ウクライナのメタルとプログレ
(ラトビア、エストニア、リトアニア、ベラルーシ)
   
Metal & Prog in Ukraine

1991年のソビエト連邦崩壊とともに独立、東にロシア、西にはハンガリーやポーランドなどと隣接するこの国は、
まさにロシアとヨーロッパの狭間に位置している。ロシア寄りの政権とEU寄りの反政府団体の対立や、
大国ロシアからの政治的な圧力なども含めて、現在のウクライナは大きな混迷期に直面している。
音楽シーンとしては、90年代から活動するNokturnal Mortumを筆頭にしたブラックメタル系バンドや
近年ではフォーク/ペイガン系などでも魅力的なバンドが増え、コアなリスナーには接する機会も多いだろう。
ここでは、政局の不安を抱えるウクライナのバンドたちを応援する意味でも、特集ページを作ってみた。

                                                      緑川 とうせい



◆ウクライナのメロディックメタル系


W.ANGEL'S CONQUEST「W」
ウクライナのメロディックメタル、ダブルエンゼルズ・コンクエストの2011年作
デビューから10年という、ウクライナのバンドとしてはすでに中堅クラスの存在。
クサメロのギターときらびやかなシンセアレンジに、ハイトーンヴォーカルで聴かせるサウンドは、
一聴してSONATA ARCTICAあたりに通じる感触で、東欧のバンドにしてはそこそこ質は高い。
疾走するメロスピ曲はなかなか爽快だし、全体的にも嫌いではないのだが、メロディや曲のインパクトに、
独自の個性というものはあまり感じられない。魅力あるバンドになるためには、さらにアレンジのセンスを磨いて欲しい。
メロディック度・・8 疾走度・・7 楽曲・・7 総合・・7.5
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MORTON「Come Read The Words Forbidden」
ウクライナのメロディックメタルバンド、モートンの2011年作
リーダーのマックス・モートンを中心としたバンドで、ツインギターに美麗なシンセワークを含んだ
正統派のメロディックメタル。随所に流麗なギターメロディとシンセによるシンフォニックな味付けもあり、
伸びやかなヴォーカルの歌声も含めて、ウクライナという地域性を感じさせない堂々たるサウンドである。
華麗に疾走する曲もあるが、基本はミドルテンポを主体に正統派HR/HMの流れを組んだ作風で、
それをモダンなアレンジで甦らせたような聴き心地。パワフルにたたみかけるメロパワ曲はもちろん、
ほのかな土着性を感じさせる叙情的なバラードなどもあり、楽曲ごとに多様性を持った完成度の高い作品だ。
メロディック度・・8 疾走度・・8 楽曲・・8 総合・・8
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SUNCROWN 「Follow Your Dream」
多国籍メンバーによるプロジェクトバンド、サンクラウンの2012年作
ウクライナ人シンセ奏者を中心に、アメリカやブラジル、オランダ、トルコなどから集まった
メンバーによるシンフォニックメタル作品で。美しいシンセアレンジに男女ヴォーカルの歌声で、
スケールのある壮麗なサウンドが楽しめる。ミドルテンポ主体のゆったりとした聴き心地であるが、
随所にフルートの音色やメロウなギターによる叙情性もあって、なかなかドラマティック。
ここぞという盛り上がりや、フックの効いた展開などがもっとあればさらによかった。
ドラマティック度・・8 壮麗度・・8 ワールドワイ度・・8 総合・・7.5
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MYSTERYA 「SIMBIONT」
ウクライナのシンフォニックメタル、ミステリアの2013年作
女性Voに女性Key奏者を含む5人編成で、美しいシンセアレンジに母国語の女性ヴォーカルを乗せた
優美なシンフォニックメタル。メロディのフックには東欧らしい翳りを覗かせる叙情性と
クラシカルな優雅さが感じられて、しっとりとした聴き心地で楽しめる。ギターのリフがやや凡庸なのと、
重厚さの点ではやや物足りなさもあるのだが、キャッチーな歌ものとして鑑賞すれば、これはこれでよいのかもしれない。
曲によって情感を表現するヴォーカル嬢の歌唱力も含めて、今後が楽しみなフィメール・シンフォメタルの新鋭です。
シンフォニック度・・8 優雅度・・8 女性Vo度・・9 総合・・7.5


◆ウクライナのフォーク・ペイガン・ゴシック系

NATURAL SPIRIT「Sita Rosa
ウクライナのフォークメタル、ナチュラル・スピリットの2009年作
「指輪物語」のサルマンのようなジャケがいい感じですが、サウンドの方もまたステキです。
美麗なシンセアレンジに土着的なギターメロディ、パイプやヴァイオリンの音色に
男女ヴォーカルが歌を乗せる、優雅でファンタジックなフォークメタルになっています。
ケルティックなメロディにはクサさが増し、ダミ声ヴォーカルと美しい女性ヴォーカルの対比もよい感じです。
ドラマティック度・・8 フォーキー度・・8 辺境度・・9 総合・・8
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NATURAL SPIRIT「The Price of Freedom
ウクライナのフォークメタル、ナチュラル・スピリットの2011年作
ヴァイオリンやホイッスルが鳴り響き、ダミ声男Voと女性Voが絡む、
辺境的なフォークメタルサウンド。よい意味での垢抜けない土着性は本作でも変わらず
アコースティック楽器の頻度が増したことで、より音に説得力が加わっている。
ヴァイオリンに絡むギターもいい感じで、女性ヴォーカルの活躍が増えたのも嬉しい。
ドラマティック度・・7 フォーキー度・・8 辺境度・・9 総合・・8
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HOLY BLOOD「Shining Sun」
ウクライナのフォークメタルバンド、ホーリィ・ブラッドの2010年作
土着的なクサメロと男女ヴォーカルの歌声で聴かせる、辺境的なペイガンメタル。
牧歌的に鳴り響くフルートの音色とともに、勇壮さよりは愉快なフォーク風味が勝っていて、
雰囲気としてはトルコのALMORAあたりにも通じるか。軽めのサウンドも含めて
B級的な田舎臭さが好みを分けるかもしれない。辺境ペイガンマニアはどうぞ。
メロディアス度・・8 フォーキー度・・8 辺境度・・8 総合・・7.5
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Tin Sontsia「Polum Jana Ruta」
ウクライナのフォークメタル、ティン・ソンツィア(Sun Shadow)の2007作
ギターリフに艶やかなヴァイオリンの音色が絡み、母国語の男性ヴォーカルが歌を乗せる。
アコースティカルな叙情性もあり、異国的な雰囲気がなかなかいい感じで、
メタリックなヘヴィさはさほどなく、マイルドで聴き心地の良いフォークメタル作だ。
メロディアス度・・8 フォーキー度・・8 異国的牧歌度・・9 総合・・8

Goverla「Between Past and Present」
ウクライナのペイガンメタル、ゴヴェルラの2012年作
勇壮でエピックなイントロから曲がはじまると、武骨なダミ声ヴォーカルにクサメロなギター、
うっすらとしたシンセアレンジとともに、随所にペイガンブラック的な激しさも覗かせる。
パイプやホイッスル、アコーディオンなどが鳴り響くフォーキーな牧歌性も含んでいて、
随所に適度なクサメロも入りつつ、軽すぎないフォークメタルとしても楽しめる。
エピックな雰囲気が楽しめるペイガン・フォークメタルの好作品。
ドラマティック度・・8 ペイガンフォーク度・・8 エピック度・・8 総合・・8
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EDENIAN 「WINTER SHADES」
ウクライナのゴシックメタル、エデニアンの2012年作
バンドというよりは現段階ではどうも男女二人のユニットのようで、
美しいシンセアレンジと可憐な女性ヴォーカルの歌声に男性デスヴォイスが絡む、
正統派の男女Voゴシックメタル。ドラムは打ち込みであるが、全体を包むもの悲しい世界観と、
美麗なシンセに包まれたサウンドは、ジャケのイメージのように強固な幻想性を持っている。
ゴシックメタル黎明期のような、古き良き正統派のスタイルが好きな方にはオススメ。
メロディック度・・7 ゴシック度・・9 女性Vo度・・8 総合・・8

DELIA
「Recollection」
ウクライナのシンフォニック・ゴシックメタル、デリアの2012年作
女性ヴォーカルの歌声と美しいシンセアレンジで聴かせる、ゴシックメタルサウンド。
随所に土着的なクサメロ奏でるギターに、紅一点、アナスタシア嬢の歌声は、
いくぶん素人っぽいヘタウマ感があって、そのマイナー臭さが辺境的な味にもなっている。
楽曲は3、4分台が中心で、正直、これといったインパクトはないので、もう少し大仰さというか、
情感的な盛り上げが欲しい。あとはやはり女性声のレベルアップが肝心ですな。
シンフォニック度・・7 ゴシック度・・7 女性Vo度・・7 総合・・7
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◆ウクライナのブラックメタル系

NOKTURNAL MORTUM「GOAT HORNS」
ウクライナのブラックメタルバンド、ノクターナル・モータムの1st。1996作
ツインキーボードの美しい旋律に、どこか土着的な民族エッセンスを織りまぜたブラックメタルサウンドは、
やはりどこかヨーロッパのバンドたちとは質感が異なる。疾走してもさほど暴虐にはならず、
むしろ目立つのはキーボードの美しさ。音質の悪さもかえってミステリアスな雰囲気をかもしだしていて、
マイナー系のシンフォブラック好きにはたまらない世界観かもしれない。
シンフォニック度・・8 暴虐度・・7 音質・・6 総合・・7.5
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Drudkh「Blood in Our Wells」
ウクライナのブラックメタルバンド、ドルドゥクの2006年作
自然との融和を感じさせるアトモスフェリックな作風にヴァイキングメタル的な勇壮さと
土着性を含んだ叙情性、そしてエピックな世界観で聴かせる力作。
10分を超える楽曲には、ときにアコースティカルな要素も取り入れていて、
リフレインの中にもミステリアスなドラマティックさを覗かせる。辺境的な味わいの傑作だ。
ドラマティック度・・8 暴虐度・・7 土着度・・8 総合・・8
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DrudkhEternal Turn of the Wheel」
ウクライナのブラックメタルバンド、ドルドゥクの2012年作
アトモスフェリックな作風で大曲を描いてゆく作風はこれまでと変わらないが、
今回は7〜9分と楽曲がいくぶんシェイプされていて、その分ダレずに聴ける。
絶叫ヴォーカルとともに疾走するブラックメタルとしての激しさを保ちながら、
静寂パートを含んだ緩急ある展開とノイジーなギターリフにうっすらとしたシンセを重ねた、
ダークで幻想的な聴き心地は、BURZUMと双璧をなす世界観の強度といってよいだろう。
ドラマティック度・・8 暴虐度・・7 幻想度・・8 総合・・8
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Blood of Kingu「Sun in the House of the Scorpion」
ウクライナのブラックメタル、ブラッド・オブ・キングの2010年作
ベクシンスキーをあしらったミステリアスなジャケが印象的だが、サウンドの方はノイジーなギターでブラスト疾走する
しごくファストなブラックメタル。ヴォーカルは低音の吐き捨て型で、むしろデスメタル的でもありつつ、
随所に荘厳さを感じさせるところはBEHEMOTHあたりに近いものがあるか。
10分を超える大曲もあり、ミスティックな重厚さと激しさが合わさったなかなかの力作だ。
ドラマティック度・・7 暴虐度・・8 荘厳度・・8 総合・・7.5
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SEMARGL 「Satanogenesis」
ウクライナのブラックメタル、セマルグル2006年作
かすれたダミ声ヴォーカルと、ブラッケン・ロール的なギターリフとともに
随所に激しい疾走も含みながら、ダークな邪悪さを感じさせるサウンド。
古き良きアナログ感をただよわせた聴き心地であるが、緩急をつけたリズムとともに
いわばブラックメタルとしての正統派の邪悪さというものを見事に表現していて、
クオリティはかなり高いと思う。不穏な妖しさをただよわせた雰囲気もいい感じだ。
ドラマティック度・・7 暴虐度・・8 邪悪度・・8 総合・・7.5
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RUINA「UKRUINA」
ウクライナのブラックメタル、ルイナの2008年作
ギター&ヴォーカルとベースのユニットで、激しく疾走するブラックメタル要素と
どことなく辺境感を匂わせるメロディを盛り込んだ、ペイガンブラック風味のサウンド。
ギターのフレーズはときおりメロデス風だったりして、けっこうメロディックな聴きやすさもある。
音質も含めてローカオルな香りがぷんぷんだが、そこも含めてマニアにはにんまりかもしれない。
ドラマティック度・・7 暴虐度・・7 辺境度・・8 総合・・7.5


◆ウクライナのプログレ系

KARFAGEN「Solitary Sandpiper Journey」
ウクライナのシンフォニックロックバンド、カルファゲンの3rd。2009作
過去2作も自然体の叙情美を聴かせる見事なシンフォニック作であったが、
本作もまたCAMELを思わせる甘いトーンのギターと、美しいシンセワークを中心にした
たおやかなシンフォニックロックである。北欧のバンドを思わせる涼やかな爽やかさと
優しいメロディが耳に優しい。インスト主体であるが、数曲で女性ヴォーカルが歌っているので
繊細さの中にもアルバムとしてのメリハリがついている。長大な組曲を含む75分の力作。
シンフォニック度・・8 メロディアス度・・8 やわらか叙情度・・9 総合・・8
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KarfagenLost Symphony」
ウクライナのシンフォニックロックバンド、カルファゲンの4th。2011年作
SUNCHILDでも活動するシンセ奏者、アントニー・カルギンを中心としたバンドで、
過去3作も繊細なシンフォニック作品だったが、本作も美麗なシンセをたぷり使ったサウンドを聴かせる。
組曲形式で進行する楽曲は、インスト主体でいかにもプログレ的な感触でありながら、随所にストリングスや
オーボエなどの音色が加わり、ミステリアスな世界観と知的な展開力とともに起伏に富んで構築されてゆく。
アコースティカルな繊細さもあり、クラシカルな優雅さと東欧らしい緊張感を含んだ素晴らしい作品に仕上がっている。
シンフォニック度・・8 プログレ度・・8 構築度・・9 総合・・8
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SUNCHILDAs Far As the Eye Can See
ウクライナのプログレバンド、サンチャイルドの2011年作
本作から女性ヴォーカルが加わり、サウンドはよりきらびやかになっている。
のっけから15分の大曲で、男女ヴォーカルの歌声と美しいシンセワークで
やわらかな叙情性が広がってゆく。アレンジ面ではこれまで以上のダイナミズムとともに
メロディックな爽やかさと、いかにもプログレ的な濃厚なインスト部分のバランスもよく、
一方では女性の歌声を活かしたKATE BUSHあたりに通じるキュートなお洒落さや、
フルートやストリングスなど、アコースティカルなやわらかみもあり飽きさせない。これは傑作。
シンフォニック度・・8 プログレ度・・8 モダンシンフォ度・・8 総合・・8
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FLЁUR「Prikosnovenie」
ウクライナのトラッド・ポップバンド、フロールの1st。2002作
アコースティックギターのゆるやかな響きにたおやかなフルートの音色、
そして美しい女性ヴォーカルの歌声で聴かせる、しっとりとしたサウンド。
ヴォーカルのオルガ嬢の母国語の歌声は、やわらかでありつつ妖しさもただよわせ、
バックのうっすらとしたシンセとフルートとともに、幻想的な世界観を描いている。
ピアノやチェロなどのクラシカルな要素と、土着的なトラッド風味も合わさって
一種エキセントリックな女性声トラッド・ポップという趣もある。
プログレファンにも充分楽しめる奥の深さが素晴らしい。オフィシャルサイトはこちら
シンフォニック度・・8 幻想度・・9 女性Vo度・・9 総合・・8.5
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FLЁUR「Magic」
ウクライナのトラッド・ポップバンド、フロールの2nd。2003作
今作もいくぶんモダンなアレンジの中に、美しいピアノやルートの音色と、
艶やかなヴァイオリンが鳴り、オルガ嬢の絶品の歌声が響きわたる。
トラディショナルな土着性とポップな聴き心地が絶妙のブレンドで、
女性ヴォーカルのコンテンポラリー系としては理想的な作風である。
翳りある落ち着きとコケティッシュな魅力を併せ持った女性声にうっとり。
アコースティックメインの曲ではLOREENA McKENNITTぱりの表現力が素晴らしい。
シンフォニック度・・8 幻想度・・9 女性Vo度・・9 総合・・8.5
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◆エストニア・ラトビア・リトアニア・ベラルーシのメタルとプログレ

Neglected Fields「Synthinity」
ラトビアのテクニカルデスメタルバンド、ネグレクテッド・フィールズの1998作
彼らの2nd「MEPHISTO LETTONICA」は、プログレッシブな感性が光る傑作であるが、
デビュー作である本作で聴かれるサウンドも、変則的なリズムと知的な展開力が光る
DEATHあたりを思わせる質の高いもので、ギターの奏でるリフにもセンスがあり、
ときおりメロディアスなフレーズが出てきたり、唐突に女性コーラスが入ったりと面白い。
デスメタルとしての暴虐さよりも、テクニカルメタルとしての要素が強いので、
ヴォーカルを別とすればProgMetalのリスナーにも楽しめるバンドだろう。
メロディアス度・・7 テクニカル度・・8 知的センス度・・8 総合・・8
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NEGLECTED FIELDS「MEPHISTO LETTONICA」
ラトビアのプログレッシブデスメタルバンド、ネグレクテッドフィールズの2nd。2000作
テクニカルな変拍子入りの演奏に、デス声とまではいかないわめきヴォーカルが歌を乗せる。
激烈さや疾走する暴虐性よりも、本作ははむしろ荘厳さと叙情美にこだわっているようで、
随所に壮麗なキーボードアレンジやメロディックなギターが展開力のある楽曲の中に光っている。
4、5分台中心の楽曲は、複雑であっても難解さはなく、案外メロディアスで聴きやすい。
次作「SPLENETIC」を最後にバンドは沈黙することになるが、ラトビアという辺境性を抜きにしても
個性的でセンス豊かなサウンドを描いていた。プログレッシブなテクニカルデスが好きな方はぜひ。
メロディアス度・・7 テクニカル度・・8 荘厳度・・8 総合・・8
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OLIVE MESS 「Gramercy」
ラトビアのプログレバンド、オリーヴ・メスの2006年作
女性Voにシンセを含む6人編成で、バロックギターの優雅な音色にシンセが絡み、
ソプラノ女性ヴォーカルがオペラティックな歌を乗せる、チェンバーロック風味のサウンド。
ときに狂気をはらむかのようなエキセントリックな女性の歌声が妖しく響きわたり、
10分〜21分という大曲を中心に、軽妙なアンサンブルと涼やかな緊張感で描いてゆく。
いわばHenry Cowあたりにも通じるヘンタイ気味の聴き心地を辺境的に解釈したというような力作だ。
ドラマティック度・・7 チェンバー度・・8 ヘンタイ度・・8 総合・・8



Metsatoll「Aio」
エストニアのペイガン/フォークメタルバンド、メトサトルの2010作
母国語の歌声と無骨な辺境臭さで聴かせるペイガンメタルで、
けっこうヘヴィなギターリフを中心にしながら、笛やパイプの音色が絡むスタイル。
シンセはないので派手さやクサメロはあまりないが、勇壮にかぶさるコーラスなど、
いかにも田舎めいた雰囲気がある意味魅力となっている。この手のバンドの中では
メタリックなパワフルさがあって、パワフルなフォークメタル=「パワフォー」として楽しめる。
メロディアス度・・7 フォーキー度・・8 辺境度・・8 総合・・8
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Metsatoll「ULG」
エストニアのペイガン/フォークメタルバンド、メトサトルの2011年作
アコースティカルなイントロから、ドラムの音が鳴り響き、ヘヴィなギターリフが加わって
強烈にブラスト疾走開始。前作もフォークメタルとしてはかなりパワフルな力作だったが、
今作ではさらに激しいペイガンブラック的な質感が強まったサウンドになっている。
辺境感を漂わせる母国語の歌声と勇壮なコーラスで、男臭くたたみかけつつ
牧歌的なパイプや笛の音色もまじえて、濃密で荒々しく、重厚な土着メタルを聴かせてくれる。
ドラマティック度・・8 パワフル度・・8 辺境度・・9 総合・・8
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OBTEST「Gyvybes Medis」
リトアニアのペイガンブラック、オブテストの2007年作
メロディックなギターリフと、ダミ声ヴォーカルを乗せて激しく疾走。
オールドな北欧メロブラ的スタイルに土着的な神秘性を含ませたサウンドで、
随所にピロピロ系のギターやクサメロを含んだ聴き心地もなかなかいい。
母国語の歌声とともに辺境的な味わいを感じさせつつ、サウンド自体は粗すぎず、
しっかりとした演奏力とメロディの魅力があり、質の高いペイガン・ブラックが楽しめる。
ドラマティック度・・8 ペイガンブラック度・・8 辺境度・・7 総合・・8



OBTEST 「Auka Seniems Dievams」
リトアニアのペイガン・ブラック、オブテストの2011年作
2001年の作品の再発したもので、ノイジーなギターリフとともに激しく疾走しつつ、
母国語の歌声とともに、辺境的な土着性も強く感じさせるペイガン・ブラックサウンド。
ギターのフレーズにはどことなくクサメロな感触もあり、勇壮なコーラスなども含めて
エピカルな世界観がなかなかよろしい。音のラウドさも粗削りな迫力になっていて、
プリミティブなブラックメタルが好きな方にも楽しめるだろう。辺境ペイガンの好作品。
ドラマティック度・・8 ペイガン度・・8 辺境度・・8 総合・・8




SYMON MUZYKA (Сымон-Музыка)
ベラルーシのフォークメタル、シモン・ムジカの2011年作
そこそこヘヴィなギターリフに、アコーディオンやヴァイオリンが鳴り響き、
女性ヴォーカルのロシア語の歌声に男性デスヴォイスが絡む、
辺境的な味わいのフォークメタルサウンド。荒々しい激しさもありながら、
ときにスラップベースを聴かせたり、素朴なフルートの音色も入ってきたり
牧歌的な世界観も楽しめる。辺境フォークメタル愛好家はチェックしてみてください。
ドラマティック度・・7 フォーキー度・・8 辺境度・・8 総合・・7.5


Rational Diet「On Phenomena And Existence」
ベラルーシのチェンバーロックバンド、ラショナル・ダイエットの2010年作
ヴァイオリン奏者、女性チェロ奏者、女性鍵盤/Voなどを含めた7人編成で
クラシカルなシリアスさとUnivers Zeroなどに通じるダークな緊張感で聴かせるサウンド。
艶やかなヴァイオリンの音色にスキャット的な女性ヴォーカルが絡み、
不穏なチェロの響きとピアノが重なり、そこにギターとドラムが加わると
ミステリアスで壮大なビジョンを描くようなチェンバーロックが構築されてゆく。
重厚さの中にダークな優雅さとユーモアが存在する点も、聴いていてにやりとさせられる。
クラシカル度・・8 プログレ度・・7 チェンバー度・・9 総合・・8
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*ロシアのメタルとプログレ特集も合わせてご覧ください

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