ウェイクフィールドに咲くおまけに手を伸ばして
不摂生の探究心と数ならぬ足並みのふぞろい
ワックスかけながら思う水無月の夕べ
コーカサスの旅について思うときはいつも
ひるがえす紅王のマントの輝かしい残像が
ふと頭をよぎり、続いてコントラバスの響きが
心臓をはね上げる

そのような恋に落ちたことがあるのなら、
不意の悶絶がひっそりとしたソリチュードに変わってゆく
その一瞬の楽しみ方を早急に覚えた方がいい。
欠損のある大理石の円盤投げ像が物語る
ライティングされた筋肉の必要性
その味わい深い曲線を、むしろデュオニュソスの背徳に見出せたなら
君はもう進み始めているに違いない

虚無の中でも、白い霧の先に目を凝らしながら
黒い尻尾に付いて丘を上る
その途中に待ち構えている軍勢が長槍を手にし
恐るべき威嚇を始めたとしても
ゆかなくてはならない
結局は、立ち去るべき問題の輪の中に
はまることを恐れるよりも嘆くからだ

良い加減に針を突き出して
拒絶を人質に雄叫びをあげてみてはいかが
本能で知る香り、甘くせつなく、毒気に満ちた
執着の中に潜む自意識の崩壊から目を背け
腹這いになって進まないかぎり抜け出せない
どっぷりとした、ぬかるんだ黒い泥水の上で

苦しみの先にある忘却か、
盲目の果てにある牢獄か、
どちらかを選べ
さもなくば
己を捨て、歯車のひとつとして他者に混じり
表情をなくし、いつのまにか心地の良い仮面と
仮面を賛美する集団の中での孤独に安心を求める

鍵はあいている
しかし扉は閉まっている
振り返ることを恐れて
鍵をなくしたふりをしている

黒い箱に閉じ込めようか
君のその水晶のような涙を


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