ブリティッシュフォーク名作選



  〜英国フォークまずはこの12枚〜
私自身ブリティッシュフォークのマニアというわけではなく、プログレやメタルも聴く人間ですので、
それらのリスナーにもアピールするようなアルバムをということで、女性Voものを中心に厳選してみました。
英フォークの入り口になるような名作ばかりですので、初心者の方もこのあたりから聴き始めてみてはいかがでしょう。



THE PENTANGLE 「The Pentangle」
英国フォークの名バンド、ペンタングルの1st。1968作
バート・ヤンシュとジョン・レンボーンという二人による見事なアコースティックギターと、
歌姫ジャッキー・マクシーの美しき歌声が重なり、時代を考えればとても質の高いサウンドだ。
ブラシを使ったドラムにウッドベースを含むアンサンブルはジャズ的な色合いもありつつ、
曲によってはトラッド/古楽的なミステリアスな雰囲気も聴かせる。決して派手ではないが、
適度な緊張感を漂わせた演奏はアコースティック音楽に対する真摯な姿勢が感じ取れる。
通好みのリスナーにとってはこの1stこそが最高の名盤というのもうなずける。
アコースティカル度・・9 ジャズ色もあり度・・7 女性Vo度・・8Amazon.co.jp で詳細を見る

THE PENTANGLE 「Basket of Light」
ペンタングルの3rd。1970作
一般的には最高作とされ、特集記事などではこのジャケを目にすることが多い。
1stに比べて、やわらかみのある音作りはやや聴きやすくなっており、
ジャッキー・マクシーの素晴らしい歌唱を前に出したことも成功している。
もちろんバックの巧みな演奏も見事で、バンドの核となる二人の名ギタリストは
単なるフォークの枠を超えた中近東的な色合いも匂わせる音色を聴かせる。
美しい女性声にうっとりとなりつつ、類まれなアコースティック演奏を楽しめる傑作だ。
アコースティカル度・・9 中近東色もあり度・・7 女性Vo度・・8 Amazon.co.jp で詳細を見る

Fairport Convention 「What We Did on Our Holidays」
英国フォークの名バンド、フェアポート・コンベンションの2nd。1968作
サンディー・デニーが加入しての最初の作品。次作「Unhalfbricking」と同様
アコースティカルで牧歌的なフォークサウンドが楽しめる。
瑞々しいサンディの歌声も素晴らしく、バンドとしての地位を築いた一作だろう。
英国風の田舎臭さが強い3rdよりも、もう少しポップな質感があり、個人的にはこちらが好み。
4thのシリアスさも素晴らしいが、この2ndの方は非トラッド系フォークの傑作アルバムといえる。
アコースティカル度・・8 牧歌的英国度・・9 女性Vo度・・8 Amazon.co.jp で詳細を見る

Fairport Convention 「Liege & Lief
フェアポート・コンベンションの4th。1969作
バンドの代表作であり最高作とも言われているこのアルバム、
歌姫サンディ・デニーの表現豊かな歌声に、アコースティックギターとヴァイオリンが絡み、
そこにドラムも入ってくると、ややシリアスながら聴きやすいトラッド/フォークロック風になる。
今で言うBLACKMORE'S NIGHTにも通じる雰囲気もあり、年代的な古くささは感じさせない。
名まさに作というにふさわしい内容のアルバムだ。リマスター盤にはボーナス曲も追加収録。
アコースティカル度・・8 プログレ度・・7 女性Vo度・・9 Amazon.co.jp で詳細を見る

SANDY DENNY 「SANDY」
Fairport Conventionサンディ・デニーのソロ2作目。1973作
ジャケで名高いソロ1作目よりもいくぶんトラッド的な質感が増している。
エレキギターにハモンドも使ったフォークロック的な2曲目にまずうっとり。
サックスなども取り入れた2曲目はポップな雰囲気で、4曲めまではカントリー風味だが
5曲目からはシリアスなトラッド路線となり、彼女の素晴らしき歌唱の魅力が発揮される。
艶やかなストリングスにピアノの美しい7曲目なども感動的で、内容としては前作を上回っている。
フォーク度・・8 プログレ度・・7 女性Vo度・・8 Amazon.co.jp で詳細を見る

TUDOR LODGE 「same」
英国のフォークバンド、チューダー・ロッジのアルバム。1971作
艶やかなアコギの音色に美しい女性Vo、そこに加わる男性Voも優しいコーラスを乗せる。
音質がよくなっているせいか前に聴いたときよりもサウンドに広がりが感じられ、
全編がほとんどアコーステイックながらピアノやフルートの音色もじつに美しい。
しっとりとソフトなフォークアルバムとしては、やはり屈指の作品であると思い直させられた。
まだ未聴の方はぜひリマスター盤で、うっとりとしながら耳を傾けて欲しい。
アコースティカル度・・9 プログレ度・・6 女性Vo度・・8Amazon.co.jp で詳細を見る

MELLOW CANDLE 「SWADDLING SONGS」
ブリティッシュフォークバンド、メロウ・キャンドルのアルバム。1972作。邦題は「抱擁の歌」
スパイロジャイラ、チューダーロッジと並び賞されるこのバンドであるが、
個人的な好みで言えば、メロディアスなフォークという点ではこのメロキャンが最高である。
素朴でありながらもピアノやハープシコードで格調高く彩られた楽曲に、たおやかな女性ヴォーカル。
まさにフォークの理想形。ロック的なリズム感覚もあってクラシカルな部分はRENAISSANCEをも思わせる。
ブリティッシュフォークってどんなのだろう?という方には、まずはコレから聴くことを強くお勧めする。
アコースティカル度・・8 プログレ度・・8 女性Vo度・・9 Amazon.co.jp で詳細を見る

TREES 「ON THE SHORE
フォークロックバンド、トゥリーズの2nd。1970作
ヒプノシスによるこの「水撒き少女」のジャケで有名なアルバム。
音の方はアコースティックにときおりエレキギターも使用したフォークロックで、
たおやかな女性Voの歌声をメインにした、ふんわりとたゆたうような曲調。
ジャケ同様、音にも陰りがあるのがポイントで、牧歌的でありながらもどこか
ミステリアスな雰囲気が漂う。SPIROGYRAの3rdなどと同様、プログレファン好みの作品だ。
アコースティック度・・7 英国度・・9 女性Vo度・・8 Amazon.co.jp で詳細を見る

TRADER HORNE 「Morning Way」
英国のフォークバンド、トレイダー・ホーンのアルバム。1970作
Fairport ConventionJudy DybleThemなどで活躍したJackie McAuley
を中心としたバンドで、これが唯一のアルバム。おとぎ話のようなかわいいジャケ同様、
内容も牧歌的なフォークサウンドで、男女Voの歌声に、アコーステイックギターやフルートなどが
やわらかにメロディをつむいでゆきます。典雅なハープシコードの音色は古楽的でもあり、
古き良き英国の風を届けてくれ、うっとりと夢見心地で楽しめるアルバムです。
リマスター盤に収録の2曲のボーナストラックも素晴らしい。
アコースティカル度・・9 牧歌的度・・9 女性Vo度・・8 Amazon.co.jp で詳細を見る

VASHTI BUNYAN 
「JUST ANOTHER DIAMOND DAY」
英国フォークの名作、ヴァシティ・ブニヤンのアルバム。1970作
とにかくこの素敵なジャケからして、いかにも田園的なほのぼのとした雰囲気が漂っている。
音の方はしっとりとしたやわらかな女性Voがごくシンプルな音数の演奏に歌を乗せている。
けっして盛り上がったり、情感がこもり過ぎない、とにかく耳に優しい音。
アコギにマンドリン、リコーダー(縦笛)や控えめなピアノなどが、繊細に歌を包みます。
ほんわかと癒されたい方には最適のアルバム。イメージはセピア色。
しっとり度・・9 ゆったり度・・9 やさしい女性Vo度・・9 Amazon.co.jp で詳細を見る

SPIROGYRA 「Bells Boots & Shambles」
英国フォークの名バンド、スパイロジャイラの3rd。1973作
Mellow CandleTudor Lodgeとともにブリティッシュフォーク三種の神器とも呼ばれるが、
アコースティックギターからフルートの音色で始まる1曲目は、今聴いても素晴らしい。
哀愁のトランペットにクラシカルなピアノも加わって、翳りのあるドラマティックさとともに
プログレといってもよい展開で聴かせる。8分もあるこの曲だけでも聴く価値ありです。
女性Vo、バーバラ・ガスキンの美しくもはかない歌声にうっとりとなる2曲目や、5曲目、
それにラストの13分にもおよぶ大曲も見事で、このアルバムの価値を高めている。
アコースティカル度・・8 プログレ度・・8 女性Vo度・・8Amazon.co.jp で詳細を見る

SPRIGUNS 「Time Will Pass」
イギリスのフォークロックバンド、スプリガンスの2nd。1977作
サンディ・デニーに影響を受けた女性Vo、マンディ・モートンの歌声にロック的なドラムと
エレキギター、そしてストリングスなども加わり、ドラマティックなサウンドを作り出している。
中世の魔女や騎士などを歌った世界観もファンタジックで魅力的だ。
フォーク的な土臭さが薄いのでプログレリスナーにもお勧めできる。
次作「Magic Lady」も同様にフォークロックの傑作である。
アコースティカル度・・7 プログレ度・・8 女性Vo度・・8 Amazon.co.jp で詳細を見る


さて、いかかでしたか? この12枚を聴き終える頃には、
あなたもブリティッシュフォークの深淵にどっぷりとつかっているかも。

*CDレビュー/ブリティッシュフォーク
*幻想のネオフォーク特集
も併せてご覧ください。


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