プログレ/フランス・スペイン・ポルトガル
PROGRESSIVE ROCK/FRANCE,SPAIN,PORTOGAL
              by Tosei Midorikawa

掲載バンドはABC順になっています

B
M TU XYZ

■CDの評価に関しては、個人的嗜好が反映されることもあり、納得のいかない評価もあるかと思いますが、どうかご了承ください。

 音楽ページTOP 




ABACAB 「Mal De Terre」
フランスのプログレバンド、アバカブの2009年作
適度にハードなギターに美しいシンセ、フランス語のヴォーカルを乗せ、
ときにProgMetal的な感触もある、ほどよくテクニカルな展開力で聴かせる。
フレンチらしい優雅さとシアトリカルな雰囲気に包まれつつ、濃密すぎない軽妙なアンサンブルが
若手らしいスタイリッシュな味わいである。楽曲ごとのメロディのフックや盛り上がりがもう少し欲しい気もするが、
ごった煮感のある作風なので、この偏屈な味わいがよいのかも。ただ全79分は長すぎですわ。
ドラマティック度・・8 プログレ度・・8 フレンチ度・・8 総合・・7.5
Amazonで購入する



AKELARRE「1972 - 2005 Zuzenean」
スペインのロックバンド、アケラレのライブ作品。2009年作
ERROBIやENBORのメンバーも在籍するバスク地方のベテランバンドの結成25周年記念のライブ作。
ハードロック的なギターとプログレ的なシンセに、スペイン語のヴォーカルで聴かせる
と゜っちかという陽気なスパニッシュロックというサウンド。ドラムはツーバスなのでハードロック色が強いが、
「ホテル・カリフォルニア」のスペイン語カヴァーや、随所にスパニッシュな叙情も含んだ素朴さもあって、
英語圏のバンドとは異なるバスク雰囲気のロックが楽しめる。同ライブDVDも付属した2枚組仕様もあり。
ドラマティック度・・7 プログレ度・・5 スパニッシュ度・・8 総合・・7.5




ALAMEDA「Misterioso Manantial」
スペインのプログレ・ポップバンド、アラメダの2nd。1980作
いかにもスパニッシュなギターに、哀愁漂うスペイン語の歌声、たおやかなピアノや、プログレ的なシンセが絡むサウンドは、
TREANAにも通じる雰囲気だが、それよりも軽やかで淡いイメージ。ジャズやフュージョンタッチの質感に、
ボサノバのようなパーカッション、フランメンコロックというよりは、もっとポップな大衆感覚がある。
プログレとして聴くには軽いのだが、スパニッシュポップとして気軽に楽しめる。
メロディアス度・・8 プログレ度・・7 スペイン度・・9 総合・・7.5
Amazonで購入する

ALAMEDA「AIRE CALIDO/NOCHE ANDALUZA」
スペインのプログレバンド、アラメダの3rd+4th。1981/1982作
フュージョンタッチだった2ndに比べ、3rdでは哀愁度が増しており、美しいピアノにストリングスをバックに
叙情的な歌声が響きわたる。前作よりもギターの比重も増え、シンフォニックロックとしても充分楽しめる。
4thはさらにシンフォ度が上がり、ピアノとストリングスの絡みとメリハリのついた楽曲で、
哀愁に満ちたスパニッシュの空気をドラマティックに聴かせてくれる。
また、フラメンコロック的な熱情も感じられ、濃密な叙情の点では本作が一番か。
シンフォニック度・・8 プログレ度・・7 スペイン度・・9 総合・・8
Amazonで購入する

Alan Simon 「Excalibur II:The Celtic Ring」
フランスのアーティスト、アラン・サイモンのケルティックロック・プロジェクトの第2弾。2007年作
アーサー王伝説をテーマに、アラン・パーソンズ、ジョン・ウェットン、ジョン・アンダーソン、カラン・ケイシー、FAIRPORT CONVENTION、
マディ・プライア、ジャッキー・マクシー(PENTANGLE)、ジャスティン・ヘイワード(The Moody Blues)、BARCLAY JAMES HARVEST、
カルロス・ヌヌス、といった、名だたるアーティストが参加、バウロンのリズムにアコースティックギター、ホイッスルが鳴り響き
トラディショナルなケルトサウンドから、モダンなバンドサウンドを融合させたナンバーまで、なかなか色彩豊かな聴き心地。
アコースティカルな牧歌性に包まれたサウンドを描いてゆく。マディ・プライアの歌を乗せたしっとりとしたナンバーや、
フェアポート・コンヴェンションが参加した本格派のナンバー、ジャッキー・マクシーの歌うフォークロックナンバーなども素敵です。
BJH参加のナンバーは繊細なシンフォニックロックとしても楽しめますね。豪華ゲスト参加の、ケルトロックがたっぷり詰まった力作。
ドラマティック度・・8 ケルティック度・・8 豪華ゲスト度・・9 総合・・8
Amazon.co.jpで詳細を見る

Anne de Bretagne:Le Rock Opera D'Alan Simon
フランス人ミュージシャン、アラン・サイモンによるケルティック・ロックオペラ。2009年作
タイトル通り、フランス王妃、アン・ド・ブルターニュをテーマにしたCD2枚組作品。
クリスチャン・デカン(ANGE)をはじめ、トリ・ヤン、フェアポート・コンヴェンション、レス・ホルロイド(Barclay James Harvest)、
セシル・コルベル他、多数のゲストが参加、優雅なオーケストレーションと、叙情的なギターとシンセによるシンフォニックロック的なアレンジに、
アコースティカルな牧歌性を同居させたサウンドを描いてゆく。デカンのフランス語の濃密な歌声や、やわらかなホイッスルの音色、
バグパイプ、艶やかなヴァイオリンなどがロック的なギターと絡んで、壮麗なアレンジとともに厚みのあるケルティックロックを形成。
配役ごとに分かれたヴォーカルパートも魅力の一つでセシル・コルベルの美しい歌声とハープの音色にはやはりうっとりとなる。
適度なロック色とアコースティカルな素朴さのバランスも見事で、物語的な流れを感じさせるドラマティックな流れで
CD2枚の大作を描いてゆく。フォーク、トラッド、ケルトの優雅さをダイナミックに仕立てた壮大なるケルティック・ロックオペラ作品です。
ドラマティック度・・8 ケルティック度・・8 ロックオペラ度・・9 総合・・8
Amazon.co.jpで詳細を見る

Alan Simon 「Excalibur III: The Origins」
アラン・サイモンによる、アーサー王伝説をテーマにしたケルティックロック・プロジェクトの第3弾。2012年作
FAIRPORT CONVENTION、BARCLAY JAMES HARVEST、セシル・コルベル、ジョン・ウェットン・ジェフ・ダウンズ、
ジョン・ヘリウェル(SUPERTRAMP)、ジャッキー・マクシー(PENTANGLE)、マーティン・バレ(JETHRO TULL)、
モイヤ・ブレナン(CLANNAD)、さらにはロバート・ティランティ(LABRYNTH)といった顔ぶれが参加、
今作はオーケストラアレンジを含むシンフォニックな美しさと、前作よりもバンドサウンドを強めた感触で、
ダイナミックでスケール感のあるケルティックロックが楽しめる。ホイッスルやバグパイプ、ハープにヴァイオリンなど、
アコースティックなパートを取り入れつつ、全体的にはプログレ、シンフォニックロックのリスナーに楽しめる作風だ。
前作に比べるとよりトータルな流れでストーリーを感じさせる内容になっている。全19曲67分の大作です。
ドラマティック度・・8 ケルティック度・・7 壮大度・・9 総合・・8
Amazon.co.jpで詳細を見る

Alan Simon 「Excalibur - The Ladies Of The Lake」
フランスのミュージシャン、アラン・サイモンのケルティックオペラ、エクスカリヴァーの2018年作
本作は「Excalibur」シリーズや、「Tristan & Yseult」から、女性ヴォーカルのナンバーを集めた作品。
美しいシンセにやわらかなフルート、ハープの音色、優美なオーケストラアレンジにしっとりとした女性ヴォーカルを乗せ、
ときにギターなどを加えたほどよいロック感触も含んだ、シンフォニックなケルティックサウンドを聴かせる。
モイヤ・ブレナン、マディ・プライア、カラン・ケイシー、ソーニャ・クリスティーナ、シボーン・オーウェン、コハンなど、
魅力的な女性シンガーがそれぞれの楽曲で豊かな歌声を響かせる。わりとモダンにアレンジされたナンバーから、
アコースティックメインのナンバーまで、美しい女性声とともにアーサー王伝説をモチーフにしたケルトサウンドに浸れます。
壮麗度・・8 優美度・・9 女性Vo度・・9 総合・・8 
Amazonで購入する

Alan Simon 「Big Bang」
フランスのミュージシャン、アラン・サイモンの2018年作
ケルティック・ロックオペラ「Excalibur」などで知られるアーティストで、本作は大宇宙をテーマした作品。
オーケストラルなアレンジにシンセを重ね、適度にモダンな感触とシンフォニックな美しさが同居したサウンド。
サックスやフルート、クラリネットがやわらかに鳴り響き、パーカッションや優美なハープの音色など、
ケルティックな味わいも随所に覗かせる。エレキギターやドラムが加わると、ほどよくロック色が加わるが
繊細なピアノにサックスが絡むジャズタッチのナンバーなどもあって、派手さはないが大人の味わいである。
曲によってはヴォーカルも入るが基本はインストが中心。大御所、アラン・スティーヴェルが参加しているのも興味深い。
シンフォニック度・・7 プログレ度・・7 優美度・・8 総合・・7.5
Amazonで購入する

Alan Simon 「Chouans」
フランスのミュージシャン、アラン・サイモンの2019年作
フランス革命230周年を記念した作品で、18世紀フランス西部の戦乱を描いたCD2枚組のロックオペラ。
ANGEのクリスチャン・デカン、息子のフランシス&トリスタン兄弟をはじめ、多数のゲストが参加。
ストリングスを含むオーケストラルなアレンジに、オルガンを含むシンセとロック寄りのギターを乗せ、
フランス語によるヴォーカルとともに、シアトリカルで壮麗なシンフォニックロックが広がってゆく。
楽曲ごとに歴史上の人物に扮した歌い手が物語を語るような歌声を乗せ、Disc1は男性声のみだが、
Disc2では、Kohannなど女性ヴォーカルのナンバーも出てきてほっとする。歴史的なコンセプトだから仕方ないが、
個人的にはもっと女性声が多い方が嬉しいのであった。ともあれ、2CDで合計84分という大作です。
シンフォニック度・・8 プログレ度・・6 フレンチ度・・9 総合・・7.5
Amazonで購入する

Alan Stivell「Symphonie Celtique」
フランスのトラッドミュージシャン、アラン・スティーベルの1979年作
ケルティックハープの奏者であり作曲家である彼の代表作というべき作品で、
ハープをはじめフルート、バグパイプ、ギター、マンドリン、ヴァイオリン、オーボエ、サックス、パーカッション、
それにシンセといった、20名以上の演奏者と、男女ヴォーカル、コーラス隊も参加した壮大なアルバムだ。
3つのパートに分かれた組曲的な構成で、アコースティカルな美しさと土着性、そこに多くの楽器が絡み、
ときにしっとりと美しく、ときに雄大な、まるで伝説を語るように、幻想的なサウンドを描き出している。
シンセやピアノの味付けなどによるシンフォニックな壮麗さと、ケルティックな神秘性が同居していて
フランス語によるアランの歌声も味わいがある。タイトル通り、シンフォニックなケルティックの傑作。
シンフォニック度・・8 ケルティック度・・8 雄大度・・10 総合・・8.5
Amazon.co.jp で詳細を見る

Alan StivellTerre Des Vivants
フランスのケルト系アーティスト、アラン・スティーベルの1981/2007作
ハープ奏者として名高いアーティストだが、本作ではシンセやギターの入った
シンフォニックロック的な作風で、意外とプログレリスナー向きのサウンドだ。
やや泥臭いフランス語の歌唱に、フルートやハープ、ピアノなどの音色が連なると
ケルティックというよりも、土着的なチェンバー・ジャズロックというような質感もある。
メンバーにはMAGMAのClaude Engel、Jannick Topをはじめ、David Roseらも参加。
バグパイプ、ハープが奏でる素朴な音の中にもクラシカルな優雅さがかいま見える。
途中なにやらファンキーなナンバーもあったりして、時代的なごった煮感も面白い。
ケルティック度・・7 プログレ度・・7 フレンチトラッ度・・8 総合・・7.5
Amazon.co.jp で詳細を見る


ALBATROS 「URSUS」
スペインのプログレバンド、アルバトロスの2011年作
叙情的なギターの旋律にオルガンやピアノを含むやわらかなシンセと、スペイン語のジェントルなヴォーカルを乗せ、
サイケかがった浮遊感に包まれたサウンドを描く。ポストロック風でもある翳りを帯びたモダンな感触と、
プログレらしいシンセワークに、リズムチェンジを含む知的な展開力が同居した、優雅な聴き心地で、
ときにハード寄りのギターを含みつつ、エモーショナルな歌声とともに哀愁を感じさせる叙情に包まれる。
10分を超える大曲では、サイケなグルーブ感と薄暗い怪しさがほどよくブレンドして、のんびりと楽しめる。
ジャケの雰囲気とは裏腹に、わとキャッチーな聴きやすさと、プログレらしさをちゃんと含んだ好作品です。
ドラマティック度・7 プログレ度・7 サイケな優雅度・8 総合・7.5
Amazonで購入する

ALBATROS 「MUNDO BOSQUE」
スペインのプログレバンド、アルバトロスの2014年作
繊細なギタートーンにやわらかなシンセアレンジ、スペイン語によるマイルドなヴォーカルを乗せたサウンドで、
ポストプログレ的でもあるモダンな叙情性に、オルガンが鳴る古き良きロック感触が合わさったという聴き心地。
スリリングな展開はさほどないが、キャッチーな歌メロとともにやわらかな味わいに包まれた好作品だ。
ドラマティック度・・7 プログレ度・・7 繊細度・・8 総合・・7.5


Alco Frisbass
フランスのプログレユニット、アルコ・フリスバスの2015年作
2人のマルチミュージシャンによるユニットで、やわらかなエレピの音色に艶やかなヴァイオリンが絡み、
テクニカルなアンサンブルとともに、ジャズロック的でもある軽妙なチェンバーロックサウンドを展開。
YUGENあたりにも通じるスリリングな雰囲気とクラシカルな優雅さに、エキセントリックなセンスをまぶした
緊張感と軽やかな同居したインストサウンドが楽しめる。オルガンなどを含むプログレ的な質感に
随所にメロウなギターフレーズもまぶし、10分前後の大曲も多いが、巧みな演奏力と構築力で聴かせる。
WHITE WILLOW、YUGEN、MINIMUM VITAL、STORMY SIXなどのメンバーがゲスト参加。
ドラマティック度・・7 プログレ度・・8 軽妙度・・8 総合・・8
Amazon.co.jpで詳細を見る

Alco Frisbass 「Le Bateleur」
フランスのプログレバンド、アルコ・フリスバスの2018年作/邦題「魔術師」
前作は、優雅なチェンバー・ジャズロックの逸品だったが、2作目となる本作は、ヘヴィなベースとギターに、
メロトロンやムーグの音色を含むシンセを重ね、クリムゾンを思わせるスリリングなアンサンブルで幕を開ける。
今作もMINIMUM VITALのメンバー3人がゲスト参加して、クラシカルなピアノやコルネットの音色を加えた、
チェンバーロック的なミステリアスな空気から、叙情的なギターにシンセを重ねたシンフォニックな感触も覗かせる。
全5曲のオールインストであるが、どの曲もほどよい屈折感とスリリングな構築美に包まれた濃密な味わいで、
カンタベリー系からチェンバーロック、ANEKDOTENなどのファンなどにも薦められる見事な傑作となった。
ドラマティック度・・8 プログレ度・・9 優雅度・・9 総合・・8.5 
Amazonで購入する


Alfredo Carrion「Los Andares del Alquinmista」
LOS CANAIOSの「CICLOS」でも知られるスペインの作曲家、アルフレド・カリオンの1976年作
アコースティックギターの素朴な音色とオペラティックな女性Voの歌声で始まり、そこにシンセや
ストリングスが加わると、クラシカルな趣と、異国的な情緒が合わさった独特のサウンドとなる。
繊細な曲調の中に芸術的な香りを含んだセンスは、GUALBERTOのアルバムなどにも通じる。
イタリアでいうとOPUS AVANTRAか。中世を思わせるチェンバロの音色やフルートも美しい。
タイトル曲でもある「錬金術師」は、オーケストレーションも入ったクラシカルな大曲。
艶やかなピアノに絡むストリングス、混声コーラスも加わったスケールの大きなサウンドを聴かせる。
クラシカル度・・8 芸術度・・8 素朴な妖しさ度・・8 総合・・8
Amazon.co.jp で詳細を見る


ALMS 「BEYOND」
スペインのシンフォニックロック、アルムスの2013年作
マルチミュージシャン、Aitor Lucena氏によるプロジェクトで、14分前後の大曲3曲という構成で、オーケストラルで壮麗なアレンジと、オルガンを含むプログレらしいシンセに、優美なフルートの音色とともに、緩急ある展開力で描かれるインストのシンフォプログレ。
リズムが打ち込みなので、ダイナミックさにはやや欠けるが、アコースティックギターに物悲しいチェロやヴァイオリンの響きなど、繊細な叙情美も織り込んで、幻想的なサウンドを描いてゆく。
わりと唐突な展開力はときにゲームミュージック風でもあるが、優雅なストリングスにピアノが重なる部分などは、じわじわと泣きの空気に包まれる。
ドラマティック度・8 プログレ度・8 叙情度・8 総合・7.5
Amazonで購入する


AMAROK「ELS NOSTRES AMICS」
スペインのトラッドプログレ、アマロックの1st。1994年作
美声の女性ヴォーカルの歌声をメインに、アコースティカルなトラッドメロディと
シンフォニックなシンセを合わせた極上のサウンドはこの1stからすでに健在。
3rdあたりからエスニック風味を取り入れるなど幅を広げてゆく彼らだが、
この1stではむしろ純粋なシンフォ系トラッドがというべき作風で、もうっとりと楽しめます。
メロディアス度・・9 プログレ度・・7 女性Vo度・・8 総合・・8


AMAROK「Canciones de los mundos perdidos」
スペインのトラッドプログレ、アマロックの2nd。1995年作
トラッドとしてもなかなか本格派でありつつ、たおやかな女性ヴォーカルの歌声と、
美しいシンセにつややかなピアノが加わり優美な叙情性に包まれる。
アコースティカルな繊細さにほどよくキャッチーなアレンジを融合した、
しっとりとした、実に耳に心地よいサウンドが楽しめる傑作です。
メロディアス度・・8 プログレ度・・7 トラッ度・・9 総合・・8

AMAROK 「gibra' ara」
スペインのトラッドプログレ、アマロックの3rd。1998年作
ラテンを感じさせるパーカンションのリズムに、女性ヴォーカルの歌声、
素朴なフルートの音色にヴァイオリンの音色が重なってゆく、
まさに「カタルーニャの宝石と呼ばれる」ような聴き心地である。
今作ではバンドのアコースティック面でのアンサンブルを前面に押し出しつつ、
うっすらとしたシンセによる味付けもうるさすぎず、繊細なピアノによるクラシカルな感触も素晴らしい。
メロディアス度・・8 プログレ度・・8 トラッ度・・9 総合・・8.5
Amazon.co.jpで詳細を見る

AMAROK「TIERRA DE ESPECIAS」
スペインのトラッドプログレ、アマロックの4th。2000年作/邦題「スパイスの大地」
シンセや女性Voを取り入れた、独自のシンフォニックトラッドというな作風を定着させたバンドが
今作では前作以上にエスニック風味を付加し、異国情緒漂うアルバムを完成させた。
たおやかなフルートの音色にヴァイオリン、美しい女性ヴォーカルが作り出すサウンドは
夢見心地でありながらロック色も失わず、トラッドとロックの素晴らしい融合に成功している。
シンフォニック度・・8 エスニックトラッ度・・9 壮大度・・8 総合・・8
Amazon.co.jp で詳細を見る



AMAROK「MUJER LUNA」
スペインのトラッドプログレ、アマロックの5th。2002年作/邦題「月の女」
今作では3rd以降の中近東的アプローチに加え、よりキーボードを効果的に使ったサウンドになった。
2nd以前の繊細なシンフォニック・トラッドも捨てがたいのだが、こうしたプログレ寄りの楽曲の中にも、
エスニックなテイストとトラッド要素を絶妙に組み込むそのセンスの良さは相変わらず素晴らしい。
また、アコースティックパートや女性ヴォーカルの歌唱は、曲の中でしっとりと映えていて実に美しい。
シンフォニック度・・8 プログレ度・・7 トラッ度・・8 総合・・8
Amazon.co.jp で購入



AMAROK 「Quentadharken」
スペインのトラッドプログレ、アマロックの6th。2004年作
民族的要素とプログレ感覚を融合させた、クオリティの高い作品を毎回発表しているこのバンド。本作もじつに素晴らしい。
たおやかなフルートにサックス、ヴァイオリンにアコギ、そこにキーボードが絡み、プログレ的なドラムが加わると、
ある種、摩訶不思議なトラッドロックサウンドとなる。本物のバスクの香り漂うトラッドとプログレとの驚嘆すべき完全なる融合
スパニッシュで歌われる女性Voの歌唱も素晴らしく、曲によってはエレキギターも加わり、スペイシーなシンセワークも現れる。
一方ではピアノ、フルート、アコーディオンなどの音色が実に繊細で、一筋縄ではいかない器の大きさを感じさせる。
たおやかにして大胆、そして異国的で優美なシンフォニックプログレトラッド最高の1枚。これぞ必聴作!
シンフォニック度・・8 プログレ度・・9 トラッ度・・8 総合・・9.5
Amazon.co.jp で詳細を見る

AMAROK「Sol De Medianoche」
スペインのトラッドプログレバンド、アマロックの7th。2007年作
今作もやはり期待を裏切らない出来。たおやかなフルートにヴァイオリンが鳴り響き、
軽快なアンサンブルにプログレ的なリズム、そしてスパニッシュな女性ヴォーカルが歌い上げる。
前作ほどは派手な展開が少なくなり、感触的にはよりトラッド要素に比重が置かれているが、
その分スムーズに聴けるかもしれない。もちろん随所に聴かせるEL&P的なキーボードも健在だし、
ゆるやかなトラッドとプログレ的なマニアックな要素を絶妙に融合させる手法は円熟の境地。
これぞまさしくプログレトラッドの至宝。ラストにはEL&Pの“奈落のボレロ”のトラッドカヴァー(?)も収録。
メロディアス度・・8 プログレ度・・7 トラッ度・・8 総合・・8.5
Amazon.co.jp で詳細を見る

AMAROK 「Retrospectiva」
スペインのトラッド・プログレバンド、アマロックのベストアルバム。2007作
これは初期の4作から選ばれた10曲に、未発曲5曲、ライブ音源を加えた
企画ものアルバム。初期のサウンドは、アコースティックを基本にゆったりとしたシンセと
女性Voによるたおやかな癒し系であったのが、3rdあたりからアラビックな要素を取り入れ、
よりプログレッシブに深化してゆくその過程が分かる。未発曲の出来も遜色なく、
土着的すぎないトラッド色を含んだセンスがやはり見事だ。
ラストのライブ音源は何故か途中からPFMの“Celebration”になる。
メロディアス度・・8 プログレ度・・7 トラッ度・・8 総合・・8
Amazon.co.jp で詳細を見る

AMAROK「Canciones de los mundos perdidos」
スペインのトラッドプログレバンド、アマロックの2009作
ケルティックなトラッドとプログレを絶妙に融合させ、これまでに7作+ベストを出しているこのバンド、
本作は1995年の2ndを、オリジナルテープから新たにミックスし直したアルバムだ。
美しい女性ヴォーカルの歌声と、アコースティカルなトラッド色、繊細なストリングスの音色が混じり
じつにたおやかなサウンドを描き出している。リミックスにより、いっそう空間的な広がりが感じられ、
シンフォニックな美麗さが強まった一方で、素朴なケルト風味もとても魅力的だ。未発音源も4曲追加収録。
シンフォニック度・・8 プログレ度・・7 繊細トラッ度・・9 総合・・8.5
Amazon.co.jp で詳細を見る


Amarok 「Gouevia 2005」
スペインのトラッド・プログレバンド、アマロックのライブ作品。2011年作
トラッドとプログレを融合し、これまでに7作の素晴らしい作品を残したこのバンド、
バンドはすでに解散したようだが、ここにライブ音源が届けられた。2005年ポルトガルでのステージで、
フルートやサックスのたおやかな色に、ギターとドラム、スペイン語の女性ヴォーカルが合わさり、
哀愁を漂わせる叙情的なトラッドロックを聴かせてくれる。プログレ色の強いシンセワークにギターが絡むと
シンフォニックロックとしても普通に楽しめるのが素晴らしい。つくづく絶妙のバランスを感じるバンドであった。
トラッ度・・8 プログレ度・・8 ライブ演奏・・8 総合・・8
Amazon.co.jpで詳細を見る

AMAROK 「Hayat Yolunda」
スペインのプログレ・トラッドロック、アマロックの2015年作
これまでに7枚のアルバムを発表、2009年のリミックス作、2011年のライブを最後に解散したかと思われていたが
本作はアルバムとしては2007年以来となる復活作。アコースティックギターのつまびきに、やわらかなフルートの音色、
スペイン語による美しい女性ヴォーカルの歌声を乗せたサウンドは繊細にして優美。うるさすぎないシンセにピアノ、
シンフォニックロックの美麗な感触と、ロックとしての躍動感が絶妙に合わさった、まさにこのバンドでしかなしえないサウンドだ。
オルガンの音色が加わるととたんにプログレ色が強くなるが、一方ではアコースティカルな素朴さもしっかりと残していて、
「カタルーニャの宝石」と謳われる優雅な美意識に包まれた空気感にはうっとりとなること請け合いだ。哀愁と情熱を兼ねそろえた
マルタ嬢の歌唱の表現力も素晴らしい。これぞトラッドプログレの大傑作。ボーナスDiscには未発音源を収録。
ドラマティック度・・8 プログレ度・・7 繊細で優雅度・・10 総合・・8.5
Amazon.co.jpで詳細を見る

AMAROK 「El Ojo Del Mundo」
スペインのトラッドプログレ、アマロックの2021年作/邦題「世界の眼」
1994年にデビュー、カタルーニャのトラッドをプログレと融合させた独自のサウンドで、本作は9作目となる。
カーヌーンやサズ、サントゥールなどのアラビックな旋律にパーカッションのリズムで、中近東的な空気感に包まれ
艶かなヴァイオリンやフルート、アコーディオンも鳴り響き、女性ヴォーカルの歌声を乗せた、優雅なサウンドを構築。
随所にシンセによるプログレ風のアレンジも加わりつつ、全体的にはアコースティックをメインにした作風で
4th「スパイスの大地」あたりに通じる、エスニックな味わいが強まった印象。中盤には17分という大曲もあり、
優美なシンセにフルート、トランペットも加わって、プログレ的な展開力で聴かせる。優美で土着的な仕上がりです。
エスニック度・9 プログレ度・7 優雅度・9 総合・8 
Amazonで購入する


Amartia 「Maieutics」
フランスのシンフォニックロック、アマルティアの2006年作
適度にハードなギターにうっすらとしたシンセ、はかなげな女性ヴォーカルを乗せた、
マイナーな翳りに包まれた、いくぶんゴシック寄りのシンフォニックロックサウンド。
アンニュイな空気感に包まれつつ、こもり気味の音質がいかにも自主制作的ながら、
叙情的なギターフレーズや美しいシンセにクラシカルなピアノ、ヴァイオリンなども加えた、
優雅な耳心地の良さがある。11分という大曲もゆったりとした夢見心地の幻想性に包まれて、
けだるげな空気がわりと魅力的であったりする。上手すぎない女性Voもよい味わいです。
シンフォニック度・・7 優美度・・8 女性Vo度・・7 総合・・7.5
Amazonで購入する

AMARTIA 「Delicately」
フランスのシンフォニックハード、アマルティアの2009年作
女性ヴォーカルの歌声と、シンセを含んだ美しいアレンジで聴かせるサウンドは、
いくぶんゴシックメタル的なヘヴィさもありつつ、全体的にはしっとりとした感触。
楽曲自体にはさほどのインパクトはないのだが、ブリタ嬢のやわらかな歌声が魅力となっていて、
メロウなギターフレーズも含めてキャッチーな聴き心地で楽しめる好作品です。
メロディック度・・8 シンフォニック度・・7 女性Vo度・・8 総合・・7.5

AMARTIA 「IN A QUIET PLACE...」
フランスのシンフォニックロック、アマルティアの2011年作
女性ヴォーカルのキュートな歌声に美しいピアノ、シンセアレンジ、アコースティカルな繊細さを含んだ優しい耳触りのサウンド。
ブリタ嬢の伸びやかな歌声が大きな魅力となっていて、しっとりとした曲でも飽きずに楽しめる。
ヴァイオリなども入ってくると、フォークロック、ケルトロック的な牧歌性も感じさせる。
元々はゴシックメタル的な作風であったらしいが、この女性声シンフォ路線は大当たりですな。
メロディック度・・8 繊細度・・8 女性Vo度・・8 総合・・8
Amazonで購入する

ANAPHORA 「Apres Les Reves」
フランスのシンフォニックロック、アナフォラの2007年作
美麗なシンセアレンジに、女性ヴォーカルのフランス語の歌声で聴かせるサウンドで、
かつてのARRAKEENなどを思わせる優雅な感触。適度にモダンな質感もありつつ、
キャッチーな歌メロが前にでていて、激しいところがないのでとても優美な耳心地だ。
これだというインパクトはないのだが、ときにゴシックロック的な叙情や、
随所にメロウなギターも入ってきて、フィメールロック好きならばなかなか楽しめる。
メロディック度・・8 フレンチ度・・8 女性Vo度・・8 総合・・7.5
Amazonで購入する

ANAPHORA 「EXODE」
フランスのシンフォニックロック、アナフォラの2022年作
2006年にデビュー、本作は12年ぶりとなる3作めとなる。きらびやかなシンセアレンジにほどよくハードなギター、
フランス語による女性ヴォーカルを乗せた優美なサウンドを描く。メロウなギターによる叙情性と、
スタイリッシュなハードさが同居していて、プログレッシブな女性声シンフォニックメタルとしても楽しめる。
一方では、ゆったりとした叙情美に包まれた、シンフォニックロックナンバーから、ツーバスのドラムによる
適度な激しさも随所に覗かせつつ、キャッチーな優雅さとのメリハリある聴き心地。女性声ハードシンフォの逸品だ。
ドラマティック度・7 プログレ度・7 女性Vo度・7 総合・7.5
Amazonで購入する


ANAID 「Libertad」
フランスのプログレ・ジャズロック、アナイドの2016年作
デビューは80年代で、本作は1991年以来、25年ぶりとなる作品。優雅なピアノにオペラティックな女性ヴォーカルを乗せ、
OPUS AVANTRAのような妖しさに、ロック寄りのギターも加えた、ジャズロック風のアヴァンロックを聴かせる。
プログレというよりは、艶めいた女性声を中心にした歌ものパートが多いのだが、10分を超える大曲では、
やわらかなシンセ叙情的なギターの旋律を乗せた優美な味わいから、ハード寄りのギターを乗せた、
ノリのよいロックパートへと極端に展開し、はっちゃけた女性声とともにどことなくMAGMAっぽい勢いも感じさせる。
全体的にはしっとり優雅に楽しめる、エキセントリックな女性声アヴァンジャズロックの好作品。
ドラマティック度・7 プログレ度・7 優雅でアヴァンギャル度・8 総合・7.5
Amazonで購入する


Ange 「Caricatures」
フランスのプログレバンド、アンジュの1972年作
のちにフレンチプログレを代表する存在となるバンドのデビュー作。
オルガンやメロトロンが妖しく鳴り響き、クリムゾンを思わせるヘヴィプログレの質感もありつつ
フランスらしい優雅で芸術的なセンスを感じさせる楽曲は、過剰なまでの極端なドラマ性と
クリスチャン・デカンの絡みつくような歌声と共に本作の時点ですでに十分個性的である。
のちの作品に通じる夢見がちな叙情性も随所に感じられ、やわらかなフルートの音色なども美しい。
ドラマティック度・・8 プログレ度・・8 フレンチ度・・9 総合・・8
Amazon.co.jpで詳細を見る

ANGE「Le Cimetiere Des Arlequins」
フランスのプログレバンド、アンジュの2nd。1973年作
サイケデリックなジャケが印象的だが、サウンドは牧歌的な叙情性と
クリスチャン・デカンの濃密なフランス語のヴォーカルが合わさって、
演劇的なドラマ性に包まれたアンジュ節が確立されたという感じである。
メロウなギターやメロトロンを含む美しいシンセアレンジ、やわらかなフルートの音色もよい感じで、
繊細かつエキセントリックなフレンチプログレの魅力が随所に感じ取れる。
薄暗い翳りに包まれた芸術性という点では、PULSARの「Halloween」に通じるような雰囲気もあり、
ラストの9分弱の大曲ではヘヴィプログレ的なスケール感も味わえる。
ドラマティック度・・8 プログレ度・・8 フレンチ度・・9 総合・・8
Amazon.co.jpで詳細を見る

ANGE 「Au-Dela Du Delire」
フランスのプログレバンド、アンジュの3rd。1974年作
「新ノア記」のタイトルで知られるバンドの代表作。農夫ゴドフィンが時空を超えて旅をするというコンセプト作で
美しいヴァイオリンとチェンバロの音色から、クリスチャン・デカンの歌声とシンフォニックなシンセが加わると、
ファンタジックな雰囲気に包まれて広がりのあるスケール感が素晴らしい。いくぶんハードなギターワークとともに
音の厚みという点でも前作以上で、ドラマティックなシンフォニックロックとしても楽しめる。
ときに力みがちなデカンの歌唱のメリハリも含めて、緩急に富んだダイナミズムもじつに演劇的。
ラストは9分の大曲で、オルガンやメロトロンを含むシンセとともに、幻想的な叙情で盛り上げる。
ドラマティック度・・8 プログレ度・・8 フレンチ度・・9 総合・・8
Amazon.co.jpで詳細を見る

ANGE「Emile Jacotey」
フランスのプログレバンド、アンジュの4th。1975年作
老人が語る物語をコンセプトにした作品で、いつになくロックンロール調に始まったと思いつつ、
やはり一筋縄ではいかない、エキセントリックな感性で、シアトリカルなアンジュ節に包まれる。
随所に語りを含んだストーリー的な流れとともに、デカンの情感的な歌声と美しいシンセアレンジで
叙情的なドラマ性を描いてゆく構成力はさすが。このバンドの繊細な側面が前に出た好作品だ。
ドラマティック度・・8 プログレ度・・7 フレンチ度・・9 総合・・7.5
Amazon.co.jpで詳細を見る

ANGEPar lesfils de Mandrin」
フランスのプログレバンド、アンジュの5th。1976年作。邦題「マンドランの息子たちの誓い」
前作の物語志向をさらに進めたというような作品で、クリスチャン・デカンの演劇的な歌声とともに、
サーカス的な哀愁を感じさせる牧歌的な世界観が描かれてゆく。ときにコミカルな雰囲気もまじえつつ、
語りを含んだ歌声とともに、ゆるやかに物語が語られる。フランス語が理解できたらより楽しめるのだろう。
音楽のみで楽しむには厳しいが、これはテアトリカルロックのひとつの究極系ともいえる作品かもしれない。
ドラマティック度・・8 プログレ度・・7 シアトリカル度・・9 総合・・7.5
Amazon.co.jpで詳細を見る

ANGE「Guet-apens」
アンジュの6th。1977年作。邦題「異次元への罠」
歌詞による語りがメインだった前作よりも、ぐっと音のダイナミズムが増している。
シンフォニックなキーボードをバックにデカンのフランス語のヴォーカルが乗ると、
まさにこれぞフレンチロックという濃密で優雅な独特の高揚感が押し寄せる。
一方では、しっとりとした叙情性も備えていて、オーケストラルなシンセにフルートの音色も美しく、
サウンドの完成度で言うならばこれぞバンドの代表作というべきアルバムかもしれない。
もちろんデカンのシアトリカルな歌唱も健在で、ラストの大曲ではその劇的さが炸裂する。
シンフォニック度・・8 プログレ度・・8 シアトリカル度・・8 総合・・8
Amazon.co.jpで詳細を見る

ANGE 「TOMEVI」
アンジュのライブ作品。1977年作
美しいシンセアレンジに叙情的なギター、そして若き日のクリスチャン・デカンのフランス語の歌声が響き渡る。
スタジオ盤以上にダイナミクスの付けられたロックとしての躍動感と欧州の空気を含んだ優雅な美意識に、
物語を語るようなデカンのヴォーカルは唯一無二の個性だろう。繊細にして叙情的なロマン、
そしてシアトリカルな聴き心地…まさに全盛期のバンドの魅力を封じ込めたライブ作品だ。
ドラマティック度・・8 ライブ演奏・・8 フレンチ度・・9 総合・・8
Amazon.co.jpで詳細を見る

ANGE 「La Gare De Troyes」
フランスのプログレバンド、アンジュの1983年作
80年代のアンジュは、70年代の黄金期や、90年代以降の新生アンジュに比べて影が薄かったが、
再発リマスター盤で、改めて聴いてみると、これがなかなか悪くない。80年代らしいポップなビート感に
スタイリッシュなシンセアレンジと、クリスチャン・デカンのフランス語の歌声を乗せたサウンドは、
フレンチらしい優雅なプログレハードという趣。楽曲は3〜4分前後が主体で、わりとシンプルではあるが、
アダルトなAOR風味の中にも、ヨーロピアンな翳りのようなものは感じられ、随所にメロディックなギターや
優美なシンセやピアノ、ときにサックスも加わるなど、繊細なアレンジセンスはさすがというところ。
ラストは9分の大曲で、起伏に富んだ展開でドラマティックなシンフォプログレが広がってゆく。
キャッチー度・8 プログレ度・7 フレンチ度・8 総合・8 
Amazonで購入する

ANGE「Les Larmes du Dalai Lama」
フランスのプログレバンド、アンジュの1992年作
本作は70年代のメンバーが集った作品で、1曲目からいかにも暑苦しいフランス語の歌声とともに、ダライ・ラマのテーマが描かれる。
曲はどれも比較的キャッチーなメロディで、明快なギターフレーズと美しいシンセもさすがにいい仕事をしている。
そしてなによりクリスチャン・デカンの歌の存在感。繊細さと濃密さが同居する。これぞアンジュというアルバムだ。
メロディアス度・・7 プログレ度・・7 フレンチ度・・9 総合・・7.5
Amazon.co.jp で詳細を見る

Ange 「Ego Est Au Vermeil...」
フランスのプログレバンド、アンジュのライブ音源集。1999年作
前半は1976年のスタジオライブで、1976年作「Par Les Fils De Mandrin」をほぼ完全再現。
音質はややラウドながら、スタジオアルバム以上にハードなギターとシンセを重ね、
クリスチャン・デカンのフランス語による濃密な歌声で、シアトリカルな世界観を構築する。
後半は、1975年のフランスでのライブで、1st〜4thまでの楽曲を6曲披露。
いまやフランスを代表するバンドの、若かりし初期のライブ演奏が楽しめるという点でも貴重です。
ライブ演奏・・8 音質・・7 フレンチ度・・8 総合・・7.5

ANGELa Voiture a Eau
フランスのプログレバンド、アンジュの1999年作
クリスチャン・デカンのソロ活動がそのまま新生ANGEの活動開始に移行したというべき作品で、
メンバーは若手中心となり、サウンドの方もリフレッシュされたような力強さに満ちている。
フランス語のデカンの濃密な歌声を中心に、美しいシンセアレンジと壮大な叙情とともに、
ダイナミックなサウンドを描いてゆく。持ち味であるシアトリカルなドラマ性もしっかりとあり、
シンフォニックな聴き心地とアートロックとしての豊かな感性を含んだ力作に仕上がっている。
ドラマティック度・・8 プログレ度・・8 フレンチ度・・9 総合・・8
Amazon.co.jp で詳細を見る

Ange 「Reves-Parties」
フランスのテアトリカルロック、アンジュのライブ作品。2000年作
1997年、1998年、2000年に行われたフランスでのライブを、2CDに収録。
御大、クリスチャン・デカンを筆頭に、息子のトリスタンを含む、若手メンバーたちによる編成で、
美麗なシンセに流麗なギター、そして存在感抜群のクリスチャン・デカンのフランス語の歌声で、
ときにシンフォニックにときに演劇的な語りを含んだ、優美で濃密なサウンドを展開する。
テクニックのあるギターのプレイも含めて、70年代のナンバーもわりとスタイリッシュな感触で、
曲によってはハード寄りの部分もるなど、新たなアンジュサウンドへの変化も感じさせる。
バンドとしての前進を続ける優雅なるテアトリカル・シンフォニックロックが味わえる好ライブ。
ライブ演奏・・8 優雅度・・9 濃密度・・9 総合・・8 
Amazonで購入する

ANGE「Culinaire Lingus」
フランスのプログレバンド、アンジュの2001年作
本作はフランスらしく「食の芸術」をテーマにした作品ということであるが、
どことなくインダストリアルなモダンさも含ませつつ、クリスチャン・デカンの歌声が濃密に響きわたると、
それはもうアンジュでしかないのである。女性コーラスも含めてなんとなく艶めいた色気を漂わせ、
人間の欲望を語りあげるデカンのシアトリカルなヴォーカルはやはり素晴らしいという他にない。
演奏の方もじっくりと聴かせるアンサンブルはじつに玄人好みで、劇半のように重厚でドラマティック。
ドラマティック度・・8 プログレ度・・7 フレンチ度・・9 総合・・8
Amazon.co.jpで詳細を見る

Ange 「?」
フランスのプログレバンド、アンジュの2005年作
クリスチャ・デカン以外のメンバーががらりと変わった前作、「Culinaire Lingus」に続く、
2000年代アンジュとしての2作目となる。シンフォニックなアレンジと適度にモダンな感触の楽曲に、
フランス語のデカンの歌声が濃密に重なってゆく。バックの確かな演奏力もあってサウンドとしての説得力も十分。
美しいシンセワークも抜群で、随所にメロウなギターの旋律と重なって、シンフォニックロックとしての出来もすこぶるよい。
歌もの主体かとおもいきや、9分を超える大曲などでは、ドラマティックなプログレぶりを発揮。なにげに傑作でしょう!
シンフォニック度・・8 プログレ度・・8 フレンチ度・・9 総合・・8
Amazon.co.jpで詳細を見る


ANGE 「Le Tour de La Question」
フレンチプログレを代表するバンド、アンジュのライブ作品。
2005年作「?」ツアーでのライブステージを収録したCD+DVD。トリスタン・デカンをシンセに迎えての6人編成で、
ややハード寄りのギターに美しいシンセアレンジ、そしてクリスチャン・デカンのフランス語の歌声を乗せた、
濃密なシンフォニックロックが繰り広げられる。シアトリカルな語りを含む、クリスチャン・デカンの歌声は
衰え知らずの存在感で、これぞアンジュという世界観を描き出す。息子のトリスタンのシンセワークも美しく、
女性コーラスも加わった優雅な空気感と、ここぞと盛り上げる泣きのギターとともに、緩急のある楽曲展開で聴かせる。
ドラマティックな演劇性をシンフォニックロックに融合した、ベテランバンドらしい説得力あるサウンドはさすがで、
過去のナンバーも厚みのある演奏で生き生きと蘇る。DVDのステージ映像では、シンセやギターも弾きながら歌う
デカン御大の堂々たるお姿や、妖艶な女性コーラスも含めたシアトリカルなステージが楽しめる。ファン必携のライブ作品です。
シンフォニック度・・8 ライブ演奏・・8 フレンチ度・・10 総合・・・8.5 
Amazon.co.jpで詳細を見る

ANGESouffleurs De Vers
フランスのプログレバンド、アンジュの2007年作
仏シンフォ界きっての大御所、メンバーは変わってもクリスチャン・デカンの歌声さえあれば、
それはまぎれもなくANGEサウンドなのだ。今作でも濃密なフレンチシンフォをたっぷりと聴かせてくれるが、
当然ながら70年代の頃よりもサウンドは重厚になっていてギターとシンセの絡みによるシンフォニックな音の上に
フランス語によるデカンの濃〜い歌声が乗る。数曲で聴ける女性Voも良いアクセントだし、
独特のシアトリカルな雰囲気と、ドラマティックな世界観を描き出す音像の勢いが素晴らしい。
曲によってはヴォーカルにエフェクトをかけたり、ややモダンなアレンジも聴かれるが、時代とともに変化をしながら、
息子と一緒に同じバンド…しかもプログレをやっているというのは、なかなかに凄いことだと思う。
シンフォニック度・・8 濃密シアトリカル度・・9 フレンチ度・・9 総合・・8
Amazon.co.jp で詳細を見る

ANGE「Le bois travaille, meme le dimanche」
フランスのプログレバンド、アンジュの2010年作/邦題「木は日曜日も働いている」
結成40周年で40枚目のアルバムという、まさに大御所中の大御所。
本作もクリスチャン・デカンのフランス語の歌声を中心に、このバンド以外のなにものでもない
シアトルカルな世界観とともに、スケール感のある濃密なサウンドを描いている。
モダンなビート感覚の中に、美しいストリングスや優雅な叙情性を織り込んで、
現代的なアンジュの進化系を構築する、そのアプローチは非常に高品質だ。
タイトル曲である12分の大曲は、女性ヴォーカルも含むやわらかな美しさもありつつ、
ドラマティックな展開美で楽しませてくれる。これぞアンジュという力作です。
シンフォニック度・・8 濃密度・・9 フレンチ度・・9 総合・・8
Amazonで購入する

ANGE「Moyen-Age」
フランスのプログレバンド、アンジュの2012年作
フランスプログレ界きっての大御所バンド、もはや何作めなのか分からないのだが、
本作は中世をテーマにした作品で、のっけからいつになくシンフォニックなシンセアレンジがよい感じです。
そこにクリスチャン・デカンの濃密な歌声が加われば、それはもう変わらぬアンジュの世界。
フレンチな芸術感性とシアトリカルな物語性にどっぷりと浸れます。ロック的なノリの良さもありつつ
まるで芳醇なワインのように、じわじわとにじみ出る味わいの深さはさすがという他はない。
シンフォニック度・・8 シアトリカル度・・8 フレンチ度・・9 総合・・8
Amazon.co.jp で詳細を見る Amazon.MP3

Ange 「Emile Jacotey Resurrection」
フランスのプログレバンド、アンジュの2014年作
1975年作「エミール・ジャコティのお伽噺」を新たに再録した作品で、正直なところオリジナルの方は
音楽としては少し地味なイメージであったのだが、本作はのっけからクリスチャン・デカンの濃密な歌声が
全盛期を超えるような迫力をともなって聴こえてくる。息子であるトリスタン・デカンのシンセワークが
シンフォニックな味わいを付加し、適度にハードなギターとともに、よりダイナミックで重厚になったサウンドを描く。
物語が語られてゆくようなコンセプト的なスケール感が、現代の音像によって映画的なまでの広がりを感じさせ、
哀愁を含んだ繊細な叙情を表現し、緩急のある流れを生み出している。オリジナルよりも拡大された73分の大作、
ドラマティックなシアトリカルロック…アンジュというバンドの演劇的な真骨頂が存分に発揮された傑作である。。
ドラマティック度・・9 プログレ度・・8 重厚度・・8 総合・・8.5 
Amazon.co.jpで詳細を見る

ANGE 「EMILE JACOTEY RESURRECTION LIVE」
フランスのプログレバンド、アンジュのライブ作品。2015年作
1975年作「EMILE JACOTEY」の2014年リメイク作「EMILE JACOTEY RESURRECTION」完全再現ライブを2CD+DVDに収録。
きらびやかなシンセワークをバックに、御大クリスチャン・デカンのフランス語による濃密な歌声は健在で、
シアトリカルなドラマ性とともに、優雅なシンフォニックロックを展開。息子であるトリスタン・デカンのシンセワークに
随所に奏でられるメロウなギタープレイもよろしく、緩急ある展開と巧みな演奏力は、若手メンバーらしい勢いにも溢れている。
DVDでは、スティーヴン・ウィルソンのメッセージから始まって、わりとこじんまりとしたステージに御大の熱唱が響き渡り、
シンセを弾きながらのトリスタンの歌声も父親譲りの雰囲気で、ときに向き合った親子のツインキーボードが美しく重なり、
華麗なるテアトリカルロックが繰り広げられる。ラストは「新ノア記」からのナンバーで壮麗に締めくくる。
ライブ演奏・8 ライブ映像・8 テアトリカル度・9 総合・8.5 
Amazonで購入する

ANGE 「HEUREUX!」
フランスのプログレバンド、アンジュの2018年作
フレンチプログレ、テアトリカルロックを代表する大御所。前作が「エミール・ジャコティのお伽噺」のリメイクだったので、
オリジナルとしては2012年作以来となる。クリスチャン・デカンの味わいのあるフランス語の歌声に、
息子であるトリスタンのきらびやかなシンセワークで、厚みのあるシンフォニックロックサウンドを構築。
アコースティックギターにメロトロンが重なる優美な叙情や、オルガンなどのヴィンテージ感もよい感じで、
随所に泣きのギターの旋律も織り込んで、優雅でドラマティックな世界観を描くのは唯一無二である。
トリスタンのシンセ奏者としての成熟と、クリスチャン御大の絶対的な存在感が、より強固に結びついていて、
濃密な説得力となって聴き手を包み込む。17分の感動的な大曲も含めて、アンジュらしさ全開の壮麗傑作です。
ドラマティック度・・9 プログレ度・・8 優雅度・・9 総合・・8.5 
Amazonで購入する

ANGE 「Escale Heureuse」
アンジュのライブ作品。2019年作
2018年作「Heureux!」にともなうツアーのステージを2CD+DVDに収録。同作からのナンバー主体にしつつ、
1973年作「Le Cimetiere Des Arlequins」、1980年作「Vu D'un Chien」、1983年作「La Gare De Troyes」など、
過去作品からのナンバーも披露。渋みを増したクリスチャン・デカンの歌声と息子トリスタンの優美なシンセワーク
ときにハードにときに叙情的なギターの旋律が楽曲を優雅に彩る。ゆったりとしたナンバーでは、
エモーショナルなデカンの歌声とともに、年季を経たバンドらしい芳醇なワインのような味わいが楽しめ、
「Heureux!」収録の17分の大曲も素晴らしい。後半には1980年の傑作「Guet-Apens」からの大曲も披露。
DVDの映像では、立派なホールでのステージに、貫録たっぷりのデカンの姿が見られるだけで有難いというもの。
ライブ演奏・8 ライブ映像・8 テアトリカル度・9 総合・8
Amazonで購入する

ANGEL ONTALVA「Mundo Flotante」
OCTOBER EQUUSのギタリスト、エンジェル・オンタルヴァのソロ。2012年作
変則リズムに乗る、オルガンムーグなどのやわらかなシンセアレンジに、メロウなギターを乗せ、
ときにサックスやヴァイオリンなども加わったジャズロック的な優雅さで聴かせるサウンド。
OEのメンバーも参加しつつ、こちらはより軽妙なカンタベリー要素を強めた感触で、
インスト主体ながらも意外とメロディックに楽しめる。いくぶんエキセントリックなセンスを含めて
16分の組曲なども、難解過ぎずに構築するセンスというのは、彼の才能なのだろう。
ジャケのイメージほどにはダークではないのでご安心を。軽妙にして優雅な好作です。
メロディック度・・8 プログレ度・・8 優雅度・・8 総合・・8
Amazon.co.jpで詳細を見る

Angel Ontalva 「Tierra Quemada」
スペインのチェンバーロック、OCTOBER EQUUSのギタリスト、エンジェル・オンタルヴァのソロ。2015年作
軽やかなリズムに乗せる、ベースとギターに、美しいシンセアレンジを加えた優雅なインストサウンドで、
サックス、クラリネットの音色による、チェンバーロックらしい聴き心地は、さすが現代R.I.Oの申し子である。
ベースに重なるチェロの響きが、シリアスな重厚さを描きつつも、全体的にはダークさは控えめで、
シンセやメロディかの音色など哀愁を含んだ叙情性が前に出ている。一方で、エレピを乗せた優雅な質感は
カンタベリー的でもあって、ジャズロック寄りの耳でも楽しめるだろう。全体的には小曲主体なので、
わりとあっさりと聴き通せるが、ラストは9分近い大曲で、メロウなギターも鳴り響き、叙情豊かに締めくくる。
ドラマティック度・・7 チェンバー度・・8 哀愁の叙情度・・8 総合・・8
Amazonで購入する

Angel Ontalva 「Angel Of A Tower」
スペインのミュージシャン、アンヘル・オンタルヴァの2021年作
OCTOBER EQUUSのギタリストでもあり、ソロとしては5作目となる。軽やかなリズムにサックス、バスーンが鳴り響き、
ピアノを含むシンセにフルートも加わって、インストによる優雅なチェンバーロックを聴かせる。
OEに比べるとわりとキャッチーな聴き心地で、アンヘルのギターも随所にメロディックな旋律を奏でており、
シンセによるやわらかな味付けもあって、チェンバー初心者にも楽しめるだろう。アヴァンギャルド性は控えめながら、
曲によっては、HENRY COW のようなスリリングで不穏な雰囲気も覗かせる。総じて優雅で軽妙な逸品です。
ドラマティック度・7 スリリング度・8 優雅度・8 総合・8 
Amazonで購入する


Angel Ontalva & No Grooves 「Blood Moon Tonight」
スペインのギタリスト、アンヘル・オンタルヴァとロシアのジャズロック、ノー・グルーヴズのコラボ作。2017年作
叙情的なギターの旋律が絡み、軽やかなアンサンブルとともに、優雅でアダルトなジャズロックを聴かせる。
テクニカルというよりはゆったりとした感触ながら、うるさすぎないが巧みなドラムに乗せる、オンタルヴァの奏でる
耳心地の良いメロウなギターをじっくりと味わえる。アナログ感ある音質も、ライブに近いような生々しさで良いあんばい。
派手さがないので、玄人好みのジャズロックという印象ではあるが、素朴な優雅さの中にアーティスティックなセンスが光る。
ジャズ度・9 プログレ度・7 優雅度・8 総合・8 
Amazonで購入する


Angel Ontalva & Vespero 「Carta Marina」
スペインのギタリスト、アンヘル・オンタルヴァとロシアのサイケプログレ、ヴェスペロのコラボ作。2018年作
アコースティックギターの素朴なイントロから、二本のエレキギターにシンセを重ね、軽やかなアンサンブルとともに、
サイケな浮遊感と優雅さが同居したサウンドを描く。OCTOBER EQUUSでも活躍する、オンタルヴァの巧みなギターは、
ロックのみならず、ジャズからの影響も匂わせるフリーキーな旋律を奏で、サウンドには叙情性と緊張感が同居する。
オールインストながら、楽曲は8〜12分と長いものが多く、インプロ的な即興性も含んでいて、やや長尺感もあるのだが、
スペイシーなシンセパートにアコースティックを含む優雅なギターの絡みは、まさに両者の融合という味わいである。
ジャズ度・8 サイケ度・7 優雅度・8 総合・8
Amazonで購入する


APHELANDRA
フランスのシンフォニックロックバンド、アフェランドラの1976年作
詳細は不明なバンドだが、クレジットにCLEARLIGHTのCrille Verdeauxの名前もある。
クラシカルなピアノやシンセをメインにしたインストメインのシンフォニック作で、
確かに雰囲気といい、さほど媚びのない曲調といい70年代の音作りである。
しっとりとした雰囲気の17分の大曲から、続くAではエレクトリックヴァイオリンが鳴り響く
ジャズロック的なアンサンブルも聴かせてくれ、なかなかあなどれない。
最近のシンフォ系のバンドよりも、ずっとストイックでジャズやクラシック寄りの匂いがする。
シンフォニック度・・7 クラシカル度・・8 しっとり度・・8 総合・・7.5


ARACHNOID
フランスのヘヴィシンフォバンド、アラクノイの1978年作
プログレ衰退期の70年代後半にアルバム1枚のみを残して姿を消したというパターンはけっこう多い。
いくらいいものを作っても時代が悪ければ評価をされないというのは悲しいことだ。
さて、このアラクノイのサウンドはひと言でいうなら「ヘヴィシンフォ」ということになる。
メロトロンを使用し、初期〜中期のクリムゾン的なイメージで、叙情性と攻撃性が同居したサウンドだ。
そこにフランスらしく、少々ヒネた展開と、ダークな雰囲気で構築される楽曲はなかなかの迫力。
荒々しい歌が耳障りに感じる部分もあるが、それを含めてKCタイプのヘヴィシンフォとしてはクオリティの高い作品だ。
メロディアス度・・7 ヘヴィシンフォ度・・8 クリムゾン度・・8 総合・・7.5
Amazon.co.jp で詳細を見る


ARNAUD BUKWALD 「La Marmite Cosmique」
フランスのミュージシャン、アーノルド・バクワルドの2017年作
軽やかなドラムにピアノにサックスを乗せた、SOFT MACHINEに通じる軽妙なジャズロック風味から、
やわらかなフルートにメロトロンを含むシンセ、ストリングスなども加えたシンフォプログレ風味も覗かせつつ、、
どこかとぼけた味わいの優雅なインストサウンドを展開する。後半氏、10分、9分、16分という大曲が並び、
EL&Pの「タルカス」を思わせるキーボードプログレから、SEをはさんでヴァイオリンがスリリングに鳴り響き、
アヴァンギャルドなチェンバーロック風に展開するなど、なかなかつかみどころがない。17分におよぶラストの大曲は、
民族的なパーカッションにスペイシーなシンセとストリングス、サックスも鳴り響く、混沌としたプログレ・ジャズロックになる。
ドラマティック度・7 プログレ度・8 優雅度・8 総合・7.5
Amazonで購入する


ARRAKEEN「MOSAIQUE」
フランスのシンフォニックロック、アラキーンの2nd。1992年作
清涼感のある女性ヴォーカルの歌声が実に美しいシンフォニックロック作。
メロウなフレーズを奏でるギターは、ProgMetalファンには名の知れたシリル・エイチャード
ギターの音色にはメタル色もあるのでプログレハードとしても案外楽しめます。
それにしても、この女性Voはとても私好みの声質で、透明感のある綺麗な歌声にうっとりです。
美しいフランス語の響きに、メタリックなギターフレーズが印象的な、90年代フランス屈指の傑作。
シンフォニック度・・8 けっこうメタリック度・・7 女性Vo度・・8 総合・・8
Amazonで購入する

ART ZOYD 「Symphonie Pour Le Jour Ou Bruleront Les Cites」
フランスのチェンバーロック、アール・ゾイの1976年作
「都市が燃える日の為の交響曲」と題されたデビュー作。自主制作による音源で、「隠蔽する都市」
「幽閉する都市」「死をもたらす都市」「人々を鈍化せしめる都市」をテーマにした交響曲で、
ヴァイオリンやヴィオラ、トランペット、フルートといった室内楽的な音色を、スリリングかつダークに、
そしてアヴァンギャルドに構築してゆくスタイルは、UNIVERS ZEROにも通じるだろう。
マスターテープ消失のためアナログ盤などからの盤起こしのため音質はいまひとつであるが、
優雅でフリーキーな感触と得体のしれないスケール感は、本作の時点でもすでに迫力たっぷり。
異色のバンドのデビュー音源という点でも大変意義深い内容だ。後のリレコーディング作と聴き比べるもよし。
クラシカル度・・8 スリリング度・・8 暗黒度・・7 総合・・8
Amazon.co.jpで詳細を見る

ART ZOYD 「Symphonie Pour Le Jour Ou Bruleront Les Cites」
フランスのチェンバーロック、アール・ゾイの1980年作
「都市が燃える日の為の交響曲」と題された1976年作を新たに再録したバージョン。
フランス語による絶叫のような語りから始まり、艶やかなヴァイオリンにトランペットの音色が重なり、
優雅でありつつダークでスリリングなサウンドを描いてゆく。オリジナルバージョンに比べると、
より研ぎ澄まされたような演奏と音の厚みが増していて、ダイナミズムを強めた聴き心地である。
キレのよいヴァイオリンが鳴り響くクラシカルな空気感を、ここまでミステリアスに昇華するセンスは素晴らしい。
一方ではとぼけたような味わいのコミカルな曲調もあったりと、バンドとしての成熟の余裕も感じさせる。
ボーナストラックには、「フェイズIV/不吉な空間」に収録されていた未発音源をリマスター収録。
クラシカル度・・9 スリリング度・・9 暗黒度・・7 総合・・8.5
Amazon.co.jpで詳細を見る

Art Zoyd 「Generation Sans Futur」
フランスのチェンバーロック、アール・ゾイの1980年作
空間的な暗黒性を感じさせる、冷たい空気感に包まれたサウンドで、
ピアノ、ヴァイオリン、サックス、トランペットなどがひっそりと不穏に響き渡る。
やがて静けさの中から、突如としてけたたましく鳴り響く、管弦楽と野卑なヴォイスが、
緊張感となって聴き手に襲い掛かる。アヴァンギャルドミュージックの権化というべき内容だ。
1曲目の17分におよぶ大曲がとにかく圧巻だが、ストリングスによるクラシカルなナンバーもあって、
ロック色は薄いもののスリリングなアンサンブルと、優雅なクラシック性が共存した逸品である。
ドラマティック度・・6 チェンバー度・・8 アヴァンギャル度・・9 総合・・8
Amazon.co.jpで詳細を見る

ART ZOYDLes Espaces Inquiets/PhaseW/ArchivesU」
フランスのチェンバーロックバンド、アート・ゾイドの1982/1983作
本作は1982年の「フェイズW」、1983年の「不吉な空間」、そして1984-87年の未発音源をCD2枚に収録。
「不吉な空間」はシンセを大幅に取り入れ、サンプリングやSE的な使用方法とともに、
ダークなチェロの響きが不穏な緊迫感を感じさせるサウンド。管楽器とシンセが合わさると、
クラシカルなプログレとしても美しい。アヴァンギャルドでダークな世界観にうっとりだ。
「フェイズW」はもともとが2枚組の大作で、こちらはまだシンセではなくピアノと管楽器による
いかにもチェンバーロックというサウンド。生音であるぶん、いくらか素朴な雰囲気であるが、
Univers Zeroにも通じる優雅なダークさともいうべき空気が場を支配している。
クラシカル度・・8 ロック度・・6 ダーク度・・9 総合・・8
Amazon.co.jp で詳細を見る

Art Zoyd 「Le Mariage Du Ciel Et De L'Enfer」
フランスのチェンバーロック、アール・ゾイの1985年作、邦題は「天国と地獄の結婚」
バレエ団との共演のために作られた作品であるが、不穏な笑い声から、緊張感あるベースにピアノ、
サックス、ヴァイオリンを加えたダークなアンサンブルは、まさしくチェンバーロックである。
クラシカルな要素が前に出ていてロック色こそ薄いものの、ゴシック的ともいうべきヨーロピアンな翳りと
クラシックの持つ優雅なダイナミスムを随所に感じさせるという、これぞ暗黒チェンバーの聴き心地である。
クラシカル度・・8 チェンバー度・・9 ダーク度・・8 総合・・8 
Amazonで購入する



ART ZOYD「uBIQUe」
フランスのチェンバーロックバンド、アート・ゾイド(アール・ゾイ)の2001年作
40人を超えるオーケストラとの競演作で、不穏な空気をかもしだすダークな世界観を淡々と描くサウンド。
生オケといえどもこのバンドにとっては単なる表現手段としての道具にすぎないようで、
決して大仰にはならない、いわば冷たい暗闇をともなった音をミニマムに作り出している。
ロックとしての質感はあまりないが、オケによるスペイシーなスケール感が随所に現れて
クラシカルな優雅さをサントラ寄りの静寂の空気感と融合させたような聴き心地が味わえる。
クラシカル度・・7 ロック度・・3 ダーク度・・9 総合・・7.5
Amazon.co.jp で詳細を見る


ASGARD「TRADITION & RENOUVEAU」
フランスのプログレ・トラッドバンド、アスガールの2nd。1978作
「アスガルド」と読みたい気はするが日本盤の表記が「アスガール」なのでそれに習おう。
アコースティックギターにキーボード、そこに男Voが田舎臭い歌メロを乗せるというサウンド。
70年代ではありそうでなさそうなスタイルかも。今でいうヴァイキングメタル的発想か?
この少々イモ臭い叙情が心地よく感じられるかがミソ。Voの声ははあまり好みでない。
フランス語というのも、どうなんだろう。この手にはマッチしていない気も・・。
たまに聴くにはなごめるし、田舎くさいトラッドシンフォ好きなら聴いて損はないかな。
メロディアス度・・7 トラッ度・・7 田舎叙情度・・8 総合・・7
Amazon.co.jp で詳細を見る


ASIA MINOR 「Crossing the Line」
フランスのプログレバンド、アジア・ミノールの1979年作
トルコ系のフランス人によるバンドで、涼やかなフルートが鳴り響き、キレのよいリズムと、
ミステリアスなクールさを漂わせたサウンドはテクニカルでありつつとても叙情的。
どこかエキゾチックなメロディをうっすらとしたシンセアレンジで包み込み、
美しいフルートの音色とともにどこか不思議な幻想性も感じさせる。
むしろ北欧的な聴き心地もする好作品だ。完成度としては次作に譲るものの、
当時のヨーロピアンプログレにおいては、高い演奏力と構築センスを有したバンドだった。
次作「Between Flesh and Divine」も必聴の出来栄えです。
メロディアス度・・8 プログレ度・・8 クール度・・8 総合・・8
Amazon.co.jp で詳細を見る

ASIA MINOR 「Between Flesh and Divine」
フランスのプログレバンド、アジア・ミノールの2nd。1980年作
本作ではベース&シンセが加入して四人編成となり、一聴してアンサンブルがさらに強固になっている。
テクニカルなクールさが際立ちながら、美しいフルートが鳴り響く、CAMELばりの叙情は健在。
シンセによるシンフォニックなテイストも増し、アレンジには静と動のダイナミズムが強まっていて、
緊張感を含んだ心地よい叙情美が素晴らしい。随所に覗かせる中近東的なエキゾシズムも
個性的な味わいになっている。80年代初頭のシンフォ系プログレとしては、名作といえる作品だろう。
メロディアス度・・9 プログレ度・・8 クール度・・9 総合・・8.5
Amazon.co.jp で詳細を見る

ASIA MINOR 「POINTS OF LIBRATION」
フランスのプログレバンド、アジア・ミノールの2021年作
1979年にデビュー、1981年作「BETWEEN FLESH AND DIVINE」はフレンチ系シンフォプログレの名作として名高いが、
本作はじつに40年ぶりとなる復活作。やわらかなシンセと流麗なギターを乗せた軽やかなアンサンブルはかつてのまま、
翳りを含んだ叙情性とクールな構築力で描かれるサウンドは、まさにアジア・ミノールである。優美なフルートの音色に
フランスなまりの英語ヴォーカルはどこかシアトリカルな味わいで、優雅でありながらミステリアスな空気を感じさせ、
しっとりとしたアコースティックパートも幻想的で、メンバーがトルコ出身ということもあり、中近東的な民族色も覗かせる。
全体的にはスリリングなところよりは、ゆったりとした叙情パートが多いのだが、この復活を機に過去の名作も再評価されるだろう。
ドラマティック度・・8 プログレ度・・8 優雅度・・9 総合・・8 
Amazonで購入する


ASIDE BeSIDE 「Tadji Mahall Gates」
フランスのプログレバンド、アサイド・ビサイドの2002年作
結成は90年代で、本作はバンドとしてのデビューアルバムとなる。うっすらとしたシンセにメロウなギター、
どこかフランスなまりの英語ヴォーカルを乗せて、翳りを帯びたゆったりとした叙情を描いてゆく。
メロトロンなどを含むシンセに随所に泣きのギターフレーズも魅力的で、PULSARのような繊細な浮遊感に、
フレンチらしい優雅さがミックスして、かつてのATOLLなどにも通じるウェットな空気感とともに、
異国的なシンフォニックロックとしても楽しめる。ときに女性コーラスやサックスなども加わって、
しっとりとした優美さと哀愁の叙情に包まれる。ラスト曲は、静寂のあとで妖しい隠しトラックが現れます。
ドラマティック度・・8 プロクレ度・・7 フレンチ度・・8 総合・・7.5
Amazonで購入する


Atavismo 「Inerte」
スペインのプログレ・サイケロック、アタヴィスモの2017年作
ほどよくハードなギターにメロトロンやファルフィッサ・オルガンを重ね、マイルドなヴォーカルとともに
ANEKDOTENのような涼やかな叙情と、サイケな浮遊感に包まれたサウンドを聴かせる。
ヴィンテージなシンセとギターのトーンは、70年代的なアナログ感をかもしだしていて、
随所に女性コーラスを加えた妖しい雰囲気も含めて、サイケドゥーム的な味わいもある。
10分を超える大曲では、ユルめのリフレインがやや長尺に思えるところもあるが、
カッチリしていない分、神秘的なスケールを感じさせる。ヴィンテージな浮遊感に浸れます。
ドラマティック度・・7 プログレ度・・7 ヴィンテージ度・・8 総合・・7.5
Amazonで購入する


ATILA「INTENCION + REVIURE」
スペインのプログレバンド、アッティラの2nd。1976/1999年作
本作は1976年の2ndのリマスターに、3rdの楽曲を再現した、1999年のライブ音源をカップリング。
オルガンを含む優美なキーボードにハード寄りのギターを乗せ、軽快なアンサンブルを聴かせるサウンドで、
マイルドなスペイン語の歌声が加わると、哀愁を含んだ叙情に包まれる。女性コーラスを重ねた優雅な空気感と
いくぶんブルージーなギターがややミスマッチながら、シンフォニックな味わいとともにドラマティックなサウンドを構築してゆく。
ラストの15分の大曲は、クラシックの旋律を盛り込んだイントロから、ハードなギターにオルガン、ムーグシンセが鳴り響く、
英国のMARSUPILAMIあたりにも通じる、ダイナミックなインストサウンドを展開する。スパニッシュプログレの裏傑作のひとつ。
3rdのライブ再現では、演奏の濃密なテンションに加えて、楽曲のドラマティック性と緊張感が素晴らしい。
シンフォニック度・・8 プログレ度・・7 スパニッシュ度・・8 総合・・8◆プログレ名作選入り
Amazon.co.jp で詳細を見る


ATLANTIDE
フランスのプログレバンド、アトランティーデの1976年作
VISITORSで知られる、ジャン・ピエール・マシエラによるプロジェクトで、本作が唯一の作品。
のっけからYESのあの曲を思わせるギターフレーズとともに、軽やかなアンサンブルで始まり、
アコースティックな叙情を含んだ優雅なサウンドを聴かせる。フランス語によるマイルドなヴォーカルに
女性コーラスなども加えて、ほどよくキャッチーな味わいと素朴な牧歌性を含んだサウンドに、
どことなく霧のかかっようなミステリアスな空気感に包まれるところは、いかにもフランスらしい。
12分という大曲も、YESから拝借したようなフレーズも覗かせて、叙情豊かに構築してゆく。
ドラマティック度・・7 プログレ度・・8 優雅度・・8 総合・・7.5
Amazonで購入する


ATOLLMusiciens Magiciens」
フランスのプログレバンド、アトールの1974年作
幻想的なジャケが印象的なアルバムで、サウンドは2ndや3rdに比べると、まだいあか抜けない牧歌性があり、
初期のYesを思わせるやわらかな叙情に、フランス語による優雅さとこもり気味の音質もあいまって、
霧に包まれたような幻想的な味わいになっている。キレ味のある展開や構成力の点では次作「組曲 夢魔」には
到底およばないものの、ANGEとはまた違ったスタイルのメロディ志向のプログレバンドの誕生という点では、
とても意義深い作品であると思う。もっさりとした、いわば煮えきらない聴き心地が楽しめる方ならぜひ。
ドラマティック度・・7 プログレ度・・8 フランス度・・8 総合・・7.5
Amazon.co.jpで詳細を見る

ATOLL「L'AraignUE-Mal」
フランスのプログレバンド、アトールの1975年作
プログレ初心者の頃は難解な作風があまり理解できず、むしろ「サードアルバム」の方が好みだったのだが、
あらためて聴いてみると、本作はよりアーティスティックで、いかにもフランスらしいシアトリカルな魅力を発見できる。
浮遊感のあるシンセワークにフランス語による歌声、メロウなギターとヴァイオリンの優雅な響きが
幻想的なサウンドを描き出す。躍動的なリズムセクションを中心に、ジャズロック的なテクニカルさも覗かせつつ、
後半の22分におよぶ“組曲「夢魔」”ではヨーロピアンなセンスと構築美が合わさった圧巻のサウンドを展開する。
2009年盤の紙ジャケ日本盤は、迫力あるリマスター音源になっていて感動もひとしおです。
ドラマティック度・・8 プログレ度・・8 フランス・・8 総合・・8.5
Amazon.co.jp で詳細を見る

Atoll「Tertio」
フランスのプログレバンド、アトールの3rd。1977年作
2ndの「組曲・夢魔」が前衛的な傑作だとするなら、こちら「サードアルバム」の方はメロディアスな傑作というべきだろう。
クリスチャン・ベアの伸びやかなギターフレーズとともに始まる1曲目、“パリは燃えているか”は
フランス語による歌声とサビでの「パリ〜!」の叫びが印象的な佳曲。美しいシンセでしっとりと聴かせる“神々”、
いかにもメロディアスなプログレ曲、“天翔ける鹿”、そしてハイライトは、2パートに分かれた“トンネル”で、
シンフォニックな叙情美とフランスらしい湿りけを感じさせるサウンドが素晴らしい。前作と2枚合わせて聴くべし。
こちらも、2009年紙ジャケ日本盤の迫力あるリマスター音源が素晴らしいのでぜひ。
メロディアス度・・8 プログレ度・・7 フランス度・・8 総合・・8.5
Amazon.co.jp で詳細を見る

ATOLL「Rock Puzzle」
フランスのプログレバンド、アトールの4th。1979年作
傑作だった前作、前々作に比べ、サウンドはいくぶんポップになり、キャッチーなビート感覚で聴かせる
比較的シンプルなスタイルであるが、美しいシンセアレンジや、クリスチャン・ベアのギターワークは
随所にさすがという冴えを見せている。ブラスアレンジも含んだファンキーなノリは80年代的な、
ポップな楽しさがあって、プログレハードとして聴けば、全体的にもかなり出来はいいと思う。
ボーナストラックにはジョン・ウェットンが参加した1981年の音源などを収録していて、
むしろそちらが話題に上がることも多いだろう。「夢魔」と「サード」を聴いてからどうぞ。
メロディアス度・・8 プログレ度・・7 フランス度・・7 総合・・8
Amazon.co.jpで詳細を見る

ATOLL 
「L'Ocean」
フランスのプログレバンド、アトールの5th。1989年作
70年代に4作を残して消えたバンドが10年ぶりに、新生アトールとして復活した作品。
クリスチャン・ベア以外のメンバーはがらりと変わっていて、サウンド的にもシンプルになり
しっとりと優雅でメロウな味わいとなっている。フランス語によるマイルドな歌声と、
メロディックなギターフレーズがたっぷりと楽しめる、聴き心地の良さはなかなか捨てがたい。
80年代らしいモダンなビート感覚を含んだキャッチーな感触とともに、ゆったりと楽しめる好作品。
メロディック度・・8 プログレ度・・7 優雅度・・8 総合・・8
Amazon.co.jpで詳細を見る

ATOLL「LLLIAN,J'ENTENDS GRONDER LA TERRE」
フランスの名バンド、アトールの2003年作
オリジナルメンバーは、ギターのクリスチャン・ベアのみで、1987年の際結成後は「新生アトール」、
いわゆる「ヌーヴェル・アトール」と呼ばれる。方向性としては1989年の「オーシャン」に通じるような
やわらかみのあるメロディアスロックで、往年のファンからするとややもの足りないだろうが、
「L'OCEAN」でのしっとりとした雰囲気がけっこう好きだった私にはこちらも充分楽しめる。
クリスチャン・ベアのギターはときにジャジーにそしてメロウなフレーズを奏で、
シンフォニックなシンセと女性コーラス、そしてフランス語の歌唱は、じつに優雅な響きで耳に心地よい。
メロディアス度・・8 プログレ度・・7 しっとりフレンチ度・・9 総合・・8
Amazon.co.jp で詳細を見る

CHRIS BEYA ATOLL「ILLIAN-I HEAR THE EARTH」
フランスのプログレバンド、アトールの2015年作
2003年作の復活作「ILLIAN」を新たに英語歌詞にしてリアレンジしたリメイク作品で、
クリスチャン・ベアのメロウなギターをたっぷり盛り込みつつ、マイルドなヴォーカルを乗せた叙情的な作風。
やわらかなフルートの音色も含んだ繊細な聴き心地から、アコースティックなフォルクローレ要素、
オルガンやブルージーなギターを乗せたオールドなロック風味まで、現在形アトールの優雅なサウンドが味わえる。
ただ録音面での弱さがいかにも自主制作的で、個人的にもフランス語のオリジナル版の方が好みかも。
ドラマティック度・・7 プログレ度・・7 叙情度・・8 総合・・7.5
Amazon.co.jpで詳細を見る



ATRIA 「Boulevard of Broken Dreams」
フランスのプログレバンド、アトリアの1992年作
きらびやかなシンセワークにメロディックなギターとハイトーンのヴォーカルを乗せて、
PALLASあたりにも通じるキャッチーで爽快なプログレハードサウンドを聴かせる。
90年代のシンフォニックロックバンドらしいロマンティシズムとポンプロックルーツのメロディアス性で
8分、9分という大曲をじっくりと構築する。フランスというよりは英国のバンドに近い雰囲気で、
泣きの叙情美とダイナミックな展開力も含めて、正統派のシンフォプログレとしてはクオリティも高い部類だろう。
シアトリカルでドラマティックな幻想性も魅力で、濃密でありながら抜けの良いサウンドが楽しめる力作だ。
メロディック度・・8 プログレ度・・8 正統派シンフォ度・・8 総合・・8
Amazon.co.jpで詳細を見る

AZABACHE「dias de luna」
スペインのシンフォニックロックバンド、アサバーチェの1979年作/邦題「月の日々」
タイトなリズムにメロディアスなギターと、メロトロンをはじめとした美しいキーボードワーク。
歌唱はスペイン語ながら、サウンドにはあまり土臭さははないので、スパニッシュロック初心者でも普通に聴けるだろう。
サウンドの中に感じるかすかな田舎臭さには、ジャーマン系のシンフォニックロックを思わせるような雰囲気もあり、
ピアノやキーボードのやわらかみのあるメロディが素晴らしい。70年代スパニッシュ系シンフォの傑作と言えるだけの内容だ。
シンフォニック度・・8 プログレ度・・7 スパニッシュ度・・7 総合・・8
Amazon.co.jp で詳細を見る



Azabache 「No Gracias」
スペインのプログレバンド、アサバーチェの1980年作
前作「月の日々」はシンフォニックロックとしての傑作であったが、2作目となる本作は一聴して
キャッチーなサウンドとなった。軽快なリズムにほどよくハードなギターと美しいシンセアレンジ、
そしてスペイン語のヴォーカルを乗せた、スパニッシュなプログレハードといった趣である。
楽曲は3〜4分前後とシンプルで、80年代らしいポップな感触の中にも、メロウなギターに
メロトロンを含むカラフルなシンセなど、繊細で優美な叙情は随所に感じられる。本作を最後にバンドは消えるが、
彼らの残した2作は、スペインのメロディック系プログレでは高品質な部類だろう。
メロディック度・・8 プログレ度・・7 スパニッシュ度・・7 総合・・8
Amazonで購入する


AZAHAR「ELIXIR」
スペインのプログレバンド、アザハルの1977年作
ドラムレスの4人組で、メロトロンをたっぷりと使ったシンフォニックロック。
ドラムがいない分ロック的な躍動感は希薄だが、その分スペイシーな質感で、シンセとギターを中心に聴かせる。
インスト曲ではスペイン臭さはあまりないが、力のこもった歌声が加わってくると、やはりスパニッシュな哀愁があふれ出す。
美しいシンセをメインにした幻想的な雰囲気はオーストリアのEELA CRAIGあたりも思い出させるが、
そこに哀愁と泣きのギターフレーズが加わったという感じか。全体的にも聴き心地の良い好作品。
シンフォニック度・・7 スペイシー度・・8 スパニッシュ度・・8 総合・・7.5
Amazon.co.jp で詳細を見る

AZAHAR
スペインのプログレバンド、アザハルの1979年作
ドラムレスながら叙情的な好作であった1作目に続く2ndで、本作ではドラムが加入したことで
ぐっとロック寄りの聴き心地が強まっている。美しいシンセによるシンフォニックなアレンジは健在で
ギターのメロウな泣きのフレーズとともに、厚みのあるサウンドを描いている。
歌入りの曲では、スペイン語による濃密さとともに土着的な哀愁があふれ出す。
ドラマティックな味わいは前作以上で、TRIANAやBloqueにも負けない傑作です。
シンフォニック度・・8 プログレ度・・7 スパニッシュ度・・8 総合・・8
Amazon.co.jpで詳細を見る





BEDUINOS A GASOLEO
ポルトガルのプログレバンド、ベドゥイノス・ア・ガソレオの2007年作
のっけから26分の大曲で、美しいシンセにサックスやトロンボーンの音色を乗せ、
メロウなギターにポルトガル語の女性ヴォーカルの歌声で、しっとりとしたサウンド聴かせる。
随所に男性ヴォーカルや、やわらかなフルートの音色も加わって、AMAROKあたりにも通じる
トラッドロック的な優雅なさも感じさせる。その後も、11分、18分という大曲で、いくぶんジャズロック風でもある
軽妙なアンサンブルとともに全体的に濃密すぎない味わいで、のんびりと鑑賞できる反面、さすがに長尺感もある。
ドラマティック度・・7 プログレ度・・7 優雅度・・8 総合・・7.5
Amazonで購入する


BESS OF BEDLAM「Dance Until The Crimes End」
フランスのフィメール・ポップ、ベス・オブ・ベドラムの2022年作
女性シンガー、Fanny L'Heritierと、G&B奏者によるユニットで、2019年にデビューし、2作目となる。
優雅なギターの旋律にコケティッシュな女性ヴォーカルを乗せて、ドリーミィな幻想性に包まれたサウンドを描く。
アコースティックギターと女性声による牧歌的なフォーク風味も耳心地よく、いくぶんサイケな浮遊感をまぶした
ロバート・ワイアットの女性版という雰囲気もあり、ケイト・ブッシュ的な世界観のアシッドフォークとしても楽しめる。
楽曲3〜4前後がメインで、濃密すぎないところもキュートな味わいでよい。夢見系フィメールポップの逸品です。
ドラマティック度・7 幻想度・8 女性Vo度・8 総合・7.5
Amazonで購入する


Bloque 「Hombre Tierra Y Alma」
スペインのプログレバンド、ブロッケの1979年作
かつての日本盤は「人類、地球そして心」という壮大なタイトルがついていたのが印象的だった。
美麗なシンセとメロウなギター、そしてスペイン語によるヴォーカルを乗せたシンフォニックロックで、
美しいジャケのような叙情性と、随所にほどよいハードロック感触も含んだサウンドが楽しめる。
ツインギターはときにCamelばりの泣きのフレーズを奏で、そこにスパニッシュらしい哀愁が合わさって、
濃密なのだがわりとスタイリッシュな聴き心地で、スペイン系のプログレが苦手な方にもイケるだろう。
全体が流れるようなトータルな構成なのも見事。3rd「El Hijo Del Alba」も甲乙つけがたい傑作です。
ドラマティック度・・8 プログレ度・・7 叙情度・・9 総合・・8
Amazonで購入する

Bloque El Hijo Del Alba」
スペインのプログレバンド、ブロッケの3rd。1981年作
2nd「人類,地球そして心」もシンフォニックハードの傑作と言ってよいのだが、、
トータルな完成度ではむしろ本作が最高作かもしれない。美しいシンセと繊細なギターのつまびきで、
Camelばりの叙情を聴かせつつ、ツインギターによるハードロック的な質感も入ってきて、
スペイン語の歌声とシンフォニックな要素が合わさったサウンドは、なかなかドラマティック。
随所にフラメンコ的な旋律もまじえつつ、メロディックな泣きのフレーズを聴かせるギターがやはり魅力的だ。
あるいはHRファンにも楽しめるかもしれない、スパニッシュ・ハードプログレの傑作である。
メロディック度・・8 プログレ度・・7 スパニッシュ度・・8 総合・・8
Amazon.co.jp で詳細を見る




CAI「Noche Abierta」
スペインのプログレバンド、カイの2nd。1980作。邦題は「無限の夜」。
クラシカルなピアノの音色と、哀愁を漂わせつつもキャッチーなメロディを歌うヴォーカル。
あまりスパニッシュ臭さのないスタイリッシュなサウンドは、適度にテクニカルな構築性があり
むしろPFMなどのイタリアのバンドに近い感触があって、なかなか質が高い。
曲は軽やかなインストを中心に、ときおり歌ものもあるが、どれもスペイン的な押しの強さよりは
繊細で比較的あっさりとした控えめなものなので、インパクトの点ではやや弱いかもしれない。
メロディアス度・・8 プログレ度・・8 スパニッシュ度・・7 総合・・7.5
Amazon.co.jp で詳細を見る

CAMEMBERT 「Schnoergl Attahk」
フランスのチェンバー・ジャズロック、カマンベールの2011年作
プラグが貫通したカマンベールチーズのジャケからしておちゃらけているが、なにやらスペイシーなイントロから、
トランペット、トロンボーンが鳴り響き、コロコロとしたマリンバの響きにギターを加え、軽妙なアンサンブルが広がる。
優雅なテクニカル性ととぼけた味わいに、ときおりスペイシーなスケール感が加わるところが面白く、
美しいハープの音色など、やわらかでメロディック味わいが前に出ているので難解な印象はない。
オールインストなので聞き流してしまいがちだが、しっかりとしたアンサンブルとほどよいヒネくれ方もあって、
MAGMAのような緊張感はないが、ディープなリスナーでも楽しく聴ける。チェンバー・ジャズロックの好作品だ。
ドラマティック度・・7 ジャズロック度・・8 優雅なおとぼけ度・・9 総合・・8
Amazonで購入する

Camembert 「Negative Toe」
フランスのプログレバンド、カマンベールの2017年作
6年ぶりとなる2作目で、「ギャラクシー・チーズ」をテーマに、コミカルなSF的ストーリーに基づいた作品で、
トランペット、トロンボーンにハードなギターを重ね、ヴィブラフォンやシロフォン、ハープなどの音色を含んだ、
軽妙なジャズロックに、ザッパ的なとぼけたセンスをまぶして、大仰に仕立て上げたというサウンド。
緩急あるダイナミックな展開力で、10分を超える大曲を構築してゆくところは、オールインストながらも
前作以上のスケール感で楽しめる。演奏のキレという点でも、リズム面での強化が音の説得力になっていて、
ブラスを含む管楽器の活かし方も見事。ときにMAGMA的な男女コーラスも現れたりしてニヤリ。優雅な傑作です。
ドラマティック度・・8 プログレジャズロック度・・9 優雅度・・9 総合・・8 
Amazonで購入する


Canarios 「Ciclos」
スペインのロックバンド、カナリオスの1974年作
60年代にBeat Pop/Rockバンドとして結成されたのであるが、いったいどういう経緯があったのか、
突如ヴィヴァルディの「四季」をロック化した驚異の名作を生み出した。
なにやらたたごとではないイントロから、オペラティックな女性声が歌いだし、まるで生まれ落ちるかのように
“春”のテーマが始まると、壮麗にしてクラシカルなサウンドがすべてを支配する。
きらびやかなシンセにオーケストラルなストリングスが合わさり、ギターが叙情メロディを重ねる。
この躍動感、ダイナミズムといったら、冬眠していた動物たちもいっせいに目を覚ますに違いない。
クラシックのロック化という点でも歴史的な作品であり、完成度という点でも奇跡的なアルバムだ。
クラシカル度・・10 シンフォニック度・・9 大仰度・・9 総合・・9
Amazon.co.jp で詳細を見る


Carlos Gallego . Robert Santamaria「El Estigma de Cain:1.Observaciones Del Sr.Fantasia」
スペインのトラッドプログレAMAROKのシンセ奏者とギターのユニット。2001年作
美しいシンセワークを中心に、スペイン語による男女ヴォーカルの歌声で
素朴に聴かせるサウンドは、トラッド色の薄まったAMAROKという雰囲気。
アコースティックギターが響くフォルクローレ風味の牧歌的な感触に、物語性を感じさせる
シアトリカルな作風とともに、ゆるやかな流れに包まれた耳心地のよさが味わえる。
ときにMIKE OLDFIELDのような、メロウなギターフレーズも覗かせ、のんびりと楽しめる。
プログレというよりはフォルクローレ・オペラというように鑑賞すべき優しい好作品です。
ドラマティック度・・8 プログレ度・・7 素朴度・・8 総合・・8
Amazonで購入する


CARPE DIEMEn Regardant Passer le Temps
フランスのプログレバンド、カルプ・ディアンの1st。
まずこの美しい点描画のジャケに惹かれるが、内容もなかなかのもの。
サックス、フルートのメロディを中心に、やや薄暗いジャズロックを展開するが
カッチリとした硬質感よりも、10分台の大曲を幻想的な雰囲気で聴かせるのが個性的。
しっとりしたたおやかな部分はむしろシンフォニックといってもよい感触で
やわらかなヴォーカルにフルートが重なるとじつに美しい。
サウンドにはどこかミステリアスな翳りがあり、泣きのギターにしろシンセにしろ
テクニックを聴かせるよりは、たゆたうような儚い世界観を聴き手にイメージさせてくれる。
シンフォニック度・・8 ジャズロック度・・7 儚い幻想美度・・8 総合・・7.5
Amazon.co.jp で詳細を見る

CARPE DIEM「Cueille le Jour」
フランスのシンフォニックロックバンド、カルプ・ディアンの2nd。1977年作
サックスを中心にしたジャズロック風のシンフォニックロックという個性的なバンド。
のっけから21分の組曲で、1stをより洗練させた叙情美でしっとりと聴かせる。
インストをメインにしながら決してうるさすぎない演奏で、ハモンドなどの音色も
どこか薄暗い雰囲気で、サウンドにヨーロピアンな幻想美をまとわせる。
点描のジャケが美しい1stの方が有名だが、全体の完成度ではこちらだろう。
シンフォニック度・・7 プログレ度・・8 しっとり薄暗度・・8 総合・・8
Amazon.co.jp で詳細を見る



CHANCE「Dunes」
フランスのシンフォニックロックユニット、チャンスの1994年作
シンセ奏者、ローラン・シモネッティ氏のソロユニットで、美しいシンセアレンジに、
メロウな叙情ギターが加わった、インストによるシンフォニックロック。
ギターがわりと自由にメロディを奏でているので、オールインストであるが、
なかなかダイナミックな聴き心地で、ムーグシンセなどのきらびやかなシンセもよい味わいだ。
スリリングな展開というのはあまりないが、美麗なシンセに包まれた叙情的なギターワークが堪能できる好作品。
メロディアス度・・8 プログレ度・・7 美麗度・・8 総合・・7.5
Amazonで購入する

CHANCE「ESCAPE TO HORIZON」
フランスのシンフォニックロックユニット、チャンスの2nd。2000年作
KEY、B、Drをこなす、ローラン・シモネッティ氏のソロユニットで、7年ぶりとなる2作目。
広がりのあるシンセサウンドをメインにした、ゆったりとしたシンフォニックサウンドは健在で
GANDALFあたりにも通じる作りだが、こちらの方がややマニア受けするシンフォプログレ寄り。
ゲストの奏でるメロウなギターも、ときに華麗に弾きまくるキーボードに乗って曲に彩りを添えている。
全編インストであるが、シンフォパートの後にはゆるやかな静寂パートも多く、展開にメリハリが効いていて
なかなか楽しめる。ちなみに四人のゲストギタリストのうちの一人はロイネ・ストルトである。
メロディアス度・・8 シンフォニック度・・8 流麗度・・8 総合・・8
Amazon.co.jp で詳細を見る


Chardeau 「In Terra Cognita?」
フランスのミュージシャン、チャルドーの2019年作
Brian Auger、Jerry Goodman、元JETHRO TULLのMartin Barre、ANGEのChristian Decamp、SAGAのMichael Sadler、
元CHICAGOのメンバーや、DOOBIE BROTHERSのJohn McFee、SUPERTRAMPのJohn Helliwellなど、多数のメンバーが参加、
ロシア、インド、チベット、北朝鮮、日本、メキシコ、ペルー、イスラエル、アフリカ、北極など、地球環境や国際、歴史問題を含むテーマを、
壮大なロックオペラに仕立て上げた作品で、クラシカルなストリングスやピアノに、枯れた味わいのヴォーカルを乗せ、
ブラスやシンセによるゴージャスなアレンジとともに壮麗なサウンドを描いてゆく。ムソルグスキー「はげ山の一夜」を取り入れたり、
東洋的なシタールやタブラの音色、ときにジャズロック風だったり、メロウなギターも加わって、楽曲ごとにカラーの違うサウンドが楽しめる。
全体的に明快な盛り上がりがさほどないのが惜しいが、世界各地をコンセプトにしたスケールの大きな、全69分の力作です。
ドラマティック度・8 プログレ度・7 優雅度・8 総合・7.5
Amazonで購入する

CHILDREN IN PARADISE 「Esyllt」
フランスのシンフォニックロック、チルドレン・イン・パラダイスの2011年作
美しい女性ヴォーカルの歌声に、うっすらとしたシンセに優美なピアノを重ね、
ゴシック的な薄暗さも含んだ、翳りのあるシンフォニックロックを聴かせる。
メロウなギターのトーンにアンニュイな倦怠を感じさせる女性声も含めて、
Paatosあたりに通じる部分もある。ときにホイッスルやイーリアン・パイプの音色など、
ケルティックなテイストも覗かせつつ、幻想的な空気感をしっとりと描いてゆく。
派手な展開というのはないものの、繊細な耳心地で味わえる好作品だ。
ドラマティック度・・7 しっとり優美度・・9 女性Vo度・・8 総合・・7.5
Amazonで購入する

CHILDREN IN PARADISE 「MORRIGAN」
フランスのシンフォニックロック、チルドレン・イン・パラダイスの2016年作
2011年にデビュー、本作は2作目となる。うっすらとしたシンセに女性ヴォーカルの歌声を乗せ、
Paatosあたりにも通じるアンニュイな翳りと浮遊感に包まれたサウンドを聴かせる。
適度にハード寄りのギターとともに、ゴシック寄りのメランコリックな空気感を描きつつ、
シンフォプログレの優雅さも含んでいて、コケティッシュな女性声もなかなか魅力的。
曲によってはホイッスルやイーリアンパイプなどのケルティックなテイストやアコースティックパートや、
ヘヴィなギターのゴシックメタル的な感触もあり、The Gatheringあたりのファンにも楽しめそう。
ドラマティック度・・7 プログレ度・・7 メランコリック度・・8 総合・・8
Amazonで購入する


CLEARLIGHT「SYMPHONY」
フランスのプログレバンド、クリアライトの1st。1975年作
フランスのMIKE OLDFIELDとも言うべき、20分の組曲が2曲という大作志向のこのアルバム。
@はまず、ソリーナの音色に導かれて、効果音や即興的なサックス、そこにギターが加わり、
アヴァンギャルドに響きわたる。リズムパートはなく、どこか怪しげな雰囲気ものといった様相。
いわゆるシンフォニックロックというものではなく、どちらかというとジャーマン系の
サイケ、エレクトロニクスサウンドに通じるようなイメージだが、そこはフランスというお国柄か、
美しいピアノの音色がたおやかに場を彩りふんわりとした繊細な浮遊感が存在している。
Aになると、リズムが加わり、シンフォジャズロック的な演奏にサイケ色が加わった雰囲気で
トータル的にインスト作でありながら、不思議な世界観と質感を持ったサウンドとなっている。
あるいはこれはフランスからの「チューブラーベルズ」への回答だったのかもしれない。
シンフォニック度・・7 ロック度・・5 しっとり浮遊度・・9 総合・・7.5
Amazon.co.jp で詳細を見る

CLEARLIGHT「FOREVER BLOWING BUBBLES」
フランスのシンフォニックロック、クリアライトの2nd。1975年作
大作だった1stに比べ比較的コンパクトな楽曲を連ねた作風となっている。
Cyrille Verdeauxのシンセに絡む、デビッド・クロスのヴァイオリンが美しい。
全体的にややジャズロック風のインスト演奏を感じさせつつも、独特の浮遊感と、
シンセミュージックとしてのプログレッシブな雰囲気はさすがで
緊張感よりはむしろ空間的な叙情美を感じさせるサウンドだ。
メロディアス度・・7 シンフォニック度・・7 テクニカル度・・7 総合・・7.5
Amazon.co.jp で詳細を見る

CLEARLIGHT「Les Contes Du Singe Fou」
フランスのシンフォニックロック、クリアライトの3rd。1976年作
「狂った猿の物語」というタイトル通り、カラフルな衣装をまとったチンパンジーのジャケが
やや異色な感じを与える。サウンドとしては、前2作よりもヴォーカルの頻度が高く、
GENESIS的な質感の分かりやすいシンフォニックロックサウンドになっている。
MAGMA LIVEにも参加したDidier Lockwoodが奏でるヴァイオリンが
Cyrille Verdeauxのピアノと絡まりあい、美しいコントラストを描きつつ曲を盛り上げる。
しっとりとしたクラシカルさとメロディアスな歌メロのバランスがとれた好作だ。
メロディアス度・・8 シンフォニック度・・7 プログレ度・・7 総合・・8
Amazon.co.jp で詳細を見る

CLEARLIGHT「Crille Verdeaux-VISIONS」
クリアライトの4th。1978年作
タイトル表記からするとシリル・ヴェルドーのソロ的扱いなのだろうか。
鳥のさえずりや美しいフルートから始まるこのアルバムはたおやかな安らぎに満ちたメロディアスな作品。
艶やかなヴァイオリンとキーボートとの掛け合いも楽しく、そして流麗なピアノがクラシカルな格調高さを付加している。
サイケ色のあった1stよりは構築された聴きやすさがあって安心できる。ピアノの音色でしっとり、フルートの音色にうっとり。
メロディアス度・・8 プログレ度・・7 たおやか度・・9 総合・・8◆プログレ名作選入り
Amazon.co.jp で詳細を見る

CLEARLIGHT MOSAIQUE「In Your Hands」
フランスのシンフォニックロックバンド、クリアライト(モザイク)の5th。1994年作
内容は3rd「狂った猿の物語」のリメイクということらしいが、詳しいことは不明。
キーボードのCyrille VERDEAUXと、ヴォーカルのGunnar AMUNOSONの二人を中心に、
ヨーロピアンなクラシカルさと東洋的な質感がミックスされたような雰囲気で、
サウンドにはかつてよりもモダンなアレンジ、アプローチがなされている。
シンセ、ピアノを中心に、ギター、ヴァイオリンなどが美しく絡む浮遊感のある楽曲は、
Voの声質もあってかやや重厚さには欠けるが、その分平和的なたおやかさがあり
プログレというよりも、空間的なスピリチュアルミュージックとしても聴けるかもしれない。
シンフォニック度・・7 プログレ度・・7 スピリチュアル度・・8 総合・・7.5
Amazonで購入する

CLEARLIGHT「Infinite Symphony」
フランスのシンフォニックロック、クリアライトの2003年作
事実上Cyrille Verdeauxのソロ作と言ってもよいだろう。1975年作「Clearight Symphony」の続編ともいうべき内容で
6楽章からなる長大な作品。たおやかなピアノの上をヴァイオリンとサックスが交わる第一楽章は、
いうなればクラシカルなジャズロックともいうべき軽やかなサウンド。変わってしっとりとした第二楽章では
繊細なフルートの音色が美しく、楽曲は徐々にシリアスに盛り上がってゆく。第三楽章ではガブリエルのようなVoも入って、
シンフォニックさを増し、THE ENIDを思わせる第五楽章では、まさにクラシカルシンフォニーという優雅さが包み込む。
昨今のシンフォバンドのようなキャッチーさはないが、構築美としてのシリアスなシンフォニックロックが楽しめる傑作だ。
シンフォニック度・・8 プログレ度・・7 構築美度・・9 総合・・8
Amazon.co.jp で詳細を見る

Clearlight 「Impressionist Symphony」
フランスのプログレバンド、クリアライトの2014年作
1975年作「Symphony」でデビュー、何度かの活動休止をへて、2003年には続編となる「Infinite Symphony」を発表、
その10年後に、さらに続編となる本作が完成した。艶やかに鳴り響くヴァイオリンに美しいピアノとシンセ、
クラシカルな優雅さに包まれたサウンドは、まさにクリアライトのサウンドである。メロウな叙情ギターが随所に入るのは
やはりMIKE OLDFIELD的でもあり、フルートやサックスなどのやわらかな音色も、楽曲に繊細な彩りを添えている。
楽曲ごとにルノワールやモネ、ピサロなど、印象派の絵画をテーマにしたセンスも素晴らしい。
曲によってはモダンな感触も織り込みつつ、フレンチらしい芸術性と美意識を感じさせる優美なる傑作だ。
シンフォニック度・・8 プログレ度・・8 優雅度・・9 総合・・8
Amazon.co.jpで詳細を見る


Cyrille Verdeaux 「Messenger Of The Son」
フランスのプログレバンド、CLEARLIGHTを率いるシリル・ヴェルドーのソロ。1984年作
やわらかなピアノに美しいシンセがかぶさる、優雅なクラシカル性に包まれたインストサウンド。
シンセを中心としたスピリチュアルなヒーリングミュージックとしても、ゆったりと鑑賞できつつ、
ドラムを加えたキャッチーな感触のナンバーもあったりと、わりと80年代感覚が散りばめられていて、
良い意味で玄人好みの内容。フュージョン風味のナンバーにも、クラシックの優雅な素養が垣間見えて、
しっかりと随所にクリアライトらしさも感じ取れる。ヴァイオリンも加わった優美な聴き心地もよいです。
クラシカル度・・8 プログレ度・・7 優雅度・・8 総合・・7.5
Amazonで購入する


Cyrille Verdeaux「Rhapsodies Pour La Planete Bleue」
フレンチシンフォの代表格、CLEARLIGHTを率いるシリル・ヴェルドーのソロ作。1988年作
KUNDALINI OPERA組曲と題されたソロ作シリーズの第五部で、
ゲストにChristian Boule(g/synth)、Don Lax(vln)等を迎え、シリアスなシンフォニックスタイルを展開。
リズムセクションは最小限で、基本はスペイシーでクラシカルなシンセワークを軸にした、
雄大かつ優美な音空間が構築されている。地球全体を見つめながら、大自然との融合、
人間の内的なパワーなどを、ある種の宗教観をともなって、ミニマムなサウンドで表現。
スペイシーなシンフォニックサウンドは、ときにトリップミュージック的でありながらも、
クラシックに裏打ちされたピアノ、シンセによるオーケストレーションなどは壮麗で耳に心地よい。
シンフォニック度・・8 プログレ度・・7 内的度・・9 総合・・8
Amazonで購入する

Spirits Burning & Clearlight「Healthy Music In Large Doses
アメリカのサイケロック、スピリッツ・バーニングとフランスのプログレ、クリアライトの合体ユニットの2013年作
エレクトロ的なモダンさとオリエンタルな雰囲気を、サイケ風味の浮遊感で包み込んだというサウンドで、
ピアノやヴァイオリンなどのクラシカルなエッセンスや、随所にスキャット風味の女性ヴォーカルも加わった、
優雅で神秘的な感触は、やはりCLEARLIGHT(Cyrille Verdeaux)に通じる世界観を感じさせる。
これというインパクトはないのだが、ゆったりとしたメロウな聴き心地で楽しめる作品だ。
ドラマティック度・・7 プログレ度・・7 クリアライト度・・8 総合・・7.5


Cloverseeds「Cloverseeds」
フランスのハードプログレバンド、クローバーシーズの2010年作
ジャケの雰囲気などから、ポーランドか、もしくはイギリスのバンドかと思ったら、
この手のモダンな薄暗系ハードプログレがフランスからも出てくるとは。
いくぶんメタリックなギターとともに、ゴシックメタル風味のメランコリックな翳りある世界観で、
やはりRiversideあたりに通じる聴き心地もありながら、ロックとしてのモダンなセンスは
案外COHEED AND CAMBRIAなどにも近いか。現時点では、メロディにしろ楽曲にしろ
インパクト不足な感もあるが、メタルとプログレの垣根を超えるような存在として今後に期待。
メロディアス度・・7 プログレ度・・7 モダン派薄暗系度・・8 総合・・7.5
Amazon.co.jp で詳細を見る


Companyia Electrica Dharma 「L'oucomballa」
スペインのジャズロック、コンパニア・エレクトリカ・ドアルマの1976年作
1975年にデビュー、本作は2作目。優雅なピアノにサックスが鳴り響き、ギターやシンセも含んだ、
どこかとぼけた味わいの軽やかなジャズロックで、ほどよくユルめの牧歌的な味わいに包まれる。
スパニッシュな哀愁を感じさせるギターやサックスのフレーズにロック寄りのドラムで聴かせるナンバーは、
プログレジャズロック寄りの感触もあるが、全体的にはあまり派手さはなく、わりとアンサンブル重視という作風。
次作に比べるとやや地味にも思えるが、曲によってはフリーキーなおおらかさもいくぶん覗かせている。
ドラマティック度・・7 プログレ度・・7 優雅度・・8 総合・・7.5
Amazonで購入する


Companyia Electrica Dharma 「TRAMUNTANA」
スペインのジャズロック、コンパニア・エレクトリカ・ドアルマの1977年作
3作目の本作は、のっけからサックスがコミカルに鳴り響き、叙情的なギターの旋律にエレピが絡み、
軽やかなアンサンブルのプログレ・ジャズロックを聴かせる。スペインらしい哀愁を含んだ叙情パートなど
10分を超える大曲では、メリハリある展開と前作以上にプログレ的な構築センスも覗かせる。
軽やかな演奏と民族的な空気感が合わさった、とぼけたようなコミカルさという点では、
北欧のサムラなどにも通じるかもしれない。ただし、こちらはあくまでアンサンブル志向。
サックスが鳴り響く優雅なジャズロックから、ラストのチンドン的なナンバーも面白い。
ドラマティック度・・7 プログレ度・・7 軽妙度・・9 総合・・8
Amazonで購入する


CONEXION 「Harmony」
スペインのジャズロック、コネクションの1973年作
やわらかなピアノにフルートの音色、ソウルフルな男性ヴォーカルを乗せた叙情的なサウンドで
コーラスを加えたキャッチーな1曲目から、2曲目からはトランペットやサックスも加わった、
渋みのある叙情性にオルガン、メロトロンも鳴り響く、プログレ寄りの大人のジャズロックを聴かせる。
ギター以上にブラスセクションが活躍しているので、優雅で華やかな感触に加えて、歌詞は英語なので、
言われなければスペインのバンドとは思わないかもしれない。前半は小曲主体だが、後半は15分という大曲で、
リズムチェンジを含むプログレらしい展開力とともに、軽妙なジャズロックが楽しめる。
メロディック度・・8 プログレ度・・7 ブラス度・・8 総合・・7.5
Amazonで購入する


Crack 「Si Todo Hiciera」
スペインのプログレバンド、クラックの1979年作/邦題「邂逅」
アコースティックギターとピアノによる優美なイントロから、フルートにシンセが加わり、
軽快なアンサンブルの優雅なシンフォニックロックを展開。スペイン語によるヴォーカルに
女性コーラス、泣きのギターとともに、しっとりとしたクラシカルな美しさに包まれる。
スペインというよりは、むしろイタリアンロックの繊細な美学にも近い感触で、
リリカルな世界観は非常に日本人好み。スペイン産シンフォとしては、GOTICと並ぶ傑作だ。
ドラマティック度・・8 優美度・・9 スパニッシュ度・・7 総合・・8
Amazonで購入する




The Daedalus Spirit Orchestra 「Ampulla Magnifying」
フランスのモダンプログレ、ダイダルス・スピリット・オーケストラの2009年作
シンセ奏者にフルート&ヴィブラフォン奏者を含む編成で、アヴァンギャルドな雰囲気と、
キャッチーなコーラスハーモニーとともに、モダンなセンスで聴かせる個性的な作風。
変則リズムたっぷりのアンサンブルにフルートが鳴り響き、ジャズロック的な軽妙さと、
チェンバーロック風味のスリリングな感触が強引に合わさったような聴き心地である。
ときにフランス語のヴォーカルによる優雅さもありつつ、適度なハードなギターが加わると、
カオティックコア系に通じる激しさも垣間見せる。若手らしいボーダーレスなセンスに包まれた異色作。
ドラマティック度・・7 テクニカル度・・8 アヴァンギャル度・・8 総合・・7.5
Amazon.co.jpで詳細を見る


DANIEL VEGA「La noche que precede a la batalla」
スペインのアーティスト、ダニエル ヴェガの1976作。邦題は「嵐の前の静かな夜」
たおやかなアコースティックギターにフルート、そして異国的なパーカッションにエレキも加わり、
単なるアコースティカルというだけではない、一種独特なサウンドとなる。
スパニッシュ風味のアコギは素晴らしいテクニックで見事な音色を聴かせ
ジャズロック的なピアノにサックスなども現れて、合計25分ほどの短い作品の中にも
さまざまな表情を覗かせる。歌パートではイタリアンロック的な叙情をかもしだしつつも、
どこかにうす暗さと哀愁を感じるのもポイント。人間的で奥深い世界観のある作品だ。
メロディアス度・・7 スパニッシュ度・・8 哀愁度・・9 総合・・7.5
Amazon.co.jp で詳細を見る


David RoseDistance Between Dreams
フランスのジャズロックバンド、TRANSIT EXPRESSのヴァイオリニスト、デヴィッド・ローズのソロアルバム。1977年作
トランジット・エクスプレスのメンバーが参加していることで、ソロ名義ながらも、実質的にはトランジットの4作目ともいわれる本作は、
美しいピアノとデヴィッド・ローズの艶やかなヴァイオリンの音色で聴かせる優雅なジャズロック作品。
緊張感をただよわせる部分は、Mahavishnu Orchestraにも通じるもので、
プログレッシプロックとジャズ、クラシックのクロスオーバー的な味わいがある。
ジャズロック度・・8 プログレ度・・7 優雅度・・8 総合・・8
Amazon.co.jp で詳細を見る


DAYMOON 「All Tomorrows」
ポルトガルのプログレバンド、デイムーンの2011年作
The Tangentのアンディ・ティリソンがプロデュースした作品で、1曲目はオルガンやムーグを含んだシンセに
適度にモダンかつキャッチーな感触を融合させた、Riversideなどにも通じるサウンドながら、
2曲目以降は、フォルクローレ風味のアコースティカルな要素や、エレクトロなアレンジなども出てきて、
なにやら、とらえどころがないトボけた味わいである。ラテン系のポストプログレというべきか。
ボーダーレスで玄人好みの作品と言える。FACTORY OF DREAMS、ISILDURS BANEのメンバーなどがゲスト参加。
ドラマティック度・・7 モダン度・・8 ラテン度・・8 総合・・7.5
Amazonで購入する


DAYMOON 「Cruz Quebrada」
ポトルガルのプログレバンド、デイムーンの2016年作
2010年にデビュー、本作が3作目で、美しいシンセアレンジに適度にハードで叙情的なギター、
やわらかなフルートやクラリネットの音色に、サックスなどのブラスを加えたサウンドを聴かせる。
マイルドなヴォーカルが加わると、コンセプト的な流れを感じさせるドラマ性に包まれて、
適度にモダンで翳りを帯びた作風は、ポストプログレやポーランド系バンドの雰囲気にも通じる。
後半は25分という組曲になっていて、アコーディオンやピアノ、フルート、トランペットなどの軽妙で優雅な味わいと
語りなどを含んだシアトリカルな世界観で、小曲を連ねる構成とともに大人の味わいのサウンドを描いてゆく。
ドラマティック度・・8 プログレ度・・7 薄暗度・・8 総合・・7.5
Amazonで購入する


Debora Seffer
フランスのヴァイオリニスト、デボラ・セファーの2004年作
ZAOなどに参加したYochk'o Sefferの娘で、自身のキュートなフランス語の歌声を乗せ、
艶やかなヴァイオリンを弾きならす、コケティッシュなジャズロックサウンドを聴かせる。
父親譲りの優雅で軽妙な楽曲センスも覗かせつつ、女性らしいきらびやかなポップ感も併せ持ち、
プログレ寄りの構築性というよりは、センシティブな軽やかさで、お洒落な香りを漂わせている。
楽曲は3〜4分台で、わりとコンパクト。もう少し濃密な感じだとよりプログレリスナーに受けると思う。
ドラマティック度・・7 プログレ度・・7 優雅で軽妙度・・8 総合・・7.5
Amazon.co.jpで詳細を見る



Delired Cameleon Family
Clearlightのメンバーを中心にしたフランスのサイケユニット、デライアド・カメレオン・ファミリーの1975作
「錯乱したカメレオン一家」という奇妙なバンド名であるが、サウンドはむしろジャーマンロック的な浮遊感を感じさせるもの。
クリアライトのシリル・ヴェルドーによるシンセワーク、ピアノを中心に、女性スキャットなども加わり、
POPOL VUHあたりを思わせる静謐感と、東洋的な世界観を描き出している。後半は、サックス、ギターにリズムも入った
MAGMAっぽいジャズロックになり、その移り身の早さはさすがフランス。
浮遊度・・8 静謐度・・7 ジャズロック度・・7 総合・・7.5
Amazon.co.jp で詳細を見る


Delusion Squared
フランスの女性Voシンフォロックバンド、デリュージョン・スカーレッドの2010年作
しっとりとした女性ヴォーカルの歌声と、ゆるやかに聴かせる繊細な楽曲は、
WISHING TREEあたりにも近い感触。そこにモダンなロック感覚とプログレ性を盛り込んで
スタイリッシュなサウンドを描いている。一聴してシンプルながらもじつは計算された音である。
ときおり覗かせるアンニュイなけだるさもフランスっぽくてよろしい。マイスペはこちら
メロディアス度・・7 プログレ度・・7 女性Vo度・・7 総合・・7.5
Amazon.co.jp で詳細を見る

Delusion Squared「II」
フランスの女性Voシンフォニックロック、デリュージョン・スカーレッドの2012年作
ゆったりとした叙情とキュートな女性ヴォーカルの歌声で聴かせる作風は前作同様で、
北欧のPaatosあたりも通じるメロウな聴き心地。モダンな薄暗さをまとわせつつ、
うるさすぎないシンセアレンジや、アコースティカルなギターなどもセンスがよく、
しっとりと心地よく楽しめる。どこかアンニュイではかなげなロレイン嬢の歌声もけっこう好みで、
ALL ABOUT EVEあたりを思わせる部分もしばしば。派手さはないが前作以上の好作品です。
メロウ度・・8 プログレ度・・7 女性Vo度・・8 総合・・8
Amazon.co.jpで詳細を見る Amazon.MP3

Delusion Squared 「The Final Delusion」
フランスの女性Voメロウロック、デリュージョン・スカーレッドの2014年作
前作はPaatos+ALL ABOUT EVEというような好作だったが、3作目となる本作は
美麗なシンセアレンジと適度にハードなギターとともに、モダンな感触が強まっているが
ロレイン嬢の美しい歌声は楽曲にキュートな華やかさとアンニュイな香りを加えている。
いくぶん翳りをおびた叙情とともに、曲によってはゴシックロック的にも楽しめるかもしれない。
プログレ的な派手さはさほどないが、ゆったりと楽しめる女性声メロウ・ロックの好作品です。
メロディック度・・8 プログレ度・・7 女性Vo度・・8 総合・・8
Amazon.co.jpで詳細を見る



DEMIANSBuilding an Empire
フランスのミュージシャンNicolas Chapel氏の個人ユニット、デミアンズの2008年作
うっすらとしたシンセにいくぶんヘヴィめのギターとともに、メランコリックな叙情を描く
いわゆるPorcupine Tree系のサウンド。PTに比べるとシンフォニックな要素が強く、
暗すぎない程度のメロウさや、ストリングスなどのアレンジも入った泣きもよろしい。
16分の大曲も含めて、ゆったりと聴かせる耳心地の良さがいい感じですね。
シンフォニック度・・8 プログレ度・・7 薄暗メロウ度・・8 総合・・8
Amazon.co.jp で詳細を見る

Demians「Mute」
フランスのミュージシャンNicolas Chapel氏の個人ユニット、デミアンズの2010年作
ほの暗い翳りを含んだポストロック風味のモダンプログレ作品で、Porcupine Tree的な叙情とともに、
キャッチーなヴォーカルメロディはRPWLなどにも通じるサウンド。前作よりもギターが前に出ていて、
オルタナ的な雰囲気がやや強まっていて、ロック的な躍動感とともに厚みのあるサウンドを描いている。
一方ではうっすらとしたシンセアレンジがもの悲しい繊細さをかもしだしていて、シンフォニックな味わいもある。
メロウ度・・8 プログレ度・・7 薄暗度・・8 総合・・8
Amazon.co.jp で詳細を見る Amazon.MP3


DIDIER BARDIN 「Le Pouvoir Des Pierres」
フランスのシンセ奏者、ディディアー・バーディンの2008年作
美麗なシンセやピアノにアコースティックギターを重ねた、JEAN-PASCAL BOFFOGANDALFなども通じる、
繊細で優美なサウンド。やわらかなフルートの音色に、リリカルなシンセの重ねが幻想的な世界観を描き、
ときに語りのような女性ヴォーカルが加わって、しっとりとまどろむような聴き心地で楽しめる。
ロック色はほぼ皆無で、プログレ的な展開というのもないので、アンビエントなシンセミュージックや
夢見心地のクラシカルシンフォなどが好きな方向けだろう。けだるい午睡にぴったりの音楽です。
ドラマティック度・・7 プログレ度・・6 優美度・・8 総合・・7
Amazonで購入する


DOCTOR NO 「Guerriers De Mitjanit」
スペインのプログレバンド、ドクター・ノーの2011年作
2003年に、Dr.No名義でデビューし、本作は2作目となる。きらびやかなシンセワークにメロウなギターを重ね、
スペイン語によるマイルドなヴォーカルとともに、優雅でキャッチーなシンフォプログレを展開する。
アコースティックギターやピアノによる繊細な味わいと、スペイン語の相性もよろしく、やわらかな耳心地で楽しめ、
アルバム後半には、14分、24分という大曲もあって、優美なインストパートと歌パートのバランスもよく、
ゆるやかな盛り上がりとともにドラマティックに構築される。重厚さにはやや欠けるが、総じて優雅な好作品です。
ドラマティック度・8 プログレ度・8 優美度・8 総合・8
Amazonで購入する


]U ALFONSO(DOUZE ALFONSO)「THE LOST FRONTIER」
フランスのシンフォニックロックバンド、ドゥーゾ・アルフォンソの1st。1996年作
クラシカルなピアノの音色が響き、時にシンフォニックに盛り上がり、時に静謐なシンセアレンジが美しい。
雄大なオーケストレーションを用いながらも、フルートやアコーディオン等の素朴な音色も上手く取り入れた、
じつにセンスのよいサウンドだ。インスト中心ながら、数曲あるしっとりとした女性ヴォーカル曲も美しい。
自然と人間、そして世界とを、音に感じられる「自然派タイプ」のシンフォニック作品である。
シンフォニック度・・8 プログレ度・・7 雄大度・・9 総合・・8
Amazon.co.jp で詳細を見る

]II ALFONSO「Odyssees」
フランスのシンフォニックロック、ドゥーゾ・アルフォンソの2nd。1999年作
美しいシンセやピアノに、男女ヴォーカルのフランス語の歌声を乗せ、しっとりと聴かせる
繊細で優雅なシンフォニックロックサウンド。GENESIS的なメロウなギターワークとともに、
やわらかな叙情に包まれ、女性声がメインの曲は、初期QUIDAMのように優美な聴き心地。
過剰な盛り上がりやドラマティックさはないが、自然体でじつに耳に優しいシンフォニック作品だ
シンフォニック度・・8 フレンチ度・・8 しっとり優雅度・・9 総合・・8
Amazon.co.jp で詳細を見る

XII ALFONSO(DOUZE ALFONSO)「Claude Monet, Vol.1 1883-1889」
フランスのシンフォニックロックバンド、ドゥーゾ・アルフォンソの2001年作
印象派を代表する画家、クロード・モネの生涯をテーマにしたコンセプト作。
ゆるやかなアコーディオンとフランス語の語りで始まる、ロマンティックな美しさに包まれた作品。
クラシカルなピアノ、12弦ギターのアコースティックな響き、ゲストも含めた男女ヴォーカルの歌声、
どれもがしっとりと優雅な雰囲気で、フランスからしか出て来ないやわらかなサウンドを描いている。
ハープやフルートも美しい。エスプリの効いた洒落た味わいが、繊細なシンフォニックと絶妙に融合された傑作だ。
モネの絵画をたっぷりとあしらったブックレットも素晴らしい。2005年には続編となるアルバムを出している
シンフォニック度・・8 フランス度・・9 しっとり繊細度・・9 総合・・8.5
Amazon.co.jp で詳細を見る

XII ALFONSO(DOUZE ALFONSO)「THIS IS」
フランスのシンフォニックロックバンド、ドゥーゾ・アルフォンソのライブアルバム。2003年作
現在のフランスシンフォでは筆頭級のバンド。1998年のライブ音源。
アルバム同様、ナチュラルな壮大さを感じるシンフォニックロックをやっている。
女性Voの美しい歌唱や、典雅なピアノの響き、たおやかなアコースティックギターなど
いわゆる英国あたりのポンプ派生のシンフォとは正反対のサウンド。
しっとり、ゆるやかで耳にしみ入るようなやわらかみのあるシンフォサウンドだ。
方向性としては、GANDALFあたりにも近い大自然との融合を感じる。
シンフォニック度・・8 しっとりゆるゆか度・・10 雄大度・・9 総合・・8◆プログレ名作選入り
Amazon.co.jp で詳細を見る

XII ALFONSO(DOUZE ALFONSO)「Claude Monet Vol.2 1889-1904」
フランスのシンフォニックロックバンド、ドゥーゾ・アルフォンソの4作目。2005作
クロード・モネの生涯をテーマにしたコンセプト作の続編。
マイルドかつエレガントな空気を漂わせるサウンドは、フランス語の語りを入れたシアトリカルな雰囲気で、
クラシカルなピアノやアコースティカルな美しさも前作同様にさすがの説得力がある。
こうなるとANGEなどと同様、フランス語が理解できればいっそう楽しめる作品なのだと思うが、
演奏自体のセンスも現代のフレンチシンフォ界ではピカイチのバンドであるから、
優雅な音だけを聴いてもうっとりとできる。モネの絵画がちりばめられたブックレットも大変美しい。
シンフォニック度・・8 フレンチ度・・9 たおやか優雅度・・9 総合・・8
Amazon.co.jp で詳細を見る

XII Alfonso「Under」
フランスのシンフォニックロックバンド、ドゥーゾ・アルフォンソの5作目。2008作
今やフランスのシンフォニック系の代表ともいうべき存在であるこのバンド、
クロード・モネをテーマにした大作に続く本作は、人類の歴史や進化などをテーマにした
シリアスなコンセプト作である。アコースティカルな質感を聴かせるゆったりとした叙情性は
じつに繊細で、むしろMIKE OLDFIELDのような自然との融合を感じさせるサウンドである。
映画的な音声を取り入れたり、メロディにオリエンタルな旋律を使ったりと、多様なアレンジが光る。
中でもキング牧師の演説が曲のリズムに乗って、「歌」に聴こえるのはすごいアイディアである。
一聴しての派手さはないが、バンドとしての知性と芸術的なセンスを存分に感じさせる作品だ。
シンフォニック度・・7 プログレ度・・7 繊細芸術度・・9 総合・・8
Amazon.co.jp で詳細を見る

XII Alfonso 「Charles Darwin」
フランスのシンフォニックロック、ドゥーゾ・アルフォンソの2012年作
イギリスの生物学者、ダーウィンの生涯と研究をテーマにしたCD3枚組の大作。
繊細なシンセワークにメロウなギター、フルートや多数のアコースティック楽器、
そして随所にゲストヴォーカルもまじえて、耳触りのよいやわらかなサウンドを描きながら、
1809〜1882年までの、彼の人生と研究をたどるように、ゆるやかに楽曲が進んでゆく。
派手な盛り上がりやスリリングな部分は薄いのだが、Mike Oldfieldなどにも通じる民族的な要素や、
なにより歴史上の人物を音楽で表現してゆくという、芸術的な試みはこのバンドならではの探求心だろう。
マギー・ライリーをはじめ、フランシス・ダナリー、ジョン・ハケットなど多数のゲストが参加。
ダーウィンにまつわる多数の写真やイラスト、本作に使用した楽器群の写真などを含む豪華なブックレットも素晴らしい。
シンフォニック度・・7 繊細度・・8 探求度・・9 総合・・8
Amazon.co.jpで詳細を見る

DRACMA 「A Fine Stormy Weather」
スペインのプログレバンド、ドラクマの1996年作
シンセを含む5人編成で、美しいシンセアレンジにメロウなギターフレーズを重ねて、
マイルドなヴォーカルを乗せた、リリカルで繊細なシンフォニックロックを聴かせる。
アコースティックパートも含んだやわらかな叙情美は、CAMELあたりに通じる感触ながら、
いくぶん唐突なリズム展開などは、マイナー系シンフォの醍醐味というべきだろうが、
軽やかなドラムを中心にした演奏力はしっかりしているので、B級臭さは感じさせない。
ヴォーカルの甘い声質も含めて、スイスのCLEPSYDRAなどにも似たサウンドかもしれない。
10分を超える大曲も爽快な叙情メロディと優美な構築性で描かれる。90年代シンフォの隠れた好作品。
メロディック度・・8 プログレ度・・8 叙情度・・9 総合・・8
Amazonで購入する

Drama
フランスのプログレバンド、ドラマの1996年作
美麗なシンセワークにメロディックなギターを乗せた、インストによるシンフォニックロック。
軽快なアンサンブルとメロウなギターフレーズは、初期のMinimum Vitalにも通じる感触で、
90年代らしいおおらかな叙情に包まれている。オールインストながら、きらびやかなシンセと
メロディセンスの良いギターワークに、リズムチェンジを含む起伏に富んだ構築力で、わりと飽きずに楽しめる。
ラストは10分を超える大曲で、ロマンあふれる美意識がシンフォニックな泣き叙情となってウットリとなる。
ドラマティック度・・7 プログレ度・・7 繊細度・・8 総合・・7.5
Amazonで購入する


DRAMA「STIGMATA OF CHANGE」
フランスのシンフォニックロック、ドラマの3rd。2005年作
美しいシンセアレンジにハケット風のメロウなギターを乗せ、マイルドなヴォーカルとともに聴かせる、
ゆるやかな叙情サウンド。適度にモダンなスタイリッシュ性とアコースティックパートなどの素朴さが
自然体で融合されていて、涼しげな叙情性に包まれた幻想的な世界観を、ゆったりと味わえる。
コテコテのシンフォ好きにはやや物足りないかもしれないが、繊細なシンフォニックロックが楽しめる好作品だ。
シンフォニック度・・7 プログレ度・・7 しっとりメロウ度・・9 総合・・7.5
Amazon.co.jp で詳細を見る




Dry River 「El Circo de la Tierra」
スペインのプログレバンド、ドライ・リヴァーの2011年作
QUEENMOON SAFARIを思わせる美しいコーラスハーモニーで幕を開け、
メロディックなギタートーンにオルガンやムーグシンセ、メロトロンが重なる、
きらびやかなシンフォ・プログレサウンドが広がってゆく。優雅だが濃密な展開を見せつけ、
そして高クオリティという点では、ロシアのLittle Tragediesなどにも通じるかもしれない。
ヴォーカルがスペイン語であることが、いくぶんの辺境性になっているのだが、
80年代プログレハード的でもあるキャッチーな感触がそれを中和しているという。
優美なフルートも含んだやわらかな叙情性に、いきなりプログレメタル的にハードになったりと、
若手らしいボーダーレスのセンスに包まれながら、あくまでメロディアス性にこだわった力作である。
メロディック度・・9 プログレ度・・8 優雅で濃密度・・9 総合・・8.5
Amazon.co.jpで詳細を見る

DUN 「Eros」
フランスのプログレ・ジャズロック、デュンの1981年作
自主制作で発表されたバンド唯一の作品で、MAGMA影響下のバンドの中では、幻の傑作というべき1枚。
妖しくフルートが鳴り響き、ブレイクを含む変則リズムと、手数の多いドラムが緊張感アンサンブルを描き出し、
軽妙な優雅さとミステリアスな空気感に包まれた、独自のジャズロックを展開。ゆるやかなピアノを含む静寂の緊張と、
たたみかけるダイナミズムのメリハリは、HENRY COWなどに通じるチェンバーロック的な手法も感じさせ、
ときにフリーキーなギターワークも特徴的で、マグマをマハヴィシュヌ寄りにしたという雰囲気もある。
アヴァンギャルドにたたみかける爽快さは、玄人好みのプログレファンも唸らせるだろう。楽しくスリリングな傑作だ。
10分前後の大曲を中心にした全4曲に、CD盤には未発曲や別テイクなどを追加収録。
ドラマティック度・・8 ジャズロック度・・8 スリリング度・・9 総合・・8
Amazonで購入する



ECLAT 「II」
フランスのプログレバンド、エクラの1992年作
Minimum VitalTiemkoなどとともに、90年代初頭のフランスのネオプログレシーンを盛り上げたバンド。
繊細なシンセアレンジに、フュージョン的でもある軽妙なアンサンブル、フランス語のヴォーカルを乗せた、
スタイリッシュなシンフォニックロックで、前に出すぎないメロディックなギターワークも含めて、
耳心地のよいサウンドを描いている。3〜5分前後の楽曲を主体に、大仰になりすぎないコンパクトなセンスというのは
このバンドの特徴だろう。優雅なシンフォプロクレが好きな方にはたまらない逸品だ。
メロディアス度・・8 プログレ度・・7 優雅度・・8 総合・・8
Amazonで購入する Amazon.MP3

ECLAT「Volume3」
フランスのプログレバンド、エクラの1997年作
日本のKENSOあたりにも通じるキレのよいアンサンブルで聴かせるインストプログレ。
メロディックなギターのフレーズやシンセアレンジなどは、シンフォニック系の感触もありつつ
軽快なノリはフュージョン的な耳心地でも楽しめる。フランスらしい優雅さとともに
キャッチーな感触で聴かせつつも、どこか底の知れないアレンジセンスは、
このバンドの懐の深さだろう。玄人好みの好作品だ。1998年には来日も果たしている。
メロディアス度・・8 テクニカル度・・8 軽やかひねくれ度・・8 総合・・8

eclat「Le Cri de la Terre」
フランスのプログレバンド、エクラの2002年作
テクニカルなアンサンブルと、巧みなシンセワークによるシンフォニック要素が合わさり
知的な混沌ともいうべき、浮遊感のあるインストプログレは、本作で完成の域に到達した。
一筋縄ではいかないひねくれた質感はいかにもフランス的で、大人の叙情的を聴かせる
メロディアスなギターワークと軽やかなフュージョン・ジャズロック的な聴き安さの中に、
不思議なスケール感をかもしだしている。クラシカルなシンセの入れかたもさりげなく見事だ。
メロディアス度・・8 テクニカル度・・8 軽やかひねくれ度・・8 総合・・8
Amazon.co.jp で詳細を見る Amazon.MP3

ECLAT「L'esprit Du Cercle」
フランスのプログレバンド、エクラの2012年作
90年代から活動するバンドで、2001年作「Le Cri de la Terre」以来、10年ぶりとなる5作目。
流麗なギターワークと、オルガンなどを含む古き良きシンセアレンジで軽妙なアンサンブルを描く、
オールインストのサウンド。フュージョンロック的でもある軽やかな優雅さとメロディアス性に、
随所にゆったりとした大人の叙情を感じさせるセンスは、活動20年以上のベテランならでは。
9分の大曲もジャズロック的なやわらかな聴き心地で、決して派手さはないものの、
耳心地の良さでわりとのんびり楽しめる。個人的にはもう少し偏屈な展開力なども欲しいのだが。
メロディック度・・8 プログレ度・・7 軽妙度・・8 総合・・8
Amazon.co.jpで詳細を見る


ECLIPSE SOL-AIR 「Schizophilia」
フランスのシンフォニックロック、エクリプス・ソル・エアーの2012年作
男女Voにシンセ、ヴァイオリン奏者を含んだ6人編成で、やわらかなフルートの音色にヴァイオリンが絡み、
男女ヴォーカルの歌声で聴かせる、しっとりとした優雅なサウンド。ヴォーカルは英語やフランス語、
ときにドイツ語も混じるのが独仏混成バンドらしい。いくぶんハードめのギターにオルガンの音色が合わさる
アグレッシブな部分もあって、楽曲事自体はそう長くはないものの、メリハリに富んだ聴き心地が楽しめる。
演劇的なドラマ性も含めて、濃密ながらも優雅な雰囲気と、ヨーロピアンな感性が詰まった力作に仕上がっている。
ドラマティック度・・8 プログレ度・・8 優雅度・・8 総合・・8
Amazon.co.jpで詳細を見る



EDEN ROSE 「On The Way to Eden」
フランスのジャズロック、エデン・ローズの1970年作
のちのSANDROSEの前身となるバンドであるが、本作のサウンドはオルガンを主体にした
インストのジャズロックで、そこにジャン・ピエール・アラルサンのメロウなギターが加わると、
FOCUSあたりを思わせる感触にもなる。あるいは初期のCARAVANにも通じる素朴なジャズロック色に
フランスらしい優雅な感触をまとわせたというところか。楽曲は3〜4分の小曲が中心で、
全体的にはオルガンが主役のスタイルなので、プログレとして聴くには少し物足りなさもあるが、
古き良きオルガンロックが好きな方にはとても楽しめるだろう。アラルサンのギタープレイもさすがです。
メロディック度・・8 プログレ度・・7 オルガン度・・9 総合・・7.5
Amazon.co.jpで詳細を見る


EDHELS 「Still Dream」
モナコのプログレバンド、エデルスの1988年作
80年代にしてはモダンなセンスのシンセアレンジと、メロディックなギターワークを中心にした
インストによるシンフォニックプログレ。CAMELJEAN PASCAL BOFFOあたりにも通じる聴き心地で、
次作のようなスリリングな展開力というのはないが、その分メロディアスな感触をゆったりと楽しめる。
アレンジには決してクドくなりすぎないクールさが感じられて、そういう点ではコテコテシンフォ好きには物足りないが、
むしろMike Oldfield的でもある繊細な感性とセンスの良さが耳心地よいのである。
メロディック度・・8 プログレ度・・7 叙情度・・8 総合・・8

EDHELS 「Astro Logical」
モナコのプログレバンド、エデルスの1991年作
結成は80年代と、ネオプログレムーブメントのバンドではわりあい古参といってもよいだろう。
本作は3作目で、星座をテーマにした作品のようで、各曲ごとに星座名のタイトルが付けられている。
どことなくエレクトロなシンセアレンジと、フリップ風のディレイの効いたギターが鳴り響き、
スペイシーでアンビエントな質感を醸し出しつつ、ときにクリムゾン的なクールな構築性も覗かせる。
音の厚みよりも空間性を描くようなアプローチで、類型的なプログレよりもずっとモダンな感触だ。
とくに奔放なメロディを奏でるギターのセンスはかなりのもので、オールインストながらも
不思議な緊張感に包まれたサウンドが楽しめる。スペイシーで個性的な好作品。
ドラマティック度・・7 プログレ度・・8 空間度・・8 総合・・7.5
Amazon.co.jpで詳細を見る

EDHELS「ANGEL'S PROMISE」
モナコ公国出身のシンフォニックロックバンド、エドルスの4th。1997作
当時はフランスのバンドとして紹介されていた記憶があるが、じつはモナコのバンド。
初期の作品は、80年代のシンフォ系としてはなかなかの出来だった。
本作では、インスト曲においてはデジタルなモダンさの中にも、幻想的なシアトリカルさをイメージさせる音作りで
音の隙間を上手く聴かせる大人のアレンジがなかなか心憎い。一方、ヴォーカル曲ではシンプルな聴きやすさがあり、
全体的には、派手さはないが空間美を覗かせるセンスの良い作品になっている。
シンフォニック度・・7 プログレ度・・7 空間センス・・8 総合・・7.5
Amazon.co.jp で詳細を見る



EDHELS「SALTIMBANQUES」
モナコのプログレバンド、エドルスの5th。2004作
タイトルからしてサルティンバンコ(大道芸人)をテーマにしているのだろうか。
前作からさらに力が抜けて、ダークめのプログレフュージョンになっている。
メンバーは3人。シンセとギターをメインに、3〜5分前後のインスト曲中心の演奏で、
翳りのあるメロディアスなサウンドには若干の屈折感があるのがやはりお国柄か。
盛り上がったり展開する場面はほとんどなく、総じてゆったりとした大人のフュージョンロックといった趣。
初期のMINIMUM VITALをさらに静かにしたような雰囲気で、聴きようによっては退屈かもしれない。
メロディアス度・・7 プログレ度・・7 フランス度・・8 総合・・7


EIDOLON「Dreamland」
フランスのプログレバンド、エイドロンの2009年作
7パートに分かれた組曲形式のコンセプト作で、物語的な語りから始まり、
サイケなシンセアレンジとやや素人臭いヴォーカル、いくぶん唐突な展開で描かれるサウンド。
ヴァイオリの美しい響きにうっすらとしたシンセとギターがかぶさると、

不思議なスケール感を感じさせるシンフォニックロック風味にもなる。
随所に語りをはさんだ演劇的な構成とともに、全体的には粗削りながらも
型にはまらない懐の大きさは感じさせる。フランスらしい異色の力作です。
ドラマティック度・・7 プログレ度・・7 壮大度・・8 総合・・7.5
Amazon.co.jpで詳細を見る Amazon.MP3



ELEPHANT TOK PROJECT 「Sitting With Bull」
フランスのジャズロック、エレファント・トク・プロジェクトの2018年作
ONE SHOTのメンバーを中心に、2016年にデビュー、本作は2作目となる。3つの組曲からなる構成で、
巧みなドラムとうねるベースに、スキャット的な歌声を乗せた、MAGMAルーツのジャズロックを展開。
優美なエレピも加わるが前に出すぎることはなく、基本はドラムとベースのアンサンブルなので、
全体的にあまり派手さはなく、モノトーンのような空気に包まれた、わりと玄人好みの印象である。
ダウナーなパートも多いのだが、ラストの組曲では、クリムゾン的なスリリングな硬質感も現れる。
ミステリアスな聴き心地の、マグマ系ジャズロックがお好きな方はいかが。
ドラマティック度・7 プログレ度・7 ミステリアス度・8 総合・7.5
Amazonで購入する


Elixir 「Sabbat」
フランスのプログレバンド、エリクサーの1987年作
80年代に2作を残して消えたバンド。美しいシンセアレンジにいくぶんハードロック寄りのギター、
フランス語の歌声を乗せた、カルトでシアトリカルな雰囲気に包まれたプログレハードを聴かせる。
ややクセのあるヴォーカルとともに、ANGEのようなテアトリカル・ロック風味の濃密さを描きつつ、
やわらかなシンセのメロディが前に出た、キャッチーでシンフォニックな叙情パートも多いので、
いくぶんB級臭さもあるものの、わりと耳心地良く楽しめる。優雅なフランス語の響きと、
きらびやかなシンセワークで聴かせる、メロディックなフレンチプログレの幻の好作です。
メロディック度・・8 プログレ度・・7 フレンチ度・・8 総合・・7.5
Amazonで購入する


ELORA 「CRASH」
フランスのハードプログレ、エロラの2013年作
適度にハードなギターに男女ヴォーカルのフランス語の歌声を乗せ、いくぶん翳りを帯びた、
ゴシックロック色もあるサウンドを聴かせる。優美なシンセを加えたシンフォニックな感触とともに、
女性声がメインのナンバーではアンニュイな叙情に包まれた、Frequency Driftなどにも通じる
薄暗系のハードシンフォとしても楽しめる。派手な展開力や盛り上がりは薄いものの、
スタイリッシュでモダンな優雅さと、翳りを含んだ浮遊感が同居した好作品です。
ドラマティック度・・7 プログレ度・・7 モダンな翳り度・・8 総合・・7.5
Amazonで購入する



Emmanuel Booz「Le Jour Ou Les Vaches」
フランスのシンガー、エマニュエル・ブーズの1974年作
フレンチロックの異色の名作とされる作品で、フランス語の語りから始まり、
サックスやストリングスなどを含んで描かれるチェンバーロック的な緊張感と
シアトリカルや怪しさをただよわせた、エキセントリックな世界観が展開される。
演劇的なブーズの歌声と、それを包み込むダークな不穏感、そこにクラシカルな優雅さも加えた
フランスらしい芸術性が楽しめる。オーケストラルな壮大さも含んだ個性的な力作である。
ドラマティック度・・8 怪しげ度・・9 シアトリカル度・・8 総合・・8
Amazon.co.jpで詳細を見る


Emmanuel Booz「Clochard」
フランスのシンガー、エマニュエル・ブーズの1976年作
前作のシアトリカルな怪しさは本作ではいくぶん薄まったようにも思えるが、
歌ものでありながらも、どこか芸術的な先鋭さを感じさせるセンスはさすが。
官能的なサックスにギターが絡み、うるさすぎないシンセで味付けされたサウンドの、
その軽妙にして得体の知れない感じというのは、やはりプログレといってもよいものだろう。
そして、フランス語によるそのシアトリカルな歌声は、完全に個性として確立している。
ドラマティック度・・7 怪しげ度・・8 シアトリカル度・・8 総合・・8



Emmanuel Booz「Dans Quel Etat J'erre」
フランスのシンガー、エマニュエル・ブーズの1979年作
4作目である本作は、3つの大曲からなるもっともプログレッシブな大傑作。
ムーグシンセが鳴り響き、スペイシーでサイケな浮遊感と屈折した展開は
エキセントリックなヴォーカルとともに非常に濃密かつ異様な迫力をもって迫ってくる。
ヴァイオリンが響きわたるクラシカルな大仰さを、宇宙的な壮大さでサイケに包み込んだというべきか、
この圧倒される感じというのは、方向性は異なるがアルテミエフの名作にも通じるかもしれない。
振り幅の大きさ、劇的なパワーを詰め込みながら、奔放な優雅さも失っていない。すごい作品です。
ドラマティック度・・8 怪しげ度・・9 シアトリカル度・・8 総合・・8.5
Amazonで購入する


ENBOR
スペイン、バスク地方のフォークロック、エンボルの1979年作
アコースティックギターとエレキギターにドラムを含んだロック色のあるアンサンブルに、
サックスやフルート、クラリネットなども加わり、やわらかなヴォーカルを乗せた聴き心地の良いフォークロック。
ときに女性声も加わって男女ヴォーカルの美しさにうっとりしつつ、全体的に優雅な叙情性が前に出ていて、
この手のバスク系のバンドの中では土着性が控えめなので、初心者にも聴きやすいだろう。
アコースティカル度・・7 優雅な叙情度・・8 バスク度・・8 総合・・7.5
Amazon.co.jpで詳細を見る


ESKATON「Ardeur」
フランスのプログレバンド、エスカトンの1980年作
オルガンを含んだシンセワークと、女性ヴォーカルの歌声で聴かせる、
軽やかなシンフォニック・ジャズロックというようなサウンド。
スキッャト的な女性Voは、MAGMAをぐっと爽やかにしたような感触もあり、
疾走感のあるドラムに乗るベースのうねり具合などもけっこうマグマ的なのだが、
本家に比べると重厚感というのはあまりなく、随所にクラシカルなヴァイオリンが入ったり、
シンセによるメロディアスな聴き心地が前に出る部分も多いので、とても聴きやすい。
メロディック度・・8 プログレ度・・7 明るいMAGMA度・・9 総合・・8
Amazon.co.jp で詳細を見る


Eskaton 「4 Visions」
フランスのプログレ・ジャズロック、エスカトンの1981年作
1980年作「Ardeur」を先に聴いていたが、本作はデビュー前の1979年に録音された音源。
スペイシーなシンセに存在感あるベースを乗せたアッパーなアンサンブルに、妖しい女性ヴォーカルが響き渡る
MAGMAを思わせる神秘的なジャズロックサウンド。ほとんどの曲が10分前後という大作志向で、
本家マグマに通じるスケール感ととともに、ときにムーグシンセやオルガンなどを加えたプログレらしさも覗かせる。
フランス語による女性ヴォーカルがミステリアスな優雅さをかもしだし、サイケな浮遊感にチェンバーロック色も混ざったような、
単なるMAGMAフォロワー以上の濃密な聴き心地だ。なお、再発盤ではジャケが変更されている。
ドラマティック度・・8 神秘的度・・8 MAGMA度・・9 総合・・8
Amazon.co.jpで詳細を見る

ESKATON 「Fiction」
フランスのプログレ・ジャズロック、エスカトンの1983年作
「Ardeur」、「4 Visions」に続く3作目で、軽やかなドラムにオルガンやエレピを含むシンセの重ねを乗せ、
妖しい男女ヴォーカルの歌声とともに、MAGMAをルーツにしたミステリアスなジャズロックを聴かせる。
過去2作に比べると、モダンでアヴァンギャルドなアプローチも覗かせるなど、方向性の試行錯誤が感じられる。
一方では、女性声にメロディアスなギターで聴かせるキャッチーなナンバーもあったりと、
わりとカンタベリー風のシンプルな優雅さもあって、こちらの路線での深化も見てみたかった気もする。
バンドは4作目「Icare」を録音はしたのちに活動停止。ボーナスにはその未発作からの4曲を収録。
MAGMA影響下のバンドであるが、マイナーシーンに葬られるには十分に魅力ある作品を残した存在というべきだろう。
ドラマティック度・・7 ジャズロック度・・8 優雅度・・8 総合・・8 
Amazonで購入する

Eurhybia
フランスのプログレバンド、エウリビアの1990年作
きらきらとしたシンセに叙情的なギターを重ねたイントロから心躍るが、マイルドなヴォーカルも加わって、
メリハリある展開力とともに、PALLASなどに通じるポンプロックルーツのシンフォニックロックを聴かせる。
歌詞は英語であるが、どことなくフレンチ的な演劇性を感じさせる歌声も含めて、
ドラマティックな空気を描くところは、わりと日本人好みといえるだろう。バンドは本作のみを残して消える。
ドラマティック度・8 プログレ度・7 華麗度・8 総合・7.5


Evidence 「Heart's Grave」
フランスのプログレバンド、エヴィデンスの1996年作
VDGGのピーター・ハミルを思わせるような情感的なヴォーカルと、美しいシンセアレンジで聴かせる、
哀愁の叙情とシアトリカルな詩情を感じさせる作風。鳴り響くティンパニの低音やクラシカルなヴァイオリン、
ハープシコードの音色も含めて、優雅な格調高さと、エキセントリックなドラマ性が交差する。
まるで演劇を見ているような面白さがある。ラストの曲以外はドラムやギターなどがほとんど入らないので
ロック色はあまりないのだが、アーティスティックな感性と繊細なドラマ性を感じさせる異色作である。
ドラマティック度・・8 ロック度・・3 優雅でシアトリカル度・・8 総合・・8
Amazon.co.jpで詳細を見る


Ex-Vagus 「Seconde Lumiere」
フランスのプログレバンド、イーエックス・ヴァグスの2004年作
美しいシンセアレンジにメロウなギター、フランス語のヴォーカルで聴かせる、
いかにもフレンチらしいシンフォニックロック。濃い目の男性声に女性ヴォーカルも加わって、
ANGEのようなシアトリカルな雰囲気とともに、泣きのギターフレーズに美しいシンセが合わさり
幻想的な叙情とウェットなドラマ性に包まれる。妖しく優雅なフレンチ・シンフォの逸品です。
ドラマティック度・・8 プログレ度・・7 フレンチ度・・9 総合・・8

EX-VAGUS 「Ames Vagabondes」
フランスのプログレバンド、イーエックス・ヴァグスの2006年作
きらびやかなシンセにメロウなギター、フランス語のヴォーカルで聴かせる、
いかにも、ANGEをアップデートしたような濃密な味わいのシンフォニックロック。
ややクセのあるヴォーカルが、楽曲に優雅でシアトリカルな雰囲気を作り出しつつ、
随所に叙情的なフレーズを織り込むギターは優美なメロディック性を表現している。
優雅にして濃密、これぞ、フレンチプログレの現在形という好作品だ。
ドラマティック度・・8 プログレ度・・8 フレンチ度・・9 総合・・8
Amazonで購入する


EX-VAGUS「Dream Object 5」
フランスのプログレバンド、イーエックス・ヴァグスの2009年作
2002年にデビュー、本作は3作目で、きらびやかなシンセに適度にハードなギター、表現力あるヴォーカルを乗せた
ANGEを思わせる濃密な味わいのシンフォニックロック。過去2作に比べて、いくぶんハードさが増した感触で、
今作では歌詞が英語になった分、わりと一般向けの雰囲気になった。また、10分を超える大曲も多く、
叙情的なギターフレーズを美麗なシンセが包み込み、シアトリカルな歌声とともに、フレンチらしいドラマ性を感じさせる。
フィッシュ時代のMARILLIONなどにも通じる濃密な味わいの、壮麗なシンフォニックロック作品です。
ドラマティック度・・8 プログレ度・・8 フレンチ度・・8 総合・・8
Amazonで購入する



Eye To Eye 「One In Every Crowd」
フランスのプログレバンド、アイ・トゥ・アイの2006年作
優美なシンセにメロウなギターの旋律、エモーショナルなヴォーカルを乗せたシンフォニックロックで、
ほどよく時代的な泣きの叙情が重なった、90年代ルーツのロマンの香りを残している。
クラシカルなピアノによるしっとりとしたパートから、たたみかけるように盛り上げるところなど、
いくぶん唐突な展開にもフランスらしい優雅な空気をかもしだしつつ、16分という大曲を構築。
全66分で、いくぶんの長尺感もあるのだが、ヨーロピアンな世界観に包まれたサウンドは、
シンフォプログレの王道というべき聴き心地で、溢れ出る泣きのメロディにはウットリとなる。
ドラマティック度・8 プログレ度・8 泣きの叙情度・9 総合・8 
Amazonで購入する

Eye 2 Eye「After All...」
フランスのシンフォニックロックバンド、アイ・トゥ・アイの2nd。2008作
美しいピアノにシンセワーク、ギターの奏でるメロウなフレーズ、ときにヴァイオリンも鳴り響き、
10分台の曲をメインにした大作志向で、ロマンティックなサウンドを描く。
かつてのPENDRAGONを思わせる、いわゆる王道のシンフォニックロックであるが、
翳りある叙情はポーランドなどのバンドにも近いイメージで、フランス特有の優雅なアンニュイさというべきか。
メロディの良さという点でも、近年のフランス系のシンフォニック作品ではピカイチの出来だ。
シンフォニック度・・8 優雅な翳り度・・8 総合・・8
Amazon.co.jp で詳細を見る

Eye 2 Eye 「The Wish」
フランスのシンフォニックロック、アイ・トゥ・アイの2011年作
前作もかなりの出来であったが、本作もフランスらしい優雅な叙情に包まれた力作だ。
美しいシンセワークとメロウなギター、シアトリカルなヴォーカルで、コンセプト的な流れとともに
ドラマティックな展開美を描いてゆく。正統派のシンフォニックロックでありつつ、
随所にモダンな感触も含んだ重厚な聴き心地は、ARENAあたりにも通じるだろうか。
しっとりとしたドラマ性はよいのだが、楽曲ごとのインパクトはさほどなく、メロディの抜け具合の点では
やや物足りないのが惜しい。むしろトータルなアルバムとして鑑賞するべき作品なのだろう。
ドラマティック度・・8 プログレ度・・7 フランス度・・7 総合・・7.5


EYE 2 EYE 「Light Bearer」
フランスのシンフォニックロック、アイ・トゥ・アイの2017年作
2nd「After All...」は叙情豊かに王道のシンフォニックロックを聴かせる傑作であったが、
4作目となる本作は、コンセプト的なイントロで幕を開け、美麗なシンセにメロウなギター、
情感豊かに歌い上げるヴォーカルを乗せて、ドラマティックなサウンドを描いてゆく。
ときに女性ヴォーカルの歌声や、ヴァイオリン、チェロなどのストリングスも加わって、
クラシカルな優雅さに包まれた壮麗なシンフォニックロックが楽しめる。長めの曲が多いので
スリリングな展開には欠けるのだが、ヨーロピアンな翳りを含んだ叙情性にじっくりと浸れる。
ドラマティック度・・8 プログレ度・・7 壮麗度・・8 総合・・8 
Amazonで購入する




Forgas Band Phenomena 「Soleil 12」
フランスのジャズロック、フォーガス・バンド・フェノメナの2005年作
マルチミュージシャン、Patrick Forgasを中心にしたユニットで、ヴァイオリン、サックス×2、トランペットを含む8人編成でのライブ作品。
やわらかなシンセにヴァイオリンやサックスの音色を乗せ、カンタベリー的でもある軽妙なアンサンブルと、
ヨーロピアンな叙情性を含んだ優雅なジャズロックサウンド。ライブ音源とは思えぬ確かな演奏力と共に、
変拍子を含むテクニカルなプログレ性とヴァイオリン、トランペットによるチェンバーロック的な感触が合わさり、
34分におよぶ大曲を構築してゆく。National Health的な軽やかさに、Mahavishnu Orchestraのフランス版という感じでも楽しめる。
ラストは18分の大曲で、全70分。カンタベリー系ファンにお薦めの優雅系ジャズロックの傑作です。
カンタベ度・・8 プログレ度・・7 優雅度・・9 総合・・8
Amazonで購入する

Forgas Band Phenomena 「L'Axe du Fou: Axis of Madness」
フランスのジャズロック、フォーガス・バンド・フェノメナの2009年作
ヴァイオリン、サックス、トランペットを含む7人編成で、本作も軽やかなアンサンブルのジャズロックを聴かせる。
女性奏者の奏でる艶やかなヴァイオリンに、トランペット、サックスが絡み、チェンバーロック色もあるスリリングな空気感とともに
10分を超える大曲を優雅に演奏する。カッチリとしすぎていないフリーキーなおおらかさが曲の長さにもつながっていて、
起承転結をを求めるリスナーには退屈かもしれないが、カンタベリー的なプログレ・ジャズロックを味わうにはうってつけでもある。
やわらかなエレピに、サックスとヴァイオリンが重なり、ロック寄りのギターフレーズも加わった厚みのあるサウンドが楽しめる。
カンタベ度・・8 プログレ度・・7 優雅度・・9 総合・・8
Amazonで購入する


FORGAS BAND PHENOMENA 「ACTE V」
フランスのジャズロック、フォーガス・バンド・フェノメナの2012年作
マルチミュージシャンでドラムの、Patrick Forgasを中心に1997年にデビュー、本作は5作目となる。
ヴァイオリンにサックス、トランペットか鳴り響き、優雅なアンサンブルとエキセントリックな展開が同居した、
プログレッシブなジャズロックを聴かせる。ロック寄りの流麗なギターのプレイも随所に効いていて、
硬派すぎるジャズロックが苦手な方や、ジャズロック初心者にもわりと聴きやすい作風だろう。
10分を超える大曲も、やわらかなエレピにサックスやヴァイオリンが絡む、カンタベリーな雰囲気とともに、
インストによる優美なジャズロックサウンドが楽しめる。DVDには、2010年、アメリカ、NEARFestでのライブを収録。
日本人ベーシストに女性ヴァイオリン奏者を含む編成で、サックスやトランペットとともに厚みのある演奏を聴かせる。
ドラマティック度・・7 プログレ度・・7 優雅度・・9 総合・・8 
Amazonで購入する

FORGAS BAND PHENOMENA 「L'oreille Electrique」
フランスのジャズロック、フォーガス・バンド・フェノメナの2012年作
6作目の本作は、10分前後の大曲ばかりの全5曲という構成で、エレピを含むシンセに、サックスやトランペット、
ヴァイオリンが鳴り響き、カンタベリールーツの優雅なアンサンブルに、ロック寄りのギターを加えたという、
軽妙なジャズロックを聴かせる。このバンドの場合は、オールインストではあるが、超絶技巧というよりは、
スリリング過ぎないほどよいアンサンブルと叙情重視の作風なので、全体的に耳心地良く楽しめる。
全曲長いので、気の短い方には向かないが、ヴァイオリン入りの優美なジャズロックとしてもゆったりと鑑賞できます。
ドラマティック度・・7 プログレ度・・7 優雅度・・9 総合・・8 
Amazonで購入する



Framepictures「Remember It」
ポルトガルのハードプログレバンド、フレイムピクチャーズの2010年作
女性シンセ奏者を含む5人組で、キャッチーなメロディのハードプログレサウンド。
適度にテクニカルなリズムに爽やかなギターフレーズと美しいシンセワークが絡み、
陽性のヴォーカルが歌を乗せるスタイルは、むしろSPOCK'S BEARDあたりに通じる
アメリカのバンド的な抜けの良さがある。演奏力や長曲における構成力なども
新人にしてはなかなかレベルが高い。ラストは26分におよぶドラマティックな大曲を聴かせる。
メロディアス度・・8 キャッチー度・・8 テクニカル度・・7 総合・・7.5
Amazon.co.jp で詳細を見る

FRANCIS BERTHELOT 「L'inaccessible」
フランスの小説家、フランシス・ベルセロットによるプロジェクト。2015年作
中世の作曲家の生涯を描いた同名小説を、独自のオーケストラサウンドで描いたコンセプト作品。
基本的には打ち込みによるシンセとデジタルなオーケストラアレンジを駆使した作風で、
クラシカルな優雅さと映画サントラ的なイメージが合わさった聴き心地。ロック色はないので、
どうしてもBGMになってしまいそうなのだが、ほのかにドラマ性を感じさせる雰囲気はあって、
シンセの重ねによるシンフォニックなサントラという風には味わえる。全72分の力作。
クラシカル度・・8 プログレ度・・6 優雅度・・8 総合・・7
Amazonで購入する

FRANCIS BERTHELOT「KAEL ET ORIAN - BALLET EN TROIS ACTES POUR ORCHESTRE VIRTUEL
フランスのミュージシャン、フランシス・ベルテロットの2018年作
ファンタジー作家でもあるミュージャンによる、自身の小説をもとにしたバレエ音楽として作られた作品で、
優雅でクラシカルなシンセをメインにした、オールインストのサウンド。ギターやドラムなどは入らないので、
ロック感触は皆無ながら、オーケストラルなシンフォニック性という点では、The Enidなどにも通じるかもしれない。
2〜3前後の小曲を連ねた構成なので、プログレ的な盛り上がりなどはなく、クラシック的に鑑賞するのがいいだろう。
クラシカル度・8 ロック度・1 優雅度・8 総合・7
Amazonで購入する



FUSIOON「MINORISA」
スペインのプログレバンド、フシオーンの3rd。1975作
スパニッシュプログレの名作の一枚に数えられる作品。
基本はジャズロック的なアンサンブルと、やや唐突でアヴァンギャルドな曲展開に、
メロトロン、キーボードによるメロディアスさが組み合わさったサウンド。
GRANADATRIANAなどに比べると、スペイン臭さはあまりなく、
どちらかというとむしろイタリアっぽい叙情性がそこはかとなく漂っている。
18分、10分、8分という大曲3曲という構成で、技巧的なアンサンブルを聴かせる。
前衛的な曲調のみならず、軽やかなピアノや、ときにゆるやかなシンセの質感も魅力的。
メロディアス度・・7 プログレ度・・8 スパニッシュ度・・7 総合・・7.5
Amazon.co.jp で詳細を見る




GALADRIELCalibrated Collisino Course
スペインのシンフォニックロック、ガラドリエルの2008年作
1988年の1st、91年の2ndは聴いた記憶があるが、まだ活動していたとは。
のっけからデジタリィなシンセアレンジを使ったモダンな作風に面食らうが、
よく聴けば、いかにもスペイン的なギターや素朴な情緒を織り込んでいて、
古さと新しさの融合という質感が面白い。歌唱がスペイン語ではなく英語なのが残念だが、
センスのあるギターとさりげなく絶妙のシンセワークも含めて、レベルの高い作品だ。
メロディアス度・・8 プログレ度・・7 スペイン度・・7 総合・・7.5
Amazon.co.jp で詳細を見る

GALADRIEL 「MINDSCAPERS」
スペインのプログレバンド、ガラドリエルの1997年作
1988年にデビューし、本作が3作目となる。過去2作は素朴な味わいのシンフォプログレだったと記憶しているが、
今作はジャケからしてモダンな印象。美しいシンセに流麗なギター、繊細に歌い上げるヴォーカルを乗せ
サウンドはぐっとスタイリッシュなイメージに包まれている。ピアノを含むやわらかなシンセアレンジが
優美なクラシカル性を描き、メロウなギターの旋律とともに、しっとりとした大人の叙情を構築してゆく。
16分という大曲も、美麗なシンセと情感的なヴォーカルとともに、PENDRAGONなどにも通じる、
90年代的なロマンの香りを残した、これぞシンフォニックロックという聴き心地で楽しめる。
ドラマティック度・・8 プログレ度・・7 優美度・・8 総合・・8 
Amazonで購入する


GANBARA「Banan-Banan」
スペインのプログレトラッドバンド、ガンバラの2nd。1985年作
バスク地方のトラッドを基盤に、ロック的なアプローチを取り入れた聴きやすいサウンドに、
美声の女性ヴォーカルのスペイン語の歌唱が異国情緒を誘う。
アコースティックギターに、ヴァイオリン、フルート、それにバクパイプなどの
温かみのある音色と、シンセ、ドラムなどのモダンなロックとが融合し
どこか懐かしいが、今の音楽としてもちゃんと楽しめるところが魅力だ。
メロディアス度・・8 トラッ度・・8 女性Vo度・・8 総合・・8
Amazon.co.jp で詳細を見る

GANBARA「Buhamien Balleta」
スペインのプログレ・トラッドバンド、ガンバラの4th。1992年作
素晴らしかった5thと同様、リリカルでシンフォニックなモダントラッドをやっている。
アコーディオンにヴァイオリン、ハープなどが絡み合い、素朴でありながらも
しっかりとしたアンサンブルを聴かせるところは、AMAROKなどにも近いものがある。
そこに美声の女性ヴォーカルによるスペイン語の歌唱が入ると、もううっとり…。男Voはいらない(笑)
アコースティック楽器をメインにしつ、うっすらとシンセを取り入れているのもセンスがよい。
メロディアス度・・8 トラッ度・・9 女性Vo度・・8 総合・・8
Amazon.co.jp で詳細を見る


GANBARA「Itsas Zabalean」
スペインのプログレトラッドバンド、ガンバラの5th。1995年作
美しいシンセにフルート、アコーディオンにマンドリン、そして清涼な女性ヴォーカルの歌声。
トラッド的な素朴さと現代的な聴きやすさを融合させたシンフォニックトラッドは、
同じくスペインのAMAROKにも通じる質の高さで、じつに心地よく聴かせてくれる。
とくにスペイン語で歌われる女性ヴォーカルの歌唱はうっとりとするほど美しく<
ポーランドのQUIDAMもかくやというほど。アコースティックとシンセのバランスも良く
素朴でありながらも、やわらかでシンフォニックな質感がとても耳に優しい。
メロディアス度・・8 しっとりやわらか度・・9 女性Vo度・・9 総合・・8.5
Amazon.co.jp で詳細を見る

Gens De La Lune 「Epitaphe」
フランスのシンフォニックロック、ジェンス・デ・ラ・ルネの2013年作
元ANGEのシンセ奏者、フランシス・デカンを中心にしたプロジェクトで、本作は3作目となる。
若くして命を絶った詩人、L・ルイス・ドゥーベルの詩編をテーマにしたCD2枚組のロックオペラ作品で、
美麗なシンセワークをメロウなギターに重ね、シアトリカルな味わいのヴォーカルとともに、
ANGEに通じるドラマ性のある優雅なシンフォニックロックを聴かせる。ヴァイオリンやアコーティオンも加え
哀愁を含んだ叙情に包まれつつ、曲によってはオルガンが鳴り響く、ほどよくハードなオールドなロック感触も覗かせる。
Disc2のラストは12分の大曲で、優美なシンセと叙情的なギターでじわじわと盛り上げる。CD2枚で85分という力作である。
ドラマティック度・8 プログレ度・7 優雅度・8 総合・7.5

GERARD MANSET「LA MORT D’ORION」
フランスのシャンソン歌手で作曲家、ジェラール・マンセの1971年作
クラシカルなヴァイオリンの音色、フランス語による男性ヴォーカルと、オペラティックな女性ヴォーカルも加わり、
薄暗く、どこか不安感をともなった世界観とアヴァンギャルドな芸術性に包まれる。
24分のタイトル曲は、シアトリカルな構築と先の読めない展開に、内的な狂気をはらみながら、
どこか醒めた冷たさが恐ろしげな先鋭的な組曲。イタリアのOPUS AVANTRAに通じる美学も感じさせる。
フルートやピアノのたおやかな響きと、フランス的な倦怠の美意識、クラシカルな優雅さに
繊細な叙情と張りつめたような不安な空気が同居する、異色の傑作である。
クラシカル度・・8 アヴァンギャル度・・8 芸術度・・9 総合・・8
Amazon.co.jp で詳細を見る

GERARD MANSET 「Le Langage Oublie」
フランスのミュージシャン、ジェラール・マンセの2004年作
1971年作「La Mort D'Orion」は、クラシカルで芸術的なまでの名作として名高いが、
本作は、ロック寄りのギターにオルガンが鳴り響き、フランス語による味わい深い歌声を乗せた、
渋めのフレンチロックというサウンドを聴かせる。美しいピアノにストリングスなども加わったナンバーは、
しっとりと優雅な感触で、クラシカルな美意識という点では、NEW TROLLSあたりにも通じる感触もある
哀愁を感じさせるアコーディオンの音色や、ストリングスと女性声を含んだ薄暗い叙情のナンバーなど、
なかなか幅のあるアレンジでじっくりと楽しめる。プログレ的な要素は薄めだが、フレンチな味わいの好作品だ。
ドラマティック度・・7 プログレ度・・6 フランス度・・8 総合・・7.5
Amazonで購入する


GLAZ「Escalibur」
フランスのケルトロックバンド、グラッツの1st。1993年作
美しいホイッスルの響きに、フランス語による女性ヴォーカルの歌声を乗せ、
シンフォニックなシンセアレンジとともに聴かせるゆるやかなトラッドロックサウンド。
メロディックな感触にはポップな聴き心地もあって、土着的なクセがないので、
女性声ポップロックとしても普通に楽しめる。鳴り響くパイプにメロウなギターワークが重なり、
ケルティックシンォという点ではKARNATAKAなどにも通じる幻想的な好作だ。
メロディアス度・・8 ケルティック度・・7 女性Vo度・・8 総合・・8
Amazon.co.jpで詳細を見る

GLAZ「AR GEST」
フランスのケルトロックバンド、グラッツの2nd。1996作
鳴り響くヴァイオリンの音色がケルティックな雰囲気をかもしだしつつ、
キュートな女性ヴォーカルの歌声も入って、メロディは実にキャッチーでポップ。
シンセやギターによるロック的なアレンジと適度なトラッド風味が絶妙に融合して、
聴きやすく爽快なサウンドを作り出している。ときにパイプなども鳴りながら、適度な土着性と
ファンタジックな世界観で聴かせる。普通に女性声のメロディックロックとしても楽しめる作品だ。
メロディアス度・・8 ケルティック度・・7 女性Vo度・・8 総合・・8
Amazon.co.jp で詳細を見る

GLAZHolen AR Bed/Le Sel De La Terre」
フランスのケルトロックバンド、グラッツの3rd。1998年作
1stの頃から、ファンタジックなジャケや、素敵な女性ヴォーカルの歌声が好みで、
とても気に入っていたバンドなのだが、残念なことにこの3作目がラスト作となってしまったようだ。
サウンドの方は、キャッチーだった前作「Ar Gest」よりもぐっとメロウになり、トラッド風味が増している。
フランス語による女性ヴォーカルの歌声も美しく、シンセをバックにしたバグパイプの響きとともに、
しっとりと聴かせてくれる。ピアノやフルートなども効果的に使われ、ギターとドラムが入ってくると、
シンフォニックロックとしても爽やかに楽しめる。派手さはないがずっと愛聴したいアルバムだ。
メロディアス度・・8 ケルティック度・・7 女性Vo度・・8 総合・・8
Amazon.co.jp で詳細を見る

GLAZZ「CIRQUELECTRIC」
スペインのプログレ・ジャズロック、グラッツの2011年作
アンダルシア地方のバンドで、基本はギター、ベース、ドラムというトリオ編成で、
ときにムーグを含むプログレ的なシンセやピアノ、スパニッシュギターなどを加えた、
軽妙で優雅なアンサンブルを聴かせる。本作はサーカスをテーマにしたアルバムで
随所にSEやナレーションを含んだ、コンセプト的な空気感と哀愁の叙情も感じさせる。
クラシカルなヴァイオリンにピアノが絡み、技巧的なギターがまじわる味わいは、
テクニカルなジャズロックにフュージョン、室内楽を合わせたような上品な聴き心地である。
一方ではハード寄りのギターを乗せたロック感触や、ミゲル・リオスがゲスト参加した、
スペイン語によるヴォーカル入りのナンバーなど、バラエティに富んだ21曲、78分の力作だ。
メロディック度・・8 ジャズロック度・・7 優雅度・・8 総合・・8
Amazon.co.jpで詳細を見る

GLAZZ 「The Jamming Sessions Take II」
スペインのプログレ・ジャズロック、グラッツの2014年作
ギター&シンセ、ベース&シンセ、ドラムというトリオ編成でのライブセッションを収録。
それぞれ29分、12分、38分という3パートに分かれた、78分に及ぶ即興的なライブで、
随所にムーグシンセが鳴り響き、生々しいドラムにフリーキーなギターとベースを乗せた、
アヴァンギャルドなフュージョンロック的なアンサンブルを聴かせる。即興的に叩きまくるドラムに
ブルージーなロック色も含んだ奔放なギタープレイで、ジャズ色は中盤あたりから現れる。
いかにもセッションという雰囲気であるから、スタジオアルバムとの違いにけっこうびっくりする。
メロディック度・・5 ジャズロック度・・6 セッション度・・8 総合・・7.5


GONGCamembert Electrique」
フランスのサイケ・ジャズロック、ゴングの2nd。1971作
オーストラリア出身の流浪のヒッピー、デイヴィッド・アレンはイギリスに渡り、
ロバート・ワイアットやケヴィン・エアーズなどと交流、SOFT MACHINE誕生にも関わるが、
やがてバンドを離れたアレンはフランスを拠点に活動をはじめ、ゴングを結成、
独自のユートピア思想に基づいたサイケなジャズロックを作り出してゆく。
本作のサウンドは、ジャズロックを主体にしたフリーキーな音楽性で、のちの作品に比べると
楽曲としての構築性は薄く、その分自由度の高いこのバンドの本質が感じられる。
プログレ度・・7 ジャズロック度・・8 ゆる度・・8 総合・・7.5
Amazon.co.jp で詳細を見る

GONGFlying Teapot」
ゴングの3rd。1973作
本作はデイヴィッド・アレンのヒッピー的なユートピア幻想を物語化したというべき、
ラジオ・ノーム・インヴィジブル(電波の精の物語)三部作の幕開けを告げる作品である。
サウンドはジャズロックというよりはサイケがかったゆるやかな展開で聴かせる、
幻想的な作風がずっと強まってきた。また音階に東洋的なものを取り入れ出していて、
奇妙なオリエンタル感覚が耳心地がいい。むしろソフトロック的な感触でも楽しめる。
プログレ度・・7 サイケ度・・8 ゆる度・・9 総合・・8
Amazon.co.jp で詳細を見る

GONG「Angel's Egg」
ゴングの4th。1973作
前作「Flyng Teapot」でのゆるいサウンドから、さらにトリップ感を強めつつも
演奏自体のアンサンブルはずいぶんテクニカルになってきている。
サイケな世界観の強度が強まったことで、作品としての説得力も増した。
ストーリーにそった妖しい展開と、やわらかな浮遊感が存分に味わえる。
プログレ度・・8 サイケ度・・9 ゆる度・・9 総合・・8
Amazon.co.jp で詳細を見る

GONG「YOU」
ゴングの5th。1974作
ラジオ・ノーム・インヴィジブル三部作の完結編で、初期GONGを代表する傑作。
優雅なフルートの音色と、物語を語るようなナレーションで幕を開ける本作は、
サウンド面でのメリハリがいっそうついて、サイケなストーリーものでありながら
音楽作品としての完成度がぐっと高まった。中近東的なテイストで聴かせる
サイケプログレとしてのノリはOZRIC TENTACLESの原型ともいえるだろう。
そして壮大な(?)ストーリーの完結となる10分を超えるラストの2曲は圧巻だ。
プログレ度・・8 サイケ度・・9 ゆる度・・8 総合・・8.5
Amazon.co.jp で詳細を見る

GONG「GAZEUSE!」
フランスのジャズロック、ゴングの1976年作
ピエール・モーランが中心となった、新生ゴングの2作目で、前作で脱退したスティーブ・ヒレッジに替わり、
アラン・ホールズワースが参加。やわらかなヴィブラフォンの響きに流麗なギターを乗せた、
軽やかなフュージョン・ジャズロックで、オールインストながら、ピエール・モーランの手数の多いドラムに、
ホールズワースの歌うようなギターフレーズとともに優雅に楽しめる。2パートに分かれた10分を超える大曲では、
前半はヴィブラフォンが大活躍、後半は叩きまくりのドラムソロになっていて、ピエール・モーラン色が全開。
やわらかなエレピなフルートも乗せた、カンタベリー風のナンバーなどもあり、軽妙で優雅な好作品だ。
ジャズロック度・・8 軽妙度・・8 優雅度・・9 総合・・8
Amazonで購入する

GONG「EXPRESSO II」
フランスのジャズロック、ゴングの1978年作
前作のフュージョン・ジャズロック路線の続編という作品であるが、今作ではアラン・ホールズワースはゲスト扱い、
ミック・テイラーや、のちにGONGZILLAにも加わる、ボン・ロザガ、さらにはダリル・ウェイといったメンバーも参加している。
ミック・テイラーがリードをとる1曲目は、前作にはないブルージーな雰囲気を漂わせつつ、鳴り響くヴィブラフォンとともに、
優雅なアンサンブルを描くナンバーや、ここぞと流麗なギターを奏でるホールズワースに、
ダリル・ウェイのヴァイオリンが美しいナンバーなど、楽曲ごとに違った味わいが楽しめるのが本作の特徴だろう。
ジャズロック度・・8 軽妙度・・8 優雅度・・8 総合・・8
Amazonで購入する

GONG 「Live 2 Infinitea」
フランス&イギリスのサイケロック、ゴングのライブ。2000年作
1974年作「YOU」を最後に、デヴィッド・アレン、ジリ・スマイス、スティーヴ・ヒレッジが脱退、
ドラムのピエール・ムーランを中心に、ジャズ/フュージョンロックバンドとして活動再開し、
その後は「ピエール・ムーランズ・ゴング」の名前で活動を続けてゆく。一方のデヴィッド・アレンは、
オリジナルなGONGとしての再編を繰り返しながら、2000年に復活作「Zero to Infinity」を発表する。
本作は2000年の英国公演を収録。復活作からのナンバーを中心に、サックスが鳴り響き
安定したリズムセクションとノリの良いアンサンブルに、アレン&ジリの歌声を乗せた、
サイケなゴングサウンドが楽しめる。さすが二人の歌声は老年の雰囲気であるが、
この復活がのちの傑作「2032」へとつながることを思えば、感慨深い復活のライブである。
ライブ演奏・・7 サイケ度・・8 ゴング度・・8 総合・・7
Amazon.co.jpで詳細を見る

GONG 「2032」
1969年の結成から40周年を迎えるサイケデリックロックバンド、ゴングの2009年作
「Flying Teapot」、「Angels Egg」、「YOU」と続いてきたラジオノーム・インビジブルの物語を継承した
シリーズ完結作となる作品だ。すでに70代となったデイヴィッド・アレン、ジリ・スマイスを中心に
復帰したスティーブ・ヒレッジとミケット・ジローディのギターとシンセワークがサウンドを構築する。
ふわふわとした浮遊感あるアレンの歌声に、ジリのコーラスが絡みながら、かつてのヒッピー性と
現代的なモダンなアレンジを巧みに重ね合わせながら、ゆるやかなサイケロックを描いてゆく。
サックスも入った軽やかなジャズ風味に、テクノ風味もあり、スペイシーな広がりを聴かせる音作りは
まさにゴングならではの聴き心地である。さあ2032年、地球と惑星ゴングとの交信は成ったか?
ドラマティック度・・8 サイケ度・・9 ゴング度・・9 総合・・8
Amazon.co.jp で詳細を見る


GOTIC「Escenes」
スペインのプログレバンド、ゴティックの1978作
CAMELを思わせる繊細なメロディが素晴らしいインストプログレの傑作。
たおやかなフルートの音色にクラヴィネットやムーグなどのシンセ類が絡み
軽やかなアンサンブルで美しい叙情を聴かせる。スペイン特有の土臭さはなく、
ジャケのイメージのように全編メロディアスでやわらかなシンフォニックサウンド。
これが唯一のアルバムというのが残念でならないくらいの完成度だ。
メロディアス度・・8 繊細度・・9 スペイン度・・7 総合・・8
Amazon.co.jp で詳細を見る


GRAAL 「Secrets of Now」
フランスのフォークロック、グラールの1997年作
男女2人組のユニットで、アコースティックギターやマンドリンのつまびきにシンセを重ね、
美しい女性ヴォーカルの歌声に、ホイッスルも鳴り響く、優美なフォークロック風サウンド。
エレキギターも加わったロック色もありつつ、やわらかな女性Voにジェントルな男性声も絡んで
あくまでしっとりと優雅な聴き心地。これというインパクトはないのだが、なんとなく物語的な世界観で、
吟遊詩人の奏でる音楽を楽しむような。GLAZなどが好きな方にもお薦めの、幻想的な男女声ケルトロックの好作品。
ドラマティック度・・7 ロック度・・6 女性Vo度・・8 総合・・7.5


GRANADA「Hablo de una Tierra」
スペインのプログレバンド、グラナーダの1st。1975作
ギター、ピアノ、ヴァイオリン、ヴォーカルをこなすカルロス・カルカモを中心にした、
TRIANAとともに70年代スパニッシュロックを代表するバンド。
メロディアスなギターに艶やかなヴァイオリンの音色、吹き鳴らされるフルートなど、
アコースティカルな叙情性もあって、スペイン語の歌唱とともにしっとりと聴かせる。
メロトロンによるシンフォニックな質感に、スパニッシュギターが絡む様も美しい。
TRIANAに比べるとクセの強さは薄いので、スパニッシュ初心者にも聴きやすいだろう。
メロディアス度・・8 叙情度・・8 スパニッシュ度・・8 総合・・7.5
Amazon.co.jp で詳細を見る

Green Windows 「a arte e a musica」
ポルトガルのフォークロック、グリーン・ウインドウズの1977年作
Quarteto 1111解散後に、Jose Cidが参加したユニットらしい。サウンドは美しい女性ヴォーカルの母国語の歌声に
男性ヴォーカルも加わり、やわらかなエレピの音色などを含んだ、おおらかなフォークロック。
楽曲は2〜3分台とシンプルで、プログレらしさというものはほとんどないのだが、
ジョセ・シッドが弾くムーグシンセの音色などは耳に残る。歌もののポップロックとしては普通に楽しめる。
メロディック度・・7 プログレ度・・3 女性Vo度・・7 総合・・7

Gualberto「La A La Vida, Al Dolor」
スペインのアーティスト、グアルベルトの1st。1975作
名作として知られる2ndは優雅でアコースティカルなサウンドが素晴らしい作品であったが、
この1stの方も基本的には方向性は同じで、ゆるやかなアコースティックギターを中心に、
フルート、ヴァイオリンなどで素朴な音色をゆったりと聴かせる作品だ。
インスト指向の2ndに比べて、前半は歌もの的な雰囲気で耳に優しい音であるが、
アルバム後半になるとシタールの音色とともにアラビックな曲もあったり、
エレキギター入りのプログレ色のある曲などもあって、意外と多彩な引き出しが楽しめる。
アコースティカル度・・8 スパニッシュ度・・8 牧歌的度・・8 総合・・8
Amazon.co.jp で詳細を見る

GUALBERTOVericuetos
スペインのアーティスト、グアルベルトの2nd。1976年作
スパニッシュプログレの名作の一枚に数えられるアルバム。全編インストで優雅なトラッドロック調に、
ヴァイオリン入りのクラシカルなアンサンブルが素晴らしく、ジャズロック的な躍動感とともに、
アーティスティックな構築性も感じられる。異国的なシタールの音色、シンセと絡むヴァイオリン、
フルートの繊細な音色にゆったりと聴き入れる。30分ほどの短いアルバムながら、たおやかさと音楽の芸術が詰まった傑作だ。
メロディアス度・・8 クラシカル度・・8 優雅度・・9 総合・・8
Amazon.co.jp で詳細を見る


GUILLAUME DE LA PILIERE 「Requiem Apocalyptique」
フランスのミュージシャン、ガイラウム・デ・ラ・ピリエレのソロ2008年作
1990〜98年までに4作を残したシンフォニックロックバンド、VERSAILLESの&ヴォーカルのソロ。
クリムトの絵画をあしらった見開きの特殊デジパック仕様もなかなかのインパクトであるが、
内容も全1曲45分という構成で、やや唐突な展開力にフランス語の歌声を乗せた、
ANGEにも通じるシアトリカルなフレンチロックを聴かせる。ギターはときにノイジーに鳴り響き、
アヴァンギャルドなシンセアレンジとともに、エキセントリックな不思議さをかもしだす。
意気込みは買うのだが、いかんせん楽曲としての盛り上がりや叙情が少ない分、
独りよがりの大曲に聞こえてしまう。シンフォ色も薄めのヘンテコなフレンチプログレです。
ドラマティック度・・7 アヴァンギャル度・・8 フレンチ度・・8 総合・・7
Amazon.co.jpで詳細を見る

GWENDAL「GLEN RIVER」
フランスのトラッドロックバンド、グウェンダルの1989作
たおやかなフルート、ヴァイオリン、ハープ等によるゆったりと流れるようなサウンド。
繊細な曲調ながらも、ときにエレキギターやロックドラムが入り、ただのトラッドではない。
全編インストで、ある意味GANDALFなどにも通じる桃源郷的幻想作品でもある。
まどろみながら自然体で聴きたい作品。ただし演奏の質はとても高い
メロディアス度・・8 シンフォニックトラッ度・・9 素朴度・・9 総合・・8◆プログレ名作選入り
Amazon.co.jp で詳細を見る

Gwendal 「Live In Getxo」
フランスのケルトロック、ウェンダルのライブ。2016年作
70年代から活動するベテランで、本作は2015年のスペイン、バスク州でのライブを収録。
エレキギターやドラムというロックなアンサンブルに、艶やかなヴァイオリンとやわらかなフルートの音色を重ねた
優雅なケルティックロックを聴かせる。ゲストによるイーリアンパイプやアコーディオンなどの牧歌的な味わいを含め、
本格派のケルトサウンドをロックに絶妙に融合させた軽妙なアンサンブルは、さすがベテランの風格である。
ほどよくシンセによる味付けもあるので、プログレ方面のリスナーにも楽しめるだろう。80分におよぶ優美なライブ作品です。
ライブ演奏・・8 ケルティック度・・8 優雅度・・9 総合・・8
Amazonで購入する





Haizea
スペインのトラッドバンド、アイセアの1977年作
ITZIAR、IZUKAITZなどバスク地方のバンドで、やわらかなアコースティックギターに
美しい女性ヴォーカルの歌声で聴かせる、素朴で優雅なトラッド・フォークサウンド。
優しげな男性ヴォーカルが重なり、フルートの音色にパーカッションも加わって、
適度な土着性と牧歌的な味わいが楽しめる。男性声メインの曲は個人的にはさほどいらないかな。
アコースティック度・・8 プログレ度・・6 素朴度・・8 総合・・7.5
Amazon.co.jpで詳細を見る

Haizea 「Hontz gaua」
スペインのトラッドバンド、アイセアの1979年作
2作目の本作も、素朴なアコースティックギターのつまびきに美しい女性ヴォーカルの歌声を乗せた、
バスク地方らしい優雅でやわらかなトラッドフォークを聴かせる。ヴァイオリンやチェロを使った、
クラシカルなチェンバー風味も覗かせて、やわらかなフルートも鳴り響く優美な味わいに、
涼やかな女性声がミステリアスな空気を描き出す。ラストは14分の大曲で、
妖しいスキャットヴォイスとともに、アヴァンギャルドと倦怠が同居したサウンドを展開する。
アコースティック度・・8 プログレ度・・7 優美度・・8 総合・・8
Amazonで購入する


Halloween「Part One」
フランスのプログレバンド、ハロウィーンの1988年作
クラシカルなヴァイオリンが鳴り響き、うっすらとしたシンセにシアトリカルなヴォーカルを乗せて、
ヨーロピアンな翳りを帯びたシンフォニックロックを聴かせる。歌詞は英語ながら、どこなくフランス語なまりの発音で、
マイルドな歌声の中に幻想的な空気を感じるのはやはりフレンチらしい。艶やかなヴァイオリンがシンセに絡むところは、
優雅な味わいながらも、どこか怪奇ロマンのような妖しさがあって、ワインを片手に味わいたいサウンドである。
叙情的なギターの旋律も随処に耳心地よく、10分の大曲では、演劇的な語りや静寂感に包まれたパートを含む、
流れのある展開力で、じっくりと独自のシンフォプロクレを構築する。2001年までに5枚のアルバムを残して消えるが、
そのシアトリカルな世界観は一貫していて、90年代フレンチプログレを代表するバンドであった。
ドラマティック度・8 プログレ度・7 フレンチ度・8 総合・8 
Amazonで購入する

Halloween 「Laz」
フランスのプログレバンド、ハロウィーンの1989年作
H.P.ラブクラフトの作品をテーマにしたコンセプト作で、うっすらとしたシンセアレンジに
ときに変則リズムを含んだ構築力で聴かせる、90年代型のシンフォニックロックサウンド。
ヴォーカルは、シアトリカルな雰囲気を漂わせたややフレンチなまりの英語で、
インストパートでのミステリアスな薄暗さとともに、怪しげな世界観を描いている。
ヴァイオリンの使い方もクラシカルというよりは、静寂の緊張感を表現するようで、
プログレとしての躍動感やメロディックな部分は希薄なので、雰囲気もの作品として聴くのがよいかと。
ドラマティック度・・8 プログレ度・・7 ミステリアス度・・8 総合・・7.5
Amazon.co.jpで詳細を見る

Halloween「Merlin」
フランスのプログレバンド、ハロウィーンの1994年作
90年代フランスのシンフォニックロックシーンを代表するバンド。
本作はタイトル通りアーサー王伝説に登場する魔術師マーリンをコンセプトにしたアルバム。
ヴァイオリンが鳴り響くクラシカルな質感と、フランスらしいどこかとぼけたシアトリカルなサウンドで、
フランス語による女性ヴォーカルの歌声も、どこかミステリアスで、ほの暗い叙情と不思議な緊張感が漂う。
MINIMUM VITALTIEMKOなど、90年代フランスには質の高いシンフォ系プログレバンドが多かった。
シンフォニック度・・7 シアトリカル度・・8 フランス度・・8 総合・・8
Amazon.co.jp で詳細を見る

HALLOWEEN 「Silence...au dernier rang!」
フランスのプログレバンド、ハロウィーンの1998年作
1998年フランスでのライブ音源。傑作アルバム「Merlin」に続く作品で、バンドとしての絶頂期というべき
濃密なサウンドを聴かせてくれる。フランス語による女性ヴォーカルのシアトリカルな歌声に、
艶やかなヴァイオリンの音色、クラシカルな優雅さと涼やかな緊張感と芸術性を同居させ、
演劇的に仕立て上げたというべき、独自のフレンチ・シンフォニックロックのライブ演奏が楽しめる。
女性ヴォーカルで聴かせる、Van Der Graff Generatarのカヴァーもハマっています。
ドラマティック度・・8 プログレ度・・8 シアトリカル度・・8 総合・・8
Amazonでの購入はこちら


Halloween 「Le Festin」
フランスのプログレバンド、ハロウィーンの2001年作
フランス語による女性ヴォーカルの歌声に、艶やかなヴァイオリンの音色が絡み、
ミステリアスな世界観を描いてゆく、いかにもフレンチらしい優雅な空気感の中に、
芸術的な狂気をはらんだ演劇性が垣間見える。かつてのAngeの過剰なまでのドラマ性を
よりアーティスティックに構築したというような、匂い立つようなヨーロピアンな美意識に圧倒される。
一方では、パーカッションが鳴り響く中近東的な雰囲気の曲もあったり、バンドとして芸術への探求心と
拡散志向がかろうじて保たれているという緊張も感じ取れる。本作を最後にバンドは沈黙。
ドラマティック度・・8 プログレ度・・8 フレンチ度・・9 総合・・8
Amazon.co.jpで詳細を見る


HARNAKIS 「numb eyes ,the soul revelation」
フランスのシンフォニックロックバンド、ハルナキスの1990作
90年代初頭のフランスのシンフォニックロックといえば、MINIMUM VITALTIEMKOECLATあたりが思いつくが、
他にもこうしたマイナー系バンドがひっそりと活動していたのである。幻想的な色合いのジャも美しいが
サウンドの方も、当時のフランスにしては出来がいい部類のシンフォニックロックで、メロディアスなギターに、
プログレ的にカラフルなキーボード、女性ヴォーカル、起伏に富んだ軽やかなリズムなど、なかなか聴かせてくれる。
シンフォニック度・・7 プログレ度・・7 フレンチ度・・7 総合・・7.5
Amazon.co.jp で詳細を見る


Harvest「Underground Community」
スペインの女性Voロックバンド、ハーベストの2009年作
美しい女性ヴォーカルの歌声で聴かせるゆるやかな叙情のメロディックロック。
うっすらとしたシンセにメロウなギターがかぶさって、ほのかな翳りある雰囲気は
KARNATAKAPANIC ROOMあたりが好きなリスナーには心地よい音だろう。
モニク嬢の歌声にも、どこかアンニュイなけだるさがあって、しっとりと耳に優しい。
メロディアス度・・7 プログレ度・・7 女性Vo度・・8 総合・・8
Amazon.co.jpで詳細を見る

HARVEST「Chasing Time」
スペインのフィメールロック、ハーベストの2012年作
女性Voにシンセを含む5人編成で、しっとりとした叙情性とアンニュイな翳りを含んだ繊細な作風。
かつてのALL ABOUT EVEあたりにも通じる雰囲気で、随所にシンフォニック、プログレ的な感触もある。
紅一点、モニク嬢のやわらかな歌声もなかなか魅力的で、メロウなギターと繊細なシンセアレンジとともに
ロックとしての躍動感も適度に感じさせながら、ゆったりとした耳心地のよいサウンドが楽しめる。
8分を超えるラスト曲は、プログレ的なドラマティックな構築が見事。フィメール・メロウ・ロックの好作です。
メロウ度・・8 プログレ度・・7 女性Vo度・・8 総合・・8
Amazonで購入する

Harvest 「Northern Wind」
スペインの女性Voメロディックロック、ハーヴェストの2014年作
2009年にデビューし、3作目となる。優美なシンセとピアノにコケティッシュな女性ヴォーカルの歌声で
のっけからウットリと引き込まれるが、ほどよくモダンなアレンジを含んだ優雅でキャッチーなサウンド。
魅力的な女性声にメロウなギターの旋律も耳心地よく、かつてのKARNATAKAあたりにも通じる、
シンフォニックなフィメールロックという赴きで楽しめる。いくぶんの翳りをおびたアンニュイな雰囲気に
スペインというよりはむしろ英国寄りのウェットな耳心地で、ゆったりと聴ける女性声シンフォの好作。
メロディック度・8 優美度・9 女性Vo度・8 総合・8 
Amazonで購入する


HELDON「Electronique Guerilla」
フランスのフログレバンド、エルドンの1974年作
シンセのみによる不気味なドローン風のイントロ曲から、エレクトロなシーケンサーにギターを乗せた2曲目は、
ロバート・フリップがクラスターと合体したような感触で、ジャーマンロックからの影響が垣間見えるが、
まだ未完成で実験的な聴き心地ともいえる。3曲目は、ギターを重ねたオリエンタルな雰囲気で、
POPOL VUHを思わせる神秘的な雰囲気に包まれる。前身であるSCHIZO時代の楽曲のリミックスは、
サイケなAMON DULL II風味で、唯一のバンド編成のナンバー。Tangerine Dream風のシンセ曲も含めて、
発展途上のリシャール・ピナスのソロ的な作風ながら、この試行錯誤が芸術的な作風を生み出してゆくのだろう。
ドラマティック度・・6 プログレ度・・7 ジャーマンロック風度・・8 総合・・7
Amazonで購入する

HELDON 「ALLEZ-TEIA」
フランスのプログレバンド、エルドンの1975年作
本作は2作目で、前身であるSCHIZO時代のメンバーを迎えての作品。
ギターのアルペジオに美しいメロトロンが重なる出だしからして幻想的な聴き心地で、
「In Wake Of King Fripp」のタイトルからして、ロバート・フリップへのリスペクトが感じられる。
アコースティックギターによる叙情的な小曲や、フリーキーにギターが鳴るアンビエントなナンバー、
シンセの重ねによるエレクトロな大曲など、フリップ&イーノにも通じる空間的なサウンドが味わえる。
プログレとしての完成度は5作目以降だが、ダイレクトなフリップ愛が伝わってくるような作品だ。
ドラマティック度・・7 プログレ度・・7 メロトロン度・・8 総合・・8
Amzonで購入する

HELDON 「It's Always Rock'n'Roll」
フランスのプログレバンド、エルドンの3作目。1975年作
シンセとシーケンサーによるエレクトロなサウンドに、フリーキーなギターの旋律を乗せた、
Klaus Schilzeなどに通じるジャーマンロック的な浮遊感から、ギターをメインにドラムも加わった
ガレージロック寄りのナンバーから、ブライアン・イーノのようなアンビエントな作風まで、
18分、16分という大曲も含めて、2枚組の大作ならではの味わいである。1作目の続編のようでいて、
ギタープレイなどには独自のセンスも感じられるようになった。この路線は次作で収束を迎える。
1作目「Electronique Guerilla」とのカップリング盤がお買い得です。
ドラマティック度・6 プログレ度・7 フリーキー度・8 総合・7.5
Amazonで購入する

HELDON 「Agneta Nilsson」
フランスのプログレバンド、エルドンの1976年作
ギタリストにしてシンセもこなし、哲学者の顔も持つ、鬼才、リシャール・ピナス率いるバンドの4作目。
Klaus SchulzeTangerine Dreamを思わせる涼やかなシンセに、ディレイの効いたギターを乗せ、
サウンドスケープ的な感触をインダストリアルな硬質感で包み込んだようなサウンドを聴かせる。
フリップ&イーノからの影響を感じさせたかつての作風から、よりモダンな作風へと深化していて、
シーケンサーのリフレインに、クリムゾン的なギターが鳴り響く、即興的なセンスも含めて、
冷徹なアヴァンロックとしての個性が明確になってきている。ラストは22分におよぶ大曲で、有機的なギターと
エレクトロな無機質感が絶妙に合わさり、唯一ドラムも加わったロック色とともに近未来的なサウンドが楽しめる。
ドラマティック度・・7 プログレ度・・7 シンセサウン度・・8 総合・・7.5
Amazon.co.jpで詳細を見る

HELDON「Un Reve Sans Consequence Speciale」
フランスのプログレバンド、エルドンの1976年作/邦題は「結末のない夢」
5作目となる本作は、エレクトロなシンセにノイジーで不穏なギターが鳴り響き、
即興的なインダストリアル感触を強めた、硬質なアヴァンロックが広がってゆく。
二本のギターが有機的に絡み、溶鉱炉や鍛冶を連想させるようなシンバルの金物が鳴り響き、
やがてドラムのビート感が合わさると、重厚かつ躍動的なヘヴィプログレの味わいになる。
ときにKING CRIMSON的な雰囲気もありながら、ムーグシンセを使ったスペイシーな感触や、
エレクトロなシーケンサーによるラストの15分の大曲などには、ジャーマンロックからの影響も感じさせる。
バンドの作風が固まり、存在感を強めたアルバムといえるだろう。MAGMAのヤニック・トップがゲスト参加。
ドラマティック度・・7 プログレ度・・8 重厚度・・8 総合・・8
Amazon.co.jpで詳細を見る

HELDON 「Interface」
フランスのプログレバンド、エルドンの1978年作
6作目となる本作は、シーケンサーとドラムによる、エレクトロ・ロックというべき小曲から始まり、
2曲目は、凶暴でノイジーなギターを乗せたダークなヘヴィプログレとなって聴き手を圧倒する。
シンセをメインにしたエレクトロなナンバーも、ドラムが入ることでロックな感触が前に出ていて
4作目のようなインダストリアル感はさほどない。ピナスのギターをメインにした2分弱の小曲から、
ラストの19分の大曲への流れはアルバムのハイライト。エフェクトのかかったたドラムによる無機質な序盤から、
シーケンサーが加わったエレクトロなロックになり、中盤からギターが乗ると、とたんにクリムゾンぽくなるという。
全体的にドラムの手数が増したことで、本作はエレクトロな要素とロック感のコントラストでも楽しめる作風といえる。
ドラマティック度・・7 プログレ度・・8 エレクトロ・ロック度・・8 総合・・8
Amazon.co.jpで詳細を見る

HELDON 「Stand By」
フランスのプログレバンド、エルドンの1979年作
7作目にしてラスト作は、のっけから22分の大曲から始まる。ヘヴィなドラムとスペイシーなシンセ、
そしてピナスによるクリムゾンライクなギターサウンドで、これまでになくドラマティックなスケール感とともに、
独自のエレクトロなアヴァンプログレを展開する。Klaus SchulzeTangerine Dreamを思わせる
シーケンサー・ロックとしての浮遊感と、フリーキーなギターフレーズが延々と続く即興的なセンスが融合した
このバンドの個性がスタイリッシュに凝縮した作風である。ラストのタイトル曲は、バンドアンサンブルを全面に出し、、
重厚なベースにロバート・フリップばりのギターワークを乗せた、まさにKING CRIMSON的なサウンドを聴かせる。
プログレファン、クリムゾンファンを喜ばせるこの1曲の存在が、一般向けには本作を最高作に押し上げているともいえる。
ドラマティック度・・8 プログレ度・・8 エレクトロでクリムゾン度・・8 総合・・8
Amazon.co.jpで詳細を見る

Richard Pinhas「IceLand」
HELDONのリシャール・ピナスのソロ。1980年作
エルドンのラスト作「Stand By」と同時期に制作されたアルバムで、シーケーンサーを使用した
シンセサウンドの重なりで、無機質でありながらも、叙情的なサウンドスケープを描いている。
ドラムが入らないのでロック色はほとんどないのだが、世界観そのものはエルドンに通じるところから、
即興的な凶暴性を除いたという雰囲気で、むしろジャーマンロック的なアプローチが明確に表れている。
茫漠としたシンセサウンドという点では、Klaus Schulzeの作風にも通じるのだが、
曲によってはギターも加わって、やはりクリムゾン風味になる。殺伐とした叙情が楽しめる好作品。
ドラマティック度・・6 プログレ度・・7 エレクトロ度・・8 総合・・7.5
Amazon.co.jpで詳細を見る


Richard Pinhas 「dww」
フランスのミュージシャン、リシャール・ピナスの1992年作
HELDONで知られるミュージャン。ソロとしては10年ぶりとなる6作目で、エレクトロなシンセに打ち込みのリズム、
ディレイのかかったギターのトーンを乗せて、モダンな空間性を描くようなサウンドは、かつての作品の延長上のもの。
シーケンサーとシンセをメインにしたところは、Klaus Schulzeのような涼やかな空気感であるが、
キャッチーなフレーズのリフレインなどは、ある意味ポップでもある。ジャケも含めて近未来的なサイバーな世界観と、
デジタルやテクノ要素を内包しながら、どこか人間的な暖かみと内省的な叙情を感じさせるのは、ピナスならでは。
クラシカルな優雅さに包まれたシンフォニックなナンバーもあり、オールインストながらもスケールを感じさせる逸品だ。
ドラマティック度・・7 プログレ度・・7 エレクトロ度・・8 総合・・8 過去作のレビューはこちら
Amazonで購入する


I

iBiO「CUEVAS DE ALTAMIRA」
スペインのプログレバンド、イビオの1978作
先史時代の壁画が残るスペインにある「アルタミラ洞窟」をコンセプトとしたアルバム。
ソリーナ、メロトロンなどの美しいシンセとアコースティックギター、そしてスペイン語の歌唱による
シンフォニックサウンドで、繊細な音の中にはイタリアンロックにも通じる叙情性がある。
たおやかなピアノにかぶさる泣きのギターや、軽やかなジャズロック風味もあり、
全体的にインパクトや派手さはさほどないもののじっくりと聴け、飽きさせない作品だ。
スペイン臭さも薄いので初心者にも勧められる。なおバンドは2006年に28年ぶりとなる2ndを発表。
メロディアス度・・8 叙情度・・8 スペイン度・・8 総合・・8
Amazon.co.jp で詳細を見る

iBiOEl Regreso
スペインのプログレバンド、イビオの2006年作
1978年に「アルタミラ洞窟」という傑作1枚を残して消えたバンドの復活作。
メロウなギターワークと美しいシンセアレンジで聴かせるサウンドは、
70年代的ないくぶんの野暮ったさとスペインらしい叙情性にあふれており、
かつてを思わせる幻想的な世界観にファンは納得だろう。牧歌的なコーラスや
バグパイプ、チェロなどの音色も含みつつ、メロディにはキャッチーな可愛らしさもあり
シンフォニックロックとしても充分楽しめる。ラストは“Cuevas de Altamira”のリメイク。
メロディック度・・8 プログレ度・・8 スパニッシュ度・・8 総合・・8
Amazon.co.jp で詳細を見る


ICEBERG「Sentiments」
スペインのジャズロックバンド、イセベルグの3rd。1977作
基本はテクニカルなジャズロックだが、軽やかにたたみかける演奏の中にも
美しいシンセと泣きのギターがたっぷりとちりばめられたサウンドは、
シンフォニックですらある。歌がないせいもあってかスペイン臭さはあまりなく、
哀愁のメロディを奏でるギターは、ときにまるでセバスチャン・ハーディのようだし、
たおやかなピアノとプログレ的なシンセワークを使い分けるKey奏者のセンスもかなりのもの。
ジャケは不気味だが、内容はシンフォニック・プログレ・ジャズロックの傑作といえる。
メロディアス度・・8 プログレ度・・8 ジャズロック度・・8 総合・・8
Amazon.co.jp で詳細を見る


IRIS 「Crossing the Desert」
フランスのシンフォニックロック、イリスの1996年作
ARRAKEENのギタリストとMarillionのピート・トレワヴァス、イワン・モズレーによるバンド。
ハケットばりのメロウなギターワークを中心に聞かせるインストによるシンフォニックロック。
うるさすぎないシンセアレンジとともに、躍動するリズム隊がハードなアンサンブルを描いてゆく。
一方では、随所に繊細な叙情も含んでいて、適度にモダンなアレンジで楽しめる好作品だ。
メロディック度・・8 プログレ度・・7 泣きのギター度・・9 総合・・8
Amazon.co.jpで詳細を見る


ITOIZ
スペインの叙情派ロックバンド、イトイスの1976年作
オルガンを含む美しいシンセアレンジにフルートの音色、そしてバスク語によるやわらかな歌声で、
しっとりと聴かせるサウンド。いわば70年代ブリティッシュロックのバスク解釈というような聴き心地で、
多くの叙情派に愛好されるべき質の高さがある。メロディには人懐こいキャッチーさがあって、
耳疲れしないあくまで繊細な作風。随所にメロウなギターもよろしく、GOTICなどを好む方にも聴いていただきたい好作です。
メロディアス度・・8 プログレ度・・7 バスクの魂度・・8 総合・・8
Amazon.co.jpで詳細を見る

ITOIZ「EZEKIEL」
スペインのメロデッィクロック、イトイスの2nd。1980年作
1stはハモンドオルガンを多用したシンフォニック・プログレの感触に近い作風だったが、
続くこの2ndでは、サックスやフルートが加わり、いくぶんジャズロック的な印象が増している。
独特の哀愁の叙情派はそのままで、アコースティックギターややわらかなヴォーカルの歌声には
都会をはなれた素朴な温かみを感じる。これこそがバスクのロックということなのだろう。
ピアノやオルガンによる美しいアレンジに、アンサンブル的にもまとまりがあり、
プログレとして楽しむこともできる。優雅な耳心地で聴き疲れしない好作品である。
メロディアス度・・8 プログレ度・・6 やわらかな叙情度・・8 総合・・8
Amazon.co.jp で詳細を見る

ITOIZ 「Alkolea」
スペインの叙情派ロックバンド、イトイスの3rd。1982作
アコースティックギターに、美しいピアノの音色、サックスも絡みつつ
スペイン語の歌声とともに素朴な叙情を聴かせるサウンド。
代表作とされる2nd「EZEKIEL」よりもさらに洗練された小曲が光る。
どこかイタリアのバンドのようなやわらかな味わいも魅力だ。
メロディアス度・・8 プログレ度・・7 やわらかな叙情度・・9 総合・・8
Amazon.co.jp で詳細を見る



ITOIZ 「...EREMUKO DUNEN ATZETIK DABIL」
スペインの叙情派ロックバンド、イトイスのライブ作品。1987年作
ポップに洗練された85年以降の作品からの曲を中心にしたライブで、
プログレというよりはノリのよい軽快なメロディックロックという趣であるが、
キャッチーなメロディとバスク語の歌声を含めて、随所に覗かせる叙情性はやはりこのバンドならではだろう。
3〜5分台の楽曲を中心に、安定した演奏力でコンパクトに聴かせるポップなスパニッシュロック。音質も良好です。
メロディアス度・・8 プログレ度・・6 ライブ演奏度・・8 総合・・7.5
Amazon.co.jpで詳細を見る


ITZIAR
スペインのプログレ・トラッドバンド、イツィァールの1978年作
ケルト/トラッド音楽が盛んなバスク地方のバンドで、これが唯一のアルバム。
アコースティックギター、フルートを中心に、うっすらとしたシンセが重なり、
そこに絶品の美しさの女性ヴォーカルが幻想的な歌声を乗せる。
ドラムのリズムが加わるとプログレとしても聴け、ジャケのようなしっとりとした夜の情感を楽しめる。
数曲で男性Voが入るのが気に入らないが、女性Voものスパニッシュトラッドとしては屈指の作品だ。
アコースティカル度・・8 プログレ度・・7 女性Vo度・・8 総合・・7.5
Amazon.co.jp で詳細を見る


IZUKAITZ
スペインのトラッドバンド、イスカイスの1978年作
ITZIARなどと同様バスク地方出身のバンドで、アコースティックギターとマンドリンの素朴な音色に、
女性ヴォーカルの歌声で聴かせる牧歌的なフォークサウンド。ホイッスルやフルート、ヴァイオリンが
やわらかに響きつつ、随所にシンセも使っていて、いくぶんプログレ的な味わいもある。
途中、男性ヴォーカルも加わって、男女Voのゆったりとした耳心地でまどろめる。
アコースティカル度・・8 プログレ度・・7 女性Vo度・・7 総合・・7.5
Amazon.co.jp で詳細を見る Amazon.MP3




Jean-Claude Vincent 「Lettre Au Passe」
フランスのフォークロック、ジャン・クラウデ・ヴィンセントの1977年作
ジャケのイメージはいかにもプログレ的なのだが、サウンドの方は、わりと派手やかなシンセに
フランス語によるシアトリカルなヴォーカルを乗せた、素朴でキャッチーなフォークロック。
Angeのクリスチャン・デカンが楽曲を手掛け、自身もシンセやピアノ、チェロなどで参加していて、
なるほど、演劇的な雰囲気はアンジュをフォークロック化したようなイメージでもある。
12弦ギターのつまびきに、やわらかなフルート、シンセが重なる繊細な叙情も耳心地が良く、
曲によっては女性ヴォーカルの歌声も加わって、男女Voによる優美な味わいも楽しめる。
ドラムやシンセも入るので、普通にプログレとしても聴ける。フレンチらしい優雅さを封入した好作品♪
プログレ度・・7 優雅度・・8 フレンチ度・・9 総合・・8
Amazonで購入する

JEAN-LUC PAYSSAN Pierrots & Arlequins」
フランスのミュージシャン、ジャン・ルーク・パイサンの2006年作
MINIMUM VITAL、VITAL DUOでも活躍するミュージシャンで、クラシックギターの典雅なつまびきに、
フランス語による男女ヴォーカルを乗せた、中世の宮廷音楽風のアコースティックサウンドを聴かせる。
シターン、テオルド、マンドリンなど古楽器による優美な旋律に、ゲストのヴァイオリンも加わって、
クラシカルな格調高さと優しい耳心地に包まれる。1〜4分前後の小曲を主体にした優雅な作品です。
アコースティック度・8 プログレ度・7 典雅度・9 総合・8
Amazonで購入する



Jean Michel Jarre 「Oxygene」
フランスのミュージシャン、ジャン・ミッシェル・ジャールの1976年作
フランスを代表する電子音楽系アーティストで、アナログシンセの重ねによって、
クラウス・シュルツェにも通じるような幻想的なシンセミュージックを聴かせる。
スペイシーでときにシンフォニックなシンセサウンドは、エレクトロな雰囲気もありながら、、
フランスらしいどこか優雅な翳りを帯びた感触で、ゆったりとその音に浸ることができる。
シーケンサーによるリズムも加わったキャッチーな部分もあって、全体的にもさほどダークでもないので、
シュルツェやタンジェリン・ドリームの作品に比べても、わりと聴きやすいかもしれない。
ドラマティック度・・7 ロック度・・3 幻想度・・8 総合・・8
Amazonで購入する

JEAN-MICHEL JARRE 「EQUINOXE」
フランスのミュージシャン、ジャン・ミッシェル・ジャールの1978年作/邦題「軌跡」
フランスを代表する電子音楽系アーティストで、本作は彼の代表作とされる作品。
8パートに分かれた構成でも美しいシンセの重ねをメインに、Tangerine Dreamにも通じる
スペイシーなサウンドを描いてゆく。ダークな雰囲気がないので、幻想的な透明感に包まれていて
Klaus Schulzeの「Mirage」あたりにも通じる、優雅な聴き心地が楽しめる。リズムの入ったナンバーは、
キャッチーなシンセポップ風味もあって、シンセミュージックの初心者にも薦められる好作品だ。
ドラマティック度・・7 幻想度・・8 シンセ度・・9 総合・・8 
Amazonで購入する


Jean Michel Jarre 「Oxygene 7-13」
ジャン・ミッシェル・ジャールの1997年作
1976年作の続編であるが、デジタルシンセによるエレクトロな感触が強まっていて、
リフレンされるシンセサウンドは、同時期のクラウス・シュルツェにも通じる作風である。
打ち込みによるリズムがモダンなビート感をかもしだし、90年代的なデジタル感に包まれつつ、
随所にクラシカルで優雅な雰囲気や、スペイシーで幻想的な味わいも残されていて、それなりに楽しめる。
このシリーズが、ジャンの代表作なのだろう。2016年には、さらなる続編となる 「Oxygene3」発表する。
ドラマティック度・・7 ロック度・・3 幻想度・・7 総合・・7.5
Amazonで購入する



Jean Pascal Boffo「Jeux de Nains」
フランスのミュージシャン、ジャン・パスカル・ボフォの1st。1986作
童話的なジャケ通りの、繊細かつたおやかなサウンドを聴かせるボフォ。
アルバムとしては2ndCarillonsの絶品のメロディアスさが白眉だが、
このデビュー作では、さらに純粋でアコースティカルなサウンドを聴かせる。
エレキギターの叙情的なフレーズにうっすらとかぶさるシンセも嫌味がなく
オーストリアのGANDALFあたりにも通じる耳に優しい音が広がる。
メロディアス度・・8 シンフォニック度・・7 たおやか度・・9 総合・・7.5
Amazon.co.jp で詳細を見る

JEAN PASCAL BOFFO「Carillons」
フランスのギタリスト、ジャン・パスカル・ボフォの1987年作
このファンタジックなジャケからして惹かれるものがあるが、サウンドの方も素晴らしい。
まるで、Steve Hackettの叙情性とGANDALFの幻想性を合わせたような傑作である。
メロウなギターを中心にしたインストサウンドは、爽やかにしてファンタジックな聴き心地で、
どこを切っても優しい叙情にあふれている。メロディ派のリスナーは必聴ですな。
1stの素朴さも捨てがたいが、完成度の点では、やはり本作が彼の最高傑作だろう。
メロディック度・・9 プログレ度・・7 ファンタジック度・・9 総合・・8.5
Amazon.co.jpで詳細を見る

JEAN PASCAL BOFFO「Rituel」
フランスのギタリスト、ジャン・パスカル・ボフォの1988/1991年作
フランスのハケットというべきアーティスト。本作ではフルートやヴァイオリン、クラリネットなど、管弦楽器を含んだ
クラシカルなサウンドになっている。持ち味である繊細な美意識とよりアーティスティックな構築センスで、
ロック色の薄いしっとりとした作風は、幻想的な世界観も含めてGANDALFなどにも通じるかもしれない。
前作のような分かりやすいメロディックなギターフレーズを聴かせるところが少ないのでインパクトは弱いかもしれないが、
アコースティカルな要素も含めて、ヨーロピアンな情緒と繊細な優雅さにじっくりと浸れる好作品である。
メロディック度・・9 クラシカル度・・8 ファンタジック度・・7 総合・・8
Amazon.co.jpで詳細を見る

Jean-Pascal Boffo 「Nomades」
フランスのギタリスト、ジャン・パスカル・ボフォの1993年作
1986年にデビュー、初期の3作までは幻想的なシンフォニックロックというべき作風であったが、
本作ではアコースティックな繊細さとともに内省的な素朴さを強め、ヴァイオリンが鳴り響き、
パーカッションなども加わった、アラビックでオリエンタルな空気感を描いている。
サックスの音色が大人の哀愁を感じさせつつ、メロウなギターが加わった優雅な感触は、
さすがのセンスである。民族的なトラッド質感と適度なプログレ感覚を同居させながら、
落ち着いた味わいの叙情を描く、自然体で作られた好作品といえる。
メロディック度・・7 プログレ度・・7 大人の叙情度・・8 総合・・7.5
Amazon.co.jpで詳細を見る

jean pascal boffo 「Vu Du Ciel」
フランスのミュージシャン、ジャン・パスカル・ボフォの2001年作
80年代から活動するアーティストで、その精細な作風は「フランスのハケット」と呼びたくなるほど。
アコースティカルな素朴さを含んだ自身のメロウなギターワークを中心に、
うるさすぎないドラムとベースによるアンサンブルで、随所にフルートやサックスも加わった
やわらかな叙情性に包まれたサウンド。エレギターによる泣きの旋律はハケットかラティマーかという
繊細で優雅なセンスに溢れていて、メロディにはケルティックな民族的テイストも覗かせ、
ときに女性声によるスキャットなども入ってくる。やわらかな美意識とうっとりと浸れる好作品です。
メロディック度・・8 繊細度・・9 叙情度・・9 総合・・8
Amazon.co.jpで詳細を見る

JEAN PASCAL BOFFO「Offrande」
フランスのギタリスト、ジャン・パスカル・ボフォの2006年作
80年代から活動するアーティストで、「フランスのハケット」というべき繊細な作風が魅力のギタリスト。
本作では優美なギターの調べにサックスを重ねた、典雅なアコースティックサウンドを聴かせる。
ドラムが入る分、ロック的な躍動感あるアンサンブルで、エレキギターも加えたメロウな叙情性は、
初期からのファンにも楽しめる内容だろう。今作ではギター以上にサックスが前に出ているので、
繊細なジャズロック的な味わいもありつつ、アルバム後半には泣きのギターをたっぷり乗せた
叙情ナンバーにウットリ。オールインストなので、優雅なBGMとしてもよいですな。
ドラマティック度・・7 プログレ度・・7 優雅度・・8 総合・・8 
Amazonで購入する


Jean-Paul Prat 「MASAL」
フランスのミュージシャン、ジャンポール・プラットのソロ。1982年作
MAGMAに影響を受け70年代より活躍するマルチミュージシャンで、本作は42分の大曲を中心にした大胆な構成。
手数の多いドラムに、わりとハードなギター、サックス、トランペット、ホルン、フルートといった管楽器が絡んで、
いかにも怪しげで大仰なジャズロックを描いてゆく。まさにMAGMAを思わせるダークな世界観と重厚な演奏で、
プラット氏のドラムもクリスチャン・ヴァンデ並みに叩きまくっている。優雅なピアノが響くゆったりとしたパートから、
ときに3本のギターが重なり、ブラスセクションを加えたぶ厚いアンサンブルで、ダイナミックに構築されるサウンドは圧巻だ。
MAGMAファンならずとも圧倒されるスケール感に包まれた異色の力作である。CD化に際し、1985年に録音された15分、9分の大曲と、
1990年録音の2曲をボーナストラックとして追加されている。こちらは、もう少しソフトなプログレジャズロックである。
ドラマティック度・・8 プログレ度・・8 重厚度・・9 総合・・8
Amazon.co.jpで詳細を見る

Jean-Pierre ALARCEN「TABLEAU N 1 + Same」
フランスのSANDROSEのギタリスト、ジャン・ピエール・アラルサンのソロ作。1978/1979年作
3つの楽章からなる「タブロウ 1」は本格的なロックシンフォニーになっていて、
自身のギターをモチーフにしながらオーケストラ風にアレンジされた壮大な組曲。
クラシカルでシリアスな緊張感は英国のTHE ENIDなどに通じるものを感じさせる。
3曲目以降は1stソロ作の曲で、こちらはギターを中心としたジャジーなロックアンサンブル。
どちらもクラシックに裏打ちされたジャンのギターワークが堪能できる逸品。
シンフォニック度・・8 プログレ度・・7 クラシカル度・・9 総合・・8
Amazon.co.jp で詳細を見る

JEAN PIERRE ALARCEN「TABLEAU 2」
サンドローズのギタリスト、J.P.アラルサンのソロ。1998作。
全5曲75分という長大作。ギタリストのくせに楽曲にはギターは使用されておらず、
おそらくリズムも打ち込み。ピアノ、キーボード、オーケストラのみのシリアスな音像。
一聴したところでは、まるで雄大な映画サントラか、純クラシック作品のようだが、
静寂パートからやがてゆるやかに押し寄せるダイナミズムには
荘厳なる孤高さがあり、英国のENIDを思わせる部分もある。
シンフォニック度・・8 クラシカル度・・9 静謐度・・8 総合・・7
Amazonで購入する


JEAN YVES TOURBIN 「Gayan」
フランスのアーティスト、ジャン・イヴェス・トールビンの1981年作
デンマークで録音したという本作は、80年代アシッド・サイケ・フォークの隠れた傑作とされる。
アコースティックギターに、パーカッションのリズム、フルートの音色、フランス語の男性ヴォーカルが、
素朴な牧歌性とともに、どこか妖しげな香りをかもしだす。やはり英国のフォークバンドとは異なる
辺境的なミステリアスさを漂わせていて、随所にアラビックな雰囲気も感じさせたり、一方では、
ハープやヴァイオリンなどの優雅な叙情は中世音楽的でもある。まさに異色のアシッドフォーク作品。
アコースティカル度・・8 妖しげ度・・8 素朴度・・8 総合・・7.5


Jose Carballido「Requiem」
スペインのギタリスト、ホセ・カルバリドの2010年作
人間の生死をテーマにしたCD2枚組のコンセプト作で、いくぶんメタル色もあるハードめのギターに
オルガンやフルートが鳴り響く、イタリアンヘヴィプログレ的な雰囲気で始まり、濃密に聴かせる。
男女8名の混成コーラスが荘厳に響き渡り、オペラティックなドラマ性を描いてゆくスケール感とともに
メタル的なドラムにギター、スペイン語の男性ヴォーカルが加わると、シンフォニックメタル的な感触にもなる。
フルートが大活躍の優雅な叙情と、演劇的な構成で流れをつむぐ、オペラティック・ハードシンフォの力作。
ドラマティック度・・8 プログレ度・・7 壮大度・・9 総合・・8
Amazonで購入する





KFK (Kant Freud Kafka) 「No tengas miedo」
スペインのプログレユニット、カント・フロイト・カフカの2014年作
マルチプレイヤー、Javi Herreraによるプロジェクトで、多重シンセによるシンフォニックな感触と、
メロウなギターワークに、オルガンやムーグなどのプログレ要素が合わさったサウンドで、
繊細なピアノの旋律にヴァイオリンが鳴り響く、クラシカルな優雅さはThe Enidのようでもある。
派手な盛り上がりやテクニカルなプログレ性は希薄ながら、やわらかなフルートやオーボエの音色に、
チェロやヴィオラなどのストリングスの美しさ、泣きの叙情ギターなど、繊細な美意識に包まれた作風で
全体的には上品な味わいであるが、一方ではわりとハードなギターも含んだパートなどもあったりして、
なかなか油断ができない。12分、16分という大曲も、ゆるやかな展開であくまで優雅に構築する。
クラシカル度・・9 プログレ度・・7 繊細で優雅度・・9 総合・・8
Amazon.co.jpで詳細を見る

KANT FREUD KAFKA 「Onirico」
スペインのシンフォニックロック、カント・フロイト・カフカの2017年作
マルチプレイヤー、Javi Herreraによるプロジェクトで、前作はクラシカルな優雅さが際立った好作であったが、
今作も優美なピアノにムーグシンセが重なり、やわらかなオーボエの音色とメロウなギターがゆったりと奏でる、
繊細な美意識に包まれたシンフォニックロックを展開。静かな叙情パートから、ドラムを加えたロックのダイナミズムで、
メリハリに富んだ展開美を聴かせる。クラシック的な構築性という点では、KOTEBELあたりにも通じるだろう。
ヴァイオリンやチェロのストリングスとピアノのつまびきに、男女ヴォーカルを乗せたアリアのような小曲から、
11分におよぶプログレ大曲もスパニッシュな味わいを含みつつ、あくまで優雅でクラシカルな味わいだ。
クラシカル度・・9 プログレ度・・8 優雅度・・9 総合・・8
Amazonで購入する


KC 「Les Chants De Maldoror」
フランスのプログレバンド、KCの2004年作
バンド名がキング・クリムゾンの略称みたいであるが、サウンドの方はツインギターが鳴り響き、
ミステリアスかつ重厚な緊迫感に包まれたインストプログレで、モダンなアレンジを取り入れた感触は
なるほど90年代クリムゾン的といえなくもない。全6曲すべてが10分超の大曲で、オールインストであるので
正直、盛り上がりに欠けるし、バランス的にはギターの音が前に出すぎていて、やや耳疲れがするのだが
エレクトロな感触も取り入れながら構築されるハードプログレは、なかなか個性的で面白い。
ドラマティック度・・7 モダンプログレ度・・8 ツインギター度・・8 総合・・7
Amazon.co.jpで詳細を見る



KOTEBEL「STRUCTURES」
ヴェネズエラ出身、スペインのシンフォニックバンド、コテベルの1st。1999作
全編インストで、繊細できらびやかなシンセを中心としたしっとり系のシンフォサウンド。
フルートもかなりの頻度で活躍しており、CAMELの美しい部分を抽出したような印象。
楽曲は壮大な盛り上がりがあるわけではなく、比較的おとなしめなので、
聞き疲れすることはないが、熱情派シンフォファンにはやや物足りないか。
しっとりゆるやかシンフォが好きな方にはお薦めできる。
シンフォニック度・・8 しっとり度・・9 楽曲・・7 総合・・7.5
Amazon.co.jp で詳細を見る


KOTEBEL「MYSTICAE VISIONES」
ベネズエラ出身、現在はスペイン在住という、コテベルの2nd。
本作は35分の大曲をメインに、美しいピアノ、たおやかなフルート、チェロなどによる
クラシカルな静寂感から、キーボードによるTHE ENIDばりのシンフォニックパートまで
流れるような構成が見事。シリアスでありながら硬質感はなく、女性スキャットを用いたり、
アコースティックの温かみを感じさせてくれるパートもあり、しっとりと聴ける。
シンフォニック度・・8 クラシカル度・・8 しっとりたおやか度・・9 総合・・8
Amazon.co.jp で詳細を見る



KOTEBEL「FRAGMENTS OF LIGHT」
ヴェネズエラ出身、スペイン在住のシンフォニックロックバンド、コテベルの3rd。2003年作
美しいピアノ、キーボードに、フルートが舞い、そこに女性ソプラノがスキャットを載せると不思議な浮遊感が感じられ、
インストメインでありながらも音にはかすかな緊張感がある。とくに、何に似ているというバンドはないが、PFME&LP
それにTHE ENIDあたりのシリアスさを再構築して煮詰めたという印象か。クラシックギターの音色が異国情緒をかもしだしている。
ときにCAMELにも通じるような軽快な叙情と、THE ENIDばりの繊細なシンフォニック性をも垣間見せる、
シリアスな感触にしっとりとした叙情美を併せ持った、見事なクラシカル・シンフォプログレ作品です。
シンフォニック度・・8 クラシカル度・・8 シリアス度・・9 総合・・8
Amazon.co.jp で詳細を見る


KOTEBEL「Omphalos」
スペイン在住のシンフォニックロックバンド、コテベルの4th。2006作
美しいピアノにオペラティックな女性ヴォーカル、やわらかなフルートにかぶさるメロトロン、気品すらあるクラシカルな雰囲気と、
シリアスな静謐感が一体となり、かつてのイタリアンロックにあったような懐の深さも感じさせる。たおやかで格調高いクラシカルシンフォ。
フルートが舞う躍動的でメロディアスな部分は、CAMELFOCUSをも思わせ、ときに嫌味でない程度に弾き鳴らされるキーボード、
そしてメロウなギターワークも聴きもので、ゲストによるチェロも加わってゆるやかに盛り上がってゆく30分の組曲などはじつに圧巻だ。
この手のクラシカルシンフォとしてはうるさすぎない、見事に調和のとれたサウンドが光る大傑作!
シンフォニック度・・8 プログレ度・・8 クラシカル度・・9 総合・・8.5
Amazon.co.jp で詳細を見る

Kotebel 「Ouroboros」
スペインのシンフォニックロックバンド、コテベルの2009年作
本作は「死と再生」、「不老不死」の象徴であるウロボロス(尾を飲み込む蛇)をテーマによりシリアスさを増した力作となった。
軽やかなアンサンブルを聴かせる1曲目は序の口で、続く16分のタイトル組曲は、彼らのクラシカルな構築センスが発揮される
圧巻の出来。キレのよい変拍子を叩き出す鉄壁のリズム隊に、クラシカルなピアノ、シンセワークと
メロウなギターワークが重なり、螺旋を描くように絡みながらサウンドを織り上げてゆく。
シリアスな硬質感の中にもメロディの美しさがあるので、オールインストであっても飽きずに楽しめるし、
このシンセを来日公演で見たあの美女奏者が弾いていると思うだけでも聴き入ってしまう。笑
構築型のクラシカルシンフォとしては世界最高レベルの完成度である。
クラシカル度・・8 プログレ度・・8 構築度・・9 総合・・8.5
Amazon.co.jp で詳細を見る

KOTEBEL「Concerto for Piano & Electric Ensemble」
スペインのシンフォニックロック、コテベルの2011年作
前作「Ouroboros」は素晴らしい完成度の傑作であったが、6作目となる本作はタイトル通りグランドピアノ含んだ
43分におよぶ長大な組曲で幕を上げる。一聴してクリムゾン風でもあるヘヴィプログレ的なアンサンブルに、
クラシカルなピアノがかぶさり、テクニカルかつ優雅なサウンドを構築。適度にアヴァンギャルドなセンスは
チェンバーロック風でもあり、巧みな演奏力による緊張感と、ただようミステリアスな空気感も素晴らしい。
アコースティックギター、スパニッシュギターとピアノが合わさる繊細なパートも説得力十分で、
音楽家としての磨かれた技量と美意識がスリリングなサウンドとなって耳に広がってゆく。
たんなるクラシカル・プログレの壁を突き破りそうな、音楽としての芸術性が垣間見える大傑作だ。
クラシカル度・・9 プログレ度・・8 構築センス・・9 総合・・8.5
Amazon.co.jpで詳細を見る

KOTEBEL 「Live at Prog-Resiste 2013」
スペインのシンフォニックロック、コテベルのライブ。2016年作
1999年にデビュー、クラシカルな美意識を追及したサウンドで見事な傑作を作り続けるこのバンド、
本作は2013年ベルギーでのライブを2CDに収録。2003年作「FRAGMENTS OF LIGHT」からのナンバーで幕を開け、
女性シンセ奏者を含むツインキーボードによるシンフォニック性と、変拍子を多用した巧みなアンサンブルで、
クラシカルな美意識に包まれた格調高いインストサウンドを構築。濃密でありながら流麗な美しさという点では、
THE ENIDANGLAGARDが合体したような感触か。2011年作「Concerto for Piano & Electric Ensemble」からの
43分におよぶ長大な組曲の再現も圧巻で、クラシカル化したクリムゾンというべきスリリングで優美なサウンドに聴き惚れる。
Disc2には、2009年作「Ouroboros」からのナンバーに、ボーナストラックとして、2007年、2011年のライブ音源も収録。
クラシカル度・・9 プログレ度・・8 ライブ演奏・・8 総合・・8.5 
Amazonで購入する

KOTEBEL 「COSMOLOGY」
スペインのシンフォニックロック、コテベルの2017年作
ライブ作品を挟んで、7作目となるスタジオアルバムで、美しいフルートの音色にツインキーボードが重なり、
壮麗なシンフォニック性に包まれつつ、今作ではタイトルのようなスペイシーなミステリアス性も感じさせる。
ときに日本のKENSOにも通じる軽妙なアンサンブルで、起伏に富んだ構築力と知的なセンスで、
優雅なインストサウンドを描いてゆく。ハイライトである32分を超えるタイトル組曲も、従来のクラシカルな優美さに
フルートが鳴り響く繊細な叙情性も含ませながら、どことなく日本的な情感を匂わせているのが特徴的だ。
クリムゾン的でもある緻密なアンサンブルを、シンフォニックロックとしての端麗な味わいに溶け込ませる作風は、
まさに円熟の域にまで到達している。オールインストでここまでの構築性を描けるバンドというのはなかなかいない。
クラシカル度・・8 プログレ度・・8 優雅な叙情度・・9 総合・・8
Amazonで購入する



Labanda 「no todo es Seda」
スペインのトラッド・フォーク、ラバンダの1995年作
牧歌的なアコーディオンの音色にアコースティックギター、ヴァイオリンなどが絡み、
スペイン語のヴォーカルが歌を乗せる、素朴なフォークロックサウンド。
ドラムやシンセ、随所にエレキギターも使っているので、Amarokあたりにも通じる
プログレ風味のあるトラッドロックとしても楽しめる。やわらかなフルートの音色も耳に優しい。
スパニッシュな哀愁を感じさせる、おおらかな叙情性に包まれた好作品です。
トラッドロック度・・8 プログレ度・・7 スパニッシュ度・・8 総合・・7.5
Amazon.co.jpで詳細を見る



Lard Free「III」
フランスのアヴァンロック、ラード・フリーの1977年作
のちにアーバン・サックスを結成する、ジルベール・アルマンを中心にしたユニットで、本作は3作目にして最終作。
前半は17分という大曲で、うっすらとしたシンセのリフレンにギターが鳴り響く、サイケな浮遊感に包まれた
フリーキーなアヴァンロックを聴かせる。FAUSTAMON DUULといったジャーマンロック系の混沌とはまた異なる、
フレンチらしい優雅な感触は、ジャズなどの素養も含んだセンスなのだろう。後半も、17分の4部構成の組曲となっていて、
反復するドラムのリズムにギターのリフレインを重ね、ヴィブラフォンの響きや不協和音的なピアノも加わって、
チェンバーとフリージャズの中間のような、スリリングな怪しさに覆われる。クラリネットの音色もどこか恐ろしげだ。
ロック度・・6 ジャズ度・・7 アヴァンギャル度・・8 総合・・7.5
Amazonで購入する


La Soupe aux Trolls 「Lai lai lai oi」
フランスのプログレ・フォークロック、ラ・ソープ・オ・トロルスの2010年作
アコーディオンやフルートの音色に男女ヴォーカルのフランス語の歌声を乗せた、
優雅で牧歌的なフォークロックサウンド。ロック的なギターとドラムが入るので、
わりとフォークメタル的な感触もあって、ジャケのイメージよりもずっと聴きやすい。
一方では、とぼけた味わいのサイケフォーク的なユルさも混在しているが、
フルートなどのケルティックな旋律も、わりとしっかりしていて、アコースティックの演奏力もちゃんとある。
キャッチーなノリの良さとフレンチらしい優雅さが合わさった、フォークロックの好作品。
ドラマティック度・・7 プログレ度・・6 優雅度・・8 総合・・7.5

LAST KNIGHT 「SEVEN DEADLY SINS」
スペインのミュージシャン、ホセ・マヌエル・メディナによるプロジェクト、ラスト・ナイトの2019年作
復活MANDALABANDのメンバーでもあるミュージシャンで、本作はダンテの「神曲」をテーマにしたコンセプト作。
SOFT MACHINE LEGACYのテオ・トラヴィス、IT BITES、ARENAのジョン・ミッチェル、BLUE OYSTER CULTのリッチー・カステラーノなどが参加、
オーケストラルなアレンジに、オルガンやメロトロンを含むシンセ、叙情的なギターにマイルドなヴォーカルを乗せて、
優美なシンフォプログレを構築する。ロックオペラ的な歌ものパートから、緩急ある展開でドラマ性を描いてゆくところは、
クライブ・ノーランなどにも通じるだろう。ほとんどが10分前後の大曲で、長い割にはインパクトのある盛り上がりは、
さほどないのだが、ラスト曲でリフレインされる泣きのギターには、シンフォニックロック好きにはニヤリだろう。
ドラマティック度・8 プログレ度・7 優美度・8 総合・7.5
Amazonで購入する

LAURENT THIBAULT 「Mais on Ne Peut Pas Rever Tout Le Temps」
フランスのミュージシャン、ローラン・ティボーの1978年作
初期のMAGMAにも参加したベーシストで、本作はアンリ・ルソーの絵画を用いた美しいジャケに目を引かれる唯一のソロ作品。
デヴィッド・ローズがヴァイオリンで参加、NATIONAL HEALTHのアマンダ・パーソンズによる美しいソプラノヴォーカルに
優美なアコースティックギター、うっすらとしたシンセにヴァイオリンが絡み、幻想的なジャズロックサウンドを聴かせる。
軽やかなアンサンブルに男女コーラスを乗せた、MAGMAに通じるミステリアスな空気感と優雅な牧歌性が合わさって、
ほどよくエキセントリックな雰囲気も覗かせつつ、さほどテクニカルにはならないやわらかな味わいが特徴的だ。
マグマに比べると薄味なのでインパクトはさほどないが、フランスらしい優雅なジャズロックが楽しめる好作品だ。
ドラマティック度・・7 プログレ度・・7 優雅度・・8 総合・・7.5
Amazonで購入する


LAZULI 「En Avant Doute」
フランスのポストプログレ、ラズリの2006年作
やわらかなフランス語の歌声に、モダンなシンセやストリングスによるアレンジを乗せて、
薄暗い叙情を描く、ポーキュパイン系サウンドのフランス版という雰囲気という聴き心地。
メロディックロックとしてのキャッチーなノリも含みつつ、ポップとまではいかないという絶妙さと
フランス語のヴォーカルが優雅な味わいになっていて、新しさはないのにどこか新鮮な感じの作風である。
ベースに聴こえるのはレオーデという独自の楽器で、ウォーギターを使用していたりと個性的な編成も面白い。
精細な叙情と適度にハードなダイナミズムを同居させた、モダン系ポストプログレの好作品。
ドラマティック度・・7 プログレ度・・7 叙情度・・8 総合・・7.5
Amazonで購入する

LAZULI 「Tant Que L'herbe Est Grasse」
フランスのプログレバンド、ラズリの2014年作
90年代から活動していたキャリアのあるバンドで、本作はおそらく6作目となる。
美麗なシンセアレンジにフランス語のヴォーカルを乗せ、エレクトロでモダンなアレンジに包まれた、
ポストプログレ寄りのサウンド。シンセの音も出せるという独自の弦楽器「Leode」奏者を含む編成も面白いが、
適度にハードなギターも加わって薄暗い叙情を描くところは、Porcupine Treeのフランス版というような感じもある。
一方では、オルガンが鳴り響くプログレ感触やキャッチーな抜けの良さも垣間見せ、メロウなギターフレーズを重ねた
シンフォニックロックとしての味わいもある。楽曲は長くても6分ほどと比較的コンパクトで、スリリングな展開はない分、
フランス語の優雅な味わいとともに、繊細や優しさに包まれた大人のモダンプログレとして楽しめる。
ドラマティック度・・7 プログレ度・・7 繊細な叙情度・・8 総合・・8
Amazonで購入する

Lazuli 「Nos Ames Saoules」
フランスのプログレバンド、ラズリの2016年作
90年代から活動するバンドで、本作は7作目となる。繊細なモダンプログレという趣だった前作に続き、
ピアノを含むシンセにフランス語によるやわらかなヴォーカルを乗せた、優雅なポストプログレ・サウンドを聴かせる。
ベースレスであるが、独自の弦楽器レオーデ奏者によるシンセベース的な音色も含んだ浮遊感に包まれた感触で、
美しいシンセに二本のギターも加わった厚みのあるサウンドは、モダンなシンフォニックロックとしても楽しめる。
楽曲は4〜5分前後と、わりとシンプルで濃密になりすぎないところも、スタイリッシュな感覚だろう。翳りのある重厚さと、
涼やかな叙情性、クリアな音質なども、既存のスタイルにとらわれない新たなプログレの音を示している。
ドラマティック度・・8 モダンプログレ度・・8 フレンチ度・・8 総合・・8
Amazonで購入する

LAZULI 「SAISON 8」
フランスのモダンプログレ、ラズリの2018年作
1999年にデビュー、本作は8作目となる。やわらかなシンセにフランス語による歌声を乗せた、
繊細な叙情美に包まれたポストプログレサウンド。ほどよくハードなギターにドラムのリズム、
そして独自の弦楽器レオーデによるシンセベース風の音色を重ねた、スタイリッシュなアンサンブルで
モダンな味わいの中にも、翳りを帯びた優雅な空気を描き出すところがフランスのハンドらしい。
楽曲は5〜6分前後と、派手な展開はないものの、ピアノを含むシンセやレオーデの音色が重なった
クラシカルな美意識とともに、Sylvanのような優美なポストプログレとしても楽しめる好作品だ。
スタイリッシュ度・・8 プログレ度・・7 優美度・・8 総合・・8 
Amazonで購入する


LE GRAND SBAM 「Le Vaisseau Monde」
フランスのアヴァンロック、レ・グランド・スバムの2019年作
POILのメンバーに女性シンカー2人とヴィヴラフォン奏者を加えた編成で、軽やかなヴィヴラフォンの音色に
重たいペースとシンセを重ね、2人の女性ヴォーカルが、コバイヤ風のエキセントリックな歌声を乗せる、
アッパーなアヴァンロックを聴かせる。たたみかけるドラムも含めた激しさは、MAGMA的というよりは、
むしろ高円寺百景のフランス版というべきか、ヘヴィなベースとドラムが描く重厚なアンサンブルに、
フリーキーなシンセと女性スキャットが神秘的な空気をかもしだし、スペイシーな異色のサウンドを描きだす。
とっつきはあまりよくないが、女性声とアヴァンロックの組み合わせは好き者にはたまらない。
ドラマティック度・7 アヴァンギャル度・8 高円寺マグマ度・9 総合・8
Amazonで購入する

LE GRAND SBAM 「Furvent」
フランスのアヴァンロック、レ・グランド・スバムの2021年作
2作目の本作は、のっけから18分を超える大曲で、エキセントリックな男女ヴォーカルを変則リズムに乗せて、
優雅なマリンバやシンセとともに、前作の続編というような、異色のアヴァン・ジャズロックを展開する。
前作以上にフリーキーなアンサンブルに拍車がかかり、長尺になった分、ヘンタイ性が薄まった感もあるが、
静かめのパートでも、妖しい女性スキャットに吉田達也(高円寺百景)ばりのドラムがスリリングな空気を描いている。
後半は8パートに分かれた、32分におよぶ組曲で、中国語のような語りを挿入しつつ、よりアヴァンギャルドな作風で
ときにテクニカルにたみかけるところは、POILにも通じる聴き心地だ。ヘンテコと優雅とヘンタイが合致した強力作。
ドラマティック度・7 アヴァンギャル度・9 高円寺マグマ度・8 総合・8
Amazonで購入する


Les Elles 「Siamoises」
フランスのアヴァン・チェンバーロック、レス・エレスの2003年作
1995年にデビュー、本作は3作目。女性Vo、女性チェロ奏者を含む編成で、トランペットやチェロの音色に
フランス語のコケティッシュなヴォーカルを乗せた、エキセントリックなチェンバーロックを聴かせる。
哀愁を感じさせるアコーディオンの音色とともに、キュートな歌声がフレンチらしい優雅さを描き、
オルガンを使ったナンバーなども、艶めいた大人の味わいで、ワインを片手に鑑賞したい。
フランス語の囁きが妖しい小曲や、ポップなビート感のナンバーも、チェロやブラスの音が入ると、
どこかアーティスティックな雰囲気になる。楽曲は3〜4分前後で、さほど難解さはないが、
哀愁とコケティッシュが同居した、ストレンジなフレンチ・チェンバー・ポップというべき逸品だ。
チェンバー度・・7 プログレ度・・7 フレンチ度・・8 総合・・7.5
Amazonで購入する

Loomings 「Everyday Mythology」
フランスのアヴァン・チェンバーロック、ルーミングスの2015年作
YUGEN、EMPTY DAYS、NOT A GOOD SIGN、FACTOR BURZACOなどにも参加するミュージシャン、
Jacopo Costaを中心にしたバンドで、ヴィブラフォンの優雅な音色に、エフェクトのかかった男ヴォーカルに
美しい女性ヴォーカルが絡み、フランスらしいエキセントリックな妖しさと軽妙なアンサンブルで聴かせる。
ミステリアスな静寂感と先の読めない展開も面白く、ときにシアトリカルな演劇性も匂わせながら、
軽やかなユーモアを含んだ聴き心地は、適度にダークながらも重すぎず、さほど難解な感じもしない。
女性ヴォーカルが前に出る部分が多いので、異色のアヴァンロックながらも、全体的には優雅な印象だ。
ドラマティック度・・7 プログレ度・・8 アヴァンギャル度・・8 総合・・8
Amazon.co.jpで詳細を見る




MAGICK BROTHER & MYSTIC SISTER
スペインのサイケロック、マジック・ブラザー・アンド・ミスティック・シスターの2020年作
バンド名からしてGONGからの影響を感じさせるが、サウンドの方も、エレピやオルガンを含むシンセに、
フルートが妖しく鳴り響き、スキャット的な女性ヴォーカルを乗せた、スペイシーな浮遊感に包まれる。
叙情的なギターにンセが重なるあたりは、ときにPINK FLOYD的であるが、神秘的な世界観の一方で、
曲によってはカンタベリー的な優雅な感触も覗かせる。楽曲的には3〜5分前後のものが中心で、
これという展開はないのだが、70年代ルーツのヴィンテージなユルさに心地よく浸れる好作だ。
ドラマティック度・7 プログレ度・7 妖しくサイケ度・8 総合・7.5
Amazonで購入する


MAGMA 「KOBAIA」
フランスのプログレ・ジャズロック、マグマの1970年作
バンドの記念すべき1stで、2枚組のコンセプト大作。当たり前のようにヴォーカルはコバイヤ語で歌っている。
サウンド自体はホーンセクションを含んだファンクな感触の、奇妙なジャズロックという印象で、
のちのアルバムに比べると重厚なスケール感というのは希薄ながら、独特のシアトリカルな妖しさは、
すでに十分マグマらしさを垣間見せている。10分を超える大曲での起伏のある展開と、迫力を増してゆくドラムプレイは
さすがというべきか。むしろ、圧倒される感じがない分、ジャズロックサイドのプログレとしての聴きやすさがある。
フルートが鳴り響き、美しいピアノ、トランペットなどがチェンバーロック的でもある優雅さをかもしだす、
一方で、コバイヤ星をめぐる壮大なSFストーリーが含まれた異色の力作であろう。
ドラマティック度・・8 ジャズロック度・・8 妖しさ度・・8 総合・・8
Amazon.co.jpで詳細を見る

MAGMA 「Mekanik Kommandoh」
マグマの代表作というべき「M.D.K.」のプロトタイプとなる音源で、38分全1曲を収録。
妖しく鳴り響くピアノに演劇的な語りで幕を上げ、男女混声コーラスを乗せて、
重厚かつアヴァンギャルドなジャズロックを展開。音質がややこもり気味のことも含めて、
妖しく野卑な空気感がたちこめている。オルガンの音色などはプログレ的で、完成版に比べると、
スタイリッシュな勢いは薄いが、その分、得体のしれない迫力に包まれている。
ドラマティック度・・8 ジャズロック度・・7 壮大度・・9 総合・・8
Amazon.co.jpで詳細を見る

MAGMA「.M.D.K.」
マグマの1973年作
正式なタイトルは「Mekanik Destructiw Kommandoh」、邦題は「呪われし地球人たちへ」
壮大なコンセプトストーリー「トゥーザムターク」の第三楽章で、マグマの最高作といえば本作だろう。
軽やかなジャズロックを基盤にしながらも、コバイヤ語による呪術的なヴォーカルと男女混声コーラスが、
宇宙的で異色の世界観を形成し、脅迫的に盛り上がってゆくという、そのサウンドには圧倒される。
多くのバンドにも影響を与えたであろう、ブラスの使い方などもサウンドに壮大な効果を与えていて、
チェンバーロック系バンドのような優雅でクラシカルな質感も有している。妖しさとスケール感とアンサンブルの融合…
なにせ文章のみでは解説のしようがない音楽であり、その芸術的な音のうねりに触れていただくのが一番だろう。
個人的には代表作である「ライブ」よりも、こちらの方がコンセプトとしての凄さが分かりやすい。
ドラマティック度・・8 ジャズロック度・・8 壮大度・・10 総合・・9
Amazon.co.jp で詳細を見る

MAGMA「Kohntarkosz」
マグマの4th。1974年作
鬼才、クリスチャン・ヴァンデの描く壮大な世界観は前作「MDK」とともにまさに絶頂期。
2つのパートに分かれた「コンタルコス」は、歌とコーラスが主導だった前作よりも、
アンサンブルの緊張感が増していて、シリアスな硬質感がサウンドを構築してゆく。
より迫力を増したヴァンデのドラムを中心に、ヤニック・トップのベースの存在感も強まった。
得体の知れない壮大さで押し寄せてきた「MDK」よりは、むしろ静謐感の中での
静かなアンサンブルの掛け合いが増したことで、バンドとしての演奏の質は高まっている。
とくに“Kohntarkosz Part Two”の後半部でのたたみかけるサウンドは圧巻だ。
ジャズロック度・・7 アンサンブル度・・9 壮大度・・8 総合・・8
Amazon.co.jp で詳細を見る

MAGMA 「LIVE」
マグマの1975年作
マグマの代表作ともされるライブ作品で、1曲目の30分を超える「Kohntark」からしてすでにぶっ飛んでいる。
クリスチャン・ヴァンデの迫力あるドラミングを軸に、スタジオ盤以上の躍動感あるアンサンブルが炸裂。
コバイヤ語による妖しい男女声に、唸りを上げるベース、艶やかなヴァイオリンが加わり、
ときにゆるやかに、そしてクライマックスでは異様なテンションでダイナミクスを作り出す。
反復するフレーズの、リフレインによるトリップ感は、ライブならではの生々しさによるところだろう。
わりと優雅な小曲を挟みつつ、ラストの18分の「Mekanik Zain」では、うねりのあるベースにエレピが絡み、
ヴァイオリンの旋律とともに、スペイシーなスケールと緊迫感のあるアンサンブルでたたみかける。
ドラマティック度・・8 ライブ演奏・・9 テンション度・・9 総合・・8.5
Amazon.co.jpで詳細を見る

MAGMA 「Udu Wudu」
マグマの1976年作
本作ではのっけからこれまでにないキャッチーな感触で、コバイヤ語を乗せた妖しいジャズロックではあるが、
1曲目はわりと軽快な聴きやすさが前に出ている。ジャズタッチのピアノにトランペットも加わった軽妙さに、
ベースにヤニック・トップが復帰したことで、ボトムの重厚さを失わずに優雅な聴き心地を作り出している。
アルバム前半はわりとドラムはおとなしめなのだが、ラストの17分を超える大曲「DE FUTURA」は
うねりのあるベースにギターとシンセがかぶさり、ヴァンデのドラムもときに激しくなり、
重厚にしてミステリアスな世界観を構築している。このヘヴィ・ジャズロックというべき感触は、
MAGMAの作品の中でも異色のインパクトを誇るナンバーだろう。玄人好みのアルバムである。
ドラマティック度・・8 プログレ度・・7 重厚度・・8 総合・・8
Amazon.co.jpで詳細を見る

MAGMA 「Attahk」
マグマの1978年
ギーガーによるジャケが印象的な70年代のラスト作品。1曲目はノリのよいギターを乗せた
わりとスタイリッシュなジャズロックで、クリスチャン・ヴァンデのヴォーカルは
自らの叩くタイトなドラムとシンクロするように、ときにファンキーな感触になったりと面白い。
優雅なピアノの旋律に女性コーラスも加わりつつ、かつてのような妖しいスケール感が減退している分、
風変わりなジャズロックとして、より多くの人が楽しめるサウンドになっているともいえる。
一方では、善と悪の二面性を描くというコンセプトによる、シアトリカルな歌声はらしい濃密さを描いていて、
軽快なアンサンブルとの対比という意味でも特徴的だ。これまでのような大曲はないが、まぎれもなくマグマの作品である。
ドラマティック度・・7 プログレ度・・7 ジャズロック度・・8 総合・・8
Amazon.co.jpで詳細を見る

MAGMA 「CONCERT BOBINO 1981」
フランスのプログレジャズロック、マグマのライブ。1995年作
1981年フランス、パリで3週間におよぶコンサートを行ったライブステージの一部を2CDに収録。
サックスやトランボーンが鳴り響き、軽快なリズムとともに、男女コーラスもファンキーな感触で、
随所にきらびやかなシンセワークも重なって、華麗でゴージャスなジャズロックを展開してゆく。
初期に比べると、明るめのサウンドであるが、手数の多いクリスチャン・ヴァンデのドラムを中心に、
巧みなアンサンブルとマグマらしい神秘性も健在で、即興的なパートも含めて楽し気な演奏である。
Disc2ではファンキーな歌ものナンバーから、30分を超える壮大な未完の大曲「Zess」も披露。
未発曲なども多数演奏していて、本ライブでしか聴けない楽曲もあるという点では、必聴の内容だろう。
ライブ演奏・9 ジャズロック度・9 コバイヤ度・8 総合・8
Amazonで購入する

MAGMA「Theusz Hamtaahk - Trilogie」
フランスのプログレジャズロック、マグマのライブ。2001年作
2000年のフランス公演、名曲「Theusz Hamtaahk」組曲、全3楽章を二日に渡って完全生再現したライブを3CDに収録。
Disc1には「THEUSZ HAMTAAHK/トゥーザムターク」、Disc2には「WURDAH ITAH/トリスタンとイゾルテ」、
Disc3には、「MEKANIK DESTRUKTIW KOMMANDOH/MDK」を収録、巧みなドラムを中心としたアンサンブルに
コバイヤ語による男女混声ヴォーカルを乗せて、優雅で躍動的なマグマ流ジャズロックを展開してゆく。
Disc3「MDK」ではブラスセクションも加わったゴージャスなアレンジに、ギターが弾きまくるインプロパートも含んだ、
壮大な組曲を作り上げてゆく。豪華ボックス入りで、ブックレットにはコバイヤ語の歌詞も完全掲載、まさにファン必聴のライブです。
ライブ演奏・8 優雅度・8 再現度・8 総合・8 
Amazonで購入する

MAGMAK.A (Kohntarkosz Anteria)
フランスの大御所バンド、マグマの2004年作
スタジオアルバムとしては20年ぶりの作品ということで、タイトルからして往年の名作「Kohntarkosz」の続編と思わせるが、
実際のところは70年代の未発曲を再編成したものらしい。全3曲で、それぞれ11、15、21分という大曲構成で、
音の方もかつてを思わせるマグマファンにはたまらないサウンド。反復する変則リズムと男女コーラスで、
ゆるやかな盛り上がりを繰り返してゆく、あのマグマ節は健在だ。マグマ初心者にも勧められる力作といってもよいだろう。
プログレ度・・8 壮大度・・9 コバイヤ度・・9 総合・・8
Amazon.co.jp で詳細を見る

MAGMA 「Emehntehtt-Re」
フランスのプログレバンド、マグマの2009年作
2004年作「K.A (Kohntarkosz Anteria」に続く本作は、70年代から構想されていたという作品で
古代エジプトをテーマにした、ミステリアスで壮大なサウンドが描かれる。神秘的な女性コーラスと
美しくも不穏に奏でられるピアノ、そしてクリスチャン・ヴァンデの縦横無尽のドラムによって、
唯一無二という宇宙的なスケールを感じさせる世界観が広がってゆく。22分、13分の大曲を中心に、
ジャズロック的な軽やかさと、フランスらしい洒落た優雅さを含んだ、適度にメロディックな聴き心地は
前作よりもぐっとスタイリッシュな感触である。もちろんマグマらしい緊迫感も健在で、さすがの力作に仕上がっている。
ドラマティック度・・8 壮大度・・8 スタイリッシュ度・・8 総合・・8
Amazon.co.jpで詳細を見る

MAGMA 「ZUHN WOL UNSAI: LIVE 1974」
フランスのプログレ・ジャズロック、マグマのライブ。2014年作
ヤニック・トップ在籍時である、1974年のドイツラジオ放送用のライブ音源を2CDに収録。
Disc1には1973年作「M.D.K.」をほぼ完全再現、手数の多いドラムにうねるようなベースが絡み、
優雅でありながらミステリアスな独自のジャズロックを展開。発掘音源ながら音質は良好で、
スタジオ版のような大仰な迫力というのは薄いものの、丁寧な演奏でマグマサウンドが味わえる。
Disc2には、クリスチャン・ヴァンデによる、20分超の即興的なドラムソロも収録。
さすがにこのドラムソロは長すぎるが、コアなファンには貴重なライブ音源だろう。
ライブ演奏・・8 音質・・8 壮大度・・7 総合・・8 
Amazonで購入する


Stella VanderD'Epreuves D'Amour
MAGMAのメンバーでもあるステラ・ヴァンデのソロ作。1991作
クリスチャン・ヴァンデの妻としても知られる彼女だが、このアルバムで聴けるのは、
プログレでもジャズロックでもなく、たおやかなピアノをバックにした歌ものである。
フランス語による美しいステラの歌声をメインにしつつ、クラシカルなほの暗さは、
ほのかにMAGAMAに通じる部分もあり、フレンチらしい優雅さもなかなか耳に心地よい。
しっとり歌もの度・・9 プログレ度・・6 女性Vo度・・8 総合・・7.5
Amazon.co.jp で詳細を見る

Fusion 「Paris 80」
MAGMAにも参加したベーシスト、ヤニック・トップ率いるユニット、フュージョンのライブ音源。2001年作
MAGMAのクリスチャン・ヴァンデをはじめ、そうそうたる顔ぶれのメンバーによる、1980年フランス公演のステージを収録。
クリスチャン・ヴァンデの激しいドラムをバックにうなりを上げるベースと、艶やかなヴァイオリンが鳴り響くフリーキーなジャズロック。
MAGMAに比べると怪しさがない分、純粋にアンサンブル重視なのでとっつきやすい。後半にはピアノとベースの超絶な掛け合いもあり、
音質的はややこもり気味だが、テンションの高い演奏が楽しめる。10分を超えるナンバーを中心にラストは29分の大曲。マグマ系ファンはチェック!
ライブ演奏・・9 フリーキー度・・8 音質・・7 総合・・8
Amazon.co.jpで詳細を見る

STS 「PARIS 98」
MAGMAのベーシストとして知られる、ヤニック・トップ率いる、エス・ティー・エスのライブ音源。2001年作
1998年のフランス公演のライブ音源で、57分を超える組曲を収録。奔放なベース演奏を中心にした
うねりのあるリズムの上をフリーキーなサックスが鳴り響く、チェンバー的なジャズロックサウンド。
ベース、ドラム、サックスというミニマルな編成で音の厚みはそうないのだが、ゲストによるギターも加わって、
空間的な緊張感をかもしだす演奏力はさすが。上質なブート程度の音質もむしろ臨場感を高めている。
アヴァンギャル度・・8 空間度・・8 ライブ演奏・・8 総合・・7.5
Amazon.co.jpで詳細を見る


Magnesis 「L'immortel Opera」
フランスのプログレバンド、マグネシスの2006年作
結成は80年代というベテラン、本作は5部構成のストーリー的なコンセプト作で、美しいシンセにメロウなギターで聴かせる
いわゆるGENESISタイプの王道のシンフォニックロック。フランス語の語りを含んだシアトリカルな雰囲気は、
やはりANGEを思わせる世界観で、クラシカルなピアノや泣きのギターフレーズなど、メリハリのある構成も楽しめる。
15分、9分、11分、9分という大曲揃いなので、どうしても長尺感があるのだが、完成度というよりはこのフランスらしい
空気感を味わうバンドなのだと思う。叙情的ではあるがメロディックな抜けは良くないというのもいかにもフランス的である。
ドラマティック度・・8 プログレ度・・7 フレンチ度・・9 総合・・7.5
Amazon.co.jpで詳細を見る

MagnesisRoyaume D'Oceanea
フランスのシンフォニックロック、マグネシスの2010年作
結成は80年代というベテランらしい。フランス語による語りから始まり、メロウなギターと美しいシンセとともに、
王道のシンフォニックロックを聴かせる。野太い男性ヴォーカルの歌声はANGEなどを思わせる
シアトリカルな感触で、随所に女性声も加わったりと、繊細でやわらかなサウンドを描いてゆく。
20分の大曲も含めて、ゆるやかな構築センスで、耳心地のよい作品に仕上がっている。
Raison de Plusなどと同様に、90's以降のフレンチ・シンフォニックロックの好作である。
シンフォニック度・・8 ドラマティック度・・8 フレンチ度・・9 総合・・7.5
Amazon.co.jpで詳細を見る Amazon.MP3



MAGNESIS「Faits D Hiver...」
フランスのシンフォニックロック、マグネシスのライブ作品。2012年作
結成は80年代というベテランバンド、本作は2006年のフランス公演を収録している。
写真を見ると、派手なメイクをしたメンバー達による演劇的なステージであったことが分かる。
サウンド自体は、美しいシンセとメロウで叙情的なギター、そしてフランス語のヴォーカルによる
正統派のシンフォニックロックで、曲間のフランス語のMCも含めてなかなか芳醇な味わいである。
ANGE、MONA LISA、Halloweenに次ぐ存在といえるのはこのバンドかもしれない。
ドラマティック度・・8 ライブ演奏・・7 フレンチ度・・9 総合・・7.5

Amazon.co.jpで詳細を見る


Magnesis 「Pres En Bulles」
フランスのプログレバンド、マグネシスの2017年作
1992年にデビュー、ANGEのフォロワー的な存在ながら地道に活動を続け、本作はすでに9作目。
21分、27分という大曲2曲の構成で、美麗なシンセワークに叙情的なギターフレーズを重ね、
フレンチらしい優美な幻想性に包まれた、オールインストのシンフォプログレを構築する。
後半の大曲はシンセによる長々としたイントロから、普通のロックアンサンブルが続き、
12分過ぎからようやくシンフォプログレらしくなる。ドラマティックな盛り上がりはさほどなく、
なかなか展開しないという長尺感はあるのだが、気が長いシンフォ好きの方はいかが。
ドラマティック度・・7 プログレ度・・7 優雅度・・8 総合・・7.5
Amazonで購入する

MAGNESIS 「Alice au pays des delires」
フランスのプログレバンド、マグネシスの2018年作
本作は「不思議の国のアリス」をモチーフにしたCD2枚組の大作で、メロウなギターのイントロ曲から、
フランス語のヴォーカルに適度にハードなギターとオルガンの音色で、ダークなプログレサウンドを展開。
叙情的なギターとシンセが重なる優美な小曲も挟みつつ、シアトリカルなヴォーカルの歌声とともに、
ときにハードにときにメンラコリックな味わいで、ドラマティックに構築してゆく。全体的に盛り上がりそうで
盛り上がり切らないところは、マイナー臭さを残したテアトリカルロックという、フランスらしい作風ではある。
Disc2には全42分という大曲を収録。このくぐもったような幻想性はPULSARなどにも通じるだろう。
ドラマティック度・・8 プログレ度・・7 幻想度・・8 総合・・7.5
Amazonで購入する

MAGNESIS 「LA BETE DU GEVAUDAN」
フランスのプログレバンド、マグネシスの2020年作
1992年にデビュー、本作は11作目となる。「ジェヴォーダンの獣」をテーマにしたコンセプト作品で、
SEを含む映画的なイントロから、優美なシンセに叙情的なギター、フランス語によるダンディなヴォーカルに、
やわらかなフルートも鳴り響く、ANGEにも通じるシアトリカルなシンフォニックロックを聴かせる。
メロウなギターフレーズも随所に耳心地よく、全体的には優雅な雰囲気に包まれているのだが、
明確な盛り上がりが少ないので、やや平坦な印象か。後半には11分という大曲もあるが、
ゆったりとしたインストパートを含めて、もう少し起伏が欲しい気も。この中庸感は相変わらず。
ドラマティック度・8 プログレ度・7 フレンチ度・9 総合・7.5 
Amazonで購入する

Magnesis 「Legendes De Nos Campagnes」
フランスのプログレバンド、マグネシスの2021年作
結成は80年代というベテランで、本作は12作目となる。フランスの怪奇伝説をテーマにした楽曲で構成されたトータル作で、
優美なシンセワークにメロウなギターの旋律が絡み、ゆったりとしたインストのシンフォニックロックを展開、
2曲目からは、フランス語のダンディな歌声を加え、メロトロンを含むやわらかなシンセとともに優雅なサウンドが広がる。
後半は、27分におよぶ組曲で、16世紀シャンパーニュ地方で起きた児童大量殺人鬼事件から産まれた「狼男伝説」を題材に、
優美なメロトロンに叙情的なギター、女性声の語りを挿入したシアトリカルな世界観で、PULSAR「Halloween」あたりに通じる
幻想的なシンフォプログレが楽しめる。スリリングなところはないが、ANGEルーツのテアトリカル・プログレの力作です。
ドラマティック度・8 プログレ度・7 優美度・8 総合・8 
Amazonで購入する

MALAGUERO「LATITUDES」
スペインのトラッド・ロックバンド、マラグエロの1st。2001年作
ヴァイオリンやマンドリン、フルートに、エレキギターとロックドラムを融合し、
美しい女性ヴォーカルの歌声を乗せた、キャッチーなトラッドロックサウンド。
曲によっては純トラッド的で、確かな演奏力もあってトラディショナル音楽としても本格派だが、
やはりそこにピアノやギターなどが絡まると、なんともいえぬ素敵な音楽になる。
女性ヴォーカルの歌唱も伸びやかで力強く、スペイン語の歌が実によく映えている。
トラッ度・・9 ロック度・・7 女性Vo度・・8 総合・・8.5
Amazon.co.jp で詳細を見る


MALICORNE「LE BESTIAIRE」
フランスのトラッドロックバンド、マリコルヌの7th。1979作
フランスのトラッドグループとしては大御所とされているバンドで、
このアルバムは初期よりもロック色を濃くし、プログレファンにも人気の作品である。
男女ヴォーカルによるフランス語の歌唱をメインにしつつ、アコースティック楽器だけでなく
エレキギターやシンセも使用し、トラディショナルなテイストとモダンな質感が融合している。
ヴァイオリンやフルートの素朴な音色とは対照的な前衛的なシンセも加わり個性的なトラッドロックを形成している。
メロディアス度・・7 プログレ度・・7 トラッ度・・7 総合・・7.5
Amazon.co.jp で詳細を見る

Manu Ribot 「CA」
フランスのミュージシャン、マニュ・リボーの2015年作
Xレッグド・サリーでも活躍したピエール・フェルヴルーセムの作品にも参加したギタリストで、
本作は、ベース、ドラム、ギターを中心にした、アヴァン・フュージョンロック的なインスト作品。
わりとポップなフレーズを奏でつつも、どこかヒネくれた偏屈さを感じさせるセンスはさすがで、
ノイジーで奔放なギターをかき鳴らし、適度なハードさも含ませつつ、あくまで軽妙な聴き心地で、
トランペットやトロンボーンも加わった、スカやフリージャズ的な雰囲気もいくぶん覗かせる。
アヴァンギャルドなチェンバー・ポップという点では、MATS/MORGANあたりにも通じる部分もあるが、
こちらはそこまで逸脱しきれておらず、楽曲ごとのインパクトという点でも少し物足りないか。
ドラマティック度・・7 プログレ度・・7 アヴァンギャル度・・7 総合・・7.5
Amazon.co.jpで詳細を見る

MARS RED SKY 「STRANDED IN ARCADIA」
フランスのサイケ・ドゥームロック、マーズ・レッド・スカイの2014年作
2011年にデビューし、本作は2作目。ほどよくヘヴィなギターを乗せたスローなアンサンブルに
中性的なヴォーカルを乗せて、サイケな浮遊感に包まれたドゥームロックを聴かせる。
アナログ感たっぷりのヴィンテージな味わいに、ポストロック的なスケールも感じさせ、
スペイシーなサイケ感も加わったという、いわばプログレリスナー寄りのドゥームといべきか。
ユルめに楽しめる叙情的な部分もありつつ、不穏な空気に包まれたインストナンバーや、
シンセを加えたプログレ寄りのパートもあって、なかなか楽しめる。全44分という長さもちょうどよい。
ドラマティック度・・7 サイケドゥーム度・・8 ヴィンテージ度・・8 総合・・8
Amazonで購入する

MARS RED SKY 「THE TASK ETERNAL」
フランスのサイケ・ドゥームロック、マーズ・レッド・スカイの2019年作
4作目となる本作も、アナログ感たっぷりのギターにマイルドなヴォーカルを乗せ、
ほどよいヘヴィさとサイケなユルさが同居した、ヴィンテージなサウンドを聴かせる。
わりとエモーショナルで優しい歌声が、ドゥームなギターリフとのコントラストになって、
メタル感触が緩和されることで、わりとキャッチーでソフトな味わいになっている。
インストのナンバーなどでは、ポストロックやプログレにも通じる感触もあって、
ラストのアコースティック曲で幕を閉じるまで、やわらかで妖しい世界観が楽しめる。
ドラマティック度・・7 サイケドゥーム度・・8 ヴィンテージ度・・8 総合・・8
Amazonで購入する


MASAL 「GALGAL」
フランスのプログレ・ジャズロック、マサルの2010年作
1984年にソロ作「MASAL」を発表したマルチミュージシャンJean-Paul Pratを中心とするユニットで、
サウンドの方はかつてのようなMAGMA直系のスタイルではなく、優雅なピアノの旋律にギターが絡み、
モダンなテクニカル性を軽妙に聴かせる、プログレッシブなジャズロック。軽やかにサックスが鳴り響き、
そこにギターのフレーズがメロディックにかぶさる、フュージョン的でもある爽快な感触に
プログレらしいエキセントリックな切り返しやリズムチェンジなどのアレンジもなかなか楽しい。
どことなく、PEKKAあたりを思わせるユーモアを感じさせる大人のアンサンブルも含めて、
成熟したミュージシャンのみが作れる知的なプログレ・ジャズロック作品である。
ドラマティック度・・7 プログレ度・・8 軽妙度・・9 総合・・8
Amazon.co.jpで詳細を見る

Mediavolo 「A Secret Sound」
フランスのメランコリックロック、メディアヴォロの2006年作
うっすらとしたシンセにアコースティックを含むギター、キュートな女性ヴォーカルの歌声を乗せ、
All About Eveなどにも通じる、翳りを帯びた叙情に包まれたキャッチーなメロウロックを聴かせる。
物悲しくはかなげな空気感は、Paatosあたりを思わせる部分もあるが、こちらはもう少しポップで、
コケティッシュなイメージ。楽曲は3〜4分前後でわりとシンプルであるが、ときにエレクトロなアレンジも覗かせつつ、
全体的にふわりとした浮遊感が耳心地よく、うるさすぎないバックが女性声の魅力を引き立てている。
メロディック度・・8 コケティッシュ度・・8 女性Vo度・・8 総合・・8
Amazonで購入する



MEDINA AZAHARAPaseando por la Mezquita
スペインのハードロックバンド、メディナ・アザーラの1st。1980作
今やスペインきっての大御所バンドとなった彼らだが、その記念すべきデビュー作がこれ。
やや時代を感じさせるシンセの音色にアラビックなフレーズのギター、
そしてややのんびりとしたスペイン語の歌唱でゆったりと聴かせる。
後のアルバムのような劇的な叙情はまだなく、牧歌的なプログレハードといった雰囲気。
これはむしろメタルリスナーよりもプログレファン向けかもしれないが、ともかくも
アラビックなスパニッシュロックという独自の音楽性を誕生させた1枚であろう。
メロディアス度・・7 メタル度・・6 スパニッシュ度・・8 総合・・7.5
Amazon.co.jp で詳細を見る

MEDINA AZAHARA「...en Al-Hakim」
メディナ・アザーラの5th。1989作
アラビックなメロディと美しいシンセワークで聴かせる、彼ら独自のサウンドが確立した1枚。
後のアルバムのようなダイナミックで雄大な雰囲気はまだ薄いが、スペイン語のヴォーカルとともに、
やわらかな質感が耳に心地よい。フラメンコギターが入ってくると、いかにもアンダルシアの空気がただよう。
なお同ジャケットの日本盤はベスト盤なので間違わぬようご注意を。
メロディアス度・・8 メタル度・・7 スパニッシュ度・・8 総合・・7.5
Amazon.co.jp で詳細を見る

MEDINA AZAHARA「En Directo」
メディナ・アザーラのライブアルバム。1990作
初期の5作からまんべんなく選曲されたライブステージで、スペイン語の歌声による哀愁ただようメロディアスな楽曲が素晴らしい。
たっぷりと使われるキーボードはときにプログレ的ですらあり、それが泣きのギターと合わさるとスパニッシュな叙情が溢れだす。
なかなか手に入りづらい彼らの初期作のベストとしても聴ける。
メロディアス度・・8 スパニッシュ度・・9 ライブ演奏度・・8 総合・・8
Amazon.co.jp で詳細を見る

MEDINA AZAHARA「Sin Tiempo」
メディナ・アザーラの6th。1992作
すでに活動20年を超える大ベテランで、日本でももっと評価されてもいいバンド。
うっすらとした美しいキーボードと、古き良きハードロックを思わせるギター、
そして異国情緒たっぷりのスペイン語の歌詞が歌い上げる。メタリックな勢いよりも
叙情とメロディで聴かせるサウンドは、プログレハードリスナーなどにも受けるのではないかと思う。
スパニッシュメタルの代名詞たるにふさわしい完成度を、すでにこの時点から造り上げていたのだと
感心しきり。泣きのギターを聴かせるバラードなども実に美しい。
メロディアス度・・8 叙情度・・9 スペイン度・・9 総合・・8
Amazon.co.jp で詳細を見る

MEDINA AZAHARA「Donde Esta la Luz」
メディナ・アサーラの7th。1994作
日本デビュー作となるこのアルバムは、シンフォニックなキーボードとキャッチーなメロディをふんだんに盛り込んだ力作だ。
哀愁ただようスペイン語の歌唱には異国情緒が漂っているがメロディそのものは実に人懐こく、
プログレハード的な聴き方も可能。スパニッシュメタル入門用にも勧められるとても聴きやすい作品だ。
メロディアス度・・8 シンフォニック度・・8 スパニッシュ度・・8 総合・・8
Amazon.co.jp で詳細を見る

MEDINA AZAHARA「Arabe」
メディナ・アサーラの8th。1995作
本作の日本盤は2枚組の海外盤をまとめ、後半5曲がカヴァーという構成になっている。
サウンドのは、哀愁のスペイン語に泣きのギターで聴かせるこのバンドの持ち味が
いかんなく発揮された、まさにアンダルシアハードロック。メタル的な硬質感よりも
シンセ入りでやわらかみある叙情が耳に心地よい。アラビアをテーマにしているということで
アラビックなメロディがいつもよりもいっそう際立っている。カヴァーの方は、ミゲル・リオスや
ローリング・ストーンズのスペイン語バージョンなどを収録。
メロディアス度・・8 メタル度・・7 スパニッシュ度・・9 総合・・8
Amazon.co.jp で詳細を見る

MEDINA AZAHARA「a toda esa gente」
メディナ・アサーラのライブアルバム。1996作
CD2枚組にわたって過去からの曲をたっぷりと聴かせてくれるライブ作。
さすがにベテランだけあって、ステージでも安定した演奏と歌唱で盛り上げる。
濃密かつメロディアスなスパニッシュハードロックが楽しめる。
メロディアス度・・8 ライブ演奏度・・8 スパニッシュ度・・8 総合・・8

MEDINA AZAHARA「tanger」
メディナ・アザーラの9th。1998作
1980年のデビューから現在まで、名実共にスペインのロックシーンの頂点に立つこのバンド。
アンダルシアの哀愁をスペイン語の歌唱にまとわせ、やわらかなメロディで聴かせてくれる。
メタリックな硬質感はあまりなく、むしろキーボード入りのプログレハードとして鑑賞可能。
スパニッシュメタル入門用にもよいだろう。バンドのディスコグラフィーはこのページが詳しい。
メロディアス度・・8 メタル度・・7 スパニッシュ度・・9 総合・・8
Amazon.co.jp で詳細を見る

Medina Azahara「Baladas」
メディナ・アザーラのバラード集。1999作
スパニッシュハードロックの大ベテラン。この1999年の段階で、アルバム、シングル含めると
28枚という膨大なディスコグラフィーとなる。本作はその中から選ばれたバラードを15曲収録。
スペイン語の歌声と哀愁のメロディ、泣きのギターも素晴らしい絶品のバラード曲をたっぷり堪能できる。
シンセによるシンフォニックな味わいもあって、あるいはプログレリスナーにも楽しめる作品だ。
メロディアス度・・8 哀愁の叙情度・・9 スパニッシュ度・・9 総合・・8
Amazon.co.jp で詳細を見る

MEDINA AZAHARA「]]」
メディナ・アザーラの10th。2000作
デビュー20周年となる節目のアルバムで、内容もその通り力が入っている。
これまでよりもギターが前に出たパワフルさを増したサウンドに、キャッチーなメロディに乗せるスペイン語の歌唱が響きわたる。
長い活動を続けてきた自信と存在感が音にも表れており、ダイナミックかつシンフォニックな雰囲気は、
もはやスペイン産うんぬんというレベルを超えている。クラシカルなシンセワークも素晴らしく、
やわらかみのあるメロディラインが実に心地よい。これぞスパニッシュ・シンフォニックハードの傑作だ。
メロディアス度・・9 シンフォニック度・・8 スパニッシュ度・・8 総合・・8.5
Amazon.co.jp で詳細を見る

MEDINA AZAHARATierra De Libertad
スペインのベテランバンド、メディナ・アサーラの11th。2001作
スパニッシュメタルの立役者であるこのバンド、デビューから25年あまりたっても
いまだコンスタントにアルバムを出し続けている姿勢が素晴らしい。
今作も、独特のやわらかみのあるメロディにスペイン語の歌唱が合わさって、
とても聴きやすいのだが、それでいてアンダルシアの空気を強く感じさせてくれる。
美しいシンセアレンジも含めて、メタル的無骨さよりはマイルドなメロディアスさと哀愁が前にでていて
むしろプログレ系のリスナーにも勧められるサウンドだ。さすがの傑作です。
メロディアス度・・8 メタル度・・7 スパニッシュ度・・9 総合・・8
Amazon.co.jp で詳細を見る

MEDINA AZAHARA「aixa」
メディナ・アザーラの12th。2003作
今作はシンフォニックなシンセに加え、オーケストラまでも使用した壮麗なサウンドを聴かせてくれる。
美しいピアノをバックにアンダルシアの哀愁を感じさせるヴォーカルが歌い上げ、
キャッチーなメロディとスペインの土着性が合わさった、独特の叙情が素晴らしい。
今作ではいつになくプログレ的なシンセワークを聴かせる場面も多く、
メタリックな勢いよりも、やわらかみのあるメロディアスさが光るアルバムだ。
メロディアス度・・9 シンフォニック度・・8 スパニッシュ度・・9 総合・・8.5
Amazon.co.jp で詳細を見る

MEDINA AZAHARALa Estacion de los Suenos
スペインのシンフォニック・ハード、メディナ・アザーラの13th。2005年作
哀愁ただようメロディに情感たっぷりのスペイン語のヴォーカルを乗せ、
シンフォニックなキーボードの重ねにより、美麗な壮大さも加わった。
ややくどいながらもサビでの盛り上がりはじつにドラマティックで、
ときおり挿入されるフラメンコ風のギターにも、母国の伝統を愛する彼らの魂が感じられる。
メタル的な硬質感は少ないが、聴きやすさとメロディにこだわった良質の作品だ。
メロディアス度・・8 疾走度・・5 スパニッシュ度・・9 総合・・8
Amazon.co.jp で詳細を見る

Medina AzaharaSe Abre La Puerta
メディナ・アザーラの14th。2006作
1980年から活動を続けるスペインきっての大ベテラン。やわらかな叙情とスペイン語の歌声による、
マイルドなハードロックサウンドは本作も変わらず。オルガンの音色など、レトロさをかもしだすシンセワークが
ときにプログレ的でもあり、スパニッシュの哀愁をゆったり楽しめる作品に仕上がっている。
メロディアス度・・8 古き良き度・・8 スパニッシュ度・・9 総合・・8
Amazon.co.jp で詳細を見る

MEDINA AZAHARA 「Origen Y Leyenda」
スペインのベテランハードロック、メディナ・アザーラの2009年作
1979年にデビュー、スペインを代表するロックバンドである。本作は15作目あたりだろうか。
クラシカルで優雅なイントロ曲から、様式美なギターに美しいシンセとスペイン語のヴォーカルで、
キャッチーなメロディと哀愁の叙情に包まれた、壮麗なハードロックサウンドを展開する。
オルガンを含むやわらかなシンセアレンジはときにけっこうプログレ寄りで、スパニッシュな哀愁とともに
アラビックなメロディや女性ヴォーカルを加えたナンバーなどもありつつ、しっかりとキャッチーに仕上げている。
全15曲、63分、ベテランらしい完成度の高さで聴き通せる。DVDにはビデオクリップ、メイキング映像を収録。
ドラマティック度・・8 スパニッシュ度・・9 哀愁の叙情度・・9 総合・・8 
Amazonで購入する

MEDINA AZAHARA「La Historia Continua」
メディナ・アザーラの2011年作
1980年から活動を続けるスペインきっての大ベテラン、その30周年を記念しての作品。
未発曲の再録音8曲にビートルズのカヴァー1曲という構成で、スペイン語の歌声と
シンセによるきらびやかなアレンジでキャッチーに聴かせる、スパニッシュ・ハードロック。
楽曲はどれも3〜4分という比較的コンパクトなもので、彼らのプログレハード的な部分が好きな自分としては
やや物足りない聴き心地ではあるが、アンダルシアの哀愁を感じさせる後半のナンバーは白眉。
メロディック度・・8 スパニッシュ度・・8 濃密度・・7 総合・・7.5
Amazon.co.jpで詳細を見る


MEDINA AZAHARA 「La Memoria Perdida」
スペインのベテランハードロックバンド、メディナ・アザーラの2012年作
16作目の本作は、美麗なシンセとツインギターが絡むメロディックなやわらかさと
スペイン語の歌声による哀愁を漂わせる叙情が合わさったサウンドは、
メタルというよりはスパニッシュなシンフォニック・ハードという趣で、
とにかく、その泣きのメロディと大人の情感に、たっぷりと浸ることができる。
全体的にもキャッチーな聴き心地で、バックでオルガンが鳴っていたりと、
プログレハード的にも楽しめる。強いインパクトはないが、メロディ充実の傑作です。
メロディック度・・9 哀愁度・・9 スパニッシュ度・・9 総合・・8


MEDINA AZAHARA 「LAS PUERTAS DEL CIELO」
スペインのベテランハードロック、メディナ・アザーラの2014年作
17作目の本作は、アラビックなイントロで幕を開け、ほどよくハードなギターにシンセを重ね、ヴァイオリンも加えた
厚みのあるサウンドに、スペイン語による哀愁を帯びたヴォーカルで、シンフォニックなハードロックを聴かせる。
キャッチーなメロディアス性とスパニッシュな叙情を、プログレハード的な優雅さで包み込んだという感触で、
ゆったりとしたバラードナンバーも、オルガンなどのシンセとともに優美な味わいだ。全体的にも激しさよりも、
やわらかな聴き心地なので、プログレ寄りのリスナーにも楽しめるだろう。全15曲62分という力作だ。
ドラマティック度・・8 スパニッシュ度・・9 哀愁の叙情度・・9 総合・・8
Amazonで購入する


MEDINA AZAHARA 「Paraiso Prohibido」
スペインのベテランハードロック、メディナ・アザーラの2016年作
18作目の本作は、わりとオールドな味わいのギターにシンセを重ね、スペイン語のヴォーカルを乗せた、
大人の叙情ハードロックという趣のサウンドから、優雅なキャッチーなナンバーまで、
ベテランらしいどっしりとした聴き心地で、哀愁をたたえたバラードなどもじつに耳心地よい。
随所に流麗なギターフレーズや美麗なシンセアレンジもまじえ、スパニッシュな叙情に包まれる。
メタル的な激しさはあまりないので、スペイン語による壮麗なメロハーとしても楽しめるだろう。
ドラマティック度・・8 スパニッシュ度・・9 哀愁の叙情度・・8 総合・・8 
Amazonで購入する



Mezquita「Recuerdos De Mi Tierra
スペインのプログレバンド、メズギータの1979年作
スペインのプログレといえば、いかにもスパニッシュな雰囲気のTRIANAGRANADAなどが有名だが、
このバンドはBloqueなどと同様、いくぶんハードロック的な要素があるので聴きやすいかもしれない。
スペイン語の歌声とスパニッシュギターを含んだ哀愁と土着的な叙情性に、
ストリングス入りのアレンジも加わっての、いくぶん唐突な曲展開も魅力的。
メロディック度・・7 プログレ度・・7 スパニッシュ度・・8 総合・・7.5
Amazon.co.jp で詳細を見る

MICHEL AUMONT 「Le Grant Orchestre Armorigene」
フランスのクラリネット奏者、ミシェル・オーモンの2012年作
ピアノ、ヴァイオリン、チューバ、ヴィエレ・ア・ルー(ハーディ・ガーディ)、ドラムを含む7人編成で、
ブルターニュ地方のトラッドをモチーフにした楽曲を、ジャズオーケストラの編成で演奏。
軽やかなドラムの上に、チューバの低音とヴァイオリンが鳴り響き、優美なピアノの旋律に、
エレクトリック・ヴィエレ・ア・ルーも加わって、素朴なブルターニュの空気感に包まれた
技巧的なジャズロックが楽しめる。土着的なトラッド感触を軽妙に表現するという点では、
FLAIRCKにも通じるスタイルだろう。ジャズ、クラシック、トラッドの要素を絶妙に溶け込ませた傑作だ。
テクニカル度・・9 トラッド・ジャズ度・・8 優雅度・・9 総合・・8.5
Amazonで購入する


MIGUEL RIOS「La Huerta Atomica」
スペインのシンガー、ミゲル・リオスの1976年作/邦題は「原子の果樹園」
スペインでは有名な歌手であるらしいが、本作は彼のディスコグラフィー中、最もシンフォニックな作品とされる。
オルガンやムーグシンセのプログレ的な音色にアコースティックギター、スペイン語による情熱的な歌唱を乗せて、
たおやかなピアノによる叙情からシンフォニックな盛り上がりもなかなか美しい。キャッチーな歌もの曲や、
ファンキーなノリのナンバーに、5曲目でのどんどんと高まってゆく女性の喘ぎ声にはつい照れてしまうが、
スペイシーなスケール感とほどよいアヴァギャルド性も含めて、異色の大作というべき作品である。
シンフォニック度・・8 プログレ度・・7 スペイン度・・8 総合・・8
Amazon.co.jp で詳細を見る


MINIMUM VITAL「Envol triangles/les saisons marines」
フランスのプログレバンド、ミニマム・ヴァイタルの1985年のデモと1987年の1stのカップリング
フランス90'sシンフォニックロックの先駆けというべきバンド。メロウなギターにきらびやかなシンセが絡み、
ときにフルートが鳴り響く、ミステリアスな雰囲気のプログレサウンドは、デモの段階でもすでに質が高く、
GENESISやANGEなどを独自のセンスとともに軽やかに昇華したという作風を構築している。
叙情と土着性の融合という点では、日本のKENSOなどにも通じる感触もある。1stアルバムになると
よりメロディックなシンフォニックロック風味のスタイルになって、ぐっとスタイリッシュな聴き心地。
妖しい雰囲気は薄まって、テクニカルな軽快さに包まれたインストプログレサウンドが楽しめる。
メロディック度・・8 プログレ度・・8 スタイリッシュ度・・8 総合・・8
Amazon.co.jpで詳細を見る

MINIMUM VITAL「Sarabandes」
フランスのプログレバンド、ミニマム・ヴァイタルの1990年作
メロディックなギターの旋律に、美しいシンセによる味付けにフルートの音色が加わり、
より洗練された叙情的なインストプログレを聴かせる傑作。のちの作風へとつながる
アコースティカルな優雅さも随所に垣間見せるなど、演奏力の高さも光っていて、
いわば80年代のからのポンプ勢とは一線を画す、クールな構築センスを持っている。
本作を持って、TIEMKOと並び、90年代フランスのネオプログレを代表するバンドとなった。
メロディック度・・8 プログレ度・・8 スタイリッシュ度・・9 総合・・8
Amazon.co.jpで詳細を見る

MINIMUM VITAL「La Source」
フランスのプログレバンド、ミニマム・ヴァイタルの1993年作
前作でのクールな構築センスをさらにスタイリッシュにして、軽やかなアンサンブルが前に出たというサウンドで、
シンフォニック・フュージョンというような優雅なサウンドになってきている。随所にしっかりとプログレ的なシンセも入りつつ
男女ヴォーカルの歌声がお洒落な軽妙さを付加していて、ポップな味わいの中に知的な美意識を覗かせる。
たとえば、Mike Oldfieldのように繊細な優雅さを巧みなアレンジ力でキャッチーに仕上げたというべきスタイルで、
90年代のモダンプログレのひとつの形を提示するかのようだ。現在聴いても古さを感じさせない傑作といえる。
メロディック度・・8 プログレ度・・7 スタイリッシュ度・・9 総合・・8
Amazon.co.jpで詳細を見る

MINIMUM VITAL「Esprit d'Amor」
フランスのシンフォニックロックバンド、ミニマム・ヴァイタルの5th。1997年作
初期は正統派のシンフォニックロックをやっていたが、サイドプロジェクトのVITAL DUOからの流れからか、
しだいにトラドッド風のメロディにモダンなアレンジとポップセンスを取り入れた作風に変化してきている。
このアルバムでは、プログレというよりは、むしろ女性ヴォーカルを乗せたキャッチーな優雅さが前に出ていて、
軽やかなリズムと小洒落たシンセアレンジで、スタイリッシュなポップロックというサウンドを聴かせる。
フランス語によるコケティッシュな女性Voや、ときおり聴かせるメロウなギターのフレーズなども魅力的で、
随所にかつてのシンフォバンドの面影をにじませる。プログレを意識しなければ十分に質の高い作品だと思う。
メロディアス度・・8 プログレ度・・7 優雅度・・8 総合・・8
Amazon.co.jp で詳細を見る

Minimum Vital 「Au Cercle De Pierre」
フランスのプログレバンド、ミニマム・ヴァイタルの1998年作
1997年作「Esprit d'Amor」は、フレンチポップ的なテイストを含んだ軽妙な作品であったが、
本作では初期の楽曲も演奏していて、シンフォニックロックとしてのこのバンドの魅力があらためて再確認できる。
一方では女性ヴォーカル入りの優雅さもライブにおいても映えていて、高い演奏とともに楽曲を構築しつつ
それを軽やかでキャッチーに聴かせるセンスも素晴らしい。メロディックなギワークも冴えを見せていて
随所にプログレ的なシンセを響かせるアレンジも見事。じつに優雅で軽妙なライブ作品です。
メロディック度・・8 ライブ演奏・・8 優雅度・・9 総合・・8
Amazon.co.jpで詳細を見る

Minimum Vital 「Capitaines」
フランスのプログレバンド、ミニマム・ヴァイタルの2009年作
90年代初頭から活動するベテランで、本作はライブ作品を入れた7作目のアルバム。
軽妙でスタイリッシュなアンサンブルに、トラッド的要素を含んだサウンドは、
キャッチーなポップ性とアーティスティックなセンスの良さに包まれていて、
随所に入るメロウなギターフレーズやうるさすぎないシンセアレンジも相変わらず絶妙。
雰囲気としてはMike Oldfieldにも通じる方向性ながら、よりシンフォ受けするバンドだろう。
メロディック度・・8 プログレ度・・7 スタイリッシュ度・・9 総合・・8
Amazon.co.jpで詳細を見る


MIRAGE 「BORDERLINE」
フランスのプログレバンド、ミラージュの2008年作
2001年にデビューし、3作目。叙情的なギターに優美なフルートの音色、ジェントルなヴォーカルの歌声に
オルガンを含むシンセを重ね、CAMELにも通じるやわらかな耳心地のシンフォニックロックを聴かせる。
序盤は、10分前後の大曲がずらりと並び、インストパートの長尺感はあるのだが、ときにEL&Pばりに鳴り響くオルガンや
わりとハードなギターを乗せたオールドロック感触もあったりと、楽曲ごとの方向性で飽きずに楽しめる。
ラスト曲は、どことなくGENESISっぽかったりと、全体的にはもう少しだけ方向性を絞ると良い気もする。
ドラマティック度・7 プログレ度・7 叙情度・8 総合・7.5
Amazonで購入する


MONA LISA「AVANT QU'LL NE SOIT TROP TRAD」
フランスのシンフォニックロックバンド、モナ・リザの1978作
以前「限界世界」という邦題で日本発売もされた彼らの代表作。
語り口調のVoといい、同郷のANGEを手本としたようなシアトリカルなサウンド。
しかしただ濃いだけでなく、クラシカルなピアノなどの引きのパートもあり、
70年代のフレンチシンフォとしてはなかなか質が高いと思われる。
同時代のイタリアやイギリスのバンドと比べるとシンセの音がややチープに思えるが
そうしたエセ華麗さ、ともいうべきものもフレンチシンフォの醍醐味なのだろう。
シンフォニック度・・7 プログレ度・・7 フレンチ度・・8 総合・・7
Amazon.co.jp で詳細を見る


MORRIGAN「CHRONIQUES D'LCI-BAS」
フランスのシンフォニックプログレバンド、モリガンの1999作
ややショボいカンジのヴァイキングチックなジャケなどから察するに、中世をモチーフにした作風のようで、
音はなかなかハードなギターやドラムに、男臭いVoが歌い上げるというもの。
シンセの頻度はさほど高くなく、ギターのメロディとこのアクの強い野郎Voがメイン。
曲の盛り上がりではそれなりにドラマティックだしシンフォニックではあるが、どこかに野暮ったさがあり、
それはやはりこのヴォーカルに起因するところが大な気がする。
シンフォニック度・・7 野郎Vo度・・9 楽曲・・7 総合・・7


MOTISPrince Des Hauteurs
フランスの古楽プログレバンド、モーティスの3rd。2005年作
MOTIS氏を中心にした3人組みで、アコースティックギターやマンドリンの音色に、
美しいシンセワークを加えたという、ゆるやかなシンフォニック・トラッドロックサウンド。
土着的なメロディを歌うフランス語の歌唱も特徴的で、ブズーキやフルートなどの古楽器と、
効果的なエレキギターの使用でただのトラッドではないモダンなロック感覚が同居しているのが面白い。
バックで響くメロトロンなどもいかにもプログレファン好みである。
シンフォニック度・・7 古楽度・・8 フレンチ度・・8 総合・・7.5
Amazon.co.jp で詳細を見る

MOTIS「L'homme」
フランスのトラッドプログレバンド、モーティスの4th。2007年作
ギター、ベース、マンドリンにシンセもこなすMOTIS氏を中心にした3人組みのユニット。
アコースティックギターにたおやかなフルートが鳴り、そこにドラムが加わると、
古楽ロック的な質感とともに、軽快かつ優雅に聴かせるサウンドとなる。
フランス語の歌唱に、メロトロン、ムーグ、ハモンドなどのシンセ類が重なって
レトロなプログレ要素を併せてかもし出している。なかなか個性的な雰囲気だ。
フランスにはASGARDGWENDALWURTEMBERGといったトラッド寄りのバンドがいたが、
このバンドも質の高さの点で引けをとらない。古めかしさを現代のアンサンブルでよみがえらせる。
メロディアス度・・8 プログレ度・・7 古楽トラッ度・・8 総合・・8
Amazon.co.jp で詳細を見る

MoTis「Live Crescendo」
フランスのトラッドプログレバンド、モーティスのライブアルバム。2007作
古楽とプログレを巧みに融合させた彼らのサウンドがライブでどう再現されるのかと興味津々。
ヴォーカルでギターにシンセも弾くリーダーと、ドラム、フルート奏者の三人組で、
さすがに音の方は薄いが、アコースティックギターにフルートの音色が絡み、
フランス語によるヴォーカルが合わさると、トラッドな雰囲気がぷんぷんだ。
アルバムのようなプログレ/シンフォ度は高くないが、むしろこのサウンドには
彼らの本質が聴け、ジャケ写真の中世風の衣装とともにその世界観を感じ取れる。
アコースティカル度・・8 プログレ度・・7 トラッ度・・8 総合・・7.5
Amazon.co.jp で詳細を見る

MOTIS 「Ripaille」
フランスのプログレバンド、モーティスの2011年作
2004年にデビュー、本作は3作目。ムーグやメロトロン、オルガンなどのシンセにフランス語の歌声を乗せ、
哀愁を含んだブズーキの音色など、トラッド的な味わいが合わさった、優雅なサウンドを聴かせる。
ヴィンテージなキーボードプログレと、アコースティックのフォーク要素が同居したような感触で、
フレンチらしいシアトリカルな空気と、素朴な古楽風味が融合した独自の世界観が楽しめる。
楽曲は3〜5分前後中心で、プログレらしい展開力はさほどなく、フランス語による歌もの感が強いのだが、
アルバム後半には、オルガンにメロトロンが鳴り響くイントロ曲などもあって、むしろ古楽要素がもっと欲しい気も。
ドラマティック度・・7 プログレ度・・7 フレンチ度・・9 総合・・7.5 
Amazonで購入する


Moving Gelatine Plates
フランスのプログレ・ジャズロック、ムーヴィング・ゼラチン・プレーツの1970年作
バンド名もジャケも風変わりな感じだか、サウンドの方はフルートやサックスが鳴り響き、
軽妙なアンサンブルとエキセントリックなセンスが融合した、アヴァン・ジャズロック。
ギターはときにハードな感触になったり、シアトリカルなヴォーカルが入ったりと、
どこかコミカルな展開力も楽しく、トランペットが吹き鳴らされ、シリアスとユーモアが交差する
起伏に富んだダイナミズムもなかなか見事だ。イギリスのカンタベリー系の優雅さとは少し異なる濃密さで、
年代を考えれば、プログレ系ジャズロックとしてはかなりの傑作と言えるだろう。
ドラマティック度・・7 プログレ度・・8 アヴァンギャル度・・8 総合・・8
Amazon.co.jpで詳細を見る


MURDER IN THE CATHEDRAL 「Afraid of」
フランスのサイケロック、マーダー・イン・ザ・カテドラルの1999年作
かつてアナログ限定で500枚のみ流通していた幻のバンドの音源が、2007年にCD化された。
メロディックなギターの旋律にヘタウマなヴォーカルを乗せ、ややフォークロック的でもある
おおらかな牧歌性に包まれたサウンド。叙情的でユルめの浮遊感は、なかなか耳心地が良く、
70〜80年代を引きずったようなオールドな味わいは、90年代では見向きもされなかったことだろう。
歌の入らないインスト曲もけっこうあって、奔放に弾き鳴らされるギターのセンスの良さとともに、
サイケロックとしての自由な空気感が楽しめる。ボーナスに1998年の1stを全曲収録。こちらもレアですな。
ドラマティック度・・7 プログレ度・・7 ユルめの叙情度・・8 総合・・7.5
Amazonで購入する




Nagakanaya 「L'1classable」
フランスのプログレ・ポップ、ナガカナヤの2011年作
フランス語の女性ヴォーカルを乗せた、70年代ルーツのフレンチポップの感触に
プログレやサイケの香りをまぶしたアレンジで聴かせる、キャッチーなサウンド。
ポップな歌ものながら、ピアノやオルガン、サックスやフルートなども加えたアレンジは
フレンチ・プログレが好きなリスナーにも十分楽しめるだろう。楽曲は3〜4分台とシンプルで、
シャンソン風から、ヴァイオリンとギターが重なるシンフォニックハード風のナンバーなど、
ジャケの魔女感に比べ、けっこう幅広いサウンドが詰まっている。
キャッチー度・・8 フレンチ度・・9 女性Vo度・・7 総合・・7.5
Amazonで購入する

NARR 「Oxymore Dans La Chrysalide Des Reves」
フランスのサイケプログレバンド、ナールの2008年作
フルート奏者を含む4人編成で、うねりのあるベースを含むアナログ感あるアンサンブルに、
朗々としたヴォーカルを乗せ、フルートが怪しく鳴り響く、牧歌的なサイケロックを聴かせる。
ダウナーな味わいながらも、リズムチェンジなどのプログレらしい展開や神秘的な浮遊感に、
うっすらとしたシンセも加わった叙情的な部分も覗かせて、わりとのんびりと楽しめる。
6〜9分という大曲が主体だが、これという盛り上がりもなく、淡々とした怪しさが魅力といえば魅力か。
ドラマティック度・6 プログレ度・7 怪しさ度・8 総合・7
Amazonで購入する


NeBeLNeST
フランスのヘヴィプログレ、ネベルネストの1999年作
MAGMAのようなミステリアスなスケール感に、クリムゾンの即興性を加えたら…
そんなサウンド体現したのが本作だろう。手数の多いドラムとうねりのあるベースに
スペイシーといってよいシンセとフリーキーなギターを乗せた躍動的なアンサンブルで、
ときにANEKDOTENのような涼やかなシンフォニック性も覗かせ、独自のインストサウンドを描く。
迫力ある構築性では2作目以降に及ばないが、インプロ的な空間性を残した本作のスリリングさは、
バンドとしての懐の深さを物語るという意味では、重要な作品であったと言ってよいだろう。
ドラマティック度・・8 プログレ度・・7 壮大度・・8 総合・・8
Amazonで購入する

NeBeLNeST「NoVa eXPReSS」
フランスのヘヴィプログレバンド、ネベルネストの2nd。2002年作
MAGMAを思わせるスペイシーな雰囲気のジャズロック風味は、本作でより強まり、
クリムゾン的な叙情とヘヴィネスを合わせたアンサンブルはぐっと迫力を増している。
10分を超える曲もあり、鳴り響くメロトロンの響きとともに、ミステリアスな世界観と
テクニカルな演奏とが一体となった、スケールの大きなサウンドを描いている。
クリムゾン好きはもちろん、ANEKDOTENなどのリスナーにも楽しめる力作だろう。
ドラマティック度・・8 プログレ度・・8 壮大度・・8 総合・・8
Amazon.co.jp で詳細を見る Amazon.MP3

NeBeLNeST「ZePTO」
フランスのプログレバンド、ネベルネストの3rd。2006年作
重厚なジャズロック風味をミステリアスに聴かせる「マグマ+クリムゾン」というべき
壮大なサウンドは本作も健在。随所にメロディックなギターの旋律も含みながら、
うっすらとしたメロトロンの響きも美しく、うねりのあるベースとともに抜群のアンサンブルで構築する楽曲は、
インストでありつつも、張りつめた緊張感を漂わせていて実に素晴らしい。スペイシーなスケール感を
アヴァンギャルドかつフリーキーな表現力で描き出すセンスは見事。硬派なる傑作です。
ドラマティック度・・8 プログレ度・・8 壮大度・・9 総合・・8
Amazon.co.jp で詳細を見る Amazon.MP3


NEMO「Presages」
フランスのシンフォニックロック、ネモの2nd。2003年作
長い曲を展開力のある楽曲でぐいぐい聴かせる王道のシンフォニックサウンドで、
この手のバンドにありがちなもったりとした感触はなく、むしろギターにしろリズムにしろ
ハードめのアプローチもなされているのが特徴的。ピアノやアコースティックギターによる
しっとりとした優雅な部分もあり、フランス語のヴォーカルもなかなかはまっている。
のっけから13分の大曲に、その後も13分、17分という組曲で、バンドのドラマティックな大作志向がうかがえる。
この時点では曲アレンジにやや無駄が多い部分もあるので、そのあたりが成長しているか
3rd以降の作品も聴いてみたい。フレンチシンフォの若手としては非常に有望株。
シンフォニック度・・8 ドラマティック度・・8 フランス度・・8 総合・・7.5

NEMO「Prelude a la ruine」
フランスのシンフォニックロック、ネモの3rd。2004年作
2ndの時点から、大曲指向のドラマティックなハードシンフォスタイルがなかなかだったが、
今作はのっけからモダンなProgMetalのような雰囲気で攻めてきた。
フランス語の歌唱や、クラシカルなピアノの響きにはヨーロピアンな叙情が感じられ、
7〜9分台の長曲をメインにしながらも、力みすぎずにエレガントに聴かせる。
メタリックなギターによる硬質感と、フランス的なやわらかさが同居したサウンドだ。
シンフォニック度・・7 ProgMetal的度・・8 フレンチ度・・7 総合・・7.5
Amazonで購入する

NEMO 「Si Partie II-L'homme Ideal」
フランスのシンフォニックロック、ネモの2007年作
2002年にデビュー、本作は6作目となる。前作から続くコンセプト作の続編で、
美麗なシンセアレンジにハード寄りのギターとマイルドなフランス語のヴォーカルを乗せた、
シンフォニックロックサウンド。キャッチーなノリの良さを含んだプログレハード風味の味わいや、
女性声も加えてじっくりと聴かせる10分の大曲など、緩急に富んだ流れの中で、
フランスのバンドらしいシアトリカルなドラマ性を感じさせる作風だ。オルガン用いた
古き良きプログレテイストも覗かせつつ、ドラマティックなシンフォニックハードを描く力作。
ドラマティック度・・8 プログレ度・・7 シンフォハー度・・8 総合・・7.5 
Amazonで購入する

NEMO「Barbares」
フランスのシンフォニックロック、ネモの2009作
2002年にデビューしてから、これがすでに7作目となるハードシンフォの中堅。
本作は過去から近未来までの戦争をテーマにしたトータル作で、
いくぶんメタリックな要素もあるドラマティックなシンフォニックロックを聴かせる。
美しいシンセークとモダンなアレンジ、ときにProgMetal的な展開美と
フランス語の歌唱で構築されるサウンドは、シアトリカルな質感も含めて非常に高品質。
7〜9分の曲が主体で、ラストは26分の大曲という力作です。
シンフォニック度・・7 ドラマティック度・・8 フランス度・・8 総合・・7.5
Amazon.co.jp で詳細を見る

NEMO「Le Ver Dans Le Fruit」
フランスのシンフォニックロック、ネモの2013年作
2002年にデビューしてからすでに9作目となる。本作は2枚組の大作で、おそらくコンセプト作なのだろう、
フランス語のヴォーカルに適度にハードなギター、うっすらとしたシンセアレンジで、いくぶんダークな香りをまとった
サウンドを描いてゆく。ときにオルガンが鳴り響くヴィンテージな感触や、Echolynばりの屈折感のある変則リズムなど
プログレ的な密度は以前の作品よりもぐっと高まっている。反面、印象的なメロディのフックや盛り上がりという点では、
これだというものがなく、7〜9分という長めの楽曲を主体にしながらも、ドラマティックな高揚感に欠けるのが惜しい。
ドラマティック度・・7 プログレ度・・7 楽曲・・7 総合・・7.5
Amazon.co.jpで詳細を見る


NEMO「COMA」
フランスのプログレバンド、ネモの2015年作
2002年にデビューしてからすでに10作目となる。メタル寄りのハードなギターと美麗なシンセを乗せ、
テクニカルなリズムとともに、知的な展開力のハード・シンフォニックロックを聴かせる。
フランス語の歌声を乗せたリリカルな叙情性も持ち味で、本作ではProgMetal的な感触と
優雅なシンフォニック性が自然体に融合されている。8〜12分という大曲を主体に、
緩急の付いたメリハリある構築性を描くところは、さすがキャリアのあるバンドである。
メロウなギターフレーズやメロトロンにオルガンといった、王道のシンフォとしての魅力もしっかりと残し、
フレンチらしいシアトリカルなドラマ性も覗かせる。これは見事なシンフォニックハードの力作です。
ドラマティック度・・8 ProgMetal度・・8 優雅な叙情度・・8 総合・・8
Amazonで購入する

NEVERNESS「Cuentos De Otros Mundos Posibles」
スペインのプログレバンド、ナヴァーネスの2007年作
2002年にデビューし、2作目となる。ほどよくハードなギターにオルガンなどのシンセを重ね、
スペイン語のヴォーカルとともに、優雅な叙情に包まれたシンフォニックロックを聴かせる。
メロウな泣きのフレーズを奏でるギターに、プログレらしいシンセワークもセンスが良く、
サウンドにはほどよくヴィンテージな味わいを感じさせる。後半は10分前後の大曲が続き
インストパートがわりと長尺な感じで、ドラマティックな展開や盛り上がりがもう少し欲しいが、
総じて大人の哀愁を含んだ叙情が耳心地よい。スパニッシュシンフォの好作品です。
ドラマティック度・7 プログレ度・7 叙情度・7 総合・7.5
Amazonで購入する

NIL「QUARANTE JOURS SUR LE SINAI」
フランスのプログレバンド、ニルの2002年作
詳細は不明だが、音の方は初期クリムゾン的なヘヴィシンフォといってもいいもので、
自主レーベルからのアルバムだが、演奏、楽曲ともなかなかセンスがある。
基本はややダークなギターとシンセを中心にしたインストサウンドで、
女性ヴォーカルの美しくも妖しい歌声が入り、曲としてのアクセントになっている。
引きの部分では北欧っぽい薄暗さもあり、唐突なリズムの切り返しなどには
ANGLAGARDあたりを思わせる部分もあって、ダークなシンフォ好きにはお薦めできる。
シンフォニック度・・7 妖しげ度・・8 薄暗度・・9 総合・・8
Amazon.co.jpで詳細を見る

NIL「novo sub sole」
フランスのヘヴィシンフォニックバンド、ニルの2nd。2005作
前作も初期クリムゾン的なヘヴィシンフォサウンドでなかなか面白かったが、
今作はのっけから女性ヴォーカルの比重が増し、妖しいスキャットヴォイスに耳を奪われる。
ある種ゴシックふうな、たゆうたようなほの暗さと美しさが増していて、
サウンドを通してエキセントリックで芸術的な雰囲気が感じられる。
北欧のPAATOSあたりに通じる浮遊感と倦怠の魅力がある。なかなかの傑作。
メロディアス度・・7 ほの暗シンフォ度・・9 女性Vo度・・7 総合・・8
Amazon.co.jpで詳細を見る


Northwinds 「Masters of Magic」
フランスのプログレ・ドゥームロック、ノースウインズの2001年作
妖しくオルガンが鳴り響くイントロから、曲が入ると70年代サバスルーツの雰囲気で、
WITCHFYNDER GENERALあたりにも通じるローカルなドゥームロックが繰り広げられる。
いい意味でマイナー臭いヴォーカルも含めて、サウンド的にはさほどヘヴィさはなく、
フランス語ヴォーカルによる15分の大曲もあったりと、随所にプログレ的な雰囲気と
ヨーロッパらしい湿り気を帯びた叙情も感じられる。いかにもBlack Widowレーベルらしい好作品だ。
ドラマティック度・・7 プログレ・ドゥーム度・・8 妖しげ度・・8 総合・・7.5
Amazon.co.jpで詳細を見る


NORTHWINDS「Winter」
フランスのプログ・ドゥームロックバンド、ノースウインズの2012年作
うっすらとしたシンセとオルガンが鳴り、70年代的なヘヴィさのギターで聴かせる、
初期Black Sabbathの雰囲気をややプログレ寄りにしたというようなサウンド。
レーベルがBlack Widowということもあり、ヘヴィすぎず暗黒すぎない聴き心地で、
中世的な妖しげな世界観をかもしだしている。鳴り響くオルガンにフルートなども顔を出し、
22分の大曲などもあってプログレファンにも楽しめる、カルト的な味わいのヨーロピアンなドゥームロック作品だ。
ドラマティック度・・7 カルト・ドゥーム度・・8 70年代風度・・8 総合・・7.5
Amazon.co.jpで詳細を見る Amazon.MP3


Nu 「Cuentos De Ayer Y De Hoy」
スペインのプログレバンド、ヌーの1978年作/邦題は「落日の貴族」
ハードなギターにヴァイオリンが鳴り響き、独特のハイトーンヴォーカルがスペイン語の歌声を乗せる。
リズムチェンジを含む唐突な展開力とともに、高いテンションとシアトリカルで濃密な聴き心地は、
まさにラテン系のハードプログレ。Jethro Tullばりに鳴り響くフルートにメロディックなギターを乗せ
手数の多いドラムも含めて、プログレ寄りのハードロックとしても楽しめつつ、クラシカルなヴァイオリンに
シンセを重ねた優雅でシンフォニックな味わいもある。後半は8分、9分という大曲で、ドラマティックに盛り上げる。
70年代のスパニッシュなハードプログレとしては、BLOQUEと並ぶ出来だろう。
ドラマティック度・・8 ハードプログレ度・・8 濃密度・・9 総合・・8
Amazonで購入する




October Equus 「Saturnal」
スペインのチェンバーロック、オクトーバー・イクースの2011年作
本作は3作目で、物悲しくチェロが鳴り響き、サックスにドラムも加えて、スリリングなアンサンブルを描く、
Univers Zeroを思わせるダークなチェンバーロックサウンド。変則リズムによる唐突な展開は、
ときにジャズロック風味になったり、室内楽的な優雅さとフリーキーな緊張感を巧みに融合させた、
軽妙かつテクニカルなインストサウンドは、この手のチェンバー系プログレの愛好家にはたまらないだろう。
アンサンブル志向の展開力で聴かせるタイプなので、難解な世界観というものはあまり感じさせず、
偏屈な技巧派プログレが好きな方にも対応。暗すぎないダークさも含めて初心者から玄人まで楽しめます。
チェンバー度・・8 プログレ度・・8 スリリング度・・8 総合・・8 
Amazon.co.jpで詳細を見る

October Equus 「Permafrost」
スペインのチェンバーロック、オクトーバー・イクースの2013年作
あえてエレキ楽器を用いた、ダークなチェンバーロックを描くこのバンドは、現代R.I.O.(ロック・イン・オポジション)シーンの代表格とされる。
本作は4作目で、「永久凍土」のタイトルのように、18世紀の英国北極探検隊の悲劇を描いたコンセプト作。エレキギターによる不穏な旋律と
オルガンやエレピなどのシンセが、緊張感あふれるリズムに乗せられる、UNIVERS ZEROをよりロック寄りにしたというべきスタイル。
随所にジャズロック的なテクニカル性も感じさせつつ、整合感とフリーキーなアヴァンギャルド性が絶妙に融合されている。
ときにはっとするような、シンセとギターによる美しい叙情パートもあったりと、ミステリアスなシンフォニック性も素晴らしい。
カンタベリー風味のエレピなど、ロック寄りでダーク過ぎない点も、むしろチェンバーロック初心者にも楽しめそう。
ミステリアス度・・8 プログレ度・・8 ダーク度・・7 総合・・8
Amazon.co.jpで詳細を見る

October Equus Quartet 「Isla Purgatorio」
スペインのチェンバーロック、オクトーバー・イクース・カルテットの2013年作
October Equusのギター、女性ベース、ドラムにサックス奏者を加えた編成で、
シンセではなくサックスが活躍する分、本作ではジャズロック色が増したという印象だ。
楽曲は3〜5分台と短めなのだが、変則リズムをたっぷり盛り込んだスリリングなアンサンブルは、
チェンバー系ジャズロックが好きな方にはたまらないだろう。いくぶんクリムゾン的でもある実験性と、
オールインストながらも、サックスやギターが奏でるフレーズを楽しみながら聴き入れる。
ジャズロック度・・8 チェンバー度・・7 スリリング度・・9 総合・・8
Amazon.co.jpで詳細を見る



OMNI「solo fue un sueno」
スペインのシンフォニックロックバンド、オムニの3rd。2007作
CAMELを思わせるメロディアスなギターにたおやかなフルートの音色、
インスト主体ながら、9分、10分という大曲も聴かせてくれる。
うっすらとしたシンセもうるさすぎず、スペインの名作GOTICにも通じる
やわらかみのあるメロディと軽やかさで最後まで心地よく聴き通せる。
アンダルシアの風を運んでくるような泣きの叙情を奏でるギターは、
我々日本人の琴線に触れてやまないだろう。オフィシャルサイトはこちら
メロディアス度・・8 シンフォニック度・・7 スパニッシュ度・・7 総合・・7.5
Amazon.co.jp で詳細を見る

One Shot 「Reforged」
フランスのジャズロック、ワン・ショットの1999年作
MAGMAに参加した、ジェイムズ・マクゴウ、フィリップ・ブソネ、エマニュエル・ボルギらによるバンドで、
オルガンやエレピを含むシンセに適度にハードなギターを乗せた軽妙なアンサンブルとともに、
ミステリアスな空気感をかもしだすプログレ・ジャズロック。マグマに比べると、ギターが前に出ていて、
ジャズロックが苦手な方にも、テクニカルなインストプログレとしてわりと聴きやすいかもしれない。
ジェイムズ・マクゴウの技巧的なギターフレーズは、ときにホールズワースばりに流麗で、
不穏でダークな空気感の中に、メロディックな味わいを付加している。10分前後の大曲が多いが、
手数の多いドラムも含め、テクニカルでありつつ有機的なアンサンブルが心地よく、スリリングに聴きとおせる。
ジャズロック度・・8 プログレ度・・8 軽妙度・・8 総合・・8
Amazonで購入する

One Shot 「Vendredi 13」
フランスのジャズロック、ワン・ショットの2001年作
2作目となる本作は、ライブでの一発録音ということで、生々しいリズムアンサンブルに、
エレピなのどのシンセにほどよくフリーキーなギターを乗せた、スリリングなインストを聴かせる。
ジャズとロックの中間をゆくような巧みなドラムと、流麗なロック感触のギターワークが魅力的で、
MAGMAを思わせる緊迫感に包まれた空気感とともに、10分を超える大曲を構築してゆく。
前作に比べると、曲によってはアダルトなジャズロック風味が強まっていて、たたみかける迫力は控えめながら、
優雅なライブ演奏にじっくりと聴き入れる。ラスト曲は重量級のチェンバー・ジャズロックでにんまり。
ジャズロック度・・8 プログレ度・・7 軽妙度・・8 総合・・8

Amazonで購入する


OORT
フランスのプログレバンド、OORTの2010年作
シンセを含む5人編成で、美しいフルートの音色に美麗なシンセアレンジ、
中性的なハイトーンヴォーカルで聴かせる、モダンなシンフォニックロック。
軽妙なリズムに適度にハードなギターとフランス語の歌声が乗るスタイルは
これまでありそうでなかった感触で、10分を超える大曲も含めた知的な構築センスもある。
優雅な聴き心地が楽しめる、ゆるやかなモダンシンフォニックの好作。
シンフォニック度・・7 プログレ度・・7 繊細度・・8 総合・・7.5


Orion 「La Nature Vit, L'homme Lui Critique...」
フランスのプログレバンド、オリオンの1979年作
ムーグシンセやピアノを含むキーボード、メロウなギターを乗せた軽やかなアンサンブルに、
フランス語のヴォーカルを乗せて、シアトリカルな叙情性に包まれたサウンドを聴かせる。
リズムチェンジを含む優雅な展開力と、ほどよいマイナーな味わいが同居した感触で、
ATOLLを小粒にしたような雰囲気や、クセのあるところはANGEを思わせるところも。
やわらかなフルートにシンセが重なる繊細な叙情美などはよい感じで、派手なインパクトはないが、
マイナー系フレンチシンフォの好作。バンドは本作を残して消えるが、2013年に、34年ぶりに復活する。
ドラマティック度・・8 プログレ度・・8 フレンチ度・・8 総合・・7.5
Amazonで購入する

ORION 「La Face Visible」
フランスのプログレバンド、オリオンの2015年作
1979年に1作を残して消えたバンドの35年ぶりの復活作。東西ドイツの統一をテーマにしたコンセプト作で、
叙情的なギターにシンセを重ね、フランスらしい翳りを帯びた空気感とともに、ジャズロック的でもある
軽妙な優雅さを含んだサウンドを展開する。モダンなビート感によるポップな感触と、
フランス語のヴォーカルを乗せたアンニュイな叙情が同居していて、楽曲展開に派手さはないが、
ゆったりとしたサウンドの中にも、フレンチらしいシアトリカルな雰囲気を感じさせる。
シンフォニックな優雅さか、ジャズロックの軽妙さか、ややどっちつかずなところが惜しい。
ドラマティック度・・7 プログレ度・・7 フレンチ度・・8 総合・・7
Amazonで購入する


ORION DUST「LEGACY」
フランスのプログレバンド、オリオン・ダストの2018年
2016年にデビューし、2作目となる。アコースティックギターのつまびきに妖しい女性ヴォーカルの歌声、
優美なシンセアレンジやエレキギターにドラムも加わった、フォークプログレ風の優雅なサウンドを聴かせる。
ときにハードなギターにオルガンを重ねた、ヴィンテージな感触や、ヒステリックなヴォーカルによる
エキセントリックな雰囲気も覗かせるなど、わりと振り幅の大きな作風。8〜9分という長めのナンバーも、
オールドロック風味から、優美なアコースティックパート、メロウで叙情的なギターに、怪しい詠唱なども含んだ、
先の読めない展開力でじっくりと聴かせる。全体的には、つかみどころがないのだが、それが個性なのかも。
ドラマティック度・7 プログレ度・7 女性Vo度・7 総合・7
Amazonで購入する




PARTHENON「Mare Tenebris」
スペインのプログレバンド、パルテノンの2005年作
トラッドプログレバンドAMAROKのシンセ奏者を中心にしたバンドで、トラッド色のない、シンセを主体にしたELPタイプのサウンドをやっている。
クラシカルなセンスのシンセワークは、派手さよりもしっとりとした美しさと優雅さがあって、そこにギターが絡みながらインスト主体のシンフォニックロックを形成してゆく。
またAMAROKの女性Voも参加していて、何曲かで美しい歌声を聴かせてくれる。
全体的にはサウンドがやや平坦なので単長に感じるところもあるが、まずは優雅な好作品。
シンフォニック度・・7 キーボー度・・8 しっとり優雅度・・8 総合・・7.5
Amazon.co.jp で詳細を見る

PATRICK BROGUIERE 「ICONES」
フランスのミュージシャン、パトリック・ブログイエーレの1996年作
ギター、シンセ、ヴァイオリンフルートをこなすマルチミュージシャンで、1994年作に続く2作目となる。
「想像上の展覧会音楽」をテーマに、優美なシンセの重ねにクラシカルなピアノ、打ち込みによるリズムで、オーケストラルな味わいのインストのシンフォニックロックを展開する。
美麗なシンセアレンジをメインにしつつ、ときにギターを加えたロック感触もあり、モダンなビートにフランス語の女性スキャットとヴァイオリンを乗せた、スタイリッシュなセンスも覗かせる。
サックスが鳴り響く大人の叙情から、シンフォプログレらしいラストまで、ほぼインストながらアーティスティックな味わいの好作品。
ドラマティック度・7 プログレ度・7 優雅度・8 総合・7
Amazonで購入する


PEARLS OF SWINES
フランスのアヴァンプログレ、パールス・オブ・スウィネスの2013年作
エドガー・アラン・ポーの詩をコンセプトにした作品で、変則リズムを含むアンサンブルに、
女性ヴォーカルの歌声を乗せ、浮遊感のあるアヴァンギャルド性で聴かせるサウンド。
適度なテクニカル性とともに、チェンバーロック的でもあるミステリアスで不穏な空気感も描き出し、
手数の多いドラムやダークなフレージングを奏でるギタリストのセンスもなかなかのもの。
曲によってはHenry Cow的なキュートな毒気や、フランスらしい優雅な闇を感じさせつつ、
全体的にはまだ実力を出し切っていないような、得体の知れないセンスも匂わせる。
ドラマティック度・・7 プログレ度・・8 アヴァンギャル度・・8 総合・・8
Amazon.co.jpで詳細を見る


PENTACLE 「La Clef Des Songes」
フランスのプログレバンド、パンタクルの1974年作
叙情的なギターに美しいシンセを重ね、フランス語の歌声で聴かせる優美なシンフォニックロック。
ANGEのクリスチャン・デカンがプロデュース、フレンチロックらしい翳りを帯びたドラマ性と、
初期のGENESISのような幻想的な世界観に包まれる。アコースティックパートによる
繊細な叙情とともに、くぐもったような空気感と、ヨーロピアンなロマンティシズムも感じさせ、
10分を超えるラスト曲では、しっとりとした導入部から、起伏に富んだ展開力でドラマティックに構築する。
ジャケはいかにもB級臭いが、内容は叙情派フレンチ・シンフォニックの逸品といえる。
ドラマティック度・・8 プログレ度・・7 叙情度・・8 総合・8
Amazonで購入する


PERVY PERKIN 「.TOTEM.」
スペインのプログレ・モダンロック、パーヴィ・パーキンの2016年作
顔面にペイントを施した若手の5人組で、2014年にデビューして、本作は2作目となる。
ほどよくハードなギターにマイルドなヴォーカルを乗せ、やわらかなシンセアレンジを重ねた
エモーショナルロック寄りのキャッチーでスタイリッシュなサウンド。ほどよいテクニカル性に、
ときにコミカルなカントリー風味なども含む、ごった煮系モダンロックという聴き心地だが、
中盤の26分の大曲では、キャッチーなプログレ感触と緩急ある展開力に、モダンなヘヴィネスや
セリフなどを含んだヘンテコなドラマ性がなかなか面白い。日本語によるナレーションや
デスメタル的なアグレッシブさもネタにしつつ、アヴァンギャルドにたたみかける。全79分という力作。
ドラマティック度・・7 プログレ度・・7 アヴァンギャル度・・8 総合・・7.5
Amazonで購入する

Petrus Castrus 「Mestre」
ポルトガルのプログレバンド、ペトラス・カストラスの1973/2007年作
TANTRAなどとともに、70年代初頭のポルトガル・プログレシーンを彩ったバンド。
デビュー作の再発盤で、やわらかなピアノにオルガンが鳴り響き、ポルトガル語のマイルドな歌声を乗せ、
ゆったりとした叙情美に包まれたサウンド。70'sブリティッシュロック的でもあるブルージーな味わいと、
キャッチーな感触も覗かせつつ、コンパクトな歌ものを主体にした優雅なアートロック風味の聴き心地だ。
派手さはないが、アコースティックな素朴さと、ラテン系らしいおおらかな暖かみに包まれた好作品。
Disc2には2000〜2005年の音源を収録。優美な叙情とともに、シンフォニックなサウンドが楽しめる。
ドラマティック度・・7 プログレ度・・7 叙情度・・8 総合・・7.5
Amazonで購入する


Phaesis 「Reminiscence」
フランスのプログレバンド、ファエシスの1989年作
美しいシンセアレンジとともにフレンチらしいシアトルカルな妖しさを漂わせたサウンド。
やわらかなヴォーカルも含めてふわふわとした幻想的な浮遊感に包まれていて
メロウなギターも入ったシンフォ系でありながら、どことなくサイケデリックな匂いもある。
8、9分の大曲を軸に、、明確な盛り上がりや展開というよりも、いわば未完成な絵画のような
アーティスティックな世界観を描いてゆく。雰囲気としてはPULSARにも近いかもしれない。
ドラマティック度・・8 プログレ度・・7 フレンチ度・・8 総合・・7.5
Amazon.co.jpで詳細を見る

Phaesis 「Labyrinthe」
フランスのプログレバンド、ファエシスの1991年作
前作はPULSARを思わせるサイケ感のあるシンフォ作品だったが、2作目の本作もうっすらとしたシンセに包まれた
スペイシーな空間性に、フランス語のマイルドなヴォーカルを乗せた、やわらかなシンフォニックロックを聴かせる。
叙情的なギターフレーズにはいくぶんつないないヘタウマ感触を残していて、90年代のマイナー系シンフォ特有の
ローカルで幻想的な味わいが楽しめる。7〜9分前後の長めの曲は、ややもったりとしていてスリリングさには欠けるのだが、
フレンチらしいくぐもったような叙情性は耳心地がよい。ラスト曲の美しさは、WAPASSOUあたりを思い出した。
ドラマティック度・・7 プログレ度・・7 フレンチ度・・8 総合・・7.5
Amazonで購入する



PINIOL 「Bran Coucou」
フランスのアヴァンロック、ピニョールの2017年作
POILNiの合体バンドで、ハードエッジなギターとエレクトロなシンセをテクニカルなリズムに乗せ、
詠唱めいたヘンテコな歌声とともに、アッパーなサイケ感を含んだ、フリーキーなアヴァンロックを聴かせる。
トリップ感のあるリフレインにカラフルでピコピコのシンセと、わりと重厚なギターがミスマッチな味わいながら
得体の知れない迫力に変わる瞬間があって、ヘンタイ系バンドが結束したさすがの演奏力というところ。
10分を超える大曲を、なし崩し的にたたみかける、怒涛のアヴァンギャルドセンスが素晴らしいのである。
インストパートをメインに、先の読めないスリリングさで、ハードなマスロックとアヴァンプログレが合致した異色の傑作だ。
ドラマティック度・7 アヴァンギャル度・9 ヘンタイ度・9 総合・8
Amazonで購入する


PI2 「Retorn」
スペインのプログレバンド、パイ・ツーの1998年作
叙情的なギターの旋律にやわらかなシンセを重ねた、インストをメインにした優美なシンフォニックロック。
13分の大曲では、アコースティックギターにクラリネットの音色も加わって、繊細なクラシカル性も覗かせつつ、
オルガンなどのシンセとともにプログレらしい緩急ある展開力で、日本人好みのシンフォプログレを聴かせる。
サックスが鳴り響き、きらびやかなシンセワークが重なるナンバーも、ゆったりとした繊細な叙情美が耳心地よく、
オールインストながらも起伏のあるサウンドが楽しめる。古き良きプログレの感触を残した優雅な好作品です。
ドラマティック度・7 プログレ度・8 優美度・9 総合・8 

PI2「Tomorrow's Another Day (Dema sera un altre dia)」
スペインのシンフォニックロック、パイツーの2001年作
シンセにフルート奏者を含む7人編成で、やわらかなピアノに美しいシンセアレンジ、メロウなギターを乗せて
CamelGoticなどに通じる、しっとりとした優美な叙情を描くサウンド。マイルドなヴォーカルが加わると、
ウェットでキャッチーな感触が広がり、繊細なフルートのも色なども含めて、25分の組曲をゆったりと描いてゆく。
基本はインストがメインながら、叙情豊かなギターとシンセを中心に、繊細なシンフォニックロックが楽しめる好作品。
ドラマティック度・・7 プログレ度・・8 繊細度・・8 総合・・7.5

π2 (PI2) 「THE ENDLESS JOURNEY」
スペインのシンフォニックロック、パイ・ツーの2005年作
シンセ奏者Pito Costa氏を中心にしたユニットで、おそらくこれが3作目。
いかにもプログレ的なムーグシンセの音色に、ハケットのようなメロディアスギター、
ヴォーカルは英語なのでスペイン臭さというのはほとんどない。ジャケの雰囲気もそうだが、
サウンドからもプログレ/シンフォニック愛好家的な微笑ましさが感じられ、
完成度というよりも非商業的なファンタジー音楽を楽しめる向きにはお勧めだ。
25分のタイトル曲も含めて、牧歌的でほのぼのとした作品。オフィシャルサイトで試聴可
ドラマテイック度・・8 シンフォニック好きぃ♪度・・8 ほのぼの度・・8 総合・・7.5
Amazonで購入する

π2(PI2)「Silent Running」
スペインのシンフォニックロック、パイ・ツーの2009年作
シンセ奏者Pito Costa氏を中心にしたユニットで、オルガンやムーグを含むシンセにメロウなギター、
英語によるマイルドなヴォーカルを乗せ、キャッチーなメロディアス性で聴かせるサウンドは、
Neal Morseあたりに通じるやわらかな感触だ。随所に泣きのメロディを奏でるギターも含めて
CAMELやGOTICなどを思わせる、繊細で優雅な耳心地というのはなかなか日本人好みと言えるだろう。
ラストは25分を超える大曲で、ゆったりとした展開の中に叙情的なギターフレーズを盛り込み、
優しいヴォーカルを乗せた繊細な美意識は、むしろイギリスや北欧のバンドのようだ。
メロディック度・・8 プログレ度・・7 優雅な叙情度・・9 総合・・7.5

PITCH 「Conquistador」
フランスのプログレバンド、ピッチの2012年作
オルガンを含むやわらかなシンセに、フェミニンな女性ヴォーカルを乗せた優雅なサウンドで、
軽妙なアンサンブルの中にもほどよいユルさと、アンニュイな香りを含んだ聴き心地。
ときにヴァイオリンも鳴り響き、リズムチェンジを含むエキセントリックな展開で、
いわば、シャンソンとプログレ、ジャズロックを同居させたような雰囲気というべきか。
盛り上がりや抜けの良さがないので、やや偏屈で玄人好みというか、BENT KNEEのように、
コケティッシュな女性声アヴァンポップとして楽しむのがよいのかも。全70分のなかなかの力作です。
ドラマティック度・・7 プログレ度・・7 女性Vo度・・8 総合・・7.5
Amazonで購入する


Poil 「Brossaklitt」
フランスのアヴァンロック、ポアルの2014年作
2008年にデビューしたフレンチ・アヴァンロックの新鋭。本作は3作目となる。ジャケからしてすでにカオスだが、
サウンドの方も、アヴァンギャルドの極地。重ためのドラムがフリーキーなリズムを叩き出し、
シンセとギターが螺旋のように絡みつく。怪しげなヴォーカルとコーラスが加わって、
おちゃらけと毒気が混じり合った異様な感触は、「ダークになったサムラ」というべきか。
テンションの高さとスリリングな緊張感と、それを笑い飛ばすような脱力感を同居させた無茶なサウンドは、
完全なヘンタイで、その迫力には圧倒される。曲によってはデジタルなテクノ的アプローチもあったりとなんでもあり。
崩壊しそうでしっかりと構築されているという不思議なセンスは見事。ホイリー・コーンも真っ青の傑作です。
ドラマティック度・・7 アヴァンギャル度・・10 ヘンタイ度・・10 総合・・8.5
Amazonで購入する

Poil 「Sus」
フランスのアヴァンロック、ポアルの2019年作
2008年にデビュー、本作は4作目となる。前作「Brossaklitt」は、アヴァンギャルドの極致というべき傑作だったが、
本作は歪ませたベースを乗せたヘヴィなサウンドで始まりつつ、エレピを含むシンセに、架空の言語である、
オクシタン語のヴォーカルで、さっそくとぼけた味わいをかもしだす。変則リズムを叩き出すドラムとフリーキーなシンセ、
ヘヴィなベースが混沌とした音の塊となって聴き手を不安にさせる。軽やかなアンサンブルは、優雅というよりは、
むしろヘンタイな香りもただよわせ、先の読めないスリリングな感触で、MATS/MORGANあたりに通じるところも。
ラストの14分の大曲は、中近東サイケ的な旋律のリフレインにとぼけたコーラスが重なる。ヘヴィでトリップ感のある異色作。
アヴァンギャル度・・8 プログレ度・・8 優雅なヘンタイ度・・9 総合・・8 
Amazonで購入する


A Presenca Das Formigas 「Pe De Vento」
スペインのフォークロック、プレセンカ・ダス・フォーミガスの2014年作
2011年にデビューし2作目。アコースティックギターに艶やかなヴァイオリンの音色、女性ヴォーカルの歌声を乗せ
優雅なアコースティックサウンドを聴かせる。ドラムによるリズムが加わるので、ロック的な軽快さもいくぶんあり、
スパニッシュな歌声やアコーディオンの音色とともに、フォルクローレ風味の哀愁と叙情も感じさせる。
ときにマイルドな男性ヴォーカルも加わりつつ、あくまで女性声がメインなのも嬉しい。
あるいは、AMAROKからプログレ要素を薄めたイメージで楽しめるかもしれない。
アコーステッィク度・8 トラッド/フォーク度・8 優雅度・9 総合・8
Amazonで購入する



Priam「3 Distances/Irregular Signs」
フランスのプログレバンド、プリアムの1st。1997年作
ギター、シンセ、ベース、ドラムの4人組で、清涼感のあるシンフォニックなフュージョン/ジャズロックをやっている。
オールインストながらギターの奏でるメロディや美しいシンセのおかげで耳触りがよく、テクニカルであっても案外聴きやすい。
そういう点ではかつてのKENSOあたりに通じるセンスもあり、モダンなプログレ感覚を嫌味なくさらりと聴かせられる演奏力も見事だ。
中盤の26分の組曲は、繊細なシンフォニックロック風のパートから、ギターを中心にテクニカルに展開してゆき、見事な構築センスで聴かせてくれる。
メロディアス度・・8 テクニカル度・・8 構築センス度・・8 総合・・8
Amazon.co.jp で詳細を見る

PRIAM 「Diffraction」
フランスのプログレバンド、プリアムの2001年作
オールインストの軽妙な好作だった前作から4年ぶりとなる2作目で、
モダンなシンセアレンジとメロディックなフレージングのギターを乗せた
プログレフュージョン風味もあるテクニカルなアンサンブルを聴かせる。
オールインストながら、10分を超える大曲も多く、サツクスが加わったジャズロック風味や、
どこかトボけた味わいのセンスとミステリアスな雰囲気も加わって構築される、なかなか面白いサウンドだ。
同郷のNeBeLNeSTをジャズロック寄りにしたという感じもある。フランスのケンソーというべき傑作。
メロディック度・・7 プログレ度・・8 テクニカル度・・8 総合・・8
Amazon.co.jpで詳細を見る

Progression By Failure
フランスのシンフォニックロック、プログレッション・バイ・ファイラーの2009年作
マルチミュージシャンNicolas Piveteauによる個人ユニットで、きらびやかなシンセアレンジと
ProgMetal的な感触もあるテクニカルな展開力で描かれる、ハード・シンフォニックロック。
オールインストで、10分、20分という大曲もあるので、どうしても長尺感はあるのだが、
オルガンやムーグなどを含む多彩なシンセアレンジを中心に、全体的にメロディックな質感で楽しめる。
ただ、ドラムのテクに関しては普通なので、ソロにこだわらず良いメンバーを入れてやって欲しい気も。
ドラマティック度・・7 プログレ度・・7 美麗度・・8 総合・・7.5
Amazon.co.jpで詳細を見る



PSICOTROPIA
スペインのプログレバンド、サイコトロピアの2003年作
ギター、ベース/シンセ、ドラムという3人編成で、ミステリアスなイントロから
曲に入ると、ハードめのギターを含んだ攻撃的なアンサンブルと、
シアトリカルなヴォーカルの歌声で聴かせる、いわゆる偏屈系のサウンド。
クリムゾン系のヘヴィプログレの感触もあるのだが、よりアヴァンギャルドで
唐突な展開が面白い。変則リズムと切り返しの上をフルートが鳴り響き、
ヘヴィなギターリフが荒々しくたたみかける。楽曲ごとにもう少し盛り上げがあれば。
メロディック度・・7 プログレ度・・8 ヘンタイ度・・8 総合・・7.5
Amazon.co.jpで詳細を見る



PULSAR「Pollen」
フランスのプログレバンド、ピュルサーの1st。1975年作
PULSARといえば、名作「Halloween」が思い浮かぶが、本作はスペイシーなシンセとともに、
くぐもったような薄暗さで聴かせる、幻想的で静謐感のある作風だ。うっすらとしたメロトロンにギターのつまびき、
けだるげなヴォーカルにフルートの音色が響く、妖しい浮遊感と、サイケ的でもあるユルさもまた
本作の魅力といっていいだろう。むしろWAPASSOUなどにも近い聴き心地かもしれない。
うっすら度・・8 プログレ度・・7 静謐度・・8 総合・・7.5
Amazon.co.jp で詳細を見る


PULSAR「Strands Of The Future」
フランスのプログレバンド、ピュルサーの2nd。1976年作
本作はのっけから22分という大曲で、美しいシンセに包まれたスペイシーな感触と、
ゆったりとした繊細な叙情性とともに、幻想的なシンフォニックロックを描いてゆく。
ときにアコースティカルなパートを含んで、ときにゆるやかにときにダイナミックに展開する楽曲は、
前作以上にプログレとしての魅力が増していて、オルガンやムーグ、メロトロンといったシンセも
ここぞとばかりに鳴らされる。薄暗い翳りと知的な物語性を感じさせる作風は、ある意味とてもフランスらしい。
歴史的傑作となる次作「Halloween」へとつながる好作品である。
シンフォニック度・・8 プログレ度・・8 幻想度・・8 総合・・8
Amazon.co.jpで詳細を見る

PULSAR「Halloween」
フランスのプログレバンド、ピュルサーの3rd。1977年作
女性Voによる“ダニーボーイ”で幕を開ける本作は、フランスプログレ史上においても5指に入るべき名作。
美しいフルートに幽玄なメロトロンの響き、アコースティックギターのつまびきに包まれて、
ゆったりと曲は進んでゆく、ヘヴィーなギターが加わりダイナミックなリズムとともに、
薄暗い叙情とエキセントリックな夢見心地の狂気のようなものが交差してゆく。
メロウなギターワークとメロトロンの重なりは絶品で、たとえば初期のGENESISの叙情をフランス的な
アートな感性で仕立て上げたという感じか。A、B面をいっぱいに使った全2曲の構成も思い切っているが、
カッチリとした展開というものではなく、むしろ広がりのある幻想的感性を楽しむ作品だと思う。
シンフォニック度・・8 プログレ度・・8 幻想度・・9 総合・・8.5
Amazon.co.jpで詳細を見る

PULSAR「GORLITZ」
フランスの叙情派バンド、ピュルサー(パルサー)の1989作
PULSARといえば3枚目の「HALLOWEEN」がユーロロック史上の傑作として有名だが、
それ以外のアルバムは意外と知られていない。このアルバムもさして話題にはならなかったようだが、
ヨーロッパの古めかしい鉄道列車が映ったジャケがなんだか旅愁を誘う。
サウンドのほうはゆるやかなキーボード、ギターによる静か目の叙情曲で、
1曲目の19分の大曲からして思わず眠りそう・・・いやいや、繊細で情緒的。
壮大さや刺激を求める方には正反対の音楽。たまにはこういう大人のシンフォもいいか。
メロディアス度・・7 シンフォニック度・・7 静寂の叙情度・・9 総合・・7.5
Amazon.co.jpで詳細を見る

PULSARMemory Ashes」
フランスのシンフォニックロックバンド、ピュルサーの2007年作
1977年にフレンチシンフォニックの金字塔というべき傑作「Halloween」を発表、
その後1989年の「GORLITZ」以降音沙汰がなかったが、じつに18年ぶりとなる復活作。
サウンドはしっとりとしたシンセに包まれて、美しいピアノやメロウなギターワーク、
そして女性コーラスなどを含めた、ゆったりとした叙情的な聴き心地。
25分を超えるタイトル組曲をはじめとして、かつてを思わせる幻想的な世界観とともに、
ゆるやかに音が重ねられてゆく。派手さはないがうっとりとなる情緒的な傑作です。
シンフォニック度・・8 プログレ度・・7 しっとり叙情度・・9 総合・・8
Amazon.co.jp で詳細を見る




Qantum 「Les Temps Oublies」
フランスのプログレバンド、クアンタムの2009年作
きらびやかなシンセにギターを重ね、フランス語による味のあるヴォーカルを乗せた、
優雅なシンフォニックロックを聴かせる。フレンチらしいシアトリカルでドラマティックな雰囲気は、
やはりANGEをルーツにした雰囲気であるが、ほどよいマイナー臭さも含めてなかなか出来がよい。
随所にクラシカルなピアノや、メロウな旋律を奏でるギターもよい感じで、楽曲も3〜7分ほどなので
長すぎないのも聴きやすい。濃密なヴォーカルパートと、優美な叙情のインストパートの対比もよろしく、
古き良き正統派シンフォプログレの王道というような、幻想のロマンが味わえる力作です。
ドラマティック度・・8 叙情度・・9 フレンチ度・・9 総合・・8
Amazonで購入する

Qantum 「Le Passage」
フランスのプログレバンド、クァンタムの2016年作
美麗なシンセにメロウなギターが重なり、フランス語によるマイルドな歌声を乗せた、
ANGE影響下にあるシンフォニックロック。リズムチェンジによるドラマティックな展開力と、
シアトリカルな空気感に包まれた、いかにもフランスのバンドらしい優雅な聴き心地。
ヴォーカルの野暮ったさが好みを分けるかもしれないが、クラシカルなシンセワークに、
ときにフルートの音色も加わったやわらかな叙情は耳に優しく、プログレらしい変則リズムも含め
どことなく90年代の香りを残したローカルな味わいもまた魅力。ANGEVersaillesなど、
フレンチ・シンフォの濃密な優雅さが好きな方にはお薦めの逸品です。
ドラマティック度・・8 フレンチ度・・9 優雅度・・9 総合・・8
Amazonで購入する

QUARTETO 1111「ONDE QUANDO COMO PORQUE CANTAMOS PESSOAS VIVAS」
ポルトガルのプログレバンド、カルテット1111の1974作
Jose Cidが在籍したことでも知られるバンドで、これが3作目であるらしい。
2曲の大曲による30分弱というアルバムながら、全編にわたってメロトロンが鳴り響き、
やわらかなヴォーカルが心地よい、しっとりとしたアコースティカルな作風だ。
おおらかな叙情性が耳に優しい。やはりJose Cidのシンセワークは素晴らしく、素朴なサウンドを豊かに彩っている。
シンフォニック度・・8 プログレ度・・7 しっとり度・・9 総合・・8
Amazon.co.jpで詳細を見る




Raison de Plus「Au Bout du Couloir」
フランスのシンフォニックロックバンド、レイソン・デ・プラの1st。1995年作
ひどくB級っぽいジャケからは想像もつかないが、リリカルなメロディ満載のシンフォニックの好作。
いやホントに(笑)いかにも派手やかなシンセワークに、ユルめのクサメロを奏でるギター、
たおやかなフルートに、ヘナチョコながらときにシアトリカルに歌うフランス語のヴォーカル。
楽曲はマイナー臭さを残しつつ、ドラマティックに華麗に盛り上がったりします。
総じて弱いんですが…好きなんです。これぞ王道フレンチシンフォという好作。
シンフォニック度・・8 フレンチ度・・9 B級度・・8 総合・・7.5
Amazon.co.jp で詳細を見る Amazon.MP3

RAISON DE PLUS「ICI EST AILLEURS」
フランスのシンフォニックバンド、レイソン・デ・プラの2nd。2002年作。
1sはクサメロのシンフォニック作品だったが、今作も同傾向のリリカル系シンフォニック全開の逸品だ。
レトロなツインキーボードの音色は80年代を思わせ、メロウなギターもつぼを押さえてセンスが良い。
曲には適度な疾走感と展開のメリハリがあり、盛り上がりではあくまでメロディアス&シンフォニック。
引きの叙情パートではやさしいフルートの音色でうっとりとなる。フランス語によるヴォーカルの力弱さも、
むしろこの繊細でソフトなシンフォサウンドにはマッチしている。やっぱり実によい感じの好作です。
シンフォニック度・・9 リリカル度・・9 フレンチ度・・9 総合・・8
Amazon.co.jp で詳細を見る Amazon.MP3


RC2「Future Awaits」
スペインで活動するシンフォニックロックバンド、RC2の2008年作
テクニカルな展開力とさわやかでキャッチーなメロディが合わさったシンフォニックロック。
ヴェネズエラ出身ということだが、歌詞が英語のため南米的な雰囲気はあまりなく、スタイリッシュなサウンドは
むしろアメリカ的という感じもする。クラシカルなピアノ、シンセワークにヴォーカルの優しい歌唱が重なり
しっとりと聴かせる繊細さもあって、曲は長いのだが聴き疲れはしない。
また、メロディアスなだけでなく、SPOCK'S BEARD的なとぼけた風味や、あるいは
ProgMetal的な構築性も感じられて、新世代の若手らしい貪欲な吸収力もありそうだ。
ただ、現時点ではまだサウンドの焦点を絞るまではいっておらず、いくぶんの散漫さも残る。
メロディアス度・・8 テクニカル度・・7 楽曲センス・・8 総合・・7.5
Amazon.co.jp で詳細を見る


Remi Orts Project & Zara Angel 「State of Souls」
フランスのミュージシャン、レミ・オルツとベルギーの女性Voによるユニットの2013年作
美しい女性ヴォーカルの歌声と、キャッチーなメロディで聴かせる爽やかなサウンドで、
うっすらとしたシンセアレンジにメロウなギターフレーズも耳心地がよい。
初期のQUIDAMあたりにも通じるしっとりとした聴き心地であるが、
ときにシンフォニックメタル的な疾走パートもあったりして飽きさせない。
サウンドプロダクション的に物足りなさはあるが、キリスト教的なヨーロピアンで、
幻想的な世界観はよい感じで、女性声の美麗系シンフォとして楽しめる好作だ。
メロディアス度・・8 プログレ度・・7 女性Vo度・・8 総合・・7.5
Amazon.co.jpで詳細を見る


Reve General 「Howl」
フランスのチェンバーロック、レーヴ・ジェネラルの2015年作
ETRON FOU LELOUBLANKのギグー・シュヌヴィエ率いるVOLAPUKと、チェコのMETAMORPHOSISが合体したユニット。
2014年フランスでのライブ音源で、ギター、ヴァイオリンとチェロを2人ずつ含む編成で、4人が奏でる艶やかなストリングスに、
エレキギターを重ね、妖しい男女ヴォーカルを乗せた、クラシカルなチェンバーロックを聴かせる。ギグーの巧みなドラムを加えての
スリリングなアンサンブルはライブらしい躍動感で、一方で、ドラムが入らないナンバーは室内楽そのものという感じながら、
わりとハードなギターがアクセントになっていて、優雅なだけではない攻撃性も覗かせる。After Dinnerでも活躍する
女性Vln奏者、福島匠さんは、ヴァイオリンだけでなく日本語による歌声も披露。ストリングス主体のチェンバーが好きなら是非。
クラシカル度・・8 チェンバー度・・9 優雅度・・8 総合・・8
Amazonで購入する


RHUN 「Fanfare Du Chaos」
フランスのプログレ・ジャズロック、ルーンの2013年作/邦題「混沌のファンファーレ」
サックスが鳴り響き、コバイヤ語を思わせる男女コーラスの歌声を乗せた、まさにMAGMAタイプのサウンド。
サックス、クラリネット、バスーン、フルートなどがチェンバーロック的にときに優雅にときにシリアスに吹き鳴らされ、
変則リズムを含んだテクニカルなアンサンブルとともに、アヴァンギャルドな展開を大仰に描いてゆく。
特徴としてはノイジーなギターによる不協的な緊迫感が、スリリングな危うさをかもしだしていて、
フルートなどが美しいゆったりとしたパートとの強烈なコントラストとなっている。暴れん坊のマグマというか、
むしろシアトリカルな妖しさでは、本家マグマを凌駕するかもしれない。これは強力なアルバムだ。
ドラマティック度・・8 プログレ度・・8 マグマ度・・9 総合・・8
Amazon.co.jpで詳細を見る


Riviere「Heal」
フランスのプログレ・ポストロック、リヴィエーレの2016年作
うっすらとしたシンセアレンジに、存在感あるベースと適度にハードなギターを乗せて、
モダンな硬質感と繊細な叙情性を同居させ、ProgMetal的な感触も含んだサウンド。
マイルドなヴォーカルを乗せたエモーショナルな聴き心地とやわらかな浮遊感も含めて、
ドイツのSYLVANをメタル寄りにしたという雰囲気もあり、プログレなエモロックとしても楽しめる。
2本のギターが複雑に絡む厚みのあるアレンジや、リズム面でのテクニカルなセンスにも
知的な構築性を感じさせる。スタイリッシュなプログレ風モダンロックの好作品。
ドラマティック度・・7 プログレ度・・7 モダン度・・8 総合・・8
Amazonで購入する


RJALZ 「U Rigiru」
フランス、コルシカ島出身のプログレバンド、リアルズの2008年作
「コルシカのマグマ」とも呼ばれ1978年に1000枚のみのプレスでLPが出回っていたレアな音源がCD化された。
オルガンやピアノの音色にヴァイオリンが鳴り響き、優雅で軽やかなアンサンブルを聴かせるサウンドで、
基本はジャズロックでありながらも、どこか辺境的な妖しさと湿り気を含んだ土着的な空気感が特徴的。
フランス語による男性ヴォーカルはときに詠唱のようで、女性声のスキャットとともに神秘的な雰囲気を描いている。
16分、11分という大曲を、ときに即興的な演奏を含んだセンスも面白く、MAGMAの妖しさにTerpandreの優雅さを合わせた、
濃密なサウンドが味わえる。このままバンドが活動を続けていたらものすごい作品を作ったのではないかという気もする。
CD化のボーナスとして、1977年に録音されたライブ音源と、76年の未発音源を追加収録。
ドラマティック度・・8 プログレ度・・8 神秘的度・・8 総合・・8
Amazon.co.jpで詳細を見る

Robert Santamaria & Ensemble Spatium 「Jaume I - Musica de Fets i Llegendes」
スペインで活動するミュージシャン、ロベルト・サンタマリアによるプロジェクト。2021年作
Aベネズエラ出身、MAROKの中心人物でもあるミュージシャンで、本作はアラゴン王ハイメ1世をテーマにしたコンセプト作品。
AMAROKの女性シンガーに、フルート奏者、DAFNIAのヴァイオリン、コントラバス奏者が参加、優美なフルートにヴァイオリン、
パーカッションのリズムに、12弦ギター、サントゥール、オートハープの典雅な音色、スペイン語の女性ヴォーカルを乗せ、
中世風の古楽トラッドサウンドを聴かせる。オーボエやフルートの繊細な音色など、アコースティックをメインにしつつ、
随所にシンセやピアノによる味付けもあるので、単なるトラッド以上の幻想的なサウンドが味わえる。
アコースティック度・8 プログレ度・7 典雅度・10 総合・8
Amazonで購入する




Saelig Oya 「Chaos - Chaos」
フランスのプログレバンド、サエリング・オヤの2015年作
重々しいチェロの音色にフランス語の女性ヴォーカルの歌声が妖しく響き、
ハード寄りのギターが加わって、メタリックな感触を含んだダークなサウンドが描かれる。
ゴシック的な耽美な空気感と、ときにチェンバーロック的でもあるエキセントリックなセンスが合わさって、
独特の浮遊感に包まれたアンニュイな世界観が味わえる。派手な展開というのはほとんどないのだが、
けだるげな女性ヴォーカルの歌声に、うっすらとしたシンセに包まれた涼やかな感触で、
Paatosなどの、倦怠のプログレ・フィメールロックが好きな方にはけっこう楽しめるのではなかろうか。
ドラマティック度・・8 プログレ度・・7 女性Vo度・・8 総合・・7.5
Amazon.co.jpで詳細を見る


SAENS「ESCAPING FROM THE HANS OF GOD」
フランスのシンフォニックロックバンド、サエンスの1st(SENSから改名)。2001作
壮大なシンセワークにメロウなギターが絡み、女性の合唱コーラスが加わって、のっけからやたら大仰極まりないサウンド。
歌が入ると一気に濃度が上がり、少々力んだ演劇的な男性ヴォーカルの歌唱が耳につくが、
ポーランドのABRAXASあたりを思わせる、静寂パートでのピアノやアコギがなかなか美しい。
ギターのフレージングはむしろメタル的で、部分的にはプログレメタルの音像にもなる。
曲が長く、壮大で重厚なシンフォが好きな者にはそこそこお薦めできるアルバムだろう。
欠点は、6曲中5曲が10分以上で全73分という気合の入りすぎようだろうか。
シンフォニック度・・8 壮大度・・9 大作度・・9 総合・・7.5
Amazon.co.jp で詳細を見る

SAENS「PROPHET IN A STATISTICAL WORLD」
フランスのシンフォニックロックバンド、サエンスの3rd。2004年作
今作はSF的コンセプトなのか近未来的な雰囲気のキーボードワークに包まれ、メロウなギターフレーズと
シアトリカルな男性ヴォーカルで聴かせる、かつての英国シンフォニックロックの流れにあるサウンド。
ムーグシンセが鳴り響く古き良きプログレ感触に、ヴォーカルをメインにしたキャッチーな聴き心地もありつつ、
10分を超える大曲をゆるやかに構築してゆく。フランスなまりの英語がいくぶん野暮ったさを感じさせるものの
混声合唱などをが壮麗に盛り上げるスケール感もよろしく、73分のシンフォニック大作というべき内容である。
限定盤ボーナスDISCには1sからの再録等を収録した全3曲50分。こちらはもう少し分かりやすいハードシンフォ路線。
ドラマテイック度・・8 プログレ度・・8 壮大度・・9 総合・・8
Amazon.co.jp で詳細を見る


SANDROSE
フランスのプログレ・ロックバンド、サンドローズの1972年作
ジャズやクラシックの素養をもつJean-Piere Alarcenを中心に、EDEN ROSEを母体に結成される。
オルガンを基調にした70'sロックサウンドに、表現力豊かな女性ヴォーカル、ローズのソウルフルな歌声が重なると
プログレというよりはむしろ、SAVAGE ROSEなどに通じる女性声R&Bという質感に包まれるが、
ここぞと鳴り響くメロトロンなどはシンフォニックな叙情性を付加しており、思わずうっとりとなる。
アラルサンのメロウなギターワークもやはり見事で、この時代にしか作り得なかったであろう
熱情と美学がアルバムの中には溢れている。フレンチロックの名盤というに足る作品だ。
メロディアス度・・8 叙情度・・9 女性Vo度・・9 総合・・8.5
Amazonで購入する 輸入盤MUSEA盤

SARAQUSTA 「Injusta Condena」
スペインのハードロック、サラクスタの2015年作
アンダルシア地方のバンドということで、偉大なる先輩であるMEDINA AZAHARAが思い浮かぶが
このバンドもスペイン語による濃密なヴォーカルに、美麗なシンセアレンジを含んだキャッチーなサウンドで、
スパニッシュな哀愁を漂わせたメロディラインが耳心地よい。叙情的な泣きのギターフレーズに、
ときにプログレ的なきらびやかなシンセワークも覗かせる。メディナ・アザーラに比べるともう少しライトで、
モダンな感触もあるのだが、やはりヴォーカルのスパニッシュな歌いまわしは独特の味わいがあり、
土着的なスパニッシュハードとしての魅力が勝っている。アンダルシアロックを受け継ぐ新鋭として期待したい。
メロディック度・・8 キャッチー度・・8 スパニッシュ度・・9 総合・・8
Amazon.co.jpで詳細を見る


SCHERZOO「01」
フランスのチェンバーロック、スケルズーの2011年作
マルチ・ミュージシャンFrancois Thollotを中心にしたバンドで、サックスがフリーキーに鳴り響き、
クラシカルなピアノを乗せた、テクニカルなアンサンブルで聴かせる、チェンバー・ジャズロック。
程よく即興的なアヴァンギャルド性と、ダークなチェンバー色が合わさった、静と動のメリハリある展開と
知的で空間的な構築力もさすがである。全体的にサックスがフレーズをとるパートが多いので、
チェンバーというよりはやはりジャズロック寄りの感触で、「MAGMAをクリムゾン化」させたという雰囲気もありつつ、
ミステリアスな怪しさという点では、「ジャズロック化したUNIVERS ZERO」という楽しみ方もできるだろう。
6〜8分前後の楽曲を中心に、スリリングな緊張感で描かれるラストの19分におよぶ大曲も圧巻だ。
ドラマティック度・・7 ジャズロック度・・8 チェンバー度・・7 総合・・8
Amazon.co.jpで詳細を見る

Scherzoo 「02」
フランスのチェンバー・ジャズロック、スケルズーの2012年作
マルチ・ミュージシャンFrancois Thollotを中心にしたバンドの2作目で、サックスが鳴り響きやわらかなエレピを乗せて、
クリムゾン的な硬質感と優雅さを同居させたアンサンブルで、スリリングなチェンバー・ジャズロックを描き出す。
リズム面での遊びや、展開力の面白さは前作以上で、トロ氏の標榜する軽妙かつ芸術的なサウンドは完成の域に近づいた。
ダーク過ぎない程度に、UNIVERS ZERO風味も感じられ、ベースとギターの存在感がサックスと対峙することで、
とぼけた味わいと緊迫感の同居という、絶妙のバランス感覚を生み出している。さらに今作ではエレピのみならず、
オルガンなども含むシンセアレンジも曲によってマッチしていて、よりプログレ感をかもしだしている。
チェンバー・ジャズロック度・・8 スリリング度・・8 優雅で軽妙度・・9 総合・・8 
Amazonで購入する

Scherzoo 「03」
フランスのチェンバーロック、スケルズーの2014年作
マルチ・ミュージシャンFrancois Thollotを中心にしたバンドの3作目。1作目はドラムだったフランソア・トロは、
本作のではベースとシンセを担当している。美しいエレピの音色にサックスが絡み、優雅なアンサンブルの中に、
ほのかな翳りを含んだ、玄人好みのチェンバー・ジャズロック。1作目のようなMAGMA色はやや薄れて、
アッパーなノリが控えめな分、一聴しての派手さはないのだが、ジャズ色を増したやわらかな聴き心地で、
アンサンブリーなインストを描いてゆく。曲によってはチェンバー寄りのスリリングな空気もしっかり感じられ、
ギター、ベース、サックスが対位法的な旋律で絡んでゆく、優雅な大人のチェンバーロックが味わえる。
ラストの14分の大曲もスリリングな展開力が見事。ボーナスにはF.トロの別バンド、DISSONATAの楽曲を収録。
優雅度・・8 プログレ度・・7 スリリング度・・8 総合・・8
Amazonで購入する

SCHERZOO 「04」
フランスのチェンバー・ジャズロック、スケルズーの2018年作
フランソワ・トロを中心に、2011年にデビュー、本作4作目となる。マグマ+クリムゾンという趣だった初期2作から、
前作ではより優雅さを増し、メンバーチェンジをへた今作では、やわらかなオルガンにエレピが重なり、
カンタベリー的な軽妙な味わいと不穏な空気感が同居した、独自のジャズロックへと深化をしている。
ギターとサックスがいなくなった分、オルガンなどの鍵盤パートが増えたことで、音に棘がなくなってはいるが
ゆったりとしたアンサンブルの中にも、緊張感あるベースラインが奥行きある空間を描いていて、むしろ玄人好み。
優雅なカンタベ風ジャズロックを、チェンバー寄りの偏屈さで仕立て上げたというような逸品です。
ドラマティック度・7 ジャズロ度・8 優雅で不穏度・9 総合・8 
Amazonで購入する

SEAMUS 「Zealotry Sterblichen Schizophrenia」
フランスのプログレバンド、シームスの2006年作
ヴァイオリンやフルートが鳴り響き、女性スキャットや語りを含むヴォーカルとともに、
不穏な緊張感を漂わせる、チェンバーロック的なサウンドを聴かせる。
先の読めないエキセントリックな展開とミステリアスな雰囲気に包まれながら、
コンセプト的なドラマ性を壮大に描き出そうとする作風は、なかなか面白い。
アヴァンギャルドではあるが、シンセアレンジを含んだ適度にやわらかな聴き心地もある。
個人的には徹底的にダークにするのか、より大仰にするのか、もっと極端でもよいと思った。
ドラマティック度・・7 プログレ度・・8 アヴァンギャル度・・8 総合・・7.5



Senogul
スペインのプログレバンド、セノガルの2007作
詳細は不明だが、アストゥーリアス地方のバンドらしい。メンバーはギターにベース、シンセなどの5人だが、
そこにトランペットや各種ホーン、パイプ、アコーディオンなどが多様に加わってくる。
たおやかなピアノでしっとりと聴かせながらも、その実、曲展開はかなり凝っていて
先の読めないような雰囲気がある。クラシカルな美しさを基本にしつつ、ときにタンゴ調になったり、
ジャズやファンク色あればバグパイプが鳴り出して、またチェンバロが優雅に奏でられたりと、
じつにとりとめがないのだが、そこに不思議と整合感があるのである。
決してうるさい音ではないのに楽曲は複雑という、ある意味個性的なシンフォ作だ。
シンフォニック度・・7 クラシカル度・・8 民族度もあり度・・8 総合・・8
Amazon.co.jp で詳細を見る

Senogul「III」
スペインのプログレバンド、セノガルの3rd。2011年作
妖しげなイントロから始まる本作は、優美なピアノに軽やかな変則リズムの嵐、
クラシカルなチェンバーロック風味とアヴァンギャルドな感性を取り込んだ、
ひと筋繩ではいかないサウンドを聴かせる。ときに哀愁を含んだギターフレーズに
コロコロとしたムーグシンセ、ファゴット(バスーン)やアコーディオン、ヴァイオリンも鳴り響き、
やわらかな叙情を漂わせつつ、予測のつかない展開はとてもスリリングだ。
ジャズやクラシック、タンゴまでも取り入れた独自のアレンジセンスで描かれる、
いわば優雅なるおヘンタイ。Hoyry-KoneやAlamaailman Vasarat などが好きな方もぜひ。
ドラマティック度・・7 プログレ度・・9 優雅なヘンタイ度・・9 総合・・8
Amazon.co.jpで詳細を見る

SENSITIVE TO LIGHTAlmost Human
フランスのシンフォニックロック、センシティブ・トゥ・ライトの2006年作
SAENSのメンバーによるバンドで、ミステリアスで荘厳なイントロから始まるのは、
ハケットばりのメロウなギターに壮大なシンセワークの一大シンフォニックロックサウンド。
女性ヴォーカルの歌声に導かれながら、曲はあくまでメロディアスかつドラマティックに進行してゆく。
かつてのSAENSよりも、サウンドにはダイナミズムが加わっていて、楽曲構成も自然になり
肩の力が抜けた分だけ、ひとつずつのメロディ、音の重ねにも説得力が感じられる。
長い曲においても、しっとりとしたパートからの盛り上がりが聴き手に高揚感を与え、
繊細でありながらも、壮大さとダイナミックさが融合した見事なシンフォニックロックを描き出す。
曲によっては、KARNATAKAあたりを思わせる女性声メインの優雅な質感も素晴らしい。
シンフォニック度・・9 ドラマティック度・・9 女性Vo度・・7 総合・・8
Amazon.co.jp で詳細を見る

SENSITIVE TO LIGHT「From the Ancient World」
フランスのシンフォニックロックバンド、センシティブ・トゥ・ライトの2nd。2008作
前作Almost Humanは女性ヴォーカルで聴かせる壮大なシンフォニック傑作だったが、
今作もその延長上の出来。美しいシンセにヘヴィシンフォニック風のギターが絡み、
そこにトレイシー・ヒッチングあたりを思わせる女性ヴォーカルが歌を乗せるサウンド。
のっけから30分の組曲というのもすごいのだが、SAENSE時代から大作指向であったので、
慣れたものなのだろう。巧みに楽曲にメリハリを付けながら盛り上げてゆく手法はさすが。
また今作ではシンフォニックさだけでなく、ややアヴァンギャルドな緊迫感や、ケルト/トラッド的な要素、
あるいはサックスなどを取り入れたジャジーな風味などを織りまぜて、よりカラフルに聴かせてくれる。
シンフォニック度・・8 プログレ度・・8 フランス度・・7 総合・・8
Amazon.co.jp で詳細を見る

SETNA 「Guerison」
フランスのプログレバンド、セトナの2013年作
2007年作に続く2作目で、やよらかなエレピの音色に重たいベースを乗せた優雅なアンサンブルに、
中性的な男性ヴォーカルが妖しく歌声を響きかせる。MAGMAをルーツにしたジャズロックながら、
オルガンなどを加えたカンタベリーなテイストが合わさった感触には、どこか素朴な牧歌性も感じさせる。
シンセの重ねによるシンフォニックなパートや、12弦ギターによる繊細な叙情性も含んで、
26分の大曲もメリハリある流れでじっくりと構築してゆく。哀愁のギターフレーズにエレピが重なる辺りは、
単なるマグマ系とは異なる優美なプログレ・ジャズロックという趣だが、ときにフリーキーにドラムが叩かれる、
おどろおどろしさも覗かせる。いわば「カンタベリーなマグマ」というべき優雅で叙情的な好作品。
ドラマティック度・・8 優雅度・・8 マグマ度・・8 総合・・8
Amazonで購入する

Seven ReizhStrinkadenn'Ys
フランスのトラッドプログレ、セブン・レイズの2001年作
メロウなギターと優美なシンセによるシンフォニックロックの華麗さと、パイプやフルートなどによるトラッド要素が融合
ピアノを含むアコースティックな叙情に、美声の女性ヴォーカルのフランス語によるしっとりとした歌声も心地よく、
ケルティックな幻想性も感じさせる。優雅なインストパートから、ときに呪術的な男性ヴォーカルも覗かせたりと、
シアトリカルな雰囲気もある。全体的には、まとまりには欠けるが質の高いトラッドシンフォニックロックの好作だ。
シンフォニック度・・7 トラッ度・・7 女性Vo度・・8 総合・・7.5
Amazon.co.jp で詳細を見る



Shub-Niggurath 「Les Morts Vont Vite」
フランスのチェンバーロック、シュブ・ニグラスの1986年作
MAGMAをルーツに暗黒世界を突き詰めたようなサウンドで、かつて聴いた際には、WHENの「THE Black Death」のように、
恐ろしい心地がしたものだが、その異端の作品が「死せる暗黒の騎士」のタイトルで2015年紙ジャケで再発された。
不穏なギターフレーズにクラシカルなピアノが鳴り響き、妖しい女性スキャットが重なってゆく冒頭の雰囲気からして、
すでにUNIVERS ZEROクラスの強烈な暗黒性を感じさせる。トロンボーンを加えたチェンバーロック的な優雅さと、
ミステリアスな闇の気配…フリーキーに聴こえながらも、実は計算された音の重ねで構築されたサウンドが素晴らしい。
うねるようなベースの存在感と緊張感のあるドラムがアンサンブルを引き締める。重厚にしてアヴァンギャルド、
暗黒と優雅が同居したまさに異色の傑作。次作「C'etaient De Tres Grands Vents」も負けず劣らずの出来である。
ドラマティック度・・7 チェンバー度・・8 暗黒度・・9 総合・・8
Amazon.co.jpで詳細を見る

Shub-NiggurathC'etaient De Tres Grands Vents
フランスのチェンバーロック、シュブ・ニグラスの1991年作
クトゥルー神話の邪神の名をバンド名に持つ異色の暗黒チェンバー系バンド。
ジャケのインパクトでは前作「Les Morts Vont Vite」に譲るが、内容は本作も負けていない。
静謐感を漂わせた闇のような緊張…ノイズのようなギターとトロンボーンが鳴り響き
ブレイクを含んだ無音の息苦しさの中にギターの残響が妖しくこだまする。
即興的なフリーキーさと、空間を含めた構築が交互に襲いかかり、油断していると
得体のしれない怪物に突如襲われるようにハッとなる。ドラムの叩き出すアクセントが
張りつめた緊迫感を作り出し、妖しい女性スキャットなども効果的に響いてくる。
不気味さという点ではUnivers Zero以上のものがあるだろう。異色の力作だ。
ドラマティック度・・7 暗黒度・・8 アヴァンギャル度・・9 総合・・8
Amazon.co.jp で詳細を見る Amazon.MP3

SHUB-NIGGURATH 「INTRODUCTION」
フランスのチェンバーロック、シュブ・ニグラスの2009年作
1982年に録音されたデモテープをCD化したもので、クラシカルなピアノにトロンボーンが鳴り響き、
妖しい女性スキャットとともに、ART ZOYDにも通じるミステリアスなチェンバーロックを展開。
ノイズやSE、ギターが入り混じった、混沌とした闇を描くような耽美な作風は、すでに確立していて、
1986年の傑作「死せる暗黒の騎士」へとつながる、そのプロトタイプといえるだろう。一方では、
軽やかなドラムによるジャズロック的なナンバーは、MAGMAをルーツにした、いわゆるZEUHL系サウンドで、
巧みなアンサンブルと演奏力の高さも覗かせる。15分の大曲もチェンバー化したマグマのようだ。
暗黒度・・8 チェンバー度・・8 ミステリアス度・・9 総合・・8 
Amazonで購入する


Shylock 「Gialorgues」
フランスのプログレバンド、シャイロックの1977年作
70年代に2作のアルバムを残したこのバンド、シンセにギター&ベース、ドラムという3人編成で、
オルガンやメロトロンを含むシンセに、メロウな泣きのギターを乗せて、優美な叙情を描く
ヨーロピアンな翳りを感じさせるシンフォニックロック。サステインの効いたギターのトーンなど、
初期のクリムゾンにも通じる幻想的な雰囲気で、湿り気を含んだ空気とロマンの香りは、
ドイツのAnyone's Daughterあたりを思わせるところもある。オールインストながら、
13分、18分という大曲を描く構築センスは、70年代フランスのシンフォ系ではレベルの高い部類だろう。
CDのボーナスには1981年の未発音源を収録。こちらはリリカルな小曲といった趣だ。
ドラマティック度 フログレ度・・8 翳りと叙情度・・8 総合・・8
Amazonで購入する

Shylock 「Ile De Fievre」
フランスのプログレバンド、シャイロックの1978年作/邦題「熱情の島」
初期クリムゾンの叙情を優美にしたような前作に続き、2作目となる本作も、リリカルなシンセのイントロから、
叙情的なギターの旋律が加わって、CAMELANYONE'S DAUGHTERかという優美なサウンドが広がる。
メロトロンやムーグを含むシンセワークとともに、シンフォニックロックとしての優雅な味わいと、
変則リズムを含む軽妙な展開力とともに、随所にKING CRIMSON的なスリリングな空気も覗かせる。
ラストの、10分を超える大曲は、いかにもクリムゾン風味のアンサンブルで、前作に劣らぬ内容です。
ドラマティック度・・7 プログレ度・・8 叙情度・・8 総合・・8 
Amazonで購入する



SILVER LINING「The Inner Dragon」
フランスのシンフォニックロックバンド、シルバー・リニングの2004年作
いくぶんハードめのギターと、ゆるやかなシンセに、女性奏者の弾くヴァイオリンが艶やかに鳴り響く、
なかなかドラマティックなシンフォプログレサウンド。曲調はややもったりとしていて、
ドラムやヴォーカルの弱さを気にならなければ日本のOUTER LIMITSあたりを聴くような感じで、
ファンタジックな世界観
に浸れる。どことなく音に漂うマイナー(田舎)臭さも含めて、
幻想派のマイナー系シンフォニックロックのファンには受けるかもしれない好作品。
シンフォニック度・・8 プログレ度・・7 ゆったりファンタジック度・・8 総合・・7.5
Amazon.co.jp で詳細を見る


SKEEM
フランスのシンフォニックロック、スキームの2001年作
まったく知らないバンドだったのだが、聴いてみてこれはなかなかのシンフォニックぶりではないか。
美しいシンセワークを中心に、メロウなフレーズを奏でるギターもなかなかいい感じで、
曲は7〜9分台でやや長め、比較的ゆったりとした展開で聴かせる優美なシンフォニックロックである。
同郷のバンドでいうと、やわらかな泣きのギターによる叙情性は、CHANCEあたりに近い感じだろうか。
じつに耳心地がいいサウンドが楽しめる。ヴォーカルが英語なのであまりフランス臭さはあまりない。
ジャケに比べて内容はとても高品質な、王道のフレンチシンフォが味わえる隠れた逸品です。
シンフォニック度・・8 ゆったり優美度・・9 フランス度・・7 総合・・8
Amazon.co.jp で詳細を見る


SONIC PULSAR 「OUT OF PLACE」
ポルトガルのプログレバンド、ソニック・パルサーの2005年作
適度にハードなギターときらびやかなシンセワーク、マイルドなヴォーカルを乗せて、
ARENA以降のスタイリッシュな味わいのハード・シンフォニックロックを聴かせる。
アルバム後半は、44分におよぶ長大な組曲になっていて、ProgMetal的でもある構築力と、
コンセプト的なドラマ性を感じさせるスケール感に包まれて、叙情的なギターの旋律や
優美なシンセアレンジとともに、じっくりと壮大なシンフォニックロックを描いてゆく。
抜けの良いメロディが希薄なので、長尺に思えるパートもあるが、全69分という力作ではある。
ドラマティック度・・8 プログレ度・・7 壮大度・・8 総合・・7.5
Amazonで購入する


Spectrale 「▲」
フランスのプログレ・ポストロック、スペクトラレの2017年作
アコースティックを含む優美なギターの重ねに、物悲しいチェロの音色、うっすらとしたシンセによる
幻想的な叙情に包まれたインストサウンド。しっとりとしたアンビエント性に包まれながら、
随所にドラムやエレキギターも加えたロック感触もいくぶん覗かせ、アコースティックギターの旋律と
ときにサウンドスケープ的にシンセが重なり、スペイシーで神秘的な世界観に包まれる。
インストがメインながら、マイルドな男性コーラスのハーモニーや、クラシカルなピアノの優雅なナンバーなど
曲によっても異なる雰囲気で楽しめ、ドラムが入るとプログレ的な味わいも。ラスト曲はアヴァンギャルドという。
ドラマティック度・・7 プログレ度・・7 優美度・・8 総合・・7.5
Amazonで購入する


Spleen Arcana 「Field Where She Died」
フランスのシンフォニックロック、スプリーン・アルカナの2009年作
ヴォーカル、ギター、ベース、シンセをこなすマルチミュージシャン、Julien Gaullierのソロユニットで、
いくぶんメタル寄りのギターにうっすらとしたシンセと、マイルドなヴォーカルを乗せて、
ゴシック的でもある耽美な世界観を描く、モダンなシンフォニックロックというサウンド。
10分前後の大曲を中心に、ゆったりとした薄暗い繊細な叙情を聴かせるところは、ポストプログレの感触もあり、
結果としてAnathemaなどにも通じる部分があるかもしれない。ときどきゲストの女性ヴォーカルが加わって、
男女Voになったりするが、正直歌声は微妙。ぜひバンド編成になって、いいヴォーカルを見つけてください。
ドラマティック度・・7 プログレ度・・5 薄暗叙情度・・8 総合・・7.5
Amazon.co.jpで詳細を見る


STEP AHEAD
フランスのプログレバンド、ステップ・アヘッドの1982年作
美しいピアノの旋律から、曲が始まると軽快なリズムとともにキャッチーなシンフォニックロックが広がってゆく。
よくYesタイプとも言われるように、英語によるハイトーンの繊細なヴォーカルとともに、
あくまでメロディアスで叙情的な聴き心地で構築された、優雅なサウンドが楽しめる。
随所にメロウなギターの旋律もセンスがよく、美麗なシンセとともにアレンジのセンスも素晴らしい。
1枚のみで消えるには惜しいバンドだったが、本作は80年代のシンフォとしてはフランス屈指の一枚だろう。
メロディアス度・・8 プログレ度・・8 優雅度・・9 総合・・8
Amazon.co.jpで詳細を見る


SYRINX 「Reification」
フランスのプログレバンド、シリンクスの2003年作
のっけから19分という大曲で、オルガンやメロトロンを含むシンセに、アコースティックを含む繊細なギターのトーンで、
インストによる優雅なサウンドを描き出す。随所に変則リズムを含む、知的な屈折感も覗かせつつも、
あくまで叙情的な聴き心地で、プログレらしいムーグシンセも鳴り響いて、軽妙なテクニカル性に、
ミステリアスな空気をまとわせたという作風。ときに優美なフルートの音色や、アコースティックギターのつまびきをシンセに重ねた、
やわらかな耳心地で、夢見心地のインストプログレが楽しめる。歌がないでドラマティックな盛り上がりには欠けるが、幻想的な好作です。
ドラマティック度・7 プログレ度・8 優雅度・8 総合・8 

SYRINX 「QUALIA」
フランスのプログレバンド、シリンクスの2008年作
2003年にデビューし、2作目となる。のっけから19分という大曲で、叙情的なギターに
メロトロンなどを含む優美なシンセを重ね、軽妙なアンサンブルと緩急ある展開力で、
知的でスリリングなインストサウンドを構築する。サックスが鳴り響く、ジャズロック的な優雅さに
ZEUHL系バンドのような薄暗い妖しさがあるのも、いかにもフランスらしい作風といえる。
アルバム後半にも15分近い大曲があり、オールインストであるが、緊張感のある展開と空気感で、最後まで楽しめる。
アコースティックを含む優美なギターにシンセが重なる、シンフォニックロックとしての味わいも同居した逸品です。
ドラマティック度・・7 プログレ度・8 スリリング度・・8 総合・・8


TU

TAAL「MISTER GREEN」
フランスのシンフォニック・チェンバーロックバンド、タールの2000年作
のっけからけっこうヘヴィなメタル風ギターサウンド、かと思いきや女性声のコーラス、
オーケストラ曲風に展開する壮大調の楽曲、テクニカルなのにおちゃらけたメロディなど、
なんといえばいいのか一言では言い表せない音楽をやっている。変態気味チェンバーだが、
要は曲を大げさにしてメタルギターを弾きまくったらこうなる、という感じか(笑)。
しかし引きの部分で意外に繊細な部分もあり、そこが彼らの本気度なのだと思われる。
管弦楽器をゲストに大仰に盛り上がる様はある意味シンフォニーとさえいってよい。
プログレ度・・8 いろんな意味で壮大度・・9 何故かメタルギター度・・9 総合・・8
Amazon.co.jp で詳細を見る

TAAL「SKYMIND」
フランスのシンフォニック・チェンバーロックバンド、タールの2nd。2002年作
1stの方も強引なメタルギターに管楽器をフィーチャーした、エセ壮大系の無茶なサウンドだったが、
この2ndにして、さらに楽曲のアレンジの細やかさが増し、サウンドのクオリティが高まった。
相変わらずのこけおどしメタルサウンドと管楽器、ストリングスの合体は素晴らしく、
時折聴かせるしっとり(?)とした叙情クラシカルパートも本物に聴こえるし、
おちゃらけたメロディや無茶な展開も、馬鹿にできずに、むしろシリアスに聴き通せる。
「本物」なのだ。本物の音で壮大な「悪ノリ」をしているのがこのバンドの魅力なのだ。
結果、まったくもって、シンフォニックでありながら、手の込んだいたずら心満載の
大仰なシンフォニーロックに聴こえてしまう。びっくりでニヤリ。オペラチックな女性Vo曲もある。
シンフォニック度・・8 クラシカル度・・8 本気だから度・・10 総合・・8.5◆プログレ名作選入り
Amazon.co.jp で詳細を見る


TAI PHONG
フランスのメロディックプログレバンド、タイ・フォンの1st。1975年作
「恐るべき静寂」のタイトルと日本の武士をあしらった美しいジャケが魅力的。
サウンドの方も、キャッチーなコーラスハーモニーに日本人好みの繊細な叙情で、
絶妙のアンサンブルとともにメロディアスに聴かせる。メロウなギターに美しいシンセワークも
あまりプログレ、プログレしていない点で、一般のリスナーにも聴きやすいメジャー性がある。
2曲め“SisterJane”の美しさにはうっとり。2nd「ウインドウズ」も甲乙つけがたい傑作。
メロディアス度・・9 プログレ度・・7 叙情美度・・9 総合・・8.5
Amazon.co.jp で詳細を見る

TAI PHONG「Windows」
フランスのメロディックプログレバンド、タイ・フォンの2nd。1976年作
このバンドの1st「恐るべき静寂」は、日本の武士をデザインした美しいジャケのインパクトとともに、
絶品の叙情とメロディにあふれた名盤として知られるが、2ndとなる本作もまた素晴らしい。
1曲目の“憧憬と失意の季節”でのダイナミックな叙情へのメロディアスな展開美は、
個人的にはタイ・フォンの曲の中でももっとも好きなものだ。センスあるギターワークとシンセが絡み、
そこに哀愁を感じさせるヴォーカルが重なると、プログレうんぬんというよりも絶品のメロディックロックとして
一般の方にも大いに楽しめるはず。しっとりとしたピアノなど、やわらかで繊細な叙情も胸をうつ。
なお、紙ジャケリマスター盤ではこのジャケがエンボス仕様でさらに美しくなっているのも素晴らしい。
メロディアス度・・9 プログレ度・・7 叙情美度・・9 総合・・8.5
Amazon.co.jp で詳細を見る

Tai Phong 「Sun」
フランスのプログレバンド、タイ・フォンの2000年作
1979年作「Last Flight」を最後に解散したバンドの、じつに20年ぶりとなる復活作。
Vo&Gのカーン・マイと、Drのステファン・コーサリューを中心に再結成された4作目で、
マイルドなヴォーカルとメロウなギターを乗せ、繊細な叙情に包まれた聴き心地はまさしくタイフォンである。
いくぶんポップにはなったが、キャッチーなメロディアス性はそのままに、美しいシンセアレンジに
ときにサックスも加わった大人の哀愁も匂わせつつ、やわらかなコーラスハーモニーを含んだ優雅なサウンドが味わえる。
メロディック度・・8 プログレ度・・7 タイフォン度・・8 総合・・8
Amazon.co.jpで詳細を見る

TAI PHONG 「RETURN OF THE SAMURAI」
フランスのプログレバンド、タイ・フォンの2014年作
2000年作「Sun」以来となる14年ぶり、5枚目のアルバムで、CDR仕様での自主制作リリース。
オリジナルメンバーは、カーン・マイのみとなったが、かつてを思わせる繊細なメロディアス性は健在で、
新たに加入した女性ヴォーカルの美しい歌声を乗せた、シンフォニックでキャッチーなサウンド。
叙情的な泣きのギターに美麗なシンセを加えた厚みのあるアレンジに、紅一点、Sylvine嬢の伸びやかな歌声も魅力的。
カーン・マイがヴォーカルをとるナンバーは、かつてのタイ・フォンを思わせる感触で、どこかなつかしい聴き心地。
ややポップ寄りのナンバーもありつつ、しっとりとした美しさに包まれた好作品である。2014年には待望の来日公演を実現。
伝説のバンドの復活に感涙するファンも多いはず。なお日本盤では、4曲がカットされた全8曲の仕様となっている。
メロディック度・・8 プログレ度・・7 タイ・フォン度・・8 総合・・8 
Amazonで購入する

Tai Phong 「Live in Japan」
フランスのプログレバンド、タイ・フォンのライブ作。2016年作
2014年に14年ぶりの復活作を発表し、その年、ついに念願の日本公演を実現。その来日公演を2CDに収録。
オリジナルメンバーは、カーン・マイのみとなったが、新たに女性ヴォーカルを含んだ編成で、
新作からのナンバーに、過去作品からの楽曲もたっぷりと披露。名曲“Goin' Away”、“Sister Jane”なども
ハスキーな女性ヴォーカルによって、新鮮な味わいになっている。演奏の方は、正直スリリングな部分が薄く、
曲によってはプログレとしては物足りなさもあるのだが、その分ゆったりとした叙情性に包まれた聴き心地。
Disc2では、2nd収録“When It's The Season(憧憬と失意の季節)”も披露。個人的にタイフォン最高の名曲だ。
ボーナスCDには、日本盤未収録曲5曲入り。ライブ映像を収録したDVD付きのバージョンもある
ライブ演奏・・7 タイフォン度・・7 名曲度・・8 総合・・8 
Amazonで購入する

TANGERINE「De l'Autre Cote de la Foret」
フランスのフォークロックバンド、タンジェリンの1975作
ゆるやかなアコースティックギターに優しいフルートの音色、
そして美しい女性ヴォーカルで聴かせる、正統派のフォークロック。英語で歌われる曲などは、
ほとんどブリティッシュフォークの質感で、はかなげな叙情と浮遊感が耳に心地よい。
メロディアス度・・8 アコースティック度・・8 女性Vo度・・8 総合・・8
Amazon.co.jp で詳細を見る


TANTRA 「Misteriosos E Maravilhas」
ポルトガルのプログレバンド、タントラの1978年作
ムーグシンセが鳴り響き、メロウなギターに母国語のヴォーカルを乗せた、
初期GENESISのくぐもったような幻想性を辺境寄りにしたという雰囲気のサウンド。
10分を超える大曲では、いくぶん唐突な展開とともになかなかドラマティックな感触で
翳りを含んだ叙情性が味わえる。アコースティックギターやピアノによる優雅な雰囲気に、
軽やかなパートは初期のYes的でもある。音質はリマスターされてもいくぶんラウドな感じで、
とくにドラムのシンバル類が耳障りなのが惜しい。70年代ポルトガルを代表するバンドの力作だ。
ドラマティック度・・8 プログレ度・・8 辺境度・・8 総合・・7.5
Amazon.co.jpで詳細を見る

TANTRAHolocausto
ポルトガルのプログレバンド、タントラの2nd。1979年作
サウンドはGENESIS的なシンフォニックサウンドに辺境的な味を付加した雰囲気で、
ドラマティックな展開と、8分、10分といった大曲にシアトリカルな壮大さが感じられる。
母国語の歌唱もあいまって異国的な味わいもあるが、音の軽さもあってか、
どこかB級的な匂いも漂わせている。近年復活しアルバムを2枚出している。
シンフォニック度・・7 プログレ度・・7 異国度・・8 総合・・7
Amazon.co.jp で詳細を見る

TANTRA「TERRA」
ポルトガルのプログレバンド、タントラの4th。2003年作
1970年代から活動していたバンドらしいが、これは20数年ぶりとなる復活作らしい。
基本はGENESIS系のシンフォニックサウンドだが、部分的にはハードめだったり
母国語のVoや濃いめの雰囲気などにはエキゾチックなものを感じる。
繊細さと少々無骨さのあるハードシンフォな要素が合わさった不思議な壮大さがあり、
この怪しいジャケも含めて、辺境ものシンフォとしてはかなりの力作である。
シンフォニック度・・8 壮大度・・8 異国情緒度・・8 総合・・7.5
Amazonで購入する

TANTRA 「DELIRIUM」
ポルトガルのプログレバンド、タントラの2005年作
70年代から活動するバンドで、2003年の復活作「TERRA」に続く、復活2作目のアルバム。
なまりのある英語歌詞による濃密なヴォーカルとメロウなギターに美しいシンセアレンジで、
辺境的な不思議なスケール感を描く、シンフォニックロックサウンド。どこかヘンテコなセンスと
無理やり感のある展開が面白いのだが、叙情的なところはしっかりとメロディアスなので、
わりとちゃんとプログレとしても楽しめるのである。メロウな泣きのギターに、美しい女性コーラスやスキャットなども入って来て、
スペイシーな壮大さとともに辺境プログレの荒削り感が合わさったという、なかなかの力作です。
ドラマティック度・・8 プログレ度・・8 辺境度・・8 総合・・7.5


TERPANDRE
フランスのプログレバンド、テルパンドルの1980年作
二人の鍵盤奏者にヴァイオリンを含む6人編成で、ジャズロック的でもある軽快なリズムに
シンセやピアノが重なり、そこに艶やかなヴァイオリンが加わると、じつに優雅なサウンドになる。
「叙情と技巧が鳴り渡る時」という日本盤タイトル通り、変拍子を含んだ軽やかなアンサンブルと、
メロトロンを含むメロディアスな叙情が合わさった、とても優美なシンフォニックロックである。
しっとりと聴かせる小曲や、クラシカルな優しさにあふれた13分の大曲など、アルバムとしての構成も見事で、
80年代初頭の作品としては世界的に見てもレベルの高い逸品である。本作のみを残して消えるには惜しいバンドであった。
メロディック度・・8 プログレ度・・7 優美度・・9 総合・・8
Amazon.co.jpで詳細を見る


THOLLOT「Contact」
フランスのアーティスト、フランコイス・トロのソロアルバム。2002作
MAGMA関連メンバーのPhilippe BussonnetとDanieel Jeand'heurが参加し、MAGMAを思わせる雰囲気もありつつ、
UNIVERS ZEROPRSENTなどベルギー系のチェンバーロック風味もあるダークめサウンド。
音の愛想はよくなく、ギターにしろベースにしろどこか淡々としていて、いわば濃密な闇ではなく、もっと乾いた薄闇という印象を感じる。
オールインストで曲調も似ているので、この手が好きなリスナーでないと途中で退屈になるかもしれない。
メロディアス度・・6 暗黒度・・7 硬質度・・8 総合・7.5
Amazon.co.jp で詳細を見る


TIEMKO「PARADE」
フランスのプログレバンド、ティアンコの1992年作
ややとっつきが悪かった前作に比べて、3作目となる本作はいくぶんメロディアスな聴き心地になった。
とはいっても、変拍子まくりのクリムゾン的な屈折感と、先の読めないミステリアスな展開は
このバンドの知的なアレンジセンスを感じさせ、ギターとシンセが対位法的に絡んだりと
チェンバーロック的でもあるクールなサウンドがじつに見事。シンセのきらびやかなアレンジが、
偏屈な作風に優雅な聴き心地をもたらしていて、ヘンテコなシンフォ系としても楽しめる。
とぼけた味わいはペッカのようで、奇妙な屈折感はイエッダ・ウルファを思わせる。傑作です。
メロディック度・・7 プログレ度・・9 アレンジセンス・・9 総合・・8.5
Amazon.co.jpで詳細を見る

TIEMKO「Clone」
フランスのプログレバンド、ティアンコの4th。1995年作
3rd「Parade」はフレンチプログレ史上に残るシンフォニック系の傑作なのであるが、
本作も3人編成による巧みなヒネくれ系のプログレサウンドを聴かせてくれる。
シンフォニックといってもいいシンセワークを中心に、どこかミステリアスな雰囲気で
あるいはチェンバーロック的なミニマムな音空間を作り上げてゆくセンスはさすが。
この大仰さのないすっとぼけた感じがいかにもフランス的であり、リズムとシンセの重ねに
デジタルがかったアレンジを取り入れるなど、プログレというにはお洒落ですらある。
ラストの大曲のどこか得体のしれない壮大さは、後のTAALなどにもつながるものがある。
シンフォニック度・・7 プログレ度・・8 フランス度・・9 総合・・8
Amazon.co.jp で詳細を見る Amazon.MP3


TRIANA「EL PATIO」 
スペインのプログレバンド、トリアーナの1st。1975作
土着的なフランメンコロックにキーボードを取り入れてプログレ化させ、
熱いスパニッシュの歌唱がはじける濃密なサウンドは彼らならでは。
アコースティカルな叙情性もあり、いかにもフラメンコ的な手拍子も雰囲気を出している。
案外メタルなどでスペイン臭さが耳になれたリスナーにも心地よく聴けるかもしれない。
メロディアス度・・8 プログレ度・・7 スペイン度・・10 総合・・8
Amazon.co.jp で詳細を見る

TRIANA 「Hijos Del Agobio」
スペインのプログレバンド、トリアーナの2nd。1977年作
暑苦しいまでのスパニッシュロックを見せつける異色の傑作だった1stに比べ
シンセの活躍が増えたことで、音の厚みとともにシンフォニックさがぐんと増している。
フラメンコギターの頻度はやや減ったが、それとともにギターには泣きのフレーズが増した。
スペイン語による歌唱は哀愁を漂わせ、アンダルシアの風をドラマティックに運んでくる。
スパニッシュロックとしては前作であるが、シンフォニックとしてなら本作だろう。
シンフォニック度・・8 プログレ度・・7 スペイン度・・8 総合・・8
Amazon.co.jp で詳細を見る


TRIANA「sombra y luz」
スペインのプログレバンド、トリアーナの3rd。1979年作
1st、2ndに比べて聴きやすくなった本作は、人によっては最高傑作との評価もあるらしい。
ややハードめのギターを中心に、スペイン語の男ヴォーカルが歌い上げる。
キーボードは案外控えめなので、プログレというよりはブルージーな質感が濃く、
土着的な雰囲気が少ない代わりに、演奏には男っぽい力強さがある。
ときにスパニッシュなギターが鳴り響き、フラメンコ独特の哀愁をかもしだしている。
メロディアス度・・7 プログレ度・・7 スペイン度・・8 総合・・7.5
Amazon.co.jp で詳細を見る



TRICANTROPUS 「El sueno de Arsinoe」
スペインのプログレバンド、トリカントロプスの2011年作
うっすらとしたシンセアレンジにメロウなギターを乗せた、ラテン系らしい柔らかみのある繊細なサウンド
基本的にインスト主体で、優雅なアンサンブル志向はCAMELあたりにも通じる雰囲気もあって、
オルガンをバックにギターの泣きのフレージングが耳に優しい。派手な展開やインパクトというのはないものの、
女性ヴォーカルを乗せた優美なナンバーなども含め、ゆったりとした叙情で楽しめる作風だ。
11分を超える大曲なども、適度なプログレらしさを含ませつつ、あくまで優雅で力み過ぎない。
メロディック度・・8 プログレ度・・7 叙情度・・8 総合・・7.5
Amazonで購入する



Tristan Decamps 「Le Bruit des Humains」
Angeのクリスチャン・デカンの息子、トリスタン・デカンのソロ。2014年作
ヴォーカル、ギター、シンセ、ドラムをこなすマルチミュージシャンで、
シンフォニックなシンセに父親譲りの濃密なフランス語の歌声を乗せた作風は
やはりANGEに通じるようなシアトリカルなドラマ性を感じさせる。
一方ではデジタリィでモダンなアレンジも取り入れていて、インダストリアルな感触と
フレンチロックの優雅さを巧みに融合させている。Angeの遺伝子を受け継ぐモダン・プログレロックの好作品。
ドラマティック度・・8 プログレ度・・7 Ange風味度・・8 総合・・7.5


TROOT 「Constance & the Waiting」
フランスのプログレバンド、トルートの2019年作
パリ在住の米国人ピアニストTim Rootを中心に、KING CRIMSON周辺作にも携わる世界各国のミュージシャンが参加。
クラシカルなピアノに艶やかなヴァイオリン、流麗なギターが重なり、スリリングなリズムとともに、
サックスが鳴り響く、クリムゾン風のチェンバー・ジャズロックというサウンドを繰り広げる。
優雅なヴァイオリンやピアノの旋律に、随所にハードなギターがアクセントになっていて、
緩急ある構築力にほどよくアヴァンギャルドなセンスも覗かせながら、クラリネットやサックスの
やわらかな音色が重なってゆく。クリムゾン風のスリリングな緊張感とクラシカルな優雅さが同居した力作。
ドラマティック度・・7 プログレ度・・8 優雅でスリリング度・・8 総合・・8
Amazonで購入する


Udraya 「Incantations」
フランスのシンフォニックロック、ウドラヤの1998年作
うっすらとしたシンセをバックにフランス語によるマイルドなヴォーカルを乗せた、
しっとりとアンビエントなサウンドを聴かせる。ときにケルティックな旋律や
トランペットやピアノ、ヴァイオリン、フルートなどを加えたクラシカルな優雅さに包まれつつ、
ギターはほぼ入らないので、WAPASSOUのようなロック色薄めのシンフォとして聴くのがよいかと。
ドラマティック度・・7 プログレ度・・7 優雅度・・7 総合・・7


U I BLUE 「Songbird's Cry」
フランス出身のマルチ・ミュージシャンJon Paulと女性ヴォーカルによるユニット、ユー・アイ・ブルーの2004年作
女性Vo、Laura Lindstrom嬢はGLASS HAMMERのサポートメンバーとしてライブやアルバムに参加しており、
本作にはそのグラス・ハマーのメンバーもゲスト参加している。日本盤タイトルは「歌姫の嘆き」
サウンドの方は、打ち込みのリズムの上に、アコースティックギターやシンセによるアレンジに
やわらかな女性ヴォーカルの歌声を乗せた、シンフォニックな歌ものアンビエントポップという雰囲気。
デジタルなアレンジにメロウなギターを合わせた作曲センスはモダンでなかなか悪くないし、
楽曲によってはメロトロンが鳴り響き、ヴァイオリンなどのストリングス、ピアノによる美しいナンバーにはうっとりである。
ときおり、フランス語による男性ヴォーカルも加わるが、個人的にに女性声だけでよいですね。
メロディック度・・7 プログレ度・・7 女性Vo度・・8 総合・・7.5
Amazon.co.jpで詳細を見る

UNIT WAIL 「BEYOND SPACE EDGES」
フランスのアヴァンプログレ、ユニット・ウェイルの2015年作
SHUB-NIGGURATHのギターを中心に、2012年にデビュー、本作は3作目となる。
軽妙なドラムに、スペイシーなシンセとハードエッジなギターを絡めて、テクニカルなアンサンブルとともに
ミステリアスなインストサウンドを描く。ART ZOYDの空間性と、MAGMAのようなスリリングな演奏が合わさり
ダークで神秘的なチェンバー風ジャズロックという点では、これぞZEUHL系の王道というべきか。
愛想がないようでいて、リズムチェンジなどの展開力など、わりとしっかりとプログレしていて、
楽曲も3〜5分前後とコンパクトにまとまっており、チェンバー初心者でも案外楽しめるかも。
プログレ度・・8 チェンバー度・・7 ミステリアス度・・8 総合・・8
Amazonで購入する

UNIT WAIL 「Egares」
フランスのアヴァン・プログレ、ユニット・ウェイルの2019年作
Shub Niggurathのギターを中心に、2012年にデビューし、本作は4作目。「堕落」と題された作品で、
スペイシーなシンセに不穏なベースライン、ハードなギターを変則リズムに乗せ、アヴァンギャルドな展開と
どこかコミカルな空気も同居した異色のサウンドを展開する。おどろおどろしいシンセパートなどもよい味わいで、
ヘヴィでテクニカルなアンサンブルとのコントラストになっている。オールインストで愛想はないが、
ダーク寄りのアヴァンプログレが好きな方には、きっとスリリングに楽しめる異色作となるだろう。
ドラマティック度・・7 プログレ度・・8 アヴァンギャル度・・8 総合・・8 
Amazonで購入する




Vak 「Aedividea」
フランスのチェンバー・ジャズロック、ヴァクの2015年作
シンセにフルート奏者を含む編成で、躍動的なドラムと存在感あるベースを軸にしたアンサンブルに、
女性声のスキャットにエレピを含むシンセを重ねた、MAGMAルーツのアヴァン・ジャズロック。
程よいダークさと軽妙な優雅さのバランスで、いかにも「Zeuhl系」を地でゆくようなサウンドを聴かせる。
フルートによる叙情性やヘヴイでありながらも空間的なアプローチには、クリムゾン的な雰囲気も漂わせるが、
結局はマグマへと回帰するような作風は、やはり同郷の偉大な存在への憧れが強いのだろう。
10分前後の大曲も多いが、わりあいゆったりとした叙情パートも多いので、聴き疲れせずに楽しめる。
一方では、アヴァン・プログレ的なスリリングなナンバーもあり、バランスのとれた高品質な作品といえる。
ドラマティック度・・8 マグマ度・・8 ミステリアス度・・7 総合・・8
Amazonで購入する

VAK「BUDO」
フランスのプログレバンド、ヴァクの2018年作
MAGMAルーツのアヴァン・ジャズロックというべき前作に続く、2作目となる本作は、27分、23分という大曲を主体に、
エレピを含むシンセに美しい女性スキャットを乗せて、軽妙なアンサンブルとともに、MAGMAを優雅にしたような、
ミステリアスなジャズロックを聴かせる。不穏なベースラインと、ときに奔放に奏でられるギターの旋律が、
スリリングな空気を描いていて、鳴り響くサックスとともに、ZEUHL系らしいダーク雰囲気に包まれつつ、
ゆったりとしたシンセとギターによるアンビエントなパートもあったりと、なかなか一筋縄ではいかない。
なにしろ曲が長いのだが、やわらかなフルートにシンセが重なる優美なラスト曲まで、わりと耳心地よく楽しめる。
ドラマティック度・・7 プログレ度・・7 ミステリアス度・・8 総合・・8 
Amazonで購入する


Versailles 「La Cathedrale du Temps」
フランスのプログレバンド、ヴェルサイユの1990年作
ANGEから受け継がれたシアトリカルな濃密さとGenesisルーツのロマンティシズムを融合させたような
コテコテのフレンチ・シンフォニックロック。フランス語で歌い上げるいくぶん弱弱しいヴォーカルと、
ムーグなどを含んだ派手めのシンセワーク、随所にハケット風のメロウなフレーズを聴かせるギターとともに
緩急のある楽曲を展開してゆく。メロディをつないでゆくドラマテイックな構築センスは、90年代的といえるだろう。
録音の甘さも含めてB級の域は出ないですが、匂い立つようなロマンの香りに惹かれるじつにフレンチらしい好作品。
ドラマティック度・・8 シアトリカル度・・8 フレンチ度・・9 総合・・7.5
Amazon.co.jpで詳細を見る

VERSAILLES 「Don Giovanni」
フランスのプログレバンド、ヴェルサイユの1991年作
なんとなく「ベルバラ感」を感じさせるチープなジャケからして、ロマン溢れる音の雰囲気が想像されるが、
サウンドの方も前作の路線をさらに演劇的に仕上げたというような感触で、曲も10分以上の長曲が増えた。
シアトリカルなフランス語のヴォーカルと、メロウなギター、優美なシンセアレンジに、フルートも鳴り響く
そのドラマティックな展開力には磨きがかかり、バンドとしてのシンフォニックロック愛がより強く感じられる。
かつてのGenesisやわらかな幻想美に、フレンチロックの優雅なドラマ性を注入したというような力作です。
ドラマティック度・・8 シアトリカル度・・8 フレンチ度・・9 総合・・7.5
Amazon.co.jpで詳細を見る

VERSAILLES 「Le tresor de Valliesres」
フランスのプログレバンド、ヴェルサイユの1996年作
いうなればANGEをよりGENESIS寄りにしたようなサウンドで、シアトリカルなフランス語のヴォーカルと
いかにもプログレ的なシンセワークに泣きのギターを配した、90年代的なシンフォニックロック。
軽めのドラムサウンドはいかにもB級プログレ風なのだが、いかがわしいジャケとともに、妖しげな幻想性と
狂気めいた芸術性を含んだような世界観は、なんというか、じつにヨーロッパらしいテイストなのである。
12分、13分、20分という大曲も含めて、濃密な味わいのケバい演劇を鑑賞するように楽しめる。これぞフレンチ。
ドラマティック度・・8 プログレ度・・8 フレンチ度・・9 総合・・7.5
Amazon.co.jpで詳細を見る

Versailles 「Blaise Et Benjamin」
フランスのプログレバンド、ヴェルサイユの1998年作
ANGEをよりGENESIS寄りにしたようなサウンドで、過去3作もなかなか濃密な味わいの力作であったが、
本作はのっけから15分の大曲で、オルガンなどを含むシンセにややハード寄りのギター、
フランス語のヴォーカルを乗せて、起伏のある楽曲展開とともにドラマティックに描かれる。
演奏力という点では並程度なのだが、演劇的な大仰さと妖しいロマンに包まれた世界観で、
これぞフレンチ・プログレという味わいに思わずにんまり。単なるB級シンフォの枠にとどまらない迫力というか、
強固な幻想性がどろどろとした濃密さとなって、聴き手に迫ってくるのである。爽快さの無い力作というべきか。
ドラマティック度・・8 プログレ度・・8 フレンチ度・・9 総合・・7.5
Amazon.co.jpで詳細を見る


VICTOR ESTRADA「Lo Divino En Lo Grosero」
AMAROKのリーダーである、ヴィクター・エストラダの2001年作
クラシカルなピアノにチェンバロのつまびき、フルートやヴァイオリンが鳴り響くトラッドな感触を
現代的にスタイリッシュに構築するサウンドは、やはりAMAROKを思わせるものだ。
ときにドラムも加った充分プログレッシブな作風で、たとえば、オランダのFlairckや
MIKE OLDFIELDなどにも通じるアーティスティックなスリリングさもある。
随所に女性スキャットなども加わった優雅な聴き心地は素晴らしい。
メロディック度・・8 プログレ度・・8 叙情度・・9 総合・・8.5
Amazon.co.jpで詳細を見る Amazon.MP3

Victor Estrada 「Continuo Despertar」
AMAROKのリーダーである、ビクター・エストラダの2003年作
アコースティックギターに絡むやわらかなフルートの音色、クラシカルなピアノとシンセに
エレキギターのメロディが加わると、初期のMIKE OLDFIELDを思わせるような、優しいトラッドロックとなる。
スペイン語の女性ヴォーカルも含めて、やはりAMAROKに近い雰囲気で、
民族調のシンフォニックロックとしても楽しめる曲もある。素朴な音に癒される好作品。
アコースティカル度・・8 プログレ度・・7 トラッ度・・8 総合・・8
Amazon.co.jp で詳細を見る


V Imperio 「Mar De Folhas」
ポルトガルのクラシカルシンフォ、V インペリオの1997年作
打ち込みのリズムに美しいシンセアレンジと、母国語の女性ヴォーカルで聴かせるサウンド。
ストリングスを含んだシンフォニックなアレンジで、ここにギターやドラムが入れば
クラシカルなシンフォものとしても楽しめただろう。しっとりとした雰囲気にはゴシック的な耽美さもいくぶんある。
ロック色はほとんどないのだが、魅力的な女性声にもうっとりの好作品です。
シンフォニック度・・8 プログレ度・・6 女性Vo度・・8 総合・・7.5
Amazon.co.jpで詳細を見る


VISITORS
フランスのプロジェクトユニット、ヴィジターズの1974年作
宇宙人やUFOをテーマにしたコンセプト作で、総勢20名におよぶ多数のメンバーが集結したプロジェクト作
時代を考えればけっこうヘヴィなギターとオルガンやムーグを含んだシンセアレンジで、
かなり厚みのあるサウンドを形成。多数のヴォーカルによる怪しげなコーラスなどとともに、
スペイシーでミステリアスな雰囲気を描いてゆく。ハードロック風味のギターはブリティッシュロック的でもあり
フランス語のハイトーンヴォーカルもなんとなくHR風だったりと、全体的にプログレというよりはロックオペラ風。
ときにヴァイオリンが加わったり、スペースサイケ的な浮遊感もあったりと、統一感のなさも面白い力作だ。
ドラマティック度・・8 プログレ度・・7 重厚度・・8 総合・・8
Amazon.co.jpで詳細を見る


VITAL DUO「EX TEMPORE」
フランスのトラッドプログレ、バイタル・デュオの2002年作
MINIMUM VITALのメンバーによるユニットで、アコースティックギターにマンドリンのつまびきに
うっすらとしたシンセを重ね、中世トラッドや古楽を思わせる優雅でたおやかなサウンドを描く。
ときにフランス語によるヴォーカルやエレキギターも加わったロック色も覗かせつつ、
繊細な叙情美という点では、MIKE OLDFIELEDの世界観に通じるものもある。
フランス版GRYPHONというような、幻想的でメディーヴァルな古楽ロックが好みの方はいかが。
ドラマティック度・・7 プログレ度・・7 古楽度・・8 総合・・7.5
Amazon.co.jp で詳細を見る




WAPASSOU
フランスのプログレバンド、ワパスーの1974年作
序盤はドラムを含んだアンサンブルによるサイケな浮遊感に包まれていて、うっすらとしたシンセに、ヘタウマなヴァイオリンと
ユルめのギターフレーズが絡むという、いかにもB級バンド的なな感じなのだが、3曲目からは、ドラムレスになって、
神秘的でクラシカルな感触がぐっと強くなる。フランス語による女性ヴォーカルも加わって、アンニュイで妖しげな世界観は、
次作以降のような構築性はないものの、このバンドの個性と美意識を感じさせる内容である。
シンフォニック度・・7 プログレ度・・7 妖しげ度・・8 総合・・7.5
Amazon.co.jpで詳細を見る

WAPASSOU
「Messe En Re Mineur」
フランスの静寂系シンフォバンド、ワパスーの2nd。1976年作
「ミサ・ニ短調」と題された本作は、全1曲40分の組曲からなる、異色の傑作である。
ドラム、ベースというリズムセクションはおらず、オルガンを含む美しいシンセとギター、
そして艶やかなヴァイオリンが鳴り、女性ヴォーカルがスキャット的な歌声を乗せる、神秘的な世界観が広がってゆく。
ドイツのPOPOL VUHにも通じるアプローチであるが、こちらはより優雅なクラシカル色と、シンフォニックな味わいがあり、
優しい浮遊感とともに崇高な幻想世界を感じさせる。ゆったりとまどろむように楽しめる、どこまでも繊細で美しい作品だ。
シンフォニック度・・8 プログレ度・・7 繊細度・・9 総合・・8
Amazon.co.jpで詳細を見る

WAPASSOU「SALAMMBO」
フランスの静寂系シンフォバンド、ワパスーの3rd。1978年作
ギュスターヴ・フロベールの小説「サランボー」をテーマに、それぞれ18分、19分という大曲2曲という構成。
クラシカルなピアノのつまびきに歴史を語るようなナレーション、そして映画的な効果音も入り、
幽玄な女性スキャットと古めかしいキーボードの音色か鳴り渡りに、そこに優雅なヴァイオリンが絡んでゆく。
ドラムレスのためロック的な要素はほとんどなく、クラシカルでほの暗い、雰囲気ものシンフォというべき作品である。
バンドは次作でロマンティシズムの極致ともいうべき最高作、「ルートヴィヒ二世」を発表する。
シンフォニック度・・7 プログレ度・・7 幽玄度・・9 総合・・7.5
Amazon.co.jp で詳細を見る

WAPASSOU「Ludwig,Un Roi Pour L'Eterni」
フランスのシンフォニックロック、ワパスーの1979年作
ルートヴィヒ二世をテーマにした34分の大曲は、チェンバロやヴァイオリンの音色が優雅に響きわたる、
バンドの最高傑作。ひたすら静謐感をただよわせていた「ミサ・ニ短調」、やや散漫な印象だった「サランボ」に比べ
本作では、このバンドのロマン主義が、強固に結実したというべき幻想美に溢れていて、
ワーグナをこよなく愛したというルートヴィヒ王の、クラシカルな美意識が、そのままメロディとなって
ちりばめられたように感じられる。ドラムレスのサウンドであるが、決して退屈にはならない。
シンフォニック度・・8 プログレ度・・7 優美度・・9 総合・・8
Amazon.co.jpで詳細を見る


Weend'o「TIME OF AWAKENING」
フランスのハードプログレ、ウィーンドの2018年作
うっすらとしたシンセに適度にハードなギター、美しい女性ヴォーカルを乗せて、
アンニュイな翳りを帯びた、モダンでスタイリッシュなハード・プログレサウンドを聴かせる。
ほどよくテクニカルなリズムや、ときにプログレらしいきらびやかなシンセワークも覗かせつつ、
繊細なピアノによるしっとりとした叙情パートから、ProgMetal的な硬質なハードさまで、
緩急ある知的な展開力で描いてゆく。叙情的なフレーズを奏でるギターのセンスもなかなかで、
魅力的な女性声も含めて、Frequency Driftなどに通じるところもある。元PALLASのアラン・リードがゲスト参加。
ドラマティック度・・7 プログレ度・・7 スタイリッシュ度・・9 総合・・8
Amazonで購入する

WEIDORJE
フランスのジャズロック、ヴィドルジェの1978年作
MAGMAのベース、ベルナール・パガノッティを中心に、マグマ関連メンバーが参加したアルバムで、
うねりのあるベースとドラムに、奔放なギターを重ねた、インプロ的なフリーキーさを含むサウンドで、
サックスが鳴り響きコバイヤ風のヴォーカルが加わると、まさにマグマ系のジャズロックという聴き心地。
10分を超える大曲を主体に、優美なエレピやシンセを含むわりと優雅な感触で、ブイブイしたベースとともに
じわじわと高揚してゆく演奏は、まさに「MAGMA別働体」と言ってもよい完成度だろう。
優雅度・8 怪しさ度・7 マグマ度・9 総合・8
Amazonで購入する


WhiteChapel 「Le Masque D'arlequin」
フランスのハードプログレ、ホワイトチャペルの2006年作
きらびやかなシンセをほどよくハードなギターに重ね、フランス語によるハイトーンヴォーカルを乗せて、
ときにProgMetal的でもあるシンフォニックロックを聴かせる。随所に流麗なメロディも奏でるギターに、
オルガンを含むたプログレ感のあるシンセワークとともに、優雅でキャッチーなサウンドを構築する。
ゆったりとしたバラードナンバーは、シンフォプログレ的に楽しめ、プログレメタル寄りのインストナンバーでは、
華麗なキーボードが活躍している。全体的にこれというインパクトはないが、ジャケのイメージよりも優美な好作。
ドラマティック度・7 プログレ度・7 優雅度・8 総合・7
Amazonで購入する


WILDMIMI 「La Revolte Des Couverts」
フランスのミュージシャン、ワイルドミミの2019年作
LA SACRE DU TYMPANのサックス&フルート奏者のソロで、サックス、トロンボーンが鳴り響き、
スペイシーなシンセに、ピアノ、ジェントルなヴォーカルを乗せた、叙情的なサイケ・ジャズロックという趣。
哀愁を感じさせるブラスの響きに、知的な屈折感と優雅なスケール感が同居したような作風で、
レトロな味わいの歌ものかと思わせつつ、シアトリカルな歌声とともに軽妙な展開を垣間見せる。
ミステリアスな世界観であるが、音自体に難解なところはなく、ピアノやフルート、サックス、クラリネットなどが
やわらかなき聴き心地となっていて、ジャズやクラシックの要素を含ませながら、それを優雅な歌で包み込む。
天才肌のアーティストが奔放に作り上げた、チャンバー・サイケ・ジャズ・ロックとでもいうような異色の力作だ。
ドラマティック度・・8 プログレ度・・8 優雅度・・9 総合・・8
Amazonで購入する

Wolfspring
フランスのハード・プログレ、ウルフスプリングの2010年作
フランスのシンフォニックロックバンド、NEMOのメンバーらによるユニットで、
メロウな叙情性と、ドラマティックな展開美が光るハードなシンフォニック作。
適度にメタリックでテクニカルなギターワークを中心に、美麗なシンセと
ストリングスアレンジなどもサウンドに空間的な厚みを与えている。
ゆるやかな叙情が耳心地がよく、ProgMetal的にもじっくりと聴ける好作品だ。
シンフォニック度・・7 メロウ度・・8 ProgMetal風味度・・8 総合・・7.5
Amazon.co.jp で詳細を見る


WURTEMBERG「Rock Fantasia Opus 9」
フランスのトラッドロックバンド、ウルタンベールの1980年作
フランスのトラッド系プログレというと、GWENDALなどが思い浮かぶが、
このバンドの特徴は、ジャケにもあるように古楽ハープのプサルテリオンの導入で、
その雅な音色には中世的な(それでいて日本の琴のような)なんともいえぬ趣がある。
全体的にアコースティックな質感ながら、ときにロック的なアンサンブルもかいま見え、
たおやかなピアノやフルートも美しく、格調高く典雅な気分にひたれる。
ラスト2曲はそれぞれバッハとベートベンをモチーフにしたクラシカルなシンフォ曲でこれも白眉。
メロディアス度・・8 プログレ度・・7 古楽トラッ度・・8 総合・・8◆プログレ名作選入り
Amazon.co.jp で詳細を見る

WURTEMBERG「Rock Fantasia Opus 10」
フランスのトラッドロックバンド、ウルタンベールの2008年作
古楽とプログレをクラシカルに融合させたサウンドで、1980年に唯一のアルバムを出したバンドの、
本作は1985〜'86年に録音されていた未発表音源を収録した2作目となる。
メンバーのうち3人がシンセをこなし、かつての作品にくらべるといくぶんモダンになった感触で
古楽というよりは優雅なクラシカルロックというおもむきである。流麗なピアノ、ストリングスの音色を含めた
シンセワークにメロディアスなギターで聴かせる、インストによる聴き心地のいいシンフォニックロック作。
クラシカル度・・8 プログレ度・・7 流麗度・・8 総合・・7.5


XYZ

XANG「DESTINY OF A DREAM」
フランスのシンフォニックロックバンド、クサングの1st。1999年作
G、B、Key、Drの四人組で、全編インスト作品(なのに何故かブックレットには歌詞が載っている)。
サウンドは随所にメタル色もある軽やか、メロディアスなシンフォニックロック作品。
叙情的なギターフレーズに、バックではいかにもシンフォ的なキーボード、時にドラムがツーバスだったり、
ギターがメタリックなことをやり始めたりと、シンフォ好きのプログレメタルリスナーにもお薦めできる。
クオリティは非常に高く、ギタリストのセンスの良さも非常に魅力的。ハードシンフォの傑作だ。、
メロディアス度・・8 シンフォニック度・・8 プログレメタル度・・7 総合・・8
Amazon.co.jp で詳細を見る

XANGThe Last of the Lasts
フランスのシンフォニックロックバンド、クサングの2nd。2006年作
G、B、Key、Drの四人組で、前作は全編インストのハードシンフォニック作だったが、
本作では第一次大戦をテーマにしているようで、アコースティックなイントロから幕を開け
シンセとギターを中心にしたいくぶんダークな雰囲気のシンフォニックロックを展開。
随所にテクニカルでメタリックな質感も覗かせつつ、インストながらも起伏に富んだ作風だ。
きらびやかでありつつも、プログレ的な音色を使い分けるシンセワークもなかなか見事。
メロディアス度・・8 ドラマティック度・・8 ハードシンフォ度・・8 総合・・8
Amazon.co.jp で詳細を見る


Xing-Sa 「Creation de L’Universe」
フランスのプログレバンド、ズィング・サの2015年作/邦題「宇宙の創造」
SETNAのメンバーによる別動隊といってよいユニットで、シンセによるミステリアスなイントロから、
軽やかなドラムに存在感あるベースも加わり、優雅でテクニカルなアンサンブルが広がってゆく。
ギターレスなので主旋律はシンセがメインで、MAGMAに通じる壮大で神秘的なジャズロックながら、
重くはならずに優雅で軽妙なのが特徴的。火、地、金、水、木と5パートに分かれたそれぞれの大曲は、
スペイシーなシンセによる静寂パートや、エレピを乗せたカンタベリー風味、うっすらとしたメロトロンが包み込み、
女性声も加わった叙情パートなど、全体的にやわらかな聴き心地。いわば幻想美ジャズロックというべき逸品だ。
プログレ度・・7 ジャズロック度・・8 優雅度・・8 総合・・8
Amazonで購入する


YACINE SYNAPSAS「Akala Wa Chariba」
フランスのミュージシャン、ヤシン・シナプサスの2016年作
優雅なエレピの音色に朗々としたヴォーカルを乗せ、ロック的なギターがかき鳴らされる。
先の読めないアヴァンギャルド性と、サロン系チェンバーのとぼけた味わいが同居した作風で、
歌いまわしにはどこかアラビックな中近東色も感じさせる。14分、16分という大曲でも、
構築性とは無縁の即興的な感性で、フリーなリズムと歌声を連ねてゆく。悪く言うと自己満足感に包まれた異色作だ。
ドラマティック度・・6 プログレ度・・7 アヴァンギャル度・・8 総合・・7


YOCHK'O SEFFERGhilgoul」
フランスのミュージシャン、ヨシコ・セファーの1978年作
ZAOやMAGMAにも参加していた、ピアニストにしてサックス奏者で、
どことなくユーモラスなサックスの音色にシリアスなピアノの旋律が絡み、
ストリングスカルテットによる美しい叙情性もあって、クラシカルな美意識が
ミニマムな空間表現に直結したような抜群のセンスに引き込まれる。
ドラムも入ったジャズロック的な曲にしても、バルトークなど現代クラシックを下地にした
硬質な浮遊感と、即興性の上にある構築性が音を引き締めている。
クラシカル度・・8 ジャズロック度・・8 アヴァンギャル度・・8 総合・・8
Amazon.co.jpで詳細を見る

YOCHK'O SEFFER Neffesh-Music「SUGARZO TEREP」
フランスのミュージシャン、ヨシコ・セファーの2019年作
MAGMA脱退後、ZAOをはじめ、ソロでも活躍するピアノ&サックス奏者で、ネフェッシュ・ミュージックの名義としては11年ぶりとなる作品。
クラシカルなピアノにサックス、ヴァイオリンやチェロが鳴り響き、軽妙なドラムとともに、ジャズとチェンバーの境をゆくような
スリリングなアンサンブルを構築。ヴァイオリンの音色が緊張感をあおり、軽やかなターロガトー(クラリネット風の楽器)が乱舞するように重なる。
10分前後の大曲を、緩急自在の流れとダイナミックな演奏でたたみかけるところはさすがという他なく、単なる室内楽でもジャズでも
この張り詰めた緊迫感は描けないだろう。クラシックの素養に裏打ちされた、ピアノとヴァイオリンをメインにした優雅なパートも素晴らしい。
即興的な不穏さと構築の美学を同時進行で突き詰めたというべき、高度な音楽性にゾクゾクする。素晴らしい傑作をありがとう。
クラシカル度・9 ジャズ度・7 優雅度・9 総合・8.5 
Amazonで購入する

YOLE「LEAD US AWAY」
フランスのプログレトラッドバンド、ヨレの2006作
サウンドはトラッドとプログレの中間のような雰囲気で、シンセやエレキギターも使用していて、
ギターとフルートが軽快にメロディを奏でるあたりはCAMELあたりの影響も感じさせる。
一転して、ミステリアスなシタールの音色にはエスニックな響きもあるが、
歌もの曲ではキャッチーな質感もありと、やや節操がない感じがする。
男女Voである点や、たおやかなフルートの音色など、好みの部分もあるので、
シンフォニックにするのかトラッドでいくのか、もう少し曲の世界観をしぼって構築して欲しい。
メロディアス度・・7 トラッ度・・7 たおやかフルート度・・8 総合・・7


ZAO「Z=7L」
フランスのジャズロックバンド、ザオの1973年作
MAGMAを脱退したFrancois"Faton"CahenとYochk'o Sefferを中心に結成されたバンドのデビュー作。
優雅なジャズロックと、緊迫感のあるアヴァンギャルドさが融合したようなサウンドで、
そこに個性的な女性ヴォーカルが加わると、やはりMAGMAを思わせる雰囲気にもなる。
ときにエキセントリックになる女性声も含めて、アートな作風の個性派ジャズロック作品。
ジャズロック度・・8 マグマ度・・8 アヴァンギャル度・・8 総合・・8
Amazon.co.jp で詳細を見る

ZAO「Osiris」
フランスのジャズロックバンド、ザオの1974年作
前作でのMAGMAを思わせる雰囲気もいくぶん残しつつ、よりスタイリッシュな優雅さを強めた2作目。
艶やかなヴァイオリンにサックスが絡み、軽妙なアンサンブルのジャズロックを聴かせつつ、
妖しい女性スキャットを加え、ピアノがエキセントリックに弾きならされる、スリリングな感触も楽しめる。
一方では次作へとつながる、大人の味わいのジャズロックテイストもときおり匂わせつつ、
エジプト神話をテーマにしているらしく、ミステリアスな空気感も漂わせる。プログレ・ジャズロックの力作です。
ジャズロック度・・8 プログレ度・・8 優雅度・・8 総合・・8
Amazon.co.jpで詳細を見る

ZAO 「SHEKINA」
フランスのジャズロックバンド、ザオの3rd。1975年作
女性ストリングスカルテットを迎えて作られた作品で、サックスやクラリネットが軽やかに鳴り、
艶やかなヴァイオリンの音が響く、優雅なジャズロックサウンド。1stの頃のMAGAMA色は薄まったが、
19分の大曲などは、ときに怪しげな緊張感も漂わせたチェンバーロック的な味わいもある。
大人のジャズロックという雰囲気を強めつつ、感性豊かなサウンドが楽しめる好作品だ。
ジャズロック度・・8 プログレ度・・7 優雅度・・8 総合・・8
Amazon.co.jpで詳細を見る

ZAO 「KAWANA」
フランスのジャズロックバンド、ザオの4th。1976年作
バンドの代表作ともされる作品で、美しいピアノと緊迫感のあるヴァイオリンの音色が絡み、
フリーキーなサックスが鳴り響く。クラシカルな優雅さとジャズロックとしての軽やなアンサンブルに、
奔放と緻密が同居したような聴き心地で、ときに緊張感を漂わせつつ、ときにコミカルであったりもする。
プログレ的なシンセワークも随所に光っていて、軽妙なプログレ・ジャズロックというべき傑作に仕上がっている。
ジャズロック度・・8 プログレ度・・8 優雅度・・9 総合・・8.5
Amazon.co.jpで詳細を見る

ZAO「AKHENATON」
フランスのジャズロック、ザオの1994年作
1977年作「TYPHARETH」以来、17年ぶりとなる作品で、ヨシコ・セファーがバンドに復帰している。
たおやかなピアノにサックスが絡む、優雅なサウンドはかつてのまま、初期の頃のクラシカルな部分は薄まり、
よりジャズロック志向のアンサンブルになっている。艶やかなヴァイオリンにフリーキーなサックスが絡む、
スリリングな即興性も垣間見せつつ、リズム的なアプローチはあくまでジャズロックとしての構築性を保っている。
70年代の作品に比べると、瑞々しさの点では少し物足りないが、セファーの奏でるクラリネットがヴァイオリンやエレピと
バトルするようなノリのよいナンバーなども含めて、じっくりと大人の演奏で味わえるジャズロックサウンドである。
ジャズロック度・・8 プログレ度・・7 優雅度・・8 総合・・7.5
Amazon.co.jpで詳細を見る


ZNR 「Barricade 3」
フランスのチェンバーロック、ゼッデンネールの1976年作
ピアノ&シンセのジョゼフ・ラカイユ、エクトール・ザズー、ベース&クラリネットのパトリック・ポルテラという三人編成で、
優雅なピアノが鳴り響くエリック・サティ的な雰囲気に、ビープ音的なアナログシンセが合わさり、
随所にクラリネットやサックスが加わった、アヴァンギャルドでミニマムなチェンバーロック。
1〜3分前後の小曲を主体に、飾り気や展開というものを無視した、唐突感とアンニュイな倦怠、
抽象絵画的なエキセントリックな感性は、聴き手を突き放したような冷たさも感じさせる。
9分の大曲では、ギターも加わっていくぶんロック的な香りも匂わせ、フランス語のヴォーカルを乗せた歌ものナンバーなど、
次作に比べるといくぶん拡散志向の方向性で、アヴァンミュージックとしてはむしろ、こちらの1作目が分かりやすいか。
ともかく、サロン的な優雅さとフランスらしい毒気が同居した、室内楽の抽象芸術というべき異色作である。
ドラマティック度・・2 チェンバー度・・8 優雅でアヴァンギャル度・・9 総合・・8
Amazon.co.jpで詳細を見る

ZNR「Traite De Mecanique Populaire」Traite De Meccanique Populaire
フランスのチェンバーユニット、ZNRの2nd。1979年作
エレクトール・ザズーとジョゼフ・ラカイユの二人を中心にしたユニットで、
クラシカルなピアノ、ヴァイオリン、クラリネット、サックスなどのやわらかな音色で、
優雅で気品のある室内楽的なサウンドを聴かせる。楽曲は1〜3分前後の小品集であるが、
「一般機械論」という謎のタイトルや、曲名にしてもいちいちこまっしゃくれた題名が付けられ、
優雅なサウンドとは裏腹に、知的なひねくれ加減と、アンニュイな醒めた視点がうかがえる。
ひとことで言えば、上品な毒気とでもいうべき精神性だろうか。エリック・サティからの影響を、
さらに時代的に落としこんで、アーティスティックに表現したようなサウンドは、
表装のやわらかさの奥に、フランスからしか出て来ないアイロニカルな薄闇が垣間見える。
クラシカル度・・8 ロック度・・1 アンニュイ度・・9 総合・・8
Amazon.co.jp で詳細を見る

ZOIKHEM 「Vox Clamantis In Deserto」
フランスのチェンバーロック、ゾイケムの1997年作
4パートに分かれた、38分という組曲をメインにした作品で、優雅なピアノの旋律にフリーキーなドラムのリズム、
クラリネットの音色に、朗々としたバリトンヴォーカルで、UNIVERS ZEROを思わせるスリリングな空間性を描き出す。
怪しい言語によるヴォーカルとジャズロック的な感触は、やはり同郷の先人であるMAGMAをルーツにしていて、
アッパーなノリとダウナーな翳りが交差するような空気感は、上記2バンドが好きならけっこう楽しめるだろう。
フォロワー以上の迫力には欠けるのだが、クラリネットが奔放に鳴り響くインプロ性も含めて、ユルめに鑑賞できます。
ユニヴェル度・8 マグマ度・7 優雅度・7 総合・7.5
Amazonで購入する


VA/PROGLIVE 97 「CORBIGNY」
フランスMUSEAレーベル主催のシンフォニック系バンドのライブアルバム。1997作
参加バンドは、MINIMUM VITAL、JEAN PASCAL BOFFO、QUIDAM、CYRIL ACHARD、FINISTERRE。
MINIMUM VITAL…2nd「SARABANDES」からの曲が嬉しい。女性Voのマイルドなシンフォニックロックという印象。フルート入り。
JEAN PASCAL BOFFO…MUSEA系ゲタリスト。アコースティックギターのインスト。落ち着いたヒーリング系のアコースティックサウンド。
QUIDAM…ポーランドの女性Voシンフォバンド。メロウなギターに、シンセそして、美しい女性Voによる王道シンフォサウンド。
この中ではこのバンドが実は一番MUSEAっぽかったりして…。そういえばポーランド語の語感はフランス語に通じるものがある。
CYRIL ACHARD…シリル・エイチャードといえば、「MORBID FEELING」なのだが、ここでは、彼の1stソロ「CONFUSION」からの曲を演奏。
テクニカルなギターによるインストで、様式美的なフュージョンメタルな部分とジャズやプログレメタルな部分とが交差していて、なかなか楽しめる。
FINISTERRE…イタリアのプログレバンド。たおやかなフルートに、やや懐古主義的なキーボードがいかにもMELLOW系のシンフォサウンド。
シンフォニック度・・7 バンドクオリティ・・7 マイナー度・・8 総合・・7
Amazon.co.jp で詳細を見る

VA / Treasure Island
ロバート・ルイス・スティーヴンソンの冒険小説をテーマにしたMUSEAレーベルのオムニバス。2005年作
アルゼンチンのNEXUS、フィンランドのVelvet Desperados、イタリアのFLOATING STATEといった、
マニアックな3バンドが参加、「宝島」をテーマにした、それぞれが20分以上の組曲を披露。
ヴェルベット・デスペラトスは、オルガンを含んだシンセとメロディックなギターにサックス、
マイルドなヴォーカルで聴かせるやわらかなサウンド。適度なヴィンテージ感もまたよろしい。
フローティング・ステートは、イタリアのマイナー系らしいどこかヒネくれた怪しさと
オルガンやサックスが鳴り響く軽妙な展開で聴かせる、いかにもなプログレ曲。
ネクサスは、もうさすが…シンセ鳴りまくり、ギター泣きまくりの濃密シンフォニックで、
じつにコテコテな作りがら、これが素晴らしい出来。これを聴けただけで価値があるCDです。
シンフォニック度・・8 プログレ度・・8 濃密度・・8 総合・・7.5

VA/ODYSSEY “THE GREATEST TALE”
古典作「オデュッセイア」をコンセプトにした、フィンランドの雑誌企画のオムニバス・シリーズ第4弾。
全9バンド、CD3枚組みとなる一大シンフォニック大会である。参加バンドは以下の通り
NATHAN MAHL(CANADA)NEXUS (ARGENTINA)GLASS HAMMER (USA)XII ALFONSO(FRANCE)
SIMON SAYS(SWEDEN)C.A.P.(ITALY)TEMPANO(VENEZUELA)MINIMUM VITAL(FRANCE)AETHER(BRASIL)
それぞれのバンドが20分以上という大曲を書き下ろし、メロトロン、ハモンド、ムーグ等を駆使した古典的シンフォサウンドを奏でる。
弾きまくりELPスタイルのネイサン・マール、ドラマティックなネクサス、女性ヴォーカルを乗せたYES的構築美のグラス・ハマー、
たおやかでセンスのよいドゥーゾ・アルフォンソ、キャッチーなサイモン・セッズ、イタリアンらしい叙情のCAP、
南米らしいメロを聴かせるテンパノ、たおやかなピアノが美しいエーテル、バランスのとれたミニマム・ヴァイタル、
それぞれにバンドのカラーを上手く出していて、この手の企画ものとしては成功した作品だろう。
CD3枚、全220分…という超大なボリュームで、まさに“シンフォニックお腹一杯”!!
シンフォニック度・・8 ドラマティック度・・8 濃密度・・9 総合・・8
Amazon.co.jp で詳細を見る

VA/INFERNO“Dante's Divine Comedy-PART1
MUSEAレーベル主催の企画アルバム、2008年作
ダンテの「神曲」をテーマにしたCD4枚組の作品で、参加アーティストは…Nuova Era、Yesterdays、Little Tragedies、Nemo、Nexus、
Trion + Flamborough Head、Willowglass、Brighteye Brison、Ars Nova、Il Castello Di Atlante、Groovector、CAP、Viima、Entrance、
Advent、Tempano、Nathan Mahl、Simon Says、他というマニアックなメンツ。濃密なシンフォニックロックが4時間以上にわたって繰り広げられる。
Disc1では、女性ヴォーカルが美しいハンガリーのイエスタデイズや、ロシアのリトル・トラジディーズのコテコテの濃密シンフォニック曲、
男女Voが美しいイタリアのグリーンウォールあたりが印象に残った。Disc2では、メロトロン鳴り響くイギリスのウィローグラスの美しさ、
そして日本のアルス・ノヴァの壮麗かつ耽美な大曲はじつに見事。Disc3ではイタリアのベテランCAPや北欧のシンカドゥスってまだいたのね。
Disc4ではヴェネズエラのRaimundo Rodulfoがクラシカルでとても良い。どのバンドもシリアスでドラマティックな作風がお腹一杯楽しめる。
シンフォニック度・・8 ドラマティック度・・8 濃密度・・9 総合・・8
Amazon.co.jpで詳細を見る

Va/ DANTE'S PURGATORIO: THE DIVINE COMEDY PART II
MUSEAレーベル主催のオムニバス。ダンテの「神曲」をテーマにした壮大なプロジェクトの2作目。2009年作
SIMONS SAYS、GROOVECTOR、Mist Seasonといった北欧勢から、NUOVA ERA、MAD CRAYONなどのイタリア勢、
NEMO、FLAMBOROUGH HEAD、LITTLE TRAGEDIES、Yesterdaysといったヨーロピアンシンフォの中堅どころに加え、
NEXUS、Entlance、EQUILIBRO VITAL、JINETES NEGROSも、Raimundo Rodulfoなどの南米のバンドまで多数が参加。
CD4枚組で、それぞれのバンドがドラマにそった流れで楽曲を綴ってゆく。オルガンやムーグシンセにメロトロンと、
どのバンドも王道のシンフォニックロックスタイルでよい感じだなのだが、さすがに4CDで4時間超は聴くのが大変。
1作目に比べても、全体的にやや魅力的なナンバーが少ないような気もするが、ロシアのLITTLE TRAGEDIESや
チリのENTLANCE、オランダのFLAMBOROUGH HEADあたりはさすがのコテコテシンフォまくりでよいですな。
それと、アメリカのMaxwell's Demonがこの中では異色のアヴァン・プログレで面白かった。
ドラマティック度・・8 プログレ度・・8 濃密度・・9 総合・・7.5
Amazon.co.jpで詳細を見る

VA/PARADISO: THE DIVINE COMEDY PART III
MUSEAレーベル主催のオムニバス。ダンテの「神曲」をテーマにした壮大なプロジェクトの3作目。2010年作
本作は、イタリアのピアニストMarco Lo Muscioの繊細なピアノによるイントロで幕を開け、続くLITTLE TRAGEDIESが
クラシカルなキーボードプログレでたたみかける。NUOVA ERA、GREENWALL、DAALといったイタリア勢をはじめ、
BRIGHTEYE BRISON、GROOVECTOR、SIMON SAYS、MIST SEASONなどの北欧勢、FLAMBOROUGH HEAD、
NEMO、YESTERDAYS、KOTEBELというヨーロッパ勢に、NEXUS、ECHOES、Jaime Rosas、JINETES NEGROS、
Raimundo Rodulfoという南米勢を加えた、ラスト作にふさわしい濃密なメンツが集結。CD4枚合計260分の内容だ。
個人的には、美しい女性ヴォーカルの叙情が素敵なGreenWall、メロウな泣きのギターで聴かせるNEXUS、
キャッチーな抜けの良さのSIMON SAYS、涼やかで繊細な叙情のMist Season、これぞシンフォニックというLady Lakeなど、
最終章にふさわしい充実の内容でした。1作目からCD12枚、これを一気に聴いたら相当な満腹感でしょうな。
ドラマティック度・・8 プログレ度・・8 濃密度・・9 総合・・8
Amazon.co.jpで詳細を見る


 音楽ページTOP