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スペインのプログレバンド〜Spanish Prog Rock
国名はイベリア半島のラテン語読み「ヒスパニア」に由来し、カスティーリャとアラゴンが統合して誕生した王国でもある。
「情熱の国」、フラメンコやサグラダ・ファミリア、無敵艦隊とも呼ばれるサッカーのスベイン代表の活躍も知られるところ。
バスクやアンダルシア、ガリシア、カタルーニャなど、地方によって独自の文化や言語を有し、音楽的にもそれぞれに異なる特徴がある。
また、歴史的にはイスラムの統治下にあったこともあり、中近東的なメロディを取り入れたトラッド系バンドなども異彩を放つ。






◆70's〜80'sスパニッシュロック
Canarios 「Ciclos」
スペインのロックバンド、カナリオスの1974年作
60年代にBeat Pop/Rockバンドとして結成されたのであるが、いったいどういう経緯があったのか、突如ヴィヴァルディの「四季」をロック化した驚異の名作を生み出した。
なにやらたたごとではないイントロから、オペラティックな女性声が歌いだし、まるで生まれ落ちるかのように“春”のテーマが始まると、壮麗にしてクラシカルなサウンドがすべてを支配する。
きらびやかなシンセにオーケストラルなストリングスが合わさり、ギターが叙情メロディを重ねる。
この躍動感、ダイナミズムといったら、冬眠していた動物たちもいっせいに目を覚ますに違いない。
クラシックのロック化という点でも歴史的な作品であり、完成度という点でも奇跡的なアルバムだ。
クラシカル度・10 シンフォニック度・9 大仰度・9 総合・9
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GRANADA「Hablo de una Tierra」
スペインのプログレバンド、グラナーダの1st。1975年作
ギター、ピアノ、ヴァイオリン、ヴォーカルをこなすカルロス・カルカモを中心にした、TRIANAとともに70年代スパニッシュロックを代表するバンド。
メロディアスなギターに艶やかなヴァイオリンの音色、吹き鳴らされるフルートなど、アコースティカルな叙情性もあって、スペイン語の歌唱とともにしっとりと聴かせる。
メロトロンによるシンフォニックな質感に、スパニッシュギターが絡む様も美しい。
TRIANAに比べるとクセの強さは薄いので、スパニッシュ初心者にも聴きやすいだろう。
メロディアス度・8 叙情度・8 スパニッシュ度・8 総合・8
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TRIANA 「Hijos Del Agobio」
スペインのプログレバンド、トリアーナの2nd。1977年作
暑苦しいまでのスパニッシュロックを見せつける傑作だった2ndに比べ、シンセの活躍が増えたことで、音の厚みとともにシンフォニックさがぐんと増している。
フラメンコギターの頻度はやや減ったが、それとともにギターには泣きのフレーズが増した。
スペイン語による歌唱は哀愁を漂わせ、アンダルシアの風をドラマティックに運んでくる。
スパニッシュロックとしては前作であるが、シンフォニックとしてなら本作だろう。
シンフォニック度・8 プログレ度・7 スパニッシュ度・8 総合・8
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Alfredo Carrion「Los Andares del Alquinmista」
LOS CANAIOSの「CICLOS」でも知られるスペインの作曲家、アルフレド・カリオンの1976年作
アコースティックギターの素朴な音色とオペラティックな女性Voの歌声で始まり、そこにシンセやストリングスが加わると、クラシカルな趣と、異国的な情緒が合わさった独特のサウンドとなる。
繊細な曲調の中に芸術的な香りを含んだセンスは、GUALBERTOのアルバムなどにも通じるし、イタリアでいうとOPUS AVANTRAだろうか。
中世を思わせるチェンバロの音色やフルートも美しい。タイトル曲でもある「錬金術師」は、オーケストレーションも入ったクラシカルな大曲。
艶やかなピアノに絡むストリングス、混声コーラスも加わったスケールの大きなサウンドを聴かせる。
クラシカル度・8 芸術度・8 素朴な妖しさ度・8 総合・8
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GUALBERTO「Vericuetos」
スペインのアーティスト、グアルベルトの2nd。1976年作
スパニッシュプログレの名作の一枚に数えられるアルバム。全編インストで優雅なトラッドロック調に、ヴァイオリン入りのクラシカルなアンサンブルが素晴らしく、ジャズロック的な躍動感とともに、アーティスティックな構築性も感じられる。
異国的なシタールの音色、シンセと絡むヴァイオリン、フルートの繊細な音色にゆったりと聴き入れる。30分ほどの短いアルバムながら、たおやかさと音楽の芸術が詰まった傑作だ。
メロディアス度・8 クラシカル度・8 優雅度・9 総合・8
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ITOIZ
スペインの叙情派ロックバンド、イトイスの1976年作
オルガンを含む美しいシンセアレンジにフルートの音色、そしてバスク語によるやわらかな歌声で、しっとりと聴かせるサウンド。
いわば70年代ブリティッシュロックのバスク解釈というような聴き心地で、多くの叙情派に愛好されるべき質の高さがある。
メロディには人懐こいキャッチーさがあって、耳疲れしないあくまで繊細な作風。随所にメロウなギターもよろしく、GOTICなどを好む方にも聴いていただきたい好作です。
メロディアス度・8 プログレ度・7 バスクの魂度・8 総合・8
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ATILA「INTENCION + REVIURE」
スペインのプログレバンド、アッティラの2nd。1976/1999年作
本作は1976年の2ndのリマスターに、3rdの楽曲を再現した、1999年のライブ音源をカップリング。
オルガンを含む優美なキーボードにハード寄りのギターを乗せ、軽快なアンサンブルを聴かせるサウンドで、マイルドなスペイン語の歌声が加わると、哀愁を含んだ叙情に包まれる。
女性コーラスを重ねた優雅な空気感といくぶんブルージーなギターがややミスマッチながら、シンフォニックな味わいとともにドラマティックなサウンドを構築してゆく。
ラストの15分の大曲は、クラシックの旋律を盛り込んだイントロから、ハードなギターにオルガン、ムーグシンセが鳴り響く、英国のMARSUPILAMIあたりにも通じる、ダイナミックなインストサウンドを展開する。
スパニッシュプログレの裏傑作のひとつ。3rdのライブ再現では、演奏の濃密なテンションに加えて、楽曲のドラマティック性と緊張感が素晴らしい。
シンフォニック度・8 プログレ度・7 スパニッシュ度・8 総合・8
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MIGUEL RIOS「La Huerta Atomica」
スペインのシンガー、ミゲル・リオスの1976年作/邦題は「原子の果樹園」
スペインでは有名な歌手であるらしいが、本作は彼のディスコグラフィー中、最もシンフォニックな作品とされる。
オルガンやムーグシンセのプログレ的な音色にアコースティックギター、スペイン語による情熱的な歌唱を乗せて、たおやかなピアノによる叙情からシンフォニックな盛り上がりもなかなか美しい。
キャッチーな歌もの曲や、ファンキーなノリのナンバーに、5曲目でのどんどんと高まってゆく女性の喘ぎ声にはつい照れてしまうが、スペイシーなスケール感とほどよいアヴァギャルド性も含めて、異色の大作というべき作品である。
シンフォニック度・8 プログレ度・7 スパニッシュ度・8 総合・8
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DANIEL VEGA「La noche que precede a la batalla」
スペインのアーティスト、ダニエル ヴェガの1976年作。邦題は「嵐の前の静かな夜」
たおやかなアコースティックギターにフルート、そして異国的なパーカッションにエレキも加わり、単なるアコースティカルというだけではない、一種独特なサウンドとなる。
スパニッシュ風味のアコギは素晴らしいテクニックで見事な音色を聴かせジャズロック的なピアノにサックスなども現れて、合計25分ほどの短い作品の中にもさまざまな表情を覗かせる。
歌パートではイタリアンロック的な叙情をかもしだしつつも、どこかにうす暗さと哀愁を感じるのもポイント。人間的で奥深い世界観のある作品だ。
メロディアス度・7 スパニッシュ度・8 哀愁度・9 総合・7.5
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ICEBERG「Sentiments」
スペインのジャズロックバンド、イセベルグの3rd。1977年作
基本はテクニカルなジャズロックだが、軽やかにたたみかける演奏の中にも美しいシンセと泣きのギターがたっぷりとちりばめられたサウンドは、シンフォニックですらある。
歌がないせいもあってかスペイン臭さはあまりなく、哀愁のメロディを奏でるギターは、ときにまるでセバスチャン・ハーディのようだし、たおやかなピアノとプログレ的なシンセワークを使い分けるKey奏者のセンスもかなりのもの。
ジャケは不気味だが、内容はシンフォニック・プログレ・ジャズロックの傑作といえる。
メロディアス度・8 プログレ度・8 ジャズロック度・8 総合・8
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Companyia Electrica Dharma 「TRAMUNTANA」
スペインのジャズロック、コンパニア・エレクトリカ・ドアルマの1977年作
3作目の本作は、のっけからサックスがコミカルに鳴り響き、叙情的なギターの旋律にエレピが絡み、軽やかなアンサンブルのプログレ・ジャズロックを聴かせる。
スペインらしい哀愁を含んだ叙情パートなど10分を超える大曲では、メリハリある展開と前作以上にプログレ的な構築センスも覗かせる。
軽やかな演奏と民族的な空気感が合わさった、とぼけたようなコミカルさという点では、北欧のサムラなどにも通じるかもしれない。ただし、こちらはあくまでアンサンブル志向。
サックスが鳴り響く優雅なジャズロックから、ラストのチンドン的なナンバーも面白い。
ドラマティック度・7 プログレ度・7 軽妙度・9 総合・8
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Vega 「Andaluza」
スペインのジャズロック、ヴェガの1978年作
スパニッシュギターの名人、トマス・ヴェガ率いるバンドで、巧みなギターの旋律をグルーヴィなアンサンブルに乗せ、オーケストラアレンジも加えた優雅なインストサウンド。
アコースティックに加えエレキギターによるロックな味わいもあって、スパニッシュな哀愁系フュージョンロックといった趣で楽しめる。
全30分の小作品で、プログレ的な展開などはさほどないが、流麗で卓越したギタープレイにストリングスが重なるあたりはうっとりである。
ドラマティック度・7 プログレ度・6 優雅度・8 総合・8
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GOTIC「Escenes」
スペインのプログレバンド、ゴティックの1978年作
CAMELを思わせる繊細なメロディが素晴らしいインストプログレの傑作である。
たおやかなフルートの音色にクラヴィネットやムーグなどのシンセ類が絡み軽やかなアンサンブルで美しい叙情を聴かせる。
スペイン特有の土臭さはなく、ジャケのイメージのように全編メロディアスでやわらかなシンフォニックサウンド。
これが唯一のアルバムというのが残念でならないくらいの素晴らしい完成度だ。
メロディアス度・8 繊細度・9 スパニッシュ度・7 総合・8
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iBiO「CUEVAS DE ALTAMIRA」
スペインのプログレバンド、イビオの1978年作
先史時代の壁画が残るスペインにある「アルタミラ洞窟」をコンセプトとしたアルバム。
ソリーナ、メロトロンなどの美しいシンセとアコースティックギター、そしてスペイン語の歌唱によるシンフォニックサウンドで、繊細な音の中にはイタリアンロックにも通じる叙情性がある。
たおやかなピアノにかぶさる泣きのギターや、軽やかなジャズロック風味もあり、全体的にインパクトや派手さはさほどないもののじっくりと聴け、飽きさせない作品だ。
スペイン臭さも薄いので初心者にも勧められる。なおバンドは2006年に28年ぶりとなる2ndを発表。
メロディアス度・8 叙情度・8 スパニッシュ度・7 総合・8
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AZAHAR
スペインのプログレバンド、アザハルの1979年作
ドラムレスながら叙情的な好作であった1作目に続く2ndで、本作ではドラムが加入したことでぐっとロック寄りの聴き心地が強まっている。
美しいシンセによるシンフォニックなアレンジは健在でギターのメロウな泣きのフレーズとともに、厚みのあるサウンドを描いている。
歌入りの曲では、スペイン語による濃密さとともに土着的な哀愁があふれ出す。
ドラマティックな味わいは前作以上で、TRIANAやBloqueにも負けない傑作です。
シンフォニック度・8 プログレ度・7 スパニッシュ度・8 総合・8
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Crack 「Si Todo Hiciera」
スペインのプログレバンド、クラックの1979年作/邦題「邂逅」
アコースティックギターとピアノによる優美なイントロから、フルートにシンセが加わり、軽快なアンサンブルの優雅なシンフォニックロックを展開。
スペイン語によるヴォーカルに女性コーラス、泣きのギターとともに、しっとりとしたクラシカルな美しさに包まれる。
スペインというよりは、むしろイタリアンロックの繊細な美学にも近い感触で、リリカルな世界観は非常に日本人好み。
叙情派のスペイン産シンフォプログレとしては、GOTICと並ぶ傑作だ。
ドラマティック度・8 優美度・9 スパニッシュ度・7 総合・8
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Azabache 「No Gracias」
スペインのプログレバンド、アサバーチェの1980年作
前作「月の日々」はシンフォニックロックとしての傑作であったが、2作目となる本作は一聴してキャッチーなサウンドとなった。
軽快なリズムにほどよくハードなギターと美しいシンセアレンジ、そしてスペイン語のヴォーカルを乗せた、スパニッシュなプログレハードといった趣である。
楽曲は3〜4分前後とシンプルで、80年代らしいポップな感触の中にも、メロウなギターにメロトロンを含むカラフルなシンセなど、繊細で優美な叙情は随所に感じられる。
本作を最後にバンドは消えるが、彼らの残した2作は、スペインのメロディック系プログレでは高品質な部類だろう。
メロディック度・8 プログレ度・7 スパニッシュ度・7 総合・8
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ALAMEDA「AIRE CALIDO/NOCHE ANDALUZA」
スペインのプログレバンド、アラメダの3rd+4th。1981/1982年作
フュージョンタッチだった2ndに比べ、3rdでは哀愁度が増しており、美しいピアノにストリングスをバックに叙情的な歌声が響きわたる。
前作よりもギターの比重も増え、シンフォニックロックとしても充分楽しめる。
4thはさらにシンフォ度が上がり、ピアノとストリングスの絡みとメリハリのついた楽曲で、哀愁に満ちたスパニッシュの空気をドラマティックに聴かせてくれる。
また、フラメンコロック的な熱情も感じられ、濃密な叙情の点では本作が一番か。
シンフォニック度・8 プログレ度・7 スパニッシュ度・9 総合・8
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NEURONIUM 「TODAS SUS GRABACIONES PARA DISCOS EMI/HARVEST(1977-1978) 」
スペインのエクスペリメンタル・ロック、ニューロニウムの1998年作
スペインのTANGERINE DREAMとも評されるユニットで、本作は1977年のデビュー作「QUASAR」、1978年作「VUELO QUIMICO」を2CDに収録、
デビュー作は、26分という大曲で幕を開け、スペイシーなシンセの重ねにフルートが鳴り響き、叙情的なギターの旋律とともに、雄大なサウンドが広がってゆく。
単なるシンセミュージックではなく、ギターやフルートなどを取り入れたスタイルは、エレクトロというよりは、ときにPOPOL VUHのような原初的な神秘性も感じさせ、メロトロン鳴り響くラストナンバーもじつに叙情的。
2作目も、20分近い大曲から始まり、KLAUS SCHULZEばりのシンセサウンドに、アコースティックを含むギターや、後半にはヴォーカルも加わって、スペイシーなシフォニックロック的にも楽しめる。
ドラマティック度・7 プログレ度・7 神秘的度・8 総合・7.5
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◆90's〜現在系スパニッシュ・プログレ
GALADRIEL 「MINDSCAPERS」
スペインのプログレバンド、ガラドリエルの1997年作
1988年にデビューし、本作が3作目となる。過去2作は素朴な味わいのシンフォプログレだったと記憶しているが、今作はジャケからしてモダンな印象。
美しいシンセに流麗なギター、繊細に歌い上げるヴォーカルを乗せサウンドはぐっとスタイリッシュなイメージに包まれている。
ピアノを含むやわらかなシンセアレンジが優美なクラシカル性を描き、メロウなギターの旋律とともに、しっとりとした大人の叙情を構築してゆく。
16分という大曲も、美麗なシンセと情感的なヴォーカルとともに、PENDRAGONなどにも通じる、90年代的なロマンの香りを残した、これぞシンフォニックロックという聴き心地で楽しめる。
ドラマティック度・8 プログレ度・7 優美度・8 総合・8
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DRACMA 「A Fine Stormy Weather」
スペインのプログレバンド、ドラクマの1996年作
シンセを含む5人編成で、美しいシンセアレンジにメロウなギターフレーズを重ねて、マイルドなヴォーカルを乗せた、リリカルで繊細なシンフォニックロックを聴かせる。
アコースティックパートも含んだやわらかな叙情美は、CAMELあたりに通じる感触ながら、いくぶん唐突なリズム展開などは、マイナー系シンフォの醍醐味というべきだろうが、軽やかなドラムを中心にした演奏力はしっかりしているので、B級臭さは感じさせない。
ヴォーカルの甘い声質も含めて、スイスのCLEPSYDRAなどにも似たサウンドかもしれない。
10分を超える大曲も爽快な叙情メロディと優美な構築性で描かれる。90年代シンフォの隠れた好作品。
メロディック度・8 プログレ度・8 叙情度・9 総合・8
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PI2 「Retorn」
スペインのプログレバンド、パイ・ツーの1998年作
叙情的なギターの旋律にやわらかなシンセを重ねた、インストをメインにした優美なシンフォニックロック。
13分の大曲では、アコースティックギターにクラリネットの音色も加わって、繊細なクラシカル性も覗かせつつ、オルガンなどのシンセとともにプログレらしい緩急ある展開力で、日本人好みのシンフォプログレを聴かせる。
サックスが鳴り響き、きらびやかなシンセワークが重なるナンバーも、ゆったりとした繊細な叙情美が耳心地よく、オールインストながらも起伏のあるサウンドが楽しめる。
古き良きプログレの感触を残した優雅な好作品です。
ドラマティック度・7 プログレ度・8 優美度・9 総合・8
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AMAROK 「Quentadharken」
スペインのトラッドプログレ、アマロックの6th。2004年作
民族的要素とプログレ感覚を融合させた、クオリティの高い作品を毎回発表しているこのバンド。本作もじつに素晴らしい。
たおやかなフルートにサックス、ヴァイオリンにアコギ、そこにキーボードが絡み、プログレ的なドラムが加わると、ある種、摩訶不思議なトラッドロックサウンドとなる。
本物のバスクの香り漂うトラッドとプログレとの驚嘆すべき完全なる融合。
スパニッシュで歌われる女性Voの歌唱も素晴らしく、曲によってはエレキギターも加わり、スペイシーなシンセワークも現れる。
一方ではピアノ、フルート、アコーディオンなどの音色が実に繊細で、一筋縄ではいかない器の大きさを感じさせる。
たおやかにして大胆、そして異国的で優美なシンフォニック・プログレ・トラッド・ロック最高の1枚。これぞ必聴作!
シンフォニック度・8 プログレ度・9 トラッ度・8 総合・9.5
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VICTOR ESTRADA「Lo Divino En Lo Grosero」
AMAROKのリーダーである、ヴィクター・エストラダの2001年作
クラシカルなピアノにチェンバロのつまびき、フルートやヴァイオリンが鳴り響くトラッドな感触を現代的にスタイリッシュに構築するサウンドは、やはりAMAROKを思わせるものだ。
ときにドラムも加った充分プログレッシブな作風で、たとえば、オランダのFlairckやMIKE OLDFIELDなどにも通じるアーティスティックなスリリングさもある。
随所に女性スキャットなども加わった優雅な聴き心地は素晴らしい。
メロディック度・8 プログレ度・8 叙情度・9 総合・8.5
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Zyclope「Contracorriente」
スペインのプログレバンド、ザイクロープの2005年作
2作目となる本作は、美麗なシンセとピアノにほどよくハードで叙情的なギターを重ね、スペイン語によるマイルドなヴォーカルとともに、繊細なシンフォニックロックを展開する。
泣きのギターにヴァイオリンがかぶさる、優雅なシンフォニック性とスパニッシュな牧歌性が同居したサウンドは、いくぶんのB級感触も含めて日本人好みである。
前作に比べてヴォーカル入りのパートが増えたので、インストにおけるギターのメロウな旋律も効果的で、艶やかなヴァイオリンやピアノによるクラシカルな美意識も光っている。
全体的には、リズム面を含むもっさりとしたアレンジがスタイリッシュとは真逆であるが、90年代シンフォの香りを残した煮え切らなさも好きである。
ドラマティック度・8 プログレ度・8 優雅度・9 総合・7.5
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Tricantropus 「Recuerdos del Futuro」
スペインのプログレバンド、トリカントロプスの2007年作
元AZAHARのKeyを含む編成で、軽やかなリズムに優美なシンセと繊細なギターを重ね、CAMELにも通じる叙情的なインストを聴かせる。
ときにツインキーボードになったり、ツインギターによるメロウなフレーズも耳心地よく、オールインストながら、メロディアスな味わいで楽しめる。
全体的に派手な展開はないが、Steve HackettやJean Pascal Boffoなどを思わせる、優雅なギターの旋律にゆったりと浸ることができる好作品。
ドラマティック度・7 プログレ度・7 叙情度・8 総合・7.5
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Kotebel 「Ouroboros」
スペインのシンフォニックロックバンド、コテベルの2009年作
5作目となる本作は「死と再生」、「不老不死」の象徴であるウロボロス(尾を飲み込む蛇)をテーマによりシリアスさを増した力作となった。
軽やかなアンサンブルを聴かせる1曲目は序の口で、続く16分のタイトル組曲は、彼らのクラシカルな構築センスが発揮される圧巻の出来。
キレのよい変拍子を叩き出す鉄壁のリズム隊に、クラシカルなピアノ、シンセワークとメロウなギターワークが重なり、螺旋を描くように絡みながらサウンドを織り上げてゆく。
シリアスな硬質感の中にもメロディの美しさがあるので、オールインストであっても飽きずに楽しめ、構築型のクラシカルシンフォとしては世界最高レベルの完成度である。
クラシカル度・8 プログレ度・8 構築度・9 総合・8.5
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HARVEST「Chasing Time」
スペインのフィメールロック、ハーベストの2012年作
女性Voにシンセを含む5人編成で、しっとりとした叙情性とアンニュイな翳りを含んだ繊細な作風。
かつてのALL ABOUT EVEあたりにも通じる雰囲気で、随所にシンフォニック、プログレ的な感触もある。
紅一点、モニク嬢のやわらかな歌声もなかなか魅力的で、メロウなギターと繊細なシンセアレンジとともにロックとしての躍動感も適度に感じさせながら、ゆったりとした耳心地のよいサウンドが楽しめる。
8分を超えるラスト曲は、プログレ的なドラマティックな構築が見事。フィメール・メロウ・ロックの好作です。
メロウ度・8 プログレ度・7 女性Vo度・8 総合・8
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Jose Carballido「Requiem」
スペインのギタリスト、ホセ・カルバリドの2010年作
人間の生死をテーマにしたCD2枚組のコンセプト作で、いくぶんメタル色もあるハードめのギターにオルガンやフルートが鳴り響く、イタリアンヘヴィプログレ的な雰囲気で始まり、濃密に聴かせる。
男女8名の混成コーラスが荘厳に響き渡り、オペラティックなドラマ性を描いてゆくスケール感とともにメタル的なドラムにギター、スペイン語の男性ヴォーカルが加わると、シンフォニックメタル的な感触にもなる。
フルートが大活躍の優雅な叙情と、演劇的な構成で流れをつむぐ、オペラティック・ハードシンフォの力作。
ドラマティック度・8 プログレ度・7 壮大度・9 総合・8
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Senogul「III」
スペインのプログレバンド、セノガルの3rd。2011年作
妖しげなイントロから始まる本作は、優美なピアノに軽やかな変則リズムの嵐、クラシカルなチェンバーロック風味とアヴァンギャルドな感性を取り込んだ、ひと筋繩ではいかないサウンドを聴かせる。
ときに哀愁を含んだギターフレーズにコロコロとしたムーグシンセ、ファゴット(バスーン)やアコーディオン、ヴァイオリンも鳴り響き、やわらかな叙情を漂わせつつ、予測のつかない展開はとてもスリリングだ。
ジャズやクラシック、タンゴまでも取り入れた独自のアレンジセンスで描かれる、いわば優雅なるおヘンタイ。
変態チェンバー仲間のHoyry-KoneやAlamaailman Vasarat などが好きな方もぜひ。
ドラマティック度・7 プログレ度・9 優雅なヘンタイ度・9 総合・8
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DOCTOR NO 「Guerriers De Mitjanit」
スペインのプログレバンド、ドクター・ノーの2011年作
2003年に、Dr.No名義でデビューし、本作は2作目となる。きらびやかなシンセワークにメロウなギターを重ね、スペイン語によるマイルドなヴォーカルとともに、優雅でキャッチーなシンフォプログレを展開する。
アコースティックギターやピアノによる繊細な味わいと、スペイン語の相性もよろしく、やわらかな耳心地で楽しめ、アルバム後半には、14分、24分という大曲もあって、優美なインストパートと歌パートのバランスもよく、
ゆるやかな盛り上がりとともにドラマティックに構築される。重厚さにはやや欠けるが、総じて優雅な好作品です。
ドラマティック度・8 プログレ度・8 優美度・8 総合・8
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GLAZZ「CIRQUELECTRIC」
スペインのプログレ・ジャズロック、グラッツの2011年作
アンダルシア地方のバンドで、基本はギター、ベース、ドラムというトリオ編成で、ときにムーグを含むプログレ的なシンセやピアノ、スパニッシュギターなどを加えた、軽妙で優雅なアンサンブルを聴かせる。
本作はサーカスをテーマにしたアルバムで随所にSEやナレーションを含んだ、コンセプト的な空気感と哀愁の叙情も感じさせる。
クラシカルなヴァイオリンにピアノが絡み、技巧的なギターがまじわる味わいは、テクニカルなジャズロックにフュージョン、室内楽を合わせたような上品な聴き心地である。
一方ではハード寄りのギターを乗せたロック感触や、ミゲル・リオスがゲスト参加した、スペイン語によるヴォーカル入りのナンバーなど、バラエティに富んだ21曲、78分の力作だ。
メロディック度・8 ジャズロック度・7 優雅度・8 総合・8
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October Equus 「Saturnal」
スペインのチェンバーロック、オクトーバー・イクースの2011年作
本作は3作目で、物悲しくチェロが鳴り響き、サックスにドラムも加えて、スリリングなアンサンブルを描く、Univers Zeroを思わせるダークなチェンバーロックサウンド。
変則リズムによる唐突な展開は、ときにジャズロック風味になったり、室内楽的な優雅さとフリーキーな緊張感を巧みに融合させた、軽妙かつテクニカルなインストサウンドは、この手のチェンバー系プログレの愛好家にはたまらないだろう。
アンサンブル志向の展開力で聴かせるタイプなので、難解な世界観というものはあまり感じさせず、偏屈な技巧派プログレが好きな方にも対応。
暗すぎないダークさも含めて初心者から玄人まで楽しめます。
チェンバー度・8 プログレ度・8 スリリング度・8 総合・8
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Dry River 「El Circo de la Tierra」
スペインのプログレバンド、ドライ・リヴァーの2011年作
QUEENやMOON SAFARIを思わせる美しいコーラスハーモニーで幕を開け、メロディックなギタートーンにオルガンやムーグシンセ、メロトロンが重なる、
きらびやかなシンフォ・プログレサウンドが広がってゆく。優雅だが濃密な展開を見せつけ、高クオリティという点では、ロシアのLittle Tragediesなどにも通じるかもしれない。
ヴォーカルがスペイン語であることが、いくぶんの辺境性になっているのだが、80年代プログレハード的でもあるキャッチーな感触がそれを中和しているという。
優美なフルートも含んだやわらかな叙情性に、いきなりプログレメタル的にハードになったりと、若手らしいボーダーレスのセンスに包まれながら、あくまでメロディアス性にこだわった力作である。
メロディック度・9 プログレ度・8 優雅で濃密度・9 総合・8.5
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HERBA D'HAMELI「GIRAFES A SIBERIA」
スペインのプログレバンド、ヘルバ・ダーメリの2011年作
3作目となる本作も、14分の大曲で幕を開け、軽やかなリズムにオルガンが鳴り響き、叙情的なギターとともに、優雅なプログレサウンドが広がる。
スペイン語による優しげなヴォーカルも、ほどよくユルめの浮遊感をかもしだし、ムーグやエレビなどヴィンテージなシンセとの相性もばっちり。
2曲目からは、GENTLE GIANT風のコミカルさや、カンタベリー風味、PFM風の繊細な叙情性も垣間見せ、オールドなプログレ好きなら楽しめること請け合い。
中盤には13分の大曲、ラストもメロトロン鳴り響く12分の大曲と、前作以上にプログレらしい聴き心地で、肩の力の抜けた牧歌的なおおらかさもスパニッシュらしい。
不気味なジャケで損をしているが、サウンドはヴィンテージで優美な叙情プログレが楽しめる傑作ですぞ。
ドラマティック度・8 プログレ度・8 優雅度・8 総合・8
Randy Lopez 「Trec3」
スペインのミュージシャン、ランディ・ロペスの2013年作
Mezquitaのオリジナルメンバーで、Medina Azaharaにも参加したベーシスト&シンガー。
ほどよくハードで叙情的なギターに優美なシンセ、スペイン語によるヴォーカルで、哀愁の叙情に包まれたサウンドを描く。
きらびやかなシンセによるシンフォニックな優雅さと、古き良きスパニッシュ・ハードロックが同居した味わいは、やはりMedina Azaharaを思わせるが、曲によってはMezquitaやTRIANAのようなフラメンコロック風味も覗かせる。
メロウな泣きのギターややわらかなシンセワークもセンス良く、アンダルシアの哀愁の空気を描くスパニッシュロックが楽しめる。
ドラマティック度・8 プログレ度・7 スパニッシュ度・9 総合・8
ALMS 「AN IROSMIC TRAGEDY」
スペインのミュージシャン、Aitor Lucena Martinezのソロプロジェクト、ALMSの2016年作
2013年にデビューし、本作は2作目となる。14分前後の大曲3曲という構成で、ピアノとチェロ、ヴィオラのイントロから、叙情的なギターにオルガンを含むシンセを重ね、フルートの音色とともに優雅なシンフォプログレが広がってゆく。
今作ではドラムがいるので、バンドらしいダイナミックな展開力のインストパートから、味わいのあるヴォーカルも加わり、ドラマティックなサウンドが楽しめる。
オルガンにチェンバロが重なる優美なクラシカル性も前作以上に前に出て、ときおりスパニッシュらしいアコースティックギターも覗かせながら、プログレらしい緩急ある流れで大曲が構築されてゆく。
いくぶんのマイナー臭さも遺しているが、総じて優雅な好作品です。
クラシカル度・8 プログレ度・8 優雅度・9 総合・7.5
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KANT FREUD KAFKA 「Onirico」
スペインのシンフォニックロック、カント・フロイト・カフカの2017年作
マルチプレイヤー、Javi Herreraによるプロジェクトで、前作はクラシカルな優雅さが際立った好作であったが、今作も優美なピアノにムーグシンセが重なり、やわらかなオーボエの音色とメロウなギターがゆったりと奏でる、
繊細な美意識に包まれたシンフォニックロックを展開。静かな叙情パートから、ドラムを加えたロックのダイナミズムで、メリハリに富んだ展開美を聴かせる。
クラシック的な構築性という点では、KOTEBELあたりにも通じるだろう。
ヴァイオリンやチェロのストリングスとピアノのつまびきに、男女ヴォーカルを乗せたアリアのような小曲から、11分におよぶプログレ大曲もスパニッシュな味わいを含みつつ、あくまで優雅でクラシカルな味わいだ。
クラシカル度・9 プログレ度・8 優雅度・9 総合・8
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OMNI 「Cronicas Del Viento」
スペインのプログレバンド、オムニの2023年作
2000年にデビュー、16年ぶりの4作目は、2枚組の大作。メロウなギターの旋律に優美なシンセを重ね、ゆったりとしたシンフォプログレを描く。
CAMELばりの泣きのギターも随所に耳心地よく、インストをメインにしながらも、随所にスペイン語のヴォーカルを乗せて、叙情豊かなサウンドを展開。
6〜10分前後の大曲を主体に、きらびやかなシンセワークに包まれて、ときに優雅なサックやフルートも加わった、繊細な叙情美にはうっとりである。
Disc2はインストを主体にした大曲が続き、ボーナスにはデビュー作収録、12分の大曲の新録バージョンを収録。
ドラマティック度・8 プログレ度・7 叙情度・9 総合・8
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SCALADEI「SCHOOL OF PURE SOUL」
スペインのプログレバンド、スカラデイの2023年作
カタルーニャ出身、Harnakisのメンバーを中心にして、2019年にデビュー、本作は2作目となる。
メロトロンを含む優美シンセと、CAMELばりの叙情的なギターを重ね、ジェントルなヴォーカルとともに、優雅やわらかなシンフォプログレを展開する。
いくぶんマイナーかかったウェットな空気感は、90年代ルーツのヨーロピアンなシンフォニックロックを継承した聴き心地で、牧歌的な叙情美の中にも、くぐもったような翳りを覗かせる。
ラストは17分の大曲で、キャッチーなヴォーカルパートから、泣きのギターに甘美なシンセを重ね、スタイリッシュとは真逆の美学でじわりと盛り上げる。
ドラマティック度・8 プログレ度・7 叙情度・8 総合・8
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Urban Trapeze 「Reactivated Tarkus」
スペインのプログレバンド、アーバン・トラピーズの2023年作
結成は2004年で、作品を残さぬまま消滅するも、2016年に再結成、本作はEL&Pの名作「タルカス」の続編というイメージで製作された、2021年の作品に、新曲とライブ音源が加わった新装版である。
20分の組曲「タルカスの逆襲」はオルガンやムーグを含むシンセを軽やかなリズムに乗せ、ギターにフルートも加えて、緩急あるヴィンテージなプログレを聴かせる。
グレッグ・レイクを優しくしたようなヴォーカルも、70年代風のサウンドにマッチしていて、優美なフルートの音色も随所にアクセントになっている。
EL&Pに比べるとユルめのアンサンブルであるが、オールドなプログレ好きならニヤリとなる。アルバム後半には2005年のライブ音源を収録。
ドラマティック度・8 プログレ度・8 ヴィンテージ度・8 総合・8
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◆トラッド/フォークロック系
ITZIAR
スペインのプログレ・トラッドバンド、イツィァールの1978年作
ケルト/トラッド音楽が盛んなバスク地方のバンドで、これが唯一のアルバム。
アコースティックギター、フルートを中心に、うっすらとしたシンセが重なり、そこに絶品の美しさの女性ヴォーカルが幻想的な歌声を乗せる。
ドラムのリズムが加わるとプログレとしても聴け、ジャケのようなしっとりとした夜の情感を楽しめる。
数曲で男性Voが入るのが気に入らないが、女性Voものスパニッシュトラッドとしては屈指の作品だ。
アコースティカル度・8 プログレ度・7 女性Vo度・8 総合・7.5
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女性ヴォーカル
Haizea 「Hontz gaua」
スペインのトラッドバンド、アイセアの1979年作
2作目の本作も、素朴なアコースティックギターのつまびきに美しい女性ヴォーカルの歌声を乗せた、バスク地方らしい優雅でやわらかなトラッドフォークを聴かせる。
ヴァイオリンやチェロを使った、クラシカルなチェンバー風味も覗かせて、やわらかなフルートも鳴り響く優美な味わいに、涼やかな女性声がミステリアスな空気を描き出す。
ラストは14分の大曲で、妖しいスキャットヴォイスとともに、アヴァンギャルドと倦怠が同居したサウンドを展開する。
アコースティック度・8 プログレ度・7 優美度・8 総合・8
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MILLADOIRO「Gallaecia Fvlget」
スペインのトラッドバンド、ミジャドイロの1996年作
1978年デビューのベテラン。本作は、「ガリシアの輝き」という邦題のように、いかにも素朴なガリシア地方のトラッドをときの流れの中で、その一瞬の輝きを封じ込めたような素敵な作品。
パイプやマンドリン、ホイッスル、フルート、ハープなどのアコースティカルな響き、グレゴリアンチャントを思わせるような厳かなコーラス、雄大な大地と空気、
そのゆったりと優しいサウンドに思わずうっとりと目を閉じてしまう。
アコースティカル度・9 素朴度・9 ガリシア度・9 総合・8.5
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GANBARA「Buhamien Balleta」
スペインのプログレ・トラッドバンド、ガンバラの1992年作
1982年にデビューし、本作は5作目。リリカルでシンフォニックなモダンなトラッドロックで、アコーディオンにヴァイオリン、ハープなどが絡み合い、素朴でありながらもしっかりとしたアンサンブルを聴かせるところは、AMAROKなどにも近いものがある。
そこに美声の女性ヴォーカルによるスペイン語の歌唱が入ると、もううっとり…。男Voはいらないかも(笑)
アコースティック楽器をメインにしつ、うっすらとシンセを取り入れているのもセンスがよいですな。
メロディアス度・8 トラッ度・9 女性Vo度・8 総合・8
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Amaia Zubiria & Pascal Gaigne 「Tasogare/黄昏」
スペインの女性シンガー、アマイア・スビリアと音楽家、パスカル・ゲイニュのコラボ作。1996年作
バスク地方を代表するアマイアと、フランス圏の現代クラシック音楽架のゲイニュによる初期の2作品、1985年作「Egun Argi Hartan」、1986年作「Kolorez
Eta Ametsez」から選曲されたナンバーに新曲を加えた作品。
伸びやかに美しいアマイアの歌声に、うっすらとしたシンセアレンジを加え、サックスやクラリネットが鳴り響く、トラッドとフォーク、クラシック、ジャズ風味を足したような聴き心地で、これはなかなかプログレファン好み。
一方ではしっとりとしたピアノやヴァイオリンをバックにした現代クラシック的な歌もの曲や、アコーステイックギターにパーカッションが鳴り響くフォークタッチのナンバーまで、素朴さと優雅さが同居したゲイニュのアレンジセンスが光る。
プログレ度・7 優雅度・9 女性Vo度・9 総合・8.5
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FUXAN OS VENTOS「Sempre E Mais Despois」
スペインのトラッドバンド、フサン・オス・ヴェントスの1999年作
70年代から活動するガリシア地方のベテランで、男女2名ずつのヴォーカルにギター、マンドリン、ブズーキ、アコーディオン、フルートなどによる土着的なトラッドサウンド。
同じガリシアのベテランMilladoiroがアコースティカルな演奏に重点を置いているのに対し、このバンドはあくまで歌を大切にした曲調で、その分田舎臭さ、そして土の香りが強い。
ヴォーカルの歌声には美しさと力強さがあり、たおやかなメロディを奏でる演奏の中でその存在感が引き立っている。アイリッシュとは異なる濃密なトラッドが楽しめる。
アコースティカル度・9 トラッ度・9 土着度・10 総合・8
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Fia Na Roca「Contravento」
スペインのトラッドバンド、フィア・ナ・ロカの2001年作
3作目の本作では女性Voがゲスト参加していて、優美なピアノの旋律に美しい女性ヴォーカルを乗せ、ドラムのリズムにガイタやヴァイオリンの音色が艶やかに重なる、スパニッシュなケルトサウンド。
やわらかなホイッスルやアコーディオンの響きで、インストのナンバーでも親しみやすい聴き心地だ。
モダンでコンテンポラリーであっても、トラッドとしての伝統美と説得力は演奏から感じられ、AMAROKほどにはプログレ寄りではないが、シンセを加えたナンバーもあったりと、シンフォな味わいも覗かせる。
アコースティック度・8 ケルティック度・8 優雅度・9 総合・8
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AVALON「LUA MEIGA」
スペインはガリシアのコンテンポラリートラッドバンド、アヴァロンの2000年作/邦題「魔女の月」
若い女性6名によるバンドだが、トラッドとしてもなかなか本格的。ヴァイオリンやチェロ、リコーダーの美しくも優雅な響きにケルト風味もプラスされ極上のアコースティックサウンドを構築している。
メロディが暖かく、分かりやすいので、トラッドでありながらもどこかにポップ性も感じられる。
爽やかな女性ヴォーカルの歌声もサウンドに華を添える。元気の出る陽性トラッドの傑作。
メロディアス度・9 トラッ度・9 さわやか度・10 総合・8
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MALAGUERO「LATITUDES」
スペインのトラッド・ロックバンド、マラグエロの1st。2001年作
ヴァイオリンやマンドリン、フルートに、エレキギターとロックドラムを融合し、美しい女性ヴォーカルの歌声を乗せた、キャッチーなトラッドロックサウンド。
曲によっては純トラッド的で、確かな演奏力もあってトラディショナル音楽としても本格派だが、やはりそこにピアノやギターなどが絡まると、なんともいえぬ素敵な音楽になる。
女性ヴォーカルの歌唱も伸びやかで力強く、スペイン語の歌が実によく映えている。
トラッ度・9 ロック度・7 女性Vo度・8 総合・8.5
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iRtio「Mar De Pedra」
スペインのトラッドバンド、イルティオの2002年作
やわらかなアコーディオンの音色にヴァイオリン、パイプ、フルートなどが絡み、女性ヴォーカルが歌を乗せる、爽やかなサウンド。
ケルティックな味わいの中にほのぼのとした温かみが感じられるのが、やはりガリシア地方のバンドらしい。
ピアノやクラリネットなどの入れ方はどこかクラシカルだし、ロック的なドラムも入っているのでプログレファンにも充分楽しめる。
メロディアス度・8 ケルティック度・8 トラッ度・8 総合・8
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Barahunda 「Al Sol De La Hierba」
スペインのトラッドフォーク、バラフンダの2002年作
ガリシア地方のユニットで、タブラのリズムにアコースティックギター、アコーディオンやイーリアンパイプ、美しい女性ヴォーカルのガリシア語の歌声で、優雅なアコースティック・トラッドを聴かせる。
ロック色やコンテンポラリーな要素はなく、あくまで伝統的なガリシアントラッドをルーツにした作風は、Milladoiroの女性声版というような素朴な味わいで楽しめる。
やわらかなフルートの音色や、ブズーキのつまびき、パーカッションのリズムと、エスニックなテイストも含んだ、本格派女性声トラッドの傑作です。
アコースティック度・9 スパニッシュ度・8 女性Vo度・8 総合・8
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Rodrigo Romani「Cantos Caucanos」
元Milladoiroのハープ奏者、ロドリゴ・ロマーニの2003作
優雅に鳴り響くハープに、ガイタ(スパニッシュ・パイプ)の音色、そこに重なる女性ヴォーカルの歌声で陽気に聴かせるスパニッシュなトラッドサウンド。
しっとりとしたシンセに美しいフルートが絡み、ゆるやかな叙情が広がってゆく。
アコースティックギターとパーカッションのリズムに男性ヴォーカルで聴かせる曲などもあり、アルバムの中に繊細さと力強さが同居している印象だ。
歌唱はスペイン語であるが、音自体には土着性は薄く、トラッドとしてはとても聴きやすい。
メロディアス度・8 アコースティカル度・8 陽気で爽やか度・8 総合・8
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L'ham de Foc「Cor de Porc」
スペインのトラッドバンド、ラム・デ・フォクの3rd。2006年作
前作もミステリアスなトラッドサウンドでなかなか見事なアルバムであったが、本作ではさらに一歩踏み込んだような、強い土着性が感じられる作品となった。
アコースティックギターを中心に、ブズーキ、ハーディーガーディなどの古楽を大胆に取り入れ妖艶な女性ヴォーカルの歌声とともに、中世を思わせる不思議な世界観を描き出している。
またバルカン、ギリシャ的ともいえる地中海色もあり、パーカッションの躍動的なリズムなども含めてラジカルトラッドのリスナーも唸らせるだけのインパクトと、サウンドの強度がある。大傑作。
土着度・9 トラッ度・9 女性Vo度・9 総合・8.5
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DAFNIA「La Ruta Olvidada
スペインのトラッドバンド、ダフニアの2011年作
AMAROKの女性シンガーとシンセ奏者を中心にしたユニットで、パーカッシブなリズムにサズ(アラブの弦楽器)、ヴァイオリン、そして女性ヴォーカルのスペイン語の歌声で聴かせる、アマロックのトラッド色を抽出したというスタイル。
もともとあった、バルカン、中近東的な色合いを全面開花させたという聴き心地で、さすがの演奏力と歌唱で説得力のあるサウンドを描いている。
一方ではシンセを加えたプログレ風味もいくぶんあって、エキゾチックな民族トラッドが楽しめる。
アマロック度・8 中近東度・8 女性Vo度・8 総合・8
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Luar Na Lubre 「Mar Major」
スペインのケルティックバンド、ルアル・ナ・ルブレの2012年作
90年代から活動するキャリアのあるバンドで、バグパイプにヴァイオリン、ホイッスルの音色に女性ヴォーカルの母国語の歌声を乗せ、ジャケのイメージ通り、ケルトの大地を思わせる雄大なサウンドを描いてゆく。
シンセアレンジも加えたシンフォニックな感触は、プログレリスナーも楽しめるケルティックロックとして鑑賞可能。
本作では中世音楽の素朴な優雅さを取り入れた雰囲気もあって、祝祭的な空気に包まれた9分の大曲をはじめ、キャッチーなノリの良さと、湿り気を含んだ叙情が同居した、メリハリに富んだ聴き心地が楽しめる。
本格派ケルティック作品としても、ドラマティックなコンセプト性を感じさせる、全64分の力作だ。
シンフォニック度・8 ケルティック度・9 女性Vo度・8 総合・8.5
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Mercedes Peon「SOS」
スペインの女性トラッドミュージシャン、メルセデス・ペオンの2010年作
ガリシア出身のシンガーで、パンデイレータ(タンバリン)やガイタ(ガリシアン・パイプ)の名手でもあるミュージシャン。
本作はブックレットの内容からして、日本をはじめ世界各国をテーマにした内容らしく、どことなく和風のメロディに、お経じみた歌を乗せたり、エレクトロなシンセアレンジを含むモダンなテイストと、不思議な土着性が融合した、先鋭的なトラッドミュージックを聴かせる。
アラビックな中近東要素や、ボサノバやスカやジャズ要素なども入り混じり、クラリネット、アーディオンとなども加わった、チェンバーロック的なアヴァンギャルド性も垣間見せる。
エキセントリックなセンスに包まれた異色のエレクトロ・トラッド作品であり、アヴァンロック的にも味わえる傑作。
先鋭トラッ度・8 アヴァンギャル度・9 女性Vo度・8 総合・8
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A Presenca Das Formigas 「Pe De Vento」
スペインのフォークロック、プレセンカ・ダス・フォーミガスの2014年作
2011年にデビューし2作目。アコースティックギターに艶やかなヴァイオリンの音色、女性ヴォーカルの歌声を乗せ優雅なアコースティックサウンドを聴かせる。
ドラムによるリズムが加わるので、ロック的な軽快さもいくぶんあり、スパニッシュな歌声やアコーディオンの音色とともに、フォルクローレ風味の哀愁と叙情も感じさせる。
ときにマイルドな男性ヴォーカルも加わりつつ、あくまで女性声がメインなのも嬉しい。
あるいは、AMAROKからプログレ要素を薄めたイメージで楽しめるかもしれない。
アコーステッィク度・8 トラッド/フォーク度・8 優雅度・9 総合・8
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Robert Santamaria & Ensemble Spatium 「Jaume I - Musica de Fets i Llegendes」
スペインで活動するミュージシャン、ロベルト・サンタマリアによるプロジェクト。2021年作
ベネズエラ出身で、AMAROKの中心人物でもあるミュージシャンで、本作はアラゴン王ハイメ1世をテーマにしたコンセプト作品。
AMAROKの女性シンガーに、フルート奏者、DAFNIAのヴァイオリン、コントラバス奏者が参加、優美なフルートにヴァイオリン、パーカッションのリズムに、12弦ギター、サントゥール、オートハープの典雅な音色、スペイン語の女性ヴォーカルを乗せ、中世風の古楽トラッドサウンドを聴かせる。
オーボエやフルートの繊細な音色など、アコースティックをメインにしつつ、随所にシンセやピアノによる味付けもあるので、単なるトラッド以上の幻想的なサウンドが味わえる。
アコースティック度・8 プログレ度・7 典雅度・10 総合・8
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Eneritz Furyak 「Emadan」
スペイン、バスク地方出身の女性SSW、エネリツ・フルヤクの2021年作
アコースティックギターのつまびきに、バスク語によるキュートな女性ヴォーカルを乗せ、シンセによるアレンジも加えた、コンテンポラリーなトラッド・ポップを聴かせる。
バスク地方の伝統に根ざした空気感に包まれながら、メロディ自体はキャッチーなので、エモーショナルなヴォーカルとギターのつまびきを主体に、わりとライトな感触で楽しめる。
ポストフォーク以降の若手世代による、新たなスパニッシュ・トラッドの解釈というべき逸品だ。
アコースティック度・7 モダントラッ度・8 女性Vo度・8 総合・8
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