レトロなヴィンテージメタル
昨今にわかにNWOTHM(ニュー・ウェイブ・オブ・トラディショナル・ヘヴィメタル)というムーブメントが広がっている。
これはいうまでもなく、80年代に英国を中心に起こったNWOBHMを起源とする、いわば古き良きメタルへの回帰を示唆するものだ。
特筆すべきは、ここのところ続々と現れてくる、レトロなヴィンテージ感覚…つまりは80年代的ないくぶんのダサさを含んだ
正統的なハードロック、メタルバンドの多くは、20〜30代の若手がほとんどであるということである。
おそらく、80年代、90年代を、少年〜青年時代として過ごした若者たちが、この現代において、多様化するメタルシーンの中にあって
あえて、それらかつての古典的なメタルへの憧れを再現しているという強い情熱の発露であろうし、
一方では、新世紀以降に台頭してきた、ニュースクール、メタルコア、へヴィロックといった新たなモダンメタルの波に対して、
本当のメタルはそういうものではないのだという、モダン化への反発心なども含まれているのだろう。
さらに言えば、時代はひと回りし、かつて古くさかったもの、ツインギターのお決まりのリフであったり、オルガン、メロトロンといった
アナログなシンセなども含む、人力としての音楽の心地よさが、ダウンロードやMP3が幅を利かせる現代の音楽鑑賞のスタイルの中で、
意外な新鮮味とぬくもり、あるいは生々しい魅力を聴き手の側にも感じさせているのかもしれない。
どちらにしても、それをやるバンドも我々リスナーも、古き良きメタルをいま再び受け入れようとしている。
さらには、ヴィンデージロックという側面で考えたときに、BLACK SABBATH影響下のストーナー、ドゥーム系バンドも外せないだろう。
ここでは、それらのレトロでいわば懐古主義的な、オールドスタイルのバンドたちをいくつか紹介してみたい。 緑川 とうせい
◆北欧のウルフを皮切りに、スウェーデン、そしてアメリカへと広がるヴィンテージメタル
WOLF
スウェーデンのメタルバンド、ウルフの1st。2000作
ジャケはメタルとは思えないような雰囲気だが、サウンドは古き良き正統派のヘヴィメタル。
70〜80年代を思わせるオールドなギターリフとアナログ感満載の音で、
ブリティッシュメタル的ななつかしさを感じさせる演奏を繰り広げている。
かといって、ただ単に古くさいだけではなく、微妙にちゃんと今の音になっているのが面白いし、
BLACK BONZOなどが出てくるスウェーデンというお国柄か、レトロさの現代視点ともいうべき
懐古主義的ハードロックである。決して力強くならないヴォーカルの声質も絶妙だ。
メロディアス度・・7 正統派度・・9 古き良き度・・9 総合・・8
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WOLF「Ravenous」
スウェーデンのメタルバンド、ウルフの5th。2008作
2000年のデビュー以来、2年おきにアルバムを出しているこのバンド、
今作も80年代風のトゥルーメタルサウンドが全開の好作。
JUDAS PRIESTやIRON MAIDENなどからの影響を感じさせつつ、
ジャーマンや北欧メタル的な叙情性も巧みに盛り込んだ楽曲には
思わずにやにやしてしまう。前作以上にツインギターの重ねが前に出てきて、
古き良きメタルの質感を現代のアレンジで包んだような感触が面白い。
オールドなリスナーはもちろん、若い方々もぜひマイスペでチェックすべし。
ドラマティック度・・8 正統派度・・9 古き良き度・・9 総合・・8
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ENFORCER「Into The Night」
スウェーデンのパワーメタルバンド、エンフォーサーのアルバム。2008作
こ、これは…まるで80年代そのもののようなレトロなジャーマンメタルです。
革ジャンにスリムジーンズ姿のメンバー写真といい(ガンベルト着用でTシャツはVENOM)
前時代的なギターリフで疾走するオールドスタイルといい、もうギャグ一歩手前なんですが、
曲の方は初期のハロウィンやブラガー、グレイブ・ディガーといった感じで、
我々世代のツボをつきまくり。この音はとても懐かしく、そしてけっこう楽しめますぞ。
“Black Angel” “Into the Night” “Scream of the Savage” “Evil Attacker
” といった
英語力の足りない曲名もGood。きっとあの頃のジャーマンメタルが大好きな若者たちなのでしょう。
メロディアス度・・7 疾走度・・8 古き良度き・・10 総合・・7.5
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ENFORCER「Diamonds」
スウェーデンのメタルバンド、エンフォーサーのアルバム。2010作
80年代を思わせるレトロなメタルサウンドでデビューを飾ったこのバンド、
本作も期待通りの古き良きアナログメタルを聴かせてくれる。アンプ直結かと思うような
ヘヴィすぎないギターリフと、力強すぎないハイトーンヴォーカルを乗せて軽やかに疾走、
昨今のメタルコアとは完全に対極にある、ローカルな耳心地の良さが嬉しい。
正統派メタル、ハードロックへのリスペクト、メンバーの古めかしいファッションにも
ある種の美学が感じられる。確信犯的なレイドバックサウンドににやにやしてしまう。
メロディアス度・・8 疾走度・・7 古き良度き・・9 総合・・8
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In Solitude 「World-the Flesh: the Devil」
スウェーデンのメタルバンド、イン・ソリチュードの2011年作
2009年にデビューして本作が2作目である。 ジャケのB級っぽさやヴォーカルの煮え切らなさも含めて、
ENFORCERと同様に、マイナーなローカルさの漂う古き良き正統派メタルサウンドだ。
いくぶんカルト的なミステリアスさが80年代の英国調でもあり、マニアックなリスナーはにんまりだろう。
ツインギターのフレーズはなかなか叙情的で、IRON MAIDENからの影響も感じさせる。
メロディアス度・・8 パワフル度・・7 古き良き度・・9 総合・・8
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KATANA「Heads Will Roll」
スウェーデンのメタルバンド、カタナの2011年作
ツインギターに女性ベーシストを含む5人組で、バンド名といいジャケといい、
メンバー写真といい、どこかズレてる微笑ましさが、まさにNWOTHMの精神か。
サウンドの方も、古き良きローカルさの漂うメロディックHR/HMであるが、
歌メロのキャッチーな聴き心地が、どこかメロハー風でもあったりする。
IRON MAIDEN的なツインギターもいい感じの、パワフルすぎない好作である。
メロディアス度・・8 パワフル度・・7 古き良き度・・8 総合・・7.5
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PORTRAIT「Crimen Laesae Majestatis Divinae」
スウェーデンのメタルバンド、ポートレイトの2011年作
WOLFやENFORCER以降も、とどまるところを知らぬ、スウェーデンのオールドメタルムーブメント、
このバンドもツインギターのフレーズで、80年代のジャーマンメタルを思わせるような、
古き良き正統派メタルをやっている。音質のアナログっぽさや、ヴォーカルの声質も含めて
決してメジャーになどならぬぞ、というようなローカルな雰囲気が確信犯的に漂っている。
ツインギターのドラマティックなフレーズには、オールドメタラーは感涙ものだろう。
総合的な古めかしさではENFORCER以上の逸材か。ラストの大曲も見事。まいりました。
メロディアス度・・8 パワフル度・・8 古き良き度・・9 総合・・8
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MEAN STREAK「Declaration of War」
スウェーデンのメタルバンド、ミーン・ストリークの2011年作
WOLF、ENFORCERなどに続いて、NWOTHM系の新鋭として現れたこのバンド
古き良きジャーマンメタル風味だった前作から、本作ではJUDAS PRIEST的な、
いっそうの正統派メタルスタイルへとレイドバックしている。それでもツインギターのフレーズは
ときおりジャーマン風だったりしてにんまりだ。ただクオリティは高いものの、ヴォーカルに関しては
ハイトーンの苦しさもあって非常に微妙…。そのヨレ具合こそが味だと言えばそうなのだが。笑
メロディアス度・・7 正統派度・・9 古き良き度・・9 総合・・7.5
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STEELWING「Lord of the Wasteland」
スウェーデンのメタルバンド、スティールウイングの2010年作
WOLFやENFORCER、MEAN STREAKなどに続き、スウェーデンからまたしてもNWOTHM系バンドが登場。
ツインギターのリフとハイトーンヴォーカルを乗せてパワフルに聴かせるIRON MAIDEN風のサウンド。
メロディはキャッチーで正統派メタルに北欧のメロディアスな聴き心地を加えたというような雰囲気だ。
メンバーは20代前半という若さながら、JUDAS PRIESTなど古き良き王道のシンプルさをしっかりと継承していて、
ヴォーカルを含めての演奏力もレベルが高い。全体的に新鮮味は薄いのだが、実力的には今後に大いに期待できる。
メロディアス度・・8 パワフル度・・8 正統派度・・8 総合・・8
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White Wizzard「Over The Top」
アメリカのメタルバンド、ホワイト・ウィザードのアルバム。2009作
ここのところ、レトロなヴィンテージメタルの波が世界中に広がりつつあるが、
このバンドもかつての80年代を彷彿とさせるような正統派のヘヴィメタルをやっている。
革ジャンを着込んだメンバーの出で立ちもそうだが、サウンドの方も恥ずかしげもないくらいの
古き良きメタルで、IRON MAIDENなどが好きでたまらないという、微笑ましいパワーに満ち満ちている。
かといって一昔前のヘナチョコなフォロワーというわけではなく、演奏力も歌唱力も充分にあり、
本気のメタル愛が伝わってくるほどの見事なサウンドなのだ。これを嫌いになれるわけがない。
メロディアス度・・8 正統派度・・9 古き良度き度・・9 総合・・8
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CAULDRON「Burning Fortune」
カナダのメタルバンド、コールドロンの2011年作
前作同様、色っぽいジャケと古めかしいスタイルのヘヴィメタルであるが、
本作ではメロディによりキャッチーな風味が増していて、適度な軽さとともに
耳心地のいい正統派HR/HMが楽しめる。悪く言えばローカルそのものなのだが、
それも狙いであるぞというのが音で分かるし、楽曲自体の出来も上がってきた。
メロディアス度・・8 正統派度・・8 古き良き度・・9 総合・・8
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Holy Grail「Crisis in Utopia」
アメリカのメタルバンド、ホーリイ・グレイルの2010年作
このバンドもツインギターのリフで疾走する、オールドなスタイルが持ち味。
力強すぎないハイトーンヴォーカルと、古きよきギターサウンドは、
かつてのジャーマンメタルとNWOBHMの中間といった雰囲気だろうか。
曲自体は当たり前すぎてインパクトはないのだが、むしろ最近の若いリスナーには
新鮮に聴こえるのだろうか。ENFORCERなどが気に入った方なら、こちらもどうぞ。
メロディアス度・・7 疾走度・・8 古きよき度・・8 総合・・7.5
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VOLTURE「Shocking Its Prey」
アメリカのメタルバンド、ヴォルチャーの6曲入りミニアルバム。2010年作
スウェーデンやアメリカを中心に、古き良きスタイルのメタルバンドが続々と現れてきているが、
このバンド、ジャケといい、バンドロゴといい、メンバー写真といい、
すべてにおいて「80年代バンザイ」とでも叫んでいるような、まさに王道のメタルをやっている。
アナログ感たっぷりのドラムに、正統派のギターリフで疾走、ハイトーンのヴォーカルもいい感じだ。
初期のメイデンやジューダス、さらには80年代のNWOBHMを思わせるヘビーメタルである。
メロディアス度・・7 疾走度・・7 古き良き度・・9 総合・・7.5
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BLACK TIDE「Light from Above」
アメリカのメタルバンド、ブラック・タイドのアルバム。2008作
全員がまだ10代という若さながら、彼らがやっているのは80年代スタイルの
実にオールドな正統的ヘヴィメタルで驚きだ。これぞヘヴィメタル!、
といわんばかりのギターリフで勢いよく聴かせつつ、LAメタル的なキャッチーな歌メロなども
顔を覗かせたり、あの頃のハードロックバンドの要素を集めたような雰囲気がある。
昨今のリバイバルブームのさなか、若手からこういうサウンドが飛び出すのだから、
オールドなメタルファンはにんまりだろうし、単なる懐古主義とは言えぬ質の高さがある。
METALLICAの“HIT THE LIGHTS”のカヴァーもなかなか格好よい。
メロディアス度・・7 オールドメタル度・・8 楽曲度・・8 総合・・8
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BORROWED TIME
アメリカのメタルバンド、ボロウド・タイムの2013年作
バンド名はDIAMOND HEADのアルバムからとったと思われるが、サウンドの方もNWOBHMの生き残りかというようなオールドなスタイル。
重すぎないツインギターにハイトーンヴォーカルを乗せて、ほどよい疾走感のある80年代ルーツのヴィンテージメタルを聴かせる。
IRON MAIDENをマイナーにしたようなウェットな叙情性と、スピードメタル寄りの勢いの良さも覗かせて、結果として日本人好みのスタイルに。
インストによるメロディックな小曲も挟みつつ、6分を超える長めのナンバーなども、扇情的なフレーズを奏でるギターのセンスも含めて、なかなか濃密な味わいで楽しめる。
ドラマティック度・8 疾走度・7 古き良き度・8 総合・7.5
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Burning Black「Mechanicalhell」
イタリアのメタルバンド、バーニング・ブラックのアルバム。2009作
昨今80年代に回帰したようなレトロなメタルバンドが続々と出てきているが、
このバンドも古き良きメロパワの雰囲気をたっぷり詰め込んだサウンドをやっている。
ツインギターで聴かせるメロディックなフレーズと王道のリフが耳に心地よく、
力強くシャウトするヴォーカルとともにバワフルに聴かせる正統派のスタイルが
じつにハマっている。バックにはうっすらとシンセも入っていて、ただ古くさいだけではなく
今の耳で聴いても充分に格好いいメロバワである。また頼もしいバンドが現れた。
メロディアス度・・8 疾走度・7 正統派度・・9 総合・・8
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ASTRAL DOORS「CLOUDBREAKER」
スウェーデンのメタルバンド、アストラル ドアーズの1st。2003作
パトリック・ヨハンソンのパワフルなヴォーカルをメインに、
古き良き時代を思わせる正統派のHR/HMが炸裂している。
ハモンドの音色などを使ったレトロめのシンセワークに、
RAINBOW、BLACK SABBATHあたりを思わせるギターワーク。
ただ古めかしいだけでなく、随所にネオクラシカル風の質感も垣間見せ、
オールドなファンのみならず、最近のリスナーにもアピールするものを持っている。
力強い歌声で聴かせるオーセンティックなメタルアルバムだ。
メロディアス度・・7 正統派度・・9 古き良き度・・9 総合・・8
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ASTRAL DOOORS「Astralism」
スウェーデンのメロディックメタルバンド、アストラル・ドアーズの3rd。2006作
RAINBOWから受け継がれた古き良きブリティッシュメタルの精神を再現するこのバンド、
本作ものっけからパトリック・ヨハンソンのパワフルなヴォーカル炸裂、
これでもかといわんばかりのメロディック・メタルを聴かせてくれる。、
ハモンドの音色などにレトロな色を覗かせつつも、ただ古めかしいだけでなく、
しっかりとしたメタルとしてのヘヴィさと、分かりやすいメロディのおかげで
純粋に格好いいと思えるサウンドなのだ。テクニカルなギターも随所に光っている。
メロディアス度・・8 正統派度・・9 パワフル度・・8 総合・・8
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STEEL HORSE「Wild Power」
スペインのメタルバンド、スティール・ホースの2010年作
北欧、アメリカを中心に広がりを見せつつあるNWOTHMのムーブメントであるが、
スペインからも古き良きスタイルのバンドが登場。一聴してIRON MAIDENを思わせる雰囲気は
White WizardやKATANAに近いものがあり、ヘヴィすぎないラフな音作りもいかにも80年代っぽい。
メロディックなギターソロパートもなかなか魅力的で、ジャーマンメタル的な湿りけを感じさせるのもGOOD♪
メロディアス度・・8 正統派度・・9 古き良き度・・9 総合・・8
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VOLBEAT 「Beyond Hell/Above Heaven」
デンマークのハードロックバンド、ヴォルビートの2010年作
すでに4作目ということだが聴くのは初めて。サウンドは古き良きロカビリーロックを
HR/HMに味付けしたという感じで、アナログ的な質感をモダンなで表現しているという、
なかなか面白いスタイル。キャッチーなメロデイと渋みのあるマイルドさが聴き心地よい。
今の時代においてなにか安心して聴けるような、大人のロックとしての味わいがある。
なにげなく随所にMETALLICAっぽさなどもあったりして、にやりとさせられる。マイスペ
メロディアス度・・7 古き良き度・・8 ロカビリーメタル度・・8 総合・・8
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3 Inches Of Blood 「Here Waits Thy Doom」
カナダのメタルバンド、3インチズ・オヴ・ブラッドの2010年作
デビュー作「Advance & Vanquish」はインパクトのあるジャケが話題を呼んだが、
本作もACCEPTを思わせるパワフルな正統派メタルサウンドをたっぷりと聴かせる。
ヴォーカルはむしろロブ・ハルフォードを思わせるハイトーンで、
往年のヘヴィメタルを現代に甦らせたようなその雰囲気には、
オールドファンには感涙ものだろう。随所にメロディアスなセンスを覗かせる
ギターのフレーズにもセンスを感じさせる。アナログ的正統派メタル復古作。
ドラマティック度・・8 正統派度・・9 古き良き度・・9 総合・・8
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Steel Panther「Feel the Steel」
アメリカのハードロック/メタルバンド、スティール・パンサーのアルバム。2009作
メンバーのファッションからしてもう、80年代のLAメタルの香りがぷんぷんであるが、
サウンドの方もかつてのMOTLEY CRUEなどを思わせる、キャッチーなハードロック。
狙っているとしか思えない曲名やセクシャルさを押し出した歌詞などもいかにもであるが、
単なる古き良きロックともいえない質の高さとノリがあって、案外素直に楽しめる。
メロディアス度・・8 キャッチー度・・8 LA風度・・9 総合・・8
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TAKING DAWN「Time to Burn」
アメリカのハードロック/メタルバンド、テイキング・ドーンのアルバム。2010作
80年代のLAメタルを思わせるきらびやかさとキャッチーなメロディで聴かせるサウンドだが、
そこに現代的なヘヴィさやテクニックが加わっているので、古めかしさをあまり感じさせない。
若手にしてはどっしりとした安定感があって、楽曲、演奏ともになかなかレベルは高い。
LAメタルの現代的解釈というべきか、これもひとつのヴィンテージメタルの形だろう。
メロディアス度・・8 キャッチー度・・8 LA風度・・8 総合・・8
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AIRBOURNE「No Guts No Glory」
オーストラリアのハードロックバンド、エアボーンの2nd。2010作
かつてのAC/DCを思わせる勢いあるロックサウンドでデビューしたこのバンド、
2作目となる本作も、古き良きハードロック魂が炸裂の力作だ。
いくぶんダーティでワイルドなヴォーカルに、アナログ感たっぷりのギター、
時代錯誤なまでにロックンロールの熱さを追求したノリノリの1枚である。
メロディアス度・・7 古き良き度・・9 AC/DC度・・9 総合・・8
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Hammers of Misfortune「17th Street」
アメリカのプログレッシブ・メタル、ハマーズ・オブ・ミスフォーチュンの2011年作
オルガン鳴り響く70年代風味のハードロック色に、男女ヴォーカルの歌声で
ProgMetal的な展開力も見せつけるサウンドは、さらにダイナミックになっている。
古き良きヘヴィメタルの感触とレトロなヴィンデージ感覚が自然に融合されており、
本作ではギターのメロディックなフレージングが随所に効果的に聴かれ、
やわらかなシンセワークとのコントラストを描いている。メタルとしてのヘヴィさもちゃんとあり、
まるでPROCOL HARUMとMOTORHEADが一緒にバンドをやっているように聴こえたりもする。
ドラマティック度・・8 古き良き度・・8 構築センス・・8 総合・・8
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◆ドゥーム、サイケ、ストーナー系なレトロバンド
CATHEDRAL「Caravan Beyond Redemption」
イギリスのドゥームメタルバンド、カテドラルの5th。1998作
沈み込むようなスローなドゥームメタルサウンドで衝撃を与えたデビュー作から
より英国ロック的なヴィンテージ感覚をまとわせて深化してきたこのバンド。
2nd以降の集大成ともいえるのが本作だろう。サーカスを思わせるようなイントロから
BLACK SABBATHの影響を思わせるギターリフとともに、サイケがかったドゥーミィさで
濃密なハードロックを展開。パーカッションやメロトロンの音色なども取り込んで
70年代プログレ的な色合いを覗かせるなど、飽きさせずに聴かせる説得力が加わった。
メロディアス度・・7 ドゥーム度・・7 英国度・・8 総合・・8
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CATHEDRAL「The Garden of Unearthly Delights」
英国のドゥームメタルバンド、カテドラルの8th。2005作
独自の世界観でドゥームメタルというものを深化させてきたリー・ドリアン率いるこのバンド、
本作も古き良きアナログ感覚をまぶした、サイケ、ストーナー的な英国ドゥームロックを聴かせる。
BLACK SABBATHから受け継がれてきたヘヴィなギターリフを中心に比較的ストレートな楽曲が続くが、
ときおり80年代ハードロック的なキャッチーさも出てきて、ヘヴィさと聴きやすさを両立させている。
そしてラストは27分におよぶ女性Vo入りの大曲で、これは次作のプログレ路線への布石ともいえる出来。
メロディアス度・・7 ドゥーム度・・7 英国度・・8 総合・・8
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Spiritual Beggars「Mantra III」
スウェーデンのストーナーロックバンド、スピリチュアル・ベガーズの3rd。1998作
ARCH ENEMYのマイケル・アモットによる70年代ドゥームロックへのオマージュ的なバンドとして
スタートしたこのバンド。本作は出世作にして初期の最高作というべきアルバム。
生々しいギターリフとハネるリズム、CATHEDRALのようなアナログ感覚は、
現在のレイドバックブームの先取りでもあったといえる。サイケ気味の能天気さもGood。
メロディアス度・・7 アナログ度・・8 ストーナー度・・8 総合・・8
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Spiritual Beggars 「On Fire」
スピリチュアル・ベガーズの5th。2002作
オリジナルメンバーのスパイスが脱退し、代わりにGRAND MAGUSのJBが加入、
サウンドのは、前作の重さをいくらかやわらげ、より70年代的なアナログ感覚で聴かせる。
オルガンやメロトロンなどのシンセワークも効果的に楽曲を彩っていて、耳心地の良さという点では
プログレ的にも楽しめたりする。渋みのあるJBの歌声もバンドサウンドにマッチしていて、
すでに溶け込んでいる。メロディアスさの点では前作を上回っており、個人的にも好きな作品。
メロディアス度・・8 アナログ度・・8 プログレ的度・・8 総合・・8
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The BLOOD DIVINE「AWAKEN」
英国のゴシックメタルバンド、ブラッド・ディヴァインの1st。1996作
サウンドは、本家アナシマに比べると70年代的なブリティッシュロック色が濃く
頽廃的な雰囲気とサイケな浮遊感をともないながら、英国的な哀愁を漂わせている。
初期のPARADISE LOSTにも通じる質感と、Cathedralがゴシック化したような気配もあり
ときにオルガンなどを用いたプログレ的なシンセワークなどもなかなか面白い。
今でいう美麗なゴシックメタルとはまったく異なるサウンドだが、
英国からしか出て来ないこの耽美な頽廃をともなった音楽性は、
むしろブリティッシュロックファンなどの耳に心地よい作品かもしれない。
メロディアス度・・7 ゴシック度・・8 英国度・・9 総合・・8
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BLACK BONZO「Operation Matnual The Guillotine model DRAMA」
スウェーデンのヴィンテージロックバンド、ブラック・ボンゾの3rd。2009作
かつてのDEEP PURPLEやURIAH HEEPなど70年代ブリティッシュロックを思わせる
レトロなサウンドで、マニアの心を掴んだ彼ら。3作目となる本作はタイトル通り、ギロチン…
つまり断頭台をテーマにしたアルバムらしい。もちろんサウンドの方は、ヴィンテージなオルガンの音色に、
古き良きギターリフで聴かせる相変わらず70's懐古主義的な香りがぷんぷん。聴いていて思わずにんまりである。
今回はアコースティカルな要素も取り入れるなど、肩の力が抜けたより自然体の作風といえ、
前2作に比べるとややインパクトの点では薄いものの、よりやわらかみのあるレトロロックとなっている。
メロディアス度・・8 プログレハー度・・8 レトロ&懐古度・・9 総合・・8
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BIGELF「Cheat the Gallows」
アメリカのヴィンテージ・ロックバンド、ビッグエルフの4th。2008作
過去3作もオルガンやメロトロン鳴り響く、70年代ロックを再現したような力作であったが、
今作ではどんなコンセプトがあるのか、アリーナロック的な派手やかさが加わっている。
美しいオーケストラアレンジや、まるでQUEENのような泣きの叙情メロディなど、
なんとも確信犯的な世界観を感じさせる。一方で、ドロドロとしたアンダーグラウンド臭もあって、
これまでになく濃密な作風になっている。従来の持ち味であったヴィンテージ色はやや薄れたが
ハードロックとプログレの中間的な立ち位置とともに、ある種壮大なドラマ性が感じられる力作だ。
ドラマティック度・・8 プログレ度・・7 レトロ度・・7 総合・・8
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The Sword「Warp Riders」
アメリカのメタルバンド、ザ・ソードの3rd。2010作
アナログ感のある古き良きメタルを体現したような前作に続き、
本作ではBLACK SABBATH的なギターリフを前に出した、
よりレイドバックしたサウンドになっている。ツインギターの絡みは
ときにメロディアスでありながら、グルーヴィでミステリアスな雰囲気をかもしだし
ヴィンテージ色たっぷりのノリで聴かせてくれる。70年代と今をつなぐかのような作品だ。
メロディアス度・・7 アナログ度・・8 古き良き度・・9 総合・・8
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Blood Ceremony
カナダのヴィンテージ・ドゥームロックバンド、ブラッド・セレモニーの2008作
フルートにオルガンも弾きこなす女性ヴォーカル入りの4人組。
そのサウンドはもろ70年代風のレトロな雰囲気がぷんぷんで、
ストーナーロック的な生々しさに、妖しげな呪術性をともった世界観で
これは初期サバスの女性ヴォーカル版か…と言いたくなるほど。
うねるようなギターの音が妙に心地よく、また唐突に入ってくるフルートの音色は
プログレのJETHRO TULLなどを思わせたりと、とても若手の作品とは思えない濃密さ。
女性のヴォーカルが上手すぎないところも、またアングラ臭をかもしだしていて良いのです。
メロディアス度・・7 アンダーグラウン度・・9 70'sレトロサウン度・・9 総合・・8
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Ghost「Opus Eponymous」
スウェーデンのヴィンデージ・ハードロックバンド、ゴーストの2010年作
このジャケットからしてもうアナログ感がたっぷりなのだが、サウンドもしかり。
オルガンの音色をふんだんに使ったレトロなハードロックサウンドは、
BLACK BONZOなどと同様であるが、こちらはかつてのBLACK SABBATHのような
どろどろとした妖しさを全面に出したサウンドで、そのこけおどし感に思わずにやにやしてしまう。
一方では、ギターによるメロディアスなキャッチーさも含んでいて、プログレハード的にも楽しめる。マイスペ
メロディアス度・・8 レトロ度・・8 古き良きHR度・・9 総合・・8
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Acid Witch「Stoned」
アメリカのサイケ・ドゥームロック、アシッド・ウィッチのアルバム。2011作
このB級ホラーマンガのようなジャケからして笑ってしまうのだが、
サウンドの方も70年代的な古くささ…サバス風味のドゥーム感覚と
オルガンシンセ入りのサイケロック的な浮遊感で聴かせる、ステキな世界観。
ヴォーカルはゲロゲロのデス声ながら、音の怖さはあまりなく、
メロディアスなギターやシンセのおかげで演奏自体はとても聴きやすい。
おどろおどろな雰囲気をかもしだそうとしているのがむしろ微笑ましい。
ドラマティック度・・7 おどろドゥーム度・・8 古き良き度・・8 総合・・7.5
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Devil's Blood「Thousandfold Epicentre」
オランダのサイケ・ハードロック、デヴィルズ・ブラッドの2012年作
静かなピアノのイントロで幕を開け、曲が始まるとサイケな浮遊感と
女性ヴォーカルで聴かせる、レトロな感触のハードロックは前作同様ながら、
妖しげな説得力と雰囲気に磨きがかかり、いっそう魔女めいた迫力がついた。
8分、9分といった長めの曲も多いが、ツインギターのメロディを随所に聴かせたり
アレンジにおけるメリハリのつけ方も上手くなっていて、案外ダレずに聴き通せる。
ラストは15分の大曲で、ストリングスも含んだシンフォニックでプログレ的な雰囲気も漂わせる。
ブックレット内のサイケなイラスト群も強烈です。 などが気に入った方もぜひ。
メロディアス度・・8 古き良き度・・9 女性Vo度・・8 総合・・8
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*レトロなヴィンテージロック(プログレ)特集
*魔女系ロック特集
も併せてご覧ください