緑川とうせい の日記より

音楽、ライブレポート 編

ネット上での日記「最近のこと」から抜粋したものをジャンルごとに分けてみました


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RIOT来日公演
2009.10/25


行ってきましたー! ライオット来日公演。
伝説の「Thundersteel Reunionツアー」!!

いやー、興奮した。
久々にロックでドキドキした。
今まで見たメタルライブの中で3本の指に入るくらい感激した。
それだけ思い入れが強かったというのもありますが。

川崎クラブチッタはすでに長蛇の列。
往年のファンらしき人々に混じって、けっこう若者もちらほら。
僕くらいの年代はちょうど、トニー・ムーアのいわゆる「Thundersteel」ライオットから入った人間が大半でしょうから、感慨もひとしお。

場内に入り、右手の壁際の柵に陣取り、開演を待つ。
長い一時間が過ぎ、ようやく流れていたBGMが終了(今回はスラッシュばかりで、DESTRUCTIONやANNIHILATORなどが流れていた)、
ステージの幕に映し出されるRIOTのバンドとしての軌跡の映像。会場の興奮が高まってゆく。なかなかいい演出だ。

そしてついに開幕!
のっけからThundersteelでくるかと予想していたが、なんと“NARITA”で攻めてきた。
印象的なツインギターのメロディで聴かせるインスト曲。
成田空港をめぐる闘争事件をテーマにした曲だということを若いファンは知っているかな?
続いてサンダースティール…と思いきや、またしてもフェイントで
アルバム2曲目の“Fight or Fall”。まあこの曲も好きだしいいですけどね。

ちょっと心配していたトニー・ムーアのヴォーカルはなんの問題もない。
その超絶ハイトーンぶりは、20年をへても変わらなかった。というか、このツアーのために特訓したのだろうな。

それから、このメンバーでレコーディングした新作を来年の春に出すらしく、なんとそこからの新曲も披露。
これが、RIOT史上最速かというような強力な疾走曲。手数の多いボビー・ジャーゾンベクのプレイは本当に凄い。

“Johny's Back”、“Sign of the Crimson Storm”、“Metal Soldiers”と
「Thundersteel」と「The Privilege of Power」からの曲を中心に演奏してくれ、
とくに“Flight of the Warrior”〜“Storming the Gates of Hell”という疾走名曲の流れはまさに悶絶もの。
途中で「The Privilege of Power」のイントロを挟むというアレンジも洒落ていた。

“TOKYO ROSE”が始まると、僕は軽く涙ぐみました。彼らが愛している日本のために作った曲。
それが20年以上の歳月をへて、今僕の目の前で演奏されているんですよ。「トキオーローズ!」と僕も叫びました。
曲はそのまま“Rock City”へと流れ込む。この曲はデビュー作の曲だからもう30年の前の曲です。
これだけの時代を超えて、いまだに楽しそうにロックを続けている彼らは本当に素敵に思えた。

そして、ボビーのドラムソロタイムが開始。
いやはや…これもすごかった。
まるで千手観音のようにシンバルを高速で叩き回し、両手のスティックをくるくる回しながら、
スティックの先と柄の両方で叩いたりと、まさに神業。
自分の位置からはちょうど見やすかったこともあって、ボビー先生のドラムに釘付けでした。

その後も“On Your Knees”、“Dance of Death”など、聴きたかった曲がたっぷり聴け、
ツインギターの格好よさにしびれ、ボビー先生の超絶ドラムにしびれ
(スネアを叩いた反動で頭の後ろにあるシンバルを叩くという…あの技はやってみたい!)、
トニー・ムーアのハイトーンにしびれと、存分にライオットサウンドを楽しみました。

しかし、マーク・リアリは若いね。とても50歳(くらいでしょ?)には見えない。
長髪のサラサラヘアで顔が隠れて、シャイな感じがまたよかった。マイク・フリンツとのツインリードの掛け合いもばっちり。

ライブはなつかしの名曲“Warrior”で一応のラスト。
「シャイン、シャインオン〜」と会場も一緒に叫びます。
もちろん、あの曲をまだやっていない。会場の誰もがそう感じていたはず。

さあ、アンコールでThundersteelか!
…と思ったらまだやらない。ためるためる…笑
二度目のアンコール、最後の最後にトニー・ムーアがお客の一人にマイクを向ける
「なにを聴きたい?」
ここで違う曲を言っていたら、その人は皆から半殺しにされたろう。

「サンダースティール!!」その通り!!

あの最高にカッコいいリフとともに、誰もが通るメタルの名曲が始まった。
この曲の歌はとんでもなく高いキーなのだが、トニー・ムーア…やるじゃん。
甲高いハイトーンがステージをつんざく。 こりゃバンドは完全復活だな。そう思わせる演奏だった。

いやー、楽しかった。 感激した。
聴きたかった曲はほとんど聴けたし、なによりバンドの熱さがこれほど蘇っていたことに、嬉しさが込み上げた。
売れなくても彼らは頑張っている。音楽は金じゃないのだと(もちろん売れて欲しいですけど)。
これは、本当に来年の新作が楽しみだ。

最高の夜をありがとう。ライオット!!



アラマーイルマン・ヴァサラット来日公演

2009.10/4


昨日はフィンランドのプログレバンド、アラマーイルマン・ヴァサラットの来日公演に行ってきました!
こんなマニアックなバンドが来日するなんて滅多にないこと。

渋谷のDuo Music Exchangeはメタルでよく行くO-EASTの1階なのでした。
さすがマニアックなプログレのライブ。並んでいるお客さんはほんの少し。
スムーズに中に入り、ステージ正面の見やすい席に陣取る。
プログレのライブでは、先に食事をとらないことが鉄則。
何故なら、座って見るので、食べたあとだと眠くなってしまうから。笑

お客の年齢層はまちまちで、白髪のおじさんから、若いギャルまでとても幅広い。
しばらく待って場内が暗転。
フェロー諸島の歌姫、アイヴォールの登場だ。
フェロー諸島はノルウェーとアイスランドの中間にある島国、そんな遠くから日本へようこそと言いたい。



アイヴォール・ポルスドッティルさんは、北欧の人独特の色素の薄い金髪をした…プラチナブロンドというのか…
可愛らしい美女。 しかし歌いだすと、あっと言う間にその場が神秘的な空間に変わる。

さすが歌姫と言われるだけある。
ロリーナ・マッケニットばりの深遠な表現力が素晴らしい。
ときにケイト・ブッシュ的にエキセントリックな歌い方もまじえつつ、
ギターを弾きながら、土着的な伝統曲を歌う姿は、素朴な美しさに溢れている。
英語によるオリジナル曲も歌ったが、自分はやはり母国語のトラッドの方が胸に響いた。
幻想的でミステリアス…太古の空気をその声で我々に伝えてくれるようだ。

ラストは楽器なしの、歌のみのトラッド曲だったが、それがむしろ彼女の歌唱の凄さをダイレクトに伝え、
その歌声には、そこに生まれた土地のものだけがかもしだせる強さ、そして自然な世界観が見えるようだった。
*アイヴォールの映像はこちらのページで見られます


気づけば会場は満席、立ち見のお客さんもたくさんいた。
女の子やカップルも多かったけど…ええと、これはそういう音楽なのでせうか?
善き哉、善き哉。
多くの人がプログレを見るのはとてもいいことです。
もしかして、渋谷だとこういうちょっと毛色の変わった音楽がお洒落なのかもね。

さて、次はいよいよ真打ち登場。
フィンランドの個性派、アラマーイルマン・ヴァサラットだ!



ステージに颯爽と現れたメンバーの姿もインパクトが大きかったが、音の方はそれ以上。
ひとことで言うと、いままで見たことのない音楽がそこにあった。

フロントがクラリネットとトロンボーン、バックにチェロ2人…ですよ。
ギターもベースもヴォーカルもいない。
まず、この編成で激しい音楽をやろうと思いついた発想がすごい。
まるでギターのように歪んだチェロの音色に、激しいドラム、そしてその上にトロンボーンとクラリネットが縦横無尽に鳴らされる。
さっきのアイヴォールにうっとりしていた脳が、一気に目覚めました。
楽曲はツーバスドコドコで疾走したり、ときに軽妙なジャズタッチだったりと、まさにジャンル分け不能。

シルクハットにもじゃもじゃ髭のクラリネット/サックス奏者スタクラさんと、
対照的に長髪イケメンのトロンボーン奏者エルノ氏のコンビも面白い。
長髪を振り乱して、まるでトロンボーンをバズーカ砲のようにして吹きまくる姿は強烈なインパクト。
だいいち、こんなに激しくトロンボーンを吹く人って初めて見た。笑
フロントの二人は演奏しながらも、パントマイムのように演技をしたり、コミカルな掛け合いを演じたりと、
なんだか挙動不審な動きも面白く、会場の笑いをとっていた。
音楽は楽しく演奏するものなのだというお手本ですな。

そして秀逸なのはチェロ二台の使用法で、
ときに激しい歪ませチェロでギターにもなり、片方はベースの役割をにない、
激しい曲ではチェロ二台がツインギター状態で刻みまくる。息のあった二人のチェロプレイは素晴らしかった。
とくに右手のチェロ奏者さんは、アポカリプティカよりさらに激しい演奏が凄かった。
また、テルミン(手を触れず電磁場の変化で演奏する楽器)を使ったり、シンセの人はメロディカを吹いたりと、
楽器の使用法のアイデアの多さにも、柔軟なセンスが感じられました。
*アラマーイルマン・ヴァサラット日本語公式ページはこちら

こうしてアンコールも無事終了、
合計2時間半ほどのステージは濃密で、\5000払う価値は充分にあったライブでした。
いやー、それにしても、フィンランドはすごい国ですね。
こんなバンドや、ストラト、ソナタやチルボドやナイトウイッシュなどが共存しているわけですから。
芸術に対する価値観と敬意が、相当に高い国なのではないかと。

今日は面白かった!
個性的なバンドというのはそれだけで芸術なのです。



KOTEBEL、Interpose+ライブ
2009.7/19



スペインのプログレバンド、KOTEBELのライブを見に行きました。
最近のシンフォニック系の中では好きなバンドだったのですが、まさかこんなマニアックなのが来日するとは…
たぶんこれを逃したら二度と見る機会はないかもしれないので。

スペインのバンドを生で見るというのは初めてだし、対バンは日本のInterpose+ということで、こちらもなかなか楽しみ。
吉祥寺シルバーエレファントの前には開場を前にしてすでに列が。
まさかこんなマイナーなバンドにこれほどのお客が来るとは。半分はInterpose+目当てであったにしても、これはすごい。
会場に入りなんとか座席を確保。ジンジャーエールを片手に背後を見ると、立ち見のお客もたくさん。

そうしてInterpose+の演奏がスタート。
女性ヴォーカルをフロントにしたこのバンドは、日本語歌詞によるどこかなつかしい歌声と、
バックのテクニカルな演奏が合わさった、なかなか個性的な雰囲気。
変拍子の上に鳴り響くハモンドに、KBBのDani氏のベースもさすがの存在感です。
そして、どことなく80's歌謡風のヴォーカルさんの歌唱がいい感じにサウンドを彩ります。



昨今ではなかなか珍しい、じつに日本的なプログレを聴いた感じがしました。
*Interpose+のアルバムレビューはこちら

さて、長いセッティングの後で、ようやくKOTEBELの演奏がスタート。
アルバムで聴いていた感触だとCAMEL+ENIDという優雅なシンフォニックをイメージしていましたが、
どっこい、生の演奏はものすごく重厚で、むしろヘヴィですらありました。

ヴォーカルがいないインストであるにも関わらず、演奏のみで聴かせる音の存在感がものすごい。
手数の多いドラムや、テクニカルなギター、そしてスキンヘッドの風貌からしてインパクトのあるベース
そこに二台のシンセが巧みに絡み合い、大きな音の塊となって会場に響きわたる。
「ENID化したANEKDOTEN」とでも言った方がいいような、重厚なヘヴィシンフォニックサウンドです。



そして、特筆すべきはシンセのお姉さんが超絶グラマーな美女!
思わず見とれてしまいました。もちろんクラシックの素養を感じさせる演奏も素晴らしかった。

いやー、いいライブが見られました。これでドリンク代込みでたったの\2500とは。
スパニッシュなプログレというものを堪能いたしました。ありがとうコテベル!
とても気に入ったので帰りに新作アルバムを買いました。

*KOTEBELのアルバムレビューはこちら



ジェラルド25周年記念ライブ
2009.6/6



GERARDの25周年記念ワンマンライブに行ってまいりました!

相変わらず各駅しか停車しない沼袋の不便さに憤慨しつつ、会場に到着すると、 すでに長蛇の列が…
おお、プログレに長蛇の列!しかもなにやら若い女性の姿も多くびっくり。
どう考えてもプログレファンではなさそうな娘さんもいたので、メンバーさんの関係者や教え子さんなどでせうか。

それにしても会場は満員!
ステージに登場したひらひら衣装の永川さん、第一部はなつかし曲ばかりでやると宣言。
なんと1984年のデビューアルバムから全曲を演奏!!
ARK STORMの佐々井さんのヴォーカルとともに、25年前の楽曲の数々が再現されてゆく。
とくに大好きな曲“Melting Time(溶けゆく時間の中で)”がライブで初めて聴けたのは感激でした♪
永川さんのテクニカルなシンセワーク、ELPばりの激しいハモンドプレイ、その見事な鍵盤さばきは
やはり日本最高のプログレキーボード弾き。ギターのいないバンドなのに音の薄さはまったく感じない。



第二部では最近の曲もまじえ、例によって永川商店の物販MCで大いに笑わせつつ、
レコーディング中という新曲なども聴かせてくれました。
アンコール前にはNUMERO UENO氏が花束を持ってステージに登場。
25年にわたってプロとしてプログレを演奏し続けてきた永川敏郎さんを祝福。涙ぐむ永川さん。



プログレを25年続けるということの意味、その重みを考えると、それは大変な苦労や戦いもあったのだろうなと。
決して売れるジャンルではない、食べてゆけるはずもないプログレッシブロックをこれだけ長く続けてきたということには、
一人のリスナーとしても大変な敬意を感じるし、音楽への愛がなければできないことなのだと、あらためて感じ入りました。

多くのバンドが商業音楽の波に飲まれ、消えてゆくなかで、
現役のプロのプログレバンドとして誇り高く在り続けるジェラルドを今後とも応援したいと思いました。

GERARD、そして永川さん、最高のライブをありがとう!


プログレハードナイト
2008.12/14


沼袋サンクチュアリにプログレハードナイトを見てきました!

1バンド目のMOONSTONEさんは、
NOVELAを思わせるロマンティックな世界観の楽曲で、ときにシンフォニックにときにハードに
聴かせてくれました。Keyの方のキャラの濃さも見どころですが、昨今少なくなってきた正統派の
メロディアスなハードプログレサウンドが実に耳に心地よかった。今後がより楽しみなバンドさんです!
*MOONSTONEサイト
http://moonstone.rakurakuhp.net/

2バンド目の護魔(GOMA)さんは、
トリオ編成のELPスタイルですが、とにかく演奏が素晴らしい。
Starlessの堀江さん似のドラマーさんのリズムが強力で、ベースさんとともに
その抜群のグルーブ感には思わず頭が動きます。
シンセの方は今話題の(?)小室哲哉を思わせるスタイルで、ELPかUKかという具合に弾きまくり、
ただのプログレではないモダンさと絶妙の即興感覚を有した楽曲が見事。いいバンドです!
*護魔サイト(演奏の模様が見られます)
http://www.goma.cc/CCP011.html

そして、トリのGERARDはやはり世界のジェラルドだった!
いやー、永川さんは相変わらずノリノリで弾きまくりでそしてテクニカル。
日本最高のプログレキーボーディストは健在でした。
曲の方も僕の大好きな「Irony of Fate」から何曲かやってくれて感激でしたし、
Ark Stormの佐々井さんのヴォーカルもさすがの存在感。
永川さんのMCでの笑いも含めて、実に堂々たるステージでした。
そしてラストはなんとKING CRIMSONの“21世紀の精神異常者”で大盛り上がり。
いやー、やっぱプログレっていいもんですね!
*GERARDサイト
http://www.sound.jp/gerard/



そうそう、行きがけに新宿のユニオン・プログレ館に寄ったのですが、
なんとレジに畑亜貴さんがおりました。こんな間近に…
どうやらサイン会があったらしい。意外と大きな方でした。



OPETHライブ
2008.8/28




行ってきました!OPETHのライブ!

思えば、最初にOPETHを知ったのは1996年の2ndMorningrise」でした。
そのときは、ツインギターが格好良くて、曲がやたらと長いメロデス…という感じで、
もちろん気に入りはしましたが、まだのめりこむほどではなかったと思います。
リアルタイムで聴いた3rdもやや地味な印象だったので、
それ以来、私の頭からはこのバンドのことは忘れ去られたのですが…

4th「Still Life」を聴いたときでした。まさに衝撃を受けました。
そこにあったのは、北欧独特の薄暗い叙情美に、激しさと静寂をともなった緩急自在の展開、
その二面性の極端さと美しさに、プログレ好きでもあった自分はガツンとやられてしまったわけです。
そして続く「Blackwater Park」にて、その確信は強固なものとなり、
我がサイトのレビューでも彼らを猛プッシュをしてきたのはご存じの通り。
いつかこのバンドのライブを実際に見たい…私の願いは高まるばかりでした。

そうして前作「Ghost Reveries」において、バンドの人気は世界レベルまで達し、
LOUD PARKにてついに初来日を果たしたわけですが、そのときは見に行けず。
続く今作、「Watershed」において念願の単独公演が実現!
10年越しの私の希望がかなったというわけです。

会場の赤坂BLITZは初めて行ったのですが、
いやー、人が多かった。平日なのに満員札止め。
おそらく1000人はいたのではないかと。外人や女性のお客もちらほら。
日本でもこれほどOPETHの人気が高まっていたとは、驚きでしたし、
昔から聴いていた身としては、やや複雑な気分ながらも嬉しかったです。

会場に入り、左の壁際に陣取って開演を待つ私。
念願のライブにも意外と冷静だったのは、最新作にさほど興奮しなかったからか。
できれば、もう3年前に見たかった…というのが正直なところ。
ともかく、場内が暗転、ライブが始まりました!

最初はこの手の大きな会場にありがちに低音の分離がやかましく、
バスドラがうるさ過ぎるのはクラブチッタあたりと同じだなあと思いつつ、
徐々にバランスも良くなってきました。
ステージ中央に立つミカエルは曲によってギターを替えながら、
咆哮するデス声とノーマル声の使い分けがやはり見事。
MCでは意外と可愛い感じで、さかんに会場の笑いをとっていました。

曲は、てっきり最新作メインでやるのかと思いきや、
長年待っていた日本のファンを思ってくれてか、
過去のアルバムからもまんべんなくなやってくれたのが良かった。
思い入れのあるMorningrise」「Still Life」からの曲は特に嬉しかった。

ただ、やはり…ドラムが普通。いやまあ普通に上手いんですが、
前任者に比べるとただのメタルドラマーなので、音もリズムも少々物足りなかった。
このバンドの曲調なら、もっとグルーブのあるドラムの方が合うだろうに。
そこがちょっともったいないと思いつつ…最新作の曲が一番演奏が良かったのは、
当然ながらこのメンバーで作ったからなんでしょうね。
ただほんと、このバンドならもうちょい良いドラマーが見つかると思いますっ(願)
あと、シンセのメロトロンのサンプリング音が安っぽかったけど…
さすがに本物は持って来られないから仕方がないか(笑)

さて、ともかく、会場は大盛り上がりで、オーペスコールの大合唱とともに
アンコールでは、「Blackwater Park」からの曲で締めくくり。
どの曲も10分くらいはあるので、全部で10曲くらいだったと思いますが、
それで2時間がたってしまうのがこのバンドならでは(笑)

楽しみつつも冷静に鑑賞出来たライブでした。
メタルなのにヘドバンよりもじっくり聴き込む部分が多いのが、
これまのメタルバンドにはない彼らの個性的なる所以です。
次回作はどうなるのか、そして次の来日はあるのか…
楽しみであり、不安でもあり。
それを待つことにいたしましょう。



OPUS AVANTRA来日公演
2008. 4/12


行ってまいりました!
奇跡の来日。OPUS AVANTRA日本公演です。



70年代に彼らの残した2枚のアルバムは、まさにイタリアンロック史に残る輝ける芸術作品。
確か20歳くらいの頃、初めて彼らの音楽に接したとき、
これまでに聴いたこともないような感覚が体を駆け巡り、身震いしたことを今でも覚えています。
音楽の芸術…光と闇、知性と狂気、それらを内包したOPUS AVANTRAの楽曲は、
他のどのバンドとも異なる孤高の輝きを放っていたのです。

そして、2008年…
アルバムから35年余りの時をへて、彼らの一度だけの来日公演がついに実現したわけです。
このバンドを見るためにイタリアへのライブツアーを考えたこともあったので、
こんな日が来るとはまるで夢のようです。
電車の中でアルバムを聴きつつ、わくわくしながら川崎に到着。
クラブチッタに来たのは去年のスラドミ以来…プログレとなるとPFMの公演以来かな。



場内に入ると、やはりお客の年齢層は高く、僕のような若者は(といっても30代…笑)少数派でした。
発売日にチケットをゲットしたおかげで、前から5列目のド真ん中という最高の位置♪

さて、場内アナウンスが始まり「OPUS AVANTRAの音楽の旅をお楽しみください」ですと。
なかなかニクい台詞ですな。
ステージ左手にはどーんとグランドピアノが置かれ、リーダーのアルフレッド・ティソッコが登場、
右手には女性ストリングスカルテットが並びます。みなさん美女で白いドレス姿が麗しい。
奥にはティンパニ付きのドラムセット、前方にはフルート奏者が立ち、イントロのSEが始まる。
おお、「Introspezione」の1曲目だ!

ステージ左手から歌いながらドネラ・デル・モナコが登場。
歌姫というにはいささか横に大きくおなりですが(失礼)、その歌声たるや…
おそらく60歳はいっていると思うのだが、オペラ歌手というものは、
その表現力と声量において年齢を感じさせないものであるらしい。
アルバムで聴くのと同じ、艶やかで力強い歌声が場内に響きわたり、
それだけでもう彼女の世界観を作り出している。

ティソッコはピアノと奥にあるシンセを行き来しながら、クラシックに裏打ちされながらも
現代音楽的なアヴァンギャルドさを取り入れたスタイルで、かつての名作の雰囲気を巧みに再現してゆく。
ドネラの歌声の魅力が最大限に発揮される美しいバラード“Il Pavone”をはじめ、
「Introspezione」の曲はほぼ全部やってくれました。

ティソッコのピアノソロを挟んで第二部へ突入。
美しきストリングス隊は赤いドレスにお着替え。
この時点で、視覚的にはビオラのおねえさんに釘付けになってました。
スミマセン…超好みだったんです(笑)



アルバム「LORD CROMWELL」の1曲目“Flowers on Pride”のイントロが始まった瞬間、
もう大興奮。
僕の一番好きな曲なんですよ。
ピアノとフルートの絡む、こんな誇り高く美しい曲は他に知らない。
荘厳なティンパニとストリングスが曲を盛り上げ、もううっとり…

しかし、ドネラさんのはっちゃけっぷりはすごかった。
歌い上げるところは艶やかに、はじけるところは絶叫するような迫力で。恐るべきパワーを感じました。
ストリングス隊の美女たちは、最後は白いドレスに仮面を付けた姿で登場。
かぶりものをした怪しげな語り部や、まるでドネラと戦うように、歩きながら弾きまくるストリングスのおねえさんたち。
演出的にもまるでオペラのようにシアトリカルなステージでした。

構築と破壊、戦いと調和…そんなものを感じました。
こういう音楽もあるのだ。
ただ綺麗に形作られただけではない、パッションの熱き爆発、そして狂気をも含んだ濃密な情感。
イタリアという国そのものの空気、その表現を、見せつけられた思いでした。

拍手喝采の客席。おそらくアンコールは用意してなかったのでしょう。
カーテコールで現れたメンバーたちは客席に向かって何度もおじぎをすると、
最後にもう一度“Il Pavone”を、さらなる情感を込めてドネラが歌い上げました。



すごい…すごいコンサートでした。
ギターもベースもいない。ピアノとフルート、ストリングスによる不思議な音楽。
ただのロックでもなく、クラシックとも違う。

激しく情熱的で、静かで薄暗く、
恐ろしく、謎めいて、誇り高く、
そして穏やかな…

これがオパス・アヴァントラの生み出した奇跡だったのです。
至福の二時間をありがとう




共同幻想の崩壊…
2007.7/5

先日のWITHIN TEMPTATIONのライブを見てから、
なんとなく気分がもやもやとしていたのですが、これからそれについて書きます。
以下に書いたことは、とてもデリケートな事項でして、よく分からない方にはなんのことか分からないだろうし、
逆に、分かる方には今更言うまでもなく分かっておられるだろうという、そういう類の話です。

まあ、1人の夢食い人のたわごととでも思ってください。
ではいきます。


これは物語や映画などにも、まったく同じことがいえるのだが、
楽しむために肝心なのは、作り手と聴き手が同じ夢を見られるかどうか…
つまり双方の共同幻想にかかっている。

作り手が夢を見なくなれば、当然、聴き手ももう夢に浸れない。
ゴシックメタルやシンフォニックメタルという類の音楽には、とりわけ幻想や世界観といったものが重要になってくる。
以前に生で見たRHAPSODYのライブに自分がややがっかりしたのは、
曲の中のファンタジーな世界観に比べて、彼らのライブ自体はとても「現実的」だったせいだ。
ラプソのライブアルバムがどうしようもなくつまらないのは、ジャケが地味だったからだけではなく、
たぶんそのあたりにも原因があるはずだ。
アルバムで見せてくれた幻想世界を、ライブではただの醒めた現実にしてしまうから、
彼らの場合、「音」のみで聴くには同じような曲が多すぎてつらいのだ。

WITHIN TEMPTATIONの場合は、シャロンさんの歌唱が美しければ、
それだけでそこになにかを感じ取ることはできる。
しかし、多少チープでもいいから「幻想の空気」を感じさせてくれた過去のアルバムに比べて、
今回のアルバムはよくまとまった、いわば「壮麗な音で固めた現実」に聴こえてならない。
それでは、言いたくはないが、最近の派手だが中身の薄いバンドたちと同じになってしまう。
私が昨今のきらきらとしたメロデスが嫌いなのもまったく同じ理由からで、
音だけはド派手なのだが、聴いていて世界観の深みがまるでない。
なにしろ、それらは「ただの綺麗な音」なのだ!
いい音質でキレイにまとまっていますね…そういうのは1度聴いて飽きます。

それだったら、いっそ無駄を削ぎ落として、硬質なギターリフのみで聴かせられるバンドの方がよい。
コードとリズムの合体であるリフを魅力的に聴かせることができるのなら、
そこにはたとえ甘美な幻想がなくても、気持ち良く勢いあるノリがあるのだから。
(しかし、たとえばMORBID ANGELの「Blessed are the Sick」、VADERの「De Profundis」は私にとって最高の幻想音楽ですヨ)

ノリに頭を振る音楽と、世界観に浸る音楽、この2つは自分にとっては別のものだし
自分はその両方をそれぞれに楽しむことができる。
しかし、ノリも世界観も中途半端で、そのどちらともつかない音楽が、僕は一番苦手なのだ。
中身のないキラキラ、ギミックの薄いありがちなマネリフ、
現実に売れるために、ただインパクトを持たせるということを至上命題にしはじめるとき、
そのバンドの全盛期はもう終わっているのかもしれない。

そう言う意味で、デビュー時からもう終わっているバンドも最近は多いんですよね。
質の高いアルバムを3〜4枚出して、その後はおとなしいモダンな音になって消えてゆく。
そういうバンドがとても多いので、聴き手が失望を繰り返す今のシーンにおいて、
次々にさらなる若手が勢いとともに出現してゆくのですが、
彼らとて、あるとき商業と自己の世界との壁において立ち止まり、そこで妥協するか、
疲れ果てて消えるかの選択の前で悩み抜き、かろうじてとどまるものは
また「質の高いマンネリ」を繰り返すことをただ求められるわけですね。

作り手のビジョン、精神的な構築作業における、理想を求めるパワーというのは、
たとえ大変な才能をもっていても徐々に薄れてゆくので、
たいていの場合、本当の意味でのバンドの全盛期は結成から5年までといえるでしょう。
たとえモンスター的な能力のバンドでもせいぜい10年程度が限界。
それを超えると、どうしてもそこからは、個々の演奏者の表現力にたよらざるを得なくなる。
あるいは、ベテランらしい枯れた味わいの哀愁を音にまとわせるか、ただ綺麗にまとまるか、
どちらにしても、人間として成長しているかどうかが、そのまま音に出てしまう。
なので、そういう一流のアーティストでなければ、全盛期を過ぎたバンドの音楽の中には、
ただ勢いが落ちた「今の音」のみがあって、もはや退屈な代物しか生まれてはこない。

音楽…バンドとは生き物なのだと思うし、本来はそれを表現する「人間そのもの」なのだと思います。
媒体としてのCDのみを\2500で買って、それにケチをつけたり、あれこれと勝手な評論したりする我々ですが、
その音楽を通して、作り手である人間をちゃんと覗いて見ているのかどうか。
人間などには興味がなく、作品だけがすべてというのも、金を払う側の理屈ではあると思いますし、
ダメなら見捨てればよく、代わりのバンドはゴロゴロといる。それが今の現実だと思うので、
聴き手を満足させるためだけに良質な音を提供し続けるというのは、
現代のアーティイストにとってはとんでもなく大変だと思います。
普通は、どこぞの北欧バンド「S」のリーダーのように精神病になるでしょう。
あるいは、それを乗り越えてビッグになれば、逆に音楽というものを
「聴き手を巻き込んで、好きなことをやりつつもある程度は売る」という、
商業と理想と妥協のバランスをとった、いわば自分本位の形態にしてゆくことも、
どこぞの知的モンスターバンド「D」のように可能になるでしょう。そう良くも悪くも。

しかし、僕個人としては音のみを買うのでは、やはりつまらない。
たとえば、好きなCDを聴くためによりよいスピーカーを買ったとして、
そこから聴こえるのがより音の良くなった細かな技巧だけなのか、
それとも作り手の描いた空気を一緒に感じ取ることができるのか、
そこがまず大切だと思うし、聴く側としての最初の選択になると思うのです。
だって、音のみで\2500は高いですよ。僕は幻想も欲しい。

派手な音や、技巧的な音や、カッチリとした綺麗さを取り除いたとき、
そこに残っているものが感じられるかどうかが、私が音楽の楽しみの大きさだと思う部分なのですよ。
音だけを買うのであれば、ネットのダウンロード販売で充分なはずなんです。
でも、CD(昔はLP)のジャケットを見ながら、音を想像するのはとても楽しいですよね。
買って手にしたときの重み、聴く前のワクワク感、そこに想像の喜びがあるから、
僕らはCDを買うわけだし、アーティストの描く世界観、ジャケやブックレットの写真や
メンバーの顔写真、歌詞や解説などがあるから、それらを欲して僕らはCDを買うのです。

やはり音のみではない。
音を含めたトータルなパッケージ、その構築の質の高さ、世界を描き出した作り手の意気込み、
それに心を震わせたり、共感したりするのも、作品としての音楽を味わう大きな喜びなのだと思います。
自分がメタルとプログレにここまでの愛を注ぐのも、
このジャンルが一番濃密な幻想の世界を含んでいると思えるからなのです。

うーむ、つまりは…これは前から言っていることですが、
音楽や物語の作り手はメッキを厚塗りするよりも、ちゃんと自分でも夢をみなさいということ。
音の中にそれがあれば、それを聴く我々も同じ夢を見ることができる。

そう、少しでも長く。
いずれはそれは崩壊し、無残にも醒めるときは来るだろうけれど。
少しでも長く、夢を見せてくれ。

なんだか、とりとめのない話になりましたが、
もやもやとした気分だったので、つれづれと書きつけてみました。


                  2007.7.5 緑川 とうせい

BLIND GUARDIAN/ANGRAライブ!
2007.2/17

行ってきました!
BLIND GUARDIAN/ANGRAライブ!

思えば1992年、あの伝説の「TOKYO TALES」の公演に行って以来、ブラガーを見るのはじつに15年ぶり。
現在はレモンホールと名を変えた、かつて彼らを見た渋谷公会堂の前を通って、今日はAXだ!

実はSHIBUYA-AXでライブ見るのは初めてなんですが、2階席でもステージが近くてとても見やすかった。
1バンド目はてっきりANGRAかと思いきや、場内が暗転するとなにやら物語調の語りが…

ブラガーだあ!
「Nightfall in Middle-Earth」からの曲で攻めて来るとは予想外。
セットリストは新作中心かと思いきや、熱かった5th以前の曲もけっこうやってくれ、
オールドファンとしては嬉しいかぎり。 15年まえにも聴いた
“Journey Through the Dark ”、“Lost in the Twilight Hall ”
には思わず時の流れを感じて感激し、“Script for My Requiem ”ではしっかりサビを歌ったぞ。
意表を突かれた“Bard's Song ”では客席が大合唱状態。そして、“Imaginations from the Other Side ”
アンコールの“Mirror Mirror ”まで久々のブラガーを堪能しました。

アンドレ&マーカスの20年コンビのギターワークはやはり見事。
ベースを弾かなくなったハンズィは、飾り気のない黒づくめの服からして地味なんですが、
貫祿のある歌声を聴かせてくれた。これでドラムがトーメンだったら最高なんですが、
新ドラマーのプレイも後半は安定してきてよかったです。

当時20歳だった自分が、15年を経て今また同じく彼らの演奏を聴いているということがなんだか不思議でしたね。
今だに活動を続けるブラガーとメタラーを続ける自分がいたからこそ見ることができたわけで。
いやー、やはりメタルっていいもんですね。

ANGRAの方は、しょっぱなから“Carry On”で、大丈夫か?思いましたが(エドゥの喉の状態が)、
やはりワンコーラスのみ歌って、次の“Nova Era”へ突入。
それから、マトス時代の「HOLY LAND」、「FIRE WORKS」からの曲もやりましたが、
やはりエドゥは高音部がつらそうだった。当然ながらバックのメンバーは皆抜群に上手いので、
メタル的な武骨さよりは演奏に聴き入ってしまう感じですね。
しかし、キコ・ルーレイロはイケメンの上、脚が長くてしかもギターが上手いなんて…許せん(笑)
男から見るとラファエル・ビッテンコートの方がロックな雰囲気で格好いいもんね!(ひがみじゃないっ)

アンコールでは、ブラガーのハンズィが現れてエドゥとデュエットしたり、
最後のアンコールでは、メンバーが楽器持ち替えて(エドゥがギタリストになり、ラファエルが歌ったり、キコが歌ったり)
日本での最終日という特別な夜を、メンバー自身が楽しんでいる感じでした。

こうして終わったのがすでに午後10時過ぎ。
たっぷり3時間以上楽しませていただきました。
まさにドイツとブラジルの合体した夜。

ありがとう。アングラブラガー!


DRAGONFORCE ライブ
2006.6/17


DRAGONFORCEのライブに行ってきました!
渋谷O-EASTは若いメタラーたちで大混雑。
中には子供連れのお父さんや、メタルらしからぬおばさまなどもいましたが、
大半は10代〜20代のキッズたち。
その圧倒的な疾走感とキャッチーなメロディで、日本でもすでにANGRA並みにCDが売れているとか。

入場前からすでに人ごみで背中に汗がだらだら。こりゃ酸欠になるぞ…。
ようやくチケット500番台の入場の番が来た。どうやらこの日のチケットはソールドアウトだったとか。
入り口でドラフォーTシャツMサイズ\3500を購入し、ロッカールームでお着替え。

ドリンクチケで発泡酒マグ○ムドライを交換。\500のドリンク代でマズイ発泡酒とは、ぼったくりだな…
さてさて、待つこと30分あまり、ようやくメンバーが登場。ライブが始まった!

のっけから怒濤の疾走曲。
というか、彼らの曲にはミドルテンポなんてのは一切ないので、
バラード1曲を除いてセットリストは全部疾走曲という潔さ!(笑)

とにかく…速い速い。
そして音がデカい!

元BAL-SAGOTHのドラマーは、よほどの体力の持ち主なのだろう、
苦しそうな顔も見せずアルバム以上にテンポの速い(おいおい…)疾走ツーバスドコドコドラムをぶちかます。
香港出身のリーダー、ハーマン・リは長髪をなびかせながらピロピロと長いソロを弾きまくり。
ステージではもっとはしゃぎまくるかと思っていたら、案外ニヒルな感じもありなかなか格好よかった。
キーボーディストは愉快に飛び跳ねたり、ハンディキーボードで前に出てきたりとかなりの目立ちよう。
「ヴォーカルZPサートはエビアンのペットボトルを手に会場に水をかけまくったりと(自分も濡れました)
日本での歓迎ぶりが嬉しくてならぬ様子だった。

熱かった…そして速かった。
これがドラフォーの総てです。
翌日になっても耳の「キーン」がとれませんでした…(^^;)



ALHAMBRA & 五人一首 / PFM ライブ
2006.5/7、5/13

まず、5/7の日曜は吉祥寺にALHAMBRA五人一首のライブを見てきました。
全4バンドで、5時間近くのライブ…さすがに立ち疲れましたが、やはり五人首とアブラは凄かったー。

それにしても、なんというか、五人一首のVo/G、あの字さんのインパクトは凄い(笑)
金髪を振り乱しながら、デス声で絶叫ですもの。
あとドラムさんの実力も相当なもので、テクニカルプログレ叙情妖怪デス…という演奏は
変態系メタル好きにはたまらんものがあります。

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一方で、ALHAMBRAのJUNKOさんの美しい歌唱、声の伸びにはうっとり。
五人一首の混沌とは真逆な、聴きやすさと整合感が見事。
同じプログレメタルでもこれほど方向が違うのだなあ、といまさらに感心したりして。
それと哲郎氏のツーバスの力強さは相変わらず凄いですね。

ALHAMBRA HP



そして、5/13の土曜はPFMライブ!!
生で彼らを見るのは初めてだったけど、「ついに見た!」という感じでしたね。
プログレを聴き始めた若き頃、PFMの「友よ(Per un Amico)というアルバムに感動し、

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それからイタリアンプログレの魅力に目覚めたものですから、
自分にとって彼らは「特別なバンド」のひとつなのです。
GENESIS、PFM、ANYONE'S DAUGHTER、FRUUPP、ANGLAGARD、KAIPA
といったあたりは、自分の感性にも深く影響を与えてくれたプログレバンドなのですね。

ライブDVDを見ていたので、いいオッサンになっていても、元気いっぱいのドラマー&ヴォーカル、
ディチョチョのパフォーマンスの凄さは知っていたのですが、実際に生で見てもやっぱり凄かったです。
ドラム台によじ登るは、マイクを放り投げるは、そしてツーバス並の激しいドラムを叩くその姿は、
メンバーの中でも一人だけ動きが若い(笑)
あと、いかにもイタリア人的な情熱的(すぎるほど)なヴォーカルはインパクト大でしたね。

反対に白髪のムッシーダのギターは、落ち着いたやわらかみと
枯れた味わいをかもしだしていて、とても雰囲気がありました。
残念なのはキーボードのプレモリが体調不良ということで来られなかったことですが、
サポートメンバーのキーボーディストもなかなか頑張っていたし、
またツアーメンバーである、ヴァイオリニストはキーボードやギターまでも器用に弾きこなし
、バンドの音に厚みを加えていました。

いやー、ともかく、生で聴けた“River of Life”に震え、

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私にとってのプログレ最高の名曲“La Luna Nuova”に歓喜し、

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そして一緒に叫んだ“E'Festa(Celebration)”には感激ひとしおでした。

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いやー、見れて良かった。
プレミエータ・ファルネリア・マルコーニ!!


デスメタルとスラッシュメタルについて
<mixi日記3/15より>

ここ数日、スラッシュとデスメタルのことばかり考えている。

自分のサイトにて「メタル名盤特選」を作っているからだが、
私の場合はけっこう凝り性というか、片手落ちが許せない性分なので、
なるたけ主要な傑作アルバムは押さえておきたいのである。

デスメタルといえば、かつて若かりし学生の頃に所沢に住んでいた当時のバンドメンバー、Kの部屋で、
CARCASSやらENTOMBEDやらMALEVOLENT CREATIONやらといった
怪しげで恐ろしげなジャケのバンドの曲どもを延々と聴かされたことがすべての始まりだった。
自分でもデスメタルドラムを叩いたし、やがて耳も慣れ、どんなに激しいバンドでも平気で聴けるようにもなった。

そのうちCARCASSが解散し(思えばライブを見れたのは幸福だったか)、メロデスが台頭をはじめてゆき、
オールドスタイルのデスメタルバンドは次々に消滅してゆくかに思えた。
こうして新世紀に入り、若手バンドが次々に現れてゆくメタル界であるが、
MORBID ANGELCANNIBAL CORPSEMALEVOLENT CREATIONらのベテランが
まだまだ現役で頑張っているのは嬉しいことだ。モービッドもカンニバルも生で見れたし。

MORBID ANGEL

「Blessed Are the Sick」
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個人的にあとにも先にも、これ以上のデスメタルの名盤はないと思っている。
邦題は「病魔を崇めよ」 。ただ暴虐なだけでなく、ある種テクニカルな演奏と展開力、
そしておどろおどろな世界観とこのジャケにいたるまで、すべてが完璧なアルバムだ。

思えば、このCDは私がデスメタルなんてとても聴けなかったウブなメタラー初心者の頃、
この美しく妖しいジャケにつられて中古で購入したはいいが、
実際に音を聴いてそのあまりの凶暴さに震え、「こんな怖いの聴けない」とそのまま売ろうとした…、
が、なぜか売る気になれず、そのままCD棚の端に残ったというもの。

そして今となってはときどき聴きたくなるデスの名盤になっているのだから、
人間強くなるものだ(笑)


<mixi日記3/20より>
先週から今週にかけて、スラッシュやデスメタルを大量に聴きまくった。
その結果、自分の中でいくつかの考察があったのでここに記しておく。

まず、デスメタルという音楽を形容する際によく使われる、
「暴虐」だとか「激烈」「禍々しさ」という表現について。
細かく言えば、これらはどれも意味が異なる。

「暴虐」というのは、そのアルバムの音楽性全体に対しての形容であり、
「激烈」というのはそのバンドの演奏する音そのものに対しての形容、
そして「禍々しさ」というのは、そのバンドの表現する世界観、
あるいは音からかもしだす雰囲気に対する形容である。

つまり何が言いたいかというと、
激烈な音楽であっても禍々しいとはかぎらないし、
邪悪な禍々しさがあってもそれが暴虐な音楽とはかぎらない、ということだ。
そして、私はデスメタルというジャンルにおいては、ただ激烈な音を出しているだけのバンドよりは、
自らの世界観…禍々しさ、おどろおどろしさなど…をかもしだしているバンドの方を断然好む、
ということを再確認した。

たとえば、KRISIUNというバンドは、恐ろしく暴虐で激烈なこのうえない物凄い音楽をやっているのだが、
私はそれを聴いていてもあまり楽しくならない。うっとりとはならない。
デスメタルで「うっとり」となるのもどうかとは思うが…(笑)私はなる。
それは音からかもしだされる禍々しい邪気、どろどろとした闇の世界、それらの美しさを感じるときだ。

同様の理由で私は、CRYPTOPSYもそれほどには好きではない。
演奏は爆裂かつテクニカルで確かに凄いのだが、ただそれだけだ。
禍々しくも、どろどろとしたものを含んだ、美しい(醜い)世界観がそこには感じられない。
そういう点から厳密にいうなら、KRISIUNCRYPTOPSYもデスメタルではなく、ハードコアなのだと思う。

そこへゆくと、このアルバムは本物の傑作だ。
VADER

「De Profundis」
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ただ暴虐なだけでなく、彼らの音からは禍々しさとおどろおどろしい世界観が
ぞくぞくするほどに私の脳に伝わってくる。
このある意味では、幻想的とすらいっていいほどの暗黒世界の表現に、私はうっとりとなるのだ。
この手のデスメタルに本当の名盤というのは数えるほどしかないのだが、
このアルバムこそはMORBID ANGELの名作「Blessed Are the Sick」
正しく継承する作品だと断言できる。

さて、デスラッシュ系の方もいろいろと聴いたが、
完成度の点ではTHE HAUNTEDが頭ひとつ抜けているようだ。
ただ疾走するだけでなく、リフのクールさと絶妙のメロディアスさがたまらない。
かつてのAT THE GATESが好きだった私にはとても気持ちよいサウンドだ。
先日聴いた2ndが素晴らしかったので、1stも買ってきた。
欲しかったNILEのCDも運良く中古で見つけた。
スラッシュ/デスメタル名盤特集が完成に近づいている。


DREAM THEATERライブ SERPENT
2006.1/13、1/14

まず金曜はDREAM THEATERライブ。
友人がチケット余っているというので急遽行くことに。
会場は東京国際フォーラム。

しかし、これがなんともハズレな日でした。
感想としては…
DEEP PURPLE を聴きにいったのではない!
という感じですね。

噂には聞いていたが、カヴァーデイというものに本当に当たってしまうとは。
ディープパープルのライブアルバム「made in japan」完全再現です。

ああ、確かにいいアルバムですよ。これは
でも、たとえDTがやっても、オリジナルの本家に勝てるはずはないのだからさ。
「OCTAVARIUM」ツアーだと思ったのに、アルバムからやったのは何曲?
高いチケット代払って楽しみに来ている若いファンもいるだろうに、
これでは何日も連続で来るお客を対象にしているみたいだ。
それは傲慢というもの。たとえDTであってもだ。
確かに、何をやっても拍手喝采の日本人ファンは優しいけどね。

ラストの“PULL ME UNDER”が唯一の盛り上がった瞬間だったか。
演奏自体は凄かったので「金返せ!」とまでは言えないのも憎たらしい(笑)

聞いた話によると月曜の渋谷AXでのセットリストは良かったらしい。
なんか悔しいぞ!
こうなったら、その日撮っていたらしいライブDVDを買ってやる(笑)


さて、気を取り直して…
土曜はアニソンバンドのGでもある友人、IRONくんのメタルバンド
Lightningのデビューライブに行きました。 メタル系バンドの聖地、沼袋サンクチュアリ。

彼のバンド、ライトニングはツインギターの正統派パワメタスタイルで、
そのストロングな演奏に男気のあるメタル魂を見せつけられました。

トリをつとめたSERPENTも凄かった。
メロディアスかつ耽美ちっくなメロデスサウンドで、
IN FLAMESCHILDREN OF BODOMが好きな方にはとってもオススメです。


SKYLARK &GALNERYUS ライブ
2005.10/2

  

その1■まさかスカイラークにこんなに客が!!
〜渋谷のサイクロンは酸欠状態でした…



いやー、熱かった…ではなく暑かった!
ほんとにもう…

会場に着いたときには、会場の外にはすでに長蛇の列。
まさか、スカイラークのライブにこんなにも人が来るなんて。
ガラガラな場内で優雅にライブ鑑賞出来ると考えていたもので、正直かなりの驚きだった。
後々、ガルネリウスのファンが半数以上はおったことが判明するわけだが…

さて、
渋谷サイクロンというのは初めて行ったのだが、外タレの来日ライブをするようなハコではないですな。
まず延々と階段を降りる、降りる…降りてゆく
しだいに地下特有の空気の薄さを感じ、非常にいやな予感がしておりました。
こんな地中奥深くのライブハウスで、もし地震でもあったら…
少なくともスカイラークのライブなどで死ぬのだけは嫌だ…と、そう思いました(笑)

ようやく、受付に辿り着くと、ライブハウスのスタッフと主催者がなにやら話し合っていた。
行列整理のたどたどしさからも、今夜がこのハコの最高動員数であったことが知れるというもの。
もう開演時間はとうに過ぎているのだ。

さて、場内はすでに満員…
本当に狭いハコだ。この前アニソンバンドでやったドアーズの方がずっと広い。
人々で押し合いへし合いごったがえす中、なんとか多少の空間がある場内奥に陣取る。
しかし…暑い。それに息苦しい。酸素吸入器を用意すべきだった、と真剣に考えた。
この時点でもう限界に近かった。少しずつ意識が朦朧としてくる。さっさと始めてくれ…

SEが流れ、ガルネリウスのステージが始まる。
曲が始まると、脳内からのアドレナリンのおかげでまた頑張れそうになった。
やはり、上手いバンドだ。
基本はメロディアスな疾走メロスピなのだが、間奏部などがいちいち凝っていて、
テクニカルなキメやリズムアレンジはプログレ的でもある。
とくに、ALHAMBRAなどでも活躍するKeyのYUHKI氏の巧みな演奏と、
アニメタルの若きギタリストShuのクラシカルかつテクニカルなギターワークが凄い。
確かまだ23歳くらいと聞くが、あどけない少年のような顔をしながら次々に技巧的なフレージングを決める。
またメロディのセンスも良く、イングヴェイあたりからの影響も見え隠れするクラシカルなプレイは、
この若さにしては驚異的。おそらくティモ・トルキあたりよりもすでに上をいっている。

Voの戦隊ヒーローもの的なMCもなかなか楽しくて、
力強い演奏で悪を蹴散らすといった雰囲気は、まさに正しく少年少女たちのメタルヒーロー。
お客の盛り上がり方も凄くて、このバンドこんなに人気あったのだなあと改めて感心するとともに、
「日本のメタルも上手くなったものだ」としみじみと感じた。

その一方で、
こんなに完璧な演奏のあとでは、スカイラークのステージはいかにもしょぼく、
せこく思えてしまうのではないか、という危惧もすでに私の頭の中にはあったのだが…


その2■キアラ写真撮りまくりで曲聴くの忘れた…
…なんてことはありま…せん。…いえ、少しだけ…(笑)

ガルネリウス終了後、
さすがに暑さと息苦しさに耐えきれず、いそいそとドリンク交換で水を補給…。
ふぅ…少し生き返った。

さあ、スカイラークだ!
ガルネリが終わった段階でお客がどっと減るかと思ったが、案外まだ残っていた。

最初に出てきたのが、スキンヘッドのエディ、続いて男Vo。
エディは例の一張羅という噂のアイアン・メイデンTシャツだ(笑)
Voの彼はなかなかのイケメンの上ガタイがでかくて、ステージがすごい近くに思えるほど。
うーむ、メタルをやっていなければセリエAでサッカー選手にでもなっていそうな感じだな。

曲が始まる。
序盤は昔の曲をいくつか。キアラ嬢はまだ出て来ない。
さて…、思ったとおり演奏はガルネリウスに比べ相当しょぼいです。
何人かのスカイラーカーたちはしょっぱなから腕を振り上げていたが、総じて客はやや引き気味なのが見て取れる。
私自身、一緒に来た友人に向かって
「ガルネリウスの演奏力が10とした場合、スカイラークは…2だな」とか、
「この曲の無駄に長いところがいいんだよ。このしょぼさがかえって楽しくなってくる…」
などと、周りの客にも聞こえるくらいの声で言ってしまったものだ(笑)

いやいや、しかし、その…しょぼく、せこく、ありていに言って
イタリア人らしい大雑把さが炸裂していた演奏であったが、自分はけっこう楽しめたのもまた事実。
なにしろ、おそらくはもうこのバンドのライブを見ることは二度とないのだろうし、
何を間違ってかこのレベルで三度の来日をしたという事実は、奇跡というに近い。
確か最初の来日時はクラブチッタだったらしいが、あまりにガラガラで興行としてはひどい赤字だったと聞く。
そんな経緯から、今回はこのハコで充分…と主催者が考えたとしてもおかしくはなかった。
しかし…もう一度言うが、このハコは外タレのライブで使う代物ではない。
想像になるが、スカイラークの連中だって、せっかくの来日公演だと勇んではるばるイタリアより来てみれば、
こんなアマチュアがやるような狭い所だと知り、屈辱を覚えたのではなかろうか?

ああ…しかしそんな杞憂も吹き飛ぶのは、リーダーにしてKeyのエディのはしゃぎよう。

ときおり自分の演奏そっちのけで他のメンバーに駆け寄り、バンザイして客を盛り上げようとしたりしている。
…いや、頼むからもっとまともに弾いてくれ…そこ、すごくモタってるよ…と心の中で思う私。
それから、ベースの人のインパクトは大だった。VoもGもそっちのけで
「オレがメインだ!」とばかりにステージ中央で長髪を振り乱し、常にアクションしつつ
…実際の出音は小さかったのだが…熱い、というか暑苦しいパフォーマンスを見せてくれた。

さあ、そして…待ちに待ったキアラ登場だ!

彼女が現れると、客席からも歓声が上がり、一気にステージが華やかになる。
さっそくカメラを構え、写真を撮り始める私(笑)

いやー、やっぱりモデルをしているというだけあって綺麗ですわ。
登場早々、マイクトラブルでまったく声がでないというアクシデントもあったけど、
それすらもなんとなく可愛らしかったり(笑)

歌の方は…
いや、案外頑張ってましたよ。
アルバムで聴くくらいの感じで、決して上手くもないし、
ステージパフォーマンスもなかなか素人くさかったですが、
綺麗な女性というのはそれだけでも目の癒しになりますな。
しばらくは、つい曲をそっちのけで写真を撮りまくってました。


で、曲の方…
過去曲もたくさんやってくれて、まさにスカイラークベスト、といった感じ。
アルバム「DEVINE GATE T、U」から「THE PRINCESS DAY」あたりの代表曲は
だいたい網羅していて、個人的にはけっこう楽しめました。
CDを聴いたことのない人には、「どれも似たりよったりの速い曲」が延々と続いた、というような印象だったでしょうが。
ただ、肝心のキーボードの演奏と出音がイマイチだったので、サウンドの薄っぺらさは際立ってしまってましたがね。

でも…ステージはある意味で濃かった(笑)
ガタイのいい男Voに金髪でへそ出しルックのキアラさん。
宮崎駿が長髪になったような風貌のベース、そしてスキンヘッドで大はしゃぎのKey
…この噛み合ってなさこそがスカイラークなのだな、と。

あと、ドラマーが案外まともなのも良かった。
新作「Fairytales」でのドラムはひどかったので、ツアー用に別の人が来ていた模様。

さてさて、ステージも終盤にさしかかり、お待ちかねの(?)「Mt.Fuji」では
キアラさんが客を(しつこく)あおっての「マウンテンフ〜ジ〜♪」の大合唱。
この頃には観客のボルテージもけっこう上がっていて、みんな苦笑しつつも楽しげに叫んでました。
普段はめったにライブでも叫ばない自分も、ついつい大声で叫んでいました。

そんなこんなで無事アンコールも済ませ、ラストは日本での一番の人気曲「Belzebu」で終了。
薄いようで案外濃くて、しょぼいのだがけっこう楽しい…というスカイラークのライブでした♪


もうこのバンドを二度と見ることはないでしょうねー…
公式サイトの方でも今後はライブ活動はしないというようなことが書かれていたし。
ああ…でもボロクソけなしつつも、案外楽しい…というかけっこう愛しているバンドなのでした。
つい応援したくなるというか。
技術至上主義の、上手くて完璧なバンドが多い昨今、
たとえド下手でも、こうして頑張って続けていれば、遠くイタリアの地から三度も来日して来られるのだ…
そう思うと、ちょっぴり勇気をもらえたような気がする。

ありがとう、スカイラーク!
いろいろな意味で思い出に残るライブでした。


ノヴェラ 25周年ライブ
2005/9/4



ノヴェラの25周年ライブに行ってきましたよー。
ジェラルドとかテルズシンフォニアとかはライブを見たことがあったのですが、
その本家本元のノヴェラはこれが初体験!!

今回は1st〜3rdまでの第一期メンバーによるライブだったので、
選曲的にもそのあたりの曲がメインでした。
会場となった渋谷O-East前には、開場前からオールドファンたちの熱気でムンムン。
けっこう女性も多く、中にはまだ若いいかにも後追いらしい(自分もそうですが)ファンの姿も。

さて、友人たちとステージ左の柵に寄り掛かれる位置をゲットし、
いよいよ開演です。

メンバーたちは、それぞれに衣装も頑張っていて、
往年のノヴェラのステージ(写真でしか見たことないですが)から
25年も経っているとはあまり感じさせませんでした。
予想通り、1曲めは1st「魅惑劇」のオープニングを飾る
“イリュージョン”!!
「どしゃぶり雨〜♪降り続く中〜♪」
初めて生で聴くイリュージョンに感激しきり。

袖の膨らんだ白いシャツに羽飾りのついた帽子をかぶった
“アンジー”こと五十嵐さんの歌声はCDで聴く通りのものだったし、
ジェラルドのライブでは最近も拝見していた永川さんのキーボードは、
古き良きハモンドの音色から今風にアレンジした音色までとても巧みに楽曲を彩っていた。
平山さんのギターは、“魅惑劇“あたりの静かなパートでの表現力が素晴らしく、
CDで聴くのとはまた違う大人のノヴェラのギターを味あわせてくれた。
ベースの高橋さんは長髪にグラサン姿で、ビジュアル的にも全然イケていたし、
ドラムの秋田さんはパワフルなツーバスドラムを聴かせてくれた。

私は根っからのノヴェラファンでもなかったので、
CDで聴いたときには思わず笑ってしまった(ラッター、ラッター〜ラッファラウェイ)
“レティシア”でしたが、実際にライブで聴くと非常にドラマティックに聴こえ、
このバンドの「ロマンの体現者」としての側面も改めて感じ取ることができた。

ラストの“時の崖”の疾走感は25年の時を超えて、
その場にいた数百人のノヴェラーたちの耳にしっかりと焼きついたことだろう。
そしてこの記念すべきステージは、二度のアンコールの後、
2nd「イン・ザ・ナイト」からの疾走曲“Farewell”で幕を閉じた。

個人的には第二期メンバー(Drが西田竜一の頃)が好きだったので、
「パラダイスロスト」「聖域」からの曲も聴きたかったが
ともかくも、人生初のノヴェラライブを体験できたことは、
今後の自分のプログレ、ハードロック人生においても、
とても素晴らしい体験だったと思う。

次は30周年?


DVD付きの25周年記念ベスト版も出ました!!


フィニッシュミュージックデイ
2005.5/16



先日、5/13に行ってきた
フィニッシュミュージックデイのライブレポートです

場所は恵比寿のリキッドルーム、行くのは初めてでした。
会場に到着すると、すでにメタラーな男女の姿がたくさんおりました。
自分は開場時間まで館内のオシャレなカフェでコーヒーを飲んでました。

さて、時間だ。
階段を降り場内に入ると、 あら…かなりガラガラ…
確かに一般的にはマイナーなバンドたちだし、
平日なのでまあこんなもんか、とも思ったが…
それにしてもガラガラですよ…。
これではイベントとしては赤字だろうに、などと心配などをしつつ手すりの前に陣取り開演を待つ私。
開演時刻になるとけっこう人が増えてきた。 よかったよかった。
それでも自分の前にはスペースがあって、全然ステージが見えるくらいな感じ。
これくらいの人数がちゃんと見るにはちょうどよいのかも。

さあ始まりだ!

@ENSIFERUM
民族調のSEが始まると、1バンド目がENSIFERUMだと判明。
現れたメンバーは皆上半身裸。目の下にふちどり。(さすがに女性KEYは服着てましたが)
フロントマンであったヤリがWINTERSUNに専念するために抜けたので、
ツアーメンバー(?)としてNORTHERの人が加わったらしい。金髪長身のなかなかのイケメンです。
紅一点の女性キーボーディストは、長い髪を振りまくりつつ演奏してました。
髭面の六弦ベースの人が風貌的には一番ヴァイキングしてたな(笑)。
さて、演奏は案外普通です。もっととんでもなくクサクサかと思ったら。
疾走パートは聴きやすい北欧メロデス風で、三連のミドルテンポでヴァイキングメロをかます。
分かりやすくてよい。
序盤はツインギターのバランスがイマイチだったが、後半は良くなった。
ほとんどMCなしの30分。
お客もなかなか盛り上がり、生で見る初のヴァイキングサウンドを楽しみました。

AKIUAS
デビュー前の新人。予備知識なし。
イントロのSEが壮大でシンフォニックかつエピックな雰囲気だったのでかなり期待。
しかし…肝心の曲の方は…うーん…
シンフォニックとメロデスとヴァイキングとメロハーの要素を詰め込んで…
ごちゃごちゃになっちゃいました…という感じ(^^;)。
Voの雰囲気はブラガーのハンズィの若い頃みたい。歌はもう少し下手。
ギターとベースはスキンヘッドに長いあごひげという、
およそこの手のバンドには似つかわしくない風貌。
曲によってはメロデス風に疾走したり、キャッチーな歌メロがあったり、
ヴァイキング調のメロもあったりと、いろいろな雰囲気があるのはいいが、どれも中途半端。
曲もアレンジが唐突で、聴き所がイマイチ分からない。
結果としてどれも印象にのこらない。ガチャガチャした未整理の印象ですな。
どの方向性で行くのかをもう少し整理してほしい。
一番良かった曲は…イントロのSE。

BTO/DIE/FOR
ゴシックなので、客の盛り下がりが心配されたが…いやいや、かなり盛り上がってました。
この頃になるとかなり客も増えていた。
中にはメンバーの名前を叫ぶ女性も。けっこう人気あったのか。
私のすぐ前に黒い服の女性5人組みが陣取る。女の子…というよりもお姉様、だな(笑)
演奏はマイルドなゴシックロック。Voがやや挙動不審。
ナルシスティックな動きはこの手の女々しい系ゴシックの基本なのか…。
自分はゴシック好きなので、そこそこ楽しめたが…
たぶんHIMやNEGATIVEみたいにVoさんが美しいわけでもなかったので、
視覚的には大して面白くはなかった。
曲もどれも似たようなテンポなので、2、3曲聴くと…ちょっと飽きるかも(笑)
しかし、周りはかなり盛り上がっていました。
これだったら、ENTWINEやHIMが来ても全然大丈夫だろう。
あ、HIMはサマソニに来るみたい。お美しいヴィッレさんが見たい方は行くべきですな。
全体的に演奏は安定していて良かったですよ。

CTWILIGHTNING
やはりトリでしたね。演奏時間も一番長かった。
メンバーの長髪率も一番高かった。金髪のさらさらヘア。
外見も音も、いかにもな北欧メタルしてました。
2ndからの曲を中心に演奏。
ミドルテンポが多いせいか、やはりメロハー+きらきらした北欧王道メタルという雰囲気。
ツインギターにキーボードのバランスもよく、ヴォーカルの歌唱も安定感があってさすが。
若手なのにすでに貫祿のあるパフォーマンスですね。
来日は二度目ということもあってか、お客を乗せるMCのやり方も堂に入っていた。
疾走曲はあまりなかったが(ラストに1stからの曲をやった)、
サビメロのキャッチーさに思わず首を振りました。やはりいいバンドでした。

終了…

中央付近の手すりに寄っ掛かって見ていたとはいえ、さすがに疲れましたー。
個人的に楽しめた順位としては…
ENSIFERUM、TWILIGHTNING > TO/DIE/FOR > KIUAS かな。

なにはともあれ、こんなメンツでのライブが見れるのはなかなかないことでしょう。
昨今熱いフィンランドのメタルシーンを象徴するようなイベントでした。

↓私のサイトのフィンランドメタル特集
http://www.lily.sannet.ne.jp/midorikawa/finland.htm


スターレス & ジェラルドライブ
2005/3/20



GERARDSTARLESSのライブに行ってきました!!

渋谷に着き、いざ意気揚々と会場へ。
渋谷駅から近いルイードK2。1月にALHAMBRAを見に来たのもここでした。

近づいていくと、開場前なのにすでに長蛇の列が…。
GERARDとSTARLESSでこんなに客が並ぶなんて…。

肌寒い早春の空気を感じつつ、並ぶこと数十分。ようやく開場時間。
ライブハウスに入ると、まずは物品コーナーで、先行発売されていたSTARLESSのDVDをゲット!

ドリンクを引き換え、ステージ左側の壁際、左のスピーカーの真ん前に陣取る。
なるべく体力を温存しようと、壁際によりかかって開演時間を待つ間にもお客はどんどんと増えてゆき、
やがて立ち見のスペースはキャパいっぱいに…。
それでもまだお客は途切れないらしく、「前に詰めてください」のアナウンスが響く。

私の知るかぎりメジャーでないプログレ系のライブで、こんなに客が来ていたのは初めて。
けっこう前にEGG MANで見たGERARDのライブは座席に座ってゆったり見ていたというのに…。
それだけGERARDに人気が出てきたということなのか。
それとも私のように復活したSTARLESSを見ようというコアのファンも多かったのか。

さて、定時より10数分押して、いよいよステージの幕が上がった。
イントロのSEはやがて聞き覚えのあるメロディへと変わると…
「STARLESSだ!」
アルバム「銀の翼」の1曲めのイントロに続き、その音が鳴った瞬間…
かつて学生のころに知ったこのバンドを、10年の歳月の後に、
自分は今ついに体感しているのだという…感慨に震えた。

1曲めの「銀の翼」からもう感激。
何度となくCDで聴いた、サビでの5/4拍子
「銀の翼広げ、空を飛べるな〜ら♪」
のメロディに合わせて頭を動かす。

メンバーはヴォーカルさん以外はオリジナルメンバーで、
少し前に見たDVDでの1986年のライブ映像からは、20年近い歳月が流れているので、
それぞれに年を経て風貌は変わっていたが(とくにギターの中川さん…)、演奏する音はなにも変わらない。
メロディアスでハードロックでキャッチーな、プログレファンが聴けるHR。まさに「あのスターレス」の音だ。

新ヴォーカルさんのMAIは、なんでも去年の12月にセッションをしたときに目に留まり、
正式メンバーとなったということだが、昔のジュラの歌声が大好きだった私でも、
すんなりと聴けるなかなかの歌唱を聴かせてくれた。
なにより、その派手やかな衣装やいかにもロック的な立ち居振る舞いを含めて、
スターレスというバンドの雰囲気にマッチしていたことは確かだった。



さて、曲は1st「銀の翼」からの曲をメインに、歌謡ロックっぽいキャッチーな「瞳の奥に」や、
ゆったりと始まり後半からの疾走が気持ちよい「ブレス」、疾走メタルとしても聴ける「予感」など、
耳に馴染んだナンバーが目の前で次々に演奏されてゆく。
間にメロウなギターのフレーズが印象的なバラードの名曲「WISH」も折り込みつつ、
ラストのアンコールでは1stのラスト曲でもある重厚な「明日の影」でしめる。
MCでの、「今回は3回練習出来た。神戸の時は2回」という言葉からは、
とてもそうは思えないような安定した演奏で、20周年記念のライブを堪能させてくれた。

個人的には、よりキャッチーになった2nd「SONG OF SILENCE」の曲や、
私がスターレスにハマるきっかけとなったメロディックな疾走曲「WAITIN' IN VAIN」なども聴きたかったが…、
まあそれは贅沢というものか。
なにしろ、9年前に東京であったスターレスのライブを見逃して以来、
その後の活動停止に後悔をつのらせていた私が、こうして初めて念願の彼らのライブを見ることができたのだから。
願わくば、この活動が一時的なものではなく
…できればニューアルバムを出すくらいまでの勢いでいってもらいたい…
そう願っていたのは、昨日のあの会場の中で私だけではなかったはずである。


さて、STARLESSのライブ終了後、続いてGERARDのセッティングが始まった。
どうやらドラム一式も総取っ替えみたいで、なかなか時間がかかっていた。
ということは、STARLESSはあの巨大なドラムセットをわざわざ関西から持ってきていたのかあ、とあらためて感心。
ここでスタッフの人がマイクを取り、スターレスの大久保さんが再びステージに。
そして、なんと…
特別ゲストとして元NOVELAのヴォーカルの五十嵐氏が登場。
これにはお客さん達は私も含めてびっくり。
そして、お二人の関西系トークが始まった。

GERARDの永川氏を含めると、今日はかつてのシェラザードのメンバーの3人までが揃ったのだなあ、
という感慨深げな話や、五十嵐氏がやっているURIAH HEEPのコピーバンドのライブの話、
さらには今年はNOVELAの25周年なので何かやりたいね、という話を聞いてお客さんも盛り上がり、
なかなかに楽しいトークでした。

ようやくGERARDの準備が完了。
なんでも機材の入りが遅れたせいで、GERARDはリハは抜きなのだという。
リハなしであんな複雑な曲をこなせるなんて。さすがプロ!

今回は、新ドラマーになっての初のライブということで、とても興味深かったのだが、
演奏が始まると、やはりジェラルドはジェラルドだった!

たった三人なのに、音の薄さは感じない。
とにかく激しく、テクニカルで、ロックしている。
ベースの長谷川氏は相変わらずのテクニカルなプレイで、永川氏のキーボードとの高速ユニゾンは凄いのひと言だし、
元ZYYGの新ドラマー、藤本氏のプレイも前任の後藤氏に負けじとパワフルで、複雑怪奇な変拍子を完璧にこなしていた。

自分らの見ていた場所は、キーボードのすぐ前だったので、
ほんの1m先で永川氏が鍵盤を叩く様が、その指先の動きまでばっちりと見えた。



時に激しく頭を振り、ジャンプしたり、鍵盤に膝を乗せたりと、
永川氏のプレイスタイルは全盛期のキース・エマーソン並みにロックしており、
「楽しくて仕方がない」というMCでの言葉通り、実に生き生きとしていた。
まるでテレビ通販番組のようなたくみな話術でお客の笑いをとったMCでの物販コーナーを含めて、
いかにもライブ慣れした本物のミュージシャンである。

曲は去年のアルバム「POWER OF INFINITY」からの曲をメインに、
まだ名前のついていないという新曲3曲も披露、さらには「KEYBORD TRIO」や、
アンコールでは「REVENGE」といった古めの曲も聴け、
私の耳はカラフルなキーボードの音色とたたみかける変拍子の嵐とにもう満腹状態。
上からストリングス、ピアノ、ハモンドと、音色ごとに並べられた鍵盤上を
縦横無尽に走り回る指先を見ていると、なんだかぼんやりとトリップしてゆくような錯覚に陥り、
いつのまにか5/8拍子や7/8拍子のリズムに勝手に動いてる自分に気付く…(笑)

さすがに、ラストの方だと3時間以上の立ち疲れで、腰が痛くなっていたが…(^^;)

こうして大盛況のスターレスとジェラルドライブが終了した。
プログレ音楽をたっぷりと堪能し終え、足腰の疲れに半ばぐったりとなりながら、
満足感とともに私は会場を後にしたのだった。

家に帰ると、喉は痛いわ、鼻水は出るわ(会場の空気の悪さもあったのか)で花粉症状態(T-T)
寝る前に、購入したSTARLESSのDVDを鑑賞しました。

こうして、昨日は初めて生で見れたスターレスにすっかり感激した一日となったのでした。

いやー、プログレってほんとにいいもんですね!!

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アルハンブラ ライブ
2003/8/30



吉祥寺のシルバーエレファントにALHAMBRAのライブを見に行ってきました。

もとはMARGE LITCHというバンドのメンバー4人が新たに結成したバンドで
そのマージュリッチ時代には何度もライブに行ったことがありますが、
壮大なシンフォニック&テクニカルプログレメタル、という高度な演奏には
毎回唸らされていたものです。

さて、今回はワンマンではなく、対バンにTIANANOGUEというバンドを迎えての構成。
しかも、会場もいつものように椅子がなく、座って見られないという状態で
最初のバンドを見ているうちに足腰に疲れが・・・(^^;)

TIANANOGUEについては・・・・
とくに書くべきことも多くないです。
若さと勢いがあってよろしい。という感じで。
難をあげればも少し曲を「分かりやすく」した方がいいかな、と。
正統派のメタル部分はそう悪くはないのですが、プログレ的な唐突な部分の
リズムアレンジに関してはどうしても「取ってつけたような」印象がありますので。
あとは歌をも少し、頑張ってください。

さて、やっと前座(?)が終わり、肝心のアルハンブラ。
やはり、というか、相変わらず、というかさらに、というか。
素晴らしい演奏でした。

実質「ギターが交代したマージュリッチ」というメンツなのですけど、
その新しいギタリストもかなりの腕前で、複雑な楽曲を無難にこなしていましたが、
他の3人の演奏があまりに凄すぎて、まったく目立たないというところがまた凄い。
いやー、とくにこのドラムとペースを見ているだけで楽しめます。
おそらく日本のシンフォプログレ系では現在最高のリズム隊かと。
ここのベースさんはただ「上手い」というだけでなく、「音楽を知っている」というのか、
実に見事に、アンサンブルとしての心地よさを聴いていて感じさせてくれるのです。
相変わらずパワフルで手数の多いドラムは、なんだかいっそうスネアの一音に
なにかが込められているような力強さで、疾走感が気持ちよい。
キーボードとギターの高速ユニゾンなど意外な様式美風味もあり、新曲は意外とメタル度が高し。
またVo純子さんの歌唱は、相当でかいはずのバックの轟音にも負けず、
高音域ではこちらの耳がいたくなるくらいのパワーで歌っておられました。
はじけたMCも含めて、微笑ましいお人柄が出ておられて幸せな気分にしてくれます。

全体としては、
曲そのものというよりも演奏のパワーによってぐいぐい惹きつけられる感じがしました。
そして、なんというか「音楽ってすごいな」と改めて思えるような。
くさいはずの歌詞でも、その音の説得力で素直に感動できてしまうのですな。
最初は立ちっぱなしでつらかった足腰も、集中できたせいでラストまで結局もちました(笑)

聴き終えて
「ああ、自分も頑張ろう」という「正のパワー」をいただいた気がしましたね。
惜しむらくは、2バンドだったせいか、1時間ちょっとの演奏時間だったこと。、
それと、昔のマージュリッチの曲はもう聴けないのかなぁ・・という私的な心配など。

しかしまあ、ともかくも、今後とも頑張っていってほしいバンドです。
このレベルの演奏は、そのへんの外タレバンドでは味わえませんよ。
(去年見たRHAPSODYあたりよりもアンサンブルでは上でしょう)

こういういいバンドの演奏をもっと多くの人に聴いてもらいたいなぁ、
といつもながらに思うものです。

ALHAMBRA HP http://www.alhambra.ws/


桜庭統 ライブ
2003/7/20



桜庭統のライブに行ってきました〜。
埼京線(りんかい線)でZEPP東京まで。

「スターオーシャン&ヴァルキュリー・プロファイル コンサート」ということで、
一応ゲーム音楽のライブという名目で、周りのお客さんも同ゲームのファンとおぼしき
若い少年少女など(中には幼児を連れた方も)が多かったですが、
いやぁ・・・・内容は ド・プログレでした(笑)

もちろん桜庭関連のアレンジCDを聴いていたときから、ゲーム音楽というよりは
「コリャもうシンフォニック&プログレ系のCD」として聴いていたわけですが、
さすがにゲーム会社(エニックス系)主催のイベントということもあり、ライブといいつつ
もしかしたら打ち込みをバックに桜庭さんが一人でキーボードをおとなしく弾くだけのものかも、
という不安も多少あったのです。

しかし、会場に入るやいなや、その懸念は一掃されました。
ステージにはまぎれもなくドラムセットが!
さらに多数のモニターに囲まれたステージ上左側にキーボード群の要塞、
中央にはベースが。
これはまぎれもなくトリオ編成でのバンド演奏であると確信。
いやがおうにも期待は高まりました。

そして定刻をややすぎてメンバーたちが登場。観客の拍手の中、
荘厳なキーボードの音色が会場を包み、続いて重量感のあるドラムが鳴り出し、
ゲーム音楽の名を借りたプログレライブがスタートしたのでした。

合計10列の鍵盤に囲まれた桜庭氏のキーボードは
ハモンドなどの古めの音色を取り混ぜながら壮大系からピアノまで見事に弾きこなし
元のアレンジアルバムの楽曲を再現しつつも即興を加えるところはさすが。
ドラムはモヒカンのお兄さんで、一見怖そうな顔ながら、時折笑顔をまじえたり
スティックをくるくると回しながら、軽々と、しかもパワフルに変拍子を叩きまくっていました。
ベースもとてもテクニカルで、アルバム以上に高速なプレイをこなし、ソロ場面ではディストーションを
入れてギターの如き音色を聴かせてくれました。
(その後メンバー紹介にてこのベースがGERARDの長谷川淳氏であることが判明。上手いわけです)

全体的に演奏はアルバムよりもずっとロックしていて、
時にリズムの音圧にキーボードの音色が聴きづらくなるほどで、
爽快な5/8拍子のリズムに(このリズムにノレる自分が怖い・・^^;)、
気付くと私は心地よく体を揺らせていました(笑)。

しかし、聴きながらつくづく思ったのは、
「はたしてこのライブがプログレファンではない」一般のゲームファンが
本当に楽しめたのかという客観的な不安です(笑)

私のようなプログレ者からすると、途中のドラムソロ、ベースソロや即興演奏的な曲も
それなりに聴きどころでけっこう楽しめたのですが、ゲームファンからすると
「ゲーム中の曲以外はべつに興味がない」という人もいたはず。

もちろんゲーム音楽イベントとしての面目は、
ステージ後方のスクリーンにおそらくゲームのデモ画面らしきセリフ入りのキャラのムービーが挿入されたり、
アンコール曲ではアルバムのメドレーっぽい曲をやったりでそれなりに保たれたかなとは思いましたが、
全体としては「どう考えてもプログレバンドのライブ」という印象でしたね(笑)。

そういう意味では私的にはとても楽しめたイベントであり、
久しぶりに「プログレライブ」を堪能したなぁという感じです。
\3800(+ドリンク代\500)は安かったです。

それにしても5時に始まって7時には終わるライブなんて初めてでした
(その点ではやはり少年、少女向けだったのか?)

ラスト近くでの桜庭さんの短いMCが印象的でしたね。

「今回 (キーボード、ベースドラムという) 3ピースでライブをしたのは、
間違ってもいいから人間の弾く音を聴かせたかったからで、今後もそれにこだわりたい」

これはまさにバンドマンの言葉ですよ。
ゲーム音楽を仕事でやりながら、プログレ、ロック魂を失っていない氏の言葉を嬉しく思いました。

最近の日本のプログレバンドのライブでここまでのお客が集まり(多くはプログレのファンではないとはいえ)、
大がかりなステージ(リモコンカメラ含む3台でカメラ撮影してましたし)に立ったバンドはそうはいないでしょう。

ゲーム音楽という商業ベースに己のやりたいプログレッシブロックを投影させた
この「新たなプログレの形」
日本プログレの存命手法のひとつという意味も含め、
今後も注目すべきジャンルだな、と思いました。

願わくば次はもう少し狭いライブハウスで(箱がデカイと低音が分離しすぎてやかましいので)、
ゲームイベントと銘打たずに純粋にプログレファンを集めて欲しいものです。

でも、もし今回一人でもこの演奏にプログレ的な魅力を感じたゲームファンがいたのなら、
それはそれでこのイベントの意義は大きかったのではないかと思います。

以上、ライブレポートでした


プログレについて
01/06/18

メタルとプログレのページをリニューアルしました。
マイナーだけど、音楽は素晴らしくぜひ知って欲しい、というバンドものせました。
これでよりマニアックなプログレファンにも対応。
ただ、 HP容量のせいもあって全バンドの画像を載せられないのが残念ですが。
あとTOPページも変更しました。こちらは毎月私のお気に入りバンドのジャケを飾る予定です。

さて、プログレ・・つまりプログレッシヴロック=進化するロックのことですが、コーナーでは
メロディとリズムを追求した高度かつ純粋、しかも芸術的で素朴、ダークなのもハッピーなのも、
クラシカルで壮大、しかもポップ、という数々の素晴らしいバンドを今後も私の知る限り紹介してゆきます。
コメントに関しては私の感性、趣味によるところが大きいので、異論のある方もいるかもしれませんが。
なにか言いたいことや、このバンドも忘れるな、という声がありましたら、メールなり掲示板なりによろしく。

私は基本的にメロディック&シンフォニックな音楽が好きですので、レビューもそれ系のバンドが多く、
ジャズロックやサイケデリック系は弱いので(フランスのマグマ、ゴング、ドイツのアモンデュール、アシュラテンペル等々)
のっけていない主要バンドもあるかとは思いますが、ご容赦を。未だプログレ探求中の身です。

さて、プログレとひとくちにいっても、私の好きなシンフォニック系から上記のジャズ、サイケ、または室内楽、クラシック系、
アヴァンギャルドにプログレメタル、アニメ、ゲーム系、はたまたトラッド、フォークなどさまざまです。
しかし共通するのは、どれも「売れ筋ポップス」や「ダンスミュージック」では味わえないもの、
つまり純度の高いメロディや、複雑なリズム、過剰なほどのドラマ性、内面的ナイーブさ、逆に攻撃性や暗黒、
つまり人間のもつ感情、精神が、音という形をなして表されているという点です。
それは売れること、メジャーになることを意識せずに作り手が純粋にその人間性を発揮した「本物の瞬間」であり、
また音楽という表現手段、その可能性への挑戦であるともいえるのです。

私がプログレに今後も未知の可能性を感じるのはそれゆえであり、
心地よさ、感動、感嘆を感じるのもそれらバンドの音に真摯な姿勢を感じるときであります。
純粋なメロディに酔い、テクニカルな超絶アンサンブルに唖然とする楽しみ、
それがプログレッシヴということ、つまり「人間」の音楽である、ということなのだと思います。

堅い話になりましたが、もし興味を持った方がいたら難しく考えずにまずは聴いてみてください。
もし私の紹介したアルバムの1枚でも聴いたなら、それらが理解できることと思います。

                                           緑川とうせい


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