北欧系メロディックメタル ベスト53


スウェーデン、フィンランド、ノルウェー、デンマーク…北欧スカンジナビアの地は、
イギリス、アメリカ、ドイツに続く、ハードロック、メタルの地として、かつてより注目されてきた。
80年代のEUROPETNTからはじまり、90年代に入るとフィンランドからSTRATOVARIUSがデビュー、
スウェーデンからはNOCTURNAL RITESHAMMERFALLが、デンマークからはROYAL HUNTが登場し、
その北欧的な叙情を含んだクラシカルかつ美麗なサウンドは、我々日本人の心をぐっとつかんだ。
その後、SONATA ARCTICAやNightwishなどがあらわれると、フィンランドをはじめとする北欧各国への関心はさらに高まり、
今では北欧の地におけるメタルバンドはその数を増やし、その高品質なサウンドは我々にとって揺るぎない信頼となっている。
ここでは、そうした北欧のメロパワ、メロスピ系のバンドを中心に、とくに1999年以降のアルバムを厳選して紹介する。

                                             緑川 とうせい



◆正統派メロパワ系

STRATOVARIUS「ELEMENTS PT1」
フィンランドのベテランバンド、ストラトヴァリウスの9th。2003作
前作「INFINIT」発表後、一度は燃え尽きたティモ・トルキがしばらくのブランクを経てから取り組んだ作品。
もともと2枚組みのコンセプト作として書かれた楽曲は、これまでの売れ線路線からは精神的に脱却したような、
ミュージシャンとしてのティモの素直な感性が漂っている。彼自身の再生への過程を思わせるような、
穏やさと自然体の空気が音からは感じられ、疾走に頼らない正統派の曲調には、テーマにそった壮大さが光る。
オーケストラやコーラスなども導入していて、ときにメタルらしからぬしっとりとした部分や荘厳さもあり、
総じてサウンドの内面に潜むやわらかな情感が素晴らしい。ティモ・コティペルトの歌唱もぐっと説得力を増し、
10分を超える大曲や、シンフォニックなバラードなど聴きどころも多い。一方ではきらびやかさも残しつつ、
イェンス・ヨハンソンの華麗なキーボードワークが冴えるインスト曲なども健在で、ファンを裏切らない力作に仕上がっている。
メロディアス度・・8 シンォニック度・・8 疾走度・・7 総合・・8Amazon.co.jp で購入

STRATOVARIUS「ELEMENTS PT2」
フィンランドのベテランバンド、ストラトヴァリウスの10th。 2003作
前作の続編。4th以降「売れる」アルバムを作ることをある意味で義務づけられていたティモ・トルキが、
それらを振り払い立ち帰った己の宇宙、それを「エレメンツ」というコンセプトで表現している。
前作もそうだったが、お約束の疾走曲を1曲めにもってくることをやめたことにもそれは如実に表れており、
虚飾で飾らないメロディとサウンドには、音楽にまっすぐに向き直った真摯な姿勢が窺える。
今回はオーケストラ等はなしで、楽曲は比較的シンプルにバンドサウンドを重視した感があるが、
それでいて音には若手バンドでは決して表現出来ない、内面から滲み出るような深みがある。
しばらくの間このバンドのCDから遠ざかっていた私をも惹きつける、力強さと自信に満ちた
自然体のストヴァリサウンドが、日本デビュー後10年を経てここに完成したという気がする。
メロディアス度・・8 疾走度・・7 自然体度・・9 総合・・8.5Amazon.co.jp で購入

LOST HORIZON「AWAKING THE WORLD」
スウェーデンのメロパワバンド、ロスト・ホライズンのデビュー作。2001作
HAMMERFALL以降の正統派メロディック疾走メタルの流れを組むスタイルに、
MANOWARなどにも通じる、男気溢れるメタル魂を加えた力強いサウンドだ。
元はHAMMERFALLの前身と同じ「HIGHLANDER」というバンド名だったそうで、
メンバーもそれっぽい戦士のコスチュームに身を包んでいて写真からも気合が充分。
形態からいって目新しさがない音のはずなのに、曲にはちっとも古くささを感じない。
切れの良い演奏と、楽曲センスの高さに加え、もう一つ素晴らしいのがヴォーカルの力量で、
パワフルなハイトーンも出せしかも説得力がある。正統派メロパワでは近年稀にみる出来だ。
メロディアス度・・8 メタル魂度・・9 楽曲・・8 総合・・8.5Amazon.co.jp で詳細を見る

LOST HORIZON「A FLAME TO THE GROUND BENEATH」
スウェーデンのメロパワバンド、ロスト・ホライズンの2nd。2003作
あまりに見事だったデビュー作に続く本作も、期待を裏切らない出来だ。
メタリックなパワフルさを、北欧らしいメロディアスさ、キャッチーさで包み込んだ正統的なサウンドなのだが、
古くささやありきたり感はまったく感じない。彼らの場合たんなる勢いだけで突っ走るのではなく
曲の細かな部分にも非常に気を配った「緻密さ」を持っていることがポイントである。
曲のアレンジはどれも練られ、効果的なメロディと疾走感を失うことなく、密度を高めている。
Voの歌唱も見事で、このサウンドの説得力はこの歌唱の表現力にも負うところが大きいだろう。
世界には真似の出来ないオーラをもった特別なバンドというものがいるのだが、二作目にしてこのバンドも
そこに名を連ねるのではないかと思わせるほどに輝いている。本作を最後に解散の道を辿ったのが残念でならない。
メロディアス度・・8 メタル魂度・・9 楽曲密度・・9 総合・・8.5Amazon.co.jp で詳細を見る

DREAM EVIL「DRAGONSLAYER」
スウェーデンのメロパワバンド、ドリーム・イーヴルの1st。2002作
フレドリック・ノルドストロームガス・Gのツインギターを中心に、
どっしりとしたドラムにベース、そしてしっかりメロディを聴かせるヴォーカル。
かつての北欧メタルの質感に、今風のヘヴィなフィーリングを合体させた
これはまさに、現在形の北欧正統派ヘヴィメタルサウンドだ。
流麗なツインギターはもちろん、北欧らしいキャッチーなメロディも耳に心地よい。
スピードに頼らないメタルパワーの炸裂。素晴らしいメロディックメタルアルバムである。
メロディアス度・・8 重厚度・・9 メタルパワー度・・9 総合・・8.5
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NOCTURNAL RITES8th Sin
スウェーデンのメロパワバンド、ノクターナル・ライツの8th。2007作
4th以降着実な成長を遂げ、今や北欧メロバワバンドの重鎮というクラスまできたこのバンド、
前作はまさにバンドの集大成的な抜群のクオリティのアルバムだっだが、早くも新作が登場。
パワフルさとキャッチーなメロディアスさががっちりと手を組んだ、いつもながらのノクタ節が炸裂している。
ジョリー・リンドクヴィストの力強い歌唱を、ヘヴィメタリックなギターとどっしりとしたドラムが支え、
なおかつ北欧メタルのアイデンティティを失わぬきらきらとしたシンセワークがサウンドのバランスをとる。
もはやここまでのクオリティまで来ると、変わりようがない磐石さが音からにじみ出ている。
疾走メロパワから脱却した、真の北欧メタルとしての輝きをこのバンドはまとっているようだ。
メロディアス度・・8 疾走度・・6 パワフル度・・8 総合・・8.5
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SUPREME MAJESTY「DANGER」
スウェーデンのメロディックメタルバンド、スプリーム・マジェスティの2nd。2003作
1stの時点からセンスのよいメロディで好感を持っていたが、本作も期待通りのクオリティ。
特に目新しい部分はないのだが、音の一瞬一瞬を切り取ってみても
じつに曲のアレンジと楽器の重ね方が上手く、耳に心地よいのである。
Voもなかなか実力があり、GもかねるKEYの北欧的メロディセンスと相まって、
楽曲に彩りと厚みとをしっかり与えている。アルバムとしての完成度の点でも隙がない。
メロディアス度・・8 疾走度・・8 楽曲度・・7 総合・・8
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AXENSTAR「FAR FROM HEAVEN」
スウェーデンのメロパワバンド、アクセンスターの2nd。2003作
この手のバンドの中でも、メロディといい曲といい、いいものを持っているバンドだと思う。
この2ndでは、曲をコンパクトにまとめ、全体的にも勢いのあるアルバムとなっていて、
ハイトーンでない中音域のマイルドなVoも含めて、なかなか心地よいサウンドである。
曲によっては、GAMMA RAYSONATA ARCTICALOST HORIZONなどを思わせる雰囲気もあり
演奏、楽曲、メロディとも標準以上のクオリティなのだが、このバンドならではという新鮮味はあまりない。
メロディアス度・・8 疾走度・・8 新鮮度・・7 総合・・8
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PlatitudeSilence Speaks」
スウェーデンのメロディックメタルバンド、プラティテュードの3rd。2006作
ネオクラ風味の疾走サウンドでデビューしたこのバンドだが、前作2ndでは
よりプログレッシブなアプローチの知的さを覗かせた作風に変貌を遂げた。
本作では新たに若干17歳という若手のドラマーが加わって、
これまでのシンフォニックな美しさと、プログレメタル風味の構築力を同居させた
北欧らしいきらきらとしたサウンドを描いている。ちょっとしたギターフレーズにしろ、
シンセによるアレンジにしろ、じつにセンスが良く、全体的にやわらかな質感で、
激しさやスピードに頼らないメロディアスな好作となっている。
メロディアス度・・8 疾走度・・6 知的構築度・・8 総合・・8
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THE STORYTELLER「CROSSROAD」
スウェーデンのメロディックメタルバンド、ザ・ストーリー・テラーの2nd。2001作
1stの頃から、そのサウンドには普通のジャーマン系クサメロ疾走メタルとは
微妙に異なるメロディの質感があった。それは北欧の土着的なトラッド要素である。
もともとはこのバンドは非メタル系のフォーク/トラッドバンドからスタートしたという経緯があり
そこが他のこの手のバンド群とのメロディ/アレンジの質感の違いとなっているのだろう。
スタイリッシュなセンスの良さよりは、田舎臭い哀愁が感じられる。そこがいい。
メロディアス度・・8 疾走度・・8 北欧土着哀愁メロ度・・8 総合・・8
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PERSUADER「EVOLUTION PURGATORY」
スウェーデンのメロパワバンド、パースエーダーの2nd。2004作
SAVAGE CIRCUSのメンバーがやっているこのバンドは、1stを聴いたときから、、
北欧のバンドながらもギター主導のパワフルなジャーマンメタル風味が印象的だった。
今作も基本的には同路線ながら、より曲のクオリティが上がっていて、
あるときは北欧メロデス風のリフを取り入れて疾走しながらも
やはり往年のBLIND GUARDIANを思わせる突進力のある演奏が心地よい。
まさに「北欧産だが…心はジャーマン」なサウンド。古き良きスラッシャーにもお勧め。
ときおり本当にヴォーカルがハンズィ声になるのも、ブラガ好きにはたまらない(笑)
メロディアス度・・7 スラッシュ度・・8 ジャーマンパワー度・・8 総合・・8
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SAVAGE CIRCUS
「Dreamland Manor」
スウェーデンのメロパワバンド、、サヴェージ・サーカスの2005年作
BLIND GUARDIANのトーメン・キアシュが参加していることで注目されたが
サウンドの方も、ファンが求めていた「あの頃のブラガー」を体現したような勢いあふれる素晴らしいものだ。
PERSUADERの2nd自体が、すでにかなりBLIND GUARDIANに接近した音だったのですが、
これはさらにそのものです。もうドラムから(本人だから当然か…)ギターから、ヴォーカルまで。
もちろん単なる模倣できなく、ドラマティックな盛り上がり、メロディの質、疾走感、どれもが一線級のクオリティ。
現在のブラガーには物足りないという往年のファンの方にもオススメです。
メロディアス度・・8 疾走度・・8 あの頃のブラガ度・・9 総合・・8.5
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CRYONIC TEMPLE「IN THY POWER」
スウェーデンのメロパワバンド、クライオニック・テンプルの3rd。2005作
前作もこの手としては熱きメタル魂炸裂の好盤だったが、今回も期待を裏切らない。
初期HELLOWEENばりの疾走感に加え、北欧らしいキャッチーな歌メロをまぶして
メロディアスさとメタリックな硬派な部分を上手く同居させている。
かつてのHAMMERFALLあたりよりもずっとパワフルだし、ドラマティック、
楽曲アレンジの面でも成長を見せた今作は、ミドルテンポの曲でも飽きずに聴かせる。
バンドとしての最高傑作と言ってよい出来だろう。むろんクサメタラーにも対応!
メロディアス度・・8 疾走度・・8 メタル魂度・・9 総合・・8
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MOONLIGHT AGONY「ECHOES OF A NIGHTMARE」
スウェーデンのメロディックメタルバンド、ムーンライト・アゴニーのアルバム。2004作
CHILDREN OF BODOMの登場以降、メロデスとメロパワの境界線は非常に接近し、
今やリスナーはそうしたジャンルをあまり意識せずにメタルを楽しむようなった感がある。
このバンドも、ただの爽快なメロパワとは若干質感が異なり、どこか陰りを含んだサウンドが特徴。
シンフォニックなキーボードに、ときおり聴かせるトラッド/ヴァイキング調のメロディも美しく、
スリランカ人ヴォーカリスト、チトラルの歌唱は、スクリーミングヴォイスでアグレッションも表現できる希有な声質。
ややダークめのメロパワとしては非常に高品質だ。CのサビメロなどはINSANIA並みにキャッチーですな。
メロディアス度・・8 疾走度・・8 北欧の陰り度・・8 総合・・8
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FrequencyWhen Dream and Fate Collide
スウェーデンのメロパワバンド、フリークエンシーのアルバム。2006作
知る人ぞ知るクサメロ系メロデスバンドLOTHLORIENのメンバーが結成したこのバンド、
さすがに元デスをやっていただけあり、素晴らしく重厚なギターサウンドが炸裂している。
センスのよいメロディックなツインギターに、なかなか力強いハイトーンヴォーカルが乗ると
NOCTURNAL RITESあたりに通じる質感で、これはかなりハイクオリティなサウンドだ。
ギターはときおりクラシカルなフレーズを織りまぜつつも、ザクザクのリフを弾いてもまた格好よい。
メロデス風に疾走する曲もあり、しかもそこいらのメロデスよりもずっと出来が良いときている。
パワフルかつメロディックな傑作。個人的にはノクタよりも気に入った。まさに掘り出し物の一枚!
メロディアス度・・8 疾走度・・7 パワフル&重厚度・・9 総合・・8.5
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SONATA ARCTICA「UNIA」
フィンランドのメロディックメタルバンド、ソナタ・アークティカのアルバム。2007作
本作では初期にあった勢いまかせのスピードチューンはすっかり消え失せ、
同郷のTWILIGHTNINGがそうだったように、普遍的なハードロック/メタルへの接近がなされている。
もちろん、キラキラとしたシンフォニックなシンセワークは健在で、北欧のバンドとしてのアイデンティティは
しっかり保たれているし、ギターがややモダンなヘヴィさを取り入れたことも時代の流れに乗ってのことか。
Voの表現力も上がっていて、QUEEN的な美麗なハーモニーの曲もアルバム中で輝いている。
初期のファンからすれば、疾走感のない肩すかしのアルバムかもしれないが、
個人的にはオーセンティックな北欧メタルとしてじっくり聴けるバンドになったと思う。
メロディアス度・・8 疾走度・・6 北欧度・・8 総合・・8
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Burning PointEmpyre
フィンランドのメロディックメタルバンド、バーニング・ポイントの4rh。2009作
聴くのは2nd以来なのだが、本作のサウンドは以前よりもぐっとパワフルになった印象。
いきなりゴッドファーザーのテーマから始まり、曲が始まるとツインギターのリフと
力強い歌声によって、シンセ入りのジャーマンメタルという雰囲気でたたみかける。
昨今のバンドにしてはギターのフレーズにこだわった正統派の曲作りで、
骨太のメロパワという点ではNOCTURNAL RITESあたりにも近いか。
ときおり聴かせる泣きの叙情もよろしく、全体的にもとても質の高い好作品だ。
メロディアス度・・7 疾走度・・7 正統派度・・8 総合・・8
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Saint Deamon「Pandeamonium」
スウェーデンのメロパワバンド、セイント・ディーモンの2nd。2009作
DIONYSUSのDrを中心に、元HIGHLAND GLORYのVoも参加するこのバンド、
前作はそこそこの出来の正統派メロパワという感じで、とくに印象に残らなかったのだが、
本作では、サビのメロディに明快さが増し、シンフォニックメタル的な質感が強まった。
ジャケのようなエピックかつ重厚な雰囲気と、ときにネオクラシカル風味のギターもまじえつつ、
しっかりと歌いあげるヴォーカルの力量も見事。派手さはないが叙情的で力強い作品だ。
ドラマティック度・・8 疾走度・・7 重厚度・・8 総合・・8
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SabatonCoat of Arms
スウェーデンのメロパワバンド、サバトンの2010年作
MANOWARばりのエピックなバワフルさで聴かせる正統派メタルバンド。
暑苦しいまでのヴォーカルの歌声と、シンフォニックな味付けも含めて
濃すぎるほどに濃い。戦士たちの戦いを描くようなドラマティックな重厚さと
コーラス入りの大仰な盛り上げで、コッテリ濃密なエピックメタルを構築している。
ドラマティック度・・8 正統派度・・8 暑苦し度・・9 総合・・8
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TWILIGHTNING「DELIRIUM VEIL」
フィンランドのメロディックメタルバンド、トワイライトニングの1st。2003作
昨今のありがちな疾走メロスピとはやや異なり、適度に骨太なサウンドは
楽曲、演奏ともに完成度が高く、アレンジのセンスなどもすでに新人離れしている。
疾走曲はあまり多くなく、どちらかというとノリよりは曲を聴かせるタイプのバンドだろう。
SONATA ARCTICAをやや正統寄りにしたという感じか。新鮮味は薄いが、
パワー、メロディ、スピードの巧妙なバランス感覚が心地よいサウンドである。
バンドは2nd以降、正統派のオーセンティックなハードロックへとシフトしてゆく。
メロディアス度・・7 疾走度・・7 新鮮度・・7 総合・・8
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LEVERAGE「Blind Fire」
フィンランドのメロディックメタルバンド、レヴェレイジのアルバム。2008作
今やメタル大国となったフィンランドからまたしても高品質なバンドが登場、
ツインギターにシンセ入りの6人組みで、これがすでに2作目となる。
適度な疾走感と北欧らしいメロディで聴かせるサウンドは、TWILIGHTNINGあたりにも通じる質感で、
速さに頼らないまとまりの良さを感じる。パワフルすぎないヴォーカルといい、
派手すぎないシンフォニックなアレンジといい若手とは思えないバランスの良さがある。
インパクトの点ではやや欠けるが、質の高さはすでに一線級クラス。
メロディアス度・・8 疾走度・・7 楽曲・・7 総合・・8
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CARDIANT「Tomorrow's Daylight」
フィンランドのメロディックメタルバンド、カーディアントの2nd。2009作
このバンドの1st「Middy Moon」は北欧らしい美しい叙情性と初期SONATA ARCTICA的な疾走感で
なかなか素晴らしい作品だったのだが、今作はメンバーチェンジをへての5年ぶりのアルバムとなった。
一聴してより正統派のメロパワサウンドに接近しているが、美しいシンセワークや
ヴォーカル、コーラスにおけるクサメロぶりは健在でファンはにんまりだろう。
疾走感はやや抑えめながら、爽やかなメロディへのこだわりという点では
AXENSTARSUPREME MAJESTYあたりに通じるものもあるかもしれない。
メロディアス度・・8 疾走度・・7 北欧度・・8 総合・・8
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Revolution Renaissance「Trinity」
元STRATOVARIUSのティモ・トルキ率いるレヴォリューション・ルネッサンスの2010年作
バンド編成となっての2作目で、前作から1年という短さで発表された本作は、RRとしてのラスト作となってしまった。
そのサウンドは、メンバーの代わったSTRATOVARIUSというべきもので、普遍的なハードロック、北欧メタルの質感と
ティモ・トルキという人間の音楽的センス、その根幹ともいうべきスタイルに立ち返ったような、とても素直な作風だ。
正直、今の時代においてはいくぶんの古めかしさも感じられるし、おそらくはそれが経済的な面でもバンドを維持するのが
難しくなったのだろうが、かつてのストラト、ティモ・トルキの音楽を聴き続けてきた人間にとっては充分に楽しめる内容。
派手に疾走する曲は少ないものの、10分を超えるタイトル曲は壮大にしてダイナミックな入魂の出来だ。
メロディアス度・・8 疾走度・・7 北欧度・・8 総合・・8
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IRON FIRE「To the Grave」
デンマークのメロパワバンド、アイアン・ファイアの5th。2009作
デンマーク産メタルバンドとしてはすでに中堅に位置するこのバンド、
毎作質はそこそこながら、これまではいまひとつという感があったのだが、
本作ではシンフォニックな音の厚みと重厚さをまとった傑作に仕上げてきた。
エピックな世界観に誇り高き正統派としてのパワーを乗せて、
力強く聴かせるサウンドは、楽曲、メロディともに過去最高の説得力だ。
かつてのDREAM EVILにも匹敵するクオリティ。ここにきてついにひとつ皮がむけた。
ドラマティック度・・8 パワフル度・・8 正統派度・・8 総合・・8
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MANTICORA「Safe」
デンマークのメロパワバンド、マンティコラの7th。2010作
すでにデビューから10年以上のベテランながら、知名度はいっこうに上がらないこのバンド、
前作THE BLACK CIRCUS」の2枚が彼ら史上過去最高の仕上がりであったので、
本作も少し期待していたが、よりブラガー度を高めたパワフルなサウンドに思わずにんまりだ。
やはりいくぶんの垢抜けなさは残しているのだが、とかく綺麗なサウンドがもてはやされる昨今、
シンセを使わずあくまでもツインギターで聴かせる、かつてのジャーマンメタル的な荒々しさを残した作風は、
トゥルーメタラーを自称するものたちには嬉しいだろう。ラストの大曲も含めてドラマティックかつ重厚な力作だ。
ドラマティック度・・8 パワフル度・・8 往年のブラガー度・・9 総合・・8
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◆クサメロ疾走系

NOCTURNAL RITESSacred Talisman
スウェーデンのメロディックメタルバンド、ノクターナル・ライツの3rd。1999作
今や正統派北欧メロパワの第一人者となった感のあるこのバンドだが、
初期のこのアルバムまではクサメロ満載のメロスピサウンドだったのである。
ギターによる泣きの叙情フレーズで疾走しつつ、あまり力強くないヴォーカルが
マイルドに歌い上げるさまは、初期のHAMMER FALL同様のキャッチーさ。
最近のバンドのように美麗なシンセが入るわけでもなく、ギターと歌メロだけで
ここまでクサく仕上げるというのは、ジャーマンメタル的でもあるかと。初期の最高傑作。
クサメロ度・・8 疾走度・・8 キャッチー度・・8 総合・・8
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INSANIA「SUNRISE IN RIVERLAND」
スウェーデンのコテコテ疾走メタルバンド、インサニアの2nd。2001作
今回も期待通り、泣きまくりの疾走クサメタルが堪能できる。わーい。
いや、じっさいここまで思い切って他の大御所バンドのメロをパクりながら(笑)
徹底的にクサいメロディにこだわっている連中はそうはいないぞ・
バックの大仰なキーボードや、いちいちひどくクサいメロディを奏でずにはいられないギター、
マイケル・キスクの弟子のような声質のヴォーカル、とすべてがこの方向性を決定付けている。
たとえばSONATA ARCTICAなどのスタイリッシュさとはまったく決別をし、初期ハロウィンやガンマレイをお手本に、
よりクサさにこだわった、ある意味、独自の再編集サウンドである。ここまでやれば立派。クサメタルファンはまず必聴。
メロディアス度・・8 疾走度・・8 クサメタル度・・9 総合・・8
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DRAGONLAND「HOLY WAR」
スウェーデンのメロスピバンド、ドラゴンランドの2nd。2002作
もうこのジャケからして萌えるのだが、前作のクサメロ路線をさらにシンフォニックにゴージャスにしたサウンドで、
イントロの荘厳さから続く疾走曲もお約束でありながら、その格好良さについヘドバンしてしまう。
サウンド面、演奏ともにずいぶんレベルが上がっており、弱いヴォーカルも多少は上達した。
しかし、やはりなによりこのバンドの魅力はかつてのハロウィンかそれ以上の疾走へのこだわりにある。
また、キーボードのアレンジなどにはセンスを感じ、アルバム全体として楽曲の密度を高めている。
クサくきらびやかな名曲多数のシンフォニック北欧メロスピの傑作だ!
クサメロ度・・9 疾走度・・9 楽曲・・8 総合・・8
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DREAMTALE「BEYOND REALITY」
フィンランドのシンフォニック・メタルバンド、ドリームテイルの1st。2002作
シンフォニックなイントロ曲に続くはお約束の疾走曲。サウンド自体には新鮮味は感じないが
このバンドの場合キーボードの音色がきらきらとしていて実に美麗な北欧的で悪くない。
ヴォーカルに個性は感じられないし、楽曲の方もストヴァリ、ソナタ、ハロウィン、ガンマレイなどからの
美味しいとこ取りに思えるが、同郷のINSANIAなどとも同様、それらを再編集してよりキャッチーに
そしてシンフォニックに仕立て上げようとするセンスの良さは随所に感じられる。
メロディアス度・・8 シンフォニック度・・8 新鮮度・・7 総合・・8
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CITADEL「TRANSITION」
フィンランドのメロスピバンド、シタデルのアルバム。2003作
キーボード入りの4人組でBがVoも兼任。若さに任せて疾走する部分はSONATA ARCTICAを思わせるが、
このバンドの場合はもう少しクサジャーマン系の音で、初期のNOCTURNAL RITESにも通じる
「B級さを残したメロディライン」が、その手のマイナー系ファンにはたまらないだろう。
やや詰めの甘い曲アレンジや歌の弱さなどがB級色をかもしだしているが、サビのコーラスや、
CRYSTAL EYES並みにクサキャッチーな歌メロなどが<なかなか心地よい。
ちょっとB級のクサメタル系メロスピが好きなら聴いて損はない。
メロディアス度・・7 疾走度・・8 クサキャッチー度・・9 総合・・7.5
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CARDIANT「MIDDY MOON」
フィンランドのメロディックメタルバンド、カーディアントの1st。2005作
基本はメロディアスに疾走するSONATA ARCTICAタイプだが、
むしろ最近のソナタよりもメロスピ寄りでメロディの煽情度も高い。
楽曲アレンジも演奏も堂々としていて、クオリティ的にも新人とは思えないレベル。
類型を脱する個性はまだないものの、メロウなフレーズを奏でるギターは、
クサメロ好きにはたまらないし、ヴォーカルもなかなかしっかりしている。
今や北欧メタルの中心地となったフィンランドより、またも有望な新人が登場した。
メロディアス度・・8 疾走度・・8 楽曲・・8 総合・・8
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Nightscape「Symphony of the night」
スウェーデンのメロスピバンド、ナイトスケイプの1st。2005作
そろそろ打ち止めかと思いながら、まだまだ出てくる北欧の新人バンド。
このバンドも、初期のSONATA ARCTICAあたりを思わせる、キラキラとしたメロディで聴かせる
なかなかクオリティの高いニューカマーだ。ネオクラシカル風のギターと、ピロピロのシンセは
一聴して軽めの音なので、この手は苦手だなあ…と思いながら聴くが、
それでもメロディに魅力があるのでさらりと最後まで楽しめてしまう。
AXENSTARをさらにライトにした感じだが、人懐こいクサメロ度ではむしろ上をゆくかもしれない。
しかし、デビュー作にしてはジャケがあまりに地味(笑)。内容はクサクサ&キラキラですヨ。
メロディアス度・・8 疾走度・・7 ライトにキラキラ度・・8 総合・・8
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OLYMPOS MONSMedievil
フィンランドのメロパワバンド、オリンポス・モンズの2nd。2007作
1stはややマイナー臭いながらも、民族調のクサメロが心地よいなかなかの好作だった。
この2ndでついに日本盤デビューだが、サウンドの方も若干力強くなっている。
もちろん彼らの持ち味であるクサいまでの叙情メロディは健在で、
パワフルに疾走しながらも、音にはどこかやわらかみが感じられる。
キャッチーなシンフォニック性、そこに古き良きジャーマンメタル的な懐かしさが加わり、
ある意味、この手の好き者にはタマらない雰囲気がぷんぷん。
中世の王国や騎士などを歌ったファンタジックな世界観も聴き手の気分を盛り上げる。
メロディアス度・・8 疾走度・・8 ファンタジック度・・9 総合・・8.5
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Cains Offering「Gather the Faithful」
元SONATA ARCTICAのヤニ・リマタイネン率いるケインズ・オファリングのアルバム。2009作
ヴォーカルにSTRATOVARIUSのティモ・コティペルト、Keyには元ソナタのミッコ・ハルキンと、
実力者が揃っているのだから、サウンドの方もハズれるわけがない。
シンフォニックなシンセを入れて疾走する、初期のソナタのようなメロスピサウンドに、
ティモのやわらかな歌声がかぶさった、耳心地のいい楽曲に思わずにやにや。
正直、綺麗に作られすぎていて、音自体にはこれといって新鮮なものはないのだが、
きらびやかなシンセワークと歌メロを中心に、かっちりと作られた質の高さはさすが。
メロディアス度・・8 疾走度・・8 ソナタ&ストヴァリ度・・9 総合・・8
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PHOENIX RIZING「ETERNAL CRUSADE」
ノルウェーのクサメロスピバンド、フェニックス・ライジングの2nd。2000作
イントロの男臭いコーラスからもううっとり。曲のほうは意外にも(笑)なかなか良くできていて
お約束とはいえ、サビでの大仰コーラスはいい感じだし、ツボをついた展開もマニア心をくすぐる。
時折キーボードも入っていて、アレンジの方も単調にならないように考えられている。
とにかくこの思い切りの良いキャッチーさ、田舎っぽいクサメロの嵐はそれだけで評価に値する。
スウェーデンのCRYSTAL EYESあたりに近いが、それよりも「男度」と楽曲の質を上げた感じ
クサメタル好きは必聴!でも、てっきりドイツのバンドかと思ってた・・・(^^;)
メロディアス度・・8 クサメロ度・・9 楽曲・・8 総合・・8
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◆シンフォニックなコンセプト系

Sonata Arctica「Days Of Grays」
フィンランドのメロディックメタルバンド、ソナタ・アークティカのアルバム。2009作
前作「UNIA」は普遍的なハードロックへの接近を見せた好作であったが、
本作ではファンタジックでコンセプト的なシンフォニックメタルの力作となった。
美しくももの悲しいイントロから女性声の語りが入って、まるで映画のような序曲から
いよいよ楽曲が始まると、壮麗なシンセをバックにしてRHAPSODYばりにきらびやかに疾走。
次々に押し寄せるドラマティックな高揚感と、緩急を付けたストーリー的な楽曲構成は
これまでの彼らには見られなかったもので、この吹っ切れたような大仰さが素晴らしい。
オペラティックなメタルという点ではKAMELOT的でもあるが、より繊細なファンタジーの表現が、
見事な結晶となって音に現れている。このバンドの新たな側面をまざまざと見せつけた傑作である。
シンフォニック度・・9 ドラマティック度・・9 壮麗度・・9 総合・・8.5Amazon.co.jp で詳細を見る

DRAGONLANDAstronomy
スウェーデンのメロパワバンド、ドラゴンランドの4th。2007作
壮大な雰囲気のイントロから始まる今作は、前作からあった大作志向が全面に出ており、
アルバムを通してコンセプト的な聴き方をすべき作品となっている。
後半の14分のインスト組曲をはじめ、すでにメロパワというよりはシンフォニックメタルとしての
方法論に近づいていて、ある種RHAPSODYにも通じるような雰囲気すら漂っている。
もちろん、もとからセンスのあったメロディアスな聴きやすさも健在なので、まったく難解さはない。
単なる疾走メロパワを求める向きにはややとっつきは悪いかもしれないが、
クオリティの高さでは北欧勢の若手の中でもトップの位置に立ったという感もある。
メロディアス度・・8 疾走度・・7 壮大度・・8 総合・・8
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BEYOND TWILIGHT「For the Love of Art and the Making」
スウェーデン、デンマークなどのメンバーからなるバンド、ビヨンド・トワイライトの3rd。2006作
2ndを聴いたときは重厚でクドめのサウンドがなかなかだった印象だが、
今作ではなんと43パートに別れたの長大な組曲方式の全1曲という構成だ。
プログレメタル的手法の中に、メタリックな重厚さと、シリアスなストーリーを盛り込んで
ときにシンフォニックに、ときにヘヴィに展開する楽曲は迫力充分。
オペラティックな壮麗さや、クラシカルなピアノ、シアトリカルなSEやセリフなど、
曲やフレーズをつなぐプログレ的なアイデアが随所にあり、山あり谷ありのドラマティックな構成だ。
ヴォーカルの歌唱力も含めて演奏力もしっかりしていて、この手の作品で重要な音の説得力もある。
華麗にして重厚。シンフォニックメタルオペラともいうべきか。これは相当の力作。
ドラマティック度・・9 プログレメタル度・・7 重厚度・・8 総合・・8Amazon.co.jp で詳細を見る


Celesty「Vendetta」
フィンランドのメロディックメタルバンド、セレスティの4th。2009作
初期の疾走メロスピサウンドから、前作ではよりシンフォニックメタル的な
エピックな世界観を前に出してきて、そろそろ傑作を作りそうだぞと思っていたら、
やってくれました。美麗なシンセによるオーケストレーションと大仰なクワイアで
RHAPSODYばりの壮大華麗なサウンドを描くことに成功。おお、いいじゃない!
弱かったヴォーカルも、コーラスに助けられつつも、今回はずいぶん頑張っている。
このバンド独自の色というのはいまだ見えないが、質の高さではこれまでで一番だろう。
シンフォニック度・・8 疾走度・・8 壮麗度・・9 総合・・8
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WUTHERING HEIGHTS「TO TRAVEL FOR EVERMORE」
デンマークのシンフォニックメタルバンド、ワザリング・ハイツの2nd。2002作
1stの頃からちょっとやぼったいながら、なかなか良いメロディを聴かせるバンドだったが、
この2ndからはいっそうケルト風のメロディを強めたサウンドになっている。
シンフォニックな大仰さと疾走感、そしてヴァイキングメタルにも通じるメロディという点で、
イタリアでいうとTHY MAJESTIEあたりに近いか。アコギやピアノなども効果的。
FALCONERにも通じる田舎臭いシンフォメタルが好きならまず喜ぶバンドだろう。
より濃密になる3rd以降もいいが、もっともケルティックな味わいが強いのは本作だろう。
シンフォニック度・・8 疾走度・・8トラッドメロ度・・8 総合・・8
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◆美麗クラシカル系

ROYAL HUNT「THE MISSION」
デンマークの様式美クラシカルメタルバンド、ロイヤル・ハントの6thアルバム。2001作
前作「FEAR」はシンフォニックだが「もっさり」としたどこか散漫な印象の作品だったが、
Voのジョン・ウエスト加入後2作目となる今作は、SF仕立てのコンセプトが意外な形で功を奏している。
近未来がテーマというだけに、キーボードやエフェクトの使い方が「鋭角」的でメリハリがあり、
それが結果としてバンドの演奏自体も初期にあった軽快さを取り戻させている。
前作では発揮しきれていなかったジョンのVoも曲に映えはじめ、メロディアスなギターもアクセントとして光っている。
ゴージャスさを押さえた分曲の輪郭が浮き彫りになり、サビメロの美しいコーラスハーモニーを引き立たせた。
メロディアス度・・8 爽快度・・9 楽曲・・8 総合・・8
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ROYAL HUNT「PAPER BLOOD」
デンマークのクラシカルメタルバンド、ロイヤル・ハントの8th。2005作
これが会心の出来。のっけからアンドレ・アンダーセンのキラキラキーボードが炸裂してます。
ヘヴィさときらびやかさ、キャッチーなロイヤルハント節の歌メロが合わさって、
聴き手を惹きつけずにはおかないドラマティックな楽曲がたたみかけるように続いてゆく。
クラシカルかつシンフォニック魂溢れるこのキーボードワークはまったく凄まじいほどで
楽曲密度としては彼らの全ディスコグラフィー中でも最高作といってよいほど。濃すぎるほどに濃い傑作。
メロディアス度・・8 濃密度・・9 キーボー度・・9 総合・・8.5
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TIME REQUIEM
スウェーデンのネオクラシカルメタルバンド、タイム・レクイエムの1st。2002作
個人的にはこの手のいわゆる「ネオクラシカル」なプレイを売り物にした多くのバンド群の大半は
テクニックだけで進歩のない音楽としてとらえているし、聴いていてさして高揚感も沸かないのだが、
MAJESTICを前身とするこのバンドのサウンドは、お約束のギターとシンセによる高度なユニゾンプレイ、
高速アルペジオなどを売り物にしているのは変わらないが、そこにプログレ的なテクニカル性を加味している。
やはり目新しさは感じないし、正直この手のネオクラには飽き飽きなのだが、それでもここまでやれば立派…
というかサウンドに隙がなく、濃すぎるほどに濃いという点では評価せざるを得ないという。笑
メロディアス度・・8 ネオクラ度・・9 濃密コテコテ度・・9 総合・・8
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DIONYSUS「ANIMA MUNDI」
NATIONのギタリスト、ジョニー・ウリーンを中心とした、ディオニソスの2nd。2004作
今作は典型的な北欧型メロパワのスタイルになっていて
もはやNATIONのネの字もないが、むしろこの方がいっそ潔くて良い気もする。
オラフ・ヘイヤーのヴォーカルもこの手のサウンドには大変マッチしているし、
ジョニー・ウリーンのギターもバックのキーボードとともにネオクラ色をかもし出しつつ、
ときに重厚なリフを、そしてここぞというときには叙情メロを弾きまくっている。
正統派過ぎてつまらない曲もあるものの、総じてクオリティは高いので安心して聴ける。
メロディアス度・・8 けっこう疾走度・・8 ネオクラ度・・8 総合・・8
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EVIL MASQUERADE「Welcome to the Show」
デンマークのクラシカルメロパワバンド、イーヴル・マスカレードの1st。2004作
MOAHNI MOAHNAWUTHERING HEIGHTSにも参加したギタリスト、
ヘンリック・フリーマンを中心に、ROYAL HUNTの初代シンガーらによるバンド。
のっけから“ワルキューレの騎行”のメロディで幕を開け、
やはりROYAL HUNTを思わせるきらきらとした雰囲気で疾走。
ときおりあざといまでにクラシカルなフレーズを織り込む曲アレンジも確信犯的で、
ネオクラ色ぷんぷんの濃〜いサウンドは、耳にくどいながらも
ある意味天晴れなほどの突き抜けぶり。日本盤ボーナスには“君が代”を収録。
メロディアス度・・8 クラシカル度・・8 疾走度・・7 総合・・8
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VINDICTIV「Ground Zero」
スウェーデンのメロディックメタルバンド、ヴィンディクティヴの2nd。2009作
ネオクラシカル風味のメロディアスハードという作風で、1stも質の高い作品だったが、
続く本作も同様になかなか素晴らしい作品だ。ヨラン・エドマンの伸びやかな歌声とともに
北欧らしいキャッチーな叙情性と、ステファン・リンドホルムの技巧的なギターワークが冴え渡る。
さらに本作ではドラムにソルタン・チョース(The Flower Kings〜KARMAKANIC)が参加していて、
リズム面での緩急のつけかたも聴き所。きらびやかなシンセワークはときおりプログレハード風であったり、
全体的にやわらかなメロディアスさに包まれたサウンドがじつに耳に心地よい。
ゲストヴォーカルとして、オリバー・ハートマン、マーク・ボールズが参加している。
メロディアス度・・8 やわらかメロハー度・・8 ネオクラ度・・7 総合・・8
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◆古き良き系

Silver Mountain「Breakin' Chains」
北欧メタル伝説のバンド、シルヴァー・マウンテンの2001年作
80年代初頭に活躍したこのバンド12年ぶりにオリジナルメンバーで復活作を出した。
パワフルなヨナス・ハンソンの歌声にメロディアスなギター、ヤンス・ヨハンソンのシンセワーク、
アンダース・ヨハンソンの力強いドラムとともに、80年代的なアナログ感覚で聴かせる
いくぶん古めかしい王道のサウンド。これは往年のファンはにんまりの復活作だろう。
メロディアス度・・8 古き良き度・・9 北欧メタル度・・9 総合・・8
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STORMWIND「REFLECTIONS」
スウェーデンのメロディックメタルバンド、ストームウインドの5th。2001作
地味なバンドという印象があったのだが、本作はのっけからSTRATOVARIUS的な
疾走曲で始まり耳を引く。嫌味でない程度のネオクラシカル色のあるギターと
うっすらとしたシンセとともに北欧らしい透明感に満ちたメロディーが合わさり、
キャッチーさとメタリックな疾走感のバランスがとれたサウンドだ。テクニック的にはさほどでもないが、
古き良きオーセンティックな北欧メタルのテイストも感じさせる、なかなか質の高いアルバムだと思う。
メロディアス度・・8 疾走度・・7 北欧メタル度・・9 総合・・8
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SUPREME MAJESTY「ELEMENTS OF CREATION」
スウェーデンのメロディックメタルバンド、スプリーム・マジェスティの3rd。2005作
いやー、いいですね!なにがって、この古き良き北欧メタルサウンドが、ですよ!
前作あたりからいくぶん懐古的な雰囲気が現れていたものの、それが今作では完全に爆発。
TNTとかEUROPEとか、あの頃の北欧メタルが現代に甦ったという感じで、
キラキラとしたキーボードにキャッチーな歌メロで聴かせる昔ながらの北欧メタル。
最近のメロパワファンが、これを聴いてどう思うのかは微妙なところですが、
少し昔の北欧の雰囲気を詰め込んだこのアルバムは、失われた何かを思い出させてくれる
ある意味貴重な作品です。かつての「北欧メタル」とはこういう音のことだったんです。
もちろん古いだけでなく、今風のシンフォ/メロハー的アレンジも心地よいですぞ。
メロディアス度・・8 キャッチー度・・9 あの頃の北欧度・・10 総合・・8
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ASTRAL DOOORS「Astralism」
スウェーデンのメロディックメタルバンド、アストラル・ドアーズの3rd。2006作
RAINBOWから受け継がれた古き良きブリティッシュメタルの精神を再現するこのバンド、
本作ものっけからパトリック・ヨハンソンのパワフルなヴォーカル炸裂、
これでもかといわんばかりのメロディック・メタルを聴かせてくれる。、
ハモンドの音色などにレトロな色を覗かせつつも、ただ古めかしいだけでなく、
しっかりとしたメタルとしてのヘヴィさと、分かりやすいメロディのおかげで
純粋に格好いいと思えるサウンドなのだ。テクニカルなギターも随所に光っている。
メロディアス度・・8 正統派度・・9 パワフル度・・8 総合・・8
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WOLF「Ravenous」
スウェーデンのメタルバンド、ウルフの5th。2008作
2000年のデビュー以来、2年おきにアルバムを出しているこのバンド、
今作も80年代風のトゥルーメタルサウンドが全開の好作。
JUDAS PRIESTIRON MAIDENなどからの影響を感じさせつつ、
ジャーマンや北欧メタル的な叙情性も巧みに盛り込んだ楽曲には
思わずにやにやしてしまう。前作以上にツインギターの重ねが前に出てきて、
古き良きメタルの質感を現代のアレンジで包んだような感触が面白い。
オールドなリスナーはもちろん、若い方々もぜひマイスペでチェックすべし。
ドラマティック度・・8 正統派度・・9 古き良き度・・9 総合・・8
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DARK ILLUSION「WHERE THE EAGLES FLY」
スウェーデンのメロディックメタルバンド、ダーク・イリュージョンの2nd。2010作
結成は1982年という古株ながら、これまでずっとレーベルとのディールにまでは至らず、
2003年になってようやくミニアルバムを、そして2005年に待望の1stアルバムを完成させる。
本作は、前作で聴けた古き良き80年代の香り漂う北欧メタルのサウンドを土台にしつつ、
さらにそれを現代風にアップデートさせたという作風で、楽曲のクオリティもずいぶんと上がっている。
王道のギターリフと、キャッチーなヴォーカルメロディで聴かせる正統派のサウンドは、
どこかなつかしい耳心地のよさがあり、オールドな北欧メタル好きならにやにやとするだろう。
メロディアス度・・8 疾走度・・7 北欧メタル度・・9 総合・・8
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MEAN STREAK「metal Slave」
スウェーデンのメタルバンド、ミーン・ストリークのアルバム。2010作
ここのところスウェーデンでは、WOLFやENFORCERといった80年代に回帰したような
メタルバンドが出てきているが、このバンドも古き良き匂いを感じさせる正統派の
サウンドを標榜している。ツインギターの王道リフで疾走しつつ、ジャーマンメタル的な
聴きやすいメロディを乗せた楽曲には聴いていてついにやにやとさせられる。
ややダーティなヴォーカルの歌声までもがいい味になっていて、オヤジメタラーはもちろん
時代的なメタルを好む最近のリスナーにも楽しめるアルバムだろう。
メロディアス度・・8 正統派度・・8 古き良き度・・9 総合・・8
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*掲載した50枚中、
20枚以上持っていたら、「かなりの北欧メタル好き」、
30枚以上なら、「とんでもなく北欧メタル好きです」笑



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*クサメタラーのためのクサメタル特集も併せてご覧ください