スペインのメタルバンド特集




2010年南アフリカワールドカップは華麗な攻撃サッカーで魅了したスペインが優勝を飾りました。
情熱の国スペインには、サッカー代表に負けないくらいに魅力的なバンドたちが揃っています。
ここでは、そのスペインを代表するメタルバンドをあらためて紹介します。   by 緑川 とうせい



DARK MOOR「Ancestral Romance」
スペインのシンフォニックメタルバンド、ダーク・ムーアの2010年作
1999年のデビューから着実に成長をとげ、7作目となる本作も、クラシカルかつシンフォニックな
力作に仕上がっている。これまで以上にオペラティックで壮麗な世界観が聴き手をぐいぐいと引き込み、
ゲストによる女性コーラスも含めて、やわらかみのあるメロディとマイルドな聴き心地は、
KAMELOTあたりにも通じる完成度の高さである。かつてのようなメロスピ風に疾走する曲もあるものの、
基本的にはじっくりと聴かせる雰囲気なので、こうなるとヴォーカルの表現力の幅がやや狭く思えるが、
スペイン語で歌われる曲においては実に伸びやかで、今後はこの母国語路線にも期待したくなる。
曲自体のインパクトはいくぶん薄いのだが、クラシカルな作品としてトータルに鑑賞できる力作だ。
シンフォニック度・・8 疾走度・・7 オペラティックメタル度・・8 総合・・8
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DELIRION「LOTUS」
スペインのシンフォニックメタルバンド、デリリオンの2nd。2010作
大仰なシンフォニック要素とクサメロの合わさったサウンドでデビューしたこのバンド、
本作もクラシカルかつ美麗なシンフォメタルを聴かせてくれる。起伏に富んだ楽曲展開と、
ややモダンなヘヴィさを含めたアプローチは、ヴォーカルの声質も含めて、スペインというよりは
むしろThy MajestieやLABYRINTHなど、かつてのイタリアンメタルにも近い作風か。
アレンジの面ではまだいくぶんつたなさもあるが、きらびやかなシンフォメタル好きはチェック。
シンフォニック度・・8 疾走度・・7 スペイン度・・7 総合・・8
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MEDINA AZAHARA「aixa」
スペインのベテランメタルバンド、メディナ・アザーラの14th。2003作
今やメタルファンのみならずプログレのリスナーからも愛される
スパニッシュロックを代表するこのバンド。今作はシンフォニックなシンセに加え、
オーケストラまでも使用した壮麗なサウンドを聴かせてくれる。
美しいピアノをバックにアンダルシアの哀愁を感じさせるヴォーカルが歌い上げ、
キャッチーなメロディとスペインの土着性が合わさった、独特の叙情が素晴らしい。
今作ではいつになくプログレ的なシンセワークを聴かせる場面も多く、
メタリックな勢いよりも、やわらかみのあるメロディアスさが光るアルバムだ。
メロディアス度・・9 シンフォニック度・・8 スパニッシュ度・・9 総合・・8.5
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MAGO DE OZ「GAIA U」
スペインのフォーキーメタルバンド、マゴ・デ・オズの6th。2005作
のっけから、今までにないシリアスかつ壮大なイントロが荘厳に響きわたり「おおっ」と唸る。
美しいヴァイオリンに女性コーラスが絡み、シンフォニックして大仰な雰囲はRHAPSODYのようだ。
楽曲は力強さと疾走感をともない、メタリックなギターリフにスペイン語の歌唱が映える。
バンドの特徴であるフルート、ヴァイオリンの音色も、以前よりもずっとシリアスな雰囲気で
フォーキーな脱力メロはいくぶん抑え気味となったぶん、シンフォニックメタルとしての質感が増した。
疾走曲での高揚感は彼ら史上最高で、スパニッシュでキャッチー、フォーキーでいながら壮大。
CD2枚組みのラストは21分の大曲だ。これは胸を張って「傑作」と言えるアルバムだ。
メロディアス度・・9 シンフォニック度・・8 フォーキー度・・8 総合・・8.5
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SARATOGA 「Secretos Y Reveleaciones」
スペインのメロディックメタルバンド、サラトガの2009年作
すでにデビュー10年以上の中堅バンドで、本作は8作目となる。スペイン語の歌声の
パワフルなハイトーンヴォーカルで聴かせる正統派のスタイルは変わらず、
メロディアスなギターフレーズも絶品で、サウンドの説得力もさすがの年季を感じさせる。
ミドルテンポから疾走曲まで、哀愁を漂わせたスパニッシュメタルが楽しめる会心の一枚。
メロディアス度・・8 疾走度・・7 スパニッシュ度・・9 総合・・8
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TIERRA SANTA 「Apocalipsis」
スペインのメロパワバンド、ティエラ・サンタの6th。2004作
ツインギターによる正統派のメロディックメタルを聴かせるこのバンドだが、
本作では、哀愁溢れる叙情に磨きをかけたメロディアスな雰囲気が増している。
シンセ入りのキャッチーな質感は、これまでのバワフル路線からすると
軟弱になったという見方もあるだろうが、ツインギターの魅力は残っているし
スパニッシュらしい叙情もしっかりあるので個人的にはこれで問題はない。
むしろMEDINA AZAHARAなどのように、プログレハード的な聴き方も
できるようになったことで、より広くアピールする内容だろう。
メロディアス度・・8 メロパワ度・・7 スパニッシュ度・・8 総合・・8
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LUJURIA「EL PODER DRL DESEO」
スペインのメロディックメタルバンド、ルフリアの5th。2003作
知名度は低いが案外キャリアは長いらしいこのバンド。
のっけからトルコ行進曲のメロディに乗せてドカドカと始まります。
ややかすれた声質のヴォーカルによる、スパニッシュの歌唱がとても暑苦しく(笑)、
いえ、よい感じで疾走曲に似合います。また、ギターはメロウな叙情を聴かせてくれ、
バックには適度にキーボードも使用していて、音にはしっかり厚みもあります。
メタル的な熱さと、スペイン風味の叙情が合わさった好作といってよいでしょう。
メロディアス度・・8 疾走度・・8 スパニッシュ度・・9 総合・・8
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AVALANCHMuerte Y Vida」
スペインのメロディックメタルバンド、アヴァランチの6th。2007作
初期のメロスピ路線から、しだいに落ち着いたハードロックへとシフトしてきたこのバンドだが、
本作ではシンフォニックさを取り戻している。スペイン語の歌声とクサメロでときに疾走し、
やわらかな叙情を聴かせつつ、随所にProgMetal的なモダンな知的さも覗かせる。
全体的には、やはり落ち着いた大人のスパニッシュハードロックという感じだが、
耳心地のいい泣きのギターや、美麗なアレンジの点で、前作よりもずっと楽しめる好作だ。
メロディアス度・・8 疾走度・・7 スパニッシュ度・・8 総合・・7.5
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WARCRY 「Alea Jacta Est」
スペインのメロディックメタルバンド、ウォークライの3rd。2004作
基本は前作同様、シンフォニックに疾走するスタイルながら、
今作ではそのメロディに哀愁の色が強くなり、より好みの音になった。
楽曲の展開も疾走一辺倒でなく、ときにしっとりとした叙情性を織り込み、
多彩なシンセワークとツインギターでドラマティックに聴かせてくれる。
ANGRAあたりに通じるようなテクニカルなパートもあり、きらびやかさも健在だ。
疾走メロスピとしては前作だろうが、完成度の点では本作が最高作か。
シンフォニック度・・8 疾走度・・7 スパニッシュ度・・8 総合・・8
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Furia Animal 「Azotando El Destino」
スペインのメロディックメタルバンド、フリア・アニマルの2nd。2002作
クサメロ系スパニッシュメタルとして名高いこのバンド、よく分からないジャケのセンスはともかく、
きらきらのシンセ入りで疾走するメロスピサウンドはクサメタマニアは大歓喜だろう。
スペイン語による歌唱とともに、シンフォニックに盛り上がるサビメロや
ギターによるクサ哀愁フレーズはまさに悶絶もの。初期のWARCRYなどが好きな方もぜひ。
イーグルスの名曲“Hotel California”のメロスピ疾走カヴァーも収録。笑
クサメロ度・・9 疾走度・・8 スパニッシュ度・・8 総合・・7.5
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Lorien「Secrets of the Elder」
スペインのメロディックメタルバンド、ローリエンの2002作
キーボードを含む5人組みで、ファンタジックなシンフォニックメタルをやっている。
ヘナチョコハイトーンのヴォーカルは英語なのでスパニッシュ臭さはさほどでもないが、
どことなくローカルさを漂わせたクサメロが田舎っぽくて、なかなかよろしい感じです。
楽曲うんぬんというよりは、とにかく歌メロのクサさはSKYLARKかINSANIAかというほどなので、
B級でもOKなクサメタラーには悶絶ものだろう。「指輪物語」がコンセプトらしいFantasyクサメタル。
クサメロ度・・9 疾走度・・7 スパニッシュ度・・7 総合・・7.5
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ANKHARA 「Sombras del Pasado」
スペインのメタルバンド、アンクハラの3rd。2003作
ツインギターにキーボード入りの6人組で、シンフォニックな音の厚みと
スペイン語のヴォーカルによる土臭さが合わさったサウンド。テクニカルなプレイを聴かせるギターを筆頭に
演奏力も高く、疾走に頼らない展開力はむしろProgMetalに片足突っ込んだ感覚か。
もちろんクサメロの疾走曲もあり、きらびやかなシンセワークにクセのある歌声とともに
濃密なサウンドを形成している。10分の大曲を含む65分はちょっと長い気もするが、
このB級っぽいジャケからは想像がつかないくらいの質の高さだ。
クサメロ度・・8 疾走度・・7 スパニッシュ度・・8 総合・・8
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Opera Magna「POE」
スペインのシンフォニックメタルバンド、オペラ・マグナの2nd。2010作
デビュー作もクサメロたっぷりで疾走する、WARCRYばりの好作であったようだが、
本作はタイトルのように、エドガー・アラン・ポーの生涯をテーマにしたコンセプト作とのこと。
きらびやかなシンセとネオクラシカル風味のギターを乗せて疾走するサウンドは、
スペイン語の歌唱とともに、哀愁を感じさせるクサメロがなかなかたまらない。
アレンジや演奏の面ではまだまだ世界レベルとは言えないが、逆にこのパワフルすぎない音が
マニア好みなのかもしれない。スパニッシュメタルの新鋭として今後が楽しみなバンドだ。
クラシカル度・・7 疾走度・・8 スペイン度・・8 総合・・7.5
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PHOENIX RISING「MMXII」
スペインのメロディックメタル、フェニックス・ライジングの2012年作
Quinta enmiendaが改名したバンドで、壮麗なイントロに続き、メロディックに疾走する
濃密なメロスピサウンドが展開される。垢抜けないヴォーカルの歌い回しなどには
ひと昔前のクサメロ感触があって、歌は英語であるのだがどこか辺境的な雰囲気が漂っている。
ギターソロのスパニッシュな叙情を含んだ哀愁のメロディもなかなかよい感じで、これならむしろ
歌もスペイン語でよかった気がする。ラストの11分の大曲は壮大なクサシンフォニックメタルで
クサメロ愛好家はこの1曲だけでもガッツポーズだろう。日本盤のボーナストラックには
BLIND GUARDIAN“Valhalla”のカヴァーと、本編の2曲のスペイン語バージョンを収録。
メロディック度・・8 疾走度・・8 スパニッシュ度・・8 総合・・7.5
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SAUROM「Juglarmetal」
スペインのフォークメタルバンド、サウロンの2006作
SAUROM LAMDERTHからSAUROM名義へと変わっての1作目。
ファンタジックなコンセプトに、フォーキーなメロディを取り入れた質の高いバンドであるが、
今作では、土着的な部分をやや薄めてシンフォニックメタル的な質感が増している。
ツインギターのメロディとシンフォニックなシンセ、ときに壮大なクワイアや女性ヴォーカル、
さらにはデス声までも導入し、そのドラマティックなサウンドに磨きをかけている。
もちろんスペイン語の歌唱とともにヴァイオリンを取り入れたフォーキーな要素もあり、
堂々たるサウンドのクオリティは、さらにリスナーの間口を広げるだけの力作といってよい。
シンフォニック度・・8 フォーキー度・・7 ドラマティック度・・8 総合・・8
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QUELONIO「Rebelion
スペインのメロディックメタル、ケロニオの2012年作
前作も正統派な感触の好作であったが、本作も古き良きヘヴィメタルの質感に
女声ヴォーカルのスペイン語の歌声で聴かせるパワフルなサウンド。
ツインギターの力強いギターリフで疾走する感じは、ジャーマンメタル的でもある。
個人的には 楽曲にもう少しメロディックなフックがあればとも思うが、
CRYSTAL VIPERあたりが好きな方なら充分楽しめるだろう。
メロディアス度・・7 正統派度・・8 スパニッシュ度・・8 総合・・7.5
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VHALDEMAR「FIGHT TO THE END」
スペインのメロパワバンド、ヴァルデマールの1st。2002作
のっけから初期HELLOWEEN+HAMMERFALLのような疾走曲で始まり、
その後もGAMMA RAYMANOWARLOST HORIZONなどを彷彿させる楽曲が続き、
彼らの目指すスタイルを如実に物語っている。演奏は新人にしてはしっかりしているし、力強さもある。
「カイ・ハンセン大好き〜♪」という感じのVoもそれなりに世界観を演出する歌唱をこなしている。
楽曲自体の説得力はあと一歩だが、この潔いサウンドは正統派ファンなら満足できるものだろう。
メロディアス度・・7 疾走度・・8 正統派度・・9 総合・・7.5
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ABYSS「SIN ANGELS」
スペインのメロディックメタルバンド、アビスの2nd。2004作
ツインギターにキーボード入りの6人組。Voの歌唱はスペイン語で、
哀愁を撒き散らしつつメロディアスに展開する楽曲はプログレメタル的。
きらきらとしたKEYのシンフォニックな音色によるの厚みがサウンドに説得力をもたらしていて、
確かな歌唱力と演奏力とともに、この手のマイナー系バンドにありがちな弱々しさはない。
ギターのメロウなフレージングもいいし、もう一皮むければ素晴らしいバンドになりそう。
VAHLADIANとともにスパニッシュ・シンフォニック・プログレメタルを牽引していって欲しい。
メロディアス度・・8 プログレ度・・7 楽曲・・8 総合・・8
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VAHLADIAN
スペインのシンフォニックメタルバンド、ヴァラディアンのアルバム。
ツインギターにキーボード入りで、メロディアス&シンフォニックに疾走。
メロディはなかなかキャッチーで、スペイン語の歌唱がクサメロを助長しつつ、
せわしなく展開する楽曲にはプログレ的な側面もある。
Voのヘナチョコ加減がいかにもマイナー臭いが演奏の方はしっかりしていて、
メロディセンスのあるギターフレーズや、きらきらとしたキーボードの美しさには、
シンフォメタル好きリスナーはうっとりだ。曲の質が上がればかなりのアルバムを作りそう。
シンフォニック度・・8 プログレ度・・7 スパニッシュ度・・8 総合・・8
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Ebony ArkWhen the City Is Quiet」
スペインのシンフォニックメタルバンド、エボニー・アークの2nd。2008作
1st「DECODER」NIGHTWISH+THERIONというような質感で、荘厳に聴かせる傑作だったが、
本作ではミステリアスな雰囲気はやや薄れ、より普遍的なシンフォニックメタルとなっている。
ベアトリス嬢の歌唱はときにシャウトを効かせつつ、ときにゴシックメタル的にしっとりと歌い上げ、
壮麗さとメランコリックな叙情を作り上げるシンセワークとともにこのバンドの魅力となっている。
楽曲的に分かりやすくなった分、女性ヴォーカルものとして普通に聴きやすくなっているが、
個性の点ではやや減退したか。モダンなゴシック風メタルとしてはなかなかの好作だとは思う。
シンフォニック度・・8 女性Vo度・・8 楽曲・・7 総合・・8
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Niobeth「The Shining Harmony of Universe」
スペインのシンフォニックメタルバンド、ニオベスの2009作
クラシカルなシンセにオペラティックな女性ヴォーカルの歌声、
ときにProgMetal的な変則リズムや展開を覗かせながら、
Nightwishなどに通じる美麗なシンフォニックメタルを構築。
メタリックな激しさよりは優雅なオペラを見ているようなシアトリカルな質感があり、
ややバタバタしている部分もあるが、しっとりとしたピアノを聴かせるパートなど
起伏に富んだ楽曲には、今後の可能性を感じさせる魅力的な部分もある。
22歳というイテア嬢のヴォーカルも含めて、まだまだ伸びしろのありそうなバンドだ。
クラシカル度・・8 シンフォニック度・・7 女性Vo度・・7 総合・・7.5
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Diabulus In MusicaSecrets」
スペインのシンフォニック・ゴシックメタルバンド、ディアブルス・イン・ムジカの2010作
シンフォニックなシンセにかつてのNightwishを思わせるオペラティックな女性ヴォーカルの歌声、
壮麗なコーラスやデスヴォイスも絡んだ、重厚かつ耽美なサウンドは、
モダンなヘヴィさにヴァイオリンやチェロなどのクラシカルなテイストも加わって
EPICAを思わせるシンフォゴシックの世界観にTHERIONの荘厳さが合わさった感じか。
女性Voでしっとりと聴かせる曲や、反対にブラックメタルばりの疾走パートなどもあり、
デビュー作としてはこれはなかなか見事な完成度。期待の新鋭です。
シンフォニック度・・8 耽美度・・8 女性Vo度・・8 総合・・8
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FALLEN SENTINEL「Perpetual」
スペインのシンフォニック・ゴシックデス、フォーレン・センティネルの2010年作
2人の女性キーボード奏者を擁する6人編成で、シンフォニックな美麗さと
耽美なゴシック要素も含んだサウンドで、ストリーリー的な展開力もある。
デス声に絡む女性Voがいくぶん弱い感じもあるが、プログレメタル的なリズムチェンジ、
緩急のついた楽曲とツインシンセ、ツインギターによる厚みのある音はなかなか壮麗でよろしい。
ゴシック寄りになったCradle of Filthという感じもある。楽曲に魅力がつけばいいバンドになるだろう。
シンフォニック度・・8 暴虐度・・7 ドラマティック度・・8 総合・・7.5
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FOREVER SLAVE 「ALICE'S INFERNO」
スペインのゴシックメタルバンド、フォーエヴァー・スレイブの2005作
この耽美なジャケからして、もうゴシックファンを惹きつけているが、内容のほうもなかなかよろしい。
サウンドは暗すぎず重すぎず、シンフォニックなキーボードがとても美しいし
この手にしてはリズムも速い方なので、ノロいゴシックが苦手な方でも聴けそう。
そして、アンジェリカ嬢のエンジェリックヴォイスがまたたまらないときた。。
しっとりとしたピアノやヴァイオリンなども効果的に、メランコリックな叙情をかもしだしており
全体的に新人にしては雰囲気のつけ方が見事。これはゴシック界では久々に期待の新人だ。
シンフォニック度・・8 ゴシック度・・8 女性Vo度・・8 総合・・8
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NEXX「Another Dawn」
スペインの女性Voメロディアスハードバンド、ネックスの2nd。2006作
伸びやかな女性ヴォーカルの歌声を中心に聴かせる、正統派メロハースタイル。
キャッチーなメロディが耳に心地よく、英語で歌われているのこともあって、
スペインという地域性はほとんど感じない。うるさすぎないシンセアレンジに
ギターのフレーズにもセンスがある。軽すぎず重すぎない音のパランスもよろしい。
DANTE FOXあたりが好きな方にもぜひ聴いて欲しい。
メロディアス度・・8 正統派メロハー度・・8 女性Vo度・・8 総合・・8
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STRAMONIO「MOTHER INVENTION」
スペインのプログレメタルバンド、ストラモニオの2nd。2002作
楽曲はじっくり聴き込むほどにこのバンドの素晴らしさが分かってくるという奥深いもので、
一聴してメタルファンには軽い音に聴こえるかもしれないが、そのセンスある展開力や
ここぞという時のメロディの活かし方などは相変わらず見事と言っていい。このバンドの場合、
単なるプログレメタルというよりは、色々なジャンルの音を取り込んでいてときおり現れる耳に付くメロディや、
ジャズタッチのピアノやサックスなど、様々な展開が楽しめる。とっつきは悪いかもしれないが
何度か聴くにつれ面白さが分かってくるはずだ。演奏力も抜群。甘いVoの声質もマッチしている。
メロディアス度・・8 プログレ度・・8 楽曲センス・・9 総合・・8
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RUNIC「LIAR FLAGS」
スペインのフォークメタルバンド、ルーニックの2006作
情熱のスペインから現れたのは、フィンランドのKORPIKLANIを思わせる愉快な森のメタル野郎ども。
耳障りなダミ声ヴォーカルに、けっこうメタリックでまともなギターリフ、バックにはうっすらとしたシンセ、
そしてそこに絡むフルートやバグパイプが、ミスマッチな感触とともにフォーキーな雰囲気をかもしだす。
曲によってはギターリフのフレーズが普通に格好良く、案外シンフォメタル的な部分もあったりして
そのあたりはコルピよりもしっかりとメタルとして楽しめるのが嬉しい。なかなかの力作だ。
メロディアス度・・8 フォーキー度・・7 案外ちゃんとメタルです度・・8 総合・・8
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Ars Amandi「El Rincon de los Deseos」
スペインのフォークメタルバンド、アルス・アマンディの2010年作
やわらかなメロディで聴かせる、キャッチーなスパニッシュメタルで、
フォーキーなパイプや笛の音色も含めて、とても牧歌的な優しいサウンド。
楽曲的にずいぶん洗練されてB級臭さがなくなり、これまでになくクオリティの高さが光る。
MAGO DE OZなど、他のフォーキーメタルバンドと比べても遜色のない仕上がりだ。
メロディアス度・・8 フォーキー度・・7 スパニッシュ度・・8 総合・・8




Angelus Apatrida「Clockwork
スペインのスラッシュメタル、エンジェラス・アパトリダの2010年作
ザクザクとしたツインギターのリフで疾走するオールドスタイルのスラッシュメタルで、
切れ味のよいクールなリフにはDESTRUCTIONあたりに通じる知的な感触がある。
若手らしい勢いの良さとオールドスラッシュへの敬意を感じさせつつ、
モダンな構築感とのバランスもよく、激しさだけではないセンスの良さが光る。
デイブ・ムステインとシュミーアの中間といった感じのヴォーカルのがなり声も
サウンドによくマッチしていて、すべてのスラッシュ好きが気に入るだろう好作である。
ドラマティック度・・7 疾走度・・8 オールドスラッシュ度・・8 総合・・8
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◆プログレ系もいかが

ATILA 「INTENCION+REVIURE」
スペインのプログレバンド、アッティラの2nd+3rd。1976、1999(1978)作
スペインのハードシンフォニック、というとまず思い浮かぶのはBLOQUEであるが、
このハバンドはブロッケに比べキーボードの活躍が多く、そこにややブルージーで
HR色のあるギターがかぶさり、全体的にもドラマテイックで哀愁漂う楽曲を構築している。
10分を超える大曲も多いが、とくに3rdのライブ再現においては、演奏のテンションに加え、
楽曲のドラマティック性と緊張感から中だるみせずに聴き通せる。
本作は2ndのリマスターに3rdの楽曲を1999年にライブで再現した音源のカップリングとなっている
シンフォニック度・・8 プログレ度・・7 楽曲・・8 総合・・8
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TRIANA 「Hijos Del Agobio」
スペインのプログレバンド、トリアーナの2nd。1977作
暑苦しいまでのスパニッシュロックを見せつける傑作だった2ndに比べ
シンセの活躍が増えたことで、音の厚みとともにシンフォニックさがぐんと増している。
フラメンコギターの頻度はやや減ったが、それとともにギターには泣きのフレーズが増した。
スペイン語による歌唱は哀愁を漂わせ、アンダルシアの風をドラマティックに運んでくる。
スパニッシュロックとしては前作であるが、シンフォニックとしてなら本作だろう。
シンフォニック度・・8 プログレ度・・7 スペイン度・・8 総合・・8
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iBiO「CUEVAS DE ALTAMIRA」
スペインのプログレバンド、イビオの1978作
先史時代の壁画が残るスペインにある「アルタミラ洞窟」をコンセプトとしたアルバム。
ソリーナ、メロトロンなどの美しいシンセとアコースティックギター、そしてスペイン語の歌唱による
シンフォニックサウンドで、繊細な音の中にはイタリアンロックにも通じる叙情性がある。
たおやかなピアノにかぶさる泣きのギターや、軽やかなジャズロック風味もあり、
全体的にインパクトや派手さはさほどないもののじっくりと聴け、飽きさせない作品だ。
スペイン臭さも薄いので初心者にも勧められる。なおバンドは2006年に28年ぶりとなる2ndを発表。
メロディアス度・・8 叙情度・・8 スペイン度・・7 総合・・8
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Bloque 「El Hijo Del Alba」
スペインのプログレバンド、ブロッケの3rd。1981年作
2nd「人類,地球そして心」はかつてキングから日本盤が出ていたが、
トータルな完成度ではむしろ本作が最高作だろう。美しいシンセと繊細なギターのつまびきで、
Camelばりの叙情を聴かせつつ、ツインギターによるハードロック的な質感も入ってきて、
スペイン語の歌声とシンフォニックな要素が合わさったサウンドは、なかなかドラマティック。
随所にフラメンコ的な旋律もまじえつつ、メロディックなフレーズを聴かせるギターが魅力的だ。
HRファンにも楽しめるスパニッシュ・ハードプログレの傑作である。
メロディック度・・8 プログレ度・・7 スパニッシュ度・・8 総合・・8
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*スパニッシュ(スペイン語)メタル特集
*スペインのプログレCDレビュー
も併せてご覧ください