ジャケ買い しそうな美麗ジャケ特集



みなさんはジャケ買いしたことありますか?
バンドの情報などほとんどなかった昔は、とりあえず手にとってみて、ジャケに惹かれたら内容を知りもせずに買っていたものです。
ジャケの良さに反して中身がダメだったというものはたくさんありましたが、少なくともジャケを見ながら音を想像している間は、とても楽しく胸踊る時間なのでした。
ここでは、私の気に入りのジャケの作品たちを紹介します。
美しいジャケを鑑賞しながら、幻想とロマンに想像を膨らませましょう。
さあ、みなさんもジャケ買いしちゃってください♪


◆ファンタジーな美麗ジャケ

BLIND GUARDIANSomewhere Far Beyond
ジャーマンメタルのベテラン、ブラインド・ガーディアンの4th。1992作
本作こそがブラガーの最高傑作。まずこの幻想的なジャケットからして胸が踊る。
アコースティカルなイントロから続く“Time What is Time”の激しさ、ダイナミックさにまずやられる。
本作あたりからハンズィのヴォーカリストとしての成長も感じられ、世界観を歌い上げる説得力が加わった。
続く“Journey Through the Dark”の疾走感に拳をかざし、“Theatre of Pain”のクラシカルさに浸り、
“The Quest for Tanelorn”のサビでの大合唱、“The Bard's Song”では吟遊詩人の気分になって、
ファンタジーの世界にどっぷり。そして極めつけは、7分を越える“Somewhere Far Beyond”の
ドラマティックさに悶絶。曲ごとの密度も濃く、構成的にも完璧なファンタジックメタル作品である。
ドラマティック度・・9 疾走度・・8 ファンタジック度・・9 ジャケ買い度・・8.5
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LABYRINTH「Sons of Thunder」
イタリアンメタルバンド、ラビリンスの3rd。2000作
ファンタジックなジャケにまず惹かれるが、内容の方も物語的なストーリーに基づいたコンセプト作で
知的な展開力とプログレッシブな感性が含まれた完成度の高い傑作である。
1曲目の“Chapter 1”のダイナミックな疾走感と、中間部でのはっとするような叙情パート、
テクニカルなギターを織り込みつつも、ただ激しいだけでない世界観の表現力が見事。
シンフォニックなシンセワークも光っていて、表現力のあるヴォーカルとともにサウンドの説得力を高めている。
なお、本作を最後にオラフ・トーセンが脱退、VISION DIVINEを結成する。
ドラマティック度・・8 疾走度・・7 完成度・・9 ジャケ買い度・・8
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HYPERION「WHERE STONE IS UNSCARRED」
イタリアのプログレメタルバンド、ハイペリオンのアルバム。1999作
のっけから壮大な合唱曲で始まり期待が高まるが、曲の方もなかなか練られたアレンジで
ときにネオクラシカルな風味をまじえつつ、メロディアスかつテクニカルな高密度の楽曲が続く。
専任Keyもいて音の厚みもばっちりで、展開の多さにはプログレメタル的な要素もある。
録音も良好だし、全体的にも聴いて損のない質の高い作品である。
キース・パーキンソンによるファンタジックなジャケにも心踊る。
メロディアス度・・7 ネオクラ度・・7 プログレ度・・7 ジャケ買い度・・8
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NORTHWIND「El retorno del Rey」
スペインのシンフォニック・メタルバンド、ノースウインドの2nd。2002作
ツインギターに女性Key奏者を含む6人組で、語り入りの仰々しいイントロからして
なにやら物語的なコンセプト作らしい。サウンドの方もふんだんにシンセを使った
シンフォニックメタルで、一聴してイタリアのRHAPSODYを思い浮かべるが
あそこまで濃密ではなく、適度なマイナー臭さがあるのが微笑ましい。
スペイン語の歌唱に勇壮なコーラスが合わさり、きらびやかなシンフォニックメタルが繰り広げられる。
質や完成度では本家のラプソに及ぶべくもないが、この手のファンタジックメタルが好きなら
にんまりしつつ楽しめるだろう。バンドは現在DARKSUNと名前を変えて活動中。
シンフォニック度・・8 ラプソ度・・8 スパニッシュ度・・7 ジャケ買い度・・8
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GARY HUGHES「ONCE AND FUTURE KING PART T」
TENのVoにしてソングライターである、ゲイリー・ヒューズのソロ作。2003作
アーサー王伝説をモチーフにしたロックオペラの第一弾。
TENのメンバーを演奏陣に据え、配役ごとにゲストVoを多数迎えた豪華な作品。
基本はTENでもやっている叙情味溢れるメロディアスなハードロックであるが
シンフォニックなバラードや時折ケルト風のメロディを用いるなど、「アーサー王」のコンセプトを
サウンドの雰囲気にもかもし出している。またラナ・レーンやイレーネ・ヤンセン(AFTER FOREVER)
といった女性Vo陣が華を添え、ボブ・カトレイの落ち着いた声の存在感や、
ゲイリーのマイルドな歌唱を引き立てている。ちなみにジャケはChiris Achilleos
メロディアス度・・8 壮大度・・7 楽曲・・7 ジャケ買い度・・7.5
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BATTLELOREThe Last Alliance
フィンランドのエピック・ゴシックメタルバンド、バトルローのアルバム。2008作
コスプレメンバーによるファンタジックなゴシックメタルもこれで5作目。
前作で過去最高ともいうべき音の説得力を身に付け、本作も期待していたが
うむ、素晴らしい。のっけからシンフォニックなシンセワークが耳を惹きつけ、
女性ヴォーカルの歌声が入ると、もうウットリ。ギターもシンセもそしてドラムも、
すべての音がかみ合って、厚みのあるサウンドが見事な世界を作り出している。
デス声入りのアグレッシブな部分は、ときにヴァイキングメタル的な勇壮さも覗かせ、
単なるゴシックではない激しさと、優雅な幻想性との融合が果たされている。
シンフォニック度・・8 バトル・ゴシック度・・9 ファンタジック度・・9 ジャケ買い度・・8
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BAL-SAGOTH「The Power Cosmic」
イギリスのエピック・ブラックメタルバンド、バル・サゴスの4th。1999作
前作がRPGのようなファンタジー世界なら、今度はスターウォーズみたいなSFか。笑
いや、このジャケのインパクトもすごいですが、サウンドも相変わらずのクサメロまくりの
壮大なシンフォフォブラック。シンセによる美麗なイントロからしてもう胸踊ります。
曲が始まると、前作よりもいくぶんパワフルさを増した疾走サウンドで、クサメロを奏でるギターに
シンセが重なり、恥ずかしげもないバルサゴス節が炸裂。宇宙征服を企む悪の皇帝との戦いだ!
後にDRAGONFORCEに加入するドラマーのプレイもツーバスドコドコでいい感じ。
アニメかコミック的なファンタジックブラックを聴きたいなら、このバンドで決まりだ!
シンフォニック度・・8 暴虐度・・7 ファンタジック度・・9 ジャケ買い度・・8
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Kivimetsan Druidi「Betrayal Justice Revenge」
フィンランドのフォーキー・ブラックメタル、キヴィメトサン・ドルイディの2nd。2010作
ブラックメタル化したNightwishという雰囲気であった前作は、ややゴチャゴチャして散漫だったのだが、
本作ではシンフォニックな美麗さと、オペラティックな女性ヴォーカルの歌唱をより前に出してきた。
前作同様、ブラスト入りで男性ダミ声とともに激しく疾走する部分もあって、
メロデスリスナーでも普通に聴けるサウンドだと思う。一方で母国語で歌われる曲は
土着性があっていかにもフィンランド的。楽曲、アレンジの面で成長の跡が窺える力作だ。
「裏切り、正義、復讐」というタイトルや、ジャケのファンタジックさも萌えます。
シンフォニック度・・8 暴虐度・・7 女性Vo度・・8 ジャケ買い度・・8.5
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CRUACHAN「PAGAN」
アイルランドのフォーキーメタルバンド、クルアチャンの4th。
基本は前作からの流れ通りのトラッド/フォーキー・メタルで、
フルートやフィドルなどのアイリッシュメロディに女性Voが絡まるのが特徴。
メタルな部分の音圧もややマイルドになり、アレンジ的にも唐突な印象はなくなり、
自然な感じのフォークメタルとして聴けるようになっているが、
一部暴虐(というほどでもないが)パートも有り、アルバムとしてメリハリを付けている。
低血圧系の女性声も男性声とのコントラストでそれなりに気持ち良く聴ける。
垢抜けないケルトメタル好作。ちなみにジャケはロード・オブ・ザ・リングでおなじみのジョン・ハウ。
メロディアス度・・8 トラッ度・・8 メタル度・・6 ジャケ買い度・・7.5
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◆ロマンと幻想の美麗ジャケ

LANA LANEBallad Collection U

シンフォニックハードの歌姫、ラナ・レーンのバラードアルバム第二弾。2000作。
彼女の初期のアルバムはもっとメタリックな要素が強いのだが、ここで聴けるサウンドは、
叙情的なバラード曲で、やわらかみのあるシンフォニックな質感が心地よく楽しめる。
エルトン・ジョンの名曲“Goodbye Yellow Brick Road”の感動的なカヴァーをはじめ、
トムウェイツ、スーパートランプなどのカヴァー曲も、エリク・ノーランダーの手による
見事なシンフォニックアレンジと、ラナの美しい歌声でゆったりと聴かせてくれる。
ファンタジックなジャケはJacek Yerkaの手によるもの。
シンフォニック度・・8 しっとり美麗度・・9 女性Vo度・・9 ジャケ買い度・・8
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MAGNUM「Chase the Dragon」
英国のプログレハードバンド、マグナムの3rd。1982作
ロドニー・マシューズによる幻想的なアートワークとともに、
サウンドの方にもファンタジックな世界観が反映され、
ここに彼ら独自のドラマティック・プログレハードが完成する。
前作までのキャッチーさに加え、重厚な部分にも磨きがかかり、
代表曲といえる“The Spirit”をはじめ、シンセの美しい“Sacred Hour”など
聴きどころも多い。英国的美意識に彩られた傑作アルバムだ。
メロディアス度・・8 プログレハー度・・9 英国度・・10 総合・・8
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SHADOW GALLERY
アメリカのプログレメタルバンド、シャドウ・ギャラリーの1st。1992作
DREAM THEATERの名作「IMAGES AND WORDS」と同時期に出たこの作品は、
私にとってプログレッシブロックへの入り口を開いてくれた思い出のCDだ。
星空の画廊に舞い降りるイカルスという、幻想的なこのジャケにまず想像が膨らむ。
やわらかなメロディと美しいシンセで聴かせる大曲は、ロマンの香りに満ちていて
その繊細な叙情性にうっとりとなる。本作ではドラムが打ち込みであることもあって、
メタリックな硬質感は薄く、むしろプログレ/シンフォニックロックとして鑑賞できる。
ラストの大曲“The Queen of the City of Ice”の幻想的な美しさは筆舌に尽くしがたい。
シンフォニック度・・8 ドラマティック度・・9 幻想度・・9 ジャケ買い度・・8.5
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BLACK JESTER「Welcome to the Moonlight Circus」
イタリアのプログレメタルバンド、ブラック・ジェスターの2nd。1994作
1992年に「Diary of a Blind Angel」でデビューしたときから、マイナー調のサウンドながら、
美しいジャケやアルバムタイトルなど、その幻想的なイメージがじつに素敵なバンドであった。
本作では、サウンドのダイナミズムがいくぶん増していて、そのやわらかで薄暗い情感と、
ロマンあふれる叙情美がより魅力をともなって聴けるようになった。美しいシンセを中心にした
どこかぼうっとした音作りからしても、ヨーロッパの暗がりをのぞくような感覚で耳に心地よい。
イタリアのプログレバンド、レ・オルメのカヴァーも実にハマっている。
メロディアス度・・8 テクニカル度・・7 幻想度・・9 ジャケ買い度・・8
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WAYLANDER「THE LIGHT THE DARK AND THE ENDLESS KNOT」
アイルランドのフォーキー・デスメタルバンド、ウェイランダーの2nd。2001作
この美しいジャケに惹かれて購入。デスメタルとはいってもどっちかというと音はヴァイキングメタルに近い。
アイリッシュらしいホイッスルの透き通った音が時折混じり、土着的要素はSKYCLAD的なアプローチ。
ただフォーキーな要素は全体的なものではなく、基本はギターリフメインの武骨なメタルなので
もう少しフォーク要素を強めるなど、極端にいっても良いような気がする。ジャケは本当に大好き。
メロディアス度・・6 ケルティック度・・6 デス声度・・7 ジャケ買い度・・7.5
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FORGOTTEN TALES「THE PROMISE」
カナダの女性Voメタルバンド、フォーゴットン・テールズの1st。2001作
NIGHTWISHEDENBRIDGEDARK MOOR等、最近にわかに活気付いた
女性ヴォーカル入りのシンフォニックメタルにまた新たなバンドが出現。
上記のバンド群に比べたらまだまだ曲ごとのインパクトは弱いものの、
キーボード入りのメロディアスなアレンジに多少ハスキーな女性声がのる様は
女性Voメタル好きにとってはなかなか耳に心地よい。曲の方にもう少し「これでもか」という
大叙情なりキメが欲しい気はするが、デビュー作としてみれば立派な出来。
サウンドが若干B級くさいところもかえって魅力的。ファンタジー童話みたいなジャケもよろしい。
メロディアス度・・7 女性Vo度・・8 楽曲・・7 ジャケ買い度・・8
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STORMWITCH「EYE OF THE STORM」
ドイツの老舗メロディックメタルバンド、ストームウィッチの5th。1989作
彼らのサウンドは、キャッチーで分かりやすいメロディを欧州的で湿り気のある
ジャーマンハードロックサウンドで表現しているところ。力強くないが
独特の魅力があるヴォーカルや、疾走しなくてもジャーマン精神を感じ取れる楽曲、
そして哀愁漂うマイナー臭さこそが素敵なのだ。私も数少ない彼らのファンの一人。
このアルバムは、ジャケの美しさとともに彼らの80年代の作品の中でも傑作に類する作品で、
全編メロディアスで爽やか、そして適度な疾走感とクラシカルな要素がある。
メロディアス度・・8 疾走度・・7 ジャーマン度・・8 ジャケ買い度・・8
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HEAVENS GATE
「Livin' in Hysteria」
ジャーマンメタルバンド、ヘブンズ・ゲイトの2nd。1991作
当時はこのファンタジックなジャケに惹かれて購入したものだが、内容もハズレなし。
ツインギターのメロディで聴かせる正統派のジャーマンメタルスタイルながら、
このバンドは疾走のみにこだわらず、聴きやすいバランスの良さが光っていた。
1曲目の“Livin' in Hysteria”、ラストの“Gate of Heaven”こそお約束の疾走曲だが、
スローテンポの“Never-Ending Fire”、叙情的なバラードの“Best Days of My Life”、
勢いのあるインスト曲“Fredless”など、バラエティ豊かな曲調がバンドとしての懐の深さを物語る。
3rd以降はジャーマンメタルブームの終焉とともに、しだいに方向性を模索してゆくのだが、
本作のクオリティは90年代のシーンの中でも傑作と言うに値する。
メロディアス度・・8 疾走度・・7 ジャーマン度・・8 ジャケ買い度・・8
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◆ルイス・ロヨは偉大です…特集ページはこちら

SKYLARK「THE PRINCESS' DAY」
イタリアンのメロスピバンド、スカイラークの5th。2002作
この色っぽい、ルイス・ロヨのファンタジージャケ絵につられて買ってしまう。
内容のほうはというと、まあ相変わらずクサメロの疾走曲満載でひと安心。
このバンドの場合、曲作りをKeyがおこなっていて、メロディは全部キーボードと歌メロ主体。
ギターはコードを弾くかシンセのメロディにユニゾンするかなので、あまり面白くはないが、
その分さすがにキーボードにはこだわっていてピアノやチェンバロなどの音色は優雅かつ
クラシカルで、このB級シンフォニック疾走メロスピに花を添えている。
また、ヴォーカルの適度な力強くなさが逆にマニアにとっては魅力なのかも。
シンフォニック度・・8 疾走度・・9 楽曲・・7 ジャケ買い度・・9
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POWER SYMPHONY「EVILLOT」
イタリアのメロスピバンド、パワー・シンフォニーのアルバム。1999作
ルイス・ロヨによるこのファンタジックなジャケにつられて買ってしまう人がほとんどだろうが、
内容の方もそう捨てたものではない。ハスキーな味のあるヘタウマの女性ヴォーカルの歌声で
軽めに疾走するスタイルで、古き良きメタルのやぼったさの中にクサメロもたっぷり入っている。
なによりローカルなサウンドながら、幻想的な雰囲気を感じさせてくれるのがなかなか好みなのだ。
シンセ入りの美しさや、組曲的な大曲もあり、あながちB級と片づけるには惜しい内容です。
クサメロ度・・8 疾走度・・7 ファンタジック度・・8 ジャケ買い度・・9
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ARTHEMIS「BACK FROM THE HEAT」
イタリアのメロディックメタルバンド、アルテミスの4th。2005作
前作からメロスピ路線から脱却したような作風だったが、続く今作も同様に
どこかハードロック的なキャッチーさをかもしだしつつのサウンドになっている。
もちろん疾走曲もあるが、メロディにはただのメロスピバンドにはないやわらかみがあり、
それがしだいにこのバンドの個性にもなりつつあるようだ。前作よりも曲のメリハリがつき、
聴いていて分かりやすいし、よりギターソロなどにもこだわった作りなので、そのへんも楽しめる。
ルイス・ロヨによるエロティックなジャケとはややイメージの異なる音だが
爽快でメロディアスなメタルサウンドはなかなかクオリティが高い。
メロディアス度・・8 疾走度・・7 楽曲・8 ジャケ買い度・・8
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PROJECTO「CROWN OF AGES」
イタリアのシンフォニックメタルバンド、プロジェクトの2nd。2001作
まずルイス・ヨロのファンタジックなジャケに目が行くが、サウンドもシンフォニックな疾走曲が満載だ。
前作はリズム面での展開にプログレメタル的なアプローチがあったのだが、今回はもっとシンプルになり、
分かりやすい疾走曲が中心。シンフォニックでコテコテ、大仰でファンタジックかつネオクラ風味のメロスピで、
キーボード、ギターともにそこそこのセンスはあるようであるが、楽曲そのものの個性はまだ弱いか。
シンフォニック度・・7 疾走度・・8 イタリア度・・7 総合・・7.5
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STRAMONIO「SEASONS OF IMGINATION」
スペインのプログレメタルバンド、ストラモニオの1st。2000作
スカイラークなどでおなじみのLouis Royoによる美しいジャケに惹かれるが、
内容もかなり素晴らしいProgMetal。全7曲中、5曲が7分以上ということからも分かる通り、
ドラマティックに長曲を聴かせるセンスと、変拍子を多用したアレンジの巧妙さが見事で、
適度にテクニカルな楽曲をまとめあげ、メロディアスに聴かせる方法論は1stにしてすでに完成されている。
繊細できらきらした現代的なシンフォニック音像が心地よく、美しいヴァイオリンも良い味を出している。
メロディアス度・・8 シンフォニック度・・8 プログレ度・・8 ジャケ買い度・・8
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BLOODTHORN「ONWARDS INTO BATTLE」
ノルウェーのシンフォニックデスメタルバンド、ブラッドソーンのアルバム。1999作
Luis Royoによるファンタジックなジャケ絵から、てっきりシンフォニックなメタルを予想したのだが、
聴いてみたらデスでした(笑)。しかし、キーボード入りのなかなか分厚い演奏にデス声の咆哮、
メンバーに女性Voもいてデス声の合間に美しいソプラノを聴かせます。
楽曲は疾走感よりはミドル〜ローテンポが多く、キーボードもゴージャスだし
曲のイメージからしてもむしろゴシック系の世界観に近いかもしれない。
7分から10分の大曲が中心で、それでも飽きさせず聴かせてくれるところは
意外と曲アレンジが良いのかもしれない。美しいキーボードが実に良い。
ドラマティック度・・8 シンフォニック度・・7 暴虐度・・7 ジャケ買い度・・8
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ELVIRA MADIGAN「BLACKARTS」
スウェーデンのメロブラバンド、エルヴィラ・マディガンのアルバム。
本作は2000年に発表されたアルバムを2004年にリミックスし直したもの。
ドラムは打ち込みで、メロウなギターとシンフォニックなキーボードで疾走。
暴虐性よりは耽美重視の路線で、ルイス・ロヨのこのジャケも含めて
軽めのシンフォニックブラックとして、なかなかいい雰囲気のバンドだと思う。
シンフォニック度・・8 暴虐度・・7 楽曲・・7 ジャケ買い度・・8
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GRAVEWORMAs THe Angels Reache THe Beauty
イタリアのシンフォニック・ブラックメタルバンド、グレイブワームの2nd。
この手のシンフォブラックの中でもゴシック風の耽美な雰囲気があり好きなバンドである。
今作では女性Keyの弾くシンセに、ゲストのストリングスカルテットが加わって、
非常にクラシカルかつシンフォニックな美しさをかもしだしている。
絶叫Voで疾走しつつもとても美麗な質感があるのがこのバンドの特徴で、
ゴシックメタル好きにも聴かせられるサウンドだ。ルイス・ロヨによる美麗なジャケも良い。
シンフォニック度・・9 暴虐度・・7 耽美度・・8 ジャケ買い度・・8
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◆耽美な美麗ジャケ

WITHIN TEMPTATION「RUNNING UP THAT HILL」
オランダのゴシックメタルバンド、ウィズイン・テンプテーションのシングル。2003作
大ヒットとなった2nd「MOTHER EARTH」のあと、どんな方向性になるのかなと思っていたところ
意外なところで攻めてきた。1曲のみのシングル曲はなんとあの、KATE BUSHのカヴァー。
もちろん、いつも以上に情感を感じるシャロン嬢の歌唱といい、壮麗なバックの演奏といい、
しっかりと自分たちの曲にしてしまっているアレンジはさすが。本シングルには同曲のライブバージョンの他、
“MOTHER EARTH”のオーケストラバージョン、さらにはビデオクリップ、メイキング等の入ったDVDも付属。
この美麗なジャケも含めて、ますますこのバンドから目が離せなくなりそうだ。
意外な選曲度・・8 聴けば納得度・・9 ビデオクリップ・・8 ジャケ買い度・・8.5
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DREAMS OF SANITY「Masquerade」
オーストリアのゴシックメタルバンド、ドリームス・オブ・サニティーの2nd。1999作
今作では「オペラ座の怪人」をテーマに、ロマン溢れるサウントを聴かせてくれる。
のっけからオペラでおなじみの“The Phantom of th Opera”で始まり、
演劇的な美麗さの中、後にELISに加入するサンドラ嬢の歌声と、
ゲストのLacrimosaのTillo Wolfのデュエットが濃密に響きわたる。
前作もそうだったが、シンフォニックなシンセアレンジや楽曲の展開力などには
プログレファン受けする要素もあり、ヘヴィさよりもロマンと美意識で描かれる
幻想的な世界観が素晴らしい。サウンド的にも強度が増した傑作である。
メロディアス度・・8 ロマン度・・9 女性Vo度・・8 ジャケ買い度・・8
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ELIS「DARK CLOUDS IN A PERFECT SKY」
リヒテンシュタインのゴシックメタルバンド、エリスの2nd。2004作
いくぶんモダンな要素を取り入れつつ、ヨーロピアンな情緒を感じさせるそのサウンドは今作も健在で、
プロダクションの向上もあり、ぐっと音の厚みが増している。
サビーネ嬢の歌唱はオペラティックで、その美声は楽曲にクラシカルな雰囲気をもたらし、
アルバム全体に堂々とした説得力を付加している。シンフォニックなシンセのアレンジも美しく、
メタリックな要素も残しながらサウンドは軽すぎず重すぎず理想的なバランスを保っており、
女性声ゴシックメタルの傑作といってよいかと思う。ドイツ語で歌われるラストのバラードは感動的。
シンフォニック度・・9 ヨーロピアン度・・9 女性Vo度・・9 ジャケ買い度・・8
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BESEECH「SOULS HIGHWAY」
スウェーデンの男女Voゴシックメタルバンド、ビスィーチの3rd。
なかなか歌唱力のある女性ヴォーカルと、時々デス声にもなる男性ヴォーカルの掛け合いは
初期のTHEATRE OF TRAGEDY的な感じもある。モダンでデジタリィなアレンジと
ゴシックメタルとしての王道的手法がかみ合った音作りはなかなかセンスがよく、
古くささを感じさせずに、しかもゴシックから逸脱しない雰囲気を維持しているのが見事。
そして、“魂のハイウェイ”というタイトルを表したジャケの美しさも素晴らしい。
メロディアス度・・7 ゴシック度・・8 女性Vo度・・7 ジャケ買い度・・7.5
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SILENT CRY「GODDES OF TEARS」
ブラジルの男女Voゴシックメタルバンド、サイレント・クライの2nd。2000作
ゴシックメタルのムーブメントはヨーロッパのみにとどまらずついに南米にまで進出。
このバンドも欧州のバンドをうまく模倣した耽美派のゴシックメタルで、
シンフォニックな味付けのキーボードに美しい女性ソプラノと男性デス声が乗るという基本に忠実なサウンド。
ツーバスのドラムやギターなどにはヘヴィなメタル色が残り、対照的に美しいKEYアレンジが効果的。
ヴォーカル面はやや弱い気がするが、その分ツインギターギターの奏でる叙情フレーズが絶品だ。
シンフォニック度・・8 ゴシック度・・8 叙情・・8ジャケ買い度・・8

PENUMBRA「THE LAST BEWITCHTCHMENT」
フランスのゴシックメタルバンド、ペニュンブラの2nd。2002作
のっけから壮大な合唱コーラス、続いてメロディアスなギターの上にデス声が乗り、
バックには豪勢なオーケストラという、クラシカルでゴージャスなサウンド。
曲のアレンジもこなれていて、ギターの扇情的なフレーズといい、
それに絶妙に絡む女性コーラス隊や重厚なオーケストラといい、実に高密度。
暗黒性よりもクラシカルさを重視した音作りで、デス声さえなければゴシックというよりも
むしろシンフォニックなクラシカルメタルと言っていいかもしれない。
ジャケのインパクトも含めて、とにかく素晴らしい完成度。
シンフォニック度・・9 クラシカル度・・9 楽曲・・8 ジャケ買い度・・8
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7TH MOON「ALTER ALMA」
スペインのゴシックメタルバンド、セブンスムーンの1st。2002作
かなりへヴィなギターリフと、うっすらとしたバックのキーボードによる夢見がちなサウンド。
そこに乗る女性ヴォーカルの歌声はとても好みの美声で、たおやかな歌唱を聴かせてくれる。
特筆すべきは時折混じるデス声なのだが、これが何と、どうやら同じ女性が歌っているらしいのだ。
一人二役…こんなデス声出して、肝心の美声に影響しないかと思わず心配をしてしまった(笑)。
曲自体にはさほど新鮮味はないが、美声Vo入りの正統派ゴシックメタルとして楽しみなバンドである。
ジャケはこの翼の生えた女性と、花飾りの女性の2種類あるようだが、どちらも耽美的で美しい。
シンフォニック度・・7 女性Vo度・・8 楽曲・・7 ジャケ買い度・・8.5
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SUNSETH SPHERE「STORM BEFORE SILENCE」
ハンガリーのゴシックメタルバンド、サンセス・スフェアーのアルバム。2001作
最近はポーランドやハンガリーといった東欧の国からのゴシック系バンドが多いが、
だいたい共通するのは、メタル度は抑えめ、シアトリカルで芸術的という点である。
このバンドもどちらかというとメタル度は低めで、一曲目などは女性ヴォーカルの歌声もあいまって
KATE BUSH的な色が濃い。二曲目はエレガンスなピアノの音色が導くアンビエントな楽曲で
ゴシックメタルというよりはどちらかというとALL ABOUT EVEのメタル版という感じ。
やはり全体的に低血圧系のサウンドで、盛大に盛り上がる場面はないが
静謐でクラシカルなゴシック風味の女性Voものとしてはなかなかの出来である。
メロディアス度・・8 クラシカル度・・8 女性Vo度・・8 ジャケ買い度・・8
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ALCEST「Souvenirs d'Un Autre Monde」
フランスのシューゲイザー・ブラック、アルセのアルバム。2007作
ゆったりとしたリズムに歪みギターとシンセが重なり、そこにマイルドな歌声が乗る。
美しいシンセに包まれるように女性コーラスが入ってくると、プログレ、ポストロック風味の
ゆるやかな空間美が楽しめる。ときにブラックメタルらしい疾走なども入って来るが、
それでいて暴虐さよりもあくまで叙情重視なのは、ややぼやけたようなサウンド作りのためだろう。
どこか夢見心地というか、やわらかな感触なのだ。ノイジーなギターとアコースティックの同居も面白い。
個人的にこういう雰囲気は大好きだし、プログレ系のリスナーにもゆったりと楽しめる作品だと思う。
メロディアス度・・8 メタル度・・6 幻想叙情度・・9 ジャケ買い度・・8
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ATROCITY
「Longing For Death」
ドイツのデスメタルバンド、アトロシティの2nd。1992作
今でこそ、デジタルなゴシックメタルとして知られるバンドだが、この当時はバリバリのデスメタル。
しかもこのような名盤を残していたのである。なにやら荘厳なイントロからゆったりと始まり、
どことなく知性を感じさせるギターリフと、強烈なデスヴォイスを乗せて、しだいに楽曲は激しさを増す。
ときおりふっと垣間見せる叙情の瞬間がなかなか極端で、この当時はえらく斬新に思えた。
ジャケの美しさとともに激しくて汚いのがデスメタルという認識を、ある意味で覆した一枚であるし、
アメリカではなくドイツからそれが出てきたのも大きい。年代を思えばこの完成度の高さは驚異的。
メロディアス度・・7 テクニカル度・・7 変態度・・7ジャケ買い度・・8
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◆おねえさんにウットリな美麗ジャケ

LILLIAN AXE「Love and War」
アメリカのメロディアスハードロックバンド、リリアン・アクスの2nd。1989作。
アメリカのバンドらしからぬ哀愁漂うメロディセンスを折り込んだHRサウンドは、
とても日本人好みだし、彼らの残したアルバムはもっと評価されていいはずだ。
最高傑作は質の高い楽曲が詰まった3rd「Poetic Justice」だと思うが、
この2ndもジャケの美しさや名曲“Ghost of Winter”が入っていることもあって評価が高い。
ややダーティなロン・タイラーの歌声に、スティーヴィー・ブレイズのウェットなギターワークが絡み、
アメリカンロック的なドライさと、ヨーロピアンな叙情とが奇跡的に融合している。
湿りけのあるメロディアスハード愛好者はぜひ。
メロディアス度・・8 キャッチー度・・8 叙情度・・8 ジャケ買い度・・8
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ANGEL「A WOMAN'S DIARY-CHAPTER T」
ノルウェーのゴシックメタルユニット、エンジェルのアルバム。2005作
Voのヘレナ嬢はTRAIL OF TEARSの初代Voであり、現在はIMPERIAでも活動中。
サウンドの方はメタル色は抑えめで、アコースティックな要素もあるしっとりとしたシンフォゴシック系。
WITHIN TEMPTATIONLEAVES' EYESに負けじとこの路線で来たのかどうかは知らないが
曲は案外地味めなので、彼女の声のファンでないとややつらいかもしれない。
ただ…どうしてもこのフェミニンなジャケにつられるリスナーも多いだろう(笑)
ヘレナ嬢の喘ぎ声が聴けるGや、シアトリカルな狂気の混じったHあたりはある意味聴きどころ
シンフォニック度・・7 ゴシック度・・7 女性Vo度・・8 ジャケ買い度・・8
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WITHIN TEMPTATION「Enter」
オランダのゴシックメタルバンド、ウィズイン・テンプテーションのデビュー作。1997作
今でこそ世界的な人気を博しているこのバンドだが、デビュー当時は
同郷の大御所The Gatheringに続く2番手という雰囲気であった。
女性ヴォーカルの入ったゴシックメタルというものが珍しかった時代であるから、
個人的にも聴いてみて最初はあまりピンと来なかった記憶がある。
本作の段階ではまだ男性デス声との掛け合いで、オーソドックスなゴシックをやろうとしており、
個性という点ではいまひとつながら、逆に耽美なサウンドにおいては最も美しい作品かもしれない。
メロディアス度・・8 ゴシック度・・9 女性Vo度・・8 ジャケ買い度・・8
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CRADLE OF FILTHVempire or Dark Fairytales in Phallustein

イギリスのシンフォニック・ブラックメタルバンド、クレイドル・オブ・フィルスのミニアルバム。1996作
今や世界的な人気を誇るこのバンドだが、日本盤が出る2ndまでは、まだまだマニアックな存在であった。
本作は1stから2ndへとそのサウンドのクオリティを上げてゆく過渡期の作品であるが、
初期の荒々しい激しさと耽美な叙情性が合わさっていて、個人的には大好きな作品だ。
とくにクレイドル最高の大曲である“Queen of Winter,Throned”の素晴らしさは必聴級。
エロティックなジャケのインパクトとともに、ミニとはいえ濃密な傑作である。
シンフォニック度・・8 暴虐度・・8 幻想美度・・9 ジャケ買い度・・8
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THE SINS OF THY BELOVED「LAKE OF SORROW」
ノルウェーのゴシックメタルバンド、ザ・シンズ・オブ・ザイ・ビラヴドの1st。
女性2人を含む7人編成+ゲストのVinという大所帯で、艶やかなヴァイオリンが鳴り響き
デス声に絡みつくやわらかな女性ヴォーカルの歌声で聴かせる、ゆったりとしたゴシックメタル。
傑作となる2ndPerpetual Desolationに比べると、楽曲そのものは長尺な感じで少し飽きる。
ただ、途中に挿入される艶めいた喘ぎ声を含めて、女性声の美しさにはうっとり。
この耽美なジャケを含めてフィメールゴシックメタルのコアなファン向け。
メロディアス度・・8 女性Vo妖艶度・・7 楽曲・・7 ジャケ買い度・・8
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SATARIAL「THE QUEEN OF THE ELVES' LAND」
ロシアのシンフォニック・ブラックメタルバンド、サタリアルの1st。
とにかくまずこの妖しいジャケ。それにインナーの儀式風の裸の女性の妖しいステージ写真に唸る(笑)
音楽の方は女性Vo(ジャケの方?)をメインにした比較的聴きやすいサウンドで、
キーボード(これも女性)にフルート、ヴァイオリンまでいて、シンフォニックなメタルパートと
トラッド(ロシア民謡?)的な田舎パートの対比が面白い。ぎゃあぎゃあと叫んでいる男声の他は
ブラック色は薄く、全体的に比較的まったりしているのが部分的に退屈に感じなくもない。
シンフォニック度・・7 暴虐度・・6 民族度・・7 ジャケ買い度・・8.5
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Theatre of TragedyVelvet Darkness They Fear」
ノルウェーのゴシックメタルバンド、シアター・オブ・トラジェディーの2nd。1997作
ドゥーミィでゆったりとした楽曲に、現在はLeaves Eyesで活動する
リブ・クリスティン嬢の美しいソプラノヴォイスとデス声が絡むスタイルは、
今となってはオーソドックスなゴシックメタルサウンドであるが、
このステキなジャケとともにどこか頽廃的な耽美な雰囲気がよい。
正統派ゴシックの原点ともいうべきアルバムだろう。
シンフォニック度・・7 ゴシック度・・9 女性Vo度・・8 ジャケ買い度・・8.5
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Leaves' Eyes「My Destiny」
ノルウェーのゴシックメタルバンド、リーヴズ・アイズのミニアルバム。2009作
3rd「Njord」収録のタイトル曲に、未発曲、リミックスなどが入った6曲入り。
タイトル曲“My Destiny”は最近のWITHIN TEMPTATIONを思わせる、
いくぶんモダン化したヘヴィロック風のサウンドながら、美麗なシンセワークや
リブ嬢の美しい歌声が堪能できる佳曲。続く未発曲はノルディックな雰囲気で
シンフォニックに聴かせる好曲。ケルトの伝統曲“Scarborough Fair”のカヴァーは
アコースティックな叙情と幻想性が合わさった絶品の出来。本ミニのハイライトだろう。
シンフォニック度・・8 ゴシック度・・7 女性Vo度・・8 ジャケ買い度・・8
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XANDRIA「RAVENHEART」
ドイツのゴシックメタルバンド、キサンドリアの2nd。2004作
とにかくまずこのジャケだけで、女性声ゴシックメタル好きは胸キュンもの、そして即買必至。
…いや、もちろん内容だって、なかなかです(笑)サウンドはいかにも王道のゴシックメタルで、
WITHIN TEMPTATIONEVANESCENCEが好きなら問題なくお薦め。
曲はだいたい3分〜5分とコンパクトですが、メタリックなギターにシンセがからみ、
ときにシンフォニックに聴かせます。そしてそこにリサ嬢の歌唱が乗ると…もううっとり。
これで楽曲にアレンジの幅ができてきたら、もう完璧でしょう。
またひとつ、女性Voゴシックメタルに新たな期待の星が現れました。
メロディアス度・・8 シンフォニック度・・8 女性Vo度・・8 ジャケ買い度・・8.5
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PERSEPHONEMera Sangeet Kho Gaya
オーストリアのエレクトリック・ゴシックバンド、L'AME IMMORTELLEの女性Vo、
Sonja Kraushofer嬢のソロ・プロジェクト、ペルセフォネのアルバム。2004作
このジャケからしてすでに萌えなんですが、内容も美しき歌声を聴かせる
静謐感のある非メタル系ゴシックサウンド。うっすらとしたシンセをメインに、
ヴァイオリンやチェロなどが厳かな音色を奏で、耽美な世界観を作り上げています。
ギターが加わるとゴシックメタル的にも聴けてよい感じですが、
基本はSonja嬢の艶のある歌声を中心にした、しっとりとしたアルバムです。
ゴシック度・・8 メタル度・・5 女性Vo度・・8 ジャケ買い度・・8
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◆番外編〜暗黒なおどろジャケもいかが

SLAYER
 「Reign in Blood」
アメリカのベテランスラッシュバンド、スレイヤーの3rd。1986作
無機質かつ硬質なリフで聴かせる本作は、暗黒めいたジャケのイメージと相まって、
ともかく、徹頭徹尾スラッシーに疾走する強烈なサウンドは、
後のKREATORやVADERをはじめ、多くのバンドたちに影響を与えた。
デイブ・ロンバードの迫力あるドラムもサウンドの説得力を高めており、
全10曲で30分弱という短さだが、濃密なスラッシュサウンドがめいっぱい詰まった作品だ。
ドラマティック度・・7 疾走度・・9 スラッシュ度・・10 ジャケ買い度・・8
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DESTRUCTION 「Release From Agony」

ドイツのベテランスラッシュメタルバンド、デストラクションの3rd。1987作
ジャーマンスラッシュの中でも名実共に頂点に君臨するこのバンド、
デビュー当時はただ激しいだけの荒々しいサウンドであったのが、前作「Eternal Devastation」において
格段の成長をとげ、ここに最高傑作ともいうべき本作を生み出した。まずジャケのインパクトも大きいが、
ミスタリアスなイントロに続く“Release From Agony”はクールなリフと変則的な展開の中に、ある種知的ともいうべき
メロディや世界観を感じさせる。甲高いシュミーアのヴォーカルとともに、デストラクションサウンドを印象づける名曲だ。
リーダーのシュミーアは本作の後、ライブアルバムを最後に脱退、Headhunterを結成するが、1999年にバンドに復帰する。
ドラマティック度・・8 疾走度・・8 スラッシュ度・・9 ジャケ買い度・・8
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MORBID ANGEL「Blessed Are the Sick」
アメリカのデスメタルバンド、モービッド・エンジェルの2nd。1991作
「病魔を崇めよ」のタイトルで知られるデスメタルの歴史的名作。
妖しくも得体のしれないノイジーなイントロに続き、重々しいギターリフとともにゆったりと始まり
ブレイクののちに激しくブラストが始まってゆく…ここはいつ聴いてもしびれるほど格好いい。
咆哮するデスヴォイスと、ジャケのイメージ通り、まるで地獄へ迷い込んだような世界観…
このおどろおどろしさは一度ハマったら快感になる。また、ただ激しいだけではなく、
テクニックのある演奏力と構築された楽曲、その展開力が音の説得力ともなっている。
自分にとっては本作こそ永遠の最高傑作であり、デスメタルといえばまずこのアルバムなのだ。
ドラマティック度・・8 暴虐度・・8 暗黒度・・9 ジャケ買い度・・8.5
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DISSECTION「Storm of the Light's Bane」
スウェーデンのメロディック・ブラックメタルバンド、ディセクションの2nd。1996作
禍々しい死神のジャケとともに、このアルバムは北欧メロデスの金字塔として長年愛聴していた作品で、
名曲“Night's Blood”をはじめ、後のチルボドなどにも影響を与えた、流麗なギターメロディで疾走するサウンド。
曲と演奏のクオリティの高さの点でも、数あるメロデス系バンドのアルバムでもトップの1枚だと思う。
残念ながら、バンドのリーダーであったジョンは、2006年の解散ツアーの後、自殺という形で
永遠にバンドを去ってしまったが、葬送の意味でこのアルバムを聴き返すにつれ、メロディのもの悲しさと、
北欧的な暗い叙情性を有した楽曲には、あらためて彼の音楽センスとその才能が惜しまれる。
メロディアス度・・8 暴虐度・・8 北欧的薄闇度・・9 ジャケ買い度・・8
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NAGLFAR「SHEOL」
スウェーデンのメロブラバンド、ナグルファーの3rd。2003作
専任キーボードを入れず、昨今流行りのシンフォブラックとは一線を画した、ある種硬派なメロブラで、
聴きやすさよりも暴虐さ重視、激しく疾走しながら2本のギターリフのみで叙情性を表現しているという点では
あるいはDISSECTIONの後継者という位置づけもできるバンドかもしれない。
甘めのメロブラ好きにはやや辛口のサウンドかもしれないが、本格派メロディックブラックとしての
暴虐さを継承する高品質バンドとして、その存在価値は高いバンドであろう。
暴虐なる美をたたえた迫力あるジャケもいい感じです。
メロディアス度・・7 暴虐度・・8 王道メロブラ度・・9 ジャケ買い度・・8 
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OPETH「STILL LIFE」
スウェーデンのプログレッシブ・デスメタルバンド、オーペスの4th。1999作
1995年のデビュー以来、作品ごとに着実に音楽的を深化させてきた彼らであるが、
今作ではそのプログレッシブな構築性を強化させたことで、まさに決定打というべき一作となった。
ツインギターのリフの有機的な絡みをメインに、流麗なメロディとセンス抜群の楽曲構築が炸裂、
全7曲中、5曲が9分以上という大作志向の中に、デス声とノーマル声を使い分け、アコースティックパートを
巧みに挿入することで、激しさの中にもプログレッシブな展開美とゆるやかな叙情を見事に同居させている。
ジャケの美しさも含めて、メロデスというジャンルを芸術作品にまで高めた大傑作である。
メロディアス度・・8 静寂と叙情度・・9 曲センス・・9 ジャケ買い度・・8
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SEAR BLISS「GLORY AND PERDITION」
ハンガリーのメロディックブラックメタルバンド、セアー・ブリスの6th。
「黄昏の戦場で、天使軍(?)の亡骸を見下ろし、長ーい角笛を吹いている蛮族(?)」という…
闇の幻想風味のなジャケがいいですね。特徴はメンバーにトロンボーン奏者(!)がいることで、
いかにもブラックメタル的に暴虐に疾走しつつも、バックにはうっすらとしたシンセと一緒にトロンボーンが
ぷぉ〜んと鳴っているのです。それが案外いい感じで、高揚感と脱力感の微妙なはざまなのですが、
慣れてくるとこの疾走ブラスト + トロンボーンの魅力が分かってくるのです。
曲のほうは普通にちゃんとしたブラックメタルなので、シンフォブラとしても正しく聴けるかと。
シンフォニック度・・7 暴虐度・・8 トロンボーン度・・8 ジャケ買い度・・8
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BELPHEGOR「Lucifer Incestus」
オーストリアのブラックメタルバンド、ベルフェゴールの4th。2003作
この背徳的なジャケもなかなかすごいが、内ジャケの尼さん裸写真も18禁ですよ。
喘ぎ声入りのイントロから、曲が始まると暴虐にブラスト開始〜。
激烈な疾走のサウンドの中にも、いくぶん北欧ブラック風の叙情があって、
MARDUKDARK FUNERALあたりに通じるドラマティックさがよい感じだ。
むしろ5th以降のアルバムよりもメロブラ的な魅力では上をいっている。
ドラマティック度・・8 暴虐度・・9 暗黒度・・8 ジャケ買い度・・8
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