック度・・9 重厚度・・8 エピック度・・9 総合・・8.5
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DAWN OF WINTER 「PRAY FOR DOOM」
ドイツのドゥームメタル、ドーン・オブ・ウインターの2018年作
Sacred SteelのVoを含むバンドで、重厚なギターに朗々としたヴォーカルを乗せた、
Candlemassタイプの正統派エピック・ドゥームメタル。ゆったりとしたスローテンポながら、
ウェットで叙情的なギターフレーズとともに、遅めのジャーマンメタルのような聴き心地もある。
パワフル過ぎないヴォーカルも、このサウンドにはよくマッチしていて、WARLORDなどにも通じる
古き良きB級エピックメタルのような感触とともに、ドゥームが苦手な方でもわりと楽しめる好作品だ。
ドラマティック度・・7 エピックドゥーム度・・8 重厚度・・8 総合・・8
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Altar of Oblivion 「Grand Gesture of Defiance」
デンマークのドゥームメタル、アルター・オブ・オブリヴィオンの2012年作
ツインギターの重厚なリフと朗々としたヴォーカルで聴かせるCandlemassタイプのエピックドゥーム。
スロー〜ミドルテンポの遅すぎないリズムと、正統派メタル寄りのドラマティックなフックを感じさせ、
ギターは随所にメロディックなフレーズも奏で、エピックな空気感もなかなかよい感じです。
35分弱という短めの作品ながら、濃密なエピック・ドゥームメタルの世界に浸れる力作。
ドラマティック度・・8 エピック度・・8 重厚度・・8 総合・・8
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Anguish 「Mountain」
スウェーデンのドゥームメタル、アングイシュの2014年作
重厚なギターリフにダミ声ヴォーカルを乗た、おどろおどろしい世界観のドゥームメタル。
スローテンポを基調にしつつも、随所にツーバスの入った激しさもあり、
ツインギターの叙情的なフレーズも含めて、前作以上にメリハリのついた聴き心地。
サウンドの迫力という点でも、怪しげな神秘性とドラマテイックな空気感が備わったことで、
ぐっと説得力が増していて、エピックドゥーム的な湿り気のある雰囲気がよろしいです。
ドラマティック度・・8 ドゥーム度・・8 重厚度・・8 総合・・8
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The Order of Israfel 「Wisdom」
スウェーデンのドゥームメタル、オーダー・オブ・イスファエルの2014年作
アコースティカルなイントロから、重厚なツインギターのリフに朗々としたヴォーカルを乗せ、
アナログ感あるアンサンブルとエピックな味わいで聴かせる、正統派のドゥームメタル。
ノリのよいテンポのヴィンテージなハードロックナンバーもありつつ、15分という大曲では、
どっしりとした重さとともに、シリアスな迫力に包まれたドラマティックな世界観も感じさせる。
甘さの無い硬派な感触とスケール感のある神秘性が融合した、本格派のドゥームメタル強力作。
ドラマティック度・・8 ドゥーム度・・8 重厚度・・8 総合・・8
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Magister Templi
「Lucifer Leviathan Logos」
ノルウェーのドゥームメタル、マジスター・テンピリの2013年作
ツインギターの5人編成で、古き良きスタイルの正統派メタル寄りのサウンド。
重厚ながらも遅すぎない楽曲は、中世を思わせる妖しい世界観にも包まれていて
エピックかつミステリアスな空気を漂わせた聴き心地はなかなかたまらない。
朗々としたヴォーカルもアナログ感たっぷりのサウンドにマッチしていて、
CANDLEMASSSolitude Aeturnusなどのファンも楽しめるだろう。
ドラマティック度・・8 ドゥーム度・・8 ミステリアス度・・8 総合・・8
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DAUTHA 「BRETHREN OF THE BLACK SOIL」
スウェーデンのドゥームメタル、ダウサの2018年作
重厚なギターに朗々としたヴォーカルを乗せた、CANDLEMASSを思わせる正統派のエピック・ドゥーム。
ツインギターによるどっしりとした味わいに、ときにヴァイオリンが加わった優雅な感触も合わさって、
ダークで幻想的な世界観を描き出す。ヘヴイでありながらも湿り気を含んだほのかな叙情性もあって、
伸びやかなヴォーカルの表現力とともに、15分、11分という大曲も、説得力ある空気感で構築してゆく。
鳴り響くにヴァイオリンにコーラスが重なると、讃美歌ドゥームというべき荘厳な雰囲気にもなって、
キャンドルマスをシンフォニックにしたような聴き心地に。まさにクリスチャン・ドゥームメタルの力作だ。
ドラマティック度・・8 ドゥーム度・・8 重厚度・・8 総合・・8
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FUNERAL CIRCLE
カナダのエピック・ドゥームメタル、フューネラル・サークルの2013年作
重厚なリフと妖しいメロディを含んだツインギターに、朗々としたヴォーカルの歌声を乗せた
CANDLEMASSタイプのエピック・ドゥームメタル。8分、9分、11分という大曲も含め、ゆったりと
ドゥーミィないかがわしさもよろしく、良い意味でのカルトなアンダーグラウンド臭を残している。
薄暗く絡みつくような叙情性も覗かせながら、幻想的で怪しさたっぷりの聴き心地は、
ATLANTEAN KODEXなどが好きな方にもお薦め。ヨーロピアンな湿り気を含んだエピック・ドゥームメタルの好作です。
ドラマティック度・・8 エピックドゥーム度・・8 カルト度・・8 総合・・8
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CRYPT SERMON 「Out of the Garden」
アメリカのエピック・ドゥームメタル、クリプト・セルモンの2015年作
バンド名や曲名などから、おそらくクリスチャンなドゥームメタルバンドなのだろう。
重厚なツインギターにパワフルなヴォーカルを乗せた、本格派のエピック・ドゥームサウンド。
ヨーロピアンな翳りと湿り気のある叙情を含んだ、どっしりとした聴き心地で、サウンドの説得力も含めて、
エピック・ドゥームの大御所、Candlemassを思わせる。ソロパートでは流麗なフレーズを奏でるギターもなかなかのもので、
5〜7分前後とわりと長めの楽曲でも、リフの魅力や音の迫力で最後まで飽きずに鑑賞できる。
適度にダークで甘すぎないくらいにメロディアス、ドラマティックな正統派エピック・ドゥームの力作だ。
ドラマティック度・・8 重厚度・・8 正統派度・・8 総合・・8
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HAMMERS OF MISFORTUNE 「DEAD REVOLUTION」
アメリカのサイケメタル、ハマーズ・オブ・ミスフォーチュンの2016年作
2001年にデビュー、本作は5年ぶりとなる7作目。なにやら怪しげなジャケが目を引くが、
サウンドの方は、1曲目からドコドコのドラムにオールドメタルなギターリフを乗せた、
80年代風味のNWOBHM的でもある聴き心地に、サイケ的な浮遊感が合わさった感触。
オルガンが鳴り響き、パワフル過ぎない男性ヴォーカルに女性コーラスが絡み、
サイケでドゥーム感のあるエピックメタルというような、なかなか不思議な味わいだ。
前作までのプログレ的な要素は薄まったが、代わりに確信犯的なオールドスタイルのメタル色を強め、
このカルトなアナログ感に溢れた作風を楽しめる方には、とても魅力的なバンドとなるに違いない。
ドラマティック度・・7 古き良きメタル度・・9 サイケでエピック度・・8 総合・・8 
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MAEL MORDHA 「Damned When Dead」
アイルランドのエピックドゥームメタル、マエル・モルダの2013年作
湿り気あるギターフレーズに朗々としたヴォーカルで聴かせるエピックドゥームに、
随所にホイッスルの音色も鳴り響くなど、いくぶんケルティックな要素も含んだサウンド。
正統派メタル寄りの質感も強いので、Candlemassタイプのエピックメタルとしても普通に楽しめる。
ヨーロピアンな薄暗い叙情性も感じさせる、重厚な聴き心地のエピックドゥームの力作です。
ドラマティック度・・8 重厚度・・8 エピック度・・8 総合・・8
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Silent Hill
イタリアのドゥームメタル、サイレント・ヒルの2008年作
重厚なギターリフにうっすらとしたシンセアレンジ、クセのあるハイトーンヴォーカルを乗せて聴かせる、
正統派のエピック・ドゥームメタル。スローテンポでもわりと手数の多いドラムがどっしりとアンサンブルを支え、
湿り気を含んだギターフレーズとともに、ダークな幻想性を描くような世界観がなかなか耳心地よい。
カイ・ハンセンみたいなヴォーカルがややミスマッチにも感じるが、むしろ正統派のメタラーには聴きやすいかも。
CANDLEMASSをルーツにした、ヨーロピアンな翳りと叙情性に包まれたエピック・ドゥームの力作です。
ドラマティック度・・8 正統派度・・8 重厚度・・8 総合・・8
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Black Oath
「Ov Qlipoth And Drakness」
イタリアのドゥームメタル、ブラック・オースの2013年作
ウェットな空気感をかもしだす重すぎないギターリフに、朗々としたヴォーカルを乗せた、
妖しくもエピックな味わいのドゥームメタルを聴かせる。70〜80年代ルーツのアナログ感と
物寂しい叙情を含んだ世界観は、CANDLEMASSSOLITUDE AETERNUSにも通じるが、
こちらはヘヴィさよりも、より正統派のエピックメタル的なドラマ性を感じさせるのが好みです。
ゆったりとしたテンポからリズムチェンジで展開するところもあって、単調過ぎずに楽しめます。
ドラマティック度・・8 エピックドゥーム度・・8 重厚度・・7 総合・・8
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Plateau Sigma「Rituals」
イタリアのドゥームメタル、プラテアウ・シグマの2016年作
ローマ神話の神々をテーマに、重厚なツインギターにジェントルなヴォーカルを乗せ、ゆったりと聴かせる、
エピックな感触のドゥームメタル。空間的な静けさと叙情性を含んだ、神秘的な空気感を漂わせながら、
曲によっては低音デスヴォイスを乗せた、フューネラルな暗黒性も垣間見せる。8〜11分の大曲を主体に
どっしりとしたスローテンポで、ときに甘すぎない程度にメロディを奏でるツインギターとともに、心地よくサウンドに浸れる。
派手さはないのだが、雰囲気モノとしての強度もなかなかで、これぞドゥームメタルという本格派の味わいの強力作だ。
ドゥーム度・・8 重厚度・・8 神秘的度・・8 総合・・8
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KING GOAT 「DEBT OF AEONS」
イタリアのドゥームメタル、キング・ゴートの2018年作
2016年にデビューし、本作が2作目となる。ツインギターのリフに朗々としたヴォーカルを乗せ、
エピックドゥーム的でもあるウェットでミステリアスな空気を描く、どっしりとした聴き心地のサウンド。
随所にメロディックなギターフレーズも覗かせつつ、ある意味イタリアらしいカルトな妖しさで
濃密なドゥームメタルを描いてゆく。楽曲は7〜10分前後で、基本はゆったりとしたテンポながら、
メタルとして遅すぎない程度のノリがあるので、わりと初心者にも聴きやすいだろう。
これといった目新しさはないが、オールドな正統派エピック・ドゥームが味わえる1枚。
ドラマティック度・・7 ドゥーム度・・8 重厚度・・8 総合・・7.5
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Crimson Dawn 「Chronicles Of An Undead Hunter」
イタリアのエピック・ドゥームメタル、クリムゾン・ドーンの2017年作
ツインギターにシンセを含む6人編成で、壮麗なイントロから、重厚なギターに朗々としたヴォーカルを乗せた、
正統派のエピック・ドゥームを聴かせる。オルガンを含むシンセがヴィンテージな味わいをかもしだし、
ときにメロディックなギターフレーズやメディーヴァルな女性コーラスなどが、サウンドを彩る。
楽曲のテンポも遅すぎず、ドゥームが苦手な方でも普通に正統派メタルとしても楽しめるだろうし、
ときにフォーキッシュなパートも覗かせるなど、中世イタリアを思わせるような世界観もよい感じだ。
ほどよく重厚なドゥーム感触とメロディックなメタルサウンドのバランスのとれた好作品である。
ドラマティック度・・8 エピックドゥーム度・・8 正統派度・・8 総合・・8
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NOMAD SON 「The Darkening」
マルタ共和国のドゥームメタル、ノーマド・サンの2013年作
本作がおそらく3作目で、ヘヴィなギターリフとオルガンを含んだシンセアレンジで聴かせる、
正統派メタル寄りのエピックドゥームサウンド。楽曲はミドルテンポ主体なので遅すぎず聴きやすく、
CANDLEMASSあたりに比べると、さらにアンダーグラウンドな怪しさも感じられて、
いくぶんこもり気味の音質も、かえっていい味を出している。幻想ドゥームメタル好きはチェック。
ドラマティック度・・7 エピックドゥーム度・・8 正統派度・・8 総合・・8
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Evangelist 「Doominicanes」
ポーランドのドゥームメタル、エヴァンゲリストの2013年作
CANDLEMASSSOLITUDE AETRUNUSなどを受け継ぐ、ドラマティックなエピックドゥームメタルで、
スローな曲調に重厚なツインギターと朗々としたヴォーカルを乗せた、本格派のスタイルだ。
歴史や宗教観を含んだ重々しいドラマ性とエピックな雰囲気に包まれ…ダークでヘヴィでありながら、
ヨーロピアンな湿り気を含んだ聴き心地もあって、随所にメロウなギターフレーズも入ってくるのが嬉しい。
全5曲ながら、9分、12分という大曲もあり、重厚にしてドラマティックなエピックドゥームが楽しめる力作。
ドラマティック度・・8 重厚度・・9 エピックドゥーム度・・9 総合・・8
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Monasterium
ポーランドのドゥームメタル、モナステリウムの2016年作
ツインギターの重厚なリフに朗々としたヴォーカルで聴かせる、Candlemassタイプのエピックドゥーム。
翳りを含んだ湿り気ある空気感と、ダークな叙情性がドラマティックな味わいになっていて、
表現あるヴォーカルも含めて、単なるフォロワーにとどまらないサウンドの説得力を描いている。
楽曲は5〜7分前後が中心で、短すぎず長すぎず、スローテンポ主体ながらもどっしりとしたノリと、
随所に甘すぎない程度のメロディと叙情を覗かせる。案外メリハリある構成力も見事だ。
新しさはないが、正統派のエピック・ドゥームメタルが好きなら、これは必聴レベルの傑作だろう。
ドラマティック度・・8 ドゥーム度・・8 重厚度・・8 総合・・8
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Procession 「To Reap Heavens Apart」
チリのドゥームメタル、プロセッションの2013年作
前作もドラマティックな正統派エピックドゥームの傑作だったが、フルアルバム2作目となる本作も
ツインギターの重厚なリフに叙情的なフレーズをまぶしながら、どっしりとしたサウンドを聴かせる。
朗々としたヴォーカルとともに、適度にメロディックで勇壮かつエピックな世界観を描いていて、
曲調はスローでありながらもリフとフレーズの説得力で、10分前後の大曲もドラマティックに楽しめる。
Solitude AeturnusAtlantean Kodexなどが好きな方にはぜひともオススメしたい力作だ。
ドラマティック度・・8 エピック度・・8 重厚度・・8 総合・・8
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CAPILLA ARDIENTE「 Bravery,Truth and the Endless Darkness」
チリのドゥームメタル、カピラ・アルディエンテの2014年作
ツインギターの重厚なリフとスローすぎない適度なノリの良さで、正統派メタル寄りのサウンドを聴かせる。
朗々とした男くさいヴォーカルも含めて、雰囲気としてはプエルトリコのDantescoあたりに近いだろうか。
10分以上の大曲が中心で、確かな演奏力が描き出すドラマティック性とエピックな香りは気持ち良い。
随所に叙情的なメロディを奏でるギターのセンスもよい感じで、正統派パワーメタル好きの方にも楽しめるだろう。
チリにはProcessionという素晴らしいバンドがいるが、このバンドもそれに負けないレベルである。
ドラマティック度・・8 正統派度・・8 エピック度・・8 総合・・8
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UNSILENCE 「A Fire on the Sea」
イギリスのドゥームメタル、アンサイレンスの2014年作
重厚なギターリフとマイルドなヴォーカルを乗せた、正統派のエピックドゥーム。
楽曲には適度な疾走感もあり、ギターは随所に叙情的なフレーズを奏でるなど、
Candlemassのような正統派寄りのスタイルを好む方には違和感なく楽しめる。
英国のバンドらしい湿り気を帯びたドラマティックな世界観もよいですね。
全体的には楽曲にもう少しフックというか、インパクトが欲しい気もするが、
地味でもエピックドゥームとしての雰囲気がよければいいという方はどうそ。
ドラマティック度・・8 ドゥーム度・・7 正統派度・・8 総合・・7.5
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Obsidian Sea 「Dreams,Illusions,Obsessions」
ブルガリアのドゥームメタル、オブシディアン・シーの2016年作
G&Vo、B、Drのトリオ編成で、アナログ感たっぷりのギターリフと線の細いヴォーカルを乗せた、
初期のCANDLEMASSを思わせる、正統派のエピック・ドゥームメタル。
ややこもり気味のヴォーカルがミステリアスな神秘性をかもしだし、
やはりヨーロピアンな湿り気を感じさせるギターリフと、うねりのあるアンサンブルもよい感じだ。
これという新鮮味はないのだが、オールドなエピックドゥーム好きには十分楽しめる内容です。
ドラマティック度・・7 エピックドゥーム度・・8 ミステリアス度・・8 総合・・8

The Temple 「Forevermourn」
ギリシャのドゥームメタル、テンプルの2017年作
重厚なギターにジェントルなヴォーカルを乗せた、ダークでウェットな味わいの正統派エピック・ドゥームメタル。
CANDLEMASSをルーツにしたヨーロピアンな空気感と、ツインギターの叙情的なフレーズで
この手の泣きの幻想ドゥームが好きな方にはたまらないだろう。5〜8分前後の長めの曲を主体に、
これという新鮮味はないものの、ゆったりとしたギターのメロウな旋律が心地よく、重厚でありながらも
けっこうメロディアスな聴き心地で楽しめる。どこを切っても曲調が似たり寄ったりなので、
後半はさすがに飽きてくるものの、ラストは12分の大曲でさらにコテコテに攻めてくる。ある意味最高かよ。
ドラマティック度・・8 エピックドゥーム度・・9 重厚度・・9 総合・・7.5
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*エピックメタル特集
*ドゥームメタルCDレビューも併せてご覧ください


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