高得点傑作たち〜プログレ編


我がサイトにて総合9点以上を獲得した作品を集めてみました。
未聴のものがありましたら、ぜひチェックしてみてください。
作品は主に国別のABC順です。評価の高い順ではありません。

「Amazon.MP3」のリンクがあるものはそちらで試聴可能です♪



■70年代英国ロック

ART BEARS「The World As It Is Today」
HENRY COWのクリス・カトラー、フレッド・フリス、ダグマー・クラウゼによるアート・ベアーズの3rd。1980年作
前作「Winter Songs」も素晴らしかったが、ダグマーのヴォーカルはついに絶叫の域にまで達した。
ジャズロック的なけだるさのなかに、狂気をはらんだ歌声が響きわたる。それは恐ろしくも、
なんとも艶めいており、まるで世界の不条理に叫び続ける娼婦でもあるかのようだ。
かと思えば、闇の静寂のごとき空気をともない、激しさと静けさを対比させる、
シアトリカルな音楽性もなんとも壮大で美しい。これまで以上にシンセが使われていることで、
ある種、夢の中にいるかのような幻想的な雰囲気も増している。ピアノの不協和音が鳴り、
遠くではけたたましくヴァイオリンが響いている。世界の裏側をさらけだすような背徳的な快感がこの作品には詰まっている。
チェンバー度・・8 アヴァンギャル度・・10 女性声力度・・10 総合・・9
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CAPTAIN BEYOND
DEEP PURPLEのロッド・エヴァンスらによるキャプテン・ビヨンドの1972作
のっけから変拍子のリズムで始まる本作は、テクニカルロックの元祖というべき名盤だ。
今でいうとメタリックなハードなギターと、抜群のリズム、グルーブ感の素晴らしい演奏、
プログレッシブともいうべき複雑な楽曲構成には古くささは微塵も感じない。
この細かなリズムアプローチと部分ごとのキメの連続は、Deep Purpleを上回る緻密さで
この年代のバンドとしては見事という他はない。むしろ、ロッド・エヴァンスのヴォーカルが
一番英国的な雰囲気をただよわせている。バンドはこの後メンバーを変えながら
1973年、77年に2作を発表するが、いずれも本作ほどのインパクトはなかった。
ドラマティック度・・8 プログレ度・・8 楽曲センス・・9 総合・・9
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Derek and the Dominos「Layla」
エリック・クラプトンが在籍したデレク・アンド・ザ・ドミノスの1970作(SACD)
「いとしのレイラ」のタイトルでおなじみの名作。各メンバーの抜群の演奏によるアンサンブルと
クラプトンの巧みなギターワークが、SACDの臨場感あるサウンドで楽しめる。
やわらかなオルガンの音色はいかにも70年代の英国的な香りを漂わせつつ、
ダイナミックですらあるツインギターの掛け合いは絶品である。
メロディアス度・・8 アンサンブル度・・9 クラプトン度・・9 総合・・9
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EMERSON,LAKE & PALMERBrain Salad Surgery」
エマーソン・レイク・アンド・バーマーの1973/2008作(SACD)
SACD音質のレビューです。のっけからオルガンの響きとドラムの臨場感にぶっとびます。
まるですぐそこで彼らが演奏しているような感覚…これがSACDの威力か!
本作はELPの代表作として知られる「恐怖の頭脳改革」のDeluxe Editionです。
Disc1が通常仕様のCDで、Disc2がミックス違いや未発音源入りのボーナスCD、
そして肝心のSACDはまるでおまけ扱いのように紙ケースに入っていましたが…
ともかくやはり素晴らしいのはそのSACD音源で、荘厳なる“Jerusalem”に続いて
“Toccata”の凄さでもうノックアウト。エマーソンのオルガンとムーグの臨場感と、
ドラムサウンドの迫力は、いままでのCDからすると別次元の音響。感動です!!
これまではただのつなぎ曲と思っていた3曲目などもじつに味わい深く聴けるし、
極めつけの大曲“Karn Evil 9”では、エマーソンのプレイの全てが詰まった名演が、眼前に迫ってくるようだ。
キーボー度・・9 プログレ度・・8 サウン度・・10 総合・・9.5(通常CDだと8.5)
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EMERSON,LAKE & PALMER「Ladys & Gentlemen」
エマーソン・レイク・アンド・パーマーのライブアルバム。1974年作
ELPのロックバンドとしての代表作は、タルカスでも頭脳改革でもなく本作である。
アルバムでのクラシカルなキーボードロックはそのままに、ライブでの彼らの演奏は
凄まじい勢いに満ちており、たった3人とは思えない音圧で聴き手を圧倒する。
“聖地エルサレム”から始まり、代表曲である“タルカス”“悪の教典”と、CD2枚にわたって
アドリブを含んだ濃密な演奏が楽しめる。バンドの絶頂期ライブというのはこれほど凄いのだ。
メロディアス度・・8 キーボー度・・10 ライブ演奏・・9 総合・・9
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THE ENIDAerie Faerie Nonsense」
英国のシンフォニックロックバンド、エニドの2nd。1977作
初期ENIDの最高傑作と名高い本作も、ついにオリジナル音源がCDになる。
前作よりもさらにクラシカルな優雅さに磨きがかかり、1曲目の“Prelude”から心踊る。
これまでの再録盤CDとは曲順も異なるため、印象もずいぶん違うように思う。
そして楽曲おけるダイナミックな感触は、音質の平坦さを差し引いてもこちらが上回る。
本作の最大の聴きどころである組曲“Fand”のじわじわとくる情感的な美しさと盛り上がりは、
筆舌に尽くしがたい。まさに一瞬の輝きを封じ込めたような奇跡的なアルバムであったのだ。
シンフォニック度・・9 クラシカル度・・10 雄大かつ優雅度・・10 総合・・9
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THE ENID 「TOUCH ME」

英国のシンフォニックロックバンド、エニドの3rd。1978作
70年代のエニドの作品はどれも素晴らしいのだが、2ndと並んで好きなのが本作。
オーケストラではなくバンド編成でやっているというのが信じがたいほどに
じつに優雅なクラシカル・シンフォニーである。ピアノも含めて厚みのあるシンセの重なりに
メロウなギターが合わさり、ロックとしてのダイナミズムを決して無骨にならないくらいに
絶妙に盛り込んでいるのが奇跡的といえる。このバンドの前ではクラシカルロックと言われる
ほとんどのバンドがかすんでしまうだろう。格調高き英国の音にうっとりとなる。
クラシカル度・・9 シンフォニック度・・9 優雅度・・10 総合・・9
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Genesis「Selling England by the Pound
ジェネシスの5th。1973作
GENESISの最高作をあえて選ぶなら本作となるだろう。
彼らの世界観である幻想美と、楽曲におけるドラマティックさが結実、
それがバンドの成熟とともに最高の形で組合わさったのが本作だ。
ガブリエルのヴォーカルの表現力も増し、ハケットの奏でるメロウなギターに
トニー・バンクスのシンセワークがもっとも素晴らしいのもまた今作だ。
そしてGENESIS最高の名曲“Firth of Fifth”はイントロのピアノから感涙必至。
これぞ英国が生んだ幻想のシンフォニックロック。繊細にして感動的な名作。
シンフォニック度・・8 プログレ度・・8 幻想度・・9 総合・・9
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GENTLE GIANT「Octopus
ジェントル・ジャイアントの4th。1973/2010作(SACD/SHM-CD)
ロジャー・ディーンのジャケで有名なGGの代表作として人気のアルバム。
そのサウンドには初期の作品以上の流れるようなスタイリッシュさが出てきて、
それとともにキャッチーな歌メロと、テクニカルなアンサンブルの対比もくっきりとなっている
SACD/SHM-CDの威力だろう、テクニック抜群のドラムのキレの良さが際立ち、
ピアノやオルガンの音色もじつにやわらかで耳に優しい。テクニカルでありつつ優雅である。
クラシカルなヴァイオリンの音色が加わったと思えば、ファンキーなパーカションや、
サックス、トランペットなどの管楽器が鳴り出し、また繊細なピアノと、曲は3〜4分台ながら
まるで万華鏡のように色の変わってゆく、濃密で構築的なプログレがたっぷり堪能できる傑作だ。
メロディアス度・・8 プログレ度・・9 サウン度・・10 総合・・9(通常CDだと8)
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KING CRIMSON「IN THE COURT OF THE CRIMSON KING」
キング・クリムゾンの1969年作、「クリムゾン・キングの宮殿」2009年盤。
ロック史上に燦然と輝く名作。ともかく、1曲目“21世紀の精神異常者”のインパクトたるやハンパではない。
サックスが不穏に鳴り響き、叫びのような歌声が狂気を振りまく、この始まりとジャケのインパクトがリンクして
1度聴いたらもう誰も忘れられない作品となる。続く“風に語りて”では、美しいフルートの音色とともに素朴な叙情を聴かせ、
名曲“エピタフ”の壮大かつ静謐な世界観にうっとりとなる。“ムーンチャイルド”でひと休みさせておいて、
ラストのタイトル曲のメロトロンの盛り上がりで圧倒される。楽曲ごとの不思議な魅力と、アルバムとしての構成も含め、
飽きることのない名盤に仕上がっている。60年代末に来た最初の衝撃。すべてはここから始まった!
ドラマティック度・・9 プログレ度・・9 名盤度・・10 総合・・9 
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KING CRIMSON「EPITAPHVOLUMES ONE & TWO」
キングクリムゾン第一期(1969年)のオフィシャルブートレッグ。CD2枚組。1997年作
「KCのアルバムは色々聴いたが結局一番好きなのは宮殿なんだよなぁ」
…という私のようなファンにはうってつけ第一期のメンバーによる当時のライブ音源がよみがえった。
タイトルでもある名曲“EPITAPH”は3音源を収録し、どれもアレンジが違うという凝りよう。
グレッグ・レイクのVoにイアン・マクドナルドのフルート&メロトロン!すべてはここから始まった。
音質も年代を考えれば思いのほか良好で、臨場感溢れる演奏に涙。
叙情度・・9 プログレ度・・9 音質・・7 総合・・9
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Mandalaband
イギリスのシンフォニックロックバンド、マンダラバンドの1st。1975作
異色にして壮大なるスケール感。この大曲を演奏するためにバンドが結成されたという
その“曼陀羅組曲”は、4部構成に分かれた、まさに一大叙事詩ともいうべき濃密な完成度を誇る。
泣きのギターと壮麗なるシンセ、オーケストレーションが重なって、チベット語で歌われる歌唱と
混声コーラスなどが一体となった重厚なるシンフォニックロックを展開。また押しだけではなく、
クラシカルなピアノの響きなど、繊細な叙情美も兼ね揃えていて、感動的なまでに美麗なサウンドだ。
バンドは、1978年に2作目となる「The Eye of Wender」を発表、こちらもファンタジックな傑作である。
シンフォニック度・・9 壮大度・・9 美麗度・・9 総合・・9
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Mandalaband「The Eye of Wendor:Prophecies」
イギリスのシンフォニックロックバンド、マンダラバンドの2nd。1978作
圧倒的な完成度を誇った1st「曼陀羅組曲」からメンバーが大幅に入れ替わった本作は
「魔石ウェンダーの伝説」というタイトル通り、ファンタジックな物語的コンセプトアルバム。
前作の濃密シンフォニック路線から一転、繊細かつメロディックな爽やかなサウンドで、
牧歌的なやわらかさと、オーケストレーションを含めた壮大な美しさが合わさった、
前作に勝るとも劣らぬ傑作だ。Woolly Wolstenholmeの美麗なシンセワークも素晴らしく、
流れるように曲が連なってゆく構成には、ついつい引き込まれてしまう。壮麗なるシンフォ傑作。
シンフォニック度・・8 ファンタジック度・・9 壮大度・・9 総合・・9
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MIKE OLDFIELD「Hergest Ridge」
マイク・オールドフィールドの2nd。1974/2010年リミックス盤
以前に出ていた2000年のリミックス版は、LP版の良さを消してしまっていたのだが、
今回の最新リミックスでは、どうやらオリジナルバージョンが使用されていて、
以前のCDよりもはるかにひとつひとつの音が自然で生き生きとしている。
アコースティカル牧歌的な叙情性という点では前作「Tubular Bells」以上の作品で、
ギターやマンドリン、管楽器音などの重ね方、やさしいメロディの美しさなど、
どれもが繊細にして細密。次作「Ommadawn」とともに必聴の名作といえる作品だ。
オリジナルリミックス度・・9 繊細度・・10 牧歌的叙情度・・10 総合・・9
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MIKE OLDFIELD「Ommadawn」
マイク・オールドフィールドの3rd。1975/2010年リミックス盤
とにかく、ここまで感動的な音楽というのは世界中探してもなかなかありはしない。
ただのロックでもトラッドでもない。ましてや流行りのポップソングでもありはしない。
商業音楽に敢然と背を向け、自らの繊細な内的感性を見つめて生み出した、孤高の傑作。
前作よりもさらに民俗音楽を色濃く取り入れつつ、シンフォニックな音の重ねにも磨きがかかり、
牧歌的にして壮大…世界すべてを包み込むような大きさと、人間的な優しさにあふれている。
19分、17分という大曲2曲の構成の中に、当時のマイクの瑞々しい感性がすべて詰まっている。
アコースティック楽器に、ギターとシンセを巧みに融合させ、伝統的なトラッドを盛り込んだ楽曲は
希望に満ちた子供たちの歌声が加わってラストを迎える。泣かずにはいられない必聴作。
オリジナルリミックス度・・10 繊細にして壮大度・・10 牧歌的叙情度・・10 総合・・10
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MIKE OLDFIELDIncantations
マイク・オールドフィールドの4th。19780年作
マイクのアルバムでどれか一枚をお勧めするとしたら、前作「OMMADAWN」
本作「呪文」とで迷った後に、この作品のリマスター&HDCD盤を差し出すだろう。
たおやかなフルートの音色に、美しいシンセ、メロウなギターワークが重なって
絶品の叙情を聴かせるサウンドは、リマスター効果で素晴らしい音質となっている。
LPでは2枚組みであった全4曲の大曲は、そのどれもが濃密にして清涼、
まるで爽やかな風のように、暖かで素朴なメロディが耳に優しく響いてくる。
メロディアス度・・9 プログレ度・・8 叙情度・・9 総合・・9
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PINK FLOYDAtom Heart Mother」
ピンク・フロイドの5th。1970年作/邦題「原子心母」
オーケストラを導入したフロイド最高のシンフォニック作がこれ。
もっとも有名なアルバムである「狂気」のイメージが強いこのバンドだが、
実のところ筆者が一番好きなのは本作であり、オールインストの23分のタイトル曲は
オーケストラルな雄大さとドラマティックな美しさに満ちた見事な大曲だ。
もちろんフロイドらしい内的な情緒もあって、深みのあるコーラスワークに
ハモンドの音色が絡む部分などは、厳かな空気すらただよわせている。
実際のレシピが付いた“アランのサイケデリック・ブレックファスト”も洒落が効いている。
シンフォニック度・・8 プログレ度・・8 壮大度・・9 総合・・9
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PINK FLOYDDark Side of the Moon
ピンク・フロイドの8th、1973年作
かつてプログレ初心者の頃、本作を聴いて、いったいこれのどこが名作なのだろうかと
さっぱり分からず売ってしまった記憶があるが、本作の真の魅力はLPで聴くか、
あるいはそれに匹敵する自然なフォーマットの音で聴かないと分からなかったのだ。
このSACDでは、この作品の本来の精細なダイナミズムというべきものが存分に味わえる。
とくにリチャード・ライトのシンセサウンドのこだわりは見事で、作品世界形成の核をになっている。
曲間の静かな部分にすら、なんらかの空気がただよっている。これはこれまでの通常CDでは
なかなか感じ取れなかったものだ。音を通じて作品そのものに引き込まれるような感覚…
これが名作たるゆえんだったのだ。そう理解出来る。まさにSACDで聴くべきアルバムだ。
プログレ度・・8 ドラマティック度・・9 世界観度・・10 総合・・9(通常CDだと8)
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Renaissance「Ashes Are Burning」
英国のクラシカルロックバンド、ルネッサンスの1973作
「燃ゆる灰」のタイトルで知られるバンドを代表する傑作。
美しいピアノが鳴り響く、1曲目の“Can You Understand”のイントロからして、
このバンドのクラシカルな叙情美がすべて味わえるという…もう最高である。
そこに瑞々しいアニー・ハズラムの歌声が加わると、世界はしっとりとした優しさに包まれる。
どこかまだフォーク的な牧歌性を残したメロディに、艶やかなストリングスが重なって
雄大でありながらも、英国の優雅な土臭さともいうべき感触がとても耳に優しい。
ライブでの定番曲“Carpet of the Sun”の爽やかさにはうっとりと聞き入ってしまうし、
11分に及ぶラストのタイトル曲は、フォーキーなやわらかさで始まりつつ、
クラシカルな間奏部をはさんでラストに向かって盛り上がる感動的な名曲だ。
クラシカル度・・9 叙情度・・9 女性Vo度・・9 総合・・9
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Renaissance 「Scheherazadeand other stories」
イギリスのクラシカルロックバンド、ルネッサンスの1975作
第二期Renaissance初期4作はどれもが必聴の傑作なのだが、
その中でもクラシカルな壮大さの点では「シェエラザード夜話」のタイトルで知られる、
本作こそが最高傑作であると断言できる。紙ジャケ盤を見つけたので買い直しだ。
クラシカルなピアノのイントロから、アニー・ハズラムの艶やかな歌声が加わると、
ファンタジックなシンフォニックロック的質感にぐいぐいと引き込まれてゆく。
名曲“Ocean Gypsy”の泣きの叙情で軽く昇天した後、24分を超える組曲
“Song of Scheherazade”はまさに本作のハイライトというべき、
ドラマティックかつ壮麗なクラシカルロックサウンドで感動させてくれます。
シンフォニック度・・8 クラシカル度・・9 壮麗度・・9 総合・・9
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Renaissance「Live at Carnegie Hall」
英国のクラシカルロックバンド、ルネッサンスのライブアルバム。1976作
バンド全盛期の1975年に行われたアメリカ、ニューヨークでのオーケストラとの共演ライブを収録。
一般的には後から出た「キングビスケット」ライブの方が評価が高くなってしまったが、
個人的にはこちらの音源の方が、音の湿りけがあるような感じで気に入っている。
“Prologue”からスタートして“Ocean Gypsy”、“Can You Understand”という流れは、
まさにこのバンドの美味しいところをすべて含んだ選曲で、クラシカルなピアノの響きと
アニー・ハズラムの絶品の歌声には何度聴いてもうっとりとなる。バックのストリングスの音が
少しくぐもっているのも、むしろメロトロン風味に聴こえたりしてシンフォニックでよろしいかと。
CD2は“Scheherazade”、“Ashes are Burning”という大曲2曲だけという構成も心憎い。
なんにしても、英国クラシカルロックバンドの必聴のライブアルバムである。
クラシカル度・・9 ライブ演奏度・・9 女性Vo度・・9 総合・・9
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RENAISSANCE「BBC SESSIONS」
ルネッサンスのライブ2枚組。
1975〜1978の間にBBSテレビ用に録音された音源で、
オーケストラなしのバンドのみでの演奏なので、より生の彼らの音を感じることができる。
初期の名作「プロローグ」から「四季」までのベスト的な選曲で、音質も良好。
アニー・ハズラムの美声Voは言うに及ばず、リズムセクションの切れもよく、
オケなしでも楽曲の優雅な雰囲気はまったく損なわれていない。
音質・・8 演奏・・9 クラシカル度・・9 総合・・9
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RENAISSANCE「KING BISCUIT FLOWER HOUR PRESENTS
英国が誇るクラシカルロックグループ、ルネッサンスのライブアルバム。
1977年ロイヤルアルバートホールでの録音。CD2枚組。
これまでルネッサンスのライブといえば「カーネギーホール」だったが、
本作は録音的にはそれを上回る。何よりバックのピアノ、オーケストラの音が良い。
荘厳なオーケストラをバックに堂々としたアニー・ハズラムの歌唱。
「Song of Scheherazade」組曲のオケ入り再現は感動的。
Disc2では名曲「燃ゆる灰」、名作「運命のカード」からの楽曲がやはり素晴らしい。
メロディアス度・・9 クラシカル度・・9 オーケストラ度・・9 総合・・9
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YES「CLOSE TO THE EDGE」
イエスの5thアルバム。「危機」のタイトルで知られる1972年作の名作。
言わずと知れたYESの最高傑作であり、18分にもおよぶタイトル曲の素晴らしさは彼らの絶頂期の勢いと
あふれ出すセンスをすべて凝縮したものである。張りつめた緊張感と演奏のテンション、
そこにドラマティックな展開美と、爽快なメロディを盛り込んで練り上げたこの大作は、
そのままこのアルバムの価値となっている。12分過ぎに鳴り響く荘厳なチャーチオルガン、
リック・ウェイクマンのソロパートを含めて、盛り上がりを見せる間奏部は圧巻。
また本作の魅力として、もうひとつの大曲“And You And I”の美しい牧歌性も見逃せない。
2003年のリマスター盤は音質がぐっと向上。ボーナストラックとして別バージョン等4曲を追加収録。
シンフォニック度・・9 名作度・・10 音質UP度・・10 総合・・9
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YES「YES SONGS」
イエスの2枚組ライブアルバム。1973作
名盤である「危機」を筆頭にして、スタジオアルバムにおいて緻密な構築力を持つこのバンドであるが、
それはライブにおいても同様で、本作で聴ける演奏は、じつに緻密でダイナミックである。
バンドを離れることになったビル・ブラッフォードの代わりに、急遽アラン・ホワイトが呼ばれて、
なんとか1972年のアメリカ公演をこなした。その音源を中心にしながら、ブラッフォード時代のテイクなども含まれた、
バンドとしては苦労の末に作られたライブ作品なのだが、そうしたものも含めた緊張感も確かに感じられる。
ジョン・アンダースンの伸びやかなヴォーカルとスティーブ・ハウのセンス抜群のギターフレージング、
そしてリック・ウェイクマンのクラシカルなキーボードプレイはやはり抜群だ。初期の名曲を網羅しながら、
それを最高の演奏力で再現したこのライブアルバムは、バンドの代表作とも言える完成度であろう。
Disc2の“Close To The Edge”完全再現は感動的だし、個人的には“Your Is No Disgrace”も名曲。
メロディアス度・・9 ドラマティック度・・9 ライブ演奏・・10 総合・・9
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■イタリアン・プログレ


ARTI + MESTIERI「Tilt」
イタリアのプログレ・ジャズロックバンド、アルティ・エ・メスティエリの1st。1974作
本作はイタリアンプログレ、そして美しいジャズロックとしての最高傑作である。
フリオ・キリコの手数の多いドラムと、艶やかなヴァイオリンの音色、鳴り響くサックス、
プログレ的なシンセとともに、優雅でメロディックな聴き心地と、たたみかける勢いに満ちた
圧倒的なアンサンブルに引き込まれる。一方ではイタリア語の歌唱で聴かせる叙情性もあって、
プログレ性と技巧的なジャズロックのバランスのとれたサウンドである。2nd「明日へのワルツ」も必聴。
メロディアス度・・8 ジャズロック度・・8 構築度・・9 総合・・9
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ARTI+MESTIERI「GIRO DI VALZER PER DOMANI」
「芸術家と職人」を意味するバンド名をもつジャズロックバンド、アルティ・エ・メスティエリの2nd。1975作。
イタリアンプログレ最高の名盤の1つ、「TILT」はまさに技巧の極地で驚異の出来であったが、
続く2ndではジャズ色を増し、歌も入って、楽曲的には多少落ち着きの出たものとなっている。
ただし。強烈無比のテクニックは健在で、特に伝説のドラマー、フリオ・キリコの手数の多さは変わらず、
ゆったりテンポの曲においても無駄とも思えるもの凄い手数で、やかましいほどに凄い。
メロディアスで緻密なアンサンブルは、切れ味鋭く聴くものの口をあんぐりとさせる。
もはやジャズロックというジャンルを超えた、幅広く全てのプログレファンが聴くべきクオリティ。
イタリアンロックの素晴らしさを知る入門用としては、PFMと並んでこのバンドが最適であろう。
メロディアス度・・8 技巧派ジャズロック度・・9 テクニカル度・・9 総合・・9
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CERVELLO「Melos」
イタリアンロックの名作、チェルヴェッロの1973作
OSANNAの「パレポリ」と並ぶ、イタリアンヘヴィプログレの傑作。
のっけから神秘的なスキャットコーラスとアコースティックギターの調べで、不思議な幻想世界へといざなわれる。
キーボードがいないというのが信じられないほど、バンドの音には広がりがあり
アコースティックギターに絡む、エフェクトされたサックス、フルート、ヴィヴラフォンなどが
ときにやわらかく、ときに刺激的に鳴らされ、ときに爆発し、独自のサウンドを形成しています。
神秘的で呪術的…神話をモチーフにした歌詞も文学的で、ある種、崇高さと毒気を併せ持っています。
絶品の演奏力と情景描写力をもったこの作品は、イタリアンロックに生まれた芸術とさえ言えるでしょう。
メロディアス度・・7 イタリア度・・9 神秘性度・・10 総合・・9
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ETNA「ETNA」
イタリアのプログレ・ジャズロックバンド、エトナの1975作
イタリアといえば、超絶技巧ジャズロックバンドARTI+MESTIERIがまず有名だが、
このバンドは派手さではアルティに譲るものの、クオリティの面では充分互角に立ち合える。
非常に作りこまれた緻密な楽曲は、テクニカルで硬質な印象とともに緊張感に満ち、
4人のメンバーの完璧なアンサンブルが一体となって凄まじい音のテンションを形作ってゆく。
ギターが奏でるメロディの質感には時にハードロック色もあり、テクニカルハードのリスナーすらも
唸らせることうけあい。硬質系のイタリアンジャズロックとしては屈指の完成度の傑作です。
メロディアス度・・7 ジャズロック度・・9 テクニカル度・・9 総合・・9
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IL ROVESCIO DELLA MEDAGLIA 「Contaminazione」
イタリアのプログレバンド、RDMことロベッショ・デッラ・メダーリャの1973作
「汚染された世界」と題された本作は、このバンドのキャリアの中でも異色ともいうべき
壮麗なクラシカル作品となっている。ルイス・エンリケス・バカロフをプロデューサーに迎え
バッハの曲をモチーフに、オーケストラを大胆に取り入れたサウンドは華麗にして濃厚。
きらびやかなシンセに典雅に鳴り響くチェンバロ、躍動するリズムと泣きのストリングス、
そこにイタリア語の歌唱が濃密に合わさり、感動的に盛り上げてゆく。
まさにイタリアからしか出て来ないバロックな傑作である。
クラシカル度・・9 プログレ度・・8 イタリア度・・9 総合・・9
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JACULA「Tardo Pede in Magiam Versus」
イタリアの暗黒プログレバンド、ヤクラの1973作
荘厳なチャーチオルガンの音色から始まり、典雅なチェンバロの響きに
艶めいた女性ヴォーカルの歌声が乗る。ロック色はほぼ皆無で
全編にわたって秘教的な妖しさを漂わせた異色のサウンド。
呪文を唱えるかのような女性のスキャットに身震いするか、あるいは笑うかで
この闇の幻想音楽を楽しめるかどうかが決まるだろう。フルートの音色に乗る
女性声の美しさはOPUS AVANTRAに匹敵する。まさにイタリアンロック異端の一作。
2007年リマスター盤には、ボーナスとしてビデオクリップを収録。
荘厳度・・8 ロック度・・1 妖しさ度・・10 総合・・9
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MAXOPHONE
イタリアンロックの名作の1枚、マクソフォーネの1975作
かつてプログレをかじり始めの頃、友人に借りて聴いたのだったが、
今になって改めて聴き返すと、その完成度の高さにはやはり唸らされる。
イタリアらしい叙情性を保ちながらも躍動感に溢れる演奏力の高さはPFMにも通じ、
美しいコーラスメロディやリリカルなフルートなどもバランスよく曲を彩っている。
対位法の使われ方なども非常に巧みで、バランスが自然であるので音にはまったく嫌味がない。
聴きやすいが奥も深い。イタリアンプログレ入門用としてはマストアイテムの一枚である。
メロディアス度・・9 イタリア度・・7 楽曲・・9 総合・・9
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NEW TROLLS「Concerto Grosso The Seven Seasons」
イタリアのプログレバンド、ニュートロルスの2007年作
イタリアンロックのクラシカルサイドにおける頂点を極めた 往年の名作「コンチェルトグロッソ」の続編。
これは興奮しないわけれにはいかない。聴いてみての印象は、オーケストラとパンドとの融合が見事なまでに
自然になされている点。かつてのパート1では、バンドサウンドの部分ではやや粗さがあったのだが、
今作においてはすべての音が完璧に楽曲にそった調和の中に存在していて、
実にスムーズに音に浸れるのだ。また、思いの他ギターが活躍しているのもポイントで、
ロックとしての躍動感がしっかりとあるのが素晴らしい。過去のグロッソ1、2を知らない方でも、
この素晴らしきクラシカルロックには感銘を受けずにはおかないだろう。
シンフォニック度・・9 プログレ度・・7 クラシカル度・・10 総合・・9
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OPUS AVANTRA 「Introspezione」
イタリアンロックの輝ける芸術、オパス・アヴァントラの1st。1974作
アヴァンギャルドな感性と気高さ、繊細かつ張りつめたような美意識、
ピアノの一音さえもが空気を描きだすような意志をもっている。
そして、歌姫ドネラ・デル・モナコの崇高な歌声が胸を打つ。
クラシックを基盤にしつつ、ここまで革新的な音楽をいったい誰が創造できるだろう。
この時代、この国からでしか決して生まれえなかった音楽である。
プログレッシブロックを芸術とするのなら、本作こそまさにそれを体現した作品だ。
続く2nd「Lord Cromwell」とともに、イタリアの奇跡ともいうべき名作である。
クラシカル度・・9 アヴァンギャル度・・9 芸術度・・10 総合・・9
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OPUS AVANTRA 「Lord CromwellPlays Suite for Seven Vices」
イタリアンロックの輝ける芸術、オパス・アヴァントラの2nd。1975作
至高の芸術作品と名高き1st「内省」に続き、本作もクラシカルな優雅さで聴かせる絶品の傑作。
とにかく、荘厳なティンパニの響きから始まる1曲目“Flowers on Pride”の素晴らしさは筆舌に尽くしがたい。
たおやかに鳴らされるフルートと繊細なピアノの音色で、しっとりとゆるやかに盛り上がり、
妖艶のドネラの歌声とオペラティックな男女コーラスが重なってゆく。1stに比べてヴォーカル曲が減っているが、
むしろクラシカルな構築性は増していて、最後まで優雅な気分で鑑賞できる。
バンドはこの作品のあと活動休止状態となるが、1989年になって3rd「Strata」を発表
往年の輝きはなくなってしまったが、初期を忍ばせるなかなかの好作である。
クラシカル度・・9 アヴァンギャル度・・8 芸術度・・10 総合・・9
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PFM「Per Un Amico」
イタリアのプログレバンド、PFMことプレミアータ・フォルネリア・マルコーニの1972年作
「友よ」のタイトルで知られるPFMの2作目にして初期の最高傑作。ともかく1曲め“Appena Un Po'”の美しさ。
のちに“River of Life”としてリメイクされるのだが、原曲のこちらの方がイタリア語の情感とともに、
はるかに叙情的に迫ってくる。繊細なフルートの音色、艶やかなヴァイオリン、アコースティカルでありつつ
ダイナミックな広がりも備えたPFM最高の名曲のひとつだ。テクニカルなリズムの上にピアノとヴァイオリンが鳴る
“生誕”は“MR. 9 `TIL 5”として「Photos of Ghosts」にてリメイクされる佳曲。間奏部のフルートが楽しい。
しっとりと叙情的な“友よ”、牧歌的でありながら展開に富んだ“晩餐会”、ラストの“ゼラニウム”まで全5曲35分弱であるが、
クラシカルな楽曲の美しさ、卓越した演奏力、どこをとっても質が高く、まさしく「甦る世界」と並ぶ彼らの代表作である。
叙情度・・10 プログレ度・・8 イタリア度・・10 総合・・9
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PFM「Photos of Ghosts」
PFMことプレミアータ・フォルネリア・マルコーニの1973年作
イタリアンロックを代表するバンドであり、日本人にも最も人気のプログレバンドのひとつ、
これはその3作目であり、英語による世界デビュー盤。個人的にも一番最初に耳にしたイタリアの作品で、
美しい点描のジャケと、「幻の映像」という日本タイトルにはひどく胸をときめかせたものだ。
今回は2010年の最新リマスターによる再発で、ボーナストラックも多数収録したまさに必携盤。
まずはなんといっても、1曲目の“River of Life”が素晴らしい。やわらかなフルートとシンセが合わさり
ゆるやかに盛り上がってゆくこの美しさは筆舌に尽くしがたい。続く2曲目の“Celebration”のコミカルなキャッチーさ、
たおやかなピアノで始まる“Old Rain”の優しい情緒、マウロ・パガーニのヴァイオリンにアコースティカルな素朴さと
クラシカルな感触で聴かせる大曲“Il Banchetto”、テクニカルな演奏が見事な“Mr.9'til5”など、
あらためて鑑賞しても、リマスターによる音質向上もあって、どの曲もじつに味わい深く楽しめる。
叙情度・・9 プログレ度・・9 イタリア度・・9 総合・・9
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PFM「L'ISOLA DI NIENTE」
プレミアータ・フォルネリア・マルコーニ、通称PFMの4th、邦題「甦る世界」のイタリア語盤。1974作
PFMの初期5作+ライブアルバムはプログレを聴く人間としては外せないアルバムだと思うので、
未聴の方はぜひリマスター盤が出たことを機に買うのがよいでしょう。
最初の混声コーラスパートからして臨場感が違うしドラムの音も低音がしっかりしていてとても力強い。
そして本作はPFMのアルバムの中でも最も大曲に力を入れた作品でもあり、
男女コーラス隊の入った一曲目の荘厳さにはやはり圧倒される。
名曲中の名曲“LA LUNA NUOVA”のイントロのヴァイオリンは何度聴いてもワクワクする。
キャッチーかつテクニカルで叙情的、と私にとってプログレ名曲10選に入る一曲なのだ。
メロディアス度・・8 プログレ度・・9 イタリア度・・9 総合・・9
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PFM「The World Became The World」
プレミアータ・フォルネリア・マルコーニの1974年作/2010年リマスター
「甦る世界」のタイトルで知られる本作は、まさにPFM絶頂期の傑作だ。
まぎらわしいが緑色のジャケがイタリア語盤で、この青ジャケは英語盤である。
PFMの作品では自分は基本的にイタリア語のものが好きなのだが、本作に関してはこの英語版もお気に入り。
壮大な混声コーラスで幕を開ける“The Mountain”のダイナミズムにまず感動。リマスターによる音も素晴らしく、
ドラマティックに展開する楽曲にぐいぐいと惹きつけられる。イタリア語盤未収録のタイトル曲は美しいメロディに泣きまくり、
そして、本作ハイライト“Four Holes in the Ground”は、躍動する5拍子のリズムとメロディが合わさった名曲中の名曲
イタリアらしさはやや薄れたが、素晴らしい演奏テクニックとダイナミズム、そして叙情が同居した、まさに歴史的な名盤である。
ドラマティック度・・9 プログレ度・・9 イタリア度・・8 総合・・9
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PFM「CHOCOLATE KINGS」
プレミアータ・フォルネリア・マルコーニの1975年作/2010年リマスター
前作「甦る世界」までの初期の4枚に比べ、本作はファンの人気がいまひとつであるようだが、
内容的にはまったく劣らない。そればかりか彼らの作品中で最もテクニカルな一枚といってもいい。
かつてのUK盤ジャケが太ったマリリン・モンローであったように、巨大化するアメリカを揶揄した作品で、
1曲目の“FROM UNDER”から、その見事な演奏に引き込まれる。ダイナミックなアンサンブルに
マウロ・パガーニのたおやかなフルートとヴァイオリンが加わって、これまで以上に音の厚みと
静と動のメリハリがついたサウンドは、バンドとしてのひとつの頂点というべき輝きに満ちている。
もちろん、テクニックだけでなく、メロディにはしっかりイタリアの情緒と地中海的な優しさが残っていて、
その歌ごころを忘れない楽曲作りには、改めて敬服するばかりである。リマスターによる音質向上も嬉しい。
テクニカルさとメロディアスさと、アコースティックなやわらかみのバランスがとれた傑作アルバムだ。
メロディアス度・・8 プログレ度・・9 イタリア度・・7 総合・・9
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PFM「10ANNI LIVE 71/81」
イタリアンプログレの伝説。PFMのライブ4枚組。1971〜1981までのライブ演奏の記録。
言うまでもなく演奏は超絶技巧。一糸乱れぬアンサンブル。なおかつ叙情的という。
アルバムではどちらかというと整然として格調高いまとまった音作りの彼らですが、
ライブとなると、さすがイタリアの血。血湧き肉踊る切れまくり怒涛の演奏を繰り広げております。
曲の素晴らしさももちろんですが、演奏力だけで聴いていて唖然となりますな。
特に74年までの音は、楽曲と演奏の切れがピークに達した神がかり的な音樂が創造されています。
メロディアス度・・9 プログレ度・・10 演奏力・・10 総合・・9.5
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PFM「LIVE IN JAPAN 2002」
PFM(プレミアータ・フォルネリア・マルコーニ)の2002年の来日時のライブアルバム。CD2枚組。
90年代に復活して以来、前回は「www.pfmpfm.it」という同じく2枚組のライブアルバムを出した彼らだが、
今回は日本用のセットリストということで、嬉しいことに半分以上が1stから4枚目までの曲になっている。
のっけから“ハンスの馬車“で始まり、“人生は川のようなもの”、“幻の映像”とたたみかけてくる(涙)。
さらに“PROMENADE THE PUZZLE”、“DOVE...QUANDO”、“晩餐会の三人の客”という往年の曲が続き、
CD2では“MR.9 TIL5”、“9月の情景”、“CELEBRATION”そしてラストの“FOUR HOLES IN THE GROUND”と、
かつての名曲をたっぷり。演奏もより70年代のアルバムアレンジに近く、それを現代の機材で甦らせたというサウンドで、
メンバーはみないいおっさんのはずに、テクニックはそのままなのがある意味凄い。
ムッシーダのギター、ディ・チョチョのドラム&ヴォーカルはもちろん、プレモリのピアノ、ヴァイオリンもじつに美しい。
聴いていて、「こんなことなら、ライブに行くのだった・・」などとつい思ったりしてしまう(笑)。
70年代PFMファンはもちろんのこと、これから彼らを知る若い方々の入門用にもうってつけ。買うべし。
メロディアス度・・9 プログレ度・・8 70'sPFM度・・9 総合・・9
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PFM+PAGANI「PIAZZA DEL CAMPO」
なんと、マウロ・パガーニ参加のPFMのライブ音源だ!2005作
「一番好きなプログレは?」と訊かれたら、少し考えてから私は「あの頃のGENESIS…かあの頃のPFM」と答えるだろう。
そんな「あの頃のPFM」が甦った!ついに久々に実現した夢の共演である。
演奏が始まりパガーニのフルートが鳴った瞬間、それは戻ってきた。
“RIVER OF LIFE”〜“PHOTO OF GHOSTS”〜“ハンスの馬車”と、絶頂期の彼らの名曲がまさに完全再現されてゆく。
メンバーたちの演奏力は時代をへてもまったく衰えておらず、良質の機材のおかげもあり
ムッシーダのギターの音色も、プレモリのキーボードもとても素晴らしい。
相変わらずダイナミックなデイチョチョのドラムも歳を感じさせないほどだし、
そして何より時代を超えて響く、パガーニの優雅なヴァイオリンの響きにうっとりだ。
名曲中の名曲“LA LUNA NUOVA”ではストリングス隊も現れ、感動的なサウンドに華を添える。
ラストは大観衆を煽っての“CELEBRATION”(E' FESTA)で幕を閉じる。往年のPFMファンにとっては必携のライブアルバム。
メロディアス度・・9 ライブ演奏・・9 あの頃のPFM度・・10 総合・・9
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I POOH「Alessandra」
イタリアンロックバンド、イ・プーの5th。 1972作
「ミラノの映像」の邦題で知られる本作は、間違いなく初期の最高傑作
艶やかなストリングスに導かれて、ゆるやかな叙情が舞い降りる。
繊細でありながらも情熱的なイタリア語の歌声が響きわたり、
壮麗かつ雄大なオーケストレーションが一体となって、哀愁のロマンが波のように押し寄せて、
涙腺を刺激する。イタリアからしか出て来ない泣きの叙情美に胸震わせろ。
オーケストラ度・・9 泣きの叙情度・・10 イタリア度・・10 総合・・9
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I POOH「Un Po'del Nostro Tempo Migliore」
イタリアのポップロックバンド、イ・プーの7th。1975作
その叙情味あふれるサウンドで多くのプログレファンからも愛されるこのバンド、初期の代表作となるのが
4作目の「ミラノの映像」、そしてこの「ロマン組曲」だ。ゆるやかなオーケストラに導かれて…
聴き手は、ジャケットのイメージのようなロマンとノスタルジーの世界へと引き込まれてゆく。
キャッチーですらある歌メロに艶やかなストリングスアレンジが加わり、
ドラマティックかつ優美に盛り上げてゆくサウンド構成が素晴らしい。
あくまで歌心を中心にした楽曲には難解さはなく、プログレ、ラブロックうんぬんを抜きにして、
純粋に音楽として耳に優しく、心地よいのだ。ラストの10分を超える大曲の雄大さも聴きどころ。
メロディアス度・・9 しっとり優美度・・10 イタリア度・・10 総合・・9
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EZRA WINSTON「ANCIENT AFTERNOOMS」
イタリアのプログレバンド、エズラ・ウインストンの1990作
1990年という非常な微妙な時期に1枚のアルバムを残して消えたバンド。
しかし本作のクオリティたるやハンパではなく、当時LPのみで出ていたものが近年ついにCD化された。
このバンドのサウンドはPFM的なイタリアの叙情を南米シンフォにも通じる熱情で再現したものといっていい。
吹き鳴らされるフルート、躍動するリズムに乗る美しいシンセとメロディアスなギター、
インストパートでのダイナミズムとイタリア語の歌声で聴かせる叙情溢れる要素が合わさり、
70年代のイタリアンロックを理想的な形で昇華させたというべきサウンド。素晴らしい傑作である。
シンフォニック度・・8 プログレ度・・8 イタリア度・・8 総合・・9
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YUGEN「Iridule」
イタリアのプログレ・チェンバーロックバンド、ユーゲンの2010年作
すでにこれが3作目で、前作はよりチェンバーロック色を増したアルバムであったようだが、
今作ではミステリアスな不穏さとアヴァンギャルドな展開がいっそう大仰に増幅され、
テクニカルなチェンバー、ジャズロックとプログレ的なシンフォニック要素が絶妙に融合、
ある種、奇跡的なまでの均衡を描いている。先の読めないスリリングな展開がたまらない。
サックス、クラリネットなどの管楽器と、クラシカルなピアノ、ヴァイオリン、シンセなどが一体となり、
まるでシンフォ化したUnivers Zeroとでもいうようなプログレ・チェンバーロックが楽しめる。
緊迫感を漂わせながらも、女性Voが入ったり、静かな叙情性も含んでいて、何度聴いても飽きない。
クラシカルチェンバー度・・9 プログレ度・・8 スリリング度・・10 総合・・9
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■70年代ドイツ、フランス、スペイン、アメリカ

AMON DUULU「Tanz der Lemminge」
ドイツのサイケロックバンド、アモンデュール2の3rd、1971作/邦題は「野ネズミの踊り」または「ロック共同体」
LPでは2枚組だった本作は、15分、19分、18分という大曲で聴かせる力作だ。
ジャケのインパクトでは前作だが、内容の濃密さではこちら。
うっすらとしたシンセに包まれて、ヴァイオリンが鳴り渡り、楽曲は荘厳に始まる。
ゆるやかなアコースティックギターをシンフォニックですらあるキーボードが包み、
ときに薄暗い静謐感をもって、ときに東洋的な雰囲気でもって長曲が綴られてゆく。
サイケロック的な浮遊感と、なにか壮大なヴィジョンが目の前に現れるような感覚、
インプロ的な解放感と楽曲性とが見事なパランスで調和して、すべての音に緊張感をもたらしている。
おそらくドイツという国からしか出て来ないだろう、シンフォニック・サイケロックの傑作である。
シンフォニック度・・8 壮大度・・10 構築度・・8 総合・・9
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Klaus Schulze「Irrlicht」
ジャーマン・シンセミュージックの巨匠、クラウス・シュルツの1st。1972作
元はTANGERINE DREAMASH RA TEMPELのドラマーであったクラウス・シュルツが
シンセによる多重録音でここまでの世界を作り上げたのは驚嘆すべきことだ。
POPOL VUHの初期作という手本はあったにせよ、自然との同調を目指したフリッケに対して
シュルツの世界観はあくまで深い闇に沈み込むような濃密な落下の感覚がある。
キリストの生誕をテーマにした本作は、シュツルがシンセに初めて触れてから
たった3週間後に作られたという作品ながら、すでに後のアルバムと同等の完成度を誇る。
どこまでも暗く、一条の光すらも見えない世界ながら、奥深い空間性を感じさせるサウンドには
シンセ楽器に無限の可能性を求めた、シュルツの内的志向の冒険心を感じとれる。
ここからジャーマンシンセミュージックの巨匠としての彼のキャリアが本格的にスタートする。
暗黒度・・9ロック度・・0 幻想度・・10 総合・・9
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ANYONE'S DAUGHTERPiktors Verwandlungen
ドイツのシンフォニックロックバンド、エニワンズ・ドウターの3rd。1981作
「ピクトルの変身」のタイトルで知られる、ヘルマン・ヘッセの詩をモチーフにした作品で
ライブ録音ながらも、その抜群の演奏と叙情美で、本作はバンドの最高傑作ともされている。
イントロからもう、泣きのギターとシンセが合わさった、まさにドイツのロマンが集約されたような
シンフォニックサウンドが炸裂。曲間にドイツ語によるヘッセの詩の朗読を挟みつつ
その見事なメロディセンスと演奏力で、何度も盛り上がりを迎えながら組曲は進行してゆく。
ドラマーをはじめ、ギターもシンセも、ライブ録音とは思えない巧みな演奏がまったく素晴らしく、
リマスター盤ではさらに音質もダイナミックになっている。ボーナスにはこの組曲の貴重なデモ音源を収録。
美しいジャケも含めて、ドイツのみならず欧州シンフォニックの語り継ぐべき名盤である。必聴。
シンフォニック度・・8 メロディアス度・・9 ロマン度・・10 総合・・9
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ANYONE'S DAUGHTER「REQUESTED DOCUMENT LIVE 1980〜1983」
エニワンズドウターの2枚組ライブアルバム。
シンフォ不作といわれたのドイツの、70〜80年代に燦然と輝きを放った彼ら。そのライブ音源の登場だ。
喜びの悲鳴を上げるほど嬉しい。私にとってこの世でもっとも感性に合うシンフォバンドの一つだからだ。
その徹底したロマン主義、メロディアスかつ繊細な楽曲群は20年後の現在聴いてもまったく色あせない。
もともとスタイリッシュな構築センス、甘いメロディを重視しながらも独自のポップ感覚を有していたバンドなだけに
曲、演奏ともタイトで長曲においても無駄を感じさせない。1stの組曲「ADONIS」完全再現は劇的な感動を呼ぶ。
個人的にはGENESISPFMと同列に扱うべきほどのクオリティをもったバンドだったと思う。
メロディアス度・・9 ロマン度・・10 演奏・・9 総合・・9
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MAGAMA「.M.D.K.」
フランスのプログレッシブロックバンド、マグマの1973作
正式なタイトルは「Mekanik Destructiw Kommandoh」。邦題は「呪われし地球人たちへ」
壮大なコンセプトストーリー「トゥーザムターク」の第三楽章で、マグマの最高作といえば本作だろう。
ジャズロックを基盤にしながらも、コバイヤ語による呪術的なヴォーカルと男女コーラスが、
宇宙的で異色の世界観を形成し、脅迫的に盛り上がってゆくそのサウンドには圧倒される。
多くのバンドにも影響を与えたであろう、ブラスの使い方などもサウンドに壮大な効果を与えていて、
いわゆる後のチェンバーロック系バンドのようなクラシカルな質感も有している。
文字にして解説のしようがない音楽であり、その芸術的な音のうねりに触れていただくのが一番だろう。
個人的には代表作である「ライブ」よりも、こちらの方がコンセプトとしての凄さが分かりやすい。
ジャズロック度・・8 アンサンブル度・・8 壮大度・・10 総合・・9
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Canarios 「Ciclos」
スペインのロックバンド、カナリオスの1974作
もともとこのLos Canariosは、60年代にBeat Pop/Rockバンドとして結成されたのであるが、
いったいどういう経緯があったのか、突如ヴィヴァルディの「四季」をロック化した驚異の名作を生み出した。
なにやらたたごとではないイントロから、オペラティックな女性声が歌いだし、まるで生まれ落ちるかのように
“春”のテーマが始まると、壮麗にしてクラシカルなサウンドがすべてを支配する。
きらびやかなシンセにオーケストラルなストリングスが合わさり、ギターが叙情メロディを重ねる。
この躍動感、ダイナミズムといったら、冬眠していた動物たちもいっせいに目を覚ますに違いない。
クラシックのロック化という点でも歴史的な作品であり、完成度という点でも奇跡的なアルバムだ。
クラシカル度・・10 シンフォニック度・・9 大仰度・・9 総合・・9
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HAPPY THE MAN「CRAFTY HANDS」
アメリカのプログレバンド、ハッピー・ザ・マンの2nd。1978作
1stでアメリカのプログレのイモ臭さを完璧に払拭した彼らが生み出した最高傑作。
前作の流れをそのままに音にはダイナミックな広がりが増し、インストをメインにしながら、
キレのよいリズムアンサンブルにギターとシンセの重なる叙情味溢れるメロディが素晴らしい。
その絶妙に洗練されたサウンドには、アメリカのバンドらしからぬ吹っ切れを感じさせ、
とくにリーダーであるキット・ワトキンスの巧みなシンセワークは、繊細なクラシカルさと同時に
フュージョン的でもあるモダンな感触を生み出していて、今聴いてもそのセンスは輝いている。
プログレ後進国といわれたアメリカの70年代でこのクオリティは奇跡的。テクニカルシンフォの名作だ。
メロディアス度・・9 テクニカル度・・8 軽やか度・・9 総合・・9
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HAPPY THE MAN「BETTER LATE...」
ハッピーザマンの3rd。1979作
とにかくこのバンドの1st、2ndを聴いてから、アメリカ70年代のプログレを見直すことになったのだ。
それだけの凄いバンドなのだ。2nd「CRAFTY HANS」では彼らのテクニカルなセンスに打ちのめされたわけだが
この3rdでは音的には「たおやか」といってよいほど、ぐっと落ち着いた雰囲気である。
もちろんよく聴けばその演奏は確固たる技術に裏打ちされたものなのだが、
表面上はそんなものさらとも出さず、しっとりとした叙情美を構築してゆく。
もはやテクニックなど見せびらかすものではない、と3作目にしてすでに悟っているかのようだ。
なんてハイセンスな奴らだ。お前ら本当にアメリカ人なのか?といいたくなるほど。
余裕ある演奏でじっくりとメロディをつむぎあげ極上のシンフォプログレを作っている。
メロディアス度・・8 ギターも素晴らしい度・・9 演奏・・9 総合・・9
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KANSAS「Two for the Show」
アメリカのプログレバンド、カンサスのライブアルバム。1978/2008作
この「偉大なる聴衆へ」は、間違いなくKANSASの作品中最高のアルバムであり、
またプログレとしてだけでなく、ロックを代表する傑作ライブアルバムとしても名高いが、
これはリリースから30周年を記念して出された、2枚組のいわば完全版だ。
キャッチーなメロディに鳴り響くヴァイオリン、そしてドラマティックな楽曲群…
“Lamplight Symphony”から名曲“The Wall”への流れはやはり感動的だ。
Disc2には未発のライブ音源を11曲に、さらにCD化する際に削られた曲も収録。
リマスターで音質も向上。プログレ者なら必ず聴くべき作品である。
メロディアス度・・8 ライブ演奏・・9 買い換え度・・10 総合・・9
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■90年代以降のネオプログレ

PENDRAGON「Masquerade Overture」
イギリスのシンフォニックロックバンド、ペンドラゴンの1996作
1991年の3rd「THE WORLD」以降、よりダイナミックなサウンドで、かつてのポンプロック路線を
現代版のシンフォニックロックへと昇華してきたこのバンド。本作はまさに決定打というべき傑作となった。
ロマンの香りに満ちたジャケットアートと、「仮面舞踏への序曲」という幻想的なタイトルにも胸踊るが、
厳かな混声合唱の入ったイントロから、ゆるやかに楽曲が始まると、壮大なスケール感に叙情の加わった
シンフォニックロックが炸裂。ニック・パレットの流麗なギターメロディと、クライブ・ノーランの美しいシンセワーク、
繊細さとダイナミズムが交差しながら、盛り上がりでの泣きのメロウさは尋常ではない。
ロマンと幻想の美に彩られた90年代を代表するシンフォニックロック作品の一枚である。
シンフォニック度・・9 繊細度・・9 幻想とロマン度・・10 総合・・9
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PENDRAGON「NOT OF THIS WORLD」
ペンドラゴンの2001作
1991年の「THE WORLD」以降、クオリティの高いシンフォニックアルバムを発表し続ける
中心人物のニック・バレット、そしてクライブ・ノーランのシンフォニックロックに注ぐ熱情はもの凄い。
前作「仮面舞踏への序曲」からの流れを引き継いだ、大作志向の楽曲がずらりと並び、
そしてそれらがゆるやかに、ときに激しく盛り上がってゆく様は圧巻のひとことだ。
ニック・バレットのギターはテクニック志向というよりは、繊細なメロディによる叙情性を重視しており、
キャメルのアンディ・ラティマーを思わせる「泣き」の美学を見事に継承している。メタル系のリスナーは
歌が弱いと思うかもしれないが、歌を含めすべての演奏が泣きのシンフォニックを目指しているのが彼らなのだ。
メロディアス度・・9 シンフォニック度・・10 幻想とロマン度・・10 総合・・9
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Secret Green 「To Wake the King」
イギリスのシンフォニックロックバンド、シークレット・グリーンの2009作
かつてのTHE ENIDのメンバーである、Francis Lickerishを中心としたバンドで、
サウンドのほうはまさしく70年代のエニドを現代に甦らせたような壮麗なシンフォニック。
美麗なオーケストレーションにメロウなギターが鳴り響き、女性ヴォーカルの歌声とともに、
トラッド的な中世風味とファンタジックな世界観を広がりのあるスケール感で聴かせる。
クラシカルで優雅な旋律にロックオペラ的なダイナミズムも加わり、英国的な伝統色も含めて
アーサー王伝説をテーマにした壮大華麗なシンフォニックロックを繰り広げる。これは素晴らしい傑作。
シンフォニック度・・9 美麗度・・10 エニ度・・9 総合・・9
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FLAMBOROUGH HEAD「DEFINING THE LEGACY」
オランダ出身のシンフォニックバンド、フラムボロウヘッドの2nd。2000作。
基本はジェネシス的なシアトリカルでシリアスな壮大系シンフォニックサウンド。
90年代以降この手のバンドは各国から頻出しており、大半が過去の焼き増しか、
曲の質が付いていってないバンドばかりなのだが、それらに比してこのバンドのクオリティは凄い。
まず静と動の対比がダイナミック。そしてメロディセンスも抜群。泣きのパートは徹底的に叙情的。
ゆるやかなピアノ、メロウなギターフレージングで夢うつつ。一転、クライマックスでは大盛り上がり。
この吹っ切れは凄い。ここまでやったバンドは最近ではPENDRAGON意外には知らない。
ジャケ絵が無骨なのが惜しまれる。内容は完璧。分厚い音の洪水にうっとり。
シンフォニック度・・10 爽快度・・9 楽曲度・・8 総合・・9
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AMAROK 「Quentadharken」
スペインのトラッドシンフォバンド、アマロックの6th。2004作
民族的要素とプログレ感覚を融合させた、クオリティの高い作品を毎回発表しているこのバンド。
本作もじつに素晴らしい。たおやかなフルートにサックス、ヴァイオリンにアコギ、そこにキーボードが絡み、
プログレ的なドラムが加わると、ある種、摩訶不思議なトラッドロックサウンドとなる。
そして、音には嘘臭さがなく、本物のバスクの香り漂うトラッドとプログレとの驚嘆すべき完全なる融合を成し遂げている。
スパニッシュで歌われる女性Voの歌唱も素晴らしく、曲によってはエレキギターも加わり、スペイシーなシンセワークも現れる。
一方ではピアノ、フルート、アコーディオンなどの音色が実に繊細で、一筋縄ではいかない器の大きさを感じさせる。
たおやかにして大胆、そして異国的で優美なシンフォニックプログレトラッド最高の1枚。これぞ必聴作!
シンフォニック度・・8 プログレ度・・9 トラッ度・・8 総合・・9.5
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ANGLAGARD「Hybris」
スウェーデンのプログレバンド、アングラガルドの1st。1992年作
当時、ANEKDOTENに先駆けて現れたこのバンドが、90年代北欧プログレの
活性化の一端をになったことは間違いがない。個人的にも、当時「ザ・シンフォニック組曲」という
邦題で店頭に並んでいた本作を聴いたときには、かなりの衝撃を受けたものだ。
クリムゾン的な緊張感に北欧の土着メロディを加え、そこに鳴り響くメロトロン、フルートと
好事家にはたまらないサウンドで、北欧の薄暗い森を思わせる神秘的な雰囲気も素晴らしい。
10分台の曲が3曲もあるという大作志向にもしびれたし、ANEKDOTENのヘヴィネスに比べると
こちらはずっとトラディショナルで、メロディに素朴な土の香りが感じられるのも魅力的だ。
バンドはこの後2nd「Epiloge」、ライブ盤「Buried ALive」を発表後にいったん解散する。
彼らの残した2枚のアルバムは、これからも北欧プログレの遺産として語り継がれるだろう。
シンフォニック度・・8 メロトロン度・・9 北欧度・・10 総合・・9
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ANGLAGARD「Viljans Oga」
スウェーデンのプログレバンド、アングラガルドの2012年作
1992年、95年に、二作の傑作を残し消えたこのバンドが、なんと17年ぶりとなる復活作を出した。
10分以上の大曲4曲という構成は、名作である1st「Hybris」を思わせるが、サウンドもかつてのまま。
やわらかなフルートの音色に導かれ、うっすらとしたメロトロンを響かせつつ、北欧らしい薄暗い叙情に包まれた、
「これぞアングラガルド!」という世界観である。変拍子を含んだ起伏に富んだ展開力、静と動のダイナミクス、
じわじわと聴き手のイメージを広げてゆくような作風、そのセンスは相変わらず素晴らしいという他にない。
随所にギターによるメロウなフレーズも効いていて、シンフォニックロックとしてもしっかりツボを押さえている。
初期クリムゾンから受け継がれる空間的スケール感をじっくりと構築、体現してゆくその姿勢は、
いわばポップ化における「収束」とは真っ向から対立する格好よさだ。1st、2ndを超えようかという傑作である。

ドラマティック度・・8 北欧度・・9 アングラガル度・・10 総合・・9
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THE FLOWER KINGS「THE RAIN MAKER」
スウェーデンのシンフォニックバンド、フラワー・キングスの6th。2001年作
今作は、一言で言うと自然体なアルバムで、そのサウンドにはなんの気負いも感じられない。
1曲目冒頭のダークなメタリックなリフに驚くが、その後は適度に余裕のある楽曲がバンドの年季を感じさせる。
メロディの流れ、流麗な楽曲アレンジには無理や誇張がなく、演奏者の楽しさが伝わってくるようだ。
アルバムを重ねるごとに、アレンジとメロディの洗練度を上げて、ついにここまでの質に到達した。
現在シンフォニックの大作をここまでさらりと作ってしまえるバンドは、この「花王」をおいていまい。
メロディアス度・・9 シンフォニック度・・8 楽曲アレンジ・・9 総合・・9
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THE FLOWER KINGS「MEET THE FLOWER KINGS」
現在形北欧シンフォの代表、フラワー・キングスのライブDVD。2003作
ライブにおいても見事なロイネのギターは当然として、改めて素晴らしいと思えるのがZ・チョースのドラムで、
手数の多さと確かなテクニックに加え、独自のセンスを持ったドラミングは楽曲の核を担っている。
また、もう一人のG/Voであるハンス・フレベリは、歌のみならずフロントマンとしてのルックス的にもバンドの「顔」となっている。
そしてツアー参加しているダニエル・ギルデンロウ(PAIN OF SALVATION)も、曲によってギター・キーボード・パーカッションと器用にこなし
裏方で大活躍。とにかく、この演奏とバンドアンサンブルを見ていれば、いかに彼かの音が緻密な重なりと
心地よい空間の構築で構成されているのかが再確認できるはず。まだフラキンを知らない方にも、
このDVDを見ることでこのバンドの素晴らしさがどこにあるかが理解できよう。必見のライブ作品。
ライブ映像・・9 ライブ演奏・・9 シンフォニック度・・8 総合・・9
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MATS/MORGAN「LIVE」
スウェーデンの超絶テクニカルコンビ、マッツ・アンド・モルガンのライブ作、2001作
ザッパと共演したことでも知られる彼らだが、このライブでも期待にたがわぬ圧倒的な演奏を披露。
テクニカルで高度な変拍子バリバリの楽曲を、ユーモラスに、余裕すら感じる演奏で突っ走る。
あえてジャンル分けするのなら、ジャズロックだが、メロディが前に出ているので退屈することなく聴け、
しかも真剣に聴けば聴くほどその驚愕の演奏力に腰を抜かす、という具合。
モルガンのドラムはマイク・ポートノイばりに手数が多く、正確で豊かな表現力は素晴らしい。
多様な音色を操るマッツのキーボードも歌がなくとも十分フロント楽器たりえている。
メロディアス度・・6 テクニカル楽曲度・・10 演奏力・・10 総合・・9
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MATS/MORGAN「ON AIR WITH GUESTS」
スウェーデンの変態アヴァンデュオ、マッツ・アンド・モルガンのライブアルバム。2002作。
彼らの作り出す異常にして人智を超えたような楽曲群はライブでこそ本領が発揮されるらしく
「本当にコレライブでやってんの?」と尋ねたくなるような演奏が繰り広げられている。
コロコロとした可愛らしいメロディをとんでもない変拍子に乗せたり、反復するリズムをずらし、
聴覚を麻痺させるようなアレンジをこなすかと思えばMESHUGGAHのフレドリック・トーテンダルをゲストに、
ゴリゴリギターの変態メタルまで「なんだコリャ」の連続で、聴き終える頃にはあっけにとられている。
とくにモルガンのドラムはものすごく、手数、切れ味ともに信じがたいレベル。
これを本当に曲として覚えて叩いているのなら、彼は宇宙人といってよいかもしれない。
変態音楽愛好家、テクニカルプログレ好きはまず聴くこと。悶絶してください。
メロディアス度・・7 テクニカル度・・10 変態度・・10 総合・・9
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MATS MORGAN BAND「The Music or the Money」
スウェーデンのアヴァン(ポップ)ロックバンド、マッツ・モルガン・バンドの2010作
もともとが2枚組であった2ndにボーナス12曲を追加し、ジャケや曲順も変更した2010年新装盤。
全盲のシンセ弾きマッツの常人離れしたシンセワークと、モルガンの技巧的かつ軽妙なドラム、
そして、バンド編成になっての楽曲では、ベースを含めたアンサンブルにも磨きがかかり、
ただアヴァンギャルドなだけではなく、音楽的にもひとつ芯が通ってきたという印象がある。
本作では、マッツの曲とモルガンの曲、そしてバンド編成の曲がバラバラに入っていて、
アートな感性の宇宙人的奇妙さであったり、超絶でテクニカルかつコミカルであったりする…
一括りで言うなら「楽しいヘンタイ」というような、斬新なサウンドが目一杯詰まっている。
頭で理解しようとは思わず、ノリと感性、右脳で楽しむ、ワンダーなアヴァン・プログレ作品である。
テクニカル度・・9 アヴァンギャル度・・9 ヘンタイ度・・9 総合・・9
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Moon Safari「Blomljud」
スウェーデンのシンフォニックロックバンド、ムーン・サファリの2nd。2008作
彼らの1stはThe Flower Kingsのメロディアスさを抽出したような、シンフォニックの好作だったが、
今作も牧歌的なコーラスや、 アコースティカルな素朴さを取り入れた、じつに美しく繊細なアルバムだ。
つややかなピアノの音色にオルガンが重なり、どこかなつかしいようなレトロさとともに
温かみのあるヴォーカルメロディが爽やかに響く。大曲の盛り上げ所では
ロイネ・ストルトばりのギターに思わずにんまりだし、Disc1のラスト曲などはじつに感動的だ。
派手さよりもフォーク的な素朴な情感で聴かせる、とても素敵なメロディアスシンフォ。
鳥の鳴き声を聴きながら日だまりでまどろむような、そんな優しい気分になれる作品です。
CD2枚組みで曲も長いが何度でも聴きたくなる。メロディ派は必聴。
メロディアス度・・10 繊細度・・9 素朴度・・9 総合・・9
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MOON SAFARI「Lover's End」
スウェーデンのシンフォニックロックバンド、ムーン・サファリの2010年作
前作の2枚組アルバムが泣くほど素晴らしかったのだが、今作も繊細な叙情美が
素晴らしい傑作となった。やわらかなヴォーカルハーモニーと、美しいピアノとシンセワーク、
そして、ロイネ・ストルトかアンディ・ラティマーかという泣きのギターフレーズ、
涼やかな北欧の風を運ぶようなこの耳心地の良さには、またしてもうっとりとなる。
誤解を恐れずにいえば、かつての70年代のヒッピー世代におけるユートピア志向を、
感動的なまでの叙情性を込めて、心温まる青春偶像ドラマに仕立て上げたというべき、
ちょっぴり甘酸っぱい思い出を脳裏に甦らせるような、どこかなつかしいメロディがたまらない。
フラキンファンもきっと泣く。優しい叙情に感動。北欧繊細系シンフォニックの大傑作。
メロディアス度・・9 繊細度・・9 青春度・・9 総合・・9
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TRANSATLANTIC「BRIDGE ACROSS FOREVER」
シンフォニックハードのスーパーバンド、トランスアトランティックの2nd。2001作
1stではいきなり1曲目から30分の大曲だったが、今回も全4曲うち25分以上が2曲という大作志向。
サウンドの方は、もはやメンバーがメンバーだけになんの心配もない。
全篇高密度かつ叙情的な、メロディアスシンフォニックのオンパレード。
恐らく前回よりも録音に金がかけられたのか、音質も向上し、曲の盛り上がりはよりド迫力に。
ロイネのメロディアスなギターフレージングは相変わらず素晴らしく、
ニール・モーズのキーボードワークも音色、メロディともに冴え、HRファンには不評な彼の歌も
バックの美しいコーラスハーモニーの中で問題なく聴ける。まさにシンフォニックの理想郷。
メロディアス度・・9 シンフォニック度・・9 プログレ度・・7 総合・・9
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TRANSATLANTICWhirld Tour 2010」
復活したスーパーバンド、トランスアトランティックのライブアルバム。2010作
2009年の「Whirlwind」で再び飛翔を開始したスーパーバンド、2010年ロンドンでの公演を収録。
ニール・モーズ、マイク・ポートノイ、ロイネ・ストルト、ピート・トレワヴァスの4人に、ツアーメンバーのダニエル・ギルデンロウ
(PAIN OF SALVATION)を含めたステージで、のっけから0分近い大作「Whirlwind」を完全再現。
華麗にシンセを弾きこなしながら、情感の込もった歌声を聴かせるニール・モーズを筆頭に、
より渋みをましたロイネのギターワークは、決して派手さはないがその一音一音が実に味がある。
DREAM THEATERでのプレイ以上に楽しげにドラムをプレイするポートノイ、存在感あるベースを聴かせるトレワヴァス、
そしてマラカスにシンセ、エレキにアコギと、なにげに大活躍のダニエルは、映像で見ると元気いっぱいで
その若々しいはっちゃけぶりがかわいい。この5人のケミストリーが一体となり、ひとつの大きなビジョンを作り上げてゆくがごとき
素晴らしい演奏ぶりは、スタジオ盤で感じたいくぶんの長尺感を吹き飛ばすものだ。
全員がヴォーカル/コーラスをとる、キャッチーなメロディアスさとドラマティックな展開力、
そして名人の域に達している各人のプレイぶりは、ぜひともDVDでも見ていただきたい。
ようやく80分の大曲が終わったかと思うと、次は30分の“All of The Above”が始まり、
同じく30分のドラマティックな大曲“Stranger in Your Soul”まで、全6曲180分超という…濃密なハードプログレが炸裂する。
ドラマティック度・・9 ライブ演奏・・9 お腹いっぱい度・・10 総合・・9
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Eduard ARTEMIEV「Warmth of Earth」
旧ソ連の音楽家、エデュアルド・アルテミエフの1984年作
アルテミエフの代表作にして、80年代東欧シンフォニックの名作。音を聴いて血涌き肉踊るとはまさにこのこと。
なにやらただ事でない雰囲気のSEから、曲が始まるや、疾走するリズムに炸裂する怒濤のシンセ。
静寂パートに響く美しい女性ヴォーカル…そして、泣きの大叙情。クラシカルな硬質感と
オペラティックな壮大さが合わさり、ときにまるで映画音楽のようにドラマティックな音像になる、
かと思えば、プログレ的なシンセとギターが躍動感溢れるロックのダイナミズムを構築する。
アルテミエフ本人は作曲のみで演奏はしていないということだが、そうした指揮者と演奏者を分けた
いわばクラシック的な方法論から生まれた異色の作品とも言えるだろう。ともかく、壮大かつ緻密に作られた
東欧のシンフォニックロック史上に残る大傑作だ。紙ジャケリマスター盤にはオリジナルLPヴァージョンを4曲追加収録!
シンフォニック度・・9 プログレ度・・8 壮大度・・10 総合・・9
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AFTER CRYING「CREATURA」
ハンガリーのシンフォニックロックバンド、アフター・クライングの8th。2011年作
90年代以降の東欧を代表するシリアス系シンフォニックの代表格、前作から8年ぶりとなる本作は
10分、24分、14分、14分という、長大な組曲による四部構成で、それぞれの楽曲が世界における
東西南北を表すというコンセプト作品。どっしりとしたグルーブを下地にした緊張感に包まれたアンサンブルと、
クラシカルなアカデミックさを覗かせるシリアスな重厚さが素晴らしい。ヴァイオリンやチェロ、トランペットなどを効果的に使い、
オーケストレイテッドな壮大さと室内楽の繊細な空間性を同居させる、その職人的アレンジセンスも見事という他にない。
ELPとKING CRIMSONの影響下からスタートしたこのバンドが、ここまでの雄大なビジョンを描ききるバンドになったのだから、
まったくもってプログレは素晴らしい…そう思わせるだけの傑作だ。「東欧の巨人」という名称を彼らに与えたい。
ドラマティック度・・9 プログレ度・・9 壮大度・・9 総合・・9
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RUMBLIN' ORCHESTRA「THE KING'S NEW GARMENT」
ハンガリーのシンフォニックロックバンド、ランブリン・オーケストラの2nd。2000作
1st「SPARTACUS」において現代版TRIUMVIRATかRICK WAKEMANかELPかという、
素晴らしいキーボードシンフォニックロック作品で颯爽と登場したこのバンド。
今回は「裸の王様」をテーマに、より壮大さを増したド級のクラシカルシンフォとなっている。
ヴァイオリン、オーボエ、トロンボーンなどの管弦楽隊を導入し、音の厚みとクラシカルな説得力も増しているが、
しかしこのバンドの素晴らしいところは、そうしたクラシックに裏打ちされた素養を持ちながら
シンフォニックプログレとしてキャッチーで分かりやすい。つまり大衆向けであるということである。
いうなれば同じくクラシカルシンフォニックのAFTER CRYINGの方向性とは180度逆なのだ。
シリアスさよりも、爽快さを追求した作風は今後ともこのバンドの生命線になるだろう。
大仰で、クラシカル、それでも分かりやすいシンフォニックロックを聴くなら、まずこのアルバムをお薦めする
シンフォニック度・・9 クラシカル度・・8 壮大華麗度・・10 総合・・9
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DEVIL DOLL「Sacrilegium」
スロヴェニア出身のシアトリカル・ゴシックバンド、デヴィル・ドールの3rd。1992作
最高傑作ともいうべき、この暗黒の異色作。とにかく、本作「宗教冒涜」を最初に聴いたときの衝撃というのは大変なものだった。
鬼才Mr.Doctorの描き出す豊穣な闇と美しき狂気…一歩踏み込んだら二度とは抜け出せないような
妖しく耽美なその世界。荘厳なチャーチオルガンと混声コーラスで幕を開け、もの悲しいピアノをバックに
老婆のようなしわがれ声から甲高い絶叫まで声を使い分けるヴォーカルが暗闇のオペラを語り上げてゆく。
クラシカルな優雅さとゴシックホラー的な漆黒の芸術性が合わさった異常ともいうべき全1曲の長大な構成。
もはや演劇か映画か、ともいうべき濃密なドラマ性を有したその音に、衝撃を受けないものはいまい。
アヴァンギャルドな感性を解するものであるほど、この前代未聞の音楽芸術に引き込まれるはずだ。
クラシカル度・・8 暗黒オペラ度・・9 シアトリカル度・・10 総合・・9
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DEVIL DOLL「The sacrilege of fatal arms」
スロヴェニア出身という謎の奇才Mr.Doctor率いるシアトリカル・ゴシックユニット、デヴィルドール
正規アルバムとしては4枚出しているが、そのどれもがダークで演劇的な妖しい暗闇を感じさせる怪作である。
本作は3rd「SACRILEGIUM」の元となった映画サントラ作品で、かつては限定900枚プレスの希少盤だった。
音の方はというと、日本でたとえるならこれはもうJAシーザー、天上桟敷か…といったぐあい。
バックの演奏、ギター、ドラムなどにはいくぶんメタル色もあり、その点でクラシカルなゴシックメタルとしても聴ける。
高音カナきり声から恐ろしげな囁き、しわがれ声まで使い分けるMr.Doctorの歌声は一聴の価値あり。
ブラックメタルも真っ青な暗黒の世界と壮大なコーラス、そしてオペラティックな展開で濃密に聴かせます。
クラシカル度・・9 暗黒度・・9 シアトリカル度・・10 総合・・9
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DEVIL DOLL「DIES IRAE」
スロベニアの暗黒プログレバンド、デヴィル・ドールの4th。1995作
鬼才Mr.Doctorによる、誇大妄想的な暗黒オペラティックロックバンドとして、
コアなリスナーから語り継がれる存在であるが、彼らの作った4枚+1の作品はどれもが濃密な闇と、
アヴァンギャルドかつ芸術的な傑作である。圧倒的な迫力においては、3rd「宗教冒涜」が一番だろうが
楽曲としての完成度の高さではおそらく本作「怒りの日」だろう。16パートに分かれたこの長大な楽曲は、
優美で荘厳なオーケストレーションと、オペラティックな女性スキャットから始まり
しわがれ声と高音を使い分ける、Mr.Doctorのヴォーカルを中心に、シアトリカルに展開してゆく。
つまびかれるピアノすらも不穏な気配を感じさせ、優雅なクラシカルさを深い暗黒の舞台において
緊張感をもたせた演劇性とともに存在させている。このセンスと世界観は誰にも真似ができない。
まさに驚異の怪作だ。火災により一度はマスターテープが焼けてしまったという、いわくつきの本作は、
これからもカルトな音楽ファンを魅了し続けることだろう。2008年リマスター盤は変形ジャケを再現。
クラシカル度・・9 暗黒オペラ度・・9 シアトリカル度・・10 総合・・9
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LITTLE TRAGEDIES「NEW FAUST」
ロシアのシンフォニックバンド、リトル・トラジェディーズの4作目。2006年作
毎回、「超」がつくほどのド級のシンフォニック作を聴かせてくれるこのバンド、
前作も思わず笑ってしまうほどの大盛り上がり大会であったが、この新作はそれをも上回る。
タイトル通り、ゲーテの「ファウスト」を新解釈したコンセプト作で、
クラシックのメロディや古典の文献からの引用など、気合の入った大がかりなCD2枚組となった。
弾きまくりのキーボード、クラシカルかつ優雅なメロディ、むせび泣くギターに怒濤の盛り上がり。
どこを切っても、手抜きなしの濃密シンフォニックサウンドで大変気合入ってます。
そして、物語的に進んでゆく楽曲構成は、2枚組み作品としての流れも見事にかみ合っていて
まるで壮麗な古典絵巻を聴いているかのよう。血湧き肉躍るメロディの大洪水に顔がにやけっぱなし。
シンフォニック度・・9 プログレ度・・8 ドラマティック度・・10 総合・・9
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QUIDAM「THE TIME BENEATH THE SKY」
ポーランドのシンフォニックロックバンド、クイダムの3rd。2002作
前作はややポップさを前に出した作品だったが、この3rdではぐっとシリアスさを増している。
美しいフルートの音色と、女性ヴォーカルの魅力はもちろん、ギターのエッジがよりはっきりとして
ときおり聴かせるハードなリフなどは、ある種ゴシックメタル的であったりする。
楽曲の雰囲気が多少ダークになった分、アンビエントな女性ヴォーカルものとして
初期ALL ABOUT EVEや、あるいはフランスのMYLENE FARMER的な色合いすらも感じる。
女性声シンフォニックとしても、静謐アンビエント系のゴシックロックとしても類まれなる傑作だ。
LED ZEPPELINの“No Quarter”のカヴァーもハマっている。
シンフォニック度・・8 アンビエント度・・9 女性Vo度・・9 総合・・9
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DISCUS「...tot licht!」
インドネシアのプログレバンド、ディスクスの2nd。2003作
いろんな所で「凄い」と評価されていたアルバムだが…ホント、コリャ凄い。
やっていることは素晴らしく、無節操で高度な演奏と矢継ぎ早の展開に唖然…。
やや変態入ったジャズロックかと思いきや、なにげにバックではギターがメタルリフを弾いているし、
かと思うとガムランの詠唱みたいのが始まってゆったりとしたサックスのメロディ〜
シンフォチックなキーボード、美声の女性Voのたおやかな歌声などにうっとりしていたら
次の曲では、アヴァンギャルドな変則リズムに乗せて歪み系男Voがガナってますよ(^^;)
プログレ…ジャズ、シンフォ、メタル、民族音楽と、様々な要素を叩き込み
彼らのセンスにおいてゴッタ煮にして仕上げましたという感じで、
結果として恐るべきプログレッシブな作品になっています。楽しみ所満載で怖いほど。
最終曲のダイナミズムと感動的な盛り上がりには何故か日本のMr.SIRIUSを思い出した。
テクニカルでメロディアス度・・9 プログレ度・・10 ごった煮度・・10 総合・・9
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FLAIRCK「Oeuvre」
オランダのアコースティカルプログレバンド、フレアークの22枚組みBOX。
彼らのCDは希少なものが多く、コンプリートは不可能…と思っていただけに、これは嬉しい。
さてさて、FLAIRCKはアコースティック楽器を超絶な技術で弾きこなす、
芸術性と大道芸人根性に溢れる、まるでサーカスのようなバンドです。
アコースティックギターに、ヴァイオリン、フルートなどによるアンサンブルはあまりに上手すぎて、
BGMのように聴き流すことも可能なくらいなめらかですが、よくよく聴くと唖然とする…という類。
とくに、超速吹きフルートを聴かせるPETER WEEKERSが脱退するまでの作品は
軽やかな中にも緊張感をたたえた、素晴らしき演奏のサーカスが堪能できます。
このBOXでしか聴けない、完全版のライブ音源などもあり、これは値段の安さも考えると
買わずにはおれない必携のセットかと。下手なプログレを聴くよりはよほど幸せになれます。
メロディアス度・・8 アコースティカル度・・9 さらりと超絶演奏度・・10 総合・・9
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■南米プログレ

MARCO ANTONIO ARAUJO「LUCAS」
ブラジルのプログレ系アーティスト、マルコ・アントニオ・アラウージョの4th。1984作
SAGRADOMARCUS VIANAと並び、ブラジル最高のシンフォ系アーティスト。
前3作はいずれも素晴らしい出来だったが、ラスト作となる本アルバムもまさに絶品。
冒頭のピアノとフルートからしてもう絶品の美しさ。この繊細な音色ときたら…もう。
今作は16分の大曲を冒頭に、これまでのキャリアの集大成的な内容で、
クラシカルかつたおやかに聴かせる演奏は本当に素晴らしい。
アカデミックな細やかなアレンジと、メロディアスな聴きやすさのバランスも見事で、
CAMELの最良部をとり出してもかなわないほどの叙情美にはうっとりとなる。
後半の小曲もピアノやアコギなどが実に味わい深い。彼はこの作品を残して夭逝するが、
南米シンフォニックの名作として、もっと多くの人々に語られるべき内容だろう。
メロディアス度・・10 クラシカル度・・9 繊細度・・10 総合・・9


SAGRADO CORACAO DA TERRA「FLECHA」
南米ブラジルを代表するシンフォニックバンド、サグラドの2nd。1987年作
やはり、初期のサグラドは良いですなー。じつに雄大でそれでいて素朴な、大自然を感じる音というのか。
マルクス・ヴィアナのヴァイオリンも実に繊細で、その艶やかなな音色に聞き惚れます。
シンセアレンジもうるさすぎず、しっとりと楽曲を盛り上げてつつ、美しい女性コーラスなども絶妙に加わります。
ゆったりとした叙情美の1st、華麗なダイナミズムの3rdとすれば、この2ndはその中間くらいでしょうか。
80年代の世界のシンフォニックロックシーンを考えても、これほどクオリティの高いバンドは稀でしょう。
メロディアス度・・9シンフォニック度・・8 雄大度・・9 総合・・9
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SAGRADO「FAROL DA LIBERDADE」
サグラドの3rd。1991年作
艶やかなヴァイオリンの乱舞で軽やかに疾走する、1曲め“Danca das Fadas”のインパクトは
ただごとではなかった。大自然を思わせる繊細な叙情美と雄大なダイナミズムを同居させ、
それをメロディックに仕上げてゆく彼らのサウンドは、本作で完成をみたといえるだろう。
これまでよりインストパートに重点が置かれたことで、ヴォーカル曲とのメリハリがついて、
美しいピアノやシンセ、それに絡むヴァイオリンやフルートの音色などがより躍動感をともなって響いてゆく。
しっとりと優しく、優雅で壮大という、感動的なまでの完成度である。
メロディアス度・・9シンフォニック度・・8 雄大度・・10 総合・・9
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SAGRADO「COLETANEA T- CANCOES」
ブラジルのシンフォニックロックバンド、サグラドのベストアルバム1。
このアルバムは、世界最高峰の叙情派シンフォニックロックバンドのベスト盤であり、
「I」と「U」とに分けられたそれぞれのCDには「歌ものベスト」「インストベスト」という構成で
かつてのアルバムから名曲の数々がチョイスされていて、まさにサグラドのベストといえる
(大好きな3rd「FAROL DA LIVERDADE(自由の灯)」の1曲目も入っているしね)
前作にあたる「SACRED HEART OF EARTH」は歌詞を英語版にしたリレコーディングバージョンで
サグラド本来のたおやかな叙情は、いくぶん現代風のアレンジとともに薄められていたのだが、
今回のベストは原曲をそのままに、リマスターで音質をアップしたものになっていてとても嬉しい。
情感ゆたかなヴァイオリンの音色、ソウルフルな母国語の歌唱、
雄大な大自然が眼前に浮かび上がるような、壮大かつ牧歌的な音像に感動!
シンフォニック度・・9 雄大な叙情度・・10 音質向上度・・9 総合・・9
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SAGRADO「COLETANEA U- INSTRUMENTAL」
ブラジルのシンフォニックロックバンド、サグラドのベストアルバム2。
こちらはインスト曲を中心としたベスト。歌がない分、演奏そのものの盛り上がりがダイレクトに伝わってくる。
ヴァイオリン、ピアノ、ギターなどがその叙情性も含めて一体となって音に重なり、
それがメロディとなって「ぐわーん」と押し寄せてくる様はまさに圧巻だ。
音質向上により、音のダイナミズムがかつてのアルバム盤以上になっていて、
静のパートでも繊細なピアノ、ヴァイオリンの音色がしっかり楽しめます。
まるで映画サントラ並の雄大さに、ここまでの泣きのメロディを情感たっぷりに
演奏されたら、・・・たまりません。降伏しましょう。地球に優しいシンフォニックサウンド。
うっとりと、雄大な大自然を思い浮かべるように、この音に聞き入りましょう。
シンフォニック度・・9 雄大な叙情度・・9 音質向上度・・9 総合・・9
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MARCUS VIANA「TRILHAS & TEMAS」
SAGRADOのリーダー、マルクス・ヴィアナのソロアルバム。1992作
こちらはサントラではなく音楽として純粋な彼のソロで、サグラドの静かな叙情美をそのまま取り出したようなサウンド。
クラシカルで格調高いが、どこか優しさを感じるヴィアナのヴァイオリンがたっぷり堪能できる。
クラシカルで室内楽的でありながら、自然体でシンフォニック。サグラドファンも満足の一枚。
ヴァイオリンはもちろん、彼自ら弾くピアノも実に美しい。
クラシカル度・・9 シンフォニック度・・9 たおやか度・・10 総合・・9
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Quaterna Requiem「Quasimodo」
ブラジルのシンフォニックロックバンド、カテルナ・レクイエムの2nd。1994作
1st「Velha Gravura」はヴァイオリン、フルート入りのシンフォニックロック力作であったが、
続く本作はも38分の組曲入りのド級のシンフォ大作。イントロの荘厳さからして
ドラマティックなプレリュードというように胸踊る。今作にはヴァイオリン奏者は参加していないが、
まるで南米のPAR LINDHかというようにクラシカルに弾きまくる女性シンセ奏者を中心に、
壮麗きわまりないコテコテのクラシカル・シンフォニックロックを展開。そしてラストの大曲は
グレゴリアンチャントまで入った悶絶級の出来。90年代の南米シンフォを代表する濃密傑作だ。
シンフォニック度・・9 クラシカル度・・8 キーボー度・・9 総合・・9


CAST「Originallis」
メキシコのプログレバンド、キャストの2008作
ここ数作は、どれもが世界気ベルの傑作であり、前作「Com.Union」は素晴らしいアルバムであったが、
今作はなんとCD2枚組の大作。やわらかみのあるシンセが美麗に鳴り響き、たおやかなフルートの音色に
泣きのギター、哀愁溢れるスペイン語の歌唱と女性コーラス。のっけからシンフォニック全開で聴かせつつ、
今作ではジャズロック的な軽やかな展開力も覗かせて、前作にもましてカラフルな趣だ。
しかし、毎度のことながらこのメロディと叙情美へのこだわりはハンパではない。
往年のCAMELGENESISを足して3倍濃縮させたかのような場面の連続に、
思わずにんまりとしつつ、泣きのメロディと哀愁に胸を打たれるのである。またしても傑作。
メロディアス度・・9 シンフォニック度・・8 哀愁と叙情度・・9 総合・・9
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■トラッド/ケルト/女性ヴォーカル系


BJORN J:SON LINDH「Svensk Rapsodi」
スウェーデンのミュージシャン、ビヨルン・J:SON・リンデの1989年作
Bo Hanssonと並ぶ、スウェーデンのジャズ/トラッド系ミュージシャンであり
フルート奏者でもある彼が、北欧シンフォニック的な叙情に接近した傑作。
繊細なピアノのつまびきも、どこか北欧の風を思わせるような涼しさがあり、
ジャケットのイメージ通りの世界観が広がる。メロディックなギターやシンセが加わると、
シンフォニックロック的な情感があふれる。美しすぎる北欧の感性の結集。うっとりです。
メロディアス度・・8 クラシカル度・・9 北欧度・・10 総合・・9
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SAVAGE ROSE「GADENS DRONNING」
デンマークのブルースロック、サヴェージ・ローズの1990年作。
紅一点、アニセッテの歌唱がメインにした曲は比較的シンプルな楽曲。
オルガン、アコーディオンなどのバックに魂を振り絞るような彼女の歌唱がとどろく。
日本でいえば、カルメンマキか中島みゆきか、とにかくこの歌声はインパクト大。
ブルースなどからの下地を感じさせるその歌唱は、聴き手の魂に突き刺さり、
やさしさと強さ、すべてを飲み込んだ命の賛歌となる…人間的な命の叫びがここにある。
メロディアス度・・8 ノスタルジック度・・9 魂の歌唱度・・10 総合・・9
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CONNIE DOVER 「Wishing Well
アメリカのケルト系シンガー、コニー・ドーヴァーの2nd。1995作。
ケルト系トラッドを歌う美声女性ヴォーカルで一番好きなのは?と問われたら、
ケイト・プライスでもロリーナ・マッケニットでもなく、私は一番に「コニー」と答えるだろう。
この清涼でありながら暖かで、人間味に満ちた美声は、一種の癒しですらある。
曲の方も歌を生かす素朴なトラッドがメインで、陽光のように温かな歌声にうっとりできる。
メロディアス度・・9 トラッ度・・9 美声Vo度・・10 総合・・9
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IMAGINARY HEAVEN
「DRESSED IN GENTLE DAYS」
カナダのケルティックユニット、イマジナリー・ヘブンの2nd。1996作
このバンドのサウンドを一言で言うなら「幽玄」。まさしくこれにつきる。
三人編成で音数的にはピアノやアコギの上に女性ヴォーカルの歌声が乗る、というシンプルなものだが、
この静寂、ゆるやかに流れる、しっとりとした不思議な世界はあまりに美しく、はかなく、深遠である。
その音に耳を傾けると、ときの流れ、人間、喜びと哀しみ、生と死などが思い浮かべられ涙が出そうになる。
重なり合い響く、美しい女性ヴォーカル。たゆたうような時間。夢幻のなかで夢を見ているようだ。
はかなく美しい度・・10 森のような静寂度・・10 幽玄度・・10 総合・・9
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IONA WITH THE ALL SOULS ORCHESTRA「WOVEN CORD」
シンフォニック・ケルトロックバンド、アイオナのオーケストラとの共演ライブ作。1999作
もともと演奏力とともに美しいケルトメロディ、そして歌姫ジョアンヌの素晴らしい歌唱、と
ケルトファンのみならずプログレ、シンフォニック、女性Voファンも楽しめるバンドがさらにスケールアップ!
オケが加わり壮大度が増し、しかも民族味も損なわず、歌も見事にバックに負けず美しく映えている。
バックはドラムもギターもロックしているのでHRファンでも楽しめそう。素晴らしいのひと言。
メロディアス度・・9 シンフォニック度・・9 壮大度・・10 総合・・9
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JOANNE「LOOKING INTO LIGHT」
ケルティックロックバンド、IONAの歌姫、ジョアンヌホッグのソロアルバム。
基本路線はアイオナと同様、静謐なケルト色溢れるトラッドを軸に、
シンセ、弦楽などによるシンフォニック性を付加したもの。
ジョアンヌの絶品の歌声が全篇に渡って楽しめるという点で、非常に嬉しい。
この、のびやかで美しく、素直で清浄、そして魂の深遠さえも覗かせる雄大な音楽を、
なんと賛辞すればいいのか知らない。現在は「Celtic Hymns」というタイトルで再発されている。
メロディアス度・・9 ケルト度・・9 雄大深遠度・・10 総合・・9
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LOREENA McKENNITTThe Mask and Mirror
カナダのケルト系ヴォーカリスト、ロリーナ・マッケニットの5th。1994作
歌唱における説得力がさらに高まっている。歌声のみで自身の世界観を作り出せるのは素晴らしい。
サウンドの方も単なるケルトではなく、教会音楽的な崇高さとともに、スパニッシュ風味や
中近東的な要素なども取り入れた奥深いもので、まるで世界を旅しているような気分になれる。
パーカッションのリズムに、ギター、フィドル、チェロなどの響き、そしてそこに重なる
彼女の絶品の表現力をたたえた歌声は、世界そのものを包みむような優しさと強さを感じさせる。
間違いなくロリーナの最高傑作といえる作品だろう。
ケルティック度・・7 世界観度・・9 女性Vo度・・10 総合・・9
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LOREENA McKENNITT「Nights From the Alhambra」
カナダのケルト系ヴォーカリスト、ロリーナ・マッケニットのライブ作。2007作
タイトル通りアルハンブラ宮殿をステージにしたライブを収録。CD2枚組+DVD
現時点での最新アルバム「An Ancient Muse」も素晴らしい出来であったが、
ここではデビューから22年を経てもなお充実した活動を続ける彼女のライブの様子が楽しめる。
厳かな空気に包まれて演奏が始まると、ヴァイオリン、チェロ、パーカッションなどをバックに、
静かでありながらも確かな表現力に富んだ、彼女の美しい歌声が響き出す。
楽曲は2ndを除く各アルバムからそれぞれ3曲前後と、これまでのベスト選曲的にもなっており、
初めて彼女の歌声に触れる方でも充分楽しめる。貫祿すら漂う絶品のヴォーカルはもちろん、
自身の奏でるハープ、アコーディオン、ピアノの音色も美しい。まさに夢のようなアルハンブラの一夜。
DVDの方では、映像付きでこのライブの模様が楽しめ、アルハンブラ宮殿の幻想的な雰囲気と、
それにも増して崇高な空気をまとって歌い、演奏するロリーナの姿がとても印象深く心に響く。
崇高度・・10 ライブ演奏・・10 女性Vo度・・10 総合・・9
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LUAR NA LUBRE「ESPIRAL」
スペインのケルティックバンド、ルア・ナ・ルブレの2002年作
ガリシア地方にはMILLADOIROをはじめ、AVALONiRtioといったセンス溢れるバンドが多いが、
このバンドも実に素晴らしい。ギターに、ヴァイオリン、アコーディオン、バグパイプなどが重なった
音の洪水のようなゴージャスで躍動感溢れるケルトサウンドから幕を開ける。
スペイン語による美しい女性ヴォーカルもまた絶品で、アコギとフルートをバックにしっとりと歌い上げる曲などは
とても耳に優しい。アレンジにはときおりシンセも加えた適度なモダン感覚もあって、
伝統的なガリシアのトラッドにポップなメジャー感を加味した聴きやすさが見事だ。
ラストはオーケストラ入りで壮大に盛り上げる。シンフォニック系リスナーにもオススメ。
ケルティック度・・9 アレンジセンス・・9 女性Vo度・・9 総合・・9
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許茹芸「1995-2001 光華真紀録 單身日記 Lonly Diary」
台湾の女性シンガー、ヴァレン・シュー(VALEN HSU)のベスト選曲集(+新曲)。
このアルバムは、彼女のデビューから2001年までのアルバムからの選曲となっており、
過去のCDが手に入りにくい今となっては、ファンにとっては実にありがたい内容。
彼女の魅力はやはりその透き通るような美声で、チーイーのような深みのある大人の声ではなく、
どこかに初々しさを残した清涼さがある点だろう。もちろん歌唱力と表現力もかね揃えていて、
しっとりとした静か目の曲では思わずうっとりと聞き惚れてしまう。
選曲的に全体的にシンフォニックなものが多く、シンフォ系の女性Vo好きにも大推薦。
シンフォニック度・・8 しっとり&清純度・・9 女性Vo度・・10 総合・・9
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■日本のバンド

NOVELA「From The Mystic World」
日本のプログレハードロックバンド、ノヴェラのライブ作。1984年作
1984年、中野サンプラザでのステージをCD2枚に収録した、まさにノヴェラの集大成的なライブアルバムで、
個人的にも、ノヴェラを好きになるきっかけとなった思い入れのある作品だ。開演を告げるブザーの音で幕を開け、美麗なシンセによるイントロから
軽快なリズムが加わって、五十嵐氏の独特のハイトーンを乗せた、1曲目、「ドント・ストップ」は、まさにノヴェラ節というべき好曲。
続く「ディヴァイン・コメディー」から「調べの森」、「怒りの矢を放て」というドラマテイックな流れは、スタジオ盤以上の迫力で、
若き西田竜一のドラムは、技巧と勢い合わさった素晴らしいプレイを聴かせてくれる。「夢の絵の具」、「サンクトゥス」、「ロマンス・プロムナード」でしっとりとしつつ、
Disc2に入ると、永川敏郎氏のきらびやかなシンセワークが楽しめる「キーボード・トリオ」、「最終戦争伝説」からの気に入りのナンバー「出発」、
「永遠の輝き」、「シークレット・ラヴ」とキャッチーなナンバーでたたみかけ、感動的な泣きの名曲「黎明」へと続いてゆく。アンコールナンバー4曲も含めて、
CD2枚全18曲のステージを体感するように味わえる。スタジオ盤を聴いてぴんとこなかった方でも、本作を聴けば、このバンドの素晴らしさが理解できるだろう。
ライブ演奏・・9 ロマン度・・9 ノヴェラの集大成度・・10 総合・・9
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KENSO「夢の丘」
日本のプログレバンド、ケンソーの5th。
これまで一番好きなのは「セカンド」でしたが、本作の完成度を聴けば、これこそが最高傑作と思えます。
初期のマニアのためのプログレから完全に脱却。ここにあるのは普遍的宇宙です。
ジャケットからしてそうで、音にある自然さとさりげなさ、そしてその美しさを見事に表している気がします。
シンフォニック、メロディック、ジャズ、あるいはトラッドといったあらゆる要素が詰め込まれ、
それを空気のように自然に取り入れた演奏は素晴らしく、全篇インストであるのにまったく飽きさせません。
じつに自然な音響のためさらっと聴きながせもしますが、深く聴くとやはり驚愕の演奏と緻密さです。
これが10年前の作品とは…信じられませんな。全プログレファンのマストアイテム。
メロディアス度・・8 プログレ度・・9 演奏・・9 総合・・9
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MR.SIRIUS 「DIRGE」
日本のシンフォニックロックバンド、ミスター・シリウスの2nd。1990年作
彼らの残した2枚のアルバムは、日本シンフォニックロック界の金字塔であるが、
本作の突き抜けたダイナミズムは、シンフォニックという言葉だけではとても言い尽くせない。
大木理沙の伸びやかで表現力に満ちた歌声と、ブラスアレンジを取り入れた分厚いサウンド、
たたみかけるリズムとダイナミックで華麗な楽曲展開は、もはや日本のプログレというイメージを
完全に超越したレベルにある。日本のバンドが最も世界の頂点に接近した作品といえるだろう。
メロディアス度・・9 プログレ度・・8 女性Vo度・・8 総合・・9
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新月
日本のシンフォニックロックバンド、新月の1979年作
日本のプログレ史上に輝く伝説的なバンドの唯一の公式アルバム。
シンセの花本氏が自ら手がけたという、2010年のリマスター&SHM-CD盤を購入。
1曲めの名曲“鬼”からして、これまでのCDよりもぐっとサウンドの迫力が増している。
GENESISルーツの物語性を「和」に置き換えて独自に昇華したというべき、このバンドの世界観は
シアトリカルな歌詞を含んだ北山真の歌声とともに、その強固なる幻想美を作り上げている。
随所にメロウな旋律を聴かせる津田氏のギターに、絶妙のセンスで楽曲を彩る花本氏のシンセとオルガン、
メンバー全員が同じ夢を見ることで形成される濃密な世界…それこそがこのバンドの最大の魅力なのだと再認識できる。
素晴らしい音質により名盤が、語り継がれる名盤となった。ファンは買い換え必至、初めての方は必聴の1枚です。
ドラマティック度・・8 プログレ度・・8 幻想度・・9 総合・・9
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新月新●月●全●史」
日本の伝説のシンフォニックロックバンド、新月の限定BOX。2005作
新月の結成前後の裏話やメンバー秘話、フォト満載の豪華ブックレットにCD5枚+DVDという6枚組み
*Disc1は唯一正式リリースされたアルバムであるファーストのリマスター音源。
本BOXを買う方ならすでに聴かれているだろうが、音質も格段に向上していて聴き直す価値はある。
*Disc2は、新曲のインスト曲を含め、これまでライブ音源などでしか聴けなかった未発曲を2005年に新たにレコーディングしたもの。
*Disc3はファーストアルバムの貴重なアウトテイクス、スタジオデモ等を収録。デモ段階の“鬼”がカッコよく、
“不意の旅立ち”のレコーディングバージョンや、それにつながる寸劇「タケシ」などの貴重なものも聴ける。
*Disc4は新月の母体となったHALとセレナーデのライブやデモ音源を収録。HALの音源を聴くのはこれが初めて。
1976年の当時のライブ録音なので音質はさほどよくはないが、若さと情熱に満ちた熱気が演奏を通じて伝わってくる。
鳴り響くハモンドで突進するようにたたみかけるサウンドは、新月のイメージよりはもっとヘヴィで、ELP的な勢いとPFMあたりを思わせる
メロディアスな部分とが合わさった独特の雰囲気だ。10分を超える曲ではときにサイケで混沌とした雰囲気にもなり、今聴いても引き込まれるパワーがある。
一方のSerenadeは、北山真の歌声もあってか、こちらはぐっと新月っぽい。花本彰の作るナイーブで叙情的なメロディが耳に優しく、
デモとはいえ楽曲のクオリティは高い。これらを聴いて思うのは、正規アルバムの新月は氷山の一角だったのだ。
整った音源以外にこれほどの才能の爆発と燃焼が存在していたのだと、音楽の芸術と若き力とにあらためて感心するしだいである。
* Disc5のその他のセッションでは、劇団インカ帝国の戯曲用に書かれた曲と、新月晩年の未発曲を収録。
それに変わったところでは広島県東部美容専門学校校歌として作られた曲を、なんと上野洋子が歌っている!
そしてDVDでは1979年のプロモーション映像と、2005年のリハ風景を収録していて、当時、新月というバンドが表現しようとしていたものが、
映像とともに再確認できる。合計しても20分に満たないものだが、Voの北山氏の衣装や動く姿が見られるのは貴重だ。
新月というバンドを愛する者にとっては、これはとんでもなく豪華な、まさに一生もののBOXであろう。
歴史的価値度・・10 新月の全貌が分かる度・・10 価格・・7 総合・・9
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J・A・シーザー/天井桟敷「阿呆船」
1976年、イランのペルセポリス芸術祭にて上演された劇のスタジオ録音音源。1977年作
法王庁の穴堀り男が生きた自分を掘り起こし、「阿呆裁判」が始まってゆくという、
なんとも突飛でアヴァンギャルドなストーリーだが、狂気や観念、あるいは哲学的思想までも盛り込んで、
ある種、感動的なまでの馬鹿馬鹿しさとともに進行してゆく。演劇舞台全体としての破天荒な勢いと、
音楽を担当するJ・A・シーザーの不思議な魅力の楽曲が合致した一種異様なミュージカルでもある。
サルバトール・タリ、嵐妖子といった名優たちによる、やや下品かつエロティックなセリフや歌も刺激的だ。
現在のJ・A・シーザーは故、寺山の意志を継いだ劇団「万有引力」を率いて活動中、
アニメ「少女革命ウテナ」等を含め、数々のサントラ作品などを送り出している。
シーザー度・・8 アヴァンギャルド度・・9 シアトリカル度・・10 総合・・9
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LOVEJOY「妙」
女性Vo、bikkeを中心にしたユニット、ラブジョイの1st。1996作
ギター、ベース、ドラム、キーボードという演奏陣は比較的シンプルであるが、そこに乗る瑞々しさに満ちた歌声はどうだ。
歌詞にしてもまったく難解なところはなく、自然に心から湧き出た言葉をそのまま歌にしているというふうに、
陽光のようにきらめき、生のパワーに満ち満ちている。演奏も近藤達郎のセンスあるキーボードやアコーディオンを筆頭に、
ベースといいギターといい皆かなりの実力者で、見事なアンサンブルでバックを固めている。
癒され、勇気をもらえ、言葉の持つ力の確かさを感じさせてくれる。時代に流されない、素敵で感動的なサウンドだ。
メロディアス度・・9 bikkeの歌度・・10 シンプルだが素敵です度・・10 総合・・9
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桜庭統「STAR OCEAN 3-Till the End of Time アレンジアルバム
ゲーム「スターオーシャン3」のアレンジアルバム。2003年作
むろんプログレファンなら知っておられるだろうが、作曲者はプログレバンドDEJA VUのキーボーディスト。
たぐいまれなる楽曲センスとリズム、アレンジセンスにより、バンド解散後は数々のサントラ作を発表。
ゲーム「ビヨンドザビヨンド」「シャイニングシリーズ」「ヴァルキュリープロファイル」
アニメ「最遊記」「スターオーシャンEX」その他SFドラマ等、私はゲームはまったくやらないが、
どれもプログレ好きにはたまらないシンフォニックアルバムの名作といっていい出来なのである。
今作も荘厳なイントロから、バンド演奏が始まるや、たたみかける変拍子、雄大なオーケストレーション、
ときにELPかUKかというアンサンブルを見せながら、起伏に富んだ曲が織りなされてゆく。
シンフォニック・プログレ者を喜ばす全てがここにある。これは単なるゲームサントラなどではない。
素晴らしいクオリティと密度のシンフォニックロック作品だ。壮大なシンフォニックプログレ作品が好きな方は必聴。
シンフォニック度・・9 こりゃプログレ!度・・10 オケ入り&ドラムは生度・・10 総合・・9
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*高得点な傑作〜メタル編

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