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アルゼンチンのプログレバンド〜Argentina Prog Rock
ブラジルに次ぐ南米2番目の大国であり、かつてはスペインの統治下にあったことで、公用語はスペイン語である。
1800年代〜1900年代にかけて、クーデターや内戦など政治不安が続き、1980年代に入ってようやく民主化に舵がきられる。
サッカーにおいては、マラドーナやメッシというスーパースターを輩出。1986年、2022年ワールドカップで優勝。2026年は準優勝。
音楽では、タンゴやフォルクローレなどがよく知られるが、プログレにおいても繊細にして優雅な叙情美を描くバンドが多いのも特徴である。






◆70〜80年代
Sui Generis「Pequenas Anecdotas Sobre Las Instituciones」
アルゼンチンのプログレバンド、スイ・ヘネリスの1974年作
同国を代表する鍵盤奏者、チャーリー・ガルシアが率いるバンドで、後のLA MAQUINAへとつながる存在であるがこちらはより素朴な味わいが光るサウンド。
やわらかなスペイン語の歌声に、美しいシンセアレンジとともに、アコースティカルなフォークロック的な感触も含んで、ゆったりとしたじつに耳心地のよい作風である。
ムーグシンセが鳴り響き、ときにサイケなギターが絡んだ、プログレ的な芸術性も聴かせつつ、シンフォニックロック的なリリカルな美しさもある。
アルゼンチンロックの繊細さを凝縮したような好作品。
メロディック度・8 プログレ度・7 繊細度・9 総合・8
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ENSAMBLE MUSICAL DE BUENOS AIRES 「LA BIBLIA」
アルゼンチンのクラシカルアンサンブルによるロックオペラ、1974年作
聖書における「天地創造」をコンセプトに、LA PESEDA DEL ROCK AND ROLL、SUI GENERIS、ESPIRITUのメンバーが参加、オーケストラ・アンサンブルにスペイン語のヴォーカルを乗せ、典雅なシンフォニーを展開。
ロックなギターやドラムも加わると、THE ENIDやNEW TROLLSのような、クラシカルなシンフォニックロックになるが、VOX DEIによる1971年作が土台にあるので、ときにブルージーなロック感触も現れる。
アコースティックギターにストリングスを重ねたナンバーなど、南米らしい繊細な叙情性と哀愁も含んだサウンドが楽しめる。
クラシカル度・8 典雅度・8 壮大度・8 総合・8
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Aquelarre 「Siesta」
アルゼンチンのプログレバンド、アケラーレの1975年作
1972年にデビュー、本作は4作目で、優美なシンセをギターに重ね、スペイン語のヴォーカルで、フォルクローレがかった牧歌的なシンフォプログレを描く。
アコースティックな繊細さと、オルガンなどのオールドな味わい、歌い上げるヴォーカルで、やわらかなサウンドながらも情感豊かな味わい。
サイケ的なおおらかにユルさや、優雅なエレピにメロウなギターの旋律が合わさった、ジャズタッチのインストパートなど、演奏面でもバンドとしての実力を感じさせる。
軽やかに展開するリズムパートなど、プログレッシブな要素もしっかりとあり、アルゼンチンロックの懐の深さを知れる逸品である。
ドラマティック度・7 プログレ度・7 優雅度・8 総合・8
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INVISIBLE 「Durazno Sangrando」
アルゼンチンのメロディックロック、インビジブルの1975年作
ルイス・アルベルト・スピネッタ率いるバンドの2作目。ギター、ベース、ドラムのトリオ編成を基本にしたテクニカルなアンサンブルに、スペイン語のヴォーカルを乗せた、やわらかな叙情を聴かせるサウンド。
のっけから15分の大曲で、ジャズロック的な優雅さと、適度にエキセントリックなプログレ要素が合わさって、代表作とされる3作目に比べると、よりアンサンブリーなロック感が強い分、プログレファン受けするだろう。
大人の哀愁を含んだスピネッタのメロウなギターワークも随所に光っていて、アコースティックな小曲なども、じつに南米らしい繊細な味わいだ。
後半の10分高い大曲も、耳心地の良さとプログレ的な展開美が素晴らしい。
ドラマティック度・7 プログレ度・8 南米度・8 総合・8
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Luis Alberto Spinetta「A 18' del Sol」
アルゼンチンのギタリスト、ルイス・アルベルト・スピネッタの1977年作
INVISIBLEのギタリストでもあるが、本作で聴けるのはもっとたおやかでジャズ的なエッセンスも入ったサウンド。
スペイン語によるヴォーカルにもやわらかみがあり流麗なギターのフレーズに軽やかなピアノも合わさって、じつに優雅な雰囲気だ。
フュージョン/ジャズロック風味のテクニカルさも聴かせながら、あくまで本質は繊細で、いかにも南米らしい作品だ。
スピネッタのギターもさすがのテクニックをさりげなく聴かせてくれる。
メロディアス度・8 プログレ度・7 繊細度・9 総合・8
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AVE ROCK 「ESPACIOS」
アルゼンチンのプログレバンド、エイヴ・ロックの1977年作
1974年にデビュー、本作は2作目でバンドのラスト作。21分、15分という2つの大曲をメインに、緩急あるリズムにエレピやオルガン含む優美なシンセと叙情的なギター、伸びやかなスペイン語のヴォーカルで、軽やかなシンフォプログレを展開する。
メロウで巧みなギタープレイとオルガンが重なる、ジャズロック感触も含んだ優雅なアンサンブルは、FOCUSなどにも通じるだろう。
高い演奏力と構築センス、南米らしい叙情性の同居したサウンドで、前作と並び、南米プログレの名作というべき内容です。
ドラマティック度・8 プログレ度・8 優雅度・9 総合・8
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ALAS
アルゼンチンのプログレ・ジャズロックバンド、アラスの1st。1976年作
15分、17分という大曲2曲の構成で、せわしないテクニカルなリズムに、ジャズ的なピアノやELP的なハモンドを乗せて軽やかに聴かせるプログレサウンド。
かと思うと南米らしい叙情的なヴォーカルも出てきたりと、単なるジャズロックでもないいわばごった煮感が本作の魅力かもしれない。
タンゴにも通じる情熱的な情緒とクールな構築性、たおやかさと荒々しい勢い、軽やかなジャズと濃密なプログレがミックスされた、混沌として整然たる聴き心地の個性派の傑作である。
メロディアス度・7 テクニカル度・8 ジャズロック度・8 総合・8
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PASTORAL 「ATRAPADOS EN EL CIELO」
アルゼンチンのフォークプログレ、パストラルの1977年作
1973年にデビューし、4作目。アコースティックギターに優美なピアノとシンセ、中性的なヴォーカルを乗せて、しっとりと繊細な叙情を描く。
随所にエレキも使った泣きのギターの旋律にドラムが加わると、シンフォニックロックとしての優雅なダイナミズムも現れる。
キャッチーな歌ものフォークロック風味に、シンセやストリングスも重なると、これがうっとりとなる美しさである。
シンフォニックなフォークロックとしては、前作「Humanos」と並ぶ代表作である。特殊紙ジャケ仕様でリマスターの音質も抜群。
ドラマティック度・8 プログレ度・7 優美度・10 総合・8
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LA MAQUINA DE HACER PAJAROS「PELICULAS」
アルゼンチンのシンフォニックロック、ラ・マクイナ・デ・ヘーサー・パジャロスの2nd。1977年作
ジャケの雰囲気からは想像もできないくらいの繊細なメロディを聴かせるサウンドで南米を代表する鍵盤奏者、チャーリー・ガルシアのピアノや美しいシンセワークを中心に自身のやさしげなヴォーカルもしっとりと聴かせる曲調にマッチしている。
曲は4〜5分台のものが中心で、難解さはかけらもなく、どの曲もやわらかなメロディにあふれていて、とても耳に心地よい。
シンセに絡むクラシカルなストリングスの響きも素晴らしい。じわじわと来る大叙情。
メロディアス度・9 シンフォニック度・8 プログレ度・7 総合・8
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MONTESANO「HOMENAJE」
アルゼンチンのミュージシャン、グスタヴォ・モンテサノの1977年作
CRUCISのKey奏者として知られるミュージシャンで、美しいシンセにたおやかなフルートが鳴り響く、やわらかなシンフォアルバム。
メロトロンやハモンドを鳴らしながら、メロディアスなギターを聴かせ、軽快なナンバーでは、演奏面での充実もあって、9分の大曲であってもさらりとライトに楽しめる。
しっとりとしたピアノをバックに、甘い歌声を聴かせる小曲など、南米らしい叙情とメロディに彩られたサウンドはじつに繊細で耳に心地よい。
クルーシスのメンバーに加え、大御所チャーリー・ガルシアも参加していて、ソロというよりはむしろ、CRUCISの最高傑作という位置づけもできるほどの出来の良さだ。
シンフォニック度・8 プログレ度・8 キーボー度・8 総合・8
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Naranja Mecanica 「Revive El Sentimiento」
アルゼンチンのプログレバンド、ナラーニャ・メカニカの1977年作
女性Vo&Gを含む4人編成で、オルガンにピアノを含むシンセに、女性ヴォーカルのスペイン語の歌声を重ね、優雅でキャッチーなサウンドを描く。
南米らしい哀愁に包まれた空気感と、コケティッシュな女性声による爽快な叙情が同居し、マイナーな感触の優美なシンフォニックロックが楽しめる。
クラシカルなピアノや、泣きを含んだギターの旋律も耳心地よく、2〜4分の小曲が主体ながら、翳りを帯びたドラマ性も感じさせる。
本作が唯一のアルバムなのは惜しいが、アルゼンチンプログレの隠れた好作品です。女性Voシンフォ好きは聴くべし。
ドラマティック度・8 プログレ度・7 優美度・8 総合・8
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Soluna
アルゼンチンのプログレバンド、ソルナの1977年作
本作が唯一の作品で、軽やかなアンサンブルにスペイン語の男女ヴォーカルを乗せ、オルガンや艶やかなヴァイオリンとともに、優雅なラテンロックを聴かせる。
ブルージーなギターや、ジャズロック的な軽妙なリズム、南米らしい優しいコーラスなど、多様性を含んだサウンドで、結果としてプログレッシブに味わえる。
アコースティックによる牧歌的なフォーク風味から、哀愁を含んだキャッチーなシンフォニックロック風まで、繊細な美意識に包まれた高品質なサウンドである。
ドラマティック度・7 プログレ度・7 優雅度・8 総合・8
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MIA「CORNONSTIPICUM」
アルゼンチンのシンフォニックロック、ミアの3rd。1978年作
南米を代表するシンセ奏者、リト・ヴィターレが在籍していたバンドで、本作は「魔法の壺」という邦題で日本盤も出ていた。
クラシカルなピアノ、フルートに導かれた繊細なる楽曲は、リト・ヴィターレによる美しいシンセワークとともに、あくまで南米らしいやわらかな叙情で紡がれてゆく。
そこに乗る男女ヴォーカルの歌声もどこか牧歌的でサウンドにはほんのりとした薄暗さと、はかない幻想美をただよわせる。じつに優雅な聴き心地である。
そしてタイトル曲である17分の組曲では、静と動を織りまぜた構築性が素晴らしい。70年代アルゼンチンのシンフォ傑作。
シンフォニック度・8 南米度・9 やわらか叙情度・9 総合・8
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BUBU「ANABELAS」
アルゼンチンのプログレバンド、ブブの1978年作
フルート、サックス、ヴァイオリンが鳴り響き、そこにヘヴィめのギターも加わって、KING CRIMSON的な質感のスケールの大きいサウンドが展開される。
ときにサックスなどが弾きまくり、アヴァンギャルドさを覗かせつつも、全体的には非常に構築されたチェンバーロック的なシリアスさに、ほのかな叙情性を感じさせる。
19分、11分、9分の全3曲という構成で、70年代の南米を思うと圧巻の完成度を誇る。70年代のアルゼンチン産バンドの中でも名作に挙げられる1枚。
メロディアス度・7 ヘヴィプログ度・8 壮大度・8 総合・8
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PORCHETTO「VOLANDO DE VIDA」
アルゼンチンのシンガー、ラウル・ポルチェットの1978年作
ゆるやかにつまびかれるアコースティックギターに、女性的なナイーブさを感じさせる中性的な歌声でしっとりと聴かせる。
SUI GENERISやALASのメンバーも参加し、プログレ的な要素もちゃんとあって、軽やかな演奏力はさすがのひとこと。
歌をメインにしつつも、バックのシンセやピアノなどもじつに美しく、南米らしいやわらかな叙情と哀愁が感じられる素晴らしいアルバムだ。
メロディアス度・・8 プログレ度・・7 しっとりゆるやか度・・10 総合・・8
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SERU GIRAN「La Grasa De Las Capitales」
アルゼンチンのロックバンド、セル・ヒランの2nd。1979年作
LA MAQUINA DE HACER PAJAROSのチャーリー・ガルシアが率いるバンドで、本作は一聴してキャッチーかつポップな感触のメロディックロック。
爽やかなコーラスにラテンポップ的な哀愁も含んだメロディは耳心地がよく、軽やかなアンサンブルの中にはプログレ、ジャズロック的な質感も垣間見える。
とくに優雅なピアノや美しいシンセワークなどはさすがというもので、バンドとしての高度なアンサンブルが素晴らしい。南米らしいやわらかなサウンドだ。
メロディアス度・8 プログレ度・7 優雅で軽やか度・9 総合・8
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BANANA「AUN ES TIEMPO DE SONAR」
アルゼンチンのロックバンド、バナナの2nd。1979年作
もともとがポップロックバンドだったバンドが、いきなりプログレ的な作品を作ったというのは、イタリアンロックなどにはよくあるのだが、これはアルゼンチンのバンドなのだから珍しい。
やわらかなオルガンやシンセの音色に、メロディアスなギター、甘いヴォーカルで聴かせるサウンドは、ゆったりと優しく、そして叙情的。
スペイン語による歌唱もどこかイタリア的に響いて聞こえる。
9分、10分という長い曲を聴かせる構築美も備えた、繊細な美しさに溢れた南米プログレの傑作です。
メロディアス度・8 叙情度・9 繊細度・9 総合・8
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AUCAN 「Brotes Del Alba」
アルゼンチンのプログレバンド、アウカンの1980年作
1977年にデビュー、本作は2作目でラスト作。かつての日本盤仕様の邦題は「理想郷への飛翔」であった。
アコースティックギターに優し気なヴォーカルを乗せた、フォーク風味の牧歌性に、エレピを含むシンセを重ねて、優雅で繊細なサウンドを描く。
メロウなエレキギターの旋律とシンセが重なると、優美なシンフォプログレの味わいで、クラシカルなチェロの音色などもセンスがよい。
泣きのギターとスペイン語の歌声の相性もよろしく、全35分ながら、南米らしい哀愁の叙情もたっぷり詰まった傑作である。
牧歌的度・9 プログレ度・7 繊細度・9 総合・8
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ESPIRITU「V」
アルゼンチンのメロディアスプログレバンド、エスピリトゥの3rd。1982年作
美しいジャケの1975年のデビュー作「CRISALIDA」のイメージが強いが、完成度としては3作目の本作こそが代表作だろう。
南米らしいやわらかなメロディに、シンフォニックなキーボードが交差する、耳心地のいい優雅なシンフォニックロック。
全体的にはスペイン語の歌唱を中心とした、落ち着いた感じの小曲でまとめられていて、さしたるインパクトはないものの、優しい心地よさに包まれるサウンドである。
ややハードでブルージーなギターと繊細な歌メロの対比もいい。
メロディアス度・8 シンフォニック度・7 ゆったり度・8 総合・7.5
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ANACRUSA「FUERZA」
アルゼンチンのクラシカル・フォルクローレバンド、アナクルーザの6th。1982年作
ロック、プログレ、というよりはクラシカルな叙情派南米音楽といった方がいいのかも知れない。
オーケストラ、ストリングスによる盛り上がりや、熱情的な女性ヴォーカルが特徴的。
クラシカルでシリアスな部分はイタリアのOPUS AVANTAを思わせるが、ゆったりとした壮大さと叙情はやはり南米特有のもの。
たおやかなストリングスが良いかと思えば、時にサックスやフルートが前に出たり、ゆるやかなピアノが心地よかったりと、うるさい音ではないのになかなかに密度が濃い。
楽曲にはプログレ、シンフォファンにも通じる躍動感があり、クラシカルなダイナミズムが堪能できる傑作である。
クラシカル度・8 プログレ度・7 典雅度・8 総合・8
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PABLO "EL ENTERRADOR"
アルゼンチンのシンフォニックバンド、パブロ・エル・エンテラドーの1983年作
メロウなギターとシンセの重ねで、溢れる叙情性もけっして押し過ぎず、自然体のやわらかさでメロディをつむぐというスタイル。
手法的には特に目新しさはないが、楽曲の繊細なアレンジセンスも見事で、ジャケのような田舎っぽい稚拙さは微塵もない。
80年代の南米シンフォプログレとしては、サグラド、バカマルテとともに3本に入る傑作だろう。
爽やかなメロディと叙情が優雅に駆け抜けてゆく。リマスター再発盤には1985年のライブ音源を4曲追加収録。
メロディアス度・9 プログレ度・8 繊細度・9 総合・8.5
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◆90年代〜
Lito Vitale Cuarteto 「la Cruz del Sur」
アルゼンチンのミュージシャン、リト・ヴィターレの1995年作
MIAのシンセ奏者としても知られるミュージシャンで、美麗なシンセワークにギター重ね、サックスやフルートが鳴り響く、クラシカルなインストのシンフォニックロックを聴かせる。
パンパイプを含むやわらかな笛の音色や、繊細なギターの旋律にシンセを重ねて、南米らしいフォルクローレ風味の叙情性に包まれた、じつに優しい耳心地のサウンド
プログレ色はさほどないが、ジャズやクラシックの優雅さをシンフォニックな味わいで取り入れ10分を超える大曲も、あくまでしっとりとした優美な叙情に包まれる。
クラシカル度・8 プログレ度・7 優美度・9 総合・8
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El Grito Sagrado「Himnos Y Canciones De La Escuela」
アルゼンチンのアーティスト、LITO VITALEが監修した歌曲集。1998年作
2〜4分という小曲主体の作品なのだが、クラシカルなピアノやオーケストレーションを含んだシンフォニックなアレンジとスペイン語による朗々としたヴォーカルで聴かせる、雄大な叙情美が素晴らしい。
オペラティックな女性ヴォーカル曲や、曲によってはロック色もあって、南米的な歌ものメロディックロックとしても楽しめる。クラシカルでシンフォニックな歌曲集です。
シンフォニック度・8 プログレ度・6 南米度・9 総合・8
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PABLO EL ENTERRADOR 「2」
アルゼンチンのシンフォニックロック、パブロ・エル・エンテラドーの2nd。1998年作
15年ぶりとなる2作目。美しいシンセワークにメロウなギターで聴かせる優美なシンフォニックサウンドは健在で、よりソフィスティケイトされた優雅さで、CAMELばりのやわらかな叙情美にうっとりとなる。
プログレ的な構築性は薄まったが、メロディックロックとしての繊細さがより際立っている。南米らしいやわらかな耳心地でゆったりと楽しめる。
なんだかんだでこれも傑作です。2013年再発盤はジャケも変更され、ボーナスに1998年のライブ音源5曲を追加収録。
シンフォニック度・8 プログレ度・7 優美度・9 総合・8.5
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NEXUS「DETRAS DEL UMBRAL」
アルゼンチンのシンフォニックロックバンド、ネクサスの1st。1998年作
女性Voを含む5人組で、基本はたたみかけるゴリ押しの濃密シンフォニックロック。
ときに大仰に、ときにELPばりに華麗に弾きまくりのいかにもプログレ的なキーポードと、けっこうハードめなギターをメインにした、重厚で濃い目のハードシンフォサウンドが楽しめる
女性Voは添え物的で、スペイン語の歌唱も南米っぽくて良いのだがバックが濃すぎるためあまり目立ってはいない(笑)
キーボード主導という点では日本のGERARDあたりにも近いが、こちらはリズム面がやや軽快さに欠ける気もする。
全体的にはコテコテのシンフォファンには満足する、力作といってもよいであろう。
シンフォニック度・8 プログレ度・8 濃密度・9 総合・8
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Sur Oculto 「Estados」
アルゼンチンのプログレバンド、サー・オカルトの2006年作
ギターレスのキーボードトリオで、クラシカルなピアノやカラフルなシンセを軽妙なアンサンブルに乗せジャズロック風の優雅さとミステリアスな空気が同居した、オールインストのキーボードロックを聴かせる。
存在感あるベースとテクニカルなリズムのキーボードプログレという点では、日本のGerardにも通じるところも。
やわらかなピアノの旋律が舞うジャズタッチのナンバーも耳心地よく、歪ませたベースがヘヴィなナンバーなど、独自の世界観を描こうとしているところが個性的。
スリリングなトリオのアンサンブルが楽しめる好作品だ。
ドラマティック度・7 プログレ度・8 優雅度・8 総合・8
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LALO HUBER「Lost in Kali Yuga」
アルゼンチのシンセ奏者、ラロ・ヒューバーの2009年作
NEXUSなどで活躍するシンセ奏者で、本作はヒンドゥー教をモチーフにしたコンセプト作。
スペイシーなシンセアレンジを含んだ聴かせる幻想的な雰囲気だが、曲によってはドラムも入って、ムーグシンセやオルガンが鳴り響く、キーボードプログレとしても普通に楽しめる。
ときに桜庭統やJaime Rosasなどを思わせる軽快なメロディセンスもよい感じで、基本はオールインストながら、ヴォーカル入りの叙情的な曲もあったりと、バランスもとれている。
コンセプト云々は別にしても、美しいシンセが楽しめるやわらかな好作品です。
メロディック度・8 プログレ度・8 キーボー度・9 総合・8
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DADDY ANTOGNA Y LOS DE HELIO 「Viva Belice」
元AVE ROCKのドラム、ヘクター“ダディ”アントグナを中心にしたアルゼンチンのプログレバンド、ロス・デ・ヘリオの2009年作
わりとハードなギターにヴァイオリンが鳴り響き、巧みなベースとドラムのリズムとともに知的な硬質感も漂わせる、KING CRIMSONをルーツにしたスタイル。
ツインドラムにギタートベースで、シンセはなしという編成なので、メロディアス性よりもアンサンブル重視のサウンドであるが、ダイナミックなリズムを中心にしたガレージロック風のプログレが楽しめる。
ツインのドラムソロも挿入して、ハードなジャズロック寄りのナンバーもあったり、ラスト曲ではなにやらクラウトロック風という。愛想はあまりよくないが、玄人好みの作品だ。
ドラマティック度・7 プログレ度・7 叙情度・5 総合・7.5
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JUAN CARLOS BAGLIETTO/LITO VITALE 「MAS DE LO MISMO」
アルゼンチンのミュージシャン、ファン・カルロス・バグリエットとリト・ヴィターレのライブ作品。2011年作
MIAのシンセ奏者として知られる、リト・ヴィターレの優美なピアノ、キーボードに、ベテランSSW、バグリエットによる伸びやかな歌声で聴かせる、クラシカルな歌ものサウンド。
スペイン語による情熱的な歌声は、その豊かな表現力とともに、じわじわと感動的に盛り上げる。
後半は、ギター、ベース、ドラムを加えてのバンド編成で、優雅なアンサンブルを描きつつ、ヴィターレのシンセワークもときにクラシカルにときにシンフォニックにと、じつに美しい。
素晴らしい歌い手とともに、南米らしい叙情的なサウンドが満喫できるライブ作品です。
クラシカル度・8 プログレ度・7 優美度・9 総合・8
PARAFERNALIA
アルゼンチンのハードプログレ、パラフェルナリアの2011年作
ジャケは意味不明だが、サウンドはこれがなかなかすごい。70年代の香りがぷんぷんのハードロック風味のギターに鳴り響くオルガンが合わさった、Uriah
Heepばりの1曲目から思わずにやにやする。
スペイン語のヴォーカルとともに濃密な味わいながらも、南米らしいやわらかな叙情も垣間見せ、9分を超える大曲もメリハリのある展開で構築してゆく。
レトロな古めかしさだけではなくラスト曲では優雅なピアノとともに軽妙にして技量あるアンサンブルも見せつける。なかなかの傑作。。
メロディック度・8 プログレ度・8 レトロ度・9 総合・8
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VADE RETRO 「Floreciendo En Heliopolis」
アルゼンチンのプログレバンド、ヴァデ・レトロの2012年作
やわらかなシンセアレンジに叙情的なギターフレーズ、そしてスペイン語によるヴォーカルで、南米らしい繊細な味わいと哀愁の美学を感じさせるシンフォニックロックサウンド。
Sui GenerisやLA MAQUINAを受け継ぐような古き良き味わいを感じさせつつ、クラシカルなピアノの響きを含んだ優雅な聴き心地にうっとりとなる。
うるさすぎないレトロな味わい。オルガンやフルートの入った70年代的な素朴な感触が楽しめる好作品だ。
メロディック度・8 プログレ度・7 繊細度・9 総合・8
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AUTUMN MOONLIGHT 「Alter Reality」
アルゼンチンのシンフォニックロック、オータム・ムーンライトの2012年作
メロウなギターワークとやわらかなシンセで聴かせる、ポストプログレ的な繊細さに包まれたサウンド。
あるいはポーランドのバンドを思わせるような翳りを含んだ雰囲気と、Alcestあたりにも通じるようなシューゲイザー風味のモダンな浮遊感に包まれた叙情美がじつに耳に優しい。
プログレというよりは、薄暗系のメロウ・ロックというべきか。
オールインストながら、ギターの泣きのフレーズにピアノの音色が重なって、しっとりとしたやわらかな叙情に癒されます。
メロディック度・8 プログレ度・7 叙情度・9 総合・8
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Hexatonica 「El Visionario」
アルゼンチンのプログレバンド、ヘクサトニカの2012年作
ほどよくハードなギターに優美なシンセを重ね、手数の多いドラムとともに、ProgMetal感触もあるテクニカルなインストのハードプログレを聴かせる。
叙情的なギターの旋律にシンセが合わさると、きらびやかなシンフォプログレの耳心地になりつつも、ときにメタリックな硬質さも覗かせる。
アコースティックギターにフルート、ヴァイオリンによる繊細な小曲から、10分を超える大曲では、泣きのギターメロディにオルガンを含むシンセで、FINCHのようなインストシンフォが楽しめる。
オールインストながら、センスあるギターの叙情フレーズや鮮やかなシンセワークで、魅力的なメロディとフックが随処に現れる。
ドラマティック度・7 プログレ度・8 叙情度・8 総合・8
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SEIN 「TESIS」
アルゼンチンのプログレバンド、セインの2013年作
ヴォーカル、シンセ、ギターをこなす、マルセロ・シウティ氏を中心にしたバンドで、本作が2作目。
スペイン語にわるやわらかなヴォーカルと美しいシンセアレンジで聴かせるキャッチーで繊細なサウンド。
楽曲は3〜5分くらいで、プログレというよりはSeru Giranなどに通じる、やわらかな叙情ロックという趣。
シンセはシンフォ系といってもよいくらいかなりプログレ的で、歌メロやコーラスなどのポップなキャッチーさが合わさるとあるいはMoon Safariなどにも通じる雰囲気もある。
南米らしい素朴な哀愁を含んだ牧歌性が魅力の好作品。
メロディアス度・8 プログレ度・7 南米度・8 総合・8
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Sambara 「Asomandose」
アルゼンチンのプログレバンド、サンバーラの2013年作
きらびやかなムーグシンセにメロウなギター、しっとりとしたピアノによるインストナンバーで幕を開け、続く2曲目からは、スペイン語の歌声を乗せたキャッチーなメロディックロックが広がってゆく。
アルゼンチンロック特有のおおらかな叙情性に、プログレらしいシンセアレンジを加えた、牧歌的でやわらかなサウンドにのんびりと浸れる。
曲によっては変拍子も含んだ軽快なアンサンブルに、Moon Safariを素朴にしたようなコーラスハーモニーも現れて、メロディ派のリスナーならとても楽しめる。
南米らしい繊細な美しさと、キャッチーなメロディアス性に、ほどよいプログレ感触を加えた好作品。
メロディック度・8 プログレ度・7 キャッチー度・8 総合・8
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Laquesis
アルゼンチンのプログレバンド、ラケシスの2013年作
ジャケやバンド名から、運命の三人の女神(ラケシス、アトロポス、クロートー)をモチーフにしているようで、ムーグやオルガンを含む美しいシンセアレンジに、エモーショナルなヴォーカルで聴かせる叙情的なサウンド。
Marillionにも通じる薄暗い繊細さの歌ものナンバーから、いかにもシンフォプログレ系らしいシンセワークに、CAMELばりの泣きのメロディを奏でるギターを乗せたインストパートも耳心地良く、曲によってはオールドなロック風味も覗かせる。
12分、16分という大曲も濃密すぎず、優雅なアンサンブルでスタイリッシュに構築するところは、南米らしからぬセンスというべきか。
ドラマティック度・8 プログレ度・8 叙情度・8 総合・8
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RETSAM SURIV 「Danger」
アルゼンチンのハードプログレ、レトサム・スリヴの2014年作
前作は女性声ハードシンフォの傑作というべきアルバムであったが、2作目となる本作もムーグやピアノ、オルガンを含むきらびやかなシンセアレンジに適度にハードなギターを乗せて、随所にProgMetal的なテクニカル性も含ませた構築美を聴かせるハードプログレサウンド。
母国語による女性ヴォーカルの歌声も加わりつつ、全体的には前作よりもいくぶんダークになった感触であるが、中盤には美しい女性声と爽快なメロディを乗せたシンフォ曲もあって、やはりよい感じなのである。
ドラマティック度・・8 ハードシンフォ度・・8 女性Vo度・・8 総合・・8
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HYACINTUS 「4th Universe」
アルゼンチンのシンフォニックロック、ヒヤシンスの2015年作
マルチミュージシャン、Jacinto Miguel Corralによるプロジェクトで、2002年にデビューし、8年ぶりの4作目。
シンフォニックなイントロで幕を開け、オルガンが鳴り響き適度にハードなギターを乗せた、70年代を思わせる古き良きアンサンブルに、ストリングスによるアレンジを加え、スペイン語のヴォーカルとともに濃密なサウンドを描き出す。
随所にアコースティックな哀愁の叙情を覗かせつつ、泣きのギターがここぞと盛り上げる大仰さも含めて、南米らしいシンフォニックロックの味わいも十分だ。
いくぶんこもり気味の録音などがいかにも自主制作らしいのが惜しいが、壮大な力作です。
ドラマティック度・8 プログレ度・7 南米度・8 総合・7.5
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Ismo De Las Fauces
アルゼンチンのプログレバンド、イスモ・デ・ラス・ファウセスの2015年作
VADE RETROのシンセ奏者によるバンドで、エレピやムーグを含むやわらかなシンセに、スペイン語のヴォーカルを乗せ、ゆったりとした優雅で繊細な叙情を聴かせるサウンド。
古き良きロック感触のギターも加わって、ジャズやタンゴの要素も感じさせる大人のセンスに南米らしいおおらかな味わいと、優しい哀愁の空気に包まれた耳心地の良さが光る。
全体的に派手な展開というものはないのだが、じっくりと鑑賞できる好作品です。
メロディック度・8 プログレ度・7 南米度・8 総合・8
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Bad Dreams 「Apocalypse Of The Mercy」
アルゼンチのプログレバンド、バッド・ドリームスの2015年作
シンセを含む5人編成で、シンフォニックなアレンジと英語によるマイルドなヴォーカルを乗せ、叙情豊かなサウンドを描き出す。
のっけから13分という大曲であるが、流麗な展開力とセンスで、若手とは思えない自然体の優雅さに包まれた作風だ。
ムーグシンセやオルガン、メロトロンなどきらびやかなシンセとともに、往年のプログレらしさを残しつつ、キャッチーなメロディアス性と、モダンな構築力を融合させていて、南米的なマイナー臭さというのはほとんど感じさせない。
随所にメロウなギターフレーズも含ませて、あくまで優美な叙情に包まれた聴き心地で、高品質なシンフォニックロックがじっくりと楽しめる。南米期待の新鋭バンドである。
メロディック度・8 プログレ度・7 叙情度・8 総合・8
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Jinetes Negros「Definitive Mente」
アルゼンチンのプログレバンド、ジネテス。ネグロスの2017年作
2004年にデビューし、5作目となる。いくぶんハードエッジなメロウなギターにオルガンを含むシンセを重ね、スペイン語のエモーショナルなヴォーカルとともに、南米らしい優雅なシンフォプログレを展開する。
テクニックあるドラムとグルーヴィなベースを軸にした確かな演奏力によるテクニカルな味わいと、随所にクラシカルなピアノやヴァイオリン、フルート、アコースティックギターなどの繊細な叙情美もまとわせる。
ほどよく屈折したリズム展開によるスリリングなプログレらしさと、優雅なシンフォニック性に、ピアノやサックスをバックに情感的に歌い上げるしっとりとしたナンバーなど、楽曲のバリエーションも豊かな、全65分の傑作といえる。
ドラマティック度・8 プログレ度・8 優雅度・9 総合・8.5
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JOSE MARIA BLANC 「LA HERENCIA DE PABLO」
アルゼンチンのミュージシャン、ホセ・マリア・ブランの2018年作
「パブロの遺産」というタイトル通り、パブロ・エル・エンテラドールのヴォーカリストによる後継作品。
1983年の1st、1998年の「2」どちらもが南米シンフォニックロックの傑作として名高いが、本作もそれを受け継いだもので、やわらかなシンセにメロウなギターを乗せて、南米らしい叙情豊かなサウンドを聴かせる。
スペイン語のヴォーカルを乗せた優美な味わいは、かつてのパプロにいくぶん大人の哀愁を加えた感触で、派手さはないがじっくりと聴き入れる好作品です。
ドラマティック度・7 プログレ度・7 叙情と哀愁度・9 総合・8
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Trigemino 「Trampas para Enganar」
アルゼンチンのプログレバンド、トリヘミーノの2019年作/邦題「いつわりの罠」
70年代に活動していたバンドが、2005年に再結成し、かつての楽曲を録音したという復活のデビューアルバム。
前に出すぎないメロウなギターにオルガンやムーグシンセ、エレピを重ね、スペイン語のヴォーカルとともに、70年代風味のキャッチーなプログレサウンドを聴かせる。
2曲目からは、32分近い組曲になっていてアコースティックギターやシタールによる素朴な感触とともに、フォルクローレ的な優雅さにも包まれる。
派手になり過ぎないところは、いかにも70年代アルゼンチン的で、一聴したインパクトはさほどないのだが、ラストの17分の大曲なども、牧歌的な叙情とオールドなプログレ感が同居した、微笑ましい味わいで楽しめる。
ドラマティック度・7 プログレ度・7 優雅度・9 総合・8
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EIEMEL
アルゼンチンのシンフォニックロック、エイエメルの2019年作
LAQUESISのベーシストのソロプロジェクトで、優美なシンセアレンジに叙情的なギターを重ねインストをメインにしたシンフォニックロックを聴かせる。
スペイン語のヴォーカルを乗せたナンバーはキャッチーなプログレハード風味だったりして、巧みなベースを聴かせる確かなアンサンブルと、きらびやかなシンセワークも含めて、ソロというよりは優雅なシンフォプログレとして楽しめる。
ジャケのようなダークさはなく、ゲストによるフルートやアコーディオンなども加わった、やわらかな叙情美も南米らしい。全14曲で72分という力作です。
ドラマティック度・7 プログレ度・7 優雅度・8 総合・8
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MANDHYLON「NEGRA CIUDAD」
アルゼンチンのプログレバンド、マンディロンの2019年作
SANDHY & MANDHYとして60年代に活動していたユニットの、MANDHYLONこと、Alberto Vanascoによるプロジェクトで、ギター、ドラム、シンセにNEXUSのメンバーが参加。
サイケなギターにオルガンやピアノを含むシンセ、スペイン語のマイルドなヴォーカルで、南米らしい哀愁を感じさせるキャッチーなオールドロックを聴かせる。
1968〜78年に作られた楽曲を再録音したもので、ヴィンテージな空気を蘇らせる大人の哀愁と、枯れた味わいの叙情に包まれた耳心地の良いサウンドだ。
サイケロック的なユルさの一方で、クラシカルなピアノやプログレ感のあるシンセワークなど、さすがNEXUSのメンバーというシンフォプログレな感触も覗かせる。
ドラマティック度・7 プログレ度・7 ヴィンテージ度・8 総合・8
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GABRIEL AGUDO 「NEW LIFE」
アルゼンチンのミュージシャン、ガブリエル・アグドの2020年作
元BAD DREAMSのシンガーで、 In Continuumにも参加するミュージシャン。
ソロとしては1作目で、スティーブ・ロザリー、クライブ・ノーラン、デイヴ・カーズナー、フェルナンド・ペルドモなどがゲスト参加している。
美しいシンセにヴァイオリンが鳴り響き、エモーショナルなヴォーカルを乗せた、壮麗なシンフォニックロックを展開。
アコースティックギターによる繊細な叙情から、ハードなギターやテクニカルなドラムによるスタイリッシュな感触もあり、キャッチーなメロディのフックとクラシカルな優雅さが同居。
メロトロンが鳴り響き、メロウなギターフレーズでゆったりと聴かせるシンフォニックロック風味から、牧歌的な歌ものパートまで、南米らしい優美な聴き心地で楽しめる。
ドラマティック度・8 プログレ度・7 優雅度・8 総合・8
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BLACK EXPRESSION 「MUNDO REAL」
アルゼンチンのプログレバンド、ブラック・エクスプレッションの2022年作
2021年にデビューし、2作目となる。ギター&ベース、シンセ、ドラムという3人編成で、存在感あるベースと巧みなドラムのリズムに、優美なピアノとシンセ、いくぶんハードなギターに女性スキャットが重なる、モダンなサウンドを展開。
テクニカルなアンサンブルに、オルガンやムーグを使ったヴィンテージなシンセやアコースティックギターも取り入れた、緩急ある構築性も覗かせる。
16分という大曲では濃密すぎないユルさがあって、オールインストとしては長尺さも感じるのだが、後半のメロディックなギターによる盛り上げはなかなか白眉。
ラストの11分の大曲は、きらびやかなシンセを乗せた、スタイリッシュなテクニカルプログレが楽しめる。全体としては、もうひとつ強固な方向性が欲しい。
ドラマティック度・7 プログレ度・7 テクニカル度・7 総合・7.5
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Esquizoide「Cronicas」
アルゼンチンのハードプログレ、エスクイゾイデの2024年作
適度にヘヴィなギターにきらびやかなシンセ、スペイン語のヴォーカルを乗せて、ProgMetal的な感触もあるハードプログレを展開する。
ピアノやサックス、フルートの音色が優雅に鳴り響きつつ、テクニカルなリズム展開から、スパニッシュな哀愁を漂わせるヴォーカルメロディで盛り上げる。
エモーショナルなスペイン語の歌声が映える、ゆったりとしたシンフォニック・ハード的なパートから、わりとキャッチーな歌もの感触まで、センスよくアレンジされている。
巧みなギタープレイにときにオルガン含むカラフルなシンセアレンジで、重厚にして叙情的なシンフォプログレが楽しめる力作です。
ドラマティック度・8 プログレ度・8 重厚度・8 総合・8
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◆フォルクローレ/チェンバー系
Xeito Novo「Xanelas」
アルゼンチンのケルティックバンド、シェイト・ノボの2005年作
フォルクローレ、タンゴというイメージの強いこの国でケルト系バンドというのは意外な感じがするが、アルゼンチンにはガリシア系のスペインからの移民も多いらしい。
ゆるやかにつまびかれるアコースティックギターの音色に、たおやかなフルートとアコーディオンが絡み、しっとりと優美に聴かせつつ、そこにガイタ(ガリシアン・パイプ)が加わると、本格的なガリシア風のトラッドサウンドになって、たとえばMilladoiroあたりと比べても遜色ない雰囲気。
あくまでインスト主体のバンドながら、数曲で歌う女性ヴォーカルもとてもいい感じだし、ドラムやピアノが入って来るとシンフォニックロック的に聴けたりするのも嬉しい。
また、本作はリト・ヴィターレがミックス、マスリングを手がけている点も見逃せない。
アコースティック度・8 ケルティック度・8 しっとりたおやか度・9 総合・8
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Hamacas al Rio 「Mitad de Junio」
アルゼンチンのフォークロック、ハマカス・アル・リオの2006年作
アコースティックギターの響きにフルートの音色が重なり、スペイン語の女性ヴォーカルを乗せた、南米らしい繊細な叙情のフォークロックサウンド。
オーケストラルなアレンジを含んだ楽曲はシンフォニックロックとしても楽しめ、やわらかなエレピなどシンセのセンスもなかなか絶妙で、しっとりとした女性声をよく引き立てている。
全体的にメロウな叙情に包まれた雰囲気なのだが、薄暗さというよりも木漏れ日をイメージするような優しい感触なのは、南米のバンドならではだろう。
ドラムを含めたアンサンブルもプログレリスナー受けする力量がある。まどろむように楽しめる好作だ。
メロディック度・8 南米度・8 女性Vo度・8 総合・8
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Jacara「Cien Volando」
アルゼンチンのフォルクローレロック、ヤカラの2012年作
牧歌的なチャランゴの音色に、女性ヴォーカルのやわらかなスペイン語の歌声を乗せた素朴なフォルクローレサウンドに、やわらかなピアノのつまびきが入るとジャズ風味の優雅さも現れる。
アコースティカルな繊細さとスタイリッシュな軽妙さを同居させたセンスと演奏力の高さは、チェンンバー風味のフォルクローレとしても楽しめる。お洒落なカフェで聴きたいような優雅な作品。
アコースティカル度・9 プログレ度・7 女性Vo度・8 総合・8
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FACTOR BURZACO「III」
アルゼンチンのチェンバーロック、ファクトル・ブルサコの2014年作
3作目となる本作は、サックス、クラリネットの軽やかな音色に、ギター、ベース、ドラムのアンサンブルが合わさった、中期UNIVERS ZEROにも近づいたような、適度にダークで重さもあるスリリングなチェンバーロックを聴かせる。
カロリーナ嬢のエキセントリックな歌声は、サウンドにキュートな浮遊感を描き、シリアス過ぎない緊張感は、いよいよ絶妙の域に達している。
ヴィブラフォンが鳴り響くミニマムな静けさから、ドラムが加わった即興的なナンバーやハードなギターが加わったテクニカルで硬質なナンバー、一転してコミカルなアヴァンロックまで、振り幅の大きさが物凄い。
ラストは14分を超える大曲で、優雅さと激しさ、静と動の起伏に富んだアレンジセンスで、圧巻のチェンバーロックを描き出す。
スリリング度・9 プログレ度・8 優雅度・8 総合・8
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SALES DE BANO 「HORROR VACUI」
アルゼンチンのチェンバーロック、サレス・デ・バノの2016年作
FACTOR BURZACOにも参加するベースを中心にしたバンドで、うるさすぎないドラムとベースによるミニマムなアンサンブルにエレピが重なり、サックス、トランペット、フルートなどがゆるやかに鳴らされる、チェンバーなアヴァンロック。
HENRY COWなどにも通じるスリリングな緊張感を、カンタベリー的な優雅さで包み込んだという聴き心地で、ロック的な部分での重厚さは希薄であるが、ブラスが鳴り響くとぼけた味わいとシリアスな空気が同居した、フリーキーなチェンバーサウンドが楽しめる。
ドラマティック度・7 チェンバー度・8 優雅度・8 総合・8
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AUGA ZULA 「NOCHE SUMERGIDA VOL.6」
アルゼンチンのチェンバー・ユニット、オーガ・ズラの2020年作
コンテンポラリーダンスを取り入れた視覚面のアートも表現したライブ作品で、ゆるやかなピアノの旋律に、サックス、フルートがかぶさり、ヴァイオリンが鳴り響く、静謐感のある優雅なクラシカルサウンド。
ドラムとベースも加わっての軽やかなアンサンブルも覗かせつつ、なよやかな女性ヴォーカルがスパニッシュな歌声でサウンドを優しく彩る。
曲によっては、南米らしいフォルクローレ風や、ジャズロック感触なども含んだ聴き心地で、やわらかなサックスにピアノがアダルトな叙情を描くあたりは、初期のKING CRIMSONを思わせるところも。
ライブ音源ながら、巧みな演奏力で繊細なダイナミズムをしっかりと表現するあたりもセンスを感じさせる。クラシカルなチェンバーロックが味わえる逸品である。
クラシカル度・8 プログレ度・7 優雅度・8 総合・8
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