韓国台湾・中国のアーティスト
KOREAN / R.O.C / CHINA

韓国にはN.EX.T Kim Kyung Ho、台湾にはSeraphimChthoniCといったメタル系の素晴らしいアーティストがおり、
齊豫(CHYI)許茹芸(VALEN HSU)をはじめとする実力派の女性ヴォーカリストも多いです。
ここでは、メタル、プログレファン向けのバンドや歌手たちを紹介していきます。



N.EX.T(NEW EXPERIMENT TEAM)


韓国といえば、まずはネクスト。
N.EX.TはVo、Keyさらには作曲も手がけるSHIN HAECHULを中心に1992年にデビュー。
キャッチーでメロディアスな大衆性にハードロック、メタル、プログレ的な感覚をも融合させ、
その高い演奏力とともに個性的なサウンドが光る素晴らしいバンドだった。
N.EX.T名義で4枚のアルバムを残した後、バンドは分裂、SHIN HAECHUL以外のメンバーはNOVASONICを結成。
その後、SHIN HAECHULはソロ活動を中心にアルバムを発表し続けていたが
2004年に新たなメンバーとともに新生N.EX.Tを結成した。


N.EX.T「HOME」
ネクストの記念すべきデビュー作。1992年作
この可愛らしいジャケは裏ジャケとの対比(自然と機械化の対比)になっている。
メンバーはSHIN HAECHUL、LEE DONGYOO、CHUNG KISONGの三人で、写真などを見るとまるでTM NETWORKのよう…(笑)
この時点ではまだ、デジタリィなアレンジのポップロックというサウンドで、
所によりテクニカルなギターやシンフォニックなアレンジが入っているという程度。
ただしメロディのセンスにはやはり非凡なものがあり、ラスト曲の“FOREVER”は後のライブ音源でも聴ける感動的なHR曲。
メロディアス度・・7 メタル度・・5 ポップ度・・8 総合・・7
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N.EX.T「THE RETURN OF N.EX.T PARTⅠ」
ネクストの2nd。1994作。ついに来た。ここからネクストの伝説が始まる。
なにやら壮大なイントロに続くのは、まるでDREAM THEATERのようなプログレメタルサウンド。
いったい何が彼らをそうさせたのかは定かではないが、とにかくこの吹っ切れ方は凄い
ハングルで歌われる感動的なバラードの④や、美しいシンセのメロディがシンフォニックな⑧など、
前作からは考えられないほどの、ドラマティックでロックな進化を遂げている。
演奏がよりHR的になった分、メンバーの実力の高さがダイレクトに伝わってくる。
メロディアス度・・8 メタル度・・7 ドラマティック度・・8 総合・・8
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N.EX.T「THE RETURN OF N.EX.T PART 2 WORLD」
ネクストの3rd。1995作。
前作が「Ⅰ」だったのに何故「Ⅱ」ではなく「2」と表記するのかとか
プックレットの曲名に添えられた奇妙な日本語…例)「私たちが創造した世上さ見てください!」
「私は無用之人だ!」 「そてもねたいした午後」
…等に突っ込みを入れたくはなるものの、N.EX.Tだから許す。
サウンドの方は前作同様、大仰なイントロ…X JAPAN的な囁きナレーション入り…
から、ハードロックでかなりテクニカルギターの入った9分もある曲で幕を上げる。
ハングルの感動的なバラードや、ややダンサブルでファンキーな曲等をごた混ぜに収録した、
とてもクオリティの高い(…と思う)アルバム。やっぱり、素敵です…ネクスト。
メロディアス度・・8 メタル度・・7 ドラマティック度・・8 総合・・8
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N.EX.T「Return of N.EX.T Part 1-The Being Live Concert」
韓国のハードロック、ネクストのライブアルバム。1995年作
Chapter 1と2の別売り仕様を2枚をまとめてレビュー。黄色い声の大歓声から、オープニングを飾る10分を超える大曲から、
実力のあるメンバーによる巧みな演奏で、メロディックかつプログレッシブな世界観が広がってゆく。
キャッチーなロックナンバーあり、美しいバラードありの、ファン必聴のライブ作品だ。
ドラマティック度・・8 キャッチー度・・8 ライブ演奏・・8 総合・・8
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N.EX.T「N.EX.T IS ALIVE」
ネクストのライブアルバム。1996年作
演奏力には定評のあるバンドなので、ライブ音源の方も魅力十分。キャッチーなメロディときらびやかなシンセアレンジ、
随所にメタリックな激しさも含みつつ、知的なアレンジセンスで描かれるサウンドは、非常にクオリティが高く、
やはりコリアンHRの歴史においても、伝説的な存在といっていいだろう。シン・ヘチョルのハイトーンを含んだヴォーカルは、
英語とハングルをまじえつつ、アジアンな要素も感じさせながら、日本のバンドとはまた異なる魅力を聴かせてくれる。
観客の黄色い声がちっょとうるさいが、日本でいえばTMNやX JAPAN的な人気を誇っていたのだろう。
メロディアス度・・8 メタル度・・7 ライブ演奏・・8 総合・・8
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N.EX.T「Ⅳ-Lazenca-A Spase Rock Opera」
ネクストの4th。1997作
とにかくもう、このジャケからして「俺たちの総決算をしようじゃねえか!」という意気込みが伝わってきて、それだけで泣きそうになる。
イントロから5拍子のヘヴィなギターリフ。音のシリアスさからして今回は違う!クラシカルでシンフォニック、
そしてヘヴィメタリック…重厚すぎてちびります。続く②の混声コーラスはまるでTHERIONさながら…凄すぎ。
③ではドラマテイックなサビから一転、MANOWARばりの力強いメタル魂が炸裂する。
④のシンフォバラードに心洗われ、キャッチーな⑤でさえも、ギターとストリングスにうっとりとなる。
⑥のプログレちっくなキーボードにはこのバンドのシンフォニックロックとしての側面も感じさせてくれる。
濃くて美しい、そしてドラマティックな傑作。すごい…すごいアルバムだ。
メロディアス度・・8 メタル度・・8 ドラマティック度・・10 総合・・9
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N.EX.T「R.U.READY?」
ネクストのライブアルバム。CD2枚組
これ以前にも2枚ほどライブアルバムは出ているが、一番出来がいいのがこれ。
時期としては「Ⅳ」を出す直前のライブで、演奏の方も素晴らしく気合が入っている。
ブックレットの写真などを見るとメンバーは皆男前…とくにDrのLEE SOOYONG、GのKIM SEHWANGはかなりのイケメン
コスプレまがいの華やかな衣装とダンサーなども交えた豪華なステージがこのバンドの自国でのかつての物凄い人気ぶりを物語っている。
曲は1st~3rdまでの曲に加え、カヴァー曲も演奏。キャッチーでポップな中にも演奏の良さが光り、聴きどころは多い。
メロディアス度・・8 メタル度・・7 ライブ演奏・・9 総合・・8.5
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N.EX.T「THE RETURN OF N.EX.T PART Ⅲ
韓国伝説のプログレッシブ・メロディック・ハードロックバンド、ネクスト復活の5th。2004年作
キャッチーかつポップでいながら、プログレメタル風味もあるという高度な音楽性で、
アルバム4作にライブアルバム3作を出したあとバンドは分裂、リーダーであるCROM=シン・ヘチョルはソロに、
他のメンバーはNOVASONICを結成し、N.EX.Tの方は終わったものと思っていたが、新メンバーを迎えついにバンドは復活した。
今回はCD2枚組みの大作で、DISC1の方は、ヘチョルのソロ作「MONOCROM」にも通じるデジタリィな感覚に、
メタリックな重厚さをミックスしたヘヴィロックで、これはこれでクオリティは高いが、以前のキャッチーなN.EX.Tを想像すると肩すかしをくう。
DISC2は、メロディアスな曲が多く、「ああN.EX.Tだね」と一安心。途中テクノちっくな曲もあるが、シンフォニックなバラードはやはり感動的。
メロディアス度・・7 メタル度・・7 プログレ度・・6 総合・・8
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N.EX.T「Re Game?」
韓国のハードロックバンド、ネクストの2006作
なんと往年のメンバーが復帰し、加えてツインギターにキーボード入りの6人編成となっている。
過去のアルバムからの人気曲をリアレンジした、ファン向けの企画アルバムで、ジャケはQUEENのパクり、
PartⅠ、Ⅱに分かれた8分もあるイントロはさすがにウザいし、曲の方のメタル色はほとんどなくなり、
どれもキャッチーでポップなアレンジとなっていてガッカリ。そんな中、かつての名バラード“The Dreamer”のシンフォニックなアレンジは嬉しい。
シン・ヘチョル
の歌声に瑞々しさはないが、韓国ロックシーンに輝いた彼らの過去と現在をつなげる作品という点ではとても興味深い。
メロディアス度・・7 キャッチー度・・8 メタル度・・2 総合・・7.5
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N.EX.T「666」
韓国のロックバンド、ネクストのミニアルバム。2008作
前作「Re Game?」は往年のメンバーが復帰してファンを喜ばせたが、
あの1枚だけのプロジェクトだったようで、本作ではまた新メンバーによる体制となった。
イントロに続いて始まるのは、メロディアスなモダンロック調の楽曲で、かつてのプログレッシブなメタル路線からするとずいぶん変わってきたものだ。
3曲目は普通のハードロック、4曲目はダンサブルなポップロック。ラストの9分の大曲は、シン・ヘチョルの才能が垣間見える壮大な作風で、
こういう路線で1枚アルバムを作ってもらいたいものだ。
メロディアス度・・7 メタル度・・5 楽曲・・7 総合・・7
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SHIN HAECHUL「The Best Of Shin hae-Chul / Struggling」
N.EX.Tのリーダーでもある韓国のミュージシャン、シン・ヘチョルのベスト。
CD3枚+VCDの4枚組豪華ボックス入りで、カラーブックレットにイメージカード付き。
1989年のデビュー時から、N.EX.Tでの活動、その後のソロ転身への道のりを、それぞれ「ロック」「ポップ」「バラード」という
3枚のCDに振り分けた、まさにシン・ヘチョルの音楽自伝史。こうしてあらためて聴き直しても、ハードロック/メタルの質感と
プログレッシブな要素、壮大にときに繊細に、韓国らしい純粋な泣きのメロディを聴かせ、そこに独自のポップセンスやダンサブルな要素、
さらには民族性までもを折り込んだ、シン・ヘチョルというアーティストの懐の深さとメロディメーカーとしての卓越した才能が感じ取れる。
旧N.EX.T時代の曲も多く収録されており、過去のアルバムが入手困難な今となっては、これからN.EX.Tを聴いてみたいという方にもうってつけ。
VCDでは当時のN.EX.Tのライブ映像が短いながらも見ることができ、嬉しい。
メロディアス度・・8 N.EX.T度・・8 豪華なボックスだよ度・・10 総合・・8
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NOVASONIC「1999-2002 REMASTERING」
元N.EX.Tの演奏陣を中心にしたノヴァソニックのアルバム。
彼らの1stから3rdまでの曲をリマスターしたCD2枚組み。
メロディアスHR+ヘヴィロックを基本に、そこにラップやダンサブルなデジタル感覚、
それに民族色などを取り入れたサウンドは、N.EX.Tとははやや趣を異にした雰囲気。
楽器陣の演奏に関しては一流であるので、ノリのよいヘヴィロックとしてもそこそこ楽しめる。
メロディアス度・・7 ロック度・・7 ラップ度・・7 総合・・7

NOVASONIC「4」
N.EX.Tの3人のメンバーによるノヴァソニックの4rh。2003作
このバンドを聴くのは初めてなのだが、のっけからメロディアスなギターが鳴り響くと思わずにんまり。
2曲目以降は、ヘヴィでメタリックかつサイケ風な曲や、キャッチーなロック曲など、
かつてのネクストのようなプログレッシブなサウンドではないが、なかなか楽しめる。
演奏はしっかりとしたテクニックに裏打ちされたもので、流麗なギター、安定したドラムなどはさすがN.EX.Tの演奏陣というところ。
ヘヴィラップ調の曲は個人的には好みではないが、全体的にセンスの良さを感じるアルバム。
変形のボール紙ジャケットでDVD付き(内容はCDと同じ)。
メロディアス度・・8 メタル度・・7 プログレ度・・6 総合・・8
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ギルティギア イグゼクス#RELORD オリジナルサウンドトラック KOREAN VERSION
GUILTY GEAR XXシリーズのサントラ。2003作
私自身はゲームはまったくやらないので、ゲーム内容については言及できないが、
このギルティギアシリーズはゲーム音楽でありながらも、HR/HM要素をかなり取り入れている。
さて、このKOREAN VERSIONだが、なんと作曲は韓国伝説のHRバンド
N.EX.Tのシン・ヘチョルが手がけている。演奏陣も現N.EX.Tのメンバー。
のっけからサントラとは思えぬハードロック全開の楽曲で、N.EX.Tを思わせるような
華麗なシンセも入っていて、シンフォニックな味付けがなされているのが嬉しい。
ゲームサントラなので1曲ごとが短いのだが、メロディアスなロック音楽としても純粋に楽しめる。
メロディアス度・・8 メタル度・・8 ヘチョル度・・8 総合・・8
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KIM KYUNG HO


キム・ギョン・ホは韓国のHR系アーティストとしては日本では最も知名度が高いだろう。
来日公演などもしているので、一般のメタルリスナーも名前くらいは聞いたことがあると思う。
彼の魅力はなんといってもその絶品の歌唱力。
素晴らしい高音の伸びと、コブシの効いた表現力はアジアのメタルシンガーとしては屈指の存在だろう。


KIM・KYUNG・HO
キム・ギョン・ホの1st。1994作
のっけからイングヴェイ的なギターがいかにもな感じ、
リズムは打ち込みっぽいが、3拍子のリズムにピアノがクラシカルな雰囲気で、
そこに彼のヴォーカルが乗ると、それだけで説得力がぐんとアップ。
キーボードとギターの絡む様式美色もあるが、この時点ではまだメタル色はややおとなしめで、
ギョン・ホのVoをメインにしたしっとり系の曲が目立っている。
メロディアス度・・8 メタル度・・6 歌唱度・・8 総合・・7.5
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KIM:KYUNG HO「1997」
キム・ギョン・ホの2nd。1997作
リズムが打ち込みだったり生演奏だったりと、曲ごとにプロダクションが違うのが
やや散漫な印象だが、ギョン・ホのヴォーカルの表現力は着実にアップ。
キャッチーで明るい曲も、バラード曲もそれに合わせた歌唱が見事で、
とくにギョン・ホ史上最高のバラードともいえる⑨のサビでの歌声には
いつ聴いても震えが起こるほどの素晴らしさ。
メロディアス度・・8 メタル度・・7 歌唱度・・9 総合・・7.5
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KYUNG-HO KIM「03」
キム・ギョン・ホの3rd。1998年作
ジャケの雰囲気通り、メタル色が強くなったアルバム。
テクニカルなギターに、どこか北欧的な爽やかなキーボード、
そこ乗るギョン・ホのVoも、これぞまさにメタルVoという力強さ。
もちろん美しいバラードも収録した充実の一作。メタルファンにお勧めできる作品
メロディアス度・・8 メタル度・・8 歌唱度・・9 総合・・8

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KIM KYUNG HO 「LIVE」
韓国を代表するロックシンガー、キム・ギョン・ホのライブアルバム。1998作
相変わらずのその素晴らしい歌唱力で、のっけからイングヴェイを熱唱、
その後もQUEEN、はてはDREAM THEATERなどもカヴァーしてます。
しかし、この黄色い声援の多さはなんでしょう?
韓国女性たちがイングヴェイに絶叫する様は「なんか違う」気もしますが…(^^;)
メロディアス度・・7 歌唱力・・9 楽曲・・7 総合・・7
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KYUNG-HO KIM「Ⅳ」
韓国のHR系ヴォーカリスト、キム・ギョン・ホの4th。1999年作
今回は曲の方は様式美メタルからアメリカンなハードポップ、泣きのバラードと
前作に比べると拡散傾向にありますが、やはりハングルで歌われるバラードなどは
その情感の込められた歌唱にいつ聴いても心打たれます。
世界のメタル界のヴォーカリストの中でも、彼の実力は最高クラスの一人でしょう。
メロディアス度・・8 楽曲多様度・・8 歌唱力・・10 総合・・8
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KIM KYUNGHO「5th」
韓国のHR系ヴォーカリスト、キム・ギョンホの5th。2000年作
メタル系のヴォーカルとしてはアジアでも屈指の存在、
今回もハードロック曲からクラシックをアレンジしたバラードまで、その絶品の歌唱を聴かせてくれている。
楽曲によってはややダンサブルな雰囲気のものもあるが、こうしてポップスとハードロックを
上手く融合しているのだから、韓国のメジャーシーンで活躍できるのもうなずける。
それにしても、やはりバラード曲のサビでの声の伸び方は素晴らしい。
メロディアス度・・8 メタル度・・7 歌唱度・・9 総合・・8
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KIM KYUNG HO 「THE LIFE」
キム・ギョン・ホの6th。2001作
前作あたりからずいぶんポップになってきたという印象だったが、
今回はイントロに続く2曲めから激しく疾走するメタルナンバーでびっくり。
相変わらず見事なハイトーンヴォーカルとともに、随所にネオクラシカルなギターも聴かせつつ、
ノリのいいハードロックナンバーがたっぷり楽しめる。メロディアスなバラードも絶品だ。
メロディアス度・・8 メタル度・・8 歌唱度・・9 総合・・8
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KIM KYUNG HO「BEST & LIVE」
キム・ギョン・ホのライブアルバム。2002作
CD2枚+VCD2枚
という4枚組みの豪華版。その類まれなる歌声は、アジアだけでなく間違いなく世界レベルの実力で、
このライブ音源でも同様、時にポップに、時に王道HR風な曲もヴォーカリストとしての彼の魅力がたっぷりと表現されている。
ファンの黄色い歌唱が微笑ましいが、地元ではHRという垣根を超えて人気があるのだろう。
バックの演奏陣も技巧派揃い。そしてやはりバラード曲での絶品の歌唱は言葉の壁を超えて胸をうつ。
メロディアス度・・8 HR度・・7 歌唱度・・9 総合・・8
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KIM KYUNG HO「OPEN YOUR EYES」
キム・ギョン・ホの7th。2003作
もっとポップ化しているかと思ったら、まだまだしっかりロックしていて嬉しい。
曲のアレンジはさすがに4thまでと比べて今風になっているものの、
そこはこの熱い歌唱で全てはOK。ハングルのバラード曲④にしても
この情感溢れる歌声が加われば、普通に名曲レベルになります。
メタル系以外のリスナーにもお勧めできる、爽やかでノリのいいロックアルバム。
メロディアス度・・8 HR度・・7 歌唱度・・9 総合・・8
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KIM KYUNG HO「始作」
キム・ギョン・ホのデビュー10周年記念のアルバム。2004作
曲はRAINBOWや何とWITHIN TEMPTATION等のカヴァーを含む17曲。
カヴァーやリメイク曲がメインのアルバムだが、曲のバラエティに富んでいて素晴らしき歌唱が色々楽しめる。
「MAN ON THE SILVER MOUNTAIN」もいいが、④のメタル疾走曲(新曲?)もすごく格好いいし、
そして極めつけは「MOTHER EARTH」のカヴァー!韓国人である彼もゴシックメタルを聴くのだなあとちょっぴり感動。
しかもちゃんと歌いこなせているのがまた凄い。だってねえ…シャロンさんですよ!
Jermaine Jacksonのメタルカヴァーも良い感じだし、ボーナストラックの過去のリメイク曲も感動的。
メロディアス度・・9 HR度・・8 歌唱度・・10 総合・・8.5
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KIM・KYUNG・HO「UNLIMITED」
韓国のロックシンガー、キム・ギョン・ホの8th。2006年作
その絶品の歌唱力から、日本のメタルリスナーからも広く支持されている彼だが、
今作でも存分にその歌声を聴かせてくれる。HRというよりはもはやただのロックであるが、
陽性で爽やかなメロディとともに歌われる楽曲は、普遍的な魅力に満ちていて
バックのシンセやギターのアレンジなども堂に入った見事なものだ。
チューブのカヴァー(!)や、内ジャケの韓流タレントばりの写真など、
あるいは日本の奥さま方にも向けられた(笑)作品なのかも。
メロディアス度・・8 HR度・・7 歌唱力・・10 総合・・8
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Kim Kyung Ho9th - Infinity
韓国のロックシンガー、キム・ギョン・ホの9th。2007作
今作はややモダンなアレンジが強まったキャッチーなポップ/ロックで、
ハードロック的なナンバーはほとんどないのだが、その中でも
しっとりとしたバラードでの美しさと、伸びやかな歌唱力はさすが。
韓国語で歌われる曲では、あらためて彼のシンガーとしての表現力に唸らされる。
メロディアス度・・8 HR度・・6 歌唱度・・9 総合・・8
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Kim Kyung Ho「Chapter Zero」
韓国を代表するロックシンガー、キム・ギョン・ホの2009年作
名実共にアジアナンバーワンのロックシンガーというべき、キョンホ氏の日本デビュー盤。
全5曲ながらも、2曲の新曲と2曲のリメイク、FIREHOUSEのカヴァーという濃密な内容で、
その絶品のヴォーカルを聴かせてくれるとくにSABER TIGERの木下氏が手がけた新曲は
これぞHR/HMというパワフルかつ様式美的なナンバーでキョンホ氏の歌声を引き出している。
今後はこのメタル路線でのフルアルバムを臨みたいところである。
メロディック度・・8 メタル度・・7 ヴォーカル度・・9 総合・・7.5
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Kim Kyung Ho 「Alive」
韓国を代表するロックシンガー、キム・ギョン・ホの2009作
日本デビュー作となった「Chapter Zero」に続く7曲+インスト3曲のミニアルバム。
イントロに続く2曲目はパワフルに疾走するメタル曲で、久々にメタルシンガーとしての
彼の歌唱が楽しめる。続く3曲目の美しいバラードでは伸びやかな歌声が絶品。
その後もQUEEN的なロック曲やバラード曲など、メロディアスでキャッチーな楽曲とともに
アジア最高のロックシンガーの歌声が楽しめる。早いところフルアルバムを出してもらいたい。
メロディアス度・・8 メタル度・・6 歌唱度・・9 総合・・7.5
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JEREMY


イェレミーのデビューはおそらく1998年前後と思われる。
韓国HRシーンではN.EX.Tの次の世代の若手として登場、
世代的にはDREAM THEATERSTRATOVARIUSなどからも影響を受けており、
サウンド的にはN.EX.Tよりもっと濃密でプログレメタル寄り。
現在までに7枚のアルバムを発表し、日本での知名度も上がりつつある。全員がクリスチャンらしい。



JEREMY「OUT OF FEAR」
韓国のメロディック・メタルバンド、イェレミーの2nd。1999年作
このバンドは、おそらくDREAM THEATERSYMPHONY Xなどを通過した世代だけあって、
楽曲にはリズム的なプログレアプローチや様式美的なギター、メロディを混在させた色が見える。
この2ndではVoが韓国語で歌っており、それが良い個性となっていて、メタル音像の中にも
曲によってはポップなキャッチーさが心地よく、アルバムのなかにいいバランスで混じっている。
キーボードのシンフォニックな味付けが素晴らしく、韓国という地域性を抜きにしてもクオリティは高い。
メロディアス度・・8 プログレ度・・7 キャッチー度・・8 総合・・8
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JEREMY「FLYNG OF EAGLE」
韓国のメロディアス・プログレメタルバンド、イェレミーの3rd。2000年作
アジアンな叙情性とキャッチーさに、様式美、さらにDREAM THEATER的な展開美などを融合させた
N.EX.T
以来の韓国産高品質プログレメタルを構築するバンド。今作ではインストパートの壮大さを増し、
より音の厚みとダイナミックさをつけた充実作となった。そこに乗る韓国語の歌唱もなんともいえない情緒があり、
この爽快なポップ性ともいうべきメロディラインこそが彼らの生命線だと思う。
英語に置き換えられている国内盤より、ハングルで歌われている韓国盤がオススメだ。
メロディアス度・・8 プログレ・・7 爽快度・・8 総合・・8
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JEREMY「EXODUS PARTⅡ」
韓国のプログレメタル、イェレミーの2001年作
5つのパートに分かれた25分に及ぶ組曲を収録したミニアルバムで
シンフォニックなスケールを感じさせるイントロから、ヘヴィなギターが加わり、
随所にProgMetal的なテクニカル性も含んだ、ドラマティックなサウンドが楽しめる。
オルガンやムーグなどを含んだシンセアレンジはときにプログレ的な香りもあって、
重厚なメタル感と美麗なシンフォニック性が融合した、クオリティの高い大曲作品だ。
シンフォニック度・・8 プログレ度・・8 壮大度・・8 総合・・8
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JEREMY「EDGE ON THE HISTORY」
韓国のメロディアス・プログレメタルバンド、イェレミーの4th。2002作
今作も、録音、演奏ともに着実な成長の見える仕上がりとなっていて、
シンフォニックなキーボード(女性奏者)、メタリックなギターによる楽曲は、ドラマティックなメロディに加え
プログレ的展開美を持ち込んでおり、歌詞が英詞なので、とくに韓国産ということを意識せずに聴ける。
バラードにおけるメロディは、同郷の先輩N.EX.Tにも通じる聴きやすさがあり、とてもなごめるのだが、
個人的には英語よりも母国語(ハングル)での歌唱の方がバンドの個性を引き出すのではないかと思う。
キャッチーなメロディという点では、前作、前々作の韓国盤をまずお薦めしたい。
メロディアス度・・7 プログレ度・・7 韓国度・・7 総合・・7.5
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JEREMY「ACCESS ALL AREMS」
韓国のプログレメタルバンド、イェレミーのライブアルバム。2004年作
楽曲、演奏力ともかなりのものを持っていたバンドなので、ライブ演奏の方にも安定感があり、
ときに変拍子をまじえ、ときに様式美的にときにキャッチーにと、見事に複雑な楽曲を再現している。
Voのハイトーンがややヨレ気味になるので、やはり英語曲よりも韓国語の歌唱の方が
しっくりといっている気がする。なんにしても、欧州のメロスピやDREAM THEATERあたりの
音楽性を巧みに取り入れながら、独自のメタルサウンドを再構築する手腕は見事だと思う。
メロディアス度・・8 プログレ度・・7 ライブ演奏・・8 総合・・8
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JEREMY「Trivial Life」
韓国のメロディアス・プログレメタルバンド、イェレミーの5th。2003年作
今作も、プログレッシブな感覚をたっぷりと折り込んだ、メロディアスなメタルサウンドで、
アルバムとしてのクオリティは非常に高い。メロディの充実度も素晴らしく、テクニカルな変拍子とともに
歌メロのキャッチーさとネオクラ色もあるギターワーク、そしてキーボードの美しさも光っている。
ハングルによるバラードの泣きメロはかつてのN.EX.Tを思わせるほど美しい。
メロディアス度・・8 プログレ度・・7 楽曲・・8 総合・・8
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JEREMY「The 2nd Advent」
韓国のプログレメタルバンド、イェレミーの6th。2006年作
クリスチャンバンドらしい、厳かなチャント的なイントロで幕をあげる今作も、
聴きやすいメロディとテクニカルな展開美にこだわった良質の作品だ。
DREAM THEATERなどからの影響を感じさせつつも、決して難解になることなく、
「弾きすぎない」バランスの取れた落ち着きが今回の音には感じ取れる。
プログレメタル的にはやや物足りないものの、普遍的なドラマティックさを追求したという印象だ。
ただし、彼らの場合、やはり英語の歌唱よりは、母国語のハングルにこそ持ち味があると思うのだが。
メロディアス度・・7 ドラマティック度・・8 プログレメタル度・・7 総合・・7.5
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Jeremy「Quo Vadis, Domine?」
韓国のプログレメタルバンド、イェレミーの7th。2008作
壮麗でシンフォニックなイントロから引き込まれるが、ザクザクのギターで疾走を始めると、
一気にメタリックなサウンドに。ハングルによる歌唱はやはり彼らならではの持ち味だし、
ヘヴィさの中にも美しいパートを上手く盛り込んで聴かせるセンスもさすが。
ギターの泣きのフレーズやここぞというときの美しいシンセアレンジも効果的で、
メロディの充実という点では過去最高といっていいだろう。
ドラマティックな展開力とベテランらしい堂々とした自信が感じられる出来だ。
メロディアス度・・8 ドラマティック度・・8 楽曲アレンジ・・8 総合・・8
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韓国 その他のアーティスト


SAHARA「Self Ego」
韓国のメタルバンド、サハラの2nd。1996作
以前にちらっと聴いたことはあつたが、格安だったのであらためて購入。
韓国のメタルバンドといえば、一番有名なのはJEREMYだろうが、
このバンドも安定した演奏力と展開美ず聴かせる質の高さが光る。
DREAM THEATERとまではいかないが、プログレッシブな知的さを感じさせる
楽曲アレンジと、甘くなりすぎないメロディと適度な硬質感にセンスを感じさせる。
英語とハングルを歌いわけながら、地域性にとらわれないHRとしての普遍性もある。
メロディアス度・・7 テクニカル度・・7 楽曲センス・・8 総合・・7.5
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MAHATMA「Perseverance」
韓国のスラッシュメタルバンド、マハトマの2008作
これまで韓国に本格派スラッシュメタルバンドがいるなど知りもしなかったが、
「不屈のスラッシュ魂」という邦題がつけられた本作はこのバンドの2ndで、
全編これスラッシュメタルの塊のようなアルバム。ときにブラストを含む強力な疾走と
迫力たっぷりの吐き捨て形のヴォーカル、そしてツインギターによるリフは
TESTAMENTやEXODUSばりのオールドスタイルのクランチでザクザクと聴かせる。
なにも知らずに聴けば、アメリカのスラッシュバンドだろうと思ってしまいそうなほどだ。
JUDUS PRIESTの“Painkiller”のカヴァーや、ボーナスにはTESTAMENTのカヴァーも収録。
ドラマティック度・・7 疾走度・・8 スラッシュ度・・9 総合・・8
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OATHEAN「The Last Desperate 10 Years As Ever」
韓国のメロディックデス・ブラックメタル、オーディンの2003年作
SAD LEGENDと並び90年代から活動する、韓国を代表するブラックメタル系バンド。本作は
結成10周年記念のアルバムで、新曲3曲、再録1曲、リマスター2曲、デモ3曲、ライブ1曲を収録。
以前に聴いた1stよりも美麗なシンセワークが増していて、ダミ声ヴォーカルの他に、
女性コーラスや韓国語によるノーマルな語りなども入って、もの悲しいメロディには
ゴシック的な耽美さも感じられる。笛やヘグムの音色なども含めて、もの悲しい美しさがよいですね。
ドラマティック度・・8 暴虐度・・7 耽美度・・8 総合・・7.5

Oathean「Fading Away Into the Grave of Nothingness
韓国のメロディックデス・ブラックメタル、オーディンの4th。2004年作
女性シンセ奏者を擁する5人組で、シンフォニックなシンセワークと
古き良きメロデスを思わせるギターリフで疾走するサウンド。
初期CHILDLEN OF BODOMなどからの影響も匂わせつつ、よりメロウ質感で、
ときに艶やかなヘグムの音色も含みながらクラシカルな優雅さも聴かせてくれる。
うっすらとしたシンセをバックにしたギターのフレーズもとても煽情的で、
そこいらの北欧メロデスよりもはるかに日本人の琴線に触れるだろう。
メロディアス度・・8 暴虐度・・7 美旋律度・・9 総合・・8
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Oathean「 Vol. 5
韓国のメロディックデス・ブラックメタル、オーディンの5th。2010年作
美麗なシンセアレンジはやや控えめになり、メロディ主体だったギターが
鋭角的なリフの感触を強めたことで、よりヘヴィで重厚な仕上がりになっている。
6~8分台の楽曲は、疾走とスローパートの緩急を付けたアレンジが光っていて、
激しさだけではないしっとりとした叙情パートなども盛り込みながら、
随所に聴かせるメロウなフレーズやアコースティカルな要素を引き立たせている。
シンフォニック性は薄まったが知的な構築センスが素晴らしい、ドラマティックな傑作である。
ドラマティック度・・8 暴虐度・・7 知的アレンジ度・・9 総合・・8
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SAD LEGEND「SAD LEGEND」
韓国のメロディックブラックメタルバンド、サッドレジェンドのアルバム。
「儒教の国」韓国で「反キリストの音楽」ブラックメタルが存在するとは。
これが本気なのかエンターテイメントなのかはともかく、その音楽性は非常に高い。
激速ブラストビート、荘厳なキーボード、絶叫ヴォーカル(ハングル)に女性コーラス、
どれをとっても北欧ブラックメタル勢の一級品と遜色ないレベル。
メロデス寄りの同郷のOATHEANに比べシンフォニック度が高いのもよろしい。
メロディアス度・・8 暴虐度・・7 楽曲レベル・・8 総合・・8
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Dark Mirror Ov Tragedy
韓国のシンフォブラックメタルバンド、ダーク・ミラー・オヴ・トラジェディーの2004年作
クラシカルなピアノに導かれて曲が始まると、美しいシンセをバックに疾走、
ダミ声ヴォーカルの絶叫と、メロウなフレーズを奏でるツインギターもいい感じで、
クオリティとしては日本のTYRANTや台湾のChthoniCあたりにも負けていない。
とくに静寂パートでの美しさは特筆もので、物哀しさを漂わせる叙情美はシンセ奏者のセンスの良さか。
ラスト2曲はそれぞれ7分を超える曲で、起伏に富んだ展開でドラマティックに聴かせる。
SAD LEGENDOATHEANに続く韓国産ブラックの若手として期待したい。
20011年の再発盤ではジャケも変わり、ボーナス3曲が追加されている。
シンフォニック度・・8 暴虐度・・7 叙情美度・・8 総合・・7.5
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Dark Mirror Ov TragedyPregnant of Despair
韓国のシンフォブラックメタル、ダーク・ミラー・オヴ・トラジェディーの2011年作
2004年の1stもなかなか美麗なシンフォブラックであったが、本作は7年ぶりの2作目。
耽美なイントロに続き、いきなり10分を超える大曲で、シンフォニックなシンセと
流麗なフレーズを奏でるツインギター、ダミ声ヴォーカルの絶叫を乗せて疾走する。
ストリングスの音色がもの悲しい静寂パートなどを織り込みながら、
ドラマティックに構築されるサウンドは、暴虐さよりも耽美さが前に出ていて、
日本のSERPENTなどにも通じるような聴き心地である。美しさに磨きがかかった力作だ。
シンフォニック度・・8 暴虐度・・7 耽美度・・8 総合・・8
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Dark Mirror Ov Tragedy 「The Lord Ov Shadows」
韓国のシンフォニック・ブラックメタル、ダーク・ミラー・オヴ・トラジェディーの2018年作
2004年にデビュー、本作は4作目。美しいシンセによるクラシカルなイントロで幕を開け、
オーケストラルなアレンジにピアノの旋律、メロディックなギターとダミ声ヴォーカルを乗せた、
壮麗なシンフォニック・ブラックメタルを聴かせる。激しくブラスト疾走するパートでもヘヴィさはさほどなく、
スローパートで鳴り響くヴァイオリンや女性ヴォーカルなども含めて、優雅で耽美な世界観を描き出す。
そういう点では、むしろゴシックメタルのリスナー向けともいえるだろう。13分の大曲も緩急ある展開とともに、
クラシカルな美意識に包まれ、ラストは20分の大曲で、泣きのヴァイオリンを乗せて優美に疾走する。
シンフォニック度・・8 暴虐度・・6 優雅度・・8 総合・・8
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METHOD 「Abstract」
韓国のメロディックデスメタル、メソッドの2015年作
スラッシーなギターリフとダミ声ヴォーカルを乗せて疾走するオールドスタイルのサウンドで、
かつてのAT THE GATESを思わせる、甘すぎないメロディアス性を乗せたスタイルだ。
サウンドプロダクションの軽さも含めて、90年代風味のアナログ感に包まれた聴き心地で、
ときに初期のIN FLAMESのようなツインギターの叙情フレーズも覗かせる。
全体的にはこれという新しさというはないのだが、重すぎない聴きやすさは好感が持てるし、
オールドなメロデス、デスラッシュが好きならとても楽しめると思う。
ドラマティック度・・7 疾走度・・8 デスラッシュ風度・・8 総合・・7.5
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GAIA「NOSTALGIA」
韓国のクラシカル・ゴシックメタルバンド、ガイアの2004年作
女性3人、男性3人の6人組みで、ゲストの女性Voを含めて女性度がとても高い。
女性陣の担当は、ピアノ/キーボード、ヴァイオリン、ヘグム(韓国の民族楽器)で、
それらが非常に美しいメロディを奏でつつ、女性Voの歌声が乗るともうウットリ…。
歌唱は英語が基本だが2曲でハングルで歌っていて、ピアノとヘグムの音色がしっとりと響く。
プロダクションのせいもあるが音に重厚さがないのがかえってメタル度を薄くしている。
その分民族調の部分が目立っているので、メタラーよりもプログレリスナーに心地よい音かもしれない。
ともかく、韓国からクラシカルなゴシックメタルバンドが出現したということで、今後も注目してゆきたい。
クラシカル度・・8 ゴシック度・・7 女性Vo度・・8 総合・・7.5
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ISHTAR 「Nothing's Atrocity」
韓国のシンフォニックメタル、イシュターの2010年作
美しいシンセアレンジとやわらかな女性ヴォーカルの歌声で聴かせる、
ゴシック的な美意識も含んだシンフォニックメタル。歌詞が英語であるので
欧州のバンドに近い雰囲気で、メロディは繊細かつキャッチーな耳心地。
美しいソプラノヴォーカルとクラシカルなシンセの美旋律が楽しめる好作品だ。
日本人にも受けそうな期待のバンドである。5曲入りのミニアルバム。
シンフォニック度・・8 優美度・・8 女性Vo度・・8 総合・・7.5
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ISHTAR 「CONQUEST」
韓国のシンフォニックメタル、イシュターの2011年作
壮麗なイントロから始まり、前作デビューミニ以上にシンフォニックなアレンジと
ソプラノ女性ヴォーカルの歌声で、磨きのかかった堂々たるサウンドを聴かせる。
欧州のバンドにも引けをとらない美旋律と、アジアらしい内面からの泣きの叙情性で、
しっとりとした優美な雰囲気を描いてゆく。速すぎず遅すぎずというテンポの楽曲も聴きやすく
バックの演奏には案外、普遍的なHR/HM色も感じさせる。美麗なるフィメール・シンフォメタルの好作。
シンフォニック度・・8 優美度・・8 女性Vo度・・8 総合・・8
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ISHTAR 「Rise」
韓国のシンフォニックメタル、イシュタルの2015年作
美しいソプラノ女性ヴォーカルとシンフォニックなアレンジで前作もなかなかの力作であったが、
フルアルバム2作目となる本作も、いっそうの表現力をまとったBINNA嬢の伸びやかな歌声を中心に、
アジア色を感じさせない壮麗なシンフォニックメタルを聴かせる。楽曲におけるメロディのフックや
巧みにファルセットを使い分けるヴォーカルの力量も含めて、すでに世界レベルのクオリテイと言ってよい。
オペラティックなドラマ性を覗かせたり、ゴシックメタル色もあるしっとりとした叙情性のナンバーなど、
アルバムとしてのメリハリと聴きごたえも十分。優美なる女性声シンフォニックメタルの力作です。
シンフォニック度・・8 壮麗度・・8 女性Vo度・・9 総合・・8
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ZINNIA「Ⅱ」
韓国の歌謡シンフォバンド、ジニアのアルバム。1998年作
「Ⅱ」とあるからたぶん2ndなのだろう。ゲームキャラのコスプレみたいな格好の二人の男Voと、
天使みたいな女の子のジャケは、日本の自主制作同人ものみたいな雰囲気だが、
音のほうはけっこうまともなシンフォニックなポップロック。キーボードをメインにしたゆるやかな曲調で
甘い声質の男Voがハングルで歌を乗せる。バックにはフルート、ヴァイオリンも登場し、
盛り上がる場面はN.EX.Tばりに壮大。メロディの甘さ、旋律の美しさは、マンガちっくなジャケの
イメージを超えるレベルで、プログレ度は高くないがハングル・シンフォロックとしての質は高い。
シンフォニック度・・8 ロック度・・7 キャッチー度・・9 総合・・7.5
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HAN UI SU「A-MEN」
韓国のミュージシャン、ハン・ヴィ・シュのアルバム。1999年作
内容の方は“A-MEN”と名付けられたPART1~4までの組曲で、全50分。
メタル色はほぼ皆無で、全編打ち込みやシンセオーケストレイションによるサウンド。
硬質感のあるシンフォニックという点で、部分的には英国のTHE ENIDあたりも思わせるが
こちらはもう少しゴシック寄り…というかゲーム音楽っぽい雰囲気もする。
壮大かつややダークな映画サントラという感じもするし、プログレの香りもちらほら。
じっくり聴けばかなりクオリティも高く、単なる雰囲気もの以上にちゃんと作品となっている。
シンフォニック度・・8 ロック度・・2 壮大度・・8 総合・・7.5
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Newk
「Heavy Life」
韓国のメタルバンド、ネウクの2010年作
キャッチーなメロディにシンセアレンジを含んだ正統派のメロディックメタルで、
ヴォーカルは各国語だったり英語だったりする。同郷の先輩JEREMYなどに比べると
ギターにしろヴォーカルにしろ、どうにも煮えきらない「いまひとつ感」に包まれていて、
ミドルテンポ主体の楽曲も盛り上がる部分は少なく、メロディのフックも弱いときている。
ギターのリフやフレーズ自体は古き良き感触のHR/HMなのだが、パワフルさにも欠けるし
各パートの力量不足が浮き彫りになっているという…いかにも自主レベルの作品。
メロディック度・・7 正統派?度・・7 楽曲・・6 総合・・6.5



台湾、中国のバンド


SERAPHIM/六翼天使「不死魂/The Soul That Never Dies」
台湾のシンフォニックメタルバンド、六翼天使ことセラフィムの1st。2001作
キーボード入りで疾走する曲にわめき系のデス声とソプラノ女性Voが乗る、というスタイル。
NIGHTWISHのターヤとEDENBRIDGEのサビーネ嬢の中間といった女性声はなかなか魅力的で、
歌メロに平坦さを感じるものの、良い雰囲気をかもし出している。演奏についてはドラムも含めて
まだまだ技量が足りない部分もあるが、NIGHTWISH+疾走+デス色というやりたいことは分かる。
曲によってはCHILDREN OF BODOMみたいな雰囲気のものもあったりするが、
個人的にはこうしたデス要素は特になくてもいいような気もする。
メロディアス度・・7 シンフォニック度・・8 女性Vo度・・7 総合・・7
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SERAPHIM/六翼天使「平等精霊」
台湾のシンフォニックメタルバンド、六翼天使ことセラフィムの2nd。2002年作
1stに比べまず叙情度UP。ギターの弾くメロディやバックの音の重ねに説得力が増した。
デス色を後退させ、美声の女性ヴォーカルメインにしたのも正解だろう。
ただ曲の展開や一つずつのリフをとると、まだ類型の域を出るものはなく、
イントロがBLIND GUARDIANで曲が始まるとNIGHTWISH
サビの歌メロはSTRATOVARIUSなんていう曲もあるので(笑)
今後は真のオリジナル性を身に付けてもらいたい(メンバーもまだ若そうだし)。
メロディアス度・・8 シンフォニック度・・8 女性Vo度・・8 総合・・7.5
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SERAPHIM/六翼天使「AI/愛」
台湾のシンフォニックメタルバンド、セラフィムの3rd。2004作
美声の女性Voに疾走メタルという組み合わせで、過去の2作はマニアの間ではけっこ う話題になった。
続くこの3rdでも基本路線は同じ、ストヴァリ風に疾走し、NIGHTWISH風にシンフォニックで
時折チルボド風のメロデス風味もあるという、いわば美味しいとこどりサウンド。
5分以上の曲が多く、展開も多いので1曲ごとの印象が薄いのも相変わらずだし、
バタバタとせわしなく、ややリズム感の悪いドラムが時々耳障りなので、今後の改善ポイント。
個人的には前作の中国語版が好きだったので、無理して英語版を出さずともよいと思うが。
尚、Voパイ嬢はこのアルバムを最後に脱退、現在はより美人な(^-^)クイン嬢が加入している。
メロディアス度・・8 疾走度・・8 女性Vo度・・8 総合・・7.5
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SERAPHIM「RISING」
台湾のシンフォニックメタルバンド、セラフィムの4th。2007年作
リーダーであるギター以外のメンバーが交代した本作であるが。
美しい女性ヴォーカルの歌声でシンフォニックに疾走するサウンドは健在。
新Voのクイン嬢の歌唱は力量、表現力的ともにまだ物足りないが
そのオペラティックな声質は楽曲に優美な格調をもたらしており、
ありがちながらクサいフレーズを奏でるツインギターもなかなかいい感じだ。
初期にあったドタバタとしたマイナー臭さが減った分、だいぶ聴きやすくなっている。
そしてやはり女性Voの歌う、美しいサビのメロディの爽快感はこのバンドの持ち味だろう。
シンフォニック度・・8 疾走度・・8 女性Vo度・・7 総合・・7.5
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CHTHONIC「9TH EMPYREAN」
台湾の女性3人を含む5人組、シンフォニックブラックメタルバンド、ソニックの2nd。
しかしまさか台湾から「ブラックメタル」とは・・(まあ日本や韓国にもいるわけだしね)、
サウンドはキーボードと女性コーラスを効果的に配した、なかなかのシンフォブラックで、
ダミ声で歌うおねいさんの歌唱も堂に入ったもの。暴虐パートとピアノによる静謐パートで
しっかり場をつないで、少々強引な曲展開もかえって新鮮に聴かせてくれる。
やはりヨーロッパのバンドとは質感がやや異なり、我々日本人に近しい感覚が音に表れている。
ドラムの技量がいまひとつなのが惜しいが、今後も充分に存在価値のあるバンドと思う。
私が買ったのは英語版だが、中国語版も出ている(本当はそっちを聴きたかった・・)。
シンフォニック度・・8 暴虐度・・7 アジア度・・7 総合・・7.5

CHTHONIC「RELENTLESS RECURRENCE」
台湾のシンフォニック・ブラックメタルバンド、ソニックの3rd。2002作
シンフォニックなキーボードにメロブラ風のギターリフ、そこにブラック声が乗るスタイルで
一聴して前作より音に説得力が増した。シンセ担当の女性奏者はときおりフィメールヴォイスも担当。
二胡と呼ばれる台湾伝統の二弦楽器を使用しており、アジアンなミステリアスさをかもしだしつつ
全体的に暴虐さよりも、もの悲しい美しさが印象的でドラマティックかつ耽美に聴かせてくれる。
中国語によるデスヴォイスは独特な響きで、二胡の音色ととも不思議な雰囲気をかもしだしている。
シンフォニック度・・8 暴虐度・・7 台湾度・・8 総合・・7.5
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ChthoniC「Seediq Bale」
台湾のシンフォニックブラックメタルバンド、ソニックの4th。2007作
台湾産のブラックメタルバンドとして2ndの頃から注目していたが、ついに日本盤デビュー。
CRADLE OF FILTHあたりを思わせる禍々しくも美しい世界観で疾走するサウンドは
以前は弱点だったドラムの弱さも克服されていて、堂々たるレベルに仕上がっている。
シンフォニックなキーボードアレンジはどこか幽玄を感じさせる空気があり、
ダミ声絶叫Voに絡む女性Voや、もの悲しい二胡の音色にも注目だ。
どうせなら英語版ではなく中国語のまま配給して欲しかったが、
メロディの雰囲気や怨念の込められたような音には充分地域性を感じ取れる。
日本盤にはライブ映像とPVの入ったDVDが付属していてお得ですよ。
シンフォニック度・・8 暴虐度・・8 台湾度・・8 総合・・8
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CHTHONIC「Mirror of Retribution」
台湾のシンフォニック・ブラックメタルバンド、ソニックの2009作
本作は5作目で、日本デビューとなった前作はCradle of Filthばりの傑作であったが、
今作もクサメロを撒き散らして強力に疾走。そして二胡によるもの悲しいメロディで
アジアンな雰囲気を漂わせつつ、ダークかつドラマティックに聴かせる力作だ。
ここまでのクオリティになると台湾のバンドうんぬんという地域性をあまり感じさせないほどだが、
個人的には中国語によるもっと土着的な怨念のようなものを聴きたい気もしないでもない。
シンフォニック度・・7 暴虐度・・7 台湾度・・7 総合・・8
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ChthoniC「Takasago Army」
台湾のシンフォニックブラックメタル、ソニックの2011年作
今やアジアという枠を飛び越えて、世界レベルの質の高さを身につけたといっていいこのバンド、
6作目となる本作は、太平洋戦争における台湾の戦士たち、高砂義勇隊をテーマにしたコンセプト作。
美しいシンセ、オーケストレーションをバックに、ヘヴィなギターと吐き捨てヴォーカルを乗せて疾走するスタイルは、
いっそう迫力を増していて、歴史的なテーマにそった重厚さ、怒りや悲しみなどが音を通して伝わってくる。
民族的な二胡の音色は、台湾文化特有の感触を楽曲に付加していて、いいアクセントになっている。
全体的にはシンフォニックさよりもヘヴィネスが上回っているので、メロディ派のリスナーにはやや物足りないかも。
シンフォニック度・・7 暴虐度・・8 重厚度・・8 総合・・8
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CHTHONIC「醒靈寺大決戦 Final Battle at Sing Ling Temple」
台湾のメロディック・ブラックメタル、ソニックのライブアルバム。2012年作
いまや台湾の国民的バンドとなった彼らだが、本作は歴史的意義を含む二.二八事件の舞台となった醒靈寺で行われた2011年のライブを収録。
美麗なシンセを含んで激しく疾走するサウンドはCradle of Filthを思わせる荘厳なシンフォブラックの質感に、アジアンな土着性が加わった独自のもので、
ライブでのタイトな演奏力はアルバム以上の迫力をかもしだしている。野外ということでドラムの音も含めてやや輪郭がぼやけた音質だが、
それもかえって神秘的な臨場感に包まれている。 Disc2はTakasago Armyの全曲を演奏。
激しくもドラマティックな楽曲が、よりパワフルに展開されてゆく様は圧巻だ。
付属DVDの映像を見れば、バンドのヴィジュアルも含めていっそう楽しめるだろう。
ドラマティック度・・9 ライブ演奏・・8 音質・・7 総合・・8
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ChthoniC
「Bu Tik 武徳」
台湾のエクストリームメタル、ソニックの2013年作
今作も台湾の歴史をテーマにした作品で、民族的な香りただようイントロから始まり、
激しく絶叫するヴォーカルとメロデス的なギターリフを乗せて、重厚なサウンドを聴かせる。
ブルータルな疾走もありつつ、オーケストラルなアレンジの美しさが、もの悲しい情緒になっていて
アジアンな旋律が印象的に耳に響いてくる。ギターの奏でるフレーズや、厚みのあるコーラスなどにも
前作以上に民族的な色合いを覗かせ、バンドとしてのアイデンティティを強く感じさせる仕上がりとなっている。
アグレッシブな勢いとアジアンなテイストを見事に融合させた、このバンドならではの強力作です。
ドラマティック度・・8 アグレッシブ度・・8 重厚度・・8 総合・・8
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CHTHONIC 「演武」
台湾のエクストリームメタル、ソニックのライブ作品。2014年作
いまやアジアを代表するバンドの、2013年台北市でのステージをCDとDVDに収録。
2011年作「高砂軍」、2013年作「武徳」からの楽曲を中心に、迫力あるフレディのデスヴォイスを乗せ、
メロデス的な激しさと民族的なメロディを融合させた独自のサウンドは、ライブ演奏でもその実力を見せつける。
観客の盛り上がりとともに、熱いMCを挟みながら、戦争と史実をテーマにしたドラマティックな楽曲は、
ゲストによる采風楽坊(女子十二楽坊みたいな?)による演奏で、中華メロディをふんだんに取り入れつつ
アルバム以上の説得力と勢いある音圧で描かれてゆく。CD、DVDともにイントロを入れて全9曲で43分と
ボリューム的にはやや物足りないが、その分、濃密な迫力とともに最後まで飽きずに楽しめる。
紅一点、Doris嬢のベースプレイとその美しいおみ足も含めて(?)ファンは必見といえるかと。
ドラマティック度・・8 ライブ演奏・・8 濃密度・・8 総合・・8
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Diesear
「Ashes of the Dawn」
台湾のメロディックデスメタル、ディエシアーの2014年作
ツインギターのリフと吐き捨てるデス声を乗せて疾走する、オールドスタイルのデスメタルで、
甘すぎないメロディアス性を含んだところは、90年代の北欧メロデス系バンドに通じる聴き心地。
楽曲は3~4分台と比較的シンプルであるが、アジア系のバンドとしてはテクニック面も含めて、
サウンドの迫力もしっかりある。感触としてはメロデスというよりは、むしろデスラッシュに近いかもしれない。
台湾のメタルといえば、Chthonicが有名だが、このバンドも若手としては非常に有望株だと思う。
メロディック度・・7 疾走度・・8 むしろデスラッシュ度・・8 総合・・8
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幻世狂想楽隊 ILLUSION「乱世無双
中国のシンフォニックメタルユニット、イリュージョンの2006作
イントロの壮麗なシンセとクサメロのギターにわくわくしつつ、DRAGONFORCEX JAPANなどを思わせるメロスピサウンドが炸裂。
音は軽めながら、キャッチーでポップなメロディと、中国語の歌唱が個性的で、台湾のSERAPHIMなどがOKならば充分楽しめるだろう。
美しいピアノや女性コーラス、シンセのアレンジも美麗で、マイナー系のシンフォニックメタルリスナーもにんまりだ。
ただ中盤以降は疾走は抑え目で、ProgMetal的な雰囲気にもなったりと、作品全体としてはやや散漫な印象になってしまっているのが残念。
シンフォニック度・・8 疾走度・・8 中華度・・8 総合・・7.5


Frozen Cross「Frozen heaven」
中国のシンフォニックメタル、フローズン・クロスの2008年作
シンフォニックなアレンジと中国語のソプラノ女性ヴォーカルの歌声で聴かせるスタイル。
音はやや軽めながら、きらびやかなシンセにクサメロを奏でるギターで疾走する感じがよろしく、
Nightwishのターヤというよりは、もっと可愛らしい感じの女性声もなかなか悪くないです。
ときにデスヴォイスも入ると、台湾のSERAPHIMに通じる感触もあり、この手の美麗系メタルが好きなら
充分楽しめるでしょう。ブックレットのメンバー写真のおぼっちゃんな風貌に幻滅しないように。笑

シンフォニック度・・8 中華度・・8 女性Vo度・・8 総合・・7.5


The BARQUE OF DANTE「FINAL VICTORY」
中国のシンフォニックメタル、バルケ・オブ・ダンテ(但丁之舟)の2009年作
経済発展の著しい中国からついに本格的な(?)シンフォメタルバンドが登場。
ウォーターハウスの「シャーロットの乙女」をジャケにしているのはGERARDともかぶるが、
シンフォニックで美麗なイントロから、曲が始まるとクサメロまくりで疾走します。
いくぶんつたない英語歌詞といい、ヘヴィさのないピロピロ系のギターといい、
いかにもありがちな感じですが、女性ヴォーカルの加わったバラード曲などはなかなか美しく、
全体的にもキャッチーな聴き心地は悪くない。ラストはDRAGONFORCEのカヴァーですよ。笑
シンフォニック度・・7 疾走度・・7 クサメロ度・・8 総合・・7.5


The BARQUE OF DANTE 「Lasting Forever」
中国のシンフォニックメタル、バルケ・オブ・ダンテ(但丁之舟)の2013年作
前作はなかなかの本格派シンフォニックメタルであったが、4年ぶりの2作目となる本作では、
スイス人の男性ヴォーカルが加入し、ネオクラ風味のギターを乗せて疾走する正統派メロパワなサウンド。
前作にあったややイモ臭いアジアンなクサメロ感が薄れていて、楽曲そのものもまとまりが良くなった分、
悪く言うと普通の印象になったかもしれない。ヴォーカルの力量も可もなく不可もなくという程度なので、
欧米のB級メロパワ勢とあまり変わり映えしない。アジアンな旋律を覗かせたり、シンフォニックなアレンジに、
女性ヴォーカルが加わったバラード曲なども美しく、10分を超える大曲も含んだなかなかの力作ではある。
シンフォニック度・・7 疾走度・・7 クサメロ度・・7 総合・・7.5
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SILENT RESENTMENT 「DEATH IS UTOPIA」
中国のゴシック・デスメタル、サイレント・リセントメントの2009年作
女性Vo、女性シンセ奏者を含む6人編成で、英語で歌うソプラノヴォーカルにデスヴォイスが絡み、
妖しく耽美な雰囲気に激しめの疾走も含んだ、台湾のSERAPHIMなどにも通じるサウンド。
シンセによる美麗なアレンジもなかなかよろしく、女性声でしっとりと聴かせる部分は美しいのだが、
いかんせん音質の弱さが音の迫力を削いでしまっている。色々な部分で今後のクオリティアップに期待。
シンフォニック度・・7 ゴシック度・・7 女性Vo度・・7 総合・・7

Screaming Savior
「Infinity」
中国のブラックメタル、スクリーミング・セイヴァーの2012年作
上海出身、ツインギターにシンセ、男女Voを含む編成で、本作が2作目となる。
スペイシーで壮大なイントロから、楽曲が始まるとシンフォニックなシンセアレンジと
ダミ声ヴォーカルを乗せて疾走、物悲しい二胡の音色や女性ソプラノコーラスもまじえた
じつに壮麗な聴き心地だ。暴虐に疾走する部分もあるが、あくまで美麗な感触が前に出ていて、
韓国のDark Mirror Ov Tragedyなどにも負けていない。随所にメロウなギターフレーズも含んで、
疾走するだけではないメリハリのあるアレンジ力も見事。中国あなどるなかれ、クオリティの高い力作だ。
シンフォニック度・・8 暴虐度・・7 壮麗度・・9 総合・・8


Screaming Savior 「千面無容」
中国上海出身のブラックメタル、スクリーミング・セイヴァーの2016年作
2009年にデビュー、本作は3作目となる。美麗なシンセにフォーキーな笛の音色、ダミ声ヴォーカルを乗せて、
激しい疾走感とシンフォニックな叙情美が同居した、クオリティの高いシンフォニック・ブラックメタルを聴かせる。
随所にノーマルヴォイスを乗せ、スローからミドルテンポなど、激しいだけでない緩急ある展開力と
確かな演奏力も含めて、アジアレベルを超えた音の迫力とドラマティックな世界観が味わえる。
ピアノとヴァイオリンによる優雅なインストナンバーを挟み、これぞシンフォニックブラックというラスト曲まで、聴き応えある力作だ。
ドラマティック度・・8 暴虐度・・7 美麗度・・8 総合・・8 

Screaming Savior 「驚極幻見 (Boltzmann Brain)」
上海出身のブラックメタル、スクリーミング・セイヴァーの2019年作
中国語名を「驚叫基督楽隊」から「驚極楽隊」に改名しての最初の作品で、本作はタイトル曲のスタジオ音源に、
2018年の日本でのライブを6曲収録。ボーナスのDVDには、その日本公演の映像を収録。
タイトルは美麗なシンセにメロディックなギター、低音ダミ声ヴォーカルを乗せ、リズムチェンジを含む
起伏のある展開力で、よりスタイリッシュなシンフォニック・ブラックを聴かせる。ライブ音源は音がこもり気味で、
音質はブートレグレベル。DVD映像の方が迫力がある分まだ楽しめる。新宿WILD SIDEなのでステージは狭そうだが。
ドラマティック度・・7 暴虐度・・7 ライブ音源度・・7 総合・・7.5

Dark Ring 「Reborn from the Inferno」
中国のシンフォニック・ブラックメタル、ダーク・リングの2013年作
ツインギターに女性シンセ奏者を含む6人編成で、美麗なイントロ曲から始まり、
きらびやかなシンセとダミ声ヴォーカルを乗せて聴かせる正統派のシンフォブラック。
激しいブラスト疾走も含みつつ、ギターは随所にメロディックなフレーズを奏で、緩急のついた楽曲展開なども
なかなか堂に入っている。同じく中国のScreaming Saviorや、韓国のDark Mirror Ov Tragedyあたりに
通じる雰囲気もあるが、こちらの方がいくぶんローカルで、いわばより古き良きシンフォブラック色を感じさせる。
現時点ではこれという個性は薄いのだが今後に期待のバンドです。
シンフォニック度・・7 暴虐度・・7 楽曲・・7 総合・・7.5
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Tengger Cavalry 「Sunesu Cavalry」
中国出身のペイガン・フォークメタル、テンガー・カヴァルリーの2011年作
モリンホールとも呼ばれる馬頭琴の音色を大胆に取り入れ、ヘヴィなギターとともに疾走する、
ペイガン・フォークメタルで、モンゴルの伝統的歌唱法である、ホーミーによる個性的な聴き心地。
ダミ声ヴォーカルとともにブラスト疾走するペイガン・ブラックメタル的な激しさもありつつ、
馬頭琴が牧歌的に鳴り響く楽曲のメリハリも含めて、単なる民族メタルとして以上に楽しめる。
曲によっては我々日本人にも親しみやすい、中華メロ的なアジアンなクサメロ感も覗かせる。
ボーナストラックには、同郷のEGO FALLと、何故かARCH ENEMYのカヴァーを収録。
なお、2枚組の限定盤「Cavalry Folk」には「The Mantra」と題されたアコースティック作品がカップリングされている。
ドラマティック度・・8 重厚度・・8 民族度・・8 総合・・8
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TENGGER CAVALRY 「The Expedition」
テンガー・カヴァルリーの2013年作
重厚なギターにダミ声ヴォーカルのヘヴィなメタルサウンドに、馬頭琴の牧歌的な音色が響き渡る、
ペイガン・フォークメタルというよりは、独自の民族色を取り込んだモンゴリアン・メタルというべきサウンドで、
激しい疾走感と適度なモダンさを含んだ、新時代のアジアン・メタルのひとつの形を描いている。
前作に比べて、アジアンなクサメロ感がやや後退した感はあるが、特徴的なホーミーの歌唱に、
伝統的な馬頭琴の音色とエクストリームなヘヴィネスの対比がより際立ったともいえるかもしれない。
メンバーはまだ若そうだが安定した演奏力と楽曲アレンジのセンスは、すでにマイナーレベルを超えている。
ドラマティック度・・7 重厚度・・8 民族度・・7 総合・・8
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TENGGER CAVALRY 「Ancient Call」
テンガー・カヴァルリーの2014年作
アコースティックなイントロから、続く2曲目はヘヴィなギターリフと馬頭琴の音色を乗せて激しく疾走、
アジアンなフォーキー感触と疾走感が合わさったスタイルは、前々作に戻ったような聴き心地だ。
エピックな哀愁を含んだ草原を疾走するような空気感は、モンゴリアン・メタルならではで、
勇壮なコーラスなども含めて、過去のアルバム以上にスケールの大きさを感じさせる。
一方ではどっしりとしたドラムとベースを中心にしたメタルとしてのアンサンブルもしっかりしていて、
ただの色モノにはなっていない音の説得力がある。随所にアコースティックパートを挿入したメリハリも見事な力作。
ドラマティック度・・8 重厚度・・8 民族度・・8 総合・・8
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Tengger Cavalry 「Blood Sacrifice Shaman」
テンガー・カヴァルリーの2015年作
バンド名義となっているが、本作はリーダーのNature氏による個人作品のようで、
ヘヴィなギターに馬頭琴の音色を乗せた、インストサウンドが中心になっている。
ときおりホーミーの歌声は入るものの、リズムが打ち込み風なのでグルーブ感がなく、
随所に疾走する激しさもあるのだが、どことなくサントラ風の聴き心地である。
本質的な方向性は変わっていないので、これはこれで悪くはないのだが、
やはり迫力の点では物足りない。メンバーみんないなくなってしまったのかな。
ドラマティック度・・7 重厚度・・7 民族度・・7 総合・・7.5
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Black Kirin 「箫韶 (Xiao Shao)」
中国の民俗・メロディック・デスメタル、ブラック・キリンの2016年作
2015年にデビューし、本作が2作目となる。水墨画のようなジャケからして素朴だが、
本作は、前作「哀郢」の楽曲をアコースティックでアレンジした作品。牧歌的な二胡の音色に
アコースティクッギターに絡む筝のつまびきで、中華の空気を感じさせるフォークサウンドを聴かせる。
メタル色はほぼ皆無なので、アコースティックものが苦手なメタラーにはちとつらいかもしれぬが、
中国本土からこのような本格派の民俗要素をもったメタルバンドが現れたのはとても興味深い。
ドラマティック度・・7 メタル度・・1 中華度・・8 総合・・7.5
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BLACK KIRIN 「金陵祭 (NANKING MASSACRE)」
中国の民俗メロディック・デスメタル、ブラック・キリンの2017年作
前作アコースティックアルバムに続く3作目で、二胡、筝、琵琶などの音色にヘヴィなギターと
ダミ声ヴォーカルを乗せた、民俗的でフォーキーな味わいのデスメタルサウンドを聴かせる。
ブラストビートを含むアグレッシブなパートから、ノーマル声ヴォーカルや女性声をなど加えた
牧歌的な叙情を感じさせる展開など、緩急あるアレンジでスケール感のあるサウンドが楽しめる。
優雅な筝のつまびきをメインにしたナンバーなど、アコースティックな民俗調パートとの落差も含めて、
まさに中華な世界観に包まれた異色のメタルバンドたる個性を有している。
ドラマティック度・・8 暴虐度・・7 中華度・・8 総合・・8
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台湾系女性歌手

台湾には素晴らしい美声の女性歌手が多いですが、
中でも齊豫(CHYI)、許茹芸(VALEN HSU)の二人はプログレ、シンフォファンにも勧められるアーティストです

   
齊豫                許茹芸


齊豫/CHYI「故事/ STORIES」
チー・イーの1987作
台湾系の美声歌手としては今や大御所の彼女。このアルバムは全編英語、
その絶品の歌唱力で、アラン・ペイジやジャニス・イアン、ドン・マクレーンなどのカヴァー曲を堂々と歌い上げています。
英語の発音も素晴らしく、曲だけ聴けば欧米の歌手だと思ってしまいそうなほど。
シンセの美しいシンフォニックな部分もあって、しっとりと美しいアルバムです。
シンフォニック度・・7 しっとり度・・9 女性Vo度・・9 総合・・8
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齊豫「有没有這種説法」
チー・イーの1988作
このアルバムは全曲中国語によるオリジナル作。
ピアノやシンセなどによるしっとりとした曲に、彼女の美声が映える。
すべて中国語の歌唱なのだが、あまり違和感なく聴けてしまうのは、
やはりこの美しい発声によるところだろう。
シンフォニック度・・7 しっとり度・・9 女性Vo度・・9 総合・・7.5
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CHYI「PARADISE BIRD/天堂鳥」
チー・イーの1988作
英語によるカヴァー曲集、スザンヌ・ヴェガやマイク・オールドフィールドの“Islands”などを
その美声でしっとりと歌い上げています。シンフォニックなキーボードもポイント髙し。
うっとりとしながら、美しい歌声に浸れる傑作アルバムです。
シンフォニック度・・8 しっとり度・・9 女性Vo度・・10 総合・・8.5
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CHYI「WHERE HAVE ALL THE FLOWERS GONE」
チー・イー(齊豫)の1990作
これも英語によるカヴァー曲集で、LAでのレコーディング。
のっけからシンフォニックなイントロ、曲によってはギターも入って
とても台湾の歌手のアルバムとは思えない。この人にはやはり英語曲がよく似合う。
しっとり系の曲に乗る美声には艶やかさも加わっていて、もう絶品です。
シンフォニック度・・8 しっとり度・・9 女性Vo度・・9 総合・・8
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CHYI「LOVE OF MY LIFE/蔵愛的女人」
チー・イー(齊豫)の1993作
100人のロシア国家交響楽団とともにモスクワで録音されたアルバム。
ベートーベンやシューベルト、チャイコフスキー、サン・サーンス、ショパンなどの名曲をオーケストラをバックに
彼女が歌い上げます。クラシカルかつ優雅に楽しめる、素晴らしいアルバムになっています。
シンフォニック度・・9 クラシカル度・・9 女性Vo度・・9 総合・・8.5
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CHYI「駱駝・飛鳥・魚」
チー・イー(齊豫)の1997作
台湾の女性Voの中でも、特にプログレファン向きなのがこの人。
これまでにも英詞によるカヴァーアルバムを出したりと、欧米のロックにも造詣があるところを
見せつけており、その絶品の歌唱力はまったくもってワールドクラス。
今作は、初期のようなシンフォッニックなアレンジからはやや脱却し、
どちらかというと静謐感ただようしっとりとした楽曲が中心となっている。
中国語の響きも美しく、落ち着いたアンビエントな雰囲気を堪能できる美しいアルバム。
シンフォニック度・・7 しっとり静謐度・・9 女性Vo度・・9 総合・・8
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YU CHYI「C'est la vie」
ユー・チー(齊豫/チー・イー)の1999作
台湾の美声の歌姫としては代表格の彼女。今回は英詞によるカヴァーアルバムである。
なにしろのっけからEL&Pのカヴァー(タイトル曲)、続く2曲目はこともあろうに
北欧メタルの大御所STRATOVARIUSのカヴァーである(バラード曲「FOREVER」)。
どの曲も彼女の絶品の歌唱力によって、しっとりと情感豊かに胸に響く。
曲のアレンジもシンフォニックなものが多く、女性Voファンのみならずシンフォ好きリスナーにもお薦め。
シンフォニック度・・8 しっとり度・・10 女性Vo度・・9 総合・・8
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CHYI「The unheard of Chyi」
チー・イー(齊豫)のライブアルバム。2003作
2002年香港コロシアムでの録音。CD2枚組。DVDケース入りの全36曲。
こんな豪華なアルバムが出るわけだから、地元での人気も相当なものなのだろう。
この絶品の歌唱力がライブ音源で聴けるのだから、それだけでも感動ものなのだが、
選曲の方も新旧取り混ぜたベスト的なもので、シンフォニックかつメロディアスなものが多い。
(例のストヴァリ、ELPのカヴァーもばっちり収録されており大満足 ^ー^)。
中国語圏のみにとどまらず、まさにワールドワイドな女性ヴォーカリストといえよう。
ただし、コピーコントロールCDのせいか、PCで再生すると何故か音飛びがあります。
シンフォニック度・・8 絶品歌唱度・・10 楽曲度・・9 総合・・8.5
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齊豫/YU CHYI「2002 音樂難得有奇遇演唱會」
ユー・チー(チー・イー)のライブDVD。2002年香港コロシアムでの映像。
デビュー23年ということで、中国語圏においてはかなりの知名度らしく、広いステージに客席は満員。
ライティングや派手な衣装などは、ライブというよりは歌謡曲のコンサートのノリ(客席にはごく普通のおばちゃんも…)
そんな中、ELPSTRATOVARIUSのカヴァーが歌われるのは、どうにも妙な感じがするな(笑)
映像的に見ればさすがに本人はベテランの域なので(横顔は森口博子似?)、さして見て楽しいというものではないが、
英語、中国語の曲ともに、その絶品の歌唱力にはやはり国境を超えた素晴らしさがある。
ちなみに同ライブを収録した2枚組CDもあり、こちらのDVDはそれよりも数曲少ない内容となっている。
ライブ映像・・7 ライブ歌唱・・9 しっとり度・・8 総合・・8
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許茹芸「討好」
台湾の女性歌手、ヴァレン・シュー(VALEN HSU)の1st。1995作
このデビュー作からすでに、内面を表現するようなしっとりとした歌唱が見事。
曲の方もしっとりとしたピアノ、シンセにオーケストレーションが美しく、
ときにシンフォニックに盛り上がる「泣き」が情感をともなって胸に迫ってくる。
我々日本人が忘れかけた、純粋で清浄な歌と音楽がここにある。
⑤はどうもKATE BUSHっぽい曲だなと思ったら、どうやら本当にケイトのカヴァーらしい。
メロディアス度・・8 シンフォニック度・・8 女性Vo度・・9 総合・・8

許茹芸「涙海」
ヴァレン・シュー(VALEN HSU)の2nd。1996作
方向性は前作と同様。しっとりと美しく、素朴で素直。
彼女の歌唱の魅力が最大限に生きる、ゆったりとした曲調で
我々日本人にも懐かしさを感じさせるような歌メロがとても心地よい。
今回も④にKATE BUSHのカヴァーを取り上げている。よほど好きらしい。
ピアノのストリングスが美しいラスト曲などは感動必至。
メロディアス度・・8 しっとり度・・9 女性Vo度・・9 総合・・8
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許茹芸「如果雲知道」
ヴァレン・シュー(VALEN HSU)の3rd。1996作
彼女の5枚目までのアルバムはその清純な美声と、シンフォニックな楽曲で、プログレファンにもアピールするものだ。
このアルバムも1曲めのサビでの溢れだすような情感には、分かっていてもグッとくる。
バックのピアノ、シンセも美しいのだが、それらもやはり彼女の美声を引き立てる役になる。
余談だが、ハイビジョンで放映している日本マンガ原作の台湾ドラマ、「部屋においでよ」に彼女が主演で出演していて少しびっくり。
シンフォニック度・・8 女性Vo度・・10 楽曲・・8 総合・・8.5
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許茹芸「日光機場」
ヴァレン・シュー(VALEN HSU)の4th。1997作
その清純な美声と、ブログレファン受けするシンフォニックな楽曲から、その筋での人気も高い彼女。
これはその代表作ともいえるアルバム。デジタル&ポップに移行する直前の台湾シーンの
しっとりとした叙情要素が満載のサウンド。美しいシンセ、ピアノが盛り上げる楽曲に、
彼女の美声が加われば、全てのシンフォ系女性ヴォーカルファンはもう降参です。
シンフォニック度・・8 しっとり度・・9 女性Vo度・・10 総合・・8.5
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許茹芸「我依然愛イ尓」
ヴァレン・シュー(VALEN HSU)の5th。1998作
しっとりとしたピアノで始まる表題曲の美しさがやはり素晴らしい。
3rdあたりまでの過剰な情感はやや薄まったが、女性としての成長を感じさせる強さと自信とが備わった
その歌声には、やはり心揺さぶられる響きがある。ちなみに、画像のジャケには彼女の直筆サインが入っています♪
シンフォニック度・・8 しっとり度・・8 女性Vo度・・10 総合・・8
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許茹芸「イ尓是最愛」
ヴァレン・シュー(VALEN HSU)の6th。1998作
キャリアを経て、ジャケといいなんとなく「今風」になっているが、本質は変わらず。
清純なだけでなく、大人っぽい深みを増した彼女の美声は、いっそうの説得力とともに胸にしみ入ります。
曲の雰囲気は初期の頃よりもロック/ポップス風にはなってきているものの、
バラード曲の美しさなどは不変。さりげないシンセのアレンジも良いですな。
メロディアス度・・8 しっとり度・・8 女性Vo度・・9 総合・・8

許茹芸「1995-2001 光華真紀録 單身日記 Lonly Diary」
ヴァレン・シュー(VALEN HSU)のベスト選曲集(+新曲)。
このアルバムは、彼女のデビューから2001年までのアルバムからの選曲となっており、
過去のCDが手に入りにくい今となっては、ファンにとっては実にありがたい内容。
彼女の魅力はやはりその透き通るような美声で、チーイーのような深みのある大人の声ではなく、
どこかに初々しさを残した清涼さがある点だろう。もちろん歌唱力と表現力もかね揃えていて、
しっとりとした静か目の曲では思わずうっとりと聞き惚れてしまう。
選曲的に全体的にシンフォニックなものが多く、シンフォ系の女性Vo好きにも大推薦。
シンフォニック度・・8 しっとり&清純度・・9 女性Vo度・・10 総合・・9
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許茹芸
ヴァレン・シュー(VALEN HSU)のベスト。2005作
この方の初期から1998年くらいまでのアルバムは、
清純な美声とシンフォニックかつしっとり叙情的な楽曲が合わさって
どれもが素晴らしいのだが、これはそんな彼女のこれまでの曲を集めたもの。
プログレ、シンフォファン対応の歌い手としては台湾の一番手といってよいかと。
繊細なピアノにうっとり、歌メロの盛り上がりに思わずじーんとなるのです…
シンフォニック度・・9 しっとり度・・9 女性Vo度・・10 総合・・8.5
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許景淳「専輯~「王攵]瑰人生 睡[ロ巴]!我的愛」
台湾の清純派美声Vo、クリスティン・シューの初期のベストアルバム。1994作
台湾にはチー・イーヴァレン・シューなど実力派の美声女性シンガーが多いですが、この許景淳も母国ではかなりの人気歌手。
90年代前半の台湾の音楽は、日本のような曲のデジタル化が進んでおらず、
その分しっとりとしたメロディを聴かせてくれる正統派の歌謡曲が多かったのだと思われます。
そういう部分で、シンフォニックで大盛り上がりのクサめの曲が、わが国の女性Voフリーク、
プログレ系リスナーにも受ける要因だったのでしょう。私もチー・イーのCDをけっこう持ってますし。
さて、許景淳のこのアルバムも、その美しいソプラノVoを生かした曲が堪能できます。
しっとりめの曲が多く、やわらかで清純な歌唱が心地よいのであります。
しっとり度・・9 ロック度・・2 女性Vo度・・9 総合・・7.5
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孟庭葦「誰的眼涙在飛」
台湾の女性歌手、モン・ティン・ウェイの5th。1993作
バラード中心のしっとりとした楽曲に、はかなげな美声を乗せた、
ゆるやかに癒されるようなアルバム。許茹芸に比べると華やかさはないが、
むしろこの素朴な味わいが彼女の魅力なのだろう。
メロディアス度・・8 女性Vo度・・9 しっとり度・・9 総合・・8
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孟庭葦「鑽石金選集1990-1994」
台湾の女性歌手、モン・ティン・ウェイの1990~1994年までのベスト。CD2枚組
美声ヴォーカルの宝庫、台湾のベテランの一人。聴くのはこれが初めて。
曲調としては、やや古めのしっとり系台湾歌謡という感じで、
繊細なピアノやギター、シンセなどによる中華風味の雰囲気が出ているサウンドで、
そこに乗る彼女の歌声は、チー・イー(齊豫)ヴァレン・シュー(許茹芸)ほどには華やかさはないが
しっとりとした素朴な情感に満ちている。聴いていてどこか安堵感を覚えるようなヴォーカリストです。
メロディアス度・・8 女性Vo度・・9 しっとり度・・9 総合・・7.5
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梁詠琪
中国のアイドル、gigiことジジ・リョンの1998作
中国ではもちろん、日本でもけっこう有名であるらしい。
外見の美少女っぽさに反して歌唱の方はなかなか本格派で、しっかりと情感が伝わってくる。
曲の方も打ち込みなしで、シンセやギター、アコギなどがメインのロック&ポップスという雰囲気で、これも好印象。
台湾系の美声歌手と同様の耳で聴けるので、女性Vo好きにはお勧め。
メロディアス度・・8 女性Vo度・・8 案外聴けます度・・8 総合・・7.5


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