ジャーマン & メロディックメタル基本名作
〜ジャーマンメタルと90'sメロディックメタルの名作をあらためて紹介〜聴き逃しのないように!




◆やっぱり基本はジャーマンでしょ♪

HELLOWEEN「WALLS OF JERICHO」
個人的にHELLOWEENのアルバムで最も思い入れの深いのが本作である。
コミカルなイントロに続いて始まる“Starlight”からすでに震えが来る。
カイ・ハンセンのやや頼りなげなハイトーンと、まだ荒々しさの残る演奏は、
若さ溢れる疾走感をともなって、ぐいぐいとたたみかけてくる。怒濤の疾走曲“Murderer”、
ドラマティックな三連リズムの“Victim of Fate”、キャッチーなサビメロの“Gurdians”などは、
フェイバリットソング。そして、ハイライトとなる大曲“How Many Tears”の泣きのメロディと疾走感は、
ジャーマンメタル=ハロウィンという図式を決定づけた名曲。この後20年にわたるかぼちゃの歴史の始まりを告げる作品である。
メロディアス度・・8 疾走度・・9 ドラマティック度・・7 総合・・8.5
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HELLOWEEN「Keeper of the Seven Keys PartT」
驚異のヴォーカリスト、マイケル・キスクが加入しての1作目。
イントロから続く名曲“Im' Alive”への流れは、全てのメタルファンを釘付けにするほどの格好よさ。
ツインギターのメロディと、疾走感、そしてキャッチーさを増したサウンドは、
マニア以外のリスナーにもアピールするクオリティをすでに有していた。
本アルバムでは、もうひとつのドラマティックな名曲“Twilight of the Gods”に、
構成力を見せつける大曲“Helloween”と、カイ・ハンセンの才能が全面開花している。
まさにバンドの絶頂期を飾る名作といえるだろう。
メロディアス度・・8 疾走度・・8 ドラマティック度・・9 総合・・8.5
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HELLOWEEN「Keeper of the Seven Keys PartU」
前作と対になる「守護神伝」の第二章。イントロからじわりとくる高揚感とともに、
名曲中の名曲“Eagle Fly Free”でもうすでにノックアウト。伸びやかなマイケル・キスクの歌声を乗せて、
メロディアスに疾走するこの曲は後のいわゆる「キーパーフォロワー」たちを星の数ほど生み出すことになる。
前作がカイ・ハンセン主導のアルバムとすると、今作はマイケル・ヴァイカートのメロディメイカーとしての才能が遺憾なく発揮されている。
楽曲は前作以上にバラエティに富んでおり、コミカルな佳曲“Dr.Srein”や明快なハードロックナンバー“I Want Out”、
さらにはドラマティックな疾走曲“March of Time”と聴き所は多いが、なんといってもタイトル曲である“Keeper of the Seven Keys”の、
物語の如き壮大なドラマ性には圧倒される。現在も多くのファンがこのアルバムを最高作に挙げるのもうなずける。歴史的な傑作といえるだろう。
メロディアス度・・9 疾走度・・8 ドラマティック度・・10 総合・・9
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HELLOWEEN「Master of the Rings」
看板ヴォーカルであったマイケル・キスクの脱退後、バンドはPINK CREAM69のアンディ・デリスを迎えた。
ファンタジックなイントロに続く“Sole Survivor”は、ヘヴィなリフと、キャッチーなBメロからサビへの流れで、
まさにデリスとHELLOWEENの融合というべき、新たなハロウィンサウンドを予感させる。
ウリ・カッシュの勢いあるドラムに、吹っ切れたようなヴァイカート節が炸裂する“Where the Rain Grows”、
ドラマティックに疾走するラストの“Still We Go”まで、まさに新生ハロウィンの勢いに満ちた傑作だ。
2006年のExpanded Editionはリマスターに加え、ボーナスCD付きの2枚組でシングルやボーナス曲を7曲収録。
メロディアス度・・8 疾走度・・7 ドラマティック度・・8 総合・・8.5
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GAMMA RAY「Heading for Tomorrow」
「守護神伝」の2作を残してHELLOWEENを脱退したカイ・ハンセンが戻ってきた。
ドラマティックなイントロから続く“Lust For Life”の格好良さには、リアルタイムで聴いていた
すべてのジャーマンメタルファンがしびれただろう。キャッチーなメロディの“Heaven Can Wait”は
個人的にはGAMMA RAYのミドルテンポ曲でもっとも好きな1曲だし、“Monney”で聴かせる
コミカルな疾走サウンドにはカイの遊び心が溢れている。そして絶品のパラード“The Silence”の
荘厳なまでの美しさに胸うたれ、ラストの大曲“Heading For Tomorrow”まで、楽曲はバラエティに富みながらも、
カイ・ハンセン印が押された好曲満載。ラルフ・シーパーズの素晴らしいハイトーンとともに、爽やかなジャーマンメタルが楽しめる傑作。
メロディアス度・・8 疾走度・・7 カイ・ハンセン度・・9 総合・・8.5
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GAMMA RAY「Land of the Free」
前作「Insanity & Genius」を最後にラルフ・シーパーズが脱退、
本作からカイ自身がヴォーカルをとる。大曲“Rebellion In Dreamland”で幕を開け
華麗な疾走曲“Man of A Mission”への流れは今聴いても素晴らしい。
ドラマティックなメタルナンバー“Gods of Deliverance”、叙情的なバラード“Farewell”
そして、これぞカイ・ハンセン節というキャッチーな名曲“Land of The Free”と、
バンドの充実ぶりを感じさせる楽曲が多数。GAMMA RAYの代表作たる1枚である。
そして2007年には続編となる「Land of the Free U」を満を持して発表することになる。
ドラマティック度・・8 疾走度・・7 カイ・ハンセン度・・9 総合・・8
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GAMMA RAY「Power Plant」
ヘニュ・リヒター、ダークシュレヒター、ダン・ツィマーマンというベストメンバーの息が揃い、
のっけからパワフルかつドラマティックに疾走するGAMMA RAYサウントが炸裂。
きらびやかでメロディアスな楽曲たちは、ときに古き良きヘヴィメタルの伝統を感じさせ、
よく言われるカイ・ハンセンの歌の弱さなど問題にしない。これがガンマレイの音なのだ。
今作ではどの曲も比較的シリアスで重厚な雰囲気であるのも好みなのだが、
中でも絶品のメロディックスピードメタル曲“Wings of Destiny”には悶絶である。
全体的な質の高さでは、本作をバンドの最高作としてもよいほどだ。
ドラマティック度・・9 疾走度・・8 カイ・ハンセン度・・9 総合・・8.5
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BLIND GUARDIAN「Tales from the Twilight World」
ハンズィのヴォーカルの向上とともに一聴して前作よりも音が厚くなり、サウンドの説得力が増したことで、
ここに独自のファンタジックメタルが完成。1曲目の“Traveler in Time”からその世界観に引き込まれる。
お得意のツインギターによるソロパートはいっそう魅力を増して、メリハリのある曲展開の中で輝きを放っている。
ブチブチとしたバスドラの音が耳に心地よく、疾走感とともにパワフルな重厚さをサウンドにに生み出している。
中盤にはゆったりと聴かせるファンタジーバラード“Lord of the Rings”や、ハイライトであるドラマティックな傑作
“Lost in the Twilight Hall”が待ち構え、アルバムとしての濃密さでは次作と並ぶ傑作といえるだろう。
メロディアス度・・8 疾走度・・8 ドラマティック度・・9 総合・・8.5
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BLIND GUARDIANSomewhere Far Beyond
個人的には本作こそがブラガーの最高傑作であるし、まずこの幻想的なジャケットからして胸が踊る。
アコースティカルなイントロから続く“Time What is Time”の激しさ、ダイナミックさにまずやられる。
本作あたりからハンズィのヴォーカリストとしての成長も感じられ、世界観を歌い上げる説得力が加わった。
続く“Journey Through the Dark”の疾走感に拳をかざし、“Theatre of Pain”のクラシカルさに浸り、
“The Quest for Tanelorn”のサビでの大合唱、“The Bard's Song”では吟遊詩人の気分になって、
ファンタジーの世界にどっぷり。そして極めつけは、7分を越える“Somewhere Far Beyond”の
ドラマティックさに悶絶。曲ごとの密度も濃く、構成的にも完璧なファンタジックメタル作品である。
ドラマティック度・・9 疾走度・・8 ファンタジック度・・9 総合・・9
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BLIND GUARDIAN
「Imaginations from the Otherside」

名実共にジャーマンメタルシーンのトップたった彼らがさらなる大作志向を打ち出した傑作。
のっけから7分を超えるタイトル曲で、重厚かつドラマティックな展開美を聴かせながら、
“I'm Alive”の激しくも叙情的サウンドにこのバンドの緻密なアレンジ力を見る思い。
トールキンの世界を思わせような“A Past and Future Secret”に続く“The Script for My Requiem”は
壮大なクワイアと3拍子のメロウな間奏に悶絶、まさにブラガー最高の名曲のひとつだろうし、
エピックな勇壮さに盛り上がる“Another Holy War”と、濃密な楽曲満載のファンタジックな力作である。
ドラマティック度・・9 疾走度・・7 ファンタジック度・・9 総合・・8.5
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RAGE「Secrets in a Weird World」
2ndまでは粗削りのスラッシーな疾走サウンドであったのだが、前作「Perfect Man」ではメロディアスな要素が増し、
続く本作ではクラシカルなイントロから始まり、ヘヴィな中にもキャッチーな歌メロと、
マンニ・シュミットの独特のギターセンスがより発揮された傑作となった。
ピーヴィのヘタウマのヴォーカルも、むしろ個性的な浮遊感をサウンドにもたらしていて、
迷いのない演奏の勢いは、トリオ編成であることの強みを最大限に引き出している。
口ずさめるサビのメロディが印象的な疾走曲“Invisible Horizones”はバンドの代表曲となり、
ドラマティックな佳曲“Light Into The Darkness”なども聴きどころ。初期のレイジを知るには本作から。
ドラマティック度・・8 疾走度・・8 個性派ジャーマン度・・9 総合・・8
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RAGE「Trapped!」
オリエンタルなイントロから始まる今作は、ジャケの雰囲気同様ぐっとヘヴィさが増し、
ザクザクのギターと低音ぎみのピーヴィのヴォーカルで聴かせるサウンドとなった。
続く2曲目の“Solitary Man”のアグレッシブな勢いとメロディの融合は魅力的で、
シンプルな三人編成でもここまでの迫力あるメタルが描けるのだと証明してみせた。
重厚な三連リズムのナンバー“Enough is Enough”や、ACCEPTのカヴァー“Fast As A Shark”も
見事な出来で、ラストのドラマティックなインスト“行進する英雄たち”までダレることなく楽しめる。
パワフルな勢いに満ちたジャーマンメタルの傑作である。次作「Missing Link」も同様の傑作。
ドラマティック度・・8 疾走度・・7 重厚度・・9 総合・・8
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RUNNING WILD
「Death Or Glory」
1982年のデビューから頑固一徹にその正統派ジャーマンメタルサウンドを守り続けるこのバンド、
3rd「Under Jolly Roger」から海賊をモチーフにした世界観をバンドに取り入れ、
4th「Port Royal」でそのスタイルを確固たるものにした。そして本作はさらなる楽曲の質向上とともに
バンドの代表作たる傑作に仕上がっている。今で言うヴァイキングメタル的な勇壮かつ土着的な香りの
ギターフレーズとともに、ロックン・ロルフの男気あふれるヴォーカルが響きわたる。ジャーマンメタルとしての
ストレートな格好良さと、海賊をコンセプトにしたドラマティックな要素が見事に合致した傑作である。
ドラマティック度・・8 ジャーマン度・・9 海賊度・・9 総合・・8
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RUNNING WILD「Black hand Inn」
長年の片腕であったG、アクセル・モーガンと別れ、さらにドラムにはヨルグ・マイケルが加入。
彼らの場合、基本がシンプルな正統派のジャーマンメタルスタイルなだけに、
本作からパワフルなヨルグのドラミングが加わったことは大きかった。
当然楽曲はぐんと説得力が増し、17世紀イギリスの居酒屋“黒腕亭”を舞台にした物語が、
パワーアップしたランニングワイルド節で繰り広げられる。今作も15分の大曲入り。
ヴァイキングメタルのリフに慣れた今の耳で聴くと、彼らのサウンドの格好良さを再確認できる。
音に封じ込められた海賊精神というのか、耳触りのいい土着的なギターリフがたまらない。
メロディアス度・・7 疾走度・・7 ランニングワイル度・・10 総合・・8
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HEAVENS GATE
「Livin' in Hysteria」
ツインギターのメロディで聴かせる正統派のジャーマンメタルスタイルながら、
このバンドは疾走のみにこだわらず、聴きやすいバランスの良さが光っていた。
1曲目の“Livin' in Hysteria”、ラストの“Gate of Heaven”こそお約束の疾走曲だが、
スローテンポの“Never-Ending Fire”、叙情的なバラードの“Best Days of My Life”、
勢いのあるインスト曲“Fredless”など、バラエティ豊かな曲調がバンドとしての懐の深さを物語る。
現在はプロデューサー業で有名なサシャ・ピートの存在感も大きかった。3rd以降はジャーマンメタルブームの終焉とともに、
しだいに方向性を模索してゆくのだが、本作のクオリティは90年代のシーンの中でも傑作と言うに値する。
メロディアス度・・8 疾走度・・7 ジャーマン度・・8 総合・・8
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CHROMING ROSE「LUIS ]W」
HELLOWEENやGAMMA RAY、BLIND GUARDIANといった大御所バンドの影に隠れつつ
当時のジャーマンメタルシーンには、A級になりきれないバンドたちが活発に活動していた。
このバンドも本作の成功により、日本デビューを勝ち取った、まさに中堅どころといってよい存在で
「ルイ14世」というタイトルとメダルを模したジャケのインパクトがなかなか印象深かった。
サウンドの方は典型的に疾走するジャーマンメタルスタイルの“Power And Glory”からつかみはOK。
キャッチーなザビメロディの“Lois]W”やドラマティックな“You And I”など好曲多数。
2nd以降も決して悪い出来ではないのだが、この1stの輝きを超えることはついにできなかった気がする。
メロディアス度・・8 疾走度・・8 ジャーマン度・・8 総合・・8
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Chroming Rose「Pressure」
デビュー作「LUIS ]W」は、いかにもジャーマンメタルらしい爽快な傑作であったが、
本作ではフレイミング・ラスムッセンをプロデューサーに迎え、サウンドにソリッドな硬質感が増した。
ザクザクとしたエッジの効いたギターでモダンなヘヴィネスを聴かせつつ、キャッチーな歌メロが合わさり、
いわば“Chroming RoseのMETALLICA風味”というような独自の味わいがある。
彼ららしいツインギターのメロディも随所に光っていて、これはこれで質の高い力作だと思う。
メロディアス度・・8 疾走度・・6 硬質度・・8 総合・・8
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ATTACK「Destinies of War」
ギター、ベース、ドラムにシンセも弾きこなす、リッキー・ヴァンヘルデンを中心に、
戦いに赴く戦士を描くようなエピックな世界観をジャーマンメタルに融合させた。
イントロから続くドラマティックな疾走曲“Wonderland”は、まさしくエピックメタルの王道、
キャッチーなクサメロを含んで、力強くないハイトーンヴォーカルとツインギターでたたみかけます。
9分を超える“Death Rider”あたりも名曲といってもよい出来で、ファンタジックな勇壮さにしびれます。
ドラマティックな“Blind Man”、軽快でキャッチーな“Way out of Hell”など好曲多数の力作。
メロディアス度・・8 疾走度・・7 エピック度・・8 総合・・8
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◆アメリカやブラジルのバンドだって頑張ってるよ♪

RIOT「Thundersteel」
初期のRIOTのHRサウンドから入った人々は、パワーメタル化したこのアルバムには仰天したことだろう。
しかしながら、自分も含めて多くのメタルリスナーにとってはライオットといえば、このアルバムからであり、
ともかくもタイトル曲である“Thundersteel”の格好良さにはしびれずにいられなかったはず。
絶品のツインギターで疾走しつつ、トニー・ムーアの超絶なハイトーンが歌い上げるこの曲は
疾走メタル史上に残る名曲であるし、RIOTといえばまず思い浮かべるのがこの曲だろう。
初期の名曲“Warrior”の続編ともいうべき“Flight of the Warrior”や、哀愁漂う“Johny's Back”など、
日本人好みのメロディックな叙情と勢いが合致した、新しいRIOTの誕生を告げた傑作アルバムだ。
メロディアス度・・8 疾走度・・8 哀愁度・・8 総合・・8
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RIOT「The Privilege of Power」
ジャケのイメージのように、リアルな現実における世界情勢などをコンセプトによりシリアスなサウンドを聴かせる。
SEを多用して聴き手に想像力を喚起させつつ、楽曲は複雑なインストパートを聴かせる。
とくに名手ボビー・ジャーゾンベクのドラムは縦横無尽にそのテクニックを見せつけ、まさにバンドの屋台骨を支えている。
またホーンセクションの大胆な導入も個性的なサウンドに彩りを与えている。
そして本作のハイライトは“Thundersteel”を超えるほどの疾走名曲“Storming the Gates of Hell”で、
トニー・ムーアのハイトーンヴォーカルににツインギターのドラマティックなソロが素晴らしい。
一聴しての分かりやすさは前作ほどではないが、濃密なライオットサウンドが楽しめるこれも傑作。
ドラマティック度・・8 疾走度・・7 シリアス度・・8 総合・・8
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SAVATAGE「Gutter Ballet」

1983年にデビュー、これではよくも悪くも中庸のバンドに甘んじていたこのバンドが放った会心の傑作。
ジョン・オリヴァのパワフルなヴォーカルに、正統派のギターリフで聴かせるメタルサウンドであるが、
随所にクラシカルなテイストを盛り込んで、オペラティックなメリハリをアルバムの中に織り込んで
のちのこのバンドのお家芸というべき、美しくも重厚な世界感を本作において確立させた。
美しいピアノから始まるタイトル曲のドラマティックさは、いま聴いても充分素晴らしい。
次作「“Streets”A Rock Opera」も傑作だが、クラシカルなメタルとしては本作をとりたい。
ドラマティック度・・8 重厚度・・8 メタルオペラ度・・8 総合・・8
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SAVATAGE「Dead Winter Dead」
90年代の悲劇であるボスニア・ヘルツェゴビナのサラエボの包囲戦をテーマにした
壮大なコンセプトアルバムで、シンフォニックな重厚さと、張りつめた緊迫感が
SAVATAGEのメタルサウンドと見事に合わさって、唯一無二のサウンドを描き出す。
泣きのギターメロディに叙情的なピアノがかぶさり、ザッカリー・スティーブンスのヴォーカルが
もの悲しくストーリーを歌いあげる。ドラマティックでシリアス、感動的なメタルオペラ作品だ。
ドラマティック度・・9 重厚度・・9 メタルオペラ度・・9 総合・・8.5
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ICED EARTHNight Of The Stormrider
かつてはこのエピカルなジャケからして心踊ったものだが、あらためて聞き返しても、
90年代のドラマティックメタルを代表する力作だと思える。壮大なイントロから始まり、
叙情的な導入部をへて、スラッシーなギターリフでパワフルに聴かせるサウンドは、
JUDAS PRIESTなどかつての英国のメタルをより大仰に力強くしたという作風。
いくぶんのダークさとファンタジックなドラマ性という点ではBLIND GUARDIANにも通じるが
こちらはより正統派メタルとしての色合いを残しており、切れ味の良いギターも魅力だ。
ドラマティック度・・8 疾走度・・7 重厚度・・8 総合・・8
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VIPER「Theatre of Fate」
後にANGRAを結成することになるアンドレ・マトスの在籍したバンド、粗削りだった1stから格段に楽曲が美しくなった傑作。
繊細で美しいイントロに続く、クラシカルなメロディで疾走するそのサウンドにはHELLOWEENよりもメロディアスで
美麗なメタルがあったのかと、大変な衝撃を受けた。シンフォニックメタルという言葉すらなかったこの当時に、
ここまでのクラシカルな旋律を疾走サウンドに取り込んだバンドはいなかったし、若々しいアンドレ・マトスのハイトーンも含めて、
すべてが日本人好みのスタイルであった。QUEEN的なコーラスとキャッチーなメロディの“Prelude to Oblivion”、
ドラマティックな名曲“Theatre of Fate”、そしてベートーベンの月光をモチーフにした“Moonlight”まで、
まさに全曲捨て曲なしの美旋律と、いまで言うところのクサメロが楽しめる歴史的名作だ。
メロディアス度・・9 疾走度・・8 クラシカル度・・9 総合・・8.5
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ANGRA「Angels Cry」

VIPERを脱退したアンドレ・マトスが自身のバンドを引っさげてシーンに戻ってきたと、当時は大変狂喜したものだ。
優雅なイントロに続く“Carry On”は、強力な疾走感とクラシカルなメロディが散りばめられた絶品の名曲で、
マストの圧巻のハイトーンヴォーカルとともに、後々まで語り継がれることになるバンドの代名詞というべき名曲だ。
やわらかな聴き心地の“Time”、メロディックな展開美で聴かせる好曲“Angels Cry”、民俗色を覗かせたやわらかなメロディの
“Never Understand”、さらにはケイト・ブッシュのカヴァー“嵐が丘”、ドラマティックな疾走“Evil Warning”と、バラエティに富みながらも、
全体的には一貫した美意識に貫かれた、まさにアンドレ・マトス節というべきサウンドが詰め込まれた名作である。
メロディアス度・・9 疾走度・・7 クラシカル度・・9 総合・・8.5
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ANGRA「Holy Land」
前作でも聴かれた民俗的な色合いをいくぶん前く出し、聞き込むほどに味わいのある作品。
グレゴリアン的な厳かイントロから、雷雨のSEが包み込み、ヘヴィなギターとシンフォニックなシンセに導かれて
“Crossing”が始まると、アンドレ・マトスの伸びやかな歌声とともに、重厚でメロディックなメタルが展開される。
前作からのクラシカルな美しさを残しつつも、サウンドがクリアになり、より音の説得力が強まっている。
随所にテクニカルなアレンジを織り込みつつ、メロディにはより民族的なやわらかさがついてきている。
“Carry On”のような音を期待すると肩すかしを食うが、雄大なメロディの“Silence and Distance”や10分を超える大曲“CarolinaW”、
シンフォニックで民俗的な“Holy Land”、激しい疾走曲“Z.I.T.O”など、好曲多数。プログレッシブな感触でも楽しめる傑作だ。
メロディアス度・・9 疾走度・・7 クラシカル度・・8 総合・・8.5
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◆美旋律は北欧よりきたる♪

King Diamond「Abigail」
美しいシンセによる妖しいイントロから、メロディアスなギターワークが鳴り響き
北欧メタルらしい透明感の中に、薄暗いドラマ性を盛り込んだサウンドは、
甲高い声としわがれ声を使い分けるスキング・ダイアモンド氏のシアトリカルなヴォーカルとともに
非常に個性的。ホラーやオカルテイックな世界観をコンセプトにしつつも、ツインギターの叙情は
非常にメロディアスであって、この歌声がOKならば浸れること間違いない。
イロモノという以上に美旋律の北欧メタルとしてもしっかり楽しめる傑作だ。
メロディアス度・・9 ドラマティック度・・9 シアトリカル度・・9 総合・・8.5
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STRATOVARIUS「Dreamspace」
このバンドの2nd「Twilight Time」を初めて聴いたときは、そのいかにも北欧らしい叙情美に惹かれたものだが、
日本デビュー盤であり3作目となる本作では、楽曲のセンシティブなメロディアスさがさらに増していて、
翳りあるほのかな薄暗さとともに、マイナー臭さたっぷりのティモ・トルキの歌声で聴かせてくれます。
1曲めの疾走曲“Chasing Shadows”から良い感じで、シンフォニックなプログレ風味の“Magic Carpet Ride”も面白いし、
全体的にメロディアスな好曲揃い。そしてキャッチーなクサメロで疾走する名曲“We are the Future”はまさに悶絶もの。
サウンドの抜けの良さではティモ・コティペルトが加入する次作以降のアルバムに及ばないが、
マイルドでメロウな叙情の魅力という点では、もっともフェイバリットなのが本作なのである。
メロディアス度・・8 疾走度・・7 北欧度・・9 総合・・8
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STRATOVARIUS「Episode」
前作「Fourth Dimension」でティモ・コティペルトが加わり、それまでのマイナー臭さから脱却、
そして本作から、ヤンス・ヨハンソンとヨルグ・マイケルを新たに迎え、鉄壁のメンバーとなって
作られた本作は、バンドを代表する傑作として名高い。1曲目の“Father Time”は
そんな実力あるメンバーたちのパワーが結集された素晴らしい疾走名曲だ。
ヤンス・ヨハンソンが加わったことで、これまで以上にテクニカルな様式美色が強まり、
それは疾走する好曲“Speed of Light”、インストの“Stratosphere”などにも現れている。
他にもメロディアスな“Tomorrow”やラストを飾るバラード“Forever”など、聴き所も多い。
メロディアス度・・8 疾走度・・8 北欧度・・8 総合・・8
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ROYAL HUNT「Land of Broken Hearts」
きらびやかなキーボードをたっぷり使った様式美ハードロック/メタルサウンドで華やかにデビュー、
北欧らしいキャッチーさとどっしりとしたミドルテンポで聴かせるロイハン節は本作ですでに確立されている。
ヘンリック・ブロックマンのややダーティな歌声とアンドレ・アンダーセンの美麗なシンセワークを軸に、
ジェントルで耳心地のいいクラシカルメタルを展開、欧州の香りを含んだドラマティックなサウンドを楽しめる。
1曲めの“Running Wild”から、美麗に疾走する“Flight”、ネオクラシカルなインスト曲“Martial Arts”
ラストを飾る名曲“Kingdom Dark”まで、美麗なメロディアスさにうっとりの傑作だ。
シンフォニック度・・8 キャッチー度・・8 きらびやか度・・9 総合・・8
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ROYAL HUNT「Moving Target」
ヴォーカルにD.C.クーパーが加入し、よりいっそうサウンドに説得力が加わった傑作。
シンフォニックかつクラシカルなシンセワークをたっぷりと盛り込みつつ、
ドラマティックな叙情性を含んだメロディと楽曲アレンジにもいよいよ磨きがかかってきた。
なんといっても素晴らしいのはD.C.クーパーの歌声で、マイルドでありながら力強く歌い上げ、
楽曲のレベルを一段も二段も高めている。1曲めの“Last Goodbye”からすでにゴージャスにして華麗、
きらびやかでありながら哀愁を含んだ盛り上がりが素晴らしい。クラシカルな“Makin' a Mess”、泣きのバラード“Far Away”、
キャッチーな“Step by Step”、そしてラストの“Time”のドラマティックさにしびれる。濃密ロイハンサウンドが満載の力作。
シンフォニック度・・9 ドラマティック度・・8 きらびやか度・・9 総合・・8.5
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NATION「Chased by Time」
絶品のギターメロディできらびやかに、そしてキャッチーに聴かせる北欧メタルサウンド。
なんといっても1曲め“Destiny”を聴いたときの衝撃というのは忘れられない。
うっすらとしたシンセをバックに、北欧らしい爽やかな透明感とクラシカルなフレーズで、
じつに耳心地の良いサウンドなのだ。激しさよりもむしろメロディアスハードにも近い雰囲気であるが、
のちにDIONYSUSを結成するジョニー・ウーリンの絶品のギターワークが楽曲に優雅な叙情を与え、
古き良き北欧メタルの質感とネオクラシカルな質感を融合させている。続く2nd「Withous Remose」も同様に傑作。
メロディアス度・・9 キャッチー度・・8 北欧度・・10 総合・・8
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ELEGY「Supremacy」
デビュー作の時点から、当時のメタルシーンではトップクラスの演奏力を誇った
質の高い作品であったが、本作ではそのプログレッシブな展開力に磨きがかかり
きらびやかなメロディとともに疾走しつつも、テクニカルな構築性が合わさった
まさにバンドを代表する傑作に仕上がっている。1曲目の“Windows of World”をはじめ、
泣きのメロディがたまらない叙情名曲の“Poisened Hearts”など、聴きどころも多い傑作だ。
メロディアス度・・8 テクニカル度・・8 展開美度・・8 総合・・8
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ELEGY「LOST」
90年代のメロディックメタル系としては、デビュー作からすでにテクニック抜群であったこのバンド、
ツインギターの流麗なメロディとハイトーンヴォーカル、そして、ときにProgMetal的でもある
知的な展開美を聴かせる。本作ではシンセによる味付けもあって、シンフォニック性も増した。
個人的には絶品のメロディとテクニカルな展開美が素晴らしい2nd「Supremacy」が好きなのだが、
全体的な完成度では本作か。バンドはこの後、いよいよテクニカル路線へ移行してゆく。
メロディアス度・・8 テクニカル度・・8 展開美度・・7 総合・・8
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NOCTURNAL RITES 「Tales of Mystery and Imagination」
1stの時点では普通に正統派のメロパワという印象であったが、本作においてメロディの魅力が大幅にアップ、
ツインギターでメロディックに疾走するスタイルは、いまでいうところのクサメロ系メロスピの先駆けであろう。
のちのアルバムに比べるといくぶんのマイナー臭さを残しているが、それがかえって魅力にもなっている。“Lost in Time”、
“End of the World”、“Warriors in Return”などキャッチーなメロの佳曲も多く、とくにラストの“Ring of Steel”は悶絶ものの名曲。
バンドは続く3rdSacred Talismanにおいてこの路線を極め、その後よりパワフルな正統派へと深化してゆくことになる。
ちなみに、かつての日本盤は「エンド・オブ・ザ・ワールド」というタイトルであったが、海外盤ではジャケや曲順が変わっている。
メロディアス度・・8 疾走度・・8 クサメロ度・・9 総合・・8
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◆イタリアよりシンフォニックメタルの到来♪

RHAPSODY「Legendary Tales」
とにかく、このアルバムを最初に聴いたときの衝撃は、ただ事ではなかった。
それまでのメタルの概念を覆すかのような、壮麗きわまりない大仰さ、ファンタジックな世界観、
そして思わず拳を握り締めるエピックな力強さ。すべてにおいて、今で言うシンフォニックメタルの元祖的な存在であり、
メタルを映画的で壮大な作品へと仕立て上げ、それを完璧に成功させた1枚だ。
美しいシンセにクラシカルなオーケストレーション、大仰なコーラスワークはもとより、
ヴォーカルであるファビオ・リオーネの力量や、楽曲における緩急とメリハリ、常にメロディがあふれ出す濃密なアレンジに、
すべてのメタルファンはしびれたのだ。シンフォニックメタル誕生の瞬間がここにある。
シンフォニック度・・9 壮大度・・9 ファンタジック度・・10 総合・・9
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RHAPSODY「Symphony of Enchanted Lands」
デビュー作において圧倒的なシンフォニックメタルを見せつけた彼らだが、あれは序章にすぎなかった。
エメラルドサーガ四部作のストーリーとともに、繰り広げられるファンタジック絵巻はこれからが本番。
壮麗なイントロから幕を開け、エピックな力強さで疾走する“Emerald Sword”は、拳握るクワイアとともに、
まさしくシンフォニックメタルのアンセムというべき名曲。オーケストレイテッドな華麗さと、勇壮な盛り上がり、
一方ではトラッド的な繊細な牧歌性もあって、起伏に富んだ楽曲アレンジは前作以上の濃密さだ。
ラストの13分を超えるタイトル曲は、まるで映画のような語りから、これからの物語を暗示するように、
美しくももの悲しい叙情を含んで、ストリングスやフルートの音色も響かせながら、壮大なエンディングを迎える。
シンフォニック度・・9 壮大度・・10 ファンタジック度・・10 総合・・9
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LABYRINTH「Return of Heaven Denied」
RHAPSODYとともに90年代後半からイタリアのメタルシーンを牽引してきたこのバンド、
最近はマイルドなメロディックメタルとなってきているが、この頃はメロスピ的に疾走するサウンドで
NEW TROLLSで歌っていたこともあるというロブ・タイラントの伸びやかなヴォーカルとともに
非常に高品質な作品となっている。また4曲目の絶品の泣きのメタルバラードなど、
シンフォニックな要素もバランスがよく、次作「Sons of Thonder」とともに初期を代表する作品だ。
メロディアス度・・8 疾走度・・8 ドラマティック度・・8 総合・・8
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「メロパワでメロスピでシンフォメタルな傑作選」
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