テクニカルプログレ& メタルフュージョン特集



テクニカルであるということは、プログレッシブロックにおける知的さ、あるいは高度な構築性を象徴する一面であり、
古くはKING CRIMSONやYES、EL&P、そしてU.K.などが、変則リズムを含めた複雑な楽曲構造によりそれを示して見せた。
90年代に入ると、DREAM THEATERの登場により、メタルにおけるプログレッシブ化の波が大きく動きだし、
それによるテクニカルメタル時代の到来と、今度はリスナーの側においての知的音楽への嗜好が広まって、
やがては、アーティスト、リスナーともどもの、より細分化されたマニアック化をうながすことになった。

そうして、テクニカルなプログレが誕生してから40年、テクニカルなメタルが普遍化されて20年あまり、
現在でも、リズムや楽曲構造における、高度でテクニカルなアプローチをしているバンドは続々と現れ、
その独自の感性とセンスで我々、ディープな音楽ファンを楽しませてくれている。
ここではとくに、テクニカルであることをクールなセンスと融合させたバンドをプログレの方面から集めてみた。

また、ProgMetalのリスナーが聴くような、いわゆるメタルフュージョン系バンドの中からも、
プログレファンに聴けそうなものを選んだので、この手の好事家諸兄の参考になれば幸いである。

                                             2011.3.28  緑川 とうせい


◆アメリカ

MASTERMIND「Excelsior!」
アメリカのプログレバンド、マスターマインドの5th。1998作
MIDIギターを使いこなす、ベレンズ兄弟のハードシンフォニックサウンドは、
初期のELP風味から脱却し、Key奏者として新たにイェンス・ヨハンソンを迎えた本作では
テクニカルなインタープレイとジャズロックばりの軽やかなアンサンブルが際立った。
手数の多いドラムに乗るギターとシンセによる重なりは、サウンドにより厚みを与え、
初期のプログレヲタク的な質感を破り、ドラマティックなインストを展開させている。
バンドはこの後女性Voを迎えるなど、再び方向性の模索を始めるが、
アルバムとしての勢いと明確なスタイルの点では本作が最高傑作だろう。
メロディアス度・・7 テクニカル度・・8 プログレ度・・8 総合・・8
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A Triggering Myth「The Sins of Our Saviours」
アメリカのプログレバンド、ア・トリガリング・ミスの4th。1998作
冷徹なるチェンバー・シンフォニックロックともいうべきこのバンドのサウンドは今作も変わらず、
クラシカルなキーボードの音色には、メロディアスでありながらも冷たくシリアスな質感がある。
インスト中心でありながら、音の中にある緊張感はときに重厚な空間を描き出し、
決して攻撃的ではないが、ピアノの切迫した音色には美しさと同時に鋭利な硬質感を内包している。
DEUS EX MACHINAのVoが参加しての歌入り曲では、イタリアのAREAのようなジャズロック色もある。
シンフォニック度・・7 プログレ度・・8 クール度・・9 総合・・8
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HAPPY THE MAN「THE MUSE AWAKENS」
アメリカ伝説のテクニカルシンフォバンド、ハッピー・ザ・マンの復活作。2004作
70年代に3枚の傑作アルバムを残して解散、キット・ワトキンスがCAMELに引き抜かれたことは有名。
本作の音の方だが、これがびっくりするくらいに「あの」ハッピーザマンである。
軽やかな変拍子に耳に馴染むメロディを載せ、たたみかけるように展開してゆく様は
まさに高密度なテクニカル・シンフォニックロックというに相応しい。
また、引きの部分のシンセの美しさは、現代の機材のおかげでいっそう奥行きを増し
サウンド的にもワトキンス不在をまったく感じさせない。時代を超えて甦った、まさにハピマン節全開の傑作だ。
メロディアス度・・8 テクニカル度・・8 ハピマン度・・10 総合・・8.5
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FROGG CAFE「Fortunate Observer of Time」
アメリカのプログレバンド、フロッグ・カフェの3rd。2005作
ジャズロック的なリズムの上を伸びやかなヴァイオリンの音色が舞い、
フルートやマリンバなどもやわらかに彩りを添える。マイルドな演奏でありながら、
リズムや展開などにはひねたアレンジがあるのがチェンバーロック的な香りもする。
軽やかなアレンジセンスと適度に肩の力が抜けた大人のプログレといった感じで、
メロディアスなフュージョンとしてもテクニカルなプログレ・ジャズロックとしても楽しめる。
メロディアス度・・8 プログレ度・・7 なにげにテクニカル度・・8 総合・・8
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RING OF MYTH「WEEDS」
アメリカのシンフォニックロックバンド、リング・オプ・ミスの2nd。2005作
YES風味もあった前作もかなりの傑作だったが、今作ではテクニカルな硬質性を強めた
スタイルできた。8分、9分という長曲を軸に、センスある展開力と演奏力で聴かせる。
もちろんキャッチーなメロディも随所に混ぜているので、複雑であっても聴き疲れはしない。
とくにリズム面での流れるような変化は見事で、変態ちっくなノリをさらりと混ぜこんでいてにやりとする。
偏屈さとセンスある構築性、そしてメロディが絶妙に組み合わさった、高品質なアルバムだ。
メロディアス度・・8 テクニカル度・・8 変態度・・8 総合・・8
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THE UNDERGROUND RAILROAD「The Origin Consciousness」
アメリカのシンフォニックロックバンド、アンダーグラウンド・レイルロードの2nd。2005作
A TRIGGERING MYTHSALEM HILLなどとともにアメリカの現在形シンフォニックシーンの代表。
オールドプログレ的質感に、シリアスさと硬質な感触を携えたサウンドは
ときにYESばりにメロディアスでありながら、どこかひねくれたアヴァンギャルドなものも感じさせる。
演奏力、構築力という点では上記したバンド中でも最高レベルにあり、
爽快なメロディにはクラシカルな部分を含みつつ、ジャズロックばりのテクニックも持ち合わせている。
まさに現代形のシンフォニックロックサウンド。インスト中心ながらとても聴かせてくれる。
メロディアス度・・8 プログレ度・・8 硬質度・・8 総合・・8
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Oblivion Sun
アメリカのプログレバンド、オブリビオン・サンの2007作
2004年に復活したHAPPY THE MANのメンバー二人を含むバンドで、
サウンドの方は、ほぼハピマンの新作といってよいほどだ。
軽やかなリズムの上をきらびやかなシンセとギターが絡み、
ジャズロック/フュージョン的な質感で聴かせるシンフォニックロック。
テクニカルなインスト曲と、歌入りのキャッチーな曲のバランスがよく、
聴き疲れせずに楽しめる。ハピマンファンはまず必聴といっていいだろう。
メロディアス度・・8 テクニカル度・・7 ハピマン度・・8 総合・・8
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SYZYGY「Realms of Eternity」
アメリカのテクニカルプログレバンド、シジィギーの2009作
前作はHAPPY THE MANあたりを思わせるインスト主体のテクニカルな好作であったが、
本作でもシンセとギターが絡み、しっかりとメロディアスさのあるプログレに仕上がっている。
のっけから10分の大曲で始まると、一聴して音のスケール感が増していて、
MAGELLANなどにも通じるシンフォニックな要素と抜けのいいヴォーカルメロディが印象的だ。
“The Sea”と題された8パートに分かれた28分の組曲は、アコースティカルな叙情をまぶしつつ、
ゆるやかに盛り上げるシンフォニックなサウンドで、随所に光るテクニカルなアンサンブルもさすが。
メロディアス度・・8 シンフォニック度・・8 テクニカル度・・8 総合・・8
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Deluge Grander「August in the Urals」
アメリカのプログレバンド、デリュージ・グランダーの2006作
メロウでありながら涼しげな感触は、アメリカというよりもむしろ北欧のバンドを思わせる。
と、思っていると、どことなくヒネた曲展開はGENTLE GIANTあたりからの影響も感じさせ、
メロディアスなのだが曲調にはミステリアスな風味が加わって、一筋縄ではいかない。
A Triggering Myth + HAPPY THE MANというマニアックなたとえが当てはまるかはともかく、
ようするにクールなんだが、分裂ぎみにはじけているということで。そして演奏の質も高い。
25分の大曲から始まって、15、12、8、7と徐々に曲が短くなる構成もひねくれている(笑)
メロディアス度・・7 プログレ度・・8 ひねくれ度・・8 総合・・8
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Birds and Buildings「Bantam to Behemoth」
アメリカのプログレバンド、バーズ・アンド・ビルディングスの2008作
Deluge GlanderのKeyによる別バンドで、浮遊感のある軽妙なプログレ作。
テクニカルなリズムの上をメロトロンが鳴り響くクリムゾン風味とともに
フリーキーなサックスが加わると、軽快なジャズロック風にもなる。
9分以上が5曲と長曲揃いだが、雰囲気で聴かせられる器の大きさが感じられ、
一筋縄でいかないサウンドながら、その演奏に思わず引き込まれてしまう。
メロトロン入りの変態的ジャズロックでもあり、サックス入りのヘヴィシンフォでもあり、
これをMAGMA+KING CRIMSONといっていいものか。マイスペにて試聴可能。
シンフォニック度・・7 ジャズロック度・・8 プログレ度・・8 総合・・8
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◆カナダ

NATHAN MAHL「HERETIK VOLUME V」
カナダのテクニカル弾き倒しシンフォプログレバンド、ネイサン・マールの5作目。2002作
「HERETIK」シリーズ三部作の完結編は全一曲54分という気合の入った構成となった。
今回もほぼオールインストで、変拍子リズム込みの軽快でテクニカルな演奏を全編で堪能出来る。
HAPPY THE MANにも通じる切れ味にELPばりに弾きまくりのキーボードによる楽曲は
あきれる程にコテコテでありながらも、やはりこの手のプログレ者には受けることだろう。
ちゃんと聴き込む時間と体力があるリスナーにとっては、テクニカルシンフォとしては必聴クラス。
メロディアス度・・7 テクニカル度・・8 コッテリ50分1曲度・・10 総合・・8
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Spaced Out「Evolution」
カナダのテクニカルプログレバンド、スペイスト・アウトの5th。2008作
テクニカルに聴かせるハードフュージョン風のジャズロックサウンドで、
PLANET Xなどにも通じる技巧的なセンスを聴かせるこのバンド。
超絶なタッピングベースに、ザクザクとしたメタリックなギター、
基本的には変則リズムとキメの連続による技巧派のスタイルながら、
ギターのフレーズやシンセワークにはメロディアスな要素もあり、案外聴きやすい。
過去のアルバムよりも音の迫力が増していて、ミステリアスなスケール感も出てきた。
メロディアス度・・7 テクニカル度・・8 メタリックフュージョン度・・8 総合・・8
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The Rebel Wheel「We Are in the Time of Evil Clocks」
カナダのプログレバンド、レベル・ホエールの2010作
女性サックス奏者を含む4人組で、テクニカルでヒネくれ気味のインストをメインにした
濃密なプログレをやっている。変則リズムに乗るサックスの音色などは変態系の
チェンバーロック的でもあるのだが、ときにキャッチーなヴォーカルが入ってくると、
GENTLE GIANTのようなとぼけた味わいの感触になる。かと思えばジャズ的な優雅さやしっとりと聴かせる
女性ヴォーカルパートなどもあって、なかなか一筋縄ではいかない。近年でいうとDeluge Granderのような
得体の知れない壮大なビジョンも感じさせつつ、30分を超える組曲などは圧巻だ。マイスペで試聴可能。
メロディアス度・・7 プログレ度・・8 ヒネくれ度・・8 総合・・8
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◆イタリア

DEUS EX MACHINA「ciNque」
イタリアのテクニカルプログレ・ジャズロックバンド、デウス・エクス・マキーナの5th。2002作。
好事家の間では「これぞイタリア!」といった感じの変態的でテクニカルな演奏が愛されているこのバンド。
演奏には今や堂々たる大人の余裕が感じられ、そんな中にも偏屈かつひねくれたリズム
曲展開などには相変わらずのユーモアがあり、聴いていてなかなか楽しい。
前作あたりよりも、突進力がやや抑え気味目になっていることもあり、かえって聴きやすくなっている。
プログレ的なシンセに、ヴァイオリン、そしてイタリア語の熱い歌唱と、とても濃いのであるが、
ときおりふっとやわらぐ部分で感じる哀愁もまたイタリア的か。
メロディアス度・・7 テクニカル度・・8 イタリア度・・9 総合・・8 
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D.F.A.「4TH」
イタリアのプログレバンド、DFAの4th。2008作
1stの頃から、テクニカルなセンスあるサウンドをやっていたこのバンドだが今作では見事な傑作を作り上げた。
軽やかなフュージョン的な質感を聴かせつつ、たおやかなフルートやプログレ的なハモンドなどのシンセが鳴り響き、
テクニカルなギターに絡むと、日本のKENSOなどを思わせる雰囲気もある。
10分以上の大曲が3曲もあるが、単なるテクニック大会に終わらず、
しっかりとした構成力とメロディアスさが備わっているので聴き疲れしない。
ラスト曲は女性ヴォーカル入りでシンフォニックなトラッド風味が耳に優しい。。
テクニカルなプログレ風味とジャズロック風味のバランスがとれた傑作だ。
メロディアス度・・8 ジャズロック度・・8 テクニカル度・・9 総合・・8.5
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JETLAG「DELUSIONE OTTICA」
イタリアのテクニカルシンフォバンド、ジェット・ラグの1st。2001作
バンド名からしてPFMを思い出すが、音の方はそのPFMのテクニカルな部分を全面的に押し出し、
フルートを吹きまくったという印象。たたみかける変拍子たっぷりの見事なアンサンブルに
イタリア的な乗りの良さが加わり、メロディセンスと展開力も備わっていて新人とは到底思えない。
ジャズロック的な押しの部分と、時折引きのパートでの叙情性も見事でキーボードもハイセンス。
DFAあたりより聴きやすく、演奏面でもまったくひけをとっていない。PFM + BANCO + AREA…?イタリア恐るべし。
メロディアス度・・8 テクニカル度・・9 楽曲・・9 総合・・8.5
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YUGEN「Labirinto d'acqua」
イタリアのシンフォニック・チェンバーロックユニット、ユーゲンの2006作
THE WATCHと元STORMY SIXのメンバーらによるバンドで
ヴァイオリン、クラリネット、サックスなどの管楽奏者も加わった10人以上の編成。
サウンドはたおやかでほの暗いピアノの音で幕を開け、軽やかな室内楽ロック風アンサンブルで
シンセとピアノ、クラリネット、マリンバなどが絡み合い、クラシカルなジャズロック的演奏を構築する。
オールインストでありながら、テクニカル硬質感とやわらかみが同居している部分は
バンド名の「幽玄」を表現しているのか、シリアスなのだが適度に力が抜けていて叙情的な面も出てくる。
シンフォニックロックとジャズ、チェンバーサウンドが高い次元で融合された一作だ。
シンフォニック度・・7 テクニカル度・・8 チェンバー度・・8 総合・・8
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◆フランス、スペイン

TIEMKO「Clone」
フランスのプログレバンド、ティアンコの4th。1995作
3rd「Parade」はフレンチプログレ史上に残るシンフォニック系の傑作なのであるが、
本作も3人編成による巧みなヒネくれ系のプログレサウンドを聴かせてくれる。
シンフォニックといってもいいシンセワークを中心に、どこかミステリアスな雰囲気で
あるいはチェンバーロック的なミニマムな音空間を作り上げてゆくセンスはさすが。
この大仰さのないすっとぼけた感じがいかにもフランス的であり、リズムとシンセの重ねに
デジタルがかったアレンジを取り入れるなど、プログレというにはお洒落ですらある。
シンフォニック度・・7 プログレ度・・8 フランス度・・9 総合・・8
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eclat「Le Cri de la Terre」
フランスのプログレバンド、エクラの2002作
1998年には来日も果たすなど、コアなリスナーには認知度もあるバンド、
テクニカルなアンサンブルと、巧みなシンセワークによるシンフォニック要素が合わさり
知的な混沌ともいうべき、浮遊感のあるインストプログレを展開している。
一筋縄ではいかないひねくれた質感はいかにもフランス的で、大人の叙情的を聴かせる
メロディアスなギターワークと軽やかなフュージョン・ジャズロック的な聴き安さの中に、
不思議なスケール感をかもしだしている。クラシカルなシンセの入れかたもさりげなく見事だ。
メロディアス度・・8 テクニカル度・・8 軽やかひねくれ度・・8 総合・・8
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Priam「3 Distances/Irregular Signs」
フランスのプログレバンド、プリアムの1st。1997作
ギター、シンセ、ベース、ドラムの4人組で、清涼感のあるシンフォニックなフュージョン/ジャズロック
オールインストながらギターの奏でるメロディや美しいシンセのおかげで耳触りがよく、
テクニカルであっても案外聴きやすい。そういう点ではかつてのKENSOあたりに通じるセンスもあり、
モダンなプログレ感覚を嫌味なくさらりと聴かせられる演奏力も見事だ。
中盤の26分の組曲は、繊細なシンフォニックロック風のパートから、
ギターを中心にテクニカルに展開してゆき、見事な構築センスで聴かせてくれる。
メロディアス度・・8 テクニカル度・・8 構築センス度・・8 総合・・8
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NeBeLNeST「NoVa eXPReSS」
フランスのヘヴィプログレバンド、ネベルネストの2nd。2002作
マグマを思わせるスペイシーな雰囲気のジャズロック風味と、
クリムゾン的な叙情とヘヴィネスを合わせたようなインストサウンド。
10分を超える曲もあり、鳴り響くメロトロンの響きとともに、ミステリアスな世界観と
テクニカルな演奏とが一体となった、スケールの大きなサウンドを描いている。
クリムゾン好きはもちろん、ANEKDOTENなどのリスナーにも楽しめるだろう。
メロディアス度・・7 プログレ度・・8 壮大度・・8 総合・・8
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Senogul
スペインのプログレバンド、セノガルの2007作
ブックレットを見ると、基本メンバーはギターにベース、シンセなどの5人だが、
そこにトランペットや各種ホーン、パイプ、アコーディオンなどが多様に加わってくる。
たおやかなピアノでしっとりと聴かせながらも、その実、曲展開はかなり凝っていて
先の読めないような雰囲気がある。クラシカルな美しさを基本にしつつ、ときにタンゴ調になったり、
ジャズやファンク色あればバグパイプが鳴り出して、またチェンバロが優雅に奏でられたりと、
じつにとりとめがないのだが、そこに不思議と整合感があるのである。
決してうるさい音ではないのに楽曲は複雑という、クールでハイセンスなシンフォ作品だ。
シンフォニック度・・7 クラシカル度・・8 民族度もあり度・・8 総合・・8
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◆北欧

KARMAKANIC「WHEEL OF LIFE
THE FLOWER KINGSヨナス・レインゴールドを中心にした
スウェーデンのシンフォ・ジャズロックバンド、カーマカニックの2nd。2003作
軽快なジャズロック調に、メロディアスなシンフォの味付けをした雰囲気で
フラキンでも見事なドラムを叩いているゾルタン・チョーズと、ヨナスのリズム隊は
息の合ったアンサンブルを生み出し、長い曲でも意外にさらりと聴かせてくれる。
メロディの新鮮味という点ではさほどのものはないが、気軽な感覚で聴ける
北欧シンフォ・ジャズロックの良作。Vo入りの曲はまるでフラキンのよう。
メロディアス度・・7 テクニカル度・・8 プログレ度・・7 総合・・8
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MATS MORGAN BAND「The Music or the Money」
スウェーデンのアヴァン(ポップ)ロックバンド、マッツ・モルガン・バンドの2010作
全盲のシンセ弾きマッツの常人離れしたシンセワークと、モルガンの技巧的かつ軽妙なドラム、
そして、バンド編成になっての楽曲では、ベースを含めたアンサンブルにも磨きがかかり、
ただアヴァンギャルドなだけではなく、音楽的にもひとつ芯が通ってきたという印象がある。
本作では、マッツの曲とモルガンの曲、そしてバンド編成の曲がバラバラに入っていて、
アートな感性の宇宙人的奇妙さであったり、超絶でテクニカルかつコミカルであったりする…
一括りで言うなら「楽しいヘンタイ」というような、斬新なサウンドが目一杯詰まっている。
頭で理解しようとは思わず、ノリと感性、右脳で楽しむ、ワンダーなアヴァン・プログレ作品である。
テクニカル度・・9 アヴァンギャル度・・9 ヘンタイ度・・9 総合・・9
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LALLE LARSSON'S WEAVEWORLD「Infinity Of Worlds」
スウェーデンのプログレバンド、ラレ・ラーソンズ・ウィーヴワールドの2010年作
かつてのU.K.を思わせるようなスタイリッシュなアンサンブルで聴かせるインストプログレの傑作。
軽やかなフュージョン/ジャズロック風味と、ときにメタリックさを匂わせる硬質な構築センスが冴え渡る。
ジャズタッチのピアノを弾くかと思えば、古き良きプログレ風味や、さらには壮麗でミステリアスな世界観も生み出す、
ラレ・ラーションのシンセワークは絶品だ。たとえばPLANET Xあたりにも通じるテクニカルな聴き心地もあり、
ProgMetalのリスナーなどにも楽しめるサウンドだろう。ボーナスディスクに収録の組曲も圧巻。
メロディアス度・・8 スリリング度・・9 構築センス・・9 総合・・8.5
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◆イギリス

The Tangent「Down and out in Paris and London」
イギリスのプログレバンド、タンジェントの2009作
CD2枚組だった前作は、シンフォニックと軽やかなジャズロックが融合された最高傑作であったが、
それに続く本作も1曲目から19分という大曲で始まり、スタイリッシュに構築されたモダンさが光る
プログレ/シンフォニックの傑作となった。アンディ・ティリソンの巧みなシンセ、そしてギターワークに、
フルートやサックスなども加わり、しっとりとした繊細さとクールな軽妙さが絶妙に交わるサウンドは
さすがのセンスの良さである。今回はメロディにほの暗い叙情が加わっていて、やわらかな歌で聴かせる
哀愁とともに、いくぶんレトロな空気を感じさせるシンセアレンジも心憎い。やはり質の高い作品だ。
メロディアス度・・8 プログレ度・・8 アレンジセンス・・9 総合・・8
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THIEVES KITCHEN「The Water Road」
イギリスのシンフォニックロックバンド、シーブス・キッチンの2008年作
前作はモダンな雰囲気のテクニカルシンフォという印象だったのだが、
今作ではなんとANGLAGARDのKeyをメンバーに迎えて、幽玄なメロトロンの響きと、
そこに絡むギターフレーズもどこか北欧的な感触で、とても叙情的だ。
女性ヴォーカルの歌唱も、前作よりもしっとりと聴かせるようになった。
のっけから20分の大曲で、適度にテクニカルに展開しつつも、
やはりメロトロンやフルートなどによる幽玄な味わいが魅力的。
浮遊感のあるテクニカルシンフォニックにメロトロンをプラスした力作。
シンフォニック度・・8 メロトロンいいねぇ度・・8 女性Vo度・・7 総合・・8
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◆東欧

The GOURISHANKAR「2nd Hands」
ロシアのシンフォニックロックバンド、グリシャンカールの2nd。2007作
ドラム、ギター、ヴォーカル、キーボードという変則の四人編成で、
ゲストにヴァイオリン、フルートなども加わって、涼やかなシンフォニックサウンドを聴かせる。
基本はインストメインで、モダンな質感の美しいシンセアレンジにかすかな民族色を加え
適度にテクニカルな軽やかさとデジタリィなサンプリングを付加して楽曲を構築している。
Voが加わった曲ではDREAM THEATER的な質感も加わり、プログレメタリックフュージョンとでも
表現したくなるような現代的なサウンドに包まれる。オールドプログレファンには理解しづらいかもしれないが
このこだわりのなさ、雑多なパーツの再構築は、むしろ若いリスナーのプログレへの窓口になるかもしれない。
シンフォニック度・・8 雑食プログレ度・・9 モダンアレンジ度・・9 総合・・8
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MINDFLOWERS「NUANCES」
ハンガリーのテクニカル系プログレバンド、マインド・フラワーズの2nd。
メタリックなDREAM THEATER風味もあった前作から、続く今作では肩の力が抜けた感じの
テクニカルなジャズ/フュージョンロックとなっている。落ち着いた余裕を感じさせる演奏に、
PLANET Xばりのリズミカルなたたみかけもあり、方向性を模索していたような印象だった1stに比べて
ずっと作品としての味がある。メンバーはみなまだ若そうなのだが、演奏力はかなりのもので、
センスのあるドラムにベース、ジャズタッチのピアノも弾きこなすキーボード、
そしてかすかにメタリックな色合いをかもしだすギターのプレイもなかなかのもの。
全曲インストなので、この手のジャズロック的音楽演奏が楽しめる人にお勧めしたい。
メロディアス度・・7 テクニカル度・・8 フュージョンロック度・・8 総合・・8
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FROMUZ「Seventh Story」
ウズベキスタンのシンフォニックロックバンド、フロムズの2010年作
前作は全曲が10分以上という大作であったが、本作も20分、16分、18分という
大曲を含む全6曲78分という力作である。まるで映画的のようなイントロから始まり、、
ときにハードフュージョン/ジャズロック的な軽やかさと、シンフォニックな音の厚みが合わさった
濃密なサウンドが展開される。これまで以上にコンセプト的なシリアスさが出ていて
ミステリアスな雰囲気が壮大な質感となり、ギターによる叙情フレーズでここぞと盛り上げる。
インストが中心ながらも細かなアレンジによる楽曲構築が見事で、聴き手を飽きさせないだけの
音の説得力もついた。ドラマティックなセンスで、辺境性を感じさせない力作に仕上がっている。
シンフォニック度・・8 ドラマティック度・・9 濃密度・・9 総合・・8.5
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◆南米

MATRAZ「GRITARE」
チリのシンフォニックロックバンド、マトラスの2nd。2004作
今やシンフォニック大国となりつつあるチリだが、このバンドもワールドクラスの実力を持つ。
スリリングでテクニカルな演奏はメタル色の薄いDREAM THEATERといった印象もあり、
音はけっしてやかましくならないが流れるような演奏はまるでKENSOのように優雅で、
たたみかける場面でもどこかクールな「静けさの美」を持つセンスが素晴らしい。
クラシカルなピアノはサウンドに格調高さをもたらし、スペイン語の女性Voの歌唱は、
インストだけでは硬質になりすぎるところを、上手い具合にやわらかなバランスを保たせている。
南米なのに涼やかで、適度に硬質で、シンフォニックかつクラシカル。傑作アルバムです。
メロディアス度・・8 テクニカル度・・8 クールな叙情度・・9 総合・・8.5
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Mar de RoblesIndigena
チリのプログレバンド、マール・デ・ロブレスの2007作
前作「MdR」は、テクニカルで多様性に富んだ異色の傑作であったが、
今作も適度に偏屈がかったインスト重視の見事なプログレアルバムだ。
サックス、フルート奏者で歌も歌えるメンバーや、スティックベースを弾きこなす凄腕、
妖しくサイケなフレーズも奏でるギター、手数の多いドラムにパーカッショニストという、
個性とセンスあるメンバーたちが織りなすのは、ときにアラビックだったり、南米的だったりする
無国籍感たっぷりのインストで、ごった煮感の中にも壮大な世界が見え隠れするのが凄い。
誤解を恐れずにいうと、南米版THE MARS VOLTAというところか。吹っ切れの良さが凄い。
メロディアス度・・7 プログレ度・・8 演奏センス・・9 総合・・8
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◆日本

KENSO「天鳶絨症綺譚」
日本が誇るプログレッシブロックバンド、ケンソーの7th。2002作
“ビロード症”という精神分裂的病をコンセプトにカラフルかつ奇天烈な世界観をインストサウンドで描き出している。
初期のプログレ的なプログレであったケンソーの呪縛から今だ抜けられないでいる方も多いだろうが、
たとえヘヴィになったとしても、彼らの前進、進化し止まることはない。それこそが真のプログレだ。
ときにHR的ですらある清水氏のヘヴィなギターに、ロック的なグルーブをもった村石氏のドラムは
変拍子入りまくりの楽曲にあっても、「全てはロックなのだ」と語ってでもいるかのようだ。
キーボードの味付けはシンフォニックというよりは、異国的で、モダンさとレトロさが混在しており
テクニカル一辺倒になりがちなサウンドに、しなやかで眩惑的な質感を与えている。
メロディアス度・・7 テクニカル度・・8 ヘヴィプログレ度・・9 総合・・8
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L'EVOLUZIONE「ANTIBIOTIC RHYTHM」
日本のプログレバンド、レヴォルツィオーネの1st。1999作
テクニカルで展開の多い曲調に、プログレ風のきらびやかなシンセワーク、そして
癖のあるハイトーンヴォーカルが独特のメロディを英語の歌唱で聴かせるサウンドは、
DREAM THEATER的な構築部分とともに、FATES WARNING的なアンバランス性を持った
なかなか深いところを目指しているように感じる。つまりマニアックかつ濃密な音楽性だ。
女性コーラスを導入した劇的な叙情バラード曲や、ときにKENSOなどにも通じる変拍子インストを
繰り広げるなど、内容盛り沢山。歌唱の力みかたがちょっとわざとらしいという点以外は好感が持てる。
特にキーボードの充実ぶりと、リズムアプローチへのこだわりが嬉しい。隠れた傑作です。
メロディアス度・・7 プログレ度・・8 テクニカル度・・8 総合・・8
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IGZIT-NINE
日本のプログレ・ジャズロックバンド、イグジット・ナインの2003作
KENSOあたりにも通じるインストのジャズロックで、軽快かつテクニカルなサウンド。
変拍子リズムを多用しながらも、ギターの分かりやすいメロディが主導なので
とても聴きやすく、ハードめのメロディアスなフュージョンとしても楽しめる。
この手のジャズロックとしては軽すぎない適度なヘヴィさもあり、
ロックとしての硬質さと、キーボードを含めての音の重ねによる空間的なサウンドが特徴的。
プログレファン向けのジャズロックとしてはとても出来のいいアルバムだ。
メロディアス度・・8 プログレ度・・7 テクニカル度・・8 総合・・8
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◆プログレメタル・フュージョン系

RH FACTOR「RODLER /HULTBERG
アメリカのプログレメタル、RHファクターの1998作
LEGER DE MAINのクリス&ブレッドのロドラー兄弟とケヴィン・ハルトバーグによるトリオ編成。
軽やかなリズムの上に、適度にハードなギターとキャッチーなヴォーカルを乗せて、
随所に変則リズムのテクニカル性を含ませながら構築される玄人好みのサウンド。
癖のあるヴォーカルはやや好みを分けるかもしれないが、メタルフュージョン的な軽妙な演奏力と
独自の浮遊感を感じさせるセンスは素晴らしい。個性派テクニカルメタル好きにはうってつけの作品だ。
メロディアス度・・8 軽妙度・・8 テクニカル度・・9 総合・・8
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Liquid Tension Experiment 2
トニー・レヴィン、マイク・ポートノイ、ジョーダン・ルーデス、ジョン・ペトルーシによるユニット
リキッド・テンション・エクスペリメントの1999作
ジャムセッション的であった1作目に比べ、楽曲的な構築性が増し、各メンバーの技量がより際立った
質の高い作品となった。4人のうち3人までがDREAM THEATERのメンバーということで、
サウンド的にもDTのインスト部分を軽やかにしたような雰囲気であるのだが、
ルーデスの巧みなシンセワークとペトルーシのギターの絡みはやはり絶品だし、
屋台骨を支えるポートノイのドラムも手数たっぷりでパワフルに張り切っている。
緊張感の漂う即興的な要素とともに、技巧派メンバーたちのよるバトルが楽しめる。
メロディアス度・・7 テクニカル度・・9 緊張感・・8 総合・・8
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JODAN RUDESS「Rhythm of Time」
DREAM THEATERのシンセ奏者、ジョーダン・ルーデスのソロ作。2004作
ソロ名義としては4作目となり、今作もプログレッシブで超絶技巧たっぷりの力作だ。
盟友ロッド・モーゲンスタインをドラムに迎え、イスラエル出身の新鋭ギタリスト、ダニエル.Jをはじめ、
ジョー・サトリアーニ、グレッグ・ハウ、ヴィニー・ムーア、スティーヴ・モーズ、キップ・ウインガーら
名うてのゲストが参加し、ハードフュージョンがかった軽やかさとプログレ的な遊び心たっぷりで
楽しませてくれる。テクニカルなことをさらりとやってのけるセンスは相変わらず素晴らしく、
豪華メンバーを従えて、これだけ自由に質の高い作品を作れるシンセ奏者は、
おそらくDEREK SHERINIANとこのルーデスくらいのものだろう。
メロディアス度・・8 プログレ度・・8 キーボー度・・9 総合・・8
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DEREK SHERINIAN「PLANET X」
元DREAM THEATERのシンセ奏者、デレク・シェリニアンのソロ作。1999作
DTを解雇されたデレクが目覚めたのは、超絶テクニカル・プログレメタル・フュージョンだった!
本作の広告の文句には「これが奴らへの答えだ」とあったが…奴ら、というのがDTであるのは明白、
それはともかく、ここで聴けるサウンドは、変拍子に次ぐ変拍子の、強烈なテクニカルプログレである。
天才ドラマー、ヴァージル・ドナーティの叩き出す、ありえないような変幻自在のリズムに、
吹っ切れたようなデレクのシンセワークが重なり、ヒねくれ気味のヘヴィ・フュージョンが構築される。
モダンなテクニカルさの裏には、ELPなどの古き良きプログレッシブロックへの憧憬もかいま見える。
メロディアス度・・7 テクニカル度・・9 キーボー度・・8 総合・・8.5
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BOZZIO LEVIN STEVENS「SITUATION DANGEROUS」
テリー・ボジオトニー・レヴィンスティーブ・スティーブンスの三人による2nd。2000作
のっけからのヘヴィプログレ的な演奏は音に迫力があり、即興ぎみだった前作に比べて
1週間のリハーサルをとったというだけあって、各メンバーがイメージを共有できているようなリラックスした部分も感じる。
スティーブ・スティーブンスの奏でるギターにもメロディアスなものが増え、
曲の聴かせ所と演奏のメリハリが備わったことで、アルバムとしての完成度もずっと高まっている。
GORDIAN KNOTLIQUID TENTIONなどが好きな方にもぜひ聴いて欲しい。
メロディアス度・・7 プログレ度・・8 演奏・・9 総合・・8
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GORDIAN KNOT「EMERGEMT」
CYNICショーン・マローンを中心としたユニット、ゴーディアン・ノットの2nd。2002年作
自身で本も書き、大学で音楽理論についての教鞭もとるという、学者肌のミュージシャンである彼が、
FATES WARNINGやDREAM THEATERのメンバーとも交流があるというのは、自然なことのようにも思える。
スティーブ・ハケットビル・ブラッフォードといった大物がゲスト参加しているのも見逃せないが、
そのサウンドには媚がなく、ぱっと聴きには地味にも思える、一聴するとメタルとは程遠い音なのだが、
インプロ的なグルーブ感をかもし出しつつ、リズムアレンジにはPLANET Xあたりを思わせる、
探求的なアプローチを感じさせ、プログレッシブ・ジャズロック的なテイストで演奏を楽しむことができる。
マローンのベースはもちろん、自身が弾くスティックやキーボードの音色も美しい。
メタル度・・6 プログレ度・・8 アンサンブル度・・9 総合・・8
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PLANET X 「MOONBABIES」
デレク・シェリニアン率いるハイテク・インストバンド、プラネット・エックスの2作目。2002作
DREAM THEATER脱退後のソロプロジェクト作「PLANET X」から始まったテクニカルなインスト追求は、
超絶ドラマー、ヴァージル・ドナーティに加え、前作に続き天才ギタリスト、トニー・マカパインも参加。
プログレ・フュージョン的なサウンドをより強く押し出し、マイルドな聴き心地でありながら、素晴らしく切れがよく
じつに緻密な演奏を繰り広げている。マカパインのギターは技巧的かつメロディアスでときにメタリックなヘヴィリフを奏で、
ドナーティの変幻自在な変拍子を刻むリズムの中で、デレクの変幻自在のシンセワークが冴え渡る。
プログレかテクニカルメタルか…このバンドの音はそうした論議を軽々と超越している。フュージョン・メタルのひとつの完成形。
メロディアス度・・7 プログレフュージョン度・・9 テクニカル度・・9 総合・・8
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TONY MACALPINE「MASTER OF PARADISE」
アメリカの技巧派ギタリスト、トニー・マカパインの9作目。1999作
マカパインといえば、1st「EDGE OF INSANITY」、2nd「MAXIMUM SECURITY」
頂点を究めたクラシカルなインスト作が記憶に残るが、今作ではプログレッシブな構築センスが炸裂。
マカパインはギターの他にキーボードも弾き、自らヴォーカルもとっているが、これが意外にハマっていて
変拍子を多用したリズムに、テクニカルリフとハイトーンの歌が乗り、プログレ的なシンセが曲を彩る。
この後デレク・シェリニアンのPLANET Xへ参加するのだが、これはその布石となった作品だったのだろう。
メロディアスでクラシカルな部分を残しつつ、プログレアプローチを始めた進化が感じられるアルバムである。
メロディアス度・・7 プログレ度・・8 テクニカル度・・8 総合・・8
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Cyril AchardConfusion」
フランスのギタリスト、シリル・エイチャードのソロアルバム。2002作
シリル・エイチャードというと、プログレメタルユニット、MORBID FEELINGが思い出されるが、
本作はそれより前、1996年に録音されたもので、メタルというよりはフュージョン的な作品。
おそらく、プログレバンドArrakeenを脱退してからのものだろう。随所にプログレ的な構築性や
ギターのみならずシンセを含んだシンフォニックな味わいもあって、そのセンスと才能を発揮している。
メロディアスなギタープレイでの泣きのセンスは素晴らしく、クラシック、ジャズなどの素養も覗かせて
単なるギターインスト以上の魅力ある楽曲が楽しめる。ボーナスに2002年のデモやArrakeen時代の曲も収録。
メロディアス度・・8 プログレ度・・7 ギターメロ度・・8 総合・・8
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CABTheatre De Marionnettes
アメリカのフュージョンロックバンド、キャブの2011年作
トニー・マカパイン、バニー・ブルネル、ヴァージル・ドナーティという凄腕3人による
ハード・フュージョンサウンド。マカパインのギターは随所にメロディックでテクニカルなフレーズを
聴かせつつ、あくまで軽妙にさらりと弾き鳴らす。ドナーティのタメの効いたドラムも素晴らしく、
大人の余裕を感じさせるアンサンブルが楽しめる。今回、ブライアン・オーガーは1曲のみの参加で、
代わりにチック・コリア、ミシェル・ポルナレフ他、ゲストによるエレピやオルガンなどが楽曲を優しく彩る。
メロディアス度・・8 テクニカル度・・8 軽妙度・・9 総合・・8
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Scale The SummitCollective」
アメリカのテクニカルメタルバンド、スケール・ザ・サミットの2011年作
いかにもDREAM THEATERのインスト版という感じだった前作から、
本作ではよりアンサンブルが強固になり、どこかスペイシーな浮遊感と
フュージョン的な軽妙さが融合された、テクニカルなサウンドが楽しめる。
歌なしながら、ギターのリフとメロディフレーズで聴かせるセンスはやはり絶品で
適度な緊張感に包まれた奥深いビジョンが楽曲を通してかいま見えてくる。
モダンな味わいの薄暗い叙情とメロウな哀愁を含んだ世界観を抜群の演奏で表現した傑作だ。
ドラマティック度・・8 テクニカル度・・8 構築センス・・9 総合・・8
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THOUGHT CHAMBERAngular Perceptions
ベテランギタープレイヤー、マイケル・ハリスと、ENCHANTのテッド・レオナードを中心とした
プログレメタルユニット、ソート・チェンバーの2007作
メンバー全員がテクニックの持ち主であるので、その演奏力は抜群。
緩急自在のリズムとテクニカルな展開力で、メタリック・フュージョン的な質感も含めて
ギターとシンセ、ベースが巧みに絡み、ときに同調し、見事な構築美を生み出している。
テッド・レオナードの歌声は楽曲をテクニカル一辺倒にならないメロウな叙情で彩り、
ENCHANTよりもさらにダイナミックなProgMetalを存分に聴かせてくれる。
メロディアス度・・8 テクニカル度・・8 ドラマティック度・・8 総合・・8
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ALEX ARGENTO「EGO」
イタリアのシンセ奏者、アレックス・アルジェントの2007作
ジョーダン・ルーデス主催のキーボードコンテストで最優秀賞に輝いたという経歴の持ち主。
本作のサウンドは、シンセとギターを中心にしたテクニカルなハード・フュージョン
PLANET Xほどまでは超絶ではなく、むしろメロディを大事にしている部分は
T.マカパインのCABに近いか。アレックスの鍵盤は、時にジャズタッチのピアノなども聴かせ、
軽やかなリズムの上で、こちらもかなりのテクニックのギターとの掛け合いも光る。
楽曲の独自性の点ではさして目新しさはないが、演奏力はさすがのメタル・フュージョン作。
メロディアス度・・7 テクニカル度・・8 フュージョンロック度・・8 総合・・8
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ON THE VIRG「SERIOUS YOUNG INSECTS」
現在PLANET Xで活躍するヴァージル・ドナーティが在籍していたオン・ザ・ヴァーグの1999作
PLANET Xへの加入前はまったく無名だったドナーティだが、こんな素晴らしいアルバムを残していたとは。
基本はオールインストの(やや変態入った)メタルフュージョンというサウンドで、
テクニカルかつ軽やかな演奏は、やはりPLANET Xに通じる質感が多分にある。
変幻自在のドナーティのドラムとそのリズムセンスは、やはり素晴らしいという他ないが、
ときおりメタリックな色も見せるギターのテクニックも相当のものだし、
デレク + ケヴィン・ムーアという感じのKeyもなかなか良い仕事をしている。
PLANET X系のテクニカル・フュージョンメタルが好きなら、これは聴くべし。
メロディアス度・・7 テクニカル度・・8 ドナーティ度・・9 総合・・8
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LOOSE CHANGE「Live at the Grainstore」
世界最高のテクニカルドラマー、ヴァージル・ドナーティが80年代に活動していたバンド、
ルース・チェンジの唯一の音源であるライブアルバムのCD化。2004作
ヴァージル・ドナーティといえばPLANET Xでの超絶なドラミングが印象的だが、
この音源は1987年の録音で、若き日のドナーティのプレイが聴ける。
サウンドはギター、ベース、シンセ、ドラムの4人編成による、フュージョン・ジャズロックで、
やはりPLANET X的なテクニカルさもある。ドナーティのドラミングは当然に見事だが、ギタリストの腕前もかなりのもので、
聴きやすいメロディフレーズと、リズム面でのキメが合わさった質の高い演奏だ。
PLANET X、そしてドナーティのファンであれば文句なしに楽しめる1枚。
メロディアス度・・8 テクニカル度・・8 ライブ演奏・・9 総合・・8
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The Fractured Dimension「Towards the Mysterium」
アメリカのテクニカルプログレ(メタル)バンド、フラクチャード・ディメンションの2008作
ドラム、ベース、シンセというトリオで、シンセをメインにしたテクニカルメタルというサウンド。
フュージョン、ジャズ的な軽妙な優雅さとプログレッシプな知的さが合わさった楽曲は、
緊張感がありながらも、美麗なシンセワークが音の硬質感をやわらげている。
ギターはすべてゲストであるが、ネオクラシカルなプレイも含めてなかなか効果的。
ゲストの中にはあのロン・ジャーゾンベクの名前もある。PLANET Xなどのファンにもオススメ。
メロディアス度・・7 テクニカル度・・8 優雅にヘンタイ度・・8 総合・・8
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Animals as Leaders
アメリカのテクニカルメタルバンド、アニマルズ・アズ・リーダーズの2009作
8弦ギターを駆使する黒人ギタリストを擁する4人組で、プログラミング専門のメンバーもいるという、
少し変わったインストのテクニカルメタルバンド。変則リズム入りのフュージョンメタル的な
質感はPLANET X的でもあり、手数の多いドラムも含めてメタリックな硬質感は
DREAM THEATERを思わせたりもする。全編インストであるのだが、このギタリストのプレイがじつに巧みで、
フレーズには歌ごごろがあって、じっくり聞き入ってしまう。バックのシンセの空間的なアレンジもセンスがよく、
テクニカルなサウンドの難解さを緩和してくれている。演奏、センスとも抜群のインスト・プログレメタル作品。
メロディアス度・・7 テクニカル度・・9 演奏センス・・9 総合・・8
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Aphelion「Franticode」
イタリアのハードフュージョン・プログレメタルバンド、アフェリオンの2009作
PLANET Xのデレク・シェレニアンがプロデュースということで期待していたが、
サウンドの方は、モロに初期のプラネット・エックスを思わせるテクニカル・メタルフュージョン
ときにDREAM THEATERを思わせるような美麗なシンセと、ザクザクとしたメタルギターが絡み、
テクニカルなリズムとともに、プログレメタル的なアンサンブルを構築している。
このバンドの場合、シンセの音がどちらかというとプログレ寄りであることもあって、
PLANET Xのファンはもちろん、Spaced Outなどのリスナーでも楽しめると思う。
メロディアス度・・7 テクニカル度・・8 プログレ・フュージョン度・・8 総合・・8

Canvas SolarisIrradiance」
カナダのテクニカルメタルバンド、カンバス・ソラリスの2009年作
毎作、濃密なテクニカル(ヘンタイ)メタル作品で楽しませるこのバンド、
5作目となる本作も、変則リズムの嵐による強力なインストを聴かせる。
ツインギターにシンセを絡めた音の厚みと、メロディアスな聴き心地を含めて
隙のない音象がうねりをまとって展開されてゆく。今作では押しばかりでなく、
メリハリのある構成と叙情的な要素も強まり、メタルフュージョン的な軽やかさに加えて、
ある種の得体の知れないミステリアスさも随所に感じさせるようになった。
文句なしの力作であるが、ただどうしても全編インストという長尺感はあるが。
メロディアス度・・7 テクニカル度・・8 構築度・・9 総合・・8
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Lye by Mistake「Fea Jur」
アメリカのテクニカメルタルバンド、ライ・バイ・ミステイクの2009年作
ギター、ベース、ドラムのトリオ編成で、インストによるテクニカルかつ
アヴァンギャルドなサウンドを繰り広げている。唐突なまでのリズムと、
ヤケクソ気味の変態さが合わさった、濃厚なテクニカルメタルでありつつ、
遊び心とユーモアを感じさせる余裕もあり、フュージョン的な軽やかさも特徴か。
デス色を抜いたMeshuggahというか、MATS/MORGAN的センスというか…そんな感じ。
CANVAS SOLARISやELECTROCUTION 250あたりが気に入った方ならぜひにというヘンタイぶり。
メロディアス度・・7 テクニカル度・・8 ヘンタイ度・・8 総合・・8
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TETRAFUSION「Altered State」
アメリカのテクニカルメタルバンド、テトラフュージョンの2010年作
ギター、ベース、ドラム、シンセ/ヴォーカルの4人組で、メロディアスな聴き心地の
テクニカルメタルをやっている。ギターのフレーズやリズム面でのアプローチには
いくぶんDREAM THEATER的な雰囲気もあるが、どこか淡々したヴォーカルを含めて
熱すぎないクールな構築感覚は、バンド名のようなフュージョン的な聴き心地もある。
いわば、メタルフュージョン的な優雅さをProgMetalと融合させているという感じもするのだが、
美しいシンセにうっとりしていると、唐突な曲展開でいきなり激しくなったりと、カオティックコア風味もある。
Scale The Summitといい、このバンドといいアメリカからは面白いバンドが出てくるものだ。
メロディアス度・・8 テクニカル度・・8 ヘンタイ度・・8 総合・・8
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