ロシア系女性ヴォーカル・シンフォニックメタル



WITHIN TEMPTATIONNIGHTWISHEPICAといったバンドの世界的な成功により、女性ヴォーカルをフロントにした
フィメール系シンフォニックメタルやゴシックメタルは、ロシアをはじめとする東欧諸国にも広がりを見せている。
美しい女性ヴォーカルとロシア語の響きも相まって、ほどよく辺境感のある壮麗なサウンドはとても日本人好みである。
ここでは、近年増えているロシアやウクライナ、ベラルーシのシンフォニックメタル、ゴシック、ペイガンメタルの中でも、
女性ヴォーカルが在籍する優美なサウンドを描くバンドをセレクトして紹介したい。   2021.10 緑川とうせい


◆シンフォニック&メロディック系

5 ELEMENTS( 5 Стихий) 「Phoenix (Феникс)
ロシアのメロディックメタル、ファイブ・エレメンツの2008年作
正統派のギターにうっすらとしたシンセ、母国語による女性ヴォーカルを乗せたメロディックメタルサウンド。
キャッチーなメロディと透明感のあるアレンジは、ストラト、ソナタ系の北欧メロパワの感触で、
ハスキーな女性ヴォーカルの伸びやかな歌声もなかなか魅力的だ。楽曲はミドルテンポ主体だが、
スローテンポのバラードなども、情感豊かなロシア語の歌声でじっくりと楽しめる。
演奏面での辺境臭さはなく、クオリティも高いので、ロシアンメタル入門用にもよい好作品です。
メロディック度・・8 正統派度・・8 女性Vo度・・8 総合・・8
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Judgement Day (Судный День) 「Dark Prophecy(Чёрное Пророчество)
ロシアのシンフォニックメタル、ジャッジメント・デイの2008年作
シンセをバックにツインギターの流麗なフレーズと、女性ヴォーカルの歌声を乗せて疾走、
シンフォニックなアレンジといくぶんダークな世界観でパワフルに聴かせるサウンド。
母国語の歌声はいかにも辺境的ながら、歌メロのメロディアスさやギターのクサメロなどで
初期のDARK MOORを思わせる聴き心地がある。ファンタジックで壮麗な世界観と濃密な作風で
作品としてのクオリティもなかなか高い。CATHARSISに続いて期待のバンドがロシアから現れた。
メロディアス度・・8 疾走度・・8 女性Vo度・・8 総合・・8

Narwhal Tusk「In Despair」
ロシアのシンフォニックメタル、ナーワル・タスクの2010年作
クラシカルなシンセワークと美声の女性ヴォーカルで聴かせる壮麗なシンフォニックメタル。
Nightwishを思わせる美麗なシンセアレンジにクラシカルでやわらかな優雅さが加わって、
ゆったりとした聴き心地のサウンドだ。女性Voの歌唱も英語歌詞なので違和感なく楽しめる。
楽曲やメロディがいくぶんありきたりなことや、ときどき男性ヴォーカルもでてきたりと、
多少の不満はあるものの、シンフォニックな美しさは魅力であるし、今後に期待したいバンドだ。
シンフォニック度・・8 美麗度・・8 女性Vo度・・8 総合・・7.5
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SOLAR 「AT THE DAWN」
ロシアのシンフォニックメタル、ソラーの2011年作
2009年の作品にボーナストラックを加えて再発したもので、
女性ヴォーカルのロシア語の歌声と、シンセによる美しいアレンジで聴かせるサウンド。
クサメロのギターとともに、いくぶんローカルな辺境臭さも味わいになっていて、
フルートやヴァイオリンが入ったクラシカルな優雅さとフォーキーな感触もいくぶんある。
ドラムも含めて全体的に軽めの音なのだが、この手が好きな方ならにんまりだろう。
メロディック度・・8 辺境度・・8 女性Vo度・・8 総合・・7.5
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Eihwaz 「Amadeus」
ロシアのシンフォニックメタル、エイワズの2012年作
美麗なシンセアレンジと、美しい女性ヴォーカルの歌声で聴かせる、
随所にメロスピ的な疾走も含んだ、優雅なシンフォニックメタルサウンド。
クラシカルなシンセがかもしだすロマンティシズムは、日本のCROSS VEINあたりにも通じる、
気品ある美意識を感じさせるが、歌にロシア語がまじってくると、ぐっと異国的な優美さに包まれる。
イントロとボーナス曲を除くと6曲しかないのが物足りないのだが、今後が楽しみなバンドですな。
美麗系のフィメール・シンフォメタルが好きならチェック。CatharsisのVoらがゲスト参加している。
シンフォニック度・・8 優雅度・・9 女性Vo度・・8 総合・・7.5

VALKYRIA(ВАЛЬКИРИЯ) 「святым огнём」
ロシアのシンフォニックメタル、ヴァルキリアの2012年作
シンフォニックな美麗さとロシア語の女性ヴォーカルで聴かせる優美なサウンド。
ギターなどは適度にヘヴィさはあるものの、どこかやぼったい辺境感とのミスマッチに
ドタバタとした楽曲構築も含めて、いかにもロシアっぽいB級っぽさが漂っている。
一方では美しい女性声で聴かせるしっとりとした部分はけっこう魅力的でもあり、
エキセントリックな展開力には不思議なスケール感を覚えるようなところもある。
シンフォニック度・・8 辺境度・・8 女性Vo度・・8 総合・・7.5

VADIKAN 「Hydrargyrum」
ロシアのメロディックメタル、ヴァディカンの2013年作
女性ヴォーカルの歌声とヘヴィなギターリフを主体に、適度にモダンでゴシック的な叙情も含んだサウンド。
シンセが入らないので、シンフォニックな感触は薄く、音質のせいもあっていくぶんスカスカな感触。
女性声の魅力という点でもいまひとつで、全体的にローカルな安っぽさに包まれているのが残念。
ドラマティック度・・7 女性Vo度・・7 楽曲・・7 総合・・7
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ANDEM (Андем)「Winter Tears (Зимние слёзы)
ロシアのメロディックメタル、アンデムの2013年作
女性Voに女性シンセ奏者を擁する5人編成で、ジャケのからして日本的なのだが、
その日本的な旋律を含んだイントロから、きらびやかなシンセアレンジにロシア語の女性ヴォーカルを乗せた
キャッチーなシンフォニックメタルを聴かせる。楽曲は3〜4分台中心と、わりとシンプルな構成で
インストパートにさほど魅力的な部分がないのだが、歌メインの作風なので普通に聴きやすい。
疾走する部分はほとんどないので、むしろシンフォニックな女性声ハードロックという感じもある。
メロディック度・・8 女性Vo度・・8 楽曲・・7 総合・・7.5
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EMERADA「Time of Darkness」
ロシアのメロディックメタル、エメラダの2013年作
適度にヘヴィなギターとシンセを含んだアレンジに、ソプラノ女性ヴォーカルに男性ダミ声が絡む
いくぶんダークでゴシック的な感触もあるサウンド。楽曲はミドルテンポ主体で、
それなりに壮麗でパワフルなのだが、メロディや盛り上がりがいまひとつに煮えきらない。
女性声の美しさはとてもいいので、それを活かしたシンフォニックメタル路線を期待したい。
メロディック度・・7 シンフォニック度・・7 女性Vo度・・7 総合・・7.5
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HiddeN 「[Anti] Utopia」
ロシアのシンフォニックメタル、ヒドゥンの2014年作
美麗なシンセアレンジにギターを重ね、美しいソプラノ女性ヴォーカルを乗せた壮麗なサウンド。
適度にモダンな硬質感とリズムチェンジを含んだ展開力もあって、随所に男性デス声も絡みつつ
優雅さとアグレッシブさが同居した、シンフォニックなプログレメタルとしても楽しめる。
ヴォーカル嬢の伸びやかな歌声は魅力的で、EPICAのシモーネ嬢にも勝るとも劣らないだろう。
歌詞は英語なので、辺境臭さはさほどないのだが、細かなアレンジの部分ではマイナー臭さも残していて、
今後は楽曲の魅力の向上が課題だろう。素晴らしい女性声をさらに活かすような作風に期待したい。
ドラマティック度・・8 壮麗度・・8 女性Vo度・・8 総合・・7.5
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SVARUN (Сварун)「The Legacy Vol. I: The Land」
ロシアのシンフォニックメタル、スヴァランの2014年作
ロシアの他、セルビアやノルウェー出身のメンバーもいるという多国籍プロジェクト。
オーケストラルなアレンジを含んだスケール感とメタリックな重厚さに包まれた作風で
男女ヴォーカルによる母国語の歌声を乗せた、オペラティックメタル的な美麗な世界観。
疾走感はあまりないどっしりとした聴き心地と、美しい女性声によるゴシックメタル風味もあり、
雰囲気としては「ロシア版セリオン」という言い方もできるかも。13分という大曲も案外しっとりとした感じで
もう少し派手な盛り上がりもあってもよいとは思うが、全体的に女性ヴォーカルがメインなので優美な聴き心地です。
シンフォニック度・・8 重厚度・・8 壮大度・・8 総合・・7.5
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ALKASAR (АЛЬКАСАР)
ロシアのシンフォニックメタル、アルカサルの2014年作
ほどよくヘヴィでメロディックなギターに母国語の女性ヴォーカルを乗せた優雅なメタルサウンド。
シンフォニックというほどにはシンセが派手ではないで、全体的にわりとメロパワ寄りなのだが、
いくぶん翳りを帯びたウェットな雰囲気が、辺境なマイナー感と幻想的な味わいを描いている。
疾走感のあるナンバーから、ゆったりとした叙情パートまで、激しすぎない聴き心地で、
なよやかな巻き舌ヴォーカルを中心に、女性声メタルとしての優美なサウンドが楽しめる。
シンフォニック度・7 疾走度・7 女性Vo度・7 総合・7.5

Emerald Mind「Civilization」
ロシアのシンフォニックメタル、エメラルド・マインドの2015年作
適度にメタリックなギターにシンセを重ね、美しいソプラノ女性ヴォーカルを乗せたキャッチーで優美なサウンド。
ときにメロスピ的な疾走パートも含みつつ、あくまで優雅な聴き心地で、ヘヴィになり過ぎないところがよろしい。
メロディックなギターフレーズも随所にアクセントになっていて、なよやかな女性ヴォーカルの魅力とともに、
Nightwishをややライトにしたような感じでも楽しめる。重厚なドラマ性と言うのはあまりないのだが、
オペラティックな女性声でキャッチーなシンフォニックメタルが味わえる、これはなかなかの逸品です。
シンフォニック度・・7 キャッチー度・・8 女性Vo度・・8 総合・・8
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SOLREID 「OPENING PRICE (Цена Открытий)」
ロシアのシンフォニックメタル、ソルレイドの2016年作
オーケストラルで壮麗なイントロから、メタリックなギターにきらびやかなシンセアレンジ
母国語による美しいソプラノ女性ヴォーカルとともに、疾走感のあるシンフォニックメタルを聴かせる。
紅一点、Victriel嬢の歌声は、なよやかな高音のソプラノで、楽曲を華やかな彩っており、
ゴージャスなシンセアレンジとともに随処にメロディックなギタープレイも光っている。
メロディック・スピードメタルばりの疾走感もあるので、激しめのシンフォニックメタルが好きな方にも対応。
全25分というEPであるが、演奏力、歌唱の実力ともに充分で、今後のフルアルバムに期待したい。
シンフォニック度・・8 壮麗度・・9 女性Vo度・・8 総合・・8

Sanctorium「Tessellation Of The Universe」
ロシアのシンフォニックメタル、サンクトリウムの2017年
女性Vo、女性Keyを含む7人編成で、クラシカルなピアノを含むシンセにツインギターを重ね、
美しい女性ヴォーカルに男性デスヴォイスが絡む、壮麗なシンフォニックメタルを聴かせる。
耽美なクラシカル性と重厚な迫力が同居したサウンドは、EPICAなどを思わせるが、
随所に混声コーラスも加えた、HAGGARDTHERIONなどに通じる大仰な雰囲気もある。
Daria嬢の伸びやかな歌声には爽快な魅力があって、Delainのシャルロッテさんを思わせるところも。
正直デスヴォイスはあまりいらない気もするのだが、ほどよくアグレッシブな展開力とともに、
ドラマティックな荘厳さとモダンなヘヴィネスが同居した濃密な作風で楽しめる強力作。
シンフォニック度・・9 クラシカル度・・8 女性Vo度・・8 総合・・8
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THE SIGN OF AMPERSAND 「Dark Shades of Mystery」
ロシアのシンフォニックメタル、サイン・オブ・アンパーサンドの2017年作
適度にヘヴィなギターと美麗なシンセアレンジに、美しい女性ヴォーカルの歌声を乗せ、
ゴシックメタル的でもある耽美な世界観も感じさせる。ヴォーカルは英語のため辺境的な味わいは薄く
ギターにはモダンな硬質感もあって、「マイナーなNightwish」という感じでも楽しめるかもしれない。
紅一点、DINA嬢の歌声は、優雅なメゾフプラノでよいのだが、楽曲的には、どうも盛り上がり切らない
煮え切らなさがあって、メロディや展開にもう少し魅力が欲しい気もする。今後に期待しましょう。
シンフォニック度・・7 ゴシック度・・7 女性Vo度・・8 総合・・7.5
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Last Performance 「Allegiance to Fall」
ロシアのシンフォニックメタル、ラスト・パフォーマンスの2017年作
オーケストラルで壮麗なイントロから、メタリックなギターにシンフォニックなシンセを重ね、
美しいソプラノ女性ヴォーカルの歌声で華麗なサウンドを描きつつ、ときに激しく疾走する
ほどよくアグレッシブな激しさに、緩急あるリズムチェンジとともに知的な構築力も覗かせる。
ゴシックメタル寄りの耽美な世界観や、いくぶんProgMetal的でもある展開美も同居していて、
7〜8分前後の長め楽曲でも、流麗なギターと女性奏者によるクラシカルなシンセワークも美麗で、
インストパートも充実していて飽きさせない。Nadezhda嬢のソプラノも艶めいた美しさでなかなか魅力的。
しっとりと聴かせるアリアのような優美なナンバーにもウットリである。女性声シンフォメタル好きはぜひ。
シンフォニック度・8 壮麗度・9 女性Vo度・8 総合・8
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HARVEST TIME (Время Жатвы)「To rise Tomorrow The Sun」
ロシアのシンフォニックメタル、ハーヴェスト・タイムの2018年
メタリックなギターに美麗なシンセを重ね、なよやかなソプラノ女性ヴォーカルの母国語の歌声で、
優美なシンフォニックメタルを聴かせる。巻き舌発声の美しい女性声とシンセが奏でる土着的なメロディ、
ほどよく辺境的でマイナーな空気感とともに、ときにゴシック寄りの耽美な世界観も感じさせつつ、
後半にはメロスピばりの激しい疾走ナンバーもあったりと、なかなか緩急ある作風で楽しめる。
どちらかというと、ARKONAが優雅になったようなイメージか。これぞロシアンなシンフォニックメタル。
シンフォニック度・・7 辺境度・・8 女性Vo度・・8 総合・・8
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AURA 「Evil Magic (Злая магия)」
ロシアのシンフォニックメタル、オーラの2019年作
2013年にデビュー、2作目となる本作器、二人の女性Vo、女性フルート奏者を含む8人編成となり、
メタリックなギターに美麗なシンセ、母国語による女性ヴォーカルにダミ声ヴォーカルが絡む、
優美なシンフォニックメタルを聴かせる。きらびやかな優雅さと激しい疾走感もある楽曲に、
二人の女性シンガーの美しいソプラノと伸びやかなコケティッシュヴォイスという対比も楽しめる。
アコースティックギターにやわらかなフルートが鳴り響き、ソプラノヴォーカルとともに聴かせる
しっとりとしたナンバーもアクセントになっていて、一方ではアグレッシブな展開のナンバーもあり
前作以上にメリハリに富んだ内容になっている。華やかな女性声シンフォニックメタルの好作品。
シンフォニック度・・8 優雅度・・9 女性Vo度・・8 総合・・7.5 過去作のレビューはこちら
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MYSTERYA 「SIMBIONT」
ウクライナのシンフォニックメタル、ミステリアの2013年作
女性Voに女性Key奏者を含む5人編成で、美しいシンセアレンジに母国語の女性ヴォーカルを乗せた
優美なシンフォニックメタル。メロディのフックには東欧らしい翳りを覗かせる叙情性と
クラシカルな優雅さが感じられて、しっとりとした聴き心地で楽しめる。ギターのリフがやや凡庸なのと、
重厚さの点ではやや物足りなさもあるのだが、キャッチーな歌ものとして鑑賞すれば、これはこれでよいのかもしれない。
曲によって情感を表現するヴォーカル嬢の歌唱力も含めて、今後が楽しみなフィメール・シンフォメタルの新鋭です。
シンフォニック度・・8 優雅度・・8 女性Vo度・・9 総合・・7.5

SUNCROWN 「You Are Not Alone」
多国籍メンバーによるプロジェクトバンド、サンクラウンの2014年作
ウクライナ人シンセ奏者を中心に、アメリカやブラジル、オランダ、トルコ、ノルウェーから集まったメンバーによる作品で、
本作が2作目となる。のっけからシンフォニックなアレンジと男女ヴォーカルの歌声で壮麗なサウンドが広がってゆく。
前作に比べて楽曲におけるドラマティックな展開とメロディのフックに魅力が増し、作品しての重厚な説得力が強まっていて、
やわらかなフルートの音色やストリングスなどによる繊細な美しさも含んだ、メリハリのある流れも堂々たるものだ。
そしてなにより女性ヴォーカル、ジュリアナ嬢の歌声がとても美しい。ラストはRAINBOW“Gates Of Babylon”のカヴァー。
男女Voとメロディックかつドラマティックなアレンジ、壮大なスケール感に包まれたシンフォニックメタルの力作ですよ。
シンフォニック度・・8 ドラマティック度・・8 壮大度・・8 総合・・8
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Scarleth 「The Silver Lining」
ウクライナの女性Voシンフォニックメタル、スカーレスの2015年作
2011年にデビューし、2作目となる。女性ツインヴォーカルにツインシンセという編成で、
美麗なシンセアレンジに伸びやかな女性ヴォーカル、女性グロウルを乗せて疾走する、
アグレッシブなシンフォニックメタルを聴かせる。激しい疾走感もある一方で、曲によってはゴシックメタルや
フォークメタル寄りの雰囲気もあったり、翳りを帯びた雰囲気は東欧のバンドらしい。モダンなヘヴィネスと
メロスピ的な疾走感、クラシカルなシンセワーク、魅力的な女性声が同居したなかなかの好作品です。
ドラマティック度・・7 疾走度・・7 女性Vo度・・8 総合・・8
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Kliodna 「The Dark Side...(...Of The Stories)」
ベラルーシのシンフォニックメタル、クリーオドナの2016年作
美麗なシントロで幕を開け、ツインギターに美しい女性ヴォーカルを乗せ、適度に疾走感のある、
シンフォニック・パワーメタルを聴かせる。紅一点、スヴェトラーナ嬢のオペラティックな歌声と、
パワフルなサウンドのコントラストで、壮麗にして重厚なサウンドを描き出しながら、
ときにフォーキーで土着的な旋律も覗かせる。東欧らしい翳りと湿り気を含んだ世界観に、
Nightwishのフロールにも通じる表現力ある女性ヴォーカルの歌声も素晴らしく、
スローからミドルテンポのナンバーも説得力十分。激しさと優雅さが同居した逸品です。
シンフォニック度・・8 壮麗度・・8 女性Vo度・・8 総合・・8
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ALCYONA 「TRAILBLAZER」
ベラルーシのシンフォニックメタル、アルシオナの2018年作
女性Vo、女性シンセ奏者を含む5人編成で、美麗なシンセアレンジに伸びやかな女性ヴォーカルを乗せた、
EDENBRIDGEにも通じる優美なシンフォニックメタル。メロディックなギターフレーズも随所に覗かせつつ、
なにより、なよやかで魅力的なソプラノ女性ヴォーカルの歌声が、このサウンドにとてもよくマッチしている。
これだという新鮮なものはないですが、ファンタジックなジャケやメロディのフックも含めて全体的にも高品質。
母国語でしっとりと歌われるラスト曲もよいですね。女性声シンフォメタル好きにはたまらない好作品です。
シンフォニック度・・8 優美度・・8 女性Vo度・・9 総合・・8
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◆ゴシックメタル系

Septem Voices「For You (ДЛЯ ТЕБЯ)
ロシアのゴシックメタル、セプテム・ヴォイシズの2009年作
美麗なシンセに女性ヴォーカルのロシア語の歌声で聴かせるサウンド。
ストリングスのアレンジとともにクラシカルな優雅さがじつに美しい。
はかなげな女性ヴォーカルが適度にマイナー臭さをかもしだしていて、
涼やかな翳りを含んだ叙情がとてもよろしい。優美なる好作品です。
シンフォニック度・・8 ゴシック度・・8 女性Vo度・・8 総合・・8
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Sea of Despair 「Море отчаяния」
ロシアのゴシックメタル、シー・オブ・デスぺアーの2009年作
叙情的なギターの旋律にヴァイオリンやチェロが絡み、美しい女性ヴォーカルに男性デスヴォイスが絡む、
メランコリックな味わいの正統派ゴシックメタルを聴かせる。フューネラルな重厚さも感じさせつつ、
ギターの奏でるメロディとクラシカルなストリングス、母国語によるソプラノ女性Voが耽美な優雅さをかもしだし、
ほどよく辺境らしいマイナーな空気にも包まれる。10分前後の大曲もいくつかあって、ゆったりとした聴き心地の中に、
美しいピアノとメロウなギターフレーズが物悲しい叙情を描き、はかなげな女性ヴォーカルがしっとりと彩りを添える。
デス声パートがわりと多めなのが惜しいが、これぞゴシックメタルという耽美な世界観が味わえる好作品だ。
ドラマティック度・・7 ゴシック度・・8 女性Vo度・・8 総合・・7.5

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Witchcraft「Ash」
ロシアのシンフォニック・ゴシックメタル、ウィッチクラフトの2011年作
きらびやかなシンセアレンジに、美しい女性ヴォーカルの歌声、
男性Voも絡んだモダンなアレンジで、AMARANTHに通じるような聴き心地と、
ゴシックメタル的な雰囲気が融合された作風だ。随所に激しい疾走感もあったり
美しいヴァイオリンにピアノを含んだしっとりとした叙情性や、プログレメタル的な展開など、
いかにも最近のバンドらしいハイブリッドな方向性であるが、もう少しメロディの魅力が欲しい。
シンフォニック度・・7 ゴシック度・・7 女性Vo度・・7 総合・・7.5
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AYIN ALEPH 「AYIN ALEPH II」
ロシア出身の女性シンガー、アイン・アレフの2010年作
このシアトリカルな世界観とエキセントリックな歌声は、いわば気持ち悪い一歩手前なのだが、
個人的にはとても気に入っています。オペラティックなソプラノヴォイスに艶めいた色気や
魔女のような毒気をまとわせた、さながらケイト・ブッシュ化したマリリン・モンローとでもいうべきか。
作品としては、1作目にあった曲からメタル色を抜いて、オペラ仕立てにしたという作りなので、
メタルとして聴くのは無理があるのだが、クラシカルなピアノをバックにした女性ヴォーカルメインの
アヴァンギャルドなゴシックオペラとしてはなかなか楽しめたりする。
メタル度・・1 エキセントリック度・・9 女性Vo度・・8 総合・・7.5
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DARK PRINCESS 「WORLD I'VE LOST」
ロシアのゴシックメタルバンド、ダーク・プリンセスの2012年作
過去3作は、正直ゴシックメタルととしてはいのひとつで、中庸な出来であったのだが、
ヴォーカルが交代しての本作は、モダンなヘヴィロック風味とメロディアスな叙情のバランスがよく、
随所にシンフォニックなアレンジとギターのメロウなフレーズも含んで、楽曲そのもののクオリティも上がっている。
曲は3、4分台が中心でシンプルな聴き心地であるが、ロシア語によるナタリア嬢の歌声も表現力充分で、
これまで以上にサウンドに説得力を付加している。ここにきてやっと好みのバンドになってきた。
メロディック度・・8 ゴシック度・・7 女性Vo度・・8 総合・・8
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LORELEI 「Ugrjumye Volny Studenogo Morja」
ロシアのゴシック・ドゥーム、ローレライの2013年作
ドゥーミィなヘヴィさでゆったりとした曲調に、低音デスヴォイスにオペラティックな女性ヴォーカルの歌声、
随所に泣きのフレーズを奏でるギターとともに、ダークでありながら物悲しい叙情をまとったサウンドだ。
シンセによる美しいアレンジもあって、重厚でありながら美麗な聴き心地をまとっていて、
シンフォニックなゴシックメタルとしても楽しめる。もう少し女性声パートが増えるとさらに嬉しいが、
Swallow the SunDRACONIANあたりが好きな方にもお薦めのゴシック・ドゥームの好作です。
ドラマティック度・・8 ゴシック度・・8 ドゥーミィ度・・8 総合・・8
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COLD SIGHT 「A/H1N1」
ロシアのゴシックメタル、コールド・サイトの2013年作
女性Voとベース&シンセ奏者のユニットで、適度な疾走感とシンフォニックな美しさに
ソプラノ女性ヴォーカルの歌声で聴かせるサウンド。ときおりデスヴォイスが絡みながら
美しいソプラノヴォイスがオペラティックな優美さを漂わせつつ、ギターは随所にクサメロを奏でたり、
いくぶんローカルなマイナー臭さも漂わせる。10分を超えるインスト曲など、なかなか構築力はあるので、
サウンド全体がもう少し重厚になると、もっと壮麗な聴き心地になるだろう。
シンフォニック度・・8 優美度・・8 女性Vo度・・8 総合・・7.5


Eden 「Memories」
ロシアのゴシックメタル、エデンの2015年作
女性Vo、女性ヴァイオリン奏者、女性ベーシストを含む5人編成で、美麗なシンセにメタリックなギターと
艶やかなヴァイオリンを重ね、なよやかな女性ヴォーカルを乗せた、シンフォニックなゴシックメタル。
Maya嬢の歌声は、DELAINのシャーロット嬢を思わせる美声で、サウンドに優美な彩りを加えており、
歌詞も英語なので辺境感はさほどない。楽曲は4分前後で、わりとあっさりしているが、重すぎずに、
ほどよくキャッチーな味わいで楽しめるのもよい。WITHIN TEMPTATIONなどのファンにもお薦めの逸品です。
シンフォニック度・・8 ゴシック度・・7 女性Vo度・・8 総合・・8
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Little Dead Bertha「Age of Silence」
ロシアのシンフォニック・ゴシック・デスメタル、リトル・デッド・バーサの2018年作
男女Voに、女性シンセ奏者を含む6人編成で、美麗なイントロで幕を開け、メタリックなギターに
シンフォニックなシンセアレンジを重ね、低音デスヴォイスを乗せた激しいブラスト疾走に、
美しいソプラノ女性ヴォーカルが絡むという濃密なサウンド。ゴシックメタル的な耽美さと、
ブラックメタルばりの激しさが同居した作風で、クラシカルで優雅なシンセワークに
艶めいた女性ヴォーカルもなかなか魅力的だ。激しく疾走する荘厳な迫力とともに、
女性声のコーラスが加わって、THERIONのような壮麗なサウンドになる、強力作デス。
シンフォニック度・・8 激しさ度・・8 耽美度・・8 総合・・8
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THE LUST 「HONEST」
ロシアのゴシックメタル、ラストの2020年作
2004年にデビュー、本作は7作目となる。メタリックなギターリフに美麗なシンセを重ね、
艶めいた女性ヴォーカルの歌声で聴かせる、シンフォニックなゴシックメタルサウンド。
楽曲は3〜4分前後とわりとシンプルであるが、メロディックなギタープレイやクラシカルなピアノなど、
壮麗な音の厚みとともにサウンドの説得力もあるのは、さすがキャリアのあるバンドというところ。
モダンでキャッチーなノリと耽美な雰囲気が同居したところは、WITHIN TEMPTATIONEVANESCENCEなどに通じるところもあり、
歌詞が英語であるので多くのリスナーにアピールするだろう。さほど新鮮味はないが、メロディックな聴きやすさで楽しめる好作品だ。
ドラマティック度・・7 ゴシック度・・8 女性Vo度・・8 総合・・8 過去作のレビューはこちら
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DELIA 「Recollection」
ウクライナのシンフォニック・ゴシックメタル、デリアの2012年作
女性ヴォーカルの歌声と美しいシンセアレンジで聴かせる、ゴシックメタルサウンド。
随所に土着的なクサメロ奏でるギターに、紅一点、アナスタシア嬢の歌声は、
いくぶん素人っぽいヘタウマ感があって、そのマイナー臭さが辺境的な味にもなっている。
楽曲は3、4分台が中心で、正直、これといったインパクトはないので、もう少し大仰さというか、
情感的な盛り上げが欲しい。あとはやはり女性声のレベルアップが肝心ですな。
シンフォニック度・・7 ゴシック度・・7 女性Vo度・・7 総合・・7
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EDENIAN 「WINTER SHADES」
ウクライナのゴシックメタル、エデニアンの2012年作
男女二人のユニットで、美しいシンセアレンジと可憐な女性ヴォーカルの歌声に男性デスヴォイスが絡む、
正統派の男女Voゴシックメタル。ドラムは打ち込みであるが、全体を包むもの悲しい世界観と、
美麗なシンセに包まれたサウンドは、ジャケのイメージのように強固な幻想性を持っている。
ゴシックメタル黎明期のような、古き良き正統派のスタイルが好きな方にはオススメ。
メロディック度・・7 ゴシック度・・9 女性Vo度・・8 総合・・8
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I MISS MY DEATH「IN MEMORIES」
ウクライナのゴシックメタル、アイ・ミス・マイ・デスの2014年作
クラシカルなピアノとシンセのイントロから、ソプラノ女性ヴォーカルに男性デス声が重なり、
重厚なギターリフとバロック的なシンセの旋律で、どっしりと耽美なゴシックメタルを描いてゆく。
東欧らしい翳りを帯びた空気感に包まれつつ、スローテンポだけではないほどよく激しいノリもあって、
7〜8分前後の長い曲を起伏に富んだ展開で構築する力量もある。エレーナ嬢の美しいソプラノは
楽曲のクラシカルなアレンジによく似合っていて、デス声との対比で可憐に引き立っている。
ボーナスのモーツァルト「レクイエム-涙の日」のカヴァーを含む、全75分という力作です。
クラシカル度・・8 ゴシック度・・8 女性Vo度・・8 総合・・8
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MIZANTROPIA 「OBLIVION (Забвение)」
ウクライナのゴシックメタル、ミザントロピアの2015年作
2010年にデビューし2作目となる。女性Vo、女性Drを含む編成で、ツインギターに美しいシンセ、
妖艶な女性ヴォーカルにスクリームが絡む、妖しくもダークなゴシックメタルサウンド。
母国語による美しいソプラノヴォーカルに優美なピアノ、男女のスクリームヴォイスとともに、
東欧らしい翳りを帯びた耽美な空気に包まれる。ときにアグレッシブな激しさも覗かせつつ、
クラシカルなシンセアレンジが優雅に加わって、魅力的な女性声がやわらかに歌い上げる。
シンフォニックな美しさとダークな耽美性で描かれる、母国語女性Voゴシックの逸品です。
ドラマティック度・・8 ゴシック度・・9 耽美度・・9 女性Vo度・・8
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EX ANIMO 「Neverday」
ウクライナのゴシックメタル、エクス・アニモの2016年作
ツインギターに美麗なシンセアレンジ、美しい女性ヴォーカルに男性テスヴォイスが絡む、
シンフォニックで重厚なゴシックメタルサウンド。ジャケのイメージのように耽美な世界観と、
適度にモダンなヘヴィネスが合わさり、どっしりとした本格派の聴き心地が楽しめる。
反面、楽曲の展開にはこれというインパクトがないので、耳に残るメロディがあまりなく、
紅一点、ジュリア嬢の歌声を活かした、しっとりとした叙情ナンバーの方がずっと魅力的。
今後は、楽曲自体の魅力を高めるとともに、サウンド全体の説得力を強めていって欲しい。
ドラマティック度・・7 ゴシック度・・8 女性Vo度・・8 総合・・7.5
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◆ペイガン&フォークメタル系

EQUINOX 「SWITEZ」
ロシアのフォークメタル、イクイノクスの2015年作
美麗なシンセとバグパイプが鳴り響くイントロから、ほどよくヘヴィなギターにヴァイオリンを重ね、
伸びやかな女性ヴォーカルの母国語の歌声で聴かせる、キャッチーな味わいのフォークメタル。
随所に激しい疾走感もあって、ときにソプラノも使い分けるAlla嬢の凛とした歌唱力とともに、
パワーメタル的なフォークメタルという、ノリのよいサウンドが楽しめる。9分の大曲ではどっしりとした
シンフォニックメタル的な雰囲気もあり、アコースティックを含むギターのセンスもなかなかのもの。
表現力ある女性声が素晴らしい、パワフルなメタル感触と幻想的な土着性が同居した好作品だ。
メロディック度・・8 フォーキー度・・7 女性Vo度・・8 総合・・8
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FFERYLLT 「Achanterez」
ロシアのフォークメタル、フェリールトの2015年作
前作はシンフォニックかつ重厚な力作だったが、3作目となる本作もケルティックなバグパイプの音色から始まり、
優美なホイッスルの音色にシンセが重なる幻想的なイントロから引き込まれる。美しい女性ヴォーカルの歌声に
迫力あるデスヴォイスが絡み、ほどよいヘヴィさとシンフォニックな味わいの美麗なペイガンメタルを展開する。
ストリングスによるアレンジなども含めて、スケール感のあるドラマ性も感じさせ、パイプやホイッスルによる
本格派のフォーク要素が見事に融合されたクオリティの高さは、この手のバンドの中では屈指といってよい。
男性デス声メインの勇壮な重厚さと、女性声メインの優美さとのコントラストも含めて、聴きごたえのある力作だ。
ドラマティック度・・8 フォーキー度・・8 女性Vo度・・8 総合・・8 
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SMUTA (Смута) 「The Way (Путь)」
ロシアのフォークメタル、スムタの2015年作
女性Voに女性シンセ奏者を含む6人編成で、男性デスヴォイスに美しい女性ヴォーカル、
シンフォニックなシンセアレンジにホイッスルが鳴り響く、重厚なフォークメタルサウンド。
ドラマティックな幻想性に包ませた作風はARKONAあたりにも通じる雰囲気で、
適度に疾走感を含みつつ、激しさと叙情性のバランスがとれたクオリティの高さは見事。
ロシア語による女性ヴォーカルメインの曲などは、フィメールシンフォニックメタル好きにもアピールするだろう。
楽曲自体は3〜4分台なので、個人的には1、2曲くらい大曲があればより作品としてのボリュームができると思う。
ドラマティック度・・8 重厚度・・8 ペイガン度・・8 総合・・8
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VEDA (Веда)「В краях былин」
ロシアのフォークメタル、ヴェーダの2017年作
女性Voにシンセを含む6人編成で、過去2作も優雅さと激しさが同居した力作であったが
3作目となる本作も、美麗なシンセにロシア語の女性ヴォーカルを乗せたシンフォニックな壮麗さと
武骨なデスヴォイスを加えた重厚な激しさが合わさった、質の高いフォークメタルサウンドを聴かせる。
やわらかなフルートの音色をオーケストラルなアレンジが包み込み、辺境的な牧歌性を覗かせながら、
美しい女性声とデス声のコントラストで、随所に激しい疾走パートも含んだ迫力のある聴き心地。
この手のバンドの中でもシンフォニックなフォークメタルとしては、非常に高い完成度の傑作である。
ドラマティック度・・8 フォーキー度・・8 壮麗度・・9 総合・・8 
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ALKONOST 「ОКТАГРАММА(Octagram)」
ロシアのペイガンメタル、アルコノストの2018年作
前作に続き自主リリースとなった9作目。美麗なシンセに女性声を乗せたイントロ曲から、幻想的な世界観に包まれる。
ヘヴィ過ぎないギターとシンフォニックなアレンジに、ロシア語の女性ヴォーカルが美しく響き渡る。
全体的にもゆったりと優雅な感触で、神秘的なフォーク・ゴシックメタルとしても楽しめる作風だ。
ギターの奏でるフォーキーなクサメロ感も前作同様に魅力的で、なよやかな女性声が引き立つような
ゆったりとしたナンバーを主体にした、優美で幻想的なサウンドが楽しめる。新鮮味は薄いがさすがの出来です。
シンフォニック度・・8 フォーキー度・・7 女性Vo度・・8 総合・・8
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GRAI「O Zemle Rodnoy」
タタールスタン共和国(ロシア)のフォークメタル、グライの2011年作
女性ヴォーカル、女性シンセ奏者、女性フルート奏者を含む6人組で、フルートの音色を乗せて
メロスピばりに疾走、母国語による女性ヴォーカルの歌声で聴かせる、異国情緒漂うサウンド。
三人の女性によるコーラスワークも美しく、たおやかなフルートの音色が優しく包み込み
じつに耳心地のいいフォークメタルである。しっとりとした叙情と魅力的な女性声にフルート、
疾走するメロスピ要素を融合させた、新しくも美しい女性声フォーキーメタルの傑作。マイスペはこちら
メロディアス度・・8 フォーキー度・・8 女性Vo度・・8 総合・・8
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KALEVALA 「Blizzard (Метель)」
ロシアのフォークメタル、カレヴァラの2017年作
2008年にデビューし、すでにロシアを代表するフォークメタルのバンドのひとつとなった。
本作は5作目で、アコーディオンの音色にヘヴィなギターを重ね、母国語の女性ヴォーカルの歌声で聴かせる、
キャッチーなノリのフォークメタルサウンドはこれまで通り。マンドリンやホイッスルなどの牧歌的な音色を乗せ、
ほどよく激しい疾走感も覗かせながら、ファンタジックでメディーヴァルな世界観を描き出す。
楽曲は3〜4分前後が主体で、わりとシンプルながら、いくぶんハスキーな女性声の魅力とともに、
キャリアのあるバンドらしい音の説得力で、幻想的なフォークメタルが楽しめる。充実の力作である。
メロディック度・・8 フォーキー度・・8 女性Vo度・・8 総合・・8 
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KOT BAYUN 「Сильнее зла(STRONG THAN EVIL)」
ロシアのフォークメタル、コト・バユンの2016年作
美しい女性ヴォーカルの歌声に、アコーディオンの音色、適度にヘヴィでメロディックなギターで聴かせる、
KALEVALAを思わせるキャッチーなサウンド。哀愁を含んだ土着的な叙情性に包まれつつ、
ギターはわりと正統派メタル寄りの感触で、随所にクサメロを奏でてサウンドを彩っている。
楽曲は2〜4分前後が主体で、全体的にシンプルな聴き心地であるが、女性声の魅力を前に出した
優雅な作風という点での方向性は絞れている。濃密すぎないバランスのとれた好作といえる。
メロディック度・・8 フォーキー度・・7 女性Vo度・・8 総合・・8
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Aeterna 「The Legend Begins (Легенда Начинается)」
ロシア、シベリアのフォークメタル、エテルナの2019年作
女性Voに、女性ヴァイオリン、女性フルート&ハープ奏者を含む編成で、やわらかなフルート、ホイッスルに
バグパイプの音色を、メタリックなギターに重ね、ロシア語の女性ヴォーカルで聴かせるフォークメタル。
中音域から美しいソプラノまで使い分ける、アナスタシア嬢の歌声もなかなか魅力的で、
ゆったりとしたナンバーではゴシックメタル的でもあるような耽美な雰囲気も感じさせる。
優雅なハープの音色も美しく、北欧とはまた異なる、辺境的な涼やかな土着性に包まれながら、
モダンなヘヴィネスを融合させ、神秘的でスタイリッシュな女性声フォークメタルが楽しめる逸品です。
ドラマティック度・・8 フォーキー度・・8 女性Vo度・・8 総合・・8
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LADUSHKA / Ладушка 「SUNRISE /Солнцеворот
ロシアのフォークメタル、ラドゥシュカの2018年作
アコーディオンの音色にロシア語の女性ヴォーカルを乗せて疾走する、キャッチーなノリの良さに包まれた、
陽気なフォークメタルサウンド。メロディには哀愁を感じさせる叙情や、メディーヴァルな幻想性も感じられ、
伸びやかな女性ヴォーカルもなかなか魅力的。楽曲は3〜5分前後と比較的シンプルで、
重厚すぎない聴きやすさがあって、わりと初心者にも楽しめるだろう。
愉快な牧歌性と適度な疾走感が合わさった、ロシアン・フォークメタルの好作品。
ドラマティック度・・8 フォーキー度・・8 女性Vo度・・8 総合・・8
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SVENTOYAR(Свентояр)「Unity (Eднсть)
ウクライナのフォークメタル、スヴェントヤーの2013年作
牧歌的なマンドリンの響きに、ソピルカ(縦笛)の音色から始まり、ヘヴィなギターにドラムガ加わって
女性ヴォーカルの母国語の歌声を乗せた、辺境的な味わいのフォークメタルが広がってゆく。
適度な疾走感も含んだ本格派のフォークメタルでありながら、随所に魅力的なメロディのフックと
キャッチーなクサメロ感というべき爽快な聴き心地があり、女性声のキュートさも含めてとても楽しめる。
辺境フォークメタル好き、女性声フォークメタル好きは、きっと満足できる充実の逸品です。
メロディック度・・8 フォーキー度・・9 女性Vo度・・8 総合・・8
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WARTHA 「PAUSTAN」
ベラルーシのペイガンメタル、ワルサの2013年作
男女Vo、シンセを含む7人編成で、美麗なシンセアレンジと、フォーキーな土着性、
そしてエピックな世界観も含んだ、シンフォニックなペイガンメタルサウンド。
女性ヴォーカルのやわらかな母国語の歌声にダミ声男性ヴォーカルが絡み、
辺境的な神秘性とフォーキなメロディアスさが合わさった、なかなか濃密な作風だ。
随所にクサメロ気味のギターも入ってきて適度にマイナー臭い感じもよろしい。
あとは、各楽曲のクオリティがさらに上がれば、Eluveitieクラスにもなれるかと思う。
ドラマティック度・・8 フォーク&ペイガン度・・8 エピック度・・8 総合・・8
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*ロシアのメタルとプログレ特集
*ウクライナのメタルとプログレ特集

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