メロパワメロスピシンフォメタル傑作68選



*上の画像にあるものは基本となる名盤ばかりですので、当然聴いているものとして、カタログには載せていません by 緑川 とうせい



◆シンフォメタル系な10枚

RHAPSODY 「POWER OF THE DRAGONFLAME」
繰り出されるメタル的パワーに壮大なクワイアをかぶせる手法は、この4作目に来てさらに円熟を極め、
MANOWARをさえ思わせるエピックなメタルでありながらも、アレンジは実に細やか。
クラシカルな音の重ねは、楽曲のスケールとシンフォニックさを見事に増幅させている。
また2ndの頃にあったトラッド的メロディを再び取り入れているのが個人的には嬉しい。
静と動展開のメリハリとオーケストラやコーラス、さらにフルートなどのトラッド要素により
ファンタジー世界の構築を強化させながらも、疾走感は過去最高といっていいものに仕上がっている。
この音の密度、ファンタジーメタルとしての強度は全世界で無二のものといってよいだろう。
シンフォニック度・・10 壮大度・・10 メタルパワー度・・9 総合・・9
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ROYAL HUNT 「PAPER BLOOD」
これは会心の出来。のっけからアンドレ・アンダーセンのキラキラキーボードが炸裂!
ヘヴィさときらびやかさ、キャッチーなロイヤルハント節の歌メロが合わさって、
、たたみかけるように聴き手を惹きつけずにはおかないドラマティックな楽曲が続いてゆく。
クラシカルかつシンフォニック魂溢れるこのキーボードワークはまったく凄まじいほどで
楽曲密度としては彼らの全ディスコグラフィー中でも最高作といってよいほど。
まさに濃すぎるほどに濃いクラシカル・シンフォメタルの傑作だ。
メロディアス度・・8 濃密度・・9 キーボー度・・9 総合・・8.5
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FREEDOM CALL 「ETERNITY」
のっけから大仰なクワイア〜疾走と、シンフォニックメタルの王道をいっている。
とにかく、メンバーが実力者なので、そのサウンドには力強さと説得力があるのがポイント。
サビの分厚いコーラス、シンフォニックに疾走するときの爽快感が素晴らしく、そこいらのB級を聴くなら
まずこちらを聴いてと言いたくなる。ファンタジックな世界観とドラマティックな楽曲の数々は
GAMMA RAY+RHAPSODY+BLIND GUARDIANという印象だ。
こののクオリティはバンドとしての決定打ともいうべき出来なのだが、人気がブレイクしないのは何故?
メロディアス度・・8 大仰度・・9 楽曲・・8 総合・・8.5
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DARK MOOR 「Autumnal」
本作はのっけから白鳥の湖のメロディとともに、大仰なシンフォニックメタルを展開。
イタリアのRHAPSODYが映画的なドラマ性であるなら、こちらはクラシックの本家取り。
壮麗なオーケストレーションや女性ヴォーカルも加わって、ロマンティックに聴かせるのは、
さすがラテン系である。正直、こうした手法は安直すぎて感動するまではいかないのだが、
シンフォニックメタルのひとつの形としてとても分かりやすいのは確かであるし、
クラシカルで壮麗なメタルが好きならば聴いて損はないだろう。
シンフォニック度・・8 クラシカル度・・8 大仰ロマン度・・8 総合・・8
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FAIRYLAND 「The Fall Of An Empire」
エリサ嬢(DARK MOOR〜DREAMAKER)が抜け、代わりに元MAGIC KINGDOMのVoが加入。
前作はRHAPSODYばりの大仰なシンフォメタル作で、かなりの好作だったが、
今作もファンタジックな物語をコンセプトにした、壮麗かつエピックなサウンドだ。
Voが男性に代わってよりメタリックなエッジが引き立ち、音には戦いに赴くような勇ましさが溢れている。
シンフォニックなシンセの味付けやクワイアなどはやはりRHAPSODY的で、個性を問われれば厳しいが、
華麗でファンタジックなシンフォニックメタルの世界観が好きならば充分に楽しめるクオリティだ。
シンフォニック度・・8 エピック度・・9 新鮮度・・7 総合・・8
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TOBIAS SAMMET'S AVANTASIA 「THE METAL OPERA」
EDGUYのリーダーでもある、トビアス・サメットのソロ作。
豪華メンツが集って作られたこの作品。サウンドは、正統派のメロパワを基本にしつつ
キーボードやクワイアを多用したゴージャスな音作りで、シンフォニックメタルとはかくあるべき、
という壮大華麗な楽曲群が並んでいる。歌い上げるメンバーもマイケル・キスクをはじめ、
カイ・ハンセンアンドレ・マトスロブ・ロックなどなどの豪華な顔ぶれ。
音の素晴らしさも本家エドガイ以上。聴いて損のない濃密なシンフォメタルアルバムである。
シンフォニック度・・9 疾走度・・7 ゴージャス度・・9 総合・・8
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DRAGONLAND Astronomy
壮大な雰囲気のイントロから始まる今作は、これまでにない大作志向が全面に出ており、
アルバムを通してコンセプト的な聴き方をすべき作品となっている。
後半の14分のインスト組曲をはじめ、すでにメロパワというよりはシンフォニックメタルとしての
方法論に近づいていて、ある種RHAPSODYにも通じるような雰囲気すら漂っている。
もちろん、もとからセンスのあったメロディアスな聴きやすさも健在なので、まったく難解さはない。
単なる疾走メロパワを求める向きにはややとっつきは悪いかもしれないが、
クオリティの高さでは北欧勢の若手の中でもトップの位置に立ったという感もある。
メロディアス度・・8 疾走度・・7 壮大度・・8 総合・・8
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Sonata Arctica 「Days Of Grays」
美しくももの悲しいイントロから女性声の語りが入って、まるで映画のような序曲から
いよいよ楽曲が始まると、壮麗なシンセをバックにしてRHAPSODYばりにきらびやかに疾走。
次々に押し寄せるドラマティックな高揚感と、緩急を付けたストーリー的な楽曲構成は
これまでの彼らには見られなかったもので、この吹っ切れたような大仰さが素晴らしい。
オペラティックなメタルという点ではKAMELOT的でもあるが、より繊細なファンタジーの表現が、
見事な結晶となって音に現れている。このバンドの新たな側面をまざまざと見せつけた傑作である。
シンフォニック度・・9 ドラマティック度・・9 壮麗度・・9 総合・・8.5
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SERENITY 「Fallen Sanctuary」
いかにも若さを感じさせた前作での展開の多い作風から、今作では焦点をしぼって無駄をなくし
じっくりと聴かせるタイプの曲が増えたことで、作品としての統一感を強くした。
また、ヴォーカルの力量が上がったことも世界観の説得力に大きく貢献している。
ギターとキーボードの重なりがシンフォニックな音の厚みと、KAMELOTにも通じるほの暗い
叙情美を際立たせていて、ゲストの女性ヴォーカルなども要所でアクセントになっている。
まだ若いバンドながら、二作目にして質の高いドラマティックメタル作品を作り上げてきた。
シンフォニック度・・8 ドラマティック度・・9 重厚度・・8 総合・・8
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HEAVENLY 「Carpe Diem」
フランス版GAMMA RAYともいうべき陽性のメロディのクサメロを聴かせたマニア好みの2ndから
シンフォニックな壮大さを増した3rd、そして正統派のメロパワに接近した前作4thと、質の高い作品で
日本でもファンの多いこのバンド。5作目となる本作のサウンドは前作の正統派路線に加え
GAMMA RAY的なキャッチーなメロディを盛り込んだ作風で、シンセによるシンフォニックな味付けも
ふんだんに効かせている。バラード曲ではQUEENを思わせる(というかガマレーの“The Silence”的か)
やわらかな叙情がなかなか素晴らしいし、美麗に疾走するメロスピ曲やベートーベンの“第九”風の曲もあったり、
シンフォニックメタル作品としての密度と質、そしてバランスのとれた力作に仕上がっている。
メロディアス度・・8 シンフォニック度・・8 疾走度・・7 総合・・8
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◆コンセプト大作系な8枚

ANGRA 「TEMPLE OF THE SHADOWS」
十字軍の騎士をテーマにしたシリアスなコンセプトアルバム。
シンフォニックな疾走感に加え、細部の曲アレンジにはプログレ的要素が多く見え、
彼らの知的な部分がサウンドに現れている。キコ・ルーレイロの巧みなギターワークを中心に、
演奏のレベルは実に高く、確かな実力で曲ごとに表現力をそなえたエドゥのVoも素晴らしい。
楽曲はメタリックなヘヴィなものから、民族色のあるシンフォバラードまで幅が広く
パーカッションや弦楽器の使用など、プログレッシブなアプローチも聴きどころ。
曲の構成という点でもアルバム全体に隙がなく、名実ともに「傑作」に値する。
メロディアス度・・8 疾走度・・8 楽曲クオリティ度・・9 総合・・8.5
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RHAPSODY 「SYMPHONY OF ENCHANTED LANDS U-THE DARK SECRET-」
50名のコーラス隊にフルオーケストラを導入し、サウンド作りはさらに大がかりになっている。
説得力を増したファビオの歌唱に加え、有名俳優を配したナレーションやSEなど、
随所に映画的な作りが見られるのも特徴。楽曲にも物語にそって緩急が多くつけられ、
そうしたサントラ的要素も含め73分という長尺で…ある種プログレ的タイム感の作品になっている。
すでに先行ミニを聴いていたので、音としては新鮮な感動はさほどなかったが、
大仰かつシンフォニックなサウンドで、ファンタジー世界を描く手法はさらなる熟練の境地に達している。
シンフォニック度・・9 壮大度・・9 新鮮度・・7 総合・・8.5
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THY MAJESTIE 「Jeanne D'arc」
今作はフランス伝説の聖女、ジャンヌ・ダルクをテーマにしたコンセプト作だ。
ぱっと聴きの壮大華麗さはないのだが、その分シリアスでシアトリカルな、
より映画的な奥行きとドラマ性を感じさせるのがポイント。
メロディックメタルとしての明快さと、ストーリー性を同居させることに成功している。
ときにチャント風のコーラスが荘厳に響き、戦いの場面では勇壮なコーラスと、
曲ごとに物語は進行してゆき、聴き手である我々を英仏百年戦争の一場面へといざなってくれる。
悲劇の乙女ジャンヌ・ダルクの運命を最後まで描ききった力作。これはまさにストーリーメタルである。
シンフォニック度・・8 疾走度・・8 物語度・・10 総合・・8.5
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KAMELOT 「EPICA」
傑作となった前作「KARMA」に続く本作はもゲーテの「ファウスト」をモチーフにしたコンセプト作、
イントロに続くAの格好よさは全メタルファンが膝を叩くところだろうし、
全体を通して感じるドラマティックな雰囲気には、タイトル通りのエピックなものを感じる。
美しいピアノや女性Voなどの要素も緻密に取り入れ、作品としての完成度の高さが光る。
激しすぎず、マイルドすぎず、といった絶妙のバランス感がじつに気持ち良いアルバムだ。
メロディアス度・・8 ドラマティック度・・8 完成度・・9 総合・・8
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MANOWAR 「GODS OF WAR」
北欧神話を題材にしたコンセプト作で、のっけから壮大なオーケストレイションで幕を開ける。
映画的な語りや、コンセプチュアルな雰囲気、なかなか曲が始まらないもったいつけ方は、
1992年のアルバム「The Triumph of Steel」あたりに通じるだろう。
しかし、やはりエリック・アダムスの見事な歌唱やジョーイ・ディマイオの存在感のあるベースには
年季をへたバンドのみがかもし出せる力強さがあり、その辺のエピックメタルバンドとは格が違う。
疾走曲が少なかったり、曲ごとに大仰なテーマやSEが入ったりと、気の短い方にはダメなアルバムだろうが
なんにしてもこの大仰さと世界観は唯一無二のもの。ファンタジーな世界が好きならば楽しめるだろう。
シンフォニック度・・8 メタリック度・・7 大仰度・・9 総合・・8
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AINA 「DAYS OF RISING DOOM-THE METAL OPERA
HEAVENS GATEロバート・ヒューネッケによるメタルオペラ作品で、マイケル・キスクをはじめ
トビアス・サメット(EDGUY)アンドレ・マトスオリバー・ハートマン(元AT VANCE)オラフ・ヘイヤー(DYONISUS)
キャンディス・ナイト
(BLACKMORE'S NIGHT)シモーネ・シモンズ(EPICA)サシャ・ピート(HEAVEN'S GATE)
イェンス・ヨハンソン
デレク・シェレニアンエリク・ノーランダー他、多数のゲストが参加、
AYREONなどを思わせる配役ごとにVoを設定する手法で、壮大なファンタジックなストーリーを作り上げる。
正統派のメロディックメタルをシンフォニックに味付けした感じで、オーケストラアレンジが、映画サントラ的に楽曲を彩る。
壮大さという点でRHAPSODYにも通じるものがあり、曲によってはトラッド色もあって、ゆったりとした叙情も楽しめる力作。
シンフォニック度・・8 壮大度・・8 楽曲・・7 総合・・8
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OLYMPOS MONS Medievil
1stはややマイナー臭いながらも、民族調のクサメロが心地よいなかなかの好作だった。
この2ndも、持ち味であるクサいまでの叙情メロディは健在で、
パワフルに疾走しながらも、音にはどこかやわらかみが感じられる。
キャッチーなシンフォニック性、そこに古き良きジャーマンメタル的な懐かしさが加わり、
ある意味、この手の好き者にはタマらない雰囲気がぷんぷん。
中世の王国や騎士などを歌ったファンタジックな世界観も、
娯楽映画的なドラマ性をサウンドに付加していて、聴き手の気分を盛り上げる。
メロディアス度・・8 疾走度・・8 ファンタジック度・・9 総合・・8.5
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AXXISParadise in Flames
80年代から活動を続ける大ベテランであるが、日本ではまだまだ知名度は高くない。
しかし、この作品は間違いなく彼らの最高作ともいうべき会心の一作となった。
前作で吹っ切れた王道メタルへのこだわりは、今回さらなるサウンドのグレードを上げることになる。
全編を通じてのテンションの高さ、コンセプチュアルなドラマ性とたたみかける盛り上がり、
正統派のギターリフにシンフォニックなキーボードが合わさり、楽曲のダイナミズムは最高潮に達する。
メロハー的なキャッチーなメロディとメタリックな重厚さのバランスも絶妙で、
曲によっては女性Voの導入もあり、サウンドに彩りと華やかさを付加している。
メロディアス度・・8 シンフォニック度・・8 ドラマティック度・・9 総合・・8.5
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◆クサメロ疾走系な10枚

DRAGONFORCE 「INHUMAN RAMPAGE」
のっけから疾走につぐ疾走で、まるでメロスピの限界に挑戦するような速さで突き進む。
どの曲も普通のバンドのキラーチューンクラスの出来といってよく、
疾走しまくり、そして爽快かつメロディアスなので、愉快に首を振れることこの上ない。
どの曲も速くて長いのだが、間奏部のつなぎやブレイクを取り入れたアレンジも見事で
まるで遊園地のジェットコースターのように楽しく聴き通せてしまう。
これはまさに究極のメロスピ。メロスピ世界一はこのバンドに決定だ!
メロディアス度・・9 疾走度・・10 楽曲・・9 総合・・9
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DRAGONLAND 「HOLY WAR」
いやー、このバンド気合とクサメロへの愛が半端でない(笑)。
1stの路線をさらにシンフォニックにゴージャスにしたサウンドで、
イントロの荘厳さから続く疾走曲もお約束でありながら、その格好良さについヘドバンしてしまう。
サウンド面、演奏ともにレベルが上がっており、弱いVoも多少は上達した。
しかし、やはりなによりこのバンドの魅力はかつてのハロウィンかそれ以上の疾走へのこだわりにある。
相変わらずキーボードのアレンジなどにはセンスを感じ、全体として楽曲の密度を高めている。
メロディアス度・・8 疾走度・・9 楽曲・・8 総合・・8
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INSANIA 「FANTASY A NEW DIMENSION
悪くいえばいろいろなバンドのメロディフレーズを借用しながら、
とことんドラマティックにメロディアスにこだわった曲を作りつづけている彼らだが、
ヴォーカルが交代しての今作は、B級っぽいクサメロをやや抑え目にし
演奏にはやや力強さが加わっており、一般向けに近づいた印象となっている。
借用フレーズの方も今回は、キーパーメタルとも言われる彼らの敬愛するHELLOWEENと
GAMMA RAYに絞っていて、時折それ風味のリフやメロディが出てくると思わずにやり。
なんにしても、すべからく疾走とクサメロにこだわったこの姿勢にはある意味感嘆を禁じ得ない。
メロディアス度・・8 疾走度・・8 楽曲・・7 総合・・8
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DREAMTALE 「OCEAN'S HEART」
キッャチーなメロディにシンフォニックなKEYアレンジ、そして疾走する楽曲と、3拍子揃った期待のバンド。
STRATVARIOUS
SONATA ARCTICAを基本にしながらも、彼らの場合は
それらよりさらにクサメタル属性なこともあり、その筋のファンには多いに楽しめるはず。
今回はVoが交代し、曲の中で歌唱の説得力がずっと増しており、B級っぽさはもう感じない。
相変わらずメロディはクサく、そしてアレンジはシンフォニックで、キャッチー。
物語風のコンセプト作だが、中にはまるでHELLOWEENの“FUTURE WORLD”のような曲もある。
位置づけとしては、シンフォニックでクサメタル=北欧のDARK MOOR的バンドかもしれない。
メロディアス度・・8 シンフォニック度・・8 キャッチー度・・8 総合・・8
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POWER QUEST「NEVERWORLD」
きらきらとしたキーボードにキャッチーなメロディで疾走する楽曲は、
北欧系のマイナークサメタルの流れをくむもので、思わず聴いていてにっこり。好きです・・・。
骨太でないVo、クサメロフレーズの多いギター、そしてあくまでシンフォニックなキーボードと、
たとえばINSANIASKYLARKあたりが好きなら間違いなく琴線にヒットするはず。
キーボード主導のメロディは、とにかくキャッチーでポップですらあり、じつに爽快。
また疾走一辺倒でなく、北欧メロディアスハード的ミドルテンポの曲もなかなかよい。
メロディアス度・・8 疾走度・・8 クサメロ度・・9 総合・・8
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Emerald Sun 「Escape from Twilight」
ギリシャのメロパワバンド、エメラルド・サンのアルバム。2007作
キーボードを含む6人組で、キーパー時代のHELLOWEENを思わせるメロディと
シンフォニックなきらびやかさで疾走するサウンドはなかなか高品質。
この素晴らしきクサメロ具合は、スウェーデンのINSANIAにも匹敵するほどで、
この手が好きなら間違いなく大喜び。これぞキーパーメタルである。
とにかく、どの曲も恥ずかしげもないほどにクサくメロディアスに疾走している。
後半は楽曲的にややダレるものの、クサメタラーにはまず必聴のバンドだろう。
クサメロ度・・9 疾走度・・9 キーパー度・・10 総合・・8
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GALLOGLASS 「heaveNseeker」
疾走型のメロスピサウンドに、ジャーマン的な力強いリフと、実力のあるヴォーカル、
そしてシンフォニックなキーボードアレンジも盛り込んだ、まさに美味しいとこ取りサウンドで、
昨今賑わっている北欧勢に負けてはおられぬという意気込みが音からも伝わってくる。
ジャケやタイトルなどから物語的なコンセプトもあるようだが、
音だけを聴いても愉快に楽しめる分かりやすさがあるので充分楽しめる。
押し一辺倒でやや力み過ぎな感じもなきにしもあらずだが、そのへんも含めて
とにかく、力強い疾走+シンフォニック…これがこのバンドの最大の魅力だ。
メロディアス度・・8 疾走度・・9 楽曲・・7 総合・・8
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SECRET SPHERE 「A TIME NEVERCOME」
前作にあった若干のB級臭さは完全に消え去り、シンフォニックな重厚さとともに
楽曲のアレンジの質と音の説得力がぐんと増している。
1stのクサいメロディや、唐突な展開が好きだった身としては、やや痛し痒しだが
疾走のみに頼らないコンセプト作の壮大さで聴かせる本作は見事な出来だし、
これでより多くのファンを獲得するだけのバンドへと成長したのも確かだろう。
4あたりの勇壮かつシンフォニックな曲は、やはりこのバンドの魅力である。
メロディアス度・・8 シンフォニック度・・8 疾走度・・7 総合・・8
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CONCEPT 「THE DIVINE CAGE」
1stはきらきらとしたキーボードが美しい、やわらかみのあるサウンドだったが、
この2ndもその延長線上のサウンド。少々ヘナなVoときらきらキーボードを乗せて疾走、
前作にも見られたプログレ的アプローチも健在で、リズムの遊びや緩急をつけた曲展開、
それに女性Voの導入なども、メロスピ一辺倒になりがちな楽曲にメリハリを付加している。
やわらかみのある…つまり力強くないメロスピがOKならば、楽しめるはず。
軟弱系シンフォメタル、クサいメロスピ、プログレ風味あり…と書いて興味のある方は聴くべし。
シンフォニック度・・8 疾走度・・8やわらか軟弱度・・9 総合・・8
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Crystallion 「Hattin」
語りの入ったRHAPSODYばりの壮大な雰囲気のイントロから、曲に入ると…
クサクサのギターフレーズが炸裂うっ。けっこう軽快なメロスピ風シンフォメタルです。
力強すぎないヴォーカルの感じもどことなくマイナー臭さが残っていて、
B級というにはけっこう質は高いのだが、恥ずかしげもない陽性のクサメロがたまらないサウンドは、
Power QuestRHAPSODY風味という感じもある。シンセ入りの壮麗さは
初期DARK MOORあたりのファンも惹きつけるだろう。とりあえず全クサメタラー必聴。
シンフォニック度・・8 クサメロ度・・9 疾走度・・8 総合・・8
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◆正統派ジャーマン系な13枚

GAMMA RAY 「Land of the Free U」
1995年の「Land of the Free」の続編で、のっけから王道ジャーマンメロパワサウンドが炸裂!
IRON MAIDENJUDAS PRIESTなどと同様、長い年月を経てきたバンドとしての貫祿とともに
カイハンセン節ともいえるキャッチーなメロディと疾走感に溢れた楽曲でたたみかける。
間奏部におけるドラマティックな展開力は、鉄壁のツインギターとリズム隊によって支えられ、
若手バンドではかもしだせない強固な説得力と、歴史上の名バンドに匹敵する空気を作り出すことで
カイ・ハンセンのヴォーカル云々という毎度の論議を超越するだけのパワーを生み出している。
ポジティブなパワーに満ちあふれたこのアルバムは、王道たる道を示すように燦然と輝いている。
メロディアス度・・8 疾走度・・7 王道メロバワ度・・9 総合・・8.5
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HELLOWEEN 「KEEPER OF SEVENTH KEYS-THE LEGACY」
かつての名作「守護神伝」のタイトルを冠したCD2枚組の力作。
確かにかつてを思わせる雰囲気で疾走する@や、Bのギターソロ後半でのツインリードのハモリは
なかなか心地い。またDISC2のFあたりに往年のパワフルな疾走を感じて嬉しかったりする。
全体的には、疾走曲あり、キャッチーな曲あり、今風のメタル曲あり、さらに女性Voのゲストなど、
けっこう曲の幅が広く、はたしてこれらを2枚組にして出す価値があったかは微妙だが、
このタイトルを含めてオールドファンと若いファンの両方にアピールする作品であるのは間違いない。
メロディアス度・・8 疾走度・・7 キーパー度・・7 総合・・8
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BLIND GUARDIAN 「A Twist in the Myth」
曲ごとにカラーにバラつきがあった前作に比べ、今回は全体のトーンが統一されている印象で
ファンタジックな世界観を音で描くという、ストーリーテラーとしてのブラガー印がしっかりと押されている。
歌に専念することとなったハンズィの堂々たる歌唱に、アンドレのメロディックなギターワークも健在、
そして重厚に重なるクワイアとともに、随所でオペラティックな盛り上がりを見せつける。
モダンなアレンジの中にもケルティックなメロディを効果的に取り入れており、どこか中世を感じさせる雰囲気もよい。
もはや往年の荒々しいパワーと突進力を期待してはいけないが、ツインギターの緻密な構成による
ドラマティックなヘヴィメタルという点では、5th以来久しぶりの快作と呼んでもよいだろう。
メロディアス度・・8 疾走度・・7 ドラマティック度・・9 総合・・8
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RAGE 「SOUNDCHASER」
本作ではのっけからテクニカルなギターワークに圧倒されつつ、サビでのメロディアスさには心地よさを覚える。
今回は5〜6分台の長めの曲が多く、その分1曲ごとのアレンジをじっくり練ってきたなという印象。
新鮮味やインパクトよりもバンドとしての熟成と、自信と余裕とが音には感じられる。
ピアノの美しいEや、レイジ節ともいえるキャッチーなサビメロのGなど、単なるパワーメタルのみならず、
ブルーズ色やクラシカル色をも曲調に上手く取り入れた新生レイジのサウンドは、
クオリティと演奏能力の高さもあいまって、新たな若いファンを獲得するだろう。
メロディアス度・・7 疾走度・・7 パワフル度・・8 総合・・8
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EDGUY 「Tinnitus Sanctus」
前々作「Hellfire Club」以降、サウンドから過度な装飾を排し、よりオーセンティックなヘヴィメタルを
追求する彼らだが、今作においてもより正統的なメタル/ハードロックサウンドを聴かせる。
ややダーティな渋さが増したトビアスの歌唱は、ぐっとアダルトな表現力を増し
シンプルな曲の中にも、しっかりとメロディや曲の流れを楽しむことができる。
昨今の派手派手しいメロスピ/シンフォメタルからすると、それに逆行するような音なので
若いファンがこれを物足りないと思うか、かえって新鮮と感じるかは微妙なところだろうが、
メタルバンドとしての確かな実力がなければ勝負できないこのサウンドには自信が溢れている。
メロディアス度・・8 正統派度・・9 新鮮度・・7 総合・・8
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SAVAGE CIRCUS 
「Dreamland Manor」
本作には元BLIND GUARDIANのトーメン・キアシュが参加、
ブラガーファンが密かに求めていた「あの頃のブラガー」を体現したサウンドです。
PERSUADERの2nd自体が、すでにかなりBLIND GUARDIANに接近した音だったのですが、
これはさらにそのものです。もうドラムから(本人だから当然か…)ギターから、ヴォーカルまで。
もちろん単なる模倣できなく、ドラマティックな盛り上がり、メロディの質、疾走感、どれもが一線級のクオリティ。
現在のブラガーに失望しかけている往年のファンの方にもオススメです。
メロディアス度・・8 疾走度・・8 あの頃のブラガ度・・9 総合・・8.5
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SILENT FORCE 「WORLDS APART」
“ひな祭り”のメロディから始まるこのアルバムは、メロディアスパワーメタルの傑作だ。
力強く、泣きのメロディを奏でるギターに、きらびやかなキーボード、そして
D.Cクーパーの見事な歌唱は、かつてのROYAL HUNTの黄金期を思い出すほど。
最近はこのような正統派の良質のパワメタというのはなかなかお目にかからないが、
これはまさに会心の一作。メロディアスでいながらじつに力強いサウンドである。
メロディアス度・・8 濃密メロパワ度・・8 D.C度・・9 総合・・8
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VOICE 「Golden Signs」
なにやら男臭いコーラスによるイントロから、曲が始まると正統派に疾走開始。
シンセ入りながらも、強力にパワフルなサウンドは本格派のジャーマンメタルである。
今作では元ACCEPT、RUNNING WILDのステファン・シュワルツマンがドラムを叩き、
安定したリズムに乗せる、力強いヴォーカルの歌声もなかなか見事だ。
サビではここぞと勇壮なコーラスが入ってきて、漢メタルの魂をくすぐるドラマティックさ。
さりげないシンセやツインギターのプレイも含めて音の説得力も素晴らしく、
GAMMA RAY
のアルバムと比較しても充分勝負出来るほどの内容である。
メロディアス度・・8 パワフル度・・9 楽曲・・8 総合・・8.5
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DUNGEON 「RESURRECTION」
オーストラリアきっての正統派メロパワバンド。これは1999年発表の2ndをリレコーディングしたもので、
基本はHELLOWEENタイプのジャーマンスタイルでドコドコ疾走しつつも、ツインギターの絡みがなかなか美しい。
歌メロもけっこう魅力的だし、力強いリフワークと同時に、しっかりとメロディも弾けるギターの実力もかなりのもので、
DREAM EVILなどの欧州のメロパワバンドにもなんら引けをとっていない。楽曲の充実ぶりも素晴らしく、
古き良きスタイルを踏襲しているという点でも貴重なバンドのひとつだろう。
メロディアス度・・8 疾走度・・8 王道ジャーマンスタイル度・・9 総合・・8
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Black Majesty 「Tomorrowland」
ダンジョンに次ぐ豪州メロパワの期待のバンド、中庸感のあった前作に比べ、
一聴してパワフルさと疾走感を取り戻し、1stの頃のサウンドを思わせる。
ドラマティックなツインギターで聴かせる楽曲は説得力をまとい、
前作で感じられた迷いを吹っ切るように押してくる。
また叙情的な部分では、表現力を増したヴォーカルの歌唱が映える。
毎回ジャケに描かれる女戦士とライオンのストーリーにも興味が浮かぶが、ともかく
DUNGEONなき今、豪州を代表するメロパワの旗手して、今後とも大いに期待したい。
メロディアス度・・8 疾走度・・8 パワフル度・・8 総合・・8
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STORMWARRIOR Heading Northe」
デビュー時から初期HELLOWEENを思わせる勢いのあるサウンドで、
オールドなジャーマンメタルファンを喜ばせたこのバンド、3作目となる本作では、
サウンドにパワフルな説得力が出てきた。GAMMA RAYを思わせるメロディックな質感と、
ツインギターに勇壮なコーラスワーク、ときにMANOWARばりのエピックな世界観で、
ぐいぐいとたたみかける。カイ・ハンセンを思わせるヴォーカルスタイルに思わずにやりとしつつ、
そのサウンドにはこれまでのような単なるフォロワー以上の重厚さを感じさせ、
オールドスタイルを貫き通す姿勢には、メタル愛に満ちた一徹さが垣間見える。
メロディアス度・・8 疾走度・・7 ジャーマン度・・9 総合・・8
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Primal Fear 「16.6 Before the Devil Knows You're Dead」
マット・シナー、ラルフ・シーパーズが率いる、ジャーマンメタル版ジューダスというスタイルで、
正統派メタルファンにとっては安心二重丸のこのバンド。ドラマティックなイントロには胸踊らせつつ
本作でのラルフのヴォーカルもハイトーンを張り上げるハルフォードばりの歌唱は抑えていて、
それがむしろツインギターとの調和と、ジャーマンメタルとしての耳心地の良さを生んでいる。
マグナス・カールソンのテクニカルなギタープレイもここぞと光っており、パワフルなだけではない
しっかりとした技術も見せつけている。ヘヴィメタルとしての王道をしっかりと貫きながら、
ベテランのみがかもしだせる強力な説得力をともなった見事な力作である。
ドラマティック度・・8 パワフル度・・8 ジャーマンメタル度・・9 総合・・8
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Mystic Prophecy Fireangel
新世代ギターヒーローとして知られる、ガス.Gが在籍していたバンドであるが、
サウンド的にはむしろ、彼の脱退後の方がパワフルなヘヴィさを増している。
本作もザクザクとしたメタリックなリフで聴かせる正統派のパワーメタルで、
ややかすれ気味のヴォーカルの歌唱とともに、ドラマティックなツインギターもいい感じだ。
楽曲やメロディ自体にはこれといった個性的なものはないのだが、
昨今珍しいほどに王道のヘヴィメタルを追求するその姿勢には潔ささえ感じる。
日本盤ボーナスにはMANOWARの“Fighting The Word”などを収録。
メロディアス度・・7 パワフル度・・9 ヘヴィメタル度・・9 総合・・8
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◆正統派北欧系な10枚

STRATOVARIUS 「ELEMENTS PT2」

ティモ・トルキが、自身の宇宙に立ち帰り、それを「エレメンツ」というコンセプトで表現している。
前作もそうだったが、お約束の疾走曲を1曲めにもってくることをやめたことにもそれは現れおり、
虚飾で飾らないメロディとサウンドには、音楽にまっすぐに向き直った真摯な姿勢が窺える。
今回はオーケストラ等はなしで、楽曲は比較的シンプルにバンドサウンドを重視した感があるが、
それでいて音には若手バンドでは決して表現出来ない、内面から滲み出るような深みがある。
しばらくの間このバンドのCDから遠ざかっていた私をも惹きつける、力強さと自信に満ちた
自然体のストヴァリサウンドが、日本デビュー後10年を経てここに完成したという気がする。
メロディアス度・・8 疾走度・・7 自然体度・・9 総合・・8.5
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DREAM EVIL 「DRAGONSLAYER」
フレドリック・ノルドストロームガス・Gのツインギターを中心に、
どっしりとしたドラムにベース、そしてしっかりメロディを聴かせるヴォーカル。
かつての北欧メタルの質感に、今風のヘヴィなフィーリングを合体させた
これはまさに、現在形北欧ヘヴィメタルサウンド。
流麗なツインギターはもちろん、北欧らしいキャッチーなメロディも耳に心地よい。
スピードに頼らないメタルパワーの炸裂。素晴らしいメロディックメタルアルバムだ。
メロディアス度・・8 重厚度・・9 メタルパワー度・・9 総合・・8.5
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LOST HORIZON 「A FLAME TO THE GROUND BENEATH」
MANOWAR級の「本気度」を、北欧らしいメロディアスさ、キャッチーさで包み込んだ正統派だが、
古くささやありきたり感はまったく感じない。ただ勢いだけで突っ走るのではなく
曲の細かな部分にも気を配った「緻密さ」を持っていることが彼らのポイント。
曲のアレンジはどれも練られ、効果的なメロディと疾走感を失うことなく、密度を高めている。
Voの歌唱も見事で、この説得力はこの歌唱の表現力にも負うところが大きいだろう。
世界には真似の出来ないオーラをもった「特別なバンド」というものがいるのだが、
たった二作目を残して消えたこのバンドも、それほどの輝きを残し歴史に名を刻んだ。
メロディアス度・・8 メタル魂度・・9 楽曲密度・・9 総合・・8.5
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NOCTURNAL RITES 「8th Sin
前作はまさにバンドの集大成的なクオリティのアルバムだっだが、今作もまた素晴らしい。
パワフルさとキャッチーなメロディアスさががっちりと手を組んだ、いつもながらのノクタ節が炸裂している。
ジョリー・リンドクヴィストの力強い歌唱を、ヘヴィメタリックなギターとどっしりとしたドラムが支え、
なおかつ北欧メタルのアイデンティティを失わぬきらきらとしたシンセワークがサウンドのバランスをとる。
もはやここまでのクオリティまで来ると、変わりようがない磐石さが音からにじみ出ている。
疾走メロパワから脱却した、真の北欧メタルとしての輝きをこのバンドはまとっているようだ。
メロディアス度・・8 疾走度・・6 パワフル度・・8 総合・・8.5
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Frequency 「When Dream and Fate Collide
メロデスバンドLOTHLORIENのメンバーが結成したバンド。
さすがに元々デスメタルをやっていただけあり、素晴らしく重厚なギターサウンドが炸裂している。
センスのよいメロディックなツインギターに、なかなか力強いハイトーンヴォーカルが乗ると
NOCTURNAL RITESあたりに通じる質感で、これはかなりハイクオリティなサウンドだ。
ギターはときおりクラシカルなフレーズを織りまぜつつも、ザクザクのリフを弾いてもまた格好よい。
メロデス風に疾走する曲もあり、しかもそこいらのメロデスよりもずっと出来が良いときている。
パワフルかつメロディックな傑作である。
メロディアス度・・8 疾走度・・7 パワフル&重厚度・・9 総合・・8.5
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CRYONIC TEMPLE 「IN THY POWER」
前作もこの手としては熱きメタル魂炸裂の好盤だったが、本作も期待を裏切らない出来。
初期HELLOWEENばりの疾走感に加え、北欧らしいキャッチーな歌メロをまぶして
メロディアスさとメタリックな硬派な部分を上手く同居させている。
かつてのHAMMERFALLあたりよりもずっとパワフルだし、
楽曲アレンジの面でも成長を見せた今作は、ミドルテンポの曲でも飽きずに聴かせる。
バンドとしての最高傑作と言ってよい出来だろう。クサメタラーにも対応。
メロディアス度・・8 疾走度・・8 メタル魂度・・9 総合・・8
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IRON FIRE 「To the Grave」
デンマーク産メタルバンドとしてはすでに中堅に位置するこのバンド、
毎作質はそこそこながら、これまではいまひとつという感があったのだが、
本作ではシンフォニックな音の厚みと重厚さをまとった傑作に仕上げてきた。
エピックな世界観に誇り高き正統派としてのパワーを乗せて、
力強く聴かせるサウンドは、楽曲、メロディともに過去最高の説得力だ。
かつてのDREAM EVILにも匹敵するクオリティ。ここにきてついにひとつ皮がむけた。
ドラマティック度・・8 パワフル度・・8 正統派度・・8 総合・・8
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SUPREME MAJESTY 「ELEMENTS OF CREATION」
キラキラとしたキーボードにキャッチーで分かりやすい歌メロで聴かせる、
TNTとかEUROPEとか、あの頃の北欧メタルが現代に甦ったという感じの古き良き北欧メタル。
最近のメロパワファンが、これを聴いてどう思うのかは微妙なところですが、
少し昔の北欧の雰囲気を詰め込んだこのアルバムは、失われた何かを思い出させてくれる
ある意味貴重な作品です。かつての「北欧メタル」とはこういう音のことだったんです。
もちろん古いだけでなく、今風のシンフォ・メロハー的アレンジも心地よいですぞ。
メロディアス度・・8 キャッチー度・・9 あの頃の北欧度・・10 総合・・8
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ASTRAL DOOORS「Astralism」
RAINBOWから受け継がれた古き良きブリティッシュメタルの精神を再現するこのバンド、
本作ものっけからパトリック・ヨハンソンのパワフルなヴォーカル炸裂、
これでもかといわんばかりのメロディック・メタルを聴かせてくれる。、
ハモンドの音色などにレトロな色を覗かせつつも、ただ古めかしいだけでなく、
しっかりとしたメタルとしてのヘヴィさと、分かりやすいメロディのおかげで
純粋に格好いいと思えるサウンドなのだ。テクニカルなギターも随所に光っている。
メロディアス度・・8 正統派度・・9 パワフル度・・8 総合・・8
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CARDIANT 「Tomorrow's Daylight」
このバンドの1st「Middy Moon」は北欧らしい美しい叙情性と初期SONATA ARCTICA的な疾走感で
なかなか素晴らしい作品だったのだが、今作はメンバーチェンジをへての5年ぶりのアルバムとなった。
一聴してより正統派のメロパワサウンドに接近しているが、美しいシンセワークや
ヴォーカル、コーラスにおけるクサメロぶりは健在でファンはにんまりだろう。
疾走感はやや抑えめながら、爽やかなメロディへのこだわりという点では
AXENSTARSUPREME MAJESTYあたりに通じるものもあるかもしれない。
メロディアス度・・8 疾走度・・7 北欧度・・8 総合・・8
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◆濃密ネオクラ系な6枚

EVIL MASQUERADE 「Welcome to the Show」
MOAHNI MOAHNAWUTHERING HEIGHTSにも参加したギタリスト、
ヘンリック・フリーマンを中心に、ROYAL HUNTの初代シンガーらによるバンド。
のっけから“ワルキューレの騎行”のメロディで幕を開け、
やはりROYAL HUNTを思わせるきらきらとした雰囲気で疾走。
ときおりあざといまでにクラシカルなフレーズを織り込む曲アレンジも確信犯的で、
ネオクラ色ぷんぷんの濃〜いサウンドは、耳にくどいながらも
ある意味天晴れなほどの突き抜けぶり。日本盤ボーナスには“君が代”を収録。
メロディアス度・・8 クラシカル度・・8 疾走度・・7 総合・・8
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DIONYSUS 「ANIMA MUNDI」
NATIONのギタリスト、ジョニー・ウリーンを中心としたこのバンド、
今作では典型的な北欧型メロパワのスタイルになっていて
もはやNATIONを思わせる部分は薄れたが、むしろこの方がいっそ潔くて良い気もする。
オラフ・ヘイヤーのヴォーカルもこの手のサウンドには大変マッチしているし、
ジョニー・ウリーンのギターもバックのキーボードとともにネオクラ色をかもし出しつつ、
ときに重厚なリフを、そしてここぞというときには叙情メロを弾きまくっている。
正統派過ぎてつまらない曲もあるものの、総じてクオリティは高いので安心して聴ける。
メロディアス度・・8 けっこう疾走度・・8 ネオクラ度・・8 総合・・8
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FIREWIND 「Allegiance」
新世代のギターヒーローガス.G率いるこのバンド、正統派のメロディックメタルと、
テクニカルなギタープレイで、パワフルに聴かせるサウンドは本作でも変わらないが、
ネオクラ風味を抑え気味にしたことで、これまで以上に楽曲の質とプレイの質が見事にかみ合い、
楽曲には力強い勢いが備わった。ヘヴィメタルとしての格好よさでは初期のDREAM EVILにも匹敵する。
女性コーラスなどもアクセントとなっており、最後まで飽きずに楽しめる。メロパワとしてはこれが最高作だろう。
メロディアス度・・8 パワフル度・・8 正統派度・・8 総合・・8
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MAGIC KINGDOM 「METALLIC TRAGEDY」
バンド名からコテコテのファンタジージャケから、「いかにも」な雰囲気プンプン。
サウンドはSTRATOVARIUSの疾走曲をより「濃く」した雰囲気で
きらきらしたキーボードに、イングヴェイばりの弾きまくりギターを加えましたという感じ。
私はネオクラ系が嫌いなのだが、ここまで分かりやすく疾走しまくってくれるといっそ潔くてよい(笑)
とにかく疾走してキラキラして、ネオクラフレーズでキメまくっているアルバム。
AT VANCEあたりよりもっと突き抜けているし完成度も高い。
歌メロがキャッチーなのもポイント高い。ここまでやられちゃ仕方ないな…。
メロディアス度・・8 疾走度・・8 ネオクラー度・・9 総合・・8
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IRON MASK 「Shadow of the Red Baron」
外見もプレイもインギースタイルのダッシャン・ペトロッシ率いるこのバンド、
IRON MASKとしては3作目となるが、Magic Kingdomとも掛け持ちしているので、
彼の存在はすでに日本でも認知が広がっていると思う。本作の音楽性も、
そんなファンの期待にたがわぬ、弾きまくりのネオクラシカルプレイの応酬が楽しめる
爽快なメロパワアルバムだ。楽曲の方も濃密で質が高く、もはや新鮮味はないが、
正統派ネオクラメロパワとしては、AT VANCEADAGIOをすでに凌駕している。
ネオクラ度・・8 疾走度・・7 濃密度・・8 総合・・8
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ARK STORM 「The Everlasting Wheel」
日本のイングヴェイ…といっていいものかどうかは知らないが、太田カツのギタリストとしての存在感は
ライブなどで見たときも凄かった。個人的にはネオクラは苦手なこともあり敬遠していたバンドなのだが、
この手の日本のバンドの中でもトップクラスに位置するのは間違いないだろう。
太田カツ氏のギターは、クラシカルな高速フレージングを含めて、その音の力強さは日本人離れした
じつに堂々たるものだし、佐々井氏康雄氏のヴォーカルも、英語歌唱による確かな力量が光っており、
楽曲を彩るYuhki氏の華麗なシンセワークとともに、まさに鉄壁のサウンドを形成している。
メロディアス度・・8 ネオクラ度・・8 日本人離れ度・・9 総合・・8.5
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◆南米系傑作な5枚

AQUARIA 「LUXAETERNA」
シンフォニックかつクラシカルな音で疾走、耳に残るキャッチーな歌メロと、
メロスピ、シンフォメタルファンは1曲目でノックアウトだろう。
雰囲気としてはやはり同郷のANGRAを手本にしているのが色濃く出ているが
よりメロディックな部分にこだわっていて、とくにキーボードのアレンジは
RHAPSODYなどのシンフォニックメタルからも影響を受けており、クラシカルで美しい。
曲展開にも、小曲やインストでのつなぎなどにはプログレッシブなものが感じられ
物語としてのコンセプトをつむぐやり方はデビュー作とは思えない濃密感がある。
メロディアス度・・8 疾走度・・8 新人離れ度・・9 総合・・8.5
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WIZARDS 「THE KINGDOM」
もともとキーボードを効果的に使用したプログレッシブさと、ANGRA的なメロディアスな疾走感を兼ね揃えた
センスの良さが光るバンドであったが、今作はさらなる傑作となった。1曲目こそパッとしないものの
徐々に疾走感を増しつつツボをつくメロディの曲が続いてゆき、聴き終えるころには「素晴らしい」と膝を叩く。
STRATOVARIOUS的疾走メロディに加え、メンバー自身も影響されたというQUEEN的なピアノの使用、
そしてキャッチーなヴォーカルハーモニーが流麗して見事だ。日本盤ボーナス曲などにおける、
繊細なタッチのピアノから始まり、クイーン的な歌メロ、そして疾走曲へという流れはまさに圧巻。
メロディアス度・・8 疾走度・・8 楽曲・・8 総合・・8
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SHAMAN 「RITUAL」
ANGRAと袂を別ったアンドレ・マトスがどんな音を作るのかにはとても興味があったが
雄大なンントロに続くAは、かつてのANGRAを思わせる疾走曲であるが、
間奏部のピアノやコーラスなどには彼の美意識が滲み出ている。
これ以降はミドル主体の曲調が多く、メロスピ好きにはもの足りないかもしれないが、
新生ANGRAに比べ「自然との融合的」な優しさあり、こうしたものはアンドレ自身の趣味や、
同郷の偉大なバンドSAGRADOへの参加などから得たものなのかもしれない。
かつてのANGRAのアルバム「HOLY LAND」に通じる民族色をもった傑作だ。
メロディアス度・・8 疾走度・・7 雄大度・・8 総合・・8
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EYES OF SHIVA 「EYES OF SOUL」
基本はANGRA路線の疾走&メロディアスなメタルなのだが、
曲の節々に南米特有の民族調のアレンジとダンサブルな雰囲気が感じられ、
その知的なアレンジセンスには若手とは思えない新しさもある。
Voのハイトーンもどこかアンドレ・マトス風で、シンセなどの導入の仕方もANGRA的なのだが、
厳密に言うと、メリハリのついた曲の展開はこちらの方がプログレ的であるだろう。
尚、当のANGRAのキコ・ルーレイロがゲスト参加している。
メロディアス度・・8 疾走度・・8 楽曲センス度・・9 総合・・8.5
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HIBRIA 「The Skull Collectors」
前作は今どき珍しいほどの正統派ピュアメタルサウンドが評判を呼んだが、
今作ではアレンジにメロスピ風のモダンさも取り入れてきて、充実の力作となった。
パワフルな疾走感覚と、しっかりした演奏、歌唱力に支えられたサウンドは
2作目にしてすでに説得力も充分で、JUDAS PRIEST好きのオールドなメタルファンから
DRAGONFORCEなどを好む若者リスナーまで、幅広く楽しめるだろう。
「新世代のピュアメタルはこれだ!」という、強力な勢いに溢れた好作だ。
メロディアス度・・8 疾走度・・8 パワフル度・・8 総合・・8
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◆土着系メロディな6枚

MAGO DE OZ 「GAIA U」
のっけから、今までにないシリアスかつ壮大なイントロが荘厳に響きわたり「おおっ」と唸る。
美しいヴァイオリンに女性コーラスが絡み、シンフォニックして大仰な雰囲はRHAPSODYのようだ。
楽曲は力強さと疾走感をともない、メタリックなギターリフにスペイン語の歌唱が映える。
バンドの特徴であるフルート、ヴァイオリンの音色も、以前よりもずっとシリアスな雰囲気で
フォーキーな脱力メロはいくぶん抑え気味となったぶん、シンフォニックメタルとしての質感が増した。
疾走曲での高揚感は彼ら史上最高で、スパニッシュでキャッチー、フォーキーでいながら壮大。
CD2枚組みのラストは21分の大曲だ。これは胸を張って「傑作」と言えるアルバムかもしれない。
メロディアス度・・9 シンフォニック度・・8 フォーキー度・・8 総合・・8.5
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WUTHERING HEIGHTS 「FAR FROM THE MADDING CROWD」
2nd「TO TRAVEL FOR EVERMORE」において、ケルティックなメロディの導入により個性を発揮、
続くこの3rdでは温かみのある土着的なメロディは楽曲の中でいよいよ効力を増し、
FALCONERあたりのヴァイキングメタルにも接近している印象だ。
VoはRICHARS ANDERSSON'S SPACE ODYSSEYにも参加しているパトリック・ヨハンソンで、
心地よいクリーンヴォイスと、パワフルなかすれ声を使い分けて、表現力十分。
楽曲はシンフォメタル的な疾走曲から、民族調のバラードまでどれもが煽情的なメロディをもち
なかなか心地よく聴かせてくれる。シンフォニック・ケルトメタルという新ジャンル確立の予感。
メロディアス度・・8 ケルティック度・・8 楽曲・・8 総合・・8
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THE STORYTELLER 「CROSSROAD」

HAMMERFALLの成功以降、クサメロを配した疾走メタルバンドが数々デビューする北欧であるが、
これらのバンド群において評価をする重要事項となるのは、なりよりメロディの質/扇情度に他ならない。
そうした意味においてこのバンドはなかなか優れていると言っていい。
そのサウンドには普通のジャーマン系クサメロ疾走メタルとは微妙に異なるメロディの質感がある。
もともとはこのバンドは非メタル系のフォーク/トラッドバンドからスタートしたという経緯があり、
そこが他のこの手のバンド群とのメロディ/アレンジの質感の違いとなっているのだろう。
スタイリッシュなセンスの良さよりは、田舎臭い哀愁が感じられる。そこがいい。
メロディアス度・・8 疾走度・・8 北欧土着哀愁メロ度・・8 総合・・8
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FALCONERAmong Beggars and Thieves
いきなりのメロスピ風疾走サウンドに驚くが、マイルドな声質のヴォーカルと、
適度なトラッド感覚を感じさせるメロディで聴かせる、独自のサウンドは健在だ。
温かみのあるフォーキーでファンタジックな質感はなかなか耳に心地よく
いくぶんメロパワ的な普遍性を増しつつも、母国語で歌われる土着的なナンバーや
かつてのMITHOTYNを思わせるようなヴァイキングメタル曲もあり、
ここ数作の中では一番充実したアルバムといってよいだろう。
メロディアス度・・8 フォーキー度・・8 メロパワ度・・8 総合・・8
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ALESTORM 「Black Sails at Midnight」
海賊をバンドキャラクターに、“パイレーツメタル”なる肩書でデビューしたこのバンドであるが、
前作はまだまだサウンド自体の方向性が中途半端であるような感じがあった。
ミニアルバムに続く今作では、楽曲の魅力が増すと同時に、勇壮な雰囲気に磨きがかかって
バンドとしての確かな成長を遂げている。フォーキーなメロディを正統的なメタルに上手く融合させ、
ときにシンフォニックメタル的な華麗さも覗かせるサウンドには、確かな説得力がついてきた。
ジャケやブックレットの作りも含めて物語風に聴かせる手法も、そのイメージとしての強度が増し
男たちの冒険活劇が目の前に見えるようだ。そういう点ではTURISASなどにも通じる雰囲気である。
ドラマティック度・・8 勇壮度・・8 海賊度・・9 総合・・8
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SAUROM 「Once Romances」
フォーキーな土着性を取り入れたサウンドと、ファンタジックな世界観で
毎回マニア好みの好作を出してきたこのバンド、SAUROM名義となって2作目となる。
今回はヴァイキングメタル風の勇壮さを増し、のっけから疾走していてびっくり。
いつになくシリアスな雰囲気で、RHAPSODYばりのシンフォニックメタルを展開、
スペイン語の歌唱とともに、濃密かつ壮麗なサウンドを聴かせてくれる。
土着メロディの取り入れ方もクサすぎないくらいになかなか絶妙で、
普通のシンフォメタルとしても充分楽しめる。ドラマティックな力作だ。
シンフォニック度・・8 フォーキー度・・7 ドラマティック度・・8 総合・・8


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