シアトリカル & オペラティック !!
～魅惑のロックオペラ作品
「シアトリカル」という言葉にしびれます。
「ロックオペラ」という響きにわくわくします。
ハードロック/ヘヴィメタルやプログレッシブロックにおけるコンセプト作は数多くありますが、
とりわけストーリー性と演劇性を持ったようなアルバムは、聴いていてそのドラマ性にぞくぞくします。
それは、非日常的な空間への誘いでもあり、物語的な音楽世界の鑑賞として私たちを楽しませてくれます。
そこで、ここでは単にコンセプト作というだけでなく、
サウンドに下記のような演劇的な要素が多分に含まれているものを選び、紹介します。
◆シアトリカルロック、ロックオペラの私的な定義
*全編を通じてひとつのコンセプトにそったストーリー/ビジョンがある。
*歌詞や歌の重要度が高く、配役ごとに違うヴォーカルを使うケースもある。
*多数のゲスト(多くの楽器やコーラスなど)により、音の厚みを出している。
*ドラマ性の演出…曲間のSE(効果音)、セリフ、曲のつなぎ方にも工夫がある。
(個人的にはオペラティックな女性コーラスなどが入るとなお良い)
それでは、絢爛たるシアトリカルロックオペラの世界へ、いざ
緑川 とうせい
■ハードロックと知性の融合
QUEENSRYCHE
プログレッシブなアプローチを取り入れた、クイーンズライチの「オペレーション・マインドクライム」は
多くのメタルリスナーに衝撃を与えたことだろう。この後のHR/HMにおける映画的手法の基礎ともなった。
二十数年を経て、発表された続編もなかなかの力作。
SAVATAGE
サヴァタージは、正統派のHRサウンドをロックオペラで表現することに長けたバンドである。
有名なのは、傑作として名高い
「ストリーツ・ア・ロックオペラ」だが、
サラエボの内戦をテーマにした重厚かつ叙情的な
「デッド・ウインター・デッド」もまれに見る傑作である。
■シンフォニックメタルのストーリーアルバム
RHAPSODY
イタリアの
ラプソディは、そもそものデビュー時からエメラルドソードのサーガ四部作を作り始めていた。
大仰なコーラスや勇壮なメロディ、そのファンタジーな映画的世界観は他の追随を許さぬ密度である。
そして、四部作の続編である
「シンフォニー・オブ・エンチャンテッドランズⅡ」では、
「指輪物語」のサルマン役でもあった、クリストファー・リーをナレーションに器用するなど、
その映画的手法にはますます磨きがかかり、オーケストラなどをバックにした壮大なシンフォメタル絵巻が堪能できる。
また、リーダーである
ルカ・トゥリッリのソロ作もストーリーに基づく壮大なコンセプアルバムである。
THY MAJESTIE
デビュー時から、そのドラマティックなサウンドが魅力的だったが、
2ndにおいて“
ヘイスティングスの戦い”をテーマにしたシンフォニックメタルを完成。
イタリアンメタルのきらびやかさに、歴史の重厚さをともなった説得力を身に付けた。
続く3rdはフランス悲劇の聖女、
ジャンヌ・ダルクをテーマにしたストーリーメタルで、
映画的な場面を聴き手に想像させる手法はさらなる完成度を増している。
TOBIAS SAMMET'S AVANTASIA
EDGUYの
トビアス・サメットによる「
アヴァンタジア」は
マイケル・キスク、
アンドレ・マトスら豪華ゲストを迎えたメタルオペラ作。
分かりやすい疾走感と、各ヴォーカリストの力量が素晴らしい傑作となった。
BLIND GUARDIAN / AINA
ブラインド・ガーディアンのハンズィ・キアシュは、もともと「指輪物語」などのファンタジー作を曲に取り上げていたが
アルバム「ナイトフォール・イン・ミドルアース」において、指輪物語をテーマにしたコンセプト作を完成させる。
映画的なナレーションと場面ごとの楽曲が絡まりあった重厚なメタルファンタジー作である。
アイーナは
HEAVENS GATEの
サシャ・ピートも関わった、ファンタジーメタルオペラ作。
雄大なインストパートやコーラス隊、ナレーションなどで、壮大な世界観を演出している。
物語やイラストが満載の輸入盤ブックレットにもこだわりを感じさせる。
指輪～シルマルリの物語
BLIND GUARDIAN
Nightfall in Middle Earth
壮大度・・★★
劇的度・・★★
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ファンタジー物語メタル
AINA
DAYS OF RISING DOOM
THE METAL OPERA
壮大度・・★★★
劇的度・・★★★
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ANGRA / ROYAL HUNT
ブラジルの人気バンド
アングラは、新Voエドゥを迎えた復活二作目に、
「テンプル騎士団」をテーマにしたコンセプト作
「テンプル・オブ・ザ・シャドウズ」を作り上げた。
ヨーロッパの歴史を思わせる重厚なストーリーに包まれた内容だが、それ以上に楽曲の充実度が素晴らしい。
デンマークの
ロイヤル・ハントのコンセプトアルバム
「パラドックス」も、重要な作品だ。
神と人との関係をシリアスに描いた宗教的なテーマで、美しくもの悲しい楽曲が胸をうつ。
時を超えたコンセプト作
DREAM THEATER
METROPOLIS PT2
SCENES FROM A MEMORY
壮大度・・★★★
劇的度・・★★★
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内的宇宙を描き出す傑作
PAIN OF SALVATION
REMEDY LANE
壮大度・・★★
劇的度・・★★
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まさに映画的ストーリー！
SHADOW GALLERY
ROOM V
壮大度・・★★
劇的度・・★★★
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■壮大ロックオペラ・プロジェクト登場
AYREON
エイリオンは、ロックオペラ大好きの
アルイエン・ルカッセンによるプロジェクト作シリーズ。
アーサー王伝説を壮大なSF仕立てにした1st、
「ファイナル・エクスペリメント」はまさに衝撃だった。
多数のゲストを招き、プログレッシブでドラマティックに展開してゆく絵巻、まさにロックオペラ。
2枚組みの大作
「光の宮殿」、展開美の素晴らしい傑作「
THE HUMAN EQUATION」も要チェック。
宇宙を舞台にしたロックオペラ作
その他、秀作ロックオペラ作
■シアトリカルな暗黒美
KING DIAMOND
北欧らしい美しいキーボードに、シアトリカルな薄暗さをもったサウンド。
高音ヴォイスとしわがれ声を使い分ける、
キング・ダイアモンドのヴォーカルも含めて、
「雰囲気もの」としてのCRADLE OF FILTHの原点ともいえるサウンドだ。
とくに
「アビゲイル」、
「“ゼム”」はクオリティとコンセプトの面で聴き逃せない傑作。
CRADLE OF FILTH
イギリスのヴァンパイア・ブラックメタラー、
クレイドル・オブ・フィルスは、
デビュー時からダークでシアトリカル、ある種ホラー映画的世界観を演出していた。
ダミ声と高音スクリームを使い分ける、ダニ・フィルスのヴォーカルは実に個性的。
3rdとなる
「鬼と野獣」において、エリザベス・バソリー伯爵夫人をテーマにしたコンセプト作を完成、
その後も「
ダムネイション・アンド・ア・デイ」では、堕天使をテーマにした70分超の大作を発表するなど、
シアトリカル、コセンプチュアルなエンターテイメントブラックメタルとして頂点に君臨する。
SEPTIC FLESH
ギリシャ出身の
セプティック・フレッシュのサウンドは、どこか妖しげで秘教めいた闇がある。
オペラティックな女性ヴォーカル、コーラスなどを取り入れ、演劇的な世界観を演出する手法は4th「
A FALLEN TEMPLE」で確立、
さらに6th「
SUMERIAN DAEMONS」ではアレンジの普遍性を身に付け、いっそう音の説得力が上がっている。
■重厚にして壮大なドラマ
LACRIMOSA
スイスのベテランゴシックメタルバンド、
ラクリモーサ。
男女ヴォーカルによる、ダークかつロマンティックなゴシックサウンドで、
その大仰かつナルシスティックな世界観が個性的だ。
DEVIL DOLL
スロヴェニアが生んだ暗闇のシアトリカルロックバンド、
デヴィル・ドール。
4つの声を使い分けるミスター・ドクターの演劇的なヴォーカルが特徴で、壮大かつオペラティックな闇の芸術ともいえるサウンド。
1st
「死せる少女に捧ぐ」、3rd
「宗教冒涜」、そして楽曲の完成度を高めた4th
「怒りの日」、どれもが奇跡的な傑作だ。
ANGIZIA
オーストリアのバンド。LACRIMOSA的なシアトリカル性をさらにクラシカルに、変態的にまでに濃縮した個性的なサウンド
たおやかなピアノに、男女ヴォーカルのドイツ語歌詞が特徴的で、ときにDEVIL
DOLLを思わせる雰囲気もある。
■シアトリカル変態系
■新世代のプログレ・シンフォニックロックオペラ
J.A.シーザー
寺山修司率いる劇団、
天井桟敷の音楽担当であったシーザーは、日本的な呪術性をロックサウンドで表現した。
「
身毒丸」も「
阿呆船」も演劇舞台の録音作品であるが、奇妙で不条理な実験演劇に、
シーザー作曲の独自の音楽が加わり、一種異様な世界観を作り出している。
演劇的なコンセプトライブ
PAIN OF SALVATION
BE (DVD)
壮大度・・★★★
劇的度・・★★★
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視覚的映像作品としても見事
ISILDURS BANE
MIND vol.5 (DVD)
壮大度・・★★★
劇的度・・★★
|
いかがでしたか?シアトリカル、ロックオペラ特集。
壮大、華麗、劇的、映画的…そうした音楽というのは聴いていて想像をかきたてられ、
サウンドとともに映像が頭に浮かんできたりしてワクワクしますよね。
他にもシアトリカルなコンセプト作、ロックオペラの傑作などがありましたら、
メールか
BBSにてぜひお知らせくださいませm(__)m。
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