高得点傑作たち〜メタル編


我がサイトにて総合9点以上を獲得した作品を集めてみました。
未聴のものがありましたら、ぜひチェックしてみてください。
*尚、掲載作品は評価の高い順ではありません。

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HELLOWEEN「Keeper of the Seven KeysPartU」
ジャーマンメタルバンド、ハロウィンの3rd。1988作
前作と対になる「守護神伝」の第二章。イントロからじわりとくる高揚感とともに、名曲中の名曲である“Eagle Fly Free”が始まると、もうノックアウト。
伸びやかなマイケル・キスクの歌声を乗せて、メロディアスに疾走するこの曲は、後の「キーパーフォロワー」たちを星の数ほど生み出すことになる。
前作がカイ・ハンセン主導のアルバムとすると、今作はマイケル・ヴァイカートのメロディメイカーとしての才能が遺憾なく発揮されているといえるだろう。
楽曲は前作以上にバラエティに富んでおり、コミカルな佳曲“Dr.Srein”や明快なハードロックナンバー“I Want Out”、
さらにはドラマティックな疾走曲“March of Time”と、聴き所は多いが、なんといってもタイトル曲である“Keeper of the Seven Keys”の、
物語の如き壮大なドラマ性には圧倒される。現在も多くのファンがこのアルバムこそを最高作に挙げるのもうなずける
日本での人気を決定づけた歴史的な傑作といえるだろう。リマスター&エクスパンデッドエディションでは音質も向上している。
メロディアス度・・9 ドラマティック度・・10 名曲度・・10 総合・・9
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BLIND GUARDIANSomewhere Far Beyond
ジャーマンメタルのベテラン、ブラインド・ガーディアンの4th。1992作
まずこの幻想的なジャケットからして胸が踊る。個人的には本作こそがブラガーの最高傑作で、思い入れの強いアルバムである。
アコースティカルなイントロから続く“Time What is Time”の激しさ、ダイナミックさにまずやられる。
本作あたりからハンズィのヴォーカリストとしての成長も感じられ、世界観を歌い上げる説得力が加わった。
続く“Journey Through the Dark”の疾走感に拳をかざし、“Theatre of Pain”のクラシカルさに浸り、
“The Quest for Tanelorn”のサビでの大合唱、“The Bard's Song”では吟遊詩人の気分になって、
ファンタジーの世界にどっぷり。そして極めつけは、7分を越える“Somewhere Far Beyond”の
ドラマティックさに悶絶。曲ごとの密度も濃く、構成的にも完璧なファンタジックメタル作品である。
ドラマティック度・・9 疾走度・・8 ファンタジック度・・9 総合・・9
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BLIND GUARDIAN「TOKYO TALES」
ジャーマンメタルのベテラン、ブラインド・ガーディアンのライブアルバム。1993作
「ガーディアン、ガーディアン」の大合唱から、“Banish from Sanctuary”が始まるところは何度聴いても鳥肌もの
伸びのあるハンズィのヴォーカルもとてもベースを弾きながらとは思えないし、
やや粗いながらも勢いあるツインギターと疾走するドラムが、バンドの絶頂期を感じさせる。
「アイシテマス、トーキョー」のMCや、サビでの大合唱はこのバンドと日本との強い絆を感じるし
実際、この当時はHELLOWEENが落ち目だったこともあって、ジャーマンメタルの未来は
彼らが握っていたといっても過言ではなかったのだ。名作「Somewhere far Beyond」
直後の来日というタイミングも今思うと最高だった。なので楽曲も初期のベスト選曲。
“Traveler in Time”、“The Quest for Tanelorn”、“Time What is Time”、“Majesty”
そして“Lost in the Twilight Hall”と、最後まで息つかせない名曲の嵐。
今のブラガーしか知らない若いリスナーは、このたたみかけるような勢いには驚くだろうし、
ジャーマンメタル最高のライブアルバムが日本で生み出されたのだという事実に
我々はメタルリスナーとして誇りを改めて感じるのである。これぞ必聴のライブ名作だ。
ライブ演奏・・8 疾走度・・9 これぞブラガー度・・10 総合・・9
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BLIND GUARDIAN「IMAGINATIONS THROUGH THE LOOKING GLASS」
ブラインド・ガーディアンのライブDVD。2003年、地元ドイツでの膨大な数の観衆に包まれた野外ライブでのステージ。
“BANISH FROM SANCTUARY”“VALHALLA”といった、かつてのアグレッションを感じる楽曲がとてもなつかしく嬉しい。
Voに専念する現在のハンズィは、往年のファンからすればやや残念だが、その重厚な歌唱はより説得力を増しており、
アンドレとマーカスのギターコンビは時に流麗なハモリを聴かせ、トーマスの力強いツーバスのドラミングともども、演奏の逞しさと音の力強さには、
バンドとしての年季と積み上げてきた自信とが感じられる。指輪物語が映画化される以前から、彼らがテーマに取り上げていた、
ライブではおなじみのバラッド“LORD OF THE RINGS”の大合唱は感動的だし、5thからの“THE SCRIPT FOR MY REQUIEM”
“I'M ALIVE” “ANOTHER HOLY WAR”
といった、アグレッシブさと緻密さの同居した、完成度の高い楽曲もやはり素晴らしい。
そして「A NIGHT AT THE OPERA」からのドラマティックな名曲“AND THEN THERE WAS SILENCE”は、
このライブのひとつのハイライトで、シンフォニックに展開しながら盛り上がりを繰り返すその感動的な演奏に
「これって、こんなに凄い曲だったか?」と、慌ててアルバム版を聴き直したしだい。続いてバグパイプの音色から“SOMEWHERE FAR BEYOND”が始まると、
画面を前に自然に頭を振っている自分がいることに気づく(笑)。ライブを通して合唱しまくりの観衆の盛り上がりも尋常でなく凄いが、
大曲“IMAGINATIOMS FROM THE OTHER SIDE”では、6台のカメラによる撮影で一小節おきにカットが変わってゆく、
その手間ひまのかけられた編集作業にも敬服する。20曲目“MIRROR MIRROR”で、すべてを燃焼し尽くすようにして幕を閉じる。
古くからのブラガーファンも唸らせる、必見のライブ作品。Disc2には、インタビューやツアードキュメント、2002年のボーナスライブ映像などを収録。
選曲・・8 ライブ演奏・・8 これぞブラガー!度・・9 総合・・9
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RHAPSODY「Legendary Tales」
イタリアのシンフォニックメタルバンド、ラプソディーの1st。1997年作
とにかく、このアルバムを最初に聴いたときの衝撃は、ただ事ではなかった。
それまでのメタルの概念を覆すかのような、壮麗きわまりない大仰さ、
壮大にしてファンタジックな世界観、そして思わず拳を握り締めるエピックな力強さ。
すべてにおいて、今で言うところのシンフォニックメタルの元祖的な存在であり、
メタルを映画的で壮大な作品へと仕立て上げ、それを完璧に成功させた1枚だ。
美しいシンセにクラシカルなオーケストレーション、大仰なコーラスワークはもとより、
ヴォーカルであるファビオ・リオーネの力量や、楽曲における緩急とメリハリ、
常にメロディがあふれ出す濃密なアレンジに、すべてのメタルファンはしびれたのだ。
ここから始まるエメラルドサーガの四部作、そしてシンフォニックメタル誕生の瞬間がここにある。
シンフォニック度・・9 疾走度・・7 ファンタジック度・・10 総合・・9
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RHAPSODY「Symphony of Enchanted Lands」
ラプソディーの2nd。1998年作
デビュー作において圧倒的なシンフォニックメタルを見せつけた彼らだが、あれは序章にすぎなかった。
エメラルドサーガ四部作のストーリーとともに、繰り広げられるファンタジック絵巻はこれからが本番。
壮麗なイントロから幕を開け、エピックな力強さで疾走する“Emerald Sword”は、拳握るクワイアとともに、
まさしくシンフォニックメタルのアンセムというべき名曲。オーケストレイテッドな華麗さと、勇壮な盛り上がり、
一方ではトラッド的な繊細な牧歌性もあって、起伏に富んだ楽曲アレンジは前作以上の濃密さだ。
ラストの13分を超えるタイトル曲は、まるで映画のような語りから、これからの物語を暗示するように、
美しくももの悲しい叙情を含んで、ストリングスやフルートの音色も響かせながら、壮大なエンディングを迎える。
シンフォニック度・・9 壮大度・・10 ファンタジック度・・10 総合・・9
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RHAPSODY「POWER OF THE DRAGONFLAME」
ラプソディの5th。エメラルドサーガ四部作の完結編である。
前作の「RAIN OF A THOUSAND FLAMES」はつなぎ的作品ということでアレンジには
やや強引で荒い部分があったが、今作は物語の最終章ということもあり気合の入り方が違う。
繰り出されるメタル的パワーに壮大なクワイアをかぶせる手法はここに来てさらに円熟を極め、
MANOWARをさえ思わせる強烈な男のガッツメタルでありながらも、アレンジは実に細やかで
奥深く、かつクラシカルなもので、楽曲のスケール、シンフォニックさを見事に増幅させている。
また2ndの頃にあったトラッド的メロディを再び取り入れているのが個人的には嬉しい。
静と動展開のメリハリとオーケストラやコーラス、さらにフルートなどのトラッド要素により
ファンタジー世界の構築を強化させながらも、疾走感は過去最高といっていいものに仕上がっている。
この密度、ファンタジーメタルとしての強度は全世界で無二のものといってよい。
シンフォニック度・・10 壮大度・・10 メタルパワー度・・9 総合・・9
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DRAGONFORCE「INHUMAN RAMPAGE」
イギリスのメロスピバンド、ドラゴンフォースの3rd。2005作
前作においても見せつけた、疾走につぐ疾走とやりすぎなまでのキャッチーさは健在で
のっけからまるでメロスピの限界に挑戦するような速さで突き進む。
BAL-SAGOTHのドラマーの凄まじいツーバス連打も凄いが、
アルバムとしての楽曲クオリティも素晴らしく、最後まで捨て曲いっさいなし。
それどころが、どの曲も普通のバンドのキラーチューンクラスの出来といってよく
疾走しまくり、そして爽快かつメロディアスなので、愉快に首を振れることこの上ない。
どの曲も速くて長いのだが、間奏部のつなぎやブレイクを取り入れたアレンジも見事で
まるで遊園地のジェットコースターのように楽しく聴き通せてしまう。
これはまさに究極のメロスピ。メロスピ世界一はこのバンドに決定だ!
メロディアス度・・9 疾走度・・10 楽曲・・9 総合・・9
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DREAM THEATER「IMAGES AND WORDS」
アメリカのプログメタルバンド、ドリーム・シアターの2nd。1992作
言わずと知れたProgMetalの流れを決めた歴史的傑作。すべてはこのアルバムの成功から始まった。
1st「When Dream and Day Unite」は時代に早すぎたため、当時はさして話題にならなかったが、
バンドはカナダ人シンガー、ジェイムス・ラブリエを迎えてこの勝負作を完成させた。
全8曲中、4曲が8分以上という、この当時にしては異色の大作志向であるが、
メタリックな重厚さを失わず、ドラマティックなスケール感と緻密きわまりないアレンジで
ぐいぐいと聴かせる説得力が音にはある。メロディアスとテクニカルの奇跡的なバランス、
代表曲となる“Take theTime”、そして“Metropolis”の構築美は芸術的なまでの完成度だ。
ラブリエの見事にな歌唱が映える絶品のバラード“Another Day”や“Sorrounded”といったキャッチーな楽曲も
作品としてのバランスに貢献しており、“Wait for Sleep”からラストの“Learning to Live”への流れには、
彼らのプログレッシブなセンスが凝縮されている。まさに歴史に残る、全てにおいて完璧な名作だ。
ドラマティック度・・9 テクニカル度・・8 楽曲センス・・10 総合・・9
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DREAM THEATER「METROPOLIS PT2:SCENES FROM A MEMORY」
ドリーム・シアターの5th。1999年作
4th「Falling Into Infinity」において、いくぶんの模索段階にあったバンドが再び世に放った強力作。
「IMAGES AND WORDS」収録の“METROPOLIS”のストーリーを膨らませた、壮大なコンセプト作をここに完成させた。
新たに超絶鍵盤奏者、ジョーダン・ルーデスを迎え、最強ともいうべき演奏陣による隙のないアンサンブルで、
ときに効果音や語りなどを織りまぜながら、場面ごとに映像とシンクロするかのように楽曲を連ねてゆく。
この映画的手法こそ、まさに彼らのプログレッブな感性とセンスの集大成というべきものだ。
PINK FLOYDの「The Wall」を思わせる内的な叙情と、広がりのあるスケール感、
ストーリーの流れにそった劇的なサウンドがじわじわと蓄積し、ラストでの感動へとつながってゆく。
鉄壁のリズム隊に乗るペトルーシのギターワークと、ルーデスの巧みなシンセが重厚に重なり、
部分ごとの濃密さもさることながら、楽曲の緩急の付けかたと、コンセプト作としての強固なビジョンが素晴らしい。
知的プログレッシブメタルの新たな歴史を刻んだドラマティックな傑作だ。本作を完全再現したライブDVDも必見。
ドラマティック度・・10 テクニカル度・・9 楽曲センス・・9 総合・・9
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DREAM THEATER「LIVE SCENES FROM NEW YORK」
ドリーム・シアターのライブアルバム。CD3枚組。2001作
音源としては「METROPOLIS 2000」のDVDのものと同様だが、あらためてその音だけを聴いても、
この長大なコンセプト作を完全再現する凄味…ライブにおける一糸乱れぬ彼らの演奏に釘付けになる。
CD版独自の聞きどころとしては、DISC2のC以降で、DVD未収録の「METROPOLIS PT1」や
ルーデスのキーボードソロ、それに日本盤CDには未収の「ANOTHER DAY」(本物サックス入り)など
合計3時間超、たっぷりと彼らの演奏を堪能できる。DTファンは必聴ですな。
メロディアス度・・8 プログレ度・・9 ライブ演奏・・10 総合・・9
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SHADOW GALLERY「LEGACY」
アメリカのプログレメタルバンド、シャドウ・ギャラリーの4th。2001年作
このバンドの特徴はひとつに、ProgMetalというよりも、70年代プログレへの回帰性が挙げられる。
たとえばドリームシアターのような同時代的な感覚、ヘヴィさ、クールなメロディを取り入れるわけでもなく、
もちろん安易なネオクラシカル風プログレメタルに陥ることもない。彼らの目指すのは、
あくまで自然なるプログレッブロックとハードロックとの融合で、それはむしろ
メタルリスナーよりも、ユーロロック、プログレ系のリスナーにこそ向けられているように思う。
さて、今作だが、いつものように大作あり、テクニカルパートあり、静寂シンフォニックあり、と
聴かせどころ満載だが、今回は1stの頃のキャッチ−な歌メロ、コーラスハーモニーが復活、じつに美しい。
メロディアス度・・9 テクニカル度・・8 ドラマティック度・・9 総合・・9
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A.C.T 「Today's Report」
スウェーデンのプログレ・メロディアスハードバンド、アクトの1st。1999作
この作品を初めて聴いたときの衝撃はそれは凄いものだった。
最初はただのメロハーかと思いきや、1曲目のイントロでもう「これはプログレだ!」と直感的に感じ、
そのキャッチーでやわらかなメロディと、変則リズムと細かなアレンジの妙にすっかり魅了されたのです。
いやー、今聴いても素晴らしい。透明感のある優しいメロディはもちろん、その抜群の演奏力。
とくにドラムを中心にしたリズム面でのアプローチはProgMetal好きにもぜひ聴いてもらいたい。
どのアルバムも素晴らしいですが、まずはやはりこの驚異のデビュー作から。
メロディアス度・・9 隠れプログレ度・・9 楽曲センス・・10 総合・・9
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A.C.T「IMAGINARY FRIENDS」
スウェーデンのプログレハードバンド、アクトの2nd
このバンドの凄いところは、キャッチ−でポップな、一聴してメロディアスハードなのだが、その実プログレなのだ。
クイーンやヴァレンタインを想起させる歌メロとコーラスハーモニーを起伏のある緻密なアレンジで構成、
リズム面も非常によく練られており、この自然な変拍子はどちらかというとプログレファンを唸らせるもの。
全曲作り込まれ高密度な上に今作では生のストリングスも導入、壮大さも増している。
純粋にメロディを楽しめ、なおかつ複雑音楽としても高得点、というまったく恐ろしいバンドである。
メロディアス度・・10 プログレ度・・8 アレンジセンス・・9 総合・・9
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A.C.T「SILENCE」
アクトの4th。2006作
キャッチーでありながら哀愁の叙情を感じさせるメロディはいっそう引き立ち、
ちょっとした細かなアレンジの面でも、その類まれな知性を感じさせるのがやはり素晴らしく、
歌メロにかぶさる絶品のストリングスアレンジなども、泣きのつぼを刺激しまくりだ。
前作から参加のトーマス・レヨンは、今作ではツーバスの取り入れ方など新たな一面を見せつつ、
楽曲の方向性を完璧に理解したプレイぶりがさすがである。ラストの9パートに分かれた20分の組曲は、
ドラマティックでそしてしっかりとプログレしており、これまでの彼らの大曲では最高の出来映え。
メロディの充実という点でまさに傑作アルバムに仕上がっている。
メロディアス度・・9 プログレ度・・8 楽曲センス・・10 総合・・9
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A.C.T 「Trifles and Pandemonium」
スウェーデンのプログレハードロック、アクトのライブ作品。2016年作
1999年にデビュー、現在までに5作のアルバムを発表。キャッチーなメロディアス性と知的な展開力で、
ProgMetalのリスナーからも支持されるこのバンド。本作は2014年、スウェーデンでのライブ音源を収録。
2014年作「CIRCUS PANDEMONIUM」からのみならず、1stを含む初期のナンバーもたっぷりと演奏。
美麗なシンセアレンジとマイルドなヴォーカルによるシンフォニックな感触に、随所に変則リズムを含んだ
プログレッシブな構築美が冴えていて、ライブにおいてもその演奏力の高さと、楽曲アレンジの妙が楽しめる。
1st収録“The Wandering”、“Waltz With Mother Nature”あたりは、15年以上前の楽曲なのだが、その豊穣なメロディと
緻密なアレンジにあらためて聴き惚れる。バンドのファンはもちろん、初めて聴く方にもオススメしたい素晴らしいライブ作品だ。
メロディック度・・9 ライブ演奏・・9 楽曲センス・・9 総合・・9
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FAIR WARNING「RAIN MAKER」
ドイツのメロディアスハードバンド、フェア・ウォーニングの2nd。1995作
とても良いです。さすがにアレンジ/メロディセンス抜群の彼ら、じわじわと効いてくるその叙情。
次作である3rd「GO!」のKey入りのシンフォニックアレンジとは別の曲そのもののクオリティを感じます。
ううむ。ということは彼らの残した4枚のアルバムは全て歴史的傑作、ということになる。
なんというバンドだったのだろう。なくなってから初めてその凄さに気づいた次第。
メロディアス度・・9 爽快度・・9 楽曲センス・・9 総合・・9
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FAIR WARNING 「GO!」
ドイツのメロディアスハードバンド、フェア・ウォーニングの3rd。1997作
メロハーが嫌いだった自分を目覚めさせてくれたのがこのアルバムだった。
もちろん1st、2ndともにいいのだが、本作はメロディといい曲といい、すべてが素晴らしい。
トミー・ハートの力強い歌声と、ヨーロピアンな哀愁を感じさせるサウンドは、
キャッチーでいてドラマティック。そしてスカイ・ギターが鳴り響くソロパートで昇天だ。
彼らの残した4枚のアルバムはどれもが名作クラス。2006年の復活作はいわばオマケにすぎない。
メロディアス度・・10 スカイギター度・・9 楽曲・・10 総合・・9.5
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FAIR WARNING「FOUR」
フェア・ウォーニングの4th。2000作
前作「GO!」の楽曲の素晴らしさ、メロディアスさは大変なものだったが、それに続くこの4thもそれに
勝るとも劣らない傑作。なにしろ全曲捨て曲がない。どの曲も叙情に溢れ、曲として練られている。
トミー・ハートの伸びやかな歌唱を聴いていると、彼の脱退今更ながらに残念に思われるほど。
キーボードアレンジ、スカイギターのソロプレイ、メロディの扇情度と、すべてにおいて隙のない傑作。
この得がたい感性と叙情はG/ヘルゲ・エンゲルケのDREAM TIDEに受け継がれることとなる。
メロディアス度・・9 シンフォニック度・・9 楽曲・・9 総合・・9
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TEN 「The Name of the Rose」
イギリスのメロディアスハードバンド、テンの2nd。1996作
英国から久々に本格派のバンドが現れたと話題になったデビュー作も捨てがたいが
なんといっても、このバンド最高の名曲“The Name Of The Rose”が入った本作が好きなのだ。
その哀愁のイントロが流れ始めるやもう、そのドラマティックな世界観にどっぷりと浸れる。
ゲイリー・ヒューズのマイルドな歌声に、ヴィニー・バーンズの骨太のギターワーク、
そして英国の誇りを感じさせるシリアスさと、ロマン溢れる叙情。すべてが日本人好みである。
彼らのアルバムはどれもが質が高いのだが、まず聴くのなら本作をお薦めする。
メロディアス度・・9 哀愁の叙情度・・9 英国度・・9 総合・・9
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BAD HABIT「ADULT ORIENTATION」
スウェーデンのメロディアス・ハードバンド、バッド・ハビットの3rd。1998年作
ZEROレーベルから出ていた2ndも良かったが、今作も爽快な叙情ハードポップ全開の快作だ。
前作にはいくつかの捨て曲らしきものもあり、全体として完璧なアルバムではなかったが、
今回はもう全曲良い。全14曲、北欧らしい叙情メロハーサウンドを堪能できる。
泣きの歌メロと心地よいギターメロディ、そして美しいキーボードアレンジにおもわずうっとりだ。
すべてのメロハーファンへ贈る傑作アルバム。
メロディアス度・・9 爽快度・・9 捨て曲・・0 総合・・9
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ULI JON ROTH「Transcendental Sky Guitar」
ドイツのギター仙人、ウリ・ジョン・ロートの2枚組アルバム。2000年作
「天上の至楽」と題されたライブ作品で、1曲目“スカイ序曲”から、うっとりとするような
スカイギターの甘美な音色を満喫できる。その後も“トルコ行進曲”、ショパンの“望郷”、
ヴィヴァルディの“雷鳴と稲妻”、ムソルグスキーの“ババ・ヤーガの小屋”、パガニーニ、
メンデルスソーンの“妖精の踊り”、そしてベートーヴェンといったクラシック曲を
優雅なギターサウンドで表現。まさに生ける芸術家ともいうべきその音色に聴き惚れる。
クラシック度・・9 スカイギター度・・10 ロック度・・5 総合・・9
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Uli Jon Roth「Under A Dark Sky」
スカイギターを操るギター仙人、ウリ・ジョン・ロートの2008作
序章から12年待った。待望のシンフォニック・レジェンズの第一部の完成である。
人類への警告を含んだメッセージとともにクラシカルに幕を開ける本作は、壮麗なオーケストラをバックにしたロックオペラ風のアルバム。
バンドパートでの男性Voはマーク・ボールズが、女性Voは元SAHARAのリズ・ヴァンダルがつとめる。
古き良きロック風味とオーケストラアレンジが融合した、優雅でクラシカルな作風であるが、
そこに人間的で温かみのある演奏を聴かせるのはさすが。ウリの奏でるスカイギターはときに優しく、
ときに人類を叱咤するように激しく、宇宙における地球の物語を悲しみと希望の音によって織りなしてゆく。
メタル的なモダンさを求める若いリスナーには、あるいは古くさく感じるかもしれない。しかしこれがロックであり、
これが本物の音楽なのだ。音の向こうに世界が見えるかどうか。紡がれるメロディの意味を感じるかどうか。
18分の大曲のラストは唐突だが。類まれな天才の手による、音楽と世界の融合がここにまたひとつ完成した。
ブックレットにおけるウリ自身の解説も、人類と地球に対する奥深い指針をはらんだ内容で必読である。
シンフォニック度・・9 壮大度・・10 人類と地球度・・10 総合・・9
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COHEED AND CAMBRIANeverender
アメリカのプログレ・ロックバンド、コヒード・アンド・カンブリアのライブDVD。2009作
1st〜4thアルバムを、4日かけて完全再現するという、プログレ的発想のライブアルバム。
スタジオアルバムの方も、メタルやプログレ、エモなどの要素を取り込みつつ、
それをナチュラルに融合させた、ドラマティックなロックサウンドが見事であるが、
このライブ演奏においても、その豊穣なセンスを遺憾なく発揮、随所にテクニカルなパッセージを織り込んで、
メロウな叙情とロックとしての躍動感、ProgMetal的な構築力で聴かせる、絶品の演奏が素晴らしい。
キャッチーな聴き心地と適度に力の抜けた自然体のグルーブ、たとえばPINK FLOYDやDREAM THEATERなどの要素を内包しつつ、
決して派手さや激しさにはとらわれない、絶妙の立ち位置が心憎い。プログレ、メタルという垣根を超えた、知的なドラマティックロックだ。
ドラマティック度・・9 ライブ演奏・・9 知的ビジョン・・9 総合・・9
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■ゴシックメタル系

WITHIN TEMPTATION「MOTHER EARTH」
オランダのゴシックメタルバンド、ウィズイン・テンプテーションの2nd。1999作
1stではまだデス声入りのいくぶん垢抜けないサウンドであったのだが、
今作は全篇が美声のシャロン嬢の歌になりデス色は全面撤廃。これが大成功。
楽曲はしっとりと美しいケルト/フォーク色を増し、泣きのシンフォニック要素が満載になった。
これならメタル聴かないシンフォファンでも聴けます。美しく優しい歌声。曲もどれも素晴らしい。
全体的にはゴシック的ダークさは後退したが、癒しのシンフォニックという新たな地平を確立した。
3rd以降も良いが、本作は今なお女性声ゴシックの頂点に輝く1枚。新しいファンもまずはこれを聴くべし!
メロディアス度・・9 ゴシック度・・8 女性Vo度・・10 総合・・9 
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WITHIN TEMPTATION「THE SILENT FORCE」
オランダのゴシックメタルバンド、ウィズイン・テンプテーションの3rd。2004作
先行シングルは聴いていたので、本アルバムの完成度には疑問の余地がなかったが、
やはり期待通りの素晴らしさ!いっそうの歌唱の魅力を身に付けたシャロン嬢の歌声にやられます。
サウンドはよりシンフォニックに音の厚みが増しており、人気バンドとしての風格ただよう
しっかりとしたプロダクションも見事。またなによりこのバンドの魅力であるメロディも充実していて、
曲ごとの盛り上げ方、アレンジの質は、その辺の似た者ゴシックバンドとはやはり格が違う。
バックの大仰なコーラス、オーケストラが音の荘厳さと説得力を付加しているが
大前提となるのはシャロン嬢のヴォーカリストとしてのこの力量あってのもの。
しっとりとして美しく、ときに妖艶に、ときに清艶に聴かせるその声の魅力は
5年の歳月を経てさらにワンランクアップしている。女性Voファン、ゴシックファンは全員聴くべし。
シンフォニック度・・9 ゴシック度・・8 シャロン嬢・・10 総合・・9
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WITHIN TEMPTATION「MOTHER EARTH TOUR」
オランダのゴシックメタルバンド、ウィズイン・テンプテーションのライブDVD。
Disc1は、2ndアルバム「MOTHER EARTH」ツアーのライブ映像とビデオクリップが3本。
やはり素晴らしいのはVoシャロン嬢の歌唱で、1stの頃はそれほどとは思わなかったのだが、
ここにきて彼女の歌の表現力は聴くものを惹きつけずにおけぬほど高まっている。
アルバム「MOTHER EARTH」」は1stにあったデス声を排除しそれが大成功したわけだが、
このライブ演奏を見て、このバンドとシャロン嬢の成長を改めて強く感じることができる。
見ていて思わず涙腺がうるむほど、情感の込められたその歌唱にゴシックメタルの未来を見る。
やはりこのジャンルで重要なのは肝心の女性Vo。その歌唱の説得力なのだ。
1st「ENTER」からのデス声入りナンバーもアルバムよりもずっと格好良い。
もちろん他のメンバーの演奏のまとまりも見事で、女性声を生かすアレンジの素晴らしさが再認識できる。
Disc2はメンバーのインタビューや地元でのテレビ番組出演の映像(ICE QUEENのアコースティックverが素敵)
各地を回るライブツアーでのバックステージ映像、合唱隊を加えたライブ映像等々、見どころたっぷりの内容。
ライブ映像・・9 ライブ演奏・・9 シャロン嬢・・10 総合・・9
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HAGGARD「EPPUR SI MUOVE」
ドイツの管弦楽団入りゴシックメタルバンド、ハガードの3rd。2004年作
このバンドが凄いところは、ヴァイオリン、チェロといった管弦楽隊がゲストではなく
パーマネントなメンバーであるという所だ。メンバー総勢17名。1バンドの人数じゃない…(笑)
さて、このアルバムであるが、のっけからもうシンフォニック&クラシカルの嵐。
なにせ本物のストリングスがいるのだから、その音の説得力たるやハンパでない。
まるでオペラかなにかを聴いているような錯覚にすらおちいる。
かつてのアルバムに比べ、メタルパートとクラシカルパートの融合がスムーズになっており、
ダークなゴシックメタルサウンドに、古楽的なメロディがしっかりと溶け込んでいる。
また、女性ヴォーカルの活躍も今まで以上で、アルトにソプラノ、それに男性テノール歌手も今回ゲスト参加、
そこにデス声とが混じり合い、大仰かつダークで優雅、クラシカルでときに古典的、そしてメタリックという、
ひどくレンジの広い音楽性を体現している(それでいて音はちゃんとゴシックに統一されている!)
ヴァイオリンだけでなく、ピアノやチェロなども実に美しく、曲ごとに優雅に弾き鳴らされる。
荘厳なるオペラティック・ゴシックといってもよいだろう。限定盤に付属のDVDには1998年のライブ映像を収録。
シンフォニック度・・10 荘厳度・・10 クラシカル度・・9 総合・・9 
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ELEND「THE UMBERSUN」
フランスの誇大妄想暗黒クラシカルゴシック、エレンドの4th。1998作
もはやバンドでさえなくなり、個楽器は必要でないとばかりに失せた。
壮大なオーケストレイションと混声合唱団、女性ソプラノ、凄絶な男性デス声、
これらが闇の中で交じり合い叙情的な絶望音楽を構築してゆく。
これはすでに暗黒のクラシックともいうべき地平である。
まるで暗黒映画サントラのようなスケール感と、「本物」の空気を身につけたこのELENDは、
ロックフォーマットさえも捨て去り、今後どこへ向かうのだろう。
シンフォニック度・・8 荘厳度・・10 暗黒叙情度・・10 総合・・9(ある意味10)
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ELEND「A World in Their Screams」
フランスのクラシカル・ゴシックバンド、エレンドの7th。2007作
4th「The Umbersun」でこの手の暗黒系クラシカルゴシックとしては究極ともいうべき世界を描いたこのバンドだが、
その進化はまだとどまることを知らなかった。美しいソプラノヴォーカルに、ヴァイオリンやチェロが妖しげに鳴り響き、
重々しいティンパニにオーケストラルかつ荘厳なアレンジがかぶさってゆく。
恐るべき迫力…おどろおどろしい闇の交響曲ともいうべき世界観に圧倒されつつ
その芸術的なまでの漆黒の深遠に、しだいしだいに引き込まれてゆく。
4thまでの禍々しさに比べると、もっと優雅な暗黒というか、プログレッシブな手法に磨きがかかり
激しさがなくともここまで緊迫感を描き出せるという点では、Univers Zeroにも通じるか。
あるいは「The Umbersun」をも超えた傑作といえる。クラシカルな暗黒音楽の金字塔。
クラシカル度・・9 暗黒度・・10 荘厳度・・10 総合・・9
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THERION「SECRET OF THE RUNES」
スウェーデンのシンフォニック(デス)メタルバンド、セリオンの8th。2001作
元はデスメタルだったこのバンドが、急激な変化の果てに6th「VOVIN」からついにデス色を廃し
合唱隊のコーラスをメインにした独自のシンフォニックメタルサウンドを作り上げ、すでに8作目
基本的には前作「DIGGIAL」の延長上にある、崇高さを感じる混声合唱隊をリードにしたもので、
よりいっそうの音の厚みとアレンジのメリハリを細やかにした作品となっている。
ギターのヘヴィさをしっかりと保っていて、メタル部分の重要さも失われていない。
男女のコーラス隊の声はより宗教がかったようにその神秘性を増しており、
女性Voがリードをとる曲はある種秘教的な妖しい美しさをも表現している。
この重厚さ、本物の雰囲気は、このバンドの歴史を考えると驚嘆に値する。
音のみならず、かもし出す空気が確実に説得力を増していて、これぞまさに最高作だ。
シンフォニック度・・9 メタル度・・8 崇高度・・10 総合・・9
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THERION「LEMURIA/SIRIUS B」
スウェーデンのシンフォニック・ゴシック(デス)メタルバンド、セリオンの9th。2004作
前作「SECRET OF RUNE」でついに行き着く所まで行ったという感のある合唱シンフォメタルだが、
今作では新たな一歩(これは後退ではなくやはり深化と見るべき)をたどっている。
まずは「LEMURIA」の方であるが、前作までの全編合唱路線ではなく、メタリックな部分が増し、
一部にデス声も復活しているのが驚きだ。今や彼らはデス声と合唱、どちらにも固執するのではなく、
それを最も効果的な部分で効果的な時間だけ使用しするというアレンジ力の普遍的センスが光る。
それにより、ギターのリフやフレーズが非常に魅力的になり、合唱パートの必然性も増している。
そのおかげか、時折あらわれるクサすぎるメロディにも、何故か説得力を感じてしまうのだ。
「SIRIUS B」の方は、荘厳なオーケストレーションとオペラティックな男女Voが魅力的。
アプローチとしては、ギターはリフをメインにしてヴォーカルの歌声とオーケストラを活かしたやり方で、
前作までのファン(私も)にとっては「LEMURIA」の方がいくぶん聴き易いと思うが、
この2枚には彼らの進化しつづける作曲、アレンジ能力が遺憾なく活かされていることは間違いない。
荘厳にして、シンフォニック、さりとてメタルとしての音圧を維持しているのが凄いのだ。
シンフォニック度・・9 しっかりメタル度・・8 荘厳度・・10 総合・・9
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■デス/ブラックメタル系

EMPEROR「Anthems to the Welkin at Dusk」
ノルウェーのブラックメタルバンド、エンペラーの2nd。1997作
本作こそブラックメタルの歴史における輝ける金字塔的な傑作である。
教会への放火容疑で逮捕されたギターのサモスが出所し、殺人容疑で逮捕されたファウストに代わって、
ドラムには超絶なブラストビートを叩くタリムを迎えて作られた本作は、1stをはるかに上回る傑作となった。
荘厳なるイントロに導かれ、暴虐なる地獄の音楽が始まるや、黙示録の戦いを思わせる激しさとともに、
ときにシンフォニックな美しさをたたえたシンセワークや、プログレッシブなリズム展開なども素晴らしく、
リーダー、イーサーンの美意識がとことんまで発揮された本作のサウンドは、単なるブラックメタルの枠を超え、
闇の芸術ともいうべき境地に達している。激烈にして耽美、暗黒にして知性と狂気をともなった名作だ。
シンフォニック度・・8 暴虐度・・9 荘厳度・・10 総合・・9

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EMPERORIX Equilibrium
ノルウェーのブラックメタルバンド、エンペラーの3rd。1999作
シンフォニックブラックとしての最高作は2nd「Anthems to the Welkin at Dusk」に間違いないだろうが、
本作はサモスが曲作りに関わっていることで、イーサーンのクラシカルな美意識に
サモスのブルータルなギターセンスが加わった強烈なアルバムとなっている。
美麗なシンセをバックに、強力なタリムのドラムが激烈なブラストを叩き出しつつ、
前作以上に多彩なギターワークと緩急を取り入れた知的な展開力で、激しくも荘厳な美しさを描き出す。
音質も良くなったことで音の迫力が一段増した。バンドは次作「Prometheus」で終焉を迎え、
サモスとタリムはZYKRONを結成、イーサーンはソロへとそれぞれの活動へ移ってゆく。
メロディアス度・・7 暴虐度・・8 荘厳度・・10 総合・・9
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EMPEROR「PROMETHEUS - THE DISCIPLINE OF FIRE & DEMISE」
エンペラーの4th。2001
高品質かつプログレッシブなブラックメタルとして最高峰の地位を築いた彼ら。
どのアルバムも細かく芸術的にまで作りこまれ(1stはそうでもないが)、
妥協なく暗黒美を極めてきたこのバンドも、ついに終焉を迎えることとなった。
前作からいっそう顕著になってきたプログレッシブな展開力が今作では存分に発揮され、
激烈でありながらも非常に知性的で、ある意味メロディアスであるサウンドだ。
激速パートとテクニカルパートを見事に融合、ノーマルヴォイスをたくみに活かしつつ、
シンフォニックな展開と切り返しの多い楽曲構成は見、事なまでに聴き応え十分である。
1stがややマイナー寄りのプリミティブブラックであったことを考えると、これは恐ろしい進歩だ。
今後このバンド以上にブラックメタルというジャンルを深化させるバンドが果たして現れるのだろうか。
シンフォニック度・・8 暴虐度・・8 知的センス度・・9 総合・・9
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EMPEROR「Live Inferno」
ノルウェーのブラックメタルバンド、エンペラーのライブアルバム。2009年作
今や伝説的なバンドと化した彼らが、一時的に復活ライブを行った2006年のノルウェーでの
Infelno Festivalと、ドイツのWacken Open AirでのステージをCD2枚組で収録。
リーダーのイーサーンはバンド解散後もソロ活動を続けているが、
やはりこうしてEMPEROR時代のナンバーをライブ再現で聴けるのは嬉しいかぎり。
のっけから1stの1、2曲目メドレーで攻めてきて初期からのファンなら悶絶必至。
うっすらとしたシンセをバックに超人ドラマー、タリムの強烈なブラストビートが炸裂、
そしてサモスのギターとイーサーンの絶叫ヴォーカルが闇の賛美歌のように響きわたる。
その後も1stから3rdまでの曲を中心に、単なるブラックメタルにとどまらない激しくも美しい、
そして展開力ある楽曲を、抜群の演奏力で蘇らせてゆく。個人的には2nd収録の
“The Loss and Curse of Reverence”などはもっとも好きな名曲だ。
ボックスセットではWackenのライブDVDが付属(DVD単体もあり)。こちらも必見だ。
ライブ演奏・・9 暗黒の美度・・10 エンペラー度・・10 総合・・9
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OPETH「STILL LIFE」
スウェーデンのプログレッシブ・デスメタルバンド、オーペスの4th。1999作
1995年のデビュー以来、作品ごとに着実に音楽的を深化させてきた彼らであるが、
今作ではそのプログレッシブな構築性を強化させたことで、まさに決定打というべき一作となった。
ツインギターのリフの有機的な絡みをメインに、流麗なメロディとセンス抜群の楽曲構築が炸裂、
全7曲中、5曲が9分以上という大作志向の中に、デス声とノーマル声を使い分け、アコースティックパートを
巧みに挿入することで、激しさの中にもプログレッシブな展開美とゆるやかな叙情を見事に同居させている。
ジャケの美しさも含めて、メロデスというジャンルを芸術作品にまで高めた大傑作である。
メロディアス度・・8 静寂と叙情度・・9 楽曲センス・・9 総合・・9
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OPETH「GHOST REVERISE」
スウェーデンのプログレッシブ・デスメタルバンド、オーペスの8th。2005作
今作は、デス声とノーマル声を使い分けるミカエル・オーカーフェルドの歌の表現力も素晴らしく、
ときにメロウな旋律を奏でるギター、そして今作から加入したペル・ヴィバリ(SPIRITUAL BEGGARS)の絶妙なキーボードワークが
サウンドに広がりとやわらかみをもたらし、このバンドの表現する世界観を上手く彩っている。
静と動の対比、聴き込むほどに練り込まれたリズムアレンジとギターリフによる構築の妙。
すべてにおいて完成度の高い芸術作品。メタル云々よりも、アートなロックとして鑑賞すべきアルバム。
これを聴かずに何を聴くのだ!という、あらゆるメタラーにも、プログレファンにも広く聴いて欲しい1枚。
メロディアス度・・8 プログレッシブマイン度・・9 静謐の美度・・9 総合・・9
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OPETH「The Roundhouse Tapes」
スウェーデンのプログレッシブ・デスメタルバンド、オーペスの2枚組ライブアルバム。2007年作
70年代を思わせるプログレッシブな感性と、北欧らしい暗がりの静寂を感じさせる叙情で
ひと癖あるデスメタルリスナーからプログレリスナーまでを虜にしているこのバンド。
演奏力も抜群なので、スタジオ盤以上に迫力のあるサウンドにぐいぐい引き込まれる。
彼らの場合、楽曲はどれも10分台は普通で、Disc1は全6曲で60分、Disc2は3曲で35分。
センス溢れるギターリフとメランコリックなフレーズ、そしてどこかレトロなシンセワークが重なり、
時に「これはプログレなのかデスメタルなのか」という答えのない惑いを覚えるほど。
激しさから静けさへの絶妙のシフトは、リーダーであるミカエル・オーカーフェルドのデス声と
マイルドなノーマルヴォイスの使い分けとともに、このバンドの二面性をまざまざと表している。
過去のアルバムから2005年の傑作「Ghost Reveries」までの曲を聴けるので、
あるいはいまだオーペスを知らないという不届きな方にもベスト代わりに勧められるだろう。
メロディアス度・・8 プロレッシブ度・・8 ライブ演奏・・9 総合・・9
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OPETH「Heritage」
スウェーデンのプログレッシブデスメタル、オーペスの2011年作
1995年にアルバムデビューを果たしてから15年余り、その独自の美学を知的でプログレッシブな方法論で構築し、
激しさと静寂の同居ともいうべき個性的なサウンドを描き続けてきたこのバンド。
ちょうど10作目となる本作は前作でも聴かれた70年代プログレの要素を前面に出した異色作となった。
やわらかなピアノの音色に導かれ、レトロなオルガンの響きをバックにアナログ的なギターリフが
リズミカルなアンサンブルを描き出す。ミカエルの歌声も70年代英国ロックを意識したような、
ジェントルでやわらかな感触だ。楽曲には70'sプログレ、サイケロックの怪しさもぷんぷん漂う。
静寂の中の張りつめた空気、メロトロンも鳴り渡る、KING CRIMSONもかくやという静かなダイナミズム…
とくにドラム、ベースはじつに生々しいサウンドで、70年代ロックを好む人間にはたまらないだろう。
このバンドの美意識とこだわりが、究極的なレイドバック作品を作り上げた。LPで聴きたくなる。
フルートでBJORN J:SON LINDHが参加しているのも北欧プログレマニアにはにやり。
ドラマティック度・・8 メタル度・・6 70'sプログレ風味度・・9 総合・・9
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OPETH「In Live Concert at The Royal Albert Hall」
スウェーデンのプログレッシブ・デスメタルバンド、オーペスのライブ作。2010年作
ロンドンのロイヤルアルバートホールでの2010年のステージを収録。
ジャケはDeep Purpleのオーケストラとの共演ライブアルバムへのオマージュ…というかパクり。
よく見ると「Loyal Disharmonic Orchestra」と書いてあり、オーケストラは出て来ないのでご注意を。笑
さて、演奏の方は静と動、緩急を織りまぜたOPETH節ともいうべき見事なもので、
二本のギターが有機的に絡む巧みなリフとフレーズをメインに構成された楽曲に、
Ash Ra TempelのTシャツに身を包んだミカエルのデスヴォイスとジェントルな歌声が絡まってゆく。
派手さよりもむしろ渋さを、モダンさよりも70年代ロック的なレトロな生々しさを絶妙に表現する。
これぞプログレッシブ・デス。過去のアルバムからもほぼまんべんなく選曲されていて、昔からのファンにも嬉しい。
臨場感を引き立てるカメラワークも良好だ。熱心なファンなら3CD+2DVDという豪華ボックスをお勧めする。
ライブ演奏・・9 ライブ映像・・9 プログレッシブデス度・・9 総合・・9
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DISSECTION「Rebirth of Dissection」
スウェーデンのメロディックブラックメタルバンド、ディセクションのライブDVD。2006作
2nd「Storm of the Light's Bane」を発表後、リーダーのJon Nodtvedtが殺人容疑で捕まり、バンドは活動停止、
服役を終えたJonを待ってバンドは復活、2006年に復活作「Reinkaos」を発表する。
だが、ライブツアーもこなし、これからという時に…Jonは自らの頭を撃ち抜いて自殺をとげた。
このライブ映像は2004年地元スウェーデンでの復活ステージで、これが最初で最後のDVD作品となった。
イントロから続く“Nights Blood”が始まると、もう鳥肌もの。楽曲は激しく疾走しつつも
しっかりと美しい展開があり、メロディックなツインギターの絡みが素晴らしい。
JonのVoとギターはブランクを感じさせず、手数の多いタイトなドラムも含め、バンドとしての演奏力はさすが。
ドラマティックな構成を存分に見せつける“Unhallowed”も名曲だ。
北欧らしい土着的なメロディラインとともに、ここまで有機的にツインギターが絡むバンドはなかなかいない。
客席には若いファンの姿も多く盛り上がりもすごい。このバンドの魅力を余すことなく伝えるステージで
これから若いファンなどがもっと増えそうなのだが…それだけに、Jonの早すぎる死はあまりにも惜しい。合掌…
1stからの代表曲“The Somberlain”…間奏部で反復されるギターフレーズ、これってこんなに悲しい曲だったのか。
ライブ映像・・8 ライブ演奏・・9 ツインギター度・・10 総合・・9
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God Dethroned「Under the Sign of the Iron Cross」
オランダのデスメタルバンド、ゴッド・ディスローンドの2010年作
活動20年近いベテランバンド、前作もドラマティックなデスメタルの強力作であったが、
本作も圧倒的な破壊力、激烈な疾走で重厚にたたみかけるブルータルさが素晴らしい。
前作に続き第一次世界大戦をテーマに、壮大なドラマ性を覗かせるスケール感とともに、
激しさの中にかいま見せる美意識というものが、サウンドに荘厳さと説得力を加えている。
暴虐さを損なわずにメロディを同居させる絶妙のセンスはベテランの技ならでは。必聴の大傑作!
ドラマティック度・・8 暴虐度・・9 荘厳度・・9 総合・・9
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Wolves in the Throne Room「Celestial Lineage」
アメリカのブラックメタルバンド、ウルヴズ・イン・ザ・スローン・ルームの2011年作
2007年のデビュー作から、まるで森の中の大自然と一体化したようなサウンドで、
「ネイチャーブラックメタル」ともいうべき幻想的な世界観が個性的だったこのバンド、
3作目となる本作は、妖しい女性スキャットとともにゆったりと幻想的に始まり、
いつも以上にメロウなギターのフレーズで疾走。相変わらずぼんやりとした音像が耳心地よく、
うっすらとしたシンセとともに、美しくも神秘的な雰囲気なプリミティブ・ブラックが楽しめる。
10分以上の大曲3曲を含んでいて、もちろん激しいブラスト疾走もあるのだが、緩急のついた楽曲と
このシンフォニックな薄暗さは、むしろプレグレリスナーでも鑑賞できそうな気がする。傑作!
幻想度・・9 暴虐度・・7 神秘的度・・10 総合・・9
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キワモノ系

MEKONG DELTA 「Dances Of Death」
ドイツのテクニカルスラッシュメタルバンド、メコン・デルタの3rd。1990作
鬼才ラルフ・ヒューベルトを中心に、クラシックとスラッシュメタルを融合させるという
無茶なテーマをかかげて結成されたこのバンド。メンバー名を伏せながらも、
STRATOVARIUSの名手ヨルグ・マイケルやLiving Deathのメンバーなどが参加していた。
本作は20分におよぶタイトル曲を含め、これまでのアルバム以上に細密に構築された大傑作。
変則リズムの嵐とクラシックの手法で作られた組曲は圧巻のひと言で、荘厳にして美しい。
スラッシーな激しさを失うことなく、これほどの知性と芸術性を兼ね揃えたバンドはそうはいない。
“はげやまの一夜”のカヴァーも見事。次作「Kaleidoscope」も完成度の高い傑作である。
ドラマティック度・・9 知的度・・9 スラッシュ度・・8 総合・・9
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MEKONG DELTA 「Visions Fugitives」
ドイツのテクニカル・スラッシュメタル、メコンデルタの1994年作
2曲目までは前作からの流れの硬質に構築されたサウンドであるが、
続いて始まる“グループとオーケストらの組曲”と題された20分を超える組曲は
かれらがこれまで培ってきたクラシックカヴァーのアプローチを取り入れたような、
ミステリアスでプログレッシブな聴き心地で、オーケストラルなアレンジを含んだシンフォニックな感触もある。
クラシック的手法とメタルサウンドの融合という探求を完璧に成し遂げ、彼らは次作にていよいよ、
「展覧会の絵」のメタル解釈へと取り掛かるのである。その布石というにはあまりに素晴らしい傑作だ。
クラシカル度・・8 メタル度・・7 探求度・・9 総合・・9
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WALTARI「YEAH! YEAH! DIE! DIE! DEATH METAL SYMPHONY IN DEEP C」
フィンランドが誇るミクスチャーハードロック集団ワルタリのアルバム。
これは彼らがデスメタルとオーケストラを融合させて完成させた一大叙事詩である。す・・すごすぎる。
いや、本物のオーケストラを使用したデスメタルと言えばセリオンなどを筆頭にいくつか挙げることはできるが
このアルバムに関してはそんな次元をはるかに超越している。つまり、「本物」なのだ。
これはシンフォニーであり、映画サントラ並みの雄大さがあり、しかもデスメタルだ。
チープさのかけらもない壮大かつ大掛かりな音響。デスメタルの疾走激速パートですらも
完全にオーケストラと融合されている。これは…ある意味とてつもないキワモノ的傑作だ。
デスメタルを真摯に取り入れ(もちろんデス声&ブラスト入り)それをオーケストラと完璧に一体化させた。
これはスラッシュをクラシック化させたメコンデルタに匹敵する偉業・・かもしれない。
デスメタル度・・8 オーケストラ度・・10 楽曲融合度・・9 総合・・9
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ANGIZIA「Ein Toter fahrt gern Ringelspiel」
オーストリアのアヴァンギャルド・ゴシックバンド、アンギジアの5th。2004作
前作「39 Jahre fur den Leierkastenmann」が変態系ゴシックとしては相当の傑作だったが、
今回も期待通りの出来。まるでDEVIL DOLLのようなシアトリカルなドイツ語ヴォーカルに、
アコーディオンやクラリネットの愉快な音色は、一聴した質感ではコミカルですらある。
メタリックな要素はあまりなく、民族調のアヴァンギャルドサウンドであるが、
ときにクラシカルなピアノやヴァイオリン、オペラティックな女性Voなどが現れ、
彼らの持つアカデミックで豊かな音楽的なバックボーンを聴かせるあたりはさすが。
全24曲75分という大作で、コンセプト作っぽいが詳細は不明。…まごうことなき変態。
暗黒愉快度・・8 シアトリカル度・・9 アヴァンギャル度・・10 総合・・9
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CONFESSOR「Live in Norway」
アメリカのテクニカル・ドゥーム・スラッシュメタルバンド、コンフェッサーのライブDVD。2006作
1992年にアルバムを1枚出してそのまま消えたかと思われたこのバンドが、2005年に復活。
2nd「Unraveled」を発表、その年に行ったノルウェーでのライブを収録したのがこのDVDだ。
曲調はやや古めかしいスラッシーなリフと、ゆったりとしたうねるようなリズムによるもので、
その変拍子だらけ、複雑なキメだらけの曲にハイトーンのヴォーカルが歌を乗せる。
分かりやすく言えばWATCHTOWERMESHUGGAHをスローなドゥームメタル化したという
感じだろうか。そして、なんといっても最大の見所はスティーブ・シェルトンのドラムプレイで、
類まれなるグルーブ感と、リズムのタメ、そのプレイのセンスには惚れ惚れする。
ボビー・ジャーゾンベク、ヴァージル・ドナーティと並びうる変態系最強ドラマーの一人だ。
ライブ作品としても、音質、映像ともに抜群の作りで、とくにカメラワークが素晴らしく
ドラムカメラがあるおかげで、じっくりとこの超絶なドラミングを視覚的にも楽しめるのである。
テクニカルなリズムのメタルが好きな方、凄いドラマーのプレイを見たい方はまず必見。
廃盤の1stCondemnedには高額なプレミアが付いているだけに、このDVDで聴けるのは貴重だ。
ライブ映像・・9 ライブ演奏・・9 変態リズム度・・10 総合・・9
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ARCTURUS「Shipwrecked in Oslo」
ノルウェーのプログレ・ブラックメタルバンド、アークチュラスのライブDVD。2006作
2005年ノルウェーでのステージを収録。導入部の町並みの映像はCONFESSORのDVDと同じで、
同イベントでの収録と思われる。ピエロや動物など、さながら仮装舞踏会のような衣装を着た奇怪な人々。
ステージには要塞のような巨大なドラムセット。ライブが始まると、
スペイシーなシンセをバックに、独自のシンフォニックなメタルサウンドが展開される。
仮面をかぶったりメイクをしたりと外見もシアトリカルな雰囲気のメンバーたちは、
皆実力ある演奏を聴かせるが、中でもやはりHellhammerのドラムは素晴らしく
パワフルなツーバスと、繊細かつ手数の多いプレイで楽曲を見事に支えている。
プログレ的ですらあるSverd氏(COVENANT)の美しいシンセワークとともに、
宇宙をイメージする視覚効果もともなってメタルでありながらもスペースサイケ的でもある。
どの曲も不思議な間合いとプログレ的な空気をかもし出しており、
ブラックメタルでも単なるシンフォニックメタルでもない、もはやジャンル分け不能の音楽性である。
あえていうなら「シンフォニック・スペースメタル」とでも名付けるしかないだろうか。
カメラワークも良く、このバンドに限っては映像の特殊エフェクトも世界観を効果的に演出している。
ライブ映像・・9 ライブ演奏・・9 シアトリカル&スペース度・・10 総合・・9
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APOCALYPTICA「The Life Burns Tour」
フィンランドのチェロ4人組みメタルバンド、アポカリプティカのライブDVD。2007作
2005年、ドイツ、デュッセルドルフでのステージを収録。ステージ上にはドラマーを中央にして
四人のチェリストが横に並ぶ。この様子だけでも、すでに普通のメタルライブとは異なる雰囲気だ。
メンバーはチェロの4人のうち二人は長髪で、一人はモヒカン。この三人は意外と若そうだし
外見的にもいかにもなメタラーなのだが、残る一人はスーツにサングラス姿という物静かな雰囲気。
演奏が始まると、疾走するドラムにチェロの四重奏がけたたましく鳴りだし、
髪を振り乱してヘドバンしつつチェロを弾く姿はかなりのインパクトだ。
“Master of Pappets”“Fight Fire With Fire”といったMETALLICAのカヴァー曲は
アルバムで聴いたときよりも数段アグレッシブで、アレンジの完成度も高まっていて、
とくに“Master〜”の間奏部の静かな所などは、クラシカルな厳かさに引き込まれる。
オリジナル曲の方も、最近のアルバムでの楽曲の質の高さを披露してくれ、
ギターがいなくても弦楽四重奏の重厚な響きが音に説得力をもたらしている。
ここまで来るとただのイロモノバンドではない、チェロでもここまでメタルが出来るのだという
信じがたい可能性を眼前に提示して見せる、このバンドの偉業に敬服する。
“Seek And Destroy”“Creeping Death”“Enter Sandma”といったMETALLICAの代表曲で盛り上げ、
ラストはペール・ギュントのクラシックの超絶カヴァー“Hall of the Mountain KIng”で締めくくる。
インパクト・・10 ライブ演奏・・9 チェロでもメタル度・・9 総合・・9
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Meshuggah 「The Violent Sleep of Reason」
スウェーデンのテクニカルメタル、メシュガーの2016年作
1991年にデビュー、メカニカルなリフと変則リズムを組み合わせた独自のスタイルで、Djent系の元祖ともされるバンド。
8作目となる本作も、のっけから重厚なギターリフを変拍子まくりのリズムに乗せた、濃密なメシュガーサウンドが炸裂。
ヘヴィで硬質でありながらも、うねりのあるベースの存在感とともに、どこか有機的でトリップ感を覚えるようなサウンドは、
さらに荘厳な説得力を増してきている。ダミ声ヴォーカルまでもが、ときにリズムの一部と化して溶け込んでゆくような感覚…
フレドリック・トーテンダルのかつてのソロ作品「SOL NIGER WITHIN」にも通じるプログレッシブかつアヴァンギャルドな芸術性が、
さらに高度な演奏力とグルーブをまとい、音の塊となって襲い掛かってくる。異端のテクニカルメタルの極北というべきか、
この路線では究極というべき円熟の域に到達した本作は、Djent云々を軽々と超越した孤高の傑作であろう。
ドラマティック度・・8 テクニカル度・・9 荘厳度・・9 総合・・9
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■日本のバンド

X「BLUE BLOOD」
日本が誇る人気バンド、エックス(ジャパン)の2nd。1989年作
日本のハードロックシーン、そして後のヴィジュアル系バンドたちにも大きな影響を与え、
その後には海外のメロスピ系バンドからもひそかにリスペクトされているこのバンド。
当時は派手派手しい髪形やメイクなどの外見ばかりが取り沙汰されていたが、
彼らの本質は抜群のメロディによる美しくも激しい楽曲にあり、中でも出世作にして最高傑作であるのが本作だ。
個人的にもメタルにハマる原点となったアルバムだし、それがリマスターにより音質も向上、
HIDEPATAによるツインギターの流麗な絡みや、YOSHIKIの熱いドラムプレイに再び聴き惚れられる。
イントロに続く“BLUE BLOOD”は、今で言うDRAGONFORCEばりに疾走する永遠のメロスピ名曲であるし、
“WEEK END”の哀愁溢れるメロディにはやはりぐっとくる。ライブでの定番曲“X”の激しさから
一転して美しいピアノで聴かせる泣きのバラード“ENDLESS RAIN”の叙情にはうっとりとなる。
ここまでですでにお腹いっぱいなのだが、ここからようやくアルバム後半で、
泣きの哀愁のイントロとともに名曲“紅”がドカドカと攻めてくる。強烈な疾走曲“オルガスム”、
キャッチーな“CELEBRATION”から、クラシカルな美意識で聴かせる圧巻の大曲“ROSE OF PAIN”、
そしてラストの“UNFINISHED”まで名曲満載。20年近くたった今もなお色あせない名盤だ。
メロディアス度・・9 魂の激しさ度・・10 楽曲・・9 総合・・9
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SIGHIn Somniphobia
日本のプログレッシブ・ブラック、サイの2012年作
すでにデビューから20年。異才、川嶋未来率いるこのバンドも本作が9作目となる。
アヴァンギャルドな美意識を炸裂させた前作に続き、本作ではのっけから
いつになくメロディックなギターと絶叫ヴォーカルを乗せてメロスピばりに疾走、
クラシカルなストリングスにオルガン、ムーグなどのレトロなシンセを含んだ
プログレッシブなアレンジも冴えを見せ、 Dr.Mikannibal嬢のコーラスやサックスなども
サウンドに優雅な聴き心地を加えている。古き良きロックのアナログ感覚を、
混沌とした芸術作品に仕立てたというような雰囲気もありつつ、ジャズやクラシック、
さらには民俗要素までを取り込む川嶋氏のアーティストとしての器の大きさには敬服する。
もはやブラックメタル云々のジャンルを超えた唯一無二のアヴァンメタルというべきだろう。
まさに日本の至宝。プログレファンにもぜひ聴いてほしい異色の傑作です!
メロディアス度・・8 プログレッシブ度・・9 カオスな芸術度・・10 総合・・9
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六三四「大和」
宇崎竜童がプロデュースした和風ハードロックバンド、六三四の2ndアルバム。
和太鼓、尺八、三味線などを見事に取り入れ、それをギター、ドラムなどと違和感なく溶け込ませている。
ハードロック、プログレッシブな側面を持ちながら、あくまで根底には日本の魂が感じられ、
メロディアスかつスリリングな楽曲アレンジは見事で、一部の隙もない。
日本という国の音楽文化を西洋の文化であったロックミュージックに融合させ、
極上の音楽を創造したという点で、これは文化的偉業といっても過言ではあるまい。
日本の伝統音楽をロックと融合させたお薦めバンドは?と問われたら、迷わずこのバンドを即答する。
メロディアス度・・8 プログレ度・・8 和風度・・8 総合・・9
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SNAKE HIP SHAKES「WORST」
現在は再びZIGGY名義で活動中だが、これはスネイク・ヒップ・シェイクス時代のベスト。
2000年〜2001年までに発表した4枚のアルバムから選曲された全15曲。
音楽性は当然ZIGGYそのものだが、どちらかというとこの頃はロック的な勢いを感じる曲が多く、
演奏のドライブ感とキャッチーなメロディが絶妙の名曲「MELANCHOLIA」をはじめ、
泣きの叙情バラード「RAIN」、「翳りゆく夏に」、ハードで勢いのある「BLACKOUT」、
「STRONG WILL」等、名曲多数。 SNAKE HIP SHAKESを知らない方の入門用にもお薦め。
森重樹一の絶品の歌唱に、手数、テクニックとも最高のJOEのドラムなど、
間違いなく歴史的にもクオリティ的にも日本ロックを代表するバンドである。
尚、限定版には秘蔵のライブ映像が楽しめるDVDが付いている。
メロディアス度・・8 ロック度・・10 楽曲・・9 総合・・9
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ZIGGY「HEAVEN AND HELL」
ジギーのデビュー15周年記念のライブDVD。2002年、日比谷野外音楽堂での収録。
のっけからいきなり「GLOLIA」で会場を沸かせます。その後は新旧織りまぜた曲を並べつつ
かつてと変わらぬ哀愁のメロディと、40歳を迎えようかという森重樹一の歌声は
いっそう深みを増していて、「生きること=時の流れ=ロック」ということを我々に伝えてくれる。
思わず聴いていて涙腺がゆるむことしばしば。(ZIGGYで泣ける歳になったのだなぁ)
激しさと優しさ、そして魂を込めて歌う、森重の姿は純粋にカッコいいと思うし、
こうした年長のロッカーが頑張っているところを見ていると、こちらも思わず元気になってしまう(^^)。
演奏陣ではとくにJOEの安定した手数の多い素晴らしいドラミングには惚れ惚れとする。
ZIGGYの15th としてはもう少し過去の曲をたくさん聴きたいという不満もあるが、
このセットリストはオールドファンのみでなく最近の若いファンにも楽しめるように、ということなのだろう。
ただ、やはり後半部の「TOKYO CITY NIGHT」「I'M GETTING BLUE」あたりはぐっとくるし、
最近の曲では「HEAVEN AND HELL」「MELANCHOLIA」あたりはとてもテクニカルで良い。
ラストは「LONG AND WINDING ROAD」「DON'T STOP BELIEVING」で劇的にしめくくる。
素晴らしいメロディと、ロックとしての熱さ、そしてせつなさを感じさせてくれる唯一無二の存在。
ZIGGYは日本ロックの宝である。現在では、「HEAVEN AND HELL T&U」のCDとセットで購入できます。
ライブ映像・・8 ライブ演奏・・8 哀愁度・・10 総合・・9
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*高得点な傑作〜プログレ編

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