アイルランド & スコットランド
         Ireland            Scotland


アイルランドのハードロックといえば、まず思い浮かぶのはやはり、ゲイリー・ムーア、シン・リジィ、U2といったあたりだろう。
この地には不思議なことに、現在においてもメロパワやゴシック系のバンドというのはほとんどおらず、
シン・リジイにゆかりのあるメロディアスハードのDAREをはじめ、アンダーグラウンドシーンでは、PRIMORDIALCRUACHANといった
ペイガンメタル系のバンドが地道に活動を続けている。一方では、THE ANSWERのような70年代型ハードロックバンドがいきなり現れたりするのだから、
なかなかあなどれない。プログレ方面では、素晴らしい叙情性をもったフループが70年代に活躍したが、近年ではあまりプログレ勢は現れていない。

一方のスコットランドは、グレートブリテンの構成国という点では独立を勝ち取ったアイルランドとは異なるものの、
ケルト人を祖先に持つ点ではやはり通じている。スコットランドのプログレといえば、ベガーズ・オペラが有名であろうし、
さらには女性フォークシンガーのバーバラ・ディクソンをはじめ、コントラバンドのシンガーであり、キャメルのアルバムにも参加した、
メイ・マッケンナの存在も知られているところだろう。

さて、アイルランドといえば、ケルティック系バンドの聖地という側面もあり、エンヤやコアーズといったメジャーどころを筆頭に、
クラナド、アルタン、チーフタウンズ、ルナサなど、いわゆるアイリッシュミュージックの中核を担う素晴らしいバンドが数多い。
スコットランドにおいては、ケルトサウンドを雄大なシンフォニックロックに昇華したIONAは、じつに素晴らしいバンドである。
どこかミステリアスなイメージを有したケルトの大地… 英米のバンドとは趣を異にする、独特のメロディセンスや空気感に魅了される方も多いだろう。
ここでは、アイルランド&スコットランドにおける、とくに近年のバンド、アーティストを紹介してみたい。



DARE「CALM BEFORE THE STORM」
アイルランドのメロディアスハードロックバンド、デアーの3rd。1998年作
元THIN LIZZYのダーレン・ワートンを残してメンバーががらりと交代した、新生デアーの1作目である。
ダーレンのマイルドな歌声を中心とした大人のメロディアスハードはこれまでと同様であるが、
楽曲ごとの完成度はさらにひとつ上がっていて、随所に感じられるケルト風味のメロディと哀愁の叙情がじつに心地よい。
しっとりとした大人の泣きの美学がアルバム全体を通して堪能できるような見事な傑作に仕上がっている。
メロディアス度・・8 アイリッシュ度・・8 叙情度・・9 総合・・8
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DARE「Arc of the Dawn」
アイルランドのメロディアスハードバンド、デアーの2009年作
1988年にデビューしてから本作は6作目で、ケルティックな叙情でしっとりと聴かせるハードロックサウンドは健在。
ダーレン・ワートンのやわらかな歌声と、哀愁漂うメロディが今作もじつに耳に心地よい。
アコースティカルなアレンジとキャッチーな歌メロがとても爽やかで、アイリッシュな風を感じさせるギターフレーズにうっとり。
Thin Lizzyの名曲“Emerald”と、Cheap Trickの“Flame”のカヴァーも収録。
メロディアス度・・8 アイリッシュ度・・9 哀愁叙情度・・9 総合・・8
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CRUACHAN「PAGAN」
アイルランドのフォーキーメタルバンド、クルアチャンの4th。2004年作
フルートやフィドルなどのアイリッシュメロディに女性ヴォーカルの歌声を乗せたフォーキー・メタルで
今作ではメタル部分の音圧もややマイルドになり、アレンジ的にも唐突な印象はなくなった。
自然な感じのフォークメタルとして聴けるが、激しいパートも有って、メリハリになっている。
女性ヴォーカルを中心にしつつ男性Voとの絡みもあり、そのおかげかはかなげな女性の歌声も
男性声とのコントラストでそれなりに気持ち良く聴ける。傑作になりきらないのもこのバンドならではだ。
メロディアス度・・8 トラッ度・・8 メタル度・・6 総合・・7.5
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CRUACHANBlood on the Black Robe
アイルランドのフォークメタルバンド、クルアチャンの6th。2011年作
本作は、ヴォーカルが女性から男性に変わり、これまでよりもパワフル路線になっている。
ギターに重なるヴァイオリン、ブズーキがフォーキーなメロディを奏で、
ホイッスルやマンドセロなどを響かせつつ、野卑な男性Voが歌い上げる。
ときに激しくい疾走もあったり、重厚なギターリフで聴かせるドラマティックな質感と
本格派のケルティックメタルとしての辺境的でダークな部分も強まってきた。なかなかの力作です。
ドラマティック度・・8 ケルティック度・・8 重厚度・・8 総合・・8
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WAYLANDER「REAWAKING PRIDE ONCE LOST」
アイルランドのケルトメタルバンド、ウェイランダーの1st。1998年作
のっけからティンホイッスルの牧歌的な響きににんまりしつつ、
そのホイッスルの音色とヴォーカルのデス声のミスマッチ感がなかなか楽しく、
昨今人気のフォークメタル勢と比べると、より土着性というか薄暗い無骨さが感じ取れる。
同郷のCRUACHANに近いとは思うが、より重い歴史込みの世界観と攻撃性が音に表れており、
ときにヴァイキングメタル的な勇ましさも感じられる。武骨なる好作です。
メロディアス度・・7 ケルティック度・・8 無骨度・・8 総合・・7.5
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ALESTORM「Black Sails at Midnight」
スコットランドの海賊メタルバンド、エイルストームの2nd。2009年作
海賊をキャラクターに、“パイレーツメタル”なる肩書でデビューしたこのバンドであるが、
前作はまだまだサウンド自体の方向性が中途半端であるような感じがあった。
ミニアルバムに続く今作では、楽曲の魅力が増すと同時に、勇壮な雰囲気に磨きがかかって
バンドとしての確かな成長を遂げている。フォーキーなメロディを正統的なメタルに上手く融合させ、
ときにシンフォニックメタル的な華麗さも覗かせるサウンドには、確かな説得力がついてきた。
ジャケやブックレットの作りも含めて物語風に聴かせる手法も、そのイメージとしての強度が増し
男たちの冒険活劇が目の前に見えるようだ。そういう点ではTURISASなどにも通じる雰囲気である。
ドラマティック度・・8 勇壮度・・8 海賊度・・9 総合・・8
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GAMA BOMB「Tales from the Grave in Space」
アイルランドのスラッシュメタル、ガンマ・ボムの2009年作
ジャケからしてもう、古き良きダサ格好いいスラッシュの香りがぷんぷんだが、
音の方も期待を裏切りません。オールドなリフを乗せてとにかく疾走しまくる、
往年のスピードスラッシュメタルがたっぷり。ヤケクソ気味の高音ヴォーカルを乗せて、
2〜3分の曲でシンプルに突っ走りつつも、ギターリフにはしっかりフックがあって格好よく、
確信犯的な知的さも窺える。オールドリスナーなら素直に楽しめるアルバムです。
ドラマティック度・・7 疾走スラッシュ度・・9 ダサ格好いい度・・9 総合・・8
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THE ANSWER 「RISE」
アイルランドのハードロック、ジ・アンサーの2007年作
ヘヴィなギターリフが鳴り響き、パワフルなハイトーンヴォーカルを乗せたサウンドは、
70年代から受け継がれる伝統的なハードロックの生々しさを残しながら、決して古臭いだけでない
現代的な躍動感をも内包している。ブルージな渋さとメタリックなハードさを併せ持つギターワークを軸に、
オーソドックスで本格派のオールドスタイル・ハードロックが炸裂する。LED ZEPPELINを彷彿とさせるノリの良さと、
日本人受けしそうなキャッチーな感触もあって、楽曲ごとに過去バンドの雰囲気を覗かせるセンスも心憎い。
曲によってはオルガンの音色も加わったりと、細やかなアレンジもなかなか気が利いている。
ドラマティック度・・7 骨太度・・8 古き良き度・・9 総合・・8
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PRIMORDIAL 「A Journey's End」
アイルランドのペイガンブラックメタル、プリモディアルの1998年作
ツインギターのリフを中心に重厚な迫力と、ミステリアスなダークさに包まれたサウンドで、
ダミ声ヴォーカルと適度にメロディックなフレーズを乗せたメロブラ風味に、土着的な感触を加えたという雰囲気。
マンドリンやホイッスルなどを使ったケルティックな要素も織り込みつつ、8分、10分という大曲をメインに、
媚びのない涼やかな冷気を感じさせる暗黒の世界を描き出す。2作目にして見事な傑作である。
2009年の再発盤には、1999年のライブを収録したボーナスCDが付属。音質は粗いがバンドの初期のライブが聴ける。
ドラマティック度・・8 暴虐度・・7 ミステリアス度・・8 総合・・8
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PRIMORDIAL 「Where Greater Men Have Fallen」
アイルランドのペイガンブラックメタル、プリモディアルの2014年作
デビューから20年、本作で8作目となる。ヴァイキングメタル的でもある土着的なギターリフに
荒々しいダミ声ヴォーカルを乗せた重厚な作風には、大人の味わいというべき説得力が付加されている。
ミドルやスローテンポでじっくりと聴かせるナンバーが多いので、メロディックな愛想の良さがない分、
一聴したインパクトというのはさほどないのだが、逆に言うとこの硬派な渋さを楽しめる方にはたまらない。
ドゥームメタル的な曲からブラスト入りの激しい曲まで、ベテランらしい音の迫力が素晴らしい。
ドラマティック度・・7 暴虐度・・6 ミステリアス度・・8 総合・・8
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Altar Of Plagues 「Teeth Glory And Injury」
アイルランドのブラックメタル、アルター・オブ・プレイグズの2013年作
近年のCeltic FrostやSatyriconあたりに通じる、モノトーンの暗黒臭に包まれたサウンドで、
硬質なギターリフにダミ声ヴォーカルを乗せ、随所に激しいブラストパートも含んだサウンド。
ノイジーなシューゲイザー感覚を取り込んだようなミステリアスな空気感と不穏な闇の気配、
ミドルテンポやスローパートでは、アトモスフェリックな浮遊感をかもしだしつつ、
ディプレッシブな絶叫を乗せた無慈悲なまでの激しさも垣間見せる。いわばBURZUMから受け継がれた
地下臭ただよう空気感を、よりディープな闇に溶け込ませたという感触もあるる
ドラマティック度・・7 暴虐度・・7 暗黒度・・9 総合・・8
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MAEL MORDHA 「Damned When Dead」
アイルランドのエピックドゥームメタル、マエル・モルダの2013年作
湿り気あるギターフレーズに朗々としたヴォーカルで聴かせるエピックドゥームに、
随所にホイッスルの音色も鳴り響くなど、いくぶんケルティックな要素も含んだサウンド。
正統派メタル寄りの質感も強いので、Candlemassタイプのエピックメタルとしても普通に楽しめる。
ヨーロピアンな薄暗い叙情性も感じさせる、重厚な聴き心地のエピックドゥームの力作です。
ドラマティック度・・8 重厚度・・8 エピック度・・8 総合・・8
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Cnoc an Tursa 「Giants of Auld」
スコットランドのヴァイキングメタル、ノック・アン・トゥルサの2013年作
フォーキーなメロディを奏でるツインギターにシンセを含んだアレンジで、
重厚かつシンフォニックに聴かせるヴァイキングメタルサウンド。
ダミ声ヴォーカルを乗せて疾走しながら、メロディのフックはわりとキャッチーで
ケルティックなテイストを含んだ感触は、ジャケのようなダークな神秘性はあまりない。
全体的にはむしろメロデス的でもある綺麗な構築性が強いため、聴き心地はよいのだが、
武骨な本格派が好きな方にはやや物足りないかも。クオリティは高いので安心して楽しめる好作です。
メロディック度・・8 フォーキー度・・8 新鮮度・・7 総合・・8
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FALLOCH 「Where Distant Spirits Remain」
スコットランドのポストブラックメタル、ファロックの2011年作
マイルドなクリーンヴォーカルとともに、やわらかな叙情性で描かれるサウンドは、
Alcestなどを思わせる聴き心地で、随所に激しい疾走パートも含みつつ、
ときにケルティックなティンホイッスルの音色や美しいピアノ、ヴァイオリンなど、
優雅な繊細さも含んでいる。10分を超える大曲も、アコースティカルな優しさと、
幻想的な世界観でじっくりと楽しめる。これはなかなか素晴らしい期待の新鋭です。
ドラマティック度・・8 優雅な叙情度・・8 幻想ポストブラック度・・9 総合・・8
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Dead Heroes Club 「Everything Is Connected」
アイルランドのプログレバンド、デッド・ヒーローズ・クラブの2013年作
古き良きブリティッシュテイストのロック感覚で、前作もなかなかの好作であったが、
本作も70年代テイストを感じさせる、アダルトなプログレ・ハードロックが楽しめる。
渋さのあるヴォーカルの歌声もサウンドにマッチしていて、全体的に派手な演奏はないものの、
オルガンやピアノも加わったやわらかな牧歌性も含めて、どこかなつかしく鑑賞できる。
8分、10分という大曲もありつつ、あくまで自然体の叙情性と大人の味わいで聴かせる好作品だ。
ドラマティック度・・7 プログレ度・・7 大人の叙情度・・8 総合・・8
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North Atlantic Oscillation 「Fog Electric」
スコットランドのモダンプログレバンド、ノース・アトランティック・オシレーションの2012年作
ヴォーカル、ギター、シンセをこなすマルチプレイヤーとドラムという2人のユニットで、これが2作目。
やわらかなヴォーカルハーモニーと、いくぶんエレクトロがかったモダンなセンスを含み、
浮遊感のあるキャッチーな繊細さは、Sigur Rosあたりにも通じるほんわかとした聴き心地。
シンセの重なりによる美しさと、マイルドな歌声を中心に、あくまで叙情的なサウンドは、
最近のANATHEMASteven Wilson系のファンにも楽しめるだろう。
メロディアス度・・8 プログレ度・・7 繊細度・・9 総合・・8
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◆ケルティック/女性ヴォーカル系

CLANNAD「BANBA」
アイルランドのトラッドバンド、クラナドの1993年作
ゲール語で「家族」を意味するバンド名をもつ、結成は1969年という大ベテラン。
ENYAの実姉であるモイヤ・ブレナンのヴォーカルを中心に、伝統的なケルト音楽と
ポップなメジャー性を融合させたサウンドで、1973年のアルバムデビュー以来、大きな人気を誇る。
80年代のポップ全盛の時代を過ぎ、時代が再びトラッド寄りの音を求め始めたことで、
本作はケルトとしての原点に立ち返ったかのような、ほの暗い叙情で聴かせる作品となった。
しっとりとしたモイヤの歌声と、幻想的なコーラス、うっすらとしたシンセが重なって、幽玄の美を描き出す。
フルートやマンドリンなどのアコースティック色と、現代的なポップ色が見事に融合されている。
幻想度・・8 ケルティック度・・8 女性Vo度・・7 総合・・8
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Altan「Local Ground」
アイルランドのケルティックバンド、アルタンの2005年作
1987年のデビュー作から数えて10作目となる本作は、アイルランド北西部ドゴニール出身という
のバンドの原点に立ち返ったような、やわらかでアコースティカルな作風となっている。
女性ヴォーカル、マレードの美しい歌声に、バウロンのリズムに乗る艶やかなフィドルの音色、
軽快なダンスチューンからしっとりとしたバラッドまで、じつに自然体のサウンドだ。
いかにもアイリッシュなパイプの響きと、暖かな陽光を思わせるメロディにゆったりとまどろみたい。
アコースティック度・・9 ケルティック度・・9 女性Vo度・・8 総合・・8
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LUNASA
アイルランドのケルティックバンド、ルナサの1st。1998年作
鳴り響くパイプの音色に、フルートとホイッスルが絡む本格派のスタイル、
アコースティックギターをバックに聴かせる、キレのある演奏力が抜群で
古き良きケルトの伝統を、そのまま現代に甦らせたようなサウンドだ。
後のアルバムに比べて、メンバーの若さが意気込みとなって音に表れていて
清々しいまでのケルティック音楽が楽しめる。演奏力も素晴らしいという他ない。
アコースティック度・・9 ケルティック度・・9 演奏・・10 総合・・8.5
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THE CORRS「FORGIVEN NOT FORGOTTEN」
アイルランドのケルティックロックバンド、ザ・コアーズの1st。1995年作
アイリッシュミュージックをポピュラー音楽に融合させてメジャー化させた彼らの功績は大きいだろう。
プログレリスナーからすると、もっとケルト寄りのシンフォサウンドをやっているIONAあたりの方が
なじみ安いと思うが、こうしたポップ感覚全開の楽曲にヴァイオリン楽器などを取り入れて
一般リスナーにも違和感なく聴かせている、ということが評価に値するわけだ。
曲の方は女性Voものとしても聴きやすく、間奏部のケルト風味もなかなかおいしい。
ポップ度・・8 ケルティック度・・7 女性Vo度・・8 総合・・8
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Moya Brennan「Signature」
アイルランドのシンガー、モイヤ・ブレナンの2007年作
世界的には妹のENYAの方が有名だが、トラッドシンガーとしては、
アイルランドにおいては姉のモイヤの方がリスペクトされている。
しっとりとした歌声に、ケルティックなメロディと適度にモダンなアレンジで聴かせるサウンドは、
コンテンポラリー系のケルトとしては正統派の作風で、とても耳に心地よい。
アコースティックギターにフィドルやパイプの音色がまじわり、シンセによるうっすらとした味付けも幻想的だ。
アコースティカル度・・8 ケルティック度・・8 女性Vo度・・8 総合・・8
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CARA DILLON「SWEET LIBERTY」
アイルランド出身の女性ヴォーカル、カーラ・ディロンの2nd。2003年作
1stの時点からそのキュートな歌唱と、アイリッシュ風味をまじえた聴き易いポップな楽曲がなかなかだったが、
この2ndでは可愛いらしさに加え、より深遠な歌唱力を身に着けている。
曲調もケルト風味を心地よく溶け込ませたしっとりとした雰囲気で、彼女の歌唱を活かしている。
MIKE OLDFIELDの「TUBULAR BELLSV」に参加した経歴もあり、プログレ関係の支持者も多い。
ケルテイック度・・7 女性Vo度・・9 しっとり度・・9 総合・・8
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Kaydee 「Stop! I'm Doing It Again」
アイルランドの女性Voポップロック、ケイディの1998年作
美しい女性ヴォーカルの歌声で聴かせるキャッチーなサウンドは
同郷のCORRSとも比較されそうだが、こちらのほうがよりロック色が強く
メロディアスなポップ性がありながらも、ほのかに香る素朴な雰囲気が耳心地よい。
美しいストリングスアレンジなども含めて、KARNATAKACara Dillonなどのファンも楽しめる。
メロディアス度・・8 アイリッシュ度・・7 女性Vo度・・8 総合・・8
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Lumiere
アイルランドの女性デュオ、ルミエーレの2009年作
しっとりと聴かせる二人の女性ヴォーカルの歌声に、アコースティカルな牧歌性で、
伝統的なケルトサウンドを優しく伝えてくれるサウンドだ。ドラムやシンセの入った
コンテンポラリーな聴きやすさもあり。温かみのあるやわらかな好作品だ。
アコースティック度・・8 ケルティック度・・8 女性Vo度・・8 総合・・8
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Meav 「A Celtic Journey」
アイルランドの女性シンガー、メイヴの2005年作
混声グループ、アヌーナやリバーダンスに参加、近年ではケルティック・ウーマンでも活躍するシンガーで、
アイリッシュ・トラッドをベースにシンセアレンジによるシンフォニックな味付けに、彼女の絶品の美声が響き渡る。
リコーダー、ホイッスル、ハープ、ハープシコードなどの繊細な音色も含めて、全体的にコンテンポラリーずきず、
しっとりとした優しい作風である。彼女の初期の作品に比べて、よい意味で垢抜けたメジャー性に包まれていて
より多くのリスナーが楽しめるだけの内容になっている。お約束のアイリッシュ名曲“Danny Boy”、“Greensleeves”も収録。
シンフォニック度・・8 ケルティック度・・8 女性Vo度・・8 総合・・8
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TRINITI
アイルランド出身の女性3人によるユニット、トリニティの2006年作
美しい女性声と、包み込むようなシンセを中心にしたしっとりとしたサウンド。
ENYAを彷彿とさせるようなヒーリング系の音作りで、土着性よりはモダンな質感。
“スカボローフェアー”のカヴァーも含めて、聴きやすくリリカルに仕上げた曲調は、
ケルティック・ウーマンなどが気に入った初心者にも楽しめるサウンドだ。
ケルティック度・・7 ポップ度・・8 女性Vo度・・8 総合・・7.5
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IONA「Open Sky」
スコットランド出身のケルティック・ロックバンド、アイオナの5th。2000年作
ロック寄りのケルトミュージックとしてそのサウンドを確立させつつあったこのバンドが、
さらなる壮大な作風で完成させた傑作アルバム。神秘的なシンセによるイントロからリズムが加わって
ケルティックなバグパイプが鳴り響く、このダイナミックなインスト曲からして素晴らしいのだが、
しっとりとヴァイオリンが鳴り、ジョアンヌ・ホッグの天上の美声が歌いあげる2曲目もまた絶品。
幻想的な美しさとミステリアスなケルトの風が感じられるシンフォニック/プログレ作品というのはなかなかない。
シンフォニックとロック、女性ヴォーカル、そしてケルトミュージックがまさに理想的に融合された傑作だ。
シンフォニック度・・8 ケルトロック度・・8 女性Vo度・・8 総合・・8.5
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IONA「Another Realm」
イギリスのケルティック・シンフォニックロックバンド、アイオナの7th。2011年作
前作から5年ぶりとなる今作はCD2枚組の大作となった。しっとりとしたジョアンヌ・ホッグの歌声に
雄大なケルティックの風を感じるようなサウンドは、これまで以上に世界観を強めていて、
うっすらとしたシンセをバックに、繊細なギターのつまびきと、ヴァイオリンやパイプの音色が重なり
シンフォニックなケルトロックを描き出す。民族的なフレーズを違和感なくバンドサウンドに取り入れる
コンテンポラリーなセンスはさすがだし、15分を超える大曲などもゆったりと神秘的に聴かせてくれる。
デイブ・ベインブリッジのギターも流麗なフレーズを奏で、ロック的な躍動感をサウンドに付加している。
ベテランならではの自信と確かなアンサンブルが構築する、壮大なダイナミズムにあふれた力作です。
シンフォニック度・・8 ケルティック度・・8 女性Vo度・・8 総合・・8.5
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JOANNE「LOOKING INTO LIGHT」
ケルティックロックバンド、IONAの歌姫、ジョアンヌホッグのソロ。1999年作
基本路線はアイオナと同様、静謐なケルト色溢れるトラッドを軸に、シンセ、弦楽などによるシンフォニック性を付加したもの。
ジョアンヌの絶品の歌声が全篇に渡って楽しめるという点では、非常に嬉しい作品である。
この、のびやかで美しく、素直で清浄、そして魂の深遠さえも覗かせる雄大な音楽を、
なんと賛辞すればいいのか知らない。現在は「Celtic Hymns」というタイトルで再発されている。
メロディアス度・・9 ケルト度・・9 雄大深遠度・・10 総合・・9
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the Colour of Memory「the Old Man & the Sea」
スコットランドのケルティックユニット、カラー・オブ・メモリーの1994年作
二人の女性ヴォーカルに、うっすらとしたシンセ、そして美しいハーブのつまびき、
ケルティックな素朴さを、シンセによるモダンな浮遊感でアレンジした
コンテンポラリーな作風、ロリーナ・マッケニットを思わせる神秘的な歌声が美しい。
アコースティカルさよりもシンセによるヒーリング風味の強い、しっとりと癒される作品です。
ケルティック度・・8 しっとり度・・9 女性Vo度・・8 総合・・8
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Trembling Bells「Constant Pageant」
スコットランドのフォークロック、トレンブリング・ベルズの2011年作
エレキギターにオルガンなども入った、フォークロックスタイルのサウンドで、
美しい女性ヴォーカルの歌声に、ときにケルティックな味わいも感じさせる牧歌的な聴き心地。
ギターにはサイケ的な感触もあって、70年代ロック的なおおらかなノリと浮遊感が楽しい。
ヴォーカルのラヴィニア嬢は歌って、シンセも弾いて、ときどきギターも弾くという美人さん。
中世音楽的なメロディもいい感じで、お酒を飲みながら楽しめる、ユル系のフォークロックです。
サイケフォーク度・・8 叙情度・・7 女性Vo度・・8 総合・・7.5
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以下ページも併せてご覧ください
*女性ヴォーカルのケルト/トラッド特集
*CDレビュー…ケルト/トラッド/女性ヴォーカル

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