日本のメタル&プログレバンド
〜Japanese Metal & Prog Rock Band
                    by Tosei Midorikawa

掲載バンドはABC順になっています

M XYZ

■CDの評価に関しては、個人的嗜好が反映されることもあり、納得のいかない評価もあるかと思いますが、その辺はどうかご了承ください。

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ACB(K) 「SIBLINGS / シブリングズ」
日本のプログレバンド、ACB(K)こと、あらんちゃんバンド(仮)の2022年作
OUTER LIMITSの荒牧隆(子)を中心としたバンドで、オルガンやメロトロンを含むシンセに、男女ヴォーカルの歌声で、ドラマティックなシンフォプログレを聴かせる。
荒牧のジェントルな歌声とほどよくハードなギターにプログレらしいシンセ、月本美香(那由他計画)の優美なヴォーカルが重なって、ジャケのイメージとは異なる優雅で濃密なサウンドが楽しめる。
「古事記」における「衣通姫伝説」をコンセプトにした37分の組曲では、艶やかなヴァイオリンも鳴り響き、男女Voで聴かせるロックオペラ的なスケール感と、上代日本語と万葉仮名を用いた牧歌的な情緒も覗かせながら、かつてのMARGE LITCHにも通じるような幻想的ハードプログレを繰り広げる。
ドラマティック度・8 プログレ度・8 優雅度・8 総合・8
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ACTROID「Crystallized Act」
女性Voとギターによるメロディックロックユニット、アクトロイドの2012年作
LIGHT BRINGERのFUKI に似た女性ヴォーカルの歌声とキャッチーなポップさで聴かせる、
J POP系のハードロック。ギターは比較的正統派なメロディアスハードの雰囲気なので、普通に聴きやすく、
爽やかな歌声を活かした、メロディアスでポップなフックのある楽曲も悪くない。音質の甘さも含めて、
まだまだ自主レベルの作品という感じだが、キャッチーな女性声ロックが好きな方はどうぞ。
メロディック度・・8 メタル度・・6 女性Vo度・・8 総合・・7.5
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After Dinner「Paradise of Replicas」
日本のアヴァン・ポップバンド、アフター・ディナーの1989/2000年作
1989年の2作目に新たに4曲の新録リミックスを加えた再発盤。
女性ヴォーカル、HACOのコケティッシュな歌声に、エレクトロなシンセアレンジ、
お洒落なポップ感覚を、エキセントリックなセンスで包み込んだというサウンド。
リズムや構築というものに固執しないフリーキーな感性がいま聴いても新鮮で、
ヴァイオリやチェロ、フルートなどを取り入れたチェンバーロック風味も絶妙だ。
アヴァンギャルドというよりは、色彩豊かな芸術性を感じさせる、キュートなプログレポップである。
プログレ度・・8 エキセントリック度・・8 女性Vo度・・8 総合・・8
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AIN SOPH 「妖精の森」
日本のプログレバンド、アイン・ソフの1st。1980作
ジャズロック系のバンドと扱われていますが、このアルバムはメロディアスで、適度にシンフォニックでいいですね。
ジャケもじつに幻想的。のっけから軽やかに、テクニカルにギターとキーボードが応酬してます。
3曲目などは、昔は地味に聴こえたものですが、いま聴くとジャズ風の軽やかなピアノタッチがとてもいい感じだし、
アコースティックギターの音色といい、どこか素朴な美しさを感じる曲。最大の聴きどころは18分の“組曲:妖精の森”。
このバンドにしては異色なシンフォニックかつクラシカルな大曲で、静寂パートとテクニカルパートを上手く配し、
ハープシコードのメロディがどことなくイタリアっぽかったり、プログレファンにとってはなかなか美味しいサウンドであります。
シンフォニック度・・8 ジャズロック度・・8 テクニカル度・・9 総合・・8
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AIN SOPH「帽子と野原/Hat and Field」
日本のプログレバンド、アイン・ソフの2nd。1986年作
シンフォニックな感触もあった1stに比べて、本作は、Hatfield and the Northからとったタイトルのように、
いわゆるカンタベリー色を濃くしたジャズロックを意識したような作品である。
軽やかなリズムに乗るメロディアスなギターと美しいシンセで聴かせるインストサウンドは、
西洋のジャズロックとはいくぶん趣の異なる、いわば日本人らしい繊細さに溢れていて、
10分を超えるタイトル組曲の優雅な美しさには何度聴いてもうっとりとなる。
テクニカルな構築力とともに、うっすらとしたシンフォニック性も残した傑作に仕上がっている。
シンフォニック度・・8 ジャズロック度・・8 優美度・・9 総合・・8
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Ain Soph 「Seven Colours」
日本のプログレ・ジャズロック、アイン・ソフの2018年作
スタジオ作品として1993年以来、じつに25年ぶりとなる新作で、流麗なギタートーンに
オルガンやエレピを含むやわらかなシンセを重ね、軽やかなアンサンブルで聴かせる、
カンタベリー的な優雅なジャズロックサウンドは健在。繊細なフルートの音色とともに、
しっとりと聴かせる叙情性や、技巧的すぎない落ち着いた大人の味わいはじつに耳心地よく、
とくに山本要三氏の円熟のギターは見事という他にない。アルバム後半は10分を超える大曲2曲で、
メロウなギターにシンセを重ねた優美な感触にも包まれる。まさに円熟の叙情プログレジャズロック。
ドラマティック度・・7 軽やか度・・8 優雅度・・9 総合・・8 
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AJA 「クスコー氏の宇宙船」
日本の女性アーティスト、アヤの1996年作
自作の詩を朗読するポエトリー・リーディングでも知られるアーティストで、
なにやらSF風味のシンセサウンドで幕を開けつつ、コケティッシュなAja嬢の
エロティックなセリフめいた歌声を乗せた、なんともエキセントリックな世界観。
ピアノなどの旋律とエレクトロなシンセアレンジにはプログレ質感もあって、これがなかなか面白い。
一方では、名のあるミュージシャンが参加していることもあり、楽曲としても案外ちゃんとしていたりする。
ふんわりとした歌声に癒されつつも、毒のあるキュートさとエッチな感触がたまらないのです。
コケティッシュ度・・8 プログレ度・・7 女性声度・・8 総合・・7.5
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AJA 「赤い魚」
日本の女性アーティスト、アヤの1998年作
うっすらとしたシンセとメロウなギターに、アヤ嬢の艶めいた声が乗り、
しっとりとしたアンビエントな感触に耽美なエロティック性が混ざり込んだ聴き心地。
バックの演奏自体は、しっかりとしたアンサンブルのむしろ古き良きロック色もあって、
そこに鼻に絡んだようなキュートな囁き声で、艶めいた言葉を語られると、
オッサンにはたまらないだろう。曲によってはシンフォニックなアレンジも美しいのだが、
一方ではモダンなオルタナ風味の曲もあったりして、個人的には雑多な作風が惜しい。
コケティッシュ度・・8 プログレ度・・6 女性声度・・8 総合・・7.5
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AJA + The Sandmans 「月の海月」
日本の女性アーティスト、アヤの2000年作
今作はバンド編成をバックにして、アヤ嬢のキュートな歌声を乗せたスタイル。
いくぶんの色気を含んだ独特の世界観のポップロックであるが、
本作ではよりキャッチーなメロディアス性が前に出ていて、
コケティッシュな歌声とともに、畑亜貴あたりに通じる雰囲気もある。
いくぶんモダンなロック感触もありながら、アルバム後半にはエキセントリックで
プログレ的な展開を見せるナンバーもあったりと、なかなか楽しめる。
コケティッシュ度・・8 プログレ度・・7 女性声度・・8 総合・・7.5
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AJA 「綾音」
日本の女性シンガー、アヤの2005年作
じゃがたらのOTOがサウンドアレンジャーとして全面参加したアルバムで、
しっとりとした彼女の歌声と、エフェクトの効いたギターを乗せた浮遊感のあるサウンドで、
ポストロック的な雰囲気も感じさせる。初期の頃のエロティックでエキセントリックな世界観が、
よい感じにソフィスティケイトされていて、うっすらとした艶やかさが大人の彼女を表現している。
ポップな感触であっても、音そのものに空間的な奥行きをがあるので、ディープなファンにも楽しめる
いわば玄人好みの聴き心地で、彼女の良さを自然に引き出すモダンなアレンジセンスも見事である。
ポップ度・・8 ロック度・・7 女性Vo度・・8 総合・・7.5 
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秋葉龍「Cities in People」
日本のミュージシャン、あきば・たつの2023年作
2021年作に続く2作目で、ビートルズを思わせるオールドな雰囲気の序曲から、軽快なリズムにオルガンやムーグなどのヴィンテージなシンセとギターを重ね、カンタベリー・ジャズロック風の優雅なサウンドを展開。
英語によるジェントルなヴォーカルもあいまって、ほとんど70年代英国のプログレバンドのような聴き心地で、Gentle Giantの軽妙さに、Jethro Tullのような牧歌性も感じさせつつ、GENESISばりの優美な叙情に包まれる。
10分前後の大曲を、緩急あるインストパートとともに構築するセンスも見事で、歌入りの部分でも巧みな変則リズムで、偏屈ながらも優雅な味わいは、まさにジェントル・ジャイアント。
かと思えば、フルートなどアコースティックを含む土着的な歌もの感はジェスロ・タルと、往年の英国プログレのリスナーならニヤリとなること請け合い。
23分の大曲は、メロトロンに叙情的なギターでじわじわ暖めつつ、軽やかなリズム展開のプログレ・ジャズロックを融合させるという抜群のアレンジ。まさに期待のアーティストです。
ヴィンテージ度・8 プログレ度・8 優雅度・9 総合・8.5
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Alchemy Crystal 「久遠の詠唱」
日本のシンフォニックメタル、アルケミー・クリスタルの2015年作
シンセにツインギター、男女Voを含む7人編成で、クラシカルで優雅なイントロから、曲が始まると、
クサメロ感あふれるギターと美麗なシンセアレンジ、オペラティックな男性ヴォーカルを乗せて疾走する、
演劇的な世界観を感じさせるメロスピサウンドが広がってゆく。ギターのメロディはじつにクサメロのツボをついているし、
テクニックあるシンセの実力も見事。そして中音域のバリトン男性ヴォーカルも、マイルドな色気をサウンドにもたらしている。
女性デスヴォイスを含んだ激しさも覗かせつつ、あくまできらびやかな優雅さをメロディに絡ませた美麗な聴き心地がよいですね。
ALHAMBRAやLIV MOON、DragonGuardianなど、これまでもストーリー性を感じさせる、女性声シンフォニックメタルはあったが、
男性声メインのオペラティックメタルというのは新しいかもしれない。クサメロ系シンフォニックメタルのファンにも対応した力作です。
シンフォニック度・・8 クサメロ度・・8 オペラティック度・・8 総合・・8
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ALDIOUS「Defended Desire」
関西のガールズロックバンド、アルディアスのデビューシングル。2010年作
ギャル系ビジュアルの女性4人組で、メロディアスに疾走するサウンドはメロスピ的であるが、
日本語歌詞も含めた歌謡的なキャッチーさには、古き良きジャパメタの雰囲気も漂う。
どこかで聴いたようなギターフレーズや、楽曲アレンジにおける詰めの甘さなど、
まだまだこれからという部分も多いながら、ルックスを含めて話題性は充分。
国産の若手ガールズメタルバンドとして、今後の活動に注目したい。
メロディアス度・・8 ギャルメタ度・・9 女性Vo度・・8 総合・・7.5
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ALDIOUS「Deep Exceed」
日本のガールズメタルバンド、アルディアスの2010年作
“ギャルメタル”、“キャバ嬢メタル”などと話題をさらったデビューミニから、ついに注目のフルアルバムが完成。
正直あの出来の延長であろうと、タカをくくっていたのだが、案外にもしっかりとしたヘヴィさのあるギターと、
メタリックな力強さに少々びっくり。これならば女性Vo好きのメタルファンならば
きっと問題なく受け入れられるだろう。ツーバスで疾走するドラムを含めて、
全員が女性でこれをやっているのがすごいし、決して色モノにとどまらない
メタルへの確かな愛情も感じられる。ヴォーカル嬢の歌声はやや一本調子ながらも、
むしろ大人の艶めいた雰囲気で、さほどギャルギャルしくないのがいい。あとはキラー曲!
メロディアス度・・8 疾走度・・8 女性Vo度・・8 総合・・8
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ALDIOUSMermaid
日本のギャルメタルバンド、アルディアスのシングル。2011年作
2010年にデビューし、またたくまに話題をさらった関西出身のガールズメタルバンド、
その派手なルックスとは裏腹に、しっかりとメタルとしてのパワフルさを備えたサウンドは、
決してビジュアルだけではない実力を多くのメタルリスナーたちに知らしめた。
本作は新曲2曲に、そのカラオケと1st収録曲の別バージョンを収録したシングル。
2つの新曲は力強くもメロディックに疾走する好曲で、表現力を増したRami嬢の歌声とともに、
バックの演奏もバンドとしての成長を確かに感じさせる。全体的にも音の力強さと
日本的な情感溢れるメロディアスさが合わさって、楽曲の説得力を強めている。2ndフルが楽しみだ。
メロディアス度・・8 疾走度・・8 女性Vo度・・8 総合・・8
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ALDIOUSDetermination
日本のガールズメタルバンド、アルディアスの2011年作
“キャバ嬢メタル”と呼ばれて話題を振りまきデビュー、内容もしっかりとした質の高いメタルぶりで
その実力を見せつけた1stアルバム、そして成長を感じさせた2ndシングルに続き、ここに2ndフルが完成。
のっけからパワフルなメタルっぷりで、古き良き日本の歌謡ロックを思わせるRami嬢の歌声を乗せて激しく疾走。
ツインギターのリフのヘヴィさは男顔負けで、ガールズメタルという色モノ視点抜きで普通に楽しめる格好よさです。
前作に比べていくぶんダークになったというか、きらびやかさが少し減退している分、もしかしたらメタルファン以外には
愛想がよくないかもしれないが、彼女たちのやりたいのはあくまで本物のメタルなのだろう。
ときにスラッシーなまでのリフを乗せて勢いにあふれたサウンドは彼女たちの「本気」を物語っている。
メロディアス度・・7 疾走度・・8 女性Vo度・・8 総合・・8
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ALDIOUS「White Crow」
日本のガールズメタルバンド、アルディアスのシングル2012年作
昨年2ndを出してから、ヴォーカルのRamiが突如脱退、新VoにRe:NOが加入しての初音源となる。
メロディックなツインギターとともに疾走するメタルサウンドは、これまでの作風であるが、
やはりヴォーカルが代わるとずいぶん印象が変わる。Re:NO嬢の歌唱は良くも悪くも日本的で、
メタルとしてはややパワーに欠ける感じもするが、伸びやかな部分は陰陽座の黒猫あたりを思わせ、
今後の成長に期待したいところ。楽曲自体も新鮮味はなく、これだというインパクトにも欠ける気がする。
メロディック度・・8 メタル度・・7 楽曲・・7 総合・・7.5
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ALDIOUS「District Zero」
日本のガールズメタルバンド、アルディアスの2013年作
フルアルバムとしては3作目で、ヴォーカルが交代してからは初のアルバムとなる。
ツインギターとともに疾走する軽快なメタルサウンドに、日本語の歌声を乗せたキャッチーな作風は
前シングルからの同路線で、賛否が分かれているようだが普通に聴き安い。新ヴォーカルのRe:NO嬢の歌唱は、
深みと表現力の点でははまだまだだが、こういう突き抜けない部分こそがジャパメタというもので、
新鮮なインパクトなどを求めなければ充分楽しめるレベル。個人的には疾走する曲よりも、ミドル〜スローの曲の方が
彼女の歌声に合っているように思える。全体的に出来はよいと思う。これ以上を求めるのなら洋楽を聴きましょう。
メロディアス度・・8 疾走度・・8 女性Vo度・・7 総合・・8
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ALDIOUS「Dominator/I Don’t Like Me」
日本のガールズメタル、アルディアスの6曲(カラオケ3曲含む)入りEP。2013年作
ヴォーカルが交替しての3rdアルバムは賛否があったようだが、個人的には普通に楽しめた。
本作は、1曲めから激しくメタリックな疾走曲で、これまで以上にパワフルなサウンドを聴かせる。
Re:NO嬢の歌声は、相変わらず平坦で突き抜けるようなインパクトはないのだが、
歌謡ロック的な感触は嫌いではないし、2曲めのバラードなどは素朴な情感がよくマッチしている。
3曲めは過去曲のリメイクで、キャッチーなノリのよさがよい感じです。なんだかんだでファンは楽しめるEPかと。
メロディック度・・8 歌謡メタル度・・8 女性Vo度・・7 総合・・7.5




ALEVAS「Greed of White Lily」
日本のプログレッシブメタル、アリーヴァスの2018年作
2016年に結成された、東京の新鋭プログレッシブ・メタルバンド。テクニカルな展開美とダークな世界観、
随所にクラシカルなオーケストラアレンジに包まれた優雅な叙情性が融合したハイブリッドなサウンド。
モダンでアグレッシブなヘヴィネスと、日本語歌詞による歌声を乗せたドラマティックな聴き心地に加え、
扇情的なフレーズを奏でるギターは、さすが音大出身というメロディのセンスと確かな技巧を感じさせる。
後半の16分の大曲は、プログレッシブなシンセアレンジと変拍子リズムによる、DREAM THEATER風味に、
シアトリカルなヴォーカルを乗せた日本的な情感が合わさって、スリリングな展開力がまた素晴らしい。
メロデイとテクニカルのバランスのとれた、ダークでスタイリッシュな日本産プログレメタル期待の新鋭である。
ドラマティック度・・8 テクニカル度・・8 楽曲センス・・8 総合・・8
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ALHAMBRA「明日への約束/A FAR CRY TO YOU
日本のプログレ・シンフォニック・メタル、アルハンブラの1st。2005年作
かつてメンバーが在籍していたMARGE-LITCH時代から、そのテクニカルな演奏力や大仰なドラマ性、
ファンタジックな世界観がじつに好みであったが、ALHAMBRAとしてのデビュー作は、よりシンフォニックメタルに接近。
神保氏(現在はHibikiに交代)の骨太の巧みなベース、長倉氏のパワフルなドラミングが支える鉄壁のリズム隊に、
GALNERYUS、ARK STORMでおなじみのYUHKI氏のきらびやかなキーボード、テクニックのあるギターが重なり、
そこに世良純子さんの絶品の歌唱が乗ると、美しくも重厚な、プログレッシブなシンフォニック・メタルが華麗に描かれてゆく。
曲はキャッチーなメロディで疾走するメロスピ風から、日本語歌詞の情緒あるバラードたたみかける変拍子のプログレインスト曲まで、
どれもが濃密かつメロディアス。かつてのマージュリッチの雰囲気をいくぶん残しつつも、楽曲がより分かりやすくなっていて
こうなるともうRHAPSODYや、NIGHTWISHなどのシンフォニックメタルファンにもお薦めしたいほどだ。
シンフォニック度・・8 プログレなメロスピ度・・8 女性Vo度・・8 総合・・8
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ALHAMBRA「FADISTA」
日本のシンフォニック・プログレメタルバンド、アルハンブラの2nd。2007作
2年ぶりとなる新作は、ギュスターヴ・モローの絵画をあしらった幻想的なジャケに包まれ、
そのサウンドはシンフォニックな美しさと同時に、いっそうメタリックな勢いが増している。
前作からB、Gが交代しており、一聴したところ新ギタリストはよりメタル的な匂いのする
テクニカルなフレーズを奏でており、バンドの核であるYUHKI氏の華麗なシンセワークと、
長倉氏の力強いドラミングとともに、これまで同様に質の高い演奏を聴かせてくれる。
一方で、JUNKO嬢の歌声はどこか懐かしく歌謡色のある歌詞とメロディでサウンドを彩り、
このモダンさとレトロな質感の合体こそが彼らの持ち味なのだと思う。
テクニカルなインスト曲なども含めて、ProgMetal系のリスナーにもアピールする内容だろうが、
9分、11分という大曲では、しっかりとドラマティックかつ壮麗なシンフォニックハードを聴かせてくれる。
メロディアス度・・8 シンフォニック度・・8 プログレ度・・7 総合・・8
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ALHAMBRA「Solitude」
日本のシンフォニック・プログレメタルバンド、アルハンブラの3rd。2010作
シンフォニックな美麗さとテクニカルな演奏力で、今や日本を代表するバンドのひとつとなった、
感のあるこのバンド。前作「FADISTA」から3年ぶりとなる本作は、美しいイントロに続き、
激しくも華麗に疾走するシンフォニックメタルが炸裂、YUHKI氏の壮麗なシンセワークに、
ネオクラシカル風味を含んだ技巧的なギターが絡み、そこに純子嬢の高音ヴォーカルが乗る。
今作の楽曲はどれもライブ映えしそうな感じで、明快なメロディとキャッチーな軽やかさがいいのだが、
サウンドプロダクション的にはやや軽めで、音の広がりがあまり感じられないのが少し惜しいか。
前作、前々作のようなスケールの大きさは薄れたが、クオリティの高さで安心して聴ける好作品。
メロディアス度・・8 テクニカル度・・7 女性Vo度・・8 総合・・8
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ALHAMBRA「SIEGFRIED
日本のシンフォニックメタル、アルハンブラ2012年作
4作目となる本作は、かつてのMARGE-LITCH時代を思わせるようなファンタジックな世界観で
壮麗でドラマティックなサウンドを聴かせてくれる。安定したリズム隊に支えられた
確かな演奏力とシンフォニックなシンセアレンジに包まれた説得力ある構築美は実に見事で、
物語性のある歌詞を歌いあげてゆく世良純子嬢の伸びやかなヴォーカルも素晴らしい。
ラストは4パートに分かれた22分の組曲で、ゲストに佐々井康雄(GERARD、ARK STORM)が参加、
男女ヴォーカルのオペラティックな掛け合いと、そのドラマティックな展開は圧巻だ。
前作の中庸感を吹き飛ばすパワーと美しきロマンにあふれた力作である。
シンフォニック度・・8 ドラマティック度・・9 女性Vo度・・8 総合・・8.5
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ALHAMBRA 「A Far Cry To You」
日本のシンフォニックメタル、アルハンブラの2013年作
2005年のデビュー作を新たにリレコーディングした作品で、壮麗なシンセアレンジと、
キャッチーなメロディック性、テクニカルなプログレッシブ性を有した当時の楽曲が、
現在のメンバー編成で甦った。あえてプログレ音色の強いシンセを響かせながら、
かつての初々しい勢いの代わりに、より円熟されたバンドサウンドをバックに、
情感豊かな歌声が、ロマンティシズム溢れるドラマティックな世界観を描いてゆく。
いくぶんなつかしいプログレハードロック的な感触が、若いファンには新鮮だろうし、
昔からのリスナーはそれぞれの音源を聴き比べて楽しむこともできるだろう。
メロディック度・・8 リメイク度・・8 女性Vo度・・8 総合・・8

ALHAMBRA「The Earnest Trilogy」
日本のシンフォニックメタル、アルハンブラの2016年作
2005年にデビュー、本作は6作目。2010年作「Solitude」からの5曲を新たにリレコーディングし、新曲を加えた作品。
オーケストレーションによる壮麗なイントロで幕を上げ、Junko嬢の変わらぬ伸びやかな歌声を乗せて疾走する、
スピードメタルナンバーへとつながる。美麗なシンセアレンジと流麗なギターフレーズを含む、きらびやかなサウンドは、
プログレッシブな展開力を含んだ、このバンドの魅力をしっかりと再確認させてくれる。ロマンを感じさせる日本語歌詞による、
ドラマティックな世界観はそのままに、ARK STORMの笹井康夫を迎え、男女Voによる英語歌詞ナンバーなどは新機軸で、
過去作のリメイクも成熟した歌声とともに、より深みのある仕上がりになっている。アブラ健在の華麗なアルバムです。
ドラマティック度・・8 壮麗度・・8 女性Vo度・・8 総合・・8 
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ALICETOPIA 「In Dreams」
日本のシンフォニックメタル、アリストピアの2023年作
2021年のデビューEPに続く、初のフルアルバム。メタリックなギターに壮麗なアレンジを重ね、
フェミニンな女性ヴォーカルを乗せて疾走する、耽美な世界観に包まれたシンフォニックメタルを聴かせる。
随所に巧みなギタープレイも覗かせながら、楽曲は3〜4分前後が主体でわりとシンプルに楽しめつつ、
フロントを務める、Mariaの日本語歌詞によるキュートな歌声は、その美女っぷりも含めて魅力充分である。
メロディのフックや楽曲展開にもうひとひねり欲しい気もするが、耽美な萌え系シンフォニックメタル期待の新鋭です。
メロディック度・7 耽美度・8 女性Vo度・8 総合・7.5
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ALL IMAGES BLAZING 「Multicolored」
日本のプログレメタル、オール・イメージズ・ブレイジングの2015年作
ISIS、L’evolzioneのシンセ奏者と、F.ROSESのベース、六合のドラムらが参加、
きらびやかなシンセアレンジと女性ヴォーカルの歌声を乗せ、テクニカルな軽妙さと、
キャッチーなメロディアス性で聴かせるプログレメタルサウンド。安定感のある抜群のドラムを中心としたグルーブに、
オルガンやピアノなどを含んだプログレ質感の強いシンセワーク、随所に叙情的なフレーズを聴かせるギターを乗せた
演奏陣のレベルはかなり高く、DREAM THEATER的なパートから、優雅なジャズタッチのパートまで変幻自在。
インストパートの力量に比べると、ヴォーカル嬢の歌唱の弱さがやや目立ってしまっているのは仕方なしか。
プログレらしい軽やかさととテクニカルなセンスに、カラフルなキャッチーさが合わさったという好作品。
メロディック度・・8 テクニカル度・・8 女性Vo度・・7 総合・・7.5
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ALL IMAGES BLAZING「LIFE」
日本のプログレメタル、オール・イメージズ・ブレイジングの2019年作
ISIS、L’evolzioneのシンセ奏者を擁するバンドの2作目で、VoとKey以外のメンバーが前作から交替している。
テクニカルなリズムにほどよくハードなギターとオルガンなどを含む優美なシンセ、伸びやかな女性ヴォーカルの歌声で、
翳りを帯びた叙情に包まれたハードプログレ的なサウンドを聴かせる。キャッチーな優雅さと技巧的なアレンジが同居しつつ、
古き良きプログレ感をかもしだすシンセワークも秀逸で、Atsuko嬢の英語の歌唱力がいくぶん向上したことで、
楽曲そのものの魅力も増した。ジャズタッチのファンキーなナンバーやメロハー寄りのキャッチーなナンバーなど、
わりとバラエティに富んでいるが、総じて優雅でメロディックな耳心地の良さで、ラストの12分の大曲までじっくりと楽しめる。
メロディック度・・8 テクニカル度・・8 女性Vo度・・8 総合・・8 
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ALL IMAGES BLAZING「CRIMSON RED」
日本のプログレハードロック、オール・イメージズ・ブレイジングの2021年作
2015年にデビュー、3作目となる本作は前作と同じメンバーで制作、美しいシンセに叙情的なギター、
英語歌詞による女性ヴォーカルを乗せた、エルトン・ジョンのような洋楽ポップ的なナンバーで始まる。
その後も、オルガンを含むシンセにメロディックなギター、キュートな女性ヴォーカルとともに、
優雅でキャッチーなサウンドを聴かせる。中盤にはファンキーなポップナンバーもあったりと、
今作はよりポップロック的な作風ながら、プログレ寄りのシンセワークが随所に光っていて、
ラストの10分を超える大曲などは、緩急あるドラマティックな構築力で楽しめる。
メロディック度・8 プログレ度・7 女性Vo度・7 総合・7.5 
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ALL IMAGES BLAZING 「CHANGE!」
日本のプログレ・ハードロック、オール・イメージズ・ブレイジングの2022年作
2015年にデビュー、4作目となる本作は、ゴダイゴのスティーブ・フォックスがマスタリングを担当。
軽やかなリズムにオルガンを含む優美なシンセと叙情的なギターを重ね、伸びやかな女性ヴォーカルとともに優雅でキャッチーなハードプログレを展開する。
英語歌詞をメインにしたヴォーカルや、ポップなメロディアス性と、適度にテクニカルなアンサンブル、さらにはサックスなどを加えたアダルトなジャズ感触など、楽曲ごとに彩りの異なるサウンドで、これまで以上にアレンジの幅が広がっている。
ProgMetal寄りのナンバーも、日本らしいやわらかなメロディアス性に包まれていて、ラストの8分のナンバーなども優雅で軽妙な真骨頂。
全体的にも聴きやすく、それでいて玄人好みのセンスが味わえるという見事な好作品である。
メロディック度・8 プログレ度・7 優雅度・8 総合・8
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ALSDEAD「MODALITY」
日本のV系メタルバンド、オルスデッドの2012年作
キャッチーなヴォーカルメロディとヘヴィなギターリフで、モダンなメタルコア要素も感じさせる楽曲は、
パンキッシュな勢いの良さと、繊細に聴かせるメロウなパートのコントラストも光っている。
一方では、ポップな曲におけるいかにもV系的な爽やかな歌詞は気恥ずかしくもあるのだが、
若さ溢れるパワフルさは爽快でもある。V系でもOKなメタルリスナーならそこそこ楽しめるだろう。
メロディック度・・8 メタル度・・7 ヘヴィでパンク度・・8 総合・・7.5
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ALSTRO MERRY
日本のガールズロック、アルストロ・メリーの6曲入りミニ。2013年作
女性4人によるバンドで、ポップなキャッチーさと、可憐なヴォーカルで聴かせるサウンド。
けっこう素人臭い歌声や、つたないドラムも含めて、アマチュアレベルの演奏であるが、
シンセによる味付けが曲をそれなりに綺麗に彩っているので、まあかろうじて聴ける。
しかし、ガールズバンドにすれば売れるというものではないのである。
楽曲の魅力もまだまだ足りない。フルアルバム出すまでに消えないでね。
メロディアス度・・7 楽曲・・7 女性Vo度・・7 総合・・7



AMAHIRU
多国籍のメタルユニット、アマヒルの2020年作
日本の女性ギタリスト、SAKI(Mary's Blood)と、KREATORのフレデリク・ルクレールによるユニットで、
EPICAのクーン・ヤンセンがシンセで、ドラムにはFEAR FACTORYのマイク・ヘラーが参加。
和風の旋律を織り込んだイントロから、メタリックなギターにきらびやかなシンセ、
バワフルなヴォーカルを乗せたメロディックメタルを聴かせる。モダンなヘヴィネスと
キャッチーなノリが同居した楽曲は、わりとストレートな洋楽メタルといった感じなので、
新鮮なインパクトはないが、重厚なミドルテンポから激しくスラッシーなナンバーもあり、
ときに尺八の音色を用いたりと、和洋の融合というハイブリッドなメタルが味わえる。
ドラマティック度・7 疾走度・7 ほぼ洋楽メタル度・8 総合・8
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AMYGDALA
日本のプログレユニット、アミグダラの2004年作
シンセ奏者の中島芳雪とTYRANTの山路善広によるユニットで、
打ち込みのドラムの上をノイジーなギターが鳴り、ときに金管楽器的なシンセとともに
不穏な気配を漂わせた暗黒系チェンバーロックの雰囲気を持つサウンド。
先の読めない緊張感、アヴァンギャルドでアートなセンスは、Sighなどにも通じるだろうか。
10分以上の曲もあり、クラシック的な構築性とUnivers Zeroのような空間的なシリアスさが絡み合う。
惜しむらくは、ドラムを含めて、バンド編成でこの世界観の完成形を聴いてみたいと思わせる。
ドラマティック度・・7 プログレ度・・8 アヴァンギャル度・・8 総合・・8
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AMYGDALA「complex combat」
日本のチェンバープログレユニット、アミグダラの2008年作
シンセ奏者の中島芳雪とTYRANTの山路善広を中心としたよるユニットで、前作もチェンバーロック的な力作だったが、
本作もギター、ドラム、シンセというトリオ編成を基本に、アヴァンギャルドかつスリリングなサウンドを聴かせる。
7分〜12分という大曲揃いで、ピアノやオルガンが鳴り響き、手数の多いドラムとともに変則リズムやキメの応酬に、
フリーキーなギターがかき鳴らされる。メタル色の強まったMats/Morganという感触もあって、不穏な緊張感の中にも
いくぶんコミカルな匂いを感じさせる。たたみかけるインストサウンドが楽しめる、ジャパニーズ・チェンバー・プログレの強力作。
ドラマティック度・・7 プログレ度・・8 スリリング度・・8 総合・・8
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ANCIENT MYTH「Antibes」
日本のシンフォニックメタルバンド、エンシェント・ミスのミニアルバム。2005作
ツインギター、女性Voに、シンフォニックなキーボード(これも女性奏者)で、
メロディアスに疾走しつつ、ヨーロピアンな雰囲気をかもし出している。
優美な方向性を志向しているのは分かるし、演奏もそこそこ頑張ってはいるのだが、
女性ヴォーカルの力量はまだまだだし、楽曲の出来にも物足りない部分が多い。
全体的にアマチュア臭さは否めないのであるが、なんにしてもこの手のシンフォニックメタルバンドが
日本から出てくるようになったのは嬉しいことだ。今後のクオリティ向上に期待したい。
シンフォニック度・・7 疾走度・・7 女性Vo度・・7 総合・・7
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Ancient MythAstrolabe In Your Heart」
日本のシンフォニックメタルバンド、エンシェント・ミスの2010年作
聴くのは2005年のミニアルバム以来となるのだが、ドラムとシンセ以外はメンバーが変わり、
おそらく苦心の末にようやく初のフルアルバムにこぎつけた、という感じだろうか。
女性Vo、Michal嬢の歌声を中心に、シンフォニックかつきらびやかに聴かせる、ロマン溢れるサウンド。
録音の弱さもあってか、ドラムやギターにヘヴィさがないのが惜しいが、クサメロで疾走するスタイルは
その手のファンに受けるだろうし、ギターをはじめ演奏力は比較的しっかりしているので、
あとは楽曲アレンジの質を高めてゆけば、さらなる成長も期待できるかと思う。
シンフォニック度・・7 疾走度・・8 女性Vo度・・7 総合・・7.5
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ANCIENT MYTH「Akashic」
日本のシンフォニックメタル、エンシェント・ミスの2012年作
新たに女性シンセ奏者のPuzzyを迎えて作られた、フルアルバム2作目である。
美麗なイントロに続き、女性ヴォーカルMichalの歌声を乗せてメロディックに疾走、
随所にテクニカルな展開美を効かせたドラマティックな世界観で構築されるサウンドは、
クラシカルなテイストを奏でるシンセとともに、これまで以上に美意識が高まっている。
曲によってはゴシック的な幻想性もあって、メロスピ的なキャッチーな軽快さとのコントラストを描いていて、
全体としての音の強度と格調の高い聴き心地が増した。クラシカルなフレーズが印象的な“Shade in Dusk”の
メロディアスな優雅さや“Brynhidr”のエピックなドラマ性、シンフォニックメロスピの王道“Against th Fate”、
ロマンティックなバラード曲“静寂の月、不可思議の雪”、そして美麗なシンフォニックメタルが炸裂する
ラストの“Soul Salvation”まで、濃密で好曲も多数。バンドとしての最高傑作というべき出来だろう。
シンフォニック度・・8 クラシカル度・・8 美意識度・・8 総合・・8
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ANCIENT MYTH「ABERRATION:PT」
日本のシンフォニックメタル、エンシェント・ミスの2016年作
日本のフィメール系シンフォメタルの中ではすでに中堅というべき存在で、本作は欧州でのデビュー盤であり、
過去曲のリアレンジを含むベスト盤的な作品。美麗なシンセアレンジとテクニカルなギターを乗せて疾走する、
メロスピ的なシンフォニックメタルで、凛とした女性ヴォーカルの歌声とともに、優雅な美意識に包まれたサウンドは、
デビューから一貫している。初期に比べて演奏力、楽曲アレンジの質が向上し、本作では録音の良さも含めて
ダイナミックな聴き心地が増したことで、世界レベルのシンフォニックメタルとも遜色ないところにまで来つつある。
楽曲も粒ぞろいで疾走曲もたくさん。エンシェント初体験の日本のリスナーも、本作から入るのがよいでしょう。
シンフォニック度・・8 疾走度・・8 優雅度・・9 総合・・8
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ANCIENT MYTH「ArcheoNyx 」
日本のシンフォニックメタル、エンシェント・ミスの2021年作
2016年の欧州デビュー盤というべき「Aberration:Pt」はさみ、アルバムとしては、2012年以来、9年ぶりとなる3作目。
VoのMichal以外はメンバーが交替しているが、オーケストラルで壮麗なアレンジに叙情的なギターワーク、
コケティッシュな女性ヴォーカルを乗せて疾走する、クラシカルなシンフォニックメタルはさらにスケールアップ。
THE GENIUS ORCHESTRATIONでも活躍する、Koheiの巧みなギタープレイもサウンドを流麗に彩っていて、
Versaillesのオーケストラアレンジも手掛けた、Halによるシンフォニックなオーケストレーションともよくマッチしている。
激しい疾走感と優雅なメロディアス性の緩急ある展開に、生のストリングスも含めて、これまで以上にクラシカルな雰囲気を漂わせ、
今作では随所にソプラノを使い分けるMichal嬢の歌唱の表現力も増したことで、モーツァルトのオペラのカヴァーなども優美に楽しめ、
本格的なクラシック要素の説得力も備わった。アルバム後半もテンションは落ちず、「和」を感じさせるクサメロ疾走曲の「天狼大神」や、
スペシャルゲストにHIZAKI (Versailles/Jupiter)が参加したラストナンバーまで、まさに日本産シンフォニックメタルの底力を見せる傑作だ。
元メンバーで現Early Crossの女性シンセ奏者、Puzzyもゲスト参加している。オーケストラバージョンを収録したデラックスエディションもあり。
シンフォニック度・・9 壮麗度・・9 女性Vo度・・8 総合・・8.5 
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ANGEL'S LADDER「T〜THE ONE〜」
日本のプログレハードバンド、エンジェルズ・ラダーの1st。2010作
MOON STONE、護摩、SERAPHITAらのメンバーにより結成されたバンドで、
キャッチーなメロディと適度にハードな、聴き心地のよいサウンドが持ち味。
メロディアスなギターに美しいシンセワークがかぶさり、そこに日本語歌詞による
ヴォーカルを乗せたスタイルは、かつてのNOVELAを思わせるようなロマンに溢れている。
ドラムを含めた録音面での音の軽さが惜しいが、古き良きJAP'Sプログレッシブハードの精神を
確かに受け継いだバンドとして今後の活動に注目である。オフィシャルサイトはこちら
メロディアス度・・8 プログレハー度・・8 ロマン度・・9 総合・・7.5
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Anna Hardy 「Lunatic Spells 月の呪文、あるいは狂人の呟き」
日本の女性鍵盤奏者、アンナ・アルディの2020年作
MIZUKI da Fantasiaのピアニストで、本作にはMIZUKI da Fantasiaのドラム、ギター、ベース、シンセも参加。
クラシカルなピアノの旋律に優美なシンセが重なり、ギターやドラムも加わった、典雅なシンフォニックロックを展開。
インストパートをメインにしつつ、随所に彼女自身の歌声やゲストによる声楽的なソプラノヴォーカルも美しい。
メロトロンやオルガンなどのシンセワークもしっかりとプログレ的な感触となっており、艶やかなヴァイオリンに
ピアノが絡むクラシカルなナンバーなども、じつに優雅な聴き心地である。全体的にロック要素はさほど高くないが、
ハープシコードやチャーチオルガンなど、鍵盤にこだわったサウンドは、キーボード好きには嬉しいだろう。
クラシカル度・8 プログレ度・7 優雅度・8 総合・8
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APHASIA「MIRAGE ON THE ICE」
日本のレディースハードロックバンド、アフェイジアの1st。
かつての浜田麻理を思わせる歌謡ハードロックに日本的なポップさを織り交ぜたもので、
ヴォーカル嬢のハスキーな歌唱もバックの女性陣の演奏とともに、それなりに頑張っている。
安定感はあるのだが、それ以上に伝わってくる何かが歌や演奏からもうひとつ感じられないのがどうにも惜しい。
曲の練り込みが足りないのか、どれも情感不足でさらりと終わってしまうのだ。
今後は楽曲面での向上ししもに彼女たちの求めるビジョンへの強い希求が課題となるだろう。
メロディアス度・・7 女性Vo度・・8 楽曲・・7 総合・・7


APHASIAWings of fire
日本のレディースハードロックバンド、アフェイジアの2nd。2001年作
3rd「LABYRINTH IN MY HEART」でメジャーデビューを果たすこのバンドであるが、
本作はインディーズレーベルからの配給という点で、まだサウンド面での弱さがある。
だが、シンセを含めてシンフォニックなアレンジの楽曲に、流風(Luka)のまっすぐな歌声を乗せた
メロディアスハードロックの形はすでに完成されてきている。傑作となる次作へつながるアルバムだ。
メロディアス度・・8 爽快度・・8 女性Vo度・・8 総合・・7.5
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APHASIA「LABYRINTH IN MY HEART」
日本のレディースロックバンド、アフェイジアの3rd。2003作
1stを聴いた時にはよくも悪くも「平均点」という印象で、心に残るものはさほどなかったのだが、
さすがにメジャーデビュー作、心機一転という感じで素晴らしくクオリティUPしている。
日本の女性バンドというとメジャーどころではSHOW-YAくらいだろうが、、
このバンドも、ほどよいポップ性を有したさわやかなハードロックを目指している。
偉いのは大半の曲をメンバー自身が作曲していることでそれがバンドの存在価値を高めている。
中村達也氏のきらきらとしたキーボードアレンジが秀逸で、曲の爽快さをうまく増幅している。
伸びやかなLUKAの歌唱は以前よりもよほど堂々としており、ぐぐっと琴線を刺激してくるし、
ラスト曲の爽快な疾走感などはメタル系リスナーも惹きつけるものをもっている。
メロディアス度・・8 爽快度・・9 女性Vo度・・8 総合・・8
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APHASIA「WILD AND INNOCENT」
アフェイジアの4th。2004作
前作はそれまでの作品より吹っ切れたようなキャッチーなメロディ連発の好盤だったが、
メジャーデビュー2作目となる今作もノリのよい、女性声のメロディアスハードロックが楽しめる。
曲によってはメタリックなテイストを増していて、日本語歌詞の響きも手伝ってか
陰陽座的な雰囲気もあり、その筋のファンにもアピールするだろう。
また、女性らしさを活かした歌詞のハードポップ調の曲も、流風(luka)の爽やかな声質にマッチしていてよろしい。
ここ最近では珍しいレディースによる正統派のHRなので、このままの音を続けて頑張っていって欲しいと心から思う。
メロディアス度・・8 爽やか度・・9 女性Vo度・・8 総合・・8
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APHASIA「Gambler」
日本のレディースハードロックバンド、アフェイジアの2006作
キングレコードから再びインディーズレーベルへ移ってのアルバム。
前2作で聴かせた、吹っ切れのよいキャッチーなメロハー路線から、
今作ではやや逆行したような古めかしい歌謡ロック的な部分が増している。
かつてのSHOW-YA浜田麻里などを思わせる、時代的なメロディは嫌いではないが、
曲における細かなアレンジ面でのクオリティはやはりやや落ちているかもしれない。
ただ、伸びやかなlukaの歌声は女性らしい素直な感情に満ちていて、
商業的成功よりも自分達のやりたい音楽を選んだ彼女らに拍手を贈りたい。
メロディアス度・・8 キャッチー度・・8 歌謡ロック度・・8 総合・・7.5
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APHASIA「Sweet Illusion」
日本のレディースハードロックバンド、アフェイジアのミニアルバム。2009作
インディーズレーベルへ戻った前作から3年ぶりとなる音源は“Z・刻をこえて”(機動戦士Zガンダム)、
“Get It!”(映画版「戦闘メカザブングル」)といったアニメソングのカヴァーを含む、6曲+カラオケ1曲というミニアルバム。
キングから出ていた2作の素晴らしさを想像すると、よくも悪くもポップになった1曲目には違和感を覚えるだろうが、
2曲目以降はキャッチーなメロディで聴かせる古き良きガールズHRの王道的曲調でひと安心。
アニソンの方はあくまでオマケなのだろうが、流風の歌唱力もあってそう違和感はない。
個人的には正統派のガールズハードロックをこれからも迷うことなく続けていってもらいたい。
メロディアス度・・8 ハードロック度・・7 楽曲・・7 総合・・7.5
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AQUANESUSS
日本のプログレバンド、あかねさすの2022年作
高円寺百景などで活躍するドラマー吉田達也に、プロヴィデンスの塚田円、女性ベース、女性Voらで結成。
巧みなドラムとベースによる軽快なアンサンブルに、オルガンやムーグを含むシンセ、流麗なギターと
透明感のある女性ヴォーカルを乗せて、YESを思わせる優雅でキャッチーなプログレを聴かせる。
2曲目は、EL&Pばりに鳴り響くオルガンに吉田の怪しい歌声も加え、いくぶんアヴァンギャルドな展開とともに
スリリングにたたみかける。KBBの壷井氏が参加した、艶やかなヴァイオリン鳴り響くテクニカルなナンバーや、
メロトロンの美しいシンフォ大曲など、楽曲ごとにオールドプログレ好きはニヤリとするアレンジが楽しめる。
ドラマティック度・8 プログレ度・8 優雅度・8 総合・8
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AREA51Daemonicus
日本のシンフォニックメタルユニット、エリア51の2nd。2008作
シンフォニックなイントロから、曲が始まるとネオクラシカルなギターを乗せて疾走、
日本語の女性ヴォーカルの歌声は、メタルというにはいくぶん弱い感じで、
かつてのJap'sプログレ風味のロマンを感じさせる世界観をかもしだしている。
全体的に音が軽く、ギターのネオクラフレーズもちょっと浮きぎみなのだが、
クラシカルなシンセワークは悪くはない。生粋のメタラーよりもアキバ系メロスピファンに。
シンフォニック度・・7 メタル度・・7 女性Vo度・・7 総合・・7
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AREA51「Goddess」
日本のシンフォニックメタルユニット、エリア51の3rd。2010作
壮麗なイントロに続き、お約束のネオクラシカル風メロディで疾走開始、
日本語歌詞によるやや線の細い女性ヴォーカルの歌唱を中心に聴かせる、
ALHAMBRAなどからの影響も思わせるキャッチーかつきらびやかなサウンド。
綺麗にまとまった楽曲は非常に聴きやすいものの、個性という点ではまだまだか。
ギターによるネオクラ色よりもむしろ、ポップな味わいにこそ魅力があるような気がする。
メロディアス度・・8 ネオクラ度・・7 女性Vo・・7 総合・・7.5
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Argument Soul「REVIVING THE TRUTH」
日本のメロパワバンド、アーギュメント・ソウルの2004年作
ツインギターとパワフルなヴォーカルで聴かせる本格派のパワーメタル。
昨今のバンドのようなクサメロやシンフォニックではなく、あくまでギターリフを中心にした正統的なヘヴィメタルを軸に
ジャーマンメタルなどの90年代的な疾走感を合わせた作風は、オールドメタラーには嬉しいかぎり。
メロディックなギターフレーズを随所に聴かせつつ、メタルバンドとしての誇りを感じさせる作品だ。
メロディアス度・・8 パワフル度・・8 正統派度・・8 総合・・8

ARGUMENT SOULConflict Of Crisis」
日本のメロパワバンド、アーギュメント・ソウルの2008作
ツーバスドコドコの手数の多いドラムと、正統派メタルのギターリフ、
そこに乗る日本人離れしたハイトーンヴォーカルでパワフルに聴かせる。
古き良きパワーメタルの質感でありつつも、単なるジャーマンメタルの模倣ではない
さまざまな要素が混じったつかみ所のなさもあって、その無国籍感が特徴的ともいえる。
昨今のメロスピバンドのようなクサメロ疾走を期待すると肩すかしをくうが、安易な盛り上げ方を拒むような楽曲は、
じっくり聴けばむしろ新鮮である。ただ、これだという魅力が見つけづらいこともまた否めないのだが…
最近珍しい本格派のメタルバンドなので、今後も注目はしてゆきたい。
メロディアス度・・7 パワフル度・・8 本格派度・・8 総合・・7.5
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ARK STORM「No Boundaries」
日本のネオクラシカルメタルバンド、アーク・ストームの1st。2002作
日本版イングヴェイともいうべき、超絶ギタリスト、太田カツのプレイを中心に、
ネオクラシカルな様式美メタルの王道というサウンド。テクニックは見事ながら、
楽曲、メロディともにまだ個性は薄く、線の細いハイトーンヴォーカルも残念。
メロディアス度・・7 ネオクラ度・・8 新鮮度・・7 総合・・7.5
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ARK STORM「Beginning of the New Legend」
日本のネオクラシカルメタルバンド、アーク・ストームの2nd。2003作
日本版イングヴェイというべきギタリスト、太田カツのネオクラシカルプレイを
これでもかというように詰め込んだコテコテの様式美メタルサウンド。
楽曲的にも、ヴォーカルの力量の点でも次作「The Everlasting Wheel」 には及ばず、
類型的なネオクラメタルをまだ脱していない感がある。演奏の質はさすがだが。
メロディアス度・・7 ネオクラ度・・8 新鮮度・・7 総合・・7.5
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ARK STORM「The Everlasting Wheel」
日本のネオクラシカルメタルバンド、アーク・ストームの3rd。2004作
日本のイングヴェイ…といっていいものかどうかは知らないが、太田カツのギタリストとしての存在感は
ライブなどで見たときも凄かった。個人的にはネオクラは苦手なこともあり敬遠していたバンドなのだが、
この手の日本のバンドの中でもトップクラスに位置するのは間違いないだろう。
太田カツ氏のギターは、クラシカルな高速フレージングを含めて、その音の力強さは日本人離れした
じつに堂々たるものだし、佐々井氏康雄氏のヴォーカルも、英語歌唱による確かな力量が光っており、
楽曲を彩るYuhki氏の華麗なシンセワークとともに、まさに鉄壁のサウンドを形成している。
ネオクラシカル・メタルが好きでない自分ですらも認めざるをえないほどのクオリティだ。
メロディアス度・・8 ネオクラ度・・8 日本人離れ度・・9 総合・・8.5
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ArsNova「Fear & Anxiety」
日本のプログレバンド、アルスノヴァの1992年作
シンセ奏者の熊谷桂子を中心にした、女性によるトリオバンドのデビュー作。
オルガンやムーグを含むきらびやかなシンセワークをメインにした、EL&Pルーツのサウンドに、
日本らしい幻想美とロマネスクを含んだ耽美な世界観は、本作の時点ですでに確立されている。
GERARDともまた違う、女性らしい優雅さも漂わせつつ、のちの作品に比べると、リズム面も含めての完成度は
さほどでもないが、熊谷嬢の巧みな鍵盤さばきとともに、インストによる華麗なキーボードプログレが楽しめる。
紙ジャケ再発にあたって、1997年のアメリカでのライブ音源2曲がボーナス収録されている。
ドラマティック度・・7 プログレ度・・8 キーボー度・・9 総合・・7.5
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ARS NOVATRANSI
日本のプログレバンド、アルス・ノヴァの2nd。1994年作
女性によるキーボードトリオとしてデビューした彼女たちの2作目で、ドラムに高橋明子が加入。
いくぶん未完成な印象だった前作に比べて、より勢いのあるキーボードプログレが聴ける。
熊谷桂子の巧みな鍵盤さばきを中心に、クラシカルな優雅さと耽美な妖しさを漂わせながら、
幻想的な美意識に彩られた世界観で、濃密に構築されるサウンドはこの時点で完成している。
いかにもプログレ的なリズムチェンジなども含めて、その演奏力も女性といってあなどれない。
イタリアのIL BALLETO DI BRONZOにも通じる高品質なキーボードプログレが楽しめる力作。
ドラマティック度・・8 プログレ度・・8 キーボー度・・9 総合・・8
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ARS NOVA黄泉の女神達 /The Goddess of Darkness
日本のプログレバンド、アルス・ノヴァの3rd。1996年作
女性によるキーボードトリオとして活動を続けていた彼女らの、代表作の1つと言われるアルバム。
オールインストながらメロディアスな聴きやすさとともに、その世界観には女性特有の耽美な色気を感じさせる。
9分、10分、11分という大曲が多いことからも、バンドとしての脂が乗った時期の作品だろうし、
1stの頃よりもメロディにはゴージャスな質感が加わっていて音の説得力も増している。
たたみかける変拍子リズムのいかにもプログレ然とした作風がメインだが、優雅なクラシカル性に
ゴシックな耽美性、そしてややダークに聴かせる場面にもこのバンドの魅力がある。
右はフランス盤のジャケだが、SMチックな日本盤ジャケも捨てがたい(笑)
ドラマティック度・・8 プログレ度・・8 キーボー度・・9 総合・・8
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ARS NOVA 「SIX SINGULAR IMPRESSIONS」
日本のプログレバンド、アルス・ノヴァのベスト。1997年作
初期3作から5曲+ライブ音源1曲を収録したベストアルバム。3rd「黄泉の女神達」収録の11分の大曲から始まり、
オルガンを含む美麗なシンセをメインにした鍵盤プログレが繰り広げられる。2nd、3rdからは2曲ずつ収録ながら、
1stは1曲のみということで、やはり楽曲の完成度では2nd以降だろう。ライブ音源は1996年のアメリカでのステージから。
ドラマティック度・・8 プログレ度・・8 キーボー度・・9 総合・・7.5
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ARS NOVA「死者の書/The Book of The Dead」
日本のプログレバンド、アルス・ノヴァの1998年作
ベースの金沢京子が脱退し、本作ではゲストベースに元DEJA-VUの井下憲を迎えている。
古代エジプトをテーマにしたコンセプト作品で、オルガンを含む熊谷桂子の多彩なキーボードを中心に、
EL&Pばりのスリリングなインストサウンドを展開。優雅な小曲を挟みながら、流れのある構成で、
シンフォニックなプログレ感触にアラビックな旋律も取り込みつつ、ミステリアスな世界観に包まれた
壮麗なサウンドを描いてゆく。キーボードロックとしてのメロディのセンスとともに、緩急のある構築力も見事で、
こけおどしにならない説得力が感じられる。前作「黄泉の女神達」にも引けを取らない傑作である。
ドラマティック度・・8 プログレ度・・8 キーボー度・・9 総合・・8
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ARS NOVA「ANDROID DOMINA」
日本のレディース・キーボードプログレバンド、アルスノヴァの5th。2001年作
いきなり喘ぎ声から始まります。音量にご注意(笑)今回のテーマはSM…もとい近未来のアンドロイドとのことで、
リーダーの熊谷桂子、TRITONにも在籍する中島ミカのダブルキーボードによる美麗なサウンドは、
従来の耽美な路線を受けつつも、いくぶんSF的でロマンティックかつクラシカル寄りのイメージ。
ときに女性声のヴォーカルも入って来て、オルガンにムーグシンセが重なるきらびやかさとともに、
シンフォニックかつ壮麗な世界観で楽しめる。キーボードプログレとしては好盤ながら、
GERARDほどにはリズム隊が強力ではないので、スリリングなアンサンブルという点では少し物足りなさもある。
スデージでもこの衣装でライブをいたしたとか。やはりジャケを載せずにいられませんでした…左が日本盤。
シンフォニック度・・8 プログレ度・・8 キーボー度・・8 総合・・8
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ARS NOVA 「Lacrimaria」
日本のプログレバンド、アルスノヴァの2001年作
6曲入りの未発曲集であるが、ピアノやオルガン、ムーグを含むクラシカルで優雅なシンセを中心に、
正規アルバムとそん色のない、テクニカルかつロマンに満ちたキーボードプログレを楽しめる。
10分以上の大曲も2曲あり、ファン向けの未発曲集ながら聴きごたえ十分だ。
クラシカル度・・8 プログレ度・・8 キーボー度・・8 総合・・7.5
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ARS NOVA「BIOGENESIS PROJECT」
日本のプログレバンド、アルス・ノヴァの6th。2003年作
アルイエン・ルカッセン(AYREON)、ジャンニ・レオーネ(IL BALLETTO DI BRONZO)
クラウディオ・シモネッティ(DAEMONIA)、ルシオ・ファビッリ(PFM)他、豪華なゲストが参加し、
まさにAYREONばりの壮大なSFストーリーが展開される。華麗に鳴り響くキーボードに、
ギター、ヴァイオリン、そして配役ごとのヴォーカルが「これでもか!」、大仰かつシンフォニックにサウンドを盛り上げる。
ジャケからも分かる通り、なにやらコスプレチックな女性陣の衣装やいかにもエセSF的なナレーションなどは
やや失笑ものだが、それを上回る音の迫力には、痛快なスペースオペラを見るような濃密さがあり、
シンフォニックプログレとしてもバンドのディスコグラフィー中で最高の一作だ。DVD付きのスペシャル盤もあり。
シンフォニック度・・9 プログレ度・・8 豪華メンツ度・・9 総合・・8.5
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ARSNOVAForce For The Fourth“Chrysalis”」
日本のプログレバンド、アルスノヴァのライブアルバム。2008年作
女性によるキーボードトリオとしてデビューしたこのバンドだが、
本作の時点では男性ギタリストを含む4人編成となっていて、ドラムを叩くのは
元Gerardの後藤マスヒロ。収録されているのは2006年のスタジオライブ音源で、
熊谷桂子の壮麗なシンセを中心に、手数の多いドラムとともにテクニカルに聴かせる
キーボードプログレサウンド。やはり雰囲気的にはジェラルドとの類似点が多いが、
こちらはよりロマネスク思考で、イタリアのバレット・ディ・ブロンゾなどに通じる濃密さがある。
シンフォニック度・・8 プログレ度・・8 キーボー度・・8 総合・・8
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ARS NOVA「SEVENTH HELL」
日本のプログレバンド、アルス・ノヴァの2009年作
1992年に女性3人のキーボードトリオとしてデビューしたこのバンド、シンセ奏者の熊谷桂子を中心に、
これまで7枚のアルバムを発表し、ELPIL BALLETTO DI BRONZOを思わせる濃密で
テクニカルな作風と、そのSMチックな衣装なども一部のコアなリスナーの間で話題を呼んでいる。
現在では男性のギターとドラムを含む4人編成となり、本作は正式にギターが加わってからの2作目となる。
今作のサウンドはボッシュやダリなどの絵画からインスパイアされたイメージを曲にしたようで、
ミステリアスかつ幻想的な雰囲気が際立っている。今やGerardと双璧をなすだろう熊谷嬢のシンセワークを中心に、
ギターによるヘヴィな質感も取り入れて、ときにテクニカルにたたみかけつつ、楽曲はドラマティックに展開してゆく。
クラシカルできらびやかな音とヨーロピアンな翳りが融合され、そこに妄想系のファンタジー色が加わった世界観は
誤解を恐れずに書くと、ALI PROJECT的ともいえるだろうか。ロマンと幻想の香りに彩られた濃密な力作である。
シンフォニック度・・8 ドラマティック度・・8 幻想度・・9 総合・・8.5
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Art Of Gradation「Concentration」
日本のハードロックバンド、アート・オブ・グラデーションの2013年作
LIGHT BRINGERのメンバーを中心としたバンドで、シンフォニックな美麗さと
女性ヴォーカルの歌声を乗せて軽快に疾走するサウンド。キャッチーなメロディは
ラブリー以上にポップな感触で、きらびやかでモダンなシンセアレンジもポイント。
歌をメインにしたシンプルな聴き安さは、一般のリスナーにも普通に楽しめるだろう。
いかにもローカルな感じのジャケが惜しいが、今後に期待したいバンドです。
メロディック度・・8 メタル度・・7 女性Vo度・・7 総合・・7.5
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ASHADA「circulation」
(ヴォーカル)、(ピアノ、アコーディオン)の二人によるユニット、アシャダの2006作
ザバダックに影響を受けたという、女性二人のアコースティックユニットであるが、
メンバーにはKBBのDani氏、ゲストには壺井氏を迎えるなど、プログレ方面にもアピールする。
@は壺井氏のヴァイオリンがフューチャーされた7拍子のインスト曲で、
作曲者である緑嬢の素養がうかがえるそのプログレッシブな感性が心憎い。
一方の妙嬢の歌声は、静かな曲においては新居昭乃を思わせる繊細さをかもしだし、
深遠な歌詞とともに、聴き手を薄暗い幽玄の世界へといざなうようだ。
中でもEの“螺子”は、ドラマティックな重みを持った雰囲気で、彼女たちの描く非日常的な音世界を表現している。
女性らしいやわらかみを有しつつも、単なる静かなだけの音楽ではない、ほの暗い幻想美を持った作品だ。
メロディアス度・・8プログレ度・・7 幽玄度・・9 総合・・7.5
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ASRAAHURA MASTER -Marga-
仙台出身のヘヴィロックバンド、アスラのデビューアルバム。2011年作
女性ヴォーカルを含む3人組で、ヘヴィでありながら独特の浮遊感と
女性Vo、夢華嬢の情感ある歌声で、キャッチーな聴き安さもあるサウンド。
バンド名やジャケのようなインド神話的な雰囲気はさほどでもなく、
むしろ古き良き日本的な情緒と、普遍的なポップ、ロックのセンスが強く感じられる。
多彩なリフと随所にメロディアスなフレーズを折り込むギターのセンスもなかなかで、
魅力的な女性ヴォーカルも含めて、今後にさらに期待したいバンドだ。
メロディアス度・・8 日本度・・8 女性Vo度・・8 総合・・7.5
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ASRASAMSARA
仙台出身のハードロックバンド、アスラのミニアルバム。2011年作
女性Vo、夢華の情感ある歌声と日本的な叙情を含んだサウンドで、1stアルバムもなかなかの好作だったが、
今作は「輪廻転生」をコンセプトにしたということで、よりイメージ的な膨らみが増した音になった。
ヒンドゥー、アジアン的な旋律を、日本語歌詞のハードロックと融合させた独特のサウンドは、
演奏面での向上とともに説得力と深みを強めつつある。次のフルアルバムが大いに楽しみです。
メロディアス度・・8 情感度・・8 女性Vo度・・8 総合・・8
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ASRA 「Maha Pari NIRVANA」
日本のハードロックバンド、アスラの2013年作
2011年にデビュー、仙台出身で、女性Vo、夢華の情感ある歌声と東洋的な旋律で個性的なサウンドを描くバンド。
ツインギター編成となったこの2作目は、よりエッジの効いたメタリックな感触に、激しい疾走感も覗かせつつ、
日本語歌詞の伸びやかな女性ヴォーカルとともに、独特の浮遊感とオリエンタルな空気を漂わせる。
一方では、日本的なキャッチーな叙情性も残していて、メロディックで爽快なフックにほどよいポップ感があるのも、
これはこれで良いのかと思う。ゲストによるドラムは軽快で、グルーヴィなベースのプレイも存在感抜群だ。
疾走するナンバーでもわりとライトな味わいで、民族的な要素が薄めため聴きやすいサウンドになっている。
メロディック度・・8 メタル度・・7 女性Vo度・・8 総合・・8 
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ASRA「Sifartin Akashic」
日本のハードロックバンド、アスラの2016年作
3作目となる本作は、イントロに続き硬質感あるギターによるモダンなメタル感触に包まれて、
夢華嬢の伸びやかな歌声が乗ると、陰陽座あたりに通じる和風メタルといったサウンドになる。
キャッチーなメロディのフックはいかにも日本のバンドらしく、ほどよい疾走感とともに爽快に楽しめる反面、
初期の頃のオリエンタルな雰囲気はほぼ無くなったので、個性という点では薄まってしまった印象も。
ポップで軽快なナンバーも、前作で聴いたような感じで、楽曲自体にインパクトが弱いのも惜しい。
演奏、歌唱ともにクオリティは高いのだが、今後の確かな方向性が定め切れていない感じもする。
メロディック度・・8 メタル度・・7 女性Vo度・・8 総合・・8
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ASTURIAS「Circle in the Forest」
日本のプログレバンド、アストゥーリアスの1st。1988年作
マルチプレイヤー大山曜を中心とするプロジェクトバンドで、しっとりとしたピアノ、シンセにギターがかぶさり、
繊細なシンフォニックロックを聴かせる。日本のマイク・オールドフィールドと言われたのは、
この叙情的なギターフレーズも含めた、自然との融和を思わせるような作風からだろう。
一方ではインスト作品ということで、多重シンセによるゲームミュージック的な感触もあり、
のちのアコースティックサウンドへの傾倒は、本作では数曲で感じられるくらいにとどまっている。
22分を超えるタイトル曲は、アコースティカルな素朴さにプログレ的なアプローチが合わさった、
まさにMIKE OLDFIELDばりの力作。きらきらとしたシンセのリフレインが森の木漏れ日のように輝いている。
なお本作には新月の津田治彦、花本彰、ZABADAKの上野洋子などが参加している。
メロディック度・・8 プログレ度・・8 繊細度・・8 総合・・8
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ASTURIAS「Brilliant Streams
アストゥーリアスの2nd。1990年作
前作に続いて新月の津田治彦、花本彰、ZABADAKの上野洋子らが参加、
シンセによる多重録音と軽やかな繊細さで聴かせるインストサウンドは1stの延長上であるが、
MIKE OLDFIELD的な雰囲気はいくぶん薄れ、よりしっとりとした内省的な聴き心地が増した。
全体的にはいくぶん地味な印象だが、シンセをバックにした上野洋子のスキャットヴォイスは幻想的で、
前作同様に22分超のタイトル曲では、アコースティカルで涼やかな叙情が広がってゆく。
メロディック度・・8 プログレ度・・7 繊細度・・9 総合・・8
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ASTURIAS「Cryptogam Illusion
アストゥーリアスの3rd。1993年作
シンセに絡む艶やかなヴァイオリンの音色で始まる本作は、過去2作をよりスタイリッシュに
深化させたというべき傑作に仕上がっている。シンセの多重録音によるシンフォニックな側面と
軽やかでアンサンブルが合わさり、トラッド的な土着性と繊細な優雅さの同居をなしている。
チェロとピアノが絡むチェンバーロック風味、一転してモダンなビートを組み入れたフュージョン風の曲などもあるが、
今作には大曲というものはなく、4〜6分という楽曲の中で作り込まれた世界観を描く方法論が
引き締まった聴き心地を生んでいる。大山曜氏の描く音楽のひとつの到達点というべき傑作だろう。
メロディック度・・8 プログレ度・・8 繊細度・・9 総合・・8
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ASTURIAS「In Search of the Soul Trees/樹霊」
純粋にアストゥーリアス名義としてはじつに15年ぶりとなる4作目。2008作
マルチプレイヤー、大山曜氏によるバンド。1988〜93年までに3作のアルバムを発表し
その後はアコースティック編成として活動していたが、本作はプログレバンドとしての
復活を告げるアルバムとなった。2つのパートに分かれた50分の組曲という力作で、
津田治彦、花本彰というおなじみの新月組に、Lu7FLAT122のメンバーもゲスト参加。
大山氏はMIKE OLDFIELDの「チューブラー・ベルズ」からの影響を公言しているが、
アコースティックギターやマンドリン、シンセなど、パートごとに楽器を重ねてゆく手法は
確かにそれに通じるものがある。ピアノに絡むエレキギターやヴァイオリン、メロトロンなどは
いかにもプログレ的であるが、力みのない自然調和が心地よい音の厚みを生み出している。
まさに日本のマイク・オールドフィールド。繊細に作り込まれた傑作だ。
メロディアス度・・8 プログレ度・・8 日本のMIKE OLDFIEL度・・9 総合・・8
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ASTURIAS 「Missing Piece Of My Life/欠落」
日本のプログレバンド、アストゥーリアスの2015年作
2008年作「樹霊」に続く、7年ぶりの作品で、エレクトロ色含むシンセの重ねにアコースティックを含むギター、
やわらかなクラリネットやリコーダーなども加わって、MIKE OLDFIELDにも通じる牧歌的な民族色を融合させた
優雅なプログレサウンドを描く。ヴァイオリンやチェロが艶かに鳴り響き、クラシカルなピアノの旋律とともに、
シンフォニーロック的なしっとりとした味わいに包まれつつ、流れのある楽曲構造でアルバムを構築。
エレアスのようなスリリングな所はないが、全体的にもゆったりと鑑賞できる好作品です。
ドラマティック度・7 プログレ度・7 優雅度・9 総合・8
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ASTURIAS 「Across The Ridge To Heaven/天翔」
日本のプログレバンド、アストゥーリアスの2018年作
「欠落」「極光」に続く3部作の完結編。12弦を含むアコースティックギターのつまびきから、うっすらとしたシンセに
エレキギターとヴァイオリンも重ね、繊細なフルートの音色とともに、典雅なシンフォニックロックを聴かせる。
今作では全体を2パートに分けた構成で、エレアスのメンバーも参加し、プログレらしいリズムチェンジなど
緩急あるドラマティックな展開とともに、優雅な叙情美に包まれたスケール感あるサウンドが描かれる。
牧歌的なマンドリンのつまびきや、リコーダー、クラリネットなどの音色がサウンドに優しい彩りを添えつつ、
後半の組曲では、繊細な美意識からダイナミックなアンサンブルで盛り上げる。この路線の集大成という極上の作品だ。
ドラマティック度・8 プログレ度・8 優雅度・9 総合・8.5
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Acoustic Asturias 「Birds Eyes View」
大山曜によるアストゥーリアスのアコースティックユニット、2004年作
全5曲のミニアルバムで、艶やかなヴァイオリンにクラリネット、ピアノ、ガットギターによる、
繊細にして優雅なアンサンブルを描く、アコースティックサウンド。
クラシカルな美しさと技巧的な演奏は、チェンバーロック的でもあるが、
あくまで優美な聴き心地で、室内楽風のBGMとしてもうっとりと鑑賞できる。
プログレ/ロック色はあまりないものの、高い演奏力で楽しめるアコースティック作品。
アコースティック度・・9 プログレ度・・7 優雅度・・9 総合・・8
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Acoustic Asturias 「Marching Grass On The Hill」
アコースティック・アストゥーリアスの、2006年作
大山曜によるアストゥーリアスのアコースティックユニットのフルアルバム。
ガットギター、ピアノ、ヴァイオリン、クラリネット&リコーダーの4人編成で、
優美なアコースティックサウンドを展開。クラシカルなピアノにヴァイオリンが絡む、
美しくも繊細な作風でしっとりと聴き入れる。前作よりもさらにクラシック寄りの感触ながら、
今回は女性ヴォーカルの加わったナンバーもあり、アルバムの中でアクセントになっている。
優雅さの中にも躍動的なアンサンブルを描く、巧みな演奏陣も素晴らしい。
アコースティック度・・9 プログレ度・・7 優雅度・・9 総合・・8
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Acoustic Asturias 「Legend of Gold Wind」
アコースティック・アストゥーリアスの2011年作
3作目の本作も、ガットギター、ピアノ、ヴァイオリン、クラリネット&リコーダーの4人編成で、
やわらかなピアノが鳴り響き、艶やかにヴァイオリンが重なる、じつに優雅なサウンド。
牧歌的なリコーダーの音色など、中世の古楽やトラッド的な要素も含んだ素朴さを、
スタイリッシュに仕上げるところはさすがのセンス。技巧的なアンサンブルは流麗で、
プログレ的な引っ掛かりがない分、BGMにもなってしまうのだが、格調高く鑑賞できる逸品だ。
アコースティック度・・9 プログレ度・・7 優雅度・・9 総合・・8
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Electric Asturias  「Fractals」
日本のプログレバンド、エレクトリック・アストゥーリアスの2011年作
Acoustic Asturiasと対をなす、いわゆるエレアコ名義の1作目。軽やかなリズムにヴァイオリンが鳴り響く、
優雅でテクニカルなインストサウンド。ピアノやオルガンを含むシンセに、叙情的なギターの旋律も覗かせて、
ぼとよくアナログなロック感のあるアンサンブルで、ときおりヴィンテージなプログレ感触が見え隠れする。
ヴァイオリンが活躍するインストという点で、KBBなどにも通じるスタイルであるが、ジャズロック風のパートから、
シンフォニックに盛り上げるなど、自在のアレンジが見事。後半は3パートに分かれた16分超の組曲になっていて、
ヨーロピアンなクラシカル性から軽妙なプログレフュージョン風味、シンフォプログレと移り変わる展開力が白眉である。
ドラマティック度・7 プログレ度・8 優雅度・9 総合・8 
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Electric Asturias  「Elementals」
日本のプログレバンド、エレクトリック・アストゥーリアスの2014年作
エレアス2作目となる本作も、軽やかなアンサンブルに優美なシンセとヴァイオリンが重なる、優雅なインストを展開。
クラシカルなピアノやメロウなギタープレイも織り込みながら、大山曜の存在感あるベースがサウンドの軸を支え、
前作以上に一体感のある躍動的な演奏が楽しめる。オルガンなどのやわらかなシンセと凛としたヴァイオリンのコントラストで、
気品ある空気感を生み出すところは、実力あるメンバーの素養であろう。後半はタイトルである四大精霊をテーマにした組曲で、
涼やかな味わいの「水」、カラフルなシンフォプログレの「火」、ゆるやかな叙情の「風」、テクニカルかつ優美なアンサンブルの「木」と、
オールインストながらも幻想的なイメージを描き出す、日本のバンドらしい繊細な構築美が冴える力作に仕上がっている。
ドラマティック度・7 プログレ度・8 優雅度・9 総合・8
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Electric Asturias 「Trinity」
日本のプログレバンド、エレクトリック アストゥーリアスの2019年作
エレアス名義としては3作目となる。艶やかなヴァイオリンの音色にシンセを重ね、
わりとハードなギターとともに、優雅でシンフォニックなインストのプログレを展開。
オルガンやエレピを含む美しいシンセワークや、どっしりとしたベースを含むリズム面での
技巧的なアンサンブルもさすがで、KBBあたりに比べるとよりクラシカルな優雅さを感じさせる。
「Brilliant Streams」にも収録された大山氏が作曲したPCゲーム「獣神ローガス」の再アレンジ曲や
美少女ゲーム「神獄塔メアリスケルター」に使用された躍動感あふれるナンバーも魅力的だ。
アルバム後半は3パートに分かれた22分におよぶ組曲で、プログレらしい展開と叙情美で構築される。
ドラマティック度・・7 プログレ度・・8 優雅度・・9 総合・・8 過去作のレビューはこちら
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AureoleImaginary Truth
日本のポストロックバンド、オリオールの2010年作
女性ビブラフォン奏者、女性フルート/ピアノ奏者を含む6人編成で
エフェクトのかかったドラムにやわらかなピアノとヴォーカルが乗る、
しっとりと聴かせるポストロックサウンド。デジタルなビートアレンジのエレクトロ要素と
ぼやけたようなソフトな浮遊感が同居していて、ロックともテクノとも異なる聴き心地となっている。
男性ヴォーカルのミックスボイスが好みを分けるかもしれないが、冒険的なエレクトロ・ポストロック作品だ。
ドラマティック度・・7 ポストロック度・・8 幻想エレクトロ度・・8 総合・・7.5
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Aureole「Reincarnation」
日本のポストロックバンド、オリオールの2012年作
エレクトロニカやシューゲイザー、アンビエントなどの要素を融合させた浮遊感の漂うポストロックは前作同様。
やわらかなヴォーカルはエモ的で、シンセの重ねによるエレクトロ風味にクラシカルなアレンジも覗かせて
広がりのあるランドスケープロック的な世界を描いてゆく。一方ではロックバンドとしての確かなアンサンブルも備わっていて、
バンドとしての確かな強度を感じさせる。後半のいかにもデジタルなピコピコ系アレンジの曲は好きではないが、
ミクスチャーロックとしての器の大きさを感じさせる。ジャケのようにファンタジックで幻想的な部分を伸ばしていって欲しい。。
ドラマティック度・・7 ポストロック度・・8 幻想エレクトロ度・・8 総合・・8
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AUSIA「kasa kasa」
壷井彰久(KBB)、一噌幸弘(一噌流能管)、 足立宗亮(足立兄弟)によるアコースティックユニット、オージアのアルバム。
のっけから、笛とヴァイオリンの複雑な絡み合いに思わず引き込まれる。一流の演奏家三人による演奏は
まったく見事という他ないが、ここで間違いなく主役となっているのは一噌氏の笛で、
アコースティックギターのバッキングの上を篠笛田楽笛を自在に吹き鳴らしている。
壺井氏のヴァイオリンももちろん素晴らしいが、日本的な笛の音と合わさると、ヴァイオリンの音色も
また違って聴こえるというのが面白い。また、足立氏の歌入り曲など、ゆるやかに聴かせる部分もあり、
日本的ながらもどこか欧州の空気も混じった素晴らしきアコースティックサウンドだ。
アコースティカルな美度・・9 ヴァイオリン度・・8 笛度・・9 総合・・7.5
 Music Termにて試聴&通販可能 Amazon.co.jp で詳細を見る


axis「love of life」
日本のメロディックロックバンド、アクシスの2007作
しっとりとした女性ヴォーカルの歌声と、ポップなメロディで聴かせるサウンドは
ハードロックというよりはむしろJポップに通じる雰囲気だ。しかしながら、
ときおりメタル的なギターが入ったり、シンフォニックなシンセを使ったりと、
なかなか素養の広さも感じさせる。またコンパクトな曲ばかりかと思いきや
10分を超える大曲もあったりと、なかなかあなどれない。個人的にはやはり
もう少しはハードにして欲しいとは思うが、これはこれでいいのかもしれない。
メロディアス度・・7 ポップ度・・8 女性Vo・・7 総合・・7


Azoth 「The Awkward Age's End」
日本のプログレバンド、アゾートの2003年作
元シンデレラ・サーチの女性シンセ&ヴァイオリン奏者が参加していて、
美しいシンセにヴァイオリンの音色、メロディックなギターを乗せ、テクニカルな展開力とともに聴かせる、
シンフォニックなハードプログレ・サウンド。インストナンバーでのジャズ/フュージョン的な優雅さと、
日本語のヴォーカルを乗せた古き良きジャパニーズプログレの感触が同居していて、MIDASなどが好きな方にも楽しめる。
ギターやシンセのセンスもなかなかのもので、ときにシンフォニックで、ときにテクニカルという
メリハリある聴き心地で、自主制作としてはクオリティが高い。9分、12分の大曲を含む、全69分という力作です。
メロディック度・・8 プログレ度・・8 ジャパグレ度・・8 総合・・8
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AZRAEL「King of the Steely Nation」
日本のメロディックメタルバンド、アズリエルの1st。2003作
自主制作時代から数えると2作目となる。ツインギターのフレーズとシンセを乗せて
ヴォーカルの歌うクサメロで疾走するスタイルは、後の作品と同様。
ドラムなどリズムの録音が悪いので音の迫力がなくいかにもB級っぽいサウンドだが、
そこも含めてクサメタラーには楽しめるかもしれない。一般の方は次作から聴いてください。
クサメロ度・・8 疾走度・・8 楽曲・・7 総合・・7.5
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AZRAEL「SUNRISE IN THE DREAMLAND」
日本のメロディックメタルバンド、アズリエルの2nd。2003作
GALNERYUSとともに日本の新しいメロディックメタルシーンを引っ張るこのバンド。
キーボード入りでメロディックに疾走、英詞で歌うヴォーカルのハイトーンもなかなかで
クオリティ的には海外のメジャー級バンドにも決してひけをとっていない。
メロディにはマイナー系のキャッチーさがあるところもメロスピ好きにはたまらないだろう。
録音的に高音部の広がりのなさやドラムサウンドがやや貧弱に聴こえるのが惜しい。
メロディアス度・・8 疾走度・・8 楽曲・・7 総合・・8
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AZRAELDream On
日本のメロディックメタルバンド、アズリエルの3rd。2010作
前作もクサメロたっぷりで疾走するなかなかのメロスピ好作であったが、
今作ではPINK CREAM 69のデニスワードによるマスタリングということもあり、
サウンド面でのバワフルさがいくぶん増している。きらきらとしたシンセに
ツインギターのメロディアスなフレーズ、そしてクサクサの歌メロを乗せて疾走、
やや弱めのハイトーンヴォーカルとともに、微妙にかもしだすローカルさもまた微笑ましい。
初期GALNERYUSなどが好きだったメロスピ愛好リスナーなどにはにんまりだろう。
メロディアス度・・8 疾走度・・8 日本のメロスピ度・・9 総合・・8
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バブーシュカ バーバヤーガ 「風はまだ止マズ」
LOVEJOYbikke水銀ヒステリア西村睦美のユニット。1998年作
水銀ヒステリアは聴いたことがないのだが、西村睦美さんの歌声はとても素直な伸びやかな声で、まるで春の風のようだ。
ラブジョイのbikkeさんはここではおもにコーラスとアコースティックギターを担当、
ゆったりと雲が流れて行くような曲調に、二人の声の重なりがうっとりと耳に響く。
晴れた日の野原に寝ころがって、ひなたぼっこをしているような心地よさ。
商業っけのかけらもない、こんな清純な音楽がまだ日本にはあったのだ。
メロディアス度・・8 ゆったり度・・9 シンプルでのんびり度・・10 総合・・8


BABYMETAL
日本のアイドルメタル、ベビーメタルの2014年作
究極のミクスチャーというべき、アイドルとメタルの融合で、すでに世界的な人気を得てしまったこのユニット、
まさか本サイトでレビューする日がやってこようとは。イントロに続きずっしりとヘヴィなギターとともに、
いかにもメタメタしい物々しさで始まり激しく疾走する、“BABYMETAL DEATH”からインパクト十分。
テクニックに裏打ちされた演奏陣の音の説得力が、色モノ扱いを圧倒的に凌駕してしまっており、
このプロジェクトの本気度が窺える。いわば嘘臭くないディープなメタルの取り込みがなされていて、
それが未成熟のアイドル要素と奇跡的に融合、PVにもなった“メギツネ”の日本的なキャッチーさ、
エレクトロなポップ性とヘヴィネスが異常に同居した“ギミチョコ!!”、“いいね!”の斬新なセンス、
SU-METALの伸びやかな歌声が魅力の“紅月”は、X-JAPAばりの疾走曲で思わずにんまり。
さすがに中盤以降は新鮮なインパクトが薄れてくるのだが、“ヘドバンギャー!!”で再びのけぞり、
ラストの“イジメ、ダメ、ゼッタイ”の盛り上がりまで、作りこまれたクオリティの高さに唸らされる。ううむ、ベビメタ恐るべし。
メロディック度・・8 しっかりメタル度・・9 カワイイ度・・9 総合・・8
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BABYMEYAL 「LIVE AT BUDOKAN〜RED NIGHT〜」
日本のアイドルメタル、ベビーメタルのライブ作品。2015年作
キュートなアイドルと激しいメタルのカウンターカルチャー的な融合を奇跡的になしえたこのユニット、
本作は2014年3月の武道館ライブのステージを収録。スタジオアルバムでの整然としたモダンなヘヴィネスよりも
より躍動感のある演奏が楽しめて、生粋のメタラーにはむしろこちらの方がより受け入れられるかもしれない。
フロントを務めるSU-METALの素晴らしい歌唱力はもちろんのこと、バックの神バンドの卓越した演奏を含めて
1stアルバムの全曲を完璧に再現している。“メギツネ”から始まって、“ド・キ・ド・キ☆モーニング”、“ギミチョコ!”、
“いいね”など、前半には可愛い系の曲を、後半は“紅月”、“ヘドバンギャー!!”、そして“イジメ、ダメ、ゼッタイ”という
怒涛の流れで盛り上げる。彼女たちの大きな魅力であるダンスと振り付けはDVDの映像で楽しむとして、
本作は音のみで楽曲と演奏のクオリティの高さを改めて感じられる、ファンは必聴のライブ音源だろう。
ライブ演奏・・9 カワイイ度・・8 しっかりメタル度・・9 総合・・8.5
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BABYMETAL 「Metal Resistance」
日本のアイドルメタル、ベビーメタルの2016年作
キュートなアイドルと激しいメタルの融合という、強烈なインパクトのデビュー作に続き、満を持しての2作目となる。
のっけからDRAGONFORCEばりの疾走曲で圧倒的なスピード感に圧倒されつつ、キャッチーなサビメロは一緒に口ずさみたくなる。
続いて先行PVにもなっていた“KARATE”の、外国人向けのクールなジャパニズムとキャッチーなエピック性も心地よく、
“あわだまフィーバー”ではモダンなヘヴィネスとたわいない歌詞の合わさった、まさしく「カワイイメタル」に軽くのけぞる。
前作“紅月”の続編のような、SU-METALの伸びやかな歌声で疾走する“Amore-蒼星-”のロマンティシズムに聴き入り、
“META!メタ太郎”の応援歌風味とバックのヴァイキング風味の斬新さには、思わずくすりとなりつつも拳を握るのだ。
いかにもジャパメタらしいキャッチーな聴き心地の“シンコペーション”、そして“Sis.Anger”のデスメタルな激しさに慄然となり、
オーケストラ入りのバラード曲“No Rain No Rainbow”にはうっとり。アルバム後半はDREAM THEATERを思わせる、
変拍子入りのテクニカルなナンバー“Tales of Distinies”の凄さに驚嘆し、ラストは壮大な“The One”で締めくくる。
前作ほどのカウンターカルチャー的衝撃はないが、よりメタルサイドを意識したような楽曲は、むしろメタラーにとっては入りやすいと思う。力作デス!
メロディック度・・8 しっかりメタル度・・9 カワイイ度・・8 総合・・8.5
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BABYMETAL 「Live at Wembley」
日本のアイドルメタル、ベビーメタルのライブ作品。2016年作
2nd「Metal Resistance」発売にともなうワールドツアーの皮切りとして行われた、イギリス公演を収録。
歴史あるウェンブリー・アリーナで単独公演を行ったのは日本人アーティストでは初の快挙であり、
1万人を超える大観衆を前にしたステージの模様は、DVDの映像でもぜひともチェックすべきだろう。
臨場感ある音質はいかにもライブらしい聴き心地で、ヘヴィなツインギターに巧みなベースと強力なドラムの
神バンドの演奏も迫力たっぷり。映像がない分、三人のダンスを外して純粋に音のみで聴くと、
SU-METALの絶品の歌唱を乗せた疾走曲「Amore」は、やはり本ライブのハイライトといっていいし、
英語で歌われる壮大な「The One」から、ラストの「Road of Resistance」という流れはじつに感動的だ。
スタジオアルバム以上にメタルらしい音なので、これからベビメタを聴こうという、メタラー諸氏にも入りやすいと思う。
ライブ演奏・・9 しっかりメタル度・・9 音質・・8 総合・・8.5 
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BABYMETAL 「METAL GALAXY」
日本のカワイイメタル、ベビーメタルの2019年作
ポップなアイドルとメタルを融合させた衝撃の1st、よりディープなメタル要素を加えた2nd、そして3作目の本作は
日本盤CD2枚組という豪華仕様。Disc1は3〜4分前後の小曲主体で、モダンできらびやかなイントロ曲から、
4つ打ちリズムのヘヴィのダンスナンバー、インド風の旋律を取り入れた新機軸も覗かせつつ、キャッチーなポップ性と
ヘヴィなメタル感が合わさったスタイルで、過去2作ほどのインパクトはないが、それなりには楽しめてしまう。
Disc2は、アゲアゲなノリのお祭りナンバーや、デスメタル風の異色のラップ風ナンバーなども含みつつ、
壮麗なシンフォニックメタルの「Starlight」、前作の「The One」を思わせる優美なバラードの「Shine」、
そして、「Rord of The Resistance」の続編というべきメロディックスピードメタル「Arkadia」で締めくくる。
ドラマティック度・・7 メタル度・・7 カワイイ度・・8 総合・・8 
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BACK DROP BOMBMICROMAXIMUM
日本のミクスチャーロックバンド、バック・ドロップ・ボムの1999年作
ある時ケーブルテレビの、「FBDB LIVE」を偶然に見て、そのあまりの格好良さに唖然となり、ネットで名前を調べたバンド。
外見はいかにもラッパー的なのに、ギターやドラムはおそらくメタルも好きなのだろう、
ヘヴィなリフとスケールの大きなグルーブ感は、じつにこう耳に心地がよいのだ。
しかし、この有松益男氏のドラムの凄さたるや…タメの効いたリズムに、
シンバルなどの金物使いも絶品。まさに理想的なロックドラマーである。
歌メロはいかにもラップノリだが、このギターとドラムのおかげで違和感なく聴ける。
メロディアス度・・8 メタル度・・7 ドラム凄っ度・・10 総合・・8
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BACK DROP BOMB「NIPSONG」
日本のミクスチャーロックバンド、バック・ドロップ・ボムの2003年作
メタリックな構築性とラップを融合させた音楽性は、前作以上にハードな質感が増して、
テクニカルに展開する部分にはときにプログレメタル的な味わいすらもある。
絶品のドラムが生み出す見事なグルーブ感と、適度にキャッチーなメロディアスさが合わさって、
ノリが良くヘヴィで、不思議に耳に心地よいサウンドだ。自分のようなラップに興味のない人間ですら、
このバンドには大きな魅力を感じた。とにかくリズムがカッコいいヘヴィロック。ぜひ聴いて欲しい傑作。
メロディアス度・・8 メタル度・・8 ドラム凄っ度・・10 総合・・8.5
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Bandvivil「Junaokissei」
日本のプログレ・アヴァンロック、バンドビビルの2004年作
ギター、べース、ドラムのトリオ編成で、フリーキーにギターが鳴り響くガレージロックに
テクニカルなアンサンブルを融合させた、インスト・アヴァンロックというべきサウンド。
ややラウドな音質がいかにも自主制作っぽいが、それが生々しいライブ感となっていて、
即興的で迫力のあるトリオ・アンサンブルでたたみかける。変拍子リズムによるプログレらしさや
オールドスタイルのロックなリフと随所にメロディアスなフレーズも奏でるギターのセンスもなかなかで、
緊張感と浮遊感を同居させた聴き心地が面白い。アルバムよりもむしろライブが楽しそうなバンドである。
ドラマティック度・・7 プログレ度・・7 生々しい度・・8 総合・・7.5
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BARAKA 「BHARMAD」
日本のプログレバンド、バラカの3rd。2003年作
結成は1997年、ギター、ベース、ドラムというシンプルなトリオ編成のバンドで、
うねりの効いたグルーブ感ある演奏と古き良きロックの質感を含んだサウンド。
歌入りの部分は、ブルーズ色もある70年代英国ハードロックを思わせる感触で、
全体的にもプログレというよりも、ノリのよいオールドロックの雰囲気が強い作品。
ドラマティック度・・7 プログレ度・・7 アンサンブル度・・8 総合・・7.5
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BARAKA 「VII」
日本のプログレバンド、バラカの7th。2007年作
完全なインストバンドとなったことで、トリオ編成でのアンサンブルに磨きがかかり、
プログレとしての魅力が強まった。ロック色溢れるアナログ的なギターの奔放なセンスと
テクニックあるドラムとベースのグルーブ感が、緊張感を含んだ空気を作り出している。
静と動のメリハリ、ときに叙情的な広がりをもった展開で、20分の大曲を描いてゆく力量は見事。
たとえば、KENSOなどのプログレ/フュージョン的な軽やかさとは異なる、
70'sロックを下地にしたプログレへのアプローチという点で、じつに個性的な存在と言える。
ドラマティック度・・7 プログレ度・・8 アンサンブル度・・8 総合・・8
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BALFLAREthousands of winters of flame」
日本のメロディックメタルバンド、バルフレアの1st。2005作
SONATA ARCTICAあたりに通じる、シンセ入りで華麗に疾走するサウンドは、
日本のバンドの中でもクオリティは高い部類だろう。ヴォーカルの弱さは感じるが、
メロディ、フレーズのクサさはいい感じだし、あとは楽曲の完成度を上げていってもらいたい。
メロディアス度・・8 疾走度・・8 楽曲・・7 総合・・7.5
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BALFLARE「TEMPEST」
日本のメロディックメタルバンド、バルフレアの2nd。2006年作
きらびやかなシンセとネオクラシカル風味のギターを乗せて疾走する、
かつてのSONATA ARCTICAなどを思わせる美麗なメロスピサウンド。
日本産というのを感じさせない流麗なメロディセンスと北欧的な爽やかな雰囲気は
このバンドの持ち味で、海外のこの手の作品と一緒に聴いてもほとんど違和感がない。
キャッチーなクサメロにもにんまりだ。もっとも北欧らしい日本産メロスピ作品だろう。
メロディアス度・・8 疾走度・・8 むしろ北欧度・・8 総合・・8
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BALFLARESleeping Hollow」
日本のメロディックメタルバンド、バルフレアの3rd。2008作
ジャケのイメージのように、STRATOVARIUSやSONATA ARCTICAなどを思わせる
美麗に疾走するメロスピサウンド。シンセのアレンジの仕方などはいかにも
フィンランドのバンドたちからの影響が垣間見え、ときおりにやりとさせられる。
テクニカルなギタープレイにはネオクラシカルな風味もあり、全体的にもレベルは高い。
英語で歌うヴォーカルの弱さを除けば欧州のバンドにも決してひけをとらないだろう。
メロディアス度・・8 疾走度・・8 北欧っぽい度・・8 総合・・7.5
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BALFLARE「Downpour」
日本のメロディックメタルバンド、バルフレアの4th。2012年作
過去3作も、まるで北欧メロスピのような雰囲気の好作であったが、今作もきらびやかなシンセアレンジとともに、
キャッチーに疾走するメロディックなサウンドで、初期のSONATA ARCTICAやCARDIANTなどが好きな方にはにんまりだ。
英語によるヴォーカルを含めて日本のメタルというよりは、北欧系バンドの美麗なメロディアス性を受け継ぐ聴き心地で、
楽曲のアレンジもよりダイナミックになった。ヨルグ・マイケルばりにパワフルなツーバスを叩き出すドラムをはじめとして、
安定した演奏力とともに、その実力と高いクオリティを見せつける。全体的にも過去作を超える力作と言えるだろう。
メロディック度・・8 疾走度・・8 北欧系メロスピ度・・8 総合・・8
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Baskerville 「Opus Aeternum」
日本のメロディックメタル、バスカヴィルの2017年作
2004年にデビュー、本作は3作目で、ツインギターに美麗なシンセを重ねた重厚なメロパワスタイルで、
英語歌詞のハイトーンヴォーカルを乗せた、ヨーロピアンな香りのシンフォニックメタルとしても楽しめる。
骨太のリフと流麗なフレーズを弾きこなすギターのテクニックもなかなかのもので、力量あるヴォーカルとともに、
シアトリカルなドラマ性に包まれた世界観を描き出す。疾走ナンバーではキャッチーなクサメロ感も覗かせつつ、
正統派メタルとしてのパワフルな感触も残したサウンドは、多くのメロパワ好きリスナーにアピールするだろう。
日本語歌詞による和風テイストのナンバーもありつつ、ラストは10分を超える大曲で、ドラマティックに締めくくる。
メロディック度・・8 疾走度・・8 パワフル度・・8 総合・・8
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BEING & TIME
日本のプログレユニット、ビイング・アンド・タイムの2009年作
ギター&シンセとベースの2人組ユニットで、適度にハードなギターワークと
シンセによるアレンジを含んだ、インストによるテクニカルなプログレサウンド。
ドラムが打ち込みなのが惜しいが、テクニックのあるギタープレイはかなりのもので、
クリムゾンばりの硬質なリフからメロディックなフレーズまで自在のセンスが光る。
フュージョン的な軽妙さもあり、爽快に聴き流せるのだが、プログレとしては引っ掛かりが少なく
あとはやはり打ち込みのリズムがアンサンブルとしてのスリリングさを薄めているのが残念。
メロディック度・・8 プログレ度・・7 スリリング度・・7 総合・・7.5
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Bellfast「Insula Sacra」
日本のケルティックメタルバンド、ベルファストの2010年作
ツインギターに女性フルート、ヴァイオリン奏者を含む7人編成の、
日本初といってもよい本格派のフォーク/ケルティックメタルバンドである。
ツインギターの重厚なリフとパワフルなヴォーカル、そこに絡むヴァイオリン、
フルートの音色と、どれをとってもこれまでの日本のバンドのレベルを超えた
ダイナミックなサウンドを描いている。ケルティックなメロディも嘘くさくなく、
ヘヴィさを失わない重厚なメタルサウンドの中に巧みに取り込んでいるのが見事。
サウンドプロダクションも良好で、すべての面でドラマティックな力作に仕上がっている。
ドラマティック度・・8 ケルティック度・・7 重厚度・・8 総合・・8
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Bellfast「Triquedraco」
日本のフォークメタル、ベルファストの2017年作
前作から7年ぶりとなる2作目で、ヴァイオリンとフルートによる優美なイントロから始まり、
朗々としたヴォーカルを乗せたメロパワ的な疾走感と、フォーキーなテイストが合わさった2曲目は、
MAGO DE OZElvenkingのようなわりとクサメロ寄りの作風で、叙情的なツインギターによる泣きの感触は
やはり日本のバンドらしい優美な味わいだ。フルートとヴァイオリンが美しいケルティックな味わいのナンバーや、
キャッチーなノリで聴かせるナンバーなど、前作以上にメロディのフックが明快なので、初心者にも楽しめるだろう。
8分に及ぶ大曲では、プログレッシブでもあるドラマティックな構築性に包まれる。音質も含めてレベルの高い力作だ。
ドラマティック度・・8 フォーキー度・・8 叙情度・・8 総合・・8
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BIBLE BLACK
日本のプログレバンド、バイブル・ブラックの2012年作
モローの絵画ジャケからして良いセンスだが、サウンドの方もメロトロンが鳴り響くイントロから、
ヘヴィなギターにオルガンを乗せて、クリムゾン的な緊張感あるアンサンブルが広がってゆき、
美しいピアノや叙情的なギターの旋律とともに、インストによる幻想的なシンフォニックロックを聴かせる。
メロトロンなどの優美なシンセとの対比で、ギターはわりとラウドに聴こえるところもあるのだが、
それがスリリングなプログレ感になっていて、12分近い大曲を緩急ある流れで構築するところは
美狂乱あたりに通じるところもある。ラスト曲ではフリーキーなギターの旋律が不穏な迫力となって、
鳴り響くオルガンを加えたテクニカルな展開で、ミステリアスなインストプログレを聴かせる。
ドラマティック度・7 プログレ度・8 緊張感と叙情度・8 総合・8
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美狂乱PARALLAX
日本のプログレバンド、美狂乱の2nd。1983年作
日本のKING CRIMSONと謳われた1stは、じつのところあまりピンとこなかったのだが、
彼らの本質はもっと日本的な感覚にあり、あくまでギター、ベース、ドラムというシンプルなアンサンブルを主軸にしたサウンドは、
リーダーである須磨氏のギターフレーズとリフのセンスも含めて、玄人好みの奥深さがある。
本作でのハイライトは、なんといってもB面すべてを費やした長大な“組曲「乱」”である。
ゲストの永川敏郎によるシンセも入った緊迫感ただようイントロから、ギターによるダイナミックなフレーズが入ってきて
シリアスな世界観に引き込まれる。トランペットやヴァイオリンなども加わった室内楽的な雰囲気も取り入れつつ、
アヴァンギャルドな芸術性と最後まで緊張感のとぎれない演奏を聴かせてくれる。
メロディアス度・・7 プログレ度・・8 スリリング度・・9 総合・・8
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美狂乱風魔 -ライヴ Vol.2
日本のプログレバンド、びきょうらんのライブ音源。
1982年のデビューアルバム発売直後の東京ACBでのライブを中心に収録。
収録されているのはアルバム未発曲が大半で、本作でしか聴けないというのがいかにもマニア泣かせ。
リーダーである須磨邦雄の即興たっぷりのギタープレイとともに、日本のクリムゾンとも呼ばれる彼らの
緊張感あふれるライブ演奏が楽しめる。ピンポイントマイクによる録音なので音のレンジは狭いが
その分生々しい臨場感が伝わってくる。1983年大阪での伝説のテイクも2曲含み、コアなファンは必聴だ。
ライブ演奏・・8 クリムゾン度・・8 音質・・6 総合・・7.5
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美狂乱「乱-ライヴ Vol.3」
日本のプログレバンド、びきょうらんのライブ音源。
1983年の大阪バーボンハウスでの伝説のライブテイクを収録。
音質的にもライヴvol.2「風魔」あたりよりもずいぶん聴きやすく、バンドの演奏の素晴らしさが窺える。
全4曲収録のうち「警告」、「組曲‘乱’」、「二重人格」は各16〜17分という長さであるが、
うっすらとしたメロトロンの音色に日本的な情緒を含んだヴォーカル、そしてクリムゾン的と評される
緊張感あるアンサンブルで構築されるサウンドはじつに見事。どの曲もアルバム以上のダイナミックな演奏で、
ライブバンドとしての彼らの凄さがあらためて確認できる。正規のライブアルバムとしてもよいほどの1枚だ。
ライブ演奏・・9 クリムゾン度・・8 音質・・8 総合・・8
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美狂乱「五蘊」
日本のプログレバンド、BI・KYO・RANの1995年作
スタジオ作としては1983年の「パララックス以来、12年ぶりのアルバムで、過去の作品とはかなり雰囲気が異なる。
女性ヴォーカル入りのしっとりとした民謡的な雰囲気もあれば、民族的なパーカッションなども入ったり、
とぼけた味わいのチェンバーロック風味とともに、どこかなつかしいような日本的な情緒を聴かせる。
コアなファンでないと少々つかみ所が難しい作品かもしれないが、須磨邦雄氏のギターは
これまでになく自然体の音を奏でていて、バンドとしてのナチュラルなアンサンブル志向がうかがえる。
メロディアス度・・7 チェンバー度・・8 和風度・・8 総合・・8
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美狂乱「狂暴な音楽」
日本のプログレバンド、びきょうらんの1997年作
前作「五蘊」から2年と短いスパンで完成したアルバムで、この時期の須磨氏の旺盛な創作意欲が窺える。
うねるようなギターリフを乗せたハードな感触に、日本語歌詞による和の情緒を合わせたサウンドで、
変拍子を含むアンサンブルに、メロトロンも鳴り響く、この1曲目の12分超の大曲からして圧巻だ。
2曲目以降も、手数の多いドラムに、これまで以上にエッジの立ったギターを主導にした、
タイトルのように迫力あるヘヴィプログレが楽しめる。KING CRIMSONをルーツにしながら、
独自の深化でたどり着いた重厚な作風で、日本プログレの可能性の一端を証明する力作となった。
ドラマティック度・・7 プログレ度・・8 和風度・・8 総合・・8
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美狂乱「Anthology vol.1」
日本のプログレバンド、BI・KYO・RANの2002年作
バンドの初期の曲のリメイクアルバムで、ほとんどが初のスタジオ録音となる。
うねるベースにヘヴィなギター、ヴァイオリンやチェロの音色も加えて展開されるプログレ曲は、
クリムゾンを思わせる薄暗い叙情美を漂わせていて、「これぞ美狂乱!」と誰もが納得するサウンドだろう。
メロトロンの音色も加わって、10分を超える大曲もスリリングなアンサンブルで構築する。
どこかなつかしいような歌モノ曲や、ヴァイオリンをメインにしたクラシカルな小曲などもあり、
繊細な美意識と、日本的な情感、そしてプログレの同居した、このバンドの個性がよく表れている。
音質の良さもあって、むしろ1st以上のサウンドの完成度で本作を気に入るファンも多いと思う。
メロディアス度・・7 プログレ度・・8 重厚度・・8 総合・・8
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美笑「The Grand 美空」
日本のプログレ・ポップバンド、美笑の1996年作作
MASQUEを母体とするバンドで、エキセントリックな女性ヴォーカルを乗せた、
古き良き歌謡ポップ的なキャッチーさと、適度にアヴァンギャルドなセンスが融合したサウンド。
やわらかなオルガンや随所にサックスを加えた、ジャズロック風味も覗かせつつ、
玄人好みの歌謡プログレロックを聴かせる。ウォッカ・コリンズのカヴァーや、
美空ひばりの名曲「川の流れのように」のカヴァーも、こちら寄りのアレンジでにやりとする。
メロディック度・・8 プログレ度・・7 女性Vo度・・8 総合・・8
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美笑「ミエールミエール」
日本のプログレ・ポップバンド、美笑の3rd。2003作
日本的な古き良き歌謡曲に、独自のアヴァンギャルドな感覚を詰め込んだ
彼らのサウンドは、ひと言で現すと「聴きやすいのに…なんか変」(笑)
独自の歌唱を展開する女性シンガー、MITOさんのエキセントリック世界観が素敵。
楽曲にはどこかで聞いたような、なつかしい日本的メロディが時々顔を出し、
聴いていて非常になごめます。もちろんバックの演奏陣も非常に素晴らしく、
切れのいいリズムに乗るギターに華やかなサックス、キーボードのアレンジなどは
まさに「プログレファンが聴くためのポップソング」というべきもの。隠れプログレ度高いです。
ポップ度・・8 プログレ度・・7 日本度・・9 総合・・8
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美笑「青空のファンタジア」
日本の歌謡プログレロックバンド、美笑の5th。2006作
昭和を感じさせる古きよき雰囲気と、ややアヴァンギャルドなアレンジセンスで
まさにプログレッシブ歌謡ロックともいうべきサウンドを追求するこのバンド。
今作も女性Vo、MITO嬢の歌声を中心に、キャッチーかつレトロに聴かせます。
これまで以上にメロトロンやハモンドなどを使用し、ときにクリムゾンかと思わせる
部分もありつつ、基本はポップで懐かしい感じの、曲しての分かりやすさが魅力。
メロディアス度・・8 歌謡ポップ度・・8 隠れプログレ度・・8 総合・・8
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美笑「WHITE CHOCOLATE」
日本の歌謡プログレロックバンド、美笑の6th。2006作
前作から1年もたたずに出された今作は、サウンドに少しロック寄りの硬質さが増し、
インスト部でのアヴァンギャルドなアレンジが前に出てきている印象だ。
もちろんキャッチーなメロディをレトロに聴かせる美笑節は健在で、
プログレ的なシンセワークとともに、MITO嬢の歌声が艶やかに響く。
メロディアス度・・8 歌謡ポップ度・・8 隠れプログレ度・・8 総合・・8
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美笑 「HIZUMITE AHA SORA」
日本の歌謡プログレロック、びしょうの2016年作
どこかなつかしい昭和歌謡風味とプログレを融合させた個性派バンド、前作から10年ぶりとなる7作目で、
ジャケもタイトルも脱力感たっぷりだが、サウンドは、わりとロックなギターにオルガン、ムーグ、メロトロンなど
プログレなシンセが絡みつつ、MITOさんのヴォーカルを乗せたポップ性とエキセントリックなセンスが絶妙に融合した、
愉快なプログレ歌謡ロックで、相変わらずとても楽しめる。過去曲のリメイクもありつつ、よりロックなノリが増したナンバーや、
4パートに分かれたタイトルのインスト小曲を、アルバム内に散りばめた構成も面白い。楽曲ごとのシンセアレンジも抜群で、
古くて新しく、ポップなのにアヴァンギャルドで、ちゃんとプログレという、玄人好みの味わいにニヤニヤとなる。
メロディック度・・8 プログレ度・・8 エキセントリック度・・8 総合・・8 
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BLACK PAGE「Open the Next Page」
日本のプログレバンド、ブラックペイジの1986年作
のちにすかんちなどで活躍する小川文明によるきらびやかなシンセワークを中心に、
テクニカルなアンサンブルにキャッチーなヴォーカルを乗せた優雅な感触は、適度なポップ感もありつつ
玄人好みの技巧に包まれていて、ときにU.K.を思わせるようなスタイリッシュなプログレを聴かせる。
手数王と呼ばれることになる、若き日の菅沼孝三のタイトなドラムと重厚なベースにメロウなギターフレーズ、
プロフェッショナルのアンサンブルという点では、フュージョン的な軽妙な聴き心地でも楽しめる。
良い意味で日本臭さを感じさせない、メジャー志向のテクニカル・プログレが楽しめる傑作です。
メロディアス度・・8 プログレ度・・8 スタイリッシュ度・・9 総合・・8
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BLASDEAD「GROUND FLARE」
日本のメタルバンド、ブラスデッドの2006年作
結成は90年代と古く、本作は1996年の1stからじつに10年ぶりとなる2作目らしい。
正統派のギターリフと泣きのメロディ、パワフルなヴォーカルを乗せて疾走する、
古き良きスタイルのパワーメタルである。スラッシーな勢いとともに、ときにメロデス的な
ギターフレーズなども聴かせつつ、やはりどこかに日本的なメロディアスさも感じさせる。
こういうバンドがまだ頑張っているのだと思うと嬉しくなる。LIGHTNINGなどのファンもぜひ。
メロディアス度・・7 パワフル度・・8 正統派度・・8 総合・・7.5
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BLINDMAN「SENSITIVE PICTURES」
日本のメロディアスハードロックバンド、ブラインドマンの1st。1998作
本作はインディーズ時代の1stであるが、この時点ですでに音楽性は確立していた。
きらきらとしたキーボード、キャッチーなメロディと適度な疾走感、
そこに乗る個性的な、鼻にかかったような太めの声質のヴォーカル。
どのアルバムも変わらぬブラインドマン節で、高品質なサウンドを作っていたバンドだった。
この1stだと、特に古き良き質感のキーボードアレンジが冴えている。
メロディアス度・・8 正統派度・・9 楽曲・・8 総合・・8
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BLINDMAN「BEING HUMAN」
日本のメロディアス・ハードロックバンド、ブラインドマンの1999年作
その日本人らしからぬ堂々とした骨太のハードロックサウンドは、海外の一流と比べても遜色がない。
メジャー前のこの作品も基本的には同路線で、安定した演奏に質の高い楽曲で安心して聴ける。
独自のかすれた声質のVoも、慣れれば個性的でこのサウンドにはマッチしている。
メロディには叙情と爽快さが同居していて、曲によってはバックにキーボードもあり
日本人の愛するメロディックハードロックがそこにあるといえるだろう。
音質や楽曲の質そのものはやはりメジャー後の方に軍配が上がるが、
ハードロックへの熱い情熱が感じ取れるのには変わりはない。
メロディアス度・・8 骨太HR度・・9 楽曲・・8 総合・・8
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BLINDMAN
日本のメロディアスハードロックバンド、ブラインドマンの2001年作
哀愁のある叙情メロディを、本格的なハードロックサウンドで聴かせるこのバンド。
日本のバンドにありがちなヘナヘナとした力弱さはまったく感じられない。
ヴォーカルは高音ではなく、かすれ系の声質でいくらか好みを分けるかもしれないが、
楽曲の雰囲気は、そのクオリティの高さもあいまって、アメリカのメロディアスハード
MILENIUMあたりも想起させる。ギターのネオクラシカル風味とそこに絡むキーボードが爽やかで、
メロディにこだわった楽曲は、湿り気を含んだ叙情とキャッチーな部分のバランスが見事。
彼らこそ日本が誇る本格派メロディアスHRバンドだと思う。見事なメジャーデビュー作品だ。
メロディアス度・・8 骨太度・・9 楽曲・・8 総合・・8
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BLINDMAN「TURNING BACK」
日本の本格派メロディアスハードロックバンド、ブラインドマンの2nd(インディ時代を含めると5作目)2002作
哀愁を込めたメロディを骨太のハードロックで聴かせてくれるという、日本では稀少なタイプのバンド。
メジャー2作目となる今回も、方向性は同じで、がっちりとした力強い演奏に、
ややかすれぎみのVoが英詞の歌を乗せる王道ハードロックサウンド。
ギタープレイにはいくぶん様式美テイストも感じられ、キーボードとの重なりで音に厚みが感じられる。
メロディアス度・・8 王道度・・9 楽曲・・8 総合・・8
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BLINDMAN「Pain For The Pleasure」
日本が誇るメロディアスハードロックバンド、ブラインドマンの2006作
解散から4年ぶりの復活となる今作は、かつてと変わらぬパワフルかつメロディックなスタイルで
まずはひと安心。独特のかすれた歌声も今や彼ら独特の個性だし
その日本人離れしたサウンドの質感は、HR/HMとしてのクオリティの高さの証明でもある。
ときに爽快かつキャッチーに、ときにメロディアスな泣きのギターも聴かせてくれ、
録音面での弱さも吹き飛ばす、まさに快作。パワフルなメロハー好きは必聴。
メロディアス度・・8 パワフル度・・8 楽曲・・8 総合・・8
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BLINDMAN「Blazing Crisis」
日本のメロディアス・ハードロックバンド、ブラインドマンの2012年作
通算8作目となる本作も、渋みのあるヴォーカルの歌声と、大人の叙情を漂わせた
正統派のハードロックを聴かせてくれる。うっすらとしたシンセアレンジに、
哀愁のギターフレーズを織りまぜながら、あくまでキャッチーな聴き心地は不変。
いまどき古めかしいほどにまっすぐな骨太のメロディアス・ハードロックが楽しめる力作だ。
メロディック度・・8 キャッチー度・・8 正統派HR度・・8 総合・・8
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BLOOD STAIN CHILD「SILENCE OF NOTHERN HELL」
日本のメロディックデスメタルバンド、ブラッド・ステイン・チャイルドの2002作
大阪をベースにする若手のバンドで、CHILDREN OF BODOMを手本としたキャッチーなメロディで疾走するメロデスサウンド。
ギターの奏でるメロディアスなフレーズに、キーボードによるシンフォニックなオーケストレイションと、
日本人が好むクサくて大仰な雰囲気がたっぷり盛り込まれており、編曲やアレンジセンスもなかなか。
ドラム等のプロダクションが向上すれば、もっと音に説得力が出てくるだろう。収録時間が短いのもまたチルボド的か。
メロディアス度・・8 暴虐度・・7 チルボ度・・8 総合・・7.5

BLOOD STAIN CHILD「MISTIC YOUR HEART」
日本のメロデスバンド、ブラッド・ステイン・チャイルドの2nd。2003作
日本産キラキラメロデスとして不動の地位を築きつつあるこのバンド。
1stの時点からそれなりの演奏、楽曲クオリティを持っていたが、この2ndではさらに堂々たる雰囲気も漂い、
シンフォニックなキーボードとそれに絡む煽情的なギターフレーズの数々もぐぐっと耳を惹きつける。
自分はこの手の暴虐さのないキラデスサウンドにはいくら疾走しようとも血湧き肉躍るものは全然感じないのだが、
質が高いのは認めねばなるまい。それに、30分そこそこしかなかった1stに比べ分数が増えたのが嬉しい…
…と思ったら隠しトラックのための無音部分でした。トホホ…orz
まあ、初期のチルボドあたりが好きなメロデス初心者にオススメですな。
メロディアス度・・8 暴虐度・・7 新鮮度・・7 総合・・7.5
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Blood Stain Child「Idolator」
日本のメロデスバンド、ブラッド・ステイン・チャイルドの3rd。2005作
ただのチルボドフォロワーだった1stから比べると、格段の成長を遂げたアルバムだ。
激烈に疾走しながらも、シンフォニックなシンセに浮遊感をともなったサウンドは、
咆哮するデス声にノーマル声のコーラスワークが絡み、ときにキャッチーですらある。
さらにシンセワークのデジタリィ化は、疾走メロデスサウンドにモダンなトランス感覚をともない、
いままでにない新鮮な響きを感じさせる。これは次作でさらに顕著になるが、
下地となった本作の成功によるものだろう。これぞモダン・トランス・メロデスの誕生だ。
メロディアス度・・8 暴虐度・・8 モダントランス度・・8 総合・・8
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BLOOD STAIN CHILDMOZAIQ
日本のメロデスバンド、ブラッド・ステイン・チャイルドの4th。2007年作
初期はチルボドのキラキラフォロワーという印象だったが、モダンなシンセサウンドとの融合で深化をとげた前作から、
本作も、ときにクラブミュージックのようなきらびやかなシンセアレンジとデス声入りの疾走メロデスサウンドが融合。
下手をするとギャグにもなりかねないこのギャップが絶妙にハマっていて結果、華麗でドラマティックな展開美を
浮き彫りにするという効果を生み出している。モダンなシンフォニックメロデスの新たな可能性を提示してみせた力作デス。
ただボーナストラックのTRFのカヴァーはちょっとね…(笑)
シンフォニック度・・8 暴虐度・・7 シンセビート度・・9 総合・・8
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BLOOD STAIN CHILD「ε 」
日本のモダンメロデスバンド、ブラッド・ステイン・チャイルドの2011年作
本作では新たにギリシャ人女性ヴォーカルが新加入しての5作目となる。
方向性としては前作の延長で、デジタリィなシンセビートとメロデスを合体させたサウンドに、
女性声と男性デス声が重なってゆくもの。なにせ前作のインパクトが相当だったので、
今回はとくに新鮮な驚きはなく、SOPHIA嬢の歌声も悪くはないがやや一本調子にも思える。
正直、メロデスとしての魅力であるはずの、ギターリフやメロディにしびれる部分が案外少なく、
質の高さは間違いないものの悶絶するような凄さは感じない。綺麗にまとまった好作といえる。
シンフォニック度・・7 暴虐度・・7 女性Vo度・・7 総合・・8
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BLUE MARBLE 「VALERIE」
日本のプログレ・ポップロック、ブルー・マーブルの2010年作
やわらかなシンセワークに日本語歌詞の女性ヴォーカルを乗せた、どこかなつかしさを感じさせる、
ふんわりと童話的なサウンド。CMソングソングで知られる女性シンガー、オオノマサエの歌声は、
コケティッシュで夢見がちなやわらかさで包み込む。ゴージャスで厚みのあるシンセアレンジと
リズム面を含めたセンスの良さは、プログレファン向けのストレンジポップとしても魅力充分だ。
ボサノヴァ風のナンバーなども、巧みなアレンジでさらりと聴かせ、楽曲は4分前後ながら、
厚みのあるシンセと表現力ある歌声で、わりと濃密な味わいである。
メロディック度・8 プログレ度・7 女性Vo度・9 総合・8
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ブルース・クリエイション「悪魔と11人の子供達」
日本のブルース・ハードロックバンド。1971年
カルメン・マキとの合体で知られるバンドであろうが、本作は4人編成での純粋なバンド作品。
1曲目の「原爆落とし」からして、サバス直系のギターリフで、いまでいうストーナーロック的な感触。
ヴォーカルの英語の発音はちょっとヒドいが、演奏の方は天才といわれた竹田和夫のギターを中心に
どっしりとしたアンサンブルでブルースロックとサイケなハードロックを融合させたスタイルは
時代性を抜きにしてもじつに恰好いい。9分を超えるラストの大曲では、プログレ的な構築力も覗かせ、
英国のアートロックばりである。まさに日本ハードロックの夜明けというべき歴史的な作品である。
メロディック度・・7 ブルースロック度・8 ハードロック度・・8 総合・・8
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BRIDEAR「Overturn The Doom
日本のガールズメタル、ブライディアの2013年作
九州出身というガールズバンドのデビューミニアルバム。ミニであるが、7曲入りで33分となかなか聴きごたえがある。
タイトなリズムに乗るヘヴィなギターサウンドに、メロディックな感触が合わさったスタイルで、
デビュー作にしては、すでにバンドとしての方向性と、演奏レベルを含めた強度がしっかりと感じられ、
激しい疾走感や伸びやかな女性ヴォーカルの実力も含めて、女性のバンドとしてはとてもパワフルな聴き心地である。
一方で、サビでのキャッチーなフックは古き良きジャパメタを思わせる感触で、オールドなリスナーにも受けそうだ。
メロディック度・・8 しっかりヘヴィ度・・8 女性Vo度・・8 総合・・8
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BRIDEAR「BARYTE」
日本のガールズメタル、ブライディアの2016年作
九州出身の女性5人組で、2013年のデビューミニに続く、1stフルアルバムとなる。
激しく疾走するメタリックな感触と、伸びやかな女性ヴォーカルを乗せたキャッチーな感触が合わさったサウンド。
ツインギターによるヘヴィネスは女性バンドとは思えぬくらいの本格派で、本作では随所にスクリームヴォイスも含んだ、
ラウドロック的でもあるモダンなパワフルさも感じさせる。メロスピ的な疾走感や、サビでのエモーショナルな爽快さも魅力的で、
メロディックなフックとメタルとしてのヘヴィな迫力とが同居したサウンドは、Mary’s Blood あたりにも引けをとらないだろう。
ヴォーカルのKIMI嬢の歌声は、高音部分が浜田麻里っぽかったり。あとギター嬢のスクリームはけっこう強烈なので、
クリーンヴォーカルでないとダメな方にはちときついかも。ともかく今後にさらなる飛躍が期待されるガールズメタルバンドです。
メロディック度・・8 モダンヘヴィ度・・8 女性Vo度・・8 総合・・8
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Captured
日本のハードロックバンド、キャプチャードの2008作
ジャケの雰囲気はデスラッシュみたいだが、実際はモダンでデジタルなシンセアレンジを取り入れたハードロックで、
激しさよりもキャッチーなポップセンスが前に出ている。エフェクトのかかったヴォーカルはクラブミュージック的でもあるし、
テクノやラップなどの感覚を取り入れつつ、J-POP的に日本語歌詞が入って来るのは
生粋のメタラーからすると新鮮かもしれない。曲自体の魅力はもうひとつというところか。
メロディアス度・・7 モダン度・・8 楽曲・・7 総合・・7
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カルメンマキ & OZ
日本ロック伝説のバンド、カルメン・マキ & オズの1st。1975作
日本ロック(プログレ)の創世記に、四人囃子などと同様後世に伝える作品を生み出したバンド。
サウンドは郷愁を感じるようなフォーク色、メロトロンなどのアレンジに見られるプログレ的な音色にブルース、
ハードロック色などが入り交じったもの。やはり、当然ながらカルメンマキの存在感には終始圧倒される。
この堂々たる歌唱、表現力は聴くものの心になにかを訴えるだけのものがある。
個人的にはハードロック的な曲よりも、フォーキーな歌に魂を揺さぶられるものを感じる。
古き良きもの、切なさ、やるせなさ、昭和、青春、そういった感傷を思い起こさせる歌。
メロディアス度・・8 郷愁度・・9 歌唱度・・10 総合・・8.5
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カルメン マキ & OZ閉ざされた町
日本の70'sロックを代表するバンドのひとつ、マキ & オズの2nd。1976作
ジャケのインパクトなどから1stの方が名盤とされているのだが、完成度の点ではこの2ndも甲乙つけがたい出来だ。
基本はカルメン・マキの絶品の歌唱を中心としたブルーズロックなのだが
そこにそこはかとない70年代プログレの匂いと、大人の倦怠を感じられればいっそう楽しめる。
鳴り響くメロトロンをバックに、日本的な哀愁を感じさせるヴォーカルがぐぐっと胸に染みる。
ただ、ヘヴィな表題曲をはじめ歌詞が暗いこともあり、瑞々しさの点では1stのほうが好みだが。
メロディアス度・・7 プログレ度・・7 マキ姐の歌唱度・・9 総合・・8
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カルメン・マキ & OZ「LIVE」
日本ロック伝説のバンド、カルメン・マキ & オズのライブアルバム。1978作
アルバム3枚にこのライブ盤を残してマキ&OZは解散し、その後カルメン・マキは
ソロとしてさまざまなミュージシャンたちとセッションを重ねてゆくことになる。
このライブは解散を間近にひかえたバンドの最後の輝き、といっていいだろう。
のっけから「君が代」のギター演奏で幕を開ける。こうしたところにもこのバンドの日本的美意識を感じる。
スタジオ盤以上に情感の込められた歌唱を中心に一体感を感じさせ、アドリブ込みで曲が長いのもライブならでは。
メロディアス度・・8 演奏・・9 歌唱度・・9 総合・・8
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Carved Kinship「Rebellion」
日本のメタルヨニット、カーブド・キンシップのミニアルバム。2011年作
Radiant SoulのギタリストでもあるAbraham 2ndを中心にしたプロジェクトで、
ユーゴスラビア紛争をテーマにしたというドラマティックなメロディックメタル作品。
全6曲入りでヴォーカル入りは3曲。イントロに続く2曲めは8分を超える大曲で
美麗なシンセアレンジに女性ヴォーカルを含んだプログレッシブな展開力を覗かせる力作。
キャッチーなハードロックの3曲め、モダンなメタルコア風味の4曲めと曲調のばらけ方は気になるが、
5曲めのエピックな正統派メタル曲などは、ライブ受けしそうな好曲だし、作品を通して
随所に匂わせる叙情的なギターフレーズやメロディセンスには将来性を感じさせる。
宅録的な音質を含めて、現時点ではまだまだ同人作品の域を出ないが、
今後はヴォーカルを固定してのフルアルバムにも期待したい。サイトはこちら
メロディアス度・・8 ドラマティック度・・7 センスの萌芽度・・8 総合・・7
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Carved Kinship「Time Factor 」
Abraham 2ndによるソロプロジェクト、カーブド・キンシップの2012年作
イントロに続く2曲めは女性ヴォーカルの歌声とともにシンフォニックなアレンジで疾走、
クサメロたっぷりギターフレーズとともに、キャッチーなメロスピサウンドを展開する。
リズムが打ち込みである点は惜しいが、プログレッシブな感性を含んだ繊細さや知的な展開力、
フォークロワ的なメロディなども覗かせながら、ギタリストとしてのメロディセンスも随所に光る。
曲によってヴォーカルが違うため、その力量も含めて作品全体として散漫な印象を感じてしまうのだが、
組曲方式で進行するラストの9分を超える大曲などは、ドラマティックな構成がなかなか圧巻である。
ANCIENT MYTHのPuzzy、LIGHT BRINGERのmaoらがゲスト参加している。
メロディック度・・8 ドラマティック度・・8 ヴォーカル度・・6 総合・・7
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CASTLE IN THE AIR
ALHAMBRAGALUNERIUSのKey、YUHKIこと中島裕記のソロ、キャッスル・イン・ジ・エアーの1999作
この作品の後、ALHAMBRAに加入するYUHKI氏ですが、この時点でシンセワークはすでにメジャー級の輝きを放っていいて
クラシックを基本にしながら、きらびやかに、そしてロマンティックにサウンドを彩っています。
楽曲はメタルっぽい疾走曲もありますが、硬質感よりもむしろJap'sプログレハード的な華麗さで
プログレ的な展開を聴かせてくれます。ヴォーカルの弱さはいかにも自主制作然としていますが、
YUHKI氏やALHAMBRAのファンならば聴いてみる価値はあるでしょう。
シンフォニック度・・8 プログレ度・・7 サウン度・・7 総合・・7.5


Cha Cha Maru「AIR」
Gacktの作曲/プロデューサーとして活躍するChaChaMaru(藤村幸宏)氏のソロ作。2002作
かつてはGERARDVIENNAという名だたるバンドにおいて、ギター&ヴォーカルで活躍していた茶々丸氏。
西田竜一永井敏巳のVIENNA組から、手数王・菅沼孝三、Gackt本人はまあいいとして、ニ井原 実(X.Y.Z.→A)、
マーシー(EARTHSHAKER)、キーボードにはOUTER LIMITS塚本周成というプログレに豪華なメンバーが参加。
サウンドの方は、適度にヘヴィなノリのよいロックという感じで、プログレそのものを期待するとちょっと肩すかしだが、
Gacktの歌うバラード曲は壮大かつシンフォニックでなかなかいい感じだし、菅沼孝三がドラムを叩く6曲目などは、
現代風のプログレハードといった風にも聴ける。塚本氏の職人的なシンセワークも見事で、VIENNA以来久しぶりに藤村氏の歌声が聴けるのも嬉しい。
極めつきはVIENNA時代の代表曲“CANONE”を再現した8曲目で、この1曲のためにプログレファンは買っても良い!
メロディアス度・・8 プログレ度・・7 楽曲・・8 総合・・8
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CHARISMA 「邂逅」
日本のプログレバンド、カリスマの2015年作
70年代に活動していたバンドの復活作で、DADAKENNEDYの泉陸奥彦を中心に、ドラムに菅沼孝三が参加。
流麗でメロウなギターに優美なシンセを重ね、故菅沼の巧みなドラムを軸にした軽妙なアンサンブルで、
シンフォニック・プログレ・ジャズロックというべき繊細で優雅な叙情美に包まれたサウンドを聴かせる。
テクニカルでありつつも、日本的なやわらかな美意識を描くところは、KENSOなどに通じる部分もあり、
ピアノやオルガン、メロトロンの音色を含むシンセに、泉の奏でるギターも随所に泣きの旋律で楽曲を盛り上げる。
オールインストながらもスリリングな流れと演奏の妙で、空間性のあるスタイリッシュなシンフォプログレとしても楽しめる。
ドラマティック度・7 プログレ度・8 巧みと叙情度・8 総合・8
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Cichla temensis 「another triangle」
日本のプログレバンド、キクラ・テメンシスの2007年作
女性フルート奏者を中心にした3人組で、本作がデビューEP。サウンドは美しく幻想的なインストプログレで、
ドラム、ベース、シンセで組み立てられる楽曲は、テクニカルすぎず、ゆるやかなシンセに絡むフルートの音色が
しっとりと耳に心地よい。わりとブリティッシュ風の雰囲気ながら、ときおりKENSOあたりを思わせるような日本的な情感もある。
メロディのフックに個性が付いてくると面白い存在になりそう。フルート奏者は、メタルバンドBELLFASTのサブ・メンバーでもあるらしい。
メロディアス度・・8 プログレ度・・7 フルート度・・8 総合・・7.5
MUSIC TERMにて通販可能 

Kiku Latte / Cichla Temensis「『小さな物語』〜Stories」
日本のプログレバンド、キクラテメンシスの2021年作
2008年にデビュー、女性フルート奏者を含む5人編成となり2016年に再始動、本作は4作目となる。
やわらかなフルートの音色にシンセとギターが重なり、軽やかなリズムのアンサンブルを描きつつ、
ジャズロックとシンフォプログレが同居したような、優雅で繊細なインストサウンドを展開する。
前作から加入した鈴木和美のフルートは、ときにFOCUSのタイス・ファン・レアーを思わせつつ、
優しい音色を心地よく奏でている。4パートに分かれた10分を超える組曲では、スリリングな展開力も含んだ
プログレらしい味わいも楽しめる。ラストはフォーカス「House Of The King」のカヴァーでニヤリ。
優雅度・9 プログレ度・7 フルート度・9 総合・8
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CINDERELLA SEACH
日本のシンフォニックロックバンド、シンデレラ・サーチの1st。1993年作
美しいシンセにヴァイオリンが鳴り響き、英語歌詞の精細な男性ヴォーカルを乗せた、
たおやかなシンフォニックロックサウンド。ヴァイオリン入りの幻想シンフォという点では、
OUTER LIMITSあたりにも通じる雰囲気があり、初期GENESISなどを思わせるゆるやかな曲調に、
随所に日本的な情緒も感じられる。演奏面でのスリリングさは皆無だが、童話的な優しい聴き心地で楽しめる好作品。
シンフォニック度・・8 プログレ度・・7 しっとり度・・8 総合・・7.5
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CINDERELLA SEACH「STORIES OF LUMINOUS GARDEN」
日本のシンフォニックロックバンド、シンデレラ・サーチの2nd。2001年作
活動自体はけっこう古いが、メンバー交代などもあってかアルバムとしては2作目となる。
前作同様にバンド名通りの、ロマンティックで甘味のあるメロディが持ち味のサウンドで、
やわらかな歌メロや、優雅なヴァイオリンの音色が聴き手をおとぎの国に誘うようだ。
緊張感や技巧的な部分は少なく、全体的にゆるやかでキャッチーなシンフォニックロックが楽しめる。
シンフォニック度・・7 やわらか度・・8 楽曲・・7 総合・・7
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CINDERELLA SEACH「The Suite "Next World"」
日本のシンフォニックロックバンド、シンデレラ・サーチの2014年作
1993年にデビューし、本作は2001年作以来となる、じつに13年ぶりとなる3作目。
近未来SF的な壮大なストーリーを基にしたコンセプトアルバムで、きらびやかなシンセアレンジと
メロディックなギターを軽快なリズムに乗せて、壮麗にして優美なシンフォニックロックが広がってゆく。
英語歌詞によるマイルドなヴォーカルも、甘いロマンティシズムをサウンドに付加していて、
泣きのギターによる叙情とともに、かつてのアウター・リミッツなどにも通じる、ファンタジックな世界観に浸れる。
一方では適度にロック寄りのハードさや、曲によってはいくぶんモダンでキャッチーな感触もあったりと、
バンドとしての進化も覗かせる。シンフォニックロックの王道を、スケール大きなロマンで描いた力作である。
シンフォニック度・・8 プログレ度・・7 壮麗度・・9 総合・・8 
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CINEMA「INTO THE STAGE OF FLUX」
日本のシンフォニックロックバンド、シネマの2nd。2000作
1stも確か聴いたことがあったが、本作も日本的な情緒ただようゆったりとした曲調のシンフォニックロックで、
女性Voの日本語の歌唱に、シンセやヴァイオリンの音色が美しい。
女性Voのやや淡々としたシアトリカルな歌唱も含めて、雰囲気にはむしろ薄暗い叙情が内包されている気がする。
プロダクションのせいか、全体的に音に広がりが感じられず、
演面でのメリハリも希薄なので、長い曲が単長に聴こえてしまうのが残念。
シンフォニック度・・7 女性Vo度・・7 楽曲・・7 総合・・7


CINQ ELEMENT「Brodia」
日本のヘヴィロックバンド、シンク・エレメントの4曲入りミニ。2012年作
美女ヴォーカル、Majuをフロントにしたサウンドは、適度にキャッチーなメロディと
モダンなヘヴィさを併せ持ったスタイルで、この手としては普通に聴きやすい。
ツインギターの重厚さと、ポップ感のある歌メロがいくぶんミスマッチであるが、
疾走する2曲めなどはいい感じで、楽曲によってはそれを売りにもできそうではある。
女性ヴォーカルの力量不足も含めて、今後の成長に期待したい。
メロディック度・・7 重厚度・・8 女性Vo度・・7 総合・・7
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CINQ ELEMENT「Shining」
日本のヘヴィロック、サンク・エレメントの2013年作
2012年にミニアルバムでデビュー、本作は初のフルアルバムとなる。硬質なギターを乗せたヘヴィさと、
女性ヴォーカルの歌声を乗せたキャッチーなメロディアス性が合わさった、わりと聴きやすいサウンド。
Maju嬢のヴォーカルは鼻にかかったようなキュートな声質で、バックのヘヴィさに埋もれがちではあるが、
個人的には嫌いではない。一方、モダンなヘヴィロック風味のナンバーや激しい疾走ナンバーは、
正直、ヘヴィネスと歌とのミスマッチ感があって、舌足らずの彼女の歌声には合っていない気もする。
この路線で行くなら、今後もヴォーカルに対しては厳しい声が付かざるを得ないだろう。
個人的には、無理にメタルにせず、よりメロディックな方向に舵をきってよい気もする。
メロディック度・・7 モダンヘヴィ度・・7 女性Vo度・・7 総合・・7.5
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codename:Winglessscar/red
日本のゴシックメタルユニット、コードネーム:ウイングレスの2008作
ジャケを見るとまるでアニメか同人系のようだが、女性Voとギターのユニットで、
打ち込みによるリズムと、シンセとギターをメインにしたゴシックメタル風のサウンド。
女性ヴォーカルの歌唱は英語ながら、メロディには東洋的なフレーズが入っていて、
ヨーロピアンなシンフォゴシックを日本風にしてみましたという印象。
やはり、ドラムが打ち込みなので同人音楽の延長のように聴こえてしまうのだが、
ヴィジュアル的なメンバーの美意識も含めて、クラシカルな作風には惹かれる部分もある。
シンフォニック度・・7 メタル度・・6 女性Vo度・・7 総合・・7
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ColdrainThrough Clarity
日本のヘヴィロック、コールドレインの6曲入りミニ。2012年作
激しくスクリームするヴォーカルにヘヴィなギターサウンド、
随所にエモーショナルなキャッチーさを含ませたスタイルは
日本人離れした骨太の聴き心地で、ヘヴィロックとして純粋に格好いい。
センスのよいギターリフに適度にノリのよい疾走感もあって、
メタルファンにも充分楽しめるだろう。スケール感のあるバンドですね。
メロディアス度・・7 ヘヴィロック度・・8 骨太度・・8 総合・・8
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CONCERTO MOON 「From Father To Son」
日本のメロディックメタル、コンチェルト・ムーンの1998年作
ギタリスト、島紀史を擁する、日本を代表する様式美メタルバンドのデビュー作。
王道のギターリフにオルガンを含むシンセ、日本語歌詞のパワフルなヴォーカルを乗せた、
古き良きジャパメタ感触を残したサウンドで、随所に流麗なギターフレーズも盛り込んだ
ネオクラ風味も覗かせる。疾走ナンバーから、ノリのよいミドルテンポ、スローな叙情ナンバーまで、
バンドとしての勢いが感じられる濃密な聴き心地で、これぞ様式美ジャパメタという力作に仕上がっている。
メロディック度・・8 疾走度・・8 ジャパメタ度・・9 総合・・8
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COSMOS FACTORY 「トランシルヴァニアの古城」
日本のプログレバンド、コスモス・ファクトリーの1973年作
ミステリアスなメロトロンにムーグシンセが鳴り響くイントロから引き込まれるが、ギターが加わって
サイケロック的な浮遊感に包まれつつ、2曲目ではオルガンとメロウなギターを重ねた叙情性に、
日本的なコーラスハーモニーが幻想的な味わいで広がってゆく。日本語歌詞のヴォーカルの素朴な情感は、
のちの四人囃子や新月あたりにも通じる雰囲気で、泣きのギターとともに、70年代初期のロマンティシズムを描いてゆく。
オールドロックのグルーブと、日本的歌謡フォークの情緒が同居したような、なつかしくも耳心地の良いサウンドで、
ときにヴァイオリンなども加えたアレンジは、当時は斬新だったはず。B面すべてを使ったタイトル組曲のスケール感は、PINK FLOYDを思わせ、
オルガンやメロトロンに、ギターを重ねた重厚な幻想美が楽しめる。本格派日本プログレの最初の輝きというべき一枚だろう。
ドラマティック度・・8 プログレ度・・7 叙情度・・8 総合・・8
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CROSS VEIN「Birth of Romance」
日本のシンフォニックメタル、クロス・ヴェインの2012年作
きらびやかなアレンジとともに疾走するシンフォニックメタルテイストと、美しき女性ヴォーカルの歌声とともに
美意識に溢れた世界観を描き出す。随所に聴かせるテクニカルな演奏と、メロディのキャッチーさの点では
LIGHT BRINGERあたりにも通じる感触だが、曲によっては耽美な雰囲気や、LIV MOONばりの壮麗さもある。
美女Vo、
Julia嬢の歌声はフェミニンなキュートさをかもしだし、サウンドにもよくマッチしている。
演奏、楽曲共にレベルが高いので、今後の成長にさらに期待したいバンドです。美麗なる高品質作。
シンフォニック度・・8 美麗度・・9 女性Vo度・・8 総合・・8
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Cross Vein「Profusion」
日本のシンフォニックメタル、クロス・ヴェインの3曲入りEP。2013年作
クオリティの高かった1stフルに続くシングルで、若干のメンバー変更があったものの
壮麗なアレンジで聴かせる優雅なシンフォニックメタルサウンドは健在。
ツインギターによる重厚なサウンドをバックに、JULIA嬢のフェミニンな歌声もよく映えていて
適度に激しさも含んだ展開力ととともに、より強固な美意識がその世界観を構築している。
日本語歌詞による少し気恥ずかしいようなロマンティシズムを疾走曲に乗せた爽快感は、
いわば「萌え系シンフォニックメタル」といってもよいだろう。次のフルアルバムも楽しみですな。
シンフォニック度・・8 壮麗度・・9 女性Vo度・・8 総合・・8


Cross Vein 「Royal Eternity」
日本のシンフォニックメタル、クロス・ヴェインの2015年作
フルアルバムとしては3年ぶりとなる2作目で、本作はバンドのメジャーデビュー作となる。
舞踏会のような優雅なジャケのイメージ通り、シンフォニックで壮麗なイントロから、曲が始まると
ヘヴィなツインギターにJULIA嬢のフェミニンな歌声を乗せたシンフォニックメタルが炸裂。
メロスピ的な激しい疾走感を含みつつ、リズムチェンジによるテクニカルな感触とともに、
モダンな感触とメロディックなフックが合わさった、美麗なフィメールメタルが楽しめる。
声が裏返るJULIA嬢の歌唱は好き嫌いが分かれるかもしれないが、独特の歌声も個性としてとらえれば、
V系バンド的でもある甘いロマンティシズムを含んだその世界観に入れるのではないだろうか。
シンフォニック度・・8 壮麗度・・9 女性Vo度・・7 総合・・7.5 
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Cross Vein 「Gate of Fantasia」
日本のシンフォニックメタル、クロス・ヴェインの2018年作
華やかなルックスも含めてV系シンフォニックメタルというべき存在、フルアルバムとしては3作目となる。
シンフォニックで壮麗なイントロから、ツインギターにやわらかな女性ヴォーカルを乗せて、
ほどよい疾走感とともにキャッチーなサウンドを聴かせる。歌メロの陽性のクサメロ感とともに、
紅一点、Julia嬢の歌声にも力みがなくなり、自然体のやわらかさが感じられる。重すぎないギターと
美麗なシンセアレンジのバランスもよく、激しくモダンなヘヴィネスが薄まったぶん、ぐっと聴きやすくなった。
しっとりとしたバラードも感動的で、キャッチーなポップ性と優雅さが合わさった、ロマン派女性声シンフォメタルの逸品です。
シンフォニック度・・8 疾走度・・8 女性Vo度・・8 総合・・8 
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CROSS VEIN 「Life of Veins」
日本のシンフォニックメタル、クロス・ヴェインの2021年作
2012年にデビュー、フルアルバムとしては4作目となる。前作のキャッチーな作風は個人的に大歓迎であったが、
今作も壮麗でシンフォニックなアレンジに包まれて、なよやかな女性ヴォーカルとともに疾走する、
華麗でライトなメロスピサウンドが展開される。ロマンティックな日本語歌詞の世界観とともに、
Julia嬢のフェミニンな歌声がよくマッチしていて、わりと和風の味わいのクサメロ感も覗かせる。
楽曲は4〜5分前後で、きらびやかに疾走するインストナンバーから、ダンサブルなミドルテンポまで、
バラエティに富んでいて、随所にメタリックなヘヴィネスをまとわせつつ、あくまでキャッチーで美麗な味わい。
ラスト曲の華麗な疾走ナンバーは、シンフォニックな女性声メロスピとしてのキラーチューンというべき出来だ。
シンフォニック度・8 疾走度・8 女性Vo度・8 総合・8 
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CROSSWIND「U」
日本のロックバンド、クロスウインドの2nd。1979作
小川銀次、そうる透ら、日本ロック界の実力者が在籍していたこのバンド、
サウンドはプログレというよりも、フュージョン的な軽やかさをもったインストで、
日本を代表するギタリスト、小川銀次の見事なプレイがやはり聴きどころ。
ボトムのしっかりとしたドラムプレイとともに、ときにテクニカルにときにフリーキーに
自然体の演奏を聴かせてくれる。ジャズタッチのシンセワークも効いている。
メロディアス度・・8 プログレ度・・7 テクニカル度・・8 総合・・8
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CRY「壱」
日本のデスメタル、クライの2021年作
HIDE BOUNDのメンバーを中心としたバンドで、2016年のデビューEPに続くフルアルバム。
絡みつくようなギターリフと絶叫するヴォーカルを乗せて激しく疾走する、ブルータルなデスメタルであるが、
悲哀や苦悶、怨念を感じさせる日本語による歌詞や、ほのかにメロデス風味も残した流麗なギターフレーズも覗かせて、
ウェットでダークな世界観を描き出す。激烈なドラムとうねるようなベースを基盤にした、アナログ感ある生々しいアンサンブルは、
オールドスタイルのスラッシュやデスメタルを通過した迫力ある聴き心地で、楽曲は3分前後ながらも、突進するだけでない
テクニカルなリズムチェンジなどの確かな演奏力も含めて、非常に濃密かつ強度のあるサウンドを構築している。
Disc2は、2015年に急逝した三重のドラマー、Hee chungの率いたバンド、naqroの楽曲とCRYによるカヴァーを収録。
ドラマティック度・・7 暴虐度・・8 悲哀度・・9 総合・・8
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CYCLONE
日本のハードロックユニット、サイクロンの2008年作
ヴォーカルにNOVELAの五十嵐久勝、ギターにHELLENの清水保光、シンセに板倉真一
ドラムに下田武男が参加したスーパーバンドで、サウンドは疾走感のあるメロディックなHR。
アンジーのハイトーンヴォーカルと、オルガンを含んだプログレハード的なシンセワークを乗せて、
関西系の正統派様式美HRの感触に加え、かつてのNOVELAを思わせるキャッチーな聴き心地もある。
激しい疾走曲に、どっしりとしたミドルテンポ、しっとりとしたバラードなど、アルバムとしてのバランスもよい好作品。
メロディアス度・・8 様式美度・・8 関西プログレハー度・・8 総合・・8




CyntiaRun to the Future
日本のガールズメタルバンド、シンティアのデビューミニ。2012年作
ALDIOUSDestroseなど、ここ最近はガールズメタルバンドが増えてきているが
このバンドもシンセを含む女性5人によるメロディックメタルをやっていて、
キャッチーなメロディで疾走する、なかなか力強いサウンドだ。
ヴォーカルのやや平坦な感じやギターのフレージングなども含めて、
まだ個性的というほどのメロディはないのだが、今後の成長に期待したい。
メロディアス度・・8 女性Vo度・・7 楽曲・・7 総合・・7.5
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Cyntia「Endless World
日本のガールズメタル、シンティア2012年作
ALDIOUSに続くガールズメタルバンドとして注目されるこのバンド、
デビューミニに続きフルアルバムが登場。サウンドは、一聴してぐっとヘヴィになり、
骨太のギターリフに美麗なシンセアレンジが包み込む、メロディックなHRである。
日本語歌詞で歌うヴォーカルは、さほど華のある声質ではないのだが、
むしろ古き良きジャパメタ的というか、落ち着いた味わいがあって悪くない。
方向性としてはかつてのAPHASIAに近いものもあり、意外と正統派で楽しめる。
メロディック度・・8 日本度・・8 女性Vo度・・8 総合・・8
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CyntiaLady Made」
日本のガールズ・ハードロックバンド、シンティア2013年作
デビュー作もなかなかの好作であったが、2作目となる本作もキャッチーさと
ヘヴィさをバランスよく両立させた好作に仕上がっている。ミドルテンポを主体にした
正統派ハードロックを軸に、伸びやかな女性ヴォーカルで聴かせる爽快な作風で、
フックのあるメロディのアレンジはすでに堂々たるものだ。テクニカルなギタープレイも織りまぜながら、
前作以上にメタルとして激しさやモダンなきらびやかさを感じさせる。ジャケのように華のある高品質作品です。
メロディアス度・・8 正統派度・・8 女性Vo度・・8 総合・・8
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Cyntia 「Limit Break」
日本のガールズハードロック、シンティアの2014年作
2012年にデビュー、本作が3作目。いまやALDIOUSなどと並ぶ人気を誇るこのバンド、
のっけから疾走感あふれるメタルサウンドに、キャッチーなヴォーカルメロディを乗せた
爽快なハードロックが広がってゆく。Saki嬢の歌声は、メタルというよりは歌謡ロック的な雰囲気で、
陰陽座の黒猫ほどの表現力はまだないが、陽性なポップ性とメロディックな楽曲によく似合っている。
きらびやかなシンセを前に出しつつ、曲によってはどっしりとしたギターサウンドも聴かせてくれ、
普通のガールズロックバンドとは一線を画すハードな聴き心地がよいですね。
メロディック度・・8 ハード&キャッチー度・・8 女性Vo度・・8 総合・・8
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Cyntia「勝利の花束を-gonna gonna be hot !-」
日本のガールズハードロック、シンティアのシングル。2014年作
アルバム「Woman」からの先行シングル曲やライブ音源などを収録した3曲入りに、
PVやライブ映像を収録したDVD付の2枚組。これまでのアルバム3枚の路線からすると、
ぐっとポップなシングル曲であるが、ギターリフに関しては一応ハードさを残していて、
これはこれで悪くないと思わせる。爽快なサビでのSAKI嬢の歌声はなかなか魅力的だ。
ライブ音源も安定した演奏でノリもよく、アイドルヲタ的なお客の反応も含めてわりと楽しめます。
メロディック度・・8 キャッチー度・・8 女性Vo度・・8 総合・・7.5
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CYNTIA 「WOMAN」
日本のガールズハードロック、シンティアの2015年作
2012年にデビュー、4作目となる本作はジャケやメンバーのいでたちがずいぶんポップな雰囲気なのだが、
サウンドの方も、1曲目のアニメ主題歌からしてモダンな感触が増していて、ハードロック色はほぼ皆無に。
ただ、ヴューカル嬢の声質も含めて、このポップ&キャッチーな路線もけっこう似合っていて、
ハードロックだメタルだと思わずに聴けば、わりた普通に楽しめたりする。曲によっては、メロディのフックなどに、
かつての路線の名残も感じさせて、ハードロック色が完全にゼロになったというわけではない。
メジャー感溢れるサウンドで、キュートで爽快な女性声ロックという点では、歌唱の表現力も含めて
とてもクオリティが高い作品だし、TVアニメの主題歌にも採用されるのだから、その成功に拍手を送りたい。
メロディック度・・9 キャッチー&ポップ度・・9 女性Vo度・・8 総合・・8 
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D

DADA
日本のプログレユニット、ダダの1981年作/2013年リマスター
共にシンセ&ギターをこなす、泉陸奥彦と小西健司によるユニットで、
打ち込みのリズムに重ねられたシンセがきらびやかに鳴り響く、
エレクトロなモダン・シンフォニックというべき、当時にしては異色のサウンド。
オールインストであるが、メロディの流れには日本らしい叙情的な部分が多く、
単なる打ち込み系シンセサウンドとは一線を画すアーティスティックなセンスが感じられる。
とくに大曲“飛行船”の美しさ、“アルルの太陽”の雄大な叙情美は白眉である。
シンフォニック度・・8 エレクトロ度・・8 シンセ度・・9 総合・・8
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Darkness Rose
東京を中心に活動するゴシックメタル、ダークネス・ローズのミニアルバム。2011年作
ツインギターのヘヴィなリフとシンフォニックで適度にモダンさを含んだアレンジ、
そして実力ある女性ヴォーカルの歌声で聴かせるゴシックメタルサウンド。
ほの暗い叙情性とともにメロディにはキャッチーな普遍性があって、
マイナー臭さは感じさせない。Aira嬢の歌唱の表現力もなかなか素晴らしく、
ヨーロピアンな美意識を含んだ世界観とともに、説得力のある音に引き込まれる。
EVANESCENCELACUNA COILなどのファンでも充分楽しめるだろう。
メロディック度・・8 ゴシック度・・8 女性Vo度・・8 総合・・7.5
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Dazzle Vision「Crystal Children」
日本のゴス・ラウドロック、ダズル・ヴィジョンの3rd。2008作
パステル調のジャケだけ見ればまるでアキバ系アイドルのようだが、
サウンドの方は表現豊かな女性ヴォーカルで聴かせるしっかりとしたヘヴィロック。
Maiko嬢の歌声は日本語の歌詞とともに、ときに強烈なスクリームヴォイスも織りまぜつつ、
爽やかな女の子らしさとけだるげな倦怠の両面を覗かせるというスタイルで、なかなか面白さはある。
メロディアス度・・8 ヘヴィ度・・7 女性Vo度・・8 総合・・7.5
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DAZZLE VISION「to the next」
日本のゴス・ラウドロック、ダズル・ヴィジョンの2010年作
コケティッシュな女性ヴォーカルで聴かせるキャッチーな質感に、ときに強烈なスクリームヴォイスも交えたヘヴィロックサウンド。
シンセによる美しいアレンジも効果的で、ポップなまでのメロディアスさとヘヴィさが
交互にやってくるサウンドとしてのメリハリの点でもこれまでで一番かもしれない。
Maiko嬢の歌声は普通に魅力的なので、正直スクリーム声はいらない気がするのだが…
メロディアス度・・8 ヘヴィロック度・・8 女性Vo度・・8 総合・・7.5
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DAZZLE VISION「キラリ」
日本のゴス・ヘヴィロック、ダズル・ヴィジョンの2011年作
1曲めはキャッチーな普通の女性Voロックで、日本語歌詞も含めてJ POP的な感じもあるのだが、
2曲め以降は随所に彼女のスクリームヴォイスが現れて、その迫力はやはりインパクト充分。
ギターはときにヘヴィなリフを奏でながらメロディックなフレーズもこなし、二面性のあるサウンドにマッチしており、
コケティッシュな女性ヴォーカルはより魅力的になり、その表現力がずいぶん上がってきたことで、
スクリームの迫力ばかりで目立っていたこれまでよりも、バランスがとれてきた感じがある。
メロディアス度・・8 キャッチー度・・8 女性Vo度・・8 総合・・8
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DAZZLE VISION「SHOCKING LOUD VOICE
日本のゴス・ヘヴィロック、ダズル・ヴィジョンの2012年作
過去曲のリミックスにライブ音源や新曲も入った10曲入りの企画アルバム。
ラウドなヘヴィロック風味とキャッチーなメロディを合わせたいくぶん極端な感じの楽曲に、
激しいスクリームとコケティッシュな歌声を使い分けるMaiko嬢のヴォーカルが乗る。
彼女の歌声の強烈なインパクトがバンドの持ち味なのだろうが、正直、女性スクリーモは苦手です。
最近のアルバムがよりメロディックな路線にきていたので、個人的にはそちらが好きかな。
メロディック度・・7 ヘヴィロック度・・8 女性Vo度・・7 総合・・7
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Dazzle Vision 「Final Attack」
日本のラウドロック、ダズル・ヴィジョンの2014年作
強烈なスクリームヴォイスを操る女性ヴォーカルを擁するバンドで、本作はすでに6作目となる。
過去曲のリミックスであった前作の路線からの流れの、スクリーモ系のヘヴィロックサウンドに
本作ではよりJPOP風のメジャーなポップ性が極端にミクスチャーされた作風となっている。
個人的には、Maiko嬢のコケティッシュなノーマルヴォイスがけっこう好きなので、
普通に歌うナンバーはよいのだが、エフェクトのかけられた歌声はやや微妙なところ。
楽曲3〜4分前後でわりとシンプルで、曲によっては疾走するメロスピ風味や、
パフュームのようなエレクトロなナンバーもあったりと、けっこう振り幅の広い内容だ。
キャッチー度・・8 ヘヴィロック度・・8 女性Vo度・・7 総合・・7.5
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DecoLa Hopping 「Pirates' logbook」
日本のV系ハードロックバンド、デコラ・ホッピングの2011年作
コスプレな感じで海賊な感じの女性Vo入りV系バンドの6曲入りミニ。
案外ヘヴィでメタリックなギターサウンドときらびやかなアレンジに、表現豊かな女性ヴォーカルの歌声を乗せた、
キャッチーな作風。随所に聴かせるギターのフレーズもいい感じで、メロディといい楽曲アレンジといい、
普通にメタルとしても楽しめる。ポップな爽やかさにハードな疾走感も含んだ好作だ。
メロディック度・・8 メタル度・・7 女性Vo度・・8 総合・・7.5
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DEJA VU「BAROQUE IN THE FUTURE」
日本のプログレバンド、デジャ・ヴの1988年作
いまやゲームミュージック界においてその地位を確立する桜庭統率いるバンドの唯一の作品
クラシカルな鍵盤さばきと構築センスという点では、日本のキーボードプログレ最高峰の一枚である。
変拍子リズムをたっぷり織り込みつつ、優雅にメロディを紡いでゆく作風は、この時点で
すでに桜庭節というべきスタイルが確立している。正直、ヴォーカルに関しては苦言を呈したくなるので、
楽曲のオマケ程度に思って鑑賞した。なんにしても本作は現在の桜庭氏を語る上でも外せない作品であろう。
メロディック度・・8 プログレ度・・8 キーボー度・・9 総合・・8
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DEMIGODVICIOUS CIRCLE
日本のヘヴィロックバンド、デミゴッドの2003作
女性のスクリームヴォイスと男性のノーマルヴォイスといういままでになかった男女ヴォーカルで聴かせるサウンド。
モダンなヘヴィロックアレンジの中にも、どことなく日本的な哀愁を感じさせ
楽曲にはなかなか聴き応えがある。ラップ調の歌の乗せ方は好みが分かれるだろうが、
若手にしては演奏力は高く、またドラムなどの音は生々しく、ロックとしての躍動感に満ちている。
メロディアス度・・7 モダンヘヴィ度・・8 日本的叙情もあり度・・7 総合・・7.5
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DESTROSE「FENIXX -to revive-」
ガールズメタルバンド、デストローズのシングル。2012年作
可愛らしいコスチュームに身を包んだメンバーの姿は、ほとんど萌え系バンドのようだが、
サウンドの方はパワフルに疾走する正統派のメロディックメタルで、これがなかなかよい感じ。
日本語歌詞によるヴォーカルの表現力ある歌声と、ツインギターのメロディもよろしく、
ビジュアル以上に実力で勝負する姿勢が伝わってくる。フルアルバムが楽しみなバンドだ。
メロディック度・・8 ちゃんとメタル度・・8 ちゃんとパワフル度・・8 総合・・7.5
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DESTROSE
日本のガールズメタルバンド、デストローズの2013年作
ジャケからしてもう華やかさ満点の1stフルアルバムですが、サウンドの方はヘヴィなギターとともに疾走する
かなり本格派のスタイルで、ルックスからは想像できない激しさです。男性顔負けのパワフルなドラムに
情感豊かなヴォーカルの歌声、ツインギターは随所にX JAPAN的なメロディックなフレーズを聴かせながら、
ヘヴィなリフをザクザクとかます。メタルとしてのパワフルさは、ガールズ系バンドの中でも屈指でしょう。
これだというキラーチューンがあれば、さらにアルバムとしての完成度が上がるかと思います。
メロディアス度・・7 ヘヴィ度・・8 女性Vo度・・8 総合・・8
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DIR EN GREYUROBOROS
日本のハードロックバンド、ディル・アン・グレイの2008年作
正直、これまではビジュアル系バンドのひとつという認識しかなかったのだが、
先入観なしに、1999年のメジャーデビューから7作目となる本作を聴いてみる。
なにやらダークで民族的なイントロから不穏なものを漂わせているが、
続く2曲めは9分を超える大曲で、ヘヴィなギターリフと日本的な情感を含んだヴォーカル、
もの淋しい静寂と激しさのコントラストと、プログレッシブなアレンジが効いていて面白い。
その後もモダンなヘヴィさと、かつてのBUCK-TICKを思わせるような耽美な世界観で、
激しさと混沌の中に狂気とはかなさと激情を描いてゆく。スクリームヴォイスを取り入れたり、
中近東的な音階を用いたりと、アイデアは豊富だが、メタルとして聴くにはやや物足りないか。
V系のヘヴィロックとしてはなかなかよく出来ているとは思う。作品としてのまとまりが欲しい。
ドラマティック度・・7 メタル度・・7 ダークな激情度・・9 総合・・7.5
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DIR EN GREY「DUM SPIRO SPERO」
ディル・アン・グレイの2011年作
激しくも混沌としていた前作からの流れにあるものの、本作ではさらに極端なまでの芸術性が
得体の知れない不気味さとともに、いっそうの説得力をともなって描かれている。
狂気をともなったヴォーカルの表現力は、頽廃、耽美というべき世界観をかもしだし
ギターのリフやフレーズの挿入の仕方にも細心の緻密さが窺えるようになった。
プログレッシブなまでのスケール感と、場面ごとの音の重ね方がぴたりと決まっていて、
サウンドとしての完成度は前作を軽く凌いでいる。ドゥーミーなダークさにメタリックな激しさ、
叙情を含んだ唐突な切り返し、そのアヴァンギャルドな感性に演奏が追いついてきている。
ロマンの香りを含んだメロディと、カオティックな混沌が巧みに融合された力作といえる。
ただ、濃密な上に曲が多いので、後半にはさすがに飽きがきてしまうが…
ドラマティック度・・8 メタル度・・8 ダークな激情度・・9 総合・・8
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DIVINE WIND 「FRONT CRASH -最前線の激突」
日本のメロディックメタル、ディヴァイン・ウインドの2014年作
まるでアキバ系の同人ソフトのようなジャケが恥ずかしくて一般のメタラーは敬遠する方も多いだろうが、
ネオクラシカルなギターとハイトーンヴォーカルを乗せて疾走する、きらびやかなメロスピサウンドで、
マシンガンのようなドラムはドラフォー以上に速くてびっくりする。音質がラウドなのがいかにも自主制作らしいが、
甲高いハイトーンヴォーカルに、バンドの演奏力もわりとしっかりしていて、ただのアマチュアの域は超えている。
日本語の歌メロはわりと古き良きジャパメタやV系メタルの感触もあって、キャッチーなクサさがわりと楽しめる。
全22曲入り、79分という長さも凄いが、それが定価\1000というのも、まさに同人音楽並みのコストパフォーマンス。笑
メロディック度・・8 疾走度・・9 ネオクラ度・・8 総合・・7.5
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DOLL$BOXX「DOLLS APARTMENT」
LIGHT BRINGERのFukiとGacharic Spinが合体したユニット、ドールズ・ボックスの2012年作
ガチャピンの方はよく知らないのだが、サウンドはきらびやかなシンセで聴かせる
ヘヴィロック風味で、そこに
Fuki嬢の伸びやかな歌声がキャッチーなメロディを乗せてゆく。
疾走する曲もあるが、メタルというよりはもっとポップな感触で、ピコピコとしたシンセアレンジに
スクームヴォイスも入ってきて、いかにも今どきのボーダーレス感覚で仕立て上げたという雰囲気。
正直、メタルとして聴くにはノリが違うのだが、モダンなヘヴィポップというようなガールズロックが楽しめる。
メロディック度・・7 メタル度・・6 女性Vo度・・8 総合・・7.5
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DOUBLE-DEALERDouble Dealer
Concerto Moonの島紀史とSABER TIGERの下山武徳によるユニット、ダブル・ディーラーの1st。2000年作
ややダーティで骨太の下山の歌声と、ときにテクニカルなプレイを織りまぜる島のギターワークで、
パワフルに聴かせる正統派のメタルサウンド。適度なシンセアレンジも加わった演奏は、
これまでのジャパメタという範疇を突き破るかのように力強い。本格派という点ではBLINDMANにも通じるか。
最近のメロスピやアキバ系ばかりのメタルに飽きたら、ぜひともこの王道のヘヴィメタルに触れて欲しいものだ。
メロディアス度・・8 パワフル度・・8 正統派度・・8 総合・・8
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DOUBLE-DEALER「DERIDE ON THE TOP」
Concerto Moonの島紀史とSABER TIGERの下山武徳による、ダブル・ディーラーの2nd。2001年作
王道の様式美メタルを追求した前作もじつに見事な出来であったが、本作も同様。
かすれ気味のダーティな歌声と、テクニックある流麗なギターワークで聴かせる
力強いヘヴィメタルナンバーが揃っている。古き良き英国HRを思わせるシンセも効いており、
メロディックなパワーバラードなども含めて、アルバムとしての完成度はやはり高い。
メロディアス度・・8 パワフル度・・8 正統派度・・8 総合・・8
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DragonGuardian「聖邪のドラゴン」
アキバ系メロスピパンド、ドラゴンガーディアンの1st。2007作
ジャケからしてメタルとは思えない同人系の香りぷんぷんであるが、サウンドはやや音程の危うい、
アキバ声優系の女性ヴォーカル
の歌声と、ツーバスドコドコのメロスピ疾走曲が合体したもの。
物語のナレーション的なセリフも入ってくるあたりは、Sound Horizonなどにも通じるような
こっ恥ずかしいくすぐったさがあるが、ストーリー入りのアキバメタルとして楽しめればよいのだろう。
正直、この素人臭いヘタウマヴォーカルで、自分はもう赤面ですけど。
メロスピ度・・8 アキバ度・・9 女性Vo度・・6 総合・・7
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Dragon Guardian遙かなる契り」
勇者アーサー率いるファンタジックメロスピ、ドラゴン・ガーディアンの2作目。2008年作
ラノベ調のナレーションから始まり、恥ずかしげもない疾走メロスピサウンドが炸裂。
ヘタウマな女性ヴォーカルの歌声と、壮麗なシンフォニックアレンジ、アニメ調のセリフとともに
ファンタジーな世界を描いてゆく手法は、本作で確立したといってよいだろう。
シンフォニック度・・8 メロスピ度・・8 女性Vo度・・7 総合・・7.5
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Dragon GuardianDragonvarius」
勇者アーサー率いるファンタジックメロスピ、ドラゴン・ガーディアンの3作目。2009/2010年作
以前に1stを聴いたときはセリフ入りのアニメっぷりに恥ずかしくてダメだったのだが…
今作も基本は打ち込みドラムで疾走するきらびやかなクサメロスピサウンドは同じだが、
LIGHT BRINGERのFukiがVoで参加していて、歌唱の説得力はずいぶん上がった。
音の軽さはいかんともしがたいが、こういうジャンルなのだろうと思い込めばしだいに慣れてくる。
物語を語るナレーションやセリフも曲展開に合わせていて、メロスピオペラと思えばよく出来ている。
ちなみに、これはリマスター再発版ということだが元を聴いていないので違いがよく分からない。
メロディアス度・・8 メロスピ度・・8 女性Vo度・・8 総合・・7.5
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Dragon Guardian真実の石碑」
勇者アーサー率いるファンタジックメロスピ、ドラゴン・ガーディアンの4作目。2010年作
アニメちっくな世界観と物語性を持ったファンタジックなメロスピサウンドで人気を博し、
本作ではついにメジャーデビューということか、ライナーには和田誠氏のインタビューもある。
クサメロたっぷりのギターフレーズときらびやかなシンフォニックアレンジで疾走、
ヴォーカルはLIGHT BRINGERのFuki嬢なので、打ち込みのドラム除けばかなり高品質の
メロスピサウンドが楽しめる。また今作では声優によるセリフはなくなり、ナレーションのみなので、
これなら一般のメタルリスナーもジャケを除けばさほど恥ずかしさをあまり感じずに聴けるだろう。
随所にフォルクローレ風のメロディやRHAPSODYばりのエピックさも盛り込みながら、ライトノベル的物語を描き出す。
同人活動からスタートしたことを思えば、このクオリティの高さは、もはやアキバ系メタル云々を超えている。
メロディアス度・・8 メロスピ度・・8 女性Vo度・・8 総合・・8
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新選組魔戦記」
Dragon GuardianKNIGHTS OF ROUNDが人気声優とコラボしたユニットの2011年作
美少女化した新選組というストーリーのようで、ナレーションとセリフ入りの和風メロスピサウンド。
勇者アーサーとYAZINが作曲を分け合っているが、曲調はシンフォニックなメロスピに、
和風テイストの旋律を付加したもので、キャッチーなサビメロで疾走するのはいかにもな感じ。
無茶な物語設定のせいもあるのだろう、セリフ部分はやっぱり恥ずかしく、同人アニメレベルの説得力。
ニコニコ動画で人気らしい“実谷なな”、みーやの女性Vo陣はなかなか頑張っていて、曲自体はけっこうよいのだが。
メロディアス度・・8 メロスピ度・・8 女性Vo度・・8 総合・・7.5
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DragonGuardian聖魔剣ヴァルキュリアス
勇者アーサー率いるファンタジックメロスピ、ドラゴン・ガーディアンの5作目。2012年作
これまでの最高傑作となった前作真実の石碑」に続くメジャーデビュー2作目となる。
今回は異世界における「革命代行屋」という物語コンセプトで、ファンタジックなアニメ的世界観を
シンフォニックかつ美麗なアレンジで描いてゆく。LIGHT BRINGERのFukiの伸びやかな歌声とともに疾走し、
キャッチーなメロディと壮麗なオーケストレーションが同居する、壮大さとポップ性が巧みに融合されている。
物語を語るナレーションとアニメチックなセリフは随所に健在だが、ドラムが生音になったことで
良くも悪くも同人臭かった過去作と比べると、普通にシンフォニックメタル作品として鑑賞できる。
ライトノベル的なストーリーメタルという、ひとつのジャンルを確立したというべき力作に仕上がっている。
シンフォニック度・・8 疾走度・・9 ファンタジー度・・9 総合・・8
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Dragon Guardian & KNIGHTS OF ROUND“桜牙”「POLYPHONY 」
ドラゴンガーディアンの勇者アーサーとナイツ・オブ・ラウンドのYAZINによるユニットの2012年作
ヴォーカルにAkira(Azrael)、Leo Figaro(MinstreliX)、Eizin(元MASTERPIECE)が参加、
クラシカルなイントロから、それぞれのハイトーンヴォーカルを乗せて、メロスピ的に疾走するサウンド。
シンフォニックなアレンジやクサメロ感もよい感じで、楽曲の新鮮味云々という点では
正直、予想以上のインパクトはないのだが、随所にテクニカルにギターやクサフレーズを盛り込んで、
全7曲をメロディックに聴かせる。ドラガーやミンストなどが好きな方なら普通に楽しめる内容だろう。
メロディック度・・8 疾走度・・8 新鮮度・・7 総合・・7.5
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Drakskip 「それでも舵を取る」
京都のモダントラッドバンド、ドレクスキップの2012年作
ニッケルハルパ&フィドル、ヴィオラ、12弦ギター、パーカッションという編成の4人組で、
北欧トラッドをベースにしたモダンで土着的なアコースティックサウンドを聴かせる。
優雅に鳴り響くヴィオラとフィドルに12弦ギターの繊細なつまびきとパーカッションのリズムで、
躍動感あるアンサンブルを描き出す。若手ながらトラッドとしての音の説得力がしっかりとあって、
ヴィオラのフレーズひとつをとっても涼やかな感触が広がってゆく。北欧トラッドの入門用にもなりそうな好作品。
アコースティック度・・8 プログレ度・・7 北欧トラッ度・・8 総合・・8
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DREAMSTORIA
日本のメロディアス・ハードバンド、ドリームストーリアの2012年作
MinstreliXのLeo FigaroとJ POP界で活動するギタリスト、綿貫正顕を中心にしたバンドで、
キャッチーなメロディと湿りけのある叙情で聴かせる正統派のメロディアス・ハードサウンドが楽しめる。
繊細なハイトーンヴォーカルと、FAIR WARNINGあたりにも通じる日本人好みのギターフレーズ、
安定感あるリズム面も含めてクオリティは高く、海外の一線級バンドにも遜色のない聴き心地である。
哀愁を含んだ叙情とポジティブなキャッチーさを同居させつつ、そこはかとなくファンタジックな雰囲気も漂わせた好作品。
メロディック度・・8 叙情度・・8 正統派メロハー度・・8 総合・・8
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DREAMSTORIA 「Dreams Never End」
日本のメロディアス・ハードロック、ドリームストーリアの2017年作
MinstreliXのLeo FigaroとJ-POPシーンで知られるギタリスト、綿貫正顕を中心にしたバンドで、
5年ぶりの2作目となる。きらびやかなシンセアレンジと流麗なギターワークに、マイルドなヴォーカルを乗せた、
キャッチーなメロディアスハードロックは前作の延長上のもの。かつてのFAIR WARNINGにも通じるような
優美なメロディに日本的な叙情とファンタジックな世界観を加えたという、じつに耳心地の良いサウンドである。
六合のドラムも参加していて、リズム面での安定感も含めて、レベルの高い演奏がバックをしっかりと支え、
ここぞと伸びやかなハイトーンヴォーカルに優雅な泣きのメロディを奏でるギターも見事。すべてが高品質なメロハーです。
メロディック度・・8 キャッチー度・・8 叙情度・・8 総合・・8
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Early Cross「Solstice」
東京を中心に活動する、プログレッシブ・ハードロックバンド、アーリー・クロスのミニアルバム。
ウクライナ人との混血という美人女性ヴォーカルを含む5人組で、メンバーはみな20代の新鋭バンド。
サウンドの方はひと言では形容できない奥深いもので、メタルやゴシック、プログレなどの要素を持ちつつ
型にはまらない柔軟さが感じられ、テクニカルにすぎず激しすぎず、難解すぎず、という絶妙の路線。
紅一点、ナターシャ嬢の歌声は、女性らしい美しさとともに、英語歌詞による堂々たる力強さに溢れ、
この希有なるヴォーカルの存在だけでも、日本離れした世界観を作り出しているといっていい。
そしてバンドのブレインであるHiroaki Kato氏の音楽的素養の広さが楽曲の懐の深さとなっているのだろう、
包み込むような薄暗い叙情とともに、ときにしっとりとしたメロトロンの音色が流れるあたりは、じつに心憎い。
ゴシックメタル風味の女性Voものとしても楽しめ、じっくりと聴けるプログレハードロックとしても素晴らしい。
メタルとプログレをつなぐ貴重な存在として、今後とも応援したいバンドである。マイスペで試聴可能
薄暗叙情度・・8 プログレ度・・7 女性Vo度・8 総合・・8

Early Cross「Pathfinder」
日本のプログレッシブメタル、アーリー・クロスの2013年作
自主制作の「Solstice」から5年、満を持しての世界基準でのデビューアルバム。
薄暗い叙情とともに知的でプログレッシブな構築センスを聴かせるサウンドはよりダイナミックとなり、
ウクライナ人とのハーフである
女性ヴォーカルの浮遊感のある歌声とともに、独自の世界観を描き出す。
ときにOPETHあたりにも通じる起伏のあるメタリックサウンドに、 古き良きブリティッシュロックのような感覚を融合させ、
いわばプログレッシブ・メタル/ハードロックのひとつの方向性を示すような、重厚にして繊細、叙情的な聴き心地である。

有機的なギターの重なりと、随所にうっすらとしたシンセも加えて、アレンジの細やかさが絶妙のダイナミクスを生み出している。
14分の大曲も含めて、プログレ、メタルの垣根を超えるような、日本人離れしたスケール感を内包した力作というべき仕上がりだ。
ドラマティック度・・8 プログレッシブ度・・8 構築センス・・9 総合・・8
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Earnest-Eros 「Resonance of Souls」
日本のメロディックメタル、アーネスト・エロスの2019年作
2010年にデビュー、本作は2作目のEP。女性Vo、女性シンセ奏者を擁する編成で、
正統派のギターにハスキーな女性ヴォーカルを乗せた、オールドスタイルのサウンドで、
シンセアレンジを加えたシンフォニックな味わいも加わった感触。楽曲は3〜4分前後とシンプルであるが、
キャッチーなノリの良さと日本的な情感を含んでおり、随所に流麗なギタープレイも織り込んだ聴き心地。
Emi嬢の歌声は、浜田麻里を思わせる伸びやかなハイトーンで、古き良きジャパメタ的な楽曲によく似合っている。
全6曲入りのEPながら、どの曲にもメロディのフックがあって、なかなか楽しめる。フルアルバムに期待したい。
メロディック度・・8 ジャパメタ度・・8 女性Vo度・・8 総合・・7.5
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EASTERN ORBIT 「FUTURE FORCE」
日本のハードロックバンド、イースタン・オービットの1982年作
メンバーチェンジにともない、ヘヴィ・メタル・アーミーが改名、美しいシンセを含んだ
キャッチーなメロディで聴かせるクオリティの高いハードロックサウンドは同様ながら、
普遍的ロックとしてのノリの良さと巧みなアレンジ力が合わさった聴き心地はHMA以上の出来だ。
ラスト曲はKING CRIMSON“Epitaph”のカヴァーで、ロックアレンジされた名曲が面白い。
本作をもってバンドは消滅、シンセの中島優貴はソロ作品や、「力王」「孔雀王」などの
イメージアルバムでも活躍。そちらもプログレファンには楽しめる傑作なのでチェック。
メロディアス度・・8 プログレ度・・7 シンセ度・・8 総合・・8
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e:cho「ソラノウタ」
日本のロックバンド、エコーの2010年作
女性Vo、女性シンセ奏者を含む5人組で、キャッチーなメロディとシンセによる
きらきらとしたシンフォニックなアレンジ、表現力ある歌声で聴かせるメロディックロック。
心温まるような歌詞とともに依空嬢の伸びやかな歌声は、聴き手の心をほのぼのとさせる。
一方では、ヘヴィなハードロックナンバーもあり、フックのあるメロディアスさは
多くのリスナーに聴かれるべき普遍性も有している。安定したリズム面も含めて、
若手ながらしっかりとした演奏力もあり、今後の成長にさらなる期待をしたいバンドだ。
メロディアス度・・8 メタル度・・7 女性Vo度・・8 総合・・8
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e:cho feat.「none:t」
日本のロックバンド、エコー フィートの2011年作
アルバム「ソラノウタ」を最後にVo依空が脱退、本作はe:choとは別のプロジェクト作品で
LANCER BeeのAYUMI、RAMPANTのHIROKOGUARDIAN HACKERのASAMI、
HIGH and MIGHTY COLORのHALCA、元Mechanical Teddyのyoppyなど
9人の女性ヴォーカルが参加した、震災復興への祈りを込めたアルバムとなった。
適度にヘヴィなモダンさとキャッチーなメロディアスさで、勇気づけられるようなポジティブな歌詞を
それぞれの女性ヴォーカルが歌い上げながら、 爽やかなロックを聴かせてくれます。
メロディアス度・・8 ポジティブ度・・9 女性Vo度・・8 総合・・8
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e:cho「Carpe diem」
日本の女性声ロックバンド、エコーの2018年作
2007年にデビューし、7作目となる。適度にハードなギターにシンセアレンジを重ね、日本語歌詞による伸びやかな女性ヴォーカルで、優雅でキャッチーなJ-ROCKを聴かせる。
ときにハードロック的な部分や、プログレッシブな感触もほのかに覗かせつつ、あくまでメジャー感あるストレートな作風で、一般のJ-POP系リスナーでも普通に楽しめるだろう。
サビでの爽快なメロディアス性や、モダンなビート感によるポップな要素など、正直、メタルやプログレリスナーにはどっちつかずのサウンドなのだが、表現力あるヴォーカル嬢のおかげでそこそこ心地よく聴けてしまう。3〜4分前後が主体で、全35分というのは少し物足りないか。
メロディック度・8 キャッチー度・8 女性Vo度・8 総合・7.5
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eden
難波弘之によるプロジェクト、エデンの2008年作
センス・オブ・ワンターや野獣王国など、フュージョン、プログレ的なサウンドを得意とする難波氏が、
本作では、なんとモダンなアンビエントミュージックに挑戦。打ち込みのリズムの上にうっすらとシンセを重ね。
ゆったりとした聴き心地のエレクトロなサウンドが楽しめる。女性スキャットを乗せた幻想的なナンバーや、
ゲストの上野洋子が参加してのヴォーカルナンバーなどもあり、わりとキャッチーな感触で聴きやすい。
プログレ的な部分はあまりないが、ブライアン・イーノのようにのんびりと楽しめる耳心地の良い作品です。
メロディック度・・8 プログレ度・・6 シンセ度・・7 総合・・7.5
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Eleanor「a circle of lament」
日本のゴシック・ハードロックバンド、エレノアの2008作
日本産の本格派ゴシックメタルとしても、コアなファンの間ではすでに名も知られている存在。
ヘヴィさよりもメランコリックな叙情を感じさせるギターワークに、やわらかな女性ヴォーカルの歌声、
ゆったりとした曲調と、派手さよりも薄暗い美意識を感じさせる世界観は、なかなか耳に心地よい。
フィンランドのバンドなどを思わせるようなもの悲しい美しさと、日本的な泣きのギターフレーズが合わさって
とても聴きやすいサウンドだ。日本語歌詞の曲などは大鴉を思わせるような雰囲気もあるし、
ヴォーカルさんの表現力が増せばさらに伸びそう。ゴシックというよりはむしろメランコリックHRである。
メロディアス度・・8 メランコリック度・・8 女性Vo度・・7 総合・・7.5
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Eleanor 「Breathe Life into The Essence」
日本のゴシックハードロック、エレノアの2013年作
ゴシック風味のハードロックという雰囲気だった前作に比べて、今作はよりメランコリックな雰囲気が増して、
ほぼゴシックメタルといってもよいくらいのサウンドになった。しっとりとした女性ヴォーカルの歌声は
日本語歌詞によるどこかなつかしいようなはかなげな情感とともに艶めいた魅力を増していて、
ギターによるメロウなフレーズと美しいシンセアレンジ、それにストリングスなども随所に効いている。
日本的な泣きのメロディとヨーロピアンなゴシックテイストを上手く融合させた世界観は、
単なる海外ゴシックの模倣になっていないのが素晴らしい。格段の成長を遂げた力作です。
メロディアス度・・8 メランコリック度・・8 女性Vo度・・8 総合・・8
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Eleanor 「Celestial Nocturne」
日本のゴシック・ハードロック、エレノアの2016年作
2008年にデビュー、関西出身の女性声ゴシック・ハードロックバンドとして人気を集め、本作は3作目となる。
メランコリックなギターフレーズを乗せたインストナンバーで幕を開け、日本語歌詞の女性ヴォーカルを乗せた、
湿り気のあるキャッチーな歌謡ロックと、重厚なメタル感触が自然に融合した独自のサウンドが楽しめる。
ツインギターに艶やかなヴァイオリンも加わった厚みのあるアレンジに加え、サウンドプロダクションの迫力が増したことで、
音質面での説得力が世界観の強度にもつながっている。Shiori嬢の歌声は、日本的な情感を艶やかに表現していて、
一貫したバンドの方向性をより高いレベルで描き出している。キャリア10年をへたバンドの自信がうかがえるアルバムだ。
ドラマティック度・・8 ゴシック度・・7 女性Vo度・・8 総合・・8 
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Eleanor 「Downhearted」
日本のゴシック・ハードロック、エレノアの2021年作
2008年にデビュー、4作目となる本作は、叙情的なツインギターに艶めいた女性ヴォーカルを乗せ、
ヴァイオリンも重ねた優雅なアレンジとともに、ほどよいキャッチーなノリを含んだサウンドを聴かせる。
メロウなフレーズを奏でるギターや優美なシンセ、日本語歌詞による情感あるShioriの歌声は、
ときに昭和歌謡的な雰囲気も覗かせて、語りを含んだ演劇性など、和風ゴシックメタルというべき
独自の世界観を確立している。派手さはないが、耽美な倦怠の香りが心地よい逸品です。
ドラマティック度・8 ゴシック度・7 日本度・8 総合・8 
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ELENDIRA「STARY SHEEP」
日本のメロパワバンド、エレンディラのミニアルバム。2009年作
AZRAELGALNERYUSの登場によって、日本のメロディックメタルバンドのレベルは
年々上がってきているが、東京で活動するこのバンドもなかなか期待の逸材だ。
シンフォニックな美麗さと、力強さよりもマイルドなヴォーカルの歌声を載せて疾走するスタイルは、
むしろイタリアの軟弱系メロスピバンドなどの感触にも近く、そのキャッチーなメロディには
クサメロ好きは軽く悶絶するだろう。一方ではツインギターの絡みはジャーマンメタル的で、
若手ながら繊細さとパワフルさの合わさったツボを押さえた曲作りには将来性を感じさせる。
メロディアス度・・8 美麗度・・8 疾走度・・8 総合・・7.5
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ELENDIRA「INNOCENT AGE」
日本のメロスピバンド、エレンディラの2012年作
デビューミニもなかなかの好作であったが、フルアルバム1枚めとなる本作も、
シンフォニックに疾走する美麗なサウンドがたっぷり詰まっている。
V系気味のメンバーの出で立ちや、メタルにしては線の細い繊細なヴォーカルなど、
けっこう好みは分けるだろうが、爽やかな耳心地の良さとロマンティックな雰囲気は、
メタルが苦手な女性リスナーにも受けるだろう。個人的にはやや気恥ずかしい音だが、
メロディセンスはちゃんとあると思う。キャッチーなヴィジュアル系メロスピというべきか。
ドラムにはBALFLAREのメンバーがサポートで参加している。
シンフォニック度・・8 疾走度・・8 繊細度・・8 総合・・7.5
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Elga 「elgarhythm 1 憧憬」
日本の女性アーティスト、エルガの2008年作
ガットギターのつまびきに、伸びやかな日本語の女性ヴォーカルを乗せて、
しっとりと翳りを帯びた日本的な情緒に包まれた空気感を描き出す。
いわゆる弾き語りのスタイルであるが、ギターの音色も歌声にも、
表現豊かな実力があって、シンプルな音数ながら、独自の世界観を作り上げている。
いくぶん薄暗いゴシック的な感性も匂わせるところも、わりとマニア好みかもしれない。
アコースティック度・・8 薄暗情緒度・8 女性Vo度・・8 総合・・7


ElupiA 「WILDERNESS」
日本のシンフォニックメタル、エルピアの2013年作
ピアノとオルガン、二人の鍵盤奏者を擁する編成で、オーケストラルなイントロから、
激しめの打ち込みドラムにギターを乗せ、日本語歌詞の女性ヴォーカルで聴かせるサウンド。
中音域からソプラノまでこなすNene嬢の歌声は、演劇的でオペラティックな雰囲気があって、
クラシックやジャズの素養も感じさせるピアノとともに、楽曲は優雅でわりとキャッチーな味わい。
打ち込みによるデジタルなアレンジなどは、正統的なシンフォニックメタルを好きな方には、
いくぶんエキセントリックな感じるかもしれない。音質のラウドさもいかにも自主制作っぽい。
女性ヴォーカルの実力はあるので、ラスト曲のような優美なシンフォニック路線が似合っていると思う。
シンフォニック度・・7 メタル度・・7 女性Vo度・・7 総合・・7
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ERA Akihisa Tsuboy×Natsuki Kido duo
鬼怒無月氏とKBB壺井氏によるユニット、イーラのアルバム。
ヴァイオリンとアコギによる最小限の音数ながら、演奏のテンションはさすがで、
ライブ録音ということもあり、生の音の迫力と緊張感が伝わって来る。
楽曲には多分に即興的な要素があるのだろうが、鬼怒無月氏のギターはときにたたみかけるように迫って来る凄さで、
KBBでは優雅な音色を聴かせる壺井氏のヴァイオリンもそれに負けじと弾きまくる。
ゆるやかなパートでも張りつめた空気があり、アコースティックとは思えない音の緊張感だ。
たった二人でも一流の演奏者が合わされば、これほどの音楽になるのだという作品。
ヴァイオリン度・・9 アコースティカルな美度・・9 演奏テンション・・9 総合・・8
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ERIE「PRAYER」
「ワーズワースの冒険」のテーマやアニメ「ストレンジドーン」のOPなどで知られる
作曲家にして女性ヴォーカル、河井英里のユニット、エリの7曲入りミニアルバム。
楽曲は歌メインでありながら、アディエマスもかくやという民族性をともなったシンフォニックなもの。
清浄で美しいその歌声は、人間のはかなさ暖かさを含みつつ、祈りのように崇高だ。
アニメ音楽界の奇才、菅野ようこや新居昭乃などにも通じる、スケールの大きさを感じる。
メロディアス度・・9 シンフォニック度・・9 美声度・・9 総合・・8
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Estrella 「Unseen Velocity」
日本のメロディックメタル、エストレアの2018年作
きらびやかなシンセをギターを重ね、女性ヴォーカルを乗せて疾走する正統派のメロディック・スピードメタル。
ギターソロでの流麗なプレイやクラシカルなシンセワークもなかなかのもので、どかこ中性的なハイトーンの
女性ヴォーカルも含めて、バンドとしてのカラーはしっかりと感じられる。ファンタジックな雰囲気とシンフォニックで
壮麗なクサメロ感触は、MINSTRELIXなどに通じるところもある。一方では、ゆったりとしたスローテンポのナンバーなども
優美な感触で楽しめる。ややラウドな音質がいかにも自主制作っぽいのと、英語歌詞の発音がややつたないのが気になるので、
むしろ日本語で歌った方が受ける気もする。サウンド自体の世界観はとても良いので、今後のさらなる成長に期待したいところ。
メロディック度・・8 疾走度・・8 女性Vo度・・7 総合・・7.5


Ethereal Sin「Millendium」
日本のシンフォニック・ブラックメタル、エセリアル・シンの2013年作
結成は97年と古く、すでに海外では高い評価を得ている日本産ブラックメタルバンド。
ツインギターに女性シンセ奏者を含む6人編成で、メロディックなギターフレーズと美しいシンセに、
吐き捨てヴォーカルを乗せて疾走、随所にソプラノ女性コーラスも加わった壮麗なサウンドを聴かせる。
緩急のついた楽曲アレンジもドラマティックで、全体的にもメロディアスな感触が前にでているので、
ブラックメタルが苦手な方にもアピールするだろう。激しくも耽美な世界観は、ゴシック・ブラック的にも楽しめる。
日本産のシンフォブラックとしては、かつてのTYRANTなどにも匹敵する高品質な作品である。
シンフォニック度・・8 暴虐度・・7 壮麗度・・8 総合・・8


ETHEREAL SIN 「Kakuriyo」
日本のシンフォニック・ブラックメタル、エセリアル・シンの2019年作
キングレコードからのメジャーデビュー作品で、フルアルバムとしては6年ぶりとなる3作目。
美麗なシンセアレンジにメロディックなツインギターとダミ声ヴォーカルを乗せて疾走しつつ、
ゴシック的な耽美さと和風のテイストを含んだ、彼らの言うエレジアック・ブラックメタルを展開。
ブラストビートで疾走する激しさも随所に覗かせつつ、艶やかなヴァイオリンの音色にシンセが重なる
優美なシンフォニック性や、曲中に日本語による台詞を含んだ和風ブラックメタルのテイストで、
世界観としては初期のSIGHにも通じるものもある。クセのある絶叫ヴォーカルは好みが分かれるところで、
音質の良さも含めてまとまり過ぎている感じもあるが、クオリティの高さはさすがのキャリアあるバンドである。
ドラマティック度・・8 暴虐度・・7 和風ブラック度・・8 総合・・8
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EUROX 「Megatrend」
日本のロックバンド、ユーロックスの1987年作/2011年リマスター盤
TAOを前身にし、アニメ「機甲界ガリアン」などの主題歌を担当したことでも知られるバンド。
本作のサウンドは、いかにも80年代的なビートに乗せた、インダストリアル色のあるポップロックで
スラップの効いたベースとうっすらしたシンセアレンジ、やや線の細いヴォーカルで聴かせるスタイル。
プログレハード的だったTAOの作品に比べると、ぐっと都会的で洗練された作風である。
ガリアンからこのバンドの存在を知ったリスナーには、メンバーが替わった本作は微妙なところだろうが、
ヴァイオリンの入るところなどはかつてを思わせる雰囲気もある。大手レーベルでの音楽業界において、
成功しきれなかったバンドの遺産ともいえるだろうが、再発にあたってのボーナスとして、
オリジナルメンバーの根本氏のヴォーカル曲が2曲追加収録されているのは嬉しい。
メロディック度・・7 プログレ度・・5 モダンロック度・・8 総合・・7.5

Evraak 「Evraak I」
日本のプログレバンド、エヴラークの2021年作
シンセにサックスを含む6人編成で、2020年のEPに続くフルアルバム。ヘヴィなベースとギターにサックスが鳴り響き、
クリムゾン的なスリリングなアンサンブルの1曲目は、妖しい女性ヴォーカルを乗せたミステリアスなサウンドを聴かせる。
アナログ感あるドラムやオルガンやメロトロン風のシンセとともに、ときにアヴァンギャルドな展開や
ジャズロック寄りのフリーキーな感触も同居しつつ、本格派のプログレッシブロックを構築する。
マリナ嬢の伸びやかな歌声が美しい、日本語歌詞のナンバーは、優美な叙情に包まれていて
サックスやピアノを乗せた軽やかなジャズタッチのナンバーなども心地よい味わい。10分を超える大曲も多いが、
日本らしいキャッチーな歌謡風味も覗かせるなど、難解な印象はない。期待の日本産プログレが登場である。
ドラマティック度・8 プログレ度・8 叙情度・8 総合・8
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exist†trace「TWIN GATE」
女性5人のロックバンド、イグズィストトレイスの2010年作
ツインギターで疾走するスタイルはV系というよりもメタルバンドといってもよい感じで、
そこにお姉系の女性ヴォーカルが日本語の歌を乗せる。メロディアスな聴き心地と
ヘヴィすぎないサウンドでバランスが良く、一般のリスナーにもとっつきがいいだろう。
古き良き歌謡風味のメロディも感じさせてくれる点で、案外幅広い年齢層に受けそう。
メタル系のガールズバンドというとALDIOUSが話題だが、こちらもなかなか良いです。
メロディアス度・・8 メタル度・・7 女性Vo度・・8 総合・・8
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exist†trace「TRUE」
日本のV系女性ロックバンド、イグジスト†トレイスのミニアルバム。2011年作
2010年のアルバム「TWIN GATE」もなかなかの出来であったが、
メジャーデビューとなった本作も、キャッチーなメロディと適度なヘヴィさで、
バランスのとれた聴き心地のハードなロックサウンドが楽しめる。
しっかりと歌い上げる女性ヴォーカルに、いくぶんモダンでダンサブルな味付けや、
ポップな歌謡風の曲もあり、もV系のみならず一般のリスナーにもアピールする内容である。
メロディアス度・・8 ヘヴィロック度・・7 女性Vo度・・8 総合・・7.5
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Eyes Of FenrirVictorious Holy War」
日本のメロスピユニット、アイズ・オブ・フェンリルの2009年作
MinstreliXのLeo FigaroとKnights Of RoundのYazin、DTM作曲家である東瑠利子によるユニットで
シンフォニックなシンセとクサメロを奏でるギターで疾走する壮麗なメロスピサウンド。
ドラムが打ち込みなのでいかにも軽い音なのだが、DragonGuardianなど昨今の打ち込み系メロスピに
慣れている方にはさして違和感はないだろう。楽曲自体にはこのプロジェクトならではの色はあまり見えず
MinstrelixやKnights of Roundあたりと似たりよったりという感じ。聴き心地はいいがインパクトは薄い。
メロディアス度・・8 疾走度・・8 楽曲・・7 総合・・7.5
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Fairy 「Hesperia」
日本のシンフォニックロック、フェアリーの1996年作
Hiroyuki Ishizawa & IOが発展したユニットで、美しいシンセアレンジと
ヘタウマな女性ヴォーカルの歌声で聴かせるファンタジックなシンフォニックロック。
テルズ・シンフォニアやMARGE-LITCHあたりにも通じるような童話的な世界観は
正直、やや気恥ずかしいのだが、逆に言うとこのいかにもJAP'sプログレ的な雰囲気が好きならば、
にんまりできるかもしれない。好きな音楽を形にしましたという自主制作の見本のような作品だ。
シンフォニック度・・8 ファンタジック度・・9 女性Vo度・・7 総合・・7.5


FAIRY MIRROR 「COSMICNATIONS」
日本のメロディックメタル、フェアリー・ミラーの2014年作
かつてSAEKOが在籍したバンドとして知られるが、本作はVoを含むメンバーが替わっての2作目。
きらびやかなアレンジに女性ヴォーカルを乗せて疾走する、シンフォニックなメロディックメタルで、
中音域からソプラノまで歌いこなすJUNKO嬢の歌声は、いくぶん線は細いものの、
伸びやかな声質は浜田麻里を思わせるようなところもあって、サウンドによくマッチしている。
ツインギターは随所にテクニカルなフレーズも弾きこなし、キャッチーなメロディアス性と、
ファンタジックな雰囲気も含めて、ALHAMBRAあたりに通じる感触もある。疾走ナンバーのみならず、
ミドルテンポのポップなナンバーなど、日本語の歌詞による古き良きジャパメタ感も残した好作品だ。
メロディック度・・8 疾走度・・8 女性Vo度・・8 総合・・7.5
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Fantasmagoria「Day and Night」
日本のプログレバンド、ファンタスマゴリアの2009年作
女性ヴァイオリン奏者をフロントにした、インストによるプログレサウンドで、
艶やかなヴァイオリンの音色を中心に、しっかりとしたリズムアンサンブルを描いてゆく。
楽曲の展開の仕方はときにイタリアのバンドを思わせるようなエキセントリックな面白さがあり、
クラシカルな感触でありながらも、いくぶんジャズロック的な軽やかさがあるのも特徴。
優雅なヴァイオリンの音色を前に出しつつ、適度にハードギターやシンセとの絡みも含めて、
インストではあるがしっかりと音の厚みもある。KBBに続くヴァイオリンプログレの好作品。
メロディック度・・8 プログレ度・・8 ヴァイオリン度・・9 総合・・8
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FAR EAST FAMILY BAND「Nipponjin」
日本のサイケロック、ファー・イースト・ファミリー・バンドの1976年作
前身である、ファーラウト「日本人」のリメイクと「地球空洞説」(1975年作)からの7曲に未発表2曲を加えた
ベストアルバム的な作品。喜多郎こと高橋正則氏が在籍していたことでも知られるバンドであるが、
東洋的なギターの旋律とスペイシーなシンセが合わさった、スケール感のあるサイケロックサウンド。
英語歌詞による素朴な味わいのヴォーカルに、オルガンを含んだブリティッシュロックのエッセンス、
インド仏教的な思想を内包した世界観に、PINK FLOYD的な浮遊感とが融合したような、独特の聴き心地である。
ドラマティック度・・7 プログレ度・・7 スペイシー度・・8 総合・・7.5
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FATIMA HILL「VALHALA」
日本のメタルバンド、ファティマ・ヒルの1st。1997年作
どこか80年代の香りを残した正統派のハードロック/メタルサウンドに、
メロディアスでテクニックのあるギターフレージングと美しいキーボードアレンジ、
そして女性ヴォーカル、YUKOの英詞に歌唱が、日本人離れした雰囲気を描いている。
派手な音ではないが、ミステリアスな雰囲気に包まれた楽曲は本格派の耳心地だ。
10分以上の大曲を構築する実力はキャリアのあるプレイヤーでなくてはできない。
王道の様式美要素を織りまぜた曲調とともに、硬派な感触で楽しめるドラマティックな力作。
ドラマティック度・・8 正統派度・・8 女性Vo度・・7 総合・・7.5
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FATIMA HILL「AION」
日本のメタルバンド、ファティマ・ヒルの2nd。2002年作
本格派の女性ヴォーカルの歌声と、古き良き正統派HRの楽曲というのは1stと同傾向だが
一聴してサウンドのダイナミズムが向上、センスをの良いギターフレーズも心地よく、
シンセによる適度なシンフォニックな味付けとともに、YUKO嬢の力強い歌声が響きわたる。
エピックドゥーム的な薄暗さもありつつ、それをドラマティックに仕上げるアレンジ力も見事。
前作以上に曲調の幅が広がり、疾走する様式美的な爽快感もありつつ、
バラード曲での女性的な歌声はより魅力的になった。スケール感を増した力作である。
ドラマティック度・・8 正統派度・・8 女性Vo度・・7 総合・・8
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Fatima Hill「The snow tower」
日本のメタルバンド、ファティマ・ヒルの3rd。2009年作
2002年の2ndからしばらく音沙汰がなかったがここに無事に3作目が届けられた。
このバンドの魅力は80年代から受け継がれてきた正統派のメタル/ハードロックをベースにした骨太のサウンドと、
力強い女性ヴォーカルの歌声にある。本作でもそれは変わらず、美しいシンセワークをバックに
ときに泣きのメロディを奏でるギターと、Yuko嬢の英語歌詞による歌唱が見事に合わさり、
ほんのりとダークで叙情的な世界観を聴かせてくれる。バンドの最高傑作であろう。
メロディアス度・・8 薄暗叙情度・・8 女性Vo度・・8 総合・・8
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FLAT122「The Waves」
日本のプログレバンド、フラット・ワンツーツーの2005年作
ギター、シンセ、ドラムというベースレスのトリオ編成で、クラシックの手法で
ミニマル的なプログレを構築するという、いわゆるチェンバーロックと言ってよいサウンド。
さりげない変則リズムを含ませながら、それが巧みに計算された構築であるという点では
ジャズとクラシックの感性をプログレに置き換えたというべきか、難解になりそうなところを
ギターやシンセの軽やかなメロディ、フレーズなどで上手く耳に馴染ませてくれる。
不穏な緊張感はUnivers Zero風でもあるが、それよりも軽妙なセンスはジャズロック的な感性だろう。
ほぼオールインストながら、ちょっとした音楽通にとっては退屈せず、奥深い視点から楽しめる作品だ。
もしプログレを芸術ととらえるなら、こういう音楽なのだ。ラストの13分の大曲はロンドのように展開する力作。
クラシカル度・・8 チェンバー度・・8 芸術度・・8 総合・・8
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FLAT122「Kagerou」
日本のプログレバンド、フラット・ワンツーツーの2009年作
ギター、シンセ、ドラムというベースレスのトリオ編成で、クラシックの手法を取り入れたサウンドを構築するバンド。
2作目となる本作は、なにやら運動会のSEから始まり、それに続くのはクラシカルなピアノの小曲、
3曲目からドラムとギターも加わって、変則リズムを含む巧みなインストのアンサンブルを聴かせる。
本作では、ギターのフレーズが前に出る部分が多く、よりプログレ、ロックとしてのダイナミズムと、
ややラウドな音質も含めてアヴァンロックとしての勢いも感じさせる。ゲストによるアコーディオン、
女性ヴォーカルを迎えての優雅なナンバーなど、今作では楽曲の多様性も増した印象だ。
12分の大曲も、叙情性が前に出ていていて聴きやすいのだが、続く10分のタイトル曲では、
スリリングなチェンバーロックが炸裂していて、前作のファンも留飲を下げるだろう。
ドラマティック度・・7 プログレ度・・8 チェンバー度・・7 総合・・8
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FLAT1-22「In Spriit」
日本のプログレバンド、フラット・ワン・ツーツーの2020年作
2005年にデビューし、本作は11年ぶりとなる3作目。2作目まではベースレスのトリオ編成だったが、
今作ではギターがいなくなり、ベースが加入しての、キーボードトリオのスタイルとなった。
優美なピアノの旋律にフリーキーな即興性も覗かせつつ、ジャズ風味の優雅さを強めた作風で
ライブ録音での13分の大曲など、インプロヴィゼーションを含むスリリングなアンサンブルはさすがの実力だ。
ギターがいないのでロック的な感触は薄まっているが、女性ヴォーカルを加えたコケティッシュなナンバーや
後半の10分の大曲「Spiral」は、1作目収録のリメイクのようで、軽妙な技巧派ジャズロックが楽しめる。
ジャズ度・8 プログレ度・7 優雅度・8 総合・8
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FLIED EGGドクター・シーゲルのフライド・エッグ・マシーン
日本のプログレ/ロックバンド、フライド・エッグの1972作
成毛しげる、角田ヒロ(つのだ☆ひろ)、高中正義からなるトリオバンドで、
ストロベリー・パスを継承するブリティッシュロック色を打ち出したアルバム。
DEEP PURPLEURIAH HEEPあたりに通じる洋楽指向を取り入れたサウンドで
鳴り響くハモンドオルガンに、手数の多いドラム、そして英詞の歌詞が本格的。
美しいピアノにメロトロンも入ったパラード曲などは、時代を考えると相当のクオリティで
日本のバンド云々というものを超えた普遍的なロックとしての魅力が備わっている。
ジャケ裏に抽象的に描かれたレレレのおじさんにも注目。再発盤はなんと格安の\1300だ。
メロディアス度・・8 プログレ度・・7 ブリティッシュ度・・9 総合・・8
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FLIED EGG「good bye FLIED EGG」
日本のロックバンド、フライド・エッグのライブ作。1972作
成毛しげる、角田ヒロ、高中正義のトリオによるトリオで、A面となる前半には
本格的なブリテイッシュロックスタイルを打ち出したこのバンドの解散ライブを収録。
前身であるストロベリー・パスからの曲も含めて、勢い溢れる演奏を聴かせる。
生々しいグルーブ感を感じさせる演奏は、とくにドラムの存在感が際立っていて、
即興的なプレイも含めてロックとしての熱さと躍動感を感じさせる。後半にはスタジオでの録音を収録。
今は亡き成毛のブリティッシュナイズされたハモンドオルガンを含め、プログレ的な聴きどころも多い。
メロディアス度・・7 プログレ度・・7 ライブ演奏・・9 総合・・8
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FLiP
「LOVE TOXiCiTY」
沖縄出身のガールズロックバンド、フリップの2013年作
本作が3作目ということだが、聴くのは初めて。表現豊かな女性ヴォーカルの歌声で聴かせるヘヴィロック。
アンサンブル的にはけっこうヘヴィさもありつつ、 ときにテクノ風味のアレンジなども含んだポップさと
キャッチーな歌メロもなかなかよい感じ。モダンお洒落さと同時に日本的な情感を含んだ楽曲は、
これだというインパクトはさほどないが、歌を中心にしたまとまりのあるセンスを感じさせる。

メロディアス度・・8 ヘヴィロック度・・7 女性Vo度・・8 総合・・7.5
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FLOWER TRAVELLIN' BAND「SATORI」
日本のプログレバンド、フラワー・トラベリンバンドの2nd。1971年作
5部構成に分かれたコンセプト作で、英詞によるヴォーカルとともに、
本格的にブリティッシュロックの質感を取り入れたサイケロックである。
時代を考えればけっこうヘヴィにうねるギターと、まるで日本の経を思わせるような
不可思議なヴォーカルメロディはとても個性的で、プログレという言葉もまだ
不確かだったはずの当時の時代の息吹を、ロックという一点において融合させている。
西洋ロックと東洋思想の先鋭的な同居をなしとげた、日本ロックの歴史的なアルバムだ。
メロディアス度・・7 プログレ度・・7 サイケ度・・9 総合・・8
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FOLLOWBANECeremonia
京都出身のシンフォニック・メロデス、フォローベインの2011年作
ヴォーカル&ギターとギター&ベースの2人組みユニットで、本作はすでに5作目となる。
美麗なシンセアレンジ&オーケストレーションを含んで疾走するきらびやかなサウンドは
初期のCHILDREN OF BODOMや日本のSERPENTなどを思わせるもので、
メロディックなギターフレーズもセンスが良く、楽曲のレベルも自主盤にしてはかなり高い。
ドラムが打ち込みである点は惜しいが、今後が楽しみな逸材といえるだろう。
シンフォニック度・・8 暴虐度・・7 美麗キラデス度・・9 総合・・8
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4LDK 「4LDK for LDK」
日本のシンフォニックロック、フォー・エル・ディー・ケーの1988年作
ペール・アキュート・ムーンをはじめ、テルズ・シンフォニアにも参加したシンセ奏者、仙波基と、
STARLESSの宮本佳子(ジュラ)によるユニットで、エレクトロな感触も含んだシンセアレンジに、
伸びやかな女性ヴォーカルを乗せた、優美なシンフォニックポップというようなサウンド。
打ち込みのリズムによるモダンなニューウェイブ風味で、プログレやロック的な味わいは薄いが、
魅力的なジュラの歌声にうっとりとしつつ、ゲスト参加の宮武和広(Mr.SIRIUS)のフルートも優雅で美しい。
ボーナスを入れて全5曲入りのミニアルバムながら、リリカルな味わいの好作品です。
シンフォニック度・・7 プログレ度・・7 女性Vo度・・8 総合・・7.5
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99.99
日本のプログレ・フュージョンロック、フォーナインの1982年作
アイン・ソフのシンセ奏者、服部せまいを中心にしたバンドで、ドラムには菅沼孝三らが参加、
きらびやかなシンセをモダンなビートに乗せた都会的なポップ感覚と、メロディックなギターに
キュートな女性ヴォーカルも加わった、キャッチーなプログレ・フュージョンロックが楽しめる。
曲によっては、プログレ的なオルガンも使ったり、優雅でジャズロック的な感触もあって、
実力あるメンバーによるアンサンブルは、単なるフュージョンにとどまらない聴き心地。
モダンで軽妙なプログレ・ジャズフュージョン・ロックの好作品です。
メロディック度・・8 プログレ度・・7 フュージョン度・・8 総合・・8
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99.99「More of 99.99」
フォーナインの1983年作
アイン・ソフのシンセ奏者、服部せまいを中心にしたバンドの2作目で、
前作の優雅なフュージョンロックは、さらにニューウェイヴ風味のポップさをまとわせている。
今作ではヴォーカルが男性になり、甘い歌声を乗せた歌謡ポップのテイストが強まっているのが、
前作が好きだった向きには評価が分かれるところだろう。とはいえ、きらびやかなシンセアレンジと、
モダンなビート感を合わせたスタイリッシュなサウンドは、メジャークラスのクオリティといってよい。
なんとなく、TM NETWORKを思わせるような雰囲気もあったりして、80年代の典型というような作品です。
メロディック度・・8 プログレ度・・6 フュージョンポップ度・・8 総合・・7.5
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Free Love 「Apocalypse」
日本のへヴィプログレバンド、フリー・ラブの2006作
うねるギターにハモンドやメロトロン系のレトロなシンセワークが重なり、
クリムゾン的なヘヴィーなアンサンブルを構築。一方で日本的な叙情を聴かせるヴォーカル曲もあり、
プログレ的なやわらかさと、70'sハードロック風の勢いが混在している。ラストの18分の大曲では、
アヴァンギャルドな混沌で弾き倒しています。ヘヴィー系のプログレとして今後に期待したいバンドですね。
メロディアス度・・7 プログレ度・・7 70's的ヘヴィ度・・8 総合・・7.5


FREEWILL「NEVER ACT」
京都出身のプログレバンド、フリーウィルの2ndデモ。2003作
1stデモは、DREAM THEATERを思わせるプログレメタル性と、ゆったりとしたメロディが心地よいサウンドだったが、
この2ndデモ「NEVER ACT」ではその後の彼らの著しい成長が伺える内容となっている。
短いイントロ曲に続く2曲目は、5拍子のリズムの上をキーボードとギターが螺旋のように絡み
プログレ的な広がりのあるシンセが美しい。ありがちなプログレメタルのようにただ音を詰め込むのではなく、
感覚的に心地良い音の隙間を生かしたアレンジが光っている。静寂パートでのシンセの響き、
さりげないギター挿入の仕方などで現代的な空間美を構築するサウンドには非常に新鮮なものを感じる。
8分以上が3曲(うち15分が1曲)あるが、大曲においても静と動のメリハリをしっかりとつけた曲作りがなされ、
RUSHDREAM THEATERからの影響もあるものの、それらの単なる模倣に頼らず独自の昇華により、
複雑なリズムを用いながらも無用な難解さを感じさせない。また、メロディの聴かせどころも大切にしており、
ときおり感じさせる日本的な叙情が耳にしっとりと響く。ProgMetal好きにも勧められる流麗なインストプログレ作品だ。
メロディアス度・・8 プログレ度・・8 叙情と空間美度・・9総合・・8


FROMAGE「Ondine」
日本のシンフォニックロックバンド、フロマージュの1984年作
以前のCD化の際にはモローのジャケが使われていたが、紙ジャケ盤はLPオリジナル盤を採用。
初期には中島一晃、永川敏郎といったメンバーも関わっていたことで知られるバンドで、
ロマンあふれる世界観と詩情豊かな日本語歌詞の本格派の日本産シンフォニックロック。
繊細なフルートの調べにメロウでやわらかなギターのつまびき、そして中性的なヴォーカルの歌声で、
甘やかな夢を描くような音楽性は、硬派なプログレファンにはなかなか恥ずかしいかもしれないが、
17分の大曲「月に吠える」をはじめとして、シンフォニックロックとしての美意識が詰まっている。
当時の関西におけるJAP'sプログレシーン…シェラザードやノヴェラの裏に隠れたロマン派バンドとして聴くべき価値のある作品だ。
シンフォニック度・・8 プログレ度・・7 ロマン度・・9 総合・・8
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FROMAGE「Ophelia」
日本のシンフォニックロックバンド、フロマージュの1988年作
以前のCD化の際にはモローのジャケが使われていたが、新たな再発盤はLPオリジナル盤を採用。
1stからはメンバーが大幅に代わっているが、そのロマン溢れるシンフォニックロック・サウンドは健在。
いくぶん不安定なヴォーカルが好みを分けるところだろうが、メロディ自体はとてもキャッチーで聴きやすく、
繊細なフルートの音色や美しいシンセアレンジとともに、美意識にあふれた世界観を描き出している。
10分を超えるラストの大曲まで、いかにもJAPSプログレらしい幻想的な味わいの好作品だ。
ボーナスに“トーマ”、“セルロイドの空”のライブバージョンを収録。
シンフォニック度・・8 プログレ度・・7 ロマン度・・9 総合・・7.5
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FULL MOON「CIRCUS」
日本のガールズロックバンド、フルムーンの2013年作
ここのところガールズ系バンドが次々に出てきているが、このバンドも可愛いルックスの5人組。
ナレーションとセリフ入りのイントロからして、アキバ系の香りがしまくりですが、
楽曲の方は比較的普通のロックで、キャッチーな聴き心地はアニソンぽくもあり、
きらびやかなシンセアレンジも含めて、ポップな雰囲気は一般のリスナーでも聴けるだろう。
音質も含めて楽曲ごとの出来にばらつきがあり、まだ自主レベルの作品という感じがする。
キャッチー度・・8 メタル度・・6 アキバ度・・8 総合・・7.5
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Gaia Prelude「To Beyond of the Infinity」
日本のシンフォニックメタルバンド、ガイア・プレリュードの2006年作
G/B、Dr、Keyという3人による、インストによるシンフォニックメタル作品。
ネオクラ色もあるメロディックなギターフレーズとシンフォニックなアレンジで疾走するサウンドは、
壮麗でファンタジックな世界観を描きながら、歌が入らない分、ギタリストのソロ作的な聴き心地でもある。
もちろんギターはクサメロをたっぷりと奏でていて、アレンジも含めてメロディのセンスはあると思うし、
いわば歌なしのガルネリ…みたいな聴き方もできる。下手な歌なら入らない方がいいのかも…的な好作品。
メロディック度・・8 ネオクラ度・・7 クサメロ度・・8 総合・・7.5
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Gaia Prelude「PROMISED LAND」
日本のシンフォニックメタルバンド、ガイア・プレリュードの2008年作
2作目となる本作も、シンフォニックなアレンジとクサめのギターメロディを乗せて疾走する
オールインストのメロスピサウンド。ネオクラ的なギターも含めて、絶えず旋律を弾き続けるギターは
もはや歌はいらないから、オレが歌うように弾いてやるぜ…的な美意識すら感じさせる。
しかしやはり、どうしてもインストなのでBGMになりがちで、ときおり耳を引くメロデイはあるものの、
速弾きの部分にはこれといった魅力はないし、恰好いいリフというものもほとんどないので、
メタルとしての楽しみが限定されるのは否めない。ありていに言って2回以上は聴かないかも。
メロディック度・・8 ネオクラ度・・7 クサメロ度・・8 総合・・7.5
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Gaia Prelude「Another」
日本のシンフォニックメタルバンド、ガイア・プレリュードの2010年作
メンバーG/B、Dr、Keyという3人で、すでにこれが3作目らしい。
サウンドはメロディックなギターフレーズと、美しいシンセを中心に聴かせる
歌なしのインストによるシンフォニックメタル。オールインストということで、どうしても
ゲームミュージック的に聴こえてしまうのだが、ギターのメロディセンスはなかなかのもので、
適度に疾走する激しさとともに心地よく楽しめる。今後はぜひ歌も入れてください。
シンフォニック度・・8 疾走度・・8 歌なしですがなにか?度・・9 総合・・7.5
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G∀LMET「HELL MET」
日本のガールズ・デスメタルバンド、ギャルメットの2010年作
ALDIOUSなどの登場で、近年日本でもにわかに活気づいてきたガールズメタルの波に
今度はガールズ系デスメタルが登場。なんということだ。しかし、これがなかなかあどれないのである。
アルディアスでも活躍するベースのサワ嬢が参加していることからも、バンドの演奏力は確かなもので、
シンセによる美麗なイントロから曲が始まると、ギターリフをザクザクさせてけっこうヘヴィに聴かせる。
グロウルヴォイスもなかなかの迫力で、ノーマル声とのコンビネーションは女性版SOILWORKというところか。
まあ、楽曲そのものはデスメタルというには疾走力がなく、どちらかというとスクリーモ系のヘヴィロック
というべきものなのだが、ガールズ系ならなんでも聴きたいという方はチェックしてみてもいいかと。
メロディアス度・・7 暴虐度・・6 スクリーム度・・7 総合・・7
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G∀LMETDawn Of The Rebellion」
日本のガールズ・デスメタルバンド、ギャルメットの2012年作
全員女の子のデス系バンド…というか、前作はスクリーモ風のヘヴィロックというような微妙なサウンドだったが、
本作はツインギターのメロディがけっこう格好いいメロデス風である。正直、女性のグロウルヴォイスは苦手なので、
曲が多少良くなったくらいでは評価したくないのだが、メタルとしての完成度は確かに上がってきている。
初期IN FLAMES系というか、SOILWORK風というか、そんな感じの叙情ツインギターがなかなかよい感じで、
ときおりアキバ風味も覗かせつつも、けっこう正統派に聴かせるギャルメタルデスを展開。今後が楽しみである。
メロディック度・・7 メロデス風度・・8 ギャルデス度・・8 総合・・7.5
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GALNERYUS「THE FLAG OF PUNISHMENT」
日本のメロディックメタルバンド、ガルネリウスの2003年作
ときにパワフルにときにキャッチーに疾走し、ギターにはネオクラ色もあるというサウンド。
HELLOWEENとSTRATOVARIUSなどに影響を受けてきた世代の音であろう。
個人的にはパワーメタルなのかメロスピなのか、はたまたネオクラなのかが
どうも中途半端にも感じるし、 ヴォーカルのやや演出過剰な歌い方が鼻につくが、
楽曲と演奏のクオリティはこれまでの日本のこの手のバンドからするとはるかに高い。
メロディアスでドラマティックなメタルが好きであれば安心して楽しめるサウンドだ。
メロディアス度・・8 疾走度・・7 楽曲・・8 総合・・8
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GALNERYUS「ADVANCE TO THE FALL」
日本のメロパワバンド、ガルネリウスの2nd。2005年作
テクニカルでときにクラシカルなギターメロディにきらきらキーボードが合わさり、クサいメロディを連発しながら疾走する様は、
この手の疾走メロスピが好きなリスナーならまず悶絶もの。クオリティ的にも、楽曲的にも前作よりも格段のまとまりを感じさせ、
今ひとつ好きになれなかったVoの歌唱も、今作ではやや力みがとれてスッキリとした。
間奏部などにおけるテクニカルなパートは、ALHAMBRAでも活躍するKey、YUHKI
よるところが大きいのだろう。内容的にも天野喜孝のジャケが地味に感じられるほどに濃密。
なんにしても、たった2作目にしてこのバンドは日本のメロパワ/メロスピの代表格となった
メロディアス度・・9 疾走度・・8 楽曲・・8 総合・・8
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GALNERYUSBeyond the end to despair...
日本のメロパワバンド、ガルネリウスの3rd。2006年作
3作目となる本作も、変わらずクサメロまくりで疾走するヒーロー的なメロスピが炸裂。
これまでよりも歌唱の表現力も増し、シンフォニックなシンセと、ときにテクニカルなギターで
これでもかとばかりに濃密に聴かせるきらびやかなサウンドだ。次作以降はよりキャッチーになり、
疾走にこだわらなくなる分、今作が初期ガルネリの集大成的アルバムであったのだろうと思う。
メロディアス度・・8 疾走度・・8 濃密度・・9 総合・・8
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GALNERYUS「ONE FOR ALL-ALL FOR ONE」
日本のメロパワバンド、ガルネリウスの4th。2007年作
今作ものっけから濃すぎるほどに濃いガルネリ節が炸裂している。
YUHK氏の華麗なシンセワークに、表現力を増したSyuのギターワークはやはり見事だし、
テクニカルなキメはより細密になり、前作でのツアーから多くのライブをこなしたことで
演奏面でももさらなるレベルアップを遂げているという印象がある。日本語歌詞の導入も個人的には違和感がなく、
むしろ日本産メロパワとしてのバンドのアイデンティティが確立したという感もあって、これは歓迎したい。
全体的には疾走感よりもキャッチーな聴きやすさが増していて、確実に質を高めてきたという一作だ。
メロディアス度・・8 テクニカル度・・8 疾走度・・7 総合・・8
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GALNERYUSREINCARNATION
日本のメロパワバンド、ガルネリウスの5th。2008年作
前作は初期からのファンには賛否両論だったが個人的にはキャッチーなメロディで聴かせる好作であったと思う。
本作は、相変わらず高い演奏力とともに、勇壮なコーラスワークを盛り込んで、
初期のメロスピ色よりも普遍的なドラマティックメタルへとシフトした感触で骨太に聴かせる。
日本語の歌詞では少々面はゆいところもあるが、YUHKI氏のシンセワークを中心に
テクニカルな展開力とセンスのよいアレンジはやはり日本のバンドではトップクラス。
シンフォニックさとキャッチーさ、正統派のメタリックさとモダンさを上手く融合させた楽曲は、
大人のバンドとなった力強さに満ちている。なにはともあれこの質の高さは見事。
メロディアス度・・8 疾走度・・7 ドラマティック度・・8 総合・・8
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GALNERYUS「BEST OF THE BRAVING DAYS」「BEST OF THE AWAKENING DAYS」
日本のメロパワバンド、ガルネリウスのベストアルバム。2009年作
1st〜3rdまでの前期と、4th以降の後期との2作に分けて、それぞれにライブDVDを付けた別売りという仕様。
天野喜孝のジャケとともに衝撃的にデビューをしたこのバンドもすでに6年を経て認知度も上がってきている。
明快かつキャッチーなメロディと日本独特のクサさ溢れる歌回しをメタル的な疾走感に乗せた彼らのサウンドは、
それまでのジャパメタの古くささを覆した。本2作はその彼らのこれまでの活動を総括するベストというところだろう。
前期のベストは英語歌詞による典型的なメロスピ曲が中心で、泣きのクサメロを乗せて疾走するサウンドは
海外バンドにもひけをとらないクオリティ。おそらく洋楽を好むメタラーなどにはこちらの方が受けがいいだろう。
後期ベストの方は、スピード感よりもキャッチーなポップセンスを押し出した曲調で疾走メロスピ系だった前期に比べると、
歌をメインにした分むしろより万人受けするようにも思う。中でもYUHKI氏によるきらびやかなシンセはときにプログレ的な質感も生み出しており、
テクニカルなSyuのギターワークもそれぞれの楽曲の中でさすがの存在感を放っている。
日本語歌詞に違和感を覚えない方ならば、このバンドの泣きの叙情メロディが楽しめるだろう。
メロディアス度・・8 疾走度・・8 日本度・・8 総合・・8
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GALNERYUS「RESURRECTION」
日本のシンフォニックメタルバンド、ガルネリウスの2010年作
ベテランシンガーの小野正利を新Voに迎えた本作は、初期にあった疾走感を取り戻し、
叙情的なギターフレーズとともにクサメロ全開。そして小野正利の英語による歌唱は
実力、表現力ともにさすがの存在感で、なんの違和感もなくバンドのサウンドに溶け込んでいる。
よくも悪くも日本のバンドを感じさせていたこれまでよりも、さっぱりとして綺麗になったという印象。
Syuの巧みなギタープレイにYUHKI氏のきらびやかなシンセワークが絡み、見事なハイトーンヴォーカルとともに
壮麗なシンフォニックメタルを形成。正直、小ぎれいすぎる音にも思えるが、、ともかく新生ガルネリウスの力作である。
メロディアス度・・8 シンフォニック度・・8 疾走度・・7 総合・・8
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GALNERYUS 「PHOENIX RISING」
日本のメロディックメタル、ガルネリウスの2011年作
小野正利をVoに迎えての2作目で、きらびやかに疾走するいつも通りのガルネリサウンド。
イントロに続く2曲めからして激しくも美しい、ファンの求めるシンフォンニックメロスピが炸裂だ。
テクニカルかつメロディックなSyuのギタープレイと、シンフォニックなYUHKI氏のシンセワークは
随所にプログレッシブな雰囲気も織り込みながら、楽曲の美麗なメロディパートを支えている。
また今回はドラム面での迫力もひとつ増したという感じで、バンド全体としてのバランスを保ちながら
各メンバーの勢いある演奏がいつも以上に光っている印象。英詞と日本語を曲によって使い分けながら、
キャッチーな聴き心地を付加する小野氏のヴォーカルもさすが。前作以上に密度の濃い力作に仕上がっている。
シンフォニック度・・8 疾走度・・8 濃密度・・9 総合・・8.5
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GALNERYUS「絆」

日本のメロディックメタルバンド、ガルネリウスのミニアルバム。2012年作
「ぱちんこ蒼天の拳」のタイアップ曲に、小野正利の歌でリメイクした過去曲2曲と
新曲2曲にアニメ「HUNTER×HUNTER」のテーマ曲を収録した全6曲入り。
タイトル曲“絆”はミドルテンポでキャッチーなメロディを聴かせる、アニメ主題歌的な好曲。
小野氏のヴォーカルがかもしだすメジャー感は、リメイク曲においても、かつてのクサい味わいが
キャッチーな感触に変わった感じで、良くも悪くも質の高いフラットな聴き心地である。
新曲の方も美しいシンセアレンジを含めて隙のない出来で、ファンならば楽しめるだろう。
メロディアス度・・8 疾走度・・7 新鮮度・・7 総合・・7.5
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GALNERYUS「ANGEL OF SALVATION」
日本のメロディックメタル、ガルネリウスの2012年作
小野正利をVoに迎えての3作目で通算8作目。ほぼ毎年のように作品を出している勤勉なバンドであるが、
本作も壮麗なイントロに続き、メロディックに疾走するガルネリサウンドで、ファンは安心して楽しめるだろう。
日本人離れしたハイトーンヴォーカルと、テクニカルなギター、美麗なシンセアレンジで描かれる楽曲は、
世界基準で見ても遜色のない、きらびやかで高品質なシンフォニックメタルと言えるだろう。
隙のない間奏パートも含めて、じつに綺麗に構築された聴き心地は、メジャー感に包まれていて、
日本のバンド特有のダサさ、クサさというものは微塵も感じられない。14分を超えるタイトル曲も圧巻で、
全体的な質の高さは特筆ものだが、その反面、この先になにがあるのだろう?…などともつい思ってしまう。
シンフォニック度・・8 疾走度・・8 高品質度・・9 総合・・8
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GALNERYUS「THE IRONHEARTED FLAG Vol.1: REGENERATION SIDE」
日本のメロパワバンド、ガルネリウスの2013年作
過去の楽曲を小野正利のヴォーカルで再録音した作品で、かつてのガルネリサウンドが、
よりきらびやかに生まれ変わっている。いくぶんの野暮ったさも魅力だった初期の作風が
ここでは伸びやかなハイトーンヴォーカルとともに、メジャーに研ぎ澄まされた感触で楽しめる。
歌も含めての演奏レベルも、おそらく日本のバンドではトップクラスで、シンフォニックなアレンジと
爽快なメロディラインで疾走する、このバンドの人気を裏付ける高品質なサウンドがたっぷり詰まっている。
メロディック度・・8 疾走度・・8 美麗度・・9 総合・・8
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GALNERYUS 「THE IRONHEARTED FLAG Vol.2 : REFORMATION SIDE」
日本のメロディックメタル、ガルネリウスの2013年作
いまや日本のメロディックメタルでは人気ナンバー1といってもよいだろうこのバンド、
セルフカヴァーアルバムの第二弾。本作では楽曲のアレンジや歌詞なども変更しているようだ。
きらびやかなシンセアレンジと、小野正利のハイトーンを乗せて華麗に疾走するスタイルは、
ガルネリ節というべき強固なクオリテイで、隙のないメジャー感を漂わせた聴き心地である。
熱心なファンではないので、以前の曲と聴き比べたりはしないのだが、もはや別物といってもよい
この華やいだサウンドは、メタルとはきっと別次元の代物だろう。ファンの方は楽しんでください。
メロディック度・・8 疾走度・・8 華やか度・・8 総合・・8


GALNERYUS 「UNDER THE FORCE OF COURAGE」
日本のメロディックメタル、ガルネリウスの2015年作
2003年にデビュー、いまや日本を代表するメタルバンド。本作は10作目で、オリジナルストーリーによるコンセプトアルバム。
叙情的なギターによるイントロから、きらびやかなシンセとテクニカルなギターが絡む、プログレッシブなインストナンバー、
そして、SHOこと小野正利のハイトーンヴォーカルを乗せて疾走する、華麗なメロデッィク・スピードメタルが炸裂する。
楽曲はほとんどが6分以上で、YUHKIによるシンフォニックなシンセアレンジに、ときにProgMetalばりの巧みなインストパートを含んで、
濃密にして爽快な盛り上がりを見せ、ラストは14分の大曲で、壮麗でドラマティックなシンフォニックメタルを展開する。
ドラマティック度・8 疾走度・8 壮麗度・8 総合・8 
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GALNERYUS 「ULTIMATE SACRIFICE」
日本のメロディックメタル、ガルネリウスの2017年作
前作の続編となる、コンセプト作品の完結編。今作もドラマティックなイントロナンバーからエピックな雰囲気に包まれて、
Syuの奏でる巧みなギターに美麗なシンセアレンジ、伸びやかなハイトーンヴォーカルを乗せて疾走する、
シンフォニックなメロパワを聴かせる。ときにオルガンも含む、YUHKIのキーボードはプログレ的な味わいもあり、
緩急ある展開力の中で、きらびやかな彩りを放っている。じっくりとヴォーカルを聴かせるキャッチーなナンバーなども、
ほどよくアクセントになっていて、超絶ハイトーンだけではない、SHOの歌唱力の高さも再認識できる。
ラスト2曲は10分超えの大曲が続き、壮大なドラマのクライマックスというべき大団円で幕を閉じる。
ドラマティック度・8 疾走度・8 壮麗度・9 総合・8
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Gerard
日本のプログレバンド、ジェラルドの1st。1984作
NOVELA在籍中、シンセ奏者の永川敏郎は、より本格派のプログレバンドを目指して、GERARDを立ち上げる。
彼の若き才能が溢れる本作には、後々まで演奏されることになる“メリディアン”、“神よ オルフェのように”、
“リヴェンジ”、“溶けゆく時間の中で”という代表曲を収録、軽快にして複雑なリズムと、本領を発揮した
シンセワークが冴え渡りシンフォニックにしてテクニカルな構築性に富んだプログレサウンドが広がってゆく。
藤村幸宏氏の甘い歌声は楽曲にキャッチーな聴き心地をもたらし、インスト部分との対比での
良いバランスとなっている。日本最初の本格派キーボード志向のシンフォニックプログレ作である。
メロディアス度・・8 プログレ度・・8 キーボー度・・8 総合・・8
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GERARD「Empty Lie,Empty Dream/虚実の城」
日本のプログレバンド、ジェラルドの2nd。1985作
NOVELAを脱退した永川敏郎はいよいよ自身のバンドであるGERARDに本腰を入れ始める。
ミレイの絵画をあしらったジャケも美しい本作は、よりインストパートのアンサンブルに
力を入れた作風で、テクニカルさに磨きがかかった楽曲を聴かせてくれる。
永川氏のシンセワークも前作以上に音の厚みを増し、ギターとの絡みで美麗なメロディを響かせる。
ロマンにあふれた世界観が日本のプログレバンドにフィットすることを証明するようなアルバムだ。
今作の後、永川氏はハードロックバンドのEarthshakerに参加、その名をいっそう広めてゆくことになる。
メロディアス度・・8 プログレ度・・8 キーボー度・・8 総合・・8
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GERARD「Irony of Fate」
日本のプログレバンド、ジェラルドの3rd。1991年作
ウォーターハウスの絵画が美しい本作では、ベースに永井敏巳が加入し演奏陣の布陣はより強化され、
同時にまた、歌やメロディにおけるキャッチーな明快さも併せ持った傑作となった。
タイトル曲でもある1曲目は、シンセの美しさとメロウなギターの絡みが絶品の流麗なインスト曲。
矢継ぎ早に続く“Last Night Forever”の壮麗さとメロディアスさには堂々たるメジャー感すら漂っているし、
ドラマティックな叙情美のバラード“Prelude”はライブでも定番の名曲だ。吹っ切れたような爽快さと
アーティストとしての積み重ねてきた自信のようなものが、サウンド全体から力強く感じられる。
本作の後、バンドはいったん活動休止、ギター入りのGERARDとしてはこれがラスト作となる。
メロディアス度・・9 プログレ度・・8 壮麗度・・9 総合・・8.5
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永川敏郎's GERARD「天使が舞い降りた夜」
日本のプログレバンド、ジェラルドの1994年作
本作は永川氏のソロ名義での作品で、7曲中、4曲がインストという、のちのキーボードトリオ編成へとつながる作風。
9分を超える「真実の愛の証明」は、美しいシンセと藤村幸宏氏のロマンティックな歌声を乗せた名曲だろう。
クラシカルなピアノ曲や、ムーグシンセを含むきらびやかなシンセが堪能できるその名も「キーボードトリオ」、
タイトル曲でもある優美なラストナンバーまで、永川氏の美意識が詰まった、素敵な作品に仕上がっている。
メロディック度・・8 プログレ度・・8 キーボー度・・8 総合・・8
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GERARD「The Pendulum」
日本のプログレバンド、ジェラルドの1996年作
ギターレスのキーボードトリオにカナダ人シンガーのロビン・スーシーを加えた編成で再始動しての1作目。
過去曲のリメイクである“Empty lie,Enpty Dream”や“Orpheus”などを含んだ楽曲は
きらびやかなシンセワークとテクニカルなリズムと、これまで持っていたロマン主義的な世界観に加え、
より攻撃的にたたみかける新たなジェラルド像を確立。タイトル曲である10分超の大曲も圧巻だ。
メロディック度・・8 プログレ度・・8 キーボー度・・9 総合・・8
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GERARDMeridian
日本のプログレバンド、ジェラルドの1998年作
本作は過去の楽曲を新編成で再アレンジ、リレコーディングしたもので、
初期GERARDのメロディアスなサウンドがたっぷり楽しめるベスト盤でもある。
テクニカルなリズムの上を縦横無尽に駆け巡る永川氏のシンセワークを中心に、
サウンドはきらびやかな爽快感と、これぞキーボードプログレという勢いに満ちている。
これからGERARDを聴くという方や、初期のアルバムしか知らないという方は必携だ。
なお、画像左のフランス盤は一部曲が異なり、以前のミニアルバムから“Evidence of True Love”を収録。
シンフォニック度・・8 テクニカル度・・9 キーボー度・・9 総合・・8.5
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GERARD 「Live in Marseille -Battle Triangle-」
日本のプログレバンド、ジェラルドのライブ作品。1998/2010年作
キーボードの永川敏郎、ベースの長谷川淳、ドラム後藤マスヒロのトリオ編成で、1998年に行われた
フランスでのライブを収録。1997年作「パンドラの箱」からのナンバーに加え、イタリアンプログレ、BANCOのカヴァーや
過去曲の新緑作品「メリディアン」からの往年のナンバーも披露。手数の多いダイナミックなドラムと技巧的なベース、
そしてオルガンにムーグにと自在のシンセワークで、トリオ編成ながらも勢いのある演奏でたたみかける。
紙ジャケのリマスター盤は、音質もぐっとアップしていて、トリオでのジェラルドの躍動的な演奏が楽しめるライブ作品だ。
ライブ演奏・・9 プログレ度・・8 キーボー度・・9 総合・・8
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GERARD「THE RUINS OF A GLASS-FORTRESS」
日本のプログレバンド、ジェラルドの2000年作
ギターレスの新生ジェラルドとなっての3枚目。オルガンやムーグが鳴り響く
古き良きシンセプログレの感触と、テクニカルな展開美で構築されるジェラルドサウンドは、前2作と同様。
本作ではトリオ編成のケミストリーがより強固なアンサンブルとなって現れている。
2部構成のドラマティックなタイトル曲や、10分を超えるラスト曲などは圧巻の出来だ。
メロディアス度・・8 テクニカル度・・8 キーボー度・・9 総合・・8
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GERARD「SIGHS OF THE WATER」
日本が誇るキーボード・プログレバンド、ジェラルドの2002年作
前作からの流れのインストをメインにしたサウンドに、今回はよりヨーロピアンな情緒を強めたという印象で、
とくに静のパートがいつにも増して凛々しい。もちろんEL&PBANCOに通じるクラシカルさとアグレッシブさは健在で、
ギターレスを補う様々な音色のベースの活躍や手数の多いドラムが一体となり、緊迫感ある演奏パートは、
思わず聴いていて「これだよ、コレ」とうなずいてしまう。ウォーターハウスの絵画をあしらったジャケもいいですね。
メロディアス度・・8 テクニカル度・・8 キーボー度・・8 総合・・8
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GERARD「Power of Infinity」
日本のプログレバンド、ジェラルドの2004年作
キーボードトリオ編成となった1996年の「The Pendulum」から数えてオリジナルアルバムとしては5作目となる。
本作も永川氏のきらびやかなシンセワークを軸に、テクニカルなリズムでたたみかける
キーボードプログレが炸裂、どこを切っても時代に流されないプログレへの愛情を感じる。
またイタリアのプログレバンド、LIVIATHANのヴォーカルがゲスト参加、3曲で歌を聴かせてくれ、
全体的にもメリハリのついたドラマティックなサウンドとなった。ラストの大曲も圧巻だ。
尚、本作を最期にDrの後藤マスヒロは脱退、実質的にもバンドの区切りの作品となった。
メロディアス度・・8 テクニカル度・・8 キーボー度・・9 総合・・8
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GERARD「Ring of Eternity」
日本のプログレバンド、ジェラルドの2010年作
6年ぶりとなる本作では、新たにヴォーカルにARK STORMの佐々井康雄が加入、
ドラムにはZYYGの藤本健一という顔ぶれで、心機一転の快作となった。
レトロなオルガンやムーグシンセをかきならす、永川氏のダイナミックな鍵盤さばきを中心に、
テクニカルなリズムで聴かせるインストパートは、相変わらず切れ味抜群。
そして、これまでよりもヴォーカルパートが大幅に増したことで、キャッチーな聴き心地と、
アルバム全体としてのメリハリが感じられるようになった。だからといってポップになることはなく、
決して時代に流されることのない、受け継がれてきた日本のプログレ精神を感じられる力作だ。
メロディアス度・・8 プログレ度・・8 テクニカル度・・7 総合・・8
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GERARDVisionary Dream
日本のプログレバンド、ジェラルドの2011年作
本作は過去の楽曲を現メンバーで録音したアルバムで、セルフカヴァー作としては
1998年のMeridian以来となる作品だ。リーダーである永川敏郎の美麗なシンセワークと
前作から加入した佐々井康雄の日本語歌詞の歌声が合わさり、80年代を感じさせる雰囲気で
キャッチーな聴き心地が楽しめる。ベースの存在感も含めて、演奏面での安定感は抜群だが、
ややレンジの狭い音質は残念か。過去を振り返る本作をひと区切りに、また新たな活動に期待したい。
メロディアス度・・8 プログレ度・・8 古き良き度・・8 総合・・7.5
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Gerard / Ars Nova 「Keyboards Triangle」
ジェラルドとアルスノヴァによるプログレ・トリビュート作品。1999年作
Gerardは、EL&P「Toccata」、Banco「征服」、Rick Wakeman「キャサリン・パー」、PFMを、
ARS NOVAは、TRACE「Birds」、Il Balletto Di BronzoEL&P「Tarkus」をそれぞれカヴァー、
歪ませたヘヴィなベース、オルガンにムーグをかき鳴らす、迫力ある「Toccata」で幕を開け、
優雅な「鳥人王国」メドレー、原曲以上にハードな仕上がりのバンコ、耽美できらびやかなイルバレ、
永川氏がオルガン速弾きのウェイクマン、ツインキーボードによる厚みのあるタルカスと、どの曲も巧みな演奏力と
華麗な鍵盤さばきで、ダイナミックにアレンジされたプログレの名曲が楽しめる逸品だ。
プログレ度・・8 キーボー度・・9 名曲度・・9 総合・・8
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Gerard 「Keyboards Triangle II」
日本のプログレバンド、ジェラルドの2002年作
大御所プログレのカヴァーアルバム第二弾で、ファンクラブ限定発売されたものの2010年紙ジャケ再発盤。
オルガンやムーグシンセが鳴り響く、KING CRIMSON“21世紀の精神異常者”や、EL&P“Knife-Edge”では
エマーソンばりの荒々しいオルガンプレイもさすが。U.K.“Danger Money”、“Alaska〜Time to Kill”では歌はともかく、
キャッチーな優雅さも再現していてなかなかよい感じだ。ラストは“太陽と戦慄パート2”で、オルガンとストリングスの音色で
しっかりと緊張感を描いている。プログレファンにはおなじみの楽曲が、Gerardらしいキーボードアレンジで楽しめる作品です。
プログレ度・・8 カヴァー度・・8 キーボー度・・8 総合・・7.5
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GERARD 「ギャップ萌え」
ジェラルドによるカヴァー曲4曲のミニアルバム。2012年作
なにがギャップで、なにが萌えなのか、いまひとつ分からないタイトルだが、
とにかく、RAINBOW、ASIA、UK、URIAH HEEPの名曲をカヴァーしている。
実力あるメンバーたちなので、確かな演奏力とともに再現される楽曲はそれなりに楽しめるし、
録音のチープさを除けばさして違和感はないが、あえてジェラルドでこれで出す意義があったのか、
よく分からない。むしろ新曲によるミニアルバムである方が純粋なプログレファンには嬉しいはず。
演奏度・・7 カヴァー度・・7 ジェラル度・・6 総合・・7




五人一首「五人一首」
日本のプログレッシブ・デスメタルバンド、五人一首の1st。
ミニアルバムということだが全5曲で40分。うち10分台2曲という大作志向。
キーボード入りのバック演奏(変拍子入りまくり)に女性Voのデス声が乗るという特異なスタイル。
一聴してドイツのバンドMEGACEを思い出したが、プログレ度ではこちらがさらに上。
デス声の合間にノーマルな女性声でも歌い、不思議な叙情をかもし出している。
おそらく普通のメタルファンからすると「気持ち悪い」サウンドだろうが、プログレ好きには理解可能。
キーボードがかなり活躍していて、ヴォーカルの個性とともにこのバンドの核を担っている。
デス声抜きの曲はほとんどもうJAPSプログレ状態で叙情的。ある意味日本からしか出て来ない音です。
メロディアス度・・7 プログレ度・・8 デスメタル度・・3 総合・・8

五人一首「無礙の人」
日本の和風プログレッシブ・デスメタルバンド、五人一首のシングル。2002年作
1曲入りのシングルであるが、その一曲が9分以上あり、このバンドのプログレ的な大作指向が知れる。
ギターを引きながらデス声と普通声を使い分けて歌う「あの字」嬢のインパクトは
(顔もそうだが・・)やはり大きく、奇妙な日本語の歌詞が面白い効果になっている。
デス声などの押しの要素に比してバンドのアンサンブルはかなりプログレ的で
変拍子リズムに軽やかに絡むピアノ、キーボードは繊細かつ叙情的。
たとえば陰陽座が正統派なら、こちらは反正統派。気持ち悪いプログレメタル好きは必聴。
メロディアス度・・7 プログレ度・・8 インパクト・・9 総合・・8

五人一首 「内視鏡世界」
日本の和風プログレッシブ(デス)メタルバンド、ごにんいっしゅの2nd。2005年作
1stから5年、本作も素晴らしき変態メタルサウンドが炸裂。テクニカルな変則リズムに、
プログレ的な匂いのする美しいキーボード、そしてデス声と女性声を使い分けるあの字嬢の壮絶なヴォーカル。
日本語にこだわった歌詞の不可思議な世界も、妖怪などの異形の美を表現していて独自の世界観を盛り立てる。
前作の路線を継続しつつ、部分的にはプログレメタル的な非常に緻密なアンサンブルが素晴らしい。
また、普通の女性声メインの曲などは、陰陽座ばりにメロディアスでありながら
変態パートとのいいコントラストとなっていて、これはライブで見てみたいな、と思わせる。
プログレとデスメタルの合体、あるいは「DREAM THEATER+人間椅子」というべきか、ともかく、
一般のリスナーからは極北にある、激しく、奇形のサウンドで美しき禍々しさに溢れた作品である。
メロディアス度・・8 プログレ度・・8 変態度・・9 総合・・8.5
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Golden Avant-Garde
日本のチェンバーロック、ゴールデン・アヴァンギャルドの1994年作
LacrymosaのChihiro S.を中心にしたユニットで、フリーキーなギターが鳴り響くサイケ寄りの浮遊感に
チェンバーロック的な不穏な空気感が合わさったようなインストサウンド。ゲストによるサックス、
アコーディオンなども加わって、優雅なアヴァンギャルド性やときにサイバーなアレンジに包まれながら、
日本語歌詞のヴォーカルによる演劇的で、どこかなつかしいような世界観も面白い。
変則リズムによるテクニカル性と、哀愁を感じさせる日本的な情緒が合わさったという聴き心地で、
バンド名のような難解すぎる印象はなく、チェンバーロック好きであればわりと普通に楽しめる。
何故か「Born to Be Wild」のカヴァーもやっていて、当然ながらサイケ寄りの仕上がり。笑
ドラマティック度・・7 チェンバー度・・8 アヴァンギャル度・・8 総合・・7.5
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後藤マスヒロ「Intention」
日本のミュージシャン、後藤マスヒロのソロ。2017年作
元GERARD、人間椅子、現在は金属恵比須で活動するドラマーで、本作には、頭脳警察や金属恵比須のメンバーが参加。
ジャズタッチの優雅なイントロから、宮嶋健一(金属恵比須)のきらびやかなシンセに軽やかなギターを加えて
キャッチーなインストサウンドを展開。入江陽のヴォーカルを乗せた、ストレンジなポップナンバーから、
稲益宏美(金属恵比須)のやわらかな歌声によるフォークプログレ風味など、全体的にはテクニカルというよりは
むしろ牧歌的な味わいで、マスヒロ氏のドラムプレイも楽曲に自然に溶け込ませている。ぼやけたような音質は、
あえて狙ったのか分からないが、慣れてくるとあまり気にならない。菊池琢己(頭脳警察)のギターにシンセを重ねた
フュージョン風味の叙情ナンバーも良い感じで、随所にプログレ風味を覗かせつつ、自然体で作られた好作品です。
メロディック度・8 プログレ度・7 優美度・8 総合・7.5
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GRAND FINALE「Descent With Modification」
日本のメロディックメタル、グランド・フィナーレの2018年作
美麗なシンセアレンジをギターに重ね、伸びやかな女性ヴォーカルの歌声でキャッチーなサウンドを聴かせる。
曲調はわりとストレートで、フックのあるメロディと日本語歌詞による魅力的な歌声が映える、
いわゆる歌謡メタル的な聴きやすさに包まれているが、クラシックをモチーフにした歌メロなど、
シンフォニックメタルとしての壮麗な味わいもある。YOKO嬢の歌声はいくぶん線が細いので、
突き抜けるような迫力はないぶん、日本的な繊細な情感を表現している。全体的にヘヴィさは控えめ、
オーケストラルなアレンジとキャッチーな歌メロが前に出た作風だ。デビュー作としては充分な完成度。
シンフォニック度・8 キャッチー度・8 女性Vo度・8 総合・8
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GRAND FINALE 「Quantum Moment」
日本のメロディックメタル、グランド・フィナーレの2020年作
ドラムとシンセ奏者が正式加入して、2作目となる本作も、壮麗なシンフォニックアレンジに
日本語歌詞による伸びやかな女性ヴォーカルを乗せた、優雅な疾走感で聴かせる。
前作に比べて、曲によってはいくぶんダークになった感じもあるが、キャッチーなメロディのナンバーもあり、
クラシカルなピアノなど美麗なシンセワークとともに、シンフォニックメタルとしての艶やかな叙情に包まれる。
歌謡ロック風のキャッチーなナンバーから、疾走するメロスピナンバーまでバランスのとれた好作品だ。
シンフォニック度・8 キャッチー度・8 女性Vo度・8 総合・8
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GUARDIAN HACKER「FLARE IN REVERBERATION」
日本のヘヴィロックバンド、ガーディアン・ハッカーの2009年作
サウンドは比較的オーソドックスなヘヴィロック系なのだが、そこに乗る女性ヴォーカルの
やや舌ったらずの歌声が、どこか危うい情緒とエキセントリックなものを感じさせる。
英語の歌詞も含めて、いい意味で日本人らしからぬ倦怠と浮遊感が漂っていて、
ギターの重ねによる重厚さと、メランコリックなフレーズもなかなかのもの。
楽曲やメロディ自体のインパクトは薄いが、女性声そのものが個性となっている。
メロディアス度・・7 エキセントリック度・・8 女性Vo度・・7 総合・・7.5
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GUARDIAN HACKER「The Lastman Standing」
日本のヘヴィロックバンド、ガーディアン・ハッカーの2011年作
ジャケを見るとアキバ系バンドになったのかと思ったが、内容の方はちゃんとしてます。
ヘヴィなギターワークとメランコリックな質感に、情感豊かな女性ヴォーカルで聴かせるスタイルは
随所にシンフォニックなアレンジや男性スクリームもまじえ、前作以上に音に厚みが加わってきた。
定型にとどまらない音程のエキセントリックな歌唱は、その危うい感じが好みを分けるだろうが、
ハスキーな声質を含めて、ひとつの個性といってもよいだろう。完成形まであと一歩というところ。
メロディアス度・・7 ヘヴィロック度・・8 女性Vo度・・7 総合・・7.5
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八十八ヶ所巡礼「八十八」
日本のロックバンド、はちじゅうはちかしょじゅんれいの2009年作
G、B/Vo、Drというトリオ編成で、ガレージロック的なノリの中に、ヒステリックなヴォーカルと
奇妙な歌詞の世界観にサイケデリックな浮遊感を含んだ、アヴァンギャルドなロックサウンド。
ギターにしろドラムにしてテクニックはかなりのもので、ハードロック的な激しさの中に和の空気と、
プログレッシブな味わいも覗かせるところは、人間椅子などにも通じるが、こちらはよりエキンセトリックで
型にとらわれない奔放なセンスがある。わりとパンク的でもある尖ったメッセージ性とともに、
ナチュラルな脱力感が同居したというスタイルで、強固なアンサンブルでたたみかける異色作。
メロディック度・7 ロック度・8 アヴァンギャル度・8 総合・8
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八十八ヶ所巡礼 「SYG88」
日本のロックバンド、はちじゅうはちかしょじゅんれいの2011年作
2作目となる本作も、サイケな浮遊感とガレージロックのノリの良さが合わさった独自のスタイルで、
1st以上に、フックのある展開も含んだプログレ感覚に、甘すぎないキャッチーさが加わった印象。
巧みなベースとドラムによるグルーヴィなリズムに、テクニックあるギターの自由度の高いフレーズ、
軽やかなキメを盛り込みながら、古き良きロックとしての恰好良さを失わないところは見事である。
ベーシストでもあるマーガレット廣井のヴォーカルも、エキセントリックな表現力を強めていて、
ストレンジなポッブ感をかもしだしつつ、どこか演劇的な毒気を含んだ世界観を描いてゆく。
単なる個性派の和製ロックというにはとどまらない、そんな境地に達した2作目である。
メロディック度・7 ロック度・8 アヴァンギャル度・8 総合・8
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八十八ヶ所巡礼 「〇△□」
日本のロックバンド、はちじゅうはちかしょじゅんれいの2012年作
ジャケをめくると全裸のオッサンという3作目は、のっけから激しいドラムにテクニカルなギターリフと
高音域のヴォーカルを乗せた、サイケでプログレッシブなハードロックが炸裂する。
言葉遊びを含んだエキセントリックな歌詞と、ヒステリックな歌声がよくマッチしており、
リズム的なキメが増した演奏のキレとともに、サウンドとしてのインパクトがさらに強まった。
10分を超える大曲では、どことなく80年代テイストのデジタルな感触を覗かせつつ、
サイケとプログレの境をゆくような浮遊感が絶妙だ。しっかりとロックとしての尖った部分も健在。
メロディック度・7 ロック度・8 アヴァンギャル度・8 総合・8
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八十八ヶ所巡礼 「0088」
日本のロックバンド、はちじゅうはちかしょじゅんれいの2013年作
4作目の本作は、ゆったりとした始まりから、変拍子を含むリズムに巧みなギターを乗せ、
独特の日本語歌詞のヴォーカルとともに、ストレンジな和風サイケロックが広がってゆく。
グルーヴィなベースとパワフルなドラムが支える強力なリズムが、サウンドを骨太にしていて
そこに乗る奔放なギターが浮遊感をかもしだし、トリオとしての強みが存分に発揮されている。
キャッチーな部分が薄まった分、よりコアなバンド色を強めたという印象で、通好みの仕上がり。
今回は大曲はなく、全8曲38分であるが、演奏の強度と濃密さで一気に聴かせる。
メロディック度・7 ロック度・8 アヴァンギャル度・8 総合・8
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八十八ヶ所巡礼 「日本」
日本のロックバンド、はちじゅうはちかしょじゅんれいの2015年作
6作目の本作は、シンセによるミステリアスなイントロから幕を開け、軽やかなドラムに巧みなベースを重ね、
軽やかなギターのリフレインとともに、テクニカルなアンサンブルを展開。ベースもこなすマーガレット廣井による
独特の歌いまわしのヴォーカルとともに、ロックなノリのキャッチーさが包み込み、とわりとライトな感触であるが、
キレのあるギタープレイや手数のあるドラムなど、演奏面での勢いはさすがというところ。全体的にロックの硬質感や
テクニカル性が強まった印象ながら、ラストの9分の大曲は、サイケなプログレ的スケール感が味わえて良いですね。
メロディック度・7 ロック度・8 アヴァンギャル度・8 総合・8
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八十八ヶ所巡礼 「凍狂」
日本のロックバンド、はちじゅうはちかしょじゅんれいの2018年作
1曲目からノリのよいアンサンブルとともに、ラウドなロック感とスタイリッシュなテクニックが同居した
ノリの良いサウンドに、エキセントリックな展開を盛りこんだ独自の世界観をかもしだす。
ヘンテコな歌詞を乗せたストレートなロックナンバーから、ヘヴィなギターリフのハードロック風味、
どことなくV系ロック風のタイトル曲など、これまで以上にクールな感触と、叙情的なパートも含めて、
わりとサイケなヘンタイ性は控えめ。全体的にもアンダーグラウンドな雰囲気が薄まったので、
マニア好みの作風ではなくなったのは痛しかゆし。勢いで楽しめる演奏はさすがですが。
メロディック度・7 ロック度・8 アヴァンギャル度・7 総合・7.5
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HACO
After Dinnerのヴォーカル、ハコのソロ作品。1995年作
エレクトロなプログレポップというべき、アフター・ディナーでの作風から、
本作では、さらにひとつ踏み込んだエキセントリックな感性に包まれた聴き心地で、
今堀恒夫のハードなギターとハコのキュートな歌声のミスマッチ感が面白かったり、
エレクトロなテクノ風味に、フルートの音色が妖しく響く、日本的な情緒や物寂しさ、
そして土着的な「和」の雰囲気に包まれた、異色の音世界が繰り広げられる。
詩的でコケティッシュ、アンビエントでアヴァンギャルドという、独自のセンスに浸れる傑作だ。
プログレ度・・8 日本度・・9 アヴァンギャル度・・8 総合・・8
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HACO「RISKA」
日本の女性アーティスト、ハコのソロ作品。2007年作
After Dinnerのヴォーカルとして知られる彼女の、HACO名義では12年ぶりとなるソロ作品。
マリンバやヴィブラフォンの響きに、日本語歌詞の歌を乗せた、どこかなつかしい味わいで、
ベースとシンセをバックに、シャンソン的なけだるげなヴォーカルで聴かせるナンバーや、
チェロやトランペットなどを使って、エレクトロなアレンジと融合させたチェンバー風味や、
重厚なコントラバスの低音と、心なごむような歌声とのコントラストが映えるナンバーなど、
シンプルな音数の中にも、独自のアイデアとセンスが詰まっている。SEや効果音を多用した
サントラ的でもある、10分を超える異色のナンバーなども、聴き手の想像力を掻き立てる。
プログレ度・・7 日本度・・8 アヴァンギャル度・・8 総合・・8 
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HACO 「Qoosui」
日本の女性アーティスト、ハコのソロ作品。2017年作
本作は広島のアンビエント系ユニットstabiloGallery Six、チェコのエクスペリメンタル系ユニットTarnovskiが参加、
デジタルなエレクトロに水のせせらぎや鳥の鳴き声などの自然音を融合、そこに彼女の囁くような歌声を乗せた、
ネイチャーなエレクトロ・アンビエントというべき聴き心地。Tangerine Dreamなど、かつてのジャーマンミュージック的な
シンセの重ねによるスペイシーな空間性と、美しい女性スキャットが織りなす、幻想的なサウンドにウットリとなります。
日本語を織り交ぜた和の情緒も含んだ、しっとりドリーミィな癒しのアンビエント・エレクトロニカ作品。
プログレ度・・6 アンビエント度・・8 幻想度・・8 総合・・8
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Haco 「Nova Naturo」
日本の女性アーティスト、ハコの2021年作
After Dinnerのヴォーカルとして知られる、エキセントリックなエレクトロミュージックの作り手。
うっすらとしたシンセに透明感のある女性ヴォーカルを乗せた、ドリーミィなサウンドを聴かせる。
松尾哲治がピアノとドラムで参加していて、ときにドラムも入ったポップロック風の質感や、
フランスのギタリスト、Manuel Adnotなども参加して、エレクトロ一辺倒にならないアレンジで、
素朴で暖かみのあるサウンドを描いている。シンセにSEなどを重ねた幻想的なサウンドを、
プログレ寄りのアンビエントに仕上げるセンスはさすがで、日本語による詩的な言葉の断片も
聴き手のイメージを掻き立てる。ふんわり夢見心地の音に、疲れた心が癒される逸品です。
ロック度・3 プログレ度・7 夢見度・9 総合・8 
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HAL & RING「ALCHEMY」
日本のプログレバンド、ハル・アンド・リングの2006作
新月の前身であったHALと、新月のサポートKeyだった小久保隆氏のバンドRINGが合体し、
新たに録音をして発表したもの。新●月●全●史に含まれていたHALの4曲も新たに甦り、
ハモンドオルガンにギターが鳴り響き、ELPを思わせるキーボードプログレの王道が炸裂している。
最新の録音であるだけに元のデモ音源に比べ、ノスタルジックな部分と突進力はや希薄だが、
30年の年月を経てこうして曲が正規に録音されたことは作曲者の鎌田氏も感慨深いことだろう。
FOCUSを思わせる4などには、当時のバンドのヨーロピアン指向への憧れのようなものも感じられ、
こうして聴いてみると、やはり新月の幻想的で演劇的な音楽性とは別のものだったのが分かる。
シンフォニック度・・7 プログレ度・・8 温故知新度・・9 総合・・7.5
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HAL 「KURSK」
日本のプログレバンド、ハルの2013年作
シンセ奏者の鎌田洋一を中心に、新月の母体となったことでも知られるバンドで、
本作は2006年のHAL & RING名義以来のアルバム。第二次世界大戦の「クルスクの戦い」をコンセプトに、
オルガンが鳴り響きメロディックなギターを乗せた、古き良きスタイルのインストによるプログレサウンド。
クラシカルなオルガンの旋律は、NICEあたりを思わせるが、ギターのフレーズもかなり前に出ていて、
テクニカルなギタープレイを乗せた軽妙なアンサンブルは、むしろフュージョンロック的でもある。
ほぼオールインストであるから、どうしてもBGMになってしまいちなのだが、20分のタイトル組曲では、
ホルンやヴァイオリンなどを加えたクラシカルなパートや女性スキャットがよいアクセントになっている。
ドラマティック度・・7 プログレ度・・7 オルガン度・・8 総合・・7.5
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浜田麻里Aestetica」
日本の女性ロックシンガー、浜田麻里の2010年作
デビューからすでに28年、元祖HRクイーンとして、そのハイトンーンヴォイスで
多くのリスナーを魅了してきた彼女の、本作は23作目のアルバムとなる。
シンフォニックなイントロから、ギターが入るとけっこうヘヴィなHR風味となり、
年月をへても変わらない彼女の絶品のハイトーンが響きわたる。
あくまでパラードやポップな曲がメインながら、随所に聴かせるギターソロや
美麗なシンセとともに疾走するメロスピ風味の曲など、メタル要素も美味しく、
このキャリアにして勢いと輝きを失わない彼女の姿勢はまったく素晴らしい。
高崎晃や宮脇“Joe”知史をはじめ、多数の実力あるミュージシャンが参加している。
メロディアス度・・8 メタル度・・7 女性Vo度・・9 総合・・8
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浜田麻里「Legenda」
日本のベテラン女性ロックシンガー、浜田麻里の2012年作
前作Aestetica」もなかなかの好作であったが、本作はギターを前に出したハードさと、
きらびやかなシンセによるシンフォニックなアレンジが素晴らしい傑作に仕上がっている。
楽曲にはレイドバックした古くささはなく、むしろ現在形シンフォニックメタルの質感で、
そこに衰えを知らない彼女のハイトーンヴォーカルが響きわたるのだから…これはたまらない。
壮麗かつパワフル…メタルという点でもおそらく過去最高の出来だろう。LIV MOONALHAMBRAなど、
若いメタルファンにもぜひ聴いて欲しい。前作に続いて高崎晃、宮脇`JOE`知史らのゲストが参加。
シンフォニック度・・8 メタル度・・8 女性Vo度・・9 総合・・8.5
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浜田麻里「MISSION」
日本の女性シンガー、はまだ・まりの2016年作
前作「Legenda」で、シンフォニックメタル的な傑作を作り上げた彼女だが、続く本作も1曲目からして美麗なアレンジと
重厚なアンサンブルで、濃密なハードロックを描き出す。そして変わらぬハスキーなハイトーンヴォーカルが、
浜田麻里節というべき、突き抜けるような伸びやかな爽快さを楽曲にもたらしている。今作も高崎晃をはじめ、
宮脇“Joe”知史、さらにはビリー・シーンといった名うてのメンバーが参加し、巧みなプレイを随所に輝かせている。
疾走するメタルナンバーから、叙情的なバラード曲まで、しっかりと歌声を聴かせるメロディのフックと、
ゴージャスなアレンジでクオリティの高いサウンドに仕上がっていて、1曲ごとが説得力のある聴き心地だ。
しつかりとハードでメタルしていて、メロディックかつシンフォニック、そして素晴らしいヴォーカルが味わえる傑作です。
メロディック度・・8 しっかりメタル度・・8 伸びやかな歌声度・・9 総合・・8
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HAPPY FAMILY 「Minimal Gods」
日本のプログレロック、ハッピー・ファミリーの2014年作
1987年にデビュー、1997年作を最後に活動休止するも、ここに14年ぶりとなる復活作が完成。
ギター、ベース、ドラム、シンセという4人編成で、マスロック的な迫力ある生々しいアンサンブルと、
プログレらしい変則リズムに知的な構築センスが融合した、有機的なインストサウンドを聴かせる。
ときにクリムゾンを思わせる重厚な硬質感とともに、アヴァンロックとしてのとぼけた味わいも感じさせ、
ライブ感のある躍動的な演奏でたたみかける。玄人好みのプログレ・マスロックの逸品です。
ドラマティック度・・7 プログレ度・・7 アンサンブル度・・8 総合・・8
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畑亜貴「世界なんて終わりなさい」
日本の女性SSW、はた・あきの1999年作
アニメやゲーム方面ではすでに名の知られたアーティストであるが、本作は初期の同人時代の音源集。
1995〜96年に録音された楽曲が中心で、打ち込みをメインにしたサウンドに彼女のコケティッシュな歌声を乗せた、
アニメチックな雰囲気ながら、その歌詞の毒々しい耽美な世界観というのは、当時はとても斬新であった。
シンフォニックなシンセのアレンジなどにはプログレ寄りの感触も覗かせて、自主制作ではあるがメロディのセンスも含めて楽曲の出来はよい。
ゲームやファンタジーなどの二次元な幻想性を、ポップにキャッチーに、そしてある種、破滅的な耽美嗜好を加えた独自の世界観で、
同時発売された「棺桶島」に比べると、よりダイレクトに彼女の瑞々しいセンスが楽しめる初期作品集である。
ドラマティック度・・8 コケティッシュ度・・8 耽美度・・8 総合・・7.5
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畑亜貴 「隷属快美の娘達」
日本の女性SSW、はた・あきのベストアルバム。2007年作
アニメやゲーム方面ではすでにその名を知られたアーティストで、本作はゲーム系の楽曲を中心にしたCD2枚組。
キュートな歌声とは裏腹に、毒気のある破滅系の歌詞というギャップでもインパクトのある彼女であるが、
ゲームのテーマ曲がメインということもあって、本作のDisc2は、わりと可愛い系のキャッチーなナンバーが揃っている。
ポップなきらびやかさにオールドな歌謡ロック的なアレンジも合わさって、それなりにクオリティは高いのだが、
これを14曲続けて聴くのはちょっと厳しい。Disc2には、しっとりとしたゴシック寄りのナンバーから、
クラシカルでシンフォニックなアレンジの優雅な叙情性が、コケティッシュな彼女の歌声とよくマッチしている。
のちの死蝋月比古にも通じる感触で、個人的にはこの2枚目の作風が好きですね。
メロディック度・・8 ポップ度・・8 女性Vo度・・8 総合・・7.5
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HEADPHONES PRESIDENTVARY」
日本の女性Voヘヴィロックバンド、ヘッドフォン・プレジデントの1st。2003年作
女性ヴォーカルの歌声で聴かせるヘヴィロックで、紅一点、ANZA嬢の歌声は
激しく叫ぶスクリームの迫力と、少女めいたエキセントリックな感触が交差する。
ギターリフのモダンなヘヴィさとともに、呪術的な土着性のようなものが感じられ、
そこがバンドの個性となっている。女性声の絶叫が苦手な方には耳障りかもしれないが、
そこを抜けるとバンドの本質と対峙できる。ともかく、日本人離れしたバンドであろう。
メロディアス度・・7 ヘヴィロック度・・8 女性Vo度・・8 総合・・7.5
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HEADPHONES PRESIDENTFolie a deux」
日本の女性Voヘヴィロックバンド、ヘッドフォン・プレジデントの2nd。2007年作
一聴して1stよりも音がヘヴィになり、ANZA嬢の歌声も表現力がぐっと増した。
前作では絶叫部分がただ耳障りなだけだったが、今回はアヴァンギャルドな要素は少し減り
そのおかげでちゃんとクリーンヴォイスの対比としてのスクリームが激しさとして成り立っている。
ヘヴィなギターリフと個性的な女性ヴォーカルが、なんとも奇妙なコントラストをなし、
少女的な痛みと血の匂いに、老婆のような倦怠とが重なって、痛烈なサウンドをなしている。
単なる女性声ヘヴィロックというだけでなく、この音には土着的な怨念のような精神性が感じられる。
メロディアス度・・7 ヘヴィロック度・・8 女性Vo度・・8 総合・・8
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HEADPHONES PRESIDENTPRODIGIUM」
日本の女性Voヘヴィロックバンド、ヘッドフォン・プレジデントの2009年作
スクリームを織りまぜたAnza嬢の強烈なヴォーカルで聴かせるヘヴィロックサウンドはそのままに
ヘヴィなところはより激しくなり、静寂パートやブレイクとの対比がいっそう極端に際立った。
やはり内的な痛みを感じさせるこの歌声は、聴いていて胸に突き刺さるようだ。
メロディアス度・・7 ヘヴィ度・・8 女性Vo度・・8 総合・・7.5
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Headphones President「Pobl Lliw」
日本のヘヴィロックバンド、ヘッドフォン・プレジデントの2010年作
女性ヴォーカルのヘヴィロックバンドとして、押しも押されぬ人気バンドへと成長したこのバンド、
本作は過去の楽曲の新アレンジと新曲を収録した企画アルバムで、
民族調のパーカッションとアコースティカルな雰囲気に包まれた、
これまでとは一風変わったサウンドを披露。紅一点、Anza嬢のヴォーカルは
可愛らしさと妖艶さを演じるように表現力が加わって、この曲調にも似合っている。
これまでのファンには意外な音だろうが、アラビックでエスニックなサイケロックとして楽しめる。
アコースティック度・・8 エスニック風味・・8 女性Vo度・・8 総合・・8

HEAD PHONES PRESIDENT「Stand In The World」
日本のヘヴィロックバンド、ヘッドフォン・プレジデントの2012年作
2003年のデビュー作から、女性ヴォーカル、ANZAの情念の籠もった歌声で
ヘヴィかつ情感的な個性豊かなサウンドを表現してきたこのバンド。
前作「Pobl Lliw」は過去の楽曲を新アレンジした民俗調の異色の企画アルバムであったが、
本作では本来のヘヴィ路線に戻りつつも、サイケ風味の浮遊感を巧みに融合させている。
ヘヴィなギターリフとグルーブのあるうねりを聴かせるリズムの上に、スクリームを含めたアグレッシブ性と
コケティッシュな表現力か同居したANZAの歌声が響きわたり、そのサウンドの堂々たる説得力たるや
すでに日本のバンドにとどまらない世界レベルのものだ。すべての面でスケールアップした力作である。
メロディック度・・7 ヘヴィロック度・・8 女性Vo度・・8 総合・・8
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Head Phones President 「Disillusion」
日本のヘヴィロック、ヘッド・フォン・プレジデントの2014年作
前作「Stand In The World」はあらゆる面でスケールアップした力作であったが、
4人編成として再スタートを切った本作は、一聴してよりストレートなノリの良さが際立っている。
ヘヴィなギターワークと、モダンなアレンジの中に、メロディックなキャッチーさを忍び込ませ、
ANZA嬢の表現豊かな歌声が楽曲に彩を加える。スクリームを含んだラウドなメタリック性と
翳りを含んだ叙情を同居させた感触で、曲によってはゴシック・ヘヴィロック的な部分もあったり、
アルバム後半では初期のような混沌とした雰囲気も垣間見せつつ、バランスのよい聴き心地を保っている。
前作のような圧倒される感じはないが、バンドとしての確かな自信とキャリアを感じさせる力作です。
メロディック度・・7 ヘヴィロック度・・8 女性Vo度・・8 総合・・8
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HeavensDustWithout A Voice
日本のヘヴィロックバンド、ヘヴンズダストの2007年作
ヘヴィなギターリフによるモダンなサウンドに、太鼓や尺八などの和楽器が重なる。
日本独自の精神を感じさせつつも、それを自然とロックに融合させているバンドだ。
ゴシック的な耽美さをかもしだす女性ヴォーカルの歌唱はなかなか魅力的で、
笛や琴などの音色とともに、楽曲の中でやわらかな叙情を作り出している。
すでにアメリカなどでも人気を得ているらしいが、確かにそれだけのクオリティはある。
ゴシック風の和楽器入り女性声ヘヴィロック。オフィシャルサイトはこちら
メロディアス度・・7 ゴシック風味度・・8 女性Vo度・・8 総合・・8
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HeavensDust「Closure Leading The Way」
日本の男女Voヘヴィロックバンド、ヘヴンズ・ダストの2007年作
尺八や和太鼓などの和楽器を使用していると聞いて、日本の六三四を思い浮かべたが
こちらはもう少しゴシック風味のある叙情的なヘヴィロック(メタル)サウンド。
ヘヴィなギターリフに尺八がからみ、そこに男性ヴォーカルの咆哮が重なる。
ゴシックメタル的に歌う女性ヴォーカルはなかなか魅力的で、
サウンドに叙情美を付加する意味で良いアクセントとなっている。
またヘヴィなだけでなく、しっとりと聴かせる美しい曲などもあって、
むしろ和楽器はおまけとして、EVANESCENCE的にも聴けたりするのがよい。
メロディアス度・・7 ヘヴィロック度・・8 むしろゴシック度・・8 総合・・8
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ヘヴィ・メタル・アーミー 「HEAVY METAL ARMY 1」
日本のハードロックバンド、ヘヴィ・メタル・アーミーの1981年作
きらびやかなシンセと英語歌詞によるヴォーカルで聴かせる、キャッチーなHRスタイル。
楽曲自体はしごく正統派のハードロックあるのだが、中島優貴の奏でる美麗なシンセアレンジが
けっこうプログレハード的な感触をかもしだしていて、VoのJJがハーフということもあってか、
どこか日本人離れしたロックサウンドが融合されているのが面白い。パワフルさと叙情を併せ持ち
単なるハードロックという以上のポテンシャルを感じさせるバンドであった。
メロディアス度・・8 プログレ度・・7 シンセ度・・8 総合・・8
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Heretic 「1984-88」
日本のプログレッシヴロックユニット、ヘレティックの1994年/2023年作
京都出身の河原博文によるプロジェクトで、1984年から現在までの作品がリミックスされ、Cuneiformレーベルより全作がデジタル配信された。
本作は1984〜88年までの活動期から、9曲を収録している。OSIRISとして活動していた初期のナンバーは、デジタルなドラムのリズムに、
叙情的なギターの旋律と優美なシンセを重ねたシンフォニックな味わいで、アナログシンセのやわらかな音色が心地よく響き渡る。
エフェクトをかけたギターをメインにした、21分の大曲は、怪しいヴォイスにパーカッション、ヴァイオリンも鳴り響く、たとえればFaustのような
ダークでアヴァンギャルドなサウンドコラージュ的な世界観。スペイシーなシンセの重ねによるサントラ的なイメージのナンバーや、
Anonymousのメンバーが参加した牧歌的な歌もの曲、Ain Sophのギター、山本要三が手掛けた軽妙なナンバーなども興味深い。
Golden Avant-Garde、Lacrymosa、Noaなどのメンバーが参加したセッション音源も非常にスリリングである。
優雅度・8 アヴァンギャル度・7 自由度・8 総合・7.5
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Heretic 「弥生幻想」
日本のプログレッシヴロックユニット、ヘレティックの1996年/2023年作
以前は、ベル・アンティークからCD化されていた作品で、36分の大曲を収録。エレクトロなシンセサウンドの重ねから
シーケンサー的なリズムとパーカッションに縦笛の音色が響き、古代の日本を感じさせる幻想的な空気に包まれる。
きらびやかなシンセワークによるシンフォニックロック的な優美さと、Tangerine Dreamのような夢見心地の味わいで
スペイシーなトリップ感とともにゆったりと鑑賞できる。後半は、素朴なブズーキのつまびきが郷愁の情緒を描きながら、ゆるやかに幕を閉じる。
幻想度・8 エレクトロ度・8 ロック度・3 総合・7.5
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Heretic 「Requiem」
日本のプログレッシヴロック/ダークアンビエント・ユニット、ヘレティックの2010年作
1980〜99年までの作品からの楽曲を集めた、アンソロジー的な作品で、ボーナスとして、80年代初頭の、
OSIRISAstral Tempel時期の音源が14曲追加されている。Hiro Kawahara名義の1999年スタジオライブの19分の大曲は
たゆたうようなシンセに叙情的なギターが重なり、ノイジーな音響サウンドへと収束してゆく。
4分にエディットされた「Yayoi Dream」や、Hereticとしての1作目である「Interface 1984」からの大曲も収録されていて、
とちらもシンフォニックな美しさを含んだ優雅な味わいなので、フルバージョンを聴きたい方は各アルバムへ手を伸ばすのもいいだろう。
1980〜82年のボーナス音源は、エレクトロなナンバーから、バンド編成でのライブ音源では、インプロを含む生々しい演奏が楽しめ、
後半に収録のOSIRIS時代のナンバーは、小曲主体ながら優美なシンセをメインした耳心地の良さが光っている。
幻想度・8 エレクトロ度・8 ロック度・5 総合・7.5
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HIDE BOUND 「THE CURSE REDEMPTION」
日本のメロディックデスメタル、ハイド・バウンドの2017年作
シンフォニックなイントロから幕を開け、北欧メロデス的なギターリフと、絶叫ヴォーカルを乗せて激しく疾走。
SLAYERなどの80年代スラッシュメタルや、オールドデスメタルからの影響を受けたというリードギターと
IN FLAMES、DARK TRANQUILLITYなど、イエテボリ系メロデスを嗜好するサイドギターという二人のプレイは、
随所にウェットでメロディックな叙情をかもしだしつつ、そこにヘヴィなブルータリィをしっかりと同居させている。
往年のAT THE GATESばりの強力な疾走感が爽快で、The Crownなどのデスラッシュ好きのリスナーにも対応。
中音域の絶叫型ヴォーカルは好みを分けるかもしれないが、バックの演奏は海外バンドと遜色ないレベルで、
ファーストアルバムにしてこの完成度は見事。全41分という長さもダレずに聴き通せる。国産メロデス強力作!
メロディック度・・7 疾走度・・9 メロデス/デスラッシュ度・・9 総合・・8
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HIGH and MIGHTY COLOR「傲音プログレッシヴ」
沖縄出身の女性Voロックバンド、ハイ・アンド・マイティー・カラーの2nd。2006作
所詮はJ POPだろうと思っていたのだが、偶然にNHK BSで放映していたライブ映像を見てそのメタルっぷりに驚いた。
曲はNIGHTWISH + X JAPAN + 陰陽座みたいな雰囲気で…なかなかツボをついていたのだ。
女性ヴォーカルも黒猫さんに比べればまだまだながら、正統派に歌いあげる感じには好感が持てる。
曲のアレンジ的には、前述したバンドの要素をときおり感じさせつつも、
キャッチーな歌メロには非メタルリスナーにも向けられたメジャー感もある。
しかし、デス声を入れたり、メロスピ並みに疾走を始めたりと、バックの演奏陣には
確実にメタラーの素養がにじみ出ているので、我々はにやりとしながら聴くのが正しいかと。
ただし曲によってモロに陰陽座みたいな歌メロが出てきたりするので、
今後はオリジナリティの追求を目指して欲しい。可能性を感じるバンドなのは確かです。
メロディアス度・・8 メタル度・・8 女性Vo度・・7 総合・・7.5
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HIGH and MIGHTY COLOR 「参」
日本のロックバンド、ハイ・アンド・マイティー・カラーの3rd。2007作
前作は女性声メタルファンなどにも大いにアピールする内容だった。
続く今作は一聴して楽曲の質が増し、サウンドに説得力が加わっている。
メタリックなギターリフにキャッチーなメロディを乗せ、ときにヘヴィに
ときに叙情的に聴かせるスタイルは、メジャーなスタイルの中にもマニア心を感じさせる。
女性Vo、マーキーの歌声も、以前よりも力みのない歌唱で自然体になり、
全体的に演奏自体にも余裕が出てきた感じがする。ヘヴィロック的なモダンさと、
ポップな感覚、そこにメタル要素を上手く加味したバランスのよいアルバムだ。
メロディアス度・・8 メタル度・・7 女性Vo度・・8 総合・・8
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HIGH and MIGHTY COLORROCK PIT
日本のメロディックロックバンド、ハイ・アンド・マイティー・カラーの4th。2008作
前作から1年ほどという短い期間で届けられた本作は、よりまとまりを感じるアルバムだ。
従来からのヘヴィな側面もそこそこ見せつけながら、キャッチーかつポップなメロディで
一般のリスナーにも聴かせられるだけのメジャー感を漂わせているのはさすが。
女性Voマーキーの歌声は、前作からしっかりとした表現力を身に付けていて、
そこに絡むデス声込みの男性Voの入れ方などもモダンなアレンジで違和感がない。
ただ、聴きやすさを重視したためか、曲にしろメロディにしろさらっとしすぎの印象。
個人的にはもう少し湿りけのある叙情や、メタリックな濃密さを聴きたかった。
メロディアス度・・7 キャッチー度・・8 女性Vo度・・8 総合・・7.5
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HIGH-FLYER 「Way to the Sky」
日本のメタルユニット、ハイ・フライヤーの2013年作
ギターとベースの二人によるユニットで、男性ヴォーカルによる日本語による歌声と
美麗なシンセアレンジを含んで疾走する、ファンタジックなメロディックメタルサウンド。
基本は正統派の聴き心地であるが、メロディには日本的なクサメロ感とともに
ときにアニメソング的なキャッチーさも感じられて、アレンジのセンスもなかなか見事。
ANCIENT MYTHのKeyや天狗櫻のVoなどが参加、女性Voで聴かせるシンフォニックな曲もよい。
全6曲ながら自主制作作品としては質の高さが光っている。バンドサイトで視聴可能
メロディック度・・8 疾走度・・8 ファンタジック度・・8 総合・・7.5


平山照継「ノイの城」
元ノヴェラ〜テルズ・シンフォニアの平山照継の1983年作
NOVELAのギタリストだった平山照継がノヴェラからテルシンに活動を移行する時期に、
自身のファンタジックな世界観をコンセプトストーリーにした作品。
女性Voを含め、後のテルシンを感じさせる部分が大きいが、リズム隊がNOVELAなので
(妙にドラムが上手いなと思って聴いていたら、やはり西田竜一だった、という)
音的にはノヴェラのアルバム「最終戦争伝説U」からの流れでも聴ける。
ジャケットや歌詞などには童話的な可愛らしさ、コミカルさもあり、
それらを敬遠するような人には向かないがドリーミーなシンフォ作として良質な作品です。
メロディアス度・・8 シンフォニック度・・8 ファンタジック度・・8 総合・・8
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Hiroyuki Ishizawa & IO「Glass Castle」
日本のシンフォニックロックユニット、ヒロユキ・イシザワ&イオの1990作
現在はKALOという名前でアルバムを出しているMasahiro Uemura氏が在籍していた。
はかない系の女性Voといかにもなシンフォニック系のシンセワークを中心に、
ファンタジックなジャケ通り、少女マンガ風の幻想的な世界観を描き出すサウンド。
いわゆるメルヘン調のJap'sプログレに免疫がない方は即座に拒否反応を起こすだろうが、
逆にテルシンやマージュリッチなどが大好きという方なら問題なく楽しめるだろう。
チープな録音、アマチュア臭い演奏を含め、いかにも自主制作然した音であるが、
かえってその純粋なるファンタジー意識には好感が持てる。
バンドはこの後FAIRYという名義でアルバムを一枚残し消滅。
シンフォニック度・・7 ファンタジー度・・9 女性Vo度・・7 総合・・7




一ノ瀬大悟デュオ「MILD」
コントラバス奏者、一ノ瀬大悟とガットギターの祥によるデュオ・ユニットの2011年作
コントラバスとクラシックギターで、いったいどんな音楽が出来るのか想像もつかないが、
二本の弦楽器による、対位的な絡みと、静寂の間を使った変則リズムによって、
クラシカルでジャジー、そしてアヴァンギャルドな味わいもある、独特のサウンドを描いている。
重厚なコントラバスが土台となりつつ、ギターが自由度の高いフレーズを奏でたり、
即興的に変化させてゆくリズムに、二つの楽器があうんの呼吸で反応し合いながら、
素朴な音でありながらも曲調は流れるように変化してゆくという、そんな面白さがある。
おそらくライブでは、さらに凄い即興をしているのだろう。生々しい演奏に引き込まれる。
アコースティカル度・・9 プログレ度・・7 演奏度・・9 総合・・8
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五十嵐久勝 「INTACTNESS -序章-」
元NOVLELAのシンガーとして知られる、いがらし・かつひさのソロ。2007年作
ギターには清水保光、金谷幸久、ベースに井上衡、ドラムには堀江睦男、シンセに難波弘之、高畑敬などが参加、
平山照継、大久保寿太郎が作曲に参加している。サウンドの方はモダンな感触のエレクトロなナンバーから始まり、
その後は、独特のハイトーンヴォーカルとともにキャッチーなメロディックロックが展開される。平山さんが手掛けた曲は、
かつてのNOVELAを思い出させるきらびやかな感触とロマンを感じさせる好曲で、難波さんのシンセワークも見事。
大久保さんによる楽曲には、時空海賊SEVEN SEASの2人がツインギターで参加、キャッチーなハードロックナンバーだ。
全体的にはソロプロジェクト的な雰囲気で、スリリングな部分は薄いのだが、かつてと変わらぬアンジーの歌声に聴き入れる。
メロディック度・・8 キャッチー度・・8 アンジーの歌声度・・8 総合・・7.5
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IGZIT-NINE
日本のプログレ・ジャズロックバンド、イグジット・ナインの2003作
KENSOあたりにも通じるインストのジャズロックで、軽快かつテクニカルなサウンド。
変拍子リズムを多用しながらも、ギターの分かりやすいメロディが主導なので
とても聴きやすく、ハードめのメロディアスなフュージョンとしても楽しめる。
この手のジャズロックとしては軽すぎない適度なヘヴィさもあり、
ロックとしての硬質さと、キーボードを含めての音の重ねによる空間的なサウンドが特徴的。
プログレファン向けのジャズロックとしてはとても出来のいいアルバムだ。
メロディアス度・・8 プログレ度・・7 テクニカル度・・8 総合・・8
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INSPIRE「ALIVE」
日本のシンフォニックメタル、インスパイアの2009年作
NOVA-ERA、MASTERMIND、SIEGFRIEDなどのメンバーが集結したプロジェクトで、
女性Vo、Sugino嬢の爽やかな歌声と、シンフォニックかつメロディアスな楽曲は
ALHAMBRALIGHT BRINGERなどにも通じるなかなか壮麗なサウンドだ。
日本語歌詞のものは古き良きジャパメタ的な雰囲気も漂わせていて、
メロディには綺麗なだけでなく、ほのかな哀愁の叙情があるのもいい。
メロディアス度・・8 シンフォニック度・・8 日本度・・8 総合・・8
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interpose+
日本のシンフォニックロックバンド、インターポーズの2005年作
女性Voを含む5人組みで、80年代から活動していたが、アルバムとしては初めてらしい。
基本はジャズロックぎみのシンフォニックロックで、古き良きJAP'sプログレ的なキーボードの音色や、
年季を感じさせるメロウなギター、曲によってはテクニカルで軽快な変拍子が気持ちよい。
どちらかというとインスト重視だと思いきや、ヴォーカルが入ると曲の雰囲気が変わり
日本的な歌詞とともに、どこかなつかしいようなシンフォニック歌謡風にもなるのが面白い。
ゲストにはKBBの壺井氏が参加、艶やかなヴァイオリンを聴かせてくれる。
メロディアス度・・8 テクニカル度・・7 JAP'sプログレ度・・8 総合・・8
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interpose+「INDIFFERENT」
日本のシンフォニックロックバンド、インターポーズの2nd。2007年作
BにKBBのDani氏が正式加入した本作は、ジャズロックタッチの軽やかな曲調が前に出てきている。
それとともにアンサンブル重視のスタイルで、女性ヴォーカルの歌唱からも力みがなくなり、
前作の「シンフォニックハード歌謡」っぽい感触がかすかに薄まっているようだ。
ただ、2、5曲目などの歌パートには、古き良き情感とともに懐かしさを感じさせるメロディが、
品のよいジャズ風味とともに挿入されていてじつにしっとりと聴ける。全体的に静と動のメリハリが付き、
じっくりと情感をつむぐ部分と、テクニカルなジャズロック部分とのコントラストがバンドの個性として機能しており、
細かな曲アレンジや演奏面においては、確実にクオリティを上げてきたという印象。
懐かしき日本の香りのするプログレバンドとして一聴の価値がある作品だ。
メロディアス度・・8 テクニカル度・・8 懐かし情感もあり度・・9 総合・・8
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Interpose+ 「Memories In The Wind (風の記憶) 」
日本のプログレバンド、インターポーズの2015年作
2007年作以来、8年ぶりとなる3作目で、メンバーは若干替わっているが、
サウンドの方はこれまで通り、日本語歌詞の女性ヴォーカルを乗せた、
どこかなつかしい歌謡ロックの香りを漂わせるシンフォニックロック。
あるがさゆり嬢のアンニュイな歌声はどこか昭和の空気を感じさせ、
オルガンやムーグを含むシンセなど、プログレらしいレトロなヴィンテージ感とともに、
ジャズロック的でもある軽妙で優雅な聴き心地もある。全体的に派手さはないが、
やわらかな叙情に包まれてじっくりと楽しめる、大人の歌謡プログレという趣の好作品。
ドラマティック度・・7 プログレ度・・7 昭和度・・8 総合・・7.5
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Ivory Tower 「The Earth」
日本のプログレバンド、アイヴォリー・タワーの2019年作
ハードなギターにオルガンが鳴り響き、変拍子のリズムとともに、テクニカルなハードプログレを展開。
イグアスの滝や、スリランカの王、古代エジプト、モン・サン・ミッシェル、サモア、モンマルトルなど、
楽曲ごとに世界各地の風景や神話、伝承をモチーフにしていて、インストパートをメインにしながら、
ときに女性ヴォーカルを加えた優雅なナンバーも聴かせる。メロトロンなどヴィンテージなシンセにピアノ、
叙情的なギターが重なるところは、シンフォニックロックとしてのやわらかな美しさにも包まれる。
日本語歌詞とともに、ジャパニーズプログレらしさを残しつつ、テクニカルなインストナンバーは、
GERARDのような巧みなアンサンブルでたたみかける。ヴァイオリン鳴り響くラスト曲もじつに優雅です。
メロディック度・8 プログレ度・8 優雅度・8 総合・7.5
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J・A・シーザー/天井桟敷 「邪宗門」
“演劇実験室”天井桟敷による『邪宗門』の1972年、渋谷公会堂での公演を収録。
反復するシンセのメロディに、狂気を含んだセリフと妖しい女性スキャット、
アヴァンギャルドな感性に包まれた演劇は、寺山演劇の普遍的テーマでもある
母殺しを含んだ、呪術的で淫猥、そして奇天烈なストーリーで進行してゆく。
日本の土着性を感じさせる、一種サイケロック的なまでのラフな演奏や
天井桟敷の歌姫である新高恵子や蘭妖子の語りと歌声、ときに合唱曲が響きわたり、
混沌とした無秩序が生み出すような壮大な迫力に満ちている。 とくにラスト近く、
出演者たちが自身の殻を捨て去るような独白めいたセリフを綴ってゆく場面は圧巻だ。
音質的にはあまりよくはないが、その分、荒々しい昭和の空気を感じ取れる。
シーザー度・・8 アヴァンギャルド度・・9 シアトリカル度・・10 総合・・8
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J.A.シーザー悪魔の家+天井桟敷「国境巡礼歌
寺山修司による“演劇実験室”天井桟敷の音楽を担当する、J.A.シーザーの1973年のライブ音源。
ラウドなギターの鳴り響くロック編成に、琴や三味線、琵琶なども取り入れ、
サイケデリックな感覚に包まれた演奏で始まるが、やはり寺山演劇にも通じるような詩編や
日本の土着的な怨念や呪術性も内包していて、単なるバンドのコンサートではない異色の世界観だ。
音質や演奏面の粗さも含めて、純粋にロックバンドのライブをイメージすると拍子抜けであるが、
このアヴァンギャルドさ、70年代における演劇芸術の自由性を含めて、まさに唯一無二の舞台音楽である。
ロック度・・7 演劇的度・・8 アヴァンギャル度・・9 総合・・8
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J・A・シーザー/天井桟敷「阿呆船」
1976年、イランのペルセポリス芸術祭にて上演された劇のスタジオ録音音源。1977年作
法王庁の穴堀り男が生きた自分を掘り起こし、「阿呆裁判」が始まってゆくという、
なんとも突飛でアヴァンギャルドなストーリーだが、狂気や観念、あるいは哲学的思想までも盛り込んで、
ある種、感動的なまでの馬鹿馬鹿しさとともに進行してゆく。演劇舞台全体としての破天荒な勢いと、
音楽を担当するJ・A・シーザーの不思議な魅力の楽曲が合致した一種異様なミュージカルでもある。
サルバトール・タリ、嵐妖子といった名優たちによる、やや下品かつエロティックなセリフや歌も刺激的だ。
現在のJ・A・シーザーは故、寺山の意志を継いだ劇団「万有引力」を率いて活動中、
アニメ「少女革命ウテナ」等を含め、数々のサントラ作品などを送り出している。
シーザー度・・8 アヴァンギャルド度・・9 シアトリカル度・・10 総合・・9
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J・A・シーザー/天井桟敷「身毒丸」
寺山修司が率いる“演劇実験室”天井桟敷が、1978年紀伊国屋ホールで公演した
「身毒丸」の実況録音で、中世の説教節「しんとく丸」を基にした本演劇は、
J.Aシーザーによる音楽をたっぷり使った、アヴァンギャルドなミュージカルでもある。
混声コーラスによるある種呪術的なまでに濃密な歌声と、鳴り響くオルガン、
日本的な遊び言葉の羅列には、聴き手のプログレッシブな感覚を刺激する。
箏のつまびきをバックにした蘭妖子の独特な語り声、オペラのようなソプラノに
ヴァイオリン、フルート、琵琶の音色、そこにロック的なギターとドラムが加わると、
劇と音楽が融合した独自の世界観が完成される。裏さびれた哀愁と古き良き郷愁、
どろどろとした土着性、愛憎と暗闇、笑いの中の悲しみ、ひねくれた内面的な痛みなど、
さまざまな奇妙な感覚が音楽や台詞で表現されてゆく。おそるべき芸術オペラである。
シーザー度・・8 アヴァンギャルド度・・9 シアトリカル度・・10 総合・・8.5
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J・A・シーザー「さらば箱舟」
寺山修司監督の映画「さらば箱舟」のサウンドトラック作品。1983年作
天井桟敷の公演「百年の孤独」をモチーフに映画化された作品ということで、
サントラという性質上、楽曲は1〜3分前後の小曲がほとんどであるが、
シーザーによる土着的で呪術的な世界観という点では、むしろ色濃く出ていて、
民族的なパーカッションに笛やヴァイオリンの音色が、異国的なトラッド感をかもしだす。
女性スキャットが妖しく響く小曲から、昭和演歌なナンバーまで、どこかなつかしい哀愁や
不思議な神秘性を感じさせる空気感は、確かにシーザー氏らしい内的世界の側面だろう。
たとえば、POPOL VUHあたりにも通じる幻想的な土着感に包まれたサントラ作品だ。
ドラマティック度・・7 呪術度・・8 民族度・・8 総合・・8 
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J・A・シーザー「天井棧敷音楽作品集」
寺山修司率いる“演劇実験室”天井桟敷の音源集、5枚組ボックスセット。2008年作
Disc1と2には1973年の「J・A・シーザーリサイタル 国境巡礼歌」完全版を収録。合135分におよぶ濃密なステージで、
ロックと演劇、サイケとアングラが混在した、まさにシーザーの真骨頂というべき内容。のちに単独で再発されている。
Disc3には、1971年の演目「青少年のための無人島入門」を収録。オルガンにサイケなギターが鳴り響き、
妖しい女性スキャットに男女ヴォーカルを乗せ、呪術的な土着性に包まれた世界観には、粗削りながら原初的な魅力がある。
Disc4には1972年、ミュンヘンオリンピックの企画演目「走れメロス」、NHKラジオ青森の番組用「恐怖の音楽」を収録。
音質がラウドなこともあって荒々しい曲が多いが、叙情的なギターと壮大なコーラスの「国境哀歌」、「大鳥の来る日」あたりは、
「シーザー・リサイタル」にも収録されるなじみのあるナンバー。ラジオ用音源の報はややこもり気味だが、貴重なテイクだろう。
Disc5には、1979年、東京児童演劇祭の演目「こども狩り」を収録、子供のためのロックミュージカルというコンセプトで、
のちのウテナにも通じるキャッチー合唱曲から、たわいのない小曲まで、ライトでヘンテコな演劇サントラが楽しめる。
リサイタル度・9 アングラ度・10 サイケ演劇ロック度・9 総合・8.5 
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J・A・シーザー 「伝奇音楽集 鬼火 天井棧敷音楽作品集VOL.2」
未発のライブ音源を中心にしたCD5枚組ボックスセットの第二弾。2012年作
Disc1と2にには1977年の伝奇音楽会「鬼火」と1978年「月蝕歌」のライブ音源を収録。正規ライブ音源の「国境巡礼歌」とはまた違った迫力で、
生々しい音質も含めて、オルガン鳴り響くサイケデリックな昭和ロック感と、日本的な妖しい土着性に包まれた空気感に圧倒される。
「せっきゃうしんとくまる」と、「草迷宮」は、のちの「身毒丸」の原点というべき演劇的なロックオペラで、合わせて60分を超える音源だ。
Disc2の「組曲・怪人フーマンチュー」は音質がややラウドながら、こちらも後に長編演劇化されることを思えば、貴重なプロトタイプ。
Disc3、4には、1979年「闇乃降誕祭」、1975年「J.A.シーザーリサイタル」、1980年「萱草歌」からのライブ音源を収録。
組曲「十字架の蜃気楼」は、「島原の乱」をコンセプトに、男女混声の語りや歌声を乗せた66分に及ぶ演劇オペラ大作。
Disc5には1981年「蘭妖子コンサート」を収録。天井桟敷が誇るシンガーのハスキーな歌声と、ヴァイオリン、フルートが鳴り響き、
バンド編成による全17曲の歌謡サイケが堪能できる。シーザー関連のライブをたっぷり収録した5枚組、必携のボックス作品である。
ライブ臨場感・・9 アングラ度・・10 サイケ演劇ロック度・・9 総合・・8.5
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J・A・シーザー「山に上りて告げよ」
シーザー名義としては32年ぶりの復活ライブとなった、2012年の新宿でのステージを収録したCD+DVD。
筆者もこのコンサートに足を運んだのだが、開演間から異様な空気と熱気が会場を包み込んでいたと記憶している。
オルガンにフルートが鳴り響き、オールドな昭和ロック感に包まれたサウンドに、シーザー氏のやや不安定な歌声を乗せた、
独特の世界観が30年の時を超えて蘇る。クリアすぎない音質もむしろアナログな雰囲気があってよい感じだし、
長年の盟友であるギタリスト、森岳史氏(シーザーと悪魔の家)も参加していることも大きいだろう。楽曲的には、
ドラマティックな展開に圧倒される「精霊飛蝗」、40年前からの代表的なナンバー「越後つついし親不知」あたりが白眉ですね。
バックのバンドには、Mysterious Priestess、Knights of Roundといったメタル系バンドのメンバーが参加しているのも興味深い。
DVDの方はカメラワーク的な不満などはあるものの、当日の貴重な映像記録という点では、ファンには必見と言わざるを得ない。
ライブ演奏・・8 アングラ度・・8 シーザー度・・9 総合・・8.5
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J・A・シーザー 「大鳥の来る日 - THE END OF THE WORLD」
2012年の「山に上りて告げよ」に続く、2013年のライブを収録した復活後2作目となるCD2枚組。
「少女革命ウテナ」の楽曲「絶対運命黙示録」から始まり、混声合唱を乗せた異質のスケール感とともに、
「天地創造すなわち光」、「ワタシ空想生命体」と続いてゆく。ツインギターにツインシンセという編成で、
厚みのある音の塊はまさに圧巻である。その後も「邪宗門」、「田園に死す」からのナンバーも含め、
シーザーの渋い歌声を乗せたナンバー、蘭妖子、蜂谷眞未などの女性ヴォーカル陣に、少年合唱隊も参加、
とくに蘭妖子の独特の声は、演劇的なセリフも含めて天井桟敷の時代を強く感じさせ、往年のファンも嬉しいだろう。
シーザーの歌メインのナンバーを集めた前作に比べて、今回は愉快な(?)MCも含めてライブの全体の流れが楽しめる。
ラストは合唱を乗せた「大鳥の来る日」で感動的に締めくくる。シアトリカルな演劇性も随所に含んだ、じつに濃密な138分である。
ライブ演奏・・9 アングラ度・・9 シーザー度・・9 総合・・8.5
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J・A・シーザー 「国境巡礼歌・完全盤」
寺山修司率いる劇団「天井桟敷」の音楽を担当、その後は「万有引力」を率いるアーティスト。1973年のライブ作品。
発売から40周年を迎え、リサイタル当時の演奏順に曲を並び替え、2013年に新たにリマスター&リミックスを施して
さらに未発表曲を加えたCD2枚組の完全版。以前のCDとは曲順が違うため、ライブ作品としての印象がまったく違い、
笛と琴が鳴り響き、女性声の語りの入ったイントロからして、昭和的な濃密なアングラ感に包まれて妖しさたっぷり。
元々のテープにあったノイズも含めて、臨場感溢れるサウンドが当時のリサイタルの空気感までを伝えてくれる。
ギターやドラムも入ったロック色とサイケな浮遊感が、蘭妖子の艶めいた歌声と合わさって、土着的な呪術性と
実験演劇的な香りを強烈に放っている。CD2枚、135分におよぶリサイタルの全貌を味わえるファン必携作ですな。
ライブ臨場感・・9 アングラ度・・10 サイケ演劇ロック度・・9 総合・・9
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J・A・シーザー 「青少年のためのJ・A・シーザー入門」
劇団「天井桟敷」の音楽担当にして、「万有引力」を率いるアーティストの2枚組ベストアルバム。2015年作
Disc1には、「天井桟敷」の15年間にレコーディングされた歌曲を収録。ほとんどが寺山修司による歌詞で、
若き日のシーザーの歌声を乗せたサイケデリックな味わいのナンバーから、混声合唱によるシアトリカルな作風は
現在までつながる独自の土着性と、濃密なアヴァンギャルド性を含んで、時代的な濃密な空気感に包まれている。
Disc2には、1979年のコンサートから、復活後2012年「山に上がりて告げよ」、2013年「大鳥の来る日」を中心に収録。
シーザーのことを何も知らない青少年にいきなり聴かせるには、いささかアングラでディープなインパクトが強い気もするが、
むしろライトなファンにとっては、この異色のアーティストの70年代の作品群と近年までのライブがあらためて俯瞰出来る必聴作だ。
演劇ロック度・・8 アヴァンギャル度・・8 シーザーの歴史度・・9 総合・・8.5
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J・A・シーザー 「不思議オペレッタ・ある家族の血の起源」
J・A・シーザー率いる演劇実験室「万有引力」が1995年に上演した劇中歌のCD化作品。2016年作
かつての天井桟敷時代の作品「阿片戦争」「走れメロス」「ある家族の血の起源」の劇音楽を再構成したというべき作品で、
1〜3分前後の小曲がほとんどで、リズムも含めて打ち込みによる作風はいかにもサントラ風であるが、
男女ヴォーカルによる妖しい歌詞を乗せた雰囲気は、昭和と現在をリンクするどろどろとした土着性を匂わせる。
ときに「少女革命ウテナ」のBGMに通じる雰囲気もありつつ、演劇的なセリフなどを含んだ言葉の面白さと、
アヴァンギャルドなセンスを昭和オペラ的な郷愁と狂気に混ぜ込んだ、一種独特の聴き心地が味わえる。
個人的には生演奏での音源が好きだが、デジタル音源による往年の劇音楽の空気感を再現する異色の作品である。
ドラマティック度・・7 ロック度・・6 怪しげ度・・8 総合・・7.5
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J・A・シーザー 「少女革命ウテナ/わたし革命ファルサリア<<変身譜>>」
J・A・シーザーが同アニメ用に書いた楽曲を、光宗信吉が編曲した楽曲を集めたアルバム。2016年作
ウテナの決闘シーンでおなじみの、「絶対運命黙示録」、ED曲である「バーチャルスター発生学」をはじめ、
インパクトのあるアヴァンギャルドな歌詞と混声合唱、そして古き良きロックの感触が融合された楽曲は、
当時は大変新鮮に思えたものだ。あらためて聴くと、光宗信吉氏によるアレンジが、アングラの極地であったシーザーのサウンドを
良い意味でスタイリッシュに、一般向けに昇華していて、演劇、舞台色を感じさせすぎないバランスが見事だったのだと思う。
ここから入った方は、シーザーのそれぞれの濃密な作品群を味わえるだけの感性を、助走的に身に着けてゆけたのだろうから。
リマスターにより音質もぐっと向上していて、かつてウテナの合唱曲にしびれた方は、ぜひチェックして欲しい。
ドラマティック度・・8 ウテナ度・・9 シーザー度・・8 総合・・8
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J・A・シーザー「バルバラ矮星子黙示録」2017年作
かつてシーザーが音楽を手掛けた、幾原邦彦監督のアニメ「少女革命ウテナ」の世界観をテーマにした作品で、
副題は「アルセノテリュス絶対復活光とオルフェウス絶対冥府闇」。
打ち込みのリズムとシンセにロックなギターを乗せ、万有引力のメンバーを含む混声合唱が歌を乗せると、
まさしくウテナの劇中合唱曲の奇天烈な雰囲気が甦る。バックがほぼ打ち込みなので、サウンドがやや平坦で、
ギターの入らないインスト部分はゲームミュージックのようではあるが、かつての合唱曲アレンジ作品
「薔薇卵蘇生録ソフィア」から、20年近くたって、その続きが聴けるのだから、ファンには嬉しいだろう。
かつての代表ナンバー「絶対運命黙示録」の完全版も収録していて、新曲の中にもしっかり溶け込んでいる。
ドラマティック度・7 ロック度・6 ウテナの合唱曲度・8 総合・7.5
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J・A・シーザー「少女錬金術師 卵・バラモノガタリ」2019年作
アニメ「少女革命ウテナ」の世界観をテーマにした前作を引き継いだ作品、副題は「万象億光年より自鳴幻想論へ」。
クラシカルなシンセアレンジに、オペラティックな女性ヴォーカルと男性テノールの歌声を乗せて、
随所に語りを含んだ演劇的な歌詞とともに、不可思議で華やか、そして耽美な世界観を描き出す。
ソプラノ女性ヴォーカルをメインにしたナンバーも多く、美しくもエキセントリックな毒気も匂わせつつ、
鳴り響くヴァイオリンとギターが重なった、シンフォニック・ゴシックという雰囲気も味わえる。
楽曲は5〜6分前後とわりと長めで、かつての合唱曲のイメージを受け継ぐナンバーもありつつ、
全体的には「耽美派オペラ」というような雰囲気が強まっている。打ち込みのリズムの軽さはあるが、
声優風のキュートなシンガーの可愛らしさも含め、曲のバラエティと濃密さという点では前作を凌ぐ内容だ。
ドラマティック度・8 ロック度・5 演劇度・8 総合・8
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J・A・シーザーと悪魔の家 「異郷巡禮歌」2018年作
シーザーのソロ作品としては、じつに初のスタジオ録音作品で、公式サイトのファン投票から選ばれた楽曲と新曲を含む全14曲。
アルバムタイトルからしてかつての「国境巡礼歌」を彷彿とさせるが、ほどよくハードなギターにオルガンを含むシンセ、
フルートやヴァイオリンも重なり、そこに渋みのあるシーザーの歌声が乗ると、一気に昭和感に包まれたサウンドになる。
演奏陣はライブにも参加する若手メンバーで、シーザーの歌唱と楽曲を引き立てつつ、ヴィンテージな雰囲気も残していて
女性コーラスも加えた妖しい酩酊感は、往年の独自の世界観をそのままアップデートしたようなイメージで楽しめる。
ノリの良いロックナンバーでは、70年代ハードロック的な巧みなギターとともに、シーザーのヴォーカルも輝いていて、
ゆったりとしたサイケ風味の浮遊感や、ときにジプシー風の無国籍感に、日本的な望郷や情感を同居させながら展開する、
メリハリのある構成も心憎い。ジェントルなシーザーの歌声を、たっぷり味わえる全79分、お腹いっぱいの力作だ。
シーザー度・9 昭和風度・9 アングラ度・8 総合・8.5
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J・A・シーザー「チェンチ一族」2019年作
1982年に公演され、シーザーが音楽と演出を手掛けた演劇作品に使われたサントラ音源を収録。
シンセに重なるフルートが妖しく鳴り響くイントロから、各曲は、1〜3分前後で、シンセを主体にした小曲や、
いかにもサントラ的なBGMや効果音のようなものから、ドラムやギターを加えたバンド編成の楽曲もあって、
オルガンが鳴り響きヴォーカルと合唱の入ったナンバーなどは、シーザーらしい土着的な世界観が味わえる。
演劇自体が全員男性によるものだったので、女性声が一切入らないのは、シーザー作品では珍しい。
全体的には、場面ごとの断片的な背景音楽という雰囲気が強いので、純粋に音楽作品として楽しむには
ややもの足りなさもあるのだが、貴重な音源がCD化されたという点では、マニアや収集家には嬉しいだろう。
ドラマティック度・6 ロック度・3 演劇度・8 総合・7.5
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万有引力「Vol.1 1994-2007」
J・A・シーザー率いる演劇実験室「万有引力」による、1994年〜2007年までの楽曲を集めた2CD。
1〜3分前後の小曲を主体にDisc1に31曲、Disc2に30曲を収録。Disc1は打ち込みリズムにハードなギターを乗せた、
いわゆるウテナ以降のサウンドで、インストのナンバーはなんだかゲームのBGMっぽいのだが、
男女混声の歌声や女性スキャットが入ったナンバーは、例によって摩訶不思議な歌詞とともに、
どこかなつかしい哀愁を漂わせたシーザー節が楽しめる。Disc2には生演奏による古めのナンバーもあって、
こちらはインストであっても歪んだギターの生々しいロック色が感じられて、より妖しい聴き心地が楽しめる。
オルガンやフルートが入ったナンバーはプログレ的でもある。音質が良すぎない点も含めて古い音源の方が好みですね。
ドラマティック度・・7 ロック度・・6 シーザー度・・8 総合・・7.5
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万有引力「Vol.2 1983-1993」
J・A・シーザー率いる演劇実験室「万有引力」による、1983年〜1993年までの楽曲を集めたCD。
Vol.1の方は、打ち込みによる音源が中心だったのだが、こちらは生演奏による録音主体で、
うねりのあるギター、ベースに、アナログ感あるドラムがおどろおどろしい迫力となっていて、
日本語歌詞による怪しい世界観も含めて、まさに往年のJ.A.シーザーサウンドという聴き心地。
ややラウドな音質も土着的な生々しさを助長していて、女性ヴォーカルや混声コーラスなども加わったり、
哀愁を漂わせるサーカス風のナンバーや、一点してハードロック調のナンバー、さらには歌謡民謡調など、
けっこう曲調が幅広く、シンセによる小曲などもプログレ的な味わいがある。リズムが打ち込みのナンバーもあるが、
年代的にもデジタルに移行前の、昭和の空気感を残した雰囲気で、全30曲70分を濃密に楽しめる。
ドラマティック度・・8 ロック度・・8 シーザー度・・8 総合・・8
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万有引力 「劇中歌唱曲集 あなたに - 大島睦子 Sings Selection」
J.A.シーザー作曲の劇中歌を、万有引力の俳優にしてシンガー、大島睦子が歌う全22曲を収録。
シンセの打ち込み音源を主体にしたサウンドは、歌詞こそシーザーらしい世界観であるが、
ロックやサイケ的な要素は薄めで、彼女の美しい歌声によるしっとりとした雰囲気だ。
間奏部分のほとんどない、1〜3分前後の歌もの小曲で、ヴォーカルにあまり毒気のないこともあり、
妖しさや濃密さの点では物足りず、プログレ方面のリスナーにはやや退屈かもしれない。
全体的に綺麗な聴き心地なので、ウテナなどの劇中歌が好きな方ならわりと楽しめるかと。
ドラマティック度・・7 ロック度・・3 女性Vo度・・7 総合・・7
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演劇実験室・万有引力「黙示録」
J・A・シーザー率いる劇団「万有引力」の舞台用劇中歌を集めた作品。
アニメ「少女革命ウテナ」でも使用されたシーザー作曲の合唱曲を中心に全18曲を収録。
アニメ版とは異なるアレンジで、リズムが打ち込みのため、ロックとして聴くには物足りなさがあるのだが、
男女混声合唱のヘタウマ感も含めて、アングラ臭漂う独自の世界観が楽しめる。
サウンドの平坦さもあって、いかにも舞台BGM的なところは否めないのだが、
90年代後半以降の万有引力とシーザーの方向性が詰まったナンバーが揃っていて、
ファンであればチェックして損はない。ウテナから入ったリスナーにもお薦めですね。
ドラマティック度・・7 ロック度・・6 シーザー度・・8 総合・・7.5
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演劇実験室・万有引力「幻想音楽劇 リア王 - 月と影の遠近法」
2014年に公演された、劇団「万有引力」による舞台音楽のサントラ作品。2014年作
1〜3分前後の小曲を中心に、アコースティックギターやフルートによるアコースティックなナンバーから、
いかにもJ・A・シーザー節という合唱曲まで、全40曲を収録した74分のボリューム。
オペラティックなソプラノ女性ヴォーカルを乗せたナンバーなどはとても美しく、
旋律的にもヨーロピアンとアジアンの両要素取り入れた雰囲気は、シェイクスピアを下地にした作品だからだろう。
往年のシーザー作品のような濃密なアングラ臭はないものの、単なるサントラ以上に世界観を伝えるサントラ作品だ。
ドラマティック度・・7 ロック度・・5 シーザー度・・7 総合・・8
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Julien Concasser 「THE DAY OF RECKONING」
日本のロックバンド、ジュリアン・コンカッセの2023年作
埼玉を拠点とする新鋭バンド。ツインギターにシンセを含む編成で、叙情的なギターのイントロから、優美なシンセアレンジを重ね、
ほどよいハードさとキャッチーなメロディ、表現力あるヴォーカルを乗せて、スケール感のあるロックサウンドを構築する。
メッセージ性を感じさせる日本語歌詞と甘く伸びやかな歌声、随所にリズムチェンジを含む展開力のある楽曲には、
ハードロック/メタル的な疾走感や、V系ロックのきらびやかさも覗かせ、まさにハイブリッドな邦ロックが味わえる。
ドラムを含む音質面での迫力はやや物足りないものの、楽曲ごとのメロディのフックやドラマティックな世界観は充分に魅力的。
モダン過ぎず、激しすぎず、という絶妙の路線は、ロックやHRの枠を超えて、多くのリスナーが楽しめる聴きやすさがある。
ドラマティック度・8 メロディック度・8 きらびやか度・8 総合・8
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Kadenzza 「Second Renaissance」
日本のシンフォニック・ブラックメタル、カデンツァの2005年作
福島出身のYou Oshima氏による個人ユニットで、打ち込みによるオーケストラルなアレンジと
シンフォニックな壮麗さに包まれたサウンド。自身のダミ声ヴォーカルに随所に女性声も加わって、
疾走する激しさも含んだ緩急のある構築性で聴かせる。メロディックでときにネオクラシカル的なギターは、
いくぶんアマチュア臭いところもあるのだが、優雅な旋律を全面にシンフォブラックに盛り込んでゆくという、
このやり過ぎ感は嫌いではない。当然ながらドラムも打ち込みなので、重厚な迫力や暴虐さの点では
やや物足りないのだが、クラシカルな感性に包まれたシンフォニック・ブラックが楽しめる。
シンフォニック度・・8 暴虐度・・7 優雅度・・8 総合・・7.5
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KALO「SPIRAL DREAM」
日本のシンフォニックロック、カロの2004年作
ヒロユキイシザワ&イオフェアリーのギタリストであり中心人物であった上村政弘のプロジェクトで
シンフォニックなキーボードに流麗なメロディを乗せるギターを絡ませたインストメインのサウンドで、
全体的にきらきらとした美しいイメージ。のっけからドラマテイックなギターが炸裂して「おお」と思わせる。
3曲で女性ヴォーカルが歌っているのもアルバムとしていいアクセントになっていて、
優雅な味わいのジャパニーズ・シンフォプログレが好きな方なら手放しで喜べる好作品だろう。
メロディアス度・・8 シンフォニック度・・8 きらきら流麗度・・9 総合・・8
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KBB「LOST AND FOUND」
日本のヴァイオリン・プログレバンド、KBBの1st。2000作
バンド名はなんの略なのか不明(ポーランドにSBBってバンドがいたが・・)。
ギターも兼ねる壺井氏のヴァイオリンと、キーボードが絡む美しいインストサウンドで、
ジャズロックといってもテクニカルさよりは優雅さが前面に出ている雰囲気。
そしてやはり印象的なのは、艶やかに鳴り響くヴァイオリンの音色で、
当たり障りのないキーボードの音は、むしろ引き立て役に聴こえてしまう。
10分以上の大曲もあり、ゆるやかな構成力で聴かせてくれるが、スリリングさはやや希薄か。
メロディアス度・・8 テクニカル度・・7 ヴァイオリン度・・8 総合・・7.5
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KBB「FOUR CORNER'S SKY」
日本のヴァイオリン・プログレバンド、KBBの2nd。2003年作
変拍子入りの軽快なリズムに、絡み合うシンセとヴァイオリン。前作よりも楽曲のメリハリがつき、
全体的にダイナミックになった印象で甘さはやや押さえ気味で静かなる緊張感が増した。
リズムセクションのタイトさとともに、前作にやや感じられた散漫さは消えKENSOにも通じるような
涼やかなアンサンブルを聴かせてくれる。メインとなるヴァイオリンの音色は相変わらず素晴らしいが、
全編インストなので、ややもすると品のいいBGMになってしまいがちなのが難点か。
熱のこもらない優雅なシンフォ・ジャズロックが好きな方にはお勧めだ。
メロディアス度・・8 プログレ度・・7 艶やかヴァイオリン度・・9 総合・・8
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KBB「LIVE 2004」
今や海外からの評価も高いKBBのライブアルバム。
壺井氏の艶やかなヴァイオリンを中心としたヴァイオリンプログレとして、
認知度も高まってきたこのバンド。このライブ音源では、スタジオ盤以上に躍動感のある演奏で、
やや潔癖症ぎみに整然としていたアルバム以上に、ドラムにしろベースにしろ伸び伸びと跳ねている印象で、
そこに乗るヴァイオリンの音色もいっそう生き生きと聴こえてくる。オールインストであるが、メロディには歌心が感じられ
大曲中のインプロ部分も含めて、バンドとしての熟成が演奏に表れている。
メロディアス度・・8 テクニカル度・・8 ライブ演奏・・8 総合・・8
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KBB 「Proof of Concept」
日本のヴァイオリン・プログレバンド、KBBの3rd。2007年作
壺井彰久氏のヴァイオリンをフロントに、軽やかなプログレを聴かせるこのバンド、
本作はのっけから10分の大曲で、ムーグシンセの音色にエフェクトのかかったヴァイオリンが響き、
よりプログレ的なエキセントリックなセンスとともに、バンドとしてのアンサンブルも力強くなっている。
存在感のあるベースと手数の多いドラムの上に、ときに激しく、そして優雅にヴァイオリンが弾き鳴らされ、
一体となった演奏には歌心を感じる聴き心地で、インスト主体ながら硬質すぎることなく、気持ちよく楽しめる。
シンセの活躍が増したことで、ヴァイオリンとのバランスが音の広がりとなって機能し、しっとりとした叙情曲やコミカルで
軽妙なナンバーも含めて、クラシックやジャズ、フュージョンなどの要素が巧みに融合された力作に仕上がっている。
メロディック度・・8 プログレ度・・8 テクニカル度・・8 総合・・8
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Kelly Simonz's Blind FaithSign of the Times」
日本のギタリスト、ケリー・サイモンズ率いる、プラインド・フェイスの1st。1998年作
イングヴェイの影響下にあるネオクラシカルなギタープレイを聴かせつつ
メロディセンス、楽曲の質は単なるフォロワーにとどまらないものがある。
英詞によるヴォーカルにも素人臭さはなく、美しいシンセワークやピアノなど
しっかりとしたクラシックの素養をにじませる繊細な楽曲アレンジとともに、
耳に心地よい叙情美に溢れている。自主制作のレベルを超えたアルバムだ。
メロディアス度・・8 クラシカル度・・8 楽曲・・8 総合・・8
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Kelly Simonz「Silent Scream」
日本のネオクラシカルギタリスト、ケリー・サイモンズの2nd。1999作
先に1stを聴いたときには、そのテクニックのみならず、
日本人離れしたメロディメーカーとしての才能にもいたく感服したのだが、
本作でもそのクオリティは健在。海外アーティストかと思わせるほどに
違和感のないハードロックサウンドは、適度にテクニカルなプレイを織り込みつつも
決して自己満足にならず、キャッチーなメロディとともに楽しませてくれる。
そして美しいバラード曲における繊細さは、多くのリスナーの耳を惹きつけるだろう。
メロディアス度・・8 ネオクラ度・・7 楽曲・・8 総合・・8
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Kelly Simonz's Blind Faith「The Rule of Right」
ケリー・サイモンズプラインド・フェイスの3rd。2002作
のっけからネオクラ風疾走曲で、一聴して1stよりも普通に様式美メタルしている。
もちろんテクニックは抜群だし、この手の日本のバンドに比べると
堂々とした音の説得力はやはり一歩抜きんでているのだが、
なんというか、1stにおける日本的な繊細な叙情が好きだったのだなあ。
メタルファンにとっては断然本作の方が気に入るだろう。それだけの質がある。
自分はむしろバラード曲での泣きメロと美しさにぐっときます。
メロディアス度・・8 様式美メタル度・・8 楽曲・・8 総合・・8
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Kelly Simonz’s BLIND FAITH 「THE BEST OF」
日本のギタリスト、ケリー・サイモンズ率いる、プラインド・フェイスのベストアルバム。2010作
1998年のデビュー作Sign of the Times」は、それは衝撃的な傑作だった。
イングヴェイ的なネオクラシカルプレイの中に、日本的な繊細な叙情をたっぷりと織り込んだ、
そのクラシカルな楽曲は、日本人というレベルを大きく超えたクオリティと存在感を有していた。
本作は過去のアルバムから選ばれた曲をリマスターし、2曲の新曲を収録。
シンフォニックで壮麗なプロローグで幕を開け、いかにもなネオクラシカルなギターで疾走、
一方では日本語による甘い歌声で聴かせるJap'sプログレ風のバラードもあったりと、単にメタルというだけにとどまらない、
シンフォニックなハードロックとしても魅力充分。そして、カノンのメロディへとつながるラスト曲は感動的だ。
クラシカル度・・8 ネオクラ度・・8 美麗度・・9 総合・・8
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KENNEDY 「Twinkling Nasa」
日本のプログレバンド、ケネディの1986年作
DADAの泉陸奥彦を中心にして作られた作品で、2013年についに初CD化。
きらびやかなシンセアレンジの小曲から、DADA時代の“飛行船”の初期パートを再現した
ギターを鳴り響かせるハードな曲なども含め、型にはまらない独自のセンスが光っている。
80年代らしいモダンさを、スペイシーな広がりを感じさせるインストサウンドで聴かせる好作品だ。
バンドは、1987年のライブアルバム「KENNEDY!」を最後に、シンセ奏者の死去により解散する。
メロディアス度・・7 プログレ度・・8 シンセ度・・8 総合・・8
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KENNEDY「Kennedy!」
日本のプログレバンド、ケネディのライブアルバム。1987年作
スタジオアルハム発表の翌年、1987年に大阪で行われたライブを収録したのが本作である。
ギターの泉陸奥彦を中心に、ドラム、キーボード、サックスという4人編成で、きらびやかなシンセを乗せた
シンフォニックなアレンジと、ジャズロック的な軽妙なアンサンブルで構築されるインストサウンドが展開される。
もともと音質はそれほど良くはなかったのだが、2015年のリマスターでずいぶんと迫力ある音になり、
スタジオアルバム「Twinkling Nasa」からのナンバーもより躍動的に、たたみかけるような演奏が味わえる。
泉氏のギターは、ときに破天荒な即興を含んだ聴き手を惹きつけるパワーに溢れ、勢いのあるアンサンブルは
単なるプログレや、ジャズロックの域を超えた個性的なバンドであったことが窺い知れる。
Mahavishnu Orchestraの「火の鳥」を取り上げるなど、自信に満ちた濃密なライブが堪能できる。
メロディアス度・・8 テクニカル度・・8 ライブ演奏・・8 総合・・8
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KENNEDY「Triangle Motion」
日本のプログレバンド、ケネディの2015年作
DADAの泉陸奥彦を中心に結成、スタジオ作としては1986年「Twinkling Nasa」以来となる29年ぶりとなる復活作。
きらびやかなシンセに、手数の多いドラムとメロディックなギターを乗せ、テクニカルなアンサンブルを描く
スタイリッシュなインストサウンド。マイナー臭さのないダイナミックな演奏は、まさしくあのケネディの音である。
大人のジャズロック風味や、スケール感のあるシンフォニックロックナンバーなど、オールインストながらも
ドラマ性を感じさせる構築センスはさすが。DADAのリメイクナンバーなども美麗な味わいで楽しめる。
ダダやケネディのファンはもちろん必聴だが、初めて聴く若いリスナーにもお薦めしたい出来である。
メロディック度・・8 プログレ度・・7 スタイリッシュ度・・8 総合・・8 
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KENSO 「II」
日本のプログレバンド、ケンソーの1982年作
とにかく、1曲め“空に光る”のインパクト、その美しくも軽妙なサウンドに圧倒される。
軽やかな変拍子リズムに、やわらかなフルートの音色と日本的なギターの旋律が乗り、
あくまで叙情的な耳心地で、まるでPFMを聴いているときのようなワクワク感が押し寄せてくる。
当時学生であった清水氏が、これほどに完成度の高い楽曲を作り上げ、自主制作で発表したという
その熱意もまったく素晴らしいが、それ以上に音にはプログレへの愛情、尊敬、情熱というものが感じ取れ、
躍動するリズムとメロディから溢れるようににじみ出ている。それが時代を超えて本作が愛される所以だろう。
ラスト曲の“さよならプログレ”は、まさに日本的な優美なメロディが素敵な名曲だ。紙ジャケ再発盤のボーナスには、
3rd収録曲のライブ音源と、PFMの名曲“Four Holes in the Ground”のライブでのカヴァーを収録。格好いいっす!
メロディアス度・・8 プログレ度・・8 軽妙度・・9 総合・・8.5
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KENSO
日本のプログレバンド、ケンソーの1985年作
バンドのメジャーデビュー作となる3作目。サウンド的にはよりジャズロック寄りの聴き心地になり
テクニカルなリズムチェンジに美しいシンセアレンジも含めて、よりスタイリッシュな感触である。
前作のようにインパクトの強い名曲というものがないぶん、やや地味な印象なのだが、
巧みな演奏に、サウンドメイキングともにクオリティ的には着実に進化してきている。
いわばPFMをフュージョン化したような雰囲気も感じさせ、叙情的なフルートの小曲など、
コンパクトな楽曲の中に質の高さというものが光る、優雅な好作品である。
メロディアス度・・8 プログレ度・・8 軽妙度・・9 総合・・8
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KENSO 「In Concert」
日本のプログレバンド、ケンソーの1986年作
いまや名実ともに日本を代表するプログレバンドとなった彼らの1985年のライブ作品。CD2枚組
1曲めはオランダの技巧派バンド、Flairckの“Voorspel in Sofia”を取り上げていて、
軽妙なアレンジでケンソーらしい曲に仕上げている。楽曲は2nd、3rdからの曲が中心で、
時期的にはややフュージョンがかったスタイルの演奏であるが、軽やかな技巧の中にも
しっかりとプログレを感じさせるのはさすが。何故か“アリヴェデルチ”となっている“さよならプログレ”や
Disc2では、1st収録の“海”もじつに格好いい。後の「スパルタ」に収録される新曲“PM”も初披露、
そしてラストは、お待ちかねの“空に光る”で締めくくる。初期ケンソーの雰囲気をたっぷり味わえる作品だ。
ライブ演奏・・9 プログレ度・・8 軽妙技巧度・・9 総合・・8
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KENSO「SPARTA」
日本のプログレバンド、ケンソーの1989年作
通算4作目で、メジャー2作目となる本作は、前作での軽妙なジャズロック色を受け継ぎつつ、
メロウなギターの旋律にやわらかなフルート、繊細なシンセアレンジによる優美な叙情性が楽しめる。
フュージョンロック的な技巧性とともに、2ndにあった日本的な情緒も含んだ繊細な感触で、
オールインストながら流麗なメロディの流れで耳心地よく鑑賞できる。優雅で躍動的なナンバー、
ライブでも定番の「インスマウスの影」なども含めて内容充実。次作「夢の丘」へと続く傑作です。
メロディアス度・・8 プログレ度・・8 優雅度・・9 総合・・8.5
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KENSO「夢の丘」
日本のプログレバンド、ケンソーの1991年作
初期で一番好きなのは「セカンド」ですが、本作の完成度を聴けば、これこそが最高傑作と思えます。
マニアのためのプログレから完全に脱却し、ここにあるのはいうなれば音楽としての普遍的宇宙です。
ジャケットからしてそうで、音にある自然さとさりげなさ、そしてその美しさを見事に表している気がします。
シンフォニック、メロディック、ジャズ、あるいはトラッドといったあらゆる要素が詰め込まれ、
それを空気のように自然に取り入れた演奏は素晴らしく、全篇インストであるのにまったく飽きさせません。
じつに自然な音響のためさらっと聴きながせもしますが、深く聴くとやはり驚愕の演奏と緻密さです。
これが10年前の作品とは…信じられませんな。全プログレファンのマストアイテム。
メロディアス度・・8 プログレ度・・9 演奏・・9 総合・・9
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KENSO 「Live '92」
日本のプログレバンド、ケンソーのライブ。1993年作
1992年という、名作「夢の丘」発表の翌年のステージで、まさにバンド絶頂期のライブ音源である。
「スパルタ」、「夢の丘」、「II」からのナンバーを中心に、ライブらしいアレンジを加えての躍動的な演奏が味わえる。
ツインキーボードによる美しく空間的なサウンドと、確かなテクニックのリズム隊の生み出す軽妙なアンサンブルと
優雅な聴き心地は、まさにケンソーの真骨頂。ときにジャズロック風味の即興性を軽やかに挿入しつつ、
清水氏のギターワークも流麗にして巧みなフレーズを奏でていて、楽しげに楽曲を構築してゆく。
全75分、プログレ云々を超えた一流バンドの演奏がたっぷりと味わえる、必聴のライブ作品だ。
ライブ演奏・・9 プログレ度・・8 優雅で軽妙度・・9 総合・・8.5 
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KENSO「IN THE WEST」
日本が誇るプログレバンド、ケンソーのライブアルバム。1998作
1997年渋谷ON AIR WESTでのステージで、もともとは発表するつもりのなかったという16トラックで録音された音源を
ファンの要望によってアルバムにしたもの。低音の迫力などはやや欠けるが、音質的にはまったく問題なく、
ライブの熱気と疾走感がしっかりと伝わって来る。1st〜3rdの初期の曲も取り上げており、「空に光る」「海」といった
日本的情緒のある名曲がアルバム以上に躍動しているのが素晴らしい。このバンドの凄いところは、ライブ演奏においても
ロックとしてのダイナミズムを失わず、下手をすると聴き易いだけのフュージョンになってしまいかねないところを
曲のアレンジの妙と演奏の力で優雅に聴かせてしまうところである。また、テクニカルなパートだけでなく
静けさのある部分でも、インストでありながら聴き手を引き込むだけの「音の世界」をすでに作り上げている。
たとえれば、PFMHAPPY THE MANなどにも通じる、メロディと演奏の両立がなされたバンドなのだ。
メロディアス度・・8 テクニカル度・・8 ライブ演奏・・9 総合・・8
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KENSO 「Esoptron」
日本のプログレバンド、ケンソーの1999年作
傑作「夢の丘」から8年ぶりとなるスタジオアルバムで、これまでの作風からがらりと変わり、
1曲めから古き良き70年代風のアナログ感がただようハードロック風のサウンドになっている。
歪ませたロックなギターにオルガンが絡み、いくぶん籠もり気味の音質も含めて
清水氏の凝り性ぶりが伝わってくる。2曲め以降はテクニカルでプログレな感触も随所にあるので、
これまでのケンソーらしさを残しつつも、よりロックな奔放さを感じさせるサウンドが楽しめる。
メロディック度・・7 プログレ度・・7 ロック度・・9 総合・・8
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KENSO「天鳶絨症綺譚」
日本が誇るプログレッシブロックバンド、ケンソーの2002年作
タイトルの読み方は「びろうどしょうきたん」。“ビロード症”という精神分裂的病をコンセプトに
オールインストでありながら、カラフルかつ奇天烈な世界観を音で描き出している。
初期のプログレ的なプログレであったケンソーの呪縛から今だ抜けられないでいる方も多いだろうが、
たとえヘヴィになったとしても、彼らの前進、進化し止まることはない。それこそが真のプログレだ。
ときにHR的ですらある清水氏のヘヴィなギターに、ロック的なグルーブをもった村石氏のドラムは
変拍子入りまくりの楽曲にあっても、「全てはロックなのだ」と語ってでもいるかのようだ。
キーボードの味付けはシンフォニックというよりは、異国的で、モダンさとレトロさが混在しており
テクニカル一辺倒になりがちなサウンドにしなやかで眩惑的な質感を与えている。
“韜晦序曲 ”、“隠遁者の娘”、“夜のドッペルゲンガー ”といった不可思議なタイトルも想像を刺激する。
メロディアス度・・7 テクニカル度・・8 ヘヴィプログレ度・・9 総合・・8
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KENSOうつろいゆくもの
日本のプログレバンド、ケンソーの2006年作
前作のヘヴィさを適度に残しつつも、初期を思わせるシンフォニックなアレンジも取り入れ、
昨今の作品ではもっとも人々の望むだろうケンソーサウンドが聴ける。
やや詰め込み気味だった重厚な前作に比べて、清水氏のギターはメロウなフレーズを連発、
キーボードのやわらかな音色に包まれて、流麗なアンサンブルがゆるやかな自然体で音をつむいでいる。
テクニカルな突進力を見せつけるのではなく、あくまで曲の中でバランスを組み立てているのが
耳触りの良さにもつながっていて、バンド全体の音がやわらかく一体化しているという印象。
空間的な彩りをかもしだすシンセもじつに見事で、光田、小口両氏のセンスが存分に発揮されている。
また、オールインストかと思いきや、女性Vo参加の曲もあり、トラッド的で異色な質感を放っている。
反面、アルバムとしてのまとまりにはやや欠けるが、各楽曲の演奏面での成熟度は過去最高と言ってよく
日本のプログレ初心者のリスナーにもお勧めできて、同時に往年のファンも納得させるだけの力作だ。
メロディアス度・・8 テクニカル度・・8 ゆるゆか自然体度・・9 総合・・8.5
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KENSO「SPARTA NAKED」
日本のプログレバンド、ケンソーの2009年作
1989年の4th「SPARTA」を新たにリミックスしボーナストラックを加えた新装版。
元の「スパルタ」のサウンドは他の傑作たちに比べるとやや地味な印象だったのだが、
あらためて聴いてみると、メロウなギターの旋律とうっすらとしたシンセに包まれた雰囲気から始まり、
フュージョンがかった軽やかなモダンさと、そこにある優雅な叙情はまさにケンソー節である。
いうなれば2ndと3rdの良いところを合わせた作風を、高いクオリティで構築したという感触で、
じつにバランスのよい聴き心地。優美なフュージョン・プログレの好作品です。ただ、定価が高いです。
メロディック度・・8 プログレ度・・8 優美度・・9 総合・・8


KENSO 「内ナル声ニ回帰セヨ」
日本のプログレバンド、ケンソーの2014年作
名実ともに日本を代表するプログレバンドとして、すでに40年にわたって活動を続けるこのバンド。
1980年の自主制作のデビュー作から数えて、10作目となる本作は、意味ありげなアルバムタイトルや
曲名などからも、古き良きプログレへと回帰したようなケンソーサウンドが楽しめる逸品である。
流麗なギターにやわらかなシンセを重ね、軽妙なアンサンブルの中に日本的な叙情美を宿した、
これぞケンソー!というべき聴き心地で、とぼけた味わいの大人の余裕と確かな技巧が合わさり、
フュージョンとは異なるドラマ性のあるインストで優雅なサウンドを描き出す。さすがの傑作です。
メロディック度・・8 プログレ度・・8 ケンソー度・・9 総合・・8.5
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Kikagaku Moyo 「Forest of Lost Children」
日本のサイケロック、幾何学模様の2014年作
アコースティックギターにシタール、フルートの音色がゆったりとした浮遊感をかもしだす。
初期PINK FLOYD的なやわらかなサイケロックに、東洋的な旋律が加わったという、
かつてのFAR EAST FAMILY BANDなどを受け継ぐような雰囲気も持ったサウンドである。
一方では、若手らしい勢いのあるロック的なノリと確かなアンサンブル随所に感じさせ、
オールドな感触のエレキギターにエスニックなシタールが絡むなど、個性的な無国籍感も面白い。
国産の本格派サイケバンドとして、今後も楽しみな存在だ。
ドラマティック度・・7 サイケ度・・8 浮遊感・・9 総合・・8
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Killing Frost 「Falling from the Sky」
日本のメロディックメタル、キリング・フロストの2007年作
元TYTAN'S CLAWのギター、Kishiのソロ作品で、打ち込みによるリズムに、
叙情的なギタープレイとハイトーンヴォーカルを乗せて疾走する、メロディックスピードメタル。
フックのあるキャッチーなメロディに、ときにヴァイキングメタル風味のフレーズも覗かせたりと、
聴き心地のよいサウンドだが、やはりドラムが打ち込みなのと、ヴォーカルの弱さが自主制作感をかもしだしている。
SONATA ARCTICAやCARDIANT、日本のBALFLAREあたりが好みの方なら、そこそこ楽しめると思われる。
メロディック度・・8 疾走度・・8 新鮮度・・7 総合・・7


KILLING TIME 「SKIP」
日本のプログレバンド、キリングタイムの1987年作
清水一登、坂倉文、Ma*Toの三人を中心に結成、「暇つぶし」の意を持つバンドで、
デビュー作「BOB」に続く2作目となる。のっけから12分の大曲で、ロック的なギターを乗せたビート感に、
ヴァイオリンやマリンバの音色が重なり、リズムチェンジを含む軽妙なテクニカル性と構築を崩すような
先の読めないアヴァンギャルドなセンスが炸裂。民族的なパーカッションに鳥の声、ゆったりとしボサノバ風味から、
ストリングスを前に出したクラシカルなナンバーなど、なんでもアリなごった煮感に、くすりとしながら楽しむのが正しい聴き方かと。
メロディアス度・・7 アヴァンギャル度・・8 ロック度・・5 総合・・
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KILLING TIMEFILLING TIME WITH “KILLING TIME”」
日本のプログレバンド、キリングタイムのベストアルバム。1988作
清水一登、坂倉文、Ma*Toの三人を中心に結成された「暇つぶし」の意を持つバンド。
プログレ、ジャズ、クラシック、民俗音楽等を融合させた個性的なサウンドで、北欧のサムラあたりを思わせるユーモアとヒネたセンスを感じる。
変則リズムに溢れた演奏は、そのキレの良さもあって今でいうMATS/MORGAN的なアヴァンギャルドさを感じさせつつも、
反対に土着的な柔軟性も有しているのがミソ。曲によって雰囲気が全然違うし、テクニカルといってもロック的なものではないので
イマイチ理解しにくいかもしれないが、現在聴いても新鮮な音楽であるのは確か。少々マニアックな名前を出すなら、
KATZEN KAPELL
HARDSCOREあたりのチェンバー系の「コロコロとした軽やかさ」が好きならたぶんハマるかと。
2005年のリマスター盤には「日没」のサントラバージョンがボーナスとして加わっている。
メロディアス度・・7 アヴァンギャル度・・8 ロック度・・3 総合・・8
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キノコホテル「サロン・ド・キノコ」
日本のレトロ系ガールズロック、キノコホテルのライブ作品。2009年作
2009年のライブ音源…もとい実況録音を収録した8曲入りのライブCDと、3曲入りのDVDの2枚組。
デビュー前のインディーズ時代のライブ…もとい実演会ということで、音質もそこそこなのだが、
それがむしろライブらしい臨場感になっていて、うるさすぎない演奏がけっこうよい感じである。
レトロなオルガンを響かせ、昭和臭たっぷりの歌詞と独特の歌声で聴かせる歌謡サイケロックは、
すでにその世界観を完成させている。曲が2〜3分前後と短いので、もっと曲数を聴きたいと思ってしまうが、
初期のライブ音源や映像は貴重なので、ファンならば手に入れずにはおけないだろう。
ライブ演奏・・7 昭和歌謡度・・8 古き良き度・・9 総合・・8
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キノコホテル「マリアンヌの憂鬱」
日本のレトロ系ガールズロック、キノコホテルの2010年作
コスプレチックな衣装に身を包んだ女性4人組のメジャーデビュー作。そのサウンドは昭和感たっぷりの、
実にレトロなガレージ・サイケロックで、古き良き70年代風味の適度にユルめのギターにオルガンが鳴り響き、
マリアンヌ東雲嬢のハスキーなヴォーカルが、適度に毒とエロスを含んだ日本語歌詞を歌い上げる。
いくぶんスカスカなドラムも含めて、アナログ感に包まれた録音もじつに見事で、古き良き音の演出に成功している。
哀愁漂う昭和ロマンに、ひなびた酒場のアダルトな空気感を感じさせる、昭和歌謡サイケ作品。ううん素晴らしい。
メロディック度・・8 昭和サイケ度・・9 古き良き度・・9 総合・・8
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キノコホテル「マリアンヌの休日」
日本のレトロ系ガールズロック、キノコホテルの2010年作
今作は昭和のマイナー歌謡曲のカヴァー集で、平山三紀「真夜中のエンジェル・ベイビー」
大原麗子「ピーコック・ベイビー」、ポピーズ「恋は気分」、リンガース 「恋はふりむかない」
渚ようこ 「謎の女B」、エルザ「山猫の唄」…正直、詳しくないのでどれも知らないのだが、
レトロなファズギターとオルガンに、マリアンヌ東雲の歌声が乗れば、これはもうキノコホテルである。
ハマりすぎという以前に、なんの違和感もなさすぎて、元曲を知らなければ、オリジナルにすら思えるという。
全6曲のミニなので、評価はそれなりにとどまるが、キノコのファンであればチェックですな。
メロディック度・・8 昭和歌謡度・・9 古き良き度・・9 総合・・7.5
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キノコホテル「マリアンヌの恍惚」
キノコホテルの2011年作
バンドのテーマソング的な「キノコホテル唱歌II」から幕を開ける本作も、前作同様、
レトロなギターとオルガンが鳴り、昭和歌謡丸出しの歌詞を乗せた、ヴィンテージな歌謡ロックが炸裂。
SMのSを感じさせるマリアンヌ東雲のエロスを含んだハスキーな歌声は、それだけでもう良いのですな。
ドラムやベースが上手すぎないという点も、適度なユルさをかもしだしていて、女の子らしい弱さとともに
アダルトなアケアゲ感と倦怠感が交差しつつ、小悪魔的にお色気のある空気感もたまらない。
今作では、8分を超える不思議なサイケナンバーもあり、プログレファンにも楽しめるだろう。
メロディック度・・8 昭和サイケ度・・9 古き良き度・・9 総合・・8
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キノコホテル「マリアンヌの誘惑」
キノコホテルの2012年作
フルアルバムとしては3作目。妖しげなイントロから始まり、オルガンの音色とスカドコのドラム、
ハードすぎないギターとともに、70年代サイケロックのユルフワ加減を巧みに描くサウンドは安定の出来に。
マリアンヌ東雲の歌う日本語歌詞は、いっそう意味深にいかがわしく、ある種の迫力すらともなってきた。
今作では管楽器も入ったスカ風味もあったりと、昭和歌謡がゴージャスに劇伴ロック化したという雰囲気もあって、
楽曲ごとの世界観とインパクトも際立っている。ありがちな喘ぎ声スキャットなどにも思わずにやにや。
もはや安定のクオリティの、昭和歌謡ガールズ・サイケロックの好作品だ。
メロディック度・・7 昭和サイケ度・・9 古き良き度・・9 総合・・8
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キノコホテル
「マリアンヌの逆襲」
日本のガルールズロックバンド、キノコホテルの6曲入りミニ。2013年作
オルガンが鳴り響く70年代的なアナログ感たっぷりのレトロな雰囲気のガレージロック。
マリアンヌ東雲のエキセントリックな歌詞とその独特の歌声とともに、
まるでサイケデリックな昭和を音にしたような世界観で、なかなか不思議な耳心地。
カルメン・マキ、東京ブラボー、映画「ゴジラ対ヘドラ」、泉朱子、アーント・サリー、休みの国、

などの昭和歌謡のカヴァー集であるが、アレンジの巧みさで古めかしいロックサウンドを、
サイケな浮遊感と無邪気な毒で包んだというような絶妙のあんばいで聴かせてくれる。
デジタルに慣れたいまの若いリスナーには、むしろ新鮮なサウンドかもしれない。
メロディアス度・・7 サイケ度・・8 昭和度・・8 総合・・8

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キノコホテル「マリアンヌの呪縛」
キノコホテルの2014年作
4作目となる本作では、妖しげなイントロ曲からして、これまで以上にギターサウンドが鋭角になった感があるが
オルガンが鳴り響き、マリアンヌ東雲の背徳感と昭和の香りを含んだけだるげな歌声で聴かせる世界観は不変。
バンドとしてのノリの良さと勢いが楽曲に反映されていてのか、初期の頃のふわっとした歌謡サイケ路線に比べると
カッチリとしたガールズロックの感触が強まった気もしないでもない。曲によっては、これまでになくテンション高めのノリで、
歌い上げたりシャウトする部分や、強烈なセリフも含めて、以前の作風よりも「S度」も高まっているという気も。笑
これはこれで決して悪くはないのだが、かつてのエロティックなユルさが好きだった者としては痛しかゆしか。
やわらかなオルガンが鳴り響くラストの物悲しいバラード曲などは、これまでなかった雰囲気で良いですな。
メロディック度・・7 昭和サイケ度・・7 古き良き度・・8 総合・・8
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キノコホテル 「マリアンヌの革命」
日本のガールズロック、キノコホテルの2016年作
5作目となる本作もアナログ感たっぷりのギターにオルガンが鳴り響く、
昭和の古き良き香りに包まれたガレージロックが炸裂。インストのイントロに続き、
キャッチーなメロディが80年代歌謡を思わせる、“おねだりストレンジ・ラヴ”からしてとてもよい感じ。
全体的には、前作のややハードな路線も残しつつ、オールドなサイケ風味も戻ってきていて、
浮遊感のある異色のナンバー“赤ノ牢獄”あたりは、売れセンを狙わない彼女たちのスタイルが見える。
バンドとしての演奏力も上がってきたことで、ガレージロックとしての音の一体感も強まったという印象で、
濃密すぎない適度なユルさと、ほどよいメロディのフックが絶妙という、いわば傑作すぎない好作品である。
メロディック度・・8 歌謡サイケ度・・7 古き良き度・・8 総合・・8 
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キノコホテル 「プレイガール大魔境」
日本のガールズロック、キノコホテルの2017年作
2010年にデビュー、本作は創業(結成)10年を記念しての、過去の楽曲を新たにアレンジしたベスト盤。
ハード過ぎないギターにオルガンが鳴り響き、マリアンヌ東雲のハスキーなヴォーカルを乗せた
レトロな昭和感に包まれたサイケなガレージロックで、昭和歌謡的でもあるキャッチーなポップ性も魅力。
未発曲も含んだ、バンド初期のナンバーも多く、現在のキノコのサウンドと比較したりして楽しめる。
ジャズタッチのナンバーから激しいインスト曲、13分のサイケな大曲「風景」など、楽曲のバラエティも豊かで、
70年代の香り漂う初期の代表曲「あたしのスナイパー」は、新たなPVを限定盤のDVDにも収録。
DVDには、台湾ツアーのドキュメントも収録。衣装姿のメンバーたちが台湾の街を歩き回る映像はシュールです。
メロディック度・8 歌謡サイケ度・8 昭和度・9 総合・8 
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キノコホテル 「マリアンヌの奥儀」
日本のガールズロック、キノコホテルの2019年作
フルアルバムとしては7作目となる本作は、キャッチーでコケティッシュなナンバーでスタート。
昭和歌謡的な歌いまわしは残しつつ、80年代以降のデジタル感覚を含んだアレンジで、
いくぶんスタイリッシュになった印象。ドラムの音などもタイトになっていて、サウンド面の向上により
かつてのサイケなガレージロック感触が薄れ、わりと普通のポップロックに聴こえる場面もしばしば。
オルガンなどのシンセはよいのだが、全体的にはポップ寄りのキャッチーさが強まっていて、
初期に比べるとずいぶん垢抜けた聴き心地に。物足りないと思いきや、9曲目の昭和感でひと安心。
メロディック度・8 歌謡サイケ度・7 昭和度・8 総合・8
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金属恵比須「イタコ "Itaco" Live at SilverElephant, April 2007
日本のプログレバンド、きんぞくえびすのライブDVD。2007作
ドラムにギター兼シンセ、ベース兼ヴォーカルという三人編成でビジュアルコンポーザーなるメンバーがいる。
これまでに2枚のCDを出していて、これは2007年に行われたライブの模様を収めたDVDであるが、
冒頭になにやらサスペンスホラーのようなホームムービーが付いていて、ストーリーやコンセプトと関係しているのだろう。
演奏のほうは、「日本のアネクドテン」とも評されるように、クリムゾン影響下のへヴィープログレサウンドで、
そこに昭和的な日本のレトロ感覚が加わった雰囲気だ。フロントのギター/シンセ奏者は派手な衣装で
プログレッシプな狂気を感じさせ、ドラマーは女性でややパワー不足ながらも手数もあり、演奏力は安定している。
ミニムーグ、ハモンドなど、プログレファン好みの要素も多く、曲間の奇妙なSEやナレーションなど、
彼らの世界観を面白いと感じられればしだいに引き込まれるだろう。狭い会場のせいもあって、
ライティングやカメラワークなどがやや貧弱ではあるが、ただそれもむしろレトロでローカルな世界観のひとつとして
彼らには似合っているのかもしれない。ギターやシンセのフレーズのひとつひとつにもっとオリジナリティが出てくれば
個性派の日本産プログレバンドとして、今後はより成長できるだろうと思う。
ライブ映像・・7 ライブ演奏・・8 昭和レトロ度・・9 総合・・7.5

金属恵比須 「ハリガネムシ」
日本のプログレバンド、きんぞくえびすの2015年作
2001年にデビュー、本作は自主制作を入れて3作目となるアルバムで、メロトロンやオルガン、ムーグといったシンセに
ハード寄りのロックなギターと女性ヴォーカルの日本語の歌唱を乗せた、ヴィンテージなハードプログレを展開。
日本的な郷愁を含んだエキセントリックな歌詞の世界観とともに、クリスマスをテーマにした11分という大曲や、
メロトロンが鳴り響く、日本的な叙情美のナンバー「紅葉狩り」など、シンフォプログレ的な優雅さも感じさせる。
ジャケの「Yebis」のロゴは、まるでイエスのようだが、どちらかというとクリムゾン的…というか、日本らしいプログレという点では
美狂乱などが好きな方にも楽しめるだろう。入江陽氏がヴォーカルをとるラストナンバーも日本的な哀愁に包まれる。
ドラマティック度・8 プログレ度・8 日本度・9 総合・8
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金属恵比須 「阿修羅のごとく」
日本のプログレバンド、きんぞくえびすの2016年作
新曲、初期曲の再録、2015年のライブ3曲を収録した5曲入りEP。メロトロン、オルガンを含むシンセに
ほどよくハードかつ叙情的なギター、どこかなつかしい日本語歌詞の女性ヴォーカルを乗せて、
KING CRIMSONをルーツにした叙情的なサウンドを構築する。ライブ音源も音質良好で、
メロトロンの美しいしっとりとしたナンバーから、おどろ系和風プログレハードの「ハリガネムシ」、
人間椅子を思わせる江戸川乱歩の世界観を描く「箱男」と、後藤マスヒロの躍動的なドラムも含めて、
生々しいライブ演奏が楽しめる。曲数は物足りないのだが、バンドの入門用にも良いのかも。
ドラマティック度・8 プログレ度・7 ライブ演奏・8 総合・7.5 
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金属恵比須 「武田家滅亡」
日本のプログレバンド、きんぞくえびすの2018年作
タイトルのように、戦国時代の武田家の盛衰を描いた伊東潤氏の小説「武田家滅亡」のサウンドトラックというコンセプトで
メロトロン鳴り響くイントロから、ギターにオルガンを加えたスリリングなアンサンブルに、やわらかな女性ヴォーカルが
歴史を語るように歌詞を紡いでゆくところは、さしずめ戦国武家物語のテーマソングという趣である。
2〜3分前後の小曲を主体にしつつ、後藤マスヒロの巧みなドラムがダイナミックなグルーブを描き、
メロトロンとピアノをバックに女性ヴォーカルが美しい、しっとりとしたナンバーなど、メリハリのある流れで
歴史的なドラマ性を構築。ラストは10分の大曲で、ゆったりとしたエンディング的な叙情で幕を閉じる。
ドラマティック度・8 プログレ度・8 日本度・9 総合・8
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金属恵比須「シン・紅葉狩」
日本のプログレバンド、きんぞくえびすの2019年作
2004年の自主制作盤の音源3曲のリマスターに、同作からの2019年のスタジオライブ音源2曲を加えたEP。
ハードロック的なギターリフに朗々とした男性ヴォーカルを乗せたサウンドは、人間椅子からの影響を感じさせつつ、
メロトロンが重なるととたんなクリムゾン風味になる。声の裏返る男性ヴォーカルややや気持ち悪いコーラスなどは、
正直好みを分けるし、後の楽曲に比べると優雅な叙情性は希薄ではあるが、17分を超える「紅葉狩」では、
オルガンやムーグなどを含む優美なシンセにはかなげな女性ヴォーカルで、日本らしいシンフォプログレを描き出す。
2019年のライブ音源は、ギターの高木大地以外はメンバーが替わっているが、原曲の雰囲気を再現しつつも、
よりプログレッシブなリズムや美しいシンセアレンジを加えて華麗に甦っている。バンドの過去と現在をつなぐ作品だ。
ドラマティック度・8 プログレ度・7 初期曲度・9 総合・8
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金属恵比須「黒い福音」
日本のプログレバンド、きんぞくえびすの2020年作
スタジオ音源3曲に、無観客ライブの音源9曲を収録した作品で、アコースティックによるイントロナンバーから、
ハードなギターとツーバスのドラムに、オルガン、女性ヴォーカルを乗せた、ヴィンテージなハードロックを聴かせる。
伸びやかな女性声と和風の歌詞とともに、どことなく陰陽座を思わせるような「ルシファーストーン」から、
続く「鬼ヶ島」は、人間椅子にも通じる、男性声によるサバスルーツのどっしりとしたメタリックなナンバー。
映画「八つ墓村」のサントラから幕を開けるライブ音源は、後藤マスヒロのパワフルなドラムを土台に、
オルガンやムーグ、メロトロンをたっぷり使った鍵盤と、稲益宏美のおきゃんな歌声を乗せ、
和風ハードプログレというべき独自の世界観で、「武田家滅亡」、「ハリガネムシ」などの代表曲を演奏。
ドラマティック度・8 プログレ度・7 ライブ演奏・8 総合・8
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金属恵比須 「虚無回廊」
日本のプログレバンド、きんぞくえびすの2022年作
小松左京の未完の小説「虚無回廊」をテーマにし5曲をメインに、アニメや特撮などにインスパイアされた楽曲を収録。
メロトロンの美しいオープニング曲から、2曲目からはオルガンを含むシンセにハードなギターを重ね、
昭和感ある女性ヴォーカルで、歌謡プログレ的なサウンドを展開。後藤マスヒロのドラムも随所に暴れつつ、
サバスかクリムゾンかという感触も覗かせながら、コンセプト的な前半を終えると、アルバム後半では、
同年に逝去した作曲家、渡辺宙明が参加した、特撮ヒーロー風のテーマ曲や、不穏なインストの「ゴジラVSキングギドラ」、
ラストは14分という大曲で、静から動へと緩急ある展開力で、スケール感のあるドラマティックなプログレが炸裂する。
ドラマティック度・8 プログレ度・7 昭和度・9 総合・8 
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己龍
「朱花艶閃」
日本のV系ロックバンド、きりゅうの2012年作
和風ホラー的な世界観のバンドということで、やはり陰陽座的なサウンドを想像するが
妖しい雰囲気は確かに通じるものがある。ヘヴィなギターリフのメタリックな感触と
ときに疾走する激しさで、和風の歌詞で歌うヴォーカルと随所にスクリームも含んで、
おどろおどろしい世界観を描き出している。歌メロにはV系的なキャッチーさもあって、
ときおりうざったく感じることもあるが、和風ハードロックが好きな方ならけっこう楽しめるだろう。
メロディアス度・・7 メタル度・・7 和風度・・8 総合・・7.5
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MAKOTO KITAYAMA WITH SHINGETSU PROJECT「HIKARU SAZANAMI」
日本のプログレバンド、新月のヴォーカリスト、北山真のソロ作。1998年作
「新月プロジェクト〜光るさざ波」と題された、オリジナル新月のメンバーにゲストを加えた編成の作品。
まず一曲目の冒頭から「クリムゾンキングの宮殿」ばりの、時代を超えたようなメロトロンが盛大に鳴り出す。
そして北山真が歌いだすと、その独特の声質から当時の新月が甦ったような感覚になる。
これほど日本詩の似合うプログレ系Voもそうはいない。何故だかとても「昭和」を感じる哀愁に叙情。
GENESIS系のシアトリカルなイメージを日本的フォーマットでとらえた新月のサウンドは今後も語り継がれるだろう。
このアルバムでその一端を感じた方は、ぜひ新月のオリジナルアルバムを聴いてもらいたい。
シンフォニック度・・8 日本詩叙情度・・9 新月度・・9 総合・・8
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北山真 with 真〇日「冷凍睡眠 COLD SLEEP」
新●月の北山真によるプロジェクトバンド、しんじつの2015年作
KILLING TIMEの清水一登がシンセで参加、ドラムには清水氏の夫人である、れいちが参加している。
オルガンやピアノ、メロトロンの音色を含むシンセアレンジに、北山氏のシアトリカルなヴォーカルを乗せたサウンドは、
かつての新月に通じる叙情美と、詩情あふれる日本語歌詞による、どこか昭和を思わせる、なつかしい聴き心地である。
メロウなギターフレーズが心地よい大曲「別のなにか」は、北山氏の歌声とともに大人の哀愁を感じさせ、
やわらかなフルートも加わって、しっとりとした味わいが楽しめる。そして12分におよぶタイトル曲は、
新月の往年の代表曲にも引けを取らないドラマティックな盛り上がりが素晴らしい。まさに新月ファンは必聴!
ドラマティック度・・8 叙情度・・9 新月度・・9 総合・・8
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KNIGHTS OF ROUNDEternity
日本のメロスピバンド、ナイツ・オブ・ラウンドの2007作
「円卓の騎士」のバンド名とRPGのようなジャケからしてすでに内容を物語っているが
やはりいかにもなイントロに続いて、いかにもな疾走メロスピが始まります。
演奏陣も及第点、歌もギリギリ及第点という感じで、まあ悪くはないですが
ややありがちなギターリフにどこかで聴いたようなコード進行という、
良くも悪くもまだまだ若手によるマイナー系メタルバンドという印象。
AZRAELANCIENT MYTHといったバンドのKeyもゲスト参加している。
メロディアス度・・7 疾走度・・7 楽曲・・6 総合・・7
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KNIGHTS OF ROUNDThe Book Of Awakening」
日本のメロスピバンド、ナイツ・オブ・ラウンドの2010年作
ファンタジックなジャケも含めてRPGのような世界観のシンフォメタルであるが、
2007年の前作は、いかにもB級臭いメロスピで、正直なところ印象に薄かった。
壮麗なイントロからSTRATOVARIUSばりの疾走曲で始まる本作も、個性という点では弱いのだが、
そのクサいメロディにはさらに磨きがかかり、力強さのないハイトーンヴォーカルとともに、
これぞファンタジー・メロスピ!というサウンドを恥ずかしげもなく繰り広げている。
きらびやかに疾走するそのクサメロぶりには、思わずにやにやしてしまう。
クサメロ度・・8 疾走度・・8 ファンタジー度・・9 総合・・7.5
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KNIGHTS OF ROUND「THE GATEWAY TO NEW DIMENSION」
日本のメロスピバンド、ナイツ・オブ・ラウンドのミニアルバム。2011年作
6曲入りのミニアルバムで、ロマンあふれるイントロからしてすでにクサクサでにんまり。
美麗なシンセアレンジにクサメロのツインギターとハイトーンヴォーカルを乗せて疾走する、
疾走メロスピ曲は、さほど新鮮味はないが、アレンジ面やメロディのフックに成長の跡がうかがえて、
爽快にしてキャッチーな聴き心地で楽しめる。ファンであればフルアルバムもに大きく期待できる内容だろう。
メロディアス度・・8 疾走度・・8 クサメロ度・・8 総合・・7.5
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KNIGHTS OF ROUND 「A FALLING BLOSSOM WILL BLOOM AGAIN」
日本のメロスピバンド、ナイツ・オブ・ラウンドの2013年作
2007年にデビュー、RPGのようなファンタジックな世界観のシンフォメタルを標榜するこのバンド、
フルアルバムとしては3作目となる本作も、美麗なイントロから、曲が始まるとクサメロ疾走開始、
中音域のヴォーカルを乗せてキャッチーなメロディと壮麗なシンフォニック性を同居させたサウンドには、
これまで以上に強固な説得力を感じさせる。ギターの奏でるフレーズもかつてのNocturnal Ritesばりにクサく、
思わずにんまりであるし、ヴォーカルが無駄にハイトーンでないのも逆にマイルドな聴き心地でうるさくない。
叙情的なバラードやラストの11分の大曲も含め、バンドとしての自信と確かな成長を感じさせる力作に仕上がっている。
メロディック度・・8 疾走度・・8 クサメロ度・・8 総合・・8
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KNIGHTS OF ROUND 「The Meaning of Life」
日本のメロディックメタル、ナイツ・オブ・ラウンドの2016年作
2007年にデビュー、本作は4作目のフルアルバム。のっけからクサメロのギターを乗せて疾走開始、
かすれた味わいのヴォーカルを乗せて、シンフォニックできらびやかなメロスピサウンドを聴かせる。
勢いのある疾走感とキャッチーな透明感は、初期SONATA ARCTICAなど北欧系バンドにも通じる感触で
ヘヴィ過ぎない爽快なサウンドも含めて、この手のキラ・メロスピを好むリスナーにはアピールするだろう。
ギターのメロディにはどこかで聴いたようなフレーズもあるのだが、美麗なシンセアレンジとライトなクサメロ、
日本語歌詞の歌声とともに、MinstreliXなどにも通じる、優美でファンタジックな世界観が楽しめる好作品だ。
メロディック度・・8 疾走度・・9 美麗度・・9 総合・・8 
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KNIGHTS OF ROUND 「IN THE LIGHT OF HOPE」
日本のメロディックメタル、ナイツ・オブ・ラウンドの2019年作
2007年にデビュー、いまや日本クサメタルの中堅バンド、5作目のフルアルバムで、優美なイントロで幕を開け、
ツインギターに美麗なシンセを重ね、英語歌詞のヴォーカルとともに疾走する、ファンタジックなメロスピサウンド。
キャッチーなクサメロ感を描くきらびやかなサウンドは、北欧系のメロパワバンドに通じる感触もあり、
重すぎないドラムやパワフル過ぎないヴォーカルも含めて、古き良きメロディックメタルを継承する味わい。
ゆったりとした叙情ナンバーなど、ミドルテンポのナンバーもわりと多いが、あくまで優雅なメロディアス性で楽しめ、
ラスト2曲は怒涛のクサメロスピで華麗に疾走する。デビューからプレないスタイルに拍手である。
メロディック度・8 疾走度・8 優雅でキャッチー度・8 総合・8 
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高円寺百景「Hundred Sights of Koenji」
日本のプログレバンド、こうえんじひゃっけいの1994/2007年
日本版マグマともいうべき1994年の名作の、ドラム再録、全編リミックスによる再発アルバム。
吉田達也の激しいドラムが渦巻く中をコバイヤ語による妖しいコーラスワークが響きわたる。
シンセを含めて重厚なサウンドは、混沌としながらもやはりどこか日本的で
呪術的な歌声とともに、わびさびのある情緒をもかもしだしている。
ヘヴィなジャズロックと、どろどろとした世界観…いわばJ.A.シーザー風味を
融合させた、激しいうねりと熱気にあふれたサウンドはとても刺激的だ。
妖しさ度・・9 コバイヤ度・・8 うねりと熱気度・・9 総合・・8
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高円寺百景Viva Koenji !!」
日本のプログレバンド、こうえんじひゃっけいの2nd。1996作
ドラムの吉田達也を中心とした濃密でハイテンションなアンサンブルに、
コバイヤ語のヴォーカルと男女コーラスが妖しく交差する、“日本版マグマ”ともいうべき
サウンドは本作も変わらず。1stのインパクトが強かったので、正直まったく同じ路線だと
さすがにこの濃さにやや食傷気味か。MAGMAが好きな方であれば楽しめる力作だとは思う。
メロディアス度・・7 ハイテンション度・・8 マグマ度・・8 総合・・8
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高円寺百景 「NIVRAYM」
日本のプログレバンド、こうえんじひゃっけいの2001年作
3作目となる本作も、吉田達也のドラムに、うねるベースを乗せた生々しいアンサンブルに、
コバイヤンな妖しいコーラスを乗せた、「日本版MAGMA」というサウンドを聴かせる。
曲によってはエキセントリックな女性声も加わって、ますます妖しさに磨きがかかる。
ルインズやズビズバなどで培った(?)アヴァンギャルドな感触が加わってきたことで、
本家マグマ以上にフリーキーな荒々しさを感じさせる。オルガンが鳴り響くファンキーなノリの
ジャズロックナンバーなども含めて、節操のなさこそ魅力というような力作である。
ドラマティック度・・7 アヴァンギャル度・・8 マグマ度・・8 総合・・8 
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高円寺百景「Angherr Shisspa」
日本のプログレバンド、こうえんじひゃっけいの2005年作
2001年作「NIVRAYM」に続く4作目で、男女混声のヴォーカルを乗せたMAGMA影響下の妖しげな世界観と、
吉田達也の手数の多い奔放なドラムで聴かせる、たたみかけるようなプログレッシブ・ジャズロックは健在。
本作では新たに、る*しろうの金澤美也子嬢(Key&Vo)、山本響子嬢(Vo)、小森慶子嬢(Sax/Clarinet)の三人の女性が加わり
本格派のオペラティックなソプラノを乗せた優雅さと、荒々しくサックスが鳴り響くフリーキーなジャズ要素が際立って、
サウンドはますます濃密に、そして凶暴になってきている。美しいソプラノをメインにしたしっとりとしたパートも含みつつ、
変則リズムを軽やかに叩き出す吉田氏のドラムもさすがで、もはや本家MAGMA以上にテクニカルな仕上がりと言ってよいだろう。
濃密度・・9 プログレ度・・8 マグマ度・・9 総合・・8
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小坂由美子「YUMICO」
日本の女性シンガー、こさかゆみこの1992年作
アニメ「宇宙の騎士テッカマンブレード」の主題歌4曲を含む初のソロアルバムで、
伸びやかな彼女のハイトーンヴォーカルを乗せて、浜田麻里にも通じるハードロック風のナンバーなど、
キャッチーな女性声ロックとして普通に楽しめる。流麗なギターソロなども含めて演奏はレベルが高く、
初代OP「REASON」のオリジナルバージョンなどは、ジャパメタのリスナーにも楽しめるだけのクオリティがある。
テーマ曲以外は、ポップなナンバーが多いのが惜しいが、シンガーとして彼女の魅力は十分感じられるる
メロディック度・・8 ロック度・・8 女性Vo度・・8 総合・・7.5
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Kruberablinka
元Terra Rosaの赤尾和重と鈴木広美によるバンド、クルベラブリンカの2011年作
オルガンが鳴り響く古き良き感触の王道ハードロックサウンドで、赤尾姐さんの歌声も
英語歌詞、日本語歌詞、それぞれに、テラ・ローザ時代を思わせるようにパワフルだ。
ノリのよいナンバーはもちろん、どっしりとしたスローからミドルテンポのナンバーもよろしく、
鈴木広美の味のあるギターとともに、Fatima Hillなどにも通じる湿り気のある様式美HRが楽しめる。
5曲入りのミニであるが、80年代ジャパメタの熱さとメロディアス性を受け継いだ強力な内容です。
メロディック度・・8 古き良き度・・8 女性Vo度・・8 総合・・8
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Kruberablinka 「Kaizu」
日本のハードロックバンド、クルベラブリンカの2013年作
元テラ・ローザの赤尾和重をフロントにしたバンドの待望のフルアルバム。
前作ミニアルバムの流れをくむサウンドで、1曲目から疾走感あふれる古き良き様式美HRが炸裂。
オルガンが鳴り響き、RAINBOWをルーツとしたどこかなつかしいコード進行とともに、
赤尾姐さんのヴォーカルもますますパワフルになって、オールドなハードロックファンなら
「これだよコレ!」と嬉しくなる展開美ににんまり。今作ではすべてが日本語歌詞がメインということもあり、
より「あの頃のジャパメタ感」が強まっている。これぞ大人の様式美ハードロック。恰好いいです。
メロディック度・・8 古き良き度・・9 女性Vo度・・8 総合・・8
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Kruberablinka 「Blanko」
日本のハードロックバンド、クルベラブリンカの2014年作
元テラ・ローザの女性シンガー、赤尾和重をフロントにしたバンドの2作目のフルアルバム。
本作もオルガンが鳴り響く、どっしりとしたアンサンブルで古き良き感触のハードロックサウンドが炸裂。
ますます深みを増した赤尾姐さんの歌声を乗せて、日本的な情緒を含んだ大人の哀愁とともに
鈴木広美のギターワークも往年の様式美に渋みが加わったという、じつに味わい深い聴き心地。
ジャパメタらしいコブシの効いた歌メロにニンマリとしつつ、80〜90年代の正統派HRの空気感を蘇らせながら
本作では日本語歌詞によるブルージーな情感が強まったという印象だ。疾走するナンバーは少ないものの、
オールドロックの香りを強めた各楽曲の完成度も素晴らしい。日本人ハードロッカーは全員聴くべし!
これがジャパメタ度・・10 古き良きHR度・・9 赤尾姐さん度・・10 総合・・8
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曇ヶ原
日本のプログレバンド、くもりがはらの2021年作
オルガンにメロトロンが鳴り響き、アナログ感あるギターを重ねて、ANEKDOTENにも通じる、ヴィンテージなサウンドを展開、
「プログレッシブ・ハード・フォーク」を標榜するように、道端のふとした光景などをテーマにした日本語歌詞とともに、
どこかなつかしい昭和の空気に包まれる。10分を超える大曲も多く、ゆったりとしたフォークルーツの歌パートから
スリリングなインストパートへと緩急ある構築力も見事で、うっすらとしたメロトロンや優美なピアノ、巧みなギタープレイなど、
随所にしっかり聴きどころも押さえている。13分というラストナンバーは、不穏なフレーズによるダークな味わいに、
EL&Pばりのオルガンとギターを重ねてたたみかけ、アコギと歌によるフォークパートも含んだドラマテイックな展開が圧巻だ。
ドラマティック度・8 プログレ度・8 昭和度・9 総合・8
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LANCER>>Beehymenoptera
日本のヘヴィロックバンド、ランサー・ビーの2011年作
どうでもいいが、ヴォーカル嬢はファッション雑誌のモデルさんでもあるらしい。
1曲めはヘヴィなリフでたたみかけるモダンなロックサウンドにエフェクトのかかったヴォーカルが乗る。
全体的には、これといったインパクトはないのだが、シンセアレンジがピコピコだったりオルガン入ってたりして、
プログレや古き良きハードロック色が垣間見えたりするのが面白い。これもミクスチャー的といえばそんな感じかしら。
曲によってはゴシック的な耽美さもあっていい感じなので、今後はサウンドの方向性を絞っていってもらいたい。
メロディアス度・・7 ヘヴィロック度・・7 女性Vo度・・7 総合・・7.5
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LAST MAY JAGUAR 「Ready for...」
日本のハードロックバンド、ラスト・メイ・ジャガーの2014年作
女性ヴォーカルをフロントにした4人編成で、適度にモダンなヘヴィネスを含んだギターに、
日本語歌詞の女性ヴォーカルを乗せた、メロディックなメタルサウンド。演奏陣のテクニックもしっかりしていて、
激しく疾走するメロスピ風味や、モダンなヘヴィロック風味、キャッチーなメロディアス性を合わせたというスタイルで、
全体的にもクオリティはそれなりに高い。3〜4分前後の楽曲は、わりとシンプルな聴き心地なのだが、
突き抜けるような迫力や新鮮な部分は薄く、まだまだ既存のバンドたちとの差別化にはいたっていない。
ヴォーカル嬢のスクリームはむしろいらない気がするので、さらに深みのある表現力を身に付けていって欲しい。
メロディック度・・7 モダンヘヴィ度・・8 女性Vo度・・7 総合・・7.5
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L.E.D.「elementum」
日本のエレクトロ系ユニットの2011年作
サックス、シンセ奏者を含む7人編成で、シーケンサーを使ったエレクトロ風味で聴かせる
アンビエントなポップサウンド。爽やかなキャッチーさが前に出ているので難解さはなく、
ENOあたりに通じるゆるやかなエレクトロ系プログレの感触もあり、ドラム、ベースなどが
フュージョンロック的なグルーブをかもし出しつつ、そこにサックスの音色が乗ると、
インストのフュージョンプログレとしても楽しめる。軽やかなBGM的でもある聴き心地であるが、
玄人好みのセンスの良さと、8分、16分といった大曲を構築する技量は見事である。
ロック度・・7 プログレ度・・7 エレクトロ度・・8 総合・・8
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Lela「裸の月」
北海道出身の女性シンガー、レラの2009年作
透き通るようなやわらかな歌声と、どこかはかなげな雰囲気で、
繊細な感性に彩られた涼やかな空気を感じさせる優しい作品。
楽曲は打ち込みによるアレンジが強いのだが、随所に民族的な色合いも覗かせる。
むしろ、もっとアコースティカルでケルティックな方が似合いそうな感じもする。
残念ながら、彼女自身は2012年をもって音楽活動の休止を宣言。
メロディック度・・8 しっとり繊細度・・8 女性Vo度・・8 総合・・7.5
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L'EVOLUZIONE「ANTIBIOTIC RHYTHM」
日本のプログレメタルバンド、レヴォルツィオーネの1st。1999年作
テクニカルな曲調にプログレ風のきらびやかなシンセワーク、癖のあるハイトーンヴォーカルを乗せたサウンドは、
DREAM THEATER的な構築性に、FATES WARNING的な浮遊感を含んで、なかなか深いところを目指しているように感じる。
つまりマニアックかつ濃密な音楽性だ。女性コーラスを導入した劇的な叙情バラード曲や、ときにKENSOなどにも通じる
変拍子インストを繰り広げるなど、内容も盛り沢山。ヴォーカルの歌唱の力み方がちょっとわざとらしいという点以外は好感が持てる。
同じ日本のVIGILANTEを「メタルファン向けのプログレメタル」とするならば、こちらは間違いなく「プログレリスナー向け」である。
特にキーボードの充実ぶりと、リズムアプローチへのこだわりが嬉しい。これは隠れた傑作です。
メロディアス度・・7 プログレ度・・8 テクニカル度・・8 総合・・8
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LIGHT BRINGER 「Heartful Message
ALHAMBRAのHibiki率いるハードロックバンド、ライト・ブリンガーの2007作
ポップでキャッチーなメロディを乗せてきらびやかに疾走するスタイルで、
メタルというよりは可愛らしい系の女性Voがときに歌謡ロック的に歌う。
ALHAMBRAほどにはテクニカル志向ではないが、やはりそこで学んだとおぼしき
シンセアレンジなども顔を覗かせながら、曲には若者らしい軽快な勢いに溢れている。
メタルというにはやや軽すぎるが、VRAINなどが好きな方なら同様に楽しめるかと。
キャッチー度・・8 メタル度・・7 女性Vo度・・7 総合・・7.5
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LIGHT BRINGER「Tales of Almanac」
ALHAMBRAでも活躍するHibiki率いる、ライト・ブリンガーの1stフル。2009作
正直、デビューミニを聴いた時点では、あまりぴんと来なかったのだが、
本作でのキャッチーかつきらびやかなサウンドは、焦点がぐっと絞れてきた印象で、
女性Vo、Fukiのキュートな歌唱を全面に出しながら、テクニカルなギターやリズム面での
細かなアレンジ力も含めて、バンドとしての作曲能力も上がってきている。
かつてのALHAMBRAのような日本的なメロディアスさを継承しながら、
それをよりモダンかつポップで軽快に仕上げたキャッチーなHR好作だ。
メロディアス度・・8 キャッチー度・・8 女性Vo度・・8 総合・・8
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LIGHT BRINGER「Midnight Circus
日本のシンフォニックハードロックバンド、ライト・ブリンガーの2nd。2010作
前作でのキャッチーな聴き心地をそのままに、今作ではシンフォニックな華麗さを増し、
同時に疾走するメロスピ要素が強まっている。テクニカルなギターとシンセが絡み、
表現力を増したFuki嬢のヴォーカルが合わさり、音の厚みが増したきらびやかなサウンドが
なかなか素晴らしい。歌謡ポップロック的だった前作よりも、ずいぶんメタラー向けになった。
プロダクションの質も上がったことで、テクニカルなパートでのプログレッシブな部分と、
キャッチーな軽妙さがよいコントラストになって、作品としての完成度を高めている。
そしてFuki嬢の歌声は、あの陰陽座の黒猫に並ぶほどの情感を伝えてくる。
楽曲、テクニックともに、先輩であるALHAMBRAを凌駕するレベルにまできている。
シンフォニック度・・8 テクニカル度・・8 女性Vo度・・8 総合・・8.5
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LIGHT BRINGER「BURNED 07」
日本のシンフォニックハードロックバンド、ライト・ブリンガーのミニアルバム。2011年作
新曲1曲+カヴァー3曲という構成で、タイトル曲はきらびやかな疾走感とともにFuki嬢の歌声も映える
ファン納得の出来。シンフォニックな美麗アレンジとテクニカルなパートも充実している。
カヴァーの方は、Mr.BIG、JUDY AND MARY、ALCATRAZZという渋い選曲で
ギターのKazuが歌う“Just Take My Heart”やFukiの歌声が可愛らしい“motto”、
そして“God Blessed Vodeo”はしっかりラブリー版アレンジになっていて、なかなか面白い。
新曲・・8 カヴァー曲・・7 ファンならどうぞ・・8 総合・・7.5
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LIGHT BRINGER「noah」
ライト・ブリンガーのミニアルバム。2011年作
メジャーデビュー第一弾となるシングルで、2012年のアルバム収録タイトル曲と
インディーズ時代のミニからのリメイク曲、ライブでの定番曲の初音源化などを収録。
期待の新曲は、シンフォニックなアレンジとキャッチーなメロディで疾走し
いっそう魅力を増したFuki嬢の歌声を乗せる、安心のラブリー節。
“Heartfull...”はしっとりとしたバラードで、“Continue!?”は元気のよいポップな曲。
よい意味での爽やかなメジャー感とともに、フルアルバムも期待ですね。
新曲・・8 その他曲・・7 ファンならどうぞ・・8 総合・・7.5
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LIGHT BRINGER「Genesis」
日本の女性Voハードロックバンド、ライト・ブリンガーの2012年作
3作目のフルアルバムで、メジャーデビュー作となる本作は、前作「Midnight Circusにおける
シンフォニックな美麗さを残しつつ、よりキャッチーな聴きやすさが増したという印象の力作。
確かな演奏力によるテクニカルな側面と、緻密なアレンジに支えられた楽曲は
紅一点、Fuki嬢の爽快なヴォーカルが乗せられて、華やいだパワーにあふれてゆく。
随所にポップなほどの感触も聴かせながら、シンフォニックメタル的な激しさも含んでいて
先行シングルとなった“noah”の完成度や、ポジティブでキャッチーな好曲“merrymaker”
Fuki嬢の新たな歌唱スタイルを聴かせる、陰陽座を思わせるようなハード曲“espoir”、
そしてラストのメロスピ的な疾走曲“Love You”まで、堂々たるクオリティの充実作である。
メロディアス度・・8 テクニカル度・・8 女性Vo度・・8 総合・・8
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LIGHT BRINGER「Scenes of Infinity」
日本の女性Voハードロック、ライト・ブリンガーの2013年作

4作目のフルアルバムで、メジャー2作目となる。のっけから意外とヘヴィな作風で、
これまで以上にメタルしている。随所にテクニカルなアンサンブルを織り込みながら、
伸びやかなFuki嬢の歌声を乗せたサビのメロディはキャッチーな爽快さに溢れていて、
メタルでありながら、ここまで広く支持されるだけの理由が分かる。シンフォニック、プログレメタル、
ポップな歌謡要素などを融合し、きらびやかな衣装をまとわせたサウンドは、そのクオリティの高さとともに
すでに追随を許さぬだけの完成度を保っている。いまやALHAMBRA先輩と肩を並べる存在ですな。
メロディック度・・8 完成度・・9 女性Vo度・・8 総合・・8
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LIGHTNING「Brave Heart」
ギタリストIRON-CHINOを中心にした日本のメロパワバンド、ライトニングのデビュー作。2007作
パワフルで男気のあるサウンドは、IRON MAIDENGAMMA RAY等からの影響を感じさせつつも
日本的な哀愁を含んだメロディーはとても聴きやすく、メタリックな力強さと叙情性とを見事に両立させている。
とくにギターソロ部分における泣きの美旋律と、流れの中での展開力は確かな聴き所となっており、
こうしたインスト部分での構築性こそが、全体的なサウンドの説得力を引き上げているといえる。
Voのややダーティな声質も、むしろ小ぎれいな甘さがない分、日本語歌詞であっても照れずに聴き通せる。
泣きのインスト曲に続くドラマティックな(5)や、パワフルかつメロディックに疾走する(8)、
(9)のようなキャッチーなナンバーも、アルバムの中でよいアクセントになっており、
盛り上がる大団円のラスト曲まで濃密に聴かせてくれる。まさに正統派のメタル魂を凝縮した痛快作だ。
メロディアス度・・8 疾走度・・7 メタル魂度・・10 総合・・8
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LIGHTNING「Five Rings」
日本の正統派メロパワバンド、ライトニングの2010年作
前作「Brave Heart」から3年、男気を感じさせるパワフルな正統派メタルが戻ってきた。
ヴォーカルには新たにアメリカ人とのハーフという、ロバート・ウォーターマンを迎え、
より勢いを増したメロディック・パワーメタルが炸裂。リーダーであるIRON千野の泣きのギターと、
そのソングライティテングには曇りなく、流れるようなツインギターと正統派のパワフルなリフで
構築される楽曲は、激しい疾走感とともに、ときにキャッチーですらあるメロディックな味わいがある。
さらに今作では、随所にシンセによる味付けが増し、前作以上にサウンドとしての広がりを感じさせるとともに、
ぐっと凝縮されたプロダクションの濃密さも光っている。歌詞やメロディの中には日本を強く感じさせながらも、
そこに西洋のメタル様式を巧みに取り入れたスタイルは、「日本発世界向け」というべき確かなクオリティがある。
IRON ATTACKなどでの経験値からかボーナストラックの「仮面ライダーブラック」のアレンジも妙にカッコいい。
ドラマティック度・・8 パワフル度・・9 正統派度・・9 総合・・8
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LIGHTNING「JUSTICE STRIKE」
日本のメタルバンド、ライトニングの2011年作
ギタリストIRON-CHINO率いるメロディックメタルバンドの3作目。
前作「Five Rings」からまたヴォーカルが交代しているが、基本的なサウンドに変化はない。
泣きのギターを聴かせるイントロで幕を開け、このバンドの代名詞であるツインリードをたっぷり含みながら
パワフルに疾走するタイトル曲は、まさにLIGHTNING節。新Voの声質も適度にかすれたハイトーンで、
バンドのサウンドになかなかマッチしている。以前からのライブでの定番曲“Soldier Force”や
陰陽座のようにキャッチーな“Destiny Destination”、一転スラッシーなパワーメタル曲“End of the World”
激しい疾走感とメロディが融合した“Save the Truth”と、男気あるメロディックメタルがたっぷりと詰まった一枚。
ボーナストラックにはアニメ「機甲戦記ドラグナー」のOP曲“夢色チェイサー”のカヴァーを収録。
メロディアス度・・8 疾走度・・8 パワフル度・・8 総合・・8
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Lilith Abi「Seeing Pink Elephants」
日本のプログレ・ジャズポップロック、リリス・アバイの2012年作
女性ヴォーカル、フルート、シンセを含む7人編成で、本作は7曲入りのミニアルバム。
ジャズタッチの軽やかなアンサンブルと、ポップ性のあるキャッチーな感触に、
プログレッシブといってよい知的で洒落たアレンジを随所に垣間見せるサウンド。
表現豊かな女性ヴォーカルの歌声も魅力的で、ときに優雅に、ときに情感に溢れていて
サウンドの説得力をぐっと引き上げている。手数の多いドラムが支えるバンドアンサンブルも
若手にしては堂々たる演奏力で、玄人好みのグルーブ感をかもし出す。単なるポップにとどまらない
軽妙なアレンジセンスも素晴らしい。今後に期待大のバンドです。オフィシャルサイトはこちら
メロディック度・・8 プログレ度・・7 女性Vo度・・8 総合・・8

Lilith Abi「Great Mother」
日本のプログレ・ポップロックバンド、リリス・アバイの2012年作
コケティッシュな女性ヴォーカルの歌声に、実力あるドラムとベースが生み出す躍動感あるアンサンブル、
軽快なポップ性とメロディックでキャッチーな爽快さが耳に心地よいサウンド。
リズム面での遊びや随所にジャズ風味の優雅さなども含んだ楽曲は、幅の広いシンセアレンジ…
ときにテクノ風だったりプログレ的でもある空間的なシンセとともに、緻密な作りでありつつ、
全体的にはあくまでお洒落なポップさが前にあるので難解さはまったく感じさせない。
楽曲によって歌声を使い分けるヴォーカルの表現力も前作よりも引き立っている。
玄人好みの実力を備えたプログレッシブ・ポップというべきか。オフィシャルサイトはこちら
ポップ&コケティッシュ度・・9 プログレ度・・7 女性Vo度・・8 総合・・8

Lilith Abi 「hiatus」
日本のジャズ・ポップロック、リリス・アバイの2013年作
コケティッシュな女性ヴォーカルの歌声に躍動感あるアンサンブルで過去2作も見事な出来だったが、
3作目となる本作では、ゲストにサックスやトランペットなども加わり、インストパートでの面白さが増した。
ジャズやプログレ的な雰囲気もある柔軟なリズムアンサンブルは、楽曲に繊細なダイナミズムを加え、
紅一点、薫嬢の表現豊かなヴォーカルがしなやかに音に融合し、ポップでお洒落なセンスと
確かな演奏力による知的な構築に、伸びやかさが同居する絶妙のサウンド描いている。
うるさすきないシンセアレンジと一体感とノリを作り出すベースワークも見事で、楽曲の質も含めて、
バンドとしての器がひとつ大きくなったという感じがある。軽妙でポップで優雅な傑作です。
メロディック度・・8 プログレ度・・7 演奏度・・9 総合・・8
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LIV MOON「DOUBLE MOON」
日本の女性Voシンフォニックメタル、リブ・ムーンの2009作
シンフォニックな美麗さとモダンなヘヴィさをともなった楽曲に、元タカラジェンヌという経歴のAKANE LIV嬢
メタルらしからぬなよやかな歌声を乗せたサウンドは、一聴してややミスマッチにも思えるが、
オペラティックな歌声から、中〜高音を使い分ける声域の広さは、さすが声楽を学んだというだけはある。
日本版Nightwishというような曲調から、Ali Project的なゴスロリ調、陰陽座風のバラード曲まであって、
このこだわりのなさは、メタルというよりはむしろ“アキバ系ハードロック”の世界観に近いかもしれない。
中でもLIV嬢自身が強く影響を受けたという“The Phantom of The Opera”のアレンジはNightwishにも負けない美しさ。
生粋の洋楽メタルリスナーにはやや恥ずかしいロマンたっぷりの音なのだが、これはこれでアニソン的に楽しめるし、
なによりこのようなバンドの登場で、ゴシックメタルやシンフォニックメタルにまた注目が集まるのはよい事ではないか。
シンフォニック度・・7 メタル度・・7 女性Vo度・・8 総合・・8
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Liv Moon「COVERS〜Scream As A Woman」
日本のシンフォニックメタル、リブ・ムーンのカヴァーアルバム。2010作
元タカラジェンヌのAkane Liv嬢を中心にしたプロジェクトバンド、1st「DOUBLE MOON」は
各方面から大いに話題を呼んだが、本作はKATE BUSH、BLONDIE、DEEP PURPLE、
MADONNA、ABBA、QUEENなどの名曲をカヴァーした作品。ケイト・ブッシュの“嵐が丘”を
キュートに歌いこなす様は、日本人離れしたさすがの歌唱力であるし、“Child in Time”での
シンフォニックメタル的なアレンジや、オペラティックな“The Show Must Go On”など、
曲ごとに違った作風が楽しめる。7曲34分というのは、いかにも中途半端な短さだが、
PVやライブ映像などを収録した付属のDVDとともに、次作へのつなぎ的な企画アルバムだろう。
シンフォニック度・・8 メタル度・・7 女性Vo度・・8 総合・・7.5
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Liv MoonGOLDEN MOON
日本の女性Voシンフォニックメタル、リブ・ムーンの2011年作
元タカラジェンヌのAkane Liv嬢の美貌とその卓越した歌唱力で、デビュー作は各方面から大いに話題を呼び、
カヴァーアルバムに続いてのこれが2作目となる。荘厳でクラシカルなイントロからして前作以上に重厚な感触で、
メンバーチェンジの効果もあってかサウンドがぐっとメタルらしくなった。オペラティックな美声を乗せて疾走しつつ、
Nightwish
ばりに美麗な世界観と壮麗なアレンジで、そしてギターリフもよりヘヴィかつテクニカルになっており、
楽曲ごとの質の高さは前作を超える。一方でキャッチーな曲においては、アキバ系HRという雰囲気もいくぶん残っているが、
今作ではそれもアルバムの中でのよいアクセントになっている。よりシンフォニックメタルとして楽しめるようになった力作だ。
シンフォニック度・・8 しっかりメタル度・・8 女性Vo度・・8 総合・・8
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LIV MOON「Symphonic Moon」
日本の女性Voシンフォニックメタル、リブ・ムーンの2012年作
元タカラジェンヌという経歴で鳴り物入りでデビューを飾ってから、カヴァーアルバムを入れてこれが4作目となる。
前作での質の高い壮麗なシンフォニックサウンドはそのままに、本作ではより耽美な世界観で、
たとえば、ALI PROJECTをメタル化したようなゴシック的な雰囲気に包まれている。
ギターをはじめ、なにげにテクニックを効かせた演奏陣もさすがという感じで、
そこに乗るAKANE LIV嬢のオペラティックな歌声も楽曲にバッチリハマっている。
後半にはメロスピ風味の曲もあり、濃密な美麗さで聴かせる力作に仕上がっている。
シンフォニック度・・8 耽美度・・8 女性Vo度・・8 総合・・8
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LIV MOON「THE END OF THE BEGINNING」
日本のシンフォニックメタル、リブ・ムーン2012年作
2009年にデビューしてから、その美貌と抜群の歌唱力で着実に認知度を上げてきた
Akane Liv嬢を中心にしたプロジェクトバンド。オリジナルアルバムとしては4作目となる本作は、
北欧神話をテーマとした作品で、ゴシックメタル風だった前作よりもシンフォニックなスケール感を増し、
一聴してダイナミックなサウンドとなっている。彼女の伸びやかなヴォーカルの美しさはもちろんのこと、
厚みのあるコーラスを含めた壮麗なアレンジは世界基準と肩を並べられるだけの説得力がある。
メロディや楽曲そのものの個性という点では、既存のバンドの要素を集めたような感じで新鮮味はないのだが、
リスナーを飽きさせないような毎作のテーマ編成などを含めたプロデュース力はたいしたものだと思う。
シンフォニック度・・8 壮大度・・8 女性Vo度・・8 総合・・8
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Akane LIV「LIV」
Liv Moonのシンガーである、アカネ・リブのソロ。2014年作
本作はメタルではなく、クラシック曲などをもとにしたメロディをオリジナルのポップナンバーに仕上げた作品。
LIV嬢の歌声は、Liv Moonで聴かせるソプラノだけでなく中音域の地声も使っていて、
リズムは打ち込みでヴォーカルメインのサウンドはシンフォニックなJPOP的という聴き心地。
ご本人はメタルだけでなくポップスも好きなのかもしれないが、いくらリブ嬢のファンでも
メタラーたちにはこの路線は微妙なのではなかろうか。クラシックのフレーズを散りばめたといっても、
たいして楽曲に新鮮味はないし、アレンジもとくに面白くない。熱心なファン以外はスルーしてよいかと。
シンフォニック度・・7 メタル度・・1女性Vo度・・8 総合・・7
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Loszeal 「Ideal World」
日本のプログレッシブメタル、ロスジールの2015年作
Knights of RoundやJ.A.シーザーのバンドにも参加する、本郷拓馬を中心にしたユニットで、
シンフォニックで壮麗なアレンジと、変則リズムを含んだテクニカルな構築性で聴かせる、
プログレメタルサウンド。女性ヴォーカルの日本語の歌唱はジャパメタ的なキャッチーな感触で、
DREAM THEATER的なモダンなテクニカル性とのコントラストとなる浮遊感をかもしだしていて、
メロスピ的な疾走パートなども、抜けの良い歌メロを乗せたライトで爽快な質感が前に出ている。
ラストの11分にもおよぶ大曲も含めて、確かな演奏力と歌唱力、構築センスでまとめられた力作である。
メロディック度・・8 テクニカル度・・8 女性Vo度・・8 総合・・7.5
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LOTUS KITAHARA YOSHIHIRO「Journey」
日本人による日本語のHR/HMの新しい形というコンセプトのもと、
KITAHARA YOSHIHIROを中心にしたメタルバンド、ロータスの2作目。2013年作
メロディックなギターフレーズはなかなか流麗で、ネオクラシカルなテイストとともに、
80年代後半〜90年代のイングヴェイ影響下の様式美ジャパメタという雰囲気。
疾走感も含んだ古き良きメタルの感触は悪くはないのだが、一方で、録音面の弱さはデモレベル。
ヴォーカルも曲によって、女性であったり男性であったりと一貫性がなく、力量も足りない。
全体的にもアマチュア臭さがにじみ出てしまっているので、次作ではまず音質改善に期待。
メロディック度・・7 様式美度・・8 女性Vo度・・7 総合・・7
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LOVEBITES 「Awakening from Abyss」
日本のガールズメタル、ラヴバイツの2017年作
デビューミニに続く1stフルアルバムで、イントロ曲に続くのはスラッシーに疾走する激しいナンバーで、
ザクザクのギターリフを乗せたオールドスタイルのパワフルなメタルに圧倒される。伸びやかなAsami嬢の歌声を乗せた
ミドルテンポのナンバーから、リード曲「Shadowmaker」は、Midori & Miyakoのツインギターの魅力が詰まった疾走曲。
IRON MAIDENを思わせる「Don't Bite The Dust」も含めて、洋楽のメタル感触とキャッチーなメロディのフックが合わさって、
既存のジャパメタを超越した爽快な聴き心地である。ゆったりとしたバラード〜シンフォニックな疾走曲となる「Edge Of The World」、
そしてラストのメロスピナンバー「Bravehearted」、この2曲の感動的なメロディのフックと、余韻に包まれながらアルバムは幕を閉じる。
まさに日本のレディース・メタルから世界へ向けて解き放たれた、強力なる一撃というべき傑作だろう。
メロディック度・・8 疾走度・・8 女性Vo度・・8 総合・・8.5
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LOVEBITES 「Battle Against Damnation」
日本のガールズメタル、ラヴバイツの2018年作
1stフルに続く4曲入りのミニアルバム。のっけからIRON MAIDENの名曲を彷彿とさせる王道のメタルナンバーで、
印象的なツインギターのリフと伸びやかなAsami嬢のヴォーカルを乗せて、キャッチーな疾走感に包まれる。
続く2曲目は、METALLICAを思わせるザクザクのリフで疾走するスラッシーなナンバーで、
女性バンドとは思えないパワフルな演奏に圧倒される。3曲目はどっしりとした曲調から始まり、
三連のリズムから疾走へと展開する勇壮なメタルナンバー。4曲目もミドルテンポからキャッチーなメロスピ疾走へと
きらびやかに聴かせるナンバーで、ツインギターのメロディが心地よい。いかにもライブ映えしそうな全4曲です。
メロディック度・・8 疾走度・・8 女性Vo度・・8 総合・・8
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LOVEBITES 「CLOCKWORK IMMORTALITY」
日本のガールズメタル、ラヴバイツの2018年作
2017年にデビュー、当初はその白い衣装のルックスがあまりに嬢メタル然としていたためスルーしていたが、
じつはそのサウンドは世界基準の本格派メタルであったのだと知ることになる。本作は2作目のフルアルバムで、
アコースティックなイントロから始まり、パワフルなドラムにツインギターのリフと伸びやかなヴォーカルを乗せ、
キャッチーな正統派メロパワを聴かせる。英語歌詞による声量豊かな歌声に、実力あるツインギターのソロプレイと、
ガールズメタルの域を超えた力強さは本物で、メロディのフックには日本的な叙情性を匂わせるところもツボをつく。
Asami嬢のエモーショナルな歌声を活かした叙情ナンバーから、スラッシーな激しさまで、洋楽のHR/HMファンをも唸らせる出来で、
バンドとしての可能性に溢れた力作だ。限定盤のDVD、ブルーレイには、2018年東京でのライブをに収録していて、これも必見。
メロディック度・・8 パワフル度・・8 女性Vo度・・8 総合・・8.5
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LOVEBITES 「Daughters of The Dawn」
日本のガールズメタル、ラヴバイツのライブ作品。2019年作
2019年東京でのライブを収録。2nd「CLOCKWORK IMMORTALITY」発売にともなうライブで、
同作からのナンバーをメインに、1stとEPからのナンバーも含めて、2時間を超える、全17曲のステージ。
白い衣装に身を包み、太腿もあらわな姿で、男性顔負けのパワフルな演奏をするという彼女たちのライブは、
映像で観てこそ魅力が倍増。パワフルなツーバスドラムを叩き出すHaruna嬢に、指引きの骨太のベースを聴かせるMiho嬢、
Midori & Miyakoの最強のツインギターが奏でる流麗なソロパート、そしてAsami嬢の伸びやかなハイトーンヴォーカルと、
スラッシーな激しいナンバーから華麗なメロスピ、ミドルテンポの王道メタルまで、どの楽曲にも見どころが満載。
Blu-rayは映像、音質とも良好で、2nd付属のライブ映像に比べるとライティングの明るさでステージのメンバーたちがくっきりと見え、
音質自体も楽器の分離が良く、大画面&スピーカーで鑑賞するとより楽しめるだろう。ボーナス収録のメンバーによる機材紹介も楽しい。
ライブ映像・・8 ライブ演奏・・9 買うならブルーレイ度・・9 総合・・8.5
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LOVEBITES 「Electric Pentagram」
日本のガールズメタル、ラヴバイツの2020年作
3作目のフルアルバム。のっけからザクザクのギターリフを乗せて疾走するスラッシーなナンバーで、
伸びやかな女性ヴォーカルによるキャッチーなフックとともに、激しくも心地よいスピードメタルを聴かせる。
いまさらながら、全員が女性とは思えないパワフルでアグレッシブな勢いに、筋金入りのメタルファンも圧倒されるだろう。
シンセアレンジを加えたきらびやかなメロスピから、ミドルテンポの王道のメタルナンバーまで、演奏、歌唱ともに隙のない仕上がりで
とくにドラムの力強さがさらに増した。流麗なギターソロも含めて聴きどころが満載である。前作以上にメタリックな仕上がりながら、
Asami嬢の美しい歌声が映えるスローなナンバーもあり、各楽曲がメロディのフックも魅力的。全70分というまさに強力な傑作である。
2019年東京でのライブを収録した2CDを加えた、限定3CD仕様や、2018年ドイツWACKENのライブを収録したDVD付き限定盤もあり。
メロディック度・・8 疾走度・・8 女性Vo度・・8 総合・・9
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LOVEBITES 「GLORY, GLORY, TO THE WORLD」
日本のガールズメタル、ラヴバイツの4曲入りEP。2021年作
壮麗なイントロから始まる1曲目は、メロディックなツインギターとともに疾走するきらびやかなスピードメタルで、
サビでのクラシカルなメロディを歌い上げるAsamiの歌声が映える。2曲目は、オールドなスタイルのミドルテンポながら
キャッチーとアグレッシブが同居したノリの良さが楽しめる。3曲目は、スラッシーな疾走感と甘すぎないメロディが同居して、
巧みなギターソロも聴きどころ。4曲目は北欧メロスピ的な美麗なアレンジで、サビでの爽快な歌メロが素敵です。
コロナ禍の世界を鼓舞するような、パワフルな4曲入り。いずれもアルバム未収録なのでファンはマストです。
メロディック度・8 疾走度・8 女性Vo度・8 総合・8 
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LOVEBITES 「HEAVY METAL NEVER DIES - LIVE IN TOKYO 202」
日本のガールズメタル、ラヴバイツのライブ作品。2021年作
ベースのMihoの最後のステージとなった、2021年の東京公演を2CDに収録。DVDやBru-ray盤もあり。
イントロに続き、3rd収録「When Destinies Align」のきらびやかな疾走感で幕を開け、メイデンライクな「The Crusade」、
オールドでスラッシーな「Shadowmaker」、アニメの主題歌にもなった「Winds Of Transylvania」など、新旧織り交ぜたセットで
随所に巧みなツインリードも覗かせつつ、女性メタルバンドとは思えぬ演奏力の高さで、楽曲を迫力たっぷりに再現する。
後半は、壮麗な疾走ナンバー「Swan Song」から、Asamiの感涙のMC、EP収録の「Glory To The World」と聴き手もウルウルです。
激しくも美しい「Holy War」「Thunder Vengeance」から、ラストの「Under The Red Sky」まで、MCを含め116分の必聴ライブ作品。
ライブ演奏度・8 疾走度・9 女性Vo度・8 総合・8.5
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LOVEBITES 「Judgement Day」
日本のガールズメタル、ラヴバイツの2023年作
2017年にデビュー、いまや日本のみならず世界のガールズメタルのトップに躍り出たこのバンド。本作は4作目で、
脱退したベースのMihoに替わり、新たにFamiが加わってのアルバム。ツインギターのメタリックなリフととも疾走し、
Asamiの伸びやかなヴォーカルを乗せたアグレッシブなナンバーで幕を開ける。随所に巧みなギタープレイを盛り込んだ
正統派のメロパワ感触に、きらびやかなアレンジ加えたスタイルは、パワフルな疾走感のタイトルナンバーをはじめ、
いっそう強力な勢いを感じさせる。ドラムを含めての演奏力も男性顔負けで、ミドルテンポのオールドメタル路線も覗かせつつ、
一転してスラッシーな激しさまで、どこを切っても濃密な疾走メタルサウンドが詰まっていて、全10曲があっという間という強力作。
メロディック度・8 疾走度・9 女性Vo度・8 総合・8.5 
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LOVEJOY「妙」
女性Vo、bikkeを中心にしたユニット、ラブジョイの1st。1996作
ギター、ベース、ドラム、キーボードという演奏陣は比較的シンプルであるが、そこに乗る瑞々しさに満ちた歌声はどうだ。
歌詞にしてもまったく難解なところはなく、自然に心から湧き出た言葉をそのまま歌にしているというふうに、
陽光のようにきらめき、生のパワーに満ち満ちている。演奏も近藤達郎のセンスあるキーボードやアコーディオンを筆頭に、
ベースといいギターといい皆かなりの実力者で、見事なアンサンブルでバックを固めている。
癒され、勇気をもらえ、言葉の持つ力の確かさを感じさせてくれる。時代に流されない、素敵で感動的なサウンドだ。
メロディアス度・・9 bikkeの歌度・・10 シンプルだが素敵です度・・10 総合・・9
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ラブジョイ「かけがえのないひととき」
女性Vo、Bikke擁するラブジョイの9年ぶりの2nd。2005作
1st「妙」をはじめて聴いたときには、そのあまりの素晴らしさに、あらためて歌のもつ力、
そして日本語の素敵な響きというものを教えられたものだが、この2ndでも本質は変わらず。
商業的な媚びとは無縁の、清らかで爽やかな、そして強さに満ちた歌声が胸を打つ。
Bikkeの歌があまりに素敵なので、単なる歌ものとしてとらえてしまいそうにもなるが
バック陣の演奏力、楽曲のアレンジなども相当見事で、バンド音楽として聴いてもクオリティは高く
とくに近藤達郎のキーボードワークは実に秀逸で、曲をやさしく包み込んでいる。
我々の忘れかけている音楽がここにある。純粋な言葉のメッセージに心打たれよう。
メロディアス度・・8 素直度・・10 bikkeさんの歌唱素敵っ度・・10 総合・・8.5
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Lovejoy「あの場所へ」
日本の良心ともいうべきハートウォームな自然体バンド、ラブジョイの3rd。2008作
心洗われる日本語の歌声と、なつかしい温かさを感じるサウンドは今作も健在。
確かな演奏力とシンセを含めた繊細なアレンジセンスに支えられた楽曲に乗る、
女性ヴォーカルbikkeの伸びやかな歌声が爽やかに響きわたる。
時代に流されない、地に足のついた詩的さと、日々の生活を描くような歌詞、
商業音楽から背を向けた清らかさが、純粋に音楽と言葉の楽しさを伝えてくれる。
せわしない現代において我々の忘れかけている、ゆったりとした時間の流れと
日本的な情感を思い出させてくれるこの音楽を、一人でも多くの人に聴いてもらいたい。
メロディアス度・・8 なつかし優しさ度・・9 爽やか歌声度・・10 総合・・8
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Lu7 「Efflorescence」
日本のプログレフュージョンロック、エルユーセブンの2002/2006年作
キーボードの梅垣ルナとギターの栗原務によるインスト・ユニットで、本作は2002年作の再発盤。
ベースには永井敏己、バカボン鈴木がゲスト参加。打ち込みのリズムの上に、きらびやかなシンセとメロウなギターを乗せた、
優雅なフュージョン・ロック。オールインストながら、クラシカルな旋律を奏でるシンセの美しさと、叙情豊かなギターフレージングで、
歌心を感じさせる聴き心地で、やわらかな耳心地のサウンドが楽しめる。ゲストによるベースの存在感もさすがで、
モダンなアンサンブルによる大人の味わいと、各パートの表現力が単なるBGM以上の幻想的な世界観をかもしだす。
シンセもギターも確かなセンスと技巧を感じさせる、優雅でメロディアスなフュージョン・プログレの好作品です。
メロディック度・・8 プログレ度・・7 優雅度・・9 総合・・8
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Lu7 「L'esprit De L'exil」
日本のプログレフュージョンロック、エルユー・セブンの2nd。2005年作
ギターの栗原努と女性シンセ奏者の梅垣ルナによるユニットで、
美しいシンセワークとセンス抜群のギターを中心にしたインストのフュージョンプログレ。
民族的なメロディを含んだ感触は、ケルティック風であったりアラビックだったりと、
インストながらもキャッチーな聴き心地で楽しめる。濃密すぎないスタイリッシュなアレンジセンスと
優雅な軽やかさにファンタジックなきらびやかさが合わさったようなフュージョンプログレの好作品。
ゲストに嶋村一徳氏、永井敏己、バカボン鈴木が参加している。
メロディック度・・8 プログレ度・・7 優雅度・・8 総合・・8
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Lu7 「Azurite Dance」
エルユーセブンの2014年作
キーボードの梅垣ルナとギターの栗原務によるインスト・ユニットで、2002年にデビュー。
4作目となる本作も、スラップの効いたベースにメロディックなギターの旋律を乗せた、
優雅なフュージョンロックを聴かせる。美麗なシンセワークがシンフォニックなテイストを加え、
ときにKENSOのようなテクニカルなアンサンブルで、軽やかなインストサウンドを描いてゆく。
やわらかなエレピを乗せたジャズロック的な感触に、ときにプログレ的なとぼけた展開も覗かせつつ、
あくまで優雅な聴き心地。12分におよぶ大曲も巧みな演奏力でスリリングに楽しめる。
メロディック度・・8 プログレ度・・7 優雅度・・9 総合・・8
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LU7 「3395」
日本のプログレ・フュージョンロック、エルユー・セヴンの2019年作
キーボードの梅垣ルナとギターの栗原務によるユニットで、2002年作から数えて本作は5作目となる。
エレピを含む美しいシンセにメロディックなギターフレーズを乗せ、軽やかなアンサンプルで聴かせる
優雅なフュージョン・ジャズロック。PRISMで知られる岡田治郎の存在感あるグルーヴィなベースと、
嶋村一徳による本格派ジャズタッチの繊細なドラムも、サウンドに玄人好みの彩りを加えている。
随所にプログレ的なきらびやかなシンセワークや、スリリングなテクニカル性も覗かせつつ、
あくまで優雅な大人のアンサンブルに包まれる。今回は大曲がなく、全39分とわりとあっさりしている印象も。
テクニカル度・・8 プログレ度・・7 優雅度・・9 総合・・8 
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LUSHEL「Promised Land」
名古屋のプログレハードロックバンド、ルーシェルの2010年作
結成は80年代という古株バンドで、長い休止をへて2005年に17年ぶりに活動を再開、
本作は2006年のミニに続くフルアルバムである。壮麗なイントロに続き、
シンフォニックなアレンジと日本語歌詞による甘いヴォーカルを乗せて
かつてのFROMAGEあたりを思わせるロマン溢れるプログレ・ハードサウンドが展開される。
耳触りのよいキャッチーさと、随所にプログレ/シンフォニックロック的な風味も盛り込みながら
あくまで美しく、ロマンティックなサウンドを聴かせる。これぞJAP'Sプログレハードである。
シンフォニック度・・8 キャッチー度・・8 プログレ度・・7 総合・・8
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lynch.I BELIEVE IN ME
日本のV系ラウドロックバンド、リンチの2011年作
メタル並にヘヴィなギターリフとスクリームヴォイスでなかなか激しいサウンドであるが、
ノーマルヴォーカルはV系の雰囲気という、案外これまでありそうでなかったスタイル。
最近のDIR EN GREYにも通じるような質感であるが、こちらの方がよりストレートで明快な音だ。
歌メロ自体は非常にキャッチーなのだが、スクリームも入れば激しい疾走感も随所にあるので、
メタル系のリスナーにもけっこう楽しめる。一方では普通のV系っぽい聴きやすい曲もあり、
そのあたりのバランス感はメジャーバンドらしい。偏見なしに聴いてみると、案外楽しめる。
メロディアス度・・8 メタル度・・8 V系度・・8 総合・・8
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lynch.INFERIORITY COMPLEX
日本のV系ラウドロックバンド、リンチの2012年作
スクリームするヴォーカルとともに激しく聴かせるメタルコア風味を含ませつつ
キャッチーな歌を聴かせるV系要素をミックスさせた彼らのサウンドは本作も健在。
メタル的なギターリフを乗せた爽快な疾走感と、エモーショナルな叙情性が合わさって
かつてのDEAD ENDにも通じるようなダークなナルシシズムを感じさせる部分もある。
リズムを含んだアレンジ面での構築性も前作以上に感じられ、作品の質を高めている。
メロディック度・・8 けっこうメタル度・・8 ダークナルシス度・・8 総合・・8
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Madam Rey「Bloody Roses」
日本の女性ハードロックシンガー、マダム・レイの2009作
ご存じのように彼女は元阪神、現野球解説者の田尾安志氏の夫人であるが、
2006年に発表のシングル「Futamata」を契機に、ハードロック活動を本格化、
2008年には念願の1stアルバム、「Madam madaM」を発表する。
2作目となる本作には、1stから続いて横関敦が参加、存在感のあるギターを聴かせている。
マダム・レイの歌声は、メタル的なパワフルさよりもむしろ女性的な美しさを感じさせ、
正統派の楽曲とともに80年代ジャパメタルの香りを漂わせた、哀愁と叙情を描いている。
メロディアス度・・8 叙情度・・8 女性Vo度・・8 総合・・7.5
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MAGDALENA
日本のシンフォニックロック、マグナレーナの1987年/2013年リマスター
バッハの妻の名を冠したバンド名とともに、バロックの香り漂うシンフォニックロックを聴かせる。
後にテルズ・シンフォニアに加入する徳久恵美の歌声とクラシカルで美麗なシンセアレンジで、
優雅なロマネスクを含んだ世界観を描いている。リズム面を含めてのいくぶんの素人臭さはあるが、
クラシカルなクサメロを奏でるギターもなかなかいい感じで、初々しい徳久嬢のヴォーカルも魅力的。
ゲストに永井博子が参加した、ページェントにも通じるような10分を超える耽美な大曲も含め、
なかなか聴きどころは多い。ゴシック的な美意識に包まれたジャップス・シンフォの逸品です。
シンフォニック度・・8 バロックロマン度・・8 女性Vo度・・8 総合・・8
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MAGICAL POWER MAKO 「Magical Power」
奇才、マジカル・パワー・マコの1st。1974年作
中学時代から曲を作り始め、16歳の頃には天才音楽少年と世に認められる異色のアーティスト、
本作は当時18歳だったというマコ氏の1stアルバムで、300種類もの楽器を使いこなしていたというが
ネコの泣き声や、チンドンヤ的な掛け声にヘンテコな語りや民謡、さまざまな効果音などを含んだ、
破天荒なアヴァンギャルド性には、発狂した芸術家のような得体のしれぬパワーがあり、
柔軟な脳味噌で対峙すれば、一人の奇才による不思議な音のコラージュとしても楽しめる。
その空気には昭和の香りを含んだ、どこかなつかしい哀愁の香りを感じさせ、手法は異なるが、
たとえばJ.A.シーザーの描く日本的な土着性にも通じるものがあるかもしれない。
ラストの12分の大曲などは、エレクトロなポストロックの走りというべき雰囲気だ。
アヴァンギャル度・・9 ロック度・・3 昭和の空気度・・9 総合・・8
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MAGICAL POWER MAKO 「LO POP DIAMONDS」
マジカル・パワー・マコの1995年作
80年代の未発曲から、マコ自身がセレクトしたという12曲を収録したアルバム。
随所にサウンドコラージュや打ち込みを使いながら、ぐっとポップな雰囲気をただよわせた作風で
1stの頃のインパクトはないものの、エレクトロなアヴァン・ポップ、テクノという点ではむしろ聴きやすい曲もある。
ジャケのイメージのようなカラフルで、昭和っぽいチープさを感じさせる感触が、どこかこそばゆく、
80年代の空気を閉じ込めた雰囲気だ。1stにもあったような歌ものや曲の断片に、お経やねぷた祭りの録音など、
とりとめのないセンスはさすが。作品としては、細切れな感じがして、全体としての流れがないのは仕方ないか。
アヴァンギャル度・・8 ロック度・・3 80年代度・・8 総合・・7.5
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MANDRAKE「Unreleased Materials vol.1」
日本のプログレバンド、マンドレイクの発掘音源集。
のちにP-MODELなどで知られるミュージシャン、平沢進が70年代にやっていたバンドで、
1973〜78年に録音されたライブや、スタジオテイクでの長曲を4曲収録。音質の悪さはあるものの、
時代を考えれば、とても革新的で、今聴いてもクオリティの高さには驚かされる。
ハードエッジなギターと、キレの良いリズムセクション、そして鳴り響くメロトロン、
テクニカルであってもメロディには日本的な歌心がある点も素晴らしく
日本人受けするプログレという点では美狂乱ケンソーのデビュー作を凌ぐだろう。
これを聴けば正式にバンドとしての作品を作らなかったのが大変惜しいと誰もが思うはず。
ドラマティック度・・8 プログレ度・・8 音質・・6 総合・・8
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MANDRAKE「Unreleased Materials vol.2」
日本のプログレバンド、マンドレイクの発掘音源集その2。
10分を超える大曲3曲のライブ音源を収録。メロトロンやオルガンを含む美しいシンセアレンジとともに、
展開力のあるスリリングなインストパートと、平沢進の日本的な情感を感じさせるヴォーカルを乗せたサウンドは、
新月と美狂乱を合わせたようなイメージで、叙情的でありながらも知的でスタイリッシュ、そして技巧的だ。
リズムチェンジを含む緩急とスリリングな構築力で、独自の世界観を描くという点では、KING CRIMSONから始まる
西洋プログレッシブロックをすでに日本的なレベルで昇華していると言える。正規音源ではないので音質はいまひとつだが、
早すぎた才能が生み出した貴重な音源の記録という点では、日本のプログレ史上においても重要なものがある。
ドラマティック度・・8 プログレ度・・8 音質・・6 総合・・7.5
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MANIPULATED SLAVES「BURST INTO BLUE FLAME」
日本のメロデスバンド、マニピュレイテッド・スレイヴスの1st。2000作
スラッシーな突進力と、ツインギターの煽情的なメロディはかつてのAT THE GATES + IN FLAMESといった
なかなか本格派のスタイル。この手の日本産バンドとしてはサウンドの説得力が素晴らしく、
音に日本的な軟弱さが感じられないところも見事。もの悲しいピアノの使用も効果的だ。
3rd「OVER THE BLACK OCEAN」をまずは勧めたいが、デビュー作にしてこのクオリティは実に立派である。
メロディアス度・・8 暴虐度・・7 スラッシー度・・8 総合・・7.5
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MANIPULATED SLAVES「THE LEGENDARY BLACK JADE」
日本のメロディック・スラッシュバンド、マニピュレイテッド・スレイヴスの2nd。2001年作
80年代ヨーロッパ産スラッシュに、90年代北欧メロデスの扇情メロディを加えたというような作風。
スラッシーな激しさの中に、ギターメロディには正統派メタルの叙情性があるというのが個性的。
個人的にはエフェクト処理されたヴォーカルはハードコア風であまり好きではないが、
ツインギターのメロデス的な叙情とスラッシーな疾走感はなかなか心地よいものがある。
メロディアス度・・7 疾走度・・8 メロデス/メロスラ度・・8 総合・・7.5
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MANIPULATED SLAVES「OVER THE BLACK OCEAN」
日本のメロディック・スラッシュメタルバンド、マニピュレイテッド・スレイヴスの3rd。2004作
メロスピ・シンフォメタル全盛の時代に、いまだ古き良きスラッシュ魂を忘れないこのバンド。
今作は楽曲がより聴きやすく、メロディアスになっていて、初期のBLIND GUARDIANにも通じる疾走感と
ドラマティックなメロディを備えた力作となっている。泣きのツインギターによるソロパートや、
メロデス風のリフ、女性Voなども導入しときにはゆったりとしたメロウなパートを効果的に折り込むなど、
なかなか聴き所は多い。ダミ声のVoに好みは分かれるだろうが、聴いて損のないアルバムだと思う。
メロディアス度・・7 疾走度・・8 メロデス/メロスラ度・・8 総合・・8
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MANIPULATED SLAVES 「OATH IN BLACK TEARS」
日本のメロディック・スラッシュメタルバンド、マニピュレイテッド・スレイヴスの4th。2006作
前作「OVER THE BLACK OCEAN」もかなりの傑作だったが、今作もその流れを組む作風で、
激しく疾走しつつも、しっかりとメロディを聴かせるサウンドは、じつに硬派なスタイルで、
メロスピ系全盛の昨今では珍しいバンドといえるだろう。ギターリフやヴォーカルなどには
メロデス風の雰囲気を残しつつ、古き良きスラッシュイズムを継承した硬質さと、
なめらかなツインリードの叙情性が絶妙に融合されているのが素晴らしい。
甘くない本格派の日本産ドラマティックメタルとして、ぜひとも聴いていただきたい。
メロディアス度・・7 疾走度・・9 スラッシー度・・8 総合・・8
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MANIPULATED SLAVESBack From The Damnation」
日本のメロディック・スラッシュメタルバンド、マニピュレイテッド・スレイヴスの5th。2009年作
本作もザクザクのギターとガナり声ヴォーカルでスラッシーに疾走するパワフルなスタイルで、
随所にメロディアスなツインギターのプレイを織り込むドラマティックなサウンドを聴かせる。
オールドスタイルのメロデス、スラッシュ、パワーメタルを通過してきたリスナーには嬉しい音であるし、
12分にもおよぶラスト曲などは圧巻だ。派手なメロスピやシンフォメタルがもてはやされる昨今こそ、
彼らのような硬派なスタイルを貫いているバンドにもっと脚光を浴びて欲しいという気がする。
ドラマティック度・・8 疾走度・・8 スラッシー度・・8 総合・・8
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MANIPULATED SLAVES「DEATH IN THE WILDERNESS」
日本のメロディック・スラッシュメタルバンド、マニピュレイテッド・スレイヴスのミニアルバム。2010作
これまでに5枚のアルバムを出し、クオリティの高いドラマティックなスラッシュを聴かせてくれるこのバンド、
本作も初期メロデス的なツインギターのメロディで疾走する、変わらぬ硬派なスタイルだ。
テクニックのあるだけの若手には出せない貫祿と、古き良きスラッシーなパワーメタル感覚が頼もしい。
5曲入りミニということで物足りないのだが、ギターのメロディはいつも以上にメロディアス。ちなみにベーシストは女性です。
これを機に初めて聴くリスナーにもアピールしてもらい、今後の活動につなげて欲しい。
メロディアス度・・7 疾走度・・8 ツインギター度・・8 総合・・7.5
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MANIPULATED SLAVES「LOVE IN THE MYSTIC FOREST」
日本のメロディック・スラッシュメタルバンド、マニピュレイテッド・スレイヴスのミニアルバム。2011年作
「DEATH IN THE WILDERNESS」と対をなす作品で、、いつものスラッシーな疾走感は抑えめだが、
女性コーラスなども加わって、より正統派メタル的なパワフルさで聴かせるサウンドになっている。
4曲入りなのでやっぱり物足りないのだが、前作ミニと合わせて1枚分の作品ということなのだろう。
メロディアス度・・7 疾走度・・7 パワフル度・・8 総合・・7.5
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MANIPULATED SLAVES「LOVE & DEATH」
日本のドラマティック・スラッシュメタル、マニピュレイテッド・スレイヴスの2012年作
フルアルバムとしては6作目、先に発表された対をなす2枚のミニアルバムの完成形というべき作品。
叙情的なイントロに続き、ツインギターのリフを乗せて激しくたたみかけるサウンドは
古き良きスラッシュ/パワーメタルの精神を受け継いだ感触で、相変わらずとても格好いい。
メロディックなフレーズを含んだドラマティックな疾走感は、メロデスファンなども楽しめるだろうし、
随所に女性コーラスなどを含んで、これまで以上に叙情的な美しさがアレンジの中で光っている。
勇壮な聴き心地にいっそうの磨きがかかり、メロディアスでありながらも軟弱さのかけらもない力強さは、
彼らが本物である証であろう。まさに日本最強のドラマティック&メロディック・パワーメタルバンドである。
ドラマティック度・・9 疾走度・・8 勇壮度・・9 総合・・8.5
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MANIPULATED SLAVES 「HIDDEN IN THE SANDSTORM」
日本のドラマティック・スラッシュメタル、マニピュレイテッド・スレイヴスのライブ作品。2014年作
2000年のデビュー作から、骨太のスラッシュメタルにメロディックな叙情を盛り込んだスタイルで、
地道に活動を続けるこのバンド。本作は2014年に四日市で行われたライブステージを収録。
ツインギターのメロディックなフレーズにダミ声ヴォーカルを乗せて疾走する勢いあるサウンドで、
いわばメロデスとパワーメタルの中間というべき、ドラマティックなスラッシュメタルが楽しめる。
随所に女性Bによるコーラスも入って、ただ激しいだけではないやわらかな叙情性と日本的な味わいも
またかれらの持ち味である。録音の弱さが惜しいが、このバンドの魅力の一端を感じられるライブ作品だ。
ドラマティック度・・8 ライブ演奏・・7 音質・・7 総合・・8
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MANIPULATED SLAVES 「THE RIVER WITHOUT END 」
日本のドラマティック・スラッシュメタル、マニピュレイテッド・スレイヴスの2014年作
2000年のデビュー作から数えて、アルバム6枚を発表、いまや名実ともに日本を代表する本格派メタルバンドといえる。
本作は3曲入りのEPながら、20分を超える組曲を含む全32分というボリュームで、聴きごたえたっぷり。
ダーティなヴォーカルとツインギターのリフを乗せて疾走する、オールドなスラッシュメタルの感触に
メロディックなテイストを盛り込んだマニピュレイテッド節は1曲目から健在だ。2曲目はやや中庸なナンバーながら、
5パートに分かれた23分に及ぶ組曲は、女性ヴォーカルも加えたこれまでにないシンフォニックなアレンジで、
緩急ある構成とともにドラマティックなスケール感を描いている。バンドの新たな側面を覗かせる作品である。
ドラマティック度・・8 疾走度・・7 壮麗度・・8 総合・・7.5 
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MAN WITH A MISSION
日本のロックバンド、マン・ウィズ・ア・ミッションの2011年作
メンバーは狼に扮した5人組で、基本的にはノリのいいキャッチーなロックサウンド。
古き良きロックの感触に、シーケンサー的なアレンジを織りまぜたミクスチャー感覚で、
ときにダンサブルに聴かせたりもする。抜けのいい解放感はいい意味で日本人離れしており、
ラップ的なタテノリ感をテクノ調のアレンジで包み込むといったセンスもなかなか面白い。
英詞による勢いのいいロックナンバーや日本語によるバラードの叙情などが同居していて、
そのこだわりのなさも若者らしい。往年のロックンロールの普遍性をいまに甦らせるような作品だ。
メロディアス度・・8 ロック度・・8 ミクスチャー度・・8 総合・・8
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MAN WITH A MISSION「TRICK OR TREAT」
日本のロックバンド、マン・ウィズ・ア・ミッションの2011年作
メンバーが狼に扮した5人組という設定も面白いが、サウンドも古さと新しさを併せ持った、
センス抜群のミクスチャーロック。1曲めはNIRVANAの名曲“Smells Like Teen Spirit”のカヴァーで
そのモダンなアレンジもさすがというところ。さらに3曲の新曲とライブ音源6曲を収録していて、
ノリの良さとキャッチーなメロディのバランスで、厭味のない聴き心地に好感が持てる。
ライブ音源は音質はそこそこ程度ながら、勢いある演奏で臨場感があってよろしい。
メロディアス度・・7 楽曲・・8 ライブ音源・・7 総合・・7.5
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MAN WITH A MISSIONWELCOME TO THE NEWWORLD
日本のロックバンド、マン・ウィズ・ア・ミッションの2010/2012年作
2010年にリリースされたインディーズ時代のデビュー作に未発曲を加えた8曲入り再発作。
キャッチーなロックサウンドにテクノ的なデジタル要素とラップ風味を加えた作風は
本作からすでに確立されつつあるが、のちのメジャーデビュー作に比べると
やはりまだ楽曲がいくぶん弱く、このバンドの持つロックとしてのダイナミズムが形成される
その途上にあるというサウンドだ。もちろんセンスの一端は伝わってくるのでファンはチェック。
メロディアス度・・7 ロック度・・7 ミクスチャー度・・8 総合・・7.5
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MAN WITH A MISSION「MASH UP THE WORLD」
日本のロックバンド、マン・ウィズ・ア・ミッションの2012年作
ミニやインディーズ作品の再発などを挟み、正規の2作目となる作品。
正統派ロックの普遍性をモダンなミクスチャー感覚で包み込んだというべきサウンドは
今作も同様であるが、よりポップなキャッチーさが強まったことで、メジャーな雰囲気が増した。
どこかなつかしいロックンロールの勢いを残しつつ、よりメロディアスな聴きやすさと
青春群像的な歌詞とともに、爽やかに楽しめる好作品に仕上がっている。
キャッチー度・・8 ロック度・・7 ミクスチャー度・・8 総合・・8
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Marchen Station「For The Sake Of God」
Cafe Au LaitとLeo Figaroによるユニット、メルヘン・ステーションの2009年作
きらびやかなシンセアレンジと、デジタリィでダンサブルな1曲めから、
2曲めはギターも入ったシンフォニックメタル風味になる。ドラムは打ち込みなので
メタル的な重さはあまりなく、DragonGuardianあたりと同じようにライトなアキバ系サウンド。
ほぼDTMの宅録作品なので、上級の同人音楽としてとらえれば、まあまあ楽しめる。
シンフォニック度・・7 メタル度・・7 同人度・・8 総合・・7
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Marchen Station「World Of Maquillage」
ギタリストCaf' Au LaitとMinstreliXのLeo Figaroによるユニット、メルヘンステーションの2013年作
なにやらメルヘンちっくなバンド名にジャケであるが、「メルヘン・シンフォニックメタル」と謳う通り、
童話的な物語性とファンタジックな雰囲気で、まさにメルヘンの世界を感じさせるサウンドが広がってゆく。
シンフォニックで美麗なアレンジとクラシカルで優雅な旋律に、随所にネオクラ調のギターも入りつつ
リオウ・フィガロのマイルドなヴォーカルを乗せて疾走。メタル的な激しさよりもあくまで優雅な聴き心地で
むしろ打ち込みによるドラムが無機質に思えてしまい、無理にメロスピ風にしなくてもいいのではとも思ってしまうが、
曲によってはフォーキーな風味や中華風、フォルクローレ風など、アレンジやメロディに豊かなセンスを感じさせる好作品だ。
シンフォニック度・・8 ファンタジック度・・8 優雅度・・9 総合・・7.5
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MARGE LITCH  「Fantasien / ファンタージェン」
日本のハードプログレバンド、マージュ・リッチの1991年作
のちのALHAMBRAへとつながるメンバーが在籍していたバンドで、1991年に自主制作で録音されたデビュー作が、2023年にリマスター再発された。
幻想的なファンタジーストーリーに基づくコンセプト作で、優美なシンセと叙情的なギター、伸びやかな女性ヴォーカルとともに、展開力のあるシンフォニック・ハードが味わえる。
1998年のリメイクバージョンに比べると、デモ音源のようなこもり気味の音質など、まだアマチュア臭さが感じられるが、若き日の世良純子の清純な歌声や、変拍子を多用したテクニカルな構築など、バンド黎明期のきらめきが随所に感じられる。
物語の大団円を思わせるラストの「ファンタージェン」まで、強固な幻想の美学に包まれた世界観は、NOVELAに始まる日本プログレのロマンを継承したスタイルであった。
ドラマティック度・8 ファンタジック度・8 女性Vo度・8 総合・7.5 
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MARGE LITCH「悲劇の泉」
日本のハード・シンフォニックロックバンド、マージュ・リッチの1995年作
自主制作の「ファンタージェン」、「真実の指輪」に続く3作目で、長大な組曲を含むCD2枚組の大作。
Disc1には、22分に及ぶタイトル組曲を収録。美麗なシンセワークと世良順子の伸びやかな歌声を乗せ、
ファンタジックな世界観を描き出す、バンドのスタイルがひとつの完成を見たというクオリティの高さである。
Disc2ではよりテクニカルな感触を増したアンサンブルで、手数の多いドラムに存在感あるベースプレイも含めて、
演奏力という点でも説得力十分。シンフォニックな華麗さとハードな構築美が融合した見事なサウンドを聴かせる。
ルタル寄りの疾走パートもあったりと、のちのALHAMBRAへと通じる雰囲気も垣間見れる。ドラマティックかつ濃密な傑作だ。
ドラマティック度・・9 プログレ度・・8 ファンタジック度・・9 総合・・8.5

MARGE LITCH「Fantasien 1998」
日本のシンフォニック・プログレハードロックバンド、マージュリッチの4th。1998年作
1991年の自主制作の1stをリメイクしたアルバムで、少々マンガチックなファンタジー世界を
壮大なシンフォニックサウンドで表現したという作品。展開力のあるテクニカルな楽曲と、
キャッチーなメロディが噛み合わさった独自の音楽性は、NOVELAをより壮大にしたイメージとも言えるか。
のちのALHAMBRAの母体となるメンバーだけあり、演奏の実力も充分で、
見事な歌唱の女性ヴォーカルに、手数の多いドラム、凄まじいテクニックのベース、そして華麗なキーボードと、
たとえればRHAPSODYあたりのシンフォニックメタルファンにも聴かせたいような質の高い内容だ。
ロマンと幻想の日本語歌詞を照れずに聴ければ、めくるめくファンタージェンの世界に浸れます。左は日本盤ジャケ
シンフォニック度・・9 プログレ度・・7 ファンタジック度・・10 総合・・8
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marsh mallow
新居昭乃、上野洋子、藤井珠緒、丸尾めぐみ、れいちによるユニット、マーシュ・マロウの2001年作
パーカションのリズムにアコースティックギター、キュートな女性ヴォーカルの歌声で聴かせる、
かつてのZABADAKなどにも通じる民族的な雰囲気の1曲目から、その後はもっとやわらかで、
コケティッシュな可愛らしさとふわふわとした天然女子系のおおらかな雰囲気に包まれる。
ビブラフォンの響きにピアノのつまびき、彼女たちの歌声に耳を傾け、お茶を飲みながらゆったりと楽しめる作品だ。
コケティッシュ度・・8 プログレ度・・7 天然女子度・・8 総合・・7.5


Mary's Blood「SCARLET」
日本のハードロックバンド、メアリー・ブラッドの6曲入りミニ。2012年作
女性4人組によるバンドだが、サウンドの方は昨今流行りのギャルメタル系というよりも
もっと骨太のスタイルで、パワフルなドラムとグルーヴィなベースなどには、
古き良きHRのワイルドさも感じさせる。勢いある疾走曲から、ミドルテンポのメロディック曲、
ラストのバラード曲まで、表現力あるヴォーカルの歌声とともに、なかなか本格派のHRが楽しめる。
音質面の物足りなさはあるが、さらなるポテンシャルを感じさせるバンドである。
メロディック度・・8 骨太度・8 女性Vo度・・8 総合・・7.5
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Mary's Blood「Azure」
日本のガールズメタル、メアリー・ブラッドの2013年作
2012年に続く6曲入ミニアルバム。全員女性メンバーにしては骨太のサウンドで、
古き良きHR色も覗かせていた前作に比べ、今作の1曲めはいくぶんダークなモダンさをまとわせて、
ラウドロック的な聴き心地が増している。メタルコア的な激しさもあったりするが、
個人的には歌謡ロック的なヴォーカルの歌声とはいくぶんミスマッチにも思える。
3曲めのスローな叙情曲やラストのキャッチーなミドルテンホ曲などはいい感じなので、
バンドとしてのパワーとポテンシャルは感じさせる。今後のさらなる進化に期待したい。
メロディック度・・8 パワフル度・・8 女性Vo度・・7 総合・・7.5


Mary's Blood 「Countdown to Evolution」
日本のガールズメタル、メアリーズ・ブラッドの2014年作
2009年に結成、ミニアルバムやシングルなどを発表しながら、地道に活動を広げてきたバンドの
満を持してのメジャーデビューアルバムで、その可愛らしいルックスからは想像できないハードなヘヴィさと
確かな演奏力に、キャッチーなメロディアス性を同居させた、クオリティの高いメタルサウンドを聴かせる。
インディーズ時代に比べると、楽曲ごとの明確な方向性と、吹っ切れたような勢いがパワーアップしており、
随所にテクニカルなプレイを盛り込んだギターサウンドの魅力もあいまって、男性バンドにひけをとらない
どっしりとした聴き心地とインストパートの説得力は素晴らしい。日本語をメインにしたヴォーカルも、
パワフルさと情感を備えた歌唱でサウンドによくマッチしている。今後がさらに楽しみなバンドになってきた。
メロディック度・・8 骨太度・・8 女性Vo度・・7 総合・・8 
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Mary's Blood「Bloody Palace」
日本のレディースメタル、メアリーズ・ブラッドの2015年作
メジャー2作目のアルバムで、メタリックなギターリフとともに激しく疾走するパワフルなサウンドで
日本語歌詞による情感豊かなヴォーカルも含めて、甘すぎない硬派な聴き心地に包まれる。
随所にメロディックな旋律や流麗なソロなど、ギターのSAKIのセンスとテクニックも光っていて、
ミドルテンポのキャッチーなナンバーなども、ドラムをはじめとする演奏力の高さで、どっしりとした味わい。
スラッシュメタルばりのスピードナンバーから、ほどよくダークで耽美なナンバー、叙情的なバラードなど、
バラエティに富んだ楽曲とともに、表情を変えるヴォーカルの表現力も見事。高品質なメタルアルバムです。
メロディック度・・8 パワフル度・・8 女性Vo度・・8 総合・・8 
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Mary's Blood 「FATE」
日本のガールズメタル、メアリーズ・ブラッドの2016年作
メジャー3作目のアルバムで、のっけからメタリックなギターにパンチのあるヴォーカルを乗せて激しく疾走する
パワフルなナンバーで聴き手を圧倒する。日本語歌詞による和風のテイストと情感的な歌声で、
ダークでアグレッシブな勢いに包まれつつ、キャッチーなメロディを同居させたスタイルは、
レディースメタルの最高峰というべきクオリティ。モダンなヘヴィネスを感じさせるナンバーや
アグレッシブな疾走曲はもちろん、ミドルテンポのキャッチーなハードロックまで、堂々たる作風で、
女性とは思えない存在感あるギターサウンドやパワフルなドラムを含めて、演奏のレベルも高い。
フェミニンなきらびやかさは控えめなので、ガールズメタルとしては大変硬派な力作といえる。
メロディック度・・8 メタリック度・・8 女性Vo度・・8 総合・・8
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Mary's Blood 「CONFESSiONS」
日本のレディースメタル、メアリーズ・ブラッドの2019年作
通算5作目のアルバムで、のっけからヘヴィなギターにシンフォニックなアレンジを重ね、
日本語歌詞のエモーショナルなヴォーカルを乗せて、激しく疾走するダークな味わいの作風。
ときにスクリーム気味のシャウトも含んだ伸びやかな歌声は、どこか中性的なイメージで、
パワフルなドラムやギターリフとともに、単なるガールズメタルとは一線を画す迫力がある。
楽曲は3〜4分前後と比較的ストレートな聴き心地で、日本的な情感をメタリックに表現した味わいから、
アラビックな旋律を取り入れたり、モダンなアレンジのキャッチーなナンバー、わりと普通のハードロックなど、
メジャー感のある多様性が同居する。演奏はしっかりメタルなのだが、楽曲的には方向性の定まらさが微妙なところ。
メロディック度・・7 パワフル度・・8 女性Vo度・・8 総合・・8 
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Mary's Blood「Mary's Blood」
日本のガールズメタル、メアリーズ・ブラッドの2021年作
2012年にデビュー、アニソンカヴァーに続く、通算6作目のアルバムで、セルフタイトルを冠したことからバンドの勝負作なのだろう。
メタリックなギターを激しいドラムに乗せ、日本語歌詞の伸びやかな女性ヴォーカルとともに、強力なメタルサウンドを聴かせる。
ときにコブシの効いたEYEの歌声は、昭和的な和の匂いを感じさせつつ、ときにスラッシーな激しさと、モダンなヘヴィネス、
NEMOPHILAでも活躍するSAKIの巧みなギタープレイで、男性顔負けの迫力あるヘヴィメタルを構築している。
メロディックな疾走ナンバーやキャッチーなミドルテンポなど、メリハリに富んだ楽曲アレンジは、さすが10年のキャリア。
方向性が定まり切らなかった過去2作から見事に復活したと思いきや、バンドは本作の後、ベストアルバムを残し、無期限の活動休止へ。
メロディック度・8 疾走度・7 女性Vo度・8 総合・8 
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MASQUE 「Third Ear-Third Eye」
日本のプログレ・ジャズロック、マスクの1997年作
美笑の前身バンドで、本作は唯一の作品。ほどよくハードなツインギターにサックスが鳴り響き、
フリーキーなリズム展開と共に、混沌としたアヴァンギャルドなジャズロックを聴かせる。
メロトロンなどのシンセが入る曲もあるが、基本はギターをメインにしたロック色の強いアンサンブルで、
スリリングなインストサウンドが味わえる。アルバム後半では、ユルめのサイケ感触や、メロウなギターをしっとりと聴かせたり
なかなかとらえどころがないが、女性スキャット加えたナンバーなどはのち美笑に通じる味わいもある。
ドラマティック度・6 プログレ度・8 アヴァンギャル度・8 総合・7.5
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MASTERMIND「SONG FOR THE NEW WORLD」
日本のメロパワバンド、マスターマインドの2000作
ツインギターのオーソドックスなパワーメタルサウンドで、そこに日本人離れしたハイトーンVoが歌を乗せる。
ひと昔前のこの手のメタル系バンドたちよりは、ヨーロッパのバンドに近い質感があるので、
ジャパメタ云々を抜きにして、むしろHELLOWEENなど洋楽メタルを聴く感覚で普通に楽しめる。
曲が正統的過ぎてやや面白みには欠けるものの、雰囲気もあるし、そこそこクオリティのあるバンドだと思う。
メロディアス度・・7 疾走度・・7 ハイトーン度・・8 総合・・7

Mastermind「The Way I Go」
日本のメロパワバンド、マスターマインドの2001年作
ネオクラシカルなギターとハイトーンヴォーカルを乗せて疾走する正統派の様式美メタルサウンド。
メジャーデビュー作となる本作は、インディーズ時代の作品に比べて音のパワフルさと説得力が増していて、
ツインギターによるテクニカルなギターと泣きのメロディが合わさり、力強くも叙情的なサウンドを描いている。
ゲストによるYuhki(ALHAMBRA)のシンセワークも随所に光っている。目新しさはないが安定した質の高さで聴かせる好作品だ。
メロディアス度・・7 パワフル度・・8 正統派度・・8 総合・・7.5
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MastermindFrom Here To Eternity」
日本のメロパワバンド、マスターマインドの4th。2006作
すでに活動10年以上を誇る中堅バンドで、メロディックなツインギターと
ハイトーンヴォーカルで聴かせる正統派のメロパワは本作でも変わらず。
演奏面やプロダクションの向上も含めて、サウンドにはずいぶんと説得力がつき、
きらびやかなネオクラシカル風味をまといながら華麗に疾走する。
新鮮味はないが質は高く、パワフルかつメロディアスにたたみかける力作だ。
ゲストのシンセにALHAMBRA、GALNERYUSのYUHKI、Ancient Mythの紗蝶らが参加。
メロディアス度・・8 疾走度・・8 新鮮度・・7 総合・・8
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MASTERPIECE「COLORS OF CONFLICT」
日本のシンフォニックメタルド、マスターピースの2004/2006作
イントロから大仰なシンセとクワイアで始まり、曲はシンフォニックなアレンジとともに疾走しつつ
RHAPSODY的な壮麗さに包まれてメロディックに盛り上がる。確かな演奏力にしてもヴォーカルの歌唱力にしても、
たとえばイタリアのB級バンドに比べたらよほどクオリティが高くなにより、この吹っ切れたような楽曲の高揚感が素晴らしい。
現時点ではRHAPSODYからの影響が強すぎる気もするが、今後に期待できるバンドである。2006年再発盤ではジャケが変更されている。
シンフォニック度・・8 疾走度・・8 ラプソディ度・・9 総合・・8
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摩天楼オペラ「JUSTICE」
日本のV系メタルバンド、まてんろうオペラの2012年作
シンフォニックなオーケストレーションをふんだんに使いつつ、メロスピばりに疾走する1曲めは、
メタルファンにも充分に聴ける。ナルシスティックなヴォーカルは好みを分けるところだが、
キャッチーな感触のフックあるメロディ作りや随所に聴かせるテクニックのあるギターフレーズ、
耽美な世界観はなかなかいい感じである。WITHIN TEMPTATIONっぽいアレンジの“Helios”や
メロディックなギターで聴かせるインスト曲“Just Be Myself”、美麗に疾走する“アポトーシス”
叙情的なバラード“絆”など、魅力ある曲も多い。シンフォニックでモダンなV系メタルの力作だ。
シンフォニック度・・8 メタル度・・7 V系度・・8 総合・・8
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摩天楼オペラ喝采と激情のグロリア
日本のV系メタルバンド、まてんろうオペラの2013年作
メジャー2作目となる本作は、1曲めから壮麗なシンフォニックアレンジとともにメロスピばりに疾走。
ヴォーカルの甘い歌声はいかにもV系といった感じなのだが、クワイヤを含んだ壮大さと、
メタルとしての激しさもそれなりにあるので、なかなかあなどれないのである。
反面、モダンでキャッチーな曲に関しては、とくにこれといって新鮮なものもなく、
メタルリスナーには受け付けにくいところもあるベートーベンの「悲愴」を取り入れたバラード曲などは
美しいアレンジがよいですね。ともかく、メロディックなV系メタルの現在形として楽しめる作品だ。
メロディック度・・8 疾走度・・7 メタル度・・7 総合・・7.5
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MAU2「VOYAGERS」
日本のプログレバンド、マウマウの2005年作
結成は1983年と古く、本作完成までは紆余曲折をへての道のりだったらしい。
軽やかな変拍子で聴かせる1曲目からして、20分の大曲で力が入っている。
美しいシンセワークにギターが絡み、キャッチーな歌メロで聴かせつつ、
YESUKなどを思わせる伸びやかなプログレサウンドが展開されてゆく。
メロディには日本的な繊細さがかいま見え、あくまで情感を大切にした曲作りとともに
昨今では珍しくなった、正統派のシンフォニック/プログレスタイルには好感が持てる。
丁寧に作られたメロディアスなJap'sシンフォ作だ。オフィシャルサイトで試聴可能
シンフォニック度・・8 プログレ度・・8 繊細度・・8 総合・・8
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MAVERICK
日本のメロディックメタル、マヴェリックの2005年作
札幌出身のバンドで、ツインギターのリフにパワフルなヴォーカルを乗せた正統派のパワーメタル。
80〜90年代ルーツのオールドスタイルの味わいで、随所に叙情的なツインギターのメロディとともに
甘すぎない程度のキャッチーな部分も覗かせて、日本人らしいクサメロ感ある疾走ナンバーもいい感じだ。
ACCEPT + HELLOWEENというような、90年代ジャーマンメタル感覚に、適度なジャパメタ風味も感じさせ、
英語歌詞のヴォーカルも良い意味での野暮ったさが、むしろ味わいになっている。ラストの疾走曲も格好よく、
重すぎず激しすぎないという、まさに古き良き王道の日本産メロパワが楽しめる強力作だ。
メロディック度・・8 疾走度・・7 正統派度・・8 総合・・8
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MAVERICK 「Natural Born Steel」
日本のメロディックメタル、マヴェリックの2012年作
7年ぶりとなる2作目で、リーダーの堀田勝彦とドラム以外のメンバーが替わっているが、
のっけから疾走感のある王道のメロパワで、叙情的なツインギターやキャッチーなコーラスを含む
勇壮な聴き心地は前作の延長上のスタイルだ。どっしりとしたミドルテンポのナンバーでも
メロディックなギターフレーズが光っていて、勢いのある疾走ナンバーとのバランスもとれている。
楽曲は3〜4分前後と、ストレートな感触で、やはりジャーマンメタルをジャパメタ寄りにしたという聴き心地。
IRON SAVIORのピート・シルク、GAMMA RAYのカイ・ハンセンがゲスト参加しているのも見逃せない。
メロディック度・・8 疾走度・・7 正統派度・・8 総合・・8
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MECHANICAL TEDDY「MECHAROPOLIS」
日本のメタルコアバンド、メカニカル・テディの2010年作
きらびやかなシンセワークとヘヴィなギターに、男性のスクリームヴォイス、
そして女性ヴォーカルが絡んでゆくスタイルで、激しくもキャッチーなサウンド。
雰囲気的には、最近のIN FLAMESとか、Blood Stain Childなどにも通じる、
モダンアレンジのメロデス的な質感もあり、それがヘヴィロックと交わったという感じか。
ヘヴィネスの中にあるメロディックな感性はやはり日本人的で、シンセなどはときにチルボド的。
音質の部分も含めてのインディーズ臭さは残っているが、男女Voの巧みな乗せ方や、
楽曲の構築力も新人にしてはなかなかのもので、今後に大いに期待できるバンドである。
メロディアス度・・8 モダンヘヴィ度・・8 サウン度・・7 総合・・8
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MECHANICAL TEDDY「CUE」
日本のメタルコアバンド、メカニカル・テディの2011年作
デビュー作「MECHAROPOLIS」も男女ヴォーカルで聴かせるメロデス的な好作であったが、
本作もデジタルなアレンジとヘヴィなギターリフを融合させた独自のスタイルを深化させている。
新加入の女性ヴォーカルの美しい歌声に男性スクリームの激しい咆哮を絡ませつつ、
メロディ自体はキャッチーといってよいほどの聴き心地で、モダンなアレンジとエクストリームサウンドを
融合させたという点では、Blood Stain Childあたりのファンにも楽しめるかもしれない。
メロディック度・・8 モダンヘヴィ度・・8 女性Vo度・・7 総合・・8
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MERRYBeautiful Freaks
日本のヘヴィロックバンド、メリーの2011年作
2003年にアルバムデビューしてから本作で8作目あたりなのだろうか、
ノリのいい演奏とキャッチーなメロディにゴシック的なメランコリックさをまじえたサウンドで、
ジャケのグロさに比べるとずいぶん聴きやすい。モダンなヘヴィさと激しさもあるが
どことなく古き良き歌謡ロック的な聴き心地もあって、歌詞やメロディは案外人懐こかったりする。
人を食ったようなダークなコミカルさというようなセンスやアイデアも随所に面白く、
それがパンクロック的な勢いと融合していて、一筋縄でいかないロックが楽しめる。
メロディアス度・・7 メタル度・・7 日本度・・8 総合・・7.5
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未知瑠「World’s End Village」
東京藝術大学出身の女性作曲家、未知瑠(みちる)の2009年作
イベント関連の作曲や、TVやアニメなどでの編曲などを手がけてきた女性アーティストが
本格的にソロとなって発表した作品。民族音楽やクラシックなどの要素を
現代音楽の手法で融合するセンスは、菅野よう子などにも通じるものを感じさせる。
チェンバーロック風味のシリアスな壮大さを女性らしいやわらかな質感でまとめあげ、
コーラス、スキャットなどの声の重ねで味付けするアレンジ力はすでに一級品だ。
しっとりとしたヴォーカル曲なども、どこかなつかしさと郷愁を感じさせる世界観がステキ。
シンフォニック度・・8 プログレ度・・7 壮大度・・8 総合・・8
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MIDAS「Beyond the Clear Air」
日本のプログレバンド、ミダスの1st。1988年作
ヴォーカル&ヴァイオリン奏者を含む4人編成で、美しいシンセワークと
艶やかなヴァイオリンの音色が合わさった、叙情的なシンフォニックサウンド。
一方では変拍子リズムに乗せる詩的な日本語歌詞の浮遊感が特徴的で、
プログレ的なインストパートと同時に、歌ものとしてのキッャチーな聴き心地も楽しめる。
15、18分という大曲も含めて、ゆったりとしたおおらかさに時代的なものを感じるが、
せわしない現代だからこそ、彼らのサウンドに心から癒されるような気がする。
シンフォニック度・・8 ヴァイオリン度・・8 日本情緒度・・9 総合・・8
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MIDAS 「II」
日本のプログレバンド、ミダスの1996年作
ヴァイオリンを鳴り響かせる叙情派プログレバンドの2作目。
きらびやかなシンセに変拍子リズム、日本語を含んだ独特の言い回しのヴォーカルが
個性的なこのバンド。本作もヴァイオリンが響くやわらかな叙情と軽妙な展開力で
じつに日本らしい優雅なプログレサウンドが楽しめる好作品だ。決してテクニカルになりすぎず、
詩的な歌詞とともにあくまで優しげな叙情性で聴かせるのが、このバンドの持ち味だろう。
メロディック度・・8 プログレ度・・8 日本的情緒度・・9 総合・・8
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MIDAS第三の処置
関西のシンフォニックロックバンド、ミダスの3rd。1999作
1stから独特の日本語歌詞を変拍子に折り込んだ不思議な雰囲気と、ヴァイオリン入りの叙情性が個性的だったが、
この3rdではアレンジ的にもこなれてきたのか、そうした個性が楽曲の中でひときわ目立っている。
美しいヴァイオリンを響かせつつ、音には日本的情緒があふれていて、ゆったりとした曲でもどこか哀愁が漂っている。
やや説教じみた歌詞がやや好みを分けるだろうが、そこも含めて自分はけっこう好きなのだ。
メロディアス度・・8 プログレ度・・7 日本的情緒度・・9 総合・・8
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Midas 「In Concert」
日本のプログレバンド、ミダスのライブアルバム。2002年作
これまでに4枚の作品を出している、叙情派バンドの2001〜2002年のライブ音源。
変拍子を含んだ軽快なリズムに、美しいシンセとヴァイオリンの音色がかぶさり、
ライブサウンドにおいても優雅な情感に溢れたプログレを聴かせてくれる。
独特の歌い回しのヴォーカルと説教を含むような深みのある歌詞もこのバンドの持ち味だ。
ライブ演奏・・8 プログレ度・・8 優雅な叙情度・・8 総合・・8
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MIDAS25th Anniversary Concert & Early Rare Tracks」
日本のプログレバンド、ミダスのライブ&未発音源集。2009年作
1988年にデビュー、当時はまだ珍しかったヴァイオリン入りの叙情派シンフォニックロックとして注目を浴び、
2000年までに4枚のアルバムを出したが、2002年のライブアルバム以降、音沙汰がなかった。
これはバンド結成25周年となる2008年のライブ音源と、デビュー前1983〜1987年の音源を合わせた作品。
このバンドの特徴は日本語歌詞による詩的な面白さで、変拍子を多用した楽曲と
シンセ、ヴァイオリンによる叙情性が合わさり、独特の浮遊感と個性的な聴き心地がある。
浪漫座の中嶋一晃が1曲ゲスト参加している。Side Bの初期音源の方はさすがに音質も良くなく、
楽曲的にも粗いのだが、クラシカルな美麗さを前に出した作風が、このバンドの原点だったと分かる。
メロディアス度・・8 プログレ度・・8 日本度・・9 総合・・7.5
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MIDAS「Touch The Clear Air」
日本のプログレバンド、ミダスの2013年作
1988年のデビュー作から、ヴァイオリンを使った美しさと、独自の詩的な歌詞が個性的だったが、
スタジオアルバムとしては13年ぶりとなる本作も、リーダーの右遠氏が奏でるヴォイオリンの音色に
美麗なシンセが重なって、やわらかな叙情性に包まれたシンフォニックロックを聴かせてくれる。
個人的には、このバンドに限っては1stのように日本語による詩的な重さのある歌詞が好きなので、
英語歌詞の曲は少しもったいないような気がしてしまうのだが、変拍子を含めた独特の間合いと
展開力はやはり魅力的だ。間奏部に般若心経を含ませたり、普通はしないようなアイデアも面白いし、
12分超の大曲では、彼ららしい日本的な情緒とともに、浮遊感のある優雅なプログレが広がってゆく。
メロディック度・・8 プログレ度・・8 叙情度・・8 総合・・8

MIDAS 「雲来末/Eternal Voyage」
日本のプログレバンド、ミダスの2017年作
1988年にデビュー、スタジオアルバムとしては6作目となる本作は、激しいドラムと重たいベース、
そして艶やかなヴァイオリン鳴り響く、軽快なアンサンブルのインストナンバーで幕を開ける。
ベテランらしい安定した演奏力と魅力的なヴァイオリンの音色は、いくぶんKBBなどにも通じるが、
こちらはやはりシンフォニックロックとしての優美な叙情性を感じさせる、ロマンティックな聴き心地。
ヴァイオリをこなしながら歌う、右遠氏の味のあるヴォーカルも、すでにバンドの個性となっていて、
とくに日本語歌詞のナンバーでの郷愁を感じさせる優しいメッセージ性は変わらず魅力的だ。
メロディック度・・8 プログレ度・・8 叙情度・・8 総合・・8 
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MILLPLAT
日本のプログレバンド、ミルプラットの1994年作
元ノヴェラの五十嵐久勝、元ケネディの泉陸奥彦、元ソフィアの細川博史らが集って、自主制作で作られた作品。
エフェクトのかかったドラムに美麗なシンセワーク、奔放に奏でられるギターを重ね、デジタルなモダンさと
シンフォニックな感触が同居したサウンドを聴かせる。雰囲気としてはわりとケネディに近いのだが、
そこに五十嵐のハイトーンヴォイスが乗ると、ドラマティックなプログレハード的な味わいになる。
KENNEDY!「Twinkling NASA」のヴォーカルバージョンや、ソフィアをリメイクした壮麗なインストもファンには嬉しい。
自主制作のため、音質面でのダイナミックさに欠けるが、メンバーのセンスが融合した隠れた逸品といえる。
ドラマティック度・7 プログレ度・8 優雅度・8 総合・8
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MinstreliX「〜Light Castle a Shadow〜」
日本のシンフォニックメタルバンド、ミンストレリックスの2ndミニ。2006作
一部のマニアの間では、クサメロ満載の1stミニが好評だったらしいが、聴くのはこれが初めて。
メンバーはKeyを含む5人組みで、今作から新たに女性Voが加わったようだ。
ネオクラシカルなギターで幕を上げる1曲めは、キーボードとギターがメロディアスに絡む
シンフォニックな疾走曲で、やや中性的な女性ヴォーカルがそこに歌を乗せる。
クラシカルでありつつやわらかみのあるフレーズを奏でるギターのセンスはなかなかだが、
ヴォーカルの弱さもあってか歌が入るとどうしても日本臭さが出てしまっていて惜しい。
2曲めはバラードで3曲めはメロデス要素もあるクサメロ疾走曲。フルアルバムを楽しみにします。
メロディアス度・・8 疾走度・・8 女性Vo度・・6 総合・・7

MinstreliX「memoirs」
日本のメロスピバンド、ミンストレリックスの2007作
ミニアルバムの頃からメロスピマニアからは注目されていたバンドだが、
待望のフルアルバムが完成。期待にたがわずクサメロで疾走しまくりだ。
シンフォニックかつメロディアスに疾走する様は、日本版SKYLARKともいうべきスタイル。
女性ヴォーカルの歌唱もだいぶ向上し、アマチュア臭さもだいぶ薄れてきた。
しかしともかくも、このクサメロの嵐。そこはかとなくフォルクローレ風の感触もあったりして、
やわらかみのあるフレーズと歌メロには、この手のファンにはたまらないだろう。
また疾走だけでなく、美しいバラード曲や、ジャズタッチのピアノなども取り入れるなど、
楽曲アレンジの幅も広く、いかにも自主っぽいジャケの安っぽさに比べ内容は充実。
これでプロダクションが向上すれば、日本最高のメロスピバンドとなれるに違いない。
クサメロ度・・9 疾走度・・8 女性Vo度・・7 総合・・8

MinstreliXReflections」
日本のメロスピバンド、ミンストレリックスの2009年作
初期のCDR作品などからの曲をリレコーディングし、新曲を加えた変則的なアルバム。
1stフル「memoirs」は、日本版SKYLARKともいうべきクサメロまくりの好作であったが、
ここで聴ける初期曲のリメイクはむしろDark Moorあたりに通じるシンフォニックテイストで
クラシカルかつエピックな香りも漂わせる疾走メロスピである。もとが女性ヴォーカル曲では
なかったからか、過去の曲はややキーが低めのため歌メロでの華やかさはあまりないものの、
メロディの聴かせところなどは、アマチュアのレベルは遥かに越えている。クサメロファンはぜひ。
クサメロ度・・8 疾走度・・8 女性Vo度・・7 総合・・7.5
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MinstreliX「TALES OF HISTORIA」
日本のメロスピバンド、ミンストレリックスの2012年作
初期曲のリレコーディングアルバムであった前作Reflections」から3年ぶりとなる3作目。
シンフォニックなアレンジで美麗に疾走するメロスピサウンドにはいよいよ磨きがかかり、
復帰したLeo Figaroの伸びやかな歌声とともに、ロマン溢れるファンタジックな世界観を聴かせてくれる。
ときにLIGHT BRINGERなどにも通じるキャッチーなメロディと、ネオクラシカル的なギターワークで
メタルとしての力強さもこれまで以上に感じさせ、美メロ系メロスピリスナーには感涙ものだろう。
物語的な幻想性と優雅な旋律に包まれた楽曲の数々は、濃密さの点でも過去最高といえる内容だ。
シンフォニック度・・8 疾走度・・8 美メロ度・・9 総合・・8
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水鏡「Mizukagami」
日本のシンフォニックロックバンド、水鏡の2003年作
基本はGENESIS風のサウンドながら、和風なメロディや女性Voによる日本語の歌詞と
日本的な情緒をしっとりとしたシンフォニックサウンドで表現している。
うぐいすの鳴き声や川のせせらぎ、虫の声など、SEによる雰囲気作りにもこだわりが見える。
バックに鳴り響くメロトロンやたおやかなフルートの音色も美しく、
うるさすぎないアンサンブルは、かつての新月を思わせる質感がある。
日本的で典雅なサウンドは、正しく和風シンフォニックの後継者たるバンドだろう。
シンフォニック度・・8 プログレ度・・7 和風度・・9 総合・・7.5
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水鏡「夕掛け」
日本のシンフォニックロックバンド、水鏡の2007年作
2作目となる本作も、日本的な情緒をでしっとりと聴かせる優美なシンフォニックサウンドだ。
女性ヴォーカルによる日本語歌詞の響きと、和を感じさせるメロディ、
ハケットを思わせるメロウなギターワークと、包み込むようなやわらかなシンセもいい。
前作以上に楽曲の作り込みと、世界観の表現力が増していて、それが音の強度となっている。
メロトロンの響きにうっとりとなりながら、古き良き日本の雅、悠久の流れを感じられる作品だ。
シンフォニック度・・8 優雅度・・8 和風度・・9 総合・・7.5
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MIZUKI Da Fantasia 「幻想の一夜 - In memory of fantasy」
日本の女性アーティスト、ミズキ・ダ・ファンタジーアの2017/2019年作
2017年のデビュー作のリマスター再発盤で、優美なピアノにオルガン、メロトロンを含むシンセアレンジ、
日本語歌詞による女性ヴォーカルを乗せたサウンドで、カルメンマキ&OZにも通じる古き良き哀愁を感じさせる。
シンセをバックにした歌ものナンバーなど、ロック感触はわりと薄めなので、純粋にプログレとして聴くには物足りないが、
ソロでも活躍する、Anna Hardyのピアノやフルートも随所に美しく、MIZUKIのエモーショナルな歌声とともに、
昭和風のプログレ歌謡としては充分楽しめる。タイトル曲などはどことなくクリムゾンの香りもしたり。
昭和風度・8 プログレ度・7 女性Vo度・8 総合・8
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MIZUKI Da Fantasia 「Rainbow Chasers」
日本の女性アーティスト、ミズキ・ダ・ファンタジーアの2018年作
2017年にデビュー、本作は2作目で、前作からの流れの、マキ&オズ的な昭和歌謡ロックの雰囲気に、
優美なピアノやストリングスアレンジといった、クラシカルなシンフォニック性を付加したサウンドを描く。
日本語歌詞にによる情感的なミズキの歌声、アンナ・ハーディによるしっとりと優雅なピアノとシンセで、
プログレというよりは、壮麗な歌謡ポップという感じもあるのだが、クリムゾンばりのメロトロンが鳴り響く、
ヴィンテージな音色や、典雅なチェンバロの音色など、多彩なシンセアレンジも光っている。
ドラマティック度・8 プログレ度・7 女性Vo度・8 総合・8 
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MIZUKI Da Fantasia 「Question 1969 - 去りゆく時代に」
ミズキ・ダ・ファンタジーアの2019年作
本作は3作目で、優美なシンセアレンジに、どこか昭和感を漂わせる日本語歌詞の歌声で、
ゆったりとした叙情に包まれた歌謡ロックを聴かせる。Anna Hardyによる精細なピアノの旋律や、
Ichro Quo氏のメロトロン、オルガンなどの鍵盤も優雅で、優しい情感を語るような、MIZUKIのヴォーカルとともに、
しっとりと耳心地よく、ゲストのYuka & Chronoshipのギターによる叙情的なプレイも随所にアクセントになっている。
ラストの11分のタイトル曲は、シンセをバックにした静かな歌ものを基本にしつつ、シンフォニックに盛り上がる。
優雅度・9 プログレ度・7 女性Vo度・8 総合・8
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MONGOL 「Doppler 444」
日本のプログレバンド、モンゴルの1997年作
結成は70年代というバンドで、本作は8年の歳月をかけて完成させた唯一のアルバム。
バンド名やジャケの雰囲気から、とぼけたような意味不明感を漂わせているのだが、
ROSE BAND、OOLA、NOAといった、知る人ぞ知るバンドのメンバーが集ったサウンドは、
優雅にしてテクニカル。アラン・ホールズワースばりの流麗なギターに美しいシンセワーク、
変拍子を含むジャズロック的なアンサンブルでたたみかける、スペース・サーカスばりのインストプログレを展開。
メロディックでスペイシーな感触と、ときにMAGMAEL&P風味も覗かせる、濃密な味わいの傑作である。
メロディック度・・8 プログレ度・・8 優雅で流麗度・・9 総合・・8.5
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MOON DANCER
日本のメロディアスロックバンド、ムーンダンサーの1979年作
長いこと廃盤扱いだった本作が、2014年リマスター&BLU-SPEC CD2仕様の紙ジャケで再発された。
後にVOWWOWへと加入する厚見麗(玲衣)のきらびやかなキーボードとやわらかなヴォーカルで聴かせる、
キャッチーでポップなメロディックロック作品。時期的にはNOVELAのデビューよりも少し早いくらいなので、
プログレとハードロック、ヴィジュアルの融合された時代性を感じさせる、とてもロマンティックな音楽性である。
デビュー作とは思えないまとまった楽曲は、プログレというにはキャッチーすぎて、いくぶん商業的な匂いもするが、
オルガンやムーグ、ピアノを含む、厚見麗のキーボードプレイはさすがで、華やかにサウンドを彩っている。
2014年リマスター再発盤には、“アラベスク”、“鏡の中の少女”のシングルバージョンをボーナス収録。
メロディアス度・・8 プログレ度・・7 甘いロマン度・・9 総合・・8
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MOONSTONE 「Laying」
日本のプログレバンド、ムーンストーンの2020年作
スターレスで知られる堀江睦男の巧みなドラムに、きらびやかなシンセとほどよくハード寄りのギターを重ね、
日本語歌詞によるハイトーンのヴォーカルとともに、かつてのNOVELAなどにも通じるプログレハードを聴かせる。
流麗で叙情的なギターの旋律と、オルガンなどを含むシンフォニックなシンセワークがサウンドを彩りつつ、
Max氏の中性的な歌声が独特の浮遊感となって、ジャパニーズプログレの幻想的なロマンを描いている。
音質面もしっかりとしていて、堀江氏のテクニックのあるドラムが、サウンドの説得力を高めており、
疾走するハードロックナンバーでは、ALHAMBRAなどにも通じる、激しくも優雅な味わいが楽しめる。
ノヴェラルーツのキャッチーなロマン派プログレハードが好きな方はチェックすべし。捨て曲無しの力作です。
メロディック度・8 プログレハー度・8 ロマン度・9 総合・8
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MOOUSEION「Klage/L'Oiseau Bleu」
メタル系音楽サークル、ムーセイオンのCDR作品。2010作
フォルクローレ風味の世界観と疾走メロスピ、シンフォニックメタルを融合させたような作風で
打ち込みのDTM作品ながらこれはなかなか面白い。「Klage」は3曲入りの作品で、勢いのいい疾走感は
DRAGONFORCE的であったり、壮麗なクアイワなどはRHAPSODY風であったりしつつ、
女性ヴォーカルのキュートなつたなさがアキバ寄りの質感をしっかりとかもしだしている。
「L'Oiseau Bleu」は4曲入り。メロディ的にはよりキャッチーになり、一般受けしそうな聴きやすさの中に
フォークメタル的なアレンジが垣間見える。初音ミクやらボカロメタルやらには、筆者はまったく詳しくないのだが、
この作風で物語的なフルアルバムなども聴いてみたい気がする。こちらのサークルページで試聴可能
シンフォニック度・・8 疾走度・・8 アキバ度・・8 総合・・7.5

M∞USEION「Parsifal Act 1」
音楽サークル、ムーセイオンのCDR作品。2010年作
登久生 翔(ひさお かける)氏による同人音楽サークルの作品で、
本作は、紫咲ほたる、PAGECO、莉音を迎えて制作されたフォークメタルプロジェクト。
そのサウンドは、可愛らしい女性ヴォーカルの歌声と、フォーキーなメロディを乗せて
シンフォニックに疾走するもので、演奏は打ち込みながらもギターの音色などにもこだわりが感じられ、
物語的な世界観とともに起伏に富んだ楽曲展開が楽しめる。日本語歌詞によるキャッチーな可愛さと、
トラッド風味が融合された独自のスタイルは、アキバ系メタルファンはもちろん、フォークメタル好きにも鑑賞可能。
リズム面での軽さはいかにも打ち込みであるし、激しい疾走部分がガチャガチャしていて耳障りな点はマイナスだが
同人系作品としては完成度はなかなか高く、アキバ系フォーキーメタルの意欲作と言ってよいであろう。
メロディアス度・・8 フォーキー度・・8 メタル度・・7 総合・・7.5


Mr.SIRIUS「Barren Dream」
日本のプログレバンド、ミスター・シリウスの1st。1986作
彼らの残した2枚の作品は、今なお日本シンフォニックの金字塔として燦然と輝きを放っている。
個人的には、2nd「ダージ」の壮大華麗な作風がとても気に入りなのだが、
こちらの1st「バレン・ドリーム」はいかにもプログレ然とした繊細さが魅力。
イタリアンロックを思わせるゆるやかなフルートの音色にシンフォニックなシンセワーク、
そして、永井博子(大木理紗)の絶品の歌声が楽曲を豊かに彩ってゆく。
日本のバンドらしからぬヨーロピアンな情緒と楽曲センスで聴かせる傑作だ。再発盤ではジャケが変更されている。
メロディアス度・・9 プログレ度・・8 女性Vo度・・8 総合・・8.5
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MR.SIRIUS 「DIRGE」
日本のシンフォニックロックバンド、ミスター・シリウスの2nd。1990年作
彼らの残した2枚のアルバムは、日本シンフォニックロック界の金字塔であるが、
本作の突き抜けたダイナミズムは、シンフォニックという言葉だけではとても言い尽くせない。
大木理沙の伸びやかで表現力に満ちた歌声と、ブラスアレンジを取り入れた分厚いサウンド、
たたみかけるリズムとダイナミックで華麗な楽曲展開は、もはや日本のプログレというイメージを
完全に超越したレベルにある。日本のバンドが最も世界の頂点に接近した作品といえるだろう。
メロディアス度・・9 プログレ度・・8 女性Vo度・・8 総合・・9
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SIRIUS 「Crystal Voyage」
Mr.SIRIUSの前身として活動した、シリウスの音源集。1990年作
宮武和広を中心に、Siriusとしてトリオ編成で活動していた時期の1979年の音源に、
「みや竹」として録音された1990年の組曲、奥方であるMiyoko名義での1987年録音の楽曲を収録。
みや竹の組曲“月下美人”は4パート20分におよぶ大曲で、シンフォニックな美しさと躍動的なアンサンブルで、
起伏のある展開力も含めて、この時点でのちのミスター・シリウスへとつながるダイナミズムを描いている。
1979年のSiriusの音源は、まだ音数がそれほどでもない分、ゆったりとした素朴な叙情性に包まれたサウンドで、
ハケットやラティマーを思わせるメロウなギターの旋律とともに、正統派のシンフォニックロックを聴かせる。
Mr.SIRIUSのファンであれば、バンドの歴史を垣間見ることのできる貴重な音源として楽しめるだろう。
メロディック度・・8 叙情度・・8 ミスター・シリウス度・・8 総合・・8
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Mr.SIRIUS「INCREDIBLE TOUR」
日本のプログレバンド、ミスター・シリウスのライブ作品。1991年作
とにかく、このバンドが残した2枚のアルバムは日本が世界に誇る出来の傑作である。
本ライブ作は、ジャケからしてなにやら手作りのチラシみたいな怪しさが漂わせているが、
演奏の方はじつに見事で、大木理紗の美しい歌声にリーダーである宮武和広のシンセワーク、
優美なフルートの音色、そして笑いをとるMCも含めて絶品だ。ケイト・ブッシュの“babooshka”を挿入して
続く“Love Incomplete”は感動的だし、難波弘之がゲスト参加したYes“Siberian Khatru”のカヴァーも含めて、
プログレファンを心から楽しませるステージである。ぜひとも映像で観たい。DVD化してくれませんか傘屋さん!
プログレ度・・8 ライブ演奏・・8 MC・・9 総合・・8.5
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M's NEXUS「Mのネクサス」
日本のプログレバンド、エムズ・ネクサスの2000年作
LACRYMOSA、ZENI GEVA、チャランケなどで活躍したメンバーが集い、
テクニカルかつアヴァンギャルドなアンサンブルを繰り広げる。
軽やかなリズムにサックスが鳴り響き、クリムゾン的でもある重厚さと、
フリーキーな即興性が融合された、とぼけた味わいのアヴァン・ジャズロックが楽しめる。
ジャズロック度・8 プログレ度・・7 アヴァンギャル度・・8 総合・・7.5

夢中夢
ヴァイオリンを含む6人編成。Vo、Keyも女性で、メンバーはまだ若そうだ。
のっけから美しくももの悲しいピアノで耳を惹きつけられる。2曲めでは軽やかなリズムにフルートの音色、
そこにヴァイオリンとピアノが混じり、激しさを増すドラムが不安感をあおる。
3曲めはヘヴィなギターや不気味な男スキャット(?)などが出てきて、ゴシックメタル的なサウンドを思わせる。
プログレ、メタル、ゴシックと、いろいろな要素を感じさせつつ、女性声で意味深なセリフを入れたりする
シアトリカルな要素もあり、どこかヲタク的にも聴こえる息苦しい世界観は、最近人気のSOUND HORIZONを
ぐっと暗くヘヴィにしたような…という言い方もできるかもしれない。美しくも地獄…そんなイメージだ。
反面、適当なデス声(?)など、暗黒面では「よく出来た作り物」っぽさもどこかに感じられるし、
曲ごとに静と動のメリハリを過剰につけるやり方は、今の若い世代を象徴する多面性にも思える。
とはいえ、新たな「ゴッタ煮」の可能性を感じさせられる音であるのは確かであるし、
12分の大曲“楽園”は雰囲気ものとしてのこのバンドの存在価値を示している。オフィシャルサイト


夢幻 「レダと白鳥」
日本のシンフォニックロック、むげんの1986年作
ギター&シンセの林克彦を中心にしたバンドで、モローのジャケのように幻想的なシンフォニックロック。
英国のENIDを思わせるような、優雅で繊細なロマンティシズムに満ちたサウンドで、
メロトロンが響き、フルートやアコースティックギターも含んだ叙情美が素晴らしい。
モラトリアムなイメージの甘いヴォーカルも、この世界観によくマッチしている。
ドラムとベースは当時NOVELAで活躍していた、西田竜一と笹井りゅうじが参加、
ギターにはページェントの中嶋一晃、ヴァイオリンはOUTER LIMITSの川口貴、
フルートにMr.SIRIUSの宮武和広という、豪華なゲストたちが幻想の美を描くのに一役買っている。
シンフォニック度・・8 幻想度・・9 繊細度・・9 総合・・8
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「Murasaki Forever」
沖縄出身のハードロックバンド、むらさきのベスト。1998年作
1976年に2作のアルバムを発表し、その後は解散、休止状態となっていた伝説のバンド。
シンセ奏者のジョージ紫を中心に、Deep Purpleなどの英国ハードロックから影響を受けたスタイルで、
オルガンが鳴り響き、英語歌詞のヴォーカルによる本格派のHRサウンド。
メロディックなギターも随所に効いていて、ブリティッシュHRを本人好みに解釈したという
キャッチーな聴き心地である。70年代として考えれば、演奏の技術、音質面でも素晴らしく、
70年代HRが見直される昨今であれば、なおさら彼らの存在勝価値は大きいだろう。
ちなみにドラムの宮永英一(チビ)は、HEAVY METAL ARMY〜EASTAN ORBITでも活躍していた。
メロディック度・・8 ブリティッシュHR度・・8 70'HR度・・9 総合・・8
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「Purplessence」
沖縄出身のハードロックバンド、むらさきの2010年作
70年代から活動し、80年代に入り解散、その後は休止状態が続くが、1997年の復活ライブを機に
バンド再び動き始め、スタジオアルバムとしてはじつに34年ぶりとなる本作を完成させた。
ヴォーカルはHEAVY METAL ARMYのJJに替わっているが、シンセのジョージ紫を中心に
比嘉&下地のツインギターに宮永"チビ"英一のドラムと、ほぼ往年のメンバーが揃っている。
壮麗なイントロから曲が始まると、正統派HRサウンドはそのままに、よりパワフルになった感触で、
オルガンが鳴り響き、力強いJJの歌声とともに、ベテランらしい力強い一体感が広がってゆく。
随所に聴かせるツインギターの泣きのメロディもよい感じで、じっくりと聴かせるバラードなども含め、
日本人離れしたセンスこのバンドならではだろう。強力かつ素晴らしい復活作である。
メロディック度・・8 パワフル度・・9 日本人離れ度・・9 総合・・8.5


六三四「FAR EAST GROOVE」
日本の和楽器ハードロックバンド、宇崎竜童プロデュース、六三四(ムサシ)の1st。1998年作
筆者は2ndから入ったのだが、今回聴いた1stはハードロック的要素がより濃く残っているという印象だ。
もちろん和太鼓、三味線、尺八などを使用して曲によってはそれらがメイン楽器となり
素晴らしい和風のロックミュージックを構築している。ピアノと尺八、三味線がこれほど見事に重なるとは。
歌の方はかつてのJAP'Sハードロックを思わせる雰囲気でその筋のHRファンでも違和感なく聴けるだろう。
和楽器とロックの絶妙な融合をなし遂げてゆく、彼らの偉業の最初のきらめきが音に詰まっている。
メロディアス度・・8 プログレ度・・7 和楽器度・・8 総合・・8.5
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六三四「大和」
宇崎竜童がプロデュースした和風ハードロックバンド、六三四の2ndアルバム。
和太鼓、尺八、三味線などを見事に取り入れ、それをギター、ドラムなどと違和感なく溶け込ませている。
ハードロック、プログレッシブな側面を持ちながら、あくまで根底には日本の魂が感じられ、
メロディアスかつスリリングな楽曲アレンジは見事で、一部の隙もない。
日本という国の音楽文化を西洋の文化であったロックミュージックに融合させ、
極上の音楽を創造したという点で、これは文化的偉業といっても過言ではあるまい。
日本の伝統音楽をロックと融合させたお薦めバンドは?と問われたら、迷わずこのバンドを即答する。
メロディアス度・・8 プログレ度・・8 和風度・・8 総合・・9
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六三四「六三四 with 宇崎竜童」
和楽器を取り入れた日本ハードロックバンド、六三四の2001年作
三味線に和太鼓、尺八などを西洋のロックサウンドに融合させたこのバンド。
ハードロック音像に和楽器の音色を殺すことなく見事に取り入れた彼らのアルバムは
固定観念や偏見を持たないプログレ好きのハードロックファンにこそ聴いてもらいたい。
今回は、彼らの生みの親的な存在の宇崎竜童が参加し、大胆に鳥取や沖縄の民謡を取り入れている。
一聴するとロック耳にはこの民謡歌はガクッと来そうだが、よくよく聴けばそれを見事にロックサウンドに取り込み、
アレンジしていることか分かる。「ヤサホーエー」のバックに鳴り響くギターのなんと新鮮なことか。
日本の心をロックにして聴かせるこのバンドの偉業はもっと多くの人に知られるべきである。
メロディアス度・・8 ハードロック度・・7 日本度・・10 総合・・8
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六三四「宮本武蔵」
日本の伝統楽器を活かしたロックバンド、MUSASHIの2002作
六三四が「宮本武蔵」をやる、という気の利いたシャレのような題材だが
ドラマのサントラというわけではなく、れっきとしたロックアルバムであるのでご安心を。
ギター、ベース、ドラム、キーボードというロックフォーマットに三味線、尺八、和太鼓等を加えた
その独自のサウンドはこれまでのアルバム通り、ハードロック並みに力強く、プログレ並みに斬新であることに変わりはない。
曲ごとに「宮本武蔵」に登場する人物や場面を想定したものになっていて全編インストでありながら、非常にドラマティック。
以前よりもキーボードのアレンジが美しくなっていて、シンフォニック系のプログレハードとしても聴けてしまうほど。
この素晴らしい日本のバンドを知らずにおくのはもったいないです。
メロディアス度・・8 プログレ度・・7 日本度・・8 総合・・8
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MUSICA TRANSONIC「栄光のムジカ・トランソニック」
高円寺百景などで活動するドラムの吉田達也によるユニット、ムジカ・トランソニックの1996年作
手数の多いドラムにノイジーなギターが鳴り響く、フリーキーなガレージロックというサウンドで、
生々しい音質も含めて、非常にラウドな耳心地。演奏は各2〜4分前後で、即興的でアヴァンギャルド、
サイケにパンクを合わせて、勢いに任せてたたみかけるという、激しい悪ノリ感に圧倒される。
楽曲というよりは、ジャムセッションのような感じという方が正しいかも。曲名が何故かギリシャ語というのも謎だ。
ドラマティック度・・5 プログレ度・・5 即興度・・8 総合・・7
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MUSICA TRANSONIC「ムジカ・トランソニックの世界」
ムジカ・トランソニックの1997年作
3作目となる今作も、ノイジーなギターを乗せた、ガレージロックはそのままに、
音質はますます生々しく、悪く言うと耳障りなまでにラウドになっている。
吉田氏のドラムは、もはや何を叩いているのかよく分からないくらいで、
この轟音の渦に飲み込まれるような感覚を、楽しむか嫌悪するか、聴き手を選ぶことこの上ない。
ドカドカ、ザリザリ、ギュンギュン…全33分と短めながら、正直耳がツラいです。
ドラマティック度・・5 プログレ度・・5 即興度・・9 総合・・7
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Mysterious Priestess 「Agency of Fate」
日本のメロディック・デスメタル、ミステリアス・プリーステスの2012年作
シンセ奏者を含む5人編成で、メロディックなギターとダミ声ヴォーカルを乗せて疾走する、
正統派のメロデスサウンド。ギターはやや軽めてせ暴虐さよりもメロディック重視という感じで、
北欧的なフレーズを奏でるシンセのセンスもよい感じだ。リズムチェンジを含ん楽曲の展開力も
わりとしっかりしていて、今後に期待が持てそうな実力はあるのではないだろうか。
ギターの奏でるクサメロ感は魅力のひとつで、むしろ曲によってはキャッチーな聴き心地である。
あとは、このバンドならではの個性と、音そのものの説得力をもっとまとわせていって欲しい。
メロディック度・・8 暴虐度・・7 新鮮度・・7 総合・・7.5
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NACARBIDE 「Iron Lotus」
タイで活動するメロディックパワーメタル、ナッカーバイドの2020年作
バンコク在住の日本人を中心にしたバンドで、王道のギターにパワフルな女性ヴォーカルで聴かせる、、
古き良きスタイルの正統派ヘヴィメタル。歌詞は英語メインであるが、ジャパメタらしいウェットな味わいもあり、
80〜90年代ルーツの様式美メタル的な流麗なギターフレーズとともに、メロディアスなフックもなかなか魅力的だ。
強力なドラムを含むリズム面での安定感とギターなどの確かな演奏力、そして中性的なヴォーカルの歌声を乗せ、、
重すぎず軽すぎずという絶妙の味わいで、オールドスタイルのメロパワを愛するリスナーにはニンマリだろう。
アルバム後半3曲は日本語歌詞によるナンバーで、よりキャッチーな味わい。アジア出身、NWOTHM期待のバンドです。
メロディック度・・8 正統派度・・8 古き良きHM度・・9 総合・・8
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渚にて「On The Love Beach」
日本のアシッドフォークロック、なぎさにての1995年作
竹田雅子と柴山伸二による二人ユニットで、素朴なアコースティックギターに牧歌的な歌声を乗せた
郷愁に包まれた70年代のようなどこかなつかしいサウンド。いきなりエレキギターが轟音で入ってくるなど、
ロック的なアレンジも覗かせて、情念を描くような昭和風の歌詞は、J.A.シーザーなどにも通じるところも。
完成しきれていない音楽性も含めて、どこか未成熟な青さを感じさせるところも、魅力なのかもしれない。
本作の時点では全曲が男性ヴォーカルなので、のちの作品の印象とはやや異なるのも興味深い。
ロック度・・6 素朴度・・8 昭和度・・9 総合・・7.5
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渚にて 「本当の世界」
日本のアシッドフォークロック、なぎさにての1999年作
2作目の本作はCD2枚組の大作で、アコースティックギターに男女ヴォーカルの歌声を乗せ、
ときにエレキギターの轟音が入ってくるという、独自のフォークロック路線に加えて、
女性ヴォーカルによる可愛らしさが感じれるようになった。古めかしい昭和感がいくぶん薄まり、
少し舌足らずの竹田雅子さんの歌声が、キュートなポップ性とエキセントリックな味わいになって
男性ヴォーカル曲との不思議なコントラストになっている。Disc2には14分という大曲もあり、
ときにシンセも加えたプログレ寄りの雰囲気も。コケティッシュなアヴァンロックとしても楽しめる力作です。
ロック度・・7 素朴度・・8 昭和度・・8 総合・・8
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渚にて「こんな感じ」
なぎさにての2001年
3作目となる本作は、ギターにオルガンを含むシンセを加えたやわらかな叙情と、
男女ヴォーカルの歌声で、詩的な素朴さに包まれたフォークロックを聴かせる。
過去作に比べると、スローミュージック的なほのぼのした雰囲気が前に出ていて、
牧歌的な感触でのんびりと楽しめる。エキセントリックな味わいが薄まった分、
アヴァンロックというよりは、ゆったりとしたお花畑フォークというような味わいです。
ロック度・・6 素朴度・・9 昭和度・・8 総合・・8
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内核の波「運命の輪」
日本のプログレバンド、ないかくのわの1st。2003年作
のっけからヘヴィなギターと吹き鳴らされるフルートで、美狂乱あたりを思わせるハードなインストプログレが炸裂。
かといって単にクリムゾン系というには、文学的な意味深の曲名にしろ突進する演奏の勢いにしろ、
コワれ気味なくらいに迫力がありインプロヴィゼーション的なドラムの叩きっぷりもなかなかに凄い。10分を超える大曲では、
一転してチェンバーロック的なクールな演奏を聴かせるなど、バンドとしての底の知れない大きさを漂わせている。
そしてラストはFOCUSの“HOCUS POCUS”と…1作目ででここまで凄いことをやっているバンドはそうはいない。
メロディアス度・・7 プログレ度・・9 迫力度・・9 総合・・8.5
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内核の波「shell/忘却の河」
日本のプログレバンド、“ないかくのわ”の2nd。2006年作
鳴り響くフルートに、跳ねるリズム、クリムゾン的なヘヴィネスとダークさを感じさせながら、
しっかりと日本的な部分を根幹に持ち合わせているという、なかなか個性的なサウンド。
オールインストの演奏は、ときにインプロヴィゼーション的色合いを覗かせつつも、
たたみかける部分でのアンサンブルでは「まさにプログレ」というような爽快さがある。
うす暗い叙情性にはANEKDOTENあたりにも似た質感もあるが、決して音は古くさくはなく
ポストロック的な深淵さに加え、ロックとしての攻撃性も兼ね揃えているのが凄い。
構築的でヘヴィな部分にはDREAM THEATERなどを思わせる要素もあり、
音の中にメタル側からのアプローチも見えるのが個人的には嬉しい。素晴らしい傑作。
メロディアス度・・7 プログレ度・・8 ヘヴィでダークな叙情度・・8 総合・・8.5
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中島優貴 「大予言」
元ヘヴィメタル・アーミー〜イースタン・オービットの中島優貴のソロ。1982年作
ノストラダムスの大予言をテーマにしたコンセプトアルバムで、シンセをメインにした壮麗なサウンド。
元四人囃子の佐久間正英がベースで、ヘヴィ・メタル・アーミーの宮永英一がドラムで参加、
アルバムを通して描かれるドラマティックで壮大な世界観は、シンセ奏者、サウンドクリエイターとしての
センスが遺憾なく発揮されている。ヘヴィ・メタル・アーミーのJJが歌を乗せる三部構成の大作“ファチマ組曲”や、
VOW WOWの山本恭司、ラウドネスの樋口宗孝らが参加したハードプログレナンバー、“グランドクロス”など聴きどころの多い好作品だ。
メロディアス度・・8 プログレ度・・7 シンセ度・・9 総合・・8
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中島優貴「INSPIRE」
元ヘヴィメタル・アーミー〜イースタン・オービットの中島優貴のソロ。1984年作
ソロとしては「大予言」に続く2作目で、チャーこと竹中尚人、ルイスこと加部正義、ショニーこと吉長信樹という
ピンク・クラウドのメンバーが参加、優美なシンセワークを中心に、巧みなチャーのギターが絡み、
元トニーの佐藤真紀のマイルドな歌声で、キャッチーな80年代風のロックを聴かせる。
歌入りの曲は3曲で、後半はインストナンバー中心。チャーのギタープレイが冴えわたり、
ハードロック風味の感触と、シンフォニックなシンセによるきらびやかな味わいが楽しめる。
ラストはしっとりと優美なシンセにアコースティックを含む叙情的なギターで締めくくる。全35分。
メロディック度・8 プログレ度・7 優美度・8 総合・7.5
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中島優貴「幻想組曲:やまとなでしこ」
元ヘヴィメタル・アーミー〜イースタン・オービットの中島優貴のソロ。1984年作
小野小町、卑弥呼といった日本の歴史上の女性たちをそれぞれテーマにした10曲を収録。
美しいシンセを中心にしたインスト作品で、ベースに鳴瀬喜博、渡辺健、ドラムに樋口宗孝が参加、
いかにもシンセサイザーという音色で、ほどよくデジタルな感触に包まれた優雅なサウンドを聴かせる。
プログレ的な展開というのはあまりないので、あくまで耳心地の良いシンセミュージック、
あるいはしっとりとしたフュージョンとして楽しむのがよいかと。ちなみに歌無しなのに全曲歌詞付きです。
ドラマティック度・・7 プログレ度・・7 キーボー度・・8 総合・・7.5
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難波弘之「Party Tonight」
日本のプログレキーボーディスト、なんばひろゆきの1981作
ソロ作としては2作目で、ブックレットには自身の小説も掲載されたコンセプト作。
とくにインストによる大曲AはELP、RICK WAKEMAN的なシンフォニックサウンドで、
自身のプログレへの傾倒を素直に表したキーボードプレイが堪能できる
それ以降は、ポップでキャッチーな歌もの曲が並び、プログレとして聴くとやや物足りないが
ブックレットのSFストーリーを読みながら聴けば、いっそうのロマンと哀愁とが感じられる。
メロディアス度・・8 プログレ度・・7 キーボー度・・8 総合・・7.5
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難波弘之「飛行船の上のシンセサイザー弾き」
難波弘之のソロ作3作目。1982作
センス・オブ・ワンダー、野獣王国、ヌーヴォ・イミグラートやゲーム音楽等でも幅広く活躍しているが、
この頃のソロ作にはプログレッシブなテイストに満ちた良いアルバムが多いので要チェック。
本作は内容では前作以上の出来だ。きらきらとしたキーボードとタイトにキメるリズムがいかにもプログレ的で、
Vo曲での爽やかさや、ハモンドの音色などには懐かしさを覚えるし、中にはテクノっぽいアレンジもあったりと、
時代性を感じさせつつも、アルバム全体を通じてしっかりとキャッチーなメロディセンスがあるのはさすが。
SF小説にも通じる同氏は当時、このアルバムと同名の書籍も出版している。
メロディアス度・・8 プログレ度・・7 キャッチー度・・8 総合・・8
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難波弘之 「真幻魔大戦イメージアルバム」
日本を代表するシンセ奏者、難波弘之による平井和正のSF小説のイメージアルバム。1984年作
もともとSFに素養のある文学肌のミュージシャンである難波氏であるから、
この手のイメージアルバムというのはお手の物。これでもかとシンセを鳴り響かせつつ、
ドラマティックな展開美に変拍子も入りまくった立派なプログレ作品に仕上がっている。
厚見麗(玲衣)も参加して、まさに鍵盤祭りというようなキーボードプログレっぷりは爽快で、
歌ものロック的な曲やクラシカルな小曲も含みながら、小説作品の世界観を描き出してゆく。
しっかりとバンドサウンドにもなっていて、これぞ難波弘之のプログレ最高傑作というべき出来である。
メロディアス度・・8 プログレ度・・8 シンセ度・・9 総合・・8
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難波弘之「ブルジョワジーの秘かな愉しみ」
日本のキーボーディスト、なんばひろゆきのソロ4作目。1985作
クラシカルで優雅な雰囲気をたっぷりと織り込んだロマンティックなサウンド。
プログレというには曲はシンプルで、繊細なヴォーカルがやや軟弱な印象だが
きらきらとしたキーボード、ゆったりふわふわとした音の質感が心地よい。
メロディアス度・・8 プログレ度・・7 クラシカル&優雅度・・8 総合・・7.5
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難波弘之N氏の天球儀
なんばひろゆきのソロ5作目。1986作
後のSOWのメンバーで作られた本作は、実質的にバンド体勢のアルバムで、
キャッチーなメロディと甘いヴォーカルで聴かせるポップな作風ながら、
随所にプログレ的なロマンティシズムが味わえる好作だ。
難波氏お得意のSF的な歌詞世界もなかなか味わい深い。
メロディアス度・・8 プログレ度・・7 ポップ度・・8 総合・・8
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難波弘之「Childhood's End〜幼年期の終り〜」
日本のシンセ奏者、なんば・ひろゆきの2013年作
センス・オブ・ワンターや野獣王国、A.P.J.、その他数々のサントラを手掛ける日本を代表するシンセ奏者。
ソロ名義としては、1987年作「N氏の天球儀」以来となる、じつに27年ぶりのアルバムで、松本慎二、そうる透の
SOWのメンバーが参加。シュトラウス「ツァラトゥストラはかく語りき」のアレンジから壮麗に始まり、
続くオリジナル曲は、オルガンにムーグシンセ、エレピを使ったプログレらしいナンバーでにんまり。
強力なリズム隊によるテクニカルなアンサンブルと、肩の力が抜けた濃密すぎない自然体のやわらかさが同居して、
一方では、ロマンあふれるヴォーカルナンバーは、キャッチーなポップ性を感じさせる。ホルスト「惑星」のアレンジに、
ウルトラQ、時計仕掛けのオレンジ〜ブレードランナー〜スタートレックという映画音楽メドレーまで、難波印のプログレが楽しめる好作品。
メロディック度・・8 プログレ度・・8 キーボー度・・8 総合・・8 
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難波弘之 「一生鍵命」
日本のキーボーディスト、なんば・ひろゆきの2016年作
多数のソロや、自らのバンド、Sence of Wonder、ゲームやアニメのサントラなど、幅広い活躍で知られる
日本を代表する鍵盤奏者の一人。本作はデビュー40周年を記念して、SOBやExhiVisin、野獣王国、A.P.J、EDENなど、
過去のバンドやユニットの楽曲をリレコーディング。そうる透、長谷川浩二、永井敏巳、玲理、吉良知彦松本慎二など、
多くのゲストが参加。織田哲郎のヴォーカルにやわらかなシンセで聴かせる「浮遊」、和田アキラの巧みなギターと
オルガンが味わい深い「Hokey Pokey Baroquey」、玲理嬢の歌声が美しい「THE DOOR INTO SUMMER」、
野獣王国メンバーが集っての優雅なフュージョンを奏でる「Floating Island」、アニメ「スペース・ダンディ」のナンバーは
プログレらしいテクニカルで軽快な聴き心地で楽しめる。ジャズタッチのピアノ曲など、バラエティに富んでいながら、
プロミュージシャンとしての確かな矜持を感じさせる、全72分。難波ファンにはベスト盤的にも味わえる作品です。
メロディック度・8 プログレ度・7 優雅度・8 総合・8 過去作のレビューはこちら
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那由他計画 「つみびとの記憶」
日本のプログレバンド、なゆたけいかくの2020年作
プロヴィデンスの塚田円を中心に、ALHAMBRAの世良純子と浪漫座の月本美香の女性ツインヴォーカルが参加、
16分、12分、26分という大曲による構成で、やわらかなオルガンに適度にハードかつ叙情的なギター、
伸びやかな女性ヴォーカルを乗せて、抜けの良いキャッチーなジャパニーズをプログレを聴かせる。
しっとりとしたパートでは、純子さんの歌声とともに昭和的な物語感に包まれるような優しい味わいで、
緩急あるプログレらしい展開があっても難解にならないのがポイント。元金属恵比須のベースの存在感や、
安定したドラムのプレイもしっかりとサウンドを支えている。ラストの26分の大曲「クリスタルドラゴン」は、
かつてのMARGE-LITCHのようなファンタジックな世界観で、ドラマティックな構築力が圧巻です。
ドラマティック度・8 プログレ度・7 優雅度・8 総合・8
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那由他計画 「さざきおりてひかりあふれ」
日本のプログレバンド、なゆたけいかくの2021年作
前作はプロヴィデンス時代の楽曲をリメイクした作品であったが、2作目となる本作は、書下ろしのオリジナル作品で、
月本美香のキュートな女性ヴォーカルを乗せた、キャッチーな歌謡ロック風のナンバーで幕を開ける。
続く11分の大曲では、プログレらしいキーボードとリズム展開に、世良純子のソプラノヴォーカルを乗せ、
優雅なドラマ性に包まれたシンフォプログレが味わえる。タイトルナンバーでもある17分の大曲は、ゆったりとした
3拍子を基調に、優美なシンセワークとメロウなギターに、二人のヴォーカルが美しく重なる典雅なサウンドから、
YES風の爽快なシンフォプログレへと展開、テクニカルなインストパートも覗かせつつ、しっとりと幕を閉じる。
ドラマティック度・8 プログレ度・7 優雅度・8 総合・8
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NEGASPHERE 「CASTLE IN THE AIR - 砂上の楼閣 」
日本のプログレバンド、ネガスフィアの1984年作
80年代ジャパニーズ・プログレにおける未CD化最右翼がこのバンドだったのだが、2016年についに紙ジャケCD化された。
きらびやかなシンセによるファンタジックなイントロから、軽やかなリズムにギターが加わって、
テルズ・シンフォニアにも通じるような、キャッチーかつ陽性のシンフォニックロックが始まってゆく。
英語歌詞のヴォーカルは、正直、当時の日本のバンドらしいマイナー臭さをかもしだしているのだが、
そこも含めて、かつてのマージュ・リッチなどと同様、「シルエレ系」プログレというべき雰囲気が楽しめる。
幻想的な味わいとやわらかな叙情の本格派シンフォニックロックという点では、アウター・リミッツにも通じるか。
9分、10分という大曲を含んだ構築力は、デビュー作としては堂々たる内容。これぞジャパグレというロマン派の好作品。
シンフォニック度・・8 ファンタジック度・・8 ジャパグレ度・・9 総合・・8
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NEGASPHERE 「DISADVANTAGE」
ネガスフィアの1985年作
2作目の本作も、美麗なシンセのイントロからロマンの香りを漂わせており、専任ヴォーカルが加入したことで、
前作での歌の弱さがいくぶん解消されて、全体的にもレベルアップ、Yesにも通じるキャッチーな聴き心地が楽しめる。
前作に比べると、いくぶんスタイリッシュな作風になっていて、幻想的なシンフォ色は薄れているが、
その分、より多くのリスナーに楽しめるようなメロディックなプログレハード感が増したという印象だ。
そういう点では、むしろVIENNAあたりの雰囲気に近いかもしれない。アルバム後半の3パートに分かれた18分を超える組曲では、
濃厚すぎないゆるやかな構築センスで、本格派シンフォニックロックとしの聴き心地が味わえる。前作と甲乙つけがたい好作品だ。
シンフォニック度・・8 ファンタジック度・・7 ジャパグレ度・・9 総合・・8
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NEGASPHERE 「1985 - 1986」
ネガスフィアのライブ作品。1992年作
1992年にCD化されていたライブ音源で、ジャケが千之ナイフによる書下ろしに変更されている。
1985年と、1986年の東京、吉祥寺シルバーエレファントでのステージを収録。
軽やかでテクニックあるドラムに存在感のあるベース、そしてきらびやかなシンセワークによるアンサンブルで、
アルバムのイメージ通りの優雅なシンフォニックロックを聴かせてくれる。平田氏のセンシティブな歌声も
NOVELAの五十嵐氏とかつてのGERARDの藤村氏の中間という感じで、サウンドによくマッチしている。
1985年の音源は年代を考えれば音質も良好なのだが、1986年になるとギター、ベース、ドラムがメンバーチェンジしており、
音質面でもいくぶんこもり気味なのが惜しい。ともかく、まさしくシルエレ系プログレのど真ん中という好ライブ作品である。
ライブ演奏・・8 音質・・7 ジャパグレ度・・9 総合・・8
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Neo Atlantis
日本のプログレバンド、ネオ・アトランティスの2023年作
女性シンセ奏者に、男性ピアニストを含む編成で、未来の地球を舞台に戦いと冒険の物語を描くコンセプトアルバム。
プログレらしいきらびやかなシンセワークに叙情的な旋律を奏でるギターで、インストによるシンフォプログレを構築。
軽やかで巧みなドラムとともに、リズムチェンジを含む流れのある展開力で、桜庭統のような、RPG仕立ての世界観と共に
場面ごとの情景を想起させる作風が楽しめる。オルガンやムーグなどヴィンテージな音色のシンセアレンジも心地よく、
優美なピアノを盛り込んだナンバーや、8分、9分というラストの2曲では、起伏のあるドラマティックな展開力に、
シンフォニックロックとしての叙情性もしっかり織り込んで、優雅な耳心地で締めくくる。完成度高いデビュー作です。
ドラマティック度・8 プログレ度・8 優雅度・8 総合・8
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netherland dwarf「moi moi」
日本人アーティスト、ネザーランド・ドワーフの2011年作
1曲めから10分超の大曲で、美しいシンセの重ねを軸に、モダンでデジタリィなアレンジとともに
シンフォニックかつ浮遊感のあるサウンドを展開、やわらかで広がりのある独特の質感は、
いわゆるプログレという定型の作りではなく、ゆるやかなリフレインによるシンセポップ的な聴き心地は
打ち込みであるという弱点を逆に味わいにしている。グリンカ、ヘンデル、サン・サーンスといった
クラシックのカヴァー曲をアルバムに散りばめ、はっきりとしたメロディのある濃密さと楽しさを付加し、
全体を優雅な作風に仕立てている。雄大な雰囲気のラスト曲などはシンフォニックファンもにんまりだろう。
今後は魅力的なオリジナル曲をさらに増やしていって欲しい。舵のとり方次第では大きな変化もありそうだ。
なおKAIPAのハンス・ルンディンが1曲ゲスト参加している。マイスペはこちら
クラシカル度・・8 プログレ度・・7 シンセポップ度・・8 総合・・7.5
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人間椅子「真夏の夜の夢」
日本のハードロックバンド、にんげんいすの2007年作
1990年にデビュー、トリオ編成を守りながら、コンスタントにアルバムを発表し続け、本作は14作目となる。
古き良きテイストのギターリフに朗々とした日本語ヴォーカルを乗せた、サバスルーツの和風ロックという趣で、
江戸川乱歩「白日夢」や、怪談「牡丹灯籠」をモチーフにしたナンバーなど、おどろおどろしい世界観を
ドゥーミィなハードロックで表現する手腕は円熟の域である。一方では、ほどよくキャッチーなナンバーもあり、
牧歌的な叙情性も含んだ、バランスのとれた内容となっている。全12曲で、73分は少々長いが、
戦地からの手紙を語るような異色のナンバーなどは、J.A.シーザーなどにも通じる世界観であろう。
ドラマティック度・7 おどろおどろ度・7 文学度・8 総合・8
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人間椅子「怪談-そして死とエロス」
日本のハードロックバンド、にんげんいすの2016年作
通算19作目の本作は、世紀末をテーマにした1曲目「恐怖の大王」から、ヘヴィなベースとギターリフに
朗々とした歌声を乗せて、ダークで重厚なサウンドが広がってゆく。パワフルなドラムも含めて、
これまで以上にメタリックな味わいをにじませていて、切れ味あるギターリフはもちろん
ソロパートでのギタープレイも光っていて、トリオとは思えない力強さが楽曲全体から感じられる。
おどろおどろしい歌詞の世界観も抜群にマッチしていて、ドラマティックと言ってよい展開力も見事だし、
わりとオヤジ的な味のある歌声も、バンドの個性とインパクトになっていて、和風メタルとしての迫力も凄い。
ドラマティック度・8 おどろおどろ度・9 文学度・8 総合・8.5
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人間椅子「苦楽」
日本のハードロックバンド、にんげんいすの2021年作
バンド活動30年で、22作目となる本作は、1曲目から芥川龍之介「杜子春」をテーマにした文芸ロックが炸裂。
王道のギターリフにシアトリカルなヴォーカルを乗せ、古き良きハードロックをベースにしつつ、
リズムチェンジからの叙情的なギターフレーズを聴かせるところなど、プログレッシブな構築力も光る。
ベテランらしいサウンドの強固な説得力とともに、それぞれのギターリフやソロパートの魅力も強まったことで
楽曲としてのメリハリある緊張感に包まれる。歳を経て味わいを深めた歌声と、文学的な歌詞による
哀愁や悲哀をたっぷりと表現させながら、全13曲71分が濃密に楽しめる。見事な傑作です。
ドラマティック度・8 おどろおどろ度・8 文学度・9 総合・8.5
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NOA 「JOURNEY TO BABEL」
日本のプログレバンド、ノアの2020年作
1987年に1st「トライ・ロジック」を発表、その後活動を停止し、2018年に30年ぶりの2nd「IF TOMORROW COMES」で復活。
本作はデビュー作からの5曲を再録音し、追加曲を加えたアルバム。MONGOLのギタリストでもある三苫裕文と
オリジナルメンバーの竹迫一郎に、PRISMの渡部チェル、新月の前身HALの桜井良行という4人編成で、
インストによる優雅なジャズロックを聴かせる。軽やかなリズムにホールズワースばりのメロウなギターの旋律と
エレピを含む優美なシンセを重ね、フュージョン・ジャズロックにシンフォプログレが合わさったような耳心地の良いサウンド。
アコースティックも含めて、三苫裕文のギターワークがじつに素晴らしく、技巧的でありながら叙情美に浸れる逸品だ。
ドラマティック度・7 プログレ度・8 優雅度・9 総合・8
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NoGoD「欠片」
日本のV系ヘヴィロックバンド、ノーゴッドの2010年作
ひとことでいうと、ヘヴィなヴィジュアル系をメタルコア風味にしたというサウンド。
スクリームとノーマルヴォイスの対比や、激しい疾走感を取り入れつつ
キャッチーな歌メロなどはメタルというよりは、いかにもビジュアル系っぽい。
モダンなヘヴィネスとメタリックなギターサウンドを上手く取り入れて、
大衆受けする聴きやすさで仕上げたという、いわば新たなV系ヘヴィロックの形だろうか。
メロディアス度・・7 メタル度・・7 モダンヘヴィ度・・8 総合・・7.5
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NoGoD「現実」
日本のV系ヘヴィロックバンド、ノーゴッドの2011年作
“V系メタルコア”という感じであった前作「欠片」に続くメジャー2作目で、
モダンなヘヴィネスとテクニックのあるメロディックなギターワークにいかにもV系という感じの日本語歌詞のヴォーカルで聴かせるサウンド。
前作よりも抜けのよいキャッチーなメロディが前に出てきている分、ハードロックとしての普遍性が感じられるようになったのがよろしい。
希望を感じさせる爽やかな歌詞も含めて、聴き手に勇気を与えるような作風である。
ヘヴィなインパクトの点では前作なのだろうが、メロディックなロックとしては本作が勝る。
メロディアス度・・8 キャッチー度・・8 メタル度・・7 総合・・8
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NOVELA魅惑劇
日本のプログレハードロックバンド、ノヴェラの1st。1980年作
関西で活動するシェラザードと山水館の合体により生まれたこのバンドは、ジャパニーズ・プログレの先駆けとしてデビューした。
五十嵐久勝の独特のハイトーンヴォーカルに、平山照継の流麗なギターワーク永川敏郎のきらびやかなシンセと、
ヴィジュアル的な側面だけでなく、演奏陣の実力もしっかりとともなっていた。1曲めの「イリュージョン」は
まさにロマン派ハードロックとしての彼らの代表曲。「レティシア」に代表されるその物語的な歌詞世界や、
ドイツの画家、スラミス・ヴュルフィングによるジャケを含めての美意識は、プログレというよりも美麗なロックを愛するリスナーと
多くの女性ファンを惹きつけた。大曲「少年期〜時の崖」などはまさに圧巻のドラマティックなファンタジーロックである。
ともかくもこのバンドがなければ80年代の日本のプログレシーンの盛り上がりはなかったであろう。
メロディアス度・・8 プログレ度・・7 ドラマティック度・・8 総合・・8
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NOVELA「IN THE NIGHT〜星降る夜のおとぎ話」
日本のプログレハードロックバンド、ノヴェラの2nd。1980年作
後のバンドへの影響力を思えば、間違いなく日本プログレハードの父であり、キャッチーなメロディと知的な展開美で、
ロマンスに溢れた世界観を聴かせてくれるバンド。デビュー作「魅惑劇」が有名だが、演奏のクオリティや楽曲のアレンジなどは、
むしろこの2作目の方が上だろう。とくに聴きやすい疾走感の「Farwell」、そして17分の大曲「回想のかけら」はバンドの代表曲といっていい。
メロディアス度・・8 プログレハー度・・8 ロマン度・・8 総合・・8
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NOVELA「Paradise Lost」
日本のプログレハードロックバンド、ノヴェラの3rd。1981年作
四人囃子の森園勝敏によるプロデュースによる本作は、バンドの代表作というべき傑作だ。
きらびやかなシンセが鳴り響く軽快なイントロ曲から幕を開け、モダンなビートの2曲目へと続いて、
キャッチーなメロディック性と80年代的ハードロック感覚を同居させたセンスは、さすがというほかない。
その後もノリのよい「逃げろ!」、叙情的な「奇蹟」、ドラマティックな「廃墟」と、インパクトのあるナンバーが続き、
これぞプログレハードという「第3の剣」、ロマンティックなバラード「ロマンス・プロムナード」、ラストの「地球」まで、
魅力的な楽曲を連ねたメリハリのある構成で最後まで飽きさせない。まさに第一期ノヴェラの最高傑作である。
メロディアス度・・8 プログレハー度・・9 ロマン度・・8 総合・・8.5
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NOVELA「SANCTUARY」
日本のプログレハードロックバンド、ノヴェラの4th。1983年作
本作「聖域」はメンバーチェンジもあって、第二期ノヴェラとしての再出発のアルバム。
ジャケの美しさや、内容の密度の濃さもあって、一般的には最高作とも呼ばれている。
最初に1曲めの「Divine Comedy」を聴いたときには、ポップすぎるメロディと歌詞がダメだったのだが、
今だとかえって郷愁を誘うというのか、なんだかなつかしい気分になっていいですね(笑)
どの曲もアレンジ的にはメロディアスかつキャッチーで、過去作よりもハードな部分は控えめ。
美しいバラードからプログレらしく展開する「翼に」、そしてラストの「黎明」のドラマティックさには泣けます。
メロディアス度・・8 キャッチー度・・8 ロマン度・・8 総合・・8
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NOVELA「From The Mystic World」
日本のプログレハードロックバンド、ノヴェラのライブ作。1984年作
1984年、中野サンプラザでのステージをCD2枚に収録した、まさにノヴェラの集大成的なライブアルバムで、
個人的にも、ノヴェラを好きになるきっかけとなった思い入れのある作品だ。開演を告げるブザーの音で幕を開け、
美麗なシンセによるイントロから軽快なリズムが加わって、五十嵐氏の独特のハイトーンを乗せた、1曲目、
「ドント・ストップ」は、まさにノヴェラ節というべき好曲。続く「ディヴァイン・コメディー」から「調べの森」、
「怒りの矢を放て」というドラマティックな流れは、スタジオ盤以上の迫力で、とくに若き西田竜一のドラムは、
技巧と勢い合わさった素晴らしいプレイを聴かせてくれる。「夢の絵の具」、「サンクトゥス」、「ロマンス・プロムナード」でしっとりとしつつ、
Disc2に入ると、永川敏郎氏のきらびやかなシンセワークが楽しめる「キーボード・トリオ」、「最終戦争伝説」からの気に入りのナンバー「出発」、
「永遠の輝き」、「シークレット・ラヴ」とキャッチーなナンバーでたたみかけ、感動的な泣きの名曲「黎明」へと続いてゆく。アンコールナンバー4曲も含めて、
CD2枚全18曲のステージを体感するように味わえる。スタジオ盤を聴いてぴんとこなかった方でも、本作を聴けば、このバンドの素晴らしさが理解できるだろう。
ライブ演奏・・9 ロマン度・・9 ノヴェラの集大成度・・10 総合・・9
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NOVELA 「Brain of Balance」
日本のプログレ・ハードロック、ノヴェラの1985年作
ヴォーカルの五十嵐久勝、シンセの永川敏郎が脱退、替わって、宮本敦、岡本優史が加入した第三期ノヴェラ。
80年代らしいデジタルなアレンジを取り入れた、モダンなビート感覚で、一聴してキャッチーな作風ながら、
甘い声質のヴォーカルと繊細なシンセワークも含めて、随所にノヴェラらしいノマンの香りは感じられる。
曲によっては、平山照継のソロ作にも通じるファンタジックなポップ性があって、これはこれで悪くない。
アンジーの歌声が苦手な方にも、わりと普通に楽しめるかもしれない。楽曲は3〜5分前後とシンプルで、
プログレ的な部分はあまりないが、スタイリッシュなメロディックロックとしては十分に出来がよいと思う。
メロディック度・・8 プログレ度・・6 スタイリッシュ度・・8 総合・・7.5
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NOVELA 「THE WORDS」
日本のプログレ・ハードロック、ノヴェラの1986年作
宮本敦、平山照継、笹井りゅうじ、西田竜一、岡本優史という第三期ノヴェラのメンバーによるラスト作。
ニューウェイブ色を感じさせるポップなビート感に、きらびやかなシンセを重ね、マイルドなヴォーカルを乗せた
キャッチーな味わいは、80年代らしいデジタルな感触とともに、プログレ要素はあまりないものの、
どこか翳り帯びたヴィジュアル系ロック寄りの雰囲気も漂わせていて、これはこれで楽しめたりする。
メンバー全員がそれぞれ楽曲を手掛けていて、曲によっては、テルズ・シンフォニア的な幻想性も感じさせる。
安定したドラムに存在感あるベースなど、演奏陣もさすがの力量で、この路線でもう1作くらい聴きたかった気もする。
ドラマティック度・7 プログレ度・6 優雅な翳り度・8 総合・7.5
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NOVELA「青の肖像」
日本のプログレ・ハードロック、ノヴェラのミニアルバム。1994年作
オリジナルは、1981年に3rdの前に4曲入りEPとして発売され、初回CDでは「パラダイス・ロスト」収録「青の肖像(パート3)」と、
1983年のEPから「シークレット・ラヴ」「レディ・トゥ・ファンタジー」が追加収録されている。五十嵐氏の歌うロマンティックな歌声と、
鮮やかなシンセワークにメロウなギターで、ゆるやかに描かれる組曲「青の肖像」が完全版で聴けるのは嬉しい。
EPの2曲は、どちらもノヴェラらしいキャッチーな好曲で、再発盤には未収録ということで、貴重な音源となっている。
ちなみに、ジャケのイラストは少女漫画家の内田善美が手掛けている。
メロディック度・・8 プログレ度・・7 ロマン度・・9 総合・・8
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NOVELA 「The Very Best of Novela」
日本のプログレハードロック、ノヴェラのベストアルバム。1998年作
1曲目から大曲「魅惑劇」でしっとりと始まり、「青の肖像Part1〜3」、「少年期〜時の崖」など、
基本的には初期から第二期までのナンバーを中心に、独自に選曲された13曲を収録。
シングル曲「マジカル・アクション!!」、「アルファ・シティ」が収録されている一方で、
「イリュージョン」や「回想のかけら」、「ディヴァイン・コメディ」といったナンバーは未収録。
優雅でプログレッシブな側面からキャッチーなロック性まで、わりとディープに楽しめる全75分のベストアルバムです。
メロディック度・・8 ロマン度・・8 楽曲・・8 総合・・8
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NOVELA「ORIGINAL MEMBERS-25th ANNIVERSARY BEST」
日本プログレハードの父、ノヴェラの初期ベストアルバム。2005年作
1980年デビュー、日本のプログレハードの父。本CDには第一期のオリジナルメンバー時代から選曲された10曲を収録。
お約束の“イリュージョン”から始まって、“レティシア”、“魅惑劇”といった、1st「魅惑劇」からの大曲に、
2ndの軽快なナンバー“フェアウェル”、ラストはしっとりとした“ロマンス・プロムナード”とおおむね納得の選曲。
“少年期〜時の崖”、“回想のかけら”、“第3の剣”などを外したのは、おそらく「BEST2」の予定がすでにあったのだろう。
音質的にもリマスターされているようでじつに良好。ノヴェラファンはもとより、初めてバンドに触れる若いリスナーにとっても、
このバンドを知るきっかけの1枚となるだろう。DVDの方は当時のライブ映像を34分収録。画質、音声とも上質とはいいがたいが、
ヴィジュアルを含めた当時のバンドの動画が見られるという点だけでも大変貴重である。
ロマンス度・・9 楽曲度・・8 貴重なライブ映像度・・9 総合・・8
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NOVELA「ORIGINAL MEMBERS- BEST II」
日本プログレハード、ノヴェラの初期ベストアルバム第二弾。2006年作
CDには第一期のオリジナルメンバーが選曲した9曲を収録。最高作と名高い「パラダイス・ロスト」から4曲、
ドラマティックな「第三の剣」をはじめ、「廃墟」、「奇蹟」、「ファッション雑誌のパッション・プレイ」を収録。
音質的にもリマスターがされているようで、より低音ダイナミックになっていてサウンドに迫力が増している。
シングル曲の「ジェラシー」、「青の肖像」からの「ナイトメア」などはレアなので、ライトなリスナーには有難いだろう。
2nd「イン・ザ・ナイト」からは、17分におよぶ大曲「回想のかけら」を、そして「リトル・ドリーマー」は、
アンジーのヴォーカルを入れた新録で、ファンには嬉しいかぎり。1st「魅惑劇」からは「少年期〜時の崖」を収録。
DVDにはメンバーのインタビューと、2005年のライブを収録していて、各メンバーの話すメロディやスタイルへのこだわり、
それぞれのメンバーの第一印象などが語られて興味深い。ライブ映像の方は4曲と少ないので、もう少したくさん見たかった。
ロマンス度・・8 楽曲度・・8 ライブ&インタビュー映像・・8 総合・・8
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小川真澄 「Asterisk」
日本の女性シンセ奏者、おがわますみの2010年作
ギター、ベース、ドラム、シンセという編成で、美しいシンセワークで聴かせるフュージョン風味のサウンド。
真澄嬢のシンセワークは、ピアノからオルガンやムーグなども使ったプログレらしさも覗かせ、
優雅なクラシカル性とリズムチェンジを含む軽やかなインストサウンドを描いてゆく。
軽やかなジャズロック的なナンバーから、ときにKENSOなどを思わせるテクニカルなパートまで、
オールインストながらなかなか飽きさせない。優雅で軽妙なアンサンブルが楽しめる好作品。
メロディック度・・8 プログレ度・・7 優雅度・・8 総合・・8

奥島左珠「記されえぬ個人の悲劇に纏わる小品集」
日本の女性SSW、おくしま・さじゅの2014年作
曲ごとに実在の事件や戦争などをテーマにした、全7曲入りのミニアルバム。
日本的な情感を漂わせた美しい歌声と、シンセやピアノによるアレンジで聴かせる
和風シンフォニックロックという感触に、はかなげな悲しみをまとわせた世界観。
メランコリックな雰囲気でありながらも歌メロはけっこうキャッチーなので聴きやすく
メロウなギターフレーズも随所に効果的で、全体的には美しい繊細さに包まれた作品だ。
ラスト曲での戦地から恋人に当てた手紙を読むSEを含んだ語り部分は痛切なインパクト。
痛みや悲しみから目をそむけない、今後の活動に注目したい女性アーティストである。
ドラマティック度・・8 プログレ度・・7 はかなげ度・・8 総合・・7.5
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陰陽座「鬼哭転生」
日本の和風メタルバンド、陰陽座の自主制作時代の1st。1999作
着物を着てメイクをし、和風の曲名と歌詞をメタルと融合させて現れた彼ら。
いでたちはほとんどビジュアル系のノリだが、音楽の方は骨太のメタル、ハードロック。
この世界観の先輩には人間椅子がいるが、こちら陰陽座はそれよりもさらに耽美志向が強い。
なにより女性シンガー、黒猫の存在が、このバンドの色を絶妙な位置に立たせている。
メタルリフの合間にときおり聞かせるプログレ的なギターとリズム、その上に乗る女性ヴォーカルも美しく、
曲間のセリフは怪しい平安の闇の世界を演出している。なんにしてもメタルと和風の融合、ビジュアル、プログレと
さまざまな要素をブレンドさせた実に面白いバンドがここに出現したわけだ。
メロディアス度・・7 メタル度・・7 プログレ度・・6 総合・・8
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陰陽座「百鬼繚乱」
日本の和風メタルバンド、陰陽座のインディーズ2nd。
日本古来の怪物や妖怪などの世界観を、和服&白塗りメイクのメンバーたちが演奏する。
女性シンガー、黒猫の艶めいた歌唱をメインにした疾走メタルサウンドが耳に心地よい。
曲の方は外見に反してかなりマトモ。なんだか80'のジャパニーズメタルを思い出すような。
あとはバックの演奏ではっとするパートや和風メロディをもっと導入すれば、より彼ら独自の音楽性が広がってゆくはずだ。
メロディアス度・・8 JAPSメタル度・・8 和風度・・6 総合・・8
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陰陽座「封印廻濫」
日本の妖怪メタルバンド、おんみょうざの未発表曲集。2002作
すでにアルバム5枚にDVDも発表し、実力、認知度ともにメジャー級になった感があるこのバンド。
これは正規アルバムに入らなかった過去の楽曲を集めたもので、4th以降の緻密なアレンジ、プロダクションに比べれば
一段落ちるものの音がややラフな分かえってメタルバンドとしてのこのバンドの色を楽しむこともできる。
ミニアルバム扱いだが全8曲37分なので、通常アルバムと遜色ないボリューム。
メロディアス度・・7 楽曲・・7 黒猫・・8 総合・・7.5

陰陽座「煌神羅刹」
和風メタルバンド、陰陽座の3rdにしてメジャーデビュー作。2002作
本作でキングレコードからメジャーデビューをはたした彼ら。まず1st、2ndに比べると音質が向上した。
ツインギターのメタルリフは特に目新しくはなく、過去のバンドの影響を思わせるところもあるが、それをうまくつなげて、
曲にメリハリをもたせるセンスはさすが。男女Voのバンドだが、以前よりも黒猫(女性Vo)の頻度が増え、また歌唱の実力も進歩している。
語りや古語を交えた日本語歌詞は彼らの立派な個性となり、その魑魅魍魎世界を演劇的に構築している。
おそらくメジャー第一弾ということで、彼らのもうひとつの持ち味であるプログレ性は抑えられ、
比較的ストレートで分かりやすい楽曲が揃えられているが、時折間奏部で聞かせる変拍子は私には心地よい。
メロディアス度・・7 メタル度・・8 日本度・・8 総合・・8
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陰陽座「赤熱演舞」
妖怪や平安朝をモチーフにした日本のメロディックメタルバンド、陰陽座のライブアルバム。2003作
これまでアルバムとして5枚を発表、キングレコードからメジャーデビュー後は一気に知名度を増した彼ら。
実際にライブを見に行ったことはまだないが、このライブアルバムを聴くかぎり、演奏もしっかりしており
なにより黒猫の妖艶なヴォーカルが見事にこのサウンドに活かされていることが改めて知れる。
日本語の歌詞を絶妙のメロディラインに乗せた楽曲には、ある意味キャッチーなポップセンスさえも感じられ、
ハードロック・メタルというジャンルを抜きにして一般のリスナーにも楽しめるだろう。
やや一本調子なギターの音づくりなどにまだ荒削りな部分もあるものの、
黒猫と瞬火の男女Voという個性も含めて、すでに彼ら独自の魅力が確立できているように思える。
ロディアス度・・8 ライブ演奏・・8 日本度・・8 総合・・8
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陰陽座「鳳翼麟瞳」
日本の和風コスプレメタルバンド、陰陽座のメジャー第二弾にして通算4作目。2003作
前作「煌神羅刹」でキングからメジャーデビューを果たしたこのバンド、
今作もサウンド的には同路線の、比較的正統派の楽曲で勝負している。
女性Vo黒猫の歌唱はいよいよ魅力を増し、バラード曲での妖艶さや曲間のセリフなども効果的で、
今や彼らの個性となった和風の日本詩によりメタルと平安調の融合を立派になしえている。
ベース&ヴォーカルでジャケットまでも手がける瞬火(またたび)のセルフプロデュース能力も見逃せない。
メロディアス度・・8 楽曲・・8 黒猫のVo度・・8 総合・・8
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陰陽座「夢幻泡影」
日本が誇る和風コスプレ妖怪メタルバンド、陰陽座(おんみょうざ)の5th。2004年作
メジャーデビューとしてもすでに3作目となり、人気、実力ともに今やメジャー級の彼ら。
相変わらず王道のメタルリフを使いながら、軽やかに疾走しつつ、そこに日本語の歌詞を載せる
という彼らの手法は、黒猫の女性Voとしての表現力とともに見事にその結実の度合いを強くしている。
初期の頃よりもぐんと聴き易さが増しているのは、メロディの普遍性とそこにあるキャッチーなセンスによるもので、
こうした大衆向けの音づくりは、ある種かつてのX JAPANなどにも通じる部分がある気がする。
また、メジャーバンドとしてのクオリティを維持しながら、音のなかにかすかにプログレへの傾倒を覗かせたり
歌詞や、曲中でのセリフなど、アレンジに遊び心を織りまぜる余裕を見せているところも素晴らしい。
黒猫と瞬火の男女Voの掛け合いも、これまで以上にしっくりとしていて、アニメ的なポップさも含めて
この歌メロの心地良さこそが、このバンドの魅力であり生命線なのだと思う。
メロディアス度・・8 楽曲・・8 黒猫萌え度・・9 総合・・8.5
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陰陽座「我屍越行」
日本の妖怪ヘヴィメタルバンド(と、このライブのMCでも言ってる)おんみょうざのライブDVD。2005作
全国42公演にもおよぶ、2004年の「我が屍を越えてゆけ」ツアーの最終日、渋谷AXでの収録。
このバンドのアルバムは全部聴いていたが、ライブ映像を見るのはこれが初めてだったりする。
本当に全員が着物姿で演奏しており、とくにドラムなどはとても暑そうだが、
それでもデビュー時からずっとだろうからもう慣れたものなのか、器用に叩いている。
演奏の方は、かつてのライブCDで聴いたときよりも、ずっと余裕が出てきていてまとまっている。
彼らの音楽性は、X JAPANIRON MAIDEN、それにNOVELASTARLESSなどにも通じる
ビジュアル系と古き良きハードロックを合体させ、そこに日本的な世界観を封入した独自のもので、
そうした要素が若いファンから、比較的歳のいったリスナーにまで聴かれている要因なのだろう。
客席の大観衆もこのバンドの人気の高さを物語り、それを煽るバンドのやり方も堂に入っているし、
瞬火のMCはとても愉快な感じで、ややヲタクっぽくて知的なところは大槻ケンジあたりとキャラがかぶる(笑)
“夢幻”、“睡”、“組曲義経”、“羅刹”、“鳳翼天翔”などの代表曲はやはりクオリティが高く、
メタルでありながらキャッチー、そして雰囲気ものでもあるという彼らのスタンスを存分に見せてくれる。
「カッパ、カッパ、カッパッパ!」や黒猫の「バイにゃら〜」など、可愛らしさもあるのが楽しいところ。
ライブ演奏・・8 ライブ映像・・8 楽曲・・8 総合・・8
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陰陽座「臥龍點睛
日本の和風HRバンド、おんみょうざの6th。2005作
今回は案外地味なミドルテンポの楽曲から始まり一聴したときのインパクトはあまりない。
ドラムの音も軽いし全体的に音の迫力がさほど感じられない気もする…。
序盤は歌メインのやや古めのビジュアル系的な曲が続くので、HR的な耳で聴くと拍子抜けするし、
曲調的にもマンネリ感は否めない。そろそろキーボード入れませんか?…と言いたくもなってしまう(笑)
そんな中、Cの「甲賀忍法帖」での黒猫の歌唱の魅力はやはり捨てがたいし、
Gのメロスピ路線はメタルファンには嬉しい。Fのイントロはどこかで聴いたようなメロディ。
組曲「義経」は今回初めて聴いたのですが、セリフ以外はまあ普通。もっとプログレにして欲しい。
それから、シングル曲もいくつか入っていることもあり、曲によって録音レベルが違うのも気になった。
これから陰陽座を聴くという方には、以前のアルバムから聴くことをお勧めする。
メロディアス度・・8 メタル度・・6 楽曲・・7 総合・・7.5
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陰陽座「陰陽珠玉」
今や全国的人気を誇る、陰陽座(おんみょうざ)の2枚組みベスト。2006作
disc1『陽』には、メロディアスな彼らの代表曲を集め、バンドの初心者もこれでこのバンドの
メジャーな代表曲が楽しめる。個人的にはアルバム未収録のシングル曲が聴けるのが嬉しい。
“甲賀忍法帖”での黒猫の女性らしい歌唱にはキュンとなるし(笑)、
メタリックに疾走する“羅刹 ”やサビメロの気持ちいい“鳳翼天翔”はやはりお気に入り。
disc2『陰』には、組曲「黒怐v、組曲「義経」など、バンドのコアな部分が分かる選曲で、
陰陽座の持つマニアックな感性にも触れられるという、よく考えられた構成になっている。
プログレ的でシアトリカルな要素も多く、セリフ入りの曲に引かないように(笑)…むしろ萌えるか?(爆)
ベストだけあって、インディーズ時代の初期2枚からの曲は、録音がやや薄いのは仕方ないが、
IRON MAIDENからX JAPANまで、過去のメタルバンドの美味しい要素を取り入れつつ、
それを独自のアレンジと日本的(平安調)世界観で練り上げた、彼らのセンスはやはり見事なものだ。
メロディアス度・・9 楽曲・・8 日本度・・9 総合・・8
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陰陽座「魔王戴天」
日本の和風メタルバンド、おんみょうざの通算7作目。2007作
前作がシングル曲を除くと楽曲的にもアルバム的にも中途半端な作品だったので、やや心配していたが
イントロに続く2曲目のヘヴィなギターとなかなかのメタルっぷりにはまずはひと安心。
やはりメタルファンからの評価なくしては自分達の存在はあり得ないと悟ったのだろうか、
全体的にもこれまでにないほどリフのヘヴィさが目立ち、サウンド的に一本筋の通った作りになっている。
もちろん黒猫の歌唱もいつもながらに艶っぽく素晴らしいし、瞬火のVoにしてもその世界観が見えるまでに成長している。
ただ、サビでのメロディには予定調和めいたものが感じられてしまうのは、単に曲調の狭さといってよいものか。
このメタリックなまとまりは、これまで彼らを好まなかったメタルファンにもアピールするはずだが、
従来からのリスナーにはもはや新鮮味が感じられない高品質なメタルアルバムという評価になってしまうかもしれない。
このままメタル道を突き進むのか、それともまた大衆の元に戻るのか…次回作が早くも心配になってきた。
メロディアス度・・8 メタル度・・8 新鮮度・・7 総合・・8
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陰陽座魑魅魍魎
日本の妖怪メタルバンド、おんみょうざの2008作
いかにもメタルメタルしていた前作を聴いて、次はどうなるのかと若干の不安感があったものの、
今作では頭に疾走曲ではなく、あえてキャッチーな曲を続けるところなどに余裕を感じさせる。
黒猫の歌唱はもちろん素晴らしいが、瞬火のヴォーカルの向上も初期に比べると著しく、
ベースの音の存在感とともにバンドのサウンドを支えている。全体的には前作のメタル的な重さから、
軽やかなハードロックへと意識的に変化させており、コンパクトで聴きやすい曲を並べてきたという印象。
それでいて11分の大曲をさりげなく盛り込むあたりには確信犯的な心憎さもある。
中盤には古き良きメタル/ハードロック色も健在で、安心して楽しめる好作といえるだろう。
メロディアス度・・8 メタル度・・7 聴きやす度・・9 総合・・8
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陰陽座「金剛九尾」
日本の和風メタルバンド、おんみょうざの2009作
前作のコンパクトでキャッチーなハードロック路線を受け継いで、メタル度の薄い爽やかな曲調で始まり、
続くシングルカットされた“蒼き独眼”は王道のHR路線にこのバンドお得意のメロディ回しで聴かせる安定曲。
黒猫の歌唱が映える“小袖の手”、お約束の“忍法帖”シリーズに、合計20分を越える組曲“九尾”は
正統派メタルの質感を基本としながら、ドラマティックな構成力が光る大曲。とくにラストのパートの疾走感がよい。
初期のような派手さはないものの、総合的に見ればたっぷりと中身の詰まった良作だろう。
メロディアス度・・8 メタル度・・7 新鮮度・・7 総合・・8
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陰陽座紺碧の双刃
日本の妖怪メタルバンド、おんみょうざのミニアルバム。2011年作
新曲にライブ音源5曲を含む、34分の内容で、タイトル曲はキャッチーな聴き心地の
いかにも陰陽座節らしいサウンド。伸びやかな黒猫の歌声とメロディアスなフックとともに
もはや新鮮味はないが安心の出来ばえだ。ライブ音源は、演奏、歌唱とも堂々たるもので
バンドとしての実力を遺憾なく発揮している。音質も良好でファンであれば買って損はないだろう。
メロディアス度・・8 新鮮度・・7 ライブ音源・・8 総合・・7.5
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陰陽座「鬼子母神」
日本の和風メタルバンド、おんみょうざの2011年作

通算10作目はコンセプトアルバムにするという瞬火の当初からのビジョンを具現化した作品で
“鬼子母神伝説”をベースに書き下ろされた戯曲的脚本「絶界の鬼子母神」を原作にして作られた。
12パートに分かれた組曲形式のサウンドであるが、1曲ごとにしっかりとしたメロディとこのバンドらしい
古き良きHR/HMの質感を織り込んであって難解さはまったくない。黒猫と瞬火の男女ヴォーカルの絡みも絶妙で
日本的な情緒とともに描き出されるドラマティックな世界観が光っている。ゆったりとしたバラード曲の存在も
いつも以上に意味を持ち、アルバムとしての流れを含めて、ひとつの物語を紡いでゆくような力作に仕上がっている。
ドラマティック度・・8 メタル度・・7 日本的度・・9 総合・・8
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陰陽座 「風神界逅」
日本の和風メタルバンド、おんみょうざの2014年作
「風神・雷神」をコンセプトに、2作同時リリースするという試みで、本作はアコースティックギターとシンセによるイントロから、
ミドルテンポの軽快なビート感に叙情的なギターを重ね、伸びやかな黒猫のヴォーカルに瞬火の男性声が絡み、
キャッチーなメロディアス性に包まれたサウンドを描く。黒猫さんの歌声をメインにした歌謡ロック風のナンバーから
和風のアリーナロック的な「無風忍法帖」、ゆったりと優美な味わいの大曲「八百比丘尼」など、メタル感触は薄めで、
全体的にもとにかく聴きやすい楽曲が揃っている。JPOPロックのリスナーでーも楽しめそう。クオリティはさすがです。
メロディック度・8 メタル度・5 和風度・7 総合・8 
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陰陽座 「雷神創世」
日本の和風メタルバンド、おんみょうざの2014年作
「風神界逅」の対となる作品で、瞬火のヴォーカルを乗せた序曲で幕を開け、メタリックなギターと黒猫の歌声で、
疾走感のある2曲目へとつながってゆく。風神のポップ感に比べると、ヘヴィなギターサウンドが前に出た感触で、
メタルファンには一安心というところ。黒猫が歌い上げるハイトーンはときに、浜田麻里を思わせるパワフルさと、
エモーショナルな表現力も備わっていて、いかにも和風メタルらしいナンバーから、しっとりと優美な「神鳴忍法帖」など
曲によって声色を変化させながら魅力を発揮している。13分におよぶ大曲では、優雅なドラマ性に包まれて、
ハードさを残しつつ、メロディックなフックをしっかりと織り込んだ、このバンドらしいサウンドがたっぷり味わえる。
メロディック度・8 メタル度・8 和風度・8 総合・8.5
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陰陽座 「迦陵頻伽」
日本の和風メタルバンド、おんみょうざの2016年作
比類なき美声で鳴くという、人頭鳥身の架空の生物をテーマにしたアルバムで、スローテンポの優雅なナンバーで幕を開け、
続く2曲目も、陰陽座らしいキャッチーなミドルテンポで、メロディアスなギターと伸びやかな黒猫の歌声が映える。
シンフォニックなシンセによるアレンジとともに壮麗な聴き心地で、楽曲的にもJ-POP風のナンバーもあったりと
メタル的な激しさは抑え目なのでライトに聴ける。中盤での疾走感ある「氷牙忍法帖」は良いアクセントで、
メロディのフックは前にも聴いたことがあるような感じだが、さすがの質の高さです。パチスロのタイアップ曲、
「愛する者よ、死に候え」も優美にしてドラマティックなナンバーで、全体的にも爽快な聴き心地の好作品だ。
メロディック度・8 メタル度・6 和風度・8 総合・8
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陰陽座 「覇道明王」
日本の和風メタルバンド、おんみょうざの2018年作
前作に比べジャケのイージもダークであるが、イントロのピアノに続き、ヘヴィなギターサウンドが切れ込んで来て、
瞬火のヴォーカルにデスヴォイスも加えた重厚な聴き心地に、黒猫の美しい歌声が入ると優美な叙情に包まれる。
このバンドらしいミドルテンポのキャッチーなナンバーでは、いつも通りのメロディと歌い方で、既視感がぬぐえないのだが
出来は良いので悪しからず。曲によっては激しく疾走するメタルパートも戻ってきているので、サウンド的なメリハリはあるし、
黒猫がメインヴォーカルの美麗ナンバーでも、どっしりとしたギターでライトになり過ぎないところも良いのでないかと。
新鮮味という点では皆無だが、アルバム後半「鉄鼠の黶」のドラマティックな展開は見事。激しさと叙情が同居した力作です。
メロディック度・7 メタル度・8 和風度・8 総合・8
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王様 † Blood Sabbath「黒い安息日伝説」
直訳ロックとして知られる王様と、ブラック・サバスのトリビュートバンドによるコラボ作。2013年作
“戦争豚”、“能天気爆発男”、“鉄男”、“甘い葉っぱ”といった、いかにもなタイトルもさることながら、
楽曲にしっかりとハマった日本語歌詞は、その名曲の世界観を我々日本人にストレートに教えてくれる。
演奏自体はさすがにトリビュートバンドというほどの再現ぶりで、ちゃんとマジメによい出来ですし。
笑える歌詞に吹き出しつつも、サバスへの愛情と敬意(?)がたっぷり詰まったクオリティの高さ。
往年のサバスファンはもちろん、これからサバスを知る若いファンなどもぜひ聴いてみてくださいまし。
サバス度・・9 直訳度・・9 トリビュート?度・・9 総合・・8
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Outer Limits「Misty Moon」
日本のシンフォニックロックバンド、アウターリミッツの1st。1985年作
ヴァイオリン入りの本格派シンフォニックロックとしてはおそらく日本で初めてのバンド。
クラシカルな繊細さと幻想的なロマンにあふれた世界観はこのデビュー作から味わえる。
曲は10分前後のものが3曲と、新人らしからぬ大曲志向。美しいシンセワークに
日本人離れしたヴォーカルの歌声、そして艶やかなヴァイオリンが鳴る夢見心地のサウンド。
たった3日間で録音されたとは思えない。2nd「角笛」、3rd「ペールブルー」も合わせて聴きましょう。
シンフォニック度・・8 繊細度・・8 幻想度・・9 総合・・8
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OUTER LIMITS「少年の不思議な角笛」
日本のシンフォニックロックバンド、アウターリミッツの2nd。1986年作
紙ジャケ盤は変形ジャケを再現していて、真ん中から左にぱかっとめくると魔物が出てくる。
本作は少年と魔力を持った角笛をめぐる冒険ファンタジーコンセプト作で、バンドの最高傑作とも名高い。
塚本周成氏の美しいシンセに絡む川口貴氏の艶やかなヴァイオリンの音色、
そしてヌメロ・ウエノ氏の弟でもある上野知己のオペラティックなバリトンヴォイス。
物語的に展開してゆく楽曲は、最後の大団円に至るまで息をつかせぬ世界観で、
これほどのヨーロピアンなロマンティシズムを持った日本のプログレを僕は知らない。
バンド解散後は塚本氏はVIENNAをへて茶々丸氏とともにGacktの作曲担当に、
上野氏は桜庭統のDEJA-VUへも参加している。そして2007年に復活作を発表。
この再発を機に、日本シンフォニックの金字塔である彼らへの再評価を願ってやまない。
シンフォニック度・・8 プログレ度・・7 ファンタジック度・・9 総合・・8
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OUTER LIMITS「ペール・ブルーの情景」
日本のシンフォニックロックバンド、アウター・リミッツの3rd。1987年作
紙ジャケリマスター盤で再購入。個人的にはこれが一番好きなアルバム。
ヴァイオリン入りの本格シンフォニックロックバンドとして、フランスなどでもかなりの人気を博した。、
前作「少年の不思議な角笛」の方がトータルコンセプト作としての人気があるようだが、
自分としては、このアルバムの旧B面を全てついやした大曲“The Scene of Pale Blue”の
ロマンティシズムに強く惹かれた。クラシカルなヴァイオリンとシンセが絡まり、
ゆるやかに盛り上がっていく様はまさに感動的だ。まだアウター未聴の方もぜひ聴いて欲しい。
シンフォニック度・・8 プログレ度・・7 ロマンティック度・・9 総合・・8
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Outer Limits「Marionette's Lament」
日本のシンフォニックロックバンド、アウター・リミッツの編集アルバム。
これは1987年に発売されたタイトル曲の12インチシングルに、かつて「アウター・マニア」として
CD化されていた初期のデモ音源を収録した編集アルバム。紙ジャケリマスター盤。
当然ながら、アルバムを全部聴いているファン向けであるが、自分はかつてこのデモ音源の
大曲“ペール・ブルーの情景”のドラマティックな美しさに胸を打たれたクチであるから、
日本のシンフォニックロックをまだ毛嫌いしている方などにはぜひ聴いてもらいたい。
音質やテクニックを抜きにした部分での、このバンドの幻想的な世界観が伝わってくるはずだ。
シンフォニック度・・8 幻想度・・9 音質・・7 総合・・7.5
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OUTER LIMITS「STROMATOLITE」
日本のシンフォニックロックバンド、アウター・リミッツの2007年作
80年代に日本のシンフォニックロックの代表格であったこのバンド。なんと20年ぶりの新作となる。
1999年の復活ライブには足を運んだが、それからさらに8年たってついにアルバムが完成したわけだ。
さて、久々に聴くアウターのサウンドだが、川口氏の艶やかなヴァイオリンと、
円熟味を増した塚本氏のシンセワークを中心にしっとりと聴かせる大人のシンフォニックロックサウンドだ。
かつてのようなファンタジー的な世界観は消え、楽曲には幻想性よりもクラシカルな説得力が増した。
ときにクリムゾン的な質感をかもし出すギターワークも絶妙で、優雅さの中にもヘヴィさと薄暗さ、
そしてミステリアスな質感を生み出している。英詞によるヴォーカルも違和感なく、
甘やかなロマンの香りはいくぶん薄らいだものの、優美なヴァイオリンの音色にはなお胸打たれる。
シンフォニック度・・8 クラシカル度・・8 祝・復活度・・10 総合・・8
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王族バンド「クロスピース」
ニコニコ動画で活躍する人気プレイヤーによるユニットの2011年作
本作は「ワンピース」ならぬ「クロスピース」なる架空のアニメのサントラという設定らしい。
もっとアキバよりの音を想像していたが、1曲めのインストは案外に正統派のロック感触で、
ギターのフレージングには古き良きハードロックの質感があって、むしろ渋い演奏だ。
女性ヴォーカル入りの曲は古き良きアニソン風味が感じられ、これがなんだかなつかしい感じ。
グルーブのあるアンサンブルも心地よくてGoodです。影山ヒロノブ、織田かおりらがゲスト参加。
メロディアス度・・8 アニソン風度・・8 ロックしてます度・・8 総合・・8
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PAGEANT「螺鈿幻想」
日本のプログレバンド、ページェントの1st。1986年作
オルゴールの音から幕を開け、ハードなギターとシンセを乗せ、艶やかな女性ヴォーカルが耽美な叙情を描き出す
かつてのGENESISにおけるヨーロピアンなシンフォニックロックの幻想を、日本的なロマネスクに包み込んだ世界観。
紅一点、永井博子(大木理紗)の日本語の歌唱は、いかにも「大正浪漫」という雰囲気漂わせ、
ジャケのイメージやちょっと怖い内容の歌詞とともに、これまでになかった耽美派プログレを聴かせてくれる。
そんな中、ギターの中嶋さんが歌う「セルロイドの空」だけは、なんだかNOVELAみたいな感じですな。
メロディアス度・・8 耽美度・・9 女性Vo度・・8 総合・・8
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Pageant奈落の舞踏会
日本のプログレバンド、ページェントの1987年作
中嶋一晃の楽曲と永井博子(大木理紗)の絶品の歌声とともに耽美な世界観を描いた1st「螺鈿幻想」
JAP'sプログレの名作として知られるが、本作はリメイク音源とスタジオライブ音源によって構成された
実質上の2ndといってもよい内容。前半のリメイク曲は、細かなアレンジが変えられてよりスタイリッシュになり、
メロウなギターとともに、小娘と大人の声色を使い分ける永井博子の歌唱も表現豊かにいっそう引き立っている。
後半のスタジオイブでは、新曲のタイトル曲を含め、よりリラックスした演奏でこのバンドの実力が再確認できる。
メロディアス度・・8 幻想ロマン度・・8 女性Vo度・・8 総合・・7.5
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PAGEANT「夢の報酬」
日本のプログレバンド、ページェントの2nd。1989年作
大正ロマネスク色全開の1st「螺鈿幻想」が代表作として有名だが、
本作はリーダーであった中嶋一晃の脱退後ということで、いい意味で楽曲がキャッチーになり、
ヴォーカルの永井博子の色が前面に押し出された作風で、むしろクオリティ的には上回っている。
とくに2曲目の“グレイの肖像”は、薄暗い雰囲気とドラマティックな盛り上がりが合体した名曲で、
永井博子(大木理紗)の絶品の歌唱が味わえる。また、4曲目“ラピス・ラズリ幻想”の歌詞、
「神の骸にしがみつく懺悔の夜に呪いあれ〜」という、おどろおどろしさにもしびれます。元祖ゴシックロマン系バンド。
メロディアス度・・8 プログレ度・・7 女性Vo度・・8 総合・・8
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PAGE ONE「ROUGH & RADY」
日本のプログレバンド、ページ・ワンの2003年作
5年ぶりのアルバムだそうだが、女性Voをメインにした、アコースティカルな雰囲気がどこか懐かしいサウンド。
異国的なパーカッションやどこか郷愁を感じる歌詞など、魅力的な部分もあるのだが、
全体的に落ち着きすぎというのか、もう一歩曲に突き抜けが欲しいという気もする。
力を抜いてゆったりと聴ける日本のバンド…であるとは思う。
メロディアス度・・7 プログレ度・・7 女性Vo度・・7 総合・・7


PALE ACUTE MOON「NEWTOPIA」
ノヴェラ、テルズシンフォニア、ケネディ、近年では少年ナイフで活躍したキーボーディスト、
仙波基が1985年に発表したペールアキュートムーン唯一のアルバム。
フランス盤で購入。ヴォーカルはテルシンでも歌ったことのある下町香織嬢。
全体としてはキーボードを中心としたロマンティックなシンフォニックロック。
サウンドはそのテルズ・シンフォニアから軽やかなポップさを除いた感じ。
壮大な世界観を描こうとしていることは伝わるものの、Voの力不足は否めず、
突き抜けた爽快さを感じさせるには至っていないのが難点か。
メロディアス度・・8 シンフォニック度・・8 演奏バランス・・6 総合・・7

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PANGAEA「UNU」
日本のプログレユニット、パンゲアの2004年作
プロデュースは厚見玲衣(MOONDANCER〜VOWWOW)。基本は女性ヴォーカルと、アコギ&ベースの男性によるデュオだが、
のっけから「これは宮殿か?」というメロトロンが鳴り響き思わずうっとり。イアン・マクドナルド参加、ということで
これは本人か?と思いきや、イアンはフルートでの参加。このメロトロンの嵐はクリムゾンフリークでもある厚見玲衣氏によるものだった。
どこかなつかしさを感じさせる女性Voの歌唱は、ときに内向的に響き渡り、全体的には薄暗さと情緒のある日本的シンフォニックという雰囲気。
プログレというよりも、古き良き日本の歌謡情緒をシンフォで再現、という感じか。
あるいはANEKDOTEN+JAP'sポップとも?ラストの組曲ではイアンのフルートが鳴り響く。
シンフォニック度・・8 薄暗度・・8 メロトロン度・・8 総合・・7.5
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狂気じみた饒舌家の音楽 PAZZO FANFANO DI MUSICA
日本のプログレ系アーティストが集ったプロジェクト、パッツォ・ファンファーノ・ディ・ムジカの1989年作
OUTER LIMITS
のメンバー全員(荒牧隆、川口貴、桜井信行、杉本正、上野知己)に、夢幻の林克彦、
DEJA-VUの桜庭統、テルズ・シンフォニアの徳久恵美、Mr.SIRIUSの宮武和広といった豪華メンバーが参加。
優美なピアノに艶やかなヴァイオリンの音色、徳久恵美の美しい歌声を乗せた、クラシカルなアコースティックサウンド。
日本のOPUS AVANTRAをイメージしたというヌメロ上野氏の言葉通り、どこかエキセントリックな毒気を含んだ、
緊張感あるアンサンブルで、アコースティックがメインであってもしっかりとプログレしているというのが素晴らしい。
これだけのメンバーが集った作品というのは日本のプログレ史上でもなかなかないだろうし、
楽曲そのものも優雅な美意識を含んだ聴き心地で、クラシカルプログレの傑作と言ってよい出来である。
クラシカル度・・8 プログレ度・・8 優雅な毒気度・・9 総合・・8
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Perpetual Dreamer「in Wonderland」
日本のハードロックバンド、パーペチュアル・ドリーマーの2012年作
メルヘン・ハードロックバンド…というように、キュートな
女性ヴォーカルの歌声で
メルヘンチックな世界観を描き出すという、なかなか面白いスタイル。
本作は「不思議の国のアリス」をテーマにしているようだが、サウンド自体は、
比較的正統派のハードロックで、疾走する曲などは普通にメタルとして格好いい。
ヴォーカルの力量のなさが、かえってミスマッチなギャップに思えてくれば、もっと楽しめるかも。
メルヘンな幻想性を出すには、シンセアレンジを取り入れるなど、もう少し大仰なアレンジも必要な気がする。
メロディック度・・7 女性Vo度・・7 楽曲・・7 総合・・7
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Phantom Excaliver「鋼鉄の誓い」
日本のメロディックメタル、ファントム・エクスカリバーの2015年作
バンド名やジャケからしていかにもマンガちっくな感じなのだが、サウンドは美麗なシンセアレンジに
メロディックなギターを乗せて疾走するメロスピ風味に、日本語歌詞によるデスヴォイスを乗せたスタイルで、
クサメロをたっぷりまぶした濃密な聴き心地。随所にノーマル声のハイトーンヴォーカルも交えつつ、
基本は疾走しまくりで、ときにメロデス的な激しさや、ネオクラ風のギターフレーズなども覗かせる。
愛と友情、正義…的な暑苦しいセリフを叫ぶ恥ずかしさに失笑しつつも、彼らの本気度が伝わってくるのが楽しいし、
演奏力もしっかりとしているので、マイナーなB級臭さというのも感じない、堂々たる迫力はなかなかのものだ。
クサメロ疾走にエクストリームな激しさと、恥ずかしげもなく愛と勇気を注入したという強力作である。
メロディック度・・8 疾走度・・9 濃密度・・8 総合・・8
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ピロカルピン「蜃気楼」
日本のポップロックバンド、ピロカルピンの2012年作
女性ヴォーカルの歌声で聴かせるゆったりとしたロハスなポップロック。
どこか郷愁を含んだ日本語歌詞と、まっすぐで爽やかな歌声の魅力が
青春偶像的な思い出を含んだ優しい世界観を作り出している。
もちろんロックとしての演奏力もしっかりとしていて、派手さはないが玄人好み。
LOVE JOYあたりにも通じる素直な歌ものサウンドが楽しめる好作品だ。
メロディック度・・8 なつかし度・・8 女性Vo度・・8 総合・・7.5
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ピロカルピン
「太陽と月のオアシス」
日本のポップロックバンド、ピロカルピンの2013年作
基本は前作同様に、女性ヴォーカルのまっすぐな歌声が魅力のポップロック。
キャッチーな聴き心地の中に、なつかしいような哀愁を感じる雰囲気で、
この素直な感性はオヤジ世代のリスナーなどにも楽しめるでしょう。
歌謡ロックとしての普遍的なやわらかさと、ピュアな爽やかさが同居した好作。

メロディック度・・8 なつかし度・・8 女性Vo度・・8 総合・・8
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Pochakaite Malko
日本のプログレバンド、ポチャカイテ・マルコの2001年作
ツインシンセにベース、ドラムという4人編成で、オルガンにピアノを含むシンセが鳴り響き、
高円寺百景にも参加していた桑原重和のヘヴィなベースを乗せ、スリリングな空気感に包まれた
インストによる濃密なアンサンブルを聴かせる。歌なしのMAGMAというような妖しい雰囲気と
オルガンによるヴィンテージな感触が合わさったサウンドで、テクニカルな変則リズムは、
高円寺百景にも通じるだろう。クラシカルなピアノの旋律にはチェンバーロック風味もあって、
アヴァンギャルドにたたみかける迫力とスケール感は素晴らしい。アヴァンプログレの傑作だ。
ドラマティック度・・7 プログレ度・・8 妖しげ度・・8 総合・・8
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Presence of soul「cause and effect」
日本のポストロックユニット、プレゼンス・オブ・ソウルの2006年作
叙情的なギターサウンドにうっすらとしたシンセと日本語歌詞による女性ヴォーカルの歌声を乗せた
メランコリックなロックサウンド。Yukiko嬢の表現力ある歌声がバンドの世界観をしっかりと表現していて、
キャッチーでありながらもしっとりとした繊細な聴き心地がよいですね。ミニアルバムということで、
次作に比べると、ラウドロック的なナンバーもあったりと、方向性を模索している段階にも感じられる。
ドラマティック度・・7 プログレ度・・6 女性Vo度・・8 総合・・7.5
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Presence of soulBlinds
日本のポストロックユニット、プレゼンス・オブ・ソウルの2008年作
メロトロンが叙情的に鳴り響き、夢見がちな女性ヴォーカルの歌声とともにゆったりと聴かせる作風は、
ANEKDOTENPorcupine Treeなどの、薄暗系プログレの感触で楽しめるようになった。
10分以上の大曲もありながら、ヘヴィさと静寂感を合わせたメリハリあるサウンドが、
空間的なスケールを感じさせ、聴き手を神秘的な世界へ引き込んでゆく。
音質のラウドさが惜しいが、倦怠を含んだもの悲しい叙情はAlcestなどのリスナーにもオススメできる。
薄暗叙情度・・8 プログレ度・・7 女性Vo度・7 総合・・8
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PROVIDENCE 「伝説を語りて」
日本のプログレバンド、プロビデンスの1990年作
シンセの塚田円を中心に北海道で結成、KING CRIMSONをルーツにするへヴィプログレサウンドに、
女性ヴォーカルを乗せた個性的なスタイルの作品。サーベルタイガーのドラムが参加したパワフルなリズムに、
うねりのあるベースとムーグやメロトロンを含んだシンセが重なり、紅一点、久保田陽子の歌声が加わると、
STARLESSやPAGEANTのようなキャッチーなジャップスプログレの感触にもなる。全4曲という大作志向で、
ATOLLのクリスチャン・ベアがゲスト参加した20分のタイトル組曲など、ドラマティックな大曲も聴きどころ。
デビュー作にしてかなりの力作であるが、Voの久保田陽子は、この後にサーベルタイガーに加入するため脱退。
メロディアス度・・8 プログレ度・・8 女性Vo度・・8 総合・・8
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PROVIDENCE 「蝶湖夢楼の一夜」
日本のプログレバンド、プロビデンスの2nd。1996年作
前作からヴォーカルが交替した本作は、キャッチーな聴き心地と変拍子リズムが合わさった、
前作からの作風はそのままに、よりハードにそしてメロディックになった力作となった。
女性ヴォーカルのシアトリカルなセリフと日本語歌詞の歌唱はやはりPAGEANTを思わせるところもあり、
どこか古き良き昭和の香りをただよわせながら、そこにオルガンを含んだシンセアレンジに
けっこうヘヴィなギターサウンドが合わさると、メロウで翳りのあるハードプログレサウンドとなる。
19分のタイトル曲も含めて、ドラマティックな展開と構築力はさすがで、重厚な傑作に仕上がっている。
メロディアス度・・8 プログレ度・・8 女性Vo度・・8 総合・・8
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PTF 「percept from ...」
日本のプログレバンド、ピーティーエフの2013年作
ヴァイオリン、シンセ、ベース、ドラムという4人編成で、美しいヴァイオリンの音色を中心に聴かせる、
クラシカルなインストサウンド。KBBなどに比べるとテクニカル性はやや抑え目であるが、
やわらかなメロディとヨーロピアンな叙情を感じさせる優雅な聴き心地でうっとりと楽しめる。
派手すぎない絶妙のシンセアレンジやピアノの美しさも随所に光っていて、軽やかなアンサンブルとともに、
メリハリのあるインストサウンドを構築してゆく。ヴァイオリン好きの方はぜひチェックです。
メロディアス度・・8 叙情度・・8 ヴァイオリン度・・9 総合・・8
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ptf 「What is Constant」
日本のプログレバンド、ピーティーエフの2015年作
ヴァイオリン、シンセ、ベース、ドラムという4人編成で、本作が2作目のアルバムとなる。
きらびやかなシンセに美しいヴァイオリンの音色を乗せたオールインストによるサウンドで、
適度にテクニカルでダイナミックなアンサンブルとともに、クラシカルな優雅さとスリリングな展開を同居させた
サウンドクオリティの高さは、同じくヴァイオリン・プログレのKBBなどにもまったく引けを取らない。
ギターレスであるが、どっしりとしたドラムに存在感のあるベースによるリズム隊の技量の高さが、
軽すぎない音の説得力となっていて、シンセとヴァイオリンのうわものを引き立てている。
11分、18分という大曲も、あくまで優雅に構築してゆくセンスもなかなか見事である。
ドラマティック度・・7 優雅度・・8 ヴァイオリン度・・9 総合・・8
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PTF 「The World[s]」
日本のプログレバンド、PTFの2018年作
2013年にデビューし、3作目。艶やかなヴァイオリンの音色にシンセを重ね、涼やかな叙情美に包まれたインストサウンド。
存在感のあるベースと巧みなドラムで、リズムチェンジを含むスリリングな展開力と、クラシカルな優雅さが同居していて、
オルガンなどのプログレらしいシンセワークとともに、KBB+GERARDというような味わいでも楽しめる。
オールインストであるが、アルバム全体を2パートに分け、コンセプト的な流れで描くスケール感も見事。
ラストは11分を超える大曲で、優雅に奏でられるヴァイオリンにウットリとなる、全78分という力作だ。
ドラマティック度・8 プログレ度・8 優雅度・9 総合・8 
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QUASER「PHASE TRANSITION」
神戸で活動を続けるプログレッシブロックバンド、クェーサーの2003年作
シンフォニック性と日本的な歌詞による叙情、そしてときおり聴かせるスリリングな部分、
さらには聴きやすいフュージョン的な要素、といろいろな側面を融合したサウンドである。
日本詞にこだわった歌詞は、Voの声質もあいまって、新月を思わせる雰囲気もあり、複雑なリズムの中での歌の浮遊感は
MIDASなどにも近いものを感じる。日本語のプログレバンドが苦手な向きには違和感を覚えるかもしれないが、
じっくりと聴けば、バンドの色が理解でき、メッセージ色の強い歌詞とともにその世界観にひたれるかもしれない。
4パートに分けられた大作の「PROMISED LAND」など、長い曲を聴かせる構成力も兼ね揃えているし、
引きの部分のアコギやピアノは美しく、メタリックな要素と対になっているようでメリハリがついている。
ただ、録音のせいか全体的な広がりと音としての迫力(説得力)にやや欠けるのが惜しい。
また、メタリックな部分がややとってつけたような印象もあり、シンフォニック性、日本的叙情と
どの方向性を重視するのかをもう少し絞り込むと曲がシェイプされるような気がする。
個人的にはメタリックなスリリングさよりも、しっとりとしたゆるやかな日本的情緒が心地よいバンドと思う。
新月やMIDASなど、日本語歌詞のプログレバンドが好きな方は聴いて損のないアルバムである。
シンフォニック度・・7 プログレ度・・8 日本度・・8 総合・・7.5
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Quikion+ Lithuma Quombus「LIVE」
日本のアコースティック系ユニット、キキオンのライブDVD。2005年作
CDの方は聴いたことがないので、彼らの音楽を聴くのはこのライブDVDが初めてとなる。
女性ヴォーカルに、アコーディオン、ブズーキといったアコースティックユニットで
今回のライブではベース、パーカッションのリズム隊を加えた編成となっている。
アコースティック+女性Voということで、いわゆるZABADAK系の流れにあるスタイルであるが、
彼らはどちらかというとオリエンタルなムードが強く、アラビアンだったりスパニッシュ風な部分も出てきたり、
その無国籍感にはやや戸惑うものの、ときおり日本的な日常の風景をかもしだしているのも面白い。
ヴォーカルの十時(ととじ)由紀子さんの歌と歌詞は、一聴しただけでは理解不能なシュールさがあるが、
そうした不可思議さも彼らのサウンドの魅力となっているのだと思う。
アコースティカル度・・8 ライブ演奏・・7 十時さんの歌の奇妙度・・8 総合・・7.5
Music Termにて試聴&通販可能




Rachel Mother Goose「Nadir」
名古屋を中心に活動する様式美メタルバンド、レイチェル・マザー・グースの2002年作
クラシカルなギターにきらびやかなシンセワーク、英語歌詞のヴォーカルを乗せて疾走する、
様式美サウンド。シンセの音にはオルガン調の古き良き感触もあり、いかにもブリティッシュ的。
叙情的な泣きのギターなど、80年代のジャパメタ的な雰囲気を漂わせながら、
楽曲、演奏ともに、なかなかのクオリティの高さで聴かせる。これぞ正統派の様式美メタル。
メロディアス度・・8 疾走度・・7 様式美度・・8 総合・・7.5

Rachel Mother Goose「Fortune Missionary」
名古屋を中心に活動する様式美メタルバンド、レイチェル・マザー・グースのミニアルバム。2004年作
ネオクラシカルなギターワークと女性ヴォーカルを乗せて疾走する、王道のスタイル。
やはり全体的にイングヴェイ的な雰囲気が強く、楽曲の個性という点ではもうひとつながら
女性ヴォーカルの英語の歌唱も含めて、演奏の質は高く安心して楽しめる。
様式美度・・8 疾走度・・7 女性Vo度・・8 総合・・7.5
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Rachel Mother Goose「SIGNS」
日本のクラシカルメタルバンド、レイチェル・マザー・グースの2006年作
2004年のミニアルバムから女性ヴォーカルが加わったことで転機を迎え、
それに続く本作も、ネオクラシカルなギターたっぷりに疾走する様式美メタルが炸裂。
MIKKA嬢の歌声も前作よりも堂に入っていて、RINNBA嬢のシンセワークとともにサウンドを彩り、
バンドとしての力強さ、洗練された説得力が上がっている。また、キャッチーで軽快なナンバーや、
美しいバラードなども魅力的。名古屋のローカルバンドから全国レベルのバンドになったという印象だ。
メロディアス度・・8 疾走度・・7 女性Vo度・・8 総合・・8
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RACHEL MOTHER GOOSE 「TOKIWA NO SAI」
日本のメロディックメタル、レイチェル・マザー・グースの2017年作
2000年にデビュー、フルアルバムとしては、2006年以来。韓国のメタルバンド、ZIHARDのシンガー、ソン・フンが加入し、
アレッサンドロ・デルヴェッキオがマスタリングという話題性も十分。流麗なギターに伸びやかなハイトーンヴォーカルを乗せた、
正統派の様式美メタルサウンドで、シンフォニックな味付けとリズムチェンジなどの知的な展開力が加わって、
英語歌詞の歌声も含めて、まるで洋楽HRバンドを聴いているような感触だ。キャッチーなメロディのフックも魅力的で、
随所に植木英史のネオクラシカルなギターや、存在感あるベースプレイも光っていて、演奏力も歌唱も非の打ちどころがない。
ミドルテンポ主体で疾走ナンバーは少ないのだが、様式美メタルとしてのクオリティの高さを思えば些末事か。
メロディック度・・8 疾走度・・6 様式美度・・8 総合・・8
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Raglaia 「Creation」
日本のメタルバンド、ラグライアの2015年作
元AldiousのRAMI嬢をフロントにしたバンドで、ヘヴィなギターを乗せて激しく疾走するサウンドで、
モダンなヘヴィロック風味の感触に、キャッチーなメロディアス性が合わさったという聴き心地。
硬質感のあるカッチリとしたバックの演奏と、エフェクトのかかったRAMI嬢の日本語のヴォーカルが
いくぶんミスマッチな感じもあって、ブルータルなのかメロディアスなのか、どちらともいえない感じがやや微妙。
シンフォニックメタル的なメロディックなナンバーでは彼女のやや不安定な歌声の良さが活きているので、
路線的にはやはり激しいヘヴィネスよりはクサメロ系のジャパメタ路線が正解なのではないかと思う。
アルディアスを離れて新たな路線を開拓したいのは分かるが、まだ方向性を定め切れていない印象だ。
メロディック度・・7 モダンヘヴィ度・・8 女性Vo度・・7 総合・・7.5
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RAMPANTCHOICE OF LIFE
日本のゴシック・ヘヴィロック、リアンペントの2008年作
以前にミニを聴いたときはさして印象に残らなかったのだが、
本作ではヘヴィなギターリフとともにメタリックな質感が増していて、
伸びやかな女性ヴォーカルの歌声とともに、ゴシック・ヘヴィロック的な風味が強まった。
随所にスクリームも織りまぜつつ適度な激しさもありながら、ヘヴィすぎない聴き心地と、
翳りある叙情を表現する歌声がなかなかいい。今後は楽曲とメロディの魅力を上げていって欲しい。
メロディアス度・・7 翳りある叙情度・・8 女性Vo度・・7 総合・・7.5
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REGULUSSTAR★REGULUS
日本のハードロックバンド、レグレスの2012年作
女性ヴォーカル、シンセを含む5人編成で、ジャケのイメージとはやや異なり
古き良き王道のハードロックを基本としたサウンド。オルガンなどのやわらかなシンセに
表現力のある女性ヴォーカルの歌声も、どこか昭和を感じさせるような雰囲気だ。
キャッチーなメロディとオルガンの音色が合わさった、古き良き感触が耳心地よい。
一方ではプログレ的な構築センスも感じさせ、ギターを含めた確かなテクニックもある。
昨今の嬢メタルブームとは異なる、どっしりとしたHRが楽しめる好作品です。
メロディック度・・8 古き良きHR度・・8 女性Vo度・・8 総合・・8
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玲里KISS AND FLY
日本のシンガーソングライター、れいりの2011年作
ルックスは可愛らしいお嬢さんだが、あなどるなかれ、その作曲センスはどうしてただものではない。
オルガンが鳴り響く古き良きロックの香りと、どこかなつかしさを漂わせる日本的な歌謡サウンドが合わさった楽曲に、
自身の涼やかな歌声とその表現力も若手ながら素晴らしい。難波弘之がほぼ全曲参加している点でもプログレファンに対応。
他にもZABADAKの吉良知彦や、KENSOや野獣王国などに参加したドラムの小森啓資など、名うてのミュージシャンが参加。
TVアニメ「石田とあさくら」の主題歌も手がけたりと、今後に注目の新鋭女性アーティストですな。
メロディック度・・8 なつかしい気がする度・・9 女性Vo度・・9 総合・・8
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玲里 「Never Let Me Go」
日本の女性SSW、れいりの2012年作
プログレ色のある歌謡ロックとして楽しめた前作から、今作ではオールドでロハスなポップロック感触を増し
魅力であった表現豊かな歌声にもさらに磨きがかかっている。前作に引き続き、難波弘之が全面参加、
土屋昌巳、吉良知彦(Zabadak)といった、実力あるメンバーたちが集った演奏陣もさすがであるが、
やはり何よりも、まっすぐで純粋な彼女の歌声である。現代のJPOPなどでは失われつつある、
飾ることのない素朴な情感には心癒されることしきり。楽曲は3〜4分のシンプルな歌もの中心であるが、
随所に単なるポップスにとどまらないセンスが感じられる。LOVEJOYなどが好きな方にもぜひ。
メロディック度・・8 ポップロック度・・8 女性Vo度・・9 総合・・8
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玲里 「OPEN WORLD」
日本の女性SSW、れいりの2016年作
3作目となる本作も、難波弘之、そうる透、土屋昌巳、織田哲郎、北島健二といった名だたるメンバーが参加。
彼女の伸びやかなヴォーカルを中心に、キャッチーなポップさと、ロックやジャズなどの要素も含んだ、
コケティッシュなサウンドを聴かせる。難波氏のオルガンなどが、いくぶんのプログレ感をかもしだし、
日下部"BURNY"正則氏をはじめ、ゲストによる巧みなギターの旋律がロックな雰囲気を加えていて、
単なるJポップとは異なるところがミソだろう。シンガーとしての表現力もアルバムごとに増していて、
楽曲ごとのイメージをエモーショナルに表現、バックの演奏も含めて、メジャー感のある堂々たる仕上がりだ。
反面、プログレリスナーが楽しむには、やや物足りなさも。マニアックな楽曲が少しあってもよいかな。
キャッチー度・8 プログレ度・5 女性Vo度・8 総合・8 
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Rie a.k.a. Suzaku「Messiah」
女性ハードロックミュージシャン、リエ・a.k.a.スザクのミニアルバム。2010年作
中学生でギターを手にし、メタルとプログレ好きの母親からヘヴィ・メタル英才教育を受けたという彼女は、
作詩、作曲、プログラミングのすべてもこなすという才能豊かなミュージシャンであり、そのギタープレイは、
女性とは思えないくらいにテクニカルで、なおかつエモーショナルなメロディもしっかり感じさせる。
4人のヴォーカルを起用した本作の楽曲は、歌ものとしてのキャッチーな一面も備えており
最近ありがちな同人上がりのメタルとは一線を画する、メジャー志向の雰囲気を漂わせている。
巧みなギタープレイはもちろん、楽曲における細やかなアレンジ、作曲家としてのセンスも見事。
バンド体制でのフルアルバムなどにも期待したい、今後の活動に大注目のアーティストだ。
メロディアス度・・8 ギター度・・8 楽曲・・8 総合・・8
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Rie a.k.a. SuzakuMother Earth
女性ハードロックミュージシャン、リエa.k.a.スザクの2ndミニ。2011年作
作詩、作曲、プログラミングをこなす、ギタリストにして女性ミュージシャン、
1stミニの出来もなかなかであったが、本作はヴォーカル入り4曲とインスト2曲という構成で、
のっけからメロディアスに疾走する本格派のメロディックメタルが炸裂している。
ギターリフとフレージングのセンスの良さは女性としては特筆もので、
ヘヴィさとキャッチーさのバランスのとれた楽曲構成もなかなか見事だ。
ソロパートでの堂々たるテクニックといい、随所に聴かせる叙情的なメロディもよろしく、
希望に満ちたメッセージ色のある歌詞とともに、ポジティブなバワーにあふれている。
2曲のインストではあらためてメロディメイカーとしての才能も感じさせる。録音面の弱さが残念。
メロディアス度・・8 ギター度・・8 楽曲・・8 総合・・7.5
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「Dreaming Eyes」
女性ハードロックミュージシャン、リエ a.k.a. スザクの3rdミニ。2012年作
作詩、作曲、プログラミングをこなす才能豊かな女性ギタリスト、
本作も普遍的なメロディを乗せて聴かせるキャッチーなサウンドはそのままに
適度にモダンなヘヴィさを含ませながら、さらにシンフォニックなアレンジも加わっている。
ギタリストとしての力量とセンスを感じさせるソロプレイにはさらに磨きがかかり、
Darkness RoseのDia(Aira)をはじめとする実力ある女性ヴォーカルの歌声とともに、
マイナー臭さのないメロディックなHR/HMが楽しめる。若手ながらも楽曲にはすでに
堂々たる自信が感じられ、あとは録音の質が向上すれば一線級の作品となれるだろう。
メロディック度・・8 キャッチー土・・8 楽曲センス・・8 総合・・8
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Rie a.k.a. Suzaku 「Kingdom of the Sun」
日本の女性アーティスト、リエ・エー・ケー・エー・スザクの2013年作
ギタリストにして作曲家でもある女性アーティスト、本作は彼女の初のフルアルバムで、
全編ギターインストものとなっている。輪郭のハッキリとしたギターフレーズとキャッチーなメロディは、
そのまま楽曲の爽快な聴き心地となっていて、決してマニアックになりすぎないメジャー感覚は、
彼女の作曲家としてのセンスだろう。 リズムは基本打ち込みであるが、それがモダンなポップ感にもなっていて、
バンドサウンドを求めなければあまり気にならない。曲によってはしっかりとメタリックな感触を含ませつつ、
あくまでメロディを大切にする姿勢は、より多くのリスナーに楽しめるだろう。ゲストに、鳴瀬喜博、IKUO、
日野Jino賢二、瀧田イサムなどが参加、随所にさすがというベースプレイを聴かせてくれる。
メロディアス度・・8 爽快度・・9 ギターインスト度・・9 総合・・8

Rie a.k.a. Suzaku 「Top Runner」
日本の女性ギタリスト、リエ・エー・ケー・エー・スザクの2019年作
2001年にデビュー、フルアルバムとしては4作目で、これがメジャーデビュー作となる。
Ear Candy Jazz Factoryの女性ドラマー、佐藤奏が参加、ベースには、須藤満、田中晋吾という、
T-Squareのメンバーがゲスト参加し、フュージョンロック的な軽妙なアンサンブルに、伸びやかなギターメロディを乗せた、
爽快なインストサウンドを聴かせる。和風のメロディを含んだハードロック寄りのナンバーから、
キャッチーでメロディックなドライブ感のナンバーまで、実力あるベーシストの存在感とともに、
耳心地の良いギタープレイがたっぷりと詰まっている。個人的には8曲目のゆったりとした叙情ナンバーでの
泣きのギターが心地良いですね。ロック、メタル、フュージョンの垣根を超えた、ギターインストの好作品。
メロディック度・8 メタル度・6 優雅度・8 総合・8 
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RIKKIシマウタTRICKLES
奄美出身の女性Vo、RIKKIによる島唄アルバム。2002作
本来土着的な島唄をギターやシンセなどを使って巧みにアレンジ、
なんとメロトロンの音色まで使用していて、プログレファンにも楽しめる。
しかしモダンなアレンジに乗る彼女の歌声は、あくまで伝統的で
その唄はゆっくりと優しくしみこむように耳に馴染んでくる。
日本の地方文化の歴史と、現代的なサウンドが融合した面白い作品だ。
メロディアス度・・8 モダンアレンジ度・・8 日本民謡度・・8 総合・・8
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六合幽遠
京都を中心に活動するハードロック/メタルバンド、りくごうの1stミニ。2005作
東・西・南・北そして天と地を指す「六合」とは、無限大に発展する宇宙を意味するそうだが、
それをバンド名に持つ彼らも、おそらく内的な宇宙を大切にするプログレッシブな感性をそこに
有しているのだろう。そのサウンドは、モダンなヘヴィさを有した一聴すると普遍的なロックであるが、
古典的な日本語の歌詞を大切にした楽曲には、あえて昨今の主流である派手な展開を排し、
じっくりと焦点をしぼって聴かせようとする姿勢が、その音からも感じ取れる。
うっすらとしたシンセアレンジをバックに、ヘヴィなギターリフにパワフルなドラムが鳴り合わさり、
やがてすべての音がシンプルに鳴動し、ひとつのパワーをなすような感覚がある意味個性的だ。
メロディアス度・・7 日本的叙情度・・8 古典的日本度・・9 総合・・7.5
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六合宵闇の残光
京都を中心に活動するハードロックバンド、りくごうの1stフル。2008作
やや手さぐり状態にも聴こえたデビューミニに比べると、本作では方向性も確立され、
それとともにサウンドプロダクションが向上し、音には迫力がでてきている。
またシンセ奏者が正式に加わったことで、サウンドの幅とスケール感が増した。
日本語詞によるヴォーカルの歌唱力も確実に上がっており、確かなアンサンブルの中で、
その言葉による存在感と表現力を示している。4、5分台がメインの楽曲は聴きやすいながらも、
ドラムを中心にした独特のグルーブ感とともに、どっしりとしていながら不思議な浮遊感があって、
自然な心地で聴き入ってしまう。古来からの日本の大地の匂いを感じさせるという点で、非常に個性的なバンドだし、
あるいは陰陽座などのファンでも楽しめるのではないだろうか。ただし、こちらの方がもっとディープで深遠な雰囲気である。
メロディアス度・・8 日本的叙情度・・9 日本的土着度・・9 総合・・8
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六合 「暁に産声、忘却の鼓動」
日本のハードロックバンド、りくごうの2013年作
フルアルバムとしては5年ぶりとなる2作目で、ギターとベースが交代しているが
日本語歌詞による「和」の世界観と、深遠な美意識に包まれた世界観は、このバンドの変わらぬ個性だろう。
どっしりとしたグルーブ感のあるリズムと、うるさすぎないシンセアレンジに、随所にメロウなギターを聴かつつ、
いわばモダンなヘヴィロックに空間美をもたせたというような、独特のサウンドを作り出している。
一方ではV系ロック的なキャッチーな感触もあり、一般向けでもあるメジャー志向のロック路線を感じさせる。
じわじわと内側から広がるようなスケール感は、しっかりと地に足をつけたバンドならではの説得力だろう。
キャッチー度・・8 モダンロック度・・8 和風度・・8 総合・・8


Ringing Ring 「Ancient Stone」
日本のアコースティックユニット、リンギング・リングの2007年作
やわらかなリコーダーの音色に素朴なリュート、チェロのようなヴィオラ・ダン・ガンバの響きとともに、
優雅な中世古楽サウンドが広がってゆく。繊細なハープのつまびきにリコーダーが重なるしっとりとした耳心地に、
英語歌詞のソプラノ女性ヴォーカルが加わると、ぐっと格調高いクラシカルな美しさにも包まれる。
トラッドナンバーから、FOCUSのカヴァー、さらにはエザイアス・ロイスナー作曲の14分におよぶ組曲など、
フォーキーな土着性から、室内楽的な優雅さまで、無国籍の幻想的なトラッド/フォークとしても楽しめる。
ロック色は皆無なので、プログレというよりは、やはりケルトやトラッドが好きな方向けですね。
アコースティック度・9 クラシカル度・8 優雅度・9 総合・7.5
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Romanesco! 「ロマネスコの世界」
日本のプログレバンド、ロマネスコの2017年作
金属恵比須のキーボーディストとシンガーソングライター、櫻井ススムを中心としたアートロックバンドで
「1969年にアトランティックからリリースされた架空のファーストアルバム」というコンセプトで作られたという。
CD盤面の印刷デザインもATLANTICレコードのような感じで、ブックレットの写真もレトロな雰囲気のこだわりよう。
アナログ感たっぷりのギターに、日本語歌詞のヴォーカルやオルガンを乗せ、昭和フォーク的な哀愁に包まれたサウンドで、
プログレ以前のユルめのアートロックを再現。うっすらとメロトロンが鳴り響き、叙情的なギターを加えた耳心地の良さは、
ヴィンテージロック好きにはたまらないだろう。メロディはわりとポップなので、のんびりと楽しめる好作品です。
メロディック度・7 プログレ度・6 ヴィンテージ度・9 総合・7.5
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Romanesco 「神秘の夜 - ロマネスコ II」
日本のプログレバンド、ロマネスコの2019年作
2014年の1作目以前に活動休止していたが、金属恵比須の宮嶋健一を中心に、ギターにユウタロウ、ドラムに後藤マスヒロを迎えて復活。
2作目となる本作は、のっけから11分の大曲で、オルガンやメロトロンを含むシンセに、PINK FLOYD的なメロウなギターを乗せて
ゆったりとした叙情に包まれ、日本語歌詞による牧歌的なヴォーカルとともに、70年代のアナログ的なアートロックを蘇らせる。
ポップな感触の歌もの小曲も、確信犯的なサイケな浮遊感があって、昭和を感じさせるなつかしい聴き心地で楽しめる。
ラストは、1曲目の続編の大曲で、昭和プログレ的なキャッチーな歌メロと叙情性が合わさった、優しい余韻で幕を閉じる。
ドラマティック度・8 プログレ度・7 古き良きアートロック度・9 総合・8
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ROMAN SO WORDS「Melodies Of Memory」
MinstreliXのシンセ奏者と女性Voによるユニット、ロマン・ソ・ワーズのミニアルバム。2010作
少女マンガチックなジャケからして、すでに相当こっ恥ずかしいのだが、
音の方もアニメの主題歌になりそうなロマンに溢れたポップな女性声ロック。
メロスピばりの疾走やシンフォメタル風のアレンジもあるのだが、メタルらしからぬヴォーカルが
むしろベルバラ的な宝塚ロックの世界観をかもしだしている。いわば「アニメ系嬢メタル」という感じか。
シンフォニック度・・8 メタル度・・7 愛とロマン度・・9 総合・・7.5
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Roman so WordsEmilia-The Last Chapter
MinstreliXのシンセ奏者を中心にしたユニット、ロマン・ソ・ワーズの2012年作
アコーディオンの音色を含んだフォルクローレ風味で、女性ヴォーカルの歌声を乗せて
アコースティカルなポップ感覚で始まるので、「アレ?メタルじゃないのかな」と思いきや、
2曲めはシンフォニックに疾走するクサメロスピ系という、このギャップがなかなか面白い。
随所にロマンティックで甘い旋律を盛り込みながら、優雅な雰囲気で物語的な世界観を描き出す、
その壮麗かつアニメちっくな聴き心地は、DragonGuardianを少女風味にしたという感じですね。
メロディック度・・8 ドラマティック度・・7 女性Vo度・・7 総合・・7.5
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THE ROOLER ! 「VOICE OF ROMANCE」
日本のハードロックバンド、ルーラーの2020年作
1987年結成という、東京のベテランバンド。先行シングル「FANCY LADY」に続いてのフルアルバム。
きらびやかなシンセのイントロから、王道のギターにシンセを重ね、日本語歌詞のヴォーカルを乗せて、
古き良き感触のジャパニーズ・ハードロックを聴かせる。フロントマンである本城文也のヴォーカルは、
ときにシャウトを含んだ独特の味わいで、バンドの世界観を濃密に彩り、キャッチーなロックナンバーから、
どっしりとしたメタルナンバーまで、どこか昭和を思わせる歌詞とともに一貫した男の美学(ロマン)を感じさせる。
ギターソロやシンセにはときに様式美メタル的な叙情もあって、いかにもジャパメタらしい疾走ナンバーなども魅力的。
結成から33年を経てなお、変わらぬスタイルで現役を続ける、恰好いいロックオヤジたちに拍手を贈りたい。
メロディック度・・8 ロマン度・・8 昭和度・・9 総合・・7.5
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ROSALIA 「Zillion Tears」
日本のガールズ・プログレバンド、ロザリアの1990年作
シンセ奏者の三浦奈緒美を中心にとした女性5人組で、おそらく日本初のガールズ・プログレバンド。
4曲入りのミニアルバムで、1曲目は美しいシンセによるシンフォニックなインストナンバー。
2曲目は適度にハードなロック色を含んだプログレハード風味で、キャッチーなメロディと
ヴォーカル嬢の優しい歌声が、古き良きアニソン風味をかもしだしていて微笑ましい。
3曲目は変拍子入りのプログレに挑戦しているが、ドラムの弱さが残念。ラストのタイトル曲はドラマティックな好曲で、
三浦奈緒美嬢の見事なシンセワークに女性声を乗せて、Marge-Litchあたりに通じるシンフォニックなサウンドを描いている。
バンドは本ミニアルバムのみを残して消滅。アイドル的なジャケも含めて売り出し方が微妙だったというべきか、
その後ARS NOVAなどが現れることを考えると、時代的にも少し早すぎたガールズ・プログレバンドであったのかもしれない。
メロディック度・・8 プログレ度・・7 女性Vo度・・7 総合・・7
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Roses 「Revisited」
大阪を中心に活動するプログレハードバンド、ローゼスのミニアルバム。2009作
1998年に結成。ヴォーカリスト燐夢を中心に、ROUND HOUSE〜PENTAGRAMという経歴のギタリスト、
L'evoluzioneの前身であるIsisに参加していたベーシスト、クラシックの素養のあるツインキーボード、
荘園のドラマーとして活躍するメンバーで構成され、メンバーチェンジや活動休止をへての、初の正式音源となる。
サーカスか舞台劇の始まりを思わせるようなイントロから、曲が始まるとシンセ入りのキャッチーなロックになる。
ときにテクニカルなギターと、壮麗なシンセの絡みで耳を惹きつけつつ、ヴォーカルのマイルドな歌声と歌詞には、
古き良き歌謡風の雰囲気もあり、どこかなつかしい感じがする。楽曲におけるシアトリカルな世界観という点では、
もっと極端でもいいような気はするが、浪漫座(中嶋一晃)的でもある、昭和風ロマンの体現と哀愁を感じさせるサウンドは、
バンドの個性として今後とも伸ばしていってもらいたい。続くフルアルバムの世界が楽しみである。
メロディアス度・・8 プログレ度・・7 昭和ロマン度・・8 総合・・7
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ROUND HOUSE「WINGS TO REST」
日本のプログレバンド、ラウンドハウスの未発表音源集。2002作
「人造人間」というアルバム1枚を残して消滅した(近年なんと復活した)
当時の彼らの活動後期、1978年以降のデモ音源などを集めたもの。
特徴であるシンフォニックな美しさと、ジャズロック的なキレの良さが光る楽曲たちは
年数を経た今となってもなかなか魅力的で、キーボードをバックにツインギターの奏でる
メロディが素晴らしい。デモという音質のバラつきの点から言っても
これが正規マテリアルとして録音されなかったのが惜しまれる。
メロディアス度・・8 ジャズロック度・・7 音質・・7 総合・・7.5

RUINS 「Stonehenge」
高円寺百景などで活動するドラムの吉田達也によるユニット、ルインズの1990年作
ヘヴイに唸りを上げるベースに、たたみかけるドラム、奇声とも思えるヴォーカルを乗せた
アヴァンギャルドロック。「気が狂ったMAGMA」というようなミステリアスなジャズロック風味もあり、、
のちの高円寺百景へと通じるアプローチも感じさせつつ、よりワイルドで破天荒なサウンドだ。
楽曲は2〜3分台が中心で、構築性というよりはノリと勢いで秩序を破壊するというようなパワーに圧倒される。
ドラマティック度・・6 プログレ度・・7 アヴァンギャル度・・8 総合・・7.5
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RUINS 「1986-1992」
高円寺百景などで活動するドラムの吉田達也によるユニット、ルインズの2002年作
1986〜92年の楽曲をリミックス、リマスターした、全75分収録の初期ベストアルバム。
たたみかけるドラムにうねるベース、そして絶叫するようなフリーキーな歌声を乗せた
異様なアヴァンロックを聴かせる。ドカドカとした手数の多いドラムとヘヴィなベースは、
そのへんのメタルバンドも真っ青な迫力で、ときにMGMAのような妖しさも感じさせたり、
ヴァイオリンが鳴り響く優雅なナンバーなど、単なる即興という以上の濃密な世界観を描いている。
プログレ度・・7 アヴァンギャル度・・9 怪しげ度・・9 総合・・8
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Sabrina
日本の女性Voメロディックロック、サブリナの1986年作
当時、プログレ寄りの女性Voロックバンドというのはまだ珍しく、知名度があるのはSTARLESSくらいのものであったが、
プロデューサーのたかみひろし氏と、ヘヴィ・メタル・アーミーの中島優貴によって企画されたバンドがこのサブリナである。
きらびやかなシンセアレンジに、紅一点、田中志摩子のキュートなヴォーカルを乗せたポップなサウンドで、
80年代的な商業ロックをアイドル的に料理したという作風。随所にハードロック的なプレイを聴かせるギターをはじめ
安定した演奏陣をバックにした、歌ものポップロックという点でもわりと高品質で、アニソンのテーマ曲にしたいような
キャッチーな佳曲がたっぷり詰まっている。スターレスなどに比べるとプログレ要素はずっと薄いが、
メジャーを意識した当時の女性声ロックプロジェクの記録として、なかなか興味深い作品ではあります。
キャッチー度・・8 ポップロック度・・8 女性Vo度・・8 総合・・7.5
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SAEKO 「ABOVE HEAVEN BELOW HEAVEN」
日本のメタルバンド、FAIRY MIRRORの女性ヴォーカル、サエコの2004作
メタルへの情熱から単身ドイツに渡り、こうしてついに海外でアルバムデビューまで叶えたのだから、
彼女の行動力には恐れ入る。プロデュースはラーズ・ラッツ。演奏陣はMETALIUMの面々だ。
サウンドは正統派のメロディックメタルで、歌い上げつつときに力強くシャウトするSAEKOの歌唱が光る。
彼女の綺麗な声質はFAIRY MIRROR時代から同じだか、その歌声はかつてよりもずっと自信に満ちている。
美しいバラード曲での繊細な歌声や、Dのようなクサメロ疾走曲がとくに素敵。女性Voメタルファンはチェック!
メロディアス度・・7 疾走度・・7 女性Vo度・・8 総合・・7.5
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SAEKO「LIFE」
FAIRY MIRRORの女性ヴォーカル、サエコの2nd。2006作
メタルへの情熱から単身ドイツに渡り、METALIUMのラーズ・ラッツに見いだされアルバムデビュー、
2作目となる本作にはMETALIUMのメンバーに加え、FAIRY MIRRORのメンツも参加している。
サウンドの方はジャパメタ的なメロディにジャーマンメタル質感と、女性らしい美しさが加わったもの。
パワフルに疾走する楽曲に響きわたるサエコの魂の歌声には、メタルへの純粋な情熱が感じられ、
日本的旋律を取り入れた叙情的なナンバーでは、日本語歌詞で歌われる歌唱も魅力的だ。
これでさらにシンフォニックな音の壮麗さが加われば、もっと日本でも人気が上がると思う。
メロディアス度・・8 疾走度・・8 女性Vo度・・8 総合・・7.5
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Saeko 「Holy Are We Alone - 我等独尊」
日本人の女性シンガー、サエコの2021年作
元FAIRY MIRRORの女性ヴォーカルで、単身ドイツへと渡り、2005年にデビュー、本作は2006年以来、15年ぶりとなる3作目。
ギド・ベネデッティ(Trick Or Treat)、アレッサンドロ・サーラ(Rhapsody Of Fire)、マイケル・エーレ(Primal Fear/Gamma Ray)が参加、
メタリックなギターに優美なシンセアレンジ、そして伸びやかな彼女のヴォーカルを乗せた、メロディックなサウンドを聴かせる。
楽曲ごとに、日本、シリア、イングランド、ドイツ、インド、ブラジル、ハワイ、ロシアなど世界の国々をモチーフに、
日本的な和の旋律を取り入れたり、ときにソプラノヴォーカルを使ったクラシックへのオマージュなども覗かせつつ、
キャッチーな優雅さと適度な疾走感が同居した、バラエティに富んだ楽曲が詰まっている。デレク・シェリニアン(Planet X)などがゲスト参加
メロディック度・8 疾走度・7 優雅度・8 総合・8 
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桜庭統「Gikyokuonsou/戯曲音創
日本のプログレキーボーディスト、さくらば・もといのソロ。1991年作
解散後の初ソロアルバムで、のちにゲーム音楽業界で名をはせることになる
その原点というべきインストサウンドが詰まっている。変則リズムに乗せるピアノ、オルガンなどの
クラシカルな優雅さとテクニカルな軽妙さは桜庭節そのもので、華麗な鍵盤さばきがたっぷり味わえる。
古き良きプログレらしさと、日本的な繊細な情緒を融合させたような、桜庭サウンドが確立した一枚だ。
クラシカル度・・8 プログレ度・・8 キーボー度・・9 総合・・8
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桜庭統「Forest of glass」
プログレキーボーディストにして作曲家、桜庭統のピアノ作品集。2008作
プログレバンドからキャリアをスタートさせ、現在はゲーム音楽を中心に活躍する同氏だが、これは長年温めていたというオリジナルのピアノ曲集。
ゲーム音楽でのシンフォニックかつ壮麗なプログレぶりとは異なり、シンプルなピアノのみの演奏ということで、構えて聴くにはやや物足りないが
その繊細なタッチやメロディ、そしてリズムなどへのこだわりはここでもしっかり感じられ、新たにピアニスト桜庭統の魅力を楽しめるアルバムだ。
*ゲーム/サントラコーナーにも桜庭統関連のレビューあります
メロディアス度・・8 プログレ度・・6 ピアニスト度・・9 総合・・7.5
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桜庭統「After all...」
プログレまくりのゲーム音楽家、さくらば・もといの2011年作
「スターオーシャン」や「ヴァルキリープロファイル」をはじめ、ゲーム音楽界で活躍する桜庭氏だが、
オリジナル作品としては、2008年のピアノ作品集「Forest of glass」以来となる。
本作はミニアルバム扱いながらも、全10曲40分以上あるので聴き応え充分。
内容もオルガンやメロトロンが鳴り響き、テクニカルなアンサンブルで聴かせる
キーボードプログレとなっていて、以来の桜庭ファンはにんまりだろう。
ゲーム音楽で培われたファンタジックな世界観に、バトル系を思わせる勇壮な曲や
軽やかなピアノ曲なども含め、桜庭節全開のプログレサウンドを堪能できる1枚だ。
メロディック度・・8 プログレ度・・8 キーボー度・・9 総合・・8
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桜庭 統 「WHAT'S UP ?」
日本のプログレキーボーディスト、さくらばもといのソロ。2013年作
先に出たミニアルバム「After All...」に新曲を追加してリミックスを施したという完全版というべき作品。
変則リズムの上を乱舞するオルガンと、キャッチーなメロディ展開はまさに桜庭節というべきもので、
自身が叩いているというドラムも含めて、ロック的な躍動感にこだわったプログレサウンドが楽しめる。
壮麗なオーケストラアレンジも含んだシンフォニックな感触もあり、ゲームミュージックで培った作曲センスを
古き良き鍵盤プログレと融合したというべき、ダイナミックかつクラシカルなサウンドはじつに素晴らしい。
かつてのデジャ・ヴや初期のソロ「戯曲音創」を越えようかというほどの濃密な内容だ。
メロディック度・・8 プログレ度・・8 キーボー度・・9 総合・・8
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桜庭統 「Passage」
日本のプログレキーボーディスト、さくらばもといのソロ。2013年作
ここのところ、ソロ作品の創作も旺盛で、早くも「What's Up?」に続くアルバムが完成。
まず自主制作盤とは違って、しっかりとした録音による音質の良さが本作の魅力で、
クラシカルなピアノタッチの繊細な臨場感とリズム面でのダイナミズムも素晴らしい。
もちろんオルガン、ムーグといったプログレファン向けのキーボードもたっぷりで、
自身の叩くドラムにも磨きがかかっている。さすがにメロディなどは、過去の楽曲に似たものもあったりして
新鮮味はないのだが、桜庭印の鍵盤プログレを高音質で楽しめる安定の好作であるには違いない。
メロディック度・・8 プログレ度・・8 キーボー度・・9 総合・・8
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SCARLET GARDEN 「DECADE OF DECADENCE」
日本のメロデスバンド、スカーレット・ガーデンのミニアルバム。2008作
北欧メロデス的なリフで疾走しつつ、ケリー・サイモンズの絶品のギターワークは、
ときにクラシカルな美しさで聴き手を魅了する。楽曲はただ激しいだけでなく、
ゆるやかな叙情性を含んだ展開力もあり、その辺の若手バンドでは真似のできない
音の迫力と質の高さが光る。日本人離れしたデスヴォイスも説得力充分で、
たとえば、SHADOWSERPENTなどと比較してもひけをとらないだけの完成度だ。
メロディアス度・・8 暴虐度・・8 日本人離れ度・・9 総合・・8


SCHEHERAZADE 「All For One」
日本のプログレハードロック、シェラザードの2010年作
ノヴェラの前身バンドとして1977年に結成、Novela解散後の1992年に復活して1stアルバムを出したが、
本作はそれから18年ぶりとなる作品で、五十嵐久勝、平山照継、永川敏郎、大久保寿太郎の4人に加え、
ドラムにSTARLESSの堀江睦男が参加。1stの時点で未発表だった楽曲と新曲からなるアルバムで、
アンジー氏のハイトーンヴォイスに永川氏の美しいシンセワーク、平山氏のメロウなギターで聴かせる、
かつてと変わらぬロマン溢れるサウンドが楽しめる。曲によってはノヴェラを思わせるキャッチーな感触もあり、
スターレスの“明日の影”を取り上げたりと、このメンバーが集ったというだけでファンには感涙ものだろう。
メロディック度・・8 新鮮度・・7 シェラザー度・・8 総合・・7.5
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SCHEHERAZADE 「THE ORIGINAL-Songs for Scheherazade-」
日本のプログレハードロック、シェラザードの2010年作
かつてのノヴェラの楽曲を中心に、新たなバージョンとして再録音した、まさにファンにはたまらない作品。
“名も無き夜のために”、“怒りの矢を放て”、“魅惑劇”、“少年期〜時の崖”といった楽曲の恰好良さはもちろん
TERU'S SYMPHONIAの“Ever Forever”なども、よりドラマティックなアレンジになっていて楽しめる。
アンジー氏のヴォーカルも、年月をへた味わいとともに、それぞれの楽曲の持つ世界観を再現していて、
単なる懐メロ大会になっていないのが素晴らしい。これは、ノヴェラファンにも必聴のアルバムといえるだろう。
メロディック度・・8 楽曲度・・8 ノヴェラ&シェラザー度・・9 総合・・8
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SCHEHERAZADE 「once more」
日本のプログレハードロック、シェラザードの2017年作
ノヴェラの前身バンドとして1977年に結成、NOVELA解散後の1992年に1stアルバムを出すも沈黙、
2010年になって、18年ぶりとなる復活作を発表。本作はそれに続く7年ぶりのアルバムで、
五十嵐久勝、平山照継、永川敏郎、大久保寿太郎、堀江睦男と、前作からの不動のメンバー。
美麗なシンセに味わいのあるギターを乗せたイントロから始まり、大人のシェラザードを感じさせつつ、
10分を超える大曲では、アンジーの歌声も含めて、かつてのNOVELAを思わせるロマンティシズムに包まれる。
軽快なナンバーは少ないものの、永川氏のプログレらしいシンフォニックなシンセや平山氏の叙情的なギターなど、
年季をへたメンバーによる表現力ある演奏とともに、古き良きロマンを感じさせるサウンドが楽しめる。
ドラマティック度・・8 ロマン度・・8 シェラザー度・・9 総合・・8 
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SCHEHERAZADE「LIVE GAIA」
日本のプログレハードロック、シェラザードのライブ作。2018年作
アルバム「once more」発表後、2017年の東京でのライブを2CDに収録。永川敏郎氏のきらびやかなシンセワークに、
大久保寿太郎氏のベースと平山照継氏のギター、そして五十嵐(アンジー)久勝のハイトーンヴォイスを乗せて、
シンフォニックなハードロックサウンドが広がってゆく。堀江&大久保のSTARLESS組のリズム隊はさすがの存在感で、
楽曲の屋台骨をしっかりと支えている。「once more」からのナンバーを中心に、かつてのNOVELAのナンバーも披露。
「魅惑劇」「時の崖」あたりはファンには嬉しいだろう。会場の音を閉じ込めたような音質もライブらしい躍動感が感じられる。
ラストでのイントロ〜「ドント・ストップ」という流れは、往年の名ライブ「フロム・ザ・ミスティックワールド」を思い起こさせる。
限定盤のDVDには大阪公演のステージを収録。体調が心配されるテルさんの姿を含めて、メンバーの健在ぶりが嬉しい。
ライブ演奏・・8 音質・・8 シェラザー度・・9 総合・・8
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SCHONBERGSPLENDID ROSA BIRTH
日本のシンフォニックメタル、シェーンベルクの2011年作
ダ・ヴィンチの名画「受胎告知」のジャけからして、ヨーロピアンなセンスが漂うが、
サウンドの方も壮麗なオーケストレーションを駆使した優雅なシンフォニックメタル。
女性ヴォーカル、Naruの日本語歌詞の歌声を乗せ、美意識の詰まったメロディに、
キャッチーな聴き心地を融合した独自のスタイルで、クラシカルなギターフレーズを含めて、
こだわりを感じさせる世界観を描いている。疾走する曲以外では、スローからミドルテンポ曲に
おけるロマンティックな感じはどことなく宝塚的でもあり、よい意味での日本らしさを覗かせる。
ヴォーカルの声がメタルらしからぬ揺れる感じやリズム面での平坦さなど、好みを分ける部分はあるが、
LIGHT BRINGERやANCIENT MYTHとも異なる方向性を持っていて、今後も期待のバンドである。
シンフォニック度・・8 クラシカル度・・8 美意識度・・9 総合・・7.5
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Seilane
「Heterodox Rocks」
日本のハードプログレバンド、セイレーンの2000年作
きらびやかなシンセとハードめのギター、日本語のヴォーカルで聴かせる、
かつてのNOVELAなどを思わせる感触のキャッチーなハードプログレサウンド。
いかにも日本人的なヴォーカルの歌唱は好みが分かれるかもしれないが、
適度にテクニカルなアンサンブルと、シンフォニックな聴き心地はなかなか悪くない。
メロディック度・・8 プログレ度・・7 キャッチー度・・8 総合・・7.5
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SEIRENLEGACY OF THE NEW CENTURY
日本のメタルバンド、セイレーンの2000年作
ツインギターのフレーズとややヘナチョコなヴォーカルを乗せて疾走、
B級ジャーマンメタル的なクサメロはなかなかいい感じだが、サウンドの説得力のなさと、微妙な音のズレが残念な感じ。
一方ではミドルテンポの古き良きメタル質感もあるのだが、メロディもパワーも煮え切らないので、聴いていてもどかしい。
メロディアス度・・7 疾走度・・8 B級度・・8 総合・・7
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Sense Of Wonder 「Green Requiem」
難波弘之監修による新井素子のSF小説のイメージアルバム。1984年作
コミック化もされた作品らしいが内容の方は未読。音楽作品としてのレビューとなります。
以前はLPで所有していたのだが、2010年についにCD化…貴重でなくなってしまって複雑な心境。
サウンドは、ショパンをイメージした美しいピアノの旋律に、美しいシンセが重なってゆく繊細な作風。
80年代的なポップな感触とロマンティックな情緒が、可愛らしい少女マンガ的なイメージと重なりつつ、
センス・オブ・ワンダーのメンバーが曲を書いて演奏にも参加しているので、しっとり静かな曲においても
その確かな演奏力はさすが。「真幻魔大戦」とともに、プログレ方面のサントラとしての傑作です。
クラシカル度・・7 プログレ度・・7 しっとり繊細度・・9 総合・・8
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Sense Of Wonder「大原まり子〜銀河ネットワークで歌を歌ったクジラ」
SF作家、大原まり子の小説のイメージアルバム。1985/2013年作
「真幻魔大戦」、「グリーン・レクイエム」などと並び、難波氏のイメージアルバムの傑作とされる本作がようやくCD化された。
原作の小説については分からないのだが、演奏陣はセンス・オブ・ワンダーのメンツなので音楽作品としても純粋に楽しめる。
フュージョン的な軽やかさと古き良きロック色を含んだインストに、世界観を投影するイメージがともなって、結果としてプログレであるという。
難波氏のシンセはさほど派手なプレイをしているわけではないが、随所にさすがというセンスあるフレーズを聴かせてくれる。
80年代という時代性を含め、イメージの音楽化という創作性を感じさせる好作品。原作者の大原氏も一部作曲とシンセで参加している。
メロディアス度・・8 プログレ度・・7 キーボー度・・7 総合・・8
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Sence Of Wonder「Synphobeat」
難波弘之率いるプログレ・フュージョンバンド、センス・オブ・ワンターの1st。1987作
難波弘之名義でのこれ以前のソロ作に比べ、よりポップで時代的なトレンディなスタイル。
トリオ編成ということでの一体感と、フュージョンロックとしてのクールなコンパクトさの中に、
ときに聴かせる難波氏の美しいシンセワークはさすが。プログレとして聴くには少々ポップすぎるが。
メロディアス度・・8 プログレ度・・6 ポップ度・・8 総合・・7.5
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Sence Of Wonder「AQUAPLANET」
難波弘之率いるプログレ・フュージョンバンド、センス・オブ・ワンターの2nd。1988作
本作はSF的なコンセプト作ということで、前作に比べてプログレ的な質感が増した。
歌もの的なポップ感覚はそのままに、シンセによる美しいアレンジとロマンティックな世界観が楽しめる。
新加入の小森啓資氏のロック的なドラムもいい。ラスト曲はPFMばりにメロディアスなナンバー。
メロディアス度・・8 プログレ度・・7 ポップ度・・8 総合・・8
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SERENITY IN MURDER
日本のシンフォニック・デスメタルバンド、セレニティ・イン・マーダーの2011年作
美麗なシンセをふんだんに使いながら、ブラストビート入りで激しく疾走する
シンフォニック・デスメタルサウンド。咆哮するデスヴォイスを歌っているのは女性で、その迫力は
ARCH ENEMYのアンジェラばり。初期のCHILDLEN OF BODOMを思わせるメロディアスさと
シンフォニックで厚みのあるシンセアレンジに流麗なギターフレーズが合わさって、
日本のバンドというレベルを超えた音の説得力がある。日本のメロデス系というと、
SHADOWSERPENTなどが思い出されるが、このバンドもまったく引けをとらないばかりか、
デビュー作にしてそれらを超えようかというレベルの高さ。世界で勝負できるバンドが出現した。
シンフォニック度・・8 メロディアス度・・8 暴虐度・・8 総合・・8.5
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SERENITY IN MURDER 「The Highest of Dystopia」
日本のメロディック・デスメタル、セレニティ・イン・マーダーの2015年作
世界基準のメロデス作品として驚かされた衝撃のデビュー作から続く2作目。
シンフォニックなイントロから始まり、90年代北欧メロデスの感触を残したギターリフに
美麗なシンセアレンジと強烈なグロウルヴォイスを乗せて重厚にたたみかける。
楽曲は3〜4分前後とシンプルなのだが、ギターは随所にメロディックでテクニカルなフレーズを織り込み
激しいブラスト疾走も含む緩急のついたリズムチェンジで構築されるサウンドは非常にレベルが高い。
前作に比べると全体のインパクトではやや薄いのだが、クオリティはやはり世界クラスである。
ドラマティック度・・8 暴虐度・・8 重厚度・・8 総合・・8
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SERENITY IN MURDER 「THE ECLIPSE」
日本のシンフォニック・デスメタル、セレニティー・イン・マーダーの2017年作
女性シンガーをフロントに、2011年にデビュー、世界基準の高品質なサウンドを聴かせるバンド。
3作目となる本作は、壮麗なイントロで幕を上げ、巧みなギターフレーズにオーケストルなアレンジを重ね、
咆哮する女性グロウルヴォーカルとともに、激しい疾走感とリズムチェンジを含む展開力で
これまで以上に優雅なシンフォニック・デスメタルを聴かせる。楽曲は3〜4分前後とシンプルながら
壮麗なシンフォニックアレンジに包まれていて、メロデス要素が減退した分、叙情美が増している。
これならクリーンな女性Voにした方がよいような気もするが、ともかく美麗まくりの力作デス。
シンフォニック度・・8 暴虐度・・7 壮麗度・・8 総合・・8 
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SERPENT「CRADLE OF INSANITY」
日本のメロディックデスメタルバンド、サーペントの1st。2005作
勢いよく疾走しながら、非常にメロディアスかつ勇壮で、そしてドラマティック。
ギターのフレーズはIN FLAMESからの影響を感じさせつつも、さらに煽情的に…
ある種ロマンテイックなまでの美旋律を奏で、まるでYOSHIKIのようなドラム(スネアの音といい)、
そこに乗る絶叫ヴォイスもどこかに悲哀を感じさせる響きがある。メロデスでありながらも
クララシカルな情緒と湿りけがあり、ワルツのリズムで疾走する様は、繊細さと暴虐さを併せ持つ。
とにかく、この「美」へのこだわりはただごとでない。音に込められた精神性はメロデスというよりもむしろX JAPANに近いようにも思える。
メロディアス度・・9 暴虐度・・7 繊細でロマン美度・・8 総合・・8.5
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SERPENT「xGODx」
日本のシンフォニック・メロデスバンド、サーペントの2nd。2008作
シンフォニックに疾走するメロデスサウンドに、X JAPANを思わせるような美意識と
ロマンティシズムが織り込まれた、彼らの1stはなかなか衝撃的だった。
約3年ぶりとなる本作も、クサいほどに美しいメロディの魅力は満載。
北欧メロデス的なツインギターと、日本産ならではの泣きの叙情が組み合わさり
煽情的なメロディで疾走するスタイルはまさに彼らならではだ。
一方で、これをエクストリーム系とするには聴き安すぎるし、綺麗すぎるという
見方もできるが、結局は泣きのメロディが好きかどうかで評価が決まるだろう。
泣きメロ度・・9 暴虐度・・7 ロマンティシズム度・・8 総合・・8
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Seventh Heaven
「The Gate of Seventh Heaven」
日本のメロディックメタル、セブンス・ヘヴンの2005年作
正統派のギターにシンセを重ね、エモーショナルな女性ヴォーカルで聴かせる、
80年代ルーツの様式美色を残した、叙情豊かなメロディックなメタルサウンド。
ジャパメタらしいキャッチーな味わいとほどよい疾走感、そして浜田麻里にも通じるような
YOSHIE嬢の清涼感のあるハイトーンヴォイスで、ゆったりとしたバラーどなども魅力的。
全35分と、フルアルバムにしては少しボリュームが足りないが、クラシカルなシンセワークによる
優雅な感触とともに、古き良き女性声ジャパメタが味わえるなかなかの好作です。
メロディック度・・8 正統派ジャパメタ度・・8 女性Vo度・・8 総合・・7.5 
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Seventh Heaven
「Crazy World」
関西のハードロックバンド、セブンス・ヘブンの2009年作
女性Voにシンセを含む5人編成で、2005年の1stから、4年ぶりとなる2作目。
STARLESSの堀江睦男氏をドラムに迎えた本作は、古き良き正統派のハードロックを基盤に
なかなかパワフルな女性ヴォーカルの歌声と、オルガンを含むきらびやかなシンセワークで、
TERRA ROSAから続く、関西伝統の様式美女性声HRサウンドが楽しめる。
ギターはいかにもありがちなフレーズが多いのだが、歌メロのキャッチーさとともに、
ときにプログレハード的な感触もあったりと、楽曲のバリエーションも含めて完成度は高い。
メロディアス度・・8 様式美度・・8 女性Vo度・・8 総合・・7.5


Seventh Heaven 「Till The End Of Time」
日本のメロディックメタル、セブンス・ヘブンの2016年作
2009年以来となる3作目で、前作はテラ・ローザを受け継ぐような好作品であったが、
本作ではそのTERRA ROSAの岡垣正志がシンセでゲスト参加。美麗なイントロ曲から始まり、
伸びやかな女性ヴォーカルを乗せた、様式美テイストのジャパニーズメタルが広がってゆく。
きらびやかなシンセワークと随所に流麗なギターメロディも含みつつ、ヨシエ嬢による日本語歌詞の歌声が
かつてのSTARLESSのようなキャッチーな聴き心地となっていて、オールドなジャパメタ好きはにんまりだ。
音質的な部分での自主制作感がにじみ出ているのが惜しいが、内容は充実の出来です。
メロディック度・・8 様式美度・・8 女性Vo度・・8 総合・・8
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SEVENTH SON 「Fates For Destination」
日本のプログレ・パワーメタル、セヴンス・サンの2013年作
重厚かつテクニカルなギターワークと、ハイトーンヴォーカルを乗せて疾走する、
正統派のパワーメタルスタイルに、リズムチェンジを含んだプログレッシブな展開が合わさった、
QUEENSRYCHEやFATES WARNINGなどにも通じる、90年代的な感触のプログ・パワーメタル。
甘すぎない硬派なサウンド中にも、随所にキャッチーなメロディアス性を覗かせて、
ドラマティックな世界観を描くところは、同じく日本のVIGILANTEにも通じる聴き心地だ。
派手さよりも玄人好みの構築性を追及する作風という点で、貴重な存在と言える国産バンドだろう。
ドラマティック度・・8 パワフル度・・8 重厚度・・8 総合・・8
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SEVENTH SON 「Arc of Infinity」
日本のメロディックメタル、セヴンス・サンの2016年作
2008年にデビュー、フルアルバムとしては3作目となる。ゲストにSAEKO(元Fairy Mirror)を迎えての、
優美なイントロ曲で幕を開け、メタリックなギターと日本人離れしたハイトーンヴォーカルを乗せ、
どっしりとした重厚さと適度な疾走感で、VIGILANTEあたりを正統派寄りにしたようなサウンドを描く。
今作では、曲によってはバックにうっすらとしたシンセアレンジも加えた厚みのある音作りで、
パワフルな疾走ナンバーからゆったりとした叙情ナンバーまで、ヴォーカルの確かな表現力で
じっくりと聴かせるクオリティがある。8分を超えるラスト曲は、プログレメタルな展開力も見事。
メロディック度・・7 パワフル度・・8 どっしり正統派度・・8 総合・・8
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sever black paranoia「Metasentiment」
日本のヘヴィロック、セヴァー・ブラック・パラノイアの2012年作
トランス調のきらびやかなシンセアレンジに低音デスヴォイスを乗せたサウンド。
J POP調のノーマルヴォーカルがデス声との極端なコントラストになっているが、
トランスメタルというにはやや重厚さに欠けるか。むしろポップサイドのヘヴィ・トランス化という印象だ。
6曲入りのミニであるが、これを10曲続けられたら飽きてしまう。この路線でゆくには相当のセンスが必要とされるので、
今後は核となるべきギターサウンドやリズム面でのアレンジに気を配っていって欲しい。
メロディアス度・・7 トランスメタル度・・8 モダンヘヴィ度・・7 総合・・7
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SF 「Process」
日本のロックバンド、SFの1980/1998年作
元ファーイースト・ファミリー・バンドの宮下フミオがアメリカに渡り、中島茂雄らとともに1980年に録音した音源で、
ムーグを含むスペイシーなシンセに東洋的な旋律を奏でるギター、詠唱のようなヴォーカルを乗せた
スケール感のあるサイケロックサウンド。随所に叙情的なフレーズを聴かせるギターのセンスもなかなかで、
しっかりと録音された音質の良さもあって、たんなる幻のバンドの未発曲集という以上に完成された感じがある。
美しいシンセに英語歌詞のヴォーカルを乗せたナンバーは、KING CRIMSONの「EPITAPH」思わせたり、
スペイシーなシンセを重ねたTangerine Dream風味もあったりと、今後の深化が見てみたかったと思わせる内容だ。
ドラマティック度・・8 プログレ度・・7 スペイシー度・・8 総合・・7.5
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時空海賊SEVEN SEAS「DREAMS」
日本のコスプレ・メロスピバンド、時空海賊セブンシーズの1st。2006作
メンバーのコスプレ気味のビジュアルなどから、“アキバ系メタル”ともいうべき雰囲気で
ヲタ系メロスパーたちから密かに支持されつつあるバンドのデビュー作。時空を旅する海賊というコンセプトで、
歌詞などにも物語性をもたせつつ、楽曲の方はいたってキャッチーで分かりやすいメロスピサウンド。
まるでアニソンかと思わせるほどのクサメロで歌い上げる様は、一般のメタラーにはかなり気恥ずかしいかもしれないが、
演奏はなかなかイケてるしヲタもメタルも一緒と思えるような、こだわりのないリスナーならきっと楽しめるだろう。
キャッチー度・・8 疾走度・・8 アニソンメタル度・・8 総合・・7.5
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時空海賊SEVEN SEASConfusion
日本のコスプレ・メロスピバンド、時空海賊セブンシーズの2ndミニ。2007作
アニソン風メロスピサウンドでキャッチーに疾走。ネオクラシカル風味なツインギターはなかなか心地よく、
GALNERYUSをさらに軽めにしたような雰囲気で、ライトに楽しめる。
海賊うんぬんというコンセプトが活かされているどうかはともかく、
気恥ずかしさを乗り越えればメロスピとしてのクオリティはけっこう高い。
キャッチー度・・8 疾走度・・8 アニソンメタル度・・8 総合・・7.5
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時空海賊 SEVEN SEAS「Parallel World」
アニメみたいなジャケから、てっきりヲタ系バンドかと思いきや…メロスピでした(笑)
キャッチーなメロディで元気よく疾走。まるでアニメのテーマ曲のようにポップで爽やかな歌詞は新世代のヴィジュアル系メタル…なのかしら。
かつてのX JAPANをうんと軽くした感じ…ということでVRAINなど昨今のポップ・メタルが好きな方なら聴いても損はないかも。
インスト3曲を含め全9曲で28分…確かにこれ以上聴いたら恥ずかしくなりそう。
クラシカルなフレーズを奏でるギターや、シンセワークなども意外と質は高いけど。
メロディアス度・・8 ポップ度・・8 メタル度・・6 総合・・7.5
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時空海賊SEVEN SEASImagination
日本のコスプレ&アキバ系メロスピバンドの2008年作
毎回30分前後のミニアルバム的な作品ながら、なかなか質は高くてクサいメロディで疾走しまくる、
聴いていてちょっと恥ずかしいこのバンド。今作もファンタジーRPGのような壮麗なイントロから始まって、
日本語歌詞によるアニメ主題歌のような軽めのメロスピサウンドで疾走だ。
テクニック的にはしっかりとしている演奏陣は、同人以上プロ未満という
昨今のボーダーレス化が激しいアキバ系メタルの中でもけっこう上位の方だろう。
日本語OKなアニソン好きメロスパーにはまさにど真ん中。僕的にはやっぱり赤面ですが…
メロディアス度・・8 疾走度・・8 アキバ度・・9 総合・・7.5
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SHADOW
日本のメロデスバンド、シャドウの2001年作
煽情的なツインギターのメロディで聴かせる、IN FLAMESタイプの高品質メロデス。
デス声で歌うのはなんと女性Voで、ARCH ENEMYのアンジェラ嬢ばりの強烈な咆哮がなかなか見事だ。
海外レーベルと契約したこともあって、サウンドのクオリティは日本のバンドと思えないくらいに高い。
ギタリストのセンスも良く、AT THE GATES的なリフも出てきたりして、オールドメロデス好きなら文句なく楽しめる。
メロディアス度・・8 暴虐度・・7 オールドメロデス度・・8 総合・・8
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SHADOW「Forever Chaos」
日本のメロデスバンド、シャドウの2nd。2008作
海外レーベルからデビューした彼らの1stは、日本産としては本格的なメロデスサウンドで、
素晴らしい内容のアルバムだったが、7年ぶりとなる本作でも変わらぬ姿を見せてくれた。
トレードマークである嶋本斎子嬢のデスヴォイスは、ARCH ENEMYのアンジェラ嬢ばりに強烈で、
ネオクラシカル風味のテクニカルなギターとともに疾走する。ただ初期メロデスラッシュ路線だった
前作に比べると、モダンなエクストリームメタル的なアプローチが増していて、リフの魅力や
叙情性の点では若干物足りない感じもする。とはいえ国産のバンドでこれほど質の高いバンドは
数えるほどしかいないので、今後とも頑張っていってもらいたい。
メロディアス度・・7 暴虐度・・7 新鮮度・・7 総合・・8
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新月
日本のプログレバンド、新月の1979年作
日本のプログレ史上に輝く伝説的なバンドの唯一の公式アルバム。GENESISルーツの物語性を「和」に置き換えて独自に昇華したというべき、
このバンドの世界観は、1曲めの名曲“鬼”からして、シアトリカルな歌詞を含んだ北山真の歌声とともに、強固なる幻想美を作り上げている。
随所にメロウな旋律を聴かせる津田氏のギターに、絶妙のセンスで楽曲を彩る花本氏の優美なシンセとオルガン、
メンバー全員が同じ夢を見ることで形成される濃密な世界…それこそがこのバンドの最大の魅力なのだと再認識できる。
ドラマティック度・・8 プログレ度・・8 幻想度・・9 総合・・9
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新月「ライブ1979/Live 25.26 july 1979,ABC kaikan hall Tokyo」
日本のシンフォニックロックバンド、新月のライブアルバム。2004年作
かつて「赤い目の鏡」というタイトルで出回っていた1979年のライブ公式音源がCD化された。
オーディエンス録音だった「赤い目〜」に比べ、こちらはミキサーを通した録音なので音質もだいぶ良くなり
1曲めの“鬼”からしてもうサウンドの迫力が違う。とくにドラムの細かな演奏が聞こえるようになったのが嬉しい。
こうして聴くと、改めてこのバンドのライブでの演奏の素晴らしさ…曲の雰囲気を伝えるシアトリカルさが分かるし
日本的な叙情をGENESIS風のシンフォニックロックで表現していたその個性は、今なお際立って聞こえる。
収録曲、曲順も「赤い目〜」とは若干異なるので、新しい発掘音源として新月ファンならとても楽しめるだろう。
ライブ演奏・・8 音質・・7 新月好きならゲット!度・・9 総合・・8
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新月新●月●全●史」
日本の伝説のシンフォニックロックバンド、新月の限定BOX。2005作
新月の結成前後の裏話やメンバー秘話、フォト満載の豪華ブックレットにCD5枚+DVDという6枚組み
*Disc1は唯一正式リリースされたアルバムであるファーストのリマスター音源。
本BOXを買う方ならすでに聴かれているだろうが、音質も格段に向上していて聴き直す価値はある。
*Disc2は、新曲のインスト曲を含め、これまでライブ音源などでしか聴けなかった未発曲を2005年に新たにレコーディングしたもの。
*Disc3はファーストアルバムの貴重なアウトテイクス、スタジオデモ等を収録。デモ段階の“鬼”がカッコよく、
“不意の旅立ち”のレコーディングバージョンや、それにつながる寸劇「タケシ」などの貴重なものも聴ける。
*Disc4は新月の母体となったHALとセレナーデのライブやデモ音源を収録。HALの音源を聴くのはこれが初めて。
1976年の当時のライブ録音なので音質はさほどよくはないが、若さと情熱に満ちた熱気が演奏を通じて伝わってくる。
鳴り響くハモンドで突進するようにたたみかけるサウンドは、新月のイメージよりはもっとヘヴィで、ELP的な勢いとPFMあたりを思わせる
メロディアスな部分とが合わさった独特の雰囲気だ。10分を超える曲ではときにサイケで混沌とした雰囲気にもなり、今聴いても引き込まれるパワーがある。
一方のSerenadeは、北山真の歌声もあってか、こちらはぐっと新月っぽい。花本彰の作るナイーブで叙情的なメロディが耳に優しく、
デモとはいえ楽曲のクオリティは高い。これらを聴いて思うのは、正規アルバムの新月は氷山の一角だったのだ。
整った音源以外にこれほどの才能の爆発と燃焼が存在していたのだと、音楽の芸術と若き力とにあらためて感心するしだいである。
* Disc5のその他のセッションでは、劇団インカ帝国の戯曲用に書かれた曲と、新月晩年の未発曲を収録。
それに変わったところでは広島県東部美容専門学校校歌として作られた曲を、なんと上野洋子が歌っている!
そしてDVDでは1979年のプロモーション映像と、2005年のリハ風景を収録していて、当時、新月というバンドが表現しようとしていたものが、
映像とともに再確認できる。合計しても20分に満たないものだが、Voの北山氏の衣装や動く姿が見られるのは貴重だ。
新月というバンドを愛する者にとっては、これはとんでもなく豪華な、まさに一生もののBOXであろう。
歴史的価値度・・10 新月の全貌が分かる度・・10 価格・・7 総合・・9
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新月「遠き星より」
日本のプログレバンド、新●月の2016年作
当時、1stに続く2作目として書かれた楽曲を2005年に録音し、今回新たなアレンジとヴォーカルテイクを加えて、
ジャケも一新しての紙ジャケSHM-CD盤。2パートに分かれた20分に及ぶ大曲、「殺意への船出」から
花本氏の美麗なシンセアレンジにうっとりとなる。津田氏のメロウなギターに、北山氏のマイルドな歌声は、
かつてのようなウェットな雰囲気で、まさに往年の新月を蘇らせたような叙情的な世界観が広がる。
メロトロンにオルガンといったヴィンテージなシンセを使ったやわらかな感触と、日本語歌詞による物語的な幻想性で、
シンフォニックな美意識に包まれたサウンドが素晴らしい。しっとりと聴かせる「赤い目の鏡」、
当時のスタジオデモを収録した「不意の旅立ち」も瑞々しく、続く牧歌的な「島へ帰ろう」で締めくくる。
かつてのボックスセットを聴いている方にも、新たなバージョンとして楽しめる内容だろう。
ドラマティック度・・8 叙情度・・8 新月度・・9 総合・・8 
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Shinsekai
日本のプログレユニット、新世界の1st。2005作
昨今は同人音楽におけるプログレ方面のアプローチが盛んであるようだが、
このバンドもFragile Onlineという音楽会社…要はサークル?…を母体にして作られた。
サウンドの方は70'sプログレへのオマージュ的な部分が強く、初期のクリムゾンを思わせるヘヴィシンフォニックが炸裂。
ギターといいドラムとといい、テクニック的には同人レベルは軽く超えており、使用されているのは本物のメロトロンというこだわりよう。
なんと日本最後のソノシート付きという、大型特殊ジャケが置き場に困る…(笑)
シンフォニック度・・7 クリムゾン度・・8 いわゆる“プログレ愛”度・・9 総合・・7.5
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新世界「Alice Through the Looking Glass」
フラジャイル・オンラインの下田祐氏による、プログレリバイバル作品の2作目。2006作
前作は初期クリムゾン好きにはたまらない、メロトロンたっぷりの作品であったが
「鏡の国のアリス」と題された本作では、さらに確信犯的プログレヲタク道を究めている。
参加メンバーには、後藤マスヒロ(人間椅子〜GERARD〜TRITON)、壺井彰久(KBB)に加え
内核の波金属恵比須、同人サークルDemetoriからと多岐に渡り、
さらには杉並児童合唱団を加えてのJ.A.シーザー(ウテナ決闘曲)もどきも炸裂している。
曲名もそのままの“大好きFOCUS”では日本で唯一というプロのヨーデル歌手を招聘、
そうかと思えば、テルミンやオンド・マルトノの奏者なんていう方もいたりする。
ラストはメロトロンによる“君が代”のソロ演奏まであり、まさにマニアックすぎる内容である。
このパロディ一歩手前の作品を、ただの大人の本気遊びとして笑い飛ばすこともできようが、
それにしてはハンパでないこだわりとプログレへの愛が感じられ、総じて異様にクオリティが高い。
「帰って来たプログレ」が、ケンソーの「さよならプログレ」のパロディだとわかるくらいの方は必聴(笑)
マニアプログレ度・・9 ヲタクプログレ度・・10 オリジナル度・・5 総合・・8
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Shiver of Frontier 「Can You See The World?」
日本のメロディックメタル、シヴァー・オブ・フロンティアの2019年作
2016年にデビューし、フルアルバムとしては2作目となる。シンフォニックなイントロナンバーから始まり、
ツインギターにハイトーンヴォーカルを乗せて疾走する、壮麗なメロディック・スピードメタルを聴かせる。
日本語歌詞の歌声には古き良きロマンの香りを感じさせ、どことなく、かつてのNOVELAの五十嵐氏を思わせる、
ほんのり恥ずかしいところがとても日本的。叙情的なツインギターのフレーズや随所に存在感を見せるベースなど、
演奏力もしっかりしていて、クサメロを奏でつつも、さほどB級っぽくはならないキャッチーな味わいに包まれている。
キーの高いハイトーンヴォーカルとともに、ノヴェラをシンフォニックメタル化したようなナンバーもあったりと、
優美で壮麗なサウンドが楽しめる。疾走メロスピと華麗なシンフォニックハードが同居したような力作です。
メロディック度・・8 疾走度・・8 華麗度・・9 総合・・8
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静かの海
新月の北山真、花本彰によるユニット、しずかのうみの2019年作
オルガンやメロトロンを含むやわらかなシンセに、北山氏の独特の歌声を乗せて、優しい日本語歌詞とともに、
昭和のロマンをかもしだしてゆく。新月のギターである、津田治彦も参加していて、随所にメロウなギターを聴かせる。
ピアノとアコースティックギターをバックにした繊細なナンバーなども、味わいあるヴォーカルが独自の空気を描いていて、
サステインの効いたギターのトーンやメロトロンの音色とともに、かつての新月の幻想的な世界観が甦るようだ。
全体的には、プログレというよりは、北山真のソロにも通じる、昭和の歌もの感に包まれたサウンドであるが、
花本氏のキーボードと北山氏の歌声というだけで、往年のファンにはたまらないだろう。
40年の歳月をへて、新●月の空気をそっと甦らせたという、宝物のようなアルバムです。
ドラマティック度・8 プログレ度・7 新月度・8 総合・8
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SHUSEI'S PROJECT 「Same Dreamer」
日本のシンセ奏者、塚本周成のプロジェクトユニットの2017年作
OUTER LIMITSVIENNAのシンセ奏者であり、GAKTの楽曲提供などでも活躍するミュージシャンで、
ギターにはアウター・リミッツの荒牧隆、ベースには永井敏巳、ドラムには菅沼孝三が参加、
さらにはヴァイオリンに藤本美樹、ヴォーカルには相馬優 雅絢恵という声優女子が参加している。
しっとりとしたピアノにヴァイオリンが重なり、美しい女性ヴォーカルを乗せた幻想的な小曲で幕を開け、
続く2曲目はムーグシンセによるプログレ的な味わいと、ギターにヴァイオリンが重なるインストナンバーで、
スリリングなアンサンブルはさすがのリズム隊である。ヴォーカル曲に関しては、プログレというよりは、
どうしてもゲームやアニメ的な雰囲気が漂うのだが、インストパートを挟むことでいい味わいになっている。
弾きまくることはしない繊細なシンセワークよりも、ときにヴァイオリンが目立っているのも人柄を感じさせる。
ドラマティック度・・7 プログレ度・・7 むしろヴァイオリン度・・8 総合・・8
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Shusei's Project 「To The New World」
日本のシンセ奏者、塚本周成のプロジェクト。2019年作
OUTER LIMITS、VIENNAのシンセ奏者で、2017年に続く2作目。前作に続き、ギターには荒牧隆、ベースには永井敏巳、
ドラムには菅沼孝三、ヴァイオリンに藤本美樹、ヴォーカルは、相馬優 雅絢恵という女性声優が前作から続き参加。
ほどよくハードなギターにプログレらしいシンセアレンジ、コケティッシュな女性ヴォーカルの歌声にヴァイオリンも鳴り響く、
クリムゾン風のスリリングなナンバーから、ゆるやかなヴァイオリンとピアノの旋律に美しい女性ヴォーカルを乗せた、
しっとりと優雅な歌ものナンバーも耳心地よく、かつてのアウター・リミッツ的でもあるロマンの香りに包まれる。
オペラティックなコーラスも重なる壮麗な雰囲気やコンセプト的な流れで、前作に以上にドラマティックなシンフォプログレが楽しめる。
ドラマティック度・8 プログレ度・8 優雅度・9 総合・8 
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SIDE STEPS 「OUT AND OUT」
日本のフュージョン・プログレ、サイド・ステップスの1998年作
ギター、ベース、シンセ、ドラムの4人編成で、叙情的なギターにきらびやかなシンセを重ね、
軽やかなアンサンブルとともに、インストによる優雅なプログレ・フュージョンサウンドを聴かせる。
美しいシンセワークと、ときにアラン・ホールズワースやヤン・アッカーマンばりのメロウなギターによる、
シンフォニックな味わいもあって、ほどよいテクニカル性とともに、わりとメロディックな感触で楽しめる。
10分近い大曲も多く、オールインストなので、どうしてもBGMになりがちではあるが、
軽妙かつ優美な耳心地で、プログレ寄りのフュージョンロックが味わえる逸品です。
メロディック度・8 プログレ度・7 優雅度・9 総合・8
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SIDE STEPS 「Verge of Reality」
日本のフュージョン・プログレ、サイド・ステップスの2005年作
5作目となる本作は、巧みなベースに美しいエレピを乗せた、軽やかなアンサンブルで
大人のジャズロック的な雰囲気を強めている。ギターの旋律も、技巧的ながらあくまで軽妙、
シンセの音色もプログレ寄りなので、ジャズロック初心者でも優雅なサウンドに聴き入れる。
ドラムを含めたリズム面での演奏力も上がっていて、インストサウンドの説得力とともに、
バンドとしての実力は、KENSOなどにも引けを取らないだろう。泣きのギターによる叙情美に
シンフォプログレ的なシンセの美しさで、耳心地よく楽しめるプログ・フュージョンの好作品。
メロディック度・8 プログレ度・7 優雅度・9 総合・8
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SIGH「Scorn Defeat」
日本のプログレッシブ・ブラックメタルバンド、サイの1st。1993年作
鬼才、川嶋未来率いる芸術的なブラックメタルバンドのデビュー作で、再発により何度かジャケが変更されている。
サウンドの方は、イーヴルながなり声ヴォーカルと、ドゥーミィなギターリフで聴かせる妖しげなもので、随所に日本的な土着的な叙情性や、
アヴァンギャルドな展開を盛り込んで、すでに充分個性的である。シンセアレンジなどにはクラシカルな美意識も感じられ
おどろおどろしさの中にも毒々しい美しさを描こうとするようなバンドのコンセプトが伝わって来る。
日本が誇る特異点的なメタルバンドの生まれ出た瞬間がここにある。ボーナスに1992年と、1994年のEPを計5曲収録。
2CD盤には、未発曲やデモ、VENON、MAYHEMのカヴァーなどを収録していて興味深い。
暗黒叙情度・・8 暴虐度・・7 アヴァンギャル度・・8 総合・・8
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SIGH「INFIDEL ART」
日本のブラックメタルバンド、サイの2nd。1995年作
アヴァンギャルドなプログレッシブ・ブラックメタルサウンドを標榜している彼らだが、
浮世絵風のジャケも秀逸な本作では、疾走感のあるわりと正統派のブラックメタルを聴かせる。
演奏の粗さや録音の弱さはあるが、90年代から日本産のブラックメタルサウンドを打ち立て、
そこに知的なセンスと日本的な美意識を持ち込んだスタイルは他に類を見ない個性的なものだ。
三人組みでありながら、バックにはシンセによる美麗な味付けがされているのも見逃せない。
3rd以降からプログレ/アヴァンギャルドさを増してゆくバンドの、初期の勢いの良さが聴ける逸品である。
メロディアス度・・8 暴虐度・・7 日本度・・8 総合・・8
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SIGH 「Hail Horror Hail 恐怖万歳」
日本のプログレッシブ・ブラックメタル、サイの1997年作
3作目となる本作は、叙情的なギターのフレーズで幕を開け、ダミ声ヴォーカルを乗せつつもメロディックな聴き心地で
オルガンを含むシンセや変拍子リズムなど、プログレッシブなアレンジがより顕著に現れている。
唐突なオーケストレーションなど、次作以降につながる、優雅なアヴァンギャルド性も当時は新鮮だった。
随所に日本語歌詞を取り入れた、怪しいドゥーミィなナンバーなど、激しさにとらわれないサウンドと
妖怪じみたおどろおどろしい世界観は、日本産ブラックメタルの新たな可能性を提示している。
ドラマティック度・8 暴虐度・5 アヴァンギャル度・8 総合・8
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SIGH 「Scenario IV: Dread Dreams」
日本のブラックメタル、サイの4th。1999年作
前作「Hail Horror Hail (恐怖万歳)」の路線をさらに推し進め、ミドルテンポを主体にしたどっしりとした作風の中に、
効果的な変拍子やときに美しいシンセアレンジを取り入れて、怪しくもメロディアスな聴き心地を描き出す。
随所に日本語歌詞による怨念めいた歌声も含ませるなど、妖怪や怨霊など和のイメージを感じさせる作風は
演奏面での向上とともに見事に結実したといってよいだろう。唐突なSEなどのアヴァンギャルドな要素も、
スリリングな流れを生み出していて、楽曲面での細やかなアレンジが世界観に追いついたという感じもある。
三人編成時期での最高作だろう。2013年の再発盤はデモや未発曲を収録したボーナスDisc付き2CDとなっている。
ドラマティック度・・8 アヴァンギャル度・・8 和風ブラック度・・8 総合・・8
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SIGH「IMAGINARY SONICSCAPE」
日本が誇るプログレ・ブラックメタルバンドサイの5th。2001年作
最高傑作となった前作「Scenario IV: Dread Dreams」に引き続き、今作も内容は充実である。
まず録音クオリティが上がった。ギターリフにしろ曲展開にしろ、相変わらず非常に聴きやすく、とてもメロディアス。
前作よりもキーボードのアレンジに気を配っている印象。また、何本か重ねられたギターリフは非常に緻密。
お約束の唐突なキーボード、ピアノパートも健在。場面展開の極端さによりプログレ度を増す手法だ。
もはやデスでもブラックでもないが、彼らの描く音の個性は確実に強まり、浮遊し、存在している。
メロディアス度・・8 プログレ度・・8 アヴァンギャル度・・8 総合・・8
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SIGH「GALLOWS GALLERY」
日本のプログレッシブ・ブラックメタルバンド、サイの6th。2005年作
日本的な美意識とともに独自のプログレッシブな感性を取り入れ、知的なアヴァンギャルド性を盛り込んだ
彼らの世界観はまったく唯一無二のものであると思うのだが、まだまだ日本での知名度はいま一つ。
本作のサウンドだが、ジャケのイメージほどにはダークではなく、ヴォーカルもノーマル声がメインで、
ゲストによるサックスの使用など、ジャンルを超えたプログレッシブなマインドを匂わせている。
相変わらず素晴らしいのが、キーボードによる美しいオーケストレイションや、曲中でのSEなどで、
その唐突とも思える使用法、楽曲アレンジの方法論はむしろ演劇的でもあり、じつに耳に刺激的だ。
また壮大でクラシカルなまるでサントラ風のパートもあり、ややレトロなオルガンの音色や
サンプリングによる混声コーラスなど、今まで以上に多彩な楽曲が聴ける。全体のアートな雰囲気は
SOLEFALDあたりにも近づいたかという印象だ。日本の至宝SIGHをより多くの人々に聴いて欲しいと思う。
リマスター再発盤は音質も向上し、ボーナスにデモや別バージョン等を収録。
メロディアス度・・8 プログレッシブマイン度・・9 芸術度・・9 総合・・8
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SIGH「HANGMAN'S HYMN」
日本が誇るアート・ブラックメタルバンド、サイの7th。2007作
今作は「音楽による葬式」と題されたコンセプト的な作風で、
2ndの頃にあったシンフォニックブラックとしての疾走感を取り戻したサウンドになっている。
ライナーにもある通り、バンドのブレインである川嶋未来の語る現在世界の歪みや飽くことなき人間の欲望や
愚かさに対する怒りや悲しみが音の中に溢れておりスラッシュメタル的なリフとクラシックの交響曲を思わせるオーケストラルなアレンジが一体となり、
全編が激しく、そして美しいサウンドを追求しているかのようだ。ここ数作での多様な作風からはむしろシンプルにも感じられるが、
初めて彼らの音に触れる若いリスナーにはむしろ自然に受け入れられるかもしれない。
メロディアス度・・7 疾走度・・8 プログレ度・・7 総合・・8
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SIGH「Scenes From Hell」
日本のプログレッシブ・ブラックメタルバンド、サイの2010年作
デビュー作から17年間、日本的なおどろおどろしさを独自のブラックメタルに溶け込ませ
彼らにしか作れない異形の音楽を生み出し続けてきたこのバンド。これが8作目となる。
本作でもクラシカルなオーケストレーションに濃密な闇の香りを漂わせて
ジャケのような地獄の絵画を思わせる、芸術的なまでのサウンドを描き出している。
前作「HANGMAN'S HYMN」での暴虐な突進力に、アヴァンギャルドな美意識を融合させ
いわば黙示録のような荘厳な暗黒性を、生々しい音で構築しているという印象だ。
紅一点Dr.Mikannibal嬢のサックスに加え、ゲストによるストリングスカルテットをはじめとして、
フルート、トランペット、トロンボーンなどがすべて生音である点も作品の説得力を高めている。
ドラマティック度・・8 暗黒度・・8 アヴァンギャル度・・8 総合・・8
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SIGHIn Somniphobia
日本のアヴァンギャルド・・ブラックメタル、サイの2012年作
すでにデビューから20年。異才、川嶋未来率いるこのバンドも本作が9作目となる。
本作ではのっけからメロディックなギターと絶叫ヴォーカルを乗せてメロスピばりに疾走、
クラシカルなストリングスにオルガン、ムーグなどのレトロなシンセを含んだプログレッシブなアレンジも冴えを見せ、
Dr.Mikannibal嬢のコーラスやサックスなどもサウンドに優雅な聴き心地を加えている。
古き良きロックのアナログ感覚を、混沌とした芸術作品に仕立てたというような雰囲気もありつつ、
ジャズやクラシック、さらには民俗要素までを取り込む川嶋氏のアーティストとしての器の大きさには敬服する。
もはやブラックメタル云々のジャンルを超えた唯一無二のアヴァンメタルというべきだろう。
まさに日本の至宝。プログレファンにもぜひ聴いてほしい異色の傑作です!
メロディアス度・・8 プログレッシブ度・・9 カオスな芸術度・・10 総合・・9
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SIGH 「Scorn Defeat 20th Anniversary Gig」
日本のアヴァン・ブラックメタル、サイのライブ作品。2013年作
1993年のデビューアルバムの20周年を記念して行われた2013年の東京でのライブを収録。
イントロに続いていきなりVENOMのカヴァーというのは意表を突かれるが、川嶋氏の自身のルーツへのオマージュだろう。
続く1stからのナンバーも、当時と同じく3人編成主体のスタイルで、80〜90年代の演奏と言われれば信じてしまいそう。
音質はややラウドでブートレグ程度なのだが、むしろ会場の生々しい空気感が伝わってくるし、
疾走する激しいパートを含みつつ、ドゥーミィなスローパートとともにおどろおどろしい世界観を描くバンドの個性は、
ライブにおいても十分に発揮されている。しかし、VENOMのカヴァー4曲は、ちょっと多すぎな気もする。笑
ライブ演奏・・8 音質・・6 往年の空気度・・9 総合・・8
 
Sigh 「Graveward」
日本のプログレッシブ・ブラックメタル、サイの2015年作
1993年にアルバムデビュー、異才、川嶋未来率いるバンドの10作目となる。
いつもながらの生々しい音質で、オールドなスラッシュメタル風味も感じさせるギターリフに
オーケストラルなアレンジを加え、おどろおどろしくも優雅なセンスを合わせたサウンドは、
相変わらずこのバンドならではの独自の感触である。川嶋氏のダミ声ヴォーカルに加え、
ときに紅一点、ミカンニバル嬢の歌声も入ってきて、随所に変則リズムや唐突な展開も含んだ、
妖しくエキセントリックな世界が広がってゆく。ブラックというには激しさはさほどではないが、
濃密な仰々しさとアヴァンギャルドな感性が交差する、シンフォニックなダークメタルともいえる力作。
ドラマティック度・・8 プログレッシブ度・・8 アヴァンギャル度・・8 総合・・8
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SIGH 「Heir to Despair」
日本のプログレッシブ・ブラックメタル、サイの2018年作
1993年にデビュー、いまや日本が誇るプログレッシブ・ブラックの代表バンド。本作は11作目で、
ジャケのナチュラルな不気味さも相当だが、オールドな感触のギターリフにフルートも鳴り響き、
サイケな浮遊感に三味線などの旋律も含んだ1曲目から、独自のセンスが炸裂している。
今作では、日本語歌詞をメインにした曲が多く、怨念めいた和風の土着感を溶け込ませた、
アヴァンギャルドな空気感とともに、激しいパートからの唐突なリズムチェンジなど緩急ある作風で、
奇妙なサイケ・ブラックが楽しめる。中盤のエレクトロなナンバーも含めて、安定のやりすぎ感です。
ドラマティック度・7 暗黒度・7 アヴァンギャル度・8 総合・8
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SincerityGreen「THE OCEAN OF DREAMS」
日本のゴシックメタルバンド、シンセリティ・グリーンの2009年作
女性5人に男性1人という編成で、東京を中心に活動するゴシックメタルバンド。
待望の1stフルアルバムは、期待通りのシンフォニックかつ耽美なゴシックサウンドだ。
Michi嬢のオペラティックなソプラノヴォーカルを中心に、シンセ奏者Miseana嬢の
美麗なシンセワークと、ときに女性とは思えぬデスヴォイスも絡めた楽曲は、
艶やかなヴァイオリンの音色などとともに優美で幻想的な世界観を描き出す。
楽曲面でバンドを支えるMark氏のギターは、女性たちの演奏の中でソリッドな存在感を聴かせ、
サウンドに綺麗なだけではない重厚さも付加している。ドラムなどの録音面での弱さは
いくぶん感じるが、日本産の本格派ゴシックメタルバンドとして世界に発信するに足る作品だ。
シンフォニック度・・8 ゴシック度・・8 女性Vo度・・8 総合・・7.5
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SOCIAL TENSION「IT REMAINS ME OF MACBETHIA」
日本のプログレバンド、ソシアル・テンションの1989/90年作
1889年作「マクベシア組曲」、1990年作「リメインズ」と2枚のアルバムを残した
日本のキーボードプログレバンド、本作はその2作を合わせた、フランスMUSEAからの再発版。
エマーソンに影響されたとおぼしき、オルガンにムーグシンセをたっぷりと使ったキーボードロックで、
お世辞にも上手いとはいえないヴォーカルに耐えられたならば、ドラマティックな鍵盤プログレが楽しめる。
80年代に最盛期を迎えていた、いかにもジャパニーズプログレらしいロマン溢れる雰囲気の詰まった好作品だ。
メロディアス度・・8 キーボー度・・9 歌はアレですが度・・9 総合・・7.5
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SOLA (空) Lars Hollmer's Global home Project
サムラ・ママス・マンナのアコーディオン奏者、ラーシュ・ホルメルを中心にしたユニット、ソラの2002年作
清水一登、吉田達也、向島ゆり子、大熊ワタル、坂本弘道といった実力派ミュージシャンたちが参加、
変則リズムの上をアコーディオンやヴァイオリンの音色が乱舞するテクニカルな演奏で、
やはりどことなくメロディには北欧の土着的な感触がある。かつてのサムラ的な変態性もあるが、
さすがに日本のミュージシャンというべきかアヴァンギャルドな雰囲気の中にも整合性がある、ある意味きれいなサウンドで
メロディカやヴァイオリンによる優しい曲などもあり、なかなか和めるのが良い。
メロディアス度・・7 テクニカル度・・8 アヴァンギャル度・・7 総合・・8
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SOLITUDEBRAVE THE STORM
日本のメタルバンド、ソリチュードの2009年作
2001年のミニアルバムから、8年ぶりとなる1stフルアルバムで、
古き良き正統派のギターリフと、かすれ気味のヴォーカルで聴かせるサウンドは
80〜90年代のヘヴィメタルを受け継ぐパワフルな作風で、オールドメタラーには嬉しいだろう。
随所にメロディックなギターフレーズで泣きを表現するのがやはり日本のバンド的で
全体的にはミドルテンポ主体ながら、ドラマティックな味わいが楽しめる好作である。
ドラマティック度・・8 パワフル度・・8 正統派度・・8 総合・・8
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SOPHIA
日本のプログレハードロックバンド、ソフィアの1986年作
90年代にも同名のバンドがいたが、こちらはノヴェラのコピーバンドからスタートした
いわばJAP'Sプログレ側のソフィア。ハイトーンのヴォーカルにキャッチーなメロディ、
エフェクトのかかったドラムとともに、ニューウェーヴがかったポップ性に包まれたサウンドは
いかにも80年代的なモダンさを感じさせる。後のヴィジュアル系バンドに通じるような雰囲気もあり、
ヴォーカルの歌声も含めて、X JAPANなどにも重なるメロディの感触も随所に覗かせる。
プログレというには違いますが、メロディアスなハードロックとして普通に楽しめる好作です。
メロディアス度・・8 プログレ度・・7 モダン度・・8 総合・・8
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SOUNDWITCHGROTESCA」
大阪を拠点とするバンド、サウンドウィッチの2010年作
女性ヴォーカルの歌声で聴かせるトランス色もあるヘヴィロックで、
モダンなヘヴィさの中にスペイシーな質感を取り入れた個性的なサウンド。
グルーヴィな演奏とシンセによるデジタルなアレンジが合わさって、独特の浮遊感とともにダンサブルなノリを生み出している。
妖艶な女性Voに耳を傾けると、インダストリアル系ゴシックとしても楽しめる。
ヘヴィロック度・・7 トランスロック度・・8 女性Vo度・・8 総合・・8
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SPACE CIRCUS「FUNKY CARAVAN」
日本のプログレ・ジャズロックバンド、スペース・サーカスの1st。1978作
サウンドの方はややシンフォニック寄りになった2nd「Fantastic Arrival」に比べ、
やはりフュージョン・ジャズロック的な質感が強く、手数の多いタイトなドラムに、
チョッパーの効いたベースを土台にした適度にテクニカルな演奏が光る。
フュージョン的なギターフレーズのバックに、さり気ないシンセワークもセンスがいい。
ほとんどスタジオライブのような録音で仕上げたというように、バンドとしての当時の勢いが音に感じられる作品だ。
ボーナストラックには1976年の貴重なライブテイクを2曲収録。
メロディアス度・・8 テクニカル度・・8 フュージョンロック度・・8 総合・・8
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SPACE CIRCUS「FANTASTIC ARRIVAL」
日本のプログレ・ジャズロックバンド、スペース・サーカスの2nd。1979作
軽快なリズムの上を、ギターが分かりやすいメロディを奏でるのはフュージョン的ながら、
シンフォニックでスペイシーなキーボードワークに、うねりの効いたベースサウンド、
キレの良いドラムが合わさり、テクニカルなプログレ・ジャズロックとしても楽しめる。
オールインストながら、演奏技術とメロディの質がきわめて高いので、とても聴きやすく、
日本人らしからぬ解放感をともなったサウンドは、79年という時代的に見ても素晴らしいクオリティ。
3曲目などでは美しいヴァイオリンも顔を出し、シンフォニックロック的にも聴きどころは多く、
10分を超える2曲の大曲も見事。ボーナストラックには1979年の貴重なリハ音源を2曲収録。
メロディアス度・・8 テクニカル度・・8 フュージョンロック度・・8 総合・・8.5
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STARLESS「銀の翼
日本のプログレ・ハードロックバンド、スターレスの1st。1985年作
このバンドを一言で言うと、シンフォニック性のあるハードロックに歌謡曲のキャッチーさを合わせたサウンドで、
歌謡曲的なポップさを堪能できつつ、しかもハードロックでプログレという、意外とありそうでない方向性なのです。
ノヴェラとも少し違う。こちらの方が女性ヴォーカルの分だけロマンティシズムの情感、情念が強いのです。
とくにライブ作「UNPUBLISHED LIVE SERECTION」のより激しい情感を感じるジュラの歌声が好きですねえ。
メロディアス度・・8 プログレハード度・・7 歌謡HR度・・9 総合・・8
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STARLESSUnpublished Live Selection 1984-1988」
日本のプログレハードロックバンド、スターレスのライブアルバム。1991年作
1st「銀の翼」は日本の女性Voはプログレハードとしては伝説的な作品となったが、
個人的にはむしろ本ライブアルバムでのジュラの歌声に大いにしびれたものだ。
アルバム未収録の“Change Me Into The Wind”、“To The South”といったキャッチーさと
もの悲しい叙情のバランスが素晴らしい佳曲は、情感のある彼女の歌あってのもの。
のちにミニアルバムにて再録される“Waitn' In Vain”の疾走する格好よさ、
そして感動的なバラードの名曲“Wish”と、このバンドの魅力がたっぷり詰まった1枚だ。
メロディアス度・・8 ライブ演奏度・・8 女性Vo度・・9 総合・・8
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STARLESS「SONG OF SILENCE」
日本のプログレハードロックバンド、スターレスの2nd。1992年作
1st「銀の翼」は天野喜孝のジャケのインパクトもあって傑作として知られているが、
この2ndの出来も捨てがたい。メンバーは大久保寿太郎と中川隆雄を除いて入れ代わり、
Voもジュラに代わって峯松真由美嬢が歌っている。サウンドは1stに比べてより濃密になり、6分、7分という
聴きごたえのある長さの曲の中で、彼ららしいキャッチーなメロディが光っている。
Voの声質がやや歌謡寄りなこともあり、1stのファンからの評価は高くないようだが、
Fなどポップな楽曲における可愛らしさは彼女ならではのものだし、個人的には全然OK。
中川氏の泣きのギターも1st以上に楽しめ、むしろアルバムとしての密度はこちらが上かもしれない。
メロディアス度・・8 プログレハー度・・8 女性Vo度・・8 総合・・8
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STARLESS「Wish」
日本のプログレハードロックバンド、スターレスのミニアルバム1993年作
1992年に再結成したバンドが、2nd「ソング・オブ・サイレンス」に続いて発表した4曲入りのミニアルバム。
「アンパブリッシュド・ライブ・セレクション」にも収録されていた“Change Me Into The Wind”は
峯松真由美の伸びやかな歌声とともに、ライブ版とはまた違ったキャッチーな聴き心地。
続く“Waitn' In Vain”のきらびやかな疾走感とメロディアス性は、個人的にもとても好きで、
スターレス最高の名曲と言ってしまいたい。歌謡ロック的な聴き心地の“誰かの背中”、
そして、Part1、2に分かれたタイトル曲“Wish”はしっとりとした泣きの叙情にうっとりです。
メロディアス度・・8 キャッチー度・・8 女性Vo度・・8 総合・・8
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STARLESS「ORIGINAL STARLESS LIVE 1986」
かつて関西プログレハードの雄として活躍したスターレスのDVD。2004作
配給はプログレイベント団体P.R.R。メディアはDVD-Rなのでほぼ自主制作盤。
1986年(!)大阪梅田キャンディーホールでのライブ映像を収録。1st「銀の翼」の頃の演奏が見られるだけでも嬉しいのだが、
カメラは固定だし映像も古ぼけていて一般の人々や興味本位の方にはまずお薦めできる代物ではない。
ただ、私にとっては日本的な歌謡曲風の歌メロをキーボード入りのシンフォニックな
ハードロックサウンドに載せた彼らのスタイルには、当時アルバムを聴いてひどく共感を覚えたし
むしろNOVELA以上に日本プログレハードの素晴らしさを教えてくれたバンドであるので、
こうした発掘作品は素直に嬉しく思う。曲の方は1stのものを中心に、未発表曲やドラムソロなどもあり、
今で言う陰陽座にも近い、キャッチーさとハードロックの融合をなしえた演奏を聴かせてくれる
ただ、カメラとライトのせいでVo(ジュラ)と時折歌をとるG以外はなかなか目立たず
お客の反応も、いかにもプログレファンらしく、まったく微動だにしないのが奇妙な感じ。
私的には「WAITIN' IN VAIN」と「WISH」が聴けるだけでもう満足なのですが…。
映像・・5 音質・・7 歴史的価値度・・9 総合・・7.5

STARLESS「20th Anniversary LIVE」
日本のプログレ・ハードロックバンド、スターレスのライブDVD。2005作
1986年の貴重な映像がDVD化されたと思ったら、今回はなんとその流れでバンドが復活。
2004年の12/23に神戸でのライブを行った。これはそのライブ映像。Vo以外はかつてのオリジナルメンバーで、
いまだに長髪のBの大久保氏やデビュー当時との外見のギャップが凄いGの中川氏など、見た目にはいろいろあるが(笑)
サウンドの方はかつてのスターレスのもの!!イントロに続く「銀の翼」にはかつてのファンは悶絶もの。
新VoのMAI嬢は初代Voジュラに負けない歌唱を聴かせ、服装やステージングなども含めて、なかなか堂に入っていて違和感がない。
曲は1stからの6曲に加え、伝説のバラード曲「WISH」も収録されていて、ファンには嬉しいかぎり。
2005年の3/19にはバンドは東京でもライブを行い、自分もその場でライブを体感してきたのでした。
メロディアスでキャッチー、そしてしっかりとハードでもある、プログレファンが聴けるHRバンドとして、
この貴重な音楽性を持った彼らには今後ともぜひ活動を続けて欲しいと願うばかりである。
ライブ映像・・7 ライブ演奏・・8 嗚呼スターレス!度・・10 総合・・8
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STARLESS「Story Never Ends」
日本の女性Vo、プログレハードロックバンド、スターレスの復活作。2007年作
元シェラザードの大久保寿太郎氏を中心に結成され、1985年にアルバム「銀の翼」
1992年に「Song of Silence」をリリースしたが、その後長い沈黙期間に入り音沙汰がなかったのだが、
2004年のDVD発売と再結成ライブをきっかけに、バンドは再び活動を再開、ここに15年ぶりの新作が完成した。
肝心の内容は新加入の荒木真為嬢の声質もあって、かつてのスターレスサウンドからまったく違和感がない。
むしろ、あの頃のスターレスがそのまま蘇ったという印象で、これはファンには嬉しいだろう。
ややレトロな音色を奏でる上村氏のキーボードに、見事なまでの堀江氏のドラミング、
そして歌謡ロック的なキャッチーさも持ったメロディを歌い上げるヴォーカルの真為嬢。
プログレハード的な聴き安さとドラマ性に、哀愁のハードロックの熱情を併せ持った
まさにスターレス完全復活のアルバム。オールドファンも新たなリスナーもしかと聴くべし!
メロディアス度・・8 プログレハー度・・9 嗚呼スターレス度・・10 総合・・8
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St.Claire 「Claire's Fantasy」
日本のプログレバンド、セントクレアの2021年作
女性Vo、女性Key、女性Vlnを含む編成で、情感豊かな女性ヴォーカルとシンセ、艶やかなヴァイオリンが鳴り響く序曲から、
巧みなベースとドラムのリズムに、きらびやかなシンセワークと、日本語歌詞による伸びやかな女性ヴォーカルを中心に、
ロマンティックなシンフォニックロックを展開する。この優雅な美意識は、かつてのMr.SIRIUSあたりを思い出す感触で、
クラシカルなピアノやヴァイオリンの音色も美しく、随所にメロウなフレーズを奏でるギターもなかなかよい味わいだ。
なにより、シンガーKikoのエモーショナルな表現力は、大木理沙顔負けの実力で、感動的な9分の大曲も素晴らしい。
音質の良さも含めて自主制作とは思えない完成度。今後も期待の日本産クラシカル・シンフォプログレです。
ドラマティック度・8 プログレ度・7 優雅度・9 総合・8
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STINGRAY「Rain」
日本のハードロックバンド、スティングレイの1985年作
モダンでポップなイントロから始まるが、サウンド自体は、日本語歌詞のハイトーンヴォーカルを乗せた
いかにも80年代らしいジャパメタ色を含んだハードロックで、シンセによる美麗な味付けを加えたスタイル。
甘いメロディを乗せたプログレハード的な感触もあるので、NOVELAあたりのファンにも楽しめそう。
楽曲自体は3〜5分前後とわりとシンプルなのだが、流麗なギターソロや美しいシンセワークも含めて、
ロマンに包まれた叙情性を感じさせる。タイトル曲のバラードなども、歌謡曲的なキャッチーな聴き心地で
どこかなつかしく味わえる。ラストのいかにもポップなナンバーはともかく、多くの人に聴いて欲しい好作品です。
メロディック度・・8 キャッチー度・・8 ロマン度・・8 総合・・8
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STINGRAY 「LEGEND」
日本のハードロックバンド、スティングレイの1986年作
1985年にネクサスレーベルからデビューし、本作は2作目となるミニアルバム。
やはりNOVELAに通じるドラマティックなプログレハード風味のサウンドで、
力量あるハイトーンヴォーカルにシンセを含んだ美しさで、演奏のクオリティも高く、
いのでいうシンフォニックメタル的な壮麗な作風である。ファンタジックなジャケや
ギリシャ神話をコンセプトにした世界観も含め、作品としての完成度も高い。
メロディアス度・・8 ドラマティック度・・8 ノヴェラっぽさ度・・8 総合・・8
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STINGRAYHEAVEN’S DOOR
日本のハードロックバンド、スティングレイの2000年作
1993年作「ONE NIGHT ROSE」以来7年ぶりとなる5作目で、美しいシンセと流麗なギターメロディ、
そして古き良きジャパメタ的な日本語ヴォーカルの歌声で聴かせるサウンドは健在。
かつてのNOVELAを受け継ぐようなロマンあふれる雰囲気と甘いメロディは
80年代の香りを運んでくれるようだし、オルガンの音色など古き良きシンセの感触と
適度な音の軽さも含めて、メタルリスナーよりむしろプログレハードファンの方が楽しめるだろう。
メロディアス度・・8 ドラマティック度・・8 ジャパメタ度・・9 総合・・8
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Strawberry Path「大烏が地球にやってきた日」
日本のロックバンド、ストロベリー・パスの1971作
おそらく日本のバンドが英国ロックに接近した最初の作品というべきもので、
後にFLIED EGGを結成する成毛滋の味のあるブルージーなギターワークに
ゆるやかなオルガンの音色と、英詞で歌われるヴォーカルが重なってゆくスタイルは、
まさにブリティッシュロックの質感。古い音だが日本ロックの最初の躍動が感じられる作品だ。
メロディアス度・・7 プログレ度・・6 ブリティッシュ度・・8 総合・・8
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SuG「LOLLIPOP KINGDOM」
ヘヴィ・ポジティヴ・ロックバンドを名乗るV系バンド、SuGの2012年作
なにやらモダンでポップな1曲めは、さっぱり良さが分からないが、
オーケストラルなアレンジからヘヴィなサウンドが広がってゆく2曲めは、
まるで遊園地のようなエキセントリックな楽曲展開がなかなか面白い。
唐突なリズムチェンジや、大仰さとポップさを同居させたサウンド作りは確信犯的で
知的な構築力を感じさせる。一方で、気恥ずかしいようなポップさも含んでいて
その振り幅の極端さはいかにも若手らしいが、ポジティブな爽やかさに包まれながら、
ロックとしての根っこの部分でしっかりと世界観を表現できているのは好感が持てる。
メロディック度・・8 ヘヴィ度・・7 ポップ度・・8 総合・・8
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Swallow Tail 「Northern Requiem」
東京で活動するゴシックメタルバンド、スワロウテイルの2011年作
女性Vo、女性シンセ奏者を含む5人編成で、クラシカルで美麗なシンセワークと
ヘヴィなギターが合わさった重厚なサウンド。美しいソプラノとデスヴォイスを使い分ける
女性ヴォーカル、Aria嬢の歌声はバンドの顔としての存在感充分で、デスヴォイスの迫力などはなかなか強力だ。
ストリングスなども含めたクラシカル要素と、幽玄なシンセワークがかもしだす耽美でシアトリカルな雰囲気は、
この筋のバンドの中でも日本人離れした世界観である。楽曲とメロディの魅力を上げてゆけばさらに楽しみな存在になりそう。
現在は、シンセとベースが交代しており、今後の活動にも注目である。オフィシャルサイトはこちら
シンフォニック度・・8 ゴシック度・・8 女性Vo度・・8 総合・・7.5


SYMPHONIA「The First Movement」
日本のプログレメタルバンド、シンフォニアの1st。2006作
艶やかなヴァイオリン、ピアノの音色に導かれたイントロから、
VIENNA時代の藤村氏を思わせるヴォーカルが入り、ロマンティックな雰囲気で聴かせます。
そこにドラムとギターが入って来ると、ぐっとプログレメタル的になるが、それでも硬質感よりはメロディを大事にする感触で、
楽曲はとても聴きやすくヨーロピアンな部分と日本的な部分を上手く融合しているという雰囲気です。
かつてのJAP'sプログレからの流れか、歌メロのキャッチーな壮麗さもポイントで、洋楽のProg Metalばかり聴いていた人には、
案外新鮮に聴こえるかも。全7曲38分という内容で\1500というミニアルバム並の値段もお買い得♪
メロディアス度・・8 テクニカル度・・7 さりとて日本度・・8 総合・・7.5
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Tadashi Goto 「Innervisions」
日本のミュージシャン、後藤忠司の2005年作
ソロとしては2005年に続く2作目で、元MEGADETHのクリス・ポーランド、KING CRIMSONのトニー・レヴィン、KING'S Xのタイ・テイバー、Poverty's No Crimeのマルミ・アーレンズ、THE NEAL MORSE BANDのランディ・ジョージ、元NELSONのブレッド・ガースド、Blue Murderのトニー・フランクリンなどが参加、
メタリックなギターにきらびやかなシンセを重ね、打ち込みのドラムとともに、テクニカルなインストのメタルフュージョンを聴かせる。
クリス・ポーランドのギターソロはメタル寄りであるが、キーボードをメインにしたナンバーは、優雅なシンフォニック性に包まれたり、アヴァンギャルドになったりと、楽曲ごとに違った顔を見せる。
トニー・レヴィンが参加したジャズタッチのナンバーや、テクニカルメタル風味など、つかみどころのない内容であるが、ゲストを活かすソロ作という点では、デレク・シェリニアに近いセンスも感じる。
ドラマティック度・7 テクニカル度・8 優雅度・8 総合・7.5
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大鴉asymmetry」
沖縄出身のヘヴィロックバンド、タイアの1st。2005作
先に2ndを聴いていたのだが、メタルとして考えるとこちらの1stの方がヘヴィで良いですね。
日本語を大切にした女性Voの歌唱は、若いのになかなか表現力があって素晴らしい。
肝心の楽曲の方は、まだまだ試行錯誤の途中という感じで、シンフォニックメタル調のアレンジもあったり
そのあたりが日本のNIGHTWISHなどと呼ばれたのだろうが、彼らの本質はヨーロピアンなものではなく
日本的などこか“懐かしい感じの歌”にこそあるのだと思われる。従って2ndではその路線へ行ったのだろう。
できれば、商業的なワクにとらわれず、自分達の目指す音楽性を追求していってもらいたい。
メロディアス度・・8 日本度・・9 女性Vo度・・8 総合・・7.5
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大鴉Seeds of Rain」
沖縄出身の女性Voロックバンド、タイアの2nd。2007年作
日本的な歌詞を使ったハードロックとなると、どうしても陰陽座を思い出してしまうのだが、
このバンドのサウンドにも少なからず彼らからの影響が感じられる。
日本語の質感を大事にした女性ヴォーカルの歌声は、ときり古き良き歌謡ロックを思わせて、
若いのになかなかの表現力があって、思わずなつかしい気分にさせてくれる。
横須賀ゆめなあたりと同様、古めかしいのにちゃんと今のハードロックしているがポイント。
曲の方は3〜5分台のわりあいあっさりとした聴きやすいものがメインで、
変なマニアックさがない分、J-POPのフィールドでも受け入れられるだろう。
メロディアス度・・8 日本度・・8 女性Vo度・・8 総合・・7.5
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大鴉「Through your tears」
沖縄出身のヘヴィロックバンド、タイアの2009年作
本作は1st、2nd、ミニからの楽曲を新たに英語にリアレンジした、いわば海外進出盤である。
日本色が色濃かったかつての楽曲が、英語歌詞になったおかけでここまで印象が変わるとは。
ヘヴィロックとしてのモダンさに叙情的なメロディを加えた彼らのサウンドは、いい意味で聴きやすく、
表現力を増したセイカ嬢のヴォーカルとともに、多くのリスナーに支持されるだけの魅力がある。
これまでのよくも悪くも日本を感じさせた作品を敬遠していたような方も、これは聴いてみて欲しい。
メロディアス度・・8 叙情度・・8 女性Vo度・・8 総合・・8
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大鴉風宴夜奏
沖縄出身のヘヴィロックバンド、タイアのミニアルバム。2010年作
2005年にアルバムデビューし、現在アルバム2枚+英語アルバムを発表、
本作は3rdへのつなぎ的な5曲入り作品であるが、星花嬢の表現豊かな歌声と
適度にヘヴィメタリックなサウンドで、これまでの路線をよりダイナミックにした作風。
バンドとしての貫祿が音に現れてきたことで、キャッチーなメロディを含ませた楽曲は
日本語の世界観とともにその説得力を増している。次のフルアルバムが楽しみだ。
メロディアス度・・8 メタル度・・8 女性Vo度・・8 総合・・8
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Taika「pulsate」
日本のプログレユニット、タイカの2012年作
ASHADAの妙(たえ)をフロントにしたバンドで、KBBのBも参加している。
美しいピアノにアコーディオンが軽やかに鳴りながら、はかなげな女性ヴォーカルの歌声で聴かせる幻想的な耳心地。
リズム面でのアンサンブルもさすがにしっかりしていて、繊細さの中にもゆるやかなダイナミズムを描き出してゆく。
どことなく初期のZABADAKをプログレにしたような感触もあり、日本語歌詞の響きとともに、透き通るような水の流れ、
木々の香りを感じさせるようなじつに美しい作品です。こちらでバンドの動画を見られます。
メロディック度・・8 プログレ度・・7 繊細度・・9 総合・・8
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玉木宏樹 & S・M・T
TIME PARADOX

テレビ/映画音楽などの作曲家にしてヴァイオリニスト、玉木宏樹の1975年作
「怪奇大作戦」「大江戸捜査網」といった番組音楽を手がけてきた彼が、
突如としてプログレ的な作品を作り出し、それが名作として語り継がれている。
クラックやジャズの素養を持ちキース・エマーソンを愛好するというそのセンスは、
本作でのボーダーレスな作風にも現れていて、軽やかなジャズロック風味にポップな昭和性、
民俗色なども含んだ、いわばごった煮のサイケな味わいもあり、いま聴いても古くささはない。
艶やかなヴァイオリンの音色に絡むギター、美しいピアノにムーグシンセ、効果音的なSEや
ときにファンキーなホーンセクションなど、クラシカルな美意識と実験的な要素に満ちた異色の作品。
メロディック度・・7 プログレ度・・8 ミクスチャー度・・8 総合・・8
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TAOFAR EAST」
日米ハーフのヴォーカリスト、デヴィッド・マンを中心にした日本のロックバンド、タオの1983年作
アニメ「銀河漂流バイファム」のテーマ曲でも知られるこのバンド(後のEUROXの母体)、
本作におけるオリジナル曲の方もシンセをたっぷりと使った、当時にしては斬新なスタイルで、
高い演奏力とともに、やはりどこかプログレッシブな味わいもある。キャッチーなメロディアスさは
ASIAなど80年代のプログレハードに通じるやわらかな感触で楽しめる。そしてやはり特徴的なのは
エレクトリックヴァイオリンで、英語の歌詞も含めてアニメの主題歌にしては異様に格好良かった。
U.K.ばりの本格派の演奏と日本的なメロディアスさが融合した、じつに良いバンドだった。
メロディアス度・・8 プログレハー度・・8 バイファムは名曲度・・10 総合・・8
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TEARS OF TRAGEDY「ELUSIVE MOMENT
日本のメロディックメタルバンド、ティアーズ・オブ・トラジェディーの2011年作
女性ヴォーカルの歌声で激しく疾走するメタルサウンドで、シンセを含んだ
美麗なアレンジとキャッチーなサビのメロディがなかなかいい感じ。
ヴォーカルさんの声質もいわゆるアキバ系とは異なる、しっかりと歌い上げるタイプなので
聴いていて恥ずかしさもない。シンセアレンジのチープさや音質面での薄さを含めて
サウンドが一本調子なのが惜しいが、疾走感たっぷりの楽曲はなかなか魅力的で、
日本の正統派女性Voメロパワとして今後に期待したいバンドです。
メロディアス度・・8 疾走度・・8 女性Vo度・・7 総合・・7.5
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Tears of Tragedy「Continuation Of The Dream」
日本のメロディックメタルバンド、ティアーズ・オブ・トラジェディーの2013年作
女性Voフロントの正統派メロディックHR/HMで、2作目となる本作もきらびやかなシンセアレンジと
伸びやかな女性ヴォーカルの歌声を乗せてキャッチーに疾走する爽快なサウンドだ。
堂々としたメジャー感とメロディのフックという点では、Light Bringerなどにも通じる感触で、
前作から格段にクオリティアップしていると言っていい。一方ではメタルとしてのハードさもしっかりとあり、
テクニカルなフレーズとメロディ、ヘヴィなリフを使い分けるギターのセンスも見逃せない。
日本語歌詞による情感はときに陰陽座の黒猫を思わせるなど、HARUKA嬢の歌の表現力も上がっており、
バンドとしての世界観の強度がサウンドの説得力になっている。シンフォニックかつキャッチーな高品質作品。
メロディック度・・8 疾走度・・9 女性Vo度・・8 総合・・8
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TEE「The Earth Explorer」
日本のプログレバンド、ティーイーイーの2009年作
フルート&リコーダー奏者を含む5人編成で、適度にテクニカルなアンサンブルと、
シンセやフルートによるやわらかな叙情性で聴かせる、インスト中心のプログレサウンド。
美しいピアノや繊細なフルートの音色とともに、ヨーロピアンな感性を含んだメロディと
展開力がなかなか魅力的で、随所にメロウなフレーズを奏でるギターのセンスもよろしい。
楽曲は7〜8分台と長めであるが、初期のKENSOを思わせる軽妙かつキャッチーな感触で
耳心地良く聴き通せる好作品である。フルート入りのプログレが好きな方はぜひ。
メロディアス度・・8 叙情度・・8 フルート度・・8 総合・・8
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TEE 「Trans-Europe Expression」
日本のプログレバンド、ティーイーイーの2012年作
前作からの流れの、フルート入りの軽妙なインストプログレという作風はそのままに、
バンドとしてのアンサンブルがよりこなれて来て、楽曲における構築力が高まっている。
変拍子を含んだリズム面での面白さも増していて、シンセ、ギター、フルートがそれぞれのメロディ、フレーズを奏で、
ときに対位法的に絡ませながら、知的な展開力とやわらかなスリリングさというべき聴き心地を巧みに生み出している。
前作のキャッチーなメロディアス性を残しつつ、インスト系プログレとしての完成度を高めた傑作です。
メロディアス度・・8 叙情度・・8 フルート度・・8 総合・・8
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天狗櫻「櫻」
女性5人組の和風メタルバンド、てんぐざくらの1stシングル。2010年作
女性ヴォーカルによる日本語歌詞で聴かせる陰陽座タイプのキャッチーな和風メタル。インストを含む4曲入りで、
ギターはしっかりメタリックな質感で、女性バンドにしては演奏力もなかなかしっかりしている。
随所にメロスピ的な疾走感もあり、クサメロ系のリスナーにも対応。現時点ではまだヴォーカルの表現力に
やや不満があるが、今後の伸びしろに期待したい。…と思ったら2011年に活動休止になってたのですね。
メロディアス度・・8 和風度・・8 女性Vo度・・7 総合・・7.5
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天狗櫻鋒矢
女性5人組の和風メタルバンド、てんぐざくらのミニアルバム。2010年作
日本語歌詞による歌声で聴かせる和風メタルとしては陰陽座が思い浮かぶが、
このバンドもキャッチーなメロディでメロスピばりに疾走するなかなか質の高いサウンド。
演奏的にも女性ということを思わせないパワフルさがあるし、シンセのアレンジなどを含めて
楽曲的にもしっかりと方向性が絞れていて悪くない。期待の和風ガールズメタルバンドである。
メロディアス度・・8 和風度・・8 女性Vo度・・8 総合・・7.5
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TERU'S SYMPHONIA「Egg The Universe」
平山照継率いるシンフォニックロックバンド、テルズ・シンフォニアの1988年作
ファンタジックなジャケのイメージ通りの世界観で、NOVELA以上にシンフォニックでポップな感触ながら、
随所にクラシカルな構築美や流麗なギタートーンが聴けて、とても繊細な音作りの作品である。
平山氏の甘い歌声は、正直こっ恥ずかしくて苦手なのだが、一方の徳久恵嬢の歌う曲は、
よりこのバンドの幻想性と童話的で優しい温かさを感じさせてくれてとてもよろしい。
ラストの12分を超えるタイトル曲のシンフォニックな美麗さにもうっとり。
当時としては録音にお金がかかっているので、リマスター盤で聴くと、音の良さにも驚きます。
シンフォニック度・・8 プログレ度・・7 ファンタジック度・・8 総合・・8

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TERU'S SYMPHONIA 「ヒューマン・レース・パーティ」
日本のシンフォニックロック、テルズ・シンフォニアの1989年作
NOVELAの平山照継は、ソロ活動で「ノイの城」「シンフォニア」の2作を発表後、ノヴェラの解散とともに、
テルズ・シンフォニアとしての活動を本格的に開始、本作は「エッグ・ザ・ユニヴァースに続く2作目。
紅一点、徳久恵美の優しい歌声と、平山氏の歌うしっとりとした叙情曲に、寓話性のある歌詞も含めて、
シンフォニックな美しさとやわらかなメロディで聴かせるテルシン節は、前作以上に発揮されている。
とくに1曲めのタイトル曲は、ドラマティックな流れが素晴らしい名曲だ。2013年リマスターにより音質も向上。
シンフォニック度・・8 プログレ度・・7 ファンタジック度・・8 総合・・8
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TERU'S SYMPHONIA「Fable on the Seven Pillows/7つの夜の物語」
平山照継率いる、テルズ・シンフォニアの3作目。1990年作
「おっ姫様逃げた〜」で始まる可愛いらしい歌に当時はズッコケタものだが、
童話的でファンタジックな世界観は、本作でひとつの完成を極めたといえる。
シンフォニックなアレンジと徳久恵美の伸びやかな歌声による優しい聴き心地で
スリリングな部分は薄いが、幻想的でコミカル、微笑ましく楽しめる作品に仕上がっている。
シンフォニック度・・8 プログレ度・・7 ファンタジック度・・9 総合・・8
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TERU'S SYMPHONIA「Clockworked Earth/ぜんまい仕掛けの地球」
日本のシンフォニックロック、テルズ・シンフォニアの1993年作
童話的でキャッチーな作風はそのままに、本作では、ロックなアンサンブルが前作以上に強化された質感で、
平山氏のギターワークもいつも以上に活躍、美麗なシンセアレンジと徳久恵美の伸びやかな歌声を乗せた
ポップな聴き心地が上品に融合されている。このバンドらしい演劇的な展開力の壮麗なナンバーや
しっとりとした日本的叙情を聴かせるナンバーなど、アルバムとしての聴きごたえのある仕上がりだ。
シンフォニック度・・8 プログレ度・・7 ファンタジック度・・8 総合・・8
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TERU'S SYMPHONIADo Androids Dream of Electric Camel?
平山照継率いる、テルズ・シンフォニアの5作目。1997年作
美麗なシンセアレンジとファンタジックな幻想性で聴かせる雰囲気は本作も不変で、
むしろテルシンらしすぎて新鮮味がないと思うくらい安定のサウンドである。
徳久恵美の伸びやかな歌声を乗せ、キャッチーかつコミカルな聴き心地と
童話的な壮麗さが合わさったロマンティックなシンフォニックロックが全編楽しめる。
シンフォニック度・・8 プログレ度・・7 ファンタジック度・・9 総合・・8
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TERU'S SYMPHONIAThe Gate
平山照継率いる、テルズ・シンフォニアの6作目。1999年作
STARLESSの大久保寿太郎がベースで参加した本作は、これまでよりもややシリアスな作風となり
テルシン節ともいえるメロディアスさはそのままに、MARGE-LITCHあたりにも通じる
テクニカル性とドラマテイックな感触を強めている。もはやバンドの顔ともいえる徳久恵美の歌声に、
シンフォニックなアレンジとメロディックなギターフレーズで描かれる、ダイナミックな好作である。
シンフォニック度・・8 プログレ度・・8 ファンタジック度・・8 総合・・8
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θ-theta
「Seeds of the Dream」
日本のプログレユニット、シータの2000年作
故、蝋山陽子(Vermilion Sands)が参加した作品で、彼女のやわらかな歌声に、
艶やかなヴァイオリンが鳴り響き、うっすらとしたシンセアレンジとともに
繊細な叙情美を聴かせてくれる。どこかなつかしいような素朴な世界観と、
幻想的な優雅さが広がってゆき、ゆったりとした聴き心地で楽しめる好作品。
Vermilion Sandsの山田雅弘、KBBの壺井彰久などがゲスト参加。
メロウ度・・8 プログレ度・・7 繊細度・・9 総合・・8

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THREE LIGHTS DOWN KINGS「BRAIN WASHING」
日本のヘヴィロック、スリー・ライツ・ダウン・キングスの2013年作
トランス調のシンセアレンジとヘヴィロックを融合させたようなサウンドで、
スクリームヴォイスをまじえたスクリーモ要素に加え、ラップ的なキャッチーな感触もある。
タテノリの激しさときらびやかなアレンジを同居させた作風は、いまとなっては目新しさはなく、
結局はインパクトよりも楽曲勝負になってしまうのだが、そのへんはまあ普通によい出来かと。
メロディアス度・・7 トランスクリーモ度・・8 モダンヘヴィ度・・7 総合・・7.5
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冨田勲「火の鳥」
日本シンセ界の大御所、冨田勲のアルバム。1975作
ジャケは手塚治虫であるが、その手塚氏の作品ではなくストラヴィンスキーのバレエ組曲のアレンジ。
当時は日本では斬新な音だったムーグシンセサイザーによるクラシックの現代的解釈。
プログレとして聴くにはスペイシーな雰囲気なので、やや聴き流してしまいがちだが
世界観のあるシンセミュージックとしての歴史的価値は高いと思う。「火の鳥」の他、
ムソグルスキーの「はげ山の一夜」、ドビュッシーの「牧神の午後への前奏曲」も収録。
シンフォニック度・・7 プログレ度・・6 シンセ度・・9 総合・・7.5
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TorN凍音‐tone‐
日本の女性Vo入りヘヴィロックバンド、トーンの1stフル。2007作
女性Vo、Mitiiの歌声を中心に、ゴシック、メタル、ヘヴィロック、エモといった
雰囲気を取り入れつつも、あくまで日本らしさにもこだわりを感じさせるサウンドだ。
シンセの使い方などはときにプログレ的でありつつ、薄暗さの表現は見事だし、
ハスキーな声でときに頽廃的に、ときに深い情感を込める歌の表現力もなかなか。
また、メロディやリフの組み立てなどには、古き良きHR的な精神性も感じられるのだが、
それでいて、モダンでデジタリィな部分もあったりと、良い意味でのこだわりのなさが感じられる。
Head Phones Presidentなどとともに、新時代の女性声HR/ヘヴィロックを体現したバンドだ。
メロディアス度・・8 薄暗度・・8 メタル度・・7 総合・・8
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TOSHI「MISSION」
X JAPANトシのソロ2作目。1994作
えー?エックス以後のトシのソロなんて…と馬鹿にして聴かなかったアナタ、ダメですよー。
とにかく、このアルバムに関してはメンバーが素晴らしい。ギターには元VIENNAの茶々丸氏、
B.永井敏巳、Key.塚本周成(OUTER LIMITS)、そしてDrには“手数王”菅沼孝三という堂々たるメンツ。
サウンドはメタルというよりはメロディアスなロックという感じで、トシの歌声はX JAPAN時代よりも伸びやかで、
バラード曲などでの情感の表現力はなかなかのもの。ハードめの曲では茶々丸氏のテクニカルなギターも炸裂し、
バックの塚本氏のキーボードは、さりげなくシンフォニックだったりして思わずにやり。
そしてなにより、菅沼氏のドラムのタイトさはさすがのひと言で、サウンド全体をかっちりと引き締めている。
メロディアス度・・8 ヴィエナのメンツ!度・・9 トシの歌唱度・・8 総合・・7.5
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TREMBLING STRAIN「Four Pictures/4つの弔歌」
日本のエクスペリメンタル・チェンバーロック、トレンブリング・ストレインの1995年作
タブラやパーカッションのリズムにお経のような声を乗せた妖しく呪術的なサウンド。
うっすらとしたシンセやハープ、リコーダーなどの音色が現れては消える、
かつてのジャーマンロックのような実験性を日本的な土着性で表現したという世界観。
三味線などの和風の旋律とインド音楽的な神秘性が同居していて、サード・イヤー・バンドのような
不思議な静謐感とトリップ感が味わえる。たとえばJ.A.シーザーの作品における古き日本的な情念を
よりシャーマニックに描いたというような聴き心地でもある。アヴァンギャルドの極北という異色のアルバムだ。
ロック度・・2 アヴァンギャル度・・8 秘教的度・・9 総合・・8
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月比古 「弦は呪縛の指で鳴る」
日本の女性SSW、畑亜貴を中心にしたユニット、つきひこの2005年作
「棺桶島」、「世界なんて終わりなさい」といったソロ作品での独自の世界観を引き継いで、
過去曲のリメイクなども含め、バンド編成でシンフォニックに再構築したという作品になっている。
毒気を含んだ耽美な歌詞とキュートな歌声を中心に、ポップでキャッチーでありながら
エキセントリックでプログレ的な展開も含んだ楽曲は、アキバ系アヴァンロックとでもいおうか。
シンセとギターにはそれぞれゲームミュージックなどで活躍する、林克洋、並木晃一が参加、
ドラムにはStarlessの堀江睦男が参加。よい意味でのインディーズ色が抜けきらない妖しさが魅力。
ドラマティック度・・8 プログレ度・・7 耽美度・・8 総合・・7.5
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死蝋月比古純血鬼爛」
畑亜貴によるゴシックユニット、しろうつきひこの2008作
バンド編成の月比古とは異なり、こちらはピアノとヴァイオリンによるアコースティカルな質感で、そこに畑亜紀のエキセントリックな歌声が乗る。
可愛らしさとビビッドな残酷性を併せ持った歌とともにアキバ系ゴシック…とでもいうような奇妙な世界観を聴かせてくれる。
インスト曲も含め、クラシカルで優雅なサウンドは耳に心地よいが、インパクトの点ではやや弱いので、ジャケ買いにはご注意(笑)
クラシカル度・・8 うす暗度・・7 女性Vo度・・7 総合・・7.5
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死蝋月比古 「永遠無惨」
畑亜貴によるゴシックプロジェクト、しろうつきひこの2013年作
こちらの名義では2008年「純血鬼爛」以来となる作品で、クラシカルなピアノとヴァイオリンが鳴り響き、
そこにキュートでエキセントリックな歌声を乗せた、耽美な幻想性に包まれた世界観。
畑亜貴嬢の舌足らずな歌唱は、ロリータ的な可愛らしさと、毒気を含んだ退廃の美を感じさせ、
人によっては好みが分かれるだろうが、この絶妙な「アキバ系ゴシック」というべき空気感は、確信犯的な絶妙さで、
前作に比べても、雰囲気モノとしての強度と楽曲のクオリティが上がっているので、けっこう楽しめます。
なにより、ヴァイオリンやピアノが打ち込みではない生の演奏なのがよいですね。
クラシカル度・・8 耽美度・・8 女性Vo度・・8 総合・・8
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月兎TSUKI-USAGI
日本のプログレバンド、つきうさぎの2010年作
女性Vo/フルート奏者を擁する5人組で、しっとりとしたやわらかなシンフォニックサウンド。
美しいシンセワークと、メロウなギター、そして日本語歌詞による女性ヴォーカルの歌声で
情緒豊かに聴かせてくれる。繊細なフルートの音色も世界観にマッチしていて、
水鏡
などと同じく、日本を感じさせる叙情プログレを受け継いでゆくバンドのひとつだろう。
3パートに分かれた大作“追憶”では、古き良きブリティッシュロック風味なども垣間見せつつ
かつてのPAGEANTばりの濃密なハードプログレを展開、優美な情感を織り込みながら、
ドラマティックに構築されてゆく。日本らしさにあふれた力作だ。MUSIC TERMにて試聴&購入可能
メロディアス度・・8 優美度・・8 日本度・・9 総合・・8
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TYRANT「Under the Dark Mystic Sky」
日本のシンフォニック・ブラックメタルバンド、タイラントの1st。1997年作
源平の合戦をテーマにした作品で、合戦のSEから始まって激しくブラスト開始。
シンフォニックなシンセとともにメロディアスに疾走するサウンドは、
初期EMPERORをぐっとやわらかくしたような雰囲気で、とても聴きやすい。
3拍子のパートにノーマルヴォイスを取り入れたり、一部に日本語も使っていて、
邪悪な激しさよりも叙情性や世界観に重きを置いているのが感じられる。
2nd、3rd以後バンドの音沙汰がないが、Sighとともに頑張っていって欲しいバンドである。
シンフォニック度・・8 暴虐度・・7 日本度・・8 総合・・8
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TYRANT「LEGEND」
日本のシンフォニック・ブラックメタルバンド、タイラントの2nd。2002年作
2作目の本作は、全面に出ている美麗なキーボードによるシンフォニック性に包まれる。
ギターが一本のこともあって音の厚みをになう上で、keyの重要度がこのバンドでは高い。
またドラムも安定していて、リズム的にも全体の演奏を力強いものにしている。
難を挙げれば、やはりバランス的にKEYに頼っていて音像のヘヴィさに欠ける点と、
これは日本人だから仕方ないのだろうが、歌詞における英語力の乏しさも感じられてしまう。
しかし、この手のバンドとしてはヨーロッパ勢と互角に戦える数少ないバンドであることは間違いない。
シンフォニック度・・8 暴虐度・・7 楽曲・・7 総合・・7.5
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TYRANT「GRIMOIRES」
日本のシンフォニック・ブラックメタルバンド、タイラントの3rd。2005年作
1st、2ndと日本のバンドとしては素晴らしいクオリティのアルバムを発表していた彼ら、
この3rdではジャケの雰囲気がやや耽美方向に…。しかし、内容は安心の高品質シンフォブラです。
のっけからワルツのリズムで疾走するあたりは、暴虐で美しいというこの手の王道サウンド。
一人ゴスっぽい出で立ちのAYUMI嬢のキーボードがとても美麗です。
しかし…メンバー写真の白塗りメイクで「KEISUKE」という表記はどうなんだろう(笑)
もうちょっと格好いいブラッメタラーネームにすれば良いという気もするが…
ともかく、シンフォプラック好きは日本にもこんないいバンドがいるのだということを知りましょう。
シンフォニック度・・8 暴虐度・・7 耽美度・・8 総合・・8
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TYRANT OF MARY
日本のスラッシュメタルバンド、タイラント・オブ・マリーの2012年作
東京で結成された若手4人組で、ツインギターのリフで疾走するオールドスタイルの
スラッシュメタルサウンドを聴かせる。いくぶんメロディックなフレーズを含んだ
有機的なギターサウンドもよろしい感じで、北欧デスラッシュ的な雰囲気もある。
まだまだ音質面の弱さも含めて自主制作風味が残っているが、
爽快な疾走感はライブ映えしそうだし、今後におおいに期待できるバンドである。
ドラマティック度・・7 疾走度・・8 オールドスラッシュ度・・8 総合・・7.5
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宇宙文明「UCHUBUNMEI」
北海道出身のサイケロックバンド、うちゅうぶんめいの2012年作
ギター&シンセ、ベース、ギターというトリオ編成で、スペイシーなシンセが鳴り響き
グルーヴィなリズムで突っ走るサウンドは、日本版HAWKWINDOZRIC TENTACLESかという。
オールインストであるが、7〜9分という大曲であっても、トリオによる演奏の緊張感と、
広がりのあるシンセアレンジで、ある種のトリップ感覚とともに楽しめてしまう。
日本にもこういう本格派のスペース・サイケバンドが現れたのだなと嬉しく思う。
ドラマティック度・・8 サイケ度・・8 スペース度・・9 総合・・8
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UI-70/Demetori「彼岸花葬〜the view of spiral riverside〜」
同人ゲーム「東方花映怐vの音楽を、同人音楽サークルUI-70Demetriが合同でアレンジしたCD。
昨今、にわかに質の高まりを見せている同人音楽シーンだが、これはその決定版ともいうべき内容。
自分は「東方〜」という作品自体はまったく知らないのだが、これは単体の音楽として、
もっといえばテクニカルなプログレアルバムとして、充分に楽しめるクオリティの作品です。
なにが凄いって、ギター、ベースはもちろんドラムまでが生演奏ですよ。わはは!
のっけから変拍子入りのメタリックなギターが唸り、テクニカルなキメやリズムアレンジが炸裂してますし。
ジャケを見せずに聴かせたら、テクニカルプログレメタルの新人だと信じそうな…。INSIDE OUTかMAGNA CARTATか、
いやコレ同人なんです…(笑)バンド(サークルか)メンバーはまだけっこう若そうなのに、
しっかりとした素養とプログレとメタルをマニアックに嗜好する音楽背景が、音からもばっちり伺えますな。
ブックレットの10曲めの解説(?)に「あいあん・めいでんのぶらいんど・がーでぃあん風味」とか書いてあるし(笑)
総論…WORLD DISQUEの店頭にあるようなサウンドが、アキバの同人ショップに置いてあります。
メロディアス度・・8 プログレメタル度・・8 本当に同人かよ?度・・10 総合・・8


Undead Corporation「鬼伽草子」
同人サークル、アンデッド・コーポレーションの2011年作
パイン、パインツリーの二人による東方系の和ロックプロジェクトで、
笛や琴などの和楽器の音色をメタルに融合させた、なかなか面白い作風。
女性ヴォーカルの日本的な歌い回しも含めて、陰陽座などにも通じる雰囲気で、
キャッチーなメロディを取り込んだ曲作りは、アマチュアにしてはなかなか質が高い。
モダンなヘヴィさを含んだメタリックな感触もけっこう本格的だ。サークルのサイトはこちら
メロディック度・・8 和風メタル度・・8 女性Vo度・・8 総合・・7.5


UNDER FOREST月影ニ鳴ク虚像ノ恋詩
三姉妹という設定の女性三人組ユニット、アンダー・フォレストの2011年作
FEEL SO BADの倉田冬樹が楽曲を手がけ、シンフォニックなシンセアレンジと
けっこうヘヴィなギターで聴かせる、ゴシック的な歌謡メタルというようなサウンド。
ドラムはいかにも打ち込みで、サウンドも宅録っぽい同人系のような感じだが、
ヲタクに受けそうな世界観を狙ったような、少々の痛さとともに、コンセプトは面白い。
正直、アイドルなのか、バンドなのか、メタルなのか、立ち位置がよく分からないのだが、
アニメちっくな曲やメロスピ風味にテクノ風(パフューム?)もあったりして、とりとめのなさもビミョーw
シンフォニック度・・7 メタル?度・・7 女性Vo度・・7 総合・・7
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UNLIMITS 「トランキライザー」
日本のハードロックバンド、アンリミッツの2011年作
ヴォーカルにドラムが女性という4人組で、日本語歌詞による歌声で聴かせる
情緒のあるハードロックをやっている。女性ヴォーカルの歌声はやや素人臭いものの
それが逆にピュアな感じがしなくもない。録音の軽さも含めてまだまだインディーズレベルだが、
キャッチーな哀愁が感じられるメロディはなかなかいいし、今後に期待したいバンドである。
メロディアス度・・8 メタル度・・7 女性Vo度・・7 総合・・7.5
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UNLIMITS
「NeON」
日本のハードロックバンド、アンリミッツの2012年作
ヴォーカルにドラムが女性という4人組で、フルアルバムとしてはこれが3作目。
日本語歌詞の女性ヴォーカルの歌声でキャッチーに聴かせるサウンドは、
しごく普通のポップロックという趣であるが、いくぶんパンキッシュなノリも感じさせる。
メタル系のリスナーには少し刺激が足りないかもしれないが、女性Voのまっすぐな歌唱に
日本的な情緒を含んだ、どこかなつかしいような耳心地で楽しめる作品です。
メロディアス度・・8 メタル度・・6 女性Vo度・・7 総合・・7.5

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VANDAL KILLER 「Inheritance」
新潟出身のハードロックバンド、ヴァンダル・キラーの2011年作
元演歌歌手という女性Voの伸びやかな歌声を乗せて、ジャパメタらしい情感をかもしだす
正統派のメロディック・メタルサウンド。適度な疾走感とともにキャッチーな聴き心地は
古き良き関西系HRのスタイルで、どこか昭和的ななつかしさも漂わせる。
ギターの典型的なリフやフレーズには正直、個性は感じないし、ドラムの録音を含め
音質的なチープさがいかにも自主制作っぽいのだが、ローカルな味わいもまたよろしいかと。
メロディック度・・8 ジャパメタ度・・8 女性Vo度・・8 総合・・7.5



Veiled in Scarlet「IDEALISM
日本のメロデスバンド、ベイルド・イン・スカーレットの2012年作
SerpentのKeija率いるバンドで、サウンドの方もかつてのサーペントを継承するような
正統的なメロディックデスメタル。ツインギターのリフと流麗なメロディを乗せて疾走、
90年代的なオールドメロデスの雰囲気もあり、随所に美しいシンセアレンジや
クラシカルな美意識を含んだ旋律が挿入され、激しさの中にも日本的な泣きの叙情を融合させている。
新鮮味は薄いが、サーペントのファンはもちろん、美旋律のメロデスが好きな方はチェックすべきだろう。
メロディック度・・8 暴虐度・・7 美意識度・・8 総合・・8
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Veiled in Scarlet 「Reborn」
日本のメロディック・デスメタル、ヴェイルド・イン・スカーレットの2016年作
SERPENTのKeija率いるバンドの2作目で、ANCIENT MYTHのギターを新たに迎え、
叙情的なツインギターに美麗なシンセアレンジとダミ声ヴォーカルを乗せて疾走する、
優雅なメロデスサウンドを聴かせる。泣きのギターフレーズなどにはゴシカルな耽美さも漂わせ、
デスメタル的な迫力よりは、よりメロディックな方向性を強めてきたという印象だ。
低音で唸るようなヴォーカルも、暴虐さではなくダークなメランコリズムを感じさせ、
部分的にはメロデスというよりりもシンフォニックメタルの質感に近いかもしれない。
迫力の点では物足りなさはあるが、泣きのギターと疾走が好きな方には楽しめるはず。
メロディック度・・8 暴虐度・・6 優雅度・・8 総合・・8
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Veiled in Scarlet 「Atonement」
日本のメロディック・デスメタル、ヴェイルド・イン・スカーレットの2018年作
SERPENTのKeija率いるバンドで、2012年にデビュー、フルアルバムとしては3作目となる。
本作では、ヴォーカルが交替しシングルギターの編成となっているが、美麗なシンセアレンジに
重ねられた流麗なギター、吐き捨てヴォーカルを乗せて疾走する、優雅なメロディック・デスメタルは健在。
テクニカルなフレーズを奏でる、Izoのギターワークも随所に冴えを見せ、アグレッシブな疾走感と
耽美なメランコリズムが同居したバンドの世界観はさすがというところ。楽曲は3〜4分前後と、
比較的シンプルではあるが、叙情派メロデスとしての明快な味わいで、最後まで軽やかに楽しめる。
メロディック度・8 暴虐度・7 優雅なダーク度・8 総合・8 
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VELGA Dragon Guardian feat IZNA
Dragon guardianの勇者アーサーと、VelforestのIZUNAによるユニット、ベルガのミニアルバム。2010作
正直言って、ドラガーが恥ずかしくて聴けない自分にとっては、これもどうなのだろう…と思ったが
案外にヘヴィなメロスピ調で始まって、ちょっとひと安心。なにやら古き良き歌謡曲のような
ヴォーカルを乗せて疾走するサウンドは、ぱっと聴きにはアンバランスなのだが、これが慣れてくると、
ドラフォーばりの疾走メロスピと、日本的なキャッチーさの巧みな融合に感心させられる。
女性ヴォーカルにしっかりとした力量があるので、ただの色もので終わっていない質の高さがある。
メロディアス度・・8 疾走度・・8 歌謡メロスピ度・・9 総合・・7.5
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VELVET★CHERRY「CRUSH ON!!」
日本のヘヴィロックバンド、ベルベット★チェリーの2013年作
女性Vo、女性Drを含む4人編成ですが、その見かけの可愛さに油断してはいけない。
スクリームヴォイスを含んだブルータルな激しさで聴かせるサウンドはインパクト大。
ヘヴィなデスメタル色と、スクリーモ、ヘヴィロック系のモダンな轟音が合わさりつつ、
ノーマルの女性声とスクリームを乗せて強力にたたみかける。昨今のガールズ系のようなキャッチーさはなく、
むしろゴリゴリの硬派…初めての方は、おそらくルックスとのギャップに衝撃を受けるだろう。
メロディアス度・・7 ヘヴィ&スクリーム度・・8 ギャップ度・・9 総合・・7.5




VERMILION SANDS 「Water Blue」
日本のシンフォニックロック、ヴァーミリオン・サンズの1987/1989年作
アコースティックギターに美しいシンセアレンジ、そして優しい女性ヴォーカルの歌声で聴かせる、
しっとりと優美なサウンド。ジャケのイメージのような幻想的な雰囲気と、ヴァイオリンなども加えての
ケルトやフォーク風味を含んだアコースティック繊細さに、プログレ的な構築力で描かれるサウンドは、
RENAISSANCEあたりの優雅さにも通じるだろう。あくまで優美な聴き心地の逸品です。
蝋山陽子嬢は、1991年にソロ作「SUNNY DAYS」を発表、2000年にθ-thetaに参加したのちに病のため世を去る。
シンフォニック度・・8 優美度・・9 女性Vo度・・8 総合・・8
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Vermilion Sands「Spirits of the Sun」
日本のシンフォニックロック、ヴァーミリオン・サンズの未発音源集。2013年作
1987年に叙情豊かな傑作アルバム「Water Blue」を残して活動休止、ヴォーカルの蝋山陽子は1991年にソロ作品を発表し、
90年代にはバンドとしての活動を再開、2000年には、θ-theta(シータ)に参加するも、2004年に死去する。
本作は、2作目用に作られた楽曲や未発音源、1996年の東京、吉祥寺でのライブ音源を収録した作品。
やわらかなフルートの音色に美しいシンセと、ギターが重なり、蝋山陽子嬢の素朴な歌声を乗せ、
ロマンに包まれた叙情豊かなサウンドは未発音源とは思えぬ出来栄えだ。やはり正規音源でないので、
音質的にはいまひとつだが、ライブ音源では、現KBBの壷井彰久のヴァイオリンを加えた、躍動感ある演奏が楽しめる。
繊細で幻想的な世界観は、どこかはかなげで、蝋山嬢の残した歌声にその純朴な空気を感じ取れる。
ドラマティック度・・7 貴重音源度・・9 音質・・7 総合・・7.5
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VERSAILLES「JUBILEE」
日本のヴィジュアル系メタルバンド、ヴェルサイユの2010年作
インディーズ時代から大きな話題と人気を呼んでいたバンドのメジャーデビューアルバム。
いかにもV系という雰囲気のやわらかなヴォーカルに、ゴシック風味の耽美な世界観、
そしてメロディアスなギターフレーズで疾走する部分は、かつてのX-JAPAN的な雰囲気もある。
シンセによる壮麗なアレンジはシンフォニックメタルとしても楽しめるものだが、
やはりサウンドプロダクション的にはヘヴィすぎない聴きやすさを重視しているようで、
メタルというにはやや迫力不足か。ヴォーカルがハイトーンでないこともあって、
一聴してのインパクトは、洋楽メタルリスナーにとってはそう強くないだろうが、
一般のJ-POP/ROCKのリスナーを巻き込んでメタルムーブメントを起こしてもらいたい。
シンフォニック度・・8 疾走度・・7 耽美度・・8 総合・・8
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VERSAILLESHoly Grail」
日本のV系メタルバンド、ヴェルサイユの2011年作
ツインギターの流麗なフレーズと、ナルシスティックなヴォーカルを乗せて疾走、
1曲めから“V系メロディックスピードメタル”というべき、彼らの真骨頂を存分に味わえる。
このバンドの場合、メタルリスナーでも受け入れられるだけのテクニックとアレンジ能力があるので、
洋もののメロスピのあとでも違和感なく聴けるし、かつてのX JAPANを思わせるような
「激しさの中でのキャッチーな聴き心地」というのは、じつに日本人好みといえるだろう。
楽曲の中での盛り上げ所もしっかりとあるので、曲が長めでもテンションが続いて飽きない。
16分を超えるドラマティックな大曲も圧巻で、濃密さにおいて前作を超える出来だ。
シンフォニック度・・8 壮麗度・・9 疾走度・・8 総合・・8.5
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Versailles
V系メタルバンド、ヴェルサイユの2012年作
2010年にメジャーデビューを飾り、X JAPANばりに疾走するメロディックなサウンドとゴージャスなヴィジュアルで
人気を博すこのバンドだが、本作はサードアルバムにして活動休止前のラストアルバムとなった。
壮麗なイントロから曲が始まると、ナルシスティックなヴォーカルとともにメロスピばりに疾走するスタイルは
今作でも不変で、ツインギターの流麗なメロディもさすがというところ。メタルファンにもしっかりアピールする演奏と、
日本人好みのクサメロに馥郁たるロマンの香りを含んだ聴き心地は、V系メタルの中では突出した存在だろう。
10分を超えるバラード曲などはシンフォニックなアレンジがなかなか見事。熱心なファンでなくとも活動休止は残念だ。
メロディック度・・8 疾走度・・8 ナルシス度・・8 総合・・8
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Versailles「Anthologie」
日本のV系メタルバンド、ヴェルサイユのベスト。2013年作
3枚のアルバムを残して2012年に解散したこのバンドの、
14曲入りベストアルバム。
その華麗なルックスと高品質な楽曲で、日本最高のV系メタルというべき存在になりつつあった彼らだが
本ベストでは、あらためて演奏力を含めた楽曲のクオリティの高さと、美意識ある世界観をなぞることができる。
かつてのX JAPANを思わせる流麗なツインギターのメロディとともに疾走するスタイルは、
きらびやかなメロディック・スピードメタルと言ってもよく、甘いヴォーカルはいかにもビジュアル系ながら、
豊穣なメロディの流れは見事であり、細やかなアレンジにも隙がない。シンフォニックな美麗さと、
クサメロかつロマンに満ちたサウンドは、
エックス以後のV系メタルのひとつの理想系を描いていた。
メロディック度・・8 疾走度・・8 きらびやか度・・9 総合・・8
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VIENNA「オーバーチュア=序章」
日本のプログレバンド、ヴィエナの1st。1988作
80年代後半になり低迷しはじめたJap'sプログレ界に現れたスーパーバンド。
藤村幸宏、塚本周成、西田竜一、永井敏己という豪華な顔ぶれは、まさに日本版U.K.というべきか。
個人的には次作「STEP INTO...」のさらなるダイナミックな楽曲群の方がより好みなのだが、
あらためてこの1stを聴いてみると、キャッチーな歌メロの影には、よく練られた曲アレンジがあり、
ひとつひとつのギターとキーボードのフレーズにしても、リズムアレンジにしても、なかなか隙がない。
彼らの残した2枚のアルバムは、完成度の点で日本プログレのひとつの頂点をなしている。
メロディアス度・・8 テクニカル度・・8 完成度・・9 総合・・8.5
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VIENNA「Step Into...」
日本のプログレバンド、ヴィエナの2nd。1988年作
藤村(茶々丸)幸宏(元Gerard)、塚本周成(Outer Limits)、西田竜一(元NOVELA)、永井敏巳という
豪華なメンバーで結成されたスーパーバンド。キャッチーなメロディとダイナミックな展開で構築された
サウンドはどこをとっても質が高く、今もなお日本プログレ史上に燦然と輝く美しき名作である。
塚本氏の美しいシンセワークと、藤村氏の甘い歌声でシンフォニックかつ繊細に聴かせるイントロから、
西田氏のツーバスドラムが炸裂、ギターとシンセの華麗な絡み、インストパートにおけるダイナミズムは、
DREAM THEATERよりも前にこれほどのハードプログレが日本にあったのだと思わせるほど。
NOVELAのロマンティシズムとGERARDのテクニカルな構成を合体させたような、これぞまさに
Jap'sプログレを代表する傑作だ。現在、藤村、塚本の両氏はGaktの作曲、プロデュースなどでも活躍。
メロディアス度・・8 テクニカル度・・8 完成度・・10 総合・・8.5
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VIENNA「Progress」
日本のプログレバンド、ヴィエナのライブアルバム。1989年作/2013年リマスター
元GERARDの藤村(茶々丸)幸宏、元NOVELAの西田竜一、OUTER LIMITSの塚本周成といった
豪華メンバーによる、JAP'sプログレ史に残る傑作を2枚残したスーパーバンドのラストライブを収録。
きらびやかなプログレとパワフルなハードロックの要素を持った楽曲は非常に完成度が高く、
キャッチーなメロディを含んだ適度なメジャー感をかもしだしながら、ライブにおいても見事な演奏で
ダイナミックかつ華麗に再現されている。ホルストの“惑星”を取り上げた大曲なども素晴らしい。
リマスターにより音質も向上、迫力あるステージサウンドが楽しめるという点でも必聴の作品だ。
日本のプログレシーンとともに一瞬の輝きをはなったバンドの歴史的な記録としても意義深い。
メロディアス度・・9 プログレ度・・8 ライブ演奏・・9 総合・・8.5
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VIENNA「Unknown」
日本のプログレバンド、ヴィエナの1996年作
80年代末に日本プログレ史に残る2枚の傑作を残して解散した彼らの久々の3rdとなる。
メンバーは茶々丸(藤村宏之)氏に、塚本周成、永井敏己というオリジナルメンバーに加え
ドラムには菅沼孝三氏が参加している。サウンドの方は、かつてよりもやや硬質感が増していて、
持ち味であったメロディアスなキャッチーさよりも、演奏には大人めいた余裕が感じられる。
切れ味のよいドラムに、センスのよい優美なシンセワーク、そしてこれぞヴィエナというべき
茶々丸氏の歌声が加わって、テクニカルかつハードなプログレサウンドを構築している。
メロディアス度・・8 プログレ度・・8 優雅度・・8 総合・・8.5
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VIGILANTE「CHAOS-PILGRIMAGE」
日本のメロディックメタルバンド、ヴィジランテの1st。1998作
株式会社ビジランテなる自らのレーベルも立ち上げたことでも知られる彼らだが、
確かにサウンドの方も演奏、音質とも自主制作とは思えぬクオリティ。
日本人離れしたハイトーンヴォーカルに、ツインギターとテクニカルなリズムが合わさり
プログレッシブメタル的な質感の楽曲は、硬質でありながらもメロディアス。
どちらかというとDREAM THEATERというよりはFATES WARNINGなどに近い質感か。
ともかく、海外のマイナー系バンドなどよりはよほど質が高く、聴いて損はない。
メロディアス度・・7 テクニカル度・・7 プログレ度・・7 総合・・7.5
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VIGILANTE「Edge of Time」
日本のプログレメタルバンド、ヴィジランテの2nd。1999作
日本のプログレパワー系としては、クオリティ的にもトップに位置するこのバンド。
ツインギターの流麗なメロディに独特のハイトーンヴォーカル、
テクニックのある展開力で聴かせつつ、難解すぎないのがポイントで、
いい意味で日本らしさが薄いというのも個性と言っていいだろう。
メロディアス度・・7 テクニカル度・・7 日本度・・7 総合・・7.5
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VIGILANTE 「Cosmic Intuition」
日本のプログレメタルバンド、ヴィジランテの2004年作
日本ではなかなか珍しい重厚な構築型の本格派プログレッシブメタルバンド。3作目となる本作はコンセプトアルバムとなっていて
英語歌詞によるハイトーンヴォーカルと、ツインギターによるテクニカルなアンサンブルを中心にした聴き応えのあるサウンドを展開。
緩急のついたドラマティックな楽曲と、存在感のあるヴォーカルはよい意味で日本人離れしていて、
いわゆるジャパメタが苦手な方にでも、洋楽のバンドと同じような感覚で楽しめるだろう。今作ではインストパートでの充実ぶりと
叙情的なツインギターのフレーズも際立っていて、メロディックなフックの点でもこれまでで最高の出来といえる。
ドラマティック度・・8 テクニカル度・・8 重厚度・・8 総合・・8
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VIGILANTE「W」
日本のプログレメタルバンド、ヴィジランテの4th。2008年作
1stの時点から、独特のプログレッシブメタルを追求してきたこのバンドもすでに活動10年を数える。
シンセに頼らないあくまでギター主体の楽曲構成と、存在感のある独特のハイトーンヴォーカル、
そしていわゆるDREAM THEATER型とは異なり、RUSHFATES WARNINGあたりに通じる
甘すぎないメロディとプログレパワー的な勢いで構築されるサウンドはじつに玄人好みだ。
今作では、激しめのダミ声ヴォーカルも絡ませたりと、全体的にもよりメタリックな力強さを増していて、
硬派なこだわりを感じさせるその雰囲気は、もはや日本のバンドという枠を超え始めている。
メロディアス度・・7 テクニカル度・・8 重厚度・・8 総合・・8
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VISTLIP
「CLOSTER」
日本のV系ロックバンド、ヴィストリップの2013年作
いかにもV系的なナルシスティックなヴォーカルと、 適度なヘヴィさもありつつ
ラップやクラブ的な感触なども含んだモダンなアレンジで聴かせるスタイル。
ハードロックやメタルのリスナーからすると、ヘヴィロック未満な感じの音にはまったく楽しめないし、
歌も含めて実力の足りなさは明らかなのだが、曲によっては案外激しく疾走したりして、
なかなか悪くないところもある。今後はこの路線でよろしくお願いします。
メロディアス度・・6 メタル度・・6 楽曲度・・6 総合・・7
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VOLCANOMYTHOLOGY
日本のメタルバンド、ヴォルケイノの2011年作
2000〜2005年の間にアルバム2枚、ミニを1枚発表し、その後は音沙汰のなかったこのバンドだが、
本作はアルバムとしてはじつに10年ぶりの作品となる。かつてのメロデス寄りのサウンドから、
今作ではより正統派のメタル質感が増した。GARGOYLE、アニメタルで活躍した屍忌蛇の奏でる泣きのギターと
パワフルなNOVの歌声を乗せて疾走、古き良きヘヴィメタルの格好良さを詰め込んだ雰囲気に
思わずにやりとさせられる。LIGHTNINGのIRON-Chinoにも多大なる影響を与えたそのギターセンスは健在。
新鮮味がないとか、音質面などの問題はあるだろうが、どこを切っても屍忌蛇節満載の好盤である。
メロディアス度・・8 パワフル度・・8 古き良きメタル度・・8 総合・・8
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VRAIN「EMERALD」
日本のメロディアス疾走ハードバンド、ブレインの7曲入りデビューミニ。2006作
女性Voを含む4人組みで、ジャケからしてすでにビジュアル系のノリ。
サウンドのほうはピロピロとデジタル打ち込み風味のキーボードをバックに疾走、
ドコドコドラムと軽めなギターの上に女性ヴォーカルの日本語歌詞が乗る。
X JAPAN好きの少年、少女たちが、DRAGONFORCEなど最近のメロスピブームに乗って
メタルっぽくてきれいで速い曲を作ってみました…というような印象だが、
シンフォニックなシンセの入れ方の上手さなどは、いかにもいまどきの若者らしい。
曲の雰囲気やメロディ展開に「まんまX」的な部分が多いので、今後は個性を磨いていってもらいたい。
シンフォニック度・・7 疾走度・・8 X JAPAN度・・8 総合・・7
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VRAIN「Rendez Blue」
日本のシンフォニック・メロスピバンド、ブレインの2007年作
きらびやかなシンセとともにキャッチーなメロディで疾走するメロディックスピードメタル。
モダンなシンセアレンジはゲームミュージックやアニメ的なきらきら&ピコピコ系ではあるが、
そこに古き良きジャパニーズメタル的なメロディが融合していて、サウンドは軽めで、
ショルキーをかついだ女性シンガー、HIRO嬢の歌声もやや弱いのだが、
そのクサすぎるメロディにはなにやらぐっときてしまうという、一種不思議な感触がある。
純粋なメタルリスナーよりもライトなメロスピ好きや、X JAPAN、スターレスあたりを好むような
かつてのジャパメタのリスナーにもお勧めしたい。少し恥ずかしいけど…出来は良いのです。
メロディアス度・・9 疾走度・・8 クサメロ度・・9 総合・・8
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VRAIN 「Roaming Lie」
日本のメロディックメタル、プレインの2011年作
前作「Rendez Blue」はなかなかの好作品であったが、本作はイントロの小曲を含めて4曲入りのミニで、
きらびやかなシンセと女性ヴォーカルの歌声を乗せてキャッチーに疾走する、X JAPAN風味のメロスピサウンド。
ショルキーをかついだ、紅一点HIRO嬢は、華やかなルックスとは裏腹に、その歌声はどことなく昭和歌謡風味もあって、
いかにもジャパメタ感を漂わせているのもニヤり。ツインギターの流麗なフレーズに、ツーバスのドラムも含めて
演奏力もしっかりとしていて安心して楽しめる。ポップなミドルナンバーや、デビューミニの新緑ナンバーもよい感じです。
メロディック度・・8 疾走度・・8 女性Vo度・・7 総合・・7.5
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VRAIN 「VAPTISM of MARS」
日本のメロディックメタル、プレインの2013年作
フルアルバムとしては6年ぶりとなる2作目で、美麗なシンセアレンジとツインギターで疾走しまくり、
ドラムを含めたX JAPAN影響下にある演奏と、キャッチーかつ爽快なメロスピサウンドは健在。
ライブではショルキーをかついで歌う、紅一点HIRO嬢の歌声は、適度に弱くて
むしろヲタ萌えしそうなヘタウマ感があったりして、このサウンドにマッチしている。
ライトに疾走するポップなアニソン的な聴き心地は、メタルファン以外でも楽しめるだろう。
録音の薄っぺらさが、いかにもインディーズ臭さをかもしだしてしまっているのが残念。
メロディック度・・8 疾走度・・9 女性Vo度・・7 総合・・7.5
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WAPPA GAPPA「神話」
日本のシンフォニックロックバンド、わっぱがっぱの2nd。
日本語による歌詞で、日本的な雰囲気を大切にしたメロディアスなサウンド。
雰囲気的に、テルズ・シンフォニアあたりを思わせる部分もあり、やや80年代風のレトロな質感もあるのがポイントか。
女性Vo、圭美さんの歌声はしっとりと歌いあげる感じの声質で、Fあたりのやわらかみのある歌唱が魅力的。
曲によっては多少出来にばらつきがある感じがするので、個人的には@“獅子王”や
D“神話”あたりの和風テイストなメロディを増やしていってもらいたい。
メロディアス度・・7 日本度・・8 女性Vo度・・7 総合・・7.5

WAPPA GAPPA「我破」
日本のシンフォニックロックバンド、わっぱ がっぱの3rd。2004作
邪馬台国や日本神話を思わせる世界観と、古き良きメロディを感じさせる
日本語歌詞による女性ヴォーカルのシンフォニックロックバンド。
いかにもプログレ的なキーボードと、難解でないほどの変拍子で、
曲には歌ものとしての聴きやすさがあり、日本的情緒をたっぷりと内包したサウンドだ。
女性Voの歌い方もあいまって、しっとりとしたパートではPAGEANTを思わせる雰囲気もあり、
序盤のややとぼけた曲調よりは、こうした部分にこそこのバンドの魅力がある。
ややアレンジの甘かった前作よりも、楽曲や歌唱に成長がうかがえる作品だ。
メロディアス度・・8 日本度・・8 女性Vo度・・8 総合・・7.5
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wha-ha-ha「死ぬときは別」
日本のアヴァンポップロックバンド、ワ・ハ・ハの1st。1981作
サックスの坂田明を中心に、小川美潮、神谷重徳、村上“ポンタ”秀一、千野秀一らのメンバーで
本気の冗談としての音楽を、インプロヴィゼーション溢れるサウンドで作り上げた作品。
フリージャズ的なアプローチに、テクノやポップなどの味付けで、既成の音楽概念を打ち破るような
自由度の高い楽曲(?)を構築(?)しており、小川美潮の少女めいたスキャットも含めてとても個性的。
曲としてちゃんと聴こうと思っては楽しめないが、アヴァンギャルド系のプログレが好きな方には
むしろ分かりやすいかもしれない。今のバンドでいうと美笑あたりにも通じる質感がある。
この後バンドは2作目「げたはいてこなくちゃ」を発表、いっそうの破天荒さに磨きをかけるも、その後解散。
ポップ度・・8 インプロ度・・9 変態度・・9 総合・・8
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WILD ONE「Ichor」
日本のシンフォニック・プログレメタル、ワイルドワンの2014年作
G、B、Dr、Keyという4人編成で、壮麗なシンセアレンジによるシンフォニックな感触と
変拍子リズムを含んだテクニカルなアンサンブルが合わさった、インストによるProgMetalサウンド。
メタリックなリフと流麗なフレーズを弾きこなすギターワークと、シンセによるクラシカルな美しさで、
歌が入らずともメロディアスな要素が強いのでとても聴きやすい。じっくりと聴かせる叙情的なパートもあり、
ファンタジックな世界観を描くインストメタルという点では、Gaia Preludeなどにも通じるかもしれない。
全6曲であるが楽曲が6〜8分と長めなので、全45分と、フルアルバムと言ってもよいボリュームだ。
シンフォニック度・・8 テクニカル度・・7 ファンタジック度・・8 総合・・7.5
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WINDZOR「AGAINST THE ANKNOWN TEMPEST」
日本のメロディックメタルバンド、ウインザーの2013年作
女性Vo、女性シンセ奏者を含む5人編成で、サウンドはファンタジックな世界観で聴かせる
美麗なシンフォニックメタル。中性的な声質の女性ヴォーカルの歌声とともに、
ときにクラシカルな優雅さを含んでパワフルに聴かせるという本格派のスタイル。
Fatima Hillなどにも通じる古き良きHRの質感を残した重厚さもあって、
オールドなジャパメタファンにも楽しめるだろう。オフィシャルサイトはこちら
シンフォニック度・・8 本格派度・・8 女性Vo度・・7 総合・・8
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WINDZOR 「ACCEPT THE FOLKLORE OF GUARDIAN'S FLAME」
日本のシンフォニックメタル、ウインザーの2016年作
女性Vo、女性シンセ奏者を含む5人編成で、前作は古き良きスタイルの正統派メタルという好作だったが、
本作はのっけから壮麗なイントロで幕を開ける。シンフォニックなシンセアレンジに様式美テイストのギター、
女性にしてはパワフルな声質の英語の歌声を乗せ、ファンタジックな世界観に包まれたサウンドが広がってゆく。
適度な疾走感とオールドな様式美テイストに、シンフォニックな音の厚みを加えたという聴き心地で、
正統派のジャパメタを好む方にも対応。FATIMA HILLをきらびやかにした感じというと分かりやすいか。
全体的にも高品質な作品であるが、突き抜けるようなラーチューンがあれば、さらに飛躍できるだろう。
ドラマティック度・・8 シンフォニック度・・8 女性Vo度・・7 総合・・7.5
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WIZARDS' HYMNHymnal
日本のメロディックメタルバンド、ウィザーズ・ヒムの2006年作
きらきらとしたシンセとギターで、ネオクラシカル的に疾走するサウンド。
そこに乗る女性ヴォーカルの歌唱はやや力量不足な感もあるが、
英語で歌われる楽曲には、ヨーロピアンな質感があってなかなか悪くない。
プロダクションの甘さもあって音が軽く迫力がないのが惜しいが、
日本産の女性Voメタルとして今後も頑張っていって欲しいバンドだ。
メロディアス度・・8 疾走度・・7 女性Vo度・・7 総合・・7.5
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WIZARDS' HYMN「TRANSIENCE」
日本の女性Voシンフォニックルメタルバンド、ウィザーズ・ヒムの2nd。2008年作
前作はネオクラシカルに疾走するスタイルだったが、今作ではシンセのサポートもあって
むしろWITHIN TEMPTATIONのようなゴシックメタル風でシンフォニックな雰囲気が増している。
肝心の女性ヴォーカルも交代していて、新Vo嬢の美しい声質はゴシック的な部分にマッチしているが、
音程の危うさに加えて力量もやや不足。サウンドの説得力のためには歌唱力の向上は必須だろう。
ドラムなど録音面での弱さもまだまだ改善の余地があり、あらゆる部分でさらなる成長に期待したい。
シンフォニック度・・8 むしろゴシック度・・8 女性Vo度・・7 総合・・7.5
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XYZ

X「BLUE BLOOD」
日本が誇る人気バンド、エックス(ジャパン)の2nd。1989年作
日本のハードロックシーン、後のヴィジュアル系バンドたちにも大きな影響を与え、海外のメロスピ系バンドからもリスペクトされているこのバンド。
当時は派手派手しい髪形やメイクなどの外見ばかりが取り沙汰されていたが、彼らの本質は抜群のメロディによる美しくも激しい楽曲にあり、
出世作にして最高傑作であるのが本作だ。個人的にもメタルにハマる原点となったアルバムだし、それがリマスターにより音質も向上、
HIDEPATAによるツインギターの流麗な絡みや、YOSHIKIの熱いドラムプレイに再び聴き惚れられる。
イントロに続く“BLUE BLOOD”は、今で言うDRAGONFORCEばりに疾走する永遠のメロスピ名曲であるし、
“WEEK END”の哀愁溢れるメロディにはやはりぐっとくる。ライブでの定番曲“X”の激しさから
一転して美しいピアノで聴かせる泣きのバラード“ENDLESS RAIN”の叙情にはうっとりとなる。ここまでですでにお腹いっぱいなのだが、
ここからようやくアルバム後半で、泣きの哀愁のイントロとともに名曲“紅”がドカドカと攻めてくる。
強烈な疾走曲“オルガスム”、キャッチーな“CELEBRATION”から、クラシカルな美意識で聴かせる圧巻の大曲“ROSE OF PAIN”、
そしてラストの“UNFINISHED”まで名曲満載。20年近くたった今もなお色あせない名盤だ。
メロディアス度・・9 魂の激しさ度・・10 楽曲・・9 総合・・9
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X JAPAN「ART OF LIFE LIVE」
日本が誇る、メジャー級メロディックHRバンド、エックス・ジャパンのライブアルバム。1998作
YOSHIKIが長い間温め続けていた大曲「ART OF LIFE」をライブで完全再現したもので、
同曲は、X JAPANというバンドの曲の中でも、メタルファンが聴くべきメロスピの名曲である。
かつてアルバム版を聴いたときには、全1曲34分という構成にかなりの衝撃を受けたものだが、
このライブ版はアルバム版よりもずっと音がダイナミックで、しっかりメタルしているのが嬉しい。
手数も多く疾走リズムを叩き出すYOSHIKIのドラミングに、流麗なメロディを奏でるツインギター、
キャッチーかつメロディックに疾走し、途中YOSHIKIの不協和音混じりのピアノソロを挟みつつ、
楽曲はドラマテイックに何度も盛り上がりを見せながら、一気に34分間のドラマを終える。
冷静に分析しても、(ピアノソロは別として)メロスピとしてもシンフォメタルとしても一級品の出来で、
改めて彼らの演奏技術の高さと、メロディーメーカーとしての才能が知れる。
個人的に言えば、この1曲のみでこのバンドの存在価値があったとさえ思えるし、
欧州のメロスピバンドたちが彼らをリスペクトするのも、これを聴けばうなずける。
Xの作品としては、「BLUE BLOOD」と、この「ART OF LIFE LIVE」。この2枚はぜひ聴いてもらいたい。
メロディアス度・・8 メロスピ度・・9 ライブ演奏・・9 総合・・8.5
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XOXO EXTREME 「Le Carnaval des animaux 動物学的大幻想曲」
日本のプログレ・アイドルグループ、キス・アンド・ハグ・エクストリームの2021年作
2016年にシングルデビュー、5人編成となって、2作目のフルアルバムとなる。わりとハードなギターにシンセを重ね、英語歌詞のヴォーカルによる1曲目は、キャッチーなロック感触で普通に楽しめ、続く2曲目はデジタルでポップなキュートさと、オルガンなどのヴィンテージなアレンジが同居してニヤり。
8パートに分かれた組曲では、フォルクローレ風の哀愁と歌謡ロック風味が融合し、インストパートも含めた緩急ある展開力でなかなか楽しめる。
過去曲のニューバージョンなども含め、いかにもアイドル的なポップなナンバーや、フルートやオルガンなどを使ったオールドロック風味など、楽曲ごとに味があるのだが、録音やミックスが曲ごとに異なるのもやや気になるところ。
個人的には「虎とアリス」のようなきらびやかでノリの良いナンバーも気に入った。方向性としては面白いので、さらにインパクトのある攻めた曲を増やしていってほしい。
アイドル度・8 プログレ度・7 エキセントリック度・8 総合・8
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XSPIDER「Warning」
日本のメロディックメタルバンド、エクスパイダーの2010作
ウェールズ人のクウォーターというギター/ヴォーカルの月姫(LUNA)を中心に
ヴォーカルのMAYUKA、そしてスウェーデン人のドラマーという3人組で、
日本産バンドとは思えない本格派のハードロック/メタルをやっている。
幼少の頃からLAに住んでいたというヴォーカル嬢の歌声は声量豊かで力強く、
英語歌詞もまったく嘘臭いところがない。そして海外での活動が長いLUNAの生み出す楽曲は、
いい意味でせせこましい日本臭さがなく、メジャー感すら漂わせた堂々たるもの。
まったく今後の展開が楽しみなバンドである。オフィシャルサイトはこちら
メロディアス度・・8 本格派度・・9 女性Vo度・・8 総合・・8
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矢吹卓 「Modern World Symphony No.2」
日本のミュージシャン、やぶき・たくの2015年作
高円寺百景にも参加するピアニストで、本作にはアメリカのジャズ系ギタリスト、アレン・ハインズ、
ベースに、ロバート・バービー・ルイス、ドラムには平川象士が参加。民族的なイントロ曲から始まり、
やわらかなピアノの旋律に流麗なギターが絡み、優雅で繊細なフュージョンロックを聴かせる。
うっすらとしたシンセに巧みなベースを重ねたナンバーや、アコースティックギターとピアノによる牧歌的な味わいに
メロウなギターのフレーズやうるさすぎないドラムも含めて、軽やかに自然体のアンサンブルが耳に優しい。
ジャズ度・8 プログレ度・7 優雅度・9 総合・8
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夜叉 「Reborn」
日本のスラッシュメタル、YASHAの2008年作
高崎晃の愛弟子として知られるギタリスト、福島克彦を中心としたバンドで、本作が3作目
ザクザクとしたヘヴィなギターリフに、ダミ声ヴォーカルで聴かせるスラッシュサウンド。
随所に激しい疾走感もありながら、モダンヘヴィネスの重厚さが前に出ていて、
日本語歌詞による「和風メタル」の雰囲気に、ハードコア風味も含んだサウンドを描いている。
かつてのSEPULTURAにも通じるようなダークな重さとリフの切れ味は、
その辺のマイナーバンドとは一線を画す迫力がある。和風スラッシュコアの力作。
ドラマティック度・・7 重厚度・・8 ダークスラッシュ度・・8 総合・・7.5


横須賀ゆめな「YUMENA」
横須賀ゆめなのファーストアルバム。MARCY(EARTHSHAKER)プロデュース。2001作
アイダ設計のCMソングや、キン肉マンU世のED曲などでおなじみ。
どこか古き良きハードロック色を有した楽曲に本格派の女性ヴォーカルという、
私のようなロック聴きリスナーにはとても嬉しい日本人アーティスト。
打ち込み全盛の歌謡曲とは一線を画し、曲にはあくまでロックとしてのこだわりを感じるところがミソ。
先にシングル発売されていた曲も多く、録音にバラツキがあるのが少々残念。
メロディアス度・・8 ハードロック度・・8 楽曲・・7 総合・・7.5
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横須賀ゆめな「恋のMy CHOP!!」「「WINGS」「残酷な太陽」「Pi Pi Pi メロディー」
横須賀ゆめなのシングルCDをまとめてレビュー。
思えば彼女の曲を知ったのはアイダ設計のCM曲でだった。歌といい、けっこうハードなギターといいなんとなく「くる」ものがあり、
気になっていたのだが、作曲&プロデュースの名前にEARTHSHAKERMercyこと西田昌史の名を発見して妙に納得。
やはり「こちら側」のアレンジはメタルの耳にはひどく心地よいということか(笑)。
さて「恋のMy CHOP!!」キン肉マンU世のエンディングテーマ曲のシングル。
2曲目が目的のアイダ設計CMソング「メビウスの輪」。キン肉マンの曲は歌詞こそアニメっぽいが、
曲の方は骨太のハードロックで、ドラムといいギターといいじつに格好よく、素晴らしいギターソロも入っている。
「メビウスの輪」はなんといっても叙情的で印象的なサビの美しさにつきる。流れるような日本詞とバックの哀愁溢れるメロが絶品。
「WINGS」はアニメ「ガイスターズ」のテーマ曲で、とてもヘヴィなハードロック。
「残酷な太陽」はMercyプロデュースの第一弾シングルで、やはり西田昌史が作曲した3曲目「青の少女」の叙情が素晴らしい。
「Pi Pi Pi メロディー」はデビュー2枚目のシングルで、以降のMercyプロデュース作に比べると曲のインパクトはやや弱い。
メロディアス度・・8 ハードロック度・・9 女性Vo度・・8 総合・・7.5

横須賀ゆめな「メビウスの輪」
女性ロックシンガー、横須賀ゆめなの2ndフルアルバム。2004作
今作もEARTHSHAKERMARCYプロデュース。のっけから「WINGS」(アニメ『ガイスターズ』テーマ)でハードロック全開。
彼女自身が憧れる山口百恵のロックカヴァー「横須賀ストーリー」や、アイダ設計のCMでおなじみ「メビウスの輪」
「夏空」
といった叙情溢れる名曲も収録。「FLARE」は2004年の高校バレーのテーマで、ギターソロがカッコいい(ドラムツーバスだし)。
「恋のMy Chop!!」はキン肉マンU世のEDで、よく聴けばこれもハードロック。
アルバム全体に彼女のロックヴォースリストとしての力強さが感じられるし、ギタープレイや曲のアレンジは
我々メタラーが近しく感じるサウンドなので、女性声HRが好きな方にはぜひ聴いてもらいたい。
メロディアス度・・8 かなりハードロックです度・・9 楽曲・・8 総合・・8
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夜長オーケストラ
日本のオーケストラ・ロックユニット、よながオーケストラの2010年作
ヴァイオリン、ヴィオラ、チェロ、フルート、コントラバス、トランペット、トロンボーン、
ピアノ、アコーディオン、さらにはロックドラムにギター、ベースという大人数による編成で、
オーケストラサウンドとロックの融合をなし遂げている。クラシック、ジャズ、ロック、プログレなど、
さまざまな要素をミックスしながら、壮大かつ優雅な演奏をダイナミックに繰り広げる。
美しいソプラノヴォーカルの歌声にうっとりとしつつ、美しいピアノ、艶やかなストリングに聞き入り、
星空を見上げるようなロマンに浸れる音楽だ。キャッチーなポップ性を有しているという点では、
一般のリスナーにも気軽に楽しめる普遍性があり、決して自己満足に陥っていないのが素晴らしい。
アカデミックな統制と、演奏技術に裏打ちされた、しっかりとした音楽性があるのがまた凄い。
シンフォニック度・・9 クラシカル度・・8 ロック度・・7総合・・8
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夜長オーケストラ「狼とわたし」
日本のオーケストラ・ロックユニット、よながオーケストラの2作目。2010年作
大人数による編成でオーケストラとロックの融合をなし遂げるオケユニット。本作は幻想的なジャケも含め、
物語的な流れを作品にもたせていて、クラシック、ジャズ、ロックなど、さまざまな要素をミックスしながら、
美しい女性ヴォーカルの歌声とともに、ロックオペラのように壮大でシアトリカルな世界観を描いてゆく。
楽曲そのものに難解な部分はなく、「天空の城ラピュタ」のカヴァーも含め、ポップな感覚を含ませながらも、
ロマンの香りを染み込ませた大人の絵本のような楽しみ方ができるサウンドだ。一方では10分近い大曲では
チェンバーロック的なミステリアスな雰囲気もあって、プログレファンにも鑑賞できるだけの奥の深さがある。
シンフォニック度・・9 クラシカル度・・8 ロック度・・7 総合・・8
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夜長オーケストラ × 5 Vocallists of Unlimited「The Gate」
日本のオーケストラロックユニット、よながオーケストラの2011年作
高谷学(BLINDMAN)、世良純子(ALHAMBRA)、Michal(ANCIENT MYTH)、Michi(Sincerity Green)、
神谷俊範(Argument of Soul)というHR/HM畑の5人のヴォーカルをゲストに迎えての作品で、
壮麗なオーケストレーションとともに、男女ヴォーカルの歌声で聴かせるロックオペラとなっている。
もともとリーダーの中村氏はHR/HMにも造詣があるので、いつにないメタリックなアレンジもさほど違和感はない。
シアトリカルな濃密さとともに、けっこうヘヴィで激しいパートや、少し気恥ずかしいメタルへの讃歌など
起伏に富んだ内容で、悪く言えばとりとめがない感じもあるのだが、ラストの“群青Survive”は感動的。
ドラマティック度・・8 シンフォニック度・・7 メタル度・・7 総合・・7.5
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夜長オーケストラ 「Time, Take Your Time」
日本のオーケストラ・ロックユニット、よながオーケストラの2015年作
大人数による編成でオーケストラとロックの融合をなし遂げる壮麗なるプロジェクト、
本作は2010年作から続いた3部作の完結編。ストリングスやブラスを含むオーケストラを軽快なリズムに乗せて、
美しいソプラノ女性ヴォーカルの歌声とともに、シンフォニックにしてキャッチーなサウンドを描いてゆく。
ヴァイオリンがソロを取るインストパートや、ブラスセクションをメインにした小曲などもあり、クラシックやジャズを巧みに融合、
また今作は約半分が歌入りのナンバーということで、一般のポップファンにも入りやすい内容だろう。オフィシャルサイトはこちら
シンフォニック度・・8 ロック&ポップ度・・8 オーケストラ度・・9 総合・・7.5
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四人囃子「Golden Picnics」
70年代の日本のプログレ/ロックを代表するバンド、よにんばやしの2nd。1976作
日本のプログレッシブロックの黎明を告げる「一触触発」に続くアルバムで、
プログレバンドとしての四人囃子の最高傑作。ゆったりとしたシンセと牧歌的な雰囲気、
より雄大になったサウンドには、当時にしてはかなりの音質での録音の良さも含めて、
トータルな作品としての完成度は今聴いてもまったく色あせていない。
前作でのまだ粗いロックよりも、PINK FLOYD的な感触がぐっと高まっていて、
ゆるやかな浮遊感とともに、日本的なメロディを取り入れたバランス感覚も素晴らしい。
とくに、10分を超える大曲“泳ぐなネッシー”のアヴァンギャルドな展開力は圧巻。
メロディアス度・・8 プログレ度・・8 楽曲・・8 総合・・8.5
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四人囃子「PRINTED JELLY」
70年代の日本のプログレ/ロックを代表する、よにんばやしの3rd。1977作
脱退した森園勝敏に代わり、佐藤ミツルが加わっての1作目。
ジャケの雰囲気からして、前作のいかにもプログレ的な混沌としたものは消えていて
ずいぶんスタイリッシュな方向性にシフトしてきているのが察せられる。
曲はストリートになり、いくぶんポップな感触が増してきているが、
ロックバンドとしてのダイナミズムは失われておらず、一般のリスナーは本作を最高作と捉えてもいいかも。
メロディアス度・・8 プログレ度・・7 楽曲・・8 総合・・8
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四人囃子
70年代日本ロックを代表するバンド、よにんばやしの4th。1978作
名作「ゴールデン・ピクニックス」の後、森園勝敏の脱退によりバンドは活動休止、
その後、新たに佐藤ミツルを加えて復活、3rd「PRINTED JELLY」でよりスタイリッシュなロックへとシフトする。
続く本作も前作からの延長上のポップさに加え、曲はいっそうコンパクトなアレンジになっている。
曲はキャッチーで歌メロも爽やかでポップなのだが、そこには四人囃子独特の日本的情緒も感じられ、
また、シンセのアレンジなどにはいくぶんプログレの香りが残っているのも嬉しい。
佐藤ミツルのヴォーカルとギターも、すでにバンドサウンドに違和感無く溶け込んでいる。
メロディアス度・・8 プログレ度・・6 楽曲・・7 総合・・7.5
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四人囃子 「2002 LIVE」
日本が誇る伝説のロックバンド、よにんばやしのライブ作品。2002年作
森園勝敏をはじめとしたオリジナルの4人のメンバーが集結、初期の代表作「一触即発」と
「ゴールデン・ピクニックス」からの曲をメインにした往年のファンにはじつに嬉しい内容である。
30年近いときが流れて、当時の楽曲がこうして甦っただけでも感動的だが、オルガンが鳴り響く
古き良き時代の空気までも甦らせるようである。演奏自体は歌も含めてかつてのキレは薄まり
オヤジになった枯れた味わいを随所にかもしだしているが、それすらもときの流れを感じて泣けてくる…
そんなオールドファンのためのライブ作品だ。音質面でのぼやけ方は意図的なのかは定かではないが。
ライブ演奏・・7 四人囃子度・・8 オヤジたちに涙度・・9 総合・・7.5


吉松隆「タルカス クラシックmeetsロック」
「新・音楽の未来遺産」として行われた、東京フィルハーモニー交響楽団による2010年3月のコンサートを収録。
クラシックとロックの融合をテーマに、EL&Pの名作「TARKUS」を吉松隆の編曲により見事にオーケストラ化、
原曲のもつ躍動感をそのまま壮大なオケでダイナミックに仕立てたサウンドはじつに感動的だ。
まさにプログレとクラシックの双方の魅力を引き立たせつつ、優雅さと緊張感をもって融合されている。
現代音楽の古典とされる黛敏郎の「BUGAKU」は静謐な緊張感を漂わせつつ、とくに第二部が圧巻。
ドヴォルザークの「アメリカ」は艶やかなピアノを中心に、美しいアレンジでシンフォニックに楽しめます。
そして吉松隆による「アトムハーツ・クラブ」はプログレを意識して書かれたというオリジナル曲で、
現代クラシック的な構築と随所に感じさせるプログレセンスがさすが。この壮大な本気遊びに拍手。
シンフォニック度・・10 プログレ度・・8 壮大度・・9 総合・・8.5
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YUHKINEN「FAR BEYOND THE SEVEN SEAS」
GALNERYUSALHAMBRAARK STORMなどで活躍する、YUHKIのソロ。2011年作
名実共に、HR界ではいまや日本を代表するシンセ奏者の一人といってもよいだろう。
本作には、ALHAMBRAの世良純子、Hibiki、梶原稔広、長倉哲郎、GALNERYUSのSyu、TAKA
ARK STORMの佐々井康雄、大田カツ、SABER TIGERの下山武徳、木下昭仁、三瓶朋大
GERARDの長谷川淳といった豪華なメンバーが参加、 そのきらびやかなシンセワークを軸に
プログレッシブな感性とシンフォニックな優美さを融合させた、テクニカルなサウンドが炸裂している。
11曲中、歌入りの曲が5曲あるので、決して自己満足なインストバトルには陥っていない。
ALHAMBRAのプログレッシブハード風味と、GALNERYUSのメロディックメタル要素を合わせたような
聴き心地に仕上がっている。そして凄腕メンバーたちの巧みなギタープレイも聴き所だ。
メロディック度・・8 テクニカル度・・8 プログレ度・・7 総合・・8
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Yuka & Chronoship 「Water Reincarnation」
日本のプログレバンド、ユカ・アンド・クロノシップの2011年作
女性シンセ奏者、船越由佳を中心にしたバンドの1作目。軽快なアンサンブルの上を
エレピを含むシンセが繊細かつきらびやかにメロディを乗せてゆくというサウンドで、
プログレの定型にこだわりすぎない、よい意味でのキャッチーな聴きやすさがある。
テクニックのある演奏とフュージョン的な音の綺麗さから、さらりと聞き流してしまえるのが
人によっては物足りないかもしれない。インスト主体ながら、歌入りのゆったりとしたナンバーもあり、
全体的には2ndのような大曲はないものの、マイナー臭さのないしっかりしたクオリティの好作品だ。
メロディック度・・8 プログレ度・・7 スリリング度・・7 総合・・8
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YUKA & CHRONOSHIP 「Dino Rocket Oxygen」
日本のプログレバンド、ユカ・アンド・クロノシップの2013年作
シンセ奏者の船越由佳を中心にした4人編成で、本作が2作目のアルバム。
ロジャーディーンによるロゴが特徴的なジャケからして、日本人離れした雰囲気だが、
内容も、のっけから13分の大曲、さらに23分、18分という組曲という自信たっぷりの構成。
メロトロンやムーグ、オルガンを使ったシンセワークが古き良きプログレのテイストをかもしだしつつ
ギターのフレージングはジャズロック的であったり、フュージョン的であったりとなにげにテクニカル。
どこかなつかしいようなキャッチーな旋律を含んだやわらかな聴き心地は、女性らしい繊細さを感じさせる。
マニアックになりすぎない優雅さは、いわばメジャー視点からのプログレ作品という感じもある。
メロディック度・・8 プログレ度・・8 優雅度・・9 総合・・8

Yuka & Chronoship 「The 3rd Planetary Chronicles 第三惑星年代記」
日本のプログレバンド、ユカ・アンド・クロノシップの2015年作
シンセ奏者の船越由佳を中心にした4人編成で、本作が3作目のアルバムとなる。
地球の歴史を俯瞰するように、石器時代から、ガリレオ、蒸気、電波、さらにはクローンといった、
楽曲ごとに人類の文明を掘り下げたコンセプトアルバムとなっていて、優美に重ねられたシンセを中心に、
存在感あるベースを乗せたどっしりとしたリズムアンサンブルに、うるさすぎない巧みなギターワークと、
ときに神秘的なコーラスなども加えて、インスト主体ながらスケール感のあるサウンドを描いてゆく。
オルガンやムーグの音色を使った往年のプログレらしさの一方で、より普遍的なシンセ入りロックとしての
分かりやすさがあるので、若いリスナーにも入りやすいというのもこのバンドの特徴だろう。
ドラマティック度・・8 プログレ度・・7 壮大度・・8 総合・・8 
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zabadak「遠い音楽」
上野洋子吉良知彦によるユニット、ザバダックの4th。1990作
MMGに移籍しての2作目。ここからの3作はファンにも最も人気が高い時期だろう。
アコースティックギターにヴァイオリン、アコーディオンなどによる民族的なメロディと
日本的な感覚
をミックスさせたサウンドで、新鮮でありながらどこか懐かしい音。
上野、吉良とそれぞれのVo曲によって雰囲気が変わるのも面白く、
はかなげで繊細な女性Voものと、ロマンティックな男Voものという二つの要素がある。
全体的にはアコースティカルな要素が前に出ていて、上野洋子の伸びやかな歌声が耳に優しい。
三拍子の“二月の丘”や、歌詞の愉快な“Around The Secret”、深みのある叙情曲“harvest rain”あたりが印象的。
メロディアス度・・8 しっとりアコースティカル度・・9 楽曲・・8 総合・・8
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zabadak「私は羊」
ザバダックの5th。1992作
ジャケとアルバムタイトルのインパクトが大きいが、音の方はやや地味めな小曲集で、
ヨーロピアンな情緒よりは、どこかキャラバン風の無国籍感と、キャッチーな歌ものとしての色が濃い。
しっとりとした安らぎと幸福感のある曲が多く、音からはユニットとしての安定期を感じさせる。
中でも叙情的でありながらドラマティックな“夏を見渡す部屋”が白眉。
しっとり度・・8 ゆったりしあわせ度・・9 楽曲・・7 総合・・7.5
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zabadak「桜」
ザバダックの6th。1993作
上野&吉良という二人のコンビとしては最後の作品。ファンの間では最高作との呼び声高い。
1曲めの“五つの橋”は祝祭的な軽快さの中にも異国的な爽やかさがただよう人気曲。
曲のアレンジ的にもメリハリがついたというか、シンプルさの中に研ぎ澄まされた部分を感じる。
曲ごとのイメージの付けかたの確かさは、なるほど前2作を上回るものがあるが、
これはむしろ上野洋子の歌手としての表現力の成長によるところが大きい気がする。
Cの“Pai-trailing”あたりの静かだが意志のこもった歌声からもそれは聴き取れ、同時に
以前にも増して、アルバム中で上野色と吉良色の違いがはっきりと出ているような印象を受ける。
ある意味「遠い音楽」での幻想的な部分と対照的な、人間的な音が聴こえる作品。
メロディアス度・・8 表現度・・9 楽曲・・8 総合・・8
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ザバダック「創世紀 ザ・ベスト・オブ・ザバダック+2」
上野洋子吉良知彦によるユニット、ザバダックの東芝EMI時代のベスト。1996年作
初期の2作「WATER GARDEN」「welcome to zabadak」からの全17曲を収録。
この頃はまだ打ち込み色が強く、後のアコースティックな楽曲に比べれば1音の深みには欠ける。
しかし、シンセをバックに幻想的な歌声を載せる浮遊感のあるサウンドは後の新居昭乃や菅野よう子の作品など、
多くのアーティストにも影響を与えたと思われる。上野洋子の歌声は楽器的にメロディと言葉をつむぐという感じで、
内面的な深みはさほど感じられず、どちらかというと雰囲気ものの綺麗な音楽だが、
KATE BUSH
的な歌声が聴ける“Hide in the Bush”あたりにはとても非凡な魅力を感じる。
メロディアス度・・8 表現度・・7 楽曲・・7 総合・・7.5
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Zettaimu/絶対無「In The Decadent Times」
日本のプログレロックバンド、ぜったいむの1997年作
ヴォーカル、ギター、ベース、シンセをこなす古江 尚を中心に、本作はまだドラムとの二人ユニットで、
うっすらとしたシンセに叙情的なギター、そこに日本語歌詞を乗せた、ゆったりとしたサウンドを描いている。
プログレというよりは、PINK FLOYDルーツの牧歌的なフォークロックというような聴き心地であるが、
昭和の香りを含んだ日本的な情緒を漂わせるところは、新●月の世界観にも通じるかもしれない。
全体的には、録音面も含めて、デモ音源の延長というような感触なので、バンドとなっての進化を目指していただきたい。
ドラマティック度・・7 プログレ度・・7 牧歌的度・・8 総合・・7

Zettaimu/絶対無「What Can I Do」
日本のプログレロックバンド、ぜったいむの2003年作
うっすらとしたシンセに、艶めいた女性ヴォーカルの歌声、和風テイストを感じさせるギターの旋律とともに、
サイケがかった浮遊感に包まれた聴き心地。オルガンやメロトロン風の音色を含むシンセは
プログレ/シンフォニックの質感であるが、いくぶんくぐもったギターの音は古き良きロック色を感じさせる。
随所に男性声も絡んで来て、メロウな叙情を描くようなナンバーもあるが、全体としてはプログレというよりは、
女性声をメインにしたエキセントリックなサイケロックという趣か。もう少しフックや展開が欲しいという気もする。
日本語歌詞の昭和臭さを感じさせるナンバーなどはよい感じなので、このレトロな路線を強化してもらいたいです。
ドラマティック度・・7 プログレ度・・7 女性Vo度・・8 総合・・7
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ZIGGY「HEAVEN AND HELL」
日本が誇るメロディックR&Rバンド、ジギーの11作目。2002年作
SNAKE HIP SHAKES名義も入れるとこれが14作目となる。
今までにも増してリズムアンサンブルが強化されておりJOE(宮脇知史)のテクニカルなツーバスドラムが炸裂。
ハードロックファンにも充分楽しめるだけのドライブ感とヘヴィさがあるアルバムですが、
もちろん従来通りのZIGGY節も発揮されていて、タイトル曲の「HEAVEN AND HELL」を筆頭に、
プロレス番組のテーマ曲にもなった「MY CONVICTION」、軽やかな疾走曲「AGAIN」、
キャッチーな「サダメノツルギ」等々、思わず口ずさめるようなメロディもあり、
ポップセンスとハードな部分がミックスされた印象。全10曲36分と短いですが、
現在はこの金盤と銀盤(HEAVEN AND HELLU)をセットにしたボックス仕様
(しかも15th ANNIのDVD付き)で売られているのでこれはお得ですね。
メロディアス度・・9 ハードロック度・・8 キャッチー度・・8 総合・・8
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ZIGGY「HEAVEN AND HELL U」
いわゆる「銀盤」と呼ばれる前作の続編。2002年作
「金盤」がアグレッシブ路線だったのに対して、こちらはしっとり系の楽曲を集めたアルバム。
アコースティカルな楽曲にやさしげな森重のヴォーカルが重なり
やわらかなサウンドはかつての「ZOO & RUBY」あたりの雰囲気にも近い。
「HEAVEN AND HELL」のバラードバージョンや、ドラマテイックな歌詞が魅力の「誓い」、
心に残る三連バラード「FAITH」、そしてラストの大曲「世界の果てまで」は、
ゆるやかに盛り上がってゆく感動を味わえる。現在は金盤とのセットで購入できる。
メロディアス度・・8 ロック度・・7 しっとり度・・9 総合・・8
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ZIGGY「HEAVEN AND HELL」
ジギーのデビュー15周年記念のライブDVD。2002年、日比谷野外音楽堂での収録。
のっけからいきなり「GLOLIA」で会場を沸かせます。その後は新旧織りまぜた曲を並べつつ
かつてと変わらぬ哀愁のメロディと、40歳を迎えようかという森重樹一の歌声は
いっそう深みを増していて、「生きること=時の流れ=ロック」ということを我々に伝えてくれる。
思わず聴いていて涙腺がゆるむことしばしば。(ZIGGYで泣ける歳になったのだなぁ)
激しさと優しさ、そして魂を込めて歌う、森重の姿は純粋にカッコいいと思うし、
こうした年長のロッカーが頑張っているところを見ていると、こちらも思わず元気になってしまう(^^)。
演奏陣ではとくにJOEの安定した手数の多い素晴らしいドラミングには惚れ惚れとする。
ZIGGYの15th としてはもう少し過去の曲をたくさん聴きたいという不満もあるが、
このセットリストはオールドファンのみでなく最近の若いファンにも楽しめるように、ということなのだろう。
ただ、やはり後半部の「TOKYO CITY NIGHT」「I'M GETTING BLUE」あたりはぐっとくるし、
最近の曲では「HEAVEN AND HELL」「MELANCHOLIA」あたりはとてもテクニカルで良い。
ラストは「LONG AND WINDING ROAD」「DON'T STOP BELIEVING」で劇的にしめくくる。
素晴らしいメロディと、ロックとしての熱さ、そしてせつなさを感じさせてくれる唯一無二の存在。
ZIGGYは日本ロックの宝である。現在では、「HEAVEN AND HELL T&U」のCDとセットで購入できます。
ライブ映像・・8 ライブ演奏・・8 哀愁度・・10 総合・・9
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SNAKE HIP SHAKES「WORST」
日本のロックバンド、スネイク・ヒップ・シェイクスのベストアルバム。2003年作
契約上、ZIGGYを名乗れなくなったバンドが、バンド名を変えインディーズとして活動した、
2000年〜2001年の間に発表した4枚のアルバムから選曲された全15曲を収録。
音楽性は当然ZIGGYそのものだが、どちらかというとこの頃はロック的な勢いを感じる曲が多く、
演奏のドライブ感とキャッチーなメロディが絶妙の名曲「MELANCHOLIA」をはじめ、
泣きの叙情バラード「RAIN」、「翳りゆく夏に」、ハードで勢いのある「BLACKOUT」、
「STRONG WILL」等、名曲多数。 SNAKE HIP SHAKESを知らない方の入門用にもお薦め。
森重樹一の絶品の歌唱に、手数、テクニックとも最高のJOEのドラムなど、
間違いなく歴史的にもクオリティ的にも日本ロックを代表するバンドである。
尚、限定版には秘蔵のライブ映像が楽しめるDVDが付いている。
メロディアス度・・8 ロック度・・10 楽曲・・9 総合・・9
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ZIGGY「ROCK AND ROLL FREEDOM !」
SNAKE HIP SHAKESから再びZIGGY名義に戻っての3作目。通算13作目。2003年作
前作「HEAVEN AND HELL」の2枚でそれまでのハード路線に一区切りをつけ、
今作は昔っぽいキャッチーでポップなジギーサウンドが復活している。
タイトル曲は新時代のGROLIAともいえる雰囲気でなつかしく嬉しい感じの楽曲。
軽やでキャッチーな「魔法にかかったみたいに」、ZIGGY史上最高のバラード「MY LOVE」、
さらには、ギターの松尾宗仁のヴォーカルが聴ける「愚か者のパレード」など、
バラエティに富んだ内容で、全体的に陽性で、伸びやかなジギーサウンドが堪能できる。
メロディアス度・・8 かつてのZIGGY度・・8 キャッチー度・・8 総合・・8
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ZIGGY「LIVE DVD TOUR '03 ROCK AND ROLL FREEDOM!」
ジギーのライブDVD。アルバム「ROCK AND ROLL FREEDOM !」にともなうツアー映像を収録。
タイトル通り、このアルバムのみの楽曲を収録していて、65分と短めの収録時間。
他のアルバムの曲も聴きたかったというのが正直なところだが、
1枚のアルバムのみのライブ作品という点ではまとまっているのは確か。
見どころは、凄まじい情感を感じ取れるバラード「MY LOVE」で、
過去の森重のバラードではベストの出来といえる熱唱を聴かせる。
全国ツアーのダイジェスト映像や、バックステージなども楽しくファンには必見。
ライブ映像・・8 ライブ演奏・・8 満足度・・7 総合・・7.5
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ZIGGY「SNAKE HIP SHAKES NIGHT 2004.11.6 渋谷公会堂
ジギーのライブDVD。結成20周年を記念したライブ2DAYSの1日目を収録。
ZIGGY名義としてSNAKE HIP SHAKESの曲をやるという企画で、
彼らが熱く若々しいロックをしていた4年間の楽曲を改めて楽しめる。
名曲「MELANCHOLIA」、「STRONG WILL」をはじめ、「RAIN」や「DEAR MY FRIEND」といったバラード
「ACCEL」、「BLACK OUT」などの疾走曲、さらには「GLORIA」、「DON'T STOP BELIEVING」といった
ZIGGY時代からのナンバーも披露。「この頃、熱かったね、俺ら」という森重の言葉通り、
キャッチーかつアグレッシブなロックナンバーが満載だ。一夜限りのSHSは翌日のZIGGYナイトへと続く。
ライブ演奏・・8 ライブ映像・・7 楽曲・・8 総合・・8
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ZIGGY「ZIGGY NIGHT 2004.11.7 渋谷公会堂
ジギーのライブDVD。結成20周年を記念したライブ2DAYSの2日目を収録。
このライブに足を運べなかったファンでも、完全収録のこのDVDがあればバッチリ。
「GLORIA」、「I'M GETTIN' BLUE」、「TOKYO CITY NIGHT」、「ONE NIGHT STAND」、
「WHISKEY ,R&R AND WOMEN」、「I'M JUST A ROCK'N ROLLER」というナツメロのオンパレードには
昔からのファンにとっては涙、涙だし、「LET'S DO IT WITH THE MUSIC」、「STAY GOLD」あたりのナンバーも
あらためて曲とメロディの良さを伺わせる。MCでの「解散しようかと思った」という森重の言葉には、
バンドとしての一筋縄でいかなかったさまざまな部分を感じさせるが、20年がたってもこうして現役を続け、
昔と変わらぬ情熱で「GLORIA」を歌い続けているのは凄いとしかいいようがない。ラストの「6月はRAINY BLUES」、
ピアノ伴奏のみの独唱では、森重樹一という稀代のシンガーの魅力が余すところなく表現され
聴くものにその溢れる情感を伝えてくれる。真のロックバンドのライブである。
ライブ演奏・・8 ライブ映像・・7 楽曲・・9 総合・・8.5
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ZIGGY「JUST A ROCKIN' NITE」
ジャケからしてもう、ぐっとアダルトな大人のロックという印象の2005年作。
1曲目からしてもう、ストーンズとか渋い系ロック曲で攻めてきて、
これまでのジギー節を期待しているとガクッとなります(^^;)
しかし、続く2曲目はまるでSNAKE HIP SHAKES時代を思わせるような、
キャッチーなメロディのノリのよい曲で、俗に言う森重節が全開。
ただ全体的には、これまでよりも深みの増した歌詞と、自然体のロックへと
シフトを始めているという印象で、この渋さは次作の伏線ともなっている。
もちろん、森重特有のロマンティックで哀愁漂う歌詞と、その魅力的な歌声には
なんら変わりがないので、ジギーというバンドの本質を愛するファンなら充分に楽しめる。
メロディアス度・・8 大人のロック度・・8 キャッチー度・・7 総合・・8
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ZIGGY「Now and Forever」
ジギーの通算15作目。2007年作
前作発表後、Bの津谷正人の脱退などもあり、いったんは活動を休止していたが、
森重樹一、松尾宗仁、JOEの三人体制で活動を再開。ファンの間では評価が分かれているアルバムだが、
結論的には、まさに今のZIGGY、今の森重を表すサウンドが自然な形で封じ込められている。
今回は歌詞から先に作ったという通り、これまでのどのアルバムよりもひとつひとつの言葉が
聴き手の心に突き刺さるように響いてくる。また、ギターと歌とを同時に録音したということで、
森重の歌声がすぐそこから聴こえてくるような生っぽさがあり、その息づかいまで聴こえるようだ。
キャッチーかつハードなこれまでのZIGGYの人気曲となるようなものはひとつもないが、
重々しい歌詞と森重の情感のこもった歌声が素晴らしい“その歌になり、その風になる”、
吟遊詩人の弾き語りのような味わいのある“Whisky Riverに虹をかけてよ”、
そして、いつ聴いてもぐっとくるラストの“深い紫色の”などは、個人的には一生聴き続けたい曲だ。
また、タイトル曲の“Now and Forever”は、かつての名曲“I'm Getting Blue”のアンサーソングで、
オールドファンであれば、20年後に再び耳にしたこの歌詞の言葉たちに感慨もひとしおだろう。
なんにしても、これが今のZIGGYであり森重樹一が描くZIGGY音楽なのである。
ここには20年間ロックを歌い続けたものだけが作り出せる、本物の空気と歌がある。
メロディアス度・・7 大人のロック度・・9 森重魂の歌度・・10 総合・・8
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ZIGGY 「2017」
日本のロックバンド、ジギーの2017年作
1987年にデビュー、名実ともに日本ロックを代表するバンド。2007年作以来、10年ぶりとなる通算16作目。
森重以外のはサポートやツアーメンバーを起用し、ジャケも含めてほとんどソロアルバムのようなおもむきであるが、
サウンドの方はZIGGY節満載。ノリのよいハードさもありつつ、口ずさめるようなキャッチーなメロディで、
エモーショナルな森重のヴォーカルもますます味わい深い。往年のテイストを随所に匂わせつつも、
決して古臭くならない、アレンジの妙もさすが。何度も聴きたくなるような好曲多数の充実の内容です。
Disc2には、2017年のライブを収録。「それゆけ〜」「」GLORIA」「Whisky〜」「I'm Gettin' Blue」などのオールドナンバーや
「マケイヌ」「Step By Step」といった、ライブではなかなか聴けない曲も披露してくれて、ファンには嬉しい限り。
メロディック度・・9 ロック度・・9 森重度・・9 総合・・8.5
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ZIGGY「TEENAGE LUST/君の笑顔より美しい花を知らない」
日本のロックバンド、ジギーの2018年作
2つのEPをまとめてレビュー。「TEENAGE LUST」は、ハードなギターにキャッチーな歌メロを乗せたノリのよいナンバー。
ポップなメロディとロックとしての疾走感をここまで自然に融合できるのは、まさに森重樹一のセンスだろう。
B面はアンニュイなイメージの心地よいスローナンバー。DVDにはデビュー30周年の森重のインタビューなどを収録。
「君の笑顔より美しい花を知らない」は、タイトルのように、心からの溢れる愛が感じられるようなバラードで、
アコースティックギターやピアノを使ったアレンジと優しい歌声にぐっとくる。B面は切ないイントロから始まる疾走感のあるロックで、
キャッチーで繊細なメロディが美しい好曲。DVDには「11の挑戦」というYOUTUBE企画への森重のコメント映像を収録。
メロディック度・・9 ロック度・・9 森重度・・9 総合・・8
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ZIGGY 「ROCK SHOW」
日本のロックバンド、ジギーの2018年作
前作から1年あまりで届けられた通算17作目。アコギによるイントロ曲から始まりつつ、ハードなギターを加えた
モダンなテイストで、前作の作風に比べると、一聴してどっしりとしたシリアスなロック感触が増している。
もちろん歌メロには森重節のキャッチーな感触も健在で、バックの演奏も存在感あるベースを含めて、
よりバンド的な一体感が強まっている。枯れた味わいのオールドなロックナンバーを歌いこなし、
優美なバラードナンバーでの哀愁とロマンに包まれた歌唱も、唯一無二のものといっていいだろう。
ポジティブなメッセージ性から倦怠の美学、そしてロマンティックな言葉の歌詞たちも、森重樹一の世界観を支える。
美メロ満載だった前作に比べると、インパクトではやや落ちるが、恰好いい大人のロックに溢れた一枚だ。
メロディック度・・8 ロック度・・9 森重度・・8 総合・・8
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ZIGGY 「SDR」
日本のベテランロックバンド、ジギーの2021年作
国内最高のR&Rバンド、2017年以降は新たなメンバーでコンスタントに活動を続け、本作は通算18作目となる。
ハードなイントロナンバーから始まりつつ、深みを増した森重樹一のヴォーカルとともに、キャッチーなメロディの
ノリのよいロックサウンドを展開。ほどよいギターのハードさと随所に激しいドラムを聴かせながら、哀愁の叙情に
爽快なフックが同居して、どの曲も日本語歌詞による知的なロマンを歌い上げる、「森重節」は健在である。
いかにもオールドな味わいのロックナンバーや、ポップなライトナンバーも、レイドバックしたような渋さとともに、
アルバムに彩りを添えている。勢いの良かった前作から、色気ある大人のロック感を強めた強力作ですね。
メロディック度・8 キャッチー度・8 ジギー度・8 総合・8 
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Zubi Zuva 「Jehovah」
吉田達也、芝崎幸史、高橋秀樹のトリオ編成のユニット、スビズバの1996年作
楽器を使わずに、三人の声だけを重ねた、奇抜なアヴァン・ヴォーカルミュージック。
即興的な奇声による、もはや音楽とは言えぬような声と叫びによるコラージュで、
正直、まともなロックを聴く人間には理解不能の、おちゃらけにしか思えぬだろう。
大きな音で聴いていると、ご近所に「変な声が聞こえます」と通報されること必至。笑
ドラマティック度・・1 ロック度・・0 奇声度・・8 総合・・6
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VA /Jap's Progre
YggrDrasill Production制作の日本のプログレバンドのコンピレーションCD。2008作
GERARD、OUTER LIMITSをはじめ、全10バンドの曲を収録。
MOONSTONE…NOVELAを思わせる、日本語歌詞による叙情で聴かせるハードプログレ。
月兎…ゆったりとした情緒と女性ヴォーカルで聴かせる、幻想的なシンフォサウンド。
護魔(GOMA)…モダン化したELPといった雰囲気でたたみかけるキーボードプログレ。
絶対無…強く日本を感じさせるスケールの大きなサウンド。男女Voの歌唱も個性的。
OuterLimits…復活の大御所。ヴァイオリン入りのクラシカルシンフォニックが炸裂。
水鏡…女性ヴォーカルで聴かせる和風テイストのしっとりシンフォニックサウンド。
Seraphita…壮麗なシンセとギターでドラマティックに聴かせるNOVELAタイプのハードシンフォ。
Qui…フルートの音色を乗せて軽やかなリズムでたたみかけるジャズロックサウンド。
Seilane…濃厚なヴォーカルとともに、ロマンティックに聴かせる正統派ハードシンフォニック。
GERARD…日本が誇る最強キーボードプログレバンド。抜群のテクニックは世界レベル。
どのバンドもなかなか質が高く、プログレ初心者にも聴きやすいメロディアスさが光っています。
日本プログレの復興のためにも、多くの人にこうしたバンドたちへの興味を持って欲しいと願います。
シンフォニック度・・8 プログレ度・・8 個性度・・8 ガンバレJap'sプログレ度・・10
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VA/真神楽(シンカグラ)
日本語によるヘヴィロック系バンドのオムニバスアルバム。2010作
GOOFY STYLE、六合、ヴァ乳、蓮母、という4バンドを各3曲ずつ収録。
GOOFY STYLEは不思議な浮遊感のあるサイケぎみの世界観と、念仏を唱えるような日本語歌詞が個性的。グルーヴィなヘヴィロック。
六合(rikugo)は京都出身のバンドらしい独自の日本語世界による深遠な楽曲と、聴きやすいなめらかなメロディが魅力的。アンサンブルの一体感も見事なバンド。
ヴァ乳(vanew)は沖縄出身。ザクザクとしたモダンヘヴィネスサウンドと、日本語歌詞のかもしだす牧歌性とのギャップが面白い。リズム隊が女性というのも珍しい。
蓮母(renbo)はまさに神楽を思わせるような独特のヴォーカルと、シンプルな音作りながら、グルーブ感のあるタメの効いた演奏が見事。これぞ和風ヘヴィロックである。
それぞれに“日本”を意識した、個性豊かなバンドたちに今後とも注目である。
メロディアス度・・7 ヘヴィロック度・・8 個性度・・8 日本度・・9
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VA 「The Unconsumables2」
東京の音楽レーベル、Eastten Glory RecordsのオムニバスCD。全18曲入り。2016年作
Alchemy CrystalやTAIJI'S HEAVENのギタリストとしても活躍するHAL、こと加藤晴信氏のレーベル主催のオムニバス。
1曲目の三上響子さんの楽曲は、壮麗なシンフォニックメタルナンバーで、日本語歌詞による繊細な情感と
キャッチーなメロディアス性が合わさって、なによりその美しいソプラノヴォーカルは、声楽出身というだけあって、
伸びやかな表現力がじつに素晴らしい。2曲目の佐渡未来さんはキャッチーなハードロックナンバーで、
適度にモダンなアレンジと古き良き日本のHR風味が合わさった、これもなかなかの好曲だ。
その後は、ポップロックやアイドル的なナンバーもあったりと、多様なアーティストが集結したという、
けっこう雑多な聴き心地なのだが、すべての曲をHAL氏が監修しているだけあって、
楽曲はしっかりとしたアレンジがされていて完成度はどれもそれなりに高い。MP3では楽曲ごとに購入可能。
1曲目だけでも買うべし度・・9 2曲目もなかなか度・・8 メタルもありロックもポップも度・・8 総合・・7
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